死を乗り越えた元霊界探偵が幻想入り (タミ)
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第1話 激闘のその先!魔界統一トーナメント終了、そして…

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
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お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。


「浦飯!浦飯!浦飯!浦飯!」

 

「黄泉!黄泉!黄泉!黄泉!」

 

スタジアムに選手の名前が響く。

 

個性的な格好をした者たちは浦飯、と叫び、また、同じ灰色の格好をした集団は黄泉、と叫んでいる。

 

 

 

「おおおおおお!!」

 

「はあああああ!!」

 

場所は変わって、荒野。ここで目を閉じた耳が3つある男と整髪料で固めたリーゼント風のオールバックが特徴的な少年が激しい殴り合いを繰り広げている。

 

2人は、互いの信念をかけた拳で相手の頰を殴る。

 

「ぐっ……」

 

「があっ……」

 

2人はそのまま力を使い果たし、倒れこむ。

 

「パパーーー!!!」

 

しかし、耳が3つある男だけは、黄泉、と叫んでいた子供の声に後押しされるようにその場に踏みとどまった。

 

一方、オールバックの少年は地面に倒れ伏して、意識を手放してしまった。

 

「ワン……!ツー……!スリー……!フォー……!」

 

朦朧とする意識のなかで、少年はカウントの声を耳にする。

 

「うっ、くっ……」

 

少年はなんとか立ち上がろうともがく。

 

「ファイブ……!シックス……!セブン……!エイト……!ナイン……!」

 

「ぬうぁぁぁぁ!!!」

 

少年は残る全ての力で起き上がる。

 

「テン!」

 

……………

 

 

「あっ、紫さま!藍さま!目を覚ましましたよ!」

 

「あ……?何処だここ……?黄泉はどうなった……?大会は……?」

 

少年、浦飯幽助は見覚えのない畳の部屋で目を覚ました。

 

真っ先に幽助の目に入ってきたのは、こちらを見つめる猫耳が生えた幼女の姿だ。

 

「誰だお前……?」

 

「私橙!ただの橙!」

 

橙は短くそう返す。

 

すると、襖が開き、2人の女性が入ってくる。

 

「目を覚ましたみたいね浦飯幽助。疲れてるでしょ?まあ60時間も戦ってたんだからそりゃそうか。怪我は完治したけど疲労はとれてないだろうからまだじっとしてた方がいいわよ。」

 

「なんだてめー……?なんで俺の名前知ってやがる?」

 

幽助は訝しげに紫の服の女性を睨みつける。

 

「おい、紫さまに無礼な口を聞くな。」

 

すると、紫の女性の隣にいた狐の尻尾を9本持った女性が幽助を咎める。

 

「あ?知るかよそんなの。てめえの勝手だろケモミミ女。……いや、妖気が出てるからおめーら妖怪だな?」

 

幽助は上半身を起こして2人を再度睨みつける。

 

「そうよ。流石闘神雷禅の息子ね。聞かれる前に教えるけど貴方は負けたわ。黄泉にね。それと、トーナメントも終了してる。煙鬼っていう妖怪が優勝したみたいね。ちなみに、黄泉は4回戦で、躯は準決勝で煙鬼に負けてるわ。」

 

「(オヤジの喧嘩仲間の……)そうか。俺は負けちまったのか。それで、俺もそれとは別に聞きてーことがたくさんあるんだけどよ。おい紫女。ここは何処だ。」

 

幽助はジト目で紫の女性を見つめる。

 

「順番に答えていきましょうか。ここは幻想郷。貴方がさっきまでいた魔界とは違う世界よ。」

 

「違うってどうゆうことだよ?じゃあここは人間界か霊界のどっちかなのか?」

 

「んー、まあ人間界には近いわね。」

 

紫の女性は顎に人差し指を当てながらそう答える。

 

それを聞いて、幽助はふうっ、と一息ついて、

 

「だったら都合がいいぜ。トーナメントも終わっちまったんなら、一旦人間界に戻んなきゃいけなかったからな。約束してんだ。じゃあな。俺は帰らせてもらうぜ。」

 

幽助は起き上がって側に置いてあった薄い水色の上着を羽織って靴を履いてその家を後にする。

 

「あっ、おい待て!お前にはやってもらわなきゃならないことが……!」

 

九尾の女性が幽助を引き止めようとするが、紫の女性がそれを制止する。

 

「いいのよ。彼、どのみちここからは私の力がないと帰れないんだし。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふー、参ったな。完全にど田舎じゃねえか。地図かなんかがありゃあなぁ。ぼたんもコエンマもまだ魔界にいるんだろうし、連絡とれねえもんかなぁ。」

 

幽助はポケットに手を突っ込んで持ち合わせていたタバコに火をつける。

 

「おっ、家だな。ちょうどいいや。ごめんくださーい!皿屋敷中ってここらへんにありますかー?」

 

幽助は家の前でそう叫ぶ。

 

「あら、おかえり。早かったわね。」

 

すると、縁側から見覚えのある人物が声をかけてきた。

 

「なっ、おめー、いつのまに先回りしやがったんだ?!」

 

「先回りもなにも、ここが私の住処なんだから。」

 

「はぁ?!んなわけねーだろ?!」

 

「実際そうなのよ。私が結界を張ってるからここからは私の力がないと出られないし。結界までたどり着くと強制的に反対側に飛ばされるから永遠に出られないわ。……そうね、ものすごく小さな星にいる、と考えてくれればいいわ。」

 

「………!!」

 

幽助は言葉を詰まらせてしまう。

 

「てめー、何もんだ……?魔界の妖怪じゃねえな?!」

 

「そうよ。私は八雲紫。幻想郷の賢者の1人。そして、私の式神の藍とその式神の橙。」

 

紫が自己紹介していると、その両サイドに藍と橙が現れる。

 

「賢者ねぇ。じゃあお前、結構年取ってんだな。ババアじゃねえか。」

 

「バッ………!きっ、貴様!紫さまになんて口を!」

 

藍が幽助を粛清しようと前に出るが、紫が再度制止する。

 

「結局ババアじゃねえか。まあ安心しろよ。人間にも若くなれるばーさんはいるからな。まぁ、今はもう死んじまってるかもな。」

 

「おい、フォローになってないぞ貴様!」

 

藍は幽助を怒鳴りつける。

 

「それで、どうやったら帰してくれるんだよ?まあ、てめーをぶっ倒せば余裕だろうがな。」

 

幽助は妖気を高めていく。

 

それを見て、紫は小さくため息をついて、

 

「なら、これから連れて来る人に勝てば、帰してあげてもいいわよ?」

 

「ゆっ、紫さま?!」

 

藍は慌てるが、

 

「いいのよ。今の彼じゃどうあがいても霊夢には勝てないわ。」

 

「そうじゃなくて、あの男が死んでしまいます!」

 

「バカねえ。それくらい分かってるわよ。霊夢も手加減くらいできるでしょうし。それに、霊夢に負けて死ぬんじゃあ、悪いけど戦力になれないわ。」

 

紫と藍が話していると、

 

「おい、ベラベラ喋ってねーでとっととその霊夢ってやつを連れて来やがれ!俺は急いでんだよ!」

 

「はいはい。わかったわかった。霊夢!」

 

紫が一回り大きな声で声を発すると、屋敷の奥から誰かが歩いてくる。

 

「あー、なに?私が呼ばれたってことは交渉決裂?」

 

赤い巫女服の少女、博麗霊夢は首を回しながら地面に降り立つ。

 

「まあ、当初の予定通り彼と戦ってちょうだいな。殺さない程度にね。」

 

「はいはい。そこまで強くなさそうねぇ。悟空の足元にも及ばないじゃない。」

 

霊夢がやれやれといった感じで準備運動をしていると、幽助が訝しげに霊夢を見つめる。

 

そして、妖気を解放し、霊夢を睨む。

 

「俺のこと弱いとか言ってるけどよ、魔界じゃそこそこ名が知られてるんだぜ?」

 

「そう?だとしたらあんたの居た魔界ってのは大したことないのね。」

 

霊夢は幽助を挑発する。

 

「へっ、言うじゃねえかてめえ……」

 

(あの霊夢ってのの力は今は入魔洞窟で戦ったときの銃使う仙水くらいしかねえ。だとしたらフルパワーは飛影くらいか?)

 

幽助は冷静にそう思案する。しかし、この時の行動を幽助は後悔するだろう。

 

霊夢は足を肩幅に開いて、

 

「はっ!!」

 

霊気を解放する。

 

直後、霊夢を中心にクレーターが出現し、石つぶてが飛散する。

 

「なっ………?!」

 

幽助は霊夢の気の上がり具合に目を見開いた。それもそのはずだ。彼女の気は幽助が今までで戦った一番強い霊気使いである仙水、それも忍となった仙水とは比べものにならないほど上がっていたのだから。

 

(……くそっ、純粋な気のエネルギーなら黄泉とか躯が可愛いくらいだ……!)

 

「お前、本当に人間か?」

 

幽助は霊夢を睨んでそう言う。

 

「悪いわね。正真正銘の人間様よ。」

 

霊夢はキッと幽助を見つめたまま表情を変えずにそう答える。

 

「おいばーさん!」

 

幽助は紫を呼ぼうとそう叫ぶ。

 

「おい!紫さまをそんな呼び方で呼ぶな!」

 

「ま、まあいいわ。なに?」

 

怒る藍を宥め、紫は幽助に尋ねる。

 

「こいつ、ここではどのくらい強いんだ?」

 

「そうね……上から2番目くらい?」

 

「はッ……冗談きついぜおい……!!こんな奴の更に上がいんのかよ……?!」

 

幽助はそうぼやいてから地面を蹴って霊夢に突撃する。

 

そして、霊夢の顔面に向けて鋭いパンチを繰り出す。

 

が、霊夢にはあっさり止められてしまった。

 

「ちっ……!」

 

「今度はこっちの番よ……」

 

霊夢は掴んだ幽助の腕を引っ張り、ついてきた幽助の腹部に空いた手でパンチを繰り出す。

 

「がっは……!!」

 

幽助の肺から空気が全て押し出され、幽助は後方に吹き飛ばされる。

 

幽助の体は木々をなぎ倒しながらどんどん進んでいく。

 

「ねえ紫。これで十分でしょ?、つーか、あの幽助っての、使いもんになるわけ?」

 

「あら、油断は禁物よ霊夢?後ろをよく見てみなさいな。」

 

紫に促されるまま、霊夢は幽助が吹き飛ばされた方を再度確認すると、

 

「ってて……、やるじゃねーか……!口切ったぜ……」

 

「………まあ、あれくらいで死んでもらっちゃあこっちが困るのよね。ほら、早くかかって来なさいな。」

 

霊夢は再度構える。

 

「喰らいやがれ……、フルパワーの霊丸だ……!!」

 

幽助は足を片足分下げて、踏ん張る体制を整えてから、右手の人差し指を霊夢に向ける。

 

直後、幽助の人差し指からバチバチと閃光が電流のように迸り始める。

 

「霊丸!!」

 

幽助は霊気を解き放ち、霊夢に霊丸を発射する。

 

「……」

 

霊夢はおもむろに左手を突き出す。

 

霊丸は霊夢を飲み込み、大爆発を起こす。

 

「へっ……ざまぁみやがれ……!」

 

幽助は額の汗を拭う。

 

しかし、爆煙の中から出てきたものに幽助は目を疑った。

 

「今の技は凄かったわ。紫に見込まれただけはあるわね。」

 

「……ふざけんなよな……!?」

 

幽助は薄ら笑いを浮かべ、霊夢を睨みつける。

 

「でもあの程度なら……!」

 

霊夢は左手の人差し指を幽助に向ける。

 

「霊丸!」

 

そして、幽助が先程放った霊丸より一回り小さい霊丸を放つ。

 

「ちっ!!」

 

幽助はとっさに左に飛びのく。

 

「霊気をそのまま放出するのではなく、互いが互いを侵食するように練っていき、放出する……。こんなものでしょう?」

 

霊夢は指先から立ち上る煙を吹き消しながら言う。

 

「これでわかったでしょ?さっさと降参しなさい。あんたにはやってほしいことがあるのよ。」

 

「ふざけんな……!まだ終わってねえよ……!!」

 

幽助は再度気を高める。

 

「おい浦飯!お前にはもう勝ち目はないぞ!潔く降参したほうが身のためだ!」

 

藍も幽助を怒鳴りつけるが、

 

「いや、まだ俺には勝機があんだよ……!!」

 

「あら、苦し紛れの見栄っ張りは見苦しいわよ?」

 

霊夢は幽助に言うが、

 

「てめーらは理由は知らんが俺を殺すわけにはいかないらしいじゃねーか。だったら否が応でも手加減しなきゃいけねえだろ?ならそこに勝ち目があんだろうが!」

 

幽助が再度構えた瞬間、紫から拍手が送られた。

 

「流石ね浦飯幽助。その目は闘神雷禅にそっくりよ。」

 

「……なら俺は合格ってことか?」

 

幽助はゆっくり紫に問う。

 

それを聞いた瞬間、紫の表情が一瞬で強張る。

 

「あら、わかってたの?いつから?」

 

「てめーら、俺が必要だ、とかやってもらわなきゃいけないことがある、だとか言ってただろうが。」

 

幽助はゆっくり語り始める。

 

「こんなことするんだったらある程度の実力が必要なんだろ?それに俺は合格したってわけだ。」

 

「お見事。まさかそこまで見破られるとは思ってなかったわ。」

 

紫は素直に幽助を賞賛する。

 

「……それでも勝負には負けてた。本当ならてめーを今からぶん殴って無理にでも俺を元の世界に戻してもらおうと思ってたが……、そういうルールだったからな。霊夢に勝ったら帰れるって。」

 

幽助は臨戦態勢を解く。

 

「ご理解感謝するわ。本当に、ありがとう。それで、貴方にはとある異変を解決してほしいの。」

 

「異変、ってなんだよ?」

 

幽助は紫に問う。

 

「平たく言うとこの幻想郷に起こる異常事態、ってとこかしらね?」

 

紫の代わりに霊夢が答える。

 

「なるほどな……、それで、異常事態って、具体的にどうなってんだよ?」

 

「ええ。今幻想郷には、燼魔(じんま)と呼ばれる怪物が出現しているの。妖怪でも神でもない、生きている"何か"……、彼らは神出鬼没、狂瀾怒濤、紫電一閃、鎧袖一触、大逆無道、一騎当千、焼肉定食……。」

 

「紫さま、焼肉定食は違うと思いますが……。というか、適当に四字熟語並べただけじゃないですか……」

 

藍は小首を傾げて、目を細めながら紫に言う。

 

「そ、そうだったわね。こほん。そいつらはいつも群れで攻めてくるの。それも一箇所だけをね。」

 

「あ?それがなんか問題なのかよ?そこの一箇所に強いヤツ集めてぶっ飛ばしゃあいいだろうが。」

 

幽助は首を回しながら紫に問う。

 

「大問題よ。ここは沢山の組織、派閥があるの。吸血鬼、幽霊、地の底に住む妖怪、天界に住む天人たち……、その人たちのところに毎回一箇所だけ攻撃を喰らったら……、自分たち以外の誰かの差し金、と考えない?」

 

「……なるほどな。」

 

「もう既に幻想郷の住人たちはほぼ全員が疑心暗鬼になってそれぞれの住処に閉じこもってから音沙汰なしよ。組織を持たない者たちのごく少数は動き出してるみたいね。私の友人や、幻想郷最強の人物。」

 

「(最強……。ってことは霊夢より強い野郎か。)それで、なんで俺が必要なのか、ってのはまだ聞いてないぜ。さっさと答えろよ。」

 

「そうね……。燼魔の最も厄介な点、それは霊気による攻撃でしか致命傷を与えられないのよ。」

 

「つまり、霊気を使わないとそいつらは倒せねえと。」

 

「ええ。本来なら昔私たちを救ってくれたとあるサイヤ人にまたお願いするところだったんだけれど……生憎彼は霊気を使えないからね……。今この幻想郷には霊夢を除いて貴方を超える霊気使いは存在しないわ。」

 

「そうか。ならその燼魔ってのを倒せばいいんだな。」

 

「ええ。それも、なんだけど」

 

「?」

 

「燼魔の攻撃には規則性があるのよ。前回の襲撃からぴったり1日後、とか2日後、とかね。これには裏で操っている者の存在は否めないわ。貴方と霊夢には、その裏で操っている者との戦闘、及び無力化をお願いするわ。……実は、心当たりがあるのよ。」

 

紫は頭を下げたあと、表情を強張らせながら言う。

 

「心当たり……、何なの?紫。」

 

霊夢は真剣な表情で紫に問う。

 

「ええ。霊夢にはまだ言ってなかったわね。霊奈との戦いを覚えてる?」

 

紫の問いに、霊夢はええ、と答える。

 

「そこで、悟空が龍神さまの気を借りて復活したあとで、幻想郷の人々を逃している途中、気になる人がいてね……。お面をつけた橙より少し高いくらいの身長の女……。それに背負われているローブで全身が覆い隠された女……。彼女には何かを繋ぎ止める為のベルトのようなものが付いていたわ。(世界を救ったサイヤ人が幻想入り第86話参照)」

 

紫は目を閉じて、あの時の情景を思い出す。

 

ーーー「大丈夫。」

 

お面の少女の一言を思い出し、紫は思わず身震いする。

 

「まだ犯人である、という断定は出来ないのだけれど、重要参考人レベルの人物よ。見つけたら捕らえてもらえる?」

 

「わかった。見つけたらとっ捕まえるわ。」

 

霊夢は大幣を握る手に力を込める。

 

「とりあえず、黒幕を倒すにはやはりみんなの協力が不可欠よ。だから、まずは幻想郷の人々の疑心を解いて、協力してもらえるように頼んで。また霊奈のような大事になると思うの。私たちだけじゃあ敵わない可能性も大いにあり得るわ。」

 

「よし。わかった。じゃあレミリアとか片っ端からあたってみるわ。ほら、幽助、行くわよ。」

 

霊夢はそう言って幽助の腕を掴む。

 

「え、いや、おい、離せよ!」

 

霊夢は知らんぷりして幽助を連れたまま紫が地面に開けたスキマに飛び込んでいった。

 

「………頼んだわよ、2人とも。」

 

紫はスキマに向けてそう零した。

 

こうして、魔族の血を引く元霊界探偵の、幻想の物語が、幕を開けたのである……




いかがでしたか?第1話は以上です。

〜〜〜次回予告〜〜〜
「霊夢のやつ、協力してもらうったって当てはあんのかよ?あぁ?吸血鬼の館に行く?なんだそりゃ。まぁとにかく戦うんだろ?」
「そうよ。あいつら相手に負けるんならそれこそ拍子抜けよ。あんたの実力見せてちょうだい!」
「野郎……っ!まぁ見てやがれ、オレがちゃっちゃとやってやるよ!
次回、「出撃、スカーレット・デビル!」
伊達にあの世は見てねぇぜ!」


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第2話 出撃、スカーレット・デビル!

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
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お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。

魔界統一トーナメントに敗れた浦飯幽助は、幻想郷の賢者、八雲紫の手により幻想郷へと飛ばされてしまう。勝手に連れて来させられて協力してほしい、と言われ、当然幽助は拒否。元の世界へ帰る条件として、幽助は霊夢と戦うが、その実力差は圧倒的だった。仕方なく霊夢たちに協力する幽助だったが……


長閑な博麗神社。ここでは時間が止まったように幻想郷の東の端に佇んでいる。

 

すると、何者かが、境内の石の部分に落下してくる。

 

「いってーっ!!」

 

高いところから、寧ろ空から落っこちてきた幽助は、盛大に頭をぶつけてしまった。

 

それに比べ、霊夢は慣れているのか、華麗にスタッと着地していた。

 

「おいこら!オレは客だぞ?!もっと丁重に扱いやがれ!」

 

「偉そうな客ね。サービスする気も起きないわ。」

 

「んだとぉ?!」

 

腹を立てた幽助が霊夢に突っかかるが、霊夢は軽く受け流し、更に幽助は腹を立てる。

 

「ったく、気分悪りぃぜ。」

 

幽助は懐からタバコを取り出し咥え、ライターで火をつける。

 

そして、煙を吐き出して、落ち着いたのか霊夢に問う。

 

「それで、まず誰んとこ行くんだ?さっき言ってたレミリアって野郎のとこか?」

 

「レミリアは男じゃないわよ。答えを言うとyesね。ほら、見て。」

 

すると霊夢は、神社の鳥居の奥の方を指差した。

 

すると、鳥居の奥に、紅い雲のようなものが漂っているのが見えた。

 

「なんじゃありゃ。雲か?魔界にもあんなの無いぜ?」

 

「あれは雲じゃなくて霧よ。あそこの真ん中らへんに紅い館があるでしょ?」

 

霊夢にそう言われ、幽助が目を凝らして見てみると、たしかに紅い館が存在していた。

 

「あれがそのレミリアってやつの家か?よし、じゃあ早速行ってぶん殴ってやるか。」

 

「待 た ん か !!」

 

幽助がさっさと行こうとするが、霊夢が幽助の耳を引っ張って止める。

 

「いっててて!んだよ!離せ!」

 

「あんた、あの霧がどんなのか知らないでしょうが!」

 

「んなもん知ってなんかなんのかよ?」

 

「なるから言ってんでしょうが間抜け!」

 

「あぁ?!」

 

「おぉ?!」

 

霊夢と幽助の雰囲気はどんどん悪くなっていく。

 

「……はぁ。怒鳴るだけ時間の無駄ね。ほら、行くわよ。空は飛べる?」

 

「ん、まあな。ってか、さも当たり前のように言うなよな……」

 

幽助はそれだけ零して霊夢の後を追っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見えたわ。あれよ。」

 

霊夢が指差す方に、確かに真っ赤な館が不気味に佇んでいた。

 

「気味悪い館だな……垂金の屋敷より趣味悪いぜ……」

 

「タルカネって誰よ。」

 

「いや、こっちの話だ。」

 

「……?まあいいわ。降りるわよ。」

 

そう言って霊夢は下降を始める。

 

幽助もそれに続いて降りていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん、懐かしいお方ですね、霊夢さん。」

 

霊夢と幽助が地面に降り立つと、館の門に立っていた女性は珍しいものを見た、という感じで霊夢たちを見つめる。

 

「久しぶりね美鈴。元気してた?」

 

「ええ、まぁ。おかげさまで。」

 

霊夢と美鈴、と呼ばれた女性は思い出話に花を咲かせはじめるが、霊夢と話をしてる人物が何者なのかさっぱりわからないため、頭に疑問符を浮かべたまま立っていた。

 

「おい、誰だお前は。霊夢だけで話を進めんなよ。」

 

幽助は痺れを切らしたのか、2人に問いかける。

 

「あ、ごめんなさい。私は紅美鈴。この館の主人、レミリア・スカーレットお嬢様に仕える者です。」

 

美鈴と名乗った女性は丁寧に自己紹介する。

 

「そうか。なら話が早いぜ。お前のご主人様のとこへ案内しろ。」

 

「うーん、そうしたいのはやまやまなんですが、私も一応お嬢様の命令には従わないといけないんです。サボったら咲夜さんからナイフが飛んでくるし……」

 

美鈴は譲らない。

 

「私からも頼むわ。燼魔を倒すにはみんなの協力が必要なのよ。」

 

霊夢からも頼むが、美鈴は首を縦には振ってくれない。

 

「ああ、じれってえな!さっさとこいつぶっ飛ばして中に入ろうぜ!」

 

幽助は臨戦態勢に入り美鈴を睨みつける。

 

「待ちなさい幽助。あれはああ見えて物凄く強いわよ。私でも結構苦労するんだから。」

 

すると、霊夢が幽助の前に割って入る。

 

「何が言いたいんだよ?」

 

「つまり、あいつは私に任せて、レミリアんとこ行きなさいってことよ。」

 

霊夢はお祓い棒を取り出す。

 

「そうか。さっさとそう言ってくれればいいのによ。」

 

幽助は臨戦態勢を解く。

 

「なんでどっちかが入れる話になってるんですか?お二人とも入れられませんよ!」

 

美鈴も構える。

 

「悪いわね美鈴。あんたの相手は私よ。」

 

霊夢は踏み込んだかと思うと、一瞬で美鈴の左隣に移動し、美鈴を蹴りつける。

 

「うわっ?!」

 

美鈴は右側に吹っ飛ばされてしまう。

 

そして、地面を削って土埃をあげながら転がっていった。

 

「確か四年前こんな感じで蹴っ飛ばしてくれたわよね……」

 

霊夢は右肩を回しながら言う。

 

「ほら、さっさと行く!」

 

霊夢は幽助を急かす。

 

「あ、ああ。」

 

幽助は言われるまま美鈴が先ほど立っていた門を開く。

 

門はぎいい、と重苦しい音を立てて開いていく。

 

幽助はそのまま中へ入っていった。

 

 

 

 

「あいててて……。四年前って、霊夢さん、結構根に持つタイプなんですか?」

 

幽助が館に入った後、美鈴が霊夢に蹴られた左腕を抑えながら戻ってくる。

 

「まぁね。さぁ、四年前は悟空だったけど、今度は私が相手よ。」

 

霊夢はお祓い棒を美鈴に向けてそう言う。

 

「私は四年前とは違いますよ、霊夢さん……!」

 

美鈴も構えて透明なオーラを纏う。

 

 

 

 

 

 

 

 

「見れば見る程目が痛くなる館だな……」

 

幽助はポケットに手を突っ込みながら中庭を進んでいた。

 

「ようこそ。我が紅魔館へ。」

 

「?」

 

すると、館の正面玄関から何者かの声がする。

 

「見ない顔ね。外から来たのかしら?」

 

「外以外から来るわけないだろ。」

 

「違うわ。お前はここの住人じゃない、という意味よ。」

 

出てきた子供のような風貌の女性は幽助に恫喝的に言う。

 

「ん、まあな。」

 

幽助はポケットに手を突っ込んだまま答える。

 

「霊夢といっしょに来たみたいだけど、霊夢は今美鈴に手一杯みたいね。」

 

「………」

 

幽助は沈黙を返す。

 

「ウチの面子は美鈴だけじゃないのよね。」

 

少女がそう言った瞬間、彼女の両隣に合計4人の女性が現れる。

 

「私の部下と、友人と、妹よ。まぁ、このまま5人がかりでってのはアンフェアだからね。」

 

「けほっ、けほ、っ…。どうでもいいから早く終わらせてちょうだい、レミィ。早く本を読みたいんだから……」

 

紫髮の女性、パチュリー・ノーレッジは手を口に当てて咳き込みながら真ん中の少女に言う。

 

「あ、あの、パチェ?ここはカッコつけるとこなんだから、ちょっと黙っててちょうだいよ。」

 

レミィと呼ばれた少女、レミリア・スカーレットは顔を引きつらせながら幽助に表情をなるべく悟られないようにパチュリーに言う。

 

「もう……」

 

パチュリーは頰を膨らませながらため息を吐いた。

 

「パチュリーさまぁ……、まだ眠いです……」

 

パチュリーの隣にいる羽を生やした赤髪の女性、小悪魔は小さなあくびをしながらパチュリーに言う。

 

「仕方ないわ。私たちにレミィのわがままを止められたことが今まである?」

 

パチュリーは半分諦め気味に答える。

 

「…………」

 

幽助は言葉も出ず、5人のやり取りをただ見つめていた。

 

「お、お嬢様、彼、待ってますけど……」

 

今度はメイド服を来た銀髪の女性、十六夜咲夜がレミリアに耳打ちする。

 

「え"っ」

 

レミリアははっとして幽助を方を見ると、そこには半分呆れ気味にぶすくれた幽助がいた。

 

「………、ま、まぁ、というわけで、この中の1人が貴方の相手をするわ。」

 

「………で、その相手ってのは決まってんのか?」

 

「あ、いや、それは……」

 

幽助の問いに、レミリアは言葉を詰まらせてしまう。

 

三択の運試し(じゃんけん)でこれから決めるのよ!」

 

「お姉様……」

 

レミリアの隣にいる金髪の少女、フランドール・スカーレットは額に手を当て、やれやれと言った感じでレミリアを見る。

 

「そ、それじゃあ………、じゃーん、けーん、」

 

「「「「「ポン!」」」」」

 

仕方なくじゃんけんに付き合った咲夜たち。

 

結果は、レミリア、フラン以外がチョキ、レミリア、フランがパーだ。

 

「嘘っ?!」

 

フランは声を荒げる。

 

「もっかいよフラン!じゃんけん、」

 

「「ポン!」」

 

勝負は一回でついた。レミリアがグー、フランがチョキである。

 

「えーっ?!私がやるの?」

 

フランは不満げに言う。

 

「お願いフラン!300円あげるから!」

 

レミリアはパン、と手を合わせてフランに頼み込む。

 

フランははあっ、と息を吐いて、

 

「仕方ないなぁ。パフェも奢ってよ?」

 

「わかった、約束するから!」

 

フランはまだ不満そうだが、首を左右に振って、ゆっくりと幽助の前まで歩み寄る。

 

「そういうわけだからお兄さん、よろしくね!」

 

「ああ。待ちくたびれたぜ。」

 

フランが臨戦態勢に入ると同時に、幽助も構える。

 

「そういえばさ、お兄さん人間じゃないのね。」

 

「ああ。よくわかったな。お前も人間じゃないんだろ?妖怪か?その羽見ればわかるぜ。」

 

「うん、私吸血鬼だもん。」

 

フランは自信ありげに答える。

 

「じゃあ行くよ?!」

 

フランはそう言って地面を蹴り幽助に向かっていく。

 

禁忌「クランベリートラップ」

 

フランはいきなりスペルを宣言し、弾幕を作り出す。

 

「っ!!」

 

幽助も始めて見る弾幕に一瞬気をとられるが、すぐさま立て直し、弾幕の速度を超えるスピードで弾幕を避ける。

 

「面白い技じゃねーか……」

 

幽助はそう言って右手を構えて、銃の形にして、人差し指に霊気を練っていく。

 

「霊丸っ!!」

 

そして、霊気を解き放ち、霊丸を放つ。

 

「!!」

 

フランは技を放った直後の油断か、反応出来ずにまともに霊丸を食らってしまう。

 

霊丸は炸裂し、小さなドーム状の爆発が起こる。

 

「………」

 

幽助は警戒を解かずに霊気のドームを見つめている。

 

その時、突如ドームに大穴が4つ開き、そこから人影が飛び出してくる。

 

禁忌「フォーオブアカインド」

 

それは、スペル、フォーオブアカインドで分身した4人のフランであった。

 

「分身しやがった……!!朱雀には満たねーが……!」

 

幽助は一瞬気をとられてしまうが、すぐにフランたちに向き直し、右手の拳を握りしめて、腰のあたりに構える。

 

そして、霊気を溜めていき、

 

「ショットガン!!」

 

ショットガンを放つ。

 

が、4人のフランは軽々避けていく。

 

「いい威力だけど、当たらなきゃ意味ないよ!」

 

禁弾「スターボウブレイク」

禁弾「スターボウブレイク」

禁弾「スターボウブレイク」

禁弾「スターボウブレイク」

 

4人のフランは幽助のショットガンを避けきった後、一斉にスペルを宣言する。

 

「ちっ!!」

 

先程放ってきた弾幕の約4倍の量の弾幕が幽助を襲う。

 

幽助は両手に霊気を纏わせて、向かってくる弾幕を弾き飛ばし始める。

 

弾かれた弾幕は四方八方に飛び散り、紅魔館の敷地を抉っていく。

 

「あわわ……。せっかく直したのに……」

 

レミリアは肩を落としながら2人の戦いを見ている。

 

「お嬢様が妹様に戦わせたんじゃないですか……」

 

咲夜は苦笑いを浮かべながらレミリアを見る。

 

「………ふぃーっ……」

 

弾幕を弾ききった幽助は一息つく。

 

「すごーい!お兄さん!あれを凌ぎきるなんてさ!」

 

「お前、凄いのは量だけで威力もスピードも最初のよか落ちてるじゃねーか!それも本当に分身、全部4分の1になってるぜ?」

 

「うぐ、またバレた……」

 

見破られたフランがガックシと肩を落とす。

 

しかし、再び自信ありげな表情を浮かべ、4人のフランはスペルカードを持つ。

 

「……?何する気だあいつ……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあっ、はあっ、はあっ……」

 

「ふー、ふー、ふー……、」

 

一方、霊夢と美鈴は霧の湖の上で激戦を繰り広げていた。

 

「やりますね霊夢さん……、私、結構特訓したと思うんですけどね。互角とは……」

 

「霊奈の異変が終わってからは、誰よりも特訓はしたとは思うわ。もちろん、あんたよりも。でも、それでもあんたや魔理沙には勝つに至らないのね……」

 

霊夢たちは荒くなった息を整えながら会話する。

 

そして、キッとお互いを睨みつけ、再び構える。

 

神気霊「夢想封印 波」

 

「夢想封印っ!!!」

 

霊夢は右手から霊気のレーザーを放つ。

 

「かめはめ……波ぁぁーーっ!!!」

 

美鈴もかめはめ波め対抗する。

 

2つのエネルギー波はぶつかり合って、稲妻が迸る。

 

「………!!」

「………っ……ぎぎ……!!」

 

瞬間、エネルギー波は耐えきれず、大爆発を起こす。

 

バックステップで距離をとった霊夢の側に、美鈴が瞬間移動してくる。

 

「はっ!!」

 

美鈴は右手でパンチを放つ。

 

美鈴の拳は空を切り、霊夢に直撃する、はずだったのだが、

 

「………勝負を決めてくるなら瞬間移動からの強襲しか無いと思ってたからね。」

 

霊夢は左手で美鈴の拳を受け止めていた。

 

「!!」

 

「私の、勝ちよ!!」

 

宝具「陰陽鬼神玉」

 

霊夢は空いた右手で美鈴の腹部に陰陽玉状の霊気をぶつけ、炸裂させた。

 

「がっ………は……」

 

美鈴は肺の空気が全て押し出されたような感覚に陥り、そのまま地面に向かって落下していく。

 

しかし、霊夢は落ちそうになった美鈴の手を掴んだ。

 

「……まさか、見切られていたなんて思ってませんでしたよ……」

 

あはは、と美鈴は苦笑いを零す。

 

「あんたが素直すぎるからよ。……いい勝負だったわ。機会があったら、またやりましょ。」

 

「……喜んで。」

 

美鈴は霊夢に笑みを返す。

 

「それにしても……、幽助のやつ、なにやってんのかしら。戦ってるみたいだけど。」

 

「……妹様の気が激しく上下してます。おそらく、妹様と戦ってるのかと。」

 

「へぇ。あんた誰が戦ってるのかもわかるの?便利ねぇ。」

 

「ええ、まぁ。それより、早く紅魔館に戻りましょう。」

 

重い体に鞭を打って、美鈴は戻ろうとするが、

 

「ほら、無茶しないの。肩貸すから、来なさい。」

 

霊夢に叱責され、美鈴は霊夢の肩を借りて、ゆっくり戻り始める。

 

「すいません、霊夢さん……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが私の切り札よ、お兄さん!」

 

禁忌「フォーオブアカインド」

禁忌「フォーオブアカインド」

禁忌「フォーオブアカインド」

禁忌「フォーオブアカインド」

 

なんと、フランは4人同時にフォーオブアカインドを発動させ、合計16人に分身した。

 

「んな?!」

 

流石の幽助もこれには目を奪われてしまう。

 

「押して、押して、押しきる!これぞ、吸血鬼の極意よ!」

 

16人になったフランは一斉に喋り出す。

 

「フラーン?!そんな極意教えた覚えはないわよー?!」

 

レミリアは困惑した顔でフランに叫ぶ。

 

「さあ、第二ラウンド、始めましょ!!」




いかがでしたか?第2話は以上です。

〜〜〜次回予告〜〜〜
「おいおい!フランのやつ朱雀より量が多くなっちまったぞ?!」
「落ち着きなさい。これでフランのパワーは16分の1になっている筈。勝機はそこよ!」
「やるしかねーか……!よしかかってこいフラン!
次回、「奥義激突!十六人のフラン!」
伊達にあの世は見てねーぜ!」


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第3話 奥義激突!十六人のフラン!

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
都合によって変わる設定

お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。

燼魔撃破の仲間集めのため、紅魔館にやってきた霊夢と幽助。やはり紫の言う通り、幻想郷の人々は全員疑心暗鬼になっているようだ。どうにか話を聞いてもらうため、霊夢は美鈴と、幽助はフランと激突する。激戦の末、美鈴を撃破した霊夢だったが、幽助は16人に分身したフランと対峙していた……。はたして、幽助は分身したフラン相手に勝つことができるのか?!


「さあ、決着つけましょう!!」

 

フランたちは揃って幽助に叫ぶ。

 

「上等だぜ……、かかってきやがれ!!」

 

幽助も構えて、再び臨戦態勢をとる。

 

禁忌「レーヴァテイン」×15

 

フランたちは一斉にレーヴァテインを宣言し、剣を取り出す。

 

そして、一斉に幽助に向かっていく。

 

フランたちは幽助の目の前まできた瞬間、幽助に向かって剣を乱雑に振り回す。

 

「ちっ!」

 

幽助も15の剣が一斉に向かってきているにもかかわらず、なんとか避けきれている。

 

直後、2人のフランが幽助の目の前に縦に剣を振り下ろす。

 

幽助は後ろに跳びのきそれを避けるが、先程縦に剣を振り下ろしたフランたちがそれぞれ左右に体をずらした。

 

刹那、避けたフランの真後ろに剣の切っ先をこちらに向けた2人のフランがいた。

 

「はっ!!」

 

フランはそのままレーヴァテインを幽助に突き立てる。

 

「うっ!!」

 

幽助は上半身を後ろに倒し、なんとかそれを避ける。

 

幽助は上半身を後ろに倒したせいで空が見えるのだが、空からもフランが剣を構えて降りてきていた。

 

フランは落下のスピードに乗って、地面に剣を叩きつける。

 

幽助は地面を転がってそれを避けるが、周囲がやけに明るいことに違和感を感じ、明るい方へ目を向ける。

 

「これで十分にエネルギーが溜まったわ!」

 

最初にレーヴァテインを使わなかったフランが、右手を天に掲げ、巨大なエネルギー弾を作っていた。

 

そう。フランの作戦は、15人で幽助の気をそらし、残りの1人でエネルギーを溜め、幽助が油断しきった時にエネルギー弾でとどめを刺そうとしていたのだ。

 

「確かにこんなに分身したら身体能力は下がるけれど、それを数で補って、残りの私がゆっくりエネルギーを溜めていったら、1人の時の私と同じくらいになるからね!これで終わりよ、お兄さん!!」

 

フランはそう言ってエネルギー弾を放つ。

 

「くそ……っ!!」

 

幽助は咄嗟に回避しようとするが、先程までフランの猛攻を受けていたせいで、回避が間に合わず、エネルギー弾にのみこまれてしまった。

 

15人のフランは同じフラン同士なのかエネルギー弾を作っていたフランの意図がわかっていたようで、幽助が気付く前にその場から離脱しており、幽助だけが巻き込まれてしまった。

 

「エネルギー弾は少しずつ地面にめり込んでいく。

 

「………」

 

フランはエネルギー弾を見つめている。

 

すると、レーヴァテインを使っていた15人のフランがエネルギー弾を放ったフランの横に集まってくる。

 

その時、沈んでいっていたエネルギー弾が少しずつ浮き上がっていた。

 

「!!」

 

少しずつだが確実にエネルギー弾は浮き上がる。

 

「………っ!!おらぁぁーーーっ!!」

 

すると、幽助の怒号が響き、エネルギー弾は上空に吹き飛ばされた。

 

「弾き飛ばされた!!」

 

フランが喫驚の声をあげると、エネルギー弾は炸裂し、キラキラとエネルギーの礫が紅魔館に降り注いだ。

 

フランの視線が上から下、幽助の方へ移ったのち、フランは目を見開く。

 

フランが見たものは、両手が光り輝く幽助の姿であった。

 

「どうしたの?!またお得意のショットガン?そんなことしても当たらないのはどうやったって当たらないよ!4人だった時だって当たらなかったじゃない!」

 

フランは半分挑発気味に叫ぶ。

 

「だったら、片手じゃなく、両手で撃ってやるよ……!!」

 

幽助はそう言うと、上半身を後ろに倒し、腕を後ろに構える。

 

そして、上半身を元に戻し、そのまま両手を解き放つ。

 

「ショットガンッ!!!」

 

幽助の両手から霊気が溢れ出し、フランたちに襲いかかる。

 

その量は先程放った霊気の数倍の量であった。

 

「なっ?!」

 

フランは驚いたこともあってか、全てのフランにショットガンが命中してしまった。

 

「お前が教えてくれたんだぜ?!押して押す、それが吸血鬼とやらの極意だってな!」

 

「くっ……!!」

 

 

 

「命中できないなら量を増やせばいい……。なんちゅう短絡的な思考回路してるのかしら……。」

 

咲夜は半分呆れ気味に幽助を見る。

 

「単細胞ってことなんでしょ?あれでも頭捻って考えたんだから咲夜も認めてあげなさい。それに、結果論で言えば、フランに大ダメージが入ったんだし。そうね……。あれは差し詰め……「ダブルバレル・ショットガン」ってところかしら?」

 

レミリアは目を閉じて顎に手を当てながらそう呟く。

 

「あなたのネーミングセンスのなさは相変わらずねレミィ。」

「パチェうっさい!」

「むきゅ〜……」

 

レミリアに叱責され、パチュリーは肩を落とす。

 

 

 

「とっ、とにかく1人に戻らないと……!」

 

そう言ってフランたちは1つの場所に集まってくる。

 

フランたちが元に戻ろうとした途端、幽助は地面を蹴りフランの元へ突撃する。

 

「霊光弾!!」

 

そして、フランたちが重なった瞬間にフランの腹部に幽助の霊光弾が直撃する。

 

「かっ……は……!!」

 

フランは肺から空気を全て押し出され、そのまま紅魔館に突っ込んでいき、壁をぶち抜いていく。

 

「ふいー……っ」

 

幽助は決着が着いたと確信したのか臨戦態勢を解き息を吐く。

 

「こっ、紅魔館が……」

 

レミリアはガックシと肩を落とす。

 

「どうやら終わったみたいね。」

 

するとそこに、霊夢と美鈴が帰ってくる。

 

「この感じだと、妹様、負けてしまったみたいですね。」

 

霊夢に肩を貸されながら美鈴は言う。

 

「! 霊夢か。俺が終わらせといたぜ。さぁて。おいてめー、レミリアとか言ったか。こう言うわけだ。俺たちの話、聞いてもらおうか。」

 

幽助は少し息を切らしながら言う。

 

「幽助、あんた、結構霊力を使ったわね。霊気がガクッと落ちてるわ。」

 

「そりゃフルパワーで霊丸とかショットガン撃ちまくったからな。言っとくがな!てめーに使った霊丸が1番霊気くったんだぞ?!」

 

「そんなこと私の知ったことじゃないし。……でも、あんた、なんか力が少し増してる気がするわ。紫の言ってた闘神の息子ってのも頷けるわね。」

 

「俺もよくわかんねーが、強くなってんならそれでいいや。いつかてめーをぶっとばしてやりたいと思ってたからな。」

 

幽助はそう言って霊夢を睨みつける。

 

「あっそ。あんたじゃ何年かかっても無理よ、無理。」

 

「ふんっ、いつかてめーの鼻っ面へし折ってやるぜ。」

 

幽助はポケットに手を突っ込む。

 

「いっ……たた……」

 

すると、ぶち抜かれた紅魔館からフランが腹部を抑えながら出てくる。

 

「ん、フランか。なかなかタフじゃねーか。どうする?まだやんのか?」

 

幽助は再び構えようとするが、

 

「降参、降参よお兄さん。私もフォーオブアカインドで魔力使い切っちゃった。」

 

フランは疲れた、と言わんばかりに肩を落として、ひらひらと手を振る。

 

「よっ。」

 

そして、フランはぴょんと飛び降りて地面に降り立つ。

 

「いい勝負だったよ!ありがとうお兄さん。」

 

「ん、そうか。俺も楽しかったぜ。」

 

笑顔を向けてきたフランに、幽助もぎこちなくはあるが笑顔を返す。

 

「それにしても……」

 

と、フランは切り出す。

 

「紅魔館めちゃくちゃにしちゃったね。また咲夜に怒られちゃうなぁ。」

 

フランははぁ、とため息をつく。

 

「お疲れ様、フラン。」

 

すると、レミリアがフランに歩み寄ってくる。

 

「お姉様……」

 

「凄かったわ、フラン。いつか私も追い抜かれそうね。」

 

「そうかな?まだお姉様には敵わないと思うよ。」

 

視線をそらすフランの肩に、レミリアは両手を置く。

 

「戦いは力だけじゃないわ。頭を使ったり、技で翻弄したりと、様々な要因が絡まって勝敗が決まるの。だから、あなたと浦飯幽助が再び戦ったら、今度はあなたが勝つかもね。」

 

「次勝つのも俺だけどな。」

 

聞いていたのか、幽助が口を挟む。

 

「ま、とにかくよ、ようやく本題に入れるわ。レミリア。私たちと一緒に、燼魔と戦ってちょうだい!」

 

すると、霊夢が幽助とレミリアに割って入る。

 

「嫌だ、と言ったら?」

 

「そしたら今度は私があんたと戦うわ。」

 

霊夢は言の葉に少しずつ重圧をかけていく。

 

「……」

 

レミリアは少しの間だけ黙っていたが、ふっ、と吹き出し、

 

「そもそも、私は燼魔と戦わない、と言った覚えはないわ。今回は、この男、幽助の力を推し量りたかったってのが本音。もちろん、幻想郷をめちゃくちゃにしようなんていう輩は排除したいし。」

 

レミリアは伸びをしてそう答える。直後、それで、と続ける。

 

「協力するのはいいとして、これ、どうしましょうか。」

 

レミリアはボロボロになってしまった紅魔館を見る。

 

紅魔館本体は幽助にぶち抜かれ、中庭は主にフランのせいで穴ボコだらけ。

 

「まあ、またゆっくり直していくとするわ。現場監督のウラガンキンさんにまたやってもらいましょう。」

 

「いや、それ、炭鉱の現場監督ですよねお嬢様?」

 

「ま、まぁ、それは置いといて。取り敢えず、2人とも今日は泊まっていきなさいな。ご飯くらいご馳走するわよ。館はこんなだけど……。」

 

レミリアは一瞬目から光が消えるが、すぐに元に戻って紅魔館の中へ入っていく。

 

「ん、そういえば、ぶち抜かれたあの部屋って……、しっ、しまった!!」

 

するとレミリアはなにかを思い出したのか、慌てて館の中へ走って入っていった。

 

「……ああ、そういえば、彼女に貸してた部屋ですね、あそこ。」

 

咲夜もそうか、という感じでゆっくり館に入っていく。

 

「……?」

「……?」

 

幽助と霊夢は互いに顔を見合わせて首をかしげる。

 

「まぁいいわ。取り敢えず入りましょ。お腹すいたし。」

 

霊夢は欠伸をしながら中へ入っていった。

 

「あっ、おい、待てよ霊夢!」

 

幽助もそれに続いて入っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食堂。ここでレミリア、咲夜を除く全員が揃って座っていた。

 

空席は3つ。おそらくレミリアと咲夜、そして咲夜の言う彼女であろう。

 

「いっててて……。人が気持ちよく寝てたときに、急にフランちゃんが部屋ぶち抜いてくるんだもの。びっくりしたわ!」

 

「まあまあ、幸い怪我は無かったんだから。いいじゃない。」

 

レミリアの咲夜に連れられ、ひとりの女性が入ってくる。

 

彼女は、巫女っぽい服を着用し、真っ白の髪で、見えている体中に切り傷や縫い傷があった。

 

「あー、栞お姉ちゃん、ごめんなさい。戦いに夢中になってて……」

 

「ああ、フランちゃんが謝る必要は無いよ。表でドンパチやってるのに気づかなかった私が悪いのさ。」

 

栞、と言われた女性は頭をかく。

 

「誰だあいつ、霊夢、知ってるか?」

 

幽助が霊夢の方を見ると、霊夢は目を見開いて硬直していた。

 

「もしかして、……もしかして……!栞、姉……?」

 

霊夢は消えそうな声で言う。

 

それに気づいた栞も、霊夢を見て目を見開く。

 

「おー!!霊夢ぅ!霊夢じゃないか!でっかくなったな!」

 

「栞姉……っ!!会いたかった!会いたかったよ……!」

 

栞の胸に霊夢が飛びつく。

 

「あっ、おいおい!急に抱きつくなっての!」

 

栞は少し頰を赤らめて霊夢を引き剥がす。

 

「それにしても、栞姉、どうして……?あのとき、火事で……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死んでるハズなのに」




いかがでしたか?第3話は以上です。

〜〜〜次回予告〜〜〜
「おっす!本編では名前しか出なかったが、私は栞、霧宮栞だ!よろしくな!」
「でもどうして栞姉が生きてるの?」
「んなことどうだっていいだろ。とにかく生きてんだからよ。」
「まぁまぁ。そんなこと言わずに聞いておくれよ。私の苦労話を!」
「次回、「復活の少女、霧宮栞!」
伊達にあの世は見てねーぜ!!」


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第4話 復活の少女、霧宮栞!

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
都合によって変わる設定

お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。

激闘の末、どうにかフランを破った幽助。どうにかレミリアたちを仲間に引き入れた幽助たちの前に、レミリアに連れられ1人の女性が現れる。彼女の名は霧宮栞。彼女はどうやら、霊夢と面識があるようで……?



「死んだはずなのに、栞姉、なんで、ここにいるの……?」

 

霊夢は困惑した表情で栞を見つめる。

 

「ん、ああ!そうそう、私、一回死んでんだわ。」

 

「ええ?!」

 

さらっと言う栞に、霊夢は目を見開いてしまう。

 

「いやな、火事で本当に四肢とかほぼ全壊したんだけど、科学者だ、とか名乗る奴の技術で、息を吹き返してしまったわけよ。あはははは!!」

 

「笑い事じゃないでしょ栞姉?!」

 

「それで、いざ起きてみたら12年も経ってるっていうじゃないか。髪も真っ白になってるし。しょうがないから科学者の目を盗んで逃げてきてやってな。まさかこんなに早く霊夢に会えるなんて思ってなかったよ。」

 

栞はそう言って霊夢の頭を撫でる。

 

「それで、結局お前は何モンだ?」

 

幽助は訝しげに栞に問う。

 

「ん、そうだな、すまない。私は霧宮栞(きりみやしおり)。ただの人間さ。……まあ、今は半分人間やめてるけどね。」

 

「人間やめてるって、どういうことだ?」

 

問いかける幽助に答えるように、栞は右手を振りかぶって、軽く壁に拳を叩きつける。

 

すると、栞が殴った壁は、バラバラと音を立てて崩れ落ちてしまった。

 

それに、一同はあんぐりしてしまう。

 

「……とまあ、こんな風に超怪力になってしまったわけさ。」

 

栞はそう言って頭をかく。

 

「ごめんレミリアさん、壁壊しちゃって。」

 

「え、ええ。いいのよ。もともと紅魔館ボロボロだし……」

 

レミリアは頭に手を当てながらため息を吐く。

 

「そういえば、君はなんていう名前なんだい?」

 

今度は栞が幽助に問う。

 

「俺は浦飯幽助。元人間だ。」

 

「おっ、幽助くんか。君も人間やめてるクチかい?」

 

「まぁな。それで、おい霊夢。お前とこいつはどんな関係なんだよ。」

 

幽助は腕を組んで霊夢に問う。

 

「あ、ああ。それは……」

「おう!私と霊夢は姉妹だよなぁ?」

 

霊夢が答えようとすると、栞が割り込む。

 

「ちょ、ちょっと栞姉!誤解招くようなこと言わないでよ!」

 

霊夢は頰を赤らめて栞を引き剥がす。

 

「栞姉はね、まだ私が子供だったころ、人里でよく遊んでもらったの。」

 

「そん頃はケンカばっかしてたな。私。」

 

栞は思い出し笑いをする。

 

「それで霊夢、泣き虫は治ったか?」

 

「なっ、治ったわよ!バカにしないで!」

 

霊夢は茹で蛸のように顔が真っ赤になってしまう。

 

「昔、か。なんか私にとっちゃ昨日みたいだよ。」

 

栞は目を閉じて物思いにふける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ、お前ら。また弱いものいじめか?」

 

12年前。人里。まだ髪が黒かった子供の姿の栞はポケットに手を突っ込んだまま紅白の個性的な格好をした女の子を蹴りつけている男の子たちを睨みつける。

 

「げっ、霧宮栞だ!」

 

「そんなにケンカしたいなら、私が相手してやる。かかってきな。」

 

栞はかかってこい、とハンドサインを送る。

 

「か、構うもんか!相手は1人だやっちまえ!」

 

悪ガキたちは14、5人で一斉に栞に栞に襲いかかる。

 

そこからしばらく、拳と拳がぶつかり合う鈍い音が響き続けていた。

 

「っ、くそっ!お、お前ら!逃げるぞ!」

 

悪ガキたちの大将はそう言って逃げていった。

 

「へっ、おととい来やがれってんだ。」

 

栞はそれだけ吐き捨てて、蹴られていた女の子の方へ向かっていく。

 

「おい、大丈夫か?」

 

「ひっ、ひっ……」

 

女の子、博麗霊夢はすすり泣いたまま動かない。

 

「おいおい、口もきけなくされたか?ほら、とりあえずこっちこい。手当してやるから。」

 

栞は霊夢を連れて歩いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………よし、こんなもんでしょ。大丈夫?痛くないか?」

 

栞は絆創膏で霊夢の額の傷を手当して、再度霊夢に話しかける。

 

「………」

 

霊夢は黙ったまま頷いた。

 

「なんだよ、女だからっていつまでもメソメソしてるとナメられるぞ?ほら、笑った笑った。」

 

栞は霊夢の頭を掴んで、少し乱暴にわしゃわしゃと撫でる。

 

「……あり、がとう……」

 

「おっ、やっと話してくれたな。」

 

栞は満面の笑みのまま嬉しそうに霊夢と会話しだす。

 

「お前、名前は?私は栞、霧宮栞。よろしくな。」

 

「れいむ……、博麗、霊夢……」

 

「霊夢か。いい名前だな。その苗字ってことはお前、博麗神社の巫女さんの娘か?」

 

霊夢はまた黙って頷く。

 

「なんであいつらにやられてたんだ?」

 

「気持ち悪いかっこしてるし、貧乏がうつるって……」

 

「なんだそりゃ。やっぱあいつらもうちょいぶん殴っとくべきだったな。女を寄ってたかって男がよ……。なっさけねえな……。」

 

栞はやれやれ、と頭をかく。

 

「お前、友達いるのか?」

 

栞の問いに霊夢はふるふる、と首を横にふる。

 

「そうか。私も独り身なんだ。どうだ?私がお前の最初の「友達」になってやるよ。」

 

「……ほんとう?」

 

霊夢は期待と困惑が入り混じった表情を浮かべる。

 

「ああ。もちろんだ。じゃあお前のこと、なんて呼べばいいかな?」

 

「……霊夢がいい。」

 

「そうか霊夢。じゃあ私のことはなんて呼んでくれるんだ?」

 

「……栞、姉。」

 

「へっ……?いや、私は別に姉貴になるつもりはないぞ……?」

 

栞が恥ずかしそうに霊夢を見ると、霊夢は既に泣き出しそうになっていた。

 

「わっ、わかった!わかったよ!栞姉でいいから!」

 

栞はあわてて霊夢を慰める。

 

すると、ぱああ、と霊夢の顔が明るくなる。

 

「とりあえず、家まで送ってやるよ。博麗神社だろ?ってか、よくここまで来れたな。」

 

「おかーさんが送ってくれるの!」

 

(こんな子供を人里に置き去りにする母親も母親だと思うが……)

 

栞はそんなことを考えながら、

 

「んじゃ、お母さんのとこへ送ってやるから。」

 

「うん!ありがと栞姉!」

 

まっすぐした瞳で見つめられた栞は、思わずそっぽを向いてしまう。

 

「あ、おかーさん!!」

 

霊夢はそう叫んでたたっ、と栞の手から離れ、赤い巫女服を着た女性に飛びついた。

 

「おー!お帰り霊夢!んぁ?どうしたんだこの怪我?」

 

「………」

 

霊夢は黙りこくってしまう。

 

「おいおい、勝手に走っていくなって。ん、あんた、霊夢の親御さんか?」

 

「ええ。そうだけど。もしかしてあんた……」

 

女性はそういって鋭い視線を栞に向ける。

 

「ちっ、違う!私はただ……」

 

「栞姉はわたしを助けてくれたの!」

 

「へっ?栞姉?」

 

女性は目を見開く。

 

「その子、霊夢ちゃんが、町のガキ共に虐められてたから、ガキ共を追っ払っただけです。」

 

「そうかそうか!ありがとうね、あなた。ん?栞……、そうか。あんた、人里の暴れ狼の霧宮栞ね?」

 

「……知ってたとは……」

 

栞は目をそらす。

 

「知ってるわよ?悪いやつだけぶっとばすっていうガキ大将がいるって。」

 

「私は別に正義の味方になった覚えはないよ。ただムカつく奴をぶっ飛ばしてるだけだから。」

 

栞は恥ずかしそうに頭をかく。

 

「そうなのね。まあ、取り敢えず礼を言っておくわ。ありがとうね、栞。よかったらまた霊夢と遊んでやって。」

 

「ええ。まぁ、その時は。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

栞は紅茶を飲み干して一息つく。

 

「そういや、澪さんは元気か?霊夢。」

 

栞が霊夢に問いかけた瞬間、霊夢の表情が凍る。

 

「……母さんは、死んだわ。事故でね。随分前に。」

 

「なっ……?!」

 

栞も表情が凍った。

 

「……そっか。なんか悪いこと聞いちゃったな。」

 

栞はため息を吐いて霊夢に謝罪する。

 

すると、食堂の扉がバンッと開かれ、美鈴が入ってくる。

 

「お、お嬢様、皆さん!燼魔です!!」

 

美鈴の一言で、場の空気は一変した。

 

「来たわね……。みんな、紅魔館の全兵力をもって、奴らを片付けるわ!」

 

レミリアの一声で、咲夜たち紅魔館の面々は一斉に戦闘態勢に入る。

 

「燼魔……!!」

 

霊夢も表情を強張らせる。

 

「とうとう燼魔ってののお出ましか……。それにしても、霊夢。お前燼魔は霊気でしか倒せないって言ってたろ。こいつらに倒せるのか?」

 

幽助はふと出てきた疑問を霊夢にぶつける。

 

「燼魔に致命傷は与えられなくても、ダメージを負わせることは出来るわ。今まで幻想郷はずっと襲撃してきた燼魔を撃退し続けられてはいるけど……、幻想郷の人たちが疲弊してることは間違いなさそうね。」

 

霊夢はお祓い棒に力を込める。

 

「よし、それじゃあ、私も行くか!」

 

すっくと栞は立ち上がる。

 

「し、栞姉も戦うの?!」

 

霊夢が目を見開くが、

 

「安心しろって、霊夢。私は昔の私じゃない。物凄く強くなったとは自負してるからさ。」

 

「時間が無いわ、行くなら行く、行かないなら行かないで、さっさとしなさい。」

 

レミリアが霊夢たちを急かす。

 

「よし、じゃあ、……行くわよ。」

 

そうして食堂にいたメンバー全員が紅魔館正面玄関に向かっていった……




いかがでしたか?第4話は以上です。

〜〜〜次回予告〜〜〜
「これが燼魔か……」
「油断しないで!こいつら、そんじょそこらの妖怪とは格が違うわ!」
「へっ、油断なんかするわけねーだろ。てめーもうっかりやられないように気をつけるんだな。」
「当たり前でしょ?!私を誰だと思ってんのよ!」
「次回、「忍び寄る燼魔の魔の手!」
伊達にあの世は見てねーぜ!!」


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第5話 忍び寄る燼魔の魔の手!

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
都合によって変わる設定

お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。

レミリアたちを仲間に引き寄せられた幽助たち。そこに現れたのは、霊夢の姉貴分、栞であった。栞と霊夢の出会いが語られていたとき、突然燼魔の強襲が……!


レミリアたちが正面玄関に出てくると、ガルル、だとか、ウガァ、だとかの猛獣の唸り声が聞こえてくる。

 

「………おでましね。」

 

霊夢はお祓い棒に更に力を加える。

 

「いよいよ燼魔ってのが来るんだな……」

 

幽助も拳を握りしめる。

 

すると、門がガン、ガン、と強引に叩かれて、決壊する。

 

「来るわ!!」

 

レミリアが声を荒げる。

 

刹那、門の外からシャッと謎の影が侵入してくる。

 

そして、霊夢たちに攻撃を仕掛けてくる。

 

「それ」は、腕を振りかぶり、長い腕と爪で引っ掻いてくる。

 

「っ!!」

 

霊夢たちは各々防御する。

 

「こいつが燼魔か……!!」

 

幽助は燼魔の腕を掴みながらそう呟く。

 

「それ」は黒い表皮と鋭いキバ、まるで「スパイダーマン」のヴェノムや「バイオハザード」のハンターを彷彿とさせる姿であった。

 

「ウガァァァッ!!!」

 

燼魔は吠えた後、幽助の腹部を蹴りつけてくる。

 

「ぐぁっ!!」

 

幽助はモロに喰らってしまい、紅魔館に叩きつけられてしまう。

 

「ったく!なにやってんのよあのバカ!」

 

霊夢は霊夢の目の前の燼魔を無視し、幽助を吹き飛ばした燼魔のところに瞬間移動し、燼魔に蹴りを繰り出す。

 

「ガウッ!!」

 

燼魔は紅魔館の塀にぶつかり、塀はガラガラという音と共に崩れてしまう。

 

「幽助!しっかりしなさい!ヤツらは待っちゃくれないわよ!?」

 

霊夢は壁にめり込んだ幽助に呼びかける。

 

すると、霊夢の背後から燼魔がジャンプで襲いかかってくる。

 

「しっ、しまっ……!」

 

霊夢が後ろを振りむきしまった、と言いかけたとたん、霊夢の後ろから霊丸が飛んでくる。

 

「!!」

 

霊夢が慌てて幽助の方を見ると、いつのまにか幽助は壁から抜け出していた。

 

「一匹一匹はそこまで脅威ってわけじゃねーが……、この量だ。俺たちでやれんのか?」

 

幽助は周りを見渡し、そう呟く。

 

目測で測っても、軽く300体は燼魔がいる。

 

「やれるのか、じゃなくて、やるの。わかる?」

 

「さっぱりわかんねーな。」

 

霊夢と幽助は互いに嫌味を言いながら戦線に復帰する。

 

 

 

 

神槍「スピア・ザ・グングニル」

 

レミリアはグングニルを召喚し、燼魔を切り裂いたり貫いたりしている。

 

が、燼魔たちは切られた箇所はたとえ頭部であったとしても再構築され、貫かれた箇所は瞬時に塞がっている。

 

よって、レミリアたちは一匹も倒せず、ただただ体力だけが削られていった。

 

(このまま戦っててもおしまいになるのは私たちね……。それに、燼魔の数がいつもより多いような……?)

 

レミリアはグングニルを振りながらそう思案する。

 

直後、パチュリーが背中合わせにレミリアと再会する。

 

「どうレミィ?ヤツらの霊気以外の弱点は見つかった?」

 

「残念だけど、ヤツらにダメージを蓄積させることしかできないみたいよパチェ。」

 

「お嬢様!」

 

すると、咲夜も合流してくる。

 

「咲夜、いよいよヤバそうよ。紅魔館(ここ)を放棄することも頭に入れておいたほうがいいみたいね。」

 

「はい。ヤツら、幽助が来てからかはわかりませんが、数が圧倒的に増えています。おそらく敵も霊気が使える幽助を感知してるようで……」

 

「みたいね。今も私たちをどこかで監視してるのかも……?」

 

レミリアは周囲を見回す。

 

 

 

 

 

 

「はっ!」

 

栞も持ち前の鋭い勘と喧嘩の腕で燼魔と互角以上にやりあっている。

 

しかし、一匹も倒せず、なおかつ傷も瞬時に治癒してしまう燼魔相手に、このまま戦い続けていても、負けることは目に見えている。

 

「は……っ、は……っ!!」

 

栞も肩で息をしている。

 

「栞姉!」

 

すると、霊夢と幽助が合流してくる。

 

「霊夢と、幽助くんか。どうだ、そっちは?」

 

「まだ数えられるほどしかトドメをさせてないわ。栞姉は?」

 

「へへっ、こんなにぶん殴っても倒れないタフなやつらは人里には居なかったな……」

 

栞は少しにやけて、再び気合を込めなおす。

 

「!!」

 

その時、幽助が上空に物凄い気配を感じ、上を見上げる。

 

「おい、上になんかいるぞ!!」

 

幽助が声を荒げると、その場の全員が上を見上げる。

 

愛符「キャノンスパーク」

 

「喰らいやがれこん畜生どもがぁぁーーーっ!!」

 

空にいる人物は、紅魔館中庭目掛け、特大のレーザービームを放つ。

 

レーザービームは霊夢たち全員と燼魔を巻き込み、大爆発を引き起こした。

 

「どうだ、見たか!」

 

その者は鼻を自慢げにこすって、地面に降り立つ。

 

「ふうっ」

 

その者は一息つく。

 

「こら魔理沙!私たちがいるのは気でわかってるはずでしょ?!なんでぶっ放すのよ?!なに考えてるわけ?!」

 

霊夢はススを服や肌に付着させながら魔理沙と呼ぶ女性を怒鳴りつける。

 

「わ、悪い悪い、奇襲が1番かなって思ってよ。へへへ。」

 

その女性、霧雨魔理沙は悪びれる様子もなく頭をかく。

 

「おいてめぇ!!なにしやがる!お陰で死にかけたぞ!」

 

幽助も霊夢に続いて魔理沙に怒鳴る。

 

「お、見ない顔だな。誰だ?……あっ、もしかしてお前が紫の言ってた霊気使いってヤツだな?!私は霧雨魔理沙!普通の武道家兼魔法使いだ!」

 

魔理沙は表情を緩め、幽助と半ば強引に握手する。

 

「それで、お前は何しに来たんだよ?」

 

「……?そりゃ燼魔をぶっ飛ばすためだろ?それに、霊夢と美鈴とフランとお前の気が激しく上下してたからな。またここでドンパチやってんだろ、と思って飛んで来たらこのザマだった、ってことさ。」

 

魔理沙は八卦炉の煙を吹き消しながら言う。

 

「おい霊夢、お前の知り合いか?」

 

「まぁね。腐れ縁よ。あんたがここに来た時に、幻想郷最強って言ってたのはこいつ。」

 

霊夢はめんどくさそうに魔理沙を親指で指差す。

 

「んな?!こいつがそうなのか?!」

 

幽助は目を見開く。

 

「んー、世の中には私なんかより強いヤツがゴロゴロいるからよ。一概に私が最強、とは言えないだろ?」

 

「それでもあんたにタイマンで勝てるやつなんて今の幻想郷にはいないわよ。この前も貧乏神の異変で貧乏神姉妹をボコボコにしてたじゃないの。」

 

「人聞きの悪いこと言わないでくれよ。あれはただ真剣勝負しただけだぜ?」

 

魔理沙はやれやれ、と言った表情で再び頭をかく。

 

すると、魔理沙はある異変に気付く。

 

「燼魔どもがいなくなってんな。逃げたか。気も感じなくなってるし、また逃げやがったな。」

 

魔理沙が周りを見回すと、紅魔館の中庭には黒焦げになったレミリアたち以外誰もいなくなっていた。

 

「とりあえず防衛は成功ね。でも、あのまま燼魔どもが増え続けていくと、今度こそ手がつけられなくなるわ。」

 

霊夢の表情は険しいまま戻らない。

 

「幻想郷のみんなも霊奈んときのダメージがまだ癒えてないのに、あんなのと戦うハメになっちまったんだから、大変だよな……。で、霊夢。黒幕は見つかったのか?」

 

「手がかりだけね。」

 

霊夢の反応が気に食わなかったのか、魔理沙はそうか、とだけ言って、

 

「ところでさ、お前なんていう名前なんだ?!強いんだろ?私といっぺん勝負してみないか?!」

 

目を輝かせながら幽助に詰め寄る。

 

「あのな、まず1つ、質問をそんなにするんじゃねぇ。あと、俺は浦飯幽助、元霊界探偵だ。それにな、今俺は結構ショック受けてんだからな。こいつに手も足も出なくてよ。」

 

幽助は親指で霊夢を指す。

 

「なんだよ霊夢。まさか本気でやったのか?大人げねえなぁ。」

 

魔理沙はため息をつきながら霊夢に言う。

 

「そんなことないわ。6割くらいよ。」

 

「あのな、私たちは四年前よりバカみてえに強くなってんだぜ?お前が6割も出せば簡単に博麗大結界もぶっ壊せるだろうよ。」

 

「博麗大結界?」

 

幽助が魔理沙に問う?

 

「博麗大結界ってのは、この幻想郷と外の世界を隔てる大きな結界のことさ。ここは外の世界で忘れられたものが集う場所だから、この結界が壊れたら、幻想と現実の区別がなっちまうから、私たちは消滅してしまう。まあ簡単に言うと、この結界が壊れちまったら私たちも死んじまうわけさ。」

 

「じゃあ俺は結界ってのが壊れても生きてるわけだな。」

 

幽助は安心したようにそう言うが、魔理沙は表情を曇らせて、

 

「んー、それはどうだろうな。」

 

と言う。

 

「あ?俺は皿屋敷中なら知らないヤツなんていねえんだぞ?」

 

「まず1つ。外の世界にお前の言う皿屋敷中ってのはおそらくない。」

 

「はぁ?!」

 

幽助は目を見開く。

 

「私も外の世界には行ったことがないんだが、昔私たちと戦ったヤツが外に出たときには、そいつは全く認識されてなかったんだ。まぁ、私の師匠なんだけど。」

 

「じゃあ結界が壊れたら、俺もなかよくてめーらと心中ってことか。」

 

幽助は憎々しげに呟く。

 

「そうなるな。」

 

魔理沙はさらっと言う。

 

「じゃあ魔理沙、私は先にレミリアたちの介抱するから、幽助に説明してやんなさい。」

 

「へいへい。」

 

霊夢はススだらけになった栞やレミリアを抱えて紅魔館の中へ入っていった。

 

魔理沙もそれにやる気なく返事をする。

 

「それで、博麗大結界は昔一回壊れたんだが、その時私たちは並行世界に避難してたから無事だったのさ。」

 

「並行世界?」

 

幽助は首をかしげる。

 

「世界ってのは数え切れないほど存在するんだ。お前の世界や私の師匠の世界、そしてこの世界とかな。受け売りだけど、無限にページのある本をイメージしてくれ。ページが近ければ近いほど、その世界は似通っている。」

 

「じゃあ俺は比較的に近い世界から連れてこられたんだな。それで、俺は元の世界に戻れんだろうな?」

 

「あ、そこは安心していいぜ。私の師匠も無事に帰れたって紫が言ってたし。」

 

「あのばーさん、人の迷惑も知らずに好き勝手やってくれるぜ……。」

 

幽助はため息をつく。

 

「ま、こんなもんだな。さ、霊夢だけにやらせるのもやだし、私たちもレミリアたちを紅魔館に運んでやるか。」

 

そう言って魔理沙と幽助はフランやパチュリーたちを紅魔館に運び、ベッドに寝かせ、そのまま一夜を明かした。

 

 

 

 

 

「まぁ、上から爆撃したことは今回だけ目をつぶってあげるわ。それで、」

 

レミリアたちは魔理沙を囲みこむ。

 

「本、返して。」

 

パチュリーは冷徹にそう言い放つ。

 

「ま、待てよ!あれはまだ読んでなくて……、」

 

「いいから全部返せっつってんのよ!」

 

パチュリーは声を荒げる。そのせいでパチュリーは咳き込む。

 

「まあまあパチュリー様。この異変が終わってからでもいいではないですか。魔理沙は逃がしませんので、それで手を打っていただけませんか?」

 

咲夜がパチュリーを宥める。

 

「むぅ…」

 

パチュリーは頰を膨らませる。

 

「まぁ、いいわ。とりあえず、みんなもわかってるとおり、燼魔の量は圧倒的に増えているわ。」

 

レミリアは話題を変えて、全員の注目を集める。

 

「そこで、霊夢と一緒に考えたんだけど、それぞれ回っていると時間がかかりすぎるから、今度は手分けして回っていくことにするわ。」

 

「なるほど、それで白玉楼だったり命蓮寺だったりを回るんだな。」

 

魔理沙も納得したようだ。

 

「それで、二人一組で行動することにするわ。私たちは紅魔館の守りを固める。そして、咲夜、美鈴、行ってきてくれるかしら?」

 

「仰せのままに。」

 

「わかりました!」

 

レミリアの頼みを咲夜と美鈴は快諾する。

 

「じゃあ2人組を……」

 

レミリアがそう言いかけたとたん、

 

「はいはい!私は幽助とがいいぜ!」

 

魔理沙は手を挙げる。

 

「はぁ?!」

 

当然幽助は嫌がる。

 

「じゃあ私は霊夢とだな!」

 

栞も霊夢を引き寄せる。

 

「ちょ、ちょっと!」

 

霊夢は頰を赤らめる。

 

「じゃあもうこれでいいわね。魔理沙、幽助グループ、霊夢、栞グループ、咲夜、美鈴グループ。」

 

「ちっ……」

 

幽助は不満そうにはしているが、最終的にレミリアに従った。

 

「じゃあ私たちは命蓮寺に行ってくるわ。」

 

霊夢は行き先を決める。

 

「ではお嬢様、私たちは白玉楼に。」

 

それに続いて、咲夜たちも決めたようだ。

 

「わかった。じゃあ、魔理沙と幽助はどうするの?」

 

「そうだな……、じゃあ永遠亭にでも行くか!」

 

「永遠亭?」

 

「人里付近の迷いの竹林の中にある月の人間が住んでるとこよ。」

 

霊夢が幽助に勧告する。

 

「わーったよ。そこ行きゃあいいんだな。」

 

幽助も渋々承諾する。

 

「よし、じゃあ、解散!」

 

レミリアの一言でメンバーはそれぞれ出立の準備に入った。

 

 

 

 

 

 

 

「……幽助お兄ちゃん、行っちゃうのね。」

 

「ああ。またなフラン。」

 

幽助はフランに挨拶する。

 

既に霊夢グループと咲夜グループは出かけていた。

 

「んじゃあ、行くか!幽助、飛ばすから頑張ってついてこいよ?!」

 

魔理沙は帽子を抑えて地面を蹴って飛び上がる。

 

「あっ、おい!待ちやがれ!」

 

幽助は先に行った魔理沙を追いかけるように飛び上がる。

 

「じゃあな!」

 

幽助はそれだけ言って魔理沙を追いかけ始めた。




いかがでしたか?第5話は以上です。

〜〜〜次回予告〜〜〜
「ったく!お前霊夢よりめんどくさいやつだな!」
「そうか?霊夢よりはマシだと思うけどな。おっ、見えてきたぜ、あれが迷いの竹林だぜ!」
「へっ、上等だ!どんな奴が来てもぶっ飛ばしてやるぜ!次回、「竹林の中のルナティックワールド」
伊達にあの世は見てねーぜ!」


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第6話 竹林の中のルナティックワールド

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
都合によって変わる設定

お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。

突如紅魔館に現れた燼魔を霧雨魔理沙の救援(?)もあってなんとか退けた幽助たち。このまま一つ一つ回っていては圧倒的に時間が足りない、そう考えた霊夢とレミリアは、分担して幻想郷を回ることを提案した。話し合いの結果、幽助と魔理沙、霊夢と栞、咲夜と美鈴のグループに分かれて、手分けすることになった。永遠亭に行くことを決定した幽助と魔理沙。幽助を次に待つものとは……?


「おい、てめー!もっとゆっくり行けねーのか!」

 

幽助はあまりにもハイスピードで進む魔理沙に苛立ちを覚えたのか、声を荒げる。

 

「そうか、悪い。んじゃ、もうちょっとゆっくり行くな。」

 

すると魔理沙は少し減速し、幽助の少し先を行くくらいの速度になった。

 

「なんだ、聞き分けいいじゃねーか。霊夢とは大違いだな。」

 

「霊夢に自分の意見を通すほうが難しいぜ。あいつはドが付くほどマイペースだからな。」

 

魔理沙は苦笑いを浮かべながら言う。

 

「それよりもよ。さっき月の人間って言ってたな。ありゃどういうことだ?月に人が住めないってのは俺でも知ってるぞ。」

 

「ああ。それはな。月ってのは、表の月と、裏の月があるんだ。表の月は人が住むには全く適してないんだが、裏側の月は人が十分に住める場所なんだ。」

 

「……つまり、どういうことだよ?」

 

「つまり、今から行くとこに、裏の月に住んでたやつがいるってことさ。」

 

「なるほどな。」

 

魔理沙の簡潔な説明で、幽助もなんとか納得できたようだ。

 

「おっ、見えてきたぜ。迷いの竹林だ。永遠亭はこの中だ。そろそろ降りるから準備しといてくれ。」

 

「ん?なんでだ?このままぱーっと飛んでいきゃいいじゃねえか。」

 

「迷いの竹林は空からは入れないんだ。だから地上から攻めるしかないんだよ。もっとも、地上ルートも霧があるわ、道がわからなくなるわで大変なんだがな。最悪野垂れ死ぬぜ。」

 

「おいおい……。お前、道知ってるのか?」

 

「一応道案内人がいるんだが……、まあ、留守だったりしたらなんとかするしかねえな!」

 

魔理沙は頭をかいてハハハ、と笑う。

 

「笑い事かよ……」

 

幽助も諦め気味にため息をつく。

 

「よし、ここだ。降りるぜ。」

 

降りていく魔理沙に幽助はついていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだよおい、真っ暗じゃねーか……」

 

幽助は竹林の奥を覗き込みながら言う。

 

「とりあえず、道案内人の家が近くにあるから、ひとまず先にそっちへ行くぜ。」

 

魔理沙はそう言って飛んでいってしまった。

 

幽助もそれに続いて飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、妹紅ー!もこうー!」

 

魔理沙はとある家の前で、誰かの名前を連呼する。

 

「気も感じないし……、留守か?」

 

魔理沙はため息をつく。

 

「誰が住んでんだ?ここって。」

 

幽助が魔理沙に問う。

 

「ここには蓬莱人の藤原妹紅ってやつが住んでるんだ。蓬莱人ってのは、月の薬、蓬莱の薬を飲んで不老不死になった人間のことさ。」

 

「不老不死だぁ?!ってことは絶対に死なねーのか?!」

 

「そうなるな。」

 

魔理沙の説明を聞いて、幽助はため息をついた。

 

「なんだそりゃ……。」

 

「まあけっこうずっちいよな。」

 

魔理沙もハハハ、と笑う。

 

「よし、じゃあ竹林に忍び込むか!」

 

魔理沙はパン、と手を合わせて立ち上がる。

 

「俺もそれで構わねえが、迷わねーのか……?」

 

「まあ大丈夫だろ。気を探りながら行けばいいし。」

 

「その気ってなんなんだよ?」

 

「気ってのは生物が絶対に持ってるエネルギーみたいなもんさ。紅魔館で霊夢と戦っていた美鈴ってやつはこれを探ったり操れたりするんだ。それでエネルギー波として放ったりもできる。」

 

「じゃあ何か?俺の霊気と似てるようなもんか?」

 

「んー……、多分霊気ってのは霊的なエネルギー。普通の人間にゃないだろうよ。ちなみに気は私も操れるぜ。」

 

魔理沙はそう言って気を高め始める。

 

すると、爆風が魔理沙を中心に吹き荒れる。

 

「っ!!」

 

幽助はとっさに受け身をとる。

 

「へへっ……、じゃ、行くか!」

 

「……ああ。そうするか。」

 

若干引き気味になりながらも、幽助と魔理沙は歩きだした。

 

「……私もまだまだこんなもんじゃ満足できねぇからよ。もっともっと強くなりたいんだ。」

 

「そうかい。俺もまだ強くなんねえといけねえからな。また魔界のてっぺん目指していきたいからな。」

 

「魔界?そこにいる奴らって強いのか?」

 

「まあな。俺が本気でやって敵わないくらいの奴らがゴロゴロいるくらいだな。」

 

幽助がそう言った時、魔理沙の目が輝いた。

 

「そうか!ならそいつらともいっぺん戦ってみたいなぁ!」

 

魔理沙がそう言った途端、魔理沙の足元に細いエネルギー波が飛んできた。

 

「!!」

 

魔理沙は瞬時に歩みを止める。

 

「この攻撃は……」

 

魔理沙はゆっくり足元から上に視線を移す。

 

「よう……、久しぶりだな、優曇華。」

 

「気付いてたのね。」

 

魔理沙が話しかけた方から何者かの声が聞こえてくる。

 

「……誰だ……?」

 

その者は竹から降りて幽助たちの前に立ち塞がった。

 

彼女は女子高生の制服を着用し、ヨレヨレのうさ耳をつけていた。

 

「そういやお前、霊奈の時は全く見せ場無かったな。」

 

魔理沙はそう言って嘲るように笑う。

 

「私は裏でサポートしてたの。それに姫さまと妹紅が2人がかりでやっと倒せる奴や、それより遥かに強い奴なんかに勝てるわけないじゃない。」

 

女性の返答に、魔理沙もそれもそうか、と頭をかいた。

 

「おい、お前は誰だ。またコスプレ女か?」

 

「あのね、私のこれは直に生えてるの。この服も趣味で着てるわけじゃないんだから。」

 

幽助の質問に女性は半分怒り気味に自分のうさ耳を指差しながら答える。

 

「あいつは永遠亭に住んでる月の兎の1人、いや、1匹っつったほうがいいか。兎の鈴仙・優曇華院・イナバ。あいつ自体は大したことないが、能力には気をつけた方がいいぜ。」

 

「そりゃまたなんでだ?」

 

「あいつはものの波長を操れんのさ。それで人を狂わせたりできるってことよ。」

 

「なるほどね…」

 

幽助はかったるそうに目を瞑って頭をかく。

 

「それで魔理沙、あなた何しに来たの?まさか燼魔はあなたがけしかけてるんじゃないでしょうね。」

 

「なわけねえだろ。私たちはお前らに協力してもらうために来たんだよ。」

 

「あら、私たちが素直に協力するとでも思って?」

 

鈴仙は挑発的に言う。

 

「いや、ハナから思ってないさ。いやならぶっ飛ばすだけだぜ。手っ取り早いしな。」

 

「あなたのそういうとこがお師匠さまに目をつけられる原因なのかもね。」

 

鈴仙はそう言って手を銃の形にして魔理沙たちに向ける。

 

「なんだ?あいつ霊丸でも撃てんのか?」

 

「れいがん?」

 

「俺がとある子供閻魔に教わった技だ。」

 

「閻魔?ってことは山田さんか?」

 

「誰だそりゃ。」

 

魔理沙と幽助がそんな会話をしていると、鈴仙は指先から紅い光線を放つ。

 

2人はそれぞれ体をずらして躱す。

 

「だったらこっちも指鉄砲使ってやるよ……!」

 

幽助は鈴仙と同じように人差し指を向けて、軽く霊丸を放つ。

 

「!!」

 

驚いたような表情を見せた鈴仙はすぐに我に帰り、ひらりと霊丸を躱した。

 

「あなた、私と同じようなことできるのね。」

 

「……まぁな。おい魔理沙。こいつは俺に任せろ。てめーは先に永遠亭とやらに行きやがれ。」

 

「おいおい、それでいいのか?場所わかんねえだろ?」

 

「あいつぶっ飛ばしてあいつに聞けばいいだろ。」

 

「へへっ、お前も私と同じで脳ミソがゴキブリサイズしかないらしいな。わかったよ。永遠亭制圧は私に任せな。」

 

魔理沙はそう言って鈴仙の横をすり抜け走っていった。

 

「この感じ……、3年前みたいね。今度はてゐも居ない。あなたも狂気に堕としてあげるわ……!」

 

鈴仙の目は不気味に紅く輝きだす……!




いかがでしたか?第6話は以上です。

〜〜〜次回予告〜〜〜
「すばしっこい奴だなてめーは!」
「褒め言葉として受け取っておくわ。それと、スピードだけじゃないってとこも見せてあげようかしら?!」
「上等だ。俺もてめーの知らないパワー見せてやるよ……!
次回、「幻朧月睨(ルナティックレッドアイズ)脅威の実力」
伊達にあの世は見てねーぜ!!」


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第7話 幻朧月睨(ルナティックレッドアイズ)脅威の実力

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
都合によって変わる設定

お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。

手分けした幽助と霊夢たち。魔理沙とチームを組むことになった幽助は、迷いの竹林の中、鈴仙・優曇華院・イナバと対峙する。永遠亭を魔理沙に任せ、幽助は鈴仙と激突する…!


幽助は瞬時に人差し指を構えて軽めの霊丸を放つ。

 

「甘いわ!!」

 

鈴仙は飛び上がって軽々それを避け、幽助に向かって人差し指を構える。

 

そして光線を連射してきた。

 

幽助の体にそれが当たろうとした途端、幽助の体を光線が突き抜ける。

 

「残像?!」

 

鈴仙が声を荒げた瞬間、真上に幽助が現れ、両手を合わせて鈴仙の頭上に振り下ろす。

 

「きゃあっ!!」

 

鈴仙はそんな悲鳴をあげて地面に落ちていった。

 

鈴仙はそのまま地面と衝突し、土埃がたつ。

 

「………」

 

幽助は真剣な眼差しで土ぼこりを見つめる。

 

幻波「赤眼催眠(マインドブローイング)

 

すると、土ぼこりの中から弾幕が飛び出してくる。

 

「ちっ!」

 

幽助は慌てて両手に霊気を纏わせ連続で向かってくる弾幕を弾き飛ばす。

 

「………」

 

幽助は右手だけに霊気を纏わせたまま、

 

「霊丸っ!!」

 

霊丸を放つ。

 

それは先程放った威力を抑えた霊丸とは大違いだった。

 

霊丸は炸裂し、竹林の地面を大きく抉る。

 

しかし幽助はまったく手応えを感じなかった。

 

「こっちよ!!」

 

すると幽助の真後ろから声が聞こえる。

 

慌てて幽助が振り返ると、そこには脚を振りかざした鈴仙が幽助の眼前に迫っていた。

 

「くっ!!」

 

幽助はとっさに回避しようとするが、完全に不意を突かれたので避けることも叶わず、胸の部分に鈴仙の右足蹴りを喰らってしまった。

 

幽助はそのまま竹をなぎ倒していく。

 

狂視「狂視調律(イリュージョンシーカー)

 

鈴仙は続けざまに弾幕を放つ。

 

弾幕は竹を焼き焦がしていき、竹林が燃え上がる。

 

鈴仙は表情を崩さずに燃える竹林を見つめている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

幽助は地面に倒れ伏したまま空を見上げている。

 

しかしやはりというべきか深い竹の森のせいで青空はまったく拝めなかった。

 

「ちっ、……ってーな……!」

 

幽助は憎々しげにそう呟いて起き上がる。

 

幽助はぱんぱん、と服の埃を叩いてからキッと奥を見つめる。

 

そして、おもむろに右手を鈴仙のいる方へ向ける。

 

刹那、鈴仙に向けてエネルギー波を乱射する。

 

 

 

 

 

 

「!!」

 

鈴仙は自身の前方から何かが近づいてくることに気づき、身構える。

 

「っ!!」

 

直後、鈴仙に何発かのエネルギー弾が着弾する。

 

鈴仙は咄嗟に胸の前で手をクロスさせてガードするが、どんどん着弾してくるエネルギー波に耐えられなくなり、飛び上がって離脱する。

 

しかし、エネルギー弾を放った主にはそれが見切られていたのか、霊丸が飛んでくる。

 

「うっ!!」

 

鈴仙は飛び上がった反動で全く避けることが出来ず、モロに霊丸に飲み込まれてしまった。

 

霊丸はその瞬間爆発し、大きなキノコ雲が出来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふうっ、着いたな……」

 

魔理沙は息をついて膝に手を当てる。

 

魔理沙はなんとか永遠亭までたどり着いたようだ。

 

魔理沙はうし、と言って正面扉に手をかける。

 

そして、体重を乗せて扉を開く。

 

扉はぎいい、と重い音を立てて開いていった。

 

「懐かしいな。あんときはレミリアたちと大所帯で攻め込んだんだっけか……」

 

魔理沙は物思いにふけりながら先に進んでいった。

 

 

 

 

 

 

「よう永琳。」

 

魔理沙は宇宙の上に浮かぶ通路のような場所に立ち尽くす女性に声をかける。

 

「あら、久しぶりね。何しに来たの?」

 

「説得しに来た……じゃダメか?」

 

「ダメダメね。鈴仙の制止を振り切ってきたんでしょう?」

 

「まぁな。でもよ、燼魔の襲撃が来てるのは間違いないんだぜ!紫も言ってたけどよ、こりゃみんなで戦わないと勝てねえって……!」

 

「私は燼魔の出所には心当たりがあるけど、これだとまた全面戦争になりかねないわ。悪いけど、このまま時を待ったほうがいいことなのよ。」

 

女性、八意永琳は淡々と述べる。

 

「こんにゃろ……!何かが起こってからじゃ遅いんだぜ!また霊奈んときの二の舞にしてえのか?!今度はあんな程度じゃ済まないかもしれねえんだぞ!!」

 

魔理沙は声を荒げる。

 

すると、誰かが後ろから魔理沙に声をかけてくる。

 

「ねえ、じゃあさ。幽助っていうやつと鈴仙との勝負の結末で決めてやろうじゃない。ね、それでいいでしょ永琳。」

 

「姫様、もしかして、自分が闘うのめんどくさい……ってのじゃないですよね……?」

 

近くに寄ってきた女性、蓬莱山輝夜に耳打ちする。

 

「え、いや、そういうわけじゃ……」

 

輝夜は目をそらす。

 

「そりゃいいや。余計な争いしなくていいんだろ?」

 

魔理沙も輝夜に同調する。

 

「……まったく……もう、それでいいわ。」

 

永琳もそれで妥協する。

 

「じゃあ、先にここに戻ってきた奴が勝者ってことだよな。」

 

魔理沙は振り返って正面の玄関を見る。

 

すると、正面ドアが勢いよく開かれる。

 

「!!」

 

3人は開いたドアを凝視する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は数分前。

 

幻朧月睨(ルナティックレッドアイズ)

 

「………これで終わりよ!!」

 

鈴仙はそう叫んだ後、瞳を真紅に輝かせ、弾幕を乱射しだす。

 

「ちっ!!」

 

幽助は慌ててそれを避けだす。

 

「これで終わりよ!潔く降参しなさいっ!!」

 

鈴仙はそう叫ぶ。

 

幽助はしばらく避け切ったあと、地面を思い切り殴る。

 

「!!」

 

鈴仙は驚きのあまり少しの間目を見開く。

 

幽助が殴った地面の破片がしばらく宙に漂い、それに弾幕が当たってさらに小さな破片に変わり、幽助の姿が見えなくなってしまった。

 

「くそっ、何処に…….?!」

 

鈴仙は周りを見回す。

 

しかし、何処を探しても幽助は見当たらない。

 

「こっちだ!」

 

鈴仙が声のする方へ振り向いたとき、そこには逆さまになってこちらへ人差し指を向ける幽助の姿があった。

 

「しっ、しまっ……!!!」

 

鈴仙がしまったと言う前に幽助は超特大の霊丸を放つ。

 

「くたばりやがれぇぇぇーーーっ!!」

 

幽助は霊丸を放った後も霊気を送り続けていた。

 

鈴仙を飲み込んだ霊丸は竹林を吹き飛ばしていき、数キロ吹き飛び、爆裂した。

 

その結果永遠亭が丸裸にされてしまった。

 

 

 

 

「………ざまァみやがれ……!」

 

幽助はススがこびりついた顔を拭いてニヤリと笑った。

 

 

 

 

 

 

 

そして現在。

 

「っつーわけでこいつをぶっ飛ばしてきたんだ。で?交渉は終わったのか?」

 

幽助は鈴仙を抱えたまま魔理沙に問う。

 

「おう、これで私たちの勝ちだ。話を聞いてもらうぜ。」

 

魔理沙は永琳を見つめる。

 

「……まったく。姫様には手を焼かされるわ……」

 

永琳は額に手を当てやれやれと首を振る。

 

「まぁいいわ。それで、そこのあなた、幽助だったわね。鈴仙を手当てするからこっちに連れてきてくれる?」

 

そう言って永琳はついでにあなたも手当てしてあげる、と付け加え永遠亭の奥へ歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お師匠さま、申し訳ありません……」

 

目覚めた鈴仙は耳を折って永琳に謝罪する。

 

「もういいのよ。」

 

永琳は苦笑いを浮かべて笑いかける。

 

「それで、永琳だっけか?燼魔の出所の心当たりってなんなんだよ?」

 

幽助は永琳に問う。

 

永琳はしばらく目を閉じた後、一拍おいてからこう語った。

 

「……ええ。これはまだ私の中での話なんだけれど、燼魔は、月からやってきていると思うの。」




いかがでしたか?第7話は以上です。

蓮子「……なにか言い残すことは?」

タミ「………言い訳させてください。」

「よかろう、話せ。」

「私めは昨日朝から出払っておりまして……、それで家に帰ってきたのは夜10時過ぎ…。それで私はオフトゥンにダイブしてそのまま……」

「聞きましたかみなさん。これがこいつの責任感の無さってやつですよ。おいタミ。私は言ったよな?1日でも遅れたら今度こそ八つ裂きにすると。」(東方神笛抄第3話参照)

「はい、言いました……」

「それで?今何時?」

「日曜、午前11時です……。」

「わかってるならいいのよ……それじゃあ……」(コキリの剣を取り出し)

死ね

「ギャアアアアーーーッ!!…………」(ガクッ)

「やったぞ、遂ににっくきうp主にとどめを刺した!これでこの作品も安全に投稿されるでしょう……」

「見てくださってる皆さん、この度は大変ご迷惑をおかけしました。申しわけありません。次からこの作品はこの小説ロボット、タミくんが作ります。あのクソッタレうp主のことは忘れてください。ここで。……それでは、この辺で終わろうと思います。それでは。」

〜〜〜次回予告〜〜〜
「燼魔が月から、ねぇ。根拠あんのかよ?」
「あるから話してるんだろ?ほら、幽助。それ聞いたら次は霊夢と合流するぜ。」
「合流すんのか。んじゃあ次は命蓮寺ってとこだな。」
「そうだぜ。よし、んじゃあ行くか!」
「次回、凶悪な訪問者・深まる謎
伊達にあの世は見てねーぜ!!」


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第8話 凶悪な訪問者・深まる謎

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
都合によって変わる設定

お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。

竹林をめちゃくちゃにしながら戦いを続けた幽助と鈴仙。勝負は幽助の勝利に終わり、永遠亭の面々との協力交渉が進んでいく。そんな折、永琳の口から燼魔の出現元の予想が語られる……


「月、だって?」

 

魔理沙は小首を傾げる。

 

「あくまで予想よ。確定事項ではないわ。」

 

「だとしても、だ。一体全体なんで月なんだ?」

 

魔理沙は永琳に問う。

 

「燼魔はまず不死身といっていいわ。」

 

「まあな。霊気でしか倒せないんだし。」

 

「そうね。奴らはおそらく自然からは生まれてはこないと思う。それなら人工的に何者かが造ったとしか考えられない。それならばこの幻想郷では可能性があるとすれば河童……。しかし河童の里も半壊しているところを見るとあれらは犯人ではない。だとすると、」

 

「消去法でいきゃあ河童を凌ぐ科学文明があり、地上に攻める必要は無いにしても理由はある。2年前の復讐だったりね。」

 

永琳は自分の意見を述べる。

 

「……なるほどな。でもまあ、まだ判断材料が足りないからさ、また後で決めるとするよ。」

 

魔理沙は永琳に笑いかける。

 

「ええ。私も確信は持てないから、とりあえず心に留めておいて。」

 

永琳の言葉に幽助と魔理沙は微笑む。

 

「ところで魔理沙。次はどこに行くんだよ?」

 

「ああ。とりあえず霊夢と合流しようぜ。」

 

「ってことは……"命蓮寺"か。」

 

「ご名答、だな。」

 

魔理沙は両手の人差し指を幽助に向ける。

 

「じゃあ、もう行くんだな?」

 

「ああ。」

 

「じゃあさっさと行くぞ。」

 

幽助は永遠亭の正面玄関に手をかける。

 

「あ、待てよ。私の瞬間移動で連れてってやるから。」

 

「瞬間移動だぁ?」

 

幽助は首を傾げる。

 

「ああ。いきものには気があるって知ってるよな。私はそれを感じとってその場所に一瞬で移動できんのさ。」

 

「便利な力だな。」

 

「へへ、そうだろ。じゃあ私に掴まれ。」

 

「は?なんでだよ。」

 

「掴まらねぇと瞬間移動できないんだよ。ほら。」

 

魔理沙はそう言って手を差し出す。

 

「ちっ……」

 

幽助は仕方なく手を差し出す。

 

そして魔理沙の手を掴んだ。

 

魔理沙はよし、と言って、指を二本額に当たる。

 

「え……と、霊夢、霊夢、と。」

 

魔理沙はどうやら霊夢の気を探っているようだ。

 

「……とらえた!そんじゃあな永琳、輝夜!」

 

魔理沙は軽く2人に会釈をする。

 

永琳と輝夜はそれに手を振って応える。

 

「バイ!!」

 

魔理沙はそう言って幽助と共に消えていった。

 

「……。燼魔……、月の刺客、だったらいいんだけどねぇ……」

 

永琳はそれだけ零した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どこかの部屋の中、そこの空間が一瞬ブレて、魔理沙と幽助がどこからともなく現れる。

 

「本当に瞬間移動したのか……?」

 

幽助は訝しげに周りを見渡す。

 

「そんなに信じられねえのか?ほら。」

 

魔理沙はそう言って正面を指差した。

 

「あら、幽助じゃない。永遠亭は終わったの?」

 

「れ、霊夢?!おめー、なんでここに……?!」

 

幽助は霊夢を見つけ、目を見開く。

 

「なんでもなにも、ここは私たちが分担で来た命蓮寺よ?なんでここに、はこっちのセリフなのよね。」

 

霊夢は少し肩を落とす。

 

「なあ霊夢。ところでさ。栞ってやつはどこ言ったんだ?」

 

すると、魔理沙が霊夢に問いかける。

 

「え?ああ。栞姉は疲れたって部屋で寝てるわよ。」

 

「ってことはあれか?お前んとこも交渉成立か?」

 

魔理沙が問うが、霊夢は残念そうに首を振る。

 

「とりあえず部屋を貸してくれただけよ。白蓮ってあんなにケチだったかしら……。」

 

「なんでえ。つまんねぇの。」

 

魔理沙はあくびをして帽子を被り直す。

 

「あら、人が増えてますね。」

 

すると、大人びた女性の落ち着いた声が部屋に響いた。

 

「??」

 

霊夢たちは後ろを振り返る。幽助だけは頭に疑問符を浮かべたまま振り返った。

 

「なんだよ白蓮。いつのまにかケチケチしてんな。」

 

「ケチとは人聞きの悪いことを言いますね。」

 

「そういや、生物はみんな平等とかって大変めでたい思考の持ち主だったよな。」

 

ここで魔理沙が言った生物は、たとえ燼魔であっても例外ではないのだろう。

 

この女性は聖白蓮。命蓮寺の住職であり、大魔法使いでもある。白蓮の他にも、寅丸星やナズーリン、雲居一輪が生活しているのだ。

 

「……なによこいつら。」

 

すると、白蓮の横に何者かがやってくる。

 

その者はジュリ扇を持ったバブリーを体現したかのような人物だった。

 

「なんじゃありゃ。平○ノラか?」

 

幽助はそう呟く。

 

「あー、ありゃ貧乏神姉妹の妹の方、依神女苑だ。」

 

「私をあんなのと一緒にしないで。」

 

「あー、そういやあんた、貧乏神じゃなくて疫病神だったわね。」

 

霊夢も疲れたように耳の中に手を突っ込む。

 

「それで、白蓮、こいつは更生したのか?」

 

「いえ、まだ……、そうですね。少し、は、ですかね。」

 

白蓮は言葉を濁す。

 

「おいおい。あれから半年も経つんだぜ?お前の姉貴もバカな天人と一緒にやられちまったんだから、潔く諦めろよ。」

 

「だから、私を姉さんと一緒にしないで。」

 

女苑はぶすくれたまま答える。

 

「それで、私たちに協力する決心はついた?白蓮。」

 

霊夢の問いに白蓮は首を横に振る。

 

「いいえ。現世に仇なす怪物であろうと、生物は生物。この世界に生を受けた生きとし生ける者なのです。それを排除など……」

 

白蓮は視線をそらす。

 

「じゃあ、今この瞬間、燼魔が攻めてきたらどうする気?」

 

霊夢は怒気を孕んだ口調で脅すように言う。

 

「その時は、座して滅びを受け入れましょう。」

 

「相変わらずのカタブツね……」

 

霊夢ははぁ、とため息を吐く。

 

「……おい、てめえ。」

 

すると幽助が白蓮に言う。

 

「なにを考えてやがる?」

 

幽助は白蓮を睨みつけるが、

 

「無駄だ。こいつはこういうのには首を縦には振らないぜ。」

 

魔理沙が諦め気味にそう言った瞬間、何者かが慌てて部屋に入ってくる。

 

「み、皆さん!し、栞さんが!!」

 

その女性、雲居一輪と雲山は慌てて報告する。

 

「栞姉が……?!」

 

霊夢はは絶望色に顔を染めながら慌てて栞の部屋へと走っていった……




いかがでしたか?第8話は以上です。

〜〜〜次回予告〜〜〜
「嘘でしょ、ねえ?栞姉の寿命はもう保たないって……?!」
「永琳がそう言うんだ。間違いねえだろうよ。それに、神子のやつらとの試合をやるんだ。勝たねえとお互いの協力を得られねえ。お前にもやってもらわなきゃならねーんだぞ?!」
「嫌よ、ねえ。栞姉……っ!!」
「次回、人里白神武術会への招待
伊達にあの世は見てねーぜ!!」


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第9話 人里白神武術会への招待

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
都合によって変わる設定

お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。


「あ、うう……っ!!」

 

栞は倒れ伏したまま胸を押さえて苦しそうに布団に寝ている。

 

「栞姉っ!!」

 

すると、襖を思い切り開けて霊夢が入ってくる。

 

「!!」

 

すると、そこにいた星やナズ、封獣ぬえや幽谷響子が一斉に振り向く。

 

霊夢は肩で息をしながら栞を見つめる。

 

「おいっ、どうしたんだ?!」

 

それに続いて魔理沙、幽助、白蓮、女苑も部屋に駆けつける。

 

「聖!栞さんが……!」

 

栞の近くには大量の包帯や血が入ったボウルが置いてあった。

 

栞の口の端から血が滴っている。

 

おそらく大量に吐血したのであろう。

 

「げほ……っ、げほっ!!」

 

栞は激しく咳き込む。

 

「栞姉!栞姉っ!!」

 

霊夢は栞の側に駆け寄り必死に呼びかける。

 

「な、なんかヤバそうだぞ!ちょっと永遠亭行って永琳連れてくる!ちょっと待ってろ!!」

 

魔理沙は額に指を当て、瞬間移動した。

 

「彼女の容体は?!」

 

白蓮は栞の側に近寄り、しゃがみこむ。

 

「胸を押さえているから心臓に異常があるのかと思ったら、彼女、心臓が動いてないの!」

 

ナズーリンは慌てて説明する。

 

「心臓が動いてない……?」

 

白蓮はとっさに栞の右手の手首に触れる。

 

しかし、拍動は全くしなかった。

 

「どういうことでしょう……?!」

 

白蓮は顎に手を当てて考える。

 

しかし、栞は今も息をしているのだ。きちんと体温も感じられる。

 

すると、魔理沙が永琳を連れて帰ってきた。

 

「見せて!」

 

永琳はそれだけ言い放ち、白蓮たちの間に割り込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふぅっ」

 

永琳は汗をぬぐって一息つく。

 

「栞姉は?!大丈夫なのよね!?」

 

霊夢は永琳の肩を持って揺さぶる。

 

「離しなさい。」

 

永琳は冷徹に言って霊夢を引き剥がす。

 

「とりあえず今は大丈夫でしょう。」

 

永琳は霊夢にそう言う。

 

だが、でも、と続け、

 

「彼女、もう長くはないわ。」

 

と言い放った。

 

「え……?」

 

そのセリフに霊夢が硬直したのは言うまでもないだろう。

 

「彼女の馬鹿力、それはね、とある薬を打たれているからこうなっているの。差し詰め、残りの寿命を全て使って究極の戦闘力を手に入れている……ってところね。」

 

「嘘だろ……?!」

 

魔理沙も困惑の色を隠せない。

 

「俺が感じた違和感はこれかよ……」

 

幽助も憎々しげに呟く。

 

幽助には何かが引っかかっていた。

 

初めて出会った時からまるで生気が感じられなかったこと。

 

自分で制御できないほどの馬鹿力を持っていたこと。

 

「それにね、彼女、もう人間じゃないわ。」

 

「どういうことですか?」

 

今度は白蓮が尋ねる。

 

「彼女の臓器機関はほぼ全て停止しているわ。もちろん心臓も。代わりにね、もう一つ心臓のようなものが見られるの。」

 

それを聞いた途端、幽助ははっとする。

 

「おい、それって核みたいなものじゃないか?」

 

幽助はそう永琳に尋ねる。

 

「……ええ。そんな感じね。」

 

「そりゃあおそらく魔族の核だ。」

 

「魔族の、核?」

 

霊夢たちは首をかしげる。

 

「今の俺の心臓だ。昔俺は仙水って野郎に殺されちまってな。そのまま心臓は止まっちまったんだが、魔族なんたらってやつで妖怪として生き返ったってわけ。」

 

「それが、栞姉を生かしているの?」

 

「いや、逆だ。こいつは魔族の核に生かされてる(・・・・・・)。仮にこいつが止まったら、死ぬだろうな。こいつは。」

 

幽助がそう言った途端、霊夢が幽助の胸ぐらを掴む。

 

「……答えて。なんで、なんで栞姉なの?なんで栞姉がこんなことに……?」

 

「さぁな。」

 

「……そんなのあんまりだろ……。せっかく昔の姉貴に会えたってのに、もう保たないなんてよ……」

 

魔理沙も視線を落としてしまう。

 

「とりあえず、様子を見ましょう。おそらくあと1日は目を覚まさないから。」

 

永琳がひとまずそう言う。

 

「………〜〜〜〜っ!!!」

 

霊夢はそう言って出て行ってしまう。

 

「あっ、霊夢!おい、待てよ!」

 

魔理沙も霊夢を追いかけていく。

 

「じゃあ永琳。俺も行くぜ。じゃあな。」

 

「あ、待って。」

 

と、永琳が幽助を呼び止める。

 

「?」

 

幽助は振り向く。

 

「彼女、ものすごい量の切り傷や縫い傷があるわ。彼女、昔に火事で亡くなったんでしょう?それを無理やり蘇らせるなんて……」

 

「……さあな。嫌なやつの考えてることはさっぱりだ。」

 

幽助はそれだけ言い残して去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「霊夢、ここにいたんだな。」

 

魔理沙は命蓮寺のはずれにいた霊夢を見つけ、近寄っていく。

 

「魔理沙……」

 

「霊夢、栞のことだけど、もう大丈夫だってさ。……しばらくは。」

 

魔理沙は消えそうな声で呟く。

 

「それでも、もうあと一月保つか保たないかなんでしょう?」

 

「………」

 

霊夢の反応に魔理沙は黙りこくってしまう。

 

「でもな、霊夢。それでも、せっかく会えたんだ。終わりが来るまで、そばにいてやるのが、妹なんじゃないか?それが例え、血が繋がってなかったって。」

 

「……。私は、どうすれば……」

 

霊夢は顔を落としている。

 

「おい、霊夢。」

 

すると、幽助の声が響いてくる。

 

「……なによ。」

 

霊夢は目元をぬぐって、幽助の方を向く。

 

「表でドンパチ起こりそうだぜ。」

 

「そういや、この気は……神子だな?」

 

魔理沙は命蓮寺の正面の方を向く。

 

「とりあえず、行くわよ。」

 

霊夢の合図と共に3人は命蓮寺正面へ向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お久しぶりですね、聖白蓮。」

 

「そちらこそ、久しぶりですね、豊聡耳神子。」

 

白蓮と神子は互いに睨み合っている。

 

その後ろには、白っぽい装束を着た少女と足がない少女がいた。

 

彼女らは物部布都と蘇我屠自古。神子の側近であり部下である。

 

彼女らと白蓮らは宗派の違いからか仲がいいとは言えず、週2のペースで布都が命蓮寺に火を放ちに来る。

 

「いよいよ全面戦争でも引き起こすつもりですか?」

 

「いいや、そんなことはしないよ。ただ……決着をつけに来たのさ。」

 

神子はそう言うと再び白蓮の顔を睨む。

 

「決着、というのは?」

 

「武術勝負をします。5対5でね。」

 

「それぞれ選抜した先鋒、次鋒、中堅、副将、大将を決め、先鋒から順に戦い、先に敵の大将を倒した方の勝ち。どうです、簡単でしょう?」

 

神子はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

 

すると、幽助と魔理沙、霊夢が合流した。

 

「よう、神子。久しぶりだな。」

 

「ええ。お久しぶり。」

 

魔理沙の挨拶に神子もぎこちなく捉える。

 

そのとき、白蓮が咳払いをした。

 

「話を戻しますが、私はそれでも構いません。」

 

「どうします?結局それで、受けるのですか?」

 

「いいでしょう。受けて立ちます」

 

白蓮はそう答える。

 

「では、翌日正午より、人里の中心にリングを用意しておきます。それでは。」

 

そう言って神子は消えていった。

 

「武術勝負か……。面白そうだな!」

 

魔理沙もワクワクを隠せない。

 

「よし、明日、神子とか言うやつらに勝ってやるぜ……!」

 

幽助も拳を握りしめ、そして、1日の日はあっという間に過ぎ去っていった………




いかがでしたか?第9話は以上です。

〜,〜次回予告〜〜〜
「これが武術勝負か。俺も大会はトーナメント以来だ。へっ、思う存分暴れさせてもらうぜ。」
「まったく、なんで私は出られないんだよ?ま、しょうがねえか。頑張れよ幽助!」
「次回、激突!代表5人、出揃う
伊達にあの世は見てねーぜ!!」


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第10話 激突!代表5人、出揃う

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

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お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。

栞はもう長くはない、という衝撃の事実を突きつけられた霊夢たち。悲しみに暮れる暇もなく、突然命蓮寺に豊聡耳神子がやってくる。彼女は命蓮寺との決着をつけるべく武術大会の開催を提案したのだ。白蓮も同意し、翌日に武術大会が開かれることとなった……


命蓮寺。この寺の居間で、命蓮寺のメンバー全員と、霊夢、魔理沙、幽助が集められていた。

 

「それで、どうするんだよ?その5人ってのは。」

 

魔理沙はそわそわしながら白蓮に問う。

 

魔理沙は武術大会と聞いてうずうずしているのだ。

 

「ええ。これは命蓮寺と神子たちの問題です。魔理沙さんたちを巻き込むわけにはいきませんので。」

 

しかし白蓮は魔理沙たちを出場させる気は無いようだ。

 

「むう……」

 

魔理沙は不満そうに口を尖らせる。

 

「それで、メンバーはどうするのよ?」

 

今度は霊夢が白蓮に問う。

 

「そうですね、私は入るとして、一輪、星、ぬえ、ですかね?」

 

「ん?あと1人はどうすんだ?」

 

魔理沙が白蓮に尋ねると、

 

「最後の1人は、浦飯幽助さん、あなたです。」

 

「はぁ?」

 

幽助の口から思わずそんな声が漏れてしまう。

 

「いい機会ではないですか。幽助さんの実力を推し量る、ね。」

 

「へっ、どこ行ってもそれだな。大人しく協力するって選択肢はねーのかよ。」

 

幽助は皮肉を込めて言う。

 

「まぁ、皆さん心配なんですよ。お互いが。みんな迷っているのです。このまま戦っても、勝てないのではないか、と。」

 

「どういうことだよ?」

 

「トドメをさせるのは霊夢さんだけ。その上数が多すぎる。気づいてはいないかもしれませんが、皆、彼女、霊奈との戦いで多少なりとも闘志を折られているのです。」

 

「あのとき、貴女たちやあの人がいらっしゃらなかったら、と思うと、どうしようもなく怖くなるのです。」

 

白蓮は声とは裏腹に、手は微妙に震えていた。

 

 

 

「…………」

 

命蓮寺居間の外で木にもたれかかって腕組みをし、俯いて話を聞いていた神子は腕組みを解く。

 

「太子さま………」

 

布都は心配そうに神子を見つめる。

 

「ええ。聖白蓮の言う通りです。私たちではあの女に手も足も出なかった。彼がいなかったら、間違いなくこの幻想郷は終わっていましたよ。……私たちは知りたいのよ。あの男が、浦飯幽助が、この幻想郷を救ってくれる者なのか。それに、貴女もいますし。そうですよね、真澄さん?」

 

神子はそう言って後ろを振り向き、ローブを着た女性に微笑みかける。

 

「ええ。神子。」

 

真澄と呼ばれた女性はどこか邪気を漂わせながら笑みを浮かべる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、再び命蓮寺の居間に集まった白蓮、幽助、霊夢、魔理沙。

 

星たちはどうやら先に行っているようだ。

 

「それでは、先鋒はぬえ、次鋒は一輪、中堅は星、副将は私、大将は、幽助さんでいいですね?」

 

「ったく、しょうがねえな。やりゃあいいんだろ。」

 

幽助は頭をかきながら白蓮に言う。

 

「でも、神子たちは5人と言ったって誰で来るのかしら。ふつうに考えれば芳香、青娥、屠自古、布都、神子だろうけど。」

 

すると、霊夢が顎に手を当てて考える仕草を見せる。

 

「いや、あいつのことだし、そんな単調な考えじゃあねえだろ。私たちにゃ考えられない奴を連れて来たりする奴さ。」

 

魔理沙が苦笑いを浮かべながら霊夢に言う。

 

「では、行きましょうか。人里にリングを作っておく、と神子が言っていましたから。」

 

すると、白蓮はすっくと立ち上がり、襖に手をかける。

 

「ま、行ってみたらわかるわ、魔理沙。」

 

「ん、そうだな。行きゃあわかるよな。」

 

それに続いて、霊夢たちも命蓮寺を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、なんじゃありゃ。」

 

ふと、魔理沙が声をあげる。

 

魔理沙たちの視線の先には、大量の見物人と巨大な正方形のリングが鎮座していた。

 

「へっ、喧嘩でライバル同士の決着つけるにゃあせこいリングだぜ。」

 

魔理沙は嘲るように言う。

 

「来ましたね。」

 

すると、リングの上から神子の声が響いてくる。

 

「よく物怖じせずに来れましたね。」

 

「あまり舐めてもらっては困りますね。これでも彼女らを預かる身ですから。」

 

試合が始まる前から神子と白蓮の間で既にヒートアップしてきている。

 

「おい、神子とか言ったな。こんなに客が来るなんざ聞いてねーぞ。」

 

すると、幽助が神子と白蓮の間に入ってくる。

 

「人里にも道楽に飢えた者たちがいますからね。たまにはこんなのもいいでしょう。」

 

「ふん」

 

幽助は表情を強張らせたまま神子を見る。

 

すると、神子の後ろにいたローブで顔と全身を隠した女性の強烈なオーラに、霊夢と魔理沙、幽助は瞬時に反応した。

 

「おい霊夢。知ってるやつか?」

 

「いいえ。あんなの見たこともないわ。」

 

「だよな。私もあんな気感じたのは初めてだ。」

 

魔理沙も霊夢は互いだけに聞こえるように話す。

 

「おいてめー、なにもんだ。答えろ。てめーの強烈な気は隠せねーぞ。」

 

「お初お目にかかります、浦飯幽助、博麗霊夢、霧雨魔理沙。私は、真澄。訳あって神子に協力している者です。

よろしく」

 

すると、真澄と名乗る女性は半ば無理矢理に幽助の手を掴む。

 

「よろしく。」

 

その時、その場にいた人の中では魔理沙と霊夢だけが真澄の放つ黒いオーラに気づいた。

 

「……!」

 

幽助もそれに気づいたのか、幽助自身も黄泉との戦いで使用した黄金の気を放つ。

 

「………」

 

ローブのせいで真澄の表情は読めなかったが、幽助の放つ気に気づいたのか、ふっと吹き出し、黒いオーラをしまう。

 

「いい試合になるといいですね。」

 

真澄はそれだけ言い残し、踵を返していつのまにかリングの外にいっていた神子のもとへ向かっていった。

 

「さぁ!道教vs仏教!なぜかはわからないが武術大会が開かれるぞ!司会進行は、私射命丸文が務めさせていただきまぁす!!」

 

すると、扇子を持った女性がマイクを持って実況席で大声をあげていた。

 

「なんだあいつ。」

 

幽助は冷ややかな視線を送る。

 

「あれは妖怪の山に住んでる鴉天狗の射命丸文。捏造ばっかする新聞記者よ。あと、面白いことがあったらどんどん首突っ込むタイプだから、どっかから聞きつけて来たのね。」

 

霊夢は幽助に説明して、はぁ、とため息を吐く。

 

「ほんとに、天狗の情報網は侮れないわね。霊夢は諦め気味に文を見る。

 

すると、霊夢の視線に文が気づいたのか、文はニヤァ、と笑ってハンドサインを送る。

 

「けっ!」

 

気に入らないのか、霊夢は即座に視線を逸らす。

 

すると、幽助は文の隣にもう2人誰かが座っていることに気づいた。

 

「おい霊夢。ありゃあ誰だ?」

 

幽助が文の隣の女性2人を指差す。

 

「ああ。あれは……」

 

霊夢が幽助に教えようとすると、

 

「ありゃあ閻魔の四季映姫・ヤマザナドゥと、死神の小野塚小町だな。ちなみに、映姫は四季映姫だけが名前で、ヤマザナドゥってのは役職名だから気をつけろよ。間違えると説教されるぜ。」

 

魔理沙が割り込んで答え、にしし、と歯を見せて笑う。

 

(そういやぼたんとコエンマはなにやってんだろうな……)

 

ふと、幽助が思うと、映姫たちがこちらに気づき、近寄ってきた。

 

「やべっ、あの説教オタク、こっち来やがったぜ。」

 

魔理沙はめんどくさそうに言ってそそくさとその場から離れた。

 

それに続き、霊夢もその場から離れる。

 

 

 

「浦飯幽助、さんですね?」

 

「ああ、そうだ。俺に何か用か。」

 

幽助は映姫に突っかかる。

 

「貴方の噂が存じています。霊夢と同じ霊気使いなのだとか。」

 

「映姫さまぁ、もう試合始まりますよ?早く戻りましょうよ〜〜。」

 

映姫の後ろについてきた小町はあくびをしながら映姫に言う。

 

「ん?あんた……」

 

すると、小町は目を細めて幽助を見る。

 

「あ?んだよ。」

 

幽助は小町を睨む。

 

「あんた、ぼたんって死神知ってるね?」

 

「なんで知ったんだよ?」

 

「だって、あんたにぼたんの気配がすこーしついてんだもん。」

 

小町は耳に指を突っ込みながら言う。

 

「あたいらの友好ネットワークを舐めてもらっちゃあ困るね。例え世界が違おうと知り合いになれるってもんさ。」

 

「それに、コエンマって人のことも知ってるよ。」

 

小町は幽助に耳打ちする。

 

「へっ、知ってたのかよ。」

 

幽助は少し吹き出して、小町に言う。

 

「小町、そこらへんにしておいて下さい。幽助。ここからが本題なのですが、この大会、なにかがおかしいです。この会場付近に、邪悪な気配が漂っています。おそらく、燼魔かと。」

 

「ああ。俺もなんとなくは感じてるさ。」

 

幽助は周りを見ながら映姫に言う。

 

すると、スピーカーから文の声が響いてきた。

 

「さぁ!いよいよ開幕です!まずは、第一回戦、封獣ぬえ選手vs霍青娥選手!」

 

「それでは、両選手、リングへどうぞー!」

 

「………芳香じゃないのね。」

 

霊夢は訝しむように言う。

 

「ああ。一波乱ありそうだぜ、この大会。」

 

魔理沙も周りの気配に気づいているようだ。

 

すると、いつのまにかリングの上にぬえと青娥が登っていた。

 

そして、文の声がスピーカーから響く。

 

「それでは、先鋒戦、開始です!!」




いかがでしたか?第10話は以上です。

〜〜〜次回予告〜〜〜
「青娥って奴もぬえって奴もなかなかやりやがるが、やっぱあいつが引っかかるぜ……」
「あいつ、なんか変な気配を纏ってやがるぜ。あいつ、副将みたいだし、白蓮は気をつけてほしいよな。」
「このまま平和に行きゃあいいんだがな。
次回、波乱の人里白神武術会、開始!
伊達にあの世は見てねーぜ!!」


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第11話 波乱の人里白神武術会開始!

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
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お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。

神子からの挑戦を受け、遂に始まる人里白神武術会。神子は隠し球として謎の女性、真澄を従えていた。真澄と戦うのは白蓮。果たして、このまま何事もなく無事に終了できるのだろうか……?!


「………」

 

紫は無言でとある写真を見つめる。

 

その顔は、どこか寂しそうに見えた。

 

「紫さま、それなんですか?」

 

「ああ、橙。……これはね、私たちの昔の写真。貴女の先代式神の写真よ。」

 

すると、紫は近寄ってきた橙に写真を見せる。

 

そこには、冷酷な表情を浮かべる紫と藍、そして黒髪の女性がいた。

 

「この人が私の前の式神なんですか?……なんか、紫さまも怖い顔してますね。」

 

「ええ。昔はね。結構やんちゃしてたから。そういえば、幽々子とも知り合う前だったわね。」

 

「それで、この人はどうしちゃったんですか?」

 

「え?……ああ、えっとね、彼女は、私が式神をクビにしちゃってね。今はどこで何をしてるかはわからないけれど、無事ではいるはずよ。」

 

紫の唇は震えていた。

 

「紫さま……、どうして?どうして辞めさせちゃったんですか?」

 

「彼女は、藍以上に私に従順に働いて、よくしてくれたわ。でも、彼女は力不足だった。藍よりね。この時は、戦争をしていたときだったから、彼女の命が危ない、と結論を出したの。」

 

「そうだったんですか……」

 

「でもね、私は1つ過ちを犯してしまったわ。彼女に事情を説明しても、きっと彼女は死んでも私についてくる、そう勝手に思い込んだ私は、無情にも彼女を突き放してしまったの。本当に、今でも後悔してる。時間が戻れば、と。あの時に戻れたら、もっとマシなやり方があったんだろう、とずっと考えていた。」

 

「………」

 

重苦しい雰囲気に、遂に橙も黙りこくってしまった。

 

「さ、暗い昔話はここまで!過去の悔恨より今の対策、よ。燼魔の研究に戻りましょう橙!藍も待ってるわ。」

 

紫はなんとか表情を明るくし、橙に呼びかける。

 

「……はい!」

 

橙も紫の意図を察したのか、笑みを浮かべて、紫について行った。

 

 

 

 

「……紫様」

 

廊下を歩いている紫を、藍が呼び止める。

 

「………藍」

 

「紫様、紫様が気に病むことではありません、あれを提案したのは、私です。」

 

「それでも、彼女の心に傷を残したのは他でもない私よ。」

 

「本当に、一体どこで何をしているのやら……」

 

藍は悲しそうに窓から外を見つめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ!人里白神武術会、中堅戦も、いよいよ大詰めです!このまま押し切るか、寅丸星選手!起死回生の一手はあるのか、物部布都選手!」

 

一方、人里では中堅戦が白熱していた。

 

観客もバトルの熱気に感化され、大きな歓声が上がる。

 

「さて、ここで今までの結果を見てみましょう!先鋒戦、封獣ぬえ選手vs霍青娥選手は青娥選手の勝ち、一方、次鋒戦では雲居一輪選手が蘇我屠自古選手を破っています!」

 

「これはどちらも一歩も引かない激戦だぁ!これからの戦いも目が離せません!」

 

「ったく、うるせー実況だな。」

 

幽助はやれやれといった感じで首を振る。

 

「文はヒートアップするとあんな感じだからね。しょーがないわ。」

 

「それよりも、見えるか霊夢、幽助。あの真澄っての、全く微動だにしないぜ。」

 

魔理沙が指をさしたのは、先程幽助に対して挑発行為を行った真澄だ。

 

魔理沙の言う通り、真澄は腕を組んだまま全く微動だにしなかった。

 

「喧嘩慣れしてんのか、ただの怖いもの知らずかは知らねーが、ただもんじゃねーのは確かだな。」

 

幽助も再度真澄を見つめる。

 

その瞬間、

 

「決まったーっ!!勝者は寅丸星選手!これで命蓮寺チームが一歩勝利に近づいたぁ!」

 

どうやらリング上での中堅戦に決着がついたようだ。

 

「よし、とりあえずこれで王手ね。」

 

安堵する霊夢だが、

 

「どうだろうな。次はいよいよあいつが出てくるんだぜ?はっきし言って今までのは前座だぜ。あいつ、幽助の言う通り、ただもんじゃない。」

 

魔理沙が表情を強張らせて言う。

 

「お疲れ様です、星。」

 

「ええ、聖。私もなんとか勝てましたが……、感じましたか、彼女の雰囲気。」

 

リングを降りて戻ってきた星を、白蓮は出迎えるが、すぐさま星は振り返り真澄を見つめる。

 

「感じています。なんでしょう。私にも推し量れない謎の空気を纏っています。霊奈の恨みつらみのエネルギーじゃない。もっと純粋な……殺意、でしょうか?」

 

白蓮も額に冷や汗をかきながら言う。

 

「頑張ってください、聖。」

 

「ええ。ゆっくり休んでいてください。……行ってきます。」

 

そう言って白蓮はリングの上に上がっていった。

 

「さあ!続いてはいよいよ副将戦!聖白蓮vs真澄!命蓮寺チームが勝てばここで決着がつきます!」

 

 

 

「………」

 

リングに上がった白蓮は、真っ直ぐに真澄を見据える。

 

(なんでしょうか。この感覚は。まるで蛇に睨まれた蛙のようです……)

 

「お手柔らかに。」

 

真澄はそれだけ言って構える。

 

「こちらこそ。」

 

「それでは、始めっ!!」

 

(まずは様子見から……!)

 

超人「聖白蓮」

 

白蓮はエア巻物で身体能力強化魔法を自らにかけ、真澄に突撃する。

 

そして、腹部に鉄拳を喰らわせ、続けざまにパンチ、キックの応酬を繰り出す。

 

光魔「魔法銀河系」

 

そして、スペルを放ち、リングの三分の一を焼き払った。

 

 

 

「全弾命中……、効いてない、ってことはないよな?」

 

魔理沙たちは真剣に試合を見ている……

 

 

 

(……手応えはある、けれどなんでしょう、この違和感は……?)

 

白蓮は表情を崩すことなく爆煙を見つめている。

 

「が、がふっ、げほっ!」

 

すると、爆煙が晴れ、真澄の姿が露わになる。

 

 

 

「おいおい、大ダメージじゃねーか。」

 

幽助は意外そうに呟く。

 

 

 

「なかなか、お強いですね、白蓮さん。」

 

真澄はそれだけ言って再度咳き込む。

 

「お褒めに預かり光栄です。」

 

(試合を長引かせればこちらが不利になる……、早めに決めなくては!)

 

白蓮はそう結論づけ、真澄の元へ突進していく。

 

そして、左手を突きつけ、

 

「これで終わりです!」

 

そして、リングは再度大爆発を起こした……




いかがでしたか?第11話は以上です。

〜〜〜次回予告〜〜〜
「おいおい!あんだけ白蓮から喰らっておいてノーダメージってどう言うことだ?!たしかにあいつは大ダメージを喰らってたろうが!」
「なにか仕掛けてるわね、あいつ……」
「ちっ、俺にはさっぱりだぜ……!
次回、謎の選手、真澄の恐怖!
伊達にあの世は見てねーぜ!!」


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第12話 謎の選手、真澄の恐怖!

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
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お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。

それぞれの思いが交錯するなか、遂に副将戦が始まった。謎の選手、真澄と対峙するは、命蓮寺住職、聖白蓮。試合開始早々、全力で飛ばし、猛攻を仕掛ける白蓮だったが……


徐々に白蓮の放ったエネルギーが収束していき、爆煙が晴れてくる。

 

すると、爆煙の中にうっすら人影が2つ見えた。

 

1人は倒れており、もう1人は倒れた人を見下ろしている。

 

 

 

「………」

 

幽助たちはじっとリングを見つめている。

 

直後、幽助たちはリング上の光景に目を疑った。

 

 

 

「うっ………!」

 

なんと、先程まであれほど押していた白蓮がどういうわけか倒れ伏しており、

 

「ふふふ………」

 

真澄に至っては先程白蓮から受けたダメージがまったく見えないほど傷が修復されており、尚且つ手にエネルギーを溜めていた。

 

「う、嘘でしょ……?!」

 

流石の霊夢もこれには目を疑っている。

 

「くそっ、立てっ!!避けろ白蓮っ!!」

 

顔を青ざめさせた魔理沙はリング上の白蓮に叫ぶ。

 

 

 

「………さようなら、住職さま……。」

 

真澄はそれだけ言って手のひらからエネルギーを解き放つ。

 

瞬間、エネルギーはリングに激突し、真澄の真正面、すぐ目の前に巨大なエネルギーの柱が立った。

 

 

 

「くっ!!」

 

幽助たちもリングから襲い来る猛烈な爆風と閃光に耐えるため、各々踏ん張る。

 

 

 

しばらくして、ようやく光が収まったかと思うと、リングは真澄が立っている場所を除いて全て消え失せていた。

 

「おいおい……、やりすぎだろ……」

 

幽助も流石に呆れている。

 

「あやや……、な、なんということでしょうか!真澄選手の放ったエネルギー波で、リングが消し飛んでしまいました……!」

 

実況の文も言葉をうまく紡げないようだ。

 

それに加え、幽助たちはあることに気付いた。

 

いないのだ。白蓮がリング上に。

 

「嘘だろ……?!」

 

幽助は目を見張っている。

 

「………いや、待て!上だ!」

 

魔理沙がそう叫び、その場にいた人たちは一斉に上を見上げる。

 

刹那、太陽が一瞬揺らめいたかと思うと、猛烈な勢いで白蓮が戻って来て、真澄に勢いを乗せたパンチをお見舞いするが、真澄も同様にパンチを撃ち、白蓮と真澄の強烈なエネルギー同士がぶつかり合う。

 

その瞬間、行き場のなくなったエネルギーはバチバチと2人の拳がぶつかっている地点で雷のように轟く。

 

そして、エネルギーはリングの外へと出て行ってしまう。

 

そのエネルギーが観客席にいる人里の人間たちに牙を剥くのは必然であった。

 

「ちっ!!」

 

が、幽助や神子たちが分担し、一瞬の間にエネルギーを弾き飛ばしてしまった。

 

そして、神子がこう言い放つ。

 

「皆さん、申し訳ないですが現時刻をもってこのリング付近は人里の方は立ち入り禁止です!」

 

瞬間、人里の人間たちはこれから巻き起こる戦いの激しさを察したのか、1人残らずいなくなってしまった。

 

 

 

「………ギャラリーがいなくなってしまいましたね。」

 

「……そっちの方が都合がいいです。安心して全力を出せますから。」

 

白蓮はそう言って徐々に自身から噴き上がるオーラを強めていく。

 

「ふっ!!」

 

刹那、白蓮はパンチを繰り出した右手を引っ込め、続けざまに左足で蹴りを入れる。

 

真澄は反応できずに右脇腹に蹴りをモロにもらった。

 

そして白蓮は連続で真澄の胸に蜂が刺すように連続で蹴りを入れる。

 

次の瞬間、白蓮は身体強化魔法を左足にさらに上乗せし、渾身の力を込めた蹴りを繰り出す。

 

しかし、時間を与えてしまったのか、真澄は手をクロスさせてそれを防ぐ。

 

が、余程の威力があったのか、真澄の体は一気に数メートル後ずさってしまった。

 

「はっ!!」

 

瞬間、白蓮は右手からエネルギー波を放つ。

 

それと同時に、真澄もエネルギー波を放つ。

 

2つのエネルギーはぶつかり合い、バチバチと電撃のようなエネルギーの奔流が見える。

 

しかし、徐々に白蓮のエネルギー波が押しているようで、真澄のエネルギー波が押し返されている。

 

「……っ!!」

 

真澄は踏ん張っているようだが、好機と睨んだ白蓮は更に力を強め、ついに真澄のエネルギーを完全に押し返す。

 

直後、真澄はエネルギー波に飲まれてしまう。

 

 

「よっしゃ!」

 

魔理沙はガッツポーズをとるが、

 

「いえ、まだよ!」

 

と霊夢が叫んだ瞬間、エネルギー波の中から真澄が飛び出でくる。

 

「甘いっ!!」

 

真澄はそう言ってエネルギー波を放ってガラ空きになっている白蓮の腹部に膝蹴りをかまし、両手を上に持っていき、そのまま白蓮に振り下ろして、巨大なエネルギー波を白蓮にぶつけた。

 

白蓮はエネルギー波に飲み込まれてしまう。

 

 

 

 

「くそっ、あいつ、ビクともしてねーぞ!」

 

幽助は悔しそうに地団駄を踏む。

 

(……どういうことかしら。ただ体が丈夫ってだけなら服にすら全く傷が入っていないのはどう説明するのかしら……?)

 

霊夢は顎に手を当てて思考を巡らす。

 

 

 

「はっ、はっ、はっ……」

 

白蓮は額から血を流しながら膝を地面につく。

 

「たしかに貴女は強い。とても強かった。が、しかし。勝負とはただ力だけでは決まらないものです。今回は力で負けてもそれ以外は私が勝っていたようですね。」

 

真澄は諭すように白蓮に言って、

 

「それでは、さよならです。あの世でもお元気で。」

 

手のひらを白蓮に向け、エネルギー弾を至近距離から何発も撃とうとするが、

 

「…………なんの真似です?」

 

真澄は背後から突きつけられた人差し指と剣の気配を感じとり、後ろを振り返らずそれだけ尋ねる。

 

「……もうそれでいいでしょう。無闇矢鱈に命を刈り取るものではない。」

 

「てめー、本当に何もんだ。返答次第ではてめーの頭が飛ぶぜ?」

 

すると真澄はふふっと嘲るように吹き出し、

 

「………いいのですか?このままだと聖白蓮も巻き込みますよ?」

 

「私としては聖白蓮とお前が同時に消えてくれれば一石二丁よ。」

 

「てめーの頭だけぶっ飛ばすなんざ簡単なことだぜ……!」

 

「大した自信ですね。質問ですが、このまま私を殺すとしてどうするんです?周りには燼魔が張ってますよ?戦力は1人でも多い方がいいのではないでしょうか。」

 

「だろうな。てめーは頭も良さそうだ。」

 

幽助はそう言うが突きつけた人差し指は全く動かさない。

 

「貴女の欲を聞きましたが……、貴女、邪悪な欲しか持ってませんね。」

 

「そりゃそうですよ。人間誰しも邪悪な欲の1つや2つ、あるでしょう。……そもそも、どうしてです?我々は同盟関係を結んだのでは?」

 

「それは建前よ。本当はお前の本性を知るため。こんなに大規模な大会を開けば、被害を出すだけ出して、尻尾を巻いて逃げるにはもってこい。必ずボロを出すと思いました。」

 

それを聞いた真澄は妖しく笑う。

 

「え、えと、どういうことか、さっぱりわかりませんが……両陣営の大将が乱入しました……!」

 

文も頭に疑問符を浮かべながら報告する。

 

もっとも、それを聞いているのはほんのわずかな人間だけなのだが。

 

「ここで私を殺せば一石二鳥と?」

 

「そうなるわね。」

 

すると、いつのまにか霊夢と魔理沙も白蓮と真澄の間に割り込んで真澄を睨みつける。

 

「………くくっ、」

 

真澄は俯いたまま堪え切れない笑いをどうにか堪える。

 

「私を倒して全てが解決するなんて、甘っちょろい考えね。私の元上司のほうがよっぽどいい案を出すわ。」

 

そう言って真澄は飛び上がり、懐から閃光弾を取り出し、投擲する。

 

刹那、閃光弾は爆裂し、凄まじい閃光が迸る。

 

「ちっ!!」

 

周囲の人間は全て目が眩んでしまった。

 

 

 

 

しばらくして、幽助たちの目の眩みが治った時には、既に真澄の姿はなかった………




いかがでしたか?第12話は以上です。

〜〜〜次回予告〜〜〜
「くそっ、あいつ、本当に何者なんだ……!」
「まだわからないわね。でも、これだけははっきりしてるわ。あいつと燼魔は、間違いなく結びついてる!」
「まぁな。とりあえず、協力を仰ぐ活動に戻んねーとな。」
「そうね。じゃあ次は……」
「次回、不幸な強敵!紫苑の秘技
伊達にあの世は見てねーぜ!!」


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第13話 不幸な強敵!紫苑の秘技

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
都合によって変わる設定

お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。

白蓮との戦いで、その邪悪な本性を現した真澄。彼女はきっと燼魔と繋がっている、そう確信した霊夢たちだったが、果たして彼女らが次に向かう場所は……?


「くそっ!!逃げられた!!」

 

魔理沙は悔しそうに地団駄を踏む。

 

「気も全く感じられなかった。あんにゃろう、気も消せるのか……!」

 

「俺も全く気配を感じなかったぜ……」

 

幽助も憎々しげに呟く。

 

「あいつは、多分燼魔と繋がってる。」

 

すると、霊夢が口を開く。

 

「だろうな。あいつが消えた途端周囲の燼魔の気配が消えた。」

 

「まぁ今の幽助の報告だけじゃ、燼魔が真澄を狙ってるってだけかもしれねえが、私の勘じゃあ違うな。あいつ、なんか雰囲気が嫌な感じだ。」

 

魔理沙も幽助に同調する。

 

「まぁ、勘ってだけじゃ断定は出来ないけれど、私も同感よ。」

 

すると、神子も腕を組んで考える仕草をとる。

 

「それに……」

 

そして、神子はかつてリングがあった場所の外を見る。

 

「私の部下も気絶してますし。」

 

神子は半笑いで頭の上で星を回転させている布都や屠自古を見る。

 

「そういえば、星たちもそのままに……」

 

霊夢に肩を貸されながら起き上がった白蓮もリング外を見る。

 

すると、一輪たちも地面にめり込んでいたり星を回していたりしていた。

 

「………とりあえず、彼女らを助けましょうか。」

 

神子はため息をついてからリング外でのびている布都と屠自古、青娥を叩き起こす。

 

そして、白蓮も一輪たちを救助した。

 

 

 

 

 

「とりあえず、ヤツは逃してしまいましたが、人里を一度は守らぬくことができました。……ありがとう。聖白蓮。貴女が耐えてくれたおかげでヤツの正体暴きが一歩進みました。」

 

神子は白蓮に手を差し出す。

 

「ええ。こちらこそ。私も自分の実力が理解できましたから。それに、私の仲間との絆を深めてくれた。感謝します。」

 

白蓮は神子の手を握り返す。

 

「なんだなんだ。お前ら仲良くなったのか?」

 

すると、魔理沙が冷やかしに来る。

 

魔理沙がそう言った瞬間、2人はさっと手を離してしまった。

 

「前言撤回。やはり貴女に感謝することなど1つも無いわね。」

 

「こちらもやはりそうでした。我々も前言撤回します。」

 

「あり?」

 

魔理沙は小首を傾げてしまう。

 

「……今のは魔理沙が悪いわ。」

 

「だな。」

 

幽助と霊夢はジト目で魔理沙を見つめる。それと同時に、珍しく2人の意見が一致した。

 

「……とりあえず、解散ね。」

 

神子は布都たちを抱えてそう言う。

 

「……ですね。ではまた。」

 

そして2人はお互い背を向けて、逆方向へ歩いていった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど。私が寝てる間にそんなことが……。なんか悪いことしたな。ゴメン。」

 

翌日、昨日の苦しみようとは一変した栞が水を飲みながら霊夢たちに謝罪する。

 

「私たちのことはいいのよ。それで、体は大丈夫?」

 

「え?ああ。まぁな。よく動くみたいだ。悪くない。」

 

栞はぶんぶんと手を動かす。

 

「………」

 

しかし、幽助だけは厳しい顔で栞を見つめていた。

 

「それで?次はどこ行くんだよ。」

 

幽助は頭をかきながら尋ねる。

 

すると、

 

「おーい!」

 

と命蓮寺の外から誰かの声が聞こえてくる。

 

「この気は……」

 

魔理沙が外を見ると、

 

「霊夢さーん!幽助さーん!魔理沙さーん!」

 

手を振ってこちらに向かってくる美鈴と咲夜の姿があった。

 

「やっぱりあいつらか。」

 

安堵するように零す魔理沙だが、彼女らの後ろに何者かがついてきていることに気がついた。

 

「ありゃ………妖夢か?」

 

魔理沙は目を細めて遠くを見る。

 

「やっぱり妖夢だ!」

 

魔理沙は確信したのか、声を荒げる。

 

 

 

 

「とりあえず、幽々子さんに話をつけて、妖夢さんを同行させてくれました。」

 

美鈴は簡潔に報告する。

 

「お久しぶりです、霊夢、魔理沙。そして……浦飯幽助さん。」

 

「けっ、俺も有名人だな。」

 

幽助はため息をつく。

 

この女性は魂魄妖夢。冥界の管理をしている西行寺幽々子の従者であり、幽霊と人間のハーフ、半人半霊である。

 

妖夢のそばに浮いている人魂も妖夢なのだ。

 

「こっちもとりあえず白蓮と神子の協力は得られたわ。人里をお互いに守っておくって。まぁ、この二勢力を同じとこに置いとくのは些か不安が残るけどね。」

 

霊夢も情報交換をする。

 

「それで、次はどうするよ?」

 

幽助が霊夢が問う。

 

「そうね。……とりあえず、今残っているのは天界、妖怪の山、地底、彼岸、紫は隠岐奈に話をつけておくと言ってたわ。彼岸は映姫にもう話をつけてある。……そして、月。」

 

「月……永琳が言ってた1番クロに近い奴らだな。」

 

幽助はそう言うが、

 

「ええ。でも、私はあいつらはクロとは思わない。」

 

「なんでだよ。」

 

「魔理沙が言ってたけれど、月の人間は穢れ、人間の持つ気を嫌って、それを持たないの。でも、ある程度地上と関わりを持てば、微量気を持つ。けれど、魔理沙。真澄とか言うやつから感じた気は……」

 

霊夢は魔理沙を見る。

 

「ああ。依姫や豊姫のそれとは全く違う。ありゃ明らかに地上人のそれだ。仮に月に行ってたとしても月の奴らは地上人にゃ依姫や豊姫とかサグメを除いてまず協力しねえだろ。それうえ依姫たちもあんな気を持つやつに協力なんかしないからな。」

 

「じゃあ月はシロってことかい魔理沙?」

 

今度は栞が魔理沙に問う。

 

「グレー。50%50%(フィフティフィフティ)だ。あとは行ってみりゃあわかるさ。」

 

「そうか。……私としては、お月さんに人がいるだなんてこと自体驚きなんだがな。」

 

栞はそう言って吹き出す。

 

 

 

 

 

 

「………じゃあ、月には魔理沙、美鈴、咲夜で行くことにして、残りの私たちは天界に行くわ。ローラーで妖怪の山、地底に行く。それでケリがつくはずよ。」

 

「今んとこ燼魔に一回しか会ってないのは幸運だったな。」

 

魔理沙も真剣に言う。

 

「私たちは白玉楼で交戦したんだけどね…….」

 

咲夜が少し怒気を孕みながら魔理沙に言う。

 

「う、そうだったのか。ゴメン。」

 

「よし、じゃあ天界だな。」

 

幽助はぐっと気合を入れなおす。

 

「幽助ぇ、またお別れなんだな……」

 

魔理沙が寂しそうに泣くフリをして幽助を見つめる。

 

「どーせまた合流すんだろ。てめーがさっさと月を片づけりゃあいい話だ。」

 

「ん、それもそうだな。」

 

魔理沙は口をωマークにして言う。

 

「よし、じゃあ行くか。2人とも、私に掴まれ。」

 

魔理沙がそう言うと、咲夜と美鈴がそれぞれ魔理沙の右肩、左肩に手を置く。

 

「……依姫、依姫、っと……、捉えた!んじゃあなみんな!」

 

魔理沙はそう言い残して、瞬間移動していった。

 

 

 

 

 

 

「………じゃあね白蓮。ご飯美味しかったわ。」

 

「はい。人里は任せてください。燼魔は私たちでどうにかできますから。皆さんは真澄を追ってください。」

 

「そのつもりよ。あいつがクロだろうがシロだろうが、どのみちあいつとはもう一度会う。そのときはっきりさせてやるわ。」

 

霊夢はそう言って飛んで行った。

 

「では、私もこれで。」

 

そう言って妖夢、栞も霊夢を追って飛んでいく。

 

「………」

 

「……行かないんです?」

 

「いや、行くさ。じゃあな、白蓮。」

 

「ええ。また。」

 

幽助と白蓮は小さくそう言の葉を交わし、幽助は飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よく来たわね!」

 

天界。雲の上にあるここで、やってきた霊夢たちを待ち伏せるように2人の女性が立ちふさがっている。

 

「うげっ、ウザい奴が待ってたわ。」

 

霊夢が露骨に嫌そうな顔をする。

 

すると、遅れて幽助がやってくる。

 

「なんじゃありゃ。」

 

「あっちの青い髪のやつ……いや、どっちも青髮か。帽子をかぶっているやつが天人の比那名居天子。そんであっちのビンボくさい、いや実際にボンビーなやつが依神紫苑。」

 

「依神……」

 

幽助は引っかかるものがあるようだ。

 

「そ。あれが命蓮寺にいた依神女苑の姉。貧乏神よ。」

 

「ほんとに最悪な姉妹だな。」

 

幽助は僅かに口角を上げる。

 

「女苑もみんなも、私をそんなに扱って……、そんなに言うことないじゃない……!!」

 

紫苑はぶつぶつとジト目で霊夢たちを睨みつけ、ゆっくりと歩み寄ってくる。

 

「ちょ、ちょっとあんた、まだ私が喋ってる途中……」

 

天子が紫苑を止めようとするが、青い蛇のようなオーラを纏う紫苑を天子は止められなかった。

 

「あいつ、いきなり全開みたいだな。」

 

栞も冷静に状況を分析する。

 

「そういえば、魔理沙にボコボコにされてましたからね、あの人。」

 

妖夢も思い出したように呟く。

 

「よーし、私がでる。」

 

すると、栞が腕を回しながら一歩前へ出る。

 

「ちょっと栞姉?!まだ体が治ってないんじゃ……」

 

「だいじょぶだいじょぶ!リハビリにゃちょうどいいさ。」

 

栞はピースサインを送る。

 

「待たせたな貧乏神!私が相手だ。」

 

「………!!」

 

紫苑はぶつぶつと何かを言っているが、ボソボソ言っているせいで何を言ってるかはさっぱりわからない。

 

「神さまと喧嘩するのは初めてだね!」




いかがでしたか?第13話は以上です。

蓮子「あれ?なんだかタミくんの様子がおかしいな……、いろいろ投稿が遅れてない?」

タミ「私は帰ってきたぁぁぁ!!」

「……」(無言の腹パン)

「ゴファッ!!」

「なんで生きてんのよあんた。」

「ギャグ補正。」

「………くそっ、どうりで投稿が遅いわけだ。………それで、なんでこんなに遅いのよ。もう一回反省させてあげようか?」

「うぐっ、それはご勘弁を……。最近本当に忙しくてなかなか小説に時間を割けず……。」

「なるほどね。お前の言い分もあるだろうから今回は謝罪だけで私は許すわ。読者の方はあんたに愛想尽かしてると思うけど。」

「申し訳ない。昨日もまた寝落ちしてしまいまして……」

「まったく……」

「これからもちょくちょく遅れてしまうこともあるかもしれませんが、必ず、完結させますので、よろしくお願い致します。それでは、次回予告をどうぞ!」

〜〜〜次回予告〜〜〜
「おいっす!魔理沙だぜ!」
「おい、最初のセリフくらい俺に言わせろよ。」
「いいだろ別に。それより、栞のやつもなかなかやるよな!あの紫苑相手に善戦してるぜ!」
「……だといいんだがな。
次回、燃えろ栞!アネキの底力!
伊達にあの世は見てねーぜ!!」


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第14話 燃えろ栞!アネキの底力!

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

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「よっ、ほっ……」

 

栞は屈伸運動をして準備運動をする。

 

「し、栞姉、本当に大丈夫?」

 

霊夢が心配そうに見つめるが、

 

「大丈夫だってんだろ?まぁ見てなって!」

 

栞はそう言うが、霊夢はどうにも不安が解消されない。

 

直後、紫苑がオーラで巨大な剣を作り出し、栞めがけて横に薙ぐ。

 

「!!」

 

栞は反応できなかったのか、ドガァン、と言う音と共に土ぼこりが舞う。

 

「ああっ、栞姉っ?!」

 

霊夢がつい声を荒げてしまう。

 

すると、

 

「おい、てめーの目は節穴か?あれを見ろ。」

 

幽助が指差した方を見ると、

 

「ふいーっ、危ない危ない……」

 

紫苑が薙いだ剣に掴まって耐えている栞の姿があった。

 

「ふうっ……」

 

霊夢はそっと胸を撫で下ろす。

 

「よーし、今度はこっちの番さね!」

 

栞は剣の上に飛び乗り、

 

「だだだだだだっ!!」

 

猛烈なスピードで剣の上を走っていく。

 

「速いですね……!」

 

妖夢も目を見張っている。

 

「なっ……?!」

 

紫苑は小さく喫驚する。

 

「これでも喰らえっ!!」

 

すると栞は左手の人差し指を曲げて親指で抑え込み、それを紫苑のおでこに向ける。

 

そして、力を込めた人差し指を解き放ち、紫苑に強烈なデコピンを喰らわす。

 

「きゃあっ!!」

 

よほどの威力だったのか、鈍い音がして、紫苑が地面に叩きつけられ、地面をえぐりながら数メートル吹き飛ばされた。

 

「し、栞さん今何したんです?!デコピンをしたようにしか……!?」

 

目を見開く妖夢に、

 

「ありゃ本当にただ力込めてデコピンしただけだ。」

 

幽助が驚きを隠しながら言う。

 

「………」

 

霊夢の脳内には、永琳に言われた言葉が蘇っていた。

 

「ーーー彼女の馬鹿力、それはね、とある薬を打たれているからこうなっているの。差し詰め、残りの寿命を全て使って究極の戦闘力を手に入れている……ってところね。」

 

(そうだとしたら、一体あとどれくらい栞姉は生きていられるんだろう……)

 

霊夢は俯きがちに考える。

 

 

 

「へへっ、いい剣だな!ちょっくら借りるぜ……?!」

 

栞は地面に突き刺さった紫苑の超大剣をあっさり引き抜きブンブンと振り回す。

 

そして、刀身を肩に乗せる。

 

「どうしたどうした!そんな程度か?!」

 

栞が挑発気味にそう言うと、

 

「持ったわね、それを……」

 

紫苑がゆっくり戻ってくる。

 

その体には未だに青いオーラが纏わり付くように存在していた。

 

「……?それがどうしたってんだよ?」

 

栞がそう言った瞬間、

 

「いだーーーっ!!?」

 

栞の頭上からタライが降ってくる。

 

タライは見事に栞の頭に命中した。

 

「なんっ、だ、これ……」

 

栞は涙目でタライを見つめる。

 

そして、タライを確認しようとタライに向かって足を運んだその瞬間、

 

栞の視界は一瞬で反転した。

 

そして、ゴチン、という鈍い音と共に栞は着地する。

 

「いっ……てぇ…!なんだこれ、バナナの、皮……?!」

 

栞は大きなたんこぶをつけた頭をさすりながらバナナの皮を拾う。

 

「ちくしょー、なんちう古典的な……!」

 

栞が憎々しげに呟く。

 

「わかってるの?あなたは私の不幸のオーラでできてる剣に触った。それは自分に不幸のオーラを取り込んでるのと同じよ。」

 

「くっそー……そういうことか……。迂闊に触んなきゃよかったな……。」

 

栞は後悔するように言って立ち上がる。

 

そして、だがな、と続けて、

 

「それで勝負が決まるだなんて思うなよ!ケンカは最後までわかんないんだぜ!負けてるやつが最後の最後にどんでん返しすることだってあんのさ!」

 

そして栞は思いっきりパンチを繰り出す。

 

その瞬間、拳圧で物凄い威力を伴った空気が紫苑を襲う。

 

空気弾はモロに紫苑の腹部を捉える。

 

「ほっ!!」

 

刹那、栞は大ジャンプして紫苑の真上にきりもみ回転しながら降りてくる。

 

「おりゃあぁぁあぁっ!!」

 

そして、地面に向けて思いっきりグーパンチを放つ。

 

栞の放ったパンチの衝撃は天界の地面を粉々に破壊し、尚衝撃は収まらない。

 

 

 

………衝撃は、湖畔の紅い館に直撃し、紅い館は崩れ落ちてしまった。

 

 

 

 

「げっ、やり過ぎちまった……。参ったな。力のコントロールがうまくいかねーや。」

 

栞は腕を回しながら紫苑を見る。

 

「あり?」

 

が、先程まで紫苑がいた場所には既に人影はなかった。

 

瞬間、栞は周囲がやけに明るいことに気づく。

 

とっさに栞は光源の方を見る。

 

するとそこには左手で巨大なエネルギーを溜めている紫苑の姿があった。

 

貧符「超貧乏玉」

 

「おらに、貧乏エネルギーを分けてくれー…」

 

紫苑はやる気無さそうにそう言うと、栞めがけてそれを放つ。

 

「やべっ!!」

 

栞は慌てて思いっきりジャンプする。

 

 

 

刹那、貧乏玉は弾けて大爆発を起こした。

 

 

 

 

「………」

 

紫苑は黙って爆発を見守っていたが、

 

「こんにゃろ、喰らえっ!!」

 

栞が真上から両手を合わせて振り下ろしてくる。

 

すると、真下から吹き上げる風が吹いてきてしまった。

 

「〜〜〜〜っ?!」

 

栞は慌ててスカートを抑える。

 

「あ……」

 

(うわぁ、これも不幸か……)

 

栞が悟った時には既に遅かった。

 

そう。栞は両手を合わせて攻撃しようとしていたが、それを解いてしまったのだ。

 

それと同時に無防備になってしまった。

 

「……そこっ!!」

 

ここぞとばかりに紫苑は栞に弾幕を放つ。

 

「ぎゃあっ!!」

 

栞はモロに喰らってしまい、地面に叩きつけられられる。

 

 

 

「いってて………」

 

栞は頭を抑えてなんとか立ち上がろうとするが、

 

カチッという音が響いた途端、

 

ドカーン、と大爆発が起こった。

 

どうやら栞が落とされたところに運悪く不発弾が埋まっていたようだ……

 

ぷすぷすと黒焦げになってしまった栞はプルプルと体を震わせ、

 

「くっそー、運悪過ぎんだろ……」

 

と愚痴を零す。

 

「これで終わりよ……」

 

紫苑はもう一度貧乏玉を作ろうと手を天に掲げる。

 

すると、空が一瞬煌めき、

 

「ほげっ!!」

 

紫苑に謎の飛行物体が激突し、そのまま紫苑を跳ね飛ばし、天界に落下した。

 

「な、なんだ今の……」

 

栞はポカンとしてそう言う。

 

一方、紫苑も思いっきり跳ねられたのか、完全にのびてしまった。

 

これも紫苑の運が無かった、のだろうか。

 

「栞姉ー!今のはー?!」

 

霊夢は栞に尋ねるが、

 

「私もさっぱりだー!」

 

としか栞は返せなかった。

 

直後、落下した飛行物体から人が出てくる。

 

「うーん、……ここが地球、であってますかね?」

 

出てきたのは白髪の男性であった。

 

「ねえ、あんた、何者?」

 

すると、1番近くにいた天子が男性に尋ねる。

 

「ああ、この星の方ですか?初めまして。私はコウ・マーシーというものです。以後、お見知り置きを。」

 

マーシーと名乗る男性は天子の手を握って握手を交わす。

 

すると、続々とその場にいたものたちが集まってくる。

 

「で、あんたはなんでここにきたわけ?」

 

天子は訝しげに尋ねると、

 

「私は、宇宙の星々を良くする慈善家なのです。悪があればそれを取り締まる。傭兵のようなものです。まぁ、私、戦うの好きじゃないですので、そんなに強くないんですが……」

 

マーシーはそう言ってははは、と笑う。

 

その場にいた全員は、開いた口が塞がらなかった……




いかがでしたか?第14話は以上です。

〜〜〜次回予告〜〜〜
「で?てめーはどうやって結界ってのを抜けられたんだ?」
「ああ。なぜがこの星に着陸するときに不具合が起きまして。そこで不時着したらこんなところに……」
「まあいいか。野郎の知り合いが増えて嬉しいぜ。」
「そう言っていただけて光栄です、浦飯さん。」
「次回、正義の使者、マーシー
伊達にあの世は見てねーぜ!!」


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第15話 正義の使者、マーシー

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
都合によって変わる設定

お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。

栞と紫苑の死闘の最中、紫苑を跳ね飛ばし突如乱入してきた謎のUFO。そこから現れたのは、宇宙の平和を守る傭兵、コウ・マーシーと名乗る謎の男だった。果たして彼は何を思っているのであろうか……?


天界。栞と紫苑の戦いを終えた幽助らは、ひとまず天子の家にやってきた。

 

「えと、あの、なんで私は縛られてるんです?」

 

ふと、マーシーが口を開く。

 

「悪いわね。私、宇宙人はごく一部を除いて信用してないの。」

 

霊夢は縄で木にくくりつけられたマーシーを一瞥して言う。

 

「ち、違うんです!私は本当に……!!」

 

マーシーはジタバタして抜け出そうとするが、きつく縛られているせいかまったく抜け出せない。

 

「ま、とりあえず拘束させてもらうわ。悪く思わないでね。」

 

そう言って霊夢は立ち去った。

 

「ちょ、ちょっと〜っ!!待ってくださ〜〜い!!置いていかないでくださいよーっ!!」

 

マーシーの叫びも虚しく、霊夢は行ってしまった。

 

「………」

 

「うう、今日は厄日です……」

 

すると、

 

「おい、てめー。」

 

幽助がマーシーに声をかけてくる。

 

「ああ、あなたは確か……」

 

「浦飯幽助。超不良。」

 

幽助は端的に言う。

 

「で?お前は本当に何モンだ。」

 

「で、ですから、私はコウ・マーシー。宇宙の慈善家です。」

 

「ったく、それの一点張りだな。」

 

「一点張りも何も、それが真実なんです!浦飯幽助さん、お願いです!どうか信じてください!」

 

マーシーはくくりつけられたまま必死に頼み込む。

 

「………」

 

幽助は困ったように頭をかく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………おかしい。」

 

「……? どうかなさりましたか?」

 

場所は変わり、紫の家。ここで紫は唸っていた。

 

「………これまでの燼魔の攻撃、どうも私と思考が被るのよ。」

 

「どういうことです?」

 

藍も首を傾げる。

 

「いやね、藍。燼魔の行方を掴めるかも、と私ならどこを攻め落としていくか、と考えた時に、どうも燼魔と私の思考パターンが似ているの。」

 

「確か、今までで燼魔が確認されたのは……」

 

「紅魔館、人里、白玉楼、月……」

 

ここで紫の言った月について補足しておこう。

 

現在、月では魔理沙たちが燼魔と交戦中なのだ。

 

これで、月がほぼシロだということが発覚した。

 

「………私ならまず、敵の大将に攻め込まず、大将を動かして絶好のポジションに誘い込む。そのためにある程度の実力を持った者たちにまずは、攻め込む。」

 

紫が言ったのは紅魔館のことであろう。

 

「そして、どこにくるかわからないという無言のプレッシャーをかけ、勢力を分断する。この時に、監視役を1人入れておく。勢力がそれぞれどこへ行ったか黒幕にわかるようにね。」

 

紫の言葉に、藍は喫驚の表情を見せる。

 

「ゆ、紫さま?!ということは、浦飯幽助たちの中に、……スパイがいるということですか?!」

 

「ええ。私が本気でこういうことをするならそうするわ。これで絶えず敵勢力の情報が手に入れられるもの。そして、そこで分散した勢力に合わせ、適切な数を送り込む。それでジ・エンドよ。」

 

「なら、スパイは一体誰が………。」

 

「………ここまでが完全に敵と私の思考が被っているとすると、おそらく後から入ってきたものではないわ。1番最初の戦闘場所。その場所で幽助たちに合流した者が、敵よ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふえっくし!!」

 

場所は戻って天界。栞はずるずると鼻をすする。

 

「風邪ひいたかな……」

 

「栞姉に限って?まさか。」

 

霊夢は小馬鹿にするように栞に言う。

 

「む、私だって風邪ひくぞ。」

 

「自慢になってないわ栞姉。」

 

「んで、霊夢はどう見るよ、あのマーシーってやつ。」

 

「怪しさ全開ね。黒幕臭がプンプン。」

 

「うーん。私はそこまで悪い奴には見えないけどな。」

 

「甘い!甘すぎ!何事にも警戒しないと……」

 

すると幽助がマーシーの縄を解き、こちらに連れてきた。

 

「ちょ?!ちょっと幽助!何してんのよ!そいつはきっちり縛っとけって、散々………!」

 

「まあ待てよ。こいつ、悪い奴じゃねー。」

 

「その根拠は?」

 

「勘だ。」

 

「あんたねぇ……!勘でどうにかなるなら苦労しないわよ!」

 

霊夢は声を荒げる。

 

「あの、すいません。まずこちらをご覧ください。」

 

すると、マーシーが霊夢に光の玉を見せる。

 

「なによこれ。」

 

「では、失礼しますね。」

 

そう言うとマーシーは光の玉を霊夢に向けて投擲した。

 

「!」

 

霊夢が身構えるより数秒速く、光球は霊夢の中に吸い込まれた。

 

「ちょっとあんた!一体なにをして………っ?」

 

霊夢がそう言った瞬間、

 

「……はぁ。なんともないじゃない。脅かしちゃって……」

 

霊夢は何事もないように立ち上がる。

 

「れ、霊夢?なんともないのか。」

 

「ええ。大丈夫よ。ありがと栞お姉ちゃん。」

 

「へ?お姉ちゃん?」

 

栞は突然「お姉ちゃん」と言われたことで、少し頰を赤らめてしまう。

 

「幽助、いろいろ冷たくしてごめんね。この際言っとくわ。」

 

「は?……あ、ああ…」

 

幽助は引きつった顔で答える。

 

「おいマーシー。どう言うことだ。」

 

幽助はマーシーを睨む。

 

「これが私の力なんです。私が生み出した光の玉を取り込むと、たちまちその人は素直な善人に変わります。まぁ、私の宇宙船にある性格接着ボンドビームを使わないと3時間ほどで戻ってしまいますが。」

 

マーシーは肩で息をしながら幽助に説明する。

 

「なるほど。縛られている時に言ってたのが今のかよ。」

 

「はい。そして、この技を撃つと、私は1日休憩しないどいけないんです。それほどエネルギーを使ってしまいますから。」

 

「なるほど。霊夢が妙に素直になった理由がそれか。」

 

すると、栞もマーシーの元へ歩み寄ってくる。

 

「栞姉、大好き〜♡」

 

………霊夢に抱きつかれながら。

 

「ああ、はい。あの、すいません。ご迷惑を……」

 

「ああ、いいんだよ。どーせ霊夢も元に戻るんだろう?」

 

「それは安心してください。ボンドビームを使用しなければ元に戻りますから。」

 

「そうか。そりゃよかった。………それで、あとでその技、教えてくれないか?私も霊夢に使ってみたいんだ……。」

 

霊夢に抱きつかれ、栞はまんざらでもない顔をしていた。

 

「え、ええ。教えられるかどうかはわかりませんが……」

 

瞬間、栞たちめがけて、空からエネルギー弾が飛んでくる。

 

栞たちは咄嗟に避ける。

 

「ほう、避けましたか。」

 

すると、辺りに聞き覚えのある声が響いてきた。

 

「真澄………!!」

 

幽助は憎々しげにそう言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そして、一度合流させ、そして再びばらけさせる。その後、敵の本拠地に近いところにいる者たちに、直々に出向く。それが、私が出すとしたら最善の計画よ。」

 

「では、いま燼魔に狙われていない幽助たちは……」

 

「ええ。おそらく、敵の大将と対峙してるでしょうね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようやく顔を見せやがったな……!」

 

幽助は怒気を孕んだ声色で真澄に言う。

 

真澄は黒と赤を基調とした、藍によく似た格好をしている。

 

髪は黒だ。

 

「さぁ、改めて自己紹介しようか。」

 

 

「私の名は、八雲(・・)真澄!八雲紫の元式神だ!」




いかがでしたか?第15話は以上です。

「今回も投稿が遅れたこと、お詫び申し上げます。」

蓮「全く、流れるように謝るわね。」

「本当に申し訳ない。最近の忙しさはとんでもなく……。かつ、週四投稿。ぶっちゃけ「世界を救ったサイヤ人が幻想入り」を連載していた頃より辛いです。」

「ま、選んだのは自分なんだから、責任とって、最後までやりなさい。」

「もちろん、そのつもりでやらせていただきます!それでは、次回もよろしくお願いします!」

〜〜〜次回予告〜〜〜
「八雲真澄だぁ?!ってことはあのばーさんの知り合いってことかよ……?!」
「ってことになるな、幽助君。あいつは一筋縄じゃいかないぞ!」
「次回、幻想の運命、危険な足音
伊達にあの世は見てねーぜ!!」


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第16話 幻想の運命、危険な足音

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
都合によって変わる設定

お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。


「八雲……真澄だぁ?」

 

幽助は真澄を睨みながら言う。

 

「そうさ。私は八雲紫の元部下……、今やあの女には恨みしかないが……。直々に私が出張ったんだ。感謝して欲しいな。」

 

「へっ、感心しねーな。みすみすぶっ飛ばされに来るなんてよ。」

 

「ふん、私だって玉座に座ってのんびり陰謀でも企てていたいんだが、お前のせいで出てこざるを得なくなった。どうしてくれるんだい?」

 

真澄は幽助を指差す。

 

「ちょうど人里んときの続きをやりたかったんだ。かかってきやがれ。今度は俺が相手だ。」

 

幽助は妖気と霊気を解放する。

 

「悪いな幽助君。私も敵の大将様の前でのんびり観戦とはいかないからな。参戦させてもらうよ。」

 

すると、栞も幽助の隣に立って身構える。

 

「ちょ、ちょっと霊夢、離れてくれよ。」

 

「やだー…♡」

 

が、栞にべったりな霊夢を引き剥がすのには、しばらく時間がかかりそうだ。

 

「ちっ、とりあえず栞、てめーは霊夢引き剥がすのに集中してやがれ。俺が闘る。」

 

幽助はそう言って地面を蹴り真澄の元へ向かう。

 

「浦飯幽助……、お前は私の計画の邪魔でしかないんだ。消えてはくれないか?」

 

「へっ、それで首を縦に振るバカがいるかよ。」

 

「そうかそうか。それもそうだね。………じゃあ、死ね!」

 

真澄はそう言って幽助に襲いかかる。

 

真澄は右ストレートを幽助に繰り出すが、幽助はあっさりと避け、真澄にボディブローを喰らわす。

 

「これでも喰らいやがれぇーっ!!」

 

幽助は真澄を滅多打ちにして、超至近距離から霊丸をぶっ放す。

 

「がぁっ!!」

 

真澄はそのまま霊丸に飲まれ、天界の端っこまで吹き飛ばされてしまった。

 

「ちっ、この程度かよ……」

 

幽助ががっかりしたように言うが、

 

「待て幽助君!あいつの気配が消えてない!まだピンピンしてるぞ!」

 

栞が幽助に叫びかける。

 

「んなこたぁわかってんだよ……、それ含めてだ。明らかに弱えー……」

 

幽助は表情を崩さずに真澄が吹き飛んでいった先を見る。

 

「悪かったな弱くて。」

 

するお、真澄が瞬間移動してきて、幽助の腹部に弾幕の雨を撃ち込む。

 

「くっ!」

 

幽助は咄嗟に回避行動をとろうとするが、既に間に合わず、弾幕に飲み込まれてしまった。

 

「ゆ、幽助君!」

 

霊夢を引き剥がした栞は落ちてきた幽助に駆け寄る。

 

「……いってて……何もんだあいつ……、俺のパンチや霊丸、明らかに手応えはあった。なのにまったく体力が衰えてねー……。あいつ、何か隠してやがるぜ……」

 

「ああ。私もそう思う。どうだ幽助君。勝てそうか?」

 

「さぁな。俺にもわかんねーが、あのタネを見破んねー限り勝ち目がねーな。人里んときもそうだった。あいつ、白蓮から受けた攻撃をまったく効いてないように振舞ってた。いや、本当に効いてねーのかもな。」

 

「どうしてだ……?」

 

「ちょっとちょっと!あいつはなんなのよ!天界をめちゃくちゃにしないでくれない?!」

 

「み、皆さんどうしたんです?!なんの騒ぎですか!?」

 

すると、天子と妖夢が幽助と栞の間に割り込んでくる。

 

「邪魔だ。おめーら、霊夢連れて引っ込んでやがれ。」

 

幽助は妖夢と天子に霊夢を押し付け、再度身構える。

 

「あ、あの、彼女はどちら様で……?」

 

一方、マーシーはのほほんとしてるのか頭に疑問符を浮かべたまま幽助に尋ねる。

 

「あれが俺たちの敵だってんだよ!見ててわかるだろーが!」

 

「ええ?!そ、そうだったんです?!」

 

「あのな……、お前、危機感ねーだろ。」

 

「……え、ええ。よく言われます。その都度褒めないで、褒められることは何もしてないです、と返していますが。」

 

「それって馬鹿にされてるだけなんじゃ……」

 

栞が呆れ気味に呟く。

 

「とりあえず、離れてやがれ。巻き添えくうぞ。」

 

幽助はマーシーに離れるよう促す。

 

「ええ。そ、そうさせてもらいます。玉は使ってしまったので眠くて眠くて……、あ、天子さんにお布団を貸してもらえるよう頼んでみます!」

 

「そーゆーどーでもいい情報はいらないんだけどな……」

 

栞は頭をかく。

 

「さて幽助君。どう見る?」

 

「あいつもなんらかの力を持ってんだろうよ。それを見破んねー限り、だ。」

 

「なるほど。それじゃあ私が奴を引きつけるから、幽助はそのうちに霊丸を溜めていてくれ。その技は溜めれば威力が増すんだろう?」

 

「まあ、そうだが……、いいんだな?それで。」

 

「大丈夫だ。あいつ1人くらい私で楽勝さ。」

 

栞はVサインを送って、真澄の方へ向く。

 

 

 

 

「……作戦会議は終わったかい?」

 

「ああ。終わりさ。これでお前もここまでさ。………その前にいくつか質問させろ。」

 

「ま、いいでしょう。冥土の土産にでもするといいです。」

 

栞は了承した真澄を確認するやいなや、質問を投げかける。

 

「お前は元式神と言ったな。辞めたのか?」

 

「違うな。追い出されたのさ。」

 

「追い出された……?」

 

「あの女、八雲紫は冷徹にも私を切り捨てた!私は誰よりあの女を信じ、信用していたのに、だ!」

 

「2つ目だ……。燼魔をつくったのはお前か?」

 

「………答えはyes。そう。あれは私の作品だ。」

 

「じゃあお前が黒幕ってことでいいんだな?」

 

「それじゃあ、私を蘇らせたのも、お前なのか?」

 

「……それは」

 

真澄がそう言いかけた途端、真澄の体を霊丸が飲み込む。

 

「ちょ?!幽助君、まだ話してたんだけど……?!」

 

「ああ、悪い悪い。隙だらけだったもんでな。」

 

栞は幽助の元へ降りてくる。

 

未だに霊丸はバチバチと音を立てて弾けている。

 

「あれじゃあ生きちゃいまいな。」

 

栞は哀れむように言う。

 

しかし………

 

 

 

「少しは効いた………。いい攻撃だったぞ……?」

 

真澄が無傷で、こちらを睨んでいた……




いかがでしたか?第16話は以上です。

〜〜〜次回予告〜〜〜
「おっす!栞だ!真澄のやつ、全然体力を減らさないし、こっちの体力が先にやられてしまう………!どうする……?!」
「とにかくやるしかねーだろうが!行くぞ栞、足引っ張んじゃねーぞ!
次回、「やり直す程度の能力」、時に潜む罠
伊達にあの世は見てねーぜ!!」


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第17話 「やり直す程度の能力」、時に潜む罠

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
都合によって変わる設定

お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。

突如現れた八雲真澄。彼女は自分自身で燼魔を作った張本人である、と明言した。それを幽助たちが黙って見過ごすはずもなく、真澄と交戦を開始。圧倒的物量で真澄を圧倒する幽助であったが、なんと、真澄にはダメージが入っていなかった……!!


「バケモンかてめーは……!」

 

流石の幽助も息があがっている。

 

「ふふ、流石にスタミナがなくなってきたようだ。だが私は……」

 

そう言って真澄の姿が一瞬ブレ、幽助の目の前に現れたかと思うと、即座に幽助の腹部にパンチを喰らわす。

 

「ぐっ!!」

 

幽助は右手で真澄の拳を抑え込み、左手でぶん殴る。

 

パンチを繰り出していた真澄が避けられるはずもなく、真澄は正面からパンチを喰らってしまう。

 

「霊光弾!!」

 

幽助は再び空いている左手で霊光弾を放ち、真澄を吹き飛ばす。

 

「幽助君!やったか?!」

 

すると、栞が幽助の元へ来る。

 

「どうだかな……、ただ俺の霊気はこれでだいぶ減っちまった……」

 

幽助は肩で息をしながら言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

真澄は傷だらけで仰向けに倒れている。

 

刹那、真澄は指を鳴らす。

 

すると、真澄の体は瞬時に傷が癒えてしまった。

 

そして真澄は立ち上がり、パンパンと服についた埃を払う。

 

「やるじゃないか。流石は闘神雷禅の息子。楽しませてくれるわ。」

 

真澄はそう言って再び幽助の元へ高速移動する。

 

「ただいま。」

 

「お帰り、とは言えねーな。」

 

幽助は嘲笑うように真澄に言う。

 

「私の超回復のタネが知りたそうだな。」

 

「教えろっつって教えるヤツじゃねーだろてめーは。」

 

幽助は文句を言うように真澄に言う。

 

「特別サービスで教えてやろう。どうせ対策も出来ないんだ。」

 

真澄はそう言っておもむろに左手を掲げる。

 

瞬間、真澄は己の胸に左手を突き立て、そのまま貫いた。

 

「ぐふっ……!!」

 

真澄は気でも狂っているのではないか、と思えるほど何故か笑みを浮かべている。

 

「バカかてめーは!わざわざ敵の前で自分に攻撃するヤツがあるかよ!」

 

「ふ、ふふ、私の能力はわかりづらいからな。こうでもしなきゃ………」

 

真澄はそう言うと指を鳴らした。

 

すると、一瞬で真澄がたった今開けた穴が塞がってしまう。

 

「!?」

 

幽助と栞は目を見開いた。

 

「なに……っ?!」

 

「これが私の能力、「やり直す程度の能力」ってとこさね。」

 

「やり直す……能力だぁ?」

 

「そう。私は昔は未来のビジョンを見てそれを回避することができる、という力でしかなかったが、八雲紫に捨てられ、ヤツへの怒りで目覚めたのさ。私の真の能力(ちから)が!」

 

「八雲紫は自分の飼い犬を捨て、その飼い犬は狂犬となりかつての飼い主に喰らいつく、滑稽な話よね。」

 

真澄は目を閉じて笑う。

 

「私は指さえ鳴らせれば、過去、いつの時代の私にだって巻き戻ることができる。私以外のものの時間回帰はできないが……健康だった時の私に戻れば永遠に傷を負うことはない、ということさ。」

 

「そっか……なんってこった……!」

 

栞は膝に手をついてため息を吐く。

 

「参ったな……。勝ち目が見つからないや……。初めてケンカで負けるかも……」

 

栞はそんな弱音を吐いてしまう。

 

「これはケンカじゃない。プロローグでしかないんだよ。私のあの女への復讐劇の。」

 

「四年前から2ヶ月前ほどまで、全ての人間を滅ぼすだとか言ってるバカ女がいたが………、あれのお陰で見事に傘に隠れて燼魔を作れたよ。感謝しなきゃねぇ。私はあれとは違う。無差別に破壊を楽しむクズじゃないんだ。私は幻想郷が好きだ。美しい幻想郷にたかるハエを駆除しなければならない。」

 

真澄はニヤケを止められないとばかりに笑う。

 

「さて……君らも駆除されるかい?」

 

すると、真澄の体がブレた瞬間、幽助の斜め上から真澄がパンチを喰らわせ、吹っ飛ばされた幽助は再度瞬間移動し蹴り飛ばす。

 

そして、地面まで落ちてきた幽助を待ち構え、またパンチを喰らわせ地面と水平に吹っ飛ばす。

 

「終わりだな……!」

 

真澄は人差し指を幽助に向けてエネルギー光線を放つ。

 

「くっ、やべっ……!!」

 

幽助は咄嗟に回避しようとするが、間に合わずエネルギー光線を受けてそのまま大爆発に巻き込まれてしまった。

 

「ゆ、幽助君!!」

 

栞が慌てて幽助の元へ駆け寄るが、

 

「おっと!行かせないよ?」

 

真澄が瞬間移動と栞の目の前に立ちはだかる。

 

「ふん……」

 

真澄は笑って再び瞬間移動し、栞の目の前現れた瞬間栞の腹部に思い切りパンチを喰らわせる。

 

そして左足で栞の足を蹴り、栞の体を空中で回転させる。

 

さらに栞の頭、足を持って膝蹴りを栞の背骨に喰らわせ、足を掴んで前方に投げ飛ばした。

 

しかし、栞は一瞬で持ち直し、真澄に向かって突撃する。

 

「死んだってしらねぇぞこんにゃろーっ!!」

 

栞は思いっきりパンチをして真澄の右腕をちぎる。

 

その威力からやはり彼女の投与された薬の効果の強さが伺える。

 

だが、

 

「甘いな。」

 

真澄は残った左手で指を鳴らし、即座に右腕を復活させる。

 

それと同時に彼女のスタミナも戻ってしまった。

 

「へ、へへ、ちょっと、反則だよなぁ……」

 

栞は肩で息をして諦め気味に笑う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「霊夢!霊夢!しっかりしてください!!」

 

妖夢は霊夢を揺さぶって必死に正気に戻そうとする。

 

「栞お姉ちゃん……♡」

 

霊夢は夢見心地の表情でデレデレしながら座っていた。

 

「ああもう!じれったいわね!貸しなさい!!」

 

すると天子が妖夢をどかせて、

 

「喰らえ!要石(ロードローラー)だッ!!」

 

霊夢の頭上に要石を降らせる。

 

「よし」

 

「よしじゃないです!死んでしまいますよ!」

 

妖夢は天子を叱責する。

 

が、

 

「あんなんで死ぬほどあいつはヤワじゃないわよ。ほら、見なさい。」

 

天子が指差した要石は、既にビシビシとヒビが入ってきていた。

 

そして、

 

「痛いわーーーーっ!!!」

 

鬼の形相で霊夢が要石を叩き割って出てきた。

 

「たんこぶできたと思ったわよ!今の誰?正直に言ったら10分の9殺しで許してあげるわ。」

 

霊夢がそう言うと、天子は妖夢に指差した。

 

「え"っ?!!」

 

「妖夢……覚悟はできてるわよね?」

 

「いや、ちょっ、霊夢!違う、違いますっ!!私じゃなくて天子g」

 

「問答無用っ!!」

 

「ぎゃーーっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そらそらそらそら!!」

 

真澄は指先から無数のエネルギー光線を放つ。

 

復活した幽助はそれを弾きとばしながら真澄に向かっていく。

 

そして、真澄の胸部に渾身のパンチを繰り出すが、

 

「どうした?その程度?」

 

いつまでたっても減らない真澄のスタミナと、燃費の悪い妖気と霊気の混合した気では、明らかに差がありすぎた。

 

既に幽助のパンチには真澄にダメージを与えられるほどの威力すら備えてはいなかった。

 

刹那、真澄は近寄ってきた幽助の首を絞める。

 

「………っ!!」

 

幽助は反骨心むき出しの目で真澄を見るが、それを気にも留めず、真澄はさらに力を込める。

 

「野郎……っ!!」

 

幽助は抵抗するが真澄はビクともしない。

 

「ふふふ……」

 

真澄は笑っていると、

 

「ふんっ!!」

 

真澄の後頭部をなんと霊夢が蹴り飛ばした。

 

「博麗霊夢……。正気に戻っていなかったようだが、戻ったみたいだな。」

 

「おかげさまでね。……今度は私が相手よ。八雲真澄!!」




いかがでしたか?第17話は以上です。

〜〜〜次回予告〜〜〜
「霊夢よ。真澄とやら、強さ自体は大したことないわ。でも能力が厄介ね。………ほんとは殺してやりたいところだけど、あんたはまだ殺せないわ。栞姉の復活のことも聞かなきゃいけないしね。」
「馬鹿が!それが甘ちゃんの証なんだ!落ちぶれたな博麗の巫女!」
「次回、怒り爆発!霊夢の反撃
伊達にあの世は見てねーぜ!!」


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第18話 怒り爆発!霊夢の反撃

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
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お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。

マーシーの技から解放され、元の性格を取り戻した霊夢。果たして幽助と栞を圧倒する真澄を相手に、霊夢は太刀打ちできるのか?!


「次はお前が相手かい、博麗……霊夢。」

 

「そうよ。私は幽助や栞姉みたいにはいかないわよ。覚悟しなさい。」

 

霊夢はそう言って気を高めていく。

 

「浦飯幽助もここでリタイア……、あとは君だけだ。」

 

真澄も首をゴキゴキと鳴らしながら言う。

 

「こう見えてもね、私すげー、強いわけよ。どう?降参するなら今のうちよ?」

 

「いやいや、降参なんてバカらしい。………それじゃ、そのすげーところを見せてもらおうか。」

 

真澄はそう言って瞬間移動し、霊夢の目の前に現れ、拳を振りかぶる。

 

しかし、霊夢がカウンターを合わせて真澄に左フックを喰らわせる。

 

「くっ!!」

 

真澄は仰け反り吹き飛ばされる。

 

追い討ちと言わんばかりに霊夢はそれを追跡し、左足で蹴りつけようとするが、

 

「そら!!」

 

持ち直した真澄の左アッパーでカウンターを受けてしまう。

 

しかし、霊夢もすぐさま持ち直す。

 

真澄は続けざまに右、左足の順番で霊夢を蹴りつける。

 

が、霊夢はそれを左手、右手でそれぞれ防ぐ。

 

そしてそのまま目にも留まらぬ速さの攻防が始まった。

 

2人の攻防の影響か、周囲の岩は破壊され、ガラガラと崩れ落ちる。

 

 

 

 

「れ、霊夢ってば、とっくに私を超えてたんだな……」

 

栞は半分諦めたように言う。

 

「ちっ、霊夢のやつ、俺とやったときの6割ってのもハッタリじゃなさそうだな……」

 

幽助もイライラしながら言う。

 

 

 

 

 

 

 

「やっ!!」

 

霊夢の膝蹴りが炸裂する。

 

が、真澄はそれを右手で受け止め、空いた左手の拳を握りしめ、地面にたたきつける。

 

そのせいで更に地面がえぐれてしまった。

 

「強いな、さすがは博麗の巫女、といったところか………」

 

「私もあんたを甘く見てたわ。あんた、強いわね。あんたさ、本当に紫の式?にしては紫より強いわ。」

 

「まぁね。私はあいつに捨てられてから、あいつを見返してやりたかった。だから死に物狂いで特訓した。お前も私の調べの中ではまだそんな力は持っていなかった筈だが。」

 

「私も霊奈に負けてから死ぬ気で特訓した。自分で言うのも何だけど、魔理沙よりも努力した気がするわ。でも、あいつは私の更に先を行った。身勝手の極意………、私もたどり着けない境地にあいつはたどり着いた。一瞬でもね。あいつは天才の、私という壁を超えた。必死に努力してエリートを超えたのよ。でも壁は黙って超えられるほど甘くないわ。あいつが強くなれば、私もまた強くなる。あんたも踏み台にするけど、いいわよね?答えは……聞いてないけれど。」

 

瞬間、霊夢は蒼い闘気を纏い、夢想転生状態に入る。

 

「言ってくれるじゃあないか……。だったらこれを!!」

 

真澄はそう言って上空に飛び上がり、巨大なエネルギー弾を作り出す。

 

「喰らってみるかい?!」

 

そしてそれを躊躇なく発射した。

 

しかし霊夢は落ち着いたまま左手の人差し指を構え、

 

「………霊丸」

 

そう宣言して極大の霊丸を放ち、真澄のエネルギー弾をいとも簡単にかき消す。

 

「かき消した?!」

 

真澄は慌てた表情を浮かべるが、すぐに戻り、霊夢に突撃する。

 

直後、再び霊夢と真澄の打ち合いが始まった。

 

真澄は的確に霊夢にカウンターを合わせて攻撃を当てていく。

 

しかし、一瞬の隙をついたのか、霊夢が真澄の腹部に膝蹴りを喰らわせ、そこからアッパー、後ろ回し蹴りと繋げる。

 

そして、ジャンプから、体重を乗せたパンチを喰らわせるが、真澄は腕でガードする。

 

「ちっ、調子に、乗るなぁぁぁっ!!!」

 

そして、真澄は飛びのいて手のひらからエネルギー弾を連射する。

 

しかし、霊夢は淡々とそれを軽快なステップで避けていく。

 

霊符「夢想封印 極」

 

霊夢は強化された夢想封印を連発して真澄の弾幕を打ち消し瞬時に距離を詰める。

 

直後、霊夢は左手でパンチを喰らわせるが、真澄は再びガードして、拳を振りかぶる。

 

それに合わせて霊夢も拳を振りかぶり、一気に解放し、真澄と拳をぶつけ合う。

 

そして、霊夢はキックから始まる乱打で真澄を追い詰めていく。

 

が、真澄は一旦退き、ジャンプから体重を乗せて霊夢にパンチを喰らわせる。

 

しかし、霊夢は右腕でそれをガードしていた。

 

「くっ………!!」

 

(は、博麗の巫女、まさか、ここまでとは………!!)

 

「昔の私なら負けてたかもね。ありがと。勉強になったわ。」

 

霊夢はそう言って至近距離で霊丸を放ち、真澄を飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ、くそっ……!!」

 

真澄は虫の息で倒れ、霊夢を睨む。

 

(………こいつはまだ、殺せない。栞姉のこと、燼魔のことを聞き出さないと………)

 

霊夢は人差し指を構えるが、霊丸を打てずにいた。

 

………それが、その選択が、後に霊夢自身の首を絞めることになる。

 

「………甘い、甘すぎるわ!!博麗霊夢ゥ!私の力は、こんなものではないわ!!」

 

真澄はそう言って指を鳴らし、体力を全回復させ、瞬間移動で距離をとった。

 

「………博麗霊夢、選択を間違えたな。お前はここで私にとどめを刺しておくべきだったのだ!その選択が、いずれお前の身を滅ぼすことになるのだ!ははっ、はーっはっはっは!!」

 

真澄はそう言って、

 

「さらばだ、また会おう、博麗霊夢、浦飯幽助。」

 

瞬間移動で消えていった………




いかがでしたか?第18話は以上です。

蓮「…………」

「……………」

「………また寝落ち?」

「………はい。」

「…………はぁ。もう怒りを通り越して呆れね。ったく。せめて自分が設定した日には出しなさいよ。」

「うう、申し訳ない………」

「まぁ、失踪してないだけマシ、という捉え方もできるけらど、しっかりしなさい、いいわね!!12月の終わりまででしょ?!」

「もちろんです………。完結まで頑張ります……。み、皆さま、次回も遅れてしまうかもしれませんが、お楽しみに……」

〜〜〜次回予告〜〜〜
「ちょっと紫!これはどういうことなの?!説明して!」
「………これは、私の咎よ。霊夢。彼女には、真澄には、本当に酷いことをしたわ。彼女には、許してもらえはしないでしょう……」
「おい。それ、俺にも説明しやがれ。
次回、忘れ得ぬ記憶・選択の時
伊達にあの世は見てねーぜ!!」


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第19話 忘れ得ぬ記憶・選択の時

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
都合によって変わる設定

お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。


「くそっ!!逃げられた!!」

 

霊夢は激しく地団駄を踏む。

 

「おい霊夢!奴は……?!」

 

幽助は霊夢の元に駆け寄る。

 

「気配が消えた……逃げたわね。やられた……っ!!」

 

霊夢は苛立ちが隠せないようにギリギリと歯軋りをする。

 

「………霊夢」

 

すると、紫がスキマから姿を現わす。

 

「紫……あんたに聞きたいことがあるわ。1つ、あんたは敵か味方か。2つ、八雲真澄とは何者なのか。」

 

霊夢は冷徹に紫に言う。

 

「………私は味方よ。これは信じてちょうだい。そして、真澄は、私の元式神……、元部下よ。」

 

「あいつは捨てられた、みたいなことを言っていたけれど。」

 

「それは、もう数千年も前よ。彼女は、私の部下として私によくしてくれたわ。藍以上に尽くしてくれた。私を慕っていると言う点では、藍を凌駕していたかもしれないわ。」

 

「なんだ、結局数千年生きてるババァなんじゃねーか。」

 

幽助はボソッと言う。

 

「それで、あんたは真澄を捨てたわけ?」

 

「………そう、ね。」

 

紫は高熱に侵されているような表情を浮かべる。

 

「今更だけれど、霊奈と戦っている最中、あの時感じた嫌な気を放つ二人組は、片方が真澄だったんだわ……」

 

紫は傘を持つ手を震わす。

 

「………紫、話しなさい。真澄のこと、あんたのこと。」

 

「………そうね。もう潮時なのかもしれないわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紫様!!宇佐見、八雲両軍ほぼ壊滅状態です!!」

 

数千年前。何故か高度な技術で作られたであろう市街地の一角。そこには禍々しく赤い雲から猛烈な雨が降り注ぎ、鎌鼬が肌を切り裂いている。

 

そこの一角に隠れていた紫の元に藍が現れる。

 

「どう?奴らは。」

 

「それが、神園凪、天禍峯嵐が出張っているようで………」

 

「くっ、遂に当主レベルが出てきたか………!!この嵐と鎌鼬は2人の仕業ね……」

 

紫は悔しそうに歯を噛みしめる。

 

「紫!大丈夫?」

 

すると、1人の女性が現れる。

 

「ああ、あなたね。正直言おうかしら。もう絶望的よ。当初の計画通り、私たちで結界を作り、そこに逃げ込むしかなさそうよ。」

 

「………私は、宇佐見家はそんなことしない。最後まで残って奴らと戦うよ。」

 

「ふざけないで!このままだと奴らの計画通りよ?!あの男だけは私たちが束になったって敵わないわ!!」

 

紫はその女性に怒鳴りかかり、胸ぐらを掴む。

 

「………もういいわ。好きにしなさい。」

 

紫は手を離す。

 

「ゆっ、紫さま………」

 

すると、昔の真澄だろうか。黒髪の女性がやってくる。彼女の体は血まみれでボロボロだ。

 

「真澄!!あなたまた無茶して………」

 

紫は真澄の元に駆け寄り、体を支える。

 

「凪と、峯嵐は、しばらくは食い止められましたが……、力及ばず、申し訳、ありません……」

 

「そんなことどうでもいいわ!あなたが死にでもしたら……」

 

「紫、私たちの力が戦闘にも向いてないし、10家の中で最弱なのは知ってる。でも、あのままあの男の思い通りにさせていたら、この宇宙は完全に終わりよ。」

 

宇佐見家と思わしき女性は紫に言う。

 

「…………くっ、………恨むわよ、私たちの力の無さを……っ!!」

 

紫は手から血が流れ出るほど強く拳を握りしめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから一、二年経った後であろうか。まだ戦火は消えていない。

 

「紫様、本当に……」

 

「………そうね。せめて、真澄だけでも……」

 

藍と紫は周囲に聞こえないようにボソボソと話す。

 

「紫様、鏖華家の前に第三部隊が壊滅しました……」

 

すると、真澄が紫に報告にやってくる。

 

「………真澄、突然だけど、あなた、もう要らないわ。」

 

「………え?」

 

真澄は喫驚の表情を浮かべる。

 

「あなた、当主格1人ともまともにやりあえないわよね。藍や私なら1人なら太刀打ちできるのに。」

 

「そっ、それは私の実力が至らないからです!これから一生懸命精進して、紫様のお役に立つ、立派な戦士になります!」

 

「関係ないわ。このまま居られても迷惑なのよね。………出て行きなさい。」

 

「ゆ、紫様……!まっ、待ってください!私も藍のように強くなりますから!!」

 

「私の手を、煩わせないでくれるかしら。真澄。出て行けと言っているの。」

 

「……紫、さま………」

 

真澄の顔はどんどん絶望色に染まっていく。

 

「………さぁ。」

 

「〜〜〜〜…………っ!!」

 

真澄は踵を返して走り去ってしまった………

 

 

 

「紫様………」

 

「これで、いいのよ。これが、正しい選択なの。」

 

紫は俯いてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほどね。それがあいつの原動力だと。」

 

「………私への怒りはもっともよ。それ相応のことをしたのだから。私は1人であの子の居場所を突き止めて、なんとかするわ。だから、霊夢。幽助。あなたたちは燼魔をお願い。」

 

紫はそう言って踵を返す。

 

「ちょ、ちょっと紫!!待ちなさい!!」

 

霊夢の声には応えず、紫はスキマに消えた。

 

「………ちっ、あのババア、1人でなんとかなるやつじゃねーだろうが。」

 

「まぁ、仕方ないわ。天界にはもう用はないし、守矢神社に行きましょう。」

 

霊夢は伸びをして歩きだす。

 

「幽助君………」

 

「………栞、あいつのこと、どう思う?」

 

「………彼女なりになにか思うこともあるだろうけど、無関係な人達まで巻き込むのだけは絶対に間違ってる。………私はそう思うな。」

 

「そうかい。んじゃ、俺たちも行くか。マーシー連れてこいよ。」

 

「あ、ああ、わかった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうですか、そんなことが………」

 

場所は変わり、守矢神社。事情を聞いた早苗たちは神社での寝泊まりと協力を快諾してくれた。

 

「とりあえず、皆さん手当をしますから、こちらに。」

 

早苗は霊夢たちを案内しようとするが、

 

「おい霊夢。ちょっと付き合え。」

 

「………?何よ。」

 

「渡さなきゃなんねーもんがあんだよ。」

 

幽助は霊夢を連れて林に入っていった。

 

「………何する気だ幽助君は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んで、こんなとこまで連れてきて何の用よ。」

 

霊夢は幽助に問う。

 

「てめー、力が欲しいだろ。」

 

「………いきなり何よ。まぁ、欲しいっちゃあ欲しいわね。あいつを叩きのめす為にも。」

 

「正直言ってやろうか。てめーじゃ真澄にゃ勝てねえ。見たろ、あいつの能力。あの身体能力が全く衰えねえんだ。普通にやってて互角のてめーじゃ無理だ。もちろん俺にもな。」

 

「はっきり言うじゃない。そんなに言うならもらおうじゃないの。その力。それなら勝てるんでしょ、あいつに。」

 

「その為だったら、どんなことにも、耐えられんだな。」

 

「ええ。」

 

「んじゃあ、俺を殺せ、と言ったら殺すんだな?」

 

「えっ、それって、どういう………」

 

「俺を殺さねーと、その力は手に入らねぇ。」

 

「………!!」

 

幽助の言葉に霊夢は戦慄する。

 

「そんな……、」

 

「この先で待ってるぜ。殺す覚悟が出来たんなら来い。」

(………悪いなばーさん。同じような試し方しちまって。)

 

そう言って幽助は歩きだした。

 

 

 

 

「……………」

 

霊夢は俯いたまま動けなかった。

 

(幽助を、殺す?私が?………やっとまた1人増えた仲間なのよ……。それを手放せって………。どうすれば……)

 

………周囲には、冷たい雨が降り注ぎ始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雨。降り注ぐ中、霊夢は立ち尽くしたまま動かない。

 

が、何かを決意したのか、霊夢は幽助が向かった方へ歩いていった。

 

 

 

 

「来たな。決まったんだな、覚悟が。さぁ、早く来やがれ。時間は待っちゃあくれねえぞ。」

 

幽助は踵を返してさらに奥へ進んでいこうとする。

 

「………無理よ。」

 

霊夢の言葉に、幽助は足を止める。

 

「頭回して考えてみた。めっ、ちゃくちゃ考えた。でも、友達売って力貰うなんて、したくない。そりゃ強くなりたいし、ならなきゃいけないけれど。ま、なんとかなるでしょ。あいつの顔にお札くらいはぶつけてやるわ。」

 

霊夢はそう言って踵を返した。

 

「………よーし、合格だぜ。」

 

「は?」

 

霊夢は思わず抜けた声が出てしまう。

 

「昔俺の師匠のばーさんが同じような試し方をしてよ。そのばーさん曰く、「自分が強くなる為に師匠を殺そうって結論出すやつに奥義は伝承できねぇ」ってな。」

 

幽助は笑みを浮かべる。

 

「なによ。悩んだ私が損したんじゃない。」

 

霊夢は頰を赤らめて頭をかく。

 

「そーいや、「かといってすぐに「出来ない」とかいう毒気のない奴も嫌い」とか言ってたな!」

 

幽助は思い出したように笑う。

 

「ちっ、あったまきたわ。そら、さっさと寄越しなさいよ!!」

 

霊夢は幽助に催促する。

 

「まぁ待てよ。ほら、付いて来い。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃ、始めっか……」

 

幽助はそう言って手を合わせる。

 

「………ぐぐっ……!!」

 

そうして力を両手に込めて、小さな球を作り出す。

 

「今からお前に渡すもんは、霊光波動拳伝承者だけにしか持てねー代物だ。」

 

(あっつ………!!!なんてエネルギー量……!!幽助が太陽みたい……!!)

 

「俺が思うに、てめーにゃまだこいつが受け取れねえ。霊光波動拳の霊の字もかじってねーし、俺とお前じゃあ霊気の質が違うからな。例えてめーが天才だっとしてもな。」

 

「こいつぁ霊光玉っつって、霊気を極限まで凝縮したエネルギーの球だ。こいつで霊光波動拳の継承はやられるんだと。心と体を使ってな。」

 

霊夢は生唾を飲む。

 

霊光玉は、妖しく、同時に神々しく、霊夢と幽助を照らすのであった……




いかがでしたか?第19話は以上です。

蓮「…遅い。」

「……はい。」

「遅すぎ。」

「………はい………」

「なにしてんのよあんたは。隙間隙間にやらないわけ?」

「申し訳ねぇです………」

「本当に一回地獄を味わった方がいいんじゃないの……?」

「ううっ、ご勘弁を……」(泣)

「………はぁ。ここで私がいくら言っても変わんない、か。逃げんじゃないわよ。」

「………はい………」

〜〜〜次回予告〜〜〜
「おっす!!久しぶりの魔理沙さんだぜ!!月からやっとこさ帰ってきたと思ったら、霊夢の気がものすげえ小さくなってるぞ?!どうなってんだよ?!」
「耐えろ霊夢。耐え抜け!!」
「こ………なくそ………っ!!こんな……、球っころごときに………っ!!」
「次回、幽助からの最大の試練
伊達にあの世は見てねーぜ!!」


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第20話 幽助からの最大の試練

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
都合によって変わる設定

お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。

あと一歩のところで真澄を逃してしまった霊夢。そこに現れた紫を問いただし、真澄と紫の因縁を聞いた霊夢たち。逃げられた以上は仕方がないと、霊夢たちは守矢神社に移動する。そこで幽助は霊夢に霊光玉を継承する決意をした……


「とりあえず、これを受け取ればいいのね。」

 

霊夢は幽助から霊光玉を受け取る。

 

その瞬間、霊夢の体の中に霊光玉が入り込んだ。

 

「………?」

 

しかし、霊夢の体には特に異常は見られない。当の霊夢もケロッとしている。

 

「………なによ、なんともないじゃない。私をビビらせる嘘だったの?」

 

霊夢がそう言った瞬間、霊夢の視界がぼやけ、幽助が分裂したかのように見え始める。

 

「…………っ?!」

 

瞬間、霊夢の肉体のいたるところから出血しだす。

 

「うっ………あぁ………っ!!」

 

霊夢は激しい痛みにより膝を折ってしまう。

 

「耐えろ霊夢!それを乗り越えりゃあ霊光玉はお前のもんだ!!」

 

幽助は声を荒げる。

 

「……ッ……うぇぇ……ッ!あ……っはッ、ひ、おッ…ごえぇ……っうっ……うあぁ………!」

 

霊夢は身を焦がす激痛に表情を歪める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっす!帰ったぜ!」

 

時を同じくして、守谷神社。ここで魔理沙たちが帰ってきていた。

 

よほどの激戦があったのだろう。魔理沙たちの体は泥だらけ、傷だらけになっていた。

 

幻想郷屈指の手練れである魔理沙と美鈴の2人がいながらこれだけの傷を負っているのだ。彼女らが交戦した燼魔の数は想像を絶するだろう。

 

「ところで、霊夢の気がどんどん減ってるんだが、何があってんだ?敵か?」

 

魔理沙が幽助と霊夢が消えた森の方へ視線を移し、そう尋ねる。

 

「えっと、わかりません。幽助さんはここに来るや否やすぐに霊夢さんを連れて行っちゃいましたから……」

 

魔理沙たちを出迎えていた早苗がそう返答する。

 

「それにしても、まさか悟空さんに次いで幽助さんにも会えるなんて。ジャンプ黄金期の一角の主人公ですよ?凄いです!」

 

早苗は何故か嬉しそうだ。

 

「んー、まぁいいや。私、ちょっくら見てくるぜ。」

 

魔理沙はそう言って額に二本指を当てて、瞬間移動した。

 

「まったく、お節介ね魔理沙は。早苗、少し休ませてくれるかしら。」

 

咲夜はため息をついて早苗に言う。

 

「あ、はい!こっちです!」

 

早苗は咲夜と美鈴を神社の中へと連れて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁッ、はぁ……ッ!うぐ、ぐぇっ……!ぐぇっ、ぇ…っげぇ…っ!はぐッ、!は………ゴボッ!おええッ……ぐ……!」

 

霊夢は未だに霊光玉がもたらす激痛に苦しんでいた。

 

森にはいたるところに霊夢から吹き出したと思われる血が飛び散っている。

 

「幽助!霊夢の気が減ってるがいったいどういうことだ?」

 

すると、魔理沙が瞬間移動でこちらにやってきた。

 

「魔理沙か。月はどうだったんだ?」

 

「ん?まぁまぁだな。それで、幽助、こりゃどういう状況だ?側から見ればお前が霊夢を殺そうとしてるようにしか見えないが………」

 

魔理沙は徐々に言葉に重みをかけていく。

 

「今こいつは試練中だ。これなら打ち勝てば真澄も倒せるはずだ。」

 

「なんだ、結局真澄が犯人だったんだな。」

 

「まぁな。霊夢があと一歩まで追い詰めたが能力で回復されちまって逃げられた。」

 

「能力?」

 

「やり直す程度の能力、だとよ。ちっ、ふざけやがって……」

 

幽助は腕を組んで苛立ちをあらわにする。

 

「でもダメージを与えられるなら不死身ってわけじゃないんだろ?」

 

「そうだが、いくらダメージを与えてもあいつが指を鳴らしちまえば全てバーだ。おそらく今のままじゃ霊夢も勝てねーだろうな。奴を圧倒とは言わねーが優勢に立てたあの青い気の状態で攻撃し続けりゃ倒せるだろうが、それでも奴のダメージは治っちまう。それだけ霊夢の気が減ってくだけだ。それにあの形態、そう長く持たねえな。」

 

「やっぱりわかんだな。」

 

「まぁな。俺もいろんな奴と戦ってきたからよ。筋肉操作して猛烈なパワー出してくる野郎だったり、7人人格がいる野郎だったり、俺の技を跳ね返してくる野郎だったり、俺の仲間と一緒じゃねーと手も足も出なかった野郎だったりな。」

 

「そうか。お前も私たちと同じようにたくさん戦ってきたんだな。」

 

「その過程で一回死んじまったがな。」

 

幽助は頭をかく。

 

「それにしても………」

 

魔理沙は霊夢を見る。

 

「これ、本当に人一人の血なのか……?」

 

魔理沙の言う通り、霊夢の周りには霊夢一人では賄えないような量の血が飛び散っていた。

 

血の海とはまさにこのことを言うのであろう。

 

「あ"ッ!あ"……ガハッ、はぁーッ、はぁーッ………!!げぇ…っ!はぐッ!ぐうっ、……!!」

 

「お、おいおい、見てらんないぜ……、霊夢、死んじまうぞ…」

 

「あいつが霊光玉に勝てなきゃ負けだ。霊夢は死ぬことだって考えられるな。」

 

「そ、そんな危険な橋渡ってんのかよ……」

 

直後、魔理沙の持つ無線機が電波を受信する。

 

その声は咲夜だ。

 

「魔理沙!聞こえる?」

 

「ああ!聞こえるぜ!どうしたんだ?」

 

「天狗との交渉が終わったわ。私たちはこれから地底へ向かうから、早く幽助と霊夢を連れて帰ってきてちょうだい!」

 

「あ、ああ、それなんだが……」

 

魔理沙は今の霊夢と幽助の状況を偽りなく教えた。

 

「これこれこういうことで今はお前らと一緒にゃ行けねえんだ。先に行ってたくれないか?」

 

「………まったく、本当に危険な賭けね。わかった。無理かもしれないけれど、次が幻想郷で行ってない最後の場所よ。真澄や燼魔との戦闘は避けられないでしょう。早く来なさいね。」

 

咲夜はそう言って通信を切った。

 

「霊夢………」

 

魔理沙は心配そうに霊夢を見つめる。

 

「うっ…うわあぁ、あ"……ガハッ、ひぐぅ……ぅ……げぇ…っ!はっ、はあっ、はあっ、ひいいいいっ!!あ"……ッ……!!」

 

霊夢は苦しそうに吐血する。

 

「………ゆ"、うすけ……、ま"りざ………」

 

すると霊夢は掠れる声で幽助たちを呼ぶ。

 

「わたしの……ごとは………い"いから……、さっざと……行きな"さい……!」

 

「馬鹿言うんじゃねえ!てめーが耐えられねーなら死ぬ前に俺が霊光玉を引っこ抜かなきゃならねーだろうが!!」

 

「はやく……行けっつってんの"よ!!これは……わたしの……もんだい……だがら……!!」

 

霊夢は怒号をあげる。

 

「ふざけんな!てめーに死なれちゃ困る奴らがここにゃごまんといるだろうが!!てめーの勝手で死ぬんじゃねーよ!!死を軽々しく見るな!!」

 

幽助は霊夢に怒鳴りつける。

 

「う"うっ……ぐッ……がぅ……ッ!!」

 

霊夢は返事をする暇もなく、痛みに悶える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「霊夢、大丈夫なのか……?咲夜さん。」

 

「私にはわからないわ。幽助が信じたのなら、それに縋るしかないでしょう。私たちは私たちの役割を果たせばいいの。」

 

咲夜は霊夢のことで注意が散漫になっている栞を叱責し、集中を地底に向かわせる。

 

「これで、この異変も解決されるんでしょうか……」

 

早苗は不安そうに一同を見る。

 

「神奈子様と諏訪子様は大丈夫だ、と仰っていましたが……」

 

「解決されるんじゃなくて、するのよ、早苗さん。」

 

妖夢は早苗の言葉を訂正する。

 

「私も何かお役に立てれば良いのですが……」

 

マーシーも申し訳なさそうに視線を落とす。

 

「マーシーさんは真澄に対する最終兵器ですから。あなたの能力の玉を打つられさえすれば私たちの勝ちです。……でも、その玉を大人しく真澄が受けてくれるとは思えませんがね……。とりあえず、マーシーさんは生き残ることが仕事です!私たちがだいたいはやりますから!」

 

美鈴はマーシーを勇気づける。

 

「………見えてきたわ。地底の入り口よ。」

 

咲夜たちは全員表情を強張らせ、地底へと消えていった……




いかがでしたか?第20話は以上です。

〜〜〜次回予告〜〜〜
「霊夢のやつ、大丈夫なのか……?」
「さぁな。俺たちにゃ何もできねー。こいつの気力と体力がカギなんだ。」
(………こんなのに……負けて、たまるかってんのよ……、私は、まだ、魔理沙を超えられていないんだから……!!)
「ちっ、地底に行った咲夜たちも不安だぜ……」
「次回、脅威!リミッターを外した究極燼魔
伊達にあの世は見てねーぜ!!」


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第21話 脅威!リミッターを外した究極燼魔

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
都合によって変わる設定

お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。


「ここが、旧地獄街道……」

 

咲夜たちは旧都に続く橋に差し掛かっていた。

 

「………嘘でしょう……?!」

 

しかし、旧都は既に火の海になっており、そこかしこから猛獣のような声が響く。

 

「……あれが、燼魔の鳴き声ですか……?!」

 

早苗は生唾を飲む。

 

「ここも燼魔が……!」

 

妖夢は刀を抜いて構える。

 

「とりあえず、霊夢が来るまで耐えるわよ……!」

 

咲夜がナイフを持った瞬間、橋の向こうから燼魔の怒号が飛んでくる。

 

「………歓迎されてますね……!」

 

美鈴は気を解放する。

 

「とりあえず、魔理沙が言ってた地霊殿の妖怪たちと鬼の四天王と合流しましょう!あの人たちならそうそうやられません!」

 

早苗はお祓い棒を構えて走りだす。

 

「よし、早苗に続くわよ!」

 

「燼魔……、彼らもまた被害者なんでしょうか……」

 

マーシーは俯く。

 

「それでも私たちにとってはあっちが加害者で、こっちが被害者なんです。私たちにとってはそれが真実なんですから。」

 

妖夢はマーシーに言う。

 

「私は、ずっと考えているのです。正義とはなんなのかと。私もまだまだ「ただしいこと」とはかけ離れた事をしているのかもしれません。それでも、私は自分の信念に従ってきました……。妖夢さん、それは間違っているのでしょうか。」

 

「………私には何が正しくて、何が間違ってるかなんてわかりません。それでも、自分が正しいと思うなら、それが自分にとっての正解だと思うんです。」

 

「………難しいですね。」

 

「………そうね。きっと私たちの人生より長い時間をかけてもわかりませんよ。」

 

妖夢はそう言って火の海に飛び込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ううっ、ぐっ………、がッ………ぎぇッ………」

 

霊夢は未だに痛みに悶えている。

 

「霊夢……!」

 

魔理沙は不安そうに霊夢を見つめていた。

 

(魔理沙……、あんたは、私を遂に超えてしまった……。超えられる筈のない私を。……悔しい。絶対に超えられないと、超えさせないと慢心してた。幽助も、きっと私より強い。私以上に「強さ」を理解してるんだ……。魔理沙……!!私はあんたに嫉妬していたのかもしれない……、あんたにできて、何故私に出来ないの?!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ………!」

 

「勇儀!無理しないでください!」

 

旧都奥、地霊殿前。ここで勇儀や華扇、萃香や地霊殿の面々が真澄と対峙していた。

 

「くそっ、燼魔とかいう野郎さえいなきゃ……っ!!」

 

勇儀は悔しそうに地団駄を踏む。

 

真澄と勇儀たちの間には、普通の燼魔とは少し違う変わった燼魔が五体ほど立ちはだかっていた。

 

「………これが私の研究の究極形、完全体の燼魔だ!!」

 

「こいつは永久のエネルギー機関に霧雨魔理沙、博麗霊夢の細胞を取り込んだ、燼魔の完成形……!」

 

「霊夢や魔理沙の細胞だと……?!」

 

萃香は肩で息をしながら真澄に言う。

 

「どうだ、霧雨魔理沙や博麗霊夢、浦飯幽助の姿が見えないが、何を企んでいる?まぁ、私には関係ないんだけどね!」

 

真澄はそう言って高笑いを始める。

 

そこに、普通の燼魔を蹴散らして咲夜たちが合流する。

 

「おお………、お仲間さんがこんなに……」

 

真澄は感心したように腕を組む。

 

「さぁ、この完全なる燼魔相手に何秒保つかな……?」

 

真澄は手でやれ、と指示する。

 

「ガァァァァッ!!」

 

燼魔は咆哮し、咲夜たちに突撃する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(魔理沙……っ!!)

 

「くそっ、やっぱり無理か……!」

 

幽助は霊夢の胸部に手を当てて、霊光玉を取り出す。

 

「なに、すんのよ……!」

 

「てめーにゃまだ無理だ。他の手を考えるぞ。」

 

「ふざけないで……!一回渡したんならもう私のよ……!!」

 

すると霊夢は幽助から霊光玉を奪い取り、再び体内に押し込む。

 

「くっ、ぐぅっ………!!」

 

「霊夢………、」

 

刹那、魔理沙の無線機が再び電波を受信する。

 

「どうした?!」

 

「い、今までとは違う燼魔が……、もの凄い強さで………」

 

瞬間、通話は途切れてしまった。

 

「おい、おい咲夜!どうした?!返事しろ!」

 

「なんだ?!」

 

幽助が魔理沙に問う。

 

「別の燼魔が現れたって……!咲夜たちがボロボロになってるんだ!」

 

「くそっ……!」

 

幽助は地団駄を踏む。

 

「私が助けに行くから、幽助は霊夢が試練を越えるまで待っててやってくれ!」

 

「ああ!」

 

「行きなさい幽助……!私は、大丈夫よ……!!なんか、掴めてきた、気がするわ……!!」

 

「馬鹿言うな!今度こそ死ぬぞ!!」

 

「お願いだから行ってちょうだい……、私のわがままよ……。」

 

「………!!!」

 

幽助は深く考えた後、

 

「いいか!絶対に死ぬんじゃねーぞ!!」

 

そう言って魔理沙の肩を掴んだ。

 

「魔理沙!早く連れてけ!」

 

「よしきた!霊夢!負けんなよ!!」

 

魔理沙はそう言い残して幽助と共に瞬間移動した。

 

「魔理沙……っ!!」

 

霊夢は拳を血が滲むほど握りしめる。

 

「私は、なんで、魔理沙を超えられないのよ……っ!!」

 

霊夢は透明なオーラを纏う。

 

直後、霊夢のオーラが少しずつ金色に変色していく。

 

「………っ!!!はぁぁぁぁぁっ!!!」

 

やがて霊夢の気は完全に金色になり、次の瞬間霊夢を中心に大きな爆発が起こった……




いかがでしたか?第21話は以上です。

〜〜〜次回予告〜〜〜
「なんだ?!霊夢の気が爆発的に上がったぞ?!」
「まさか霊夢のやつ、本当に霊光玉を押さえつけやがったぜ……!」
「待たせたわねみんな。あとは、……私がやるわ。」
「次回、覚醒の時!燃え上がる神の瞳!
伊達にあの世は見てねーぜ!!」


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第22話 覚醒の時!燃え上がる神の瞳!

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
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お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。

一度は幽助に引っこ抜かれた霊光玉を自ら奪い返し、再び自分の中へと押し込んだ霊夢。幽助と魔理沙は霊夢の無事を祈って咲夜たちの加勢に赴く。その時、霊夢の体が金色の気と共に眩い発光を始める……!!


「真澄……っ!!」

 

幽助は真澄を睨みつける。

 

「遅かったじゃないか。もうとっくにおっぱじめられてるよ?どうだい私の究極の最高傑作は。」

 

「てめーらしいくそったれなもんだな。」

 

「お褒めに預かり光栄だよ。」

 

「褒めてねーよ!!」

 

幽助はそう言って霊丸を放つ。

 

霊丸は真澄に着弾し、大爆発を引き起こした。

 

が、

 

「どうした、以前より力が落ちているぞ?ナメてるのか?」

 

真澄は右手を突き出したままで微動だにしていない。

 

「ちっ……」(まさか霊光玉を無くしたときの霊力の低下量は半端じゃねーな……、ばーさんはこの状態で戸愚呂と戦ってたのか……!)

 

 

「幽助、無理すんな!」

 

魔理沙も幽助のとなりに立って八卦炉を構える。

 

「霧雨魔理沙……、どうだ?お前の細胞が、仲間を滅ぼすんだ。」

 

「最悪だぜ、お前ってやつは。」

 

「それより、博麗霊夢が居ないが、なにか作戦でもあるのかな?」

 

「……へへっ、まーな。」

 

魔理沙は真澄を嘲るように言う。

 

「まぁいいさ。私は計画の最終形態に入る。それで終いだ。燼魔ども、相手をしてやれ。」

 

真澄は踵を返して燼魔にハンドサインを送る。

 

刹那、咲夜たちと交戦していた完全体燼魔が一斉に幽助たちの方を向き、襲いかかってくる!

 

「ちっ、来るぞ幽助!」

 

「わかってらぁ!!」

 

魔理沙は気を解放する。

 

それに続いて幽助も妖気を放出する。

 

「ガァァァァ!!」

 

燼魔のうち、1匹がまず幽助に右ストレートを使用してくる。

 

「そんな軽いパンチじゃぁ……、効かねーんだよ!!」

 

幽助は持てる力と残った霊気を拳に込めて燼魔にパンチを浴びせる。

 

「ガァァッ!!」

 

燼魔はパンチを喰らった右半身が消し飛んでしまうが、すぐに組織が復活して、傷が癒えてしまった。

 

「なにっ?!」

 

「ああそうそう、言い忘れてた。そいつらは受けたダメージを分析し、より強固に修復される。つまり、君たちが死にものぐるいで燼魔を潰したところで、完全体の燼魔は蘇るのだ……、何度でもな!」

 

刹那、真澄の口から衝撃のセリフが飛び出した。

 

「クソが……!!」

 

魔理沙も幽助に背中をくっつける。

 

「咲夜!みんな!私たちは1匹でもなんとかしてみせる!みんなは他の燼魔を止めておいてくれ!頼む!」

 

魔理沙の呼びかけに応じたのか、咲夜たちは先程幽助に攻撃を仕掛けた燼魔以外の個体と幽助たちの間に割り込むように立つ。

 

「………いいか幽助。私たちの全力を使って突撃すれば、あいつ一体ならなんとかできるかもしれねえ。だからフルパワーで行くぜ!」

 

「……それしかなさそうだな。気をケチるんじゃねーぞ!!」

 

幽助と魔理沙は一斉に気、霊気&妖気を放出し、燼魔に向かって突撃する。

 

「「はぁぁぁぁぁっ!!!」」

 

幽助と魔理沙はそれぞれ1つずつ燼魔の肉体に大穴を開けた。

 

が、燼魔の体はすぐさま復活しようと組織がものすごい勢いで再生しようとする。

 

「させるかよ……!!消えてなくなりやがれぇぇーーーっ!!!」

 

幽助は振り返って左手の人差し指から小さな霊丸を連射しだす。

 

「ガァ……ァァ………!!!」

 

燼魔は襲いくる霊夢に身を焼かれる。

 

「喰らえぇぇーーーっ!!!」

 

愛符「キャノンスパーク」

 

魔理沙は八卦炉からキャノンスパークを放ち、跡形もなく燼魔を消滅させた。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁ……っ!どうだ、この野郎……!」

 

魔理沙は膝に手を当てて肩で息をしながらそう呟く。

 

「…………やってくれたな。まさか私の想定していない量の気で焼き尽くした、ということか。」

 

「これで、霊気だけじゃなくても勝てるってことが……証明されたぜ……?!」

 

魔理沙はやってきた真澄に嘲笑を浴びせる。

 

「ふん、それでも君は今たった一体の燼魔にあれほど苦戦していたではないか。………いいだろう。今度は私が相手をしてやる。」

 

真澄はそう言って魔理沙の目の前に瞬間移動し、魔理沙にとどめを刺そうと拳を振り下ろす。

 

(し、しまった……!!)

 

魔理沙がそう思い咄嗟に目を瞑った瞬間、

 

真澄の拳は何者かに止められる。

 

「なに?!」

 

真澄は自分の攻撃を止めた者の方を見る。

 

そこには………

 

「待たせたわね2人とも。おかげさまでまた一歩成長できたわ。」

 

霊光玉による傷が全て癒え、金色のオーラを放つ霊夢であった。

 

「博麗………霊夢………?!」

 

真澄は喫驚の表情を浮かべる。

 

それもそのはず。霊夢は先程までとは打って変わり、オーラが金色になっており、更に霊気の量が先程までとは段違いに上がっていた。

 

「ありがとね幽助。あんたのおかげで私は前に進めたわ。魔理沙、あんた、能力が覚醒した……、とか言ってたわよね。」

 

「え?あ、ああ。それがなんだってんだ?………ま、まさかお前……?!」

 

魔理沙は何かを察したかのように目を見開く。

 

「多分そう。私も、起きたのよ。覚醒って奴がね。」

 

ここで補足をしておく。覚醒とは、魔理沙たちに備わっている能力が上の段階に進化することである。その引き金はある程度の実力と強い怒りなどの気持ちの高ぶりだ。

 

しかし、覚醒した能力自体は強力だが、魔理沙たちはそれを実力が足りないために持て余してしまい、本来の真価を発揮できないと言われている。現に魔理沙が覚醒した「不可能を可能にする程度の能力」も魔理沙自身が100パーセントを使えていない。

 

「私の能力は「霊力を操る力」……今の私は……」

 

霊夢はそう言って右手を薙ぐ。

 

瞬間、空間が裂け、時空の歪みが発生する。

 

「なんだありゃあ?!」

 

魔理沙は思わず声を荒げる。

 

「私は夢想、世界のズレを見ることもできる。そして小さなパラレルワールドを作ることだってきっとできるはず。ま、今の私にはできないんだけど。そうね、魔理沙みたいに名前をつけるとしたら……、「夢想を司る程度の能力」でいっか。わかりやすいしね。」

 

「いやわかりにくいだろ……」

 

魔理沙がこっそりツッコミをいれる。

 

「そして、私は霊光玉を取り込み、更に霊力を増した……、それでもね、私にとっちゃ霊光玉の霊気は持て余すものなのよ。だから覚醒して増えた私の霊気で蓋をしてる。溢れてこないようにね。………もしそれを、解放させたらどうなると思う?」

 

霊夢は金色のオーラをどんどん高めていく。

 

「………はっ!!!」

 

霊夢は霊気を解放する。

 

瞬間、眩い光が周囲を包み込んだ。

 

そして………

 

「お、おいおい……なんて気の嵐だよ…!!」

 

魔理沙は思わず賞賛の声が出てしまう。

 

霊夢の髪は少し逆立ち、左目からは炎、否、炎のように揺らめく霊気が溢れ出している。

 

「これが今の私の本気。神眼状態ってとこかな。どう?少しは驚いてくれたかしら。でもこの姿、おそらく魔理沙の身勝手の極意と同じで長くは保たない。一気に決めさせてもらうわ、八雲真澄…!」

 

霊夢はそう言って右手の人差し指を真澄に向け、

 

「BANG!」

 

刹那、幽助でも考えられないようなレベルの大きさの霊丸が現れ、真澄を襲う。

 

真澄は避ける暇も無く、そのまま霊丸に飲み込まれてしまった。

 

「………さぁ、ケリつけようじゃない!」

 

 




いかがでしたか?第22話は以上です。

〜〜〜次回予告〜〜〜
「おい、なんだよあの霊夢のデタラメな強さは?!」
「もとは幽助の気なんだろ?!それが合わさったってだけであんな強さが出せるもんなんだな……」
「とにかく、あれでとっとと真澄をぶっ飛ばしてほしいな。
次回、究極の戦い!最強の証
伊達にあの世は見てねーぜ!!」


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第23話 究極の戦い!最強の証

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
都合によって変わる設定

お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。

究極の燼魔を前に、苦戦する咲夜たちを救うために魔理沙と幽助は霊夢を信じて霊夢を置いて燼魔と対峙する。なんとか2人の気を全て解放した突撃によって、1体を撃破したが、そこに真澄が襲いかかる。が、その時、霊光玉を克服した霊夢が現れた!


「まさか霊夢まで覚醒が………」

 

咲夜は驚きの表情で霊夢を見つめている。

 

「な、なんなんですかあのパワーは!私も長いこと宇宙を見て回ってますが……、あんなパワーは見たことありませんよ!!」

 

マーシーは覚醒した気、そして気迫を前に震えている。

 

「ど、どうしてですか?あれは魔理沙さんと同じ……!」

 

妖夢も戦闘の手を止めて霊夢に視線を送る。

 

「………私は純粋に強さを求めて、ひたすらに凄まじい特訓を繰り返したわ。でも私はあるとき自分の限界に気づいてしまった………。」

 

霊夢は目を閉じてかつての自分を思い出す。

 

「「どうして魔理沙に勝てないんだ」と、自分に言い聞かせてきた……、私はエリートの天才、博麗の巫女であるくせに魔理沙に負けた……。私にどうしようもない虚無感が訪れたわ………。そして気づいた。この世に、上には上がいる。霊奈、魔理沙、………悟空。どうしても許せなくなったのよ。そんな人たちに勝てない私が。そして、幽助の霊光玉によって、私が苦しんでいるときも、私はずっとそれを考えていた………。」

 

霊夢はどんどん霊気を高めていく。

 

「自分への怒りで突然目覚めたのよ……、私の能力(ちから)がね!!!」

 

「私は喜びに打ち震えたわ………、ようやく魔理沙を超えて、博麗の巫女(さいきょう)に戻る日が来たんだと……」

 

霊夢は不敵な笑みを浮かべる。

 

「お、おい、なんか霊夢性格変わってないか……?」

 

幽助は呆れ気味に霊夢を見る。

 

「あー……、まぁ私も覚醒したての時はあんな感じだったぜ。なんか高揚感が襲ってよ。今の自分ならなんでもできる、みたいなな。まぁ要するに自信過剰になるってこった。………フラグっぽいけど本当に勝てそうだな。」

 

 

 

 

「…………たわ言はそれくらいにしておくんだな。私のデータでは今の私には勝てない!」

 

真澄は瞬間、突撃し、左手で霊夢の顔面にパンチを喰らわせる。

 

霊夢は少し仰け反る。

 

「………やっぱそんな程度でしょうね……」

 

「あ、そうそう。言わなかったけどね……、今の私はイライラしてんのよ。あんた、すぐにケガを治せるんでしょ?ラッキーだったわね。」

 

瞬間、霊夢は右足で真澄の腹を背中が盛り上がるほど強烈に蹴りつける。

 

そして、続けざまに左手で肘打ちし、今度は左足で蹴り上げる。

 

真澄は地面を跳ねて数メートル離れたところに吹き飛ばされる。

 

 

 

「………どうした?あんたのガラクタ脳の計算でも狂ったかしら。」

 

霊夢は真澄の元に歩み寄り、真澄を見下してそう言う。

 

「………!!」

 

真澄は飛び起きて霊夢に頭突きをかまそうとするが霊夢は上半身を後ろに倒してそれを躱し、そのままの勢いで背中から倒れこみ、両足で蹴りつけ、真澄を上空に吹き飛ばす。

 

霊夢はバック宙の要領で一回転し、霊夢は地面を蹴って真澄を追いかける。

 

「こんにちは」

 

霊夢は一瞬で真澄に追いつく。

 

「くそっ!!」

 

真澄は右手でパンチを放つが、霊夢は体を右に倒してそれを避ける。

 

そして、先程自分にやられたようにパンチを真澄の顔面に浴びせた。

 

「いいザマね………、そろそろ終わりにしてやるわ。」

 

霊夢がそう言った瞬間、霊夢の体が一瞬ブレ、真澄の上空に現れる。

 

続けざまに霊夢は両手を合わせてそれを振り下ろし、真澄を地面に叩きつける。

 

その威力を物語るように地面は大きく陥没し、凄まじい土埃を立てる。

 

「くっ、くそっ……、こんなのデータには………!!」

 

「計算だけでわかるもんじゃないのよ、私たちはね……!」

 

霊夢は右手を銃の形にして、それを左手で抑えながら気を溜め始める。

 

「ギギ……」

 

燼魔たちは咲夜たちを無視して霊夢に襲いかかろうとしている。

 

「慌てないでいいわ!あいつを片付けたら今度はあんたたちを粉々にしてあげる!」

 

霊夢は燼魔たちを一蹴し、真澄に向き直す。

 

「とどめよ……!!!」

 

霊夢は右手を構える。

 

「霊丸ーーーーーっ!!!」

 

霊夢は小さな太陽と錯覚するほどの輝きと大きさを持つ霊丸を真澄に向かって放つ。

 

霊丸は真澄を飲み込んでなおそのまま進み、旧都の壁にまで到達し、大爆発を起こした。

 

「………」

 

霊夢の放った霊丸により、旧都の約6割が消し飛んでしまった。

 

「お、おいおい嘘だろ……?!」

「霊夢のやつ、なんてデタラメなパワーだよ……!とっくに私ら鬼を超えてるねぇ……!」

 

萃香と勇儀は互いに顔を見合わせる。

 

「………まだ死んでないわね。」

 

霊夢は爆発の中心を見る。

 

「お、のれ………っ!!」

 

かろうじて耐えた真澄は右手で指を鳴らし、体力を全回復させる。

 

「燼魔に助けられたわね。何百体いた燼滅が盾になったみたい。」

 

霊夢は真澄のそばに転がるかつて燼魔だったであろう手を見る。

 

「くそ、くそ、くそぉぉぉーーーっ!!」

 

真澄は地面に両手をついて慟哭する。

 

「次はもう無いわよ。これで終わり。私は魔理沙と違って妥協はしない。悪い奴が改心できるだなんて思ってないから。悪の根は絶やすのが一番。消えてもらうわ。八雲真澄。」

 

霊夢はそう言いながら次の霊丸を準備する。

 

「わ、私の、私の計画は!絶対に狂いやしない!!覚えていろ……、この程度じゃすまさんぞ……!!」

 

真澄はそう言って瞬間移動する。それと同時に燼魔も消滅した。

 

「………ちっ、逃した……」

 

瞬間、霊夢の瞳から漏れる炎が消え、霊夢は力なく地面に落下した。

 

「くそっ………もうちょっと続いていれば……」

 

霊夢は息が完全にあがっており、なんとか上体を起こす。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ………」

 

霊夢は心臓を抑えて肩で息をする。

 

「魔理沙と同じで、今の私には、ここまでか……、いずれこいつもモノにしてやるわ……」

 

「霊夢!無事か?!」

 

すると、霊夢の元に魔理沙たちが駆け寄ってくる。

 

「ごめん、また逃した……」

 

「なぁに。もうボコボコだったじゃないか。ほら、肩貸すよ。また会った時にやりゃあいいだろ。それに、また幻想郷が1つになれたんだ。真澄と燼魔をぶっ飛ばして、それで終わりだろ?」

 

魔理沙は霊夢に肩を貸す。

 

「ええ。そうね、それで終わりよ。」

 

霊夢は魔理沙と顔を見合わせる。

 

「それにしてもお前すげぇなぁ!もしかしたらほんとに私を超えてるんじゃねーか?」

 

「さぁね。」

 

「霊夢ぅ!よくやったな!」

 

すると、栞が霊夢に抱きついてくる。

 

「いたたたた!!なにすんのよ栞姉!」

 

「いいじゃないか!なにせ何話かぶりの登場なんだからな!」

 

「なんの話よ……」

 

霊夢はジト目で栞を見る。

 

「これも不幸の一部なんだろうな。ほんとに忘れられて死にそうだったよ。これでも私も頑張ったんだからな!」

 

相変わらず紫苑の不幸オーラが蝕んでいるようだ。

 

「霊夢さん」

 

すると、体からケーブル状の物体が出ていて、小さな眼球のようなものがある女性、さとりが声をかけてくる。

 

「さとり………、ごめんね、旧都ぶっ飛ばしちゃって。」

 

「いえいえ。旧都は勇儀たちと一緒にまた直しますから。それよりも、彼女、真澄のことですが、おそらくまだそう遠くには行ってません。そこでどうでしょう。しばらく地霊殿で寝泊まりしていっては。」

 

「………そうね。しばらく厄介になるわ。栞姉の容体も気になるし。あんたらも来るでしょ?」

 

霊夢は魔理沙や幽助、咲夜たちを見る。

 

鬼たちを除いて、全員が頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おのれ、博麗霊夢め……!!ふふっ、だが私には切り札がある!これで幻想郷を、あの女が愛したものを、全て破壊してやる………!!」

 

真澄は巨大なエネルギーの柱の前で、邪悪な笑みを浮かべる………




いかがでしたか?第23話は以上です。

〜〜〜次回予告〜〜〜
「やっぱり栞姉は……、もう長くないのね。」
「おい霊夢!今の放送、どういうことだ?!真澄のやつが幻想郷を吹き飛ばすとか……!」
「何言ってんのよ幽助?真澄がどうしたって?………栞姉?ねぇ、どうしたの?………、ねぇ!どうしたのよ!」
「次回、栞の変化!忍びよる殺意
伊達にあの世は見てねーぜ!!」


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第24話 栞の変化!忍び寄る殺意

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
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お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。


「…………」

 

「………ふぅ。」

 

霊夢は緑茶の入った湯のみを置いて一息つく。

 

周りではまだ異変を解決したわけでもないのに宴会でどんちゃん騒ぎをしていた。

 

「まったく、気が緩みすぎじゃないかしら。」

 

霊夢はため息をついて周囲を見る。

 

「まぁいいじゃないか!もう勝ったようなもんだろ?!パーっとやろうぜ!さすがは私の霊夢だよなぁ!」

 

栞は既に酔いが回っているのか、霊夢に肩を預けてくる。

 

「マーシーだっけ?!飲まないの?ん?」

 

栞はマーシーに擦り寄って酒を飲ませようとする。

 

「あぁ、いえ、私はまだそんな……、それに私、お酒あんまり飲めないんです……」

 

マーシーはやんわりと断る。

 

「んだよ……、つれねーな……」

 

栞は残念そうに顔を顰める。

 

「あぅ……、あれ……、霊夢、が、走って、くるよ……?」

 

栞は不可解なことを言ったかと思うと、目を回して倒れてしまった。

 

「ちょ、ちょっと、栞姉!?」

 

霊夢は慌てて栞の側に駆け寄る。

 

「なんだ?どうした?!」

 

騒ぎを聞きつけた魔理沙と幽助も近づいてくる。

 

「ま、まさか……」

 

魔理沙は ハッとして、

 

「そういや、サイダーくれって言ってたけどジョークかと思ってソーダ割り出しちまった!」

 

魔理沙は頭を抱える。

 

「バカ!何してんのよ!ほら、栞姉運ぶから足持って!」

 

霊夢と魔理沙は栞を抱えて部屋から出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん、ただの飲み過ぎだと思うわ。」

 

魔理沙によって連れてこられた永琳はそう言う。

 

永琳は栞に異常が見られたら呼ぶように、と魔理沙たちに釘を刺していた。

 

そのため、魔理沙が慌てて瞬間移動で捕まえてきたのだ。

 

「それにしても……、やっぱり、魔族の核の力が弱まってきてるのか……、生気を感じられなくなってきたわ。」

 

「………。」

 

霊夢は永琳の声に俯いてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、夜が明けた翌日、幻想郷中に真澄の声が響き渡った。

 

「幻想郷に生きる蛆虫たちに告ぐ!私は真澄!八雲紫よ見てるか?私は貴様らのせいでいよいよ最終兵器すら使う羽目になった!!よぉく聞け……、現在この幻想郷に、私の放った人間がいる!そいつの心臓部は特別製でな……、今日の夕方、5時にはそいつを中心に心臓部を木っ端微塵に爆発させる!心臓部はその余波で自身も大爆発を引き起こすのだ!………この幻想郷程度ならそれこそ粉々にできるレベルまでな!今からそいつを探し当てるなど不可能だ!八雲紫!それが嫌ならお前一人で間欠泉地下センターまで来るんだな!」

 

幻想郷中に真澄の声が大音量で響き渡った。

 

それと同時に、栞が起き上がる。

 

「………」

 

「栞姉!起きたのね!」

 

つきっきりで看病していた霊夢は栞を見て大喜びする。

 

「………」

 

しかし、栞はハイライトが消えた目で霊夢を睨みつける。

 

「栞、姉?」

 

違和感を感じた霊夢は栞の名を呼ぶ。

 

「……あぁ!悪い悪い!ボーッとしてた!」

 

が、いつのまにか栞は元に戻っており、はははと笑っていた。

 

「まったく、びっくりさせないでよ。」

 

霊夢は顔を赤くする。

 

 

 

 

 

 

 

「幽助、聞いたか、あの放送。」

 

「ああ。真澄の奴が言う最終兵器……、だいたい察しがついちまった。」

 

「………殺すのか?」

 

「………ああ。俺がやる。お前らにはできねーだろ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ栞姉。なんであなたはあの時私を助けてくれたの?」

 

霊夢と栞は縁側に座って団子を挟んでいる。

 

「んー?そうさなぁ。私とおんなじ感じがしたからだ。」

 

「同じって?」

 

「ひとりぼっちの奴の雰囲気、っていうかさ。」

 

「ほら、前にも話したろう?一緒に泣いてくれる奴がいれば……」

 

「あー。あー。それは耳にタコができるほど聞いたわ。わかってるわよ。あなたが連れ出してくれた世界、おかげさまでたくさん仲間が、友達ができた。」

 

「そうか。そりゃよかった。」

 

「ねぇ、栞姉には、友達、私以外にもいるの?私を友達と思ってくれてる?」

 

「愚問だろ。んー、でも、お前は友達というよりは、ほんとうに妹みたいになっちまったなぁ。」

 

「そう……。ねぇ、栞姉……?」

 

「ああ、わかってるさ。私はもう長くない。自分の命の終わりくらいわかるさ。」

 

「………なんで、そんなこと言うの?私はあなたが生きてたってとき、本当に嬉しかったの。私の仲間にあなたを紹介するのが楽しみだった。なのにこんな……、こんなことに……」

 

「ほんと、ごめんな、霊夢。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「頼む。殺さないでやってくれ、とは言わない。あと少し、ほんの少しでいいんだ。霊夢とあいつの時間を作ってやってくれ!あいつにとっちゃ、せっかく帰ってきた姉貴なんだ、だから、頼む!」

 

魔理沙は幽助に頭を下げて土下座までする。

 

幽助と魔理沙は霊夢と栞のいる部屋の隣まで来ていた。

 

「………悪いな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう死ぬ覚悟も、正直できてた。なのにここまで生き残っちまったのは、最後に霊夢の顔が見たかったからだ。これでもう思い残すことはないさ。」

 

栞は霊夢の方を向いて微笑みかける。

 

「お前とまた会えて、よかっ」

「ふっ!!」

 

瞬間、幽助が霊夢の置いていたお祓い棒を持って栞の肩を貫く。

 

「邪魔だ」

 

「どいつもこいつも暗いツラしやがって。嫌になるな。霧宮栞?」

 

幽助はお祓い棒を引き抜く。

 

「………っ!!」

 

栞は苦しそうに肩を抑えている。

 

「ちょっと幽助?!何してんのよ!!止めて!!お願いよ!!」

 

霊夢は幽助に摑みかかるが、

 

「邪魔だっつってんだろ」

 

幽助は霊夢の手を掴んで放り投げる。

 

「うっ、くっ!!」

 

霊夢は地面を転がる。

 

「ちっ、逃げられたな……」

 

幽助はイライラしながら栞が居た方を見る。

 

「幽助、なんで、なんでこんな酷いことすんのよ!!栞姉は、栞姉はもう死ぬ覚悟は出来てるって!!」

 

「んなことあいつにできるわけねーだろ。なにせもうアレはあいつの身体じゃねーからな。てめーが一緒に団子食ってたのは、ただの死体だ。」

 

「!!!」

 

「もう一回……、言ってみなさいよ……!!」

 

「ふん」

 

幽助は霊夢を無視して栞を追おうとする。

 

「待てよ……!」

 

幽助は止まらない。

 

「待て……!!」

 

…………

 

「待てって言ってんのが、聞こえねーのかぁぁぁっ!!」

 

霊夢は幽助に殴りかかる。

 

が、幽助は体の軸をずらしてそれを躱し、霊夢を壁に叩きつける。

 

「てめーにやれないんなら俺がやる。霊光玉をくれてやったせいで霊力は落ちたが……、今の我を忘れたてめーなんぞにやられる俺じゃねー」

 

幽助は霊夢を睨んだままそう言う。

 

「じゃあな」

 

幽助はそのまま行ってしまった……




いかがでしたか?第24話は以上です。

〜〜〜次回予告〜〜〜
「おっす、魔理沙だぜ……、ちくしょう、こんなのって……、どうにか、どうにかならなかったのかよ!」
「私は…、どうすれば……」
「へっ、横でメソメソ泣かれながら殺し合いしたって乗れねえからな。ほら、来いよ。俺が相手してやるぜ。
次回、残された手段!幽助の決断
伊達にあの世は見てねーぜ!!」


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第25話 残された手段!幽助の決断

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
都合によって変わる設定

お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。

真澄による恐怖の放送からほんの数時間。べろんべろんに酔った栞が目覚めた。真澄の言う最終兵器の存在を察した幽助は、栞を仕留めようとお祓い棒で単身栞に攻撃を仕掛けた。が、栞を想う霊夢によってそれは止められ、その隙に栞を逃してしまった……


「………緊急装置が作動しない……、あの男、なにかしたな……、早くプロフェッサーに連絡を取らねば……」

 

栞は旧都の無事な家屋の屋根を飛び移りながらそう零す。

 

(………あの時……)

 

栞は先程霊夢と団子をかじっていた時のことを思い出す。

 

博麗霊夢(あの女)に向けたほんの僅かな殺気を感じ取ったのか……、浦飯幽助………、末恐ろしい男だ……)

 

「おい!そこのお前!」

 

すると、栞に勇儀が声をかける。

 

「そこで何してる」

 

「ちょいと野暮用でね……」

 

そう言うと栞は手のひらからエネルギー弾を発射する。

 

「ちっ!!」

 

勇儀は難なくそれを躱すが、注意をエネルギー弾に移してしまったせいで、栞を見逃してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………プロフェッサー、こちらフォッグ。応答願います。」

 

「おお、どうだ、ようやく私の装置が効いてきたみたいだね、」

 

「ええ。しかし、一つ問題が……、あの男、浦飯幽助に私の殺意を見破られまして……、そろそろ合流したく存じております。」

 

「そうか。オッケー。では間欠泉地下センターの入り口で待機だ。」

 

「仰せの通りに。」

 

栞は通信を切って、軽やかなステップで屋根を飛び移り、消えていった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて………。」

 

場所は変わり、地霊殿。ここで魔理沙や早苗、咲夜たちは霊夢を足止めしていた。

 

「悪いわね。ここは通さないし、通せないわ。」

 

咲夜は霊夢にそう言う。

 

「1度しか言わないわよあんたら……、退きなさい、今すぐに!!……あんたら、そんなに寄ってたかって栞姉を消したい……?」

 

「……ちげーよ霊夢。私たちはあいつを消したいんじゃねえ。私たちにお前を止めといてくれと頼み込んできたのは………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「プロフェッサー、こちらフォッグ。所定の位置についた。次なる指示を仰ぎます。」

 

「待機だと言ったでしょう、フォッグ。大人しく待ってなさい。そこにまずは博麗霊夢が来るはず……、くっくっく……、燼魔で博麗霊夢以外を無力化し、博麗霊夢は恩人を敵にして完封する……、我ながら最高の計画よね……」

 

プロフェッサー、否、真澄は不敵な笑みを浮かべる。

 

 

 

「………私たちに頼んできたのは……、」

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、栞目掛けてエネルギーの塊が飛んでくる。

 

「ちっ!!」

 

栞は慌ててそれを躱した。

 

 

 

 

 

 

 

「幽助だよ」

 

 

 

 

 

「……よう」

 

栞にエネルギー弾、否、霊丸を浴びせた張本人、浦飯幽助は栞を前に不敵に笑う。

 

「………誤算だったわ、お前みたいなやつが新たに異変解決者に加わっていたとは……、髪の色が変わる男が消えたと思い攻撃を仕掛けたが……、私にとってもプロフェッサーにとっても誤算だった。」

 

「へっ、横でメソメソ泣かれながらてめーを殺ったって、締まらねーだろうが。せいせいしたぜ。」

 

「私を殺せばお前の信頼はもう戻らんぞ。それでも構わないと?」

 

「関係ねー。俺は昔からさんざん嫌われて、恨み買ってきたからよ。慣れてんだ、こういうのには。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「幽助が……?」

 

「あんにゃろう、どういう自信があんのかは知らんが、「栞は必ず霊夢の元に連れ戻してやる」、とか見栄張って言ってたぜ。やっすい頭下げてな。」

 

魔理沙はため息をつきながら頭をかく。

 

「私たちも間欠泉地下センターに向かうつもりだ。わかっちゃいるが、燼魔どもがゴロゴロいやがる。そいつらも排除して、真澄とっ捕まえねぇとな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「さっき殺すと言ったな……、霊光玉を失い、霊気が落ちたお前と、プロフェッサーの装置で極限まで高められた私のパワー……、秤にかける必要もない。」

 

栞は幽助の拳の乱打を躱し、幽助の腹部に強烈なパンチを喰らわす。

 

「くっ!!」

 

幽助は地面を数回跳ねて壁にめり込んでしまった。

 

「もう一ついいことを教えてやろうか。現在この私の脳にほんの数ミリのマイクロチップが入ってる。爆弾さ。私の脳程度なら楽に焼き切れる程度のな。しかもこのマイクロチップの洗脳により、本来の霧宮栞(わたし)は死んだも同然。ちなみに、この爆弾は私の命が危機に瀕した時、またはプロフェッサーになんらかの危機が訪れた時に、自動的に爆発するようになってる……、さぁ困ったな……?」

 

栞は頭に人差し指を突きつけてそう言い放つ。

 

「てめー………っ、てめーら……!!どこまで根性ひん曲がってやがんだ!!!」

 

「なんとでも言うといい。何も変わらないがな。」

 

「でもな、………俺じゃてめーにゃ勝てねえみたいなこと言ってたけどよ……、人里の暴れ狼と言われるにしちゃあ、大したことねーな。てめーにゃそんな大それた名前より、ただの姉貴がお似合いだぜ……」

 

「ここまできて強がりか?ふん、馬鹿な男だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、幽助は私を栞姉から遠ざけようとして……」

 

「そうなるな。」

 

「……あのバカ……っ!!なんでそんなことを、1人でやろうとしてんのよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「安心しろよ……、ここには俺以外誰も来やしねー……、てめーをぶん殴って、霊夢のアネキの霧宮栞を、霊夢のもとへ戻してやる……!」

 

「ふん、感心しないな。本当にあの女が戻ってくるとでも……」

 

栞はそう言って拳を握りしめる。

 

「思ってるのかぁーーっ!!」

 

栞はそう叫んで壁にめり込んだ幽助を殴りつける。

 

「がふっ……!」

 

幽助は激しく吐血する。

 

「ちっ、思ったより手間取ったな……」

 

栞は舌打ちして耳元に手を当てがう。

 

「プロフェッサー、こちらフォッグ。目標排除をほぼ遂行完了。これより目標にとどめを刺し、プロフェッサーの元へ参ります。……はい。…はい。では、失礼いたします。」

 

栞は手を離し、踵を返して歩きだした。

 

「消えろ、浦飯幽助。お前が我々の最後の誤算だ……。」

 

栞は瞳を閉じる。

 

瞬間、幽助が栞に飛び蹴りを喰らわせた。

 

「………へっ、俺ぁ体力なら自信あんだぜ……、てめーがその体から消えるのが先か……、俺が死ぬのが先か……、ケリつけようぜ、根比べなら負けやしねーがな!!」

 

幽助は霊気を一瞬で充填させ、霊丸を放った。

 

栞はそれを左に大ジャンプして躱す。

 

そして幽助の懐に潜り込み、連打し始めた。

 

それを黙って受ける幽助ではない。幽助も栞に拳をどんどん打ち付けていく。

 

「そら!!」

 

栞は一瞬の隙を突いて幽助を再び吹き飛ばす。

 

……吹き飛ばされた幽助の腹部は鉄骨が貫いていた。

 

「………これで幻想郷は燼魔に壊滅させられ、博麗霊夢もじきに死ぬ。先に地獄で幻想郷が滅ぶ様をじっくりと見てろ……!」

 

栞は幽助の元に歩み寄り、手のひらにエネルギーを充填させていく。

 

「さらばだ。」

 

栞はそれだけ冷徹に言い放ち、エネルギーを解放しようとする。

 

すると、栞は自身に殺気が向けられていることに気づき、瞬時にその場を離れる。

 

「アネキだのダチ公だの……!そんなの、もうどーだっていいわ……。"座して滅びを待て"だ??んなもん……、私も幻想郷もお断りだ!」

 

霊夢は金色の気を放ちながら栞を睨みつけていた……




いかがでしたか?第25話は以上です。

〜〜〜次回予告〜〜〜
「霊夢よ。栞姉、私はあなたを殺してでも止める!!あなたの手を、これ以上汚させないわ!!」
「……恩人を殺して、その痛みも、苦しみも、背負って歩いていく、と?」
「霊夢、お前……、なんで来ちまうかな……」
「あんたは黙ってなさい幽助。さっさと体力回復させて、真澄んとこに行きなさい。私は、あいつを止めてから行く。」
「ちっ………、霊夢、無理すんじゃねーぞ!
次回、霊夢と栞・宿命の一騎打ち
伊達にあの世は見てねーぜ!!」


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第26話 霊夢と栞・宿命の一騎打ち

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
都合によって変わる設定

お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。

栞を救うため、単身栞に戦いを挑んだ幽助。が、しかし、霊夢に霊光玉を渡したことにより霊力が落ちた幽助とフルパワーで真澄の投与した薬の効力を発揮した栞とのパワーの差は歴然であった。終始幽助を圧倒した栞が幽助にとどめ刺そうとした瞬間、霊夢が現れる……


「れっ、霊夢……!!」

 

幽助は困惑した顔で霊夢を見る。

 

「博麗霊夢………、貴様今更……」

 

栞は霊夢を睨んで、

 

「何をしに来たぁぁぁぁっ!!!」

 

拳を振るう。

 

しかし霊夢はそれを受け止める。

 

「私は、救いに来たのよ!」

 

「何を寝言を言ってる?この霧宮栞(わたし)はもう帰って来ない。かつての私はもういない。私は生まれ変わったのだ。それに、お前のお友達はこのザマだ。更にこの私の体はお前の恩人の体だ。お前に殺せるのか?」

 

「勘違いしないでもらえるかしら。幽助はあんたを殺しに来たんじゃない。助けに来たんだ。本気で幽助がお前を殺しに来てたんなら、あんたはもう原型留めてないわよ」

 

「………何を言いたい?」

 

「私はあんたを殺しに来た。あんたを殺してでも、栞姉を取り戻す。あんたを殺してでも、私は霧宮栞の誇りを取り戻す!」

 

「恩人を殺して、その痛みを背負って生きていくと?」

 

「ええ。そうよ!」

 

霊夢はお祓い棒を構える。

 

「ば……っか野郎が………、なんで……来ちまうかな……」

 

幽助は腹部に突き刺さったパイプを抜き、膝を折る。

 

「魔理沙から全部聞いた。あんたが1人で戦ってること。栞姉が、もう帰って来ないこと。」

 

「……っ、ざけんな……誰が決めたんだんなこと……!」

 

幽助はヨロヨロと起き上がる。

 

「あいつは、きっと帰ってくる、俺がお前らのもとに帰してやる……、だから、もうちっと、待ってやがれ………」

 

「バカね……、そのせいであんたが死んだってなったら、きっと私たちは悲しんだままよ。せっかくまたできたダチ公を、また失うなんて、そんなの嫌。」

 

霊夢はゆっくり栞を射程範囲に入れる。

 

「だから、後のことは任せて。あんたは真澄の元へ行って。燼魔は魔理沙たちが抑えてる!」

 

「………安心して。ここにいるのは泣き虫の霊夢じゃない。私は、第16代目博麗の巫女にして、霊光波動拳継承者、博麗霊夢よ。」

 

「霊夢……」

 

「幽助、永琳から貰ってきたわ。こいつを飲みなさい。」

 

すると霊夢は幽助に小ビン入りの薬を投げ渡した。

 

「なんだこれ……?」

 

「ドーピング薬みたいなもんよ。あんたはそれで今日一日だけ、痛みを忘れられる。ただし、猛烈な後遺症が伴うっつってたけど、今更あんた気にしないでしょ?」

 

「へっ、わかってんじゃねーか……」

 

幽助はビンの蓋を開き、中身を口に流し込んだ。

 

「痛みが消えた……、マジか……スゲーな……!」

 

幽助は更にグッと力を入れる。

 

すると、妖気による風圧が霊夢と栞を襲った。

 

「いいわね、完全に痛みを忘れてる。ダメージが消えたわけじゃないから、注意しなさい。体が限界を迎えたら、意識に関わらずダウンもあり得るから。」

 

「ああ。大暴れしてやらぁ……!!」

 

幽助は栞の横をすり抜け、走り去ろうとする。

 

「おい、誰がここの通過を許可したんだ?」

 

しかし、栞は黙って見過ごすわけではない。幽助の横に瞬間移動し、幽助を蹴りつけようとするが、

 

「邪魔!!」

 

霊夢がそれを上回るスピードで栞を蹴り飛ばした。

 

「あぁ、そうそう。許可出したのは私よ。なにか文句ある?」

 

「ちっ………」

 

栞は瓦礫の山をどかし、霊夢を睨みつける。

 

「幽助!!持って行きなさい!あんたなら扱える筈よ!」

 

すると霊夢は幽助にお祓い棒を投擲する。

 

「わかった!借りるぜ!!」

 

幽助は見事お祓い棒をキャッチし、そのまま走り去っていった。

 

「ねえ栞姉、久しぶりに組手でもやろうか」

 

霊夢はパワーを解放して、金色の気を纏う。

 

「………最後の組手になるぞ」

 

「………承知の上よ」

 

霊夢と栞はお互いに構える。

 

「………ならば、死ね!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は十数分前に遡る。

 

「霊夢、燼魔は私たちがなんとかする!だからお前は幽助を!」

 

「魔理沙……、本当に大丈夫なの?あの進化した燼魔も幽助と二人掛かりでようやくなんとかなってたのよ……?」

 

「策ならあるさ。大丈夫!なんとかなるって!」

 

魔理沙は霊夢にピースサインを送る。

 

「ほんとでしょうね……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでこの量か……」

 

魔理沙はため息をつく。

 

霊夢と別れたのち、咲夜や妖夢たちは合流しつつ文字通り大軍団と化した燼魔たちと交戦していた。

 

一方、魔理沙は単独で進化した燼魔を相手に戦っていたのだ。

 

数はざっと500はいるだろうか。

 

「……ちっ、目眩がするぜ……!」

 

魔理沙は気を解放する。

 

燼魔たちはケダモノのような声を上げながら魔理沙に襲いかかってくる。

 

「上等だ……、この私の首、取れるもんなら……取ってみやがれぇぇーーーっ!!!」

 

魔理沙はそう叫んで燼魔の群れに飛び込んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!!」

 

栞は息を荒げつつ霊夢を睨む。

 

魔穿「夢想封滅」

 

霊夢は息もつかせぬまま栞に追い打ちをかける。

 

霊夢が放った霊気の球は栞を捉え、大爆発を引き起こした。

 

が、栞はギリギリそれから脱出し、上に飛び上がる。

 

そして、上から垂れ下がっていた鎖を掴み、後ろに下がって壁に足をつける。

 

「はっ!!」

 

そして栞は壁を蹴って霊夢に猛スピードで突撃する。

 

栞はそれと同時に右手を突き出し、霊夢にパンチを繰り出す。

 

が、霊夢はそれを体の軸をずらして躱し、栞の腹部に蹴りを入れる。

 

「ぐっ!!」

 

栞は吹き飛ばされるが、地面を転がって受け身を取り、地面を思い切り殴る。

 

瞬間、地面が割れ、土埃が舞い上がった。

 

「ちっ……」

 

霊夢は左腕で顔を隠し、土埃を吸わないようにする。

 

「おらっ!!」

 

刹那、栞が土煙の中から飛び出して、霊夢の顔を右足で横から蹴る。

 

「いっ……!!」

 

霊夢は首がへし折れそうになるのをなんとか耐える。

 

(くっ……、首がイカレるわね……)

 

「……!!霊丸ッ!!」

 

霊夢は咄嗟に右手の人差し指を突き出し、霊丸を放った。

 

「………」

 

栞は右手を突き出したまま動かない。

 

霊丸は栞を捉え、爆発する。

 

「………」

 

霊夢はしばらく爆煙を見つめていたが、

 

「……うそ……」

 

そこには全くダメージを受けていない栞がいた。

 

「………終わりにしよう、博麗霊夢。」

 

「………上等よ。私の全てをこの一撃に乗せるッ!!」

 

霊夢は金色の気を放ち、栞に突進する。

 

「栞姉ぇぇーーーーっ!!!」

 

霊夢は右手を振りかぶる。

 

栞の目に、霊夢が映る。

 

その姿が、かつて彼女に何度打たれようと立ち向かってきた小さな少女と重なって見えた。

 

「………!!!」

 

すると栞は一瞬俯き、口角を上げて……

 

「来い………っ!!!霊夢ぅぅーーーっ!!!」

 

左手を振りかぶった。

 

「だぁぁぁぁっ!!!」

 

2人は同時に拳を振り抜いた………




いかがでしたか?第26話は以上です。

蓮「…………」

タミ「……………」

「2週間も何してたわけ?」

「…………病魔と闘っておりました」

「それで、今何曜日?」

「………金曜、いえ、もう土曜日です」

「…………」

「…………誠に申し訳ありません……」

「………あんたねぇ、体は大事にしないといけないけれど休みすぎよ、わかる?」

「………はい」

「それで、どうすんの?2週間分の遅れをどう取り戻すつもり?」

「………一応年末に完結する予定でした。ですからこれから水曜、土曜に二話ずつ投稿し、大晦日に最終回、としていこうと考えてます……」

「それでいけんのね?」

「………はい、多分……」

「不安ね……、読者の皆さん、ウチのバカが申し訳ありませんでした。これから馬車馬の如く働かせてますので、年末までご辛抱願います。」

「……うう、じ、次回をお楽しみに……」

〜〜〜次回予告〜〜〜
「見つけたぜ、真澄………!!」
「来タな浦飯幽助…!!おマえを倒せバ私の復讐がようやク成就スるんだ、覚悟シろ!!」
「てめー、なんだそりゃあ……、自分に何しやがったんだ……!」
「全て貴様ノせイだ!!貴様さエいなけれバ、私は八雲紫を殺せタのニ!!………今ここデ殺しテやる!!死ね、浦飯幽助ェぇーーっ!!!」
「ふん、知るかよんなこと。てめーは俺がぶっ倒す!!死ぬのは、てめーだ!!
次回、俺の力、これが全てだ!!
伊達にあの世は見てねーぜ!!」


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第27話 俺の力、これが全てだ!!

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
都合によって変わる設定

お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。

幽助を追って、栞と対峙した霊夢。一方幽助は霊夢からお祓い棒を受け取り、真澄との決戦に赴く。魔理沙や他の人々も燼魔と激戦を繰り広げている。果たして幽助たちは幻想郷を守ることができるのであろうか?!


「ここか……」

 

幽助は大きな広間に出る。

 

その真ん中、中央部分には直径50メートルはある円柱型の装置が動いていた。その中には光の粒子が渦巻いている。

 

すると、幽助のすぐ隣の壁に誰かが吹き飛ばされてくる。

 

「な、なんだ?!」

 

幽助の側に吹き飛んで来たのは紫だった。

 

「おいっ、おいばーさん!紫!!しっかりしやがれ!!」

 

幽助は紫の背中を支える。

 

「ゆ、うすけ……」

 

紫はゆっくり目を開ける。

 

「どうした?!ひでぇ怪我だぞ!!」

 

「ごめん、なさい……、私には……真澄を……止められなかった……」

 

「もういい!喋んじゃねえ!!死ぬぞ!!」

 

幽助は声を荒げる。

 

「よく来たな浦飯幽助……。八雲紫はそのザマだ。」

 

すると、円柱型の装置の方から何者かの声が響く。

 

「真澄……、てめえ……っ!!」

 

幽助は鋭い目つきで真澄を睨む。

 

「甘ちゃんが。その女は私に一撃も入れようとしなかった。口を開いて二言目には「話し合おう」だとか「もうやめて」……。もうそんな次元じゃないんだよ。数千年前、お前に捨てられてから……、答えは決まりきっているんだ。」

 

「そう。浦飯幽助。お前が邪魔さえしなければ私は勝利していたも同然だった!全てお前の所為だ……!貴様さえいなければッ!!」

 

真澄はエネルギーを解放する。

 

「知るかよ。そんなのてめーの逆恨みだろーが。」

 

「なんとでも言うがいい……!!お前の死はもう確定事項なんだよ!!」

 

真澄は懐から注射器を取り出す。

 

「なんだありゃ……」

 

真澄は狂気の笑みを浮かべて、注射器の針を自分自身に刺す。

 

そして、注射器の中の薬物を体内に押し込んだ。

 

「……っ!!」

 

真澄は俯いたまま注射針を抜き取り、注射器を握りつぶし、放り投げる。

 

「んフふふ……!!」

 

真澄の声はノイズがかり、目からハイライトが消えた。

 

そして、再度エネルギーを解放し、爆風を巻き起こす。

 

「ちっ、台風かよ……」

 

幽助は左足を下げて風圧に耐えている。

 

「浦飯……幽助ェ……っ!!」

 

真澄は怒りを込めた声で幽助の名を呼び、地を蹴り幽助に突撃する。

 

「ちっ!!」

 

幽助は一瞬で身構える。

 

真澄は手にエネルギー弾を忍ばせ、それを幽助の顔面の目の前に突き出し、エネルギー弾を炸裂させる。

 

「くっ!!」

 

幽助は反応できずにモロに喰らってしまい、後ろに吹き飛ばされる。

 

しかし真澄は幽助の足を掴み、上に幽助を持ち上げて足を振り回す。

 

そして幽助を投げて、

 

「死ネぇぇぇーーーッ!!」

 

エネルギー波で追い打ちをかけた。

 

エネルギー波は大爆発を起こし、黒煙を上げる。

 

「………」

 

真澄は、静かに爆煙を見つめている。

 

「……霊丸ッ!!」

 

すると爆煙の中から赤いエネルギー弾が飛んでくる。

 

それは真澄の左半身を吹き飛ばし、壁に大穴を開けた。

 

「……クズが……まダ生キていたノか……!!」

 

真澄は残った右手で指を鳴らし、左半身を復活させる。

 

「くそっ、あいつ、いくらやっても体力を減らしやがらねー……それどころかすぐに新品に戻っちまいやがる……!」

 

幽助は真澄を睨む。

 

「ゆ、幽助……霊夢たちは……?」

 

「霊夢なら今栞と戦ってる。魔理沙たちは知らんが、燼魔どもとやり合ってるらしいぜ。」

 

「聞いてちょうだい……、今真澄が自分に投与したのは栞と同じ薬よ……。」

 

「なるほどな…。あの馬鹿力はそういうことか……」

 

「………ッッ!!ウォォぉぉお……ッ!!」

 

しかし、真澄はすでに意識を失っているようにも見える。

 

「そのうえ、あの娘は言っていたわ。栞の、魔族の核の持ち主が誰なのか……」

 

「核の……持ち主だと……?」

 

「そうよ。あれは……、貴方のお父さん、闘神、「雷禅」の核なのよ……!!」

 

「なんだと……?!」

 

幽助は耳を疑った。

 

「本当よ。どうやったかは知らないけれど、魔族の核を移植したみたい……」

 

「なるほど……、薬があるとはいえ、やけに栞のやつが強いわけだぜ……」

 

「でもあいつ、正気じゃないぞ……」

 

幽助は血眼になってエネルギーを高める真澄を見る。

 

「あの娘、栞に投与した薬を更に改造して、自身の寿命に加えて、自我すらパワーアップの糧にしているのよ……」

 

「文字通り死に物狂いってことかよ……」

 

幽助は妖気を解放する。

 

「浦飯……幽助………殺す……!!」

 

「真澄……!てめーは俺がぶっ倒す!!………死ぬのは……てめーだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ………はっ……、くそっ……ここまでかよ……」

 

魔理沙は肩で息をしながら燼魔の大群を睨む。

 

その足元には完全体の燼魔だろうか。百数十体死体が転がっている。

 

魔理沙は赤いオーラを纏って交戦しているが、額や四肢から大量に出血しており、かつ青アザや骨折している場所も何箇所もあるだろう。

 

「くっ……そ……」

 

しかし、魔理沙の体が限界に達したのか、赤いオーラが消えてしまい、魔理沙は尻餅をついてしまった。

 

「ちくしょう……とうとう終わりか……。ど、どーせ死ぬなら一回でいいから美味いキノコを死ぬほど食べたかったぜ……」

 

魔理沙はフラフラする視界で燼魔を捉えながらそう零す。

 

その時、燼魔たちが一斉にこちらに走り出してきた。

 

その姿は魔理沙の目には、陽炎に揺れているように見えている。

 

魔理沙は左右を見渡した。

 

そこには数えるのも嫌になるレベルの燼魔たちが一斉に魔理沙を捉えて走り出していた。

 

「は、はは……、参ったぜ……」

 

魔理沙は背中から倒れ伏した。

 

(ははは……、このまま目を瞑って倒れてたら、楽になれるよな……、ごめん悟空……、私、約束破っちまいそうだ……、悔しい、悔しいよ……、守れないなんて……)

 

魔理沙は目を閉じる……

 

 

 

 

瞬間、何かの爆発が巻き起こり、燼魔たちが吹き飛ばされた。

 

その力は地面を抉り、魔理沙もそれに巻き込まれて落下していく……

 

すると、落下する魔理沙の速度が急速に落ちていった。

 

(………?)

 

魔理沙は突然落下がストップしたことに気付き、目をゆっくり開いた。

 

「魔理沙!何やってんだ!!このままあいつらに幻想郷が滅茶苦茶にされてもいいのか!!あいつらを絶対に許すな!………甘ったれてんじゃねえぞ!!幻想郷は、おめえが守るんだ!!」

 

魔理沙はオレンジの服の男に抱き抱えられ、ゆっくり降りて行っていた。

 

「ご……くう……」

 

魔理沙は誰かの名前を紡いだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙は再びゆっくりと目を開いた。

 

しかし、そこには誰もいなかった……

 

「………悟空?」

 

魔理沙はゆっくり身体を起こす。

 

魔理沙の眼前には、再び持ち直した燼魔たちが魔理沙を狙っている。

 

「…………悟空が、助けてくれた……!!」

 

魔理沙は青いオーラを放ち、帽子を取った。

 

「そして……、お前らを絶対に許すなと言っていた!!」

 

魔理沙は鋭い目つきで燼魔たちを睨む。

 

「私に幻想郷を守れと言ってた!!」

 

魔理沙は手を合わせて腰の位置に持っていく。

 

「そして、そして……!!!私に甘ったれるなと言ってた!!!」

 

魔理沙は手を前に突き出し、燼魔たちを全て飲み込めるようなレベルのサイズのエネルギー波を放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………はぁっ……はぁっ……」

 

魔理沙はエネルギー波を撃ち終え、目を閉じて背中から倒れこむ。

 

魔理沙の目の前には一体の燼魔も残っていなかった。

 

魔理沙は半目を開けて、虚空に向かって呟いた。

 

「なぁ、悟空……、来てくれたんだろ……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「浦飯幽助っ!!いイ加減諦メろ!!もウどうやっタっテ、霧宮栞は戻ラない!!あイつの心は死ンだのだ!!」

 

真澄は幽助に弾幕の雨を浴びせながらそう怒鳴る。

 

「ざけんな……、あいつの心はな、てめーのチンケな機械なんぞじゃ壊れやしねーよ……!本当に大事なもんってのはな、心臓止まろうが、脳がショートしようが消えやしねえ!」

 

幽助は弾幕の雨に霊丸を乱射しながら叫ぶ。

 

「夢や……希望!!絆!!そんなモの……私が破壊スる!!」

 

「させっかよ……!!」

 

幽助は人差し指に全妖力、霊力を込める。

 

「こいつが俺の全てだ……、喰らいやがれ!!」




いかがでしたか?第27話は以上です。

〜〜〜次回予告〜〜〜
「魔理沙だぜ。幽助のやつ、そんな身体で全ての霊気と妖気を使っちまったら、本当に死んじまうぞ!」
「奴を倒すには、一欠片も残さず全て消し去るしかねえ……っ!!行くぜ……!こいつが最後の霊丸だ……!!
次回、予感!全てが変わる時
伊達にあの世は見てねーぜ!!」


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第28話 予感!全てが変わる時

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
都合によって変わる設定

お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。

幽助を前に計画を滅茶苦茶にされた真澄は激昂し、栞に投与した薬を強化させた薬を自らに投与。寿命はおろか自我すら失いかけ、幽助に襲いかかる。一方、魔理沙は最後のパワーを使い切り、完全体燼魔を今度こそ撃破。幽助は、真澄を倒しきることができるのであろうか?!


「………」

 

「………」

 

霊夢と栞は互いに背中を向けて立ち尽くしていた。

 

栞は優しい笑みを浮かべて、霊夢の方を振り返る。

 

(………しかと見た……。博麗の巫女の行く末……)

 

「ほんとう……強くなったな……れいむ……」

 

栞は霊夢に笑いかけ、背中から倒れる。

 

「………」

 

霊夢は唇を噛み締め、涙が浮かんだ目で倒れた栞を見る。

 

「………ありがとうな霊夢。冷たい鉄を劈いて聞こえたよ……。幽助君の声が、霊夢の声が……。お陰で私も、もう1人の私との喧嘩に勝てた……。本当に強くなったんだなぁ、霊夢……」

 

「………嘘ばっかり。あなたはいっつもそう。いくら負けても諦めない私に根負けして、最後の最後で負けて、私に勝ちを譲ってくれるんだから……」

 

「いーや、今回は本気でやってたよ。」

 

栞はゲホゲホと咳き込み、赤い塊を吐き出す。

 

「栞姉、もう何処にも行っちゃダメ……。もう、1人は嫌……」

 

霊夢は栞の背中を支えて涙ぐみながらそう言う。

 

「大丈夫。もうお前には友達がいてくれるだろ?霊夢……、ずっと見てた……。へへ……羨ましいくらいたくさん仲間がいてくれる。妬いちまうよ……」

 

栞はゆっくり立ち上がる。

 

「まだ真澄本人に繋がってる……。今は幽助君と戦ってるんだよね……。それにしても、真澄本人に何か異常があれば作動するはずの緊急装置が作動しない……。真澄の自我が消えかけてるのか……?」

 

栞はゲホゲホと咳き込む。

 

すると、

 

「栞さん、霊夢さん!」

 

にとりに連れられ、マーシーがやってくる。

 

「マーシー……、あんた、待ってろって言ったでしょ?」

 

「私にも何かお役に立てることがあるはずです!幻想郷を救いに来たのに、救われてばかりですから……」

 

マーシーは霊夢に微笑みかけ、栞の怪我の部分に触れる。

 

「お、おい、何して……」

 

「大丈夫。すぐに治りますよ。」

 

すると、マーシーが触れた部分からどんどん傷が塞がっていく。

 

「お、おお、治った!」

 

いつの間にか栞の怪我は完治していた。

 

「驚きました?これは我々の星の人間が得意とする技術なんです。霊夢さんも、回復させますね……」

 

マーシーは続けて霊夢の怪我も治療した。

 

「凄い……、ほんとに治ってる……。」

 

「残念ですが、私にできることはこのくらいしかありません。お力になれず、申し訳ない……」

 

「何言ってんの。お陰で助かったわ。栞姉、私は真澄のところへ行く。あなたはにとりと一緒にいて。」

 

霊夢は大幣を持って奥へ進もうとする。

 

「待て霊夢!」

 

「?」

 

「………私も行く。私の身体を好き勝手してくれた奴にお礼しなきゃいけないしな。」

 

栞も鉄パイプを持って霊夢と並ぶ。

 

「……はぁ。分かったわよ。無茶だけはしないでね。」

 

「にとり、マーシー!あんたらは他の燼魔と戦ってる奴らのバックアップをお願い!」

 

霊夢の声に、にとりたちは頷いて、エアバイクを飛ばす。

 

「よし、幽助の元へ……さっさと行きましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「喰らえ……霊丸ーーーーッ!!!!」

 

幽助は全霊、妖力を込めた霊丸を放つ。

 

「こレで最後だァァぁぁぁーーっ!!!」

 

真澄は天に両手を掲げて紫のエネルギーの塊を作り出す。

 

そして、エネルギー弾を幽助に向けて投げる。

 

霊丸とエネルギー弾は激しくぶつかり合う。

 

「フルパワーだーーーーっ!!」

 

幽助は霊丸を放った後でも霊丸に霊気と妖気をこれでもかと送り込み続ける。

 

(ゆ、幽助……無茶よ……)

 

紫は倒れたままそう思案する。

 

「サぁ、さぁ!!死ネェぇぇぇっ!!」

 

真澄は更にエネルギー弾にパワーを送り込み、エネルギー弾を巨大化させる。

 

「ぐっ……こんの………」

 

幽助は持てるありったけの力を解放し、霊丸に送り込むが、徐々に押し返されてきている。

 

幽助の身体は徐々に後ろに下がっていている。

 

「幽助!これを……、私の妖気を……!!」

 

紫は倒れたまま左手を幽助に向けて、妖気の塊を送り込む。

 

「ばーさん……、分かった。あんたの力、受け取ったぜ……!!」

 

紫の妖気を受け取った幽助は更に霊丸を大きくする。

 

「無駄なこトを……!!そんナに死にたイなら、今楽にしテやるゾ!!」

 

真澄は両手に紫のオーラを纏い、紫の雷を放つ。

 

雷がエネルギー弾に当たった瞬間、更にエネルギー弾は巨大化する。

 

「くっ……くそっ……」

 

幽助の霊丸は遂に打ち消されてしまい、エネルギー弾が直に幽助を襲おうとする。

 

「まだだぜ……、真澄ーーっ!!」

 

幽助は両手を突き出し、すんでのところでエネルギー弾を止める。

 

その時、

 

「幽助っ!!」

 

霊夢と栞がやってきて、それぞれ幽助の両隣に降り立つ。

 

そして、幽助と同じく両手を突き出し、エネルギー弾を止める。

 

「栞……貴様何故……ッ!!」

 

真澄は更に怒りを増幅させる。

 

「もっと力上げやがれッ!!」

 

「私に命令しないで!!」

 

幽助と霊夢は互いに怒鳴り散らす。

 

そのお陰かは定かではないが、少し真澄のエネルギー弾が押し返された。

 

「……おい栞!俺と霊夢で奴を叩く!お前は援護してくれ!」

 

「わ、分かった!」

 

「………足引っ張らないでよ?」

 

「………てめーもだ。」

 

霊夢と幽助はお互いに嫌味を言ってから、3人同時に力を高め、真澄のエネルギー弾を相殺する。

 

そのエネルギーは核エネルギーの施設全体に甚大な影響を及ぼし、其処彼処でひび割れが起こり、そこから地底のマグマが噴出する。

 

「……!!」

 

真澄は少し困惑した顔を浮かべた。

 

「「うぉぉぉぉっ!!!」」

 

幽助と霊夢は同時に飛び出す。

 

「え……と、えと、弾幕は……こうか!!」

 

栞は両手を突き出して、弾幕を乱射する。

 

弾幕は見事に走っている霊夢と幽助をすり抜け、真澄に命中する。

 

「おノれぇぇぇっ!!」

 

真澄は再び巨大なエネルギー弾を放つ。

 

「おい、やべぇぞ!!」

 

「……突っ込む!!」

 

「マジかよ……」

 

幽助は霊夢の返答に苦笑いを浮かべる、

 

が、その時、

 

「真・夢幻弾幕結界〜無双泡影〜」

 

紫が最後の力を込めた弾幕の雨で、真澄のエネルギー弾を打ち消した。

 

しかし、大爆発が起きてしまい、爆煙が捲き上る。

 

幽助たちはそれに突っ込んでいく。

 

「………!!八雲……紫……っ!!」

 

力を使い果たし、倒れる紫を一瞥し、爆煙を睨んだ真澄の目の前に、爆煙から現れた幽助と霊夢が同時に真澄の体に乱打を浴びせ始める。

 

「「おらぁぁぁぁぁーーーっ!!!」」

 

幽助と霊夢は同時にそれぞれ左足、右足で真澄を蹴り飛ばし、壁に叩きつける。

 

そして、2人も壁を経由しつつ真澄の元へ突っ込んでいき、幽助はキック、霊夢はパンチでそれぞれ真澄に重い一撃を入れる。

 

「ガぁっ………!!」

 

刹那、幽助と霊夢は同時に離脱し、人差し指を構える。

 

「「霊丸ーーーーッ!!!!」」

 

2人の霊丸が炸裂し、真澄を中心に大爆発が起こる。

 

「ゴ……ミ、どモが………ッ!!」

 

真澄は指を鳴らし、体力を回復させ、栞の元に瞬間移動する。

 

そして、栞に殴りかかろうとするが、真澄を追って瞬間移動してきた霊夢に蹴り飛ばされた。

 

霊夢も真澄を追い、右手を突き出しオーラを纏い、真澄に攻撃を加える。

 

「おらぁぁぁーーーーっ!!」

 

幽助も赤いオーラが混ざった青いオーラで霊夢と共に更に追い打ちをかける。

 

「霊夢っ!幽助君!!」

 

(お願い……これで決まってちょうだい……!)

 

栞と紫は2人を見つめる。

 

「こいつで……!!」

「終わりよ!!」

 

霊夢は右手、幽助は左手のパンチから霊力を解放し、大爆発が起こった……




いかがでしたか?第28話は以上です。

蓮子「………何か言い残すことは?」

タミ「お情けを……」

「実は年末をナメきっていたせいで……」

「色々と買い物があったり、大掃除があったりで……」

「まぁ、もう呆れて物も言えないわ。それで、完結までどうする気よ?」

「と、とりあえずいつになるかはわかりませんが、大晦日までにあと3話ずつ……」

「…まったく、約束守りなさいよね……」

「すいません……」

〜〜〜次回予告〜〜〜
「霊夢よ。真澄のやつ、なんてタフなのかしら……!あれでも死んでないなんて……」
「俺に考えがある。そいつでトドメだぜ……!!」
「で、でも幽助!もうここが保たないわ!!どうすんのよ?!」
「次回、死闘決着!最後のフルパワー
伊達にあの世は見てねーぜ!!」


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第29話 死闘決着!最後のフルパワー

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
都合によって変わる設定

お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。


「どうだ……」

 

幽助は爆炎を見る。

 

「はぁーっ、はぁーっ……!!うら、めし……ユウすけ……ぇっ……!!」

 

真澄は意識が完全に途切れ、殺意だけがこもった瞳で幽助たちを見る。

 

「くそっ、さっきので力が……」

 

霊夢も肩を押さえる。

 

「どレだけ行コウが、このヘドロのヨうな憎シみが消えルことはネぇんダよぉおぉぉぉお!!」

 

真澄は更にパワーを解放しようとする。

 

しかしその時、幽助が霊夢のお祓い棒を真澄に突き立て、そのまま突き刺して核エネルギーを覆ってガードしている巨大な強化ガラスに叩きつける。

 

「甘い……!!私ハ何度でも復活出来ル……!!」

 

真澄は余裕そうにお祓い棒を掴んで引き抜こうとする。

 

しかし、

 

「それはどうかしらね?!」

 

霊夢、栞、紫が現れ、それぞれ大幣、鉄パイプ、扇子で更に真澄を押し込み、強化ガラスを破壊し核エネルギーを直に浴びせる。

 

「栞、貴様……っ!!生き返ラせた恩も忘レタか!」

 

「悪いが、悪いヤツに恩義なんざ感じないよ。ここで消えな、八雲真澄!」

 

「無駄ダ……私は何度でモ蘇っテ……」

 

すると、真澄はとある違和感に気づく。

 

直後、真澄の体から冷や汗が吹き出す。

 

「………わかったか?俺たちがここでてめーを抑えてる限り、てめーはここから出られねえ。かと言って出なかったら核で焼き尽くされる。」

 

「あんたは再生する力がある。でもね、あんたの時間回帰は肉体を元いた場所に戻すわけじゃない!あくまでもその場で戻る。だから再生したってすぐ破壊が待ってる。困ったわねぇ?」

 

幽助と霊夢は真澄に説明する。

 

「そ、そんナ……バカな……っ?!」

 

真澄は消えゆく肉体で幽助たちに手を伸ばすが、

 

「……ごめんなさい、真澄。」

 

紫が消えそうな声で真澄に呟く。

 

「あ……アぁ……ゆ、かり、さま……」

 

真澄はそう残して跡形もなく消えてしまった。

 

「………くっ!」

 

幽助たちはその瞬間全身の緊張を解いて倒れこむ。

 

「真澄………」

 

紫は俯いてしまった。

 

「おーい!みんなー!」

 

すると、にとりが大型の空中バイクのようなものでやってくる。

 

「にとりじゃねーか。」

 

「そう。私たちを連れてきてくれたの。」

 

霊夢は栞に肩を貸されながら言う。

 

ホッと安堵する一同だったが、瞬間にとりから放たれた言葉は全員の度肝を抜いた。

 

「みんな!ここから今すぐ離れろ!もうじきここは爆発する!」

 

「なっ………?!」

 

「さっきのみんなの攻撃で核エネルギーが暴走してる!このまま放っておけば幻想郷は核で吹っ飛ぶぞ!」

 

にとりは降りてきて霊夢たちをバイクに乗せる。

 

「じゃあどうしろってのよ!」

 

霊夢はにとりの胸ぐらを掴んで怒鳴る。

 

「だ、誰かが1人残って核エネルギーの柱の根本にあるコンピュータで非常停止ボタンを押して核エネルギーを停止すれば大丈夫だ!で、でも……!」

 

にとりはそう言って核エネルギーの柱を見る。

 

「あの状況じゃあ、行ったらまず助からない……」

 

そう。先程霊夢たちが離れた瞬間、核エネルギーが噴出しだし、真澄を焼き尽くしたエネルギーがそこかしこに飛んでいる。

 

「……私が残るわ。」

 

すると、紫が声を上げる。

 

「バカ言ってんじゃないわよ!!あんたが死んだら大結界の管理はどうすんのよ!あんたが死んでも幻想郷は終わりよ!!」

 

霊夢は更に苛立ちをあらわにしながら紫に摑みかかる。

 

「部下がやらかした出来事よ。上司がなんとかせにゃならんでしょう。」

 

紫がそう言った瞬間、

 

ボゴォン!!

 

という音と共に柱へ続く橋が落とされる。

 

「!?」

 

霊夢たちが慌てて橋の対岸を見ると、

 

「上司のやらかした出来事だ!部下がなんとかせにゃなるめーよ!!」

 

栞がニカッと笑ってそこにいた。

 

「栞姉……?何してんのよ!そこにいたら巻き込まれるわ!!」

 

「霊夢、私はどーやら地獄に忘れもんしちまったらしい。それをちょっくら取り戻してくるだけさ。そしたら、必ずまた帰ってくる。今度は約束するさ。」

 

「にとり!」

 

すると栞は無線機をにとりに投げ渡す。

 

「それで指示を頼む!」

 

「………わかった。」

 

にとりは帽子を深く被って空中バイクに乗り込む。

 

「嫌、嫌よ、ねぇ、行かないで……!」

 

霊夢は栞の元へ駆け寄ろうとするが、

 

「……行くぞ」

 

幽助が霊夢の肩を掴んでにとりの元へ引きずっていく。

 

「何すんのよ!離して幽助!!栞姉ぇーーっ!!」

 

栞以外の全員を乗せた空中バイクはどんどん地面から離れていく。

 

「…………ありがとう、幽助君。最後に私の死に場所を作ってくれて。」

 

栞は踵を返し、ゆっくりと、かつ確実に光の柱に近づいていく。

 

彼女の身体はどんどん焼かれていき、皮膚がやられていく。

 

瞬間、栞の脳内に今までの思い出がフラッシュバックしだす。

 

(ああ、これが走馬灯ってやつか。私も真澄と心中とは。ま、これも好き勝手やったツケか。)

 

 

 

 

 

ーーー「いいか霊夢。涙ってのはさ、悲しみや苦しみを洗い流してくれる、都合のいい代物だ。でもな、霊夢。いつか、いつかきっと、1人の涙だけじゃ流せない、大きな痛みが誰にだって襲いかかる。そしたら、隣で一緒に泣いてくれる友達と一緒に泣くだけ泣いて、また2人、3人、4人……、もっといるかもしれないけれど、その友達と一緒に胸張って、その痛みと笑って歩いていってやるのさ。それが、本当の強さなんじゃないかな。……って、私が言えた立場じゃないか。」

 

「………じゃあ私が苦しい時は栞姉も泣いてくれる?」

 

「え"っ?!………あ、ああ。勿論だ。どんなことも、隣に誰かがいてくれたら、なんだってきっと乗り越えられるさ。」

 

……栞はそう言って笑いだす。

 

「………なんで笑うの?」

 

「いや、馬鹿にしてるわけじゃないんだ。これも私の持論だけど、辛い時ほど笑っときゃ、きっとそれが1番の答えになるんだって。」

 

「………なにそれ。」

 

霊夢はくすりと笑う。

 

「ははははっ!!そうだな!わけわかんねーな!!」

 

栞はそう言って更に爆笑しだす。

 

…………

 

 

 

「げっ!霧宮栞だ!逃げろ!」

「………」

 

「ウチの子に近寄らないで!」

「………」

 

「なぁ栞。最近無茶していないか?そんな生傷ばかりつけて……。霊夢も心配してるぞ?まぁ、いつでも私に相談してくれよな。」

「………」

 

 

「栞姉!」

「栞。」

「栞さん!」

「栞、霊夢を、よろしく頼むよ。」

 

 

 

 

「…………!!」

 

「ーーーあいつの心はな、てめーのチンケな機械なんぞじゃ壊れやしねーよ……!本当に大事なもんってのはな、心臓止まろうが、脳がショートしようが消えやしねえ!」

 

(………幽助君…)

 

 

 

栞の意識は、無線機から発せられるにとりの言葉で呼び戻される。

 

「いいかい栞!赤いボタンを押せば全ての機能が停止する!頼んだよ?!」

 

「…………わかった。ありがとうにとり。」

 

(………そうか。やっと、やっとわかった。これが、本当の強さ……、ねぇ、澪さん……。私、やっと、やっと……、友達ができたよ……。本当の、「友達」が………)

 

そうして彼女は、ボタンを叩き押す。

 

少女は、光に消えた……




いかがでしたか?第29話は以上です。

〜〜〜次回予告〜〜〜
「魔理沙だぜ。……終わったってのに、霊夢の奴は沈んだままだ。……まぁしょうがねぇよな。また離れ離れになっちまったんだし。」
「大丈夫だ。霊夢はまた立ち直って、俺たちに嫌味でも言うだろうぜ。………それじゃあ、俺も帰るとするか。待たせてるやつがいるんだ。」
「そっか。寂しくなるな。……元気でな、幽助。」
「ああ。次回、エピローグ!さらば幽助
伊達にあの世は見てねーぜ!!」


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第30話 エピローグ!さらば幽助

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
オリジナル敵
誤字、脱字
都合によって変わる設定

お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。

真澄の計画は、栞の命をかけた行動で、完璧に叩きのめされた。真澄が消え、燼魔が消えた今、幽助、霊夢、紫……それぞれに待ち受ける運命は……?


「………?」

 

「お、よう。目が覚めたか。」

 

「………何処だここ……」

 

苦しそうに目を開けた幽助を頭に包帯を巻き、ほっぺに絆創膏をつけた魔理沙が迎える。

 

「ここは地底。旧都だ。」

 

「魔理沙……」

 

「お前、3日、寝てたんだぜ。よっぽどダメージを負ってたんだな。」

 

「そうか……。栞は?」

 

「さぁな……。行方不明のままだ。」

 

「…………そうか。」

 

幽助は目を閉じて、それ以上聞かないことにした。

 

「レミリアたちは?」

 

「宴会、だってよ。大異変解決のな。準備中だぜ。」

 

「はっ、ったく、あいつら……」

 

幽助は呆れ気味に言う。

 

「………ばぁさんと霊夢は?」

 

「霊夢は地霊殿の屋根の上だ。あれから3日間何もせずあそこに座ってる。」

 

「………まぁそうだろうな。」

 

「紫は今療養中だぜ。真澄の奴に本当に死ぬ寸前までやられたからな。」

 

(それにあいつ、俺に妖気を分け与えやがったしな……)

 

幽助がそう思案していると、

 

「あら、死にかけてた割には元気そうね。」

 

永琳が部屋に入ってくる。

 

「なんだ、お前が手当てしてくれたのか?」

 

「まぁね。あなた、あれ以上戦い続けてたら本当に死んでたわよ。身体中ズタボロだったんだから。……今は宴会で盛り上がってるわよ。……ごく一部を除いてだけどね。」

 

永琳は少し申し訳なさそうに言う。

 

「そうだ幽助、宴会行こうぜ宴会!飯だ飯!私腹減っちまって!」

 

魔理沙が幽助の手を持って起こす。

 

「あ、おい!ったく、俺は怪我人だぞ……」

 

幽助はやれやれ、とついて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっ、来たな主賓!」

 

幽助たちが宴会場へ着くと、レミリアや妖夢、優曇華や聖たちが酒を酌み交わしていた。

 

そこに霊夢、紫の姿はない。

 

「よっ、異変解決者!」

 

幽助は1番いいところに連れていかれ、酒のジョッキを持たされる。

 

「そら、飲め飲め!私らの酒だ!」

 

勇儀が幽助と肩を組む。

 

「ったく、しょうがねえな…」

 

幽助もそれを流し込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

「下ではどんちゃん騒ぎよ霊夢。行かないの?」

 

頭に包帯、腕にギプスをつけた紫は、地霊殿の上で1人酒を飲んでる霊夢に声をかける。

 

「………いいのよ。ウチの神社でやられるより迷惑じゃないからいいわ。」

 

霊夢と紫はそれだけ言葉を交わす。

 

「………そう。幽助、もう帰っちゃいそうよ。霊夢、お別れの挨拶くらいしなさいな。」

 

「………そん時になったら呼んで。」

 

「………はぁ。わかったわよ。」

 

紫はため息をついてスキマに入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………、」

 

幽助は黙って席を立つ。

 

「あれ、どこ行くんです?」

 

妖夢に呼び止められるが、

 

「便所だ」

 

とだけ言って宴会場から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「よう幽助。便所はこっちじゃないぜ。」

 

魔理沙は幽助の前に立ちはだかり、呼び止める。

 

「俺はこっちで合ってんだよ」

 

幽助は頭をかいてそう答える。

 

「………幽助、私、お前のこと忘れないぜ。」

 

「なんだよ、俺は便所に行くだけだっての。」

 

「あははっ!別に、言ってみただけだぜ。」

 

魔理沙は満面の笑みで幽助に言う。

 

「そーかい。じゃあな魔理沙。」

 

「おう!私はいつでも待ってるぜ!」

 

手を振る魔理沙を背に、幽助は手だけヒラヒラさせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、と。」

 

幽助は旧都の外れにやってくる。

 

「あら、もういいの?宴会をもうちょっと楽しんでいけば?」

 

すると、紫が幽助の目の前に現れ、そう尋ねる。

 

「いーよ。俺はああいうの苦手だ。それに、俺はしんみりした別れも嫌いだからな。大勢に見送られんのも慣れてねーし。」

 

「そう。それじゃあ、あなたの世界に繋がるスキマを開くわね……」

 

紫は目玉だらけの空間を開く。

 

「………幽助」

 

すると、幽助の後ろから誰かが声をかけてくる。

 

「なんだ、霊夢かよ」

 

「なんだとは何よ」

 

幽助と霊夢は再び嫌味を零す。

 

「………帰るのね」

 

「ああ。待たせてるやつがいる。それに、ここは俺の帰る場所じゃねーからな。」

 

「そう………。ねぇ、幽助。」

 

「? んだよ。」

 

「あんたといた時間、悪くなかったわ。ありがとう。」

 

「なんだ、お前がそんなこと言うんだな。明日幻想郷は雪だな」

 

「ったく、余計な一言が……」

 

霊夢は眉間に皺を寄せる。

 

「そんじゃーな霊夢。元気で」

 

幽助は手を軽く振って、スキマに入る。

 

「ばーか!二度とくんな!!………あんたも元気でね!!」

 

霊夢はそう言って幽助に微笑みかける。

 

「へっ、二度と来るかよ!!……じゃあな霊夢!!」

 

そう言うと幽助は消えてしまった……

 

「………まったく、あなたたちは変わらないわね……」

 

紫は額を抑えて微笑む。

 

「いいのよ、これで。そうじゃないと、私、あいつを引き止めてしまいそうだったから。」

 

「………そうね。あなたらしいといえばあなたらしいのかしら。さぁ、私たちも宴会に行きましょう。」

 

「そうね………」

 

そうして、霊夢と紫は宴会会場に向かっていった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、お世話になりました……」

 

数日後、人里。ここで白髪の女性が1人の医者に頭を下げていた。

 

「まったく、君は……、あんな大火傷、どこで負ったんだい?私が山菜採りに妖怪の山に行かなかったら、間違いなく死んでたよ?」

 

「は、はぁ。い、色々ありまして……」

 

「まったく、火遊びには気をつけなよ!元に戻ったのも奇跡としか言いようがないし……」

 

「き、気をつけます……」

 

そうして女性は歩いていった。

 

「あっ、君!忘れ物だよ!」

 

すると、医者が溶けかけの鉄パイプを持って叫んだ。

 

 

 

 

 

幻想郷に、また平和が戻った。これで、魔族の血を引く元霊界探偵の物語は、とりあえずおしまいです。

 

彼がいたことで、、幻想郷に新たな変化がありました。

 

彼がいたから、幻想郷はまた1つにまとまり、強大な敵を打ち倒せた。

 

本当に、外の世界の人には興味が尽きません。

 

異変の首謀者は、また別の機会に。

 

特筆すべきは、やはり浦飯幽助という不思議な男のことでしょう。

 

私は彼を幻想郷縁起に載せ、後世まで語り継ごうと思います。

 

というか、もう書いてますし。

 

本当に、孫悟空さん、浦飯幽助さん。2人とも不思議な人です。

 

何もしなくても、自然と人が集まっていく。

 

一種のカリスマの持ち主なのでしょう。

 

………とりあえず、今日はここまで。

 

次はこの異変のことを綴ろうと思います。

 

あ、あと、最終回じゃありません。もうちょっと続きますよ。

………………………………………稗田阿求




いかがでしたか?第30話は以上です。

蓮子「あけましておめでとうございます」

タミ「………おめでとうございます」

「私の言いたいこと分かるわよね」

「………もちろんでございます」

「何故年を明かした」

「………時間が無かったとです」

「ならなぜ最初から投稿ペースを守らなかった」

「………時間が………無かったとです」

「……もう、本当にこいつは……(呆)」

「申し訳ないです……。最終回はそれぞれお昼に出しますので……」

「今度は信用していいのよね……?」

「は、はい!だ、大丈夫です!……多分。」

「………心配だ……」

「と、とりあえずネタバレ防止の為、次回予告は無しで……」

「次回はもうほとんど後日談みたいなものですし……」

「わかった、わかったわよ。ちゃんとしなさいよねまったく……」

「で、では、またお昼に……、今年もよろしくお願い致します……」


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最終回 それから…

2度の死を超えて、魔界、霊界、人間界で活躍した元霊界探偵、浦飯幽助。もしも幽助が魔界統一トーナメントののち、幻想郷に迷い込んだら?そんなクロスオーバー2次創作作品です。この作品には、以下の成分が含まれています。

残酷な表現
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お前の小説は読まれるに値しない、という方はブラウザバックをお願いします。あんたの全てを壊して、オレは読む、という方は巻き方を忘れないように右手の包帯を取ってからお進みください。


ざく、ざく、ざくと土を踏みしめる音が聞こえる。

 

少女、博麗霊夢は暮石の前で手を合わせる。

 

「暫く来れなくてごめんね。すぐ綺麗にしてあげるから……」

 

そう言って霊夢はごしごしとスポンジで暮石を綺麗に掃除していく。

 

「ふう、ひとまずはこれくらいかな?」

 

霊夢は汗を拭って一息つく。

 

すると……

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、霊夢ー」

 

「あ、栞姉」

 

「水汲んできたぞ」

 

「ありがとね」

 

栞がバケツに水を汲んできていた。

 

そして、2人でまた暮石を洗い始める。

 

「澪さんの墓参り、なんだかんだで初めてだな……」

 

「うん。母さんも栞姉が生きてたって知ったら喜ぶよ。」

 

「それにしても、私、よく無事でいられたよなぁ」

 

「そういえば、ほんとにそうね。」

 

「紫さんに言われてわかったんだけど、私さ、依神紫苑ってやつと戦ったろう?」

 

「あー、そうね。」

 

「んで、そん時いろいろと不幸のオーラを受けちまったじゃないか」

 

「確かに……」

 

「実はあいつの力は不幸のオーラを喰らったら不幸になる代わりに、その量に応じた幸運が返ってくるんだと。」

 

「それで運良く助かったわけね。」

 

「ああ。私、大分不幸のオーラを吸っちまったろ?それが合わさってあんな風に返ってくるなんて思わなかったよ。」

 

「それに、不幸のオーラといっても、吸わされた本人がいずれ体験するだろう不幸を先に呼び寄せるみたいで。」

 

「いろいろ幸運が重なったわけね。」

 

「そうだな!あいつには感謝しなきゃなぁ。命の恩人だし。それに、真澄のやつの薬が失敗作で、元の体に戻れただけでもめっけもんよ。」

 

「そうね……。っと、もういいかな」

 

霊夢は汗を拭って神社の境内に戻っていく。

 

「ねぇ栞姉。」

 

「ん?」

 

「住むとこってあるの?」

 

「あー、そういやねぇなぁ。人里に行ったら私の家無くなってたし。慧音先生のとこにでも居候させてもらおうかな?」

 

栞は頭をかいて答える。

 

「じゃあしばらくここで寝泊まりしたら?」

 

「ん、いいのか?」

 

「うん。その服もボロボロじゃない。私の昔の服貸してあげる。」

 

「そっか。サンキュー!」

 

栞は霊夢に抱きつく。

 

「霊夢と二人暮らしかぁ……、なんか夢みたいだな……」

 

栞はそう言うが、

 

「ごめん栞姉。栞姉には博麗の巫女の代理を務めてほしいの。」

 

「へ?」

 

栞の口からそんな抜けた声が出てしまう。

 

「私、巫女辞めることにしたわ。」

 

「ええっ?!」

 

霊夢はサラッととんでもないことを言う。

 

「紫と相談して決めた。今紫が次の巫女候補を探してるみたい。」

 

「お、おい霊夢、なんでまた……」

 

「私はあの時、天界で真澄と対峙した時、明らかにとどめを刺せていた。それを私情を挟んであんな大惨事まで引き起こした。幻想郷が滅ぶ寸前にまで陥ってしまった。私の責任よ。これからは記憶を全部紫に消してもらって、人里で暮らすことにする。紫ももう私の新居を建ててくれたらしいし。」

 

「そんな……、れ、霊夢。な、何かのジョークだよな?な、なあ?私を嵌めてんだろ?」

 

栞は目を白黒させながら言う。

 

しかし、霊夢は首を振って、

 

「悪いけど冗談じゃない。これは私のケジメよ。まぁ幻想郷には魔理沙がいるから。それに、私がいなくたって幻想郷は平和でいられるでしょう。栞姉もいるし。」

 

霊夢は半ば諦めにも似た表情で言う。

 

「霊夢、そろそろいいかしら。」

 

すると、スキマから紫が現れる。

 

「ええ。本当は幽助が帰った日に辞めようと思ってたけど、栞姉と最後に会えて、2人きりで話したかったから。」

 

「霊夢……」

 

栞は暗い表情を浮かべる。

 

「そんな顔しないで。私は消えるわけじゃないんだしさ。」

 

霊夢は栞に抱きつく。

 

「………霊夢……」

 

「ありがとう。人里で私を見かけたら、その時はまた「友達」に、ううん、貴女の「妹」にさせてね……」

 

「………ああ。約束する。」

 

栞は泣きそうな目で霊夢を見る。

 

「霊夢、本当に、その選択に後悔は無い?」

 

紫は霊夢に問う。

 

「ええ。今まで世話になったわね、紫。」

 

「私もよ。……じゃあ、霊夢。この光を見ていて。」

 

紫は霊夢の目の前に光を作り出す。

 

霊夢はそれを一瞬見つめた後、振り返って、

 

「また会おうね、お姉ちゃん!」

 

満面の笑みで栞に言う。

 

「おう、またな!!」

 

栞も精一杯の笑顔で霊夢を送る。

 

それと同時に、1人の博麗の巫女が消えた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢が博麗の巫女を辞めてから約1ヶ月の時が過ぎた。

 

幻想郷は平和である。あちこちが爛れてきそうなほど平和を享受している。

 

「だだだだだだだっ!!」

 

少女、霧雨魔理沙は今日もトレーニングに励んでいた。

 

「はぁ………、霊夢が居なくなってからというもの、なーんか味気ねーなぁ……。」

 

魔理沙はそのようにぼやきながら家の中に入り、帽子を布団の上に投げる。

 

「………へへっ」

 

魔理沙が見つめているのは唯一無二の師匠と写っている写真と、一か月前できた異世界の友人と写っている写真である。どちらも天狗の射命丸文が勝手に撮っていったものを強奪したのだ。

 

「あっ、いっけね!今日のメシがまだだ!!」

 

魔理沙は思い出したようにそう叫んで、帽子を被って出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よーし、えのきにしめじ、舞茸……、舞茸は天ぷらにするか……」

 

魔理沙は背中に背負ったカゴにキノコをたんまり入れてるんるんと帰路についていた。

 

「そういや悟空に会ったのもキノコ採って帰ってる時だったっけ……」

 

魔理沙は思い出すようにつぶやく。

 

「?あれ?なんか気を感じるぜ……?」

 

魔理沙は今にも消えそうな気を感知する。

 

「やべぇぞ……どんどん気が小さくなってる……、まずいな、人間が妖怪にでも襲われたか?」

 

魔理沙は急いで気が感じられる方へ走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、いた!人が倒れてるぜ!!」

 

魔理沙は倒れている女性を見つけた。

 

その女性は全身血まみれで、かつ焦げたような傷跡がそこら中にある。

 

「まずいぜこりゃあ……大怪我じゃねぇか……!」

 

年は魔理沙と同じくらいに見える。

 

しかし魔理沙には気になる点があった。

 

「こいつ、武器持ってる……」

 

その女性は気を失っているが、背中に剣が二本、盾が一つ、そしてポケットになにやら見慣れない装置や武器が入っていた。

 

(こいつ、結構鍛えてありそうだけど……、そんなに強い妖怪はこのへんにいるか……?)

 

魔理沙はとりあえず女性を抱き抱える。

 

「永琳の気が永遠亭にねぇ……、出かけてやがるな……?ちっ、しゃーねぇ、私んちに連れてこう。こんなとこに野放しじゃ死んじまうぞ。」

 

魔理沙はその女性を抱えて急いで家に向かっていく。

 

………その女性は、茶色の髪に白いリボン、ボロボロであはあるが、白と黒を基調とした服に、赤いネクタイを付けている。そんな格好に剣、盾など明らかに不自然だが……

 

そして彼女の頭には、白いリボンが巻かれた黒い中折れ帽があった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えーと!えーと……!!」

 

魔理沙はとりあえず傷薬を調合すべく家中ひっくり返し、調合書を探している。

 

先ほどの女性はとりあえず包帯や絆創膏で手当てをして、魔理沙の布団に寝かせてある。

 

「お、あったあった!」

 

魔理沙は調合書を見つけ、早速傷薬を調合した。

 

そしていざ女性に処方しようとした瞬間、魔理沙はある違和感を覚えた。

 

「あれ、こいつ、……もう傷が塞がってやがる……。おかしいな……。とても数時間で治るような傷じゃなかったぞ……」

 

魔理沙が首を傾げていると、

 

「う………ん……」

 

女性がゆっくりと目を開いた。

 

「……あれ、こ、ここは……?」

 

「お、目が覚めたみたいだな。」

 

女性は魔理沙を見つけたようだ。

 

「あなたは……?」

 

「私は霧雨魔理沙。普通の魔法使い兼武道家だ。」

 

「魔理沙、さん……、私は、どうしてここに……」

 

「ああ。森でお前が倒れてたんだ。ここまで運ぶのには骨が折れたぜ。あ、ここ私んちな。」

 

「森……?それに、やけにのどかな雰囲気ですね……、あいつの襲撃はなかったんですか?」

 

女性は窓の外を覗いてそう言う。

 

「あいつ?誰のこと言ってるかわからんが、ここは至って平和だぜ。」

 

魔理沙は小首を傾げる。

 

「そうですか……、よかった……」

 

女性は安堵したように言って、起き上がろうとする。

 

「あ、おいおい、まだ寝てろ。お前さん、凄い怪我だったんだぜ。」

 

「こんなの、どうってことないです、……つッ……」

 

女性は大丈夫そうに装うが、ダメージが残っているのか、腕を押さえる。

 

「ほら、言わんこっちゃねぇ。さ、寝てろ、ほら。」

 

魔理沙は女性を布団に寝かせる。そして、女性に尋ねた。

 

「お前、名前は?」

 

「………私の、名前は……」




蓮子「………お昼ってなんだっけ?」

タミ「………午後1時くらいです」

「今何時?」

「………日付が変わりました……」

「………まず私から言いたいことが2つ。案の定遅れたなってことと、なんだあの最終回はってこと。」

「遅れたのは申し訳ないですが、最終回は最初から決まってたので……」

「いやいやいや!なにあれ?!霊夢さんが巫女辞めてんじゃん!もう本家に繋がんねーじゃん!それに最後のあれ誰?!」

「いやあれは、れn」
「おいっ!!ネタバレだろうがっ!!」

「それで、こんな終わり方したんだから、続編はあるんでしょうね?これで終わりなんて言いやがったら2分の3殺しにするから」

「いやもうそれ殺してるじゃないですかヤダー」

「やかましいわっ!んで?続編はあるんでしょうね!」

「はっ、はい!勿論でございます!しかし、ハーメルン様ではありません!」

「!?」

「次の舞台は……ニコニコ動画様です!」

「………あんた、正気?正月の空気で気が狂った?」

「いっ、いえ!わ、私は至って正気です!」

「………あんた随分前、「動画なんて怖くてできない」みたいなこと言ってなかったっけ?」

「あっ、いえっ……、そっ、その、挑戦といいますか……」

「1話で万策尽きるわね、確定で。それで、もう片方の作品の続編は?」

「あー……、それなんですけど、……ニコニコ動画で出す動画は、この作品と、もう片方の作品の続編になります!」

「………は?」

「………つまり、遂に世界がドッキングするわけですな」

「………ちょっと何言ってるかわからない」

「えっと、つまり、「死を乗り越えた元霊界探偵が幻想入り」、「東方神笛抄〜秘封少女がゼル伝入り〜」の2つ、もっと言えば「世界を救ったサイヤ人が幻想入り」、「秘封倶楽部と行く恐怖の旅」、この4作品の続編となります!」

「ごめん、本当にわからないわ………、」

「時系列的に言うと、「世界を救った」の後に「死を乗り越えた」があって、その平行に「秘封倶楽部と行く」があり、その後に「東方神笛抄」がある。そして「死を乗り越えた」、「東方神笛抄」の後に今度の新作があります。」

「んー、まぁ私はわかったけど、読者の皆様にわかっていただけるといいわね……」

「………お、おそらくわかっていただけたと思います。」

「んで、1話はいつ出すわけ?」

「あ、はい。今度作るのは動画ですので、今までより投稿ペースが落ちるのは間違いないでしょう。」

「まぁそれはね……」

「ですが失踪は絶対にいたしませんので、よろしくお願いします!」

「そして、1話ですが、1月中に、出せたらいいなー、と思っています。」

「いや、いいなー、じゃないくて、出せよ」

「………はい(´・ω・`)」

「まぁ、期待せずに待ってるわ」

「………どうも……」

「それでは皆様、今度はニコニコ動画でお会いしましょう!それでは!」


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