Ultraman Dawn side story (マカロニスト)
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Evil,Mephisto,Chaos

 私はいつからそうしていたのだろうか……背中の痛みが、それはそれなりに長い時間である事を伝えてきた。

 

 コンクリート打ちっぱなしで砂っぽく、錆びたガラクタが一つ二つ転がっている部屋で、私は目覚めた。

 

 私は……何をしていたのだったか?

 確か、アークに関わる研究データを提供する代わりに釈放されて……いや、そうだ、釈放される直前で誰かに撃たれて……そこからが思い出せない。

 

「よう、アンタも目が覚めたかい?」

 

 ふと、後ろから声をかけられてそちらに振り返った。

 黒いシャツ、黒いズボン、黒いコート。黒ずくめの青年が、部屋の入口であろう場所に右肘でもたれかかっている。

 

「誰だ?」

「そっちこそ、人に聞きたきゃ自分で名乗るもんだろ?」

 

 ニヤニヤと笑う黒ずくめからは、獣のような力強さと凶暴性を感じる。危険だ。

 

「私は……マサキ。マサキケイゴだ」

「そうかい、俺は溝呂木眞也だ。ヨロシク」

 

 ミゾロギ、聞かない名前だ。少なくとも知り合いというわけでは無い。

『アンタも』と発言していた所を見ると、大方私と同じような状況にあったのだろう。

 

「それで、ここはどこだ?なぜ私はここに居る?」

「知らねぇよ、俺だって知りたいね」

 

 溝呂木は、肩を竦めてため息をついた。

 よく観察してみると、よく締まった体をしている。スポーツ選手か、軍人と言ったところだろうか?普通に鍛えただけではなかなかここまで筋肉はつかないだろう。

 

「ったく、あの女はまだスヤスヤ寝てやがるし、他の部屋には誰も居ねぇし、俺たち三人だけか?」

「女?」

「あぁ、俺とお前の部屋の間にな」

 

 状況の確認がしたい。服の埃を軽く払い、その女を見に行く事にした。

 

 果たして、その女はスヤスヤと眠っていた。

 輝くような金髪で、整った顔立ち。ふわっとした白いワンピースを着た、場違いという言葉が浮かんでくるような女だ。

 

「ん、ふぁ……」

「お?ようやくお目覚めか?」

 

 遠巻きに観察していると、私達の気配を感じたのか、のっそりと身体を起こした。

 

「ここは……どこですか?」

「知らねぇ」

「知らないな」

「そうですか……本体とも繋がりが切れてるし……困りましたねぇ……」

 

 頬に手を付き、ため息をついた女性は、まるで菩薩のような優しさを感じた。

 まるで、私や彼とは真逆のようだ。

 

「………………」

 

 彼女は、ふと顔を上げると、こちらをじっと見つめた。ひとしきり見つめた後、今度は溝呂木を見つめ始めた。

 

「ふむ、ふむ、なるほど……なるほど」

「なんだよ、人の事ジロジロ見やがって」

「何を納得している?」

 

 彼女は、ゆっくりと立ち上がると、私達を真っ直ぐ見据え、近づいてきた。

 私達の目の前まで来ると、右手で私の手を、左手で溝呂木の手を握った。

 

「あなた達の身体に残った光……闇に負けない、小さいけど強い光……きっと、私達がここに呼ばれたのはそれが必要になるから」

「光……」

「闇に負けない……か」

「だから、貴方達の光を形にします。目を閉じて、強く光を思って下さい」

 

 光……私は、光になろうとして己の闇を制御できずに暴走した。そんな私に、光などあるのだろうか?

 いや。そんな私を信じ、あいつを助けるために引っ張り出してくれた奴らが居る。私は、せめてそれに応えようとして……。

 

 瞼の向こうから、強い光を感じる。手の中に、何かが握られている感触がある。これは……

 

「スパーク、レンス……?」

「ダークエボルバー……」

 

 それは、スパークレンスとよく似ているが、少し角ばった……そう、私が変身した巨人の胸元のデザインとよく似たもの。

 

「なぜこれを……お前は何者だ!」

 

 溝呂木の手にも、何か棒状の物が握られている。

 どうやら、何か悪い思い出の物のようだ。

 

「私、私は……カオスヘッダー。かつて『ウルトラマンコスモス』と戦い、和解した人工生命」

「ウルトラマン……」

「ウルトラマンだと?」

「私は、生物の情報を読み取りコピーしたり、制御を奪ったりできます。まぁ、和解して以降はやってませんが……」

「……なるほど。私達の記憶や残留した力からコピーしたというわけか」

「……で?俺たちにこれを渡してどうしようってんだ?『ウルトラマン』にでもなれとでも?」

 

 ウルトラマン。

 カオスヘッダーも、溝呂木も、なにかそれに思い入れがあるようだった。斯く言う私もそうだが……。

 

「厳密にはコピーではありません。本体から切り離された私に、そこまでの力はありませんから……それは正真正銘の光です。そして、私達はこの世界で『光』として戦わなければならない……筈です」

「筈……?」

「はい、私にもなぜここに居るのかわからないのです。ただ、ウルトラマンに倒された闇であり、改心して光となった私達がここに居るということは、何か意味がある事なのです。」

 

 改心か……果たして、私は本当にそうなのだろうか?

 

「俺が……光……ウルトラマンに……」

 

 溝呂木も、何か思い悩んでいるようにダークエボルバー、だったか?、を握りしめている。

 

 その時であった。

 地響きが起き、外からサイレンが聞こえてきた。

 

 慌ててビル (どうやら、ここは廃ビルだったらしい) から外に飛び出すと、怪獣が三匹、咆哮をあげていた。



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Neronga,Eleking,Sadla_#1

『』はテレパシーです。
戦闘なんでセリフもほぼ擬音です。地の文から推測して脳内再生お願いします。


 四足で歩く鼻先に鋭い角を生やした鈍重そうな怪獣。クリーム色の体色に黒い斑、目の代わりに角が生えたような二足の怪獣。逆三角形のような頭で、蛇腹状の身体の手先がハサミになった二足の怪獣。

 

 この三匹が暴れ回っていた。

 

「おい、俺が二匹ヤる、一匹は任せた」

「自信がありそうだな」

「いえ、ここは三人で一匹ずつでしょう」

「「は?」」

 

 つい、口を揃えて聞いてしまった。いや、彼女は過去にウルトラマンと戦ったと言っていた。いけるのか?

 

「私の世界のウルトラマンの力はコピーしましたから。本体と違ってエネルギーがあまり持ちませんが……私も戦えます」

「そうか、じゃ、一人一匹、ビースト……いや、怪獣狩りの時間だ」

「いいだろう」

 

 廃ビルの屋上に駆け上がり、それぞれアイテムを持って、自分の敵を睨めつけた。

 そして、それぞれの手段でもって、私達は『光』に包まれた。

 

 

 〜Dark Mephisto VS Sadla〜

 

 やれやれ、本当に変身できるとはな……

 

「ギュアアアアアア!」

 

 だが……どうにもエネルギーの消耗が激しそうだ……持って3分か?サッサとケリつけるしかなさそうだぜ

 

「デュアッ!」

「ギュアアアア!」

 

 俺のパンチは、いつものように怪獣の顔面へと吸い込まれるようにヒットした。どうやら、変なトコに来たからといって俺の技術は些かも衰えていないらしい。好都合だ。

 

「デアアアアアッ!」

「ギュア、ギュアアア……!」

 

 そのまま、調子に乗ってラッシュを叩き込んでやった。左、右、右回し蹴り、左後ろ回し蹴り。

 流石の怪獣も、大きく怯んで後ろに下がった。

 どうってことねぇな、なんて考えていたが、甘かったようだ

 

「ギュウアアアアア!!!」

「デュッ!?」

 

 腕が伸びやがった!クソッ!無茶苦茶に振り回しやがって……近づけねぇ!

 そっちがそうならこっちも!

 

「デァッ!デアッ!!」

「ギュ、ギイイイイイ!!」

 

 両手から一発ずつ光弾を飛ばす。牽制技とはいえ、めちゃくちゃに腕を振り回しているだけの怪獣を怯ませることぐらいはできる。

 

「ギュアアアアアアッ!」

 

 ……?なんだ?急に視界が悪く……

 アイツ、何か吐き出してやがる!クソッ!厄介な!

 

「デアッ!……ドァ?デュアアアアッ?!」

 

 クソッ!見失ってる間に背中から殴られた!

 

『おい!視界が悪くて敵が見えん!ただでさえこっちは見えにくいんだぞ!』

『こっちもです!向こうはレーダーみたいな角で探知してくるんですよ!?』

『クソッ!わかったよ!なんとかしてみる!』

 

 とは言ったものの、どうにかする手段なんててんでわからん!

 とりあえず、アイツらをこの霧から出すだけ出すしかねぇ!

 と、丁度いい!

 

 何かが風を切ってこちらに近づいてくる。そこかっ!!

 

「デァアッ!」

「ギュア?!」

 

 小規模ダークフィールド、展開!さぁ、こっからが本番だぜ!!



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Neronga,Eleking,Sadla_#2

前回同様、掛け声や鳴き声ばっかりでわかりにくいです。
たぶん次回以降は戦闘シーンで一人称視点やめます。表現しにくいわ、これ。


 〜Chaos Ultraman VS Eleking〜

 

 さてと、対話は……ちょっと難しそうですね、力ずくで行きますか。

 

「ダァッ!……!?」

「キィイイイイイ!」

 

 わっ、口からビームも吐くの?!

 尻尾も長いし、やりにくいなぁ……、尻尾捕まえて近距離戦に持ち込もうかな。

 

「キィイイ!キィイ!」

「ダッ、ガアァッ!」

 

 あばばばっ!尻尾は発電器官だったのか……ってヤバイ、巻き込まれた!

 

「キィイイイイ!!」

「ガッ!アアアッ!!」

 

 このっ、離せ!こんにゃろ!くらえ両手パーンチ!!

 

「ダァッ!!」

「ギ、キィイイイイイ!」

 

 よしよし、パワー自体はそこまで強くないみたい。

 さっきまでの接触でデータは撮り終わったし、こっから反撃……?!

 なにこれ?!霧?!

 

「キィイイイイイ!!」

「ダァッ?!」

 

 ぐっ?!また三日月ビームが……そっちか?!

 

「キィイ!」

「ダッ!ガァァッ?!」

 

 ぐわっ!外した上に今度は電流が!あの子、あの角みたいなのはアンテナ?!

 

『おい!視界が悪くて敵が見えん!ただでさえこっちは見えにくいんだぞ!』

 

 マサキさんがテレパシーを送ってきました。どうやら、アッチの子ではないみたい。

 

『こっちもです!向こうはレーダーみたいな角で探知してくるんですよ!?』

『クソッ!わかったよ!なんとかしてみる!』

 

 溝呂木さんの方の、ハサミの子がこの霧を発生させていたみたいです。

 溝呂木さんが、不連続空間にその子を連れていったみたいで、霧が晴れていきます。

 

「キィイイイ!」

「ダッ!」

 

 狙う方向が見えているなら放電くらいどうってことはありませんよ!

 お返しのドロップキックです!

 

「ダァアアッ!!」

「ギィイイ?!」

 

 それにしても……なんでしょう、このデータ……まるで、何かに操られてるような形跡が……

 いえ、そんなのを気にしてる場合じゃありませんね!

 コレでトドメです!

 

「ハァアアア……ダァッ!!」

「ギ、ィイイイイィイイイ!!!」

 

 ダーキングショットが命中したソレは、爆発するわけでもなく、光の粒子となってどこかへ消えてしまった。

 実体は存在しているのに、確かな肉体が無いというかなんというか……変なデータの怪獣だったなぁ……

 

 

 〜Evil Tiga VS Neronga〜

 

 暴走しそうな感じは……無い。

 なってみると、意外と落ち着くような、温かい感じだ。

 

「ジュアッ……!」

「グィイアアゥゥ!」

 

 明らかに重そうな見た目に、鼻先の角。突進がメインの攻撃手段と見ておおよそ間違いないだろう。

 背中……は硬そうだが、まぁ、問題は無い。

 

「グィアアゥ!!」

 

 案の定、脳の無い突進だ。これぐらい躱すことは容易い。

 

「ジュアッ!」

「グィイアアゥゥ!!」

 

 避けざまに脇腹を蹴りあげてやると、見事にひっくり返ってくれる。さて、流石に腹は柔らかそうだ……何?

 怪獣が、みるみるうちに透明になる。ほぼ空気と同じ屈折率の透明化だと?!馬鹿な!

 

「ジュアアアッ?!」

 

 クソ、考えてるうちに横腹に突進を食らったようだ。幸い、角は外れたようだが……

 いや、落ち着け、踏みしめた跡と音で探ればこれぐらい……

 

「グィイイゥゥ!!」

「ジュアァッ!」

 

 電撃だと?!クソッ、面妖な……

 それに、あぁ、全く!!このタイミングで霧だと?!!発生源は溝呂木の相手か!

 

『おい!視界が悪くて敵が見えん!ただでさえこっちは見えにくいんだぞ!』

 

 透明な上に遠距離攻撃まで使ってくるんだぞ!こんな状況で相手してられるか!

 

『こっちもです!向こうはレーダーみたいな角で探知してくるんですよ!?』

 

 カオスヘッダー……だったか?も、苦戦してるらしい。

 

『クソッ!わかったよ!なんとかしてみる!』

 

 なるべく早急に頼みたい所だが……

 

「ジャアアッ……!」

「グィイゥゥゥ!!」

 

 今度は後ろから突進かっ!そういえば、あの触覚のような角もあったが……透明ということは、つまり光を透過する。目が見えないということだものな!元々目には頼ってないということか!

 

「ハアッ、ジュアッ!」

「グィウゥゥ!?」

 

 鳴き声がした方向に適当にエネルギー弾を撃ってみたが、やはり四足、方向転換はゆっくりらしい。

 溝呂木が霧を出す怪獣をどこかに連れていったようだし、霧も薄れてきた。今なら見え……ん?

 

「グィウゥゥ……」

 

 カオスヘッダーが相手にしている怪獣から放たれた電撃が、避けられた拍子にこっちの怪獣へ当たった。

 すると、どうした事か透明化が解除された。

 電撃のダメージ……というわけではなさそうだ。自ら放電していたわけだし。とすると、電気を吸収すると姿を見せるのか?

 なんにせよ、この機を逃すわけにはいかないな。

 

「ハァアアアッ……ジュアアッ!!」

「グィイイアアゥゥゥ!!」

 

 ふぅ、光線も上手く出せたか……

 この感じ……これが本来の光の巨人の力なのか?

 だとすると、闇に堕ちた心で動いたあの時は、十分な性能を発揮できていなかったのか。

 

 と、考えてるうちに怪獣は光となって消えた。

 

 

 〜Dark Mephisto VS Sadla〜

 

 伸ばしてきた腕を掴んで、そのままダークフィールドに連れ込む。

 さぁて、ここなら1VS1だぜ、空間に限りもある。もう逃がさねぇ

 

「ギュ?ギュアアアア!!」

 

 ヘッ、慌ててやがる。

 にしても、この空間維持するのにこれほどエネルギー使うのか……あいつ、街のためだけに毎回こんなの使ってやがったのかよ……

 仕方ねぇ、一気に決める!

 

「デュアアアッ!!」

「ギュアアッ?!」

 

 メフィストクローを展開して、突く!シンプルだが、効果的だ。

 その横にトンがった頭、ぶっ潰してやるよ!

 

「ギュアアアアアッ!!?」

 

 あっ、本当に折れた。

 と、その途端にヤツは霧を吐き出すのをやめた。

 霧の発生器官だか霧の中でレーダーとして使う器官だかが壊れたのか?

 だが、これで視界も開けた!行くぜ!

 

「デュアアアッ!ハッ!」

「ギュァアアァァアアアッ!!!」

 

 ダークレイ・シュトロームだったっけか?イチイチ必殺技にカッコイイ名前なんてつける必要なんかあるか?

 まぁ、とにかく必殺光線に焼かれて、怪獣は無事に光となって消えた。



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