FSS調査部第17課レポート (秋月 皐)
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FILE-25EF-2563 フルアーマーガンダム
Federation Survey Service
FILE-25EF-2563
Product-Earth Federation
“FA-78-1 FULL ARMOR GUNDAM”
・概要
FA-78-1通称『フルアーマーガンダム』は地球連邦軍により提唱されたFSWS(『Full-armour System and Weapon System』あるいは『Federal Suit Weapon System』)と呼ばれるプランに基づいて設計されたRX-78-2 ガンダム(以下RX-78と呼称)強化プランの一つで、同じFSWS計画で設計されたFA-78-2 ヘビーガンダムとは姉妹機とも言える存在だ。ヘビーガンダムが重装甲・重武装の重戦用MSとして『RX-78を再設計』するのに対し、フルアーマーガンダムはガンダムに装甲(Full-armour System)及び装備(Weapon System)を追加する事で『RX-78を重装備化』させるプランである。
・機体性能
追加装甲を装備した事で重量は原型機であるRX-78の1.4倍以上の62.5t(19.1t増)となってしまい、全体重量に関しては1.5倍以上の93.1t(33.1t増)に達している。
重量を補うべくスラスターが増設されはした物の、推力は僅か1.09倍の60,500 kg(5,000 kg増)である。当然、増加した重量を賄える程の推力はなく、機動力はRX-78に大きく劣る物であると考えられる。
・武装
主兵装である2連装ビームライフルは通常のビームライフルを二門同時に発射する事で火力を増強する事ができると同時に、ビームライフルの問題点であった連射性能を2連装ビーム・ガンと同様に、交互に発射する事で補う事が可能であるとされている。
しかし、本機の出力はジェネレータが増設されたわけでも無い為RX-78と変わない1,380 kWである。
二門のビームライフルを同時に発射したのであれば、多少の改善はされてあるであろうが、ビームライフル二発を撃っただけの再充填が必要なため、二門同時発射の際は必中させる必要があったのでは無いかと推察する。
そうであったとするならば、本機に搭乗するパイロットは非常に卓越した射撃センスを持つ物に限られたであろうことは想像に難くない。
特筆すべきはやはり右背部の360 mmキャノン砲だろう。これは同じくキャノン砲を装備するRX-78-6 ガンダム6号機(マドロックとも呼称)の装備する300 mmキャノン砲を上回る大口径であり、砲門の数こそ右背部の一門に減ってしまってはいる物の、左背部に増設されたセンサーユニットと同期する事で、高い命中精度を実現し、対艦戦闘における主兵装として十分な性能を発揮していた物と考えられる。
肩部・膝部に装備されたミサイル・ベイについては誘導方式や弾頭の詳細等の一切が不明である。ミノフスキー粒子散布下において有効なミサイル誘導方式としては赤外線ホーミングと画像誘導の二つが挙げられるが、不明なままだ。いずれにしても左背部のセンサーユニットと同期しているのであろうと考える事が出来る。
また、上記の専用装備とは別にRX-78固定の頭部バルカン砲や通常のビームサーベルも装備している。重装甲でありながら近接・格闘戦を行える物ではあるが、右腕部には固定武装である二連装ビームライフルが、背部にはキャノン砲があるため、取り回しにはかなりの難があり、決して近接戦が得意とは言い難い。
・その他
そもそも本機は生産されておらず、あくまでペーパープランの機体だと言う説が以前までは強かったのだが、現在までに二機の存在が確認され、交戦記録が提出されている。
一つは一年戦争末期、アフリカ大陸ジオン軍採掘基地にてジオン公国地球攻撃軍第四地上機動歩兵師団第七モビルスーツ大隊F小隊(通称『ブラウアー隊』)との交戦記録である。
この戦闘はフルアーマーガンダムとジオン公国軍のMS-09G ドワッジが交戦したと言う物であり、激戦を繰り広げた結果、フルアーマーガンダムは撃破されてしまったと言う物だ。
直後、増援として到着した独立機械化混成部隊SRT-ユニット1の活躍によりジオン軍は鎮圧されたとされており、鹵獲したドワッジから交戦記録を提出されているため、信頼性はかなり高い物と考える。
二つ目はハインツ・ベア中尉が本機に搭乗し、ソロモン攻略戦やサイド6リボーコロニー沖におけるジオン核攻撃部隊阻止、ア・バオア・クー攻防戦に参加したと言う物である。
ハインツ・ベア中尉はMS37機、艦艇2隻を撃沈し、連邦軍7位のスコアを持つエースパイロットであるが、交戦記録が現在までに見つかっておらず、搭乗機体がフルアーマーガンダム以外に確認されていない事から情報が不確かであり、この情報は地球連邦軍のプロパガンダの一環だと言う説が上がっている。
FSWS計画が難航していた事を鑑みると、二機が生産されていたとは考えにくく、ドワッジの交戦記録が真実であると考えるのが当然ではあるのだが、今後ハインツ・ベア中尉に関する情報が提供される可能性も存在する為、二機のフルアーマーガンダムが生産されていた可能性を否定する事は出来ない。
いずれにしても、素体となるRX-78がどこから来たのかと言う疑問が残っているが、これに関してはRX-78[G] 陸戦型ガンダムと同様にRX-78の規格落ち部品の中でも陸戦型ガンダムとして再利用するには惜しいような部品を掻き集めて、劣化版RX-78を素体にしたという説や、ブラン・リヴァルに搭載されたRX-78-3 G-3ガンダムと同様に、ホワイトベース隊がサイド7で回収したRX-78の部品からRX-78を組み上げたと言う説が存在している。どちらにしても不確かな物だ。
何かと物議を醸している本機ではあるが、現時点までで分かっている事は以上である。
新たな情報が入る度に新たな報告書が提出されるだろう。
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