マスターは犬?...狼?......いいえ大神です (シャーロックペン)
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大神です。

 

「おお、我らが慈母アマテラスよ。本日も良き天気でございます。」

 

耳元で鼠が囁く。比喩表現でなく、まぁ見た目が体より大きな剣に乗った鼠である時点で既におかしい。本当の名前は別にあるのだが、この施設の住民には鼠と呼ばれている。ま、俺の眷属みたいなものだ。

 

そんなことは置いておいて、俺が今寝ている場所は自分の家ではない。

 

人理保障機関カルデア。簡単に言えば、大きな地球儀であるカルデアスを用いて人類の存続を保障する場所である。魔術だけでは見えず科学だけでは測れない世界を観測することで成そうとする機関。それがカルデアである。

 

しかし、めちゃ標高の高い山の上なのでなにかと不便だし外出ると死ぬ、寒くて。俺あったかいのが好きなのに。あぁ〜日向ぼっこして〜!

 

そしてかく言う俺だが、人ではない、と言えば嘘だけども。アマテラス、かつてヤマタノオロチを討ち果たし、常闇の皇を屠った大神の転生体と言うよりは憑依体に近いと思う。自分でもよくわかってない。俺の家系は代々日本の神を祀る神社をやっている。祀っているのは犬神で、石像が境内にぽつんと立っているだけである。

 

憑依体になったのは10歳の時、夢で木精サクヤとの出会いからのウンヌンカンヌンのお陰で

 

まぁ、かくしてアマテラスたる大神になったわけだが、なんとか人型は保てているし、常人に見破られることはない。力使いきったり、感情が高ぶると犬になってしまう時もあるが。

 

パラレルしてるおっさんには、ばれたが、その話はまたおいおい「大神さん!」

 

「ん、なんでキリエライトがここに?」

 

俺の部屋だよ?ここ、ダメだなぁ女の子が男の子の部屋ノックもせずに入って来ちゃ。何があるか、いるかわかったもんじゃないんだから。まぁいるのは神と鼠一匹

 

「おお、これはキリエライト嬢、本日もまた良いお天気で」

 

お前それしか言わんのか。

 

「あ、鼠さんおはようございます!そうですね。今日もいい天気です!」

 

そりゃそうだろ。俺がいるんだから。太陽神だぞ?舐めんな、

 

「じゃなくてですね!もうすぐ集合の時間ですから迎えに来ました。」

 

「あぁ、もうそんな時期か。じゃ先行っといてくれ。」

 

「え?!ダメですよ。大神さんをつれてかないと私まで怒られちゃいます。」

 

「着替えるんだよ。なんだ?見たいのか?」

 

瞬間、キリエライトが一人百二十面相をしてから顔を真っ赤にして出て行った。おい、ドア壊れるだろう。

 

「し?!失礼しました!」

 

よろしい、それで?あと五分か。ゆっくり行こう。いや、どうせアーキマンもどっかでサボってそうだし。遊びに行くか。

 

マシュには悪いけど

 

 

 

 

 

「ということで、来たんだが、何してんだお前?女子の部屋で」

 

ロマンがいた。女子の部屋に。お菓子食いながら、ベッドの上で

 

「ち、違うんだ?!これは、ここって前まで空き部屋だったろう?だから誰もいないかなって思ったら藤丸さんがいて......」

 

「ヤッホー!君もマスター候補の一人?よろしく、私は藤丸立花!」

 

何このコミュ力高そうな人間。主人公とかなの君は?普通、初対面の男子にそれはないだろう。世の中の男子の何人を勘違いさせて来たんだい?

 

「あぁ、よろしく。俺は大神照夜、親しみを込めておおかみさんと呼びなさい。」

 

「ふぅん、わかった。おおかみくんだね!」

 

おい、わかってないだろお前。俺の方が多分年上だぞ。まぁ、いいけどさ

 

「ところで、こんなところでサボっていていいのか?少なくともアーキマン、君は仕事があるはずじゃないのか?」

 

「え?いやぁ、別に僕がいなくても出来るようなことだけだし、どうせまだ所長のお弁ちゃらだよ。そんな急くものじゃnっっ!いいいいい?!?!」

 

突然の爆発音と揺れ。アーキマンがベッドから転げ落ちる。藤丸はホエーって感じに呆けてた。バカしかいねーのかここは。

 

「今のは、予定通りのものなのか?アーキマン!」

 

「そんなわけないだろう!レイシフトでこんな爆発が起こるわけない!向こうで何かあったに違いない」

 

「わかった。先に行って見てくる。お前は管制室の方だ。行くぞ藤丸」

 

「う、うん!」

 

俺たちは所長の演説が行われているであろう部屋へと向かった。あの規模の爆発ならかなりの被害が出ているはずだ。最悪全員...

 

「あった!あの部屋だよね!?」

 

「あぁ」

 

赤いランプが点灯しアラートを鳴らしていた。爆発のせいで、入口のドアが潰れて開かなくなっている。

 

「邪魔だ。『断神・一閃』!」

 

切り開いた先に待っていたのは

 

燃え盛る炎、眼前には死体の山が出来上がっていた。立っているものは誰一人としていない。崩れた柱や壁、押しつぶされる肉。全てがここは人のいていい場所ではないと告げている。

 

「俺は奥を見てくる。お前は手前を探せ!」

 

俺は全力で駆け出した。人の目など気にしている余裕はなかった。

 

「狼?というか花が咲いてたような?」

 

炎をかき分けて目的の人物を探す。

 

「どこだ!所長!キリエライト!」

 

俺が一緒にいてやれば、少なくとも部屋の前で待たせていれば、救ってやれた、守ってやれたかもしれない。今の自分の失った力でも人一人は守れると思っていた。

 

「いたら返事をしろ!」

 

ただ至らなかった、実験中の事故に思いが至らなかった。いつもと同じ朝だったから、自分が人知を超えたものを手にした故の傲慢もあったかもしれない。ただ至らなかった。

 

「キリエライト!おいマシュ!」

 

叫んだ。

 

「おお...がみ..さん」

 

「マシュ!」

 

しかし、状況は変わらない。彼女の下半身は潰れているのだから。すでに下半身の感覚はないらしい。

 

「すいません、こんな姿をお見せして...」

 

「気にするな。すまない何もできなくて」

 

「いえ、いいんです。どうせ私は」

 

「そんなこと言うなよ。お前は俺の大事な人間の一人だ。何ならわがままの一つや二つ言ってみろ。一緒に死ぬぐらいならしてやる。」

 

「最後にお願いを聞いてもらってもいいですか?」

 

「あぁ、言ってみろ」

 

「名前、はもう呼んでいただけたので、.........手を握っていてもらえますか?」

 

「お安い御用だ。」

 

彼女の優しい手を抱きしめたところで俺の意識は跳んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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マシュは可愛い 立花談

視点を変えて書くのって難しいですね


特異点、所長はそう言った。かつて違う時空で聖杯戦争が行われた地らしい。炎に包まれえぐれた大地がカルデアの惨劇をわたしに思い出させる。

 

今は、デミサーヴァントとなった、可愛いカワイイ後輩のマシュと所長とともに生存中だよ。

 

今は、安全に会話ができる場所を探しながら、どこかにいるかもしれない大神くんを探している。私たち3人、マシュ、所長は合流できたが、未だに大神くんだけ見当たらない。マシュの提案で彼を探しながら歩いている。

 

これまでは、マシュのお陰で戦闘せずに難を逃れてきたけど

 

「先輩、所長、敵性反応です!応戦します。」

 

今回はそうは行かないみたいだった。所長も立ち直っていないのに...

 

「うん、頼んだよ!がんばって」

 

マシュに声援を送る。けど、わたしにはそれ以外出来ることがない。魔術師でもない一般的な家庭に生まれマスター適正のみでカルデアにやってきたのがわたし。だけど、両親から、そして先生から教えられたことを胸に今まで生きてきた。それはこれからも変わらない。

 

突然のワープ、知らない世界、通信の取れない状況。全てがうまく行っていない。大神くんもきっとこっちにいるかもしれないけれど、とても心配だ。マシュが私たちの方ににいるってことは、彼は一人なのだから。

 

「なんで?!なんで?!こんなことに!」

 

未だに立ち直ることの出来ていない所長が叫ぶ。何も知らないわたしよりも知っている所長の方が状況の深刻さがわかってしまい、失うものも多くて絶望してしまうのだろう。わたしはスケールがでかすぎて未だにしっかりと理解できていないから一周回ってある意味冷静でいられる。それは、わたしがバカだからなのかな?

 

そんなことはないと信じたい、そしてみんなで生きてカルデアへ戻りたい。今はただそれだけを考えていたい。やめてしまえばきっとわたしも絶望に負けてしまうかもしれないから、私は耐える。

 

「所長!しっかりしてください!」

 

わたしは叫んだ。こんな柄だっただろうか?人に叫ぶなんて久しぶりだ。

 

「だって?!こんなはずじゃなかったのよ!みんな死んじゃったし、レフだって!?あぁレフ!どこにいるの?」

 

他力本願、それができたら何と楽なことだろうか。けどそれは自分のものじゃない。私はそれを知っている。

 

「ハァァァァ!」

 

マシュもまた、なにか必死になっていた。きっと彼のことが心配なのだろう。見たらわかる彼女の心を許せる人。カルデアの燃える炎の中で遠くに少し見えた、乙女の横顔。自覚はないかもしれない。マシュを色に例えたなら、無色、けどこれから染められる無色。誰に染められるのか、何に染められるのか、はたまた誰かに染まるのか。きっとそれは彼女が決めること。

 

マシュが近づいてきた骸骨兵を持っている巨大な盾で押しのけて下がらせていく。敵は彼女に任せて大丈夫。今にも怖くて自分の手が少し震えているけど

 

私は私のすべきことを

 

「でも、今そんなこと言ったって何も変わらないじゃないですか!今、マシュが戦ってくれています。マスターとして私も戦います。でも私じゃ何もできません。でも、でもあなたなら、魔術師と言われるあなたならこの状況を解決することができるかもしれない。」

 

何でだろう?何で私はこんなにも叫んでいるんだろう。怖いから、助かりたいから、所長に苛立っているから?

 

きっとどれも違う。同情でもない。重なるのだ。

 

「でも?!何も思いつかないのよ!わたしには何もないの。誰でもいいから助けてよ!」

 

あぁ、きっと彼女は救われなかったわたしだ。先生と出会えなかった私だ。彼女はきっと誰かに依存している。昔の私のように。誰かがきっと手を差し伸べてくれる。自分がやらなくても他がしてくれる。けれど自分も関わりたい。そんな昔

 

「ふざけないでください!自分で助かろうとしない人が人に救いを求めないでください!自ら生きようとしない人は誰も拾ってくれない。そして、あなたにはここで立ち上がって生きる力がある!」

 

ー 自分で助かろうとしない人間がほかの人間に救って貰えると思うなよ。お前が生きようともがかない限り誰も手なんか差し伸べちゃくれねぇ、強くありたいなら這い上がれ。勝った奴が強いんじゃない。負けてもそこから這い上がる奴が強くなるんだ。嬢ちゃんお前はどうするんだ? ー

 

先生に言われた言葉。私にとっての原点であり今の私である言葉

 

届いて欲しい、

 

「........................死んでも知らないからね」

 

もちろんっ!!

 

「はい!いくよ。マシュ!」

 

「はい先輩!」

 

「とりあえず、撤退するわよ。雑魚が相手だとしてもこちらは戦闘要員が一人、圧倒的に数で負けてるわ。包囲を突破して逃げるのが得策よ。やれるわね!」

 

私たちの可愛い後輩を信じてくださいよ!!この世の正義は可愛さにありっ!つまりマシュが一部のマニアにしか受けない骨なんかに負けるはずはないんだよ!

 

「わっかりました。やっちゃてマシュ!」

 

「セイッヤァァァ!!」

 

円状に囲んでいる骸骨兵たちの一点にマシュが突っ込む。分かっているのだろうか、彼らが相手にしているのは《この世全ての可愛さ》であると

 

本当に分かっているのか?あの声で「先輩」と言われてみろ、きっと何でも聞いてしまいそうになるから!!「先輩?」「先輩!」「先輩...」「...先輩」「先...輩」「せーんーぱーい!」「せーんぱい」...わかるか?全部四文字しか言ってないのにこの素晴らしさが。種d...マシュの声の素晴らしさが

 

閑話休題

 

円の一角をぶち破ったマシュは、道を切り開くようにして進んで行く。盾だけど、

 

円の一角っていったいどこだろう?まぁいっか

 

「今よ、走って!」

 

マシュに続くように私と所長も走り出した。所長は強化の魔術なるものを使用しているらしく、かなり走るのが早い。マシュは敵を倒してなければもっと速く走れるのだろう。私?地力ですよ。火事場の馬鹿力ってすごいね!今なら100m10秒台が出せそうだよ

 

 

 

 

 

 

「はぁ...はぁ...ん、はぁ」

 

息も絶え絶えとはこのことだろう。いや、一般人に全力ダッシュの維持はきついって、しかもこんな悪路で、無理があるよ。

 

「やりましたね。逃走成功です。今のところ近くにあの骸骨兵はいません。」

 

マシュが周囲の索敵を行う。本当に彼女が一緒にいてくれてよかった。私だけだったらどうなっていただろうか?考えたくもないけど、きっともがく。死にたくないから。諦めたくないから、私は生きることに、辛いことに我慢する。我慢の対義語はやっぱり諦めだろう。

 

「...ふぅ。所長、なんとかなったでしょ?」

 

振り返って笑顔を向けて言う。少女たるもの常に笑顔笑顔!!

 

「...そう、ね。良かった。わたしでもちゃんと..............いえ!当然です。わたしを誰だと思っているの!アニムスフィア家の現当主よ。」

 

そうそう、それでこそ所長だよ。会って全然まもないけど。所長のことは全然知らないけど!

 

「そうですね。当然です。ね、マシュ」

 

「はい、当然でsガッ?!................そんな、何も敵性反応はなかったのに?!」

 

瞬間、マシュに足が鎖によって貫かれる。そこから巻きつくかのようにマシュの右足に絡みつく。

 

索敵では何も反応してなかったのに!?しかもサーヴァント?!

 

「甘いですね。見たところデミサーヴァントのようですが、戦闘経験が足りていません。獲物を狩るものとして気配を殺すのはアサシンでなくとも当然です。」

 

そんなことまでできるなんて!これが、サーヴァント。見ればわかる今までの骸骨兵たちとの違いが、私でもわかるオーラ。そして何よりも黒く、くらい。

 

「そん、な、サーヴァント!」

 

だめだ。私たちじゃ勝てない。例えマシュの援護を私たちがしたとしても十分も持たない。本能が言っているこれが死だと。でもここで私は下がれない。私が私であるのなら

 

「マシュ、頑張って振りほどいて!」

 

まずは、マシュを脱出さしてから。

 

「んっ!!...ダメです。この鎖びくともしません!」

 

そんな?!マシュがちぎれないなんて

 

「当たり前でしょう?まずはデミサーヴァントのあなたから、優しく殺してあげましょう。」

 

「................先輩、逃げてください。数分なら持ちこたえてみせます。」

 

そんなことできるわけがない。ここで私は引けない。逃げたらいなくなってしまう。一度消えたものは太陽のようには登ってこない。

 

「逃すと思っているのですか?」

 

逃げると思ったのだろう。マシュの鎖を持ったまま私の後ろに移動していた。なんて速さ!

 

「後ろ?!」

 

所長が驚きの声を上げる。私も速すぎてほとんど見えない。

 

「行かせません!くっ」

 

マシュが盾となって攻撃を防いでくれる。しかし、彼女は下がれない。鎖で繋がれているら、はたしていつまでもつのか。でも、そんなことはやらせられない。彼女は死なせられない。どうにか方法が

 

「マシュ...」

 

「お願いです。先輩今のうちに。もう誰かが目の前から消えるのは嫌なんです。だから、絶対に...」

 

マシュが懇願する。

 

いやだ。逃げたくない。私だって誰も失いたくない。

 

「では、さようなら」

 

サーヴァントが手に持つもう一つの武器を振り上げる。

 

「マシュ!」

 

私が叫んだと同時にサーヴァントの頭上から影がさす。

 

「よく頑張ったキリエライト。だが、相変わらずのその頑固さは直した方がいいぞ.........はっ!!」

 

上空から飛び降りてきた狼がその白い全身を使って、口にくわえた剣をサーヴァントへと振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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新たなる契約と誓

お気に入り登録ありがとうございます。

20人もしてくれるなんて感激です。


筆が乗りに乗って日三投稿
感想お待ちしております。

ではどうぞ。


「...どこだ?ここは...」

 

周りを見渡すとそこは幻想的な場所だった。カルデアではない。だけど俺はこの場所を知っている。

 

そう、この場所は

 

「おぉ、我らが慈母アマテラス。突然のお声がけ申し訳ありません。」

 

声がする方へと振り返る。

 

「巻物の龍?」

 

そう、ここはアマテラスの分神たちと出会う場所、かつて俺はここと似た場所で鼠と出会った。つまりこの龍もまたアマテラスの分神ということだろう。

 

「ええ、そうです。御身の十三の分神が一体にございます。先代アマテラスより自由をいただき、この地にて過ごしておりました。」

 

「それが、どうして今になって」

 

そこなのだ。先代アマテラスのおかげで自我を持ったまま彼らは日本各地を超えて世界各地と飛び立ち、それぞれの世界を確立したはず

 

「我々も、余程のことがない限りは悠々と過ごしていようと考えておりました。みな自由に各地へと散り、時には神として祀られながらもおもいおもいに過ごしておりました。が、しかし此度の一件によりそうも行かなくなりました。そちらの現状は子の者より伺っております。この後も分神が御身の元へと集まることとなるでしょう。」

 

カルデアの惨劇のことだろうか?そういえば、マシュはどうなった?まさかあのまま

 

「だから、此度の一件って、それに俺の存在ってのは一体...」

 

なぜ、俺が現代のアマテラスとして選ばれたのか、その理由がわからない。先代のように御神体をそのまま依り代にはできなかったのだろうか?どうして俺なのだ。

 

「しかし、他の分神がやすやすと御身のお力になるとは限りません。イレギュラーな存在としてアマテラスとなられた御身を認めていないものも多数おられます。これから、あなたは各地を巡ることになるでしょう。聖杯探索という、先代アマテラスに劣らぬ旅路となるでしょう。」

 

「頼むからもうすこしわかりやすく言ってくれ。聖杯探索?先代アマテラスはどうなったんだ?」

 

意識が薄れ始めてきた。周りの景色が陽炎のようにぼやけ霞んで行く。

 

「人理を正す行いはあなたのアマテラスとしての務めにございます。大神として人理を照らす、天照となられることを期待しております。」

 

「おい!だから俺の質問に......くそっ!」

 

体を起こすと場所は変わっていた。炎に包まれた街。

 

しかもこの異様な寒気。これは人知を超えている。下手をすれば神をも飲み込むなにか

 

「よぉ、ボウズ。ようやくお目覚めか?」

 

「?!サーヴァント!...来い『月呼』!

 

軽く殺気を当てられて始めて気づく。いつからそこにいた!?霊装を取り出し構える。かつてヤマタノオロチを封印したと言われる宝剣。

 

「おいおいおい、せっかく介抱してやってたのにその反応はないだろ」

 

サーヴァントはおどけるようにして話しかけてくる。

 

たしかに、気絶してる間にやろうと思えばできたはず、しかし殺気を当ててくるとはどう言うことだ。試したのか?

 

「......わかった。それでこの状況は?見たところ普通じゃないようだが」

 

ここは手を引くのが最善か。この男には勝てる気がしない。今の俺では至らない。

 

「ボウズ、冬木の聖杯って知ってるか?」

 

「知識としてなら...まさかこれがそうだとでも言うのか?」

 

そんなバカな、これが聖杯戦争だと言うのなら今頃ニュースで大問題だ。聖堂教会による処理もあったもんじゃない。

 

「初めはただの聖杯戦争だったんだが、セイバーが泥に飲まれてから状況が変わった。そこからは、見るも無残なものだったさ。見えるかボウズ。あのえぐれた大地が、あれが結果だ。それと、さっきボウズが現れたのと似たような反応を向こうにも感知したんだが、何か知ってるか?」

 

もう一つの反応?

 

「可能性なら一つある。」

 

藤丸だったか。あの時、あの場で生きていて、動けたのはあいつだけだったはず

 

「そうか、確かめる価値はあるか。仲間が多いに越したことはない。」

 

あぁ、できれば俺も仲間がいるのなら合流したい、他に生存者がいるかもしれないし、あいつは一般人だ。すぐに保護しないといつなにがあるか

 

「よろしく頼む。俺は大神照夜、読みはオオガミだが親しみを込めてオオカミと呼んでくれ。」

 

「おう、よろしくなボウズ。俺はキャスターのサーヴァント。一時的だがお前をマスターとして仮契約する。幸い適性はあるようだしな。」

 

誰も親しみを込めて呼んでくれない。やはり、舐められているのだろうか?

 

「あぁ、頼りにさせてもらう。」

 

だがしかし、英霊を仲間にできたのは大きい。

 

「......ところでボウズお前は、いや...いい」

 

「?」

 

「とりあえず、さっきの反応のあった場所に向かおうと思うだが」

 

「そうしよう、ここはお前の方が土地勘があるだろうしな」

 

「了解だボウズ」

 

俺たちは駆け出した。

 

 

 

 

 

「そういやぁボウズ、お前は魔術師なのか?だとしたら何と言うか、雰囲気が変だ。」

 

さすがはキャスターといったところか。まぁ、戦闘すればいずれはバレるのだ。

 

「俺は魔術師ってわけじゃない。神通力、日本の古式が一番近い。........どうせ今回限りだし、お前には言ってもいいか。」

 

「おん?どう言うこった」

 

「俺はさ、天照大神なんだよ。正確に言えばその三代目、力を失った神の依り代、そんな感じだ」

 

「...なるほど、でロクでもない神が現代に何の用だってんだ?」

 

ロクでもない、ときたか。たしかに神はロクでもないやつも多いが、そいつらと一緒にされても困る。こちとら日向ぼっこ大好き、高天原の草原で蝶を追いかけて過ごすような神だからな!

 

だかしかし

 

「それは知らん。俺も知りたいぐらいだ。」

 

「ほう。お前さんも苦労してるんだな、ハハハハハ。...聞こえるか?女の声と金属音だ。」

 

「あぁ、聞こえてる。たしか..この声...は?!キャスター!!とばすぞ!」

 

人型を保つ必要なんかない。全力全速最高速度で、次は守る。もう二度と失くさない。

 

「あ、おい!!くそ!誰にいってやがる!」

 

 

 

....今行く、マシュ

 

 

 



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やっぱりぽあっとしてる。

 

「よく頑張ったキリエライト。だが、相変わらずのその頑固さは直した方がいいぞ.........はっ!!」

 

上空から飛び降りてきた狼がその白い全身を使って、口にくわえた剣をサーヴァントへと振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

「なんとか、間に合ったか。全員無事か?」

 

初撃は避けられたか。

 

周囲の状況を確認するとどうやらマシュ以外は大きな怪我はしていないようだ。敵はどうやらランサーらしく大きな鎌と鎖を携えていた。反英霊か?いや

 

「どうやら、新しい獲物が来たようですね。サーヴァントではないようですが、この威力...」

 

とりあえずは敵の注意をこちらへそらすことから。

 

キリエライトの足を貫通している鎖は今の衝撃でやつの手元から落ちている。

 

「所長はキリエライトに回復を!敵はこっちで対処します。」

 

「え、ええ....?」

 

返事が遅いような

 

「あなた一匹で私を?舐めないでもらえますか。サーヴァントでもない喋れる犬ごときに」

 

サーヴァントが敵意丸出しで突っ込んできた。たしかに、この間合いならランサーの方が有利か?

 

だが

 

「ん?一体いつから俺が一人だと思っているんだ。...キャスター!」

 

合図を送ると背後の建物からキャスターが現れる。そこまで時間はなかったが、それなりの仕掛けは施せただろう。

 

「あいよ。ったくいきなり走り出したと思ったらこれか、ま、女の為と思えば悪くはねぇか。そらよ!」

 

ルーン魔術、一瞬で空中に描かれる文字だけで彼の英霊としてのすごさが伝わってくる。

 

これが、英霊か

 

「キャスター?!まさか、あなたまでいたとは、犬は犬同士仲良くと言うことですか。」

 

犬っていうな、どこがだ。俺は大神だし、しかも元、というか現在も人間だ。多分。

 

「犬っていうな!」

 

「っく!まずはそっちの白犬から、死になさい!」

 

手に持った鎌のようなもので切りかかってくる。だが、キャスターほどじゃない。それにこの武器に、この雰囲気、この英霊は、

 

「...かわせ身、そら、お返しだ」

 

攻撃を回転して避けながらのバックステップでの回避技能。大神として覚えさせられた。鼠にな。

 

決めに行った攻撃を避けられてバランスを崩した、サーヴァントに後ろ蹴りを食らわす。

 

「なっ?!」

 

後ろへ吹き飛ぶ。

 

くそ、決めるつもりで蹴ったのに。腕で防ぎやがった。だが、この調子なら勝てるだろう。しかし、無駄な体力を消耗したくはない。俺の能力にも制限があるし

 

 

「どうする?逃げるか?俺は心が狭いから見逃してやるぐらいしかできんぞ?」

 

「はっ!見逃す?この状況でもそれが言えますか?」

 

マシュに鎌を突きつけるサーヴァント

 

飛ばした方向がまずかった。ちょうどマシュたちが回復を行なっているところだった。気づいたマシュが藤丸と所長を突き飛ばして逃したのだろう。

 

「せ、先輩...」

 

「マシュ!」

 

藤丸が叫ぶ。

 

「......」

 

おい、ふざけるなよ

 

「おいボウズ、どうする。.....ボウズ?」

 

なぁ

 

「だんまりですか?」

 

「......お前、誰に刃向けてるのか分かってんのか?...筆しらべ」

 

もう絶対に失わない。失くさない。死なせない。殺させない!

 

「な、なにを...」

 

時間が停まる。世界が一つの紙へと変化する。

 

描くは横一線

 

総てを断ちっ切る!

 

世界が動き出す。そして描いたものが現実となる。

 

「『断神・一閃』...お前程度じゃ見切れんさ。泥に飲まれているようじゃな」

 

首と胴体が別れたサーヴァントに向かって言う。この場で理解できたのはキャスターだけだろう。敵に回らなくて本当に良かったと思う。

 

「おいおい、まさかここまでやるとはな」

 

「助かったよキャスター、上手いこと俺に合わしてくれたみたいで。」

 

自分でも戦いたかっただろうに、俺にやらしてくれたのはキャスターの実力が高いのを物語っている。こいつならいつでも乱入して仕留められるだろう。

 

「いや、構わんさ、しかしボウズ。あっちの女三人が状況を飲み込めてねぇ」

 

いちいち漢らしいやつだ。

 

「ん?あぁ」

 

事情を話そうと振り向くとマシュがこちらに向かってきていた。キャスターの前に立つと縮こまりながら

 

「あ、あのつかぬ事をお伺いしますが、あなたがこの聖杯戦争のキャスターでしょうか?」

 

と聞く。

 

「おう、悪いな、挨拶もせずに」

 

「い、いえ!!それでそちらのワンちゃんは使い魔か何かでしょうか?日本語を喋ってるようにお見受けしましたが」

 

わ?!わんちゃんだと?!

なんだそのヘンテコな呼び方は、親しみを込めて大神さんと呼べと言っただろう?

 

「いや、俺の使い魔じゃねぇーよ。むしろ俺が使い魔だ。」

 

「?それはどう言う」

 

まぁいい

 

「三人とも無事か?怪我してるのはキリエライトだけだな、なんとか間に合ってよかった。???どうした、不思議そうな顔して」

 

藤丸、所長、マシュの三人がポカンとしていた。

 

「...ボウズ、お前その姿に見せるの初めてなのか?」

 

ああ!!そう言うことか!

 

「ん?あぁ、そういえばそうだな。ま、いずれ見せることになるんだ。仕方ない」

 

やばい。いろいろと感情が混ざりすぎて冷静になれてなかった。なんたる失態。

 

「あの、まさかとは思いますが、大神さんでしょうか?」

 

その、まさかだ。

 

「あぁ、そうだ。よかった。理由はわからんがお前が無事で、本当に良かった。」

 

「えぇぇぇぇぇぇぇぇ〜?!犬だったんですか?!いや狼なんですか?!」

 

「いや、大神」

 

「え!なになに!!この犬、大神くんなの?ふわぁぁぁぁぁ!!ハスハスしていい?ハグしていい?はい、お手!!」

 

「させねぇーよ、しねぇーよ」

 

「お、大神。あなた.....私もちょっと触らせなさいよ....」

 

「何ですか?所長、あなた猫派でしょうが」

 

そのせいで俺ともめたでしょうが、一回。ちなみに俺は犬派

 

「おう、なんだボウズ、モテモテじゃねぇか」

 

「うるさいぞ。キャスター、.....うっとおしい。撫でるな!」

 

何回も撫でようとしてくる。藤丸と少しマシュ

 

「えぇ!!いいじゃん!綺麗な毛並みなんだからさ!触らせないともったいないよ。マシュもそう思うでしょ?」

 

「え?!い、いえ別に私は....もう少しだけ..」

 

「......勝手にしてろ」

 

本当に...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......それで、デミサーヴァントになって生き残れたと、そう言うことだな?」

 

マシュがあの状態から生き残れた理由がわかってなんとなく安心した。彼女の中の英霊がなぜ、助けたかはわからないが、今は感謝しかない。

 

「はい、そうです。」

 

「まぁ、なんにせよ。キリエライトが生きていてくれてよかった。」

 

「私も、大神さんが生きていてくれてよかったです。......あの、大神さん」

 

「なんだ?キリエライト」

 

「い、いえ。...その、本当に無事でよかったです。もう会えないんじゃないかと」

 

「俺もだよ。でも、会えたから問題ない。次はもう絶対に離れたりしない。お前を危険な目には合わせない。」

 

そう、絶対にもう泣かせたりなんかしない。俺は、お前のためなら死んでやれる。

 

「......」

 

マシュが黙りこむ

 

「ほう?」

 

キャスター

 

「ほうほう」

 

続いて藤丸

 

「なにこれ」

 

そして所長、三者三様の反応を示す。

 

「そ、それで、ですね!大神さん」

 

「だからなんだ?」

 

「いえ、あの、っっ...」

 

「ダメだなぁ、大神くん、なってないよ。全然なってない。ねぇ、キャスター」

 

「そうだなぁ、俺は結構ボウズのことを気に入ってたんだが、これは評価を改めないといけないかもな」

 

「なんなんだよ、揃いも揃って」

 

「だーかーらー、名前だよ!な、ま、え!!」

 

「名前?それがどうした」

 

「さっきから聞いてたらキリエライト、キリエライトって。ちゃんと名前で呼んであげなよ!カルデアの時みたいにさぁ」

 

「せ、先輩!?」

 

『そうだぞ、ちゃんと呼んであげないとかわいそうじゃないか!』

 

一瞬ノイズが走った後、カルデアでロマンに渡された通信機から音声が入る。

 

「ロマニ?!あなた今更出てきて!今までなにしてたのよ!」

 

当然、所長が怒鳴る。

 

『ひっ?!いや、復旧作業と音声データの復元に手間取っちゃって、仕方なく、つながったと思ったらこんな状況だし』

 

「音声データ?」

 

『あぁ、うんこれこれ

「キリエライト!おいマシュ!」

 

「おお...がみ..さん」

 

「マシュ!」

 

「すいません、こんな姿をお見せして...」

 

「気にするな。すまない何もできなくて」

 

「いえ、いいんです。どうせ私は」

 

「そんなこと言うなよ。お前は俺の大事な人間の一人だ。何ならわがままの一つや二つ言ってみろ。一緒に死ぬぐらいならしてやる。」

 

「最後にお願いを聞いてもらってもいいですか?」

 

「あぁ、言ってみろ」

 

「名前、はもう呼んでいただけたので、.........手を握っていてもらえますか?」

 

「お安い御用だ。」

......どう?バッチリでしょ!!」

 

通信機の向こうで親指を立てているのがわかった。見えなくても分かった。

 

「さいっこうだね!」

 

それに藤丸が答える。

 

「......」

 

「アーキマン、プライバシーって知ってるか?」

 

「もちろん!!」

 

「はぁ...マシュ。」

 

「は、はい!!」

 

「これでいいんだろう?」

 

「いやぁ、いいねぇ、こう言うの見てっ

と。」

 

「あ、わかる?キャスター」

 

意気投合し始める藤丸とキャスター

 

「あぁ、俺のとこじゃ、もっとドロドロしたやつだったからな」

 

なんか声が切実だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




やっぱりぽあっとしてる大神さんでした。血筋を超えた何かがそこにはあるんです。

筆調べについてはおいおいあげていきます。

感想お待ちしております。


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召喚は縁でするもの

評価してくれるって嬉しいこと、見てくれてるってことだから



まぁ、低評価されたら普通に泣きますけどね!!


 

「召喚?」

 

『そう。今のままでも十分かもしれないけど、戦力は多い方がいいでしょ?』

 

撫でられるのが鬱陶しくなってきたのでなんとか人の状態に戻ってことなきを得た。藤丸は不満を漏らしていたのは別に問題ないが、マシュが少し残念がっていたのが心に痛いが

 

そして現在俺たちは、大きな霊脈の流れる場所へと来ていた。なぜか、途中でフォウもいることに気づいたけど、そこまで重要ではない。道中、骸骨兵との戦闘は幾度かあったが、ほとんど、キャスターが蹴散らしてくれた。-さっきは何もできなかったからな、少しは俺にもやらせろよ-と言って。

 

「そうだな、今のままじゃ、セイバーに勝てるかは五分五分ってとこだ。別にあんたらのことをけなしてるわけじゃないぜ?ただやっこさんには聖杯のバックアップがあるからな。戦える奴が多いに越したことはねぇ」

 

たしかに、戦闘要員は現在三人。そしてサーヴァントはキャスターとマシュのみ、マシュは防衛が主体なので攻撃できるのはキャスターのみ。俺が出てどこまでできるかはわからない、ランサーの時は不意打ちみたいなものだからな。

 

『ほら、キャスターのお許しも出たことだし、いいですよね所長』

 

「ええ、構いません。こんなところで惜しんでいる暇はありませんから。では立花はこれを、マシュはそこに盾を置いて」

 

藤丸に呪符を渡す所長

 

所長も出し惜しむ気はないらしい。さすが小心者筆頭プライド高い系女子ですね。

 

「何か?」

 

「いえ」

 

『今回は、触媒もないからランダムになっちゃうけど、そこは時の運ってやつさ!バーサーカーでなければマシってもんさ!」

 

「なるほど!ガチャってわけだね!」

 

言っちゃったよ。たしかにそうとしか言えないけども、今までの厳かな雰囲気を返せ主人公系女子

 

『なんか英霊をガチャで引くのもどうかと思うけど』

 

「かまわねぇよ。それに、触媒での召喚よりこっちの方がより縁を感じやすい」

 

「じゃ、いっくよー!そーれ!!」

 

「ワクワクのドキドキですね!大神さん!」

 

いつのまにか隣で鼠を抱きかかえていたマシュが興奮していた。

 

鼠よ、少し苦しそうだな、そしてフォウその恨めしそうな顔はなんだ...

 

「そうだな、吉と出るか凶と出るか。神のみぞ知るってやつだ」

 

実際は神にもわかるかはわからんが。確率ってのは数字にすると簡単だが、実際はそうはいかない。

 

光が円環を描き収縮する。白い光、場違いなほどまばゆい光が、人型へと変貌し

 

「アサシンのサーヴァント、佐々木小次郎。なんの奇跡かわからぬが、召喚されたのもまた縁ということか。よろしく頼む。」

 

アサシンか、正面切っての戦闘がどこまでできるか。重要なところだ

 

「渋い声の人きたぁぁぁ!!ねぇ、悪役だけど映画の時とかにちゃっかり助けてくれるRの人みたいな感じで、こじろうって行ってみて!!」

 

侍か?たしかに渋い声だが

 

「む...コジロウ!...どうだろう?」

 

「いいね!!さいっこう!!」

 

「よせよせ。そんなに褒めるでない。しかしまぁ、今回は良いマスターに巡り会えたようだ。」

 

「私たちは、あなたを歓迎します。佐々木小次郎。」

 

「うむ、よろしく頼む。イレギュラーなアサシン故暗殺には向かんがな」

 

「では、時間もないし次に行きましょう。大神!」

 

あれ?所長は少し苛立ってる?

 

「了解です。ほれ」

 

サークルに向かって呪符を放る。

 

「ドキドキのワクワクというやつですね。キリエライト嬢。」

 

お前もノリノリだな。もはやマシュのペットじゃねぇかテメェ

 

「はい!鼠さん。マシュでいいですよ。」

 

「おぉ、これはこれは私めにそのような気づいかい痛み入ります。では、マシュ嬢、何が来るのでしょう」

 

「楽しみです!」

 

マシュもノリノリだった

 

光が一瞬強くなり、そして収束する。が、先ほどと違い人型ではなかった。もっと小さい。

 

「わふっ」

 

「本日二度目の犬キタァァぁぁぁ?!」

 

ほとばしる藤丸の絶叫

 

「ふあぁぁぁ!!可愛いです!」

 

マシュが鼠を俺に預けて近寄る。よっぽど気に入ったのだろうか?たしかに小さくて可愛いが、

 

おいおい、あれって。俺の中のアマテラスとしての記憶の断片があれがなにかを理解する。いやしかし。ありえるのか?英霊召喚で出て来るなんて。たしかに縁はなくもないが、先代アマテラスの

 

 

「あ、あぁ。......おい、これってまさか」

 

「ええ、そのまさかでしょう。先代アマテラス様がお子、すなわちチビテラス様ですね。」

 

本当だった

 

「くぁ〜...んん」

 

「あれ、寝ちゃいそう?......なんか大神くんに似てない、犬の方の」

 

トテトテ、と俺の方へと歩み寄って来る。器用に足から背中へそして頭の上へと登る。気に入ったのか、綺麗に丸まって一度欠伸をした。

 

「犬っていうな。ま、そんなこともあるさ、な、チビテラス」

 

「わん!」

 

「チビテラス?その子の真名?」

 

「そんなところだ、ま、フォウさんと仲良くしててくれ」

 

「フォーウ!!」

 

フォウさんまで乗ってきた。待て、そろそろ流石に重い!

 

「わふっ!」

 

「大神!!」

 

所長がすっごい形相で睨んできた。

 

いや、まぁ言わんとするところはわかるんだけど、仕方ないでしょう?縁で召喚するってなったらこうなることだってあるかもしれないわけで、なんなら初代引けば最強だったんですけども

 

声には出さない

 

「はい?」

 

「あなた、やる気あるの?!戦闘員を増やさなきゃ行けないのに犬なんか召喚してどうするのよ?!結局出てきたのは、暗殺できないアサシンって!どうなってるのよ?!」

 

「む、暗殺ができんわけではない。する気がないだけさ。私は正面からの果たし「どっちも一緒よ!!」...左様でござるか...」

 

「まぁまぁ、所長も落ち着いて、大神くんだって悪気はないんだし、チビテラスちゃんだってせっかくきてくれたんだからさ!」

 

「そんなこと言ってる暇はないのよ!今は状況の打破が最優先よ。遊んでいる暇はないの!」

 

喚き出す所長に頭から降りたチビテラスがすり寄る。そして一言

 

「くぅうん」

 

「!!!?......そんな顔をしてもダメよ!」

 

所長の顔が一瞬硬直する。なるほど、これがチビテラスの能力というわけか。そんな訳はない。

 

「くぅ、わふっ!」

 

続いて、所長の懐への優しいダイブアタック。

 

「はうぅ...」

 

所長の顔がほころぶ。脳内の葛藤が凄そうだ。

 

『これが、チビテラスの能力なのか!』

 

違います。素です。

 

「あぁぁぁ?!もう、わかったわよ!いてもいいわよ!!さ、行くわよ」

 

所長がデレましたね。チビテラス、なんて恐ろしいやつだ。あの、猫派だった所長を一撃で黙らせるなんて

 

「わん!!」

 

「猫派の所長が...」

 

俺の驚きの声が暗闇へと消える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チビテラスは所長になつきました。

 

所長はチビテラスに籠絡されました。

 

所長が猫派から犬派へ変わりました。

 

所長は、甘やかすを覚えました。

 

所長のデレ度が増加しました。

 

音声を録音しますか?

 

『もちろんだよ!!』

 

「わん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




スサノオかどっちかでだいぶ悩みました。


感想お待ちしております。


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大神として、人として

やっぱり所長って動物に弱いと思うんですよ


果たして俺はマシュたちへ正体を明かすべきなのだろうか?アマテラスとしての姿も見られてはいるが、彼女たちにはただの白い犬か狼にしか見えていない。キャスターには少しばれていそうな気もするが。マシュたちには今、先祖に獣人の血があるということにしている、実際はないが。ただの神道ですから。

 

正体を明かすことで何がどこまで変わるのかはわからない。大神として常に傍で支えるのが役目と思うこともある。カルデアへ来た時はマシュの事情を知って裏から表へ出たこともあったが、実際は俺は大神。つまり見守ることが存在意義。主役になる柄でもない。正体を明かせば確実に信仰は増える。冬木にに来てからもそうだ、自分から戦いに突っ込んだ。いや、マシュと出会ってからか。

 

彼女を守りたいと思ったから。ただ見守るだけでは救えぬと思ったから、大神として逸脱した行為をとったのか?

 

だったら俺はマシュを...

 

 

はぁ......考えてもどうしようもない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見渡す限りの壊れた建物。見上げる空は曇天。そして隣には陽気な少女たち...

 

「あーるーこー、「わん!!」あーるーこー、「わん!」私はーゲーンキー「わんわん!!」」

 

これから戦う向かうっていうやつらのテンションではない。マシュもなんかだんだんのせられてきている。所長のイライラゲージも溜まっているがチビテラスの鳴き声のたびに顔がほころんでる。というか、そんなホイホイ餌やらんでください。どっから出してるんですか?

 

「ふむ、歌は良い。それも快活な少女が歌う歌は特に良い。」

 

「小次郎、お前...」

 

小次郎まで乗ってきやがった。なんなの?ここは?やっと最後の橋にたどり着いたってのに。

 

橋を渡った先にある洞窟その中に大聖杯がそしてセイバーが待ち受けているらしい。

 

だが

 

「おっと、気をつけろよ。アーチャーに見つかったようだ。」

 

キャスターの纏う雰囲気が戦闘のそれへと変わる

 

そして飛来するは矢とは言えぬもの。ただ剣を伸ばしただけにしか見えない。反応できたのは小次郎とキャスターとかろうじて見えただけの俺

 

「う、そだろ!?」

 

キャスターは自身で迎撃を、小次郎は気づいていないマスターとマシュへの矢を弾く。所長はチビテラスによって押されて矢の軌道から外れる。

 

「え、小次郎?!」

 

「佐々木さん!!」

 

「ちょっと何よチビテラス...?!」

 

「ぐっっ!」

 

あいつ、見えてるのかよ。そして俺はかろうじて神格によって防がれた。これで残る神格は2。

 

まずいな。このレベルの攻撃を受け続けたら流石に持たない。やはり人型で英霊について行くのは無理があるのか?

 

それに信仰も足りない。当たり前といえば当たり前か、現代社会で日本神話を信じている奴が何人いる。最高神とは言え天照大神の話を知っている奴が一体何人いる。現実を知る。

 

だがそれがどうしたという。知っている奴はいる。少なくともマシュは、俺を信じてくれた。なんなら今から俺の神話をつくればいいじゃないか。

 

今更何を考えてるんだろう。こんな時に、出せる力を出さなくて、一体何を守るというのだ。サーヴァントに頼るだけじゃダメだ。

 

辰だって言っていたじゃないか。先代に劣らぬ旅路を歩むことになると、なら俺は追いつかなきゃならない。世界を救うんだから...

 

「キャスター!!敵の情報を!」

 

「あぁん。ぼうずまた狼になってやがるぞ?」

 

「いいんだ。こっちの方が俺は強い。」

 

アマテラスとしての姿の方が俺は強いそれは確かだ。普段人型維持に回している力を回せるのもあるが、アマテラスの神器は人が使うようにはできていない。この状態ではじめて真価を発揮する。

 

「そうかよ。情報つってもそこまで俺も知ってるわけじゃねぇ。だがいけすかねぇアーチャーってことは確かだ。」

 

そしてもう一本矢が飛来する、しかしそれは俺たちにではなく、これから通ろうとしていた橋へとである。衝撃に耐えきれず軋み、崩壊する橋。

 

「そんな?!橋が!」

 

「ふむこれは少しまずいでござるな。泳いで渡れはしようが、狙い打たれるは確実とな、奴めも女狐めに劣らず策士よのう」

 

「そんな悠長に言ってる場合じゃないのよ?!あぁ?!せっかくここまで来たのに!」

 

「わんわん!!」

 

「?!......え、えぇ、そうね。そうよ、落ち着くのよ私。必ず打開策はあるんだから。...ありがとうチビテラス」

 

「わん!」

 

もはやどっちが主人かわかったもんじゃない所長とチビテラスのやりとり。

 

「やろぉ、俺たちをセイバーのとこまで行かせない気かよ。...ぼうず、橋、なんとかできるか?アーチャーは俺がなんとかする。」

 

「できる、はずだ。まだ使ったことがないから確証はないができるはずだ」

 

「おう、なら上出来だ。頼んだぞ。」

 

言ってキャスターは矢の飛来した方向へと高速で移動していった、直後に爆発音がその方向から聞こえ始め戦闘が開始したのがわかった。なら、矢は飛来しない。

 

「所長渡る準備を」

 

辰から貰った力

 

「何言ってるの?橋がないんだから泳ぐしかないじゃない。大神くんバカになったの?」

 

お前に言われたくはない藤丸。

 

「いいから、黙って目瞑ってろ。慣れないと酔うからな。ほらはやくしろ。」

 

「う、うん」

 

「ええ」

 

「はい!」

 

「ふむ、そういうものか、では拙者も」

 

「わん!」

 

いやお前は別につむらなくても知ってるだろ。というか、俺よりお前の方が完全体なんじゃないのか?

 

深呼吸

 

「筆しらべ...『蘇神・画龍』...さぁ、蘇れ」

 

筆で塗りつぶすように崩壊した橋の手前と奥を結ぶ。まるで墨で新たな道をつくるかのように。

 

世界が動き出す。そして描いたものが現実となる。

 

「いいぞ目開けて」

 

「え?なに...これ」

 

「嘘でしょ...」

 

「すごいです」

 

「お見事」

 

「わん!」

 

視界に映るのは、何事もなかったかのように佇む橋。たしかに壊れたはずのそれは、もとに戻っていた。正しくは「蘇った」だけど。

 

これが、辰の力だ。壊れたもの、失われたものを蘇らせる。無機物ならほぼノーリスクで可能。生物は条件が色々と複雑なので説明はしない。

 

「行くぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、俺たちはたどり着いた。聖杯の下へと、そこには、黒く染まったセイバーが無言のまま佇んでいた。背後には聖杯と言う名の超抜級の魔力炉。たしかにあれならどれだけ魔力を使おうが関係ないな。

 

「あれがラスボスってわけだね。」

 

「そういうことみたいだな、簡単に言えば、あれを倒せば俺たちの勝ち、負ければそのままthe endだ。」

 

「...ほう?なかなか面白い娘がいるではないか。黙ってカカシに徹していたが、なるほど」

 

「悪いがセイバー、勝たせてもらう。」

 

「ほざくなよ。...娘、貴様の盾が真実かどうか見極めてやろう。」

 

「へ?!」

 

彼女の持つ黒い剣へと魔力が集まっていく。圧倒的なまでの密度で圧倒的な量の魔力が。宝具発動の前兆である。

 

これが、宝具か。真名解放

 

「させるか!」

 

そんなのを悠長に待っている暇はない。相手が動かないのなら好都合、手を抜くなんてことはしない。というかできない。一刀のもとに振り下ろす!

 

「無駄だ」

 

「かはっ」

 

剣が触れる前に魔力の奔流によって吹っ飛ばされる。魔力放出か。どんな威力だよ、これじゃ大砲と変わらない。

 

そのまま俺はマシュたちの位置まで吹っ飛ばされる。一応神格は発動しているが、それは俺へのダメージを防ぐだけであり、衝撃は無効化できない。

 

あと一回

 

「さぁ、構えろ娘。いくぞ」

 

前に立つマシュ。ダメだ。君が戦ったら意味がない。もう二度と君を失わないために戦うのに。

 

「大神さん、あなたが私を戦わせたくないのは分かっています。でも今度は今回は私に貴方達を守らせてください。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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胃袋はとても大事

「はっ!」

 

戦闘が始まってから数十分が経った。初手のエクスカリバーブッパをマシュの宝具発動により、セイバーの不意をつけたが致命傷には至らず、今の小次郎の攻撃も防がれた。

 

キャスターの方から援護を期待したいところだが、こちらに向かう連絡すら来ない。しかし、パスはつながっているため生きているのはわかる。

 

-そぉら!!大仕掛けだ-

 

そして現在、こちらの状況は佐々木、ほぼ無傷で戦闘続行可能。マシュ、致命傷はないが、宝具発動によりスタミナ切れ間近。俺、右腕損傷、霊力不足に伴うアマテラス化解除。つまりただの犬っころ。

 

「マシュ、大丈夫?」

 

 

「先輩...はい、私は大丈夫です。少し疲れただけですから。それより大神さんが」

 

「俺も問題ない。霊力切れだ。」

 

「でもその腕じゃ」

 

「大丈夫だ。後でどうとでもなる」

 

合間合間を縫って『一閃』を使うも、セイバーの未来予知に等しい直感で防がれた、全てが。

 

「そら!!」

 

「無駄だ」

 

つまり現状、やつと戦えているのは小次郎のみ。しかも力、速度、魔力量全てで劣っているのに、技術のみであの騎士王とやりあっている。本当にアサシンなのかあいつは?しかし、他が桁違いすぎる、押し切れない。

 

「む、流石に魔力放出とやらは厄介。これはちとまずいか?」

 

一旦体制を立て直しこちら戻る小次郎。

 

そして小次郎にも疲労が溜まり始める。ここに来て魔力量の差が出て来はじめた。俺の回復まではもう少し時間がかかる。チビテラスは所長からなかなか離れてくれないし、守っているのだろうけど。

 

まだか、キャスター

 

「小次郎、あとどれくらい保つ?」

 

「ふむ、いつまでも、と言いたいところではあるが事実あと数分が限度だろう。」

 

十分だ。

 

「わかった。なら俺の回復は間に合うはずだ。」

 

そろそろ、霊力が戻る頃合いだ。次は決める。

 

「嫌味を言うつもりはないが、今更何ができるのだ?」

 

「とっておきってやつだよ。最高の不意打ち。小次郎...お前博打は好きか?」

 

俺の問いに、一瞬目を丸くして、続いて大きく口を開けて笑い出す。

 

「ははは!!おうとも、何をやるかは知らぬが面白いものを期待させてもらおう!...だが、貴様の信念が通ずる前に私が先にあの壁を...力ずくでこじ開けよう...」

 

「頼んだ」

 

「おうさ」

 

もう一度セイバーへと向かう小次郎。やっぱり英霊ってやつはどいつもこいつもカッコいいやつだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また懲りずに来たのか。アサシン」

 

距離で言えば五メートルもない。その距離でセイバーは殺気を放ちつつ問いかける。それに対して小次郎は、飄々とした態度のまま殺気を正面から受け止める。

 

剣士と騎士。

 

「当然、いつぞやあったかもしれぬ決闘の決着を今度は完璧な状態で迎えようぞ!」

 

あの夜の決着を。

 

先に仕掛けたのは小次郎。物干し竿と呼ばれるほど長い剣で、セイバーの間合いの外から攻撃する。あの時との違いは地の利の有無。しかし、それでも小次郎の技量はセイバーを上回る

 

「知らん、なっ!!」

 

弾く

 

「そう、照れるな。その首次こそ落とさせてもらうぞ」

 

「粋がるなよ!アサシン風情が!!...卑王鉄槌。極光は反転する。光を呑め! 『約束された勝利の剣』!」

 

「なに?!」

 

唐突な宝具発動。流石の小次郎もそこまでは予想していなかったようで、回避が一歩遅れた。左腕が吹き飛ぶ。

 

「くっ!腕を一本持っていかれたか」

 

「佐々木さん?!」

 

マシュが驚きの声をあげる。

 

「ここまでだな、少しは、期待したが残念だ。私を倒せぬようではこの先もはや進む価値もない。」

 

セイバーが落胆の顔をカルデアの一行へ向ける。藤丸は自分が戦えない不甲斐なさに震え、マシュは大神と小次郎をもってしても届かないことに絶望していた。

 

しかし

 

「いやいや、勝手に終わるでない。片腕がなくとも剣は振れる。では続きといこうか」

 

小次郎が淡々と剣を構える。気迫は先程と一切変わらない。むしろ増している。そしてその言葉に偽りはない。

 

「何を言っている。そこまでやられれば差は歴然」

 

セイバーが侮蔑の言葉を述べる。

 

「ははは!片腕では勝てぬと?......その勘違い命取りとなるぞ?」

 

セイバーの反応が遅れる速度で間合いまで近づく。あまりの一瞬のことで、セイバーは反撃できない。手負いの獣がいきなり、走り出したのだ。しかし、手負いの獣ほど怖いものはない。

 

「なっっ?!」

 

驚愕に顔を染める。

 

「秘剣...燕返し」

 

宝具発動。全くの同時に放たれた二つの斬撃がセイバーへと襲う。

 

「ぐっ!!」

 

二つの斬撃が肩と脇腹を切り裂く。ここに来て初めてセイバーがよろめく。

 

「ふむ、片腕ではふた振りが限界か。いやはや、私もまだ甘い。だが、これくらいでよかろう?大神殿」

 

そして絶好のタイミング。文字通りのラストチャンス

 

「あぁ、十分だ!」

 

大神が、渾身の一振りをよろめいていたセイバーの死角から浴びせる。が、セイバーの直感はそれに気づく。

 

「無駄だ!」

 

振り向いたセイバーの聖剣が大神の心臓を貫く。

 

人が心臓を貫かれて動けるのは数十秒と言われる。つまり、それが彼が意識を保てる限界。

 

「がはっ?!」

 

痛みに顔を歪める。心臓を貫かれる痛みなど誰が想像できよう、痛みでショック死するのが普通だ。

 

「大神さん?!」

 

マシュが泣き出しそうな声で叫ぶ。

 

「キャス...タァァー!!」

 

最後の頼みに託す為に叫ぶ。自身の最初の契約者。

 

「あいよ!!またこの感じかよ」

 

洞窟の入り口に立つはキャスターのサーヴァント。準備は万端。ならば彼の攻撃は必中するのが当然。当たランサー、ではない。彼は今キャスターである!!もう一度言おう彼はキャスターである!!

 

「キャスターだと?!貴様、アーチャーはどうした!!」

 

「それならもう終わってるよ!!喰らいなっ!」

 

施されたルーンの魔術が起動する。つまり彼の宝具の開帳。キャスターの最高の攻撃。

 

が、セイバーも迎撃しようと動き出す。しかし、貫いた聖剣が抜けない。さらに四肢が動かない。

 

「ぐっ、なんだこれは、墨?」

 

見ると墨で全身が四肢が覆われていた。まるで描かれたように細かく鮮やかに。

 

「もう一発!!」

 

刺されたはずの大神が、もう一度現れる。たしかに剣には何かが刺さっていた感触があった。...さっきまでは

 

「何?!貴様は心臓をつらぬいたはず?!」

 

死んだと思った奴からの奇襲。それは防げるはずもなく。

 

「届けぇ!!」

 

セイバーを斬り伏せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




胃袋すげー(棒)

感想お待ちしてます。


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「誰の女に手ェ出してんだ、えぇ!!」

間が空きまくって申し訳ないです。

内容覚えてる人は全然いないと思いますがどうぞもう一度よろしくお願いいたします。



誰のセリフなんだろう笑


「見事なものだな、まさか蘇生の法を体得していたとは、それとも呪いの類か?」

 

急所を穿っているはずなのに未だに意識を保ち続けるセイバー。しかしそこに戦意はない。終わったのだ。俺たちの勝利で

 

「発動するには一定の条件がいるし俺にしか意味がないがな」

 

彼らで言う宝具とでも言えばいいのだろうか?

 

『胃袋』、もちろん普通のではない。元来食事を貯めるのが役割だが、俺の言う胃袋は違う。人の幸福を咲かすことで溜まっていく。そして一定量を変えると死ぬと発動する宝具へと昇華する。

 

「ほう、だがこれで終わりではない。これからが始まりなのだからな、聖杯探索という大いなる旅路のな」

 

またそれか...

 

「...なぜあなたがその言葉を!!セイバー?!」

 

「答える義理はない、が少年貴様にとっては英雄への、神への道となろう。」

 

英雄なんぞなりたくはないが、俺は俺のすべきことをするまでだ。

 

「面倒な話だな」

 

「ふっ...期待している。」

 

その一言とともにセイバーの姿が煙となって消える。それを追うようにキャスターの体も

 

「うぉ!!ここで俺も退場かよ。せっかく良いところまで来たのになぁ。」

 

「ありがとうキャスター、お前には何度も助けられた。」

 

心からそう思う。彼に幾度となく助けられたのだから。アーチャーだって彼の足止めがあってこその敵だったのだ。

 

「何言ってんだ、坊主の力があってこそだろう。まぁ、機会があれば呼んで戦わせてくれりゃ満足さ、もちろんランサーでな」

 

当たらん、いや...

 

「あぁ、その時はよろしく頼む」

 

「おうよ...。嬢ちゃんあ..........、........。..............だぜ。」

 

返事をするとキャスターはマシュに小声で話しかける。なんだ?口説いてるのか、なら保護者を通してからにしてもらおうか。お前にはやらないけどな!

 

「...?......?!ふぇ!!」

 

いつかの一人百二十面相の後に赤面するマシュ。

 

「何の話だ?」

 

「いえ!!大神さんには関係ない話です!」

 

いや、本当になんの話だよ

 

「ハハハハ!!じゃあな」

 

言葉を最後に魔力の残滓を残してキャスターは本当にその場から姿を消す。いったい彼はどこへと消え、次はどこへ向かうのだろうか?できれば、もう一度会いたいものだ。

 

「これで終わり?」

 

藤丸が呟く。

 

「いえ、まだよ。聖杯を手に入れてレイシフトで帰らないと」

 

そう、まだ終わっていない。俺たちも世界の崩壊に巻き込まれる前に帰らなければならない。

 

が、この気配、どこかで?

 

「良いや、終わりだ。オルガ君はここで終わるんだ。」

 

「レフッ!」

 

所長

 

「まさかっ!」

 

 

「生きていた?」

 

藤丸

 

「そうです姉上、地獄の底から舞い戻って来ました。」

 

黙れ小次郎、それは叛逆の人だ。1つも被っちゃいない。

 

「まさか、生き残っていたとはな。いや、一人死んでいるか」

 

一人死んでいるだと?...まさか、あぁ、なんだよ。そういうことかよ。最初から俺は救えてなかったのか。

 

「ねぇレフ、私ちゃんと役目を果たしたわよね...レイシフトは事故だったかもしれないけど、私やり遂げたのよ。」

 

そこまでして俺の平々凡々なハッピーエンドな人生の邪魔をしたいか貴様ら

 

「あぁ、そうだな....オルガ、君の人生をな!!」

 

お前の人生を潰してやる

 

「な..にを言っているの?私はここに」

 

人を追い詰めるのが楽しいか。人間もどき、悪魔風情が!!

 

「君こそ何を言っているんだオルガ。君にレイシフトの適性はなかっただろう。なのにどうしてここにいると思う?」

 

「それは、たまたま事故のせいで」

 

「そんな訳がないだろう?あるだろう?もっと簡単にレイシフトできる存在が、今しがた去った者たちと同様」

 

「霊......体...」

 

「そうだ!!つまり君はすでに死んでいるんだよ!」

 

「嘘よ?!お願いレフ嘘と言って!だってそれじゃあんまりじゃない!!やっとできたのよ私にも!!」

 

「なら現実を見るがいい」

 

「カルデアスが赤い」

 

青かったカルデアスが赤へと染まっている。それが余計に目障りだった。

 

「いやよ、待って?!カルデアスは高密度のエネルギーよ!!そんなのに触れたら?!まだ、やっと、やっと始まったのに。ねぇなんで私だけがこんな目に会わなきゃいけないの?!ねぇ、助けてよ大神ぃ!!」

 

言われるまでもなく

 

「もちろんそのつもりなんですけど!」

 

『足玉』を所長の足にかけて引っ張る。つよ?!カルデアスへの引力が強すぎる。だが後3秒

 

2

 

1

 

「無駄だ、君一人でどうにかなる力ではない。」

 

「ぐっ?!」

 

 

 

「ハハハハハ!!君の力には驚いたが所詮はその程度、我々には遥か遠く及ばない。身の程を知りたまえぃぃぃぃいいいいっっったたたたたいい?!?!?」

 

チビテラスの噛みつきからのアマテラスの血族の奥義『Zutuki』がクリーンヒット!

 

「ナイスタイミング」

 

さすが、お気に入りを攻撃されたせいなのかご立腹のチビテラス。やはり完全体はやばいな

 

「待て?!よせ!貴様!!あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 

そのままレフがカルデアスの方へと飛ばされる。空中で身動きなど取れるわけもなく

 

「二人称は[君]じゃなかったのか?身の程を知れ」

 

もうちょっとましなセリフはないのかよ。と俺

 

「おぉ、溶けてったねぇ、マシュは見ちゃいけないよ」

 

「先輩、何も見えません聞こえません!!」

 

「立派なかませ犬であった。」

 

「まぁ、あのくらいじゃ死なないだろうけどさ、それより所長を」

 

先に所長だ

 

「大神ぃ...私帰れないみたい、まだ生きたいの、私はまだ死にたくないのに「生かしますよ」....え?」

 

「誰一人死なせやしませんよ。ただ、プライドの高い同居人ができるってことだけは覚悟してくださいね?」

 

「それってどういう...」

 

蘇神

 

 

 

レイシフトが始まり最初と同じように意識が跳んだ

 



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だからお前誰だよ!!

申し訳ありません!!!!

言い訳さしていただきますと、存在自体を忘れてました。そしてケータイからデータが飛びました。

申し訳ありません。

批判批評お待ちしております。


陸上

 

帰還

 

壊れた機械、焦げた部屋、目の前に広がっていたのは地獄の始まった場所。カルデア、赤く染まっていたその部屋はすでに消火されていた。

 

「帰ってきたんだ...」

 

帰ってこれた。この世の終わりのような特異点から。

 

そう、私たちは勝ったんだ。キャスターの力を借りて、マシュがいてくれて、大神くんが決めてくれた。私も自分を見失わずに済んだ。

 

今この世界がどうなっているかは知らない。親は生きているのか、先生は元気にしているのか、いや...あの人はわからないか。

 

「せ、先輩!怪我はないですか?!」

 

マーーーシューーー!!!うわぁ、生きてる?!!ハスハスしてもいいかな。ダメかなぁ、そんな格好してるとダメだよ?男の人に勘違いされちゃうよ?って隣の男誰?

 

「うん、バッチリ!」

 

無事を伝える。それだけでも、何か嬉しい

 

「そうですか。あの、大神さんはご一緒ではないですか?」

 

だよねぇ、でも残念ながら一緒じゃないんだよねぇ。ってことは、まだ彼はここへ帰ってきてないのか。でも、多分、所長のために遅れてるだけだと思うんだけどね。....だから隣の人誰?!?!

 

それもマシュのためかな

 

「大神くん?いや、見てないよ」

 

「そう、ですか」

 

はいはい、落ち込まない落ち込まない。

 

チビテラスが、そこで何もせずにおすわりしてるんだから、ご主人の帰還を待ってるんだよね。

 

だから誰ですか?

 

「大変だ!大神くんと所長の反応が弱すぎて掴めない!」

 

あ、ロマンだ。

 

「ロマン!ただいま!!」

 

「うん、お帰り。本当によく頑張ってくれたよ。君たちは」

 

だめだこれ、誰も気づいてないじゃん。あれ?私がおかしいのかこれは

 

「ど、ドクター?!大神さんが帰ってこないんです!!」

 

「お、落ち着いてマシュ」

 

「それが、最後に観測した場所から動かなくなってるんだ」

 

おいおい、これはちょっとマズイかな?

 

「そんな?!」

 

「落ち着いてよ、マシュ」

 

「もう、嫌なんです、あの人がいなくなるのは......」

 

うわぁ、何この可愛い生物!!.....ダメダメここは落ち着かせないと

 

「そっかぁ、大好きなんだね。大神くんが」

 

「ふぇっ?!いえ、そういうわけでは!」

 

「ふ〜ん、じゃ、彼が帰ってきたら私貰うから」

 

全然タイプじゃないけど

 

「え?!それは」

 

「それまで、部屋でゆっくりしてようよ!ほら乙女の園へlet's go!」

 

さぁいこう。そして、よくわかんないから逃げよう。

 

「先輩、ちょっと?!」

 

帰ってくるよね、こんなに良い子放ったらかしたら許さないよ

 

「......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「所長!起きてください!」

 

大神が何度も声をかける。時間があまりないから。それでもなかなか目を覚まさないのは、彼女の生体としての死が始まっているから

 

「......んん、大神?」

 

ゆっくりと瞼が開かれる。大神は、真剣な表情は崩さずに心の中で安堵した。まだ、彼女を助けられると。あの人を悲しませずに済むと

 

「そうですよ、あなたの心に住まいを構えてない大神ですよ」

 

「って、ええ?!ここどこ!!」

 

状況を飲み込めない所長が取り乱す。

 

「やっと目、覚ましましたか」

 

「だから、どこなのよ?!ここは!」

 

「時間がないので率直に......俺の心象世界ってやつですよ。まぁ、もの寂しいとこですけどね。」

 

世界の崩壊が始まる。空が崩れ山が欠ける。

 

「あなたそんなこともできたの?それでなんでここに私たちはいるわけ?どうせ死ぬんなら早くしてちょうだい!」

 

「だから、あなたに聞くんです。生きたいですか?死にたいですか?」

 

「は?......何言ってるのよ......死ぬしか無いに決まってるのになんで......なんでそんなこと聞くのよ。」

 

唇を噛み締めながら、運命を受け入れたかのように言葉をこぼす。

 

「あなたにまだ、生きていてほしいからです。あなたが死んだらマシュが悲しみますからね。」

 

「ほんっと、貴方達って似てるわね。でも、どうやって?死の因果の逆転なんて神の領域よ?」

 

「だから俺がやるんですよ。見たでしょ?死んだ橋が元に戻ったのを」

 

「ええ、まさか......あれが?」

 

「そうです。あれを貴方でやります。そのかわり厄介な同居人ができても良いのならですけど」

 

「わかりました。アニムスフィア家の名をここで絶えさせるわけにはいきません。見せなさい、貴方の力を」

 

「では、いきます!」

 

「......ありがとう、大神」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




めちゃくちゃ短くてすみません。次からは、頑張ります。
ネタがやばいんです。fgoがどっか行きました。


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ピロートーク(変人の調べ)

短いです。


でも、区切りが良かったんです。許してください。


光に包まれ視界が白一色に染まる。眩しさのあまり俺は目を閉じる。

 

目を開けると、場所は一転して物語の始まりの地

 

「やっとここか......長かった」

 

「う〜ん、zzz」

 

起き上がり周りを見渡すと、横に転がっている所長がいた。しかも寝てた。ところどころ服がはだけてるから目のやり場に困る。辰の方とのコミュニケーションはうまくできるだろうか?

 

「お...おお...がみさん?」

 

透き通った、ガラスのような声に振り向く。そこにいたのは、サーヴァントの格好に上に白衣を羽織ったマシュだった。

 

「ああ、そうだ大神だ」

 

出来るだけ平静を装って答える。

 

「あぁ?!ああああ!!大神くんだ!!」

 

ロマンもいた。藤丸みたいに叫ぶな、耳が潰れる。

マシュが駆け寄ってくる。その目に涙を携えて。

 

「なんで、こんなに遅いんですか!!全然帰って来ないから、死んだかと!!」

 

か細い手で叩かれる。しかし痛くはない、サーヴァントの力でなく。

 

「いや、少し仕事があってだな」

 

「知ってます!!見ればなんとなくわかります」

 

わかるのかよ

 

「でもまぁ、なんだ。...ただいま」

 

「...おかえりなさい。......うわぁぁぁぁ...ぁぁぁ」

 

また、泣かしてしまった。心が痛い。けど、彼女の涙に濡れた胸が熱い。この温もりがずっと消えなかったらいいのに。

 

 

「って居た居た!!大神くん?!?!ちょっとこの人見える?!」

 

藤丸もきた。うるさいやつがまた増えるじゃねえか。というか、なんかよくわからんやつ連れてきてるし、目細くて羽みたいな帽子かぶってるやつ

 

「あぁ、なんだよ。って誰だよそいつ」

 

「良かったぁ、見える人がいて。でも全然喋らないんだよ。大神くん何か知らない?」

 

知るか

 

「......アマテラス」

 

「?!」

 

どうやって正体を?!というかこいつどこかで、

 

どうやら今の一言で今場の全員が彼の存在に気がついたらしい。そしてこの気配...人ではない!

 

もっと、上の存在。いやしかし、そんな奴がいつの間にここに

 

「誰なんだい君は?!」

 

ロマンが疑問の声を飛ばす。しかし、言葉以上の焦りは見えない。こいつ本当に見えてなかったのか?

 

「天呼ぶ、地呼ぶ、海が呼ぶ。」

 

どこかからか聞こえてくる笛の調べ。心を清める音

 

「は?」

 

「未来を取り戻せと我を呼ぶ!」

 

「?」

 

マシュの頭に?マークが見える。

 

「人倫の伝道師ウシワカ、イズヒア!!」

 

「へんな奴キタァァ!!!」

 

藤丸が頭おかしい奴みたいに叫ぶ。いや、頭はおかしいな

 

「やぁやぁやぁ、アマテラスくん、いや、今は大神くんなのかな?ユーたちの戦い見させてもらったよ。あの戦いが終わってから随分と休みをエンジョイしてたみたいだね。どうも昔よりも勘が鈍っているみたいだね」

 

こいつ、俺の正体を知っている。しかも、全盛期のアマテラスのことも。

 

あ、思い出した、こいつカルデアのレイシフトチームにいたやつだ。なんで生きてるんだ?というか、今までだれにも気づかれなかった?

 

「そんな実力で君が人理を取り戻す旅に出るだなんて、おこがましいよ!」

 

それは、まぁたしかに。しかしいきなり登場してなに言ってるんだ?訳がわからん。

 

「な、なんてこというんですか?!」

 

マシュ?

 

「大神さんは、ちゃんと聖杯を手に入れてここに誰一人かけないで帰ってきました!それのどこがおこがましいっていうんですか?!たしかに私たちが弱いのかもしれないです。でもそれでも、戦わなきゃいけないんです!!」

 

いや、そんなこと言われても、俺は人理とか救う気ないから。俺が救いたいのは君だけだ。

 

「ふぅー、やれやれどうやらミーはあまり言葉で伝えるというのが苦手みたいだ。だから、これで語り合おうじゃないか!」

 

勝手に話を進めるな

 

手に持っていた。笛から刀のようにビームが現れる。そしてもう一本の刀を抜く。

 

「ちょちょちょっと?!?!待って!!ここで戦う気!」

 

いつのまにか目が覚めていた所長が止めに入る。おはようございます。自分が生きてることを噛みしめながら生きてくださいね、

 

「せ、せめて模擬戦闘室でやってちょうだい!」

 

あ、戦うのはいいんですね。そしてマシュよ、なんだその勝ってきてくださいと言わんばかりの目線は。面白がるな藤丸

 

 

 



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変人は1人をゆく

なんやかんや遅くなって申し訳ございません。


神格も全て破られた。

 

神器も全て凌がれた。

 

筆調べも通用しない。

 

こいつは俺の全てを凌駕していた。

 

勝てない...

 

そう思わざるを得なかった。あらゆる手段を全て凌がれ、されどこいつは息一つ切らしていない。

 

「はぁ、はぁ...」

 

息が落ち着かない。たまらず膝をつく。意識が飛びそうだ

 

「やはり、そこがユーの限界だね。十二神が全て集まっていないとはいえ、かつてのアマテラス君はそこまでじゃなかったよ。」

 

初代にも2代目にも届かないのはわかっている。だが、このまま何もできずに負けるわけにはいかない。彼女の前で無様に負けることだけはできない。俺を信じてくれているから

 

「せめて、一撃ぐらいもらっていくぞ」

 

ほとんど目が見えない。感覚もない。剣を持っているのかさえわからない。

 

「諦めなよ。今のユーじゃミーには勝てないよ」

 

勝てなくても、戦わないといけないんだよ俺は、人理が助からなくともな

 

「ふっ!!」

 

「だからそんな単調な動きじゃ?!」

 

突っ込んだ俺にカウンターを完璧なタイミングで叩き込んでくるやつを避けるには、その速度を超えなければならない。しかし、俺が出せる速度でそれを超えるのはほぼ不可能だ。

 

全能力が全てやつの方が上だ。変化の速度を除けば...

 

しかし、人型から狼になる速度は、人の認識を超える。たとえそれが、英霊であっても

 

急に高さの変わった俺にカウンターを当てられずよろけるウシワカの腹にzutukiをお見舞いする。

 

が、それも上に飛ばれて避けられる。

 

「くそっ」

 

そのまま俺は意識を失った。

 

「おや?気を失ったみたいだね。だれか彼の救護を。」

 

「大神さん!!」

 

 

「.......残念、この服結構気に入ってたんだけどね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは、これより特異点へ向けてのレイシフトを開始します。」

 

所長の指示のもと準備が進められていく。彼女は、うまく辰を説得できているのだろうか?こちらとはリンクが残ってはいるが、干渉したくない

 

「ウシワカ、藤丸、大神、マシュ、準備を」

 

あの後、俺は救護室のベッドで目を覚ました。負けたのだ。完璧に

 

右手にはいまだにマシュの温もりが残っている。目を覚ました時、握ってくれていたそうだ。後ろでニヤニヤしながら見てた藤丸に聞いた。ほぼ丸一日

 

ちなみに、所長が生きていたことはあまり話題にならなかった。もともと生死が全員あやふやな状態だったため、生きていても違和感がないそうだ。それにあれはレフの虚言ということになっている。

 

「了解」

 

「「はい」」

 

「うん」

 

「サーヴァントたちは後でこちらから転送いたします。ウシワカに関しては、向こうで召喚を行いなさい。」

 

戦闘の後、ウシワカはサーヴァントの召喚を行なっていない。流石に一体いた方がいいのだろうがなにぶん設備がない。現地で調達するほかない。

 

「別にミーはなくても大丈夫なんだけどね」

 

「しなさい」

 

ここにいる全員が気圧された。逆らえない眼力がある。あれは、所長の力じゃない。辰のやつめ、どこまで手貸してやがる。

 

「っ....わかったよ」

 

ウシワカですら気圧されている。

 

「それでは、レイシフトを!!」

 

意識が飛ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

広がるは草原、見上げれば青空。そして隣には最も大事な人

 

「ちょっと〜私もいるんだからね!」

 

藤丸が不満そうに声を漏らす。しかし、何にもないな街もなければ川もない。ヨーロッパのどこかではあろうが、建物が少なすぎてわからない。

 

「大神さん、ウシワカさんがいません。」

 

「なに?」

 

「あー!!ほんとだ。あのヘンテコ人間いないじゃん!」

 

レイシフトに失敗したか?いやそんな、あいつだけ失敗とも思えない。

 

『あー、あー、聞こえてるかな藤丸くん。』

 

「はいはーい、聞こえてまーす。ウシワカくんがいません。」

 

『やっぱりかぁ、大丈夫レイシフト自体は成功している。多分どこかで座標がずれたんだろう。位置情報が送られてくるまで、君たちはその辺りを探索してくれ。』

 

「了解」

 

俺たちは、サーヴァントが転送されるまでの間にある程度探索をすることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

周りは大理石、見上げれば天井。うん、室内だね、

 

「あれ、ミーだけ?みんなとは、はぐれてしまったみたいだね。」

 

まずは、状況把握からだね。耳を澄ましと、人の声が聞こえてくる。片方は泣きわめくような男の声、もう片方は、高らかに笑う少女の声。

 

こっそりと様子を伺う。周りの装飾から察するに少女の方がサーヴァントかな?時代感と国的なものを考えると、ジャンヌダルクか。

 

いやだが、あれは黒すぎるね。

 

「とりあえず、様子見かな」

 




一気に出した方がいいのか細かく刻んだ方がいいのか?


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