いつかこれを読む君の為に (北間 悠莉)
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僕の副官


 流行りに乗っかるスタイル。パクリスペクトというやつ。
 一応年表も見ながら書いてますが、矛盾点やらあったら書き直すます。




 

 4月16日 雪

 

 今日から日記を付けてみようと思う。

 と言っても、備忘録や引き継ぎ書みたいなもので、後から見返したり、僕が引退した後の後任の手助けになればという目的で書いているので毎日付ける訳じゃない。人形とのやり取りと必要最低限の事だけ書くつもりだ。

 そんなわけで、まずは今日あった事を書こうと思う。

 

 副官を務めている人形と誓約した。彼女は向上心の塊のような人形だから、その手助けとなればという思いで行った。あの研究者からは戦力の伸び代を増やすと説明されていたので、彼女に丁度良いと思った。

 ただ、彼女は別の意味で捉えたようだった。確かに、指輪を渡すというのはそういう行為に似ているが、僕にはその意思はない。

 それを伝えると、彼女は照れ隠しと判断したのか、素直になりなさいやら分かっているのよやらと言われた。こんな中年のどこが良いのだろう。

 実を言うと、僕には妻子が居る。それに、彼女は上の娘と同じくらいの年齢の容姿をしている。そんな彼女を、そういった目で見ることはできない。それに、もう二度と妻に不義理を働くつもりはない。

 

 もし、僕の後任がこれを読んでいるなら、一つだけ忠告しておく。誓約というシステムは、僕たち人間と彼女たち人形とでは価値観が違う。軽い気持ちですると、いつか刺される日が来るだろう。

 

 僕は、榴弾を撃たれそうになった。

 

 

 

 4月19日 曇り

 

 もし、これを読んでいる君の部下に「HK416」という人形が居るのなら、一つだけ厳命する。絶対に酒を飲ませてはいけない。たとえ戦果として酒を要求しても、絶対に断れ。

 

 僕の過ちは、要人警護の任務から帰ってきた彼女を労おうと、晩酌に誘った事だ。いつか彼女が酒を物欲しそうに見ていた事を覚えてしまっていたことが、運のつきだった。

 彼女は物凄く酒に弱い。まさか果実酒のカクテル、それもサイダーで割って、かなりアルコールを抑えたものを一口飲んで酔っ払うとは思わなかった。

 酔っ払った彼女は、いつものクールで完璧主義者が嘘かのように変貌する。脱ぎ始めるし、話は聞かないし、暴れる。カウンターの中に乗り込んでテキーラを一気飲みする彼女の姿なんて見たくなかった。

 

 結局、二瓶開けて潰れた彼女を部屋に封印して、ついでにバーも封印した。酒類は全部カリンの店に委託し、どんなにお金を積まれても416には売らないように厳命した。幸運だったのは、彼女もあの惨状の目撃者だった事だろう。

 

 もう一度言う。HK416にお酒を飲ませてはならない。君が破産欲求を持っているなら、話は別だが。

 

 ちなみに、明日から僕は、あの美味しくとも不味くともないタダ同然の合成食材定食生活になる。

 

 

 

 4月20日 晴れ

 

 416は、酔っても記憶が無くならないタイプの人間人形らしい。朝一番に、昨日の暴走を謝罪してきた。ダメージを受けたのは僕の財布と彼女のイメージだけなので、気にしていないと言っておいた。

 だが、やはり彼女は自身の失態を気に負うようで、せめて食事は任せて欲しいと言ってきた。タダ同然とは言え、一月三食積み重なれば、それなりの額になる。僕としてもありがたい申し出なので、ぜひお願いすることにした。

 

 完璧主義な彼女は、料理をする手際も良かった。酒癖の悪さを除けば、彼女は伴侶とするにはかなり上等な部類だろう。する気はないし、玉に瑕の瑕が大きすぎるのだが。

 そういえば、彼女は渡した指輪を左手の薬指に着けている。そこに着ける必要はないし、そういう意味で渡したのではないと懇切丁寧に説明したのだが、譲る気配はない。寧ろ、最近は第二夫人を名乗っている。止めて欲しい。

 

 因みに、彼女の料理は驚くほど味がなかった。見た目は完璧なハンバーグなのに、微塵も味がしない。どうやったらそうなるのか、逆に知りたい。とは言え、不味い訳でもなく、得意気な彼女の為に、優しい嘘をついた。

 先ほど、例の研究者に戦術人形に味覚を搭載することを進言した。

 

 

追記

 

 研究者から返信が来た。味覚は再現済み、彼女にも異常なく搭載されているという。

 彼女の残念さに、思わず涙が零れた。これ以上彼女のイメージが崩れない事を祈る。

 

 これを読んでいる君は、料理店で働いていた元民間人形を副官にするべきだ。もし言うのが遅かったら、ごめん。

 




 ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

 残念美人、私は好きです。HK416も好きです。
 好きと好きを混ぜようと思うのは当然だよなあ?

 取り敢えず酔い潰れた416をG11が介護してたら尊いと思う。


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僕の副官とねぼすけ娘

 416と言ったら彼女でしょ。ということで、あのねぼすけ娘が出てきます。かわいいですよね彼女。

 キューブ作戦終わらーん



 4月29日 晴れ

 

 驚いた。何に驚いたって、目が覚めると隣に416が寝ていたのだ。勿論僕も彼女も服を着ていたが、重要なのはそこではない。

 誓って僕は彼女を部屋に連れ込んでいないし、そもそも部屋には鍵を掛けている。勝手に入ることなんてできないハズで、彼女を起こして質問した。そして、元凶がカリンであることが判明した。曰く、彼女に夫婦なら一緒に寝るものだと吹き込まれたらしい。鍵はピッキングで開けたという。

 これで名実ともに夫婦ね、などとぬかす416に制裁チョップをして、部屋から追い出した。そもそも彼女は「寝る」の意味を理解しているのだろうか。いや、していないだろう。

 

 これを読んでいる君にアドバイスだ。誓約はピッキングされることを覚悟してするべきだ。相手がストーカーになっても構わないという覚悟がないなら止めた方がいい。僕は胃薬が欲しくなった。

 

 取り敢えずカリンにも制裁チョップをした。この耳年増娘め。

 

 

 

 5月5日 雨

 

 今日は、僕の両親が住んでいた国では「こどもの日」と言うらしい。何をするのかまでは知らないが、せっかくなので基地の人形たちにお菓子を配る事にした。

 そこまで人数が多い基地ではないが、やはり今の時代甘味は高価だ。飴玉一つでもそう簡単には手を出せるものではない。こればかりは、カリンの協力がありがたかった。彼女には、皆には内緒でケーキをあげた。喜んでくれたので、軽かった財布を更に軽くした甲斐があったものだ。

 あと、当然のように僕の横に立ってお菓子を配っていた416にもケーキをあげた。彼女もこどものようなものだ。それに、味はしないとはいえいつもの料理の礼もある。何も感じない麻婆豆腐はどうやったら作れるのだろう。

 

 余計なお世話だったら悪いが、君は、家族を大事にした方がいい。守りたい人、遠くても支えてくれる人は、この仕事をしていくなら絶対に必要だ。

 

 送ったプレゼントを、娘たちは喜んでくれるだろうか。顔を忘れられていたら悲しい。

 

 

 

 5月7日 曇り

 

 今日は嬉しい事があった。娘の成長を見たような気分だ。

 G11という人形が居るのだが、この子はよく寝る。気付いたら寝ている。やる気になれば凄いのだが、とにかく寝る。廊下で寝ていた時は、それは驚いたものだ。どれだけ寝たいのだろうか。

 そんな睡眠に熱意を掛ける彼女を、なんとあの416が面倒を見ている姿を目撃したのだ。あの、クールぶった完璧主義者故に孤立ぎみでそれを一匹狼だと勘違いしている残念娘がだ。目頭が熱くなるのも仕方がないだろう。

 いつも僕の側に居たから他の人形たちと上手くやっているのか心配だったのだが、これからは大丈夫だろう。G11を通じて、他の皆とも交流するようになると良いと思う。

 

 ただ、無味無臭料理を振る舞う相手に僕以外を巻き込むのは止めてあげてほしい。G11のなんとも言えない表情を見たのも初めてだ。そして自分だけ食堂の定食を食べるのは、分かってやっているのか。自分の料理を一口でも食べるべきだと思う。頼むから。

 




 ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

 416とG11のコンビは良いですよね、大好きです。
 回を進めるごとに416を残念にしていきたい心意気。これ以上落とせるのかは疑問ですが。いや落とせる。416のポテンシャルを信じろ。


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僕の副官とポニーテール

 一日で三話更新できました。日記形式はどんどん筆が進むぜぇ。

 私は「どんな人でもカレーは不味くならない」説を推してます。



 5月9日 晴れ

 

 僕の感動を返してほしい。

 G11の面倒を見るようになった416だが、執務室で彼女の面倒を見ても執務室に一人増えただけだ。彼女の交流が増えるわけじゃない。僕の傍には居なくていいから、もっと他の人形たちとプライベートの関係を広げてほしい。

 だが、まだあれから二日しか経っていないのも事実だ。きっと、僕の見えない所ではそれなりに交流している、と信じたい。職務中、食事中、睡眠中は僕と一緒に居るわけだから、彼女が一人になる時間がとても少ない事からは目を逸らそう。

 

 ちなみに、今日の夕飯はオムライスだった。無味無臭料理を楽しみしている自分が居るのが悔しい。いいんだぞ、G11。君の反応が正常だ。

 

追記

 

 自分のサポートをする副官とは言え、十分なプライベートの時間を設けてあげるべきだ。その時間は、自分に近付かないようにと言うと良いかもしれない。

 あと、風呂の時間は死守した方がいい。それは最後の防衛ラインだ。見られながらは全く落ち着かないとだけ言っておく。

 

 

 

 5月12日 晴れ

 

 久しぶりに、傍に誰もいない時間を過ごした。416とG11が警備の仕事に行ったから、彼女たちが基地に居ないのだ。

 昼寝をしていたカリンを取っ捕まえて、彼女と一緒に執務をこなした。416が居ないとここまでスムーズに仕事が終わるのかと驚いた。最近驚きすぎではないだろうか。416達が帰ってくる頃には、明日の分の書類仕事まで終わっていた。

 ただ、一つ気になる事がある。黙って手を動かすのに飽きたカリンといくつか雑談をしたのだが、その中に好きな女性の髪型という話題があった。妻がよくポニーテールにしていたことを思い出したので、ポニーテールだと答えたのだが、そうしたら、帰還した416の髪型がポニーテールになっていた。出ていく時には降ろしていた筈なのに、どういう心境だろう。G11が何か言いたげな顔をしていたのも気になる。

 

 今日は蕎麦だった。一から手作りは凄いのだが、どうしたらめんつゆの味が消えるのだろう。水に着色しただけじゃないのか、これ。

 

追記

 

 こまめに部屋の掃除をしよう。思わぬ物が見つかるかもしれない。盗聴機とか盗聴機とか盗聴機とか。一部屋三つとは念を入れすぎではないだろうか。あとトイレは止めなさい。

 

 

 

 5月13日 晴れのち曇り

 

 今日も416はポニーテールだった。尻尾を揺らして抗議をする姿は可愛らしいと思う。内容が盗聴機を撤去したことについてでなければだが。自分の方に義があるという彼女の態度に、寧ろ僕が悪いことをしたんじゃないかと思った。錯覚だった。

 あと、カリンとG11までもがポニーテールにしていたのは驚いた。二人とも気分だと言っていたが、髪の手入れを面倒くさがるG11が髪型に気を配ることには、少しだけ感動した。416と関わる中で、彼女の中も成長したのだろう。このまま真人形に育ってほしい。絶対に416のようにはなってくれるな。

 その416だが、彼女がポニーテールにしたのは、どう考えても昨日のカリンとの会話を聞いていたからだろう。ちらちらと僕を見てくるのが鬱陶しかったので、いつもの髪型の方が好きだといったら、次の瞬間には何事もなかったかのように髪を降ろしていた。こいつ……

 

 今日の夕飯は、ステーキだった。ただ焼くだけなのに味を消すとは、彼女は錬金術師なのだろうか。無心で味のしない肉を口に運ぶG11の姿に涙が零れた。

 

 

 

 5月14日 晴れ

 

 気付いたらカリンとG11の髪型も元通りになっていた。そして、他の基地の人形たちがポニーテールになっていた。どういうことなの。

 

 カレーを無味無臭に出来るのは、もう才能だと思う。

 




 ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

 カレーでも勝てなかったよ……
 
 個人的にはポニーテールは好きじゃないです。でもうなじは好きです。髪も長い方が好きです。つまり長い髪をかきあげて見えるうなじのチラリズムがですね(後書きはここで途絶えている)


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僕の副官とバイオリン


 この作品の評判がかなり良くて驚き半分嬉しさ多分のゆーりです。416可愛いからかな。めっちゃ可愛いですよね、416。



 

 5月16日 曇りのち雨

 

 バイオリン良いよね、と言ったのが原因だったのだろう。416がバイオリンになっていた。正確にはバイオリンの着ぐるみを着ていた。彼女はとても優秀な人形だったはずなのに、何が彼女を残念にしてしまったのだろう。クールだった頃の彼女を返してほしい。

 ちなみに416バイオリンだが、G11が弾きこなしていた。中に空洞はないはずなのに、どうやって音を響かせているのだろうか。あと、持ち方がコントラバスだった。身長の関係から仕方ない事だろうが、指摘したらバイオリンサイズになるのだろうか。彼女ならやりそうで恐ろしい。

 

 今日の教訓は、いくら人形が高度なAIを持っているからといって言葉を省略しては駄目だということだ。駄目なのはうちの416かもしれないが。

 

 無味無臭料理とはいえ作ってくれるのはありがたいのだが、せめてバイオリンは脱いでほしい。気になってしまって食事に集中できなかった。

 

 

 

 5月18日 雨

 

 流石に着ぐるみは違うと気付いてくれたのか、416が本物のバイオリンを演奏してくれた。最近アレな事続きで残念さが目立つが、本来の彼女はクールで完璧主義な向上心の塊なのだ。初めてバイオリンの生演奏を聞いたが、とても素晴らしい演奏だった。G11も真剣に聞き入るほどだ。おそらく、昨日一日中練習したのだろう。

 

 そう、昨日一日中、だ。彼女は僕の副官で、普段は仕事の補佐を頼んでいる。彼女が基地を出ていて居ない時はカリンや他の人形に予め代理をお願いしているのだが、昨日は彼女が来るものだと思っていたので誰にも頼んでおらず、結局僕だけで仕事をすることになった。執務室にG11は居たが、手伝ってはくれなかった。

 僕のためにバイオリンを練習してくれたのは嬉しいが、それとこれとは別である。久しぶりの制裁チョップが416を襲った。

 

 今夜はまたカレーだった。416曰く反応が良かったからだそうだが、その反応は「誰が作っても不味くならない」カレーを無味無臭にした事に呆れを通り越して感心していただけで、食べている間は無心だった。多分シチューをご飯にかけましたと言われても気付かないだろう。

 

 

 

 5月20日 珍しく雪

 

 仕事に手がつかない。G11にも心配されてしまった。

 何だかんだ言って、彼女は僕の中で大きな存在になっていたらしい。

 早く良くなる事を祈る。

 

 食堂のタダ同然の定食を前に「美味しくも不味くもない」と言ったが、久々に食べたら全然美味しくなかった。

 416の料理の方が美味しい、かもしれない。

 





 ここまで読んでくださり、ありがとうございます。


 416「私がバイオリンになることだ」

 これ後任に残す引き継ぎ文書の側面もあるって最初に書いてるのにほとんど416残念日記ですよね、詐欺かな?
 
 バイオリンを弾くおんなのこがすきなのです。


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僕の副官の家出


「家出」という単語には少しだけ思い入れがあります。小さい頃は親に反発して、よく家を飛び出したものです。同じくらい家を追い出されましたが。
 だけど、一度だけ全く違う理由で家出をしたことがありました。今回のお話は、その時を思い出して書きました。

 つまり、今回は416の奇行はないです(料理は除く)。



 

 5月21日 曇り

 

 416が復帰した。修復に時間が掛かったのは、ズタズタに断ち切られていた左腕の疑似神経を繋げるのに手間取ったからだと聞いている。それ以外の損傷にはそれほど時間が掛からなかったそうなので、それほど左腕の損傷が酷かったのだろう。

 そういうわけで今日から416が副官をまた務めてくれたのだが、頻繁に左腕を気にしていた。修復したばかりでまだ違和感があるのだろうか。大丈夫だと言っていたが、もし酷いようなら休みを申請するように伝えた。

 その他に一つ気になったのは、彼女が執務中も手袋をしていたことだ。いつもは外しているのに、どうしたのだろうか。聞いてもはぐらかされたので深くは追及しなかったが、傷が残っているなら直してもらった方がいいと思う。女の子なのだから

 

 久しぶりの無味無臭料理は、天丼だった。素材の味を完全に殺す手際は健在なようで安心した。美味しいとは言っていない。

 

 

 

 5月22日 雨

 

 やはり左腕の違和感が大きかったのだろう。416が休みと外出を申請してきた。勿論受理し、安静にするように伝えた。返事に元気が無かったので、かなり無理をしていたのだろう。気付かなかったことを申し訳なく思う。

 今日から暫くはG11に副官を頼むことにした。寝てばかりの彼女だが、任せた分はその日の内に終わらせてくれる。提出はその日の内にしてほしいのだが。書類は枕では無いと言っても聞いてはくれないだろう。

 

 416が外出しているため、夕飯をまた食堂の定食で済ませようと思っていたのだが、食堂には416作のおでんが作り置きされていた。温め直していただいたのだが、無味の出汁が無味の食材に染み込んでいて大変無味だった。

 

 

 

 5月23日 雨

 

 G11から聞き、自分でも確認したのだが、416が外出してから戻ってきていない。カリンに頼んで416が申請していた外出先に行ってもらったのだが、誰も彼女の姿を見ていないという。携帯端末で彼女に連絡を試みたが、彼女からの応答は無かった。

 基地の人員を総動員して捜索しているが、これを書いている今でも彼女の行方は分かっていない。

 一応日記を読み返しているが、ヒントになりそうな記述は見当たらな

 

 

 

 5月24日 雨

 

 ようやく家出娘を捕まえた。

 まさか同じ相手に二度も指輪を渡す事になるとは思わなかった。今度は薬指ではなく、ネックレスにして首に掛けたのだが。

 柄になく走ったり、雨に打たれてびしょ濡れになったから、とても疲れた。今日は早く寝る。

 

 

 416が無事でよかった。

 

 

 





 ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

 何がどうなったのかは、ご想像にお任せします。手抜きじゃないです。想像を促してるだけです。ほら読む人の数だけ物語があるって素敵じゃないですか? はいごめんなさい。

 ただ、416のために指揮官が雨の中走り回った事だけは覚えておいてください。


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僕の副官と看病

 看病といえばガ○ガ○君ですよね。え、違うんですか?

 すりおろしたリンゴが苦手な今日この頃、あまりの好評にビビりながら投稿です。みんな416が好きなんだなぁ。



 5月25日 曇り

 

 やはりと言うべきか、風邪を引いてしまった。昨日は疲れていたし、風呂にも入らないまま寝てしまったので、まあ当たり前だろう。カリンに通常業務は任せたので、心配はないはずだ。

 ということで今日は自室でゆっくりとしていたかったのだが、そんな僕の望みは彼女によって断ち切られた。勿論416である。看病してくれるのはありがたいが、事ある毎にリンゴを勧めてくるのは止めてほしい。僕の胃にだって許容量がある。

 結局彼女が満足するまでリンゴを食べさせられた。断るととても悲しそうな顔をするから、食べるしか選択肢がないのだ。

 

 一つ発見したのだが、リンゴの皮剥きでは味は無くならないらしい。だからなんだという話だが。

 

 

追記

 

 夜中に違和感を感じて起きたら、左腕が416にがっちりとホールドされていた。柔らかさを感じる感覚が無い。おそらく血流が止まっている。

 

 

 

 5月26日 晴れ

 

 風邪が治っていた。やはり健康体は素晴らしい。

 ということで、今日から執務を再開したのだが、実はあまりやることが無かった。昨日の内にカリンとG11が仕事をほとんど終わらせてくれたらしい。病み上がりだからと気遣ってくれたのだろう。二人には感謝している。ただし、書類がよれていたりへこんでいたのは別である。枕にするなと言っているのに。

 

 数枚の書類に判子を押して、昼寝魔二人を折檻し、その後にゆっくりとティータイム……とはならなかった。ご存知416である。前々から面倒見が良いとは思っていたが、昨日あたりから過保護になりすぎている気がする。何をしようとしても「私がやるわ」と、僕の仕事を奪おうとするのだ。僕は判子も持てない赤子だと思われているのだろうか。

 結局、416を説得し、僕がやらなければいけない仕事だけは確保した。説得の時間がなければ余裕で終わっていたことを併記しておく。

 

 彼女の手に掛かればカップラーメンも無味無臭になる。お湯を注ぐという行為のどこで味を消したのだろう。コツでもあるのだろうか。

 

 

 

 5月30日 晴れ

 

 最近、416がベッドに潜り込んでくる。カリンに唆されたのかと思ったが、聞けば彼女の自主意思らしい。確かに夫婦は寝床を共にするものだが、意味が違う。誰かこのポンコツ娘に教えてあげてほしい。僕は無理だった。

 正直に言って、朝起きると隣に416が居るのは心臓に悪い。中身は残念でも見た目は良いのだ。

 それをG11に相談したところ、彼女も416の行動に思うところがあるようで、今日中に手を打ってくれるらしい。いつもはだらしない彼女が頼もしく見えた。報酬として質の良い寝具を要求されたが、それくらいお安いご用だ。

 

 今日の416ご飯は寿司だった。過去に見た映像資料を真似て食べたのだが、G11に醤油のつけすぎを注意された。

 

 

 

 5月31日 曇り

 

 G11、違う、そうじゃない。君がベッドに潜り込んでも何も解決しない。結果として僕の両腕が動かなくなるだけだ。

 




 ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

 G11のエントリー、416は(自称)妻の余裕で迎え討つ!
 
 なおG11的には指揮官=抱き枕な模様。ホの字ではないらしいですよ、彼女曰く。


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僕の副官とパーティー


 お久しぶりです、難産でした。

 日記形式は前半だけです。ついに、私も日記形式を貫くことをやめてしまった……



 

 6月3日 晴れ

 

 クルーガーさんからパーティーに招待された。グリフィン&クルーガー主催のパーティーで、支援者への返礼と喧伝を兼ねたものらしい。会場は僕でも聞いたことがあるくらいの高級ホテルで、クルーガーさんの意気込みが見てとれた。

 当然了承したのだが、護衛として数人の人形を連れてくるように言われた。喧伝ということで何となく予想していたが、実際に戦術人形を見せてアピールするつもりなのだろう。流石に、実戦はさせないとは思うが。

 

 取り敢えず、当日までに連れていく人形を選ばなければならない。パーティーに出席するのだから、護衛だとしても彼女達のドレスも用意する必要があるだろう。僕も、スーツを引っ張り出さないと。

 

 

 追記

 

 後任にアドバイス。指揮官になれば、パーティーに呼ばれる事もある。いつ招待されても良いように、スーツないしドレスは用意しておいた方がいい。見つからないと懐を痛める事になる。

 

 

 

 6月6日 曇り

 

 護衛の人形達のドレスはグリフィンが用意してくれるらしい。彼女達の希望をまとめ、グリフィンに送った。人形たちの利点は、規格が同じところだ。身体成長がないから、一々採寸する必要がない。

 留守番を頼むカリンには、後日に埋め合わせをすることを約束した。衣装カタログを見ていたので、また財布が軽くなるのだろう。

 

 スーツもグリフィンが用意してくれるらしい。もっと早くに教えてほしかった。

 

 

 

 6月20日 晴れのち雪

 

 今日がパーティーだった。支援者への挨拶は緊張したが、料理は美味しく、それなりに楽しんだと思う。護衛の人形達も、本部所属の人形達と交流したり、料理に舌鼓を打ったりと楽しんでいた。

 会場には珍しい顔もあって、久しぶりにペルシカと話した。どうやら研究は順調らしい。秘匿情報故にここには書けないが、楽しみなことも増えた。

 途中で酔った416に付き添って会場を出ることにはなったが、楽しいパーティーだった。

 

 一つ、反省があるとするなら、見て覚えても実践できるとは限らないということだ。次の機会までには、踊れるようになろう。お互いに。

 

 

☆ ★ ☆

 

 

 楽しげに談話する指揮官とペルシカ。その二人を見ていると、416の胸中にほの暗いものが顔を覗かせる。

 それを飲み下すようにシャンメリーを飲み干すが、依然としてそれは残っている。むしろ、少し大きくなった気がする。

 

「なに怖い顔してるのさ」

「は? 怖い顔なんてしてないけど。私は普通よ、普通」

 

 いつの間に起きたのか、G11がスパークリングワインをちびちびと飲んでいた。その視線は416から指揮官達へと移る。

 

「……はーん、嫉妬かぁ」

「別に、嫉妬じゃないわよ。指揮官が誰と一緒に居ようと私には関係ないし、今の時勢なら一夫多妻制だって……」

「鏡見なよ」

 

 そう言って、G11は懐から取り出した手鏡を416へと向けた。そこに写っていた顔は眉が寄っていて、心なしか口角が下がっている気がする。

 

「……慣れない場所で気疲れしてるだけよ」

「あーはいはい、そーですねー」

 

 G11は呆れたように言い捨てて、またちびちびとスパークリングワインに口を付ける。その様子にムカッときて、416はG11の頬を引っ張った。

 

「わあっ、何すんのさ!」

「うるさいわね、ただ頬を引っ張っただけじゃない」

「強すぎるんだよ! これはれっきとしたいじめだ!」

 

 うるさいので離してやると、G11は頬をさすって、恨みがましく416を睨んだ。

 

「不機嫌になってあたしに当たるなら、指揮官のところに行けばいいのに……」

「だって、今行ったら邪魔になるし……」

「……416が、遠慮してる……!?」

「アンタ、私を何だと思ってるの?」

「自意識過剰ポンコツ人形」

「殴るわよ」

 

 ぎゃっと悲鳴を上げて、G11が頭を押さえた。なぜか、416の手は握り拳を作っていた。それを不思議に思いながらも、416は口を開く。

 

「今度余計な事言ったら、本当に殴るから」

「もう殴ったじゃん……」

 

 頭を押さえたまま、G11はテーブルに突っ伏す。

 

「もうさ、お酒の力でも借りれば? 酔った勢いで指揮官を独り占めしなよ」

「私、飲酒禁止されてる……」

 

 その時、416の頭に妙案が浮かんだ。

 

「……そうよね、酔ってしまえばいいのよね」

「あ、なんかマズイこと言ったかも」

「そのグラス借りるわよ」

 

 言うより早く、416はG11のグラスを手に取り、中身を自分のグラスに移す。そして、何も入っていない方のグラスを呷った。

 

「……よし、行ってくるわ」

「……もうどうでもいいや。行ってらー」

 

 適当に手を振るG11を背にして、416は指揮官の方に歩き出す。体を揺らして、さも酔っているかの様に装う。

 

 そして、ペルシカと会話している指揮官にもたれかかり。

 

「……しきかぁん……わたし、よっちゃったぁ……」

 

 素面では絶対に出さない、甘い声を出した。

 

 

 

 指揮官は固まっていた。416が甘えるような声を出したことではなく、その言葉の内容に。

 

「……え。あの、416?」

「なんかぁ、ふわふわしててぇ……ぇへへ……」

 

 ああ、これは酔っている。もし素面でこれなら、彼女がぶっ壊れたとしか思えない。

 指揮官は目の前が真っ暗になりかけた。だが、ここが基地ではないことを思いだし、何とか意識を保つ。

 

「ごめん、ペルシカ。ちょっと部下を介抱してくる……」

「うん、大丈夫だよ。キミと久しぶりに会って話せて良かった。……じゃあ、またね」

「ああ、また」

 

 ペルシカとの挨拶を済ませ、416に肩を貸す。完全に脱力していて、少しだけ重いと思った。

 

「ほら、416。外に出よう」

「ふへへ、しきかんのにおいー……」

 

 本格的に絵面がまずくなった。これ以上彼女の痴態が広まらない内に、何より彼女の為に、急いで会場を抜け出した。

 

 

 

 ホテルの中庭には、大理石の噴水が設置されている。その傍に置かれたベンチに、416と指揮官は座っていた。

 

「416、大丈夫かい?」

「……大丈夫よ」

 

 そう言う416の顔色は、まだ朱を帯びている。それが酒気なのか羞恥なのか、指揮官には判別がつかなかった。

 

「まだ酔いが残ってるなら、水をもらってくるけど……」

「本当に、大丈夫だから……」

 

 そう言って、416は手で顔を覆う。彼女は酔っている間の記憶が残るタイプなので、おそらく先ほどの自分を思い出して恥ずかしいのだろうと、指揮官は予想を立てた。

 会場から音楽が流れ始める。世間には疎い指揮官でも知っているヒットソングで、歌っているのは会場にいた人形達だろうか。たしか、余興の一つとしてそんな種目があった気がする。

 

「この曲、何だったかしら……。聞いたことはあるけど……」

「あれ、知らなかった? たしか……」

 

 そう言って、指揮官は曲名を口にする。それで416も思い当たったらしく、あれね、と呟いていた。

 

「たしか、振り付けがついてるのよね」

「そうそう。舞踏会で踊るような本格的なダンスでね。今日のパーティーでも、参加者がこれに合わせて踊るらしいよ」

 

 指揮官は事前に貰っていたプログラムの内容を思い出し、416に伝える。すると、彼女は少し考えてからすっと立ち上がり、指揮官へと手を差し伸べる。

 

「なら、私たちも踊りましょう?」

 

 月を背負ってそう言う彼女に、指揮官は見惚れた。風に乗ってふわりとふくらんだ銀の髪が、月の光を反射して煌めく。浅緑色の瞳が、宝石のように輝いている。

 しばらく見つめ合っていた二人だったが、416の瞳が不安げに揺らめいたのを見て、指揮官は苦笑して立ち上がった。

 

「そういうのは普通、男から誘うものだよ」

「だって、指揮官は誘ってくれないじゃない」

「……それは、どうかな?」

 

 頬を膨らませる彼女に、指揮官は手を差し出す。

 

「ーーレディ、どうか僕と一曲、踊ってくださりませんか?」

 

 416の目が大きくなる。差し出していた手が、彼女の胸元へと移動する。そして、首から下げていた指輪を、包むように握った。

 それを見て指揮官は、彼女があの時渡した指輪を身に付けていたことにようやく気付いた。

 もしや、先ほどの酔いは演技で、彼女は嫉妬して僕を外に連れ出そうとしたのではーーなんて妄想が、ふと思い浮かんだ。

 真偽を聞いてみたい気もするが、それよりも彼女の返事だと、指揮官は416の瞳を見つめ続ける。

 

「ーーうそ。夢じゃないわよね?」

 

 やっと彼女の口から出てきた言葉は、それだった。指揮官は苦笑して、

 

「人形は夢を見ないんじゃなかったっけ」

 

 と言った。

 416の顔が、先ほどよりも紅潮する。今回の原因は、指揮官にだって分かった。

 

「ほんとうに、良いのかしら?」

「それは僕の台詞だよ。そもそも、先に誘ったのは君だろう?」

「そうだけど……でも……!」

 

 416は中々答えを返してくれない。少しだけ焦れた指揮官は、彼女を焚き付けることにした。

 

「もしかして、ダンスに自信がない?」

「なっーーーー!」

 

 指揮官が放った言葉は、的確に416に刺さった。完璧を自称する彼女が、次に放つ言葉は、決まっている。

 

「わ、私は完璧な人形なのよ!? ダンスだって完璧に決まってるじゃない!」

「それじゃあ、踊ってくれますか?」

「当たり前よ! 寧ろ、指揮官が私の足を引っ張らないか心配なくらいね!」

 

 そう言って、416は指揮官の手を取る。指揮官は苦笑しつつ、彼女を抱き寄せた。

 

「あっ……」

「それじゃあ、次のフレーズから入ろうか。ワンツーのステップから……」

 

 そうして、二人は踊り始める。

 

 その躍りを見届けるのは、月と、友人を心配して見に来た一人の人形だけだった。

 

 

「えっ、ちょっと!? 落ちる落ちる助けて指揮官!!」

「416ーーーー!?」

 

「……なにやってんのかねー……」

 

 





 ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

 416のドレススキンから着想を得たお話でした。あれは誘ってる(ダンスに)。

 それはそれとして、416はダンスがお下手だと思うんですよ。足もつれさせて転びそう(偏見)。公式では身体能力に秀でてるそうですけどね。でもセンスは別物だって私信じてる。

 G11は416と妹したり姉したりしろ(して)。


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僕の副官と成長

 ハロウィンスキンガチャを控えコインを溜め込む中で投稿です。皆さんは誰狙いですか? 私はWA2000とG11(強欲)。

 人間は「成長」で、AIは「学習」。では、高度な知能を持ったAIは「成長」? それとも「学習」?
 私は、ーーだと考えます。



 6月23日 晴れ

 

 近々、人形が派遣されてくるらしい。詳細は知らされてないが、彼女の実地試験を兼ねていると聞かされた。

 最近、僕の下に機密情報が多く回ってくるようになった。信用されているなら嬉しいが、少し恐ろしくもある。警備を強化する必要があるだろうか。

 なんて事を416に相談したら、早急に手を打つと言ってくれた。前に盗聴機を仕掛けた実績を持つ416さんである。ハッカーに対抗するにはハッカーを雇え。同じ穴の狢に少しだけ期待している。

 

 そういうわけで416が作業に入ったため、今日の料理担当はG11だった。僕は食堂でも良いと言ったのだが、彼女が「珍しくやる気をだすから」と言うので、その提案に甘える事にした。

 正直、そこまで期待はしていなかったのだが、G11は意外と手際が良かった。416と比べれば幾らかは劣るのだが、それでも僕よりは包丁の扱いが上手かった。完成品も、だらだらしている普段の彼女からは予想ができないほど、整ったものだった。

 

 味はお察しである。H&K社製の銃を持つ人形の宿業なのだろうか。自分でも食べて首を捻っていた分、416よりはマシだが。

 

 

 

 6月24日 晴れ

 

 416は期待を裏切らなかった。トイレの個室全てに監視カメラが設置されていた。隠し方が前より巧くなっていたので、隠れて研究を重ねていたのだろう。

 当然、明らかに不必要なものは撤去した。僕は盗撮の許可は出していない。盗聴で我慢しなさい。 

 しかし、要らないものを取り除けば、彼女が構築した防犯システムは素晴らしかった。特殊部隊が侵入しようとしても、少し手こずるだろう。

 一応は任務達成ということで、416には酒以外の報酬を約束した。高価すぎるものは無理だがなるべく要望には答えると伝えたら、彼女は悩んで、後日要求すると言った。食事中に銃のオプションパーツカタログを眺めていたので、その中のどれかになるのだろう。値段確認ということで後でこっそり見てみようと思う。

 

 昨日G11に料理を作ってもらった事が416にバレて、G11が作ったものと全く同じものをまた食べる事になった。どっちの方が美味しいかと聞かれたが、どっちもどっちである。僕の持つ全ての交渉スキルを駆使してはぐらかした。

 

追記

 

 オプションパーツって、スーツ一式より高いのが当たり前なのだろうか。それとも、416が欲しがっているのが質が良いものだからなのか?

 複数に丸を付けてあったが、何とか頼んで一つに絞ってもらおう……

 

 

 

 6月26日 曇り

 

 財布の杞憂は必要なくなった。二日間悩んだ416が希望したのは、僕とのデートだった。そんな事で良いのかとは思ったが、彼女が強く希望したので、次の彼女の非番の日にデートすることを約束した。デートプランは全て彼女が考えるそうだが……不安だ。G11に頼んでそれとなく聞き出してもらった方がいいだろうか。

 

 それはそれとして、今日、カリンが注文した衣装が届いた。浴衣やら作業着やらぐるぐる眼鏡やら、仮装用としか思えないラインナップだった。

 ただ、その中の一つに「学生服」があったのを見て、何とも言えない気持ちになった。今は学校に通う方が珍しいとは言え、娘くらいの年齢の子が僕と同じ職場で働いているのはーーそれぞれの事情があるのだろうけど、複雑だ。

 

 平和には程遠い今だが、小さい娘が大人になる頃には、命のやり取りを考えなくても良い時代になっていて欲しいと思う。民間軍事会社の社員としては、おかしな考えだろうけど。

 

 

 久しぶりに、冷たいコーヒーが飲みたくなった。

 

 

追記

 

 派遣される人形は、H&K社製のサブマシンガンを持っているらしい。本来は一人だけだったのだが、事情により二人になったという。通信で少しだけ話したが、活発な子と大人しめな子だった。416とG11とは違ったタイプの人形なので、合わせてみたい。

 

 料理について聞いたら、笑いが返ってきた。どっちだ。

 

 




 ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

 H&K社製のサブマシンガンを持った人形……一体なにMPなんだ……?

 ちなみに、彼女たちは物語の核心に触れるので出てくるのはちょっと先です。勘の良い人は分かるかも?


 416は絶対デートプランを練ってくる。そしてG11にダメ出しされて頬をつねる。


 10連で来た!10連で来た!(素振り)


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私の指揮官


 お久しぶりです。ハロウィンもクリスマスもわーちゃん狙いで爆死し、新年のカルカノ姉妹は何とか勝ち取ったゆーりです。今は一周年スキンの面子に震えています(気が早い)。

 わーちゃん……! 416……! 春田さん……!



 

 4月16日 雪

 

 指揮官に日記帳を渡された。この前の任務達成のお祝いと言われたけれど、記憶を記録として残しておける人形に日記帳が必要とは思えない。

 

 

 まあ、貰ったのだし、折角だから使ってみるけれど。文字に残すことで、記憶の整理にも繋がるかもしれないのだし。

 とはいえ、何を書こうかしら。この基地に配属されてから、特段何かあった訳でもないし。今だからこそ書いておくことなんて、何かあったかしら……

 

 

 

 4月17日 雨

 

 いつもと同じく、滞りなく業務を終わらせた。指揮官と私と、あとは数体の人形しかいない基地の業務なんてたかが知れているけれど。だから、褒められるほどのものじゃない。

 

 

 昨日は思い付かなかったけれど、「今の」私の指揮官について書いておくのも良いかもしれないわね。あんな、私には相応しくない指揮官なんてそのうち左遷されるでしょうし、記録からも消えないうちに残しておきましょう。

 

 年齢は30代前半ってところかしら。顔はまあまあ、無精髭が生えているし、身だしなみには気を回してないらしいわね。ちょっと気遣えば見違えるでしょうに。指輪の類は見つからなかったから、おそらく独身かしら。

 グリフィンの重役(おそらく幹部か、もしくはその上。社長?)と何かしら繋がりがあるらしいけれど、そうとは思えないくらい頼りない体格をしてるわね。第三次世界大戦を生き延びた事を褒めてあげたいくらい。とても自分から民間軍事会社に入社するような人には思えないし、コネ入社ってやつかしら。

 最近戦術指揮官になったらしいけれど、その技量はどれくらいのものなのかしら。人形が本来の力を発揮するには人間の指示が必要とはいえ、足を引っ張るようでは困るわね。ま、そこはいずれお手並み拝見というところかしら。書類仕事の手際も並だし、そこまで期待はしてないけれど。

 人形に過剰に絡まないのは評価してあげてもいいかもね。ちゃんと上司と部下の線引きができているみたい。中には部下の人形に手を出した指揮官候補とやらも居たらしいし、そんな奴じゃないことだけは良い点かしらね。まあ、私に相応しい指揮官には当たり前のことだけど。

 

 ちょっと書きすぎたわね、今日はここまでにしておこうかしら。

 人の悪口を言うとき、人は盛り上がるらしいけれど、その気持ち、何となく分かったわ。

 

 

 

 4月18日 雨

 

 指揮官からショートケーキを貰った。富裕層地区に出向く用事があったらしく、その帰りに買ってきたらしい。3つあったので、私と指揮官で1つずつ、残りの1つはじゃんけんでどちらが食べるかを決めた。

 

 

 私は負けたけれど、潔く指揮官に譲ったわ。完璧な人形は賭けに負けても執着しないのよ。決して引き摺ったりしないのよ。

 まあ、辛気臭い顔をしていたし、それで少しでも元気が出たならいいんじゃないかしら。何があったのかは知らないけれど、暗い顔のまま業務をされたら、気になってこっちまで業務に支障がでてしまうのだし。

 

 

 別に、心配なんてしてないから。

 





 ここまで読んでくださり、ありがとうございます。


 はい、416の日記でした。時系列的には「僕の副官」の一年前になります。まだ416がざんねんじゃなかったころデレてない頃です。でも貰った日記帳に三日連続で書いている辺り……因みに"今も"欠かさず毎日書いているそうですよ。

 重ねて因みにですが、指揮官の事を416はそれなりに評価しています。ただ、「完璧な私がこんな並程度の指揮官を好きになるなんてそんなまさか。まあ、左遷されるまでは側に居てあげてもいいけど?」と思ってるだけです。また416の日記は書きたいですね。


 深層映写楽しみですね(資源から目を逸しつつ)。


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