戦う白血球ちゃん? (コレクトマン)
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白血球U-1341の日常?

 

 

ここは人間の中。人間の体の中には、約三十七兆二千億個の細胞達のうち、とある白血球の物語。

 

 

 

一般細胞達が住むとあるマンションの周辺を見渡す変わった好中球こと白血球がいた。その白血球は女性の姿をしており、容姿は綺麗と言ってもいいくらいの美人であった。巡回をしながらもその白血球は少しばかり休憩を取ろうとした。

 

 

「ここの所は異常なしっと。さてっと……久しぶりに休むもうかな?“ピンポーン!”……こんな時にレセプター反応」

 

 

休憩を取ろうとしたその矢先に突然レセプターが反応した。このタイミングで細菌が入ってきたことに少し苛立ちながらも直ぐに細菌がいると思われる場所へと急行すると、そこには細菌達が赤血球や一般細胞達に襲いかかっていた。

 

 

「うああぁぁっ!逃げろー!!」

 

「さ…細菌だー!!」

 

「オラオラァ!邪魔な住民どもは皆殺しだ!!」

 

 

白血球は背中に背負っている打刀を抜刀し、赤血球や一般細胞に襲っている細菌を両断する。

 

 

「ぎゃああぁ!?」

 

 

両断した後に打刀の刃に着いた血を落とす為に打刀を振るって血を払う。他の細菌達は突然現れた白血球に驚きたが直ぐに切り替えて白血球に挑む。

 

 

「ちっ!よりによって白血球か!こうなったら先ずてめえから「邪魔っ!」ぐわああああぁぁぁっ!?」

 

 

 

そして白血球は他の細菌達に斬り捨てながらもまだ残っている細菌達に一言発した。

 

 

「少しは空気読めや!このクソ雑菌どもがああぁぁ!!」

 

 

休憩しようとした途端に身体に侵入してきた細菌達に八つ当たりと言う名の殲滅を行う女性型白血球U-1341の姿があった。そして他の白血球達が応援にやってきた時には既に細菌達はU-1341によって細切れ(ミンチ)になっていた。一般細胞や赤血球、同期の白血球達でも流石にこれには少しドン引きしたそうだ。

 

 

 

私ことU-1341は、他者の……いやっ、前世の記憶があった。私は普段何処にでもいる女子高校生であった。部活は剣道部に所属し、日々鍛錬を怠らずに自身を鍛えていた。部活を終えて家に帰宅している最中、帰宅中に工事中のビルから鉄柱が私を貫こうとしたが私は日々鍛えていた直感が閃いて直ぐに避けてことなきを得たと思った矢先に上から植木鉢が降ってきてそのまま私の頭に直撃した後に視界がブラックアウトし、私はなんとも間抜けな死に方で人としての生を終えてしまった。そしてそのままあの世に行くと思ったら突然神と名乗る少年がこう言った。

 

 

「今天界は満員だから即刻転生して!本当ごめんなさい!」

 

 

…と私の意見や反論すら言わせずにそのまま強制転生させられて、今現在の私は、白血球U-1341として生きている。白血球の名を聞いてお判りかもしれないが、私は人間の中の細胞の一部として転生されられたようだ。

 

 

 

……泣けるわ(泣)

 

 

 

そんな感じで私U-1341こと数字に因んでイザヨイ(1341)とニックネームで命名している。それと同僚であるU-1146ことイイシロ(1146)(本人からニックネームの許可を得ている)や他の白血球達とともに今日も身体の中で仕事をしている。

 

 

「あーもう最悪。休憩しようとした矢先に細菌どもがやって来るんだから休憩出来た試しがないよ」

 

「あー…まあ、そうだな。それとほらっ、お茶」

 

「あっ…ありがとね」

 

 

私の愚痴を聞いてくれるU-1146はある意味私の心の支えになってくれている。事実上私は本当に運がない。身体を休めようと辺縁プールに向かおうとすると約80%の確率でレセプターが反応して細菌の駆除に向かわなければならない。それと食事に関しては殺した細菌を食す為、味は至ってクソ不味い。不味さを例えるならまだ軍用レーションの人工肉みたいな味だ。シャワーに関してはお湯ではなく冷水で身体についた返り血を洗い流すので正直言って辛い。正直なところ、私……転生したところ間違ってない?因みに私は白血球用の武器であるロシア製のコンバットナイフと投げナイフだけでは心許ないので自作に打刀を作りました。そっちの方が馴染みやすいしね?……無論許可をもらいました。

 

 

「ねえイイシロ、私は本当に好中球で良かったのかと逆に思うんだけど……」

 

「お前なあ……それもう何回目だ?」

 

「うーん……500回目?」

 

「いやっ多すぎだろ!?せいぜい50回くらいだぞ?」

 

「あーそういえばそうだったね。これも全て乾○って奴の「いや待て、それ以上言うな!」……冗談よ」

 

 

そんな感じで私はこの誰の身体の中なのか知らない所で転生し、今日も元気?に身体の中に侵入してくる外敵である細菌達を排除する日々が続くのであった。本当にいろんな意味で“細菌、ウイルス、出て来いや〜!!”って気分で排除する私ってあんましキャラじゃないかもしれない。そして今日もまた細菌がやって来たことの示すレセプターが反応する。

 

 

「また細菌か……懲りないね、本当……ていうか、身体(ここ)の免疫力低すぎ?」

 

「愚痴を言っている場合じゃない!すぐに行くぞ!」

 

 

私U-1341とU-1146は再び身体に侵入してきた細菌達を駆除する為に今日もまた行動するのであった。

 

 



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肺炎球菌編
U-1341、ドジっ子赤血球と出会う


 

 

細菌がいると思わしき場所に急行する白血球のU-1341とU-1146。その時に同じ白血球であるU-2626とU-2048と合流する。

 

 

「おっ…1341番に1146番!お前達も細菌を?」

 

ブロブロ(2626)!それにツオシヤ(2048)も!」

 

「だからそのあだ名はやめてくれって言ってるだろ!?」

 

 

U-1341にあだ名で呼ばれたことに恥ずかしながらもやめてくれと頼むU-2048だが、U-1341はそれは無理と答える。

 

 

「しょうがないでしょ?同じ白血球とはいえ番号が名前なんて呼びにくいから番号に因んだあだ名の方が可愛気があるでしょう?」

 

「だからってこんな恥ずかしいあだ名はないだろう!?」

 

「そう?私は結構好きだけど?……とにかく、この先まっすぐに細菌がいると思うわ。先に行くわ!」

 

 

そう言ってU-1341は懐から自作のワイヤーガンを取り出して一般細胞のマンションの壁にアンカーを撃ち込んで一瞬でマンションの屋上に到達する。因みにワイヤーガンも刀同様に許可をもらってある。ワイヤーガンを器用に使いながらも立体機動をしながらも細菌がいる場所に急行するのであった。

 

 

「あいつ……前から思ってたんだが、何であんな装備なんかを作ったんだろうな?」

 

「さあ?特にあのワイヤーガンってやつ、あれ使わなくても遊走を使えば早いんじゃないか?」

 

 

U-2626とU-2048がU-1341が作った道具に理解できなかったが、今はただ細菌がいるところに向かうだけであった。

 

 

他の白血球達と合流を果たしたU-1341とU-1146はレセプターの反応を頼りに細菌がいる場所に向かう数分前……

 

 

動脈の一般細胞達が住むとあるマンションで酸素を運び、一般細胞に酸素を手渡す赤血球AE3803の姿があった。

 

 

「お待たせしましたー。こちら本日分の酸素になります!こちらにハンコをお願いしますね」

 

「ドーモーご苦労さま」

 

「いえっまたお願いします!……ん?」

 

 

酸素を運び終えたAE3803は動脈を後にしようとした途端、血管内皮細胞(人間でいう細胞たちの地面)に亀裂が入ると徐々に大きくひび割れてゆき、他の細胞たちもこの異常なことに気づいて直ぐに離れる。

 

 

「へっ?な…なんだこりゃ!わわっ…なに!?」

 

「うわっやべー!来るぞっ!」

 

「不味い逃げろー!」

 

 

その瞬間、血管内皮細胞が割れ、大気が噴き出した。

 

 

「うぉわーーー!!血管内皮細胞がー!!!」

 

 

割れた血管内皮細胞から青紫色の人型の生物が数体も出てきた。その正体は外敵である細菌だ。

 

 

「ほー、なかなか居心地良さそうな所じゃねえか?暑すぎず寒すぎず。食い物も腐るほどあるなこりゃあ。わざわざ入ってきた甲斐があったぜ……決めたぜ!今日からここは俺たちの国だ!!!」

 

「ひぃ……!」

 

「みんな逃げろー!!」

 

 

これを合図に赤血球と一般細胞達が一斉に逃げ出すが、赤血球AE3803は腰を抜かして動けずにいた。すると細菌は目の前のAE3803を睨みつける。

 

 

「まずは…邪魔な住民どもを掃除するとしよう!!」

 

「きゃあああああ!!」

 

 

青紫色の人型の生物はそのままAE3803に襲いかかる。その時に細菌の足元に細菌以外の影が増えたことに気づいた細菌は上空を見上げると……

 

 

「……ん?なんだ……ぐわっ!」

 

 

細菌の上に何かが伸し掛かる。

 

 

「な……なんだてめえ「ふんっ!」ぎゃあああああ!!」

 

 

細菌は伸し掛かった何かの確認した途端に首は跳ね飛ばされて、正体を確認できぬままそのまま絶命した。その正体は白血球U-1341が細菌の首を跳ね飛ばしたからである。そして他の細菌達はU-1341に続いてやって来たU-1146白血球達によって駆除されていた。

 

 

「くそっよくも仲間を!「この雑菌野郎!!」ぐわあああああ!?」

 

「死ねー!!」

 

「ぐっはあああああ!!」

 

「オラァ!!」

 

「ぐああああ!!なんだこいつら!?」

 

 

あらかた細菌を駆除を終えたと同時にU-1146がナイフをしまい、通信機に他の白血球達に連絡を入れる。

 

 

「こちら白血球好中球課U–1146番。侵入した細菌の駆除完了」

 

「いい皆?さっきの細菌は今ので全部とは限らないわ、ここいらの捜索範囲を広げて徹底的に探し出して細菌を見つけるわよ!細菌は発見次第見敵必殺(サーチアンドデストロイ)で直ぐに駆除するように!」

 

「了解だ。いいか、1341番が言ったように細菌は一匹も逃すな!一匹でも逃げたら大変なことになるからな!!発見次第に駆除するように!!」

 

「「「了解っ!!」」」

 

 

白血球達は残りの細菌がいないか捜索しながらも死んだ細菌を処理するのであった。その際に白血球の行動を見ていた一般細胞と赤血球達は怖く感じるのであった。ただし、一人の赤血球をのぞいて………

 

 

「ん…どうしたの?」

 

「あっハイ!いや…あの。た…助けてくれてありがとうございます。危ないところを…」

 

「気にしなくていいわ、これが白血球の仕事だからね。……けど、礼は受け取っておくね」

 

「1341番、細菌の捜索に向かうぞ。むっ…その赤血球は?」

 

「え…えっと、私は「さっきの細菌に襲われかけたところを私が助けた赤血球よ」あ…はい、そうです!」

 

「そうか……それじゃ直ぐに細菌を探しに行くぞ」

 

「わかっているわ。それじゃあね」

 

 

U-1341はAE3803との会話を終えた後に直ぐU-1146と共に細菌の捜索するのであった。

 

 

一方の白血球からなんとか逃れられ、生き残った細菌は遠くで白血球達を睨んでいた。

 

 

「くそぉ、白血球め……このままで終わると思うなよ…!」

 

 

そう言って細菌はある場所に向かうべくその場を後にした。

 



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