TS転生未来レトロゲーム実況配信のびる (おかひじき)
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スペースインベーダーは原点にして至高

初投稿です^^
よろしくお願いします!


 

「え……と、繋がってる?やってるうちに人来るかな?じゃあその、始めます……ハイ……」

 

その放送は唐突に始まった。受信側には、深緑色の髪に薄緑の目、

白い肌のメガネ少女アバターが映し出された……はずだ。服装は完全に古典SFの

宇宙服だが、実況配信のために頭部は透明の金魚鉢スタイルにした。

自機である砲台は、どうやら対空戦車スタイルのようだが……。

 

「ハイ……はえある実況第1回はこれ。スペースインベーダー!

やっぱり古典ゲームをやるからには最初はこれ、でしょう。

完全ダイブ型リメイクでどうなったのか興味あります……ありますよね?」

 

西暦2,888年。ゲームは既に完全ダイブ型が主流になり、ここ10年ほどのメーカーの

仕掛けにより20~21世紀の「古典ゲーム」の完全ダイブ型へのリメイクブームが

起きていた。そして、その古典ゲームリメイクを実況しろと言わんばかりに

次々改正された学習指導要領と通信情報・金銭収受関連法制……何者かの作為を感じる。

 

(もう5人見てる。小学校から新教科に採用された上にメディアも煽って流行ってるし、

当然だけど)

 

自身も小学生である【田中スーザンふ美子】、ハンドルネーム【のびる】は、

小学生女子を配信タイトルに入れたのはちょっと過剰に煽りすぎたかな?と、

今更になって少し悩んだ。

 

(しかし本名が田中スーザンふ美子って。俺を転生させた神だか悪魔だか知らんけど

ふざけすぎ……ふざけすぎじゃない?)

 

そう。彼女は転生者である。スペースインベーダーと同年に生まれ、

21世紀までゲーム一途の人生を送ったゲーマー……ゲーマーのおっさんが転生した、

その成れの果てである。

 

(この古典ゲームリメイクの流行も胡散臭いし、俺以外の転生者が絡んでるような

気もするが……探る当てもないし、何より俺には得しかない。学校でゲーム実況配信が

評価されるとか地上の楽園かよ)

 

出現するインベーダーを遠距離から確実に処理しながら、のびるは表示されるコメントに目を通した。集中が必要なタイプのゲームをやる時は、コメント音声化ソフトを

切って目視表示オンリーに切り替えることにしている。表示ポイントは、リアルでも

ダイブアバターでもかけている、アニメか漫画のような大きな円形のフチなしメガネの下部に半透明処理での表示を採用した。

 

『無言実況』『無口ヒロインいいゾ~これ』『インベーダーだけを殺す機械かよ!』

『ツマンネ』『タブンネ』『ハピナス!』『ハッピーうれピーよろピくね?』

 

(し、しまった!無言で3分くらいやってた!)

 

「え、ええと、みなさんよく来てくれました!のびるです!10さいです!古典ゲームが大好きで、今日はええと……原点とかそれっぽいスペースインベーダーを最初にやって、これから古典ゲームやります!私よろしくします!」

 

『あら^~』『おぼえた挨拶を必死にたどる小学生……ほぅ』『メガネっ娘というだけで俺は』『メガネとって』『なんだと?』『お?やんのか?』『どうせおっさんだぞ』『それは逆』『逆だな』『今は小学生のほうが多いゾ』

 

インベーダーを処理する間にもうコメントがついてゆく。これは流行の力だろうか、

それとも俺の実力?だったら嬉しい。

 

『のびるちゃん、前、前!』『これはがめおべら?』『いや、これは違うぞ』

『何?知っているのか雷電!』

 

(コメントの様子が……え?)

 

コメントと考え事に集中していた俺の目の前に、意外に速いインベーダーが迫る!

 

「ヒェァァァ!?グロ、グロイ!近い!近!ナゴヤ、ナゴヤうち……ウヒェァァァ!!

グロ、グロイ!ナゴヤうちグロイ!何でグロくすんの!?聞いてない!どうして

インベーダーグロくなってるの!?聞いてないから!こんなの知らない!!」

 

『ああ^~』『この瞬間……たまりませんな』

『こんなの知らない!ってもう一回言ってみて』『いい悲鳴だぁ』

『ホラーやるべきでは?』

 

「原作かわいかったのに何でこんなことすんの!?もう知らない!知らないから!

今日は終わり、もう終わり!」

 

『これはガチ』『悲鳴乙』『泣かないで』『もっとこわがって』

『怖がったり怖がらなかったりしろ』

 

こうして俺の今世初実況配信は散々な終わりを迎えたのであった。




こういう設定でやるならまずインベーダーかなって


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ファミコンウォーズ〈決戦!ソラマメジマ〉

ぼっちは調子に乗るとすーぐイキる(当社比)


 

(もう10人来てる……)

 

あくる日。誰も来なかったらどうしよう……などという心配は杞憂だった。

 

「ハイ!古典ゲームだけが友達!のびるです!よろしくお願いします!」

 

『わこつ』『えーホントにィ?』『かくいう私もぼっちでね』

『お前古典ゲームの話だけ早口になるよな』

 

ターン制シミュレーションなので今日は音声読み上げソフトを入れている。

これは新鮮だな。

 

「今日の古典ゲームはこれ!ファミコンウォーズ!対戦!対戦ですよ!」

 

『おおおお』『のびちゃんと対戦……お付き合い……』

 

「のちのショーグンとかミサイルとかない、初代の仕様ですね。

さあ!のびる@サーバーに来なさい!古典ゲームファンの兵(つわもの)どもよ!」

 

のびるのメガネ少女アバターはファミコンウォーズ風の青い豆戦車に乗り込み、

青い軍服で挑戦者を出迎えた。購入者特典外装である。基本的に、

この時代の対戦・協力型ゲームは広告料に加えてホスト役の配信者を購入・課金

ターゲットとしており、購入特典として実況配信時におけるクライアント側への

無料招待権が付随するやり方になっている。まさに実況配信者は、

対戦・協力ゲームを無料でやらせてくれるネットの神となれるわけだ。

この世の天国かな?

 

「最初の兵(つわもの)は……のびるの父さん、ですか?ええと……その……そんな

ウルトラの父みたいに言っても……ダメですよ……えと……はい……じゃ、じゃあ場所は

ソラマメジマで!」

 

『かわいい』『ぼっちかわいい』『ゲーム以外マジで話せなくなるのかわかわ』

『例外でフリーズするリアルぼっちの術は俺に効く』

『コミュ障がリアルすぎて心が痛くなるからもっとやって』

 

相手はパイロット風のゴーグルをつけたアバターを選択したようだ。もしかしたら、

空があれば航空戦力で来たかもしれないが……ソラマメジマに航空戦力はない。

計画通り!

 

「私は青軍だし、後攻でいいのよ?」

 

『よゆうっすね?』『王者の余裕』『うそつけ絶対よわよわだゾ』

 

対戦が始まった。のびるの父……相手の赤軍はファミコンウォーズ初見なのか、

装甲輸送車と歩兵を使って普通に進軍しようとしている。

 

「勝ったな……」

 

『フラグ乙』『負けそう』『イキるの早い……早すぎない?』

 

初ターンは生産のみなので即マイターン。

ファミコンウォーズ陸戦の主役は戦車でも自走砲でもない!

 

「山盛り戦闘工兵・シェフの気まぐれトッピング作戦だぁー!」

 

『やった』『やりやがったこいつ』『申し訳ないが戦闘工兵山盛りはNG』

『泥沼の消耗戦クルー?』『のびるの脳みそはツルツル』『脳死プレイ乙!』

『ちょろっと歩兵混ぜてる……いやらしい……』

 

「ふっふっふ……勝てば良かろうなのだァー!!ブルームーンに栄光あれ!!」

 

戦闘工兵。それは一言で言ってしまえばコスパ最強のユニットである。

2000で生産できるくせに、16000で生産する戦車Aにある程度ダメージを与えられる。

単独では無理があっても、複数で見ると?正直、値段と火力が見合っていない。

あまりに火力過剰である。移動力こそ2マスで最低だが、

輸送ユニットに乗れるし街占領も出来る。

それに、この狭いソラマメジマなら移動力はそれほど欠点にならない。

 

「やっぱり……ニンゲンの力って……最高やな!」

 

『どこかのラスボスみたいなこと言い出した』『ボスのび』

『工兵自爆突撃かます10才女子とかちょっと』

『何気に自走砲Aもこっそり街配置してる……いやらしい……』

 

目の前の司令部コンソールには、

量産されて死んでゆく自軍敵軍の様子が映し出されているが……。

 

「グロイけど、不意うちじゃなければどうってことないなぁ」

 

『ボスモード』『イキリメガネ』

『軍服を着て自分を屈強な軍人だと思っている一般小学生のびちゃん』

『イキれる時にイキっていく』『安心したら即イキる、狂気ののびるゲイン』

 

ファミコンウォーズは特に、街占領の数が即毎ターンの収入に繋がり、

一度押されると挽回は難しい。

毎ターンこちらが戦車Aか自走砲Aを生産し始めた段階で、相手投了となった。

 

「のびるの父?さん、ありがとうございました。なんかちょっとやりすぎた予感が……」

 

『ガチのび』『若干ゃイキリ』『ちょいイキ』『のびちゃんが楽しそうで何より』

 

「それにしても戦闘工兵作戦の瞬間にアレだけ反応が返ってくるとは……

けっこう古典ガチ勢多い、多くない?」

 

『あたぼうよ』『むしろ今回のびちゃんの方が詳しすぎて驚きなんだが』

『古典ゲームも色々あるし……』

『そうそう、古典ゲームでも古い方は既にやる人減ってるからな』

『古典の中でも古典、古典古典ガチ勢のすくつ』

『多分のびちゃん含む』

 

「ふぅん、そうなんだ。それなら私古めでいこうかな。インベーダーから、プレステ、プレステ2くらい?もうちょい?」

 

『プレステは甘え』『プレステ1はギリギリセーフでは?』

『発売はポケモンの1996年より前だぞ』

『有りでは?』『むしろポケモンもアウト』

『白黒携帯機のポケモンアウトはどうかと……』

 

やっぱりここはまとまらないか。

 

「えーと、それじゃあ話に出た中で、プレステ1までは有りってことにします。あと、

それ以降もリメイクされた作品も多くて、現代のフルダイブ型リメイクだとリメイクのリメイクが基本になってるって作品があったりするんで……その辺有りの方向で一つ」

 

『おk』『せやな』『リメイクのリメイクのリメイクのリメイクまでは知ってる』

『のびちゃんの好きにしていいのよ』

 

「そうですね。まあ、一応話もまとまったところで……私はゲームがしたいんです、

次の戦争を始めよう!次の次の戦争のために!」

 

『即イキ』『油断したところをイキっていく』

『のびちゃんまーたイキりよるん?』『お?泥沼の戦闘工兵ミラー作戦行くか?』

 

その後、ソラマメジマを何度も戦火に包み込んだ俺は5勝1敗。よさげな戦果を挙げて、

その日の配信を終えた。




内心の一人称=俺
他人に対しての一人称=私
こっそりTSっぽくしていくスタイル


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テトリス武闘外伝〈6人目の小人〉

心の中の美少女を解き放て!(彼は狂っていた)


 

「ハイ!毎度どうも、のびるです!」

 

『オッスオッス』『初見、テトリスと聞いて』

 

今日の出だしは……28人。人気爆発とまではいかないが、順調に増えているようだ。

今回は集中力がいるので、コメント読み上げは切っておく。

 

「えーと今日の実況はこちら、テトリス武闘外伝!」

 

『バトルガイデン!』『知ってた』『女の子はぷよぷよじゃないの?(偏見)』『ガチ勢の予感』

 

「テトリスなのでもちろん対戦ですが……武闘外伝はちょっと違う。

黄色いクリスタルブロックを取り合って、キャラごとに4種類の必殺技を出し合うゲームです。

キャラ性能に差があるのが欠点といえば欠点ですね。制限は……なしの方向で。

私はビット使います」

 

『出イキ』『舐めプ』『しょっぱなからイキっていく』『こいつはめっちゃ許せんよなぁ?』

 

「いやその……私が一番好きなキャラってキャラ性能抜きでグラプリ……

グランプリンセスなんで……」

 

『やはりガチ……』『予想通りで草』『舐めプとか言って正直スマンカッタ』

 

「ご理解いただけたようで何よりです。え、と、じゃあその、はいっと!」

 

アバター機能の一つ、登録動作による即時外装チェンジで購入者特典の外装にチェンジする。

赤・青・黄色・緑・桃色の5人の小人であるビットに加えて、

6人目の虹色に輝く小人となったプレーヤー(若干大きめ)外装オプションである。

 

『かわえええええええ』『小人メガネの虹色妖精とか興奮で血管ぶち切れそう』

『高血圧ニキは安静にして、どうぞ』『大き目の小人なのか小さい人間なのかはっきりしろ』

『大きかったり小さかったりしろ』『ナニが大きいんですかねえ……』

 

「はい、じゃあ対戦します。私はビットで……のびる@サーバー立てたんで……って早っ!

ええと、以下同文さんよろしくお願いします!」

 

以下同文さんはニンジャを選択。対戦が始まった。

ダイブ式の操作系統は色々有るが、今回俺は仮想式無線コントローラーを採用している。

思考制御だと敏感すぎて少しの気の迷いでも操作がずれるし、

有線式や設置式だとダイブ実況のパフォーマンス的に冴えないと判断したからだ。

何より、手元のコントローラーを操りつつアクロバットして技を繰り出すというのは、

前世少年期以来の夢であったと言っても過言ではない。ないのだ!

 

『え……』『うわ……』『ガチすぎて小生ヒエヒエ』

 

空間上に映し出される俺のテトリスブロックは、常に最高速を保ちつつテトリス穴1ヶ所を空けて積みあがっていく。

もちろんクリスタルブロックを相手に渡すなどありえない。

 

「いやまあ、武闘外伝は先行ブロック表示あるんで……クリスタルブロックを渡す理由、

ないですよね?」

 

『いや、まあその』『これはガチ』『ガチ修羅』『修羅勢』

『出来ること前提でそれを言うなw』『プロ級サーバー行って、どうぞ』

 

むー……何かムカつくぞ。

 

「テトリスだけじゃないテトリス武闘外伝が好きなの!皆で必殺技使って派手な対戦したいの!

わかるでしょ!」

 

『わかる』『わかりみがある』『急にかわいい』『QNK(急にのびちゃんがかわいい)』

『かわいすぎる妖精か』『やはり天使だった』『のびる……ガチ勢でさえなければ……』

 

そんなやりとりをしている間にも対戦……という名の蹂躙は続き、

やがて丸い玉が4つ……レベル4の必殺技が使用可能になっていることに気付く。

合わせて踊るか!

 

「よーし、じゃあ行くよー!それー!マンボ!」

 

ビットのレベル4必殺技、マンボ。対戦が止まり、

相手のフィールド自体が踊りだしたかのように蠢いて、

縦方向に伸びたり縮んだりしてめちゃくちゃになる。

ランダムなので、時には穴が埋まって相手有利になるギャンブル技であるはず……なのだが。

 

『ひでぇ』『これはひどい』『のびちゃん、その踊りは何?』『何って……マンボだろ』

『ひどい』『ひどいですね……』『何だ?そのあわれな踊りは……』

『お前ら……テトリス対戦がひどいのか、のびちゃんの踊りがひどいのかはっきりしろ』

『マンボではなくノロイなのでは?ボブはいぶかしんだ』

『フィールドもひどい、ボドボドじゃないか』『ランダムだよな?これ即死レベルじゃね?』

『もしや……伝説のロムハッカーの技を継いでいるのでは?』『かもしれん……』

『修羅の子……』

 

さんざんな言われようである。

 

「もー……いいもん。もう決着つけちゃうから」

 

スカスカのボロボロと化した相手フィールド。このままでも勝つだろうが、

とっときのダメ押しをする。

 

「それー!フィーバー!」

 

クリスタルブロックを即座に2つ消して放つ、ビットのレベル2必殺技「フィーバー」。

技使用時の自分のブロックをコピペして、そのブロックだけが双方落ちてくるという、

本来使いどころに悩む特殊技であるはず……なのだが。

 

『ひどい』『ひどい』『これはひどい』

 

これの強みは双方、つまり相手方にも同じブロックしか来なくなること。

相手がボロボロの状態で、今俺がやったように四角ブロックをフィーバーすると……。

ゲームセットだ。

 

「以下同文さん、ありがとうございました!」

 

挨拶はしたのだが……怒りの無言退室である。仕方ないね。

 

「もしかして……やりすぎてしまったのでは?」

 

『やりすぎ』『強すぎ』『修羅勢は修羅界に帰れ』『あんた鬼の子だよ』

 

その後、もう一度募集するも……もう挑戦者はいなかった。

 

『残当』『当たり前だよなぁ?』『つい最近は……岩に隠れとったんか?』

 

「テトリス武闘外伝って……楽しいよね!」

 

『ヒェッ』『(勝てば)楽しいよね!』『やはり狂人であったか』『のびちゃんが魔王だった件』

 

「もー……もう誰も来ないみたいだし、とりあえず今日は明日の予告で終わりますね。

明日のゲームは……

一目見たときから、このゲームだけは欲しかった。ロマンシングサガでお送りしまーす!」

 

『来たああああああ』『kitaaaaaaa』『まさかのロマサガ』『え、対戦は?』

 

「対戦も好きなんだけど……とりあえずロマサガやりたい欲が半端ないんで……あ、

指示もネタバレも全部オッケーです。原作の、元もリメイクも両方知識あるんで

あんま意味ないと思いますけど」

 

『ガチ』『これはガチ勢』『やはり狂人であったか』『青の剣はやるの?』

 

「そこまで狂人ではないです……ないよな?まあネタ切れとか、心の闇が

抑えきれなくなったとかでワンチャン、くらいの期待しない感じで。それじゃ、

今日ののびる実況はこれまで、ありがとうございました!」

 

…………

 

「はぁ……」

 

ダイブを終了し、ダイブユニットの中から出る。ダイブアバターと容姿は同じだが、

髪の色は鮮やかな赤、

目の色は緑がかった碧眼。4人兄妹の末っ子にして次女である。黒目黒髪の上3人を尻目に、

一人だけメンデルの法則の4分の1を証明するかのような見事な赤毛。

 

(俺がこんなにかわいい日欧ハーフの美少女であるはずがない)

 

鏡の前で、前世ラノベのタイトルのような文句を脳裏に浮かべても、

田中スーザンふ美子は日欧ハーフの美少女であった。

 

「まさったな……」

 

何に勝ったのかはよく分からないが、彼女は上機嫌で「第5ダイブ室」と書かれた扉を閉めて、

帰路に着いた。




圧倒的キャラ性能差があるのにチート性能のグランプリンセスに勝て
と言われるテトリス武闘外伝ストーリーモードの闇


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ロマンシングサガ〈キャラメイクという名の魔物〉

ぼくのかんがえたロマンシングサガ(小並感)


 

「さー始まりましたよついにロマンシングサガ!解説は私のびる。

実況は私のびるでお送りいたしまーす!」

 

『わこ』『一緒やないかーい!』『のびちゃんはしゃいでるねえ』

 

ついにこの時が来た。来場者は……現在43人か。対戦を求めてきた分が減るかと思ったが、

逆に増えたのは幸いである。

今回の操作系統はターン制ゲームで多用されるリアルタイムターン待機型の思考操作だ。

完全リアルタイム制……シームレス型の「データの中の世界」をそのまま生きるタイプの操作が

要求されるゲームと比べて、

ロマサガはゲーム性を重視し俺のようなコミュ障にも優しい最低限のコンソールと

「ターン待機」が確保されたゲームになっているはずだ。

 

「さて、このロマンシングサガは最初のスーファミ版とプレステ2版が基礎になってるけど、

両方のあれこれを組み合わせた形になってるみたい……ですね」

 

『シフがシフだった』『殿下の声は伝説のあの声だった模様』

『アースヒールあるやん!救われた……』

 

おおむねキャラデザインと頭身はスーファミ版、

システムやイベントはリメイク版が基礎になっているらしい。

 

「オープニングはリメイク版の歌かな?静粛に!」

 

オープニングソングが流れる中、基本的な内容をさらに確認してゆく。

 

ロマサガ特有の時限イベントの管理自体はリメイク版と同じ。

ただ、時間で消えたイベントのシナリオ上の意味づけがされていて、

消えたイベントは「ほかの主人公とその仲間が解決した」事になる。

そこで例えば騎士団領ではアルベルトの解決になりやすく、

バファル帝国ではクローディアの解決になりやすいなどの傾向がある。

自キャラからの勧誘はいつでも出来るので、何やっても先を越される!とか仲間にならない!

ということはない。

 

……つまり、リメイク版の感覚でプレイしてれば間違いはないってことね。なるほど。

などと確認している間に歌が終わり、キャラメイクのコンソール画面があらわれた。

 

「えーとこれは……原作そのままに主人公8人としてプレイするモードの他に、

オリジナルキャラモードがある!?え。ちょっと複雑、何か今更感が……」

 

『まあ待て』『実質オリキャラだけど一応元キャラがいる』『リメイク版の名無しキャラだゾ』

 

「あ、ホントだ。ナニナニ?名も無き人の中からあらわれた、

世界に生きる全てのもののチャンピオン。何を思い、何をなすのか。

その行く末は……ってここで!?ここでそのネタ伏線にするの!?

何年越しのネタだと思ってんの!?うぁーやられた、

これ選ぶしかないじゃん、ないじゃん!!」

 

『然り然り』『こんなネタかまされたからね』『チャンピオンって何だよ(哲学)』

 

私がその「オリジナル」の選択肢を選ぶと、さらに細かい設定モードが浮かびだす。

 

「これは……デフォルトにすると、ダイブアバターの【のびる】そのままの見た目になるんだ。

見た目はこれでいいや。名前もこれで……両親は占い師と魔術師で術士系に。

利き手は……剣使わないからリアルと同じ右手で。職業は……初期職業は無しか両親のだけ?

ならどっちかというと占い師で」

 

次々と決めていく俺の目の前には、当然のごとくああしろこうしろという

指示コメントも大量に流れていくわけだが……

最初から自分と同じ意見にだけ従って聞いたふりをして、結局自分の意思を通した。

現代においては、気合の入ったイベント追加やシステムのフルダイブ化、

バグチェックの関係からか、ロマサガは発売されたばかりの最新ゲームとなっていて、

他人の持つ情報が前世の記憶を持ち込んだ俺よりも格段に劣るという現実も

あるにはあったが。

 

「これで性能としては女術士?でも流石にLPは7に増えてる……のかな?

サブキャラとしても最低限だけど」

 

『7ならまあ何とか』『妖精王できるからまあマシにはなる』『女術士なら風と魔ある?』

『でも伝説クラスだと最初は補正なしか……』

 

「親が占い師なのにクラス認定に達してない段階で放り出されるとか……この世界じゃ

千尋の谷過ぎる……」

 

『お?獅子王の子か?』『修羅の子だから獅子王の親戚』『然り然り』

 

術士の杖とローブがあるだけマシか……とりあえず占い師への繋ぎで

帝国に行って帝国学術士になるのをしばらく目標にして……

初期地点は……どうやらクリスタルシティのニーサ神殿らしい。

初期術に風術を持っている俺はとりあえずここには用はないので外に出ると……

 

「うわ……すげぇ……」

 

クリスタルシティは本当に水晶のようにキラキラと光り輝く、美しい都市になっていた。

 

『マジか……』『これはクリスタルシティ』

『く、クリスタルシティにいたと思ったらクリスタルシティがクリスタルシティだった、

何をされたのかわからなかった……』

『ここだけで予算いくらだ……リメイクが本気すぎる』『やはり狂人であったか』

 

「何か前回からフレイムタイラントがいる……フレイムタイラントがいない?気のせい?」

 

『バレてしまったようだな……』『俺だよ俺俺』

『いやフレイムタイラントはいいだろ別に。それよりこれ、期待できそうじゃん』

 

グラフィックとゲーム全体の出来は必ずしも関係しないが、

いきなりチャンピオンネタをぶちこんできた開発には愛が伺える。

 

「そうですね。ええとまずは仲間……仲間がいればいいんだけど、

確かゲーム開始直後は誰もいないとかあったはず……

リメイクの方の名無しさんならいるかもだけど、いてくれたら……いたっ!」

 

≪俺の腕が必要なら、貸してやらんでもないぞ≫

≪あたしの技を見てみないかい?サービスするよ≫

 

「戦士さんと女闘士さん、よろしくお願いします!」

 

『のびちゃん、ロールプレイ派なの?』『いや、リアル頭身だしなんか……アレじゃね?』

 

「えと、そうなんです。人間に近いのでその……ゲームキャラとわかってても

何というか、ぼっち発動というか……待機モーションも本当に、

新人がテンパってる様子を生暖かい目で見てる先輩冒険者そのものに見えますし……」

 

『たしかに』『ゲームキャラにも発動するのかそれ……』

『く、鎮まれ……鎮まれ呪われしぼっちの波動よ!』

 

「ま、まあ慣れれば大丈夫……大丈夫だと思いたいので、

早速セーブしてから3人で最初の稼ぎを……」

 

そこでセーブして、同時にコンソール上で俺が見たものは。

想定の何倍もの(リアル)時間経過だった。

 

「キャ、キャラメイクに時間使いすぎた!?やだもう帰らねぇと……すいません、

ホントーに始まった直後ですが、明日は別のゲームをやる予定です。

今日はここまでで……ああっ!?すいません戦士さん、女闘士さんホントに……

って何で謝ってんの私!えとその、つまり……じゃそういうことで!もぉ~!!」

 

このあと全力で家に帰った。




このゲームやりたい!買って買って!(錯乱)


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バトルシティー(+アーカイブ動画コメント返信)

慣れた人たちの前でならリア充に擬態できる!
ぼっち102芸のひとつ、ペルソナリア充拳!


 

「はーい、いつものびのび楽しくゲーム。のびる実況のお時間です」

 

『わっこおおおおお』『きたあああああ』『うおおおおのびるううううう』

 

うおっ、何かテンション高いな。ナニナニ、来場者98人……少ないとは言え倍になってる。何で?

 

「な、何かあった?」

 

『何かあったっけ?』『いやない』『ノリで?』『すいませんなんとなく……』

 

「もー……えーっと今日はですね、配信すると後でアップロードされるアーカイブ動画の

コメント返信しようと思ってるんですけど……それだけじゃちょっとアレなんで、

待ち時間が発生するような古典ゲーム実況をしながらコメント返信しようかなと」

 

『待ち時間か……』『のびちゃんちゃんとお返事できる?』『ダメそう』

『不意打ちに弱いのびちゃんがゲーム中にお返事できるはずがない』

 

「そこらへんはね、ちゃんと大丈夫です。ちゃんと考えられてる……角度とか。ええと、

ファミコン初期の、エディットモードがある作品で皆さんにステージを

作ってもらって、私がそれをやります。その間に返信するってことで」

 

『エディット?』『あーあったなそんなの』『タイトルはー?』

「えっと、そうですね。タイトルはバトルシティーです。

3番目に手を挙げた方に作ってもらいまーす」

 

『ノ』『ノ』『ノ』……

 

「それじゃあ、ハマサキさん。ステージお願いします」

 

3番目に『ノ』と書き込んだハマサキさんをバトルシティーに招待して、コメント返信を始める。

 

「えっと、最初に……『のびちゃんどこ住みかな……』日本語配信なんでお分かりでしょうが

日本です。日本の……関東ですね。なのはな体操できます!」

 

『マジかよ』『なん……だと?』『古代より伝わるあの踊りを……』

『これは千葉県民』『千葉県は滅びても魂は消えぬ!何度でも蘇るさ!』

 

西暦2300年ごろ、道州制の導入が行われて、関東・近畿などの大区分が州として再編され、

都道府県は消滅した……はずだった。しかし当然のごとく東京が特別州として独立していたため、

州都が決められずに県庁所在地がそのまま「神奈川州都」「千葉州都」などという

政治的妥協の名称で呼ばれる分散状態、

結局名目が消えただけで県の政治的範囲が残されてしまう形になった。

のちの2500年代、宇宙開発・移民の最盛期においてそこで色々あったのだが……

詳細は触れないことにしておく。

 

「えっと、次は……『ところでのびるって何?』これはですね……野草です!山菜?

山菜ではない……山菜っぽくはない……

でも山菜……山菜という説もなきにしもあらず……食べられるので」

 

『どっち』『どっちだよw』『どっちかひとつにしなさい!』

『あー知ってる、あれな(よくわからない)』

 

「うー……画像あるかな?検索すれば……はい、これです。ちっちゃいらっきょみたいなこれ。

田畑のわきとかによく生えて……むかごで大繁殖します。野草ですけど、

不思議と人里近くの環境のほうがよく増えるので……山菜らしくはない?」

 

『野草か……』『のびちゃんは野草』『雑草』『なんだと』『草刈りすると増えます』

 

「あはは……とくに思い入れがあってつけた名前ではありません。それじゃ次は……」

 

その時、エディット終了のお知らせが届く。

 

「あ、早いですね。ハマサキさん作のステージ、タイトルは……いしのなかにいる?

えーと、それじゃ早速……あっ」

 

『あっ』『あっ……(察し)』『あっ……』『これはいけません』

 

そこで俺が目にしたのは。周囲を白い破壊不能ブロック(アイテムがないと壊せない)に覆われ、身動きひとつとれない自機戦車の姿だった。

気合を入れてファミコンウォーズで手に入れたアバター外装である青の軍服と

豆戦車に乗り込んでいた俺は、何も出来ずにゲームオーバーとなった。

 

「クリア不能ステージ作んなあああああ!!ブチ殺すぞヒューマン!!!」

 

『www』『wwwww』『ワロスwww』『魔王様がお怒りじゃーwww』

『シズマリタマエーwwwシズマリタマエーwww』

 

「オノレー!もう1回!もう1回やる!もう1回手を挙げて!」

 

『ノ』『ノ』『ノ』……

 

「はい!それじゃ今度はモグナミさん!ちゃんとクリアできるステージ作ってねー?頼むよー」

 

『はい』『ハイ』『hai!』『当たり前だよなぁ?』

 

「ホントに大丈夫かな……まあ、その間次のコメントいきますね。えーと『ホラーやるの?』

 や り ま せ ん !

大体私ホラー全フリのゲームだと面白い反応できませんよ?

不意打ちでびっくりしてパニクるのはありますけど、

3回目ぐらいでゲーム攻略脳に切り替わって慣れちゃいますから……

それなら普通のゲームで急に怖い方が……」

 

『然り然り』『不意打ちのびちゃんが一番かわいい』『いつでもかわいい』

 

「……えーとまあ、次行きましょう。『ふしぎな踊りから来ました』……ふしぎな踊り?」

 

『なってる』『動画なってるよ』『マンボの踊りが切り取られて動画になってる』

 

げっ……ふしぎな踊りで検索したら本当にあった。せいぜい280再生くらいだが、

配信の人数よりかなり多い。

まあ重複してるんだろうけど……。

 

「もー!勝手に使っちゃダメでしょ!?ホントにもー!」

 

『嬉しそう』『体は正直』『イキるだけじゃなく調子にも乗っていく』

 

「しょうがないねー!まったくねー!ハイ次!次行こ!えーと、『大会とか出てる?』

出てないです。

そういう大会って結局リアル会場じゃないですか。私観客が多いとダメになるので……」

 

『知ってた』『ですよねー』

『明鏡止水じゃ……明鏡止水の心でコミュ障の波動をコントロールするのじゃ……』

 

「あはは……えーと、ステージが出来たようですね。はいそれじゃモグナミさん作、

無防備宣言の森ステージに……あっ」

 

『あっ』『あっ……(察し)』『またかよォ!』

 

そこに現れたのは……一面の樹海。そう樹海だ。

バトルシティーにおける森は通過できるが見えなくなるというオブジェクトで、

敵も味方も見えなくなるが素通し、弾丸も遮られずに飛んで行く。つまり……。

 

「実質クリア不能でしょおおおおおお!!」

 

敵の発生ポイントから、ゲームオーバー条件の司令部が無防備で素通し。

一発でも敵が司令部に向けた弾丸を撃てば終わりの、

実質クリア不能ステージであった。

 

「もー今日は終わり!知らない!明日はファミコンのタッチやります!タッチ!」

 

『何ィィィィ!?』『クソゲー来たあああああ』『マジかよ!』『やった罰ゲームだ!』

『新たなクソゲーマイスターの誕生だ!』

 

「私はこれ楽しいからいいけど、皆の楽しさは保証できません。それでよければ……」

 

『とんでもねぇ、待ってたんだ!』『お前のクソゲーが見たかったんだよ!(歓喜)』

『クソゲーやったり神ゲーやったりしろ』

 

「それじゃあ、明日も見てね。古典ゲーム実況配信、のびるでしたー!」

 




のびるはいいぞ!(野草)


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〈掲示板回〉【実況】古典ゲーム新人スレ

集え!まだ見ぬ強敵たち!(出番があるとは言ってない)


235:名無しゲーマー 20:09

今年の新人は

・STG=バトルポカリ

・RPG=うんのこう、ハゲラット

・FPS=トムヤンクンゴリラ

・格ゲー=ウマシカ蝶

でええんか?

 

236:名無しゲーマー 20:13

CIV系の「俺たち紅巾族」も入れてくれ

 

237:名無しゲーマー 20:19

生産ゲーム系の「おなもみ社中」モナー

 

238:名無しゲーマー 20:20

運香はメガテン専業で俺得

 

239:名無しゲーマー 20:22

ハゲはどっちかというとクソゲー寄りじゃないか

 

240:名無しゲーマー 20:26

キモオタまだー?

 

241:名無しゲーマー 20:27

キモオタさん来ねぇな。こりゃ今月は休みか?

 

242:【キモオタ】 20:30

ドゥフフwwキモオタですぞwww

 

243:名無しゲーマー 20:30

キター!

 

244:名無しゲーマー 20:30

きたああああ

 

245:名無しゲーマー 20:31

待ってました!アーカイブ動画の紹介発掘職人!

 

246:【キモオタ】 20:32

今月はジャンル別3者に加え、王道の小学総合で追加3人の紹介をさせていただきますぞ!

 

まず最初に「つるかめ仙人」!麻雀や五目並べ、ザ・ブラックバス等

ファミコン初期のBGMすら控えめな「静寂のゲーム」で己の人生と四書五経のうんちくを語る

老人実況者!静寂のゲームを肴に語り合うのに最適な、

まさに仙人のような雰囲気を持った実況者ですぞ!

 

次いで、「卓上遊戯連盟」!その名の通り卓上遊戯ゲームを専門とし、

桃太郎電鉄、モノポリー、人生劇場等のゲームで対戦者を求めております!

どうやら高校生の同好会活動のようで、

この種の分野の実況における随一のプロ集団を目指すそうです!

常に人数を揃え、お一人様からでも対戦を受け付けるとのこと!

ボードゲームファンには待望の対人対戦集団ですぞ!

 

3人目は……「殺人コアラ君」!古典ゲーム時代の萌え萌えな一般向けギャルゲーを

やり尽くしたい!

とのこと。現在「キャプテン・ラヴ」「ときめきメモリアル」「久遠の絆」を同時攻略中!

中学生男子のギャルゲーライフを見守りたい方々には必見ですぞ!

 

 

247:名無しゲーマー 20:35

仙人www

 

248:名無しゲーマー 20:36

遊戯連、マジか。もう一人で桃鉄やらなくていいのか?

 

249:名無しゲーマー 20:37

お前……

 

250:名無しゲーマー 20:38

悲しすぎて248が見えない

 

251:名無しゲーマー 20:40

桃鉄は一人用ゲームだろ!いい加減にしろ!

 

252:名無しゲーマー 20:41

コアラ大丈夫か?久遠の絆クソ長いのに3つ同時って

 

253:【キモオタ】 20:44

ドゥフwww最後にお待ちかね、激戦区の小学生総合部門より3人!

 

まず一人、ドラクエのロト3部作が人気の男子プレイヤー「仙台みつる」が、

ファイナルファンタジーを1から始めましたぞ!

ファイナルファンタジーでも実況の神は舞い降りるのか?震えて待て、ですぞ!

 

次いで2人目、小学生女子乙女ゲーのトップランカー、「きたあかり」が、

私立ジャスティス学園 熱血青春日記2を始めるようです!

一度はまれば何度でも作成したくなるキャラ作成、その後の対戦も含めて注目、ですぞ!

 

そして3人目、配信自体は始めたばかりのようですが、ゲーマーとしては必要十分!

スペースインベーダー、ファミコンウォーズ、テトリス武闘外伝……

小学生総合の名にふさわしい、

総合的な志向と尖った実力を見せた「のびる」とくにそのソフト選びのセンスは

今後期待が持てそうですぞ!

 

2888年、4月分の紹介発掘は以上です。今月も粒揃いで過去最高の大豊作!

と言わせていただき、締めといたしますぞ!

 

 

254:名無しゲーマー 20:47

大豊作キター!

 

255:名無しゲーマー 20:48

い つ も の

 

256:名無しゲーマー 20:48

月頭はこれを見ないと

 

257:名無しゲーマー 20:50

みつる好き

 

258:名無しゲーマー 20:51

運香の方が好き

 

259:名無しゲーマー 20:53

まさかザ・ブラックバスの実況者がいるとは……。

 

260:名無しゲーマー 20:55

きたあかりが格ゲー始めるってマジ?

 

261:名無しゲーマー 20:58

熱血青春日記は男女両方の主人公選択性攻略ゲーだぞ

 

262:名無しゲーマー 20:59

……知らんかった……。

 

263:名無しゲーマー 21:00

マジか……。

 

264:名無しゲーマー 21:05

キモオタ乙

 

265:名無しゲーマー 21:11

のびる期待

 

266:名無しゲーマー 21:14

一通り見に行くか……。

 

 




主人公は添えるだけ……(謙虚な新人)


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タッチ〈セイントの世界〉

うろおぼえダメ、絶対


ファミコンにしては綺麗と言えるオープニングの一枚絵からスタートする。

 

「はーいタッチやりまーす」

 

『きたああああ』『これがあの伝説の……』『グラフィックはいいじゃん』

 

「今日はタッチをやるんですが……最初に言っておきます」

 

『はい』『はい……』『何ぞ?』

 

「考えるな、感じるんだ!」

 

『はい?』『はい……』『あっ……(察し)』

 

「説明してたら進めませんので、苦手ですけどやりながら気まぐれに答えます……」

 

『はい……』『はい……』『何かを察した視聴者たちwww』

 

「じゃあ行きます……よーいスタート!」

 

自機は、たつや・かずや・みなみの3人。

ファミコン版ではたつや・かずやを切り替えてプレイする形だったが、

ダイブ版リメイクではみなみも選べる。主人公として選んで動かせるだけで、

アイテムも持てないし攻撃できるようになったわけでもないが。

たつやとかずやを(プレーヤーとして)動かす、司令塔的な設定になるらしい。

基本的にダイブ型ゲームでは身体適応的に版権主人公の扱いが難しいのだが、

このゲームは容姿をプレイヤーのアバターに合わせて名前と設定だけ原作どおりの仕様のようだ。

 

……ダイブ型リメイクとして女の子に配慮しつつ、ゲーム性を変えない見事なリメイクだ!

俺はせっかくだからこの赤い服のみなみを選ぶぜ!

みなみ操作を選び、ついに俺はタッチの世界に降り立った!

 

「MINAMIKAZE……」

 

『南風……』『みなみかぜ……?』『3人はどういう集まりなんだっけ?』

『三邪神?』『ヴェンディリオン三人衆かな?』『なんかいるぞ』

 

何もせずに数秒たたずんでいると、

白い犬が3人の自機に接近し、ファンファーレのようなものが流れる。

 

「はい。この白いのが犬です。子犬です。10匹いるので集めるのが目的です」

 

『はい』『ハイ……』『あっハイ』

 

「とりあえずお外は危ないのでこの家の中に入ります……そしてこのセイントから

野球ボールをもらいます……」

 

『セイント……?』『聖闘士!?』『犬の聖闘士!?』『犬人間?』

 

「セイントが何なのかは……これがわからない……さあ、野球ボールをもらったので、

これで敵と戦えるぞ!」

 

『!?』『まさかのバトル野球www』『おい、野球しろよ』『何の聖闘士だよwww』

 

「最初の敵は人形……ですかねぇ」

 

ダイブ型リメイクで立体化して、余計に唐突感が増している。なぜ人形が……。

 

『原作にもいた』『いないぞ』『基本こういうゲームは世界全てが敵だぞ』

『これはタッチですか?』

 

たつやとかずやは2人同時に攻撃するしボールも投げる!双子だから当然だな!

(おめめぐるぐる)

 

「巨大な野球ボールで人形を処理しつつ移動し、缶切り?らしきものを買います。

そしてこの家のセイントに……」

 

『渡した?』『よく分からん……』『SHOP WAO?』『ワオ?』

 

「ショップワオを探して……探して……あれ……どこだっけ……』

 

『敵が変わった』『何この……何?丸?』『飛行機の模型か?なぜ襲ってくる……』

 

「これは近かったはず……あった、良かった」

 

SHOP WAOでリュックを2つ買い、アイテム所持数を増やす。

 

「えーと次は……次は何だっけ?お便りとか……森だったかな?ちょっと分からない……」

 

しまったな、このゲームは前世では延々やってて大好きなゲームだったけど、

正直子供のころはクリアしたことなかったんだ。

アホみたいに脈絡のない敵たちを倒すのに夢中で、それだけを楽しんでた。

大人になって動画や生放送でクリアした人を見て、

その攻略法を頼りにようやく自分でもクリアした経験があるに過ぎない。

 

『しっかりして』『お?介護が必要か?』

『しかし俺らもわからん……クソゲーって以外情報がない』

『ヘリが襲ってきた!?ホント何なんだこのゲーム!?』

『おいこっちのリメイクはまだクリア報告ないぞ!大丈夫なのかこれ!?』

 

その記憶も流石に薄れている……いやマジで脈絡がなさ過ぎて記憶にとどめるのが難しいんだ、

ホントに。

その上このゲームの情報はあんのじょう時の彼方に消え去ったらしく、

ネット上の検索においても「すごいクソゲー」という2次情報しか残されていない。

 

「どすこいがうざい……ええと、どっちかな。こっちかな……

おたよりお待ちしてます?こっち先か……」

 

しかし探索でフェイクの鍵集まりすぎたな、このゲーム捨てるの面倒なのに。

 

『頑張って』『どすこいwww』

『ところで上の数字は何なの、経験値?なんか増えたり減ったりしてるけど』

 

「あ、上の数字ですか?これはお金とHPが一緒になったものと思ってもらえれば。

金は命より重い、どころか命そのものである!」

 

『マジかwww』『高い買い物すると瀕死になるのかw』

『たつやの命は30、かずやの命は260……』

『敵を倒せば金が増える……命も増える!普通だな!』

 

「あった、葉書、これを買って、近くの郵便局に出す……出す!英語だけど

郵便局って書いてあって助かった……

さっきのおたよりのとこ行って、赤い鍵をもらいます」

 

攻撃も出来ない、アイテムも持てないというお荷物状態なのはファミコン版と

変わっていないが……

みなみを操作キャラにしていることで相当楽になってるな。

これならクリア行けるかも?

 

『次はどこ行くの?』『もう何があっても驚かんぞ』『おなかいっぱい……』

 

「次は確か、鍵は……そうそう、薬屋の中が異空間ワープになってるので、

そこで使います」

 

『は?』『は?』『異空間?』『ちょっとよくわからない……』

 

薬屋もドラッグストアって書いてあったはず……ああ、あった。

 

「よし、行くぞ!」

 

薬屋を抜けると、石畳と石造りの建物、そして飛び交うコウモリが俺たちを出迎えた。

 

『ちょっと待って、世界観が……』

『さっきまでは洋風和風混じってたけど住宅地だったよな?ここは……』

『ダンジョンじゃねーか!』『これがタッチか……』

 

ダイブ形式で危険度が増したコウモリをかわしつつ移動し、ベルを入手。

アイテムの「人形」を買って手に入れた。

 

『スケルトンwww』『雷神www』『よくわからん煙が……』

『俺たちは何を見ているんだ?』

 

「はい、ここで人形を使います。みんなも心の準備を」

 

『はい』『何ぞ?』『これ以上何があるんだ……』

 

いまだダンジョンではあるが、特徴のない扉を潜るとそこには。

微妙に低音の迫力あるBGMと共に、唐突な決戦の谷っぽい地形に鎮座した

巨大な人形がいた。

 

『ボス来たああああ!』『ボスいるのかよ!!』『雑魚人形ばら撒いてきたぞ!?』

『こまった、ちょっと勝てない……』

 

「人形は人形でしか倒せません。ので人形を投げつけて倒します」

 

『よわ!』『よっわwww』『からくりサーカスかな?』『 れざあ・ましおう! 』

『名作を汚すな』『それは今更感が……』

 

唐突に現れる2匹目の犬をゲットして、次の目標に移る……。

 

 

 

………………

 

 

 

その後も色々あった。

 

南の倉庫街ではバケツを使って動く水溜りをくみ上げる作業を行い。子犬を救出。

 

学校ではコップを投げてロボットと戦い、森ではでかい木をマッチで燃やした。

 

鏡で洞窟の子犬を救出したこともあったが、どうやったのかは理解できない。

 

アパートに岩男(文字通り)がいればハンマーで叩き壊し、

神社にカニがいれば柿で倒した。普通だな!

神社で必要なドルマークの小判(意味不明)を取るのはマジで死んだ!

あんなの分かるわけないだろ!いいかげんにしろ!

 

最後は(ようやく)原作に出てきた犬のパンチ……によく似たグラサンの巨大犬を

指輪で(?)倒して子犬を救出。

これで終わり……ではなく、こっそりもらっておいたオーブのようなもので

大聖堂の扉を空け、

何のイベントもないいつものボス部屋で何事もなく10匹目の子犬を救出して終わり。

 

そう、終わりである。

 

「終わったああああ」

 

救出後、スタート地点にワープした我々は南風に入り、エンディングを迎えた!

もう細かいことにはこだわらない、便利でいい!いいのだ!

 

『やったあああああ』『終わったああああ』『マジで乙』

『5時間30分の死闘……お疲れ様です……』

『いやあ初見でこれクリアってだけで相当ですよ』『それな』

『これはマイスターの才能あるのでは?』

『貴重な休日が……』『ドルマークの小判(イミフ)の時はマジで終わったかと思った』

『フィールド無駄に広すぎるんだよ……』

 

実は初見ではないんだけどね……うろおぼえだったせいで相当時間がかかってしまった。

ドルマークの小判は冗談抜きでフィールド総当りで攻撃モーションする羽目になった。

反省点だな……。

 

『あっ』『あっ……』『これは放送事故では?』『やりますねぇ!』

 

ん……何だ?長時間の作業プレイで疲労度が高いので、

既に主観プレイモードを切って標準アバターに戻してるから

配信状況が見えないのだが……ダイブ内ツールで……

 

「な……なんじゃこりゃああああ!!!」

 

モニタリングツールに表示されたのは、たつやとかずやに挟まれた俺の一枚絵。

しかし……その背景が完全にハートマークだった!

 

「あ、ええと、これはな、ちゃうねん。違うの。タッチのエンディング絵で」

 

忘れてたあああ!そうだよこのゲームのエンディングって

「みなみがこの画面で貢献度に応じてたつやとかずやにチューする」ってアレじゃん!

ダイブ型の配慮はされていて、動きなし、

たたずんでいるだけの純粋なファンサービスという感じにはなっているが……。

 

『あら^~』『のびるちゃんはタッチがお好き(意味深)』『これは乙女』『ネ闇深』

 

は、恥ずかしすぎる!最後の最後までこの俺を追い詰めるというのか!タッチ!

 

「き、今日は終わり!終わりです!解散!もう見ちゃだめ!見ちゃだめだから!」

 

このあとダイブ室を出て、

家のパソコンでこの画像がしっかりとネタにされている様子を確認し、悶絶した。

 

 




タッチ……野球さえしていれば……


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アクトレイザー(女神様と化したのびる)

最新技術が、人を幸せにするとは限らない……!


 

「えっと、どうも。のびるです」

 

『わこ』『わこつ』『初見』『タッチは壮絶でしたね……』

 

「いつもの皆さんも初見さんもようこそ。今日は……今日はね。

ちょっと疲れたので癒し……心の底から癒せる作品をやって、癒されたいと思います」

 

『癒し?』『かわいいやつかな』『のびちゃんは癒し』

 

「はい、ありがとぅ……ありがとねぇ……今日の作品はこちら、

アクトレイザー、いってみようと思います……」

 

『……?』『ちょっとわからない……』『いやわかるぞ』『クリエイションモードは癒し』

 

「えーと早速ゲームスタートを……ってうわ!?」

 

アバターの主観切り替えをしたら急に雲海でびびった。

そうだよなこのゲーム天空城から始まるんだよな。

 

『びびった』『そういやスタートこれか』『ラピュタ王か何か?』

 

「えーとキャラメイク?デフォルトのアバターで行けるならそれで……」

 

アクトレイザーの案内役、キューピッド的天使によるキャラメイクだ。

名前だけだった原作とは違い、アバターも変えられるようになっている。

どうやらロマサガと違って細かい個別データ入力は必要ないらしい。

まあ内容的にも容姿以外を区別する必要ないからな……。

 

操作設定はコンソール展開=ポーズ機能の半リアル設定。

ロマサガとは違いアクション+リアルタイムSLGのため、これが最適と判断した。

 

「じゃあセーブして……女神として!女神としてフィルモアの地への戦いに

赴くとしましょう……!?」

 

そこからは、スーファミ版から隔絶した技術の迫力を見せ付けられた。

回転しながら落ちて行くあの場面が、体感フリーフォールとして余すことなく表現されている。

表現してしまったのだ!

 

「ヒャァァァアアア!!!こんなとこで急に……ンァアアアア!?ヒィェァアアアア!?」

 

『おちけつwww』『まさかここでwww』『のびちゃんすごい顔してるwww』

『また不意打ちかwww』『光り輝きながらすごい顔で落ちる女神www』

 

天空から落ちた光の玉が石像に宿り、神の身体となる。

そこでアバター設定による容姿の最適化が行われるのだが……。

 

「ヴァー……ああ、地上に降りるだけですっごい疲れた……ちょっと休みます……休みますね?」

 

即座にポーズ機能を使い、ようやく一息ついて神の身体を確認する。

装飾的な白く輝くドレスアーマーに、半ばティアラのような兜。

手足の装備も整えられてフル装備の条件は満たしているが、やや装飾を意識した仕上がりである。

隙間から覗く鎧下は輝く青のドレスに覆われており、それを反射した鎧全体が青白く輝く。

何度斬ってもわずかな瑕疵もない、手に持つ両手大剣とあわせて、

確かにただの女騎士ではなく、人の世界には場違いな戦争の女神か戦乙女といったいでたちだ。

 

『ふつくしい……』『やはり女神だった』『やはりメガネだった』

『メガネのことのびちゃんって言うのやめろよ』

『んんwwwドレスで鎧とかありえませんぞwww』

 

「さて、じゃあ行きますか……」

 

所詮ファーストステージのフィルモア開幕、

ダイブリメイクされたとしてもそれほどの難易度はないだろう。

素振りで大剣の振り味を試しつつ、最初の敵……なんか青いやつを斬り捨てる。

 

「いけそう」

 

『ややイキ』とか『神の慢心』とか何か書かれているが、それが実感なのだから仕方ない。

リアルでは振れないような大剣を振り、

飛べないような距離を跳躍してアクションできるのはやはり嬉しい。

スーファミで2Dだったアクションがダイブで立体になっても、

ゲーム性はそれほど変わったわけではなかった。

 

「基本的にこのゲーム、冷静にパターンを把握すれば攻略できないとこないんですよね」

 

何か木に浮き出た顔を切り、猿を蹴散らし、敷き詰められた茨を越えた先に、ボスがいた。

ボスはいたが……。パーフェクトでクリア。こいつ見てすぐパターン分かるんで。

 

『無傷』『無傷かよwww』『これは癒し』『のびる……貴様このゲームやり込んでいるなッ!』

 

ボス戦が終わり、石像から光の玉が天に昇って……!?

 

「ウヒェアアアアアアア!?」

 

天空城への自由上昇?というまれに見る体験である。

 

『wwwww』『またwww』『知ってたwww』

 

 

 

 

………………

 

 

 

敵を倒し、ようやく人が住めるようになったこのフィルモアに、人間を送り込む。

ここで、操作が天使に切り替わるわけだが……ダイブ版は、マニュアルとオートを選べるらしい。

マニュアルはスーファミ版と同じだが、オートの場合は勝手に動く分、

天空城で人々の暮らしを見守ることが出来るらしい。

 

「楽しそう!これはオートで見るっきゃない!」

 

『然り然り』『見守るって何だよ』『イベント追加とか?』

 

天使に大まかな指示を出した後、雷で木を燃やし、街の方向を誘導して人々の様子を見る。

 

 

 

→人々の様子を見る

 

 

 ~ 計画のエックス チャレンジャーたち ~

 

 

「!?」

 

『ナニ!?』『何かギリギリなの始まった!?』『計画のエックスwwwww』

 

 

難航する橋の開発 魔物の巣に届かない 親方衆の反発

      家庭崩壊   神様は頼れない

 

≪橋の技術。その未知に挑んだ、とある親方の物語……≫

 

 

「アウトー!」

 

『せふせふ』『計画って……あっ(察し)』『勘のいいガキは嫌いだよ』

 

計画のエックスは、悔しいが面白かった……。

 

 

 

何も知らない天使が、人間の動向を報告に来た。これは……。

 

≪神様!我々は川に橋を架けられるようになったのです!≫

 

「ああ、うん……もらっとく」

 

なんとなく計画のエックスでネタバレのような何かを食らった気分の俺は、

微妙な感覚で橋の技術を回収した。

いつのまにか炎の魔法も捧げられていたので、それも回収しておく。

 

 

「さあ、行きましょう」

 

全ての魔物の巣が封印され、南東の穴に魔物の気配が。ミノタウロスである(前世ネタバレ)。

予知能力のある男が教えてくれました。行かねばなりません。

 

俺は地上に降りるたびにフリーフォールを体験することになる……なるのは分かっているが!

 

「ウッ……ハー、ハェー、アクションステージのたびにこれはきつい……きつくない?

いや、スーファミ版は全部回転拡大してたから、

全部やらなきゃいけないことはわかるけど、わかるけど!」

 

『www』『それなw』『のびる……無茶しやがって……』

『まー言うて神の身体設定だからすぐ回復するでしょ?』

 

確かに。この神アバターは相当身体能力が高い人のデータを参考に

調整されてるんだろうな、ってのはわかる。

 

「はー……確かに回復したんで、フィルモアクリアしちゃいましょう!

癒しどころか疲れちゃったけど」

 

『そうだったw』『のびちゃんは癒されたい』『俺はのびちゃんに癒されてるぞ!』

 

このミノタウロスの穴(仮名)も、しょせんは前世やり込んだゲームのステージ1だ。

パターンも分かるし、冷静に見極めるセオリーはこのゲームの絶対的鉄則である。

 

『のびちゃん非ダイブのほうで相当やりこんでるね』

『結構色んなアーカイブに登録されてるからな、これ』

『俺より上手い……』

 

ちゃんと上ルートを通れば結局パターンで安定だし、

ミス以外ダメージを受ける要素もない。

やり込んだパターンの道中でしっかりとダイブアバターと前世ゲームとの

操作感覚の違いをすりあわせ、万全の状態でボスのミノタウロスと対峙する。

 

「パターンは……同じかな」

 

ミノタウロスのホーミング着地を距離をとってかわし、

斧を振り切り青い飛び道具を発射しきった後にミノタウロスに向けてジャンプして、

最低限1回、運がよければ2回切りつける。

 

『さすのび』『これはわかってますね……』『まさったな……』

 

危なげもなくミノタウロスを退治。フィルモアに平和が訪れた。

ひとりのプレイヤーの、すなわち俺の、自由上昇?の犠牲と引き換えに……。

 

 

 

 

フィルモアは平和になったが、予知能力のある男は死んだ。うん、知ってた。

ここで他の土地に行ってください、とまで言えるようになった人間たち……。

 

「やっぱりニンゲンって……最高やな!」

 

『ほーらイキりよる』『神気取り』『のびちゃんはのびちゃんやなって』

『神ゲーだからしゃーない』『何?のびちゃんは女神様ではないのか?』

 

とりあえず今日はここまでにして、配信を終わらせた。

 

「面白かったけど……次こそは、次こそは癒し系ゲームで癒されなければ!」

 

何か本末転倒な執着を抱えたまま、俺はダイブ室を後にした。

 

 

 

 




神様ゲーがとてもやりたいのだがあまりない……人間たまには思い上がらないとな


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ドンキーコング3〈(本当に)忘れられた戦い〉

クソゲーではないという微妙な思い入れ


 

「はい今日も始めていきます、のびるです」

 

流石に慣れてきた冒頭挨拶。来場者はいつの間にか急増して236人。

何かあったのか知りたい気もするが……そんな暇があったら古典ゲームするか、

実況配信のあれこれを考えるかしていたい。

 

「今日は癒されるゲームやります!」

 

『クソゲーかな?』『嘘つけ絶対激しいゲームだゾ』

『のびのびとイキりたいですね……(本当の私)』

 

……何か私に対する風評が広がっている気もするが、まあいい。

 

「今日のタイトルは、ドンキーコング3です!」

 

『来たあああああ』『やった神ゲーだああああ』『ディクシーをすこれ』

 

「あんのじょう誤解しているようですね……このドンキーはスーパーじゃない!」

 

『!?』『なん……だと!?』『ま、まさかファミコンの……』

 

「そうです、1画面の画面固定、花を守り殺虫剤でハチとドンキーコング連合軍と戦う

1画面シューティングゲーム……ファミコンのドンキーコング3です!」

 

『???』『あーあれかぁ……』『クソゲー』『むしろクソゲーをすこれ』

 

「だんじてクソゲーではない!……ないかな?クソゲーではない……」

 

『なんか不安しかないんだが』『お?拷問配信か?(震え声)』

『のびるちゃんタッチのこともなんか楽しいって言ってたよね?(不穏)』

『こいついつもだんだん自信なくなってくな』

 

「違います!これは、クソゲーというほどでもないゲームの方です!」

 

『解散!』『ハァ……』『失望しました、のびちゃんのファンやめます』

 

「もー、今日はこのゲームやります、私、癒されたいから!はい、よーいスタート!」

 

『お、おう』『いかにもファミコンですね……』

『何でこれで癒されるんですかね……』『さすのび……』

 

フィールドには、妙にリアルに作りこまれたドンキーコングが胸を叩く、

オープニング入力画面が再現されている。

 

「ここは別にそんな気合入れて再現しなくても……」

 

そして購入者特典のアバター選択では、デフォルトの「ドット絵作業服(白)」

に加えて「パッケージオーバーオール」が選べるようだ。

……帽子も手袋もない偽マリオにしか見えないが。

 

「どちらかというと、白かな……」

 

白だけの作業着を選択したが、本当にただの殺虫剤をまく作業員にしか見えない。

 

『あ、お疲れっす』『蜂の巣はあっちなんで……』『刺されないようにオナシャス!』

『すげえ、こんなに萌えないのびちゃん見たことない』『これは普段着以下ですね……』

 

散々である。もう仕方ない、さっさと始めて、

俺の華麗なハチ・コング両方退治テクを見せ付けるしかないな!

 

ゲームが始まった。

 

このゲームのステージクリア条件は2つ、

・縄だか棒だかを伝って降りてくるドンキーコングを

 殺虫剤噴霧(申し訳程度のシューティング要素)で押し上げる

・殺虫剤噴霧(申し訳程度のシューティング要素)でハチを全滅させる

 

『のびちゃん、ハチが花を持って行ってるけどいいの?』

 

「花は、得点には関係するけど、クリアに関係ありません。

気を散らすので花に対処してると危険です」

 

『は?』『わけがわからないよ』『やはりクソ……』

『スコア>>>クリアだった時代ですね……わかります』

 

「花を守る、よりハチを殺す結果花を守るを意識したほうがよいと思います。

危険な存在は、このステージは一つだけ……」

 

脇の木の葉を伝ってステージに下りてこようとする芋虫を、

殺虫剤噴霧(申し訳程度のシューティング要素)で反転させて帰らせる。

 

「芋虫は降りてしまうとステージ上に残る上に基本不死身なので、

最速対処がいりますね。あ、クリアです」

 

ステージを縦横無尽に走り回り、

ジャンプしながらの殺虫剤噴霧(申し訳程度のシューティング要素)を

続けたかいがあって、ドンキーコングを押し上げ、無事1面クリアできた。

 

『あっハイ』『おめ』『……』

 

「……どうやらまだこのゲームの繊細な面白さが理解できないようですね……」

 

2面は様子が変わり、画面端の木々からツタが伸びて繋がり、そこを芋虫が延々と往復して、

不死身の芋虫がドンキーコングを守るようなステージになっている。

実はドンキーコングの挙動も変わるのだが……。

 

「さっさとクリアしちゃいます」

 

ドンキーコングの移動する箇所が短く、的確に殺虫剤を当てれば実はクリア時間は短い。

それにはいかに芋虫に当てずにドンキーコングに殺虫剤噴霧(申し訳程度のシューティング要素)

を当てるか、という技術が必要になってくる。

 

「はい、クリアです。どうですか私、ちょっと上手くないですか?」

 

『はい』『あっハイ』『そうなんか?』『このゲーム知らんので……』

『イキってるのか本当に上手いのか判断できない……』

 

むぅ、おかしい。知らんゲームでも、流石にここまでやればウケるかと思ったのだが。

 

そして3面。一見1面と同じに見えるが、サイズが大きめの新しいハチが出現するようになる。

 

「このハチは2発打ち込まないと倒せない上に、

やられると4つの破片になって自爆攻撃してきます。

おそらくプレーヤーの死因第1位じゃないですかね?」

 

しっかりと真下で処理し、真下を取れない時は無理に対処しようとせずに離れる。

これが出来れば、事故死の確率も格段に減る。

 

それ以外は結局1面と同じなので、さくっとクリア。

次いで4面は、周囲の木の葉が赤く、中央ステージ中段が繋がっていない、

一見独自性の高いステージに見えるが……。

 

「ぶっちゃけその……中央に穴があって殺虫剤をドンキーコングに届かせにくい以外、

1面と同じですね」

 

これだけで結構難易度が高まってはいるが……それだけの話ではある。

このゲーム時間制限が(これいる?)と思うほど長いので、

焦らず駆除作業とドンキーコング押上げを続けていれば負けることはない。

何ならハチを全滅させるのもいい。

 

「さて、5面ですが、ここで背景ステージのパターンは出尽くして、以後ループします。

というか3面から既にループの最初が始まりますね。3面、4面、5面の背景でループですね」

 

『そうなのかー』『これってトリビアになりませんか?』『はい、いかにもそうですね』

 

……

 

6面からは「アタッカー」が現れる。プレーヤーがアタッカーの横軸と合わさると、

横軸から突進してくるのだ。

まるで蚊みたいな外見をしているが……ハチよりも何倍も厄介である。

 

「横軸の合わせ場所を誘導すれば……!」

 

かれいなテクニックである。

 

これが現れ始めたあたりで、今まで放置していた「パワースプレー」に手を出す。

芋虫がステージに下りて難儀しても、これなら芋虫だって殺せる高性能。

噴射性能も高いし、制限時間がステージをまたぐので2ステージクリアに利用できる場合もある。

基本ミスの後にしか補充されないし取ったら即使用モードなので、

取りどころは考える必要はあるが。

 

12面で、アタッカーの色と姿が変わる。

茶色くずんぐりしているので俺はクマンバチなどと呼んでいたが……

こいつも正式名称アタッカーらしい。

キャラ数少ないのになぜこいつだけ別名がついてないのかはよく分からない。

 

『もうクマンバチでいいよ』『然り然り』『ブゥーーーンンン!!??』

 

15面では、ようやく最後を飾るキャラの「蛾」が登場。新規敵パターンの終了、

すなわちゲームクリアまであと一息だ。

 

『蛾って』『蝶でええやん』『それな』『何で(名前を)汚くする必要があるんですか!?』

『害虫なんやなぁ……』

 

何かがあるかとも思ったが、特に無かった。

 

ドンキーコング3、17面クリアで背景ステージに加えて新規敵パターンの終了、

ゲームクリアだ。

 

『おめ』『おめ』『クリアおめでと』『のびちゃんが嬉しそうで何より』

 

むー……結局最後まで盛り上がることは無かった。

このくらいのゲームの盛り上げ力を過大評価しすぎただろうか。

……仕方ない。切り替えて行こう。

 

「はい、それでは、私は十分癒されましたので、

次回は対戦ゲームなんかやろうかなーと思ってます」

 

『対戦キター』『なになに、何やるの?』『テトリスかな?』『おい馬鹿やめろ』

 

「えーと……頼れるオタにぃにより、

格ゲー対戦ツール『ドールマスター2888』が入手できましたので。

ダイブ内立体空間投影による格ゲー対戦!やってみようと思います。

これで小学生の私でも合法!合法ですよ!」

 

『格ゲー来たああああ』『のびちゃんがそんな最新ツールを……』『オタにぃって誰?』

『小学生の直接ダイブ対戦とか真っ黒だしね……』『それクライアント側も出せるの?』

 

「はい、クライアント側もダイブフィールド内ならどこでも出力できます、最新ですから!

あ、あとオタにぃはリアル兄です。お下がりとその逆、貸し借りでも共有してるんで、

私はゲームライフ的には有利ですね……」

 

『オタ兄裏山』『やっぱ身内で共有できると違うよな』

『むしろのびちゃんの兄という立場が羨ましい……』

 

「あはは……じゃあ今日も、見てくださってありがとうございました。

ドンキーコング3実況配信、のびるでした!」

 

 

 

 




シューティングゲームであるという事実は今更知った(無知)


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わくわく7(格ゲー事情)

ハマサキ!生きとったんかワレェ!


ダイブ型ゲームのスポーツ・格ゲー事情は複雑である。

 

何より、ダイブアバターとしてサーバー内にダイブした人間には当然人格権が認められており、

無秩序に身体的接触を行ってしまえば当然犯罪である。

プロならばライセンスにより条件付で認められるが、

当然のことながら野良での直接的暴力を伴う格闘ゲーム対戦は禁止されている。

格ゲーよりは制限は少ないが、当然スポーツにおいても接触ありのものはハードルが高い。

 

人格があると言うことは当然セクシャル問題もあり、

古典ゲーム時代には問題にもならなかったような一部の技がダイブ形式においては

「これやばくね?」と軒並み禁止削除判断になり、

時には古典ゲームでありながらキャラごと年齢認証あり、

はなはだしくはいなかったことになる場合もあった。

とくに締め技・下品技は悲惨であり、キャラ性能も古典時代とは全く

別物に変貌してしまっている。

 

そして身体能力の差。身体能力そのものはアバターの調整で何とかなるが、

それを生かす反応・適応力、身体を動かす経験による技術の差はどうしようもない。

CPUの動かすAIなら結局は攻略法で押し切れるように作られているが、

対人対戦においては純粋にリアル+バーチャル双方での身体を動かした

経験の差が出てしまい、

ライセンスの都合もあって純粋ゲーマーが連敗を重ねる特殊な環境が

成立してしまっていた。

 

自分たちが自らのダイブアバターでスポーツ・格闘を行うという固定観念が、

ダイブ形式ゲームのスポーツ・格ゲージャンルそのものを衰退させてしまったのだ。

 

だが、この春、その状況を覆そうと「枯れた技術」を使った

新環境が用意されようとしていた。

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

「……出来てるぞ……」

 

我が家のメインサーバーにインストールしたドールマスター2888を、

俺の実況アカウントと接続して利用権を設定する。

 

その作業を行ってくれた我が家の長兄、俺のリアル兄貴、田中オッター信勝。

親日家という名の日本オタクである、我が家の母がつけたキラキラネーム(?)だが、

現代では珍しくも無い名前であるらしい。未来ぱねぇ。

 

「ありがとオタにぃ。これで格ゲーも実況できるよ」

「ん……ああ、休みと深夜は俺が使うから……」

 

これは「平日の、帰宅後から浅い夜の時間帯までは自由に使っていい」という

間接的な使用条件の承認だ。

オタにぃ語の専門家である……実際は同類だから共感して理解できる俺が言うんだから

間違いない。

 

口数少なく、報告だけ済ませて出勤したオタにぃを追うように、

俺ものんびりと都市交通システムを使って登校した。今夜はどれくらい集まるかな……。

 

 

 

………………

 

 

 

 

「わくわく7(セブン)!!」

 

来場者333人。前回よりも増えてくれた視聴者の前で、俺は今日のタイトルを宣言する。

 

『知らねぇ……』『のびちゃんらしいチョイス』

『名前は知ってるけどやったことない』『え?格ゲー大丈夫なんか?』

『オラわくわくしてきたぞ』『わくわくさん!今日は何を作るの?』

 

ふっふっふ、昨日の話を知らない人は

そのままフルコンタクトで格ゲーをやると思って驚いているな。

まあ格ゲーソフトに加えてドールマスター2888は小学生じゃ揃えるの無理だから

当然だが。

 

「何と、最新のドールマスター2888!格ゲーマー垂涎のシステム!

合法!合法ですよ!」

 

表面だけでなく中身まで用意された、リアル空間への3D映像の空間立体投影。

枯れた技術ではあったが、コスト問題により用途は限られ、

ゲームに利用される例はごくわずかのムービーやインターフェースの一部が

せいぜいだった。

 

だが、ある時点で発想の転換により普及への道が開かれた。

リアルじゃなくて、全てがデータで構成されているダイブ空間で投影すれば

いいじゃないか。

ドールマスター2888に利用されている、

ダイブ空間での入れ子構造のような立体投影技術である。

ダイブ空間を間接的に利用する立体投影映像。その発想によりコスト問題は

完全に解決し、

データとして構成されるため、全てをデータログとして管理し残すことも可能になり、

法的問題の整備も一挙に進んだのだった、という。

 

「それで、ですね。対戦ですけど……」

 

『経験ないんだよなぁ……』『名前は知ってるんだが』『ガチャプレイでもいい?』

『モニター表示の2D対戦ならやったことあるよ』

 

「仕方ない……じゃあ私がまずストーリーをクリアしますね。

それで皆さん誰を使うか決めて、対戦しましょう。経験のあるハマサキさんは

最初に、みんなのお手本にということで……」

 

わくわく7を起動し、デフォルトのダイブアカウントホームで立体投影を開始。

それを直接配信する。その管理もファジーにしてくれるのがドールマスター2888、

実際すごい。

 

映像には、7人の選択キャラが投影された。

 

『7人?』『古典にしても少なくない?』『格ゲーにしては珍しいね』

 

「わくわくボールが7つなので7人……ということになってるようですね」

 

『わくわくボール?』『何だそのまんまな名前は……』『願いがかなうとか?』

 

「その通り。7つ集めると願いがかなうわくわくボールをめぐっての闘い……

だけどシリアス成分は全くないですね……」

 

7人のキャラの中から、ティセを選択する。

 

『え?ティセってあのティセ?』『そうわよ』『ティセを知らないのはモグリ』

『この娘このゲームのキャラだったんだ』『ロボなの?』『オートマータだぞ』

『ナースでメイドでオートマータ(ロボではない)で……』

『性格も家事も最高なんだゾ』

『お前らそんなことだけはよく知ってるのなw』

 

いわゆる2次創作作品において、ごく一部のキャラは細々と命脈を保ってきた。

ティセはそのうちの一人で、目隠れメイド人形というごくごく一部に

クリティカルな属性により、

その手の陰の者たちによって受け継がれてきた……ようだ。

 

俺も過去のキャラが虫食い状態で2次創作に受け継がれているのを確認した時は

驚いたものだ。

 

最初の対戦キャラは……爆皇 雷か。

 

『ばくおうらい?』『ライか』『バックオーライw』

 

主人公(少年)をイメージして作られたキャラで、実際性能も主人公っぽくて

普通に強い。

 

『普通』『普通だな!』『普通に強そう』『普通って強いな!』

 

お前らあんまり普通って言ってやるなよ……実際普通に強いけど普通過ぎて、

あんま使う人見たこと無いけどさ……。

 

「性能的には強いはずです、ストーリー最初のキャラになったら

どうしようもないので……」

 

『ティセつええ』『ズームパンチwww』『え、こんなキャラだったの?』

『電撃www』

 

危なげもなく勝利。次の対戦相手があらわれる。

 

 

「次は牧原アリーナかぁ……」

 

『アリーナってドラクエ以外にもいたんだ』『ウサ耳は本物なの?』

『っていうか全身8割タイツ!?』『これは性的すぎるのでは?』

『あーダメダメえっち騒乱罪で通報!通報です!』

 

アリーナも主人公(女)、もしくはヒロインをイメージして作られたキャラ

であったはずだが、

全身の8割を覆う青タイツに髪の毛部分に生えたウサ耳。

世界観を一気にファンタジー寄りに持って行くキャラデザインをしている。

 

……立体になるとさらにすごいな、このデザイン。

性能的には雷と同じく主人公っぽい、こちらは突進コンボ系で普通に強い

キャラ性能なのだが……。

 

「はい勝ちです」

 

『さすのび』『ジャイアントスイングからのアレなんだ?』『ハラハラアタックだぞ』

 

「ハラハラアタックの……超電子イレーザーですね。ハラハラアタックは

全てガード不能技です」

 

『マジか』『でもあれじゃこっそり発動とか確定とかは難しそうだな』

 

それができるのがいるんだよなぁ……。

 

 

 

「まぁ次いきましょうか。次は……ダンディーJ ですね」

 

ダンディーJ。それはダンディーに必要なものを与えられなかった男。

 

『ジョセフwww』『古典洋画で見た』『女の子と猫?がいますね……』

 

「女の子と猫は……すぐにわかる」

 

『すぐに……ってああっw』『投げたwww』『人間砲弾www』

 

ダンディーJって名前のわりに人間砲弾使うし、基本3枚目だし……。

 

「とくに強いってわけじゃないんだよなぁ……」

 

それが一番残念。

 

『ないのかよwww』『これはダンディらないですね……』

 

 

そしてやってきた、ボーナスステージ。

 

『ん?』『ボーナスステージか』『車壊すかな……』

 

しかし、そこで出てくるのは車でも壁でもなく。

 

『なんだこいつwww』『これがほんとの棒ナス……』

『このBGM……リュウやないかwww』

『微妙に違ってるのが笑えるwww』『くっそwwwこんなんでwww』

 

スト2のリュウをイメージしたような、ただの太い円柱の棒。ボーナスくんである。

 

『意外と強いw』『ボーナスじゃなくて乱入みたいなもんw』

 

ここらへんから油断すると負けそうになる。気をつけて次にいこう。

 

 

中2美形キャラなのにホームレス呼ばわりされる逆勘違いキャラ、スラッシュ。

 

『君は人ではないなw』『www』『こういうの嫌いじゃない』『エルフなの?』

 

「さぁ……」

 

意外と強いし美形キャラなんだが、直球過ぎて埋もれてしまった感はある。

このゲーム他数名が個性的過ぎる、とも言う。

 

ドキドキアタック……という名の適当にぶっぱしてもよく当たる超必殺技を駆使して、

しっかり勝利。ラスボスさん1名を除いて、苦戦したりはないんだよなこのゲーム。

ラスボスさん1名を除いて!(半切れ)

 

 

ポリタンクZ。

 

『おいロボが出てきたぞ』『ダサい方のロボ』『かっこ悪いほうのロボだwww』

『製作者分かってるなwww』

 

このゲームのロボットはこれだ!と選んだのが、

ロボアニメでもまれに存在する「かっこ悪いほうのロボット」。

製作者のキャラ配置を世界観に合わせる感は半端ないと今でも思います(小並感)

 

ちゅーちゅーアタックを使って倒してみた。

大きな注射器での打撃投げで、ドレイン技もある。

ナースメイドたるゆえんのひとつだ。

 

 

そして、問題のまるるんである。

 

『幼女?』『トトロじゃねえかwww』『紫トトロwww』

 

その姿は、幼女を背負った紫トトロ。

 

「あのさぁ……」

 

『言いたいことはわかる』『わかるマン』『時代のせいにしたりしなかったりしろ』

『これは森の王ですね……』

 

「操作キャラだとハラハラアタックが怖いんですけど……

CPUだとやられる前に終わっちゃいますね」

 

きっちりと弧状の電撃で距離をとり、危なげなく勝利。勝利したが、

麦ちゃん(幼女)が泣くんだよね。

 

『泣かないで』『せんせーのびちゃんが幼女泣かしました!』

『さすのび』『魔王の片鱗が』『必要な犠牲だからしゃーない』

 

俺だって(今は)小学生だぞ。あ、小学生だからそう言われるのか……。

 

 

そして7人目は、影っぽいティセ。

同キャラ対戦だが、正直同キャラならCPUに負ける要素はない。

 

 

 

「さて……ここからが本番だ……」

 

『震えて待て』『のびちゃんが本気だ……』『何が始まるんです?』

 

運命のイベントシーンが、今始まる。

 

 

 

見事わくわくボールを7つ手に入れたティセは、

台座の石碑のようなものにわくわくボールをはめ込む。

 

そしてあらわれたのは、緑の髪の……妖精?

 

《ありがとう、でも……》

 

『フラグ』『これは何か来る』

 

いきなり台座の石碑のようなものが震え、壊れだした!

 

《大変!来るわよ!》

 

『大変!来るわよ!じゃねえよwww』『自演乙』『ふざけんなwww』

 

壊れた石碑から大きな黒い球体があらわれ、見る見るうちにビルより大きくなり……。

 

『何ぞ?』『でかっ!』『格ゲーだよな?』

 

《負けないで!こっちも巨大化よ!》

 

『は?』『は?』『ちょwww待て待てwww』

 

「はい、史上最大最強悪魔の、魔界大帝フェルナンデス様デス!」

 

巨大な丸に目とクチと手足がついただけのふざけたラスボス、

それが史上最大最強悪魔の魔界大帝フェルナンデスなのだ!なのデス!

 

『でっかwww』『落書きかよwww』『ただの丸www』『怪獣映画www』

 

史上最大最強悪魔の魔界大帝フェルナンデスがあらわれ、

それに対抗するために操作主人公が巨大化し、最終決戦に挑む。

 

今回はティセなので、巨大ナースメイドと巨大悪魔球体の一大決戦である。

 

「さあ、怪獣映画の始まりだぁぁぁぁ!!」

 

ビル街を背景に、最終決戦が始まった。

 

『フィールド半分www』『全部届くパンチwww』『クソキャラ過ぎるwww』

 

フェルナンデスはだいたいフィールド半分を占拠し、端っこまで届くパンチを繰り出し、

即時発動と言っていいハラハラアタック(ガード不能)を発動し、

当身投げまで駆使して暴れまわる。

あ、ハラハラアタックはただ転がるだけなんで安心ですね。その巨体で!

 

「ふざけんな!」

 

『お、おう』『せやな……』『ガード不能発生速過ぎるだろwww』

『もうちょっとこう、手心というか……』『あーもう無茶苦茶だよー』

 

「相打ちだと負けるし、正直運ゲーの所がありますね」

 

火力が高いので、相打ちだと負ける。的確に隙をうかがって、

とにかく相手に攻撃をさせずに一方的に叩く必要がある。

 

 

 

………………

 

 

 

結局ドキドキアタックの電撃ぶっぱ連打でなんとか勝った。

 

『はぁ……』『しょっぱ』『塩のび』

 

「無茶言わないで……言わないでよもー……」

 

妖精が出てきて、お礼の言葉を述べる。

 

『はぁ……』『つっかえ、やめたらこの仕事』『黒幕じゃねーの?』

 

「いやまあ、あの黒丸が強すぎるって設定なはずなので……この子妖精のくせに、

ドラゴンボールと同格のわくわくボールとかいうの作ったんです……ですよね?

あの球体が強すぎるだけで、この子本来は相当なもんなんじゃないですかね」

 

『マジか』『シェンロン枠とはこのリハクの目をもってしても』

『結局争いの元凶では?』

 

 

 

エンディングは進み、ついにティセが自分の願いをかなえることになる。

 

『ティセ……』『ええ娘や……』『こんな子に介護されて看取られたい』

『病気の博士を治すために集めてたんやね』『これは相当なことだと思うよ』

 

「病気の博士……自分を作ったロンブローゾ博士を治すためにティセは願いました。

しかし、ティセの物語はそれだけじゃ語れない」

 

『ん?』『何かあるんか?』『まさか……トキ!』『病んでさえいなければ……』

 

「ゲーム内には多分出てこないけど、

設定資料とかバックストーリーとかでは語られています」

 

俺は設定資料を取り出して、内容を確認した。

 

「ティセの好きなものと嫌いなもの。

好き:博士と6人のお姉さん。嫌い:なし(本当は人形のような自分の体)」

 

『(泣)』『ティセ……』『ええ娘や……(数分ぶり2度目)』

『こんな子に介護されて看取られたい』

『性格天使のパーフェクトナースメイドとか』『こんなん泣いてまうやん……』

 

そしてティセは自分の願いをかなえて、博士のもとへ帰っていった……。

 

 

 

………………

 

 

 

「はい対戦です!」

 

『わー!』『パチパチ』『やるぞー!』

 

「じゃあとりあえず最初にハマサキさんと対戦して……」

 

私はもちろんティセ、ハマサキさんはまるるんを選択したようだ。

 

私はズームパンチや電撃を駆使して中距離で立ち回り、

相手の技を潰し時に接近して打撃投げや通常投げを織り交ぜて対戦を作っていく。

 

『おー』『強い……のかどうかわからんな』『あんまこのゲーム見ないし……』

 

相手を追い詰めたと思ったところで、

ハマサキさんはハラハラアタックを繰り出してきた。

しかし……。

 

「いやまあ対人だと潰すか、避けますよね……」

 

『www』『wwwww』『せやな……』

 

まるるんの技は比較的出が早いとはいえ、避けられない潰されないわけではない。

 

その後も勝負を重ね、最終的に13勝4敗。

そこそこで超絶技巧を見せるってわけにはいかなかったけど、

これはそういうゲームじゃないと思うし、

私自身もコンボや対応を憶えて対人で修行して上達して……という対人格ゲーの修行は

前世の時点でとうに引退した人間なので、それで良しとする。

 

「それじゃ、今日ものびるの実況配信、ご来場ありがとうございました!」

 

 

 

 




格ゲーから一つ……うーんわくわく7やな!(俺得)


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ゴルフ(水分マシマシ)

ホールなのかコースなのか、コレガワカラナイ


 

「はい、いつもありがとうございます、のびるです!今日は対戦、

ファミコン初期も初期の『ゴルフ』、ストロークでいってみたいと思います!」

 

『対戦きたああああ!』『連続やないか!』

『のびちゃん対戦系になるん?』

『俺得すぎて血管破裂しそう』『高血圧ニキは養生して、どうぞ』

 

「ゴルフゲームはだいたい元々合法の個人競技なんで、

設定は個別フィールドでコメント共有で行きます。

サーバー最低値でも255人まで大丈夫なので……はい、」

 

スポーツでも、ゴルフのような完全な個人競技は事情が異なる。

同じフィールドに存在させる必要すらないので、ダイブ形式でのプレイが可能なのだ。

クライアント側にワイプ機能の立体映像かモニター映像を表示し、

ホスト側に管理コンソールを配置する。

完全時間共有のチャットか時間同期ファジー設定のコメント機能を共有して、

一人一人別フィールドでゲームを進行させるのが一般的である。

 

スポーツはスポーツ競技ごとに様々な法的交渉・社会的認知を行って、

ダイブ形式ゲームへの対応を個別に行ったとされているが……詳細は明らかではない。

 

「私はですね、反省しました。ゲームでいらいらしてわめき散らしたり、

ゲームの世界がプレーヤーに対して優しくしてくれて当然という思い込みはダメです。

ダメなんじゃないかな……いけないと思います、うん」

 

『お、おう』『せやな』『すぐに草生やす煽り勢も反省して、どうぞ』

 

「そこでこのゴルフです。おだやかな心で、BGMのないファミコン初期特有の

静寂のゲームの世界を感じるのです……」

 

どうやら皆出揃ったようだ。100人くらいか?

最初の配信から、よくもここまで人が集まるようになったものだなぁ。

 

『いい……』『賞金王になりそう』『これは女子プロ』

『のびちゃ……のびるさん』『明鏡止水、明鏡止水ですぞ!』

 

頭に白のバイザーをかぶり、

オレンジ色の襟付きシャツに緑と青のチェックのスカート、

白ストッキングに白の靴下、あともちろんメガネという、

いかにもゴルフ女子な格好をした俺に、注目が集まる。

とりあえずデフォルトのゴルフ女子アバターの色変えただけなんだけどな……。

 

「それじゃ私が……」

 

無音の世界で、私の最初のショットがゴルフボールを叩く。

BGMはなく、ボールが飛ぶエフェクト音だけが世界に響き渡る。

 

『うおおおおプレイ開始だああああ!!!』『落ち着けww』

『何気にスポーツ対戦ってこれが最初じゃね?』『だよな』

『多人数同時型もこれが最初だけどかなり快適だな』

『何気にサーバー性能すごい?』『家サーバーだろうし家族有能だな』

 

ダイブフィールドでの多人数同時プレイだけあって、すごい勢いでログが流れて行く。

これは全部見て返信は無理だな……いける時に拾い読みするだけにするか。

 

「流石に第1ホールはバーディーですね……」

 

ゲーム性を重視して身体トレース機能が採用され、

ファミコンと似た操作感覚でゴルフが出来るようになっているので、

ダイブフィールドとはいえ最初からかなりの結果が出せそうだ。

 

『マジかよ』『俺ボギーなんだが……』『ダボ……』

『呼んですらもらえない+3以上だぞ』『お前ら……』

 

……あれ?ひょっとして元ゲームのゴルフ経験者もあんまいない……のか?

 

『経験者いないのかよ』『リアルではあるけどゲームはやったことないぞ』

『ダイブ型スポーツゲームって偏見あったから……』

『だな、ゴルフなら元々合法作品があるってのも知らんかったし』

 

それかー!

 

「あーそれじゃ仕方ないですね。スコア諦めて、慣れるのと楽しむの重視で行きましょう」

 

『せやな』『ですね』『やむを得ない!』

 

出来る人がいるようならもっとスコアで一喜一憂しようかとも思っていたが、

いないのなら仕方ない。解説や助言重視の初見に優しい実況で行こう……。

行けたらいいな。

 

第2、第3ホールは大きな池のあるコースである。

 

「まずはクラブの距離をつかんで……風があったら曲がるんで注意した方がいいですよ」

 

『ぐわーやられたー』『ピシャーン!ドゥードゥードゥーwww』

『風め……余を愚弄するか!』『アイアンで刻んでいく(なおダボ)』

 

楽しそうだからいいか。

なお俺は第2ではバーディーだったがショートホールの第3ではパーだった。

……ショート苦手なんだよね。

 

その後ちょっと曲がった第4でバーディーをとり、

迎えた第5ホールはパー5の池ありロングホール。

 

『さらっとイーグルをとっていく』『さすのび』『アンダー……だと?』

 

「まあこのゲーム感覚をつかんじゃえば簡単ですからね。

ゲームなら体力なくても出来ますし……出来る……出来ます。はい」

 

『あっ……』『(察し)』『体育を見学できないか常に悪知恵働かせてそう』

『リアルとかクソゲー、俺たちには古典ゲームがある』『それな』

 

共感したくないけどしてしまう……これが陰の者(ニュータイプ)の共感!?

やはり陽よりやはり陰だな……(自己欺瞞)

 

第6ホール。現実ではありえないような、大きな湖か海に浮かぶ小島のようなコース。

 

『海www』『潮騒が目にしみますね……(震え声)』

『ダイブ空間もクソゲー』『それな』『何でやゲーム特有の謎コース面白いやろw』

 

ゴルフをと言うよりは、海の小島コースというリアルではありえない

美しい景色と光景を楽しんだ。もちろんバーディー。

 

 

第7ホールは、コースの中を川が斜めに突っ切っているようなコース。

 

「珍しいけどないこともない……ないよね?あるある?」

 

『あるあるwww』『ねーよwww』『小川ぐらいならよくある?』

 

そして迎えた第8ホール。パー5のロングコースで、

OB地帯の森の中にグリーンへ直行できる円形のフェアウェイがある。

 

『あるあ……ねーよwww』『これは誘われてますね……』

『誘ってやがる!意地汚いゴルフコースめ!』

 

「よく狙って……ホィッと。……やってて何ですけど、皆さんはやらないほうがいいと思います」

 

『そんな餌に釣られ……クマー!』『かくいう私もゴルフのプロでね』『やりました(OB)』

 

なぜやるかというと、そこにイーグルがあるからだ。俺は出来た、皆はできなかった。

 

第9は海か湖の島が陸橋で繋がっているようなコース。

それを無視すればただのショートコースだが。

 

「もー!だからショートは苦手だっていったでしょー!ほんとにもー!」

 

『かわいい』『のびちゃんのもー出た!』『出た!これで勝つる』

 

 

第10は何のひねりもない普通のコースだ。

 

『普通』『普通だな!』

 

普通なので普通にバーディーだった。次行こう。

 

そして第11ホールは……。

 

「まーたショート作って!こーなったらもーホールインワン!してやる!それ!」

 

普通に無理で、その上パーでした。

 

『知ってた』『www』『ショートホール苦手って珍しい気がする』

『何でかな……?』『わからん……』

 

第12ホールは、普通だけどグリーンの位置がちょっと曲がってる。そんなコース。

 

「風強っ!何16mって!」

 

ここで風のシステムがのびるに牙を剥いた。

 

「まあ、普通に行けるんですけどね……」

 

元おっさん転生者は伊達じゃない。

ファミコンのゴルフは風速ごとの曲がりを体得するまでやり込んだのだ!

 

『さすのび』『これはプロ』『野生のプロ』『女子プロ』

『女子プロレス?(勘違い)』『風とか大した事ないやん!(フラグ)』

 

そして第13ホールは、またもや海に浮かぶ小島のコース。

しかも今度はパー5のロングホールである。

 

『お?またイーグルか?』『のびちゃんのイーグルが見たい!』

 

ロングホールでは積極的にイーグルを狙う俺だが……ここはやめておく。

 

『塩』『塩対応』『のびちゃんがイキらないなんて……』

 

「流石にウォーターハザード全開のコースでギリギリを狙うのはちょっと……」

 

無難に小島を経由して、バーディーとなった。これでいいのだ。

 

第14ホールはショートホールで、あんのじょうパー。

 

第15ホールは……。

 

「ホントに水が好きだな!」

 

『はい』『はい……』『はい……(絶望)』

 

しかし第16ホールも、曲がりくねった大き目の川?のような水を越えるコースである。

 

「もう何も言うことはない……」

 

『はい……』『コレデヨイ……』『これでいいのだ……』

 

水に疲れきった我々は、曲がっているだけの第17ホールで安堵した。

 

「今更だけどフィールドの風景とかもいいですよね……」

 

『わかる』『俺も俺も』『俺は海の小島コースも好きだぜ!』

 

ゲームは進み、俺はついに最終の第18ホールに足を踏み入れた。

 

「さあ、私はとりあえず本日最後の第18ホールです。皆さん今日はどうでしたか?」

 

『楽しい!』『すっごーい!』『明鏡止水!イヤー!』

『ああ、のびちゃんとゲームしてるんやなって……最高やな!』

『水には苦しみましたが、今はもうおとなしい』『コレデヨイ……』

 

……若干名意味不明なのもいるが、概ね好評のようだ。

多人数型ダイブゲームも、出来るなら、またやってもいいかも知れん。

 

「えーと、私の成績は-15ですね。皆さんはどうでしたか?」

 

『のびちゃんプロじゃん……』『追いつけない……』『アンダーの人いる?』

 

想像以上に苦戦したみたいだな……風評被害のせいで、前世では売れたこのゲームも、

現代ではマイナーの範疇に入っているのかもしれない。

 

 

 

……仕方ない、盛り上げのために俺のとっておきを披露しちゃおうか。

 

「えーと、このまま終わるのもアレなんで、このまま私の……えっと、

のびる@サーバーに移動してもらえますか?歌を歌います!」

 

『え?』『歌?』『歌……だと!?』『歌い手きたああああ』

『踊りみたいになる……ならない?(疑惑)』『何歌うのー?』

 

あらかじめ用意した草原小川フィールドに入り、

テトリス武闘外伝のグランプリンセス衣装……薄紫のドレスに手袋、

緑の宝石をあしらったティアラにもちろんメガネ。手に持つ羽扇を振って宣言する。

 

「古典ゲーマーの歌と言えば、まずはこれしかないでしょう!

ボンバーキングの例の歌です!聞いてください!」

 

このあと大いに盛り上がった。歌って踊って盛り上がりはした。

どのように盛り上がったかは……言わないでおく。

 

 

 




あわれな踊りにあわれな歌(無慈悲なネタバレ)


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〈掲示板回〉掲示板めぐり

法術戦闘……うっ頭が


 

【実況】古典ゲーム新人スレ

 

 

560:名無しゲーマー 22:00

【悲報】殺人コアラ君、久遠の絆の法術戦闘でくじける

 

561:名無しゲーマー 22:02

知ってたw

 

562:名無しゲーマー 22:03

あれダイブになったら無理ゲー化したよな……

 

563:名無しゲーマー 22:04

元から微妙に難しいのに、

ダイブだとリアルタイム戦闘中に3次元で五芒星書けって言われるからなw

もはやリアル陰陽師専用ゲーだろw

 

564:名無しゲーマー 22:04

つかコアラはときメモでもバンバンヒロイン出してたよな……

初見って怖い

 

565:名無しゲーマー 22:13

誰かハゲのやってる百鬼夜行に詳しい人いない?全然進展なくてやばいんだが

 

566:名無しゲーマー 22:15

知らん。

 

567:名無しゲーマー 22:16

知らんな。

 

568:名無しゲーマー 22:18

仲間で売ってるものが変わる?ってのは聞いたことあるけど

 

569:名無しゲーマー 22:33

ハゲは積んでるキョンシーズ2クリアしろよ。もう少しなんだろ?

 

570:名無しゲーマー 22:35

いや、アレ最初だろ?最終的には全員クリアしないとダメだぞ。

しかも代わり映えしないし最後のEDもメッセージがちょっと出るだけ

 

571:名無しゲーマー 22:36

マジかよ……あの作業を4人分でそれって……

すまんハゲの気持ち分かるわ、うん。

 

572:名無しゲーマー 22:39

のびちゃんかわいい!>>(動画リンク)

 

573:名無しゲーマー 22:41

何だ急に草生えてきた

 

574:名無しゲーマー 22:42

雑草は野に帰れ!

 

575:名無しゲーマー 22:44

雑草は草wのびるだけに

 

576:名無しゲーマー 22:45

誰が上手いこと言えと

 

577:名無しゲーマー 22:46

草バエルw

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

【音MAD】実況者MAD新作スレ【シーンまとめ】

 

 

23:名無しゲーマー 19:46

みつるMADもう1位かよwww

FFでもやっぱ神来てるなこいつw

 

24:名無しゲーマー 19:48

セーブしろ連打は耐えられんかったw

沼地できっちり麻痺全滅するみつるもアレだがこのMAD作者来てるなw

 

25:名無しゲーマー 19:50

3人に勝てないコアラよくばりセットもきついわw

この俺の陰陽術が……からの命乞いおかわり3回目で爆笑したwww

 

26:名無しゲーマー 19:52

遊戯連の解説まとめシリーズもいいぞ!

何より副会長の黒ストが(ry

 

27:名無しゲーマー 19:53

通報しました

 

28:名無しゲーマー 19:53

然り然り

 

29:名無しゲーマー 19:54

今週は豊作だな。実況者もだがMAD作者もいい流れ来てるね

 

30:名無しゲーマー 19:56

のびるの野草MADがわりと最近のイナフ

 

31:名無しゲーマー 19:58

あれいいよなw雑草からのやそやそ野草です!連呼w

 

32:名無しゲーマー 19:59

あの呪われた踊りと奇妙な歌が頭から離れない……

 

33:名無しゲーマー 20:01

音程とか声はばっちりなのに、

理解に苦しむセルフ合いの手とわけわからんビブラートで台無しにしてるよな……。

音痴じゃないのに歌下手って支離滅裂だろw

 

34:名無しゲーマー 20:03

頻繁に「はいはい!」とか「そらよっ!」とかねじ込んでくるよなw

例えるなら料理下手のクソアレンジみたいというか

 

35:名無しゲーマー 20:05

それだ!いや漫画みたいな黙ってれば美少女だけど……ってのが実在するとは

 

36:名無しゲーマー 20:06

美少女とは限らんぞ

 

37:名無しゲーマー 20:07

俺は俺の美少女センサーを信じる!

 

38:名無しゲーマー 20:08

お、おう……

 

39:名無しゲーマー 20:08

きたあかりはどうよ?

 

40:名無しゲーマー 20:10

芋は喋っても美少女だろ!

 

41:名無しゲーマー 20:11

美少女とは(ry

 

42:名無しゲーマー 20:14

芋はMADないのがね……乙女ゲーが男作者にきついからだと思うが

ジャス学で出るかもな

 

43:名無しゲーマー 20:16

MADはよ

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

【総合】クソゲー実況総合【ハゲ一色】

 

 

400:名無しゲーマー 00:12

霊界やばい……何だあの無駄迷路

 

401:名無しゲーマー 00:13

これ何週分もやるんだろ?

しかもダイブになってリアル化してるからガチホラーフィールドでだぞ?

ハゲでもきついんじゃ……

 

402:名無しゲーマー 00:14

ハゲ全周回やるってよ。耐性あるし平気だって

 

403:名無しゲーマー 00:15

やるじゃん

 

404:名無しゲーマー 00:17

やるハゲ

 

405:名無しゲーマー 00:17

全周回は未クリアだったよな。伝説のしょっぱいEDが立体化して流れるのか……

 

406:名無しゲーマー 00:19

萎えること言ってやるなよ……

 

407:名無しゲーマー 00:44

おい!アーカイブ班からタッチED報告あったぞ!

 

408:名無しゲーマー 00:45

マ?

 

409:名無しゲーマー 00:45

マジで?

 

410:名無しゲーマー 00:46

マジのマジで、どうやらみなみ自機。

EDはダイブ配慮でチュー撤廃、静止映像になってる模様

 

411:名無しゲーマー 00:49

のびるじゃねえか!しかしこのEDは……

 

412:名無しゲーマー 00:51

あら^~

 

413:名無しゲーマー 00:52

乙女ゲーと化したタッチ

 

414:名無しゲーマー 00:53

しかし予想以上だな……

 

415:名無しゲーマー 00:55

情報分かったからもう皆行けそうだが、

正直初見でクリアできるかって言われたら出来る気しないわ

 

416:名無しゲーマー 00:56

野球って何だろ……

 

417:名無しゲーマー 00:57

考えるな、感じるんだ!

 

418:名無しゲーマー 00:58

ンッンー!名言ですな!

 

 

 

 

 




のびるちゃんは美少女!なお他の(以下検閲)


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うおーズ(やはりチャンピオンだった!)

大自然の掟体験ゲーム(魚編)


「はいのびるです!今日も皆さんよろしくお願いします!」

 

『わっこおおおお』『わこつ』『のびるちゃーん』

 

今日は……660人来てる!?な、何があったんだ?

どこかで紹介でもされたか?この調子で増えたら……どうしよう?

 

「今日はですね……ゲームボーイのうおーズ!やっていこうと思います!」

 

『ウォーズ?』『ゲームボーイウォーズか!』『またイキリのびちゃん?』

 

「ゲームボーイウォーズではありません!うおーズです!魚です!」

 

『は?』『何それ?』『知らない……』

 

「それでですね……これは魚が主人公なんですけど、あえて主観モードで!

やってみようかと思います!」

 

『な、なにィ!?』『魚主観とか……漢だ……』『さすのび……』

 

魚主観とは?ゲームの中には人外主人公の作品も多数ある。

うおーズはその中の一つ、完全な魚主人公オンリーのゲームなのだ。

 

流石に感覚とか思考その他を人外で体感するのは危険とされ、

視点と動作だけの主観操作となるが、

それでも人間の身体を動かす操作感とは全く別物。

 

特に実況する場合はコメント出力の思考操作もあるので、

適応に苦労することになる。

 

しかし、元になったゲーム……非ダイブ時代のゲームをやりこんでいれば話は別。

その元ゲームの操作感を頼りに、かなりの速さで適応することが出来るのだ!

……今日うおーズをやろうと引っ張り出して、数時間ほど悪戦苦闘して適応した。

どうしてもやりたかったので!

 

そうして乗り込んだ魚主観、海中フィールドの背景はまさにダイブ。

テトラポッドに岩肌、海中の太陽光まで表現されていてなかなかに豪華だ。

 

『何で人魚じゃないんですか!?(絶望)』『生きる望みをなくした……』

『BGMいいな』『クソゲーはBGMがいいの法則』『これクソなの?』

 

「いえ、短いのがネックですけど、内容そのものはすごい楽しい部類ですよこれ」

 

食うか食われるかのサバイバル(魚)の感覚が味わえる。HP設定などなく、

食われてしまえば即死の大変漢らしいシステムとなっている。

 

ゲームボーイでは黒かった自機の魚は、

俺のアバターにちょっと合わせたのか濃いめの緑色になっている。

そんなとこ凝らなくてもいいと思うが。

 

「流石に感覚とかは大部分カットされてるみたいですね……あ、これは」

 

俺が泳いで進む先に、小魚が群れていた。

 

「この小魚を、最初は25匹食べればいいわけです。こうやって……はい!」

 

このゲームは突進がそのまま噛み付きなっている。

獲物を見つけたら突進し、噛み付き、そのまま連打で飲み込む、

というのがほぼ唯一にして必須の動作となる。

このダイブリメイクにおいては……そのまま突進・噛みつき・噛み動作でいいようだ。

 

ちなみに海面を飛び出してジャンプすることも出来る。

隙が大きいから追い詰められないとやらないけど。

 

「あと24匹……」

 

『楽勝やん』『敵いないの?』

 

「敵いますよ。1フィールドに1匹ですけど中魚が出てきて……ほら、あれです」

 

そこにいたのは 自機の魚より大きな魚。

 

「これ胸びれも背びれもないんで魚に見えませんよね。全部そうなんですけど」

 

『確かに』『フーセンか何かに見える』『中魚、大魚とかいるの?』

 

「噛まれたら一撃死ですけど、地形を利用して立ち回れば……」

 

『中魚テトラポッドに挟まってる……』『しょせんAI』『悲しきCPUの悲劇……』

 

「いやその、こういうゲームなんでそう言われても……はい、クリアです。造作もないですね」

 

『はいイキる』『細かくドヤるのかわいい』『手堅くイキっていく』

 

 

 

「これで……レベルごとに3ステージあって、レベルは3で終わりです」

 

『ファ!?』『短っ!』『全9ステージ?』

 

「あと、裏ステージというか2週目のABC表記の3レベルがあるんですけど、

それで完全クリアですね」

 

『若干伸びた……』『でもまだ短いな、18?』『まあマシにはなったが』

 

ゲームボーイだから仕方ない……っていっても魔界塔士の方が先だった気がするが……。

 

「手軽に遊べるってのも利点といえば利点ですね……って猫っ!?」

 

『ネコとヨットw』『唐突すぎww』『ジャンプ先に猫がいるwww』

 

……ちょっとびびったが、危なげなく3ステージ目もクリア。

 

 

 

「レベル2に入りますね、ここからは4文字パスワードがあります」

 

そして……初見はかなり驚くだろうなこれは。

俺も、正直魚主観で今まで捕食者だった「中魚」が小さく見えると不思議な感じがするが。

 

『!?』『でっか!』『小魚と中魚が……中魚と大魚になった!?』

 

「そうです。自機の成長と共に、レベル2では中魚を食べて、

大魚に捕食されることになりますね」

 

しかし、それで食べるのが20匹とは少し、食べすぎな気がするが……。

 

「ってひゃあぁ!?」

 

フィールド外から突然の突進で目前に現れた大魚に、一撃で捕食された。

立体フィールドの捕食される感覚って、正直言ってかなり怖い……怖くない?

 

『大自然の掟です』『食うか食われるか』『やはり修羅界……』

『のびちゃんの実家怖ぇ』『さすのび』

 

散々である。

 

「もー!実家じゃないって!頭来た!さっさとクリアしちゃうからもー!」

 

その後、タコをスルーし、ジャンプした先のカモメを運よくギリギリかわし、

見事レベル2もクリアする。

 

 

 

 

そして迎えたレベル3では、あんのじょう。

 

『でかっ!』『でか!』『すごく……大きいです……』

 

大魚を15匹食らい、さらに大きい巨魚から逃げる日々が始まる。

 

「やることは変わらんのよねー」

 

『のびちゃん大きくなったな』『すごく……大きいです……』

 

「基本変わらないんで、ちゃっちゃと行きます」

 

『相変わらずBGMはいいゾ』『これしかないから洗脳されそう』

『もう手遅れですぞ……』『いいんだけどエンドレスで気が狂いそう』

 

もう魚主観の操作も慣れ、楽々とステージをクリアする。

そして、ここからが本当の地獄だ……。

 

 

 

 

「ラストステージ。食べるのは3匹です」

 

『それだけ?』『楽勝やん!』『ダイバーいるwww』

 

「はい、ダイバーがいます。飾りです。そしてこのステージは……」

 

『ん?』『なんや……』『飾りかよw』

 

「巨魚を食え!」

 

『は』『は?』『ちょっとよくわからない……』

 

「実はこの巨魚……尻尾からなら食える!」

 

『ダ、ダニィ!?』『のびちゃんの逆襲』『食らいついていけ』

 

地形を利用し、食われないように立ち回るのは変わらない。

それに加えて、このステージは何としても捕食者である巨魚を逆に食わなければならないのだ。

 

「もーーーー!ちくしょーめ!おのれ巨魚!またしても我が覇道を阻むかー!」

 

『のびちゃん今度は覇王になってる……』『強そう』『奇襲に弱そう』

『四面楚歌に陥りそう』『最終的に負けます』

 

「よし……いい子だ……そのまま真っ直ぐ……」

 

『まだだ……』『まだだょ……』『暴れんな……暴れんなよ……』

 

「うおおお!今だああああ!!」

 

『突撃じゃー!!』『イクゾー!』『グランダルメは地上最強!!』

 

隙をみせた巨魚に、尻尾から食らいつき噛み、噛み!

 

「勝った……まずは1匹目!」

 

一度コツをつかんでしまえばどうということはない。

待ちの戦法で次々と食らいつき、ついに3匹目の巨魚を捕食した!

 

『やったああああ』『エンディングだー!』『すっごーい!』

『のびる……お前がナンバー1だ』『おめえええええ』

 

エンディングは、大きな魚がWINNERと書かれた横断幕を引いて、

その周りを主人公の仲間?の魚が行進しているというだけのシンプルなもの。

ただ、このリメイクにおいてはかなり力を入れたらしく、

取り巻きの魚が大群になり、大きな魚は主人公自身と分かるような仕組みになっている。

というかいつの間にか俺が横断幕をくわえて、引っ張っていた。

 

『WINNER』『まーたBGMええやん……』『ひょっとして良ゲーなのでは?』

『漁ゲー』『誰が上手いこと言えと』

 

「安心するのは早いぞ、諸君」

 

『せやった……(絶望)』『クゥーン……』『今はもうおとなしい……』

 

「実際のとこあんま変わらないんで……さくっとクリアできちゃいますけど」

 

『ズコー』『お、おう』『まあ、そうなるな』

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

そして2週目。ABCの3つのレベルを乗り越え、実に5匹の。5匹の!

巨魚を食らってエンディングに到達した俺が見たものは。

あいも変わらずWINNERと書かれた横断幕を引っ張る俺と、周囲の魚。それに、

 

CHAMPION OF OCEAN

 

の文字だった。

 

『海の王者!』『チャンピオン!』『世界に生きる全てのもののチャンピオン……』

『YNC(やはりのびるはチャンピオン)なんやなって』『宿命づけられていく』

『全てのチャンピオンを求めていくんやなって』

 

ここでチャンピオンかよ!知らねえというか忘れてたよこんなん!

俺が狙ってやったかのような風評やめろよ!マジで!

 

「もー!知らない!もー好きに言ったらいいじゃん!もー!」

 

『のびちゃんはのびちゃんだよ』『チャンピオン!』『ゆ、許された!』

 

そしてシステム上、エンディング後の強制ゲームオーバーで終わりとなったゲームにより、

標準アバターに戻りアカウントホームで俺が見たものは。

 

『王者!』『チャンピオン!』『魔王!』『姫!』『のびちゃん!』

 

などと、俺の呼称を主張することで盛り上がる視聴者の姿だった。

……ネタで盛り上がっちゃった気持ちは分かるし、何とも言えない。

俺が別れの挨拶をしたのは、皆のコメントが落ち着いた数分後のことだった。

 

 

 

 




タイトルがシンプルなのにややこしいことになる……ならない?


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ロマンシングサガ〈AIの友達も悪くないな〉

初見でも稼いでいく攻略派の鑑


 

今日も今日とて、来場者779人。

超マイナーなうおーズの次回にもこれだけ来てくれる人がいるのは、正直嬉しい。

 

「どうも!のびるです!チャンピオンです!」

 

『ついに開き直ったw』『ドーモ、チャンピオン・サン?』

 

「すいません、次何やろうか悩んでたらチャンピオン発言からロマサガが……」

 

『マルディアスに逃げるな』

『むしろマルディアスは何でも受け入れるんだが?』

『それはそれは残酷なお話ですわ?お?』

 

「えーとそれじゃ、始めます、えい!」

 

前は……クリスタルシティで戦士と女闘士を仲間にして終わったんだっけ。

クリスタルシティの町並みと、戦士・女闘士が俺を出迎えた。

 

「あ、えーとすいません、これから稼ぎに南エスタミルまで行こうと思うんですが」

 

俺が問うと、2人の仲間はすぐに承諾の意を示す。

 

「じゃあ、行きますか」

 

移動はゲーム再現として、何もない限りにおいては省略である。

正直リアルに冒険者としての移動をやられるとひどいことになりそうなので、

これは助かると安堵した俺だった。

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

と言う間に着きました、南エスタミル。エスタミルが世界マップになかったので、

ヨービルからなけなしのお金を払って船で北エスタミルへと向かい、

そこの下水道を通って南エスタミルに抜ける。見よ!俺の華麗な敵避けテクニックを!

 

『さらっと全避けしとるw』『さすのびw』『なにわろてんねんw』

 

敵避けスキルはリアルで。ステルス・忍び足など飾りよ!

ダイブだとなんか忍者ごっことかかくれんぼみたいで超楽しい!

エンカウントすることなく、南エスタミルにたどり着いた。

 

「じゃあ稼ぎをやります。作戦名はごろつき地図コレクション!これです!」

 

『初見でガチ稼ぎじゃねえかwww』『引くわー』『せっかくの初見プレイが……』

 

「確かに私もどうかとは思いますけど、優位な術を揃えないと

術士プレイって難しいじゃないですか?」

 

『そうかも知れんが』『うーん、無罪w』『まー術士はそうだけどさ』

 

「というわけで行きますよ!」

 

南エスタミルではごろつきが街をうろついていて、目をつけられると追ってきて金を要求される、

という小イベントがある。それをどうやって稼ぎに結びつけるのかだが、

それはお宝の地図というドロップアイテムが関係する。

お宝の地図は全ての敵からドロップするが、

他のドロップに上書きされてしまうという特性を持っているのだ。

 

つまり何もドロップしない上に最序盤の弱い固定敵であるごろつきを利用して、

クイックセーブ・ロードを繰り返し、ごろつきからお宝の地図を奪い取る。

アイテム入手とそれによる強さ・金銭のバランス崩壊をするためのインフレ技なのだ!

 

「これで南エスタミルのダニが一匹減ったな!」

 

『で、出たー!のびちゃんのイキり』『隙あらばイキるのさ!』

『ダニ駆除は覇王の責務』

 

「えーと、ニューロードに、ガレサステップ?あとは二つの月の神殿?」

 

ダイブ型リメイクの時代になってまでこの技を残してあるか不安だったが、

必要なゲーム的要素は細かいところまで再現されているようだ。

お宝の地図が3個手に入り、そのうちの2つが無条件に探索可能な場所だった。

 

『やるやん!』『リセマラしづらいけど結構運がいいな』『お宝でパワープレイや!』

 

早速お宝を発掘に行こうとしたが……肝心の財宝サーチと財宝発掘のスキルがなかった。

今はジュエルがないので、スキルを身につけることも出来ない。

オリジナルプレイのハンデみたいなもんか?

 

 

 

何かイベントをこなさなければ……とりあえず場所的にお手軽な、

ウハンジの秘密を受けることにする。

 

≪あんた、仕事をやる気はないかい?ちょっとやばい仕事なんだけど……≫

 

「はい!やばい仕事大好きです!受けます受けます!」

 

≪……?じゃあ、そこのお客さんと話してみて≫

 

パブのマスターに話しかけ、カウンター席の男から、やばい仕事を引き受ける。

 

≪……頼むぞ?≫

 

「は、はい!よろしくお願いします!もーばっちりです……ホントに……ハイ」

 

≪……?まあいい、よろしく頼む≫

 

ウハンジというこのエスタミルのリー(王のようなもの)の奥さんが、

夫のハーレム探しを依頼するというイベントだ。コミュ障全開の俺に、

戦士さんと女闘士さんが若干引き気味になっているように見える気がするが、

見なかったことにしよう。南エスタミルの街をうろつき、ファラの家を探す。

ファラは仲間になるキャラクターで、このイベントで借金のカタに連れて行かれるのだ。

 

そして、再び下水道を通り北エスタミルへ。南エスタミルで受けたこの依頼だが、

探すべき場所は北エスタミルにあるアムト神殿。

アムト神殿の脇の隠し通路を通り、見張りをしばき倒して、

見事ウハンジのハーレムを発見した。

 

≪私、タラール族のアイシャ!≫

 

「はい、のびるです!よ、よろしくお願いしまぁー……」

 

『草』『完全に陰の者で草』『AIアイシャにすらキョドってて草』

 

これは8人の主人公の一人、アイシャ。他の主人公で始めるとここにいる。

彼女が主人公だと分岐もあるのだが……まあそこは割愛して、

今は即戦力として仲間に入れておく。

 

そしてその隣にいるファラに話しかけると、新しい人が入ってくるが、

それがまた8人の主人公の一人、ジャミルである。ただし女装。

ファラを助けるために女に化けてハーレムに潜入するという、

スーファミ版から存在するイベントなのだ。

 

しかし、ここでただ終わるはずもなく、ウハンジと護衛があらわれて、

ウハンジガードとの戦闘になる。

仲間の人数がしっかり揃っていれば勝てる程度の強さだが。

イベント的にジャミルが、アイシャに話しかけていればアイシャが戦闘に加わるので、

始まって即来ました!という状態でなければ負けはないだろう。

 

ウハンジは命乞いをするが……助けたほうが得なので、命だけは助けてやる。

 

「命拾いしたな!」

 

『お前がなw』『AIにすら不審に思われてて草生えるw』

『のびちゃんホンマに小学校に通えてるんかw』『不審者レベルだろこれw』

 

うー……好き放題言いやがって。俺だって頑張ってるんだ、

ただ前世の経験を合わせてすら届かない強烈なぼっちの壁を、

今俺は必死こいて越えようとしている途中なんだ!

前世の経験を残したまま美少女になった今ならこの壁は越えられるんだ!

多分!絶対!そのうち……何とか……しようと。ハイ。

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

場面はファラの家に転換し、待望の報酬のジュエルが手に入る。

386……というと、PS2版より若干増えているような気がする。

初回から職業やスキルを楽しんでもらいたいという配慮だろうか?

何にせよこれは嬉しい。

 

……敵が強化されるんじゃないかという不安も同時に生じるが、

それは今悩んでも仕方ないだろう。

 

≪さってと。俺はどうしようかな?≫

 

ジャミルを仲間に誘えるので、もちろん誘う。

 

「はひっ!えと、あの」

 

『頑張って』『のびちゃん、もう少し!』

『しょせんAI、しょせんAIやぞ』

 

皆の気遣いがいたたまれないやら暖かいやら。

 

「よろしくお願い、します。ハイ」

 

何とか、普通の範疇で受け答えできた。

 

あとは報酬の残り、2500金をパブでもらって今日は終わろう。

そう考えてパブに足を踏み入れると、そこにはこれまた8人の主人公の一人、

バーバラがいた。選ばれなかった主人公も、

こうしてホイホイパブに出てくるのがロマサガなのだ。

 

このリメイクは仲間を6人まで入れられるので、仲間にしてしまってもいいが。

 

≪あたしはバーバラ。ニューロードを旅してるんだよ≫

 

「あ、えーと、その、仲間に……その」

 

≪落ち着いて。深呼吸しましょう。あなたのお名前は?≫

 

『優しい』『さすバーバラ』『姐さんの気遣いが心にしみる……』

『これほんとにAI?』『俺らより優秀かも知れん……』『おい馬鹿やめろ』

 

「あ、はい、ええと、私はのびるっていいます、よろしくお願いします!」

 

バーバラが仲間になった!

ふぅ。AIバーバラさんのおかげで何とかなったぞ!

 

「AIの友達も悪くないな」

 

『草』『【悲報】のびちゃん、AIに屈する』『こんなん大草原やwww』

『ワタクシ涙が止まりません……』

 

「もー、いいもん!機械の友達だって悪くないもん!ドラえもん好きだもん!」

 

『wwwww』『ドwラwえwもwんw』『唐突なドラえもんに草不可避www』

『草の上に草生え散らかすのやめろwww』『古典浸りの日々で脳が古典にwww』

 

どうせ俺はこの時代では古典と呼ばれる時代からやってきた古典脳の男……元男。

生まれ変わったと理解した時に、好きなことして、好きなこと言って生きると決めたんだ!

決めた……覚悟決まってるといいなぁ。

 

「まだ財宝発掘してないけど……今日はここら辺にしておきます」

 

『乙』『おっつう』『今日も最高やったw』『のびちゃんありがとー』

 

だから堂々と言ってやる。AIの友達も悪くないな、と!

 

 

 




機械は友達(友達にしてくれるとは言ってない)


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マリオペイント〈+アーカイブ動画・掲示板コメ返〉

空中戦である。


今日も今日とて来場者988人。

ちょっと増えすぎじゃない?これでは一気に最低収入条件である初動1000人を越えてしまう。

前世と今世合わせて初めての配信・動画収入を得ることになるのだが、

まだその最後の覚悟も具体的な準備も出来ていない。考えておかないと。

 

「はい!のびるです!今日はマリオペイントです!皆さんよろしくお願いします!」

 

『待ってた!』『イエーーー!』『初見、古典ゲームですか?』

 

「今日はですね、最初ハエ叩きでこのマリオペイントの操作に慣れて、

それが終わったら絵とアニメーションと音楽を作りながら、

アーカイブ動画のコメント返信とアカウント掲示板のレス返信、頑張ってみたいと思います!」

 

『同時にか……のびちゃん大丈夫?』『マルチタスク過ぎてパニクりそう』

 

「大丈夫です、右脳しか使わないで絵を描く的なオート作業には自信あります!」

 

まあ、それやると品質はお察しになるんだけどな。

自己アカウントのダイブフィールドでスイッチを切り替え、

マリオペイントのフィールドに移動する。

 

「あー……このBGM癒される……好き……」

 

『好き……』『のびちゃん好き』『みんな好き』『愛だよ、愛……』『やさしい世界』

 

「で、ですね。このマリオペイント、

リメイクにあたりダイブ式になってるので、基本3Dなんですが……」

 

『原作はマウス操作なんだっけ?』

『ハエ叩きでマウス操作に慣れて欲しいみたいな狙いはあったのかな』

『対応ゲームは他一つしか出なかったみたいだけどな……』

『マウスでも操作できるってのは結構あったけど……だな』

『マウスってトラックボールのこと?』『お?トラ派か?』『お?やんのか?』

 

「ケンカはいけません!」

 

『はい』『はい……』

 

ふう、全くマウス派とトラ派(トラックボール派)は隙を見たら争うからな……。

未来のIT機器情勢は複雑怪奇である。

 

「じゃあ始めましょう。えーとここに……うわっと!?」

 

ハエ叩きを起動すると、白い空間の中にどこからともなくハエが現れ、

俺のアバターが仮想重力を無視して浮き上がった。

そういやそうだ、このマリオペイントは3次元だから、

高さのある構造物が作れるように仮想重力を無視して飛べるようになってるんだったな。

 

いつの間にか装備している大きなハエ叩きを手に、俺は白い空間を縦横無尽に飛び回り、

残り100匹と表示されたハエを退治してゆく。

 

『上手い上手い』『ハエは大丈夫なの?』

『羽生えてる……』『天使のびちゃんじゃないか!』

 

背中を確かめると、どうやらマジで小さめの白い翼の飾りが生えているようだ。

動かない飛行アイコンみたいなものか。

この唐突感はマリオペイントらしいといえばらしい気もする。

 

数十匹ハエを落とすと、黄色くて大きめのハチのようなハエが姿を現す。

手早く処理し、さらにゲームを進ませると、小さなボム兵がフィールドを飛び回る。

 

『ボム兵w』『これはマリオ』『かなりマリオだよ!』

 

マリオっぽいのはここだけで、その後若干大きくなったハエと、

数の増えたハチのようなハエを何十も倒し、このハエ叩きのボス的存在、

巨大なハエが出現した。これは何度も叩かないと倒せないが、

攻撃パターンは単純だし最初のやつはそんなに問題はない。軽々と倒す。

 

『まあ余裕っしょ』『たやすいものだな』『やったぜ』

 

 

 

そしてすぐに、フィールドはレベル2へと移り変わる。

レベル2は、水色になった空間で、同じように100匹のハエを叩けばいいのだが……。

 

「ちょ、多い多い!」

 

レベル1ではフィールドに2匹か3匹しか同時にいなかったハエが、

レベル2では4匹同時が当然のように現れる。

 

「えっと……この……はいィ!」

 

なかなか対応しきれずに、黄色いハエの小バエ発射を許してしまう。

俺は無駄に華麗な空中ロールを決めて大回りし、

小バエを振り切って黄色いハエを落とした。

 

「しっかしレベル上がって急にきつくなったですね……ゲームの速さが倍増したというか……」

 

雑魚100匹までは何とか蹴散らし、今度もまた巨大なハエのボスがやって来た。

 

「うおおお!だ、だから速いって!」

 

ちょっとボスの出す弾の弾速が……。

 

「弾速が倍どころじゃない……なくない!?」

 

『急に速くなったな』『ちょとsYレならんしょこれは……?』『いやーきついっす』

 

《ア゛ーーーー!!!》

 

「やられた!んんんんー、許るさーん!!この虫野郎!!」

 

『のびちゃんおこなの?』『怒った?』『怒ってないよ?』

 

待て、れれ冷静になれ。所詮はパターン、数々のゲームで鍛えたこの俺の敵ではない!

……シューティングになるとそれほど上手いってわけじゃないけどさ。

 

『やった!』『撃破だ!』『まだ続くの?』

 

「確かレベル3までで面はループだったかな……ここのレベル終わったら

ハエ叩きは終わりにします」

 

 

 

レベル3はピンク色の空間になっている。やることは同じだが……。

 

「同時に6匹はきっついですよ……」

 

例のごとく、小さなハエから始まるのだが。

 

『なんか色っぽい声がする……』『のびちゃん大人になった?』

 

「ち、違いますよ!ハエ!ハエです!こういう声のハエが混じってるんです!」

 

なぜかやられた時に色っぽい声を出すハエが混じっているのだ。

それ以外は同時に出現する敵の数が増えたぐらいで……それが難しいのだが、

俺は難なく……というには苦労しつつ100匹のハエを叩き落し、ボスと対峙した。

 

「なんかこいつ声低いなー……っとと、弾速また速くなってる!?」

 

『はええwww』『ハエだけにはええ!』『だれうま』

『今です!』『こいつラスボス?』『当たり前だけど全部ハエなんだな……』

 

速すぎる弾速にヒヤッとする場面もあったが、結局そこからはミスることなくレベル3を終えた。

 

 

 

「延々続きますけど……とりあえずこれはこのぐらいにして、まず曲作りの方に行きますね」

 

『ハエ叩きおつ』『なんかもう達成感あるぞw』

『さて、のびちゃん問題のお芸術分野の方ですね……』『画伯かな?(予言)』

『当たりそうな予言しとくのはやめろwww』

 

何と失礼なリスナー達だろう!まあいい、俺の才能にまだ気づいていないだけ、

マリオペイントで素晴らしい作品を作れば、

きっとそのセンスに感動して称えるに違いない……(希望)

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

「さて、やって来ました。いわゆるマリオシーケンサーですね」

 

『やっほおおおお』『何が始まるんです?』

 

正直立体フィールドである意味は見出せないが、五線譜が浮き、

ツールボックスの中に飛行機やマリオの顔やスターといった音楽アイコンがしまわれている。

その音楽アイコンを五線譜に置き、音楽を作る。スーファミ版と同じ仕組みのようだな。

 

「まあとりあえず……スターを置けば綺麗な曲になる!」

 

『お、おう』『せやな』『一理ある』

 

「それじゃ、いろいろ置きながら返信していきたいと思います」

 

アーカイブ動画だけじゃなくて、アカウントの掲示板もチェックする。

どれから返信しようかな……開始当初には思いもよらなかった大量の反応が書かれている。

 

「えーっと最初は……『オフ会とかはやるんですか?』それは無理な願いだ、

私の力を超えている」

 

『知ってた』『忘れてるかも知れんがのびちゃん小学生女子だぞ』

『……素で忘れてた件』『いくら実況者って言っても小学生はな』

『確かに音声を聞かずにログ内容で見てると年上と錯覚するけどね』

 

「私も残念です……ええと次、『ゲーム以外の趣味は何ですか?』これはねー、園芸です!」

 

『これは田舎ですね……』『さすのび』『お花かな?(無垢)』

 

「花もやりますが野菜もやります!今年はえんどうまめ植えましたよ!」

 

『遠藤?』『のびちゃんに植えられたい』『遠藤……無茶しやがって……』

 

「基本難しいのは植えないです……じゃ次、『好きな食べ物は何ですか?』

梨!なしです!あとはイクラ!」

 

『なし?』『梨は千葉の魂ゾ』『のびちゃんのお子様側面を見るとほっこりする』

『梨は若干趣味渋いけどイクラはまんまですね……』

 

「次ええと……『将来の夢とかある?』ありますあります!古典発掘者兼配信ゲーマーですね!」

 

『らしい!』『まんまですね』『ゲーム以外の古典も知ってる風だし』

『こりゃ骨の髄からですな』

 

「ええと、私の姉が古典発掘者で……ゲームもそうですけど、私の半分は姉の、

半分は兄の影響ですね」

 

古典発掘者とは、文字通り古典、ゲーム以外のアニメ漫画小説は言うに及ばず、

今は忘れられ、あるいは消えてしまった作品を見つけ出し、修復し、

時には2次情報から再現する、という不可能を可能にした技術者の職種である。

個人的には、ここに転生者が絡んでいるような気もするが……。

 

「それでええと、音楽が出来ましたのでちょっと流します。はい!」

 

マリオシーケンサーから、スターをふんだんに使った自作BGMが流れる。

実に心が安らぐいい曲だぁ~。

 

『うーん……』『悪くないのでは?』

『でもアッフンの配置に微かな狂気が見える……見えない?』

『洗脳されそう』『ループしてると徐々にやばいパターン』

『安らいだら危険的なサムシングが……』

 

「じゃあBGMが出来たので、次は背景フィールドを書きます。ペイントです」

 

 

 

 

ペイントに移動し、まずは……海藻を配置する。

色は茶色、長い茎の上に大きなヤツデのような「側葉」を持つ、カジメの森である。

 

『これは狂気の天才』『草』『草』『初手で海藻配置とは……』

『その発想は人類と理解しあえない』

 

「えーとこのリメイクでは……ダイブフィールドでの直接接触操作ですね。

最初に球体とか立方体を置いて、粘土みたいに変形させて固定化する……。

重さがない分かなり便利ですよ」

 

ペイントツールから球体や立方体その他の立体を取り出し、配置して変形させ着色する作業。

 

「ええと……返信しますね。『一番好きなゲームジャンルは何ですか?』それですか……ええと、

アーカイブのモニターでやる古典原作と、ダイブリメイク版で好みが実は違ってて……。

アーカイブ版は何でもやれるんですけど、ダイブ版のホラーは苦手です。逆にこれみたいな、

ダイブフィールドで遊べるような作品はダイブ版の方が好きになってます」

 

『わかりすぎて困る』『同じのもあるけど別物もあるよな』『ダイブは別腹』

 

「次行きます……『きょうだい何人ですか?』計4人です!下から私、姉、兄、兄の順です」

 

『ああ……』『なんかわかる』『のびちゃん製造秘話』

 

そこまで返信して、気がつけば背景フィールドが完成していた。

 

「あれ、なんか予想以上に速く終わりましたね。色塗りが一瞬で

ファジーに終われるのはやっぱいいですね」

 

『なんかこう……海底?』『何で海の中に月があるんですかね……』

『海藻盛り過ぎでは?』『スター多めのキラキラしたBGMにこれは』『ありでは?』

『意識高そう……』『海藻超速コピペは草』

 

 

 

 

「はい!それでは最後に、4コマの最低限設置で3DアニメCGモーション作ります!」

 

この「マリオペイント」ダイブリメイクでは、コマ数を指定してオブジェクトを配置すると、

そのコマの間を勝手に補正してそこそこのアニメーションにしてくれる機能があるのだ。

 

「それで、アニメにするのは……クラゲです!」

 

『クラゲ?』『クラゲかぁ』『え……なんかそれっぽいぞ』

『意外に名作に見えてきた』『これは画伯じゃない画伯(トートロジー)』

 

「白い素体をそのまま持ってきて……あっと、返信しますね。『好きなテトリス棒は何ですか?』

もちろん直線のテトリス棒ですね……ってこの返信いる?」

 

『いるいる』『イルマス!』『需要ありまくり!』『のびちゃんはテトリス棒がお好き』

 

うーむ、未来って分からん。

 

「次は……『のびちゃんの中の人はいますか?』中の人などいない!」

 

『いないよ』『いるよ』『皆の心の中にいるよ』

 

「そもそも私の中の人って何……実は別人とか……」

 

『実況してると思い込んでいた……?』

『暗いアカウントフィールドで独り言を言っているだけ……』

『恐ろしい……』

 

「んで次……『ドリキャスは許可してください!何でもしますから!』ん?」

 

『ん?』『ん?』『今、何でもするって』『何でものびちゃんって』『のびちゃんのドリーム!』

 

「残念ながらドリキャス世代まではないんだよなぁ……」

 

『ないなぁ……』『そうか?』『(ドリキャス世代までは)ないです』

 

 

 

………………

 

 

 

そんなこんなで返信しているうちに、3DアニメCGモーションが完成。

白いクラゲが幼生から成体の循環を繰り返して伸び縮みしながら海を漂う、

それだけのアニメーションだ。

そのアニメーションを背景フィールドに合成し、さらにBGMをつけて、ついに作品が完成した!

 

「これがのびるアニメーション一大作品、クラゲたちのカジメリステンだ!」

 

『はい』『あっはい……』

 

完成した作品は、海中のカジメ林の中を漂うクラゲ。日時は夜で空には星と月、

BGMはスターをふんだんに使った儚さを感じさせるキラキラとした曲がエンドレスで流れる。

 

『これはこれで』『わからん……』『なんか泣きそう』『ふつくしい……』

『小学生の女の子が作りそう』『まんまで草』

 

なかなか悪くない評価じゃないか!

 

「今日もお付き合いありがとうございました!マリオペイント実況配信、のびるでした!」

 

俺は上機嫌で家に帰り、調子こいて姉にクラゲのカジメリステンを送りつけて、

寝る前に我に返って悶絶した。

 

 

 




私だってお芸術ぐらい出来ますよ!どうですか姉よ!
なお


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フリップル〈ステージ数はご褒美〉

立体化したら絶望が見えそうなゲーム


 

来場者がついに1000人を越え、1235人。

次回から収入が発生し始める人数であり、学校でも実況配信者と知られ始めるだろう。

 

この未来において実況配信者は堅い部類(技術部門)の職業であり、

中でもゲーム実況での収入発生レベルの活躍は、

前世で言えば真面目な学習教科が存在する文科系部活動、

書道や美術、吹奏楽等で外部の権威ある賞を獲得した、

というぐらいのインパクトを学校生活にもたらす。

 

やべえ、緊張で手足が固まってる……えい、えい!

ふう、大丈夫か。よし、やるぞ!

 

「今日はこちらのフリップルをやっていきたいと思います!」

 

『フリップル?』『誰?』『外人?』『歌?』

 

「ファミコンのアクションパズルですけど?」

 

『古典ゲームのアクションパズルはやたらステージありそう』

『それは大丈夫なんですかね……』

 

「これは大丈夫です。やってて楽しいのは間違いないです」

 

『のびちゃんの楽しいは信用ならないんだよなぁ……』『確かに』

 

「ステージ数が多すぎてその結果難易度が高い、けどクソゲーではない。

難易度が高いゲームはクソゲーではないのです!」

 

『そりゃそうだが』『何ステージあるん?』『言ってみたまえ』

 

「えーとクリア条件によると、エンディング見るだけなら50ステージですね。

時間制限のノーマルと、回数制限のアドバンスモード両方50ステージです」

 

『50ならまあ』『長さによる?』

 

「50ステージをクリアするとエンディングがあって、その後51ステージ以降がプレイできます。

その後200……計250ステージをクリアすると強制ゲームオーバーで終わりです!」

 

『多すぎwww』『戦って戦って終わりを迎える……』『修羅界かな?』

『褒美に死をやろう!』『やはりラスボス……』

 

「リメイクだと、紹介か単発実況だけで、ステージ10以降行った動画がないみたいですね。

私以外いないみたいなんで、250ステージクリア、いつかやります!」

 

実際いつか長時間実況で、フルステージクリアしたい。

時間的、集中力的な限界もあるので無理なものは無理なのだが……。

 

『やめて(絶望)』『やる前から分かる拷問配信』

『そのステージ数はクソゲーじゃなくてもきついだろ』

『正直単調な良作の方が実況も視聴もきついよな……』

 

「もー、しょうがないですね。じゃあノーマルのステージ50で勘弁してあげましょう」

 

『あ、はい』『武士の情け……』『べ、別にやってもいいのよ?(震え声)』

『しーっ!』『おい馬鹿やめろ』

 

 

ノーマルを選択し、フリップルのフィールドに移動する。……アバターはデフォルトのようだ。

四角い部屋の側面に昇降機のレールがあって、そこを昇降機で上下する形に変わっている。

元ゲームでは黄色い卵みたいなスライムのマスコットが、

画面右端のハシゴを上下する形だったのだが、

ダイブ形式になるときついという判断だろう。それで正解だと思う。人体じゃ長時間は無理ゲー。

 

フィールドの反対側にはブロックが積んであって、

元ゲームでは平面の正方形の山だったブロックが立方体に3次元進化している。

……これやばくね?正方形が立方体になるとブロックの数が×1辺分増えるんだが?

 

「この部屋の端っこで上下をうろうろしながら、ブロックを投げて対消滅させるゲームです」

 

『対消滅?』『反物質か何か?』『もう許せるぞオイ!』

 

「いやそう表現するのが分かりやすいというか……実際やってみましょう。えい!」

 

俺の投げた小さな立方体ブロックはそのまま空中を横すべりして、

積みあがったブロックの一つを消滅させ、その奥にあるブロックが手元に弾かれて戻ってくる。

 

『えーと、つまり?』『……直感的に分かりにくい!』

『同じブロックを投げて消滅させ、次のブロックは跳ね返ってきたブロックを使う……』

 

「はい、そうですね。ちなみに最初に投げる稲妻ブロックはオールマイティですね。

手詰まりになってミスになるともらえます。

繰り返して、そのステージの規定数以下にすればクリアです」

 

ブロックには三角とか四角とか赤丸とかのアイコンが描かれていて、

同じブロックを対消滅させることで消していき、ステージごとの規定数以下にすればクリア。

ペナルティとして、消せないブロックを投げるとぶるぶると自機が震えて時間を浪費する。

時間がゼロになるとゲームオーバー。ミスではなくゲームオーバーである。

 

『www』『震えてるw』

 

「間違えるとこうなります。さて、とりあえず早めにクリアしちゃいましょう」

 

次々にブロックを消して行き、流石にステージ1なのでジャストを狙ってクリアを達成した。

立体化への配慮なのか、時間制限が長くなり、規定数も上昇していて難易度が下がり、

実況時間的にも助かった。

 

「規定数ジャストか全消しでクリアすると、次ステージのブロックが果物になります。

といっても別に変わったことがあるようには見えないんですけど」

 

りんごやバナナ、緑のぶどう……マスカットの描かれたブロックに変わるが、

特に何か変わったようには見えない。

 

『果物好きという純粋な心やぞ』『好きなものを消すんです?』『果物は友達!(なお)』

 

ファミコン時代の精神を宿したシンプルかつ軽快なBGMと共に、

その後も俺は次々とステージのクリアを重ねた。

 

ブロックが増えたりフィールドの形が変わったり、ブロックの通るミニ土管が追加されはしたが、

基本的に絵面もBGMも何も変わらずにステージが過ぎていく。

変化は稀にステージクリア時に見せられる小ネタ劇場くらいだろうか。

何か意味があるわけではないので、単調なアクションパズルというゲーム内容もあいまって、

視聴者側の精神的耐久力をガンガン削っていた、とは後で聞いた。

 

 

 

………………

 

 

 

『これは……思ったよりきつい』『BGMの種類少ない……洗脳されるぅ……』

『助けて……助けて……』『一つ積んでは父のため……2つ積んでは母のため……』

『終わりのないのが終わり……それが「フリップル」!!』

 

予想通りなのか予想外なのか、俺としては想定外だったのだが。

俺はこういう単調なパズルゲーは大好きなのでどうしても評価が甘くなってしまう。

やらないとは言わないが、クリアじゃなくて紹介程度に留めたら良かったのかもしれないな。

他の実況者のように。

 

だが、私はそうしない!

 

「ほら、もう少しなのでみなさんがんばてください。ステージ50ですよ……」

 

『ラス面……ラス面……』『ラスボスはいますか?』『何で急にたどたどしくなてるんですか?』

『がんばてくださいw』『頑張れw頑張れw』

 

ステージ50クリア。昇降機が上昇し、上部に開いた出口へと消えた。

 

「ゲーム、いちおうの……クリアです!」

 

『終わった……?』『乙カレー』『888』『88888888』

『いやーキツかったゾ』『どう見てもクソゲーではないんだけどね……』

『やってる分には面白そうだったな』

 

 

今回はデフォルトアバターであり、俺は疲れていないし、

エンディングまできちんと確認するため、まだ主観モードを切っていない。

 

エンディングが始まると、黄昏た背景の中、黄色い卵形のマスコットが近づいてくる。

原作の訳分からないマスコット主人公である。

彼?は俺のそばに近寄ってきて、そして……。

 

 

大空にハートマークで、締め!

 

 

「またこれかよ!!!」

 

 

『www』『wwwww』『またこれかwww』

『黄色い卵型マスコットに懐かれるのびちゃん』

『黄色い卵×のびる』『ファミコン意外とこういうED多いなw』

『乙女ゲー(なお相手は黄色い卵)』『ラブラブwww』

 

そりゃセクシャル配慮はなされてて、

ファミコン原作であった巻いて絡み合う動作はなくなってるけどさ!

 

あれは流石にないなーってリメイカーの配慮には最低限感謝だけどさ!

 

大空にハートマーク出してたら結局アレじゃん!

意味合いは変わってないじゃん!!

 

「あーもう!これもう!今日は終わり!終わりです!

明日はドールマスターでスーパーウルトラベースボールやります!

私がチームエディットしてくるので皆さんはそれを使ってください!」

 

『野球?』『きたああああ』『超人野球だっけ?』『対戦やったああああ』

『アーカイブで持ってるけど対戦経験ないから楽しみ』『そんな有名?』

『スポーツゲーム冬の時代経験者が対戦相手がいないのを嘆く位には』

『対戦はアーカイブからモニターか石油王専用の立体出力でやるしかなかったからね』

 

案外盛り上がってるみたいだな。前世リアルタイムより盛り上がるかも知れん。

 

「それじゃ、今日の実況はフリップル。のびる実況に来ていただいてありがとうございました!」

 

 

 

 




意外なほどEDにハートマークが多かった感


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スーパーウルトラベースボール〈のびるチーム〉

野球しようぜ!(野球するとは言ってない)


「みなさん!スーパーウルトラベースボールの時間ですよー!」

 

『きたあああ』『待ってた!』『野球しようぜ!』

 

「当時のプロ野球を参考に作られたセンチュリーリーグ、パラダイスリーグ、

そしてこのゲーム独自のウルトラリーグの3リーグから選べるんですが……。

このゲームを楽しむにはウルトラリーグでやることになります」

 

『お、おう?』『せやで』『そーなのかー』

 

「えーっと最初にですね、たくさん対戦したいんで、イニング数は一発勝負の1、

ウルトラ打法、ウルトラ投法のポイントは無制限です!なので、

まともな試合にならなくなるミサイル打法、ワープ魔球、ストップボール、

アクセルボールは設定しません」

 

『えー?』『う、ウルトラ?』『魔球か何か?』『知らん人結構いるのな』

『あーまーそこらへんはね……仕方ないね』

『それあるとそれしか使わなくなるしなw』

 

「その理由の説明に、この『ワゴンセール』と『アキソーコ』のチームを使います」

 

コンソールから5番目と6番目のチームを選択し、アーカイブ表示モードで起動する。

 

 

「まず最初にストップボールを投げますね」

 

ワゴンセールチームの先発投手の手からボールが放たれる。

そのボールは……空中でピタッと停止して、その後再起動してキャッチャーミットに納まった。

 

『ふざけんなwww』『え……その、何?』『物理法則ドコーw』

 

「それで、これがアクセルボールです」

 

そのボールは今度は途中で急加速して、キャッチャーミットに収まった。

 

『打てるかwww』『無理ゲーww』『これは禁止』『ああうん、そうね……』

 

「ええと、最後にワープ魔球……名前で分かりそうですけど」

 

ワープ魔球はあんのじょう、

ボールが打者に届いたと思ったらワープしてキャッチャーミットに収まっていた。

 

『wwwww』『頭おかしいwww(褒め言葉)』『自重しろwww』

 

「お分かりいただけたでしょうか。次は打者のミサイル打法を見せますね」

 

『打者にもあるのか……』『震えて待て』

 

逆側のチームで操作して、ピッチャーに普通の球を投げさせる。

 

「行きますよー、それ!」

 

打たれたボールはミサイルのように低空飛行のライナーとなって、

捕球したファーストとライトを巻き込んでフェンスに当たり跳ね返った。

 

『いいかげんにしろwww』『超人www』『ウルトラ過ぎるwww』

 

「これ速すぎて守備での対応も難しいです……まあ元々普通じゃ取れないんですけど」

 

とりあえず一通りの「禁止技」を解説した俺はそこでリセットして、

エディットで両チームを開き、ウルトラ打法・ウルトラ投法の内容を書き換えた。

今見せた投法・打法は当然排除した。

 

『残当』『仕方ないね』『あいつらはやりすぎた……』

 

「それでは、皆さん手を挙げてください。10番目の方を……」

 

『ノ』『ノ』『ノ』……

 

 

「最初は……スミス岩さん。よろしくお願いします」

 

【よろしくお願いします】

 

配信上の特定通信機能をオンにして、対戦相手の発言も判別可能にしておく。

 

「えーっと簡単にチームの説明をしますと、1番目の「ウィニー」が速い、

2番目の「ファッティ」が普通に強い、3番目の「コンボ」が変化球とか小技系、

4番目の「バーン」が爆発して強い、5番目と6番目がその他を集めた在庫処分チームですね。

 

【在庫処分?】

 

「ええまあ、ウルトラとか言っても使えないのもあるんで、一応そこに配置したというか」

 

そうこう言っているうちに、スミス岩さんは2番目の普通に強いチームを選択。

俺は3番目の「コンボ」を選んで試合が始まった。

 

「ふふふ……」

 

何人もの俺のアバターが整列し、プレイボール。

残念ながらアバターをあらかじめ登録しなければゲームデフォルトの野球アバターだが、

俺は自己アバターをゲーム利用登録して、

チーム全員がそのステータスに合わせて微妙に改変された俺の姿となった。

 

深緑色の帽子にバット、あこがれのスポーツ用メガネにユニフォームは薄緑でスカート。

ゲーム特有の鉄壁処理がなされた魔法のスカートである。

 

『うーん、これは見えない』『見えないスカート』『こんなにいるなら一人位いいだろ!』

『何がいいんだよw』『通報しました』『しまってこー!』

 

俺は1P側で、設定を変えなければつまり後攻である。

 

 

「コンボ」チームのエース、その名も「のびる」

 

エディットにより球速は100キロ前後、

しかしアホみたいに曲がるスローボールで、ボールから内角・内角から大外、

大外からまたストライクに入るクソ変化球で三者三振に切って取る。

相手のウルトラ打法も、当たらなければどうという事はない。

 

『知ってた』『それな』『のびちゃんならこうするだろうなw』

『汚いなさすがのびる汚い』『あもりにもひきょうすぎるでしょう!?』

 

「いいんですー!これは基礎能力だけだからずるしてないですー!」

 

『まるで小学生キッズのような言い訳w』『ああ小学生だった感』『それなw』

『まあこのゲームじゃよくある光景よ』

 

 

その裏の攻撃。相手の先発はやはりエースの「コーリンサマ」

 

「その投手のウルトラ投法は、スネークボールですね。

蛇のようにうねりながら飛んできて、球速が速いので脅威ですが……私なら打てる!」

 

「コンボ」チーム1番、「のびちゃん」のウルトラ打法は、イレギュラー打法。

これは打ち上げるとあまり意味がないが、転がしてしまえばその名の通り、

イレギュラーバウンドを繰り返す追跡不能ボールへと変わる!

 

『ずっけえええええ』『ロムハックしてない?』『え?これランダムなの?』

『何で丁度守備空いたところに突っ込めるんだよw』『 い つ も の 』

 

 

ノーアウト2塁、足の速い1番を置いて2番、「のびかげ」

 

「ここでちょっと手心をですね……大車輪打法!」

 

【せ、世界がああああああ】

 

『ひっでえwww』『初見殺しwww』『球場ごと回転してんのかよww』

『回転して位置が見えないwww』『プレイヤーを混乱させてくwww』

『キタネエwww』『さすのびwww』

 

相手が戸惑っている間にのびちゃんがホームイン、ゲームセットである。

 

「いやーいい汗かいた!」

 

【もう少しこう……何というか】

 

『あきらメロン』『のびちゃんはいつものびちゃんだな(褒め言葉)』

『知ってた』『それな』『然り然り』

 

 

 

「では次の方。ええと、ストロングスタイルさん、お願いします」

 

ストロングスタイルさんは4番目の「バーン」チームを選ぶ。

 

【のびちゃん、よろしくね!】

 

「お、おおぅ意外と乙女さんでしたね……はい、ゲーム開始です!」

 

俺のエース「のびる」は、今度はウルトラ投法、スパイラルボールを使った。

ボールは時速30キロぐらいの超スローで小さな螺旋を描きながら進む。

これは球速が遅いゆえに細かい制御が可能なウルトラ投法である。

 

『うっぜえええwww』『遅すぎるwww』『滞空時間長えwww』

 

1人目は見事に三振。

しかし2人目で、ついにウルトラ打法「爆発打法」を使って打たれてしまった。

 

【行った?行ったこれ!?】

 

「今度は守備だ!」

 

こんなこともあろうかと!俺はかなり守備もかたい。

「ウルトラ守備」で大きくジャンプして、ホームラン性のボールをキャッチした!

 

【えええええ!?】

 

『ふざけんなwwww(2度目)』『知ってた』『それな』

『そりゃ守備もあるよなw』『なんで捕れるの……』『わからん……』

 

そして3人目……俺はついにエース3つ目の切り札、最後の初見殺しをセットする。

 

【震?】

 

そして投げられたボール……とは全く無関係に、その瞬間フィールドが震え、大地震が起こった!

 

「これが大地震ボールの力だ!」

 

『ふざけんなwww(3度目)』『やりやがったww』『本当にこういうの好きだなw』

『振れば当たるぞ!頑張れ!』『初見で無茶言うなwww』

 

 

初見だろうがなんだろうが、これで1回の表は終わりである。

 

1回の裏、燃える魔球やエレキテルボールを駆使したストロングさんだったが、

1番「のびちゃん」はイレギュラー打法で当然のように2塁に到達。

 

『ですよね』『これは無理』『ホント容赦ねえなw』

 

2番「のびかげ」もまた、大車輪打法で打点を狙うが……。

 

【大車輪打法、敗れたり!】

 

なんとストロングスタイルさんは根性で見切り、

のびかげを内野ゴロに打ち取った!

 

「なんとぉっ!?」

 

『うおおおおお』『やったぞ!』『やりやがった!』

『マジで根性がストロングだわ』『よー行けたなこれw』

 

しかし1アウト3塁となり、打率の高い3番、「のびもち」である。

そしてこの3番のウルトラ打法は……。

 

「はいっ!」

 

『何もない?』『そんな馬鹿な!』『普通だぞ!』『内野ゴロだ!』

 

一見普通に打っただけに見える打球。

しかしウルトラ打法がそれだけのはずはない。

ストロングスタイルさんは1塁にボールを投げるが……。

 

【何でくっついてるのーーー!?】

 

『くっついたwww』『取れねえwww』『粘着www』

『うっぜえええええwww』『もう許してやれよwww』

 

送球が野手に絡みつき、人工衛星のように野手の周りをゆっくりと回る。

その間は操作不能となり何も出来ない。

それが地味に嫌らしい恐怖の時間稼ぎ打法、マグネットボール打法である!

 

そしてその間にのびちゃんが当然のようにホームインして、試合終了。

 

【あーもうむちゃくちゃだよー……】

 

『www』『ワロスwww』

 

「ストロングスタイルさん、ありがとうございました!」

 

イニングを1回に設定しただけはあり、その後も試合は次々と続いた……。

 

 

 

………………

 

 

 

「ただいまー」

 

前世では年月によって対象者がいなくなり、最後はする機会がなかった何気ない挨拶も、

現在は毎日のように繰り返す当たり前の日々の一部である。

 

「帰ったか妹よ。お芸術は順調かな?」

 

「忘れてよ!もー!」

 

今日は忙しい姉が珍しく早めに家に帰っていた。

こういう時は何か俺に話があると相場が決まっている。

実はこの姉と、オタにぃにだけは転生者ということがバレているのだ。

 

姉は発掘者であるからして古典知識全般に強く、

俺が5歳の時にポロッとこぼした古典の知識から不自然さを感じ取られて、

その後オタにぃにも隠し切ることが出来ず……という流れ。

 

当然といえば当然なのだが、俺も当時はまだ転生後幼い身体に慣れ切っておらず、

流石に感づかれて誤魔化す芸当までは出来なかった。

今も100%行けるかと言われれば怪しいところではあるが。

 

「ちょっと相談があってね……なんか良さそうなゲームないかな?」

 

その後こうやって、知識を求められることがある。まあ俺としても、

未発売ゲームのデバッグとかテスターやらせてくれることもあるんで悪くは思っていない。

 

「えーと、確か帰ってきたマリオブラザーズとかいうファミコン書き換えディスク専用の、

マリオブラザーズがあったような……」

 

「ちょ、私それ聞いた事ないんだけど!?マジで!?マリオの未発掘があるってこと?

もっと詳しく……」

 

「あーいや、ふりかけの企業CMが入ってて安いとか何とか?

まだあるかな?なんか社名変わってるかもうないかも知れんけど」

 

「そういう系かぁ。分かった、探してみるね」

 

どういう基準で残されてるのか知らんけど、ファミコンのリメイク再現率も実はまだ9割程度で、

残りの1割が少ないゆえに発掘評価がうなぎのぼり……という、

プレミアム現象が起こっているらしい。

ちなみにPS2が3割、PS1が6割の再現率でその辺の世代に発掘者が集中している、

とは姉から聞いた話。

 

まあ姉のお陰で俺も古典発掘者周りの知識を小学生レベルとは思えないほど仕入れて、

このまま成長できれば(この未来の基準においては)お堅い、

発掘者関連の職につくことが出来そうだ。

 

主に姉にはスーファミ以前の知識を渡し、俺用にPS時代以降の知識は取っておいてある。

実績は既にあるからプレミアという信用度が欲しい姉とこれからの俺、分業でwin-win。

2人で話し合って決めた話だ。

 

「あ、そういえば私も相談があったんだ。ゲーム配信で来場者千人行ってさ。

どうしたらいいのかと……」

 

発掘だけではない、兼業配信実況という俺の望む未来へと一歩進んだがゆえに見えてきた道。

その先に進むため、俺は迷いなく聞き出して、対処することに決めた。

 

 

 




スーパーウルトラベースボールの日常


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〈掲示板回〉ゲーム実況板

徐々に浸透していくのが新人のたしなみ


 

【実況】古典ゲーム新人スレ

 

 

98:名無しゲーマー 22:23

ゴリラ事件は残念でしたね……

 

99:名無しゲーマー 22:25

せやな。まさか親マジギレでゲーム謹慎とは

 

100:名無しゲーマー 22:28

毎日未明まで叫び実況やってたからしゃーない

むしろ甘々対応だと思うぞ、返してはくれそうだし

 

101:名無しゲーマー 22:30

というかちゃんとダイブ施設行ってやらんと

 

102:名無しゲーマー 22:33

収入が跳ね上がってダイブ機器一式手が届いたから、つい買っちゃったらしい。

自分専用のマッシーンではしゃぐ気持ちは分からんでもない

 

103:名無しゲーマー 22:34

罠なんだよなぁ……

 

104:名無しゲーマー 22:35

そうそう、機器だけじゃ防音とかセキュリティはないからね。

それ個人で揃えるとお値段は一軒家並の……。

 

105:名無しゲーマー 22:38

今週は遊戯連の交際バレもあったし、波乱万丈だな

 

106:名無しゲーマー 22:40

会長爆発しろ

 

107:名無しゲーマー 22:41

爆発四散しろ

 

108:名無しゲーマー 22:43

いやまあリア充アピールとかじゃなくて、

ツアーパーティープレイ中に思わず盛り上がって、

ってのは正直分かるから何とも

 

109:名無しゲーマー 22:45

いいさ、俺にはのびちゃんがいる

 

110:名無しゲーマー 22:47

通報しました

 

111:名無しゲーマー 22:48

ツアーパーティーやれる友達(意味深)欲しいなー俺もなー

 

112:名無しゲーマー 23:00

誰か推理ADV系実況の人知らない?

単発では見るけどがっつりの人見なくて

 

113:名無しゲーマー 23:03

那珂川の兄貴姉貴って人が最近神宮寺シリーズ続けてるぞ

 

114:名無しゲーマー 23:04

マジで!?行ってくる

 

115:名無しゲーマー 23:06

兄貴姉貴はそろそろ那珂さんなのか那珂ちゃんなのか決着つけて、どうぞ

 

116:名無しゲーマー 23:07

身バレかなり警戒してるって言ってるからリアル有名人かも

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

【上海】パズルゲー総合【バナナ】

 

 

111:名無しゲーマー 05:46

てすt

 

112:名無しゲーマー 23:08

過疎スレの予感!

 

113:名無しゲーマー 05:15

ミニゲームパズルと落ち物が別スレ化してから人いねーな

 

114:名無しゲーマー 07:23

パズルゲー人口の9割は落ち物かミニゲームで出来てるからしゃーない

 

115:名無しゲーマー 19:32

バベルの塔の壁画条件がわかんなくて発狂しそう

助けて……助けて……

 

116:名無しゲーマー 19:44

原作は一定方向にキー入力し続けるとかじゃなかったっけ?

 

117:名無しゲーマー 20:13

やっと最初の壁画出せました!ありがとう!

 

118:名無しゲーマー 20:17

いいってことよ。しかしパズルゲーを紹介してくれる実況者は結構いるけど、

クリア報告少ないな。攻略情報もお寒い限りだし……このスレが一番詳しそうってどうなんだ

 

119:名無しゲーマー 20:21

いいじゃないか。世界の隅っこでパズルゲームやってるのが俺らの幸せだろ

 

120:名無しゲーマー 20:48

完全に同意

 

121:名無しゲーマー 20:59

それな

 

122:名無しゲーマー 04:49

せっかくなのでアーカイブ動画漁って来た。

・とんじゃん(動画アドレス)トン式豚五郎

・フリップル(動画アドレス)のびる

・ロードランナー(動画アドレス)脳内補正

 

123:名無しゲーマー 06:03

豚五郎ホントに豚ゲー好きだなw

きっちり役満やってるのも好印象

 

124:名無しゲーマー 06:45

とんじゃんギャルゲーだったの!?知らんかったわい……

 

125:名無しゲーマー 06:56

のびるフリップルやってたのかよw

こういうゲームは上手いな

 

126:名無しゲーマー 07:07

こういうゲームってどういうゲーム?

 

127:名無しゲーマー 07:08

脳死パズル

 

128:名無しゲーマー 07:09

考えると同時にゲームの本能で行動しないと死ねるゲーム

 

129:名無しゲーマー 07:10

フリップルの時間制限パズルいやーきついっす

 

130:名無しゲーマー 07:14

補正はなんか力尽きた感あるな……パズルは苦手っぽい

 

131:名無しゲーマー 07:18

豚と草はパズルの印象良さげ

楽しそうじゃん

 

132:名無しゲーマー 07:20

豚と草で草

 

133:名無しゲーマー 07:22

豚は豚ゲー専業だけどのびるはまたパズルやってくれそう

 

134:名無しゲーマー 07:25

豚パズル他にないの?

 

135:名無しゲーマー 07:27

知らねーよwww

 

 

 

………………

 

 

 

【お礼不要】ものすごい速さで答えるスレ【教えて歓迎】

 

 

916:名無しゲーマー 20:10

ファミコンとファミコンディスクの違いって何ですか?

 

917:名無しゲーマー 20:13

>916

ファミコンはROMカートリッジという媒体、

ディスクは当時のフロッピーという記録媒体に似たクイックディスク?

というのを使っていたらしいです。

 

918:名無しゲーマー 20:14

センチメンタルジャーニーで勝つにはどうしたらいいですか?

 

919:名無しゲーマー 20:15

>918

UFO移動できるえみる

サイコロが増えるほのか

位置入れ替えの美由紀

 

920:名無しゲーマー 20:17

アクマをころしてへいきなの?

 

921:名無しゲーマー 20:17

>920

はい

 

922:名無しゲーマー 20:19

次は何のゲームをやったらいいですか?

 

923:名無しゲーマー 20:21

>922

絢爛舞踏祭、ガンパレードオーケストラ白・緑・青

 

924:名無しゲーマー 20:36

東方は何からやればいいんですか?

 

925:名無しゲーマー 20:36

>924

れーいでん

 

926:名無しゲーマー 20:46

最初に収入条件突破したらどの担当教師に相談すべきですか?学生です

 

927:名無しゲーマー 20:49

>926

一般的にはゲーム部顧問、次いで情報処理主任、ダメならその上

ただし人格やコネは別腹

 

928:名無しゲーマー 20:51

FF2の攻略法を教えてください

 

929:名無しゲーマー 20:52

>928

装備剥いで素手全体テレポ

 

930:名無しゲーマー 20:53

ぐ~ ぐまぐまま ま?

 

931:名無しゲーマー 20:55

>930

ぐま!

 

932:名無しゲーマー 20:56

ルナティックドーン3の機械EDはどうしたら見れますか?

 

933:名無しゲーマー 20:57

>932

銃使え

 

934:名無しゲーマー 21:02

おすすめのRPGって何ですか?

 

935:名無しゲーマー 21:06

>934

里見の謎

 

 

 




機械EDはいいぞ!(おめめ歯車)


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ロットロット〈空間を入れ替えていく〉

ゴリラと思ったらゴリラじゃなかった


 

「今日のゲームはロットロットです!」

 

『ロトの剣?』『ロト3部作?』『くじか何か?』

 

「違います!(律儀)これはファミコンのアクションパズルゲームです!」

 

ロットロットを起動させ、そのフィールドの中にダイブすると、

そこにあるのは建築中のマンションみたいなコンクリートの四角部屋の建造物。

左下には、赤色のOUTの文字とともに赤い線が引かれていた。

 

「それでええと、自機は……私のアバターになってますね。

流石にあの3次元矢印のままでの『原作重視』はなかったですか……」

 

原作ゲームでは自機のピンクっぽい3次元矢印と、

その自機に追従して動く色違いの青か緑っぽい3次元矢印を操作するのだが、

リメイク担当者はそれを変える必要がある、と考えたようだ。

機能は変わらずに、謎の建造物の前を飛び回ることが出来る。

 

『リメイカー有能』『のびちゃんが2人!?』『羽がある!』

『妖精のびちゃんが見れて嬉しい』

『のびちゃんが美麗すぎて側頭部の血管から動脈血噴出しそう』

『高血圧ニキは病院行って、どうぞ』

 

そう、空を飛ぶ都合上アバターに空を飛ぶギミックを追加する必要があり、

選択性で虫・動物の羽、小さなヘリや飛行機といったような、

無駄にたくさんのアバターオプションが用意されていた。

私はその中でオオミズアオの翅を選び、瞳とアバターの色も合わせて

オオミズアオの淡い緑色に設定した。

 

そして、追従する色違いの物体の代わりには、

当然のごとく色違いのアバターが使われる。

俺の場合は、薄緑色に設定した箇所が薄桃色になっているようだな。

 

原作の自機は、アバターの持つ指示棒となって役目を果たすようだ。

 

「原作では……この指示棒の先にあるのが自機で、その色違いが追従してきます」

 

『なるほど……』『わからん……』

 

まあ、俺もそう思う。アクションパズルは実際やって見せないとわかりにくいものだ。

 

「そうですね、やってみればわかると思います……始めます」

 

ゲームが始まり、

ステージ1のオレンジ色の玉が建物の上から降りてくる。

部屋の仕切りがランダムになくなり、順々に落ちるオレンジの玉。

 

「この玉をですね、出来るだけ右に、左下のOUT以外の場所に

落としてあげるのがこのゲームの目的です」

 

と言いながら俺は飛んで、落ちてきて1つの部屋に詰まったオレンジの玉を、

部屋の空間ごと右下部分の空き部屋と入れ替えた。

 

『ファッ!?』『空間を入れ替えた!』『まさかこれは……ゴリラ!?』

『いや微妙に違う、2つのアバターのいる部屋の、中身だけが入れ替わった!?』

 

そう。この自機の能力は、

自機とそのスタンドだかゴリラだかのいる部屋の空間の中身だけを交換する能力。

 

しばらくすると右下の部屋の右側の仕切りが消えて、玉が落ちる。

1玉50ポイントである。

 

「とりあえずこれを繰り返して進むゲームです。ステージ1は2万点でクリアですね」

 

その後順調に、次々と落ちてくる玉を出来るだけ右に、

右端に穴の開いているフロアに持ち込んで、右端に落としていく。

 

『ちょっとわかってきた』『のびちゃんこういうパズル好きね』

『ほんとにどこから見つけてくるのか……』

 

2万点でステージ1クリア、6万点でステージ2、10万点でステージ3がクリアと、

点数の加算がそのままステージクリアに繋がるシンプルな構成になっている。

そのまま続けたが、今回は50万点に届かない時点で終了することにした。

かなり運が悪く、何度もやり直していたら時間が足りなくなってしまったのだ。

 

「はい、今回はこれで、最後に感想をいただいて終了することにします。

皆さん今日のロットロットはどうでしたか?」

 

『カニがうぜえw』『だな。なぜカニを敵に使おうと思ったのか』

『俺もう3面ぐらいからアカン気がするわ』『実際これ相当だと思うぞ』

『このゲームの修行者じゃないと無理そう』『修行w』

『BGMとSEがキツい、これで煽られてると頭おかしなるで』

『ファミコン特有のダイレクトな焦燥感とでもいうかな……』

 

「感想ありがとうございます。今日も実況はのびる、ゲームものびる担当でお送りしました!」

 

 

 

………………

 

 

 

「あの」

 

その後。実況配信を終了した後、

俺はダイブ内のアカウントフィールドから通信コンソールを開き、

俺の通う小学校の情報処理担当、ゲーム部顧問の「喜多島」教諭に連絡を取った。

 

「はい、情報処理担当の喜多島です」

 

「ええと……収入条件のあれで相談に……」

 

「ええと、そちらは田中さん……『のびる』でよろしいですか?」

 

「はい、それで……あの、お願いします……」

 

アカウント名も本名も、個人情報は学校外部にはばれないようになってはいる。

生徒同士でも極力ばれないように配慮はされているが、

正直実況収入を得る選択をしたら有名無実だ。

最終的にはその名前と容姿を積極的に広めるぐらいでないと、

芸能人の一種であるゲーム実況配信者にはなれないだろう。

 

まあ俺はとりあえず小学生の間はリアルを公開するつもりはないので、

小学校関連と学友……ぐらいの広まり方で上手くやっていけるといいな、

などと思っている。

 

「はい、準備申請は終わりました。来場者千人時点からの計算で、来月からの収入になります」

 

あっさりと申請自体は終わる。そりゃ小学生からの収入あれこれである、

小学生が自力での書類がどうのこうので申請、という真似が出来るはずもないので、

大きな区切りでの国・民間を巻き込んだバックアップ体制がとられ、

手続き関連は完全にお任せできるのだ……らしい。

別に年齢が高いからバックアップが得られないということもないので、

この建前は怪しいと思っているが……俺には得しかないので詳しく追求する理由もない。

 

「のびるさん、実はお願いがあるのだけど」

 

ん、何だ?群れてゲームするのを嫌ってゲーム部に入らなかった俺が、

今まであまり接点のなかったこの教師。俺に何を頼むって……。

 

「謎のチャレンジャー『のびる』として、1日1度でいいのでゲーム部の対戦に

お付き合いしてくれないかな?」

 

何だ

 

何だその心躍るシチュエーションは!!

 

 




玉を落とすことに生きがいを感じるカニの一生とは


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カルドセプト〈エンジョイ勢です^^〉

エンジョイ勢=ブック構成はガチだけど、
大会に出たりとかはしないからエンジョイしてます^^

俺は詳しいんだ!


 

その後、詳しい話を聞いた俺は、条件付きで提案を了承した。

 

俺は自由にやりたいからゲーム部に所属していないんだ、

当然気分次第で対戦したりしなかったりする!

嫌なやつとは対戦しないし飽きたらやめる!

 

そんな俺の条件を聞いても喜多島は予想通りだと言わんばかりに、

それでいい、と丸呑みして具体的な話を切り出した。

 

まず、喜多島が部員に外部の実力あるプレイヤーとして「のびる」を紹介しておく。

俺は(やりたい時は)ゲーム部にメールやアカウント掲示板で時間を指定する。

双方合意なら同じくメールやアカウント掲示板に承諾の返事が返ってくる。

ここのゲーム部は基本的にプロ志向で、実況配信ドンと来いの部員が多く、

望むなら俺自身の実況配信での対戦相手として利用するのもいい……云々。

 

なかなかいいな!何よりリアルで直接接触しないのがいい。

連絡形式はこれで構わない、あとは肝心のゲームは何か、という話になる。

 

「テトリス、カルドセプト、ヴァンパイア、桃太郎電鉄……」

 

喜多島から手渡された(仮想の)用紙に列挙されたゲームは多岐に渡った。

ゲーム競技者は、最終的には総合種目に加えてジャンル別の種目でも競うことになるが、

まず「小学生総合」競技の練習を通して自分の適性を知り、

中高で徐々に得意種目を見出すのが王道の上達の道なのだ、という。

苦手なゲームも弱点にならないように鍛えるとか、俺には無理だな。

 

「んー、じゃあまず、カルドセプトで」

 

俺はまず、その中でも現状参加予想人数の多いカルドセプトをやることにした。

俺自身が前世やりこんで、現世でも既にやっているゲームでもあるし、、

「カルド(カード)」というやり込み要素を揃えて強い「ブック(山札)」を作成しないと、

対人対戦はまともに成り立たないという、

実況配信の即席募集では厳しいカードゲームでもあったからだ。

何より流石にこの手のゲームで小学生に負けることはないから……ないよな?

 

まずはセプター(カルド使い。たまに空を飛ぶ)としてゲーム部員と対戦だ!

 

 

 

………………

 

 

 

「はい!いつもご視聴ありがとうございます、のびるです!」

 

さて、話はしてあると言うことで、翌日すぐに連絡を入れてみる。

いきなりだったが、1人が俺の呼びかけに答えてくれた。

実況配信もなんでも来い、らしい。ま、しょせんアバターだしな。

 

「今日のゲームはカルドセプト!なんですが、今日はゲストを紹介します!」

 

『お?』『お友達?』『のびちゃんにお友達?』

『そんなバナナ』『(お友達作っても)ええんやで』

 

【あなたが挑戦者というか外部のセプター?ホントに強いの?】

 

ハンドルネームは苺蔓(いちごかずら)。彼女の幻影がフィールドに現れた。

とにかく難しい字や大人っぽい言い回しを使おう精神ですね、わかります。

髪の毛も瞳も赤く、髪には白いメッシュが入っている。

服の一部には緑も入れて、苺全体を表現したようだ。

 

カルドセプトのダイブ形式においては、

お互いのフィールドにお互いの幻影が出現してゲームが進行する形になっている。

ダイブ関連法を意識した対戦形式の一つ、幻影相対応である。

 

幻影だから直接対峙していない。切断すると消える。俺に優しい仕様!

 

ちなみに今日の俺はカルドセプト自己アバター選択から、

ロリータ風ファッションを着込んだ少女をそのまま選んで、

髪と目の色を深緑に変えただけのほぼカルドセプト風味で勝負に挑んでいる。

 

【さっ、始めましょうか】

 

疑うのも無理はない。同学年くらいか?あっちも俺を同じくらいに見ているはず。

急に凄いセプターと言われても納得しづらいだろう。

 

実際に力を示すしかない。

 

対戦が始まった。マップはオーソドックスなアリーナ1である。

 

どうやらその色通り、苺蔓ちゃんは火属性ブックのようだな。

……今回俺は水属性で、配置制限があって相性良くないのだが大丈夫か?

 

【ふふっ、どうしたの?早く周回しないと負けちゃうのに】

 

苺蔓は元気な子だなぁ……。

ダイブ化してるから実際に移動しなきゃいけない。

特にカルドセプトはダイスを振ってクリアまで周回するゲーなので。

今は小学生だとしても、精神おじさん美少女にはきついですよ。はい。

 

「まあリアルよりはだいぶ体が軽いからいける……行けます?」

 

『のびちゃん……』『頑張れ……頑張れ……』『俺ら代表w』

 

苺蔓ちゃんのブックは、

序盤フィレイムウィビルをばら撒きつつダイス加速して、

G(ゲイン。魔力とかエネルギーとか)を稼ぐ火属性周回ブックのようだな。

そのわりにはドラゴンとエルダードラゴンを複数入れてるのが気になるが……。

趣味かな?

 

『あっ……』『のびちゃん負けた?』『えっ大丈夫なのこれ?』

 

序盤、適当にばら撒いたクリーチャーに俺は援護を与えず、負け続けた。

無防備宣言である。時には自分から侵略して、その上負けるという茶番を繰り返す。

 

【まあ私には勝てないのは分かってたけど……】

 

序盤の損失は当然である。相手の周回ブックの方が軽いクリーチャーが多く、

展開力で負けている上に周回スペルでG(ゲイン)を稼ぐ速さも負ける。

 

だが、勝負は終盤。相手がリソースを使って土地の値段を上げて、

勝利に向かって動き出した直後。

 

【そろそろ勝っちゃいましょ。いただくわ!】

 

「今です!」

 

一見無駄に見えた俺の負け侵略と無防備宣言が生きる。

 

低額の属性違い領地を守るのにも全力を出し、

防具を使い切ってその上土地を育てるのにG(ゲイン)を使い切った苺蔓ちゃんの、

レベル5ドラゴンの領地を今、守るものはない。

俺の水侵略ニンジャブックが今、目覚める!

 

いつのまにかレベル5ドラゴン領地の隣に移動し、

そのまま一見放置していた俺のニンジャの移動侵略。

そして、最初からニンジャ用にと潜ませておいた巻物フュージョン強打が炸裂した!

見事高額領地を奪う。

 

【はああああああ!?】

 

『きたああああ』『さすのびw』『知ってた』『ネタバレせんかった草どもえらいw』

『草』『草w』『一転攻勢』『ここからが本番だ!』『面白くなってまいりましたw』

 

「行くぞ!AIBO!」

 

これまた温存して機会を待っていたAIBOことリバイアサンを使い、

移動侵略も利用して、低額領地も容赦せずにガンガン水に沈めてゆく。

 

『ああ^~水まみれや』『容赦ねえwww』『さすのびwww』

 

こういうチマチマした(別にやらなくてもいい)勝利への作業は大好きだ。

なんというか生きてる!って実感が湧くな!うん。

 

『AIBOを決戦に使うんじゃなくて安全な勝ち固めにしか使わないのがさすのび』

『性格がRPGのラスボスなんだよなぁ……』『もうちょっとこう、手心と言うか……』

『のびちゃんが楽しそうで何より』

 

侵略を終えたリバイアサンの領地を育てると、勝利条件のG(ゲイン)を越えた。

城(スタート地点)に戻った俺、大勝利だ!

 

大勝利……。

 

【……すん、すん……ひぐっ……うー……】

 

忘れてました!この子小学生でした!やらんでもいい蹂躙やらかしたら、

そりゃ泣いたりもしますよね!ですよね!

 

『ガチ泣き』『先生!のびちゃんが苺蔓ちゃんを泣かしました!』

『貴様はやりすぎたのだよ……』『JIHIの心を忘れてはいけない(戒め)』

 

ど、どうしよう!?泣いてる子を泣き止ますなんて前世でも経験ないぞ!?

えーとこういう時はどうすれば……えーとえーと……。

と、とにかく優しく、優しく語り掛けて……。

 

「い、苺蔓よ……セプターが軽々に泣くものではない」

 

ど、どうだ?よし、少し収まったような気がするぞ!この調子で……。

 

「負けは日常、己の糧とせねばならん。大体周回を目指すブックでありながら、

あの数のドラゴンガン積みはどうであろう?守る選択が多いわりに防具は不足し……」

 

それっぽい含蓄がありそうなことを言いながら、

とにかく彼女の興味を自分の感情から俺の話にそらす。

こうすればその間に落ち着いて……しかし俺と彼女の接点なんてカルドセプトしかない。

ずっとそれっぽいカルドセプトの話を……。

 

「全ての領地を守る選択も良いものではない、手札は限られ、アイテムも限度がある。

AIBOは数を絞り、ここぞという時に使ってこそ……」

 

【師匠!】

 

「……アイェ?」

 

『ですよねー』『知ってた』『ラスボスのカリスマ』

『草w』『何で師匠ムーブしてるんですかね……』『さすのびw』

 

 

なぜ こんなことになってしまったんだ……!

 

 

 

 




コレガワカラナイ


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スターフォース〈それほどでもない〉

SFはハイレグ(男も)


ゲーム部との最初の接触は、一応の成功と言っていいだろう。

苺蔓ちゃんになつかれた俺は、カルドセプト仲間の「蔓茘枝(つるれいし)」ちゃんと、

「万寿果(パパイヤ)」ちゃんを紹介された。……緑と黄色が揃って信号機かな?

 

とりあえず俺とゲーム部との最初の関わりはこの子達を通してしよう。

翌日の対戦も約束して、ログアウトする。

ただ、実況でやりたいゲームはまだまだあるので、

実況ではそっちをとって新ゲーム優先で配信することにする。

 

 

………………

 

 

「よくおいで下さいました!今日のゲームは、スターフォースです!」

 

『シューティング来たあああ』『マジかよ!』『のびちゃんシューティングはどうかな』

 

「目標はインフィニティクリア!クレオパトラ(ゴーデス)も1度は撃破したいですね」

 

『おお、けっこうやる気だな』『クレオパトラかゴーデスかはっきりしろw』

『スコアラーは化け物だけどクリアレベルでも結構凄いぞ』

『俺クリアどころかゴーデスまで行けないんだけど……』

 

「いえ私はそこまでではないと思いますよ……多分」

 

早速、スターフォースのフィールドにダイブした俺は、

スターフォースの購入特典アバターに変化する。

上半身はSF宇宙服、地味にハイレグが入っていたので、

ダイブアバター用女子服はスカートが追加されている。正直ありがたい。

 

2Dシューティングをダイブに「翻案」するのは苦労したらしい。

ダイブ感覚重視でパイロット視点にするか、

どうにかしてモニターゲーム時代の操作感を再現するか。

 

スターフォースは後者だ。

 

宇宙が舞台で、2Dの上から視点シューティングと言うことで、

宇宙に浮かぶ母艦から、2D視点で無人機を操作しているという設定をひねり出したらしい。

リメイカーの中の人も大変だな。

 

「とにかく連射して敵を破壊するのが気持ちいいゲームですね」

 

母艦という設定の、スターフォース操作コンソールフィールドに座った俺は、

ファミコン型仮想コントローラーで自機「ファイナルスター」を操る。

2Dという設定なのでモニター表示だ。

 

……何だか本末転倒のような気がするのは気のせいだろうか。

 

ゲームは進み、BGMの変化と共に謎の敵が姿を現した。

 

「中ボスのラリオスですね。連射して合体前に倒すとボーナスが入ります」

 

見事5万点ボーナスを得ることが出来た。

クリアを目指すならこれぐらい当然とはいえ、幸先がいいな。

 

「この、ニコニコマークで1UPします」

 

地上に置かれた緑のはてなマークに攻撃すると、

そこがニコニコかプンプンに変わる。

ニコニコだと1UP。クリアには重要である。

正式名称はあるけど俺は知らない。というかほとんど知らないな。

 

『のびちゃん連射って出来るの?』

 

「ええと、迷宮組曲の連射測定で120くらい?出したので12連射程度ですかね」

 

『12連射は秀才レベル』『十分速いように見える』

『レジェンドは20とか30とか出したらしいけど』

 

転生して驚いたことがあった。

ファミコン時代から平成以降まで、ゲームや漫画・アニメその他の黄金期が、

日本史の飛鳥文化やら国風文化やらと同等に、

日本文化史の一大ムーブメントとして記されていたことだった。

古典ゲーム実況推しが度を過ぎてないか?とゲーム大好きな俺が心配になってくるほどだ。

 

「ステージはギリシャ文字になってて、オメガの後にインフィニティになって、

以下無限インフィニティです。なのでインフィニティクリアまでやります」

 

『スコアアタックじゃないのか』『まあそっちやな』

『クリアの方が見せるにはいいかもな』

 

そうこうしているうちに大陸が途切れて、エリアターゲットが現れた。

ボスには、エリアを表すアルファの文字が書かれている。

 

「ボスっぽく出てきますけど強くないので……やられると事故の部類ですね」

 

『マジでボスなのに草』『左右にフラフラしてるだけだもんな』

『スコアでもクリアでも正直このボス、的の大きい雑魚だし……』

 

あっさり撃破して、次のエリアへと進む。

 

『突っ込みどころがなくて無言になる』

『いや何というか破壊のSEとか敵の動きとかは見てて面白いんだが』

『なんかこう、見るよりはやりたくなるよな、これ』

 

「ですよね。敵の名前とかゲーム中ではあんま出てこないし、

自分で敵を破壊してなんぼのもんですからね」

 

ここらへんが前世の、ゲームの観客という文化がつくかつかないかの、

境目だったろうか。キャラバンイベントなど、

周囲を盛り上げていたイベントなどはあったが、例えば格闘ゲーム時代のように、

いちプレイヤーの後ろに張り付いて見るだけの観客は少なかったように見えた。

 

「キャラ全部に名前はあるらしいですね、私は知らないんですが」

 

『その年ならしゃーない』『むしろ知ってたら俺らの立場が』

『古典ゲームに詳しいだけのおっさんの価値とは』

『その価値もなくなっちゃうだルォ!?』

 

実際は前世含めた年齢がある俺でも、知る機会がなかったんだけどな。

ゴーデスは実はクレオパトラだった?っていう有名ネタぐらいならわかるけど。

 

エリア・イプシロンにて、当然のごとくジムダ・ステギを10個連続で破壊し、

8万点のボーナスを得た。……1回だけなので別に超人技と言うほどではないと思う。

 

『さすのび』『信じてた』『のびちゃん上手いなあ』

 

「そ、そんなに褒めないで下さい。あの、それ程の技じゃないんで……1回だけだし」

 

エリアは順調に進み、地上物が蛙だか肉まんだかと言われる部類に切り替わった。

エリア・シータにて、ついにクレオパトラ撃破を達成する。

 

『おめ』『100万点きたああああ』『これでクリア?』

『ゴーデスだかクレオパトラだかの人、さようなら……』

 

「残念ながらクリアではないんですよね……」

 

ボス?らしきものがただの100万点ボーナスの地上物で、

倒してもその後エリアが進むというのはいかにもこの時代のゲームらしい。

 

地上物は大きく口を開けた人の顔、なんかびっくり顔の地上物

梅干みたいな丸い顔、丸っこいびっくり顔、と思ったら最初の地上物に戻る。

 

「この地上物は何を思ってこうなってるんでしょうかね……」

 

『わからん……』『ぜんぜん分からん!』

『人の顔を建物にして破壊したかったんやろなぁ……』

 

後方から奇襲してくる、何だっけガイラだったか?

大きな敵にはほんのわずかにちょっとびびったが、

あとはニコニコ1UPを交えつつの都合5ミス程度でそこそこ?上手く切り抜けて、

エリア・オメガで2度目のクレオパトラ(ゴーデス)ボーナスをゲット。

 

ついにクリア条件エリアのエリア・インフィニティ!

を普通にクリアして、以下永遠にエリア・インフィニティ。

 

「スコアアタックのゲームなんで永遠に続きますけど……クリア条件はクリアです!」

 

『うおおおおお』『888』『88888』『さすのび!』

『スコアカンストはやるんですか?』

『正直シューティングは行けないと思ってた』

 

「スコアカンストはガチシューターの実況者様にお任せします。私はエンジョイ勢なので」

 

『は?』『は?』『何か言っとるwww』『戯言使いかな?』

『エンジョイ(蹂躙)』『エンジョイ(覇王)』『あーたのしー(破壊)』

『本当はS級妖怪だけど面倒だからB級のフリですね、わかります』

 

「何でどうして私が覇王だって証拠だよ!見てろよ私が普通だって証明してやるから!」

 

この後、適当に選んだファミコンウォーズ・わくわく7・テトリス武闘外伝対戦で、

まさかの全勝優勝(初)を記録し、

文字通りの覇王・蹂躙・破壊の三冠王の名をほしいままにする俺であった。

 

……解せぬ。

 

 

 




ダイブ空間でモニターのゲームをプレイする本末転倒感嫌いじゃないよ


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スーパーリアルベースボール〈リアルとは一体〉

なぜか親が定価で買って来たク……あれなゲーム4天王の一人


 

今日の来場者は……何と3989人。

倍増ってレベルじゃねえぞこれ!今の古典ゲームってこんなに人集まるのか?

まあ実況配信でなら慣れたから、そこは行けるんだけど。それにしても急増すぎる。

 

「皆さんいらっしゃいませ!今日のゲームは、スーパーリアルベースボールです!」

 

『なんだと!?』『やったクソゲーだ!』『マジかあああああ』

『初見、スーパーリアルw』『無茶しやがって……』

『数ある野球ゲームの中でこれかよw』

 

「例のごとく合法!のドールマスター2888を使ってですね、対戦します!」

 

『いやああああ』『まさかのクソ対戦枠www』『いやーキツいっす』

『そんなにクソなん?』『やればわかるて』

 

「はい!ここから10人目です!よーいスタート!」

 

『ノ』『ノ』『の』……

 

対戦の権利を得た木彫り大仏さんは、黒チームを選択。

俺は青チームを選択し、試合が始まった。

 

今回は俺もスーパーリアルに?ちゃんとスカートじゃなくてズボンで野球している。

 

原作ゲームでは1Pが先行だったようだが、

今の時代のリメイクにおいては1P後攻が主流のようだな。

 

「このゲームは、当時の選手が実名で登場するのも売りだったそうです」

 

『へーそうなんだ』『この選手たちは過去の実在選手なのか』

『野球ゲームだと常連だぞ、他のゲームだとなんか変な名前になってるけど』

 

【ん?】

 

試合開始早々、木彫り大仏さんは早速操作に戸惑っているようだ。

 

【なんかよく……振れないんだが】

 

「あ、これ1回構えないとバットは振れません」

 

『構えww』『カラテカ精神www』『構えねば死ぞ』

『カラテカじゃなくて野球しろよw』

 

【マジかよ……じゃあええと、うん?何だこれ】

 

「えーっと、パワプロの強振限定と思っていただければ」

 

【限定ィィィ!?】

 

『立体で強振限定とかきつすぎるwww』『天然縛りwww』

『昔のゲームは難しい(ガチ)』『救いは無いんですか!?』

 

「実際は若干範囲が広いような気がするので、慣れれば平気ですよ」

 

俺は何事もないようなフリをして投球し、三者三振に抑えた。

最初ならこんなもんだと思う。

 

≪ビィィィィィィーーーー!!!!≫

 

『うるせえwww』『OUTの音大きすぎるwww』

『OUTOUT!ホラOUTだぞ!!!(アッピル)』

『何で三振でピッチャーがホームに突撃してるんだよwww』

 

三振するとなぜかピッチャーがホームに突撃するし、

OUTの音はまるで防犯ブザーのように鳴り響く。

これがスーパーリアルだ!

 

『OUTやかましすぎwww』

『力の入れ所おかしいだろwww』

 

「慣れるまでは苦労しそうですね……はい、じゃあ攻守交代です」

 

1回の裏、俺の攻撃。

ここでこのゲーム最大の問題、守備システムが木彫り大仏さんに牙をむいた。

 

【こいつら何で捕球しないんだよwwww】

 

そう。このゲームは、タイミングよくボタンを押さないと守備陣が捕球をしてくれない。

まるでただの障害物のように、ボールは選手に当たって落ちる。それだけである。

 

『リアルwww』『リアルすぎるwww』『いやリアルじゃねえよw』

『ファーストすら棒立ちでゲーム成立すんのかこれwww』

『ボタンを押せば捕球してくれるはず』『合わせてボタン押せってマジかよw』

『エラー連発www』『こんなんじゃゲームになんないよwww』

 

俺の転がした内野ゴロを処理できずに、エラーを連発する往年の名選手たち。

正直リアルと言っていいのか悩むが、発売当時はこのゲームで良く見た光景である。

内野でボール回ししても捕球してくれないのは正直どうかと思う。

意外とタイミング合わせないと難しいんだもん、これ。

 

【何で通常の守備が初見殺しなんだよwww】

 

ぐうの音も出ない。

だってこれキャッチャー前内野安打とか内野返し安打とか普通に出るもん。

距離短くて速すぎて、人間の速度じゃ反応しにくいから。

 

【外野に飛んだ……って何だこれ見づらい!見づらい!】

 

内野が速すぎて反応しづらいからといって、外野なら取れるかと言われてもそうではない。

視点切り替えが絶望的で、打撃中のキャッチャーからの光景と角度が変わらないので、

外野手の距離感がかなりつかみ辛い。時には内野から視点が切り替わらずに、

専門用語で言う「ラーメンマン現象」※1 により縮小した外野手での捕球を強いられる、

というシステム的な難易度上昇を体験することになる。

 

※1 ラーメンマン現象。古のク……ダメ……アレなゲームにおいて、

   画面背景が切り替わらずに、自キャラが縮小した不便な状態での操作を強いられること。

   別に小人になったから小さく表示されるわけではないことに注意。

 

『な、なるほど……』『よくそんなの見つけてくるなw』

『何でラーメンマンがク……アレなゲーム用語になってるの?』

『何、お前知らないのかあの伝説の古典ゲームを!』『幸せなやつめ……』

 

まあ、それはいいんだ。

 

「ええと……まだ行けそうですか?」

 

【すまん……これ無理】

 

木彫り大仏さんのギブアップにより、手動でゲームセットということにした。

流石に俺もこのゲームに付き合え、と強要するつもりはない。

 

「さて、どうしようかな……」

 

まだそんなに時間が経っていない。

次は今までやった対戦ゲームでもやるか、それとも……などと考え、

ソフトの一覧や通信コンソールを開いて確認していた俺は、

ゲーム部からの対戦申し込みが来ていたことを知る。

 

何々、スポーツ・格闘ゲームなら何でも。

ドールマスターでもモニター操作でも行けます……か。

 

何でもやるって言ったよね?

 

 

 

………………

 

 

 

【何じゃこりゃああああああ!!!】

 

『www』『バロスwww』『その言葉が聞きたかったwww』

 

ゲーム部の3年生、「つちや」くん。

小学生特有の本名プレイでアバターもリアル直結汎用体操服姿の、

小学生男子にはよくあるパターンである。

苗字だけで姿も平凡なのでギリギリセーフ?なのか?

 

【これどうやって打つの?何で振ってくれないの?ねえねえ!】

 

正直ガチには程遠く、かなりの教えて君のようだが、

年齢通りと言えばその通りかもしれない。まあ、ゲーム自体が好きなのは伝わってくる。

このゲームでも忌避せずに付き合っているのはかなりのものだろう。

 

『構え』『構えじゃわかんねえよボタン押すんだよ』

『こんなゲームにマジになっちゃってどうするの?』

 

意外にも視聴者の皆さんも反応は悪くない。

そもそも小学生の実況配信見に来てた人たちなんだから当然と言えば当然か。

 

俺はとりあえずこのゲームの操作を教えつつ1試合分続け、

今日の実況を終えた。

 

 




※この物語はフィクションであり、
実在のゲーム用語等には一切関係ありません。。。


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ポピュラス〈真心と思い上がり〉

奇跡に詠唱を付けたらどうだろうと思い立っても思いとどまれるのびるちゃん10さい


 

「あのさぁ、妹よ」

 

「何?姉よ」

 

「気分次第で活動するってさ、それ幽霊部員と何が違うの?」

 

「……」

 

のびるは激怒した。必ずあの邪知暴虐の教師を除かねばならぬと決意した。

しかし特に困ったことはなかったので、除くのは後にしてやろうと思い直した。

 

「絶対自由!」

 

「ハイハイ」

 

 

………………

 

 

 

「今日のゲームはポピュラスです!一人用でやります!」

 

『俺得キター』『やるやん』『のびちゃんが名作枠なんて……』

『のびちゃんをクソゲーマー扱いするのはやめろw』

 

「今日も真心と思い上がりの実況でお送りします!」

 

『www』『のびちゃんの激寒ギャグ嫌いじゃないよ』

『真心はあるんだなw』『思い上がったり上がらなかったりしろ』

 

今日のアバターは、白い翼のある天使みたいな女神の姿だ。

 

このゲームは空からの視点で進行するため、

空を飛べるイメージのアバターが用意されている。

中にはUFOに乗った宇宙人やら彗星に乗ったハレー彗星ちゃんなんてのもあったが、

俺は女神様のテンプレイメージのような翼のある女神になることにした。

 

白い翼と古代ギリシャみたいな服に合わせて、髪と瞳の色は輝く薄い緑にしている。

メガネが色々ぶち壊しているが、これは俺の気分的に外せないから仕方ない。

 

『のびちゃんが天使過ぎて俺の毛細血管がやばい』

『すっかりメガネ……女神様ですな!』『然り然り』

 

さっそくゲームをスタートさせてみる。

身体に感じる風と太陽の光、そして眼下に広がる大きな大陸。

 

青い服を着た人間たちが俺の方を見て止まっている。

そういや最初はポーズ状態で始まるんだったか?

 

「はい、この人間たちが私の信者さんですね。このままでは生きていけないので、

私が面倒を見てあげることにします。全く人間たちはしょうがないですねー」

 

『もうイキってるw』『イキりメガネwww』『神気取りかwww』

『期待に答えていくwww』『女神だからしゃーないw』

 

「山を崩すのは非効率なので、海を持ち上げて平地にしてあげます」

 

『おお、土地が増えた』『地上げ(物理)』『土地ころがしの魔法!』

 

まず造成作業に取り掛かる。近くの海面を3段階上昇させ、1段階下げる。

出現した小島を広げてちょっと高めの平地を作り、大陸と繋げてポーズを解除した。

 

人間たちが動き出す。

 

『おー』『動くぞ、こいつ!』『ドックンドックン』

『鼓動音鳴ってるw』『このランドマーク的なものは何なの?』

 

「このシンボルを触るとリーダーになります。シンボルとか聖地とか言ってますけど」

 

『聖地巡礼』『アニメ化しないと!』『触ったからお前リーダーなw』

 

しばらくは整地作業だ。

ひたすら海を埋め立てて、ちょっと高めに土盛りして、人間を誘導する。

 

「聖地を整地……」

 

『ん?』『ん?』『今何かすごい寒気が』『で、でたー激寒ギャグwww』

 

土地造成の作業により、人間たちの建てた家が木や藁から石の家、大きな城砦へと進化する。

 

「この作業感がたまらんのですよ……」

 

『わかる』『わかりすぎて困る』

 

城砦の脇をちょっと上げ下げして人の移動を促し、

城砦の数が増え、勢力が十分広がったら即戦争……ではなく、もうしばらく勢力拡大に費やす。

奇跡を起こすゴッドパワー(仮称)を貯める時間と、リーダーを合体強化する人口を稼ぐためだ。

ちょくちょく敵陣に底なし沼の奇跡を起こして、妨害も忘れない。

 

「なんかイモムシとかかたつむりとか出てくるらしいけど、私見たことないんですよね」

 

『俺も』『そんなのいるの?』『俺イモムシ見たことある』

『沼作って邪魔なだけなんだよな……』

『沼を作る女神……沼を作る虫……あっ(察し)』『それ以上いけない』

 

そうこうしているうちに強化も終わり、ゴッドパワー(仮称)も溜まった。

確か原作ゲームだと奇跡とか土地の上げ下げに制限がある面もあったような気がするが、

このリメイクにはそういうのは無いようだな。それとも最初のこの面だけか?

 

最終戦争(ハルマゲドン)っていう奇跡もあるんだけど、使わなきゃいけないわけでもないし、

最初のこのステージは使わなくても簡単に勝てる。

 

だが俺は使う!そこに最終戦争ボタンがあるなら!

 

「ハルマゲドーン!」

 

『きたあああああ』『やったああああ』『待ってたwww』『ですよねーw』

『のびるもーそういうとこめっちゃ好きw』『ヒャッハー!!行くぜお前ら!』

 

全ての家も城砦も消滅し、人々が敵の最後の一人を打ち滅ぼすまで止まれない最終戦争。

 

「もうすることないんで、ちょっとお話ししますね」

 

『止まるんじゃねえぞ……』『ヒャッハー!』『アポカリプス・ナウ!』

『皆元気だなぁ……』『お話を聞いたり聞かなかったりしろ』

 

「このゲームは500だか1000ステージくらいあって、

スコアか何かで面数を飛ばして進行します。

中には大江戸とか宇宙人とか3匹の子豚のステージもあるらしいです」

 

『そーなのかー』『大江戸は知らんかった』『特殊ステージ難易度高いんだよね……』

 

「あとゴッドパワー(仮称)の名称はサイコパワーだった気がしますけど、それだと正直……」

 

『サイコッパーワー!?』『ベガかな?』『それは世界的格ゲーでラスボスしますね……』

『本物のラスボスじゃないですかやだー!』『そんなのと被ったらしゃーない』

 

「あ、勝った」

 

最終戦争(ハルマゲドン)は使うのはいいけど、最後の一人を倒すまでって条件だから、

ラストは別にイベントも無く通常のバトルで唐突に終了しちゃうんだよね。

 

『え?勝った?』『Won?だから勝ったんじゃない?』『リアルな最終戦争で草』

『最後の一人だからね、最終戦も通常戦闘だよね』『当時の洋ゲー感』

『おめ』『対戦はやるのー?』

 

「あの、これ対戦やるとガチで泥沼になるんで……実況ではやらないと思います、ハイ」

 

『泥沼……(察し)』『沼の奇跡って強いの?』『強いから対人だと泥沼(ガチ)』

 

「時間もちょうどいいんで……今日はここで終わります。

今日もご視聴、ありがとうございました!」

 

 




やってて楽しい作業は楽しいのに書ける所が無かった(小並感)


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〈掲示板回〉3つの掲示板

徐々にのびていくのびるの存在
のびるだけに


 

【実況】古典ゲーム新人スレ

 

588:【451】 02:33

451です。連絡取れました。どうやらただの寝落ちだった模様

 

589:名無しゲーマー 02:34

マジか、急にアバター止まったから焦った

 

590:名無しゲーマー 02:36

うんのこうもダイブで真3RTAはきつかったか……

 

591:名無しゲーマー 02:36

流石に奇襲プレスターンありのあのバトルで長時間はきついよな

 

592:名無しゲーマー 02:39

もう少しでクリアだったのにな

 

593:名無しゲーマー 02:51

【悲報】つるかめ仙人、まさかの親フラwww(アーカイブ動画リンク)

 

594:名無しゲーマー 02:52

親フラwww

 

595:名無しゲーマー 02:55

ババア入ってくんな!なおガチな模様w

 

596:名無しゲーマー 02:56

ババアwww

 

597:名無しゲーマー 02:58

ジジイのリアルカーチャンババア呼ばわりは大草原生えるからやめろwww

 

598:名無しゲーマー 03:00

くっそwwwこんなんでwww

 

599:名無しゲーマー 05:53

つ(MAD動画リンク)

 

600:名無しゲーマー 06:01

>599

仕事速すぎwww

 

601:名無しゲーマー 06:06

>599

のびる「今です!」

仙人「ババア入って来んな!」

副会長「そんなこと言わないでよー」

ゴリラ「キィェァァァァァァ!!!?」

ハゲ「きっつい……きっついっス……」

 

602:名無しゲーマー 06:07

>599

百 鬼 夜 行

 

603:名無しゲーマー 06:09

>599

今期実況オールスターじゃねえかwww

 

 

………………

 

 

【即BAN】小学女子総合【死屍累々】

 

1:名無しゲーマー 02:22

・このスレは世代別古典ゲーム実況者ファンスレです

・犯罪、誹謗中傷、その他荒らしは通報即対応です。

・特に性的すぎるレスは即通報・BAN・逮捕・ジョークは通じません

・運営を試みること無かれ。抜け穴探り行為も即BAN

・絡み粘着私怨は即バレます。運営からは丸見えです

・このスレは運営と公権力に監視されています(ガチ)

 

前スレは(スレリンク)

 

2:名無しゲーマー 02:33

>1乙

 

3:名無しゲーマー 02:34

>1乙これはポニーテールなんたらかんたら

 

4:名無しゲーマー 02:35

>1乙

 

5:削除 削除

削除

 

6:名無しゲーマー 02:40

前スレで右脇腹の浪漫回路を磨けと言われた者ですが、浪漫回路って何ですか?

それがあればリアルの美少女を見抜けるんですか?

 

7:名無しゲーマー 02:43

>6

今そこにある美少女を感じるのだ!(それっぽいポーズ)

 

8:削除 削除

削除

 

9:名無しゲーマー 03:18

カルドセプト、アリーナ1(アーカイブ動画リンク)

のびるVS苺蔓

 

10:名無しゲーマー 03:48

>9

苺蔓ちゃんの泣き顔……ゴクリ

 

11:名無しゲーマー 03:50

>9

お、新しいプリキュアか!?緑色かぶってない!?(古典アニメ脳)

 

12:名無しゲーマー 03:53

>9

のびるかよ!このスレで見るとは!

いやこいつも確かに小学女子だけどさ

 

13:名無しゲーマー 03:55

>9

師匠wまあこれはしゃーないけど

カラー3色の師匠になるんかな?

 

14:名無しゲーマー 03:56

なんかのびるってアレだよな、あの年にしてはゲーム上手いんだが、

なんかこう、天才って感じじゃなくて年季が入ってる感じというか……。

 

15:名無しゲーマー 03:59

>14

わかる。土地レベル一気に上げるのも3レベル制限スペル警戒だし、

隙間埋めてからレベル上げるのはテレキ警戒だろ?

これも定石学んだって言うよりは痛い目に実際あって染み付いてる感じが

 

16:名無しゲーマー 04:00

でも焦ると素が出るから実年齢はそれっぽい。

兄妹上3人いるっていうからそれじゃないか

 

17:名無しゲーマー 04:12

しっかし泣き顔からキラキラした顔になる苺ちゃんかわいいですね……

 

18:削除 削除

削除

 

19:名無しゲーマー 04:49

>18【通報者様、ご協力ありがとうございます】

 

20:名無しゲーマー 05:09

逮捕きたああああ

 

21:名無しゲーマー 05:15

きたああああああ

 

22:名無しゲーマー 06:23

何何?何書いてあったの?

 

23:名無しゲーマー 06:28

>22

知りたがり屋は、若死にするぞ。

 

 

………………

 

 

【野草】のびるスレ【タッチ】

1:名無しゲーマー 02:33

立てました

 

2:名無しゲーマー 02:34

ついにこの実況ファン板にのびちゃん個人スレができたか

 

3:名無しゲーマー 02:34

このスレはのびる

 

4:名無しゲーマー 02:39

>1乙

>3だれうまw

 

5:名無しゲーマー 02:40

これはのびるスレ

と思ったら先に書かれてた1乙

 

6:名無しゲーマー 02:43

のびちゃんいいよね……

 

7:名無しゲーマー 02:44

いい……

 

8:名無しゲーマー 02:46

〈スレ終了〉

 

9:名無しゲーマー 02:48

www

 

10:名無しゲーマー 02:50

わかってるオタクは語らないテンプレやめろwww

 

11:名無しゲーマー 02:54

じゃあ皆でのびちゃんのいいところをあげてみよう

僕はメガネ!

 

12:名無しゲーマー 02:56

選ぶゲームが俺得なところ

 

13:名無しゲーマー 02:57

ゲームが実際まんべんなく上手い所。

見たとこプロ級ジャンルは少ないけど、あの年で色々出来てるのは凄い

 

14:名無しゲーマー 02:59

弱った相手を丹念に潰すことに生きがいを感じているお姿

 

15:名無しゲーマー 03:00

コミュニケーションに難ありって通知表に書かれてそうなとこ

 

16:名無しゲーマー 03:02

女神様やってる時は実際女神様に見える(ただし情け知らず)

 

17:名無しゲーマー 03:03

お色気系は無理っぽいけどかわいい系なら色々着替えアバターやってくれる所

 

18:名無しゲーマー 03:04

隠し切れない覇王のオーラ

 

19:名無しゲーマー 03:05

あの歌と踊りも実は嫌いじゃない

 

20:名無しゲーマー 03:06

油断して不意打ち食らってびっくりして切れて素を出してるところが一番好き

 

21:名無しゲーマー 03:07

お前らw

 

22:名無しゲーマー 03:12

のびちゃんいいよね……

 

23:名無しゲーマー 03:13

いい……

 

24:名無しゲーマー 03:15

繰り返すなwww

 

 

 




レトロゲームいいよね……
いい……(自己完結)


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火の鳥〈お手軽タイムワープ〉

とりあえずゴリ押しで!(レトロゲーマーの鑑)


今日も配信。来場者はついに5000人を越えている。

マジでどうなってんだ、有名実況者に紹介でもされたのか?謎だ。

 

「皆さんよくおいでくださいました!今日のゲームは火の鳥です!」

 

『火の鳥?』『手塚神のアレか?』『ゲームも名作ゾ、原作壊れるけど……』

 

「えーと、これは手塚治虫の名作漫画のゲーム化……ということになってますね。

なぜこんなカオスなのか、なぜ我王を主人公に選んだのか、これがわからない……」

 

『草』『なぜ無理やり我王?ってのはある』『元から戦える主人公結構いるんだけどな』

『確かその時映画やってたからじゃん?』

 

それは俺も知らなかった。そうだったのか。

前世リアルタイムでは、映画を自由に見られる年齢じゃなかった……と思う。

だから気づかなかったのかな。

 

「原作ゲームだと我王主人公、リメイクではありがちなアバター主人公が選べる形式ですね。

流石に私が我王主観で主人公やるのはきついんで、これはありがたいです」

 

『そこはそれ』『しゃーない』

 

版権ゲームのリメイクでは、絶対と言っていいほどアバター主人公選択がついてくる。

原作通りの主人公が選べる!というのが逆に売りになるほどの逆転現象が起きている。

まあダイブ主観の精神的混交リスク回避を考えたら仕方ないんだけどさ。

 

「ええと、ガチ勢だともっと速いですけど、私は30分か、1時間行かないくらいが目標です」

 

『十分速い』『お?ミサワか?』『まあそれほど難しいゲームじゃないし』

 

アカウント標準そのままの、のびるアバターを選択。

現在はかわいい系のフリルが着いたスカート服に設定しているが、

鉄壁フォローとダメージコントロールが入るのでファッション性を妥協する必要はない。

 

まずは大和、ステージ1。

 

「この大和は8ステージあるんですけど、通常は7ステージ目で大和1にループします」

 

『5人いる4天王みたいな?』『誰も知らない8人目……』『投げてるのは何?』

 

「これは工具のノミなんですけど……」

 

『鑿(ノミ)』『無限ノミだぞ』『仏師だからね、仕方ないね』

『なぜ仏師をアクションゲームにしようと思ったんですか……?』

 

このノミで敵を倒すと、なぜか敵が鬼瓦と化すので我王がそれを回収する(?)

 

「もうお分かりでしょうけど、この鬼瓦を回収、設置する技術がこのゲームの肝です」

 

『鬼瓦を回収www』『鬼瓦ゲーwww』『ですよねw』『設置w』

 

鬼瓦は、足場にもなるしバリアにもなる。邪魔になったら壊せる。

ボスを閉じ込めたり、落ちそうな時に緊急展開して命を拾うこともできる。

出したら空中に固定されるので、重さを気にする必要がないのは助かる。

 

「時々宝箱が落ちてるので、これもノミで壊して(?)お宝を回収します」

 

HPが増える貝殻、回復するおにぎり、1UPするミニ我王、

全身真っ白になって壁抜けできる鏡、無敵になる鳳凰の羽、時を止める勾玉……。

 

『時よ止まれ!』『ザ・ワールド!』『スタンド使いだったか……』

 

うん、知ってた。3部よりこっちが先だから俺の前世ではその発想は無かったけど、

ジョジョ3部を先に知ってたらそう言いたくなるよね。

時止めはファミコンでは結構よくあるギミックだったんだけどな。

 

「と、最初のボスですね」

 

鬼瓦と言う名前らしい。鬼瓦が生きて動いてるような大きな顔だが、

このゲームのボス戦は基本、

 

「レトロゲー奥義、ゴリ押しが非常に有効です」

 

『奥義w』『ですよねー』『知ってた』

『まずゴリ押し→そのまま倒すのが最善』『レトロゲーあるあるw』

 

鬼瓦ボスの下に回りこんで、全力無限ノミ発射!

スタミナのようなリアルステータス設定が無くて助かった。

一部マニアックなリアル系のゲームにしかその手の設定はないが、

あったら俺には無理だ。

 

「で、ボスを倒すとこのパネル彫刻が出てくるので回収してステージクリアです」

 

『何ぞ?』『パネルに見える彫刻だよ』『???』

 

「えーとステージクリア後に回収パートがあるんですが……これですね、

この絵に見えるのは火の鳥の『彫刻』です。だそうです」

 

『彫刻……?』『どう見ても絵ですが何か?』『お、哲学か?』

 

「このかけらを16個回収して『彫刻』を完成させるのが目的です」

 

その後、俺は順調に大和ステージをクリアしていく。

 

大和2はボスBGMは鳴れどもボスは存在しない、パネル彫刻を回収するだけのステージである。

 

大和3は山ステージでボスは岩男。

 

「ゴリ押しィ……ですかねえ……」

 

『楽々と倒してくれますね(信頼)』『ジャンプ力ゥ<<ゴリ押しィ』

『岩男!?なぜこんなところに!』

 

大和4は渓谷でボスは顔車。顔車である。

 

『火車』『火車だ』『輪入道じゃないの?』

 

「いやまあ顔車って……まあいいや、ゴリ押しで」

 

『顔車www』『まんまやんけw』

『あの妖怪……名前ど忘れした……まあ顔車でええか!』

『リアルっぽい妄想秘話はやめろww』

 

大和5はお寺?ボスはでかい般若。だけど壁に埋まってるので動けない。

 

「ゴリ押しの餌食ですねえ……」

 

『ニチャァ……』『鬼瓦で埋めると無傷だよね』『それやったわw』

『やるやるw』

 

大和6は山だが、足場の悪い崖の上と言った方がいいだろう。ボスは雷神。

 

「この雷神、飛び回るからゴリ押しできないんですよね」

 

『ば、馬鹿な!』『雷神が飛んだ!?(普通)』

 

「まあ結局動きに合わせて連打すればいいだけなんですが」

 

そんなに苦労することも無く、またパネル彫刻をゲット。

 

そしてループする大和ステージ7。洞窟内ステージのくせに、

下から飛び跳ねてくるコイがうざったい。

 

ボスは「壁画」

壁画である。

 

「止まった敵に脅威は感じませんなー」

 

『ゴリ押し乙』『もうちょっとこう、鬼瓦システムが……』

『鬼瓦の技術完全にマスターしたら強すぎるんだよなぁ……』

 

撃破し、大和1にループする。当然のごとく。

 

『ループやん!』『まさか世界線を!?』『こんな古典も古典でループものとは!』

 

「まあまあ、慌てないで下さい。ここのイカダみたいな木の障害物を壊すと……」

 

『!?』『この音は……』『まさかワープ!?』

 

そう。大和から「ワープ」してたどり着くのは、来世ステージ!

 

『来世www』『来世1www』『まさかの転生ものwww』

『時代の流行を先取りしすぎだろwww』

 

大和1からは来世にワープできる。普通だな!

なぜ未来じゃなくて来世なのかはよく分からない。

確かに漫画原作の方では彼の生まれ変わりっぽいキャラもいるが、

少なくともこのゲームにおいては我王が生まれ変わっているわけでもないし。

 

来世1の最後は、横から突っ込んで岩ブロックをガリガリ削ってくるモアイを避けて、

いつもの彫刻のかけら……パネルを回収すること。

 

『クソワロタwww』『唐突なモアイはずるいwww』『こんなん笑うわwww』

 

なぜここにモアイを使おうと思ったのか。

俺にだって……わからないことくらい、ある。

 

来世2は、背景で火山が噴火してるのを除けばどうという事もない普通のステージ。

ただし最後に、火山からと思われる石柱が降って来て下の岩盤を削るので、

即行クリア推奨。ぐずぐずすると足場が無くなる。

 

来世3は一転して急に未来っぽい工業地帯のようなパイプ多めの背景となる。

ボスはエイリアンっぽいが動かないのでゴリ押しが効く。

 

『知ってた』『ゴリ押し最強!』『んんwwwゴリ押し以外ありえないwww』

 

来世4、舞台は未来の市街地に移る。一見ボスはいない回収ステージのように見えるが……。

 

『ここボスいるんだよね』『エルトラフルとか言うらしいぞ』

『え、そんなの知らない……』『特定のブロックを壊すと出るよ』

 

俺も知らなかったぞ、そんなの。ここボスいるのかよ。

 

「まあ、クリアしちゃうんですけどね」

 

『ですよねw』『さすのびw』『まあクリアならいらんわな、そんなのw』

 

無事回収して、来世5。また工業地帯の背景で、

最後にはスーパーコンピューターがボスとして待っている。

 

『まあ、ゴリ押し安定だよな』『固定敵はなぁ……』

 

そして来世5をクリアすると来世1にループ。

その来世1から、「太古2」ステージへとワープする!

 

『太古www』『おい、火の鳥www』『火の鳥だから太古ぐらいあるだろ』

『ねーよwww』『何で人類史を飛び越えてるんですかね?』

 

恐竜や翼竜を避けつつ、待ち構えるのは化石恐竜。

 

『もう死んでるwww』『気が早いwww』

『絶滅の前にあらかじめ化石になっておきましたwww』

『あら恐竜さん、まだくたばるのは早いですよ?』

 

結局固定敵なので、安定のゴリ押し。

太古3、氷河期の到来である。

 

『氷河期キターーー』『絶滅しちゃうwww』『絶滅はやい、はやいよwww』

 

滑るステージを、鬼瓦を活用して必要以上に慎重に潜り抜けて、

降りしきる人間サイズの巨大つららを避けて、無事パネル彫刻をゲット。

太古1へのループを行う。太古は3ステージしかないんだよね。

あまり特色があるわけではないステージだが……。

 

『丸太www』『丸太が降って来たぞオイwww』『皆、丸太は持ったな!』

 

岩やつららと同じように、丸太が降って来るのでそれを避けつつパネル彫刻をゲット。

 

ここで太古2へ戻るが、そのままクリアして太古3。

その太古3の途中に、隠された最後のステージ、大和8へのワープがある。

 

そこはカタストロフィー。黄昏の空に、世界が常に揺れ、

BGMが危機感を煽り立てる。

 

『ヒャッハー!』『アポカリプス・ナウ!』『ハルマゲった!』

『せんせー!のびちゃんがハルマゲドン使いました!』

『のびちゃんのせいにすんなよwww』『火の鳥……?』

 

何でワープしたらカタストロフィーなのかは誰も知らない。

そういうステージを作りたかったという気概はわからんでもないが。

 

「揺れてるのはちょっと……ダイブだとかなりきつくなってますけど、

結局見た目で焦ってるのが大きいんで……行けます。はい、行けますね」

 

実際に(擬似的に)足をつけている分慎重に、鬼瓦にも多く頼って先に進む。

このステージにボスはいないので、そのままパネル彫刻発見。

火山弾のようなものが落ちてくるが、ここまで来れば誤差である。

 

「はい、火の鳥鳳凰編ファミコンリメイク、クリアです!」

 

『888』『88888』『イエーイのびちゃん見てるー?』

『おめええええ』『速いですね!』

 

クリアタイムは……38分28秒か。ダイブによる3次元的遅延を考えたら速い方か?

 

「皆さん、今日はお付き合いありがとうございます。火の鳥実況配信、のびるでした!」

 

 




我王とかいう火の鳥鳳凰編ファミコン世代のヒーロー
なお原作


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ロードファイター〈+カルドセプト指導〉

指導という名目で以下略


 

その日、俺は実況配信前にゲーム部の信号機3人への指導戦をすることになった。

 

苺蔓は以前と同じ装いで勝気そうな佇まい。

 

緑の蔓茘枝(ツルレイシ)は緑の葉っぱをこれでもかと重ねたような緑の妖精服。

髪の色も緑だが髪の毛で目が隠れ、おどおどした様子だ。

メカクレとは分かっているな。

 

黄色の万寿果(パパイヤ)は全身黄色の魔法少女のようなフリフリ服。

それはいいのだが、俺と似た丸いメガネをかけており、

なぜか気色悪いニヤニヤ笑いを浮かべている。

メガネのイメージが悪くなるからそのニヤニヤ笑い止めろ!

 

「の、のびるさんですか?わ、私が万寿果……パパイヤです。ふひっ……」

 

このメガネ、意外と積極的に話しかけてくるくせにオタクっぽいぞ!コミュ障だな!

 

「フ……フフ、私がのびるです!より……よろしくお願いします!」

 

「なんかパパイヤに似てる……」

 

何だと!?俺のどこがこいつに似てるって証拠だよ!?

 

挨拶を済ませた俺は早速、カルドセプト4人対戦を開始する。

 

苺蔓は防具が増えて重いクリーチャーを減らしたようだな。

あとはバランスがどうなってるか……。

 

ツルレイシ……ゴーヤでいいか。ゴーヤは地属性か。

クリーチャーが事故り気味だな。

配置制限を越えられずに制限クリーチャーが手札で腐っている。

 

パパイヤは風属性だが無属性が多い。モスマンが複数入ってるな。

ジーニーやシムルグで守るつもりのようだ。

 

結果だが……当然のごとく俺が勝った。

特に苺蔓のブックは前回とは見違えたように改善していたが、

戦いの年季が違う俺のブラフ込みの戦術に対応できるはずも無かった。

 

「移動侵略が少ない、行けるならやった方が」

「制限クリーチャーと制限なしのバランスが……」

「アイテムを使うか使わないかの駆け引きが……」

 

やばい、SEKKYOUとか前世ではうぜえとしか思わなかったが、これ楽しいぞ!

俺の助言をこの3人は素直に聞いて改善してくれるんだ。楽しくないわけがない!

アドバイザー最高!俺アドバイザー様になる!

 

げ、ゲーム部に入ってはいない。入ってはいないからセーフ。セーフだな、うん。

 

 

………………

 

 

 

「今日のゲームはロードファイターです!折角なので主観モードに挑戦します!」

 

『マジで!?』『いや、きついっしょ』『主観って運転だぞ、大丈夫か?』

 

このゲームを主観モードでやるのを楽しみにしてたんだ。

多少年齢的に不自然だろうが、やらないという選択肢はない!

ないのだが……?

 

「足が届かない……」

 

『www』『草』『そらそうよ』

『大人用だからなw』『実質年齢制限やぞ』

 

自動車の免許持ってない子供はお呼びじゃないよ、という暗黙の了解らしい。

 

まあダイブでその気になってリアルで事故るなんてありそうな話だから、

仕方ないと言えば仕方ないんだが。俺は(前世で)マニュアル免許持ってるのに!

 

「無理やりゲーム改造したりアバターをいじる気もないので、これは諦めて、

仮想コントローラー操作の俯瞰モニターにしておいてあげます。命拾いしたな!」

 

『草』『泣かないで』『泣いたり笑ったりしろ』

『まあ動作トレース入るから、主観もそんなに変わるわけじゃないさ』

 

ゲーム操作を仮想コントローラーとモニターに切り替える。

原作に忠実と言われればそうかもしれない。

 

今回のアバターは緑と白のレーシングスーツ、

当然前開きのチャックがついているやつだ。

大きめのヘルメットの中で輝くメガネは外せない

 

『のびちゃんかっこいい!』『こだわりのメガネ』『速い(確信)』

『やっぱ……前開きレーシングスーツは……最高やな!』

 

 

ファンファーレと共にスタートを切る。

ステージ1は住宅と木と緑らしきものが立ち並ぶ背景の一般道。

 

「あーいいっすねー」

 

貫禄の無音の中、効果音だけの走行が心に染み渡る。

 

「主人公の車は赤で、ぶっちぎりに速いです。ギアチェンジがあるんですが、

慣れればずっと最高速で、ミスらない限り変える必要はなくなります」

 

『はやーい!』『地味に時速400キロ出してて草』『他の車は何なの?』

 

「茶色というか黄色というかこれはモブの車です。ただの障害物」

 

『モブw』『動かないもんなぁ……』

『通り過ぎるだけの人生……恥ずかしくないの?』

 

「そしてこれが燃料の補給車。時間制限が燃料の残量なので、これは重要なのです」

 

白・オレンジっぽい車にだけは、接触して燃料を補給できる。出来ないと終わる。

 

『悲しいなぁ……』『これは養分ですね……』『養分として生きていく』

 

「さらにこのファイター要素です。赤い車と青い車が体当たり攻撃を仕掛けてきます。

なにしろロードファイターですから!」

 

『いきなり不穏で草』『ようやくファイター要素が』

『まあ後の何でもありの作品と比べると地味なんだけどな』

 

青い車は2種類のグラフィックがあるが、正直何が違うのかは分からない。

 

「あとは……ノーミスで進むと出てくるコナミマンとか」

 

モニター画面の左側を、下から上へスーパーマンのような何かが通り抜けていく。

 

「得点ボーナスですね。アーケードだと飛行機とか列車とかもあるらしいですけど」

 

『おおらかな時代』『何でもスコアアタックの時代だったんだなって』

 

ゲームは進む。ステージ1もラスト近くなった時、

2キャラ分のグラフィックを使って若干大きなトラックが出現する。

 

「他の車は当たってもリカバリー出来ますが、トラックは一撃死なんで注意が必要です」

 

『だよな』『然り然り』『他の車の方がおかしいんだけどな、これw』

『他の車には当たっても無事な時点でなw』

『トラック怖い、転生しちゃーう』『転生トラックじゃねえよw』

 

見事ステージ1のチェックポイントを通過し、ステージ2へ。

ステージ2は、海か川か知らんが水の上にかかる橋だ。

 

「このステージ2はステージ1とそれほど変わらないので、

このゲームの特徴である衝突からのリカバリー動作をお見せしますね」

 

モブ車にわざと衝突すると、自機はモブ車の逆方向へスリップを始める。

そのスリップする方向へ向かってハンドルを切り(方向キー入力)、

その直後に元方向へ立て直し(逆方向キー入力)すると、

スリップしたはずの車が立ち直り、速度を維持して前に進むことが出来る。

 

『スィー』『www』『地味におかしいw』

『こんなん出来たら事故なんてないわw』

 

「私なら出来る、なぜならロードファイターだからだ!」

 

『お、おう』『せやな』『のびちゃんまた調子に乗ってる……』

『アメリカ大統領か何か?』『ロードファイターってすごい(小並感)』

 

ステージ2もあっさりクリア。前世ではアホみたいにやり込んだからな。

ダイブ主観操作なら分からんが、同じ操作系統の仮想コントローラー式でミスる要素はない。

 

『これ上手いのか?』『かなり上手いと思うよ』

『意図的に以外は衝突すらしてないしなぁ』

 

そしてステージ3、おそらく最難関であるだろう、

車2台しか通れない狭い道が延々続く海岸の道路だ。

 

「これ確かアーケード版だと広い道もあったステージなんですけどね」

 

容量か何かの都合か?何にせよファミコン版限定で狭い道オンリーの、

リカバリー動作の関係上ロードファイター最難関のステージと言っていいだろう。

 

「こんな狭い道で、順・逆キー入力なんてしたくないので、当たらないように祈ります」

 

『祈りコマンド使用』『いのれ』『のびちゃんが祈ると……何が始まるんです?』

 

その後、2度ばかり衝突したものの、瞬時のキー入力でリカバリーすることが出来た。

 

『奇跡』『やはり女神……』『もーまたのびちゃん老練な動きするー』

 

せまっ苦しいステージ3も楽々クリア。今日は特に調子がいいな。

 

ラストステージのステージ4は、オレンジ色に染まったステージ。紅葉と枯れ草かな?

道が結構広くなる変わりに若干カーブが入る。

だがまあ、ステージ3をクリアしたなら苦労するほどじゃない。

 

全ステージ、10分かからずにクリアできた。

 

『おめええええ!』『888』『8888』『さすのび!』

『これでクリア?』『初期の名作って感じがする』

『BGMがないのがまたいいよな』『いい……』

 

ふふふ、視聴者の草どもめ。クリアしたと思って安心しきっているな。

だが、レトロゲームはこれだけでは終わらない!

 

「見せてやるぜ、その先をよぉ!」

 

『ループきたあああああ』『まさかの周回w』『知ってたwww』

『とんでもねぇ、待ってたんだ!』『やった地獄の無限ループだ!』

『のびちゃんのご褒美タイム来たーーーー!!』

『クソゲーみたいな反応やめろwww』

 

その後、俺の挑戦は4周目で終わった。

4周目ステージ4で敵の車に衝突、運悪くカーブと重なり避け切れないのコンボ。

何度か重なり、ついに燃料が無くなってゲームオーバーだ。

 

ハードラックとダンスっちまったんだよ……。

 

 




!?


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シヴィライゼーション 世界七大文明

セーブ一つでメモリーカード15ブロック?
構わん、行け。


「はい、今日もみなさんご来場ありがとうございます、のびるです!」

 

『おっつ』『わこつ』『今日は何やるのー?』

 

「今日はですねー、シミュレーションゲームの名作、シヴィライゼーション 世界七大文明!

これをほんのちょっと紹介がてら、やっていきたいと思います!」

 

『うおおおマジかあああ』『流石に意外すぎるwww』『パソコンゲームやるの?』

 

「確かに最初のパソコン版が1991年ですが、家庭用ゲーム機作品としても、

1994年にスーファミ版が、1996年にはPS版も出ているのです!」

 

前世ではPS版1、2とDS版のレボリューションの方だが、かなりやり込んだな。

なぜ今までやらなかったのか。正直その、あんま上手くないんだよね。

レボリューションは天帝CPUに勝つまでやり込んだけど対人戦の経験は皆無、

1、2に至っては最後まで族長レベルで四苦八苦してた。

その難易度を補って余りある面白さだからずっと続けてはいたんだけど。

 

「シリーズ最初の1と2は、家庭用レトロゲームとしてプレイできるシヴィライゼーション。

リメイクも初期シリーズを無視せずに出してくれましたし、とても価値が高いと思います!」

 

『あっハイ』『スーファミ版とかあったんだ……』

『むしろ初代はスーファミかPS1で出てるってので知ったぞ』

『それな』『のびちゃんが楽しそうで何より』

 

「それじゃーやって行きますよー」

 

今回のアバターは翼の生えた女神様。族長が守護神となって民族を見守っている的な?

世界を俯瞰する視点は、神様系ゲームの特徴。

世界を見守る系のゲームは、おおむねこの視点操作に落ち着くのかな。

 

「えーっと、まずは惑星の設定をしていきましょう」

 

『開幕惑星レベルw』『また神ゲーかwww』『のびちゃんホントに神ゲー好きなw』

『思い上がっていく』『神じゃなくて永遠の指導者様やぞ』

『永遠の指導者だからセーフという風潮』

 

陸地の密度は小さい、気温は高温、気候は湿潤、惑星の年齢は50億、

登場する文明は3文明と少なく設定。

難易度は最低ランクの族長、文明は日本、名前はのびるに設定して、いざ鎌倉!

 

『オサ!オサ!』『族長(笑)』『くぉれは開幕から不穏ですね……』

『生存が危ぶまれる』『そんな馬鹿な!』『もしかして……さすのびじゃない?』

『まるでのびちゃんがガチの小学生みたいだ……』

 

ええい失礼な草どもだな!

 

「正直神ゲーなんですけど、私は上手いわけじゃないので……」

 

オープニングイベントが始まった。

 

昔々、人々が文明を持たず世界をさ迷い歩いている頃。

日本を率いる指導者であるのびるは、星降る夜に不思議な体験をした。

目の前に美しい女神が現れたのだ。

 

『美しい……?』『不細工な女神w』『不細工とか言うな失礼だろ!』

『のびちゃんの方がかわいい』『この世界じゃ美しいんだよ!』

 

女神は語った。日本は世界の支配者になれる。

そう言っていくつかの技術をもたらした。

食料が増える灌漑、通常の3倍の速さで移動できる道路、資源が増える採鉱。

さあお行きなさい、シヴィライゼーションの世界へ!と。

 

「見てろよーこの私の豪運が……」

 

紀元前4000年スタート、初手小屋隣接!

 

『草』『初手小屋隣接は草』『あっ……(察し)』

『蛮族かな?』『滅亡クルー?』

『次ののびちゃんはよくやってくれるでしょう……』

 

ま、まだ慌てる時間じゃない。族長レベルならそんないきなり蛮族なんて……。

いやでも初代リメイクだからなあ……。

 

「あ、でも開拓者が2ついますね。これは行ける」

 

開拓者=街づくりと街の育成両方こなせる、のちのシリーズの労働者も兼ねた必須ユニットだ。

これが最初2つになったのは大きい。早速一つを小屋に突撃させ、賭けに出た。

結果は……傭兵の騎兵を入手。

 

『おめ』『初手滅亡はなしか』『勝ったな……』

 

そのまま南東方面に向かった開拓者は、もう一つの小屋を発見し開拓突撃で50金を入手。

その上の資源馬に最初の都市「ノビル」を建設するのだった。時に紀元前3960年。

 

「なぜか車輪技術がないのに馬車で移動してるんですが……そこは気にしない方向で」

 

『ハイ』『あっはい』

 

まずは身を守るために「民兵」を生産。無防備はやばいからね仕方ないね。

税金やら娯楽、科学の配分をいじれるのだが、ここは初期の税5、科学5で固定しておく。

 

「私がこういう数字変えてるとその……1の違いをあーでもないこーでもないと、

多分3倍くらいプレイ時間が延びちゃうので……」

 

『あ、うん』『せやな』『好きにやってええんやで』

 

北西に向かったもう一つの開拓者は、森と草原の中に第2都市「セリ」を建設。

資源は見当たらないが、未探索の部分から資源があらわれることを期待しての建設だ。

もちろん最初は民兵を作って身を守っておく。

 

しかしそのターン、最初に入手した傭兵の騎兵が小屋から古代の巻物を発見。

古代技術「車輪」をゲットし、チャリオットが製造可能になった。

 

『チャリオ!』『チャリで来た!』『シルバーチャリオッ!』『お前らw』

 

早速セリでの生産を民兵からチャリオットに切り替え、初期資金と合わせて320金で即購入。

予備にもう一台は普通に作っておこう。これで古代の軍事探索力いただきだぜ!

 

『即購入で草』『知ってたw』『さすのびw』『後先考えないで草w』

 

「探索ははかどるし軍事力にもなる、即買いしない理由がないですよね!」

 

そうこうしているうちにノビルで民兵が出来ていたので、生産を穀物倉庫に切り替える。

まずは食料を増やして人口を伸ばせるようにしたい。

なおその民兵がノビルの周囲探索で小屋から騎兵2号を見つける。やったぜ。

 

一方チャリオットも小屋を見つけるが、騎兵蛮族の襲撃を受ける。

もうダメかと思われたが見事撃退。このゲーム防衛側が極端に強いこと良くあるよなぁ。

 

『最弱の民兵でもいるだけで絶望できるからな』『それな』

『攻撃はまさかって負けがあるから』

 

ノビル民兵はその後もノビル都市範囲で魚資源を発見する大金星。こいつ優秀じゃない?

 

『民兵の癖に行けるな』『ニュータイプかな?』『のびちゃんの化身か何か?』

 

とりあえず民兵はノビルの防衛に任命し、探索は2マス進めるチャリオットと騎兵に。

ノビルの都市生産をただの草原から魚資源に切り替え、交易収入を発生させる。

現金と科学生産。最初の研究は……アルファベットかな。

 

『チャリオ!』『シルバーチャリオッ!』『お前らw』

 

だからお前らチャリオットが動くたびにチャリオチャリオ叫ぶのはやめろw

 

セリで2つ目のチャリオットが出来ていたので出荷。穀物倉庫へ生産を切り替える。

ノビルで完成した穀物倉庫の次は、先読み寺院で幸福な市民を増やしておこう。

 

『やはり神……』『市民、幸福は義務です』『あっあっ』

 

そして紀元前3600年、最初の騎兵が巡り巡ってノビルのはるか東の小屋で都市イベントに遭遇。

無償での都市建設に成功する。

 

『やるやん!』『えっ!?無償で都市建設を!?』『できらぁっ!!』

 

海と草原の都市「ヤマウド」資源が少ないのは仕方ない、イベント都市だからな。

川と馬があるだけマシか。

 

チャリオットが小屋で装甲歩兵をスカウトし、

ヤマウドが民兵で自衛力を手に入れて穀物倉庫生産に移ったところで、

日本の研究者たちがアルファベットの技術を手に入れた。

 

『日本でアルファベットってシュール』『いやまあ文字を手に入れたってだけやで』

 

次は地図研究を選択し、無事寺が完成したノビルを開拓者製造都市へと切り替える。

 

『これは伸びる。ノビルだけに』『都市増やしてこー』『都市数優先かな』

 

「そろそろセリの人口増やしたいな……生産切って食料優先にするか」

 

周囲の探索もだいぶ進んできた。セリの周りに資源が無かったのは残念。

全体を見るとどうやらここは大陸一つ、他の文明はいないようだな。

 

『そら(3文明なら)そうよ』『これはヌルゲー』『内政してこ』

 

ノビルの開拓者が出来ると同時に地図の研究が終わる。次は法律かな。

ノビルはガレー船を作り、開拓者は西で見つけた金山へと向かう。

 

法律が出来て青銅器の研究に変わる頃、西の金山にたどり着いた開拓者が、

蛇行川、金、馬、鹿、丘鉱の有望都市「ジシバリ」を建設。紀元前2930年の出来事である。

 

同時期に、ノビル産ガレー船が出港し、東のヤマウド周辺海域において新大陸を発見する。

 

『新島きたああああ』『これが東方(大陸)か……』『暗黒大陸かな?』

 

あまり間を置かず、ノビルから出発した新たな開拓者が、

ノビル北東の金と魚を確保する新たな都市「フキ」を建設。

その間にも青銅器研究が終わり、研究は筆記に移っていた。

ガレー船はいったん戻って、東大陸に暇をしていた騎兵2号を送り込む。

早速装甲歩兵ゲット。幸先がいい。

 

筆記の研究が終わり、通貨の研究に移る頃。東大陸のさらに先の地において、

ついに我が日本文明のガレー船は別の文明を発見した!

 

『文明キターーー』『街きたあああ』『敵だ!頃せ!!』

『まだ敵じゃないだろw』『完全にヒャッハーで草』

 

「まあまあ皆落ち着いて。接触したら基本向こうから挨拶が来るはず……」

 

しかし、接触しても何の反応もない。こっちがガレー船だからか?

仕方ないな……。

 

「FF外から失礼します!」

 

『やったーーーー』『きたあああ』『戦争キターーー!!』

『やりやがったwww』『結局ゴリ押しwww』『やると思ってたww』

 

ガレー船突撃を2回やって2度とも勝利。なんだ、たわい無いな!

しかし、船だけでは占領できないので仕方なく戻る。また来るよ!

 

その頃本土では、安定のノビル開拓者が紀元前2480年、南西に新都市「ヤマイモ」を建設。

蛇行川に馬鹿オアシスのある有望地だ。

 

『バカオアシス?』

 

バカオアシスではない。

 

今度はガレー船に装甲歩兵と騎兵を乗せて再出撃。占領してやる!

意気込んで上陸すると、今度は相手が話しかけてきた。どうやらモンゴルだったらしい。

まあ、話し合いできるならそれでもいいな。……出来たらね。

 

『これはw』『笑わせてくれるよw』『君たちが文明人とはw』

『車輪と引き換えに見逃してやるとかwwふざけんなw』

『これはスゴイ・シツレイでは?』『完全に挑発で草w』

 

初代はまだ「外交可能」ってだけで、CPUがちゃんとできてるわけじゃないんだよね。

完全にゲーム的セリフ対応で、外交と言うにはきつい……こんな所まで律儀に再現しなくても。

でもこれぞ初代って感覚はあるよな。ゲーム体験の再現という点ではこれでいいのかもしれない。

 

車輪の技術を教えるつもりは無い、と返答すると、今度はいきなり低姿勢になって、

君たちは偉大な文明を持つ素晴らしい民族だ、平和条約を結ぶ気は無いか?

と言って来る。海の向こうで、敵も他に見えず、距離もかなりあるので条約の利点はあまり無い。

断って、ついに戦争の再開だ!

 

『あ……』『マジかwww』『何でだよwww』

 

ガレー船、装甲歩兵、騎兵、全て突撃し、そのことごとくが負けて消えた。全敗である。

 

「あー……ガレー船で勝ったから行けると思ったんだけどなー。やっぱ無理かぁ」

 

この初代、防衛側がかなり有利なのか、

守備力が最低値のユニットでも守備側なら勝つことがある。

だからいつも本格的な戦争はものすごく先、現代文明に達して戦車を作ってからにしている。

少なくとも俺は。上手い人なら古代中世でも行けるのかも知れんが、俺はやったことは無いな。

 

モンゴルと戦争のことはすっぱりと放置して、新たな開拓者で新たな街づくりに挑む。

ヤマウド南の魚資源複数都市、「ハマボーフー」である。通貨の研究も終わり、文学研究に移る。

通貨により収入面の重要施設「市場」が建設できるようになったので、随時建設しておく。

文学研究が終わる頃、ジシバリ南西に草原と宝石の都市「スカンポ」を建設。

 

「……はい、ええと、これいつまでやってもいいんですけど、

キリが無いので今日はここまでにします」

 

『あ、もう終わり?』『なんか時間が短かったぞ』『最低難易度の族長でこれって難しいな』

『初代はね……特にユニット操作と戦争がね』『街づくりの楽しさは変わらないんだけどなー』

 

終わりに、コンソールから「国勢統計」を呼び出して表示してみる。

支持率は48%、人口は62万、識字率32%、疾病率38%、平均寿命31歳……。

 

『古代』『わりと古代』『普通の古代ですね……』

 

ああうん……悪くは無いが良くも無い。世はなべてこともなし。ネタにはならなかったけどな。

 

「はい、それでは実況配信は今日ものびる、今回もご視聴ありがとうございました!」

 

 

 




現代戦車が出来るまで生まれたての子鹿のように震えて内政する族長
なお以後は


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ピンボール〈+動画その他返信〉

本末転倒フラッシュ!
相手はダイブ空間でわざわざモニターを出してコントローラーでゲームをする!
せざるをえないんやなぁ……


 

今日の来場者は……6600人か?

ちょっと増え方が沈静化したな!(感覚麻痺)

久々にコメ返やっていくぞ!

 

「はい皆さんいらっしゃいませ!今日のゲームはピンボールになります!」

 

『安定の無音ゲームw』『これぞ古典ゲーム!流石やな』

『のびちゃんこういうシンプルなゲーム本当に好きだなw』

 

「今日はそれだけじゃなくて、動画のコメントやアカウント掲示板の返信も、

同時にやって行きたいと思います!私がなんか焦ってもどうかお許しを」

 

『ええぞ(慈悲)』『仕方ないという許容の心』『頑張ってな』

 

俺は早速、アカウントフィールドからコンソールを呼び出してピンボールを起動する。

当然のことながらアバターはアカウント標準登録したものだ。

ピンボールに自機はない……というか、最初に発掘されたピンボール系古典ゲーム、

カービィのピンボールを発掘し、自機=ピンボールの玉を試した発掘者がひどいことになって、

禁止どうこう以前に「やめたほうがいい」という恐怖体験の伝説になっているらしい。

 

「ピンボールなのでピンボール台コンソールか仮想モニターでやるしかないんです。

何かダイブ空間を無駄遣いしてる感が半端無いんですが」

 

『残当』『ピンボールってそういうゲームだからしゃーない』『ひどい事件だった……らしいね』

 

「私はその身長っていうか、手足が台に合わないのもあって、

最初から無理は無理なんですけどね」

 

『知ってた』『それな』『むしろアカウントフィールドを実家だと思うのがいい』

『実家でファミコンする小学生……ああ、これぞ古典ゲームだなって』

『のびちゃんかわいいからね、仕方ないね』

 

しばらくしてファミコンにピンボールのカセットが刺さった風なエフェクトが出てきて、

大きな仮想モニターが展開した。実機で用意した前世と違い、

仮想空間なので面倒な準備片づけやカセットの不具合を気にする必要が無いのはいいよな。

 

「よーし、じゃあ目標10万点で消えるまで!はいよーいスタート!」

 

『え?10万点で消えるの?何が?』『自分の操作するフリッパーがな!』

『頭おかしいw』『何それ怖い』『死ぬがよい』『褒美に死をやろう!』

『褒美に死をやる古典ゲーム多すぎ問題w』

 

ゲームが始まる。ピンボール台の開始バネの上に玉が湧き出し、

私が操作したバネが動いて玉が跳ね上がり、上部のステージへ。

 

このピンボールは上下のステージに分かれていて、最初は上からスタート。

上から下のステージに落ちることがあり、基本上のステージでの維持と、

下のステージでのレディ救出その他での稼ぎに分かれ、

さらに下に落ちるとゲームオーバーだ。下部ステージから上部ステージに上がるには、

跳ね返り運とわずかな技術の使いどころに賭けるしかない。

 

しかし俺は前世に相当やりこんだので、

返信しながらでも10万点は無理な数字じゃない……と思う。だったらいいな。

 

「はい、それじゃ最初の返信は……『燃えたゲーム、燃えた場面を教えてください!』

とりあえず思いつくのは……えっと、いまのあんたが、いちばんみにくいぜ!」

 

『うおおおそれかあああ』『ガチすぎて草ww』

『燃える血潮→死闘の果てにだからね、仕方ないね』

『みんな知ってて草バエルw』

 

玉が最初に入った上部ステージ。左上のドットイートレーンをさかのぼり、

ステージ中央部に控えたアシカの玉突きボーナスを出した。

 

『おおっ』『へへっ、やるねぇ』『さすのび!』

 

その時、結構な間維持していたものの、玉の跳ね返りが悪く、

スピードが高まった状態で下部ステージに落ちる。これは仕方ない。

 

「えっと次のコメントですね。『好きなゲームキャラクターを教えてください!』これねー。

全ゲームだといっぱい居過ぎて絞れないんですけど、今までやって来たゲームの中でっていうと、

やっぱグランプリンセスですよ。ですよね?」

 

『知ってた』『ですよねーw』『そうでなきゃw』

 

「さらわれて来たはずがいつの間にかドラゴンの上位に立ってラスボスになってるし、

姫なのに自分の意思で結婚決めちゃう自由さ。あんまり見ないタイプのキャラですよね」

 

『あっハイ』『せやな』『やはりのびちゃん女王様……』『しっ!』

『生まれながらの支配者なんやなって』『自分らしくがキーワードやぞ』

 

下部ステージでも機会はある。

落ちたと言うより玉が染み込んだように見えるが、ステージ右上の茶色っぽい穴に落ちると、

レディ救出ボーナスのチャンスであり、ステージが切り替わる。

 

気がつくと上の部屋でレディ(詳細不明)がうろうろしており、

その床を跳ね返る玉でぶち抜いてレディを救出すると1万点ボーナスだ。

なぜか自分が操作できるのは、

落ちてきたレディを受け止めるための床板を頭上に掲げたマリオらしき人で、

その床板で玉をも跳ね返してミッションを遂行する。

 

「よし……いいぞ……そこだ!」

 

見事床をぶち抜き、レディを受け止め、ステージ脇へと送迎し、1万点ボーナスが入る。

だがしかし。

 

『戻った!?』『即時帰還w』『おいさらわれたんじゃないのかwww』

 

レディを救出したと思ったらレディは元の囚われの部屋に帰還していた。

な、何をされたのかわからなかった……。

 

レディ救出のステージを出ると、救出の是非を問わず、

玉は上部ステージの右下の穴から飛び出してくる。これは得点よりも大きな救済措置だな。

 

「ええと、それじゃ次の返信に行きますね。『のびるさんはゲーマー歴何年ですか?』」

 

「ええと、私が最初にゲームに触れたのは……物心ついてからですので、

生まれて数年後位ですかね?兄や姉がリアルのモニターでやってる古典ゲームを見ていて、

それをやらせてもらったのが最初のはず……なので最初はモニターからですね。

ダイブの方は普通に小学校に入ってからです」

 

『うっそ』『なんか意外』『モニターで触れてたとしても、ダイブ適応半端ないな』

『ダイブ免許自前でダイブやり放題の、ガチゲーマー家族かと思ってたわ』

『最初のゲームは憶えてる?』

 

「あ、最初は分かりますよ。モニターでマリオとルイージが一緒に出るのと、

画面中央のブロックで画面が揺れるのを憶えてるのでマリオブラザーズだったと思います」

 

『うおおお裏山』『最初がマリオブラザーズとかファミコンに愛されてるな』

『一番多いのは小学校のダイブ授業初体験で算数遊びとかだよな』

『俺それでマリオペイントだったわ』『俺デザエモンでわけわからんかったぞ』

『俺なんか釣りゲームやらされたわ』『俺はモニター派だな。ダイブ不可の格ゲーやってた』

『俺もモニター派だけど、最初は父ちゃんのやってた光の戦士フォトンだった……』

『光の戦士涙拭けよw』

 

上部ステージで粘ること数分。ステージ右上の緑っぽいもので仕切られたレーンを通り抜け、

中央部のペンギンスロットを起動する。偶然に助けられて見事数字777を揃え、

アップポスト(玉止め)が出現した。

 

「出たはいいんですけど、これしばらく経つと消えちゃうんですよね……」

 

アップポストの甲斐あってしばらく上ステージで稼いでいたが、

ステージ左下のレーンへと向かった玉はどうしようもなく、下部へと落ちた。

 

「返信続けていきますね 。『雷属性、雷を使うキャラを答えてください』

FF3のガルーダ、ドラクエ3、4、5の勇者、FF1のブルードラゴン、

えーっとあとはペルソナのハチマン様、GBサガのサンダーバード、

えーっとえーっと、メガテンのタケミカヅチ様、他には……いかづちの杖だけど、

DQ5のデッドエンペラー、うーんと初代デビルサマナーのオルゴンゴースト?

が電気使ってきたっけ?あとは……ピカチュウライチュウとか?

あとサガにエレキうなぎとかもいましたよね」

 

『お、おう』『もうわかった』『そんな焦らなくてもw』

 

「あ、もう結構ですか?ええとじゃあ次は……」

 

この下部ステージ、左のフラッグみたいなものを全部取ると、

スタート地点への抜け道が開いて上部から再スタートできるのだが、

7つあって小さいので狙って取ると言うのは難しいだろう。

ただでさえ玉の跳ね返りで四苦八苦しているというのに。

 

「『実況配信って何だと思いますか?』人生……かな」

 

『わかる』『わかりみしかない』『実況配信は人生、はっきりわかんだね』

 

「おっと実況配信だけじゃないですね。古典ゲームも人生です!」

 

『それな』『言うと思ってたw』『知ってるw』

 

下部ステージの上方には、ロイヤルストレートフラッシュのトランプカードがある。

最初は絵柄が見えないが、通過すると裏返る。

全て通過して完成させると、5000点ボーナスと共にアップポストが出現する。

こちらはミスしない限り出続けるので狙えるなら狙って行きたい。無理っぽいが。

 

「えーと次、『好きな魔法は何ですか?』ルーラですね。現代なら宇宙にも行ける……。

行けるんですかね、設定的に?」

 

『わからん』『わからんなぁ……』『流石に宇宙時代は想定してないだろ』

『トラポートなら行けそう』『宇宙無理そうなのが結構ありますね……』

 

跳ね返りの角度を調整し、左上の空レーンから上部ステージに戻る。

 

『やったぜ』『さすのび』『こういうのはあっさりやっちゃうんだよなぁ……』

『のびちゃん上手い』『これはのびゲーだから』『のびゲーって何だよw』

『いやまあ、わかるっしょ?』

 

「のびゲーって何だよ!(哲学)まあいいでしょう。私は寛大なので!」

 

ペンギンスロットを狙い、ドットイートからのアシカの玉突きを狙い、

ついでに上に控える1000点500点ボーナスを狙い……。

上部ステージを維持しつつ細かく稼いでいく。

 

「えーっと次のコメントですね。『弱い敵といえば何でしょう?』

スーファミ版ロマサガ1のコロコロムシかなぁ……初期HP数十スタートの世界で、

彼らはHP5ですからね。糸っていう特殊攻撃を下手に持っているせいで、

単純に攻撃をしてくるっていう脅威すら存在しないですから」

 

『相対HPだと確かにそうかも』『糸吐いてるだけだもんな』

『普通の虫なのでは?ボブはいぶかしんだ』

 

しばらく粘ったが、結局跳ね返りの運ゲーに負けて舞台は下部ステージへ。

 

今度は真ん中の3つの卵を見事全てひよこに揃えて、

左右の下に落ちる穴をふさいで玉を跳ね返してくれるストッパーが出現した。

 

「さてお次は……『他の実況配信を見ますか?』見る暇がないんだよなぁ……」

 

『だよな』『毎日実況に加えて配信の外でゲームやってたら無理よね』

『このゲームの上手さ……全部プロ級ってわけじゃないけど時間かかってるのは分かるで』

 

さて下部ステージに落ちたとはいえ稼がなければ。

また右上の穴のステージに入り、マリオらしきキャラを操作して再度レディ救出。

 

レディ救出からの上部移動。今度の上部ステージでは、

1000点の稼ぎポイントがパターンに入りかなり稼ぐことが出来た。

目標の10万点まであと少しだ。

 

「次……『好きな漫画を3つお答えください』ドラえもん、ドラゴンボール、ジョジョかな?」

 

『草』『完全に当時の少年の心で草』『何でや!少年誌読んだってええやろw』

『ジョジョに玄人の味を感じる』

 

そうこうしているうちに、ついに得点が10万点を越える。

10万点を越えた瞬間、何の前触れもなく操作する箇所のフリッパーが消えた。

それはもう見事なステルスで、プレイヤーからも一瞬で見えなくなる。なるのだ。

 

『うおっ!?』『おおおおおお』『おめ!』

『10万キター』『安定ののびゲー』『だからのびゲーって何だよwww』

 

「はー、良かった。ありがとうございます。実況配信で返信しながら10万点、達成です!」

 

ちゃんと返信しながらちょっと難しいゲームのノルマを達成する。

正直今はまだ出来ないかもと思ってた。

前世からどうにかしたいと思ってきた対人の対応の下手さ、

好きな実況配信なら、本来荒療治の多人数対応を擬似的に行うことで、

改善のための経験を積むことができるかも。

 

「それでは本日も見てくださり、ありがとうございました!実況配信は私、のびるでした!」

 

 




のびゲー好き!(覚醒)
のびゲーって何だよ……?(真顔)


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モノポリー2(鉄道王に俺はなる!)

ボードウォークが銀座だった(幼少期の思い出感)


今日も視聴者増量、なんと来場者7500人越え。もう驚かないぞ!

 

「ハイ皆さん、今日はモノポリー、スーパーファミコンのモノポリー2をやっていくんですが、

まず始めにゲストをご紹介させていただきます」

 

『何ぞ?』『ゲスト?』『お、対戦か?』

 

「えーと私のびる、ゲーム部のツルレイシさん、同じくゲーム部の奇術師へリオドールさん」

 

ツルレイシさんは以前と同じ緑色。

 

ヘリオドールさんは文字通り奇術師のような黄色と黒の派手派手な服を着ているな。

黄色のバニースーツみたいなものに、うわ、網タイツだ!始めて見た!

シルクハットにステッキまで持ってる!頬に2連の星型まで!

アバターの黒いショートヘアと琥珀色に輝く瞳によく似合ってると思う、うん。

 

【ツルレイシです。よ、よろしくお願いします……】

 

【あたしへリオドール!ねえねえ、卓上遊戯連盟って知ってる?】

 

「え?いや私は知らないけど……皆知ってる?」

 

『このジャンルガチ勢』『のびちゃん実況見てないってから知らんだろうけど』

『このジャンルまだプロ少ないから、本当にプロ級の一角だと思う』

 

【もちろんそうよ!そんであたしはおねーちゃんに認められた新しいメンバー!

卓上遊戯連盟小学支部を担う者!】

 

な、なにぃ!?外部組織からの刺客か!?

こ、これが有名になってきた代償だというのか!

 

「こ、これは強敵……うん?個別メールが……」

 

【こんなこと言ってますけど、本当のメンバーのお姉さんに『名乗るなら別にいいよ』

って認めてもらえたっていうただそれだけなので……あまり気にしないで下さい ツルレイシ】

 

アッハイ。ツルレイシちゃんいい子だな……。

 

「ええと、CPU一人を加えて5人対戦、なので視聴者の方からあと1名、

お付き合いいただける方は最速で手を挙げてください!」

 

その言葉に、「ノ」で表現された手が上がる。

最初の頃と比べると見違える速さだな。ええと……。

 

「それじゃあはい、紅蓮腕(ぐれんかいな)さん、よろしくお願いします」

 

【お、お願いします!】

 

『ゴブリンバットォー』『ファーーー』『ヒッテーンミツゥギスタイッ!』

『お前らw』『反応速いなw』『CPUは誰入れるの?』

 

「CPUは、うのさんで……」

 

『うの……』『うのさん……』『鉄道王に俺はなる!』

『みんなの養分』『悲しいなあ……』

 

「それじゃあ行きましょう ゲームスタートです!」

 

このゲームのストーリーとしては、モノポリーの強者が集うボードウォークホテル。

そこにやって来た主人公という設定だが、対戦の場合はあまり関係ない。

 

まず最初にやるのは順番を決めること。

サイコロを振って決めた後、動かすコマを選ぶ。

ダイブ形式では乗り物になってるな。基本空を飛ぶ。

まあ、でないとアイロンとか帽子とか乗れないからね。

 

1番目に紅蓮腕さん、コマは軍艦。

2番目に奇術師へリオドールさん、帽子。

3番目にツルレイシさん、手押し車。

4番目にCPUうのさん、クルマ。

5番目の最後に俺、アイロンとなった。

 

「じゃあ私はアイロンで……メルヘンっぽい?」

 

『そうなの?』『そうかも……』『日用品で飛ぶのはまあ基本かも知れん』

 

 

最初のターン、紅蓮腕さんはバルティック通りを買うことに成功する。

 

【幸先がいいぜ!】

 

ここは安いが、その分安く家やホテルを建てることが出来る。

終盤に資金が有り余った時でもなければ、相当に使える物件である。

 

【やったー!】

 

へリオドールちゃんはオリエンタル通りを買えたか。

ここも安いが素早く家やホテルを建てられる優良地だ。俺もここの水色物件欲しい。

 

ツルレイシちゃんは何事もなく刑務所見学。

そう、このゲーム刑務所に入ることもあるのだ。一見不利なだけに見えるが、

終盤高額物件が立ち並ぶ中で刑務所に入るのは『安全策』でもある。

 

CPUうのさんはチャンスカードに止まり、次の電力会社に進んで即購入。悪くはないだろう。

 

そして最後俺だが……ダイスで5を出し、いきなりリーディング鉄道をゲット。

200で買ったそれを、うのさんは即座に470で売ってくれ!と交渉を仕掛けてくる。

 

『出たw』『うの錬金来たぁぁぁぁ』『鉄道王ww』

 

俺は渋るフリをして、480ではどうか?と釣り上げを試みる。

見事成功。ちょろいぜw

 

『さすのびwww』『来てるわーww』『まさったな……』

 

最初にこれが出来たのは幸運だったな。

最後の方になると流石に鉄道が集まってきて、売るのはためらわれるからな。

鉄道が一人に集中すると、一回のレンタル料が200に跳ね上がる。流石にそれは阻止したい。

 

そんなことを考えつつ、再度回ってきた俺のターン。

そうそういいことばかりじゃないだろう……とダイスを振った俺が出したのは、5ゾロ10。

 

『きたあああああ』『マジかよおおおお』『ロムハッカー乙www』

『ロムハックは禁止って言ったでしょおおおお』『言ってない言ってないw』

 

鉄道の10マス先には、鉄道がある。はいペンシルバニア鉄道。はい、うのさん。

なに、今度は445くらいでどうにか?

 

「465くらいは出せる……出せるんじゃない?」

 

はい交渉成立。ゾロ目なので再度ダイスを振れるのだが、今度は4ゾロの8。

赤のインディアナ通りを買い、おまけの1回で黄色のアトランティック通りまで買えた。

3回ゾロ目だと刑務所行きなので、序盤はこれが最良の出目である。

 

【まさかこんな……】

 

ツルレイシちゃん、褒めてもいいんじゃよ?

 

次のターン。紅蓮腕さんとヘリオドールさんが揃って共同基金に止まり、

紅蓮腕さんは遺産100受け取り、ヘリオドールさんは刑務所から釈放カードをもらった。

 

その後俺はパークプレースを買うことに成功し、

更に共同基金のオペラ代金徴収で各プレイヤー50、計200を得ることにも成功。

GOも通ったので+200もある。これは行けるぞ!

 

ちなみにその間紅蓮腕さんは刑務所行きに止まり刑務所行き、

ツルレイシちゃんは物品税75を支払っていた。

 

俺は当然のごとくコネチカット通りに止まり、即買い。

念願の水色争奪戦に参加する権利だ。やったぜ。

 

ここで世界が動く。

へリオドールさんが一気に地中海通りとバーモント通りを揃え、

交渉の末紅蓮腕さんがバルティック通りを手放し、

ダークパープルで初の独占と、一気にホテル建設がなされたのだ。

 

【勝つのはあたしよ!】

 

そう言ってしまうのも無理はない。

とにかく独占と、それによる家・ホテル建設は段違いなのだ。

 

うのさんが早速バルティック通りのホテルに止まり、450の支払いになる。

ダークパープルですらこれが、ホテル建設の威力だ。

 

俺もペンシルバニア通りを買ってる場合じゃないな。買うけど。

色々抵当に入れて破産しそうな、うのさんの持つ抵当入り電力会社を100で交渉成立。

一応抵当からは出しておくか……。

 

『やると思ってたw』『ハイエナwww』『知ってたw』

『漁っていく』『のびちゃんの戦略フェイズw』

 

だが、ここでうのさんは思わぬ行動に出る。

俺が570を出し、さらに今の電力会社を返す事で、

抵当入りのリーディング・ペンシルバニア鉄道を譲ろうじゃないか、だと?

 

『wwww』『クソワロタwww』『何がしたいんだよw』

『気がくるっとるw』『お?のびちゃん大好きおじさんか?』

 

「570はなー。500ならどう?」

 

快諾。うのさんはその後自力で水道会社に止まり、買っていた。

そのままたくましく生きて行ってくれ。

 

さて、色々あったが独占はヘリオドールさんだけのものじゃない。

紅蓮腕さんがツルレイシさんとの交渉によりライトパープルを独占。

ライトパープルに家が建つ。3つずつ程度か?資金が足りない模様。

 

【ねえねえ】

 

「ん?何かな?」

 

【あたしのボードウォークをこれぐらいで買わない?】

 

「嫌です?」

 

ヘリオドールさんが交渉してきた。しかし高すぎる。

資金を削って破産させようという目的が見え見えである。

……この子のお姉ちゃんはもっと上手く同じことをやるんだろうな。

 

【じゃあさ、オリエンタル通りとバーモント通りならどう?これくらいで……】

 

「買った!」

 

家やホテルを全部揃えるとなるとその後の資金が不安になるが、

ライトブルーを揃えるというのはその不安に勝る。

ダークパープルの2箇所よりライトブルーの3箇所の方が強い!(小並感)

 

交渉を終え、俺はこっそりショートライン鉄道を購入。

 

『ロムハック乙』『いい加減にしろw』

 

こっそりできなかった。

 

その後状況が動いたのは……うのさんが、

紅蓮腕さんの家3つ500のバージニア通りに止まった時だろうか。

破産寸前だがギリ払った模様。しかしその後すぐに、

ツルレイシさんがなんとなく持っていただけのマービンガーデンに止まって破産。

このゲーム破産後交渉などはなく、破産したら即終了である。

 

「うのさん……いいやつだったよ」

 

『黙祷』『地獄でも生きていてくれ』『地獄行き確定なのかよw』

『勝手に殺すなw』

 

一方俺はチャンスカードからのボードウォーク行きで50支払い、

足りずに適当な物件を抵当に入れて、残り95ぽっち。そろそろ誰か入ってくれ。

 

祈りは天に通じた。紅蓮腕さんがついに俺のライトブルー、

バーモント通りのホテルに止まり、550の支払いとなる。

家が売り払われ、残り1件か2件が並ぶだけとなってしまう。

 

その後ゲームは進み、俺はそのライトパープルに入ってしまうが、

今は50の支払いで済んだ。ギリギリ感が半端ない。

しかしその後、この俺が大変なことに!

 

「共同基金か……」

 

共同基金でめくったカード。

 

《出産費100支払う》

 

『きたああああ』『やったああああ』『まさかのびちゃんがそんな!』

『おにーさんゆるしませんよ!』『ww』『www』『おめでとうございますw』

 

「ちっがーう!ゲーム!OK?しないから!しーなーいーかーらー!」

 

大変な目に会った……。

 

その直後ゲームは意外な展開に。動かせる資金を失った紅蓮腕さんが、

最後に残ったBアンドO.鉄道を買わず、競売に出したのだ。

ここは勝負どころだ。支払いで得た資金と、

GOを何度か通って得た資金を含めてもそう多くはない。競り合いで勝てるだろうか?

 

競売は何としても落とそうとする俺と、それを阻止するヘリオドールさんとの争いになり、

結局俺が820で落札、残り現金は175。結構危なかった。

 

【あーんもう!なんでなのー!?】

 

悪いな。このゲームは他全てが敵なのさ!

 

【何ですぐに止まるのよー!!信じらんない!!】

 

……流石に俺もその直後に独占200の鉄道に止まってくれるとは思わなかった。

 

『知ってた』『まーた操作して』『何かの念力……念力なんじゃない?』

『のびちゃんさぁ……』『お前らいい加減にしろwww』

 

このときは俺も冗談だと思っていた。しかし冗談ではなかったのだ。

 

【またかよォォォ!!】

 

紅蓮腕さんが連続で鉄道に嵌る。計400ゲット。

 

【あっ……】

 

ツルレイシさんも忘れじとばかりに一回は止まって200献上。

 

『のびちゃんさぁ……』『ね、念力はずるい!』『止まったり止まったりしろ(命令)』

 

既に800回収。もう何も言うまい。

 

「おっと?」

 

気がついたら地中海通りに止まってしまった。だが支払いは250、余裕で払える。

 

【ねーねー】

 

「何?」

 

【ボードウォーク、1000で買わない?】

 

「いらん!」

 

ヘリオドールさんのその、とにかくダメ元精神はどこから来るんだ!

姉か!姉なのか!

 

【ああっ!?やだ!?】

 

そうこうしているうちに、

どうやらツルレイシさんが俺のコネチカット通りに止まったようだ。

600の支払いで俺の懐が暖かくなる。

 

一方ヘリオドールさんはビューティコンテストを引き、20受け取っていた。

 

『おめ』『おめでとう!』

 

【ありがとー!】

 

しかし現実は非情である。ヘリオドールさん、俺のバーモント通りに止まり550の支払い。

 

【何でよぉ!】

 

しかしここでめげない。彼女は今度はボードウォークの相方、

俺が確保しているパークプレースを810で売ってくれと逆に持ちかけてきた。

 

「嫌です」

 

【そんなー】

 

もう交渉のタイミングは逃したと思うなぁ。

 

続くときは続くもので、紅蓮腕さんはオリエンタル通りに、

高速周回してきたツルレイシさんも同じ場所に入り、それぞれ550をもらう。

もう家はなくなり、ヘリオドールさんのダークパープルのホテルしかない。

 

『呪いが……』『連続して……』『さすのび……』

 

まったくこの草どもは人をまるで魔王か何かみたいに……。

 

【嘘だろおおおおお!!】

 

紅蓮腕さん、この場面でまさかの最悪のダイス「3」を出し、

俺のコネチカット通りに再上陸。おかわりは600の支払いで限界、破産である。

 

彼が独占していたライトパープルを受け取り、即家からホテルを建設。

これでこの付近はのびるゾーンと化した。相手は死ぬ!

 

【そ、そんなぁ!嘘よ!】

 

建てたライトパープルのホテルにヘリオドールさんがご来訪。900のお支払いになります。

もう勝ち……多分勝ち?

 

俺はバルチック通りに止まり450支払うが、微々たる物だ。

 

その後しばらくは平和だったが、ツルレイシさんは550のバーモント通りにまた止まってくれた。

お客様ありがとう。

 

「そういや皆、最近鉄道に止まんないな」

 

『お、フラグか?』『鉄道に止めていく』『鉄道の魔法ですね、わかります』

 

【また鉄道!?】

 

ヘリオドールさんがショートライン鉄道に止まってくれた。ゾロだったのでもう1回振ったら、

6と4で10。リーディング鉄道で200おかわり、計400の支払いである。

 

『知ってた』『それな』『古代の業を継承した魔王に勝てるはずがない……』

 

その後も、ヘリオドールさんは粘りは見せたものの結局ツルレイシさんが先に破産し、

彼女の物件が全て俺に移動。俺の物件だらけの地雷原を周回したヘリオドールさんは、

俺が新しく建てたマービンガーデンホテルの1200支払いで力尽き、ゲームは終了した。

 

≪10921、のびるさんのモノポリー勝ちです!≫

 

『さすのび……(震え)』『ロムハック乙』『こののびる、容赦せん!』

『のびちゃん加減して』『修羅の子だからしゃーない』

 

「お前らホントに……はい、じゃあ今日も実況、のびちゃんの提供でお送りしました!

ご視聴観戦、ありがとうございました!」

 

 




呪いとか念力とかありえませんよ、
ファンタジーやメルヘンじゃないんですから……。

でも運命のドローとダイス運はわりと光る


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〈掲示板回〉みんなの掲示板

思い出したようにぼくのかんがえたちみつなSF設定を出していく(小並感)


【実況】古典ゲーム新人スレ

 

35:名無しゲーマー 12:50

いやー前スレの荒らしは強敵でしたね

 

36:名無しゲーマー 12:54

似たようなの見たことある。もうアウトだろうなあいつ

 

37:名無しゲーマー 12:56

初回はまあ監視リスト入り位だが、数回で普通に捕まるか罰金来るからな。

罰金は被害の拡散規模に応じてだからシャレにならんのだと。

 

38:名無しゲーマー 12:57

ハゲに何の恨みがあるんだよ……クソゲーで苦行した上に髪薄くなって、

その上誹謗中傷とか救いがなさ過ぎるだろ

 

39:名無しゲーマー 13:02

藤崎さんに見事心を砕かれた殺人コアラ君と並ぶ新しき伝説だな

 

40:名無しゲーマー 13:03

コアラは許してやれよw

 

41:名無しゲーマー 13:04

あの伝説の、あなたと幼馴染というだけで嫌なのに……が、

ダイブ空間で臨場感を持って聞けたのか。やったじゃん!(白目)

 

42:名無しゲーマー 13:05

ダメだ、つるかめ仙人がもう笑いなくしては見られない、

いつババアが入ってくるかと思うと

 

43:名無しゲーマー 13:07

思い出させんなよw笑っちゃうだろw

 

44:名無しゲーマー 13:09

いかんいかん、さすのびで中和しないと……

今です!

 

45:名無しゲーマー 13:10

行くぞ!AIBO!

 

46:名無しゲーマー 13:11

ブチ殺すぞヒューマン!!!

 

47:名無しゲーマー 13:12

ハルマゲドーン!

 

48:名無しゲーマー 13:13

お前らw

 

49:名無しゲーマー 13:15

草生えるw

 

50:名無しゲーマー 13:16

草生えるで草生えるw

 

51:名無しゲーマー 13:18

さすのび止めろwww

 

52:名無しゲーマー 13:18

草生えるw

 

 

………………

 

 

【新東京】関東千葉圏発掘者【東京】

 

211:名無しゲーマー 09:53

誰か新東京以外の近隣サーバー知らない?

発掘者は複数行けるように準備しとけって言われて

 

212:名無しゲーマー 09:56

東京サーバー=都内。枠は多いが大手の固定枠が多く、大手キャンセル待ち

新東京サーバー=幕張にある。段違いの枠と容量だが国外線もここで常に増設待ち。

千葉サーバー=市原の南端。内線が細く現地利用必須。だが遠い。通えるなら神

 

213:名無しゲーマー 09:58

千葉近いのに知らなかった、マジ感謝!

 

214:名無しゲーマー 09:59

見た目も宣伝も一般ダイブ施設と変わらないからね、しゃーない。

内線細いのも含めて技術先行型で政治力が低かったんじゃないかとか……

 

215:名無しゲーマー 10:00

結局政治か……せちがらいぜ

 

216:名無しゲーマー 10:02

もっと技術系主導のカスタムサーバー欲しいけどなー俺もなー

 

217:名無しゲーマー 10:03

ところで最近の発掘年代はどうなん?

古典の先へとか言ってたのはどの辺まで行けたの?

 

218:名無しゲーマー 10:05

なんか第2次世界大戦周辺までは行けたっぽい。

ただその辺のコンピュータ……ってか演算機は、

対象の全体量そのものが希少な上に「ゲーム」が少なすぎて、

それ以上は研究予算だけかもって

 

219:名無しゲーマー 10:07

研究かぁ。まあ確かにゲームが少ないんじゃ一般予算はね……

結局それ以前は考古資料頼りになるかな

 

220:名無しゲーマー 10:09

考古発掘は発掘者+考古学者で難易度高すぎるんだよなぁ……

 

221:名無しゲーマー 10:11

まあ未整理電子データなら20世紀末以降のやつでいくらでも仕事はあるし

基本的にゲームメインの俺らには影響なさそう

 

222:名無しゲーマー 10:12

ファミコンですらまだ未発掘ゲームあるっぽいからな

発掘雑誌の発売予定欄が全部見つかるのはいつになるだろう

 

223:名無しゲーマー 10:13

ああっ女神さまっのゲームって実在したの?

 

224:名無しゲーマー 10:15

あれ存在しない方がおかしいと思うけどなあ……

漫画の方の知名度考えれば

 

225:名無しゲーマー 10:29

俺はライブレード2を発掘するために発掘者になったんだ!

 

 

………………

 

 

【天帝】CIV実況スレ【国王】

 

901:名無しゲーマー 02:01

今週はあんま実況者いないな。

 

902:名無しゲーマー 02:03

紅巾族が休みだからぽつぽつだな。

安定して供給してくれるってのはやっぱ強いよ

 

903:名無しゲーマー 02:05

もう一組……いや出来れば、

一人プレイがもう少し来て欲しいな。

 

904:名無しゲーマー 02:07

ぼっち乙!俺もだけど

 

905:名無しゲーマー 02:59

初代族長発見!

(アーカイブ動画リンク)

 

906:名無しゲーマー 03:00

初代!?

もう記憶の彼方なんだけどどんなだっけ

 

907:名無しゲーマー 03:02

ユニットの先行入力がないからちまちま動かしてたよーな

 

908:名無しゲーマー 03:03

あーあれか、今更良くやるよな。

見る分には今時貴重だからいいんだけど

 

909:名無しゲーマー 03:04

族長か……初めて触れたCIVの記憶が蘇るわ

 

910:名無しゲーマー 03:08

のびる?山菜か……

 

911:名無しゲーマー 03:12

資源になりますか?

 

912:名無しゲーマー 03:14

資源と言うほどではなさそうですね……

 

913:名無しゲーマー 03:16

(無事な)小屋隣接に開拓者2つは運がいいな。

 

914:名無しゲーマー 03:19

出来れば最後まで続けてくれることを願う。

ひさびさに初代見たい

 

915:名無しゲーマー 03:23

初代やるかな……

 

 

………………

 

 

【野草】のびるスレ【タッチ】

 

554:名無しゲーマー 22:52

なあ、そろそろのびちゃんと視聴者達の呼び名を決めるべきじゃないのか?

 

555:名無しゲーマー 22:55

草に決まってる

 

556:名無しゲーマー 22:56

族長と蛮族だろ

 

557:名無しゲーマー 22:57

族長(オサ)!族長(オサ)!

 

558:名無しゲーマー 22:59

草(クサ)!草(クサ)!

 

559:名無しゲーマー 23:00

 

560:名無しゲーマー 23:01

草生えるw

 

561:名無しゲーマー 23:03

姫は女々か?

 

562:名無しゲーマー 23:05

>561

名案にごつ

 

563:名無しゲーマー 23:06

何でぼっけもん湧いてんだよw

 

564:名無しゲーマー 23:06

のびちゃんとのびラーとかどう?

 

565:名無しゲーマー 23:08

ラーの鏡?

 

566:名無しゲーマー 23:12

ララ・ムームー?

 

567:名無しゲーマー 23:14

ラームジェルグ?

 

568:名無しゲーマー 23:15

隙あらばネタに走るのやめろwww

 

 

………………

 

 

【お礼不要】ものすごい速さで答えるスレ【教えて歓迎】

 

130:名無しゲーマー 19:48

究極のADVを答えてください

 

131:名無しゲーマー 19:51

>130

美味しんぼ

 

132:名無しゲーマー 19:56

三栗智和の能力ってなんて名前ですか?

 

133:名無しゲーマー 19:57

>132

不確定量子選択捧呈術

 

134:名無しゲーマー 19:59

赤ちゃんが出てくるゲームを教えてください

 

135:名無しゲーマー 20:00

>134

スウィートホーム

 

136:名無しゲーマー 20:01

来いっ、死神!!

 

137:名無しゲーマー 20:03

>136

我はラダマンティス……裁きの太刀にて咎を断つ、冥府の判官なり……

いざ、汝が敵の罪を裁かん!!

 

138:名無しゲーマー 20:04

卓上遊戯連盟について質問です。

小学支部があるって本当ですか?

 

139:名無しゲーマー 20:05

>138

自称じゃない?支部作るとかは聞いたことない

 

140:名無しゲーマー 20:05

伝説のオウガバトルでどうしても暗黒道に堕ちてしまいます。

どうすれば抜け出せますか?

 

141:名無しゲーマー 20:09

>140

まずアイスレクイエム出せるようになるまで生まれ直す

決して街には入らない死神ユニットを作って敵を皆殺しにする

ポグロムの森とかでali/cha100にした英雄ユニットだけで解放する

主人公は積極的に戦わない、デスは産廃、タロットで止めを刺さない

ホークマンかグリフォン入れて低空・大空ユニット量産

 

142:名無しゲーマー 20:12

!わチんこ…

?たケヤぶやけタ

 

143:名無しゲーマー 20:15

>142

!ロえガンかデンぶジ

 

144:名無しゲーマー 20:17

難しすぎて進めません!まずどうすればいいですか?

 

145:名無しゲーマー 20:19

>144

レベルを上げて物理で殴ればいい

 

 

 




人生とは何だって?
ゆめりあ……かな。


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ゲイモス〈太陽系一周ツアー〉

曖昧なSFコクピット好き


 

来場者8000人突破!よしよし順調に鈍化しているな、

何もなければこれくらいで安定してくれるだろう。何もなければな!

 

今日の俺はスターフォースの時に着たSFスカート服である。

ヘルメットとバイザーがいかにも古典SF感をかもし出す。

 

「今日のゲームはゲイモスです!」

 

『ゲイ?』『ゲイもす?』『ゲイもっこす?』

 

「西暦2315年、ケンタウルス座A銀河から来襲した生物集団マストドンを、

迎撃するのが目的です。要塞母船フォボスによって送り込まれた彼ら侵略宇宙船団は、

太陽系惑星の衛星に基地を建設しています。最新鋭機ゲイモスで迎え撃て!

太陽系防衛軍本部の地球より飛び立ち、月のマストドン前進基地を破壊せよ!」

 

以上、未来に来てから検索して知った!

子供の頃のSTGの設定なんて気にしたことなかったからな!

 

「と、いうことです。いかにも古典SFっぽくてわくわくしますな!」

 

『ああ^~いいっすねー』『末期戦状態から始まる戦闘機1機の反撃……古典宇宙ロマン!』

『シューティングなの?』『だよな?』

 

「あっはい、これは当時だと擬似3D視点のSTGだったということですが、

現代リメイクだと3D視点の客観モードと主観モードに分かれているようですね」

 

これは原作モードA、固定視点の自機移動を客観モード、

モードBの固定自機視点移動を主観モードとして再現したもので、

ダイブをする場合は当然のことながら主観モードの人気が高い。

 

「早速始めていきましょう。よーいスタート!」

 

早速アカウントフィールドからゲームをスタートすると、

いかにも古典SF然としたコックピットが現れる。

 

曖昧な計器やよく分からないスイッチ。立体映像がなくてモニターが多用された、

人間の想像力の限界を表現した「現代から見た古典SF描写」が、

転生者の俺にとっては過去と現在2つの時代の創作力を見せつけられるようで、

その時代が複雑に交じり合う感覚が逆に新鮮で面白い。

 

機体のコントロールは操縦桿で、

対空武器の「パルサー」と対地武器の「クェーサー」を使い分けるシステム。

1面ごとに出現する要塞母船「フォボス」を倒すゲームで、

全6面でループしてクリアだ。難易度的にはそう難しいものでもないと思う。

 

『用途不明のスイッチと謎のランプ、いいぞーこれ』

『この古典SF感、たまりませんな!』『SFのびちゃん!か、かっこいいタル~!』

 

配信映像の視点や組み合わせは選べるのだが……今回は俺の姿を仮想モニター表示し、

敵側をメイン配信でやりくりする。古典アニメでまれによく見る表示方式だな。

俺の立ち位置は視聴者から見ると、

ロボ系アニメに出てくるナビゲーターとか耳元で怒鳴る妖精さんみたいな感じかな。

 

ゲームは地球から始まり、火星、木星、土星、海王星、冥王星で計6面。

隠しや特殊敵、謎解きなどはなく6面クリアでループしてクリア扱いである。

 

「これがオープニングかぁ……」

 

『貫禄の無音www』『未来の人間よ、これが古典ゲームだ!』

『リメイカーのこの生き様、嫌いじゃない』

 

リメイクで虚飾に走るリメイカーもいる中、こういう原作主義は好感が持てるな。

2人用も選べるのだが、これは2人で交代して遊べるというだけで、

別に2人目として参加できると言うわけではない。

 

主観モードを選び本編スタート。背景の地球が綺麗だ。

 

『なにっ!?』『BGMがあるのか!?』『まずは地球からか……』

 

そう、このゲーム本編はBGMがあるんだよ。あるんだけど……。

 

『BGMが……消えた!?』『いや待て、かすかに聞こえるぞ』

『最初だけかよw』『いや、むしろ潔いと言っていいのでは?』

 

最初のジングルが終わった後は、

掛け値なしで音符4つ位を繰り返すだけの環境音になるんだよ!

 

『これが古典……』『思い切り良すぎるだろw』

 

しかし、ゲイモス特有の地面の太線スクロールはなくなっているのか?

地球の海の風景が使われているな。

ああいや、デフォルトが普通になってるだけで、原作モードは切り替え選択か。

まあ、この風景の方が俺得だし、これはこのままでいいか。

 

そうこうしているうちに敵が現れる。

緑に覆われた古墳みたいなのと茶色っぽい櫓みたいなのが地上敵。

こいつらは出現して得点になるのを待つだけの哀れな存在なので気にする必要はない。

 

『何で(古典ゲームにはよく哀しい存在が)いるんですか』

『何でかなぁ……』『養分』『やっぱ愛だよ!』『希望はないんですか!?』

『クリボーですらマリオ倒せるのにこいつらは……』

 

空中から来る敵は注意が必要だ。

最初に遭遇するリング状のやつ、カニか虫っぽい黄色いの、黄色いUFO。

こいつらは弾と一緒に体当たりしてくるので要注意だ。

 

弾に当たり判定があるのは知ってるんだけど、体当たりに判定があるのかはよく分からない。

こいつら大体弾と一緒に飛んでくるから、敵に当たったか弾に当たったか判別しづらいんだよね。

 

「地上でもこの灰色単発砲台は注意が必要ですね。弾を撃って来ます」

 

『希望』『希望はあった!』『地上にだって希望はあるんですよ!』

『スコシハ歯ごたえのある敵ナノカ?』『みんなの元気を俺に分けてくれ!』

 

「なので撃たれる前に破壊します。弾は危ないですから」

 

『あっ……』『絶望』『希望は潰えた』『トゲがあるだけの養分』

『さすのび……』『絶望した!』

 

「他にも空中に……この切ったきゅうりみたいな敵も居ますね。ちょっと危ないです」

 

危なげなく避ける。避け中も空中・地上のパルサーとクェーサーは連打し続ける。

この時代のSTGは基本連打が必要だ。

 

「あ、あれは連発砲台ですね……」

 

弾を連発して吐き出す、(このゲーム)地上最強の敵、緑っぽい連発砲台。

 

『いけるか!?』『やってやる!やってやるぞ!』『ダメみたいですね……』

 

何でごく自然に敵を応援してるんだこいつら。まあいい、やられる前にっと。

 

『知ってた』『それな』『アバロンのダニが一匹減ったな』

 

こいつが出てきたということは……そら、ボスの登場だ。

 

『ボス来たーーー』『BGM出さないのにボス専用効果音はあるのかよw』

『あかん、この効果音夢に出そうwww』

 

斜めに傾いた宇宙要塞母艦、フォボス。

一説にはファミコンのスプライトの都合で傾いたと言う話もあるが……俺は知らない。

何よりこのリメイク版は斜めになってるだけじゃなくてちゃんと宇宙要塞として動く。

まあゲーム的に最低限の範囲ではあるが。

 

「このボスはちゃんと倒さないと逃げてステージやり直しになるので、ちゃんとやります」

 

ちゃんとやると言ってもこのゲーム、

一度コツをつかんでしまえばやられることはないんだけどね。

全く危なげなくボスを倒し、1面クリア。

 

フィールドは2面へと移り変わる。2面フィールドは火星、なんだけど。

 

「なんか月に見えません?」

 

『見える』『月じゃないの?』『黄色いしでこぼこしてるってのは月っぽい……よな?』

 

フィールドとその先に見える天体は黄色くてでこぼこ、イメージ的には月っぽいけど、

設定的には火星なんだろう。あるいはステージの調整があったのかもしれない。

 

そしてステージの内容だが……敵の色が全体的に青っぽくなっているだけで、

コツをつかんでいればストレートにクリアできる。

 

「あとですね。このゲーム全てのステージでなんですが、ボスは逃げることがあるので……」

 

『逃げるのか』『この時期のゲームにしては珍しいな』

 

だから逃がさないように早めに倒す。そこがリスクにもなっているので結構面白い。

 

「3面は木星ですね」

 

フィールドに描かれた大きな木星は、この時期にしては頑張ったと言っていいだろう。

この面の敵は色が地味な茶色と派手な緑色で二極化している。

まあ強さは変わらないのでクリアはあっさりだけど。

 

4面は土星。やはりフィールドに描かれている大きな土星とそのリングが目を引く。

 

『土星さん!土星さんじゃないか!』『ああ^~土星様美しいんじゃ~』

『フェーベ環をすこれ』『カッシーニの間隙の美しさが分からぬとは』

 

なぜか知らんが、土星を愛する土星天文学(仮称)なるものが存在するらしい。

わからん、未来わからん……。

 

敵は毒々しい青と緑になったが、その内容は変わっていなかった。

変わりないとしか言ってないけど、本当に新キャラとかいないんだよ。

わずかにやって慣れたらそのままやられるまで延々続ける、そんなゲームだ。

 

そして5面の海王星。海王星のはずだが、毒々しいエメラルドグリーンで描かれている。

これもどっちかというと天王星に見える。

 

『まあどちらかというと?』『海王星はマジで海王星ブルーだからな』

『鮮明な写真が撮られる前だからね、しゃーない』

 

俺の前世の記憶だと、青いことは分かってたと思うんだけどな……。

どっちかというとこれもステージの都合で犠牲になった一例かもしれない。

敵の色も黒メインの時々黄色、今回も毒々しい。敵勢力の段階を表現したかったのかな。

 

ラストステージの冥王星は原作再現なのか、フィールドに緑色の霧が漂う、

本格的毒々フィールドになっている。敵の色もピンクや黒や黄色や青、

今まで使わなかった色も大放出で毒々しさをこれでもかと表現している。

 

でも敵は変わんないんだよなぁ……。

 

「えーっと、というわけでゲイモスは6面ループ、クリアが目標なのでここで終わりです。

私は続けたいですけど皆さんはまだ見たいですか?」

 

『見たい』『意外と見れる』『古典好きはこういうシンプルなゲーム好きよ』

『もっとして』『のびちゃんのゲーム実況が見たいんだよ!(白熱)』

 

その後、むちゃくちゃゲイモスした。

なお2Pでやる人は出てこなかった。世の中そういうものだ(悟り)

 

 




土星と言えばどせいさんです(レトローゲーマーの鑑)


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ゼルダの伝説〈ひとりようRPG〉

レベル2の青いブーメランは罠だぜ派といや行けるだろ派の間には知られざる争いがあった……


 

「つるかめ仙人さん、今日はありがとうございました!」

 

突然メッセージが飛んで来た時は焦ったが、

何とかゴルフ対決実況配信を終えることができた。

これも俺とあちら側、双方の視聴者が平和に、穏やかに……穏やか?

 

あちらの視聴者は穏やかそのものだったが、

こちらの視聴者は初めてのリアルタイムコラボに舞い上がって、

ネタに走って騒がしかった気もする。

 

「のびるちゃんものう。小さな子がこのようなゲームをやってくれて、

わしは本当にありがたいことだと思っとるよ」

 

親フラをさんざんネタにされてるのに動じない、

何と言うかあれ以来ロールプレイを決して崩さなかったのは素直に凄いと思う。

これが明鏡止水の心か……。

 

「はい、今日の突発ゴルフ対決!-2の差でつるかめ仙人さんの勝利です!

ご視聴ご来場、ありがとうございました!」

 

 

 

………………

 

 

 

「さあ!ここからは私の今日の配信!やっていきましょう!」

 

『のびちゃんまだいける?』『半端な時間だけど何やる?』

『なんか短い対戦ものとか』『FISTとかどう?』『さらっとそれを薦めるなよw』

 

「今日の実況は、ゼルダの伝説です!と言ってもレベル1クリアまでを目安にします」

 

『ゼルダキタアアアア』『ゴルフの次にこれとか不意打ち過ぎるでしょおおお』

『QMK(急に名作が来たので)』『あわ、あわわてるな!』

 

「ええと……会話がない所がいいですね!ひとりようアクションRPGです!」

 

『あっ……(察し)』『のびちゃん用ですね、分かります』

『喋らなくていいというのは利点なんだよ!』『俺もそう思う!』『お前らw』

 

「みんなのその態度に、私はとても傷ついた。

具体的に言うとハート半分で音が鳴ってるくらい」

 

『草』『ハート半分は無理ゲーですね……』『妖精を食らって、どうぞ』

 

さあ、前世では裏までやり尽くしたがダイブリメイクでは初めてだ。

ゼルダの伝説初代、ダイブスタート!

 

 

初代ゼルダのオープニング。あの時代のあの機器でこそ響かせたあのBGMを、

リメイクに当たりあえて再現した曲が、何百年もの時を越えて流れている。

 

「やはりこの曲はやはり神だな……今回のでそれがよく分かったよ。リメイカー感謝」

 

『これが神か……』『これは伝説ですわ』『当時を偲んでいけ』

 

まずセーブを作成する。名前はかのリンクさんをリスペクトして「のびるさん」で、

設定はダイブのアバター主観に……。それを選ぶと俺のアバターが変化し、

リンクさんが緑色の髪になって、丸いメガネをかけて、

ついでに女の子になって小さくなったような姿になった。

 

『のびちゃんエルフ』『緑の服で完全にリンクさんですね……』『のびエルフ好き』

『「のびるさ」までが苗字で「ん」が名前だぞ』『リンクさ・んとか分かるやついるのかよw』

 

 

スタート地点の周辺は、

緑の岩なのか森なのか木なのか苔の生えた岩なのかわからない、

緑色の物体と背景が配置されている。原作のそれをきちんと再現したもので、

ダイブリメイクで立体化したはずが未だによく分からない。何なんだこれ。

 

『森だろ』『じゃあこっちは木?』『緑の岩だろ』

『苔が生えてるって表現だと思うけどなぁ』

 

武器は剣……最初は持ってないんだよな。盾は持ってるがなぜ剣がないんだろうか。

元ゲームの記憶通り、近くの洞窟に入る。

 

洞窟には爺さんが居る。婆さんが居る場合もある。

スタート地点にある洞窟のじいさんに赤っぽい剣をもらうのが最初にすることだ。

最弱だがこれがなければ始まらない。

稀にこれを受け取らずにクリアする剛の者もいるらしいが、俺はしない。

 

『掲げていく』『手に入れたことを見せておかないと』

『誰に見せるんだ』『うおおおおお剣もらったああああああ(テンションあげあげ)』

 

剣を受け取ると爺さんは消える。その後この爺さんの姿を見ることは出来ない。

なぜか2つの火だけは延々と燃えているが、特に意味はない。

 

フィールドを移動すると、早速モンスターのお出ましである。

 

「このクモみたいなカニみたいなあめんぼみたいなのは……何だったかな?」

 

『テクタイトやぞ』『クモじゃないの?』『だからクモがテクタイトだって』

『あれはピーハットで……こっちはリーバーですね。たまげたなぁ……』

『勝手にたまげてろ』『ピーハットうざい』

 

早速試し切りをしよう。重さ設定はしていないのでらくらくと剣を振り回せる。

それが無きゃ、俺がこんなアクション系が入ったゲームをやることは無理だ。

 

雑魚敵を倒すと、その瞬間エフェクトを残して消えて、

色々なアイテムを落とす。原作のように地面に落ちたままになるわけではなく、

なぜか低空に浮いたままになっている。落ちてるものを拾わない的な配慮かな。

 

「あ、時計」

 

『時計かぁ……』『時よ止まれ!』『またザ・ワールドか!』

『ファミコン時止め好きだな……』

 

「ハートは……取っても何もないですね。ええと……説明によると、

これは食べるらしいので食べて見ますね」

 

赤いハートを食べる。柔らかいが弾力があって甘いにおいがする。

 

「グミみたいな食感ですね……甘い……」

 

『酢ダコの絞り汁みたいな味じゃないのか……』

『どこ情報だよそれwww』『知ってるけどそれはないw』

 

口の中でモッチャモッチャいわせながら、敵を倒して進んでいく。

ハートは一口で食べられるサイズだ。りんごみたいな味がする。

擬似的な満腹感はあるが、ダイブフィールドの仮想食感なのですぐにそれは収まる。

 

『俺はグレープのグミみたいな味だったぞ』『俺の時は苺の味だったけどな』

『マジかよ』『プレイヤーの好みと倒した敵の種類で変わるらしいぞ』

 

このゲームは通貨であるルピーもアイテムと一緒にドロップする。

案外小さいな……まあ持ち歩くならこんなものか。

財布……ルピーを入れる小袋の中に、255ルピー入る。

 

「貯める作業もいるんですが、この時点ではまだですね。さっさとダンジョン行きます」

 

 

さて、レベル1はどっちだったかな。

確かスタート地点から上の方に行った所にある木の中に入っていく感じだったような。

 

「ああ、あった」

 

大きな穴が開いた木の中から、レベル1のダンジョンに入った。

原作だと見えなかったけど入り口は階段になってるんだな。

不気味な石像と扉が並ぶ迷宮の玄関口。

 

とりあえず両隣の部屋でスタルフォス(がいこつ)とキース(こうもり)を倒し、

カギを手に入れよう。

 

『ヒャッハー!』『カギを出しやがれ!』『ここがイキり時ですよ!のびるさん!』

 

「お前らなぁ……」

 

全く人をヒャッハーみたいに。この俺がそんないきり立って襲い掛かるような真似、

例えゲームでもするはずが……。

 

「極彩と散れ!」

 

『来たァァァァ』『のびちゃんの古典イキりきたあああああ』『極彩と散れwww』

 

いや違うぞ、これはその、集中して敵を斬る時に出たとっさの気合みたいな感じで、

別にそんな意識してと言うか……。

 

「オラァッ!!」

 

『これは完コピwww』『よくそんな低い声出せるなw』『承太郎様ですね、わかりますwww』

 

違うと言ってるだろうが!全くこの草どもは本当に人をイキりみたいに……。

 

「闇に滅せよ……」

 

『半蔵さんwww』『草の者ですね、わかりますw』

『のびちゃんのイキり欲張りセット大盛りすぎるwww』

 

……まあ敵は全滅し、カギ2つ手に入ったのでよしとする。

転生した精神と記憶はあっても、その実際の適応を考えると、

俺はまだ今生経験としては10歳児であることを痛感するな。こういう時は。

 

その後危なげなく進み、矢の情報を教えてくれる爺さんを攻撃して無事にやり返され、

マップ上方の部屋で弓を回収。

途中ブロックを押す感触が滑り良すぎて気色悪かった。

 

ブーメランを使う敵、ゴーリアを倒すと、ブーメランがもらえる。

レベル1の宝は弓とこのブーメランで2つとなる。

 

壁から現れる手、ウォールマスターを回復ポイントとして、

ついにレベル1のボス、アクオメンタスとご対面である。

だが……。

 

「しょせんレベル1ですからねぇ」

 

前後しながら3方向ショットを散発的に撃って来るだけで、

数々のアクションやSTGをやり込んだ「後」の俺なら負けようがない。

数が多く不規則な動きの雑魚の方が手ごわく感じたな。

 

「さて、これでトライフォースのかけら一つ回収してレベル1、クリアです!」

 

『おめ!』『トライフォースを掲げていく』『この演出はマジで1話終わった感あるなw』

 

「今日もご視聴ありがとうございます。実況配信はいつもの私、のびるでした!」

 

 

 




レトロゲームがダイブでリメイクされて自分が小学生になってたら大はしゃぎだろう?
誰だってそうする。俺もそうする。(兄貴感)


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ネオアトラス〈かわいいおじさん〉

とりあえずインドの東はえぐらないと南方でひどいことになる


今日の来場は何と8100人!

思惑通りなのに伸びが実際に鈍化すると不安になってくる。

俺はこのままでいいのか?(哲学)

 

「今日のゲームはNeo ATLAS、ネオアトラスです!」

 

『kitaaaaa』『知らん』『メガテンか何か?』

『名作過ぎて鼻血吹き出る』『俺なんか耳血出そう』

『耳血は流石に病院行って、どうぞ』

 

「見た目洋ゲーに見えるけど洋ゲーではない……」

 

『アートディンクだぞ』『聞いたことあるような、ないような』

『聞いたり聞かなかったりしろ』

 

「えーとそれではまず、始めて行きたいと思いまーす」

 

アカウントフィールドからネオアトラスのフィールドに入ると、

俺の姿が中世の女貴族、あるいは女商会長風に変化する。

 

前を紐で結わえたワンピースローブというのだろうか。

緑色のローブに同色の羽帽子、ローブの下のワンピースは白でコントラストが目立つ。

そしてもちろん銀縁メガネに、腰には装飾の付いた刺突剣を装備している。

 

『のびる様素敵です!』『これはのびちゃんじゃなくてのびる様ですね……』

『男装してない麗人のびる様やぞ』

 

の、のびる様?いやいいけど……。

ゲームが始まると、ひげのおじさんが現れて色々喋りだす。

このゲームの案内役?的存在である。

 

『このおじさんは何?』『正直怪しい』『のびちゃんに話しかけちゃうとこが怪しい』

『なんでやwそれはおじさん悪くないやろw』

 

「このかわいいおじさんはミゲルです。主人公が喋らない分喋ると言うか、

何というかマスコット的な?」

 

『かわいいおじさんで草』『ご主人様とか言われてもw』

『なぜかわいいマスコットキャラをおじさんにしようと思った!言え!』

 

「このおじさんのおかげで主人公が喋らないでもゲームが進むので……」

 

『あっ……』『のびちゃんとゲーム原作者、時を越えた奇跡の合意成立』

『どっちかというと談合では?』『代わりに喋ってくれるおじさん、欲しいなー俺もなー』

 

「主人公がいるのは大航海時代のリスボンです。商会の主となって地図を作るゲームです」

 

『チーズを作る?(古典ネズミ感)』『大航海時代って?』

『新たなる発見の時代だぞ』『大航海時代でいいんだよ歴史の先生かよ』

 

まずは、ゲームスピードを遅いに設定しておく。 

そうしないとえらい忙しいゲームになってしまうという特徴があるからだ。

早速、ソリス提督が帰ってきたという報告を聞くことになる。

 

「ソリス提督が帰ってきたようですね」

 

報告を聞くと、鯨か何かとぶつかって引き返してきたという。

さらに修理のために立ち寄ったラスパルマスという街で、

パナケイアという薬を見つけたらしい。

 

『薬w』『また怪しいですね……』『おいおい大丈夫か?』

『このゲーム全体的に怪しい……怪しすぎない?』

 

「ちゃんと産物として交易できるので大丈夫ですよ。まあ実際効果あるのか知らんですけど」

 

『知らんのかよw』『騙して悪いが!』『さすのび(裏社会)』

 

「このゲームですが、その全てが『信じるか、信じないか』で物事が決まる、

というシステムで出来ています。だから報告が本当なのか最後まで実はわからないと言うか」

 

『どういうことなの……』『のびちゃんを信じればええねん』『全ては信心だぞ』

 

「これは初回なので出なかったようですが、信じる、信じないを毎回選んで地図を作っていく。

その地図作りと探検の繰り返し作業をやるゲームになります」

 

『のびちゃんが好きそうな要素来たな』『繰り返し探検していく』

『信じないを選ばされる無間地獄ですね、わかります』

 

とりあえず、探検航海の始まりだ。

まずソリスの船団を選んで、探検航海に出発させることにする。

 

ソリスを西アフリカの街へ移動させて、

その後ソリス船団をアフリカ大陸に突っ込むような感じの航路で進ませて、

ネオアトラス特有のエフェクト、地図の未知の部分にかかる雲の中を突っ切る。

 

コンソールが立体化したことで、

世界地図上で色々ミニチュアが進む様子を眺めることが出来る。

前世ではSFで見た立体図上演習的な楽しみ方が出来るようになってるな。

 

「さて、ソリスも出港したところで貿易航路を設定しておきますね」

 

『貿易航路?』『大航海時代みたい』『大航海時代だぞ』

『いやその大航海時代じゃなくて』『???』

『ゲームの大航海時代と歴史の大航海時代混同してる初心者おる?』

『あっ……(察し)』『正直スマンカッタ』

 

「ええと……ですね。最初はこの真珠とマダス貝の街の航路を結んで……」

 

『定番ですな』『そうなのかー?』『まあ図鑑埋めと初期の利益を両方やろって感じ?』

 

ネオアトラスのダイブフィールド。

世界の産物が積まれる(予定)の広い商会主の部屋に置かれた、

大きな平面立体世界地図コンソールを使って指示棒やら指先一つで指示を出す、

その指示に従って立体エフェクトに包まれた世界地図上をミニチュアが動く、

というのがこのゲームのダイブリメイクのメイン操作となる。

もちろんゲーム開始早々の今はヨーロッパ周辺以外白紙、白い雲に覆われている。

地図自体は平面だが、雲や建物等が飛び出す絵本状態で3D化するので、

いわゆる平面立体地図と呼ばれるコンソールの一形態である。

 

「はい、利益は少ないですけど、真珠とマダス貝で黒真珠という2次加工品が出来るので、

それは最初にやっておこうというプレイスタイルですね」

 

『黒真珠か』『真珠養殖ってそんな昔あったっけ?』『信じる心が大事ぞ』

 

「時間があるので探索に移りますね」

 

飾り気のない地味な指示棒で、既に見えているヨーロッパのあちこちを拡大縮小し、

何か目を見張る発見物やアイテムの入った箱を探す。

まずはロンドン周辺で定番の発見物を回収。

 

『箱があるぞ』『宝箱だ!』

 

「まあこういうゲームでは定番のストーンヘンジですね。

このように、何か見つけるとお金がもらえます」

 

近くで絵文字の石版というアイテムも2枚見つけて、

ひげのおじさん……ミゲルがこの石版と世界の謎について語り出した。

 

『双子火山?』『こういうのはリアルの伝説なの?』

『いや確か、これは創作だったと思うけど……』

 

「こういう世界の謎を解き明かすみたいなのが、原作リアルタイムではあったらしいですね。

今ではそのイベント的な謎の解明に参加する機会は、永遠に失われてしまいましたが」

 

色々あったな。ゲーム内の謎やED到達のキーワードを送ると何かもらえる的サムシングが。

前世の思い出に浸って捜索していると、地中海の真ん中で「地中海のテーマ」を発見した。

 

『テーマw』『地中海さんのテーマソングやぞw』『流石穏やかですね……』

 

地中海のテーマをバックに探索を続け、イタリアで錬金術工房を見つける。

 

「お、これは……」

 

発見の次の瞬間、ミゲルがラスパルマスを見に行こうと言い出した。

 

『ミゲルw』『このおじさんはホンマに』

『ダメだwおじさんマスコットはいつ見ても草生えるwww』

 

「せっかくだから……というか強制ワープですね」

 

折角なので、ラスパルマス周囲を探索していこう。

周囲に咲き誇る赤いユリに混じって白ユリ発見。

トンガリ山も見つかって、まあ悪くはなかったかな。

 

ギリシャにはアカデミアがある。近くの箱からケメロスの竪琴を発見。

そこから中東に目を向け、

これまたこのゲーム独特のシステム「噂バルーン」で箱舟を発見。

 

すると突然、国王からの親書が届くイベントが始まった。

 

貿易特権契約。ポルトガル王国と貿易独占契約(云々)

ポルトガル国王アフォンソ5世

 

親書を信じない超ハードモードもあるらしい。

俺はしないけど。

 

一旦開放されてうろうろしていると、国王が詳細な説明に再度訪れる。

20年でインドへの航路を見つけてくれと。

そのために探検航路1、貿易航路2を増やしてくれる。ここはゲーム的都合だな。

 

探検航路が増えたので新船団を作り、今までずっと酒だけ飲んでいたロハスを、

新しい船団の提督にする。とりあえず調査にでも行かせるかな。

 

さて、貿易航路が増えたので、

出来上がった黒真珠をコンスタンチンの首飾りと交易して黒真珠の首飾りに。

もう一つは指輪と交易して黒真珠の指輪も作っておくかな。

2次交易品はちゃんと交易拠点双方に算出するのが利点だ。

 

『定番』『定番だな』『徐々に産物が増えていくのがいいんだよなぁ』

 

「この……ここにある塩とか、こっちの泥吹草とか、

役に立たない特産物もいいですよね……」

 

『泥吹草、いいよね……』『いい……』『www』

 

とりあえず今設定できる航路は設定したので、

ちょっとアフリカ周辺を探索していたら、今度はアフリカのテーマを発見した。

 

「この曲好き……」

 

『俺も俺も』『ちょっと激しすぎない?』『は、ハゲちゃうわ!』

『落ち着けwww』『アフリカのテーマ一番好きだわ』

 

激しいリズムに乗って探索を続ける俺に、ソリス提督の帰還の知らせが届く。

世界地図コンソール上で、未知の雲の中を突っ切っていくソリス船団が心地よい。

だが、今回は……。

 

「残念ながら陸地を発見できなかった……だと!?」

 

『うっそだろお前ww』『アフリカえぐれてるだろこれwww』

『むしろえぐって行こう』

 

「一応信じるけど……もう一回行って先の街を見つけてくれないと困るぞ、本当に」

 

航続距離というものがあるので、

船が進化しないで探検できる場所がなくなると困ったことになる。

しかしいきなりえぐれて始まるとは思わなかったな。

陸地になりやすい場所はかなりの割合で陸地になるはずなんだが……。

 

信じるを選択すると、地図コンソール上の暫定領域が確定し、

えぐれたアフリカ地図がこの世界の世界地図となる。

 

『これは空想世界地図』『信じる心www』『ムー大陸作りそう』

『こんな怪しい報告でボロい商売ですわww』

 

「えーっとまあ、存在しない大陸を作ることも、大陸を海でえぐることも出来ます。

現実の陸地は陸地になりやすいようになってるらしいですけど、それは確率ですからね」

 

と、調査に行かせていたロハスが帰ってきた。

錬金術工房で、盗賊団の噂を聞いてきたらしい。

 

「この盗賊団イベント、ものすっごく面倒くさい!のですよねえ……」

 

『それな』『そうなん?』

『大量に存在する盗賊団アジトを最小スケールで探して当たりを見つけるゲームだゾ……』

『聞いただけでのびちゃんが好きそう』『のびちゃんが好きそうって何だよwww』

 

俺は好きじゃないぞ。失敬な!

 

「お、今度はソリス提督が帰ってきましたね。かなり早いけど陸地見つけたかな?」

 

ソリス提督、2度目の報告。今度は未知の雲に突っ込んで早々に陸地を発見し、

即座に戻ってきたらしい。ついでに複数の街も見つけたようだな。やるじゃん!

 

「お、象牙湧いてんじゃーん!やりますねぇ!」

 

象牙は価値も量もそこそこ。距離の関係上利益を出しやすい特産物だ。

 

『この時代は象牙も普通に買えたんやなぁ』『象さん……』『時代の風を感じる』

 

 

その時何の前触れもなく、外部からのメッセージを告げる音がフィールドに鳴り響いた。

そういや今日は、お迎えに来るって言われてたんだっけか。

 

「あ、えーと、時間になっちゃったんで今日はここまでにします。

今日のゲーム、ネオアトラスはどうでしたでしょうか。

実況配信、いつもののびちゃんでした!」

 

『えーもう終わり?』『乙』『お疲れのびちゃん』『意外と時間経ってた……』

『おっつーん』『達者でな』『サラダバー!』

 

 

………………

 

 

「あ、ふみちゃん!こっちこっち!」

 

公共交通機関の運営する配送自動運転車に乗り、手招きするのは俺の……私の母。

俺と同じ赤毛でメガネで緑がかった碧眼を持つ、田中スカーレット富み子その人である。

 

今時自動運転車がいくらでも街をさまよってるんだから、

いちいちお迎えする必要はないんだと言っても聞かない。

忙しい身でありながら、俺をお迎えできる時は出来るだけお迎えに来るのを生き甲斐とする、

まあ……親の心がけとしては非常に尊敬できる人物である。

 

必要はないのに改名するような度を越した日本オタクっぷりと、

その名前センスで俺の名付け親として行った罪は一生許さないけどな!

あと身長も体型も大人にしては小さい……というのは、

俺としては喜んでいいのか悲しんでいいのか分からないところである。

 

その車の後部座席に乗り込んで、俺たちは家へ向かう。

 

「ふみちゃん見たよー?ちゃんと実況配信出来てるじゃない!」

 

な、何……だと!?親フラどころじゃない、親の実況参観だと!?

 

「見ないでいいって言ったじゃん!何で見るの!?」

 

「だって見たいじゃない!のびちゃんっていうの?いっぱいファンがいるんだねー!」

 

こ、これは恥ずかしすぎる!!!羞恥心とか言うレベルをとっくに越えてる!

 

「見ないでいいの!見ても言わなくていいから!」

 

「えー、見たいなー。ふみちゃんがのびちゃんで遊んでるの見たいなー」

 

このあと見たい見るなでさんざん押し問答のあげく、結局見ることは止められなかった。

だって俺前世の両親とは寿命の関係で死別しているから、

改めての今世の親の頼みを、拒絶し切ることは出来なかったんだ。

 

まあ配信中に茶々を入れたりしないとか基本的なことは理解してるようだし、

このぐらいならまあ、良しとするかな。

 

 

 




基本的に親は恥ずかしい
恥ずかしい親じゃなくても恥ずかしい


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ドラえもん〈チャミーは見れない〉

ジャイアンの石ゲー好き


今日も今日とて、アカウントフィールドにダイブした俺の元に、メッセージが届いた。

 

「ん、何だこれ……父さんから?」

 

≪父さんだよ。実況配信見ました。のびちゃんの生き生きとした姿が見れて……≫

 

「ぬわーーーーーー!!」

 

何で見る!!!

ああもう、もう配信始めるのに、両親共に見てるんじゃないかと思うと……。

ああもう、時間ないし気にしない!ゲームの方のフィールドにさっさと行くぞ!

 

 

………………

 

 

「皆さん今日もいらっしゃいませ!今日はファミコンのドラえもん!お送りしたいと思います!」

 

『ドラえもん?』『ファミコンのかー』『ファミコンって白ドラ?』

 

「はい、通称白ドラですね。というわけで今日の私は……こちらです!」

 

既にドラえもんフィールドで待機していた俺の姿は、

いつものメガネに青い髪と青い目、首に巻いた赤い首輪に鈴をつけて、

周囲が青く内側と体幹が白いエプロンドレスの下部真ん中に4次元ポケット。

短くて先っぽが赤い玉になった尻尾が付いている。

いわゆるドラえもんのコスプレのような格好である。

 

『のびちゃんがドラちゃんになった!』

『しらゆりのような女の子かな?』

『のびちゃんかドラちゃんかわからなくなる格好ですね……』

 

ああうん、偶然だけどのびちゃんって同じあだ名だからね。

その感覚、俺自身でもそう思ってる。

 

「はい、ええとそれじゃ、よーいスタート!」

 

ピンク色と赤色の四角が重なっていくという目に悪そうな超空間。

そこを進むタイムマシンに乗るドラえもん。

 

どうやら何かあったらしく、そこから宇宙開拓史、大魔境、海底鬼岩城の、

3ステージで仲間を救出していくという話になっている。

 

ステージ1、開拓編で救出するのはのび太くん。

のび太の宇宙開拓史の舞台、トカイトカイ星からステージは始まる。

 

『工場?』『原作だとトカイトカイ星はあんま印象ないよな』

 

「まずはこのマンホールに入ってですね。ここにショックガンがあります」

 

この開拓編、武器全てとアイテムの一部はマンホールの中にある。

アイテムもそうだが、マンホールは大体隠されているので、

初見ではそこらじゅうに攻撃をして何かないか探すのが基本となる。

 

『出してるんじゃなくて取得してて草』『ドラえもんは道具を持ってるんじゃないのか……』

『大長編では道具が使えないのが定番だからね、仕方ないね』

 

「ついでに落ちてるドラ焼きを拾っていきます。ドラえもんなので!」

 

『ドラ焼きw』『拾い食いは良くないぞ!』『ドラえもんだからしゃーない』

『ドラえもんだもんなぁ……』『ドラえもんに対する信頼感w』

 

これもアイテムは宙に浮いてるっぽいな。ドラ焼きやキャンディなので当然甘い。

連射ドリンクは栄養ドリンクっぽい味だな。

 

版権ゲームにありがちなよく分からない敵を倒し、落とすアイテムを回収しつつ進んで行く。

 

「ここらの敵、ほとんど原作に出てこないんだよなぁ。

何か敵を順序良く倒すと原作キャラのチャーミーが出てくる?って話ですが、

少なくとも私は見たことないですね」

 

『あるあるw』『キャラゲーあるあるだね』

『そうなの?知らんかった』『一応見たことあるけど、ただのアイテム扱いだよ』

 

「ショックガンなのに敵が消えるのはなぜなのか」

 

『ショックは2点火力だからね、しゃーない』

『法的にショックガンということになっているガンだぞ』『何それ怖い』

 

敵を倒しながら一見何もない空間に弾を撃ちこみ、隠しアイテムを見つけて先に進む。

ドラ焼きを取ると体力が回復し、元気キャンディを取ると体力ゲージが伸びる。

連射ドリンクを取ると武器が連射できるようになる。

あとは1UPと書かれた1UPドラ焼きくらいか。

 

「道具はなんか敵が隠したとかまだ設定は出来るとして、

ドラ焼きとかキャンディを置いたのは誰なんでしょうか」

 

『わからん……』『やっぱ敵じゃね?』

『あいつドラ焼きが好きだそうだな。よし隠しておこう!』『草』

『ドラちゃんのためにドラ焼きを隠すガルタイト鉱業で草生えますよ』

 

「えーっとここに隠しマンホールがあって、武器が隠されてます。

これは空気砲ですね。攻撃が強くなります」

 

手に入れた空気砲だが……すぐに次の武器に交代することになる。

そういう仕様のゲームなのだ。

 

隠されたどこでもドアを経由し、

十字路の真ん中を撃つとまた隠しマンホールが現れる。

そこにも武器が隠されているが、その一番強い武器はなぜか強力うちわ。

 

「なぜ最強が強力うちわなのか……」

 

『これがわからない』『風属性最強説かな?』『天狗じゃ!天狗の仕業じゃ!』

 

武器を強くして、キャンディやドリンクを回収したら、

トカイトカイ星は終了である。ランダムワープのどこでもドアを抜けて、

なぜかマンホールの中から地下通路を通って、

ステージ1もう一つの舞台、コーヤコーヤ星へ向かう。

 

途中で回収できるスモールライトは、次の魔境編で役に立つ。

 

 

 

「ここからが本当の地獄だ……」

 

『それな』『特にヘビがひどい』『そんなにか……』

 

ここコーヤコーヤ星では、

空を飛ぶ翼のあるヘビの姿をしたスネラーという敵がきつい。

とにかく速いし避けづらいのだ。出現したら一発ダメージもらうと思って構わない。

ドラ焼き運がなければ、こいつだけのせいでやられることも多い。

 

「当たり判定が大きいですから 避けるの難しいんですよね」

 

集中力を切らさずにゆっくり進む。前世でも思ってたけど子供にはきついぞ、このゲーム。

ダイブ化したらさらにきつくなってるな。基本的に、素早くて飛んでる敵は、

ダイブになると3次元だからとでも言うのか3倍以上で脅威が増している。

人は空からの攻撃に弱いというリアルをまさに体感している最中だ。

 

一応コーヤコーヤ星にもマンホールがあり、そこで1UPドラ焼きを回収できる。

隠しのキャンディもしっかり回収して、いよいよステージ1のボスへ。

青くて大きい建物、ガルタイト鉱業へどこでもドアで乗り込む。

ボス戦はもちろん……。

 

「ゴリ押し最高!」

 

『ゴリ押しきたあああ!!』『レトロゲーマーの鑑』『www』

『ですよねーw』『レトロゲーム最適必勝法ですね、わかります』

 

体力を残したゴリ押しのかいあって のび太くんを見事救出。

 

『お兄さんですか?』『お兄さんは草』

『のびちゃんがのびちゃんを救出した!』

 

なんとなく似てないこともないけど、

幸か不幸か俺はのび太くんほど地味な顔はしてないんだけどな……ってそうか、

アバターの容姿はいろいろ盛って派手な美少女にしてある作られた容姿、

って思われてるのか。まあ、身バレの危険が遠のいたことは喜んでおくか。

 

ステージ1クリア、ステージ2の魔境編へと続く。

 

その間には、最初のピンクと赤の超空間シーンが挟まり、

のび太くんを加えたタイムマシンが再度そこを突き進む。

 

 

 

 

魔境編は、横縦両スクロールのSTGとなる珍しいタイプのステージだ。

 

『横縦!?』『両方は珍しいな』

 

「スモールライトを取っていると、武器がスモールライトになります」

 

ただ、このスモールライトと称する物は、ライトが広がる感じじゃなくて、

リング状のリップルレーザーなんだよね。雑魚はどんな固い敵でも一発の高威力なので、

基本この武器をなくさないように進むと有利であると言っていいだろう。

 

「ただ、このステージある程度ダメージを受けるとアイテムを落としてしまうという、

なかなか厳しい仕様なので……」

 

『マジかよ』『落とす優先度がまたにくいんだ』『にくいにくい』

 

またこの敵の攻撃がかなり激しい。当たり判定の大きさが自機に寄せてあるため、

油断しているとすぐに敵や壁や敵の弾に当たってアイテムや体力をなくすことになる。

そして、また隠し要素の一つ。

 

「一見ただの水溜りに見えるここに張り付いて、しつこく下に行こうとすると……」 

 

そこは縦スクロールの隠し部屋。中にはスネ夫が待ち構えている。

 

『スネ夫w』『オプションか』『全部隠しだときついなこれ』

 

「このステージだと仲間が強いんで、できるだけ維持していく必要があります」

 

しばらく進むとまた隠し部屋があり、そこにはジャイアンがいる。

 

「このジャイアンが投げてる石が半端なく強いです。あとで分かると思いますが」

 

3番目の隠し部屋でヒラリマントを回収。ダメージを無効化できるバリアのようなものだが、

ダメージを受けすぎると例によって落としてしまう。

 

何度も隠し部屋を巡るうちに、最初のボス「オロロン岩」が姿を現す。

 

『オロロン岩って』

『いや、原作漫画とかだと、そういう不気味な音が聞こえるっていうだけだったような』

『完全に大噴火して何か噴出し続けてるんですがそれは』

 

「ここで上手くジャイアンの石をコントロールして……こうじゃ!」

 

『TUEEEEE』『一発www』『うっそだろお前ww』『さすがジャイアンwww』

 

ジャイアンの石だけ威力が違うんだよな。

音から判断すると多分無敵時間なしで多段ヒットするから一気にダメージが入るようだ。

 

オロロン岩を倒すと寂しげなBGMに変わり、

狭い通路に激しい攻撃で敵の攻撃も一段とかわしにくくなる。

 

「よっ……はっ……あ、ヒラリマントが……キャンディ回収いけるかなこれ」

 

激しい攻撃に、ついにヒラリマントを落としてしまう。

隠し部屋に入って再度取得はできたが、ちょっと体力が削られてしまった。

 

 

そしてバウワンコ像の目の前で第2のボス、ビッグロボシップとの戦いになる。

 

「だが……ジャイアンの石のほうが強いのであった」

 

『それな』『www』『石TUEEEEE』

『こんな古代兵器作るよりジャイアンの石量産した方が良かったのでは』

 

大体2発か3発命中すると倒せる。普通に攻撃すると10倍ぐらい堅いんじゃないかな?

 

 

その先のステージは石造りの建物の中を進む感じになる。

原作だとバウワンコ像内部のはずだけど、像を登場させてしまったせいか、

像を放置して謎の通路を進むっていうステージになっているんだよなぁ。

全体的に狭く、弾を避けるのがさらに難しくなっていく。

 

そして、ようやくヒラリマントを確保した状態で隠し部屋に入り、

このステージでも元気キャンディ回収。

とりあえず2つ回収で体力を増強しておく。

 

「さて、このステージ最後のボスですが……」

 

『石かな?』『草』『ジャイアンの石とかいう最終兵器』

 

「はい、皆さんの予想通りジャイアンの石をうまく当てて倒します」

 

遮蔽物があるので前のボスより簡単なような気がする。

名前もケンタウルスとかいう名前で、

原作に出たダブランダーの顔だけというよく分からない存在である。

 

ボスを倒し、原作ではバウワンコ像の内部にあったハートの心臓部らしき物体に触れ、

ステージクリア。

 

「さあピンクと赤の超空間だぞー」

 

『超空間ってこんなだっけ?』『違うぞ』『あ、そうなんか。俺がおかしいのかと思ってた』

 

細かい演出として、ステージクリアするとちゃんと仲間が増えてるのはいいと思った。

 

「でも、次の海底編になるとまたいなくなって宝箱に入ってるんですよね」

 

『なぜwww』『ゲームの都合だからね、仕方ないね』

『クリアしたようだな。褒美にもう一度仲間集めさせてやろう!』

 

ステージの仕様も全て違うし、バラバラに開発されたんじゃないかって話もあったが……。

真偽は不明である。

 

 

 

ステージ3は海底編。原作ではサイドビューの画面切り替え形探索ゲームだったが、

ダイブではフィールドの端に触れるとフィールドが切り替わる立体構造になっている。

 

これまた難易度が上がってるんじゃないか?と思ったら、フィールドが3次元になってるだけで、

フィールド切り替えの方向は2次元的な繋がりに限られた構造になっているようだな。

例えるなら厚みが全くないビルのような。

 

「えーとまずは、アイテムを探して海底をさ迷うのが最初ですね」

 

『海のグラフィックは綺麗になってるなぁ』『まさにダイブ!』

『ん?今何か言ったか?』『聞こえませんね……』

 

海底が舞台のフルダイブゲームは、移動するだけでダイビング気分になれるのがいいな。

仮想フィールドだから危険がないってのが何よりも良い。

 

「なぜかこのステージ、ノコノコみたいな雑魚が出るんですよね……」

 

『ホントだw』『ちょっと手抜きのノコノコ』『バイトですか、お疲れ様です』

 

名前はカメ。カメである。もう少し何とかならなかったのだろうか。

今回の武器、「水圧砲」を片手に装着し、カメを一撃で撃破する。ヒューッ!

 

「宝箱がありますが、カギがないと開けられないので今はスルーです」

 

実際には海ヘビ対策のお守りもあったほうがいいが……どちらにせよ今はない。

 

最初に見つけたのは通り抜けフープ。今はまだ使わないが、一応持っておく。

すぐにカギと取り寄せバッグも見つかり、ちょっと先でお守りも見つけて、

今回の探索アイテムが出揃った。

 

「さて、ここからが問題なんですが、探索アイテムは4つなのに、

取り寄せバッグの効果で持ち運べるのは2つ、あわせて3つで、

持ち運べないアイテムが一つ出てしまいます。それに最初に言いました、

のび太、スネ夫、ジャイアンもアイテム扱いで最後の扉まで運ぶ事になるので、

何をどう持ち運ぶかも重要なんですね」

 

『なぜそんな仕様に……』『実際面倒だぞ』

『仲間3人なんだから3つ持ち運べてもいい……よくない?』『それな』

 

海中を探索し、宝箱のカギを開けて、仲間だったら喜び、

海ヘビだったらお守りで消し、通り抜けフープで岩扉を抜けて、

途中の元気キャンディも回収し、残りの宝箱の番人、「大ダコ」との対決に臨む。

 

「原作漫画だと大王イカだったような……」

 

『そうわよ』『イカでしたね……』『タコが好きなんやなぁ……』

 

大ダコとの戦いはとにかくゴリ押し連打。

水圧砲のゴリ押し連打以外では倒せない、体力満タンでも負けることがあるという、

レトロゲーマーとのストロングスタイルのぶつかり合いを好む真の強敵である。

 

「っしゃー!だーーーー!」

 

『のびちゃん漢らしすぎるw』『タコって言うからてっきり……』

『触手で壁に押し付けるだけとかとんだシロートだな!』

『触手のシロートって何だよwww』

 

開けた宝箱から無事、3人目の仲間であるのび太くんを回収。

いざ、決戦のバトルフィールドへ!

 

決戦の地はもちろん、海底鬼岩城である。

雑魚はそれほどでもないが、海ヘビが最初から出ているので、

どうにかして通り抜ける必要がある。

お守りがあれば倒せるが、対処でミスをすることが良くあるので効率的とは言えない。

 

「ラスボス前のこの部屋で、ドラ焼きを稼いで体力満タンにしておくのがいいと思います。

だけど金塊やダイヤを取りすぎるとおしおき部屋に連れて行かれるので注意が必要です」

 

『おしおき部屋?』『あるあるw』『ねーよw』

『稼ぎなどさせるものかという強い意志を感じる』

『そんなとこだけ無駄なバランス調整すんなよって言いたくなるなw』

 

「ダイヤや金塊は避けながらドラ焼きを出して……えっと、こうですね。はい、行きます!」

 

フィールドが狭いので苦労したが、どうにかドラ焼きを回収して体力を満タンにして、

ついに最後の仲間しずかちゃんと、ラスボスにご対面だ。

 

『しずちゃん』『しずかちゃん』『しず派としずか派の溝は深い』

『何でHelp!なんですか?』『メイアイヘルプユー?と問いかけてるんやぞ』

 

助けを求めるしずかちゃんと、原作漫画・アニメの海底鬼岩城でもラスボスを務めた、

復讐の神(自称)ポセイドンが姿を現した。

 

ただでさえダメージ後の待機時間がなく多段ヒットしてしまう海底編、

ポセイドンは体当たりのダメージが半端なく、本体に当たるとまずアウト。

さらにフィールドを移動しながら不規則に火山弾をばら撒いてくるので、

倒すまでの持久戦が本当にきつい。

 

「ここで避けて……ああ!避けられ……」

 

火山弾に捕まり、ノックバック+多段ヒットの挙句に本体判定に巻き込まれて1ミス。

 

『あるあるwww』『あるあるwww』『あるあるwww』

『否定しないのかよwww』『あるある過ぎて困るw』

 

気を取り直して、もう1度トライ。

このゲーム再開はすぐそこから出来るのが救いだな。

 

「今度こそ!距離を保ちながら、引き付けつつ、攻撃は最大限……」

 

正直子供向けゲームのボス戦じゃないと思うが、

マルチタスクの駆け引きと前世からの経験を適用しつつ、

攻撃を潜り抜けてポセイドンに逆に攻撃を当てること16発。

ついにフィールドにエフェクトの光と音が響き渡り、ポセイドンは消滅。

最後の仲間しずかちゃんの救出に成功した!

 

『やったああああ』『おめええええ』『最後負けるかと思った』

『8888』『のびちゃんすげー、尊敬するわ』

『俺まだクリア出来てないんだが……』『意外とこれ有名なのにクリア者少ないよな』

 

ああ、未来でもそうなのか。

確かにファミコンでも有名で100万本以上売れたはずが、

クリア報告はそんなに活発じゃなかったからな。

今から思うと、皆リアルタイムではクリア出来てなかったんだろうな。

 

スタッフロールも終わり、最後に「おわり」の文字が立体的に浮かび上がる中、

俺はいつもの挨拶で実況配信を閉めた。

 

「皆さん今日はドラえもん実況配信、ご視聴ありがとうございました!それじゃあまた!」

 

 




何故30メートルの大王イカじゃないんだ……(原作勢総突っ込み)


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スーパー三国志2〈10歳でも新君主〉

新君主はむしろ遠方に置く派(空白地好き)


いつものダイブフィールド、いつもの来場者さん。

俺もなかなか実況配信に慣れて来たな。

この調子で来場者数万、数十万、数百万と増やしていこう!

 

技術の発達と人類の拡大の歴史、特に翻訳ソフトと通信装置の発達により、

配信先と動画視聴は世界中、宇宙にまで広がり、

前世とは視聴人口の規模が違うのだ。

 

……小学校……いや中学、高校を出てからだな、うん。

流石に今から世界的芸能人のような暮らしをする気にはなれないし、

その能力も俺にはない。

 

「はい、今日のゲームはスーパー三国志2です!」

 

『まさかのw』『なぜそんな半端なところを』『むしろのびちゃんらしいぞ』

『のびちゃんらしいって何だよw』

 

「それは私が、このゲームの雰囲気を気に入ってるからです!

レトロゲーム感と実プレイ感覚のバランスが丁度いいですね!」

 

『そうか?』『それはある』『そうなのかなー?』

 

「それじゃ設定していきましょう!」

 

シナリオは最初の董卓の横暴で、もちろん一人プレイ、

初期配置は17国で新君主。名前はもちろんのびるで。

曹操、袁術、劉ヨウ、陶謙、董卓と隣接し、18国だけは空白国となっている。

 

『新君主きたー』『ですよねーw』『やると思ってた』

『お?覇王か?』『支配者になっていく』

 

新君主はこれ、漢字固定で読みだけのびるになってるんだよね。

8月31日生まれ、10歳、女性。このゲーム1歳から設定できるんだよな。

年齢でちょっと初期能力が変わるらしいが。

 

能力設定は初期知力60、武力55、魅力75にボーナス50を割り振る形か。

武力100、魅力80の武力君主型にしよう。

武力型にすると武装した格好のアバターになるので、

兜で頭の一部が隠れるのがマイナスと言えばマイナスかな。

 

『知ってた』『脳筋www』『武力100は基本』『武力強いからな、このゲーム』

 

細かい陣形とかなくて計略も誰でも使える火計だけ、

戦争は武力の高い武将の武装と訓練度を高めてどれだけ揃えられるかで決まる。

一回一国から出せる武将数に制限があるので、武将の武力は本当に重要である。

 

おっと、配下武将が一人だけ付けられるんだったな。

もちろんありで、俺と同じ10歳女性にしておくか。

 

「ゲームのレベルは1、他国の戦争は見ない……」

 

 

設定が終わり、スーパー三国志2のゲームフィールドへと場面が切り替わる。

いかにも古代中華風な建物の中、太守の間というのか?

一つだけ奥まった場所に置かれたちょっと豪華な椅子に俺は座って、

側にいる一人だけ設定した配下……10歳女性の「嬌妹(きょうめい)」を、

軍師に任命する。こいつの知力84あって助かった……知力魅力型のようだな。

このゲーム軍師がいるといないで大違いだからな。

 

原作ゲームに忠実に、あまり喋らないのもいいな。

突っ込み入れられたら泡食って死んじゃう。主に俺が。

 

『国の要人が10歳と10歳しかいなくて草』『嬌妹ちゃん頭良さそう』

『太守ごっこにしか見えないw』『気分次第で国滅ぼしそう』

『むしろのびちゃんが滅ぼさないとでも?』

 

失敬な。滅んじゃうことはあっても積極的に滅ぼすことはないぞ!

 

「えーっと初期の兵力は君主が100(MAX)で、嬌妹が10か……」

 

『確認してる』『まさか……』『戦争かな?』

 

「よし、行くぞお前ら!武力100ならまずは戦争だ!」

 

『初期特攻キタアアアア』『マジかよwww』『武力100から正直見えてたw』

『ヒャッハー!』『どこどこ?どこに行くの?』

 

17国配置もこのためにやったのだ。まず初手で隣接国を滅ぼし、武将の頭数を増やす!

資金2000、兵糧200を全力ぶっぱして、19国の袁術と戦争だ!

原作ゲーム再現の馬に乗り、一瞬で戦争フィールドへ切り替わった。

 

 

『へー、2はこうなってるのか』『原作にかなり忠実だな』

『馬が敵国に乗り込んで即座に戦争だからね、かなりの再現』

 

戦争フィールドの初期配置は北東。

フィールドの中央、ここから南西で袁術と部下が篭城しているようだ。

これも原作通り、手元の君主コンソールで地形や部隊の配置は確認出来る。

 

まず最初にすることは一騎打ちの選択である。

特にこの原作ゲームの袁術勢力の評価は低いので、強いと言えるほどの武将はいない。

一騎打ちを断られ、袁術勢力全体の兵士がわずかずつ去っていく。

MAXの100だった袁術が94に。その他の配下は10だったものが9に。

この差も全兵力で見た場合は馬鹿にできないだろう。

 

そして、最強の兵力である俺、新君主のびるが城にたどり着かなければならない。

城を囲む砦にたどり着いた、と思った瞬間、袁術配下の雷薄による火計を受けてしまう。

 

「ぬわー!おのれ雷薄のくせに生意気な!」

 

『イキったw』『若干イキ』『火計イキ』

 

火計を受けた時には、移動からの誘導というコマンドがある。

コンソールで指定すると、俺の部隊が上手く雷薄を釣り出し、

火を回避しつつ雷薄を逆に火の中に誘導することに成功した、

と思ったら雷薄は全力で退却し、俺の部隊のモブ兵士に捕まるという失態を演じた。

 

『雷薄www』『流石に草w』『何しに出てきたのwww』

 

砦を乗り越え、城に近い森を使って俺と嬌妹の部隊を進ませる。

姿を現し、隣接したとりまきの一部隊に突撃をかました。

 

「エンジョイ・アンドエキサイティング!」

 

『さっすがのびちゃんは話がわかる!』

『のびちゃんベルセルクまで押さえてるとかw』

『ベルセルクはまずいだろw主に年齢制限がwww』

 

突撃で大した被害もなく部隊を全滅させ、楽就を捕らえた。

そして、ついに袁術と隣接!

 

無意識に出してしまったがベルセルクネタは微妙にまずかったか?

自重しよう……出来れば。

 

袁術と俺の部隊、袁術が92、俺が93の状態で隣接できた。上等じゃないか。

 

「行くぜお前ら!」

 

『やあってやるぜ!』『ヒャッハー!』『見ろよあの袁術をよー!』

 

一度の突撃で、袁術が81、俺が88となる。これは行けるぜ!

 

一方軍師の嬌妹は、俺との連携一斉攻撃でちまちまと周囲を囲む袁術の配下を削り、

紀霊を捕らえることに成功していた。

 

袁術は苦し紛れに火を放つが、俺は逆に袁術配下の李豊を火中に誘導して逃げた。ざまあw

しかしそれだけでは終わらない。何と火が延焼し、俺の逃げた先も火に巻かれた。

ここは袁術の部隊に突撃し、そのまま通り抜けるしかない!

再度突撃の結果、袁術が69、俺が75となった。行ける行ける!

 

しばらく離れて火が消えるのを待ち、しかる後に突撃を繰り返した。

俺の突撃により袁術の部隊が69・54・45と順調に数を減らし、

袁術41の時点での突撃により一気に23にまで削ることに成功する。

対する俺の部隊は未だ53残している。勝ったな、これは。

 

そこで俺は、今まで生き延びさせていた嬌妹を元の17国に撤退させた。

無事撤退し、全軍出撃で空白地となっていた17国への逃げ道が塞がれる。

これで袁術は戦って首を切られる選択肢しかなくなったわけだ。

 

『うおっ、何と抜け目がない……』『相変わらず10歳とは思えんwww』

『首置いてけ!』

 

その後数回の突撃により無事袁術を捕らえ、わが軍の勝利となった。

 

『おめ!』『いやーレベル1だけどちゃんと出来てるのはいいね』

『初手でこれはリセット上等の最速クリアやってる気分ですよ』

 

袁術に勝ち、19国を奪い、雷薄、楽就、李豊、紀霊、張勲、陳蘭、袁胤を配下に加えた。

大勝利だ!

 

処刑シーンは流石にカットされていた。原作ゲームでも出てこないしね。

 

《創業未だならずして袁術ついに逝く……袁術の一族は滅亡しました》

 

『草』『葬式シーンはしっかり原作再現で草』

 

 

「さて、とりあえず戦後最初にやることは、名馬配りと施し……ですかねぇ」

 

配下に加えたばかりの武将は、忠誠度が低い。これを上げるために、

国ごとに初期配置されている「名馬」を配るのがコストゼロで効率がいい。

19国には20、17国には10の名馬があるので、

今いる部下を忠誠度100まで上げるのには使って余りあるだろう。

 

『馬!』『のびちゃんの馬!』『名馬人気あるなぁ』

 

軍師の嬌妹だけしかいない17国に資金と米、武将も何人か移動させ、

「褒美」コマンドで忠誠度を増やす作業効率を倍にする。

君主じゃなくて、太守からでも褒美はあげられるからな。

 

『褒美、褒美!』『ご褒美欲しい』『俺も俺も!』

 

毎回誰かに褒美を与え、徴兵で兵力も補充し、余った人員で民に施しをして、

民忠誠度を上げておく。米10施せばわずかながら上昇するので、

初期の米が少ない時には便利だ。

 

軍師が別の国の太守をやってるので、軍師の話は後になるし、

軍師の助言も君主の本国にいないので聞けない。

早く忠誠度上げて太守交代したいな。

 

ちなみに今回の軍師の話は、第10国の脅威を語るものだった。

董卓の第10国が脅威なんて分かってんだよ、嬌妹!

 

そんな時、劉ヨウから太史慈が、孫堅から孫策が相次いで使者として訪れた。

 

「同盟?するする!」

 

『即決やな』『まあこっちに損ないし』『敵が減るしな』

 

7月。米収入が入る月。とりあえずここまで乗り切って、

戦争で使った米以上の米が手に入り、ほっと一息。

 

今日の軍師は、

心を用いて戦うを上策、兵を用いて叩くを下策と申しますなどと、

なんか軍師らしいことを語っていた。でも結構ギリギリの知力84なんだよなぁ。

このゲーム、知力80ないと軍師になれません。

 

 

そして次の月。董卓が攻めてきた!

 

「軍師の言ったとおりだ!」

 

『ピタリ賞で草』『これは麒麟児』『伏龍かな?』

 

嬌妹のいる17国に攻め寄せた董卓。武将3人、兵力は165!うん、それ無理。

とりあえず即時撤退、どうやら全員君主のいる19国に撤退できたようで何より。

19国からの逃げ場がなくなったけどな!

 

ここで名君主のびる、悪魔的ひらめき……!

 

「今、董卓の10国の兵力はどうかな?」

 

とりあえず翌月、施し係の張勲さんを使って10国をのぞき見る。

兵力は109!董卓は手ごわいが、こちらは俺の100に加えて雷薄、嬌妹50ずつくらいで、

計200を越える兵力がある。勝てる!

 

「我が名は新君主のびる!イクゾー!」

 

『ホイ!』『ポォー、ひょうてき登場ダナ?』『董卓の存在など不要ラ!』

『お前らwww』『よく即座にネタ返せるなお前らw』

 

今回も馬に乗り込み、10国の戦場フィールドへ即座に移動する。

まず行う一騎打ちで、今度は樊稠(ハンチョウ)が一騎打ちを受けた。

強いのは17国に出て行ったのかな?都合がいい、武力100の俺なら楽勝……。

 

『おい、苦戦してるぞ』『ワロタ』『残り3のギリギリ勝利で草不可避www』

 

一騎打ちって怖い。流石にダイブ、立体での迫力は元ゲームには無かったからな。

ま、まあ勝ったからいいか。

 

やることは前回と同じ。城に近づき、まず董卓の周囲の武将を片付ける。

最初に李儒を捕らえる事が出来た。調子がいいな。

 

ここまでは同じだが、董卓は武力があるのでここからが違う。

突撃では武装、訓練度の分こちらが不利。

俺、軍師、雷薄の3人を城の周囲に揃え、董卓を囲んで一斉攻撃だ!

 

董卓を囲む死闘。こちらが58、13、14の兵力になっても、

まだ董卓は47の兵力を残している。

だがそこで、軍師が城の董卓に火計を決めた!

一気に34まで兵力を落として城から逃げる董卓。

 

結局火に巻かれて戻ることが出来ず、

火が消えた瞬間に城に滑り込んだ俺の部隊によって城が陥落。

俺たちの勝利だ!

 

『うおおおお』『やったああああ』『888』

『正直負けるかもって思ってた』

 

勝利はしたものの、残念ながら董卓は逃げ、

配下に出来たのは捕まえた李儒とハンチョウのみ。

 

だが、ぎょくりんのけんを手に入れた。

即座に新君主のびるがゲットし、武力+6で106に!

しかし兵数は65にまで落ちてしまった。また勢力を蓄えないとな。

 

 

しかし、世界はそれを許さなかった。

今度は曹操軍が10国に攻め込んできたのだ!

武将3人、兵力162、最初の董卓軍と変わりない大軍勢だ。

 

「皆はここで、私が逃げると思っているかもしれない。だが私はそうしない!」

 

『きたああああ』『私はそうしない!キタアアアア』『さすのびwww』

 

さあ、連続だが今回もやるぞ!

一騎打ちを申し込むが断られる。ですよねー。

 

軍師の火計!雷薄のアンブッシュ!だが雷薄はすぐに捕らえられた。

兵力回復してないからね、仕方ないね。

 

その後雨ばっかりで火計が使えない。じりじりと削られる中、

ようやく晴れた時を見計らっての軍師の火計、夏侯淵にヒット!

だが、火をかけられて激おこの夏侯淵に軍師も捕らえられ、

俺の部隊も激しい攻撃を受けてついに0、ゼロになってしまう。

だが、敵も夏侯淵の1部隊、なんと6になるまで粘りに粘った。あと少し!

 

というところで、勝負は来月にもつれ込んだ。これはワンチャンあるか?

 

『いけるか?』『無理かな……』『希望は捨てない!』

 

次の月、全力で徴兵して兵力20となった紀霊さんを援軍として10国に派遣。

これでさらに粘ればと思ったその瞬間、曹操も援軍を派遣していた。

 

『ですよねーw』『知ってた』『おかわり!(絶望)』

 

そして奇跡は起こらず、夏侯淵の攻撃で新君主のびる、俺は捕まった。

 

「お、おう!?」

 

その瞬間、俺は主観モードを切られて、

スーパー三国志2の設定をしたアカウントフィールドに戻っていた。

コンソールには新君主のびるの葬式の場面が表示されている。

 

俺のアカウントフィールドなので、無駄に美麗な立体映像である。

妙な気分だな。

 

《無常なるかな人の運命は……君主の新君主が死亡しました。後継者を選んでください》

 

後継者か。そりゃ当然、軍師の嬌妹ちゃんで……いない!?

そうか、捕らわれたからいないのか!

じゃあその、いる中で君主を選ぶなら、袁胤さんで……。

 

『袁胤w』『袁家じゃねえかwww』『19国元鞘で草』

『袁家復興で草生えますよw』

 

「はい、ええと最後は死にエンドでしたけど……今日はここまでにします。

エンインさんのウインク?しかめっつらを拝見しつつお別れします。ありがとうございました!」

 

 




結局国を滅ぼしてしまったのびちゃんであった(ナレーション風)


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〈掲示板回〉悲喜こもごも

最後の国家資格スレの、ぼくのかんがえたちみつなSF設定は
見ているだけで(自分も)わけが分からなくなってくるので駄目です。
具体的に言うとよく判らない事言って判ってるフリしてるだけなので駄目です。


 

【実況】古典ゲーム新人スレ

 

935:名無しゲーマー 14:50

ゴリラ復帰!ゴリラ復帰!

 

936:名無しゲーマー 14:54

いやまあ普通に施設持ち込みで許可出たみたいだからな。

最初からやれって話だが

 

937:名無しゲーマー 14:56

機材持ち込みだと月額が安くなるってだけ?

 

938:名無しゲーマー 14:57

まあ配信者ならカスタマイズで施設と直結できるのが有利な面もある

初期情報化時代のeスポーツ系は反応速度命なとこもあるし妥当なとこじゃないかな

 

939:名無しゲーマー 15:02

通常家サーバーに置いてるアカウント情報確認の分のタイムラグがなくなって、

一瞬速くなるんだっけ?

 

940:名無しゲーマー 15:03

そう、だから自宅機材よりも持ち込みの方が試合的には有利だな。

営業時間とか未成年規制があるから、24時間ゲームできる自宅とどっちを選ぶかってとこ

 

941:名無しゲーマー 15:14

【速報】豚五郎豚になる

 

942:名無しゲーマー 15:15

知ってた

 

943:名無しゲーマー 15:17

むしろなぜ豚でないと?

 

944:名無しゲーマー 15:19

30キロ増はやばいでしょ……まあやせ薬あるけど。

覚悟さえあれば

 

945:名無しゲーマー 15:20

やせ薬はホントに医療措置だからね。

ちょっとダルいのが10日くらい続くから地味にきついよ

 

946:名無しゲーマー 15:22

人生という荒野を生き抜く覚悟が云々

 

947:名無しゲーマー 15:26

最近PSのプレイで覚えるシリーズやり続けてるの誰だっけ?

 

948:名無しゲーマー 15:28

那珂川の兄貴姉貴だな。なぜこんなニッチなとこに手を出してるのか

 

949:名無しゲーマー 15:30

誰もやらないゲーム実況、シリーズ化したいって言ってた。

製作者と発掘者の仕事に敬意を表して!とか叫んでたぞw

 

950:名無しゲーマー 15:32

その情熱を他のゲームに……って言いたいとこだが、

古典ゲーム界隈ってそういうとこあるよな。

どっちかというと対戦系じゃなくて発掘者寄りの配信者によくいるタイプ

 

951:名無しゲーマー 15:33

そりゃ未知のゲームを発掘するのを仕事にする人たちと、

それに憧れる人たちの界隈だもんな。

発掘再現したゲームが見向きもされない悲しみ、ってのには共感するわ

 

952:名無しゲーマー 15:34

対戦系も魔境だけど発掘系も魔窟だなぁ……

 

 

 

………………

 

 

 

【フルコンタクト】格ゲー実況総合スレ【ドールマスター】

 

311:名無しゲーマー 09:43

ライセンス情報あった?

 

312:名無しゲーマー 09:46

いや、なかった。今年は例年通りで新条件なしかなー

 

313:名無しゲーマー 09:48

まあ今までで出尽くした感はあるな。

ようやっと更新が楽になってくれるかな。

毎年のように更新必須なのはきつくて……

 

314:名無しゲーマー 09:59

おい、ウマシカさん大会出るって

 

315:名無しゲーマー 10:00

マジで!?

 

316:名無しゲーマー 10:02

どの大会?フルコン?ドール?古典モニター?

 

317:名無しゲーマー 10:03

フルコンだって。ライセンス取ったから今後フルコン挑戦とか

 

318:名無しゲーマー 10:05

気合入ってんな。

 

319:名無しゲーマー 10:06

のびちゃんとかドールで大会出ないかな……

 

320:名無しゲーマー 10:09

のびちゃんドール持ってたの!?

モニター派と思ってた

 

321:名無しゲーマー 10:11

きたあかりが作成だけじゃなくて対戦もっとやってくれたらなぁ

 

322:名無しゲーマー 10:13

ちょっとアーカイブ見てくる

 

323:名無しゲーマー 10:13

のびちゃんはわくわく7とかの大会がないと格ゲー大会には出ないでしょ。

ドール実売されたばかりでメジャー格ゲー大会の派生ばっかだし、

そこがなぁ。

 

324:名無しゲーマー 10:15

そうだな。もう少しドールの大会増えてくれたらなー

 

325:名無しゲーマー 10:17

なんというか、最新ではあるけど、形式として中間的立ち位置だからね、ドール。

これからどういう形で広まっていくのかな……。

 

 

 

………………

 

 

 

【爆裂商人】マイナーゲーム愛好会【キュイーン】

 

160:名無しゲーマー 16:49

過去の原作ゲームはマイナーでも、リメイクならチャンスある!

と思ってもう10年。

前評判とか過去の売り上げ数字って大切なんだな……ってはっきり悟りました

 

161:名無しゲーマー 16:53

まあ100%とは言わんけど7割くらい?はそのまま埋もれて終わるよね

 

162:名無しゲーマー 16:55

でも爆裂商人とかキュイーンとかは実際売れたじゃないか。

総合大会公式選択種目の中に入ってるし

 

163:名無しゲーマー 16:57

このスレ何が悪いって、

マイナーなだけあってそれぞれの推しソフトがバラバラなとこだよな。

 

164:名無しゲーマー 16:59

うおーズって知ってる?

実況者さんがやっててちょっと気になったんだけど

 

165:名無しゲーマー 17:00

>164

見たなら知ってるだろうけど短いのが欠点。

それ覚悟なら楽しめるのでは

 

166:名無しゲーマー 17:02

チャルメラはマイナーに入る?

 

167:名無しゲーマー 17:03

>166

名前は目立つし知ってるって程度の人が多いから、

まあ実プレイが少ないって意味ではマイナーかも。

 

168:名無しゲーマー 17:04

リンダキューブは?

 

169:名無しゲーマー 17:05

リンダキューブはマイナーじゃないだろ……

このスレのマイナーってのは名前も知らない~実プレイ皆無の間だよ

 

170:名無しゲーマー 17:08

下天の夢はどうでしょうか?

 

171:名無しゲーマー 17:09

>170

え、聞いたことないな。正式名称は?

 

172:名無しゲーマー 17:12

信長秘録、下天の夢だったと思います。

いわゆるサウンドノベルで、

選択肢によっては信長がフェリペ2世に道化として対面したり、

沖縄かどこかの島に漂着して余生を送ったり、

潜水艦作ろうとして失敗したりします

 

173:名無しゲーマー 17:13

何それw

いつ出たの?

 

174:名無しゲーマー 17:16

>173

この間出たばっかで、原作ゲームはPS1だったみたいですね。

元がノベルゲーで長い上に周回前提なんで、

ちょっと配信には長すぎるかなと思ってここのまとめに登録だけでもしようかと……。

 

175:名無しゲーマー 17:18

>174

配信者さん?マイナーゲームに詳しいようだし、

これからもマイナーの火を絶やさずに頑張ってな。応援してるよ!

 

176:名無しゲーマー 17:20

>175

はい、ありがとうございます。

色々やりますけどマイナーゲー好きなんでこれからも頑張りますね。

 

 

 

………………

 

 

 

【覇王】のびるスレ【女神】

 

874:名無しゲーマー 15:16

のびちゃんはなんでこんなにかわいいんだろう

 

875:名無しゲーマー 15:18

その頭悪そうな書き込み、Yesだね!

 

876:名無しゲーマー 15:25

のびちゃんしゅきぃ……

 

877:名無しゲーマー 15:39

もはや取り繕うこともしなくなったなw

 

878:名無しゲーマー 15:51

族長(オサ)!族長(オサ)!

 

879:名無しゲーマー 16:00

草(クサ)!草(クサ)!

 

880:名無しゲーマー 16:01

 

881:名無しゲーマー 16:12

草生えるw

 

882:名無しゲーマー 16:35

コスプレ総集編MAD見た?

アクトレイザーの女神のびちゃん始めて見たんだけどあれやばい、

斬られたいw

 

883:名無しゲーマー 16:36

俺はポピュラスの天使女神!

 

884:名無しゲーマー 16:38

ここは王道を行く、カルドセプトのロリータ風のびちゃんですかね……

 

885:名無しゲーマー 16:40

うおーズの魚はありかなしか?

 

886:名無しゲーマー 16:42

えっ……何それは(どん引き)

 

887:名無しゲーマー 16:44

ありだろ

 

888:名無しゲーマー 16:45

なしなし!

 

889:名無しゲーマー 16:54

軍服のびちゃんに跪きたい

 

890:名無しゲーマー 16:55

えっ……何それは

 

891:名無しゲーマー 16:57

ところでロットロットのオオミズアオのびちゃんは、

意外とハイレベルだと思うんだがどうだろう?

 

892:名無しゲーマー 16:59

ありあり!

 

 

 

………………

 

 

 

【国家試験】公認発掘者国家資格スレ【狂気の難易度】

 

401:名無しゲーマー 03:01

あーもう何で発掘史がこんなに配点されてんだよ!

国家公認の壁きつすぎる……司法・医師かそれ以上にきついんじゃない?

 

402:名無しゲーマー 03:03

幸福追求権から派生して新しく設けられた憲法新権利って、

自己決定権だけで良かったっけ?

 

403:名無しゲーマー 03:05

量子通信のノイズ測定から始まる時空間構造研究史がいつ見ても理解できる気がしない……

何だよ入れ子構造空間の仮想量子通信伝達による電子構造の作成って

ここは日本圏なんだから日本語でおk!

 

404:名無しゲーマー 03:07

量子テレポーテーションの活用による越境先電子空間上での電子干渉、

その前提として一般通信に依らない量子テレポーテーション通信の成功、

これ現代発掘者の発端で肝だから絶対試験に出るぞ。まあ頑張れ。

国家資格は老後のお守り、が合言葉だぞ

 

405:名無しゲーマー 03:10

つまりまず最初にまっさらのリアルの時空間同士を大きく繋ぐんじゃなくて、

実際に繋げるのは量子レベルで、そこから電子構造を構築して、

電子によるコンピュータ上仮想世界が存在する時空間の仮想空間同士を繋いだわけだな。

まず距離を越え、それから何十年もの時をかけて時空を越えたわけだ。

発掘者が、考古発掘から量子(電子)通信による電気的通信発掘に切り替わった歴史的瞬間だ。

 

406:名無しゲーマー 03:15

正直なとこ、

「時空間が繋げない?電子干渉しか無理?ならコンピュータ上の仮想空間同士を繋ごう!」

って最初に思いついた奴は狂気の天才だと思うわ。

動いてるコンピュータなら電子が移動する道っていうか、

命令系統が通る場所は必ずあるわけだし

 

初期の研究者が過去を変えたのか変えてないのか?っていう永遠の命題も含めて

 

407:名無しゲーマー 03:19

過去が変えられたら俺らにはその過去を認識することは出来ない。

もしくは通信できたと思っている場所は、時系列が異なる別の世界

 

408:名無しゲーマー 03:22

俺らが改変を現状認識してない以上、この2つの回答しかないだろうな。

誰も改変などしていない、クリーンな科学者たちです!

なんて公式発表、信じられるわけないし

まあ試験には改変なんて厳禁、誰も改変を行ったことはないって書くんだけど

 

409:名無しゲーマー 03:26

実技の方はどうなの?ゲーマー的な腕も必要な感じ?

 

410:名無しゲーマー 03:28

いや、別に競技対戦ゲームや戦略ゲームばかりじゃないからな。

加点はされるけど、配点は実況配信実績よりも少ないっぽいぞ

 

411:名無しゲーマー 03:30

マジかよ……ゲーム大会で勝てば最上級の国家資格取れると思ってたのに。

何でこんな旧態依然とした資格試験をやらされてんだ、

最先端の発掘者ならもっといい方法があるだろうに

 

412:名無しゲーマー 03:34

ネタだよな?ぶっちゃけ言えば時空間干渉資格がそれだけで取れるはずないだろ

制限あるとはいえ下位資格もあるし、非公認でも認めてくれてるだけ、

国の役人にしては大盤振る舞いだと思うけどな

 

413:名無しゲーマー 03:35

同感ですぞ

 

414:名無しゲーマー 03:37

下位資格は10級からあるほど細かくケアされてるし、

正直非公認は犯罪者扱いされててもおかしくないのに、

大きすぎるほどの利益と権利もらってるわ

 

415:名無しゲーマー 03:40

まあ物申す暇があったら試験対策か実況配信でもやってた方がマシってことだな

 

 

 




のびちゃんはねこをかぶっている。
ねこですよろしくおねがいします。


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ボンバーマン〈初代だけの伝説〉

火炎バリアがあるからって大丈夫とは限らない(扉突撃からの突然死)


 

もう来場者数は気にしないことにした。その方が精神衛生上好ましい。

……まだ1万人は超えてないな。何だかほっとした。良かった良かった。

 

「皆さんよくおいで下さいました!今日のゲームはボンバーマンです!」

 

『きたあああ』『対戦来るー!?』『俺黒な!』

 

「残念ながら対戦はないです。なぜならそれは初代だから!」

 

『なんやて!?』『まさかの初代』

『のびゲー耐久じゃないですかヤダー』『のびゲー耐久って何だよw』

 

「対戦とは、つまり争いです。人はなぜ一人で道を極めることをやめ、

争いに身を投じたのか。在りし日の一人用ゲームをやりながら、

その歴史に思いをはせるのです」

 

『なんか言ってるw』『何だかよく分からんが尊そうなこと言い出したぞ』

『やはり神になるつもりでは?』『神気取りのびちゃんいいぞーこれ』

 

「それでは始めて行きます。よーいスタート!」

 

例のごとく、アカウントフィールドでゲームを起動し、

コンソールから初期設定を入力する。

 

アバターは……オリジナル、続編風、ロードランナー?

自己アバターをジェッターズ風に変換するなんてのも選べるのか。

対戦のない初代リメイクでも、ダイブであるからにはこういうのは充実してるんだな。

 

ここはやはり配信のキャラクター重視で、

のびるアバターのジェッターズ風変換を利用するとするか。

元々小さい俺が、さらにデフォルメされて丸っこく、

頭と目が目立つようになって「ジェッターズアニメ風」の仮想キャラに変貌する。

 

『ふおおおおおおお!!』『ま、まだ、まだあわてるるるる』『落ち着けwww』

『ヤバいかわいすぎない!?』

『のびちゃんは仮想キャラがリアルに出てきてくれた存在だった!?』

『逆逆wwwそう錯覚するのも分かるけどな、なんだこの感覚w』

『何か漏れそう……側頭部の血管から血が』『これはちょっと破壊力が高いですね……』

 

こ、これはちょっと予想外だな。そんなにインパクトがあるのか?

いつもは見ないけどあとでアーカイブ動画見てみるか。

 

「ええと、じゃあとりあえず見た目はこれで、クリア目標に……1時間半くらいですかね?」

 

前世の自己ベストが1時間10か20分くらいだったと思うからそれでいいだろう。

ダイブだと意欲的というか野心的に見えるくらいのタイムなはずだ。

 

早速ゲーム開始。アカウントフィールドに鉄の黒枠で囲った木の扉が現れた。

これはボンバーマン原作ゲームのステージクリアの扉か。手が込んでるな。

 

 

扉を開け、中に入るとそこは早速ステージ1。

オレンジ色の風船に顔が出来てゆったり動いてるような最初の敵、バロムである。

 

「早速爆破!と行きたいのですが、最初の火力はたった範囲1なので難しいです。

パワーアップのない最初の1面、リモコンの取れる3面までが一番難しいんじゃないですかね?」

 

『あーわかる』『そうそう』『リモコンあればまあ最低限……』

 

ダイブは初めてだが、システムはそう変わるものでもないだろう。

爆弾を置く……肩から下げた大きめのポシェットの中から、無限に出てくるらしい。

一つ置くと、そこに固定化される。重くて投げたりは出来ない。うん、原作仕様だな。

 

しょぼい火力でバロムを処理しつつ、壁を爆破して火力のアイテムパネルを踏んだ。

そう、ダイブ感覚ということで、アイテムパネルを踏んでその能力を手に入れる、

という形になったらしい。シンプルで分かりやすくていいと思う。

 

これで火力が範囲2になったな。

原作ゲームと違って、3次元的な広がり方には注意する必要があるかな?

まあバロムはまだ動きが遅いし、これでもやられることはない。

 

全てを一掃し、壁もほとんど爆破してもまだ時間があったので、

隠しがちゃんとあるのか確認してみることにする。

 

「あった……」

 

『うおーーー!何これ!』『ゴーデス?』『クレオパトラだっけ?』

『のびちゃんよく知ってたな』『こういう隠し古典ゲームだと良くあるよね』

 

敵を全滅させた後、外周を回ると出現する隠れキャラ。

ステージごとにキャラが違い、キャラごとに条件も違うが、

俺は1面のこいつだけしっかり憶えていたので出せた。

まあこいつは隠しの中では安い方の2万点なんだけどな!

 

 

2面はバロムに加えて、富士山だか青いたまねぎのようなオニールが初登場する。 

動きが結構早く、バロムとは比較にならないがまだ雑魚だ。

油断さえしなければやられることはない。

 

「しかしダイブになってずいぶん低くなりましたね。バロムの半分もないんじゃ?

いや、イメージ的にはぴったりだったですけど」

 

『こいつ他人を卑怯者呼ばわりしていじめそうな顔してるな』

『永沢君w』『永沢君は関係ないだろw』

『たまねぎ型ってだけで永沢君呼ばわりすんなよw』

 

このステージのアイテムパネルは爆弾アップ。

爆弾を一度に置ける個数が1増える。2つ連続で置けるようになるのは大きな進歩である。

敵対処もしやすくなる。問題なく敵を一掃し、扉から次のステージへ。

 

 

3面は今までの2つの敵に加え、ダルという敵が加わる。

ダルは行ったり来たりする動きが多いので、割と動きを読みやすく、倒しやすい。

 

『樽だったのか』『ちょうちんかと思ってた』『俺はライクライクみたいなもんかと……』

 

このステージのアイテムパネルは重要である。

最初のリモコンが隠されているのがこのステージだからだ。

ノーミスならこのリモコンをずっと使っていくことになる。大切にしよう。

 

「パネルを踏むとBGMが変わるのいい感じですよね。

アイテムゲット!嬉しい!みたいな原初の欲求に届いてくれる感覚が」

 

『わかる』『わかるわー』『さすがのびちゃんは表現が違うでござるなぁ……』

 

リモコンが使えれば、ミスは格段に減る。

爆弾を置いても、あわてて離れる必要がなくなるのが大きい。

爆弾による敵ブロックの際なども、その効果は大きい。

 

 

次いで4面。今までの3つの敵に加えて、オレンジの球に顔が付いたミンボーが出現する。

オレンジはバロムと被ってるけどまあ、別にいいか。

 

『ミンボー?』『民暴……』『民事介入暴力ですね、わかります』

 

そっちを連想するよな。

 

このステージのアイテムパネルは重要である。

ここの「スケート」は、全ステージでここにしかないスピードアップアイテムなのだ。

なぜここにしか出さなかったのか、正直分からない。

ほとんどの敵はスピードが速く、これは必須と言っていいだろう。

 

 

そして、次の5面をクリアすると、ここで初のボーナスステージである。

爆破し放題、こっち無敵、バロムだけの30秒全力爆破ショー!

 

「スコアアタックは時代の産物ですよねぇ……」

 

『せやな』『のびちゃんヒエヒエで草』『スコアは興味なさそう』

『ここ以降バロムは出ない』『マジで?』『ここで一つの種族が絶滅するのか……』

『悲しいなあ』『いや出るぞ』『え?』『普通に出るって』

 

 

6面は何事もなくクリアし、次の7面。

火力アップのアイテムパネルを踏んで、範囲3。ちょっと自爆誘爆に気をつけなきゃいかんな。

ここでは今まで出てきたダル、オニールに加えて、

青っぽいコンドリアという敵が初登場する。アメーバのようで動きは遅いが、

爆破できる壁をすり抜ける能力を持っている。

最もその能力を持つ敵の中では最弱と言っていいのだが。

 

7面と8面を、連続してクリアした。

 

「ええと、今回はノーミスを目指してるので多分見れませんが、

死ぬとリモコンとかのアイテムがなくなってしまいます。

回収するかやり直すかはまあ、お好みですけど」

 

死ぬとリモコンがなくなって、火力と爆弾はある状態で再開する。

正直自分の火力に怯えてリモコンを待つ状態が続くので好きじゃない。

だからミスはしない!前世の有り余るおっさんゲームライフの時間でそう鍛えたのだ!

Q.E.D. 証明終了!

 

 

9面では、壁をすり抜ける能力を持ったオバピーという敵が新たに登場する。

こちらは赤いパックマンの敵みたいな姿で、速さもあり、油断できなくなってくる。

このステージはさらに爆弾すり抜けのアイテムパネルも登場。

爆弾すり抜けは、ボンバーマンで典型的な爆弾に押し出されての自爆を防げるアイテム。

 

「まさに虎に翼、鬼に金棒といったところですね……」

 

『今日のイキリ』『弱イキリジャブぐらいですかね……』

 

 

次の10面では、さらに「壁抜け」というアイテムパネルも存在する。

何とこちらは爆破できる壁を通り抜けられるというゲーム性が変わるアイテムだ。

 

「でもこれ結構罠ですよね……爆破した壁の残り火でやられることあるんで……」

 

『それな』『ありますねぇ!』『私も気をつけないと』

 

 

10面をクリアすると、今度は全部オニールのボーナスステージである。

 

「ヒャッハー!新鮮なオニールだ!!」

 

『いくぜお前ら!』『のびちゃんが分からない……』『何で今度はノリノリなんだよw』

 

私にも分からない……。

 

 

ノリに乗った俺は順調にステージをクリアして行き、

ついに14面。

 

「ヤツが来る……!」

 

壁抜けしないのは欠点でもあり利点でもある。

登場ステージ数とその動きの性格の悪さから考えて、

このゲーム最大の難敵……だと俺はそう思っている。パース登場!

 

「顔だけになったネコ科の猛獣みたいな顔しやがって……」

 

『のびちゃんが燃えてる……』『オーストラリアかな?』

『これは幾人ものボンバーマンを屠って来た顔しとるわ……』

 

「でも、倒せる時は爆弾で一発なんで、ミスらなければ勝てます。

私は今回ミスらないから全部一発!Q.E.D. 証明終了!」

 

『唐突なQ.E.D.やめろw 』『のびちゃんマイブーム来たな……』

『これは古典漫画作品キメてる顔ですわw』

 

 

結局危なげもなく次の15面までクリアし、

全部ダルのボーナスステージに到達。今更ダルって言ってもねえ。

 

「でも爆破する!アイアムベリーベリストロングボンバーマンソルジャー!」

 

『唐突シリーズ英語編www』『ベリーベリーストロングwww』

『わけわかんないとこから引用してくるゴーイングマイパロディやめろwww』

『パロディなのかよwわかんねえよw』

 

 

その後、順調にクリアし続けた俺は20面クリア後のボーナスステージでミンボー、

25面クリア後のボーナスステージでコンドリアの群れを爆殺。ゴウランガ!

 

 

26面では、無敵になれるパーフェクトマンというアイテムパネルが出現する。

あるのはあるのだが……。

 

「正直、このゲームで時間制限ありの無敵とかガチで罠ですよね……」

 

『そうそうw』『何度時間切れ直後に死んだことか』

『むしろ製作者の漆黒の意思を感じるレベル』

 

一応取るけど、無敵を当てにして行動しない。ないものとして扱う。

それが多分このパネルに対する正しい付き合い方なんじゃないかと思う。

 

 

次に重要な進展があるのは30面。

何があるのかというと、ここから別ゲームになるレベルのバランス崩壊アイテムパネル、

火炎バリアが存在するからである。

 

「これでもう勝ったも同然ですね!あとはどれくらいタイムを縮められるかです!」

 

『お、慢心か?』『調子に乗っていく』『いやでも実際そういうとこあるしな』

 

火炎バリアの何がすごいかというと、その名の通り火炎を防ぐ、

すなわち自分の置いた爆弾での自爆がなくなるのだ。

 

原作ゲームではボタン押しっぱなしでいけたが、ダイブフィールドではというと、

俺の場合はポシェットをひっくり返して爆弾を無限に落として歩くといいようだ。

 

「もうアイテムパネルも必要ないし、このリメイクだと原作ゲームみたいな処理落ちもないし、

ホントに勝っちゃったですかねこれは?」

 

『爆弾魔だ!爆弾魔が出たぞ!』『冗談じゃなくて完全に爆弾無限に持った通り魔で草』

『通りすがって魔って行け』『魔って行けって何だよw』

 

 

30面クリア後の全部ボーナス、全部オバピーを一蹴した俺は、

35面クリア後に全部パース、そして何故か39面クリア後に未知の敵「ポンタン」による、

全部ポンタンのボーナスステージを駆け抜けた。

 

ちなみにポンタンとは、赤いコインが回転して壁抜けしてくるというこのゲーム最強の敵である。

時間切れで出てくる敵でもあり、本来どこかで目にしてるだろうという想定なのだろうが、

今回俺は目にする機会はなかった。

 

その後のボーナスステージ、44面クリア後と49面クリア後は両方ともポンタンステージ。

ラストの50面の後にボーナスを配置したくないので、39・44・49にずらしたのだろうか。

確かにこのポンタン得点は高いので、稼ぎとしてはご褒美的な意味かもしれない。

 

当のポンタンが本編ステージに登場するのは48ステージ以降。

まあ時間制限キャラが早く出てくるのはどうかと思ったのかもしれないが、

正直出るのが遅すぎるような気がする。

 

一気に飛んだと思うかもしれないが、火炎バリアを取った後はガチでゲーム進行がこうなる。

原作ゲームであった処理落ち時間がない分、

もう移動して爆破し尽くしたら扉に入るだけのゲームである。

 

 

「さあ……ようやくラストステージです。と言っても、

何か盛り上がるボスとかがいるわけじゃないんですが……」

 

『爆弾魔の行軍』『イフリートかな?』『ゲンスルーだってここまでひどくねえよwww』

『世界が変わるっていう表現を、あの火炎パネル一つで実現して見せた。製作者は偉大だ』

『のびちゃんのイキリを炎で表現するとこうなる』『炎の魔王かな?』

 

順当にラストステージもクリアし、伝説のエンディングへ。

今まで歩いて来たボンバーマンが、ロードランナーの主人公へと早変わりする。

このリメイクにおいてはつまり、ジェッターズアニメ風美少女だった俺が、

SFっぽいかっこいいバイザー付きヘルメットとスーツに変身することに……。

 

『うおおおお!』『こ、これはまた』『未来っぽい……』

『今日ののびちゃん凄ぇな、持ってるわ』

 

なぜか……というか当然のごとくヘルメットはなく、

バイザーが謎判定で目の前にくっついている。

代わりにインカム付き、下はスカートで、上の服の青と下の白のコントラストが素晴らしい。

 

うん、これは俺もわかる。今日は凄かった!

 

「ええと……1時間半は切れなかったですね。今日も私の実況配信、

見てくれてありがとうございました!実況配信どちらものびちゃんでお送りしました!」

 

 

 

………………

 

 

一人、今日のアバターの姿を確認した俺は、そのあまりの姿に見入っていた。

 

正直、このゲームの、というかダイブアバターのアニメ化処理舐めてた。

もっとデフォルメでマスコット風味優先かと思ったらとんでもない。

前世で言えば大きなお友達にも大受けするくらい萌え萌えじゃないですかーやだー!

 

何よりこの、大きなお友達をかつて前世で自認していた俺自身が理解できてしまうのが!

アニメ化処理された俺のアバターかわいすぎるだろ!!!

これは刺激が強すぎるので封印ですね……。

 

……やっぱもったいないからたまにならいいかな。

 

……いやいや配信者としてそれはどうなんだ?むしろやるべきでは?

 

……ま、まあ今日みたく偶然やりたいゲームにアニメ化処理があったら?

やってやらんこともない(妥協)

 

 

 




唐突にアニメ風になったら誰でも美少女になれる(彼は狂っていた)


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バンゲリングベイ〈まれにみるUSAゲーム〉

ここまでUSAだとは思いもよらなかった……(ストーリーにわか)


 

今日の俺は完全武装、米軍パイロットスーツにグラサン付けてパイロット気分だ!

 

「皆さんいつもご来場ありがとうございます!

今日のゲームはバンゲリングベイ!やって行きたいと思います!」

 

『お、のびちゃん気合入ってるね!』『ガチ米軍じゃねーかクオリティ高いな』

『それかー』『短いループだけど大丈夫?』

『いやむしろクリアできる?』『のびちゃんなら余裕だろ』『そうかも知れん……』

 

バンゲリングベイ、それは1984年にコモドール64で発売され、

1985年にファミコン用ソフトとして移植された見下ろし型全方位シューティングゲームである。

 

謎の次元侵略者、バンゲリング帝国と米空母との戦いを描いた、

バンゲリング帝国3部作のひとつで、星の自然を失い、

既に生物機械人と化していたバンゲリング帝国人たちは、

失った自然を求めて地球にやって来た。

 

「その手段が自分達の侵略って本末転倒だと思うんですがそれは」

 

『それな』『地球は地球人が管理してるから地球なんやで』

『バンゲリング帝国さんは自然の管理がお出来にならないんでしょう……?』

『食い潰すだけだろうな』『なぜ地球人と仲良くして学ぼうと思わないのか』

『何で自然壊れたんやろ?って思いながら放浪してるんじゃない?』

 

 

西暦にして2888年、人類は未だ生存し、宇宙にまでその生存圏を広げていた。

地球上の環境規制は更に厳しくなり、それは数々の工場や施設、

企業連合が規制の穏やかな宇宙進出を一時血眼になって推し進めた原因となったのだ。

小学校の社会科で習うくらい基本的な歴史の出来事である。

 

まあつまり、この時代の人間達は、

利益を犠牲にして地球環境を守った歴史と自負を持っている。

前世SFではよくあった、自らの星を壊してしまった宇宙人にはかなり厳しいのだ。

 

 

バンゲリング帝国はカリブ海一帯を地球の空間から隔離し、

地球侵略の生産拠点として利用し始めた。謎の発光現象により、

その場にいたアメリカ第2艦隊までもがバンゲリング帝国の尖兵となってしまう。

その中には最新鋭のQ型戦艦の姿もあったと言う。

何か特別な兵器を乗せるために利用されたらしいが……。

 

「で、その発光現象を『対核戦闘シールド』で防いだたった1隻の空母、

それに残されたわずか5機の新型攻撃ヘリAH-16 シーアパッチという、

現実に計画だけあって実現しなかったアパッチ海仕様がこのゲームの主人公です」

 

『マジであったん?』『開発者ガチやな』『そんなんよー調べたなw』

 

「この空母の名前が、当時のアメリカ大統領の名前で……。

これも当時は実在しなかったんですけど、アメリカ式の命名に則った先読みしてるんで、

ちょっと後に同名の空母が実際に就航してるんですよね」

 

『あるあるw』『まー予想はしやすいよね』

『まれに見るUSA濃度のゲームですね……』

『USA!USA!』『ウサ!ウサ!』『宇佐!宇佐!』

『族長(オサ)!族長(オサ)!』『草(クサ)!草(クサ)!』

『草w』『草生えるw』『USAコール変換止めろw』

 

何やってんだこいつらw

ホント隙あらばネタに走るな。

 

「さて、設定はこれぐらいでいいでしょう。私はこれも楽しみだったんですよ!

このゲーム主観操作モードがあるじゃないですか!パイロットさんには昔から憧れが……」

 

『激しく既視感』『どこかで見たぞこの流れ』『え?何かあるの?』

『何かあると言うか、予想できると言うか……』

 

「手足が届かない……」

 

『www』『知ってたw』『草』『こんなん草生えますよwww』

『当然である』『大人用だからね、仕方ないね』

 

未来の未成年者保護枠は、存在しないと思わせておいて意外と厳しいことがままある。

もちろん明示された規制も数々存在し、

俺が前世で経験したゲームが未成年ゆえに触れる事さえ出来ないという例が数多く存在する。

俺の前世ゲーム経験は、未だその封印は完全には解かれていないのだ!

 

モニター系の原作完全再現ゲームは概ね前世規制に似ているが、

10歳という年齢は12歳の規制にすら引っかかるので、

リメイク加減によっては意外なゲームが規制対象になっていることがある。

年とともに封印が解かれていくのが楽しみでもあり、もどかしくもある。

 

まあたまにオタにぃとか姉がこっそりやらせてくれたりはするんだけど。

前世18歳までに味わった感覚を段階的に楽しめると思えば、まあ悪くはないかな。

 

 

結局俺は標準ののびるアバターに戻り、

サングラスを額に当てて雰囲気だけ出しつつ、

平面立体地図コンソールを床に置いて立体鳥瞰でプレイすることにした。

操作も仮想コントローラーなので操作感は前世とそう変わらない。

 

「えーっと、ゲームAとゲームBのパターンしかないのかな?

A2ステージ、B1ステージどちらかクリアすればクリア扱い?」

 

『そうやね』『元からの仕様ぽいね』

 

「じゃあ、Bステージから始めていきます!はい、ゲームスタート!」

 

起動すると、独特のOP音楽の後、平面立体地図コンソール上に海が現れる。

その上に浮かぶ空母、そして主人公機シーアパッチ。

 

「うわ、立体コンソール上だと、これものすごい速く見えますね。

操作感覚は変わらないけど空母や敵、島の風景が流れる速度が半端ないです」

 

『そりゃ5機で打開可能な戦力だし、多少はね?』

『戦闘機ともやりあって撃墜できる戦闘ヘリ様やぞ』

『米軍の新兵器だからね、古代インド魔術や極秘に伝わるニンジツ並の伝統芸だよね』

 

このゲームの具体的な目的は、ステージに存在する6つの工場を爆弾を落として破壊すること。

爆弾は9つしか持てないので、空母かもしくは敵基地に乗り込んで補給する必要がある。

 

「まあ、ダメージも完全回復するので、ダメージがあるなら空母に帰るべきですけどね」

 

首尾よく最初の工場を破壊した俺は、近いからという理由で敵基地に乗り込み、

手っ取り早く爆弾を補給する。

 

『上手いw』『この旋回……素人じゃないな!』『普通に操縦出来てて草』

『このゲーム旋回だけでも苦労するのに』『このゲームもやり込んでますね……』

『ええい、のびちゃんのやり込み範囲は化け物か!?』

 

すまんな、前世加算ってことで勘弁してくれ。

 

何度か往復し、2つ3つと工場を破壊して行く。

 

『しっかしこれも無音ゲームなのか?』『あ、それ俺も思った』

『OP以外だと音ないのかな』

 

「え、いや、無音ゲームじゃないですよ?この繰り返し音はBGMじゃないですか?」

 

『あ。そっか』『今気づいたw』『ずっと同じで気づかんかった』

『そうだよこれもBGMだよな』『単純すぎて音楽だと認識されていなかった……?』

 

シンプルな繰り返しBGMに乗り、工場を探す。

途中敵の艦船や砲台、戦車、レーダー等をバルカンで破壊する。

このバルカンも1撃でこれは相当威力が高いと思う。

 

工場を破壊し、敵基地で補給。ダメージを受けてないというのは、この点有利だな。

 

『これはプロ』『やはり爆弾魔の血が……』

『爆弾のためならヘリの操縦も完璧ですね、わかります』

『着艦、着陸の速さが常人離れしてますね……』

 

今度は爆弾魔かよw

よくヒトをなんか変な者にするのが好きだな、こいつらは。

 

だんだん工場と補給場所、敵基地と自空母が遠くなり、

時間経過と共に工場の耐久力も上がってくる。

古典ゲームあるある、最速クリアが最適解というやつだ。

 

「だが、私の敵ではない!」

 

とにかく敵が見えたら即撃破。雑魚は一撃で時間を取らない。

常に最速クリアを心がける。

第5、第6の工場を破壊し、ステージクリアだ!

 

「はい、バンゲリングベイ、ステージクリアです!」

 

『おめ!』『このゲームクリア出来たんだ……』

『持ってるけどクリアできないゲームその1だからなw』

 

どうやら今日はバンゲリング日和のようだな。5分かからずにクリア出来たぞ。

 

「とりあえず、これ続けてやりますね。ループ感をお手軽に味わっていきましょう!」

 

とりあえず6周ぐらいしたらアラートから攻撃機わらわらで空母が沈められて終わった。

敵を落としたと思っても空母がやられちゃ意味がないんだよなぁ……。

 

 

 

………………

 

 

 

「ねえねえ、姉は準1級だったよね?」

 

田中家の夕食。俺とオタにぃの2人のことが多いが、

今日は姉がいるので発掘者資格について聞くことにした。

前世知識は全く役に立たないし、ネットで表層的な事は知れても、

実態はなかなか掴めないからな。

 

「うん、そうだよ?何、妹よ。やっぱ今から受け始めるの?」

 

「いや、そうじゃなくて。細かい違いは聞いてなかったからさ。

準1級、1級、公認、公認+考古とかの上の方の話」

 

すぐに必要かと思って、10級とかの下位資格の実態を聞いたら、

4級以下は高校以下の情報学科の学力テストみたいなもので、

単に「この人は発掘者にこれだけ興味があります」程度の看板。

バイト・雑用としてでも使ってもらえる3級以上とは天地の差らしい。

 

俺ぐらいのゲーム知識があれば最初からそれ以上。知識に加えてダイブ経験、

その上実況配信の知名度が最初からあるなら準2級あたりが妥当じゃないかという。

 

「発掘したソフトも売れてナンボだからね……宣伝枠の加点もあるから多分行ける」

 

このあたりは前世と感覚が違うところだな。現代では宣伝効果もしっかり数値化され、

様々な場面で人気枠の加点か似たような制度が導入されて既に何百年、

誰もその存在を疑うことすらしない。

 

実況配信のような、数値が瞬時にあからさまにはっきり出てくる業態が、

完全に定着したからこその現象だと姉の持ってる本で知った。

 

「フミのその……のびるだったか?あれはいいな。フミが小さい頃の思い出が蘇る……」

 

「オタにぃ!?ちょっと恥ずかしいからやめてってば!」

 

「いいじゃん、のびる。私も好きだなー」

 

「姉まで!もう!知らない!勝手に見れば!」

 

むくれて無口になった俺を、なぜか嬉しそうに見守るオタにぃと姉。

くそっ、前世じゃ兄も姉も持ったことないから距離感が分からん……。

 

「ええと、上の資格の話だっけ?簡単に言えば、準1級が勤め人、1級が個人事務所、

公認が大手エースか幹部で普通はこれで上がり、プラス考古は狂気の沙汰って感じかな。

考古から発掘者に来た場合は違って、ゲーム知識に不安がある指揮指導タイプが多い」

 

なるほど……ゲーム知識メインの俺は公認の上がりで良さそうな感じかな。

もちろん準1級や1級でも発掘者は発掘者、そこで生きる人生も悪くはないだろう。

 

……はっ、姉に顔を向けた俺を2人が生暖かい目で見ている。

まだ実況配信を見ていいとか認めたわけじゃないんだからな!ふん!

 

 




なついてないフリをしている猫が生暖かく見守られてる感


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真・女神転生if...〈時代を越える魔神皇〉

フロッピーディスクに入る悪魔召喚プログラム……しゅごい……


来場者さんが1万人を越えました!毎回これっていうのは、

ちょっとしたイベントに参加しても恥ずかしくないレベルですよ!

すごいですね!と他人事のようにしておけば意識しなくて済む!

かもしれない。そう思いたい。ですよね。

 

「今日のゲームは女神転生if...です!」

 

『マジか』『3つの点が重要やぞ』『年齢制限は大丈夫なの?』

 

「これは、こういういわゆる学園物リメイクには良くある分割商法ですね。

どうしても未成年にプレイしてもらいたくて、別バージョンを出してます。

それでどうせなら間口を広げた全年齢バージョンにしようっていう」

 

『なるほど』『まあ妥当』

『こういうの高校生までにプレイしたいよなー俺もなー』

 

前世ではもちろん、今世でも初見プレイではない。

兄妹のモニタープレイをちらっと見たことはあったが、

これは年齢制限ものなので見てはいけないと言われてろくに確認できなかった。

 

この全年齢バージョンは最後に姉がプレイして以来、家族もその存在を忘れていて、

家サーバーの奥底の「もう使わないファイル」に放り込んであったのを、

俺が見つけたものだ。

 

「それじゃ行きますね よーいスタート!」

 

ゲームを起動すると、俺の姿が軽子坂高校の女子制服に切り替わる。

青い上に青と緑のスカート、正直この女子服かわいいと思います!(前世おっさん並感)

 

『これが女子高生のびちゃんですか……』『小さいけどちゃんと制服ですね……』

『やばい、のびちゃんの女子高生コスって強すぎない?』『強い(確信)』

 

《私の電脳空間へようこそ!》

 

「うわっ、びっくりした。電脳占い師のノヴァか……」

 

白い顔と手だけの電脳占い師ノヴァ。ポリゴン感が再現されてるのが奇妙だ。

こいつの質問に答えることで、主人公のステータスが変化する。

 

『時代を感じる……』『電脳って響きいいよね』『何だこのポリゴン!?』

 

性別は女、名前はのびる。TVゲームは……大好き!

部活は帰宅部、宿題はよくやる、忘れ物は時々する、

 

好きな科目は……現在では「情報」だけど、

このゲームの時代だと技術の一部だったりして主要科目じゃないから、

選択肢の中には入ってないな。選択肢の中では理科にしとこう。

スポーツは……(得意じゃ)ないです。

 

ポケベルは……何のことか分からないにしておこうか。

 

『あー、さすがに知らんか』『だよな』『ちょっとホッとした』

 

ここまで知ってたら不自然な気がしたからな。

 

休日は外の施設でダイブゲームを……いやこの場合、家で遊ぶ、かな。

一人でいるのが好き。これは当然。

 

『またまたー』『ぼっちだけど、皆と一緒がいいんだぞ』

『強がりのびちゃん……いい……』

 

1万円入りの財布を拾ったら、流石に交番に届けるかな。

現在の価値としては少し前世より見劣りはするが、それでも大きい額ではあるだろう。

もらってしまうのは気がとがめる。

 

そこまで答えると、電脳占い師ノヴァは黙想に入った。

急に無言になるなよ、不安になるだろ!

 

《あなたは、人より素早いのが長所です……》

 

『スピードタイプか?』『だな』

『パズルゲームやる時はそれっぽいよな』

 

占いは終わる。

電脳占い師ノヴァが退場し、その後何者かが闇の中から姿を現した。

 

『何者!?』『こっちくんなw』『おのれ曲者じゃ!』『であえであえ!』

 

《我が世界へようこそ》

 

それは、昨日までは人間だったが全知全能の力を得た魔界の支配者。

魔界の者は、白い学ランに身を包んだ彼を「魔神皇(まじんのう)」と呼ぶらしい。

 

『魔神皇きたああああ』『魔神皇って元ネタこれだったのか!』『魔神皇www』

『高校生なのに稀に見る中二ネームセンスですねクォレハ素晴らしい……』

『千年伝わりそう』『もうちょっとで千年ですね……』

 

魔神皇という渾身のネーミングは、

時代を超えて一部の二次創作に細々と受け継がれていたらしい。

地味に影響力強かったんだな、これ。

 

 

 

そこで俺は目を覚ます。どうやら放課後の高校の教室のようだ。

クラスメイトに起こされた俺が帰ろうとして、次の瞬間。

いきなり大きな揺れと共にあたりが暗くなり、2-Dの教室は大騒ぎになった。

 

そこに同じクラスの白川由美が声をかけてきた。

嫌な予感がするので皆を助けるために手を貸してくれ、という。

髪を脱色してはいるがいい子だなお前。(偏見)

 

「うん、まあいいかな」

 

ここは素直に、ユミと一緒に行くことを選んだ。

 

『まあ妥当』『実プレイが初ならそうだよね』『全部やろう!』

 

で、そこで放り出される。ゲーム操作、ダイブ開始である。

 

「ええと……どこから行くのかな」

 

『フィーリングで……?』『うろうろしていく』『うろつき童子』

『うろつき童子まんまでワラタ』

 

うろうろしていくうちに、音楽室でパートナー候補のレイコに遭遇した。

なんかユミとレイコは微妙に険悪……。

 

『仲悪いの?』『何で一緒に行けなくなるのかって言うと、そりゃねえ……』

『ユミとレイコルート被ってるから、一緒に行こうと思えば行けたはずだよな』

『リアルにちょっと仲悪い感いいぞーこれ』

 

保健室の香山先生は回復施設だ。主人公とパートナーだけだが、無料で回復してくれる。

序盤はかなりお世話になるだろう。

 

保健室の隣は電算室。当時のパソコンがいっぱい並んでいる。

 

『当時の情報室?』『ゲーム部っぽいな』『古典によるとコンピ研とか言ったらしいぞ!』

 

ちょっと脇の通路を行くと、部室棟がある。

 

野球部でヘルメットと金属バットを、サッカー部でショルダーパッドを、

アイスホッケー部でバックパッド、相撲部でローラーブレードを入手した。

部員たちから、体育館の怪しい儀式、「ハザマ」についての悪評を聞けた。

 

「こういう、部活動で使う物で武装するのっていいですよね……」

 

『いい……』『いいな……』『のびちゃん分かってるね』

『こういうので武装してモンスターと戦いたいけどなー俺もなー』

 

部室棟近くにはラボがある。ラボ、研究所だ。

大月先生という人が、全てはプラズマのせいだと主張している。

この時には、後であんな事になるなんて思いもしなかったのです……。

 

うろうろを再開。1階体育館近くの部屋になぜかカップルがいる。

龍一と暁子だ。

 

《リュウイチ君……こわい……》

 

《大丈夫だ、俺がついてる》

 

『何だこのカップル!?(憤怒)』『緊急事態だぞ分かってんのか!?』

『体育館近くの部屋でナニをしてたんですかねぇ……』

 

部屋を探すと、ピッケルが見つかった。

 

「これを使えと!?」

 

『草』『偶然だぞ』『何でカップルのいる部屋に置いたんですか?(無垢)』

 

早速装備してみる。命中がわずかに下がるが金属バットより強いぞ!

でもまだ悪魔と戦うのは早い気がするので3階も見てみよう。

 

3階の隅っこで、風紀委員ともめてる不良少年と遭遇。

 

「風紀委員が学校を封鎖してるとか、それっぽいですよね。

この不良少年は選択次第ではパートナーになりますが、今回は関係ないですね」

 

3階、2-Hでは八幡先生が最近買った新型のノートパソコンのことを話していた。

 

『ノートパソコンw』『時代やなぁ』

 

うろうろを再開し、すぐに事態は進んだ。

電算室から、幽鬼ガキが1体出た!メガネの男子生徒が襲われている!

 

「あ、これはマイルドですね」

 

『マイルドマイルド』『ぬいぐるみみたいになってるな』

『さすが全年齢』『ゲーム性は変わらないから……』『全年齢初めて見た』

『BGM流石神っすなぁ』

 

1撃とは行かなかったが、2撃で全年齢ガキは倒れた。

 

「このガキは弱いガキですね……」

 

『弱いガキで草』『最初のガキがクソ強いことあるからな、メガテンはw』

 

レベルが上がった。最初は主人公は力極振りでいいだろう。

ユミは魔法のために知恵と魔力を上げておこうか。

 

助けた人は、電算部部長の佐藤勝彦だった。

パソコン通信で入手したプログラムを使ったら、

これが出てきてしまったらしい。

 

『今風にしたらすごいいい男になりそう』

『これはメガネのナード風ですね……』『のびちゃんの兄』

『メガネ男子をのびちゃんの兄にするの止めろw』

『パソコン通信w』『時代やなぁ……』『出た、STEVEN』

 

その悪魔が出てきたプログラムが入ったフロッピーディスク、

怖いから君にあげると彼は言う。

 

『あげんなwww』『こいつ……主人公を廃品処理に……』

 

それな。でも貰っても、端末がないから使えないんだよな。

 

『持ち運べる端末ってこの時代にある?』

『持ち運び用の、ノートパソコンの重さもかなりあったって』

『バトルなんかしたら端末即壊れた時代だって、発掘考古の先生が言ってた』

 

だが、それについてはフラグがあったな。2-Hの八幡先生!

 

八幡先生に話を聞いたら、自作の特性アーム・ターミナルを譲ってくれるらしい。

ハスキー犬を連れた少年が付けているのを見て自分も作ってしまったという。

 

「この少年、真メガテンの主人公なんですよね」

 

作ったはいいけど、自分の年齢じゃ恥ずかしいから付けなかったって……。

俺は小学生に転生したからセーフ!セーフです!

この先生より、前世年上だったけど!

 

プログラムをインストールして、

これで各種機能や悪魔召喚プログラムが利用可能になった。

 

喜び勇んで教室を出て、またさ迷い始めた俺だが、その時。

魔神皇・狭間偉出夫(ハザマ イデオ)の輝くアストラル体が目の前に出現した。

無駄なことをと言いながら、ヒントをくれた。体育館で何か手に入れてみろという。

早速体育館へと……は向かわない。ボス戦だからね。

 

まず3階隅の部屋で、奇妙な悪魔と出会う。

学ランを着たジャックフロスト、ヒーホー君だ。

この時点でレベル12、氷結のブフ系、防御UP、回復魔法も使えるお助けキャラだ。

 

『ずっけえw』『ヒーホー君はなしだろw』

『いや普通にありだろ、正式に存在するイベントキャラなんだぞ』

『まあ無視するのは寂しい気もするよな』

 

さて、これで行けるだろう。ちょっと稼ぎをしてからボス戦に行くかな。

体育館近くの部屋で、カップルの男がハザマに暁子がさらわれたの何だのと騒いでいた。

とりあえず今は関係ない。

 

体育館への通路、ここには低レベルながら雑魚悪魔が出る。

早速ヒーホー君を召喚して備えようとする俺。だがしかし。

 

「マッカが足りない……」

 

『知ってたw』『ですよねーw』『草』『高レベルだからね……』

 

仕方ない。とりあえず俺とユミだけで、

全年齢として全体的に見た目がゆるくなったポルターガイスト、

ウィリー、ゾンビドッグを次々と倒して稼ぐ。

 

その後月齢が満月になったので、しばらく安全な学校内をうろつき、月齢調整。

レベルは上がったのでとりあえずもう1体くらい仲魔を連れて行こうと、

妖精ウィリーに話しかけた。

 

《ヒーホー!レッツキャンプファイヤー!》

 

『ヒャッハー!』『汚物は消毒だー!!』『これから毎日家を焼こうぜ?』

 

こいつら同調してやがるw

たいまつを持っているこいつは、予想通り火をつけてやるとか言い出したので、

とりあえず形だけでもやめてくれと言ってみることにした。

 

《仲魔にしてくれたらやめる!》

 

『ファッ!?』『なんて都合のいい!』『のびちゃんやはり持ってますね……』

 

なぜそうなったのかはよく分からんが、目標は達したので良しとしよう。

保健室で回復して、さあボス戦だ!

今回はヒーホー君も呼べるし、他の仲魔も1体いる。これは勝ったな!

 

 

体育館に入ると儀式の跡がある。

そこを探すと、あっさりと「謙虚のリング」を見つけた。

 

『もてる秘訣はここにあるのかも(謙虚)』

『古代からいる謙虚な魔神皇で人気者』

『親のダイヤの結婚指輪のネックレスかな?』

 

謙虚に反応すんなw

気持ちは分かるけどw

 

リングを手に入れたはいいが、当然それで終わりとはならない。

魔神皇がヒントをくれて、リングを使って封印を解いていきなさいと教えてくれた。

当然ボス召喚のオマケつきである。ですよねー!

 

召喚されたボスは、魔獣フォーン。

肩の辺りに鎧をつけた人型の獣という見た目をしている。基本的にごつい。

 

俺とユミはソード……ピッケルと金属バットだけどソードで攻撃、

ウィリーは後ろで攻撃UPのタルカジャでも使っておいてもらう。

そして今回のメイン火力は、ヒーホー君の2段階目氷結魔法「ブフーラ」である。

 

「この俺の殺陣ピッケル神拳が……ってアレ?」

 

ユミの攻撃とヒーホー君のブフーラだけで、フォーン瞬殺。当然と言えば当然である。

でも、折角のダイブフィールドなのに自分が動かない間に決まると、

なんか消化不良感は否めない。

 

ボス戦が終わったら仲魔をしまっておくか。

流石にヒーホー君のMAG消費は馬鹿にならない。

 

体育館を出ると、なんか風紀委員が因縁をつけてきた。

大月先生に言いつけるらしい。大月先生?あ、そうか。

風紀委員の先生って大月だったっけ?よく憶えてない。

 

じゃあとりあえず保健室で回復して、大月先生の顔でも見に行くとしよう。

 

この時俺は完全に忘れていた。

視聴者の皆さんも黙って見守っていてくださりやがりましたよ?

 

「ここの大月先生ってボス戦じゃん!もー!仲魔しまっちゃったよ!」

 

戦闘開始後、あわてて仲魔を呼ぼうとするも、

マッカが足りなくてヒーホー君を呼び出せない!

ウィリーを呼び出して打開を試みるが、見事に一撃死。

俺はその後会心攻撃を食らい、見事に散った……。

 

『草』『一瞬の油断が命取り』『これは謙虚じゃないですね……』

 

だがこのゲームはこれで終わりではない。

三途の川を渡る直前、渡し守カロンが声をかけてくる。

 

《見るがよい……》

 

そこにいるのは、俺に力を貸してくれるというガーディアン、魔獣ケットシー。

極振りして来た力は下がってしまうが、知恵と魔力が上がるので良しとしよう。

 

復活!俺復活!ユミの驚く顔が見れるのはダイブ式だけ!

こういうのはまたコンプリート攻略したくなる演出ですね……。

 

そして反省点。

 

「稼ぎが足りなかった!」

 

『www』『結局それかw』『いやまあ、実際マッカが足りてればね』

『ヒーホー君未遂はひどい事件でしたね……』

 

ボス戦後、体育館の儀式跡を利用し、湧いて来る悪魔で稼ぐ。

1体なので楽勝で安全、手間もかからない。稼ぎ作業最高だな!

 

ついでにユミにガーディアンをつけるためにわざとやられる。

あっさり説得出来てしまうのはやはりゲームと言う感じがするな。

 

見事倒れたユミに黄色い玉が。ガーディアン、妖鬼ボーグルである。

電撃魔法に回復補助、いいところの魔法が揃っている

 

「正直主人公も魔法使いたい……いやまあバランス崩れるんですけど」

 

『ですよねw』『俺も思ったw』

 

稼ぎも終わった。ウィリーは死んだままになってるが、

現状回復できないので仲魔はヒーホー君だけで行く。

まあこれなら負けることはないだろう。

 

実際ユミのジオンガとヒーホー君のブフーラで1ターンでした。

さっきの負けはなんだったのか。無意味にへこむ。

 

 

 

3階の非常口から、ついに魔界へと足を踏み入れた。

ダイブだから実際歩く……わけではなく、

原作通りの魔界マップで移動を省略する形式になっていた。

まあこういうの省略しないと時間が無駄に長くなりそうだしね。

 

最初に足を踏み入れた封印の間で謙虚のリングを使い、傲慢界の扉を開く。

入ってすぐ、エルフのおねーちゃんがいる回復の泉がある。

早速ウィリーを回復。ずっと死んだままにならなくて良かった。

 

そして魔界最初の悪魔、地霊ノッカーと遭遇。早速仲魔に誘うぜ!

 

《何か面白いことない?》

 

選択肢が少ないな。この中なら……踊り!

 

『のびちゃんの踊り来たあああああ』

『のびちゃんのブレザースカートにアームターミナルの踊りは必見ですよ!』

『なお踊りの内容』『しっ!』

 

必死に踊った。踊りまくった。哀れな踊りと言われようが踊りに踊った。

だが現実は非情である。

 

《ノリが悪いぜ!》

 

「駄目みたいですね」

 

『www』『知ってたw』『でも諦めないのびちゃんが好き』

 

ハッピーステップで俺が幸せになるトラブルはあったものの、

あっさりと勝利は出来た。

でも幸せの内容って「踊れて幸せ」っていうものすごい健全なものだった。

平和だけどメガテンっぽくない!年齢制限だと違うのかな?

 

しかし平和はここまでだった。

次の敵はこの傲慢界最強クラスの雑魚、ゾンビちゃんだった!

俺と同じ学校の制服を着た、多分この事件の犠牲者。悲しいなぁ。

 

「ユミさん、ジオ、ジオ……ああっ、3回外した!ユミさん麻痺った!ああもう!」

 

『避けられすぎw』『魔法回避あるのって鬼畜だよなw』

『ゾンビちゃんかわいい』『えっ何……それは(ドン引き)』

『だってこの制服だよ!?』『そ、それはわかるマン……』

 

逃げました。逃げられて良かった……。ユミが麻痺ってるので回復魔法が使えず、

仕方なくHPをきずぐすりで回復、学校へ帰ろう……。

 

『いやー強敵でしたね』『ほぼ最初でいきなり麻痺あるって凄いゲームだな』

『まあ回復施設はあるし、多少はね?』

『麻痺治せる香山先生、一体何者……』『それなw』

 

「ええと……はい。回復して、電算室でセーブして。

とりあえず、きりも良さそうなので今日はこのあたりで終わりにしておきますね」

 

『終わりかー』『乙』『おっつん』『またねー』

 

「じゃあ、今日は終わりです。実況配信は全部のびる、ご来場ありがとうございました!」

 

 




なおゾンビ君はそれほど強くない。悲しいなぁ。


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シムシティ〈NOBILL開始〉

原子力文明の1900年


 

「はい!皆さんいらっしゃいませ!今日のゲームはシムシティ!やって行こうと思います!」

 

『神視点キター』『神気取りクルー!?』

『のびちゃんが本当の私を出せるゲームや!』

 

何を失礼な。神視点だからって、

このゲームがそういう神様ゲームの仲間であるはずが……はずが……。

 

そうだった。上から眺めるゲームのうえに、

市長は災害を起こして街を破壊することも出来るんだった。

 

「まあ、いいです。今日の私は出来る女ですから!」

 

出来る女のびる。年代設定が1900年開始なので、

深緑のブラウスに白い羽根つき帽子、

当時の田舎のアメリカ婦人みたいな装いになっている。

 

『あーいいっすね』『将来何とか婦人って呼ばれそう』

『レディ扱いされるのに憧れてそう』『のびちゃんは何着ても似合うなぁ……』

 

最初からを選び、マップNoを選択。

 

「マップNoは……2888年にちなんで、888番にしますね」

 

真ん中ちょっと右を、水域が縦に走って分断している。

その真ん中でまた右側に水路が走って、3部分に分かれた形だ。

おそらく川かな?この幅で海って事はないと思うが。

ああ、入り江ならありえなくもないかな。どっちだろ。

 

操作コンソールはこの手のゲームのダイブリメイクによくある、

平面立体地図での出力。入力は、いつもの仮想コントローラーを選択した。

 

都市名はもちろんのびる……アルファベット入力?ならNOBILLで。

 

『英語圏にありそう』『オーストラリアあたり?』

『ならこの川ワニがいますね……』

 

難易度は初級。初期資金が2万で、他にも色々違う……らしい。

俺はそこまでは詳しくない。

 

 

早速始まる。平面立体地図に、開発前の大自然が投影される。

そこでまず、このゲームでやる事と言えば。

 

「ザ・ワールド!」

 

『ザ・ワールド!』『時よ止まれ!』

『のびるが止まった時の世界に入門してくるだと!?』

『スタンド名・NOBILL第一の能力!時間操作!』

 

「まず時間を止めて、一気に建てられるだけ建ててしまいますね」

 

北東側の水域の向こうに工業地帯。ついでに発電所もそこに建てよう。

原子力を……2基建てちゃっていいかな。

 

水域の西側、広い方の岸辺にまず商業地。その奥に住宅地を並べる。

最初はこんなもんか。自然はタダなので、出来るだけ緑を残しておく方向性にしよう。

 

建てるだけ建てて、あと69ドルしか残っていない。

 

「ちなみに見て分かる通り、道路はないです。シムシティにおいては線路命!」

 

『お、そうだな』『あいかわらず分かってるな』『シムシティに道路は要らぬ』

 

そして時は動き出す。見る見るうちに人口が増えて、2千人に。

村から「町(タウン)」への進化を果たした。

 

そこで緑髪メガネのDr.が登場し、プレゼントの連絡をくれた。

何と「市長の家」が100ドルで建てられるという。

プレゼントは地価を上げる効果があるので、地味に嬉しい。

 

『こいつ何者?』『開発者っぽいマスコットやぞ』

『またかわいいおっさんマスコットかw』

『のびちゃんの兄』『メガネ見るとのびちゃんの兄にするのやめろよw』

 

「お、お金がなくて建てられない……」

 

そうだ、今お金ないんだった。

とりあえずお金がないと何も出来ないので、決算を待つ。

今年の決算では、214ドルを確保出来た。最初にしては上等だろう。

早速市長の家を建てよう!地価が安い工業地帯の中に作った。

 

「電気はないとダメ、ゲームできない!あ、線路は後でいいや」

 

『だよねw』『ゲームは死活問題』『わかりすぎて困るw』

『完全にヒッキー志向で草』

 

とりあえず余計な金はないので、しばらく町の発展を眺めることにする。

データモニターを開くと、工業地の需要が低すぎて下に突き抜けてる。作りすぎた?

人口は5000人から6000人をうろうろ。Dr.に聞くと、

住宅問題を解決しようとか言われた。なるほど、住宅の需要は高い。

 

だがしかし。金がなくて何も手を打てないでいるうちに、

一気に人口が7500、8900、1万人以上にまで膨れ上がった。何があったんだ!?

人口1万人以上でシティー、都市になった。そして決算、予算も今年は590ドルに増えた。

ありがたいことだ。

 

そしていきなり、ピーチ銀行が支店を建てたいと言って来た。プレゼントだ!

地価の安い工業地帯に建てよう。融資?まだいらん。

ちまちまと、残った金で住宅地を建てて行く。この地道な作業が市長の秘訣。

もっと道路が必要です?いやそう言われても。

 

『道路作れはずっと言われるよな』『だなぁ』

『そういう仕様だからしょうがないとしか……』

 

人口はいったん8000人に下がった後に13000、14000と、

減ったり増えたりで徐々に上がっていく。

 

 

次の決算では、658ドルを確保出来た。

様子を見るとどうやら家と職場が遠いと言う話があるらしいので、

仕方なく新たな住宅地を工業地帯のちょっと先に作ることにした。

北東の更に北と東、線路も含めて拡張性重視で作っておく。

後でここ予算が出来たら追加しよう。今はもう18ドルしかない。

 

そして、来るべき時が来たようだ。

データモニターに、消防署と警察署を作れという案内が表示されたのだ。

決算での確保では時間がかかりすぎる。ここは融資だ。

1万ドルを借りて、500ドル21回払いの契約を結んだ。

これは決算で引き落とされる。払えないと破産でゲームオーバーである。

 

『のびちゃん大丈夫?』『この年で借金とは……』

『市長になるのも楽じゃないな……』

 

とりあえず消防を北東の工業地帯に、警察を真ん中寄りに建てた。

住宅地も北東の隅に追加で建てておこう。

 

そして決算。警察と消防を建てたせいで、税収1096に対して支出が1034に。

これはひどい。銀行への支払いが含まれてるのがせめてもの幸いだな。

 

本年は西側に追加で住宅地を建てることにしよう。

人口が17000から19000にまで伸びた所で、再度決算。

今回の予算は130ドル確保。少しはマシになったか?

 

現状は色々と足りていない。今度は工業地を建てる事にする。

東側の北、東は既に端に到達しているので、西側の南側を伸ばして、

新たな工業地帯を作る。公害対策に少し離しておくことにしよう。

当然自然の緑は残しておく。資金の残りは、あと7000くらい。

 

『資金は大丈夫?』『派手な使い方してないからまだ大丈夫じゃない?』

 

「積極財政!」

 

『www』『草』『そうだね積極財政だねw』

 

積極財政?が功を奏したのか、人口は一気に25000を越えた。

しかしまた減って2万台をうろうろ。Dr.曰く、犯罪が多いんだと。

そうだな。じゃあデータモニター上で犯罪の多い北東工業地帯にサツを、

警察(サツ)を建てなければ!

 

しかし、住民は警察よりもスタジアムの建設を要求していた。

3000!?高すぎる!ふざけるな!

 

 

決算を越えて、予算+100くらい。まずは予定通りに追加の警察を建設。

そして南の工業地帯と住宅地の境目に、スタジアムをドンと!

建てちゃいましたよ奥さん!

 

『やったー!』『さすのび』『これは究極ハリキリスタジアムですね……』

『宵越しの銭?ヤツは死んだよ』『千葉民なのに江戸っ子ですね!』

『借りた金でスタジアムを建てる!なんと聞こえのいい言葉かー!!』

『……それ聞こえがいいか?』『良くはないですね……』

 

残り予算が3240しかない。早まったかな?

 

「ええと、まだサツが足りないので西側の北よりにもう一つ……」

 

警察をもう一つ立てた直後、Dr.がプレゼントのお知らせをくれた。動物園?

 

『わーい!』『すっごーい!』『たーのしー!』

『お前らw』『古典芸自重しろwww』

 

これはスタジアムを建てた記念報酬かな?

地価がどうしても安くなる北東の工業地帯へ潜り込ませる。

少しでも足しになってくれることを祈ろう。

 

そして決算。ん?特別収入というのが100ドル追加されてるな。

これは動物園効果か?何にしても嬉しい。決算は+384となった。

少し上向いてきた。

 

 

その後1909年、ついに人口が3万人突破!

予算も年500ドルは+になってきた。調子いいな!

 

北東の住宅地を更に拡張。

工場からは最低限離し、もちろん緑地は残すようにしておく。

ひさびさにDr.の話を聞くが、公害について言われてもどうしようもないんだ。

本当にすまないと思っている。

 

翌年、西側南部の鉄道がようやく南の端に到達した。

工業地と住宅地を調子よく拡張していると、

データモニターに港を要求する文字が映し出された。

 

「ついに来たか……」

 

先にスタジアムで融資まで使い切ってしまったのでどうしようもない、

発展に必須な建築物。かなり高額。港は5000ドルも必要になる。

何も手を打てないので粛々と待つしかない。

 

唐突に、カジノと遊園地どっちを選ぶ?などと、

Dr.が選択性のプレゼントの話を持ってきた。

これは、カジノの場合治安に悪影響があるけど収入が増えて、

遊園地の場合人を呼べるなどと言っているが……。

 

「遊園地一択であった」

 

『だよな』『俺もそう』『え?そっちなの?』

 

これカジノは300ドルもらえるが、遊園地でも200ドルの特別収入はもらえるのだ。

カジノを選ぶリスクに見合ってないと言えるのかもしれない。

実際カジノがどれくらい治安に悪影響があるのか分からないので、

絶対とは言えないが。

 

相次いで、図書館のプレゼントが手に入った。

特別収入額は100ドルだが、ランダムの学校の数に左右されるのでこれは嬉しい。

 

図書館はどうも伸び悩んでいる最初の住宅地近くに、

遊園地は南に作った工業地帯に建てておこう。せめてもの地価下落への抵抗!

 

 

1911年10月、人口は4万人突破。それにより税収も増え、

毎年千数百の予算を確保できるようになった。これは完全に軌道に乗ったな。

特別収入の400が輝いて見える。それはいいのだが……。

 

「港がいるって事は市長も分かっているので……」

 

港の要求が止まない。建設するまでずっと続くのだ。

なお道路要求は最初からずっと続いている。

ええい港目標額はまだか!とりあえず予算的にはそろそろか?

犯罪が多発しています?予算さえあれば……!

 

「(犯罪者)暴れんなよ……暴れんなよ……」

 

決算で……出た!今年の予算で港建設費の5000越え、6000確保。

ようやく港を建設できる。

北東の工業地帯に残しておいた水際の空間に港を置いたのだが……。

 

『なんか中途半端な場所になったね』『やりたいことは理解できた』

『ちゃんと港を水際に置いている +114514』

 

警察署を建てたいが、データモニターに表示される犯罪の分布に対して、

予算が足りないので決算まで持ち越し案件にしておこう。

人口は4万ちょっとをうろうろしている。

 

無事?決算を越え、西側南のスタジアム近く、

俺が適当に配置したせいでカオス状態の住宅地を区画整理し、そこに警察署を建てた。

 

4つだけで一杯だった住宅地があら不思議。2つ分を区画整理しただけで、

住宅地5つ+警察署1つが収まるきっちり空間に。素晴らしい!

 

『クソ配置すぎて草』『よくこんな配置思いつきましたね……』

『ある意味神業レベル』

 

うっさいなw

 

住宅地が全く足らんので、今までの場所を延長してちまちま増量。

残り85ドル。

 

『宵越しスレイヤー・サン!イヤー!』『相変わらず思い切り良過ぎますね……』

『家計を握らせたらやばそう』『リソースは使い切って全力投資!』

『鉄火場に慣れてそう』

 

 

決算の後、1917年。ついに人口は5万人を越え、

シティーは首都(キャピタル)へと進化を果たした。

 

「首都では……ないですよね?」

 

『まあうん』『それはゲームだから……』

『この時代でも5万人は首都クラスではない……よな?』

『地方の州とか県とかの首都なのでは?』『そうかも……』

 

原作ゲームではここでスケールモデルというのが解禁されるのだが、

元々平面立体地図で操作しているこのダイブ版では特に何もない。

思いつくものが無かったのかも知れん。

 

「あ」

 

そんなことを考えていたのが悪かったのか、

俺は住宅地を西の果ての誰もいない未開発地に置いてしまう。

完全に暴発である。即座に整地を使って無かった事にする。

 

『www』『見てたよ』『存在抹消で草生えるw』

 

このあたりで、住宅・商業・工業3つの施設がどれも足りないインフレ状態に突入した。

今の今まで、港に電気が通って無かったのは些細なことだ。

 

「ゲームできなかったなんてなんというひどいミス……市長は謝罪します」

 

『草生えるw』『謝るのそこかよw』『まあ港は電気無くてもいいんだけどね』

 

電気も交通もなくても機能するらしいが、それじゃあ船が来ないじゃん。

 

「あの船の音を聞かないとシムシティ力(ちから)が薄れるので……」

 

『シムシティちからw』『オーラバトラーか何か?』

『覇王のオーラかな?』『修羅界では市長すら覇気を纏う……』

 

スタジアム周辺から線路を延ばし、その外側の開発に取り掛かる。

全てが足りてないので、まず工業地を離して配置、間に商業地、

その先に住宅地を置いていく。

 

 

決算を挟み、今度は北東部の開発に着手。したのはいいが、

また配置をミスってしまい、線路がくし状のあわれな姿と化してしまう。

 

『www』『のびちゃんこういうの得意だと思ってたのにwww』

『何でシムシティ配置は雑なんだよwww』

 

俺だってわかんねーよ!でも何かこう配置しろって悪魔のささやきが……。

 

その後もちまちまと開発を重ね、1920年。

人口は6万、犯罪も増えたので、スタジアム周辺と北東の隅に警察を建設した。

相次いでプレゼントが発生。強力な警察と、遊園地かカジノの選択。

もちろん遊園地!

 

「さて、ええとデータの年数は……1922年、人口は6万5千というところですか。

半端ですけど、今日はこれで終わりにしておきます」

 

『えー?』『終わりかー、まあ結構時間過ぎたからね』

『おつう』『市長様は素晴らしいお方です!』『のびちゃん乙カレー』

 

「はい、それでは今日も実況配信のびる、ご来場頂きありがとうございました。

実況は全てのびるの提供でお送りしました。それではまた、次のゲームでお会いしましょう!」

 

 

 

………………

 

 

 

配信を終えた俺はゲームフィールドから退出し、

アカウントフィールドでメッセージや通信ログをチェックする。

家のサーバーやモニターを使ってやってもいいが、「のびる」の活動を家族に知られたので、

それ関連のものを家族に知られるのは気恥ずかしいというのがあったからだ。

 

ちなみにのびるのアドレスは本名と別に作ってある。これは俺の考えではなく、

ネット上のアバター作成に伴うアドレス確保等は推奨されているからだ。

でなければ小学生に至るまでの個人情報など守れやしない。

 

「ええと、苺蔓ちゃんと、蔓茘枝ちゃん、万寿果ちゃん。

いつもの対戦のお誘いに……こっちは配信者さんの……FPSのお誘い?

実は年上だとか思われてるのかな。制限もあるし、ライセンスも持ってないのに」

 

こういうお誘いが最近は増えた。ゲーム部の皆からは毎日のように、

それ以外からも配信関連のメッセージは知らない人からも届くようになった。

 

知らない人からのメッセージは、怖がる人もいるかもしれない。

実際に俺が小学生女子だったら、

どんな穏やかで礼儀正しいメッセージでも受け取らないのかもしれない。

 

しかし俺は、今までの活動が社会、この世界に認められてきた証のようで、

とても嬉しかった。受け取ったものにスキャンをかけてから、

出来るだけ確認するようにしている。

 

「これは……ハゲラットさん?タッチ見ました……見てくれたんだ、嬉しいなあ。

高血圧さん?いつも見てます、血管ぶち切らないように必死にこらえながら……。

あはっ、そういうこと言ってる人いた気がする……っと、これはまた対戦のお誘い?

卓上遊戯連盟の……ムーンフォークさん?」

 

対戦のお誘いがあれば受けるのもいいし、実況配信の来場者数的に、

そろそろダイブフィールドでのイベントなら行ってみてもいいかもしれない。

リアルイベントは年齢的都合もあるし、

まさか親同伴でのびる活動をしようとは思わないので参加はないが。

 

俺は未来への希望を胸に、ダイブ室を後にした。

 

 




シムシティ力(ちから)は列車の音、発電所から長い電線を引く作業、
火災を防ぐために建物を壊す作業などでも補給できます。


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フェアリーランドストーリー(ケーキは死の香り)

もやし王国……?


 

「魔法使いになりたかった!」

 

『お、おう』『せやな』『急にどうしたの?』

 

「魔女でも賢者でも魔道士でも天地雷鳴士でもいいですけど、魔法で戦いたい!」

 

『スレイヤーズかな?』『まじかるどろぴーだろ?』『ドラクエ7発売いつだっけ?』

 

「その私の原点!今日はフェアリーランドストーリーをやって行こうと思います!」

 

『始めて聞いたな』『し、知らんぞ』

『知ってるけどよく見つけてきたな、元機種の問題で見つけにくいぞ、このゲーム』

 

知ってた。これ1985年の最初のアーケード版から、途中パソコン版移植が出ただけで、

家庭用で遊べたのは2005年のPS2版、

2006年のPSP版タイトーメモリーズに収録されてからで、

今世での発掘が古くから行われているファミコン~PS1までをスルーしちゃってるんだよな。

 

これはメモリーズ等の集合ゲームメインの発掘者集団が、

最新発掘の部類に入るPSP版メモリーズ発掘からの業者内個別試験公開(有料)していたのを、

ちょっと前に姉にねだって買ってもらったものである。

配信収入が無ければ無理だった……。

 

ちなみに前世の俺はPSP版のメモリーズを買ってやりまくった。

そのわりには下手なんだが……。奇襲多いからなぁ、このゲーム。

俺の奇襲に弱いという弱点に刺さりまくる。

 

「出来ればファミコンのゲームとしてやりたかったですよねぇ……。

幼少期にアーケード版を見て以来、ファミコンの箱と透明なビニールの中から、

これを取り出す日をどれだけ待ち望んだか。結局その日は来ませんでしたが」

 

『お、おう?』『アケ版とメモリーズ版はちょっと違うんだっけ?』

『箱買いとはこれまた豪気ですな!』

 

フェアリーランドストーリーを起動すると、

俺のアバターは赤く大きな魔女帽子とローブに切り替わった。

手には先が星型になったステッキとほうきを持っている。

 

このゲームの主人公、アルファルファ王国第三王女のトレミーである。

 

ただし髪の毛と目の色は深緑で、当然メガネもかけている。

俺自身のアバターの着替えバージョンになっていることが分かる。

 

「これ私はいいですけど、他の人がやる場合もデフォルトはこの服になるんですか?」

 

『なるぞ(絶望)』『男子学生で赤い魔女帽にローブはいやーきついっす』

『えっ?デフォルト設定の自己アバターじゃなくて、トレミーアバターでやらないのか?』

『えっ何……それは』『それはない』『自分が魔女っ子は無理がありますね……』

『ま、まあデフォルト設定じゃ無くてアバター調整入れればどうにでもなるから』

 

何だか間接的に今の俺に駄目出しされたような気分になるが、まあいい。

とりあえずスタートしてバトルフィールドに乗り込むぞ!

 

……このゲーム、トレミーが毎ステージごとに空飛ぶほうきで乗り込む演出が入るんだった。

ほうきに乗ると自動的に動いて、ステージに置き去りにされる。

 

「ほうきに乗って戦えば、高速で空中移動して敵をやっつけられていいと思うんですがそれは」

 

『そうだけどさw』『それなんて東方?』『コットンじゃないのか?』

『ガンバードでは?』『式神の城かな?』

 

総ツッコミ乙。

いやまあゲーム違うことになるから仕方ないんだけどさ。

 

 

1面は敵がオークだけしかおらず、ステージ構成も単純。

単純な階層構造になっている青いブロックの床をジャンプで飛び回って、

敵を倒していくステージだ。

 

「えーと……お菓子になっちゃえ!」

 

何か呪文でも言おうとしたが、いいのが思い浮かばなかった。

このゲーム、見た目はファンシーなのに攻撃手段はえげつなく、主人公のトレミーの攻撃手段は、

「敵を一時的にチョコレートのかかったケーキにする魔法」である。

 

一部の敵を除いて一撃で敵をチョコレートのかかったケーキに変えられるので、

いかに速く打つか、適切なタイミングと場所で撃つか、

変えたケーキを落としたり壁に使ったり押したりして活用するかが基本戦略になる。

 

俺はあっさりと敵を誘導し、魔法で変えた大きなケーキを上から落として、

誘導した敵を圧死させた。そう、魔法で変えたケーキは大きいのだ。

落としたら魔物も人もひとたまりもないくらいに。

 

『ひぇっ……』『何でこれが全年齢なんですか!?(迫真)』

『見た目はファンシーだけど、エフェクト音が増えててえげつないですね……』

『ドズッ……(ケーキで魔物が押し潰される鈍い音)』

『見た目さえかわいくすればええやろw』『かわいいな……よし通れ!(ザル規制)』

 

いやまあ考えてみたら残虐超人もドン引きの事してるけど、

デフォルメの度合いが大きいからそれほどの感覚はないんだけどな。

 

 

2面、3面も敵はオークだけ。3面は木の床になってはいるが、

階層の構造が変わっただけなのでクリアはあっさり。

 

『オークのくせに……失望しました』『このオークは偽者だな(オークソムリエ)』

『架空モンスターに偽者って何だよw』『お前らオークに何を求めてるんだw』

 

 

4面は青ブロックに戻るが、新しい敵のウィザードが登場する。

こいつの放つ弧状の魔法に当ると、トレミーがフェアリーの状態異常になってしまう。

動きは遅く、身体が小さいので攻撃の射程は短く、もう一度これに当るとミスである。

魔法を撃ったこいつを倒せば、元に戻れる。

 

そしてこのゲームのシステムとして、

ステージの敵が最後の一匹になったら時間で消滅してしまうというものがある。

これは詰み防止や稼ぎ制限になっているのだが、

フェアリーになった状態で、なおかつ魔法を撃ったウィザードが消滅すると、

フェアリー持ち越しで元に戻れない。無理ゲーの開幕になってしまう。

 

「まあ、撃たれる前に撃てば何の問題もないんですけど」

 

その言葉通り、これまたあっさりクリア。

倒す事を優先し、魔法連打でケーキを消滅させる技も初めて使った。

 

 

5面は青ブロックの床になったが、あまり変わりなかったのですぐに撃破。

 

6面はよくあるトカゲ怪獣のような、緑のサラマンダーが初登場。

こいつは主人公と視線が重なると火の玉を吐いてくるので要注意だ。

弾速が速い上に当たると一撃なので注意しなければならない。

これもやられる前にやれ、だな。

 

 

そして7面、サラマンダーとオークのステージをクリアーすると、

原作ゲームでは幕間のようなドット絵アニメーションが入る。

英語だが、「フェアリーランドにようこそ!」と書かれている青空を、

ドラゴンの「ロドミー」に乗った主人公が横切っていく。

ただそれだけの演出なのだが、ダイブリメイクでそこがどうなったかと言うと?

 

「乗れって?」

 

翼がなく、首がものすごく長いわりに身体はずんぐりむっくりした、

ファンシーと言うよりはすっとぼけたデザインのドラゴンが、

俺の目の前で地面に首をベターッとつけて、俺が乗り込むのを待っている。

 

『何だこのドラゴン!?(戸惑い)』『ぶっさwww』『翼ないのに空飛べるの?』

 

ええい、ままよ!とばかりに俺が乗り込むと、

ロドミーはのったりのったりと身を起こしてそのまま浮き上がり、

ゆっくりゆっくり青空を移動した。

 

とても たのしかた です。(小並感)

 

 

何事も無かったかのように、8面が始まる。

ウィザードとオークしかいないが、この当たりからステージの形が複雑になってくる。

どこに入れるのか、どこを敵が通れないのか、全て把握するのは難しい。

 

「ん?」

 

ダイブで立体的となったフィールドに悪戦苦闘していると、

何かアイテムが出現している事に気づいた。

このゲーム、どうやら主人公の歩数か何かによってアイテムを出現させているらしく、

アイテム狙いならとにかく歩き回る必要がある。

 

しかし永久パターン防止キャラもいるので、その見極めが難しい。俺はやらない。

とっさに複雑な状況判断をすると頭がおかしくなって死ぬ。

 

「これは……ムーンティアラか!」

 

このゲームは一定時間が経つか、ムーンティアラを取るとお月様が出現する。

敵は全てケーキに変わり、それを破壊するとスコアアイテムのコインがもらえる。

なぜお月様が出ると敵を倒せるのか?

 

『んんww古典ファンとしては、セーラームーンを連想しますぞ!』

『それなw』『ムーンティアラだからしゃーない』

 

トレミーの方が先に姫でムーンティアラだったんですよ!

でもまあこっちはスターティアラもあるし巻物や魔法書を使って戦えるのでセーフ。

何がセーフなのかはよく分からない。

 

 

9面ではゴーレムが初登場。ケーキからの復活が早い所に注意。

 

10面、11面とクリアして12面。青いローブに空洞の「レイス」が登場。

こいつは魔法を回避する性能があるのがきつい。

 

「えい!くそっ!こんなに厄介とは!」

 

『がんばえー』『のびちゃんメガネずれてない?』『き、消えるのはずるい!』

 

レイスに夢中になった瞬間、ゴーレムのジャンプに接触してしまう。

 

「あっ……」

 

『あっ……』『南無……』『次ののびちゃんは上手くやってくれるでしょう……』

 

あー、くそっ!このゲーム単純な1画面アクションなのに、

妙にパズルみたいな戦略性があるんだよな。

そのせいで俺は引きこまれるのに、アクション部分の難易度が結構高くて苦労するというか。

なんというか、俺専用の捕獲器なんじゃないかってくらい周囲が見えなくなってしまう。

 

ちなみに主人公はミスると泡に入って昇天して行く。呪いの館か何か?

 

 

やられる前にやれ戦法でクリアし、13面。

ここでは茶色のクレリックが登場する。放置すると分身を作るが、

やられる前にやるなら問題ない。

 

『のびちゃんの本気』『先手必勝!』『スコアとかどうでもいいんだよ!(恐怖心)』

 

14面はオークとゴーレムしかいないが、地形が嫌らしい。

中央上のゴーレムに乗って渡る必要がある。

敵の頭に乗るというかれいなテクニックを披露する時が来たようだな!

 

……ようだな?

アクションを披露するの?

俺が?

このゲーム魔法使い姫が主人公だからか、

ゲーム的基本動作アシストはあってもアクションサポートはないのに?

 

「おりゃっ!はっ!とう!」

 

中央のゴーレムの上に乗り、見事に落ちてゴーレムの餌食に。

 

「ハイッ!メイッ!ニャッ!」

 

今度は乗る事すら出来ず、振り返って魔法を撃つ事も無く後ろからゴーレムに接触。

 

「まずい、もう残機がない……」

 

ここで、魔法連打で敵を消す事を優先した事が裏目に出た。

これをやるとスコアが伸びず、スコアによる1UPが少なくなってしまう。

生き残り優先だから仕方ないといえば仕方ないのだが。

 

「やってやる!やってやるぞ!」

 

どこぞのスパロボモブエリート兵のような叫びを上げながら、俺はラストチャンスに挑んだ。

結果は……成功!

ここさえ越えられればあとは敵を一匹消すだけの簡単な仕事。

中央のゴーレムはラスト1匹のシステムで消えてもらおう。

 

「くぅ~疲れましたwステージ終了ですw」

 

『お疲れ様ですw』『やりますねぇ!』『のびちゃん頑張った!』

 

 

この14面クリア時にも、ドラゴンの演出が入る。

今度は夕焼けか朝焼けか知らんが、オレンジ色の大空をゆったりと横切っていく。

 

「何だか楽しくなってきました」

 

慣れとは恐ろしいものだな。

 

 

そして次の15面。ここにはヤツがいる。

人も魔物も無関係に飲み込んでしまうウォーム。

ワームではなくウォームであり、見た目は巨大な緑のイモムシ。

間違ってはいないが、ちょっとイメージには合ってないな。

 

上手くゴーレムとサラマンダーを誘い、イモムシに捕食させる。

何と1体7000点の稼ぎだ。これはやるっきゃない!

 

「あっ……」

 

『あ……』『ひえっ……』『全年齢とは何だったのか……』

 

立ち位置を間違い、俺がイモムシに捕食されてしまった。

感覚はないが、長い舌が絡まって、穴の中に引きずり込まれて……。

 

 

 

「ゲームオーバーです!」

 

『www』『やるな!』『のびちゃん大丈夫?』

 

「ええまあ、見た目と状況、両方があれじゃなきゃ大丈夫です。

しかし今回は上手く出来ませんでしたね」

 

もう少し行けると思ってたんだけどなぁ。

アクションサポートの有無と、俺自身の身体能力が出てしまったか。

 

「ええと、とりあえず大丈夫だけど疲れはしたので、今日はここで終わりにします。

ご来場とご視聴、ありがとうございました!実況は今日も全部、のびるでお送りいたしました!」

 

 




このゲーム、レベルという概念があるらしい……
まさかRPG!?


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〈掲示板回〉ダイブ実況黄金期

クソゲーはクソゲーのまま派と、
クソゲーにも慈悲を!と普通モードも搭載します派が
永遠に争い続けるという未来


 

【実況】古典ゲーム新人スレ

 

335:名無しゲーマー 03:23

【伝説】バトルポカリ、最新版東方マラソン完走

もちろんノーミス全ルナ一発、紺珠伝はレガシールナノーミスゴッドエンド

 

336:名無しゲーマー 03:26

あ た ま お か し い

 

337:名無しゲーマー 03:27

東方マラソンはガチ

発掘開始から今まで延々と発掘され続けて、難易度インフレし続けるのも含めて

 

338:名無しゲーマー 03:28

特に間に紺珠伝レガシールナノーミスゴッドエンド挟んでやってるのが最高におかしい

 

339:名無しゲーマー 03:29

バトルポカリはまさに神となった……

 

340:名無しゲーマー 03:30

ん?今、のびちゃんは女神様って

 

341:名無しゲーマー 03:31

言ってねえwww

 

342:名無しゲーマー 03:33

のびるは破壊神だから弾幕ゲーはできない=ゴッドになれない

Q.E.D. 証明終了

 

343:名無しゲーマー 03:34

破壊神のことのびちゃんって言うのやめろよw

 

344:名無しゲーマー 03:34

 

345:名無しゲーマー 03:35

結構相互ゲストとかコラボとか見るし

今年の新人はマジで当たり年だな

 

346:名無しゲーマー 03:37

仙人とゴリラは一瞬どうなるかと思ったけど、

仙人は動じなかったしゴリラはかえってネタになって伸びた。

これは黄金期来るで

 

347:名無しゲーマー 03:39

発掘はまだまだ先があるからな。

発掘実売率9割越えてるのはファミコン世代だけで、

これから何年も新作ラッシュが控えてる。

古典情報化世代はマジで文化を生み出す文化神だったと思うわ

 

348:名無しゲーマー 03:43

【速報】ハゲスカウト

 

349:名無しゲーマー 03:44

こマ?

 

350:名無しゲーマー 03:45

クソゲーリメイクで、

クソゲーをクソゲーのままにするためのアドバイザーとしてスカウトされたらしいw

一種の品質管理だけどこんなん笑うわw

 

351:名無しゲーマー 03:46

wwwwwwww

クソゲーをクソゲーのままにするとかアホだろwww(褒め言葉)

 

352:名無しゲーマー 03:47

ありのままのクソゲーな自分でええんやでという許容の心

 

 

 

………………

 

 

 

【族長】のびるスレ【魔女っ子】

 

874:名無しゲーマー 15:16

ヴォォォォォォォ!ジェッターズアニメ風のびちゃぁぁぁん!!!

 

875:名無しゲーマー 15:18

落ち着けwww

 

876:名無しゲーマー 15:19

あれは破壊力凄かったな……人間と創作の境界が壊れる破壊力だったわ

 

877:名無しゲーマー 15:21

アニメ風アバター使えるゲームはまだまだあるからな……

こりゃ期待持てますよ

 

878:名無しゲーマー 15:24

アニメ風じゃないけど魔女っ子風も良かったよな。

だがイモムシは許さない

 

879:名無しゲーマー 15:27

イモムシ視ね

 

880:名無しゲーマー 15:28

むしろ生キロ

 

881:名無しゲーマー 15:29

俺はあのドラゴンになりたい

 

882:名無しゲーマー 15:33

そろそろのびちゃんの軍服がこわい

 

883:名無しゲーマー 15:36

ミリオタ氏は元気だなぁ

 

884:名無しゲーマー 15:38

至高はネオアトラスとかシムシティの羽帽子ドレスじゃない?

 

885:名無しゲーマー 15:40

884氏は目の付け所が違いますな!

小生はSF風のハイレグ隠しのスカートの方が……

 

886:名無しゲーマー 15:42

あれいいよな。

古典ゲーム時代から見た未来って感じで

 

887:名無しゲーマー 15:44

そろそろ新しいコラボ来ないかな

 

888:名無しゲーマー 15:45

仙人のメンタル強さは見習いたい

論語の話はわけわからんかったが

 

889:名無しゲーマー 15:54

論語読みの論語知らず(適当)

 

890:名無しゲーマー 15:55

お、教養だな

 

891:名無しゲーマー 15:57

ところでドリームキャストはそろそろ許されましたか?

 

892:名無しゲーマー 15:59

それは許されないな……

 

 

 

………………

 

 

 

【お礼不要】ものすごい速さで答えるスレ【教えて歓迎】

 

 

76:名無しゲーマー 23:48

初代デビルサマナーの攻略法を教えてください!

仲魔は言うことを聞かないし、

主人公が倒れると即ゲームオーバーでクリアできません!

 

77:名無しゲーマー 23:52

>76

主人公のスピードを上げる

呪殺対策装備は弱くても必ず身につける

造魔を手に入れて補助や便利魔法つけておく

ボス戦はきんぎょうふ・ちんかいふ

 

78:名無しゲーマー 23:55

格ゲーライセンスってつおい?

 

79:名無しゲーマー 23:58

>78

つおい人しかとれません

 

80:名無しゲーマー 00:00

のばら

 

81:名無しゲーマー 00:02

>80

きさま!はんらんぐんだな!!

 

82:名無しゲーマー 00:03

桃鉄でたいらのまさ使って借金を平等に分け合っただけなのに、

娘が口をきいてくれません。なぜでしょう?

 

83:名無しゲーマー 00:05

>82

自分の胸に聞いてみろ

 

84:名無しゲーマー 00:06

FF1のグリーンドラゴンとかいう雑魚が強すぎます。

複数エンカで最大HPを上回るどくガスとか設定間違いじゃないですか?

 

85:名無しゲーマー 00:09

>84

仕様です。レベルをガンガン上げるか神に祈りましょう。

 

86:名無しゲーマー 00:11

マリーのアトリエを教えてください!

 

87:名無しゲーマー 00:13

>86

依頼を先に受けるのは避けて、

頻出するアイテムを先に作って貯めておく

アカデミーの買い取りでも稼げるアイテムがある

雑魚戦はズスタフ槍の草で睡眠勝利

 

88:名無しゲーマー 00:14

……OVERSか。私の生徒に寄生しているな。何の用だ

 

89:名無しゲーマー 00:15

>88

竜を倒しに来た。

 

90:名無しゲーマー 00:17

いくぞッ!!

 

91:名無しゲーマー 00:18

>90

よっしゃ!!

 

92:名無しゲーマー 00:19

うなれ!王冠のチャクラ!!

 

93:名無しゲーマー 00:20

破ァァァァァァッ!!!!!

 

 

 

………………

 

 

 

【PS2】試験公開レポートスレ【DC】

 

109:名無しゲーマー 18:01

人柱まだー?

 

110:名無しゲーマー 18:03

ヴィオラートのアトリエ報告します。自己アバターの場合、

主人公がにんじんにんじん言ってるのに激しく違和感。

主観はオリキャラモード搭載した方が良いのでは?

 

111:名無しゲーマー 18:05

>110

主人公のキャラが濃いとどうしてもそうなるよね。

ダイブリメイクにオリキャラ搭載系が多い原因でもあるけど。

報告ありがとうございました。

 

112:名無しゲーマー 18:07

ヴィーナスアンドブレイブス報告。

バトルや結婚・出産の表現は控えるべきでは?

現状ちょっと年齢制限に引っかかりそうな箇所があります

 

113:名無しゲーマー 18:10

>112

具体的箇所の指摘があると助かります。

後でメッセージ下さい。(アドレス)

 

114:名無しゲーマー 18:15

フェアリーランドストーリー

全年齢だときついかもです。ゴア表現・性的表現あり

このままだと15制限は必要じゃないかと

 

115:名無しゲーマー 18:19

>114

やはりダイブだと無理があったか。

見た目かわいいとよく見落とされるよな。

報告あり

 

116:名無しゲーマー 18:22

キラキラ太陽と仲間たち報告

このシリーズで18制限と全年齢分けたのは正解ですね。全年齢だけだとむしろ、

大人プレイヤーがいちゃいちゃ寸止めの夫婦生活に耐えるのがきついw

 

117:名無しゲーマー 18:26

>116

結婚あるあるw

子供まで作る珍しいゲームなのでそうなるんじゃないかと危惧してました。

ぼくもの系は恋愛結婚がっつり系なんで……

 

118:名無しゲーマー 18:28

>117

全年齢は全年齢で需要あるんでありがたいです。

ゲームはゲームとして楽しみたい派もいるんで

 

119:名無しゲーマー 18:30

ドリームキャスト版マジック:ザ・ギャザリング報告

原作ゲームでは実現しなかった通信対戦実装されてますね

ただカードプールは原作通りのモードだけなのが残念です

あと「シャンダラー」を独立させたリメイクがあるんでしたっけ?

 

120:名無しゲーマー 18:34

>119

MTG系は現状リメイク系としてはそれですね。

他ゲームの存在も判明してるのでお楽しみに

 

121:名無しゲーマー 18:35

アルトネリコが18制限になっててワラタ

完全にsnegでした本当にありがとうございます

 

122:名無しゲーマー 18:37

>121

むしろなぜ18制限じゃなくても行けると思ってたんだw

 

123:名無しゲーマー 18:40

PS以降の世代になると一気に恋愛系増えて来たな

RPGとかでも恋愛要素入ってるの増えてるし気をつけないと

 

 

 

………………

 

 

 

【ティファ】古典ゲームヒロインスレ【リース】

 

160:名無しゲーマー 16:49

ティファ最高!

 

161:名無しゲーマー 16:53

そんな、皆分かってることを今更言われても

 

162:名無しゲーマー 16:55

たまにはアメリカ大統領選挙のぺネロープちゃんをすこれ

 

163:名無しゲーマー 16:57

シティコネクションのクラリスが好きです(告白)

 

164:名無しゲーマー 16:59

お前ノンケかよぉ!?(驚愕)

 

165:名無しゲーマー 17:00

なぜこのスレに来てノンケに驚くww

 

166:名無しゲーマー 17:02

ときメモの紐緒さんに勝るものなし

 

167:名無しゲーマー 17:03

僕は王道を行く……サムスさんですかね……

 

168:名無しゲーマー 17:04

夜叉姫だろ……

 

169:名無しゲーマー 17:05

かように、スレ住人の心は今日もバラバラなのであった

 

170:名無しゲーマー 17:08

魔界塔士の人間女さんはどうでしょうか?

 

171:名無しゲーマー 17:09

>170

おい、ガルガルやろうといいおんな

どっちがすきだ?

 

172:名無しゲーマー 17:12

>171

きくまでも なかろうよ!

 

173:名無しゲーマー 17:13

人間女さんかっこいい……

 

174:名無しゲーマー 17:16

古典ゲームヒロインはいいなぁ……

 

175:名無しゲーマー 17:18

銀河の三人のリミちゃんは?

 

176:名無しゲーマー 17:20

デレると終了の娘さんはちょっと……

 

 




発掘年代は結構シリーズごとに樹状に伸びたりする


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桃太郎電鉄HAPPY(赤駅特攻という覚悟)

桃鉄のよく分からない専用キャラ好き


 

今日も安定の万人越え。

そう、安定して1万人は越えている。

これは名実共に人気実況者ですねドゥフフw(古典オタク風シャウト)

 

「今日のゲームは桃太郎電鉄HAPPY!CPU1人を入れた4人対戦をやります!」

 

『うおーーー!!』『やった対戦だ!』『待ってたんだよ!この時をよぉ!』

 

「そしてなんと!ゲストさんもいらっしゃいます!卓上遊戯連盟のムーンフォークさん!

高校生ながらプロ活動も始めていらっしゃる本格派さんです!」

 

【よろしくー】

 

そのムーンフォークさんの格好は、何と言うか……。

ウサギの耳に網タイツ、奇術ステッキを手に持って、

頬にはいくつかの星が描かれている。露出高めで目立つ白い肌にあわせたような真っ白の髪と、

まさにウサギのような赤い目。女性用タキシードの上だけにハイレグのボディスーツ。

年齢制限が必要な類のものではないが、俺の実況において未だかつてないほどのお色気である。

 

妹から聞いた話に興味を持って、この対戦を申し込んだらしい。例の姉か……。

この姉なら憧れてコスプレで近づこうとする気持ちも分からんでもない。

 

「それで、CPUをひとりと、視聴者さんからひとり……今から10番目に手を上げた人!」

 

そのおれの呼びかけに答えて、「ノ」の文字が仮想モニターに流れる。

流れを追うと読み切れないが、ログ閲覧を固定して検索。特定した。

 

「えーとそれじゃ、カナヘビさん!よろしくお願いします!」

 

【やったああああああ!!】

 

俺のアカウントフィールドにカナヘビさんを迎えて、ゲームを開始する。

カナヘビさんは頭に鉢巻を巻いた大工ファッションか。

強そうな感じはするな。桃鉄には関係ないけどな!(威嚇)

 

ゲームを起動し、皆で桃鉄フィールドに移動する。

今日の俺は、あえてシムシティの時の服装。

羽帽子と深緑のブラウスの古風な婦人スタイルである。

 

『夜叉姫かわいい』『のびちゃんのほうがかわいい』

『対抗すんなw』『CPUはだれー?』

 

全部の設定が最初にできるようになってるのか。便利でいいな。

CPUはあかオニにしておこう。

CPU1位だったら興醒めだしな。

 

年数は3年でいいかな?短期決戦……と言っても2時間はかかるっぽい。

桃鉄楽しいけど案外長いんだよね。

 

とりあえず俺はのびる先生、ムーンフォークさんはムーンさん、

カナヘビさんはカナ星人、あかオニ社長はそのままあかオニ社長になった。

 

おっと汽車もセリフも、両方まっはの設定で。出来るだけ時間を短縮しないとな!

 

順番シャッフルでも俺が最初。

あとはカナ星人、ムーンさん、あかオニ社長の順番となった。

 

ゲーム内で動かす「汽車」が姿を現す。乗り込むと自動で動くようだな。

汽車の中にサイコロが準備されている。どうやらこの中で振るようだ。

俺は1Pで青い汽車。なんか主役気分!実際この配信では主役だけど。

 

皆1000万円を持ち、東京からスタートする。

最初の目的地は新潟!新潟へ行け!

 

《がんばってね!》

 

夜叉姫の声援を受け、のびるは案外小さいサイコロを振る。

 

「2か……赤駅だけど、しょせん春。大した事ないでしょう」

 

汽車が進むと景色も進む。

これは観光案内的なアピールも含まれているゲームになっているようで、

汽車の窓からのぞく景色も美しい。ちょっとした観光気分だ。

 

俺は赤駅の-560万円で、いきなり所持金440万円になった。

 

『のびちゃん大丈夫?』『漢だ……』

『宵越しストライク!覚悟を見せることで運命を呼び覚ます!』

 

カナ星人は1で上野に止まった。止まっただけとも言う。

ムーンさんは6を出して湯沢に止まる。

あかオニは3で青駅、現金収入を求めた。

 

次のターン。あと6、あと6……だが俺のサイコロは5を示した。

目的地への接近を優先し、赤マス特攻。残り260万円にまで所持金が低下した。

 

『うっはwww』『思い切り良すぎない?』『さすのびやねぇ』

 

しかし次のムーンさんが目的地に着いてしまった。

1億4620万円がムーンさんのものに。

 

貧乏神がやって来て、一番遠いあかオニに憑いてしまう。

次の目的地は金沢!近いな。

 

ムーンさんは水田を買い、残り620万円。農林物件の収入20%はでかい。

一方あかオニは長野で1000万の五輪グッズ屋を買っていた。

 

『時代を感じる』『長野オリンピックか……』

『収入100%とかイベント効果やな』『今はもう歴史の1ページ……』

 

しかし、そのターンに貧乏神が動く。

何と、今買った五輪グッズ屋をムーンさんに500万円で売りつけたのだ。

 

『草』『バカスwww』『対応早い……早すぎない?』

 

 

そして俺のターン。

俺はまずカードを確保するため、東北日本海側のカード駅地帯に向かうことにした。

 

『赤駅特攻は草』『まーた漢の赤駅突撃っすかw』『のびちゃんがのびちゃん過ぎる……』

 

近づいたからいいんだよ!残り150万!

そのターンは何事も無く、

しいて言えばあかオニが貧乏神チャンスでオレンジカードをもらっていた。

あかオニのくせにやるな。

 

次に俺はカード駅で北海道カードをもらい、

白馬に止まったムーンさんが五輪グッズ屋を買う。

 

『ここにもあるんだ……』『時代やなぁ』『イベントやし、まあ多少はね?』

 

あかオニはカード駅で特急カードを確保。まあ頑張れ。

 

 

8月。俺が豪速球カードを拾い、ムーンさんが富山でマス寿司屋を買ったと思ったら、

何とあかオニが目的地の金沢に到着してしまう。

 

あんころ餅屋と九谷焼屋を買うあかオニ。

こいつ本当にあかオニなのか?次の目的地は山形になった。

よっしゃ俺に近い、これはもらったな!

 

だが貧乏神も俺についている。俺のターン、貧乏神が8000万円で朝三暮四カードを持ってきた。

ついに所持金が-6770万円に。だが物件がないので実質ノーダメだな!

 

【のびちゃんは前向きだなぁ……】

 

『それな』『見習いたい』『見習ったり見習わなかったりしろ』

 

このターンは皆カードを手に入れ、カナ星人さんが夢のまた夢カードを、

ムーンさんがクイズカードを、あかオニがバキュームカードを手に入れた。

 

さて、次はやるぜ!と意気込んだ次ターン、

貧乏神が全く同じ朝三暮四カードを買ってくる。

 

「ぐわあああああ!!」

 

『のびちゃんwww』『悲鳴が漢らしいwww』『貧乏神のびちゃんに厳しすぎるwww』

 

諸変動と合わせて、所持金-1億7180万円!

一方あかオニはオレンジカードを通常のカードマスで拾っていた。

 

『のびちゃんの運吸われてない?』『それな』『こいつあかオニの皮を被った閻魔なんじゃ……』

 

11月は何事も無く過ぎて、運命の12月。俺は山形まで残り3マスでピタリ3を出し、

ついに目的地に到着した!

 

「やったー!」

 

『住民は大歓迎ですぞ!』『俺たちも大歓迎ですぞ!』

『わっしょいわっしょい!』『お前らw』

『おめでとう、のびる先生!』

 

だが、受け取る金額は1億4360万円。受け取っても-2390万円であった。

貧乏神はカナ星人へ。次の目的地は稚内!

 

ムーンさんは東北日本海側のカード駅地帯で5進めるカードをゲットしていた。

堅実だな……。

 

 

1月。俺は北海道カードを使い、網走へ。皆一斉に稚内へと進路変更する。

 

そして次の月。俺はカード駅でクリスマスカードをゲット。

 

「よーし、いいのくれよサンタさん!」

 

『フラグ』『どうせ安いのだろ』『のびちゃんならワンチャン』

 

その後は特に何事も無く、カナ星人さん、いつの間にか所持金が-3480万円に。

地味に赤マスに突入して資金を減らしていたらしい。

ムーンさんはカードマスでふんどしカードをゲット。

あかオニは目的地進行で3月を迎える、さあ3月になったら決算だ!

 

 

全員決算会場フィールドに移行しての、初の決算。

まず収益はムーンさんが6000万、あかオニが1500万、俺とカナ星人さんはゼロ。

順位(資産)額はムーンさん2億5920万、あかオニ1億6210万、俺とカナ星人はマイナスだった。

 

 

《ファイト!》

 

夜叉姫の声援を受けて、さあ2年目に突入だ!

 

カナ星人さんは、サイコロを増やす急行カードの効果が何度も使える、

オレンジカードを連発して先を急ぐ。

 

『オレンジカードって実在したんだぜ』『へー、今も残ってんの?』

『あるけど当時のデータを読めるような状態のはないっぽいね』

『ちゃんと揃ってるコレクションは博物館で見れるよ』

『折れてるのとか欠けてるの単独なら俺らでも買える値段くらい?』

 

へーそうなんだ。時代を感じるなあ……。

前世で言う古銭コレクションみたいなもんか?

 

ムーンさん今度は6進めるカードをゲット。

貧乏神に憑かれたあかオニは、稚内に寄付金を連打して地味に支援。

 

そして次ターン、俺は順当に稚内に到着!

 

『花火きたあああ』『のびちゃん連続?』『こりゃ逆転あるで』

 

持ち金がようやくプラスになり、さらに記念としてオレンジカードゲット。

あかオニの寄付金はもちろん俺がいただいて、+1100万円。

次の目的地は大きく離れた大阪になった。

物件を買えるだけ買って、たこしゃぶ屋とカンヅメ工場をゲット。

 

カナ星人さんはオレンジカードを使っているわりに出目が小さく、

なかなか進めない。

皆大阪から遠くにいるから、今回は到着が遅くなりそうだな。

 

ムーンさんは「て」カードを手に入れるが、

 

【別に要らないなぁ……】

 

『ですよね』『俺揃えたことない』『俺漏れも!』

 

 

次ターン俺は福の神カードを引き、全員に800万円の収入。

 

『さすのび!』『JIHIの心である』『ささやかな幸せ……幸せ……』

 

カナ星人さんは気がつくと大阪の近くにいた。侮れないな。

 

一方あかオニは松本で信州そば屋を買うも、

貧乏神が朝三暮四カードを8000万円で買ってきて即座に借金、即売り。

悲しいなぁ……。

 

そしてゲーム内に夏が訪れる。

とりあえず俺は夏の青マスで資金を蓄え、持ち金が1億越えに。

 

ムーンさんはあっち行けカードを手に入れた。

そして同時に、あやしい人が美術品を売りつけるイベントが始まった。

 

『あやしいw』『お?詐欺か?』

『このスタイルは当時のギャングスタースタイル?』

『別に流行ってわけじゃなかったんじゃないかと思うけどな』

 

1億円の美術品を買い、残り120万円となるムーンさん。大丈夫かな?

 

『ミロのボーナスwww』『これは偽物ww』

 

しかし何とこれが本物だった。

 

「命拾いしたな!」

 

『www』『のびちゃん悔しそうwww』

 

 

9月。新潟の水田豊作トピックスが起きる。ムーンさんに+600万……むぅ。

俺はオレンジカードで日本海を疾走、敦賀への上陸を果たす。

とろろこんぶ漁、5000万円で収益20%の物件を2つゲット。

残り資金は1450万円。よし、目的地行くぞ!

 

そう意気込んだ俺だが、そうは問屋が卸さない。

ついにカナ星人さんが目的地の大阪に到着。たこ焼き屋、お好み焼き屋だけを買い揃える。

高額物件を買わない、慎重なプレイングだ。次の目的地は高知。近いな。

貧乏神はムーンさんに憑いた。

 

貧乏神は早速暴れて、特急カードを8000万円で買って来た。

所持金マイナスで、買ったばかりのミロのボーナスと富山のマス寿司屋も一件売却。

結果的にではあるが損をすることになってしまったな。

 

カナ星人さんは倉敷に向かい、収益率100%の桃太郎グッズ屋と50%の民芸品屋をゲット。

倉敷独占で収益率が更に2倍に。これはキツいな。

 

ムーンさんは再度貧乏神のカード攻撃を食らい、持ち金がマイナスに。

物件を売っても足りず、マイナス生活の始まりである。

 

 

翌月。俺はカード駅でたいらのまさカードを手に入れた。

 

『うわ……』『ま、まあ3年だからそこまでは……』

『のびちゃん使うかな……うん使う!(確信)』

 

カナ星人さんは高松でさぬきうどん屋をゲット。

ムーンさんはカード駅で新幹線カードを拾い、「て」カードを手放した。

 

『ですよねw』『いらねw』『1人用99年で趣味で狙うとかじゃないとちょっとね』

 

 

そして12月。ついにクリスマスカードを使う時が来た。

 

『ダメそう』『のびちゃんなら行ける』『強くなりそう』

 

クリスマスカードを使ってサンタ召喚。得た物件は……。

 

「松坂の松坂牛屋、1億円だ!」

 

『マジかwww』『来たあああああ』『3年勝負でこれは大きすぎるwww』

『 い つ も の 』『あーもうむちゃくちゃだよーw』

 

その後、ムーンさんが5進めるカードを活用し、高知に到着。

 

【出来れば素で入りたかったけど……まあ、仕方ないね】

 

アイスクリン屋とトマト畑を買って、持ち金残り310万。

次の目的地はナゴヤへと移り変わる。

 

だが、次の瞬間あかオニが名古屋に入って目的地カウンターに成功。

貧乏神はムーンさんに憑いてしまう。

 

【なん……だと!?】

 

『おいwww』『あかオニとは何だったのか』『クッソ強くて草』

 

名古屋の物件を買い漁り、次の目的地は出雲へ。独占チャンスだ!

ムーンさんは新幹線カードを使い、貧乏神を俺に擦り付けて神戸に行った。

 

次のターン、俺はおはらいカードを手に入れるも、カナ星人さんが出雲へと到着。

全てが1000万円で収益率50%の出雲そば屋、

とても独占しやすく序盤から利益の出しやすい物件駅である。

もちろん全部買われて独占、収益2倍に。

 

次の目的地は新宮、貧乏神はあかオニへと移動する。

あかオニが九州カードを貰った所で3月。2年目の決算が始まった。

 

収益はカナ星人さんが1億9000万円、俺が5500万円、ムーンさん4400万円、

あかオニが3000万円。凄いように見えてもあかオニはあかオニだったか?

 

 

ついに最後の年、3年目。一部のカードが使用不能になり、

いよいよ終わりが近づいてきた。

 

「ヌフフ……決算後のファーストアタック、この瞬間を待っていた!」

 

『ここでかwww』『待ってましたww』『やると思ったwww』

 

そう。初ターンの4月、皆の持ち金が最高額になり、

昨年手持ち資金を使い切っていた俺が相対的に得をするタイミングでのたいらのまさ。

皆の手持ち資金を混ぜて平等に分配するカードの出番である。

 

俺の手持ち資金は7100万から1億6100万に。実に9000万円のプラスである。

平等って素晴らしい!

 

あかオニが松坂の松坂牛屋を一つ買い、4月は終了。

 

5月はトピックスから始まり、

カナ星人さんの桃太郎グッズ屋とムーンさんのトマト畑で1500万円の収入。

カナ星人さんは大阪に入って物件を買い、元から持っていた物件をついでに増資。

 

そしてあかオニに憑いた貧乏神が変身を!?

 

『キング来たああああ』『いやまだあわてる時間じゃない』『どうせミニだろ……』

 

皆が見守る中、変身したのは……食品や農林を食べるコマルン!

 

『なんだ……』『いやまあ悪くはないけど』『そうだな……』

 

コマルンは金沢のあんころ餅屋を食べてしまった。幸先いいな!

 

 

6月、俺は夏の青駅でしっかり資金を調達。

カナ星人さんはカード駅でテレポートカードをゲットした。マジかよ。

ムーンさんは和歌山に止まり、進めるカードでリーチをかける。

あかオニは静岡周辺の青駅に引き寄せられてふらふら。

そんなことをやっている間にコマルンに松本の信州そば屋を食われた。コマルンコマルンw

 

7月、俺は夏の赤駅を踏んで目的地に接近。その直後、カナ星人さんが連続で目的地に到着。

2億460万のプラスで、新宮の物件を独占。しかもテレポートカードをおまけにもらった。

このタイミングでこれは決まったか?次の目的地は長崎になった。

 

ムーンさんは持っていた九州カードで飛び、別府に移動。

あかオニは我関せずと静岡周辺をいまだにうろうろ。何なんだお前は。

例のごとくコマルンに名古屋のういろう屋を食われる。

 

 

8月。俺は賭けに出た。朝三暮四カードを使い、20マス進んで下関に到着。

ふぐ料理屋と魚市場を全て買って、下関独占。ようやく俺も独占駅が出来たな。

そして朝三暮四カードの副作用により、俺は眠った。

ここから起きられるかどうかは、まさに運否天賦である。

 

『のびちゃん相変わらず思い切りいいなw』『寝る子は育つ!』

『実況で本人が眠ってるだけとかある意味斬新w』

『寝顔もかわいいからこれはこれで……』『全くもって同意するw』

 

カナ星人さんはテレポートではなくオレンジカードを使って行くらしい。それは大丈夫なのか?

誰も目的地に着かないという判断だろうか。

 

ムーンさんは6進めるカードを意識して場所を調整。

熊本に止まり、熊本ラーメンとタマネギ畑をゲット。残り130万円なり。

 

 

9月。新潟のトピックスが始まり、ムーンさんに+900万円。

俺は眠りについたままだ。カナ星人さんが偽造カードを手に入れる傍らで、

ムーンさんが6進めるカードを使い長崎に到着。長崎の物件を独占する。

ムーンさんも最後の追い上げだな。次の目的地は襟裳。これは誰も届きそうにないな。

あかオニが順調に名古屋のきしめん屋を食われ、10月に入る。

 

 

それは運命の10月となった。運命。ディスティニーです。

 

眠るのびる先生の夢の中に、グッスリンという謎の生き物が現れた。

 

『グッスリンきたああああ』『マジでwwwマジかよwww』

『まだだwまだ出てきただけだw』『でものびちゃんだからなぁ……』

 

勝ったら起こしてあげるという生き物とサイコロ勝負し、

俺は一発で6を出し、相手は3。約束通り目を覚ました。

 

『やったぁぁぁぁ!』『目覚めたぁぁぁ』『さすのびwww』

 

まあ、とりあえず賭けには一つ勝ったが、まだ目覚めただけだ。

出来るだけ努力はするがな。

そう考え、入ったカード駅で手に入れたカードはまさかの北海道カード。

 

『ロムハック乙!』『ここで北海道とかwwwどんだけwww』

『いや流石にないわ。何この神引き』『ゲーム壊れるwww』

 

……流石にここで打ち止めだよな?

 

勝つための努力をしているのは俺だけではない。

カナ星人さんが夢のまた夢カードを使い、日光、そして那須へ移動。夢は潰えた。

 

『www』『まあ元気出せよ』『夢は夢のままだから夢なんやなって』

 

ムーンさんも黙ってはいない。他人のカードを使えるふんどしカードを使って、

打開を試みる。

 

「ヤメロー!ヤメロー!」

 

『のびちゃん落ち着けw』『まあどう考えても今のターゲットはのびちゃんだけどさw』

 

【対象を選べないから……まあこんなものだよね】

 

ランダムで選ばれたのはあかオニだった。大したカードは持っていないようだ。

北海道カードは無くても九州カードはいつの間にか2つある!今はいらねぇ!

 

【じゃあしょうがないから特急でも使っておこう】

 

特急を使っても、現在地から襟裳では焼け石に水であった。

あかオニはその後なけなしの松坂牛屋を半値の5000万円で貧乏神に売り飛ばされた。

こいつはもう駄目かも知れんね。

 

 

そして11月。俺は迷わず、北海道カードを使用した。カードが輝く塵になって消える。

ダイブフィールドでの演出は何度見てもかっこいい。

こんな重要な場面であればなおさらだ。

 

『飛びましたね……』『北海道のどこに飛ぶかな』

『なんか東じゃない?』

 

【あそこからこの角度って……まさか!?】

 

【あっ……(察し)】

 

 

《のびる先生が襟裳にホールイン・ワンです!!》

 

 

【ふざけんなwwwwww】

 

【あーもうムチャクチャだよwww】

 

『草生えすぎて俺の腹筋がヤバイwww』

『何なの?のびちゃんはガチでわくわくボールでも持ってるの?』

『よりにもよって襟裳でwww』『これは決まりですね……』

『ロムハックもいい加減にしろwwwwww』

 

目的地到着で2億460万円いただき、1億円で収益率50%の襟裳の牧場を買い、

更に5000万円で20%のこんぶ工場を2件、シャケ加工工場を一件買った。残り340万円。

一件買えなくて独占出来なかったのが心残り。

次の目的地は銚子になった。そこそこ皆離れてたかな。

 

ムーンさんはあっち行けカードを使って貧乏神をあかオニになすり付けた。

あかオニはあかオニで、貧乏神のカードサイコロを当てて関東カードをゲット。

使えば有用かも知れんが、あかオニは使わないだろうな。

 

12月、倉敷の桃太郎グッズ屋と高知のトマト畑のトピックスで、+1500万円。

 

「私には関係のないトピックスが多いなぁ」

 

『気にしてる気にしてるw』『(のびちゃんは気にしなくて)ええんやで』

 

そうかなぁ……まあいいか。

 

いつの間にか、カナ星人さんは連続で赤駅に突っ込んで1億円に迫る損害を出していた。

気でもくるったのかー!?

まあ目的地優先で急いだんだと思うが……冬は割に合わないだろう。

 

ムーンさんは広島へ入り、もみじ万頭屋とお好み焼き屋をゲット。まだ諦めてはいないな。

一方あかオニは無意味に海に出てうろうろしていた。

 

 

1月、俺はカード駅に入り2進めるカードをゲット。

あかオニも貧乏神が進めるカードを買って来ていたが……流石にもう使う機会はなさそうだ。

 

 

そしてついに、最終ターンの2月。俺はもう一つ温存していた朝三暮四カードを、

ノーリスクで使えるこのタイミングを狙い、20マス進む。見事狙い通り、

いけるかな?機能で東北カード売り場のひとつに潜り込み、カードを全て売却。

豪速球が2500万円、おはらいが2000万円、2進めるで4000万円ゲット。

最終的に8500万円の差でも馬鹿にできない……と思う。

俺はそこで眠りにつき、本編はおねむエンドとなった。

 

『おやすみ……』『のびちゃんは眠り顔もかわいいですね……』

『ダイブ中の眠りってどうなってるんですか?(空気読み人知らず)』

 

その後カナ星人さんはいつの間にかなすりつけられた貧乏神から、

うんち列車カードの有料プレゼントをもらってついに所持金マイナスに。

ムーンさんもあかオニも青駅でわずかな追加資金を稼ぎ、

ここに3年に渡る戦いが幕を閉じたのであった。

 

 

舞台は桃太郎と夜叉姫が中心となった発表会場へと切り替わる。

周囲には桃太郎伝説のキャラが固唾を呑んで控えている。

 

まずは三賞の発表。水産王はのびる先生!賞金は4140万円。

農林王はムーンさん、賞金は6000万円。

食品王はカナ星人さんとムーンさんの2名で賞金は3270万円。

 

そして最終発表に移る。

 

俺たちはまた列車に乗り込み、線路をひた走る。

まずあかオニが貧乏神に連れ去られる。

次いでカナ星人さんが空を向いた線路で空の彼方へ消える。はやまった銀河鉄道かな?

そしてムーンさんはキングボンビー岩で進路を塞がれて立ち往生。勝ったのは……!?

 

《日本一の のびる先生!》

 

終わってみれば、順位で示された俺の資産は10億3670万円。

ムーンさんが9億300万円、カナ星人さんが8億2580万円、あかオニ社長が-4810万円であった。

 

2位との差は1億3370万円、途中のアレやアレが無ければ逆転していた差だ。

 

「ムーンフォークさん、カナヘビさん、今日はありがとうございました!」

 

【ああうん、流石にあそこまでやられたらどうしようもない】

 

【のびちゃんとゲーム出来て楽しかったぜ!また機会があるといいな!】

 

 

 

今日も楽しかった。他の人との対戦は俺にはものすごく疲れるけど、

やっぱりたまには対人対戦をしないと、

こういう、俺がたまに起こしてしまう馬鹿みたいな奇跡を共有する機会がなくて面白くない。

 

誰でも彼でも来るもの拒まずだと、少なくとも俺は絶対に潰れてしまうけど、

かと言って俺が完全な一人で生きていけるなどとも思っていない。

 

これからも一人と皆の間をトゥルトゥルと渡って生きていこう。ウナギみたいに。

いつもは自分の穴に潜んで、必要な時だけ外に出て餌を漁る彼らのように。

 

……出来れば9割自分の穴の中で生きていければ最高なんだけどな。

今のリアルで言うとゲーム実況とそのアバターだけで事足りる、みたいな。

流石にそれは高望みかな。

 

 

 

………………

 

 

 

配信を終え、アカウントフィールドでだらける時間を謳歌していた俺にメッセージが届く。

仮想モニターに表示されたそれを見た俺は首をかしげた。

 

「ムーンフォークさん?」

 

ムーンフォークさんからの個別メッセージだ。2人で話したい事があるとか。

 

疑問に思いながらも俺は仮想モニター通信の回線を開き、

書かれたムーンフォークさんのアドレスを押した。

 

【やあ、早かったね】

 

さっきの衣装まんまのムーンフォークさんが仮想モニターに表示される。

相手のモニターにも俺の姿が表示されているはずだ。

 

「それで、話というのは……」

 

【まずは一つ、ドリームキャスト版マジック:ザ・ギャザリングで、

個人的に対戦して欲しいってこと】

 

ドリームキャスト版マジック:ザ・ギャザリングか。

そういやあれも試験公開中だが、ダイブリメイクは通信対戦も実装されてるらしいな。

なるほど、確かに俺はドリームキャストはないですって公言してるからな。

実況配信中に話せないというのは道理だ。

 

「あ、はい。それはいいですよ。空いてる時間なら……何なら今からでも?

デッキは……まあ、あのカードプールの少ない『セレスタ』のフォーマットならすぐ作れますし」

 

【なるほど、やはり君は優秀みたいだね。そう、もう一つはその話なんだけど】

 

「はい、何でしょうか」

 

【単刀直入に言おう。私とその、『性別の変わった転生者』同士として、

お互い他には理解されない事柄について相談しあおう、という話なんだけど】

 

「はい?」

 

【うん、唐突かな。もう一度言うかい?】

 

「は、いえ、その、今までその、機会がなかったんで、その」

 

【無理して喋る必要はない。まず私から話そう。君を見て確信したのは、

この話をしようと思ったのはつい先日さ。この間のフェアリーランドストーリー実況の、

アーカイブ動画を見た時。君はファミコンの箱と共にビニールに言及していたが、

あれはない、ないんだよ】

 

「え……」

 

【前世でも既に兆候はあったけど……プラスチック・ポリ製品は環境保護の槍玉に上がる。

わずかな利益のためにプラスチック・ポリ製品を大量生産して用いるのは、既に許されない。

石油製品によらない樹脂や紙加工品で置き換わって、既に『ビニール』という名称は、

塩化ビニル等がどうしても必要な場合の工業的用語に過ぎないんだ。一般的ではない】

 

そういや、前世でも既にレジ袋がどうこう、ペットボトルがどうこう等と聞いていた気がするな。

ビニールは既に一般的な呼称ではない……か。

 

そりゃ気づかないよね!俺の持ってるゲームはほとんど兄妹のお下がり。

俺はどうあがいてもゲームプレイヤーだから、実用重視で安いダウンロード販売しか買わない。

パッケージされたゲームを買うのは本当に、

ゲーム棚を作るのがゲームプレイより好きなコレクターだけ。彼らが無茶な値段を出して買う。

 

そのコレクター向けゲームでさえ、紙や非石油系の樹脂だけでパッケージされている……?

転生してから、学習教材の資料集とか博物館のホームページで、

箱入りゲームを見てそこは変わらず再現してるんだなー、と勘違いして……。

 

「うーん。気付かなかったな。そういう違いって他にもあるんですか?」

 

【他にもいろいろあるから……私も最初は苦労したよ。

私の場合はすぐに同じような先輩にめぐり合えたから助かったんだけど、

君の場合、今世の知り合いはともかく、転生者としては一人で孤立していたみたいだし……。

声を掛けたのは、正直それを見かねてというのもある】

 

あー、うん。確かに兄妹や両親に相談すれば大体のことは大丈夫だったけど、

転生バレしているオタにぃや姉でさえ、どうしても理解できないような部分はあった。

 

【……転生者の中には、前世と関わりたくないという人もいるからね。

君自身の人生の邪魔になると思ったら、私のことは構わない。君の事は、君の選択に委ねるよ】

 

あまりにも突然で、正直戸惑う。だけど最低限返事だけはしないといけない。

ええと、どうしようかな……。

 

 

 




みなさん!いよいよお別れです! 
前世の記憶と経験を持つムーンフォークさんに遭遇したのびるは大ピンチ! 
転生し、既に高校生の美少女と化した「彼女」は、
配信枠外のゲームでのびるに挑戦して来たではありませんか! 
果たして、のびるの運命やいかに! 
TS転生未来レトロゲーム実況配信のびる最終回前編!

「のびる大勝利! 希望の未来へレディ・ゴーッ!!」


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DC版マジック:ザ・ギャザリング〈最終回前編〉

アーデンの鬼畜天使を使わない紳士プレイのキワミ


 

うーん……まあ、今の自分の正直な所を、自分の言葉で言ってみたらいいか。

幸いと言うか何と言うか、リアルじゃなくて仮想フィールドだからな。

 

「ええと、はい。私はいいですよ。いいんですけど……一体どういう類の話になるんですかね?」

 

【そのままの意味さ。まあ、今まで私が個人的に調べた転生者関連の事柄と、

それに対する私の推測が主な話になるかな。前世で言う、ネットで真実!だったかな?

まあその程度の私の成果を共有する同好の士が欲しいっていう、ただそれだけの話さ】

 

ああ、なるほど。その気持ちは痛いほどよく分かるぞ。

でもそういう話って、同じ属性の人間じゃないと結局共感し会えないで終わるんだよな。

転生者で性別も変わったっていう属性はそう多くはないだろうし、

たまたま見つけた俺と話をしたいというのは……まあ、妥当だ。

 

「ムーンフォークさんは……」

 

【ああうん、自分で使っておいてなんだけどその名前は言い辛い……折角だし、

受け入れてその……転生者友達になってくれるというなら、

個別メッセージではリアルの苗字の月浦と呼んでくれないかな?】

 

「あっはい。月浦さん」

 

 

 

………………

 

 

 

月浦さんはダイブ版ドリームキャスト版マジック:ザ・ギャザリング(若干ややこしい)

を起動し、俺をそのゲームフィールドに招いた。

 

舞台の「セレスタ」、スタートの村がフィールドになる。

村はずれの草原みたいな感じなので迫力は出ないな。

 

パーマネントを置き戦うフィールドのみは共有フィールドだが、

プレイヤーが持つ手札・墓地・山札その他は占有フィールドにあり、

必要な時だけ共有フィールドに投げ込むような形になるらしい。

プレイヤーのアバターだけはカルドセプトと同じ幻影相対応のようだな。

 

俺の姿も月浦さんの姿も、先ほどまでと変わらない。

これはマジック:ザ・ギャザリング初期の「あなたは、プレインズウォーカーだ」

という売り文句に忠実な結果であり、大変結構なことだと俺は思う。

 

さて、じゃあ俺のコンソールを接続して、デッキ作成に入るか。

 

 

 

………………

 

 

 

「それじゃ、私が先攻でいいんですか?」

 

自分が誘った側だからと、俺の先攻で始めようと提案してきた月浦さん。

ふふ、俺の赤、ほぼバーンデッキが火を噴くのに絶好の機会となりそうだな!

 

さあ!デュエル開始だ!

 

最初のターン。俺は先攻、山をセットして怒り狂うゴブリンを召喚。

パワー1、タフネス1の軽量クリーチャーではあるが、

1マナで召喚出来て速攻持ちのため、1ターン目から攻撃を仕掛けられるのが売りだ。

 

召喚された立体幻影像は、大きな斧を持ったイラストの方を参考にした造詣だ。

ガチで怒り狂ってますね……これは近寄りたくない。

召喚した俺には笑いかけてくるが、その笑みも非常に恐ろしい。

女子供どころか屈強なマッチョ戦士ですら積極的に襲って惨殺しそう。

 

「行け!ゴブリン!」

 

ゴブリンが月浦さんの幻影に攻撃を仕掛け、1ダメージ。

初期ライフから1減らして、月浦さんのライフは残り19となった。

もう出来ることはなく、ターンエンド。月浦さんのターンに切り替わる。

 

月浦さんは「融けゆく氷河」をタップ状態で場に出し、ターンエンド。

 

「これは青ですね……」

 

【バレたか……いや、このフォーマットで『Thawing Glaciers』を出す時点で限られるけどさ】

 

初ターンにタップインの土地を出す安定のプレイング。

これは強敵ですね……赤と青、これは宿命の対決ですぞ!

ちなみに「Thawing Glaciers」の日本語版、「融けゆく氷河」が見れるのはこのゲームだけ!

だったと思う。前世の記憶なんで正しいかは分からないけどな。

 

 

2ターン目。青に対して俺のデッキ、ほぼバーンのとる戦略は一つしかない。

全力で対戦相手のライフを削る!

俺は山をセットし、ゴブリンに「巨人の力」をエンチャントする。

クリチャーのパワーとタフネスを共に2上げるエンチャントで、

怒り狂うゴブリンはこれによりパワー3タフネス3の中型と言っていいサイズになった。

 

【これは……ちょっときついかな?間に合うといいけど】

 

当然アタックは通って、月浦さんの残りライフは16。

俺がライフを先に削るか、相手が場を整えるまで耐え切るか。

バーンとおそらくパーミッション系のストロングスタイルのぶつかり合い、

ああ^~たまらねぇぜ!

 

月浦さんのターンは島を置いてターンエンド。これは予想通りですね……。

 

 

3ターン目。山をセットした俺はこのデッキ、ほぼバーンのバーンでない理由、

対策カードの一つを切ることにした。

 

「略奪!行け!」

 

3つの山からマナを引き出し、3マナ呪文「略奪」をプレイした。

どこからともなく斧を持った蛮族が現れて、

月浦さんのフィールドに置かれた「融けゆく氷河」に向かう。

 

【ちょっと待った。対応して能力を起動しよう。全く……このフォーマットにはそれもあったね】

 

「略奪」は土地とアーティファクト両方に対応できる優秀な呪文なので、私は採用した。

どちらかというとアーティファクト対策だが、

この状況でなら「融けゆく氷河」に使った方がいいだろう。

 

「融けゆく氷河」は手札へと戻る能力があるが、限定的なためこの状況では利用できない。

壊される前にその能力で「島」を出したのを見届けた後、

俺の出した蛮族が「融けゆく氷河」を破壊する所を見届けた。

……なんかこのデッキ思ったより蛮族じゃない?気のせい?

 

あ、アタック忘れてた。ゴブリンを突撃させて、3ダメージ。残りライフは13。

 

月浦さんのターン。月浦さんは島を置いただけでターンエンド。これが伝説のドローゴーか。

 

【あなたはプレインズウォーカーです、って売り文句は心痺れると思わない?】

 

「いえ、そこまでは……」

 

まさかこのお方……かなりのMTGオタクさんでいらっしゃるのでは!?

まあ見た目とハンドルネームからしてもろMTGの設定種族なんだけど。

MTGの事になると早口になりそう……というかもうなってる。

なお古典ゲームに関しては俺自身そうであるが、それはそれ、これはこれである。

 

なんかホントに、前世時代のMTG事情とか時代の流れを知ってる転生者とMTGやりたい!

ってだけで接触してきただけのような気がビンビンして来たぞ。

 

 

4ターン目。俺はまず忘れないようにアタックし、月浦さんのライフは10になった。

次いで俺は「ゴブリン精鋭歩兵部隊」の召喚を試みるが、

「霊魂放逐」によってカウンターされてしまう。そんなのも入ってるのか。

 

【カードプール少な目の割にクリーチャー戦闘が多いからね。これも結構使い所があるのさ】

 

さいですか。月浦さんは安定のドローゴーでした。

 

しかし、ダイブフィールドでプレイヤーの周囲の空中を、

手札のカードが取り巻いているこの操作入力、

前世で憧れた未来のカードゲームまんまで俺は大変嬉しい。

思わずカード名叫んじゃうほど興奮するのも仕方ないのだ。

 

 

5ターン目。最初にアタックを試みた俺だが、

月浦さんは「怒り狂うゴブリン」に対して「ブーメラン」を放ち、

ゴブリンがカードに戻り俺の手札に帰って来た。むう。流石に対応されるか。

これにより「巨人の力」が墓地送りとなった。諸行無常!

 

俺は「怒り狂うゴブリン」を再召喚し、

ついでとばかりに「ショック」を月浦さんに放つ。

電撃が月浦さんに突き刺さり、月浦さんは2のダメージを受けて、残りライフ8。

相手の対応は無かった。あと少しだな!

まあ青相手はここからが本当の地獄なんだが。

 

月浦さんはまた島を並べる。だんだん場が整ってきた。やばいな……。

 

 

6ターン目。俺は待望の山を引く。

再召喚したゴブリンで攻撃するが、素のパワー1なのでダメージは1。

月浦さんの残りライフはあと7。もう少し削りたいな。

 

俺は揃った4マナで「無謀なるエンバーの魔道士」の召喚を試みるも、それは許されない。

月浦さんの「魔力消沈」によりカウンターされ、墓地送りに。サヨナラ!

 

一方月浦さんは島をセットした。

 

 

7ターン目。ゴブリンの攻撃により月浦さんのライフは残り6。

更に俺は「ボガーダンの鎚」での直接ダメージを狙ったが、

流石にそれは「対抗呪文」によりカウンターを受けて墓地に。

だがこの「ボガーダンの鎚」は、多くのマナを払って墓地から手札に戻る能力がある。

まだ諦めてないぜ!

 

月浦さんのターン、事態は動いた。

島が7つ、7マナを揃えた月浦さんはついに2マナを残して「大気の精霊」を召喚。

透明な水色、大きな空気の塊が鳥の形を取ったような姿の精霊が、戦場の空へ浮かぶ。

2マナ残しがいやらしい……。

 

「大気の精霊のデザインはこの6版のが好きです」

 

【私は5版派かな……さて、間に合うかな?】

 

 

8ターン目。アンタップ状態の「大気の精霊」がいるので攻撃は無意味だ。

山を引いたので山を置き、マナを増やす。よし、ここは攻める!

……攻める以外に選択肢が無いとも言う。

俺は「オーク弩弓隊」の召喚を試みる。

 

【うわ、そんなものも入ってるのか……それは流石に「対抗呪文」だよ】

 

カウンターされたか。相手に2ダメージを、俺のライフに3ダメージを与える、

覚悟を持ったプレインズウォーカーにしか使いこなせない能力を持った勇者達であったが、

カウンターされたのなら仕方がない。

 

月浦さんのターン、さすがにドローも加えて手札が2枚、土地が尽きたようで追加は無かった。

ついに「大気の精霊」による空からの攻撃を受けた。俺のライフが初めて削られて、残り16。

パワーとタフネスが4なので、かなりの痛手である。

 

 

9ターン目。俺は「ボガーダンの鎚」の能力を起動し、

全力の5マナを支払って「ボガーダンの鎚」を手札に戻した。

「大気の精霊」が攻撃しているため、このターンはゴブリンの攻撃が通る。

月浦さんのライフ、残り5。

 

「この1点は小さな1点だが、人類にとっては云々かんぬん」

 

【5……そろそろ危険域かな】

 

月浦さんのターン、「大気の精霊」は迷わず攻撃に移り、俺の残りライフは12に。

 

【んー……ここまではいい。けど、何もしないと返しで4、ハンマーで1……】

 

悩んでる悩んでる。俺の手札の「ボガーダンの鎚」と、青でありながら少ない自分の手札。

つまりカウンターの回数と俺の残り火力の機会、地味に効いてる1点のゴブリン、

全て計算に入れて行動を決めないといけない。パーミッションデッキの楽しいところであり、

つらいところでもある。

 

結局月浦さんは手札からもう一体の「大気の精霊」を召喚して、ターンエンド。

毎ターン4+4の8点はきつい、これはここから数ターンで勝負は決まるな。

 

 

10ターン目。相手の残りライフは5か。

ここはゴブリンの存在が生きるように4点火力で本体を焼くぞ!焼ければ?

ただの脳筋火力馬鹿という説もあるが、そうでなきゃこういうデッキはやらないんじゃないかな。

 

「そーれ、電撃破!」

 

【何で今焼くのー!】

 

効いてる効いてるwww

相当効果的だったようだな。月浦さんの残りライフは1。

赤のほぼバーン相手にこれはきついだろう。

 

これがカウンターされないということは、カウンター無いのかな?

俺は2点火力の「ショック」を使い、一気に勝負を決めようとした。

 

【それはいけません。対抗呪文を使わざるを得ない……】

 

ん、最後の最後に取っておいたのかな?これで決まれば早かったが。惜しかったな。

 

月浦さんのターン。返しで死なないように「大気の精霊」1体で攻撃して来たな。

俺の残りライフは8。さて、焼き切れるか焼き切れないか、勝負だ!

 

 

11ターン目。一つでも火力が通れば勝利である。

 

「ボガーダンの鎚!」

 

【だ、奪取!】

 

そんなものも入ってたのか。カウンターされると同時に、

クリーチャーやアーティファクトならそれを奪って戦場に出せる恐ろしいカードだが、

今回は今まで活躍できなかったな。俺の手札はあと一枚……。

 

「最後の賭け!」

 

【なっ、何ィィィィィィ!?】

 

最後の賭け。それは追加のターンを得る代わりに、

そのターン終了時に俺はゲームに敗北するというまさに最後、

ラストチャンスを得るための大変漢らしいカードである。

俺の手札はこれでゼロ。次ターンのドローで全てが決まる。

 

「人生万事塞翁が馬!」

 

【それはちょっと違う!】

 

「来いっ!!!」

 

右手が物理的に輝いたり背景に稲妻が走ったりはしなかったが、

俺の右手はわりと光って輝いた。

 

「……」

 

【……】

 

俺は全力で山からマナを引き出し、それをプレイする。

 

「猛火」

 

引いて来たのは、「猛火」。1マナに追加で、

マナを注いだだけのダメージをターゲットに与える、

いわゆるX火力であった。

 

【負けたよ……】

 

月浦さんが最後まで確保していた1枚の手札は、ただの島だった。

俺はそこに、青の意地を見る。

 

4点ダメージを与え、月浦さんのライフは尽きた。俺の勝ちだ!

 

 

 

 

………………

 

 

 

「ええと、それで転生者としての話っていうのは何ですか?」

 

俺は俺のアカウントフィールドではなく、

シムシティ購入・達成特典の遊園地フィールドの喫茶店に月浦さんを招いて、

話を聞くことにした。

 

腹は膨れない上にやたらファンシーな飲食物だが、

見た目はコスプレ女子高生とカルドセプト風ロリータファッション小学生なので、

全く違和感はない。

 

 

【そうだね。まず最初に言ったけど、これは私がネットで調べた事柄と、

先輩に聞いた話を自分なりに理解して、自分なりに推測した話だから、

正確性については保証できない。私自身ただのゲーム好き高校生で、

専門家でも技術マニアでもないからね。最初はまず、

ダイブ技術の医療分野への応用についての話かな】

 

その話は要約するとこうだ。フルダイブ技術の存在は、

同時に人の精神を分析・管理可能ということでもある。そうでなければ実装は出来ない。

そのサーバー上で再現された精神が本物かどうかは……。私達が実感している通りだ。

 

確かに、このダイブの実感は偽者とは思えない。実際に人の精神が仮想の空間を認識して、

その仮想空間を多くの人が共有している。

 

【これを利用した治療法の一つが、未発達の神経系統を発達させるために、

他者の神経伝達に接続して正常な発達を促すという方法さ。

一言で言えば、ものすごく直接的な精神・神経介護とリハビリと言った所かな】

 

人の精神や神経も、人の内臓と同じく「移植」のような方法で治療する技術が存在する?

 

【臓器と同じく、適応を見る必要はあるけどね。精神・神経の伝達だけなら移植にはならない。

ようは身体への命令が通っていれば効果が出るわけだから】

 

経験者が手を引いて、闇のトンネルを記憶と経験だけで通って開通ルートを教えちゃうみたいな?

 

【そうだね。私の知った限りだとそんな感じだよ。まあ詳しくは最新医療だから、

完全な理解には無理があるけどね】

 

さもありなん。

 

 

 

【そして私たちに身近な、発掘者の時空間技術。これについてはある程度理解しているはずだ】

 

それは知っている。何と時空を越えて過去のコンピュータ、

その内部の電子に干渉して情報を得るという、

前世の俺たちでは想像もつかないような高度な技術が使われているらしい。

その2つの技術が……ってまさか?

 

【そう、適応する精神・神経系を現代で探せなかった人達が出た。

だが、ただ諦めたわけじゃない。過去の人間に救いを求めた。

いわゆる近代の人口爆発以降、数十億以上存在し続けた人類の中から、

適応者を探す。現代の人間だけでやりくりするよりはるかに母数が多くなる】

 

それってもう、直接的に俺達の……。

 

【そう、少なくとも私の場合はそうだった。私の両親から直接聞いたよ。

君もそれを知りたいと思ったなら、両親に聞くべきだと私は思うよ】

 

「それは……両親が知っているってことで。

両親がおそらく治療目的で許可を出した。そういうこと?」

 

【開発黎明期は狂気の研究などと言われていたらしいが、今は一応合法だよ。

初期のやらかしが尾を引いているって話だけど、

転生者の多くが賛同側に回っているのが現実だ。君もそこは共感できるはずだよ】

 

「そ、そんなことはないですよ……ないよ?」

 

【私たちの前世は男性で、今のリアルの身体は女性だけど……。

このアバターは自分の意思で、自分が他人に見せたいと思って作ったものだ。

そうじゃないか?】

 

……正直そうだ。俺は今の状況を楽しんでいるし、

このアバターも、自身の身体も悪くはないと思っている。

現状で変わらないならば、適応は完全になされていると言ってもいいだろう。

ただ、将来に対しての漠然とした不安があるだけだ。

 

 

【これは中学生、15歳で習うことだけどね。

18歳の成人前に身体適応検査というのがある。

私たちのかつていた前世の時代の、『原』日本国憲法の幸福追求権から、

新憲法によって整理・明文化された新権利、自己決定権を尊重するために行われる、

精神を含めた性別・容姿・遺伝子その他の検査と、それを変えるか否かの意識調査だ】

 

そ、そんなものがあるのか?

じゃあ、どうしても駄目だと思ったら……。

 

【ああ、自己決定権は尊重される。成人後1度ならば、

保険適用で自己を自己の理想に近づけることが可能だ】

 

 

その瞬間。俺は心の中で何か重い荷物が片付いたような気がした。

自分の心構えや行動どころか、自分の性別や容姿、

遺伝子まで変えて理想の自分になってもいいんだ。

 

「はー……なんかものすごく安心したんだけど。これどう思う?」

 

【私もこれを知った時はとても安心したよ。

現状行けてるけど、いつか適応できなくなるんじゃないか?

その不安が軽いものになった。成人まで生きれば、

流石に自分が今のままでいるべきか、変わるべきかどうかの判断はつくだろう。

迷うなら迷うままでもいいさ。人生ってそういうものじゃないかとも思うしね】

 

俺はそこまで達観出来ないが、まあ成人までに問題が出たら変える、

出なかったら現状維持……。その程度でいいんじゃないか?

と不安が軽くなったのは事実だ。それだけでも話を聞いて良かったと思う。

 

「田中」

 

【え?】

 

「だから、『私』の苗字。特別に、個別通信の時はこの名を呼ぶことを許そう」

 

俺だけ相手の苗字を知ってるのは不公平だ。だから、信頼できそうだと思ったら俺も名前を出す。

初めての転生者友達ならこれくらいしなきゃな!

 

【ねえ田中さん】

 

「何?月浦さん」

 

【私達は時空間を渡って転生し、

ダイブフィールドという仮想空間で擬似的な魔法を行使している。

これはもうプレインズウォーカーと言っても過言ではないのでは!?】

 

「それは過言です」

 

……早まったかもしれない。

 

 

 




プレイヤーの周囲を取り巻く手札カードはカードゲーマーの憧れ(当社比)


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ドラゴンクエスト3 そして伝説へ…〈最終回後編〉

そしてのびちゃんはのびちゃんとなった(トートロジー)


 

月浦さんとのデュエルが終わった後。俺は両親に問いかけるべく、メッセージを入れた。

 

テトリス武闘外伝のCPU対戦をして待っているうちに返信が届く。

 

月の中継基地で働く父さんは、そうそう帰って来れないので、

「のびる」のアカウントフィールドで話すことを許してもらいたい、だと。

 

しょうがないな。まあ話す内容が重要なんだ、それでいいか。

俺はまた一人でCPU対戦に興じて、両親のログインを待った。

 

 

 

………………

 

 

 

母さんはちょっと補正入れた程度の、

父さんはゲーム用調整すらしていないリアルそのままのアバターで、

俺のアカウントフィールドにやって来た。

 

【ふみちゃん、今日はよろしくね!】

 

うん?何がよろしくなんだろう。お話よろしくってとこかな。

緊張してきた……。

 

【ええと、繋がってるかな?】

 

父の田中太郎。父には当然のことながらミドルネームはない。

現代ではむしろ古典時代の典型的名前ということで、キラキラネームの一種になるらしい。

うーん、マジわからん。

 

 

【何から話すか……そうだな】

 

俺の……田中スーザンふ美子の先天性疾患が判明したのは、出産前の検診だった。

神経伝達がわずかに未発達で、そのわずかな違いが最終的に齟齬をきたし、突然死に至る。

 

前世の時代においては判別出来ず、

原因不明の乳幼児の突然死として判断されていた事例の一つである。

 

それを未来の、現代の医学で身体的な部分を遺伝子レベルで回復させ、

精神と神経伝達、乳幼児では負荷に耐え切れないであろうリハビリ部分を、

適応性のある他者の神経伝達を利用することで介助する。

 

「それで選ばれたのが俺……だったわけか?」

 

【その通りだ。判明した時の絶望、何としてでもふみを助けたい、

そう思って手の届く限りの手段を取った。

そして、君が無事に生まれて、ここまで育ってくれて……本当に、本当に……感謝している】

 

「……」

 

ゲーム配信が古典芸能の域で、それのリメイクが大流行しているというこの時代。

正直俺は転生して良かったと既に思っている。

 

だが、事前の相談なしでという部分に思う所はある。

けど、前世に重ねた年齢と経験で理解出来てしまう。もし自分にこんなかわいい娘が出来て、

その娘が不治の病で余命いくばくもないなんて言われたら。

断言する、俺だって同じことをしただろう。

 

「『俺』の最期はどうなったか分かるか?正直よく憶えてないから、

分かれば教えて欲しいんだが」

 

【医者から聞いた話では……当時の頭部に被るタイプのVRゲームを、

睡眠時間を削ってやっていて、

そのせいかどうかストレス性の疾患で身体の方が先に限界を迎え、残った脳や神経伝達から、

接続を伝ってこちら側に……という状態だったようだね。同時代ならともかく、

過去への接続を伝って精神だけがやって来たら、それはもう転生じゃないか?と言っていたが】

 

ですよね。まるで転生という状態を人工的に作ったみたいだ。

しかしそうなると、俺は良くてもこっち側がどうなったのか気になる。

それは聞いておかねばならない。

 

「他人の神経伝達丸ごと……精神を入れて、元の心は大丈夫なのか?」

 

【ああ……医療措置としては問題ないようだ。

そもそも、人の精神を勝手に奪うような行為が出来ないから常時接続せずに、

仕方なしに随時接続して神経伝達の能力の一部を頂いている……本来そんな手法らしい】

 

ああ、なるほど。本来は完全に同居させるのが最高だけど、

生きた人間の神経伝達を全部奪う真似は出来ない……でも俺は事故でそうなってしまった。

そんな状況だったわけだ。しかし、問題はそこだけじゃない。

 

【ああ、そうだ。そこは最初悩んだよ。その上で父さん達は自分なりの答えを持ってきた。

君に……ふみにどうしても言いたい、いや、こうなったら言わねばならない事だ】

 

何だろう。緊張でそわそわしてきた。

いや、言わねばならないってんなら聞いてやろうじゃないか。

どんと来い、俺が受け止めてやる!……ちょっと違うか。

 

【母さんと父さんで、思ってることは同じなの。

でもお父さんはどうしても別に言いたい事があるって。

だから先に、私達が思ってる事を言うわね。私達はふみちゃんは、

前世を持っているだけの私の娘だと思ってる。

それはふみちゃんの心の中がどう変わっても、変わりないわ】

 

それは当たり前と言われている親の心構え。

だが実際にそれを言える、言う機会がある親というのは、そう多くはないだろう。

実の子供の心の中が気に入らない、子供が変わったからこうだ……なんて親もいる中で、

それを聞けるのはとても幸せな事じゃないかと、俺は思った。

 

 

【父さんはそうだな……それとは別に、

特別な養子をもらったようなものじゃないかという感覚もあってな】

 

「養子?」

 

【ああ。養子にもらった兄が、ふ美子を生涯助けてくれる。

親は子供の一生に付き合うことは出来ないからな。

まさに一体となってふ美子と共に生きてくれるお兄さんは、確かにここにいる。

そうじゃないか?】

 

ああそうか。父さんは、前世の俺、おっさんの人格の存在を認めようとしてくれているんだ。

凄いなこの人は……俺では到底、そんな所まで思い至ることはないだろうな。

 

【医者が言うには、既に大人として完成した前世の人格に包まれながら、

年を追うごとに今世の人格が溶け合って混じることになるらしい。そういう兆候はあったかな?】

 

確かにあった。前世の年齢にふさわしい、おっさんらしい落ち着きぐらいは持っていた、

俺とは思えない幼い言動や反応を配信では見せてしまったことがある。

あれは俺自身がごく自然にやらかした反応ではあったのだが、

後からそう言われてみればそういうことなのかも知れない。

 

今世の年齢に相応しい人格も、俺に混じり合いながらも成長していると言うことか。

しかし、違和感でも覚えそうなもんだが全くないんだよな……。

 

【適応性を見たと言っただろう?今世と現世の人格で混じり合っても全く不具合を起こさない、

それが適応だよ。それを探すために、父さん達は実験段階の新技術にまで縋って……】

 

そうか。そういうことか。今の俺の状態が、ようやく理解出来た気がした。

俺の前世と今世は、時空を越えて人格融合を適応させる、

奇跡的な相性の良さを持っていたわけだ。

でも、そうすると疑問がある。

 

「ええと、性別が違うのはどういうことなのかな?」

 

【ふみの前世と今世は男女で対照になる精神構造を持っていたらしくてね。

現在は男性寄りの中性、あるいは両性で安定している。これから徐々に女性側の意識が育つ中で、

そのバランスが必要だったのだ……と聞いたことはある。まあ、専門家とはいえ、

新技術に関しての推測なんて全く当てになるものではないがね】

 

ふーん、まあいいか。自分でも驚くほどに、

俺は今の自分が自分であると自信を持っていたようだ。

人格がどうの、別人がどうのと聞いても、全く心に波風が立たない。

おそらくだが、のびるとしての活動が、

俺に絶対的なアイデンティティを与えてくれたのだと思う。

俺は俺であり、俺はのびるだ。『私』はゲーム配信をして稼ぎ生きていくのだ。

小学生にしてその自信を得られたこの時代、転生して良かったと心からそう思える。

少なくとも今の所はね。

 

【まあ何だ、つまりだな。父さんはふみの人格の全てを尊重したい。

まるで前世が無かったように、今のふみとしてだけ扱われるのは寂しいだろう。

だからあえて、過去から転生して来たふみの新しいお兄さんに対して、

お礼を言わせてもらう。娘を助けてくれてありがとう】

 

いえいえ、どういたしまして。

こちらこそ助けられたようなものですから……。

 

父さんはそれだけ言うと後ろに下がり、代わりに母さんが出てきて、

俺の手を取り、目線を合わせてこう言った。

 

【私も、ふみちゃんに言いたいことがあるの。父さんみたいに長々話さないから良く聞いてね】

 

お、おう。確かに話長かったけどさ。最終的にはいい事言ってたから勘弁してやってよ。

で、母さんの話って何かな……。

 

【ふみちゃん、私達の娘として生まれて来てくれてありがとう。あなたが私の子供で良かったわ】

 

そんな事言われたら泣いちゃうだろ!

中のおっさんも小学生の美少女も涙もろいんだよ!

 

涙ぐむ俺の手を取りながら、母さんは追加で、わけのわからないことを言い始めた。

 

【でね、話はこれで終わりだけど、ふみちゃんとやりたい事があるの】

 

なんか嫌な予感がするからログアウトしていい?

ダメ?アッハイ。

 

【一緒にドラクエしましょう!】

 

……は?

 

 

 

………………

 

 

 

どうしてこうなった!

 

いや分かっている。特に裏なんてものは無く、

子供のやってることに一緒に参加したい親がそれを実践した。

ただそれだけのことなのだ。

 

両親だけでなく、珍しく家に帰ってくつろいでいた古典漫画家の次兄、

田中マスターズ拳も一緒に参加することになった。連絡を入れて、これで4人だ。

 

母さんもあれだけど、父さんの名前センスも正直言ってあれだな。

まあ現代においては古典だから客観的に見ればマシだけど、

俺から見ると全力のオタネームにしか見えない。

 

ちなみに、ここで言う古典漫画とは、

古典に則ってそこからの引用でストーリーを組み立てる創作物……。

前世で言うパロディ同人を指す言葉だ。

 

実際、前世で例えるなら源氏物語や徒然草のパロディ同人やってます!

みたいなイメージを持たれているのが古典漫画である。

 

しっかし……家族皆でダイブ施設に行ってRPGって。

いやまあ、実際お手軽な遊園地に行くようなもんだから理解出来ない事はないけど。

前世時代に妄想したダイブ系ゲームと、今の時代の現実は全然違うんだと痛感するな。

 

両親も兄さんも、ふみちゃんの好きにやっていいよという事で私に任せてきた。

なら『私』の好きにさせてもらうぞ!

 

「私が勇者で、母さんが僧侶。兄さんは魔法使いで、父さんは……」

 

【武闘家がいいな】

 

知ってた。格ゲー実況観戦大好きだもんね。モニターの格ゲーでさえ、

100回やって100回ボコボコにされてから格ゲーやるのは諦めたとか言ってたが、

ドラクエみたいなターン制バトルのダイブリメイクなら武闘家も行けるだろう。

 

ゲームを起動し、俺の性格診断を始める。

質問に答えていって、お城の質問を終えて出た性格は「ずのうめいせき」

 

【さすがのびちゃん!】

 

「のびちゃん言うな!いや、のびちゃんだけど今はのびちゃんとか言っちゃ駄目!」

 

流石に親と一緒にプレイしたあげく、

実況配信で使うハンドルネームを名乗るのはきついので、

今回は特別に本名プレイする。勇者「ふみこ」の誕生である。

 

ここでゲームフィールドに移行し、

俺は単独で、ゲーム内の「母」に起こされてアリアハンのお城に向かう。

 

銅の剣と旅人の服が初期装備か。

50ゴールドと仲間用の装備を貰い、タンスからラックの種を回収する。

何か大きな殻つき銀杏みたいな見た目してるな。

銅の剣で殻を割って食べてみると本当に銀杏の味がした。

運は3上がってる。幸先いいな。

 

さて、まずはルイーダの酒場に直行し、待っている家族を仲間に入れよう。

 

【のびちゃん待ったよー】

 

【最初はスライム狩りか?】

 

【スライム狩り?大丈夫なのか?】

 

母さんはそこそこゲームの経験あり、拳兄さんは重度のゲーマー、

父さんは現代で最も多いタイプの実況見る専、

しかも格ゲー派なのでほとんど初体験のジャンルになる。

 

「まあドラクエだし、ターン制でアシストが大分入ってるから行けるでしょ」

 

まず最初は武器防具を装備してナジミの塔へ……と言いたいところだが、

ダイブでの感覚に慣れてもらうため、アリアハン周辺の雑魚狩りにしよう。

 

アリアハンの城の周囲でうろうろして、エンカウントを待つ。

青々と草が茂った草原を歩くのは気持ちいいな。

 

「お、来たな」

 

スライム1匹とおおがらす1匹の編成だ。

 

【メラ!】

 

開幕で兄さんのメラがスライムに炸裂し、スライムは伸びてダウン。

次いで俺の銅の剣がおおがらすにぶち当たり、大ガラスはピヨって倒れた。

まあ、流石に全年齢にゴア表現はないか。

 

【わぁー、すごい!ふみちゃんもケンちゃんもやったねー!】

 

「母さんは平和だなぁ……」

 

まだ余力があるので、雑魚狩りを再開。

アリアハン周辺の、海が見える草原の道をうろうろしているだけでも正直楽しい。

データ上の仮想世界とはいえ、ゲーム購入ポッキリで観光出来ているようなものだからな。

 

父さんは嬉々としてスライムやおおがらすに拳を叩き込み、

母さんは防御しながら皆の様子を見て時折回復し、

兄さんはとりあえずメラ連発で敵を倒す。

もちろん俺は前衛でメイン物理だ。

 

全員のレベルが2か3になり、俺がメラ、母さんがニフラムを憶えた所でアリアハンに帰還。

勇者の自宅に宿泊することになる。

 

【まあまあ、ふみちゃんがお世話になりまして……】

 

「挨拶しないでよw」

 

【こういうのは気分だから……】

 

どういう気分だ。全く母さんは……。

 

 

 

………………

 

 

 

ゲーム内の就寝と共にログアウトした俺達は、

近所のダイブ施設で目を覚ました。

俺と母さんが先に、兄さんがぶつくさ言いながら後からやって来る。

父さんも、月のどこかで目を覚ましているのだろうな。

 

こういう世界をうろうろするゲームの場合、

ダイブリメイクだとゲーム時間がかなり増える傾向にある。

途中ログアウトの「キャンプ」機能が標準装備されるほどだ。

 

技術が進んで、却ってかかる時間が増えるってのは何か面白い感覚だな。

 

 

もう外は夕方か。

 

「ふみちゃーん!今日は港の海鮮屋さんよー!」

 

「はーい!」

 

いつもの夕食、いつものお店。

俺達は携帯端末で自動運転車を手配して、ダイブ施設を後にする。

 

港の近くの、夕焼けに染まる国道を進む自動運転車の群れ。

黄昏の太陽が、俺と母さんのメガネと赤毛、周囲の車と港の海面を茜色に照らし、

自らを知った「俺」と「私」を祝福するように、無駄に輝いていた。

 

 

 




お疲れ様でした。TS転生未来レトロゲーム実況配信のびる、本編完結です。
何というか、TSというのは今の自分を受け入れることで終了であります。
次が何になるかは分かりませんが、何一つ文章になっていない構想だけは色々あるので
何か出来たらまた投下するかもしれません。それでは。


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