ソードアートオンライン Sword of tha eye of the eye (三日月響)
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第一話 デスゲーム開始

 仮想世界に降り立った私は、その事を存分に噛み締めていた。

目の前に見える幻想的な景色を見て。ここに来た意味があると思った

 

 

 けど、この仮想世界に来た理由はそれではない。

現実世界から逃げる為に来たようなものだった。

 

「やっぱり、この姿がいいな」

 

 身長は現実と一緒だが、髪の色も黒で。特に現実世界だとある身体のあちこちにある傷もない。自分の本当の姿を見せなくていいのは気が楽だった。

 

 

「そろそろ、いこう」

 

 街から離れた平原で、毛並みが真っ青の猪と対峙する。武器は短剣

猪の突進を少し横にずれて攻撃し、相手のHPを削る。

 この作業を何回も繰り返した。

 

 

 この作業を繰り返し、辺りはすっかり夕暮れになっていた。

そろそろやめようかと、最後の一体を倒すと、鐘の音がした。

 私はそれと同時に強制的に転移した。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 飛ばされた場所は一層の中央広場だった。周りを見てみると、多くの人がここに強制転移させられていたようだ。

 

 

 一体、何が起こっているんだ? オープニングセレモニーの線は

時間的にない、それとも致命的な事でも見つかったのか。

 それだと強制ログアウトすればいいはずだ。

 

 

自分のメニューを開いて確認すると。ログアウトの文字が消えている。

 

 

 ログアウトできないなら、全員の回線を落としたらいいはず。

もし無理ならメッセージか何かで知らせる筈だ。

 

 

 この状況から考えるとこれは仕様と言う可能性がある。

あり得ない話ではない。

 

 

 1人で現状の事を整理してると、頭上に赤い文字が浮かぶ、それは広がっていき

空を埋め尽くした、空が赤く染まると、上空に赤いローブが現れた。

 

 

「私は茅場晶彦。今この世界をコントロールできる唯一の存在だ」

 

 

 

「このゲームで死亡、すなわちHPがゼロになる事は現実の死を意味する」

 

 この言葉を信じた者は、まずいないだろう。

だが、私は茅場の言っていることは本気だと思った。

 

 

プレゼントがあると言って全員に手鏡を送ってきた。

 

 

手鏡をアイテム化し、鏡を覗くと身体が光に包まれた。それは他のプレイヤーも同じだった

光が消え去ると鏡には現実世界の自分の顔があった。

 

茅場の話を纏めるとゲームクリアしないとこのゲームから出られない。

HPがゼロになると死、外部からナーブギアを外そうとしてはも死。

勿論それについては、メディア各所で放送されているので問題なしとの事。

 

 

こんな事を突然言われても飲み込めないだろう

広場にいるプレイヤーたちはわめき、怒鳴り、悲鳴をあげた。

 

 

私はどう行動すればいい。一層に籠るのはなしだ

そうなればいつまでもクリアできない。現実世界でも

身体の事を考えたら。3年が限界、それまでにクリアしないと

駄目だ。他のプレイヤーとも組むのもなしだ。

 

 

そうと決まれば次の街を目指す。ソロは危険だがそんなのは承知だ。

 

 

 草原を走り抜ける。目の前に出てきた猪をポリゴンに変える──

 

 

絶対にクリアしてやる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第二話 第一層攻略会議

 デスゲーム開始から一ヶ月が立ち二千人が死んだ。

 予想どおり外部からの問題の解決及び何のメッセージすら届くことはなかった。

 

 私は開始早々にはじまりの街から出て殆ど圏外に居たから知らなかったが、

 この世界から出られないと理解したプレイヤー達のパニックは......狂乱の一言だと

アルゴから聞いていた。

 

 

 しかしいくら嘆いても状況が変わらないと見るや、プレイヤーは四つのグループに別れた。

 

 その中で私がなったのはソロプレイヤーに属していた。

私のような奴が何処かに所属が出来る筈がない。

 

 

 

 そろそろ夕方になる、攻略会議遅れてしまうから行かないとな。

 

 

 

──ちゃんと纏まるのかな、最悪の場合は私が...そう不安を覚えながらも

攻略会議が始まる場所に向かっていた。

 

 

 

 

 

 トールバーナに着いたらもうプレイヤー達は集合しており会議の途中だった。

隠蔽スキルをフルに使い一番後ろに私は腰を掛けた。

ハァ、ずっと迷宮にいると時間感覚が狂うな。次から気をつけよう。

 

「ちょお待ってんか、ナイトはん!」

 

 

 そんな声が低く流れたのは、その時だった。

歓声はピタリと止まり、前の方の人垣がふたつに割れる。

 私の位置からは見えにくいが、ある種のサボテンのように尖った茶色の髪しか見えない。

 

 

「そん前に、これだけは言わしてもらわんと、仲間ごっこはできへんな」

 

 唐突な乱入に、ディアベルとか言うプレイヤーは顔色一つ変えずにいた。

嫌、僅かに表情が崩れた。

 

 

「こいつっていうのは何かな? まぁ何にせよ、意見は大歓迎だが名前くらい名乗ってもらいたいな」

 

 

「........フン」

 

 

 サボテン頭は盛大に鼻を鳴らすと、噴水の前に来た所でこちらに振り向いた。

 

「ワイはキバオウってもんや.......こん中に、五人から十人、ワビィいれなあかん奴らがおる筈や」

 

「詫び? 誰にだい」

 

 

 背後で噴水の縁に立ったままのディアベルが肩をすくめる。

 

「はっ、決まっとるやろ。こんクソゲームが始まった時のにビキナー達を見捨てたベータ上がりどもや。奴らは旨い狩場やらボロいクエストを独り占めして、自分らだけぽんぽん強うなって、その後もずーっと知らんぷりや。.....こん中にもおるはずやで。ベータ上がりゆうこと隠して、ボスの報酬貰おうと考えてる小狡い奴らが。

そいつらに土下座さして、貯め込んだ金やアイテムをこん作戦のために軒並み吐き出してもらわな、パーティーメンバーとして命は預けられんし、預かれんと、ワイはそう言うとるんや!」

 

 ベータテスターとビギナーとの確執。

確かに分からなくもないが今言う事ではないはずだ。

 

「発言いいか」

 

 

 

 その時、豊かな張りのあるバリトンボイスが、夕暮れの広場に響いた。噴水のそばまで歩いて来た筋骨隆々たる巨漢の男は、猛烈な身長差を利用しキバオウを見下ろす。

 

「俺の名前はエギルだ。キバオウさん、あんたの言いたいことは元βテスターが面倒を見なかったからビギナーか沢山死んだ。

その責任を取って謝罪·賠償をしろということだな」

 

 

「そ....そうや」

 

 

キバオウは巨漢に見下ろされ、たじろぐが、すぐさまエギルを睨み付ける。

 

 

「あいつらが見捨てへんかったら、死なずに済んだ二千人や! しかもただの二千人やない、ほとんど全員が他のMMOじゃトップ張ってたベテランやったんやぞ?.....もしそいつらが今この場におったら.....いや、もう二層やら三層やら突破出来たかもしれんやったんやぞ!」

 

 確かにビギナー達は死んだ、だがそれをβテスター達に言うのはお門違いだ。

先に行ってる者だからこその出来る事もある。

 

 

「あんたはそう言うが、キバオウさん。情報はあったと思うぞ」

 

 

 するとエギルはレザーアーマーの腰についたポーチから、羊皮紙を閉じた簡単な本を取り出す。

表紙にはあきらか図案化した《鼠マーク》

 

 

アルゴが無料配布か、確か一人のプレイヤーには有料で配布したらしいが。

 

 

「このガイドは、俺が新しく村や街に着くと、必ず道具屋に置いてあった。あんたもそうだったろ。情報が早すぎるとは思わなかったのかい?」

 

「それがどないしてん」

 

「こいつに載ってるモンスターやマップのデータを情報屋に提供したのは、βテスター以外あり得ないってことだ」

 

プレイヤー達が一斉にざわめき、キバオウはぐっと口を閉じて、ディアベルがなるほどとばかりに頷く。

 

 

「いいか、情報はあったんだ。なのに沢山のプレイヤーが死んだ。

その理由は、彼らがベテランのMMOプレイヤーだったからだと俺は考えてる。

このSAOを、他のタイトルと同じ物差しで計り、引くべきポイントを見誤った。

だが今は、その責任の追及してる場合じゃないだろう。

俺たち自身がそうなるかどうか、それがこので会議で左右されると、俺は思ってるんだがな」

 

 エギルと名乗る男の態度はしごく堂々としており、論理もこの上なくまっとうだった。

それゆえキバオウも噛みつくところが無かったようだ。

 

 

「キバオウさん、君の言う事は理解できるが、俺達は前を見なければならない。元βテスターを排除して

結果攻略が失敗すれば、意味も無いじゃないか」

 

 

 ディアベルは実に爽やかな弁舌で群衆の中にも頷いてる者もいた。

 

 

「皆それぞれ思うところはあるけど....どうしても元テスターと一緒に戦えないって人は、残念だけど抜けてくれて構わない。ボス戦ではチームワークが何より大事だからさ」

 

 

 ぐるりと一同を見回し、最後にキバオウを真顔でじっと見詰めた。

 

 

 サボテン頭のソードマンは、しばしその視線を受け止めていたが、

ふんと盛大に鼻を鳴らすと押し殺した声で言った

 

 

「.....ええわ、ここはあんさんに従うとたる。でもな、ボス戦終わったら、キッチリ白黒つけさしてもらうで」

 

 

 実質的な議論は行われなかったがプレイヤー達の士気を上げる効果はあったようだ。

 

 

「──それじゃ、さっそくだけど、ボス戦にはいけそうなんだが! 何はともあれ、レイドの形を作らないと役割分担もできないからね。みんな、まずは仲間や近くにいる人、パーティーを組んでみてくれ」

 

......え

 

 

 

 みんなもう組み始めてるんだけど、私一人しか残って無いんだけど。

あそこに二人しかいない。入れるかな

 

 

「あんたもあぶれたのか」

 

 

「そうだな、私もそっちのパーティーに入っていいか?」

 

 

「ああ、二人だから大丈夫だ」

 

 

 私はウィンドウを操作しパーティー申請をかける。

少年がOKを押すと、視界の左上に、HPバーが二本表示された。

 その下に短いアルファベットで【Kirito】と【Asuna】と書かれていた。

 

 

 

 さて、私達は取り巻きのコボルドの潰し残しを任された。

フードの少女は大層ご立腹だったが三人パーティーの上あまり強そうに見えない私達の配慮だろう。

 

 

 

パーティーなんか組んだ事なんて無いから説明なんか出来ないが。

 

「どこが重要な役目なの、ボスに一回も攻撃出来ないまま終わるじゃない」

 

「仕方ないだろ、三人しかいないんだから。スイッチでPOTローテするにも.....」

 

「スイッチ?、ポット?.....」

アスナはポカンとしていた、MMO初心者だから説明がいるな。取り敢えず私の部屋に招待した。

 

 

 

《トールバーナ》の近くのレストランの二回に部屋を間借りしていた。

 

「そこまで広くないがどうぞ。一応風呂もあるから」

 

そう私が伝えると、アスナが私の両肩を掴み

 

「お風呂!入っていい!?」

 

こちらがポカンとしたんだが。

 

 

 

アスナは浴室に入っていったが、私も少し外に出たくなった。

 

 

「キリト少し外に出てくる」

 

 

 

一応キリトに伝え、私は宿屋の外に出ていく。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「綺麗な景色だな」

 とても綺麗な景色だった現実ではまず見れない光景だった。現実世界が嫌になりSAOに来たはずなのにこんな事が起こるなんて、私はどうすれば良かったのかな.....あ~あ、やめやめこんな気分のままだと憂鬱になる。明日はボス戦何も起こらないといいけど。そろそろ戻ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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