普通科、高校3年生!ヒーロー目指します!? (黒套院 時雨)
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第1話 人は前を見て歩く

大好きなヒロアカの世界観でオリキャラを暴れさせたくて書きました!
ぶっ壊れ個性では無いので無双はしないしヘタレです!

ではよろしくお願いします!


フフ…フハハハ!!!

俺の名は闇雲黒套(ヤミクモ コクト)。俺の目標は混沌に囚われしこの世を俺の個性で活躍し、安寧を掴み取ること…その事に俺は心血を──

 

「黒套?心の中で何恥ずかしいこと喋ってるの?」

「あひゅえりゃぁっ!?」

 

突然話しかけられすごい声が出てしまった…恥ずかしいなぁもう!俺じゃなきゃ怒ってるぞ!

 

俺は驚きで変な声を出してしまう原因となった女子、深観心露(フカミ ココロ)を睨む。

 

「なんでよー!黒套が変な事言ってたんでしょ!?」

「心露よ、人の心にはな、見ていいやつと見ちゃダメなやつがあるのだよ。」

「ふぅーん、で、黒套!進路希望決まった?()()()で決めて無いの黒套ぐらいだよ!?」

 

全く、心露は人の心にズケズケと土足で入りすぎだろう。流石は個性「深層心理」だ。

そして心露の発言には見逃せないものがあった。

 

「おうおう心露さんよぉ!俺はもう普通科じゃないんだよ!元普通科なんだよ!」

「えっ…そうするともしかして…退学…?」

 

心露の斜め上を行く発想に教室の大半がどよめく。

あ、これ人徳のある心露の発言が信じられてるパターンだ…

 

なんて考えていると扉が開き担任が入ってきた。

 

「先生!俺普通科じゃないっすよね!?」

「あー…高校卒業までは普通科扱いだけどな、ヒーロー科として動けるが?」

 

学科の話をして気付いたか?そう、僕は普通科からヒーロー科へ高校の3年で漸く編入するというヒーローを諦めきれない男だったのだ。

 

「黒套?誰に話してんの?」

「また心を…我が黒き外套に呑まれるがいいわ…」

「はぁ…聞いた私がバカだったよー…で、いつ編入してたの?ヒーロー科に!」

「1か月前って適当に言っとくわ。」

 

心露は俺の幼馴染なのだが…如何せんうるさいしぃ?尚且つ心を…って、あ。

 

「黒套…?どうしたのかなぁ?顔が青いよぉ…?」

 

拳を握りながら近づいてくるそれは最早女子とは言えない!あんなん般若だろ!?

 

「悪かった!悪かったって!編入試験!受けたの!緋色雨(ひいろう)高校だからあるヒーロー科編入試験!」

「え?うちの高校そんなんあったの?」

 

いや、自分が通ってる高校の事ぐらい把握しとけよ…っと、これ以上考えてるとまた読まれるからな…それに先生の話は聞くべきだ!

 

「おい、闇雲と深観、さっさと座れ。」

「やだなぁ先生、俺は座って…ないですねなんででしょうかね?」

「知らないな、いいから座れ。」

 

先生に言われ席に座る。あの様子だと心露はまた聞きに来るだろう。

 

ホームルームが終わり1時間目の英語が始まる。

俺は英語が好きじゃない。いや、寧ろ嫌い、大っ嫌い。

 

「はいじゃあこの文を闇雲、訳してみ──」

「分かりません」

「早くない?ねぇ、考えてる?もっかい聞くよ?訳し──」

「分からないです。」

 

こんな調子で英語の時間は過ぎていった。

 

 

 

 

昼休み…2時間目始まってからここまで記憶がないが…とても疲れは取れた気がする。

俺が弁当を食べていると案の定心露が来た。

 

「黒套〜ヒーロー科って言ってたけどヒーローの仮免も取ってないよね?どうすんの?」

「ハッ、これだから素人は。」

「ムカつくなぁおい。」

「え、なんかゴメン…ってそうじゃなくて、知らないの?大学のヒーロー学部。」

 

きょとんとした顔を向けられた…だと…?まさか知らないのか!?いや、正直言うと僕も3年なるまで知らなかったけども!

 

「まぁ黒套の個性だったらヒーローも夢じゃないかもねー」

「我が外套はあらゆるものを貫く…」

「いや、厨二病入るの唐突だし、それに黒套の個性の『外套』、硬さコートくらいでしょ、強度足りないよ〜」

 

む、痛いところを突いてくる…が、しかしィ?俺はァ?技術をォ?手に入れたんだなァ〜

 

「心読んでないけど凄いウザいこと考えてた気がするからとりあえず殴るわ。」

「なんで!?」

 

思いっきり殴り過ぎだろ…痛てぇ…

 

 

 

 

 

 

 

 

帰り道、心露は用事があるから!って先に帰っていっちゃったし…意外と1人で帰ったりすんのつまんないもんだなぁ…

 

「ん?なんか向こうが騒がしい…?」

 

叫び声やらなんやらが聞こえる…がヒーローは疎か野次馬'Sもいない…叫び声がした方へと歩いて行ってみるか。

 

「まぁヒーローが一人もいないってことはないだろーからな。」

 

しかしそこに広がっていたのは地獄絵図とも取れる風景だった。

 

「嘘だろ…?まさかの殺人事件…?」

 

不可思議に抉られた道路、ひん曲がって倒れている人に刺さっている道路標識…そして何より今にも殺されそうな幼馴染の姿だった。

 

オイオイ嘘だろ?なんでいないんだよヒーロー!

動けるやつは!?俺しかいねぇ!動けよ!足!

 

そんな心の葛藤も心露へと伸ばされた手を見た瞬間、消えていた。

 

「心露に近づくなァ!クソヴィランがッ!」

「威勢のいい声…恐怖の混ざる声…か、クク」

 

ヴィランはゆっくりとこっちを向く。その見た目は拍子抜けするほど優しそうな若い男性だった。

 

「黒套!あんたじゃ勝てない!私はいいから早く逃げて!」

「五月蝿い!いいから黙って助けられてろ!」

 

ヴィランは僕の方へと近づいてくる。振り上げた腕を視認、後ろへ数歩下がる、修行の成果、見切りッ!(はいそこ、なんの修行だよとか言わない)

 

「へぇ、避けれるとは…面白いね」

「そりゃどうも、それはそうとパンチ遅くないですか?」

 

煽っていくスタイルだから、俺。つかヤバない?パンチヤバない?地面当たったら地面クレーターみたくなったんだけど!?

そんなことは顔に出さず上着を着るようなモーションをとる、これが僕の個性発動トリガーだ。

 

「黒い、コート?」

「正解、だけど不正解!」

 

纏ったコートを操れる、これが僕の個性。

撃つのは小さな頃から練りに練った必殺技!

 

「独学のヒーロー志望に負けるのは──最高の気分だよなァ!喰らえェ!必殺!刻拳(コクケン)!」

 

まぁ纏ったコートを腕に集めてでかくなった拳で殴るだけなんですけど、え、抵抗するっつったら拳だろ、拳。

ヴィランは吹っ飛んでったが体勢を立て直す、なかなかバランス感覚いいな、

 

「いってぇ…なかなかやるな、お前ェ…」

「もっかい喰らう?どう?いる?」

 

まぁ多分次とる行動は逃走だろう、だけど、逃がさない!

 

「こうなったら逃げ──」

「必殺!黒爪(コクソウ)!」

「うぁっ!?いってぇぇぇ!!?」

 

硬く尖らせたコートを伸ばして突き刺す、ただそれだけ。そこそこ尖ってるから貫けるんだ、コレが。

ヴィランの足に刺さりヴィランはバランスを崩す。

 

「んで、行動を阻害したとこでフィニッシュ、必殺!黒煌流星(ダークコメット)!」

 

これはただ単に拘束するだけ、ギッチギチにね?

端っこ触って無いとコート消えちゃうからヴィランを引き摺りながら心露の元へ行かなくては!

一瞬見えたが、多分腕に尖った金属片が刺さってたはずだ。

 

「心露っ!大丈夫…じゃないなコレ。」

「黒套ぉ…痛い…痛いよぉ…うぅ…」

「わかった、わかった、怖かったな、よく頑張った…襲麒(カサネギ)…ほら、止血するぞ、腕出せ。」

 

襲麒はもう一度コートを出す技、痛々しい心露の腕に巻いて止血をしてやろうと思ったが…心露の腕、かなりやべぇな。

 

「腕…動かない…痛くて…多分骨が…」

 

考えちゃダメだ、心露の前で、それは、絶対。

 

「無理に動かすなよ。大丈夫だ、俺が巻いてやるから。」

「ありがと…黒套ぉ…」

 

止血をし終わったところで警察車両と緊急車両、ヒーローが駆けつけてきた。ったく、遅せぇよ、もう倒しちまったよ!

 

「あ、お勤めご苦労様っす、捕まえときました、んで、負傷者は2人、いや、3人ですかね、もう1人小さな子供とかいなかったっすか?」

「黒套…言ってないのになんでわかったの?」

「多分っすけどそこで倒れてるヤンキーっぽいにーちゃんも俺の幼馴染も怪我の具合とかから誰かを庇ってる感じだったんでもしかしてと…」

 

やっぱいたらしい、ヒーローをとかを呼んでくれたのはその子だったとか。まぁ俺は一般市民の個性使用でしこたま怒られたワケダケド。ワケダケドッ!

 

ヤンキーっぽいにーちゃんも心露も命は助かったがかなり酷い怪我だったらしく、ヤンキーの方は両足に障害が、心露は右腕が完全に動かなくなっていて、使い物にならないと言われた。

 

一人病院内の椅子に座り考える。酷い怪我だった。心露が泣くんだ、よっぽどの事だろう。そう考えると胸が痛い。

 

俺は──助けられたのだろうか、心露もヤンキーっぽい人も感謝してくれた。だけど、俺は思うんだ、もしかしたら俺が無理を言って心露と一緒に帰っていたら、と。

 

「そんな事考えても、後の祭りだよ?」

「心露か、また心を読んだのか…」

「気にしなーいのっ!ほら、私達は生きてるんだから!前を向いて歩かなきゃ!偶には振り返ったっていい、でもね?振り返っても過去は変わらない。それを私達は知ってるからまた前に進んで行くんでしょ?」

「…そうだな。心露の言う通りだ。けど俺は──」

 

いつの日か見たヒーローの勇姿。

デビューで千を超える人を助けたヒーロー。

その姿は今でも脳裏に焼き付いている。

 

 

俺もいつかそんなヒーローに…

 

果たしてなれるのだろうか。




ネタがイマイチな組み込み方なのは許してください!何でもしますから!(何でもするとは言ってない)

では次回の更新は未定ですが次回もお楽しみにー!


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第2話 甘い覚悟と苦い思い

心情って凄い難しいの!疲れるの!



俺は高校生探偵闇雲黒套、俺は幼馴染の深観心露と来ていた遊園地で怪しげな黒ずくめの男達を見かけ追いかけ、取り引きの現場を見ていたが取り引きに夢中で背後から迫るもう1人の男に気が付かなかった!──

 

「黒套、例え頭の中でも怒られるからその辺でやめといた方がいいよ?めちゃうろ覚え丸出しだし…」

「やっぱダメか…」

「そもそもそれ原作すらジャ○プじゃないよね?」

「えーっと…サ○デーだったかな?」

 

ガラガラと扉が開き担任が入るのを確認、がしかし喋るのは止めない。

 

「闇雲…ヒーロー科への編入取り消すぞ?」

「ふぁっ!?やめて!?座りますからァ!」

 

俺のヴィラン撃退から1週間…心露は退院して授業を受けれるレベルまで回復した。まぁ腕は包帯でぐるぐる巻きだけど。

大方他の人に傷跡を見せたくないのだろう。

 

「んじゃ、今日のホームルームは以上、お前ら受験生なんだからしっかり勉強しろよー」

 

今日も楽しい睡眠学習が始まるぜ!

 

「黒套、寝てたらついうっかり編入取り消しちゃうかもしれんからなー」

「………」

 

そうか、遂に担任まで深層心理の個性に目覚めたか…

 

「黒套違う、あんたがわかりやすいだけ。」

「くっ…なんでだ!どうしてなんだァ!」

「あははっ!おっかしぃ!」

「…やっと笑顔になったな。」

「ふっふーん、それももう既に読んでますぅー」

 

それでもいい、笑えればきっと前に進める、そうだろ?

 

「そうだね、ありがと黒套。」

「はてさてなんの事やら…」

 

全くもって何を言ってるか検討もつかないな、うん。

 

 

 

 

 

 

…やってしまった、いや、いつも通りと言ったらそうなのだが…

え?俺がいる場所?職員室だけど何か?目の前には担任がいますよ?

察して下さい…今日の朝に言ったこと冗談じゃなかったとは…

 

「で、どうする、闇雲。」

「どうすると言われますと…授業態度を改めます、としか言いようが無いですが。」

「反省0?え?もうちょい反省してると思ってたよ?」

 

担任が深く息を吸い、そして思いっきり息を吐く。

 

「あっづぁっ!?」

「いや、本当はね?荒っぽい手は使わないようにしてたんですけどもね?あんまりにも授業態度悪いじゃん?」

 

担任の個性何なのこれ!?吐く息が一瞬すっげぇ熱かったんだけど!?

 

「聞いてるか?もっかいブレス喰らう?どうするよ、なぁ闇雲。」

「いえ、しっかりと授業を受けさせていただきます!」

「まぁお前がそう言うなら信じるけどさ、ヒーローは甘くないし、ヒーローになるのは難しい事だ。俺は1人の人間としてお前を応援している、だから余り抱え込みすぎるなよー」

 

それだけ言うと担任は帰っていいぞと、俺に促した。

応援されてんのか、俺。

帰り道、心露と帰れるだろうか、何でもいいから話しがしたい。

 

「いいよ!一緒に帰ろうか!黒套は荷物持ちねー!私右腕動かないから!」

「…個性の使用は禁止だぞ?」

「使ってるか使ってないかの差がわかんないから、私の個性は。」

 

全く、ずるい話だな。

 

 

 

 

 

「あ、ねぇねぇ今朝新聞見た?」

「帰り道にする話なのか?」

「えー?まぁいいや、でね、新聞に載ってた記事がすごいの!」

「何がどう凄いんだよ、それに興奮し過ぎ。」

 

こんなにも興奮するなんて、まぁ大方ヒーロー志望の少年がヘドロみたいなヴィランに襲われたあの話だろう。

 

「すごいね、よくわかったね!私が話そうとしてた事!」

「何年一緒だと思ってんだよ。」

 

心露は俺がそう言うとそっか、そうだよね…と黙ってしまった。

俺の発言のどの辺が地雷ポイントだったのだろうか、理解出来ん…

 

 

 

 

 

 

──翌日──

 

「勉強がさっぱりわからん!」

「わっ急に大きな声だね、どうしたの?」

 

大した事じゃない、英語の小テストが散々だっただけだ。一緒にやらされた数学の小テストは完璧だったけど。

 

「具体的には何点だったの?」

「え?聞くの?」

「あー…何となく察したからもういいよ…」

「そう言う心露はどうだったんだ?」

 

静寂、聞いちゃダメだったのか?いや、これはつまり──

 

「……私はまぁ、天才ですから?」

「その間はなんだ。」

「…英語はできたけど数学が…まるでダメ。」

「…きっとみんなそんなもんだな。」

「こんなんじゃ受験受からないよ…」

 

あ、そうだ。一応聞いてみるか。

 

「なぁ、心露。」

「ん、どしたの?」

「勉強しよう。2人で。」

「あんたは英語、私は数学?」

「そういう事」

「乗った!」

 

と、いうわけで土日に勉強が確定しました。…何年ぶりだろうか、2人で勉強なんて。

 

「あ、そうそう黒套!この前のヘドロみたいなヴィランの話なんだけどさぁ!オールマイトがぶっ飛ばすちょっと前に襲われてた子の友達が助けに走ったんだって!きっと考えるより先に体が動いたんだろうね!かっこいいよねー!」

「…なんだよ、俺だって助けたじゃないか」

「?何か言った?」

「いや、なんでもない。」

 

覚悟が甘い、そんな事ずっと思ってた。

もっと技を磨けば、努力をしたら、そんな事わかってる!

俺は、俺は、俺は!

心のどこかで思ってたんだ、自分はヒーローにはなれないって。

夢を見たかったんだ、子供の頃の小さくて大きな夢を。

 

俺は俺を呼ぶ心露を置いて1人で走って帰ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────

 

走って帰っていっちゃった…私の言葉のあとから急に心に影が差したけど…大丈夫かな?

 

「心配しなくても黒套は立派なヒーローになれるのに。」

 

私は自分の右腕を見る。動かない腕を。

黒套がこの腕にコンプレックスを抱えてるのなら私は黒套の隣を歩けない。だけどヒーローはそういう仕事だ。喜びの分だけ悲しみがある。辛いのは黒套だけじゃない。そう言いたかったんだけど…

 

「やっぱり私じゃ力不足だなぁー…ていうかさ、ナイーブ過ぎなんだよー黒套はー!私を助けてくれたのは黒套なのに!私にとっては最高の…」

 

 

「超かっこいいヒーローだよ、黒套。」

 

なーんて言っても気付かないし、全く鈍感なんだから!

 

進路希望の紙を少しだけ見て私は家へと帰る歩みを早めた。




先生の個性は「ブレス」です。火を吐いたりだとか色んなブレスをぶちまけれる個性です。強くはないです。
あ、ちなみに前回出てきたヴィランの個性は「筋力3倍」です。3倍の筋力、それに耐えうる体になる、と、ただそれだけです。


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第3話 伸び代は誰にでもあるもの

うぐっ…辛い(´・ω・`)
楽しいから続けますけど!


「…どうしてこうなったんだ?」

 

おかしい、俺は確か勉強をする約束をしていたはずだ。

それなのに何この状況?なんで心露は俺に馬乗りになってんの?

きっと原因は…なんだったろうか。

 

 

 

 

 

──1時間前

 

時刻は10時、約束の勉強会の為に俺は心露の家に来ている。

正確には家の前だが。

 

ピーンポーン…と、気味のいい音が鳴る。

 

「あら、黒套君!いらっしゃい!勉強会、今日だったかしら?」

「こんにちは…ってまだ起きてないんですか?今日だって言ったのに…」

「起きてるは起きてるんだけどねぇ…部屋にいるからどうぞあがって?」

「あ、はい。お邪魔します…」

 

家の中に入り心露の部屋の扉を開ける。

部屋の中には着替えの途中であろうタンクトップ姿の心露がいた。

 

「…………へ?」

「…は!?え!?あわっとぉ!?」

 

驚き過ぎて変な声が出てしまったが扉は急いで閉める。

ナンデ キガエテ ナイノ?

 

 

暫く部屋の前で待っていると扉が開いた。

 

「黒套…なんかゴメンね?」

「いや、気にしてない!断じて気にしてない!」

「そうなの?冷や汗出てるけど…?」

 

そりゃ幼馴染とはいえ仮にも女子の着替えを見てしまったら焦るだろ!?焦らずご褒美だなんて言えるのはよっぽどの変態だろ!?

 

「なるほど、黒套は変態じゃない、と。」

「そうそう、俺は変態じゃ…ってサラッと心の中を読むんじゃない!」

 

ハプニングはあれど勉強会の始まりだ、そう思っていたのに…

 

「私の着替えを見た責任、取ってよね…!」

「…………は?」

 

入ろうとした俺は腕を引っ張られ床へと倒れ込み仰向けになる。

その上に心露が馬乗りに…と。なるほど、思い返してみたがさっぱり行動の意味がわからないな。

ふぅ、左手だけでよくやったもんだ。

 

「なーんて、冗談だけどねっ!」

「そうでないと困るな、色々と。」

「この鈍感朴念仁め」

「何か言ったか?」

 

心露は俺に向かってべーっと舌を出して抗議するような目をしてきた。一体俺が何をしたっていうんだ。

というか心露の気持ちに気付かない訳がない──読まれてたら不味いな、やめとこ。

 

「さ、勉強しよっかー!」

 

勉強会が漸く始まる、…始まるよな?え?始まってくれるよな?勉強しようって言ってからボードゲーム出し始めたけど始まる?これ始まる?待ってチェス!?チェスやるの!?

 

 

その後?…いい戦術の勉強(チェスバトル)ができましたよ、ええ、本当に。帰ったらちゃんと勉強しなきゃな…勉強会どこいったんだよ…

 

 

 

 

 

──翌日の朝

 

結局勉強せずに寝てしまった…策略に嵌った感が凄いんだけど!

 

「おはよぉー!起きてるぅー!?」

「朝から五月蝿い…」

「心の底からの声!染みるなぁ!」

 

全く何言ってんだよ…こっちは勉強しないと不味いってのに!

 

「まぁまぁ、怒んないの怒んないの!また今度一緒に勉強しよ?」

「あ、というか心露ってさ、個性どういう感じで使ってる?」

 

おっと、今の質問は支離滅裂過ぎたか?いや、でも天気の話から肉が好きか聞いてる訳じゃないし大丈夫だろ。

 

「うーん…個性ねぇー…あ、そうだ」

「んなぁっ!?顔近い…」

「目をよーく見ててね?」

 

心露の目の色が赤から青に変わっていく…?え?目の色変わってたの?

 

「そ、変わってたの!でね、個性をどう使ってるかって話だけどね、私は体の一部分、ううん、なんて言うのかな…体の延長線上にあるような…うーん…なんて言えば良いのかな…」

「わかった、わかったから!ちょっと1回離れて!近すぎる!恥ずかしいから!」

「…………………」

「なんで無言で抱きついた!?はーなーれーろー!!」

「やーだー!!黒套だってこんなにも可愛い女の子に抱きついて貰えて嬉しいでしょぉー!!!」

 

左手だけで必死にしがみつく心露を剥がしにかかる。ぐぐぐ…力が強い…!左手だけか?これ!ぜんっ…ぜん剥がれない…!

ふと硬い感触を感じ脇腹を見るとそこには金具、え?金具?

 

「ふふふっ!必死に金具剥がそうとしてた!あははっ!」

「ぐぐぐぅ…」

 

ぐうの音も出ない…しかし負ける訳にはいかない!

 

「心露さぁ!もっと羞恥心を持てよ!男子高校生に抱きついて、その…当たってたんだぞ!?何がとは言わないけど!」

「いいんだよー!こんなこと黒套にしかやらないからー!」

 

さりげなく恥ずかしい事を言いおって…ってあれ、心露さん?顔が赤くなってないですか?

さりげなく言っちゃった一言が恥ずかしかった?恥ずかしかったのかな?

「…黒套。」

「ん、どした?」

 

何故か殴られました、何故でしょうか。

 

 

 

 

「はいみんなおはよーぅ、ホームルーム始めるぞーって闇雲、顔、どうしたんだ?」

「聞かないでください、痛いんで…」

「お、おう…なんか知らんが頑張れ?」

 

痛い、意外とジンジンする…え、待って凄い痛い!

 

「あ、そうだ闇雲、今日お前はヒーロー科の圧縮補習あるからなー」

「うげ、圧縮補習かぁ…担当は誰すか?」

「聞いて驚け、雄英からお前の為だけに来てくれたって訳じゃないが、今回の講師はなんと、みんな大好きエクトプラズム先生だ。」

「んなっ!マジか!」

 

行かねば、これは這ってでも行かねば!まぁ行かなきゃいけないんですけども。

 

 

 

 

 

 

 

 

────補習

 

え?授業の時間の話?寝てるだけの話聞きたいのか?

 

「ソコノ男子生徒、ナニヲボーットシテイル。」

「すみませんっでしたぁー!」

「デハ、補習ヲ始メル。今日ノ補習ハ…」

 

そう言うとエクトプラズム先生は個性で分身を作り出し…ん?多くない?補習受けてるの5人に対して20人って多くない?

 

「君達ニハ一度ニ四人ト戦ウ、所謂一対多戦闘ノ演習ヲ行ッテ貰ウ。」

「え?」

「各自最初ニ説明シタ場所ヘ別レテ演習ヲ開始セヨ。」

 

言ってることが無茶苦茶過ぎる!?だけど雄英ではきっと更に難しい事をやっているんだろう…やるからには全力で!

 

「開始地点ヘト着イタナ、デハ始メル。」

「お願いしますっ…!」

 

開始と同時に攻撃が始まる…って一対多はやった事ない!やっべ!

エクトプラズム先生…強え!分身をここまで繊細に動かせるとは…!

 

「ドウシタ?攻撃シテコナイノカ?」

「しますよ、ええ、しますとも。元々俺の個性は一対多戦闘向きですからね!」

 

「外套、襲麒!からの、2段黒爪!」

 

出したコートを地面に向かって撃ち出す。反動で上へと体があがる。

これならいける!

 

「外套、廻転!6段黒そ…いや、黒士無爪!」

 

黒爪を細くして量を撃ち出す…必殺技の名前は今決めた!

この技なら上からアドバンテージを取って戦える!

 

「フム、甘イナ、敵ノ動キヲ予測セヨ、勘ガ足リヌ」

「計画通りですよ、套移動(スリングマント)!からの…黒煌流星(ダークコメット)!」

 

空中から一気に地面にコートを突き刺し下へと戻る、エクトプラズム先生が上へ跳んできたのを見計らって。

それに加えて黒煌流星で捕縛にかかる。

 

四人全員捕まえたッ!

 

「オ見事ダ、トテモ編入シタテトハ思エンナ。」

「どもっす」

 

手を抜いてくれてたにしても大変だった…まだまだ見直す点が多いなー!

 

「終ワッタヨウダナ、デハ講評ニ移ルトシヨウ。」

 

講評で1番評価されていたのはタキシードのコスチュームのやつだった。何でも完封だったらしい。

 

 

 

 

大学受験まであと3ヶ月──

 



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第4話 実技試験は修羅の道

グダグダだけど許して…疲れが半端じゃないの…



3ヶ月間正直よく頑張ったと思うよ、自分でも。

今日入試当日なんですよ、はい。

でね?ここからが少しだけ問題なの。

 

「なんでいるんですか?心露さん?」

「あれ、言わなかったっけ?」

 

聞いてない、というか俺が受ける大学…衛傑大学のヒーロー学部はほかの学部と別の場所で入試を行うんですが…もしかして…?

 

「そのもしかしてだよっ!私も目指すの!黒套のサイドキック!」

「なるほど心露もヒーローに…って俺のサイドキック?」

「そ、黒套一人じゃ心配だからねっ!受けに来ちゃった!」

 

通りで体術を教えろだの護身術を覚えてみたから受けてくれだの言ってたのか…理解し難い…

 

「何でもいいけど黒套、私だけ受かって黒套落ちるとかシャレになんないから頑張ってよ?」

「そっちこそ落ちるなよ?」

 

俺たちの大学入試という戦いが今始まる──

 

 

 

 

 

 

 

最初は筆記試験。心露の個性ならカンニングし放題、とか考えても無駄だぞ!心露は仲が良くないと心の中を読むことが出来ないからね!

本人も気付かない深層心理は見ることができるらしいけど。

 

難しい、が、解けないわけじゃない!

というか勉強自体は簡単なんですこの大学のヒーロー学部。

問題は実技なんだよなぁ…日本一厳しいとか噂されてたな…

 

お、よしよし、国語終了っと。残りの科目は…英語…数学、…英語なんて滅べばいいのに。

 

 

英語なんて滅べばいいと言ったな、あれは嘘だ。

3ヶ月間アホみたいに勉強しましたよ、ええ。

おかげで英語は得点源だぜヒャッハー!

 

 

英語と数学も無事終了…次は実技試験…

 

「はーい皆さんこんにちはー!」

「…こんにちはー…」

「声が小さいね!んじゃあ説明始めるよ!」

 

「今回の実技試験は即席チームアップ!VSヒーロー!」

「…………は?」

 

5人の組を作って現役ヒーローと戦う…という事らしい。

うーん…募集要項に書いてないことサラッとやるなぁ…

 

「ほい、じゃあまずはチームアップを発表するよっと!」

 

先程から説明をしているあの人は誰なんだろうか…?

 

「おっと、自己紹介を忘れてました!私は当大学事務員の『スピリカル』です!個性はDJ!ヨロシクね!」

 

「チームアップっ!1組目はぁ〜!」

「こちらっ!」

 

スクリーンの中でスロットのように回っているアレがチームの発表機なのだろう。うん、悪くないセンスだな。

 

「だらららららららー…バン!1組目は!闇雲!深観!言乃背!天野!布袋!以上5名!」

「…え?私と黒套が一緒のチーム?」

「その反応、違うチームだったら合格して待ってるぜって言おうとしただろ。」

「おぉ、よくわかったね!すごいすごーい!」

 

「2組目は──」

 

次のチームの発表が始まったと同時に俺は肩を叩かれた。

 

「ねぇねぇ!君が闇雲くん?」

「え?あ、うん。そうだよ?」

「合ってた!良かったぁ!私天野魔呼(アマノ マコ)!宜しくね!」

「あっはい闇雲黒套ですよろしくお願いします…?」

 

と、気づけば俺の周りには知らない人が3人…いや、天野さんは今知ったから2人か。

 

言乃背否芽(コトノセ イナメ)だ、よろしく頼む。」

布袋操細(ホテイ ソウサイ)だよ、よろしくね?」

 

「わぁー!よろしくお願いしますっ!あ、私は深観心露で、こっちの黒いのは闇雲黒套です!」

「黒いのって心露ぉ…!」

 

事実だけど!事実だけどっ!

 

「さてと、マコちゃん?皆の個性を教え合うよー?」

「あっはい!すみません!今行きます!」

 

「お待たせして申し訳ございません、私の個性は『天使と悪魔』です!えっと…天使と悪魔になります!この子達は自我が少しだけあるので少しだけ喋れます!以上です!」

 

意味がわからん…個性の中身がデタラメすぎる…?

 

「ふむ、天野殿の個性はよく分からないが己が個性は至極単純、その名も『否定』だ。半径10米の個性による影響を遮断する空間を張れる、以上だ。」

 

こっちもこっちでデタラメだな、なんなんだ全く。

 

「はは、僕は役に立てそうにないな…一応言うと僕の個性は『Cell』、自分の細胞を変質、変形、増殖させる個性だよ。まぁ集中が途切れると上手く安定して使えないんだ…」

 

集中出来たら最強なんですね、チートかよこんちくしょう。

 

「お二人の個性は何かな?」

「あ、そっか言わなきゃいけないか、俺の個性は『外套』、まぁ黒いコートを操る感じと捉えて貰えばOKだ。」

「えっと私はヒーロー向きじゃないんだけど…相手の深層心理を覗いて動かせるだけ…なんかごめんね…?」

 

「いや、十分強いと言えるだろう。問題は、無い。」

「さ、みんな。始まるみたいだよ?」

 

 

 

 

「30組の発表が終了ッ!移動はしなくて結構!今この瞬間からテストは始まるッ!スタートボタン!ポチッとな!」

 

景気のいい押し方とは裏腹に場内に流れ出す警報……警報!?

 

「おっと、これは…集中が乱れるね。」

「随分と落ち着いているな、布袋。いい事だ。」

「それはどうも、僕は顔に出ないだけだよ?」

 

言乃背は落ち着いているな…布袋も中々…落ち着いてんのか?

…取り敢えず心露さん?くっつくのをやめて欲しいな?

 

「む…このタイミングならお咎めなしだと思ったんだけど…」

「天野さん!テンパるのは分かるけど落ち着いて離れないで!」

「はっはいぃ〜!すみません闇雲さん…」

 

「ふむ、ではその調子で纏めてくれるか?闇雲。」

「え?あ、あぁ!任せとけ!」

「大丈夫?内心冷や汗ダラダラでしょ?」

 

なーんで心露はそういうこと言っちゃうかな…

天野さんがあわわわとか言い出したし…

 

「えっ!そうなんですか?でも私にリーダーシップは無いですし…」

「そうだったのかい?でも生憎僕は自分の個性で手一杯だから無理そうだよ」

「私に司令塔は似合わん、よって闇雲殿しか適任がいないのだ。よろしく頼む。」

「任せろって言うたやん…」

 

警報が鳴りやんだ…と、同時に入口以外の壁が展開される…展開ってどういう事だよ。

 

「おや、仮免試験と同じシステムの始まり方なのですね。」

「仮免受けたことあるの?」

「えぇ、個人的に、ですが。」

 

スピーカーからスピリカルの声が響きはじめる。

 

『みなさーん!テンション上がってる!?衛傑大学入試実技試験!この瞬間から始まりだーっ!バイブス上げてけーッ!』

 

プレゼントマイク感が凄いな…ん?スタート?スタートっつった?

 

「始まったぞ闇雲。どうやら私らの相手はシンリンカムイらしいな。」

 

気がつくと目の前にはシンリンカムイが立っている。

シンリンカムイ…あっやべ完封されるウルシ鎖牢警戒してない!

 

「…始まっているのか、ならば!先制必縛ウルシ鎖牢!」

「やばっ!言乃背!頼む!」

「フン、シンリンカムイ殿、相手が悪かったな。」

 

木が言乃背に近づいた瞬間消える。強すぎだろ、言乃背…

 

「なにっ!?我のウルシ鎖牢が…消えた!?」

「さて、こちらの番かな?集中できたよ、これで僕は…動かせる!細胞を変質…軟体!変形及び増殖…技を借ります、シンリンカムイ。Cellthe鎖牢!」

 

うわぁ…右腕気持ち悪いことなってんなぁ…

 

「フッ勘違いしてないか?ヒーローが1チーム1人だと…」

「どういう事だ…?」

 

「こういう事だ、ガキども。」

「なっ!ギャングオルカ!?くっ異形系は消せぬ…!」

 

まさかのギャングオルカさんが登場してきたかー…

そうだな…言乃背と布袋でオルカを相手しておいて貰うか…

 

「心露!盛大にかき乱せ!」

「やって後悔しない?大丈夫〜?まぁ、やるんですけど!」

 

心露の目が悪戯に走る。あぁ…顔が完全に悪い子の顔してるわ…

よし、シンリンカムイとギャングオルカの注目が俺に集まった。ナイスだ心露!ってギャングオルカも動かしたのかよ…

 

「先ずは司令塔から崩す!」

「悪くない采配だがな!貴様は自分の身を守れるのか!?」

 

「天野さん!戦えますか!?」

「はっはい!任せて下さい!悪魔ちゃん?手伝ってくれる?」

 

あっ天使と悪魔ってそういう…姿が変わる感じなのか…角生えて翼生えて肌の色も褐色に…最早別人になってない?

 

「アッハハハハ!!ボコボコにしてやんよぉ!かかってきなァ!」

 

oh…中身も変わっちゃうのね…これは…勝てるか?




…どっからこんなにもヒーロー集めて来たんでしょうね…?
不思議だ…今回出したヒーローは僕が個人的に好きなヒーローです。高校3年相手なのでハンデはほぼありません!
ハンデあったらウルシ鎖牢使ってこないよな…

あ、それとですね主人公の闇雲ですけどこの闇雲って苗字、原作の最初期の緑谷ポジションだった人の名前なんですよねー
いやはや大変厚かましい…

では次回もお楽しみにー!


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第5話 夢を見るのは何故なのか

夢を見るのは自由ですよね!
架空()は現実に!
Plus ultra!!
タイトルと前書きがチグハグで草ァ!



「アッハハハハハ!私に任せなさァい!」

「ちょっと天野さんっ!そんなに前に出過ぎないで!」

 

「個性に呑まれるか…もっと鍛えてから来いッ!」

「うっ…体…痺れて…」

 

キィィィィィンと超音波アタックをくらい天野さんはその場で倒れてしまった。だから言わんこっちゃない…

 

「ッ!今できる最善はッ!!」

「天野さんを助ける!」

 

「良い…判断だ!だが助けられるか!?」

 

「助けられるられないじゃない!俺は…助けるッ!軍部六式体術我流!ポジションチェンジ!」

 

心露の練習台になってコピった護身術!調べたら軍用体術でしたァァァァァ!!!!なんてもんやってんだよォォォォ!!!

 

オルカの足にコートを引っ掛け一気に飛ぶと同時にその反動でオルカを投げ飛ばす!

失敗を恐れるな!成功(勝ち)だけ見てろ!俺!

 

「なっ!あのギャングオルカの巨体を投げ飛ばした!?」

 

「フン、中々やるじゃないか…」

 

ギャングオルカが俺のコートを引っ張ると同時にコートを離す!

 

「ッ!このコート…消えるのか!面白い!」

「どうだ!って天野さん動けないのか…」

 

小脇に抱えて来たけどだらんとしたままだ。んー…まぁなんとかなるっしょ!

 

「で、次の作戦は!?」

 

「言乃背!ギャングオルカを否定してくれ!」

「いや、ここは──僕が行くよ。」

 

そう言って布袋はギャングオルカ目掛けて走っていった。

 

「変質…対ギャングオルカ!」

 

ギャングオルカが超音波をまた放つが布袋には効いていないようだった。えぇ…チートかよ…

 

「フッ対策をあの短時間で立てたと言うか…!面白い!もっとお前達を見せてみろォ!」

「では大変醜いですが、僕のとっておきを。」

 

おい…嘘だろ?布袋の体がグニャグニャと変わってんだけど!?意味が分からねぇ!体の色んなとこが伸びて固まってまた伸びて…化け物地味てる…!

 

「すみませんね、見苦しくて。ですがもう、終わりますので。必殺ッ!セルヘイム!」

 

布袋の体がグニャグニャしなくなった瞬間目にも止まらぬ速さでオルカさんへ連撃を叩き込みシンリンカムイ目掛けてぶっ飛ばした。

 

「ふぅ…あ、少しやりすぎましたかね?」

 

ガラガラと崩れた瓦礫の中からギャングオルカが立ち上がりこちらへ歩いて来るのを見て俺達は身構える。

 

「そう身構えるな、試験は終了だ。何せ俺もシンリンカムイももう戦うほどの余力がないしな。」

 

ギャングオルカはその場にドサッと座り込んだ。

 

『そこまでッ!実技試験終了ーッ!』

 

「ほんとに終了だったのか…って天野さん!動ける?試験終わったよ!」

 

おぉ…天野さんの肌の色が元に戻り角も翼も消えていく…って案外すんなり立つんだな…

 

「あ、申し訳ないです!解除したら動けることをすっかり忘れていて…」

 

「黒套ぉ!大丈夫!?」

「いってぇ!?…心露…今のが1番…大丈夫じゃない…」

「あ…ゴメンね…?」

 

「ふむ、短かい間だが良いチームだと思った。お互い受かっていると良いな。」

「僕もそう思うよ、今日はありがとうね。」

「迷惑をおかけしてすみませんでした!が!一緒に受かっているといいですね!」

 

良い人達だぁ…

 

「ありがとう、俺も皆も受かっていると信じて待とう!じゃあまたな。」

 

こんな調子で実技試験は終了。俺達は帰路へとついた。

 

「…黒套」

「どうしたんだよいつにもなく暗いなぁ?」

「…ううん、何でもない!またね!」

「ん、またな。」

 

 

 

 

 

 

──受験終了から数日

 

俺宛に衛傑大学から封筒が!この中に合否判定が…!

 

「ゴクリ…って台詞を言ってみたり…」

 

「思い切って開ける!えいっ!」

 

封筒を破いて開ける…とそこには書状が。

 

「うんうんどれどれ…?貴方は司令能力及び判断力が評価され、ここに当大学合格通知をお届けします…と、あ、俺受かったのか。」

 

「………………えぇ!?受かってる!?おかーさーん!!!!」

 

階段を降りて急ぎ居間へ!受かってた!俺受かってた!

 

「かーさん!俺!………って心露、何故いるんだ?」

「あ、おじゃましてまーす!で、黒套!私も受かったよ!?」

「あら、黒套受かったの!?凄いじゃない!高校受験の時あんな雄英高校落ちちゃったぁーって泣いてたのにねぇ」

 

「え、黒套泣いてたんですか?なんで黙っておくんですか!大事なことなのに!」

「ごめんねぇ、黒套が嫌だって言うもんだから…」

 

あまりの展開に頭が追いつかない…もう考えるのやめようかな…!

 

「取り敢えず心露、お前は俺を弄りたいだけだよな?」

「おっと、流石にバレてしまうか…不甲斐ない。」

「はぁ…先が思いやられるな…」

 

 

 

 

 

 

入学式──…は無いそうで、今日から授業が始まるとか。

因みにヒーロー学部は教科書等の購入は無し!ガチでヒーロー学only…シビアだ…うん。

 

「行ってくるよ母さん。」

「行ってらっしゃい、頑張りなよ?」

「任せときなって!」

 

そう言って僕は家を後にー…

 

「一緒に行こう!黒套!」

 

はぁ…俺のキャンパスライフは気合いだけじゃ無理そうだ。

 

 

 

 

 

 

 

──────────────

 

なんだか自分の力が強くなってる気がする…まぁ僕にとっては些細な問題、気にすることじゃない。

 

「しかし…まさか久々のセルヘイムだったとはいえ制御が出来なくなっているとは…先が思いやられるね。」

 

衛傑大学からはちゃんと合格通知が届いたよ。貴方の戦闘力を評価し…ってね?僕は戦いたくないんだけど…悪は正さねば、馬鹿は死なねば治らない。

 

だから僕は──ヒーローになる。

 

 

 

 

 

 

──────────────

 

「はーぁ…もう、落ちてたら悪魔ちゃんのせいだからね?」

 

ふよふよ浮いてる黒い結晶のようなものが反抗するかの如くチカチカと光る。

 

「自分のせいじゃない?全く!悪魔ちゃんが突っ込みすぎるからでしょ?」

 

と、反論すべくチカチカしていた黒い結晶は姿を変え小さな人形のような姿になった。

 

「けどよォ俺が超音波防いでやったのに解かねぇお前が悪いってとこもあるんだぜ?」

「むぐぐ…ド正論…!」

 

バチバチと火花が散りそうな視線のバトルを見兼ねて、浮いていた白い結晶も姿を変え、羽の生えた女の人の人形のような姿へ変わった。

 

「はーい、二人とも、そこまで〜!喧嘩してちゃダメでしょう?それに、はいこれ、マコちゃん、中身を見てみたら?」

「なにこれ…あっ今日合否発表か!えいっ!」

 

封筒だけを器用に破くなぁと悪魔が言う中私は無我夢中で封筒の中身を見ていた。

 

「えーっと…貴方は実技試験において自己を犠牲にし、勝利へと道を繋げた点を評価し、ここに当大学合格通知をお届けします…っと!」

 

「受かっていたのか、やはり俺のおかげだったろう?」

「………………」

「なんか言えよ!クソが!」

 

受かってて良かった〜って安心してる場合じゃない!

もう迷惑はかけられないから…この子(悪魔ちゃん)を使いこなせないと…!

 

 

 

 

──────────────

 

ふむ、否定の一芸だけでは勝てない…か。

ギャングオルカと戦ってわかった、己の未熟さを思い知った…!

 

「強さが欲しい…!悪を否定する確かな強さを…!」

 

衛傑大学から届いた合格通知の書状を握りしめ

 

固く決意を決め、私は前へと歩くと決めた。




そろそろ本家との絡みを入れたい今日この頃…


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第6話 吹き飛ばせ劣等感

「先生…俺はどうしたらいい…?平和の象徴(オールマイト)を殺すには…」

「フフフ…弔…そういう事は自分で考えるのが一番だ。何でも答えを教わろうとするのは良くない、だろう?」

「ハハハ…そうだな…先生…なぁ黒霧、見たかコレ教師だってさ。」

 

「なぁどうなると思う?平和の象徴が…(ヴィラン)にころされたら」

 

 

 

 

 

 

──────────────

 

さて、入学して数日…まさかあの時チームアップした皆が同じクラスだとは…

教室の扉開けたら目の前で『私、天野魔呼!ヨロシクね!』って言われるんだもん…あっはいよろしくお願いします…くらいしか言えないだろあれ…

 

 

で、今日も今日とてヒーロー学…疲れるな、コレ!

 

「うぅ…黒套ぉ…しんどいぃ…」

「皆同じだから、我慢しろ我慢。わかったか?」

「無理ぃー…黒套がアイス奢ってくれたら我慢するー…」

 

アイス奢って欲しいだけかよ…ならそう言えば良いのに。

買うかどうかは別として。

 

「ほら、クラスの皆も見てるだろ?後で買ってやるから、我慢しろって…」

 

ほら天野さん見てる、すっごい見てるから!

 

「ほんとに!やったぁ!ありがと黒套ぉ!」

 

「闇雲さん!なんの話してたんですか?」

「あ、天野さん。いや、特に何でもな──」

「黒套がね!アイス買ってくれるって!天野さんも一緒に行こう!」

「わー心露さん俺の財布事情を考えない発言をしていくねー」

「別にいいでしょ?あっても使わないんだし」

 

うっ…あんまり物欲が無くて貯まっていく不憫な私の小遣いを罵るとは…(注:罵られてるのは黒套です)

 

まぁ良いんだけど…今日の授業最後は実技講習か…1番疲れるんだよなぁ…

 

 

 

 

「さぁーて…今日もヒーロー学やってくよぉ…」

 

先生…いつにも増して元気ねぇな…髪の毛真っ白だし…!?

 

「せんせー?なにかあったんですかー?」

「え…?あぁ、いや大丈夫だよ深観さん。…手続きが辛かっただけだよ…色々とね…」

 

先生…疲労マックスだな…手続きがなんのなのかは知らんけど。

 

「えー…今回の…実技講習は…うん、ソワソワしなくてもちゃんとやるから…えっと…コレだ、うん。」

 

先生の持ってるボールペンが突如崩れると同時に先生の髪の毛が白色から黒色へ変わる。先生…ボールペン毎回崩してるな…

 

「ふぅ、疲れが少し取れたな。では始めよう今回は…個性強化トレーニングッ!

 

「じゃあ、私は先に行って待ってるから。コスチュームに着替えて来いよー…」

 

先生…疲れやすいんだから走らなきゃ良いのに。

 

「知らないの?先生疲れてないと体が負担に耐えられないらしいよ?」

「先生は身体能力が人外レベルだからね。知らなかったのかい?」

「初耳デス…!」

 

 

 

 

「──来たねヒーローの卵達!君達は大学生!高校とは違って体は出来てるはず!さぁ!個性強化トレーニング!やってく…あ、疲れが…」

 

後ろにあった鉄パイプを触ったあと髪が白から黒に戻り鉄パイプは割れた。

 

「さ、闇雲君、布袋君と…桐崎君は私が相手になろう。君達は対人で輝くタイプだろ?」

 

「言っとくけど私の個性『疲労体質』はそこそこ強いよ?」

 

先生が一瞬で視界から消える。毎度の事だけど速いなぁ…

 

「俺の斬撃に距離も速さも関係ねぇ!オラァ!」

 

何も無いと思った所から先生が出てきて桐崎の個性を阻止する。

いい作戦、思いついたーっと!

 

「先生が触った所は疲れで崩れる!よーく見て…今ここ!罠を!」

「ありゃりゃ、罠って分かってたけど捕まると悔しいもんだね──2秒ほど。」

「なっ!」

 

いとも簡単にコート裂きやがった!?心折れそうになるわこんなの。

 

「闇雲君!硬さが足りない!私を縛るには最低でも今の3倍の硬度が必要だ!硬さに重きを置いて個性を強化してくれ!」

 

「動きを読む…?あぁクソ!全部斬れば万事解決だろ!?」

 

なぎ払いと連撃…しかし先生の速度が早すぎて捉えきれないらしい…

桐崎君の個性は『スプラッター』で、持っているものによって打撃もしくは斬撃を半径50メートルの前方直線上の相手に直接与える個性らしい。

範囲が狭すぎる所為で当たってないのか…

 

「桐崎君!君は乱雑すぎる!もっと──」

先生が桐崎君の前に降り立つ。

「前を見据えろ──って布袋君忘れてたね…!」

 

「いえ、忘れられて当然ですよ。何せ…僕の所為ですから。」

「凄いな、君は──」

 

ジリリリリリリリリリリ!

と、突如鳴り出したアラーム。

 

「おっと、今日の授業は終了だ、あー疲れた…」

「先生髪の毛が真っ白なんですけど…」

「そりゃ…疲れたからね…」

 

そう言うと飄々と先生は帰っていった。

今日の反省は硬さだな、うん。

 

「もっと鍛えなければ…!」

「くぅ…やっぱ先生強えなぁ!?」

「うわっびっくりした…桐崎君か」

「悪かったな驚かせて!俺の事は桐崎でも下の殺鬼(サツキ)でもどっちで呼んでくれてもいいぜ!」

 

マシンガンのような自己紹介…!圧倒されるな…

 

「伝え忘れてたことあったァァァ!」

「先生!?なんで上から…?」

「職員室から飛んできたんだよ気にすんな」

 

「で、明日の実技講習は雄英高校の1年生と合同でやることになったんで覚えとけよ?雄英高校だからな?」

「「「「ゆっ…雄英!?」」」」

 

…波乱だ、波乱が起きる予感がする…!




先生の名前は疲堂陰璃(ヒドウ カゲリ)です。
先生の個性は「疲労体質」で、身体能力が成人男性の10倍以上ある代わりに体が極端に疲れ、溜まった疲れを譲渡できる個性ですね。
譲渡先は物でも人でも良いのですが人の場合は譲渡する量を考えないと過労で相手が死にます。物は疲労、または劣化します。
疲れの溜まった量は髪の毛の色が黒から白にだんだん変わることで分かります。


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第7話 未知とのSOgoo

展開、無理矢理感半端ないのでご了承を






でかい門…でかい校舎…そして広すぎる敷地…

高校受験以来の雄英高校…!

 

「噂に聞いていたが大きいな…」

「おっきいねぇ!凄い!」

「マコちゃん、テンション高いね?」

 

「はい…君達静かにね?消太君…あ、いや、イレイザーヘッド先生非合理的なの嫌うから」

 

そう諭す先生の話を聞いていると奥から小汚い風貌の男の人が歩いてきた。

 

「来たか…疲堂。」

「あぁ!消太君!無理言ってごめんな、助かるよ。」

「いや、いい。あいつらにもいい刺激になると合理的に判断したまでだ。これが入る時に必要だ。生徒達に渡しておいてくれ。それと、君を付けるな」

「わかったよ。また後でよろしくな。」

 

先生と一通り話して帰ってしまった…あ、思い出したあの人プロヒーローのイレイザーヘッドじゃん。メディア嫌いでテレビ出ないからわかんないよなぁ…

 

「そうなの、黒套?」

「ナチュラルに心を呼んじゃダメだぞ?」

「黒套ならいいって黒套のお母さんが言ってた!」

 

母さん…何言ってくれちゃってんの…?

 

「皆、集まってるね?これから雄英に入るわけだけどこれ、いるから。入場証。これないと入れない、いいね?」

「先生、だんだんカタコトっぽくなってますけど…?」

「気にしたら負けだぞ、じゃそういう事で受け取ったら中に入ってもらってそっからイレイザーヘッド先生が案内してくれるから。」

 

雄英、技術力パネェな…

 

 

 

 

 

 

「さて、衛傑大学の方々、よろしく。合理的に進めるため自己紹介は省く。俺の受け持ってるクラスと一緒に受けてもらうからな、特徴と名前書いた紙渡しとくから仲良くなるなら勝手にどうぞ。では行こう。」

 

紙を渡してさっさと歩き始めた…はっ!早く追いかけなきゃ!

 

 

 

 

 

「………バス?」

「雄英は広いからね移動は大概バスだよ。まぁ後で乗るから覚えといてね。」

「スケールが違うな、流石は雄英、と言ったところか。」

 

疲堂先生の説明に感心しながらまだ見ぬ出会いに俺はワクワクしていた。

 

 

 

 

 

────────────────

 

「緑谷君!今日のヒーロー学は大学生と合同らしいぞ!」

「え!そうなの!?これは自分たちより個性を扱い慣れてる人達とできるチャンス!生かさねば…ブツブツブツブツ」

 

「燃えとるね!デク君!」

「あ、麗日さん!今日は大学生と合同なんだってさ!」

「大学生と!?そりゃ気合い入るね…!」

 

麗日さんもグッと覚悟を決めたようなポーズをとる。

僕も気合い入れなきゃ…!

それはそうと今回のヒーロー学は人命救助(レスキュー)をやる為に少し離れた訓練場に行くとの事だけど一体どんな場所なんだろう…

 

「緑谷君!そろそろ相澤先生が来る!座りたまえ!」

「あっごめん飯田くん!」

 

ガラガラと開いた扉から相澤先生と一緒に10人程の人が入ってきた。

 

「伝えてあると思うがこちらの方々が今日一緒に訓練する衛傑大学の大学1年生の方々だ。無論お前らより個性の扱いに慣れてるやつもいるが、大学のヒーロー学部は普通科からも受けれるからな、元普通科のやつもいる、助け合って頑張るように。」

「「「「はい!」」」」

 

「わ…ごめん消太遅れた…って紹介終わった?」

「合理性に欠けるな…?陰璃…」

「いや、ごめんって…あ、皆さんこんにちは僕は衛傑大学の教師の疲堂陰璃です。ヨロシクね!」

「「「「よろしくお願いします!」」」」

 

「いい子達ばっかりだね…!」

「…行くぞ。あぁ、今回の訓練はコスチュームを着る部位を考えておけ、中には動きを制限するものもあるだろうからな。」

 

うぉぉ…!これから大学生の先輩達と訓練できるなんて!実感が湧いてきた…!

 

 

 

──────────────────

 

イレイザーヘッド先生から配られた紙を見ているとある生徒のところで目が止まった。

 

「この子は…増強型の個性なんだろうけど…使ったら壊れるってヤバいな…!」

「私はこいつが気になった、性格は粗暴で自尊心の塊、それでいてヒーローになるという思いは誰よりも強い。そして強力な個性。」

 

「緑谷出久と爆豪勝己…か、楽しみだな!」

「そうだね!黒套!私も楽しみ!」

「心露…くっつくな…恥ずかしいだろ?」

「私は全然恥ずかしくないけど?」

 

もう何言っても無駄だわこれ。

と、着いたみたいだな一年A組、か。

 

イレイザーヘッド先生の紹介の時に緑谷君と爆豪君だと思う子を見つけた。頭モッサモサで地味目の子…緑谷君だろうな。頭ツンツンで目つきの悪い子が爆豪君だろう。

 

いよいよバスで移動し訓練場へ向かうらしい。

 

 

 

 

 

 

「すっげ──!USJかよ!!?」

「水難事故、土砂災害、火事……etc、あらゆる事故や災害を想定し僕が作った演習場です。その名も…」

ウソの(U)災害や(S)事故ルーム(J)!!」

(USJだった!!)

 

13号の作ったこの場所はレスキューを訓練するのにうってつけで、様々な災害が想定しであるのが容易に見て取れる。

あれ?オールマイトも来てるって聞いてワクワクしてたんだけどな…いないみたいだ。ちょっと、いやかなり残念。

 

「えー始める前にお小言を1つ2つ…3つ…4つ…」

(どんどん増えるな…)

「皆さんご存知だとは思いますが僕の個性は『ブラックホール』どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます。」

 

「この力は簡単に人を殺せる力です。皆の中にもそういう個性がいるでしょう。」

 

確かにその通りだな…桐崎君とか簡単に裂傷付けれるし…

 

「ですからこの授業では人命のために個性をどう活用するかを学んでいきましょう。」

「君達の力は人を傷つける為にあるのではない、救ける為にあるのだと、心得て帰って下さいな。」

 

か…かっこいいな…13号…!

 

「そんじゃあまずは…──?」

「消太…?どうし…──あれはっ!?」

「一塊りになって動くな!」

 

突如現れた黒いモヤから沢山の人が出てきた…あれは!まさか!

 

「何だアリャ!?また入試ん時みたいなもう始まってるぞパターン?」

「動くなあれは…(ヴィラン)だ!!!!」

 

「おかしいですね…先日()()()教師側のカリキュラムではオールマイトがここにいるはずなのですが…」

「どこだよ…せっかくこんなに大衆引き連れて来たのにさ…オールマイト…平和の象徴…いないなんて…」

 

背中にゾクリと悪寒が走る、コイツら…ヤバい!

 

「…子どもを殺せば来るのかな?」

 

「消太…!」

「陰璃、分かっている。時間はない。お前は生徒を守れ。」

「…っ!わかったよ、お前は言っても聞かないもんな。」

「13号!任せたぞ。」

 

波乱の予感が当たるとは…なんにせよこの状況はマズイな…まずは避難だけど…

 

「皆!早く避難を!」

「させませんよ」

 

当然モヤが来るよな。予測済みだ。こっから俺の予測が正しければ…

 

「皆!多分この後散らされる!覚悟を決めろ!油断するなよ!」

「黒套!?何言ってんの!?」

「ほう…初めまして我々は(ヴィラン)連合、僭越ながら…この度ヒーローの巣窟雄英高校に入らせて頂いたのは平和の象徴オールマイトに息絶えて頂きたいと思っての事でして。」

 

「それはそうと私の役目はこれ、先程の予想通りですよ。散らして、嬲り殺す!

 

俺たちは黒いモヤに包まれてバラバラになってしまった…!

 

 

 

 

 

 

 

 

桐崎が水難エリアの端を目指して歩く、後ろにはズタボロになったヴィラン達が峰田の個性で固まっている。

 

「ってぇ…クソっ!モヤに包まれて水に落ちたと思ったら襲われるしツイてねぇ…」

「強い…これが大学生…!」

「いや、お前らのサポートのおかげで十分に斬撃を叩き込めた。ナイスだ!」

「なんなんだよォ!この人ォ!」

「この人って呼ぶのは失礼よ、峰田ちゃん。」

 

ものの数秒で水難エリアヴィラン側、桐崎の個性『スプラッター』と緑谷、蛙吹、峰田のサポートにより全滅!




えっと黒套達のクラスは全部で15人です
それぞれまた出していくんで楽しみに!
と、言いたい所なんですが。そのうちあることが起きてアレがあーなってこーなるので出せるか未定です、そこんとこヨロシク!
では次回もお楽しみにー!


あ、それと心露ちゃんがなんでヒーロー学部でやってけているのかはですね、単に心露ちゃん運動神経良いんですよ、はい。
それと黒套と一緒に考えた護身術の片腕バージョンを完璧にマスターしているのでG.M.A(ガンヘッド・マーシャル・アーツ)に匹敵するレベルなんですよね…では!


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第8話 負けたら終わり(デスゲェム)


特に題名は意味無いです。
ヒーローって大変そうですよね…
僕には無理ぽ



──倒壊ゾーン

 

「はぁぁぁぁぁ…面倒臭い…ここにいるのは雑魚ばっかり…うざったいなぁ…!」

「はっ!鎌振り回しながら悪態つくたァおもしれぇな!」

「おいおい爆豪!俺から見たらお前もヤバい奴だからな?」

「黙ってろクソ髪!」

「うんうん、私さっさとここ出て皆を助けに行きたいの」

 

倒壊エリアにいるのは俺こと切島鋭児郎、爆豪、そして天野先輩。

 

「殲滅の為に悪魔を憑依(デビルモード)になったけど…正直悪魔ちゃんもいらなかったなぁ…」

「あっそ、俺はあのモヤ野郎をぶん殴りに行く、じゃあな」

 

(ぺちゃくちゃ喋りやがって!その油断が…)

 

爆豪の後ろから透明になっていたヴィランが襲いかかる。

俺が手を伸ばすより先に爆豪が気づいて爆破する…やべぇ

 

「まぁ俺らに充てられたのがこんな三下じゃ大概余裕だろ」

「がァっ…!」

「なんつー反応速度…!」

 

「…あ?なんだクソ髪。」

「あ、いや、爆豪が珍しく冷静だなと思って…」

「あぁ!?俺はいつでも冷静だコラァ!」

「そうそう、そっち。」

 

「もう私行くけど良い?じゃあねー!」

「あっ…行っちまった…」

「フン、俺には関係ねぇだろ、俺は広場に行く、じゃあな。」

「待て待て爆豪、俺も行くぜ!」

「勝手にしろ。」

 

倒壊ゾーン、爆豪と天野先輩の2人でヴィラン側全滅…!俺は…倒す前に2人が撃墜してたんだよ…

 

 

 

 

 

 

 

──土砂ゾーン

 

「散らして殺す…か、言っちゃ悪いがあんたらどう見ても──」

「個性を持て余した輩以上には見受けられない、かな?」

「ん、あんたは大学生の…」

「覚えててくれた?嬉しいなぁ!そう!私は大学生の深観心露だよ〜」

 

なんだこいつは、そういう目をして私から目を離すか〜ちょっとショック。

まぁ、私は黒套と合流したいだけだし強い子が一緒で助かった助かった!

それはそうとこの子気づいてないな…?

 

「えっと…轟君?後ろに葉隠さんいるんだけど…気づいてる?」

「…!マジか…すまねぇ葉隠…ってどこだ?」

「轟君!私!こっちこっち!」

「そっちか…すまねぇ」

 

轟君天然だな?これは楽しそうだ!

葉隠さんが近づいてきた…ほんとに透明だな…

 

「心露先輩、悪い顔してますね…!?」

「ありゃ、バレちゃったか…轟君弄りがいありそうだなぁって思ってね!」

 

向こうで轟君がヴィランと話してる、まぁおおよそ目的と実行犯の特定だろう。

そういうとこはしっかりしてんのになぁ…

きっと朴念仁だろうな、どっかの誰かさんと一緒だ、うん。

 

「さ、葉隠さん!行こっか!」

「はーい!」

 

土砂ゾーン…轟君強すぎるね!仕方ない!ヴィラン側全員凍結!

 

 

 

 

 

 

──山岳ゾーン

 

「うわっ!?コエー!!マジ怖ぇ!三途見えたマジで!」

「上鳴!ちゃんと戦って!」

「お困りですね!?私にお任せあれっ!初登場の気がするって言うか初登場なわけですけどっ!」

 

(わたくし)皇姫花(スメラギ ヒメカ)!衛傑大学ヒーロー学部です!」

「それは良いけどどうやって倒すの!?」

 

「…それは当然個性で、ですけどー…」

「個性!?そんなに一気に片付けれる個性なんですか!?」

 

「んもう!いいから!見てなさい!私の力を!」

 

「ゴチャゴチャうるせぇガキ共が!」

「愚かですね!プリンセスフラウ!」

 

辺りに広がる不思議な粉…甘い匂いがする…なんだこれ!?

 

「なんっだ…この粉…!意識が朦朧と…」

「3分しか持ちませんが…全神経麻痺!」

「うがっ…!」

 

その場でバタバタと倒れていくヴィラン達…

 

「さ、今のうちに八百万さん、アレを作ってくださいな」

「絶縁シートですわね!おまかせを!」

 

ブワッと広がるシートの中に俺以外の3人が隠れる。

 

「上鳴さん!」

「なるほど…これなら俺は…クソ強え!」

 

俺の個性!見たかこのクソ…ヴィ…ラン…うェ〜い

 

「上鳴さっ…馬鹿になってらっしゃる?」

「みたいだね…フフッフフフ…」

 

はぁ…上鳴が馬鹿になったけどあたしとヤオモモ、皇先輩でヴィラン側全滅…?かな!

あ、上鳴の放電も強かったよ、馬鹿にならなきゃ強いのになぁ…

 

 

 

 

 

 

 

──火災ゾーン

 

「尾白君!下がってくれるかな?」

「え!?あ、はい!」

 

僕の個性なら一網打尽だ…集中しろ…集中しろ…!

 

「いくぞ、変質…火炎耐性、変形…増殖…」

「ボソボソ何言ってんだよクソガキが!」

「イメージ完了、薙ぎ払う。」

 

僕の腕が伸びてヴィランを全て吹っ飛ばす…全くチンピラばっかじゃないか。

こんなのでよくオールマイトを殺そうなんて…あ、もしかして本命はあの3人か。

なるほど納得、ではさっさとここを抜け出さなきゃな。

 

「尾白君、後は頼んだ。」

「え!?あっ…えぇ…?」

 

火災ゾーン、僕のCellでかき回したけど残りは尾白君が頑張るだろう。

 

 

 

 

 

 

──暴風、大雨ゾーン

 

「口田!俺の後ろから離れるな!迎撃だ、黒影(ダークシャドウ)!」

「アイヨ!マカセナ!」

 

動物のいないここでは口田の個性は使えない…俺がヴィランから守らねば…!

 

「オイオイ、常闇君?俺達の存在忘れてもらっちゃ困るぜ?」

「そーそー!忘れてもらっちゃあ困るぜぃ!」

「いや、竜田…なんで真似した…?」

 

拍子抜けするな…兎も角大学生の竜田巻希(タツタ マキ)大気爽良(タイキ ソラ)の2人が…というか俺はこの2人のことを先程知ったのだが…戦ってくれるとの事だ、素直に従っておこう。

 

「助太刀、助かる。俺は口田を中心に黒影(ダークシャドウ)で守りを固める。ヴィランは任せた!」

「リョーカイ、任されたよっと…さぁて吹き荒れる暴風…俺はこれを止められる訳だが…どうする?」

「私と爽良は相性いいんだよ!どっからでもかかってこい!」

 

絶えず吹いていた暴風が急に止まり辺りに静寂が訪れる。

大雨は降り続いているが、風が無い分戦い安い。

 

「竜田、力を貸せ。」

「高校ん時みたいにマキって呼んでいいんだよ?」

「わかったよマキ、個性を俺に合わせろ!」

「オッケー爽良!任せといて!」

「「合体必殺!荒れ狂う疾風弾(ツイスト・ブラスター)!!」」

 

大気が打ち出した空気弾に竜田が錐揉み回転をかける。

先程聞いたのだが大気の個性は「空気操作」、竜田の個性は「ツイスト」らしい。

空気操作は読んで字の如く周りの空気を操作するらしい。ただ、膨大な力で体の負担が大きいので大雑把にしか動かせないらしい。

ツイストは物に回転を与える個性らしい。

 

どちらも強い力だ…俺では到底及ばない。

 

「常闇!俺の空気弾は大雑把だ!お前の個性で進路を曲げてくれ!」

「──!…了解した!」

 

 

 

 

 

 

「うん…!ここに俺が出る幕は無いな。さっさと広場に戻ろう。イレイザーヘッド先生が心配だ。いや、でも…」

 

数秒考えたが…矢張りここは俺のコートと相性が悪い。さっさと広場に行くとするか。

 

「天井と地面に黒爪を撃てば出れるかなっと…」

 

「…出れたな、意外とあっさりメンテナンス用の扉が見つかって良かった。」

 

暴風、大雨ゾーン。常闇、口田、竜田、大気で絶賛交戦中!

俺、闇雲は広場へと急行中だ!

 

 

 

 

 

 

 

──セントラル広場

 

「23秒」

 

手だらけの男が近づいてくる。捕縛布を飛ばすが…意味は無いだろう。

 

「本命か。」

「24秒」

 

やはり止められるか…

 

「20秒」

「ちっ!」

「17秒」

 

掴まれた布を引き肘を叩き込む…!

 

「動き回るのでわかりづらいけど髪が下がる瞬間がある。」

「っ!」

「1アクション終えるごとだ──…?」

「──はなやがれぇぇぇぇ!!!!!」

 

「ぐっ…誰だお前は…?」

「名乗る意味など無いだろう!?」

 

ヴィランに飛び蹴りを入れた…!?

こいつは…陰璃のとこの生徒か…!っ!あのヴィランが触れたところ…肘が崩れた!?

 

「危ないから下がってろ!」

「そんな崩れた肘で戦えるとは思えないんですけどね!?助太刀します!」

 

突如強い風が吹いた。いや、あいつが来たのか。

 

「闇雲君、良い正義感だ。だけどこれは…私たち(プロヒーロー)の仕事だ。」

 

目に追えない速度で走る陰璃は周りの有象無象と言われていたヴィランを一掃した。

髪の色が白へと変わってはいるが。

 

「ちっ!脳無!やれ!」

「遅い…必殺、タイアードロップ。」

 

先程よりは遅いが走った陰璃は後ろから出てきた化け物に触れた。

髪の色が白から黒に戻ったことで何をしたのかがわかった。

陰璃は自分の疲労を()()()()()()()()()のだ。

化け物は片膝をつく。

 

「なっ!?脳無が!?」

「…疲労が消えていくな、再生持ちか。」

 

気づいた陰璃は飛び退くが化け物に捕まってしまった。

 

 




個性…いい案がある!って人は感想で教えてくれると今後のヴィランに反映してく方針ですヨ!よろしくお願いします!

あ、因みに姫花の個性は「支配粉」です。
この個性は肌から粉を飛ばしてそれを嗅いだ人間を任意で神経麻痺、狂暴走、自白の3つから1つを3分間だけ自由に指令できる個性です。
もちろん指令の切り替えもできます。
任意なので嗅いだ人間の中でも仲間には指令を出さないこともできます。


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第9話 平和の象徴、その矜恃


あ、黒霧さんがキャラ崩壊します。お気をつけを。


「散らし損ねがいましたか…」

 

厄介な13号が残ったか…だが所詮救助向きのヒーロー…戦闘経験は少ない…私の相手では無いだろう。

 

「委員長!君に託します…学校まで駆けてこの事を伝えて下さい。」

 

ほう…?逃がす気か…

 

「救う為に個性を使ってください!!」

「ふ、手段が無いとはいえ敵前で策を語る阿呆がいますか?」

 

矢張り震えている…戦闘慣れはしていないのか。

 

「バレても問題ないから語ったんでしょうが!」

 

「…13号。災害救助で活躍するヒーロー…やはり戦闘経験は一般ヒーロに比べ半歩劣る…残念だな、自分で自分をチリにしてしまった。」

 

これで13号は抑えた…くっ!散らし損ねた子供が入口の方へ!

止めねばならない…

 

「教師たちを呼ばれてはこちらも大変ですので」

 

──!なんだこのガキは…!

 

「くそっ!!」

 

「生意気だぞメガネ…!消えろ!!」

 

!?確実に入れるよう伸ばしたはず…!?

 

「理屈は知らへんけどこんなん着とるなら実体あるって事じゃないかな…!行けぇぇぇ!!!飯田くーん!!!!」

 

チィッ!体を!しまった!!体にテープまで!クソ…ガキが…!

 

「麗日お茶子!私を浮かせろ!」

「え!?あなたは先輩の…!?」

「良いから早くしてくれ!」

「わ、わかった!」

 

目の前にモノトーンのコスチュームを着た大学生らしき男が飛んできた。

 

「暫く封印させてもらう。必殺…!『完全否定』!!!」

 

「ぐぅっ…クソ…………応援を呼ばれる…ゲームオーバーだ。」

 

死柄木の方へ戻ってこの事を伝えねば…

 

「…!?ワープができない!?何をした!?」

「ふん…私の個性で貴様の個性因子を機能不全にしているのみ…」

 

仕方ない…走るか。

 

「あっ!?走って逃げたァ!?」

 

「…言乃背先輩、あれって何分持ちますか?」

「…………5分だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──セントラル広場

 

「死柄木…」

「黒ぎr…え、ワープどうした?」

「いや、その…色々ありまして…生徒に逃げられました。」

「は?はぁ!?っ〜!!黒霧…お前がワープじゃなかったら粉々にしてた。」

「…申し訳ございません…まぁ今はワープも使えないんですが…

 

「ゲームオーバーだ…はぁ…帰るか。いや、その前に平和の矜恃を少しでも奪って帰ろう…!」

 

水難ゾーンの端にいた蛙吹さんに手だらけ野郎が襲いかかろうとした。止めなければ、今すぐに。

 

「殺らせるか、手だらけクソ野郎。」

「クク…かっこいいな、大学生…だけど、こんなもので俺を拘束できるとでも?」

 

俺のコートが崩された!?あの指が全部触れた所から…そういう個性か…?

 

死柄木が脳無の方を見る。そこに居たはずのあの人がいないことに目を見開く。

 

「なに…僕がいない事がそんなに不思議?」

「クソッ!何を使った!?」

 

後ろに回り込んだ疲堂先生に死柄木が驚き後ずさる。

 

「なんだよ…逃げないでよ、疲れるんだから。」

「うぜぇなァ…脳無!殺れ!」

「狙いは子供か、姑息な奴だな可哀想に…」

 

桐崎達4人を庇い疲堂先生は吹き飛ばされた。

 

「先生ッ!」

「ってぇ…加減くらい覚えて欲しいな、まぁそろそろだろうしな。」

 

そう先生が言った時、勢い良く入口が開かれ彼が登場した。

NO.1ヒーロー、オールマイトが。

 

「もう大丈夫、何故って?私が来た!!!

 

そう叫んだ彼の顔に笑顔は無かった。

と、思ったが…?

 

「ありゃ?飯田君の話を聞く限り窮地だと感じたのだが…そうでもない気がするのだが…?」

 

「まぁいい、逃げられると思うなよヴィラン共!!」

 

オールマイトは雑魚ヴィランを薙ぎ払いながら手だらけ男の近くから疲堂先生と生徒4人を瞬時に助けた。

 

「ってぇ…助けるついでに殴られた…ハハ…国家公認の暴力だ…他がために振るう暴力は美談になるんだ…そうだろ?オールマイト。」

 

「俺は変えたいんだよ、こんな腐った世界を!ヒーローが振るう暴力は許されるのに俺たちは許されない!可笑しいと思わないか?」

「そういう思想犯の目は静かに燃ゆるもの、自分が楽しみたいだけだろう、ヴィランが」

「…バレるの早…ハハ」

 

間髪入れず連撃を手だらけ野郎の前に出てきた脳無とかいうヴィランに叩き込む。

 

「!効いてない!?」

「そいつはショック吸収、アンタのパンチは効かないよ。…そうだな…そいつを倒すんならじわじわ肉を抉りとるとかが良いかな?」

 

「OKそれなら…やりやすい!」

 

脳無がオールマイトのバックドロップによって地面に突き刺さる。

 

「黒霧!ワープは!?」

「すみません死柄木、先程1人の子供に触られてからワープが出来なくて…」

「クソッ!どいつもこいつも!脳無!さっさとそこから出てこい!」

 

なっ!?深く突きたってたのに地面を割って出てきた!?なんてパワーだよ…

 

「Holy shit!こいつぁ予想外だ…しかしなァ!私にも守らねばならんものがある!そう簡単にやられはしない!」

 

オールマイトが濃霧と掴み合いに…!

あの脳無ってやつ…オールマイトの脇腹を…!

うっわぁすっげぇ痛そうな顔してるわ…

 

「イタタタタ!そこは弱いんだ!」

「いいぞ脳無!そのまま抑えておけ!黒霧が使えないなら…俺がやる」

 

あ、これマズいパターンだ…って、止めなきゃ!

 

「テメェらがオールマイト殺しの核だって聞いた。さっさと離れろ。」

 

あれは…エンデヴァーの息子か…名前は確か轟焦凍!ってそうじゃなくて俺は手だらけをもう1回!

 

「あ?この布…またお前か、大学生。」

「手の対策はしてあるぜ?抜けれるもんなら抜けてみろ」

「チィ…指だけ綺麗に残しやがって…!」

 

「死柄木!今助けます!」

「言乃背のが切れたのか…これはしんどい。」

 

つーか無理だな、諦めるか。

 

「黒霧、助かった。お前はゲートだ、離れておけ。」

「分かりました」

 

「──死ねモヤ野郎!」

「ぐはっ!?」

「だァー!!!クソ避けられた!良いとこねぇ!」

 

「テメーが怪しい動きをしたと俺が判断したら爆破する!」

「爆豪…ヒーローらしからぬ発言…」

「はぁ…おい、脳無。いつまでもそこで凍ってないで黒霧を助けろ。」

 

凍っていた脳無が起き上がった、その身を崩しながら。

 

「凍っていた場所が再生していく!?」

「別に個性が1つとは言ってないだろ、これは『超再生』だ。」

 

「っ!爆豪少年!」

 

脳無が爆豪君に襲いかかる。

 

「生徒を庇ったか。まぁいい、黒霧は離れられた。」

「助かりました死柄木。」

 

オールマイトが脳無に殴り掛かる。それに応じて脳無も殴り返す。

脳筋達の戦いは熾烈な殴り合いとなった。

 

「おいおい!ショック吸収だってさっき言ったろ?気でも狂ったか?」

「ショック無効ではなくショック吸収ならば!限界があるんじゃないか?」

 

オールマイト、貴方って人は…!

 

「私対策?良いね!ならば私はそれを更に上からねじ伏せよう!」

「風圧で近づくに近づけない…!」

 

「ヴィランよ、こんな言葉を知っているか?ヒーローとは常に上を目指すもの!Plus ultra!!(更に向こうへ)

 

オールマイト…あいつを吹き飛ばしてしまった…!

 

「再生も追いつかないほどの連撃を入れたのか…脳筋かよ…」

 

「やはり衰えた…全盛期なら3発も打てば充分だったろうに…」

 

「300発以上も打ってしまった。どうするヴィラン、まだやるかい?」

 

これが平和の象徴…オールマイト!

 

「クソ…脳無もいなくなっちまったしどうするか…?」

「死柄木、よく見てください。脳無との戦闘によるダメージは現れています。ここは一気に畳み掛けるべきかと。」

「そうか…そうだよな…ラスボスを目前にして逃げる意味があるかって話だ!」

 

いや、行くんかい!?やめときゃ良いのに…一応止めるか──ん?

 

「うぉぉぉ!!!!!」

「お前は…!」

「オールマイトから離れろ!SMASH!」

 

黒霧によってその一撃は躱される。

 

「SMASHってオールマイトのフォロワーか?」

「くっ!」

 

「った!銃だと!?」

 

「遅くなったね、動ける先生を全て連れてきた。」

「クソッ!帰るぞ黒霧!」

 

「この距離で捕縛できる個性は…」

「!?引っ張られる!」

「…僕だ!」

「覚えておけオールマイト…お前は…必ず殺す…!」

 

そう言ってヴィランは消えて行った。

 






コンパスってゲームやってるんですけども中々難しいゲームなんですよねー…まぁ楽しければ良いですよね!


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第10話 AnotherScenario(もう一つのアカデミア)



えー…無理矢理感はご愛嬌。ではどうぞ!


警察が到着し状況の確認とヴィランの拘束をしている。

 

「はー…オールマイトがそんなバトル展開してたのか、見に行きゃあ良かったな…」

「爽良がいなくなったらあの数のヴィランとても私だけじゃ捌けないんだけど!?」

 

「え…?みんな大学の先輩いたの?俺布袋先輩行っちゃってからずっと1人だったよ…てっきりみんなも1人なのかと…」

「ごめんね、尾白君。僕が行った時にはもうオールマイトは吹っ飛ばした後だったよ…戻れば良かったね…」

「いや!そういう事じゃないんで!大丈夫です!」

 

「ねぇ☆僕どこに居たと思う?」

「え、どこにいたの?」

「ひみ──」

「あぁ、青山君なら僕といたよ。消太を助けに行くから君は隠れててって僕が言ったんだ。消太の生徒を怪我させる訳にはいかないからね…」

 

先生…青山君の顔的にそれ言っちゃいけなかったやつ…

ん、警察の人が寄ってきた…先生から離れるか。

 

まぁこっそり会話は聞くんだけどね!

 

「塚内です。今回の事件ですが…」

「えぇ──オールマイト──内密に─」

 

何言ってんのか分からないなぁ…こういう時に向いてる個性良いよなぁって思うね!

 

「では、私はこれで。」

「ありがとう塚内さん。」

 

あ、話終わった…ひぇっ!?

 

「盗み聞きは良くないよ?」

「す…すいません…」

 

まさか盗み聞きがバレてるとは…

 

ん、ネズミがスーツ着てる…?

いや、あれは雄英の校長か。

 

「私は君達に謝罪と感謝をしなければならない。すまない衛傑大学の生徒諸君、そしてうちの生徒を守ってくれてありがとう。」

 

そんなこと気にする事ないのになぁ…

大人は変なとこで律儀だ。

 

「今日は色々あったが帰るよ、みんな。今日はお疲れ、気をつけてな。」

 

 

 

 

 

 

──数日後

 

「えっと…今日は大事な連絡があるよ」

 

ん、大事な連絡ねぇ…襲撃事件関連か?

その前になんで朝のホームルームがバスで移動しながらなのかを説明してほしいのだけれども。

 

「君達も知ってるだろうけどもうすぐ雄英高校は体育祭だ。」

「先生?それが関係あるのですか?無くなるとか?」

「いいや、開催するよ。ただ、関係はあるね。」

 

手元の紙を見て先生はため息をつく。

 

「えー衛傑大学ヒーロー学部生徒は雄英高校…体育祭の警備を任されました。」

「「「はい????」」」

「僕は反対したんだけどね…理事長が決めちゃったから…しゃーなし。」

「え?ヒーロー学部って1年生しかいませんよね?」

「そうだよ、今年からだからね。」

 

俺たちで雄英を守るのか…すげぇ!

 

「あ、それとね?今回の警備を行うに当たって雄英からの提案でこの先授業受けるとこが雄英高校になりました。で、雄英高校の敷地内に専用宿舎を用意するとの事です、はい。」

「「「マジかよ!?」」」

「マジだよ。というわけで今日のホームルームはバスの中、というわけさ。」

「道理で朝早くから移動なんですね…」

 

つい数日前来た場所…雄英高校。

そこに僕らはもう一度来た。

 

「さてと、僕達は大学の人間であり、ここの警備員でもある。今雄英高校の前には生徒に質問をしまくる傍迷惑なマスコミがいるわけだが…これじゃあ僕達も入れない。で、闇雲君の出番だ。」

 

「え、俺ですか?」

「その間が気になるけど…まぁいいそんなことは。じゃ、これ預かってた学生証。チップ埋め込んだ雄英用のだから落とすなよ。」

「あー…この前一斉に預かったのはそういうことか…はい、じゃあ行ってきます…」

 

マスコミに危害を加えると面倒臭い。やることはそうだな…新しく考えたあれを使うか。

 

襲麒(カサネギ)からの新技、鎧套(ガイトウ)…まぁ見たまんまだね。」

 

纏ったコートを体に巻いて防御力、機動力を底上げしたんだけど今回は違う使い方をしようかな。

 

「はーいマスコミの皆さんそのまま半歩後ろへ、生徒が門を通れるように…そうですそうです!ご協力ありがとうございます。」

 

先ずは見た目の威圧感で下がらせる。まぁ身長も伸ばしてるからね…

 

「では次にお願いしたいのですがそろそろホームルームの始まる時間ですので過度の取材は御遠慮頂けますでしょうか、オールマイトの授業風景、大いに気になる気持ちは分かりますがそれで生徒が授業を受けられなかったら…本末転倒ですよね?」

 

マスコミが少したじろぐ。うん、いい調子。

 

「分かって頂けたでしょうか、警備の者としても余り手荒な行為はしたくないのでここらでお引き取りねがえますでしょうか。」

 

手荒な〜のくだりで黒爪を準備、そしてマスコミに小さく向ける。

マスコミが1人、また1人と気づいて帰っていく。その写真を撮ろうとしたマスコミのレンズにはコートの先を被せておいた。

 

「ふぅ、ひと仕事終わりっと…こんなもんかな?」

「すごいね!あの量を捌いて帰らせるなんて!さ、僕達も入ろうか。中で消太と俊典せんぱ…あ、いや、オールマイトが待ってるから。」

 

 

 

 

 

 

 

──宿舎前

 

「私が来たァ!」

「遅刻ですよ、オールマイト。」

「ごめん相澤くん…」

 

オールマイト…!USJでも思ったけどやっぱ迫力がすげぇな…!

 

「衛傑大学の諸君!オールマイトだ、よろしく…って知ってるよな?」

「「「よろしくお願いしますッ!」」」

「ンン、良いね!先ず無理を言ってこんな警備だとか学び舎を移動だとか申し訳ない!君達に危険な仕事はさせない、何か異常を発見したら直ちに先生へ報告すること、決して1人で行動してはいけないぞ!」

「「「はいっ!」」」

 

「では、宿舎の説明をしよう。1階はリビング、ダイニングルームだ。2階から部屋となっている男子は西棟、女子は東棟だ。それと、部屋の中は自由に模様替えしてくれて構わない。今日急に連れてこられたと思う、今日はもう解散で各々自分の部屋を作るためのものを家等から持ってくるといい。以上。」

 

 

 

 

──自宅

 

との事なので家に帰りました。どうやら既に親には話がいっているらしく、同意も得ているらしい。手回しが早いな…

 

「よしよし、こんなもんだな。あとは制服がないから私服なんだけど…タンスの中…いいや、タンスごと全部持ってこ。」

 

忘れもんは…ないな!だって部屋空っぽなったもん!

 

「黒套!忘れ物はない!?」

「あぁ、母さん。無いよ、全部確認した。」

「黒套が寮生活…と言うより警備員、か…頑張るんだよ?」

「心配しなくても上手くやるさ。父さんにも大丈夫だって言っといて!」

「ごめんね…黒套の個性、私たち2人と違う突然変異型で…」

「まだ気にしてるの?突然変異なんて他にもいるって!だから大丈夫、俺は父さんに比べたら弱いけど母さんの息子だ、それにずっと会えないわけじゃない。じゃあ俺もう行かなきゃ!外で心露と心露のお父さんが待ってる。」

「行ってらっしゃい、黒套。」

 

そう言って俺を送り出してくれた母さんの顔は寂しそうに笑っていた。

 

俺の個性は父さんの個性『闇』とも、母さんの個性『マリオネット』とも違う『外套』だ。

個性の使い方がわからなかった俺は中学まで無個性だと思ってた。

トリガーが上着を着てない状態で上着を着るようなモーションをするって普通分からないだろ?

その事を父さん母さんはずっと悩んでたんだ。俺は気にしてないのに。

 

「なーに考えてるの?お母さんがまたごめんねって?」

「心を読むなよ、デリカシーがないのか?」

「いいじゃんか、私と黒套の仲でしょ?」

 

「二人とも仲が良いねぇ、もうそんな年頃か…いやぁ懐かしい。昔から心露は黒套君が大好──」

「お父さんッ!やめてよ恥ずかしい!!」

「ハハハ…そんなこと言って、内心嬉しいんでしょう?」

「…俺には何の話だかさっぱり分かりませんが、心露が昔なんかやったんですか?」

 

心露と心露のお父さんは俺の発言を聞いてただ笑うだけだった。

 

「なんかおかしい事言ったっけなぁ…?」






いつかデトロイトスマッシュを撃ってみたい。
そんな叶わない願いを内に秘めるより現実味のある話をしよう。
例えば…そう、小説のネタが空から降ってこないかな、とか。
え?現実味がない?
…………フィッ…フィクションだもん!


あ、黒套君のお父さんの個性『闇』は黒いモヤモヤを出して操る個性で、お母さんの『マリオネット』は触れた人形なら10分自在に動かせる個性です。


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第11話 Through The Deadline(このタイトルに深い意味は1ミリもは無い。)


体育祭をどう進めようか迷った挙句ちょっと寄り道エピソードっすね
2話くらい。



──夜、宿舎前

 

眠れなかった俺は夜風に当たりに外へ出てきた。

 

「警備か…具体的に何をしたらいいんだろう?」

「──確かに何をすればいいって話だよなぁ!」

「うわっ!?誰!?」

 

振り返るとそこにはふわふわと浮いてる男がいた。

 

「あぁ!すまない!君とはまだあまり喋っていないな。」

「あ…まぁ…そうっすね…?」

「もっと柔らかくでいいぞ?まぁ人それぞれだが。」

 

降りてきた…マジでなにこの人…

いやぁ…あんまり喋んない人に急に喋りかけられたらビビるだろ…

 

「失礼、自己紹介がまだだったな。俺は大気爽良(タイキ ソラ)。個性は『空気操作』だ、よろしくな!」

「あ、はい、闇雲黒套(ヤミクモ コクト)です…よろしく?」

「それで、警備って言っても俺達はまだ仮免すら持っていないわけじゃないか、いや、一部は持ってるのか。」

 

確かにそうだ。仮免も持っていない俺達に何が出来ると言うのだろう。

 

「そこで俺は考えた。」

「何を…?」

「これは一種の保護なのではないか、と。」

「…うん?」

「襲撃の時に俺達も一緒にいた、そして思いのほかヴィランをぶっ倒してしまった、だから俺達も襲われるかもしれない。…そういう事じゃないかな、と。」

 

うーん…どうなんだろうか。衛傑大学の理事長も雄英の校長も何考えてんのかわかんないしなぁ…

 

「まぁあくまで憶測だがな。さて、もういい時間だ。俺は寝るとしよう。」

 

爽良はそう言って帰っていった。

…?誰かこっちに来る?

 

「あぁ、まだ起きてたか。良かった。闇雲君、君に少しだけ話があるんだけど。」

「あ、なんだ先生か。なんですか?話って。」

「いや別に大した話ではないんだけどね。君の個性、まだ先があると思うんだ。」

「え?ど、どういうことですか?」

「君の個性は、自分にコートを纏っているだろ?そうじゃなくて自分以外の人にそのコートを纏わせる事ができるんじゃないかと、今さっきふと思いついてね。ほら、僕疲れると直ぐ忘れちゃうから。」

「あ…なるほど…盲点でした。」

「君の親御さんにも個性の仕組みを聞いたんだけど突然変異型って聞いたからね。僕が考えていたんだ。」

「そう…なんですか。」

 

いい先生だな…働きすぎとは思うけど。

それに先生が言った通りにコートを出せればサポートと妨害が一度にできるじゃないか!

 

「先生、ありがとうございます!」

「いや、まだできるってわかったわけじゃ無いからね。明日からしっかりと鍛えていこう。」

「はいっ!」

 

先生はまた歩いて帰っていった…いや、止まった?──飛んだ!?

 

「先生…余計に疲れますよそれ…」

 

「さて、部屋戻って寝るか。」

 

おやすみなさ…ぐぅ…

 

 

 

 

 

 

 

──翌日

 

「みんな集まった?1、2、3…あれ1人足りない?」

「あー…天野さんがいない…」

 

皇さんがそっと手を挙げた。

 

「あのー…そのー…魔呼さん、まだ寝てました…」

「寝坊かぁ〜それなら仕方──なくないよ!?」

 

先生一瞬仕方ないって言いかけたな。

 

「遅れました!申し訳ございません!」

『だから言っただろ?俺のおかげて起きれたんだ感謝しろよなぁ!』

「ありがとね、悪魔ちゃん!」

『…お、おう。なんか今日素直だな…』

 

「遅いよ、天野さん。君が来るまでにボームペン3本崩れちゃったじゃないか」

(((後ろでポロポロ粉落ちてたのボールペンだったのかよ…)))

 

「さて、来週いよいよ体育祭だ。実はと言うと警備員である私達も少しだけ出場する予定だーって言えって根津校長に言われた。」

「へっ…?」

「いやぁ、君達を雄英で預かった方が安全だって言う意見からここに来ることになったんだ。『警備員』って名目でね。」

 

爽良君…預言者か何かか…って君が1番驚いてるんかーい!!

 

「さ、てなわけで圧縮授業って名目で運動場使わせてもらえるから行くよー…あ、1年A組のみんなもいるからね?」

 

出久くん達もいるのか…今日は何をするんだろうか。

 

 

 

 

 

 

──運動場

 

「3対4のバトルをする。」

「はい!?」

「だから大学生3、お前ら4でバトルだ。わかったな?」

「は…はい!」

 

相澤先生の考えたこれ…ちょっと俺達不利じゃないかな?

 

「チームは陰璃が決める。」

「ほいっと、任されました。まぁ…公正を期す為にくじなんだけどね?」

 

くじの結果…俺は藤田鎖(フジタ クサリ)君と…?分連薫子(ワカレ カオルコ)さんか。

うん。知らない人だなー…話したことも無いわー

 

だって鎖君毎日死んだような顔してんだよ!?

それに分連さんもいつも机の端っこの方を触ってなんか机真っ黒にしてるし…訳が分からん!

 

「俺…藤田鎖…よろしく…個性は『腐敗』…強くはない…」

 

あ…それで死んだような顔を…って失礼だなこれ。

 

「我が真名は薫子!よろしくだ!外套を纏いし青年よ!私の個性は『分子変換』!個性内容は追追説明しよう!いつでも声掛けてくれて構わんぞ!ハハハハハッ!」

 

そっち系のキャラ!?濃いなぁ!おい!

 

「因みにこの喋り方は父の喋り方に拠るものだ!決して私がちゅ…厨二病なわけじゃないからな!?」

 

じゃないからな!って強調するあたり怪しい…

 

「なっ…なんだその目は!信じろ!信じてくれよぉ!」

「信じてる…から…もう少し…静かに…」

「落ち着けって!ちょっとからかっただけだろ?」

 

「よし、チームで別れたね。それじゃあ始めよう先ずは…」

「ダラララララララー…バン!」

 

今の誰だよ!?

 

「えっ…まぁいいか」

 

いいの!?

 

「第1回戦!緑谷、耳郎、轟、砂藤チームVS闇雲、藤田、分連チーム!頑張ってね!」

 

緑谷君か…きっとあの子のことだ俺の個性は対策されるだろうな…

それに轟君!あの氷結は脅威だ…!

 

「フッ…轟の氷は私に任せるがいい。私の個性なら対策できるからな。」

「じゃあ…砂藤君と…緑谷君…パワータイプだろ…?俺に…任せてくれ…1人しか…無理だけど…」

「はぁ…んじゃあ耳郎さんは俺が抑えるから…サポートはしてくれよ?」

 

さてと、方向性も一応…決まった?事だしスタート地点に行くとしよう。

 

 

 

 

 

──緑谷サイド

 

「闇雲先輩の個性は黒いコートを操る感じ…ってことは僕か砂藤君の個性でどうにかできると思うんだ。」

「じゃ、緑谷より継続的な砂藤だね、よろしく。」

「俺の意見は聞かねぇのかよ!?」

「俺は…好きにやらせてもらう。」

 

轟君…やっぱり作戦を聞いてくれないか…

 

「いや、だがな…一応作戦があるなら聞いておこう。」

「…!ありがとう!轟君!僕が考えた作戦は──」

 

これならいける!勝てる可能性が──いや、勝つんだ!

 

 

 

 

 

 

──闇雲サイド

 

『では!バトルスタート!ってね!』

 

スタートコールが緩いな…

 

「闇雲!鎖!行くぞ!私に合わせろ!」

「はぁ…薫子…チームだって…言われた…だろ…?」

「このチームちょっと…いや、かなり心配。」

 

「来たか…!」

 

前から走ってくる4人を薫子さんが見つけた。

 

「悪いが凍って貰うぞ!」

「ハッ!そう簡単に行くと思うな、轟、焦凍!」

 

轟君の出した氷が薫子さんに当たる直前で消えた!?

いや、水になってる!?分子変換ってそういう…?

 

「轟、物体を扱う以上、私の個性に貴様は勝てん。」

「1VS1じゃないっての!」

「耳郎さん、悪いけど君の相手は俺がしよう。」

 

伸ばしたイヤホンをコートで絡めとる。

一応試したけどやっぱ相手にコート…掴めないな…

 

「闇雲先輩!耳郎から離れて貰います!」

「別にいいけど…君じゃ勝てないよ?」

 

伸ばしたコートを砂藤君が千切る。全く、個性だからいいものを。

 

「やって見なきゃわかんな…砂糖が!?」

「ごめん…隙だらけだったから…つい…触っちゃった…ついでに…言うと…コスチュームも…脆くなってくから…」

 

「藤田君ナイス!」

「別に…それに…もう砂糖は…摂取された…」

「わかってる、大丈夫さ。」

 

…あれ?緑谷君はどこいったんだろうか?

イヤーな予感がするんだけどな。




実はこれ書いてる場合じゃないくらいやること多いんで更新が遅れます(マジで)
申し訳ないですが遅くなります(2回目)

藤田鎖君の隠密スキルすごいなぁって思いました(読者目線的なやつ)
厨二病好きなんで分連薫子ちゃん好きです。以上です。

実はオリキャラの殆どがヒーロー名決まってます(設定内だよ?まだ話では決めてないよ?)
あ、そう言えば疲堂先生のヒーロー名は『ハードワーク』です。


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第12話 強い人ほど…


サブタイトルは「考えるのめんどくせぇ」って叫びながらフィーリングで決めてます。
だから内容を加味してませんので…ご了承を



「薫子さん!轟君から一旦離れて!」

「了解した!虎の子撃って一度引く!」

 

薫子さんが地面に手をつく。

いや、俺一旦離れてって言ったやん!?

 

「我が力…今此処で示さん!窒素放出(ソニックブーム)!」

「なっ…!氷が全部割られた…!?」

 

遠くに轟君を吹き飛ばした薫子さんがこちらへ走って来た。

 

「轟!今ウチが──」

「余所見してていいのかな?」

「ッ…!」

 

耳郎さんを抑えながら周囲を警戒…緑谷君はどこだ…?

 

「3人が固まった!今だよ!緑谷!」

 

不意に影が頭上に落ちる。その影の主は…緑谷君だ。

 

「そういうことか…!まんまと嵌められたよ、緑谷君!」

「吹き飛べぇぇぇぇ!!!!スマァァァァァッシュ!!!!!!!」

 

不意に藤田君が俺の前に立つ。砂藤君が離れたからだ。

 

「ごめん…多少…気持ち悪く…なるかも…」

「それってどういう──」

「リミット…ブレイク…腐乱劍(フランケン)!」

 

自分で自分のリミットを腐敗させたのか…これがパワー型を抑える秘策ってやつか!

 

「この増強は…10秒しか…持たない…だから…あとは…頼んだ…」

 

緑谷君の放った突風を藤田君が止めながらその場で倒れた。

2人で4人を相手にするのか…俄然燃えるね…!

 

「すまねぇ緑谷、まさかあんな衝撃波飛ばしてくるとは思わなかった。」

 

轟君まで戻って来たか…!

 

「闇雲。どれくらい動ける?」

「まだ全然動けるよ。鍛えてるからね。」

「ならば良し、私に合わせよ。私が路を開こう、捕縛は闇雲に任せる。」

「はいはい、了解了解っ!」

 

襲麒(カサネギ)三段!鎧套(ガイトウ)…!」

「では行くぞ!水放出(デルタアクアン)

 

何も無いところから水が急に溢れ出る

…ってかいちいち名前が仰々しいな!?

 

「怯ませただけで私は…及第点だろう?」

「その隙があれば俺には十分!」

 

俺が上に飛んだと同時に向こうでも1人飛び上がった。

 

「全く…誰よりも緊張してる割には──」

 

「闇雲先輩!勝つのは僕達です!」

 

「──誰よりも勝利に貪欲じゃないか。」

 

至近距離で空気弾をくらった…残念だけど、俺達の負け…かな?

薫子さんが一人勝ちしなければ、だけど。

 

「フッ…流石に一度に4人は厳しいな。」

 

「かといって負けるつもりも無い!」

 

薫子さん…スイッチ入ったなこれ…

俺は…意識が…

 

「来る!みんな行くよ!」

「我が力!今こそ此処で敵を討つ!擬似錬金術(スーダルケミィ)!」

 

「地面が…抉れた!?」

「緑谷!なんかわかんないけどヤバそう!」

 

「気付いた時にはもう遅い…今一思いに屠らせて貰お──」

「やらせない!轟君!氷を!分連先輩の周りに──」

「甘い…甘すぎるな…」

 

詰めが甘い。私に氷は届かない。

作戦は恐らく轟の氷で視界を塞ぎ、耳郎、緑谷、砂藤が同時攻撃で仕留める…そんなところだろう。

 

「先ず、敵に手の内を見せすぎだ。だから負けるんだ。」

 

轟を窒素放出で吹き飛ばす。

虎の子とは言ったが地面に窒素は腐るほどあるしな。

 

「次に、力が足りない。折角の個性も生かせなければ意味が無い。」

 

緑谷の足を固定する。

アスファルトを石に変換するだけだから楽なものだ。

 

「最後に…いや、これは私の個人的な意見だ。──残念だが、倒す順番を間違えたな。」

 

吹き飛ばした轟、固定した緑谷、砂藤、耳郎を石の中に巻き込んで終了だ。

 

「強すぎ…だろ…」

「これが、大学生の力…!」

 

「いや、君らも十分強かった…まぁ私が大人気なかったな。」

 

『試合終了!お疲れ様!さ、別連さん、次もあるから元に戻しておいてね!』

 

スピーカーから疲堂先生の声が…元に戻せ…か。

 

「元に戻すから動かないでくれ給え。」

「あ…はい。」

 

 

 

 

 

 

──授業終了5分前

 

「さてと!今日の圧縮授業はこれでおしまい!結果は…雄英チーム2勝と大学生チーム2勝と…引き分けが1回か!」

 

引き分けたチームは桐崎の所か。

 

「よく頑張ったね!これで自分の個性の弱点がわかったらなお良しだ!それでは今日は終了!お疲れ様でした!」

 

今日の授業はこれで終わりか…意外と呆気なかったな。

 

 

 

 

「全く…なんでわざわざ緑谷に実力差を見せつけさせたんだ?」

「あの子…ほら…なんだっけ…そうだ…あの子にはこういう…焚き付け方があってる気が…したんだ。」

「変わらねぇな陰璃は。」

「消太こそ。」

 

 

 

 

 

 

──宿舎

 

「良い動きだったぞ!二人とも!私が直々に褒めてやろう!」

「あーはいはい、ありがとさん。」

「薫子…そういうのは…失礼だって…前も言った…」

 

ん?前も?

 

「もしかして2人ってさ…」

「む?同じ高校だ。鎖は受かって当然だ!私と一緒に鍛えたんだからな!」

「はぁ…薫子…静かにしてくれよ…」

 

やっぱりか、随分信頼してると思ったよ。

 

「同じ高校と言えば闇雲と深観もそうだろう?」

「なになに!?呼んだ?かおるん!」

「か…かおるん!?なんだその呼び方は!?」

「えー…薫子ちゃんだと長いんだもん…」

 

1番厄介な奴が来ちゃったな…

迷惑かかるしこいつ連れて散歩でもするか。

 

「ほら、心露。迷惑になるから行くぞ。」

「黒套!待って待って!」

「聞きたいことがあったのだが…」

「なーに?かおるん!」

 

少しだけ間が空いてから薫子さんが喋る。

 

「その腕…どうしたんだ?」

「え?あぁ…大したことないよ、動かないだけ。」

 

心露は少し悲しそうな顔をしてからまたいつものような笑顔になった。

 

「まぁ黒套がいなかったら私腕だけで済んでないし!良かった良かった!腕だけで!それじゃあね!」

 

呆気に取られたような顔の薫子さんをおいてこちらへ駆けてきた心露は矢張りどこか悲しそうな雰囲気だった。

 

「悲しくなんかないよ?…昔みたいに黒套に抱き着いたり出来ないのは残念だけど。」

「また勝手に心を読んだな?」

「いつでもどこでもお見通しでーす!」

 

 

 

 

 

「で、散歩に行こうってなって、帰ってきたら特訓に付き合えって…まぁ…いいケド。」

「ありがと、これ他の人が必ず必要だからさ。」

「何するの?」

「俺のコートを他の人に被せる特訓。」

「意味わかんないけど…何かすることある?」

「一切ないよ、立ってて。」

 

──1時間後

 

「後でジュース買ってもらうからね!」

「ごめんって…長いこと付き合わせちゃって…」

 

「戻ったか!それで特訓は上手くいったか?」

「あぁ、闇雲君と深観さんか。君達は本当に仲がいいね。」

「でしょでしょ!」

 

布袋か…今日の授業でも無双だったらしい。

 

「布袋君すっごく強くてびっくりしたよー!」

「いや、僕はまだまだだよ。」

 

「今週末は体育祭だ。万全の状態で挑めるといいね。」

「あぁ、何も無いに越したことはないからな。」

 

緑谷君達が活躍するであろう体育祭。

警備員の役目も当然やらなきゃいけないからな。

 

そう、まだ俺は呑気に過ごそうと考えていた。

これから起こる出来事に立ち向かうまでは。




砂藤力道の名前をずっと佐藤って書いてたことに気づいたんで直しました

ほんとにすみませんでした…


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第13話 一難去ってまた一難?


脳無のデザインが好きです。
異形が好きです、堪りません。


──体育祭当日 男子更衣室

 

「緑谷、お前に言っておきたいことがある。」

「?…轟君?」

「俺はお前に勝って優勝する。」

「…轟君、それは一体…?」

「あのクソ親父を見返す為にはお前に勝って優勝するって事だ。勝手な宣戦布告だ、だが俺は本気だ。」

 

突然の轟君の宣戦布告にたじろぐ…

だけど僕だってオールマイトの個性に恥じない戦いをするって決めたんだ!

 

「僕も…本気で優勝を取りに行くよ!」

 

 

 

 

 

 

──宿舎前

 

「さてと、今日は待ちに待った体育祭だ。流石にヴィランの襲撃は無いと思うが念には念を、ということなのでね。」

 

あー…眠い…体もだるいし…やる気出ねぇ…

 

「ったくよォ…なんで俺らが警備員なんぞしなきゃいけねぇんだ?」

「桐崎君!いいことに気づいたね!警備なんて僕達はしません!するのは──」

 

 

「「「「ハァァァァァァァ!!??」」」」

 

 

 

 

──体育祭1年生会場

 

『さぁ!おめーらが気になってんのはこいつらだろう!?1年A組だろう!?』

 

「完っ全にウチら迷惑者(ヒーロー科)のダシにされてるよね」

 

俺らに向けられる視線は酷く鋭い敵視の視線だ。

俺ら、と言うより俺1人だろうな。

 

俺に任された宣誓…A組の奴らには悪ぃが俺は俺の道を行く。

 

「宣誓!1年A組!爆豪勝己!」

「…せんせー、俺が1位になる。」

「言うと思った!!!」

 

後ろから飛ぶ野次に向かって親指を下に向け自分を追いつめる。

 

「精々いい踏み台になれ」

「爆豪君!?君が今何をしているか分かっているのか!?」

 

メガネがなんか言ってるが俺の知ったこっちゃねぇ。

 

…デクの野郎…また俺のことを見透かしたような目をしやがって!

てめぇに俺の何がわかんだクソナードが!

 

 

 

──同時刻 会場入口周辺

 

「ははは!面白いな爆豪とやらは!いい根性と強い個性!私は気に入ったぞ!」

「薫子…声が…大きい…爆豪君が…気になるのは…わかった…から…」

「そう言うな鎖!私は今この瞬間が猛烈に楽しい!無論お前と一緒にいる時が一番楽しいがな!」

「わかった……ん…?あれ…?」

「どうした?鎖。」

「いや…その…竜田さんの…定期連絡が…来ない…」

 

竜田さんは不思議な感性だが真面目なこのはずだ。

何かあったのだろうか。

ここに薫子を置いてくのは忍びないが行かなければ。

 

「ごめん…薫子…俺…ちょっと…見てくる…」

「なっ!?待て鎖!私はどうすれば──」

「必ず…戻ってくる…!」

 

心配だ…大変なことになってないといいけど…

 

 

 

──同時刻 雄英高校周辺の森

 

「あんたら誰?どー見ても森に来た一般人って見た目じゃないけど。」

「………」

 

二人揃って気味の悪い姿だな…

脳味噌みたいなの丸出しだし…って

こいつらまさかこの前襲撃してきた奴らの仲間!?

ヤッバ!ここで止めなきゃ!

 

「何も言わないってことはイエスってことでいいのかな?」

 

無言で襲いかかってきた!?

ちょっとやばいかも…でもこの前とは色が違う…?

 

2対1、それも相手の個性はわからないと来た!

全く…爽良なら燃えるね!とか言うんだろうなぁ!

 

「全っ然燃えないよ!こんなの!」

 

殴りかかってきた化け物の腕にだけあたしの個性を!

 

「ねじ切れろぉ!って…嘘!?」

 

確実にきりもみ回転で回した筈なのに!?

なんで腕の回転が止まるの!?

 

「筋力増強…?それに腕が伸びた!?」

 

なんで個性2個も持ってるの!?

相性最悪だしどうしようもないけどやるしかないじゃん!

 

「必殺…!タイフーントラップ!」

 

化け物が踏んだ地面に個性をかけて回す!

きりもみ回転よりは落ちるけど横回転で!

 

「っしゃあ!転けた!ってもう一体は…?」

 

大きな影があたしにかかる。

気付いた時には…遅かった。

 

「ひっ…!」

 

もうダメ…殺される──

 

「って…あれ?死ぬと思ったのに…?」

「間に…合った…竜田さん…大丈夫…?」

 

目の前には崩れた化け物だったものとその状態にしたのであろう藤田君の姿があった。

 

「藤田君!ありがとう!」

「お礼なんて…いい…それより…多分…他にも…いる…こいつらは…俺が…腐らせて…ほぼ死んだも同然…だから…爽良君の…定期連絡も…来ていない…」

 

「でっでも!爽良のとこには布袋君もいるはずじゃ…!」

「布袋君は…集中しないと…個性が…使えない…だから…」

「爽良が1人で…?」

 

爽良に限って負けると思わないけど…爽良は一対多が苦手なのに!

 

「行ってきて…竜田さん…俺は…このことを…先生に…」

「わかった…!あたし爽良の所に行ってくる!」

 

勝手にやられるんじゃないよ!爽良!

 

 

──同時刻 3年体育祭会場付近の森外れ

 

「クソ!木が邪魔で上手く空気が使えねぇ!」

 

「それに…先生にこの事がバレたら体育祭が中止になるかも知れないな…!」

 

脳味噌丸出し野郎…闇雲の話だと脳無って名前だったか?

なんにせよ終始無言だし…

口を開いたと思っても変な奇声しか上げねぇし…

 

「ギジャァァァァァア!!」

「五月蝿いな!気持ちわりぃ化け物が!」

 

浮かぶと俺は無視されて先に進まれるだろうな…俺に向いてないな、この場所は!!

 

「空気圧縮…削り取れ!エア・ジープ!」

 

撃ちだした空気弾は避けられてしまった…速すぎだろ…!

当たったら確実に吹き飛ばせたのに!

 

「まぁでも…」

「必殺ターンテーブル!」

「チェックメイトだ。」

 

「良かったぁ!爽良!無事で!」

『あ…二人とも…無事…?』

 

抱きつこうとしていた巻希が動きを止める。

藤田君の連絡によるとどうやらほかの場所でも同じように脳無とか言う奴らが来ているらしい。

混乱に乗じた事件だろう。

 

『ね、ねぇ!私が倒した脳無だっけ?から変な光が飛んだ思ったら数字が上に出たんだけど!?』

 

天野さん?何を言って──?

 

「あの赤い光のこと…?こっち飛んできてる!」

『俺の…方でも確認…したが…光に当たったけど…腐敗させたら…消えた…もしかして…微かに残った…残り火を…爆弾に…?』

『ふむ、私の所は否定をかけたら消えた。つまりはそういう事だろうな。』

 

化物の周りの空気を真空に!これで幾分かはマシな筈!

 

『なぁ!コートで包んでるけど多分無駄だよなぁ!?』

『闇雲君!僕の細胞を君の近くに飛ばした!使ってくれ!』

『え?あ、あぁ!わかった!』

 

ほかも大丈夫そうだな…

良かった…

 

『みんな!何かあったのか!?』

「大丈夫です。事なきを得ました。」

『取り敢えず皆の所を僕が回る。それまでそこで待機していてくれ。』

 

先生も来るならもう安心だな。

 

 

 

 

 

──数十分後

 

「みんなが無事で良かった…クソ、先生である僕が対処しなきゃならなかったのに…!」

「先生、大丈夫ですよ。俺たちそんなにヤワじゃないですから。」

「あぁ、そうだな…本当に無事で良かった。」

 

1年生の体育祭、第1競技が丁度終わった所だった。

 

「へぇ、緑谷君が1位になったのか。」

「そうみたいだな、闇雲。」

「えっと…爽良君か。」

 

缶コーヒーを飲みながらディスプレイを見る。

 

『次の競技!私は知ってるけど何かしら!言ってるそばから~コレよ!』

 

騎馬戦か、懐かしいな。中学でやった以来か?

 

『1位に当てられる点数は何と1000万!これが騎馬戦下剋上サバイバルよ!』

「「ぶっ!?」」

 

二人揃って飲んでいたコーヒーを吹く…

 

「なんだそれ!緑谷のやつ不利じゃないか?」

『あ、これが終わった後の第3競技にはスペシャルゲストがいるからね!みんな頑張りなさい!』

 

 

 

「さてと、そろそろ俺達も()()()()があるだろ?」

「そうだな、準備を始めるとするか。」




なーに書いてんでしょうね、
一応白い脳無にしたので大丈夫だけど…
いやー…脳無普通来ないだろ…

まぁ、これ二次創作だしね?
多少はね?


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第14話 貫けユアハート!


テスト週間入ったんで1週間更新しないと思います。
御容赦を。


『弔、君のために例の大学生達のデータを取りに脳無達を向かわせたよ。』

 

ディスプレイから聞こえたその言葉に俺は溜め息をつく。

 

「はァ…余計なお世話だ、先生。」

『フフ…君ならそう言うと思っていたよ。まぁデータだけでも受け取りたまえ。』

「先生がそう言うなら仕方ない…データは目を通しておく。」

 

しかし、データはいつ取ったのだろうか。

 

「先生、もうデータは取り終わったのか?」

『勿論さ、弔。好きな時に見るといい。』

 

先生は計り知れないが、強硬策に出れるのか。

 

この前はアイツらのせいで計画が失敗した…

次は無い。

失敗なんざあっちゃならない。

 

「俺がオールマイトを必ず殺す…!」

 

 

 

 

──雄英体育祭 1年生会場

 

『さぁ!騎馬戦も終盤だァ!!あと少しの時間の中!轟チームがフィールドをサシ仕様にして1000万奪取!とか思ってたぜ5分前までは!緑谷5分間逃げ切っている!よくやるぜ!』

『なぁ…これ俺いるか…?』

『突かれてしまっている轟チームは不利かー!?』

『聞けよ、オイ』

 

 

「スゲェバトルしてんなぁ!俺もうワクワクして仕方ねぇ!」

「バトル…か。それはそうと稲葉(イナバ)、お前は浮かれすぎだ。」

「んだよ、鏑馬(カブラバ)…体育祭!祭りだろ!?楽しまなきゃ損ってもんだろ!」

「違う、そういうことでは無い。…はァ、なんでもない。お前に何言っても無駄だな。」

 

映像室にいる2人の男…鏑馬密偵(カブラバ ミツサダ)稲葉雷電(イナバ ライデン)は映像を見ながら語り合っている。

 

暗い映像室で二人きり…怪しい匂いしかしないこの2人は次の()()()()の為にスタンバイしているのだった。

 

「はぁ…お前がもっと聞き分けが良かったら苦労しないのだが…」

「お前ももっと楽しもうぜ?こんな時までガリ勉すんなよー!」

 

…言葉のキャッチボールすら出来ないか。

だが、こいつの実力は本物だ。悔しいがな。

 

「ふむ、あと数秒で終了か。やることは分かっているだろうな。」

「任せとけ!暴れりゃ良いんだろ?」

「端的に言えばその通りだが…矢張り心配だ。」

 

 

『──1!TIMEUP!!終ー了ー!!!早速上位4チーム見てみよか!』

 

『1位轟チーム!!』

『2位爆豪チーム!』

『3位鉄て…アレェ!?おい!心操チーム!?いつの間に逆転したんだ!?』

『4位緑谷チーム!』

 

『以上4チームが最終種目へ…』

 

『進しゅ──』

一寸(ちょっと)待て!』

 

プレゼントマイクの発表を遮り突如響いた声にどよめく群衆。

 

『最終種目の前に発表だ…!』

『と、言うか最終種目にはスペシャルゲストがいるって言ったろ?』

『最終種目はトーナメント…そこに刺客を送り込むことにしよう。』

 

『──ボルティーガ、行け。』

『ハッハー!了解!』

 

バツンと大きな音が響き会場の電気が消える。

そこに稲妻と共に降り立ったのは黒いコスチュームを着て、仮面を被った男だった。

 

「誰だテメェ!」

「誰かどうか…自分で確かめるといい!」

「いい度胸じゃねぇか…ぶっ潰してやるッ!!!!」

「刺客ってさ、強い奴がなるもんだろ?だから手の内は最小限に、な。」

 

「プラズマトラベル」

 

光と共に姿が消え、かっちゃんが飛ばされる。

そしてまた姿を消し、飛ばしたかっちゃんを受け止めた。

 

「なんなんだ…!?あの個性は!?」

「自分で確かめるといい。ま、俺に挑めるのは1人だけだけどな。」

 

「爆豪勝己!俺にリベンジしたきゃ優勝してくるんだな。じゃあな!」

 

そしてまた光と共に消えてしまった。

 

 

「あのクソ野郎…!必ずぶちのめして後悔させてやる…!」

 

『あぁ、言い忘れていたがあいつは優勝者の相手をする()()()()()()()()だ。2位、3位には別の()()()()()()()()がいる。以上だ。』

 

『──俺ァこんなことあるなんて知らなかったぜ!?知ってたか?イレイザー!』

『会議で言っていただろう。聞いとけ。』

『アレ!?ウッソォ!?』

 

『最終種目はトーナメント!開始は昼休憩を挟んだあとだ!じゃ、またな!』

 

 

 

 

 

 

──映像室

 

「上出来だ、稲葉。」

「だから言ったろ?任せとけって」

「だが、少し暴れすぎだ!怪我をさせたらどうするんだ!」

 

全く、爆豪ならあんなちゃちな攻撃食らっても怪我なんてしねぇよ、多分。

まぁでも…少しやり過ぎだったか?

 

「だが、エキシビションは全力で相手をしてやれ。」

「全力出して良いのか?」

「構わん、やれ。」

「っしゃあ!じゃ、俺は行くから!後はお二人さんでよろしくー」

 

「はは、大変だな鏑馬君は。」

「見苦しい所を見せて済まないな、闇雲。」

 

 

 

 

──会場

 

『第2試合!轟VS瀬呂!レディー…ファイト!』

 

 

 

『──瞬ッ殺だぁ!!!!!!!轟、瀬呂を氷漬けだァァァァァァァァァ!!!!!』

 

 

「やっぱ轟が上がって来るかー!んでもって轟の次の相手は…緑谷か。」

 

「第1試合の緑谷は地味だったけど…本気を出すのかなぁ!?」

 

なんにせよ強い奴が上がってきて欲しい!

俺の個性は扱いづらいから全力でぶっぱなすのが一番楽だ!

 

「だから期待してるぜ?轟と爆豪と緑谷。」

 

 

 

 

──爆豪VS麗日戦後

 

「いい線いってたんだけどなぁー!惜しいな、お茶子ちゃん!実力差も合ったしな!」

 

「んで次は…芦戸VS青山か。で、その次が常闇VS八百万…」

 

この4人だと常闇が勝つだろうな。あの個性は強い!

 

「それにカッコイイし!いいよなぁ…ああいう個性。」

 

暇だ。寝よう。

 

「んじゃ、おやすみ~…」

 

 

 

──轟VS緑谷戦

 

ドーンと突如なった爆音に稲葉は驚き起きる。

 

「わ、ビックリした!なになに!?何があったの!?」

 

慌てて会場を見るとそこには吹き飛び壁に当たった緑谷の姿が見えた。

 

「…轟が勝ったのか…というか轟左側(炎の方)使ったのか。」

「初めて使ったんじゃない?」

 

突然返事を返されて横を見るとそこには闇雲が。

 

「なんだ、闇雲か。」

「はは、俺じゃダメだったか?なんなら…」

「俺もいるが。」

「うわっ!?鏑馬!?なんでここに!?」

 

いつの間にか両脇を挟まれていたようだ…めんどくさぁ…

 

「寝ないで見てろよ?この中の奴がお前の相手になるんだから。」

「ハッ!俺ァ爆豪が上がって来るって信じてるからな!爆豪の試合は全部見てるぜ?」

「それならいいのだが。」

 

てか、俺はいつも寝てるって思われてんのか…いや、いつも寝てるわ。

 

「いつも寝てるな…俺…」

「やっと自覚したか馬鹿者め。」

「まぁまぁ、なんだっていいじゃないか。」

 

 

 

結局そのあと2人に挟まれながら見させられました…

 

準決勝の試合は

轟VS飯田は轟の勝利だし、

爆豪VS常闇は爆豪の勝利で

 

決勝戦か、次。

 

 

 

 

──決勝戦

 

「俺にもそっち(左側)使ってこいや、上からぶちのめして俺が勝つからよ!」

 

『START!!!』

 

最初はどうせ氷壁だろうなァ!

俺の前にはでかい氷が一瞬で出来上がった。

 

「こんな氷じゃ俺ァ止まんねぇぞ!」

 

氷を爆破で砕いて進む。さぁ…こっから勝負だ…舐めプ野郎!

 

「いい加減俺にも使ってこいや!炎を!俺じゃあ力不足だってのか!?」

「…そうじゃねぇ…俺は…」

「ゴタゴタうっせぇ!舐めとんのか!?勝つ気が無いならなんでここに立っとんじゃクソが!」

 

「頑張れ!負けるな!」

 

クソナードが…あ?炎出しやがった!

そうだよ舐めプ野郎!てめぇは勝つために頭働かしてりゃいいんだ!

 

「うらァァァァ!!!榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)!!!!」

 

「…は?」

 

あいつ…直前で火ィ消しやがった…?

 

「…ふっざけるな!てめぇ!」

 

湧き上がる歓声なんて知ったこっちゃねぇ!

あいつ!絶てぇ許さねぇ!!!

 

「おい!立てよ!もう1回俺と戦え!こんなのこんっ…」

「轟君場外!よって爆豪君の勝ち!」

 

『以上で全ての競技が終了──してないぜ!この後はァ…って爆豪大丈夫か?まァいいや!エキシビションマッチ!やってくぜ!っつっても2人の体力が戻ってからだけどな!』

 

 

 

 

──30分後

 

『さァ!爆豪は不服そうだが「アイツはアイツでぶちのめしてぇ」って物騒なこと言って参加するぜ!1番最後だけどな!』

 

『エキシビションマッチ第1試合!常闇&飯田…ってアレ?飯田は?』

「ちょっと家庭の事情で早退しちゃったの!残念だわ。」

 

『そっか、そういうこともあるよな!さァ対する相手は~!?』

 

『闇雲黒套だァ!誰?ってなると思うが実力はあるって後ろでハードワークが息巻いてるぜ!』

 

『それじゃ、早速!STARTだァ!!!』

 

 

なんだ、飯田君いないのか。

これじゃ俺の意味無いな、一対多だったから俺になったのに。

 

「まぁかかって来なよ。俺そこそこ強いから。」

「言われずともそうさせてもらう!黒影(ダークシャドウ)!」

「アイヨ!マカセロ!」

 

常闇君は中距離主体だ。だから…

 

「個性に頼らず攻めましょう!ほら、詰められたらどうすんの?」

「くっ…黒影(ダークシャドウ)!」

「んー…読み通りだ。鎧套(ガイトウ)…近距離から中距離!中距離から遠距離!多彩に行けよ!常闇君!」

 

コートを纏って反撃にでる。

 

「終わりだ、常闇君。流れ出る悪夢(ナイトメア・ブリッツ)!」

 

コートを薄く細く大量に出して防ぎようが無い弾幕で追い詰める。あのダークシャドウ?の力を削ってそのまま押し込む!

 

「くっ…うぅ…!防ぎ…きれん…!」

黒爪(コクソウ)。」

 

最後のひと押しではい、終了っと。

 

「常闇くん場外!よって闇雲くんの勝ち!」

「工夫を考えよう!先ずはそれからかな!」

 

常闇君と握手をして第1試合は終了!

後は頑張れ、二人とも!



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第15話 隠密!雷電!エキシビション!


タイトルの通りの内容です
意味を求めたら…ダメだった…


『なんだか超スピードで1試合目終わっちまったが次はどうなる!?』

 

プレゼントマイクの実況が頭に響く。

闇雲があっさり勝ってくるとは予想外だった。

お陰で…

 

「心の準備がまだ出来てない!」

 

『さァ!入場だ!エキシビションマッチ第2試合!』

 

『cool&burning!轟焦凍!』

『対するは…飯田とキャラ被ってねぇか!?インテリメガネのプロフェッサー!鏑馬密偵!』

 

落ち着け…俺なら大丈夫だ…冷静に一気に決めろ…!

 

『第2試合!STARTだ!!!!!』

 

 

「俺の個性は地味だ。」

「?」

「だが、お前に俺の個性は見破れない。」

 

完全迷彩(パーフェクトステルス)!」

 

「消えた!?クソ!」

 

「…消えたんじゃない」

「っ!?」

「お前の感覚から…」

「どこだ!?」

「俺の存在を隠したんだ。」

 

俺は轟の周りをぐるぐる回ってるだけなんだが…

個性使ってるとやっぱ気付かないのか。

 

俺の個性は『隠密』、光学迷彩、音響迷彩、温度迷彩などありとあらゆる迷彩機能を自分又は物に付与できる個性だ。

 

「大事なのは冷静さだ。虚城の空論(ライアー・キャッスル)。」

「なんもねぇ所から城…!?」

「何も無いなんてことは無い。」

 

目の錯覚を利用して作り上げてるだけの視線の誘導用の必殺技だ。

そろそろ来るか、大氷壁が。

 

「くっ!」

「温度迷彩。」

「凍らないだと!?」

「こればかりは…どうしようもないな。」

 

温度迷彩は表面温度を常温にする能力…つまり氷の表面が冷たくない。

 

「くっ…見えねぇ…走る音すら聞こえねぇ…!」

 

畳み掛けるとするか。

拍子抜けだな。

 

「決めさせてもらおう!」

「っ!そこだァァ!!!」

 

轟の氷が瞬時に俺にまとわりついて俺を包む。

 

「なっ…わざと攻撃させて…氷で…?そんな…バカな…」

 

「鏑馬くん行動不能!よって轟くんの勝ち!」

 

湧き上がる歓声…それが俺の敗北を色濃くさせた。

しかし、これで自分の問題点も見つかった。

 

「いい試合だった。ありがとう轟君。」

「いえ、こちらこそ…」

 

「あーらら、負けたのか、鏑馬。」

「稲葉…フン、読み違えた、ただそれだけだ。」

「へーぇ、ま、良いけどさ。」

 

癪に触るな…!

 

 

──10分後

 

『轟の氷が全部溶けたところでエキシビションマッチ最終戦!』

 

『ヒーローへの思いも爆発級!爆豪勝己!』

『対するは…疾風迅雷、超スピード!稲葉雷電!』

 

『さァ!互いの力をぶつけあえ!STARTだ!!!!』

 

 

「さぁ!爆豪勝己!どっからでもかかってこい!お前の全てを見せてみろ!」

「るっせぇ!言われんでもそうするわ!クソが!!」

 

相変わらず口悪いなぁ…

サクッと実力差見せつけてやろうかな。

 

「プラズマトラベル」

「対策済みじゃボケ!!」

 

あーあー、この程度か。

 

「対策済みなんて知ってるよ。」

「あ!?」

 

そもそもさ、プラズマトラベルは…

 

「この技は移動用だよ。攻撃技じゃない。」

「んだと!?嘘つけ!」

「ホントだよ、だって攻撃技はこっちだから。」

 

「エグゼドライブVer.Σ(バージョン・シグマ)!」

 

腕を電化させて空を切り空へ放電する。

 

「チッ!終わらせる!榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)!」

「エグゼドライブVer.Δ(バージョン・デルタ)!」

 

さっき上に飛ばした電気を一気に収束し撃ち出す。

 

「がっ!?ぐっ…!うぅ…」

 

直撃した爆豪はその場に崩れ落ちた。

 

「勝負あった、かな。」

「まだだ…まだ終わってねぇ…!」

「うっわすっごいタフネス!」

 

閃光爆弾(スタングレネード)!」

「いやいや、スタンって言うのはさ、相手の行動を完全に止めなきゃ…雷光帝止砲(サンダーマグナム)!」

 

「ん…だ…これ…アホ面の…上位互換かよ…」

 

アホ面?…あぁ、上鳴君か。

 

「一緒にしないでほしいなぁ、だって根本的に違うし。上鳴君は『帯電』、僕は『雷電化』だよ。上に電気出した時も自分の指を電気に変えてるのさ!まぁ言うなればお前は今俺にぐるぐる巻きにされてるようなもんだな!」

 

「クソが…体が動かねぇ…!」

「爆豪くん行動不能!よって稲葉くんの勝ち!」

 

うーん…期待してたよりもあっさり終わっちゃったなー

 

「…い…」

「ん?どーしたんだ、爆豪君。」

「…おい…クソ野郎…今回はテメーに負けたが…次はねぇ…覚えてやがれ…」

「…!ははは!楽しみにしてるよ。んじゃ、電気は回収するから。またねー!」

 

 

『飛んでっちまった…はっ!エビバディこのあとは表彰式だぜ!』

 

 

 

──10分後

 

「メダル授与よ!今年メダルを贈呈するのはもちろんこの人!!!」

 

「私が!メダルを持って来──」

「我らがヒーロー!オールマイトォ!!」

 

あっ…

 

「ごめんカブった…」

「いや、大丈夫…うん…大丈夫だよミッドナイト…」

 

「さぁ、気を取り直してメダル授与だ!」

 

「常闇少年おめでとう!強いな君は!…ただ!闇雲君が言ったように個性に頼りきりではダメだ、もっと地力を鍛えれば取れる択が増すだろう!」

「御意、頑張ります。」

 

「轟少年、おめでとう。決勝、そしてエキシビションと左側を収めてしまったのにはワケがあるのかな?」

「いえ…少し…緑谷にキッカケをもらって…なんだか分からなくなってしまって…俺もあなたのようなヒーローになりたいって思いを再確認できた。」

「だけど俺だけが吹っ切れてそれで終わりじゃダメだと、そう思った。精算しなきゃならないモノがまだある。」

「──…顔が以前と違う、深くは聞かないが、今の君ならきっと精算できる。」

 

 

「さて、爆豪少年…っと後ろにいるのは闇雲君?」

「あ、はい。なんでも僕、爆豪を取り押さえる係らしくて…」

「ははは…」

 

「伏線回収、見事だったな。爆豪少年。」

「うるせぇオールマイト…こんなの1位でもなんでもねぇ…世間が認めても俺が認めなきゃそれはゴミでしかねぇ!」

「うむ!相対評価に晒され続けるこの世界で不変の絶対評価を持ち続けられる人間はそう多くない。受けっとっとけよ!()として!忘れぬよう!!」

「要らねえ!あのクソ野郎に勝てなかった時点で俺は納得いかねぇ!やめろ!押し付けんな!要らねっつってんだろ!!!」

 

まァまァとか言いながらオールマイトが強引に掛けてった…流石No.1ヒーロー…って関係ないか。

 

「さァ!今回は彼らだった!!しかしみなさん!この場の誰にもここに立つ可能性はあった!!ご覧いただいた通りだ!」

「競い!高め合い!さらに先へと登っていくその姿!!次代のヒーローは確実にその芽を伸ばしている!!」

 

「てな感じで最後に一言!!皆さんご唱和下さい!!せーの!!」

 

「プル…「お疲れ様でした!!!!」えっ!?」

 

「そこはプルスウルトラでしょオールマイト!!!!」

「えっあぁいや、疲れたろうなと思って…ごめん…」

 

これにて体育祭は終了か!

なーんか朝から色んなことあったな…色んな事…ん?なんか忘れてる気が…

なんだったか…まぁいいか!忘れるって事はどうでもいいって事だ!

 

 

 

 

──保須

 

「ヒーロー…歪な紛い物達が蔓延るこの世界を…誰かが正さねばならん…気付かないお前らに…俺が気づかせてやる…!」

「探しましたよ、『ヒーロー殺し』…ステイン。」

「誰だ…!」

「落ち着いて下さい、我々は()()…悪名高い貴方に是非ともお会いしたかった。お時間、少々よろしいでしょうか。」

 

「フン…俺に会いたかっただと?笑わせる。だが、話は聞いてやってもいい。俺が納得する話なら、な。」




さてと、やっとこさ職場体験だ…大学生たちどうしよ?


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第16話 職場体験っていうかなんというか…

──宿舎

 

「ヒーロー科のみんなは職場体験があるらしいね!」

「急になんだよ、引っ付くな心露。」

「えぇー…いーじゃーん!」

 

いいでしょー?とか言いながら心露は俺にベタベタくっついてくる。

 

「あ…お楽しみの所悪いんだけどさ、集合だってよ。」

「はぁ!?た…楽しんでねぇし!?」

「黒套…動揺があからさまだよ?教えてくれてありがとね!桐崎君!」

 

ぐぐぐ…心露のみならず桐崎にまでからかわれるとは…!

 

「ほら、離れろ。集合なんだからさっさと行くぞ。」

 

 

 

──宿舎 大広間

 

「やあ、集まってくれて良かった。いやぁまた誰かさんがいないか…と…?あれ、いない?」

「す、すみません!今戻ったっす!」

 

ん、あぁ、今日は天野さんじゃなかったのか。

 

「何しに外にいってたの?重禅寺朧(ジュウゼンジ オボロ)君?」

「毎日の日課のジョギングをしてたんすけど、それのせいで連絡を確認するのが遅くなってしまって…申し訳ないっす…」

「いやぁ!全然!気にしてないよ!?理由は聞いておかないとね、ほら、一応僕教師だし。」

 

「ほいっと、で、これで全員だね。じゃあ本題に入ろうか。」

 

「えーっと…なんだったか…あ、そうだそうだ雄英の1年達は職場体験なんだけどそこで僕の所に依頼が来たんだ。」

「依頼?」

「そうそう、仮免許持ってるガキを少しの間貸してくれってね。」

 

仮免許か…俺持ってないから関係ないか。

 

「依頼主はエンデヴァー。依頼内容はエンデヴァー事務所の周辺パトロールだってさ。」

 

「しっかしまぁなんで僕に言うかなあ…他にもプロヒーローいたでしょうに大学で暇そうにしてるロマジーク先生とかさぁ…」

「俺はそんなに暇してそうに見えるのか?」

「当たり前だよ、だって毎日授業も簡単な講義しかしてないし、放課後だって…すぐ…帰る…し…?」

「お、気づかれたか。視線は常に外してたんだけどな。」

「なっ!ななな…なんでここにぃ!?」

 

「ハードワークは放っといて自己紹介からしようか。俺は一応お前達の副担任っつーことになってる真軸誘十(マジク ユウト)だ。初めましてだろうけどよろしくな!」

 

「さて、本題の話をしよう。君達『ヒーロー殺し』は知ってるか?」

「えっと…ヒーローを色んな街で次々と殺している悪党…でしたっけ。」

「その通りだ、鏑馬君。今回のエンデヴァーの依頼にはそのヒーロー殺しが関係している。」

「それはどういう意味でしょうか?もしやエンデヴァーがヒーロー殺しを直接…?」

「はは、察しが良いな。その通りだよ。そして空いてしまったエンデヴァー事務所の周辺を俺たちで埋めてくれってことらしい。」

「なるほど…」

 

「何が起こるか分からないからな、連れて行けるのは仮免許を持っている生徒だけだ。ん、ハードワークが戻ってきたな、あとはよろしく。」

「はぁ…はぁ…それでは仮免許取得者だけなので仮免許持ってる5人は今僕のとこ来て」

 

持ってる5人って誰なんだろう?大体予想はつくけど…

 

「えーと…?稲葉雷電と…分連薫子と…布袋操細と…重禅寺朧と…狐神玉己(コガミ タマキ)の5人か、よしよし合ってるな。」

「ハッ!なんで俺達なんだよ?陰璃っちと真軸先生で十分なんじゃねぇのか?」

「確かに、私もそう思うぞ。何故なのだ?」

「まぁまぁ、一旦落ち着こうか。先生の話を聞こう?」

「そうは言っても気になるものは気になるっす!」

「興味がわかんのぅ…勝手に話を進めたもれ、妾はどうでもよい。」

 

「うぅ…問題児ィ…」

「問題児とは心外じゃな、妾は先生の言うことに従う、と言った迄じゃ。そこに嘘偽りはないぞ?」

「俺もなんかめんどくせぇ、さっさと話を進めよーぜ?」

「ちょっと待つっす!」

 

「ぐ…体が重い…」

「俺、あんまり難しいことわかんないっすけどなんか腑に落ちないっす!釈然としないっす!」

「はァ…めんどくさい…黙って聞いてりゃよぉ…話くらい聞けってんだ…じゃァわかった…こうしようか…()と戦え…てめぇらが負けたら大人しく従って貰うからな…?」

 

うわ、陰璃先生ちょっと怒ってる…?

 

「じゃあ妾は先生の側につこうかの。」

「うむ、私もそうするとしよう。よろしくな、玉己。」

 

「えっと…数的には僕がこっちにいた方が良さそうだね。」

「これで3対3…さぁ…バトル開始しようか…」

 

バトル開始と同時に先生の姿が消えた。

 

「遅い、()の勝ちだな。」

「一体何を…?────ぐあぁ…!」

「少し掠っただけで…この感じ…ヤバいっす…」

「ふぅ…細胞のリフレッシュには時間がかかるんですよね…」

 

「ほう?()の『悲劇的強制労働(オートモジュール)』を耐えきれるとは…大人の男でも卒倒するレベルの疲労だぞ?」

「疲労なんて細胞から切り離せばどうってことありませんよ…と、いうか先生、どうされたんですか?」

「ハ、これが()だ、知らないのか?人は誰しも心に違う人格があるってことを。」

 

「まぁいい、これでケリを付ける。」

「妾達必要なさそうじゃの?」

「確かにそうだな、私達は必要なかったな。」

 

仕方ない…ちょっと危険だけどあれ使うか…集中しろ…集中しろ…

 

「吹き飛べぇ!!」

半液状化(エルケルテリア)

 

「捕まえましたよ…先生、」

「チッ…まぁいい、久々に暴れて少しスッキリした…()とまた手合わせしてく…れ…」

 

「ん…?僕…何してた…?え…なんで布袋くん以外倒れてんの…?もしかしてまた僕じゃない僕が…?」

「いやぁ…久しぶりに見たな、陰璃の『ワーカホリック』を。」

「みんなごめんね…僕の精神力が弱いばっかりに…」

 

「はぁ…勘弁してくれよ、僕が弱いのバレちゃうだろ…」

 

 

 

「あ、そうそう、なんで僕達じゃないのかって話だったね。」

「む、確かにそうじゃったな、忘れておったわ。」

「なんでかって言うとね、僕とロマジークもプロヒーローなわけでして…」

「つまりは妾達しか雑用に使えない、と、そういう事じゃな?」

「う…仰る通りで…」

「はぁ…仕方ないのう、丁度授業にも退屈しておったところだ、妾はその依頼を受けるとしよう。皆はどうするのじゃ?」

「私は端から行くつもりだったからな、受けるぞ。」

「僕も受けますよ。エンデヴァーさんの頼みなんて滅多にありませんから!」

「うーん…エンデヴァーはあまり好きじゃないっすけど、その街を守れるのが俺たちしかいないって言うならやるしかないっす!」

「疲れが落ちねぇ…仕方ない、モードチェンジ電鬼。」

 

「ふぅ…幾分かマシになったな。…テメーらだけじゃ心配だからこの俺もついて行ってやるとするか。」

「はぁ…素直じゃないのう、素直になっても良いのじゃぞ?」

「はぁ!?俺のどこが素直じゃねぇって言う──」

浮世幻惑(うきよげんわく)…さぁ、お主の本音を言うが良かろう。」

「………だって…」

「?」

「だって仲間はずれ寂しいんだもん!だから俺もついて行く!!」

「よ…予想外のキャラじゃな…正直驚いたわ…」

「…は!?俺は一体何を…?」

 

「…妾は何も聞いておらぬ、良いな。」

「その間はなんなんだよ!?」

 

 

 

 

 

「えっと…みんな依頼を受けてくれるってことでいいかな?」

「どうやらそのようじゃ、良かったの。」

 

「ふぅ…断られてたら僕がエンデヴァーに怒られてたよ…」

 

 




職場体験で起こるあんなことやこんなことには触れられないのがすごく悲しかったりする…ステイン出したかったなぁ…
まぁ、出すつもりではいるんですけどね


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第17話 新たなる敵




更新遅くなってすみませんでしたァァァァァァァァ!!!!!!


オリジナルヒーローを出したら次はオリジナルヴィラン出したくなりますよね!



つまりはそういうことです。では!


「今日からだったな、エンデヴァーのお手伝い(笑)」

「真軸…馬鹿にするもんじゃないよ?」

「いやぁ、馬鹿にしてるつもりはないんだがなぁ?」

 

今大学は少しの休暇中…まぁ僕達ヒーローに休暇はほとんどないわけで今日も溜まりに溜まったヒーロー活動(本来の仕事)をこなしているんだけど。

 

「クソッ!いっつもは雑魚いヒーローしかいねぇのに!」

「いや、災難だったな…っつーか俺と相性悪すぎな(笑)」

「ぐっ…片方だけでも俺の個性で…」

 

今戦っているこいつは連続強盗犯、ヴィラン名は「Dゲージ」

こいつの個性はなかなか厄介、ロマジークがいなければ、ね?

 

「視線がなんで外れるんだ!!」

「なんでって…それが俺の個性だし?それにしても生産性のない個性だなその『睨んだ相手を強制的に3秒間土下座させる』っての。」

「生産性のある個性ってなんだよ!?だあああ!クソ!視線外されるせいでろくに前も見れねぇ!」

 

「あ、そうだ。ハードワーク!こいつの仲間が逃げてるから追いかけてとっ捕まえてこい」

「なんでもっと早く言わない!?」

「お前なら大丈夫だろ?行けよ。」

「なんで俺に仲間がいるって…!?」

 

ロマジーク…目敏い男だな…敵じゃなくて良かったとつくづく思うわ…

んじゃ行きますか。

 

「なんでってそりゃ…チラチラ後ろ見すぎだろ?あ、それと視線誘導した反対には当然とあるもの(マジック)をしかけてるんだけども…見てみます?」

「あぁ!?マジック!?なんだそ──」

「バ○ス!……なんちゃって。」

 

閃光弾を投げ、視線をそちらに誘導する。

強烈な光と共にヴィランは気絶をしたようだ。

 

「えぇー…?そこは目がァァァ!!!って叫ぶとこでしょ…」

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ!ハァ!…クソッなんて速さだ…!もう追いついてきた…!」

「こらー、そこのお前ー止まれー」

「棒読みかよ…!クソッ!個性を使っても速度が足りねぇ!」

 

うーん…あいつは確か…あっそうそう、思い出した!

窃盗犯のヴィラン名は「土トール」だったかな?

カフェみたいな名前だな…

個性内容は確か…

 

「なんだっけ、『自分の踏んだ場所から3歩動くまではそこの地面から土の槍を出せる』とかそんな感じだったような…」

「クソッ!この個性だって使い様だオラァァァァ!!!」

「お、やる気になったか?」

 

ってあ、また逃げたか。

 

「くらえ土の槍!」

「はは、久しぶりの出番だ『ワーカホリック』、暴れていいよ。」

 

 

「──良いように使いやがって……今回のヴィランは手前か、つまんねぇな…」

「土の槍!刺され!」

「はぁ?刺さるわけねぇだろ。そんな土塊なんかでよォ。」

「なっ…なんで…!?」

 

 

 

 

 

 

 

「俺が出る幕でもなかったな。フン、まぁ暴れられねぇよりはマシだ。じゃあな。」

 

「ん…終わったか…流石ワーカホリック、ボッコボコだね…」

 

ちょっとやりすぎな気はするけど…まぁいいか。

 

 

 

「おぉ、終わったか。ごくろーさん。じゃ、警察に引渡して帰るとするか。」

「あぁ、そうだな。」

 

彼らはしっかりと仕事をしているだろうか…?

いや、心配し過ぎなのは悪い癖だな。

 

 

 

 

───────

 

不意に部屋のモニターが起動した。どうせ、先生だろう。

 

『弔、今いいかな?』

「あぁ…?なんだ、先生か。なんの用だ?珍しい。」

『いや、何、この前君が脳無を寄越せと言ってきただろう?それについて、さ。』

 

確かにそんなこと言ったな、検討する、とだけ言われたが。

 

「あー…あれか。で、どうなんだ?脳無は何体できてる。」

『6体まで試運転が完了している』

「じゃあそれ全部寄越せ。」

『それはできないな、渡せるのは3体までだ。』

 

……だろうな、予想はしていた。だからこそ全部寄越せと言ったんだ。

先生は何を考えてるのか分からない、だが先生は俺の考えてることは全てお見通しだ。

 

「チッ…わかった、じゃあその3体を寄越せ。」

『うん、黒霧に伝えておくよ。あぁそれと、3体の内1体は"黒色"だ。君の思い描く世界のために使うといい。』

 

黒色…再生持ちか、なるほどな。

さてと、やることは1つだ。あの殺戮者の邪魔をするために脳無を使うとするか。

 

 

 

───────

 

「はぁーァ…それにしても連日パトロールばっかでつまんねぇな」

「文句言える立場じゃないっすよ?」

「んなこたァわかってるけどよォ…実際問題変わり映えしないだろ?」

 

俺達は今エンデヴァー事務所周りのパトロールをしている。

 

「まぁ確かに変わり映えしないっすけど、それはこの街が平和な証拠なんじゃないっすかね?」

 

そんなもんかね、と俺は呟く。

 

暫く流れる静寂、それを破ったのは連絡機が発した警報音だった。

 

「ッ!?急に事件か!?」

「良かったっすね、変わり映えっすよ?」

「こりゃあ…笑ってる場合じゃなさそうだな…!」

 

この警報は向こうにいる3人では太刀打ちできないヴィランが現れた時に鳴らすように言ってある。

その警報が鳴った、ということは───

 

「あいつらじゃ太刀打ちできねぇって…どんな奴だよ…」

「間違いなくヤバい奴ってのは決まってるっすね…!」

 

 

 

───────

 

「っぐぅ…なんて強さだ…」

「妾の妖術すら無効化されるとは……」

「細胞が…纏まらない…!?」

 

折角強いルーキー君たちがいるからって来たのに…

 

「蓋を開けてみればこの程度か…」

「僕らの足元にも及ばないなんてね」

「「それでもヒーロー志望か?」」

 

「く…誰だ、お前達は…!」

 

まぁ確かにそうだね、僕達は全くのノーマーク。

無名のヴィランな訳だし。

 

「僕らかい?僕らは救世主(メサイア)さ、この世の諸悪の根源であるヒーローを消し去る救世の権化。それが僕らだ。」

「狂っておる…妖術…狐火地獄!」

「学習しなよ、僕は僕が汚物と見なしたものを全て『浄化』出来るんだから。」

 

つまらないな、と弟が呟く。

 

「俺も戦いたいのだが。」

「はは、その気持ちは分かるけどね、まだダメだ。インベイド、お前は周りを汚しすぎる。」

「それが俺の個性だ、プリファト。」

「何も否定している訳じゃないよ、()が来るのさ、もうすぐね。」

「フン、兄貴がそう言うなら仕方ない。今は我慢しよう。」

 

「次……?」

「えぇ?君たちが呼んだんでしょ?残りの2人。」

「しまった!2人とも逃───」

「急速汚染。」

「通信機が!?」

「巫山戯た真似しようとするな。俺は、気が短い。」

 

そもそも俺はここに来ることすら反対だったのだ。

しかしあの気味の悪いマスクを付けた男には勝てるビジョンが湧かない。

仕方なくあの男の言うことに従うことにしたのだ。

……どうやら来たようだ。これで戦える、殺すなと言われたが、殺される前には殺すとしよう。

 

「来たか。俺と戦え。ヒーローの卵であるボルティーガ、それにグラヴィヌ。俺はインベイド、貴様らが憧れるヒーローを殺す存在だ。」

 

 

───────

 

俺達が見たのは倒されている3人とその前に立つ2人の男だった。

黒と白の対称的な髪色をしたその2人はその髪色とは逆にとても似た顔をしていた。

 

「手前…俺の仲間に手ぇ出したこと嫌という程後悔させてやらァ!」

「許さないっすよ…!絶対に…!」

 

「お前らに俺が止めることが出来るのなら、その言葉は正しい言葉だ。」

 

顔色一つ変えない黒い野郎…なんであんなに余裕があんだよ…?

訳がわからねぇが、沸々と湧き上がる感情が、俺の心を満たしていく。苛立ちが、焦りが。

 

「お前らじゃ俺は止められない、何故ならそれが実力差というものだ、理屈などは関係ない。俺が勝つという事実こそが不変の心理なのだ。」

「はぁ、そのくらいにしておきな。あの人も言ってただろう?考える時間を与えるなって。」

「そうだな、では…」

 

「「浄化と汚染の果てへ行こう、そこにはただ、無があるのみだ。」」

 

聞いていて苛立つ、ヒーローを消し去るだァ?ふざけんのも大概にしろや、ヴィランの言うことに耳は貸さねぇ。俺より強いとかも関係ねぇ。

だからよ────

 

「うざってぇ謳い文句はそれで終わりか?消し炭にしてやるからよ。ほら、真剣勝負と行こうぜ?モノクロツイン!!」




インベイドは双子の弟で個性は『汚染』です。
プリファトは双子の兄で個性は『浄化』です。
2人の個性の詳細は次回、明かしていこうと思ってます。

次回がいつになるかわかんないけどお楽しみに!


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第18話 話の展開と秋の空



今回!今までに無いくらいコロコロ話が変わります!
読みづらいかも知れませんがご了承ください…




「朧!あの野郎に近づかれるなよ!」

「あの野郎ってどっちのことっすか!?」

「ンなもんどっちもだ!俺達とあいつらの目的は違ぇ!いいな!?」

「…ッ!了解っす!!」

 

俺達を見て白い方がニタリと笑う。

 

「そう、僕達と君達では立場が違うからね。いやぁ…ヒーローってのは守るものが多いものだ…」

「最近各地で傷のないヒーローの変死体が見つかっているだろう?」

「あれは僕達の仕業さ。面白いだろう?」

 

各地で見つかってる変死体…!

怒りで我を忘れそうになる。

 

「あれはお前達の所為だったのか…!」

「ん、どうしたんだい?まるで深く悲しいことがあったような顔をして。」

「お前達だけは絶対に!許さない!!俺の!憧れたヒーローを!!お前達は!!!」

「あぁ、そうなのか。君の憧れのヒーローは僕達が殺してしまったのか。」

 

怒りに震える俺の肩に朧が優しく手を置く。

 

「冷静になるっす、今は3人の救出が優先っすよ。」

「分かってる…俺に合わせろ、朧。」

 

あいつらは許さない、だが今は仲間を助けなければ。

 

「俺がやれって言ったらお前の全力をぶつけるんだ。わかったか?」

「了解っす、ヘマはしないっすよ!」

「行くぞ!プラズマトラベル!!」

 

「くっ…聞いてはいたが速いな…」

「えぇ、本当に。」

 

俺はモノクロ野郎達の間を抜け、3人の近くへと来た。

 

「そんな急いで助けようとしなくてもお返ししますよ。」

「プリファトは楽観視し過ぎだ。」

 

黒い野郎の腕から真っ黒な液体がドボドボと溢れ出す。

その液体は触れた植物をたちまち枯らし、近づいた虫すらを落としていく。

 

「なんだ…その液体は…?」

「これが俺の個性。本来はここまで出力を上げることは無いのだが、早急にカタをつけたくなった。」

 

あれはヤバい、何がとかそういう理屈じゃない。

本能に訴えかけるようなそんな何かだ…!

 

「朧!少し早いがやれ!」

「でもまだ離脱してないっすよ!?」

「いいからやれ!俺が全部掴む!」

「ぐぅ…わかりました!絶対っすよ!」

 

「必殺!グラヴィヴァニア!!」

「体が浮く!?」

「厄介な個性ですね…!」

 

朧の個性は指定地点の重力をぐちゃぐちゃに出来る程の出力だ。

それで編み出したのが重力のかかる方向を操って叩きつける技。

どこぞのゲームに出てくる骨のキャラみたいだな。

 

「いいぞ朧!こっちも掴んだ!離脱する!」

「させるか、空気汚染…!」

「残念ながら届かないね!」

 

上へと体を弾き皆を運ぶ。

みんなは電気で括りつけて電磁浮遊させてある。

 

「朧!戦線離脱!後は…プロヒーローの出番だ。」

 

俺の目線の先には2人がいた。

俺達のヒーローが。

 

「俺達の生徒に手を出すとは…」

「バカもここまで来ると同情するね。」

 

「チッ…ヒーローか。面倒な…」

「ここは一旦引くよ、インベイド。」

「言われずとも。」

 

ヴィランの2人組は黒と白の砂塵を巻き上げ消えた。

 

「あっ…逃げられたか。」

「無理に追うと危険だし引いてくれて助かったよ。」

「確かにそうだな、ヒーローとしては残念だが。」

「仕方ない、今はヒーローとしての仕事より教師としての仕事さ。」

 

 

 

 

救急車を呼び、怪我をした3人を病院へ連れていくことになった。

そして病室前の廊下で先生達と話を…

 

「先生方、助かりました。」

「いや、すまない…来るのが少々遅くなってしまったよ。」

「それにしても5人中3人がやられるとはな…」

「警戒しておこう、エンデヴァーが戻ってくるまでは俺達もここに残る。」

 

先生達がいてくれるなら、次は捕えられるだろう…多分。

 

 

 

───────

 

暗い路地裏を2人で歩く。ガラの悪い連中が此方を見てくる。

 

「あのタイミングでヒーローが来るとはな。」

「そうだね───染禍(センカ)、止まって。()()()だ。」

 

「何もそんなに警戒しなくてもいいじゃあないか?」

「はは、そんな禍々しいオーラ感じて警戒しないやつなんていませんよ…でしょう?」

「クク…ハハハハ、確かにその通りだな!」

 

なんだこの男は…全く腹の底が読めない。

浄斗(ジョウト)兄さんが冷や汗を浮かべるなんて…

 

「いや、なに、君たちの闘いを見ていた、と、そういうだけだよ。」

「そうですか。」

「それにしても強力な個性だね。半径3m辺りの生物以外を自分の認識で掻き消せる『浄化』、触れた場所からジワジワとありとあらゆるものを汚染していく『汚染』…扱いづらそうではあるがね。」

「……何が言いたい?」

「やめろ、染禍。話の意図が分からないのですが、どういうことでしょうか?」

 

気味の悪い間が空く。

 

「いやぁ、なんでもないさ。忘れてくれ、老人の戯言さ。」

「そうですか。では、次はどのような事をしたらよろしいでしょうか?」

「そうだね…君達には弔を影から支援して欲しい。頼んだよ。」

 

一方的に要件を突きつけ去っていった。

 

「──なんで兄さんはあんな奴に従うんだ!?」

「自分の命が惜しいからさ。お前もそうだろう?」

「だけど!俺達の望みは!」

「分かってる、分かってるさ。」

 

それだけ言うと兄さんは歩き始めた。

まるで俺と同じ場所にいることを拒むかのように。

 

 

───────

 

「へぇ…保須って意外と栄えてるんだな…」

「俺はこの街でまだやる事がある。」

 

そう言ってステインとかいうクソ野郎はどこかへと去っていった。

 

「おい、黒霧。脳無だせ」

「ですが…何に使うのです?」

「決まってんだろ、嫌がらせだよ。」

 

「…だいたいさ、最初っから気に食わないんだよ、やってることみみっちいしよ。馬が合わねぇってやつだ…だからさ」

 

「踏み台にさせてもらうぜ、大先輩。」

 

脳無は3体、こいつらを使ってこの街を掻き回してやろう。

ヒーロー殺しなんて霞むほどの恐怖を

目の当たりにさせてやる。

 

「ところで死柄木、貴方は行かないのですか?」

「はァ?俺は怪我してんだぞ?だから脳無を使うんだよ。」

「あぁ、確かにそうでしたね。さて、では私達はここで見ていましょうか。」

「あぁ、そうだな。」

 

 

 

「あぁ、クソ。」

「どうしました、死柄木?」

「…何もしないってのは暇なもんだと思っただけだ。」

 

「……そうですか」

「なんだよ、その反応は…あぁクソ…いってぇなぁ…銃の次は刃物かよツイてねぇ…」

 

黒霧の野郎今俺を笑ったか…?

まぁ、どうでもいいが。

 

 

 

───────

 

「あー…暇だぁ…」

「まぁ確かに暇だな…」

「暇だねぇ〜…」

 

皆が帰省している中、桐崎・闇雲・深観の3人は宿舎にて…

 

ダラダラしていた。

 

 

「いや、ちょっと待って!なんでこんなにダラダラと暇な時間を過ごしてるの!?」

「なんでって…そりゃ、お前と深観は家が近すぎるから帰る意味ないっつってここに残って、俺は家が遠すぎるから帰れないから残ってんだろ?」

「うんうん!桐崎君が残ったのはちょっと想定外だったけど…まぁいいか。」

「───…深観とお前を二人きりにするとお前が死にそうだしな。」

 

こちらに向かってニコッと微笑んだ心露を見て何故か悪寒がした。

喰い殺される…そんなような恐怖だ。

 

「……なるほどな、で、あれ、どうする?」

 

俺は宿舎の窓を指す。その先には────

 

「えーっと…何あれ?」

「さぁ?俺には白い塊が蠢いてるようにしか見えないが。」

「いや、白い塊が蠢いてるんだけどね?」

 

と、不意に心露の携帯の着信音が鳴り響く。

 

「あ、玉己ちゃんからだ。もしもーし!あ、うんうん…へぇー!…そうなんだ!…うんうん!…それで?…わかった!じゃあねー!」

 

「なんだったんだ?」

「あぁ!うん!えっとね…」

 

突然心露が窓を開け、その白い塊を部屋の中に入れた。

 

「ばっ…!お前!何やってんだ!?」

「待って待って!この子は玉己ちゃんのペットの白玉君だよ!」

「白玉…?餅か?」

「狐だって!カァワイイねぇ〜君は〜よしよしよしよし〜!」

 

そう言われてみると…何となく狐っぽい…?

狐か…うん、狐だ。あれ、狐ってこんなデカいか…?

 

 

 

 

この後白玉君を3人で甘やかしてもふもふして可愛がった。

いっぱい食べさせたのが原因か、白玉君の体重が増えてて帰ってきた狐神さんに怒られました…




タマキ「白玉ちゃーん!」モフッ
シラタマ「キューン」ムニッ
タマキ「あれ、白玉ちゃんもしかしてじゃが…?」

〜体重計へ〜

タマキ「白玉ちゃん…太ってるのう…」
シラタマ「キューン!」

タマキ「ふぅ…これは怒っていいかの…?」

〜お説教タイム〜

3人「すいません…甘やかし過ぎました…ほんとに申し訳ないっす…」


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第19話 ヒーロー志望の苦悩



今回はそこそこシリアスです。では!


因みにシリアスって真面目って意味らしいですよ!
無論知ってますよね!?


モッフモッフモッフモッフモッフモッフ…

モッフモッフモッフモッフモッフモッフ…

 

「きゅーん?」

「かっわいいなぁお前は〜!」

 

俺の視界の端で桐崎が延々と白玉君をモフっている。

心做しか俺の後ろ側にいるはずの心露がソワソワしているような気もする。

 

「桐崎、モフモフで可愛いのは分かるがそろそろ辞めておいた方がいいんじゃないか?モフるのも、餌付けも。」

「そっ、そーだよ!太っちゃうよ!」

「心露、お前が1番餌付けしてるよな?」

「そうだぞ深観。人の事言えねえぞ?」

 

あっ、しょんぼりした。見るからにしょんぼりしてる…

 

「だって!だってだって!可愛いんだもん!」

「可愛いのはわかるけどな…いや、いいか。白玉も嬉しそうだし…」

 

白玉は撫でると嬉しそうにきゅうんと鳴いた。

 

「うーん…みんな何してるかな…?」

「さぁな、意外と事件に巻き込まれてたりしてな!」

 

ま、そんな訳ないか、と桐崎が呟き白玉を撫でる手を止め立ち上がった。

 

「電話でもしてみるか?そうだな…誰がいいかな…う〜ん…?」

 

桐崎はどうやら電話をする相手を悩んでいるようだ…いや、そんな悩むなよ。

 

「じゃあ桐崎、あいつなんてどうだ?保須だかが実家のさ。」

「あぁ!そりゃあいいな!」

 

そう言って桐崎は電話をかけだした。

丁度その頃テレビでは速報が入った所だった。

 

 

 

───────

 

「ったく…どうなってんだ!?ヒーロー殺しが現れたってニュースなったと思ったら今度はあの脳味噌ヴィランかよ!?」

 

逃げる人々に当たらないように崩れた瓦礫を退かしながら避難場所へと向かっているのは大気爽良だ。

 

「あぁ…?電話?桐崎からか。どうした?」

『どうした?じゃねぇだろ!?お前確か保須にいるんだろ!?怪我してねぇか!?』

「大丈夫だ、心配ない。これから空飛んで逃げ遅れた人探しながら避難場所に向かうから。」

『ならいいんだけどよ…なんかあったら言えよ、闇雲が行くから。』

『いや、なんで俺が!?』

「気持ちだけ有難く貰っとく、じゃあな。」

 

そう言って電話を切りビル街を見渡す。

ふと、屋上に目が行った。

 

「ッ!?アイツは…!!」

 

薄い水色の様な髪色…そして横にいる黒いモヤの様な風貌の男。

それは紛うことなきヴィラン連合の死柄木と黒霧だった。

 

「ヘタに近づくとバレるな…ここは様子をみるか、ヒーローを呼ぶか…だな。」

 

少し離れたビルの屋上へと上がる最中にまたも爽良のスマホに電話がかかってきた。

 

「はい、もしm──」

『爽良!!どこにいるの!?大丈夫!?怪我とかしてない!?さっき爆発あったの爽良の家の方角で心配になって…!』

「あー…大丈夫、心配すんな無事だから。」

 

マキのやつ…心配しすぎだろ…まぁ、今からやること言ったらもっと心配するだろうし言わねぇけどな。

 

『なんだっていいから早く避難所に来てね!?待ってるから!』

「いや…ごめんちっとばかし遅くなりそうだ。」

『は!?どういうこ──』

 

電話を雑に切り、向かいのビルにいるアイツらを見る。

クソ、こんな時に気付かれずに近づければな…

 

「…いや、待てよ?アイツらはどうも下をずっと見てるようだな…あの脳味噌を見てるのか。」

 

頭上に広がる曇った空を見上げ、個性を発動させる。

 

「下、それと正面がダメなら上からだな。」

 

リスクだとかを考えた…が、こんなチャンスも無いだろう。

 

「さてと、たまたまコスチューム運んでる途中で良かった。……法律違反だけどな。ま、バレなきゃいいだろ!」

 

「ジオヒーロー『オゾン』、全力で行くぞ…!」

 

周りの空気を操り自分の周りに真空の膜のようなものを作る。

これで音は外に漏れないだろう。念の為声は出さないが。

 

 

 

「ダメッ!」

 

ビルの屋上から飛び立とうとする俺の腕が掴まれた。

誰かと後ろを見るとそこに立っていたのは巻希だった。

 

「…なんでマキがここにいるんだ?遅くなるって言っただろ。」

「ヴィランを見つけたからって爽良が戦う必要はないじゃんか!それで爽良が怪我したらどうするの!?」

「誰も気づいてないんだ、ヒーローは脳無の相手で手一杯。俺が、俺しかいないんだよ。あいつらを見つけて相手出来るのは。」

 

「違う!爽良は…爽良だけが頑張らなくていいの…今行ったらもう会えないような予感がするの…だから行かないで…一緒に逃げよう?」

 

 

 

 

 

「へぇ、これはとても青臭いドラマのようなワンシーンじゃあないか。大学生、まさかこんな所で会うとはな。」

 

いつの間にかあの二人に気づかれていたようで、後ろに立っていたのだった。

 

「今俺は虫の居所が悪いんだがな…まぁいい、今はあのクソ野郎に斬られた傷が痛えし…見逃してやる、さっさとどっか行け。」

 

「爽良…?逃げよう?」

「そこから飛べ、マキ。逃げるぞ、改めて思ったが…殺気が尋常じゃない。」

 

こうして俺はマキと一緒に逃げ出した。

たとえ手負いだとしてもあいつらには勝てないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「───そうだ、それでいいんだよ大学生。今殺しちゃあ面白くないからな。」

 

 

───────

 

「はァ…騒々しい…阿呆が出たか…?」

 

「後で始末してやる…今は…俺が、為すべき事を為す」

 

 

「クソ…体が動かねぇ…!死ね…クソ野郎…!」

「死に際の言葉は選んだ方がいい。じゃあな、ヒーロー…社会のゴミ。」

 

「そこまでだヒーロー殺し!」

「白いコスチュームを着た子供…?立ち去れ、ここは子供が居ていい場所じゃない。」

 

僕は…!兄さんの仇を!復讐を!

 

「俺はインゲニウムの弟だ…お前を…倒す!」

「インゲニウム…奴は伝聞の為生かした。」

 

「兄さんは僕のヒーローだった!誰よりも尊敬している僕のヒーローだったんだ!!それをお前は…!」

「正しき世界の為に犠牲は付き物だ。お前の兄は偽物だった、それだけだ。」

 

「うるさい!お前に兄さんの何が分かるんだ!」

「ハァ…お前は…『無い』な。信念というものがまるで無い。お前には…ヒーローを目指す資格すら無い。」

「だからどうした!お前に認めて貰う必要などないだろう!」

「そうか、なら死ね。」

 

一瞬の間に判断が遅れた。地を蹴った足、蹴りを入れようとした足はヒーロー殺しに届くことなく地に落ちた。

 

「ぐ…体が…」

「言っただろう、信念が無いと。だからこうなる。」

 

僕はここで死んでしまうのだろうか。兄さんの仇すら果たせずに。クソ…僕は結局何もかもが中途半端だったんだ…

兄さんのようなヒーローになんて…

 

 

 

数分前───────

デクこと緑谷出久は渋谷へ向かっている途中突如新幹線へ吹っ飛んできたヒーローと脳無を追いかけ飛び出したグラントリノを追うように保須へと向かったその少し後……

 

「グラントリノは待ってろって言ったけど…飯田くんが危険かもしれない!」

「ん、あれ!?緑谷君!?なんでここに!?」

「えっ…えぇ!?竜田先輩と大気先輩!?何故ここに!?」

「いやいや、俺達は避難中…って緑谷君はなんでここに?」

 

「あ…いや、友達を探してまして…」

「それで路地裏を?なんとも不思議なともだ……ヒーロー殺し関連か。手伝おう。」

 

飲み込み早っ!?

…って今

 

「手伝うって言いました?」

「ヒーロー殺しと戦うなら多い方が良いだろ?安心しろよ、俺達意外と強いから。」

「ちょっと!?私も!?……まぁいいけどさぁ…」

 

「えっと…じゃあよろしくお願いします…?」

「おう!任せな!!」

 

 

 

 

 

──────────────

緑谷出久は仲間を得た!

飯田天哉はピンチに陥っている!

轟焦凍は父親と一緒に保須へ来ているようだ!



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第20話 真の英雄

えっと…忙しかった…なんて言い訳にしかなりませんねすみません。

でもスケジュールカッツカツだったんよ…


「デク!見つけた!空気の異常な乱れ!その先の路地裏だ!」

「ありがとうございます!では!」

 

「それは水臭いよ!」

 

走り抜けようとする出久君に思わず私は声をかけてしまった。

一緒に行ったところで私が出来ることは少ないのに。

えぇい!覚悟を決めろ!私!

 

「……私達も行くってことよ!!」

「おぉ!?珍しくやる気だな!?」

 

「…っはい!!お願いします!」

 

はぁ…コス下に着てて良かったな…なんて思うとは思わなかったよ、もう…

 

──────────

 

「俺は…兄さんの……兄さんのようなヒーローに…」

「じゃあまずアイツを助けろよ。」

 

くっ…僕はここで死ぬのか…確かにあいつの言うことは正しい…僕にヒーローを名乗る資格など…

 

「じゃあな、死ね。正しき社会への供物。」

 

そうして降ろされた刃は僕を殺し、また次の犠牲者を産むのだろう。

僕は兄さんの仇すら討てなかった。

 

 

「──飯田くん!助けに来たよ!!」

 

なんで…君が…?

 

「なんでここに…?早く逃げろ…僕はもう…」

「何言っちゃってんだよメガネ!真面目さが取り柄みたいなもんだろ!?」

「そーだそーだ!有難く助けられとくといいよ!!」

 

「騒がしいガキが3人…ハァ……」

「必殺!スプーキーツイスター!」

 

なんで…大学生のお二人まで…僕の為なんかに…なんで…

 

「ハァ…そこの女…個性にかまけ、ろくに考えも無しか…始末する。」

「それはどうかな?近づかない方が良いと思うけどー?」

 

「ッ!?…なるほど…辺りに回転を無理矢理かける罠を張ったと言う訳か…」

「今だっ!」

 

竜田先輩から飛び退いたヒーロー殺しにここぞとばかりに攻撃を加えようとする出久君。しかしそれもヒーロー殺しに避けられてしまった。

 

「良い…お前には生かす価値がある。そこの小僧にもな。俺を一撃で仕留めるための動き…そういう魂胆があった…」

 

「だが、俺の仕事はこの腐った社会の矯正の為…って言うんだろ?それでそこのヒーローとこのメガネ君は殺す、そう言うんだろ?」

「ほう…?」

「大体一辺倒なんだよ…ヒーロー殺し、お前の過去調べたけどよ、多少の挫折とお前の偏見ばかりじゃあないか?」

 

「……お前に俺の何がわかる?」

「わからないし、わかりたくもないね。だから俺は俺の正義で動くようにお前はお前の正義で動くんだろ?」

「ハァ…お前のような奴が一番………嫌いだ」

「そりゃどうも。ところで時間稼ぎはこの辺でいいか?」

 

薄らと見える視界では今まさに出久君がヒーロー殺しに拳を喰らわせた。

 

「やったか!?」

「いえ、まだです!……!?」

「どうしたの、デクくん!?」

「体が…こんなかすり傷で…?いや、違う…血だ!」

 

「血か…正解だ…ハァ…」

「へぇ…切って付いた血を舐めると舐められた相手を動けなくするのか…面白いな。」

 

「…ハァ…笑っている場合か?」

「おっと…これは少しだけ油断した…かな?」

 

 

「血が付いていない…?」

「なーんちゃって、騙された?蜃気楼って言うんだけどさ。」

 

「…空気の壁、か。それにあの小僧…O型か。」

「おっと、俺の出番はこれくらいか!?」

 

路地裏に赤い炎が突如として放たれた。

この個性はまさか…!?

 

「緑谷、こういうのはもっと詳しく…って先輩…?」

「轟君!」

 

「なんで…君まで…僕の事はほっといてくれよ…」

「そうはいかねぇな、お前も大事な…仲間だ。」

 

 

「挙動が大雑把だ…ハァ…言われた事はないのか…?」

「くっ…」

 

「轟君!ごめん!」

 

緑谷君がまた血を舐められてしまった。

轟君が炎と氷で防ぐ、が、抜けてくるヒーロー殺しを先輩方が迎撃する。

 

「なんでそんなに僕の事を…!」

「俺が知ってるインゲニウムはもっとかっこよかった!テメーのなりてぇもんちゃんと見ろ!お前のなりてぇもんは何なんだ!!」

 

轟君……────そうだ、僕は…兄さんのような立派なヒーローに!

 

「退け、そのガキは所詮偽物にしかならん」

「退くかクソ野郎…!」

 

体が動く…!

 

「あいつの言うことは正しい…だが、」

 

 

「僕が折れたら───インゲニウムは死んでしまう。」

「論外。」

 

 

「轟君、僕のマフラーを排気筒を埋めないように凍らせてくれないか?」

「わかった、任せろ。」

「補助してやる!エア・ブースター!」

 

これなら…行ける!レシプロエクステンド!!

 

 

今は─────脚があれば良い!!!!

 

 

 

僕の蹴りと同時に出久君もヒーロー殺しに拳をいれた。

反撃の意志を示すヒーロー殺しに追い討ちをかけるように轟君の炎が焼いた。

 

「やったか!?」

「いや…やりすぎなレベルだろこれ…」

 

大気先輩が言った通りヒーロー殺しはボロボロで、とても立ち上がるような様子は見えなかった。

 

「武器を全部回収して縛らなきゃ!」

「じゃあ俺は何か探してくる。ゴミ捨て場だしロープぐらいあるだろ。」

 

ヒーロー殺し…ヒーローに対する脅威は去った…だけど僕は…本当のヒーローに近づけるのだろうか。

 

「飯田君?」

「ん、どうしたんだい?緑谷君。」

「あ…いや、ちょっと表情が…ってごめんね!?僕がなんか言える立場じゃないね…」

「ありがとう、緑谷君。僕は迷いながらでも自分の思い描くヒーローを目指すさ。」

 

兄さんのようなかっこいいヒーローに。

 

 

───────

 

「ご老人、貴方の強さを信じて頼みがある。これに書かれている座標に行ってくれないか、私の息子の友が戦っているそうだ。」

 

「───とか言いやがって…全く人使いの荒いヒーローじゃ。」

 

グラントリノは空を飛びながらエンデヴァーに示された座標へと向かっていた。

 

「この辺りか…急がにゃならんのう」

 

座標近くに降り立ち走っていると見慣れた姿をその目に捉えた。

 

「グラントリノ!?」

「小僧!待ってろって言ったろうが!!」

「グラントリノォ!」

「全く言うこと聞かねぇ所はそっくりだな!!」

「…すみません!」

 

だが、友を助けようとする。その心意気は「平和の象徴」に相応しいものだろう。

 

 

「おい!あれって……脳無か!?」

 

デクと一緒に居た大学生が空を飛ぶ脳ミソ野郎を見つけ声を上げる。

 

「轟のやつ…一体何してやがんだ!?お前ら!伏せろ!!」

 

片目が潰れたままのそいつはデクを掴むと空へと上がった。

マズイ!あまり高く上がられると俺のジェットじゃ届かねぇ…!

 

その時、縛られていたはずのヒーロー殺しが突如動き出し、脳ミソ野郎から滴り落ちた血を舐め跳んだ。

 

「偽物が蔓延るこの社会も…徒に(個性)を振りまく犯罪者も───」

 

瞬く間にヒーロー殺しは脳ミソ野郎を殺し、デクを抱え着地した。

それはまるでデクを助けたようにも見えた。

 

「粛清対象だ……ハァ……ハァ……」

 

「全ては正しき社会の為に……!」

 

 

 

 

──────ビル屋上──────

 

「オイオイオイ…ふざけんじゃあないよ…!」

 

双眼鏡で脳無の様子を見ていた死柄木は突如怒りを露にし、叫んだ。

 

「何殺されてるんだあの脳無!!なんであのガキ共がいる!!大学生もだ!!……ったく、言いたい事が追いつかないぜ、めちゃくちゃだ!」

 

首を掻きながら死柄木は震えた声で街を見下ろす。

 

「何で…何でだ…?何で思い通りにならない…!!」

 

死柄木は声を荒げまた叫ぶ。

 

「クソ!!!!やっぱり殺しておけば良かったか…?あの二人。」

「……死柄木、それ、高い物じゃなかったんですか?」

 

死柄木の手の中にあったはずの双眼鏡は塵と化していた。

 

「なんだよ黒霧……なんてことはねぇよ…これは投資だと思えばいい。」

「投資?一体何への?」

 

「ヒーローの居ない世界への、な。」

「ははは…投資ですか、投資にしてはそれは少しばかり…」

「みみっちいもんだよな、知ってるよそんなこと。」

 

やはり不思議な人だ。先生が気にかけるだけは…あるかもしれないな

 

 

 

 

 

「よし、帰るか、なんかもうどうでも良くなったわ…黒霧?」

「あっ…はい、帰りましょうか。」

 

底が浅いのか、底が知れないのか…一体どちらなんだろうか、この死柄木弔という男は。




駆け足な展開ですみません…もっと書き詰めたかったんですけどなかなか展開が降りてこなくて…駆け足なっちゃいました……

次回は…次回こそはもっと早く投稿します…(自戒)


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第21話 鋼鉄の義手(メタルフィスト)

えーっと…遅くなりました(本当に申し訳ないです)


保須での1日が終わったあと、私達は陰璃先生に怒られていた。

 

「あのさぁ!僕、授業で言ったよね?もう…問題起こして!誰が責任取るの!?君達は一応うちの大学の生徒なの!うちの大学は公言してるの!生徒において責任を取るって!怪我なかったからいいものの!ったく…で、どっちが言い出したの?」

「う…すみません俺です…」

「私もつい熱くなっちゃいました…」

 

はぁ…と、大きな溜息をつき陰璃先生は傍にあった椅子に座った。

頭を抱え、ボールペンを3本崩し口を開いた。

 

「まぁ今日はこれでやめとくけど、僕の監督不行届で受理されたけど!いや、大分危なかったけど!!次からは気をつけるようにね?流石に次は庇うのキツイ」

「「すみませんでした…」」

 

 

 

反省したなら帰ってよしとの御達しで陰璃先生の部屋から出ていこうとした時に不意に呼び止められた。

 

「あ、そうだ竜田、ちょっと深見呼んできてくれないか?」

「え、あ、はい」

 

何の話かな、まぁ関係ないかな…とか思い扉を開けるとそこには作業服にスチームパンクチックなゴーグル?を頭に付けた女の子が立ってた。

 

「お、来たか発目!例のアレ、もう完成したのか?」

「えぇ!私のドッ可愛いベイビーが…あ、いや、でもまだ改良の余地はもちろんありますがサポートを完璧にこなすという点ではもう完成品であると言えまして!どういう仕組みになっているのかと言いますとまずここのジェネレーターが─────」

 

うん、何言ってるのかさっぱりわかんない。え?なにあのマシンガントーク、早口言葉かな?

 

「深く考えずに心露ちゃん呼んでこよう…うん…きっと考えたらダメなやつ…私にはまだ早い…」

「はーい!呼んだ?マキちゃん!」

 

目を閉じながら歩いていたら明るい声が聞こえ、目を開けると心露ちゃんがそこに立っていた。

 

「わ、ちょっとびっくりした…あ、そうそう陰璃先生が呼んでたよ」

「そっか!ありがとね!すぐ行くよ!」

 

そう言うと心露ちゃんはパタパタと走って行ってしまった。

 

「いや…元気だなぁ…」

「俺からするとマキも十分元気だぞ?もっと自信を持て!ハッハッハッ!!!」

 

いや、爽良は元気すぎるけど…

 

「うーん…そっか!そうだよね!!」

 

深く考えるのは良くないからね、仕方ない!!

 

 

 

──────────────

 

「陰璃先生お呼びですかー?っと…」

 

扉を開けると何故か居た明ちゃんと陰璃先生がニヤリと笑った。

 

「へっ?明ちゃん?……え?」

「来ましたね!深見心露さん!!貴女のためにドッ可愛いベイビーを作ってきましたよ!!コレです!サポート用アーマー、その名も…」

「アームレプリカント、だ。」

「ちょっと!違いますよ!このベイビーの名前は擬似再現型腕部再構成装置ですよ!?」

「長いし覚えづらいだろう…?」

「ムム!確かに!!じゃあアームレプリカントでいきましょう!」

 

突如始まったマシンガントークによる発明品の紹介。それはどうやら私の為の発明品のようだった。どう見ても金属の四角い塊なんだけど…

 

「えっと…?イマイチ事の顛末が掴めないんですけど…?」

「左腕、動かないままだと色々たいへんだろうから発目にサポートアイテムを開発してくれるように頼んだんだ。」

「そうなんです!そして生まれたのがこのベイビー!!ドッ可愛いでしょう!?これは傑作とも言えるのでスフフフフフフフフ!!!」

 

うん、1度明ちゃんの心覗いてみたくなったなぁ…なんとなく凄く。

 

「さて、では早速試着といきましょうか!!ささ、早く着けてみてください!着け方はすごく簡単ですので!!」

「えぇ…?どうやって…?ひゃっ!?」

 

恐る恐る触れた金属の塊はブゥンと怪しげな音を立てた瞬間変形、浮遊し私の左腕に装着された。

なんというか…触ったのは右手なのに左に着くの凄い違和感…

 

「流石、私のドッ可愛いベイビー!!!装着挙動もバッチリでスフフフフフフ!!!」

「おぉ…四角い見た目からは想像出来ないほど滑らかな…いや、目立つなこれ。」

「ですね…ギラッギラしてますもんね…」

 

そう、着けた感想なんだけどこれ、凄いギラギラしてる…凄い研磨技術だと思うけどこれ塗装して欲しかったなぁ…

 

「ムムムムム!!確かに少し素材を磨き過ぎましたかね!久しぶりの傑作の予感がして張り切り過ぎました!!!」

「あはは…ありがとね、明ちゃん」

「それでですね!そちらは戦闘用でして、普段から左腕を動かしたい場合はこちらの樹脂製のものを用意したんですが!こちらもなかなか良い出来でですね!…あ、もしよろしければ戦闘用の方、塗装しましょうか?」

「うん、お願いできるかな!」

「おまかせください!色は…」

「ツヤ消しの黒でお願いできる?」

「ふむふむ…そうすると関節パーツの色味が若干インパクトに欠けますね…あ、そうだ関節パーツをゴールドチタンに変えて────」

 

ありゃりゃ、明ちゃんの世界に入っちゃった…

そういえばこれどうやって外すんだろ…

あ、なんかちっちゃい穴の奥にボタンがある…

 

「ここかな…?わっ!?」

 

ガシャンと音がして変形し、また四角い箱の様な状態に戻り地面に落ちた。

よく出来てるなぁ…凄い…

 

「あ、忘れてました、樹脂製の方は変形機構は搭載していませんが、瞬間装着は健在ですよ!」

 

そう渡された樹脂製の義手は金属製の義手より滑らかでより人間の腕に近い触り心地をしていた。

 

「着け方は…あ、ボタン、さっきと同じみたいだね」

 

カチリと、子気味のいい音が鳴り浮遊、私の左腕に装着された。

 

「不思議な感じ…何だか他人の腕を取り付けたみたいな…」

「お、いい感じに装着出来てるな。今日から慣れるために着けたまま行動するといい。」

「あ、そうでした!もし故障、不具合、その他相談がありましたら気兼ねなくご相談を!ベイビーには伸び代がありますから!!では!!」

 

それだけ言うと明ちゃんは金属製の義手を抱え走り去って行った。

 

「はぁ…嵐みたいな奴だな…パワーローダー先生の苦労が伺えるよ…」

「えぇ…本当ですね…」

 

本当にパワーローダー先生は大変なんだろうなぁ…時々げっそりした顔でサポート科の棟内歩いてるもんなぁ…

と、その時勢いよく扉が開いた。

 

「ハードワーク!ここに発目が来てないか!?」

「あぁ、発目ならついさっきここを出て行ったが…」

「クソッ!発目ぇ!どこに行きやがったぁ!発明が爆発寸前なんだよぉぉぉ!!!!」

 

噂をすればなんとやら…苦労をこの目で見てしまったなぁ…




次回!…の展開はまだ考えてないのでまた遅くなりますね…すみません…


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第22話 ヴィラン連合の目覚め

えーっと、もう最後に投稿したのが半年以上前ですね…多分。
遅れてすみません…って誰も読んでないか…なんて。

えぇ、受験勉強の合間に書いているのですが…大詰め!ってのが中々多くて、思いの外書けませんでした、えぇ、全くもって言い訳ですね。

ではどうぞ


保須の事件の翌日…俺はいつもの様に黒霧と話していた。

 

「クソ、見ろよ黒霧。どいつもこいつもヒーロー殺しってよ…俺達はオマケ扱いだ、…全く笑えるよなぁ!」

「随分と荒れていますね死柄木。まぁ…珈琲でも飲んで落ち着いてください…あ、砂糖入れますか?」

「いや、砂糖は要らねぇよ…あぁ、そう言えばなんかさっき連絡が来てたがなんだったんだ?」

「いや何、ブローカーの義爛より人材派遣のお誘いですよ…会うだけ会ってみましょう。」

「チッ…面倒くさ…いつ来るんだそいつら。」

 

そう黒霧に聞いたところでドアがノックされた。

黒霧が微笑み、今ですかね。と呟いた。

 

「よーぅ…と、なんか機嫌悪いのか?まぁ、いいや。黒霧、連れてきたぜ、ほら、入った入った!」

 

サングラスをかけ、悪趣味極まりない服装の男が人を連れてきた。2人…か。

 

「本当にこんな奴に協力していたのか?怪しいな。」

 

「トガです!ステ様がいたんでしょう!?私も入れてよ、ヴィラン連合!」

 

「…黒霧、今すぐこいつらをつき返せ、揃いも揃って俺の嫌いな人種だ。」

 

そう言いながら死柄木は持っているグラスを粉々にした。

 

「本当にお前がヴィラン連合のリーダーなのか?」

 

「お前はそのガキですらできてる事ができないのか、名前を名乗れよバカか?」

 

「…チッ、今は荼毘で通してる。」

 

「通すな、本名を言えよ。破綻してんのか?」

 

不味い、死柄木がキレる。止めなければならないな…

 

「ったく、どいつもこいつもヒーロー殺しって…鬱陶しいんだよ…」

 

ゆらりと死柄木は立ち、2人に自身の()()を突き出した。

それに感化された2人も同様に燃える手とナイフを…突き出した。

やれやれ、私が止めなければならない。

 

「そこまでです、死柄木弔…少し頭を冷やしてください。」

 

「なぜ止めた、黒霧…」

 

ギロリと睨まれた、おぉ怖い。

だがしかし、義爛の紹介と言う手前、このまま返すのもしのびない。

 

「考え直してください。今の我々に必要なのはなんなのか。その為にすべき事はなんなのか、を。」

 

「…五月蝿い。そんなこと……いや、少し頭を冷やしてくる。」

 

 

 

 

 

 

あぁ、俺は何がしたいのだろう。

頭を過ぎるのは過去の思い出。

誰も助けてくれなかった。誰も、誰も、ヒーローでさえも。

俺には居場所が無かった。

誰かが助けてくれる、誰かが!ヒーローが!

そう言うだけの大人を何人も見た。

手を差し伸べてくれたのは先生だけだった。

『もう大丈夫、私がいる。』

あの人はそう言ってくれたんだ。

あぁ、そうだ。俺はあの人のように、あの人がそうであったように。

 

「この超人社会を全部、全部だ。」

「壊してやろう。」

 

 

 

あぁ、ここは…ショッピングモールか。

はは、こんな社会でみんな笑っていやがる。

 

「ここで誰かが暴れたら。そう考えて怯える…そんな思考も無いのか。」

 

そんな折、アイツを見つけた。

 

「はは、丁度いい。1人になった所で話を聞こうか。」

 

俺はそう思い、丁度1人になった緑谷出久に近づいた。

 

 

 

 

 

──────緑谷出久サイド──────

 

「さて、と。麗日さんも行っちゃったし…僕は何を見ようかな…?」

 

特に何も考えず辺りを歩こうと踏み出そうとした時。

 

「あぁ!雄英の!サインくれよ!確か体育祭でボロボロになってた奴だよな!?」

 

凄いな雄英…やっぱり色んな人が見てるんだ…

 

「んで保須事件の時にヒーロー殺しと遭遇したんだっけ?すげぇよなぁ!」

 

違和感がある。何か、何かが引っかかる。こいつから離れろと。

 

「いや、本当信じられないぜ。こんなとこでまた会うとは!ここまで来ると何かあるんじゃないか?運命…因縁めいた何か…なんてな。」

 

「お前は…!」

 

「まァでもお前にとっては雄英襲撃以来になるか。お茶でもしようか、緑谷出久。」

 

死柄木弔、ヤツだった。

何故ここに、いやそれよりもヒーローに連絡ッ!

 

「あぁ、まァ待て。ヒーローに連絡…なんて考えるなよ。そんな素振りを見せたら…そうだなァ…暴れるか。少なくともここにいる人達の半数は道連れに出来そうだ。」

 

「くっ…何が目的だ…!答えろ死柄木…!」

 

卑怯だ、僕ら以外の全員が人質な訳だ。

僕はなされるがままに死柄木に首を捕まれ近くのベンチへと座った。

 

「目的、ね…さっき言ったろ?話をしようと思ったんだ。まったり話そうじゃないか…」

 

「そんなことっ…!」

 

「大体何でも気に入らないんだけどさ、今1番腹が立つのはヒーロー殺しだ。」

 

「なっ…!?仲間じゃなかったのか…?」

 

こちらに目も合わせずに死柄木は淡々と話を続ける。

 

「世間じゃ仲間だってな。でも俺は認めちゃいない。問題はそこだ。」

 

「ほとんどの人がヒーロー殺しを注目する。雄英襲撃も、保須で放った脳無も……全部奴の話題に喰われた。誰も、誰もだ俺を見ようともしない。」

 

なァ、と同意を求めてくるが…生憎僕はそんな状況じゃない。

 

「はは、強ばるなよ。あァ、話の続きだ。いくら能書き垂れてもさ、結局奴だって気に入らない存在を壊していただけじゃないか。」

 

「俺と何が違うと思う?なァ緑谷。」

 

「何が違う…?違うだろ……僕は、…お前の事は理解も納得も出来ない。だけどヒーロー殺しは納得は出来ないけど理解は出来たよ…僕も、ヒーロー殺しも始まりは……オールマイトだったから。」

 

「へぇ、それで?」

 

「僕はあの時救けられた。少なくともあいつは壊したいが為に壊してたんじゃない…自分の事を…徒に投げ出したりもしなかった。やり方は確かに間違ってたけど…お前と違って、理想に生きようと…そうしようとしてた…んじゃないかと思う。」

 

僕がそう告げた瞬間、周りの空気が緊張した。殺気だ、おぞましい程の。

 

「ふふ、はは、あぁ、なんかスッキリしたな。点が線に…そんな感じだ。なんでヒーロー殺しがムカつくのか、なんでお前が鬱陶しいのか。わかった気がする。」

 

ニタァ、と不気味な笑みを浮かべ、死柄木は納得した素振りを見せた。

 

「全部、全部……オールマイトだ…!そうか、そうだよな。結局はそこだ。悶々と考えていた俺が馬鹿らしい…!」

 

「こいつらがヘラヘラしてんのも、オールマイトがヘラヘラ笑ってるからだよなァ…!」

 

僕の首を掴む力が増し、首が絞まる…!

 

「救えなかった人間なんていなかったようにヘラヘラ笑ってるからだよなぁ!!あぁ!話せてよかった、良いんだ!ありがとう緑谷!俺は何も曲がらない!」

 

苦しい…しかし逃れも出来ない…!

 

「暴れんなよ、死にたいのか?民衆も死ぬぞ?」

 

─────…!!!

 

「皮肉だよな、ヒーロー殺し…ステインか。お前の対極にある俺を生かしたお前の理想、信念…全部俺の踏み台になる…!」

 

グッ…このままじゃまずい…!!

 

「デクくん?」

「出久君、どうした?」

 

麗日さんと…闇雲先輩…?

 

「友達じゃあなさそうだが…?」

「手、放して?」

 

巻き込むわけにはいかないッ!

 

「なっ…何でもないから!大丈夫だから!来ちゃ駄目…!」

 

死柄木は反対の手をポケットから出し…

 

「連れがいたのか、ごめんごめん。じゃあ行くわ、追ったりしてきたら…わかるよな?特にそこの大学生…その貧相な布じゃ無理だ。」

 

「チッ…奴は何者だ…?出久君、大丈夫か?」

 

麗日さんと闇雲先輩が駆け寄ってきてくれる。

有難いが、一つだけ、聞きたい…!

 

「待て、死柄木…!『オール・フォー・ワン』は何が目的なんだ…!」

 

「「死柄木…!?」」

 

死柄木は行こうとした歩みを少しとめた。

 

「さァ?知らないな。それより気をつけとけよ、次会う時は殺すと決めた時だろうからな。」

 

そう言って死柄木は人波に消えていった。



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