遊戯王 振り子使いの少年と連鎖使いの少女 (DICHI)
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オリキャラ設定(2021年4月1日改定)


遠藤 遊輝

 

前世 17歳 現在 15歳→16歳(第二章開始時点)

 

誕生日: 12月12日

 

シグナーの痣:太陽

 

外見:腰までの黒髪、大きな目で見た目は女性、身長が150手前しかないので女子小学生と間違える事も、緑色のチェニックに水色のシャツを重ね着、シャツは半分折ってある。

(イメージはリトルバスターズ!の直枝理樹)

 

トレードマーク:赤のカチューシャ

 

 

デッキ

1・・・ガガガ魔術師

2・・・聖刻龍(調整中)

 

 

精霊

・ダイヤ(ガガガマジシャン)

・パール (ガガガガール)

・プラチナ (銀河眼の光子竜)

・ブラック (ブラック・サン・ドラゴン)

・ホワイト (ホワイト・サン・ドラゴン)

・サファイア (ガガガシスター)

 

 

担当:ギター・ヴォーカル・(ベース)

 

 

突然死んで5D'sの世界にきたこの小説の主人公。(前の小説参照)

 

WRGP初代チャンピオンチーム、チームSECRETのチームリーダーを務め、バンドグループ、SECRETのギター兼ヴォーカルを務める。

 

遊星達のラストランを見届けた後、ネオドミノシティのアパートに移り住みアカデミア高等部に進学。その直後から桜のお世話をすることになる。

 

桜を誘拐しようとする組織に両脚を撃たれ誘拐、一時脚の切断を迫られたが、現在はその危機を回避して治療中。

 

 

遠藤 桜

 

?→14歳(第二章開始時点)

 

誕生日:9月9日

 

外見:薄い水色のロング、大きなつり目で白い素肌、胸にペンダントをつけて、セーラー服みたいな服を着ている。(イメージはノゲノラの白)

 

デッキ

1・・・・閃刀姫

2・・・・十二獣

 

 

遊輝に拾われた女の子。

記憶喪失で自身の過去の事を思い出せない。

無表情で思った事を言うため、たまに毒を吐くように聞こえてしまう。

 

 

遊輝からリンクモンスターのテスターとして閃刀姫を手にした。遊輝が認めた腕前でアリアなどとも勝ったりする。ただし、ナチュル・ビーストは天敵の模様。

 

自身の記憶を追い求めている中、誘拐グループの主犯が実の父親と判明。娘すら使った人体実験を行おうとした。

事件解決後、精密検査をした結果脳内にチップを見つけることができた。ただ、本人は前の記憶を戻すつもりはないため、セキュリティが発見した名前以外の個人情報を追加で書き加えた。

 

 

 

葵 レミ

15歳→16歳(第二章開始時点)

 

誕生日:7月12日

 

シグナーの痣:羽

 

外見:大きな茶色の髪にポニーテールをして纏めている。赤のカチューシャをして大きな目をしている。ワンピを着ている(イメージは・・・・・・考えてない。一応、響ミソラ)

 

トレードマーク:緑のバレッタ

 

デッキ : ドラグニティ

 

精霊

・ドラグニティーファランクス

・フェザー・ウィング・ドラゴン

 

担当:ベース・ハーモニカ・ギター・(コーラス・ヴォーカル・etc・・・・)

 

 

アカデミア軽音部で音楽グループ、SECRETのリーダーでベースの他にも色々な楽器を担当している。

別名、龍の姫。(前小説参照)

 

父親が楽器の製造会社に関わっていたため、幼い頃から楽器にはたくさん触れており、響たちに「バンドをやろう!」と言ったのもレミが始まり。ただし最近、作曲に行き詰まりを感じている。

 

シグナーの能力の副作用みたいなもので常時寝不足状態。隙あらば寝る癖がついてきた。

 

 

遊城 スバル

 

15歳→16歳(第二章)

 

誕生日: 1月12日

 

シグナーの痣: 剣

 

外見:肩に届きそうで届かない黒髪に大きな黒目、首には緑色のネックレスをかけていて、赤のチュニックを着ている。(イメージは遊城十代の髪を黒髪)

 

トレードマーク:オレンジのバンダナ

 

デッキ

1・・・・属性ヒーロー

2・・・・M・HERO

 

 

精霊

・ハネクリボー

 

担当:ドラム・(コーラス)

 

 

GXの十代の子孫。別名、大地の戦士(前小説参照)

 

チームSECRETでのプレイヤー兼メカニックを担当、家に居るときは修理屋として小遣い稼ぎをしている。また音楽機材などの修理も全てスバルが担当。なお、部室のテレビ等は壊れて使えないものをスバルが修理しておいている。

 

 

 

小野寺 響

16歳→16歳(第二章開始時点)

 

誕生日: 5月16日

 

シグナーの痣:水

 

外見:赤茶色の髪をツインテールにして、それでも腰より上まで伸びている。黄色のリボンカチューシャをしている。普段はTシャツにノースリーブのパーカー、キュロットと男っぽい服装(イメージは北条響)

 

トレードマーク:水色のシュシュ

 

デッキ:氷結界

 

精霊

・ブリザード・プリンセス

 

担当:キーボード・(コーラス)

 

 

アカデミア五剣士の1人。別名、水の先導者。(前小説参照)

 

部内1のムードメーカー、ただし、やらかして笑わすことが多い。

キーボードの他に過去にドラム経験あり。

高等部に入り、運動能力は磨きがかかったが、それと反比例して学力の方は下がった模様。高校の勉強についていこうとしがみついている状況。

 

 

 

水野 奏

 

16歳→16歳(第二章開始時点)

 

誕生日: 6月8日

シグナーの痣:雷

 

外見:亜麻色の髪をポニーテール 、ピンク色のリボンで結んでいる。大きな目で黒目のところが緑色の目をしている。淡いピンク色のチュニックを着ている。(イメージは南野奏)

 

トレードマーク:黄色の伊達眼鏡

 

デッキ

1・・・代行者パーミッション

2・・・堕天使

 

精霊

・神秘の代行者 アース

 

担当:ヴォーカル・ギター

 

 

アカデミア軽音部のメインヴォーカルを務め、8割方オリジナル曲の作詞をしている。

家業がカップケーキ屋でケーキ作りが得意で、部の中で遊輝に次いで勉強ができる。(遊輝は転生特典で高2の途中までやっていた)

 

別名、雷の天使(前小説参照)・SECRETの歌姫(他称)

 

 

 

櫻井 祈

 

13歳→14歳(第二章開始時点)

 

誕生日: 12月8日

 

外見:赤のカチューシャを着けた少し赤に近い茶色の髪、タレ目をしている。赤のジーパンコートに白のTシャツを着て、淡いピンクのスカート(イメージは調辺リコ)

 

デッキ:ジェムナイト

 

中等部2-3所属の龍亞、龍可の同級生。

龍亞と龍可がいない時に一度だけ、実技の部門で小等部1位まで登り詰めた経験があり。

(前小説参照)

 

人見知りな性格だったが少しずつ改善をしてきている。

スバルに片思いしているが、当の本人がまだ気づいていない。祈自身も一人前になるまで伏せておくつもり。

 

ファッションデザイナーを目指して茜のお母さん、すみれさんのところに弟子入りしてデザイナーの勉強を始めている。

 

 

成田 恭輔

 

14歳→14歳(第二章開始時点)

 

誕生日: 4月16日

 

外見:明るい茶色髪、細縁のメガネを掛けていて緑色の瞳、Tシャツの上に水色のシャツみたいなものを前を開いてきている。(イメージはヒーローバンクの天野ナガレ)

 

デッキ:テラナイト

 

中等部2-3所属の龍亞、龍可の同級生。(前小説参照)

 

当時、4人の中でも強い方のデュエリストであり、唯一WRGPでDホイーラーとして出場して3人抜きを達成した。

現在は師匠、遊輝の元デェエルだけでなく料理の勉強も始めている。

 

 

 

栗城 茜

 

15歳→16歳(第二章開始時点)

 

誕生日: 2月4日

 

外見:ピンク色の長い髪を伸ばさずにそのまましている。パッチリ目であり、服は赤のコートでその下には普通のTシャツ、下はスカートをはいており、白色のマフラーをしている。(イメージは黒川エレン)

 

トレードマーク:紫のクリップ

 

デッキ:ヴェルズ(除外軸)

 

精霊:ヴェルズ・ケルキオン

 

担当:ギター・パーカッション・サブヴォーカル

 

 

レミの親友で、母親の仕事の関係で小等部2年の時にパリに引っ越し、中等部2年の時に帰ってきた帰国子女。(前小説参照)

ファッションモデルとしてお母さんのすみれさんの個人事務所の稼ぎ頭。チームメンバーの中でサポート役に徹することが多い。

 

 

 

 

栗城 すみれ

 

39歳→40歳(第二章開始時点)

 

誕生日:6月24日

 

外見:茜と同じピンク色に髪をポニーテール、目はキリッとしていてかなり細め

 

 

茜のお母さん。

世界的ファッションデザイナーで下積み時代にはデザイナーだけでなくヘアリストとしても勉強していた。業界内では知らない人はいない。

少し思考回路がおか・・・ゲフンゲフン、少し変わった人で、良いと思った人は容赦なくモデルとして勧誘(強制)させる。(例えそれが男の娘でも・・・・・)。また、レミ以上のある意味ヤバイ人で人を拘束する癖があり、自分の娘にはやらないが対象と決めたモデルには朝からドッキリとか言って部屋に侵入して、縛って撮影場所に無理矢理連れて行く。ようはS。

 

 

 

 

アリア・リューベック

 

20歳→21歳(第二章開始時点)

 

誕生日:8月20日

 

外見:透き通った青い髪の毛が腰近くまで伸びて、水色の目をしている。小顔でキリッとしていて手足は華奢。(イメージは魔女の旅々のイレイナ)

 

デッキ:様々なデッキを使用

 

 

輪廻転生でこの世界にきた人物。元の世界は遊輝と同じ世界。(前小説参照)

 

龍亞・龍可引越し後はすみれさんの事務所にパタンナー兼モデルとして住み込みで働き、遊輝にリンク召喚のテスターとして採用された。

前世での辛い経験から桜を本当の妹のように可愛がり、シスコン化していってる。

 

 

 

山吹 翔悟

 

14歳→14歳(第二章開始時点)

 

誕生日:6月30日

 

外見:黒髪のセミロング、白い素肌で少し目つきが悪くツリ目(イメージは転スラのリムル)

 

デッキ:インフェルノイド

 

桜・祈・恭輔のクラスメイト、転校初日の桜にちょっかいをかけたことで色々と絡むようになった。

響の友達でクラスメイトの京子の弟、実家はベーカリー屋でたまに店を手伝う。

口が悪く不良っぽいがそこまで悪いことはしていない。ただ、悪目立ちばかりする。

 

 

氷川 絢

 

13歳→14歳(第二章開始時点)

 

誕生日:1月4日

 

外見:緑系のセミロングの髪に細目(イメージはバンドリの氷川日菜)

 

デッキ:魔神儀影霊衣召喚獣

 

桜・祈・恭輔のクラスメイト、転校初日の桜にちょっかいをかけた翔悟に注意する形で関わるようになった。桜と隣同士で仲が良く、桜の世話役的なこともしている。

図書委員を務めて、放課後は図書室にいることがある。



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オリカ集

前作の小説で使ったオリカです。今作では使ってないカードもありますが全て掲載します。ご了承ください。

今作はあまり使わないようにしますが、一部使わないといけない場面があるのでこちらにも載せました。


《*今作で登場しない予定のキャラのオリカに関しては削除いたしました》


・遠藤 遊輝

 

 

 

 

ホワイト・サン・ドラゴン ★6

光属性 ドラゴン族 攻2400 守1500

☆6モンスター×2

このカードの②の効果は1ターンに1度しか使用出来ない。

①このカードにX素材が存在する場合、このカードはカード効果では破壊されない。

②このカードのX素材を1つ取り除き自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。

選択したモンスターは、このターン、相手に直接攻撃ができる。

選択した以外のモンスターは、このターン、攻撃できない。

③このカードが破壊され墓地へ送られた時、墓地に存在するSモンスター1体を特殊召喚する事ができる。

 

 

 

 

ブラック・サン・ドラゴン ☆8

闇属性 ドラゴン族 攻1000 守2100

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

①このカードの特殊召喚成功時、自分の墓地に存在するXモンスター1体を選択して、装備カードとしてこのカードに装備する。

②このカードの攻撃力は装備したXモンスターの攻撃力分アップする。

③このカードが破壊される時、代わりにこのカードに装備した装備カードを墓地に送る事で破壊されない。

④このカードが破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地に存在するXモンスター1体を特殊召喚して、このカードをX素材として下に重ねる事ができる。

 

 

 

CXホワイト・ゴッド・ドラゴン ★7

光属性 ドラゴン族 攻3000 守2100

☆7モンスター×3

「CXホワイト・ゴッド・ドラゴン」の③の効果は1ターンに1度しか使用出来ない。

①このカードにX素材が存在する場合、このカードは1ターンに2度まで、相手の魔法・罠・効果モンスターの効果を受けない。

②このカードが破壊され墓地に送られた時、自分の墓地に存在するSモンスター1体を特殊召喚する。

③このカードは「ホワイト・サン・ドラゴン」をX素材としている場合、以下の効果を得る。

・このカードのX素材を1つ取り除き発動する。

相手フィールド上に存在する表側表示モンスターを全て破壊する。

 

 

ブラック・サン・ドラゴン/バスター ☆10

闇属性 ドラゴン族 攻1500 守2600

①このカードは通常召喚できない。

②このカードは「バスター・モード」の効果でのみ特殊召喚できる。

③このカードの特殊召喚成功時、自分の墓地に存在するXモンスター1体を選択して、装備カードとしてこのカードに装備する。

④このカードの攻撃力は装備したXモンスターの元々の攻撃力の倍の数値分だけアップする。

⑤このカードは装備カードを装備している時、相手のカード効果によって破壊されない。

⑥フィールド上に存在するこのカードが破壊された時、自分の墓地に存在する「ブラック・サン・ドラゴン」1体を特殊召喚する事ができる。

 

 

白銀太陽神 ホワイト・アマテラス・ドラゴン ★12

光属性 ドラゴン族 攻4000 守4000

光属性☆12モンスター×5

自分フィールド上に「暗黒太陽神 ブラック・スサノオ・ドラゴン」が存在しない場合、このカードの②③④の効果は無効になる。

①このカードはX召喚及び「未来へと登りし太陽」の効果でしか特殊召喚出来ない。

②このカードは魔法・罠・モンスター効果の対象にはならず、カード効果では破壊されない。

③このカードの特殊召喚成功時、このカードと「暗黒太陽神 ブラック・スサノオ・ドラゴン」以外の表側表示で存在するカードの効果を全て無効にする。

④このカードにX素材が存在する場合、このカードは以下の効果を得る。

・このカードがフィールド上に存在する限り、相手は1ターンに1度しか魔法・罠・効果モンスターの効果を使用できない。

・このカードがフィールド上に存在する限り、相手は1ターンに1度しかモンスターを召喚・特殊召喚・反転召喚できない。

 

 

 

暗黒太陽神 ブラック・スサノオ・ドラゴン ☆12

闇属性 ドラゴン族 攻4000 守4000

闇属性チューナー2体+闇属性モンスター3体

自分フィールド上に「白銀太陽神 ホワイト・アマテラス・ドラゴン」が存在しない場合、このカードの②③④の効果は無効になる。

①このカードはS召喚及び「未来へと登りし太陽」の効果でしか特殊召喚出来ない。

②このカードは魔法・罠・モンスター効果の対象にならず、カード効果では破壊されない。

③このカードは1ターンに2度まで攻撃することが出来る。

④このカードが相手モンスターを戦闘で破壊した時、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。

 

 

 

不死鳥龍フェニックス・ドラゴン ★8 〈DDさん投稿〉

光属性 ドラゴン族 攻3600 守1000

☆8モンスター×2

「不死鳥龍フェニックス・ドラゴン」の②の効果はデュエル中に1回しか使用できない。

①1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。相手フィールドのカードを2枚まで持ち主の手札に戻す。

②このカードが墓地に存在する場合、お互いのエンドフェイズ時に発動できる。

自分の墓地のこのカード以外のモンスターを全てゲームから除外してこのカードを特殊召喚する。

この方法で特殊召喚した場合、相手のフィールドのカード3枚まで持ち主のデッキに戻す事が出来る。

この効果発動に対し相手は魔法、罠カードを発動できない。

 

 

ガガガレディ ☆7 〈光さん投稿〉

闇属性 魔法使い族 攻2300 守2000

チューナー1体+「ガガガガール」

このカードは墓地から特殊召喚出来ない。

①1ターンに1度、特殊召喚されたモンスター1体を選択し、選択したモンスターの攻撃力を0にする。

この効果は相手ターンにも使用することができる。

②このカードが除外されたとき、デッキ・墓地から「ガガガガール」1体を特殊召喚する。

 

 

ガガガマザー ★6 〈追中命さん 投稿〉

闇属性 魔法使い族 攻撃力? 守備力?

闇属性・魔法使い族☆6モンスター×3

①このカードの攻撃力・守備力は自分フィールド・墓地・除外されている魔法使い族モンスターの数×1000ポイントアップする。

②この効果は以下のモンスターをX素材にした場合のみ発動する。

・ガガガマジシャン・・・このカードは戦闘及びカード効果では破壊されない。

③この効果は以下のモンスターをX素材にした場合のみ発動できる。

ガガガガール・・・1ターンに1度、自分のメインフェイズに発動できる。

相手は自分フィールドのモンスター1体を墓地へ送らなければならない。

④この効果は以下のモンスターをX素材にした場合のみ発動できる。

ガガガシスター・・・1ターンに1度、相手がモンスターを特殊召喚した場合にこのカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。その特殊召喚を無効にして持ち主のデッキに戻す。

 

 

 

XNo,39 希望太陽龍 ソル・ホープ ☆10 〈SD・クロニクルさん 投稿〉

光属性 ドラゴン族 攻4000 守4000

No,39 希望皇ホープ+ブラック・サン・ドラゴン+ホワイト・サン・ドラゴン

このカードは闇属性モンスターとしても扱う。

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

①このカードが融合召喚に成功した場合、自分の墓地に存在するXまたはSモンスター1体を対象にして発動する。

そのカードを装備カードとしてこのカードに装備する。

②このカードの攻撃力と守備力は装備したモンスターの攻撃力、守備力分アップして、装備モンスターの効果を得る。

③このカードに装備カードが装備されている場合、このカードは相手の魔法・罠・モンスター効果を受けない。

④このカードがフィールドに存在する限り、このカード以外のフィールドの魔法・罠・モンスターの効果は全て無効になる。

 

 

 

魔の革命デス・ザ・ロスト ☆8 〈メタルダイナスさん 投稿〉

闇属性 悪魔族 攻3000 守0

このカードを特殊召喚するターン、自分はこのカード以外のモンスターを特殊召喚することが出来ず、このカードを特殊召喚したターン、このカード以外のモンスターは攻撃出来ない。

「魔の革命 デス・ザ・ロスト」はデュエル中に1度しか出せない。

①このカードは自分フィールド上の闇属性モンスター1体をゲームから除外した場合のみ、手札から特殊召喚が出来る。

②このカードとの戦闘によって破壊したモンスターは墓地には行かず、ゲームから除外される。

③自分のライフが1000以下の時、このカードは相手モンスターに1回ずつ攻撃出来る。

④自分のライフが500以下の時、このカードが相手モンスターを戦闘で破壊した場合、破壊したモンスターの元々の攻撃力の半分のダメージを相手に与える。

⑤エンドフェイズ時、この効果で特殊召喚したこのカードはゲームから除外する。

 

 

ガガガゲット 通常魔法 〈祝札さん投稿〉

①デッキから「ガガガ」と名のつくモンスター1体をデッキから特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。

 

 

聖なる呪術の宝札 通常魔法 〈龍南さん投稿〉

①自分の墓地の罠カードを3枚除外して発動する。

デッキから2枚ドローする。

 

 

未来へと登りし太陽 通常魔法

このカードの発動に対して魔法・罠・モンスター効果は発動できない。

①自分フィールド上に「ホワイト・サン・ドラゴン」と「ブラック・サン・ドラゴン」が存在して、自分のライフポイントが1000ポイント以下の時のみ発動できる。

自分のフィールド・墓地のカードを全てゲームから除外して、自分のエクストラデッキから「白銀太陽神 ホワイト・アマテラス・ドラゴン」と「暗黒太陽神 ブラック・スサノオ・ドラゴン」2体を特殊召喚する。その後、このカードを「白銀太陽神 ホワイト・アマテラス・ドラゴン」のエクシーズ素材として下に重ねる。

 

 

バーニング・サン 速攻魔法 〈SD・クロニクルさん投稿〉

①このカードを発動したフェイズによって以下の効果を発動する。

・自分のメインフェイズ:デッキの上からカードを5枚見て、その中から2枚を選んで手札に加える。

それ以外のカードをデッキに戻してシャッフルする。

この効果を使用したターン、モンスターの召喚・特殊召喚できない。

・互いのバトルフェイズ:自分のモンスター1体の攻撃力をダメージステップ終了時まで倍にする。

その後、次の自分のメインフェイズ2まで攻撃力・守備力は0になり、効果を無効にする。

・相手のメインフェイズ:相手の魔法・罠ゾーンのカードを全て破壊する。

この効果の発動に対して、魔法、罠、効果モンスターの効果を発動することはできない。

この効果を使用したターン、このカード以外の魔法・罠を発動することができない。

 

 

 

ルナティック・レイン 永続魔法 〈SD・クロニクルさん投稿〉

①自分または相手がモンスター効果を発動するたびにこのカードにルナカウンターがを1つ乗せる。

このカードにルナカウンターが8つある時、このカードを墓地に送って、デッキから3枚カードをドローする。

このカードが自身の効果で墓地へ送られたターン、自分はLv5以上のモンスターを召喚・特殊召喚できない

 

 

 

・龍亞

 

 

 

D・ソードン ☆4 〈無零武さん 投稿〉

 地属性 機械族 攻1200 守800

このカードの②の効果は1ターンに1度しか使用出来ない。

①このモンスターがフィールドに存在する場合、装備魔法扱いとして「パワー・ツール・ドラゴン」に装備する事ができ、攻撃力が1200ポイントアップする。

②このカードを装備したモンスターがフィールド上に存在する場合、表側表示のカードを1枚破壊する事ができる。

③このカードはこのカードの表示形式によって以下の効果を得る。

・攻撃表示:自分フィールド上に存在する「D」と名のついたモンスター1体をリリースし、自分フィールド上のモンスター1体の攻撃力を1000ポイントアップさせる。「D・ソードン」のこの効果は1ターンに1度しか使えない。

・守備表示:このモンスター以外の「D」をリリースし、デッキから「D・シールドン」を特殊召喚する。

 

 

D・シールドン ☆3 〈無零武さん 投稿〉

 地属性 機械族 攻300 守1800

 ①このモンスターがフィールドに存在する場合、装備魔法扱いとして「パワー・ツール・ドラゴン」に装備する事ができ、守備力が1500ポイントアップする。

 ②このカードを装備したモンスターがフィールド上に存在する場合、相手の魔法・罠・効果モンスターの効果の対象にならない。

③このカードはこのカードの表示形式によって以下の効果を得る。

・攻撃表示:このモンスター以外の「D」をリリースし、デッキから「D・ソードン」を特殊召喚する。

・守備表示:相手モンスターが攻撃宣言した時、このモンスターを攻撃対象に変更することが出来る。

 

 

 

パワー・ツール・ドラゴン/バスター ☆9 〈祝札さん投稿〉

地属性 機械族 攻2800 守3000

このカードの③の効果は1ターンに1度しか使用出来ない。

①このカードは通常召喚できない。

②このカードは「バスター・モード」の効果でのみ特殊召喚ができる。

③デッキから装備魔法を1枚手札に加えることができる。

④このカードは装備魔法を装備している時、カード効果では破壊されない。

⑤このカードを対象とするカード効果が発動した時、このカードに装備されている装備カードを1枚墓地に送ることにより、そのカードの発動と効果を無効にして、破壊することができる。

⑥このカードが破壊され墓地に送られた時、墓地に存在する「パワー・ツール・ドラゴン」を特殊召喚できる。

 

 

表裏の解放者リベレイター ゼネディクル ☆10 〈忍丸さん投稿〉

光属性 戦士族 攻2500 守1500

チューナー+チューナー以外の☆4以下のモンスター2体以上

「表裏の解放者 ゼネディクル」の②と③の効果はデュエル中に1度しか使用できない。

①このカードは攻撃できない。

この効果は無効にされない。

②このカードがS召喚に成功した場合、デッキの上から五枚を確認する。

その中に存在するレベル4以下のモンスターを召喚条件を無視して可能な限り特殊召喚できる。

残りはデッキに戻してシャッフルする。

この効果で特殊召喚したモンスターの戦闘ダメージは0となる。

③このカードが墓地に送られた場合、自分の手札・墓地からレベル4以下のモンスターを可能な限り特殊召喚できる。

 

メタルジェノサイダー 通常罠 〈SD・クロニクルさん投稿〉

①自分フィールド上の機械族モンスターを対象にして発動する。

このカードを攻撃力1000ポイントアップする装備カードとしてそのモンスターに装備する。

②装備モンスターが相手モンスターを戦闘で破壊した時、相手に自分の手札の枚数×300のダメージを与える(最大1500まで)。

 

 

 

ツール・アタッチメント 装備魔法 〈suraさん投稿〉

「ツール・アタッチメント」の①の効果は1ターンに1度しか発動できない。

①デッキから装備魔法を墓地へ送り発動する。

このカードは次の自分のスタンバイフェイズまで墓地へ送ったカードと同名カードとなり墓地へ送ったカードと同じ効果になる。

 

 

 

・龍可

 

 

ライトロード・スネーク キラー ☆3 チューナー

光属性 爬虫類族 攻600 守1100

①このカードはデッキから墓地に送られた時、墓地から特殊召喚できる。

この方法で特殊召喚したこのカードがフィールドから離れる時、ゲームから除外する。

②このカードをS素材とする場合、他のS素材は「ライトロード」と名のついたモンスターでならなければならない。

 

 

 

ライトロード・バタフライ ファルファッラ ☆1 チューナー

光属性 昆虫族 攻0 守0

①このカードがデッキから墓地に送られた時、このカードを墓地から特殊召喚する事ができる。

 

 

ライトロード・シャーク スクァルス ☆3 チューナー

光属性 魚族 攻300 守300

このカードは通常召喚出来ない。

①このカードはデッキから墓地に送られた場合、特殊召喚できる。

②1ターンに1度、このカードは戦闘では破壊されない。

 

 

 

ライトロード・オラクル ゼウス ☆12

光属性 雷族 攻4000 守4000

「ライトロード・オラクル ゼウス」の②の効果は1ターンに1度しか発動できない。

また、このカードは通常召喚できない。

①自分フィールド上の「裁きの龍」が破壊され墓地へ送られたターンのエンドフェイズ時のみ手札から特殊召喚できる。

②自分のライフを半分払って発動できる。

このカード以外のフィールド上に存在するカードとお互いの手札を全て墓地に送る。

この効果の発動に対して、相手は魔法・罠・効果モンスターの効果を発動出来ない。

この効果を使ったターンのエンドフェイズ時、このカードをゲームから除外する。

 

 

 

エンシェント・コメット・ドラゴン ☆8

光属性 ドラゴン族 攻0 守4000

チューナー+エンシェント・フェアリー・ドラゴン

このカードの③の効果は1ターンに1度しか使用出来ない。

①このカードはカード効果では破壊されない。

②このカードが戦闘で破壊されたエンドフェイズ時、墓地に存在するこのカードをゲームから除外することで、墓地に存在する「エンシェント・フェアリー・ドラゴン」1体を特殊召喚する事ができる。

③フィールド上のカードを1枚選択して破壊することができる。

この時、破壊したカードの種類によって以下の効果を得る。

・モンスター・・・このカードの攻撃力は、破壊したモンスターの元々の攻撃力分アップする。エンドフェイズ時、このカードの攻撃力を0にして、このカードを守備表示にする。

・魔法・・・デッキからカードを1枚ドローする。そのカードが、魔法カードだった場合、相手に見せることでもう一枚ドロー出来る。

・罠・・・自分の墓地に存在するカードを1枚選択して手札に加える。

 

 

 

ジャスティス・ロード フィールド魔法 〈祝札さん投稿〉

このカードの②の効果は1ターンに1度しか使用出来ない。

①このカードがデッキから墓地に送られた時、墓地からこのカードを発動する。

②手札の「ライトロード」と名のついたモンスター1体を墓地に送る事で、デッキから「ライトロード」と名のついたモンスター1体を墓地に送る事ができる。

③このカードが破壊された時、デッキからカードを2枚墓地に送る。

 

 

 

・ 葵 レミ

 

 

 

ドラグニティーバッカー ☆1 チューナー

風属性 ドラゴン族 攻200 守800

①このカードがカードの効果によって装備カード扱いとして装備されている場合、装備モンスターが魔法・罠カードの対象になった時、装備されているこのカードを墓地に送る事で、そのターン、装備モンスターは魔法・罠カードの効果の対象にはならない。

 

 

 

 

フェザー・ウィング・ドラゴン ☆8

風属性 ドラゴン族 攻撃力2800 守備力1500

風属性チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカードの③の効果は1ターンに1度しか使用出来ない。

①このカードがS召喚に成功した時、自分の墓地に存在するドラゴン族モンスターを任意の数だけ選択し、このカードに装備カード扱いとしてこのカードに装備する。

②このカードに装備された装備カードを墓地に送る事でこのカードは破壊されない。

③墓地の風属性モンスター1体をデッキに戻すことで、フィールド上のカード1枚を手札に戻す。

 

 

 

風玉霊 エメラルド・クロック・ドラゴン ☆10

風属性 ドラゴン族 攻3000 守1700

風属性チューナー+フェザー・ウィング・ドラゴン

「風玉霊 エメラルド・クロック・ドラゴン」の④の効果は1ターンに1度しか使用出来ない。

①このカードはS召喚でしか特殊召喚できない。

②このカードがS召喚に成功した時、墓地に存在するドラゴン族モンスターを任意の数だけ装備カードとしてこのカードに装備する。

③このカードの攻撃力はこのカードに装備されている装備カードの数1枚につき100ポイントアップする。

④このカードに装備されている装備カードを1枚墓地に送る事で、相手フィールド上の表側表示のモンスター1体の効果を無効にして攻撃力と守備力を0にする。この効果を使用したターン、このカード以外の自分フィールド上のモンスターは攻撃できない。

⑤このカードが戦闘によって破壊され墓地に送られた時、墓地に存在する「フェザー・ウィング・ドラゴン」を特殊召喚できる。

 

 

 

 

聖なる呪術の宝札 通常魔法 〈龍南さん投稿〉

①自分の墓地の罠カードを3枚除外して発動する。

デッキから2枚ドローする。

 

 

 

・ 遊城 スバル

 

 

E・HERO マッハ・ウィンド ☆2 チューナー

風属性 戦士族 攻300 守300

①自分フィールド上に「E・HERO」と名のついた融合モンスターが2体以上存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

 

 

 

E・HERO ダーク・ネオ ☆3 チューナー

闇属性 戦士族 攻0 守0

①このカードが召喚に成功した時、手札の「融合」または「フュージョン」と名のついたカードを1枚墓地に送る事で、自分の墓地に存在する「HERO」と名のついた融合モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚できる。

この効果で特殊召喚したモンスターのレベルは1つ下がる。

また、攻撃力は0になり、効果は無効化になる。

エンドフェイズ時にこの効果で特殊召喚したモンスターは破壊する。

 

 

E・HERO ドリルマン ☆2 チューナー (グランドマンから改名)

地属性 戦士族 攻 100 守 100

このカードは特殊召喚できない。

「E・HERO ドリルマン」はデュエル中に1度しか使用できず、またこのカードを召喚したターン、自分はこのカードをS素材としたSモンスターのS召喚での特殊召喚しかできない。

①このカードをS素材とする場合、他のS素材モンスターは墓地の融合またはSモンスター1体でなければならない。その際、このカードとS素材にしたモンスターはゲームから除外する。

 

 

 

E・HERO マジカル・ウィッチ ☆4 〈龍南さん投稿〉

闇属性 魔法使い族 攻1400 守1000

①このカードの召喚に成功した時、自分フィールド上にこのカード以外の「HERO」と名のつくモンスターがいる場合、自分のデッキから魔法カードを1枚手札に加えることができる。

 

 

 

E・HERO スピリット・ドラゴン ☆8

地属性 ドラゴン族 攻撃力 2200 守備力 2000

チューナー+チューナー以外の戦士族モンスター1体以上

このカードの①の効果は1ターンに1度しか使用出来ない。

①自分の墓地の「HERO」と名のつく融合モンスターを除外する事で次の相手ターンのエンドフェイズまで、除外したモンスターの元々の攻撃力の半分の攻撃力を加え、除外したモンスターと同じ効果を得る。

②このカードが破壊された時、この効果で除外した「HERO」と名のつく融合モンスター1体を特殊召喚する。この特殊召喚は融合召喚扱いとする。

 

 

 

地玉霊 クリスタル・アース・ドラゴン ☆10

地属性 ドラゴン族 攻2500 守2400

戦士族チューナー+E・HERO スピリット・ドラゴン

「地玉霊 クリスタル・アース・ドラゴン」の③の効果は1ターンに1度しか使用出来ない。

①このカードはS召喚でしか特殊召喚できない。

②このカードのS召喚成功時、ゲームから除外されている「HERO」と名のついたモンスターを全て墓地に戻す事ができる。

③墓地に存在する「HERO」と名のついた融合モンスターを選択して発動する。

次の相手のエンドフェイズ時まで、このカードの攻撃力はこの効果で選択したモンスターの攻撃力分アップして、同じ効果を得る。

④このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地に存在する「E・HERO スピリット・ドラゴン」を特殊召喚できる。

 

 

 

エレメンタル・トリック 速攻魔法

①自分フィールド上に存在する「E・HERO」と名のついた融合モンスター1体リリースして発動する。

墓地に存在する魔法カード1枚を手札に加える。

この効果で手札に加えたカードはこのターン発動できない。

 

 

摩天楼3-ミラージュタウン フィールド魔法 〈龍南さん 投稿〉

「摩天楼3ーミラージュ・タウン」の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使えない。

①1ターンに1度、「HERO」と名のついたモンスターを1体墓地から除外することでカードを1枚ドローできる。

②1ターンに1度、①の効果で除外した「E・HERO」融合モンスターカードによって決められた自分の融合素材モンスターをデッキに戻し、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。

 

 

ヒーロー工場 フィールド魔法 〈追中命さん 投稿〉

「ヒーロー工場」の①の効果は1ターンに1度しか使えない。

①このカードの発動時の効果処理として、手札を1枚捨てることでデッキから「HERO」と名のついたモンスターを1枚手札に加える。

①自分フィールド上の「HERO」と名のついたモンスターの攻撃力は500ポイントアップする。

 

 

 

・小野寺 響

 

 

氷結界の龍 ロンギヌス ☆10

水属性 ドラゴン族 攻2300 守1900

チューナー+チューナー以外のモンスター2体以上

①このカードがS召喚に成功した時、このカードのS素材となったモンスターの数まで相手フィールド上に存在するカードを選択して墓地に送る。

 

 

氷結界の神龍 ヴォルガルス ☆12 〈メタルダイナスさん 投稿〉

水属性 ドラゴン族 攻3000 守2000

チューナー+チューナー以外のSモンスター1体以上

①このカードがシンクロ召喚に成功した場合、相手のフィールド上のカードを全て除外する。

②このカードがフィールド上に存在する限り、このカード以外の「氷結界」と名のついたモンスターは戦闘及び相手の効果では破壊されない。

 

 

 

氷結界の魔法使い エターナル・マジシャン ☆12 〈雷影さん 投稿〉

水属性 魔法使い族 攻3300 守2800

「氷結界」と名のついたチューナー+チューナー以外の「氷結界」モンスター2体以上


①このカードがシンクロ召喚に成功した場合、このカードのチューナー以外のシンクロ素材に使用したモンスターの数まで相手の手札・フィールド・墓地の中からそれぞれ選んでゲームから除外する。


②このカードがフィールドから離れた場合、エクストラデッキから「氷結界」と名のついたSモンスター1体をS召喚扱いで特殊召喚する事ができる。

この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに破壊される。

 

 

 

アイス・ スプラッシュ・ドラゴン ☆7

水属性 ドラゴン族 攻撃力 2500 守2500

チューナー+チューナー以外の水属性モンスター1体以上

「アイス・スプラッシュ・ドラゴン」の②の効果は1ターンに1度しか使用出来ない。

①このカードがS召喚に成功した時、相手の手札をランダムに1枚墓地に送る事が出来る。

②自分フィールド上の水属性モンスター1体を選択して、そのモンスターのレベル×200ポイントのダメージを与える。この効果を使ったターン、このカードは攻撃出来ない。

 

 

水玉霊 サファイア・アイス・ドラゴン ☆10

水属性 ドラゴン族 攻2800 守2600

水属性チューナー+アイス・スプラッシュ・ドラゴン

「水玉霊 サファイア・アイス・ドラゴン」の③の効果は1ターンに1度しか使用出来ない。

①このカードはS召喚でしか特殊召喚できない。

②このカードのS召喚時に発動出来る。相手フィールド上のカード1枚をゲームから除外する。

③自分フィールド上に存在する水属性モンスター1体を選択し、そのモンスターのLv×300ポイントのダメージを与える。

この効果を使ったターン、自分は攻撃出来ない。

④このカードが戦闘によって破壊され墓地に送られた時、墓地に存在する「アイス・スプラッシュ・ドラゴン」を特殊召喚できる。

 

 

氷結界の意志 魔法

①自分の墓地に存在するLv4以下の「氷結界」と名のついたモンスター1体をゲームから除外して発動する。

除外したモンスターと同じレベルの「氷結界」と名のついたモンスター1体をデッキから特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力と守備力は0になり、効果は無効になる。

 

 

聖なる呪術の宝札 通常魔法 〈龍南さん投稿〉

①自分の墓地の罠カードを3枚除外して発動する。

デッキから2枚ドローする。

 

 

・ 水野 奏

 

 

共鳴の代行者 ネプチューン ☆3 チューナー

光属性 天使族 攻1100 守500

①1ターンに1度、自分フィールド上に表側表示で存在するこのカード以外の「代行者」と名のついたモンスター1体を選択して発動する。

選択したモンスターのレベルをこのカードと同じレベルにする。

②「天空の聖域」が存在する場合、このカードは手札の天使族・光属性モンスター1体とS召喚する事ができる。

この方法でS召喚したシンクロモンスターはエンドフェイズ時、墓地に送る。

 

 

 

導きの代行者 プルート ☆2 チューナー

光属性 天使族 攻300 守300

①このカードがS素材としたSモンスターがS召喚に成功した時、エンドフェイズまでSモンスターの攻撃力を300ポイントアップする。

②フィールド上に「天空の聖域」が表側表示で存在する場合、自分は通常召喚に加えて「代行者」と名のついたモンスター1体を召喚できる。

 

 

 

 

堕天使リリス ☆6 〈フュージョニストさん投稿〉

闇属性 天使族 攻2450 守1000

①このカードが墓地から特殊召喚に成功した時、相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択し、エンドフェイズまで攻撃力を1000ポイントダウンする。

 

 

 

堕天使クリスティア ☆8 〈龍南さん投稿〉

闇属性 天使族 攻2800 守2300

①このカードはデッキから「大天使クリスティア」を除外した場合のみ手札から特殊召喚できる。

②このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、相手はモンスターを特殊召喚できない。

③このカードがフィールド上から墓地に送られる場合、墓地へはいかずゲームから除外される。

 

 

 

輝く聖皇 アリエース ☆7 〈メタルダイナスさん投稿〉

光属性 天使族 攻2400 守1000

このカードは通常召喚できず、このカードの効果でしか特殊召喚できない。

「輝く聖皇 アリエース」はフィールドに一体しか存在できず、S素材とX素材にはできない。

①自分フィールドの天使族モンスターの攻撃宣言した場合に発動できる。

そのモンスターの攻撃を無効にして、そのモンスターをリリースし、手札のこのカードを特殊召喚する。

②このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキからカウンター罠1枚を手札に加えることができる。

③このカードがフィールドを離れる場合、墓地のカウンター罠をゲームから除外できる。

 

 

時の革命 ミラダンテ ☆8

光属性 ドラゴン族 攻3000 守2800

このカードは通常召喚できず、このカードの効果でしか特殊召喚できない。

「時の革命 ミラダンテ」は自分フィールド上に1体しか存在できない。

①自分の墓地の光属性・天使族モンスターを3種類除外してこのカードを特殊召喚する。

このカードが特殊召喚したターン、自分はこのカード以外のモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚はできない。

②このカードの特殊召喚成功時、相手フィールド上の全てのモンスターを守備表示にする。

この効果で守備表示になったモンスターは次の相手ターンのエンドフェイズまで表示形式を変更できない。

③自分のライフポイントが500以下の場合、相手はモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚・セットはできない。

 

 

 

ライトニング・ エンジェル・ドラゴン ☆6

光属性 ドラゴン族 攻2300 守1600

光属性チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカードの③の効果は1ターンに1度しか使用出来ない。

①このカードがS召喚に成功した時、自分の墓地のカウンター罠を1枚を手札に加えることが出来る。

②このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、カウンター罠以外の罠カードを発動する事はできない。

③手札のカウンター罠を墓地に送る事で、デッキからレベル4以下の天使族モンスター1体を手札に加える。

 

 

光玉霊 トパーズ・ライト・ドラゴン ☆8

光属性 ドラゴン族 攻2600 守2000

光属性チューナー+ライトニング・エンジェル・ドラゴン

「光玉霊 トパーズ・ドラゴン」の②の効果は1ターンに1度しか使用出来ない。

①このカードはS召喚でしか特殊召喚出来ない。

②相手が魔法・罠カードを発動した時、その発動を無効にして破壊することができる。

この効果は相手ターンでも使える。

③このカードの攻撃宣言時、このカードが攻撃する相手モンスターの攻撃力と守備力をバトルフェイズ終了時まで入れ替える。

④このカードが戦闘によって破壊され墓地に送られた時、墓地に存在する「ライトニング・エンジェル・ドラゴン」を墓地から特殊召喚できる。

 

 

神殿に眠る天使 通常魔法

①自分の墓地に存在する「神の居城ーヴァルハラ」をゲームから除外して、自分フィールドの天使族モンスターと墓地の天使族モンスターを1体ずつ選択して発動する。

選択したモンスターを破壊して、墓地から選択したモンスターを特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン、攻撃できない。

 

 

雷の矢 カウンター罠

①自分フィールド上に「ライトニング・エンジェル・ドラゴン」が表側表示で存在する時発動できる。相手が発動した魔法・罠・効果モンスターの効果を無効にし破壊する。

 

 

 

・櫻井 祈

 

 

ジェムナイト・クォーツ ☆4 〈フュージョニストさん 投稿〉

光属性 岩石族 攻1500 守1500 (通常モンスター)

 

 

 

ジェムナイト・マジシャン ☆3 〈龍南さん〉

光属性 魔法使い族 攻1000 守1000

①1ターンに1度、手札の「ジェムナイト・フュージョン」を1枚を捨てることで、除外されている「ジェムナイト」と名のついた融合モンスターカードによって決められた自分の融合素材モンスターをデッキに戻し、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。

②このカード以外の「ジェムナイト」と名のついたモンスターが自分の場に存在する限り、相手はこのカードを攻撃対象に選択できない。

 

 

 

ジェムナイト・クンツァイト ☆8 〈フュージョニストさん 投稿〉

光属性 天使族 攻2000 守1800

『ジェムナイト・クォーツ』+『ジェムナイト』と名のついたモンスター

このカードは上記のカードを融合素材にした融合召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚する事ができる。

①このカードの融合召喚に成功したとき、墓地の『ジェムナイト』と名のついたモンスターを5枚までゲームから除外するが出来る。

②このカードの攻撃力と守備力は、それぞれ除外したカードの枚数×300ポイントアップする。

③このカードは自分フィールド上に表側表示で存在する限り、罠の効果を受けない。

 

 

 

ジェムナイト・ダークパール ☆9 〈フュージョニストさん 投稿〉

地属性 岩石族 攻3300 守2200

『ジェムナイト』と名のついたモンスター×3

このカードは融合召喚およびこのカードの効果でのみ特殊召喚できる。

『ジェムナイト・ダークパール』の①②の効果は、1ターンに1度どちらかしか発動できない。

『ジェムナイト・ダークパール』はフィールド上に1体しか存在できない。

①このカードの融合召喚成功時、自分フィールド上にこのカード以外のモンスターが存在しない場合、相手フィールド上のカードを2枚まで選び破壊する事ができる。

②このカードが墓地に存在する時、自分のスタンバイフェイズ時に1度だけ、手札の『ジェム』と名のついたモンスターを2体ゲームから除外する事でこのカードを特殊召喚する事が出来る。

 

 

 

・成田 恭輔

 

 

星輝士 ミルキー・ウェイ ★4 〈ドロイデンさん投稿〉

光属性 戦士族 攻1000 守3000

☆4「テラナイト」モンスター×2

①このカードが魔法・罠・効果モンスターの効果でフィールドから離れる代わりに、このカードのエクシーズ素材を一つ取り除く。

②このモンスターが墓地に送られた場合、デッキから「テラナイト」モンスターを1体特殊召喚する。

 

 

 

SP

 

SPーシンクロ・リフト

①SPCが6つ以上ある時、墓地のSモンスター1体をゲームから除外して発動する。

除外したモンスターよりもレベルが高いSモンスター1体を選択して墓地から特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化となり、エンドフェイズ時にゲームから除外する。

 

 

 

 

SPーエレメンタルチェンジ

自分のSPCが3つ以上ある時に発動出来る。

自分フィールド上のモンスター1体を選択して、選択したモンスターの属性をこのターンのエンドフェイズまで自分が宣言した属性にする。

 

SPーガガガリベンジ 装備魔法

自分のスピードカウンターが6つ以上ある場合、自分の墓地の「ガガガ」と名のついたモンスター1体を選択して発動できる。

選択したモンスターを特殊召喚し、このカードを装備する。

このカードがフィールド上から離れた時、装備モンスターを破壊する。

また、装備モンスターがエクシーズ素材になる事によってこのカードが墓地へ送られた時、自分フィールド上の全てのエクシーズモンスターの攻撃力を300ポイントアップする。

 

 

SPーマジック・プランター 通常魔法

自分のスピードカウンターが4つ以上存在する場合、自分フィールド上に表側表示で存在する永続罠を1枚墓地に送って発動する。

デッキからカードを2枚ドローする。

 

 

SPーRUMーバリアンズ・フォース 通常魔法

自分のスピードカウンターが3つ以上ある場合、自分フィールド上のエクシーズモンスター1体を選択して発動できる。

選択したモンスターと同じ種族でランクが1つ高い「CNo,」または「CX」と名のついたモンスター1体を、選択したモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

その後、相手フィールド上にエクシーズ素材が存在する場合、相手フィールド上のエクシーズ素材1つを、この効果で特殊召喚したエクシーズモンスターの下に重ねてエクシーズ素材とする。

 

 

SPーマスク・チェンジ 速攻魔法

①自分のスピードカウンターが3つ以上ある場合、自分フィールドの「HERO」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを墓地へ送り、そのモンスターと同じ属性の「M・HERO」モンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。



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第1章 記憶を求めて 〜 Sister's memory〜
プロローグ また動き出す物語


どうも、作者のDICHIです。

えぇ、皆さまのご要望により『遊戯王5D's 転生者と未来のカードたち』の続編を執筆することになりました。
今後ともよろしくお願いします。


作者の活動報告で読者のみなさんが思うであろう疑問の答えを乗せましたので、そちらもご覧ください。


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ピピピピ………

 

「ふわぁ・・・もう8時かよ。頭がガンガンする」

 

目覚まし時計のアラーム音に目覚めて、愚痴を言いながら上半身を上げる。足をベッドから下ろしてそのまま寝巻きから壁に掛けてある服に着替える。Yシャツのボタンをしめ、黒いズボンを履いてベルトをして、青いブレザーを羽織り、ネクタイを締める。

 

「弁当はもう良いや・・・学食にしよう、えっとカバンとギターと。よし、いくか」

 

ベッドの横に放り投げていたカバンを持ち、ギターケースを背負って部屋から出る。小さなアパートなので物を置くところもない。

 

「ふわぁ・・・今日から高校生か、これで2回目か」

 

「お、おはようございます」

 

「おっす遊輝!」

 

「師匠、おはようございます!」

 

アパートの部屋の鍵を閉めて、階段を降りる。そこには俺と同じ服を着た男性二人と、赤いブレザーに黒のスカートを履いた女性が立っていた。

 

「おはよう祈、スバル、恭輔。あっさから元気だな」

 

「逆にお前はなんで眠たそうな顔をしているんだよ。昨日は練習早めに切り上げただろ?」

 

「海馬コーポレーションに送る資料をまとめていたんだよ・・・新規のルールのこともあるし、デッキも改良したんだから」

 

「ゆ、遊輝さんも大変ですね」

 

「そんな事より早く行きましょうよ、もうすぐチャイムが鳴りますよ」

 

「恭輔、俺は今日寝るから」

 

「そんなことできませんよ」という小さい方の男性、恭輔の言葉を適当に聞き流しながら俺、いや俺たちは今日もアカデミアに向かう。

 

 

 

俺の名は遠藤遊輝、歳は15歳。デュエルアカデミアネオドミノシティ高に通う普通の高等部1年だ。肩書きにはWRGPの初代チャンピオンととあるバンドグループの名前があるのだがそれはまぁ・・・置いておこう。

実は俺には知り合い以外には知られちゃいけない秘密がある。それは俺が前世の記憶を持ちながら、この世界に転生をしてきたことだ。この世界、遊戯王5D'sの世界であることを知った俺はこの世界で起こる全ての戦いに参戦してきた。そしてその戦いも終わり、シグナーとしての役目を終えた仲間たちは新たなる目標を見つけ、一人を残してこの街から巣立っていった。そして俺は・・・

 

「遊輝!!おはよう!!」

 

「あっ!やっときた!」

 

「早く早く!!クラス替えが発表されているわよ!」

 

「恭輔っちも祈っちも!中等部組も発表されたわよ!」

 

アカデミアの正門前で手を振る4人の女性たち、レミや茜、響と奏の姿を見て、俺たちは歩むスピードを早めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「今年のクラスはっと・・・あったあった!」

 

「・・・やった!またみんな一緒だ!」

 

「あっ!本当だ!」

 

「これでまたみんなと一緒にいられるね!」

 

靴箱前に貼られた高等部のクラス、それを見て一喜一憂をするスバルたち。そんな時・・・・

 

「どけ!邪魔だ!」

 

「きゃっ!?」

 

ドサッ!!

 

「何だ?」

 

奏たちとクラス換えを見ていたら突然後ろの方で誰かが倒れるような音が聞こえたのでそっちの方に振り向く。1人の女子生徒が尻餅をついて、ガラの悪い男子生徒が人混みを強引に掻き分けてこっちに来てるのが目に移った。

 

「おいこら押すな!こっちはまだ探しているんだよ!」

 

「うっせぇ!!まずは俺様からだ!!」

 

「うっわ・・・あいつガキ大将顔している小西じゃん」

 

「参ったわね・・・さっさと離れましょう、あんなのに絡まれたら面倒くさいわよ」

 

「嫌よね、ああいう頭がチンチコリンな奴」

 

「あ゛!?誰だ今俺様の悪口を言った奴!?」

 

「おい、あいつに聞こえてるぞ」

 

「ばっか!?スバル指差すな!?」

 

「お前らか!俺のことをバカにした奴は!!」

 

ドカドカとガラの悪い男子生徒がこっちにやってくる。周りの奴らは勝手に離れていき、気がついたら俺たちとアイツで対峙するような構図になった。

 

「あん?よく見たら軽音部の奴らか、お前らも最近調子に乗りすぎなんだよな」

 

「今のこの状況で見たら明らかにあんたの方が調子に乗っているって思われているわよ」

 

「うっせぇ!!丁度いい!!お前らのその天狗鼻を一度折ろうと思っていたところだ。デュエルしてテメェらにギャフンと言わせてやる!」

 

「だってよ、じゃあ遊輝」

 

「はぁ!?俺!?」

 

勝手に名指しされて響と茜が俺の背中を押す。その反動で少しバランスを崩した俺は前に倒れかけるけど、持ち直して相手の方を見る。相手の方はすでにデュエルディスクを構えていた。

 

「さあお前もはめろ!」

 

「はぁ・・・・面倒くさい、さっさと終わらせよう」

 

俺はカバンの中からタブレット型のデュエルディスクを取り出してそれを左腕のブレスレットにつける。スイッチを押してソリッドビジョンが展開されてデュエルディスクが起動する。

 

「行くぞ!」

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

小西 LP 4000 遊輝 LP 4000

 

「俺のターン!ド、おっと、ルールが変わってもうドローできないんだったな。なら俺は魔法カード、強欲で貪欲な壺!デッキの上から10枚をゲームから除外して2枚ドローする!」

 

小西 手札 4枚→6枚

 

相手のフィールドに強欲な壺が現れて、デッキの上から10枚を舌で取って、2枚のカードが手札に加わる。それを見た相手はニヤリと笑みを浮かべた。

 

「さらに俺は永続魔法、炎舞ー天璣を発動!この効果の発動時の処理としてデッキから獣戦士族モンスターを手札に加える!俺は速炎星ータイヒョウを手札に加えて、召喚!」

 

速炎星ータイヒョウ 攻0→100

 

フィールドに現れた武装した人型のモンスターとその後ろに青い霊の虎。

 

「速炎星ータイヒョウの効果!このモンスターを召喚したターン、自分フィールドの《炎星》と名のついたモンスターをリリースすることでデッキから《炎舞》と名のついた魔法か罠をセットする!自身をリリースして、炎舞ー天枢をセット!そしてそのまま発動!俺は獣戦士族モンスターの召喚権をさらに得る!チューナーモンスター、炎星師ーチョウテンを召喚!」

 

炎星師ーチョウテン 攻500→700

 

「炎星師ーチョウテンの効果!召喚成功時に墓地から守備力200以下の炎属性・レベル3以下のモンスター1体を特殊召喚する!墓地の速炎星ータイヒョウを特殊召喚!」

 

フィールドに現れたキョンシーみたいなやつが何かを口走って、墓地にいったタイヒョウがフィールドに戻ってくる。

 

「行くぜ!Lv3の速炎星ータイヒョウにLv3の炎星師ーチョウテンをチューニング!」

☆3 + ☆3 = ☆6

 

「シンクロ召喚!炎星侯ーホウシン!」

 

炎星侯ーホウシン 攻2200→2400

 

フィールドのチョウテンとタイヒョウが飛び上がり、ホウシンが緑色の三つの輪を作り、その中にタイヒョウが入って一筋の光が現れる。光から炎が爆発してホウシンが現れた。

 

「炎星侯ーホウシンの効果!このカードをシンクロ召喚した時、デッキから炎属性・レベル3のモンスターを特殊召喚する!立炎星ートウケイを特殊召喚!」

 

立炎星ートウケイ 攻1500→1700

 

ホウシンの爆発が広がって落ちた炎の中からトウケイがフィールドに姿を表す。そのままトウケイは笑みを浮かべて一枚のカードを取り出して相手の手札に加わった。

 

「立炎星ートウケイは《炎星》と名のついたモンスターの効果によって特殊召喚された時、デッキから《炎星》モンスターを手札に加える!この効果で俺は2枚目の炎星師ーチョウテンを手札に加える!さらに立炎星ートウケイの効果!フィールドの《炎舞》カードを墓地に送り、デッキから新たな《炎舞》カードをセットする!俺は炎舞ー天璣を墓地に送り、2枚目の炎舞ー天璣をセット!さらにカードを1枚セットしてターンエンド!」

 

 

小西 手札 4枚 LP 4000

 

ーー▲▲ー ー

ー○○ーー

 

-----

----- ー

 

遊輝 手札 5枚 LP 4000

 

 

 

「俺のターン、ドロー」

 

遊輝 手札 6枚

 

めんどくせぇしさっさと終わらせるか・・・ってか早く寝たい。

 

「どうした!?さっさとやれ!!」

 

「はいはい、さっさと終わらせますよ・・・手札の超天新龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴンの効果!手札のこのカードを墓地に送り、ライフを500払ってデッキからLv8以下のドラゴン族ペンデュラムモンスター1体を手札に加える!」

 

遊輝 LP 4000→3500

 

手札のオッドアイズ・レボリューションを相手に見せてから墓地に送り、デッキがオートシャッフルされて一枚のカードが飛び出す。

 

「俺はこの効果で竜剣士ラスターPを手札に加える。そしてレフト・Pゾーンに竜剣士ラスターPをセッティング!」

 

俺の左側に空から青い光が差し込んで、ラスターPがフィールドに降りてきた。

 

「魔法カード、デュエリスト・アドベント!互いのペンデュラムゾーンに1枚でもペンデュラムカードが存在する場合、デッキから《ペンデュラム》と名のついたカードを手札に加える!俺はEM ペンデュラム・マジシャンを手札に加えて、そのままライト・Pゾーンにセッティング!」

 

「リバースカードオープン!罠カード、砂塵の大嵐!この効果でフィールドの魔法・罠を2枚破壊する!俺が破壊するのは当然、お前のペンデュラムゾーンの2枚のカードだ!」

 

今度は俺の右側にペンデュラムゾーンがセットされてペンデュラム・マジシャンが空から降りてきた。そのタイミングで相手がトラップを発動、フィールドにいたラスターPとペンデュラム・マジシャンが砂塵の大嵐に巻き込まれて破壊されてしまう。

 

「これでお得意のペンデュラム召喚ができない!残念だったな!!」

 

「・・・手間が省けて助かるよ」

 

「あ゛っ?」

 

「このカードは自分フィールドのカードが破壊された場合、手札から特殊召喚出来る!出でよ!クロノグラフ・マジシャン!」

 

クロノグラフ・マジシャン 攻2000

 

「さらにこの効果で特殊召喚した場合、手札のモンスター1体を特殊召喚する!黒牙の魔術師を特殊召喚!」

 

黒牙の魔術師 攻1700

 

俺の場のカードが破壊されたことにより出てきたクロノグラフ・マジシャン、さらにクロノグラフ・マジシャンが手にしている時計のような盾から黒牙の魔術師がフィールドに姿を表す。

 

「そしてフィールドのクロノグラフ・マジシャンと黒牙の魔術師で融合!」

 

「ゆ、融合だと!?」

 

「このモンスターはフィールドに融合素材が存在する場合、融合カードなしで融合召喚出来る!覇王につく四龍の1体よ!融合の力を得て、全てを食い尽くせ!融合召喚!覇王眷竜スターヴ・ヴェノム!」

 

覇王眷竜スターヴ・ヴェノム 攻2800

 

「ギャアアアアア!!!!!」

 

フィールドにいたクロノグラフと黒牙の魔術師が俺の後ろに出来た融合の渦に巻き込まれていき、大きな咆哮が聞こえてくる。俺の頭の上から1体の龍が飛び出してフィールドに現れた。

 

「なっ!?あっ!?」

 

「覇王眷竜スターヴ・ヴェノムの効果!1ターンに1度、互いのフィールドまたは墓地のモンスター1体を選択して、エンドフェイズまでそのモンスターの名前と効果を得る!俺は超天新龍オッドアイズ・レボリューションを選択!」

 

フィールドのスターヴ・ヴェノムの前に墓地に眠っていたオッドアイズ・レボリューションが現れて、スターヴ・ヴェノムに吸収される。オッドアイズ・レボリューションを吸収したスターヴ・ヴェノムは身体が一回り大きくなる。

 

覇王眷竜スターヴ・ヴェノム →超天新龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴン

攻2800→4800

 

「攻撃力が上がっただと!?」

 

「オッドアイズ・レボリューションは相手のライフの半分の数値だけ攻撃力を上昇させる!さらにオッドアイズ・レボリューションの効果!俺のライフを半分にする事でこのカード以外の互いのフィールドと墓地のカード全てをデッキに戻す!」

 

「!?そ、そんな!?」

 

「行くぞ・・・レボリューション・ストリーム!」

 

遊輝 LP 3500→1750

 

『・・・・ギャアアアアア!!!!!』

 

オッドアイズ・レボリューションの効果を受け継いだスターヴ・ヴェノムが羽根を広げて羽ばたく。大きな咆哮を放ち、フィールドに竜巻が吹き荒れ、俺と相手のフィールドと墓地のカードを全て吹き飛ばしていった。

 

「なっ、あっ・・・・」

 

「バトル!スターヴ・ヴェノムでダイレクトアタック!!」

 

小西 LP 4000→0

 

 

WIN 遊輝 LOS 小西

 

 

 

 

「ふぅ〜・・・こんなもんか」

 

「なっ、がっ・・・お、俺が」

 

「はいはい、とっとと帰った帰った」

 

デュエルに負けて跪いている相手に俺は適当にあしらって、そのまま皆の所に戻る。

 

「はい、終わらせた」

 

「相変わらず早いわね・・・」

 

「まぁこんなもんだよ、魔術師は」

 

「そんな事より早く教室行こうぜ!」

 

スバルに背中を押されて俺たちは校舎の中に入っていく。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ふわぁ・・・・今日も練習疲れた疲れた」

 

夕方、いつもの練習が終わり、皆と別れて一人で賃貸のアパートへと戻る。

 

「前までは家が賑やかだったけど、やっぱ一人は寂しいなぁ・・・・」

 

『何を言っているのですか、私たちがいますよ』

 

『私だっているよ!」

 

『いるよ!』 『いるよ!』

 

「ああ、悪かった悪かった」

 

俺の一人寂しい独り言に答えるように目の前にガガガマジシャン、ガガガガールの精霊、そして俺のシグナーの龍、ホワイトとブラックが姿を表す。

 

「さてと、今日はどうしよ、ん?何だあ!?」

 

皆と別れて一人で帰宅途中、路上に何かを見つけた俺はすぐに駆け足となり、何かに、いや、倒れている人に駆け寄った。顔に正気はない。見た感じ、体格的には女の子のようだ。

 

「おい!?どうした!?大丈夫か!?」

 

「・・・・・・・」

 

「返事なしか!?大丈夫か!?」

 

『マスター、脈は動いています。ですが体温が下がりきっています。このままでは』

 

「とりあえず俺の能力だ!!」

 

そう言って俺は女の子に右手をかざして右手に力を込める。右手にエネルギーがたまり、緑色の気が目に見えて、女の子の身体を包み込む。

 

「よし、応急処置にはなった!!あとは病院だ!!すぐに連れてやるからな!!」

 

倒れている女の子を俺は背負って来た道をまた戻って駆け抜けていく。

 

 

 

 

 

 

 

これが、俺たちの新たなる戦いの始まりだった・・・・・・・・・

 

 

 

 

 



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第1話 動き出す影

前の話では最強カードの紹介とかしてましたが今回はしません。
あれ、めんどくさいしネタバレになるんですよね。言わない方が読者的にも良いかな〜って思って。

やって欲しいって要望が多ければ考えます。


遊輝 side

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

『マスター、そんなに心配ですか・・・』

 

「当たり前だ、目の前で人が死にそうになっていたんだ。気分が良いわけねぇだろ」

 

ベンチで腰掛けている俺にガガガマジシャンの精霊、ダイヤが俺に声をかける。今現在、病院の緊急治療室の目の前で俺が見つけた女の子が緊急手術を受けている。俺が慌てていた時には気づけなかったが、服に隠れて何箇所か痣があったらしく、内臓とか問題なのか検査も兼ねている。

 

「よう遊輝、待たせたな」

 

「牛尾さん」

 

廊下の奥からセキュリティの制服を着たガタイの良い男の人がやって来た。この人は牛尾さん、セキュリティで働いている俺の信頼できる人だ。この街の英雄とは腐れ縁でもある。

 

「調べてやったぞ、お前がここに連れ込んだ子」

 

「誰か分かったのか?」

 

「いや、それが・・・・乗ってない」

 

「はっ?」

 

「だから乗ってない、ネオドミノシティのデータにあの女の子の情報は乗ってないんだ」

 

「そんなバカな!?じゃああの子はどうやってあそこにいたんだよ!?」

 

ネオドミノシティは良い意味でも悪い意味でも全ての情報をデータで統制している。そのため、この街では住んでいる住民、さらに旅行や観光で訪れた海外の方の簡単な情報までもデータとして登録されている。

 

「分からない・・・・・いわゆる戸籍無しかもしれないが、あの年齢で戸籍無しっていうのもおかしい」

 

「・・・・・・・・まさかアリアと同じパターン?」

 

「おいおいおい、あんなレアなケースが立て続けに起こるのか?」

 

「お待たせしました」

 

俺と牛尾さんで色々と話していると手術をしていた医者が緊急治療室から出てきた。

 

「先生、あの子は?」

 

「大事にはいたらない。表面上の怪我だけだったからゆっくりと痣を治していけばいい。今はゆっくりと眠っている」

 

「そうか・・・良かった」

 

「そうそう、あの子がこんなペンダントをしていたんだが」

 

そう言って医者は俺にペンダントを渡してきた。外縁は丸く、中には正八角形に三角のマーク、そして中央に鳥のようなものか掘られている。

 

「何だこれ?」

 

「見たことねぇなぁ、最近はこんな特徴的なペンダントなんか売っているのか?」

 

「いや、俺もこういうのは全く」

 

「とにかく、今は君が預かってくれないか」

 

「まぁ・・・・はい、分かりました」

 

「今日は遅いし、お前は病院で寝ていけ」

 

「えぇ・・・牛尾さんは?」

 

「俺は夜勤だ」

 

「ちょいちょいちょい!!」

 

そう言って牛尾さんは俺の言葉も聞かずにさっさと離れてしまった。医者も医者でもういないし・・・っていうか今何時なんだよ?

 

「・・・11時?随分長い手術してんなぁ・・・・しゃあねぇ病院で寝るか、嫌なんだよな病院で寝るの・・・・なんか出そうだし」

 

『マスターって本当に幽霊とかダメだよね』

 

『ねぇ〜』 『ねぇ〜』

 

「うるせぇ!!お前らには俺のこの恐怖が分からねぇのか!?」

 

あの得体の知れない何かに見られている感覚や追いかけられる感覚!!あんなもの味わいた「すみませんが病院で騒がないでもらえますか?」

 

「あっ、すみません・・・・・」

 

「遠藤さんでしたね。病院内、特に夜なんですからお静かにお願いします」

 

「は、はい・・・・」

 

気まずい雰囲気の中で看護師に案内されて緊急治療室からほど近くの小さな個室に案内される。中は6畳ほどの和室で、毛布だけ置かれていた。

 

「今日はこちらでお願いします。緊急でしたので簡単な準備しか出来ませんでしたが」

 

「あっ、いえ、おかまないなく」

 

「では」

 

そういって看護師は部屋から出ていく。

 

「なんか・・・・本当に嫌だな」

 

『何でそんなに怖がるのですか?幽霊なんか出ませんよ』

 

「いや違うんだよ・・・・確かにそれも怖いんだけど、なんか嫌な予感がするんだよ・・・こう、あのペンダントを見て得体の知れないものが」

 

『あのペンダントですか?特に何も感じなかったですが?』

 

「分からないんだよ・・・・何でか分からないんだがあのペンダントを見た瞬間にこの痣が疼いた気がきたんだ」

 

そういって俺はブレザーの右袖をめくる。そこにはタトゥーのような赤い太陽の痣がある。

 

『シークレットシグナーの報せ・・・・』

 

「ああ・・・・あの少女、戸籍無しって言っていたし、なんか嫌な予感がするんだ・・・・」

 

何だろうなぁこの妙な胸騒ぎ・・・・・ここから先は俺も本当に分からないからな・・・・・

 

「・・・・・とりあえず寝るか、何も起きなければ良いんだが」

 

カバンを壁に立てかけて、支給された毛布を手にして俺は横になる。

 

「(・・・・・・痣が疼く、ってことはまた戦いが始まるのか?赤き竜・・・・・って言っても答えてくれるわけないよな)」

 

赤き竜はこの時代での役目を終えて、シグナーの紋章を自分の所に戻してこの世界からいなくなった。もう赤き竜やシグナーが戦う時代じゃないってことだ。つまり、今度は・・・・・・

 

「(・・・・俺たちの出番か)」

 

キューーン!!キューーン!!!

 

「!?な、何だ!?」

 

突然、警報が鳴り響いて慌てて飛び起きる。そのままカバンを背負って部屋を出る。すでに一部の看護師や医師が慌てふためきながら走りまくっている。

 

「一体どうなってるんだ!?」

 

「急に不審者が現れて緊急治療室の方に!!」

 

「何だと!?」

 

医者や看護師たちの言葉を聞いた俺は急いで緊急治療室の方に向かう。

 

「クソッ!!やっぱり痣の疼きは本当だったか!!よりにもよってあの子がいる所に!!」

 

病院内を走り回って俺は緊急治療室の前まで行く。そこには3人ほどの警備員が倒されていて、扉の前にフードを被った背の高い人物がいた。

 

「・・・・・・ここか」

 

「おいちょっと待て!?テメェ誰だ!?」

 

「・・・・・また邪魔者か。まるで蚊だな」

 

そう言ってフードを被った奴はこっちを振り向き、俺の顔を見た瞬間、口元が緩んだ。声的に男か?

 

「ほぉ・・・・・そっちから来るとは好都合だ」

 

「何だと?」

 

「本当なら後で始末する予定だったが丁度いい、今ここで一人倒してDMWを連れ返すのも丁度いい」

 

「DMW?誰のことだ?まさかあの女の子と言うんじゃないないだろうな?」

 

「そのことを知ってしまっているのか、なら余計にここでお前を始末しなくちゃいけない、太陽のシークレットシグナー」

 

「!?ッチ、知ってやがる・・・・・・」

 

あいつ、俺の素性を躊躇いもなく言いやがったな・・・・・・

 

「デュエルだ。ここでお前が勝てばこの場から引いてやろう、そんな事は無いけど」

 

「んなもん、やって見なくちゃわかんないだろ」

 

そう言ってお互いにデュエルディスクを構え、デッキをディスクにセットせる。オートシャッフルされて5枚のカードを手札に加える。

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

 

遊輝 LP 4000 ??? LP 4000

 

 

「私のターン、手札からサイバー・ドラゴン・ヘルツを召喚」

 

サイバー・ドラゴン・ヘルツ 攻100

 

サイバー・ドラゴン・ヘルツ・・・・ってことは相手のデッキは《サイバー》、高打点を叩き出して相手をねじ伏せるやつか、にしてもヘルツ単体で出すとはな、

 

「さらに魔法カード、機械複製術」

 

「ウエイ!?」

 

「この効果により、攻撃力500以下の機械僕モンスター1体と同名モンスター2体をデッキから特殊召喚する。ただし、サイバー・ドラゴン・ヘルツはフィールド・墓地に存在する限り、サイバー・ドラゴンとして扱う。私はデッキから2体のサイバー・ドラゴンを特殊召喚」

 

サイバー・ドラゴン 攻2100 ×2

 

相手フィールドに出来た機械複製術にサイバー・ドラゴン・ヘルツが入り、両隣からサイバー・ドラゴン2体がフィールドに現れる。まずいなぁ・・・これで一気にインフィニティまで確定なのか。

 

「・・・・・現れろ、絶望へ続くサーキット」

 

「なっ!?」

 

「アローヘッド確認、召喚条件はレベル1のモンスター1体」

 

「う、嘘だろ!?お、お前それ!?」

 

「私はサイバー・ドラゴン・ヘルツをリンクマーカーにセット!」

 

フィールドの上に大きな穴が開いてその中にサイバー・ドラゴン・ヘルツが飛び込んでいく。そして穴が変形して8方向に矢印が現れて、相手向きの方に矢印が赤く光った。

 

「サーキットコンバイン!リンク召喚!現れろリンク1!リンクリボー!」

 

リンクリボー 攻300 ↓

 

飛び込んだサイバー・ドラゴン・ヘルツの代わりに尻尾が矢印になっている機械で出来たクリボーみたいなモンスターがフィールドに現れた。

 

「ば、バカな・・・・・何で・・・・何でリンク召喚を使えてるんだよ!?」

 

「ほぅ・・・・・さすがは転生者、この情報をもう知り得てるのか」

 

「な、何だと!?」

 

何であいつ、俺の素上まで知ってやがる!?そのことを話しているのは俺の信頼できる奴しか話していないはずなのに!?

 

「だがお前がその答えを知る由も無い。何故なら私に負けるからだ。墓地に送られたサイバー・ドラゴン・ヘルツの効果、デッキからこのカード以外の《サイバー・ドラゴン》モンスターを手札に加える。俺はサイバー・ドラゴン・コアを手札に加える。さらに私はサイバー・ドラゴン2体でオーバーレイ!」

 

☆5 × ☆5 = ★5

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!現れろ、ランク5!サイバー・ドラゴン・ノヴァ!」

 

サイバー・ドラゴン・ノヴァ 攻2100

 

「さらにサイバー・ドラゴン・ノヴァ1体でオーバーレイ!」

 

★5→★6

 

「1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築!ランクアップ・エクシーズチェンジ!ランク6!サイバー・ドラゴン・インフィニティ!」

 

サイバー・ドラゴン・インフィニティ 攻2100

 

サイバー・ドラゴン2体がブラックホールに吸い込まれてエクシーズ召喚されてノヴァが召喚、さらにそのノヴァを素材にしてインフィニティがフィールドに現れる。

 

「サイバー・ドラゴン・インフィニティの攻撃力はオーバーレイ・ネットワークの枚数×200ポイントアップする」

 

サイバー・ドラゴン・インフィニティ 攻2100→2700

 

「カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

 

 

??? 手札 4枚 LP 4000

--▲-- -

-○---

○ -

-----

----- -

 

遊輝 手札 5枚 LP 4000

 

 

「(何であいつ、リンク召喚を・・・・いや落ち着け、今の状況を整理しろ・・・・)」

 

リンク召喚をされて慌てるけど、とりあえず目の前の状況を整理するように冷静に落ち着こうとする。リンク召喚をしてきたってことはこのデュエルは新マスタールール、となると・・・・

 

「(エクストラの制限を受けるのか・・・・・)」

 

そこが一番の問題点だな・・・・それを突破する前にインフィニティの除去も考えないと。

 

「俺のターン!ドロー!」

 

遊輝 手札 6枚

 

「レフト・Pゾーンにスケール5の慧眼の魔術師をペンデュラムゾーンに発動!魔法カード、デュエリスト・アドベント!」

 

「・・・・・通してやる」

 

「自分または相手のペンデュラムゾーンにペンデュラムカードが存在する場合、デッキから《ペンデュラム》カードを手札に加える!俺はEM ペンデュラム・マジシャンを手札に!そしてライト・Pゾーンにスケール1の紫毒の魔術師をセッティング!永続魔法、星霜のペンデュラムグラフを発動!」

 

「チッ、余計なカードを・・・・サイバー・ドラゴン・インフィニティの効果!このカードのオーバー・レイ・ユニットを一つ取り除いて星霜のペンデュラムグラフの発動を無効にして破壊する!」

 

サイバー・ドラゴン・インフィニティ OVR 3→2

サイバー・ドラゴン・インフィニティ 攻 2700→2500

 

インフィニティがオーバーレイ・ユニットを使って星霜のペンデュラムグラフを破壊した。へぇ〜・・・・ここで使ってくるんだ、そりゃちょっと助かる。ちょっとプラン変えるか。

 

「慧眼の魔術師のペンデュラム効果!もう片方のPゾーンに《魔術師》または《EM》が存在する場合、このカードを破壊してデッキから別の《魔術師》ペンデュラムモンスターをPゾーンに置く!スケール8の虹彩の魔術師をセット!これでレベル2から7までのモンスターが同時に召喚可能!」

 

フィールドのPゾーンに発動された虹彩の魔術師と紫毒の魔術師に大きな振り子が現れて、その軌跡によって円が描かれる。

 

「揺れろ魂のペンデュラム!天空に描け光のアーク!ペンデュラム召喚!現れろ!俺のモンスターたち!手札からEM ペンデュラム・マジシャンとガガガマジシャン!エクストラデッキから慧眼の魔術師!」

 

EM ペンデュラム・マジシャン 攻1500

ガガガマジシャン 攻1500

慧眼の魔術師 攻1500

 

振り子が描いた円の中から3つの光が飛び出して、3体のモンスターがフィールドに現れた。

 

「EM ペンデュラム・マジシャンの効果発動!このカードの特殊召喚成功時、自分フィールドのカードを2枚まで破壊して、デッキからこのカード以外の《EM》モンスターを手札に加える!」

 

「手札のエフェクト・ヴェーラーの効果発動!このカードを手札から捨てて、ペンデュラム・マジシャンの効果を無効にする!」

 

「手札から速攻魔法、墓穴の指名者!さっきお前が捨てたエフェクト・ヴェーラーをゲームから除外して、次のお前のエンドフェイズまで互いのプレイヤーは同名モンスターの効果を使えない!」

 

「チッ!」

 

相手の手札にあったエフェクト・ヴェーラーがペンデュラム・マジシャンに向かおうとしたが、手札にあった墓穴の指名者によってエフェクト・ヴェーラーはゲームから除外された。

 

「ペンデュラム・マジシャンの効果は有効!俺はPゾーンの虹彩の魔術師と紫毒の魔術師を破壊する!」

 

ペンデュラム・マジシャンが手にしている振り子を飛ばして、俺のPゾーンのカードを破壊、ブーメランのように帰ってきた振り子を捕まえたあと、ペンデュラム・マジシャンの手には2枚のカードがある。

 

「俺はEM ドクロバット・ジョーカーとEM ギタートルを手札に加える。さらに破壊された虹彩の魔術師と紫毒の魔術師の効果発動!虹彩の魔術師は破壊された場合デッキから《ペンデュラムグラフ》魔法・罠カードを手札に加え、紫毒の魔術師は破壊された場合、フィールドの表側表示のカード1枚を破壊する!俺はリンクリボーを選択!」

 

破壊された紫毒の魔術師の霊がリンクリボーを掴んで破壊、虹彩の魔術師の効果でデッキから1枚のカードが手札に加わった。

 

「俺は時空のペンデュラムグラフを手札に加える。そしてEM ドクロバット・ジョーカーを召喚!」

 

EM ドクロバット・ジョーカー 攻1800

 

「ドクロバット・ジョーカーは召喚成功時、デッキから《EM》《オッドアイズ》《魔術師》ペンデュラムモンスターのいずれか1枚を手札に加える!EM リザードローを選択!」

 

さて、問題はここからだ・・・・・サイバー・ドラゴン・インフィニティを倒しつつ勝つためには・・・・

 

「Lv4の慧眼の魔術師とペンデュラム・マジシャンでオーバーレイ!」

 

☆4 × ☆4 = ★4

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れろNo,39!希望皇ホープ!」

 

No,39 希望皇ホープ 攻2500

 

「さらに希望皇ホープでオーバーレイ!」

 

★4→★5

 

「1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!現れろSNo,39!雷鳴の速さで闇を斬り裂け!希望皇 ホープ・ザ・ライトニング!!」

 

SNo,39 希望皇 ホープ・ザ・ライトニング 攻2500

 

慧眼の魔術師とペンデュラム・マジシャンを素材としてエクシーズ召喚されたホープ、さらにそのホープをランクアップさせてホープ・ザ・ライトニングをフィールドに召喚させる。

 

「バトル!ホープ・ザ・ライトニングでサイバー・ドラゴン・インフィニティに攻撃!この瞬間、ホープ・ザ・ライトニングの効果発動!このカードのオーバーレイ・ユニットを2つ取り除いて、攻撃力を5000にする!」

 

SNo,39 希望皇 ホープ・ザ・ライトニング OVR 3→1 攻2500→5000

 

「行け!ホープ剣・ライトニングスラッシュ!!」

 

SNo,39 希望皇 ホープ・ザ・ライトニング 攻5000

サイバー・ドラゴン・インフィニティ 攻2500

 

??? LP 4000→1500

 

「・・・・フッ」

 

ホープ・ザ・ライトニングの攻撃により厄介なインフィニティを破壊、相手に2500のダメージを与えることができたが相手は涼しい顔をしている。

 

「(なんだあの余裕な笑み・・・・やっぱあの伏せカードなのか?)ガガガマジシャンでダイレクトアタック!」

 

「手札の速攻のかかしの効果」

 

「!?」

 

「このカードを手札から捨て、この直接攻撃を無効にしてバトルフェイズを終了させる」

 

相手が発動した速攻のかかしがガガガマジシャンの攻撃を受け止める。そのまま速攻のかかしの効果でバトルフェイズは終了した。

 

「残念だったね。伏せカードばかり気にして私の手札を見ていなかったようだ」

 

「(グッ・・・・不味い)」

 

サイバー流はいつどんな状況でも相手を殺しにかけるパワーがある。何とかしたいがexモンスターゾーンが埋まっていちゃ・・・

 

「メインフェイズ2、レフト・Pゾーンにスケール6のEM ギタートル、ライト・Pゾーンにスケール6のEM リザードローをセッティング!EM ギタートルのペンデュラム効果!もう片方のPゾーンに《EM》が置かれた場合1枚ドロー!EM リザードローの効果!もう片方のPゾーンに《EM》がある場合、自身を破壊して1枚ドローする!」

 

遊輝 手札 1枚→3枚

 

「(・・・・よし!)魔法カード、セズン・ストア!自分フィールドのエクシーズモンスターをリリースしてそのモンスターのオーバーレイ・ユニットにプラス1枚ドローする!俺はホープ・ザ・ライトニングを選択!」

 

遊輝 手札 2枚→4枚

 

「ほぅ・・・上手いことしたか」

 

「Lv4のドクロバット・ジョーカーとガガガマジシャンでオーバーレイ!」

 

☆4 × ☆4 = ★4

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!No,41 泥眠魔獣バグースカ!」

 

No,41 泥眠魔獣バグースカ 守2000

 

ガガガマジシャンとドクロバット・ジョーカーの2体がブラックホールに吸い込まれていき、その中からバグースカが寝た状態でフィールドに現れる。

 

「魔法カード、ペンデュラム・ホルト!EXデッキに表側表示のペンデュラムモンスターが3種類以上ある場合、2枚ドローする!」

 

遊輝 手札 3枚→5枚

 

「カードを1枚を伏せてライト・Pゾーンにスケール1の紫毒の魔術師をセット!これでターンエンド!」

 

「エンドフェイズ時、リバースカードオープン!罠カード、サイバネティック・オーバーフロー!手札・フィールド・墓地のサイバー・ドラゴンを任意の枚数ゲームから除外することで、除外したカードの枚数だけ相手フィールドのカードを破壊する!」

 

「なっ!?」

 

「俺は墓地のサイバー・ドラゴン状態のサイバー・ドラゴン・ヘルツとサイバー・ドラゴンの2体をゲームから除外して、その左側の伏せカードとバグースカを破壊する!」

 

サイバネティック・オーバーフローにより墓地にいたサイバー・ドラゴン・ヘルツがフィールドに出てきて、俺の伏せカード目掛けて特攻して破壊してきた。

 

 

??? 手札 2枚 LP 1500

----- -

-----

- -

-----

△---△ -

 

遊輝 手札 3枚 LP 4000

 

 

「では行くぞ、私のターン、ドロー!」

 

??? 手札 3枚

 

「私はサイバー・ドラゴン・コアを召喚」

 

サイバー・ドラゴン・コア 攻500

 

「サイバー・ドラゴン・コアの効果!召喚時、デッキから《サイバー》または《サイバネティック》とついた魔法か罠を手札に加える。私はサイバーロード・フュージョンを手札に加える。そしてそのままサイバーロード・フュージョンを発動!フィールドまたは除外されている《サイバー・ドラゴン》モンスターを融合素材とするモンスターをデッキに戻し、融合召喚を行う!私は除外されているサイバー・ドラゴンとサイバー・ドラゴン・ヘルツをデッキに戻す!」

 

相手の除外ゾーンにいたサイバー・ドラゴンとヘルツの2体が融合の渦にまきこまていく。

 

「現れろ!キラメテック・ランページ・ドラゴン!」

 

キラメテック・ランページ・ドラゴン 攻2100

 

「キメラテック・ランページ・ドラゴンの効果発動!このカードの融合素材とした数まで、相手の魔法・罠カードを破壊する!私はEM ギタートルを破壊!」

 

「焦ったな!手札の幽鬼うさぎの効果発動!」

 

「何だと!?」

 

「相手がフィールドで効果モンスターの効果を発動した場合、手札のこのカードを捨てることでそのモンスターを破壊する!」

 

融合召喚して現れたキメラテック・ランページがギタートルに照準を合わせる。そのタイミングで手札にいた幽鬼うさぎがフィールドにピョンッと現れて、キメラテック・ランページに取り憑く。そのまま幽鬼うさぎはキメラテック・ランページを破壊して、キメラテック・ランページの効果によりギタートルも破壊された。

 

「あっぶねぇ危ねぇ、罠カード減らして手札誘発系のカード多めに入れて正解だった」

 

「き、貴様・・・・私は1枚伏せてターンエンド!」

 

 

??? 手札 1枚 LP 1500

 

-▲--- -

--○--

- -

-----

----△ -

 

遊輝 手札 2枚 LP 4000

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

遊輝 手札 3枚

 

マジで危なかった・・・・・ドローカードで幽鬼うさぎを引いていなかったら死んでいたところだった。

 

「もうお遊びもおしまいだ・・・ガガガシスターを召喚!」

 

『ヤッホー!!』

 

ガガガシスター 攻200

 

俺の場にガガガシスターが現れて、元気に飛び回る。

 

「ガガガシスターの効果!召喚時、デッキから《ガガガ》と名のついた魔法・罠を手札に加える!ガガガリベンジを手札に加えて、そのまま発動!墓地のガガガマジシャンを特殊召喚する!」

 

『ハアアア!!!』

 

フィールドに戻ってきたガガガマジシャン、鎖を振り回して相手を睨みつける。

 

「ガガガシスターの効果発動!自分フィールドの《ガガガ》モンスター1体を対象に取って、このカードと対象としたモンスターのレベルを2体の合計分とする!」

 

ガガガマジシャン ☆4→☆6

ガガガシスター ☆2→☆6

 

「Lv6のガガガマジシャンとガガガシスターでオーバーレイ!」

 

☆6 × ☆6 = ★6

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!白夜の地に輝く純白の太陽よ!天空の世界から降臨して、この世界の光の神となれ!エクシーズ召喚!輝け!ホワイト・サン・ドラゴン!」

 

ホワイト・サン・ドラゴン 攻2400

 

『・・・・ギャアアアアア!!!』

 

ブラックホールに吸い込まれていくガガガマジシャンとガガガシスター、そしてブラックホールの中から白い太陽がフィールドに登って変形をしてホワイト・サンが現れた。

 

「墓地に送られたガガガリベンジの効果!エクシーズモンスターの攻撃力を300ポイントアップする!」

 

ホワイト・サン・ドラゴン 攻2400→2700

 

「ホワイト・サンの効果発動!オーバーレイ・ユニットを一つ取り除き、自分フィールドのモンスター1体を選択!このターン、そのモンスターはダイレクトアタックが出来る!」

 

ホワイト・サン・ドラゴン OVR 2→1

 

「ほぅ・・・・オネストを警戒しているのか」

 

「バトル!ホワイト・サン・ドラゴンでダイレクトアタック!」

 

「だが甘い!リバースカードオープン!罠カード、聖なるバリア〜ミラーフォース〜!」

 

「甘いのはテメェの方だ!!ホワイト・サンはオーバーレイ・ユニットがある限り、カード効果で破壊されない!」

 

「何だと!?」

 

「ラストだ!!サンシャイン・パティズム!!」

 

??? LP 1500→0

 

WIN 遊輝 LOS ???

 

 

 

「チッ・・・・・・妨害されたか、仕方ない。約束通り引いてやろう」

 

「おいこら待て!!テメェの正体は何者だ!!」

 

デュエルディスクを片付けたフードを被った男はそのまま立ち去ろうとするが俺が怒鳴りつけて、立ち止まる。

 

「・・・・今の君が知る由も無い」

 

「何だとテ、グッ!?」

 

フードを被った男は懐から床に何かを投げる。それが床にぶつかり周りが煙で見えなくなる。

 

「ゴホッ、ゴホッ・・・・・くそッ、いなくなったか」

 

煙はすぐに晴れたが男の方はもういなくなっていた。だが、俺は男のある所有物を見過ごさなかった。

 

「(あいつ・・・・あの女の子と同じペンダントを持っていた・・・・ってことはあのペンダントは何かの証か?)」

 

「き、君!?大丈夫か!?」

 

「ん?ああ、はい。犯人は取り逃がしてしまいましたが」

 

「すぐにセキュリティが来てくれるから待っていてくれ!!」

 

すでに大慌ての医者や看護師を無視して、俺は緊急治療室の方に目を向ける。

 

「(一体、あの子は何なんだ?DMWとか言っていたが・・・・・これは牛尾さんやプラチナたちに頼んで調べてもらう必要があるな)」

 

あの子は恐らく、あいつにとって何かしらのキーパーソン何だろう。俺は右袖をめくり、自分の痣を見る。

 

「(・・・・・もうシグナーの戦いは終わった。これからは俺たち、シークレットシグナーの戦いになるな)」




遊輝「サイバー流で先行とるとかあいつの神経よく分からんのだが」

ダイヤ「私に言われても(汗)」

ガール「先行でインフィニティ出したら強いじゃん」

遊輝「それくらい余裕余裕。伏せカードの方が怖かったくらい」

ダイヤ「見え見えの罠ですからね・・・・」

遊輝「サイバー流は脳筋で殴るのが一番なんだよ。だからこの前の大阪のYCSでもサイバー流が優勝したし」

ガール「大阪大会は見ていて楽しかったね」

遊輝「というわけで次回、『名のない少女』、次回もよろしく」


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第2話 名のない少女

今回から本作の主人公2、メインヒロインの登場です。
またどこかでオリキャラ設定載せないとなぁ〜


遊輝 side

 

 

「・・・・なるほどね。あの少女狙いで病院襲撃と」

 

「そういう事」

 

「しかもどういうわけか、そいつはお前の素性を知っている上にお前がここ最近海馬コーポレーションに教えたリンク召喚まで使ったと、こりゃただ事じゃねぇな」

 

あの襲撃事件から翌朝、夜勤明けの牛尾さんと牛尾さんの直属の上司である狭霧さんが真っ先に俺のところに来て、昨日のことを聞いてきた。あの少女は緊急治療室から個室に移動した。あの部屋が使えない状態なので逆に危ないみたいらしい。

 

「牛尾くん、昨日見たペンダントとは?」

 

「これのことです狭霧さん」

 

俺はポケットに入れていたペンダントを狭霧さんに渡す。

 

「・・・・確かに見たことがないですね、一度、セキュリティで調査しましょう」

 

「助かります」

 

「それで、どうするんだ?このことは遊星に報告するのか?」

 

「いや・・・・出来れば黙っていてほしい。バレちゃったら仕方ないけど。これは多分、シークレットシグナーの戦いになると思う。この痣がそう言ってるんだ」

 

「・・・・・分かった。もうあいつも一般人だ、あまり足を踏み入れないようにしておいてやる」

 

「助かります」

 

「遊輝さん、その女の子はどこですか?一度お話したいのですが」

 

「さっき目覚めて今、医者に診てもらってます」

 

「遠藤さん、ちょっと良いですか?」

 

牛尾さんたちと話していところに女の子を担当していた医者がこっちにやってきた。

 

「どうしたんですか?」

 

「あの子の事なんですが・・・・・どうやら記憶喪失で」

 

「何?記憶喪失だと?」

 

「自分の名前はおろか、ここが何処なのかも分かっていない状況です」

 

「ふむ・・・・どうやらその子から情報を得られるのは厳しそうね」

 

「一度、見てもらいますか?あいにく、今日は専門の先生が休んでますのでこれ以上の治療は」

 

「分かりました」

 

医者に案内されて女の子がいる個室に入る。女の子は窓の方を見ていたがこっちに気がついて、顔を振り向く。無表情のまま、こっちを見つめていた。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「(ぶっきらぼうだな・・・・感情表現が苦手なのか?)」

 

「・・・・・・あなた、誰?」

 

「俺?俺は通りすがりの学生。帰宅途中でたまたま君を見つけてここに運んだ」

 

「おい、何カッコつけてやがる」

 

「良いじゃねぇかよ別に・・・・・名前は遊輝」

 

「・・・・そう、ありがとう」

 

「ん、で君の名前は?」

 

「無い、そもそもここ何処?私なんでここにいるの?」

 

「(・・・・・・医者の言う通りだな。完全に自分の事を忘れてやがる)」

 

「・・・・・ねぇ」

 

「ん?どうした?」

 

「名前、つけて」

 

「えっ?」

 

「名前、つけて。どうせ記憶を思い出せない、だから名前をつけて」

 

「俺が?」

 

「ずいぶんお前に懐いているな。何したんだ?」

 

「いや、別に何も」

 

しかし名前か、確かにこのまま名前が無い状態だと不便だしな・・・・何だろうなぁ、この子の名前・・・・俺が名前を考えている間、女の子はまた窓の外を見ている。何を見ているのか俺も窓の方を見てみると、大きな桜の木が満開に咲き誇っていた。

 

「・・・・・・・・」

 

「・・・・桜、好きなのか?」

 

「うん、綺麗だから」

 

「そうか・・・・・じゃあ名前は桜」

 

「?」

 

「君の名前、桜が好きなんだろ?だから桜」

 

「安直すぎるだろ」

 

「牛尾さんは黙っててくださいよ」

 

「桜・・・・・うん、私は桜」

 

「本人は気に入ったみたいですね」

 

後ろの牛尾さんは煩かったが、狭霧さんの言う通り本人が気に入ってくれたからOKってことにしておいてやろう。

 

「とりあえずこの子はもう大丈夫何ですか?」

 

「記憶喪失である点以外はもう大丈夫です。怪我の回復も自然に治るでしょう」

 

「分かりました。じゃあ問題はこの子をどうするか・・・・」

 

「一番安全なのはセキュリティで預かることだ。遊輝の言っている通りなら得体の知れないやつから守らなくちゃいけない」

 

「まぁそうなるよな」

 

「・・・・・いく」

 

「えっ?どうしたの桜ちゃん?」

 

「お兄ちゃんについていく」

 

「はぁ!?俺!?」

 

俺たち3人であの子の今後のことを話していたら、突然女の子が俺の方に指をさして俺について行くとか言ってきた。いや、こっちオンボロアパートに引っ越して一人で生活するくらいの居住スペースしか無いんですけど!?

 

「大分遊輝君に懐いているわね」

 

「じゃあ決まりだな、桜ちゃんは遊輝に任せよう」

 

「ちょま!?何で大の大人二人が女の子の世話を男子高校生に任せるんですか!?」

 

「あの子の意見を尊重するべきよ。それともう一つ、我々セキュリティより遊輝君、あなたの手元にいる方が意外と安全かもしれません」

 

「狭霧さんの言う通りだ。セキュリティは巨大化された組織だ、内部の裏切りに情報漏洩などであの子のことがバレてしまったらお終いだ」

 

「いやいやいやいや!?!?どう考えてもそっちの方が安全性高いですよね!?俺の家、オンボロアパートですよ!?」

 

「引っ越しすれば問題解決するだろ」

 

「ふざけないでくださいよ!!俺まだ引っ越して1ヶ月も経ってないですよ!?解約金とか違約金とかどうするんですか!?」

 

「はいはい、その話はまた後で。とりあえず遊輝君があの子の面倒を見るのは決定だから」

 

そう言って狭霧さんは俺の背中を押して一旦病室から出た。くそッ・・・・覚えていろよ、後で始末書書かせて減給処分にさせてやる。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「・・・・・ここ?」

 

「ここ」

 

「・・・・・狭い」

 

そりゃそうですよ、男子高校生の一人暮らしなんですからこれくらいのアパートで充分なんですよ。とりあえずあの後、結局桜を引き取ることになり、今現在俺の家に連れて帰った。男の一人暮らしなんてこんな小さな子に見せるもんじゃないよ全く・・・・

 

「もう12時か・・・・今日はアカデミア公欠扱いにしてくれているしなぁ・・・飯作るか、何食いたい?」

 

「何でも良い。お腹いっぱいになったらそれで良い」

 

・・・・・お前はどこぞのピンクの悪魔か。何でも良いっていう方が難しいんだよな、えっと冷蔵庫冷蔵庫・・・・・

 

「・・・・・・・・・何もねぇ」

 

冷蔵庫を覗いて思わず額に手を置いてしまった。そうじゃん、昨日スーパーに行く前にあの子を助けたじゃん。冷蔵庫の中スッカラカンのこと忘れてたよ。

 

「しゃあないなぁ、外で食うか・・・・お〜い、桜。外に出かけるぞ」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「桜?どうした?」

 

「・・・・・・これ、これ食べたい」

 

「これって・・・・・うわっ」

 

桜が持っていたチラシ、そこには新装開店したばかりのラーメン屋がオープン記念としてワンコインでラーメンを食べれるようにと配ったチラシである。しかし、このラーメン屋は・・・

 

「桜、ラーメンは構わないけどこのラーメン屋はやめといた方がいい。絶対に食べ残す」

 

「ここ、ここのラーメン屋に行きたい」

 

「いや、ちょっと・・・・」

 

俺が躊躇っている理由・・・・それはこのラーメン屋が○郎系だからだ。俺でも食べきれないのに、こんなか細い少女が食べられるはずがない。

 

「ここ、ここに行きたい」

 

「・・・・・・・・」

 

結局、桜に押されてしまいこの新しくオープンしたラーメン屋に行く羽目になりました。家から出て、数分くらいで目的のラーメン屋に着く。オープン仕立てでまだ人が少なく、意外にもすぐに入れた。食券機の前に立ち、メニューを見る。

 

「・・・・・小ラーメンの控えめ一択だな。絶対に食べられない。桜も少ラーメンだよな?」

 

「大ラーメン、ブタW増し」

 

「・・・・・桜、いつそんな言葉を覚えた?」

 

「チラシに載ってた。大ラーメン、ブタW増し」

 

いや、絶対に食べられないでしょ。ほら、店主の人がすんごい目でこっちを睨みつけているじゃないですか、絶対に注文するなって目で訴えているよ、あれ。

 

「これが食べたい」

 

「・・・・・・店主さん、食べられなかったらお金倍額払うので良いですか?」

 

「・・・・・今日だけだぞ」

 

店主さんの視線が凄い痛いです。何で俺はラーメン一杯食べるためにこんな胃が痛い思いを味わないといけないんだろう・・・そう思いつつ、食券機のボタンを押して、食券を買ってカウンターの上に置いた。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「・・・桜、真剣に何を読んでんだ?」

 

「・・・・・・・・」

 

「(・・・・この子、怖すぎるんだけど(汗))」

 

「お客さん、ニンニク入れますか?」

 

「あっ、えっと・・・・ニンニクなしで」

 

「隣のお客さんは?」

 

「ヤサイマシマシニンニクアブラ」

 

「・・・・・はっ?」

 

この子、今何つった?大ラーメンブタW増しでヤサイマシマシ?

 

「・・・・・はい、小ラーメンと大ラーメンブタW増し」

 

「う、うわぁ・・・・・・・」

 

店主さんがカウンターの上にまず俺のラーメンを置いた。小ラーメンでトッピング無しでも野菜てんこ盛りでこの下に麺が大量にあるんだよな。小ラーメンでこれなのに隣の大ラーメンは・・・・・・まずラーメンどんぶりじゃなくて巨大なすり鉢に大量のもやしが乗ってるんだけど・・・・・確かこの店、大ラーメンの麺が500gでヤサイマシマシで野菜が大体1.5〜2kg、それにブタW増しで大体1kg・・・・・

 

「・・・・・(ニヤリッ)いただきます」

 

「い、いただきます」

 

もう注文してしまった以上どうしようにもできないので割り箸を手にして食べ始める。桜はまず上の野菜から食べ始めた。

 

「(チャーシュー先に食べておかないと後で後悔するんだよな・・・・)」

 

確か前にそんなコラム見たなとか思いつつ、俺も自分のラーメンを食べ始める。とりあえず桜のことを置いといて、自分のラーメンを黙々と食べ続ける。野菜が半分減ったところで麺を食べ始めるが、太麺でモチモチとして既に満腹感を得ている。

 

「(・・・・・小ラーメンでもめちゃくちゃキツイんだけど、桜はどうなっ)ウエイ!?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

少し気になって隣の方をチラッと見ると、既に高く積んでいた野菜が巨大なすり鉢の中に入っていた。慌てて顔を上げると、桜は黙々とラーメンを食べていて、9割方完食した。

 

「(う、嘘だろ!?まだ10分も経ってないぞ!?あのラーメンをそんな短時間で食べるのか!?)」

 

「・・・・・ご馳走さま」

 

俺があんぐりと驚いている間も桜は黙々と食べ続け、遂にあの大ラーメンを食べ終えた。その様子を見ていた店主や他の客もあんぐりと口を開けていた。

 

「マ、マジかよ・・・・・・」

 

「食べやがった・・・・」

 

「・・・・・・・お兄ちゃん」

 

「えっ!?な、何!?」

 

「・・・・・・足りないからお兄ちゃんの食べていい?」

 

「「「「「何いいい!?!?!?」」」」」」

 

「えっ、あっ、はい・・・・」

 

既にギブアップ寸前の俺はスススッと桜の方にラーメンどんぶりを渡す。桜は自分の割り箸を持って俺の余っているラーメンを平然とした顔で食べ始めた。

 

「(・・・・・・食費、どうしようかな?)」

 

「・・・・・・・・・・」

 

猛烈にお金のことを心配することになったオレを余所目に桜はラーメンを食べ続けた。

 

 

遊輝 side out

 

 

No side

 

 

「・・・・そうか、随分早くにシークレットシグナーに見つかってしまったか、しかも相手はあの転生者と」

 

「申し訳ありません」

 

「構わない、私の計算外だった。君にミスを押し付けるつもりはない。下がりたまえ」

 

「ハッ」

 

とある場所、フードを被った男は跪き目の前にいる男に報告を終えた後、立ち上がって一礼をして部屋から出た。男の報告を受けた白衣を着た人は椅子を半回転させて立ち上がった。

 

「ふむ・・・・・あの子は私にとって大事なキーでしたが相手の手駒になってしまったじゃ仕方ありません。ここは一つ、色々な作戦を使って相手を潰すことにしましょう」

 

そう呟いた男は机の上にあるチェスの駒を一つ動かし、敵のチェスを跳ね除けた。そのチェスには写真が貼り付けられていて、遊輝が映っていた。




桜「ラーメン美味しかった。また行きたい」

遊輝「第一声それかよ!?最初に自己紹介しろって言ったじゃないか!?」

桜「ん・・・・・桜、よろしく」

遊輝「淡白だな・・・・」

桜「またあのラーメン屋行きたい」

遊輝「もう結構です・・・・食べられないです」

桜「私だけ食べてお兄ちゃん座っていればいい」

遊輝「営業妨害にもほどがあるだろ!!」

桜「確かに・・・・じゃあチャーシューあげる」

遊輝「いらねぇよ・・・・」

桜「ん、次回、『出陣、戦場を駆け抜けるヒロイン』。よろしく」


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第3話 出陣、戦場を駆け抜けるヒロイン

というわけで桜さん、初デュエルです。
最初、これともう一つ候補があったけどもう一つは作者には回せなかった。作者、基本的にぶん回す系のデッキ、無理。デュエマとか時々触るんだけど、全般的に言えることはビート系よりもコントロール系が性に合う(遊戯王はトリスタ、オルガ、影霊衣等、デュエマはロージア等、あんまり深く触ってないけど、多分デスザークとかも相性は良いと思う)


遊輝 side

 

 

「・・・・・・出来た」

 

「・・・・100点か、学力の問題は無いみたいだな」

 

「こんなの朝飯前」

 

今現在、俺と桜はセキュリティの建物に入って、牛尾さんと狭霧さんに面会を申し込んだ。あの事件から数日が経ち、とりあえず俺はアカデミアに1週間の休みを申請した。桜のことも含めて、今後のことをちゃんと話し合わないと行けない。今は待っている間に桜の学力を見ようと持ってきてたタブレットに適当な勉強アプリを起動して桜の学力を測っていた。

 

「待たせたな」

 

「遅くなってすみません」

 

っと、牛尾さんと狭霧さんがやってきたな。

 

「どうですか?その後の進展は?」

 

「事件の方はさっぱりだ。なんせ犯人が雲のように消えてしまったからな」

 

「ただ、あのペンダントの情報は分かりました。あれはアムールという組織のマークでした」

 

「アムール?」

 

「海外で最近急成長をしている製薬会社だ。そこの会社のシンボルとこのペンダントのマークが一致した」

 

そう言って牛尾さんはパンフレットを俺に手渡してきた。そこには狭霧さんが言ったアムールという会社の概要や業務内容などが書かれていた。

 

「・・・・・成立が10年前で去年の売り上げが2億?製薬会社ってこんな急に儲かるのか?」

 

「何でもそこの会社は癌の特効薬や脱毛症を改善する薬の開発に成功したらしく、今勢いがあるらしい」

 

「もちろんそれは表の顔だわ」

 

「表の顔?じゃあ裏で何をしているんだ?」

 

「これは海外からの噂だけど・・・・・殺人兵器を研究して国に売っているみたいだわ」

 

「おうおう、世のため人のために薬を作っていると思ったら、今度は国のために兵器を作っているのか」

 

「あくまでも噂だけどね、しかし国を相手にした商売だからなかなか捜査しにくいのも事実よ」

 

「あの事件を起こしたアイツ、そして桜ちゃんとその会社がどんな関わりを持っているか分からねぇが、マークしておかないといけない組織であるだろうな」

 

「なるほどね・・・・」

 

とりあえず俺たちの相手はなかなか強そうだな・・・しかも下手したら向こうは国を味方に付けれるのか、厄介極まりないことだ。

 

「ところでお前は何の用でここに来たんだ?まさかこれだけのために来たんじゃ無いだろうな」

 

「まさか、とりあえず最初に桜の戸籍を何とかして欲しい。それと、新召喚方法のテスター、桜に任せる」

 

「なっ!?お前嘘だろ!?この子に任せるのか!?」

 

「牛尾くん!ここでその話は不味いです!と、とりあえず遊輝さん、桜ちゃん、一緒に部屋に行きましょう」

 

狭霧さんについていかれて俺と桜は受付から奥へ奥へいき、個室に入った。

 

「牛尾くん、公の場で機密情報を漏らさないでください」

 

「すみません・・・・」

 

「それで何故遊輝さんはこの子にテスターを?」

 

「まぁ単純に俺はあの《魔術師》デッキが気に入っているからだな。あのデッキもリンクモンスターは入るけど、あくまでメインはペンデュラム召喚、それに俺ばかりテスターも不味いでしょ?」

 

「それはそうですがよりによってこの子ですか・・・・」

 

「こいつの腕前はどうなんだ?」

 

「問題無いですよ、ああそうそう、テスターはもう一人いますから」

 

「誰だ?」

 

「アリアに任せます」

 

「アリアさんね、彼女なら信頼できるでしょう。しかしこの子は・・・・・」

 

「・・・・お兄ちゃん」

 

「どうした?」

 

「お腹空いた」

 

「あのなぁ・・・・・・」

 

さっき渡したタブレットをずっと眺めていた桜が俺にボソッとそんな事を呟いて呆れてしまった。ついさっき、ここに来る前に朝飯で食パン2斤を食べたじゃねぇか・・・・・それでまだ食うか。

 

「飯はあとだ。とりあえずおまえのテスター申請が先だ」

 

「テスター申請って簡単に言うな・・・・まぁ結局実力を見たらいいんだが」

 

「話が早くて助かる、相手は誰がするんだ?」

 

「俺だ」

 

そう言って牛尾さんが自分自身を指した。

 

「俺自身がその子の実力を見極めてやる」

 

「じゃあ早速お願いします。桜、行くぞ」

 

「うん」

 

桜はタブレットを俺に帰し、牛尾さんの後ろについていく。俺は狭霧さんと一緒についていき、二人が入った部屋の隣の部屋に入る。ここからガラス越しで二人のデュエルを見ることが出来る。すでに二人ともデュエルディスクを構えている。

 

「行くぞ!」

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

桜 LP 4000 牛尾 LP 4000

 

「先行は譲るぜ!どんな風に動くのかじっくり見させてもらう!」

 

「私のターン、魔法カード、増援。デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加える。閃刀姫ーレイを手札に、魔法カード、おろかな副葬。デッキから魔法か罠を墓地に。錬装融合(メタルフォーゼ・フュージョン)を墓地へ。魔法カード、閃刀起動ーエンゲージ発動」

 

「こりゃぶん回りだな」

 

「そうなのですか?」

 

「えぇ狭霧さん。『閃刀姫』得意のアドバンテージを稼ぎに行くパターンです」

 

「『閃刀』魔法カードは共通としてメインモンスターゾーンにモンスターがいたら使えない」

 

「ほぅ・・・つまりその制約を持って強い効果を持っているんだな」

 

「閃刀起動ーエンゲージはデッキから『閃刀』カードを手札に加える。私は閃刀機関ーマルチロールを手札に加え、さらに墓地に3枚以上魔法カードがあるなら1枚ドローする」

 

桜 手札 3枚→5枚

 

「永続魔、閃刀機関ーマルチロールを発動。そして閃刀姫ーレイを通常召喚」

 

閃刀姫ーレイ 攻1500

 

「現れて、未来へ続くサーキット」

 

「早速お出ましか!」

 

桜のフィールドに現れた閃刀姫ーレイが二人の上空に現れたリンクマーカーの中に飛び込む。

 

「アローヘッド確認、召喚条件は炎属性以外の『閃刀姫』モンスター1体。私は閃刀姫ーレイをリンクマーカーにセット、フォームチェンジ、リンク召喚、閃刀姫ーカガリ」

 

閃刀姫ーカガリ 攻1500 ↖︎

 

リンクマーカーに飛び込んだ閃刀姫ーレイが赤いコスチュームを身に纏ってフィールドに戻ってきた。

 

「閃刀姫ーカガリはリンク召喚成功時、墓地の『閃刀』魔法カードを手札に戻す。私は閃刀起動ーエンゲージを手札に戻して、発動」

 

「なっ!?それターン1じゃないのか!?」

 

「そんな事私は一度も言ってない。デッキから閃刀機ーウィドアンカーを手札に加えて1枚ドロー」

 

桜 5枚→7枚

 

「さらに閃刀姫ーカガリをリンクマーカーににセット。フォームチェンジ、閃刀姫ーシズク」

 

閃刀姫ーシズク 攻1500 ↗︎

 

「カードを2枚伏せてエンドフェイズ、閃刀機関ーマルチロールの効果、このターンに発動した『閃刀』魔法カードの枚数だけ墓地の『閃刀』魔法カードをフィールドにセットする。閃刀起動ーエンゲージをセット、閃刀姫ーシズクの効果。墓地に存在しない『閃刀』魔法カードをデッキから手札に加える。閃刀起動ーエンゲージを手札に。これでターンエンド」

 

桜 手札 6枚 LP 4000 墓地魔法3

ー△▲▲▲ ー

ーーーーー

○ -

ーー---

ーー--ー ー

 

牛尾 手札 5枚 LP 4000

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

牛尾 手札 6枚

 

「手加減はしねぇ!手札からLv4・3・3のモンスターを墓地に送り、モンタージュ・ドラゴンを特殊召喚!」

 

モンタージュ・ドラゴン 攻?

 

「モンタージュ・ドラゴンはこのカードの特殊召喚に使用したモンスターのレベル×300ポイントアップする!」

 

モンタージュ・ドラゴン 攻3000→2700

 

「閃刀姫ーシズクが存在する限り、相手モンスターの攻撃力は私の墓地の魔法カードの枚数×100ポイント下がる」

 

「なら倒せばいい!バトル!モンタージュ・ドラゴンで閃刀姫ーシズクに攻撃!」

 

「速攻魔法、閃刀姫ーウィドアンカー。相手モンスター1体の効果を無効にする」

 

「なっ!?」

 

閃刀姫ーシズク 攻1500

モンタージュ・ドラゴン 攻2800→0

 

牛尾 LP 4000→2500

 

モンタージュ・ドラゴンがシズクに向かって攻撃を仕掛けるが桜が発動したウィドアンカーによって身体が拘束され、攻撃力が0になってしまう。そこにシズクによる反撃をくらってモンタージュ・ドラゴンは破壊されてしまった。

 

「ぐう!!仕方ねぇ・・・カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

「エンドフェイズ、速攻魔法、ツインツイスター。手札1枚をコストに、相手の伏せカード2枚を破壊する」

 

「なっ!?」

 

「うわ〜・・・・容赦ねぇなぁ・・・」

 

桜が伏せていたツインツイスターが発生、牛尾さんの伏せカード2枚を破壊する。マジ鬼畜やなぁ・・・

 

 

桜 手札 5枚 LP 4000 墓地魔法6

ー△▲▲▲ ー

ーーーーー

○ -

ーー---

ーー--ー ー

 

牛尾 手札 0枚 LP 2500

 

 

「私のターン、ドロー」

 

桜 手札 6枚

 

「伏せている閃刀起動ーエンゲージを発動。デッキから閃刀機ーベクタードラフトを手札に加えて、1枚ドロー」

桜 手札 6枚→8枚

 

「閃刀機関ーマルチロールの効果で伏せた閃刀起動ーエンゲージはゲームから除外される。魔法カード、閃刀機ーベクタードラフト。互いのプレイヤーはデッキの上からカードを2枚墓地に送る。さらに魔法カード、閃刀起動ーエンゲージ。デッキから閃刀機ーアフターバナーを手札に加えて、1枚ドロー」

 

桜 手札 6枚→8枚

 

「閃刀姫ーシズク1体をリンクマーカーにセット。フォームチェンジ。閃刀姫ーカガリ」

 

閃刀姫ーカガリ 攻1500→2500 ↖︎

 

「なっ!?攻撃力が上がっている!?」

 

「閃刀姫ーカガリは墓地の魔法カードの枚数×100ポイントアップ。本当なら魔法カードを回収できるけどその必要はない。バトル、閃刀姫ーカガリでダイレクトアタック」

 

牛尾 LP 2500→0

 

 

WIN 桜 LOS 牛尾

 

 

「参ったぜ・・・・完膚なきまでに叩かれてしまったな・・・」

 

「ヴィ」

 

デュエルに負けた牛尾さんはやれやれといった様子で両手を挙げて、桜はこっちに向かってVサインを送ってきた。

 

「あの子、凄いですね。あなたが教えたのですか?」

 

「基礎的な事はな。あとは桜の応用だ」

 

「そうですか・・・・確かにテスターとして問題は無いですね」

 

「さてと、じゃあテスターと戸籍の件、よろしくお願いします」

 

「分かりました。なるべく早く手続きをすませます」

 

「お兄ちゃん、お腹すいた」

 

狭霧さんに今後のことをお願いしていたら牛尾さんと桜が帰ってきて、真っ先にご飯をねだってきた。

 

「あのなぁ・・・・」

 

「まぁいいじゃねぇか。昼飯には少し早いが俺が奢ってやろう」

 

「おじさんありがとう」

 

・・・・・うわぁ、牛尾さん、絶対に後悔するだろうなぁ(遠い目)

 

 

 

 

30分後、牛尾さんは物凄く絶望してました。




桜「満足満足」

遊輝「・・・・牛尾さん、マジで泣きかけたな。そりゃ桜一人で3万円分って」

桜「またあの店行きたい」

遊輝「金が無いから無理」

桜「むぅ〜・・・・・」

遊輝「(こっちまで飛び火されたらマジ困る)閃刀姫はどうだった」

桜「ん、使いやすかった」

遊輝「本当はリンク召喚らしくサイバース族とか考えていたけど作者が投げたからな。あれ、難しすぎるって」

桜「私はこっちがしっくりくる」

遊輝「作者の感性が大量展開じゃなくて盤面制圧型だからな」

桜「次回、『戦場を駆け抜ける姫vs騒ぎ続ける幽霊』。よろしく」


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第4話 戦場を駆け抜ける姫vs騒ぎ続ける幽霊

みんな大好きアリアさん、復活。ちなみにアリアさんはこの小説から「ごちうさ」のココア化、つまり「可愛い妹のためなら何でもする」、シスターコンプレックス化。


遊輝 side

 

 

「・・・・はい、終わり」

 

「面倒くさかった」

 

「仕方ないんだよ、こうしないとこの後が面倒くさいんだから」

 

牛尾さんにたらふくご馳走になった翌日、俺は狭霧さんからいただいた戸籍に関する書類の整理をしていた。本当なら凄く面倒且つ怠い仕事なんだが、訳あって前にこのことをした俺はもう慣れていた。

 

「明日これを狭霧さんに渡すか。今日はもうゆっくりと」

 

ピンポ〜ン

 

「ったく、誰だよこんな時にチャイムを鳴らした奴は・・・・」

 

書類仕事を片付けてファイルに直したところで誰かがチャイムを鳴らしてきた。全く、この家に来る暇人なんかいるのか?

 

「どちら様?」

 

「は〜い遊輝ちゃん、久しぶり〜」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「ちょちょちょ!?!?なんで無言で扉を閉めるのよ!!」

 

家に来た奴を確認した俺は無言で扉を閉めようとしたが相手が閉めまいと扉を持って抵抗してくる。

 

「うるせぇ疫病神!!お前がいると問題が起こるんだよ!!」

 

「ひっど!?流石のアリアさんも心が傷つくよ!!」

 

「・・・・・誰?」

 

俺と玄関にいるやつで争っている途中に桜がこっちにきた。それに気を取られた俺は一瞬の隙を突かれて扉を全開にされてしまった。

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・誰?」

 

「(ピピピッ)もしもし茜?大変よ、遊輝ちゃんが女の子を誘拐「わあああ!!!!!待て待て待て待て待て!!!!誤解だ!!!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「・・・・・・・あんたの方がよっぽど疫病神だわ」

 

「全くもってそうだな」

 

「うるせぇ、俺は巻き込まれただけだ」

 

「自分は被害者みたいな言い方するなんて最低〜」

 

「最低〜」

 

「可愛いねぇ桜ちゃん。このケーキあげる」

 

「ありがとう」

 

あの後、俺の家に来た奴が俺の仲間全員に電話を掛けて5分もしないうちにやって来た。電話をかけた張本人、アリア・リューベックは桜に奏のお店のカップケーキを渡して餌付けしている。

 

「それにしてもアムール、ねぇ・・・・」

 

「聞いたこともない会社ですよ。製薬会社で特に癌の特効薬を完成させたなら世界中で話題になるニュースですよ」

 

「わ、私もさっぱり・・・・」

 

「フランスの会社でしょ?私、フランスにいた時に目にはしていたよ。ただ、そんな大きな会社には感じなかったけど」

 

「ああ、そう言えば茜はフランスに居たんだったな。アムールってさ、表は製薬会社って通ってて裏では殺人兵器製造会社みたいな感じで回っていたみたいけど、そんな情報聞いたことある?」

 

「ある訳ないでしょ。そんな情報流れたらすぐに潰れるわよ」

 

「だよなぁ・・・・・・敵のねぐらもわからねぇし、やっぱり迎え撃つしか方法がないのか」

 

「勝手に話を進めているけど、それ俺たちも決定事項なのか?」

 

「当たり前だ、何たってこの痣がそう言っていたんだから」

 

そう言って俺は右腕のシークレットシグナーの痣をみんなに見せる。それを見て、レミ、スバル、響、奏の4人も自分自身の右腕を見る。

 

「・・・・せっかく全てを解決したと思ったらまた戦いね」

 

「やれやれ・・・今度はどこまで続くのかな?」

 

すでに皆覚悟を決めてくれたようだ。本当に助かるよ。

 

「とりあえず向こうから来るのを待つしかない。しばらくは様子見だ。それと茜、フランスに友人がいたんだよな?そこの会社のことを少し調べてくれないか?」

 

「掛け合ってみるよ」

 

「はい、あ〜ん」

 

「・・・・・・美味しい、アリアは優しい」

 

「私のことはアリアお姉ちゃんって呼んでいいよ♪」

 

「アリアお姉ちゃん」

 

「・・・・完全に餌付けされているじゃねぇか」

 

桜はアリアからもらったカップケーキを相当気に入り、ホイホイと尻尾を追いかけている。

 

「そう言えば遊輝ちゃん、新召喚方法のテスターを私とこの子に任せたんだってね」

 

「ん?ああそうだよ。お前とこの子の実力を見込んで」

 

「へぇ〜、この子記憶喪失なのにデュエル強いんだ」

 

「響!!簡単に記憶喪失なんて言わないのよ!」

 

「別に、気にしてない」

 

響は能天気に記憶喪失って言って奏は怒ったけど、桜は全く気にしてない。何だろうなぁこの子・・・・前の記憶に対して未練が無さすぎるんだよな。

 

「じゃあ俺とデュエルしようぜ!」

 

「あっ、じゃあ私も!」

 

「ああ、ダメダメ、やるならアリアと」

 

「何で!?」

 

「ルールの問題、お前らまだ対応していないだろ?」

 

「あっ・・・・」

 

世間一般にはまだリンク召喚を公に公表していない。つまりルールがまだ対応していない。こんな状態でやっても色々と問題がある。桜とデュエルするなら同じルールに対応しているテスターのアリアとやるしかない。

 

「じゃあお姉ちゃんとやる?」

 

「・・・・・やる」

 

珍しくアリアから誘ったな。あいつ、普段は実力が無いとかいってやらんのに。

 

「やるのは構わないけどここはまずいなぁ・・・・あの裏に行くか」

 

「裏?」

 

「付いてきたら分かる」

 

俺は皆を連れてアパートの裏へと連れて行く。アパート裏には何もない大きな駐車場が広がっていた。

 

「ここなら誰もこない。駐車場だけど誰も車なんか止めはしないし、ここに来るやつもいない」

 

「へぇ〜、このアパートの裏にこんなだだ広い駐車場あったんだな」

 

スバルや響は広い駐車場で走り回る。一方、アリアと桜はすでに準備を始める。

 

「行くよ!」

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

桜 LP 4000 アリア LP 4000

 

「私のターン、魔法カード、おろかな副葬。効果によりデッキから錬装融合(メタルフォーゼ・フュージョン)を墓地に送る」

 

「・・・・・私、嫌な予感がするんだけど」

 

「魔法カード、成金ゴブリン。あなた1000回復、私は1枚ドロー」

 

アリア LP 4000→5000

 

「魔法カード、増援。Lv4以下の戦士族モンスターをデッキから手札に加える。閃刀姫ーレイを手札に」

 

「ちょちょちょ!?!?『閃刀姫』!?遊輝ちゃんこの子に何渡しているのよ!?」

 

「永続魔法、閃刀機関ーマルチロールを発動して魔法カード、閃刀起動ーエンゲージ。デッキから『閃刀』カードを手札に加え、その後墓地に魔法カードが3枚以上あれば1枚ドローする。私は閃刀空域ーエリアゼロを加えて、1枚ドロー」

 

桜 手札 3枚→5枚

 

「閃刀姫ーレイを召喚」

 

閃刀姫ーレイ 攻1500

 

「フィールド魔法、閃刀空域ーエリアゼロを発動。効果、対象をレイにして発動。上から3枚をめくってその中の『閃刀』カードを手札に加える。これにチェーンして閃刀姫ーレイの効果。自身をリリースして『閃刀姫』リンクモンスターをEXモンスターゾーンに特殊召喚する」

 

エリアゼロの効果にチェーンされ、レイが空高く飛び上がり、光に包まれて衣装が変わる。

 

「・・・・フォームチェンジ、閃刀姫ーカガリ」

 

閃刀姫ーカガリ 攻1500→2000 ↖︎

 

光が弱まってレイが地上に降りてくる。赤いコスチュームを纏って髪の毛を後ろに垂らして背中の翼みたいなものが開く。

 

「(にしてもフォームチェンジってM・HEROじゃあるまいし・・・)」

 

「さらにエリアゼロの効果」

 

・閃刀機ーウィドアンカー

・ツインツイスター

・閃刀術式ーアフター・バーナー

 

「閃刀機ーウィドアンカーを手札に加える。閃刀姫ーカガリの効果。特殊召喚成功した場合、墓地の『閃刀』魔法カードを手札に戻す」

 

「許す訳ないでしょ!手札から罠カード発動!」

 

「手札から罠!?」

 

「このカードは自分フィールドにカードが存在しない場合、手札から発動出来る!罠カードだからスペルスピードは2!つまり後攻0ターン目からも発動出来る!私が発動するは夢幻泡影!閃刀姫ーカガリの効果を無効にする!」

 

カガリの効果で桜が墓地のカードをサルベージ使用としたところでアリアが手札から夢幻泡影を発動、カガリの効果は無効になる。

 

「そしてこの瞬間、手札にあるオルターガイスト・マルチフェイカーの効果発動!」

 

「また手札から!?しかも今度はモンスター効果を!?」

 

「このカードは自分が罠カードを発動した場合、手札から特殊召喚出来る!」

 

オルターガイスト・マルチフェイカー 守800

 

夢幻泡影が消えた跡からマルチフェイカーが不気味な笑いをしてフィールドに現れる。マルチフェイカーはそのまま手と足をうまく使い、穴を作ってその中からモンスター1体が飛び出してきた。

 

「さらにマルチフェイカーの効果!このカードが特殊召喚に成功した場合、デッキから『オルターガイスト』モンスターを守備表示で特殊召喚する!オルターガイスト・シルキタスを特殊召喚!」

 

オルターガイスト・シルキタス 守1500

 

「むぅ・・・・仕方ない。私は閃刀姫ーカガリをリンクマーカーにセット。フォームチェンジ。閃刀姫ーシズク」

 

閃刀姫ーシズク 攻1500 ↗︎

 

カガリがリンクマーカーにセットされ、次に現れたのは青い装甲を装備した閃刀姫ーシズクだ。

 

「墓地の錬装融合(メタルフォーゼ・フュージョン)の効果。このカードをデッキに戻して1枚ドロー」

 

桜 手札 6枚→7枚

 

「カードを2枚伏せてエンドフェイズ時、閃刀姫ーシズクの効果。このカードを特殊召喚したターンのエンドフェイズ時、墓地に存在しない『閃刀』魔法カードをデッキから手札に加える。速攻魔法、閃刀機ーイーグルブースターを手札に加えて、そのままシズクを対象に発動。このターン、シズクはこのカード以外の効果を受けない」

 

「何で発動したの?エンドフェイズじゃ意味がないでしょ」

 

「閃刀機関ーマルチロールの効果。このカードがある状態で自分が発動した『閃刀』魔法カードの数まで墓地の『閃刀』魔法カードをセットする。私は墓地から閃刀機ーイーグルブースターと閃刀起動ーエンゲージをセット」

 

「えっ・・・・・ってことはさっき手札に加えたカード相手ターンに使えるの?」

 

「このエンドフェイズ時、オルターガイスト・シルキタスの効果発動!自分フィールドの『オルターガイスト』カードを手札に戻して、フィールドのカード1枚をバウンスする!私は右端のカードを手札に戻す!」

 

 

桜 手札 6枚 LP 4000 墓地魔法3

 

△▲▲▲ー ▽

----ー

○ ー

ーー□ーー

----ー ー

 

アリア 手札 4枚 LP 5000

 

 

「アリアさん、相手の先行1ターン目に妨害しまくっているんですが・・・」

 

「オルターガイストの強さだからな。妨害能力はピカイチだ」

 

「私のターン!ドロー!」

 

アリア 手札 5枚

 

「閃刀姫ーシズクは墓地の魔法カードの枚数だけ相手モンスターの攻撃力を100ポイント下げる」

 

「むぅ・・・・・・遊輝ちゃん私にオルターガイスト使っていいって言うからどんなデッキかワクワクしていたらガチデッキ来るんだから・・・アリアさんも本気で行くよ。オルターガイスト・マリオネッターを召喚!」

オルターガイスト・マリオネッター 攻1600→1300

 

シルキタスの隣にマリオネッターが現れる。

 

「マリオネッターは召喚成功時、デッキから『オルターガイスト』魔法か罠をフィールドにセットする!私はオルターガイスト・プロトコルをフィールドにセット!さらに永続魔法、王家の神殿を発動!」

 

「お、王家の神殿?」

 

「な、何あのカード?見たこと無いんだけど」

 

「あれ?皆知らないの?昔の禁止カードだぞ」

 

「王家の神殿がある限り、私は1ターンに1度だけ私はセットした罠カードを発動できる!」

 

「はぁ!?」

 

「何そのカード!?セットしたターンにトラップを発動!?」

 

「私はセットしたオルターガイスト・プロトコルを発動!そして手札のオルターガイスト・マルチフェイカーの効果発動!特殊召喚!そして効果発動!」

 

「速攻魔法、閃刀機ーウィドアンカー。マルチフェイカーを対象に効果発動。マルチフェイカーの効果を無効、墓地に3枚以上あるからエンドフェイズまでマルチフェイカーのコントロールを得る」

 

桜が発動したウィドアンカーにより、マルチフェイカーは囚われて、桜のフィールドにコントロールが移る。

 

「まずいわね・・・・カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

「エンドフェイズ時、マルチフェイカーはあなたのフィールドに戻る」

 

 

桜 手札 6枚 LP 4000 墓地魔法4

 

△▲▲ーー ▽

----ー

○ ー

ー○□□ー

-△▲▲△ ー

 

アリア 手札 1枚 LP 5000

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

桜 手札 7枚

 

「・・・・伏せ多い」

 

「オルターガイストだからなぁ。相手を妨害するのが真骨頂だから」

 

「だから、トップのカード、ハーピィの羽根箒」

 

「えええええ!?何そのディスティニードロー!?リバースカードオープン!永続罠、パーソナル・スプーフィング!フィールドのオルターガイスト・プロトコルをデッキに戻して、デッキから『オルターガイスト』モンスターを手札に加える!」

 

「・・・・それは仕方ない」

 

「デッキから2枚目のマルチフェイカーを手札に加える!」

 

「ハーピィの羽根箒の効果解決。相手の魔法・罠カードを全て破壊する」

 

桜が発動したハーピィの羽根箒によってアリアの魔法と罠カードを破壊した。あ〜あ・・・これじゃオルターガイスト壊滅だなぁ。

 

「手札に加えたオルターガイスト・マルチフェイカーの効果!このカードを守備表示で特殊召喚!効果発動!デッキからオルターガイスト・メリシュークを守備表示で特殊召喚!」

 

オルターガイスト・メリシューク 守200

 

ただではやられないなぁ・・・さすがオルターガイスト、まだシーソーは傾いてないな。

 

「モンスター多すぎ、どうしようか・・・・伏せていた閃刀起動ーエンゲージを発動。デッキから閃刀術式ーアフターバナーを手札に加えて、シャッフル後1枚ドロー」

 

桜 手札 5枚→7枚

 

「マルチロールの効果でセットされた閃刀起動ーエンゲージはゲームから除外される。閃刀術式ーアフターバーナーを発動。相手フィールドの表側表示モンスター1体を破壊する。オルターガイスト・シルキタスを破壊」

 

「チェーンでシルキタスの効果発動!マリオネッターを手札に戻して、シズクをバウンス!」

 

「通す」

 

アフターバーナーの効果により身体から炎の翼を生えたシズクがシルキタスに標準を合わせて、突撃。シルキタスもマリオネッターを手札をバウンスさせてシズクをバウンスさせた。

 

「墓地の閃刀姫ーレイの効果。『閃刀姫』リンクモンスターが相手によってフィールドから離れた場合、墓地のこのカードを特殊召喚する」

 

「こっちも破壊されたシルキタスの効果発動!このカードが破壊された場合、墓地の『オルターガイスト』罠カードを手札に加える!私はオルターガイスト・マテリアリゼーションを手札に加える!」

 

マテリアリゼーションまで伏せていたのかよ。まぁパーソナル・スプーフィングもあったことだし。

 

「バトル、閃刀姫ーレイでオルターガイスト・マルチフェイカーに攻撃」

 

「通す!」

 

閃刀姫ーレイが手にしている剣でマルチフェイカーを切り裂く。

 

「閃刀姫ーレイの効果。自身をリリースして、フォームチェンジ、EXデッキから閃刀姫ーカガリを特殊召喚」

 

閃刀姫ーカガリ 攻1500→2000

 

「閃刀姫ーカガリは墓地の魔法カードの枚数×100ポイント攻撃力がアップ、閃刀姫ーカガリの効果。墓地から『閃刀』魔法カードを手札に戻す。閃刀術式ーアフターバナーを手札に戻す。閃刀姫ーカガリでメリシュークに攻撃」

 

「通す!」

 

レイからカガリに変身して、そのままカガリでメリシュークに攻撃、メリシュークは破壊されたが、自身の死骸から1枚のカードが飛び出す。

 

「オルターガイスト・メリシュークは墓地に送られた場合、デッキから『オルターガイスト』モンスターを手札に加える!オルターガイスト・クンティエリを手札に加える!」

 

「むぅ・・・・しつこい」

 

「まぁあいつら、テーマが幽霊だからなぁ・・・」

 

「あれ?幽霊なら遊輝苦手じゃない」

 

「こいつら魔法使い族だから大丈夫」

 

「・・・・・基準が分からないわね」

 

「メイン2、カードを2枚伏せて、閃刀姫ーカガリで1体でリンク召喚、閃刀姫ーシズク。これでターンエンド。エンドフェイズ時、シズクの効果で閃刀起動ーエンゲージを手札に加え、さらにマルチロールの効果で墓地のウィンドアンカーをセット」

 

桜 手札 6枚 LP 4000 墓地魔法4

 

△▲▲▲▲ ▽

----ー

○ ー

ーーー□ー

----- ー

 

アリア 手札 3枚 LP 5000

 

 

「さ、桜さんの手札が一向に減らないですね・・・」

 

「あれだけ魔法カード連打しても全く尽きないところが恐ろしいわ・・・」

 

「私のターン!ドロー!」

 

アリア 手札 4枚

 

「(ウィンドアンカーがあったらどうしようにも出来ないじゃない!これに掛けるか・・・)魔法カード、強欲で貪欲な壺!デッキの上から10枚を裏側で除外して2枚ドロー!」

 

「じゃあ手札から灰流うらら」

 

「えっ!?ちょっと遊輝ちゃん!?なんで手札誘発あの子に与えているの!?」

 

「いや・・・・・閃刀姫の妨害札って手札誘発ガン積みが回答だろ?」

 

「私1枚も引けてないのに!!」

 

「(お前も入れているんじゃねぇか・・・・)コストはやれよ」

 

「グヌヌヌ・・・・コストとしてデッキの上から10枚を除外!」

 

強欲で貪欲な壺のコストとして上から10枚のカードが除外される。これは・・・・桜の方に傾いたかな?ウィンドアンカーの2枚目がセットされたいるし。

 

「ぐうぅぅ・・・・こうなったら時間稼ぎしかできないじゃない。カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

「エンドフェイズ時、速攻魔法ツインツイスター。手札を1枚捨てて、その伏せカードを破壊する」

 

「だああああ!!!」

 

 

桜 手札 4枚 LP 4000 墓地魔法6

 

△▲▲ー▲ ▽

----ー

○ ー

ーーー□ー

----- ー

 

アリア 手札 2枚 LP 5000

 

 

「私のターン、ドロー」

 

桜 手札 5枚

 

「閃刀機関ーマルチロールの効果発動。フィールド魔法の閃刀空域ーエリアゼロを対象にしてこのターン、私が発動する『閃刀』魔法カードの効果の発動に対して相手は発動できない。そして閃刀空域ーエリアゼロは墓地に送られる」

 

マルチロールの効果によりフィールドのエリアゼロが消滅する。

 

「閃刀空域ーエリアゼロの効果発動。チェーンで伏せていた速攻魔法、閃刀機ーホーネットビート。さらにチェーンで伏せていたウィンドアンカーを発動。閃刀機ーウィンドアンカーの効果で私は相手の場のモンスター1体のコントロールを得る。オルターガイスト・マルチフェイカーのコントロールを得て、閃刀機ーホーネットビートの効果で閃刀姫トークン1体を特殊召喚する。墓地に魔法カードが3枚以上ある場合、このトークンの攻撃力は1500ポイントアップする」

 

閃刀姫トークン 攻1500

 

「閃刀空域ーエリアゼロは墓地に送られた場合、デッキから『閃刀姫』モンスターを特殊召喚する。閃刀姫ーレイを特殊召喚」

 

エリアゼロの発動に対して、ホーネットビートを発動して、トークンと2体目の閃刀姫ーレイ、さらに相手から奪ったマルチフェイカーを出す桜。これは勝負を決めにきたな。クンティエリはフィールドに『オルターガイストカード』がないと発動出来ない。

 

「師匠、何で桜さんはあんなに魔法カードを大量に発動したのですか?」

 

「ん?『閃刀』魔法カードは1枚1枚が強力な代わりに発動条件として自分のメインモンスターゾーンにモンスターがいたら発動できないんだ」

 

「ああなるほど、トークンもレイもメインモンスターゾーンに特殊召喚される、だからこの場で発動したのね」

 

「マルチフェイカーを攻撃表示に変更」

 

マルチフェイカー 守800→攻1200

 

「バトル、全てのモンスターでダイレクトアタック」

 

 

アリア LP 5000→0

 

WIN 桜 LOS アリア

 

 

「ヴィ」

 

「だあああ・・・・・ま、負けた」

 

「ア、アリアさんが何も出来ずにコテンパンに・・・・・」

 

「先行で閃刀姫を譲ったからだな。先行・後攻逆やったら立場は変わっていただろう」

 

夢幻泡影からマルチフェイカーまでは良かったが、桜のトップがハーピィだった時点で計算狂わせるよな。まさか全部除去られるとは思わなかっただろうし。

 

「なんか癒されるわ〜あの子」

 

「そうね・・・・」

 

「お前らは何呑気にしてるんだよ」

 

「お兄ちゃん、ヴィ」

 

桜はこっちに近寄ってきてまたVサインをした。なんか随分気に入っているな。

 

「ってか遊輝、あの子リンク召喚のデッキだけか?」

 

「うん?そうだけど」

 

「それだったら今は不味いだろ?まだルール整備している途中なんだから」

 

「あっ・・・・・」

 

そうじゃん・・・・まだリンク召喚のルール整備してないから桜のデッキ使えないわ・・・・

 

「まぁテスターだって言えば納得するっしょ」

 

「呑気なもんね・・・」

 

「ムカムカする!こうなったら遊輝ちゃん!デュエルよ!ボッボコにしてあげる!」

 

「俺かよ・・・・まぁいい、返り討ちにしてやるよ」

 

アリアからの指名が入ったから、俺は仕方なくデュエルディスクを取り出してアリアと対峙する,。




アリア「うう〜・・・・・キツかった」

遊輝「オルガも閃刀姫もガッチガチの環境だからな、弱点は両方ともコントロールだから1デュエルの時間が長い長い」

桜「どれくらい?」

遊輝「作者、遊戯王をオルガと魔術師復権で再開したけど、この前オルガを作者が握って公認で閃刀姫と1デュエルに1時間もかけて、最後はエクストラターンで負けた。モンスター切れで」

桜「・・・・長すぎる」

アリア「絶望的にしんどい・・・・メリシューク無効化されるから・・・・」

遊輝「同じ人と今度は魔術師と当たって勝ってはいたけど。ナチュビがささるささる」

桜「ナチュル・ビーストは大っ嫌い」

アリア「閃刀姫あれ突破するにはサイドでどうにかするしかないから・・・・・しかし悔しい。今度対閃刀姫メタでも握って」

遊輝「やめたれよ」

桜「次回、『顕現せよ!ヴァレルソード・ドラゴン!』。よろしく」


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第5話 顕現せよ!ヴァレルソード・ドラゴン!

圧倒的ネタバレ。あいつ強すぎるんだよ。


遊輝 side

 

 

「おかわり」

 

「もうご飯ねぇよ。それでお終い」

 

「むぅ・・・・仕方ない。ご馳走さま」

 

朝からご飯を2合も平らげた桜は不満そうに箸を置いて椅子から立ち上がる。俺は自分と桜の分の食器をシンクにおいて洗い物を始める。

 

「・・・・よし、じゃあ行くか」

 

「行ってらっしゃい」

 

「ちげぇよ。お前も行くんだよ」

 

椅子に置いてあったカバンを手にして、桜を連れて家を出る。桜は私服だけど、俺はアカデミアの制服で・・・・

 

今日からまたアカデミアに行かないといけない。桜に関してはセキュリティから戸籍を取ってもらわない限り、アカデミアの入学試験すら受けられないし・・・・あの校長ならそれくらい見逃してくれそうだけど、

 

「よお遊輝」

 

「師匠おはようございます」

 

「スバル、恭輔、待たせて悪かったな」

 

「おはよう」

 

「おはよう桜」

 

家の鍵を閉めてアパートの外に出るとすでにスバルと恭輔が待っていた。

 

「結局桜も連れて行くのか」

 

「家で一人留守番はマズイだろ?それと、こいつ一人だと家中の食料を食い尽くす・・・・・」

 

「ああ・・・・・」

 

「た、確かに・・・・」

 

気づいたら冷蔵庫スッカラカンなんてもう何回やられたことか・・・・冷蔵庫に南京錠かけるなんて一度も思わなかったわ。

 

「桜さんはどうするんですか?」

 

「とりあえず校長には事前に話をつけているから校長のところに行ってくるよ」

 

「おい、その飛び火軽音部に飛ばすなよ」

 

「知らねぇよ」

 

「お前が校長先生に相談したら絶対軽音部に飛び火がきて迷惑かかるんだからな」

 

スバルの愚痴を無視して俺たちはアカデミアに向かう。アカデミアの近くに引っ越すと通学が楽になって便利なことだ。前の家の時は通学だけで20分近く掛かったからな、そこが不便な点だった。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「おい桜、無言であのラーメン屋を見つめるな。あんまりラーメンばっか食ってたら太るぞ」

 

「お兄ちゃん、無礼すぎる。女の子に太るは厳禁」

 

「お前の体見てたら疑いたくなるわ。なんで毎日たらふく食べているのに太らないんだよ」

 

「足りない、それだけ」

 

はぁ・・・・・通学には近くなったけど今では桜の食費が問題だよな。バイト代で賄えきれるギリギリの状態だよ。そんなこんなを考えていたらもうアカデミアの前だ。にしても・・・・・

 

「さっきからなんで周りの生徒は俺たちを見てコソコソとしているんだ?」

 

「師匠、普通に考えてください。師匠が小さい女の子をアカデミアに連れてきているのですよ?」

 

「あっ・・・・・」

 

「・・・・・・誘拐?」

 

「ちげぇから!!!今どっかで誘拐とか聞こえたけど違うから!!訳ありだから!!!」

 

俺の声は校舎中に響き渡った。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「何も考えずに連れてきた遊輝君に非があると思うがね?」

 

「ごもっともです、校長先生・・・・・」

 

「・・・・・・(モグモグモグ)」

 

あの後、周りにいる生徒の誤解を解くのにものすごく時間がかかり、途中で来た校長先生に助け舟を出してなんとか事なきことを得た。桜は校長室について早々、テーブルの上に置いてあったお菓子に手を付けている。

 

「それで桜さんの編入ですね。私は構いません。生徒の学ぶ機会を与えるのが学校の役目ですからね」

 

「ありがとうございます」

 

「しかし遊輝君、この子を編入させるのは構いませんし、書類も先に貰いましたけどこの子の苗字は?」

 

「苗字?」

 

「さすがに名前だけでは私たちも困ります。苗字を付けてもらわないと」

 

「苗字なんて考えてなかった・・・・・」

 

さて、どうしたものか・・・・・・本当なら桜の本当の名前を知ったら良いんだろうけど、ここで俺の苗字譲ってもいいけど。

 

「・・・・・苗字、お兄ちゃんと一緒でいい」

 

「えっ?」

 

「苗字、一緒でいい。どうせ前の名前思い出せない。だからお兄ちゃんと一緒でいい」

 

「・・・・・・・分かった。苗字は遠藤で、セキュリティの戸籍の登録もそうしとく」

 

「分かりました。ではセキュリティから書類を受け取り次第、編入試験を受けてもらいます」

 

「はい」

 

「それと・・・・・・ちょっと食欲旺盛すぎですね」

 

「・・・・・・・・すみません」

 

「・・・・・・・・・(モグモグモグ)」

 

校長先生は未だにお菓子を食べ続ける桜の方をチラッと見て、俺の方を見てきた。なんで俺がこんな萎縮しないといけないんだよ・・・・

 

「まぁいいです。今日一日は保健室の先生にお願いしておきました。保健室に連れて行ってあげてください」

 

「はい、ありがとうございます。桜、行くぞ」

 

「ん、またね」

 

校長先生に頭を下げて俺と桜は校長室から出た。

 

「・・・・・・ふぅ〜、全く軽音部は問題ばかり連れてくるな」

 

コンコン

 

「校長先生、面会を申し出ている方がいます」

 

「面会?はて・・・・・まぁいい。通してくれ」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「はぁ・・・・疲れた」

 

「1時間目すっ飛ばしてまで校長先生と何を話すのよ」

 

「うっせぇなぁ・・・・桜のことで大変なんだよ」

 

教室に戻り、すぐに自分の机で手を伸ばしてベターと張り付く。なんかアカデミアに来るのが本当に久しぶりに感じるぜ・・・・・

 

「桜ちゃんは結局どうしたの?」

 

「とりあえずは保健室の先生に預けた。あの人なら大「お兄ちゃん」丈夫・・・・・」

 

大丈夫と言おうとした瞬間から、ズボンを引っ張られる感覚がしてそっちの方に顔を向けると桜が困っているような表情をしていた。

 

「お兄ちゃん、大変」

 

「大変って・・・・何が?」

 

「あいつ、来た。私を連れ去ろうとした」

 

「!?何だと!?」

 

「あっ!?ちょっと遊輝!?」

 

「せ、先生!!私たち次の授業抜けます!!」

 

「えっ!?ちょ、ちょっと!?」

 

俺はカバンを持ち桜を連れて教室を飛び出す。

 

「何処だ桜!?」

 

「あっち、さっきいた所」

 

「ちっ!!よりにもよって校長室かよ!?」

 

桜が指差した方向に向かって走りだし、校長室の前に到着、すぐに扉を蹴り開ける。中では校長先生が椅子にもたれかかって、この前見たアイツが立っていた。

 

「校長先生!!」

 

「おやおや、そっちから来てくれるとは手間が省けますね」

 

「テメェ・・・・あの時の」

 

「テメェとは失礼な言葉ですね・・・・・ああ、あの時は私の名を名乗っていませんでしたね。これは失敬、私の名はトロワというものです」

 

「お前の名は聞きたくない。さっさと帰れ」

 

「それは私の仕事が終わってからですね。要件を言わせてもらいましょう。その子をこちらに戻してくれないでしょうか。もともと、その子は我々の施設に預かっている子供でね」

 

「・・・・・・・・・(ブンブン)」

 

「桜は嫌がっている。それに俺が始めて桜を見た時、体に痣とかあった。テメェらの施設に預けたりなんかしたら危ない。ましてや殺人兵器を作っている組織なんかにな」

 

「・・・・・やれやれ、厄介なところまで知り得てしまいましたね、シークレットシグナーの遠藤遊輝さん。どこからその情報を得たのですか?」

 

「誰が教えるか」

 

「遊輝!!」

 

「大丈夫!?」

 

後ろに響と奏、さらにスバルとレミ、茜も俺の後ろに来た。

 

「おやおや、ここでシークレットシグナー全員お揃いとは・・・・・丁度いい。貴様らには排除命令が出ている。ここで消えてもらおう」

 

「!?」

 

そう言って奴は左手をこっちに向けた。直感で危機を感じた俺は目の前に大きな炎のバリアを張る。その数秒後、バリアに黒い塊が当たり爆発した。

 

「あ、危ねぇ・・・・・」

 

「チッ・・・・シークレットシグナーの能力か、忌々しい」

 

「そっちがその気ならこっちもこっちでやってやるわよ」

 

後ろにいたレミが手で銃の構えを作る。レミだけではない。シークレットシグナーである響や奏、スバルも戦闘態勢に入る。

 

「ふん、私はバカではない。肉弾戦で1vs5で勝つ幻覚など持ちやしない。だから・・・・」

 

そう言ってあいつはデュエルディスクを手にした。ほぅ・・・・やる気か。

 

「良いぜ、また俺が相手してやる」

 

そう言ってカバンの中からデュエルディスクを取り出し、デッキをディスクに刺した。

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

遊輝 LP 4000 トロワ LP 4000

 

「先行はあなたに譲ります。やはりこのデッキは後攻の方がしっくり来る」

 

「(・・・・・後攻1kll狙いか)俺のターン!魔法カード、一時休戦!互いのプレイヤーは1枚ドローし、次のターンのエンドフェイズまでお互いが受けるダメージは0になる!」

 

「ほう・・・・なかなかやりますね」

 

「うるせぇ!!ホモの声なんか聞きたくもねぇ!!カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

遊輝 手札 4枚 LP 4000

 

ーー▲ーー ー

ーーーーー

ー ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

トロア 手札 6枚 LP 4000

 

 

「私のターン、ドロー」

 

トロア 手札 7枚

 

「ふむ・・・・このターンに決めたかったが仕方ない。魔法カード、ワン・フォー・ワン。手札のモンスターを捨てて、サイバー・ドラゴン・ネクステアを特殊召喚」

 

サイバー・ドラゴン・ネクステア 攻200

 

「サイバー・ドラゴン・ネクステアの効果。特殊召喚成功した場合、墓地から攻撃力または守備力が2100の機械族モンスターを特殊召喚する。墓地から戻れ!サイバー・ドラゴン!」

 

サイバー・ドラゴン 攻2100

 

「さらに魔法カード、機会複製術。サイバー・ドラゴン・ネスクテアを対象にする!サイバー・ドラゴン・ネスクテアもフィールドにいる時は『サイバー・ドラゴン』として扱う。いでよ!サイバー・ドラゴン!」

 

サイバー・ドラゴン 攻2100 ×2

 

「現れろ・・・・絶望へ続くサーキット!アローヘッド確認!召喚条件は『サイバー・ドラゴン』を含む機械族モンスター2体!私はサイバードラゴン・ネスクテアとサイバー・ドラゴンをリンクマーカーにセット!サーキット・コンバイン!リンク召喚!リンク2、サイバー・ドラゴン・ズィーガー!」

 

サイバー・ドラゴン・ズィーガー 攻2100 → ↓

 

ネスクテアとサイバー・ドラゴンがリンクマーカーにセットされて、ズィーガーがフィールドに特殊召喚される。

 

「さらにレベル5のサイバー・ドラゴン2体でオーバーレイ!」

 

☆5 × ☆5 = ★5

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!現れろ、ランク5!サイバー・ドラゴン・ノヴァ!」

 

サイバー・ドラゴン・ノヴァ 攻2100

 

「さらにサイバー・ドラゴン・ノヴァ1体でオーバーレイ!」

 

★5→★6

 

「1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築!ランクアップ・エクシーズチェンジ!ランク6!サイバー・ドラゴン・インフィニティ!」

 

サイバー・ドラゴン・インフィニティ 攻2100

 

能無し目・・・・・またインフィニティを出して。何の対策もしてないと思っているのか?

 

「カードを3枚伏せてターンエンド」

 

 

遊輝 手札 4枚 LP 4000

 

ーー△ーー ー

ーーーーー

○ ー

ー○---

ー▲▲▲ー ー

 

トロア 手札 1枚 LP 4000

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

遊輝 手札 5枚

 

「スタンバイフェイズ、リバースカードオープン!永続罠、魔封じの芳香!互いのプレイヤーは魔法カードを発動するために、1度伏せて次の自分のターンまで発動することができない!これであなたのペンデュラム召喚を封じさせてもらいましたよ」

 

「・・・・・・・おい、お前なんか勘違いしてないか?」

 

「ふっ?何を強がりなことを、お前のデッキはペンデュラム召喚が主軸のデッキ、こうして魔封じの芳香を発動させると何もできまい」

 

「だから俺がいつ、ペンデュラム召喚を使うといった!まずは挨拶代わりだ!お前のところのサイバー・ドラゴン・インフィニティをリリース!」

 

「なっ!?」

 

「お前の場に海亀壊獣ガメシエルを特殊召喚!」

 

海亀壊獣ガメシエル 攻2200

 

相手の場にいたインフィニティがリリースされ、元いた場所にガメシエルが浮上してきた。

 

「こいつは相手のモンスター1体をリリースすることで相手の場に特殊召喚出来る!そして聖刻龍ートフェ二ドラゴンを特殊召喚!」

 

聖刻龍ートフェ二ドラゴン 攻2100

 

「そしてこのモンスターは相手の場に『怪獣』がある場合、手札から特殊召喚出来る!怒炎怪獣ドゴラン!」

怒炎怪獣ドゴラン 攻3000

 

「トフェニドラゴンをリリース!聖刻龍ーシユウドラゴンを特殊召喚!」

 

聖刻龍ーシユウドラゴン 攻2200

 

「トフェニドラゴンの効果発動!このカードがリリースされた時、デッキ・手札・墓地からドラゴン族の通常モンスターを攻守を0にして特殊召喚する!チューナーモンスター、ラブラドライドラゴンを特殊召喚!」

 

ラブラドライドラゴン 守2400→0

 

トフェニドラゴンがリリースされ、シユウドラゴンがフィールドに現れた。さらにリリースされたトフェニドラゴンの効果により俺のデッキから1枚のカードが飛び出してラブラドライドラゴンもフィールドに現れる。

 

「Lv6のシユウドラゴンとラブラドライドラゴンでオーバーレイ!」

 

☆6 × ☆6 = ★6

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!聖刻龍王!アトゥムス!」

 

聖刻龍王ーアトゥムス 攻2400

 

ブラックホールに吸い込まれていった2体のモンスター、ブラックホールが爆発して中からアトゥムスがフィールドに現れた。

 

「聖刻龍王ーアトゥムスの効果発動!オーバーレイ・ユニットを一つ取り除いてデッキからドラゴン族モンスターを攻守を0にして特殊召喚する!レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンを特殊召喚!」

 

聖刻龍王ーアトゥムス OVR 2→1

レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン 攻2800→0

 

「レッドアイズ・ダークネスメタルの効果!墓地からドラゴン族モンスター1体を特殊召喚する!ラブラドライドラゴンを特殊召喚!」

「ふん、ペンデュラムを使わない事に驚いたが、攻撃力0のモンスターを並べたところで私のモンスターには勝てない!それに、君のEXゾーンは既に埋まっている。もうエクシーズモンスターも出せない」

 

「・・・・・現れろ、未来へ続くサーキット!」

 

「な、何だと!?」

 

相手が何か寝言をほざいてきたので俺はある言葉を使う。その言葉に反応した相手は非常に驚いた。

 

「アローヘッド確認!召喚条件はチューナーモンスターを含むモンスター2体!俺は聖刻龍王ーアトゥムスとラブラドライドラゴンをリンクマーカーにセット!」

 

俺の上空に現れたリンクマーカーにアトゥムスとラブラドライドラゴンが入り、右斜め下と左斜め下の2つの矢印が赤く光る。

 

「サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2!水晶機巧(クリストロン)ーハリファイバー!」

 

水晶機巧ーハリファイバー 攻1500 ↙︎ ↘︎

 

リンクマーカーの中から現れたのは水晶のマントを羽織った人型のロボット、そのモンスターが上に飛び上がって地面に拳をぶつけ、モンスター1体がフィールドに飛び出した。

 

「ハリファイバーの効果発動!リンク召喚成功時、デッキ・手札からLv3以下のチューナーモンスター1体を特殊召喚する!グローアップ ・バルブを特殊召喚!」

 

グローアップ ・バルブ 攻100

 

「もう一丁!現れろ!未来へ続くサーキット!」

 

再びフィールド上空にリンクマーカーが現れて、今度はハリファイバーとグローアップ ・バルブ、レダメの3体が入っていく。

 

「アローヘッド確認!召喚条件は効果モンスター3体以上!俺はリンク2の水晶機巧ーハリファイバーとグローアップ・バルブ、レッドアイズ・ダークネスメタルをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク4!ヴァレルソード・ドラゴン!!」

 

ヴァレルソード・ドラゴン 攻3000 ↑ ← ↙︎ ↓

 

リンクマーカーを突き破って出てきたヴァレルソード・ドラゴン。機械仕掛けの羽が展開されて黄色のエナジーが放たれる。

 

「そのモンスターは許せませんね!リバースカードオープン!サイバネティック・オーバーフロー!」

 

「同じ手が何度も通用とすると思うな!リバースカードオープン!罠カード、トラップ・スタン!このターン、このカード以外の罠カードの効果は無効になる!」

 

「チッ!」

 

相手が発動した罠カードは前のターンから伏せていたトラップ・スタンを発動、伏せカードもろとも白黒のカードとなり、効果を使えなくした。

 

「バトル!まずはドゴランでガメシエルに攻撃!」

怒炎怪獣ドゴラン 攻3000

海亀壊獣ガメシエル 攻2200

 

トロワ LP 4000→3200

 

「続いてヴァレルソード・ドラゴンでサイバー・ドラゴンズィーガーに攻撃!」

 

「サイバー・ドラゴン・ズィーガーの効果発動!自分または相手のバトルフェイズに攻撃力2100以上の機械族モンスター1体の攻撃力を2100ポイントアップする!」

 

サイバー・ドラゴン・ズィーガー 攻2100→4200

 

「これで返り討ちだ!」

 

「ヴァレルソード・ドラゴンの効果!このカードの攻撃宣言時、このカードと戦闘を行う相手モンスターの攻撃力を半分して、このカードがその数値分吸収する!」

 

「なっ!?」

 

「行けっ!電光のヴァレルソード・スラッシュ!」

ヴァレルソード・ドラゴン 攻3000→5100

サイバー・ドラゴン・ズィーガー 攻4200→2100

 

トロワ LP 3200→200

 

ヴァレルソードの頭の角の部分が合体して、ソードの形となる。

 

「ぐううう!!!!だが私のライフはまだ残っている!!」

 

「お前に次のターンはねぇ!!ヴァレルソードの効果!フィールドのモンスター1体を守備表示にして、このモンスターは2回攻撃の権利を得る!」

 

「な、何だと!?」

 

「ドゴランを守備表示に変更!ゼロバレット・ファイアー!」

 

怒炎怪獣ドゴラン 攻3000→守1800

 

「ラスト!ヴァレルソードで2回目の攻撃!電光のヴァレルソード・スラッシュ!!」

 

 

トロワ LP 200→0

 

 

WIN 遊輝 LOS トロワ

 

 

 

「ぐっ・・・・ま、またしても・・・・・」

 

「お前が俺のことを甘く見ていた、それだけだ」

 

デュエルが終わり、相手は膝をつきこっちを睨みつける。俺は適当にあしらい、カバンの中に入れていた縄を取り出す。

 

「お前には病院襲撃の容疑がかけられている。それだけじゃねぇ、桜を襲う理由も聞かないといけない。大人しく縄についてもらおうか」

 

「フッ、悪いがわたしはまだ捕まるわけには行かないんでね・・・今日のところはこれで帰らせてもらう」

 

ピキッ!

 

「ぐっ!?」

 

相手が膝をついたまま閃光弾を放ち、目を閉じてしまう。光が収まると既にあいつの姿はいなくなっていた。

 

「また逃げられたか・・・・・しかしあの野郎、こんな所まで追いかけてくるとは」

 

「遊輝、貴方の家大丈夫?」

 

「大丈夫じゃないけど・・・・守るしかないみたいだな」

 

「・・・・・お兄ちゃん」

 

「何だ?どうした桜?」

 

「・・・・お腹すいた」

 

ドン!!

 

「お、お前なぁ・・・・・」

 

桜のとんでもない空気を読まない発言に俺たちはズッコケしてしまった。




遊輝「校長は無事で何よりだよ・・・・」

桜「そんなに?」

遊輝「学校のお偉いさんだから・・・・まぁ後後ろ盾してもらっていることが多々」

桜「ふ〜ん、つまりお兄ちゃんは何か悪いことをしている」

遊輝「してないからな!?俺何もしてないから!?」

桜「ふ〜ん・・・・・・」

遊輝「何だその目!?信頼してないのか!?」

桜「次回、『煉獄の使者』。よろしく」

遊輝「待て桜!?」


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第6話 煉獄の使者

遂に桜さん、アカデミアに初登校です。
それに伴い二人ほど新規キャラ参戦します。チーム戦の関係上、5人いるので・・・


遊輝 side

 

「私が中等部2-3組の担任をしている加藤です。桜さん、よろしくね」

 

「・・・・・よろしく」

 

「遊輝くん、校長先生から事情は聞いてます。わたしのクラスには恭輔君と祈さんがいますので、もしもの時は2人から君に連絡をしてもらいます」

 

「よろしくお願いします加藤先生」

 

「じゃあ桜ちゃん、行きましょう」

 

加藤先生に連れられて桜は自分の教室に向かう。

桜はこの前、編入試験を合格して今日から桜もアカデミアの生徒としてここに通うことが決まった。本人の見た目的には小等部なんだが、学力もあるし俺の保護を受けるという意味でも恭輔と祈のいるクラスにしてもらった。

 

「しかし大丈夫かな・・・・あいつ、1人だと心配なんだよな」

 

「心配なのはこっちもです、遠藤君?」

 

「?・・・・げっ!?小泉先生!?」

 

桜の後ろ姿を見守っていると後ろから声が聞こえたので振り向く。そこには眼鏡をくいっと上げて、左手で教科書を持っている俺の担任の先生、小泉先生がいた。

 

「あなた、いくら公欠とはいえ休みすぎです。その上宿題もろくにしていません」

 

「いや、その・・・・宿題に関しては言い訳を」

 

「まぁ一応聞きましょう」

 

「家で毎日戦争が「今日の放課後、補習をします。必ず出席するように」・・・・はい」

 

何でや!?俺何か悪いことした!?桜との戦争で宿題なんてやっている暇ないんや!?

 

 

遊輝 side out

 

 

桜 side

 

 

「今日からこのクラスに転入してきた遠藤桜さんです」

 

「・・・・遠藤桜、よろしく」

 

「桜さんはあそこの席に座ってね」

 

先生が指した席を見て私はその席に向かって歩く。

 

「へへっ」

 

前を歩いていると突然足が出てきた。しかし私は何も気にせず、その足踏んで「いだっ!?」通り過ごした。

 

「ちょっと待て!!」

 

「何?」

 

「お前さっき俺の足踏んでいっただろ!?」

 

「あなたが足出した。私はそれを踏んだだけ、以上」

 

「テメェ、調子こい「はいはいそこまで!」か、加藤先生!」

 

「私も見てました。今のはどう見ても山吹君が悪い」

 

「チッ・・・・・」

 

「桜さんも足を踏むのはやめてくださいね」

 

「ん」

 

適当に挨拶して私は先生に言われた席に着く。私の隣にいる女の子が私に耳打ちした。

 

「大丈夫?」

 

「・・・・大丈夫、大したことない」

 

「そうじゃなくて、あの山吹って子、一度目をつけたらとことん嫌がらせするわよ。気をつけたほうがいいわよ」

 

「・・・・・気にしない」

 

別に大した問題じゃないし、あいつと関わらなきゃ問題ない話。私は普段通りの生活をしていればいい。最初の授業が終わり、私の前に恭輔と祈がやってくる。

 

「いきなり問題起こさないでくださいよ桜さん」

 

「向こうが悪い、私、謝る必要ない」

 

「そ、それはそうなんですけど、あの人、色々と揉め事を起こすのですから」

 

「まぁ大方、向こうから仕掛けてくるんですが」

 

「ねぇねぇ桜さん!あなた遊輝さんとどういう関係?」

 

「桜さん、どんなデッキ使ってるの?」

 

「うわわわ!!」

 

「きょ、恭輔さん!?」

 

恭輔が後ろに引っ張られて、代わりに私の周りには知らない女の子がいっぱいいた。その子達から質問責めにあう。

 

「え?えっと・・・お兄ちゃんとはお兄ちゃんの関係」

 

「お兄ちゃんって遊輝さん、妹いたの!?」

 

「初めて知ったよ!遊輝さん、もうこの学校に3年もいるのに!」

 

「えっ?あっ?え、えっと・・・・」

 

「み、みなさん!桜さんが困ってます!1人ずつお願いします!」

 

祈が私の前に立ってくれて仕切ってくれる。私、ああいう状況苦手だから助かる。祈が色々と言ってくれている間に私の隣の人が声をかけてきてくれた。

 

「大丈夫?」

 

「・・・・・大丈夫」

 

「なら良いわ。隣に座った縁だし自己紹介しましょ。私、氷川絢、よろしく」

 

「・・・・遠藤桜、よろしく」

 

隣の人、氷川は私に右手を差し出してくれて、私はその手を握る。

 

「まさかこうして有名人の妹と握手するとはね」

 

「・・・・・お兄ちゃんって有名?」

 

「えっ!?知らないの!?あの人、アカデミアはおろかこの街では有名人だよ!」

 

「・・・・・私、知らない」

 

「ひ、氷川さん・・・・・桜さんはこの前、師匠の義妹になりまして、それまで桜さんはこの街に住んでなくて」

 

「あ、あぁ・・・・それはごめんなさい、この街であの人を知らない人なんて珍しすぎるから」

 

「そうなんだ」

 

「あの人はエクシーズ、ペンデュラムの創始者、RDチーム、チームシークレットのリーダーとして初代WRGPを制覇、さらに音楽バンド、SECRETのリードギター兼ヴォーカル、さらにさらに可愛い男の娘としてアカデミアで有名よ」

 

「・・・・・・最後、なんて?」

 

「あ、ああ・・・・桜さんは気にしなくていいですよ」

 

キーンコーンカーンコーン

 

「あら、次の授業ね。次は実技だわ」

 

「・・・・実技?」

 

「デュエルですよ。毎回テーマごとに決められているんですけど今回は始めての回ですから多分フリーかと」

 

「そ、そうだったはずです・・・私と恭輔さんは遊輝さんから渡されたカードを試しますが」

 

「あら?2人は何貰ったの?」

 

「来週発売のスターターパックを先に貰ったので。何かの縁ですし氷川さんもどうですか?」

 

「ほんと!?私も!?」

 

「きょ、恭輔さん、その話はまた後で、早くデュエル場に行きましょう」

 

祈に催促される形で恭輔と氷川は立ち上がる。私も3人についていく形で後を追う。

 

「・・・・・・・良いよな」

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

 

「ではマッチングを発表します。まず第1フィールドは・・・・」

 

「(・・・・・・・・・)」

 

加藤先生の話を適当にしつつ、私はデッキを見つめる。お兄ちゃんから貰ったこのデッキは私は凄く気に入っている。女の子一人で戦う姿が何故か凄く共感できる。

 

「・・・・対遠藤桜!」

 

「・・・・呼ばれた」

 

「桜さん、第8フィールドですよ」

 

「ん、ありがとう恭輔」

 

近くにいた恭輔が私が向かうべきフィールドを教えてくれる。生徒たちの合間を縫って第8フィールドに立つ。私の相手は・・・・

 

「へっ、まさかいきなりお前と当たるとは」

 

「・・・・誰?」

 

ズコッ!!

 

「お、お前覚えてねぇのか!?朝ちょっかいをかけた俺だ!」

 

「・・・・あ、そんな奴いた」

 

「テメェ・・・転入して調子こいて・・・・叩き潰してやる!」

 

相手がデュエルディスクを展開してくる。それを見て私もデュエルディスクにデッキをセットする。

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

桜 LP 4000 山吹 LP 4000

 

「私のターン、魔法カード、テラ・フォーミング。デッキからフィールド魔法を手札に加える。閃刀空域ーエリアゼロを手札に加えて発動」

 

デュエルフィールドにエリアゼロが展開されていく。

 

「カードを1枚伏せて閃刀空域ーエリアゼロの効果。自分フィールドのカード1枚を対象にとり、デッキの上から3枚をめくる。私は伏せカードを対象にする」

 

・閃刀起動ーエンゲージ

・強欲で貪欲な壺

・おろかな副葬

 

「この捲られたカードの中に『閃刀』カードがある場合、そのカードを手札に加えて残りをデッキ戻す。そして『閃刀』カードが捲られたので対象のカードは墓地に送られる」

 

「はっ、自分でカードを墓地に送ってやがる。意味がないぜ」

 

「閃刀起動ーエンゲージを発動。効果でデッキから『閃刀』カードを手札に加える。閃刀機関ーマルチロールを手札に加えて発動。効果、自分フィールドのカード1枚を対象にとり、そのカードを墓地に送ることでこのターン、私が魔法カードの発動に対して相手はチェーンが出来ない。私はエリアゼロを対象に取って、墓地に送る」

 

私の後ろに現れたマルチロールの効果でフィールドのエリアゼロが消えていく。

 

「墓地に送られたエリアゼロの効果発動。デッキから『閃刀姫』モンスターを特殊召喚する。閃刀姫ーレイを特殊召喚」

 

閃刀姫ーレイ 攻1500

 

「現れて、未来へ続くサーキット」

 

「なっ!?」

 

閃刀姫ーレイが飛び出して、フィールド上空に現れたリンクマーカーの中に飛び込む。

 

「アローヘッド確認、召喚条件は炎属性以外の『閃刀姫』モンスター1体。私は閃刀姫ーレイをリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン、リンク召喚、リンク1、閃刀姫ーカガリ」

 

閃刀姫ーカガリ 攻1500 ↖︎

 

「リ、リンク召喚!?何で先行発表された召喚方法をお前が使えるんだよ!?」

 

リンクマーカーから閃刀姫ーカガリがフィールドに飛び出てきて、相手は非常に驚いている。

 

「何で?・・・・・・お兄ちゃんに渡されたから」

 

「お兄ちゃんお兄ちゃんって・・・・・お前はそれしか頭にないのか!?」

 

「お兄ちゃんはお兄ちゃん。お兄ちゃんの悪口は私が許さない」

 

「だあああ!!!めんどくせぇ!!お前を叩き潰してお前のお兄さんに聞いてやる!!」

 

「・・・・そんな事はさせない。閃刀姫ーカガリの効果。リンク召喚成功時、墓地の『閃刀』魔法カードを手札に加える。閃刀起動ーエンゲージを手札に加えてもう一度発動。今度は閃刀機ーウィンドアンカーを手札に加える。そして墓地に3枚以上、魔法カードがあるため追加効果で1枚ドロー」

 

桜 手札 3枚→5枚

 

「墓地の錬装融合(メタルフォーゼ・フュージョン)の効果。墓地のこのカードをデッキに加えて、1枚ドロー。閃刀姫ーカガリを再びリンクマーカーにセット。フォームチェンジ。閃刀姫ーシズク」

閃刀姫ーシズク 攻1500 ↗︎

 

「カードを2枚伏せて、エンドフェイズ時、閃刀姫ーシズクの効果。墓地に存在しない『閃刀』魔法カードを手札に加える。閃刀術式ージャミングウェーブを手札に加える。さらに閃刀機関ーマルチロールの効果。このターンに発動した『閃刀』魔法の数まで墓地の魔法カードをフィールドにセットする。閃刀起動ーエンゲージをセットして終了」

 

桜 手札 5枚 LP 4000 墓地魔法2

 

ー△▲▲▲ ー

ーーーーー

ー ○

ーーーーー

ーーーーー ー

 

山吹 手札 5枚 LP 4000

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

山吹 手札 6枚

 

「リンクとかそんなの関係ねぇ!俺はパワーで押し切る!魔法カード、名推理!お前は1〜12までの好きなレベルの数値を言う!俺はデッキの上から1枚ずつ、通常召喚が可能なモンスターがめくれるまで墓地に送り続け、通常召喚可能なモンスターがめくれた場合、そのモンスターのレベルが言った数値なら墓地に送られる!それ以外なら特殊召喚する!」

 

「(・・・・墓地肥やし)チェーンで手札から魔法カード、増殖するG。このターン、相手が特殊召喚するたびに1枚ドローする。私は名推理の効果で4を選択」

 

「行くぞ!1枚目、墓穴の指名者!2枚目、インフェルノイド・ネヘモス!これは通常召喚できないモンスター!3枚目、インフェルノイド・アドラメレク!これも通常召喚できないモンスター!」

 

「(・・・・・インフェルノイド、墓地が肥えた始めて活用されるモンスター)」

 

「・・・・16枚目、チューナーモンスター、インフェルノイド・デカトロン!こいつは通常召喚可能なモンスター!このモンスターを特殊召喚!」

 

インフェルノイド・デカトロン 守200

 

「増殖するGの効果で1枚ドロー」

 

「インフェルノイド・デカトロンの効果!デッキから『インフェルノイド』モンスター1体を墓地に送り、そのモンスターと同名の名前と効果を得て、レベルはこのカードと足した数値になる!俺はデッキからインフェルノイド・ベルゼブブを墓地に送る!」

 

インフェルノイド・デカトロン →インフェルノイド・ベルゼブブ

☆1→☆3

 

「インフェルノイド・ベルゼブブの効果!このターン、このモンスターの攻撃権を放棄する代わりに相手フィールドの表側表示のカード1枚を破壊する!」

 

「・・・・通す」

 

インフェルノイド・ベルゼブブが突撃をして私の閃刀姫ーシズクを破壊した。

 

「・・・・墓地の閃刀姫ーレイの効果。自分フィールドの『閃刀姫』モンスターが相手によって破壊された場合、墓地からこのカードを特殊召喚する」

 

閃刀姫ーレイ 守1500

 

「ちっ・・・・まぁいい!俺は墓地からインフェルノイド・ベルゼブブ、インフェルノイド・アスタロト、インフェルノイド・ベルフェゴル、3体のモンスターをゲームから除外してインフェルノイド・リリスを特殊召喚!」

 

インフェルノイド・リリス 攻2900

 

相手の墓地に眠っていた3体のインフェルノイドモンスターがゲームから除外されて、巨大な蛇に大きな羽がついたモンスターがフィールドに現れる。

 

「特殊召喚に成功したから1枚ドロー」

 

「『インフェルノイド』モンスターは手札・墓地から任意の枚数、『インフェルノイド』モンスターをゲームから除外することで手札または墓地から特殊召喚出来る!ただし!自分フィールドのレベルとランクの合計が8以下の場合しか特殊召喚できないけど!そしてインフェルノイド・リリスの効果発動!『煉獄』と名のついた魔法・罠以外の魔法・罠カードを全て破壊する!」

 

「・・・・手札のエフェクト・ヴェーラーの効果。このカードを手札から捨てて、インフェルノイド・リリスの効果を無効にする」

 

「ッ!?」

 

インフェルノイド・リリスが効果を発動する前に私の手札にいたエフェクト・ヴェーラーがインフェルノイド・リリスの前に立ってキスをした。危なかった、あれを通していたら私のフィールドは壊滅だった。

 

「だったらバトルだ!インフェルノイド・リリスで閃刀姫ーレイに攻撃!」

 

「閃刀姫ーレイの効果。このカードをリリースして『閃刀姫』リンクモンスターをEXデッキから特殊召喚する」

 

「何だと!?(くそっ!エフェクト・ヴェーラーのせいでリリスの効果が使えない!)」

 

「閃刀姫ーレイをリンクマーカーにセット、フォームチェンジ。閃刀姫ーカイナ」

 

閃刀姫ーカイナ 攻1500 ↘︎

 

フィールドにいた閃刀姫ーレイが飛び上がり、周りから変身用のコスチュームが飛び出して装備される。フィールドに降りた閃刀姫ーカイナはそのままインフェルノイド・リリスに向かって発砲、網が展開されてインフェルノイド・リリスを捕まえる。

 

「なっ!?どういう事だ!?」

 

「・・・・閃刀姫ーカイナは特殊召喚成功時、相手フィールドのモンスター1体を選択してそのモンスターは相手ターン終了時まで攻撃できない」

 

「くそッ!ならメインフェイズ2、永続魔法、煉獄の消華!手札のカードを1枚捨てて、デッキから『煉獄』魔法・罠を1枚手札に加える!俺は煉獄の狂宴を手札に加えてカードを1枚セット!ターンエンドだ!」

 

 

桜 手札 6枚 LP 4000 墓地魔法2

 

ー△▲▲▲ ー

ーーーーー

ー ○

ー○ー○ー

ーー△▲ー ー

 

山吹 手札 3枚 LP 4000

 

 

「私のターン、ドロー」

 

桜 手札 7枚

 

「スタンバイフェイズ!リバースカードオープン!罠カード、煉獄の狂宴!手札にある煉獄の死徒を墓地に送り、デッキから召喚条件を無視して『インフェルノイド』モンスターを合計レベル8になるように3体まで特殊召喚する!」

 

「・・・・・許さない、手札から灰流うららの効果。相手が発動したデッキから手札に加える効果、デッキから特殊召喚する効果、デッキから墓地に送る効果、いずれか一つを含むカード効果の発動を無効にする」

 

「なっ!?」

 

相手が発動した罠カードは手札にいた灰流うららが飛び出して、そのカードを無力化する。

 

「くそっ!だが攻撃力1500じゃリリスは突破できない!」

 

「まずは魔法カード、おろかな副葬。デッキから魔法カードを1枚墓地に送る。錬装融合を墓地に送り、伏せていた閃刀起動ーエンゲージを発動。デッキから閃刀機ーアフターバナーを手札に加えて、墓地に3枚以上あるため1枚ドロー。閃刀姫ーカイナは私が『閃刀』魔法カードを発動するたびに100ポイント回復する」

 

桜 手札 6枚→8枚

桜 LP 4000→4100

 

「マルチロールの効果でセットされた閃刀起動ーエンゲージはフィールドから離れた場合、除外される。閃刀機ーアフターバナーを発動。フィールドの表側表示のモンスター1体を対象にして破壊、3枚以上魔法カードがある場合、フィールドの魔法・罠を1枚選んで破壊する。インフェルノイド・リリスと煉獄の昇華を破壊」

 

「墓地の煉獄の死徒の効果!『インフェルノイド』モンスターが効果で破壊される代わりに墓地のこのカードを身代わりで除外する!」

 

閃刀機ーアフターバナーがインフェルノイド・リリスと煉獄の昇華に向かって放たれるけど、相手の墓地にある煉獄の死徒がインフェルノイド・リリスの盾となって無効にされた。

 

桜 LP 4100→4200

 

「むぅ・・・・残念」

 

「(何が残念なんだよ!?一歩でも間違えたら俺の負けじゃねぇか!何だよこいつ!?メチャクチャ強い!」

 

「・・・・・伏せていたカードオープン、速攻魔法、閃刀機ーウィンドアンカー、インフェルノイド・リリスを対象に発動。そのモンスター効果をエンドフェイズまで無効にする」

 

「何だと!?」

 

「それだけじゃない。魔法カードが3枚以上ある場合、そのモンスターのコントロールをエンドフェイズまで私が得る」

 

「なっ!?リ、リリス!!」

 

私が発動した閃刀機ーウィンドアンカーがインフェルノイド・リリスをとらえ、私の場にコントロールが移り変わった。

 

桜 LP 4200→4300

 

「これでバトル、閃刀姫ーカイナでインフェルノイド・ベルゼブブになっているインフェルノイド・デカトロンに攻撃」

 

閃刀姫ーカイナがジャンプして、インフェルノイド・デカトロンに向かって装甲による攻撃を繰り返し、破壊した。

 

「インフェルノイド・リリスでダイレクトアタック」

 

山吹 LP 4000→1100

 

「ぐうぅぅぅ!!!!」

 

「メインフェイズ2、閃刀姫ーカイナでリンクマーカーにセット。フォームチェンジ、閃刀姫ーカガリ。閃刀姫ーカガリの効果で墓地の閃刀機ーアフターバナーを回収、さらに閃刀姫ーカガリをリンクマーカーにセット、フォームチェンジ、閃刀姫ーシズク」

 

「く、くそ・・・・次から次へと・・・・」

 

「墓地の錬装融合の効果、このカードをデッキに戻して1枚ドロー。カードを2枚伏せてエンドフェイズ時、閃刀姫ーシズクの効果で2枚目の閃刀起動ーエンゲージを手札に加える。閃刀機関ーマルチロールの効果、墓地から閃刀機ーウィンドアンカーをセット、これで終了。インフェルノイド・リリスのコントロールは元に戻る。閃刀姫ーシズクの効果で相手のモンスターの攻撃力は私の墓地の魔法カードの枚数×100ポイント下がる」

 

インフェルノイド・リリス 攻2900→2600

 

 

桜 手札 5枚 LP 4300 墓地魔法3

 

▲△▲▲▲ ー

ーーーーー

ー ○

ー○ーーー

ーーーーー ー

 

山吹 手札 3枚 LP 1100

 

 

「お、俺のターン!ドロー!」

 

山吹 手札 4枚

 

「(お、俺が・・・・押されている!?一方的に!?冗談じゃねぇぞ!!負ける訳にはいかないんだ!)永続魔法、煉獄の虚無発動!そして効果発動!このカードを墓地に送り、『インフェルノイド』融合モンスターを特殊召喚する!その際、相手にしかEXデッキからモンスターがいない場合、俺はデッキからモンスター6枚まで融合素材に出来る!」

 

「!?デッキ融合」

 

「俺はフィールドのリリス!手札のインフェルノイド・アドラメレク!そしてデッキからインフェルノイド・ネヘモスとその他5種類のインフェルノイドモンスターを墓地に送り、融合召喚!インフェルノイド・ティエラ!」

 

インフェルノイド・ティエラ 攻3400→3100

 

煉獄の虚無の効果で相手の8種類のインフェルノイドが融合され、インフェルノイド・ティエラが現れる。

 

「インフェルノイド・ティエラの効果発動!」

 

「チェーン、速攻魔法、閃刀機ーウィンドアンカー」

 

「チェーンで手札から速攻魔法、煉獄の死徒!このターン、インフェルノイド・ティエラは相手のカード効果を受けない!」

 

「っ!?」

 

「これでウィンドアンカーの効果も受け付けない!このカードの融合召喚成功時、このカードの融合素材の数まで効果を得る!3種類、5種類、8種類の効果発動!まずは3種類!互いのプレイヤーはデッキの上から3枚を墓地に送る!5種類は互いのプレイヤーはエクストラデッキからカードを3枚墓地に送る!」

 

私はエクストラデッキを取り出して3枚のカードを選び、デッキの上から3枚と一緒に墓地に送る。

 

「そして8種類は互いに除外されている自分のカードを3枚まで墓地に戻す!俺はインフェルノイド・アスタロト、ベルフェゴル、ベルゼブブの3枚を墓地に!」

 

「・・・・私は閃刀起動ーエンゲージ1枚のみ」

 

「そしてエクストラデッキから墓地に送られた旧神ヌトス3枚の効果!このカードが墓地に送られた場合、フィールドのカード1枚を破壊する!俺はインフェルノイド・ティエラと閃刀姫ーシズク、真ん中の伏せカードを選択!」

 

「チェーンで速攻魔法、閃刀機ーイーグルブースターを閃刀姫ーシズクを対象に発動。このターン、閃刀姫ーシズクはこのカード以外の効果を受けず、墓地に魔法カードが3枚以上あるため、戦闘でも破壊されない」

 

「ちっ!!」

 

相手の墓地に眠っていた旧神ヌトス3体がそれぞれ対象に取ったモンスターとカードに取り憑く。シズクは私が発動した閃刀機ーイーグルブースターの効果でヌトスの効果を受けずに済んだ。

 

「私の墓地に6枚の魔法カードが追加されたから相手のモンスターは900ポイント下がる」

 

「そんな事言ってられるか!墓地からインフェルノイド・ティエラとインフェルノイド・デカトロンを除外してインフェルノイド・ヴァエルを特殊召喚!」

 

インフェルノイド・ヴァエル 攻2600→1700

 

「さらに墓地からインフェルノイド・アスタロト、インフェルノイド・シャイターン、インフェルノイド・ルキフグスの3体をゲームから除外してインフェルノイド・リリスを特殊召喚!」

 

インフェルノイド・リリス 攻2900→2000

 

「インフェルノイド・リリスの効果発動!再びフィールドに大嵐が吹き溢れる!」

 

「・・・・・ん、OK」

 

フィールドに特殊召喚されたインフェルノイド・リリスがフィールドに大嵐を拭き荒らして私の場の魔法カードを破壊し尽くした。

 

「2枚の魔法カードがさらに追加された。200ポイント攻撃力が下がる」

 

インフェルノイド・ヴァエル 攻1700→1500

インフェルノイド・リリス 攻2000→1800

 

「(相打ちじゃヴァエルの効果が使えないじゃないか・・・・)バトル!インフェルノイド・リリスでシズクに攻撃!」

 

インフェルノイド・リリス 攻1800

閃刀姫ーシズク 攻1500

 

桜 LP 4300→4000

 

「これでターンエンド!」

 

 

桜 手札 5枚 LP 4000 墓地魔法11

 

----- ー

ーーーーー

ー ○

ー○○ーー

ーーーーー ー

 

山吹 手札 1枚 LP 1100

 

 

「私のターン、ドロー」

 

桜 手札 6枚

 

リリスはモンスター効果を無効にして除外する、面倒くさい。

 

「(お兄ちゃんの教えは正しい、ちゃんとカード効果は把握しないといけない)魔法カード、閃刀機ーアフターバナー、効果でインフェルノイド・リリスを破壊」

 

「ぐっ!?」

 

「そして閃刀姫ーシズクでリンクマーカーにセット。フォームチェンジ、閃刀姫ーカガリ」

 

閃刀姫ーカガリ 攻1500→2700

インフェルノイド・ヴァエル 攻1500→2600

 

「閃刀姫ーカガリは墓地の魔法カードの枚数×100ポイント攻撃力が上がる。閃刀姫ーカガリの効果。墓地から『閃刀』魔法カードを手札に戻す。閃刀機ーアフターバナーを手札に加えて発動、インフェルノイド・ヴァエルを破壊」

 

「ぐっ!?」

 

「バトル、閃刀姫ーカガリでダイレクトアタック」

 

根岸 LP 1100→0

 

 

WIN 桜 LOS 山吹

 

 

「勝者!遠藤桜!」

 

ワアアアアア!!!!!

 

「ヴィ」

 

「ぐっ・・・・く、くそ・・・完敗だ」

 

Vサインを決めてデュエルディスクを片付ける。相手の方は両手を地面につけて跪いている。私はそんな相手に近づく。

 

「・・・・・何だ?何か言いたいのか?」

 

「・・・・握手」

 

「はっ?」

 

「握手、しよう。お兄ちゃん言ってた。いいデュエルしたら相手と握手する。それで相手の事もわかり合う」

 

「・・・・・・・」

 

「だから、握手、しよう」

 

「・・・・・・全く、調子狂う奴だ」

 

そう言って相手、根岸は立ち上がって握手した。

 

「今度は負けねぇ、それと、さっきは悪かったな」

 

「ん、別に気にしてない」

 

「そうか、じゃあな」

 

挨拶した根岸はそのままくるっと反転してデュエルフィールドから降りていった。

 

「・・・・・・いい奴」

 

「桜さ〜ん、こっちですよ」

 

「お、お疲れ様でした」

 

後ろに振り返り、恭輔と祈の姿が見えたのでそっちに向かう。

 

「おめでとうございます。圧倒してましたね」

 

「そんな事ない、一歩間違えたら負けていたかもしれない」

 

「そ、それでも凄いですよ」

 

「第8フィールド、成田恭輔対櫻井祈!」

 

「あっ、どうやら僕たちのようです」

 

「じゃあ行きましょうか恭輔さん」

 

私と入れ替わりで恭輔と祈がデュエルフィールドに上がっていった。

 




桜「ん、紹介。山吹と氷川」

翔悟「山吹翔悟だ。よろしく、上に姉ちゃんが一人いる」

氷川「初めまして、氷川絢よ。よろしくね」

恭輔「お願いですからいきなり問題起こさないでください・・・・」

桜「向こうが悪い」

翔悟「だからただ揶揄うだけだったって・・・」

祈「あ、圧倒的なスルー能力でした・・・・」

桜「ああいう時は無視するのに限る」

氷川「間違ってはないけど微妙に対処の仕方が違うわね」

桜「次回、『悪魔と憑依の儀式使い』。よろしく」


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第7話 悪魔と憑依の儀式使い

昨日続いて新キャラ、絢とのデュエル。
デッキはこれしかないだろうってくらい強化をもらったこれ(指示語が多い無能作者)


遊輝 side

 

 

♪♪♪♪〜〜〜〜〜〜

 

「そこ、単調な上に早すぎる」

 

「えぇ・・・・じゃあ」

 

♪♪〜〜♪♪♪♪〜〜〜

 

「さっきよりはマシね」

 

「俺は前のフレーズがいいと思うんだけどなぁ」

 

ギターのとあるフレーズを弾いていたところで指摘されたので少し意識して引き直す。レミは良い感じと言うが俺がしっくりこない。

 

「ギター変えたら?」

 

「えぇ・・・これで弾いてこそ華があるじゃんか」

 

「おおい遊輝!いい加減こっち構ってくれ!」

 

「・・・ゴール」

 

「また負けた・・・・」

 

「桜ちゃん、対応力高いわね。何回かプレイしただけでいとも簡単に攻略していっちゃうよ」

 

「・・・・・計算してやれば勝てる、運は仕方ない」

 

レミに指導を仰いでギターの練習をしている間、桜のお世話はスバルたちに任せている。じゃないと俺、本当に練習出来ないから・・・

 

「俺まだ練習途中なんだけど・・・まぁいいか」

 

「お兄ちゃん、一緒にやろう。私、勝ったらご飯食べ放題」

 

「うっしゃ負けらねぇ!!!!」

 

突然、俺の財布のピンチになったので俺は全力を込めて桜を潰すことを決めた。とにかく、あいつの飯代のために俺の私生活へのお金を減らされるのはもうコリゴリだ!

 

「ゲームはこれ、4レースの合計得点で勝ち」

 

「負けらねぇ・・・・俺の財布の紐を結ぶために」

 

「遊輝っち、それ負けフラグ」

 

「俺の生活がかかっているんだ!何が何でも負けらねぇ!!」

 

「勝負・・・・」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「・・・・・負けた」

 

「あ、あぶねぇ・・・・最終レース一歩間違えたら負けていた・・・」

 

「そこ勝っちゃうの?展開的に負ける展開でしょ?」

 

「俺は金欠になるかどうかかかっていたんだ、負けるわけにはいかんかったんだよ・・・・」

 

激しい戦いの末、俺は財布の紐を緩めずに済んで良かった。いや、マジ桜強いんだけど・・・・運で勝てたようなもんだけど。

 

「桜ちゃん運悪かったね、最後の最後にトゲゾーコウラでしょ?」

 

「CPUは何も考えずに投げるからね〜」

 

「あれ?音でない?スバル〜、このアンプ見てくれる?」

 

「ん?アンプか?」

 

「遊輝、そろそろ戻らないと仕込みが」

 

「えっ?あっ、本当だ」

 

奏に言われて部室にある時計を見るともうすぐバイトが始まる時間だった。

 

「じゃあ私先に帰るね」

 

「俺も行かないと、桜行くぞ」

 

「ん」

 

ギターをケースに戻してギターケースとカバンを持ち、桜の手を握る。既に部室を出た奏を追いかける。目指す場所は奏のお店、カップケーキショップだ。

 

「バイト、何してるの?」

 

「奏のお店、主に仕込みとかだな」

 

「仕込み?」

 

「奏のお店、カップケーキ屋だから。お前、この前アリアからたくさん貰って食べただろ?」

 

「お姉ちゃんから貰ったケーキ・・・・あれ美味しかった」

 

「お前本当に簡単に釣られるな・・・・ちょっとは人を疑えよ、あいつは俺の知り合いだけど」

 

「美味しい物を渡してくれる人は良い人」

 

そんな考え持っていたらそのうち誘拐されるな・・・・俺の胃がもたない・・・

 

「・・・・・・・・」

 

「桜、いい加減飲食店見つめるのやめてくれ」

 

「・・・・・行きたいから見つめる」

 

「あんな高級店連れて行けるわけねぇだろ!!」

 

桜が見つめる先には高級焼肉店、こいつにあんなところに連れて行ったら間違いなく俺が破産して、店の肉食い尽くしてしまう。マジで勘弁してください。そんな事を思っていたら奏のお店に着いていた。

 

「ここだ」

 

「いらっしゃい桜ちゃん」

 

「・・・・ケーキ、いっぱい」

 

「買わんぞ。俺はバイトしにきたんだから」

 

店に入った途端に桜の目つきが鋭くなったが俺はクギを刺す。桜が無言の圧力をかけるが知らない。俺の財布の方が心配なんだ。

 

「遊輝君、いらっしゃい。それが噂の子たね」

 

「奏のお父さん、お久しぶりです。噂ってもう回ってるんですか?」

 

「ははは、君はこの街では有名だから、噂が一人歩きしてるよ」

 

「誰だよその噂広めてる奴!?」

 

そんなことされたらマジで困るんですけど!?あれ、ひょっとして誘拐のデマ広がってるんじゃないのか!?それ、俺が一番困るんだけど!?

 

「まぁいいじゃないか。今日も仕込み頼むよ」

 

「いや、良くないですよ!?訳分からん噂で俺に被害が被るのは!?」

 

はっはっはっと笑いながら奏のお父さんは厨房に戻っていく。うんもう・・・あの人もからかうんだから・・・

 

「じゃあ桜、しばらくここにいてくれよ」

 

「分かった」

 

「奏、あなたも仕込みよろしくね」

 

「分かったわお母さん」

 

お店の裏側に入って、アカデミアの制服を脱いでお店の服を着る。そのまま厨房に入って、大量のフルーツを目にする。

 

「これ、明日の仕込み。イチゴはカット、マンゴーはカットしたらこのシロップに漬けて」

 

「はいよ」

 

「奏は生地作り、明日の分はこれだから」

 

「は〜い」

 

奏のお父さんから受け取った大量のイチゴとマンゴーを前において果物ナイフを手に取る。いつも通りにイチゴのヘタを取る作業から始める。

 

「んしょっと・・・・・」

 

奏は奏で生地の原材料である薄力粉を取り出してふるいにかける。

 

「遊輝、そこの泡立て器」

 

「ん、ほいよ」

 

奏が泡立て器と言ってきたので手元にあった泡立て器を渡す。既に準備してあった溶かしたバターと卵を別のボウルに入れて泡立て始める。

 

 

遊輝 side

 

 

桜 side

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「桜ちゃん宿題?偉いわね」

 

「・・・・ん、桜偉い」

 

奏のお店のテーブルで今日出された宿題をやっていて女の人に褒められた。宿題をやったら褒められる、嬉しい。

 

「ごめんください」

 

「いらっしゃい」

 

「あら?桜さん?」

 

「・・・・・・氷川」

 

テーブルで宿題をしていたらお店の扉が開いて氷川が入ってきて、こっちを見る。私が名前を呼ぶと少し怪訝そうな表情をした。

 

「さんはつけなさい。親しい人以外にはさんをつけないと怒る人もいるわよ」

 

「ん、わかった、氷川、さん」

 

「それで良いのよ。それより桜さんは何でここに?」

 

「お兄ちゃん待ってる」

 

「お兄さん?お兄さんって遊輝さん?」

 

「うん」

 

「へぇ・・・噂には聞いていたけど本当に働いていたんだ」

 

「お客様?知り合いですか?」

 

「えぇ、同じクラスメイトなの」

 

「それは良かったわね桜さん、お兄さんはまだ仕事中だし」

 

女性の人がお店の奥にある厨房に指を指す。そこには確かにお兄ちゃんと奏・・・さんが何かの作業をしている。

 

「あんまりこのお店行かなかったけど有名人働いているなら今度から行ってみようかな、貴方もいることだし」

 

「・・・・・・私といても何にもならない」

 

「そんな事はないでしょ?ほら、私たちにはこれがあるじゃない」

 

氷川さんは鞄の中からデュエルディスクを取り出す。

 

「私だって転入生とはデュエルしたいわ。それがあの人の義妹なら尚更ね」

 

「・・・・いい、やろう」

 

私も鞄の中からデュエルディスクを取り出す。お店の外に出て、お互いにデュエルディスクにデッキをセットする。

 

「それじゃ、始めましょう」

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

桜 LP 4000 氷川 LP 4000

 

「先行は私が貰おうかしら、まずは魔法カード、テラ・フォーミング」

 

「・・・・・どうぞ」

 

「そっ、灰流うららとか言われたら困ったわ」

 

「・・・・見てた?」

 

「もちろん、あの試合での灰流うららとかあなたの手札誘発モンスターをね、さすがに警戒するわ。デッキからフィールド魔法の暴走魔法陣を手札に加えて発動」

 

相手の後ろに大きな魔法陣が描かれて、その中から1枚のカードが飛び出す。

 

「暴走魔法陣の効果でデッキから召喚士アレイスターを手札に加えるわ。さらに手札の魔神儀(デビリチャル)ーカリスライムの効果」

 

「儀式モンスターが手札効果?」

 

「このカードを相手に見せて、その後手札のカードを1枚捨てる。そうしたら私のデッキから『魔神儀』モンスター1体を特殊召喚する。私は儀式魔法の魔神儀の祝誕を捨てて、デッキから魔神儀ータリスマンドラを特殊召喚」

 

魔神儀ータリスマンドラ 守0

 

相手の手札にあった儀式モンスターが飛び出して、相手の手札1枚をコストにデッキからモンスターが飛び出した。

 

「タリスマンドラはデッキから特殊召喚に成功した場合、デッキから儀式モンスターを手札に加える。私はブリューナクの影霊衣を手札に」

 

「影霊衣・・・・・・」

 

「そう、私のデッキは『影霊衣召喚獣』。儀式と融合が混ざったテーマなの。ブリューナクの影霊衣の効果。このカードを手札から捨て、デッキから『影霊衣』モンスターを手札のに加える。私はクラウソラスの影霊衣を手札に加えて、さらに魔法カード、儀式の準備。デッキからLv7以下の儀式モンスターを手札に加えて、その後墓地の儀式魔法を手札に戻す。私は古聖戴サウラヴィスを手札に加えて、さっき捨てた魔神儀の祝誕を手札に戻す」

 

「手札が・・・・」

 

「手札のクラウソラスの影霊衣の効果。このカードを捨てて、デッキから『影霊衣』儀式魔法を手札に加えるわ。影霊衣の反魂術を手札に加えて、さらに手札の魔神儀ーブックストーンの効果。手札にある儀式魔法の魔神儀の祝誕を相手に見せて、手札のこのカードとデッキから『魔神儀』モンスター1体を特殊召喚する。デッキから魔神儀ーキャンドールを特殊召喚」

 

魔神儀ーブックストーン 守0

魔神儀ーキャンドール 守0

 

「キャンドールの効果!デッキから特殊召喚に成功した場合、デッキから儀式魔法を手札に加える!私は影霊衣の降魔鏡を手札に!」

「・・・・どんどん手札が」

 

「下準備はここまでよ。まずは儀式魔法、魔神儀の祝誕!フィールドのタリスマンドラとブックストーンをリリース!古聖戴サウラヴィスを特殊召喚!」

 

古聖戴サウラヴィス 守2800

 

フィールドにいたタリスマンドラとブックストーンがリリースされ、青い体で輝く竜が守備表示で特殊召喚される。

 

「墓地の魔神儀の祝誕の効果!『魔神儀』カードをフィールドまたは手札から墓地に送ることで、墓地からこのカードを手札に戻し、デッキから『魔神儀』モンスターを特殊召喚する!フィールドのキャンドールを墓地に送り、このカードを戻してデッキから魔神儀ーペンシルベルを特殊召喚!」

 

魔神儀ーペンシルベル 守0

 

「ペンシルベルはデッキから特殊召喚成功した場合、墓地の儀式モンスターを手札に戻す。さっき捨てたブリューナクの影霊衣を手札に!さらに儀式魔法、ネクロスの反魂術!フィールドにいるLv3のペンシルベルをリリース!墓地からクラウソラスの影霊衣を特殊召喚!」

 

クラウソラスの影霊衣 守2300

 

「墓地から!?」

 

「反魂術は墓地の『影霊衣』儀式モンスターを儀式召喚できるカードよ。そして通常召喚!召喚士アレイスター!」

 

召喚士アレイスター 攻1000

 

「アレイスターは召喚時、デッキから召喚魔術を手札に加える!そして召喚魔術を発動!フィールドのアレイスターと墓地の闇属性、ブックストーンをゲームから除外して融合!融合召喚!召喚獣カリギュラ!」

 

召喚獣カリギュラ 守1800

 

フィールドに出たアレイスターと相手の墓地のモンスターが融合され、フィールドに融合モンスターが現れる。

 

「墓地の召喚魔術の効果!このカードをデッキに戻して、除外されているアレイスターを手札に戻す!これでターンエンドよ!」

 

氷川 手札 5枚(アレイスター・スライム・降魔鏡・ブリュ・祝誕) LP 4000

 

ーーーーー ▽

□ー□--

ー □

ーー---

----- -

 

桜 手札 5枚 LP 4000

 

 

「私のターン、ドロー」

 

桜 手札 6枚

 

「・・・・・・・・なるほど、面倒くさい」

 

「へぇ・・・しっかりとモンスター効果を読むのね。クラウソラスの影霊衣は相手のEXデッキから出たモンスターの効果を無効にして攻撃力を0にする効果、サウラヴィスは相手が特殊召喚した場合にこのカードを手札に戻して、召喚を無効にして除外、そしてカリギュラの効果でお互いにモンスター効果は1度しか使えず、戦闘も1度だけ」

 

デュエルディスク越しに相手が出したモンスターたちを一つずつ確認して凄く面倒くさいことになっていることに気づく。

 

「この布陣をどうやって突破するのか見させてもらうわ」

 

「むぅ・・・・どうしようかな」

 

実際、私の手札でこの盤面を覆すのは非常に難しい。何よりあのカリギュラ、あのモンスターのせいでモンスター効果が1度しか使えない。

 

「・・・・・仕方ない。魔法カード、深淵の宣告者」

 

「深淵の宣告者?」

 

「ライフを1500払って私が種族・属性を宣言。相手は私が宣言したモンスターがいる場合、そのモンスターを墓地へ送らなければならない」

 

「!?い、いきなりそんなカードで突破してくるんだね」

 

桜 LP 4000→2500

 

「私が宣言するのは闇属性・獣族」

 

「なるほど・・・・カリギュラは墓地に送られるわ」

 

「これで動きやすくなる。魔法カード、成金ゴブリン。あなたはライフを1000ポイント回復して私は1枚ドロー」

 

氷川 LP 4000→5000

 

「・・・・・・魔法カード、閃刀術式ーアフターバナー。この効果でクラウソラスの影霊衣を破壊する」

 

「ぐっ!?こうも簡単に返されるとはね!」

 

「まだ、フィールドゾーンにカードを1枚伏せて、魔法カード、閃刀術式ージャミングウェーブ。フィールドのセットされたカード1枚を破壊、私はフィールドゾーンのカードを破壊」

 

「?自分で自分のカードを破壊?」

 

「その後、墓地に魔法カードが3枚以上あるならフィールドのモンスター1体を選んでも墓地に送る」

 

「!?嘘でしょ!?」

 

「私は古聖戴サウラヴィスを墓地に」

 

閃刀術式ージャミングウェーブの効果でフィールドゾーンにセットされた私のカードが破壊され、さらに古聖戴サウラヴィスも墓地に送られた。

 

「そして墓地に送られたフィールド魔法、閃刀領域ーエリアゼロの効果。デッキから『閃刀姫』モンスターを特殊召喚する。閃刀姫ーレイを特殊召喚」

 

閃刀姫ーレイ 攻1500

 

「は、ハハハ・・・・・まさかこうも簡単に返されるなんて・・・・魔法カードを主軸にしたデッキとは思っていたけど」

 

「・・・・・確かに、普通なら突破されにくいと思う」

 

お兄ちゃんが言ってた。最近はモンスター効果中心のデュエルでモンスターを封じたら勝てる可能性が上がる。お兄ちゃんのデッキもそうだった。

 

「でも私はちょっと違う。魔法カード、多いから」

 

「確かにね。まさかこうも簡単に除去されるとは・・・・でもまだ分からないわよ。あなたのデッキ、瞬間火力はそこまで高くないからね」

 

「ん、確かに。だからバトル。閃刀姫ーレイでダイレクトアタック」

 

氷川 LP 5000→3500

 

「そして閃刀姫ーレイの効果。自身をリリースして、フォームチェンジ。閃刀姫ーハヤテ」

 

閃刀姫ーハヤテ 攻1500 ↙︎

 

閃刀姫ーレイが飛び上がり、リンクマーカーに入ってコスチュームが変わる。リンクマーカーから飛び出してきて、緑色に光る大きな刃を持ち、緑色のコスチュームを着た閃刀姫ーハヤテがフィールドに現れる。

 

「閃刀姫ーハヤテでダイレクトアタック」

 

氷川 LP 3500→2000

 

「閃刀姫ーハヤテの効果。相手にダメージを与えた場合、デッキから『閃刀』カードを1枚墓地へ送る。私は閃刀起動ーエンゲージを墓地へ」

 

「なるほど・・・そしてそのカードを回収するわけね」

 

「正解、メインフェイズ2、閃刀姫ーハヤテをリンクマーカーにセット。フォームチェンジ、閃刀姫ーカガリ」

閃刀姫ーカガリ 攻1500→2100 ↖︎

 

「閃刀姫ーカガリの効果。墓地の閃刀起動ーエンゲージを手札に加えて、そのまま発動。デッキから閃刀機ーウィドアンカーを手札に加えて、1枚ドロー」

 

桜 手札 2枚→4枚

 

「閃刀機ーカガリをリンクマーカーにセット。フォームチェンジ、閃刀機ーシズク」

 

閃刀姫ーシズク 攻1500 ↗︎

 

「カードを2枚伏せて、エンドフェイズ時、閃刀姫ーシズクの効果、墓地に存在しない『閃刀』魔法カードを手札に加える。閃刀機ーホーネットビットを手札に加えて、ターンエンド」

 

 

氷川 手札 5枚(アレイスター・スライム・降魔鏡・ブリュ・祝誕) LP 2000

 

ーーーーー ▽

ーー--ー

ー ○

ーー---

-▲ー▲ー ー

 

桜 手札 3枚 LP 2500 墓地魔法6

 

 

「さて・・・・そっちが返したのですからこっちも返さないといけませんね。ドロー!」

 

氷川 手札 6枚

 

「おっと、このカードを引きました。メインフェイズ1開始時に魔法カード、強欲で金満な壺!エクストラデッキを3枚または6枚ランダム、裏側で除外することで3枚につき1枚ドローできる!私は6枚除外して2枚ドロー!」

 

氷川 手札 5枚→7枚

 

「まずは手札のブリューナクの影霊衣の効果!このカードを捨ててデッキから『影霊衣』モンスターをサーチする!」

 

「・・・・・・通す」

 

「この効果でトリシューラの影霊衣を手札に!さらに手札の魔神儀ーカリスライムの効果!」

 

「・・・・それも通す」

 

「(通す、そうなるとウィドアンカーはまだ使わないということですね)手札から魔神儀の祝誕を捨てて、デッキから魔神儀ーキャンドールを特殊召喚!」

 

魔神儀ーキャンドール 守0

 

「魔神儀ーキャンドールの効果!デッキから特殊召喚に成功した場合、デッキから儀式魔法を手札に加える!私は2枚目の魔神儀の祝誕を手札に加えて、墓地の魔神儀の祝誕の効果!さっき加えた2枚目の魔神儀の祝誕を捨てて、このカードを手札に戻して、デッキから魔神儀ータリスマンドラを特殊召喚!」

 

魔神儀ータリスマンドラ 守0

 

「魔神儀ーペンシルベルの効果!デッキから2枚目のトリシューラの影霊衣を手札に加える!」

 

「・・・・・ウィドアンカーを撃つべきだった」

 

「今更後悔しても遅い・・・・って言いたいところだけど、間違いなくこの次の儀式モンスターの効果で発動するつもりね。だけどそんな事おそれていちゃダメ!まずは魔法カード、魔神儀の祝誕!フィールドのタリスマンドラとキャンドールをリリースして、儀式召喚!魔神儀ーカリスライム!」

 

魔神儀ーカリスライム 攻2500→1900

 

相手フィールドの2体のモンスターがリリースされて、さっきまで手札から効果を使っていた儀式モンスターがフィールドに現れた。

 

「さらに儀式魔法、影霊衣の降魔鏡!このカードは儀式素材を墓地の『影霊衣』モンスターを使用することが出来る!私は墓地からブリューナクの影霊衣とクラウソラスの影霊衣をゲームから除外して、儀式召喚!トリシューラの影霊衣!」

 

トリシューラの影霊衣 攻2700→2100

 

相手の墓地にいたブリューナクの影霊衣とクラウソラスの影霊衣がリリースされて、トリシューラの影霊衣がフィールドに現れる。

 

「トリシューラの影霊衣の効果!このカードの儀式召喚成功時、相手フィールド・手札・墓地のカードをそれぞれ1枚ずつ選び、ゲームから除外する!」

 

「!!させない・・・・リバースカードオープン、速攻魔法、閃刀機ーウィドアンカー。トリシューラの影霊衣を対象にして効果を無効にして、墓地に魔法カードが3枚以上あるため、エンドフェイズまでそのコントロールを得る」

 

「そう・・・・そうだもんね。ここに撃たないと全て奪われるからね。だから!!そこにウィドアンカーを撃つことは読めていたわ!!手札のトリシューラの影霊衣の効果!」

 

「!?て、手札誘発・・・」

 

「あなただけの専売特許じゃないわよ?自分フィールドの『影霊衣』モンスターが効果の対象になった時、手札のこのカードを捨てることでその発動を無効にする!」

 

「!?そんな・・・・・」

 

私が発動した閃刀姫ーウィドアンカーはトリシューラの影霊衣に放たれたけど、相手が手札から発動したトリシューラの影霊衣によって守られてしまう。

 

「これでトリシューラの影霊衣の効果は有効!私はあなたの伏せカード、手札は右端、そして墓地からは閃刀姫ーレイをゲームから除外する!」

 

トリシューラの影霊衣の効果によって私の手札、フィールドの伏せカード、そして墓地にいた閃刀姫ーレイがゲームから除外されてしまった。

 

「これで終わりね。バトル!魔神儀ーカリスライムで閃刀姫ーシズクに攻撃!」

 

魔神儀ーカリスライム 攻1900

閃刀姫ーシズク 攻1500

 

桜 LP 2500→2100

 

「閃刀姫ーシズクがフィールドに存在しないため、攻撃力は元に戻る!」

 

魔神儀ーカリスライム 攻1900→2500

トリシューラの影霊衣 攻2100→2700

 

「トリシューラの影霊衣でダイレクトアタック!」

 

桜 LP 2100→0

 

 

WIN 氷川 LOS 桜

 

 

 

「ふふふっ、私の勝ちですね」

 

「むぅ・・・・悔しい」

 

デュエルが終わって私たちはデュエルディスクを片付ける。お兄ちゃんから貰ったこのデッキで初めて負けた。悔しい。

 

「・・・・けど、楽しかった」

 

「えぇ、私もです。久しぶりに熱くなりました。祈さんや恭輔さんとまた違う楽しさがありました」

 

「・・・・またやろう、今度は負けない」

 

「もちろんです。その時は返り討ちにしてあげます」

 

私と氷川さんで握手をしてお店に戻っていった。




桜「キツかった・・・」

絢「私のデッキは相手を封じ、返しのターンで確実に勝つデッキだから」

桜「エクストラデッキを妨害されちゃキツイ・・・」

絢「閃刀姫ですと余計にですね」

桜「普通、そんなことはされないけど」

絢「だけれでもこのデッキだって弱点はあります。メインで戦うデッキにはとことん弱いですから」

桜「ん、それは感じた」

絢「だからインフェルノイドとか辛いんだよね。帝とか」

桜「次回、『軽音部の休日』。よろしく」


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第8話 軽音部の休日

休日回。こういう日はゆっくり寝ているのに限る。


遊輝 side

 

「・・・・・っほい」

 

「サンキュー、いや〜マジで助かるわ。タブレット壊れたから何事かと思ったよ」

 

「たいした事ねぇよ。バッテリーがヒートアップしてただけだ」

 

土曜日、桜と一緒にスバルのガレージに来た。スバルは家のガレージを使って簡単な修理屋をしている。主に子供達のデュエルディスクを直す事をやっている。今日はタブレットの修理を依頼しに来た。

 

「これでもう使えるはずだけどあんまり使いすぎるなよ。バッテリー変えたばっかなのにまた修理とかやめてくれ」

 

「それはこっちが願い下げだよ。んで幾ら?」

 

「えっと・・・・バッテリー代が高いからな。1000円」

 

「・・・・それでも1000円でやる辺りが良心的だよ」

 

そう言って財布の中から1000円札1枚を取り出してスバルに渡す。スバルはそれを金庫の中に突っ込んだ。

 

「よし!じゃあこれで出掛けられるな!」

 

「ほんと悪かったわ・・・」

 

「・・・・どこ行くの?」

 

「お前にこの街を案内するのと、軽音部のみんなでお茶しようって。全員で纏まって休みを取るのは久しぶりだから」

 

「・・・・お茶?」

 

「あぁ・・・・まぁどっかの喫茶店でティーブレイクしようって話」

 

「・・・・・・(ジュルリ)」

 

「飯食わねぇぞ」

 

「・・・・・・・・」

 

「なぜそんな驚いた表情をする!?普通ティーブレイクって言ったら喫茶店で紅茶とか飲むくらいだろ!?」

 

「紅茶も何も、ほとんどのやつがコーヒーも飲めないけど」

 

まぁ確かに、コーヒー飲める奴って言ったら俺かスバルだもんな。後のほとんどは紅茶を好んで飲む。

 

「それにお前、お茶するって言ったって最初は昼飯食って次カラオケじゃないか」

 

「いやだって・・・・・桜の食費「お前は母親かよ。いい加減隠し貯金くずせよ」・・・・」

 

「とりあえず行こうぜ。もうレミたちを待たせているんだから」

 

工具を片付けてカバンを背負うスバルが、俺たちに文句を言って外に出た。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「いたいた、お〜い!」

 

桜とスバルと一緒に目的地にまで来て、レミたちを探していたら、手を振っている響を見つけ、3人でそっちに向かう。

 

「遅いよ〜!何してたのよ!?」

 

「こいつのタブレットの修理だよ。朝早くから持ってきてさ」

 

「タブレット修理しておかないと曲の歌詞書けないじゃん」

 

「それ以前に何でタブレットを修理出さないといけないのよ」

 

「桜がタブレットにジュースこぼしてさ・・・」

 

「・・・・お兄ちゃんが悪い、桜に声をかけるから」

 

「いやお前、出掛けるぞって言っただけじゃないか」

 

普通に家から出るときに「出掛けるぞ」って言ったら何故か口の中の水を吐き出してタブレットにかかったんじゃないか。

 

「どうでもいいから早く行こうよ!もうお腹空いてんだから!」

 

「そう言えば昼飯どこで食べるんだよ?なんか行きたいところがあるって」

 

「そうそう!ここ!ここのバイキング行ってみたかったんだよ!」

 

「バイキング?」

 

桜は首を傾げるが、俺は右手を顔に当ててあちゃ〜っていう表情をしている。絶対こいつ、見境なく食べまくって店に迷惑かけるもん。

 

「とりあえず行こう!もうすぐ12時だし!」

 

響に背中を押されて近くの建物の中に入る。そのままエスカレーターを上がっていき、レストランのフロアのところで目的のお店を見つけた。日曜日のお昼前なのですでに人で列が出来ている。

 

「ここ!」

 

「うわ・・・・日曜だからもう並んでるわね」

 

「今からだったらまだ30分くらい!並ぶわよ!」

 

「何でそんな気合入ってるんだよ・・・・」

 

「・・・・バイキングって何?お兄ちゃん」

 

「・・・・・時間制の食べ放題のお店」

 

「・・・・・・・(キラリッ)行きたい」

 

「30分くらい待たないとダメだ」

 

「30分ならすぐ、待つ」

 

そう言って桜は走って列の最後尾に並んだ。本当に食べる事になると見境ないな・・・・流石、ピンクの悪魔。

結局、桜の意向(と響の意地)のために30分並び、目的のお店に入店、店員からの説明を聞き終えると桜は一目散に駆け抜けていった。

 

「あ〜あ・・・・・始まるわ」

 

「そう言えば私たち、聞くだけ聞くけどどれだけ食べてるか見たことないわね」

 

「確かに、桜っちの本気を見たことがないかも」

 

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・おい、なんだそりゃ」

 

後ろに振り返って桜を見ると、お盆の上に乗った3枚のお皿にてんこ盛りとなって料理が盛られていた。満面の笑みで机に置いた桜はそれを食べずにまた料理の方に走っていく。

 

「・・・・・・どうやら本当にヤバいみたいね」

 

「なんか俺、見てるだけでお腹いっぱいだわ」

 

「分かる・・・・一応、なんか取ってこよう」

 

桜の量が異常な事にメンバー全員で驚いてるがせっかくの食べ放題なので俺たちも何か食おう。じゃないとただ金を払うだけになる。

 

 

〜〜(2時間後)〜〜

 

 

「・・・・満足満足」

 

「えぇそうでしょうね。ラスト30分前には店のオーナーが「もう勘弁してください!」って泣いていましたからね」

 

「あれは違う意味で傑作だったわ」

 

「まあまあ・・・・・何とかなったでしょ。サインとかしたし」

 

「そういう問題じゃないと思うわよ多分・・・営業出来るかどうかでしょ」

 

あの後、桜は店の料理を全部食べ尽くす勢いだった。本当に店のオーナーが出てきてやめてくれって頭下げたもんな・・・あんなことってあり得るんだ。多分、桜は今後出禁だな。

 

「じゃあ今度はカラオケに行こう!みんなで歌おう!」

 

「良いね!カラオケ久しぶり!」

 

「その前にお買い物!遊輝と一緒だと桜ちゃんの服少ないだろうし」

 

「そんな事ないよ響っち、遊輝っち女物の服あるだろうし」

 

「おい茜その発言は撤回してもらおうか。まるで俺が女物の服を持っているみたいじゃないか」

 

「何言ってるのよ、実際に持っ「ワアアアアア!!!!!!」

 

茜がとんでもない爆弾発言をしようとしたところで俺が茜の口を防ぐ。そんな事、こんな大勢がいるところで喋っちゃダメだ!俺の人生が終わってしまう!

 

「じゃあ先ずは桜ちゃんの服探そう。桜ちゃんはどんな服が着たい?」

 

そう言ってレミと茜は桜の手を掴んでアパレルショップに行ってしまった。それを追うように響と奏も行ってしまう。

 

「あ〜あ・・・・どうする?女の買い物は長い上に荷物持ちただぞ?」

 

「それは本当に勘弁してほしいなぁ・・・」

 

「ここは悲しく男二人でゲーセン巡りするか?」

 

「賛成だな!まずは音ゲーやろうぜ!」

 

「二人とも何してるのよ!早く来なさい!!」

 

「「・・・・・・は〜い」」

 

レミに見つかって俺とスバルはテンションダダ落ちで後ろについて行く。絶対この後暇且つ退屈な時間がやってくる・・・・

 

「あ〜あ・・・・何かこう、RPG風のイベント起きないかな」

 

「例えば?」

 

「平和に買い物をしていた少年少女のグループ、しかしその平和は突然終わる。それは強盗グループの襲撃に「きゃあああああ!!!!!」!?!?」

 

「おいお前!?そういうフラグは立てるなよ!?」

 

「知るかボケ!!マジで起こるとは思わなかったわ!!!あっちだな!?レミ!!牛尾さんに連絡頼む!!」

 

もっと先に進んでいた女性陣はレミに連絡を任せておいて、スバルと二人、悲鳴が聞こえたところまで走る。3階のレストランフロアからエスカレーターの吹き抜けの所を下に見る。刃物を持った武装集団が女性と子供を人質に取っていた。

 

「動くな!!動くと刺すぞ!」

 

「物騒な格好しているわりには武器は大した事ねぇな・・・・」

 

「やるか?」

 

「モチのロン」

 

「よっしゃやるぜ!」

 

俺とスバルは柵を乗り越えてそのままジャンプ、武装集団に向かって飛び降りる。

 

「俺たちは仲間の釈放と金を「おぅらあああ!!!!」ぐはっ!?」

 

「!?どうし「お前の相手はこっちだ!!」グホッ!?」

 

飛んだ勢いでそのまままず、武装集団二人を殴り、下敷きにして着地する。

 

「うっひょ〜・・・・足が痺れる〜」

 

「な、なんだお前ら!?」

 

「とうりゃ!!」

 

「グホッ!?」

「き、貴様ら!!これが見えん「動きが遅えんだよ!!」グボホッ!?」

 

俺とスバル、二人で武装した集団を殴っていく。既に戦意喪失の奴らは武器を捨てて逃げていき、ある奴らは俺らに向かうが肉弾戦で負けていく。全く、こんな奴ら能力使う必要もない。そんなこんなでスバルの方は人質を救出成功。先に二人を逃していた。

 

「遊輝!もう何の心配もいらねぇぞ!」

 

「うっしゃ!これで好き放題やれるぞ!」

 

「で、撤退だ!!撤退だ!!」

 

「こんなふざけた事しといて撤退?そんな事させるわけないでしょ?」

 

「ひっ!?な、何だ!?」

 

一部残ったものが撤退しようと出口の方に逃げ出そうとしていたが、そいつら全員の足は既に氷漬けにされて動けない状態になっていた。

 

「人の事を殺そうとして周りの建物とかめちゃくちゃにしてそれでピンチになったら逃げるとか愚の極みだわ」

 

「もうすぐセキュリティ来るし、そのままじっと待って起きなさい」

 

武装集団が逃げようとしたところからレミたちが歩いてきていた。先に逃げようとしていた奴らも響によって氷漬けにされてポイっと投げた。それを見た残りの奴らは身体が震え上がっている。寒さで震え上がったのか、恐怖で震え上がったのかは分からない。

 

「サンキュー、取り逃したらまたやるかもしれないから」

 

「にしてもあんたら、3階からいきなり飛び降りないでよね」

 

「こ、こっち、階段から、ダッシュで・・・・ハァ・・・ハァ・・・・」

 

「ほんと、体力ねぇよな奏。ライブであれだけ動いているのに」

 

「・・・・・・・」

 

「桜の方が息切れしてねぇなぁ・・・大丈夫か桜?」

 

「・・・・大丈夫、これくらいどうってことない」

 

ハァハァと息をする奏に対して桜は涼しい表情をしている。こいつ、本当に表情が表に出ないよな。ポーカーフェイスもいいところだ。

 

「セキュリティだ!どいてくれ!」

 

「おっ、来た来た。おおい、こっちだ」

 

「セキュリティ」という牛尾さんの声が聞こえたので俺は手を振って居場所を教える。牛尾さんたちが来たところで俺の能力を使い、氷漬けになっている奴ら、足が凍っている奴らの氷を溶かしていく。

 

「これでいいな・・・・お前たちにはまた世話になったな」

 

「そんな事ないですよ〜」

 

「茜、お前何もしてないだろ」

 

「また後で報酬を払う、じゃあ今日はこれで」

 

振り返った牛尾さんは部下に指示をして素早く撤収して行った。迅速にやってくれたおかげで最小限の被害に抑えられた。良かった良かった。

 

「よーし!!じゃあ桜ちゃんの服の続き、いっくわよ!!」

 

「えぇ・・・・」

 

「えぇって何よ!?えぇって!?」

 

「遊輝とスバルも行くわよ!!」

 

レミと茜に背中を押されて俺とスバルは女性陣に連れていかれる。この後、待っていたのは非常に退屈な時間と荷物持ちという役割だった。

 

 

〜〜(数時間後)〜〜

 

 

「桜ちゃんオシャレ〜」

 

「さすがファッションモデル。こういうの任せたら一丁前ね」

 

「「・・・・・・・・・・・・・」」

 

ウィンドウショッピングが終わり、女性陣はワイワイキャッキャッしているが俺とスバルはげっそりとして荷物を持っている。しかもこいつら、この衣装代金を俺持ちにしやがった。

 

「次カラオケ行こう!」

 

「今日は何歌おうかな・・・」

 

「ああ・・・・疲れた・・・」

 

「ああ・・・早い所休もうぜ・・・」

 

「だらしないわね!男でしょ!?体力きたえているよね!?」

 

んなもん関係ねぇよ・・・いつの時代でも女の買い物に付き合わされる男は体力的にも精神的にもしんどいんだよ・・・そうこう思いつつ、カラオケ屋に着いた。

 

「カラオケカラオケ♪」

 

「すみませ〜ん!フリーで学生7人で!」

 

「申し訳ありません、現在満席で2時間待ちでして」

 

「えぇ!?」

 

そりゃあんた・・・・今日はゴールデンウィーク真っ最中ですよ。誰だってフィーバータイムで楽しみまくるよ。

 

「もう5時前だっていうのに・・・今日は見たいテレビがあるからなぁ」

 

「しょうがない。また別の日にしましょう。今日は解散っていうことで」

 

「っしゃ!ようやく解放される!」

 

解放という言葉を聞いて意気揚々とするスバル。荷物持ちから解放されるからだろうが俺はそうは行かない。この荷物、すべて桜の服なので俺が持って帰らなくちゃいけない。

 

「ハァ・・・・荷物どうするんだよ」

 

「そんなため息つかなくても荷物くらい私たちも手伝うわよ」

 

「マジ助かる・・・この量持てん・・・ってか買い物しないと行けないんだよ」

 

「それじゃ買い物して帰るわよ」

 

「ん」

 

結局、今日のカラオケは諦めて、みんなで俺の家の晩飯の買い物に付き合ってくれて解散した。




遊輝「つっかれた・・・・・」

桜「満足、またあの店行きたい」

遊輝「もう2度と行けねぇわ・・・・」

スバル「ガチで出禁じゃないか?」

桜「出禁?」

遊輝「二度と来るなって意味」

桜「・・・・・・・・・・・」

スバル「露骨にショック受けとる」

遊輝「やり過ぎなんだけどな」

桜「・・・・・・・・・・・・」

遊輝「・・・次回、『中間試験 星の戦士』。次回もよろしく」


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第9話 中間試験 星の戦士

中間試験、高校時代を思い出すな。
作者、超理系で国語が本当にダメ、一度本気で勉強して55点。流石に萎えて次のテストほぼノー勉でいったら55点。この時に国語の才能が無いと確信した。


遊輝 side

 

 

「・・・・ってやるんだよ」

 

「分からない」

 

「分からないじゃなくてお前の場合、脳が思考停止してるんだよ」

 

「・・・・何してるの?」

 

「あれはテスト勉強だよ、あそこにいる響はね、頭がバカだからああやって勉強しないとテストで低い点数を取ってしまうの」

 

「奏!!今私のことをバカに「事実だろうが、高等部最初のテスト赤点はマジでシャレならんぞ」ううぅ・・・・」

 

軽音部の部室内で中間テストに向けた試験勉強をしている、主に響が。とにもかくにも響の赤点率は異常。一度だけ全ての科目で赤点回避という奇跡を起こしたが、そんな事滅多に起きない。が、少しでも赤点科目を減らさないと今後の部活に影響を及ぼしてしまうので鬼となって教えている。

 

「ほらそこ、3人称なんだからdoじゃなくてdoseだ」

 

「1人称も3人称も変わらない・・・」

 

「大きく変わるわ」

 

「っていうかそれ中等部で習ったじゃない」

 

「高校英語って難しく感じるけどそんな事ないからな。中学英語をちゃんと理解していれば分かるんだよ。複雑に感じる文法もあるけど、基本的にそれは長文だから」

 

「中学英語でも高校英語でも英語は英語だよ!!」

 

「ったく、少しはスバルの吸収力を見習えよ・・・・」

 

スバルも勉強しないけど、あいつは一夜漬けで50点近くはいつも持っていけるから何の心配もいらない。響とは大違いだ。

 

「あ〜あ・・・誰か私と入れ替わってテスト受けてくれないかな・・・」

 

「そんなバカなこと言ってないでさっさと勉強したら」

 

「ううう・・・・」と呻いている響はほっといて俺は中等部組の方を見る。一応、桜の学力を確認しておかなきといけないから。

 

「どうだ、そっちは?」

 

「桜さんは全然大丈夫です。むしろ僕らが教わる立場です」

 

「わ、私たちの苦手な所をすらすらと教えてくれますから」

 

「ん、こういうのは覚えておけば大丈夫」

 

桜の奴、記憶力に余程自信あるんだ・・・・覚えゲーとか言い出したよ。まぁある意味正しいっちゃ正しいやり方だけど。にしても俺、どうしても一つ気になることがあるんだけど・・・

 

「恭輔、お前今回すごい気合い入っている感じがするけど」

 

「師匠、今回のテスト、僕はお小遣いがかかってます。1500円が2000円に上がるかもしれないんです」

 

「お、おう・・・・」

 

そりゃ確かに気合いの入り方が違うよな(汗)。人間、お金がかかったらやっぱ変わるんだ・・・・・

 

「・・・・祈、お小遣いって何?」

 

「親からお金をもらうことですよ」

 

「・・・・お兄ちゃん」

 

「何だ?」

 

「私も良い成績取ったらお小遣「普段から欲しいもの買ってやってるんだからダメ」むぅ・・・・・」

 

うちの家計的にそんな余裕ありません(特に食費が)。桜が膨れてますが無視します。

 

遊輝 side out

 

 

桜 side

 

 

『では次、第9フィールドで・・・・・』

 

「・・・・暇」

 

「ま、まぁ・・・・同感しますが」

 

中間テストなる物を昨日まで受けて、今日は実技試験。デュエルを1回するだけで点数が入る、よく分からないシステムだ。

 

「桜さん、まだ順番待ちですか?」

 

「よう、順番待ちの途中か」

 

観覧席で恭輔と一緒に待っているとさっきまでデュエルフィールドにいた山吹と氷川さんがこっちにやって来た。

 

「ん、待っている」

 

「今祈さんがデュエルしてます。もうすぐ終わりそうですが」

 

「アカデミアデュエル大会の優勝メンバーだろ?そんな奴が負けるわけねぇ」

 

「その油断が命取りになるじゃない。それより貴方、随分この方達とは馴れ馴れしいですね」

 

「けっ、気が変わったんだよ。お前こそ今まで触れ合ってなかっただろ?」

 

「私は隣席が桜さんだから自然と関係を持つようになったのよ」

 

『遠藤桜さんと成田恭輔さん、第5フィールドに上がってください』

 

「・・・・呼ばれた」

 

「どうやら僕たちでやるようですね」

 

私と恭輔がアナウンスされ、恭輔が立ち上がる。同じフィールドで呼ばれる、それはつまり対戦相手が恭輔だということ。私と恭輔は無言で観覧席から降りて指定されたデュエルフィールドに立ち、お互いに対峙する。

 

「こんな所で桜さんとデュエルするとは思いませんでした」

 

「ん、普段は五分五分、今日は圧勝する」

 

「そんな簡単に倒されちゃ僕も師匠の弟子としての面子が立てません。師匠の義妹とはいえここは勝たせてもらいます」

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

桜 LP 4000 恭輔 LP 4000

 

「先行、私のターン、魔法カード、増援。デッキから閃刀姫ーレイを手札に加える。魔法カード、成金ゴブリン。1枚ドローして恭輔は1000ポイント回復」

 

恭輔 LP 4000→5000

 

「魔法カード、テラ・フォーミング。デッキから閃刀領域ーエリアゼロを手札に加え、フィールド魔法、閃刀領域ーエリアゼロを発動。閃刀姫ーレイを召喚」

 

閃刀姫ーレイ 攻1500

 

フィールドが閃刀領域ーエリアゼロへと移り変わり、その機械の中から閃刀姫ーレイがフィールドに飛び出して来た。

 

「閃刀領域ーエリアゼロを閃刀姫ーレイを対象に発動。チェーンで閃刀姫ーレイの効果。このカードをリリースして、EXデッキから『閃刀姫』リンクモンスターをEXゾーンに特殊召喚する。フォームチェンジ、閃刀姫ーシズク」

 

閃刀姫ーシズク 攻1500 ↗︎

 

エリアゼロの対象となった閃刀姫ーレイがジャンプして、リンクマーカーの中に入る。いつもの服から戦闘用のコスチュームに変身して閃刀姫ーシズクがフィールドに現れた。

 

「閃刀領域ーエリアゼロの効果解決。デッキの上から3枚をめくって、その中に『閃刀』カードがあるなら手札に加える」

 

・ツインツイスター

・閃刀機ーホーネットビット

・おろかな副葬

 

「閃刀機ーホーネットビットを手札に加える。カードを2枚伏せてエンドフェイズ時、閃刀姫ーシズクの効果。墓地に存在しない『閃刀』魔法カードを手札に加える。閃刀起動ーエンゲージを手札に加えて終了」

 

 

桜 手札 3枚 LP 4000 墓地魔法3

ー▲▲ーー △

ーーーーー

○ ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

恭輔 手札 5枚 LP 5000

 

 

「僕のターン!ドロー!」

 

恭輔 手札 6枚

 

「まずは魔法カード、増援!デッキから星因子ウヌクを手札に加えて、そのまま召喚!」

 

星因子ウヌク 攻1800→1500

 

「ウヌクの効果!チェーンで速攻魔法、天架ける星因子!ウヌクを対象に取り、デッキから星因子アルタイルを特殊召喚!」

 

星因子アルタイル 攻1700→1400

 

「その後、ウヌクはデッキに戻ります。ウヌクの効果!デッキから『テラナイト』モンスターを1体墓地に送ります!星因子デネブを墓地に送り、アルタイルの効果!特殊召喚成功時、墓地の『テラナイト』モンスター1体を特殊召喚します!」

 

「・・・・チェーン、リバースカードオープン。罠カード、無限泡影。アルタイルの効果を無効にする。そしてこのターン、真ん中の列で発動する魔法・罠の効果は無効になる」

 

「!?」

 

私が発動した無限泡影が星因子アルタイルから力を奪い、効果を無効にする。

 

「それは完全に予想外でした・・・・まさか罠カードを入れてくるなんて」

 

「・・・・奇策、別に閃刀姫だからと言って罠を入れない理由、ない」

 

「まぁ確かに、固定観念を持ってしまった僕の失敗です。けど、次の手はありますよ。魔法カード、死者蘇生」

 

「・・・・それは聞いてない」

 

「墓地から星因子デネブを特殊召喚します!」

 

星因子デネブ 攻1500→1200

 

恭輔が発動した死者蘇生によって墓地にいた星因子デネブがフィールドに戻ってきて、恭輔の手札に1枚のカードが加えられた。

 

「デネブの効果!デッキから『テラナイト』モンスター1体を手札に加える!デッキから2枚目のアルタイルを手札に!Lv4のアルタイルとデネブでオーバーレイ!」

 

☆4 × ☆4 = ★4

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!ランク4!星の光を守りし影武者!煉獄の騎士(テラナイト)ヴァトライムス!」

 

煉獄の騎士 ヴァトライムス 攻2600→2300

 

「バトル!ヴァトライムスでシズクに攻撃!」

 

煉獄の騎士 ヴァトライムス 攻2300

閃刀姫ーシズク 攻1500

 

桜 LP 4000→3200

 

「墓地の閃刀姫ーレイの効果。自分フィールドの『閃刀姫』モンスターが相手によって破壊された場合、墓地から特殊召喚する」

 

煉獄の騎士ヴァトライムスによって破壊されたシズクの装甲が外れ、閃刀姫ーレイが守備表示で特殊召喚される。

 

「でもそれで、閃刀魔法カードは使えません!メインフェイズ2、ヴァトライムスの効果!手札1枚とこのカードのエクシーズ素材を取り除いて、このカードの上に光属性の『テラナイト』エクシーズモンスターをエクシーズ召喚します!」

 

煉獄の騎士 ヴァトライムス OVR 2→1

 

「煉獄の騎士 ヴァトライムスでオーバーレイ!」

 

「1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築!エクシーズ召喚!ランク4!星の彼方から舞い降りよ!星輝士トライヴェール!」

星輝士トライヴェール 守2500

 

煉獄の騎士ヴァトライムス1体がブラックホールに再び吸い込まれていき、爆発。その中から星輝士トライヴェールがフィールドに現れた。

 

「トライヴェールの効果!このカードのエクシーズ召喚成功時、フィールドのこのカード以外のカードを全て手札に戻す!デルタ・オブ・ツイスター!」

 

星輝士トライヴェールが手にしている三角形を上に投げて、その三角形から竜巻が巻き起こりフィールドのカードを更地にする。

 

「そしてトライヴェールの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ取り除いて相手の手札1枚をランダムに墓地に送ります!」

 

星輝士トライヴェール OVR 2→1

「選ぶのは真ん中のカード!」

 

「・・・・ん」

 

真ん中のカードを私が選んでお互いに確認する。墓地に落ちたのは閃刀機ーホーネットビット、正直、今使わない。

 

「う〜ん・・・・微妙ですね。エリアゼロ辺りが良かったんですが仕方ないです。カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

 

桜 手札 5枚 LP 3200 墓地魔法4

ー--ーー ー

ーーーーー

ー □

ーーーーー

▲▲ーーー ー

 

恭輔 手札 1枚 LP 5000

 

「私のターン、ドロー」

 

桜 手札 6枚

 

「魔法カード、閃刀起動ーエンゲージ。デッキから『閃刀』カード1枚を手札に、墓地に魔法カードが3枚以上あるからさらに1枚ドロー。閃刀機ーベクタードブラストを手札に加えて、1枚ドロー」

 

桜 手札 5枚→7枚

 

「魔法カード、閃刀機ーベクタードブラスト。互いのプレイヤーはデッキの上から2枚を墓地に送り、墓地に魔法カードが3枚以上ある場合、EXゾーンの相手モンスターを全てデッキに戻す」

 

「っ!?」

 

恭輔は苦い顔をしている。星輝士トライヴェールは墓地に送らなければリクルート効果を発動できない。デッキバウンスでは後続が続かない。

 

「・・・仕方ないです。カウンター罠、神星なる因子!トライヴェールを墓地に送って、ベクタードブラストの効果を無効にして破壊します!」

 

トライヴェールがエネルギーとなり、ベクタードブラストの発動を無効にして破壊した。

 

「そして1枚ドローします!」

 

恭輔 手札 1枚→2枚

 

「トライヴェールの効果!オーバーレイ・ユニットが存在するこのカードが墓地に送られた場合、墓地の『テラナイト』モンスター1体を特殊召喚します!」

 

「・・・・手札から屋敷わらしの効果。墓地から手札に加える効果、墓地から特殊召喚する効果、墓地から除外する効果のうち、いずれかの効果を含む効果が発動した時、このカードを手札から捨てて、その効果を無効にする」

 

「なっ!?」

 

恭輔のフィールドにいた星輝士トライヴェールの跡からモンスターが出てきそうだったが、私の手札にいた屋敷わらしがその跡を踏み潰して効果を無効にした。

 

「まさかさっきのドローで?」

 

「そ、あったら死者蘇生の時に撃ってた」

 

「そうですよね・・・・これはまずいですね」

 

「閃刀姫ーレイを召喚、バトル、閃刀姫ーレイでダイレクトアタック」

 

恭輔 LP 5000→3500

 

「さらに閃刀姫ーレイの効果。自身をリリースしてフォームチェンジ、閃刀姫ーカガリ」

 

閃刀姫ーカガリ 攻1500 ↖︎

 

「閃刀姫ーカガリの効果、特殊召喚成功時、墓地から『閃刀』魔法カードを手札に加える。閃刀起動ーエンゲージを手札に加える。さらに閃刀姫ーカガリは墓地の魔法カードの枚数×100ポイント攻撃力がアップ、6枚あるから600ポイントアップ」

 

閃刀姫ーカガリ 攻1500→2100

 

「閃刀姫ーカガリでダイレクトアタック」

 

恭輔 LP 3500→1400

 

「メインフェイズ2、カードを1枚伏せてフィールド魔法、閃刀領域ーエリアゼロを貼り直し。効果を伏せカードに対して発動」

 

・閃刀機関ーマルチロール

・サイクロン

・灰流うらら

 

「閃刀機関ーマルチロールを手札に加えて対象のカードを墓地に送る。永続魔法、閃刀機関ーマルチロールを発動。閃刀起動ーエンゲージを発動。閃刀機ーウィドアンカーを手札に加えて、1枚ドロー」

 

桜 手札 2枚→4枚

 

「閃刀姫ーカガリをリンクマーカーにセット。フォームチェンジ、閃刀姫ーシズク。カードを2枚伏せてエンドフェイズ時、閃刀姫ーシズクの効果、デッキから閃刀機ーイーグルブースターを手札に加えて、そのまま発動。その後、閃刀機関ーマルチロールの効果。このターン、このカードの発動後に発動した『閃刀』魔法カードの枚数だけ墓地の『閃刀』魔法カードをセットする。閃刀起動ーエンゲージと閃刀機ーイーグルブースターをセット。これでターンエンド」

 

 

桜 手札 2枚 LP 3200 墓地魔法7

▲▲△▲▲ ▲

ーーーーー

ー ○

ーーーーー

▲ーーーー ー

 

恭輔 手札 2枚 LP 1400

 

 

「僕のターン!ドロー!」

 

恭輔 手札 3枚

 

「リバースカードオープン!永続罠、龍魂の幻泉!墓地のモンスター1体を幻竜族に変えて、守備表示で特殊召喚する!星因子アルタイルを特殊召喚!アルタイルの効果!」

 

「チェーン、速攻魔法、閃刀機ーウィドアンカー。星因子アルタイルの効果を無効にする。3枚以上の効果は使わない」

 

龍魂の幻泉の効果で出てきたアルタイルに向かって、閃刀機ーウィドアンカーが発動、アルタイルの身体を拘束して効果を使えないようにした。

 

「通常召喚!星因子ベガ!」

 

星因子ベガ 攻1200→400

 

「ベガの効果!手札から『テラナイト』モンスターを特殊召喚します!星因子アルタイルを特殊召喚!Lv4のアルタイル2体とベガでオーバーレイ!」

 

☆4 × ☆4 × ☆4 = ★4

 

「3体のテラナイトモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!No,86!伝説の王が所持し大いなる槍が時を越え今蘇る!!HーC ロンゴミアント」

 

No,86 HーC ロンゴミアント 攻1500→3000

 

「ロンゴミアント・・・・面倒臭い」

 

「ロンゴミアントはオーバーレイ・ユニットが3つ存在するため、戦闘で破壊されず、攻撃力と守備力は1500ポイントアップ、このカード以外の効果も受けません!バトル!ロンゴミアントでシズクに攻撃!」

 

「速攻魔法、閃刀機ーイーグルブースター。このターン、閃刀姫ーシズクはこのカード以外の効果を受けず、墓地に3枚以上魔法カードがあるため戦闘では破壊されない」

 

No,86 HーC ロンゴミアント 攻3000

閃刀姫ーシズク 攻1500

 

桜 LP 3200→1700

 

「メインフェイズ2、カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

「・・・エンドフェイズ、速攻魔法、ツインツイスター。手札を1枚捨てて、その伏せカードと龍魂の幻泉を破壊する」

 

「なっ!?」

 

手札1枚をコストにしてツインツイスターを発動、恭輔の場の伏せカードと使用済みとなった龍魂の幻泉を破壊した。

 

 

桜 手札 1枚 LP 1700 墓地魔法9

▲ー△--▲

ーーーーー

○ ○

ーーーーー

ーーーーー ー

 

恭輔 手札 0枚 LP 1400

 

 

「私のターン、ドロー」

 

桜 手札 2枚

 

「閃刀姫ーシズクをリンクマーカーにセット、フォームチェンジ、閃刀姫ーハヤテ」

 

閃刀姫ーハヤテ 攻1500 ↙︎

 

「閃刀姫ーハヤテはダイレクトアタックができる。バトル、閃刀姫ーハヤテでダイレクトアタック」

 

恭輔 LP 1400→0

 

 

WIN 桜 LOS 恭輔

 

 

「そこまで!勝者、遠藤桜!」

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

「ヴィ」

 

「う〜ん・・・・残念です」

 

デュエルディスクを片付けてデュエルフィールドから降りる。恭輔も降りてこっちにやって来た。

 

「ツインツイスターは読めてませんでした。ハヤテの対策はあの伏せカードで対策できていたのですが、まぁエンゲージがありましたし・・・・」

 

「・・・・私の勝ち」

 

「ですね。僕もまだまだです」

 

「・・・・恭輔、何でリンクモンスター使わなかった?」

 

「えっ?いや桜さん、まだ一般販売してませんから・・・・」

 

「でも私とやる時」

 

「あれは周りが皆知っている人ですから・・・」

 

「・・・・今度はちゃんとやって」

 

「分かりました」

 

恭輔と約束をして私たちは観客席に戻る。




桜「普通にイゾルデとか出されたら危なかった」

恭輔「素材持った状態でリンク素材にして、リクルートしてまたエクシーズって言いますからね。トライヴェールを呼べばイゾルデがEXデッキに変える」

桜「頭悪いコンボ」

恭輔「作者のテラナイトで使ってましたけどね。ただ、たられば過ぎるって」

桜「決まれば無慈悲」

恭輔「流石に覆せなかったですね」

桜「次回、『兄弟喧嘩勃発!?振り子の魔術師vs戦場を駆け抜ける姫』。よろしく」


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第10話 兄弟喧嘩勃発!?振り子の魔術師vs戦場を駆け抜ける姫

というわけで遊輝君と桜の初デュエル。魔術師と閃刀姫の対決だけど、作者が魔術師回し慣れているからなぁ・・・




No side

 

 

「どういう事かね?しっかりと対策を立てたのに返り討ちに合うなんて」

 

「も、申し訳ありません。相手がペンデュラム召喚を使わずに「言い訳は聞きたくない、向こうだってこちらの対策をしてくるのは当たり前だろ?それを予測して勝つ、それが君の仕事だ」は、はい・・・・」

 

「最初の失敗はともかく、2回目の失敗は許せません。もし、次失敗したら・・・・」

 

「!?ハッ!か、必ず連れ戻して来ます!」

 

「ふむ、良い結果を期待しているよ」

 

 

 

遊輝 side

 

 

「本当に何の手がかりもないなぁ・・・」

 

「えぇ、桜さん自身も思い出そうとしないですし・・・・」

 

現在、病院で桜の記憶喪失の治療を行っている。医者の判断でまず何が原因で記憶喪失になったのかという事を調べている。原因が分からない以上、どうやって桜の記憶を治すのか見当もつかないからだ。

 

「本来、記憶喪失とは過去のトラウマな体験、もしくは頭に強い衝撃を与えられた事によって起こるため、何かしら問題があれば脳内に強い衝動に駆られるはずなんですが・・・・」

 

「ふむ・・・・・・」

 

「その上、記憶が無いということは少なからず恐怖心を持つはずです。自分が何者か?どうしてここにいるのか?と考えるはずなんですが桜さんにはそのような傾向が・・・・」

 

「それは思った。なんか、記憶を無くしたという割には凄いアッサリしているんですよ、全く未練がない感じで」

 

「ここまで何もないとなりますと外部で桜さんの記憶を操作しているようにしか・・・」

 

「まさか、そんなアニメみたいなことを」

 

「ですよね・・・・・しかし、こうなると私もお手上げです。こうなってしまったらゆっくりと時間を掛けて記憶を戻していくしかありません」

 

「そうですか・・・・」

 

こうなってしまったら待つしかないのか・・・・いつまでも俺と一緒って訳には行かないんだけど、少なくとも桜を狙う奴らを何とかしない限りは無理だな・・・・そう思って診察室から出る。

 

「お待たせ」

 

「ん、待った」

 

「じゃあ行こうか。もう病院には行かなくていいって」

 

「ん、病院は行きたくない」

 

「何だ?病院嫌いだったのか?まぁ好きな奴の方が滅多にいないか」

 

「ん、なんか機械類見るのが嫌」

 

ふ〜ん・・・・病院の精密機械を嫌がるか、あの組織は確か紛いなりにも製薬会社だからこういう機材を置いているんだな・・・・少し頭に入れて置こう。こういう情報も重要になってきそうだな。そんな事を考えつつロビーまで戻り、お会計が来るまで待つ。ロビーのテレビには相変わらず訳の分からない商品の告知や番組の宣伝をしている。

 

ピンポ〜ン

 

「っと、順番来たな」

 

お会計の順番が来たのでフロントに並び、お金を精算する。

 

「・・・はい、桜さんの治療は今日までです」

 

「ありがとうございます」

 

「ではお大事に」

 

「ふぅ〜・・・・あっ、そうだ」

 

会計を済ませて、一つ思い出したことがあり俺はフロントから少し離れた処方箋の受付に行く。

 

「いらっしゃいませ。処方箋の紙を貰います」

 

「あぁすみません。処方箋じゃなくて一つ聞きたいことがあるんです。海外の会社なんですが、アムールっていう製薬会社のお薬ってここにありますか?」

 

「アムール、ですか?すみません、私聴いたことないです・・・・ちょっと探してみましょうか?」

 

「あっ、いえ大丈夫です。ちょっと気になっただけなので、ありがとうございます」

 

そう言って処方箋の受付から離れ、ロビーで待つ桜の所に戻る。

 

「(やっぱ恭輔の言う通りだな。特効薬とか開発すれば普通何かしらで知るはず、それが薬剤師も知らないなんてちょっとな・・・・)」

 

「どこ行ってたの?」

 

「えっ?ああごめん。ちょっと気になって広告があって」

 

「ふ〜ん、ご飯行こう」

 

「・・・・一言目をやめても二言目でそれだったら意味ないだろ」

 

全くもって教育に良くない。桜の言葉から食べる事以外の言葉が少なすぎる。あの二郎系ラーメンのオープン広告を見なければこうはならなかったはずだ。しかし時刻はもう正午を回っている。お昼ご飯を食べたい時間ではある。

 

「とはいえ・・・・何食うんだ?あんまりお金持ってきてないぞ」

 

「・・・・嘘、昨日銀行で降ろしていた」

 

「何故それを知っている!?」

 

「恭輔がお兄ちゃん探していたからそれを手伝っていた時」

 

「んな!?」

 

嘘だろ!?桜だけにはバレないように完璧な変装をして銀行に行ったのにバレるのか!?

 

「だからご飯、いっぱい食べよう」

 

「ダメ!昨日5kgの米袋を1日で無くしたんだぞ!これ以上食費で余計な出費をしてられるか!」

 

「・・・・・(クンクン)パン屋」

 

「おいちょっと待て桜!」

 

俺の話も聞かず、桜は鼻で何かを嗅いでそのままフラフラと別のところに向かって歩き出した。桜を追いかけて俺も後を追う。角を曲がった所に一軒のパン屋があった。

 

「・・・・ここ」

 

「こら!入るな!」

 

「いらっしゃいませ〜・・・・あれ?遊輝君?」

 

「ん?・・・・あれ?京子?」

 

桜が入ったパン屋のカウンターでレジ打ちをしている女の子、その子は響と仲良くしている高校でもクラスメイトの京子だった。

 

「何でここにいるの?」

 

「何でって・・・・ここが私の家だから」

 

「あれ?そうだったの?」

 

「私は家がパン屋なのよ、知らなかったの?」

 

すみません、全く知りませんでした。正直、そこまで他人の個人情報を知ろうと思わないし。

 

「姉ちゃん、遊びに行ってくるぞ」

 

「・・・・・山吹」

 

「桜?何でお前ここにいるんだ?」

 

「こっちのセリフ、何でいるの?」

 

「何でって、ここが俺の家だから」

 

「えっ!?京子!!お前まさか子供産んだのか!?」

 

「何でその発想になるのよ!!私の弟よ!!」

 

「う〜ん50点、あまりに普通すぎる」

 

「普通ってどういう意味よ!?」

 

俺の華麗なボケを普通のツッコミで返した京子。全くもって面白くない。っとそんな事は置いといて・・・・

 

「桜、この子と知り合いなのか?」

 

「同じクラスメイト、最初に構ってきた」

 

「へぇ〜、っていうか京子に弟いたんだ。そんな雰囲気出てなかった」

 

「あんまり弟と絡まないから、私」

 

「姉ちゃん男並みの力強さある「翔悟、それ以上言ったら鉄拳制裁よ」・・・・・」

 

「・・・翔悟って言うんだ」

 

「知らなかったんかよ・・・」

 

「それより遠藤君、噂の妹を連れてどうしたの?」

 

「・・・・お昼ご飯買いに来た」

 

「あら、じゃあうちのパンを好きなだけどうぞ」

 

「おい姉ちゃん、冗談抜きで言う、桜にその言葉はダメだ」

 

「何言って「じゃあ全部」・・・・えっ?」

 

「全部、支払いはお兄ちゃん」

 

「桜、今すぐその発言撤回しろ」

 

京子の発言を聞き、意気揚々とした桜は容赦なく全部、支払いは俺と言ってきたのですぐに撤回するように言った。お前は一体、いくつの店潰す気だ。まだ一軒も潰れてないけど。京子は京子で男の子の翔悟って奴とコソコソ話している。

 

「むぅ・・・・好きなだけって言うから」

 

「限度がある、限度が。お前はバカか」

 

「バカじゃない、私の幸福を得られるまで食べる」

 

「それを世間一般ではバカだと言うんだよ(大嘘だけど)」

 

「あ、アハハハ・・・・さ、さすがに全部は困るかな〜(汗)」

 

「むぅ・・・・じゃあ全種類半分」

 

「おいこら待て、ちっとも変わってないじゃないか」

 

「ぜ、全種類3個ずつなら良いかな」

 

「むぅ・・・・分かった」

 

「分かったじゃねぇよ!!1個120円ぐらいだとしてざっと20種類大体8000円近く吹っ飛ぶぞ!!」

 

桜に必死の訴えをして何とか最小限の出費にしたい俺。しかし桜も引き下がらずにトレーとトングを持ち出した。

 

「ちょっと待て桜!頼むからこれ以上食費で頭を抱えさせないでくれ!!」

 

「・・・・桜の兄ちゃんも大変だな」

 

「遠藤君、ついこの間一人暮らしを始めたから余計にね」

 

「一人暮らし?あいつトップス出身じゃないのか?」

 

「それは訳ありよ、訳あり」

 

「こうなったらデュエルだ!デュエルに勝ったらパンは買わないぞ!」

 

「・・・・買ったらパン買い占め」

 

「それどっちもお店的に困る!!」

 

「まさかの兄弟喧嘩・・・・これは見ものだな」

 

ラチがあかなくなってきたのでデュエルで決着を付けることに。お店の外に出てデュエルディスクを取り出して構える。なぜか京子と翔悟の2人もお店の外に出てきた。

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

遊輝 LP 4000 桜 LP 4000

 

「先行は私、カードを1枚伏せてフィールド魔法、閃刀領域ーエリアゼロを発動、効果を伏せカードを対象にして発動」

 

・閃刀起動ーエンゲージ

・増殖するG

・成金ゴブリン

 

「閃刀起動ーエンゲージを手札に加えて残りはデッキに、対象の伏せカードを墓地に送る。永続魔法、閃刀機関ーマルチロールを発動。閃刀起動ーエンゲージを発動。デッキから『閃刀』魔法カードを手札に加える。閃刀機ーウィドアンカーを手札に加える。閃刀機関ーマルチロールの効果、対象は閃刀領域ーエリアゼロにして発動。閃刀領域ーエリアゼロを墓地に送り、このターン、私が発動する魔法カードは相手の効果を受け付けない。閃刀領域ーエリアゼロの効果発動、デッキから『閃刀姫』モンスターを特殊召喚する。閃刀姫ーレイを特殊召喚」

 

閃刀姫ーレイ 攻1500

 

エリアゼロがフィールドから消えて、その跡から閃刀姫ーレイがフィールドに現れた。

 

「現れて、未来へ続くサーキット」

 

閃刀姫ーレイが桜の上に出来たリンクマーカーの中に飛び込む。

 

「召喚条件は炎属性以外の『閃刀姫』モンスター1体。私は閃刀姫ーレイをリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン、リンク召喚、フォームチェンジ、閃刀姫ーカガリ」

 

閃刀姫ーカガリ 攻1500 ↖︎

 

「閃刀姫ーカガリの効果。墓地から『閃刀』魔法カードを手札に加える。閃刀起動ーエンゲージを手札に戻して、閃刀起動ーエンゲージ。デッキから閃刀機ーイーグルブースターを手札に加える。閃刀姫ーカガリをリンクマーカーにセット、フォームチェンジ、閃刀姫ーシズク」

 

閃刀姫ーシズク 攻1500 ↗︎

 

「カードを2枚伏せてエンドフェイズ時、閃刀機関ーマルチロールの効果。墓地から閃刀起動ーエンゲージをセットして、閃刀姫ーシズクの効果。墓地に存在しない『閃刀』魔法カードをデッキから手札に加える。閃刀起動ーエンゲージを手札に加えて終了」

 

 

桜 手札 3枚 LP4000 墓地魔法 2

 

ー▲▲▲△ ー

ーーーーー

○ ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

遊輝 手札 5枚 LP 4000

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

遊輝 手札 6枚

 

「・・・・ふっふ、お兄ちゃんの魔術師デッキでこの布陣を突破するのはなかなか難しいはず」

 

なんか桜がすごいドヤ顔を決めて胸を張っている。だが俺も負ける訳には行かない。これ以上うちの家系が食費で圧迫される訳にも行かない。

 

「手札の超天新龍オッドアイズ・レボリューションの効果!ライフを500払ってデッキからLv8以下のドラゴン族モンスターを手札に加える!」

 

遊輝 LP 4000→3500

 

「俺はこの効果で竜剣士ラスターPを手札に加え、ライト・Pゾーンにスケール1の紫毒の魔術師をセッティング!」

 

「・・・・面倒くさい」

 

「通常召喚!EM ドクロバット・ジョーカー!」

EM ドクロバット・ジョーカー 攻1800→1600

 

「ドクロバット・ジョーカーの効果発動!」

 

「仕方ない・・・チェーン、速攻魔法、閃刀機ーウィドアンカー。EM ドクロバット・ジョーカーの効果を無効にする」

 

「永続魔法、星霜のペンデュラムグラフを発動!レフト・Pゾーンにスケール5の竜剣士ラスターPをセッティング!ラスターPのペンデュラム効果!紫毒の魔術師を破壊してデッキから紫毒の魔術師を手札に加える!そして永続魔法、星霜のペンデュラムの効果!チェーンで破壊された紫毒の魔術師の効果!」

 

「紫毒の魔術師の効果から解決!対象はシズクって言っても意味がないから閃刀機関ーマルチロール!」

 

「むぅ・・・・引っかかってくれない」

 

ラスターPの効果で破壊された紫毒の魔術師の霊がマルチロールに取り憑いてマルチロールを破壊する。

 

「星霜のペンデュラムグラフの効果!『魔術師』ペンデュラムモンスターがフィールドから離れた時、デッキから『魔術師』ペンデュラムモンスターを手札に加える!調弦の魔術師を手札に加える!再びレフト・Pゾーンにスケール1の紫毒の魔術師をセット!揺れろ!魂のペンデュラム!天空に描け光のアーク!ペンデュラム召喚!現れろ!俺のモンスターたち!」

 

PゾーンのラスターPと紫毒の魔術師の間に大きな振り子が現れて、その中から2つの光が

 

「エクストラデッキから紫毒の魔術師!手札から調弦の魔術師とEM ペンデュラム・マジシャン!」

 

紫毒の魔術師 守2100→1800

調弦の魔術師 攻0

EM ペンデュラム・マジシャン 攻

1500→1200

 

「チェーン1、調弦の魔術師、チェーン2、ペンデュラム・マジシャンの順で効果発動!」

 

「・・・・仕方ない。手札の灰流うららの効果。ペンデュラム・マジシャンの効果を無効にする」

 

「ペンデュラム・マジシャンは無効、調弦の魔術師の効果でデッキから『魔術師』ペンデュラムモンスターを守備表示で特殊召喚する!黒牙の魔術師を特殊召喚!」

 

黒牙の魔術師 守800→500

 

「行くぞ!出し惜しみ無しだ!現れろ!未来へ続くサーキット!」

 

俺の上にリンクマーカーが現れて、その中に紫毒の魔術師とドクロバット・ジョーカーの2体が入っていき、左斜め下と右斜め下の矢印が赤く灯った。

 

「アローヘッド確認!召喚条件はペンデュラムモンスター2体!俺は紫毒の魔術師とドクロバット・ジョーカーをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム !」

 

ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム 攻1800→1500 ↙︎ ↘︎

 

リンクマーカーの中から1体の人型のモンスターが出てきた。ヘルメットにゴーグルを付け、ヒーロースーツみたいなものに装甲を付けて、翼みたいな大きなブースターを身につけている。

 

「ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム の効果発動!リンク召喚成功時、デッキのペンデュラムモンスター1体をEXデッキに表側で置く!俺はアストログラフ・マジシャンを置く!さらにエレクトラム の効果!自分フィールドの自身以外の表側表示のカード1枚を破壊して、エクストラデッキに表側表示で存在するペンデュラムモンスター1体を手札に加える!ラスターPを破壊してアストログラフ ・マジシャンを手札に加える!」

 

エレクトラムが俺のPゾーンにいるラスターPに向かって発砲、ラスターPが破壊されてEXデッキにいるアストログラフを手札に加える。

 

「チェーン1、エレクトラム 、チェーン2、アストログラフの順で効果発動!アストログラフから解決!自分フィールドのカードが破壊された場合、このカードを特殊召喚!」

 

アストログラフ・マジシャン 攻2500→2200

 

破壊されたラスターPの残骸が後ろにできた青い穴の中に吸収されていき、その中からアストログラフ・マジシャンがフィールドに現れた。

 

「その後、このターンに破壊されたモンスター1体を指定してそのカードと同名カードを手札に加える!慧眼の魔術師を選択!チェーン1、エレクトラム の効果!自分のPゾーンのカードが破壊された時、1枚ドローする!」

 

遊輝 手札 2枚→4枚

 

「魔法カード、デュエリスト・アドベント!自分か相手のPゾーンにカードが存在する場合、デッキから『ペンデュラム』とついたカード1枚を手札に加える!俺は時空のペンデュラムグラフを手札に加える!現れろ!未来へ続くサーキット!」

 

今度は調弦の魔術師とエレクトラムの2体がリンクマーカーにセットされた。

 

「アローヘッド確認!召喚条件はチューナー1体を含むモンスター2体!俺は調弦の魔術師とエレクトラムをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2!水晶機巧(クリストロン)ハリファイバー!」

 

水晶機構ーハリファイバー 攻1500→1200

 

「ハリファイバーの効果発動!デッキからLv3以下のチューナーモンスターを特殊召喚する!グローアップ ・バルブを特殊召喚!」

 

グローアップ ・バルブ 守100→0

 

「Lv7のアストログラフ・マジシャンにLv1のグローアップ ・バルブをチューニング!」

 

☆7 + ☆1 = ☆8

 

「勇敢なる龍よ!弾丸に魂を刻み、正義を鉄槌を下せ!シンクロ召喚!Lv8!ヴァレルロード・S・ドラゴン!」

 

ヴァレルロード・S・ドラゴン 攻3000→2700

 

アストログラフとグローアップ ・バルブかひとつの光となってその中からヴァレルロード・Sがフィールドに現れる。

 

「ヴァレルロード・Sの効果!このカードのシンクロ召喚成功時、墓地のリンクモンスター1体をこのカードに装備カードとして装備する!エレクトラムを装備!」

 

ヴァレルロード・Sの前に穴が開いてその中からエレクトラムが出現、エレクトラムがヴァレルロード・Sの中に吸収されていった。

 

「そして装備したモンスターの攻撃力の半分だけ上昇して、装備モンスターのリンクマーカーの数までこのカードにヴァレルカウンターを置く!」

 

ヴァレルロード・S・ドラゴン 攻2700→3600

ヴァレルロード・S・ドラゴン C 0→2

 

「墓地のグローアップ ・バルブの効果!デッキトップを墓地に送り、特殊召喚!Lv4のペンデュラム・マジシャンにLv1のグローアップ ・バルブをチューニング!」

 

☆4 + ☆1 = ☆5

 

「森を守りし神獣よ!雄叫びをあげ牙を構えろ!シンクロ召喚!レベル5!ナチュル・ビースト!」

 

ナチュル・ビースト 攻2200→1900

 

「えっ・・・ちょっ・・・ま、待って」

 

「うわぁ・・・・遠藤君、本気だわ・・・・」

 

「桜のデッキの一番の天敵が出てきた」

 

「バトル!ナチュル・ビーストで閃刀姫ーシズクに攻撃!」

 

ナチュル・ビースト 攻1900

閃刀姫ーシズク 攻1500

 

桜 LP 4000→3600

 

「ぐ、ぐうぅ・・・閃刀姫ーレイの効果」

 

「ヴァレルロード・Sの効果!このカードのヴァレルカウンターを1つ取り除いて、相手が発動した効果の発動を無効にする!」

 

「!?」

 

ヴァレルロード・S・ドラゴン C 2→1

 

「閃刀姫ーシズクがフィールドから離れたことで攻撃力も元に戻る!」

 

水晶機巧ーハリファイバー 攻1200→1500

ヴァレルロード・S・ドラゴン 攻3900

ナチュル・ビースト 攻1900→2200

 

「ラスト!ヴァレルロード・Sでダイレクトアタック!ラッシュショット!」

 

桜 LP 3600→0

 

 

WIN 遊輝 LOS 桜

 

 

「むぅ・・・・・・・・」

 

「これで家の経済危機は救った・・・」

 

「いや遠藤君、ちょっと大人気ないよ」

 

「桜のデッキに対して天敵中の天敵を出して・・・」

 

なんか避難を浴びているが知ったこっちゃねぇ。こっちは危機を救ったんだ、これ以上の危機を迎えるわけにはいかない。

 

「・・・・・こうなったら」

 

桜はデュエルディスクからタブレットを切り離し、どこかに電話をした。

 

「・・・・うん、お願い」

 

「おい桜、お前誰と電話してるんだ?」

 

「・・・・すぐ来る」

・・・・・ビューーーン!!!!!!

 

「じゃ〜ん!!アリアさん登場!!」

 

「げっ!?何でお前いるの!?」

 

「私のお姉ちゃんセンサーがビンビンに立ったから!」

 

「・・・・連絡した、私の秘密兵器」

 

突如として現れたアリア、そしてそれを見てニヤリと不気味な笑みを浮かべる桜、そして甘い言葉でアリアを上目遣いで見る。

 

「・・・・アリアお姉ちゃん、お兄ちゃんがご飯を食べさせてくれないの、ちょっと懲らしめて」

 

「(ドキューーーン!!!!)よ〜し!!!お姉ちゃんにまっかせない!!!」

 

「・・・・お前、そんな事するんだ(汗)」

 

「・・・・・ちょっと恥ずかしかった」

 

「さあ遊輝ちゃん!!可愛い妹にたらふくご飯を食べさせてあげるのよ!!ついでだから私も昼ごはん奢ってもらうわよ!!」

 

「なんでそうなるんだよ!!さっきデュエルで桜に勝ったんだぞ!!」

 

「なら私とデュエルね!!私が勝ったらお昼ご飯出してもらうわよ!!」

 

「ええいもうやけくそじゃ!!!どっからでもかかってかい!!」

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」




(*今回は特別編、アリア、遊輝、桜の3人で少しだけ制限改定について話し合います」

アリア「♪♪♪〜〜〜〜」

遊輝「クソゥ・・・今月の生活費が・・・(涙)」

アリア「私に勝とうなんて早い早い」

桜「ナチュル・ビーストはズルい」

遊輝「普通に考えてあれが強い。まぁバルブ禁止になったし。もう抜くな」

アリア「そもそも閃刀姫は辛いよね。カガリ制限だし」

桜「ハーキュリーベースとシズク、マルチロールで頑張ってもらう」

遊輝「SPYRALと一緒で良いテーマって感じじゃね?先行展開系も大幅規制だな」

アリア「FWD、ダンディ、スチーム、バルブが禁止か・・・・当たり前か」

桜「・・・ハリファイバーは制限」

遊輝「あれ禁止にしたらファンデッカーマジでキレるぞ。個人的にクロノグラフが地味に辛い」

アリア「ただ、それで魔術師が弱くなったとはちょっと言いにくいわね・・・・魔弾とか真龍とかはTire1でしょうね。魔術師はTire3、頑張ってTire2ね。ただ、分からない。一つ言えることはオルターガイストは本当にしんどくなった」

桜「・・・・さすがにもう無理」

遊輝「トドメだなぁ・・・閃刀姫と一緒で良いテーマかな?マルチフェイカー制限にしたらコントロールしにくいし」

遊輝「まぁ次の1月の新規次第かな?環境をかき混ぜるようなテーマが沢山出てくるといいな」

アリア「以上、私たちの新規リミットレギュレーションに対する考察でした」

遊輝「新規リミットレギュレーションによるデッキは15話以降になります。14話まで書きだめしたので」

桜「次回、『終わりの始まり』。次回もよろしく」


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第11話 終わりの始まり

というわけでこれで第1節は終わりですね。第2節から物語を本格的に進められたら・・・・いいなぁ


遊輝 side

 

 

「xが3だからこれを代入してyは・・・・」

 

「yは-2、だからグラフはこうなる」

 

「・・・・何で分かるんだ?」

 

「何回も見てたらやり方覚える」

 

「お前、一回しか見てないだろ」

 

家で数学の宿題をしていると横で見ていた桜が答えを言う。こいつ、勉学的にはなかなかに天才でこうやって高校レベルの問題も平気で答える。

 

「それよりお兄ちゃん、デッキ調整手伝って」

 

「お前一人で出来るだろ?」

 

「お兄ちゃんのアドバイスが欲しい。この辺を入れるかどうか」

 

「このへんって・・・・ああ、ドローカードで悩んでいるのか?まぁ入れ得ではあるけど、あんまりいれすぎるとなぁ」

 

「だからアドバイス」

 

「だからって・・・まぁゴードンは俺だったら2だな、3枚目は物理的に打てないし、何が何でもなら3枚目もありだけど、あと成金は3枚」

 

「それ以外」

 

「それ以外って・・・なんかドローカードって言っても閃刀姫に合うのは無いぞ」

 

いや、正確にはあるにはあるが、あれ所謂オリカ且つ価値が高いから俺も複数枚持ってないしなぁ・・・

 

「なんか欲しかったら自分でパック買うとかしろよ」

 

「・・・・お小遣い」

 

「絶対食べ歩きばっかするからダメ」

 

中間テスト以来、桜はお小遣いを請求するようになった。しかし我が家の家計は厳しく、しかもこいつにお金を渡すと100%食べる事にしか使わない未来しか見えない。そんな無駄使いをさせるわけには行かない。

 

「う〜ん、やっと終わった。まだ晩飯作らなくてもいいしギターの練習でもするか」

 

「・・・・・楽しい?」

 

「えっ?」

 

「楽しい?ギター」

 

「まぁ・・・・弾けたら楽しいぞ。弾けるまでが大変だけど」

 

「ん、そうなんだ」

 

そう言って桜は部屋の奥へ行ってしまった。なんだ?ギターに興味あるのか?そんな風には思えないんだけどな・・・・とりあえず練習するか。ギターをアンプに繋げて・・・・

 

「それと、今日の約束忘れないで」

 

「・・・・・・忘れてませんよ」

 

ギターの練習を始めようとしたら桜がひょいっと顔を出して口にする。一週間前のことを毎日言わないでもらえるかな・・・・

 

♪♪〜〜♪♪〜〜

 

「チューナーチューナー・・・・」

 

音程を合わせるためにスマフォアプリのチューナーを開き、ギターに繋げる。音を鳴らしてチューニングする。

 

♪♪〜〜〜〜

 

「・・・・これでよし。じゃあ練習」

 

ピンポーン

 

「?なんだ?」

 

練習しようとしたところで家のベルが鳴った。アンプを繋げたままのギターを壁に立てかけて俺は玄関に向かい、ドアスコープを見る。

 

「は〜い」

 

「・・・・・ここにいるのは分かっているぞ」

 

「!?」

 

ドアスコープの先から見えたのは見覚えのあるペンダント、そしてトロアがいた。俺はそっとキーロックをして2人分の靴を持って桜の方に行く。

 

「おい桜・・・」

 

「どうしたのお兄ちゃん?」

 

「窓から逃げるぞ」

 

「えっ?」

 

「あいつが来た・・・・」

 

「!?」

 

あの野郎、一体どうやって俺の居所を掴んだ・・・いや、そんなのは後だ。とりあえずここから逃げないと、とりあえずセキュリティだ。適当に荷物をカバンに入れて桜の方を見る。桜の方も準備を整えたみたいだ。

 

「行くぞ桜」

 

「うん」

 

窓を開けて下を見る。下は誰もいない。まず俺1人、柵を飛び越えてジャンプする。地面に着いたところで上にいる桜がロープを垂らし、それを俺は持って近くの柵に結ぶ。

 

「良いぞ桜、降りてこい」

 

「・・・・・・」

 

桜はロープを握りしめ、柵を乗り越えスルスルと降りていく。桜が降りたところで俺は桜の手を握りしめてDホイールのところまで行く。桜に予備のヘルメットを渡し、Dホイールのエンジンを掛ける。

 

「大丈夫か?」

 

「・・・・いつでも」

 

「行くぞ!」

 

桜がしがみついているのを確認して俺はアクセルをフルスロットルに回して駐車場から飛び出る。

 

「飛ばすぞ!!」

 

ブオオオンという爆音とともにDホイールを飛ばし、アパートの駐車場から飛び出る。チラッと入り口の方を見てたらあいつもこっちの存在に気づいた。

 

「とりあえずセキュリティの所だ!そこからは中で匿ってもらう!あいつも気づいたから急ぐぞ!」

 

「うん・・・・」

 

桜がより強くぎゅっと俺の身体を締め付ける。とりあえずあいつも追ってくるはずだ。少し巻いてからセキュリティに行こう。あの目は何しでかすか分からない目だった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

ブオオオン!!!!!

 

「着いた!」

 

「遊輝!!大丈夫か!?」

 

何とかセキュリティまで着いてDホイールを止める。Dホイールで走らせている間に牛尾さんに連絡、牛尾さんもすぐに対応してくれて町中のあちらこちらにセキュリティのDホイールを見かける。

 

「牛尾さん!えぇなんとか」

 

「今セキュリティのDホイール部隊が犯人を探しているわ」

 

「・・・・・・いや、どうやら俺が相手しなくちゃいけないみたいだ」

 

何かの気配を感じて俺は身体を振り向く。そこに奴の姿が見えた。

 

「しつけぇなぁ・・・いい加減にしてくれ」

 

「俺は何としてもそいつを連れ戻さないといけない」

 

あいつの表情を見ると凄い切羽詰まった表情をしている。なるほど・・・大方、上に次失敗したら罰が下るんだな。それであんなに目を真っ赤にさせて。

 

「悪いが殺人兵器を作る組織なんかに桜を渡すつもりはない」

 

「だったらここで貴様を倒す!」

 

トロアの奴がデュエルディスクを構えて起動させる。それを見て俺もタブレットを左腕の腕輪につけてデュエルディスクとして起動させる。

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

遊輝 LP 4000 トロア LP 4000

 

「先行は私だ!サイバー・ドラゴン・コアを召喚!」

 

サイバー・ドラゴン・コア 攻500

 

「サイバー・ドラゴン・コアの効果!デッキから『サイバー』または『サイバネティック』魔法・罠カードを手札に加える!俺はエマージェンシー・サイバーを手札に加えて、発動!デッキから『サイバー・ドラゴン』モンスター1体を手札に加える!サイバー・ドラゴン・ネクステアを加えて、手札のサイバー・ドラゴンを捨て、サイバー・ドラゴン・ネクステアを特殊召喚!」

 

サイバー・ドラゴン・ネクステア 守100

 

「サイバー・ドラゴン・ネクステアの効果!特殊召喚成功時、墓地の攻撃力または守備力が2100の機械族モンスターを特殊召喚する!サイバー・ドラゴンを特殊召喚!」

 

サイバー・ドラゴン 攻2100

 

「現れろ!絶望へ続くサーキット!」

 

「アローヘッド確認!召喚条件はサイバー・ドラゴンを含む機械族モンスター2体!私はサイバー・ドラゴン扱いのサイバー・ドラゴン・ネクステアとサイバー・ドラゴン・コアをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、サイバー・ドラゴン・ズィーガー!」

 

サイバー・ドラゴン・ズィーガー 攻2100

 

 

「カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

トロワ 手札 2枚 LP 4000

 

ーー▲ーー ー

ーー○ーー

○ ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

遊輝 手札 5枚 LP 4000

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

遊輝 手札 6枚

 

「お前相手に無駄な時間を過ごすつもりはない!速攻で決める!レフト・Pゾーンにスケール5の慧眼の魔術師を、ライト・Pゾーンにスケール2の賤竜の魔術師をセッティング!」

 

Pゾーンに天空から青い光が指され、慧眼の魔術師と賤竜の魔術師が舞い降りてきた。

 

「慧眼の魔術師の効果!もう片方のPゾーンに『魔術師』または『EM』カードがある場合、自身を破壊して別の『魔術師』ペンデュラムモンスターをセットする!虹彩の魔術師をセッティング!」

 

慧眼の魔術師が破壊され、その代わりに虹彩の魔術師がPゾーンにセッティングされた。

 

「手札のクロノグラフ・マジシャンの効果!自分フィールドのカードが破壊された場合、手札のこのカードを特殊召喚する!その後、手札のモンスターを特殊召喚する!EM ペンデュラム・マジシャンを特殊召喚!」

 

クロノグラフ・マジシャン 攻2000

EM ペンデュラム・マジシャン 攻1500

 

「ペンデュラム・マジシャンの効果!自分フィールドのカードを2枚まで破壊することでデッキからペンデュラム・マジシャン以外の『EM』モンスターをデッキから手札に加える!虹彩の魔術師を破壊してEM ドクロバット・ジョーカーを手札に加える!」

 

クロノグラフ・マジシャンの効果で特殊召喚したペンデュラム・マジシャンが手にしている振り子を振り回し、Pゾーンの虹彩の魔術師を破壊、戻ってきた振り子に1枚のカードが手にして、それが俺の手札に加えられた。

 

「さらに破壊されて虹彩の魔術師の効果!デッキから『ペンデュラムグラフ』魔法・罠を手札に加える!デッキから星霜のペンデュラムグラフを手札に加える!」

 

破壊された虹彩の魔術師の跡から1枚のカードが出てきて、それが俺の手札に加えられる。

 

「現れろ!未来へ続くサーキット!」

 

俺の上空にリンクマーカーが現れて、その中にクロノグラフとペンデュラム・マジシャンがはいる。

 

「アローヘッド確認!召喚条件はペンデュラムモンスター2体!俺はクロノグラフ・マジシャンとペンデュラム・マジシャンをリンクマーカーにセット!サーキット・コンバイン!リンク召喚!リンク2、ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム」

 

ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム 攻1800 ↙︎ ↘︎

 

リンクマーカーの左斜め下と右斜め下が赤く光り、リンクマーカーからエレクトラムが飛び出してきた。

 

「エレクトラムの効果!リンク召喚成功時、デッキからペンデュラムモンスター1体をエクストラデッキに表側表示で置く!」

 

「リバースカードオープン!サイバネティック・オーバーフロー!墓地のサイバー・ドラゴン・ネクステアをゲームから除外してヘビーメタルフォーゼ・エレクトラムを破壊する!」

 

相手が発動したサイバネティック・オーバーフローにより、墓地のネクステアが除外され、エレクトラムがはかいされる。まぁ、予想通り。こいつ通すわけないしな。

 

「エレクトラムは破壊されたが効果は解決される!俺はアストログラフ ・マジシャンを選択!EM ドクロバット・ジョーカーを召喚!」

 

EM ドクロバット・ジョーカー 攻1800

 

「ドクロバット・ジョーカーの効果発動!召喚成功時、デッキから『魔術師』『EM』『オッドアイズ』のいずれかのモンスター1枚を手札に加える!俺は慧眼の魔術師を手札に加え、レフト・Pゾーンにスケール5の慧眼の魔術師をセッティング!永続魔法、星霜のペンデュラムグラフを発動して、慧眼の魔術師の効果!自身を破壊して今度は黒牙の魔術師をセッティング!」

 

再びPゾーンに現れた慧眼の魔術師、すぐに破壊され代わりに黒牙の魔術師がPゾーンにセットされた。

 

「星霜のペンデュラムグラフの効果!自分フィールドの『魔術師』ペンデュラムカードが離れた場合、デッキから『魔術師』ペンデュラムモンスター1体を手札に加える!調弦の魔術師を手札に加える!そして賤竜の魔術師のペンデュラム効果!もう片方のPゾーンに『魔術師』ペンデュラムカードがある場合、EXデッキの表側の『魔術師』または『オッドアイズ』カードを手札に戻す!俺は虹彩の魔術師を選択!」

 

Pゾーンの賤竜の魔術師が杖を振り、EXデッキにいた虹彩の魔術師が手札に戻った。

 

「これでLv3から7までのモンスターが同時に召喚可能!揺れろ、魂のペンデュラム!天空に描け、光のアーク!ペンデュラム召喚!現れろ!俺のモンスターたち!」

 

黒牙の魔術師と賤竜の魔術師の間に大きな振り子が現れて、円を描くように振り始める。その描かれた円の中から3つの光が飛び出してきた。

 

「エクストラデッキからクロノグラフ・マジシャン!手札から調弦の魔術師と黒牙の魔術師!」

 

調弦の魔術師 守0

黒牙の魔術師 攻1700

 

「調弦の魔術師の効果発動!手札からペンデュラム召喚に成功した場合、デッキから『魔術師』ペンデュラムモンスターを守備表示で特殊召喚する!デッキから白翼の魔術師を特殊召喚!」

 

白翼の魔術師 守1400

 

「現れろ!未来へ続くサーキット!」

 

「召喚条件はチューナー1体を含むモンスター2体!俺は白翼の魔術師とクロノグラフ・マジシャンをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、水晶機巧ーハリファイバー!」

 

水晶機巧ーハリファイバー 攻1500

 

「ハリファイバーの効果!特殊召喚成功時、デッキからレベル3以下のチューナーモンスターを効果を無効にして守備表示で特殊召喚する!EM オッドアイズ・シンクロンを特殊召喚!」

 

EM オッドアイズ・シンクロン 守200

 

「まだまだ!EM オッドアイズ・シンクロンとEM ドクロバット・ジョーカーで融合!覇王につく四龍の1体よ!融合の力を得て、全てを食い尽くせ!融合召喚!覇王眷竜スターヴ・ヴェノム!」

 

覇王眷竜スターヴ・ヴェノム 攻2800

 

「スターヴ・ヴェノムの効果!自分フィールドまたは自分・相手の墓地のモンスター1体の名前と効果をコピーして、このターン俺のモンスターは貫通能力を得る!墓地のエレクトラムを選択!エレクトラムを選択!」

 

『ギャアアアアア!!!』

 

ドクロバットとオッドアイズ・シンクロンの融合により出てきたスターヴ・ヴェノムは相手を威嚇するように大きな雄叫びをあげる。そのままスターヴ・ヴェノムの前に穴が開いて、墓地にいるエレクトラムの霊がスターム・ヴェノムに吸収された。

 

「エレクトラムをコピーしたスターヴ・ヴェノムの効果!自分フィールドのカード1枚を破壊して、EXデッキの表側表示のペンデュラムモンスターを手札に戻す!賤竜の魔術師を破壊してアストログラフ・マジシャンを選択!」

 

エレクトラムが賤竜の魔術師を破壊して、EXデッキのアストログラフ ・マジシャンのカードが生まれ、俺の手札に加えられた。

 

「スターヴ・ヴェノムの効果!チェーンで手札に加えたアストログラフ・マジシャンの効果!自分フィールドのカードが破壊された場合、手札のこのカードを特殊召喚する!」

 

アストログラフ・マジシャン 攻2500

 

破壊された賤竜の魔術師の跡から手札にいたアストログラフ・マジシャンが出てきた。

 

「アストログラフ・マジシャンはこの効果で特殊召喚した場合、このターンに破壊されたモンスター1体をデッキから手札に加える!慧眼の魔術師を選択して、手札に加える!エレクトラム の効果!Pゾーンのカードが破壊された時、1枚ドローする!」

 

遊輝 2枚→4枚

 

「まだだ!Lv4の黒牙の魔術師にLv4の調弦の魔術師をチューニング!」

 

☆4 + ☆4 = ☆8

 

「振り子の力を得て爆熱の心が燃える!この地で暴れ回れ!シンクロ召喚!爆竜剣士イグニスターP!」

 

爆竜剣士イグニスターP 攻2850

 

「虹彩の魔術師をレフト・Pゾーンにセッティングして、イグニスターPの効果!自分フィールドのカードを破壊して、フィールドのカードを選んでデッキに戻す!虹彩の魔術師を破壊して、サイバー・ドラゴン・ズィーガーをデッキに戻す!」

 

イグニスターPがPゾーンの虹彩の魔術師を破壊して、相手のズィーガーをデッキバウンスする。もう相手のトロアは唖然としている。

 

「破壊された虹彩の魔術師の効果!デッキから時空のペンデュラムグラフを手札に加える!」

 

「ば、馬鹿な・・・・こんな簡単に・・・」

 

「俺を舐めるな!これでも世界一のチャンプの肩書きを背負ってるんだよ!!バトルフェイズ!!アストログラフ・マジシャンでサイバー・ドラゴンに攻撃!」

 

アストログラフ・マジシャン 攻2500

サイバー・ドラゴン 攻2100

 

トロア LP 4000→3600

 

「ラスト!スターヴ・ヴェノム、イグニスターP、ハリファイバーでダイレクトアタック!」

 

トロア LP 3600→0

 

 

WIN 遊輝 LOS トロア

 

 

「そ、そんな・・・・わ、私が・・・・私が・・・・」

 

「悲観しているところ悪いがお前には病院襲撃の件でお縄についてもらう、お前ら!」

 

デュエルが終わり、負けたショックで膝まづき四つん這いになるトロアに牛尾さんが部下を支持してトロアを囲む。そのままトロアは手錠をかけられて御用となった。

 

「これで一先ずは安心ですね」

 

「だと良いんだけど・・・・・」

 

実際、トロアは捕まって情報を絞り出すことは出来るだろうが向こうは得体の知れない組織、おまけに家の場所でバレちゃったもんな。

 

「あ〜あ・・・・引っ越すしかないのか」

 

「なんだ?とうとう引っ越すのか?だったら引っ越し資金くらい今回の謝礼で出してやろう」

 

「呑気で良いですよね〜牛尾さん、こっちは今後しばらく安住の地を見つけられないかもしれないのに・・・・」

 

今回の件であいつらは俺の居場所を見つけた。つまり、何かしらの拍子でまた見つかるかもしれない。その度にコロコロ家を変えるなんて溜まったもんじゃない。

 

「どうしたもんか・・・・」

 

「遊輝さん、そこまでお悩みなら家はこちらで手配いたしましょうか?セキュリティ万全の空き家があります」

 

「へぇ、そんな所あるんだ。じゃあお願いするか」

 

狭霧さんがセキュリティ万全っていうくらいだらなぁ、どんなアパートなんだろうとこのとき思っていたが、後日、俺は果てしなく後悔した。

 




桜「圧勝」

遊輝「魔術師は先行で制圧、後攻で1ターン目に勝つデッキだから」

桜「それをさせないのが閃刀姫」

遊輝「そりゃそうだ。あれは相手をコントロールするデッキなんだから」

桜「サイバー使いは消えた。これでめでたしめでたし」

遊輝「まだ続くからな!?これで終わりだったらクソ漫画と一緒だからな!?」

桜「・・・・次回、『引っ越しとデリバリー』」

遊輝「おいなんだ今の間!?次回もよろしく」


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第12話 引っ越しとデリバリー

作者実家暮らしだけど実際引っ越し代ってどれくらいかかるのかな?専門業者で20〜30万で収まるのかな?


遊輝 side

 

 

「・・・・・・・・ここ?」

 

「そう、ここ。ここの最上階が貴方と桜さんのお家」

 

「・・・・あの狭霧さん?聞いていた話と違うんですが」

 

「何言ってるの?私はちゃんとセキュリティ万全の家と言ったわよ。最上階というところに少し不安はあるけど大丈夫でしょ」

 

先日のトロア強襲の件から桜の安全のために引っ越しを真剣に考えていたところ、狭霧さんがセキュリティが万全の良いアパートを教えてくれるというので今日、桜と一緒に下見することにした。そして紹介された物件の外観を見て、ポツンと言った。

 

「俺が聞いたのはアパートですよ、アパート、ここ、マンションじゃないですか。しかも・・・・・・俺、2ヶ月前にこの家から引っ越したのですが」

 

狭霧さんが紹介した物件は俺が2ヶ月前まで3年近く居候してもらったトップスの最高物件、しかも部屋は最上階の一番良い部屋、つまり俺は2ヶ月前に引っ越した家にまた戻ってきたのだ。

 

「良いじゃない。貴方は住み慣れているし、ここのセキュリティはシティで一番なんだから」

 

「それはよく理解していますがよりによってここですか?それにここの家賃いくらだと思ってるのですか?俺の予算は5万って言いましたよね?」

 

「貴方ならあそこの住居を買うことだってできるでしょ」

 

「簡単に言わないでください」

 

「・・・・・ここ、良い」

 

「ほら、桜ちゃんも言ってるんだから」

 

そりゃ前に住んでたオンボロアパートなんかよりもずっと広くてずっと綺麗なんだからな。狭霧さんに付いて行き、エレベーターに乗って最上階へと行き、エレベーター降りてすぐにある玄関の鍵を狭霧さんが開ける。

 

「どうぞ。桜さんは見たことが無いからね」

 

狭霧さんが扉を開けて、桜が中に入る。靴を脱ぎ捨ててそのまま部屋の中に入っていく。俺も桜の後を追うように中に入っていき、部屋を一つ一つ見る。

 

「(・・・・・懐かしいなぁ)」

 

一つ一つの部屋を見るたびにここで過ごした3年近くの思い出が蘇ってくる。あの部屋でアイツとじゃれあった時や、あの部屋では俺の大切なあの人と話し合った時など・・・・一つ一つの部屋を見た後、リビングに行くと桜がキッチンやリビングを見てこっちにやってきた。

 

「・・・・良い、広すぎるくらい広い」

 

「そりゃそうだろ、2人で住むには広すぎる」

 

ぶっちゃけ、3人で過ごしていたけどそれでも部屋が3、4つ余ってたからな。第一、明らかに浮いていて可笑しい。高校生と中学生の二人暮らしでこんな所に住むなんて。

 

「ここに住む、ここにしよう」

 

「そうは言っても家賃が・・・・」

 

「貴方なら行けるでしょ?」

 

「だから簡単に言わないでください・・・・・」

 

狭霧さんはセキュリティの中で俺の詳しい事情を知ってくれている数少ない人なんだけど、お金のことまで知っているからなぁ、確かに大丈夫なんだけどあの金使ったらダメ人間になりそうで怖いんだよ。

 

「まぁしかし、桜のこともあるしやっぱここにするしか無いのか・・・・実際ここのセキュリティは万全だし」

 

桜のことを考えなくて良いんだったらあのアパートでも良かったんだけどあの場所はもう向こうの組織にバレちゃったもんだしな・・・・

 

「何だかなぁ・・・・」

 

「どうしたのお兄ちゃん?」

 

「何でも無い」

 

「家賃の補填でセキュリティもある程度出します。桜ちゃんの護衛費ということで」

 

「?随分景気良いですね。そんなことしてくれんですか?」

 

「まあね・・・・・ここだけの話、あいつからの情報がまだ得られてないけど、上が重くみてね。アムールという組織を警戒するようになったのよ」

 

そりゃそうか・・・・まだ世間に知らせていないリンクモンスターを何処から手に入れて、使ってきたんだから普通では無いよな。

 

「そのための護衛費が少しばかり出たのよ。あなたには苦労すると思うからそれくらいの補填なら出してくれるわ」

 

「助かります」

 

「ただ・・・・気をつけておいて、相手は厄介な組織よ。表の顔にしろ裏の顔にしろ国家相手に商売をしているから、あまり下手なことをすると今度は国を敵に回すことになるわ」

 

「それだけは本当に勘弁願いたいなぁ・・・」

 

ここに来て国から逃げるために世界中駆け回るとかやりたくねぇわ・・・現実になりそうだからなぁ・・・

結局、この部屋と契約をすることになり、狭霧さんが仲介人としてこの部屋を借りることになった。すぐに引っ越しの準備に取り掛かる。とりあえずあれだな。荷物適当に纏めて掃除しよう。

 

 

〜〜(数日後)〜〜

 

 

「うんしょ!うんしょ!」

 

「ん・・・ん・・・・机はそっち」

 

「遊輝〜!これ何処〜?」

 

「そのダンボールはそっちの部屋、その小さいのは俺の部屋に入れといてくれ」

 

引っ越しの手続きやらセキュリティに出す書類諸々を一週間以内でやるという地獄を終わらせた後、俺はクラスメイトや仲間をかき集めるだけ集めて、引っ越しすることにした。

次いでだからこの際に桜の必要な物品を買い占めた。前のアパートじゃ狭すぎて買えなかったが今回は部屋が余りまくるくらいにある。

 

「遊輝〜!この後特上の寿司頼むぞ!」

 

「追加でピザもね!」

 

「・・・・オードブルとラーメン10人前も」

 

「お前ら欲張りすぎだぞ!!特に桜!!」

 

代償として余計すぎる出費を払わなくちゃいけなくなったんですが(涙)。

 

「師匠、この書類達は?」

 

「それリビング」

 

「遊輝〜!アンプとドラムとキーボードは?」

 

「それもリビ・・・・おい待て、ドラムとキーボード?そんな物無いぞ」

 

「そりゃそうよ!私が追加したんだから!」

 

「はっ!?ちょっと待て!?」

 

ドラムとキーボードとかいう見覚えもないものを言われてリビングの方に走る。確かにドラムとキーボードが置かれて、レミがドヤ顔で言った。

 

「響〜!このゲーム機ここにする!?」

 

「テレビはそこにあったからそこで!」

 

「奏〜!このケーキ作りセットどうする!?」

 

「それはキッチン周り」

 

「ちょちょちょ!?何で俺と関係ないものばかりあるんだ!?」

 

「狭霧さんが『二人だけじゃ寂しいからここ軽音部の溜まり場にしていい』って言っていたから」

 

狭霧さあああああん!!!!!あんた人のプライバシーを台無しにするつもりですか!?

 

「行くぞ、せぇの」

 

「ふん!よっこらっしょ!おい遊輝、このタンス何処だ?」

 

「牛尾さん!!そんな事より何でこの家を軽音部の集まりにするんですか!?」

 

「ハッ?お前何言ってるんだ?」

 

「護衛よ護衛、桜ちゃんの護衛は多い方が良いでしょ?」

 

エレベーターからタンスを持って降りてきた牛尾さんに俺は速攻で飛びついて文句を言う。牛尾さんは知らん顔をしていたが後ろから段ボール箱を持った狭霧さんが護衛と言ってきた。

 

「あなた一人だけじゃ辛いでしょ?だから護衛を増やすためにここにいてもらった方が良いでしょ?」

 

「それとこれと話が違いますよ!あいつら人ん家に自分の私物を置いているんすよ!?」

 

「良いじゃない。部屋が余るくらいなんだから有効活用してあげましょうよ。別に引っ越し代は貴方持ちじゃないし」

 

「遊輝、この段ボールは何処だ?」

 

「スバルのその段ボールはその部屋・・・あのですね、仮にも俺の家なんですよ、ちゃんと高い家賃と敷金払ってですね」

 

「その時はレンタル代としてお金取れば良いでしょ。それに敷金と礼金はともかく家賃はこっち持ちなんだから」

 

ぐっ、最近狭霧さんの圧力が凄すぎる・・・やっぱりアレか?この間2週連続で始末書送りにしたのがそんなに根を持っているのか?

 

「荷物は次で最後ね。これ運び終わったら私たちは帰るから」

 

「っしゃぁ、ようやく力仕事が終わるぜ。引っ越し業者でもないのに何でこんなことする羽目に」

 

「そりゃ遊輝が引っ越し代金をケチるから」

 

「ケチってねわ、ちゃんと終わった後に飯奢るって言ったじゃねぇか」

 

特上の出前の寿司人数分。なんかオードブルとか色々追加されそうだがそれは全部却下だけど。

 

「スバル、行くぞ。あと机だけだ」

 

「おい遊輝!そろそろ特上寿司頼むぞ!俺2人前!」

 

「一人一人前だ!」

 

ガヤがうるさくなってきたのでスマフォを取り出して出前できる寿司屋を探す。とりあえず・・・・・14人前だな、そう思って適当に宅配寿司屋を見つけ注文する。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ふぃ・・・・・やっと荷ほどき終わった。あとは片付けるだけだな」

 

昼飯の寿司をおごり、荷ほどきだけになったので軽音部のメンバーと恭輔だけ残ってもらい手伝ってもらった。全ての荷ほどきが終わり、ようやくひと段落つくことが出来た。

 

「しかしまたこの家に戻ってくるなんてねぇ〜。あんたこの家と縁があるの?」

 

「かもな・・・・」

 

何だかんだこの家に戻ってきた辺り、やっぱこの世界で俺の家はここになるんかな・・・金持ちってわけじゃないのに拾ってもらった恩でここに住むのか。

 

「・・・・・・(モグモグ)」

 

「桜、引っ越し祝いのお菓子ばっか食うな」

 

「(モグモグ)だって美味しいから」

 

「食べながら喋るな」

 

桜は仕事で来れなかったすみれさんや茜、アリアや祈から貰った引っ越し祝いのお菓子を開けて食べまくる。一つ食べ終わるごとに小包装の袋がレジ袋の中に放り込まれていく。

 

「桜ちゃん、あんまり食べすぎると体に悪いから頭を使ったり身体動かそうよ。せっかく広い家に引っ越して来たんだから」

 

「(モグモグ)ん、でも食べてから」

 

奏の話を食べながら聞く桜。全くもって話を聞いてないように感じる。現在進行形でまた食べているし。

 

「・・・・・・ん、ご馳走さま」

 

「じゃあ身体動かそう!何する!?」

 

「身体動かすも何も今日は何も道具無いわよ」

 

「デュエルでいい」

 

「そりゃそうだな・・・・・誰がやる?」

 

「はいはいはい私!!」

 

「ちょっと待った!!俺だ!!」

 

「奏」

 

ズゴッ!!!

 

「え、えっと・・・・何で私?」

 

「お兄ちゃんが最初にやるなら奏って、あと3人は鬼畜」

 

「遊輝!!!」

 

「俺は事実を言ったまでだ」

 

スバルはダークロウ立ててゲームオーバー、レミは容赦なく1killかます、響?あれは論外だ。あの濡れるビジョン早く修正してほしい。

 

「ま、まぁ・・・・私でよかったら」

 

そう言って奏はカバンからタブレットを取り出してデュエルディスクとしてセットする。何だかんだ言って奏もデュエリストだからこういうのは楽しくて仕方ないんだろ。

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

奏 LP 4000 桜 LP 4000

 

「先行は私、魔法カード、強欲で貪欲な壺。上から10枚を除外して2枚ドロー」

 

桜 手札 4枚→6枚

 

「魔法カード、成金ゴブリン。相手は1000回復して私は1枚ドロー」

 

奏 LP 4000→5000

 

「魔法カード、おろかな副葬。デッキから錬装融合(メタルフォーゼ・フュージョン)を墓地へ。魔法カード、閃刀起動ーエンゲージ」

 

「ブン回りね〜」

 

「デッキから閃刀機関ーマルチロールを手札に加えて、墓地に魔法カードが3枚以上あるため1枚ドロー」

 

桜 手札 4枚→6枚

 

「永続魔法、閃刀機関ーマルチロールを発動。ついでにフィールド魔法、閃刀領域ーエリアゼロを発動」

 

「ついでで発動するカードじゃないでしょ・・・」

 

「カードを1枚伏せて、閃刀領域ーエリアゼロの効果発動。対象はこの伏せカード」

 

・無限泡影

・屋敷わらし

・閃刀機ーベクタードブラスト

 

「閃刀機ーベクタードブラストを手札に加えて、対象の伏せカードを墓地に送る。閃刀機関ーマルチロールの効果。閃刀領域ーエリアゼロを対象に取り、このターン、私が発動した魔法カードにチェーンができない。対象になった閃刀領域ーエリアゼロは墓地に送られる。墓地に送られた閃刀領域ーエリアゼロの効果。デッキから閃刀姫ーレイを特殊召喚」

 

閃刀姫ーレイ 攻1500

 

エリアゼロがフィールドから消えてその跡からレイがフィールドに現れて、すぐにフィールドに現れたリンクマーカーに入る。

 

「現れて、未来へ続くサーキット。アローヘッド確認、召喚条件は炎属性以外の『閃刀姫』モンスター1体。私は閃刀姫ーレイをリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン、リンク召喚、フォームチェンジ、閃刀姫ーカガリ」

 

閃刀姫ーカガリ 攻1500 ↖︎

 

リンクマーカーの中からカガリがフィールドに現れる。

 

「閃刀姫ーカガリの効果。リンク召喚成功時、墓地の『閃刀』魔法カード1枚を手札に戻す。閃刀起動ーエンゲージを手札に戻して、発動。今度は閃刀機ーウィドアンカーを手札に加えて、1枚ドロー」

 

桜 手札 4枚→6枚

 

「墓地の錬装融合の効果。このカードをデッキに戻して1枚ドロー。閃刀姫ーカガリをリンクマーカーにセット、フォームチェンジ、閃刀姫ーシズク」

 

閃刀姫ーシズク 攻1500 ↗︎

 

「カードを3枚伏せてエンドフェイズ、閃刀機関ーマルチロールの効果。このターンに発動したのは2枚、墓地から閃刀領域ーエリアゼロと閃刀機関ーエンゲージをセット。閃刀姫ーシズクの効果。墓地に存在しない『閃刀』魔法カードを手札に加える。閃刀機ージャミングウェーブを手札に加えてターンエンド」

 

 

桜 手札 5枚 LP 4000 墓地魔法4

 

▲▲△▲▲ ▼

ーーーーー

○ ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

奏 手札 5枚 LP 5000

 

 

 

「桜ちゃんめっちゃ万全ね」

 

「後攻だし、奏もキツイわね」

 

「私のターン、ドロー!」

 

奏 手札 6枚

 

「神秘の代行者 アースを召喚」

 

神秘の代行者 アース 攻1000→600

 

『ふわぁ・・・・眠い・・・』

 

「アースの効果!デッキから『代行者』と名のついたモンスターを手札に加える!」

 

「手札のエフェクト・ヴェーラーの効果」

 

「持ってた〜〜・・・・・・」

 

「このカードを捨てて神秘の代行者 アースの効果を無効にする」

 

奏がアースを召喚して効果を使おうとしたが桜はすぐにエフェクト・ヴェーラーを使った。まぁあんだけ手札あったら手札誘発の1枚や2枚はあるだろ。

 

「う〜ん・・・・解放のアリアドネをライト・Pゾーンにセッティング。カードを3枚伏せてターンエンド」

 

 

桜 手札 4枚 LP 4000 墓地魔法4

 

▲▲△▲▲ ▼

ーーーーー

○ ー

ーー○ーー

△▲▲▲ー ー

 

奏 手札 1枚 LP 5000

 

 

「私のターン、ドロー」

 

桜 手札 5枚

 

「永続魔法、閃刀機関ーマルチロールの効果。対象は右端の伏せカード」

 

「それ無効にしたいけど何にも無いんだよね・・・・」

 

「これでチェーンされる心配はない。伏せている閃刀起動ーエンゲージを発動。今度は閃刀機ーホーネットビットを手札に加えて、1枚ドロー」

 

桜 手札 5枚→7枚

 

「閃刀機関ーマルチロールの効果でセットされた閃刀起動ーエンゲージはゲームから除外される。魔法カード、閃刀機ージャミングウェーブを発動。対象は真ん中の伏せカード」

 

「う〜ん・・・・・魔宮の賄賂が破壊されるよ」

 

「あと2枚・・・・閃刀姫ーシズクをリンクマーカーにセット、フォームチェンジ、閃刀姫ーカガリ。閃刀姫ーカガリの効果」

 

「リバースカードオープン!カウンター罠、神の通告!Pゾーンのアリアドネの効果でライフコストは亡くなり、閃刀姫ーカガリの効果を無効にして破壊する!」

 

桜が2体目のカガリを特殊召喚して効果を使おうとしたが、奏が即座に神の通告を撃ちカガリの効果を無効にして破壊する。ジャミングウェーブを回収されたくなかったんだろうが、あんまり効果ないなぁ・・・・

 

「墓地の閃刀姫ーレイの効果。チェーンして伏せている速攻魔法、閃刀機ーウィドアンカーを神秘の代行者 アースに対して発動。さらにチェーンでさっき手札に加えた速攻魔法、閃刀機ーホーネットビットを発動。閃刀姫ーホーネットビットの効果で閃刀姫トークンを攻撃力と守備力を1500にして特殊召喚」

 

閃刀姫トークン 攻1500

 

「閃刀機ーウィドアンカーの効果でアースの効果を無効、墓地に魔法カードが3枚以上あるためコントロールを得る」

 

ウィドアンカーとホーネットビットが同時に発動。ホーネットビットの効果で閃刀姫トークンがフィールドに出て、ウィドアンカーでアースのコントロールを奪取した。

 

「閃刀姫ーレイは自分フィールドの『閃刀姫』リンクモンスターが相手によってフィールドから離れた場合、墓地のこのカードを特殊召喚する」

 

「一気に3体のモンスターも・・・・」

 

「現れて、未来へ続くサーキット」

 

桜の上空にリンクマーカーが現れてその中にレイとアースの2匹が入っていき、左斜め下と右斜め下が赤く光る。

 

「アローヘッド確認、召喚条件はチューナーを含むモンスター2体。私は神秘の代行者 アースと閃刀姫ーレイをリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン、リンク召喚、リンク2、水晶機巧ーハリファイバー」

 

水晶機巧ーハリファイバー 攻1500

 

「あ〜・・・・・そっちに神の通告撃つべきだった・・・・」

 

「水晶機巧ーハリファイバーの効果。特殊召喚成功時、デッキ・手札からLv3以下のチューナーモンスターを効果を無効にして特殊召喚する。グローアップ・バルブを特殊召喚」

 

グローアップ・バルブ 守100

 

「アローヘッド確認、召喚条件はLv1モンスター1体。私はグローアップ ・バルブをリンクマーカーにセット。リンク召喚、リンク1、リンクリボー」

 

リンクリボー 攻300 ↓

 

「グローアップ ・バルブの効果。デッキの一番上を墓地に送ってこのカードを特殊召喚。現れて、未来へ続くサーキット。召喚条件はリンクモンスター2体以上。私はリンク2の水晶機巧ーハリファイバーとリンク1のリンクリボーをリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン、リンク召喚、リンク3、星杯戦士ーニンギルス」

 

星杯戦士ーニンギルス 攻2500 ← ↑ →

 

ハリファイバーとリンクリボーの2体のリンクモンスターによってリンクマーカーの上、右、左が赤く光り、ニンギルスがフィールドに現れた。本当に丁寧に除去するなぁ・・・

 

「ニンギルスは強制効果で特殊召喚成功時、このカードのリンクマーカーの先の『星杯』モンスターの数だけドローしなければならない」

 

「それは関係ないと」

 

「そう、本命はこっち。カードを1枚伏せて、ニンギルスの効果。自分フィールドのカード1枚と相手フィールドのカード1枚を選んで墓地に送る。私はさっき伏せたカードと残りの伏せカードを墓地に送る」

 

「こ、攻撃の無力化まで・・・・」

 

「そして墓地に送られたのは装備魔法、閃刀機構ーハーキュリーベース。このカードがカード効果で墓地に送られた場合、墓地のこのカード以外の『閃刀』カード3枚をデッキに戻す。私はカガリ2枚とシズクを選択」

 

え、えげつねぇ・・・・カガリとシズクを回収しやがった(汗)。

 

「バトル、閃刀姫ートークンでダイレクトアタック」

 

奏 LP 5000→3500

 

「星杯戦士ーニンギルスでダイレクトアタック」

 

奏 LP 3500→1000

 

「メインフェイズ2、伏せていた閃刀領域ーエリアゼロを発動。効果を星杯戦士ーニンギルスに向けて発動」

 

・閃刀機ーシャークキャノン

・エフェクト・ヴェーラー

・ツインツイスター

 

「閃刀機ーシャークキャノンを手札に加えて、星杯戦士ーニンギルスを墓地に送る。閃刀姫トークン1体をリンクマーカーにセット。フォームチェンジ、閃刀姫シズク。カードを1枚伏せてエンドフェイズ時、閃刀機関ーマルチロールの効果。このターン、4回発動したから4枚でセットする。墓地から閃刀機ーウィドアンカーと閃刀機ージャミングウェーブをセット。閃刀姫ーシズクの効果。墓地に存在しない閃刀起動ーエンゲージを手札に加えてターンエンド」

 

 

 

桜 手札 4枚 LP 4000 墓地魔法8

 

▲▲△▲▲ ▽

ーーーーー

○ ー

ーーーーー

△ーーーー ー

 

奏 手札 1枚 LP 1000

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

奏 手札 2枚

 

「魔法カード、魔法カード、壺の中の魔術書!互いのプレイヤーは3枚ドローする!」

 

桜 手札 4枚→7枚 奏 手札 1枚→4枚

 

「ライト・Pゾーンにスケール5の竜剣士ラスターPをセット!ラスターPの効果!もう片方のPゾーンのカードを破壊して同名のペンデュラムモンスターを手札に加える!」

 

「ん、通す」

 

「解放のアリアドネを破壊して2枚目の解放のアリアドネを手札に加える!解放のアリアドネの効果!このカードが破壊された場合、デッキからカウンター罠を3枚選んで、相手はそれをランダムに1枚選び、それを手札に加えて残りはデッキに戻す!私は神罰、魔宮の賄賂、輪廻のパーシアスを選択!」

 

「・・・・・真ん中のカード」

 

「このカードを手札に加えて、残りをデッキに戻す。そしてレフト・Pゾーンに解放のアリアドネをセッティング!」

 

「・・・・その瞬間、手札の増殖するGの効果。このカードを手札から捨てて、このターン、相手が特殊召喚するたびに1枚ドローする」

 

「き、キツイわね・・・・・しかも伏せているカードにウィドアンカーがあるのでしょ?」

 

まぁ実際問題、奏のパーミッションで桜のあの盤面を崩すのは難しいよな。これが先行・後攻が違っていたら奏が有利になっていたんだけど。

 

「しかたない・・・ペンデュラム召喚!エクストラデッキから解放のアリアドネ、手札から豊穣のアルテミス!」

 

解放のアリアドネ 守800→0

豊穣のアルテミス 守1700→900

 

「増殖するGの効果で1枚ドロー」

 

「魔法カード、死者蘇生!対象は神秘の代行者 アース!」

 

「チェーン、速攻魔法、閃刀機ーシャークキャノン。神秘の代行者 アースを選択してゲームから除外する」

 

「えっ!?」

 

奏が死者蘇生をアースに向けて発動したが桜は前のターンに手札に加えていたシャークキャノンを発動、アースはゲームから除外された。アースの奴、今日は全くもって働いていないな。

 

「う、う〜ん・・・・・カードを2枚伏せてターンエンド」

 

「エンドフェイズ時、速攻魔法、ツインツイスター。手札を1枚捨てて、その伏せカード2枚を破壊する」

 

「あっ・・・・・」

 

 

桜 手札 6枚 LP 4000 墓地魔法10

 

▲▲△-- ▽

ーーーーー

○ □

ーー□ーー

△ーーー△ ー

 

奏 手札 0枚 LP 1000

 

 

「私のターン、ドロー」

 

桜 手札 7枚

 

「閃刀姫ーシズクをリンクマーカーにセット、フォームチェンジ、閃刀姫ーハヤテ」

 

閃刀姫ーハヤテ 攻1500 ↙︎

 

「閃刀姫ーハヤテはダイレクトアタックができる。バトル、閃刀姫ーハヤテでダイレクトアタック」

 

奏 LP 1000→0

 

WIN 桜 LOS 奏

 

 

「ヴィ」

 

「桜が先行だったから勝てたもんだな」

 

「ん、後攻なら危なかったかもしれない」

 

「私先行だったら間違いなくレイを破壊しに行ってるよ・・・・・あ〜あ、うまく行きそうだったんだけどな・・・・」

 

そうだな。こればかりは先行・後攻の差だな。奏が先行だったら間違いなく奏が有利に動いているだろう。

 

「じゃあ次!私とやろう!」

 

「ん、もうやらない」

 

「何で!?」

 

「・・・・・ラーメンラーメン」

 

「おいこら」

 

桜は目をキラキラとさせて俺にラーメンラーメンとせがんできた。はぁ・・・食費が重くのしかかるなぁ・・・




遊輝「なんか戻ってきてしまった・・・・」

桜「圧倒的に広い、前の家よりずっといい」

奏「遊輝の住んでたアパート、二人で住むには狭いから」

遊輝「だから男子高校生の一人暮らしだって・・・・」

奏「引っ越し代は?」

遊輝「・・・・・経費諸々込みで40万近く、半分はセキュリティが出してくれた。それにプラスで桜の必要なものを買い揃えた」

桜「ベッドと机、タンスとか色々買ってもらった」

奏「・・・・遊輝が守銭奴になるのも納得だわ」

桜「次回、『煉獄の使者と渓谷の騎士』。よろしく」


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第13話 煉獄の使者と渓谷の騎士

ドラグニティってさ、不遇だと思うんだ。
征竜のせいで渓谷制限、渓谷帰ってきたらテラフォが無理、さらに全てのスタートがミスティルがいる前提、
まぁ氷結界より遥かに優遇されていますが。


遊輝 side

 

 

「シャトルラン始めるぞ!A組スタート!」

 

ピンポンパン

 

「めんどくせぇ・・・」

ラジカセから流れるあのシャトルランの音楽に合わせて最初の組みが走り始める。それを見て思わず呟いてしまった。今日は全学年でスポーツテストの日、響やスバルは嬉しそうにやるが、俺は乗り気じゃない。理由は簡単、非常に面倒くさいからだ。

 

「4・・・5・・・6・・・・」

 

隣の奏が相方の響のカウントを数える。ぶっちゃけ、響やスバルは平均以上に走るため時間がかかるかかる、あいつだけ別日で公開収録すればいいのに、引っ張りだこだぞ。

 

「遊輝、さっきから何言ってるのよ?」

 

「ん?早く終われってことと、あいつだけ見世物にすればお金取れるのになぁ〜って」

 

「あなたね・・・・」

 

「ところで奏、カウントしなくていいのか?」

 

「大丈夫よ、響のリズム一定だし。CD聞いていれば大体どれくらいかわかるから」

 

『25・・・・・26・・・・・』

 

「・・・・・あと5分はかかるな」

 

「ねぇ遊輝、次のツアーの曲書けた?」

 

「ツアーの曲?随分前にレミに出したぞ」

 

「あれさ・・・・もう一曲書いてくれない?」

 

「はっ?」

 

「私も書いて提出したんだけどさ、レミが何回も考えて『しっくり来ない』って・・・・私はアルバムの曲の修正をやらないといけないからさ」

 

「いやいやいや、そう簡単に言うけどツアーってあと一ヶ月でスタートだよ?」

 

「だからレミも言い出せないのよ。結構悩んでいるみたいでさ、作詞の方はともかくレミが手掛けた曲の方が納得していないみたいで」

 

「じゃあレミの問題じゃないか・・・・」

 

「そこよ。本当なら曲先だけど、あえて詩先にしてみるのよ。はいって渡したらもしかしたらいい曲作るかもしれないじゃない」

 

そういうもんかね・・・・作曲は全部レミに丸投げでそれを俺たちがカバーしてきたけど、やっぱレミも詰まるんだね・・・・

 

「・・・・まぁやってみるか」

 

『56・・・・・57・・・・・』

 

 

遊輝 side out

 

 

桜 side

 

ピピーー!!!

 

「よーし!全員集合!これからハンドボール投げをするぞ!」

 

体育の先生に笛で呼ばれ、駆け足で集まる。

 

「・・・・ハンドボール投げ?」

 

「これくらいのボールを遠くに投げるのですよ」

 

「お前本当に知らないんだな」

 

「・・・・・・てい」

 

「いで!?」

 

山吹に失礼なことを言われたので頭にチョップした。だって私、お兄ちゃんに拾われるまでの記憶が無いんだもん。知らないことだらけ。

 

「さ、桜さん・・・・」

 

「次!遠藤!」

 

「呼ばれた・・・・」

 

先生に呼ばれたので駆け足で行く。白線が円形に引かれ、そこから線が伸びていっている。

 

「このボールを投げるんだぞ。2球までで、白線を踏んだり飛び越したらダメだぞ」

 

「ん、とにかく遠くに投げればいい」

 

「そうだ。好きなタイミングで始めろ」

 

「ん・・・・・・とうりゃ」

 

適当に投げたボールは右にずれて10m過ぎたところでポーンと跳ねた。

 

「10.78mです」

 

「うん、じゃあ2回目」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「?どうした遠藤?」

 

「いえ・・・・・ちょっと計算していました」

 

「計算?」

 

さっきの投げ方でこのボールはあそこまで流れる・・・・かつ角度を変えて・・・・

 

「・・・・ここ」

 

計算して投げたボールはさっきよりも遠く飛んでいき、15m地点をはるかに超えた。

 

「16.53mです」

 

「うん、さっきより大分いいじゃないか」

 

「・・・・計算すればカバーできる」

 

「よし、次!」

 

2投し終えたのでそのまま次の生徒と交代、私が計測係になる。次は・・・・・氷川さん。

 

「んしょ・・・・ほい!」

 

ポテン

 

「・・・・12.89m」

 

「よし、次」

 

「ほい・・・・あっ」

 

「おおい!そっちボールいったぞ!」

 

氷川さんが投げたボールがすっぽ抜けて全く別のところに飛んでいく。そこには別のところから歩いてきたグループがいた。

 

ドン!

 

「いて!?」

 

「レ、レミ!?大丈夫!?」

 

「なんだ?何処から来たんだこのボール?」

 

「す、すみません!それ私が投げたボールで!!」

 

慌てた様子で氷川さんと山吹、そしてソフトボールを担当している先生と恭輔、祈が駆け寄る。

 

「大丈夫か?」

 

「だ、大丈夫です・・・・」

 

「す、すみません!」

 

「レミさん、大丈夫ですか?」

 

「大丈夫大丈夫・・・・・なんか良いメロディ思い浮かんだけどねぇ」

 

「えっ・・・・レミさん!?」

 

「あ〜、よく見たらSECRETの連中だ」

 

「あっ、君ね〜。京子の弟って子。京子と全然似てないから遊輝に言われなきゃ気づかなかったよ」

 

「あわわわわ・・・・すみませんでした!!」

 

レミや響たちを見て氷川さんは凄い青ざめた顔で頭を下げた。その様子を見て私は隣にいる祈に声をかけた。

 

「何で氷川さんはあんなに必死なの?」

 

「た、多分、軽音部が世界的に有名だから」

 

「有名?」

 

「そ、それはまた後日に・・・」

 

「いいよいいよ。これくらいなら大丈夫だから」

 

「本当にすみませんでした!!」

 

「氷川、落ち着け。しかしなんで高等部がここにいるんだ?お前らシャトルランが終わったら反復横跳びだろ?」

 

「終わりました。次ソフトボール投げです」

 

「早・・・しかしまだこっちは始まったばかりだから待ってもらわないといけないぞ」

 

「待っときますよ。これで最後ですから」

 

「よし、おいお前ら!!さっさと終わらせるぞ!!」

 

『は〜い・・・・』

 

「次!!」

 

ソフトボール担当の先生が私のクラスの生徒に向かって大声で言う。こうなるとめんどい、なりふり構わずペースを早めて自分の調子で投げれなくなる。まぁ私は関係ないけど。

 

「10.54m」

 

「お兄ちゃんはどう?」

 

「どうって言われても・・・・まぁ平均より少し上ぐらい、大体こいつがいる地点で俺なんかカス同然だぞ」

 

「えっへん」

 

「威張るな。頭も良くしろよ」

 

「勉強なんかしなくても世の中生きていける人いっぱいいるわよ!」

 

「そういう人ほど大人になって恥書いたり後悔するのよ」

 

「平気平気!」

 

「・・・・響はバカ」

 

「うおい!?桜ちゃん!?」

 

響はバカ・・・・・うん、しっかりインプットした。

 

「・・・・・軽音部のメンツってこんなに軽いんだな。姉ちゃんの言う通りだ」

 

「何?お前、俺らに対してどんなイメージ抱いているんだよ」

 

「いっつもアカデミアの内でも外でも問題を起こしたり、話題を起こす問題児」

 

「「「「「「・・・・・・・・・」」」」」」」

 

「・・・・否定しない=合ってる」

 

「チ、チガウカラネ、ワタシタチ、モンダイヲオコシテイルンジャナクテ、モンダイガヒキツケラレテイルンダヨ」

 

「・・・・・肯定」

 

「桜ちゃん!?だから違うから!?」

 

「遠藤!山吹!早くこっち戻ってこい!」

 

「は〜〜い」

 

「・・・・じゃあまた」

 

私はお兄ちゃん達に手を振って自分のクラスの所に戻る。山吹も同じようにクラスに戻っていき、列の一番後ろの方で待機している。

 

「・・・・・これだからお兄ちゃん達は面白くて楽しい」

 

 

〜〜(放課後)〜〜

 

 

今日のスポーツテストが終わり、恭輔と祈の3人でお兄ちゃん達がいる部活に行こうとしたけどそこに山吹と氷川さんも着いてくるといってきた。

 

「終わったわ・・・生きた心地しないわ」

 

「大袈裟だろ・・・・俺は姉ちゃんからの情報を流してやったのに」

 

「にしても皆さん、着いてきて大丈夫ですか?」

 

「私は謝らないと」

 

「俺はなんか面白そうなことが起きそうだからな」

 

「け、軽音部の皆さん今はツアー前の練習でピリピリしてますので・・・」

 

ガラガラ〜

 

「皆さん「響!!裏よ!!裏回った!!」

 

「OK!あそこは私のリッターの範囲よ!」

 

「スバル!ヤグラ乗るわよ!援護は任せて!」

 

「おっしゃ!スペシャル発動だ!」

 

「「「「・・・・・・・・・」」」」

 

「ん?おぉ、いらっしゃい。よく来たな」

 

軽音部の部室に入るとお兄ちゃんと茜以外がゲームをしていた。お兄ちゃんと茜はもう一つの画面を見て観戦している。

 

「相手のフデやらしいなぁ・・・塗りと不意打ちばっかしやがる」

 

「短距離ばっかだならリッターには弱いけど。響〜、もっとエイム合わせてよ」

 

「・・・・・・おい、めっちゃ和やかだぞ」

 

「あ、あれれ?おかしぃなぁ・・・・」

 

「・・・・今日、休みって言ってた」

 

昨日、晩御飯を食べた後にお兄ちゃんが明日の部活は休みとか言ってた。多分、スポーツテストの終わりだからみんな疲れていると思う。

 

「あ、あの師匠」

 

「ん?恭輔、どうした?」

 

「れ、練習しなくていい「終わった!!10連勝!!」

 

「今日はここまでね。次どうする?」

 

「あれやる?ピカブイ」

 

「いいね。対戦しよう」

 

「じゃあ俺サンムーンの方で・・・・」

 

「練習は今日は休みだ。10日も連続で練習したんだから休みを入れないと」

 

「それに今日はやる気起きないからね!レミが曲一つ作って終わり!私たちはこうやってまったりしないと!」

 

「じゃあ私は・・・・・これやるか」

 

「・・・・・・ほんと、イメージと違う」

 

「あ、あの・・・・レミさん」

 

「うん?」

 

「さっきはすみませんでした!」

 

氷川さんがレミに声をかけて、レミがはゲームパッドを持ったまま振り向く。氷川さんは頭を90度に下げてレミに謝った。

 

「いいよいいよ。あれくらい日常茶飯事だから」

 

「え・・・・日常茶飯事?」

 

「アァ・・・あんまり触れないで貰えるかな?ちょっと秘密にしているから」

 

「は、はぁ・・・・」

 

「う〜ん・・・・・ゲッコ○ガは何型なんだ?物理?両党?」

 

「いっくよ!それ!」

 

「あっ!バカ!?タイミング違う!」

 

「・・・ふと思ったけど何でこの部屋ゲーム機とテレビが大量にあるんだ?」

 

「察してください・・・・」

 

山吹が不意に口にしたことを恭輔はため息をついてそう返した。そう言われたら何でこの部屋にゲーム機とテレビがこんなにあるんだろ?

 

「うう〜ん、暇だなぁ・・・・今日はゆっくり寝るか」

 

「じゃあ俺とデュエルしてくれよ」

 

「しょ、翔悟!あなたね!?」

 

「デュエル?まぁいいわよ。だって暇だし」

 

「えっ?」

 

「最近デュエルなんて仲間内としかしてなくてねぇ〜。去年のWRGPの決勝とアカデミアデュエル大会以外、まともに対人したことがないのよ」

 

そう言ってレミはカバンを手にしてデュエルディスクを取り出す。ベルトにあったデッキケースからデッキを取り出してデュエルディスクにさした。

 

「まあ鈍っているとは言っても・・・・仮にも世界一のチームのメンバーなんだから簡単には負けないよ」

 

「・・・・おもしれぇ。俺が挑発したつもりなのに挑発で返すとは・・・乗ってやるぜ」

 

山吹もデュエルディスクを取り出してデッキをセットする。そのまま二人は部室から靴を履いて近くの中庭で対峙した。

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

レミ LP 4000 翔悟 LP 4000

 

「先行は俺だ!永続魔法、煉獄の消華を発動!手札のカードを1枚切ることで、デッキからこのカード以外の『煉獄』魔法・罠を1枚手札に加える!俺は煉獄の狂宴を手札に加える!」

 

「あ〜、インフェルノイドを特殊召喚するやつね」

 

「カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

翔悟 手札 3枚 LP 4000

 

ー△▲-- ー

ーー--ー

ー ー

ーー---

ーー--- ー

 

レミ 手札 5枚 LP 4000

 

 

「う〜む、面倒くさい。私のターン!ドロー!」

 

レミ 手札 6枚

「スタンバイフェイズ、リバースカードオープン!煉獄の狂宴!フィールドの煉獄の消華を墓地に送り、デッキからLv合計が8になるように『インフェルノイド』モンスターを召喚条件を無視して3体まで特殊召喚する!インフェルノイド・デカトロン2体とインフェルノイド・ベルフェゴルを特殊召喚!」

 

インフェルノイド・デカトロン 守200

インフェルノイド・ベルフェゴル 攻2400

 

「インフェルノイド・デカトロン2体の効果!デッキから『インフェルノイド』モンスターを墓地に送り、そのモンスターのレベル分だけこのカードのレベルを上げて、同じ名前と効果を得る!インフェルノイド・ネヘモスとインフェルノイド・リリスを墓地に送る!」

 

インフェルノイド・デカトロン→インフェルノイド・ネヘモス ☆1→11

インフェルノイド・デカトロン→インフェルノイド・リリス ☆1→☆10

 

「う〜む面倒臭い・・・・魔法カード、テラ・フォーミング」

 

「インフェルノイド・ネヘモスの効果!自身をリリースしてテラ・フォーミングの発動を無効にして除外する!」

 

インフェルノイド・デカトロン自身がリリースされてレミが発動したテラ・フォーミングを無効にした。レミはそんな事を気にせず次のカードを手にかけた。

 

「フィールド魔法、竜の渓谷」

 

「2枚目!?」

 

「効果!手札のカードを1枚捨てて、『ドラグニティ』を手札に加える!私はドラグニティーセナートを手札に加えて、召喚!」

ドラグニティーセナート 攻1800

 

「セナートの効果!手札の『ドラグニティ』カードを捨てて、デッキから『ドラグニティ』ドラゴン族モンスターをこのカードに装備する!」

 

「インフェルノイド・リリスの効果!自身をリリースして「速攻魔法、墓穴の指名者!インフェルノイド・リリスをゲームから除外して同名のカード効果を無効にする!」なっ!?」

 

ドラグニティーセナートの効果を無効にしようと2枚目のインフェルノイド・デカトロンの効果を発動したが墓穴の指名者がそれを許さない。

 

「上手い」

 

「セナートの効果でデッキからドラグニティーファランクスを装備、そしてファランクスの効果で特殊召喚!」

 

ドラグニティーファランクス 攻500

 

「さて・・・・あとはベルヘェゴルね」

 

「おいおいおい・・・・まさかベルヘェゴルまで突破されるのかよ・・・・・」

 

「魔法カード、壺の中の魔術書!互いのプレイヤーは3枚ドローする!」

レミ 手札 0枚→3枚 翔悟 手札 3枚→6枚

 

「フィールドのドラグニティーファランクスを墓地に送って、ドラグニティアームズーミスティルを特殊召喚!」

 

ドラグニティアームズーミスティル 攻2100

 

「ミスティルの効果!墓地の『ドラグニティ』と名のついたLv3以下のドラゴン族モンスター1体をこのカードに装備する!対象はドラグニティーファランクス!」

 

「(通したら負ける!)インフェルノイド・ベルフェゴルの効果!自身をリリースして相手の墓地のカード1枚を除外する!ドラグニティーファランクスを選択!」

 

インフェルノイド・ベルフェゴルがリリースされて、レミの墓地のドラグニティーファランクスがゲームから除外された。

 

「でももうないでしょ?装備魔法、ドラグニティの神槍をドラグニティーセナートに装備!効果!デッキから『ドラグニティ』と名のついたドラゴン族モンスターを装備モンスターに装備する!」

 

「なっ!?」

 

「デッキからドラグニティークーゼを装備!」

 

ドラグニティの神槍を装備したドラグニティーセナートに新たなドラグニティークーゼが装備された。

 

「クーゼはファランクス同様に特殊召喚出来る!」

 

ドラグニティークーゼ 攻1000

 

「ま、マジかよ・・・・あれでも固めたつもりなんだが・・・・」

 

「これでもリーダーやってるんでね!こういう事も強くしなくちゃいけないのよ!本来ならこの後に色々とするんだけど、ちゃっちゃと終わらせるわよ!バトル!セナート、クーゼ、ミスティルの3体でダイレクトアタック!」

 

翔悟 LP 4000→0

 

 

WIN レミ LOS 翔悟

 

 

 

 

 

「お前、ほんっと容赦ねぇな」

 

「何!?見てたの!?」

 

「そりゃ俺ゲーム見てるだけなんだから」

 

「俺も一戦終わらせたから合間見て」

 

「・・・・・・強い」

 

デュエルディスクを片付けたレミはそのまま部室から覗いていたお兄ちゃんとスバルと3人で話す。一方、山吹はただただ驚いた表情をしている。

 

「完璧とは言わなくても自信ある布陣だったけどな・・・・」

 

「あっさり突破されたじゃない」

 

「レミさんのドラグニティ、細い穴を通すくらいにワンショットの確率あげましたから」

 

「・・・・・だから強い。私も油断したら負ける」

 

「わ、私も・・・後攻だったら逆なんですけど・・・・」

 

「軽音部がどれだけ強いか身に染みた・・・」

 

「あっ!?宿身!?」

 

「うわっ、読み間違いしてる!だっさ!!」

 

「待って!?不利対面だと思って俺ラグ引いたぞ!?負ける!?レート2000に乗る直前なのに!?」

 

「いけいけ〜、そのまま1500まで落とせ〜」

 

「・・・・・やっぱ問題児だな」

 

「そこは否定しません」

 

恭輔の言葉を聞いて私たちは頷いた。祈や恭輔に聞いたけど学校で遊び道具を持ってくるのは絶対にダメとのこと。それを聞いてたらお兄ちゃんたちのこれは問題児にしか見えない。

 




翔悟「見事に返された・・・」

レミ「あれくらい返さないと、ドラグニティを舐めないで欲しいわ」

遊輝「インフェルノイドのスタートも悪くはなかったけどな」

桜「・・・・シャドウ・ディストピアがあればだいぶ変わってた」

翔悟「シャドウ・ディストピア?」

レミ「ああ・・・・闇属性のリリースコストを相手にするやつ」

遊輝「コンボ色強くなるけど」

桜「60と違って安定性がある」

遊輝「それはまぁ作者も同じことを言ってたな」

桜「次回、『轟く帝王と憑依』。よろしく」


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第14話 轟く帝王と憑依

溜めていたものはこれで終了です。
とりあえずオリキャラ設定は載せないといけないな・・・・


?? side

 

 

「・・・・・・・来たか」

 

「うんもう・・・・何の用?こっちは忙しいんだから?」

 

「トロワの仕事の続き、君にお願いしたい」

 

「何?私はあいつの尻拭いをしろと?」

 

「目的はDMWの回収、敵はこいつらだ」

 

「・・・・・・ふ〜ん、可愛い奴らね。気に入ったわ。こいつら、私のおもちゃにしていい?」

 

「好きにしろ、私の目的が達成されればな」

 

「お任せあれ〜」

 

 

桜 side

 

 

「ねぇこれ本当に歌うの?私結構恥ずかしいんだけど」

 

「何今更言ってるのよ。人前で歌うなんてもう何年やってるのよ」

 

「違うわよ。こういう系の歌を歌ったことないからさ〜」

 

「茜、ユニゾンの楽譜貸して」

 

「ちょっと待て・・・・はい」

 

「うん、さてと・・・・」

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

「・・・・・・・・」

 

軽音部の部室では今日もあちこちで色んな楽器の音と声が聞こえる。その中でお兄ちゃんが楽譜を貰ってそれを見ながらギターを弾く。それを私は凝視する。

 

「桜さん、すごい真剣に見てますね・・・・」

 

「師匠のギターというか、奏さんのヴォーカルというか・・・色んなところを見ますよね」

 

「・・・・・・・・・・・」

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

「・・・・・良い」

 

「そこのリズム、こうしたら?」

 

♪♪♪〜〜〜

 

「えぇ・・・・この曲のヴォーカル俺だよ?そんなこと求めるの?」

 

「重ねて演奏したら重厚感があっていいじゃない」

 

「奏に求めろよ、奏に」

 

お兄ちゃんと茜でさっきの曲の意見を言い合っている。こう言ったことは部活内では良くある。より良い演奏をするためだ。

 

「私的にはこの曲、単調でシンプルな感じがものすごく好き、あの曲はスリーピースバンドの曲だから変な混ぜ物をしなくてもいける」

 

「そう?」

 

「俺も桜の意見に賛同だな」

 

「う〜ん・・・・じゃあそうするか」

 

「にしても桜、なんでこのバンドが3Pバンドって分かったんだ?」

 

「・・・・・・なんとなく」

 

「(素人がなんとなくで分かるもんじゃないぞ。俺だって4〜5年かけてギターとベースの聞き分けができたくらいなのに・・・)」

 

お兄ちゃんが何か考えているが私は何も気にせずそこに放り投げていた楽譜を手にした。

 

「・・・・・これやって欲しい」

 

「これ?・・・・・ギターで?」

 

「ん」

 

「えぇ・・・・ちょっと待てよ」

 

お兄ちゃんは私が渡した楽譜を目に通して、譜面台に置く。そのままアコースティックギターに変えて、アンプに繋げる。

 

♪〜〜♪〜〜

 

「・・・よし」

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

アコースティックギターの軽快な音が部室に響き渡る。それを聞くためにレミや奏、スバルもこっちに向いた。

 

「・・・・・・・・・」

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

「それミスチルだよね?えっと・・・・」

 

「『Simple』。アコギが重要なアルバムの人気曲、コアなファンしか分からないけど」

 

「へぇ〜、それは俺も知らない」

 

「俺も最初の頃は知らなかった。ライブのDVD見て知ったくらいだから」

 

「マイナー曲ってアルバム買うかそういうのを見るかだからね」

 

「それより桜っち、よくマイナーな曲を知っていたわね。ってかそんな楽譜見つけたわね」

 

「あった」

 

「あったって・・・・Simpleの楽譜なんて買っていたかな?」

 

「お前いつも何も見ないで楽譜買うからだろ?」

 

「う〜ん・・・・遊輝が来てミスチルの楽譜を買いまくった時かな?まぁいいか」

 

そう言ってレミはヘッドホンをつけてタブレットを見つめる。何かのアプリを開いて難しそうな顔をしている。

 

「そんなに難しく考えなくても・・・ツアーの後は休みだし」

 

「いや〜・・・・いいアイデア出たら記録しておかないとさ、何かの時に使えるかもしれないし」

 

「職業病だな・・・・ツアー終わったら本当に休もうぜ。冬休みとかさ温泉に行って」

 

「良いねぇ、去年の冬休みも沖縄に行ったけど結局年越しも練習していたし」

 

「・・・・・・あの、皆さんその時中等部ですよね?(汗)」

 

「明らかに何かが違うんですが・・・・」

 

みんな、そんな会話をしながらお兄ちゃんはギターを弾き終える。もっと聞きたかったけど仕方ない。そんな会話を恭輔と祈は何故か苦笑いをして聞いていた。

 

「・・・・・何かおかしいところあった?」

 

「桜さんは分からないでしょうが普通に考えたらおかしいんですよ・・・」

 

「ふ、普通の中学生がバンドグループを組むところまでは分かるのですが・・・」

 

「・・・?」

 

恭輔と祈は言葉を濁してしまい、結局私は二人が何を言いたかったのか分からないままだ。

 

「んん〜!!じゃあ全体練習入ろうか、悪いけど3人とも」

 

「分かりました。桜さんとは別のところで待っておきます」

 

レミがヘッドホンを外し、背伸びをして全体練習を言う。それを聞いて私たちは荷物をカバンにまとめた。何故か全体練習の時だけは部屋に入れてもらえない。

 

「じゃあまた」

 

「ほ、放課後まで待ってます」

 

「お兄ちゃん、ばいばい」

 

「あんまり遠くに行くなよ〜」

 

カバンを持ってそのまま部室を出る。代わりに大人の人1人が部室に入って行った。恭輔曰く、「仕事仲間」らしい。

 

「いつも思うけどなんで全体練習だけ見させてくれないの?」

 

「皆さんにお披露目する曲をバラさないようにするためです」

 

「ネタバレ防止ってわけで・・・」

 

「発表するの?あの遊んでいる部活が」

 

「ま、まぁ・・・・桜さんの目にはそう映りますよね。普通な考えたらそうなんですけど」

 

「こればかりは僕たちも師匠から口止めされているので言えないです・・・」

 

むぅ〜・・・・余計に気になる。何で2人とも口籠るのか・・・・

 

「あら?」

 

「あっ、氷川さん」

 

「こんにちは、どうしてこんなところに?」

 

廊下の角を曲がったところで氷川さんとバッタリ会った。氷川さんの手には本を持っている。

 

「わ、私たち軽音部からの帰りです」

 

「正確には追い出された」

 

「あぁなるほどね・・・そう言えばもうすぐそういう季節か」

 

「氷川さんはどうしてここに?」

 

「私は図書委員だから、今日は当番なのよ。それで今、放課後にいる人たちから図書館の方を返してもらうように催促しに行っているところよ」

 

「それはご苦労」

 

「そうだ、このまま軽音部の部室に行っていいからしら、茜さんと響さんがまだ本を返してもらってないので」

 

「それくらいなら大丈夫でしょう。多分二人とも忘れていると思うので」

 

「じゃあ行きましょう」

 

氷川さんについて行く形でまた軽音部の部室に戻っていく。少し歩いたところで音楽が漏れ出している軽音部の部室に辿り着いた。

 

「ちょっと待ってください。僕が中に入って確認してきますので」

 

そう言って恭輔一人がノックして入る。すぐに男の人が恭輔のところに行って何かを話し、漏れていた音楽が消えた。

 

「忘れてたああああ!!!!」

 

「あぁ、あの本終わった後に返す予定だったのに」

 

「良いですよ。入ってもらって」

 

恭輔の言葉で再び軽音部の部室に戻る。練習を止められて、茜は自分の鞄をゴソゴソと探していて、響は悲鳴をあげていた。

 

「返却日忘れてた・・・あれ家だよ・・・」

 

「何してるのよ。早く取りに帰りなさい」

 

「ぐうぅ・・・・ちょ、ちょっと待ってて!」

 

「ああ言え、別に明日でも大丈夫です。その時は図書室の本を1週間借りれなくなるだけですから」

 

「えっ?ほんと?」

 

「馬鹿なこと言ってないで取りに帰れよ。期限守れや」

 

「ぐうぅ・・・・・」

 

「ま、まぁまぁ・・・1週間くらいでしたら」

 

「あっ・・・・違った。これ別の人でした。響さんは1ヶ月ですね」

 

「響いいぃぃぃ!!!」

 

「ひいいいいい!!!!」

 

「・・・・何これ?コント?」

 

「さ、さぁ・・・・(汗)」

 

明らかに目の前に広げられているのは何処かの舞台でやっていそうなコント、お兄ちゃんが日曜のお昼にたまに見るような感じのやつだ。

 

「ごめん!取りに帰るから借りれない期間短くしてくれない!?来週入荷の本がどうしても見たくて!」

 

「そんなバカなこと言ってないで本を買ったらいいじゃない」

 

「だって買うには高いんだもん!2000円だよ!?高校生のお財布事情じゃ無理だよ!」

 

「さすがに・・・・・いや、提案乗りましょう」

 

「ほんと!?」

 

「ただし、私に勝ったらでお願いします。負けた場合は借りれない期間を2倍に延長します」

 

「うわ・・・すげぇ博打」

 

「やるやる!」

 

「大丈夫なの響?」

 

「楽勝、楽勝!私世界一になったんだから!!」

 

あっ、これ私知ってる。お兄ちゃんが言っていた失敗するパターンのやつだ。そう心に思って響と氷川さんは部室の外に出る。響はカバンから、氷川さんは部室に転がっていたデュエルディスクをつける。

 

「んじゃいくよ!」

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

響 LP 4000 絢 LP 4000

 

「先行は私!まずは氷結界の紋章!デッキから『氷結界』モンスターを手札に加える!氷結界の軍師を手札に加えて、召喚!」

 

氷結界の軍師 攻1600

 

「氷結界の軍師の効果!手札の氷結界の虎将 ガンダーラを捨てて1枚ドロー!カードを3枚伏せてターンエンド!」

 

響 手札 1枚 LP 4000

 

ー▲▲▲ー ー

ー○ーーー

ー ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

絢 手札 5枚 LP 4000

 

 

「私のターン、ドロー」

 

絢 手札 6枚

 

「手札の魔神儀ーペンシルベルの効果。手札の儀式モンスター、魔神儀ーカリスライムを相手に見せて、このカードとデッキから『魔神儀』モンスターを特殊召喚する!魔神儀ーペンシルベルと魔神儀ータリスマンドラを特殊召喚!」

 

魔神儀ーペンシルベル 守0

魔神儀ータリスマンドラ 守0

 

「タリスマンドラの効果!デッキから特殊召喚した場合、デッキから儀式モンスターを手札に加える!古聖戴サウラヴィスを手札に加える!」

 

「儀式使いか・・・しかもやり方がマンジュ・ゴッド以上にタチ悪い・・・」

 

「それじゃ桜や他のみんなに見せなかった私の第二の切り札を見せてあげるわよ」

 

「第二の切り札?」

 

「ペンシルベルとタリスマンドラをリリース!」

 

「リ、リリース!?」

 

「轟雷帝ザボルグをアドバンス召喚!」

 

轟雷帝ザボルグ 攻2800

 

魔神儀ーペンシルベルと魔神儀ータリスマンドラがリリースされて現れたのは巨体な轟雷帝ザボルグ、両手にエネルギーが溜められて電気がビリビリとしている。

 

「ザ、ザボルグ!?」

 

「轟雷帝ザボルグの効果!アドバンス召喚成功時、フィールドのモンスターを破壊する!」

 

「なっ!?何するか分からないけどリバースカードオープン!罠カード、ブレイクスルースキル!ザボルグの効果を無効にする!」

 

「手札の古聖戴サウラヴィスの効果!自分フィールドのモンスターを対象とする効果が発動した場合、手札のこのカードを捨ててその発動を無効にする!」

 

「いっ!?」

 

轟雷帝ザボルグに向かってブレイクスルースキルが発動したけど、氷川さんの手札から古聖戴サウラヴィスが轟雷帝ザボルグを守るように翼を広げ、ブレイクスルースキルの効果を無力化した。

 

「ザボルグの破壊効果!対象は・・・・自分自身!」

 

「えっ!?」

 

轟雷帝ザボルグが手にしている雷エネルギーが空に放たれて、自分自身に向かって落ちてザボルグは破壊された。

 

「・・・・何で自分のモンスターを?」

 

「あぁ、桜は知らないのか。まぁ見たらわかるよ」

 

「ザボルグはこの効果で光属性モンスターを破壊した場合、破壊したモンスターのレベル分だけお互いのプレイヤーはEXデッキのカードを墓地に送る!」

 

「えっ!?ってことは・・・8枚も!?」

 

「さらに!このカードのアドバンス召喚時にリリースしたモンスターの中に光属性モンスターが含まれている場合、相手のEXデッキから墓地に送るカードは私が選ぶ!」

 

「えっ!?」

 

氷川さんの前に電子の状態で響のエクストラデッキが写る。それを見て氷川さんは1枚ずつタッチする。

 

「・・・なるほど、強い」

 

「あいつの強みはああやってプレイヤーのEXデッキを壊滅状態に追い込むこと、あれを食らうと立て直すのがほぼ不可能だ」

 

「そうね、桜さんの場合ならカガリ3枚、シズク3枚、ハヤテ2枚ってところかしら?」

 

「・・・・それ、負ける」

 

「トリシューラ、ブリューナク、グングニール、アイス・スプラッシュ、ロンギヌス、ヴォルガルス、エターナル・マジシャン、マスター・ボーイの8枚を選択」

 

「う、ウゥ・・・・わ、私の切り札たちが・・・」

 

「私が送るのは虹光の宣告者(アーク・デクレアラー)3枚、旧神ヌトス3枚、PSYフレームロード・Ω、餅カエルの8枚。虹光の宣告者3枚と旧神ヌトス、餅カエルの効果発動!餅カエルは墓地に送られた場合、墓地の水属性モンスター1体を手札に戻す!餅カエル自身をEXデッキに!旧神ヌトスは墓地に送られた場合、フィールドのカード1枚を破壊する!3枚分だから、氷結界の軍師と伏せカード2枚を破壊!」

 

氷川さんの墓地にいた餅カエルはEXデッキに帰り、旧神ヌトスの効果で響のフィールドを壊滅にする。

 

「虹光の宣告者は墓地に送られた場合、デッキから儀式モンスターか儀式魔法を手札に加える!この効果を3枚分発動!ブリューナクの影霊衣、トリシューラの影霊衣、ユニコールの影霊衣を手札に加える!」

 

虹光の宣告者で氷川さんのデッキからカードが3枚飛び出して手札に入った。1枚モンスターを破壊しただけで取るアドバンテージの量が多すぎる。

 

「て、手札増えてる・・・・」

 

「さらに墓地のPSYフレームロード・Ωの効果!墓地のこのカードとタリスマンドラをデッキに戻す!」

 

墓地のPSYフレームロード・Ωと魔神儀ータリスマンドラがデッキに帰る。轟雷帝ザボルグで破壊したモンスター全てが有効に使われた。EXデッキが9枚になったから強欲で金満な壺や2枚目の轟雷帝ザボルグも有効になった。

 

「手札のブリューナクの影霊衣の効果!このカードを捨てて、デッキから『影霊衣』モンスターを手札に加える!クラウソラスの影霊衣を手札に加えて、クラウソラスの影霊衣の効果!このカードを捨てて、デッキから『影霊衣』儀式魔法を手札に加える!影霊衣の反魂術を手札に加える!」

 

「あ〜・・・・これ俺、嫌な予感がする」

 

「えっ?」

 

「手札の魔神儀ーカリスライムの効果!このカードを相手に見せた後、手札を1枚捨ててデッキから『魔神儀』モンスターを特殊召喚する!手札の儀式魔人リリーサーをコストにデッキから魔神儀ーキャンドールを特殊召喚!」

 

魔神儀ーキャンドール 守0

 

「ちょ!?今墓地にリリーサーが!?」

 

「キャンドールの効果!デッキから特殊召喚成功時、デッキから儀式魔法を手札に加える!影霊衣の降魔鏡を手札に加えて、儀式魔法、魔神儀の祝誕!フィールドのキャンドールをリリースして、ユニコールの影霊衣を特殊召喚!」

 

ユニコールの影霊衣 攻2300

 

フィールドにいた魔神儀ーキャンドールがリリースされてユニコールの影霊衣がフィールドに現れる。私、あのモンスター苦手。

 

「さらに儀式魔法、影霊衣の反魂術を発動!墓地の儀式魔人リリーサーをゲームから除外して、墓地からクラウソラスの影霊衣を守備表示で特殊召喚!」

 

クラウソラスの影霊衣 守2300

 

「バトル!ユニコールの影霊衣でダイレクトアタック!」

 

響 LP4000→1700

 

「これでターンエンド」

 

 

響 手札 1枚 LP 1700

 

ーーーーー ー

ーーーーー

ー ー

ーー○ー□

ーーーーー ー

 

絢 手札 4枚 LP 4000

 

 

「これは・・・・ほぼ詰みかな?響のデッキ、これを返すとなるとシンクロモンスターに頼らないといけないし・・・」

 

「それはそれでリリーサーで止められている」

 

「わ、私のターン・・・ドロー」

 

響 手札 2枚

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

「脳みそ少ない響がめちゃくちゃ考えている・・・・」

 

「遊輝!!私だって考えるわよ!!手札から魔法カード、強欲で貪欲な壺!!デッキの上から10枚を除外して2枚ドロー!」

 

響 手札 1枚→3枚

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「何も無かったみたいだな」

 

「普通に考えて難しい。しかも手札にトリシューラの影霊衣も構えている」

 

「ブラホだな。あの手札の様子だと無さそうだけど」

 

「・・・・モンスターセット、カード1枚伏せてターンエンド」

 

 

響 手札 1枚 LP 1700

 

ーー▲ーー ー

ーー■ーー

ー ー

ーー○ー□

ーーーーー ー

 

絢 手札 4枚 LP 4000

 

 

「私のターン、ドロー」

 

絢 手札 5枚

 

「魔法カード、強欲で金満な壺。EXデッキのカードをランダムに6枚除外して2枚ドロー」

 

絢 手札 4枚→6枚

 

「魔法カード、儀式の下準備。デッキからLv7以下の儀式モンスターを手札に加えて、その後墓地から儀式魔法を手札に戻す。ブリューナクの影霊衣を手札に加えて、墓地の影霊衣の反魂術を手札に戻す。手札の魔神儀ーカリスライムの効果。手札のこのカードを相手に見せて、手札から影霊衣の反魂術を捨てて、デッキから魔神儀ーペンシルベルを特殊召喚」

 

氷川さんの手札にあるカリスライム が手札の影霊衣の反魂術を体内に吸い込み、その中から魔神儀ーペンシルベルが飛び出してくる。

 

「ペンシルベルの効果。墓地の儀式モンスターを手札に戻す。古聖戴サウラヴィスを手札に戻して、墓地の魔神儀の祝誕の効果。手札・フィールドの『魔神儀』カードを墓地に送り、墓地のこのカードを手札に戻して、デッキから『魔神儀』モンスターを特殊召喚する。魔神儀ータリスマンドラを特殊召喚。タリスマンドラの効果。デッキから2枚目のトリシューラの影霊衣を手札に加えて、魔神儀の祝誕を発動。タリスマンドラとペンシルベルをリリースして、トリシューラの影霊衣を儀式召喚」

 

トリシューラの影霊衣 攻2700

 

「・・・・無慈悲なトリシューラ」

 

「これで響の逆転の目は無くなったな」

 

「トリシューラの影霊衣の効果!相手の手札・フィールド・墓地のカードを1枚ずつ除外する!」

 

「・・・・・・何にもなし」

 

「伏せカード、手札1枚、墓地は・・・・・ガンダーラを除外。バトル、トリシューラの影霊衣で伏せモンスターを攻撃」

 

「・・・・・デブリ・ドラゴン」

 

「ユニコールの影霊衣でダイレクトアタック」

 

「負けたああ!!」

 

響 LP 1700→0

 

 

WIN 絢 LOS 響

 

 

 

「・・・・・ボロ負けだな」

 

「かっこ悪い〜」.

 

「うう・・・・・・」

 

お兄ちゃんや奏が響の悪口を言いまくる。実際、誰がどう見ても氷川さんがマウントを取ったデュエルだった。やりたいようにやったデュエル、響の完敗だ。

 

「じゃあ先ほどの件は無しで、明日までに本を返してくださいね」

 

「ううう・・・・・」

 

「早く家に取りに帰って返してきなさい」

 

「5分だぞ5分」

 

「ちょ!?私家まで片道10かかるけど!?」

 

「敗者に言い訳はねぇぞ」

 

「ちなみに遅れたら1分につき100円の罰金だから!全額部費に提供で!」

 

「ええええ!?!?」

 

「はい、30秒たったよ」

 

「ちょ!?」

 

レミが容赦なく時間を数えていき、響はダッシュでこの場から離れていった。

 

「いくらぐらいになる?」

 

「単純計算15分でしょ?まぁ響が本気で走ったら10分くらい?」

 

「1000円か〜、お菓子ぐらいしか買えねぇな」

 

「・・・・この人たちはいつもこんな感じですか?」

 

「まぁ・・・・だいたい合ってます」

 

お兄ちゃんたち、真剣に練習しているところを見ていない気がする。こんな部活があっていいのか最近思う。




遊輝「ザボルグ決めてリリーサークラウソラス決めたらそりゃ勝つわ」

桜「前聞いた時は召喚獣入れていた」

絢「2つ持ってるのよ。どちらもエクストラ封じだけどこっちは決まった時は爽快ね」

遊輝「召喚獣入れてるのか・・・また厄介だな・・・」

桜「どっちも嫌」

絢「ザボルグ型の強みは何と言っても相手のエクストラデッキを粉々にすること」

遊輝「エクストラに頼っているデッキなら普通に詰むからな」

桜「次回、『第二の刺客、立ち上がれ幻影騎士団』。次回もよろしく」


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第15話 第二の刺客、立ち上がれ幻影騎士団

第二節、いよいよ始動です。




アリア side

 

「う、う〜ん・・・・ゴホッ、ゴホッ・・・・」

 

「7度5分、微熱ね。昨日雨降っていたのに打たれながら帰るからそうなるのよ」

 

「付いてない」

 

「昨日なんか帰るときに雨なんて降ると思うかよ・・・降水確率0%だったんだぜ・・ゴホッ」

 

ベッドで眠っている遊輝ちゃんに冷たいタオルをおでこに乗せる。今朝、起きた時に電話が鳴って桜ちゃんから「お兄ちゃんの様子がおかしい」って電話がかかってきて来たらこの有様だよ。これで朝飯作ろうとしていたんだから慌てて止めてベッドに寝かしたわ。

 

「風邪なんて中学1年以来だよ・・・あの時は原因不明だったけど」

 

「とにかく安静にしてなさい。家事と桜ちゃんの面倒は私が見るから」

 

「すまん・・・・・」

 

「看病代は後日なんかしてもらうから」

 

「はい・・・ゴホッ」

 

「とりあえず掃除からね。桜ちゃん、掃除機はどこ?」

 

「あっち」

 

桜ちゃんの案内で遊輝ちゃんの部屋から出て、洗面所に行く。立て掛けてあった掃除機を手にする。

 

「コードレスとか良い掃除機持ってるわね〜」

 

「そうしないといちいちコードを指し抜きして大変ってお兄ちゃんが言ってた」

 

「ああ、なるほど・・・・」

 

この家、無駄に広いからコードタイプだとコンセントに差し替えないといけないのね。それだったらコードレスにするわけだ。

 

「掃除掃除っと・・・・桜ちゃんは何か出来る?」

 

「洗濯とか色々、お兄ちゃんに教えてもらった」

 

「じゃあ洗濯お願い。終わったら一緒にお粥を作ろう」

 

「ん」

 

とりあえずだだ広いリビングからしよう。確かロフトは使ってないって言ってたわよね。

 

「う〜ん、相変わらず広い、前はどうやって掃除してたっけ」

 

3ヶ月くらい前までこの家に住んでいたのにもう掃除のやり方忘れたよ。なんか効率良いやり方があったはずなんだけど・・・まぁいいか。適当にやろう、適当に。

 

 

〜〜(1時間後)〜〜

 

 

「フゥ・・・・なんとか終わったわね」

 

もうほんと広すぎる。この家無駄に広い。4人で暮らしてたよりも広く感じる。なんでこんな家に引っ越したの?

 

「よいしょっと・・・」

 

「お姉ちゃん、洗濯終わった」

 

「うん、えらいえらい」

 

洗濯が終わったと報告をしにきた桜ちゃんの頭を撫でる。はぁ〜、ほんとこういう妹いると心が安らぐ〜。

 

「・・・お姉ちゃん優しい」

 

「あったりまえでしょ〜。可愛い妹を褒めることは大事なことなんだから〜」

 

「お兄ちゃんと大違い」

 

ああ・・・まぁ遊輝ちゃんだけじゃなく世の男性陣はこういうの疎いから。

 

「さて、じゃあ次はお粥作ろうか」

 

「ん・・・・お粥って何?」

 

「お米を大量の水分で炊いた料理よ。胃に優しいから風邪ひいたときに持ってこいなのよ。とは言え、私も作るのは初めてだから・・・」

 

そう言ってポケットからスマフォを取り出して「お粥 作り方」と打つ。ふむふむ・・・この辺のシンプルなやつで良いわよね。

 

「じゃあ作るわよ。まずは・・・・ご飯ある?」

 

「ない」

 

「・・・・・・・・」

 

桜ちゃんの無慈悲な一言で私は無言で一度リビングから離れて遊輝ちゃんの部屋に行く。

 

「ちょっと遊輝ちゃん、ご飯が無いってどういう事?」

 

「ゴホッ・・ゴホッ・・・・桜が大量に食べるから炊いても無くなるんだよ・・・3合炊いて空にしたんだから・・・」

 

「お粥作ろうと思ってるんだけど肝心のご飯が無かったら作れないわよ」

 

「冷蔵庫の隣の食器棚の下にチンご飯あるからそれ使って・・・・」

 

「チンご飯は隠してあるのね・・・」

 

よく見つからないこと・・・まぁご飯があればどうとでもなるわ。味付けはともかくとして作り方はご飯を水で熱するだけだったから。遊輝ちゃんの部屋から出て、言われたとおりに冷蔵庫の隣の食器棚をゴソゴソと探すとチンご飯が見つかった。パックを少しだけ開けて電子レンジに入れる。

 

「じゃあその間に具材と出汁の準備ね。出汁はだしの素で、具材は・・・卵とネギで良いわね。桜ちゃん、卵といてくれる」

 

「ガッテン」

 

「・・・・どこでそんな言葉を覚えたのよ」

 

とりあえず私は冷蔵庫から青ネギと卵、あとは生姜のチューブも出して卵とボウル桜ちゃんに渡す。包丁とまな板を取り出して青ネギを切っていく。鍋に水を多めに入れて、チンしたご飯を入れて、だしの素を入れて熱する。

 

「あとは水分飛ばして卵とネギを入れたら出来上がり〜」

 

「・・・・・あんまり美味しくなさそう」

 

「お米を大量の水分で焚くからね〜。まぁ味は大丈夫でしょ、なんたって料理レシピサイト直伝だから」

 

これで不味かったら訴えるレベ・・・さすがにそんなことはないか。とりあえずをある程度飛ばして、溶き卵を入れてネギを入れたら完成〜。

 

「これをこの器に入れて・・・・じゃあ持って行こうか」

 

「私がいく」

 

「じゃあ気をつけて持って行ってね。はい」

 

お盆の上にお茶碗とレンゲを乗せてお粥をのせる。そのお盆を桜ちゃんに渡し、桜がちゃんは遊輝ちゃんの部屋に持っていく。後ろからその姿を見て少し心配しながら遊輝ちゃんの部屋を覗く。

 

「はいお兄ちゃん、お姉ちゃんがおかゆを作った」

 

「ゴホッ、ゴホッ・・・・あ、ありがとう」

 

遊輝ちゃんは上半身を起こしてお盆を手にする。そのままレンゲを持っておかゆを食べ始める。

 

「ハァ・・・何でこんな時期に風邪引くのかな・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「どうした?」

 

「・・・・頭撫でてくれないの?」

 

「はっ?」

 

「お姉ちゃんは褒めてくれるのと同時に頭を撫でてくれた」

 

「いやお前・・・・俺病人だぞ、そんな事してる余裕ねぇぞ」

 

「・・・・・・・」

 

「わ、分かったよ・・・・」

 

桜ちゃんの情に負けた遊輝ちゃんが桜ちゃんの頭を撫でる。やっぱり妹はこうやって育てなくちゃ。

 

「ところでアリア、お前は何でそこにいる?」

 

「え、いいじゃない。たまには兄弟揃って」

 

「義理なんだけど・・・ゴホッゴホッ・・・・あとは一人でいけるからなんか食べてきたら。あんまり部屋にいたら風邪が移るし」

 

「う〜ん・・・もう11時半なんだよね」

 

時計を見てそう呟く。掃除とお粥作るのに意外と時間かかっちゃったしな・・・おまけにお米もないから食料も買いに行かないと。

 

「じゃあお昼食べに行こう。次いでだからそのまま買い物もしよう」

 

お昼食べにと言うと桜ちゃんの目がキラキラと輝きだした。

 

「・・・・・ラーメンラーメン」

 

「ラーメン食べたいの?じゃあラーメン屋行こう」

 

「あのラーメン屋行こう」

 

「あのラーメン屋?」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ここ」

 

「・・・・・二郎系のラーメン屋」

 

桜ちゃんに連れていかれたラーメン屋は事もあろうに二郎系ラーメン屋だった。いや、私は構わないのだけど遊輝ちゃん、この子に何教えてるのよ。中学生の少女が食べに来る場所じゃないわよ。

 

「まぁいいか・・・・桜ちゃんは何食べる?」

 

「特大豚ラーメン、豚Wマシ」

 

「・・・・・・本当によく食べるわね」

 

とりあえず店の中に入る。こっちを見た店主が何故か驚いた表情をしていた。

 

「い、いらっしゃい。今週も来たんだね」

 

「ワクワク」

 

「どれだけ行ってるのよ。特大ラーメンの豚Wマシね。私は・・・豚大ラーメンの豚マシでいいや」

 

そう言って券売機から特大豚ラーメンと豚ラーメン、豚マシを3つ押す。これだけで2000円近くね。まぁいつも通りいつも通り。券売機から出た券をカウンターのお店の人が見えるところに置く。店主がそれを見て麺を茹で始める。

 

「ニンニクは」

 

「ヤサイマシマシアブラニンニクカラメ」

 

「お客さんは?」

 

「私?ニンニク無しでヤサイマシで」

 

店主さんのコールを普通にやり過ごす。私も二郎系のラーメン屋は時々行くからね。あんまり行っているとあの人に怒られてしまうから、特にニンニク・・・・

 

「はいお待ち」

 

「・・・・・(ニヤリ)いただきます」

 

「は〜い、いただきます」

 

カウンターの目の前に置かれたラーメンを手にする。野菜が盛られてその下には分厚目に切られた豚が5枚とスープの下に麺が大量にある。まずは野菜から食べるか、隣の桜ちゃんはもうすでに食べ始めているし。

 

「(まぁこういう時無言で食べないとふつうにマナー違反なんだよね、特にこういう店は)」

 

誰かがネットで言っていたわね、「二郎のラーメンはラーメンじゃない、二郎という食べ物だ」とか「二郎のラーメンはフルコースだ」とか・・・・まぁ私もこれくらい余裕なんですけどね。とりあえず野菜と豚半分、次麺〜。麺は極太麺だけど私だったら余裕余裕〜。これくらいの量ペロリペロリ〜。気がつけば野菜も豚も無くなり、あとは麺一口だけ、それを食べておしぼりで口を拭く。

 

「ごちそうさまでした」

 

「ごちそうさま」

 

どんぶりの中に箸とレンゲを入れてカウンターに持ち上げる。ちょうど桜ちゃんも食べ終えたところで一緒に店を出る。

 

「・・・・満足満足」

 

「それは良かったね〜」

 

「・・・でも、もっと量が欲しい」

 

「・・・・店が潰れるからやめてあげなさい」

 

桜ちゃんのラーメン、全てにおいて特大だったのにあれでまだ足りない、もっと足せって言ったらお店破綻してしまう。

 

「次は食料買い出しね。ちょっと戻ってスーパーに行こうか」

 

「・・・・・・・お姉ちゃん」

 

「ん?どうしたの?」

 

「・・・・あいつらの仲間」

 

「・・・・・OK」

 

桜ちゃんが私の服をギュッと握りしめてある方向に指を指す。それを見た私は全てを理解して少し歩き、人通りの少ない公園の中に入る。

 

「ここなら大丈夫ね・・・・・出てきなさいよ」

 

「あら、もうバレちゃったの?」

 

桜ちゃんを後ろにやって振り向いて声をかける。相手は木の陰からゆっくりと歩いてこっちに対面してきた。

 

「何か資料と違う人が護衛しているんだけど・・・・どういうことかしら?」

 

「資料?なんか知らないけどあいにくあなたの目的の人は今日は体調不良でね」

 

「あら残念」

 

「じゃあお引き取り願いたいね」

 

「本当ならそうしたいけど、私は雇われている身、雇い主の依頼はキチンと仕事しないといけないのよ。その子を返してもらうわよ」

 

「嫌だね。可愛い妹を渡すほど私はヒトとして終わってないから」

 

そう言って鞄の中からデュエルディスクを取り出す。相手もデュエルディスクを腕につけて起動させる。

 

「私の名はキャトル、あなたはすぐ忘れるでしょうけどね」

 

「私はアリア、桜ちゃんの姉よ」

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

アリア LP 4000 キャトル LP 4000

 

「先行は私、F.A.ハングオンマッハを召喚」

F.A.ハングオンマッハ 攻?

 

相手の場に青いバイクが颯爽と現れる。

 

「ハングオンマッハの攻撃力は自身のLv×300ポイントアップする。さらに『F.A.』魔法・罠を発動するたびにレベルが一つ上がるわ。フィールド魔法、F.A.シティGPを発動!」

 

フィールドが大きなビル街に移り変わり、私たちの場はレースのコースへと変わる。

 

「シティGPを発動した事によりハングオンマッハのLvは1つ、シティGPの効果で自分フィールドの『F.A.』モンスターのレベルはお互いのメインフェイズ・バトルフェイズの間、2つ上がる!」

 

F.A.ハングオンマッハ ☆4→7

F.A.ハングオンマッハ 攻?→2100

 

「カードを2枚伏せてターンエンド」

 

 

キャトル 手札 1枚 LP 4000

ー▲▲-- ー

ーー--○

- -

-----

----- -

 

アリア 手札 5枚 LP 4000

 

 

「私のターン!ドロー!」

 

「メインフェイズ、ハングオンマッハ のレベルと攻撃力は変動する!」

 

ようは相手だけマクロコスモスでしょ?でもそれはレベルを変動している時だけってわけね。

 

「魔法カード、サイクロン!シティGPを破壊する!」

 

フィールドにサイクロンが吹いてシティGPを破壊する。

 

「ぐっ・・・ハングオンマッハのレベルは下がる代わりに、シティGPの効果発動!このカードが破壊された場合、デッキからこのカード以外の『F.A.』魔法・罠カードを手札に加える!F.A.サーキットGPを手札に加える!」

 

F.A.ハングオンマッハ ☆ 7→5

F.A.ハングオンマッハ 攻2100→1500

 

「このカードは自分フィールドにモンスターが存在しない場合、手札から特殊召喚できる!SRベイゴマックス!」

 

SRベイゴマックス 守600

 

「ベイゴマックスの効果発動!特殊召喚成功時、デッキから『SR』モンスター1体を手札に加える!SRタケトンボーグを手札に加えて、タケトンボーグは自分フィールドに『SR』がいる場合、特殊召喚できる!」

 

SRタケトンボーグ 守1200

 

「権限せよ!光を照らすサーキット!」

 

私の上空に現れたリンクマーカーにベイゴマックスとタケトンボーグの2体のモンスターが入り、左斜め下と右斜め下の矢印が赤く光る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件はLv3モンスター2体!私はSRベイゴマックスとSRタケトンボーグをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2!彼岸の黒天使 ケルビーニ!」

 

彼岸の黒天使 ケルビーニ 攻500 ↙︎ ↘︎

 

「ケルビーニの効果!コストでデッキからLv3以下のモンスターを墓地に送り、フィールドの『彼岸』モンスターを対象に取る!私が送るのは幻影騎士団ダスティロープ!対象のモンスターの攻撃力を墓地に送ったモンスター分、アップする!」

 

彼岸の黒天使 ケルビーニ 攻500→1300

 

「そして墓地に送られたダスティロープの効果!このカードをゲームから除外して『幻影騎士団』カードを1枚、デッキから手札に加える!幻影騎士団ラギットグローグを手札に加えて、召喚!」

 

幻影騎士団ラギットグローグ 攻1000

 

「さらにこのカードは自分フィールドに『幻影騎士団』モンスターがいる場合、特殊召喚できる!幻影騎士団サイレントブーツを特殊召喚!」

 

幻影騎士団サイレントブーツ 守1200

 

「権限せよ!光を照らすサーキット!」

 

再び現れたリンクマーカーに今度はケルビーニとラギットグローグの2体のモンスターが入り、リンク3のモンスターが出てくる。

 

「アローヘッド確認!召喚条件は闇属性モンスター2体以上!私はリンク2の彼岸の黒天使 ケルビーニと幻影騎士団ラギットグローグ をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク3、幻影騎士団ラスティ・バルリッシュ!」

 

幻影騎士団ラスティバルリッシュ 攻2100 → ↙︎ ↘︎

 

「それを通したらまずいわね!リバースカードオープン!速攻魔法、F.A.シェイクダウン!自分フィールドの『F.A.』モンスター1体の表示形式を変更して、その後にフィールドのカード1枚を選んで破壊する!」

 

F.A.ハングオンマッハ 攻1500→守1800

 

相手が発動したシェイクダウンによりハングオンマッハがラスティ・バルリッシュに特攻して破壊された。

 

「『F.A.』魔法カードを発動した事より、ハングオンマッハのレベルが1つ上がる!」

 

F.A.ハングオンマッハ ☆5→☆6

 

「墓地のラギットグローググローブの効果発動!墓地のこのカードをゲームから除外してデッキから『ファントム』魔法・罠を墓地に送る!」

 

墓地に送られたラギットグローグがゲームから除外されてデッキの1枚のカードが墓地に送られる。

 

「幻影翼を墓地に送り、幻影翼の効果!墓地のこのカードをゲームから除外して、墓地の『幻影騎士団』を特殊召喚する!幻影騎士団ラスティバルリッシュ、復活!」

 

墓地に送られた幻影翼が除外されて、破壊されたラスティバルリッシュが復活する。

 

「ラスティバルリッシュの効果!デッキから『幻影騎士団』モンスター1体を墓地に送り、デッキから『ファントム』魔法・罠をフィールドにセットする!2枚目の幻影騎士団ラギットグローグ を墓地に送り、幻影霧剣をセット!さらに速攻魔法、緊急テレポート!デッキからLv3以下のサイキック族モンスターを特殊召喚する!チューナーモンスター、サイコウィールダー!」

 

サイコウィールダー 守0

 

「Lv3の幻影騎士団サイレントブーツとサイコウィールダーでオーバーレイ!」

 

☆3 × ☆3 = ★3

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!戦の地で倒れた騎士の魂が幻影に蘇る!エクシーズ召喚!ランク3!幻影騎士団ブレイクソード!」

 

幻影騎士団ブレイクソード 攻2000

 

ブラックホールの中からブレイクソードがラスティバルリッシュの隣に召喚され、ラスティバルリッシュが動き出す。

 

「ラスティバルリッシュの効果発動!このカードのリンク先に闇属性エクシーズモンスターが特殊召喚された場合、フィールドのカード1枚を破壊する!その伏せカードを破壊する!」

 

「リバースカードオープン!速攻魔法、F.A.ピットストップ!自分フィールドの『F.A.』モンスターのレベルを2つ下げ、墓地の同名カードの枚数+1枚ドローする!」

F.A.ハングオンマッハ ☆6→☆4→☆5

キャトル 手札 1枚→2枚

 

「関係ないわね!ブレイクソードの効果発動!オーバーレイ・ユニットを一つ取り除いて、自分フィールドのカード1枚とフィールドのカード1枚を破壊する!自身とハングオンマッハを破壊する!」

 

幻影騎士団ブレイクソード OVR 2→1

 

「そしてブレイクソードの効果!エクシーズ召喚されたこのカードが破壊された場合、墓地の同じレベルの『幻影騎士団』モンスター2体をレベルを1つ上げて特殊召喚する!ラギットグローブとサイレントブーツを特殊召喚!」

 

幻影騎士団ラギットグローグ ☆3→☆4

幻影騎士団サイレントブーツ ☆3→☆4

 

破壊されたブレイクソードの跡に2つの穴が開いてラギットグローグとサイレントブーツがフィールドに戻ってくる。

 

「Lv4のラギットグローグとサイレントブーツでオーバーレイ!」

 

☆4 × ☆4 = ★4

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!奈落の闇より反逆の魂を宿り、今地上に現れろ!エクシーズ召喚!ランク4!ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン!!」

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン 攻2500

 

『ガアアアアア!!!!!』

 

ブラックホールの中から現れたダーク・リベリオンは大きな咆哮をあげる。

 

「バトル!ラスティバルリッシュ、ダーク・リベリオンでダイレクトアタック!」

 

キャトル LP 4000→0

 

 

WIN アリア LOS キャトル

 

 

「うしっ!」

 

デュエルディスクを片付けてガッツポーズをする。相手はこっちを見てゆっくりと拍手していた。

 

「ふふ・・・・・凄いわね。少し甘く見ていたわ」

 

「ふん、だったらこれに懲りてもう近寄ってこないでよね」

 

「悪いけど私も契約があるのよ。それに・・・・その子を防衛している男の子、すごく可愛いじゃない・・・・私好みだし」

 

「あんたなんかに遊輝ちゃんを渡すつもりはないわよ」

 

「いいね・・・殺し合いがあるじゃない・・・今日は引いてあげるけど次はこうはいかないからね」

 

そう言ってキャトルは振り向いて帰っていった。全く、買い物の途中で余計なことさせないで欲しい。桜ちゃんも萎縮しちゃってるじゃない。

 

「大丈夫桜ちゃん」

 

「・・・・うん・・・お姉ちゃん、ありがとう」

 

「(ズキューーーン!!!!!)」

 

服を持ちながらモジモジとした態度で上目遣いにお礼を言ってきた桜ちゃんに私の心は奪われた。良いなぁ〜、こんな妹、本当にもちたいわ〜。

 

「じゃあ買い物の続き、しようか」

 

「ん」

 

私は桜ちゃんの手を繋いで公園から出た。

 

 

アリア side out

 

遊輝 side

 

 

「う〜ん・・・・ゴホッゴホッ・・・」

 

「37度・・・・咳き込んではいるけどだいぶマシになってきたわね」

 

「咳き込みもだいぶなくなってきたけど・・・」

 

「無茶しないの。でも一晩寝たら治るかもね」

 

現在夜の8時、晩御飯も食べ終わり、熱も下がってようやく体調が戻ってきた。桜は今お風呂に入っている。

 

「んで、今日来た奴は?」

 

「何か凄い遊輝ちゃんに執着していたわね。分からないこともないけど」

 

「どういう事だよ・・・」

 

「まぁこれから頑張っていきましょう。これ、今の分の薬、とりあえず飲んですぐ寝ること」

 

「ふぁい・・・」

 

アリアから薬を渡されて、それを飲み込んで水を流し込む。カプセル状の薬が喉を通っていく。

 

「それでね〜、今日の看病代なんだけど・・・・」

 

「あ〜、ごめんまた後日、今ちょっと払う機会ねぇわ」

 

「うんうん、お金は良いの、その代わり・・・・」

 

アリアは俺の耳元に近づいて呟いた。

 

「遊輝、いえ、優姫ちゃん、あなたの写真6ヶ月も溜まってるのよ」

 

「!?」

 

「あの人もそろそろ連れて来いって言ってるのよ・・・だから、明日から1週間泊まり込みでモデルの仕事、お・ね・が・い♪」

 

アリアの一言一言で俺の身体が震え上がり寒気がする。不味い!何とかしてこの場から逃げないと明日からの人・・・け・・・・

 

「ぐっ!?ね、眠気・・・・」

 

「ああ、さっき飲んだ薬、凄い効くんだけど副作用として睡眠欲に襲われるんだ」

 

「な・・ん・・・だと?」

 

「今日はもうおねんねして、明日からよろしくね♪ゆ・う・き・ちゃ・ん」

 

襲われる睡魔に勝つことが出来ず、アリアの満面の笑みを浮かべていたのを最後に俺は意識を落とした。




桜「お姉ちゃん、優しい」

アリア「こんな可愛い妹を厳しくしないお姉ちゃんはいないよ〜」

桜「褒めてくれる、好きなものを食べさせてくれる、おまけに強い」

アリア「(割と遊輝ちゃんも同じことをしてるはずなのにこの違い・・・・)」

桜「ところでお兄ちゃんは?」

アリア「遊輝ちゃんはね、明日に向かって英気を養うためにもう寝たの」

桜「?・・・・次回、『優姫ちゃんのモデル生活』・・・・誰?』

アリア「次回もよろしく」


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第16話 優姫ちゃんのモデル生活

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
去年は色々と辛い一年でしたので、今年はそれを吹っ切れる歳にしたいんですけど厄年なんすよね〜・・・

作者は元旦からバイトのため、これ投稿している時はもう寝ています。


みんな大好き優姫ちゃん回。冗談抜きで最後の人気ランキング、この名前多かったんだよな(汗)

諸事情により最後の人気ランキング発表してなかったので簡易的にここで発表します。本当は色んな人投票してもらったけど5位まで発表で許してね。

1位 奏
2位タイ 優姫(マジで誤字にあらず、一体どうしてこうなった・・・・)
2位タイ アリア
4位 祈
5位タイ 龍可
5位タイ すみれさん



実は奏さんが初めての人気投票1位でした。途中まではアリアがぶっちぎりそうな展開でしたけど。


遊輝 side

 

 

「ん・・・んん・・・・」

 

重たい瞼を何とかこじ開けて目を擦る。何故か記憶が曖昧なまま寝てしまった。

えっと・・・・昨日何があったっけ?確か熱出て、アリアが来て、看病してもらって、夜に・・・・

 

「(!?ヤバっ!?逃げな)「はぁ〜い優姫ちゃん、元気だった?」!?!?」

 

昨日のことを思い出して脳が一気に覚醒、上半身を起こしてすぐに逃げる準備をしようとしたが、扉から悪魔の声が聞こえて背中に悪寒が走る。カクカクとそっちの方に首を振り向ける。そこにいたのは俺の一番の苦手な人が娘とアリア、桜を連れて立っていた。

 

「す、すみれさん・・・・・・」

 

茜のお母さん。栗城すみれ、ファッション業界では知らない人がいないと言われるカリスマ的なファッションデザイナー。オーソドックスなデザインから斬新なデザインまで描けるこの人は生粋のオールラウンダー、現在は日本で個人事務所を経営している。

 

「優姫ちゃん、久しぶり〜、風邪ひいていたっけ言っていたけど大丈夫〜?」

 

「え、えぇ・・・お、おかげさまで・・・」

 

「それは良かった。それでね、あなたの仕事、6ヶ月も滞っているのよ。これどうしてくれるの?」

 

「い、いやぁ・・・・べ、別の人にやれば良いんじゃないんですかね、ハハハ・・・・・」

 

「あなた・・・・・自覚が無いみたいね。うちの事務所の稼ぎ頭という自覚を、優姫ちゃん、あなたはこれから溜めに溜めたお仕事をしなくちゃいけないの。1週間、泊まり込みで」

 

「自分今日から部活の練習に行かないと行け「そんな嘘言っても無駄よ」・・・・・」

 

俺がとっさに考えた嘘を簡単に見破る後ろの娘、それをされて俺はそっと目を逸らした。おのれ茜!余計なことを!こうなったら実力行使だ!

 

「逃げるんだ(ガチャっ)!?!?」

 

「無駄無駄、遊輝ちゃんの考えることは手にとって分かるんだから、昨日寝ている間に足を拘束したから」

 

ベッドから飛び降りて逃げようとしたが足が動かせないことに気づき、布団をめくり上げる。俺の両足はベットの脚と繋げられていた。

 

「観念した方がいいよ。6ヶ月も仕事を放棄した罪は重いよ」

 

「茜、桜ちゃんを連れてリビングに行って」

 

「は〜い」

 

「アリア、あなたは準備を」

 

「は〜い♪」

 

茜は桜を連れて別の部屋へ、アリアはすみれさんより前に出て、手には包帯を持ってこっちに近づいてきた。それを見て俺の震えはさらに大きくなる。

 

「ア、アリア・・・お前は一体に何をするつもりだ・・・・」

 

「ふっふっふっ、今から遊輝ちゃんを女の子にする儀式、(ピーーーーーーー)だよ」

 

「!?!?!?」

 

「アリア、やりなさい」

 

「あいあいさー!!!」

 

「やめろ!!マジでやめろ!!!」

 

妙な動きで手をクネクネとさせて俺に近づいてくるアリア。それを見て動けない俺はカクカクと震えることしかできなかった。

 

「やめろ!!やめ、ああああ!!!!!!!」

 

 

遊輝 side out

 

 

桜 side

 

 

「っはよ〜」

 

「おはよ〜」

 

「じゃあこれ、今日のメニュー」

 

「うっひゃー、ハードハード」

 

お兄ちゃんの悲鳴が聞こえる前あたりから軽音部のメンバーや恭輔、祈が家にやってきた。今日からしばらくはこっちで練習するみたいだ。そして知らない人たちは知らない機械を触っている。

 

「何でこっちで練習するの?」

 

「今日から本格的な全体練習が入るのよ。前までは部室でやっていたけどやっぱ狭くてね、ここだったら広いし、下の階にも響かない防音だからね。本当のスタジオを借りたらそれだけで1日数万円吹っ飛ぶし」

 

「あっ、桜ちゃん、スタッフさんが入るけどこういう証明書を首に掛けているの。その人たちは私たちが信頼した人だから通しても大丈夫、逆にこれ掛けて無かったら怪しい人」

 

「ん、わかった」

 

「お邪魔します」

 

「小林さ〜ん、お久しぶりです」

 

知らない人ばっかり来るけど確かに首には証明書をぶら下げている。これならあいつらとの区別もつける。心配しなくていい。

 

「桜さん、僕たちは期末テストの対策でもしておきましょう」

 

「再来週からテストですから・・・・」

 

「ん、分かった」

 

テスト勉強はちゃんとしておかないと響みたいに頭が悪くなって将来恥を描くってお兄ちゃんが言っていた。確かにあれは周りにバカって言われても仕方ない。

 

「いやああああ!!!!」

 

「ほらこっち来て!外で撮影するんだから!!」

 

「嫌だああ!!こんな格好見せたくない!!」

 

「・・・・・・・・・・・誰?」

 

お兄ちゃんの大声が廊下からリビングまで響き渡る。そんな事御構い無しに茜のお母さんが知らない女の子を連れてこっちにやってきた。本当に誰?

 

「///嫌だああ・・・・嫌だあ・・・・」

 

「仕事を6ヶ月も放棄した優姫ちゃんが悪いんだから、ほら今日で20着分終わらせるわよ」

 

「そんなの聞いてない!!」

 

「今言ったから、因みにこれが1週間分あるからね」

 

「恭輔、あれ誰?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「きょ、恭輔さん・・・・気持ちはわかりますが質問には」

 

「・・・・・うです」

 

「えっ?なんて?」

 

「あれ・・・・師匠です」

 

「・・・・・・!?!?!?!?」

 

恭輔がポツリと小さな一言で言って聞こえなかったのでもう一度聞き直した。少しポカンとしてしまったが、突然頭がヒートして茜のお母さんが連れた女の子を何度も見る。

 

「えっ・・・えっ・・・・あれ、お兄ちゃん?」

 

「さ、桜さん・・・・すごい衝撃を受けていますけど」

 

「あれを初見で見て驚かない方が可笑しいです」

 

「えっ・・・・えっ・・・・えっ?」

 

「じゃあ行くよ、開幕ナンバー「レミ、レミ」うん?どうしたの桜ちゃん?」

 

あまりにも衝撃的過ぎて未だに信じられず、近くにいたレミに尋ねる。あれがお兄ちゃんなんて信じられない。

 

「お兄ちゃん、何でここにいる全員より可愛いの?」

 

グサッ!!!

 

「お、おう・・・・い、今のはなかなかの一撃・・・・」

 

「大丈夫私はまだ勝てる私は勝てる私は勝てる」

 

「モデルなのに・・・本業モデルなのに・・・・・」

 

「おおいお前ら、そんな所でへこたれるなよ・・・・練習ならねぇじゃぇか」

 

私がレミに質問をした瞬間、響、奏、茜の3人がガクンと地面に手を置いたり、膝まづいてしまう。ドラムの前に座っていたスバルはそれを見て凄い気まずそうな顔をしている。

 

「遊輝のあれ?さぁ?本人の生まれ持った才能じゃない?」

 

「・・・・お兄ちゃんはお兄ちゃんだよね?」

 

「質問の意味がよく分からないけど、まぁ遊輝だよ」

 

「・・・・・お兄ちゃんって実は女性?」

 

「かもね〜。はいはい、練習するよ」

 

そう言ってレミは奏や響たちを立ち上がらせる。私はお兄ちゃんの一日にやってきたことを思い出す。朝早くに私より起きて、二人分のお弁当と朝食を作り、掃除・洗濯をする。帰ってきたら真っ先に洗濯物を取り込み、風呂掃除をして、夕ご飯を作る。それが終わったら洗濯物をたたみ、アイロンを掛けている。休日も趣味は料理研究とか言って買い物したり、アクセサリーを見たりしている。

・・・・・・私の中に対するお兄ちゃんの評価が男性的な評価は下がり、女性的な評価は上がり始めた。

 

「お兄ちゃんは女性的」

 

「それ、師匠の前で言ったら桜さんでも拳骨されますよ。師匠容赦ないですから」

 

「あれ見てこれを言わない方が可笑しい」

 

「ひ、否定はしません・・・・」

 

うん、お兄ちゃんは女性、これで私の答えが出た。 そうなるとお兄ちゃんが何をしているのか気になってきた。

 

「・・・・・見てみたい」

 

「えっ?」

 

「お兄ちゃんのあれ、見てみたい」

 

「まぁ・・・・見る分にはいいんじゃないんですか?」

 

「ゆ、遊輝さん色々言ってきますよ」

 

「すみれさんかアリアさんあたりに押されるか論破されて折れますよ」

 

「・・・・確かに」

 

「じゃあ行こう」

 

私たちはテスト勉強そっちのけで練習している軽音部たちを横目にベランダに出る。大きなプールに沢山の草木が生えて、ネオドミノシティを一望できる大きなベランダ、その一角でお兄ちゃんは女性用の服を着て写真を撮られていた。カメラマンの横にすみれさんとお姉ちゃんがいる。

 

「遊輝さん、もっと笑ってくださいよ、いくらなんでもその顔じゃ無理がありますよ」

 

「///む、無理なもんは無理!」

 

「仕事が終わらなかったらそれだけ伸びるわよ」

 

「早くやった方が仕事を終わらせるよ!仕事出来ない能無し!」

 

「///ぐぬぬぬ・・・・」

 

「ほら!笑顔笑顔!ニコッ!」

 

「///・・・・二、ニコッ」

 

お姉ちゃんに笑顔にされるように催促されてお兄ちゃんが笑顔を無理矢理作る。あれが愛想笑いか、愛想笑いなのにこの破壊力。

 

「・・・・お兄ちゃん、本当にモデル向いているんじゃない?」

 

「///おい桜!!今の聞こえたぞ!!飯抜くぞ!!」

 

「困る、それ困る」

 

「優姫ちゃん!!可愛い妹を虐めることするな!!」

 

「///いててて!!!頭殴るな!!」

 

お兄ちゃんがお姉ちゃんに頭をポカポカと殴られる。うん、お兄ちゃんはああいう時、お姉ちゃんに弱い。普段から弱いけど。

 

「ほら!次の写真撮るわよ!部屋戻って着替える!」

 

「///ううう・・・・」

 

何枚か写真を撮り終えてお兄ちゃんはお姉ちゃんに連れられて部屋に戻った。この様子だと本気で1週間あの状態が続く。

 

「じゃあ写真確認します。一回着替えてくださ〜い」

 

「優姫ちゃん!着替えに戻るわよ!」

 

「///ひ、引っ張るな!」

 

カメラマンの人が大きな銀色の箱からカメラのメモリーを取り出して色々といじりだした。その間にお姉ちゃんはお兄ちゃんを連れて部屋に戻っていく。

 

「そういえば祈、課題のデザインは終わった?」

 

「い、いえ、大方のデザインは出来ましたけど細かいところでまだ悩んでいて」

 

「3日で大方か・・・・後で見せてもらうわ」

 

「は、はい!」

 

「デザイン?」

 

「祈さん、ファッションデザイナー志望なんですよ。だからすみれさんのところに弟子入りしているんです」

 

「ん、分かった」

 

ファッションデザイナー志望なのか、それでたまに白紙に服を描くんだ。服の絵を描くのが好きなのかと思っていた。

 

「それじゃ戻りましょう。テスト勉強もしないといけないですし、何より課題を進めないといけないので」

 

「ん、確かに」

 

私的にテストは余裕だが課題はまだ終わらせていない。面倒臭いものは溜めたら後から大変だからさっさと終わらせてしまおう。そう思い恭輔と祈と一緒にリビングに戻る。帰り際に別の服に着替えていたお兄ちゃんを見たけど、やっぱり女子力高いと思った。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「理科終わりました・・・・」

 

「こっちもです。今回は難しかったですね」

 

「基本がわかればできる」

 

「桜さんは本当に凄いですね・・・」

 

リビングでは軽音部が練習して追われたので私の部屋に集まって課題を進めた。まずは理科と社会を終わらし、恭輔と祈は息をつく。

 

「11時半回ってますし・・・お昼ご飯食べましょう」

 

「そうですね・・・・とりあえずリビングに行ってみましょう。皆さんがまだ練習しているようでしたら僕で3人分作ります」

 

ひとまず午前中にやることを終わらしたので一旦リビングに戻る。軽音部のみんなはまだ練習をしていて、ベランダではお兄ちゃんの写真撮影が続いている。

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

「もうちょっとかかりそうですね・・・なんか作りましょう」

 

「確か冷蔵庫の横にカップ麺」

 

「何でそんな栄養のないものを言うんですか、ちゃんと冷蔵庫を見ますよ」

 

そう言って恭輔は冷蔵庫を上から見ていき、適当な食材を手にする。料理なんか作らなくとも横にあるカップ麺を食べたら早く終わる。

 

「ってか勝手に使ったらお兄ちゃんが怒る」

 

「こう言う時は大丈夫ですよ。許可得てます。んん・・・・・これで簡単なものだとコロッケですかね。コロッケ作りましょう」

 

「か、簡単なものでコロッケを作るあたりが凄いですね」

 

「色々と省きますけど、そんな時間もかけてられませんし。とりあえずジャガイモと合挽肉を調理しましょう。付け合わせは適当な野菜で」

 

恭輔は冷蔵庫から色んな食材を取り出す。そして大きめの鍋を取り出して水を入れる。

 

「祈さん、じゃがいもの皮むきと角切りお願いします。桜さんはピーマンと人参を切って炒めてください」

 

「ん、わかった」

 

恭輔からピーマンと人参、あと玉ねぎをもらい、包丁とまな板を取り出して切っていく。その前に水洗い。改めて見るとお兄ちゃんの料理グッズは異常、なんでまな板を3枚も持っているのか不思議で仕方ない。その間に恭輔はひき肉に味付けをして混ぜ合わせる。

 

「ジャガイモの合間に味噌汁でも作ってしましょう。ご飯は冷蔵庫にありましたけど足りないですし炊けるだけ炊きましょう」

 

 

〜〜(40分後)〜〜

 

 

「出来ました」

 

「大量に作りましたね・・・」

 

「どうせ皆さん食べますから」

 

恭輔が40分かけて30個近くのコロッケに付け合わせの野菜、味噌汁と冷やご飯を作り上げてしまった。

 

「おお〜、いい匂い〜」

 

「美味しそう〜」

 

ゾロゾロと軽音部のメンバーが集まってきた。スタッフさんはカバンの中からおにぎりや弁当箱を取り出す。

 

「どうぞ、一人2〜3個くらいです」

 

「いっただきま〜す!」

 

揚げたてのコロッケを一つ手にした響は大きな口を開けて放り込む。そのまま会釈したけどすぐに咳き込んだ。

 

「あつ!?ゴホッ!ゴホッ!」

 

「バカねぇ、揚げたてなんだから。それにそんな大きな物を一口で食べようとしないでよ」

 

「うんま〜い、恭輔君。本当何でも作れるようになったわね」

 

「最近は自分の家でも作ってますよ。お母さん代わりで晩御飯作ったり」

 

「遊輝ってこういう事教えるんだから」

 

「休憩入るわよ。そのままご飯食べましょう」

 

「///ううう・・・・」

 

「ほら優姫ちゃん、そんな顔を隠しても意味ないよ。頭隠して尻隠さず」

 

ベランダにいたお兄ちゃんとお姉ちゃん、茜のお母さんとカメラマンもリビングに戻ってきた。どうやらこのまま休憩するみたいだ。

 

「おっ、美味しそうなコロッケ」

 

「恭輔っちが作ってくれたの。めちゃくちゃ美味しいよ」

 

「どれどれ〜・・・・う〜ん、ホックホク」

 

ベランダから戻ってきたアリアさんはキッチンで手を洗い、そのままコロッケを一口食べる。

 

「お、俺も「優姫ちゃん!一人称が違う!」・・・・・・」

 

「食べ終わったら休憩ね〜。2時間後再開しましょう。ふわぁ・・・私寝るわ」

 

「お休み〜」

 

すでに食べ終えていたレミはソファに横になりそのまま寝た。凄い速さだ、1秒もかかってない。それを見て茜は毛布をかける。

 

「色々とお疲れだからゆっくりさせてあげて」

 

「こいつここ最近また寝てないって言うしな・・・・本当、来年は休もうぜ」

 

「そうね・・・・去年から学生生活らしい学生生活なんてしてないし」

 

「良い事ばかりだったわね・・・去年なんかほんと、あっという間だったし今でも夢かと思うよ」

 

「分かるわ〜・・・・このメンバーでWRGP出てさ〜、本線出場を目標にしていたのに」

 

「そう言えばあの時はアリアも来たんだってね」

 

「そうだよ」

 

なんかみんなで過去の話を話し始めた。ああだこうだ言うけど私には分からない。「あの時は」とか言って花を咲かせている。関係のない私は完全に置いてけぼりとなってしまった。

 

「(・・・私の過去?)」

 

ふと思ったことを心の中で思った。私は過去の記憶がない。今までそんな事を考えた事もなかった。思い出したくもないし、思い出さなくてもいいやと思った。理由は過去のことを思い出そうとすると何故かペンダントのマークが思い浮かび、妨害しているように思える。

 

「(・・・・なんで私はあの組織から逃げ出した?なんであの組織のことを考えると異常に感覚が鋭くなるの?)」

 

他にも色んな疑問が思い浮かんでくる。だけど答えは何一つ分からない。お兄ちゃんが懸命に探したり、私の記憶を治そうとしているが改善の余地が今のところない。

 

「(・・・・まぁいいか、今の方がずっと幸せを感じられる)」

 

軽音部のみんながあんな風に笑いあって冗談を言いあう日が私にもいつか来ると思う。その時までずっとここにいる、それが今の私の思い出。

 

「ねぇねぇ、せっかくだしこのゲームやろう」

 

「いいねぇ、それじゃ起動するか」

 

「桜ちゃんもやる?」

 

「やる」

 

響に誘われて私はテレビの前にあるゲーム機からコントローラーを一つ手にした。

 

 

 

 

余談だけど、夜にお兄ちゃんの叫び声がうるさすぎてなかなか眠れなかった。朝起きた時にお兄ちゃんに文句言おうとしたけど、仕草が女の子になっていて、可愛かったので許してしまった。あれは文句なしで可愛かった、異論はない。




桜「・・・・・・・・・・・」←遊輝が載ってるファッション雑誌を見ている

遊輝「///見るなぁ!!!それ見るなぁ!!!」

アリア「うるさいわよ!少しおとなしくなりなさい!」←遊輝を羽交い締めしている

桜「・・・・これは人気でる、間違いなく人気出る」

遊輝「///うるせぇ!!!お前に俺の気持ちが分かるかああ!!アカデミアで俺のファンだと言って色々と渡される俺の気持ちが!!」

アリア「アカデミアではみんな知ってるからね、去年のごちうさのチノのコスプレとか伝説になってるよ。全員含めて、『本物がリアルに出てきた』って」

桜「ごちうさ?」

アリア「アニメだよ。あとで原作の本とアニメ見させてあげる、あっ、あと去年の劇も」

遊輝「///やめろおおお!!!」

桜「ん、楽しみ。次回、『HERO見参』。お楽しみに」


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第17話 ヒーロー見参!

元旦から6連勤、子供向けの大型イベントのバイトに参加した感想、
モンスターペアレントって本当にいるんだな。ありゃどう頑張っても対応できん。


スバル side

 

 

「・・・よし、買い物OK」

 

「っはぁ〜、今回はめちゃくちゃ買ったな」

 

ツアー始まる1週間前、必要なものをショッピングモールに行って買い物をしていた。女性陣と一緒に行ってたら俺たちの買い物ができない。

 

「・・・・何でこんなにたくさん買い物したの?」

 

「来週から1ヶ月間出掛けるんだよ。その間家に帰れないからこうやって必要なものは買い揃えるんだ」

 

「出掛ける?」

 

「来週からお仕事があるんだよ」

 

「・・・・モデル?」

 

「違うからな!!!そんな仕事なんか絶対にしないからな!!」

 

「?お兄ちゃんの仕事ってモデルなんじゃ」

 

「違うから!!!モデルじゃないからな!!」

 

「おい遊輝、騒ぎすぎだ。他のお客さんに迷惑だろ」

 

凄い大きな声で桜に色々と訂正する遊輝、あまりにも声が大きいので色んな人がこっちを見ている。側からみれば兄弟喧嘩にしか見えないくらい身長差はあまり変わってない。桜が若干低いくらいか?

 

「そう言えば桜どうするんだよ?一緒に連れて行くのか?」

 

「いや、アリアに任せる。一緒に連れて行っても見守ることが難しいから」

 

確かにそうだな。俺たち練習とか打ち合わせとかしないといけないからその間は桜は一人で待ってもらわないと行けない。そうなるんだったら最初から信頼できる奴にずっと預かって貰った方が安心だな。

 

「・・・・私捨てられる?」

 

「違うから!!!アリアにお願いして1ヶ月間一緒に居てもらうだけだから!!」

 

「・・・・お姉ちゃんの意地悪!」

 

「待てこら桜!俺は男だ!お姉ちゃんって言うな!」

 

「お前ら本当に騒がしいなぁ・・・・」

 

近くにいる俺がこんなにうんざりして聴いているんだ、周りの奴らなんかもっとうんざりしているだろう。

 

「これ以上は迷惑だし帰るぞ」

 

「あっ、ちょっと待った。まだ一つ買わなきゃいけないものがあった」

 

「何だよ・・・・こんだけ買ったのにまだあるのか?」

 

「こっちだよこっち」

 

遊輝が桜の手を握って歩き出す。それを見て俺も遊輝の後ろを付いていく。3階から1階に降りてドラックストアの前に立つ。

 

「ドラックストア?何でまた」

 

「この前テレビでやってたさ、あれ・・・・あの・・・・」

 

「・・・・・洗剤?」

 

「そうそう!!よく落ちるって話題の持ち運び用洗剤!!それ買おうと思って」

 

「そんなもん現地で買えばいいだろ。荷物になるだけだぞ」

 

「なにおう!?洗剤こだわらないと服が駄目になったりするんだぞ!!」

 

「お前それ、モデルの考え」

 

「・・・・お兄ちゃん、未だにあの時から女の子らしい仕草が残っている。この前も普通に座るだけなのにスカートを直すようにして座っていた」

 

「桜!!」

 

「それもう調教じゃねぇか。完全に染み付いているし」

 

桜の話を聞いて俺は逆に呆れてしまった。すみれさんとアリアの奴、一体遊輝に何をさせたいんか・・・・いや、あの人たちはモデルとしてしか見ていな、それも怪しいな・・・・おもちゃかな?

 

「とにかく洗剤買うぞ!」

 

「・・・でもあれ、来月発売の新商品って言ってた」

 

「えっ?」

 

「じゃあ売ってねぇだろ」

 

桜の言葉を聞いた遊輝は慌てるようにポケットからスマフォを取り出してググり出した。全く、そういう前情報はキチンと調べろよな。

 

「うわ・・・・マジかよ」

 

「どうしようにもねぇじゃえか。さっさと帰ろうぜ」

 

「その前にご飯ご飯」

 

「お前本当に口から出てくるのはご飯しかねぇのか」

 

遊輝が桜に注意するが正直、良い時間ではある。問題は桜が満足するようなお店がないことなんだが、俺には知っちゃこっちゃねぇ。

 

「そろそろ良い時間だし、桜は付き合ってもらったんだから別に良いんじゃねぇのか?」

 

「出来れば家で食べて欲しかったが・・・・仕方ない。フードコートに行こう」

 

遊輝が渋い顔をしながらフードコートに行くことを決めて、そのまま同じ階のフードコートコーナーに行く。ドラッグストアから角を一つ曲がり、目の前に沢山のテーブルと椅子がある。そのまま沢山あるテーブルと椅子の周りに並んだ店を見て回っていく。

 

「さて、何食おうか」

 

「俺はステーキでも行こうかな」

 

「・・・・・・・・・」

 

「?どうした桜?選ばないのか?」

 

「・・・・・いる」

 

「えっ?」

 

「見えないけど近くに奴らの仲間がいる」

 

「・・・・・スバル」

 

「おう」

 

桜が異様に警戒しながら辺りを見回していたので遊輝が桜に何を警戒しているのか聞いた。その返答を受けた遊輝は俺に合図を送り、桜を囲むようにしてフードコートコーナー、そしてショッピングモールから出て、駐車場へと出る。

 

「(どうだ桜?)」

 

「(・・・・・つけている。何処かに隠れながらつけている)」

 

「(ここら辺じゃ危ない・・・・確かこの裏に公園があったはずだ)」

 

「(OK、誘おう)」

 

「(・・・・!!お兄ちゃん!!右!!)」

 

「!!ぐっ!!」

 

桜の声に遊輝が反応して二人は前に倒れる。遊輝の右側から何かが飛んできてそのまま壁に当たる。球が破裂してインクみたいなものが吹き飛んだ。

 

「何だあれは・・・」

 

「カラーボールか・・・・」

 

「カラーボールってあの防犯用のアレか?」

 

「ああ・・・あれは確か特殊な洗剤を使わないと落ちない上に落ちた後でもライトを照らして付け回す奴だな・・嫌がらせみたいなものを投げやがって」

 

「!?また来る!?」

 

「ちょっ!?」

 

今度は俺めがけて飛んでくるのが見え、身体を大きくズラしてカラーボールから避ける。避けたカラーボールはまた壁に当たり、インクが飛び散った。

 

「不味いな・・・・・すぐに逃げるぞ!」

 

「お、おう!」

 

「えっ・・・ちょ・・・」

 

桜をお姫様抱っこで抱えた遊輝はそのまま駐車場を駆け抜ける。俺もその後を追いかけるように走る。それに合わせるように右から左から後ろからカラーボールが飛んでくる。

 

「くそっ!無機物だからどこから飛んでくるかわかんねぇ!バリアなんか張ってられる余裕もねぇぞ!」

 

「俺に任せろ!アースグラウンド!」

 

俺が走りながら右足を強く蹴りつける。周りの地面が隆起して目の前以外の三方に壁を作る。カラーボールはその壁に当たっていく。

 

「これなら行けるぞ!」

 

「とりあえず公園だ!そこから遠回りして逃げるぞ!」

 

俺たちは大量のカラーボールから避けつつ、駐車場を抜けて大きな公園に入った。そのまま走り続けると、今度は前方にバリヤードが見えた。

 

「ちっ!めんどくせぇ!」

 

遊輝がバリヤードを見てブレーキをかける。俺もぶつかる訳にはいかないのでブレーキをかける。

 

「誰だよ!?ってどう考えてもあいつらか」

 

「その通りよ」

 

文句を言う遊輝に何処からか女性の声が聞こえてくる。能力を消して辺りを見回すと左後方の木々から一人の女性がこっちにやってきた。

 

「ずいぶんと手間をかけさせてくれるじゃない」

 

「うるせぇ・・・・お前がアリアが言っていた奴か」

 

「アリア?・・・・ああ、その子のお姉さんだっけ?じゃあ私のことも知ってくれているんだ」

 

「名前だけな」

 

「して、そちらの人は?」

 

「遊輝の仲間だ、お前の敵だ」

 

「そう、なら遠慮はしなくていいわね」

 

「!?ぐっ!?」

 

あいつが右手で軽く投げる動作をして遊輝に向かってカラーボールが飛んでいく。少し反応が遅れた遊輝は桜を抱えて左側に飛んだが右足がカラーボールに当たってしまった。

 

「っつう!!・・・・・テメェ何仕込んだ・・・・足が・・・」

 

「あら?カスッただけ?残念。そのボールね、ただのカラーボールじゃないのよ。特殊な薬を仕込んでいてね、当たったら相手の身体を脱力させる、いわゆる弛緩剤なの」

 

「ぐっ・・・・うっ・・・」

 

「お兄ちゃん!お兄ちゃん!!」

 

「遊輝!!大丈夫か!?」

 

「でも残念ね、それが最後の1つなのよ」

 

桜を下ろした遊輝はそのまま跪いてしまう。桜は遊輝に声をかけるが遊輝はなかなか立ち上がらない。

 

「ちっ・・・・み、右足に力が入らない・・・」

 

「さぁ、その子を返してもらいましょうか。次いでだからあなたも連れて行ってあげるわ。私も、ボスもあなたに興味あるの」

 

「だ、誰が・・・・「俺が相手してやる!」!ス、スバル・・・」

 

遊輝が立ち上がること出来ずにいたので俺が二人の前に立ち、相手に対峙する。左腕に少し大きめのリングを付けて、タブレットを付けるとソリッドビジョンによりデュエルディスクが展開される。

 

「やる気ね・・・・いいわ、私そういう人大好き」

 

相手もデュエルディスクを付けて起動する。そのままお互いデッキをデュエルディスクにセットして、オートシャッフルする。

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

スバル LP 4000 キャトル LP 4000

 

「先行は俺だ!まずは魔法カード、E-エマージェンシー・コール!デッキから『E・HERO』と名のついたモンスターを手札に加える!俺はE・HERO エアーマンを手札に加えて、そのまま召喚!」

 

E・HERO エアーマン 攻1800

 

「エアーマンの効果発動!デッキから『HERO』と名のついたモンスターを手札に加える!俺はV・HERO ヴァイオンを手札に加え、カードを3枚伏せてターンエンド!」

 

スバル 手札 2枚 LP 4000

 

ー▲▲▲ー ー

ーー○--

ー -

----ー

ーーーーー ー

 

キャトル 手札 5枚 LP 4000

 

 

「それじゃ、私のターン」

 

キャトル 手札 6枚

 

「自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは特殊召喚できる!手札のSRベイゴマックスを特殊召喚!」

 

SRベイゴマックス 攻1200

 

「ベイゴマックスは召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキからこのカード以外の『SR』モンスターを手札に加える。SRタケトンボーグを手札に加えて、タケトンボーグは自分フィールドにこのカード以外の『SR』モンスターがいる場合、手札から特殊召喚できる!」

SRタケトンボーグ 守1200

 

相手フィールドに繋がったベイゴマがフィールドに現れ、そのベイゴマの先端から1枚のカードが引っ張られて、そのカードが相手の手札に加えられた後、直ぐにフィールドに出てきた。

 

「咲き誇れ、満開に続くサーキット」

 

ベイゴマックスとタケトンボーグの2体が相手の頭上に現れたリンクマーカーの中に入り、右斜め下と左斜め下の矢印が赤く光った。

 

「アローヘッド確認、召喚条件は機械族モンスター2体。私はベイゴマックスとタケトンボーグの2体をリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、F.A.シャイニングスターGT!」

 

F.A.シャイニングスターGT 攻? ↙︎ ↘︎

 

リンクマーカーの中からF1で使われるようなスポーツカーが爆音とともにフィールドに現れて駆け抜ける。

 

「攻撃力が分からないだと?」

 

「シャイニングスターはこのカードのリンク先の『F.A.』モンスターのレベル×300ポイントあがるわ」

 

「なるほど・・・つまり今から大量にモンスターを出すってことか」

 

「そういう事、F.A.ハングオンマッハを召喚」

 

F.A.ハングオンマッハ 攻?→1200

F.A.シャイニングスターGT 攻?→1200

 

「ハングオンマッハも自身のレベル×300ポイント攻撃力が上がるわ、ついでにレベルが7以上になると相手は墓地に送るカート全てが除外されるわよ」

 

成る程、つまりダークロウ状態というわけか。確かに厄介だ。

 

「フィールド魔法、F.A.サーキットGPを発動!」

 

「『F.A.』モンスターの共通効果で『F.A.』魔法・罠カードを発動するたびに効果が発動する。ハングオンマッハはレベルが1つ上がり、シャイニングスターにはアスリートカウンターを1つ置くわ」

 

F.A.ハングオンマッハ ☆4→5、攻1200→1500

F.A.シャイニングスターGT 攻1200→1500 C 0→1

 

「因みにシャイニングスターは1ターンに1度、アスリートカウンターを1つ取り除くことでモンスター効果の発動を無効にして破壊するわ、注意することね」

 

「どうも」

 

随分余裕があるんだな、まぁめんどくさいことに変わりはない。除去を考えないといけないな。じゃないと手札のこのカードも腐ってしまう。

 

「さあ行くわよ!バトル!バトルフェイズに入った時、サーキットGPの効果でバトルフェイズの間、自分フィールドの『F.A.』モンスターのレベルは2つ上がる!」

 

F.A.ハングオンマッハ ☆5→7、攻1500→2100

F.A.シャイニングスターGT 攻1500→2100

 

「まずはシャイニングスターGTでエアーマンに攻撃!」

 

F.A.シャイニングスターGT 攻2100

E・HERO エアーマン 攻1800

 

スバル LP 4000→3700

 

「ぐっ!?」

 

「ハングオンマッハのレベルが7以上のため、戦闘で破壊されたエアーマンはゲームから除外される!さらにフィールド魔法、サーキットGPの効果!自分フィールドの『F.A.』モンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した場合、カード1枚をドローする!」

 

キャトル 手札 3枚→4枚

 

「続いてハングオンマッハでダイレクトアタック!」

 

「リバースカードオープン!罠カード、ガード・ブロック!この戦闘ダメージを0にして1枚ドローする!」

 

スバル 手札 2枚→3枚

 

「メインフェイズ2に入る、バトルフェイズが終わったことでサーキットGPのレベルが上がる効果は終わるわ」

F.A.ハングオンマッハ ☆7→5

 

「カードを3枚伏せてターンエンド」

 

 

スバル 手札 3枚 LP 3700

 

ー▲ー▲ー ー

ーーーーー

ー ○

----○

▲ー▲ー▲ ▽

 

キャトル 手札 2枚 LP 4000

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

スバル 手札 4枚

 

「スタンバイフェイズ、リバースカードオープン!F.A.ダウンフォース!自分フィールドの『F.A.』モンスター1体のレベルをエンドフェイズまで2つあげる!さらに『F.A.』魔法・罠カードを発動したことでハングオンマッハのレベルは1つ上がり、シャイニングスターにアスリートカウンターを1つ置く!」

 

F.A.ハングオンマッハ ☆5→7→8、攻1500→2400

F.A.シャイニングスターGT 攻1500→2400、C 1→2

 

めんどくせぇなぁ・・・・つまりこのターンもゲームから除外されるってことか。そうなるとまずハングオンマッハから除去するか、あいつ居なくなるとシャイニングスターは攻撃力が0になる。

 

「リバースカードオープン!罠カード、夢幻泡影!対象はハングオンマッハ!」

 

「リバースカードオープン、カウンター罠、魔宮の賄賂!夢幻泡影の効果を無効にして破壊、その後相手は1枚ドローする」

 

「チッ、ドロー!」

伏せていた夢幻泡影を交わされて、軽く舌打ちをしてカードを1枚ドローする。今のはかなり厳しいが相手の魔法・罠はこれで無くなった、作戦を変えてシャイニングスターから倒そう。

 

「さあ打ち止めかしら?」

 

「まだだ!魔法カード、壺の中の魔術書!互いのプレイヤーは3枚ドローする!」

 

スバル 手札 4枚→7枚 キャトル 手札 1枚→4枚

 

「(・・・よし!)速攻魔法、禁じられた聖杯!ハングオンマッハの効果を無効にして攻撃力が400ポイント上げる!」

 

「可愛くないね・・・・ハングオンマッハ自身の効果で上がったレベルは下がり、それに伴って攻撃力も変化するわ」

 

F.A.ハングオンマッハ ☆8→6、攻2400→400

F.A.シャイニングスターGT 攻2400→1800

 

「V・HEROヴァイオンを召喚!」

 

V・HERO ヴァイオン 攻1000

 

「ヴァイオンの効果発動!デッキから『HERO』と名のついたモンスターを墓地に送る!」

 

「シャイニングスターの効果発動!このカードのアスリートカウンターを1つ取り除いてモンスターの効果の発動を無効にして破壊する!」

 

F.A.シャイニングスターGT C 2→1

 

召喚されたヴァイオンがシャイニングスターの効果で効果が無効にされて破壊されてしまう。

 

「あんたバカじゃないの?」

 

「これで良いんだよ、こっちを使おうと思っていたからさ。魔法カード、ヒーローアライブ!自分フィールドにモンスターがいない場合、ライフを半分払ってデッキからLv4以下の《E・HERO》モンスターを特殊召喚する!E・HERO シャドー・ミストを特殊召喚!」

 

スバル LP 3700→1850

E・HERO シャドー・ミスト 攻1000

 

俺のライフを半分支払い、デッキからシャドー・ミストがフィールドに現れる。

 

「シャドー・ミストの効果発動!特殊召喚成功時、デッキから《チェンジ》速攻魔法を手札に加える!マスク・チェンジを手札に加えて、バトル!」

 

「バトルフェイズに入ったことでサーキットGPの効果!ハングオンマッハのレベルを2つ上げる!」

 

F.A.ハングオンマッハ ☆6→8

F.A.シャイニングスターGT 攻1800→2400

 

「シャドー・ミストでハングオンマッハに攻撃!」

 

「リバースカードオープン!速攻魔法、F.A.ピットストップ!ハングオンマッハのレベルを2つ下げ、墓地の同名カード+1枚ドローする!」

 

キャトル 手札 4枚→5枚

F.A.シャイニングスターGT C 1→2

 

E・HERO シャドー・ミスト 攻1000

F.A.ハングオンマッハ 攻400

 

キャトル LP 4000→3400

 

「メインフェイズ2、カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

スバル 手札 3枚 LP 1850

 

ー▲▲▲ー ー

ーーーーー

ー ○

----ー

ーーーーー ▽

 

キャトル 手札 5枚 LP 4000

 

 

「私のターン、ドロー」

 

キャトル 手札 6枚

 

「スタンバイフェイズ、リバースカードオープン!速攻魔法、マスク・チェンジ!フィールドのシャドー・ミストをリリースして変身!M・HERO ダーク・ロウ!」

 

M・HERO ダーク・ロウ 攻2400

 

フィールドのシャドー・ミストがリリースされて、ダーク・ロウがフィールドに現れた。

 

「シャドー・ミストの効果発動!デッキから『HERO』モンスター1体を手札に加える!」

 

「シャイニングスターGTの効果発動!カウンターを1つ取り除いてシャドー・ミストの効果を無効にする!」

 

F.A.シャイニングスターGT C 2→1

 

「ダーク・ロウがフィールドにいる限り、相手は墓地に送られるカード全てゲームから除外される!」

 

「面倒くさいわね」

 

「その言葉そっくりそのまま返してやるぜ」

 

さっき破壊してなかったらこっちが面倒くさい状態だったんだから。

 

「まずはF.A.ソニックマイスターを召喚」

 

F.A.ソニックマイスター 攻?→1200

F.A.シャイニングスターGT 攻?→1200

 

「その召喚時、リバースカードオープン!底なし落とし穴!相手がモンスターの召喚・特殊召喚成功時、そのモンスターを裏側守備表示にする!」

 

「チッ!ならチェーンで手札から速攻魔法、F.A.ピットストップを発動!ソニックマイスターを対象として、そのモンスターのレベルを2つ下げ、墓地の同名カード+1枚ドローする!今回は2枚ドロー!」

 

キャトル 手札 4枚→6枚

 

俺が発動した底なし落とし穴によって召喚されたソニックマイスターは裏側守備表示になるが、その前に相手が発動した魔法カードの効果で1枚ドローされてしまう。

 

F.A.シャイニングスターGT C 1→2

 

「そしてこの効果で裏側守備表示にしたモンスターは表示形式を変更できない!」

 

「舐めた真似するわね・・・・」

 

「さらにダーク・ロウの効果!相手がドローフェイズ以外でデッキからカードを手札に加えた場合、相手はランダムにカード1枚を選んでゲームから除外する!」

 

ダーク・ロウが相手の前に立ち、相手の手札1枚を刈り取ってゲームから除外する。

 

「前のターンに墓地に送られたF.A.ピットダウンの効果発動!墓地からこのカードをゲームから除外して、墓地の『F.A.』モンスターを特殊召喚する!F.A.ハングオンマッハを特殊召喚!」

 

相手が墓地から発動したピットダウンにより墓地から再びハングオンマッハがフィールドに戻ってきた。

 

「『F.A.』魔法・罠カードの効果を使ったことでシャイニングスターのカウンターもたまる!」

 

F.A.シャイニングスター C 2→3

 

「さらに墓地のF.A.ダウンフォースの効果!墓地のこのカードを除外して、フィールドの『F.A.』モンスターのレベルを2つ上げる!そして『F.A.』魔法・罠を発動したことによりシャイニングスターのカウンターもたまり、ハングオンマッハのレベルも1つ上がる!」

 

F.A.ハングオンマッハ ☆4→6→7

F.A.シャイニングスターGT C 3→4

 

「手札のF.A.カーナビゲーターの効果!自分フィールドの元々のレベルが異なる『F.A.』モンスター1体を対象として、そのモンスターのレベルを元々のレベルにしてこのカードをその差分のレベルとして特殊召喚する!」

 

F.A.カーナビゲーター 守0、☆1→☆3

F.A.ハングオンマッハ ☆7→☆4

 

ハングオンマッハのレベルが元に戻り、相手の手札からカーナビみたいなモンスターがフィールドに現れてきた。

 

「カーナビゲーターは特殊召喚成功時、『F.A.』フィールド魔法をデッキから手札に加える!F.A.シティGPを手札に加える!そしてLv4のハングオンマッハにLv3のカーナビゲーターをチューニング!」

 

「そいつチューナーか!!」

 

☆4 + ☆3 = ☆7

 

「音速の速さ越えし稲妻の車体がフィールドを駆け抜ける!シンクロ召喚!レベル7、F.A.ライトニングマスター!」

 

F.A.ライトニングマスター 攻?→2100

F.A.シャイニングスターGT 攻?→2100

 

ハングオンマッハとカーナビゲーターがシンクロ素材とされ、緑の輪から一つの光となり、その中から今度はミニ四駆の車を大きくしたような車が現れる。

 

「バトルフェイズ!サーキットGPの効果でライトニングマスターのレベルを2つ上げるわ!」

 

F.A.ライトニングマスター ☆7→☆9、攻2100→2700

F.A.シャイニングスターGT 攻2100→2700

 

「これで終わりよ!DMWは返してもらうわ!F.A.シャイニングスターGTでダーク・ロウに攻撃!」

 

「へっ・・・・ダメージステップ開始時、手札のE・HERO オネスティ・ネオスの効果発動!」

 

「!?ダ、ダメージステップ開始時!?」

 

「こいつを手札から捨て、フィールドの『HERO』と名のついたモンスター1体の攻撃力をターン終了時まで2500ポイントアップする!」

 

「なっ!?」

 

手札にあったオネスティ・ネオスがダーク・ロウの真後ろに立ち、背中にある白い翼をダーク・ロウに包み込むようにして折りたたむ。ダーク・ロウに白いエネルギーが与えられ、攻撃力が上昇する。

 

「反撃だ!ダーク・ロウ!」

 

F.A.シャイニングスターGT 攻2700

M・HERO ダーク・ロウ 攻2400→4900

 

キャトル LP 3400→1200

 

「きゃあああああ!!!!」

 

ダーク・ロウの反撃を受けてシャイニングスターGTは破壊、その過剰ダメージが相手に襲う。爺ちゃんに言って手に入れたネオス系のカードの1枚だ。

 

「どうだ!ライトニングマスターも攻撃できまい!」

 

「ぐっ・・・・メインフェイズ2、フィールド魔法を張り替えるわ!F.A.シティGPを発動!」

 

フィールドがレーシングコースから街中に変わり、その一部がレース場へと変貌した。

 

「シティGPはメイン・バトルフェイズにレベルを2つ上げ、『F.A.』モンスターは相手の効果の対象にならない!『F.A.』魔法カードが発動したことでライトニングマスターのレベルも1つ上がる!」

 

F.A.ライトニングマスター ☆7→☆9→☆10、攻2100→3000

 

「カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

「エンドフェイズ、リバースカードオープン!罠カード、砂塵の大嵐!」

 

「ライトニングマスターの効果発動!1ターンに1度、このカードのレベルを2つ下げることで相手が発動した魔法・罠の効果の発動を無効にして破壊する!」

 

F.A.ライトニングマスター ☆8→☆6

 

エンドフェイズに発動した砂塵の大嵐はライトニングマスターから放たれたエネルギー弾によって無効にされ破壊される。

 

 

スバル 手札 2枚 LP 1850

 

ー▲ーーー ー

ーーーーー

○ ー

--○ー▪️

ーー▲▲ー ▽

 

キャトル 手札 3枚 LP 1200

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

スバル 手札 3枚

 

「スタンバイフェイズ、リバースカードオープン!速攻魔法、F.A.シェイクダウン!ライトニングマスターを守備表示に変更して、フィールドのカード1枚を選んで破壊する!私はダーク・ロウを破壊!」

 

F.A.ライトニングマスター 攻1800→守2000

 

相手が発動した魔法カードによりダーク・ロウが破壊されてしまう。

 

「ぐっ・・・・」

 

「ライトニングマスターのレベルが自身の効果で1つ上がり、シティGPの効果で2つ上がる!」

 

F.A.ライトニングマスター ☆6→☆7→☆9

 

これで1枚魔法・罠カードの発動を無効か・・・

 

「リバースカードオープン!罠カード、リビングデッドの呼び声!対象はE・HERO シャドー・ミスト!」

 

「チッ!ライトニングマスターの効果発動!1ターンに1度、このカードのレベルを2つ下げ、リビングデッドの呼び声の発動を無効にして破壊する!」

 

F.A.ライトニングマスター ☆9→☆7

 

「これでもう関係ねぇな!まずはカードを2枚伏せて、手札がこのカード1枚の時、手札から特殊召喚できる!E・HERO バブルマンを特殊召喚!」

 

E・HERO バブルマン 攻800

 

「伏せカード発動!魔法カード、ハーピィの羽根箒!」

 

「!?」

 

フィールドにハーピィの羽根箒が吹き荒れて、相手の魔法・罠カードを全て破壊した。

 

F.A.ライトニングマスター ☆7→☆5

 

「さらに魔法カード、埋葬呪文の宝札!墓地からハーピィの羽根箒、ヒーローアライブ、Eーエマージェンシーコールの3枚をゲームから除外して2枚ドロー!」

 

スバル 手札 0枚→2枚

 

「魔法カード、天の落とし物!互いのプレイヤーは3枚ドローして2枚を捨てる!」

 

スバル 手札 4枚→2枚 キャトル 手札 6枚→4枚

 

「さらに捨てたカード1枚の中にあった代償の契約の効果!手札から捨てられた時、カードを2枚ドローする!」

 

スバル 手札 2枚→4枚

 

「E・HERO マジカル・ウィッチを召喚!」

E・HERO マジカル・ウィッチ 攻1400

 

バブルマンの横にマジカル・ウィッチが召喚され、マジカル・ウィッチが杖を振り1枚のカードが俺の手札に加えられた。

 

「マジカル・ウィッチの効果発動!このカードの召喚時、このカード以外に『E・HERO』モンスターがいる場合、デッキから魔法カード1枚を手札に加える!俺はミラクル・フュージョンを手札に加えて、さらに魔法カード二重召喚(デュアルサモン)!効果で手札からE・HERO エアーマンを召喚!効果でデッキからE・HEROソリッドマンを手札に加える!さあ行くぞ!現れろ!世界を救うサーキット!」

 

「なっ!?」

 

驚いている相手を他所にして俺の上空にリンクマーカーが現れてその中にバブルマンとエアーマンが入っていく。

「アローヘッド確認!召喚条件は戦士族モンスター2体!俺はバブルマンとエアーマンをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、聖騎士の追想 イゾルデ!!」

 

聖騎士の追想 イゾルデ 攻1600 ↙︎ ↘︎

 

リンクマーカーの中から黒い修道服みたいな服を着た白い手の女性と赤い修道服みたいな服を着た金髪の女性が現れた。

 

「リ、リンク召喚を・・・」

 

「お前らだけじゃないぞ!イゾルデの効果発動!リンク召喚成功時、デッキから戦士族モンスターを手札に加える!俺は2枚目のオネスティ・ネオスを手札に加え、魔法カード、融合を発動!手札のソリッドマンとフィールドのマジカル・ウィッチで融合!融合召喚!E・HERO エスクリダオを融合召喚!」

 

E・HERO エスクリダオ 攻2500

 

「おまけだ!魔法カード、ミラクル・フュージョン!墓地のオネスティ・ネオスとソリッドマンをゲームから除外して、E・HERO The シャイニングを融合召喚!」

 

E・HERO The シャイニング 攻2600

 

「エスクリダオは墓地の『E・HERO』の数×100ポイント、シャイニングは除外されている『E・HERO』の数×300ポイントアップする!」

 

E・HERO エスクリダオ 攻2500→2900

E・HERO The シャイニング 攻2600→3800

 

「バトルだ!聖騎士の追想 イゾルデで裏側守備モンスターに、E・HERO エスクリダオでライトニングマスターに攻撃!」

 

「トドメだ!E・HERO The シャイニングでダイレクトアタック!」

 

キャトル LP 1200→0

 

 

WIN スバル LOS キャトル

 

「しゃあ!」

 

「ぐっ・・・・まさか私がこうも続けて」

 

デュエルに勝利して俺はガッツポーズをする。相手の方は悔しそうな表情でこちらを睨んでくる。

 

「これ以上やるようならこっちも実力行使するぞ」

 

「ッチ、目の前の絶好のチャンスを逃すけど良いわ。大人しく引いてあげる。次は無いわよ」

 

そういって相手は背中をこっちに振り向き、大人しく帰っていった。俺はそれを確認した後、遊輝の方を振り向いた。

 

「おい遊輝!大丈夫か!?」

 

「あ、ああ・・・」

 

「お兄ちゃん・・・・」

 

「心配するな・・・って言いたいけどまだ右足の力が入らないな・・・」

 

「手貸すぞ、荷物は俺が持ってやるしそのままセキュリティ直属の病院に行くぞ」

 

「悪い・・・」

 

「桜、タクシー呼んで。急患でセキュリティ持ちって言えばいい」

 

「分かった」

 

遊輝の荷物と俺の荷物、両方を持って遊輝のの肩を持つ。桜は車が沢山通る大通りに行ってもらい、タクシーを捕まえてもらう。




遊輝「ああ・・・・なんとかなった」

スバル「右足が動いてないときはマジで焦ったぜ」

遊輝「すぐに治ってよかったよ・・・・あんな即効性があって持続力あるとか始めてだわ」

桜「・・・・・スバル、普通に強かった」

遊輝「部内では1・2を争う強さだからな。俺とやっても五分五分だし」

スバル「遊輝のデッキの場合、止める場所が明確だからな」

遊輝「それ言われるとぐうの音もでねぇ・・・」

桜「次回、『Hole TURE Live Fes in KIZUNA is MUSIC POWER』」

遊輝「なんか似たような曲をポピパで見たけどその前に決めたツアータイトルです。物凄くダサいけど」

スバル「次回もよろしく!」


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第18話 Hole TURE Live Fes in KIZUNA is MUSIC POWER

前回と違う公演会場

7/1 沖縄
7/5 長崎
7/9 岡山
7/14 兵庫、神戸
7/19 静岡、浜松
7/23 長野
7/27 新潟


8/3、8/4 北海道
8/7 宮城、仙台
8/10、8/11 埼玉
8/17、8/18 神奈川
8/24、8/25 愛知、名古屋
8/31、9/1 大阪
9/4 広島
9/8、9/9 福岡
9/14、9/15、9/16 東京、武道館


倍以上の公演回数、そしてバンドマンの夢、日本武道館が入りました。


遊輝 side

 

 

「あ、暑い・・・・」

 

「そうか?」

 

「あんたシグナーの能力のおかげでしょ・・・太陽が燦々と照りつく・・・」

 

「前に来たときは大晦日と年越しだったからね・・・」

 

沖縄、○○空港・・・・

今年もまた、夏がやって来た。去年から夏になるとアカデミアに早めの夏休みを貰い、軽音部全員で全国を回ることになった。目的はただ一つ・・・・ライブをするためだ。

 

「今回は変な出待ちとか無いわよね。去年のアレは目立つし恥ずかしかったんだから」

 

「まぁ小林さんだから大丈夫でしょう。私たちの事を一番に考えてくれてるし」

 

「あっ、いた。絶対アレだ」

 

「めんそーれ、ようこそ沖縄へ」

 

自動ドアを抜けて空港の到着フロアにスタッフの小林さんがいた。

 

「小林さ〜ん、昨日ぶりです」

 

「ハハハ、遊輝君、足の方は大丈夫なのか?」

 

「おかげさまで」

 

「最初聞いたときはビックリしたよ。護衛のことは聞いているけど自分の身にも気をつけてよね」

 

「それより小林さん、さっきからチラチラとこっちを観ている人が何人かいるんですが」

 

なんかチラチラと見られている気がしてレミが聞いてくる。確かに気になるな。

「君たちのファンだよ。どこから噂を駆けつけたのか、おまけに君たち変装もしないで来るもんだから」

 

「必要ないでしょ。遊輝はサングラス掛けているけど」

 

「いや、マジで夏場はダメ。左目つぶってしまう」

 

俺一人だけサングラスかけていることに奏は言ってきたがマジで夏場の日差しはキツイ。サングラスかけないと左目閉じてしまう。・・・・・病気じゃないと思いたい。視力検査は無事だし。

 

「とりあえず行こうか。この前使ったペンションに泊まるよ」

 

「は〜い」

 

「んん〜!!今日は国際通りで食べるわよ!」

 

「観光なんかしないわよ」

 

「いいじゃん別に!国際通り歩いておもろまちいってショッピングモールくらい」

 

「今日は早めに到着しましたから別に構いませんよ。リハーサルは明日からですから」

 

一人はっちゃける響にレミが活を入れる。小林さんがすぐにリラックスするように言ったので響は落ち込まず、むしろテンションが上がっていく。

 

「よーし食べまくるぞ!」

 

「太るぞ、お前」

 

「大丈夫大丈夫!私太らない体質だから!」

 

「それケーキだけじゃないのかよ・・・」

 

うちの女性メンバーって体重気にしないやつ多すぎる。まぁそのうち二人はピンクの悪魔如き食べまくるが、あれは地球上にいちゃならん生命体だ、地球の食糧食い尽くして人類史が滅んでしまう。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「むっ、今アリアさんと可愛い妹をバカにされた」

 

「・・・・何それ?」

 

「恐らく遊輝ちゃん辺りがバカにしたんだわ・・・あとで確認しよう」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「国際通り到着!!お土産買おう!!」

 

「速えよ」

 

「良いんじゃね?ライブした次の日にはもう長崎だし、郵送すれば良いだろ」

 

「家に代金送りつけて」

 

「親不孝者」

 

ペンションに荷物を置いて早速国際通りに向かった。国際通りに入って開口一番に響はお土産を宣言、しかも送料は親持ちという罰当たりなことを言い出した。

 

「別に良いじゃん!各地のお土産買っていくんだから!」

 

「響のお父さんは世界中駆け回っているんだから日本全国のお土産なんてあんまりでしょ」

 

「まぁ俺もお土産くらい送っておこう。あいつらならどうせ食べ物でいいだろ。サーターアンダギーとちんすこうと紅芋タルトでも送っておこう」

 

あいつらは食べ物送っておけば全て解決する、ある意味楽だ。ピンクの悪魔の唯一の利点だ。

 

・・・・・ピピピ

 

「電話?・・・アリア?はいもしもし」

 

『遊輝ちゃん、今とついさっき、私と可愛い妹をバカにしたでしょ』

 

「・・・・な、何のことだ?」

 

『今一瞬躊躇ったわね』

 

何でこいつ、こんなテレパシーみたいな能力あるんだよ!?しかもついさっきって空港のアレか!?あれも勘付いているのか!?

 

『まぁいいわ。帰ってきた時を楽しみに待ってなさい』

プツン、プー、プー

 

言いたい事言いまくったアリアはそのまま電話をぶつ切りした。俺はスマフォをポケットに直す。

 

「(あいつ・・・すみれさんのテレパシーをいつ習得したんだよ(汗))」

 

あの人もあの人で俺の考えていることが分かるからな・・・・あの人に入門したらみんなテレパシー使えるのか!?いや、それだったら娘の茜とか使えないしな・・・・

 

「?どうしたのよ遊輝っち、こっち見て」

 

「いや、何でもない」

 

とりあえずこの娘だけは普通にして欲しい。

 

 

〜〜(二日後)〜〜

 

 

「じゃあこれでよし」

 

「ふぃ〜・・・身体が楽になった」

 

専属のスタッフから鍼を打ってもらって身体を起こす。ツボを刺激してくれたから身体が軽く感じる。

 

「終わった?」

 

「終わった終わった」

 

「じゃあステージ裏まで行くわよ」

 

「あいよ」

 

既にステージ衣装(と言っても私服)に着替えたレミが俺に催促をして俺も着替えてステージ裏に行く。他のメンバーも気合十分で集まっていた。

 

「来た来た、本番3分前でようやく集合ね」

 

「余裕ねぇ〜、私なんか未だに緊張して肩に力が入るのに」

 

「緊張しても意味ないって去年のツアーで教えてもらったよ」

 

「じゃあみんな、円陣組むわよ」

 

レミの呼び声で俺たち6人で円陣を組み、その周りをスタッフたちが囲む。

 

「今年もこの時期が来たわよ!まず初日!怪我なく、盛り上げていくわよ!」

 

『オイ!!』

 

「行くわよ!1・2・3!」

 

『Let's Go!!!』

 

『お待たせしました、SECRET、ライブツアー、Live Fes in KIZUNA is MUSIC POWER、開演します』

 

パチパチパチパチ!!!!!

 

・・・♪♪♪♪〜〜〜〜〜〜

 

会場のアナウンスが終わり、拍手が巻き起こったあと、ギターのイントロが入る。そのままステージの幕が上がる。

 

『ワアアアアア!!!!!!』

 

すでにスタンバイしていた俺たちは楽器の前にいて、最初のギターイントロを俺と茜のダブリングのように重ね合わせるように演奏する。正面に流れる映像とシンクロするようにギターイントロを続ける。

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

パチパチパチパチ!!!!

 

♪・♪・♪・♪♪♪〜〜〜

 

『オオオ!!!!』

 

ギターのイントロが終わり、そのまま響のキーボードから開幕ナンバーのイントロが流れ始める。ベースとキーボードのセッションに合わせ、マイクスタンドからマイクを持った奏が右手を突きつけてコインを指で弾く。そのままイントロに合わせて歌い始めた。

 

 

1 Only My Railgun 【fridSide】

 

2 Chase the Chance 【安室奈美恵】

 

3 Liar!Liar! 【B'z】

 

♪♪♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

「元気〜〜?」

 

『ワアアアアア!!!!』

 

「えぇ・・・ようこそ、あっごめん間違えた。めんそーれ、SECRETのLive Fesへ」

 

『ワアアアアア!!!!』

 

開幕ナンバーが終わり、そのままマイクをマイクスタンドにマイクを戻した奏がお客さんに向かって話し始める。その間に俺たちは次の曲の準備を進める。

 

「今年もまた、この沖縄の地から全国を回るツアーが始まりました。今年は去年よりもたくさんの場所を回ることができます」

 

『奏さ〜〜ん!!!』

 

『遊輝さ〜〜ん!!!』

 

「ありがとうこざいます、たくさんの場所を回るのはまぁ正直、私たちからすればすごい大変なんだけどこれも皆さんのお陰です。本当にありがとうございます」

 

パチパチパチパチ!!!!!

 

「では、続きましてバンドSECRETのオリジナル曲に入ります」

 

『ワアアアアア!!!』

 

「今年の9月頃にデビューアルバムが発売されますけど、もちろんその中からも歌いますがせっかくですので去年のツアーでもやってなかった未発表曲を・・・」

 

『オオオオオ!!!!』

 

「やりません」

 

『エエエエエ!!!!』

 

「ええって言わないで!!だって出来てないんだから!!」

 

『ハハハハハハ!!!』

 

「それに著作権の問題とか色々あるんだからね・・・・」

 

色々と奏が繋げてくれたおかげで俺たちの準備が終わり、最後にスタッフが奏にアコースティックギターを渡した。

 

「それじゃ準備も出来たし、次の曲行きますか。まずは去年のツアーでも歌った曲から』

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

 

4 星の風 【オリジナル】

 

5 ありがとう 【オリジナル】

 

6 愛の言葉 【オリジナル】

 

7 Happy birthdayの歌 【オリジナル】

 

8 さあ 行こう! 【オリジナル】

 

9 限界突破 【オリジナル】

 

10 Dreaming 【オリジナル】

 

♪♪♪〜〜〜

 

「Dreaming」が終わり、そのまま奏が両手を上げて早めのリズムで手を叩く。そのリズムに合わせて観客も手拍子を始める。

 

「じゃあ行くわよ!!このままの勢いでもっと熱い夜にするわよ!」

 

『オオオオオ!!!!』

 

「B'zの曲をオマージュしてみました!!『RUN』!!」

 

ギターのソロから始まり、そのまま疾走感のあるメロディがドラムとキーボードで流れ始める。

 

 

「お前らと付き合ってこの数十年

「よくもまぁこんな奴らと付き合えたもんだよ」

金髪に染めた俺が運転しながら喋った

誰かが「私の力だね!」と自慢してはみんなで止めて笑いあった

 

時の流れを早く感じるけど 出会ったあの頃と何ら変わらずに

 

走れ 走れ 走れ!!全力で!!

真っ暗な道に希望という光を灯して

飛べ 飛べ 飛べ!!どこまでも!!

いつまでも少年のような心を持って走り続けろよ!!

 

カッコをつけて踊るお前らを見て

「誰がそんな下手な物を見るかよ」と罵倒をした

そんなしょうもないことでまた喧嘩をして

酒を飲んで忘れ笑いあっていた

 

十人十色の思いを抱えて 出会った頃よりもずっと加速して

 

走れ 走れ 走れ!!全力で!!

塗装された新しい地面を蹴りつけて

泳げ 泳げ 泳げ!!どこまでも!!

この世界という海原を相手にしようぜ!!

 

 

「何億分の一という奇跡を信じるんか?」

そんな物 当然信じるぞ でなくちゃ俺たち

出会わなかったんだ

「死ぬなら一人だけだ!!!」そんなくさい自分らしらを捨てようぜ

俺たちはいつでもBEST FRIENDS いつまでもこれからも

 

 

走れ 走れ 走れ!!全力で!!

何もない所から始まる新たな場所へ

走れ 走れ 走れ!!どこまでも!!

時には冗談を言って気を抜くのも いいじゃない!!

走れ 走れ 走れ!!全力で!!

これからもよろしく頼むぜ!!

 

走れ 走れ 走れ!!全力で!!(Let's RUN)

走れ 走れ 走れ!!どこまでも!!(Let's RUN)

走れ 走れ 走れ!!全力で!!(Let's RUN)

走れ 走れ 走れ!!これからも走り続けようぜ!!!(Let's RUN)」

 

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!』

 

この曲が終わり、奏はスタッフから愛用のギターであるランダムスターを手にして、マイクスタンドにマイクを付ける。

 

「次行くわよ!『カミサマドライブ』!」

 

 

♪♪♪〜〜〜

 

「僕らの行く道は誰が決めたのか?

神様?仏様?それとも雷様?

 

「自分で決めた道を信じなさい」

そんな事聞いても99%上手くいかない

結局僕らは日常に埋もれていくんだ

 

あどけない顔で 「大丈夫」と言われて

頭を抱えベンチに座ってた人に

少女はそう呟き 消え去っていく

 

カミサマドライブ

僕らが走っていく道は 結局は僕らではない誰かが決められる

不条理な世界

そんな世界という道を 僕はこれからも走っていくんだろう

 

テレビでみた憧れのキャラクター

主人公?ライバル?それとも悪役?

「俺はこの世界の英雄だ」

クールに格好つけても100%厨二病に

結局僕らはアニメのようにいかない

 

汚れのない瞳で キラキラ見つめられて

跪き絶望を味わっている人に

少女は見つめて 手を差し伸べた

 

カミサマドライブ

僕らが走っている道は 決して平らに出来ているわけじゃない

理不尽な世界

凸凹や険しい崖を超えて 僕らの行く道はこんな風に茨何だろう?

 

 

何故僕らは道に迷うだろう?

(Why will we get lost?)

何故僕らはまたつまずくのだろう?

(Why will we stumple again?)

こんな険しい道を歩いた記憶はない

それでも僕らは理不尽なこの道を走っていくしかないんだ

 

カミサマドライブ

僕らが走っていく道は 結局は僕らではない誰かが決められる

不条理な世界

そんな世界という道を 僕はこれからも走っていくんだろう

 

カミサマドライブ

僕らの走って行く道は 結局僕らには決められない

理不尽な世界

そんな世界でも 僕らは全力で走って行くんだろう 理由(わけ)もなく」

 

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!!』

 

ギターをスタッフに預けた奏が再びマイクスタンドからマイクを手にする。俺がスタッフから交換してもらった愛用のブルーフラワーでメロディを奏で、次の曲のイントロに入る。

 

「次も新曲よ!!『STAR TRAIN』!!」

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

 

「一歩ずつ前へ進んで 大きくジャンプして

大きな太陽登り 始まりの合図

 

僕らの思いは どこに向かって行くのかな?

答えはない 結局探し出すしかないんだ

 

さぁ 今こそ旅立ちの時

希望と不安と少しばかりの夢を心に持って

僕らは 何を探しに出かけるのかな?

その答えを見つけるために出かけるんだろう

 

さあ走り出そう STAR TRAIN to Go!

行き先は華やかに輝く未来だけじゃないけど

蒸気から出てくるのは黒い煙じゃなくて虹色の星なんだよ

 

心の本音に従って 思いのまま突き進んで

壁にぶつかり 凹んでまた1からやり直し

 

色々考えたって 過去に戻りたいと呟いても

大好きな歌を聞いていたら バカバカしくなった

 

ああ 僕らはこのまま

この錆びた鎖に縛られたままかな?

複雑に絡んでもがいても取れないのかな?

だったらこの鎖と共に歩いて行こうじゃないか

 

スピードアップだ STAR TRAIN to Go!

まだまだ夢を叶えちゃいないんだから

窓から見える景色はキラキラと輝いているんだ

 

思いを乗せて旅に出たんだ

例えそれが叶わなくても 僕の決めたことだから後悔なんてないんだ 失敗したらまた新しい夢を立てればいいんだ

 

さあ走り出そう STAR TRAIN to Go!

行き先は華やかに輝く未来に向かって

蒸気から出てくるのは黒い煙じゃなくて虹色の星なんだよ

さあ駆け抜けてこう STARTRAIN to Go!

一度行ったら戻りはしないよ

既定路線の線路なんてないんだ 僕らが作るんだから」

 

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

『イエエエエ!!!!』

 

「ありがとうこざいました!!」

 

奏がマイクスタンドにマイクを戻して、観客にお礼する。そこで一度ステージの照明が全て消えて、その間に裏でスタッフが色々と準備を進める。その間にブルーフラアーのギターを手にした俺がマイクスタンドの前に立ち、俺だけスポットライトが当てられた。

 

「えぇ〜、じゃあここから私のターンということで」

 

『遊輝さ〜ん!!』

 

「どうもありがとうございます。沖縄でライブをやるのは初めてですが、やっぱり暑い場所ですね」

 

『ワアアアアア!!!!』

 

「静まって静まって!!これ以上熱くしたら熱中症で倒れてしまうから!」

 

『アハハハハ!!!!』

 

「冗談抜きで皆さんも水分補給はしてくださいね。ちょうど今、メンバーも水分補給しながら休憩しているので、えぇ今回のテーマ、『KIZUNA is MUSIC POWER』、皆さんどう思いますか?」

 

パチパチパチパチ!!!!

 

「ちょっと予想外の反応が来たけど・・・・個人的には非常に幼稚でダサいと思うんですよね」

 

『アハハハハハ!!!!』

 

「だって幼稚園児が着けそうなタイトルですよ?誰だって思い浮かびそうじゃないですか」

 

『そんな事ないよ!!』

 

『良いよ!!』

 

「褒めても何も出ないからね?あんまり言ったらリーダーに怒られるのでここから本題に入ります。絆って言葉、皆さん知ってますか?あれって本来は家畜とかの動物を繋ぐための綱が原語みたいですよ」

 

『ヘェェ』

 

「そこら辺からヘェーって聞こえた辺りから多分ほとんどの人が知らないと思うんですが、ほとんどの人たちが今じゃ人と人が断つ事のできない繋がりみたいな感じで捉えていると思うんです。ようは何かと何かを繋ぎ止めるようなものみたいなんですね」

 

「絆って漢字は糸偏にこう・・・半分の半って漢字みたいじゃないですか?本来の成り立ちはちょっとグロいので各自で調べて欲しいです」

 

「それで、これで私が何が思ったのかと言いますと、絆って言葉は安易に使っちゃいけない言葉なんだなって、元々は何かと何かを繋ぎ止めるもの、つまり人と人を見えない何かで縛り付けるみたいなニュアンスなんですよ。それって強制的に縛られたらダメじゃないですか?だからこそ、この絆って言葉は大切にしなくちゃいけないけど、安易に使うと逆に拘束してしまう・・・そんな感じなんですよ。だからこそ、今回は明るくしようと、『私たちのメンバーは音楽の力で、ここにいるみんなも音楽の力で繋がっている』。そういう思いを込めたんです」

 

パチパチパチパチパチパチ!!!!

 

「長くなってごめんね?半分以上雑学で眠くなった人いるけど大丈夫?そろそろ準備できたから次の曲行くよ」

 

『ワアアアアア!!!!!!』

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

『オオオオオ!!!!』

 

次の曲のメロディが響のキーボード、スバルのドラムから始まる。明るいポップなメロディで会場のムードは大きく上がった。

 

 

14 君に届け 【flumpool】

 

15 Bitter sweet 【嵐】

 

16 Hometown 【オリジナル】

 

17 叫び 【オリジナル】

 

18 素晴らしき世界 【オリジナル】

 

♪♪♪〜〜〜

 

『イエエエエ!!!!』

 

自分の持ち歌を歌ってすぐにアコースティックギターを手にする。そのままマイクスタンドの前に立つ。

 

「それじゃ次の曲行きます。次の曲はアルバムに入った新曲です。たまたま空を見上げて思ったことを書いてみました。『飛行機雲』」

 

♪・♪・♪・♪♪♪〜〜〜

 

 

「今僕の目の前にある小さな宝箱 オンボロで

鍵穴が 壊れていて 簡単に開けられる 何が入っているんだろうかな?

 

そぅ〜と開けてみたらヒラリとした紙飛行機一つ

なんでこんな物 ずっと入れていたんだろう?あの頃の自分に

 

問いかけてみたら 答えがきた

「裏側を見てごらんよ。僕の夢が書いてあるよ」

そう聞こえたので 裏向けると

 

愛を探して 希望目指して 自由に憧れて

大空へと飛ぶ夢を描いていた

夢や希望や理想を何にも疑わずに

どこまでも続く青い彼方に憧れて

 

ああ あの飛行機雲のように僕もどこか自由の場所へ 飛んで行こう

 

もしも これが夢の中だったら 僕は今でも

こんな気分になれるかな?

 

ドローンやロケットみたいに垂直に上がっても なんか夢や持てやしない

 

問いかけてみても誰も返事がしない

「そりゃそうか だってこんな所誰もいないしな」

そう呟いて ため息を吐く

 

遥か彼方 にある雲に憧れて 心動かされ

世界中にいるたくさんの人に向かって

大きな声で叫んでみよう

どこまで届くか分からないけど

 

 

何にも変わらず 何にも考えず

ただぼぅ〜と空の彼方を眺めて

そう言えば子供の頃も そう言えば今も

そんなに変わっていないじゃないか

 

愛を探して 希望目指して 自由に憧れて

大空へと飛ぶ夢を描いていた

夢や希望や理想を何にも疑わずに

どこまでも続く青い彼方に憧れて

 

どこまでも 伸びていく 飛行機雲みたいに

僕の道も夢もまだまだ続いて行くんだ

自分の可能性をひたすらに信じて

どこまでも続く青い彼方に憧れて

 

ああ あの飛行機雲のように僕もどこか自由の場所へ 飛んで行こう」

 

♪♪♪〜〜〜

 

パチパチパチパチ!!!!!

 

「えぇ、みんなが準備している間に次の、最後の曲紹介です」

 

『エエエエエ!!!!!』

 

「だからさぁ〜、本当にもう・・・・やめてくれる?(汗)」

 

『アハハハハハ!!!!!』

 

「時間あるのよ、労働基準法のこと、本当に話すよ?長いよ〜・・・・まぁそんな冗談は置いといて、最後の曲、個人的にはもうちょっと練ればなぁと思った恋歌です」

 

『オオオオオ!!!!!』

 

「なんでみんないちいち騒ぐの?なんも出てこないよ?」

 

『良いよ!!』

 

『早く聴かせて!!!』

 

「まぁまぁ・・・・突然の出会いから始まった1年の長くて短い恋物語・・・・『春夏秋冬』」

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

 

「小春日和が多くなったけど まだ肌寒い夕焼けの時間

イヤフォンから流れる音楽で僕は気ままに帰ってた

 

街灯の下で倒れている 君を慌てて見つけ

急いで走り出して僕は 病院へと翔ってた

 

不思議な出逢いを体験して 僕らギクシャクのまま一つの家で生活を始め

何の感情も抱かない 君の表情を見て僕は…「君のこと知りたい」

 

「あのね」という言葉を使って 君との距離を感じた

「そうだ」という言葉で返事を した君は僕との距離を離す

 

太陽が眩しく照りつける 蒸し暑さが残る熱帯夜

テレビから流れる音楽で 君は無表情に見ていた

 

夏祭りのイベントでも シナリオ通りのイベントなんて起こらず

和太鼓の音が響いて 盆踊りを踊ってた

 

半年が過ぎても君のことを 何の理解も得ることはできずに

君との距離も縮めない 僕の心は…「君のことを知りたい」

 

「恋」という文字を調べて 僕の心は何を思ってる?

「好き」という言葉を 伝えるために苦労した

 

La La La…………

 

 

小さくて 届かない 君の心

雪のように冷たく 消えていく存在かな

このままいつか 居なくなってしまうんだろ

そう思うと僕は 辛いんだ

 

 

「さよなら」という言葉を使って 君は旅立とうとする

「さよなら」という言葉で 僕は涙を流した

 

「またね」という言葉を 言っても二度と会えない

どんなに頑張ったって評価されない 誰も見ていないんだから

 

La La La さようなら・・・・・消えないように・・・・・ありがとう」

 

 

♪♪♪〜〜〜・・・・・

 

パチパチパチパチ!!!!!!!

 

最後の歌が終わり、ギターをスタッフに渡す。既に6人は立ち上がり観客に向かって頭を下げていき、舞台袖に下がっていく。

 

「今日はありがとうございました!!SECRETでした!!」

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

最後に俺が挨拶をして手を振りながら舞台袖に下がった。観客からは拍手が巻き起こっている。

 

「お疲れ様〜」

 

「お疲れ〜、様子見ていくわよ。準備してね」

 

「うぃ〜す」

 

近くにあった未開封のウーロン茶を飲んで塩飴を一つ手にして口に入れる。その間にも服を着替え始める。こっちの舞台袖にも観客のアンコールの声や拍手が聞こえてくる。

 

『アンコール!!アンコール!!』

 

「ステージの照明付けます」

 

「ドラムから行ってね」

 

「あいよ」

 

「アンコール行きま〜す!」

 

スバルから順番にこっそりと舞台袖からステージへと戻る。塩飴を噛み付くした俺もウーロン茶で口を洗い、飲み込んでスタッフからESPのエレキギターを手にする。奏は右手に青い薔薇をモチーフにしたシュシュを身に付ける。

 

「それじゃ最後、遊輝さんと奏さんが入るタイミングで付けます!」

 

「ではどうぞ」

 

「行くよ」

 

「うっす」

 

奏と同時タイミングで舞台袖からステージに戻る。同時にステージの照明がついて観客は大盛り上がり。定位置に着いた俺はギターのチューニングをして、奏はマイクスタンドの前に立ち、頭を下げる。

 

「アンコールありがとうございます」

 

パチパチパチパチパチパチ!!!!

 

「えぇ・・・アンコールではですね、昨年のツアー最終公演で人気だったガールズバンドの」

 

『オオオオオ!!!!』

 

「ライバルバンドの歌を歌います」

 

『オオオオオ!!!!』

 

「これ分かるかな?今からこのバンドの曲歌うよ」

 

『ワアアアアア!!!!』

 

「それじゃあいくよ!!」

 

♪・♪・♪・♪・♪♪♪〜〜〜

 

『オオオオオ!!!!』

 

レミのベースとスバルのドラムから始まりそのまま奏の力強い歌声が会場に響き渡る。去年のツアーで公表だった、とあるバンドのライバルバンド、その絶対的人気を誇る曲だ。

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

 

21 R 【Roseiia】

 

 

♪♪♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!!』

 

「ありがとうございます!!」

 

奏が頭を下げて、舞台袖から来たスタッフに右腕に着けたシュシュを渡し愛用のランダムスターを手にする。その間にもドラムとキーボードの音は鳴り止まずに観客を盛り上げている。

 

♪♪♪〜〜〜

 

「それじゃこの歌で締めくくるわよ!」

 

『イエエエエ!!!!』

 

「せっかくツアーのタイトルと似たようなタイトルの曲があるんだから!歌わないとね!!いくよ!!『キズナミュージック♪』」

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

 

22 キズナミュージック♪ 【Poppin'Party】

 

 

♪♪♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!!!』

 

パチパチパチパチパチパチ!!!!

 

「ありがとうございました!!」

 

最後の歌が終わり、俺とレミ、奏はギターやベースをスタッフに預ける。その間に後ろにいたドラムのスバルとキーボードの響、パーカッションの茜がステージの前の方に立ち、一列に横に並ぶ。

 

「今日はありがとうね!!最後に今日のメンバー紹介行くよ!ドラム!!遊城スバル!!」

 

奏の紹介でまずはスバルが一歩前に出て観客に頭を下げる。

 

「キーボード、小野寺響!!」

 

「ギター&パーカッション、栗城茜!!」

 

「ベース、葵レミ!!」

 

「ギター&ヴォーカル、遠藤遊輝!!」

 

俺の名前が言われて観客に頭を下げた後、奏からマイクを受け取り、最後のメンバー紹介をする。

 

「それじゃ最後、バンドSECRETのヴォーカル&ギター、水野奏!!」

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

「それじゃ、今日のLive Fes来てくれてありがとう!!今年のツアーもこんな感じで回っていくから応援よろしくお願いします!!」

 

『ありがとうございました!!』

パチパチパチパチ!!!!!!

 

『頑張って!!!』

 

最後のお礼を言った後、俺たちは観客に手を振りながら舞台袖に下がっていき、タオルを手にしてそのまま控え室へと戻っていく。

 

「プハァ・・・・・・あ、あっつ・・・・」

 

「疲れた〜」

 

「無事初日終わったよ〜。良かったね〜」

 

「神頼みした甲斐があるね〜」

 

「誰だよ、そんな神社通いしたやつ〜」

 

「まぁまぁ・・・・それじゃみんな、今年も頑張って行くけど、まずは今日の成功を祝って軽く祝おう!」

 

「イエエエエ!!待ってました!!」

 

そう言って響は控え室に飛び込んでいった。




響「いや〜、やっぱりライブ後の食事は良いねぇ!」

茜「分かる!全部出し切った感じがするから罪悪感なく食べれるよね!」

奏「私逆にヘロヘロで食べたくないんだけど・・・」

遊輝「俺も奏派だな、俺の場合は無理にでも食べないとライブ前に食べてないから」

スバル「そこがよく分からないよな。普通食べないとエネルギー不足になるのに」

レミ「くぅ〜・・・・くぅ〜・・・・・・」

遊輝「次回はネオドミノシティに残った桜やアリアたちの話、『残った者たちは・・・・』」

奏「普通の日常回よ。次回もよろしくね〜」


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第19話 残った者たちは・・・・

インフル完治しました。

今年から専門学校に行くことになったので、今日そこに入学前の授業受けている最中に「デュエマの殿堂発表だな〜」と思って帰り際に見たらドギ剣死んで恨み節多すぎてワロタ。




桜 side

 

 

「・・・・・これお兄ちゃん?」

 

「そう、これ遊輝ちゃん」

 

「・・・・・確かに漫画から出たって言われる」

 

「私の今までの最高傑作だからね!」

 

お姉ちゃんの家で去年、お兄ちゃんたちがやったごちうさの劇を観ている。お姉ちゃんがビデオカメラで撮影していたらしい。控えめに言って、素晴らしい。

一通り原作を目に通してからこの劇を観たら、確かに漫画のキャラが現実世界に出てきた感覚がする。これは老若男女問わず圧倒的に人気を集める。

 

「ア、アリアさん、見せるもの違いますよ。桜さんは遊輝さんの仕事をみたいって」

 

「まぁまぁ祈ちゃん。そんな細かいこと気にしなくても大丈夫大丈夫」

 

「祈、将来お兄ちゃんの衣装デザインするのでしょ?」

 

「わ、私は無理です・・・・」

 

「祈ちゃんならできるよ」

 

「そ、そういう問題ではなくね、倫理が色々と問われます・・・・」

 

「とりあえず本命はこれで置いて、余興ね。これが軽音部たちの仕事よ」

 

アリアお姉ちゃんはビデオカメラのコードを抜いてBDのディスクが入ったパッケージを一つ取り出した。それを機械に入れて操作する。

 

・・・・・ガヤガヤ

 

「・・・なにこれ?」

 

「まぁまぁ見てて見てて」

 

テレビの映像には沢山の人々がタオルやTシャツを着て何処かのスタジアムらしき所に入って行く。その中にカメラも入っていきかなり大きなが見えてきた。

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

「ワアアアアア!!!!!」

 

ステージに付けられた巨大なスクリーンに映像が流れ、それを見た観客が歓声を上げる。まるで人気のアーティストがやるライブみたいだ。

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

映像の途中から6人の人がステージに上がり、楽器を持ったり前に立ったりする。最後に眼鏡を掛けた人がマイクの前に立ち、隣にいる人がギターを弾き始める。そして映像が画面いっぱいに流れ『Live Fes in Poppin'star』と映った。

 

♪・♪・♪・♪〜〜〜〜

 

『ウッ!!』

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

そのメロディに合わせてマイクの前に立つ人が大きな声を出してド派手な花火が打ち上がった。

 

「・・・・・奏?」

 

「そうよ、これ遊輝ちゃんたちのバンドグループ」

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

「・・・・・・・・・・・」

 

映像に映っているお兄ちゃん達のバンドグループ、カバー曲を披露しているはずなのにアレンジが凄い効いていてオリジナル曲に感じる。しかもこのアレンジに不快感が無い。原曲を聴いていないから分からないけど。

 

「・・・・・すごい」

 

「今やバンドグループ、SECRETを知らない人はいないって言われるくらいですから・・・」

 

「今の時代、こうやって大勢の人の前で演奏することが珍しくなってきたからね。ライブハウスとかならまだあるけど」

 

♪♪〜〜♪♪〜〜♪♪〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!!』

 

♪♪〜〜♪♪〜〜♪♪〜〜

 

1曲目が終わって観客が歓声を上げている中、間髪入れずに次の曲に入った。なかなかに早い展開だけど直ぐに入ったことで観客の拍手が起きる。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「見入ってますね・・・」

 

「初めてライブを観た時は迫力に圧倒されるもんね。私もそうだったよ」

 

後ろでお姉ちゃんと祈が何か言っているが今はそんな事どうだっていい。何でか分からない。だけどこのライブは惹きつけられる。私も手を上げて歌いたくなる。

 

♪♪♪♪!!!!!

 

『ワアアアアア!!!!!!』

 

「・・・・・凄い。お兄ちゃん達。こんな事してたんだ」

 

「全国を回るようになったのは去年からですけど、こうやって人々の前で歌っていたのは初期メンバーからでしたらもう6〜7年も前からですね」

 

「そんなに?」

 

「そうです。初期メンバーって言えばレミさん、響さん、奏さんの3人ですけど」

 

「・・・・その3人だけ?」

 

「あ〜、その話は私も前に遊輝ちゃんから聞いた聞いた。小等部で3人だけで路上ライブしたって話」

 

お姉ちゃんがリモコンのボタンでBDを一時中断して言ってきた。あの3人でそんな事してたの?路上ライブ?

 

「でもね・・・・・これ最初大変だったみたいだよ」

 

「えっ?」

 

「わ、私もです。聞いた限り機材を自分たちで運んでセットしてお客さん集めても一人も集まらずに誰に向かってやっているか分からない状態で始めたって」

 

「私も聞いた時そんな感じだったわね。ずっと相手にもしてもらえず1・2年近くしてようやく人が集まったって、前座公演もやらせてもらったみたいだけど」

 

そうなんだ。あの3人でやっていた時は全部自分たちでやっていたんだ。

 

「レミさんがたまに口にしてますから、『昔は全部自分たちでやっていたのに今じゃ準備に手もつけられなくなっちゃったな・・・』って」

 

「ここまで人気が出ちゃうと準備段階で怪我しちゃったら行けないからね」

 

「・・・・・たい」

 

「えっ?」

 

「お兄ちゃんたちのライブ、行きたい」

 

止めてあった映像が再生を始めたところで私は二人にお兄ちゃんたちのライブに行きたい事を言った。せっかく目の前にいるのに今までこんな真剣に聞いたことがない。というかまじめに練習しているところを見ていない。

 

「観たいと言われても・・・チケットがいりますし」

 

「じゃあチケット買う」

 

「もう完売しちゃってるよ。このツアーの前売り抽選は2月と3月に行われたから」

 

「・・・・・・私いない」

 

「そりゃまぁ・・・・・桜さんは4月に遊輝さんに拾われましたから」

 

「コネも使えないわね。もう軽音部のメンバーのコネを使っても席取れないって言われているし」

 

「むぅ・・・・・っていうか二人はチケットあるの?」

 

「あるよ?争奪戦だったけど何とか」

 

「私も、本当は武道館が良かったのですが埼玉の公演で当たりました」

 

「むう・・・・・・・」

 

「あぁでも・・・・1枚あるかも」

 

「えっ?」

 

「ちょ、ちょっと待ってください」

 

何かを思い出した祈はポケットからスマートフォンを取り出して検索を始めた。数秒後、祈はこっちに画面を見せた。

 

「これです、これ。ツアー最終公演の武道館ライブのチケットが当たるキャンペーン。1組しか当たらないですが」

 

「これ応募する」

 

「でもこれ・・・・・テレビ買った人しか応募出来ないですよ」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

祈から絶望的な一言を言われて私は膝から崩れ落ちた。今お兄ちゃんがいないからそんな大きな買い物出来ない。

 

「テレビなら私が買ってあげるよ」

 

「えっ?」

 

「ちょうど私の部屋、テレビ欲しいなぁって思っていたからさ。祈ちゃん、それどこのメーカー?」

 

「えっと・・・・・ここですね」

 

「・・・・分かった、じゃあ家電量販店行ってくるよ」

 

簡単にテレビを買ってくるって言ってそのまま部屋を出て行ったお姉ちゃん。

 

「・・・・・かっこいい」

 

「そ、そうですか?今の時代にテレビが無い方がおかしいですけど」

 

「お兄ちゃんケチ過ぎてこんな大きな物買ってくれない」

 

「(それはまぁ・・・・二人分の生活費を賄ってますから)」

 

お兄ちゃんに欲しいって言ってもテレビなんか買ってくれない。この前引越した際にリビングにテレビを買ったら余計に買ってくれない。

 

「お姉ちゃん帰ってくるまで暇、祈、デュエルしよう。デッキの調整したい」

 

「いいですよ。私も調整したいですから」

 

ついこの間、「カガリ制限になったから1枚にしろよ」というお兄ちゃんの無慈悲な言葉を聞いて未だにデッキをどうしようか悩んでいる。とりあえず今のところ、フル投入している最中だ。一旦お姉ちゃんの家から出て、家の前の道に立ち、祈と対峙してデュエルディスクを装着する。

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

桜 LP 4000 祈 LP 4000

 

「先行は私です!魔法カード、苦渋の決断!デッキからレベル4以下の通常モンスターを墓地に送り、同名モンスターを手札に加えます!ジェムナイト・クォーツを墓地に送り、ジェムナイト・クォーツを手札に加えます!レスキューラビット召喚!」

 

レスキューラビット 攻300

 

祈の目の前にヘルメットを被ったウサギが現れる。

 

「レスキューラビットの効果発動!このカードをゲームから除外してデッキからレベル4以下の同名通常モンスター2体を特殊召喚する!」

 

「・・・・手札から灰流うららの効果発動」

 

「速攻魔法、墓穴の指名者!対象を灰流うららで発動します!」

 

「・・・・最近私の周り墓穴の指名者使う人多すぎ、チェーンで増殖するGの効果」

 

「流石にそれは防げません・・・」

 

「じゃあ解決、増殖するGの効果でこのターン、祈が特殊召喚する度に1枚ドローする」

 

「墓穴の指名者の効果で灰流うららはゲームから除外され、次のターンのエンドフェイズまで効果を無効にします」

 

「レスキューラビットの効果は成立」

 

「デッキからジェムナイト・ガネット2体を特殊召喚!」

 

ジェムナイト・ガネット 攻1900

 

「増殖するGの効果で1枚ドロー」

 

「まぁ・・・・こうなったら掛けです。やるだけやってみましょう」

 

「・・・・嫌な予感」

 

「輝いて!煌めく世界へのサーキット!」

 

祈の上空にリンクマーカーが現れてジェムナイト・ガネット2体がリンクマーカーに入っていく。

 

「アローヘッド確認!召喚条件は『ジェム』モンスター2体!私は2体のジェムナイト・ガネットをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、ジェムナイト・ファントムルーツ!」

 

ジェムナイト・ファントムルーツ 攻1450 ↙︎ ↘︎

 

「増殖するGの効果で1枚ドロー」

 

「ジェムナイト・ファントムルーツの効果!リンク召喚成功時、デッキから『ジェムナイト』カードを手札に加えます!ジェムナイト・フュージョンを手札に加えて、魔法カード、おろかな埋葬!デッキからブロックドラゴンを墓地に送ります!そして永続魔法、ブリリアント・フュージョンを発動!」

 

「・・・何その良ハンド?しかも殺しに来ている」

 

「な、何でそんな言葉を言うのですか・・・デッキからジェムナイト・ラズリー3体を墓地に送り、ジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤを融合召喚!」

 

ジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤ 攻3400→0

 

ブリリアント・フュージョンによりジェムナイト・ラズリー3体が融合されてジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤが出てきた。

 

「増殖するGの効果で1枚ドロー」

 

「墓地に送られたジェムナイト・ラズリー3体の効果!このカードが墓地に送られた場合、墓地の通常モンスター1体を手札に回収します!ジェムナイト・ガネット2体とジェムナイト・ルマリンを手札に加えます!」

 

「・・・・・やっぱおかしい。本当に祈、このターンでトドメさそうとしている」

 

「じゃないと増殖するG使われているのに動きませんよ!墓地のジェムナイト・ラブリー3体をゲームから除外してブロックドラゴンを特殊召喚!」

 

ブロックドラゴン 攻2500

 

「増殖するGの効果で1枚ドロー」

 

「魔法カード、ジェムナイト・フュージョン!光属性のジェムナイト・クォーツ2体を融合!ジェムナイト・セラフィを融合召喚!」

 

ジェムナイト・セラフィ 攻2400

 

「増殖するGの効果で1枚ドロー」

 

「輝いて!煌めく世界へのサーキット!」

 

再び現れたリンクマーカーにブロックドラゴンとジェムナイト・セラフィが入っていく。

 

「アローヘッド確認!召喚条件はモンスター2体!私はジェムナイト・セラフィとブロックドラゴンをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、プロキシー・ドラゴン!」

 

プロキシー・ドラゴン 攻1400 ← →

 

「増殖するGの効果で1枚ドロー」

 

「墓地に送られたブロックドラゴンの効果!このカードがフィールドから墓地に送られた場合、レベルの合計が8になるようにデッキから岩石族モンスターを3体まで手札に加えます!」

 

「・・・・・灰流うらら使ってしまった」

 

「デッキからLv3のジェムナイト・オブシディアとジェムナイト・ラピス、Lv2のクリスタル・ローズの3枚を手札に加えます」

 

墓地に送られたブロックドラゴンの身体が分解されて3枚のカードが祈の手札に加えられた。

 

「墓地のジェムナイト・フュージョンの効果!墓地の『ジェムナイト』モンスター1体をゲームから除外して墓地のこのカードを手札に加えます!ジェムナイト・セラフィをゲームから除外して、このカードを手札に戻して、発動!手札のジェムナイト・ラピスとジェムナイト・オブシディアで融合!ジェムナイト・ラピスラズリを融合召喚!」

 

ジェムナイト・ラピスラズリ 攻2400

 

「増殖するGの効果で1枚ドロー」

 

「手札から墓地に送られたジェムナイト・オブシディアの効果!墓地からLv4以下の通常モンスターを特殊召喚します!ジェムナイト・クォーツを特殊召喚!」

 

ジェムナイト・クォーツ 攻1500

 

「増殖するGで1枚ドロー」

 

「墓地のジェムナイト・セラフィ、ジェムナイト・クォーツ、ジェムナイト・オブシディアの3体の岩石族モンスターを除外して、ブロックドラゴンを再び特殊召喚!」

 

「増殖するGで1枚ドロー・・・・・盤面が埋まった」

 

「これで準備OKです・・・・ジェムナイト・ラピスラズリの効果発動!デッキまたはエクストラデッキから『ジェムナイト』モンスター1体を墓地に送り、フィールドの特殊召喚されたモンスターの数×500ポイントのダメージを与えます!」

 

「手札からエフェクト・ヴェーラーの効果」

 

「!?や、やっぱり持ってましたか・・・」

 

「これをジェムナイト・ラピスラズリを対象に発動。ラピスラズリの効果を無効にする」

 

手札にあったエフェクト・ヴェーラーがジェムナイト・ラピスラズリにキスをして効果を無効にする。あれだけ引いたんだから1枚くらいあるよ。

 

「ジェムナイト・レディ・ブリリアントダイヤの効果!自分フィールドのジェムナイト・ラピスラズリをリリースして、エクストラデッキから『ジェムナイト』融合モンスターを召喚条件を無効にして特殊召喚します!ジェムナイトマスター・ダイヤを特殊召喚!」

 

ジェムナイトマスター・ダイヤ 攻3400

 

「増殖するGの効果で1枚ドロー」

 

「ジェムナイトマスター・ダイヤの効果!墓地のLv7以下の『ジェムナイト』融合モンスターをゲームから除外してそのモンスターと同名カード扱いとして同じ効果を得ます。ジェムナイト・ラピスラズリをゲームから除外!」

 

特殊召喚されたジェムナイトマスター・ダイヤの前にジェムナイト・ラピスラズリが現れてジェムナイトマスター・ダイヤの胸の宝石に吸収された。

 

「そしてジェムナイト・ラピスラズリの効果を吸収したジェムナイトマスター・ダイヤの効果!エクストラデッキから2枚目のジェムナイト・ラピスラズリを墓地に送り、特殊召喚されたモンスターは6体!3000ポイントのダメージを与えます!」

 

桜 LP 4000→1000

 

「・・・・・2枚目あった?」

 

「はい、こういう時のために」

 

「ちょっと考えさせて」

 

「はい」

 

えっと・・・・祈の特殊召喚はあと1回。私のデッキには残りはエフェクト・ヴェーラーが1枚と夢幻泡影が3枚、それを引いても次のターンにこのモンスターを全て除去するか祈のライフを削り切るか・・・・

 

「・・・・・・無理、返せない」

 

「わ、分かりました」

 

私の頭の中の計算で勝つ可能性が限りなく0に近いと出たのでサレンダーする。別にお互いのデッキ調整だし問題ない。

 

 

WIN 祈 LOS 桜

 

 

「完敗・・・・・」

 

「手札良かったですから・・・・まさかおろかな埋葬まであるとは思いませんでした」

 

「納得行かない、私先行でもう一戦」

 

「良いですよ。流石にあれは私も手札が良すぎましたから」

 

先行で1キルされてしまったら私の面目が保てない。今度は私先行でもう一度デュエルをする。

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

桜 LP 4000 祈 LP 4000

 

「私のターン、永続魔法、閃刀機関ーマルチロールを発動。フィールド魔法、閃刀領域ーエリアゼロを発動。カードを1枚伏せて、エリアゼロを対象を伏せカードにして発動」

 

・死者蘇生

・屋敷わらし

・閃刀機構ーハーキュリーベース

 

「閃刀機構ーハーキュリーベースを手札に加えて、対象の伏せカードを墓地に送る」

 

「(・・・・成金ゴブリンですね)」

 

「閃刀機関ーマルチロールの効果、対象は閃刀領域ーエリアゼロ。これでこのターン、私が発動する魔法カードにチェーンが出来なくなった。墓地に送られた閃刀領域ーエリアゼロの効果。デッキから閃刀姫ーレイを特殊召喚」

 

閃刀姫ーレイ 攻1500

 

「現れて、未来へ続くサーキット」

 

閃刀姫ーレイがリンクマーカーの中に入っていき、右上の矢印が赤く光った。

 

「アローヘッド確認、召喚条件は水属性以外の『閃刀姫』モンスター1体。私は閃刀姫ーレイをリンクマーカーにセット、フォームチェンジ、リンク召喚、閃刀姫ーシズク」

 

閃刀姫ーシズク 攻1500 ↗︎

 

「カードを1枚伏せてエンドフェイズ時、閃刀姫ーシズクの効果。デッキから閃刀起動ーエンゲージを手札に加えて、永続魔法、閃刀機関ーマルチロールの効果。このターンに発動した『閃刀』魔法は1枚だから墓地の閃刀領域ーエリアゼロをフィールドにセットする。これでターンエンド」

 

 

桜 手札 4枚 LP 4000 墓地魔法 1枚

 

ーー△▲ー ▼

ーーーーー

○ ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

祈 手札 5枚 LP 4000

 

 

「私のターン、ドロー」

 

祈 手札 6枚

 

「(どこで止めてくるのかしっかりと考えないといけませんね・・・・)魔法カード、予想GUY!自分フィールドにモンスターがいない場合、デッキからLv4以下の通常モンスターを特殊召喚します!」

 

「・・・・ごめん、ちょっと考えさせて」

 

「わ、分かりました。(ここで考える?増殖するG?)」

 

また墓穴の指名者とか言われたら困るし・・・祈のデッキには灰流うららが無いからその心配はないけど、こっちから先行こう。

 

「・・・・・儚無みずきの効果」

 

「?何ですかそれ?」

 

「増殖するGと同じく相手がメインフェイズ時またはバトルフェイズに特殊召喚するたびにそのモンスターの攻撃力分ライフを回復する」

 

「えっ!?」

 

「その代わり、回復しなかった場合はライフは半分になる。チェーンは?」

 

「(ま、不味い・・・・無効にするカードが)な、ない」

 

「じゃあチェーンで増殖するG」

 

「あっ・・・・・」

 

「両方解決。このターン、祈が特殊召喚する度に私は1枚ドロー、特殊召喚したモンスターの攻撃力分ライフが回復」

 

私の前に儚無みずきと増殖するGが現れて、祈の前まで行って儚無みずきはお祈り、増殖するGはブンブン飛び回る。

 

「(・・・・仕方ない。ここは1ターン待ちましょう)ジェムナイト・サフィアを守備表示で特殊召喚!」

 

ジェムナイト・サフィア 守2100→2000

 

「さすが祈、増殖するGで1枚ドロー。攻撃力0のサフィアじゃライフは回復しない」

 

「ジェムレシスを召喚!」

 

ジェムレシス 攻1700→1600

 

「ジェムレシスの効果!デッキから『ジェムナイト』モンスターを手札に加えます!ジェムナイト・オブシディアを手札に加え、カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

「エンドフェイズ、儚無みずきの効果を発動してライフを回復出来なかったから私のライフは半分になる。上手く交わされた」

 

桜 手札 3枚 LP 4000→2000 墓地魔法 1枚

 

ーー△▲ー ▼

ーーーーー

○ ー

ーー◻︎ー○

▲ーーーー ー

 

祈 手札 4枚 LP 4000

 

 

「じゃあ私のターン、ドロー」

 

桜 手札 4枚

 

「魔法カード、トゥーンのもくじ」

 

「あっ・・・それは・・・」

 

「この効果でデッキから『トゥーン』カードを手札に加える。トゥーンのもくじを持ってきて、発動。さらにトゥーンのもくじを持ってきて今度はトゥーン・サイバー・ドラゴンを手札に加える。これで墓地に魔法カードが3枚以上溜まった。魔法カード、閃刀起動ーエンゲージ」

 

「・・・・・止めれません」

 

「なら解決。デッキから閃刀機ーイーグルブースターを手札に加えて、シャッフルした後1枚ドロー」

 

桜 手札 2枚→4枚

 

「閃刀姫ーシズクをリンクマーカーにセット、フォームチェンジ、閃刀姫ーカガリ」

 

閃刀姫ーカガリ 攻1500→2000 ↗︎

 

「閃刀姫ーカガリの効果。墓地から閃刀機関ーエンゲージを回収して発動。今度は閃刀起ーヴィドアンカーを手札に加えて1枚ドロー」

 

桜 手札 4枚→6枚

 

「伏せていたフィールド魔法、閃刀領域ーエリアゼロを発動。効果で対象を伏せカード」

 

・エフェクト・ヴェーラー

・閃刀機関ーマルチロール

・強欲で貪欲な壺

 

「閃刀機関ーマルチロールを手札に加えて、伏せカードを墓地に。墓地に送られたのも魔法カードだからカガリの攻撃力はアップ」

 

閃刀姫ーカガリ 攻2000→2100

 

「さらに速攻魔法、サイクロン。その伏せカードを破壊する」

 

「ブリリアント・スパークです」

閃刀姫ーカガリ 攻2100→2200

 

「危な・・・・装備魔法、閃刀機構ーハーキュリーベースを閃刀姫ーカガリに装備。このカードを装備したモンスターはダイレクトアタックが出来ない代わりにモンスターに2回攻撃出来る。バトル。閃刀姫ーカガリでジェムレシスとジェムナイト・サフィアに攻撃」

 

閃刀姫ーカガリ 攻2200

ジェムレシス 攻1700

 

祈 LP 4000→3500

 

「閃刀機構ーハーキュリーベースの効果。墓地に魔法カードが3枚以上ある場合で装備モンスターが戦闘で破壊した場合、1枚ドロー」

桜 手札 5枚→7枚

 

「メインフェイズ2、閃刀姫ーカガリをリンクマーカーにセット、フォームチェンジ、閃刀姫ーカイナ」

 

閃刀姫ーカイナ 攻1500 ↘︎

 

「墓地に送られた閃刀機構ーハーキュリーベースの効果。墓地のこのカード以外の『閃刀』カード3枚をデッキに戻す。閃刀起動ーエンゲージ、閃刀機ーホーネットビット、閃刀姫ーカガリの3枚」

 

「・・・・ホーネットビットはこのターンのエリアゼロですか」

 

「さらに閃刀姫ーカイナをリンクマーカーにセット。フォームチェンジ、閃刀姫ーハヤテ」

 

閃刀姫ーハヤテ 攻1500 ↙︎

 

「そして閃刀姫ーハヤテをリンクマーカーにセット。フォームチェンジ、閃刀姫ーシズク」

 

「?何でさっきからそんなに閃刀姫リンクモンスターを出すのですか?」

 

「これ、魔法カード、貪欲な壺。墓地から儚無みずき、増殖するG、閃刀姫ーシズク、閃刀姫ーハヤテ、閃刀姫ーカイナの5枚をデッキに戻して2枚ドロー」

 

「ああ、なるほど・・・それでエンゲージもデッキに戻したのですね」

 

桜 手札 6枚→8枚

 

「そう、これだけ手札があったら伏せるカードがいっぱい。それに閃刀起動ーエンゲージは出来る限り使い回したい。カードを3枚伏せてエンドフェイズ、閃刀姫ーシズクの効果でデッキから閃刀起動ーエンゲージを手札に、閃刀機関ーマルチロールの効果は墓地にないから使わない。ターンエンド」

 

 

桜 手札 5枚 LP 2000 墓地魔法 7枚

 

▲ー△▲▲▽

ーーーーー

○ ー

ーー---

ーーーーー ー

 

祈 手札 4枚 LP 3500

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

祈 手札 5枚

 

「レスキューラビットを召喚。効果発動」

 

「手札から灰流うららの効果」

 

「・・・・・無いです」

 

「レスキューラビットの効果を無効にする」

 

祈のフィールドから除外されたレスキューラビットは手札にあった灰流うららによって無効とされる。これでもう、融合関連のカードを引いていない限り祈はしんどいはずだ。

 

「・・・・・・投了ですね。ジェムナイト・フュージョンもブリリアント・フュージョンも引けていませんから」

 

「ゔぃ」

 

WIN 桜 LOS 祈

 

 

「さすがに閃刀姫先行であそこまで回されたらちょっともう・・・・」

 

「今回は私が手札良かった。とはいえ祈も」

 

「ジェムナイトフュージョンを加えてブリリアントフュージョンはありましたから普通にビートダウンしていってました」

 

「そうなったら私もしんどかった」

 

なんだかんだジェムナイトは手数が多いから突破される時がある。調子乗っていたら普通に負けてしまう。

 

「それより貪欲な壺入れてハーキュリーベースまで入れるのはちょっと・・・」

 

「そこはまだ調整中」

 

「そうですか・・・・私的にはハーキュリーベースの方が強く思うのですが」

 

「貪欲な壺の強さはドロー、しかし依存はしている」

 

貪欲な壺はドローが強いだけ、使い回しを考えるならハーキュリーベースとか他のカードでも充分に思える。

 

「たっだいま〜。テレビ買ってきたよ。これ応募券」

 

「さすがお姉ちゃん。これで当てる」

 

「そんな簡単にあたると思わないですけど・・・」

 

「祈、こういう時は当たると思い続けることが大事」

 

お姉ちゃんからもらった応募用紙をひったくり私はお姉ちゃんの家に入り、すぐに応募用紙を記入した。




桜「あんなの先行で決められたら死んじゃう」

祈「5割決まりますから」

アリア「5割も決められるんだから・・・・」

桜「増殖するG投げて普通にスルーされるの祈だけだよ」

祈「増殖するGでエフェクト・ヴェーラーとか夢幻泡影とか引かれるのが怖いですけどそこは割り切りで・・・」

アリア「それは仕方ないよね」

桜「だから祈には勝ちづらい。恭輔とやる方が勝てる」

アリア「というわけで次回、『帰ってきた兄弟』」

祈「次回もよろしくお願いします」


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第20話 帰ってきた双子

久しぶりに双子登場の回。

遊輝くんは無事に生きて帰るのか!?次回、遊輝死す!!


遊輝 side

 

 

「たっだいま〜!!お母さ〜ん!!帰ったよ!!」

 

「桜〜、迎えに来たぞ」

 

7月28日・・・・無事にホールツアーが終わり、今日朝一の便で新潟からここに戻ってきた。8月3日からまた北海道なので8月1日の午後の便には飛行機に乗るんだが・・・・まぁ3日の休暇を楽しもう。とりあえず桜はアリア、つまり茜の家に預けていたので久々に会いに行く。何もなかったけどあいつらのことも聞いておかないと。

 

「お帰りなさい〜」

 

「お帰り」

 

茜が玄関の扉を開けると既にアリアと桜が立っていた。まぁこうやって無事な姿を見るとホッとする。

 

「どうだったツアー?」

 

「無事成功したよ。とりあえずこれ新潟のお土産」

 

「俺も。はぁ〜、とりあえず前半終了〜。後半も頑張らないと」

 

「とりあえず3日休み〜」

 

スーツケースを玄関に放ったらかしにした茜はそのまま階段を駆け上がって行く。奥から「茜!スーツケース直しなさい!」というすみれさんの声が聞こえてくるが。

 

「とりあえず俺たちも一回家に戻るか。3日後にまたここだけど」

 

「ん、お姉ちゃん色々ありがとう」

 

「どういたしまして〜♪」

 

3日だけど桜も自分の家で過ごす方がリラックスするだろうし、とりあえず桜を引き取って家に帰ろう。俺も今日はゆっくりしたいけど・・・・・洗濯・掃除、炊事等やらなきゃいけんことはいっぱいあるんだよな。

 

ピロリン

 

「メール?・・・・・・あっ」

 

「?どうしたのお兄ちゃん」

 

「い、いや・・・・なんでも無い」

 

スマフォの電源ボタンを押してスタート画面に見えたメールの届け人と内容を軽く見てすぐにポケットに直した。

 

「なんか変・・・まあいいや」

 

桜を連れてとりあえず家に帰る。鍵を開けて桜はすぐに自分の部屋に戻る。俺はスーツケースを置いてまたスマフォを起動した。

 

「(・・・・やっべぇ!!桜のこと何も言ってねぇ!!!)」

 

届け人は俺の彼女から、そしてその内容は「明日からしばらくネオドミノシティに戻る」とのこと。たった3日しか夏休みないと言ったのに来ると言ったもんだ。

 

「(ど、どうしよう!!メールでのやり取りしかしてなかったし、来ると思わなかったから桜のことなんて何一つ言わなかった!!)」

 

非常に不味い・・・・俺の彼女は典型的なヤンデレタイプ。訳ありとはいえ今まで居なかった義理の妹がいたと知った時には俺の命が・・・・・(ブルブル)

 

「(や、ヤベェ・・・・な、なんかなんか方法が・・・)」

 

俺の中の選択肢・・・

 

1、素直に謝る

 

どのみちO☆HA☆NA☆SHIの未来が避けられない

 

2、桜をアリアの所に預ける。

 

桜が嫌がるし何よりアリアがすぐに勘付く。あいつは自分が面白いことを優先するから俺の身の危険がさらに高くなる。

 

3、桜を隠す

 

何処に?しかもどうやって?

 

・・・・・不味い、選択肢がない上にどれを取っても俺に未来がない!!

 

「(こ、こんなことになるんなら龍可だけにでも言っておくべきだったああああああ!!!!)」

 

 

〜〜(翌日)〜〜

 

 

「お兄ちゃん、なんで目にクマが出来ているの?なんで空港に来たの?」

 

「い、色々あるんだよ・・・色々」

 

右手で桜の左手を握り、左手で非常に眠い目をこすりまくっている。結局、俺の結論は事情を言って謝ることしか出来なかった。出発直前に電話を入れて、着いたら詳しく言うということにした。予定ではもう飛行機から降りているはずだ。

 

「それにしても誰を迎えに来たの?」

 

「まぁ・・・俺の恩人だな。居候してもらった相手だよ」

 

「その恩人がここに来るの?」

 

「あぁ・・・・自分たちの道を見つけたからここから一旦離れたんだよ」

 

「ふ〜ん・・・・・」

 

あいつら無事に過ごしてるんかな・・・・確かロンドンだっけ?俺は海外とは無縁の生活しているからなぁ、なんせ1年間ず〜〜っと音楽漬けの生活なんだから。楽しいから良いけど。

 

「ってか遅ぇな。出国検査にでも引っかかっているのか?」

 

「遊輝!!!」

 

「っと噂をすれば・・・・」

 

飛行機から降りたというアナウンスから時間が掛かっていることを少し口からこぼしたらすぐに目的の双子が出国口からスーツケースを持って現れた。同じ明るい緑色の髪をして、片方はポニーテールにまとめてボーイッシュに、もう片方はツインテールに纏めて女の子らしさが出ている。

 

「遊輝!お久〜!!」

 

「久しぶり!遊輝!」

 

「久しぶりだな、龍亞、龍可」

 

青い長ズボンに半袖の襟付きポロシャツを着た男の子、双子の兄、龍亞、そしてピンク色のフレアロングスカートにTシャツを着てその上に赤い薄めのパーカーを着た女の子、双子の妹、龍可。この二人がおよそ4ヶ月ぶりにこの街に戻ってきた。

 

「おっ!これが噂の遊輝の妹か!」

 

「・・・・遠藤桜、よろしく」

 

「桜か!俺は龍亞!」

 

「私は龍可、よろしく」

 

「ん、龍亞、龍可。よろしく」

 

・・・・・良かった、今のところは、今のところ(・・・・・)!!!平和的だ、実に平和的でいい。

 

「それより他の人たちは?」

 

「みんなツアー帰りで休んでいる」

 

「そう言えば昨日までツアーって言っていたわね・・・・」

 

「お兄ちゃんも眠そうな顔をしていた。というかクマできてる」

 

「色々あったから。ふわぁ・・・・」

 

「じゃあ早く遊輝のアパートに行こうぜ!荷物置いてみんなに挨拶しに行かなくちゃ!」

 

朝からはしゃぎまくる龍亞。お前には時差ボケの概念や飛行機の上で眠れないという概念は無いのか?エコノミーだぞエコノミー、あんな所でグースカ寝ている気持ちが分からん。とりあえず愚痴を言っても仕方ないのでバス乗り場に行く。バスチケットを買い、そのまま高速用のリムジンバスに30分揺られ、無事にネオドミノシティのバスターミナルに到着。そのまま普通に歩くこと15分、我が家に到着だ。

 

「・・・・あれ?」

 

「ねぇ遊輝・・・・ここ?」

 

「ここ」

 

「ここが私とお兄ちゃんのお家」

 

「・・・・おっかしいなぁ〜、俺がスマフォの写真で見た家はもっとオンボロでもっと小さいアパートだったけど」

 

「こ、ここって・・・・私たちの前の家だよね」

 

「色々あって戻ったんだよ、察してくれ・・・」

 

我が家の前に立ち、二人はマンションを見上げた。まぁ気持ちは分かる、全部荷物を送ったり売ったりして全てを売った家にまた戻ってくるとは思わなかったんだから。

 

「いや、そうだとしても二人で住むには大きすぎじゃないかしら?私たち3人やアリアお姉さん含めて4人で過ごしてい時でも部屋が余っていたのに」

 

「セキュリティの関係上ここに住むしかなかったんだよ。とりあえず荷物置きに行こう」

 

あーだこーだ言っても仕方ないのでとにかく部屋に行く。エレベーターに乗り込んで最上階へのボタンを押し、最上階に行く。エレベーターが到着して、すぐ目の前にある我が家の玄関を桜が鍵を使って開けてみんな中に入っていった。

 

「この家もひっさしぶり〜!」

 

「こら龍亞!」

 

「もう・・・・お邪魔します・・・なんか違和感あるわね」

 

靴を脱ぎ散らかして入る龍亞と靴をきちんと整える龍可、性格の違いがよく出ている。二人ともすぐにリビングへと行き、スーツケースを置いた。

 

「やっぱ物が少ないと広く感じるなぁ・・・なんでドラムとかキーボードとかあるのかわからないけど」

 

「溜まり場にされているんです、溜まり場に」

 

「軽音部のみんな、ここで練習することもある」

 

「練習って・・・・ここ確かに防音設備だけど」

 

「それじゃ挨拶しに行こうぜ!まずはここから近くのレミさんから!」

 

「待ってくれや・・・お前いきなり突撃掛けてもいないかもしれんぞ」

 

「突撃ーーー!!!」

 

「あっ、こら!」

 

俺の言うことなんて全く聞かず、スーツケースを放り投げた龍亞はそのまま玄関に走って行った。

 

「全く・・・桜はどうする?」

 

「家に残る、宿題やらなきゃいけない」

 

「ああ、そうだったな」

 

宿題やると言った桜はそのまま自分の部屋へと戻って行った。

そういえば俺たち、今年は夏休み返上の全国ツアーだからマジでやっている暇ないって言って宿題の量減らしてもらっていたからな・・・俺とか奏はツアーの合間見て終わらせたけどスバルと響は何一つ手をつけてないからな。大丈夫かな?

 

「ふぅ〜・・・・じゃあ俺も家事やるか」

 

「その前に遊輝」

 

「ん?何だ?」

 

「ちょっと・・・・・O☆HA☆NA☆SHIしよう?」

 

遊輝 side out

 

 

桜 side

 

 

「・・・・・・・ふぅ、ご飯」

 

宿題を初めておおよそ2時間、数学と国語を片付けてだいたいお昼頃になった。お昼になったらご飯、これ世界の理。

 

「たっだいま〜!」

 

「・・・・おかえり」

 

ちょうど私が部屋を出たタイミングで龍亞が帰ってきた。

 

「桜、だっけ?何してたの?」

 

「宿題」

 

「う゛っ!?そ、そういえば俺も・・・」

 

「宿題はやっておけってお兄ちゃんが口酸っぱく言ってた」

 

「だ、大丈夫大丈夫!!まだ1ヶ月あるし!」

 

「・・・・それダメなやつ」

 

龍亞と話しながらリビングに入り、部屋の中央にあるソファの所に行く。ソファの前にあるテーブルの横でお兄ちゃんが正座しながら気絶していた。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・お兄ちゃん?お兄ちゃん」

 

「(遊輝が正座しながら気絶・・・・やっぱり怒っていたか(汗))」

 

お兄ちゃんの体を何度も揺らすが起きる気配が全くない。何かあったのか?キッチンにいたエプロン姿の龍可が目に入って声をかける。

 

「桜ちゃん、どうしたの?」

 

「お兄ちゃん、起きない」

 

「遊輝は少し疲れて寝ているの。私がご飯作るからそのまま寝かしてあげて」

 

「・・・・・ん、分かった」

 

なんか納得できないけど何となく触れてはいけないという事が龍可の雰囲気で分かった。触れたら私にも飛び火が来る。お兄ちゃんはトラブルメーカーって常に軽音部の皆が言っていた。

「お昼ご飯までもうちょっと待っててね。今作り出したところだから」

 

「ん、分かった」

 

「じゃあ桜!俺とデュエルしようぜ!リンク召喚のテスターなんだよな?どんなデッキか見てみたいぜ!」

 

「ん、ちょっと待って。デッキとデュエルディスク取ってくる」

 

一旦部屋に戻ってデュエルディスクとデッキを手にする。そしてリビングから窓を開けてベランダへと出る。すでに龍亞がデュエルディスクを構えて待っていた。

 

「へへ、行くぞ!」

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

龍亞 LP 4000 桜 LP 4000

 

「先行は私・・・・手札悪い。魔法カード、増援」

 

「制限カード手にして手札が悪いって・・・」

 

「デッキからLv4以下の戦士族モンスターを手札に加える。閃刀姫ーレイを手札に加えて召喚」

 

閃刀姫ーレイ 攻1500

 

「現れて、未来へ続くサーキット」

 

閃刀姫ーレイが私の上空に現れたリンクマーカーに入っていく。

 

「アローヘッド確認、召喚条件は水属性以外の『閃刀姫』モンスター1体。私は閃刀姫ーレイ1体でオーバーレイ。サーキットコンバイン、リンク召喚、フォームチェンジ。閃刀姫ーシズク」

 

閃刀姫ーシズク 攻1500 ↗︎

 

「カードを1枚伏せてターンエンド、エンドフェイズ、閃刀姫ーシズクの効果。墓地に存在しない『閃刀』魔法カードをデッキから手札に加える。閃刀起動ーエンゲージを手札に加えてターンエンド」

 

 

桜 手札 4枚 LP 4000 墓地魔法1

 

ーーーー▲ ー

ーーーーー

○ ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

龍亞 手札 5枚 LP 4000

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

龍亞 手札 6枚

 

「閃刀姫ーシズクがフィールドに存在する限り、相手のモンスターの攻撃力・守備力は私の墓地の魔法カードの枚数×100ポイントダウンする」

 

「魔法カード、ワン・フォー・ワン!手札のモンスター1体を捨てて、デッキからレベル1のモンスターを特殊召喚する!」

 

「手札の増殖するGの効果。相手がこのターンに特殊召喚するたびに1枚ドローする」

 

相手が発動したワン・フォー・ワンに対して増殖するGを発動、相手の周りにGがブンブンと飛び回る。

 

「D・モバホンを特殊召喚!」

 

D・モバホン 攻100→0

 

「増殖するGの効果で1枚ドロー」

 

「D・モバホンの効果!攻撃表示の時、サイコロを振って出た目の数だけデッキトップを確認してその中のLv4以下の『ディフォーマー』1体を召喚条件を無視して特殊召喚する!」

 

「・・・・・通す」

 

「行くぞ!ダイヤル〜、オン!」

 

D・モバホンの胸にある数字が点滅を始め、3という数字に光が灯された。

 

「3!1枚目、D・スコープン!2枚目、死者蘇生!3枚目、D・ラジオン!D・スコープンを攻撃表示で特殊召喚!」

 

D・スコープン 攻700→600

 

「増殖するGで1枚ドロー」

 

「D・スコープンの効果!攻撃表示の時、手札のレベル4の『ディフォーマー』を特殊召喚する!」

 

「・・・手札からエフェクト・ヴェーラーの効果発動」

 

「うっ!?」

 

「D・スコープンの効果を無効にする」

 

私の手札にあったエフェクト・ヴェーラーが飛び出してD・スコープンを包み込む、効果を無効にした。

 

「クゥ・・・・こうなると仕方ない。増殖するG打たれているし最小限にしよう。Lv1のD・モバホンにLv3のD・スコープンをチューニング!」

 

☆1 + ☆3 = ☆4

 

「大地の鼓動が聞こえる時、古の神が蘇る!シンクロ召喚!Lv4、古神ハストール!」

 

古神ハストール 攻2300→2200

 

「増殖するGの効果で1枚ドロー」

 

「バトル!古神ハストールで閃刀姫ーシズクに攻撃!」

 

古神ハストール 攻2200

閃刀姫ーシズク 攻1500

 

桜 LP 4000→3300

 

「墓地の閃刀姫ーレイの効果。1ターンに1度、自分フィールドの『閃刀姫』リンクモンスターが相手によってフィールドから離れた場合、墓地のこのカードを特殊召喚する」

 

閃刀姫ーレイ 守1500

 

閃刀姫ーシズクが破壊されたことで閃刀姫ーシズクの装甲が外れて閃刀姫ーレイがフィールドに戻ってきた。

 

「モンスター残ってしまったか・・・カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

桜 手札 5枚 LP 3300 墓地魔法1

 

ーーーー▲ ー

ー◽︎ーーー

ー ○

ーーーーー

ーー▲ーー ー

 

龍亞 手札 4枚 LP 4000

 

 

「私のターン、ドロー」

 

桜 手札 6枚

 

「魔法カード、成金ゴブリン。1枚ドローして相手は1000ポイント回復」

 

龍亞 LP 4000→5000

 

「カードを1枚伏せて、永続魔法、閃刀機関ーマルチロールを発動。効果でさっき伏せたこのカードを対象に取り、このターン、私が発動する魔法カードに対して相手はチェーンできない。そして対象のカードは墓地に送られる。閃刀姫ーレイ1体をリンクマーカーにセット、フォームチェンジ、閃刀姫ーハヤテ」

 

閃刀姫ーハヤテ 攻1500 ↙︎

 

閃刀姫ーレイがリンクマーカーの中に入り、閃刀姫ーハヤテがフィールドに現れた。

 

「魔法カード、閃刀起動ーエンゲージを発動。デッキから『閃刀』カードを手札に加え、墓地に魔法カードが3枚以上ある場合その後に1枚ドローする。閃刀機ーアフターバナーを手札に加えて1枚ドロー」

 

桜 手札 3枚→5枚

 

「(・・・・・破壊できない)バトル、閃刀姫ーハヤテはダイレクトアタックができる」

 

「何っ!?」

 

閃刀姫ーハヤテのブースターが作動して古神ハストールをすり抜けて龍亞にダイレクトアタックを決める。

 

龍亞 LP 5000→3500

 

「閃刀姫ーハヤテの効果。このカードが戦闘を行った場合、デッキから『閃刀』カードを墓地に送る。閃刀機ーイーグルブースターを墓地に。メインフェイズ2、閃刀姫ーハヤテをリンクマーカーにセット、フォームチェンジ、閃刀姫ーカガリ」

 

閃刀姫ーカガリ 攻1500 ↖︎

 

「閃刀姫ーカガリの効果。このカードがリンク召喚に成功した場合、墓地の『閃刀』魔法カードを手札に戻す。閃刀起動ーエンゲージを手札に戻してもう一度発動。今度は閃刀機ーシャークキャノンを手札に加えて、1枚ドロー」

 

桜 手札 5枚→7枚

 

「魔法カード、閃刀機ーアフターバナー、相手の表側のモンスター1体を破壊、墓地に魔法カードが3枚以上ある場合、その後魔法・罠のカード1枚を破壊する」

 

「えっ!?」

 

閃刀姫ーカガリにアフターバナーが装着され、そのまま古神ハストールに向けて起動、ハストールは破壊され、さらに伏せカードも破壊した。

 

「ぐっ・・・・ハストールの効果!このカードがモンスターゾーンから墓地に送られた場合、相手のモンスター1体を対象としてこのカードを装備カード扱いで装備する!」

 

「速攻魔法、閃刀機ーシャークキャノン。古神ハストールをゲームから除外する」

 

「!?」

 

「除外されたことで閃刀姫ーカガリには装備されない」

 

相手の墓地にいた古神ハストールがカガリに装備しようとしたけど、閃刀機ーシャークキャノンによりゲームから除外されその効果は不発になった。

 

「閃刀姫ーカガリをリンクマーカーにセット。フォームチェンジ、閃刀姫ーシズク。これでターンエンド、エンドフェイズ、閃刀姫ーシズクの効果でデッキから閃刀機ーウィドアンカーを手札に。永続魔法、閃刀機関ーマルチロールの効果。このターンに発動した『閃刀』魔法の枚数まで墓地から『閃刀』魔法をフィールドにセットする。4回発動したことで私は墓地から閃刀起動ーエンゲージ、閃刀機ーシャークキャノン、閃刀機ーイーグルブースターをセット」

 

 

桜 手札 5枚 LP 3200 墓地魔法4

 

▲▲▲△▲ ー

ーーーーー

○ ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

龍亞 手札 4枚 LP 3500

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

龍亞 手札 5枚

 

「(クッソ〜・・・こういう時にハーピィの羽根箒とか欲しいんだけど・・・)墓地のD・スコープンをゲームから除外してD・スマホンを特殊召喚!」

 

D・スマホン 攻100→0

 

「スマホンの効果!攻撃表示の時、サイコロを振って出た目の数だけデッキトップを捲り、その中にある『ディフォーマー』カードを手札に加える!」

 

スマホンの画面が起動、サイコロが振られて4の数字が現れる。

 

「1枚目、D・リモコン!2枚目、ジャンクBOX!3枚目、D・ラジカッセン!4枚目、D・リペアユニット!・・・・D・リペアユニットを選択!そのまま発動!手札のD・ボードンを捨て、墓地からD・モバホンを攻撃表示で特殊召喚!モバホンの効果発動!」

 

「・・・・・リバースカードオープン。速攻魔法、閃刀機ーシャークキャノン」

 

「ああ!?忘れてた!!」

 

「D・モバホンをゲームから除外。閃刀機関ーマルチロールの効果でセットされた閃刀機ーシャークキャノンはゲームから除外される」

 

なんでD・リペアユニットを使うのか分からなかったけど、相手が単純に忘れていたみたいだ。とにかく、これでモバホンはゲームから除外されD・リペアユニットの効果は使えなくなる。

 

「ならD・ステープランを召喚!」

 

D・ステープラン 攻1400→1000

 

「Lv4のステープランにLv1のモバホンをチューニング!」

 

☆4 + ☆1 = ☆2

 

「鋼の刃を持ちしライダーが光速の速さで駆け抜ける!シンクロ召喚!Lv5、HSRチャンバライダー!」

 

HSR チャンバライダー 攻2000→1600

 

「バトル!チャンバライダーでシズクに攻撃!」

 

「リバースカードオープン、速攻魔法、閃刀機ーイーグルブースター。閃刀姫ーシズクを対象に取り、このターン、対象のモンスターはこのカード以外の効果を受けず、墓地に魔法カードが3枚以上ある場合、戦闘では破壊されない」

 

「なっ!?け、けどダメージは通る!チャンバライダーは攻撃宣言時、攻撃力が200ポイントアップする!」

 

「閃刀機関ーマルチロールの効果でセットされた閃刀機ーイーグルブースターはゲームから除外される」

 

HSRチャンバライダー 攻1600→1800

閃刀姫ーシズク 攻1500

 

桜 LP 3300→3000

 

「チャンバライダーは2回攻撃ができる!もう一度攻撃!そして効果発動!」

 

HSRチャンバライダー 攻1800→2000

閃刀姫ーシズク 攻1500

 

桜 LP 3000→2500

 

「メイン2!カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

「エンドフェイズ、閃刀機関ーマルチロールの効果」

 

「えっ!?それ相手ターンでも使えるの!?」

 

「使える。このターンに発動したのは2枚、閃刀機ーアフターバナーをセット」

 

 

桜 手札 5枚 LP 2500 墓地魔法3

 

▲--△▲ ー

ーーーーー

○ ○

ーーーーー

ーー▲ーー ー

 

龍亞 手札 1枚 LP 3500

 

 

「私のターン、ドロー」

 

桜 手札 6枚

 

「伏せている閃刀起動ーエンゲージを発動。閃刀機構ーハーキュリーベースを手札に加えて、1枚ドロー」

 

桜 手札 6枚→8枚

 

「閃刀起動ーエンゲージは閃刀機関ーマルチロールの効果でセットされたからゲームから除外。閃刀姫ーシズクをリンクマーカーにセット、フォームチェンジ、閃刀姫ーハヤテ」

 

HSRチャンバライダー 攻2000→2400

 

「さっきからずっと同じリンクモンスターを・・・」

 

「だから強い。そして終わり。手札から速攻魔法、サイクロン。その伏せカードを破壊する」

 

フィールドにサイクロンが吹いて龍亞の最期の伏せカードを破壊した」

 

「閃刀機ーウィドアンカー。相手モンスターの効果をエンドフェイズまで無効、そして墓地に魔法カードが3枚以上ある場合、その対象のモンスターのコントロールをエンドフェイズまで奪う」

 

「えっ!?」

 

ウィドアンカーがHSRーチャンバライダーを捉え、アンカーが絡みついて私のフィールドにコントロール権を得る。

 

HSRチャンバライダー 攻2000→2400

 

「バトル、閃刀姫ーハヤテでダイレクトアタック」

 

龍亞 LP 3500→2000

 

「閃刀姫ーハヤテの効果。デッキから閃刀起動ーエンゲージを墓地に送る。そしてHSRチャンバライダーでダイレクトアタック」

 

龍亞 LP 2000→0

 

 

WIN 桜 LOS 龍亞

 

 

「か、完敗だ・・・・・」

 

「ゔぃ」

 

デュエルディスクを片付けて龍亞は膝と手をついて四つん這い状態になる。そんな龍亞に向けて私は右手でVサインを決める。

 

「凄いコントロール力だった・・・遊輝の盤面制圧とは違う制圧力だ」

 

「これでも安定性は欠けている。まだまだ勉強」

 

「二人とも、ご飯出来たわよ」

 

「うがあああ!!!こういう時はやけ食いだ!!」

 

龍亞は走ってベランダからリビングへと戻る。私分かった、あれは単細胞、間違いない。

 

 

 

ちなみにお兄ちゃんは夜まで正座しながら寝ていた。なんで寝ているのか聞いたら、震えながら「思い出したくない・・・修羅が・・・」とか訳の分からないこと言っていた。




龍亞「ひっさしぶり〜!」

龍可「この小説では私たちはあんまり出ないから・・・・」

桜「私とお兄ちゃん中心、軽音部のみんなもあんまり出ない」

龍亞「シュッとしているよね」

桜「ところでお兄ちゃんなんで寝ていたの?教えてくれなかった」

龍可「疲れていただけだよ」

龍亞「(いや・・・あれはしこたまお話させられていたな(汗))」

桜「次回、『夏休みの予定は?』。次回もよろしく」


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第21話 夏休みの予定は?

龍亞君の次は龍可ちゃんのデュエル、

そう・・・・龍可ちゃんの死体蹴り(デュエル)の時間です。


遊輝 side

「海!海行こう!」

 

「えぇ・・・・・」

 

「なんか物凄い嫌な顔された!!」

 

龍亞と龍可が帰ってきた次の日・・・

昨日は家に帰った後の記憶が全て吹っ飛んだ。俺は何をしていたのか全く分からない。思い出そうとすれば体が震えて脳がストップをかける。それは置いといて・・・

 

「俺マジで家で休みたいんだけど・・・」

 

「何言ってるんだよ!せっかく夏休みでこっちに戻ってきたんだからさ!」

 

「俺の夏休み、明日までなんだ・・・・明後日の午後には北海道に行かなきゃならないんだから、家でダラダラしたい」

 

「それダメな人って前にお兄ちゃんが言ってた」

 

だらけようとしたところで桜がものすごい真顔でダメと言ってきた。この野郎・・・桜は記憶が良すぎるからすぐ思い出す。俺なんか昨日の晩飯を忘れているくらいなのに。

 

「そもそも休むって言っているわりにはギター持ってるけど」

 

「練習しないかんし今年はずっと持っていたから癖ついちゃって」

 

昨日ギター持たなかったの何ヶ月ぶりだろ・・・多分今年のデュエルの回数の3倍以上ギター弾いているし、デッキの調整もろくにしていない。それはバンドメンバー全員に言えるけど。

 

「お兄ちゃん、私海行きたい」

 

「って言ってもな・・・・」

 

桜が行きたいとねだったら強制的に俺も行かなきゃ行けんのだよなぁ・・・見張りが必ずいるけど誰もいねぇし。第一海なんて今の時期絶対に混んでる。意地でも行きたくない。

 

「とりあえず休ませてくれ・・・・すぐギターの練習入るけど」

 

「ええ!!行こうよ海!!どうせツアーの間帰ってくるんでしょ!?」

 

「北海道終わったら直で宮城行って、次埼玉。1週間は帰ってこない。その後も練習」

 

「お兄ちゃん、1日くらいいいじゃん。海行こう」

 

「う〜ん・・・・・」

 

どうもこうも気が乗らん・・・やっぱ家にいたい。多分疲れてるんだ。

 

「(う〜ん・・・どうやったら遊輝の重い腰を上げれるか)」

 

「(お兄ちゃんが嫌でも行くっていう方法)」

 

「・・・・あっ、このビーチの近くでとれとれ市場やってるよ」

 

「何だと!?」

 

龍可のとある一言で俺はソファから立ち上がり龍可の持っていたチラシを見る。バスで30分くらいのなんて事のないビーチだが今日、魚や屋台などの市場をやると書いてある。

 

「「((あっ、これだ))」」

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

「遊輝!!そのビーチ行こう!!」

 

「お兄ちゃん、海行こう」

 

「よし来た!どーんと来い!」

 

「「((チョロい))」」

 

 

〜〜(1時間後)〜〜

 

 

「来ました!!!ビーチ!!!ヒャッホーウ!!!」

 

「おいこらテメェ!!!!服直して海に行けええええ!!!!」

 

「龍亞・・・・・」

 

ビーチに付いて荷物を置いた瞬間、速攻の速さで龍亞が服を脱ぎ散らかして人の波をかき分けて海へダッシュ、そのまま飛び込んだ。遠くから係員がメガホンで注意するのが聴こえてくる。

 

「もう・・・・・」

 

「龍可は?」

 

「私は日陰で」

 

「そうか。ハァ・・・・寝たい。市場は空振りだったし・・・・」

 

ビーチに行く前に先に市場に行って物色してきたんだがめぼしいものが何一つなかった。っていうかほとんど買われていた。

 

「お兄ちゃん、浮き輪膨らませて」

 

「海の家で膨らませてもらえ、100円あればいけるだろ」

 

財布の中から100円玉1枚を取り出し、浮き輪を持った桜に渡す。それを受け取った桜はそのまま海の家へと向かっていった。

 

「・・・・・記憶喪失なんでしょ?元に戻ろうとは」

 

「手掛かりが何一つ見つからない。しかも桜自身がそう思ってない。だから無理してやる必要がないんだ」

 

「記憶が無くなる・・・・今までの記憶が無くなったら、私のこの思い出は全部消えてしまうのかな・・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

龍可の問いに答えることがなかなか出来ない。そんな事はないとは言いたいが、そんなに上手くいかないのも事実だ。現に記憶喪失で記憶が戻るのに何年もかかり、それでも戻らないなんて事はザラだ。

 

「まぁ・・・・桜は今の思い出を凄い大切にしているよ。性格はあんな感じだけど」

 

「・・・・そうだね。遊輝に凄い懐いているし」

 

「ふわぁ・・・ちょっと寝「お兄ちゃん、200円足りない」・・・・・・・」

 

ムスッと頬を膨らませた桜が100円玉1枚を手のひらに乗せた右手を俺に突きつけてくる。それを見た俺は無表情のまま財布からあと100円玉2枚を取り出して渡した。

 

「・・・・あいつやっぱ何考えているのかわかんねぇ」

 

「あ、あははは・・・・・」

 

あいつの頭の中身はてっきり食う事ばっかだと思っていたがどうやらKY度もなかなかに高そうだ。そう思いながら俺は寝転がる。

 

「んああ・・・・もうちっとゆっくりしよう・・・・」

 

「お兄ちゃん」

 

「何・・・・もう寝たいんだけど、ってか浮き輪は?」

 

「あいつ来ている、あいつらの仲間」

 

「!?」

 

桜の言葉を聞いた俺は上半身をガバッと起こし、辺りを見渡す。周りは人が多すぎてどこにいるのか皆目検討も付かない。

 

「・・・・・・・一旦離れよう。ここじゃ俺たちが不利だ」

 

「ん」

 

「ゆ、遊輝・・・・・」

 

「悪い・・・・ちょっとの間待ってくれ」

 

龍可まで迷惑をかけるつもりはない。龍可にはここにいてもらうことして俺は桜を連れて一旦ビーチから離れる。人混みを掻き分けてビーチから出て、人通りの少ない場所を探す。

 

「・・・・まずいな、この辺り人が多過ぎる」

 

「・・・・どこにいるから分からない。人が多過ぎる」

 

「何とかしないと・・・!?」

 

ドン!!

 

「キャアア!!!」 「な、何だ!?」

 

「っのやろう・・・・とうとう無差別攻撃しやがった・・・」

 

突然左側から何かの気配を感じたので桜を抱えて下にしゃがむ。俺たちの真上を通り、道路上で車の側面とぶつかる。車のガラスにはヒビが入り、例のカラーボールのインクがベチャッと広がっていた。

 

「逃げるぞ桜!!」

 

「ん」

 

桜を背負い、信号がちょうど赤から青に変わったのですぐにダッシュ、そのままビルとビルの間に飛び込んでいき、入り組んでいる道を駆け抜ける。

 

「ハァ・・・ハァ・・・」

 

「お兄ちゃん、付いてきてる」

 

「んなもん分かるわ!!さっきから殺気がビンビンに伝わってくるんじゃ!!」

 

「・・・・次左」

 

「左!?曲がるのか!?」

 

「ん」

 

「っしゃ!任せろ!!」

 

桜に言われた通り、次の角を左に曲がる。そのままビルの間を駆け抜けていき、大通りに出る。先ほどのビーチから離れて先に行った市場の近くに出た。

 

「そのまま市場に行く。その先に誰もいない倉庫群が」

 

「なるほど・・・・行くぞ!」

 

桜に言われ、人混みが少なくなっている市場を駆け抜けていく。途中来る敵の砲撃を避けながら市場を抜けて人が少ない倉庫群へと走っていく。

 

「ハァ・・・・ハァ・・・ここなら行けるな」

 

「お兄ちゃん・・・・」

 

「し、心配するな・・・隠れてないでさっさと出てこい!!」

 

倉庫群から声を張り上げて敵に挑発するが敵は姿を見せない。

 

「チッ、徹底的にイモムシ戦法を取る気か・・・・それならそれでこっちも考えがある」

 

あんな人混みじゃ分からないがここまで人が少ないともう分かる。桜を降ろして俺は目を瞑り、周りに対する意識を強くしてシークレットシグナーの能力を解放する。俺を中心に円状の見えない波が広がっていき、とある点で並みの一部分がぶつかった。

 

「そこか!!」

 

波がぶつかった地点、俺の右斜め後ろ部分にサン・フレアを作り投げる。倉庫の陰にあった物置が爆発して人影が飛び出した。

 

「やってくれるわね・・・・人殺しとは」

 

「お互い様だ・・・テメェも完全にこっちを殺しに来やがって」

 

「私もなりふり構ってられない状況になってきてね・・・・クライアントさんがそろそろ怒ってきそうなのよ。だからその子、私に渡してちょうだい」

 

「絶対に渡すか」

 

「なら・・・・・」

 

「!?っく!」

 

向こうから何かしらの物が飛んできたので俺はとっさに炎のバリアを作る。飛んできた物はバリアに当たって灰となって跡形もなく消えていく。

 

「(ッツゥ・・・威力馬鹿みたいに高いなぁ)」

 

前のカラーボールと違って殺傷能力があるせいか異様に威力を感じる。

 

「まだまだ!!私はそいつを連れて帰らないといけないんだよ!!」

 

「ぐっ!!ほっ!!(くそう・・・攻撃できる暇ねぇ)」

 

一体どこからそのエネルギー弾を供給しているんだ・・・とにかく桜と一緒だと桜を見ないといけないから防御に徹しないと・・・

 

「(何か・・・何か穴が・・・・)」

 

「どうしたの!?さっきから攻げ「行けええええ!!!!」ガハッ!?」

 

猛攻をしている相手の後頭部めがけて何かが突撃、相手は前のめりに倒れてしまう。倒れた相手を飛び越えて俺たちの前で止まった。

「る、龍亞!?」

 

「へへ、ヒーローは遅れてくるってテレビでも言っていたじゃん」

 

それはDボードに乗った龍亞だった。後ろから同じくDボードに乗った龍可も付いてきた。

 

「ごめん遊輝!やっぱり心配で・・・・」

 

「全くもう、ちょっとは俺たちに頼ってくれてもいいんだぜ!」

 

「ハハ・・・危険だから遠ざけていたんだけど、助かったわ」

 

「ぐっ・・・・己・・・・」

 

「えっ!?後頭部に100km/h近いスピードでぶつけたのに生きてるの!?」

 

「いやお前・・・それ下手したら死んでる」

 

「たかが凡人め・・・・」

 

「これ以上手出しさせないわよ」

 

龍亞は生きていることに驚いているがそんなことはほっといて、龍可がデュエルディスクを構える。

 

「どこぞの馬の骨とやるつもりはないけど・・・まぁいいわ。コテンパンにしてあげる」

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

龍可 LP 4000 キャトル LP 4000

 

「先行は私ね。フィールド魔法、F.A.シティGPを発動!」

 

フィールド魔法のシティGPが貼られ、辺り一帯が大きなビル群の中にレーシングコースが現れる。

 

「シティGPがフィールドに存在する限り、お互いのメインフェイズおよびバトルフェイズの間、『F.A.』モンスターのレベルは2つ上がり、相手の効果の対象にならない!さらにこのカードは自分フィールドにモンスターが存在しない場合、手札から特殊召喚できる!SRベイゴマックスを特殊召喚!」

 

SRベイゴマックス 守600

 

「ベイゴマックスの効果発動!特殊召喚成功時、デッキからベイゴマックス以外の『SR』モンスターを手札に加える!SRタケトンボーグを手札に加えて、特殊召喚!」

 

SRタケトンボーグ 守1200

 

「咲き誇れ、満開に続くサーキット」

 

ベイゴマックスとタケトンボーグの2体がリンクマーカーに入り、左下と右下の矢印が赤く光る。

 

「アローヘッド確認、召喚条件は機械族モンスター2体。私はベイゴマックスとタケトンボーグの2体をリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、F.A.シャイニングスターGT!」

 

F.A.シャイニングスターGT 攻? ↙︎ ↘︎

 

「シャイニングスターの攻撃力はリンク先の『F.A.』モンスターのレベル×300ポイントアップする。通常召喚、F.A.ウィップクロッサー」

 

F.A.ウィップクロッサー ☆4→6、攻?→1800

F.A.シャイニングスターGT 攻?→1800

 

「さらに手札のF.A.カーナビゲーターの効果!自分フィールドの元々のレベルより高いF.A.モンスターのレベルを元に戻してこのカードを特殊召喚する!」

 

F.A.カーナビゲーター 守0

F.A.ウィップクロッサー ☆6→☆4

 

ウィップクロッサーの横にカーナビゲーターが現れる。

 

「この効果で特殊召喚したカーナビゲーターのレベルはその差分だけレベルが上がる」

 

F.A.カーナビゲーター ☆1→☆3→☆5

 

「さらに速攻魔法、F.A.ピットストップ!カーナビゲーターのレベルを2つ下げて1枚ドローする!」

 

F.A.カーナビゲーター ☆5→☆3

 

「Lv4のウィップクロッサーにLv3のカーナビゲーターをチューニング!」

 

☆4 + ☆3 = ☆7

 

「音速の速さ越えし稲妻の車体がフィールドを駆け抜ける!シンクロ召喚!レベル7、F.A.ライトニングマスター!」

 

F.A.ライトニングマスター 攻?→2100

F.A.シャイニングスターGT 攻?→2100

 

「これでターンエンド」

 

 

龍可 手札 5枚 LP 4000

 

ーーーーー ー

ーーーーー

○ ー

○ーーーー

ーーーーー ▽

 

キャトル 手札 1枚 LP 4000

 

 

「私のターン、ドロー」

 

龍可 手札 6枚

 

「メインフェイズ、ライトニングマスターのレベルは2つ上がる」

 

F.A.ライトニングマスター ☆7→☆9

 

「それに伴ってライトニングマスター、シャイニングスターの攻撃力も上がるわ」

 

F.A.ライトニングマスター 攻2100→2700

F.A.シャイニングスターGT 攻2100→2700

 

「(これだけ完璧な布陣・・・ライトニングマスターで魔法カード、シャイニングスターでモンスター効果を無効にできる。どこぞの馬の骨に負けるはずがないわ!)」

 

「魔法カード、ブラックホール!」

 

「チッ!ライトニングマスターの効果発動!このカードのレベルを2つ下げ、魔法・罠の効果の発動を無効にする!」

 

F.A.ライトニングマスター ☆9→☆7

 

F.A.ライトニングマスター 攻2700→2100

F.A.シャイニングスターGT 攻2700→2100

 

「手札から速攻魔法、禁じられた聖杯!F.A.シャイニングスターGTの攻撃力を400上げる代わりに効果を無効にする!」

 

「!?」

 

F.A.シャイニングスターGT 攻2100→400

 

シャイニングスターの上に禁じられた聖杯の天使が現れて、上から聖杯をかけた。

 

「魔法カード、隣の芝刈り!私のデッキ枚数と相手のデッキ枚数を確認して、その差分だけ私のデッキの上からカードを墓地に送る!私のデッキ枚数は54枚!」

 

「わ、私は33枚・・・」

 

「デッキの上から21枚を墓地に送る!」

 

龍可のデッキからカード21枚が墓地に送られて、数枚のカードが墓地から起動する。

 

「墓地に落ちたライトロードの裁き、ライトロード・ビースト ウォルフ2体とEm トリック・クラウン、ジャステイスロード、ライトロード・シャーク スクファルス、ライトロード・メイデン ミネルバ、エクプリス・ワイバーンの効果!エクプリス・ワイバーンの効果でデッキから混沌帝龍(カオス・エンペラードラゴン)をゲームから除外!ライトロード・メイデン ミネルバの効果で追加で1枚、デッキの上から墓地に送る!」

 

・Em ダメージ・ジャグラー

 

「ライトロード・ビースト ウォルフ、ライトロード・シャーク スクファルスはデッキから墓地に送られた時に特殊召喚、Em トリック・クラウンは墓地に送られた場合、私が1000ポイントのダメージを受けて攻守0にして特殊召喚!」

 

ライトロード・ビースト ウォルフ 攻2100×2

ライトロード・シャーク スクファルス 守300

Em トリック・クラウン 攻1600→0

 

龍可 LP 4000→3000

 

「ライトロードの裁きの効果でデッキから裁きの龍を手札に加え、フィールド魔法、ジャッジメント・ロードはデッキから墓地に送られた時発動する!」

 

龍可のフィールドにもフィールド魔法のジャステイス・ロードが展開され、龍可の上空から光が照らされる。

 

「ダメージを受けたことで墓地のH・C サウザンド・ブレードの効果!このカードを攻撃表示で特殊召喚!」

 

H・C サウザンド・ブレード 攻1300

 

「・・・・・お兄ちゃん、なんか可笑しいことになってる」

 

「・・・・俺の彼女はあれが普通なんです」

 

「輝いて!精霊の声が響くサーキット!」

 

龍可の上空にリンクマーカーが現れて、ウォルフとトリック・クラウン、スクファルスの3体が入った。

 

「召喚条件は同じ属性で違う種族のモンスター3体!私はライトロード・ビースト ウォルフ、ライトロード・シャーク スクファルス、Em トリック・クラウンの3体をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク3、ライトロード・ドミニオン キュリオス!」

 

ライトロード・ドミニオン キュリオス 攻2400 ↑ ↙︎ ↘︎

 

リンクマーカーの中からキュリオスが現れて、キュリオスが右手を突き出して1枚のカードが現れる。

 

「ライトロード・ドミニオン キュリオスの効果!リンク召喚成功時、デッキからカード1枚を墓地に送る!ライトロード・アーチャー フェリスを墓地に送る!」

 

キュリオスの効果でデッキからフェリスが墓地に送られて、左手の杖を上に挙げた。

 

「墓地に送られたライトロード・アーチャー フェリス、キュリオスの効果発動!キュリオスの効果から解決!デッキからカードが墓地に送られた場合、デッキの上からカードを3枚墓地に送る!」

 

・光の援軍

・ライトロード・アサシン ライデン

・ライトロード サモナー ルミナス

 

「フェリスはモンスター効果でデッキから墓地に送られた場合、特殊召喚する!」

 

ライトロード・アーチャー フェリス 攻1100

 

「フェリスの効果!自身をリリースして、相手フィールドのモンスター1体を破壊する!ライトニングマスターを破壊!」

 

フェリス自身がリリースされてライトニングマスターに突撃して、ライトニングマスターは破壊された。

 

「その後、デッキの上から3枚を墓地に送る!」

 

・カオス・ソーサラー

・光の援軍

・BFー精鋭のゼピュロス

 

「ゼピュロスの効果!フィールド魔法のジャッジメント・ロードを手札に戻してこのカードを特殊召喚!」

 

BFー精鋭のゼピュロス 攻1600

龍可 LP 3000→2600

 

「Lv4の精鋭のゼピュロスとサウザンド・ブレードでオーバーレイ!」

 

☆4 × ☆4 = ★4

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!ライトロード・セイント ミネルバ!」

 

ライトロード・セイント ミネルバ 攻2000

 

「ミネルバの効果!オーバーレイ・ユニットを1つ取り除いて、デッキの上から3枚を墓地に送る!」

 

ライトロード・セイント ミネルバ OVR 2→1

 

・ライトロード・アサシン ライデン

・ライトロード・マジシャン ライラ

・死者蘇生

 

「その中の『ライトロード』の数だけだけドローする!」

 

龍可 手札 4枚→6枚

 

「墓地の妖精伝姫ーシラユキの効果!墓地の魔法カードを7枚除外して特殊召喚!」

 

妖精伝姫ーシラユキ 攻1850

 

「Lv4のウォルフとシラユキでオーバーレイ!」

 

☆4 × ☆4 = ★4

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!ガガガザムライ!」

 

ガガガザムライ 攻1900

 

「ガガガザムライの効果!オーバーレイ・ユニットを取り除いて、自身をこのターン、2回攻撃できるようにする!」

 

ガガガザムライ OVR 2→1

 

「墓地からエクリプス・ワイバーンとBFー精鋭のゼピュロスをゲームから除外!カオス・ソルジャー 〜開闢の使者〜を特殊召喚!」

 

カオス・ソルジャー 〜開闢の使者〜 攻3000

 

「除外されたエクリプス・ワイバーンの効果!この効果で除外した混沌帝龍を手札に加える!墓地からカオス・ソーサラーとライトロード・ビースト ウォルフをゲームから除外!混沌帝龍ー終焉の使者ーを特殊召喚!」

 

混沌帝龍ー終焉の使者ー 攻3000

 

「墓地に『ライトロード』と名のついたモンスターが4種類以上存在するため、裁きの龍を特殊召喚!」

 

裁きの龍 攻3000

 

龍可の場に裁きの龍が現れてこれで龍可の場のメインモンスターゾーンは全て埋まった。あまりの出来事に桜は何も声が出ず、相手の方も情けない顔で口を開けている。

 

「バトル!カオス・ソルジャーでシャイニングスターGTに攻撃!」

 

カオス・ソルジャー 〜開闢の使者〜 攻3000

F.A.シャイニングスターGT 攻400

 

キャトル LP 4000→1400

 

「カオスソルジャーの効果!このカードが相手モンスターを戦闘で破壊した場合、続けて攻撃できる!残り全てのモンスターでダイレクトアタック!」

 

キャトル LP 1400→ー1600→ー4600→ー7600→ー9600→ー11500→ー13400→ー15800

 

 

WIN 龍可 LOS キャトル

 

 

「お、お兄ちゃん・・・・・ちょっと」

 

「言いたいこと分かる。でもあれが龍可のプレイングだ」

 

負けたと絶望した相手にさらに追い討ちをかける、通称死体蹴り。龍可と対戦した場合、龍可がこの死体蹴りをやる確率は驚異の95%超え、全くもって恐ろしい。

 

「・・・・・・・」

 

「なんか気絶しているよこの人」

 

「だったら今のうちに引き上げよう。また追いかけられたら面倒だ」

 

「ん、その方がいい」

 

デュエルに負けた相手はそのまま目を回して気絶をしているのを龍亞が確認したため、そのまま引き上げる。全く・・・・こんなことになるんなら家に引きこもるべきだった。

 




桜「・・・・・怖」

龍可「怖くないから!?」

龍亞「いやいやいや・・・・真顔であんな事されたら誰だってビビる」

桜「ライトロードってあんな都合よく回るの?」

遊輝「答えはNoです」

龍可「遊輝!?」

桜「・・・・・異常」

遊輝「というわけで次回、ぶっちゃけ8月中ライブしかやる事ないから・・・・」

龍亞「残っている俺たちで話やるよ!」

桜「『次なる一手』。次回もよろしく」


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第22話 次なる一手

なんか執筆していたら思っていたのと違う話ができたのでサブタイトル変えました。

これ本当ならボツレベルなんですがどうしても最後が必要なんですよ・・・・


桜 side

 

 

「じゃあツアー後半行ってくる!」

 

「俺と龍可は横浜アリーナに行くから!」

 

「僕と祈さんは埼玉スーパーアリーナですね」

 

「・・・私はお姉ちゃんと武道館」

 

「私は武道館と大阪城ホール行くね!」

 

「お前らちょっと労いの言葉を言えよ」

 

ネオドミノシティに一番近い空港、ここからお兄ちゃん達のバンドがまたツアーのために全国を駆け抜ける。最初は最南の地、沖縄から新潟まで北に駆け上がっていったけど今度は最北の地、北海道から福岡まで下り、最後は武道館のライブへとつながっている。

 

「あはは・・・ごめんね龍亞君、龍可ちゃん。せっかくこっちに帰ってきたというのに」

 

「いいよいいよ!今回の目的はライブ見に行くことだし!」

 

「せっかくチケット買ったんですから、見に行かないと損してしまいますから」

 

「嬉しいねぇ。ファンがいてくると私も心のゆとり持てるよ」

 

「レミずっとそわそわしているもんな。このツアー終わったら来年はゆっくりしようぜ、アルバムも出したし」

 

「そうね・・・・去年の正月からずっとノンストップだったし、来年はゆっくりしてみましょうか」

 

「お〜い!!そろそろ行かないと乗り遅れるわよ!!」

 

「おっと、じゃあアリア、桜のことよろしく」

 

「お姉ちゃんに任せなさ〜い!!」

 

お姉ちゃんは腕をまくって腕を曲げてポーズを決める。それをみたお兄ちゃんはため息をついて「ほんとココアとそっくり・・・」とか言って搭乗ゲートへと入っていった。

 

「楽しみだな〜、横浜アリーナの席当てるの苦労したから」

 

「何歌ってくれるのでしょうね。ネットじゃ『君に届け』や『R』のカバーで良くて、オリジナルだと『Happy birthdayの歌』や『STAR TRAIN』、『飛行機雲』が良かったって」

 

「なんでそんな情報知ってるの?」

 

「今の時代、検索すれば何でも出てくるよ!」

 

「龍亞・・・・楽しみなんだからそういうのやめなさいよ」

 

「2人とも〜、アリアお姉さんの楽しみを奪うなんて何て酷いことするの〜?」

 

龍亞と恭輔が盛大なネタバラシをして龍可と祈、私が呆れていたら後ろからものすごい圧を掛けたお姉ちゃんが二人を追い詰めていた。

 

「えっ・・・・いや・・・その」

 

「こ、好奇心と言いますか・・・・」

 

「二人とも覚悟しなさああい!!!!!」

 

「「ひぃいいいい!!!!!」」

 

「・・・・馬鹿」

 

空港で突如始まった鬼ごっこ、それを見て私は一言、そう呟いた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「それじゃ晩御飯作るわよ!今日は私お手製のハンバーグだから!」

 

「アリアさんの作るハンバーグって初めて食べる気が・・・・・」

 

「失礼な言葉を言わないでよ龍亞君!!私だって料理できるんだから!!!!」

 

「いっつも遊輝の料理をアホみたいにアダダダダ!!!!!」

 

「誰がアホみたいですって?」

 

夜、自分の家に戻ってきた私と龍亞、龍可そしてお姉ちゃん、お姉ちゃんがお手製のハンバーグを作ろうとしたが龍亞がそこでチャチャを入れてお姉ちゃんが龍亞のほっぺをぎゅーと引っ張る。

 

「私もあまりアリアお姉さんが料理しているところ見てないけど・・・完全にゼロではないけど」

 

「・・・普通に美味しい。お兄ちゃんと比べたらあれだけど」

 

「遊輝は料理するのが好きだからね」

 

「この前、動画の影響でラーメンの麺を切る訳わからないもの届いた」

 

それでお兄ちゃんが作ったラーメンはめちゃくちゃ美味しかった。普通にお店で出しても売れるレベル、っていうかお兄ちゃん料理上手すぎる。「昔スカウトが来た」っていうのは伊達じゃない。

 

「とりあえず作るわよ!まずは合挽肉と玉ねぎ、それと人参!」

 

「い、いててて・・・ほっぺが」

 

「人を馬鹿にするからでしょ」

 

「だ、だってぇ・・・・」

 

「ご飯ご飯」

 

「・・・・桜さんも大概食べるわよね」

 

「食べることは至福の時、誰にも邪魔させない」

 

食べ物を粗末する人、私の食べ物や時間を奪った人は容赦なく襲う。私の至福の時を奪う奴は誰も許しやしない。

 

「アリアお姉さんが料理作っている間に私たちは掃除とか洗濯しておきましょう」

 

「えぇ・・・・」

 

「毎日遊びに行って家事していないでしょ。ちゃんと洗濯してないと着るものなくなるし」

 

「洗濯するなら私も、ここんところやってないから溜まってる」

 

「ほら龍亞、行くわよ」

 

「へぇ〜い」

 

 

〜(翌日)〜

 

 

『・・・・次のニュースです。医薬会社のアムールが癌に対する新たな特効薬を開発したそうです。これにより、癌の死亡率がさらに低下することが予測されます。次のニュースです』

 

「ふ〜ん・・・・・こんなちょろっとしか出さないのか、情報統制でも掛けているのかね?」

 

「大々的に報道されていない。ネットニュースも載っていない」

 

朝のニュースの時間、とある局のニュースで私をしつこく追いかける組織のニュースが流れたけどわずか5秒も満たない小さなニュースで終わった。

 

「これが桜さんを追いかけている相手ですか?」

 

「なんか普通の会社だけど」

 

「龍亞君、君は頭のネジが数本飛んでいるの?」

 

「・・・・バカだから」

 

「ぅおい!!」

 

「ガンの特効薬を開発したって世界的なニュースよ。それなのにこれだけ、どう考えてもおかしいわ」

 

お姉ちゃんが龍亞に対して簡単に説明した。それを聞いた龍亞は「あっ・・・」と少し驚いた表情をする。

 

「私、やっぱあの会社の名前やロゴを見ると虫酸が走る」

 

「良い噂流れない会社なんて誰もが不愉快に感じるわよ。ましてや殺人兵器を研究している会社なんて」

 

「恐ろしい・・・・」

 

龍可が両手で体を纏わせて震える。確かに殺人兵器を作って研究している会社なんか世の中に存在してはならない。

 

「とは言えこっちが出来ることは桜ちゃんの防衛のみ、敵の本拠地も分からなければどれくらいの戦力も分からない。おまけにこっちは戦力たったの9人、しかも主力は旅行中」

 

「りょ、旅行って・・・・」

 

「旅行じゃん。全国回っているし」

 

たまにニュース番組とかでお兄ちゃんたちが映る時がある。めちゃくちゃ楽しそうにしていた。なんで私を連れて行かないのか訳が分からない。

 

「それにこうやってお土産買ってきてくれているし」

 

「そりゃそうでしょ。全国回っていたらお土産の一つや二つくらい買うでしょ」

 

「・・・・・この万代太鼓、美味しい。見た目ロールケーキだけど」

 

「・・・・確かに見た目はロールケーキね」

 

新潟公演のお土産で買ってきてくれたこのお菓子は美味しい。5本買ってくれたけどペロリと完食できた。

 

「まぁそれはさておき・・・・二人ともどうするの?横浜公演は2週間先だけど」

 

「ここで生活しますよ、本当ならホテルを取る予定でしたけどここなら私たちでも大丈夫ですし。それにここなら洗濯もできますから」

 

「俺たちはここに住み慣れているから下手にホテルに泊まるより安上がりだしいいよ」

 

「ふむ・・・・じゃあその間は私もこっちで生活しようかしら。可愛い妹の防衛は人数が多いに越したことはないし」

 

確かに、お姉ちゃん一人で私を守るにはちょっと無理がある。少しでも人数が多い方が私的にはすごく助かる。

 

「とりあえず洗濯と掃除するか。それから今日やること決めましょう」

 

「ん」

 

お姉ちゃんがテレビを消してそのままお風呂の場所まで行く。私も付いて行き、掃除機を手に取る。

 

「んじゃ私は洗濯、桜ちゃんは掃除機ね。龍可ちゃんは台所周りお願い。龍亞君はベランダ」

 

「えぇ!!!こんなクソ暑い時にベランダ!?」

 

「コンサートの楽しみを奪った罰だよ」

 

「根に持ちすぎだよ・・・」

 

グダグダ言いながら龍亞はトボトボとベランダに行った。

 

桜 side out

 

 

No side

 

 

とある部屋・・・・オフィスディスクにだけ灯りが灯り、部屋の電気は落ちている。そこに椅子に座る男性一人と向かい合う女性一人、男性の方はイライラしているのかなんどもボールペンのノックを押し続ける。

 

「どういうことかね?君までも失敗続きとは私は非常にガッカリだよ」

 

「ごめんね〜、でもクライアント側にも責任はあるわよ。護衛は一人と聞いていたわよ」

 

「だから君には多めのチャンスをあげたじゃないか。もう君も信用できない。次失敗したら」

 

「はいはい、どうぞご自由に。私はどうせ雇われですよ」

 

女性は簡単に挨拶してそのまま部屋から出て行く。それを見た男性は舌打ちをした。

 

「・・・・やはり雇いはダメだ。次はあいつに頼もう。一刻も早くDMWを取り替えなさいと、計画が進まない」

 




龍亞「あっつい・・・・」

龍可「そういう割には律儀にやったわね」

アリア「ここに住んでもらうんならこれくらいしてもらわないと!」

桜「ん、確かに。次回、『第23話 Arena Tour 千秋楽 Live Fes in KIZUNA is MUSIC POWER 』次回もよろしく」


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第23話 Arena Tour 千秋楽 Live Fes in KIZUNA is MUSIC POWER

バイトとWCSの予選に忙しかった。
WCSは3戦連続ベスト4で2月20日過ぎにフィニッシュ、残りはバイトと0回戦落ちで行けなかった。


*序盤、繋がってない部分があったので書き直しました。


遊輝 side

 

 

「うぃ〜す」

 

「おはようございます」

 

「おはよう〜」

 

「おっは〜、今日遊輝最後だからみんなに奢りね〜」

 

「勘弁してくれよマジで、余計な出費したくないんだよ」

 

控え室について響の無慈悲な一言に俺はダルそうな返事をして返した。

東京、日本武道館・・・・・バンドマンの夢である日本武道館でのライブをアリーナツアーの最終日に3日連続でやるという離れ業をやってのけた。アリーナツアー自体も好調、そして武道館の初日と2日目もありがたいことに満員御礼となってとうとう今日がツアー最終日だ。一応、千秋楽と名を売っているが本当のツアー最終はアカデミアで行う。

 

「遊輝さん、ご飯食べたら最終リハーサルですよ」

 

「うぃ〜・・・・まぁおにぎりぐらい食うか」

 

「もっと食べなさいよもっと。ググったらライブの時に5kgぐらい落ちる人なんているのよ」

 

「俺は食べたら横っ腹痛くなるから」

 

「そんな事気にせずに食べなさいよ、スバルは大量に食べるのに」

 

「あいつの方が運動量ヤバいだろ」

 

ドラムなんかやったことないけどスバルを見てたらよく3時間もドラムを叩けると思う。あいつ首回りに冷やしタオルしながらツアーやっているけど2〜3曲で交換してその間にもバスタオルで汗ふきまくっているんだから。

 

「ヴォーカルはもっと大変でしょ。奏っちも遊輝っちも本当は体重ヤバイんでしょ?」

 

「ないない」

 

「私も・・・・まぁ体重は落ちているけど」

 

体重が落ちたか落ちてないかで言えば落ちているがめちゃくちゃ落ちているわけじゃない。

 

「皆さん、おはようございます。最終リハ始めますよ」

 

「は〜い」

 

「っしゃ!!最後も気合入れていきますか!」

 

 

遊輝 side

 

桜 side

 

 

ガヤガヤガヤガヤ・・・・・

 

「・・・人、すごい」

 

「約14000人だからね。ぐる〜と360度見えるようにしているからこれで最大人数だよ。とは言っても埼玉スーパーアリーナは20000人入れたみたいだけど」

 

お姉ちゃんについてきてやってきたのは日本武道館という所。バンドマンが目指すべき場所みたいで多くのバンドマンの憧れみたい。私が当てた席はアリーナではなく1階席。最前列なのが救い。

 

「・・・・それよりこれ邪魔」

 

「これは今日のライブにいるからね!」

 

私は頭にかかったフードタオルを取ろうとしたけどお姉ちゃんに止められた。お姉ちゃんは大阪公演を知っているからだろうけどなんで1つ5000円もするフードタオル買わなくちゃいけないの?お姉ちゃんのお金とはいえTシャツと合わせたらそれだけで9000円近く無くなった。お姉ちゃんはそれにパンフレットとかキーホルダーとか追加で買っていたけど。

 

『本日はSECRETのライブツアー、Live Fes in KIZUNA is MUSIC POWERにお越し頂き誠にありがとうございます。開演前にお客様が安全に公演をご覧になられるようにいくつか注意事項を確認します』

 

「おっ、そろそろ始まるよ」

 

会場内に響きわたる注意事項のアナウンス、スマフォで時間を確認したら確かにもうすぐ開演時間だった。

 

『・・・・以上のことをお守りできないお客様がいらっしゃる場合、公演を中断、中止する場合がございます。お待たせしました。Live Fes in KIZUNA is MUSIC POWER、まもなく開演です』

 

パチパチパチパチパチパチ!!!!!

 

・・・・・♪♪!!!

 

『オオオオオ!!!!!!』

 

中央に作られた円形ステージ、その上にある四方から見えるように作られた液晶画面が映像が流れ始める。BGMに乗って映し出されたのは影絵の少年少女、子供たちが楽しく遊び、喧嘩をしながらどんどんと成長していく。

 

♪〜〜〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!!』

 

映像の途中からステージにお兄ちゃんたちが上がってきた。ステージ脇から上がったスタッフにギターやベースを受け取る。そして全員がフードタオルを被っていた。

 

♪♪♪〜〜〜

 

映像の少年少女の心臓の部分から一本の白い糸が出てきて少しずつ結んでいって長い一本の糸になる。その糸が動いていき、一筆書きで『KIZUNA is MUSIC POWER 』の文字が浮かび上がる。

 

♪♪♪〜〜〜♪・♪・♪・♪

 

『オオオオオ!!!!』

 

奏がマイクの前に立ち歌い始める。それに合わせてお兄ちゃんとレミはヘッドマイクを口の前に持っていて歩き始めた。ドラムやキーボード、茜のパーカッションがある楽器のステージはゆっくりと回転をし始めた。

 

 

1 Jamboree!Journey! 【Afterglow】

 

2 キズナミュージック♪ 【Poppin'Party】

 

3 R 【Roseiia】

 

 

♪♪♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

パチパチパチパチ!!!!!!

 

「R」が終わり、フードタオルを外した奏はギターをスタッフに預けてマイクの前に立った。

 

「今晩は〜」

 

『今晩は〜!!!』

 

『奏さ〜〜ん!!!』

 

『スバル!!!!』

 

「ありがとうございます。えぇ、SECRET、のライブツアー、武道館の千秋楽にお越しいただき誠にありがとうございます」

 

パチパチパチパチ

 

「とりあえずこれ初日、二日目と恒例だから言わせて・・・・・武道館に来たぞおおおお!!!!!」

 

『ワアアアアア!!!!!!』

 

「ゴホッ、ゴホッ・・・ごめん、むせた」

 

『ハハハハハッ!!!!』

 

「ええっと茶番に付き合ってくれてありがとうね。こんなバンド、こんなバンド?こんなバンドですが去年初めてツアーをして、今年は去年の倍以上の公演回数をやって憧れの武道館に3daysを行うことが出来ました。本当に皆さんのお陰です。ありがとうございます」

 

パチパチパチパチ!!!!!!

 

「えぇ・・・それじゃ後ろの準備も終わったみたいなので今度はしっとりとバラードでも歌いましょう。SECRETのオリジナル曲です」

 

『オオオオオ!!!!』

 

・・・・♪♪♪〜〜〜〜〜〜

 

 

 

4 Best friend 【オリジナル】

 

5 ありがとう 【オリジナル】

 

6 Dreaming 【オリジナル】

 

 

 

♪♪〜〜〜♪♪〜〜〜

 

「イエエエエ!!!!!盛り上がっている!?」

 

『イエエエエ!!!!』

 

「次!!新曲行くわよ!!『限界突破』!!』

 

♪・♪・♪〜〜〜♪♪〜〜〜

 

「フゥゥ!!!!」

 

疾走感あるキーボードとギターのリードからベースとドラムによるリズム隊による軽やかな曲が流れ始め、観客は曲に合わせて手拍子を始める。

 

 

「呆られるほどに見捨てられた

スピードに魅力された馬鹿(やつ)がいる

「馬鹿だな」と他人(そいつ)は叫んでいる

何もしなきゃ何も変わらないだろう

 

アクセルを目一杯踏んで

轟きを鳴らしながら疾走していく

コンマ数秒のその迫力に胸の鼓動が高鳴り

 

熱く燃えてクールに行こうぜ

地平線の先に待っているゴールを目指して

僕らのエンジンはまだぶっ壊れていない

限界突破のスピードを飛ばして つき進もうぜ

 

運命の扉をこじ開けて

その先にある大事なものを取りに行こうぜ

「おとぎ話」と他人(そいつ)は冷やかす

それでも俺はこの瞬間を大切にしたい

 

たまにブレーキを踏んで

タイヤ痕を残してカーブを曲がる

コンマ数センチのその脅威に胸の鼓動が破裂しそう

 

熱く燃えてクールに行こうぜ

S字カーブを曲がり切ったゴールを目指して

たとえ曲がりきれなくて横転しちゃっても

七転八起の心を持って 何度でもtry!

 

 

真っ赤に燃える太陽を背中に

フラッグを目指した戦いが始まる

シグナルが赤から青に変わり

レースにうるさく鳴り響く重音

 

熱く燃えてクールに行こうぜ

地平線の先に待っているゴールを目指して

僕らのエンジンはまだぶっ壊れていない

限界突破のスピードを飛ばして つき進もうぜ

 

燃え上がる脳内インスピレーション

目の前に見えるフラッグを目指して

僕らのエンジンはまだ燃え上がっている

スピードメーターの針を振り切って つき進もうぜ」

 

♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

「まだまだ行くよ!『enjoy!!summer vacation‼︎』」

 

♪♪〜〜〜

 

「蒸し暑い終業式 校長の無駄話を立ち寝して

これから起こるhappyな毎日を妄想

 

通知表もらって 親への無駄な言い訳を考え

これから起こるbadな未来を悲壮感

 

ハイなテンションで幕が上がる初日

スマフォの充電を忘れて気分がdown

そんな事忘れるくらいに

 

みんなで

歌ってenjoy 叫んでmiracle

歌って踊って遊び尽くして倒れろ!!

遊んでplay 走ってrunning

いつだって全力全開 楽しみ尽くせ!!

 

ミンミンと鳴く 儚いセミの鳴き声を

耳障りだと叫んでテレビゲームに夢中

 

Game overと現れる 画面にムシャクシャして

髪の毛をむさぼりにかきむしっていた

 

ロウなテンションで迎える夏祭りの屋台

リア充達に嫌味な視線を送りつける

そんな事を忘れるくらいに

 

みんなで

撃ちまくれshout 食べ尽くせeating

飲んで食べてまた飲んで潰れろ!!

花火だfire 心踊るflying

いつだって 全力全開 楽しみ尽くせ!!

 

 

騒いで遊んではしゃぎまくった最高の夏もあと1日

ふと机に現実を振り向くと手をつけてもいないモノが沢山

徹夜・夜更かしなんてしても意味がなく結局初日から補習だあああ!!!!

 

そんな事忘れるくらいに

 

みんなで

歌ってenjoy 叫んでmiracle

歌って踊って遊び尽くして倒れろ!!

遊んでplay 走ってrunning

いつだって全力全開 楽しみ尽くせ!!

summer vacation」

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!」

 

「まだまだまだ!!もっともっと!!!」

 

『イエエエエ!!!!!』

 

「ノンストップで行くわよ!!『さあ 行こう』!!」

 

♪♪♪〜〜〜

 

「(さあ行こう!)振り返らずに

(さあ行こう!)前を向いて

果てしなく続く一本道 僕らの旅は走り出す

 

それは偶然の産物が生み出して

それは運命の導きのようだ

出会ってすぐに意気投合して

なんの不安もなく歩き出した

 

Ah〜 一体なんでこんな自信あるの?(あるの?)

一体どうやってそんな根拠持てるの?(持てるの?)

そんな答え有りはしない(No Answer)

だって何が起こるのか分からない(分からない)

だって悪いことばかりじゃない(じゃない)

楽しいことを楽しもう!(Let's start your future)

 

さあ行こう!真っ白な未来めざして

さあ行こう!心に期待を秘めて

少しの不安もありはしない だって分からないから

前向いて!ぶつからないように

前向いて!見つめるんだよ

高い障害物も乗り越えて 目指すは遥か頂き

 

いつも君の笑顔に救われて

僕もたまには君を救いたい

君の悩んだ姿に心苦しみ

君と手を取り合って解決したい

 

Ah〜 一体どうしたんだい?(どうしたんだい?)

一体何で悩んでいるんだい?(悩んでいるんだい)

君らしくない (you don't look good)

僕が君の力になりたい(なりたい)

僕が君を助けたい(助けたい)

手を取り合って走ろう!(Let's run with me)

 

さあ行こう!未知なる世界へ

さあ行こう!果てしない旅へ

どんな事が起きろうとも 楽しく乗り越えよう

振り返らず 走り抜けよう

後ろ振り向いても 戻れないんだから

高い壁でも深い谷でも 乗り越えて行くんだ

 

 

時には休むために立ち止まって

ご飯食べて寝て英気を養って

 

 

さあ行こう!果てしない未来へ

さあ行こう!その先に続く道へ

真っ白なんだからカラフルな色を手にして

前向いて!高い壁超えて

羽ばたけ!世界中に

僕たちの夢は続くんだ!

 

さあ行こう!その頂きへ

さあ行こう!迷わずに進んで行け

さあ行こう!振り向かずに

さあ行こう!その足を進めて」

 

 

♪♪♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!!』

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜♪♪♪!!!!

 

「さあ 行こう」が終わり、奏は頭を下げてステージの照明が普通に照らされる。ステージを駆け回っていた奏はマイクスタンドの前に戻り、マイクスタンドを持ってステージ中央に移動した。

 

「ありがとうございます」

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

『奏さ〜〜〜ん!!!!』

 

「ありがとうね、とりあえず一旦水飲ませて・・・・・・・っはい、みんなも休憩しながらお願いね」

 

奏が休憩をお願いしたところでスタンディング状態だったお客さんが一斉に座りだした。

 

「えぇと次の準備の繋ぎをしてって言われたけど、私は遊輝ほど喋るのが上手くないからね、何話したらいい?」

 

『WRGP!!』

 

『軽音部の恋仲!!』

 

『好きな人は!?』

 

「・・・・所々おかしい所あるけど(汗)。恋愛相談ならそこの彼女持ちのギタリストに聞いてよね」

 

『アハハハハ!!!!!』

 

「あとさ、お客さんが振ったせいで考えていた次の曲の紹介パァ〜になったんだけど(汗)」

 

『ハハハハハ!!!』

 

「率直にどうしようかしらねぇ・・私はね、そこの誰かさんと違って恋なんてしていないけどさ、恋心を抱いたらこんな気持ちになるんかなって・・・・」

 

「おい奏、お前俺のことバカにしてるだろ?」

 

『アハハハハ!!!!!』

 

「いやまぁ・・・・どうなのかな〜?まぁ私の、私たちの恋歌、歌います。『愛の言葉』」

 

♪♪♪〜〜〜

 

しっとりとしたキーボードのリズムにギターの音が乗り、全体の重厚感のある音楽が会場に響き渡る。

 

 

10 愛の言葉 【オリジナル】

 

11 恋心 【オリジナル】

 

12 Happy birthdayの歌 【オリジナル】

 

13 カミサマドライブ 【オリジナル】

 

14 STAR TRAIN 【オリジナル】

 

♪♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

「ありがとうございます!」

 

『STAR TRAIN』が終わり、観客は拍手が巻き起こる。そのままステージの照明は落ちて、ステージ上の液晶画面に映像が流れ始めた。みんな座り直して、オープ二ングの時に写っていた影絵の少年のうち一人が家族らしき人たちとベッドの横に立っている様子だった。

 

♪♪♪〜〜〜

 

ベッドで眠っているのは結構年めいた人だ。多分、少年のお爺ちゃんかお婆ちゃんだろう、横にある心電図モニターは微かに、しかし弱く動き、ついにモニターは止まった。周りの人達、少年もベッドに横になった人の手を握り泣き始めた。

 

『喜び、怒り、哀しみ、楽しみ、人の心は多種多様である』

 

スクリーンの映像とともに白い文字が出て、映像とともに鮮明に脳に刻まれる。

 

『では人の記憶に一番残るのは?それは哀しみではないだろうか?一説では哀しみは他の感情の240倍記憶に残ると言われている』

 

『人は決して忘れられない哀しみと共に、後悔と弱みとして鎖に縛られながら生きていく』

 

『「本音と建前」、その言葉の通り、人は表側では平気を装う、しかし一人になると哀しみが混み上がり、底知れない感情へとなる』

 

『人は・・・・・哀しみと共縛られ・・・・・生きていく生き物である・・・・・それはまるで・・・苦いレモンの匂いのように・・・・・』

 

♪♪〜〜〜

 

『オオオオオ!!!!』

 

♪♪〜〜〜

 

スクリーンの映像が止まってステージ中央にスポットライトが灯される。そこにいたのはマイクを持ったお兄ちゃんだった。そのままお兄ちゃんがキーボードに乗せてほぼアカペラの状態で歌い始める。お兄ちゃんの歌を聞いた観客は歓声を上げてスタンディング状態になる。

 

15 Lemon 【米津玄師】

 

16 オリオンをなぞる 【UNISON SQUARE GARDEN】

 

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

「ありがとうございます」

 

ギターを持ったお兄ちゃんはスタッフから別のギターを受け取り、ストラップを通す。軽く指で弾いてマイクスタンドの前立つ。前の曲の繋ぎからドラムとキーボードの音が響き渡る。

 

「イエエエエ!!!!盛り上がっている!?」

 

『イエエエエ!?!?』

 

「いいねいいね!!もっともっと声が出せるでしょ!?」

 

『イエエエエエエ!!!!』

 

「もっともっと声が出せるかああああ!!!!」

 

『イエエエエエエエエエエエエ!!!!!!』

 

「もっともっともっと叫べえええええ!!!!」

 

『イエエエエエエエエエ!!!!!!』

 

「いくぞおおおお!!!『叫び』!!!!」

 

♪♪♪〜〜〜!!!!!!

 

激しい3重のギター音、それに答えるベースとドラムのリズム隊、今までになかったハードロック寄りの大迫力なリズム、それをまとめ上げるキーボード、まさに三位一体となって会場の観客のボルテージはさらにヒートアップする。

 

♪♪♪〜〜〜

 

「自暴自棄になって暴れまくり

己の拳が真っ赤に染まって

周りを見たら全て壊れていて

自分の心に重ねていく

一体どこで間違えたんだ?

誰かに問いただして聞いてみた

答えは誰も帰ってこない

そりゃそうだ、誰もいないんだから

 

「君はどうしてこうなんだ」

勝手な理想を押し付けられて

何の文句も言えずに心が黒く染まっていく

「お前なんて生きる価値がねぇ」

糸が切れたように意識を手放して

気づいたらそいつの胸ぐら掴んで 殴ってた

 

二次方程式を解ける奴は

俺の心の中も解けるのか?

俺の心を染めた答えを

おい答えてみろ?誰なんだ?

歴史を淡々と述べる奴は

俺の心の歴史も読めるのか?

俺の生い立ちが間違ってるのか?

おいどうなんだよ?答えろよ

 

学校追われてムショに入り

拘束という名の暴力に振るわれて

また己の拳を赤くする

俺の心は黒く染まったまま

 

「誰だこいつ!?」と叫んでいる

辺り構わず八つ当たり

目を覚ますといつも孤独だった

「大丈夫!?」と心配の声掛けさえ

信用できずに振り払う

哀しい目を見て苦しくて 泣いていた

 

化学反応で原爆を作る奴は

俺の心の爆弾も操れるのか?

俺の心の鉄格子も破れるのか?

おいどうなんだよ?答えてみろよ

 

 

誰も彼も辺り構わず暴れまくり

俺の周りは黒く染まっていく

信用の言葉も信頼の言葉も無いくらいに

 

「どうして泣いているの?」

誰かの声が聞こえてきても

耳を塞ぎ聞こえないふりをしていた

「苦しくて辛くて逃げてきたんだ」

自分の心の声を無視し続けて

目が潤んでいるのに 気づかないふりをした

 

黒板の漢字を読めるやつは

俺の心も読めるのか?

俺の事を分かるの?

おいどうなんだよ?おいどうなんだよ!?

 

目の前の先公の話を聞いて

俺の心は救われるのか?

俺はいつだって迷っていた

おいどうするんだよ?おいどうするんだよ!」

 

 

♪♪♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

観客の声に答えるようにお兄ちゃんは手を振って頭を下げた。スタッフからエレキギターを受け取ってアコースティックギターを渡す。ストラップを通してマイクスタンドの前に立った。

 

「えぇ・・・・改めましてこん、こんにちは?今は今晩はか」

 

『こんにちは!!!』

 

『こんばんは!!』

 

「ギター&ヴォーカルの遠藤遊輝です、よろしくお願いします。ええ・・・・何言おう、まずは千秋楽に来てくださってありがとうございます」

 

パチパチパチパチ!!!!

 

「皆様のおかげで無事に千秋楽まで駆け抜けることができました」

 

『もう終わり!?』

 

『早いよ!!!』

 

「違う違う違う!!!!!!!繋ぎのMCだから!!!」

 

『アハハハハ!!!!』

 

「本当ならねホールツアーと同じことを言おうと思ったけど初日の沖縄公演の時にそこのリーダーにコテンパンに怒られてね、話すなと、それとMCの時間減らさせて」

 

『ハハハハハ!!!!』

 

「まぁ今日が初めての人に何を言ったのか簡単に言うと、絆って言葉は安易に使ったら逆に人を苦しめる、それくらい重い言葉だけど今回のツアーでは『私たちは音楽の力で皆さんと絆を繋げよう』、そういう事言ったんです」

 

パチパチパチパチ!!!

 

「いい事言ったでしょ?なのにそこのリーダーは俺の頭を叩いてくるんすよ」

 

「余計なことを言って私のことを馬鹿にしたからでしょ、終わったらまたブツわよ」

 

『アハハハハハ!!!!』

 

「こわ〜・・・・女ってやっぱ怖いわ〜」

 

『アハハハハハ!!!!!』

 

「とりあえずこんな茶番は置いといて、準備できた?」

 

マイクスタンドからマイクを取ったお兄ちゃんは楽器隊を確認した。みんなお兄ちゃんに頷いてお兄ちゃんは観客の方に振り向いた。

 

「それじゃ準備が整ったようなのでいきましょう・・・・・『Re:START』」

 

♪・♪・♪♪♪〜〜〜

 

先ほどとは違って今度はゆっくりとした曲が流れる。

 

 

「「思い出の詰まった宝物は何?」

「そうだな〜」と考えてみた

この3年間で出会った友達や先輩

はたまた教室や放課後の体育館

どれもこれも頭の中を巡ったけど

なかなか一つに絞りきれないや

どれもこれもが大切な思い出

であり大切な宝物だから

 

靴箱にある上履きとテスト用紙

ロッカーにある体操服と落書き

上辺では消えてしまうけど心の中では残り続けるよ

 

僕ら泣いたって 笑いあって 抱き合って

ただただこの時間を走り抜けた

永遠に続くような気がしていた

君もいつだって あんな時だって どんな時だって

僕らとともにずっと走り抜けた

やがて終わりを迎えて始めて無を知った

 

「あの先生にいい思い出あった?」

「そうだな〜」と思い返してみた

この3年間に何度も怒られて

それでも可愛がってもらった

 

裏庭でいつも集まり

弁当を食べて遊びまくった

そんな楽しみの一つも明日からは無くなってしまうんだ

 

君もふざけあって 喜んで 嬉しくて

ずっとこの時間を共にした

永遠にこの場所で過ごしていくんだと

僕ら ただ突き進んで 前向いて 時には振り返って

ずっとずっと走り続けたんだ

だからそんな事は起きないと気づいた

 

 

いつも今日だって昨日だって明日だって

ずっと走り続けきたんだから

悩みの種だって 一つぐらい 抱えいても

おかしくないんだ

 

でもだからって泣いちゃダメな理由はないんだ

 

僕ら泣いたって 笑いあって 抱き合って

ただただこの時間を走り抜けた

いつかはこの場所からいなくなるんだと

僕らいつだって この先も どこに居ても

この硬い硬い絆はこわれないんだ

例えバラバラに離れちゃっても

 

忘れ物はしていないか?

卒業の次は新たなスタートが始まるんだ」

 

♪♪♪〜〜〜

 

パチパチパチパチ!!!!!!

 

♪・♪・♪・♪♪♪〜〜〜

 

曲が終わってそのまま次の曲に入った。ゆったりとした局は変わらず、だけどさっきの明るい雰囲気とは違って今度は少し暗い感じの雰囲気の曲になる。

 

♪♪♪〜〜〜

 

19 春夏秋冬 【オリジナル】

 

20 素晴らしき世界 【オリジナル】

 

21 Hometown 【オリジナル】

 

♪♪♪〜〜〜

 

ステージを駆け回ったお兄ちゃんがマイクスタンドの前に立ち、アコースティックギターを手にする。横にはベースを持ったレミとギターを持った奏、そして3人の後ろのステージが回転してスバル・響・茜の楽器隊がお兄ちゃんたちの後ろについた。

 

「えぇ・・・本日も長いことで、ついにこのツアー、この千秋楽公演最後の曲です」

 

『エエエエ!!!!!』

 

「・・・・・・満足した?」

 

『アハハハハハ!!!!』

 

「最後の曲、個人的には割と自信を持って作りました。ほんっとなんて事ないただの日常の中の一部を切り取っただけなんですが、この曲の思いは他の曲よりも強いです・・・・・たった一つの飛行機雲から繋ぐ世界への夢へ・・・・・『飛行機雲』」

 

 

♪・♪・♪・♪♪♪〜〜〜

 

 

22 飛行機雲 【オリジナル】

 

♪♪♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!!!!』

 

「ありがとうございました!!!!」

 

最後の曲が終わり、観客から拍手と歓声が巻き起こる。お兄ちゃんはギターをスタッフに渡してマイクを手にして一歩前に出た。他のメンバーは観客に手を振っている。

 

「今日はSECRETのライブに来てくれてありがとうございました!!!気をつけて帰るんだぞおお!!!!」

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

お兄ちゃんが頭を下げて、メンバーは手を振りながらステージに着いた階段を降りていく。お兄ちゃんも手を振りながら階段から降りてステージには誰もいなくなった。

 

「・・・・終わった、凄かった」

 

「まだまだ、まだ終わらないよ」

 

「?終わりでしょ?お兄ちゃん最後って『アンコール!!アンコール!!アンコール!!』・・・・えっ?」

 

私は終わったと思って感慨深くなっていたらお姉ちゃんにまだっと言われた。そして周りから会場に響き渡るくらいにアンコールの声が鳴り響く。

 

『アンコール!!アンコール!!アンコール!!』

 

・・・・バン!!!

 

アンコールは続き、ステージに照明が付いた。既にステージには6人全員が戻っていた。マイクスタンドの前に奏さんが立って、マイクを手にする。

 

「アンコールありがとうございます」

 

パチパチパチパチパチパチ

 

「ええと・・・・アンコールなんですが去年はアニソンを歌って今年はどうしようかな〜って」

 

『オオオオオ』

 

「勝手に盛り上がらないで!!お願いだから余計な期待持たないで!!」

 

『アハハハハ!!!』

 

「結局方向性が決まらないままホールはやっちゃったんだけど、アリーナの直前でようやく決まってね。今回は有名どころだけどボーカロイドの曲を」

 

『オオオオオ!!!!』

 

「みんな準備出来た?・・・・・それじゃ行くわよ!!」

 

『ワアアアアア』

 

♪・♪・♪・♪〜〜〜

 

「ロキ!!!!」

 

『オオオオオ!!!!!』

 

♪〜〜〜♪〜〜〜♪♪〜〜

 

 

23 ロキ 【鏡音リン】

 

24 ロストワンの号哭 (ver Afterglow) 【鏡音リン】

 

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!!!』

 

「ありがとうございました!!!」

 

ロストワンが終わって奏は頭を下げる。ステージ中央で演奏していたお兄ちゃんとレミと一緒にステージ端まで移動して、楽器隊が準備を始める。

 

「ええ・・・・それじゃ最後の曲になります。この曲はですね、リーダーのレミがツアータイトルを決めたのと同時にアリーナの最後の曲を絶対にこれだ!って押していた曲なんです」

 

『オオオオオ!!!!』

 

「この曲はね、とあるグループが解散する時に作られた最後の曲。誰にも公に発表せず、本当に突然の発表となって、だけれどもこのグループの歌われた曲や記憶っていうのは、そしてそのジャンルはずっとずっと続くっていう素晴らしい歌です」

 

パチパチパチパチ!!!!!

 

「・・・・ごめんね、ちょっと待って、ねぇ本当にこれ歌うの?私やっぱ恥ずかしいんだけど〜」

 

『エエエエ!!!!

 

「あんた毎回毎回アリーナやるたびにそれ言うのフリ?昨日も言ったじゃない」

 

「いやだって、なんか恥ずかしいんだよね・・・・」

 

『アハハハハハ!!!!』

 

「まぁ・・・・バンドグループ、SECRETでは手の出した事ないジャンルの曲なので」

 

『オオオオオ!!!!』

 

「今回のツアータイトル、『KIZUNA is MUSIC POWER』に込められた、音楽でみんなの絆を繋ぎ、未来へと向かっていく曲です・・・・・μ's、『SUNNY DAY SONG』」

 

『オオオオオオ!!!!!!』

 

♪♪〜〜〜♪♪〜〜〜♪♪〜〜♪♪〜〜〜♪♪♪♪!!!!

 

 

25 SUNNY DAY SONG 【μ's】

 

 

♪♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!!!』

 

「ありがとうございました!!!」

 

最後の歌が歌い終わり、キーボードの響とドラムのスバル、パーカッションの茜は立ち上がり、ギターのお兄ちゃんとベースのレミはスタッフに楽器を預けて奏の横に並ぶ。奏はレミにマイクを渡した。

 

「えぇ・・・・みなさん、本日は本当にありがとうございました!!皆さんのおかげで無事にツアーも、そして武道館3daysも成功することができました!!!」

パチパチパチパチパチパチ!!!!

 

「本当・・・・冗談抜きで武道館を3日間埋まるとは思わなかったから・・・・大分しんどい思いをしたけど、メンバーみんなが私たちについてきてくれて、本当・・・・」

 

「大丈夫?レミ、泣いてる?」

 

「いやだって・・・今回は本当に凄いプレッシャーで・・・・」

 

『頑張れ〜〜!!!』

 

「ありがとうございます・・・・ツアー自体は終わりましたが、まだ私たちにはFinal公演が残っているのでそこまで突っ走ります」

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

レミの挨拶が終わって全員が手を繋ぐ。

 

「本日は誠にありがとうございました!!!」

 

「「「「「ありがとうございました!!!」」」」」

 

『ワアアアアア!!!!』

 

『ありがとう!!!』

 

「それじゃ次は南!!」

 

円形状のステージを時計回りに回っていき、南エリアについてもう一度お礼を言う。そのままステージを一周して行く。最後に北エリアに着き、マイクを離す。

 

「せええの!!」

 

「「「「「「ありがとうございました!!!!!!」」」」」」

 

パチパチパチパチ!!!!!!

 

『ありがとう!!!』

 

『また来るよ!!!』

 

観客から今日一番の拍手と歓声が巻き起こり、メンバーは手を振りながらステージから降りていった。




レミ「終わった・・・・・全てが終わった・・・・」←燃え尽きている

遊輝「お前本当に死ぬんじゃねぇのかって雰囲気出すなよ」

桜「・・・・凄かった」

レミ「それが私たちのやらなきゃならない事だから、プレッシャーやばかった」

遊輝「ようやく肩の荷が降りたんだからしばらくはゆっくりしようぜ」

桜「そういうわけで次回、『決着、キャトル戦』。次回もよろしく」


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第24話 決着 キャトル戦

いい加減片付けないと行けないから、3章辺りから少しシリアスになる(予定)
でも最近パッとしたデュエル書けないんすよね。なんかこう・・・・地味(汗)

*アンケート載せましたのでよろしくお願いします。


桜 side

 

 

「・・・・そしたらスポットライトが当たってお兄ちゃんがlemonを歌って」

 

「待ってくれ桜、ストップだ・・・・・流石に頭がついていかん」

 

「あなた・・・・そんなに話すのね」

 

お兄ちゃんのライブの次の日、アカデミアに登校した私は隣の席の氷川さんと翔悟、先にライブに行った祈と恭輔とともに昨日のライブの事を話してた。

 

「目がキラキラしてますね・・・・」

 

「凄かった、いつも遊んでばかりいる軽音部とは思えない」

 

「それ、あんまり言わない方がいいですよ。生徒指導の先生とかに見つかったらまた説教されますから」

 

「にしてもお前らよく行けたよな、チケットって抽選だろ?まぁ俺は文化祭で聞くくらいの気持ちしかないけど」

 

「私も、文化祭なら私たちタダで観れるし」

 

「僕たちはずっとファンでしたから。昔の文化祭ではコネきかせて一番前とかで観れたのですが」

 

「今となってはそれももう無理ですけど」

 

「まぁ俺はいいや。文化祭で流れるし、動画サイトにも投稿してくれているし」

 

キンコーンカンコーン

 

「席に着けよ!チャイムなったぞ!」

 

「ちっ、あの先公うるせぇんだよ」

 

「山吹!!聞こえとるぞ!!」

 

「やっば!!!」

 

先生に怒られた翔悟は慌てて翔って自分の席に戻っていった。

 

〜〜〜〜〜〜

 

「なんで授業中に買い物に行くの?」

 

「文化祭の準備ですから」

 

「文化祭?」

 

「学校でやるお祭りです。本当は展覧会や劇とかやるのが由来なんですが」

 

ここ最近、午後の授業2時間丸々使って何かの準備をしていたけどそういう事だったのか。とりあえず私は分からなかったから恭輔と祈についてきて近くのホームセンターにやってきた。

 

「えっと、まずはペンキとハケですね。あとは釘とか追加で買っておかないと」

 

「他には・・・・・木材とかはいつもの業者から無料で頼むって言ってますから別チームですかね?」

 

「私の知らないところでなんか色々と決まっている」

 

「いや・・・・・二学期入った頃に何するか決めましたよ」

 

「何?」

 

「私たちのクラスはお化け屋敷です」

 

「お化け屋敷・・・・・お兄ちゃんは来ない」

 

「ああ・・・まぁ」

 

私が呟いたことに二人は納得した。

お兄ちゃんは大のお化け嫌い、オカルト類もダメでお姉ちゃん曰くアンデット族モンスターですは涙目で逃げるっと、全くもってダメである。本当に性別が男か疑わしく感じる。

 

「さて、ペンキは黒と白となんか暗い色を・・・」

 

「これと・・・・・・」

 

「?桜さん?」

 

私がペンキを一つ手にして恭輔に尋ねようとした時、誰かに見られている感覚を感じた。・・・・間違いない。

 

「(・・・・あいつらの仲間、この近くにいる)」

 

「(えっ!?)」

 

「(ま、不味いですね・・・師匠は今アカデミアにいますよ。僕と祈さんじゃ体術がないですし)」

 

「(お姉ちゃんに連絡・・・・とはいえ時間がかかる)」

 

「(じ、時間稼ぎくらいなら私たちでも何とかなるかもしれません。とりあえずここから離れましょう)」

 

咄嗟にスマートフォンを手にとって私はお姉ちゃんに簡単なヘルプのメールだけを送る。恭輔と祈が私を取り囲むようにして商品を戻して一度店に出る。

 

「(・・・・・周りを駆け回っている。猫のよう)」

 

「(余計にこちらが不利ですね・・・)」

 

「(ど、どうしましょう。このまま逃げてもこっちが何処かで捕まってしまいます)」

 

「!!来た!!」

 

「えっ!?わっ!?」

 

何か飛んでくる気配を察した私は二人の頭を掴んでしゃがみ込む。私たちの真上に何かと何かがぶつかって白い煙が充満してきた。

 

「うわっ!?ちょっ!?」

 

「ケホッ、ケホッ・・・・さ、桜さん大丈夫ですか!?」

 

「ケホッ・・・ケホッ・・・だ、大丈夫・・・・」

 

「うわっ!?な、何これ!?」

 

「きょ、恭輔!?」

 

「きゃあ!!」

 

「い、祈!?」

 

煙で周りが見えずに動けない中、恭輔と祈の悲鳴が聞こえてきた。煙は晴れていって網で捕まっている恭輔と祈の姿が見えた。その隣には私の天敵であるあいつらの仲間がいた。

 

「ふん、命中は失敗したけど人質としては優秀です」

 

「・・・・・・卑怯者」

 

「なんと言われようと私も仕事をしなくちゃいけないのよ。流石に上のクライアントがカンカンに怒っているからね」

 

「ぐっ!?この!?」

 

「ぐっ!?うっ!?」

 

「今日の私は付いているわね。あの可愛い男も面倒くさい女もいない。さっさと仕事を終わらせるわよ。二人を返して欲しいならおとなしく手を上げてこっちに「とおりゃああああ!!!!!」グオバアアア!!!!」

 

敵が悪役っぽいセリフで私に指さそうとしたしたところに空からお姉ちゃんが飛び蹴りをして飛んできた。敵はそのままお姉ちゃんに頭から蹴られてしまう。

 

「私の可愛い妹を虐める奴は何処のどいつだああ!!!!!」

 

「ア、アリアさん・・・・・下」

 

「ん?」

 

「・・・・・・・キュ〜〜ン」

 

「き、気絶している・・・・(汗)」

 

お姉ちゃんが敵を踏んづけたまま大声で叫ぶもんだから周りが何かとこっちをチラチラと見ている。っていうかお姉ちゃん、どうやって飛んできたの?完全に相手の頭を蹴飛ばしていたから結構な高さから落ちてきたよね?

 

「な〜んだ、もう片付けちゃったのか。まぁいいか。二人とも、今助けるわよ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「た、助かります」

 

お姉ちゃんは相手の頭をもう一度踏みつけて二人の網を無理矢理バラバラにして助け出した。

 

「さてと・・・・遊輝ちゃんの説教はまた後にして、こいつどうしようかね?」

 

「牛尾さんたちに連絡して引き渡したほうがいいでしょ。セキュリティも極秘調査しているんですから」

 

「ぐっ・・・・うっ・・・・」

 

「あ、アリアさん・・・・相手が」

 

「こ、この・・・・やってくれたわね」

 

お姉ちゃんによって気絶させられた相手が起き上がった。そのまま立ち上がりお姉ちゃんを睨みつける。

 

「あなた・・・・あの時公園で相手した人ね。やってくれるじゃない、頭がカチ割れそうだったわ」

 

「人の可愛い妹を連れ去ろうとした野郎には頭からの飛び蹴りは法律で許されるわ」

 

「・・・・そうなの?」

 

「そんな法律ありません・・・・」

 

なんだ、あったら私も飛び蹴りやろうと思ったのに。

 

「そろそろ大人しく捕まってブタ箱に行って欲しいわね。私も遊輝ちゃんも殺人兵器を研究している会社なんかに可愛い妹を渡すつもりは微塵もないわよ」

 

「ふん、だったらこれで無理矢理連れていってやるわ」

 

そう言った相手はデュエルディスクを構えてデッキをセットする。お姉ちゃんもカバンからデュエルディスクを取り出す。

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

アリア LP 4000 キャトル LP 4000

 

「先行は私よ!まずは・・・・フィールド魔法、魔法都市エンディミオンを発動!」

 

フィールドが都会の街の中心部に大きな塔が現れる。

 

「エンディミオンは互いに魔法カードを発動するたびに魔力カウンターを一つ乗せる!レフト・Pゾーンにスケール4の魔導獣 マスターケルベロスをセッティング!」

 

魔法都市エンディミオン C 0→1

 

「マスターケルベロスの効果発動!もう片方のPゾーンにカードが存在しない場合、このカードを破壊してデッキからLv7以下の『魔導獣』モンスターを手札に加える!魔導獣 キングジャッカルを手札に加える!」

 

お姉ちゃんのPゾーンに魔導獣 マスターケルベロスが発動して、マスターケルベロスが自身の効果で破壊して魔導獣 キングジャッカルが手札に加えられた。

 

「さらにレフト・Pゾーンにスケール4の魔導獣 キングジャッカルをセッティングして効果発動!もう片方のPゾーンにカードが存在しない場合、このカードを破壊して、エクストラデッキのこのカード以外の表側表示の『魔導獣』Pモンスターを特殊召喚する!魔導獣マスターケルベロスを特殊召喚!」

 

魔法都市エンディミオン C 1→2

魔導獣マスターケルベロス 攻2800

 

「さらに魔導書士 バテルを召喚!」

 

魔導書士 バテル 攻500

 

「バテルの効果!デッキから『魔導書』魔法カードを手札に加える!グリモの魔導書を手札に加える!権限せよ!光を照らすサーキット!」

 

魔導書士バテルと魔導獣マスターケルベロスの2体がリンクマーカーにセットされ、右下斜めと左下斜めが赤く光る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件は魔法使い族モンスター2体!私は魔導獣マスターケルベロスと魔導書士 バテルをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、魔導耀士デイブレイカー!」

 

魔導耀士デイブレイカー 攻1600 ↙︎ ↘︎

 

リンクマーカーの中から白い重装備の甲冑を着て真ん中に宝石が埋められた白い大きな盾と闇色の大剣を手にした魔法騎士がフィールドに現れた。

 

「デイブレイカーはリンク召喚成功時、このカードに魔力カウンターを一つ乗せて、このカードに乗っている魔力カウンターの数×300の攻撃力がアップする!」

 

魔導耀士デイブレイカー C 0→1、攻1600→1900

「さあて行くよ・・・・ライト・Pゾーンにスケール2のサーヴァント・オブ・エンディミオンを、レフト・Pゾーンにスケール8のマギステル・オブ・エンディミオンをセッティング!」

 

魔法都市 エンディミオン C 2→4

 

「これでLv3から7までのモンスターが同時に召喚可能!Here we go!!It"s show time!!振れろ!輝きしペンデュラム!長き封印から目覚め私に栄光よ!ペンデュラム召喚!現れよ!私のモンスターたち!エクストラデッキから魔導獣キングジャッカル!」

 

魔導獣キングジャッカル 攻2400

「デイブレイカーは自身のリンク先に魔法使い族モンスターが特殊召喚された場合、1体につき魔力カウンターを乗せる!」

 

魔導耀士デイブレイカー C 1→2、攻1900→2200

 

「手札のグリモの魔導書を発動!デッキからルドラの魔導書を手札に加える!そしてフィールド魔法のエンディミオン、Pゾーンのサーヴァントとマギステルは魔力カウンターを1つずつ、さらにキングジャッカルとマスターケルベロスは魔力カウンターを2つずつ乗せる!」

 

魔法都市 エンディミオン C 4→5

サーヴァント・オブ・エンディミオン C 0→1

マギステル・オブ・エンディミオン C 0→1

魔導獣 キングジャッカル C 0→2

 

「さらに魔法カード、ルドラの魔導書!フィールドのデイブレイカーを墓地に送って2枚ドロー!」

 

アリア 手札 0枚→2枚

 

魔法都市 エンディミオン C 5→6

サーヴァント・オブ・エンディミオン C 1→2

マギステル・オブ・エンディミオン C 1→2

魔導獣 キングジャッカル C 2→4

 

「魔法カード、魔力統括!デッキから『エンディミオン』と名のついたカードを手札に加える!神聖魔道王 エンディミオンを手札に加える!」

 

お姉ちゃんのデッキがシャッフルされて1枚のカードが飛び出す。お姉ちゃんはそれを手札に加えた後にエンディミオンの塔を指差す。

 

「その後にフィールド・墓地の『魔力統括』と『魔力掌握』の数まで自分フィールドの魔力カウンターの置けるカードに魔力カウンターを乗せる!私はエンディミオンを選択!そして魔法カードが発動されたことでさらに魔力カウンターが加算される!」

 

魔法都市 エンディミオン C 6→7→8

サーヴァント・オブ・エンディミオン C 2→3

マギステル・オブ・エンディミオン C 2→3

魔導獣 キングジャッカル C 4→6

 

「サーヴァントのペンデュラム効果!このカードの魔力カウンターを3つ取り除いて、デッキから攻撃力1000以上の魔力カウンターを乗せることが出来る魔法使い族モンスター1体を特殊召喚する!魔法都市に君臨する創世の魔導王よ!今ここに権限せよ!創世魔導王エンディミオン、降臨!」

 

サーヴァント・オブ・エンディミオン 守1500

創世魔導王エンディミオン 攻2800

 

Pゾーンにいたサーヴァント・オブ・エンディミオンの魔力カウンターが0になって、サーヴァント・オブ・エンディミオンとお姉ちゃんのデッキから1枚のカードが飛び出して創世魔導王エンディミオンがフィールドに現れた。

 

「サーヴァントの効果で特殊召喚したモンスターには魔力カウンターが1つずつ乗せる!」

 

サーヴァント・オブ・エンディミオン C 0→1

創世魔導王エンディミオン C 0→1

 

「カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

アリア 手札 1枚 LP 4000

 

△ー▲ーー ▽

○ー◽︎ー○

ー ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

キャトル 手札 5枚 LP 4000

 

 

「私のターン!ドロー!」

 

キャトル 手札 6枚

 

「幻獣機テザーウルフを召喚!」

 

幻獣機テザーウルフ 攻1700

 

「テザーウルフの効果発動!召喚成功時、幻獣機トークンを特殊召喚する!」

 

幻獣機トークン 守0

 

「咲き誇れ、満開に続くサーキット!召喚条件は機械族モンスター2体!私はテザーウルフと幻獣機トークンをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚、リンク2、プラチナ・ガジェット!」

プラチナ・ガジェット 攻1600 ↙︎ ↘︎

 

「プラチナ・ガジェットの効果発動!このカードのリンク先にLv4以下の機械族モンスターを特殊召喚する!」

 

「させないわよ!魔導獣キングジャッカルの効果!1ターンに1度、自身に乗っている魔力カウンターを2つ取り除くことで効果モンスターの効果を無効にして破壊する!」

 

「なっ!?」

魔導獣キングジャッカル C 6→4

 

プラチナ・ガジェットの真ん中のギアの部分が起動してモンスターを特殊召喚しようとしたところで魔導獣キングジャッカルが魔力カウンターを取り除いてプラチナ・ガジェットの効果を無効して破壊する。

 

「ぐ、ぐぬぬ・・・なら魔法カード、ワン・フォー・ワンを発動!手札のF.A.ソニックマイスターを捨て、デッキからLv1のモンスターを特殊召喚する!」

 

「創世魔導王エンディミオンの効果発動!自分フィールドの魔力カウンターが乗ったカード1枚を手札に戻すことで相手が発動した魔法・罠の効果を無効にして破壊する!」

 

「なっ!?」

 

「私はサーヴァントを手札に戻す!」

 

「そしてこの効果で手札に戻したカードに乗っていた魔力カウンターの数だけこのカードに魔力カウンターを乗せる!」

 

創世魔導王エンディミオン C 1→2

 

「ぐ・・・・・カ、カードを1枚伏せてターンエンド・・・・」

 

 

アリア 手札 2枚 LP 4000

 

△ー▲ーー ▽

○ーーー○

ー ー

ーーーーー

ーー▲ーー ー

 

キャトル 手札 2枚 LP 4000

 

 

「私のターン!ドロー!」

 

アリア 手札 3枚

 

「魔法都市エンディミオンの魔力カウンターを6つ取り除いて、手札から神聖魔導王エンディミオンを特殊召喚!」

 

魔法都市エンディミオン C 8→2

神聖魔導王エンディミオン 攻2700

 

「神聖魔導王エンディミオンの効果発動!このカードが自身の効果で特殊召喚した場合、墓地の通常魔法1枚を手札に戻す!魔力統括を手札に戻して、ライト・Pゾーンにサーヴァントを再セッティング!さっき戻した魔力統括を発動!今度は魔法都市の実験施設(エンディミオン・ラボ)を手札に加えて、サーヴァントに魔力カウンターを乗せる!」

 

魔法都市 エンディミオン C 2→3

サーヴァント・オブ・エンディミオン C 0→2

マギステル・オブ・エンディミオン C 3→4

魔導獣 キングジャッカル C 4→6

 

「マギステル・オブ・エンディミオンのペンデュラム効果発動!魔力カウンターを3つ取り除いて、自身とエクストラデッキに表側表示で存在する魔力カウンターが乗せられるPモンスターを特殊召喚する!マギステルとマスターケルベロスを特殊召喚して魔力カウンターを1つ乗せる!」

 

マギステル・オブ・エンディミオン 攻1500、C 0→1

魔導獣マスターケルベロス C 0→1

 

「これでバトルフェイズ!私の可愛い妹を連れ去ろうとした罪は重いわよ!マスターケルベロス、創世魔導王エンディミオン、神聖魔導王エンディミオンでダイレクトアタック!」

 

「リ、リバースカードオープン!罠カード、聖なるバリアーミラーフォースー」

 

「無駄無駄!!!創世魔導王エンディミオンの効果!マギステルを手札に戻してミラーフォースの効果を無効にする!」

 

相手が発動した聖なるバリアーミラーフォースーもお姉ちゃんの創世魔導王エンディミオンによって効果が無効にされる。そのままモンスターの攻撃が通った。

 

キャトル LP 4000→0

 

 

WIN アリア LOS キャトル

 

 

「いい加減お縄についてもらうわよ!」

 

「ち、畜生・・・覚えておきなさい!!」

 

「待ちなさあああい!!!!」

 

「ぎゃああ!!」

 

デュエルが終わった後、相手は捨て台詞を履いて逃げようとした。お姉ちゃんはそれを逃さずにかめはめ波みたいな感じで両手を突き出すと、お姉ちゃんの両手からエネルギー弾みたいな物が飛び出して相手に当たった。

 

「うっし!」

 

「・・・・・恭輔、私もエネルギー弾って出せるかな?」

 

「・・・・・軽音部とアリアさんが人外なだけです。普通の人は出せません」

 

「なんだ」

 

出せるんだったらお兄ちゃんとお姉ちゃんから特訓してもらおうと思ったのに。

 

「う、牛尾さんには連絡しました。もうすぐセキュリティが来ます」

 

「このまま大人しくしてなさい!」

 

お姉ちゃんは攻撃を受けて頭から転んだ相手の頭を踏みつけて縄で縛っていく。その間にサイレンの音が鳴り響いてこっちにセキュリティの車が1台こっちにやってきた。

 

「恭輔、祈、大丈夫か?」

 

「ええ、僕らは何ともないです」

 

「牛尾さ〜ん、こいつですよ」

 

「アリア、ありがとう。ったく、遊輝のやつは何をしてるんだ」

 

「じゅ、授業中ですから・・・・」

 

「じゃあお前らは何で外にいるんだ?」

 

「僕たち、文化祭の準備の為に買い物に出かけていたんです」

 

「ああ・・・・それでセキュリティに出店の出店届けが大量に来たわけだ」

 

「出店?」

 

「SECRETのライブに合わせて去年から屋台が出るようになったんだよ。儲けになるからな」

 

「(キラーン)屋台・・・・・」

 

「「あっ・・・・・」」

 

屋台という単語を聞いて私は目を輝かせた。屋台が来る、それはつまり色んな料理が食べられるということだ。

 

「・・・・・(ジュルリ)」

 

「あの目・・・・遊輝さんからお金をたかる目ですよ」

 

「し、師匠、ツアー終盤はお金無いって言ってたけど大丈夫かな・・・」

 

「さぁ?私も今回の防衛費で高く請求するから」

 

「・・・・焼きそば、たこ焼き、トウモロコシ」

 

屋台の話が出てから私の頭には食べ物が溢れてくる。早く文化祭来ないかな?




桜「お祭りお祭り〜♪」

祈「さ、さっきからあの調子・・・・」

恭輔「桜さんも食べますからね・・・」

アリア「お祭りの時はね、たこ焼きと綿菓子が定番で焼きそばとかりんご飴も必須だよ!」

恭輔「・・・・そういえばこの人も食べましたね」

祈「じ、次回、『文化祭に向けて』。よろしくお願いします」


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第25話 文化祭に向けて

お久しぶりです。

3月は普通にアルバイトで忙しかっです。
4月以降は専門学校、最初は国家試験に集中したいから執筆時間ももっと減るのかな・・・


*アンケート設置中です。


遊輝 side

 

 

「文化祭ね〜、去年は私たち劇をしたな〜」

 

「見た、ごちうさ。みんなリアルだった。特にチノちゃん」

 

「やめろおお!!!黒歴史掘り返すな!!」

 

桜がこっちを見ながらチノちゃんと言ってきて俺は半ば怒鳴りつけるように返した。

授業後、部室に来たら牛尾さんとアリアが部屋にいて何故か正座させられて説教された。お前は桜を守る自覚は無いのかとか、妹を大切にする気持ちはないのかとか・・・・俺授業中だったんだよ!?ひっさしぶりに真面目に地理の授業受けてたんだよ!?何でこんな扱い受けるの!?そんなことを思いながら説教を右から左に流して、牛尾さんだけが帰って現在に至る。アリアはスバルと一緒にゲームをしている。

去年の文化祭なんか思い出したくもない。クラス全員に捕まって、縛られて、髪の毛染められて・・・・・あれ?俺前世から文化祭に対して良い思い出が何一つ無い?いつもいつも黒歴史を作っている気がする。

 

「恭輔君たちは今年は何をするの?」

 

「お化け屋敷です」

 

「へぇ〜面白そうじゃん。絶対行くよ」

 

「ありがとうございます」

 

「遊輝も行くよね!?」

 

「絶対に行かない!!」

 

「ま〜たそんなこと言って・・・・」

 

「学校の文化祭のお化け屋敷だよ?余裕余裕!」

 

「余裕なんてあるか!!」

 

お化け屋敷なんて二度と行きたくない!!嫌な思い出しか残らないし、毎度毎度途中で記憶が吹き飛ぶんだよ!

 

「師匠たちは何するんですか?」

 

「こっちは遊輝と奏という強力なメンバーがいるからカフェしようって。普通の」

 

「・・・・・・なんだ、残念」

 

「おいこら待て桜、なんでこっち見ながら言うんだ」

 

「お兄ちゃんの可愛い姿を「今日から1週間晩飯抜くぞ」・・・・・」

 

桜がすごく残念そうな目でこっちを見てきて理由を聞いたら爆弾発言をしようとしたので飯抜きを宣告したらすぐに黙った。

 

「意見出まくったんだけどねぇ〜、ぜ〜んぶ遊輝っちが却下した」

 

「・・・・・・なんで?」

 

「当たり前だろお前!!なんで俺が女の格好して接客しなくちゃいけないんだよ!!」

 

「うちのクラスの売り上げを伸ばすため」

 

「そんな理由でやらんぞ!!」

 

「私が可愛いフリルの衣装作ってあげようか?」

 

「やらんでいいわ変態魔女!!」

 

こいつら俺を客寄せ人形にしか思っていない!!中等部の文化祭は毎年のように黒歴史を作って今年は平穏に過ごさせてもらう!

 

「とりあえずこっちは遊輝と奏の監修でメニューと指導をしているし、他のクラスの人たちが準備しているから大丈夫、こっちはこっちでライブの準備しなくちゃいけないから」

 

「文化祭ライブ、楽しみにしている」

 

「ありがとうね〜、こっちもよろしく〜」

 

そう言ってレミは桜に1枚のCDアルバムを取り出して桜に手渡す。桜は受け取ってタイトルをガン見する。

 

「・・・・これ、お兄ちゃんたちの?」

 

「そう!デビューアルバム!2500円だからね」

 

「お金持ってない」

 

そう言って桜はレミに返した。レミはガッカリした表情する。確かに桜にはお金を渡していない、っていうか渡せない。お金渡したら間違いなく買い食いしかしない。そんな無駄使いさせない。

 

「お待たせ〜、戻ってきたよ」

 

「練習再開しよう」

 

「あいよ〜、じゃあアリア。終わり」

 

「えぇ〜、良いところだったのに〜」

 

「悪いけどみんな出てね。って言うから3人ともクラスに戻らなくて良いの?まだ準備中でしょ?」

 

「あっ、やばっ・・・」

 

「す、すぐに戻りましょう」

 

「ん、バイバイお兄ちゃん」

 

3人は椅子から立ち上がり部室から出て行き、その後に続いてアリアも立ち上がる。

 

「じゃあ私も戻るわ、そろそろ戻って仕事しないと。打ち合わせは明日ねぇ〜」

 

「うぃ〜」

 

「ご苦労様で〜す」

 

アリアが部室から出て、休憩していた俺たちも立ち上がってそれぞれの楽器を持つ。

 

「んじゃあ練習再開するわよ。え〜と・・・・Day1の6曲目からよ」

 

「えぇと・・・・はいよ」

 

「1・2・3・4」

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪♪♪♪〜〜〜

 

 

〜〜(翌日)〜〜

 

 

文化祭が近いため俺たち軽音部の練習もまた長くなって行く。事実、昨日も泊まり込みの練習となり桜はアリアに任せて夜中まで練習した。結局そのまま部室で爆睡、朝早くに目覚めてシャワーだけ浴びに家に帰ってまた授業を受ける・・・・あれ?俺今社畜と同じ生活をしている・・・・

 

「というわけでこのように陽イオンと陰イオンを組み合わせてできる化学式、これが組成式と呼ばれる。例えば用イオンであるNaイオンに陰イオンのClイオンを組み合わせるとNaCl、つまり塩化ナトリウムとなる。因みにこの塩化ナトリウム、世間一般では何と呼ばれているか分かるか?小野寺」

 

「はい!?え、えっと・・・・・マイナスイオン!」

 

「アホか!!物資が何でイオンに戻るんだよ!!授業中に寝ているから話聞いてへんのだろ!!」

 

「「「「アハハハ」」」」

 

「全く・・・・塩化ナトリウムは食塩、あるいは単に塩と呼ばれる、基礎知識だぞ。因みに組成式で他に代表的な物は塩化カルシウムとかある。組成式は化学における化学反応において基本中の基本だからな、しっかりと勉強しておけよ」

 

キンコーンカンコーン

 

「では今日の授業はここまで。組成式の詳しい事は次回の授業で教える」

 

「起立!」

 

日直が挨拶をして化学の先生が教室から出て行く。次の時間からは文化祭の準備だ。その前に俺は席から立ち上がって響の席に行く。

 

「お前いくらなんでもマイナスイオンは無いだろ」

 

「だ、だって・・・・聞いたことない」

 

「いや、塩化ナトリウムの食塩は一般常識だぞ」

 

「ううう・・・・・何で化学反応で塩が作られるのよ」

 

「お前そんなこと言ったら味の○だって化学調味料だ「お兄ちゃん」・・・何でお前がここにいるんだよ」

 

響に化学の話をしていたら、突然隣に桜が現れて俺に声をかけてきた。お前一応中等部だよ?あんまり高等部の校舎に入ってくると目立つから入らないようにしているのに。

 

「デッキ貸して、今日のデュエル実習、普段使っているデッキ使ったらダメだった」

 

「いや、俺も午後から使うから。貸しデッキ借りろよ」

 

「別クラスで使っているから無いって言われた。私今からだから、何だったら私のデッキ担保で渡す」

 

「た、担保って・・・・まあ別に構わんが」

 

そう言って俺はベルトに刺してあるデッキケースから自分のデッキを取り出して桜に渡す。桜も自分自身のデッキを取り出して俺に渡した。俺のデッキを受け取った桜はそのまま教室から出て行った。

 

「じゃ」

 

「早めに返しに来いよ〜」

 

「遊輝って自分のデッキ貸し出すこと多いよね。普通嫌う人多いけど」

 

「んまぁ・・・・半分近くはパチられているんだけど」

 

主にリーダー(レミ)と変態魔女(アリア)から、前世の感覚で友達にデッキを貸したり借りたしてデュエルしていたからな、その慣れだろう。この世界ではそういう事は嫌われるけど。

 

キンコーンカンコーン

 

「は〜い、じゃあ文化祭の準備始めるわよ!!」

 

教室に副担任の先生が入ってきたが本人は扉に入ってその横に立っているだけ、文化祭委員の彩が教壇の前に立った。

 

 

遊輝 side out

 

桜 side

 

 

「トドメよ、イビリチュア・テトラオーグルでダイレクトアタック」

 

「ぐわああああ!!!」

 

生徒 LP 600→0

 

私たちが見ているデュエルフィールド、そこで対峙している生徒に氷川さんはトドメをさしてこのデュエルに勝利する。

 

『そこまで!次、小日向と成田!』

 

「恭輔の番」

 

「恭輔さん、またカエルデッキなんですかね・・・」

 

「あいついやらしいデッキ使うよな」

 

翔悟が嫌そうな顔をして恭輔を見つめる。確かに恭輔はテラナイトにしろカエルにしろ相手をイライラさせるデッキを使う。私も大概だけど

 

『Bフィールド、山吹と遠藤!』

 

「あっ、俺と桜が呼ばれた」

 

「・・・・行く」

 

翔悟と私が呼ばれたのでそのまま

 

 

 

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

桜 LP 4000 翔悟 LP 4000

 

「私のター・・・・・」

 

「?どうした?」

 

デッキからドローした5枚の手札を見て私は固まってしまった。お兄ちゃんが渡してくれたこのデッキ、いつもお兄ちゃんが使っている『魔術師』じゃない、しかも私も見たことない。

 

「(・・・・お兄ちゃん、遊びで作ったデッキを私に渡した)」

 

これ、私デッキの中身見てない。お兄ちゃんから貰ってそのままデュエルディスクにさしたから、とりあえず。

 

「トリオンの蟲惑魔を召喚」

 

トリオンの蟲惑魔 攻1600

 

「トリオンの蟲惑魔の効果、デッキから『落とし穴』または『ホール』と名のついた通常罠を手札に加える」

 

「ああもう、嫌らしいデッキなのは分かった」

 

翔悟が何か言っているがそんな事気にしている場合じゃない。この間に私はデッキの中身を全て確認しないといけない。えっと・・・・罠中心、打点低いからこのモンスター達で補う。このモンスター達は・・・・これで特殊召喚ね。エクストラデッキも確認して・・・・

 

「奈落の落とし穴を手札に加える。現れて、未来へ続くサーキット」

 

トリオンの蟲惑魔が私の上空に出来たリンクマーカーの中に入り、下向きの矢印が赤く光った。

 

「アローヘッド確認、召喚条件はリンクモンスター以外の『蟲惑魔』モンスター1体、私はトリオンの蟲惑魔をリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン、リンク召喚、リンク1、セラの蟲惑魔」

 

セラの蟲惑魔 攻800

 

「攻撃力1600のモンスターをわざわざ攻撃力800に変えた?」

 

「カードを1枚セット、そして同じ縦列にカードが2枚以上存在する場合、手札のこのカードはその縦列に特殊召喚できる。紫宵の機界騎士(ジャックナイツ)を特殊召喚」

 

紫宵の機界騎士 攻2500

 

「いきなり打点が高い奴出てきたか・・・」

 

「紫宵の機界騎士の効果。1ターンに1度、『ジャックナイツ』モンスターを対象に取って、そのモンスターを次の自分のスタンバイフェイズまで除外してデッキから同名以外の『ジャックナイツ』モンスターを手札に加える。自身を除外して、蒼穹の機界騎士を手札に加える。さらに追加で2枚伏せてターンエンド」

 

 

桜 手札 2枚 LP 4000

 

▲ーー▲▲ ー

ーーーーー

ー ○

ーーーーー

ーーーーー ー

 

翔悟 手札 5枚 LP 4000

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

翔悟 手札 6枚

 

「メインフェイズ開始時、強欲で金満な壺を発動!エクストラデッキをランダムで裏側に6枚除外して、3枚除外につき1枚ドローする!」

 

翔悟の前に強欲で金満な壺が現れて、翔悟のエクストラデッキから6枚のカードを吸い込み、壺の中から新たに2枚のカードが現れた。

 

翔悟 手札 5枚→7枚

 

「永続魔法、真竜の継承を発動!この効果で俺は通常召喚権に加えて、『真竜』モンスターの追加召喚権を得る!そして上級真竜モンスターはアドバンス召喚の素材を永続魔法または永続罠で代用して攻撃表示でアドバンス召喚できる!真竜の継承をリリース!真竜導士マジェスティックMをアドバンス召喚!」

 

真竜導士マジェスティックM 攻2300

 

翔悟の場にあった真竜の継承がコストで墓地に送られて真竜導士マジェスティックMがフィールドに現れる。

 

「墓地に送られた真竜の継承の効果!フィールドの魔法・罠を1枚破壊する!対象はセラの蟲惑魔の伏せカードだ!」

 

「・・・・ならチェーン、その破壊されるカードをオープン、奈落の落とし穴。攻撃力1500以上のモンスターが召喚・特殊召喚された場合、そのモンスターを破壊して除外する」

 

「そこにチェーンでマジェスティックMの効果!相手が効果を発動した場合、デッキから『真竜』モンスターを手札に加える!俺は真竜拳士ダイナマイトKを手札に加える!」

 

真竜導士マジェスティックMの真下に奈落の落とし穴が現れるけど、その前に真竜導士マジェスティックMが杖を振り、翔悟のデッキから1枚のモンスターカードが出てきて、翔悟の手札に加えられた。そして奈落の落とし穴で真竜導士マジェスティックMが破壊され、真竜の継承の効果で発動した奈落の落とし穴も破壊される。

 

「それくらいは計算済みだ!インスペクト・ボーダーを通常召喚!」

 

インスペクト・ボーダー 攻2000

 

「それはダメ、リバースカードオープン、底なし落とし穴。相手がモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚した場合、そのモンスターを裏側守備表示にする」

 

「なっ!?」

 

インスペクト・ボーダーは面倒くさい、お姉ちゃんのデュエルで散々学んだからこの場で処理する。ということで、伏せていた底なし落とし穴でインスペクト・ボーダーを裏側守備表示に変更する。

 

「この効果で裏側守備表示になったモンスターは表示形式を変更できない」

 

「面倒くせぇことをしやがって・・・」

 

「さらにセラの蟲惑魔の効果。通常罠が発動した場合、デッキから『蟲惑魔』モンスターを特殊召喚する。ティオの蟲惑魔を特殊召喚」

ティオの蟲惑魔 攻1700

 

私が通常罠を発動したことにより、セラの蟲惑魔が不気味な笑みを浮かべて自身の下の隅穴からティオの蟲惑魔がフィールドに姿を現した。

 

「ティオの蟲惑魔の効果。特殊召喚成功時、墓地の『落とし穴』または『ホール』通常罠をセットする。奈落の落とし穴をセット」

 

「またか・・・」

 

「ただし、この効果でセットされたカードは次の自分のターンのエンドフェイズ除外される。そしてセラの蟲惑魔の効果」

 

「まだあるのか!?」

 

「このカード以外の『蟲惑魔』モンスターの効果が発動した場合、デッキから『落とし穴』または『ホール』通常罠をセットする。2枚目の奈落の落とし穴をセット」

 

「カードを3枚伏せてターンエンド!」

 

 

桜 手札 2枚 LP 4000

 

▲ー▲ー▲ ー

ーー○ーー

ー ○

ーーー◼︎ー

ー▲▲ー▲ ー

 

翔悟 手札 2枚 LP 4000

 

 

「私のターン、ドロー」

 

桜 手札 3枚

 

「このスタンバイフェイズに前のターンに除外された紫宵の機界騎士が戻ってくる。メインフェイズ、縦列に2枚以上並んでいるから手札の蒼穹の機界騎士を特殊召喚」

 

蒼穹の機界騎士 攻2000

 

「蒼穹の機界騎士の効果。手札から特殊召喚した場合、このカードの縦列の相手のカードの枚数だけ、同名以外の『ジャックナイツ』モンスターを手札に加える。私は2枚目の紫宵の機界騎士を手札に加える」

 

「その処理後、リバースカードオープン!永続罠、真竜の黙示録!この効果で俺は『真竜』モンスターのアドバンス召喚権を得る!真竜の黙示録をリリース!真竜拳士ダイナマイトKをアドバンス召喚!」

 

真竜導士ダイナマイトK 攻2500

 

蒼穹の機界騎士の効果で私が2枚目の紫宵の機界騎士を加えた後に翔悟が真竜の黙示録を発動、そのままリリースして真竜拳士ダイナマイトKがフィールドに現れた。

 

「墓地に送られた真竜の黙示録の効果!フィールドのモンスター1体を対象にとって破壊する!俺は紫宵の機界騎士を選ぶ!」

 

「ならチェーンでリバースカードオープン、奈落の落とし穴、さらにチェーンで紫宵の機界騎士の効果。対象は自分自身」

 

「それにチェーンでダイナマイトKの効果!相手が効果を発動した場合、デッキから『真竜』罠をフィールドに発動するか手札に加える!俺は真竜皇の復活を発動!」

 

ダイナマイトKが己の拳を地面に叩きつけて、その割れた地面から真竜皇の復活が発動される。そして紫宵の機界騎士はゲームから除外され、真竜の黙示録の効果は不発になった。真竜拳士ダイナマイトKは奈落の落とし穴で破壊された。

 

「通常罠が発動したことでセラの蟲惑魔の効果発動、デッキからトリオンの蟲惑魔を特殊召喚」

 

セラの蟲惑魔の下にある穴がまた蠢いて、2体目のトリオンの蟲惑魔がフィールドに現れた。

 

「トリオンの蟲惑魔の効果、特殊召喚した場合、相手フィールドの魔法・罠を1枚対象にして破壊する。対象は真ん中」

 

「リバースカードオープン!幽麗なる幻滝!デッキから幻竜属モンスターをサーチする!俺は真竜機兵ダースメタトロンを手札に加える!」

 

トリオンの蟲惑魔で破壊しようとした伏せカードはフリーチェーンで発動されてそのまま相手の手札にカードが1枚加えられた。

 

「セラの蟲惑魔の効果、デッキから時空の落とし穴をセット。レベル4のトリオンの蟲惑魔とティオの蟲惑魔でオーバーレイ」

 

「エクシーズ召喚かよ」

 

☆4 × ☆4 = ★4

 

私の前にブラックホールが現れて、その中にトリオンの蟲惑魔とティオの蟲惑魔が吸い込まれていき、ブラックホールが爆発を起こす。

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚。No,39 希望皇ホープ」

 

No,39 希望皇ホープ 攻2500

 

爆発したブラックホールの中から大きな白い剣が現れて、剣が変形をしていってNo,39 希望皇ホープが姿を現す。

 

「さらにNo,39 希望皇ホープでオーバーレイ・ネットワークを再構築」

 

★4→★5

 

「エクシーズチェンジ、SNo,39 希望皇 ホープ・ザ・ライトニング」

 

SNo,39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング 攻2500

 

No,39 希望皇ホープが再び剣の形へと戻り、ブラックホールに吸い込まれて、フォームを変えてフィールドに戻ってくる。先ほどよりも一回り身体が大きく、そして少しながら電気を帯びている。

 

「バトル、SNo,39 希望皇ホープ・ザ・ライトニングで裏側守備表示のインスペクト・ボーダーに攻撃、このモンスターの攻撃時、相手はダメージステップ終了までカード効果を使えない」

 

SNo,39 希望皇ホープ・ザ・ライトニングが剣を持って突撃して裏側守備表示のインスペクト・ボーダーを一刀両断して破壊する。

 

「続いてセラの蟲惑魔でダイレクトアタック」

 

「ようやくこっちの罠に引っかかったな!リバースカードオープン!永続罠、大捕り物!」

 

「あっ・・・・」

 

「相手フィールドのモンスター1体を対象にとってそのコントールを得る!俺はホープ・ザ・ライトニングを選択!」

 

翔悟が発動した大捕り物から御用用の縄が飛び出して、それがSNo,希望皇ホープ・ザ・ライトニングを縛り付けて、翔悟のフィールドへとコントロールが移った。

 

「この効果でコントロールを得たモンスターは効果を使えず、攻撃できない」

 

「・・・・攻撃するチャンスを失った、カードを1枚伏せてターンエンド」

 

 

桜 手札 2枚 LP 4000

 

▲▲▲ーー ー

ーーーー○

ー ○

ーー○ーー

ー△ーー△ ー

 

翔悟 手札 2枚 LP 4000

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

翔悟 手札 3枚

 

「永続魔法、真竜凰の使徒を発動!これにより俺は『真竜』モンスターのアドバンス召喚権を得る!大捕り物、ホープ・ザ・ライトニング、真竜皇の復活をリリース!真竜機兵ダースメタトロンをアドバンス召喚!」

 

真竜機兵ダースメタトロン 攻3000

 

翔悟の場にあった大捕り物、真竜皇の復活、そして私から奪ったSNo,39 希望皇ホープ・ザ・ライトニングの3枚のカードがリリースされて、真竜機兵ダースメタトロンが翔悟の上空からフィールドに舞い降りてきた。

 

「(奈落の落とし穴を使いたいけど・・・)」

 

「ダースメタトロンはアドバンス召喚する際にモンスター、永続魔法、永続罠のいずれか3枚を使用しないとアドバンス召喚できない!そしてこのカードのアドバンス召喚に使用したカード効果を受けない!今使ったのはモンスターと罠だから、セットしている奈落の落とし穴も効かないぞ!」

 

「くっ・・・・・」

 

そう、つまり奈落の落とし穴も私が伏せている罠カード全てが効かない。唯一魔法カードがあのモンスターに効くけど、このデッキ、魔法カードの除去が1枚も入っていない。

 

「(・・・・それどころかあのデッキに対する有効な落とし穴がもう伏せている奈落の落とし穴しかない)」

 

「さらに墓地に送られた真竜皇の復活の効果!フィールドのモンスター1体を破壊する!対象は蒼穹の機界騎士!」

 

墓地に送られた真竜皇の復活の効果で蒼穹の機界騎士も破壊されてしまう。

 

「バトル!ダースメタトロンでセラの蟲惑魔に攻撃!」

 

真竜機兵ダースメタトロン 攻3000

セラの蟲惑魔 攻800

 

桜 LP 4000→1800

 

「ぐううぅ!!!!!」

 

「メインフェイズ2、永続魔法、真竜凰の使徒の効果!墓地の『真竜』カードを3枚戻して1枚ドローする!真竜の黙示録、真竜皇の復活、真竜の継承を戻して1枚ドロー!」

 

翔悟 手札 1枚→2枚

 

「(・・・なるほど)真竜凰の使徒をリリース!真竜騎将ドライアスⅢ世をアドバンス召喚!」

 

真竜騎将ドライアスⅢ世 攻2100

 

「墓地に送られた真竜凰の使徒の効果!フィールドの魔法・罠1枚を破壊する!対象は真ん中は奈落、そして一番端のカードは関係ないから左から2番目のカードだ!」

 

「これ以上モンスターは許せない・・・!リバースカードオープン、奈落の落とし穴!」

 

伏せていた奈落の落とし穴を発動して真竜騎将ドライアスⅢ世を破壊して除外、そして真竜凰の使徒の効果で伏せていた無限抱擁が破壊される。その瞬間、翔悟の唇が動いて微笑んだ。

 

「ようやく焦ってくれたな!お前のそのクールな表情が崩れたぜ!ドライアスⅢ世の効果!このカードがフィールドから離れた場合、デッキからドライアスⅢ世以外の『真竜』モンスターを特殊召喚する!」

 

「!?し、しまった・・・・」

 

「真竜戦士イグニスHを特殊召喚!」

 

真竜戦士イグニスH 攻2400

 

破壊された真竜騎将ドライアスⅢの魂が光り、その光から真竜戦士イグニスHがフィールドに現れた。

 

「さらに魔法カード、命削りの宝札!このターンの特殊召喚を放棄して、このカードの発動以降の相手のダメージを0にする代わりに手札が3枚になるようにドローする!」

 

翔悟 手札 0枚→3枚

 

「カードを2枚伏せて魔法カード、強欲で貪欲な壺!デッキの上から10枚を除外して2枚ドローする!」

 

「翔悟 手札 0枚→2枚

 

「さらに2枚伏せてターンエンド!エンドフェイズ、命削りの宝札の効果で手札を全て捨てるが、俺の手札は0枚!」

 

 

桜 手札 2枚 LP 1800

 

▲ーーーー ー

ーーーーー

ー ー

ーー○ー○

ー▲▲▲▲ ー

 

翔悟 手札 0枚 LP 4000

 

 

「私のターン、ドロー」

 

桜 手札 3枚

 

「スタンバイフェイズ、紫宵の機界騎士はフィールドに戻る」

 

どうする・・・・・真竜機兵ダースメタトロンを突破するには攻撃力3000以上・・・ホープ・ザ・ライトニングは使った。ヴァレルロード・ドラゴンもヴァレルソード・ドラゴンも突破できない・・・・ダイレクトアタックもライフが取れない・・・・

 

「色々考えているようだがこれでトドメだ!スタンバイフェイズ、リバースカードオープン!永続罠、虚無空間!お互いに特殊召喚できない!」

 

「・・・・・・・紫宵の機界騎士を守備表示に変更」

 

紫宵の機界騎士 攻2500→守2000

 

「モンスターセット、ターンエンド」

 

「まだいるか・・・・」

 

 

桜 手札 2枚 LP 1800

 

▲ーーーー ー

◼︎ーー◻︎ー

ー ー

ーー○ー○

ー▲△▲▲ ー

 

翔悟 手札 0枚 LP 4000

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

翔悟 手札 1枚

 

「(・・・・一手間違えたら逆にダメだな、安全策に行こう)バトル!ダースメタトロンで紫宵の機界騎士を攻撃!」

 

「・・・・そのまま通す」

 

「イグニスHで裏側モンスターも攻撃!」

 

真竜騎兵ダースメタトロン、真竜戦士イグニスHによって私の紫宵の機界騎士と裏側にしたランカの蟲惑魔が破壊された。

 

「これでターンエンド!」

 

 

桜 手札 2枚 LP 1800

 

▲ーーーー ー

ーーーーー

ー ー

ーー○ー○

ー▲△▲▲ ー

 

翔悟 手札 1枚 LP 4000

 

 

「私のターン、ドロー」

 

桜 手札 3枚

 

「・・・・カードを1枚伏せてターンエンド」

 

 

桜 手札 2枚 LP 1800

 

▲ーー▲ー ー

ーーーーー

ー ー

ーー○ー○

ー▲△▲▲ ー

 

翔悟 手札 1枚 LP 4000

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

翔悟 手札 2枚

 

「このままバトル!ダースメタトロンでダイレクトアタック!」

 

桜 LP 1800→0

WIN 翔悟 LOS 桜

 

 

『そこまで!次!Bフィールド、中川と・・・』

 

「・・・・負けた」

 

「勝った・・・危なかった・・・・」

 

デュエルが終わってデュエルフィールドから降りる。翔悟がデュエルディスクを片付けてこっちにやってきた。

 

「マジで気が抜けなかった・・・・なんてデッキを使ってるんだよ」

 

「お兄ちゃんから借りた、本当なら魔術師で挑むつもりだった」

 

「・・・・・もっと恐ろしい物を聞いたよ、魔術師なんか勝てねぇよ」

 

「お兄ちゃん、遊びで作ったデッキを私に渡してきた、魔術師だと思っていたから始めた時に少し慌てた」

 

「それで始めた時に少し固まったのか」

 

「まぁ・・・・このデッキも悪くはない」

 

たまにはこういうのも悪くはない。




桜「打点高すぎ、なんでデッキから罠を発動出来るのよ」

翔悟「それが真竜だから」

恭輔「アドバンス召喚した真竜は強いですからね。こちらがアクションを取れば妨害札を発動しますから」

祈「ふ、踏み越えなきゃいけないのが多いですからね」

絢「貴方達嫌らしいデッキ使いすぎよ、何で素直に攻撃するデッキ使わないのよ」

桜「楽しいから」

絢「さらっとえげつない事言わないのよ」

桜「次回、『Live Fes in RockingGo!! Final Day 1』。次回もよろしく」


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第26話 Live Fes in RockingGo!! Final Day 1

専門学校に入学して授業受けた。

やっぱり自分の好きな分野の勉強は楽しいね。理系だったけど地理は好きだし、日本全国いってみたいところあるから。

海外はな〜・・・・台湾とかごちうさの舞台の東フランスとか言ってみたいけど飛行機恐怖症なので・・・(汗)


遊輝 side

 

 

「たこ焼き〜りんご飴じゃがバター、キャンドルボーイってなに〜?」

 

「去年歌った歌に乗せながら買うなよ」

 

「お兄ちゃん、次あれ、ポテト山盛り」

 

「お前はもっと食う量を減らせ」

 

文化祭前日・・・・それは俺たちのバンドグループ、SECRETのツアー最終公演初日でもある。会場となるアカデミア専用のRDコースには7万人近いお客さんが収容、そしてそれに近い人数がここに来るため、色んな人が朝早くから出店を出店しに来て、またお客さん達が朝早くからグッズを買うためここにやってきた。

 

「あっ!ホルモン焼き!あそこの美味しかったんだよね!」

 

「・・・・お兄ちゃん」

 

「分かった分かった・・・・・はい」

 

財布の中から500円玉を取り出して桜に渡す。お金を受け取った桜は意気揚々とアリアと一緒にホルモン屋に走っていった。

 

「お前ら・・・ほんとあいつらがいたら地球の食糧食い尽くすんじゃね?」

 

ピンクの悪魔ピンクの悪魔ってよく表現されるけど、あれは下手したらそれ以上・・・・流石にそれはないか。桜とアリアがホルモン屋の屋台を並んでいる様子を見て思う。

 

「(・・・・いい加減桜の素性の事も調べないとな)」

 

今まではツアーの事もあってなかなか桜の事や桜を連れ去ろうとしている組織の事を調べる余裕がなくて受け身の状態だったが、明日のライブでひと段落つける。来年はツアーもやらずにのんびりと過ごすとレミも言っているし、ここら辺でこっちも攻勢を練り直そう。

 

「(・・・・ライブが終わったら牛尾さんと狭霧さんに相談しよう。こっちから乗り込むことも考えて)」

 

「あっ!!あっちにかき氷!!」

 

「・・・・おでん」

 

「(・・・・その前に俺の財布の事を考えるか(汗))」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「おはよう」

 

「おはようございます、遊輝さん入りました」

 

「それまじやめて・・・・恥ずかしい」

 

スタッフの一人が控え室となっている部室に声をかける。部屋にはすでにレミと奏がいた。さっきチラッと見た隣の部屋にはプロデューサーの小林さんが機材に囲まれててんやわんやの状態でスタッフに指示している。

 

「おはよう、また桜ちゃんとアリアに捕まっていたって?」

 

「そうだよ、ま〜た手痛い出費だよ。どんだけ食うんだよって話だよ。あれはピンクの悪魔だな、人間じゃない」

 

「誰が人間じゃないって?」

 

「うわっ!?」

 

後ろから声が聞こえてビックリして2.3歩後ろずりして振り向く。プクーと頬を膨らませたアリアがそこにはいた。

 

「な、なんでお前いるんだよ!?」

 

「今日は全員分の服のチェックする係だよ!つまり私はこのライブのスタッフ!Are you OK?」

 

「OKじゃねぇよ!!えっ!?いつもの人は!?」

 

「根岸さんならこのライブお休みだよ。こんな状態らしい」

 

「また後でお祝いのフルーツでも送ってあげましょう」

 

レミがお腹周りで球を描くように手を動かした。ああ・・・・そう言えばあの人去年結婚した言ってたな。

 

「というわけで私が6人分の衣装アーティストになったわけ。遊輝ちゃんにはスカートを」

 

「うるせぇ変態魔女!!あんな大勢の前でそんな事してられるか!!」

 

「スバルさん入りました」

 

「うっす・・・・お前ら何してんだ?」

 

「見ての通りよ・・・・相変わらずなんだから」

 

「何だったらここで全国民に正体バラしてあげようかコスプレ好き男!!」

 

「テメェにそんな筋合いはねぇよ変態魔女!!」

 

「何〜〜!?」

 

「何だと〜〜!?!?」

 

「はいはい、二人ともやめなさい。遊輝、あんたはさっさと準備して来なさい。メンバー全員来たらリハーサル始めるわよ」

 

アリアと言い争っていたら間にレミが入って俺とアリアを離す。そのまま俺の方に向いてギターを一つ俺に手渡してきた。

 

「何度も言ってるけど今日は遊輝とスバル、二人のコンビネーションが必要なんだからね」

 

「心配しなくても大丈夫だ、何百回合わせたと思うんだよ」

 

「俺はスバルに合わせればいいだけだからな」

 

「響さん、茜さん入られました」

 

「おっは〜!」

 

「おはよう」

 

「う〜す、今日の最後は二人だから後でみんなにジュース奢りな」

 

「えぇ・・・・勘弁してよ」

 

「はいはい、すぐに準備して。リハーサル行くわよ」

 

すでにベースを背負ったレミが響と茜の肩を叩いて先に部室を出る。

 

「レミ、気合入ってるわね」

 

「あいつはいっつも気合入れとるけど、今日と明日は一つの集大成みたいなもんだからな・・・このライブ終わったらあいつにとっては2年ぶりくらいの休みだし」

 

「終わりがあるっていいねぇ・・・・」

 

「さっ、私たちも行くわよ」

 

「うっす」

 

遊輝 side out

 

 

桜 side

 

 

ガヤガヤガヤガヤ・・・・・

 

「・・・・人多すぎ」

 

「な、7万人ですから・・・」

 

「毎年レミさんにコネ聞かせて前の席取ってもらいましたけど、今年はとうとう無理って言われましたね」

 

「お前ら毎年そんな事してたのか」

 

ガヤガヤと聞こえる沢山の人々の声、私と祈、恭輔の3人はアリーナに設置されたパイプ椅子に座ってライブが始まるのを待っている。後ろには翔悟と氷川さんもいる。今日はステージから少し離れて左側の席になっている。これ、私でもなかなか見えにくいけど身長の低い祈とか大丈夫なのかな?

 

「でも年々席の位置が悪くなっている気がしなくもないわね・・・」

 

「大変みたいですよ。僕たちアカデミアの生徒があまり良い席だとお客さんが不満を言いますし、かと言って悪い席だと本来の文化祭ライブの意味も失うって」

 

「もうこれ、文化祭じゃないだろ。お客さん集めすぎだろ」

 

『お待たせしました。SECRET、Live Fes、RockingGo!!、Final Day1 まもなく開演です』

 

パチパチパチパチ!!!!!

 

会場に響き渡っていたアナウンスが終わり、観客から拍手が巻き起こる。すぐにスタジアムの照明が全て消滅して会場は歓声が巻き起こる。

 

・・・・・・ドン!!

 

♪♪♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!」

 

正面のスクリーンと両脇のスクリーンに映像が映し出される。暗闇の中に立つ一本の大きな木、そこにある鳥の巣で住む親鳥と小鳥、小鳥はパタパタと翼を羽ばたかせて飛ぶ練習をしているように見える。

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

やがて暗闇から朝日が昇り、親鳥と小鳥は太陽を見つめる。親鳥はそのまま太陽に向かって、そして羽ばたきの練習をしていた小鳥も親鳥に追いつこうと懸命に羽ばたいて飛び出した。

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

2羽の鳥は自らの巣から飛び出して下に広がる大きな湖の水面付近まで降下して飛ぶ。そして太陽が昇るように2羽の鳥も空へと羽ばたいていき、その鳥たちから落ちた羽根が地面へとヒラヒラと落ちていき、『Live Fes in RockingGo!!』の文字がスクリーンの画面に映った。

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

スクリーンの映像に文字が映し出されたところで奏やお兄ちゃんたちメンバーがステージ中央から上がり始めた。奏さんが観客の相手をしている間にお兄ちゃんとレミ、茜はギターとベースを受け取り、響はキーボードの前に立ち、スバルは軽く腕をストレッチしてからドラムの前に座りスティックを手にした。

 

♪・♪・♪!!♪・♪・♪!!♪・♪・♪!!

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

♪・♪・♪〜〜〜〜♪♪♪〜〜〜!!!

 

スバルのドラムから奏でるリズムに観客である私たちはそのリズムに乗って手と足を使ってリズムをとる。お兄ちゃんがタイミングを見計らってスバルのドラムのリズムにギターの音が会場に響き渡る。

 

♪・♪・♪!!♪・♪・♪!!

 

『オオオオオ!!!!』

 

お兄ちゃんのギターイントロが終わるタイミングと同時に奏がドラムのリズムに合わせて英語詞を歌い出した。千秋楽のツアーでは聞いたことない、全く知らない洋楽から始まった。

 

「よ、洋楽のRockスタートなんて初めてですよ!!」

 

「か、奏さん凄い・・・・・」

 

♪・♪・♪!!♪・♪・♪!!

 

 

1 We Will Rock You 【QUEEN】

 

2 ultra soul 【B'z】

 

3 シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜 【Mr.Children】

 

 

「勇敢な恋の歌〜〜」

 

♪♪♪〜〜♪♪♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

『シーソーゲーム』が終わってステージの照明が一度消灯される。今は夕方でまだ薄っすらとステージが見えて歓声が上がる中、奏はペットボトルの水を飲んだ後に頭からぶっかける。他のメンバーも楽器を変えて水を飲んでいる。

『奏さ〜〜ん!!!』

 

『茜さ〜〜ん!!!』

 

「ありがとうございます・・・・えぇ〜、SECRETのLive Fesにようこそ!!!」

 

『ワアアアアア!!!!』

 

「えぇ〜恒例のアカデミア文化祭、その前夜祭の2Days公演も今年で3年目となりました」

 

パチパチパチパチ!!!!

 

「これも皆さんのおかげです、本当にありがとうございます」

 

『おめでとう!!!』

 

『遊輝さ〜〜ん!!!!!』

 

「あと、今年も全国ツアーをやらせていただいて、全国ツアーのタイトルは『KIZUNA is MUSIC POWER』ということで音楽で絆の大切さを伝えてきましたが、このライブではもう、正反対」

 

『オオオオオ!!!!』

 

「『RockingGo!!』というタイトルの通り、SECRETでは久しぶりの王道系のロック曲のカバー、そしてロックに近いオリジナル曲を、えぇ今日は皆さんに聞いてもらいたいと思ってます」

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

「ほんと久しぶり・・・・去年の文化祭とか私たちアニソン初めてって言ったけど結局今年のツアーもアニソン中心になっちゃったから」

 

『アハハハハ!!!!』

 

「それでは・・・・あと2曲ほどカバー曲を歌います」

 

・・・♪〜〜♪〜〜

 

『オオオオオ!!!!!』

 

響のキーボードのメロディで観客は歓声をあげて、そのメロディに載せるように奏の歌声が響き渡る。最初の3曲とは違うバラードの歌声だ。

 

 

4 However 【GLAY】

 

5 渡月橋〜君 想う〜 【倉木麻衣】

 

 

♪♪♪〜〜〜

 

パチパチパチパチパチパチ!!!!!

 

『レミさ〜〜ん!!!』

 

『響さ〜〜ん!!!』

 

『渡月橋』が終わり、観客は拍手が巻き起こる。ステージの照明は落ちて、皆がメンバーを叫んでいる。

 

「えぇ・・・・まぁ、次からSECRETのオリジナル曲に入るんで、その前に始めて来た人も・・・・始めての人いる?」

 

『は〜〜い!!!!』

 

「ああ、結構いる。ありがとうございます。じゃあその人たちのためにSECRETのメンバー紹介やるね。まずはドラム、遊城スバル」

 

パチパチパチパチ!!!!

 

「ギター&パーカッション、栗城茜」

 

パチパチパチパチ!!!!

 

「ベース、葵レミ」

 

パチパチパチパチ!!!!

 

「ギター&ヴォーカル、遠藤遊輝」

 

パチパチパチパチ!!!!!

 

「ありがとうございます、ヴォーカルの紹介は私で、ヴォーカル&ギター、SECRETの歌姫、水野奏」

 

パチパチパチパチ!!!!

 

『奏〜〜!!!』

 

『歌姫〜〜!!!!』

 

「・・・・余計なことを言わないでよ」

 

『アハハハハ!!!!』

 

「最後、キーボード、小野寺響」

 

パチパチパチパチ!!!!!

 

♪〜〜♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

最後に響の紹介が終わった後、響のキーボードが会場内に響き渡る。ゆっくりとしたピアノ音の音色が響き渡り、会場内を包み込むように感じた。

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

『オオオオオ!!!!』

 

響のキーボードに乗って、奏が歌い始めた。開幕はスバルのドラムのリズムに合わせて歌っていたが、今度は響のキーボードに合わせるように歌いだす。

 

6 ありがとう 【オリジナル】

 

7 愛の言葉 【オリジナル】

 

8 STAR TRAIN 【オリジナル】

 

9 恋心 【オリジナル】

 

10 限界突破 【オリジナル】

 

11 RUN 【オリジナル】

 

12 Dreaming 【オリジナル】

 

13 さあ 行こう! 【オリジナル】

 

14 enjoy!!summer vacation!!【オリジナル】

 

15 カミサマドライブ 【オリジナル】

 

16 Happy birthdayの歌 【オリジナル】

 

♪♪♪〜〜〜

 

パチパチパチパチ!!!!!

 

『ワアアアアア!!!!』

 

「ありがとうございます」

 

『Happy birthdayの歌』が終わって、奏さんが挨拶してステージの照明が落ちる。流石に夜も暗くなってステージが見えなくなった。その間にもステージではスタッフとメンバーで楽器を手渡したりしている。ステージのスクリーンに映像が映し出される。

 

・・・ヒュ〜〜ン、バーーン!バーーン!

 

映像には打ち上げ花火が映っていた。連続で何発も上がる打ち上げ花火ではなく、一発一発を大事にするような打ち上げ花火だ。打ち上げ花火の拡大映像から少しずつ縮小していき、浴衣を着た2人の男女が影絵状態で現れる。恋人つなぎをした二人は打ち上げ続ける花火を見ていた。

 

『・・・綺麗だね』

 

『そうね』

 

『打ち上げ花火ってこんなにも儚いものなんだね』

 

『・・・・・』

 

『たった一発のために全てを注ぐ職人、空に打ち上がって火の粉になってまた消えて・・・僕たちの関係みたいだね』

 

ヒュ〜、バーーン!

 

・・・・・♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

『オオオオオ!!!!!』

 

映像が再び打ち上げ花火のズームへと変わり、それに合わせてお兄ちゃんの歌声が会場に響き渡る。アカペラで歌うお兄ちゃんはマイクを持って綺麗に歌っている。

 

 

17 花火 【三代目 J Soul Brothers】

 

18 君に届け 【flumpool】

 

19 オリオンをなぞる 【UNISON SQUARE GARDEN】

 

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

パチパチパチパチ!!!!

 

「ありがとうございます」

 

『オリオンをなぞる』が終わってお兄ちゃんはギターを肩にかけながら挨拶をする。ステージの照明が落ちて、暗闇の中みんなが準備をしている中、お兄ちゃんの周りの照明だけが灯された。

 

「えぇ・・・・みんな元気?」

 

『イエエエエ!!!!!』

 

「大丈夫?熱中症なってない?今年は熱いからちゃんと水分補給して、休むときは椅子に座っていいからね」

 

お兄ちゃんがペットボトルを持ちながら観客のみんなに話し始める。観客も飲み物を取り出したり、椅子に座ったりしだした。

 

「えぇ、改めて・・・・なんて言えばいいんだ?」

 

『ハハハ』

 

「・・・・まぁいいや。花火からヴォーカルが変わって、ここからは私のターンということで」

 

『遊輝さ〜〜ん!!!』

 

「ありがとうこざいます。えぇ・・・次からは私が作詞したオリジナル曲で、ちょっと準備があるので次の曲の紹介を。この曲はね、レミが作った音源を聴いた時、最初どうしようかな凄い悩んだんだよね。いつもの感じで書いちゃ、この曲を殺してしまうんで。んで、お手上げとなって奏に振ったら『私に振るなよ!!』って凄い、鬼の形相で睨んできて」

 

『アハハハハハハ!!!!』

 

「その時に初めて思ったよ。鬼っているんだなって」

 

『アハハハハハハ!!!』

 

「まぁ・・・・とはいえこっちもどうしようかな〜って動画サイトで曲を聴いていたらとある曲が耳に入ってね、その曲のテーマがねえっと・・・・アダルトチルドレンだったかな?」

 

『ロストワン!?』

 

『ロストワンの号哭!?』

 

「待て待て待て!!!!!こっちがやんわりと紹介しているのにそっちが言ってどうする!!!」

 

『アハハハハハハ!!!!!』

 

「もう・・・・まぁぶっちゃけロストワンの号哭なんですけど、初めて聴いた時、機能不全家族で育った思春期の中学生の黒い心をテーマにした曲なんですけど、それが次の曲の雰囲気と凄い合っていてね。じゃあこれに近いようなテーマで描こうと」

 

「私は一部の人なら知っていると思いますが、大のミスチルファンであって、ミスチルが作ったこれに近い雰囲気の曲とロストワンを上手いこと組み合わせて、なおかつ自分の心の奥底にある言いたいことを荒々しく書いてみました・・・・みんな大丈夫?」

 

お兄ちゃんが後ろを振り向いてメンバーに確認する。すでに他のメンバーは準備が終わっていた。

 

「じゃあメンバーの準備も終わったし、紹介した曲に行きましょう」

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

「『叫び』!!!」

 

♪♪♪♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

ギターの三重音とドラムから重なり合い、ハードロック系の音が重く響き渡る。最初のイントロが全速力で駆け抜けていくような曲であり、観客は腕を振りつける。

 

 

 

20 叫び 【オリジナル】

 

21 素晴らしき世界 【オリジナル】

 

22 Re:START 【オリジナル】

 

23 春夏秋冬 【オリジナル】

 

 

♪♪♪〜〜〜

 

パチパチパチパチパチパチ!!!!!

 

『春夏秋冬』が終わって、お兄ちゃんはペットボトルを手にして水分補給をして、他のメンバーも楽器の準備とかしている。

 

「えぇ、それでは本日最後の曲です」

 

『えええええ!!!!!!』

 

「・・・俺はもう無視するぞ」

 

『もっと歌って!!!』

 

『遊輝さ〜〜ん』

 

「えぇ・・・・最後の曲はですね、本当に何でもないものを詩にしてみました。こうやって空見上げて、今は暗いですけどあの雲綺麗だな〜とか、あの飛行機どこから飛んできたんだろうな〜って思って執筆しました。ツアー中から言ってきてましたが、個人的にはかなり自身が持てます。・・・・・『飛行機雲』」

 

 

♪・♪・♪・♪♪♪〜〜〜

 

 

24 飛行機雲 【オリジナル】

 

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

パチパチパチパチパチパチ!!!!!!

 

「ありがとうこざいました!!SECRETでした!!また次のライブでお会いしましょう!!!」

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

「バイバ〜イ!!!」

 

『飛行機雲』が終わってスバルや響たちは先にステージ裏に下り、楽器をスタッフに預けた茜とレミ、奏もステージ裏に下がっていった。最後にお兄ちゃんが挨拶をしてギターを持ったままステージ裏へと下がっていく。

 

「相変わらず凄かったです・・・・」

 

「迫力違うなぁ・・・」

 

「CD以上に心に響くわね・・・・」

 

『アンコール!!アンコール!!アンコール!!』

 

恭輔や翔悟、祈が感想を言ってきたけど、私はその余韻に浸るので精一杯、だけど周りからすぐにアンコールの大合唱が始まる。

 

 

・・・・・パン!!!

 

『ワアアアアア!!!!』

 

「アンコールありがとうございます」

 

ステージの照明がついて、ヴォーカルの位置に奏がいた。お兄ちゃんはギターを手にして響の前に立っている。

 

「えぇ・・・アンコールはですね、去年Poppin'Partyの曲やったの覚えている?」

 

パチパチパチパチ!!!

 

『覚えてる!!』

 

『奏さ〜ん!!もう一回やって!!』

 

「ありがとうございます。えぇ・・・・それが思っていたより高評だったので今年のツアーではPoppin'Partyを含む3バンドの曲をやったのですが、まぁ時間の関係で全バンド出来なかったので・・・」

 

『オオオオオ!!!!』

 

「アンコールはPoppin'Partyとその他関係のあるバンドをやりたいと」

 

『オオオオオ!!!!!』

 

「それじゃまずは1曲目行くよ!」

 

「1・2・3・4!!!」

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

『オオオオオ!!!!!』

 

♪♪♪〜〜〜

 

アンコール1曲目のイントロはスバルの大きな声とドラム、響のキーボードとお兄ちゃんのギター音から奏でられるエレクトリックなイントロから始まった。そして奏と普段歌わないベースのレミのツインヴォーカルから始まった。

♪♪♪〜〜〜

 

 

25 ゆら・ゆら Ring-Dong-Dance 【Pastel*Palettes】

 

26 せかいのっびのびトレジャー! 【ハロー、ハッピーワールド!!】

 

27 A DECLARATION OF ×× 【RAISE A SUIREN】

 

28 陽だまりロードナイト 【Roselia】

 

29 Y.O.L.O!!!!! 【Afterglow】

 

♪♪♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

観客が歓声と拍手を浴びる中、星型の赤いギターを持った奏がそのままマイクを握って話し始めた。

 

「それじゃトリを飾るのはこのバンド!ツアーでは『キズナミュージック♪』だったけど、今回はもっともっと盛り上がる曲よ!!みんな!!ジャンプしてね!!」

 

『イエエエエ!!!!』

 

「Poppin'Party!!『Jumpin'』!!』

 

♪♪♪〜〜〜

 

響のキーボードに合わせてヴォーカル以外の全員がハモり、奏が歌いだす。ギターを持ったまま右手を左右にゆっくりと振って観客も降り出す。

 

♪♪♪〜〜〜・・・・・・

 

「飛ぶよ〜〜〜!!!!!」

 

♪♪♪〜〜〜

 

 

30 Jumpin' 【Poppin'party】

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜!!!!

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

「最後は一緒に飛ぶよ!!せぇの!!」

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜!!!!

 

『ワアアアアア!!!!!!!』

 

「ありがとうございました!!!!!」

 

最後の曲が終わってお兄ちゃんとレミ、奏は楽器をスタッフに渡して、響き渡るとスバル、茜は前に出た。

 

「えぇ・・・・RockingGo!1日目、お疲れ様でした!!」

 

『ワアアアアア!!!!』

 

「明日でツアーの本当の千秋楽です!!明日も来れる人は来てね!!』

 

『ワアアアアア!!!!』

 

「ちゃんと気をつけて帰るのよ!!本日はご来場いただき、せぇの」

 

「「「「「「ありがとうございました!!!!」」」」」」

 

『ワアアアアア!!!!!!!』

 

最後に6人全員で手を取り合っておおきく振りかぶって頭を下げた。それを見て観客は歓声と拍手を送り、メンバー全員はステージ裏へと下がっていった。




桜「凄かった・・・!」

恭輔「開幕からエンジンフルスロットルで楽しかったです!」

翔悟「お前ら興奮しすぎだろ!」

絢「いいんじゃない?普段冷静な二人がこんなに盛り上がっているなんて滅多にないんだから」

祈「・・・桜さん、テンション上がっているのですかね?(汗)」

桜「次の日も絶対見る。次回、『文化祭1日目』。よろしく』


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第27話 文化祭1日目

GWはバイト漬けでした・・・・その途中、っていうか昨日、風邪引きました。親から「体調管理してないからだ」って言うけど、それだったらずっと前から引いているっちゅうねん・・・・・
あのイベント会場でバイト先のスタッフ、マジで数十人体調不良起こしている現実を知らないで・・・・・・

良いんだよ、俺次の土日WCSJとミスチルの京セラ公演行くから。


遊輝 side

 

「それではアカデミア文化祭、開幕します!!」

 

パチパチパチパチ!!!!!

 

「寝みぃ・・・・」

 

「喋らないで・・・頭に響く」

 

ステージ上にいる生徒会長の大きな声がマイクを通して俺の頭にガンガンに響く。隣にいる奏も目の下にクマがあってとても眠そうな顔をしている。

 

「お前らバカだろ、ライブ終わった後に徹夜で作詞作りって」

 

「急に良い感じに出来たんだから・・・・」

 

「とりあえずこれ終わったら寝よう・・・・リハーサルまで5時間ある」

 

昨日、レミから渡された曲のフレーズを聴いていたら突然歌詞が思いついて速攻で書き上げたつもりだった・・・・・気づいたら4時間近くたっていて深夜の3時だった。奏も同じタイミングで歌詞を書き続けて、同じくらいのタイミングで引き上げ、今朝は6時起きた、起こされた。校長先生、人使い荒すぎる。

 

「終わった・・・・俺寝る」

 

「私も・・・・・・」

 

「はいはい、ちゃんとリハーサルまでには起きてよね」

 

ゾロゾロと生徒たちが動き出す波に揉まれて俺と奏、軽音部一同は一度部室に戻る。とりあえず眠い、帰ったら寝る。

 

 

遊輝 side out

 

 

桜 side

 

「いらっしゃいませ!ソーセージはどうですか!?」

 

「こっちは金魚すくいだよ!」

 

「・・・・・・・」

 

「桜さん、焼きそばを凝視しないでちょうだい。私たちは宣伝をしに来たのよ」

 

「・・・・・焼きそば」

 

「今日は当番なのですから我慢しなさい」

 

遠くに見える、そして良い匂いがする焼きそばに私は釣られそうになったけど、氷川さんが私の肩に手を掛けて止められる。

 

「私たちはお化け屋敷の宣伝をしに来たのです。そんなにフラフラしないでくれる?」

 

「・・・・お化けはフラフラするもの」

 

「そういう問題じゃなくて・・・・・」

 

氷川さんは現在、白い布で作ったパーカーみたいなものを頭に被り私たちのクラスとお化け屋敷のことを書いた看板を持っている。私は赤のペンキを顔に塗られて、背中にコウモリの羽を付けたヴァンパイアの仮装をしている。

 

「とにかく行きますわよ」

 

「・・・・・お兄ちゃんたち呼ぼう」

 

「軽音部?確かに良い案ですけど、大丈夫なのですか?今日はリハーサルですよ」

 

「午前中は何もしない。リハーサルは午後から」

 

「・・・・ずいぶん詳しいわね、レミさん辺りからでも聞いたのかしら?」

 

「多分部室にいる、行こう」

 

「・・・・部室って今は関係者以外立ち入り禁止のはずでは?って桜さん!?」

 

氷川さんの話を無視して私は軽音部の方へと向かう。賑やかな本校舎から渡り廊下を渡って人気が全くない部室や美術室などがある校舎へと行き、「関係者以外立ち入り禁止」の看板を無視して軽音部の部室の前に行く。

 

「・・・・・着いた」

 

「はぁ・・・はぁ・・・・さ、桜さん・・・」

 

「失礼します」

 

「ちょ、ちょっと!?」

 

ガラガラ〜

 

軽音部の扉を横にスライドして中に入る。そこにテレビの前でゲーム機のコントローラーを持ったスバルと茜と響がいて、レミはイヤフォンをして音楽を聴いていた。

 

「シェルターつんよ・・・・初めて使ったけどこんなに強かったんだな」

 

「リッターの範囲舐めないでよ!!」

 

「マニューバマニューバマニューバ・・・・・」

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・お〜い」

 

「・・・んあ?桜ちゃん?どうしたの?」

 

「す、すみません皆さん!!関係者以外立ち入り禁止なのに入って来ちゃって!!」

 

「ああ・・・良いよ良いよ、あれ建前で午前中は良いから、それでどうしたの?」

 

「・・・・・お化け屋敷来て、軽音部来たら人来る」

 

「俺たちは広告塔かよ・・・・」

 

「行きたいのは山々なんだけどねぇ〜、遊輝と奏が今隣の部屋で爆睡しているから」

 

「2人ともどうしたのですか?」

 

「昨日、ライブ後に徹夜で新曲の作詞を考えていたみたいなの。私たちの曲、作詞はあの二人だから」

 

「た、大変なんですね・・・・」

 

「・・・・違う、サボっていたツケ」

 

「桜ちゃんが正解ね。今回私、結構早くに曲仕上げたわよ」

 

お兄ちゃん、家帰ったら家事と料理研究しかしていない。それ以外だったらギターの練習と・・・・・全くもって歌詞のことを考えている様子がない。

 

「私たちは6人きちんと揃っていくよ。お化け嫌いの遊輝がいた方が面白いでしょ」

 

「確かに」

 

「ゆ、遊輝さんって・・・・お化けダメなのですか?」

 

「うん、なんせアンデット族モンスターですら拒絶反応を起こすくらい」

 

茜の言葉を聞いて氷川さんは若干引きつった笑みを浮かべた。お兄ちゃんのお化け嫌いは何度も言ってるけど本当に異常。この前、私が『○にも奇妙な物語』を見ていたけど、それですら拒否反応を起こしていた。

 

「まぁ私たちは非当番の日にでも行くわ。楽しみにしているから」

 

「ん、じゃあ」

 

とにかく、お兄ちゃん達が来ないと分かったので私と氷川さんは軽音部の部室から出て、また人混みの多い所へと向かう。

 

「お兄ちゃん達来れなかったのは残念」

 

「その前にあなた、関係者以外立ち入り禁止の区域になんのためらいもなく入らないでよ、心臓に悪いじゃない」

 

「別に気にしない、それより一旦戻ろう。恭輔達と交代」

 

「そういえばそうね・・・・早く戻らないと」

 

私と氷川さんは立ち入り禁止と書かれたコーンの横をすり抜けて人混みをかき分けていき、自分たちのクラスの所に戻る。受付をしている恭輔と祈は順番待ちの列をさばいていた。

 

「次の組みどうぞ〜」

 

「お、押さないでください!!ゆっくりと動いてください!!」

 

「・・・・祈」

 

「あっ、桜さん」

 

「交代、私恭輔の所」

 

「桜さんは私と交代ね・・・・・翔悟は中?」

 

「はい・・・・今は中で「キャアアアア」・・・・あんな風に驚かしています」

 

「僕、中に入って翔悟さんに休憩行ってきますね」

 

恭輔が出口側から入っていく。その直後に女子生徒二人組みが出口から出てきた。「怖かった」とか言って隣のクラスの出し物に入っていく。

 

「さ、桜さんはもう受付を始めてください」

 

「ん、分かった」

 

「あ、あと、いちゃもんをつける人は適当に流してください」

 

「・・・・いちゃもん?」

 

「おい!!まだなのか!?さっきから全然進んでないけど」

 

「・・・・ああいう人達です」

 

「ああ・・・なるほど」

 

後ろの方で顔つきが悪い男子生徒が大声を張り上げている。確かにああいういちゃもんはめんどくさい。祈に変わってプラカードを持った氷川さんがガラの悪い男子生徒の所に行く。

 

「お客さん、当お化け屋敷は皆様が楽しんでいただけるように少数ずつのグループでお入りしていただいています」

 

「そうは言ってもさぁ!!もう15分待ってるぞ!!」

 

・・・・・15分で苦情とはこれいかに?お兄ちゃんは2時間以上並んで新型の○Pad買ってた時もあったのに。

 

「これ以上文句を言うようでしたら強制的に帰ってもらいます」

 

「んだと!?」

 

「・・・・・はぁしょうがないですね。ではこれで決めましょう」

 

「・・・・待った、それは私がやる」

 

「桜さん?」

 

男子生徒と氷川さんの揉めあいが終わりそうにならず、氷川さんが腰のベルトに挿してあったデッキケースに手をかけたので私が勝手に間に入る。

 

「何故ですか?」

 

「・・・・こういう面倒ごとの処理は私の担当、氷川さんは列整理」

 

「・・・・まぁいいですわ。頼みましたよ」

 

「へっ、なんか出てきたけど敵じゃねぇぜ」

 

私はデッキケースから自分のデッキを取り出してデュエルディスクにセットする。廊下では狭いので一度屋外に出て、男子生徒と対峙する。周りには文化祭を楽しんでいた生徒達やお客さんが野次馬で集まりだした。

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

桜 LP 4000 男子生徒 LP 4000

 

「先行は俺だ!まずはフィールド魔法、巨大戦艦ゼロスを発動!」

 

フィールドがアカデミアの校舎から宇宙空間へと変わり、相手の後ろに巨大な戦艦が現れた。

 

「このカードの発動時にデッキから『ボスラッシュ』1枚を手札に加える!そして永続魔法、ボスラッシュを発動!このカードの制約で俺は通常召喚が出来なくなる代わりに、『巨大戦艦』モンスターが破壊されたターンのエンドフェイズにデッキから『巨大戦艦』モンスターを特殊召喚する!」

 

「・・・通常召喚出来ない、特殊召喚はできる」

 

「その通りだ!フィールド魔法、巨大戦艦ゼロスの効果!手札の『巨大戦艦』モンスターを特殊召喚する!」

 

「・・・チェーンで手札の増殖するGの効果。このカードを手札から捨てて、このターン、相手が特殊召喚するたびに1枚ドローする」

 

「関係ねぇ!俺は巨大戦艦テトランを守備表示で特殊召喚!」

 

巨大戦艦テトラン 守2300

 

桜 手札 4枚→5枚

 

相手の後ろにある巨大戦艦ゼロスの発射口が開いて、その中から爆音とともに一台の巨大戦艦が飛び出してきた。

 

「巨大戦艦ゼロスの効果!『巨大戦艦』モンスターが召喚・特殊召喚された場合、そのモンスターに使用するカウンターを一つ乗せる!」

 

巨大戦艦テトラン C 0→1

 

「巨大戦艦ゼロスがフィールドに存在する限り、相手は『巨大戦艦』モンスターを効果の対象に取れず、カード効果で破壊されない!さらに攻撃力と守備力は500ポイントアップする!」

 

巨大戦艦テトラン 守2300→2800

 

「カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

 

桜 手札 5枚 LP 4000

 

ーーーーー ー

ーーーーー

ー ー

ーー◽︎--

▲△ー▲ー ▽

 

男子生徒 手札 1枚 LP 4000

 

「私のターン、ドロー」

 

桜 手札 6枚

 

少々面倒くさいけど、時間かけては対処できる。最悪、破壊以外で対処すればいい。

 

「永続魔法、閃刀機関ーマルチロール、フィールド魔法、閃刀領域ーエリアゼロを発動」

 

宇宙空間であるフィールドで、私の後ろに閃刀機関ーマルチロールの機械がそして私の部分のフィールドは空母の中のような機械だらけのフィールドになる。

 

「カードを1枚伏せて、閃刀領域ーエリアゼロの効果発動、自分フィールドのカード1枚を対象に取り、デッキの上から3枚をめくる。その中に『閃刀』カードがあればそれを手札に加えることができ、対象のカードは墓地に送られる。私はこの伏せたカードを対象にとる」

 

・無限抱擁

・ツインツイスター

・閃刀起動ーエンゲージ

 

「閃刀起動ーエンゲージを手札に加え、対象に取った伏せカードは墓地に送られる。永続魔法、閃刀機関であるマルチロールの効果。自分フィールドのカード1枚を対象に取り、そのカードを墓地に送ってこのターン、私が発動する魔法カードに相手はチェーンできない。そして墓地に送られた閃刀領域ーエリアゼロの効果、デッキから閃刀姫ーレイを特殊召喚」

 

閃刀姫ーレイ 攻1500

 

「現れて、未来へ続くサーキット」

 

閃刀領域ーエリアゼロの効果で出てきたレイはそのまま私の上空に出てきたリンクマーカーの中に入り、左下斜めの矢印が赤く光った。

 

「アローヘッド確認、召喚条件は風属性以外の『閃刀姫』モンスター1体。私は閃刀姫ーレイをリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン、リンク召喚、フォームチェンジ、閃刀姫ーハヤテ」

 

閃刀姫ーハヤテ 攻1500 ↙︎

 

「バトルフェイズ、閃刀姫ーハヤテはダイレクトアタックができる」

 

「なにっ!?」

 

「閃刀姫ーハヤテでダイレクトアタック」

 

男子生徒 LP 4000→2500

 

「ぐっ!?」

 

「閃刀姫ーハヤテの効果、このカードが攻撃宣言した場合、デッキから『閃刀』カード1枚を墓地に送る。閃刀機ーシャークキャノンを墓地に送る。メインフェイズ2、手札から永続魔法、閃刀起動ーエンゲージを発動。効果によって閃刀機ーウィドアンカーを手札に加えて、墓地に魔法カードが3枚以上あるため1枚ドロー」

 

桜 手札 3枚→5枚

 

「閃刀姫ーハヤテをリンクマーカーにセット、フォームチェンジ、閃刀姫ーカガリ」

 

閃刀姫ーカガリ 攻1500 ↖︎

 

「閃刀姫ーカガリの効果。特殊召喚成功時、墓地の『閃刀』魔法カードを手札に加える。閃刀起動ーエンゲージを加えて、もう一度発動。今度は閃刀機ージャミングウェーブを手札に加える」

 

桜 手札 4枚→6枚

 

「そのまま閃刀機ージャミングウェーブを発動。フィールドのセットされた魔法・罠を破壊する。一番右端のカードを破壊」

 

「ぐっ!?リミッター解除が!?」

 

「その後、墓地に魔法カードが3枚以上ある場合、相手のモンスター1体選んで破壊出来るけど、この効果は使わない。閃刀姫ーカガリをリンクマーカーにセット、フォームチェンジ、閃刀姫ーシズク」

 

閃刀姫ーシズク 攻1500 ↗︎

 

「カードを2枚伏せてエンドフェイズ時、閃刀機関ーマルチロールの効果。このターンに発動した『閃刀』魔法カードの数だけ墓地から『閃刀』魔法カードをセットする。4回発動した、墓地から閃刀起動ーエンゲージ、閃刀機ーシャークキャノン、閃刀領域ーエリアゼロをセット。閃刀姫ーシズクの効果。このカードを特殊召喚したエンドフェイズに墓地に存在しない『閃刀』魔法カード1枚をデッキから手札に加える。2枚目の閃刀起動ーエンゲージを加えて終了」

 

 

桜 手札 4枚 LP 4000 墓地魔法 2

 

▲△▲▲▲ ▼

ーーーーー

ー ○

ーー◽︎--

ー△ー▲ー ▽

 

男子生徒 手札 1枚 LP 2500

 

「閃刀姫ーシズクが存在する限り、相手のモンスターの攻撃力・守備力は私の墓地の魔法カードの枚数×100ポイント攻撃力が下がる。今墓地に存在する魔法カードは2枚」

 

巨大戦艦テトラン 守2800→2600

 

「俺のターン!ドロー!」

 

男子生徒 手札 2枚

 

「メインフェイズ1開始時、俺は魔法カード、強欲で金満な壺を発動!コストでエクストラデッキのカードをランダムで6枚除外、除外した枚数3枚につき1枚ドローする!」

 

「手札の灰流うららの効果。このカードを手札から捨てて、相手がデッキから手札に加える効果を含むカード効果を無効にする」

 

「ちっ!?」

 

相手のエクストラデッキのカードがランダムに6枚、強欲で金満な壺に吸い込まれていったけど、私の手札にあった灰流うららが強欲で金満な壺の上に乗り、蓋をしたため相手はドローできなかった。

 

「フィールド魔法、巨大戦艦ゼロスの効果!手札から『巨大戦艦』モンスターを特殊召喚する!巨大戦艦ビック・コアMkーⅢを特殊召喚!」

巨大戦艦ビック・コアMkーⅢ 攻2700→3200→3000

 

相手の巨大戦艦ゼロスの発射台が再び開いて、巨大戦艦ビック・コアMkーⅢが発射されてフィールドに現れる。

 

「『巨大戦艦』モンスターが特殊召喚されたことで巨大戦艦ゼロスの効果でビック・コアMkーⅢにもカウンターが一つ乗る!さらにビック・コアMkーⅢは特殊召喚した場合、カウンターを3つ乗せる!」

 

巨大戦艦ビック・コアMk-Ⅲ C 0→1→4

 

「テトランを攻撃表示に変更!」

 

巨大戦艦テトラン 守2600→攻2100

 

「そしてテトランの効果!このカードに乗っているカウンターを一つ取り除いてフィールドの魔法・罠を破壊する!俺は閃刀機関ーマルチロールを破壊!」

 

巨大戦艦テトラン C 1→0

 

巨大戦艦テトランのカウンターが一つ消えて、ビームの発射口が青く光り、そこからビームが発射されて閃刀機関ーマルチロールが破壊された。

 

「魔法カードが増えたことで攻撃力はさらに100ポイントダウンする」

 

巨大戦艦ビック・コアMkーⅢ 攻3000→2900

巨大戦艦テトラン 攻2100→2000

 

「関係ねぇ!バトルフェイズ!」

 

「バトルフェイズ入った時、リバースカードオープン、速攻魔法、サイクロン。フィールド魔法の巨大戦艦ゼロスを破壊する」

 

「なっ!?」

 

相手のフィールド魔法、巨大戦艦ゼロスは私が発動したサイクロンによって粉々に破壊されて、フィールドはアカデミアの校舎へと戻っていく。

 

「巨大戦艦ゼロスが破壊、さらに閃刀姫ーシズクの効果で相手のモンスター達の攻撃力はさらにダウンする」

 

巨大戦艦ビック・コアMkーⅢ 攻2900→2400→2300

巨大戦艦テトラン 攻2000→1500→1400

 

私がサイクロンを使った後、相手の男子生徒は顔を真っ赤にして少し起こった表情をしていた。

 

「な、なぜビック・コアを特殊召喚する時にサイクロンを発動しなかった!?そうすればビック・コアの特殊召喚を防げたはず!?俺を馬鹿にしているのか!?」

 

「?別に、ビック・コアを手札に残しておくよりはフィールドに出した後を破壊した方が後々対応しやすいと思っただけ」

 

「て、テメェ!!ビック・コアで閃刀姫ーシズクに攻撃!」

 

巨大戦艦ビック・コアMkーⅢ 攻2300

閃刀姫ーシズク 攻1500

 

桜 LP 4000→3200

 

「閃刀姫ーシズクが破壊されたことで墓地の閃刀姫ーレイの効果。自分フィールドの『閃刀姫』リンクモンスターが相手によってフィールドから離れた場合、墓地のこのカードを特殊召喚する」

 

閃刀姫ーレイ 守1500

 

巨大戦艦ビック・コアMkーⅢの攻撃によって破壊された閃刀姫ーシズクだったけど、その装甲が破壊されただけで、墓地に眠っていた閃刀姫ーレイが再びフィールドに舞い戻ってきた。

 

「だがシズクがいなくなったことで俺のモンスターたちの攻撃力は元に戻る!」

巨大戦艦ビック・コアMkーⅢ 攻2300→2700

巨大戦艦テトラン 攻1400→1800

 

「行け!テトラン!閃刀姫ーレイに攻撃!」

 

「閃刀姫ーレイの効果、このカードをリリースして、『閃刀姫』リンクモンスターを特殊召喚する」

 

「な、何だと!?」

 

「フォームチェンジ、閃刀姫ーシズク」

 

閃刀姫ーレイが上空にジャンプして再びリンクマーカーの中に入り、閃刀姫ーシズクがもう一度フィールドに戻ってきた。

 

「閃刀姫ーシズクの効果で相手のモンスターの攻撃力は私の墓地の魔法カードの数×100ポイントダウンする」

 

巨大戦艦ビック・コアMkーⅢ 攻2700→2300

巨大戦艦テトラン 攻1800→1400

 

「(ク、クソ!!いくらボスラッシュがあるとはいえ、下手な攻撃は出来ねぇ!)俺はこれでターンエンド!」

 

「エンドフェイズ、閃刀姫ーシズクの効果」

 

「なっ!?それ相手ターンにも!?」

 

「特殊召喚したターンだったらいつでもいける。私は閃刀機ーアフターバナーを手札に加える」

 

 

桜 手札 4枚 LP 3200 墓地魔法 4

 

▲ーー▲▲ ▼

ーーーーー

ー ○

○ー○ーー

ーー△▲ー ー

 

男子生徒 手札 0枚 LP 2500

 

 

「私のターン、ドロー」

 

桜 手札 5枚

 

「伏せている閃刀起動ーエンゲージを発動、2枚目の閃刀機関ーマルチロールを手札に加えて、1枚ドロー。閃刀機関ーマルチロールの効果で伏せられた閃刀起動ーエンゲージはフィールドから離れる場合、ゲームから除外される」

 

桜 手札 5枚→7枚

 

「閃刀機関ーマルチロールを発動。手札の閃刀起動ーエンゲージを発動、デッキから閃刀機構ーハーキュリーベースを手札に加えて1枚ドロー」

 

桜 手札 6枚→8枚

 

「さらに魔法カード、貪欲な壺、墓地から増殖するG、灰流うらら、閃刀姫ーハヤテ、閃刀姫ーカガリ、閃刀姫ーシズクの5枚をデッキに戻して2枚ドロー」

 

桜 手札 7枚→9枚

 

「魔法カード、閃刀機ーアフターバナー、相手フィールドのモンスター1体を対象にとって破壊する。巨大戦艦ビック・コアMkーⅢを破壊」

 

「!?ビ、ビック・コア!?」

 

閃刀姫ーシズクが閃刀機ーアフターバナーを持って、巨大戦艦ビック・コアMkーⅢに向ける。そのままアフターバナーが起動して、ビック・コアを破壊した。

 

「さらに墓地に魔法カードが3枚以上ある場合、相手の魔法・罠カード1枚を選んで破壊する。私は残った伏せカードを破壊」

 

「ぐっ!?(げ、激流葬まで!?)」

 

「閃刀姫ーシズクをリンクマーカーにセット、フォームチェンジ、閃刀姫ーカガリ。閃刀姫ーカガリの効果、墓地から閃刀機ーアフターバナーを加えて、もう一度発動。今度は巨大戦艦テトランを破壊」

 

「テ、テトラン!?」

 

閃刀姫ーカガリの効果で回収した閃刀機ーアフターバナーをもう一度使い、相手の場に残った巨大戦艦テトランを破壊した。

 

「アフターバナーの追加効果で残っているボスラッシュを破壊できるけど・・・・今回は使わない」

 

「!?な、何だと!?」

 

「閃刀姫ーカガリは墓地に存在する魔法カード1枚につき攻撃力が100ポイントアップする」

 

閃刀姫ーカガリ 攻1500→2200

 

「バトル、閃刀姫ーカガリでダイレクトアタック」

 

男子生徒 LP 2500→300

 

「メインフェイズ2、閃刀姫ーカガリをリンクマーカーにセット、フォームチェンジ、閃刀姫ーシズク。装備魔法、閃刀機構ーハーキュリーベースを閃刀姫ーシズクに装備、伏せているフィールド魔法、閃刀領域ーエリアゼロを発動。そして効果起動、対象は閃刀機構ーハーキュリーベース」

 

・閃刀機ーホーネットビット

・成金ゴブリン

・エフェクト・ヴェーラー

 

「閃刀機ーホーネットビットを手札に加えて、閃刀機構ハーキュリーベースは墓地に送られる。閃刀機構ーハーキュリーベースの効果。このカードが効果でフィールドから墓地に送られた場合、墓地のこのカード以外の『閃刀』カード3枚をデッキに戻す。閃刀起動ーエンゲージ、閃刀姫ーカガリ、閃刀機ージャミングウェーブをデッキに戻す」

 

墓地に送られたハーキュリーベースの効果で墓地にある閃刀起動ーエンゲージ、閃刀機ージャミングウェーブ、そして閃刀姫ーカガリの3枚がデッキ戻っていった。

 

カード1枚だけ伏せてターンエンド。エンドフェイズ、閃刀機関ーマルチロールの効果で墓地の閃刀機ーアフターバナーをセット。閃刀姫ーシズクの効果でデッキから閃刀起動ーエンゲージを手札に」

 

「舐めた真似をしやがって・・・・エンドフェイズ、ボスラッシュの効果発動!このターン、『巨大戦艦』モンスターが破壊された場合、デッキから『巨大戦艦』モンスターを特殊召喚する!」

 

「手札の灰流うららの効果」

 

「に、2枚目だと!?」

 

「これだけ引いたんだから引く、ボスラッシュの効果は無効になる。そして手札制限で私は1枚を捨てる」

 

 

桜 手札 6枚 LP 3200 墓地魔法 6

 

▲△▲▲▲ ▼

ーーーーー

ー ○

ー--ーー

ーー△ーー ー

 

男子生徒 手札 0枚 LP 300

 

 

「さ、さっきアフターバナーでボスラッシュを破壊しなかったのは・・・・」

 

「手札に灰流うららがあったから、そしてボスラッシュの効果で貴方は通常召喚出来ない」

 

「く、クソ!?俺のターン!ドロー!」

 

男子生徒 手札 1枚

 

「・・・!!ま、魔法カード、強欲で貪欲な壺!」

 

「・・・悪運強い」

 

「デッキの上から10枚を除外して2枚ドロー!」

 

男子生徒 手札 0枚→2枚

 

「(・・・・!テラ・フォーミングと死者蘇生!これで何とかなる!)魔法カード、死者蘇生!墓地からビック・コアMkーⅢを特殊召「リバースカードオープン、速攻魔法、閃刀機ーシャークキャノン、巨大戦艦ビック・コアMkーⅢをゲームから除外する」喚!?なっ!?」

 

相手が死者蘇生を発動したタイミングにチェーンして閃刀機ーシャークキャノンを発動、死者蘇生の対象になった巨大戦艦ビック・コアMkーⅢをゲームから除外する。

 

「閃刀機ーシャークキャノンも閃刀機関ーマルチロールの効果でセットされたカード、ゲームから除外される」

 

「タ、ターンエンド・・・・・」

 

 

桜 手札 6枚 LP 3200 墓地魔法 6

 

▲△▲▲ー ▼

ーーーーー

ー ○

ー--ーー

ーー△ーー ー

 

男子生徒 手札 1枚 LP 300

 

 

「私のターン、ドロー」

 

桜 手札 7枚

 

「バトルフェイズ、閃刀姫ーシズクでダイレクトアタック」

 

男子生徒 LP 300→0

 

 

WIN 桜 LOS 男子生徒

 

 

「く、くそ・・・・・か、完膚なきまでに・・・」

 

「じゃあ文句無く並び直して」

 

「ハッ!?」

 

「列抜けてデュエルした、当たり前。それが嫌なら帰って」

 

私がしかめっ面で右手を下にして下から上に振る。相手はそれを見てなんか負け犬を吠えてどこかに走っていった。

 

「無駄な客が多い・・・・・さっさと仕事に戻ろう」

 

「桜さ〜ん、悪いけどまた悪態付く人対処してくれる〜?」

 

「・・・・はぁ」

 

一人追い返したら後ろから氷川さんの声が聞こえてきた。私の仕事はいつ終わるのやら・・・・




桜「マナー悪い奴多すぎ」

絢「貴方の言葉遣いも悪いわよ・・・」

恭輔「モロ師匠の影響受けてますから」

祈「やる度に段々と悪くなっていきますね・・・」

翔悟「良いんじゃねぇの?ああいう奴らはこっちもそれなりの対応と態度を示さないと」

絢「一理あるけどこんな状態続けたら結局酷いままよ」

桜「次回、『Live Fes in RockingGo!! Final Day 2』。次回もよろしく」


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第28話 Live Fes in RockingGo!! Final Day 2

風邪治る気配しないよ、誰か助けて

*アンケートを新しく設置しました。詳しく知りたい方は私の活動報告へ、活動報告での投票、アンケートでの投票どちらでも大丈夫です。


桜 side

 

「・・・・疲れた」

 

「お疲れ様でした」

 

「・・・相手バカばっか」

 

「大体お祭り好きってそういう奴だろ」

 

文化祭初日の午後5時、今日の一日は終わった。みんな教室に戻って着替えたり、支度をしている。私と祈と氷川さんは会計係なのでこの時間で今日一日の売り上げを計算している。近くには恭輔とお化け役だった翔悟もいる。

 

「早く終わらせてライブ行きたい」

 

「もうすぐで終わりますよ・・・・あとはこの合計金額がここにあるお金と同額なら大丈夫です」

 

祈が簿記と書かれたノートの下の部分、合計金額の欄に書かれた金額と今手元にあるお金が一緒になるか計算している。電卓を使ってお札と小銭を計算していく。

 

「・・・・大丈夫ですね。では次、桜さん」

 

「ん」

 

祈から受け取った電卓とお金を使って今度はわたしが計算する。こういうのは二重管理をしないと大変だとお兄ちゃんは言っていた。

 

「・・・・大丈夫」

 

「では今日は大丈夫ですね・・・・売り上げはなんとかって感じです」

 

「良いんじゃない?赤字じゃ無かったら皆文句言わないでしょ」

 

「確かに」

 

元々そんなに利益を考えていない。文化祭のお化け屋敷だからクオリティ求められないし、馬鹿みたいに値段を高く付けるわけにもいかない。少ない予算で低価格の値段でどれだけ満足させられるかが勝負になる。

 

「それじゃこれを先生に渡して、スタジアムに行きましょうか」

 

「ん・・・・楽しみ」

 

「今日でツアーも終わりですか・・・」

 

「お前本当にファンなんだな。アルバムも買っていたし」

 

「僕はああいうタイプの曲好きですから」

 

「俺はもうちょっとゴリゴリ系のロックが好きだからな・・・・・」

 

「そんなこと言いながらレンタルショップで借りていたでしょ?大通りの店で」

 

「馬鹿野郎!!俺が借りたのはバスステーション近くの・・・・あっ」

 

「バカは簡単に釣れて楽だわ〜」

 

「のやろう!!!」

 

簡単な罠に引っかかった翔悟は笑みを浮かべた氷川さんを追いかけ回す。氷川さんは逃げて、時々後ろ向きになって翔悟を揶揄う。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

 

ガヤガヤガヤガヤ・・・・・

 

「人多いつっんだよ・・・」

 

「まぁいつものことですから」

 

「この会場のライブだけ7万人って改めて別格だわ・・・・他だとまだ1万近くの規模のライブしかやってないっていうのが信じられない」

 

隣で氷川さんが呟いたけどそれは私も思う。2日間で7万人近く入るんだったら思い切ってドーム公演とかスタジアム公演すればいいのにと思う。後日、レミに聞いたら「いきなりそんな事してもファンは付いてこないし、1万人規模ぐらいが音響的にも丁度いい」と言ってた。

 

『本日は、SECRET Live Ture、Live Fes in RockingGo!!にお越しいただきありがとうございます。会場の皆様に注意事項を申し上げます。本会場は演出の都合上・・・・・』

 

「・・・・始まる」

 

「これ長ぇんだよ。校長の話並みに」

 

「しょうがないですよ。これ言わないとお客が何でもかんでもしちゃいますから」

 

『・・・・以上のことをお守りいただけない場合、公演を中断または中止させていただきます。お待たせしました、Live Fes RockingGo!!、まもなく開演いたします』

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

パチパチパチパチ!!!!

・・・・・バン!!

 

『オオオ!!!!』

 

会場アナウンス終了で観客から拍手と歓声が上がり、その直後にスタジアムの照明が落ちた。ステージのスクリーンにはノイズが走りながら映像が流れ始める。まるでだいぶ昔の映像機器のような状態だ。

 

『・・・・・続いてのトピックです。5年前のバブル崩壊により日本経済はマイナス成長を続け、雇用者の顔色も・・・』

 

カチッ

 

『・・・・・バブル崩壊の影響により今年度な就職状況も険しいままの状態が続き、新卒内定者の採用率は過去最低・・・・』

 

カチッ

 

『最近はどうですか?』

 

『全く明るい未来が見えません。給料も下がりつづけるし、バブル期の頃に建てたマイホームのローンも重くのしかかって・・・』

 

カチッ

 

『・・・・・かつて日本経済を襲ったバブル崩壊、この時を境に日本は酷く暗い時期を送ることになった』

 

スクリーンがまるでテレビのように次々と流れるニュース、そして最後のインタビュー形式のニュースが終わったところで白い文字がスクリーンへと現れて、それを読み上げる人も出てきた。

 

『人々に付きまとうのはマイナスでネガティブな世界、戦争や経済の混乱で全てにおいて格差社会となり、何を信じれば分からない状態が続いた。やがて時が経ち、少しは楽になったように思えたがそれでも変わらない状態だった』

 

『しかし、人々の目は死んでいなかった。悲愴的な考えを持った人は減り、楽観的な考えを持つ人が増え、楽しそうに生きている』

 

『そんな人たちは決まってこう言った・・・・・『あぁ、世界は素晴らしい』』

 

パチパチパチパチ!!!!!

 

スクリーンの映像が終わるのと同時にメンバーがステージに現れた。響はキーボードの前に立ち、スバルは後ろのスタッフに何かをしてもらってドラムの前に座る。レミはベースを、茜と奏はエレキギターを手に持った。そしてお兄ちゃんはアコースティックギターを手にした。

♪・♪・♪♪♪〜〜〜♪・♪・♪♪♪〜〜〜

 

スバルがドラムを叩き、それに合わせてお兄ちゃん以外のメンバーが手拍子を始める。昨日の開幕だった『We will rock you』と同じテンポ、リズムだけどそれよりも甲高い音がスタジアムに響く。観客もスバルのドラムに合わせて手拍子を始めた。

 

♪・♪・♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

『オオオオオ!!!!!!』

 

そのドラムの音に合わせて奏がエレキギターを弾き始め、歌い始めはお兄ちゃんがアコースティックギターでリズムを刻みながら歌った。私が知る限りでは始めての、お兄ちゃんが開幕ナンバーを歌い出した。

 

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

 

1 CENTER OF UNIVERSE 【Mr.Children】

 

2 Lemon 【米津玄師】

 

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

『イエエエエ!!!!!』

 

♪♪♪!!!♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

『Lemon』のSECRETオリジナルのアレンジを披露した後、お兄ちゃんはアコースティックギターをスタッフに手渡した。観客は酔いしれてるところでドラムとエレキギターの激しく明るいイントロが流れ始めた。

 

「イエエエエ!!!元気か!?」

 

『イエエエエ!!!!!!』

 

「もっともっと声を出せるだろ!?イエエエエ、イエ!!!!」

 

『イエエエエ、イエ!!』

 

「イエエエエエエエエエ、イエ!!!」

 

『イエエエエエエエエエ、イエ!!!』

 

「イエエエエ、イエ!!」

 

『イエエエエ、イエ!!』

 

「イエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ・・・・・・・・・」

 

『オオオオオ!!!!!』

 

お兄ちゃんのロングシャウトで観客は拍手喝采が巻き起こる。

 

「エエエエエエエ!!!!!!」

 

♪♪♪♪♪♪〜〜♪♪♪〜〜〜

 

「ウッ!!!」

 

バーーーン!!!!

 

『オオオオオ!!!!!』

 

お兄ちゃんの拳の効いた掛け声で花火が打ち上がり、観客からまた大きな歓声が巻き起こる。そのまま次の曲のイントロへと入り、観客のボルテージは一気に最高潮へと行った。

 

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

 

3 愛のバクダン 【B'z】

 

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

「センキュ!」

 

『イエエエエエエエエエ!!!!!!』

 

パチパチパチパチ!!!!!!

 

お兄ちゃんの挨拶で締められて、一度ステージの照明が落とされる。その間にスタッフがステージへと登り、メンバーにギターを渡したり、水分補給を進めている。

 

『遊輝さ〜〜ん!!!』

 

『奏さ〜〜ん!!!』

 

「えぇ・・・・ありがとうございます」

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

パチパチパチパチパチパチ!!!!

 

観客が色々と歓声を上げている中でステージの照明が付いて、ヴォーカルのマイクにいるエレキギターを持ったお兄ちゃんが前に立つ。

 

「改めましてこんばんは、バンドグループSECRETです」

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

「えぇ・・・・最初の挨拶って何話したら良いのかな?」

 

『アハハハ』

 

「えぇと・・・・とりあえず今日のライブ来てくれてありがとう、開幕から歌うのって2回目だけど、最初が2年くらい前のハロウィンの時だからこんな大舞台で最初っから歌うのが初めてで・・・・」

 

パチパチパチパチ!!!!

 

「ありがとうございます。とりあえず挨拶のMCはコンセプトみたいなものですが、まぁ昨日とほとんど変わらないので省略して・・・・あっ、ごめん嘘ついた。2日目はですね、特に奏がですねオリジナル曲中心でやって行こうと」

 

『オオオオオ!!!!!』

 

「それじゃ・・・・次の曲行こうか」

 

『イエエエエ』

 

♪♪〜〜〜♪♪〜〜〜

 

 

4 私以外私じゃないの 【ゲスの極み乙女】

 

5 君に届け 【flumpool】

 

6 Hometown 【オリジナル】

 

7 叫び 【オリジナル】

 

8 Re:START 【オリジナル】

 

9 春夏秋冬 【オリジナル】

 

10 飛行機雲 【オリジナル】

 

 

♪♪〜〜〜♪♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

「ありがとうございます」

 

観客が拍手が起こり、ステージの照明は落ちた。その間にお兄ちゃんはギターを持ったまま、ステージ裏へと下がっていった。お兄ちゃんと変わるように奏さんがヴォーカルの位置にあるマイクスタンドを調整してマイクを手にする。そしてステージの照明がついた。

 

『奏さ〜ん!!』

 

『レミさ〜ん!!』

 

『響さ〜ん!!』

 

「ありがとうね、ちょっと準備に時間がかかってね」

 

そういう奏さんの前でスタッフが慌ただしくパイプ椅子を並べてさらに簡単なキーボードがセットされた。

 

「懐かしいわね〜・・・・・昔、3人で路上ライブした時はこんな感じのことを自分たちでしていたのよ」

 

『ワアアアアア!!!』

 

『3人!?」

 

「じゃあ準備できたし、レミ、響」

 

パチパチパチパチパチパチ!!!!!

 

スタッフのセッティングが終わり、奏、レミ、響の3人が座る。響はセッティングされたキーボードとマイクスタンドの調整、レミはアコースティックギターを手にしてマイクを軽く弄り、奏はマイクを手にする。

 

「えぇ、改めましてこんばんは」

 

『こんばんは!!』

 

「こんな形ですがバンドメンバーの自己紹介をそれぞれにやってもらいましょう。まず私、ヴォーカル&ギター、他称、SECRETの歌姫、水野奏です」

 

『アハハハハハハ!!!!』

 

「どうも、ベースでその他BGMの他の楽器の演奏を全て請け負っているSECRETのリーダー、葵レミです」

 

『レミさ〜ん!!!』

 

「元気〜!?キーボード担当!!SECRETのムードメーカー、小野寺響だよ!!」

 

「響の場合、『しでかして』みんなを笑わせるんでしょ」

 

「奏!!!」

 

『アハハハ!!!!!』

 

「それにしても、いや〜・・・・・久しぶりだね、3人でやるの、いつ以来?」

 

「新入生歓迎会を除いたら路上ライブ以来だから5年か6年ぶりぐらいじゃない?」

 

「久しぶりに3人でやるなんて緊張するわ〜、知ってる?私スバルが入ってくるまでたまにドラムしていたんだよ」

 

『へぇ〜』

 

『知らなかった!!』

 

「でしょ〜?流石にもうスバルには負けるけどそこそこの自信はあるからね〜」

 

「こうして3人で練習してお客さんの前に披露したのがSECRETの始まりなんだよ〜」

 

「3人で初めて練習して、みんなの前で歌ったのはLe Coupleさんの『ひだまりの詩』」

 

『オオオオオ!!!!』

 

「いや、今日は歌わないから」

 

『エエエエエ』

 

「まぁ久しぶりに3人で歌うからどんな歌を歌おうか考えていたら響がね、良い歌持ってきたのよ、すっごく綺麗な歌・・・・・・」

 

「せっかくだから会場の皆さんも歌ってみてね。スクリーンにカラオケみたいに歌詞を付けるから」

 

『ワアアアアア!!!!』

 

「じゃあ行くよ・・・・1・2・3」

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

『オオオオオ!!!』

 

パチパチパチパチ!!!!

 

レミがアコースティックギターを叩いてタイミングを取って、奏の歌声に乗せて響のキーボードからピアノ音が会場に響き渡る。スクリーンに映し出された歌詞と歌のタイトル、それを見て観客は歓声と拍手で答えた。

 

♪♪♪〜〜〜

 

11 愛してる、バンザーイ 【μ's】

 

♪♪♪〜〜〜

 

パチパチパチパチ!!!!

 

「ありがとう!」

 

響さんが手を振って感謝の言葉を言う。3人は立ち上がり、スタッフは慌ただしく椅子とマイクスタンドとキーボードを撤去し始め、レミはエレキギターに持ち替えて響はキーボードの前に戻った。

 

「こんな感じでね、SECRETの路上ライブはこんな感じだったのよ。そこに中等部からドラムのスバルが入ってきたんだよ。実はさっきの歌の途中にこっそりドラムの前に座っていたんだよ」

 

『ワアアアアア!!!』

 

「スバルさ〜〜ん!!!」

 

「どうも、実はずっと後ろに隠れていたドラムの遊城スバルです」

 

パチパチパチパチ!!!!!

 

「中等部に上がってスバルが入ってしばらくはこの4人で活動する事になったんだけどね、この4人で人前に演奏することは結局無かったんだっけ?」

 

「無かったぞ、1学期の間はずっとドラムの練習していたから。その後の夏休みはレミは忙しくてなかなか練習に来れなかったし」

 

「あの時はフォーチュン・カップに呼ばれたからね」

 

「じゃあ次はそんな4人で初めて練習した曲です。あまりドラムを強調しない曲ね」

 

パチパチパチパチ!!!!!!

 

・・・♪♪♪〜〜〜

 

 

12 Secret of my heat 【倉木麻衣】

 

 

♪♪♪〜〜〜

 

パチパチパチパチパチパチ!!!!!

 

 

「こんな感じでね、順調にスバルも成長して文化祭ライブでこのバンドをお披露目しようとした2学期に今のメンバーが一人が編入してきたんだ」

 

奏さんがそう言って左側のステージ袖の方に顔を向ける。そこからお兄ちゃんがギターを持ってやってきた。

 

『ワアアアアア!!!!』

 

『遊輝さ〜〜ん!!!』

 

「2学期に編入してきたのはレミとフォーチュン・カップで戦った相手、遊輝よ」

 

「どうも、SECRETのギター&ヴォーカル、この中で一番しんどい思いをしている遠藤遊輝です」

 

パチパチパチパチ!!!!!!

 

「こうして5人になって初めてSECRETとしての本格活動が始まり、そして最初の文化祭がやってきた。そしてそこで披露した最初の曲がこれです」

 

♪・♪・♪!!!!

 

『オオオオオ!!!!』

 

ドラムのリズム音が軽やかに響き渡り、奏の歌声が会場に響き渡る。またしても不意打ちで始まったその曲に観客は歓声をあげて手を叩いて喝采する。

 

♪♪♪〜〜〜

 

 

13 花唄 【TOKIO】

 

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!!』

 

「ありがとうございます。えぇ、こんな感じで始まったSECRETの最初のライブ、最初はこんな感じじゃなくてほんと、文化祭の一部の行事でアカデミアの生徒を中心に色んな人に無料で見てもらったのですが、ウィーン公演からおかしくなってね・・・・」

 

『アハハハ!!!!』

 

「まぁ私たちもお金を払ってでも見てくれる人がいるなら、それに恥じないようにしようとその思いで頑張りました。そして年をまたいで4月・・・・最後のメンバーが入ってきました」

 

『ワアアアアア!!!!!!!』

 

奏の紹介で左側のステージ脇から茜がギターを持ってやってきた。

 

「どうも、SECRETの最後のメンバー、ギター&パーカッションの栗城茜」

 

パチパチパチパチパチパチ!!!!!!

 

「これで6人揃って活動を続けて2年とちょっと、今年も全国ツアーを始めました」

 

パチパチパチパチパチパチ!!!!!!

 

「そして全国ツアーの最初はこの曲から・・・・・・」

 

♪♪♪♪♪♪〜〜〜〜

 

『オオオオオオオオオオ!!!!!』

 

響のキーボードからエレクトリックな音楽とお兄ちゃんのギターで次の曲のイントロが始まる。そして奏がポケットから何かを取り出してカメラに向かって見せつける。それは丸いコインだった。それを見て観客は歓声をあげ、奏はそのコインを右手にセット、コインを上に弾いた。そのままスクリーンに電気が流れる映像が流れる。

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

 

14 Only My Railgun 【fridSide】

 

15 何気ない日常 【オリジナル】

 

16 Happy birthdayの歌 【オリジナル】

 

17 愛の言葉 【オリジナル】

 

18 Dreaming 【オリジナル】

 

19 ホップステップジャンプ!! 【オリジナル】

 

20 さあ 行こう! 【オリジナル】

 

21 カミサマドライブ 【オリジナル】

 

22 RUN 【オリジナル】

 

23 STAR TRAIN 【オリジナル】

 

 

♪♪♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!!』

 

「ありがとうございます!!」

 

『STAR TRAIN』が終わり、奏さんはスタッフからエレキギターを手にして、マイクスタンドの前に立つ。

 

「それじゃ今日の最後の曲です」

 

『エエエエエ!?!?』

 

「・・・・本当、反応に困るわね(汗)遊輝が反応に困るのがよく分かるわ」

 

『アハハハハハハ!!!!』

 

「えぇ、この曲はですね。今の私たちの関係ではなく、10年後や20年後の私たちの関係を想像して詩を書きました。私達はいつまでも変わらずにこんな想いを持っている過ごしていくんだなと・・・・・・新曲です『twiligh memory』」

 

♪・♪・♪・♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

 

「冬の日の夕暮れ 公園の鬼ごっこで

声を掛け ジャンケンして 初めて遊んだ

そこから続いて10年 大人っぽくなったけど

あの頃の 夕日だけは 何も変わらずにいた

 

色んな表情を見て 友達のことを知って

時には喧嘩もしてきた(ha〜)

だけれでも僕らは 仕草一つ変えはしない

夕日の美しさを目に焼き付けて(ha〜)

 

twiligh memory 深い絆を作って

twiligh memory 何事もなく過ごしてきた

過去も現在も未来も何一つ変わることはない

それは僕たちの(たった一つの) 歌を歌い続けること

 

だらしなくヨダレを垂らして ガラスに張り付いて

ガキと呼ばれ 大人に殴られ 無邪気に過ごしてた

思春期の厨二病 自分は大人と勘違いして

コーヒー飲んで 新聞見て 何一つ変わらないと気づいた

 

結局僕らは気づかないまま 大人になって

社会人へと歩いていく(ha〜)

だけれでも僕らは 口癖一つ変えはしない

あの頃の夕日を思い出して(ha〜)

 

twiligh memory 皆離れ離れになっても

twiligh memory またこの場所で会うんだ

今は皆バラバラに離れていても

僕たちのいる場所は(たった一つの) あの夕日の見える公園

 

 

春も夏も秋も冬も 一年がまた過ぎて行く

そしてまた僕らはあの頃を夕日を見て (ha〜)

 

twiligh memory 永遠を確かめ合って

twiligh memory 友情の乾杯を挙げた

過去も現在も未来も何一つ変わることはない

それは僕たちの(たった一つの) 歌を歌い続けること」

 

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!!』

 

パチパチパチパチパチパチ!!!!!!

 

「ありがとうございました!!!SECRETでした!!」

 

奏が最後に頭を下げて、それぞれが舞台裏に下がっていく。観客は手を叩いたり手を振ったりして声を上げてメンバーを送り出した。

 

「・・・・最後、良かった」

 

「えぇ、ずっと先の未来を歌ってくれて・・・」

 

『アンコール!!アンコール!!』

 

すぐにアンコールが巻き起こり、会場に響き渡る。しばらくアンコールが続いた後、ステージの照明が付いて、拍手が巻き起こる。

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

「アンコールありがとうございます」

 

マイクを手にした奏が一歩前に出て頭を下げる。

 

「えぇ、アンコールはですねアリーナツアーで披露したボーカロイドの曲をですね」

 

『オオオオオ!!!!』

 

「もう少しバリエーションを増やして皆さんにお届けしようと思います」

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

「それじゃ早速行くわよ!!」

 

♪〜〜♪・♪・♪〜〜〜

 

「ロキ!!!」

 

♪♪♪〜〜〜

バーーン!!!!

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

25 ロキ 【鏡音リン】

 

26 ロストワンの号哭 (ver Afterglow) 【鏡音リン】

 

27 アスノヨゾラ哨戒班 【IA】

 

28 ハッピーシンセサイザ 【巡音ルカ】

 

29 六兆年と一夜物語 【IA】

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

「ありがとうございます!!」

 

 

 

「えぇ・・・・・皆さんのおかげ今年も全国ツアー、そして文化祭の2dayライブを開催することができ、そしてここまで走り続けることができました。そして私達SECRETはこれまでずっとずっと走り続けてきました。私達はずっとずっと走り続けて、色んな人の声や表情をこの景色から見させてきました。本当にありがとうございます!!」

 

パチパチパチパチ!!!!

 

「次のこの最後の曲はそんな皆さんに向けて、『ありがとう』という意味と『まだまだずっとずっと長く一緒にいようね』という意味を込めました」

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

「どう?結構真面目に台詞考えたんだけど」

 

「俺がな」

 

「ちょちょちょ!?!?それ言ったら台無し!?」

 

『アハハハハハハ!!!!!』

 

「もう・・・・・本当にね(汗)。それじゃ、みんなが楽しく、素晴らしいことを願いに込めて・・・・μ's、『SUNNY DAY SONG』」

 

『オオオオオオオオオオ!!!!!』

 

♪♪♪〜♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

「行くよ!!」

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

 

30 SUNNY DAY SONG 【μ's】

 

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

『ワアアアアア!!!!!』

 

「ありがとう!!!!」

 

『SUNNY DAY SONG 』が終わり、メンバー全員が楽器を置いてステージの前の方にくる。奏はマイクを手にして観客の方を一回り見る。

 

「今日は来てくれて本当にありがとうね!!これで今年のツアーも完走できたよ!!」

 

パチパチパチパチパチパチ!!!!

 

「ここまで完走できたのも皆さんのおかげです!!本当にありがとうございました!!!!」

 

「「「「「ありがとうございました!!!!!」」」」」

 

ドーーン!!ドーーン!!

 

『ワアアアアア!!!!!!!』

 

最後にメンバー全員が頭を下げて、それと同時に花火が打ち上がる。観客は花火とメンバーへの感謝を込めて声を上げて拍手した。

 




桜「・・・・凄かった」

翔悟「初日は一体感だったけど、2日目は突っ走る感じがしたな」

絢「『私たちの音楽はこうだ!』って感じがしたよね」

祈「自分たちの音楽ってのを表現したかったのですかね・・・・・」

恭輔「あの・・・僕言いたいこと全部取られたのですが(汗)」

桜「次回、『文化祭2日目、遊輝と奏のレストラン』。次回もよろしく」


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第29話 文化祭2日目、遊輝と奏のレストラン

小休憩、土日はバイトやら試験やらで忙しくてデュエル構成考えている暇なかった。許してください。
6月の頭に英検とブロック予選被るとかやめて欲しい。英検の勉強しながらデッキ回す練習とか客観的に見てアホとしか言いようがない。


今のアンケートの締め切りは5月31日までとします。
詳しく知りたい方は私の活動報告へ。


遊輝 side

 

 

突然だが今、俺と奏はまさに戦争状態だ。次から次からくる弾を聞き流しながら手を動かしている。意味が分からない?つまりはこういう事だ。

 

「遊輝〜〜、次ロールキャベツ!!んでビーフカレー!!」

 

「その後すぐにざるそばとラーメン定食!!」

 

「奏〜、いちごパフェにミカンゼリー」

 

「「てめぇら(あなた達)、作り置きしているものは自分達でやれ(やりなさい)って言っただろうが(でしょうが)!!!」」

 

文化祭2日目、昨日ライブを終えて休む事なく今日はクラスの催し物であるカフェのシェフとなっていた。なお、部下としてついてくれたのはデザート部門の奏一人のみ、そして無給。ここの職場、超ブラック。

 

「くそ・・・・あいつら好き勝手言いやがって、分かっててやりやがってる」

 

「ああもう追いつかない!!猫の手も借りたい!!」

 

「遊輝〜、追加よ。とんかつ定食にオムライス」

 

「奏〜、和風パフェにぜんざい、ショートケーキね」

 

「「誰か手伝って!!!!!」」

 

次々とくる注文に奏と二人、嘆きを入れてしまう。いくらお昼の12時回ったところだって食堂に来ないでこっちに来るってどういう事!?誰だよ!!キャッチコピーに『世界一のシェフと世界一のパティシエが格安で作るレストラン』とか入れたやつ!!!盛大な嘘をつきやがって!!!さっき食堂のおばちゃん達がサボってこっちに来ているのが見えたぞ!!

 

「おう二人とも、大丈夫か?」

 

「スバル!!!こっち入ってくれ!!!

 

「そんなお前らに嬉しい情報だ」

 

「えっ!?何!?人手増えるの!?」

 

「桜が来た。メニューの端から端までオーダーした」

 

「「・・・・・・・・・・・・」」

 

「ちょちょちょ!?!?気絶するな!!お前ら居なくなったら誰が料理作るんだ!?」

 

スバルの一言で俺と奏は一気に頭が真っ白になり、正気が抜けて床に倒れた。

 

「な、何で・・・何でこんな忙しい時に・・・」

 

「だ、誰が払うんだよその金・・・」

 

「金は遊輝の付けって言ったらクラス委員長が通した」

 

「委員長ううぅぅぅ!!!!!!!」

 

俺は狂気とかし、包丁を一つ持ってホールスタッフをやっているであろう委員長の所に行こうとしたがスバルが羽交い締めされてしまう。

 

「どけスバル!!俺はあの委員長をやらなきゃ気が済まない!!」

 

「お前、目が本気だ!!!ヤバすぎるからストップストップ!!!分かった!!!助っ人連れてくるから少し待ってくれ!!」

 

「委員長連れてこい!!地獄の揚げ場を体験させてやる!!」

 

「レミ!!!助けてくれ!!!」

 

「?一体どうしたのよ?」

 

「とりあえず助っ人連れてきてくれ!!委員長は絶対だ!!」

 

「ああ・・・・とうとう発狂したのね。桜ちゃん来たし」

 

「おおい、遊輝の妹が早く料理出せって言ってきたぞ」

 

「うがあああああ!!!!!!」

 

「痛い痛い痛い!!!!お前力強すぎ!!!と、とにかく助っ人連れて来てくれ!!直ぐにだ!!」

 

「分かったわよ、委員長は確定ね」

 

厨房を覗いたレミはそのままホールに戻っていき助っ人をかき集めに行った。

 

 

遊輝 side out

 

 

桜 side

 

 

「はい桜ちゃん、次は唐揚げ定食にトンカツ定食、天丼定食とカツカレーセットよ」

 

「・・・・・5分後に次持ってきて」

 

レミと後ろにいる女子生徒が定食を合計4つ持ってきて私の目の前に置く。その代わりに私が今まで積み上げた空のお皿をたちを持っていく。私は割り箸をもってカツカレーセットから食べ始める。

 

「お、おえ・・・・・み、見てるだけで気分が・・・」

 

「だ、大丈夫ですか翔悟さん!?」

 

「わ、私も・・・・少し気分が、ウプッ」

 

「む、無理しなくていいですからね」

 

私と同じテーブルに座っている恭輔や祈は翔悟と氷川さんの背中をさする。

 

「・・・・なんで気分悪くなるの?」

 

「お前食い過ぎだよ!!これで何皿分食ってんだよ!?」

 

「・・・・・・これ食べ終わって32皿、まだ半分」

 

「半分じゃねぇよ!!!」

 

「しかも異常なハイペース・・・何でそんなに食べて平気なのよ」

 

「私の胃袋は宇宙ってお兄ちゃんが言ってた」

 

「桜さん、それ褒められていないですからね」

 

ドヤ顔を決めて言った言葉に恭輔からカウンターをくらい、私はショックを受けた。お兄ちゃん、褒め言葉って言っていたのに嘘つかれた。

 

「・・・・・・・お兄ちゃんの嘘つき(バクバクバク)」

 

「食べながら呟くな!ってかお前もう3品目食い終わりかよ!?」

 

「・・・・ごちそうさま」

 

「なんて言っていたら4品目完食・・・・」

 

「はい桜ちゃ〜ん、次だよ。カレー定食、カレー、カツカレー、ラーメンだよ」

 

「カ、カレーばっか!?」

 

「黄金伝説ですか・・・・」

 

「・・・・まだ朝飯」

 

「朝飯!?」

 

「こんなの朝飯前」

 

「あ、ああ・・・・そういう事か・・・・」

 

「・・・・朝飯前って」

 

「これは準備運動、本番は2時間後の大食い大会」

 

「「「「・・・・・えっ?」」」」

 

至極当然の言い方をしてラーメンを食べ終わり、カレーを食べ始める。みんなは固まっているけど気にせずにカレーを飲んで、次のカツカレーに「ちょちょちょ!?」

 

「何?」

 

「あなた今カレー食べたわよね!?」

 

「?何言ってるの?今カレー食べている」

 

「違う違う違う!?!?」

 

「うわっ・・・・もうカレーが」

 

「・・・・・い、いつの間にこんな早食いに」

 

「・・・・・レミ、次早く」

 

「・・・・お前、兄ちゃん死んじゃうからやめたれよ」

 

「ゆ、遊輝さん、本当に忙しそうに・・・」

 

翔悟や祈は厨房でひたすら鍋を振るったり盛り付けをしたりするお兄ちゃんを見るが私には関係ない。私は料理を食べれるこの快感があれば充分。

 

「はい桜ちゃん。次から麺類よ〜。きつねうどん、天ぷらうどん、肉うどん、わかめうどんね〜」

 

「・・・・・見てらんねぇ」

 

「お、おい桜・・・・」

 

「あっ、師匠」

 

「ん?ばびお゛びいちゃん?(ズルズル)」

 

「食べながら話すな!!」

 

次のメニューである麺類達をズルズルとすすりあげてていたら厨房からコック帽を被ったお兄ちゃんが出てきた。

 

「お兄ちゃん、この麺手打ち?コシがあって美味しい」

 

「そういう問題じゃねぇよ・・・・なんでこんなクソ忙しい時に、あれほど時間ズラせと」

 

「お腹空いた、以上」

 

「お前は己の欲望に忠実すぎる・・・・」

 

「ん、とりあえずお兄ちゃんが悪口言ったのは分かった」

 

「いや、割と合っている・・・・」

 

「・・・・翔悟、悪口言った。奢って」

 

「出来るか!!!」

 

翔悟が悪口を言ったことが分かったので奢ってもらうようにしたけど翔悟はガタッと椅子を倒して大声で叫んだ。

 

「っていうか師匠、良いんですかこっちに来て。まだ1時過ぎですよ?」

 

「桜のせいで今日の食料無くなった。あとはこいつのデザート」

 

「こいつ言わない。そして私は悪くない、ただ欲求を満たすために」

 

「こいつ扱いで十分だ。今から奏が地獄を見る」

 

「はいお待たせ〜、まずはアイスクリームね。バニラとイチゴとチョコと抹茶、ソフトクリームも同じね〜」

 

お兄ちゃんが私に悪口を言っている間に響がやってきて私の目の前にアイスクリームとソフトクリームが4つずつ置かれる。

 

「・・・・ゆ、遊輝さん、このお店のデザートって」

 

「パフェ含めて20品」

 

「・・・・・さ、桜さん。あなたこの後本当に大食い大会参加するの?」

 

「当たり前」

 

「桜、デザートの食べ過ぎは身体が冷えて、腹壊すから大食い大会参加できなくなるぞ」

 

「・・・・・しまった。じゃあこれいらない。これでストップ、これみんなに上げる。お兄ちゃんの奢り」

 

お兄ちゃんの助言を聞いて、私は一口目を食べようとしたバニラのアイスクリームを手に止める。ウッカリしていた。冷たい物を食べてお腹壊したら大会に出られない。そういうわけだからここに余ったデザートはみんなに上げよう。

 

「まぁ別に・・・デザートぐらいなら・・・・」

 

「そ、そうですね・・・これくらいなら」

 

「奏〜、オーダーストップ」

 

「えぇ!?全部作ったわよ!?」

 

「・・・・・全員に分けてやってくれ。俺が奢る」

 

「マジ!?おいみんな!!奏のデザート遊輝が奢ってくれるだって!!」

 

お兄ちゃんが奏に後いらないと言ったら奏は全部作ってしまっていたらしい。お兄ちゃんは奢りでクラスメイトに奢ると言って、お兄ちゃんのクラスメイトはめちゃくちゃ喜んでいた。因みに後で聞いた合計金額は約2万ちょっと、あれだけ食べて2万円でお釣りくるならお得だ。

 

 

〜〜(2時間後)〜〜

 

 

『さあ今年の大食い大会もいよいよ決勝のみ!!今年の3人のプレイヤーはこの方達!!まずは常連!!4年連続の優勝なるか!?剛力選手!!』

 

「うおおおおおお!!!!」

 

『そして剛力選手に負けること3年!!今年こそ悲願の優勝なるか!?松平選手!!』

 

「勝つ!!」

 

『3人目は2年振りの女性プレイヤー!!桜選手です!』

 

「・・・・・・・」

 

MCに紹介されて私はステージに上がる。今のところ、準備運動で手を抜いたけどこれくらいなら余裕。観客席の目の前には恭輔達やお兄ちゃん達軽音部のメンバーもいる。

 

『決勝戦のメニューはこちら!!超特盛ラーメンです!!』

 

「・・・・・(ニヤリ)」

 

来た、来た。ここに来て私の一番の大好きな料理。

 

『それでは3人の目の前にラーメンが置かれましたね・・・・制限時間は30分です!用意、スタート!!』

 

スタートの合図で私は軽く会釈して橋を取りそのまま勢いよく食べる。横にいる男二人も体格が良いだけあってなかなかの食べっぷりにスピード。だけど私の敵ではない。

 

「・・・・おかわり」

 

「「なっ!?」」

 

『おっと!!トップは桜選手!!なんとあの特大ラーメンを40秒近くで食べてしまった!!』

 

「・・・・おい、桜の胃袋どうなってるんだよ?」

 

「ブラックホール、しかも最近、吸い込むスピードが早くなってる」

 

「いや、ちょっと異常だから。桜ちゃんほぼノンストップで食べ続けているのよ?」

 

「おかわり」

 

『さ、桜選手!!凄いスピードだ!!他の選手は2分近くのペースなのに驚異的に食べ続けている!!これは大会新記録も期待できる!!』

 

なんか横の二人が「何故こんなに早く食べれるんだ!?」って目で見てくるけどそんなの簡単。私はこのタイプのラーメンを食べ慣れているから。しかも今日はいつもの特大ラーメンの豚Wマシじゃなくて野菜の量も少なく、豚も1枚だけ、余裕である。

 

「(・・・・・勝った)おかわり」

 

『す、凄いペースだ!!1杯40秒近くのペースを刻みつづけている!!3年連続チャンピオンの剛力選手ですらまだ1杯目を完食していないのになんで驚異的なスピード!!』

 

「・・・・・みんな遅い」

 

『こ、これ、調理の人たち大丈夫ですか!?』

 

『助けて!!!全然追いつかない!!』

 

「・・・・・・おかわり」

 

こうして大食い大会は私の圧勝。優勝賞金の10万円と副賞のアカデミアの食堂1ヶ月無料券を手に入れた、なんて楽な大会。

 




桜「満足満足♪」

遊輝「えぇそうでしょうね。あなた4時間近くノンストップで食べ続けたんですから」

翔悟「ほんと、マジでなんで体型変わらねぇんだ?」

桜「翔悟、女の人に体型の話は良くない」

翔悟「いやだって・・・・普通に考えておかしいだろ?食べたら腹が膨らむはずなのにお前なんで食べる前と体型変わらないんだ?」

桜「そういう身体だから」

遊輝「1回マジで桜の体の構造検査した方が良いんちゃうか?一種の病気だぞ」

桜「次回、『文化祭最終日、3人目の刺客』。次回もよろしく」


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第30話 文化祭最終日、3人目の刺客

今日ブロック予選だったので行ってきました。

サラマン相手に引きミスしてベスト32で終わりました。
セフィラ握っていたらグラマトン引くか引かないかで変わるからな・・・・
楽しい思い出になりました。さあまた、『EM魔術師』の練習しないとな・・・


??? side

 

コツ・・・・コツ・・・・・

 

薄暗く光る部屋、唯一の明かりは机を照らし、椅子に座る男は机のチェス盤をじっと見つめて、駒を動かす。

 

・・・・・ガチャ

 

「失礼するわ」

 

「ようやく来たか・・・・」

 

男がいる部屋の扉が開き、一人の女性が入ってくる。チェス盤を見つめていた男は口元をニヤリと笑い、女性の方に顔を向けた。

 

「トロワもキャトルも役立たずだった。だが君ならこれくらい簡単だろ?」

 

「簡単に言わないでくれるかしら?まずは相手の状況・戦力を整理、そしてこちらの限りある戦法を練らなくちゃいけないのよ」

 

「・・・・時間は?」

 

「早くて2ヶ月、遅くても3ヶ月ね」

 

「結構、君はあの二人よりも信頼している。それくらいの猶予なら大丈夫だ」

 

「なら取引成立よ。必ずDMWは連れ戻してくるわ」

 

女性はそう言って、部屋から出て行った。男は再び机の上にあるチェス盤を見つめる。

 

「フッフッフッ・・・・長い戦いだったが、ようやく追い詰める時がきた。ここで一気にケリをつけさせてもらうよ、シークレットシグナー達」

 

 

 

 

スバル side

 

 

「嫌だ!!!絶対に嫌だ!!!」

 

「な〜に言ってるのよ。学園祭のお化け屋敷だよ?余裕余裕!」

 

「余裕じゃねぇよ!!!お化け屋敷なんか絶対に行きたくない!!!!」

 

「・・・・お前は駄々こねる子供かよ」

 

ハァーと一つため息をついてアニメのように柱に引っ付き剥がれない遊輝をレミや茜、響が一生懸命剥がそうとしている。

文化祭最終日、俺たちは自由行動なので最初に軽音部全員で祈たちがやっているお化け屋敷に行こうとしたんだが、お化けやオカルトが大っ嫌いな遊輝は当然のように拒否。何が何でも抵抗する構えを見せている。

 

「折角みんなでお化け屋敷行こうって約束したのに・・・」

 

「遊輝っちも頑固ねぇ!!学園祭のお化け屋敷に本物のお化けなんかいないわよ!!」

 

「そんなこと言ったら普通のお化け屋敷にもいねぇだろ。あれは怖さをどこまで感じるかの勝負だろ」

 

「スバルの言う通りだよ!!お化けなんて迷信迷信!!」

 

「嫌だ!!行きたくない!!」

 

「・・・・・・お兄ちゃん、かっこ悪い」

 

「遊輝ちゃん、流石に引くわ〜」

 

「情けないわね・・・・」

 

「!?」

 

「それ!!」

 

「うわっ!?」

 

必死にしがみついている遊輝の後ろ、いや俺たちの後ろから声が聞こえ遊輝は振り向く。俺も気になって後ろを振り向くと桜とアリア、すみれさんが来ていた。遊輝はすみれさんの姿を見て少し固まっていたところをレミ達3人に引き剥がされた。

 

「な、ななななな、なんでいるの!?」

 

「何でって文化祭に来たらダメなの?」

 

「すみれさんは茜の保護者だし、別に普通よね」

 

「今回のお化け屋敷の衣装は私の弟子がデザインしたって言うし、師匠として観に行くのは当たり前よ」

 

「祈ちゃんがデザインした物を私が作ったんだよね!」

 

「・・・・お兄ちゃん、私のクラスのお化け屋敷、行こう」

 

「嫌だ!!絶対に嫌だ!!」

 

「・・・・優姫ちゃん、あなたモデルの仕事が5ヶ月溜まっているけど、お化け屋敷行くのと明日からモデルの仕事、どっちが良い?」

 

「!?」

 

「ああ〜、そういえば優姫ちゃんの衣装いっぱいあるんだよね〜」

 

頑なに動かない遊輝に対してすみれさんは遊輝の近くまで行き、みんなに聞こえるように言う。そう言えばここ最近、茜もモデル仕事してなかったな、ツアーが忙し過ぎたからだけど茜も仕事溜まっているんじゃないのか?

 

「茜はどうなのよ?」

 

「私も明日からモデル業再開・・・・」

 

「・・・・お疲れ様です」

 

俺が気になったことを奏が聞いたら、茜が凄い悲壮感を漂わせながら奏の質問に返した。それを見て、思わずお疲れ様と呟いてしまった。

 

「さあ優姫ちゃん!お化け屋敷に行くのと、モデル業やるの、どっちが良い!?」

 

「嫌だ!!この人の目、両方やらせる気だ!!」

 

「あら、正解が分かってるじゃない。じゃあまずは私の弟子の衣装を観に行くわよ」

 

「嫌だああああ!!!!!!」

 

すみれさんはヒョイっと遊輝の襟を掴み、そのまま連れて行く。桜はすみれさんの先導をしてその後ろにアリアやレミ、響達も付いていく。

 

「あいつもバカだな・・・・すみれさんに勝てるはずないのに」

 

「お母さん、本当に人間か疑う」

 

「実の娘がそんなこと言ってどうするのよ」

 

とりあえずすみれさんの後を追うように俺たちも祈のクラスがやっているお化け屋敷に向かう。生徒や先生たちの波を抜けて、他の出し物より人一倍並んでいるお化け屋敷の最後尾、そこにすみれさんと遊輝がいた。

 

「あっ、いた」

 

「すみれさ〜ん」

 

「遅いじゃない。早く行くわよ」

 

「えっ?早く行くって」

 

「すみれさん、早くに来て整理券取っていましたから優先的に行けるんですよ」

 

俺たちの疑問に看板を最後尾の看板を持っている恭輔がそう答えた。整理券なんて配布していたのか。それは凄い人気だな。

 

「整理券配布するくらい人気なんて羨ましいわね。でもそんな告知いつしたの?」

 

「告知してません。朝早くからすごい行列だったので特別対等で整理券配布したのです」

 

「へぇ〜」

 

「さぁみんな、行くわよ。私の弟子が不甲斐ないデザインをしていたらビシッと言ってやらなくちゃ」

 

「その前に・・・・」

 

「・・・・・・(ブルブルブル)」

 

「そこの震えている奴なんとかしようぜ」

 

さっきからすみれさんの横で震えている遊輝に目がいってしまう。怯えるリスみたいだ。となるとすみれさんは鷲あたりか?

 

「整理券番号58番の方、どうぞ」

 

「ほら行くわよみんな」

 

「嫌だ!!嫌だ!!」

 

「・・・・・お兄ちゃん」

 

「何だよ桜!?こんな時に俺は「奴らきた」!?」

 

「奴ら?」

 

「!?さ、桜ちゃん、本当に!?」

 

「いる、お客さんに紛れて」

 

「ここじゃ不味い・・・逃げるぞ!」

 

「ん」

 

「お、おい遊輝!!」

 

桜を思いっきり引っ張った遊輝はそのまま桜をおんぶして走り出す。周りの奴らもその状態を見て何事だと少しザワザワしている。

 

「不味いわよ・・・ここじゃ人が多すぎる」

 

「だから遊輝はここじゃない場所に誘導しようとしているんだが・・・・相手が分からない」

 

「ちょっと!!そんなこと言ってないで遊輝を追いかけるわよ!!何してくるか分からない得体の知れない相手なんだから!!」

 

「そ、そうだった!こうしちゃいられん!!追いかけるぞ!!」

 

少し話し込んでいる間にも遊輝は桜を連れて逃げ回っている。俺たちも遊輝に加勢するため、遊輝を追いかける。

 

 

スバル side out

 

 

遊輝 side

 

 

「どっちだ!?」

 

「・・・・右!」

 

「ぐっ!?」

 

バン!!!

 

「ちきしょう!!俺の能力でも反応しないとかどうなってるんだ!?」

 

桜を背負いながらアカデミアから逃げ出し、見えない何かが俺たちに襲いかかってくる。桜のアドバイスで避けることが出来ているが中々にギリギリの状態だ。何せ俺のシグナーの能力で反応しない。

 

「(ど、どういう事だ!?生命反応が0って!?生きていないのか!?)」

 

「・・・!!!お兄ちゃん!!上から!!」

 

「上!?」

 

ドン!!

 

桜が驚いたように叫んだ、俺は慌てて左足を蹴って右に逸れる。上空から先ほど俺たちを襲ってくる謎のエネルギー弾が落ちてくる。

 

「ちくしょう!!どこにいやがるんだ!?」

 

「・・・・ダメ、攻撃してくる時以外消えている」

 

「攻撃する時だけ!?それなら・・・・・」

 

桜の言葉を聞いた俺は一度立ち止まり、目を瞑り全神経を集中させて能力をフル解放する。今は何も反応がない、が、一瞬だけ前方右斜めに反応があった。

 

「そこか!!!!」

 

ドン!!!

 

反応があった場所に俺はフル解放の能力でサン・フレアを放つ。敵が放ったエネルギー弾も俺の太陽によって焦げ、近くの陰にあたり爆発、燃え上がる。そこから陰がシュッという音を立てて飛び上がり、俺たちの目の前に現れる。黒いフードを深くかぶっていたが、それを外して顔を見せる。赤い目で黒髪の綺麗な女性だった。

 

「危ないわね、死ぬかと思ったわ」

 

「その言葉、そっくり返してやる。俺たちを殺しに来て何の用だ」

 

「そんなの簡単よ。その子、返してもらうわ」

 

「嫌」

 

「却下だ、桜も嫌がっている。殺人兵器を作る組織なんかに渡せるか」

 

「ふ〜ん、その子桜って付けたんだ。あぁでも、()()()()()したからか」

 

「・・・・・なんだと?」

 

俺たちの目の前に現れた女、その言葉を聞いて俺は耳を疑った。こいつ今なんて言った?記憶を消去した、だと?

 

「記憶を消去したってどういう事だ?」

 

「貴方には関係ないわね。今ここで負けるから」

 

女性は右手にあったデュエルディスクを起動してデッキをセットする。

 

「(・・・・聞いても無駄か、だったら勝って問い詰めてやる)桜、あまり離れるな」

 

「ん」

 

女の態度からこれ以上を聞いても無駄だと判断、俺もデュエルディスクを取り出し、デッキをセットする。桜も俺の服をしっかりと掴み、離れないようにする。

 

「私の名前はドゥ、よろしく」

 

「俺の名前は・・・言わなくて分かるか」

 

「えぇ、私達の計画を無視するお邪魔虫のシークレットシグナー、ここで貴方は負けるわ」

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

遊輝 LP 4000 ドゥ LP 4000

 

「先行は私!まずはこのカード、自分フィールドに効果モンスターが存在しない場合、手札から特殊召喚できる!天威龍ーアーダラを特殊召喚!」

 

天威龍ーアーダラ 攻0

 

相手フィールドにアーダラがとぐろを巻いてフィールドに現れる。

 

「天威・・・・」

 

「通常召喚!天威龍ーシュターナ!」

 

天威龍ーシュターナ 攻400

 

「Lv4の天威龍ーシュターナにLv1の天威龍ーアーダラをチューニング!」

 

☆4 + ☆1 = ☆5

 

「天と地の間で、龍の誇りを轟かせる!シンクロ召喚!Lv5!源竜星ーボウテンコウ!」

 

源竜星ーボウテンコウ 守2800

 

「ボウテンコウの効果発動!このカードのシンクロ召喚成功時、デッキから『竜星』カードを手札に加える!」

 

「させるかよ!手札からエフェクト・ヴェーラーの効果発動!ボウテンコウの効果をエンドフェイズまで無効にする!」

 

「手札から速攻魔法、墓穴の指名者!対象はさっき墓地に送られたエフェクト・ヴェーラー!」

 

「チッ!」

 

ボウテンコウの効果は不味いと判断して、手札に抱えていたエフェクト・ヴェーラーをボウテンコウに向けて発動したが、相手が発動した墓穴の指名者によって無効にされる。

 

「墓穴の指名者の効果により除外されたモンスターはお互いに次のターンのエンドフェイズまで無効にされる。ボウテンコウの効果で手札に加えるのはカウンター罠の竜星の九支!さらにボウテンコウの効果!デッキから幻竜族モンスターを墓地に送り、そのモンスターと同じレベルになる!2枚目の天威龍ーアーダラを墓地に送り、Lv1に変更!」

 

源竜星ーボウテンコウ ☆5→☆1

 

「その処理後!手札の増殖するGの効果!」

 

「チッ・・・墓穴の指名者を使わせたわけね」

 

「このターン、この後に相手が特殊召喚するたびに1枚ドローする!」

 

俺が発動した増殖するGの効果が成立して、相手の周りにGがブンブンと飛び回る。

 

「鬱陶しいわね!だけどやりたいことはさせて貰うわよ!突き抜けろ!天に轟くサーキット!」

 

Lv1になったボウテンコウが相手の上空に出来たリンクマーカーに入り、真下の矢印が赤く光る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件はLv1モンスター1体!私は源竜星ーボウテンコウをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク1、リンクリボー!」

リンクリボー 攻300 ↓

 

「増殖するGの効果で1枚ドロー!」

 

「墓地に送られたボウテンコウの効果!フィールドから墓地に送られた場合、デッキから『竜星』モンスターを特殊召喚する!チューナーモンスター、光竜星ーリフンを特殊召喚!」

 

光竜星ーリフン 守0

 

「増殖するGで1枚ドロー!」

 

「突き抜けろ!天に轟くサーキット!アローヘッド確認!召喚条件はチューナーを含むモンスター2体!私はリンクリボーと光竜星ーリフンをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、水晶機巧ーハリファイバー!」

 

水晶機巧ーハリファイバー 攻1500 ↙︎ ↘︎

 

「増殖するGの効果で1枚ドロー!」

 

「水晶機巧ーハリファイバーの特殊召喚成功時効果は使わない!カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

遊輝 手札 6枚 LP 4000

 

ーーーーー ー

ーーーーー

○ ー

ーーーーー

ーー▲ーー ー

 

 

ドゥ 手札 2枚 LP 4000

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

遊輝 手札 7枚

 

「・・・・レフト・Pゾーンにスケール1の紫毒の魔術師をセッティング!」

 

「その瞬間、水晶機巧ーハリファイバーの効果発動!コストで自身を除外して、エクストラデッキからシンクロチューナーモンスターをシンクロ召喚扱いで特殊召喚する!天と地の間で、龍の誇りを轟かせる!シンクロ召喚!Lv5!源竜星ーボウテンコウ!」

 

俺がペンデュラムゾーンに紫毒の魔術師をセットしたタイミングで相手がボウテンコウの効果を使い、ハリファイバーからボウテンコウにモンスターが変わる。

 

「源竜星ーボウテンコウの効果!今度はデッキから竜星の軌跡を手札に加える!」

 

ここまでは想定内。あとはどこであのカウンターを使わせるかだが・・・・

 

「魔法カード、デュエリスト・アドベント」

 

「・・・・・・・通す」

 

「デッキから《ペンデュラム》と名のついたペンデュラムモンスター・魔法・罠を手札に加える。俺は星霜のペンデュラムグラフを選択して発動、チェーンは?」

 

「・・・・・通す」

 

「ライト・Pゾーンに慧眼の魔術師を発動、チェーンは?」

 

「チッ、持っていたわけね・・・・通す」

 

「慧眼の魔術師のペンデュラム効果。自身を破壊して、デッキから慧眼の魔術師以外の『魔術師』ペンデュラムモンスターをペンデュラムゾーンにセットする。スケール8の虹彩の魔術師をセット。慧眼の魔術師がフィールドから離れたことで、永続魔法、星霜のペンデュラムグラフの効果。デッキから『魔術師』ペンデュラムモンスターを手札に加える。調弦の魔術師を選択」

 

デュエリスト・アドベント、星霜のペンデュラムグラフを通して、ここまで来た。となると相手が止めるところは調弦の魔術師、またはその後のエレクトラムかハリファイバーってところか。

 

「俺のフィールドにスケール1の紫毒の魔術師とスケール8の虹彩の魔術師が存在する!これでLv2から7までのモンスターが同時に召喚可能!揺れろ、魂のペンデュラム!天空に描け、光のアーク!ペンデュラム召喚!現れろ!俺のモンスターたち!」

 

俺の左右にセットされた虹彩の魔術師と紫毒の魔術師の間に大きな振り子が現れて、揺れ始める。その軌跡が描かれて円となり、その中から4つの光がフィールドに現れる。

 

「エクストラデッキから慧眼の魔術師!手札から調弦の魔術師、EM ペンデュラム・マジシャン、覇王眷竜ダークヴルム!」

 

慧眼の魔術師 攻1500

調弦の魔術師 攻0

EM ペンデュラム・マジシャン 攻1500

覇王眷竜ダークヴルム 攻1800

 

「チッ!!竜星の九支すらカバーするっていうの!?」

 

「チェーン1、調弦の魔術師、チェーン2、ペンデュラム・マジシャン、対象はペンデュラムゾーンの紫毒の魔術師、チェーン3、ダークヴルムの順で効果発動!チェーンは!?」

 

「しないわよ!」

 

「ダークヴルムの効果!特殊召喚成功時、デッキから『覇王門』ペンデュラムモンスターを手札に加える!覇王門零を手札に加え、ペンデュラム・マジシャンの効果!対象に取った紫毒の魔術師を破壊して、デッキからEM ドクロバット・ジョーカーを手札に加える!」

 

ダークヴルムの効果で覇王門零を、ペンデュラム・マジシャンの効果でペンデュラムゾーンの紫毒の魔術師を破壊して、EM ドクロバット・ジョーカーを手札に加える。

 

「調弦の魔術師の効果!手札からペンデュラム召喚した場合、デッキから『魔術師』ペンデュラムモンスターを守備表示で特殊召喚する!黒牙の魔術師を特殊召喚!」

 

黒牙の魔術師 守800

 

「紫毒の魔術師の効果!このカードが破壊された場合、相手フィールドの表側表示のカードを破壊する!源竜星ーボウテンコウを破壊!」

 

ペンデュラム・マジシャンによって破壊された紫毒の魔術師が俺のエクストラデッキから霊の状態で現れ、相手のボウテンコウを巻き込んで破壊する。

 

「源竜星ーボウテンコウの効果!さらにチェーンで墓地の光竜星ーリフンの効果発動!自分フィールドの『竜星』モンスターが破壊された時、墓地から光竜星ーリフンを特殊召喚!ボウテンコウはフィールドから離れた場合、デッキから『竜星』モンスターを特殊召喚する!地竜星ーヘイカンを特殊召喚!」

 

地竜星ーヘイカン 攻1500

 

ボウテンコウの効果により相手のデッキからヘイカン、さらに相手の墓地にいたリフンが自身の効果で墓地からフィールドに舞い戻ってきた。

 

「さあてと・・・・現れろ!未来へ続くサーキット!」

 

頭の中で色々と考えて、俺はリンク召喚の口上を言い始める。俺の上空にもリンクマーカーが現れて、調弦の魔術師とペンデュラム・マジシャンがリンクマーカーにセットされる。

 

「アローヘッド確認!召喚条件はチューナーを含むモンスター2体!俺は調弦の魔術師と慧眼の魔術師をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、水晶機巧ーハリファイバー!」

 

両斜め下が赤くなったリンクマーカーの中からハリファイバーが飛び出してモンスターゾーンに現れる。

 

「水晶機巧ーハリファイバーの効果発動!」

 

「リバースカードオープン!竜星の九支!ハリファイバーの効果を無効にしてデッキバウンス!その後、地竜星ーヘイカンを破壊する!」

 

ハリファイバーの効果を宣言したところで相手がずっと伏せていた竜星の九支を発動、ハリファイバーの効果を無効にしてエクストラデッキに戻し、ヘイカンを破壊した。

 

「地竜星ーヘイカンの効果発動!このカードが破壊された時、デッキから自身以外の『竜星』モンスターを守備表示で特殊召喚する!炎竜星ーシュンゲイを特殊召喚!」

 

炎竜星ーシュンゲイ 守0

 

「だがこれでもう怖いものはない!EM ドクロバット・ジョーカーを召喚!」

 

EM ドクロバット・ジョーカー 攻1800

 

「ドクロバット・ジョーカーの効果発動!デッキから自身以外の『EM』『オッドアイズ』『魔術師』モンスターの中から1枚を手札に加える!俺は2枚目の慧眼の魔術師を手札に加える!そしてセッティングして効果発動!デッキから賤竜の魔術師をセットする!現れろ!未来へ続くサーキット!」

 

再び現れたリンクマーカーに今度はペンデュラム・マジシャンとダークヴルムが飛び込み、同じく両斜め下の矢印が赤く光る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件はペンデュラムモンスター2体!俺はEM ペンデュラム・マジシャンと覇王眷竜ダークヴルムをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム!」

 

ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム 攻1800 ↙︎ ↘︎

 

「エレクトラムの効果発動!特殊召喚成功時、デッキからペンデュラムモンスターをエクストラデッキに表側に置く!俺はアストログラフ・マジシャンを選択!」

 

リンク召喚したエレクトラムが効果により俺デッキからカードを1枚取り出して、俺のエクストラデッキに置く。

 

「・・・・不味い」

 

「エレクトラムの起動効果!自分フィールドの自身以外のカードを破壊して、エクストラデッキのペンデュラムモンスターを手札に戻す!虹彩の魔術師を破壊して、アストログラフ・マジシャンを手札に加える!」

 

エレクトラムがペンデュラムゾーンに存在する虹彩の魔術師を破壊して、エクストラデッキに送ったアストログラフ・マジシャンを手札に戻す。

 

「チェーン1、エレクトラムの強制効果、チェーン2、虹彩の魔術師、チェーン3、アストログラフ・マジシャンの効果発動!アストログラフ・マジシャンは自分フィールドのカードが破壊された場合、手札から特殊召喚する!」

 

アストログラフ・マジシャン 攻2500

 

「その後、このターンに破壊されたカードを選択してデッキから手札に加える!慧眼の魔術師を選択!虹彩の魔術師の効果!デッキから『ペンデュラムグラフ』魔法・罠を手札に加える!時空のペンデュラムグラフを手札に加え、エレクトラムの効果で1枚ドロー!」

 

遊輝 手札 3枚→5枚

 

「慧眼の魔術師をセッティングして効果発動!デッキから紫毒の魔術師をセッティング!賤竜の魔術師の効果発動!もう片方のペンデュラムゾーンに『魔術師』ペンデュラムモンスターが存在する場合、エクストラデッキの表側の『魔術師』または『オッドアイズ』ペンデュラムモンスターを手札に加える!慧眼の魔術師を手札に戻す!」

 

賤竜の魔術師が手にしている杖を回して、エクストラデッキにある慧眼の魔術師を回収する。

 

「そしてフィールドのアストログラフ・マジシャンとドクロバット・ジョーカーで融合!」

 

フィールドにいたアストログラフ・マジシャンとドクロバット・ジョーカーが融合の渦に吸い込まれていく。

 

「覇王につく四龍の1体よ!融合の力を得て、全てを食い尽くせ!融合召喚!覇王眷竜スターヴ・ヴェノム!」

 

覇王眷竜スターヴ・ヴェノム 攻2800

 

『・・・・・グギャアアアア!!!!!』

 

融合の渦から出てきた覇王眷竜スターヴ・ヴェノムは相手を睨みつけ、天空に向かって咆哮をあげる。

 

「スターヴ・ヴェノムの効果!自分または相手のフィールド・墓地のモンスターの名前と効果をエンドフェイズまでコピーする!対象はエレクトラム!」

 

スターヴ・ヴェノムがフィールドにいるエレクトラムの身体に自身の触手を突き刺して、エレクトラムからエネルギーを貰う。

 

「ちっ!!(だが私のライフはまだ残る!)」

 

「さらに、この効果を使ったターン、フィールドの俺のモンスターは貫通効果を得る!」

 

「!?」

 

「スターヴ・ヴェノムの効果発動!賤竜の魔術師を破壊して、エクストラデッキのアストログラフ・マジシャンを手札に加える!そしてアストログラフ・マジシャンの効果!自身を特殊召喚して賤竜の魔術師を手札に加える!これでバトル!ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラムで守備表示のリフンに攻撃!」

 

ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム 攻1800

光竜星ーリフン 守0

 

ドゥ LP 4000→2200

 

「ラスト!スターヴ・ヴェノムでシュンゲイに攻撃!猛撃のヴェノムショット!」

 

覇王眷竜スターヴ・ヴェノム 攻2800

炎竜星ーシュンゲイ 守0

 

ドゥ LP 2200→0

 

 

WIN 遊輝 LOS ドゥ

 

 

 

 

「ぐっ・・・・聞いていたとはいえ、想像以上のパワーね」

 

「・・・お兄ちゃんの魔術師は世界一強い、ナチュビが無くてもどんな相手も踏み潰す」

 

「おいこら待て桜、まるでナチュビが無いと弱いって言い方やめろや」

 

デュエルに負けた相手は跪き、俺を睨みつける。隣に立っている桜は俺を貶しているのか褒めているのか分からない言葉で相手に言い返す。

 

「でもまぁいいわ。今日は良いデータ収集になったわ」

 

「ちょっと待ってもらうか。桜の記憶の事を聞かしてもらうぞ」

 

「それは今のあなたが知る事じゃないわ」

 

「待て!!」

 

ドゥを止めようとしたが、ドゥは何も反応せずにそのまま曲がり角を曲がってしまう。俺は後を追いかけて曲がり角を見るが、すでにドゥの姿は消えていた。

 

「ちくしょう・・・逃げ足の速い奴らめ」

 

「・・・・お兄ちゃん」

 

「あぁ、深追いはやめておこう」

 

桜が心配そうな顔をするのでこれ以上のことはやめよう。しかし・・・・

 

「(あいつ、確かに桜の記憶を消去したとか言ってたな・・・・)」

 

もし本当にそんな事が起こったなら・・・・あいつらは桜を使って一体何をする気なんだ?

 

「いた!!」

 

「おおい遊輝!!」

 

「ん・・・・・・あぁ、スバルたちか」

 

別の角から声が聞こえたのでそっちの方に目を向けるとレミやスバル・アリアたちがこっちに向かってきた。

 

「大丈夫か!?」

 

「あぁ、追い返した」

 

「良かった・・・なんかあったら大変なんだから」

 

「分かっているよ」

 

「それじゃ気を取り直して・・・・お化け屋敷行くよ!!」

 

「(ビクッ!?)嫌だ!!お化け屋敷嫌だ!!」

 

「何またビビっているのよ?さあLet's Go!!」

 

「嫌だああああ!!!!!」

 

「・・・・格好良かったのが台無し」

 

「ア、アハハハ・・・・・・」

 

アリアに襟元を掴まれて俺はアカデミアに戻された。

 




遊輝「・・・・・・・・・」←気絶している

桜「・・・台無し」

スバル「こいつ本当にもう・・・・」

レミ「祈ちゃん、すみれさんの評価どうだった?」

祈「ま、まだまだって・・・・」

茜「気にしなくて良いよ。私は好きな服何点かあったけどなぁ」

レミ「お化け屋敷は楽しかったよ。翔悟君はめちゃくちゃだけど」

祈「す、すみませんでした・・・・(汗)」

桜「次回、アンケート結果でやって欲しいと言っていたアカデミアデュエル大会。その準備段階」

レミ「ごめんね、タイトル決めてないからまた後で。それじゃまた」


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第31話 アカデミアデュエル大会

結局まともな話を書かなかったよ。

今回の大会は桜視点かつ決勝トーナメントから書きます。
予選からはすんごく面倒くさいので・・・・


桜 side

 

 

「そう言えばもうすぐデュエル大会だな」

 

「・・・・・デュエル大会?」

 

「ああ、そう言えばそんな時期ね」

 

テスト最終日の今日、響はすごい明るい表情をしていたけどそんな事はどうでも良い。

いつも通り恭輔と祈、それと今日は翔悟と氷川さんも一緒に軽音部の部室に来てゲームをしていたところ、翔悟がデュエル大会と話したので私は聞き返した。

 

「端的に言えばアカデミアの中で一番強いやつ決める大会だ」

 

「そうなんだ。じゃあお兄ちゃんたちは?」

 

「中等部1年の時に優勝したな」

 

「それ以降は?」

 

「色んな人を出させる為に優勝したメンバーは翌年の大会は出られないっていうルールで2年の時は茜だけ出たな」

 

「私は決勝トーナメント1回戦落ち」

 

「その次の年はWRGP優勝をクソ教頭が利用したせいで出れなかったわね」

 

「ああ、去年の大会は噂が流れたな。『教頭が取材を断っていたのをお金を受け取る為に承諾した』って」

 

「あれ、本当だったんだね」

 

「ふ〜ん・・・・ゴール」

 

「いや〜負けた!!!」

 

部室でやっているゲームは私の勝ち、隣で響が嘆いている。ゲーム画面からロード画面に変わり、私はコントローラを置く。

 

「今年は大丈夫だよ。私たち5人で出るわね」

 

「茜さんは?」

 

「私、このメンツだと一番弱いって思われているんだよ。WRGPの時は私サポートメンバーだったから」

 

「そうなのですか?6人の中で1番くらいの強さがあるのに」

 

「全然知られてないのよ。WRGPの出場メンバーがこの5人だったし」

 

そう言って茜は私と交代でコントローラを手にする。響はレミと交代でテレビ画面を見つめる。

 

「俺らのクラスは・・・・多分このメンツだな。だいたいこういうのは実技上位5人だから」

 

「そうですね〜・・・・リーダーの役割、誰がやります?」

 

「恭輔君でいいんじゃない?一番の適任者でしょ」

 

「えぇ・・・僕は氷川さんに降ったのですけど」

 

「私は降りるわよ。そういうの性格的に無理だから」

 

「わ、私も、リーダーの役目はちょっと・・・」

 

「俺そんな面倒くさいことしないぞ」

 

「・・・・いや」

 

「・・・消去法で僕しかいないんですね」

 

ハァーとため息を吐く恭輔、頑張れ。先生の説明とか色々面倒くさそうなことがありそうだけど、私はそれを見ているだけだから。

 

「そんな情報流していいの?決勝トーナメントで私たちと当たるかもしれないわよ」

 

「そ、そこまで気にしてませんよ。私たちは気楽にやっていきます」

 

「けど予選トーナメントくらいは勝ち上がりたいわね〜」

 

「そうですよね・・・それくらいは流石にクリアしたいです」

 

「そんな事より私たちの方が不安じゃない。私たち、授業以外でデュエルしてないわよ」

 

私たちのクラスの状況や目標を話している時、ふと茜が軽音部のメンバーに話を振って軽音部全員が黙ってしまう。

 

「・・・・デッキ調整しよう」

 

「・・・い、1回くらいは勝たないと」

 

「おいお前ら、なんで口が震えているんだよ」

 

「そうだよ、自信持っていけばいいんだよ」

 

「そんなに心配なら今から練習すれば良いじゃない」

 

「・・・・奏、やろう」

 

「・・・・そうだね、響」

 

悲壮感漂う響と奏、カバンからデュエルディスクを取り出して部室から出る。

 

「・・・・まぁ何だかんだいって二人は大丈夫でしょ。それより遊輝、桜ちゃんの方は?そっちの方が心配だよ?」

 

「とりあえず牛尾さんと狭霧さんが敵に刺激を与えないように調査してくれているけど、尻尾が掴めない状況だ」

 

レミがお兄ちゃんにこの前の文化祭の事件のことを聞いてきた。お兄ちゃん、あの後に牛尾さんたちと話し合って情報を共有しあっている。

 

「?何のことだ?」

 

「あ〜・・・・お二人には関係のないことですので」

 

「でも不思議だよな?何で組織は分かっているのに足取り掴めねぇんだ?」

 

「そこなんだよ問題は。本社はフランスにあるって公に公表しているんだけど、肝心の住所のところを調べてみたら建物が何一つ無いんだよ」

 

「はっ?」

 

「私のお母さんの友達が調べたんだけど、住所のところに行ったらだだっ広い草原が広がっていただけだったわ」

 

「ちょっと待ちなさいよ。そんな事あり得るわけ?ニュースでガンの特効薬発表とか言っているのに」

 

「どうやらメッキの皮を被っているみたいでな、大量の金を貢いでいるみたいだ。タチの悪い詐欺グループだ」

 

お兄ちゃんが牛尾さんたちから仕入れた情報では私を奪おうとしている組織はメッキの皮を被った組織、マスコミの情報統制もして表上はあまり目立たない良識のある会社を偽っている。

 

「師匠、本当に大丈夫なのですか?明らかに得体の知れない組織ですよ」

 

「んなもん最初っから知っているわ。殺人兵器を作る組織でまともな組織なんかあるか」

 

「さ、殺人兵器!?」

 

「あっ、やべっ・・・・」

 

「ご、ごめんね二人とも。今日はちょっと帰ってくれるかな?」

 

「・・・・・あ、ああ、また今度」

 

お兄ちゃんが余計なことを口にして翔悟と氷川さんは驚いた表情をする。すぐに茜が二人に帰るようにお願いをして、二人は察してくれて荷物をまとめて部室から出る。

 

「・・・・ハァー」

 

「あんたバカでしょ、一般人に言っていいことと悪いことがあるのよ」

 

「すまん・・・・しかしなぁ、このままだと桜のこと、いつかはバレるぞ」

 

お兄ちゃんは私を見ながら残っているメンバーに話す。確かに、私は今の所、お兄ちゃんの義理の妹としか言っていない。苗字ですらお兄ちゃんのを借りている状況だ。この状態のまま、終わるとはとても思えない。

 

「・・・・まずは桜の事を調べる方が優先じゃないか?そうしたらあいつらの尻尾が掴めるかもしれない」

 

「そうだな・・・スバルの案を採用してみるか。とは言え、記憶喪失の原因が分からないとなると・・・・何処かで行方不明の情報が出ていないか探さないといけないな。結局あいつらも黙秘貫くし・・・」

 

お兄ちゃんが渋い表情をしている。お兄ちゃんの考えを読み取るなら「早いとこ面倒くさいこと解決してゆっくりしたい」って思っているだろう。

 

 

〜〜(数日後)〜〜

 

 

「頑張ってください桜さん!!勝てば決勝トーナメント進出ですよ!!」

 

「ガッテン」

 

あのテスト最終日から数日が経ち、アカデミアデュエル大会の予選が始まった。あちこちで小等部内で予選、高等部内で予選、そして中等部内で予選が行われている。今私たちは予選1回戦を勝ち上がった。この試合、1本目は恭輔が勝ち、次の試合を私が勝てば決勝トーナメントに出場できる。

 

『Eフィールド、第2試合、遠藤桜対羽田浩二!!フィールドに上がってください!』

 

マイク越しに響き渡る先生の声に合わせて私はデュエルフィールドに上がり、デュエルディスクをセットする。相手もデュエルフィールドに上がってきた。

 

『第2試合、遠藤桜対羽田浩二、デュエル開始!!』

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

桜 LP 4000 羽田 LP 4000

 

「先行は俺だ!まずは魔法カード、神鳥(シムルグ)の来寇!手札の鳥獣族モンスターであるダークネス・シムルグを捨て、デッキから属性が異なる『シムルグ』モンスターを2体手札に加える!」

 

「・・・・手札の灰流うららの効果。相手のデッキから手札に加える効果を無効にする」

 

2枚サーチしようとしてきた相手を私は手札にあった灰流うららを墓地に送ることでその効果を無効にする。

 

「それぐらいは計算済みだ!お前のデッキは今じゃアカデミアで有名なんだから!雛神鳥シムルグを召喚!」

 

雛神鳥シムルグ 攻0

 

相手フィールドに赤い羽根の小鳥がバサバサと音を立ててフィールドに舞い降りてきた。

 

「雛神鳥シムルグの効果!このカードが通常召喚したターン、自分は『シムルグ』モンスターの通常召喚をもう一度行うことができる!招神鳥シムルグを召喚!」

 

召神鳥シムルグ 攻1000

 

「召神鳥シムルグの効果!召喚時、デッキから『シムルグ』カードを手札に加える!フィールド魔法の神鳥(シムルグ)の霊峰エルブルスを手札に加えて、発動!」

 

フィールドが山と山の間に挟まれた渓谷になり、強風が吹き始める。

 

「神鳥の霊峰エルブルスの効果発動!手札の風属性・鳥獣族モンスターを1体相手に見せ、そのモンスターのアドバンス召喚に必要なリリースコストを1体少なくする!俺は霞の谷の巨神鳥を見せる!」

 

「・・・・めんどくさい」

 

「そしてエルブルスのもう一つの効果発動!鳥獣族モンスターを召喚する!雛神鳥シムルグをリリースして、霞の谷(ミスト・バレー)の巨神鳥をアドバンス召喚!」

 

霞の谷の巨神鳥 攻2700

 

相手フィールドの雛神鳥シムルグがリリースされ、渓谷に吹き荒れる風に乗って霞の谷の巨神鳥が優雅に舞い降りてきた。

 

「さらに墓地のダークネス・シムルグの効果発動!風属性または闇属性モンスターをアドバンス召喚に成功した場合、手札または墓地のこのカードを特殊召喚する!」

 

「・・・・手札からD.D.クロウの効果発動」

 

「なっ!?」

 

「ダークネス・シムルグをゲームから除外する」

 

私の手札にいたD.D.クロウが相手の墓地にあるダークネス・シムルグをゲームから除外する。あのカード、さっき確認したら魔法カードの効果を無効にするとかいう、私にとって天敵の効果を持っていた。

 

「ク、クソ・・・・だが神鳥の霊峰エルブルスは鳥獣族・風属性モンスターの攻守を300ポイントアップさせる!」

 

霞の谷の巨神鳥 攻2700→3000

召神鳥シムルグ 攻1000→1300

 

「これでターンエンド!」

 

 

桜 手札 3枚 LP 4000

 

ーーーーー ー

ーーーーー

ー ー

○ーーー○

ーーーーー ▽

 

羽田 手札 0枚 LP 4000

 

「私のターン、ドロー」

 

桜 手札 4枚

 

相手の手札は0・・・・・1枚1枚丁寧に除去していこう。

 

「魔法カード、成金ゴブリン」

 

「それくらいなら通す」

 

「1枚ドローして相手は1000ポイント回復」

 

羽田 LP 4000→5000

 

「・・・・閃刀機ーウィドアンカー発動、対象は霞の谷の巨神鳥」

 

「(クソッ、面倒くさいカードを・・・・)霞の谷の巨神鳥の効果!フィールドの『ミスト・バレー』モンスターを手札に戻して、相手が発動したカード効果を無効にする!自身を手札に戻す!」

 

閃刀機ーウィドアンカーは霞の谷の巨神鳥が飛び上がり、閃刀機ーウィドアンカーのカードを足で掴んで飛んで行った。

 

「速攻魔法、サイクロン。フィールド魔法の神鳥の霊峰エルブルスを破壊」

 

「なっ!?」

 

強風が吹いていたフィールドに大きなサイクロンが訪れて、神鳥の霊峰エルブルスが破壊されてしまった。

 

召神鳥シムルグ 攻1300→1000

 

「そして発動、魔法カード、閃刀起動ーエンゲージ」

 

「なっ!?」

 

「デッキから閃刀姫ーレイを手札に加え、墓地に3枚以上魔法カードがあるため1枚ドロー」

 

桜 手札 1枚→3枚

 

「閃刀姫ーレイを召喚」

閃刀姫ーレイ 攻1500

 

「バトル、閃刀姫ーレイで召神鳥シムルグを攻撃」

 

閃刀姫ーレイ 攻1500

召神鳥シムルグ 攻1000

 

羽田 LP 5000→4500

 

「閃刀姫ーレイの効果。自身をリリースして、エクストラデッキの『閃刀姫』リンクモンスターを特殊召喚する。フォームチェンジ、閃刀姫ーハヤテ」

 

閃刀姫ーハヤテ 攻1500 ↙︎

 

「閃刀姫ーハヤテでダイレクトアタック」

 

「グオッ!?」

 

羽田 LP 4500→3000

 

「閃刀姫ーハヤテの効果。デッキから『閃刀』カードを墓地に落とす。2枚目の閃刀姫ーレイを墓地に送る。メインフェイズ2、現れて、未来へ続くサーキット」

 

EXモンスターゾーンの閃刀姫ーハヤテが飛び上がり、私の上空に出来たリンクマーカーの中に入る。

 

「アローヘッド確認、召喚条件は火属性以外の『閃刀姫』モンスター1体。私は閃刀姫ーハヤテをリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン、リンク召喚、フォームチェンジ、閃刀姫ーカガリ」

 

閃刀姫ーカガリ 攻1500 ↖︎

 

「閃刀姫ーカガリの効果。特殊召喚成功時、墓地の『閃刀』魔法カードを手札に戻す。閃刀起動ーエンゲージを手札に戻して、再び発動。今度は閃刀機関ーマルチロールを手札に加える。そして1枚ドロー」

 

桜 手札 2枚→4枚

 

「閃刀姫ーカガリをリンクマーカーにセット。フォームチェンジ、閃刀姫ーシズク」

 

閃刀姫ーシズク 攻1500 ↗︎

 

「魔法カード、貪欲な壺。墓地の灰流うらら・D.D.クロウ、閃刀姫ーレイ、閃刀姫ーハヤテ、閃刀姫ーカガリの5枚を戻して2枚ドロー」

 

桜 手札 3枚→5枚

 

「・・・・カードを1枚伏せてターンエンド。エンドフェイズ時、閃刀姫ーシズクの効果。墓地に存在しない『閃刀』魔法カードを手札に加える。閃刀機構ーハーキュリーベースを手札に加える」

 

 

桜 手札 5枚 LP 4000 墓地魔法 5枚

ー▲ーーー ー

ーーーーー

ー ○

ーーーーー

ーーーーー ー

 

羽田 手札 1枚 LP 3500

 

 

「(ま、まずい・・・)俺のターン!ドロー!」

 

羽田 手札 2枚

 

「・・・!?魔法カード、強欲で金満な壺!エクストラデッキをランダムで裏側に除外して2枚ドローする!」

 

羽田 手札 1枚→3枚

 

「護神鳥シムルグを召喚!」

 

護神鳥シムルグ 攻1600

 

「護神鳥シムルグの効果発動!このカードが召喚した場合、相手の魔法・罠カード1枚を手札に戻す!対象はその伏せカードだ!」

 

伏せカードバウンス・・・・使えないことはないけど、後々使った方が得。

 

「・・・通す」

 

「墓地の雛神鳥シムルグの効果!相手のフィールドに魔法・罠が存在しない場合、墓地からこのカードを特殊召喚する!」

 

「・・・チェーン、増殖するG。このターン、相手が特殊召喚するたびに1枚ドローする」

 

「関係ねぇ!特殊召喚!」

 

雛神鳥シムルグ 守1600

 

「さらに魔法カード、テラ・フォーミング!デッキから2枚目のエルブルスを持ってきて、発動!そして効果発動!手札の霞の谷の巨神鳥のアドバンス召喚のコストを1体減らす!雛神鳥シムルグをリリース!霞の谷の巨神鳥をアドバンス召喚!」

 

再び雛神鳥シムルグがリリースされて霞の谷の巨神鳥がフィールドに戻ってきた。あのモンスター、本当に何度も戻ってきて鬱陶しい。

 

「エルブルスの効果で風属性・鳥獣族モンスターの攻撃力は300ポイントアップ!」

 

「・・・閃刀姫ーシズクの効果で私の墓地の魔法カード1枚につき、相手のモンスターの攻撃力は100ポイントダウンする。墓地には6枚の魔法カード」

 

霞の谷の巨神鳥 攻2700→3000→2500

護神鳥シムルグ 攻1600→1900→1400

 

「バトル!霞の谷の巨神鳥で閃刀姫ーシズクを攻撃!」

 

霞の谷の巨神鳥 攻2500

閃刀姫ーシズク 攻1500

 

桜 LP 4000→3000

 

「ッ・・・墓地の閃刀姫ーレイの効果。自分フィールドの『閃刀姫』リンクモンスターが相手によってフィールドから離れた場合、墓地から特殊召喚する」

 

「霞の谷の巨神鳥の効果!このカードを手札に戻して閃刀姫ーレイの効果を無効にする!」

 

閃刀姫ーシズクが破壊されたので墓地にいる閃刀姫ーレイを特殊召喚しようとしたが破壊されてしまった。

 

「これで攻撃力は元に戻る!護神鳥シムルグでダイレクトアタック!」

 

護神鳥シムルグ 攻1400→1900

 

桜 LP 3000→1100

 

「これでターンエンド!」

 

 

桜 手札 5枚 LP 1100 墓地魔法 5枚

ーーーーー ー

ーーーーー

ー ー

○ーーーー

ーーーーー ▽

 

羽田 手札 1枚 LP 3500

 

 

「私のターン、ドロー」

 

桜 手札 6枚

 

「永続魔法、閃刀機関ーマルチロールを発動。そしてフィールド魔法、閃刀領域ーエリアゼロを発動」

 

強風が吹き荒れる渓谷の間に閃刀領域ーエリアゼロと私の後ろに閃刀機関ーマルチロールの2枚のカードが現れた。

 

「カードを1枚伏せて閃刀領域ーエリアゼロの効果発動。自分フィールドのカード1枚を対象に取り、デッキの上から3枚をめくる。その中に『閃刀』カードがあった場合、手札に加えることができる」

 

・エフェクト・ヴェーラー

・無限抱擁

・ハーピィの羽根箒

 

「・・・・なかった」

 

「はっ、とうとう運が尽きたようだな」

 

「永続魔法、閃刀機関ーマルチロールの効果。自分フィールドのカードを1枚を対象に取って発動、私は閃刀領域ーエリアゼロを対象に取る。このターン、私が発動する魔法カードに対して相手はチェーンできない。そして対象のカードを墓地に送る。墓地に送られた閃刀領域ーエリアゼロの効果。デッキから閃刀姫ーレイを特殊召喚」

 

閃刀機関ーマルチロールの効果で墓地に送られて閃刀領域ーエリアゼロの効果で、私のデッキから閃刀姫ーレイがフィールドに飛び出してきた。

 

「閃刀姫ーレイ1体をリンクマーカーにセット。フォームチェンジ、閃刀姫ーカガリ」

 

 

「閃刀姫ーカガリの効果で墓地の閃刀機ーウィドアンカーを手札に加える。閃刀姫ーカガリは私の墓地の魔法カード1枚につき、攻撃力が100ポイントアップする」

 

閃刀姫ーカガリ 攻1500→2000

 

「(打点は高くなったがまだライフは残る。次のターンに決着を付ける!)」

 

「速攻魔法、閃刀機ーウィドアンカー。対象は護神鳥シムルグ」

 

「効果を無効にするカードをここで発動だと?お前舐めているのか?」

 

「・・・・閃刀機ーウィドアンカーの追加効果。墓地に魔法カードが3枚以上ある場合、対象のモンスターをエンドフェイズまで奪う」

 

「なっ!?」

 

閃刀機ーウィドアンカーが起動して、護神鳥シムルグに絡みつき、そのまま私のフィールドにコントロール権を奪う。

 

閃刀姫ーカガリ 攻2000→2100

 

「バトル、護神鳥シムルグでダイレクトアタック」

羽田 LP 3500→1600

 

「閃刀姫ーカガリでダイレクトアタック」

 

羽田 LP 1600→0

 

 

WIN 桜 LOS 羽田

 

 

 

『そこまで!!第2試合、勝者!中等部2-3、遠藤桜!!中等部2-3ー中等部3-1の試合は2ー0で中等部2-3の勝利!!』

 

「ゔぃ」

 

デュエルに勝ち、恭輔や祈たちがいる方に向けてVサインを出す。翔悟や氷川さんも喜んでいる。

 

「よっし!これで決勝トーナメント進出!今年は心強い3人がいるから違うな!」

 

「私とあなただけだったらねぇ・・・恭輔君や祈さんたちと一緒だと心に余裕が出来るわね」

 

「す、凄い期待込められていますけど私たちが優勝したのは2年前ですから」

 

「それでも今年は優勝目指したいですね。師匠たちを倒して」

 

「ん、やるんだったら優勝」

 

予選トーナメントを勝ち上がったんだから、決勝トーナメントも勝ち上がって優勝する。それはもちろん、お兄ちゃんたちを倒しての優勝だ。




桜「余裕」

恭輔「相手手札を使い切ってましたから・・・」

桜「私相手に手札を使い切る、それすなわち死を意味する」

祈「ぶ、物騒な言葉を使っちゃダメですよ」

恭輔「また師匠から余計なことを学びましたね・・・」

桜「次回、『決勝トーナメント1回戦』。よろしく」


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第32話 決勝トーナメント1回戦 忍び寄るG

作者の定義上、1話完結1デュエルがモットー、特にこういう大会は余計にそういうのが大事、でも次に出てくるの、1kill上等の祈が率いる『ジェムナイト』なんだけど・・・・


ちなみに作者のGの耐性能力は異常、農学部出身舐めんな、実習先の納屋掃除してGを10匹以上駆除したり、受験勉強中に肩カサカサして、何もないなっと思って左手見たらGがいたりしても冷静に駆除した実績があるんだ(実話)


桜 side

 

 

「おかわり」

 

「だから食い過ぎだって言ってるだろ!!もうご飯ねぇよ!!」

 

「・・・今日は大会、気合い入れるためにも「無ぇもんは無ぇよ!!」・・・ご馳走さま」

 

お兄ちゃんにご飯を催促しようとしたが炊飯器の中が空っぽである所を見せられて、お箸を置いた。

昨日の予選から一夜明け、今日から決勝トーナメント、予選を勝ち上がった小等部、中等部、高等部の合計8つのクラスが優勝を目指す。今日は1回戦と準決勝、まずはこの二つを勝ち上がることを目標にする。

お兄ちゃんの方も順調に予選トーナメントを突破したようだ。そして運が良く、お兄ちゃんのブロックと私たちのクラスのブロックは違った。つまり、お兄ちゃんと当たるのは決勝戦になる。

 

「ったく・・・こっちで洗い物しておくから洗濯頼む」

 

「ん」

 

空いた食器をまとめたお兄ちゃんはそのままキッチンに向かった。お兄ちゃんに言われて私はリビングから廊下を小走りして洗濯機が置いている洗面所に行く。私とお兄ちゃんの二人分の洗濯物を入れて、洗剤を入れて洗濯機を回す。

 

「・・・・・今日から決勝」

 

アカデミアに入って中等部以外の生徒と戦ったことは軽音部以外いない。しかし、お兄ちゃん曰く、「お前の実力なら高等部でも余裕」とのこと。だから私の目標は優勝、そして・・・・

 

「・・・・・勝つ。そしてお兄ちゃんを超える」

 

回っている洗濯機を見て私は小さく呟き、掃除機を手にする。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

ガヤガヤと音を立てる生徒達、デュエルフィールドを囲む観覧席で観覧している。ここに立てるのは昨日の予選を勝ち上がった小等部・中等部・高等部の合計8つのクラスのみ。

 

『これよりアカデミアデュエル大会、決勝トーナメント1回戦を始める!まずはAフィールド、高等部1-1対小等部6-2!Bフィールド、・・・・』

 

マイクを持った先生が抑揚を少しつけながら順々にクラスとデュエルフィールドを読み上げていく。

 

「師匠たちは小等部のクラスですか、余程のことがない限り大丈夫でしょう」

 

「そもそもあのメンバーは負けないでしょ。公式で身内以外の黒星が去年のWRGP優勝以降、無いんだから」

 

「強い相手がいると燃え上がるけど、強過ぎると逆に萎えるよな。まぁ俺たちはそんな事ないけど」

 

「・・・・勝つ、そしてお兄ちゃんからご飯を奢ってもらう」

 

「・・・・・結局ご飯ですか、あなたは」

 

『Dフィールド!中等部2-3対小等部4-1!』

 

「よ、呼ばれましたよ。Dフィールドです」

 

「小等部の4年が勝ち上がり?普通に凄くね?」

 

「確かに・・・・例年なら6年のクラスばかりだけど、少し侮れないわね」

 

「とりあえずDフィールドに行きましょう。先鋒は絢さん、お願いします」

 

「分かったわ」

 

恭輔はオーダー用紙を先生に渡しに行き、残った私たちはDフィールドに行く。すでに相手のクラスは準備している。

 

「それじゃ、様子見てくるわよ」

 

「完封してやるなよ〜、小4なら泣くぞ」

 

「うるさいわね」

 

氷川さんが一番手としてフィールドに上がる。相手は・・・・男子生徒か。

 

『Dフィールド、中等部2-3対小等部4-1、第1試合、氷川絢対如月拓哉の試合を始める!』

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

絢 LP 4000 如月 LP 4000

 

「先行は俺だ!モンスターをセット!カードを1枚伏せてターンエンド!

 

 

絢 手札 5枚 LP 4000

 

ーーーー ー

ーーーーー

ー ー

ーー◼︎ーー

ーーー▲ー ー

 

如月 手札 3枚 LP 4000

 

 

「(ふ〜ん・・・随分悠長な事)私のターン、ドロー」

氷川 手札 6枚

 

「フィールド魔法、魔神儀の隠れ房を発動」

 

氷川さんの真後ろに真後ろに大きなデスクみたいなテーブルが現れて、周りが紫のカーテンで囲まれた神秘的なフィールドになる。

 

「このカードの発動時、手札の『魔神儀』モンスターを見せる事で、デッキから同名モンスター2体を特殊召喚する。私は手札の魔神儀ータリスマンドラを見せて、デッキから2体の魔神儀ータリスマンドラを守備表示で特殊召喚!」

 

魔神儀ータリスマンドラ 守0 ×2

 

「その後、手札にある魔神儀ータリスマンドラはデッキに戻る。特殊召喚されたタリスマンドラの効果!デッキから儀式モンスターを手札に加える!私はブリューナクの影霊衣を手札に加えて、効果発動!手札のこのカードを捨てる事でデッキからこのカード以外の『影霊衣』モンスターを手札に加える!クラウソラスの影霊衣を手札に加えて、効果発動!デッキから『影霊衣』儀式魔法を手札に加える。影霊衣の反魂術を手札に加える」

 

「・・・・相変わらずブン回っている」

 

「えげつねぇな・・・相手暇そうだぞ」

 

「さらに手札の魔神儀ーカリスライム の効果!手札のこのカードを相手に見せ、手札の影霊衣の降魔鏡を手札から捨て、デッキから『魔神儀』モンスターを特殊召喚する!魔神儀ーキャンドールを特殊召喚!」

 

魔神儀ーキャンドール 守0

 

「魔神儀ーキャンドールの効果!デッキから儀式魔法を手札に加える!魔神儀の祝誕を手札に加える!さらに魔法カード、儀式の準備!デッキからLv7以下の儀式モンスターを手札に加える!古聖戴サウラヴィスを手札に加えて、その後墓地から儀式魔法を回収する!影霊衣の反魂術を手札に戻す」

 

氷川さんのターンが余りにも長すぎて相手の男子生徒、欠伸した。まだまだかかりそうだ。

 

「儀式魔法、影霊衣の反魂術を発動!フィールドのタリスマンドラをリリースして、墓地からブリューナクの影霊衣を儀式召喚!」

 

ブリューナクの影霊衣 攻2300

 

「さらに儀式魔法、魔神儀の祝誕!フィールドのタリスマンドラとキャンドールをリリースして、手札から古聖戴サウラヴィスを儀式召喚!」

 

古聖戴サウラヴィス 攻2800

 

「まずはこんなところからかしらね・・・・バトル!ブリューナクの影霊衣で裏守備モンスターを攻撃!」

 

ブリューナクの影霊衣が突撃して、相手フィールドの裏守備モンスターを破壊する。

 

「破壊された共振虫(レゾナンス・インセクト)の効果!このカードがフィールドから墓地に送られた場合、デッキからLv5以上の昆虫族モンスターを手札に加える!俺は超装甲兵器ロボブラックジャイアンGを手札に加える!」

 

「続いて古聖戴サウラヴィスで「その前にリバースカードオープン!」!?」

 

「罠カード、メタバース!デッキからフィールド魔法を発動する!フィールド魔法、G・ボールパークを発動!」

 

フィールド全体が校舎から野球場へと移り変わり、氷川さんはバッターボックスに、相手はマウンドに立つ。

 

「何をしたいのかわからないけど・・・古聖戴サウラヴィスでダイレクトアタック!」

 

「この瞬間、フィールド魔法、G・ボールパークの効果発動!お互いのダメージ計算時に1度だけ、戦闘ダメージを0にする!」

 

「!?そういうわけ、ひっ!?」

 

氷川さんが攻撃宣言をして古聖戴サウラヴィスが相手にダイレクトアタックをしようとしたところで相手がG・ボールパークの効果でダメージを0にしようとした、が・・・

 

「い、いやああああ!!!!!ゴ、ゴキブリ!?!?!?」

 

「う、うわぁ・・・・」

 

「な、なんだあれ・・・・」

 

「・・・大量のG」

 

古聖戴サウラヴィスの攻撃に反応して、フィールドの野球場の周りから大量のゴキブリが飛び出して、古聖戴サウラヴィスの攻撃を無効にする

 

「何でゴキブリで驚くんだよ」

 

「あ、ああああ、あなた!!!何てもの!?」

 

「たかがゴキブリだろ?俺の家は農家をやっているからゴキブリとか蜘蛛とか当たり前だぞ」

 

「嫌ああああ!!!!ゴキブリはいやああああ!!!」

 

「あ〜・・・これはひょっとして・・・」

 

「ひ、氷川さん・・・非常にマズイかもしれないです」

 

「さらに!この効果の使用後、デッキからレベル4以下の昆虫族モンスターを墓地に送る!俺はゴキボールを墓地に送る!この効果で墓地に送ったモンスターが通常モンスターだった場合、デッキ・手札・墓地から同名モンスターを3体特殊召喚する!ゴキボール3体を特殊召喚!」

ゴキボール 攻1200 ×3

 

古聖戴サウラヴィスの攻撃を塞いだ大量のゴキブリ達が撤収して、野球場から離れたが相手のフィールドに3体のゴキボールがフィールドに残った。

 

「い、いやああ!!!ゴキブリいやああ!!」

 

「・・・・まさにGだな。1匹見たら100匹疑えって」

 

「そんなことより氷川さん大丈夫?次のターン、何もしなかったら負けるかもしれない」

 

「えっ?負ける?」

 

「ひ、ひぃ・・・・タ、ターンエンド・・・」

 

 

絢 手札 3枚 LP 4000

 

ーーーーー ▽

○ー○ーー

ー ー

○ー○ー○

ーーーーー ▽

 

如月 手札 4枚 LP 4000

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

如月 手札 5枚

 

「・・・・行くぞ!俺はゴキボール3体リンクマーカーにセット

 

「ひ、ひぃ・・・えっ!?」

 

「アローヘッド確認、召喚条件はモンスター2体以上!俺はゴキボール3体をリンクマーカーにセット!リンク召喚、リンク3、電影の騎士 ガイアセイバー」

 

電影の騎士 ガイアセイバー 攻2600 ← ↓ →

 

3体のゴキボールが相手上空にできたリンクマーカーの中に入り、電影の騎士 ガイアセイバーがリンク召喚された。やっぱり持っていた、お兄ちゃんが頑張って普及していたからそろそろ一般の人も使う頃だろうと思っていたけど。

 

「そして手札の超装甲兵器ロボブラックジャイアンGの効果発動!このカードは墓地に同名の昆虫族モンスターが3体存在する場合、手札からこのカードを特殊召喚する!」

 

超装甲兵器ロボブラックジャイアンG 攻2400

 

墓地にいたゴキボール3体がフィールドに舞い戻って行き、上空から巨大なロボットが現れて、変形していく。そのロボットは巨大なゴキブリ型のロボットとなり、乗り込むところに3体のゴキボールが入っていく。

 

「この効果で特殊召喚した場合、対象に取った同名モンスターを任意の枚数までこのカードに装備する!」

 

「い、いやあああ!!!!デ、デカイゴキブリ!!!!」

 

「さらに超装甲兵器ロボブラックジャイアンGの効果!このカードに装備されているモンスター1体を墓地に送り、そのモンスターより攻撃力が高い相手フィールドのモンスターを全て破壊する!」

 

「えっ!?」

 

超装甲兵器ロボブラックジャイアンGに乗り込んだゴキボール1体が飛び出して、ゴキボールが野球の玉のように飛ばされる。だんだんと加速していき、火の玉となったゴキボールは氷川さんのモンスターに直撃、そのままフィールドを焼け野原にした。

 

「バトルフェイズ!超装甲兵器ロボブラックジャイアンGでダイレクトアタック!」

 

「い、いや!!ゴキブリの攻撃はいや!!手札のヴァルキュルスの影霊衣の効果!墓地のブリューナクの影霊衣を除外して、このカードを手札から捨てて、攻撃を無効にしてバトルフェイズを終了する!」

 

氷川さんの手札からヴァルキュリスの影霊衣が飛んできて、氷川さんを包み込み超装甲兵器ロボブラックジャイアンGの攻撃を受け止める。

 

「・・・ヴァルキュリスのの影霊衣あったんだ、意外」

 

「これなら次返せますね。2600超えるならトリシューラの影霊衣を出せば良いですし」

 

「くそっ・・・メインフェイズ2、カードを1枚伏せてターンエンド」

 

 

絢 手札 3枚 LP 4000

 

ーーーーー ▽

ーーーーー

ー ○

○ーーーー

ー△△ー▲ ▽

 

如月 手札 3枚 LP 4000

 

「(ひ、ひぃ・・・な、なんとか早く決着つけないと)わ、私のターン、ドロー!」

 

氷川 手札 4枚

 

「魔法カード、強欲で金満な壺!エクストラデッキを6枚裏側でランダムに除外して3枚につき1枚ドローする!」

 

氷川 手札 3枚→5枚

 

「魔法カード、儀式の準備!デッキからブリューナクの影霊衣を加えて、影霊衣の反魂術を手札に戻す!ブリューナクの影霊衣の効果!デッキからユニコールの影霊衣を手札に加える!ユニコールの影霊衣の効果!このカードを墓地に捨て、墓地のクラウソラスの影霊衣を手札に戻す!クラウソラスの影霊衣の効果!デッキから影霊衣の万華鏡を手札に加える!手札の魔神儀ーカリスライム の効果!手札から影霊衣の反魂術を捨て、デッキから魔神儀ーペンシルベルを特殊召喚!」

 

魔神儀ーペンシルベル 守0

 

「魔神儀ーペンシルベルの効果!デッキから特殊召喚に成功した場合、墓地の儀式モンスターを手札に回収する!ユニコールの影霊衣を手札に戻す!そして儀式魔法、影霊衣の万華鏡を発動!」

 

「チェーンでリバースカードオープン!罠カード、次元障壁!俺が宣言した種類のモンスターはこのターン、特殊召喚出来ずフィールドで効果を発動出来ない!」

 

「!?」

 

「宣言するのは儀式モンスター!このターン、儀式モンスターは特殊召喚できない!」

 

フィールドに次元障壁が貼られて、氷川さんの儀式魔法、影霊衣の万華鏡を無力化して儀式召喚を行えないようにした。

 

「・・・・これ、終わったんじゃね?」

 

「あ、ああ・・・うん、多分・・・」

 

「・・・・確か今、召喚獣抜いていたはず」

 

「それにヴァルキュリスって1枚だけのはず・・・・」

 

次元障壁を打たれたベンチにいる私たちの感想、そしてこの4人の意見から出た結論は一つ、このデュエル、氷川さんの負け。

 

「・・・・タ、ターンエンド」

 

 

絢 手札 5枚 LP 4000

 

ーーーーー ▽

ーー◻︎ーー

ー ○

○ーーーー

ー△△ー▲ ▽

 

如月 手札 3枚 LP 4000

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

如月 手札 4枚

 

「手札からゴキポールを召喚!」

 

ゴキポール 攻1000

 

「バトル!ゴキポールで魔神儀ーペンシルベルに攻撃!」

 

通常召喚したゴキポールが球体になって転がり、守備力0で無抵抗な魔神儀ーペンシルベルを破壊する。

 

「さらにガイアセイバーで攻撃!この時、フィールド魔法、G・ボールパークの効果!この戦闘ダメージを0にして、デッキからG戦隊 シャインブラックを墓地に、墓地に送られたのが通常の昆虫族モンスターのため、デッキ・墓地からG戦隊 シャインブラックを3体特殊召喚!」

 

G戦隊 シャインブラック 攻2000 ×3

 

「ひ、・・・い、いやあああ!!!!ゴキブリ増えたああああ!!!!」

 

「バトル続行!G戦隊 シャインブラックと超装甲兵器ロボブラックジャイアンGでダイレクトアタック!」

 

「いや、いやいやいや!!!来ないでえええ!!!!」

 

絢 LP 4000→0

 

 

WIN 如月 LOS 絢

 

 

『そこまで!勝者、小等部4-1、如月拓哉!』

 

「完膚なきまでに負けましたね・・・」

 

「あいつがあんなに取り乱しているの始めて見て、逆に新鮮だわ。あんな一面あるんだな」

 

「あ、あんな大きなゴキブリ見て平気でいられる方がおかしいです」

 

「ん、確かにあれは化け物」

 

あんな1m越えの巨大なゴキブリがこっちにカサカサとやってきたら誰だって嫌がる。私も嫌だ、お兄ちゃん?幽霊苦手なポンコツお兄ちゃんだけど何故かゴキブリの対処は異常なくらい冷静にやっている。

 

「あ、帰ってきました」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「おい、大丈夫か?」

 

「ゴ、ゴキブリ・・・・ゴキブリに攻撃・・・・へへっ・・・」

 

「あっ、完全に壊れている」

 

「保健室に行ってショック療法で治したほうがいいな」

 

「あ、あの・・・私行ってきますね?」

 

「ん、祈頑張」

 

ベンチに戻って頭がおかしくなった氷川さんを尻目にして、私は次の祈を応援する。

 

 

 

 

途中結果 決勝トーナメント1回戦

 

中等部2-3 対 小等部4-1

 

第1試合 氷川絢 × ー ○ 如月拓哉

 

総合結果 0 ーー 1

 




絢「・・・・・・・・・・・」

翔悟「燃えたよ・・・・真っ白に燃え尽きたよ・・・・真っ白な灰に・・・」

恭輔「いや違いますから、あれ燃え尽きたんじゃなくてショックで気絶しているだけですから」

祈「さ、さすがにちょっと・・・・」

桜「・・・・しばらく起きない。それくらいダメージデカイ」

恭輔「ま、まぁ・・・次回、『決勝トーナメント1回戦 次元の龍』。次回もよろしくお願いします」


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第33話 決勝トーナメント1回戦 次元の龍

G20の関係で夜勤のバイト2連続で入ったけど、なかなかにしんどかった。
人がいないのに見張ってなきゃいけなかったから。

最近思うけど、前の小説の龍可ちゃん枠、祈が引き継いでいる気がするんだよね。


第33話 決勝トーナメント1回戦 次元の龍

 

 

祈 side

 

 

『Dフィールド、次の者、フィールドに上がりなさい』

 

先生のアナウンスで私はフィールドに上がる。前のデュエルでは氷川さんがコテンパンにやられたからこのデュエルには勝ちたいな。相手は・・・女子生徒ですね。

 

『中等部2-3対小等部4-1、第2試合、櫻井祈対楠瀬薫、デュエルスタート!』

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

祈 LP 4000 楠瀬 LP 4000

 

「先行は私!ジェムレシスを召喚!」

 

ジェムレシス 攻1700

 

「ジェムレシスの効果!デッキから『ジェムナイト』モンスターを手札に加えます!ジェムナイト・オブシディアを手札に加えます!カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

 

祈 手札 4枚 LP 4000

 

ーー▲ーー ー

ーーーー○

ー ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

楠瀬 手札 5枚 LP 4000

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

楠瀬 手札 6枚

 

「速攻魔法、抹殺の指名者。私が宣言したモンスターして、そのモンスターが私のデッキに存在する場合、そのモンスターをゲームから除外してお互いにエンドフェイズまでそのモンスター効果を無効にする。私が宣言するのはメタファイズ・ネフティス。このカードをゲームから除外する」

 

相手が発動した抹殺の指名者で相手のデッキからメタファイズ・ネフティスがゲームから除外されていく。

 

「(メタファイズって確か・・・除外されて発動するテーマですね)」

 

「さらに永続魔法、アシンメタファイズを発動。1ターンに1度、手札の『メタファイズ』モンスターをゲームから除外して1枚ドローするそしてアシンメタファイズのもう一つの効果。自分のターンに『メタファイズ』モンスターが除外された場合、フィールドの『メタファイズ』以外のモンスターの攻撃力と守備力は500ポイントダウンする」

ジェムレシス 攻1700→1200

 

「メタファイズ・デコイドラゴンを守備表示で召喚」

 

メタファイズ・デコイドラゴン 守200

 

「カードを1枚伏せてこれでターンエンドです」

 

 

祈 手札 4枚 LP 4000

 

ーー▲ーー ー

ーーーー○

ー ー

ーー◻︎ーー

△ーー▲ー ー

 

楠瀬 手札 2枚 LP 4000

 

 

「私のターン、ドロー」

 

祈 手札 5枚

 

「スタンバイフェイズ、前のターンに除外されたメタファイズ・ネフティスとメタファイズ・ダイダロスの効果発動!メタファイズ・ダイダロスは除外された次のターンのスタンバイフェイズ時、このカードをデッキに戻してデッキからこのカード以外の『メタファイズ』モンスターを除外する!メタファイズ・タイラントをゲームから除外!」

 

除外されていたメタファイズ・ダイダロスが相手のデッキに戻り、代わりにメタファイズ・タイラントが除外されていく。

 

「メタファイズ・ネフティスはこのカードをデッキに戻してデッキからこのカード以外の『メタファイズ』カードをデッキから手札に加える!メタファイズ・ダイダロスを手札に加える!そしてアシンメタファイズの効果!相手ターンに除外された場合、フィールドの『メタファイズ』以外のモンスターの表示形式を変更する!」

 

ジェムレシス 攻1200→守300

 

これで次のターンの準備はばんぜんってところですか・・・幸いにもモンスターは残りました。これを有効活用しましょう。

 

「レスキュー・ラビットを召喚!」

 

レスキュー・ラビット 攻300

 

「レスキュー・ラビットの効果発動!このカードをゲームから除外して、デッキから同名Lv4以下の通常モンスターを2体特殊召喚します!ジェムナイト・ガネットを2体特殊召喚!」

 

ジェムナイト・ルマリン 攻1600 ×2

 

「輝いて!煌めく世界へのサーキット!」

 

レスキュー・ラビットの効果で出てきた2体のジェムナイト・ルマリン。その内1体とジェムレシスがジャンプして、私の上に出来たリンクマーカーに飛び込んだ。

 

「アローヘッド確認!召喚条件は『ジェム』モンスター2体!私はジェムレシスとジェムナイト・ガネットをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚、リンク2、ジェムナイト・ファントムルーツ!」

 

ジェムナイト・ファントムルーツ 攻1450 ↙︎ ↘︎

 

矢印が左斜め下と右斜め下の2つが光って、リンクマーカーの中からジェムナイト・ファントムルーツが飛び出した。

 

「ジェムナイト・ファントムルーツの効果!このカードのリンク召喚成功時、デッキから『ジェムナイト』カードを手札に加えます!ジェムナイト・フュージョンを手札に加えて、発動!フィールドのジェムナイト・ルマリンと手札のジェムナイト・オブシディアで融合!融合召喚!ジェムナイト・プリズムオーラ!」

 

ジェムナイト・プリズムオーラ 攻2450

 

「墓地に送られたジェムナイト・オブシディアの効果!手札からこのカードが墓地に送られた場合、墓地のLv4以下の通常モンスターを対象に取って、特殊召喚します!ジェムナイト・ルマリンを特殊召喚!」

 

ジェムナイト・フュージョンの効果で融合召喚したジェムナイト・プリズムオーラ、その隣に手札から墓地に送られたジェムナイト・オブシディアの効果により、墓地からジェムナイト・ルマリンがフィールドに戻ってきた。

 

「墓地のジェムナイト・フュージョンの効果発動!墓地の『ジェムナイト』モンスターをゲームから除外して、墓地のこのカードを手札に戻します!そしてジェムナイト・プリズムオーラの効果!手札の『ジェムナイト』カードを捨て、フィールドの表側表示のカード1枚を対象に取り、そのカードを破壊します!ジェムナイト・フュージョンを墓地に送り、メタファイズ・デコイドラゴンを破壊します!」

 

「リバースカードオープン!速攻魔法、禁じられた聖杯!ジェムナイト・プリズムオーラの効果をエンドフェイズまで無効にして攻撃力を400ポイントアップする!」

 

ジェムナイト・プリズムオーラ 攻2450→2850

 

ジェムナイト・プリズムオーラの効果を発動しようしたけど、相手が禁じられた聖杯を使い、効果を無効にした。ジェムナイト・プリズムオーラの上に聖杯を持って天使が現れて、聖杯の中の液体をジェムナイト・プリズムオーラにかけた。

 

「(ここまでは計算通り・・・・これでデコイドラゴンを攻撃せざろう得ない!)」

 

「ジェムナイト・ファントムルーツの効果!ライフを1000ポイント払って、墓地または除外されている『ジェムナイト』モンスターをデッキに戻して、『ジェムナイト』融合モンスターを特殊召喚します!」

 

「えっ!?」

 

祈 LP 4000→3000

 

「除外ゾーンのジェムナイト・ルマリンとジェムナイト・オブシディアをデッキに戻して融合召喚!ジェムナイト・プリズムオーラ!」

 

私のライフを1000ポイント払い、除外ゾーンにいるジェムナイト・ルマリンとジェムナイト・オブシディアがデッキに戻って2体目のジェムナイト・プリズムオーラがフィールドに現れた。

 

「に、2体目!?」

 

「ただし、この効果で融合召喚したモンスターは相手にダイレクトアタック出来ません!そして効果発動!手札のジェムナイト・サフィアを墓地に送り、メタファイズ・デコイドラゴンを破壊します!」

 

手札のジェムナイト・サフィアを墓地に捨て、2体目のジェムナイト・プリズムオーラが手にしている大剣を握りしめ、メタファイズ・デコイドラゴンに突っ込んで剣を振り下ろして破壊する。

 

「バトル!ジェムナイト・ルマリンでダイレクトアタック!」

 

「て、手札のバトル・フェーダーの効果!相手モンスターのダイレクトアタック宣言時、手札のこのカードを特殊召喚する!」

 

バトル・フェーダー 守0

 

ジェムナイト・ルマリンで相手に直接攻撃を宣言したところでフィールドに鐘が響き渡り相手の手札からバトルフェーダーが飛び出した。

 

「この効果で特殊召喚した場合、バトルフェイズは終了する!」

 

「メインフェイズ2、墓地のジェムナイト・フュージョンの効果。墓地のジェムナイト・サフィアを除外してこのカードを手札に戻します。カードを1枚伏せてターンエンド」

 

 

祈 手札 2枚 LP 3000

 

ー▲▲ーー ー

○ー○ー○

ー ○

ーーー◻︎ー

△ーーーー ー

 

楠瀬 手札 2枚 LP 4000

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

楠瀬 手札 3枚

 

「スタンバイフェイズ、前のターンに除外されたメタファイズ・タイラントの効果発動!このカードをデッキに戻して、手札から『メタファイズ』モンスターを特殊召喚する!メタファイズ・ダイダロスを特殊召喚!」

 

メタファイズ・ダイダロス 攻2600

 

相手の除外ゾーンにいるメタファイズ・タイラントが相手のデッキに戻り、相手の手札からメタファイズ・タイラントがフィールドに現れた。そのままメタファイズ・タイラントの後ろから光り輝いている大波がフィールドに迫ってくる。

 

「メタファイズ・タイラントの効果!このカードが『メタファイズ』カードによって特殊召喚された場合、フィールドのこのカード以外の表側表示で特殊召喚されたモンスターを全て除外します!」

 

「リバースカードオープン!罠カード、重力解除!フィールドの全てのモンスターの表示形式を変更します!」

 

「!?」

 

「リンクモンスターであるジェムナイト・ファントムルーツ以外のモンスターは全て守備表示になります!」

 

ジェムナイト・ルマリン 攻1600→守1800

ジェムナイト・プリズムオーラ 攻2450→守1400 ×2

 

メタファイズ・ダイダロス 攻2600→守1500

 

フィールドの重力が反転したようにジェムナイト・ファントムルーツ以外の全てのモンスターが上に引っ張らられて守備表示になる。

 

「メタファイズ・ダイダロスの効果で除外されるのはリンクモンスターのジェムナイト・ファントムルーツのみです!」

 

「うっ・・・・永続魔法、アシンメタファイズの効果!手札のメタファイズ・ネフティスを除外して1枚ドロー!アシンメタファイズの効果で『メタファイズ』モンスター以外の攻守は500ポイントダウンします!」

 

ジェムナイト・ルマリン 守1800→1300

ジェムナイト・プリズムオーラ 攻2450→守1400→900 ×2

 

「チューナーモンスター、メタファイズ・ラグナロクを召喚!」

 

メタファイズ・ラグナロク 攻1500

 

相手のフィールドにメタファイズ・ラグナロクがとぐろを巻いてフィールドに舞い降りてくる。

 

「メタファイズ・ラグナロクの効果!このカードが召喚した場合、デッキの上から3枚を除外します!」

 

・メタファイズ・ファクター

・封印の黄金櫃

・オネスト

 

「この効果で除外した『メタファイズ』カード1枚につき攻撃力が300ポイントアップします!」

 

メタファイズ・ラグナロク 攻1500→1800

 

「(重力解除が無ければ上級モンスターをもっと展開していたのに・・・・・)バトル!メタファイズ・ラグナロクでジェムナイト・プリズムオーラに攻撃!」

 

メタファイズ・ラグナロクがとぐろを解いて守備表示になったジェムナイト・プリズムオーラを噛みつき破壊する。

 

「リバースカードオープン!罠カード、ブリリアント・スパーク!自分フィールドの『ジェムナイト』モンスターが相手によって破壊された場合、その破壊されたモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与えます!」

 

「えっ!?きゃっ!?」

 

破壊されたジェムナイト・プリズムオーラが相手に飛びついて爆発、相手はその爆発のダメージを受ける。

 

楠瀬 LP 4000→1550

 

「う・・・こ、こっちがダメージを受けるなんて・・メインフェイズ2、カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

祈 手札 2枚 LP 3000

 

ー--ーー ー

◻︎ー◻︎ーー

ー ー

○ーー◻︎◻︎

△ー▲ーー ー

 

楠瀬 手札 1枚 LP 1550

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

祈 手札 3枚

 

「スタンバイフェイズ、前のターンに除外されたメタファイズ・ネフティスの効果!自身をデッキに戻してメタファイズ・ファクターを手札に加えます!」

 

「まずはジェムナイト・プリズムオーラの効果!手札のジェムナイト・フュージョンを捨て、伏せカードを破壊します!」

 

「リバースカードオープン!威嚇する咆哮!このターン、相手はバトルを行えません!」

 

手札のジェムナイト・フュージョンを捨てて相手の伏せカードを破壊しようとしたけど、その前に相手がその伏せカードである威嚇する咆哮を発動、これで私の攻撃は完全に止められてしまいました。

 

「(こ、これでまだ耐えることはできる)」

 

「なら・・・フィールドのジェムナイト・ルマリンとジェムナイト・プリズムオーラをリンクマーカーにセット!リンク召喚、ジェムナイト・ファントムルーツ!」

 

私のフィールドにいたジェムナイト・ルマリンとジェムナイト・プリズムオーラがリンクマーカーの中に入って、2体目のジェムナイト・ファントムルーツが特殊召喚される。

 

「ジェムナイト・ファントムルーツの効果。デッキからジェムナイト・ラピスを手札に加えます。さらに墓地のジェムナイト・フュージョンの効果!墓地のジェムナイト・ルマリンを除外してこのカードを回収します。そしてジェムナイト・ファントムルーツの効果発動!ライフを1000ポイント払い、除外されているジェムナイト・ルマリンとジェムナイト・サフィアで融合!融合召喚!ジェムナイト・アクアマリナ!」

 

祈 LP 3000→2000

ジェムナイト・アクアマリナ 守2600

 

除外ゾーンのジェムナイト・アクアマリナとジェムナイト・ルマリンが私のデッキに戻り、ジェムナイト・ファントムルーツのリンク先にジェムナイト・アクアマリナが融合召喚された。

 

「(守備モンスターを出したということはこのターンは守りを固めるってことかな?っていうことはまだチャンスが・・・)」

 

「これはまぁ念のための守備モンスターです。このターンに決めることに変わりはありません」

 

「えっ!?」

 

「魔法カード、ジェムナイト・フュージョン!手札のジェムナイト・ラピスとフィールドのジェムナイト・ファントムルーツを融合!融合召喚!ジェムナイトレディ・ラピスラズリ!」

 

ジェムナイトレディ・ラピスラズリ 攻2400

 

フィールドのジェムナイト・ファントムルーツとさっきサーチしたジェムナイト・ラピスラズリが融合の渦に吸い込まれていき、ジェムナイト・ラピスラズリが融合召喚された。

 

「ラピスラズリの効果発動!デッキまたはエクストラデッキから『ジェムナイト』モンスターを墓地に送り、フィールドの特殊召喚されてモンスターの数×500ポイントのダメージを与えます!」

 

「えっ!?」

 

「デッキからジェムナイト・ラズリーを墓地に送り、私のフィールドには融合召喚されたラピスラズリとアクアマリナ、そしてあなたのフィールドにはバトルフェーダーとメタファイズ・ダイダロス、計4体の特殊召喚されたモンスターがいます」

 

「っていうことは・・・・2000ポイントのダメージ!?」

 

ラピスラズリが私のデッキからジェムナイト・ラズリーとフィールドに特殊召喚された4体のモンスターから魂を吸収して、エネルギー弾として相手に発射、その効果ダメージを相手は防ぐことは出来なかった。

 

楠瀬 LP 1550→0

 

 

WIN 祈 LOS 楠瀬

 

 

 

『そこまで!勝者、中等部2-3、櫻井祈!』

 

「ありがとうございました」

 

「あ、ありがとうした・・・・」

 

私は相手の女子生徒に挨拶をしてそのままデュエルフィールドから降りる。私のクラスのベンチには翔悟さんが凄い微妙な顔をしていた。

 

「お前・・・・年下相手にえげつないな。ってかいつも思うけどデュエルの時だけ性格変わりすぎだろ」

 

「そ、そんなことないですよ!?私はいつも普通です!!」

 

「いや・・・・明らかに変わってますよ。5年から6年、6年から中等部1年と学年が上がるたびに」

 

「きょ、恭輔さん!!」

 

私が変わっていないと言ったら一番味方になってくれるはずの恭輔さんですら私の味方についてくれなかった。確かに5年の時にスバルさんとデュエルしてから変わりましたけど、そこまで大きく変わってません!

 

「ん、祈がバーンで勝つのは日常茶飯事」

 

「に、日常茶飯事じゃありませんからね!?今回はたまたまですから!」

 

「たまたまの確率が高いと思いますけど」

 

「まぁいいや、次は俺だな。俺が圧倒的パワーを見せてやる」

 

桜さんが変なことを言ってきて、私がそれを止めるのに必死になっている間に翔悟さんがデュエルフィールドに上がっていく。

 

 

 

途中結果 決勝トーナメント1回戦

 

中等部2-3 対 小等部4-1

 

第1試合 氷川絢 × ー ○ 如月拓哉

第2試合 櫻井祈 ○ ー × 楠瀬薫

 

総合結果 1 ーー 1




桜「さすが祈、相手を殴らずに勝つ」

祈「な、なんか変なイメージ付けられるのでやめてください!」

恭輔「でもこれでタイに持ち込みましたね」

祈「そ、そういえば氷川さんは?」

翔悟「まだ向こうで気絶しているぞ。よっぽどGに攻撃されたのがショックだったのだな」

桜「・・・・ゴキブリなんて普通に駆除すれば良い」

翔悟「お前は平気なのかよ・・・」

恭輔「次回、『決勝トーナメント1回戦 美しき花の香』。よろしくお願いします」


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第34話 決勝トーナメント1回戦 美しき花の香

先月と今月、バイト多く入れすぎた・・・
8月国家試験の勉強しなくちゃいけないからしゃあないんだけど。

・・・・前使っていたけど、やっぱこの型のインフェルノイドは決まったら相手何も出来んな。
あっ、あと9月の初めに18きっぷを使って下関と博多の1人旅決まりました。



翔悟 side

 

「んん〜、さぁ俺の出番だ。ギッチョンギッチョンにしてやるぜ」

 

ようやく来た俺の出番に肩の骨の音をポキポキと鳴らしてデュエルフィールドに上がる。相手の奴もデュエルフィールドに上がり、デュエルディスクをセットしている。

 

『Dフィールド、決勝トーナメント1回戦第3試合、中等部2-3対小等部4-1、山吹翔悟対浜坂雫、デュエルスタート!』

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

翔悟 LP 4000 浜坂 LP 4000

 

「先行は・・・俺だ!手札の悪王アフリマの効果!このカードを手札から捨て、デッキからフィールド魔法、暗黒世界ーシャドウ・ディストピアを持ってきて、発動!」

 

手札にいた悪王アフリマがフィールドを駆け回り、俺のデッキから1枚のカードを取り出して俺に渡す。効果で加えたこのカードを俺はすぐに発動した。辺りは一気に暗くなり、黒い霧で深く覆われる。

 

「このカードがフィールドに存在する限り、フィールドの全てのモンスターは闇属性になる!さらに永続魔法、煉獄の消華!手札のカードを1枚捨て、デッキからこのカード以外の『煉獄』魔法・罠を手札に加える!煉獄の狂宴を手札に加える!カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

翔悟 手札 2枚 LP 4000

 

ー▲ー△ー ▽

ーーーーー

ー ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

浜坂 手札 5枚 LP 4000

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

浜坂 手札 6枚

 

「スタンバイフェイズ、リバースカードオープン!罠カード、煉獄の狂宴!フィールドの煉獄の消華をコストに送り、デッキから『インフェルノイド』モンスターを召喚条件を無視して、合計Lvが8になるように3体まで特殊召喚する!Lv1のインフェルノイド・デカトロン2体を守備表示、Lv6のインフェルノイド・ベルヘェゴルを攻撃表示で特殊召喚!」

 

インフェルノイド・デカトロン 守200 ×2

インフェルノイド・ベルヘェゴル 攻2400

 

俺が発動した煉獄の狂宴が煉獄の消華をコストにして、俺のデッキから3体のインフェルノイドモンスターが特殊召喚される。

 

「インフェルノイド・デカトロンの効果!特殊召喚成功時、デッキから『インフェルノイド』モンスターを墓地に送ることで、このカードは同名カード扱いとして同じ効果を得て、レベルはそのモンスターのレベル分アップする!Lv9のインフェルノイド・リリスとLv10のインフェルノイド・ネヘモスを墓地に送る!」

 

インフェルノイド・デカトロン2体が起動して、俺のデッキからリリスとネヘモスの2枚のモンスターカードを吸収する。

インフェルノイド・デカトロン ☆1→☆10

インフェルノイド・デカトロン ☆1→☆11

 

「メインフェイズ!フィールド魔法、アロマガーデンを発動!」

 

真っ黒い、分厚い霧で覆われているフィールドの相手の部分に草木で生い茂る森とその中にポツンと家が現れる。あっ、ちょっといい匂いがする。

 

「そしてアロマージージャスミンを召喚!」

 

アロマージージャスミン 攻100

 

「フィールド魔法、アロマガーデンの効果!『アロマ』モンスターを召喚・特殊召喚したターンに1度だけ、ライフを500ポイント回復して、私の場のモンスターの攻撃力と守備力は相手のターンのエンドフェイズまで500ポイントアップする!」

浜坂 LP 4000→4500

アロマージージャスミン 攻100→600

 

「アロマージージャスミンの効果!私のライフが回復した場合、カードを1枚ドローする!」

 

「チェーンでリリスの効果を得ているインフェルノイド・デカトロンの効果!相手がモンスター効果を発動した場合、自分フィールドのモンスターをコストでリリースすることでその発動を無効にしてそのモンスターを除外する!」

 

「うっ・・・・じゃあモンスターのコスト」

 

「ここでフィールド魔法、暗黒世界〜シャドウ・ディストピア〜の効果!闇属性モンスターがコストで自分のモンスター1体をリリースして発動するモンスター効果のコストを1ターンに1度まで相手のモンスターで補える!」

 

「!?イ、インフェルノイドモンスターは炎属性モンスターのはず!!」

 

「忘れたのかよ・・・シャドウ・ディストピアの効果でフィールドの全てのモンスターは闇属性だ!」

 

「あっ!?」

 

「俺はリリースコストをアロマージージャスミンに選択!コストでリリースされるため、除外はされないが効果の発動は無効になる!」

 

リリスの効果を備わったデカトロンが相手フィールドのジャスミンを吸収して、ジャスミン自身の発動した効果を無効にした。相手は通常召喚権を使ったんだ、これで動けまい。

 

「くっ・・・カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

「エンドフェイズ、シャドウ・ディストピアの効果!このターンに闇属性モンスターがリリースされた場合、その数だけターンプレイヤーに攻守1000のシャドウトークンを守備表示で特殊召喚する!」

 

シャドウトークン 守1000

 

 

翔悟 手札 2枚 LP 4000

 

ーーーーー ▽

◻︎ー◻︎ー○

ー ー

ーー◻︎ーー

ーー▲▲ー ▽

 

浜坂 手札 2枚 LP 4500

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

翔悟 手札 3枚

 

「悪王アフリマを召喚!」

 

悪王アフリマ 攻1700

 

「悪王アフリマの効果!自分フィールドの闇属性モンスターをリリースすることで1枚ドローする!自身をリリースして1枚ドロー!そして墓地の闇黒の魔王ディアボロスの効果!」

 

「!?い、いつの間に!?」

 

「最初のターンの煉獄の消華だ!自分フィールドの闇属性モンスターがリリースされた場合、墓地からこのカードを特殊召喚する!」

 

闇黒の魔王ディアボロス 攻3000

 

悪王アフリマがリリースされ、1枚ドローした後にフィールドが大きく揺れ始め、中央から大きな穴が開く。その中からディアボロスがフィールドに現れた。

 

「さあ行くぜ!バトル!ベルヘェゴルでシャドウトークンにダイレクトアタック!この瞬間、ベルヘェゴルの効果発動!このカードの攻撃宣言時、相手はエクストラデッキのカード1枚を選んで除外しなくちゃならない!」

 

「うっ!?リ、リバースカードオープン!罠カード、聖なるバリア〜ミラー・フォース〜!」

 

「チェーンでネヘモスの効果を得ているデカトロンの効果!コストは相手フィールドのシャドウトークン!」

 

ベルフェゴルの攻撃宣言に反応してミラーフォースが発動されるが、ネヘモスの効果を吸収したデカトロンが相手の場のシャドウトークンをコストにしてミラーフォースの効果を無効にする。

 

「そしてベルヘェゴルの効果だ!」

 

「ア、アロマセラフィースイート・マジョラムを除外!」

 

「攻撃宣言時にモンスターの数が変わったから巻き戻しが発生!ベルフェゴルでダイレクトアタック!」

 

浜坂 LP 4500→2100

 

「キャアアア!!!」

 

「ディアボロスでダイレクトアタック!」

 

「リ、リバースカードオープン!罠カード、ガード・ブロック!この戦闘ダメージを0にして1枚ドローする!」

 

浜坂 手札 2枚→3枚

 

ディアボロスの攻撃宣言でエネルギー充填中に発動したガード・ブロックにより、相手の周りをバリアが覆い、ディアボロスの攻撃を吸収する。

 

「(チッ・・・ならハンデスだな)メイン2、ディアボロスの効果発動!フィールドの闇属性モンスターをリリースして、相手は手札1枚を選んでデッキの一番上か一番下に置かなければならない!」

 

「!?」

 

「ディアボロス自身を手札1枚を選んでデッキに戻してもらおうか!」

 

「うっ・・・・こ、このカードをデッキの一番上に置きます!」

 

「これでターンエンド!エンドフェイズ、シャドウディストピアの効果!このターンにリリースされた闇属性モンスターは2体!2体のシャドウトークンを俺の場に特殊召喚する!」

 

 

翔悟 手札 3枚 LP 4000

 

ーーーーー ▽

◻︎◻︎◻︎◻︎○

ー ー

ーーーーー

ーーーーー ▽

 

浜坂 手札 2枚 LP 2100

 

 

「わ、私のターン!ドロー!」

 

浜坂 手札 3枚

 

「(う、うう・・・・あ、あの2体のインフェルノイド・デカトロンのせいで何も・・・)アロマージーカナンガを召喚!」

 

アロマージーカナンガ 攻1400

 

「フィールド魔法、アロマガーデンの効果!私のライフを500ポイント回復して、アロマージーカナンガの攻撃力と守備力は次のターンのエンドフェイズまで500ポイントアップする!」

 

浜坂 LP 2100→2600

アロマージーカナンガ 攻1400→1900

 

「バトル!アロマージーカナンガでインフェルノイド・リリスの効果を内蔵しているインフェルノイド・デカトロンを攻撃!」

 

アロマージーカナンガが突撃してきて、デカトロン1体を破壊する。

 

「メインフェイズ2、手札のアロマセラフィーアンゼリカの効果!このカードを手札から捨てて、自分フィールドの『アロマ』モンスターの攻撃力分のライフを回復する!」

 

相手の手札にいた小さなモンスターが飛び出して、アロマージーカナンガと相手の周りを旋回して相手のライフが回復する。

 

浜坂 手札 2600→4500

 

「アロマージーカナンガの効果!私のライフが回復した場合、相手の魔法・罠カード1枚をバウンスします!フィールド魔法の暗黒世界〜シャドウディストピア〜を選択!」

 

アロマージーカナンガが立ち上がり、手にしている杖を振り回して俺のフィールド魔法を吹き飛ばしていった。

 

「さらに墓地に送られたアロマセラフィーアンゼリカの効果!自分のライフが相手より多く、自分フィールドに『アロマ』モンスターが存在する場合、墓地から特殊召喚する!」

 

アロマセラフィーアンゼリカ 守0

 

「Lv4のアロマージーカナンガにLv1のアロマセラフィーアンゼリカをチューニング!アロマセラフィーアンゼリカは自身の効果で特殊召喚した場合、ゲームから除外される!」

 

☆4 + ☆1 = ☆5

 

「華やかに彩る草原に美しい薔薇の香りが包み込む!シンクロ召喚!Lv5!アロマセラフィーローズマリー!」

 

アロマセラフィーローズマリー 攻2200

 

「アロマセラフィーローズマリーがフィールドに存在する限り、私のライフが相手より多い場合、自分フィールドの植物族モンスターの攻撃力と守備力は500ポイントアップする!」

 

アロマセラフィーローズマリー 攻2200→2700

 

「カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

翔悟 手札 4枚 LP 4000

 

ーーーーー ー

ー◻︎◻︎◻︎○

ー ○

ーーーーー

ーー▲ーー ▽

 

浜坂 手札 0枚 LP 4500

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

翔悟 手札 5枚

 

「スタンバイフェイズ、永続罠、潤いの風を発動!

 

「チェーンでネヘモスの効果を内蔵したインフェルノイド・デカトロンの効果!自身をリリースして潤いの風の発動を無効にして除外する!」

 

相手が発動してきた永続罠はインフェルノイド・デカトロン自身をリリースして、その発動を無効にする。相手の罠カードは1枚だけだし、手札は尽きたからもうこいつの役目は終わりだ。

 

「まずはシャドウディストピアを貼り直して・・・・魔法カード、モンスターゲート!」

 

「モ、モンスターゲート!?」

 

「ベルフェゴルをリリースして、通常召喚可能なモンスターが捲れるまでデッキの上から墓地に送る!1枚目、インフェルノイド・アドラメレク、2枚目、煉獄の虚無、3枚目、インフェルノイド・ベルゼブブ、4枚目、インフェルノイド・ヴァエル、5枚目、名推理、6枚目、インフェルノイド・ルキブクス、7枚目、煉獄の虚無、8枚目、闇黒の魔王ディアボロス!ディアボロスを特殊召喚!さらに墓地の闇黒の魔王ディアボロスの効果!闇属性になったインフェルノイド・ベルフェゴルがリリースされたので墓地から特殊召喚する!」

 

モンスターゲートによってベルフェゴルがリリースされデッキからディアボロスが、さらに墓地に眠っていたディアボロスがベルフェゴルがリリースされた事に反応して特殊召喚される。

 

「シャドウトークン2体を攻撃表示に変更!」

 

シャドウトークン 守1000→攻1000 ×2

 

「バトル!ディアボロス1体目でアロマセラフィーローズマリーを攻撃!」

 

闇黒の魔王ディアボロス 攻3000

アロマセラフィーローズマリー 攻2700

 

浜坂 LP 4500→4200

 

「ディアボロス2体目でダイレクトアタック!」

 

浜坂 LP 4200→1200

 

「きゃあああ!!!!」

 

「最後だ!シャドウトークン2体でダイレクトアタック!」

 

浜坂 LP 1200→200→0

 

 

WIN 翔悟 LOS 浜坂

 

 

 

 

『そこまで!勝者!中等部2-3、山吹翔悟!』

 

「ッシャ!!!どんなもんだい!!」

 

デュエルに勝って俺のクラスの方に向いてガッツポーズをする。初めてこの型のインフェルノイドを回したが、やっぱりコンボが決まった時のロック力は半端ない。

 

「おめでとうございます。普通に相手に何もさせませんでしたね」

 

「あったり前よ。そういう構築にしたんだから」

 

「ま、まぁ、これでこっちがリーチです」

 

「ん、恭輔、気を抜かずに勝ってきて」

 

「分かってます」

 

俺に変わり、今度は4番手の恭輔がデュエルフィールドに上がっていく。

 

 

 

 

 

途中結果 決勝トーナメント1回戦

 

中等部2-3 対 小等部4-1

 

第1試合 氷川絢 × ー ○ 如月拓哉

第2試合 櫻井祈 ○ ー × 楠瀬薫

第3試合 山吹翔悟 ○ ー × 浜坂雫

 

総合結果 2 ーー 1

 

 

 




翔悟「まともに勝てたぜ!」

祈「わ、私を見ながら言わないで下さいよ!私の勝ち方がまともじゃないみたいですか!!」

恭輔「いやまぁ・・・・」

桜「・・・・まともではない」

祈「ふ、二人とも!!」

桜「・・・かくいう恭輔も相手の嫌がらせしかしない」

恭輔「ちょ、ちょっと桜さん!?」

翔悟「まぁあまりまともに殴り合ってないな」

桜「次回、『決勝トーナメント1回戦 思いを込めた磁石の戦士』。よろしく」


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第35話 決勝トーナメント1回戦 思いを込めた磁石の戦士

9月の最初の国家試験、本気で取りに行きたいから勉強しているけど、その前に期末テストで単位落としたら元もこもないんだよな・・・

海外の手札娘のイラスト違い可愛いね。高いけど買いたいわ。日本でも実装してくれないかな?


恭輔 side

 

 

『Dフィールド、次の生徒はデュエルフィールドに上がりなさい』

 

「さて、行きますか」

 

ベンチから立ち上がり、軽く屈伸をしていた僕はデュエルディスクにデッキをセットしてフィールドに上がる。相手は・・・・男の生徒ですね。

 

「・・・お前、確か遠藤遊輝さんの一番弟子って言っていた」

 

「お、お前って・・・年上に敬語は大切ですよ」

 

「・・・・やっぱり遊輝さんと一緒だな」

 

デュエルフィールドに上がってきた男子生徒に開口一番、お前と言われたので敬語を使うように注意する。僕は良いですが、そんな状態が続いたら社会で苦労しますよ。

 

「俺はこのトーナメント、勝ちあがらなきゃいけないんだ。遊輝さんにリベンジするために」

 

「?師匠とデュエルでもしたのですか?」

 

「去年な、滅多にないチャンスだったよ。実際に体験してあの人のデュエルは惹きつけられたよ」

 

「惹きつけられる・・・その気持ちは分かりますね。僕も師匠とデュエルして弟子にしてもらいましたから」

 

「だから俺はお前を倒す。そして遊輝さんにもう一度挑戦する」

 

「だからお前って言わない方が良いですよ」

 

『Dフィールド第4試合、中等部2-3対小等部4-1、成田恭輔vs清水智成!デュエルスタート!』

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

恭輔 LP 4000 清水 LP 4000

 

「先行は俺だ!まずは電磁石の戦士(エレクロマグネット・ウォリアー)γを召喚!」

 

電磁石の戦士γ 攻800

 

「電磁石の戦士γの効果!このカードの召喚時、手札からこのカード以外の『マグネット・ウォリアー』モンスターを特殊召喚する!電磁石の戦士αを特殊召喚!」

電磁石の戦士α 攻1700

 

「電磁石の戦士αの効果!デッキからLv8の『磁石の戦士』モンスターを手札に加える!磁石の戦士マグネット・ベルセリオンを手札に加える!カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

 

恭輔 手札 5枚 LP 4000

ーーーーー ー

ーーーーー

ー ー

○ーーー○

ーー▲▲ー ー

 

清水 手札 2枚 LP 4000

 

 

「僕のターン、ドロー!」

恭輔 手札 6枚

 

「魔法カード、増援!デッキからLv4以下の戦士族モンスター1体を手札に加えます!星因子ベガを手札に加えます!」

 

「この瞬間、フィールドの電磁石の戦士αとγの効果!相手ターンにこのモンスターたちをリリースして、デッキからLv4の『マグネット・ウォリアー』モンスターを特殊召喚する!磁石の戦士(マグネット・ウォリアー)δと磁石の戦士γをそれぞれ守備表示で特殊召喚!」

 

磁石の戦士δ 守1400

磁石の戦士γ 守1800

 

相手のフィールドにいた電磁石の戦士γと電磁石の戦士αがリリースされ、相手のデッキから磁石の戦士δと磁石の戦士γが特殊召喚される。

 

「磁石の戦士δの効果!特殊召喚成功した場合、デッキからLv4以下の『マグネット・ウォリアー』モンスターを墓地に送る!電磁石の戦士βを墓地に送る!」

 

なるほど、これで電磁石の戦士マグネット・ウォリアーの特殊召喚条件を整えて、フィールドの磁石の戦士δでデッキから磁石の戦士マグネット・ヴァルキリオンですか。よく練られています。

 

「星因子ベガを召喚!」

 

星因子ベガ 攻1200

 

「ベガの効果!召喚時、手札から『テラナイト』モンスターを特殊召喚します!星因子デネブを召喚!」

星因子デネブ 攻1500

 

「デネブの効果!デッキからデネブ以外の『テラナイト』モンスターを手札に加えます!星因子アルタイルを手札に加えます。行きますよ!Lv4の星因子ベガとデネブでオーバーレイ!」

 

通常召喚されたベガ、さらにベガの効果で特殊召喚されたデネブの2体が目の前にできたブラックホールに吸い込まれ行く。

 

☆4 × ☆4 = ★4

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!ランク4!星の光を守りし影武者!煉獄の騎士(テラナイト)ヴァトライムス!」

 

煉獄の騎士ヴァトライムス 攻2600

 

2体のモンスターを吸い込んだブラックホールは渦巻いて爆発を起こし、その中からヴァトライムスがフィールドに現れた。

 

「リバースカードオープン!奈落の落とし穴!煉獄の騎士ヴァトライムスを破壊して、ゲームから除外する!」

 

「ならチェーンで手札から速攻魔法、天架ける星因子!フィールドのヴァトライムスをデッキに戻して、デッキからカード名が異なる『テラナイト』モンスターを特殊召喚します!星因子シャムを特殊召喚!」

 

相手が発動した奈落落とし穴に合わせるように天架ける星因子を発動、ヴァトライムスが立っているところに落とし穴が現れたが、ヴァトライムスはエスケープ、そのまま入れ替わるようにシャムがフィールドに現れと。

 

星因子シャム 守1800

 

「星因子シャムの効果!特殊召喚成功時、相手に1000ポイントのダメージを与えます!」

 

「ぐっ!?」

 

清水 LP 4000→3000

 

少し計画が狂いましたが大丈夫でしょう。手札の伏せカードで1ターンなら防げます。

 

「カードを3枚伏せてターンエンド!」

 

 

恭輔 手札 1枚 LP 4000

ー▲▲▲ー ー

◻︎ーーーー

ー ー

◻︎ーーー◻︎

ーーー▲ー ー

 

清水 手札 2枚 LP 3000

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

清水 手札 3枚

 

「墓地から電磁石の戦士α・β・γの3体のモンスターをゲームから除外して、磁石の戦士マグネット・ベルセリオンを特殊召喚!」

 

磁石の戦士マグネット・ベルセリオン 攻3000

 

墓地にいた電磁石の戦士3体の身体がバラバラになり電磁石の力で合体、マグネット・ベルセリオンが特殊召喚される。

 

「手札から速攻魔法、異次元からの埋葬!除外されているモンスター3体を墓地に戻す!除外された電磁石の戦士3種類を墓地に戻す!行くぞ!魂に響くサーキット!」

 

磁石の戦士δとβが相手上空に出来たリンクマーカーの中に入り、左斜め下の矢印と右斜め下の矢印が赤く光る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件は地属性モンスター2体!俺は磁石の戦士δとβをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2!ミセス・レディエント!」

 

ミセス・レディエント 攻1400 ↙︎ ↘︎

 

「墓地に送られた磁石の戦士δの効果!このカード以外の『マグネット・ウォリアー』モンスターを3種類ゲームから除外することでデッキから磁石の戦士マグネット・バルキリオンを召喚条件を無視して特殊召喚する!墓地から3種類の電磁石の戦士を除外して、マグネット・バルキリオンを特殊召喚!」

 

磁石の戦士マグネット・バルキリオン 攻3500

 

「ミセス・レディエントがフィールドに存在する限り、俺の場の地属性モンスターの攻撃力は500ポイントアップする!」

 

ミセス・レディエント 攻1400→1900

磁石の戦士マグネット・ベルセリオン 攻3000→3500

磁石の戦士マグネット・バルキリオン 攻3500→4000

 

「マグネット・ベルセリオンの効果!墓地から『マグネット・ウォリアー』モンスターを除外して、相手フィールドのカード1枚を対象に取り破壊する!磁石の戦士δを除外!対象は真ん中の伏せカードだ!」

 

「リバースカードオープン!永続罠、デモンズ・チェーン!」

 

マグネット・ベルセリオンざ磁石の戦士δのエネルギーを吸収して、そのまま僕の真ん中の伏せカードを破壊しようとしたが、永続罠のデモンズ・チェーンを発動してマグネット・ベルセリオンを縛り付ける。

 

「このカードの対象になったモンスターは効果が無効になり、攻撃できません!」

 

「くっ!バトル!ミセス・レディエントで星因子シャムに攻撃!」

 

「リバースカードオープン!罠カード、和睦の使者!このターン、僕のモンスターは戦闘で破壊されず、戦闘ダメージは0になる!」

 

僕とシャムの前に和睦の使者のイラストに描かれている女性が現れて何かを呟く。ミセス・レディエントがシャムに攻撃したが、シャムは破壊されないままフィールドに存在する。

 

「ちっ・・・・ターンエンド!」

 

「エンドフェイズ、リバースカードオープン!永続罠、リビングデッドの呼び声!墓地から星因子ベガを攻撃表示で特殊召喚!」

 

リビングデッドの呼び声により、墓地に眠っていた星因子シャムがフィールドに戻ってくる。

 

「シャムの効果!手札から星因子アルタイルを特殊召喚!

 

星因子アルタイル 攻1500

 

「星因子アルタイルの効果!特殊召喚成功時、墓地から『テラナイト』モンスターを特殊召喚します!星因子デネブを特殊召喚!デネブの効果!2枚目のアルタイルを手札に加えます!」

 

「(お、俺のターンだよな?何でこんなに展開しているんだ!?)」

 

 

恭輔 手札 1枚 LP 4000

ー△ー△ー ー

◻︎ー○○○

ー ○

○ーーー○

ーーー▲ー ー

 

清水 手札 1枚 LP 3000

 

 

「僕のターン!ドロー!」

 

恭輔 手札 2枚

 

「Lv4の星因子デネブ、アルタイル、シャムの3体でオーバーレイ!」

 

☆4 × ☆4 × ☆4 = ★4

 

「3体のテラナイトモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!星の彼方から舞い降りよ!星輝士トライヴェール!」

 

星輝士トライヴェール 攻2100

3体のモンスターがブラックホールの中に吸い込まれていき、切り札のトライヴェールがフィールドに現れる。

 

「トライヴェールの効果発動!このカードのエクシーズ召喚成功時、フィールドのこのカード以外のカード全てを手札に戻します!」

 

「リバースカードオープン!罠カード、ブレイクスルースキル!トライヴェールの効果を無効にする!」

 

トライヴェールの効果を使用しようとしたが、相手が発動したブレイクスルースキルの効果により、トライヴェールの効果は無効にされる。

 

「これでトライヴェールの効果は無効だ!トライヴェールを特殊召喚したターンは『テラナイト』モンスターしか特殊召喚出来ないはず!」

 

「確かにそうですね・・・・ですがまだまだ詰めが甘いです」

 

「何だと?」

 

「手札から魔法カード、セブンストア!自分フィールドのエクシーズモンスターをリリースして1枚ドロー!」

 

「!?」

 

「さらにこの効果でリリースしたエクシーズモンスターのオーバーレイ・ユニットの数だけ追加でドローします!」

 

「なっ!?」

 

「トライヴェールの素材は3つ!よって4枚ドロー!」

 

恭輔 手札 1枚→5枚

 

「さて・・・・その手札がエフェクト・ヴェーラーとかでしたら困りますが、ここは愚直にこの方法で行きましょう。手札から星因子アルタイルを召喚!効果で墓地から星因子シャムを守備表示で特殊召喚!シャムの効果!相手に1000ポイントのダメージを与える!」

 

「ぐっ!?」

 

清水 LP 3000→2000

 

「そしてLv4のシャム、ベガ、アルタイルの3体でオーバーレイ!」

 

☆4 × ☆4 × ☆4 = ★4

 

「3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!星の彼方から舞い降りよ!星輝士トライヴェール!」

 

「ま、また!?」

 

「トライヴェールの効果発動!デルタ・オブ・ツイスター!」

 

特殊召喚したトライヴェールが手にしている星がついた三角形の盾を回して投げ飛ばす。クルクルと回転した盾はそのままフィールドに竜巻を巻き起こし、トライヴェール以外のフィールドのカード全てを吹き飛ばしていく。

 

「ぐううぅ!!!!」

 

「これで終わりです!バトル!トライヴェールでダイレクトアタック!スターオーバー・ザ・ドライブ!」

 

「て、手札から速攻のかかしの効果!相手の直接攻撃宣言時、このカードを手札から捨てバトルフェイズを終了する!」

 

相手の手札から速攻のかかしが飛び出してトライヴェールの攻撃を受け止める。

 

「なるほど・・・速攻のかかしは頭に入ってなかったです。ではメインフェイズ2、トライヴェールの効果!相手の手札1枚をランダムに選び墓地に送ります!」

 

星輝士トライヴェール OVR 3→2

 

「・・・・マグネット・バルキリオンだ」

 

「そして星輝士トライヴェール1体でオーバーレイ!」

 

★4 → ★5

 

「1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築!エクシーズ召喚!星の光を守りし者!星輝士セイクリッド・ダイヤ!」

 

星輝士セイクリッド・ダイヤ 攻2700

 

トライヴェール1体がエクシーズ素材としてブラックホールの中に吸い込まれていき、今度はセイクリッド・ダイヤが飛び出してくる。

 

「セイクリッド・ダイヤがフィールドにいる限り、お互いのプレイヤーはデッキからカードを墓地に送ることはできず、墓地から手札に回収するカードも手札に戻らずゲームから除外されます!」

 

「なっ!?」

 

「カードを4枚伏せてターンエンド!」

 

 

恭輔 手札 2枚 LP 4000

▲▲▲▲ー ー

ーーーーー

○ ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

清水 手札 1枚 LP 2000

 

 

「お、俺のターン!ドロー!」

 

清水 手札 3枚

 

「(・・・!!ま、まだいける!)魔法カード、トレード・イン!手札のLv8のマグネット・ベルセリオンを捨て、2枚ドロー!さらに魔法カード、壺の中の魔術書!互いのプレイヤーは3枚ドローする!」

 

恭輔 手札 2枚→5枚 清水 手札 1枚→4枚

 

「魔法カード、予想GUY!自分フィールドにモンスターが存在しない場合、デッキからLv4以下の通常モンスターを特殊召喚する!磁石の戦士αを特殊召喚!」

 

磁石の戦士α 攻1700

 

「さらにレスキュー・ラビットを召喚!」

 

レスキュー・ラビット 攻300

 

「レスキュー・ラビットの効果発動!このカードをゲームから除外して、デッキからLv4以下の同名通常モンスターを2体特殊召喚する!」

 

「リバースカードオープン!カウンター罠、神の通告!ライフを1500ポイント払って、レスキュー・ラビットの効果を無効にして破壊します!」

 

恭輔 LP 4000→2500

 

レスキュー・ラビットが自身の効果で除外されデッキからモンスター2体を特殊召喚しようとするが、僕が発動した神の通告の効果によりその効果は無効にされる。

 

「くっ・・・・まだだ!フィールド魔法、マグネット・フィールド発動!」

 

相手の後ろに魔法陣みたいなものが現れて、その魔法陣を取り囲むように電磁石が何個も浮かび上がる。

 

「マグネット・フィールドの効果!自分フィールドに地属性・岩石族モンスターが存在する場合、1ターンに1度だけ墓地からLv4以下の『マグネット・ウォリアー』モンスターを特殊召喚する!磁石の戦士γを特殊召喚!」

 

電磁石が起動して魔法陣が光り出し、相手の墓地から磁石の戦士γがフィールドに現れる。

 

磁石の戦士γ 攻1500

 

「Lv4の磁石の戦士γとαでオーバーレイ!」

 

☆4 × ☆4 = ★4

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!ランク4、鳥獣士カステル!」

 

鳥獣士カステル 攻2000

 

「鳥獣士カステルの効果!オーバーレイ・ユニットを2つ取り除いて、相手フィールドのカード1枚をデッキに戻す!」

 

鳥獣士カステル OVR 2→0

 

「リバースカードオープン!永続罠、デモンズ・チェーン!」

 

「!?(し、しまった!!トライヴェールの効果で戻っていたことを忘れてた!)」

 

「対象はカステル!」

 

デモンズ・チェーンの効果が発動して、相手のカステルを鎖で縛り付けて動けないようにする。

 

「ぐっ・・・・・カードを1枚伏せてターンエンド・・・・」

 

「エンドフェイズ!リバースカードオープン!リビングデッドの呼び声!墓地からアルタイルを攻撃表示で特殊召喚!アルタイルの効果発動!墓地からシャムを特殊召喚!シャムの効果!相手に1000ポイントのダメージです!」

 

「うわっ!」

清水 LP 2000→1000

 

 

恭輔 手札 5枚 LP 2500

△ー△▲ー ー

ーー○ー◻︎

○ ○

ーーーーー

ーー▲ーー ー

 

清水 手札 0枚 LP 1000

 

 

「僕のターン!ドロー!」

 

恭輔 手札 6枚

 

「バトル!星輝士セイクリッド・ダイヤで鳥獣士カステルを攻撃!」

 

「リバースカードオープン!カウンター罠、攻撃の無力化!」

 

「チェーンでリバースカードオープン!カウンター罠、神聖なる因子!シャムをリリースして攻撃の無力化の効果を無効にして破壊します!」

 

「なっ!?」

 

相手が発動してきた攻撃の無力化は神聖なる因子により、シャムをリリースして無効にする。

 

「その後、カードを1枚ドロー!」セイクリッド・ダイヤの攻撃は成立!スター・イン・ダイヤ!」

 

星輝士セイクリッド・ダイヤ 攻2700

鳥獣士カステル 攻2000

 

清水 LP 1000→300

 

「アルタイルでダイレクトアタック!」

 

清水 LP 300→0

 

WIN 恭輔 LOS 清水

 

 

『そこまで!勝者!中等部2-3、成田恭輔!Dフィールド、3-1で中等部2-3の勝ち!』

 

「ふぅ〜・・・・ありがとうございました」

 

デュエルディスクを片付けて相手に頭を下げる。師匠から礼儀は大切にしろよっと言われたので最後の挨拶はキチンとするようにしています。・・・・まぁ最近師匠がしていないのですが。

 

「・・・・・・やっぱ強いな」

 

「?何ですか?」

 

「やっぱ強いなって言ったんだよ。耳悪いな恭輔さん」

 

「・・・・お前って言わなくなったのは評価しますが言葉遣いはもうちょっと直した方が良いですね」

 

「はっ、無理な相談だな。・・・・・頑張ってください」

 

「素直じゃないですね」

 

相手の子が頭を下げてデュエルフィールドから降りていく。僕も身体を反転して自分たちのクラスに戻る。

 

「・・・お疲れ様」

 

「よくやったな恭輔!終始シャムバーンだったけど」

 

「最初のターンにエクシーズモンスターを除去されそうでしたから作戦プランを変えただけですよ」

 

「ま、まぁ・・・・とりあえず準決勝進出ですよ」

 

「・・・そう言えば氷川さんは?」

 

「あいつはまだ気絶しているぜ。早い所叩き起こして準決勝に備えないとな」

 

「・・・・まだ気絶していたんですか」

 

流石にちょっと時間が長すぎる気もしますが・・・まぁ準決勝の1回戦は祈さんに任せましょう。




桜「・・・・やっぱり恭輔も碌な勝ち方をしない」

恭輔「立派な戦術です」

翔悟「実際問題、シャムバーンで1デュエル3000〜4000削るなんて現実でもあり得ることだからな・・・あのカード、かなりの問題児だぞ」

祈「い、1枚でもサーチしたら墓地落としたりできるのが凄いですよね」

桜「あれ1枚入れるだけで選択肢の幅が広がるのが面白い」

恭輔「遊戯王もそうですけど、カードゲームってそこが面白いですよね。テンプレの構築にオリジナルのカードを入れて自分好みのデッキに出来ますから」

桜「というわけで次回、『準決勝 魔法技術者』。よろしく」


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第36話 準決勝 魔法技術者

バイト5連勤、最終日の日曜が明けて次の月曜から期末試験って地獄。
8月は国家試験の勉強のためにバイトほとんど入れられないけど、失敗したかな・・・・
あっ、というわけで8月の更新はもしかしたら遅くなるかもしれないです。月に3〜4話投稿が1〜2になるかも・・・




このお話を見ていただいている読者の皆様は恐らくほとんどがわたしの前の小説を見てくれた方だと思います。
前回の小説で使ったオリカを使おうと久しぶりに効果見たら・・・・

「あれ?俺この時に使った効果と貰ったテキストの効果の解釈間違えた?」

こんな疑問浮かんでしまいました。いや、このオリカをもらった方、小説をお書きになっているんですがこれ貰ったのがすぴばる時代な上、ハーメルンに移ってからここ最近執筆されていないので・・・今回のこの解釈でいいのかな?私のメモ的にはこういう解釈で合っていると思うんだけど・・・・


祈 side

 

 

「ゆ、夢の・・・夢の中までGが・・・」

 

「とりあえず頭に氷当てて横になってください」

 

「ようやく起きたと思ったらまだ言うか」

 

「だ、だって・・・だって・・・」

 

「・・・・相当参っている」

 

「こ、これ、次のデュエル大丈夫何ですか?」

 

午後から行われる決勝トーナメントの準決勝に向けて保健室にいた氷川さんを恭輔さんと山吹さんの二人で向かいに行って帰ってきたのですがこんな状態で・・・・ま、まぁ前の試合は女性にはちょっとグロテスクなアレですから・・・・

 

『これより準決勝を始める!Aフィールド、高等部1-1vs高等部2-2、Bフィールド、高等部3-1vs中等部2-3!指定されたクラスのメンバーはそれぞれのフィールドのベンチに集まりなさい!』

 

「・・・呼ばれた」

 

「立てますか?」

 

「な、何とか・・・」

 

氷川さんがフラフラと立ち上がり、恭輔さんと翔悟さんの肩を持ち何とかデュエルフィールドのベンチに座る。

 

「まぁ・・・やっぱり氷川さんは厳しそうなので初戦は祈さんが」

 

「わ、分かりました」

 

「次は俺だな」

 

氷川さんの状態があまりよろしくないので、順番を変えて私が先鋒に、次に翔悟さんが次鋒として回ることになった。恭輔さんがオーダー用紙を先生に渡し、数分経って名前が呼ばれる。

 

『Bフィールド、準決勝、高等部3-1vs中等部2-3、第1試合、早坂未来vs櫻井祈!デュエルスタート!』

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

早坂 LP 4000 祈 LP 4000

 

「先行は私ですね。魔法カード、おろかな副葬。デッキからウィッチクラフト・バイストリートを墓地に送ります。ウィッチクラフト・ピットレを召喚」

 

ウィッチクラフト・ピットレ 攻1000

 

相手フィールドにピンクの巻き髪をした女性のモンスターが現れる。周りには沢山のフラスコが浮いている。

 

「ウィッチクラフト・ピットレの効果。このカードをリリースして手札の魔法カードを墓地に送ることでデッキからこのカード以外の『ウィッチクラフト』モンスターを特殊召喚します。ウィッチクラフト・サボタージュを墓地に送り、デッキからウィッチクラフトマスター・ヴェールを守備表示で特殊召喚!」

 

ウィッチクラフトマスター・ヴェール 守2800

 

ピットレのフラスコの一つに相手が捨てた魔法カード1枚が入り、黙々と水色の煙が舞い上がる。その煙が晴れるとピットレの姿はなく、透明なガラスみたいな椅子に座った青髪の女性が杖を持ってこっちを見下している。

 

「これでターンエンド!エンドフェイズ、墓地のウィッチクラフト・サボタージュとウィッチクラフト・バイストリートの効果発動!自分のターンのエンドフェイズ時、このターンに同名カードを発動していなかった場合、通常魔法なら手札に、永続魔法なら自分フィールドに発動します!通常魔法のウィッチクラフト・サボタージュは手札に戻り、永続魔法のウィッチクラフト・バイストリートは発動します!」

 

 

祈 手札 5枚 LP 4000

 

ーーーーー ー

ーーーーー

ー ー

ーー◻︎ーー

ー△ーー ー

早坂 手札 3枚 LP 4000

 

 

「私のターン!ドロー!」

 

祈 手札 6枚

 

「ウィッチクラフト・バイストリートは自分フィールドの『ウィッチクラフト』モンスターは1ターンに1度だけ、戦闘・効果で破壊されません!」

 

「魔法カード、予想GUY!自分フィールドにモンスターがいない場合、デッキからLv4以下の通常モンスターを特殊召喚します!ジェムナイト・ガネットを特殊召喚!」

 

ジェムナイト・ガネット 攻1900

 

「通常召喚!レスキュー・ラビット!」

 

レスキュー・ラビット 攻300

 

「レスキュー・ラビットの効果発動!このカードを除外して、デッキから同名のLv4以下の通常モンスター2体を特殊召喚します!ジェムナイト・ルマリンを特殊召喚!」

 

ジェムナイト・ルマリン 攻1600 ×2

 

「輝いて!煌めく世界へのサーキット!」

 

レスキュー・ラビットで特殊召喚されたジェムナイト・ルマリンがリンクマーカーの中に入る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件は『ジェム』モンスター2体!私はジェムナイト・ルマリン2体をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚、リンク2、ジェムナイト・ファントムルーツ!」

 

ジェムナイト・ファントムルーツ 攻1450 ↙︎ ↘︎

 

「ジェムナイト・ファントムルーツの効果!デッキから『ジェムナイト』カードをサーチします!」

 

「それ以上は我慢できないね!ウィッチクラフトマスター・ベールの効果!手札の魔法カードを1枚捨てることで相手フィールドのモンスターの効果を全て無効にする!」

 

「!?」

 

「私が捨てるのは錬装融合!」

 

ウィッチクラフトマスター・ベールの効果で相手が錬装融合を捨て、手にしている杖を振り回し私のフィールドの上空にオーロラのようなものが現れてファントムルーツの効果を無効にする。

 

「(まずいです・・・しかも捨てたのが錬装融合なのが・・・)」

 

ジェムナイト・フュージョンを持ってきて回す予定だったのですが・・・ここは1ターン我慢しましょう。

 

「ターンエンドです!」

 

 

祈 手札 4枚 LP 4000

 

ーーーーー ー

ーーーー○

○ ー

ーー◻︎ーー

ー△ーー ー

早坂 手札 2枚 LP 4000

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

早坂 手札 3枚

 

「メインフェイズ開始時、強欲で金満な壺!エクストラデッキを6枚裏側でランダムに除外して、除外したカード3枚につき1枚ドローします!」

 

早坂 手札 2枚→4枚

 

「さらに墓地の錬装融合の効果!このカードをデッキに戻してシャッフル、その後に1枚ドローします!」

 

早坂 手札 4枚→5枚

 

「さらに墓地のウィッチクラフト・ピットレの効果!このカードをゲームから除外して1枚ドロー、その後に手札の『ウィッチクラフト』カードを捨てます!ウィッチクラフト・サボタージュを捨てます!」

 

凄いスピードでドローと手札交換を・・・これで相手の手札は潤沢に。

 

「魔法カード、簡易融合(インスタント・フュージョン)!」

 

「い、簡易融合!?」

 

「ライフを1000ポイント支払い、エクストラデッキからLv5以下の融合モンスターを融合召喚扱いで特殊召喚します!」

 

早坂 LP 4000→3000

 

「融合召喚!サウザンド・アイズ・サクリファイス!」

 

サウザンド・アイズ・サクリファイス 攻0

 

相手フィールドにカップラーメンの容器が現れて、ライフポイントを支払い、湯気が立ち込めてカップラーメンの蓋が開かれる。その中からサウザンド・アイズ・サクリファイスがフィールドに現れる。

 

「サ、サクリファイス!?不味い!!」

 

「この効果で特殊召喚されたモンスターは攻撃できず、エンドフェイズに破壊されますが効果は使えます!サウザンド・アイズ・サクリファイスの効果!相手フィールドの表側表示モンスターをこのカードの装備カード扱いで装備します!」

 

サクリファイスの目が怪しく光り、その目を見たファントムルーツはフラフラとサクリファイスの方に歩み寄り、サクリファイスはファントムルーツを吸収する。

 

「ぐっ!?」

 

「開け!魔術が広がる無限のサーキット!」

 

「なっ!?」

 

ファントムルーツを吸収したサクリファイスがそのまま相手の上空に出来たリンクマーカーの中に飛び込んでいく。

 

「アローヘッド確認!召喚条件はLv1モンスター1体!私はサウザンド・アイズ・サクリファイスをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク1、リンクリボー!」

 

リンクリボー 攻300 ↓

 

下向きの矢印が赤く光り、その中からリンクリボーがフィールドに現れる。

 

「ウィッチクラフト・シュミッタを召喚!」

 

ウィッチクラフト・シュミッタ 攻1800

 

「ウィッチクラフト・シュミッタの効果!手札のウィッチクラフト・クリエイションを捨て、デッキからウィッチクラフト・ハイネを特殊召喚!」

 

ウィッチクラフト・ハイネ 攻2400

 

ウィッチクラフト・シュミッタが相手の手札の魔法カード1枚と一緒に手にしている大剣を振り回してリリースされ、黒色のマントに黒色のスパッツ、黒色のミニワンピースを着たウィッチクラフト・ハイネが特殊召喚される。

 

「墓地のウィッチクラフト・シュミッタの効果発動!このカードをゲームから除外して、デッキから『ウィッチクラフト』カードを墓地に送ります!ウィッチクラフト・ドレーピングを墓地に送り、バトル!ウィッチクラフト・ハイネでジェムナイト・ガネットに攻撃!」

 

ウィッチクラフト・ハイネ 攻2400

ジェムナイト・ガネット 攻1900

 

祈 LP 4000→3500

 

「うぅ!」

 

「さらにリンクリボーでダイレクトアタック!」

 

祈 LP 3500→3200

 

「メインフェイズ2を飛ばしてターンエンド、エンドフェイズに墓地のウィッチクラフト・サボタージュ、クリエイション、ドレーピングの3枚の通常魔法の効果発動!このターン、これらのカードは効果を発動していないため、私の手札に戻る!」

 

 

祈 手札 4枚 LP 3200

 

ーーーーー ー

ーーーーー

ー ○

○ー◻︎ーー

ー△ーー ー

早坂 手札 5枚 LP 3000

 

「私のターン!ドロー!」

 

祈 手札 5枚

 

「(・・・・!!)魔法カード、おろかな副葬!デッキから魔法または罠カードを墓地に送ります!この効果でジェムナイト・フュージョンを墓地に送ります!」

 

「ついにキーカードが落ちたわね・・・」

 

「墓地のジェムナイト・フュージョンの効果!墓地のジェムナイト・ファントムルーツを除外してこのカードを手札に戻します!そして通常召喚!捕食植物(プレデター・プランツ)オフリス・スコーピオ!」

 

捕食植物オフリス・スコーピオ 攻1200

 

「オフリス・スコーピオの効果発動!手札のモンスターを捨てることでデッキからこのカード以外の『捕食植物』モンスターを特殊召喚します!ジェムナイト・オブシディアを捨てて、捕食植物ダーリング・コブラを特殊召喚します!」

 

捕食植物ダーリング・コブラ 守1200

 

「チェーン1、ダーリング・コブラ、チェーン2、手札から墓地に送られたジェムナイト・オブシディアの効果発動!オブシディアは手札から墓地に送られた場合、墓地のLv4以下の通常モンスターを特殊召喚します!ジェムナイト・ガネットを特殊召喚!」

 

オフリス・スコーピオの効果で手札から捨てられたオブシディアが墓地からジェムナイト・ガネットを蘇生させる。

 

「さらにダーリング・コブラはこのカードが『捕食植物』モンスターの効果で特殊召喚した場合、デッキから『フュージョン』と名のついたカードを手札に加えます!ブリリアント・フュージョンを手札に加えます!」

 

「一番不味いカードまで・・・・(かと言ってここで使うわけには)」

 

「輝いて!煌めく世界へのサーキット!アローヘッド確認!召喚条件は通常モンスター1体!私はジェムナイト・ガネットをリンクマーカーにセット!リンク召喚!リンク1、リンク・スパイダー!」

 

リンク・スパイダー 攻1000 ↓

 

ジェムナイト・ガネット 1体がリンクマーカーの中に入り、矢印の向きが下向きに光ってリンク・スパイダーがリンク召喚される。

 

「リンク・スパイダーの効果!手札のLv4以下の通常モンスターをこのカードのリンク先に特殊召喚します!ジェムナイト・サフィアを特殊召喚!」

 

ジェムナイト・サフィア 守2100

 

「輝いて!煌めく世界へのサーキット!アローヘッド確認!召喚条件は異なるモンスター2体!私はジェムナイト・サフィアとオフリス・スコーピオをリンクマーカーにセット!リンク召喚!リンク2、トロイメア・フェニック!」

 

トロイメア・ケルベロス 攻1900 ↑ →

 

「ト、トロイメア・フェニックス!?」

 

「トロイメア・フェニックスの効果!手札のカード1枚をコストにして、相手フィールドの魔法・罠カード1枚を破壊します!ウィッチクラフト・バイストリートを対象にして破壊します!」

 

「ぐっ・・・(ここでヴェールの効果を使ったらジェムナイト・フュージョンとブリリアント・フュージョンで大量展開される・・・)と、通す!」

 

トロイメア・フェニックスの効果で手札のカード1枚を墓地に送り、トロイメア・フェニックスが炎をまとい、火の鳥となって突撃してウィッチクラフト・バイストリートを破壊した。

 

「その後、この効果を使用したトロイメア・フェニックスが相互リンク状態の場合、1枚ドローする!」

 

祈 手札 2枚→3枚

 

「さらに墓地のジェムナイト・フュージョンの効果!ジェムナイト・オブシディアを除外してこのカードを手札に戻します!」

 

「(じ、実質ノーコスト除去の上に手札を1枚補充!?)」

 

「輝いて!煌めく世界へのサーキット!アローヘッド確認!召喚条件は異なるモンスター2体!私はトロイメア・フェニックスとダーリング・コブラをリンクマーカーにセット!リンク召喚!リンク2、トロイメア・ケルベロス!」

 

トロイメア・ケルベロス 攻1600 ← ↑

 

「トロイメア・ケルベロスまで!?」

 

「トロイメア・ケルベロスの効果!手札のカードを1枚コストで捨てることで相手の通常モンスターゾーンに存在する特殊召喚されたモンスターを破壊します!ウィッチクラフトマスター・ヴェールを対象にとります!」

 

「(も、もう遅い・・・)と、通す!」

 

リンク召喚されたトロイメア・ケルベロスの効果により、私は手札のカード1枚をコストにしてトロイメア・ケルベロスがウィッチクラフトマスター・ヴェールを破壊する。

 

「この時、この効果を使用したトロイメア・ケルベロスが相互リンク状態の場合1枚ドローします!」

祈 手札 3枚→4枚

 

「さらに墓地のジェムナイト・フュージョンの効果!墓地のジェムナイト・サフィアを除外してこのカードを手札に戻します!」

 

「わ、私のフィールドを焼け野原にして手札を回復しつつ展開して・・・・」

 

「永続魔法、ブリリアント・フュージョンを発動!このカードの発動時処理としてデッキから『ジェムナイト』融合素材モンスターを墓地に送り、攻守を0にして融合召喚する!ジェムナイト・ラブリー2体とジェムナイト・クォーツの3体を融合!融合召喚!ジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤ!」

 

ジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤ 攻3400→0

 

私が発動したブリリアント・フュージョンの効果でデッキからジェムナイト・ラピス2体とジェムナイト・クォーツが融合素材になり、ジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤが融合召喚された。

 

「墓地に送られたジェムナイト・ラピスの効果!墓地の通常モンスターを手札に加えます!」

 

「そ、それ以上は許さないわ!チェーンでウィッチクラフト・ハイネの効果!手札の魔法カードを墓地に送ることで相手フィールドの表側のカードを破壊します!ウィッチクラフト・ドレーピングを捨てて、私が破壊するのはブリリアント・フュージョン!」

 

「速攻魔法、禁じられた聖杯!ウィッチクラフト・ハイネの攻撃力を400ポイント上げて、効果を無効にします!」

 

「なっ!?」

 

相手が手札から魔法カードを捨て、ウィッチクラフト・ハイネの効果を使用したが、私が発動した禁じられた聖杯を浴び、ウィッチクラフト・ハイネの効果は無効になる。

 

ウィッチクラフト・ハイネ 攻2400→2800

 

「ジェムナイト・ラピス2体の効果で墓地のジェムナイト・ルマリンとジェムナイト・クォーツを手札に加えます!輝いて!煌めく世界へのサーキット!アローヘッド確認!召喚条件は効果モンスター2体以上!私はリンク・スパイダーとトロイメア・ケルベロスをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク3、デコード・トーカー!」

 

デコード・トーカー 攻2300 ↑ ↙︎ ↘︎

 

リンク・スパイダーとトロイメア・ケルベロスの2体のリンクモンスターがリンクマーカーの中に入り、3本の赤い矢印が上、左斜め下、右斜め下に光り、リンクマーカーの中からデコード・トーカーがフィールドに特殊召喚される。

 

「ジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤの効果!自分フィールドのモンスター1体をリリースしてエクストラデッキから『ジェムナイト』融合モンスターを召喚条件を無視して特殊召喚します!自身をリリースして、ジェムナイト・マディラを特殊召喚!」

 

ジェムナイト・マディラ 攻2200

 

ブリリアント・ダイヤがリリースされ、フィールドに残されたダイヤがピキピキと割れて行き、完全に割れたところからジェムナイト・マディラが特殊召喚された。

 

「魔法カード、ジェムナイト・フュージョン!手札のジェムナイト・ルマリンとジェムナイト・クォーツで融合!天空に輝きしクンツァイトの巫女が天使の歌声と共に現れる!融合召喚!ジェムナイト・クンツァイト!」

 

ジェムナイト・クンツァイト 攻2000

 

融合の渦に先ほど回収したジェムナイト・クォーツとジェムナイト・ルマリンの2体のモンスターが融合され、私のフィールドに特殊召喚されたモンスターは巫女装束のような鎧を纏った女騎士のモンスターがフィールドに現れる。

 

「ジェムナイト・クンツァイトの効果発動!このカードの融合召喚成功時、墓地の『ジェムナイト』モンスターを5体まで除外します!墓地からジェムナイト・ラピスラズリ2体と、ジェムナイト・ガネット、ジェムナイト・ルマリンとジェムナイト・クォーツの5体を除外します!輝石の舞、鎮魂の儀!」

 

ジェムナイト・クンツァイトが優雅に舞を踊り始め、クンツァイトを中心に5体のジェムナイトモンスターが光る球となってゲームから除外された。

 

「さらに墓地のジェムナイト・フュージョンの効果!墓地のジェムナイト・ガネットを除外してこのカードを手札に戻します!」

 

「そんなことしたって意味が・・・」

 

「ジェムナイト・クンツァイトの攻撃力と守備力はお互いにそれぞれ除外されているカードの数×300ポイントアップします!」

 

「なっ!?」

 

「除外されているのは私のジェムナイトモンスター9体にあなたのモンスター2体に強欲で金満な壺で除外されたカード6枚の計17枚!」

 

ジェムナイト・クンツァイト 攻2000→7100

 

「な、7100!?」

 

「さらにデコード・トーカーはこのカードのリンク先のモンスターの数×500ポイント攻撃力がアップします!」

 

デコード・トーカー 攻2300→3300

 

「バトル!ジェムナイト・マディラでリンクリボーに攻撃!」

 

「リ、リンク「ジェムナイト・マディラが攻撃宣言した場合、相手はダメージステップ終了時まで全てのカード効果を発動できない!」!?」

 

ジェムナイト・マディラ 攻2200

リンクリボー 攻300

 

早坂 LP 3000→1100

 

「きゃあああ!!!」

 

「ジェムナイト・クンツァイトでウィッチクラフト・ハイネに攻撃!」

 

「て、手札のウィッチクラフトゴーレム・アルルの効果発動!自分の魔法使い族モンスターが相手の効果の対象、または攻撃対象に選択された場合、相手フィールドのカードか私の墓地の『ウィッチクラフト』魔法カードのいずれか1枚を対象に取って発動!私はジェムナイト・クンツァイトを対象にとります!」

 

相手の手札にいたウィッチクラフトゴーレム・アルルが起動して相手の後ろから巨大なゴーレムが現れる。

 

「対象に取ったカードを手札に戻してこのカードを特殊召喚します!(これでこのターンは・・・・)」

 

「デコード・トーカーの効果発動!自分フィールドのカードを対象にとった魔法・罠・モンスター効果が発動した場合、このカードのリンク先のモンスターをリリースすることでその発動を無効にして破壊する!」

 

「!?な、なんですって!?」

 

「私はジェムナイト・マディラをリリース!ウィッチクラフトゴーレム・アルルの効果を無効にして破壊します!」

 

デコード・トーカーのリンク先に存在したジェムナイト・マディラがリリースされ、デコード・トーカーが相手の場に特殊召喚されようとしたウィッチクラフトゴーレム・アルルに突撃、手にしている剣を頭から一刀両断に真っ二つにして破壊した。

 

「トドメです!ジェムナイト・クンツァイトでウィッチクラフト・ハイネに攻撃!輝石の舞、武闘の儀!!」

 

ジェムナイト・クンツァイトが舞を披露して、身体からエネルギーが溢れ出しそのままウィッチクラフト・ハイネに攻撃、身体は切り刻まれて破壊された。

 

「きゃあああ!!!!!!」

 

 

ジェムナイト・クンツァイト 攻7100

ウィッチクラフト・ハイネ 攻2800

 

早坂 LP 1100→0

 

 

WIN 祈 LOS 早坂

 

 

 

『そこまで!勝者、中等部2-3、櫻井祈!』

 

「ありがとうございました」

 

「・・・・あ、ありがとうございました」

 

私はデュエルディスクのスイッチを切り、元に戻して相手に挨拶する。何故か相手は少し放心状態ですが・・・まぁ大丈夫でしょう。何も気にせず、私はベンチに戻る。

 

「か、勝ちました」

 

「いや・・・あれ返すの?」

 

「結構相手自信があったはずだぞ」

 

「・・・・オフリス・スコーピオなんて入れているんだ、意外」

 

「ブ、ブリリアント・フュージョンを持ってこれるので・・・」

 

「確かに強かったですね・・・相手放心状態でしたし」

 

「じゃあ次は俺がまたサクッと勝ってくるよ」

 

ベンチに座った私と変わるように自信満々な笑みを浮かべて翔悟さんはベンチから立ち上がり、デュエルフィールドに向かう。

 

 

 

 

途中結果 決勝トーナメント準決勝

 

中等部2-3 対 高等部3-1

 

第1試合 櫻井祈 ○ ー × 早坂未来

 

総合結果 1 ーー 0




恭輔「祈さん、台本書き変えたらダメですよ」

祈「きょ、恭輔さん!!それ盛大なメタ発言!!」

桜「・・・冗談抜きで台本書き変えたから」

翔悟「最初、祈はウィッチクラフトに負けるはずが、ウィッチクラフトがちょっとずつ盤面を固める前に勝ち切ってしまったな」

祈「あ、あれは手札が良かったからです!」

絢「オフリス・スコーピオとダーリング・コブラを入れた理由は?」

祈「通常召喚権がレスキュー・ラビットぐらいでブリリアント・フュージョンをサーチするためです。ラピスとは噛み合わないですが・・・」

恭輔「ジェムナイト・フュージョンはともかく、ブリリアント・フュージョンのサーチは不味すぎますね・・・」

翔悟「っというわけで次は俺だ!『準決勝 王家の墓を守りし民』」

桜「・・・翔悟、負けた、天敵すぎ」

翔悟「やってもないのにそんなこと言うな!!」

祈「じ、次回もよろしくお願いします」


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第37話 準決勝 王家の墓を守りし民

いや、まぁ分かっていた事だけど、パーミッションって1ターンでやる事短いから短くなるんだよ。
昨日、フリーの対戦を見せてもらったんですけど最初は五分五分の試合が途中から片方のプレイヤーのデッキが言うこと聞かなくなって負けまくって、「やっぱデュエリストは引きが大事だな」と痛感した。

というわけで国家試験の勉強頑張ります。


翔悟 side

 

 

『Bフィールド、次の試合に出場する生徒は上がりなさい』

 

「よっしゃ、今回も勝ってやるぜ」

 

準決勝第1試合で圧勝した祈に続いて俺も高等部をぶちのめす。そう気合を入れ、デュエルディスクにデッキを差し込みデュエルフィールドに上がる。相手は・・・男子生徒か。

 

『Bフィールド、中等部2-3対高等部3-1、第2試合、山吹翔悟vs服部拓海、デュエルスタート!』

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

翔悟 LP 4000 服部 LP 4000

 

「先行は俺!まずは手札の墓守の司令官の効果!このカードを手札から捨てて、デッキから王家の眠る谷ーネクロバレーを手札に加える!」

 

「げっ!?ネクロバレー!?」

 

「そのまま発動!」

 

相手が手札から発動した墓守の司令官が墓地に送られ、ネクロバレーが手札に加わりそのまま発動。フィールドは大きな渓谷へと移り変わった。

 

「王家の眠る谷ーネクロバレーが存在する限り、お互いのプレイヤーは墓地のカードを対象にすることができず、墓地のカードは除外されない!さらにフィールドの『墓守』モンスターの攻撃力は500ポイントアップする!」

 

このやろう・・・・俺のデッキのメタカードを簡単に。

 

「カードを3枚伏せて魔法カード、命削りの宝札!このターンの特殊召喚を放棄し、このカード発動後のダメージを0にして手札が3枚になるようにドローする!」

 

服部 手札 0枚→3枚

 

「墓守の神職を召喚!」

 

墓守の神職 攻500→1000

 

「墓守の神職の効果発動!召喚成功時、墓地のLv4以下の『墓守』モンスターを特殊召喚する!墓守の司令官を特殊召喚!」

 

墓守の司令官 攻1600→2100

 

「永続魔法、ネクロバレーの祭壇を発動!」

 

渓谷の合間、相手の後ろに大きな祭壇が建てられる。

 

「このカードはフィールドにネクロバレーと『墓守』モンスター、両方が存在しないと発動出来ず、いずれか片方が存在しなくなった場合破壊される!『墓守』以外の効果モンスターの効果は無効になる!」

 

「ちょっ!?」

 

「カードをさらに1枚伏せてターンエンド!」

 

 

翔悟 手札 5枚 LP 4000

 

ーーーーー ー

ーーーーー

ー ー

ーー○ー○

▲▲▲▲ー ▽

 

服部 手札 0枚 LP 4000

 

 

「お、俺のターン、ドロー」

 

翔悟 手札 6枚

 

くそっ・・・特殊召喚封じるとか聞いてないぞ!?やばい!!何も出来ずに負けてしまう!!

 

「(俺のデッキで魔法除去はできるがそれにはデカトロンが必要だ・・・)悪王アフリマを召喚!」

 

悪王アフリマ 攻1700

 

「メイン終了!バトル!悪王アフリマで墓守の神職に攻撃!」

 

悪王アフリマ 攻1700

墓守の神職 攻1000

 

服部 LP 4000→3300

 

「ぐっ・・・」

 

「メインフェイズ2、悪王アフリマの効果!自分フィールドの闇属性モンスターをリリースする事で1枚ドローする!このカードをリリースして、1枚ドロー!」

 

・・・・ダメだ、時間稼ぎをするしかない。

 

「カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

翔悟 手札 5枚 LP 4000

 

ーーーー▲ ー

ーーーーー

ー ー

ーー○ーー

▲▲▲▲ー ▽

 

服部 手札 0枚 LP 3300

 

 

「俺のターン、ドロー!」

服部 手札 1枚

 

「・・・・そのままバトルフェイズ!墓守の司令官でダイレクトアタック!」

 

「リバースカードオープン!ガード・ブロック!この戦闘ダメージを0にして1枚ドローする!」

 

翔悟 手札 4枚→5枚

 

・・・・よっし!!デカトロン引いた!!

 

「リバースカードオープン!罠カード、降霊の儀式!墓地から『墓守の』と名のついたモンスターを特殊召喚する!この効果はネクロバレーの効果を受けない!墓地から墓守の神職を特殊召喚!そしてダイレクトアタック!」

 

翔悟 LP 4000→3000

 

「ぐうぅ!!」

 

「メインフェイズ2、魔法カード、強欲で貪欲な壺!デッキの上から10枚を除外して2枚ドロー!」

 

服部 手札 0枚→2枚

 

「カードを1枚伏せて魔法カード、王家の生け贄を発動!互いのプレイヤーは手札のモンスターを全て墓地に送る!」

 

「んなっ!?」

 

「さて、手札を見せてもらいましょうか」

 

「ぐっ・・・・」

 

 

・インフェルノイド・シャイターン

・暗黒の魔王ディアボロス

・インフェルノイド・ネヘモス

・インフェルノイド・ヴァエル

・インフェルノイド・デカトロン

・煉獄の虚無

 

 

「煉獄の虚無以外のモンスターカードを全て墓地に送ってください」

 

「くそっ!」

 

相手が発動した王家の生け贄により、俺の手札いた全てのモンスターカードが墓地に送られる。

 

「(煉獄の虚無がある以上、下手に融合モンスターを出さない方がいいですね)これでターンエンド」

 

 

翔悟 手札 1枚 LP 3000

 

ーーーーー ー

ーーーーー

ー ー

ーー○ー○

▲▲▲▲ー ▽

 

服部 手札 0枚 LP 3300

 

 

「ちくしょう・・・・俺のターン!ドロー!」

 

翔悟 手札 2枚

 

「・・・・!!!魔法カード、ハーピィの羽根箒!」

 

「んなっ!?(しまった!!カウンター出来るカードがない!!)」

 

「相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する!」

 

「ぐっ!!リバースカードオープン!!罠カード、攻撃の無敵化!このターン、俺が受ける戦闘ダメージは0になる!」

 

相手が攻撃の無敵化を発動して相手の周りにバリアが張られ、おれが発動したハーピィの羽根箒で相手の伏せカード、そしてネクロバレーも吹き飛ばした。

 

墓守の司令官 攻2100→1600

墓守の神職 攻1000→500

 

「これで俺のインフェルノイドも特殊召喚できる!墓地のインフェルノイド・ネヘモスとインフェルノイド・デカトロンの2体を除外して、インフェルノイド・ヴァエルを特殊召喚!」

 

インフェルノイド・ヴァエル 攻2600

 

墓地のデカトロンとネヘモスがゲームから除外され、墓地からインフェルノイド・ヴァエルがフィールドに戻ってきた。

 

「バトル!インフェルノイド・ヴァエルで墓守の神職を攻撃!」

 

「攻撃の無敵化の効果で戦闘ダメージは受けない!」

 

インフェルノイド・ヴァエル 攻2600

墓守の神職 攻500

 

「さらにインフェルノイド・ヴァエルの効果!このカードが相手モンスターと戦闘を行った場合、フィールドのカード1枚を選んで除外する!」

 

「なっ!?」

 

「墓守の司令官を除外!」

 

墓守の神職を破壊したことでヴァエルが対象を墓守の司令官に目を向ける。ヴァエルは墓守の司令官を掴み上げ、そのまま握り潰した。

 

「これでターンエンド!」

 

 

翔悟 手札 1枚 LP 3000

 

ーーーーー ー

ーーーー○

ー ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

服部 手札 0枚 LP 900

 

 

「くっ・・・俺のターン!ドロー!」

 

服部 手札 1枚

 

「・・・魔法カード、一時休戦!」

 

「くそ・・・時間稼ぎを・・・」

 

「互いのプレイヤーはカードを1枚ドローして、次のターンのエンドフェイズまでお互いが受けるダメージは全て0になります!」

 

翔悟 手札 1枚→2枚 服部 手札 0枚→1枚

 

「これでターンエンド!」

 

翔悟 手札 2枚 LP 3000

 

ーーーーー ー

ーーーー○

ー ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

服部 手札 1枚 LP 900

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

翔悟 手札 3枚

 

「・・・・このままターンエンド!」

 

 

翔悟 手札 3枚 LP 3000

 

ーーーーー ー

ーーーー○

ー ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

服部 手札 1枚 LP 900

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

服部 手札 2枚

 

「メインフェイズ開始時、魔法カード、強欲で金満な壺!エクストラデッキのカードをランダムで6枚除外して2枚ドロー!」

 

服部 手札 1枚→3枚

 

「・・・・魔法カード、サンダー・ボルト!」

 

「んなっ!?チェーンでインフェルノイド・ヴァエルの効果!このカードをリリースして相手の墓地のカード1枚を除外する!俺は墓穴の司令官を選択!」

 

相手が発動したサンダー・ボルトに合わせ、俺はヴァエルをリリース、ヴァエルの効果で相手の墓地にいる墓守の司令官を除外する。

 

「(このやろう!制限カードを引きやがって!)」

 

「魔法カード、ネクロバレーの玉座!デッキから墓守モンスターを手札に加える!墓守の司令官を加えて、そのまま効果発動!2枚目のネクロバレーを手札に加えて、発動!」

 

「くそっ・・・」

 

「墓守の霊術師を召喚!」

墓守の霊術師 攻1500→2000

 

「バトル!墓守の霊術師でダイレクトアタック!」

 

翔悟 LP 3000→1000

 

「ぐわああ!!!」

 

「これでターンエンド!」

 

 

翔悟 手札 3枚 LP 1000

 

ーーーーー ー

ーーーーー

ー ー

ーー○ーー

ーーーーー ▽

 

服部 手札 0枚 LP 900

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

翔悟 手札 4枚

 

「(ぐっ・・・・デカトロンが・・・・しかもこんな時にインフェルノイドモンスターも煉獄の虚無に繋がるカードも・・・・)ターンエンド・・・・」

 

 

翔悟 手札 3枚 LP 1000

 

ーーーーー ー

ーーーーー

ー ー

ーー○ーー

ーーーーー ▽

 

服部 手札 0枚 LP 900

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

服部 手札 1枚

 

「バトルフェイズ!墓守の霊術師でダイレクトアタック!」

 

翔悟 LP 1000→0

 

WIN 服部 LOS 翔悟

 

 

『勝者!高等部3-1、服部拓海!』

 

「あ〜くそ・・・・ネクロバレーキツかった」

 

インフェルノイド相手に墓守とか巫山戯ているのかよ・・・・不利対面すぎる・・・・

 

「お疲れ様です。残念でしたね」

 

「ん、墓守はインフェルノイドの天敵」

 

「残念もくそもねぇよ、あ〜腹立つ。ハーピィ引いたのに」

 

「次は私ね、前の試合みたいな不甲斐ない試合はしないわよ」

 

トボトボとデュエルフィールドから降りた俺と変わり、絢が決意を持ってデュエルフィールドに上がっていく。

 

 

途中結果 決勝トーナメント準決勝

 

中等部2-3 対 高等部3-1

 

第1試合 櫻井祈 ○ ー × 早坂未来

第2試合 山吹翔悟 × ー ○ 服部拓海

 

総合結果 1 ーー 1




翔悟「無理、ハーピィ打ったターンに決めないと無理」

桜「相手ドローカード引いていたから」

恭輔「凄かったですよね。命削り、強欲で貪欲な壺、強欲で金満な壺ですか」

祈「メ、メタビートの強みですから」

絢「次は私、前回みたいなみっともない負け方はしないわよ」

桜「次回、『準決勝 魔弾の射手』。次回もよろしく」


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第38話 準決勝 魔弾の射手

やっぱ国家試験(9/1)の勉強で月2話が限界でした・・・・

今回、短いと思うかもしれないけど、作者の脳は大変疲れました。誰だよ、魔神儀影霊衣と魔弾のデュエル計画したやつ。

・・・・・クロニクルから組んだアナカラーデッドダムド、馬鹿みたいに強くてデュエマ初心者の私は大変驚いています。なにあの鬼畜デッキ(汗)


第38話 準決勝 魔弾の射手

 

 

『Bフィールド、次の対戦を行う生徒はフィールドに上がりなさい』

 

「ふぅ・・・・今度はあんな無様な負け方をしないわよ」

 

ふぅ〜と深く息を吐いて顔を上げる。デュエルフィールドに向かう階段を登りながら勝利のビジョンを描く。さっきの試合はひどい醜態を晒したけど今度はそうはいかないわ。

 

『Bフィールド、中等部2-3対高等部、第3試合、氷川絢vs折橋洋輔!デュエルスタート!』

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

絢 LP 4000 折橋 LP 4000

 

「先行は俺!俺は魔弾の射手 カスパールを召喚!」

魔弾の射手 カスパール 攻1200

 

相手のフィールドに赤いマントを羽織り、ピストルを構えた人型のモンスターが現れる。魔弾って確か手札からカウンターを構えるモンスター群だったわね・・・

 

「さらに魔法カード、同胞の絆!ライフを2000払い、自分フィールドのモンスター1体を対象に取り、その対象のモンスターと同じ種族・属性・レベルのカード名が異なるモンスターを同名モンスターは1体のみで2体特殊召喚する!」

 

折橋 LP 4000→2000

 

「俺はデッキから魔弾の射手 ザ・キッドと魔弾の射手 ドクトルを特殊召喚!」

 

魔弾の射手 ザ・キッド 攻1600

魔弾の射手 ドクトル 攻1400

 

相手が自身のライフポイントを大きく削り、デッキから新たに2対のモンスターを特殊召喚する。

 

「(厄介わね・・・これなら1体除去してもすぐにカウンターが来るわ)」

 

「さらに魔弾の射手 カスパールの効果!このカードと同じ縦列の魔法・罠カードが発動した場合、デッキから発動したカードと異なる『魔弾』魔法・罠を手札に加える!魔弾 デッドマンズ・バーストを手札に加える!さらに魔法カード、成金ゴブリン!1枚ドローして相手はライフを1000ポイント回復!」

 

絢 LP 4000→5000

 

「魔弾の射手 ザ・キッドの効果!このカードと同じ縦列に魔法・罠カードを発動した場合、手札の『魔弾』カードを捨てて2枚ドローする!魔弾の射手 ワイルドを捨てて2枚ドロー!これでターンエンド!」

 

 

絢 手札 5枚 LP 5000

 

ーーーーー ー

ーーーーー

ー ー

○ー○ー○

ーーーーー ー

 

折橋 手札 5枚 LP 2000

 

 

「(ライフは大きく減ったけど手札が減ってないじゃない。とりあえずカウンター1枚は見えているのね)私のターン、ドロー!」

 

絢 手札 6枚

 

「メインフェイズ開始時、魔法カード、強欲で金満な壺!コストでエクストラデッキを裏側でランダムに除外する!」

 

「・・・・通す」

 

「除外したカード3枚につき1枚ドローする!2枚ドロー!」

 

絢 手札 5枚→7枚

 

「手札の魔神儀ーペンシルベルの効果発動!手札のブリューナクの影霊衣を相手に見せ、手札のこのカードとデッキからこのカード以外の『魔神儀』モンスターを特殊召喚する!」

 

「(・・・・・防いでも意味がないな)通す」

 

「手札からペンシルベルを、デッキからタリスマンドラを特殊召喚!」

 

魔神儀ーペンシルベル 守0

魔神儀ータリスマンドラ 守0

 

相手にブリューナクの影霊衣を見せ、手札の魔神儀ーペンシルベルが特殊召喚、さらにペンシルベルが地面に円を描き、その中が異空間のように開いてタリスマンドラも同時に特殊召喚される。

 

「タリスマンドラの効果発動!デッキから特殊召喚成功した場合、デッキから儀式モンスター1体を手札に加える!」

 

「通す!」

 

「デッキから古聖戴ーサウラヴィスを手札に加える!そしてフィールドのペンシルベルとタリスマンドラをリリース!」

 

「なにっ!?」

 

「手札から轟雷帝ザボルグをアドバンス召喚!」

 

轟雷帝ザボルグ 攻2800

 

フィールドのペンシルベルとタリスマンドラの2体のモンスターがリリースされ、轟雷帝ザボルグがアドバンス召喚された。

 

「轟雷帝ザボルグの効果発動!このカードがアドバンス召喚に成功した場合、フィールドのカード1枚を破壊する!それが光属性モンスターだった場合、お互いのプレイヤーは破壊したモンスターのレベルまたはランクの数だけエクストラデッキのカードを墓地に送る!対象はザボルグ自身!」

 

「なっ!?(くそっ・・・だけど俺のデッキはエクストラデッキにあまり頼らない。それに選ぶのは俺なうえ、高レベルのモンスターを自分で破壊してくれるならむしろ好都合だ!)通す!」

 

アドバンス召喚したザボルグの上空に大きな灰色の雷雲が発生して、ザボルグに向けて雷が落ちる。大きな雷鳴が鳴り響き、ザボルグは破壊された。

 

「この時、ザボルグのリリース素材に光属性モンスターを使用した場合、相手のエクストラデッキのカードを選ぶプレイヤーは私になる!」

 

「なっ!?(し、しまった!これじゃ俺のリンクモンスターまでも!!)」

 

ザボルグが破壊され、私の目の前に相手のエクストラデッキのホログラムが展開される。15枚のカードを見て、私は8枚のカードをチョイスする。

 

「魔弾の射手 マックス3枚とリンクリボー、LANフォンリクス2枚とサウザンドアイズ・サクリファイス2枚を選択」

 

「くそっ・・・」

 

「私は旧神ヌトス2枚と虹色の宣告者2枚、PSYフレームロード・Ωと召喚獣ライディーンと召喚獣メガラニカ、召喚獣ライディーンの8枚を墓地に送る!」

 

ザボルグの効果で私が選んだお互いのエクストラデッキのカード8枚ずつが墓地に送られる。

 

「墓地に送られた虹色の宣告者2枚と旧神ヌトスの2枚の効果!旧神ヌトスは墓地に送られた場合、フィールドのカード2枚を対象にとって破壊する!対象はカスパールとドクトル!」

 

「チェーンで手札から永続罠、魔弾ーデビルズ・フィールを発動!『魔弾』モンスターは共通効果で手札の魔法・罠を発動できる!そしてデビルス・フィールは俺の場の『魔弾』モンスターは効果で破壊されない!」

 

2体の旧神ヌトスがカスパールとドクトルに纏わりついたが、相手が発動したデビルス・フィールにより相手のモンスターの周りにバリアが張られて旧神ヌトスの破壊から免れる。

 

「虹色の宣告者の効果でデッキから儀式モンスター又は儀式魔法を手札に加える!魔神儀ーカリスライムと魔神儀の祝誕を手札に加える!」

 

「ザ・キッドの効果発動!手札の魔弾の射手ーカラミティを捨て2枚ドロー!」

 

「手札の魔神儀ーカリスライムの効果!手札このカードを見せ、その後に手札を1枚捨ててデッキから『魔神儀』モンスターを特殊召喚する!魔神儀の祝誕を捨て、デッキから魔神儀ーキャンドールを特殊召喚!」

 

魔神儀ーキャンドール 守0

 

「魔神儀ーキャンドールの効果発動!デッキから特殊召喚した場合、デッキから儀式魔法を手札に加える!影霊衣の降魔鏡を手札に加える!手札から魔法カード、儀式の準備を発動!デッキからLv7以下の儀式モンスターを手札に加える!」

 

「手札からカウンター罠、魔弾ーデッドマンズ・バーストを発動!相手の魔法・罠の発動を無効にして破壊する!」

 

儀式の準備を発動したが相手が手札からカウンター罠を発動して儀式の準備は破壊されてしまう。

 

「魔弾の射手 カスパールの効果!今度はデッキから魔弾ークロス・ドミネーターを手札に加える!」

 

「手札からブリューナクの影霊衣の効果!手札のこのカードを捨て、デッキから『影霊衣』モンスターを手札に加える!手札にクラウソラスの影霊衣を手札に加えて、効果発動!手札のこのカードを捨てて、『影霊衣』儀式魔法を手札に加える!影霊衣の反魂術を手札に加える!影霊衣の反魂術を発動!手札の儀式魔人リリーサーをリリースして、墓地からクラウソラスの影霊衣を守備表示で特殊召喚!」

 

クラウソラスの影霊衣 守2300

 

「さらに墓地の魔神儀の祝誕の効果!フィールドのキャンドールをリリースして墓地のこのカードを回収、デッキから魔神儀ーブックストーンを特殊召喚!」

 

魔神儀ーブックストーン 守0

 

「魔神儀ーブックストーンの効果!墓地から儀式魔法を回収する!影霊衣の反魂術を回収!」

 

特殊召喚されたブックストーンの効果で私の墓地から影霊衣の反魂術が手札に戻る。さて・・・・ここで万華鏡を使うか祝誕を使うかだけど・・・・

 

「(相手のライフを0にするなら万華鏡を使ったほうがいいけどまだデスペラードを使っていないわね)」

 

相手の手札の枚数を確認して私は残り使えるカードを確認する。デスペラードで破壊されるリスクを考えるとここで決めには行かず次のターンに動けるような行動をしましょう。

 

「儀式魔法、魔神儀の祝誕を発動!手札の影霊衣の術師 シュリッドは影霊衣儀式モンスターの儀式素材1体の必要なリリースコストになる!このカードをリリースして、トリシューラの影霊衣を儀式召喚!」

 

トリシューラの影霊衣 攻2700

 

「ト、トリシューラだと!?」

 

「チェーン1、墓地に送られた影霊衣の術師 シュリット、チェーン2でトリシューラの影霊衣の効果!このカードの儀式召喚成功時、相手の手札・フィールド・墓地のカードを1枚ずつ除外する!」

 

「手札から速攻魔法、魔弾ークロス・ドミネーターを発動!トリシューラの影霊衣の効果を無効にして攻撃力と守備力をこのターンのエンドフェイズまで0にする!」

 

「手札の古聖戴サウラヴィスの効果!自分フィールドのモンスターを対象とする魔法・罠・モンスター効果を発動した場合、このカードを手札から捨てることでその発動を無効にする!」

 

「!?」

 

手札に加えていた古聖戴サウラヴィスを手札から捨てる。トリシューラの影霊衣に向けて相手が発動した魔弾ークロス・ドミネーターはサウラヴィスの加護を受けたトリシューラに向けて放たれる。

 

「トリシューラの影霊衣の効果は有効!フィールドからカスパール、墓地から魔弾ーデッドマンズ・バースト!手札は真ん中のカードを除外!」

 

儀式召喚したトリシューラの影霊衣が相手の所に高速移動、相手フィールドのカスパール、墓地のデッドマンズ・バースト、そして相手の手札1枚をもぎ取り除外する。

 

「そして影霊衣の術師 シュリットの効果でデッキから2枚目のトリシューラの影霊衣を手札に加える!」

 

「くっ・・・・魔弾の射手 ドクトルの効果!このカードと同じ縦列に魔法・罠カードを発動した場合、発動したカードと異なる『魔弾』カードを墓地から手札に戻す!魔弾の射手 カラミティを墓地から手札に戻す!」

 

「バトル!トリシューラの影霊衣で魔弾の射手 ドクトルに攻撃!」

 

「(これはクラウソラスの影霊衣に使わないと勝てねぇ!)通す!」

 

トリシューラの影霊衣が突撃して魔弾の射手 ドクトルを破壊する。

 

トリシューラの影霊衣 攻2700

魔弾の射手 ドクトル 攻1400

 

服部 LP 2000→700

 

「ぐうぅ!!!」

 

「私はこれでターンエンド!」

 

「エンドフェイズ!手札から罠カード、魔弾ーデスペラードを発動!相手フィールドの表側表示のカード1枚を対象にとって破壊する!クラウソラスの影霊衣を破壊!」

 

「手札からトリシューラの影霊衣の効果発動!自分フィールドの『影霊衣』モンスターを対象にする効果を発動した場合、手札のこのカードを捨てることでその発動を無効にする!」

 

「なっ!?」

 

相手が発動した魔弾ーデスペラード、その砲撃が発射されクラウソラスの影霊衣が狙い撃ちされそうになるが、手札に加えていたトリシューラの影霊衣がクラウソラスの影霊衣を守るように包み込み、魔弾ーデスペラードの効果を無効にする。

 

 

絢 手札 3枚 (反魂術・カリスライム ・降魔鏡) LP 5000

 

ーーーーー ー

□ー○ーー

ー ー

○ーーーー

△ーーーー ー

 

折橋 手札 3枚 (カラミティ) LP 700

 

 

「お、俺のターン!ドロー!」

 

折橋 手札 4枚

 

「(・・・ダンシング・ニードル!?い、1ターン遅かった!)」

 

相手がドローしたカードを見て驚愕している。様子を見る限り、前のターンに欲しかったカードみたいね。

 

「(・・・・ダメだ、手札にドクトルもカスパールもない。カラミティで蘇生したくてもあのクラウソラスがリリーサーを素材にしているせいで特殊召喚できない)」

 

相手がすごい悩んでいるわね。リリーサー素材のクラウソラスが破壊できなくてよほど辛いみたいね。

 

「(あれだけ動いていたのにまだ手札にカリスライム 、それに墓地に魔神儀の祝誕があるはず・・・)ザ・キッドを守備表示に変更!」

 

魔弾の射手 ザ・キッド 攻1600→守200

 

「モンスターセット。これでターンエンド!」

 

 

絢 手札 3枚 (反魂術・カリスライム ・万華鏡) LP 5000

 

ーーーーー ー

□ー○ーー

ー ー

○ーー■ー

△ーーーー ー

 

折橋 手札 3枚 LP 700

 

 

「私のターン!ドロー!」

 

絢 手札 4枚

 

「手札のカリスライムの効果!手札の影霊衣の万華鏡を捨て、デッキから魔神儀ーペンシルベルを特殊召喚!ペンシルベルの効果!墓地の儀式モンスターを手札に戻す!対象はブリューナクの影霊衣!」

 

「手札から罠カード、魔弾ーダンシング・ニードルを発動!お互いの墓地から3枚のカードを除外する!」

 

「!?」

 

「お前の墓地から儀式魔人リリーサー、ブリューナクの影霊衣、魔神儀の祝誕の3枚を除外する!」

 

ペンシルベルが特殊召喚されて墓地からブリューナクの影霊衣を回収しようとしたけど、相手がダンシング・ニードルを使い、私の墓地のリリーサー、ブリューナクの影霊衣、魔神儀の祝誕の3枚がゲームから除外された。

 

「(痛いことしてくれるわね・・・でも関係ないわ)手札から魔法カード、儀式の準備」

 

「はぁ!?」

 

「デッキからLv7以下の儀式モンスターを加え、その後に墓地の儀式魔法を手札に加える!私は2枚目のブリューナクの影霊衣を手札に加えて、影霊衣の降魔鏡を手札に戻す!ブリューナクの影霊衣の効果!デッキからユニコールの影霊衣を手札に加える!そして手札から儀式魔法、影霊衣の降魔鏡を発動!降魔鏡は墓地の『影霊衣』モンスター1体を儀式素材にできる!そして墓地のシュリッドは『影霊衣』モンスターの儀式素材1体分になる!手札からユニコールの影霊衣を儀式召喚!」

 

ユニコールの影霊衣 攻2300

 

「クラウソラスの影霊衣を攻撃表示に変更!」

 

クラウソラスの影霊衣 守2300→攻1200

 

「バトル!クラウソラスの影霊衣でザ・キッドに攻撃!」

 

クラウソラスの影霊衣 攻2300

魔弾の射手 ザ・キッド 守200

 

「トリシューラの影霊衣で裏側守備モンスターに攻撃!」

 

トリシューラの影霊衣 攻2700

裏側守備モンスター→魔弾の射手 カラミティ守1300

 

「トドメよ!ユニコールの影霊衣でダイレクトアタック!」

 

「ぐわあああ!!!!」

 

折橋 LP 700→0

 

 

WIN 絢 LOS 折橋

 

 

『勝者!中等部2-3、氷川絢!」

 

「勝ったわ・・・・1勝が長かったわ」

 

決勝トーナメントに入ってようやく1勝出来て心がホッとする。もしかしたらこのまま決勝トーナメントは勝てないんじゃないかと不安だったわ。

私は相手に頭を下げ、振り返りベンチに戻る。

 

「勝ちましたわ」

 

「お前・・・・気迫やばすぎだろ」

 

「と、闘志が・・・凄かったです」

 

「私、あのままだったら本当に不味いと思ったのよ」

 

「そんな事思わなくても氷川さんは普通に強い」

 

「氷川さんの当たる相手がEXデッキに頼らない相手が多い気もしますけど・・・じゃあ次は桜さん、頼みます」

 

「ガッテン」

 

私に変わり、ベンチから立ち上がった桜さんが両手で小さくガッツポーズをして、デュエルフィールドに上がっていく。

 

 

途中結果 決勝トーナメント準決勝

 

中等部2-3 対 高等部3-1

 

第1試合 櫻井祈 ○ ー × 早坂未来

第2試合 山吹翔悟 × ー ○ 服部拓海

第3試合 氷川絢 ○ ー × 折橋洋輔

 

総合結果 2 ーー 1




絢「何とか勝てたわ・・・」

桜「相手の弾切れだった」

恭輔「魔弾側、結構順調に動いていたのにサウラヴィスとかトリシューラの影霊衣とかでカウンター食らいましたからね」

祈「ふ、普通、魔弾に同法の絆を使わせたら終わりなんですけど」

翔悟「それを踏み越える攻撃力があるから、あのデッキ」

桜「次回は私、やっと決勝トーナメント初戦」

恭輔「前の試合は僕で決めましたからね。『準決勝 魔法界の劇団』」

祈「じ、次回もよろしくお願いします」


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第39話 準決勝 魔法界の劇団

国家試験明けで何とか話を完成しました。
明日から下関・博多へ旅行です。

・・・・こんかいのキーカードっていっつも思うけどプレイヤースキル試されるよな。私は馬鹿だからこのカードを上手く活かせる気がしません。


桜 side

 

 

『Bフィールド、次の試合に出場する生徒はフィールドに上がりなさい』

 

「ん、じゃあ私の出番」

 

「が、頑張ってきてください」

 

「お前が勝って恭輔の出番をなくしてやれ」

 

「・・・・まぁ僕1回戦出ましたし」

 

後ろからクラスメイトの応援を受けて私はデュエルフィールドに上がる。このデュエルで私が勝てば決勝進出、そしてそれは先に勝ち上がったお兄ちゃんのクラスと明日、当たるということになる。なんとしてでも決める。

 

『決勝トーナメント準決勝、中等部2-3対高等部3-1、第4試合、遠藤桜vs早乙女紗代子、デュエルスタート!』

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

桜 LP 4000 早乙女 LP 4000

 

「先行は私ですわ・・・・あなたは確か遊輝さんの妹さんですわよね」

 

「?そうだけど、何?」

 

「いえ、まさかこのデッキのお披露目があの人の妹になるとは夢にも思いませんでした」

 

「・・・・お披露目?」

 

「えぇ、この日のために組んでいたデッキがいよいよ完成しました。予選トーナメントには間に合いませんでしたし1回戦は出番がありませんでした。ですが、このデッキが私たちを決勝トーナメントに導いてくれます。まずはフィールド魔法を発動!魔界劇場「ファンタスティックシアター」!」

 

相手がフィールドゾーンにカードを発動、フィールドは劇場に変わり、相手の後ろの舞台にある赤いカーテンが上に上がる。

 

「魔界劇場「ファンタスティックシアター」は1ターンに1度、私の手札から『魔界劇団』ペンデュラムモンスター1体と『魔界台本』魔法カード1枚を相手に見せることでデッキから相手に見せたカードと異なる『魔界台本』魔法カードを手札に加える!私は魔界劇団ーメロー・マドンナと魔界台本「オープニング・セレモニー」を見せて、デッキから魔界台本「魔王の降臨」を手札に加える!」

 

相手が私に手札を2枚公開、ファンタスティックシアターの劇から1枚の魔界台本カードが飛び出して相手の手札に加えられた。それにしても・・・

 

「・・・ペンデュラム」

 

「そうよ・・・ようやくデッキが完成したわ。ライト・Pゾーンにスケール0の魔界劇団ーメロー・マドンナをセッティング!」

 

相手の片方のペンデュラムゾーンに上空から青い光が照らされて、魔界劇団ーメロー・マドンナが舞い降りてくる。

 

「メロー・マドンナのペンデュラム効果!ライフを1000ポイント支払い、デッキからメロー・マドンナ以外の『魔界劇団』ペンデュラムモンスターを手札に加える!」

 

早乙女 LP 4000→3000

 

ペンデュラムゾーンのメロー・マドンナが舞台袖に一度下がり、そしてまた舞台から戻ってくる。その手には1枚のカードがあり、相手の手札に加えられた。

 

「私は魔界劇団ープリティ・ヒロインを手札に加える!そしてモンスターをセット、カードを1枚伏せてターンエンド」

 

 

桜 手札 5枚 LP 4000

 

ーーーーー ー

ーーーーー

ー ー

ーー■ーー

ーー▲ー△ ▽

 

早乙女 手札 3枚 LP 3000

 

 

「(・・・・ペンデュラムデッキなのにゆっくりとしたスタート)私のターン、ドロー」

 

桜 手札 6枚

 

相手の1ターン目の行動を観察して私は直感的にゆっくりしていると思った。なにせお兄ちゃんの『魔術師』は馬鹿みたいに早い。1ターン目に盤面を固め、次のターンには相手を轢き殺しているなんてザラだ。

 

「(ゆっくりやるつもりならこっちもゆっくりやる。幸いにも対お兄ちゃん用に入れたカードを引いた。お兄ちゃんのデッキに効くならペンデュラムデッキ全般に効くはず)」

 

私のデッキは対お兄ちゃん、つまり対ペンデュラム用にチューニングアップした。相手がペンデュラムデッキを使うなら寧ろ好都合。存分に試させてもらう。

 

「まずは魔法カード、成金ゴブリン。1枚ドローして相手は1000回復」

 

「私のライフを回復してくれるのはありがたいですわね」

 

早乙女 LP 3000→4000

 

「カードを1枚伏せて永続魔法、閃刀機関ーマルチロールを発動。効果により私の伏せカードを墓地に送り、このターン、私の魔法カードの発動に対して相手は魔法・罠・モンスター効果を使えない」

 

「いいですわ」

 

「速攻魔法、閃刀機ーホーネットビットを発動。Lv1の閃刀姫トークンを特殊召喚」

 

閃刀姫トークン 攻0

 

「現れて、未来へ続くサーキット」

 

ホーネットビットの効果で特殊召喚した閃刀姫トークン、そのまま私の上空に現れたリンクマーカーの中に入り、左下の矢印が赤く光る。

 

「アローヘッド確認、召喚条件は風属性以外の『閃刀姫』モンスター1体。私は閃刀姫トークンをリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン、リンク召喚、フォームチェンジ、閃刀姫ーハヤテ」

 

閃刀姫ーハヤテ 攻1500 ↙︎

 

「閃刀姫ーハヤテはダイレクトアタックができる。バトル、閃刀姫ーハヤテでダイレクトアタック」

 

早乙女 LP 4000→2500

 

「ぐうぅ!!」

 

「閃刀姫ーハヤテの効果。このカードが戦闘を行った場合、デッキから『閃刀』カードを1枚墓地に送る。閃刀姫ーレイを墓地に」

 

「キーカード行きましたわね・・・・」

 

「メインフェイズ2、閃刀姫ーハヤテをリンクマーカーにセット。フォームチェンジ、閃刀姫ーシズク

 

閃刀姫ーシズク 攻1500 ↗︎

 

「カードを1枚伏せてエンドフェイズ時、閃刀機関ーマルチロールの効果。このターンに発動した『閃刀』魔法カードの数まで墓地の『閃刀』魔法カードを選びランダムにセットする。閃刀機ーホーネットビットをセット」

 

私のエンドフェイズになり、閃刀機関ーマルチロールが起動、このターンに発動したホーネットビットが再び場にセットされる。

 

「そして閃刀姫ーシズクの効果。このカードを特殊召喚したターンのエンドフェイズ時、墓地に存在しない『閃刀』魔法カードを手札に戻す。閃刀起動ーエンゲージを加えて終了」

 

 

桜 手札 3枚 LP 4000 墓地魔法1

 

▲ー△▲ー ー

ーーーーー

○ ー

ーー■ーー

ーー▲ー△ ▽

 

早乙女 手札 3枚 LP 2500

 

 

「閃刀姫ーシズクの効果で相手のモンスターの攻撃力と守備力は私の墓地の魔法カード1枚につき100ポイント下がる」

 

「私のターン、ドロー!」

 

早乙女 手札 4枚

 

「(・・・・あのダイレクトアタックできるモンスターが存在する以上、容易にライフを減らすことは自滅しますわね)フィールド魔法、魔界劇場「ファンタスティックシアター」の効果!手札から魔界劇団ーエキストラと魔界台本「オープニングセレモニー」を見せ、デッキから魔界台本「火竜の住処」を手札に加えます!レフト・Pゾーンにスケール3の魔界劇団ーエキストラをセッティング!」

 

相手のもう片方のペンデュラムゾーンに魔界劇団ーエキストラがセッティングされる。これでLv1と2のモンスターがペンデュラム召喚可能だけどそれじゃ低すぎる。そうなると考えられるのはあのセットされたモンスターのペンデュラム効果。

 

「ペンデュラムゾーンの魔界劇団ーエキストラのペンデュラム効果!相手フィールドにモンスターが存在する場合、このカードをペンデュラムゾーンから特殊召喚する!」

 

「やっぱり・・・・チェーンで手札から増殖するGの効果。このカードを手札から捨てることでこのターン、相手が特殊召喚するたびに私は1枚ドローする」

 

「魔界劇団ーエキストラを守備表示で特殊召喚!」

 

魔界劇団ーエキストラ 守100→0

 

「増殖するGの効果で1枚ドロー」

 

「増殖するGを打たれた以上、こちらも決めに行きますわよ。反転召喚!魔界劇団ープリティ・ヒロイン!」

 

魔界劇団ープリティ・ヒロイン 攻1500→1400

 

「開け!舞台の幕が上がるサーキット!」

 

相手の魔界劇団ープリティ・ヒロインと魔界劇団ーエキストラがリンクマーカーの中に入り、右斜め下と左斜め下の矢印が赤く光る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件はペンデュラムモンスター2体!私は魔界劇団ープリティ・ヒロインと魔界劇団ーエキストラをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム !」

 

ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム 攻1800→1700 ↙︎ ↘︎

 

「出た、ペンデュラム最強カード。増殖するGで1枚ドロー」

 

「ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム の効果!特殊召喚成功時、デッキからペンデュラムモンスターを表側にEXデッキに置きます!私はデッキから魔界劇団ービッグ・スターを送ります!そしてレフト・Pゾーンにスケール9のティンクル・リトルスターをセッティング!これでLv1からLv8までのモンスターを同時に召喚可能!」

 

相手の空いたペンデュラムゾーンにスケール9の魔界劇団ーティンクル・リトルスターがセッティングされ、相手の上空に穴が開く。

 

「動け!舞台が開園するペンデュラム!会場に響け歓声を!ペンデュラム召喚!エレクトラムのリンク先にEXデッキから魔界劇団ープリティ・ヒロインと魔界劇団ービッグ・スター!」

 

魔界劇団ープリティ・ヒロイン 攻1500→1400

魔界劇団ービッグ・スター 攻2500→2400

 

上空の開いた穴から2つの光が飛び出してきて、相手のEXデッキに送られた魔界劇団ービッグ・スターと魔界劇団ープリティ・ヒロインがペンデュラム召喚される。

 

「増殖するGの効果で1枚ドロー」

 

「カードを1枚伏せて、前のターンに伏せたカードオープン!魔法カード、魔界台本「魔王の降臨」!自分フィールドの表側表示の『魔界劇団』モンスターの数まで、フィールドの表側表示のカードを対象として破壊します!対象は閃刀姫ーシズクと閃刀機関ーマルチロール!」

 

相手が伏せていた魔界劇団「魔王の降臨」が発動、ビッグ・スターが不気味な笑い声を出し、「魔王の降臨」の書物から魔王が現れて、私の場の閃刀姫ーシズクと閃刀機関ーマルチロールを破壊した。

 

「墓地の閃刀姫ーレイの効果。自分フィールドの『閃刀姫』リンクモンスターが相手によって破壊・墓地に送られた場合、墓地のこのカードを特殊召喚する」

 

「フィールド魔法、魔界劇場「ファンタスティックシアター」の効果!1ターンに1度、相手が発動したモンスター効果は「相手フィールドにセットされた魔法・罠1枚を選んで破壊する」に書き換える!」

 

「!?」

 

「最も、相手の伏せカード、つまり私が破壊される伏せカードはこの1枚のみなんですがね」

 

相手の魔界劇場「ファンタスティックシアターによって墓地に眠っていた閃刀姫ーレイの自己蘇生効果が上書きされ、相手が伏せられたカードを破壊する。

 

「あなたの『閃刀姫』デッキはそのモンスターが何度も蘇生して戦うことで有名ですが、逆を言えばそのモンスターに頼りすぎの傾向があります。こうしてモンスター効果を封じられたら辛いですわよね」

 

「・・・・・・」

 

「そして破壊されたのは魔界台本「火竜の住処」!このカードは自分のEXデッキに『魔界劇団』ペンデュラムモンスターが存在する場合でセットされたこのカードが相手によって破壊された場合、私は相手のEXデッキを確認して、その中の1枚のカードを選び除外します!」

 

「!?」

 

「さて、確認させていただきますわよ」

 

破壊された魔界台本「火竜の住処」の効果で相手の目の前にホログラムが展開されて私のエクストラデッキが確認される。

 

「・・・・・なるほど、確かこのカードは発売前に制限カードとして規制されていましたね。閃刀姫ーカガリを除外します」

 

「くっ・・・・」

 

相手が選択した閃刀姫ーカガリを私はEXデッキから抜き取り、自分のポケットに入れる。次のターン用に取っておいたのが仇となってしまった。

 

「さあ、とどめと行きましょう!バトルフェイズ!魔界劇団ービッグ「(ニヤリッ)かかった」えっ?」

 

相手が攻撃宣言をした、その瞬間、私は口元を緩め、セットされたカードを発動する。

 

「バトルフェイズに入った時、リバースカードオープン。罠カード、メタバース。デッキからフィールド魔法1枚を選択して、手札に加えるかそのまま発動できる」

 

「何を今更・・・・あなたのデッキのフィールド魔法はこの状況では意味が成さないはず」

 

「確かに、でもこのカードは違う。フィールド魔法、魔鍾洞を発動」

 

「ま、魔鍾洞ううう!?!?!?」

 

私が選択したフィールド魔法、魔鍾洞によりフィールドは舞台の場に木々が深く生い茂り、不気味な雰囲気を醸し出す森へと変貌する。なお、このカードを発動して大変驚いたのこの声、間違いなくお兄ちゃんの声だ。

 

「な、なにこのフィールド魔法・・・」

 

「ようこそ・・・永遠に抜けられない深き森へ、魔鍾洞の効果。このカードがフィールドに存在する限り、お互いのプレイヤーの内、モンスターの数が多いプレイヤーはモンスターの効果を発動できず、攻撃宣言できない」

 

「な!?何ですって!?」

 

「この効果はモンスターではなく、プレイヤーにかかる効果。つまり、どんなモンスターも相手よりモンスター数が多かったら攻撃もできず、効果も発動できない」

 

「そ、それじゃ・・・わ、私のモンスターは・・・」

 

「このカードを何とかしない限り、私に攻撃する事は出来ない」

 

「ぐっ!?(ま、まずい!!魔王の台本を先に使ってしまって今の手札ではあのカードを対処する事は出来ない!)」

 

相手は魔鍾洞の効果を聞き、すぐに手札と睨めっこする。このカードのロック性能は伊達じゃない。何せモンスターではなくプレイヤーにかかる効果。どんなモンスターもこのカード1枚で止まってしまう。そしてこれがペンデュラムデッキには重くのしかかる。

 

「(なぜならペンデュラムデッキは自分からモンスターを減らす事が苦手だから)」

 

「ぐっ・・・・バ、バトル終了。カードを1枚伏せてターンエンド・・・」

 

 

桜 手札 5枚 LP 4000 墓地魔法2

 

ーーー▲ー ▽

ーーーーー

ー ○

ーー○ー○

△ー▲ー△ ▽

 

早乙女 手札 1枚 LP 2500

 

 

「私のターン、ドロー」

 

桜 手札 6枚

 

さて、これで分かったのはあの『魔界台本』ってカードは私が破壊したら何かしら効果を発動、そしてその引き金があのフィールド魔法。カガリが無くなったけどまだ戦える。

 

「速攻魔法、サイクロン。フィールド魔法の魔界劇場「ファンタスティックシアター」を破壊する」

 

フィールドにサイクロンが吹き、魔界劇団「ファンタスティックシアター」は破壊される。

 

「ぐっ!?」

 

「魔法カード、閃刀起動ーエンゲージ。デッキから『閃刀』カードを手札に加えて、墓地に魔法カードが3枚以上ある場合、その後に1枚ドロー。2枚目の閃刀姫ーレイを手札に加えて1枚ドロー」

 

桜 手札 4枚→6枚

 

「閃刀姫ーレイを召喚。そしてそのままリンク召喚、フォームチェンジ、閃刀姫ーハヤテ。バトル、閃刀姫ーハヤテでダイレクトアタック」

 

「ぐうぅ!!!」

 

早乙女 LP 2500→1000

 

「閃刀姫ーハヤテの効果。デッキから閃刀機ーシャークキャノンを墓地に送る。メインフェイズ2、閃刀姫ーハヤテをリンクマーカーにセット。フォームチェンジ、閃刀姫ーシズク」

 

ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム 攻1800→1300

魔界劇団ープリティ・ヒロイン 攻1500→1000

魔界劇団ービッグ・スター 攻2500→2000

 

「カードを1枚伏せて、エンドフェイズ、閃刀姫ーシズクの効果。墓地に存在しない閃刀機構ーハーキュリーベースを手札に加えてターンエンド」

 

 

桜 手札 4枚 LP 4000 墓地魔法5

 

▲ーーー▲ ▽

ーーーーー

○ ○

ーー○ー○

△ー▲ー△ ー

 

早乙女 手札 1枚 LP 1000

 

 

「わ、私のターン!ドロー!」

 

早乙女 手札 2枚

 

「(ど、どうする・・・私のEXデッキにはリンク3以上のモンスターを入れていない・・・・モンスターの数を減らす方法・・・リンク召喚を続ければ良いけど肝心の素材条件が合わない・・・メロー・マドンナのペンデュラム効果もライフコストを払えない・・・)」

 

相手は手札見て固まってしまう。やはり魔鍾洞は強い。ペンデュラムデッキには特に。

 

「(・・・じ、時間を稼がないと)リ、リバースカードオープン!魔界台本「オープニング・セレモニー」!自分フィールドの『魔界劇団』モンスターの数×1000ポイントライフを回復します!」

 

早乙女 LP 1000→2000

 

むぅ・・・・ライフ回復があったのか、非常に面倒くさい。

 

「ターンエンド!」

 

 

桜 手札 4枚 LP 4000 墓地魔法5

 

▲ーー▲ー ▽

ーーーーー

○ ○

ーー○ー○

△ーーー△ ー

 

早乙女 手札 2枚 LP 2000

 

 

「私のターン、ドロー」

 

桜 手札 5枚

 

「魔法カード、貪欲な壺。墓地から閃刀姫ーレイ1枚、増殖するG、閃刀姫ーハヤテ2枚と閃刀姫ーシズクの5枚をデッキに戻して2枚ドロー」

 

桜 手札 4枚→6枚

 

「閃刀姫ーシズクをリンクマーカーにセット、フォームチェンジ、閃刀姫ーハヤテ。そしてリバースカードオープン。閃刀機ーホーネットビット。効果で閃刀姫トークンを、今度は墓地に魔法カードが3枚以上あるから攻撃力・守備力を1500にして特殊召喚」

 

閃刀姫トークン 攻1500

 

「閃刀機関ーマルチロールの効果でセットされた閃刀機ーホーネットビットは除外される。そしてハヤテのリンクマーカーは左下・・・・・閃刀姫トークンをリンクマーカーにセット。フォームチェンジ、閃刀姫ーシズク」

 

「こ、これでもモンスターの数は・・・・」

 

「魔鍾洞はモンスターの少ないデッキになればなるほど有利、そしてあなたのペンデュラムデッキにはこのカードが痛いほど刺さる。そしてそれはお兄ちゃんにも・・・・」

 

「・・・・なるほど、貴方のお兄さんを見越してでしたか」

 

「貪欲な壺が墓地に落ちたことでさらに攻撃力はダウン」

 

ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム 攻1300→1200

魔界劇団ープリティ・ヒロイン 攻1000→900

魔界劇団ービッグ・スター 攻2000→1900

 

「バトルフェイズ、閃刀姫ーハヤテでダイレクトアタック」

 

早乙女 LP 2000→500

 

「閃刀姫ーハヤテの効果。デッキから閃刀領域ーマルチゼロを落とし、さらに攻撃力が100ポイントダウン」

 

ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム 攻1200→1100

魔界劇団ープリティ・ヒロイン 攻900→800

魔界劇団ービッグ・スター 攻1900→1800

 

「閃刀姫ーシズクで魔界劇団ープリティ・ヒロインに攻撃」

 

閃刀姫ーシズク 攻1500

魔界劇団ープリティ・ヒロイン 攻800

 

早乙女 LP 500→0

 

 

WIN 桜 LOS 早乙女

 

 

『そこまで!勝者、中等部2-3、遠藤桜!準決勝、中等部2-3対高等部3-1は3-1で中等部2-3の勝ち!』

 

「ゔぃ」

 

「見事なまでに完敗ね・・・・決勝戦、頑張りなさい」

 

「もち」

 

「・・・・貴方、少しは敬語を勉強しないとダメね」

 

「それはお兄ちゃんに言って」

 

私は対戦相手にそう返して振り返り、デュエルフィールドから降りる。ベンチには桜や恭輔、翔悟や氷川さんが立って迎えていた。

 

「よくやったぜ桜!これで決勝進出だ!」

 

「よく盛り返したわよ。私と翔悟は初めての決勝進出ね」

 

「僕たちは2年ぶりですか、でもまああの時は師匠出ていなかったですし」

 

「わ、私はその前に対戦して負けましたので・・・・今度は勝ちたいです」

 

「ん、もちろん。ここまで来たから、私もお兄ちゃんを倒して優勝する」

 

お兄ちゃんにはなかなか勝てない状態がずっと続いている。ここで勝って私が強いことを証明する。そして・・・・

 

「・・・・お小遣いの権利を得る(ボソッ)」

 

「おい、今本音が聞こえたぞ」

 

「・・・・桜さんはブレないですね」




桜「魔鍾洞は神」

翔悟「いやお前、あんなカード1枚貼られたら殆ど詰みだよ」

恭輔「隣のフィールドから師匠の絶叫を聞いた時は何事かと思いましたよ」

祈「ゆ、遊輝さんが発狂する理由も分かる気はしますけど・・・ペンデュラムデッキはモンスター減らすの苦手そうですし」

絢「私もあのカードは苦手ね・・・モンスターの数増やしてから行うから」

恭輔「でも師匠のデッキって時空のペンデュラムグラフがありましたよね?」

桜「・・・・・せ、先行取れば勝てるから」

翔悟「おい、震えているぞ」

祈「じ、次回から長かったアカデミアデュエル大会の決勝戦、相手はスバルさんたちのクラスです」

絢「『決勝戦 雷を操る天使龍』。次回もよろしく」


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第40話 決勝戦 第1試合 雷を操る天使龍

昨日さ、ama○onで注文した蘭ちゃんと友希那さんの寝そべり人形が届いたの。
販売先の業者が違うから段ボール箱が2つ届いたんだけど無駄にデカかった。
こんな事しているから資源の無駄使いとか言われるんだろうなって思った。

結論:チノちゃんの寝そべりが一番可愛い。


桜 side

 

「お前なんつうカード入れていたんだよ・・・魔鍾洞なんか渡した記憶ないぞ・・・」

 

「私が自力で当てた。誰が何と言おうと絶対に抜かない」

 

アカデミアデュエル大会の準決勝が終わったその夜、家で晩御飯を食べ終えた後にお兄ちゃんは凄い嫌な顔で私を見てきた。

 

「魔鍾洞使うってなったら俺もデッキ変えるぞ・・・」

 

「それやめて、お兄ちゃんの『魔術師』に勝ちたくてあのカード入れたんだから」

 

「何でそこまでして・・・」

 

「全てはお小遣いの権利を得るため」

 

「お前まだそれ言うのか・・・欲しいもの買ってあげてるから無理だって、家の家計キッツキツなのに」

 

「私は闘う、お小遣いを「お前に金を渡したら食べることにしか使わないから絶対にダメ」・・・・・・」

 

「何故そんな驚く!?何で分かったって顔をしてる!?」

 

お兄ちゃんと闘う決意を言おうとした瞬間、お兄ちゃんから言われた一言に私は図星を突かれた。

 

「お前の頭の中は食べることしか考えてないだろ」

 

「・・・・だけど私はお小遣いを貰う」

 

「ダメなものはダメ!!」

 

「むぅ・・・・・」」

 

お兄ちゃんはダメと言って私の案を却下される。確かに私はお兄ちゃんに欲しいものを大体買ってもらっているが少しは自分で使う分くらいのお金は貰ってもいいじゃないか。

 

 

〜〜(翌日)〜〜

 

 

『では、ただいまよりアカデミアデュエル大会の決勝戦、高等部1-1対中等部2-3の試合を始めます!!』

 

「さて・・・・皆さん、大丈夫ですね」

 

「な、何で恭輔君はゆとりを持っているのですか?」

 

「って言うか3人とも余裕ありすぎ」

 

「こんなの緊張しても無駄」

 

「わ、私は3度目の決勝戦ですしWRGPにも出ていますから・・・」

 

「僕は2度目ですけど、WRGPにもスバルさんの代打で出場しましたから」

 

「お前ら大物だな・・・・」

 

翌日、朝ごはんをきっちりと食べて、アカデミアに登校、ついさっき3位決定戦が終わり今から決勝戦が始まる。

 

「じゃあ先鋒は翔太さん、お願いしますね」

 

「任しとけ、1勝してくる」

 

「向こうの先鋒は・・・・奏さんですね」

 

「これ、翔太どうなの?」

 

「どうですかね・・・カウンター罠が尽きるかインフェルノイドが尽きるかの勝負ですが・・・・僕も最近、奏さんのデュエル見ていませんし」

 

「け、軽音部自体が忙しくてデュエルしてませんからね」

 

恭輔と祈の二人が考察している間に翔悟はデュエルフィールドへと上がっていく。反対側のスペースには奏が上がり、デュエルディスクにデッキをセットした。

 

「本当ならレミさんのリベンジって言いたかったけど、今回は我慢して勝たせてもらう」

 

「何か下に見られているけど私も強いわよ」

 

『それでは決勝戦、高等部1-1対中等部2-3、第1試合、山吹翔悟vs水野奏!デュエルスタート!』

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

翔悟 LP 4000 奏 LP 4000

 

「先行は私!まずは魔法カード、強欲で謙虚な壺!デッキの上から3枚を見て、その中からカード1枚を選択して手札に加える!」

 

・神の宣告

・強欲で金満な壺

・力天使ヴァルキリア

 

「私が手札に加えるのは力天使ヴァルキリア!そしてそのまま召喚!」

 

力天使ヴァルキリア 攻1800

 

「魔法カード、強欲で貪欲な壺!デッキの上から10枚を除外して2枚ドロー!」

奏 手札 3枚→5枚

 

「レフト・Pゾーンにスケール3の解放のアリアドネをセッティング!カードを3枚伏せてターンエンド!」

 

 

奏 手札 1枚 LP 4000

 

ー▲▲▲△ ー

○ーーーー

ー ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

翔悟 手札 5枚 LP 4000

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

翔悟 手札 6枚

 

「魔法カード、名推理!」

 

「・・・・・・・・カウンター罠、神の警告!」

 

「チッ!勘付いた・・・」

 

「解放のアリアドネのペンデュラム効果!私が発動したカウンター罠のライフコスト・手札コストは無くなる!」

 

「はあぁ!?」

 

「よってそのまま名推理の効果は無効にして破壊する!」

 

翔悟の名推理は奏が少し悩んだ後に神の警告を発動して、無効になり破壊される。

 

「ライフコスト無しでカウンターとかチートだろ!?」

 

「さらに力天使ヴァルキリアの効果!カウンター罠を発動した場合、1ターンに1度だけ光属性・天使族モンスター1体を手札に加える!豊穣のアルテミスを手札に!」

 

「くっ・・・だがこっちだってまだ弾はあるんだよ!今日は奏さんが相手って分かったからこっちも型を変えたんだ!魔法カード、隣の芝刈り!自分のデッキ枚数が相手より多い場合、相手のデッキ枚数と同じになるようなデッキの上からカードを墓地に送る!俺のデッキ枚数は54枚!」

 

「持っていたのね・・・・私のデッキ枚数は21枚!」

 

「デッキの上から33枚のカードを墓地に送る!」

 

翔悟のデッキの上から33枚が飛び出してそれを翔悟はノータイムで墓地に送る。目線は手札と墓地を行ったり来たりしている。

 

「・・・墓地のインフェルノイド・ベルゼブブとインフェルノイド・シャイターンを除外!インフェルノイド・ヴァエルを特殊召喚!」

 

インフェルノイド・ヴァエル 攻2600

 

「さらに墓地のインフェイド・アスタロス、インフェルノイド・ベルフェゴル、インフェルノイド・ルキフグスの3体を除外してインフェルノイド・リリスを特殊召喚!」

 

インフェルノイド・リリス 攻2900

 

「インフェルノイド・リリスの効果!このカードの特殊召喚成功時、フィールドの『煉獄』以外の魔法・罠カードを全て破壊する!」

 

「リバースカードオープン!カウンター罠、輪廻のパーシアス!手札の強烈なはたき落としを相手に見せ、その後のライフコストと手札コストを解放のアリアドネのペンデュラム効果でノーコストにして、インフェルノイド・リリスの効果を無効にしてデッキに戻す!」

 

インフェルノイド・リリスが特殊召喚されて効果を発動しようと身体の羽を広げようとした時、奏が輪廻のパーシアスを使い、インフェルノイド・リリスの効果を無効にする。

 

「ぐっ!?リ、リリス!」

 

「その後、デッキまたはEXデッキから『パーシアス』モンスターを特殊召喚する!デッキから天空聖騎士(エンジェルパラディン)パーシアスを特殊召喚!」

 

天空聖騎士パーシアス 攻2800

 

奏が発動した輪廻のパーシアスにより翔悟のインフェルノイド・リリスの効果が無効になり、奏の後ろに天空から光の筋が差し込んで天空聖騎士パーシアスがフィールドに降臨した。

 

「んにゃろ・・・・(墓地のインフェルノイドも5体除外してしまったし・・・下手なこと出来ねぇ)バトルフェイズ!インフェルノイド・ヴァエルで力天使ヴァルキリアに攻撃!」

 

インフェルノイド・ヴァエル 攻2600

力天使ヴァルキリア 攻1800

 

奏 LP 4000→3200

 

「くっ!!」

 

「インフェルノイド・ヴァエルの効果!このカードが相手モンスターと戦闘を行った場合、フィールドのカード1枚を選んで除外する!」

 

「っ!?」

 

「天空聖騎士パーシアスをゲームから除外!」

 

力天使ヴァルキリアを破壊したインフェルノイド・ヴァエルが今度は天空聖騎士パーシアスの目の前に現れて、パーシアスの下に穴が開き、その中に引きずり込んだ。

 

「カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

奏 手札 2枚 LP 3200

 

ー▲ーー△ ー

ーーーーー

ー ー

ーー○ーー

ーーーー▲ ー

 

翔悟 手札 3枚 LP 4000

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

奏 手札 3枚

 

「豊穣のアルテミスを召喚!」

 

豊穣のアルテミス 攻1600

 

「カードを1枚伏せて、魔法カード、命削りの宝札!」

 

「ド、ドローカードばっか引いて・・・」

 

「このターン、特殊召喚出来ず相手に与えるダメージを全て0にする代わりに手札が3枚になるようにドローする!」

 

奏 手札 0枚→3枚

 

「フィールド魔法、天空の聖域を発動!」

 

フィールドがアカデミアのデュエルフィールドから雲の上の青空が広がるステージに変わり、奏のフィールドに大きな神殿が広がる。

 

「カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

 

奏 手札 0枚 LP 3200

 

▲▲▲▲△ ▽

○ーーーー

ー ー

ーー○ーー

ーーーー▲ ー

 

翔悟 手札 3枚 LP 4000

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

「カウンター罠、強烈なはたき落とし!相手がデッキから手札にカードを加えた時に発動、その手札に加えたカードを墓地に送る!」

 

「チッ!!」

 

ドローフェイズに翔悟がドローしたカードは奏が発動した強烈なはたき落としにより、翔悟の右手に平手打ちが炸裂、ドローしたカードはそのまま墓地に送られる。

 

「さらに豊穣のアルテミスの効果!カウンター罠を発動した場合、1枚ドロー!」

 

奏 手札 0枚→1枚

 

「(くそっ・・・せっかく煉獄カードを引いて伏せカードの煉獄の狂宴で展開する筈だったが・・・)墓地のインフェルノイド・シャイターンを除外して手札からインフェルノイド・シャイターンを特殊召喚!」

 

インフェルノイド・シャイターン 守0

 

「インフェルノイド・シャイターンの効果!相手のセットされたカードをデッキに戻す!対象は真ん中の伏せカード!」

 

「だったら使うわよ!カウンター罠、天罰!手札コストは解放のアリアドネの効果で無くなって、インフェルノイド・シャイターンの効果を無効にする!」

 

翔悟の墓地からインフェルノイドモンスターが除外されてインフェルノイド・シャイターンが特殊召喚されそのまま効果を発動したが、奏のカウンターをくらい破壊されてしまう。

 

「ぐっ!?」

 

「豊穣のアルテミスの効果!1枚ドロー!」

 

奏 手札 1枚→2枚

 

「くそっ・・・墓地からインフェルノイド・シャイターン、インフェルノイド・ルキブクスの3体を除外してインフェルノイド・アドラメレクを特殊召喚!」

 

インフェルノイド・アドラメレク 攻2800

 

「リバースカードオープン!カウンター罠、昇天の剛角笛(グレイトホーン)!相手がメインフェイズに特殊召喚された時、その特殊召喚を無効にする!」

 

「っ!?」

 

「さらに相手は1枚ドローしてメインフェイズを終了する!」

 

「なっ!?」

 

特殊召喚されたインフェルノイド・アドラメレクだったけど、奏が発動した昇天の剛角笛が発動、フィールドに大きな笛が現れて、インフェルノイド・アドラメレクが破壊される。

 

「ちっ・・・昇天の剛角笛で1枚ドロー!」

 

「豊穣のアルテミスの効果で1枚をドロー!」

 

翔悟 手札 2枚→3枚 奏 手札 2枚→3枚

 

「バトルフェイズ!インフェルノイド・ヴァエルで豊穣のアルテミスを攻撃!」

 

「リバースカードオープン!攻撃の無力化!」

 

インフェルノイド・ヴァエルの攻撃は攻撃の無力化によって吸収される。

 

「アルテミスの効果で1枚ドロー!」

 

奏 手札 3枚→4枚

 

「ぐっ・・・・タ、ターンエンド」

 

 

奏 手札 4枚 LP 3200

 

ーーーー△ ▽

○ーーーー

ー ー

ーー○ーー

ーーーー▲ ー

 

翔悟 手札 3枚 LP 4000

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

奏 手札 5枚

 

「チューナーモンスター、神秘の代行者 アースを召喚!」

 

神秘の代行者 アース 攻1000

 

「アースの効果は使わず、Lv4の豊穣のアルテミスにLv2の神秘の代行者 アースをチューニング!」

 

☆4 + ☆2 = ☆6

 

「オゾン層にいる天使が稲妻の光を帯びて龍を呼び覚ます。惑星の叫びを受け舞い降りろ!シンクロ召喚!天空の使者!ライトニング・エンジェル・ドラゴン!」

 

ライトニング・エンジェル・ドラゴン 攻2300

 

「(・・・・・何あのドラゴン?)」

 

通常召喚された神秘の代行者 アースと豊穣のアルテミスでシンクロ召喚されて出てきたドラゴン・・・・上空に雷雲から舞い降りたドラゴンに私は心の中の何かに引っかかった。奏があんなドラゴンを使っているなんて聞いたこともない。

 

「(・・・・・何だろう、不思議な感じ)」

 

「ライトニング・エンジェル・ドラゴンの効果!シンクロ召喚成功時、墓地のカウンター罠を1枚回収する!輪廻のパーシアスを回収!バトルフェイズ!ライトニング・エンジェル・ドラゴンでインフェルノイド・ヴァエルに攻撃!」

 

「攻撃力低いのに攻撃!?ってことは・・・」

 

「手札のオネストの効果!手札のこのカードを捨てて、戦闘行う相手モンスターの攻撃力分、アップする!」

 

奏が手札からオネストを捨て、ライトニング・エンジェル・ドラゴンの身体が一回り大きくなり、手にしている弓を引き、照準をインフェルノイド・ヴァエルに充てる。

 

「サンダー・アロー!」

 

ライトニング・エンジェル・ドラゴンから放たれた雷の矢はインフェルノイド・ヴァエルの身体に突き刺さり、インフェルノイド・ヴァエルは電撃を浴びて破壊される。

 

ライトニング・エンジェル・ドラゴン 攻2300→4900

インフェルノイド・ヴァエル 攻2600

 

翔悟 LP 4000→1700

 

「ぐわああああ!!!!」

 

「カードを3枚伏せてターンエンド!」

 

 

奏 手札 1枚 LP 3200

 

▲ー▲▲△ ▽

ーーーーー

ー ○

ーーーーー

ーーーー▲ ー

 

翔悟 手札 3枚 LP 1700

 

 

「お、俺のターン!ドロー!」

 

翔悟 手札 4枚

 

「(・・・!!煉獄の虚無!!いや、ダメだ、輪廻のパーシアスが・・・となると煉獄の狂宴をわざと使って・・・)リバースカー『ピー!!ピー!!』!?」

 

「ライトニング・エンジェル・ドラゴンの効果!このカードがフィールドに存在する限り、カウンター罠以外の罠カードを発動出来ない!」

 

「はぁ!?(ってことは煉獄の狂宴が腐った!?クソッ!?)」

 

カウンター罠以外の罠カード使えないって・・・・エンジェル・パーミッションの天敵である王宮のお触れのカウンター罠版か、結構厄介。

 

「(いや、落ち着け・・・・煉獄の狂宴が使えないだけで煉獄の虚無は使える)永続魔法、煉獄の虚無を発動!」

 

「リバースカードオープン!輪廻のパーシアス!手札のカウンター罠、攻撃の無力化を見せて、その後のコストを無くして煉獄の虚無の発動を無効にする!」

 

「墓地からインフェルノイド・ヴァエル、インフェルノイド・アドラメレク、インフェルノイド・デカトロンの3体のモンスターをゲームから除外してインフェルノイド・ネヘモスを特殊召喚!」

 

「カウンター罠、昇天の剛角笛!」

 

「に、2枚目!?」

 

「インフェルノイド・ネヘモスの特殊召喚を無効にして破壊、相手は1枚ドローしてメインフェイズを終了する!」

 

墓地から特殊召喚されたインフェルノイド・ネヘモスは2枚目の昇天の剛角笛で特殊召喚を無効にされた。

 

「(ぐっ・・・・も、もう墓地にインフェルノイドモンスターがいない・・・)バトルフェイズ終了、ターンエンド」

 

 

奏 手札 2枚 LP 3200

 

ーー▲▲△ ▽

ーーーーー

ー ○

ーーーーー

ーーーー▲ ー

 

翔悟 手札 4枚 LP 1700

 

 

「私のターン!ドロー!」

 

奏 手札 2枚

 

「バトル!ライトニング・エンジェル・ドラゴンでダイレクトアタック!サンダー・アロー!」

 

翔悟 LP 1700→0

 

 

WIN 奏 LOS 翔悟

 

 

『そこまで!勝者、高等部1-1、水野奏!』

 

「ありがとうございました」

 

「あ、お、おう・・・・」

 

デュエルが終わって奏は翔悟に頭を下げてデュエルフィールドから下がる。一方、翔悟の方は少し呆然とした様子みたいだ。足取りが重く、ゆっくりとしたペースでこっちに戻ってくる。

 

「お疲れ様です。まぁドンマイです。奏さんが先行でしたから」

 

「ほ、60型だから奏さんが息切れするかと思いましたけど翔悟さんが先でしたね」

 

「いや・・・完敗だった、手も足も出なかった」

 

「あんたがそんなこと言うなんて珍しいわね」

 

「なんか・・・手のひらで踊らされた気分だよ」

 

「ん、あの奏のデュエルはぶん回りに近い」

 

「それじゃ次は私ね。ここいらで取り返してくるわよ」

 

 

 

 

 

 

途中結果 決勝トーナメント 決勝戦

 

中等部2-3 対 高等部1-1

 

第1試合 山吹 翔悟 × ー ○ 水野 奏

 

 

総合結果 0 ーー 1

 




翔悟「見事なまでに完敗だった・・・・」

桜「誰がどう見てもエンジェルパーミッションの動き方が良すぎた」

恭輔「あの解放のアリアドネっていうカード、書いてある事が可笑しいですから」

絢「カウンター罠の手札コストとライフコストを無くして破壊されたらカウンター罠サーチだから」

祈「こっちから破壊しに行ったら後続のカウンター罠を手札に加えられますから」

絢「まぁ翔悟は情けない負け方したけど私はそうは行かないわよ」

桜「次回、『決勝戦 第2試合 水と氷を操りし龍』。次回もよろしく」


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第41話 決勝戦 第2試合 水と氷を操りし龍

9月バイト入れすぎた・・・
多分、今後も更新は遅くなります。バイトの他に就職活動もしなくちゃいけないので。

響さんのデッキ、色々と混ぜてカオスになってますがコンセプトは変えてないので許してください。
こうでもしないと本当に『氷結界』で勝てないんです。(じゃあこれが氷結界って言われたら・・・・違うんですよね(汗))

【*・・・アイス・スプラッシュの効果、少し改定しました。前の小説からこういう意図だったのですが、この書き方だと裁定がややこしくなってきたのが理由です】



絢 side

 

『Aフィールド、次のデュエルに参加する生徒はデュエルフィールドに上がりなさい』

 

「それじゃ私の出番ね。私で勝ってまずは五分にしてくるわ」

 

「お願いします氷川さん」

 

「が、頑張ってください」

 

「ん、頑張れ」

 

みんなからの声援を背中に受けて私はデュエルフィールドに上がる。相手はWRGPを制したメンバー、こっちは失うものはない。そんなこと思って相手側からもデュエルフィールドに上がってくる。

 

「んげ・・・・貴方が相手か。ちょっと嫌だな」

 

「人をそんな目で見るのはどうかと思いますけど」

 

「私よく表情が顔にでるタイプだからね・・・嫌なものは嫌って顔にでるのよ」

 

私の顔を見た相手・・・・響さんはげんなりした表情を見せてきた。確かに響さんはポーカーフェイスとか知らなそうな雰囲気はあったけど。

 

「まぁ苦手苦手なんて言ってられない立場だからね。それに私のデッキだって進化していっているんだから。悪いけど勝たせてもらうわよ」

 

「こっちだってそう簡単には負けませんわ」

 

『決勝戦、第2試合、高等部1-1対中等部2-3、小野寺響vs氷川絢、デュエルスタート!』

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

響 LP 4000 絢 LP 4000

 

「先行は私!まずは魔法カード、氷結界の紋章!デッキから『氷結界』モンスターを手札に加える!氷結界の軍師を手札に加えてそのまま召喚!

 

氷結界の軍師 攻1600

 

「氷結界の軍師の効果!手札から氷結界の術者を捨てて1枚ドロー!さらに手札から氷結界の伝道師とジゴバイトをそれぞれ特殊召喚!」

 

氷結界の伝道師 攻1000

ジゴバイト 攻1500

 

「氷結界の伝道師は自分フィールドに『氷結界』モンスターが、ジゴバイトは自分フィールドに魔法使い族モンスターが存在する場合特殊召喚できる!まだまだ行くわよ!流れ行け!世界を潤うサーキット!」

 

響さんのフィールドにリンクマーカーが現れて、ジゴバイトと氷結界の軍師の2体がリンクマーカーの中に入り左の矢印と下の矢印が赤く光る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件は水属性モンスター2体!私は氷結界の軍師とジゴバイトをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン、リンク召喚!リンク2、海晶乙女(マリンセス)コーラルアネモネ!」

 

海晶乙女コーラルアネモネ 攻2000 ← ↓

 

左と下に赤く光ったリンクマーカーから飛び出してきた両腕やスカートがイソギンチャクになっている女性型のモンスターが現れる。

 

「コーラルアネモネの効果!自分の墓地から攻撃力1500以下の水属性モンスター1体を特殊召喚する!チューナーモンスター、氷結界の術者を特殊召喚!」

 

氷結界の術者 攻1300

 

「Lv2の氷結界の術者と氷結界の伝道師でオーバーレイ!」

 

☆2 × ☆2 = ★2

 

「2体の水族モンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!ランク2、餅カエル!」

 

餅カエル 攻2200

 

「も、餅カエル!?」

 

響さんが特殊召喚したエクシーズモンスターを見て私は驚愕した。餅カエルは恭輔さんがサブデッキで使うエースモンスター、ランク2では異常な攻撃力とその制圧力に何度苦しめられたことか・・・・

 

「カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

 

響 手札 0枚 LP 4000

▲ーー▲ー ー

ー○ーーー

○ ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

絢 手札 5枚 LP 4000

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

絢 手札 6枚

 

「餅カエルの効果!スタンバイフェイズにオーバーレイ・ユニットを1つ取り除いて、デッキから『ガエル』モンスターを特殊召喚する!」

 

餅カエル OVR 2→1

 

「デッキから鬼ガエルを特殊召喚!」

 

鬼ガエル 守400

 

「鬼ガエルの効果!デッキから水属性・水族・Lv2以下のモンスターを墓地に送る!黄泉ガエルを墓地に!」

 

これであの伏せカードを何かしら使って次のターンに黄泉ガエルを蘇生ってわけね・・・

 

「フィールド魔法、暴走魔法陣を発動!この効果の発動時処理で召喚士アレイスターを手札に加えて、召喚!」

 

召喚士アレイスター 攻1000

 

「召喚士アレイスターの効果!デッキから召喚魔術を手札に加える!」

 

「餅カエルの効果!自分フィールドの水属性モンスターをリリースして相手が発動したカード効果を無効にして、そのカードの自分フィールドにセットする!鬼ガエルをリリース!」

 

鬼ガエルがリリースされ、餅カエルが私の発動した召喚士アレイスターを飲み込んで響さんのフィールドゾーンにセットされた。

 

「関係ないわ!これはブラフよ!魔法カード、儀式の準備!デッキからLv7以下の儀式モンスターを手札に加える!ブリューナクの影霊衣を加えて効果発動!このカードを捨て、デッキからこのカード以外の『影霊衣』モンスターを手札に加える!クラウソラスの影霊衣を加えて、効果発動!デッキから『影霊衣』儀式魔法を手札に加える!影霊衣の万華鏡を手札に加える!手札の魔神儀ーブックストーンの効果!手札の影霊衣の万華鏡を見せて、手札からこのカードとデッキから魔神儀ータリスマンドラを特殊召喚!」

 

魔神儀ーブックストーン 守0

魔神儀ータリスマンドラ 守0

 

手札に存在していた魔神儀ーブックストーンと私のデッキから魔神儀ータリスマンドラが飛び出して特殊召喚される。

 

「魔神儀ータリスマンドラの効果!このカードがデッキから特殊召喚された場合、デッキから儀式モンスターを手札に加える!」

 

「リバースカードオープン!罠カード、海晶乙女波動(マリンセス・ウェーブ)!自分フィールドに『マリンセス』リンクモンスターが存在する場合、相手フィールドのモンスター1体の効果を無効にする!」

 

「!?」

 

響さんが発動した海晶乙女波動により、海晶乙女コーラルアネモネの周りに波が現れて、タリスマンドラを囲み効果の発動を無効にする。

 

「さらにこのカードの発動時にリンク2以上の『マリンセス』リンクモンスターが存在する場合、自分フィールドの表側表示のモンスターはこのターン、相手の効果を受けない!」

 

「なっ!?付属して!?」

 

不味い・・・・ここでタリスマンドラの効果を無効にされるとは・・・・しかも効果を受けないって・・・

 

「ぐっ・・・・仕方ない、儀式魔法、影霊衣の万華鏡!エクストラデッキから召喚獣メルカバーを墓地に送り、同じレベルの『影霊衣』儀式モンスターを儀式召喚する!召喚獣メルカバーのLvは9!現れよ!トリシューラの影霊衣!」

 

トリシューラの影霊衣 攻2700

 

私のエクストラデッキから召喚獣メルカバーが影霊衣の万華鏡により儀式素材となりリリースされ、トリシューラの影霊衣が儀式召喚された。

 

「トリシューラの影霊衣の効果は使用できない。けど餅カエルを倒すことは出来る!バトル!トリシューラの影霊衣で餅カエルに攻撃!」

 

トリシューラの影霊衣 攻2700

餅カエル 攻2200

 

響 LP 4000→3500

 

トリシューラの影霊衣が突撃して餅カエルを右手にしている大剣を握りしめ上から振り下ろす。餅カエルは一刀両断になり、破壊された。

 

「チェーン1、餅カエル。チェーン2でリバースカードオープン!罠カード、激流蘇生!自分フィールドの水属性モンスターが破壊された場合、このターンに破壊された水属性モンスターを全て特殊召喚する!」

 

「なっ!?」

 

「餅カエルは水属性!そのまま復活!」

 

響さんが発動した伏せカードによりフィールドに波が押し寄せて、その波に乗ってさっき破壊した餅カエルが響さんのフィールドに現れる。

 

「そしてこの効果で特殊召喚したモンスターの数×500ポイントのダメージを相手に与える!」

 

「うっ!」

 

絢 LP 4000→3500

 

「さらに餅カエルの効果!このカードが墓地に送られた場合、墓地の水属性モンスター1体を手札に戻す!チューナーモンスター、氷結界の術者を手札に戻す!」

 

餅カエルを復活させた激流蘇生の波が私に襲い掛かってダメージを受けてしまう。まさか餅カエルを破壊できないなんて・・・・

 

「このままターンエンド!」

 

 

響 手札 1枚 LP 3500

ーーーーー ー

■ーーー○

○ ー

○ー□□ー

ーーーーー ▽

 

絢 手札 2枚 LP 3500

 

 

「私のターン!ドロー!」

 

響 手札 2枚

 

「スタンバイフェイズ、墓地の黄泉ガエルの効果!自分フィールドに魔法・罠カードが存在しない場合、墓地からこのカードを特殊召喚する!」

 

黄泉ガエル 守100

 

「まずは・・・・海晶乙女コーラルアネモネの効果!墓地から氷結界の伝道師を特殊召喚!」

 

海晶乙女コーラルアネモネの効果でコーラルアネモネのリンクの先に氷結界の伝道師が特殊召喚される。

 

「伝道師の効果!このカードをリリースして氷結界の軍師を特殊召喚!軍師の効果!手札の氷結界の術者を捨て1枚ドロー!流れ行け!世界を潤うサーキット!」

 

響さんの頭の上に再びリンクマーカーが現れて海晶乙女コーラルアネモネと黄泉ガエルの2体のモンスターが入り、3つの矢印が赤く光る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件は水属性モンスター2体!私はリンク2の海晶乙女コーラルアネモネと黄泉ガエルをリンクモンスターにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク3、海晶乙女マーブルド・ロック!」

 

海晶乙女マーブルド・ロック 攻2500 ← ↓ →

 

リンクマーカーの中からスカートが魚のヒレのような形をして、先ほどのイソギンチャクのようなモンスターから魚の人型のモンスターが現れた。

 

「墓地に送られた海晶乙女コーラルアネモネの効果!墓地からこのカード以外の『マリンセス』カードを手札に加える!海晶乙女波動を手札に!」

 

「ま、また!?」

 

あのモンスター効果を無効にするカードを回収されたら困るわよ!!

 

「さらに軍師をリリース!ブリザード・プリンセスをアドバンス召喚!」

 

ブリザード・プリンセス 攻2800

 

氷結界の軍師をリリースされ響さんの手札からブリザード・プリンセスが氷で作られた巨大な弾が繋げられた棒を振り回してアドバンス召喚される。

 

「召喚士アレイスターを反転召喚!バトル!ブリザード・プリンセスでトリシューラの影霊衣に攻撃!」

 

「攻撃宣言時、手札のヴァルキュリスの影霊衣の効果!墓地からブリューナクの影霊衣を除外して、手札のこのカードを捨て、その戦闘を無効にしてバトルフェイズを終了する!」

 

「いやなことしてくれるわね!餅カエルの効果!自身をリリースしてヴァルキュリスの効果を無効にする!儀式モンスターの蘇生条件を満たしていないからセットは出来ない!」

 

餅カエル自身がリリースされ、私が手札から発動したヴァルキュリスの影霊衣の効果は無効にされてしまう。

 

「餅カエルの効果!このカードが墓地に送られたから墓地から氷結界の軍師を手札に加える!戦闘続行!ブリザード・プリンセスでトリシューラの影霊衣に攻撃!ヘイル・ブリザード!」

 

ブリザード・プリンセス 攻2800

トリシューラの影霊衣 攻2700

 

絢 LP 3500→3400

 

「海晶乙女マーブルド・ロック、召喚士アレイスターで2体の魔神儀モンスターに攻撃!」

 

ブリザード・プリンセスでトリシューラの影霊衣が破壊され、さらにその背後から2体のモンスターが攻撃してきて私の魔神儀モンスター達が破壊されてしまう。

 

「ぐっ・・・・」

 

「これでターンエンド!」

 

「・・・・えっ?」

 

 

響 手札 3枚 LP 3500

ーーーーー ー

○-○ーー

○ ー

ーーーーー

ーーーーー ▽

 

絢 手札 1枚 LP 3400

 

 

「(さっき手札に加えたカードを伏せなかった?一体何のために・・・)私のターン!ドロー!」

 

絢 手札 2枚

 

「魔法カード、壺の中の魔術書!互いのプレイヤーは3枚ドローする!」

 

絢 手札 1枚→4枚 響 手札 3枚→6枚

 

「召喚士アレイスターを召喚!効果発動!」

 

「手札から罠カード、海晶乙女波動!」

 

「て、手札から!?」

 

「このカードは自分フィールドにリンク3の『マリンセス』モンスターが存在する場合、手札から発動できる!」

 

「!?そ、そんな!?」

 

「召喚士アレイスターの効果は無効!さらにこのターン、私のフィールドのモンスターは相手の効果を受けない!」

 

再び発動された海晶乙女波動により召喚士アレイスターの効果は無効にされただけでなく、響さんのフィールドのモンスター達は私のカード効果を受けない状態になってしまう。

 

「くっ・・・(だけどこれで妨害手段はないはず。桜さんと違って手札誘発を入れていることはあまりなかった!)手札から魔法カード、儀式の準備!デッキからLv7以下の儀式モンスターを手札に加えて、その後墓地の儀式魔法を手札に戻す!魔神儀ーカリスライム を手札に加えて、墓地から影霊衣の万華鏡を手札に戻す!」

 

儀式の準備の効果によって私のデッキからカリスライム を手札に加え、さらに墓地から影霊衣の万華鏡を回収する。これで準備は整った!

 

「手札の魔神儀ーカリスライム の効果!このカードを手札から見せ、その後手札を1枚捨てることでデッキから『魔神儀』モンスターを特殊召する!手札から魔神儀の祝誕を捨て、デッキから魔神儀ータリスマンドラを守備表示で特殊召喚!タリスマンドラの効果!デッキから2枚目のブリューナクの影霊衣を手札に加えて、効果発動!今度はユニコールの影霊衣を手札に加える!儀式魔法、影霊衣の万華鏡を発動!エクストラデッキから旧神ヌトスを墓地に送り、ユニコールの影霊衣を儀式召喚!」

 

ユニコールの影霊衣  攻2300

 

影霊衣の万華鏡を発動して今度はエクストラデッキの旧神ヌトスを墓地に送り、ユニコールの影霊衣を儀式召喚する。

 

「墓地に送られた旧神ヌトスの効果!このカードが墓地に送られた場合、フィールドのカード1枚を対象に取り破壊する!対象はブリザード・プリンセス!」

 

墓地に送られた旧神ヌトスが霊となって蘇り、ブリザード・プリンセスにまとわり付く。ブリザード・プリンセスは嫌がるような仕草で旧神ヌトスから逃れようとするがそのまま一緒に破壊されてしまう。

 

「あ〜あ・・ごめんね(ボソッ)」

 

「?今、何か言いましたか?」

 

「えっ?いや、関係ないよ」

 

「?・・・・ま、まぁいいです。墓地の魔神儀の祝誕の効果!フィールドの魔神儀ータリスマンドラをリリースして、墓地からこのカードを手札に戻し、デッキから『魔神儀』モンスターを特殊召喚します!魔神儀ーペンシルベルを特殊召喚!」

 

魔神儀ーペンシルベル 守0

 

「魔神儀ーペンシルベルの効果!墓地の儀式モンスターを手札に戻します!トリシューラの影霊衣を手札に戻して、魔神儀の祝誕を手札に戻します!儀式魔法、魔神儀の祝誕!フィールドのペンシルベルと手札の魔神儀ーカリスライムをリリースしてトリシューラの影霊衣を儀式召喚!」

 

「ま、また!?」

 

「トリシューラの影霊衣の効果!このカードが儀式召喚に成功した場合、相手の手札・フィールド・墓地からカードを1枚ずつ選びゲームから除外する!フィールドのカードは海晶乙女波動の効果で除外出来ませんが選ぶのは海晶乙女マーブルド・ロック、手札は左から2番目のカード、墓地からは氷結界の伝道師をゲームから除外!」

 

儀式召喚したトリシューラの影霊衣によって響さんの手札からカードを1枚、さらに墓地に存在する氷結界の伝道師をゲームから除外する。

 

「バトル!トリシューラの影霊衣で海晶乙女マーブルド・ロックに攻撃!」

 

トリシューラの影霊衣 攻2700

海晶乙女マーブルド・ロック 攻2500

 

響  LP 3500→3300

 

「ユニコールの影霊衣で召喚士アレイスターを攻撃!」

 

ユニコールの影霊衣  攻2300

召喚士アレイスター  攻1000

 

響   LP 3300→2000

 

「ぐううう!!!!」

 

「カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

響 手札 4枚 LP 2000

ーーーーー ー

ーーーーー

ー ー

ーー○ー○

▲ーーーー ▽

 

絢 手札 0枚 LP 3400

 

 

「やってくれるわね・・・私のターン!ドロー!」

 

響  手札 5枚

 

「ユニコールの影霊衣の効果で相手はエクストラデッキから特殊召喚されたモンスターの効果は無効化される!」

 

「墓地の黄泉ガエルの効果!自分フィールドに魔法・罠カードが存在しないため特殊召喚!」

 

響さんの墓地から再び黄泉ガエルが場に戻ってくる。

 

「とりあえずそのユニコールの影霊衣は消えてもらうわよ!ユニコールの影霊衣をリリース!」

 

「なっ!?」

 

「海亀怪獣ガメシエルを相手フィールドに特殊召喚!」

 

海亀怪獣ガメシエル 攻2200

 

私のフィールドに存在したユニコールの影霊衣がリリースされて、海亀のような巨大モンスターが特殊召喚された。

 

「海亀怪獣ガメシエルは相手のモンスター1体をリリースして、相手フィールドに特殊召喚する!」

 

「こ、こんな・・・こんな簡単に・・・」

 

「魔法カード、サルベージ!墓地から攻撃力1500以下の水属性モンスター2体を手札に戻す!鬼ガエルとチューナーモンスター、氷結界の術者を手札に戻す!手札の氷結界の術者を捨て、鬼ガエルを特殊召喚!鬼ガエルの効果!デッキから粋カエルを墓地に送る!流れ行け!世界を潤うサーキット!アローヘッド確認!召喚条件は水属性モンスター2体!私は粋カエルと鬼ガエルをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン、リンク召喚!リンク2、海晶乙女(マリンセス)コーラルアネモネ!」

 

響さんの上空にリンクマーカーが現れて粋カエルと鬼ガエルがリンクマーカーにセットされ、再びコーラルアネモネがリンク召喚される。

 

「コーラルアネモネの効果!墓地から鬼ガエルを特殊召喚!鬼ガエルの効果!デッキから魔知ガエルを墓地に送る!墓地の粋カエルの効果!墓地の魔知ガエルを除外してこのカードを特殊召喚!」

 

粋カエル 守2000

 

響さんの墓地から魔知ガエルが除外され、墓地から粋カエルが特殊召喚された。

 

「流れ行け!世界を潤うサーキット!アローヘッド確認!召喚条件は水属性モンスター2体!私はリンク2の海晶乙女コーラルアネモネと粋カエルをリンクモンスターにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク3、海晶乙女マーブルド・ロック!」

 

「ま、またしても・・・」

 

「墓地に送られた海晶乙女コーラルアネモネの効果!墓地から海晶乙女波動を手札に加える!チューナーモンスター、デブリ・ドラゴンを召喚!」

 

デブリ・ドラゴン 攻1000

 

「デブリ・ドラゴンの効果は使わない!Lv1の黄泉ガエル、Lv2の鬼ガエルにLv4のデブリ・ドラゴンをチューニング!」

 

☆1 + ☆2 + ☆4 = ☆7

 

「クレパスの奥地に眠る水の龍がオーロラの光で蘇る。永遠に降り積もる雪を降らせ!シンクロ召喚!放て!アイス・スプラッシュ・ドラゴン!」

 

アイス・スプラッシュ・ドラゴン 攻2500

 

デブリ・ドラゴンが4つの緑の輪になり、その中に黄泉ガエルと鬼ガエルが入って3つの光となる。それらが一つの光となって雪が舞降り、オーロラが現れて氷のドラゴンがフィールドに現れる。

 

「ア、アイス・スプラッシュ・・・・響さんのエースモンスター」

 

「私をここまで本気にさせたんだからこれくらいのことは当然よ!」

 

「だけどまだトリシューラの影霊衣より攻撃力は低い!」

 

「魔法カード、死者蘇生!墓地からブリザード・プリンセスを特殊召喚!」

 

「えっ!?」

 

響さんが死者蘇生を使い、墓地からブリザード・プリンセスが氷の弾を振り回してフィールドに現れた。

 

「これで準備OK!バトル!ブリザード・プリンセスでトリシューラの影霊衣を攻撃!」

 

「リ、リバースカードオープン!カウンター罠、攻撃の無力化!」

 

ブリザード・プリンセスの攻撃は私の前に現れた攻撃の無力化の渦に吸い込まれていった。

あ、危なかった・・もし奏さんに当たった時ように入れていたカードが役に立った。

 

「くぅ・・・・通らなかったなら仕方ない。アイス・スプラッシュの効果!自分フィールドの水属性モンスター1体を選択して、そのモンスターのLv×200ポイントのダメージを与える!対象はブリザード・プリンセス!ウォーターフォール!!」

 

アイス・スプラッシュの効果によってブリザード・プリンセスのエネルギーを吸収して、そのエネルギーを上空に放つ。私の上空の周りにドス黒い分厚い雲が突如現れる。そして・・・

 

・・・ポツ、ポツ・・・・

 

「何?雨?」

 

・・・・サバアアアアアアアン!!!!

 

「えっ!?きゃああああ!!!」

 

 絢  LP 3400→1800

 

ポツポツとした雨が突如ゲリラ豪雨以上、まるで滝のように水が私の上から降ってきて、私はずぶ濡れになってしまった。

 

ポチャっ・・・ポチャっ・・・・

 

「・・・・・・・・・」

 

「これでターンエンド!」

 

 

響 手札 3枚 LP 2000

ーーーーー ー

○ーー○ー

ー ○

ーー○ー○

ーーーーー ▽

 

 

絢 手札 0枚 LP 3400

 

 

「・・・・・ハ、ハックション!!!」

 

な、何あれ!?最近ソリッドビジョンが進化してより触覚とか感じるようになったって聞いたけどこんなにずぶ濡れになる必要あるわけ!?

 

「(む、ムカつく・・・)私のターン!ドロー!」

 

絢 手札 1枚

 

「メインフェイズ開始時、魔法カード、強欲で金満な壺!エクストラデッキのカードをランダムに6枚除外して2枚ドロー!」

 

絢 手札 0枚→2枚

 

「魔法カード、儀式の準備!デッキから魔神儀ーカリスライムを手札に加えて、墓地から影霊衣の万華鏡を手札に戻す!さらに魔法カード、貪欲な壺!墓地からブリューナクの影霊衣1枚と召喚士アレイスターと召喚獣メルカバー、魔神儀ータリスマンドラ1枚、魔神儀ーペンシルベルの5枚を戻して2枚ドロー!」

 

絢 2枚→4枚

 

「手札の魔神儀ーカリスライムの効果!このカードを見せ、手札からこのカード自身を墓地に送り、デッキから魔神儀ータリスマンドラを特殊召喚!」

 

三たびカリスライムの効果を使い、今回3回目の魔神儀ータリスマンドラが特殊召喚される。

 

「魔神儀ータリスマンドラの効果でブリューナクの影霊衣を手札に加え、効果発動!デッキからクラウソラスの影霊衣を手札に加えて効果発動!デッキから影霊衣の反魂術を手札に加え、儀式魔法、影霊衣の反魂術を発動!フィールドのタリスマンドラをリリース!墓地からブリューナクの影霊衣を儀式召喚!」

 

ブリューナクの影霊衣 攻2300

 

影霊衣の反魂術によりフィールドのタリスマンドラがリリースされ、私の墓地からブリューナクの影霊衣が儀式召喚される。

 

「ブリューナクの影霊衣の効果!フィールドのエクストラデッキから特殊召喚されたモンスター2体を対象にとり、そのモンスターをエクストラデッキに戻す!」

 

「手札から罠カード、海晶乙女波動を発動!ブリューナクの影霊衣の効果を無効にして、このターン、私の場のモンスターは相手のカードの効果を受けない!」

 

響さんが手札から海晶乙女波動を使い、ブリューナクの影霊衣のバウンス効果を無効にしてさらにこのターン、響さんのフィールドのモンスターはカード効果を受けない状態になる。

 

「これでもう終わりでしょ!?」

 

「いいえ!フィールド魔法を張り替え!2枚目の暴走魔法陣!?」

 

「いい!?」

 

「この効果の発動時処理として召喚士アレイスターを手札に加えて召喚!効果により召喚魔術を手札に加えます!そして・・・・進め!優雅に舞うサーキット!」

 

「えっ!?リンク召喚!?」

 

私の場に通常召喚された召喚士アレイスターが私の上空に出来たリンクマーカーの中に入り、右下の矢印が赤く光る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件は通常召喚された攻撃力1000以下のモンスター1体!私は召喚士アレイスターをリンクマーカーにセット!リンク召喚!リンク1、転生炎獣(サラマングレイド )アルミラージ!」

 

転生炎獣アルミラージ 攻0 ↘︎

 

リンクマーカーの中から首輪と尻尾、そして角が赤く炎に燃え上がった小さな機械でできた小動物のモンスターが現れる。

 

「こ、攻撃力0?」

 

「そして手札から魔法カード、召喚魔術!墓地のアレイスターとフィールドの炎属性モンスター、アルミラージで融合!」

 

「えっ!?さっき出したリンクモンスターを!?」

 

「融合召喚!召喚獣プルガトリオ!」

 

召喚獣プルガトリオ 攻2300

 

手札から発動した召喚魔術によって、墓地にいたアレイスターとフィールドのアルミラージがゲームから除外され、エクストラデッキから召喚獣プルガトリオが融合召喚された。

 

「墓地の召喚魔術の効果!墓地のこのカードをデッキに戻し、除外されているアレイスターを手札に戻す!」

 

「でもまだ私のモンスターの方が攻撃力は上よ!」

 

「召喚獣プルガトリオの効果!このカードの攻撃力は相手フィールドのカードの枚数×200ポイント攻撃力がアップする!」

 

「えっ!?」

 

「響さんのフィールドには3体のモンスター!よって攻撃力は600ポイントアップ!」

 

プルガトリオが響さんのフィールドにあるカードの枚数、3枚のカードからエネルギーを奪い取り、身体が一回り大きくなる。

 

召喚獣プルガトリオ 攻2300→2900

 

「で、でででも、まだ私のライフは!」

 

「召喚獣プルガトリオは1度のバトルフェイズで相手のモンスター全てにバトルできます!」

 

「えっ!?」

 

「バトル!召喚獣プルガトリオでブリザード・プリンセスに攻撃!さらにこのダメージ計算前、手札の召喚士アレイスターの効果!手札からこのカードを捨て、召喚獣プルガトリオの攻撃力は1000ポイントアップします!燃やし尽くしなさい!!ファイヤーブレス!!」

 

プルガトリオがブリザード・プリンセスに向けて攻撃の準備をしている時、手札に戻った召喚士アレイスターを捨て、プルガトリオの身体はさらに一回り大きくなる。プルガトリオから3つの炎のエネルギーがブリザード・プリンセスに向けて放たれる。ブリザード・プリンセスは氷の玉で防ごうとするが、炎で溶かし尽くし、そのままブリザード・プリンセスを焼き尽くす。

 

召喚獣プルガトリオ 攻2900→3900

ブリザード・プリンセス 攻2800

 

響 LP 2000→900

 

「ぐうううう!!!!」

 

「続けて召喚獣プルガトリオでアイス・スプラッシュ・ドラゴンに攻撃!」

 

ブリザード・プリンセスを倒したプルガトリオはそのまま標的をアイス・スプラッシュ・ドラゴンに変え、再び炎のエネルギーを放つ。アイス・スプラッシュ・ドラゴンはまともに攻撃を受けて氷の体は溶けて大量の水となり、その溶けた水が響さんに降り注ぐ。

 

「えっ!?ちょっ!?きゃああああ!!!」

 

召喚獣プルガトリオ 攻3900→3700

アイス・スプラッシュ・ドラゴン 攻2500

 

響 LP 900→0

 

WIN 絢 LOS 響

 

 

 

『そこまで!勝者、中等部2-3、氷川絢!!』

 

 ザワザワ・・・

 

「お、おい・・・1年間身内以外公式戦無敗だったSECRETのメンバーが負けたぞ・・・」

 

「あ、ああ・・・あのメンバーがとうとう・・・」

 

「や、やっぱりWRGP優勝メンバーが入っているチームは強いな・・・」

 

「あ〜・・・ハ、ハックション!!」

 

「クシュン!!うぅ・・・寒い」

 

デュエルが終わって私は足早にデュエルフィールドを後にした。とにかく何かしらタオルで体を拭いて乾かさないと・・・

 

「お疲れさん、いや〜、びしょ濡れになるとは」

 

「翔悟・・・・あなた笑いながら言う話じゃないわよ」

 

「いやだって・・・・イッヒヒヒ」

 

「・・・・ドンマイ。祈と恭輔は知っていたみたいだけど」

 

「!?」

 

ベンチで笑う翔悟に喝を入れる。隣の桜さんは私に励ましの言葉を言ってくれたが、その後の言葉に衝撃を受けて私は恭輔さんと祈さんを見る。二人は苦笑いを浮かべていた。

 

「一応、僕たちメンバーだったので・・・」

 

「で、でも、向こうが何処で響さんを出すか分からなかったですし・・・・先鋒だった可能性もあったので」

 

「・・・でもあなた達は隠していたってわけね?」

 

「べ、別に隠していたわけじゃないですよ!?ここ最近響さん達エースモンスター使うことなく勝ってましたから!!」

 

「・・・・怪しいわね」

 

「ぼ、僕次の試合ですから行きますね!」

 

「きょ、恭輔さん!!」

 

私のジト目から逃げるように恭輔さんは足早にデュエルフィールドに上がっていく。

 

 

 

 

途中結果 決勝トーナメント 決勝戦

 

中等部2-3 対 高等部1-1

 

第1試合 山吹 翔悟 × ー ○ 水野 奏

第2試合 氷川 絢 ○ ー × 小野寺 響

 

総合結果 1 ーー 1




絢「ずぶ濡れ・・・・制服台無し・・・」

翔悟「いや〜、面白かった!」

絢「・・・勝った気がしないわ」

恭輔「僕たちも何回かやられてますし・・・」

祈「・・・ソリッドビジョンの時から謎でした」

桜「それより量多すぎ」

恭輔「それは僕らに言われても・・・・」

祈「どうしようにも・・・」

桜「・・・ん、たしかに。というわけで次回『決勝戦 第3試合 風を操る竜』。次回もよろしく


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第42話 決勝戦 第3試合 風を操る竜

遅くなってすみません。今月はバイトがなんか多く入ってなかなか執筆出来ませんでした。

個人的にはクッションのつもりが結構長くなってしまった・・・・


恭輔side

 

『決勝戦、第3試合の試合に出場する生徒はデュエルフィールドに上がりなさい』

 

「ふぅ〜・・・絢さんのプレッシャーに負けるところでした。響さんが2戦目になるのは半分くらい予想できてましたが・・・」

 

もう半分は初戦なんですが普通に考えたらあのクラスのメンバー的に初戦で様子を見れるのは奏さんぐらいですからね。僕と祈さんと桜さんで決勝戦は3戦目以降入るのはチームの作戦で決まっていたのでどうしようにも出来ないのですが。

 

「さて・・・僕の相手は」

 

「あれ?恭輔君なんだ?てっきり副将戦か大将戦で上がると思っていたのに」

 

デュエルフィールドに上がり対戦相手の方を見てみると既にレミさんが僕の方を見て少し驚いた顔をしている。

 

「副将戦と大将戦は祈さんと桜さんに譲りました。お二人とも、戦いたい相手が決まっているので」

 

「あ〜・・・・なんか分かったわ。それにしても恭輔君とはなんだかんだあまりやった事ないね。私が忙し過ぎるってこともあるけど」

 

「僕の場合、稽古相手は師匠かスバルさんが多いですから」

 

「あの二人はちょっとレベルが違うからね。でも、だからと言って私が劣っているとは思ってないわよ」

 

「勿論です。それでも僕が勝利を手にします」

 

『決勝戦、中等部2-3対高等部1-1、第3試合、成田恭輔vs葵レミ!デュエルスタート!』

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

恭輔 LP 4000 レミ LP 4000

 

「先行は僕!星因子ベガを召喚!」

 

星因子ベガ  攻1200

 

「星因子ベガの効果!手札から『テラナイト』モンスターを特殊召喚します!星因子デネブを特殊召喚!」

 

星因子デネブ 攻1500

 

「星因子デネブの効果!デッキからデネブ以外の『テラナイト』モンスターを手札に加えます!星因子アルタイルを手札に加えます!Lv4の星因子ベガとデネブでオーバーレイ!」

 

☆4 × ☆4 = ★4

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!ランク4、星輝士ミルキー・ウェイ!」

 

星輝士ミルキー・ウェイ 守3000

 

「め、面倒くさいのが出てきたわね」

 

「カードを3枚伏せてターンエンド!」

 

 

恭輔 手札 1枚 LP 4000

 

▲ー▲ー▲ ー

ーーーーー

□ ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

レミ 手札 5枚 LP 4000

 

 

「私のターン!ドロー!」

 

レミ  手札 6枚

 

「魔法カード、調和の宝札!手札のドラグニティーファランクスを捨てて2枚ドロー!さらに魔法カード、テラ・フォーミング!デッキから竜の渓谷を手札に加えて、そのまま発動!」

 

フィールドがアカデミアのデュエルフィールドから夕陽が差し込む大きな渓谷へと変わり、レミさんの背中から渓谷に差し込む風が吹き始める。

 

「竜の渓谷の効果!手札のカードを1枚捨て、デッキからLv4以下の『ドラグニティ』モンスターを手札に加える!ドラグニティードゥクスを手札に加えて、召喚!」

 

ドラグニティードゥクス 攻1500

 

渓谷の上から一体の鳥人間が羽を羽ばたかせながらフィールドに降りてくる。

 

「ドゥクスの効果!召喚時、墓地のLv3以下の『ドラグニティ』ドラゴン族モンスターをこのカードに装備カード扱いで装備する!」

 

「リバースカードオープン!カウンター罠、神聖なる因子!相手が魔法・罠・モンスター効果を発動した場合、自分フィールドの『テラナイト』モンスターをリリースして発動する!そのカードの効果を無効にします!」

 

伏せていた神聖なる因子を使い、星輝士ミルキー・ウェイをリリースしてドラグニティードゥクスの効果を無効にして破壊する。

 

「グッ!」

 

「さらに神聖なる因子の効果で1枚ドロー!」

 

恭輔 手札 1枚→2枚

 

「墓地に送られた星輝士ミルキー・ウェイの効果!このカードが墓地に送られた場合、デッキから『テラナイト』モンスターを特殊召喚します!デッキから2枚目の星因子ベガを特殊召喚!ベガの効果!手札から星因子アルタイルを特殊召喚!」

 

星因子アルタイル 攻1700

 

「星因子アルタイルの効果!このカードが特殊召喚に成功した場合、墓地から『テラナイト』モンスターを守備表示で特殊召喚します!星因子デネブを特殊召喚!」

 

星因子デネブ  守1000

 

「星因子デネブの効果!デッキから2枚目のアルタイルを手札に加えます!」

 

ミルキー・ウェイの効果により、上空に天の川が現れて、その中から2体目のベガが特殊召喚、ベガの効果で手札に加えていたアルタイルが特殊召喚、アルタイルの効果で墓地に眠っていたデネブを特殊召喚、そしてデネブの効果で2枚目のアルタイルを手札に加える。

 

「カウンター1枚踏んだだけで一体どれだけアドバンテージ取るのよ!魔法カード、封印の黄金櫃!デッキからカード1枚を選んで除外して、2回目のスタンバイフェイズに手札に加える!嵐征竜ーテンペストを除外!」

 

「あっ!?」

 

「嵐征竜ーテンペストの効果!このカードが除外された時、デッキから風属性・ドラゴン族を手札に加える!ドラグニティアームズーミスティルを手札に加える!」

 

「しかしそれを加えても既に通常召喚は終わりましたよ!」

 

「次のターンの布石に決まっているでしょ!カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

恭輔 手札 2枚 LP 4000

 

▲ーーー▲ ー

○ー○ー□

ー ー

ーーーーー

ーー▲ーー ▽

 

レミ 手札 3枚 LP 4000

 

 

「僕のターン!ドロー!」

 

恭輔 手札 3枚

 

「光輝け!星を照らすサーキット!」

 

僕の頭の上にリンクマーカーが現れて、ベガとデネブの2体のモンスターがリンクマーカーの中に入り、左斜め下と右斜め下のリンクマーカーが赤く光る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件は戦士族モンスター2体!僕は星因子ベガとデネブをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、聖騎士の追想 イゾルデ!」

 

聖騎士の追想 イゾルデ 攻1600 ↙︎ ↘︎

 

「聖騎士の追想 イゾルデの効果!このカードのリンク召喚成功時、デッキから戦士族モンスターを手札に加えます!僕が加えるのは星因子デネブ!」

 

リンク召喚したイゾルデの効果により、デッキのカードが1枚飛び出して僕はそのカードを手札に加える。

 

「ただし、この効果で手札に加えたモンスターは召喚・特殊召喚できず、同名モンスターも含めて効果を使えません!リバースカードオープン!速攻魔法、天架ける星因子!自分フィールドの『テラナイト』モンスター1体を対象に取り、デッキから対象に取ったモンスターとは別のモンスターを特殊召喚して、対象のモンスターはデッキに戻ります!アルタイルを対象にとり、星因子ウヌクを特殊召喚!」

 

星因子ウヌク 攻1800

 

「星因子ウヌクの効果!デッキから『テラナイト』モンスターを墓地に送ります!星因子シャムを墓地に送ります!リバースカードオープン!永続罠、リビングデッドの呼び声!墓地から星因子シャムを特殊召喚!」

 

星因子シャム 攻1400

 

「星因子シャムの効果!このカードが特殊召喚した場合、相手に1000ポイントのダメージを与えます!」

 

「ぐうぅ!!!」

 

レミ LP 4000→3000

 

「Lv4の星因子シャムとウヌクの2体でオーバーレイ!」

 

☆4 × ☆4 = ★4

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!ランク4!星の光を守りし影武者!煉獄の騎士(テラナイト)ヴァトライムス!」

 

煉獄の騎士ヴァトライムス 攻2600

 

僕とレミさんのフィールドの真ん中にブラックホールが現れて、その中に星因子シャムとウヌクが吸い込まれていき、爆発が起きる。ブラックホールの中からヴァトライムスがフィールドに現れて、イゾルデのリンク先に現れる。

 

「バトル!イゾルデでダイレクトアタック!」

 

「リバースカードオープン!罠カード、和睦の使者!このターン、私が受ける戦闘ダメージは0になる!」

 

レミさんの前に聖者の格好をした年配の女性が現れて何かの呪文を唱える。レミさんの前にバリアが貼られ、イゾルデの攻撃は防がれる。

 

「メインフェイズ2、煉獄の騎士ヴァトライムスでオーバーレイ・ネットワークを再構築!」

 

メインフェイズ2に入り、このターンに特殊召喚したヴァトライムスをエクシーズ素材とし、再びブラックホールに吸い込まれていく。

 

★4→★5

 

「ランクアップエクシーズチェンジ!ランク5!星の光を守りし者!星輝士セイクリッド・ダイヤ!」

 

星輝士セイクリッド・ダイヤ 攻2700

 

「セイクリッド・ダイヤがフィールドに存在する限り、お互いのプレイヤーはデッキからカードを墓地に送れず、墓地から手札に加えるカードは代わりに除外されます!カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

 

恭輔 手札 2枚 LP 4000

 

▲ー▲ー△ ー

ーーーー○

ー ○

ーーーーー

ーーーーー ▽

 

レミ 手札 3枚 LP 3000

 

 

「私のターン!ドロー!」

 

レミ 手札 4枚

 

「スタンバイフェイズ、黄金櫃1ターン目!フィールド魔法、竜の渓谷の効果!手札のカードを1枚捨て、デッキからドラグニティードゥクスを手札に加えて、そのまま召喚!効果発動!」

 

「リバースカードオープン!永続罠、デモンズ・チェーン!」

 

「手札からカウンター罠、レッド・リブート!」

 

「て、手札から!?」

 

「このカードは通常通り、セットして発動する代わりに私のライフを半分払う事で手札から発動できる!」

 

レミ LP 3000→1500

 

「相手が発動したカウンター罠の発動を無効にしてセットし直す!そして相手はデッキから罠カード1枚を自分フィールドにセットすることができる!」

 

「?・・・何を狙っているか分かりませんが僕は神聖なる因子をセットします!」

 

「そしてこのターン終了時まで相手は罠カードを発動できない!」

 

「なっ!?」

 

レミさんが発動したレッド・リブートによりデモンズ・チェーンはセットし直され、さらに僕のデッキから2枚目の神聖なる因子をセットする。そして僕の場の魔法・罠カードはレッド・リブートの効果により封じられてしまった。

 

「レッド・リブートを発動して相手に罠カードを献上した代わりにこのターンの罠を防ぐということは・・・」

 

「このターンに決めにいくわよ!ドラグニティのドゥクスの効果を解決!効果で墓地からドラグニティーファランクスを装備!そしてドラグニティーファランクスの効果!装備状態の自身をフィールドに特殊召喚する!」

 

ドラグニティーファランクス 攻500

 

レミさんの場に召喚されたドラグニティードゥクスの肩にドラグニティーファランクスが乗り、そしてファランクスはドゥクスの肩から飛び立ってフィールドに特殊召喚された。

 

「このカードは自分フィールドの『ドラグニティ』モンスター1体をリリースして特殊召喚する!ドラグニティアームズーミスティルを特殊召喚!」

ドラグニティアームズーミスティル 攻2100

 

レミさんの場のファランクスがリリースされ、竜の渓谷の風に乗り、ドラグニティアームズーミスティルがフィールドに現れ、ミスティルはそのままレミさんの墓地のカード1枚を取り出す。

 

「ミスティルの効果!このカードが特殊召喚に成功した時、墓地の『ドラグニティ』ドラゴン族モンスターを特殊召喚する!墓地からファランクスを装備!ファランクスの効果!自身を特殊召喚!」

 

「(こ、ここまで動いてる未だにセイクリッド・ダイヤの永続効果を受けてないなんて・・・)」

 

「Lv4のドラグニティードゥクスにLv2のドラグニティーファランクスをチューニング!」

 

☆4 + ☆2 = ☆6

 

「竜の渓谷を舞うさすらいの騎士が、楽園の未来に立ち向かう。竜の意志で羽ばたけ!シンクロ召喚!カモン!ドラグニティナイトーガジャルグ!」

 

ドラグニティナイトーガジャルグ 攻2400

 

レミさんの場のドゥクスとファランクスが飛び立ち、ファランクスが作った2つの緑の輪の中にドゥクスが入って4つの星となる。それらが一つの光へと代わり、ドラグニティナイトーガジャルグが特殊召喚される。

 

「ガジャルグの効果発動!デッキからLv4以下のドラゴン族または鳥獣族を手札に加えてその後、手札の鳥獣族かドラゴン族を墓地に送る!」

 

「ぐっ・・・手札に加えて墓地に送られたからセイクリッド・ダイヤの永続効果も効かない」

 

「デッキからBFー精鋭のゼピュロスを加えてそのまま捨てる!Lv6のドラグニティナイトーガジャルグとドラグニティアームズーミスティルでオーバーレイ!」

 

☆6 × ☆6 = ★6

 

「2体のドラゴン族モンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!ランク6、聖刻龍王ーアトゥムス!」

 

聖刻龍王ーアトゥムス 攻2400

 

「アトゥムスの効果!オーバーレイ・ネットワークを取り除き、デッキからドラゴン族モンスター1体を攻守0にして特殊召喚する!」

 

 聖刻龍王ーアトゥムス OVR 2→1

 

「私はデッキからチューナーモンスター、ドラグニティークーゼを特殊召喚!」

 

ドラグニティークーゼ 攻1000→0

 

聖刻龍王ーアトゥムスが自身のオーバーレイ・ユニットを一つ取り除いて、レミさんのデッキからドラグニティークーゼが飛び出して特殊召喚される。

 

「本当ならレダメって言いたかったけど」

 

「あれはもう禁止カードですから・・・」

 

「仕方ないからこうするしか無いんだよね!吹き荒れろ!嵐を巻き起こすサーキット!」

 

レミさんのフィールドのアトゥムスと特殊召喚されたドラグニティークーゼが飛び出してレミさんの上に現れたリンクマーカーの中に飛び込んで左斜め下と右斜め下の矢印が赤く光る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件は鳥獣族又はドラゴン族モンスター2体!私は聖刻龍王ーアトゥムスとドラグニティークーゼをリンクマーカーにセット!リンク召喚!リンク2、ドラグニティナイトーロムルス!」

 

ドラグニティナイトーロムルス 攻1200 ↙︎ ↘︎

 

レミさんの上空にできたリンクマーカーから1体のモンスターが飛び出してフィールドに舞い降りる。白銀の骨のような鎧をしたドラゴンのモンスターが僕のモンスターたちを見て威嚇する。

 

「ドラグニティナイトーロムルスの効果!リンク召喚成功時、デッキから龍の渓谷または『ドラグニティ』魔法・罠カード1枚を手札に加える!私は装備魔法、ドラグニティの神槍を手札に加えて発動!ロムルスに装備!」

 

威嚇をしていたロムルスが飛び立ち、レミさんのデッキから1枚のカードを引き抜く。それをレミさんは手にしてすぐに発動、ロムルスに大きな槍が装備される。

 

「ドラグニティの神槍の効果!1ターンに1度、デッキから『ドラグニティ』チューナーモンスター1体を選び、このカードを装備したモンスターに装備する!2体目のドラグニティークーゼを装備!」

 

ロムルスが装備するドラグニティの神槍が光り、竜の渓谷の風に乗ってドラグニティークーゼが現れてロムルスの羽に装備される。

 

「そしてドラグニティークーゼの効果!このカードもファランクス同様に装備状態から特殊召喚する!」

 

ロムルスの羽に装備したクーゼはそのままフィールドに特殊召喚された。

 

「さらに墓地のBFー精鋭のゼピュロスの効果!フィールドの装備魔法、ドラグニティの神槍を戻し、400ポイントのダメージを受けて特殊召喚する!」

 

レミ LP 1500→1100

BFー精鋭のゼピュロス 攻1600

 

ロムルスに装備されたドラグニティの神槍がレミさんのフィールドに戻り、レミさんの墓地からBFー精鋭のゼピュロスが舞い戻り、レミさん自身はゼピュロスが戻ったダメージを受ける。

 

「ドラグニティークーゼの効果!このカードがシンクロ素材となる場合、レベルを4にすることができる!」

 

ドラグニティークーゼ ☆2→☆4

 

「Lv4の精鋭のゼピュロスにLv4のドラグニティークーゼをチューニング!」

 

☆4 + ☆4 = ☆8

 

「竜の渓谷を束ねし騎士団長が楽園を守るため咆哮を挙げる。竜の絆を示せ!シンクロ召喚!カモン!ドラグニティナイトーバルーチャ!」

 

ドラグニティナイトーバルーチャ 攻2000

 

「バ、バルーチャ?」

 

レミさんの場にシンクロ召喚されたモンスターを見て僕は首を曲げた。あんなモンスターをレミさんが使ったことは見たことがない。

 

「ドラグニティナイトーバルーチャの効果!このカードがシンクロ召喚に成功した時、墓地のドラゴン族『ドラグニティ』モンスターを好きなだけこのカードに装備する!」

 

「なっ!?」

 

「私は墓地からドラグニティークーゼ2体とドラグニティーファランクス2体を装備!ブレイブチャージ!」

 

シンクロ召喚したドラグニティナイトーバルーチャが大きく咆哮を上げ、竜の渓谷の風が一層強くなる。その風からファランクスとクーゼがそれぞれ2体ずつ現れてバルーチャに装備される。

 

「ファランクスの2体目は・・・・」

 

「竜の渓谷で捨てたわよ!そして装備されたファランクスとクーゼの効果!それぞれ特殊召喚!合計4体分よ!」

 

バルーチャに装備されたファランクスとクーゼがバルーチャが分離してレミさんのフィールドに特殊召喚される。

 

「あ、あっという間にフィールドを埋めた・・・」

 

「吹き荒れろ!嵐を巻き起こすサーキット!」

 

レミさんの上空に再びリンクマーカーが現れてドラグニティークーゼ1体がリンクマーカーの中に入り、右向きの矢印が赤く光る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件はLv4以下のドラゴン族モンスター1体!私はドラグニティークーゼをリンクマーカーにセット!リンク召喚!リンク1、守護竜ピスティ!」

 

守護竜ピスティ 攻1000 →

 

「さらにLv8のドラグニティナイトーバルーチャにLv2のドラグニティーファランクスをチューニング!」

 

☆8 + ☆2 = ☆10

 

「竜の渓谷に讃えられし騎士王が、楽園の戦争に終止符を打つために蘇る!シンクロ召喚!カモン!ドラグニティナイトーアスカロン!」

 

 ドラグニティナイトーアスカロン 攻3000

 

ファランクスが作る緑の輪の中にバルーチャが入り、一筋の光へと変わり天空に伸びる。その光から大きな風が竜の渓谷で吹き荒れ、金銀の鎧を身につけた大きな龍がフィールドに舞い降りてきた。

 

「吹き荒れろ!嵐を巻き起こすサーキット!」

 

アスカロンがシンクロ召喚され、間髪入れずに次のモンスターを特殊召喚する。リンク2のロムルス、さらにはファランクスにクーゼの3体のモンスターがリンクマーカーの中に入る。これは・・・大型モンスターが来る!

 

「召喚条件は効果モンスター3体以上!私はリンク2のドラグニティナイトーロムルスとドラグニティーファランクス、ドラグニティークーゼをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク4!ヴァレルガード・ドラゴン!」

 

ヴァレルガード・ドラゴン 攻3000 ↑ → ↘︎ ↓

 

4つの矢印が赤く光り、リンクマーカーの中からリボルバーの形の大きな銃が現れて、変形していき、大型のドラゴンが現れる。

 

「さらに守護竜ピスティの効果!墓地又は除外ゾーンのドラゴン族モンスター1体を自分フィールドの2体以上リンクモンスターのリンク先に特殊召喚する!」

 

「リンク先は・・・・ピスティの右隣とヴァレルガード・ドラゴンの下!!」

 

「その通り!墓地からドラグニティアームズーミスティルを特殊召喚!ミスティルの効果!墓地からファランクスを装備!ファランクスの効果!装備状態のこのカードを特殊召喚!」

 

守護竜ピスティの特殊召喚から流れるように再びフィールドに現れるミスティルとファランクス、この2体のモンスターを出したということは・・・・

 

「Lv6のミスティルにLv2のファランクスをチューニング!」

 

☆6 + ☆2 = ☆8

 

「嵐が吹き荒れる時、竜の渓谷の救世主が舞い降りる。龍の騎士と共にこの楽園を救え!シンクロ召喚!吹きあれろ!フェザー・ウィング・ドラゴン!」

 

フェザー・ウィング・ドラゴン 攻2800

 

ミスティルとファランクスが一つの光となって、その中から嵐が吹き始める。フィールド全体、竜の渓谷の数少ない木々を大きく揺らすその嵐は竜巻へと変わり、天空へと伸び上がる。そのテッペンから1体のモンスターが現れてこのフィールドに舞い降りてきた。

 

「フェザー・ウィング・・・・レミさんのエースモンスター・・・・」

 

「・・・勝つわよ(ボソッ)」

 

「?今なんか言いました?」

 

「えっ?あっ、何でもないわよ。フェザーの効果!このカードがシンクロ召喚に成功した場合、墓地のドラゴン族モンスターを任意の数だけこのカードに装備する!墓地からファランクス2体とクーゼ2体を装備!」

 

フェザー・ウィングの効果により、墓地にいたファランクス2体とクーゼ2体が再びフィールドに現れて、フェザー・ウィングにより装備される。

 

「さらにフェザーの効果!墓地の風属性モンスター1体をデッキに戻すことで、フィールドのカード1枚を選び、手札に戻す!ドラグニティードゥクスをデッキに戻して、星輝士セイクリッド・ダイヤをバウンス!ウィンドセプション!」

 

フェザー・ウィングが墓地のドゥクスの力を貰い、セイクリッド・ダイヤの周りに竜巻が現れて、セイクリッド・ダイヤはフィールドから飛ばされてしまった。

 

「ぐうぅ!!!!」

 

「これで終わりよ!レッド・リブートの効果で罠カードも使えないし、その2枚の手札はアルタイルとデネブって分かっているからね!バトル!フェザー・ウィングで聖騎士の追想 イゾルデに攻撃!ストーム・ウィンドブレイク!」

 

「・・・・甘いですよ!!リバースカードオープン!!速攻魔法、残留思念!!」

 

「!?嘘でしょ!?この状況で速攻魔法!?」

 

「相手モンスターの攻撃宣言時、墓地から煉獄の騎士ヴァトライムスと星輝士ミルキー・ウェイの2体のモンスターをゲームから除外してこのターン、僕が受ける戦闘ダメージは0になります!」

僕の墓地からヴァトライムスとミルキー・ウェイの2体のモンスターがゲームから除外される。フェザー・ウィングの攻撃によりイゾルデは破壊されてしまったが、残念思念の効果で除外された2体のモンスターからバリアが張られ、僕へのダメージは0へと変わる。

 

「ま、まさか・・・耐えられるなんて思っても見なかったわ」

 

「レッド・リブートを使われた時は危なかったですけど、何とかなりました。ハーピィの羽根箒が一番怖かったです」

 

「まぁ・・・それは制限カードだから引けないわね。メイン2を飛ばしてこのままターンエンド!」

 

 

恭輔 手札 2枚 LP 4000

 

ーー▲▲△ ー

ーーーーー

○ ー

○○○ーー

△△△△ー ▽

 

レミ 手札 2枚 LP 1100

 

 

「僕のターン!ドロー!」

 

恭輔 手札 3枚

 

「星因子アルタイルを召喚!効果により墓地から星因子ベガを特殊召喚!ベガの効果!手札から星因子デネブを特殊召喚!デネブの効果で次のアルタイルを手札に加えます!Lv4のアルタイル・ベガ・デネブの3体でオーバーレイ!」

 

☆4 × ☆4 × ☆4 = ★4

 

「3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!ランク4!星の彼方から舞い降りよ!星輝士トライヴェール!」

 

星輝士トライヴェール 攻2100

 

レミさんと僕のフィールドの間に再び現れたブラックホール、この中にアルタイル、ベガ、デネブの3体のモンスターが吸い込まれていき、ブラックホールが再び爆発を起こす。竜の渓谷上空に天の川が流れ、その川の流れに乗るようにトライヴェールがフィールドに舞い降りてきた。

 

「ここで1番困るモンスターを・・・」

 

「トライヴェールの効果発動!このカードのエクシーズ召喚成功時、このカード以外のフィールドのカード全てを手札に戻します!」

 

「ヴァレルガード・ドラゴンの効果発動!フィールドのモンスター1体の表示形式を表側守備表示にする!」

 

「リバ「このカードの発動に対して、相手はカードの効果を発動できない!」なっ!?」

 

「フィールドは一掃されてもまだ私は負けないわよ!ディフェンスショット!」

 

ヴァレルガード・ドラゴンが右手を構えてトライヴェールに照準を合わせる。右手から銃が撃たれ、トライヴェールは守備表示になる。

 

「ですが効果は通ります!デルタ・オブ・ツイスター!」

 

守備表示になったトライヴェールが手にしてある三角形になった星座の集まりを上に投げる。星座は回転してツイスターへとなり、トライヴェール以外のフィールドのカード全てを吹き飛ばしていった。

 

「フゥ・・・これでその強力なモンスターたちはもういなくなりましたよ」

 

「まさか1ターンでこんな直ぐに返されるとはね・・・」

 

「トライヴェールの効果発動!オーバーレイ・ネットワークを取り除き、相手の手札1枚をランダムに墓地に送ります!」

星輝士トライヴェール OVR 3→2

 

「捨てるのは一番左端のカード!」

 

「・・・・ファランクスよ」

 

「う〜ん・・・本音は竜の渓谷ですが致し方ありません。カードを3枚伏せてターンエンドです!」

 

「・・・・デモンズ・チェーンとリビングデッドの呼び声と神聖なる因子ね」

 

「さぁ?どうでしょうか?」

 

 

恭輔 手札 2枚 LP 4000

 

ーー▲▲▲ ー

ーーーーー

ー □

ーーーーー

ーーーーー ー

 

レミ 手札 6枚 LP 1100

 

 

「私のターン!ドロー!」

 

レミ 手札 7枚

 

「(墓地にシャムがいたから私のライフが1000になった瞬間に終わり、リビングデッドがあるからデッドラインはかなり近い・・・・とはいえ除去カードを引けなかったわね)スタンバイフェイズ、封印の黄金櫃で除外したテンペストを手札に加えるわよ!フィールド魔法、竜の渓谷を発動!」

 

「・・・それは通しますよ」

 

「効果発動!手札のカード1枚を捨て、デッキからドラグニティードゥクスを手札に加える!ドラグニティードゥクスを召喚!効果発動!」

 

「リバースカードオープン!神聖なる因子!フィールドのトライヴェールをリリースして、ドラグニティードゥクスの効果を無効にします!」

 

神聖なる因子を発動してトライヴェールをリリース、そのままドゥクスを破壊する。

 

「その後、カードを1枚ドロー!」

 

恭輔 手札 2枚→3枚

 

「さらに墓地に送られたトライヴェールの効果!墓地から星因子ベガを守備表示で特殊召喚!」

 

星因子ベガ 守1600

 

「ベガの効果!手札から星因子アルタイルを守備表示で特殊召喚!」

 

星因子アルタイル 守1300

 

「アルタイルの効果!墓地から星因子デネブを特殊召喚!デネブの効果で3枚目のアルタイルを手札に加えます!」

 

「ようやく尽きたわね・・・墓地からドラグニティナイトーロムルスと聖刻竜王ーアトゥムスを除外!嵐征竜ーテンペストを特殊召喚!」

 

嵐征竜ーテンペスト 攻2400

 

レミさんの墓地からロムルスとアトゥムスの2体のドラゴン族モンスターが除外され、手札から嵐征竜ーテンペストが特殊召喚される。

 

「しかしそれ以上のモンスターは特殊召喚出来ませんよね?手札のドラグニティの神槍はテンペストには装備出来ませんし」

 

「まだまだ!永続魔法、星遺物の守護竜を発動!このカードの発動時に墓地のLv4以下のドラゴン族モンスターを特殊召喚する!」

 

「えっ!?」

 

「墓地からドラグニティーファランクスを特殊召喚!」

 

レミさんの後ろに大きな石でできた何かの装置みたいな物が現れて、その装置の中心部のコアが青白く光り、その中からファランクスが現れてレミさんのフィールドに戻ってくる。

 

「装備魔法、ドラグニティの神槍をファランクスに装備!そして効果発動!デッキから3枚目のファランクスを装備して、効果発動!自身を特殊召喚!」

 

「ま、また・・・まるでゾンビみたいに」

 

「ゾンビとか言わないでよね!私のデッキはワンショットだけじゃなくて粘り強いんだからね!」

 

「そうですか・・・確かに粘り強いですね。でも!!それもここまでです!!リバースカードオープン!!罠カード、ワンダー・エクシーズ!!」

 

「嘘っ!?デモンズ・チェーンでもリビングデッドでも無いカード!?」

 

「誰がいつ、その2枚を伏せたと言いました!?ワンダーエクシーズの効果でこのタイミングでエクシーズ召喚を行います!Lv4のベガ、アルタイル、デネブでオーバーレイ!」

 

☆4 × ☆4 × ☆4 = ★4

 

「3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!再び現れよ!星輝士トライヴェール!!」

 

僕が発動したワンダー・エクシーズによりトライヴェールから特殊召喚された3体のモンスターで再びエクシーズ召喚を行い、またトライヴェールがフィールドに戻ってきた。

 

「トライヴェールの効果発動!このカード以外のフィールドのカード全てを手札に戻します!デルタ・オブ・ツイスター!!」

 

再びエクシーズ召喚されたトライヴェールにより、前のターンに起きたことが再び起きる。すなわち、トライヴェール以外の全てのカードは上空へと飛ばされ、それぞれ持ち主の手札へと戻っていった。フィールドがガラ空きになったレミさんは上の空の状態で僕を見て、そして笑い出す。

 

「・・・・ハ、ハハハ、いっぱい食わされたわ。てっきり前のターンに戻った2枚だと思ったわ」

 

「前のターンのカードのドローがこれでした。これを引いてなかったらデモンズ・チェーンとリビングデッドの呼び声を伏せていたでしょう」

 

「その2枚なら突破できると思って展開したんだけどねぇ・・・強くなったわね恭輔君」

 

「師匠の弟子を名乗っているんですからこれくらいの事は当然です」

 

「ハハハ・・・やっぱ遊輝とスバルのレベルに鍛えられた子は違うわね。私も6人の中では強い方だと思っていたけど、まだまだってことね・・・・もう打つ手は無いわ。ターンエンドよ。エンドフェイズ、私の手札は8枚だから6枚になるように捨てるわね。嵐征竜ーテンペストとドラグニティーファランクスを捨てるわ」

 

 

恭輔 手札 4枚 LP 4000

 

ーーーーー ー

ーーーーー

ー ○

ーーーーー

ーーーーー ー

 

レミ 手札 6枚 LP 1100

 

 

「僕のターン!ドロー!」

 

恭輔 手札 5枚

 

「そのままバトル!星輝士トライヴェールでダイレクトアタック!スターオーバー・ザ・ドライブ!」

 

レミ LP 1100→0

 

WIN 恭輔 LOS レミ

 

 

 

 

『そこまで!!勝者、中等部2-3、成田恭輔!!』

 

『ワアアアアアアア!!!!!!』

 

『凄え!!!』

 

『二人とも良かったぞ!!』

 

デュエルが決着して会場から割れんばかりの歓声が巻き起こる。僕はデュエルディスクを片付けてデッキをデッキケースに戻し、レミさんの所に行く。レミさんもデッキをデッキケースに片付けて腕を組んでいた。

 

「いや〜・・・・・参った参った。まぁあの前のターンに決められなかった時点で私の敗北はほぼ確定みたいなものだったわね」

 

「そんな事無いですよ。まさかワンダー・エクシーズ以外の3枚のカードを突破してこのターンに決めようとする事には驚きました」

 

「神聖なる因子を早めに使ってくれたからね〜。デモンズ・チェーンをあそこでは使わないのは分かっていたし、リビングデッドは怖くなかったから・・・・まぁちょっと怪しかったけどね」

 

「じゃあまた・・・・」

 

「えぇ、今度やる時は勝たせてもらうわよ」

 

「こっちも負けません」

 

僕とレミさんは握手して、それぞれのベンチへと戻る。ベンチでは翔悟さんから手洗い歓迎を受けて、他の3人は拍手をしてくれた。

 

「お前すげぇな!!あの猛攻耐え切って、返しのターンの攻撃も防ぐなんて!!」

 

「とても真似できる芸当では無いわね」

 

「す、凄かったです恭輔さん」

 

「ん、確かに。この恭輔の勝ちは大きい」

 

「ありがとうございます。でもこれで勝った訳じゃないですから。あと1勝、祈さん、桜さん、頼みましたよ」

 

「ん、任せて」

 

「ま、任せてください!次は私です!」

 

小さく両手でガッツポーズをして、気合十分の祈さんはそのままデュエルフィールドへと上がっていった。

 

 

 

途中結果 決勝トーナメント 決勝戦

 

中等部2-3 対 高等部1-1

 

第1試合 山吹 翔悟 × ー ○ 水野 奏

第2試合 氷川 絢 ○ ー × 小野寺 響

第3試合 成田 恭輔 ○ ー × 葵 レミ

 

総合結果 2 ーー 1




翔悟「お前、マジでスゲェわ」

絢「あの状況を耐えて勝てるとは・・・しかもノーダメージ」

恭輔「ノーダメージはたまたまですよ」

祈「さ、流石遊輝さんの弟子です」

桜「ん、お兄ちゃんについていけるだけの事はある」

恭輔「師匠の場合、下手したらあれ以上の展開力とロックを掛けてきますから・・・」

祈「つ、次は私です!勝って優勝を決めます!」

桜「待った、そうなったら私の出番無くなる」

絢「そんな事言わないの。多分、読者が一番望んでいた対戦カードなんだから」

翔悟「この二人の対戦、前の小説でも2回しかしていないからな」

恭輔「というわけで次回、『決勝戦 第4試合 正義のヒーローと魂の龍』」

祈「じ、次回もお願いします」


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第43話 決勝戦 第4試合 正義のヒーローと魂の龍

喉ぶっ潰して風邪ひいてダウンして治ったと思ったら突然親族の叔父が亡くなったりして、気分的には物凄く沈んでます。

スバルのデッキに入れちゃ行けんカードなんだけど1種だけ、D・HEROを入れました。『HERO』強化は嬉しいけど、それが『E・HERO』だけとは限らないので・・・特にリンクモンスター。



祈 side

 

『決勝戦、第4試合に出場する生徒はデュエルフィールドに上がりなさい』

 

「ふぅ〜・・・ようやくここまで戻ってきました」

 

一つ深呼吸をした私はそのままデュエルフィールドの階段を見つめる。

思えば3年前の決勝戦、あの日から私の人生感はガラリと変わりました。その前に龍亞さんや龍可さんの復学によりちょっとずつ変わりかけてましたが、あのデュエルで私の人生が180度変わったと言ってもおかしくないです。

 

「(・・・・不思議です。前日はどうしようか悩んでいたのに、いざこの場に立つと気持ちがスッキリしてます)」

 

あのデュエルを経験して私は軽音部の皆さんと関わり、デュエルのレベルも人生経験も大きく学ぶことができました。そして・・・・・私はあのデュエルで人生で初めて恋を知りました。

 

「(・・・・私はあの日、遊輝さんと戦ったあのデュエリストと姿を見て、そして頂いたこのカードを見て、強くなると決めました。そして・・・・)」

 

「おい祈!!何してんだ!?早く上がって来いよ!!」

 

デュエルフィールドに既に上がった私の対戦相手は私の名前を大声で呼ぶ。少しデリカシーに掛けているところは気になりますが・・・・

 

「(今日こそ・・・・リベンジの時です!!)」

 

気合を入れた私は駆け足にデュエルフィールドを上がっていく。向こう側には私の対戦相手で・・・・初恋の相手、スバルさんが待ち構えていた。

 

「どうしたんだ?なんか入れ忘れたカードでもあったのか?」

 

「いえ、そうではなく気合を入れてました」

 

「へぇ〜・・・・祈がそんな事言うんか」

 

「だって、このデュエルは私にとって特別ですから・・・」

 

「・・・・まぁ優勝決定が掛かっているんだし、誰だって特別だろう」

 

「えっ!?い、いや、そう言う意味では」

 

「まあ俺はいつも通り楽しくデュエル出来たら最高なんだけどな!!」

 

私の言葉の解釈を勘違いしたスバルさんはそのままデュエルディスクを起動させる。私も慌ててデュエルディスクを起動し、デッキがオートシャッフルされる。

 

『決勝戦、中等部2-3対高等部1-1、第4試合、櫻井祈vs遊城スバル!デュエルスタート!』

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

 祈 LP 4000 スバル LP 4000

 

「先行は俺だ!まずは手札のV・HEROファリスの効果!手札から『HERO』モンスターを捨て、このカードを特殊召喚する!E・HERO シャドー・ミストを捨て、特殊召喚!」

 

V・HERO ファリス 攻1400

 

スバルさんが手札からシャドー・ミストを捨てて、スバルさんの目の前に鏡が現れてその中からV・HEROファリスが特殊召喚された。

 

「墓地に送られたシャドー・ミストの効果、チェーン2でファリスの効果!ファリスは特殊召喚成功時、デッキからこのカード以外の『V・HERO』モンスターを永続罠扱いで魔法・罠ゾーンに置く!俺はV・HERO インクリースをセット!さらに墓地に送られたシャドー・ミストの効果!デッキから『HERO』モンスターを手札に加える!俺はE・HERO エアーマンを手札に加える!」

 

特殊召喚されたファリスの目が赤く光り、スバルさんのデッキから1枚のカードが飛び出して魔法・罠ゾーンに置かれる。HEROの仮面だけがフィールドに存在する。

 

「さらに永続罠扱いのV・HERO インクリースの効果!お互いのメインフェイズ時、自分フィールドの『HERO』モンスター1体をリリースしてこのカードを特殊召喚する!ファリスをリリースして特殊召喚!」

 

V・HERO インクリース 守1100

 

スバルさんの場のV・HEROファリスがリリースされ、魔法・罠ゾーンに存在したHEROの仮面が動き出し、インクリースが特殊召喚された。

 

「インクリースの効果!このカードが特殊召喚した場合、デッキからこのカード以外の『V・HERO』を特殊召喚する!V・HERO ヴァイオンを特殊召喚!」

 

V・HERO ヴァイオン 攻1000

 

「ヴァイオンの効果!このカードが特殊召喚に成功した場合、デッキからヴァイオン以外の『HERO』モンスターを墓地に送る!俺はD・HERO ディアボリックガイを墓地に送る!さらにヴァイオンの効果!墓地の『HERO』モンスターを除外してデッキから融合を手札に加える!墓地からシャドー・ミストを除外!現れろ!世界を救うサーキット!」

 

特殊召喚されたヴァイオンの効果でディアボリックガイが落とされ、さらに墓地のシャドー・ミストを状況して融合をサーチ、そしてそのままリンク召喚へと流れるように動く。全く持って隙がない。

 

「アローヘッド確認!召喚条件は戦士族モンスター2体!俺はインクリースとヴァイオンをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、X・HERO クロスガイ!」

 

X・HERO クロスガイ 攻1600 ↙︎ ↘︎

 

リンクマーカーの矢印が2つ光ってリンクマーカーの中からクロスガイが飛び出してくる。

 

「クロスガイの効果!このカードがリンク召喚に成功した場合、墓地の『D・HERO』モンスターを特殊召喚する!墓地からディアボリックガイを特殊召喚!」

 

D・HERO ディアボリックガイ 守800

 

「さらにクロスガイの効果!自分フィールドの『D・HERO』モンスターをリリースして、デッキからリリースしたモンスターとは別の『HERO』モンスターを手札に加える!ディアボリックガイをリリースして、俺はE・HERO ソリッドマンを手札に加える!カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

 

スバル 手札 4枚 LP 4000

 

ーー▲▲ー ー

ーーーーー

ー ○

ーーーーー

ーーーーー ー

 

祈  手札  5枚 LP 4000

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

祈  手札  6枚

 

「魔法カード、予想GUY!自分フィールドにモンスターが存在しない場合、デッキからLv4以下の通常モンスターを特殊召喚します!ジェムナイト・ラピスを特殊召喚!」

 

ジェムナイト・ラピス 攻1000

 

「通常召喚!ジェムレシス!」

 

ジェムレシス 攻1700

 

「ジェムレシスの効果!このカードが召喚に成功した時、デッキから『ジェムナイト』モンスターを手札に加えます!ジェムナイト・オブシディアを手札に加えます!輝いて!煌めく世界へのサーキット!」

 

予想GUYで特殊召喚したジェムナイト・ラピスと通常召喚したジェムレシスがリンクマーカーの中に入り、右斜め下と左斜め下の矢印が赤く光る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件は『ジェム』モンスター2体!私はジェムナイト・ラピスとジェムレシスをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚、リンク2、ジェムナイト・ファントムルーツ!」

 

 ジェムナイト・ファントムルーツ 攻1450 ↙︎ ↘︎

 

リンクマーカーの中からジェムナイト・ファントムルーツが飛び出してくる。

 

「ジェムナイト・ファントムルーツの効果!リンク召喚に成功した場合、デッキから『ジェムナイト』カードを手札に加えます!ジェムナイト・フュージョンを手札に加えます」

 

「早速手札に加えたか・・・思いっきりやろうぜ!」

 

「魔法カード、ジェムナイト・フュージョン!手札のジェムナイト・オブシディアとジェムナイト・サフィア、ジェムナイト・ルマリンの3体を融合!融合召喚!ジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤ!」

 

ジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤ 攻3400

 

手札に加えたジェムナイト・フュージョンを発動、手札に加えたジェムナイト・オブシディアととジェムナイト・ガネット、そしてジェムナイト・ルマリンの3体で融合して、ジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤが融合召喚される。

 

「墓地に送られたジェムナイト・オブシディアの効果!手札から墓地に送られた場合、墓地のLv4以下の通常モンスターを特殊召喚します!墓地からジェムナイト・ラピスを特殊召喚!ブリリアント・ダイヤの効果発動!自分フィールドの『ジェムナイト』モンスターをリリースして、EXデッキから『ジェムナイト』融合モンスターを召喚条件を無視して特殊召喚します!ジェムナイト・ラピスをリリース!ジェムナイトレディ・ラピスラズリを特殊召喚!」

 

 ジェムナイトレディ・ラピスラズリ 攻2400

 

ブリリアント・ダイヤの効果でオブシディアの効果で特殊召喚したジェムナイト・ガネットをリリース、その後からジェムナイトレディ・ラピスラズリが特殊召喚される。

 

「ラピスラズリの効果!デッキまたはエクストラデッキから『ジェムナイト』モンスターを墓地に送り、フィールドの特殊召喚されたモンスターの数×500ポイントのダメージを与えます!デッキからジェムナイト・ラズリーを墓地に送り、フィールドに特殊召喚されたモンスターは4体!2000ポイントのダメージを与えます!」

 

私のデッキからジェムナイト・ラズリーのカードを墓地に送り、ラピスラズリが一歩前に出てフィールドのモンスターの数だけエネルギーを貯めて、それをスバルさんに向かって発射する。

 

「ぐっ!?」

 

スバル LP 4000→2000

 

「さらに墓地に送られたジェムナイト・ラズリーの効果!墓地から通常モンスターを手札に戻します!ジェムナイト・ラピスを手札に戻して、ジェムナイト・フュージョンの効果!墓地のジェムナイト・オブシディアをゲームから除外して、墓地のこのカードを手札に加えます!バトル!ブリリアント・ダイヤでクロスガイに攻撃!」

 

「ダメージ計算時、リバースカードオープン!ガード・ブロック!この戦闘ダメージを0にする!」

 

ブリリアント・ダイヤがクロスガイに突撃して攻撃、クロスガイを破壊したけどダメージはスバルさんが発動したガード・ブロックにより無効にされてしまった。

 

「その後、俺はカードを1枚ドロー!」

 

スバル 手札 4枚→5枚

 

「ならジェムナイトレディ・ラピスラズリでダイレクトアタック!」

 

「リバースカードオープン!速攻魔法、クリボーを呼ぶ笛!デッキからハネクリボーを守備表示で特殊召喚!」

 

ハネクリボー 守200

 

スバルさんの残りの伏せカードが発動して、デッキからハネクリボーが飛び出してくる。

 

「うっ・・・なら仕方ないです。ラピスラズリでハネクリボーに攻撃!」

 

ラピスラズリは攻撃対象をスバルさんからハネクリボーに変更して攻撃、ハネクリボーはそのまま破壊される。

 

「ハネクリボーの効果!このカードが戦闘で破壊されたターン、俺は戦闘ダメージを受けない!」

 

そうなんですよね・・・スバルさん相手に長期戦はこっちが不利になるから出来る限り早くに決着を付けたかったのですが・・・

 

「・・・心配するなって、勝てる」

 

「?ス、スバルさん?」

 

「えっ?あっ、いや・・・続けてくれ」

 

「は、はぁ・・・メインフェイズ2、カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

スバル 手札 5枚 LP 2000

 

ーーーーー ー

ーーーーー

○ ー

○ー○ーー

ーーー▲ー ー

 

祈  手札  3枚 LP 4000

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

スバル 手札 6枚

 

「魔法カード、ヒーローアライブ!自分フィールドにモンスターが存在しない場合、ライフを半分払う事でデッキからLv4以下の『E・HERO』モンスターを特殊召喚する!2体目のE・HERO シャドー・ミストを特殊召喚!」

 

スバル LP 2000→1000

E・HERO シャドー・ミスト 攻1000

 

「うっ・・・一番嫌なモンスターです・・・」

 

「シャドー・ミストの効果!このカードが特殊召喚に成功した場合、デッキから『チェンジ』速攻魔法を手札に加える!マスク・チェンジを加えて、通常召喚!E・HERO ソリッドマン!」

 

E・HERO ソリッドマン 攻1300

 

「ソリッドマンの効果!手札からLv4以下の『HERO』モンスターを特殊召喚する!E・HERO エアーマンを特殊召喚!」

E・HERO エアーマン 攻1800

 

「エアーマンの効果!このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、フィールドのこのカードの『HERO』モンスターの数まで、フィールドの魔法・罠を選んで破壊する!と言っても破壊するのはその一枚だけだけどな!」

 

「リバースカードオープン!罠カード、次元障壁!」

 

「はあぁ!?」

 

「私が宣言したモンスターの種類はこのターン、特殊召喚出来ず、効果を発動できません!宣言するのは融合!」

 

エアーマンの両方の扇風機のよつな翼が回転して私の伏せカードに向かってサイクロンのように破壊しようとするが、その前に私がその伏せカードを発動して、フィールドは大きな障壁が張られる。

 

「え、えぇ・・・・それは予想外だぜ・・・」

 

「いつ破壊されるか分からないですからね、最近はフリーチェーンで発動できるカードを入れるようにしてます」

 

「困ったな・・・仕方ねぇ、プランを変えよう。墓地のディアボリックガイの効果発動!このカードをゲームから除外して、デッキから2体目のディアボリックガイを特殊召喚!現れろ!世界を救うサーキット!アローヘッド確認!召喚条件は戦士族モンスター2体!俺はディアボリックガイとソリッドマンをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、聖騎士の追想 イゾルデ!!」

 

聖騎士の追想 イゾルデ 攻1600 ↙︎ ↘︎

 

「イゾルデの効果!このカードのリンク召喚成功時、デッキから戦士族モンスターを手札に加える!俺が加えるのはE・HERO オネスティ・ネオス!」

 

「うっ・・・厄介なカード・・・」

 

「この効果で加えたオネスティ・ネオスはこのターン、召喚・特殊召喚出来ず、さらに同名カードを含めて効果をこのターンには使えない!墓地の2体目のディアボリックガイの効果!このカードを除外して3体目のディアボリックガイを特殊召喚!現れろ!世界を救うサーキット!」

 

今度はイゾルデとエアーマン、3体目のディアボリックガイがリンクマーカーの中に入り、上と下、左斜め下と右斜め下の矢印が赤く光る。リンク4、大型のリンクモンスターが来る!

 

「アローヘッド確認!召喚条件はリンクモンスターを含むモンスター2体以上!俺はリンク2のイゾルデとエアーマン、ディアボリックガイの3体をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク4、破械雙王神ライゴウ!」

 

破械雙王神ライゴウ 攻3000 ↑ ↙︎ ↓ ↘︎

 

リンクマーカーの中から現れたのはヒーローを使うスバルさんには似合わない、邪悪なオーラを纏った大きな四足の獣だった。その獣からは負のオーラが可視できるくらいに漏れている。

 

「バトル!破械雙王神ライゴウでジェムナイト・ファントムルーツに攻撃!」

 

破械雙王神ライゴウ 攻3000

ジェムナイト・ファントムルーツ 攻1450

 

祈 LP 4000→2450

 

破械雙王神ライゴウが大きくジャンプしてジェムナイト・ファントムルーツを捕らえる。そのままジェムナイト・ファントムルーツを爪で引き裂き、破壊した。

 

「ぐううぅ!!!!」

 

「破械雙王神ライゴウの効果!このカード以外のフィールドのモンスターが戦闘で破壊された場合、フィールドのカード1枚を対象に取り、破壊する!破壊するのはジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤ!」

 

ジェムナイト・ファントムルーツを破壊した破械雙王神ライゴウはそのままブリリアント・ダイヤを睨み付け、大きな咆哮をあげる。ブリリアント・ダイヤはその咆哮で怯んでしまい、一瞬の隙をつかれ、破械雙王神ライゴウにとらわれて破壊されてしまう。

 

「うっ・・・・(だけどラピスラズリが残ったのなら・・・)」

 

「カードを2枚伏せてターンエンド!エンドフェイズ、破械雙王神ライゴウの効果!自分・相手のエンドフェイズにフィールドのカード1枚を対象に取り、破壊する!」

 

「ま、また!?」

 

「対象はジェムナイトレディ・ラピスラズリ!」

 

破械雙王神ライゴウが今度はラピスラズリを睨みつけ、そのまま飛び掛かる。ラピスラズリを捕まえて、そのまま爪で引き裂いて破壊しれてしまった。

 

 

スバル 手札 3枚 LP 1000

 

ーー▲▲ー ー

ーーーー○

ー ○

ーーーーー

ーーーーー ー

 

祈  手札  3枚 LP 2450

 

 

「ぐっ・・・私のターン!ドロー!」

 

祈 手札 4枚

 

「スタンバイフェイズ、速攻魔法、マスク・チェンジ!シャドー・ミストをリリース!変身!M・HERO ダーク・ロウ!」

 

M・HERO ダーク・ロウ 攻2400

 

「で、出てきてしまいましたか・・・」

 

スバルさんが発動したマスク・チェンジにより、フィールドのシャドー・ミストがリリースされ、天敵であるダーク・ロウがフィールドに現れた。

 

「墓地に送られたシャドー・ミストの効果!デッキからE・HERO ダーク・ネオを手札に加える!」

 

まずはあのダーク・ロウを何とかしつつ、ライゴウの除去も考えないと・・・

 

「魔法カード、壺の中の魔術書!互いのプレイヤーは3枚ドローする!」

 

祈 手札 3枚→6枚 スバル 手札 4枚→7枚

 

「ダーク・ロウの効果!相手がドローフェイズ以外でデッキからカードを手札に加えた場合、相手の手札1枚をランダムに除外する!」

 

「・・・・!!速攻魔法、禁じられた聖杯!」

 

「はあぁ!?」

 

「M・HERO ダーク・ロウを対象に取り、攻撃力を400ポイントあげる代わりにこのターンの終了時まで効果を無効にします!」

 

M・HERO ダーク・ロウ 攻2400→2800

 

ダーク・ロウの上に聖杯を持った天使が現れて、ダーク・ロウの上に聖杯の中に注がれた液体を流す。聖杯の液体を触れたダーク・ロウからエネルギーが抜け取られる。これで動けます!

 

「永続魔法、ブリリアント・フュージョンを発動!」

 

「えっ!?それも引いたのか!?」

 

「いえ・・・これは最初から。デッキからジェムナイト・ラズリー2体とジェムナイト・クォーツの3体を墓地に送り、攻撃力と守備力を0にしてこのモンスターを融合召喚します!西洋の武器に秘められし黒真珠が窮地に駆けつける!全てを薙ぎ払え!!融合召喚!!ジェムナイト・ダークパール!!」

 

ジェムナイト・ダークパール 攻3300→0

 

ブリリアント・フュージョンによってデッキからジェムナイト・ラズリー2体とジェムナイト・クォーツの3体が墓地に送られて、私のフィールドにジェムナイト・ダークパールが特殊召喚される。

 

「げぇ!?そいつは!?」

 

「ダークパールの効果!融合召喚成功時、自分フィールドにこのカード以外のモンスターが存在しない場合、フィールドのカード2枚を破壊します!破械雙王神ライゴウと右側の伏せカードを破壊します!ハルバード・スラッシュ!」

 

融合召喚されたダークパールが前に飛び出して、スバルさんの場の破械雙王神ライゴウと伏せカード、リビングデッドの呼び声を斬り付けて破壊する。

 

「ぐううぅ!!!!」

 

「さらに墓地に送られたジェムナイト・ラズリー2体の効果!墓地からジェムナイト・サフィアとジェムナイト・クォーツを回収します!ジェムナイト・サフィアを召喚!輝いて!煌めく世界へのサーキット!」

 

再びリンクマーカーが私の上に現れて、ダークパールとジェムナイト・サフィアがリンクマーカーの中に入る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件は『ジェム』モンスター2体!私はジェムナイト・サフィアとジェムナイト・ダークパールをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚、リンク2、ジェムナイト・ファントムルーツ!」

 

通常召喚したジェムナイト・ガネットとダークパールをリンク素材としてリンクマーカーの中に入り、2体目のジェムナイト・ファントムルーツをリンク召喚する。

 

「ジェムナイト・ファントムルーツの効果!デッキから2枚目のジェムナイト・フュージョンを手札に加えます!ジェムナイト・フュージョンを発動!手札のジェムナイト・ガネットとジェムナイト・クォーツで融合!融合召喚!天空に輝きしクンツァイトの巫女が天使の歌声と共に現れる!ジェムナイト・クンツァイト!」

 

ジェムナイト・クンツァイト 攻2000

 

再び発動したジェムナイト・フュージョンにより、手札に回収したジェムナイト・ガネットとジェムナイト・クォーツの2体が融合、ジェムナイト・クンツァイトが融合召喚される。

 

「!?そ、そいつは!?」

 

「ジェムナイト・クンツァイトの効果!融合召喚に成功した時、墓地の『ジェムナイト』と名のついたモンスターを5体まで除外します!私はジェムナイト・ラズリー2体とジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤ、ジェムナイトレディ・ラピスラズリ、ジェムナイト・ファントムルーツの5体を除外!輝石の舞、鎮魂の儀!」

 

ジェムナイト・クンツァイトの効果により、私の墓地の5体のジェムナイトモンスターが光となり、全てがジェムナイト・クンツァイトに吸収されていく。

 

「墓地のジェムナイト・フュージョンの効果!墓地のジェムナイト・サフィアをゲームから除外してこのカードを手札に加えます!ジェムナイト・クンツァイトは互いの除外したカードの枚数×300ポイント、攻撃力と守備力が上がります!スバルさんは3枚、私は8枚!」

 

ジェムナイト・クンツァイト 攻2000→5300

 

これで勝てる!ジェムナイト・クンツァイトの攻撃力とダーク・ロウの攻撃力の差は2500、オネスティ・ネオスを使われても同じ攻撃力で同時に破壊、仮にファントムルーツの攻撃が通らなくても、ファントムルーツの効果を使って2体目のラピスラズリを出せばそれで1000ダメージ!

 

「(これでリベンジが果たせます!)バトル!ジェムナイト・クンツァイトでM・HERO ダーク・ロウに攻撃!輝石の舞、武闘の儀!!」

 

「リバースカードオープン!罠カード、レインボー・ライフ!」

 

「!?レ、レインボー・ライフ!?」

 

「手札のE・HERO アナザー・ネオスを捨てて、このターンに俺が受ける全てのダメージ分だけライフを回復する!」

 

ジェムナイト・クンツァイト 攻5300

M・HERO ダーク・ロウ 攻2800

 

 スバル LP 1000→3500

 

「レ、レインボー・ライフ・・・・」

 

「最近、祈ってバーンで勝ち切る事も多かっただろ?だからバーン対策でもあり1ショットでも耐えて、且つフリーチェーンのこのカードを入れたって訳だ。祈が次元障壁で対策してきたのと同じ理屈だ」

 

スバルさんの言葉を聞いて私はスッとした。確かに私がスバルさんに向けて対策してきたんです。そしてそれはスバルさんも一緒。

 

「(・・・・やっぱり、手強いですね。こうなるともう、このブリリアント・スパークにしか私には手がありません)メインフェイズ2、カードを1枚伏せてターンエンドです」

 

 

スバル 手札 6枚 LP 3500

 

ーー▲▲ー ー

ーーーーー

○ ー

○ーーーー

ー△ー▲ー ー

 

祈  手札  3枚 LP 2450

 

 

「くぅ・・・・あれ返されるか」

 

「こっちのセリフです・・・まさか攻撃だけじゃなくてラピスラズリのバーンまで警戒されているとは思いもしませんでした」

 

「やっぱ祈は強いなぁ・・・・だからこそ、デュエルは楽しいんだけど!!俺のターン!ドロー!」

 

 スバル 手札 7枚

 

「魔法カード、大欲な壺!除外されているディアボリックガイ2枚とシャドー・ミストの3体のモンスターをデッキに戻してシャッフル!」

 

スバルさんの除外されているディアボリックガイ2枚とシャドー・ミストの3体がスバルさんのデッキに戻る。これでまたディアボリックガイの効果が・・・・

 

「そして大欲な壺の効果で1枚ドロー!そして除外されたカードが3枚減った事でクンツァイトの攻撃力も下がる!」

 

ジェムナイト・クンツァイト 攻5300→4400

 

「まあ正直、これはあんまり関係無いかもな。墓地のディアボリックガイの効果!このカードをゲームから除外してデッキからディアボリックガイを特殊召喚!さらに手札のV・HERO ファリスの効果!手札のE・HERO バブルマンを捨てて、特殊召喚!ファリスの効果!デッキから2枚目のインクリースを魔法・罠ゾーンにセット!」

 

「ま、また・・・・大量展開・・・」

 

「永続罠扱いのインクリースの効果!フィールドのファリスをリリースして特殊召喚!効果発動!V・HERO ヴァイオンを特殊召喚!」

 

再び永続罠扱いでセットされたインクリースはフィールドのファリスをリリースして特殊召喚される。

 

「ヴァイオンの効果!デッキからさっき戻したシャドー・ミストを墓地に送り、シャドー・ミストの効果!デッキから2枚目のエアーマンを手札に加える!現れろ!世界を救うサーキット!アローヘッド確認!召喚条件は戦士族モンスター2体!俺はインクリースとディアボリックガイをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、X・HERO クロスガイ!」

 

スバルさんが連続して特殊召喚を行い、すぐにフィールドにモンスターを並べ、リンク召喚を行う。

 

「クロスガイの効果!墓地からディアボリックガイを特殊召喚!魔法カード、融合!フィールドのディアボリックガイと手札のエアーマンで融合!世界を光輝かせろ!融合召喚!E・HERO サンライザー!」

 

E・HERO サンライザー 攻2500

 

スバルさんの手札に加えられたエアーマンとフィールドのディアボリックガイが融合され、青いマントをつけ、赤いヒーロースーツを着た人型のモンスターが現れる。

 

「サンライザーの効果発動!融合召喚成功時、デッキからミラクル・フュージョンを手札に加える!」

 

「ミ、ミラクルフュージョンを手札に!?」

 

「だけど・・・今日決めるのはお前だ!チューナーモンスター、E・HERO ダーク・ネオを召喚!」

 

E・HERO ダーク・ネオ  攻0

 

「ダーク・ネオの効果発動!召喚時、手札の融合または『フュージョン』カードを捨て、墓地の『HERO』融合モンスターを召喚条件を無視して特殊召喚する!手札のミラクル・フュージョンを捨て、M・HERO ダーク・ロウを特殊召喚!」

 

召喚したダーク・ネオ、その効果で手札に加えられたミラクル・フュージョンを捨てて、スバルさんの墓地からダーク・ロウが復活する。

 

「この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力と守備力は0、効果は無効になり、レベルは1つ下がる!」

M・HERO ダーク・ロウ 攻2400→0、☆6→☆5

 

「行くぜ!Lv5のダーク・ロウにLv3のダーク・ネオをチューニング!」

 

☆5 + ☆3 = ☆8

 

「摩天楼の暗闇に潜む魂が月光の光に反射する。勝利の雄叫びをあげろ!シンクロ召喚!轟け!E・HERO スピリット・ドラゴン!」

 

E・HERO スピリット・ドラゴン 攻2200

 

上にジャンプしたダーク・ネオは3つの緑色の輪になり、その中にダーク・ロウが入って5つの星となる。それらが一つの光へと集まり、大きな満月へと変わる。その満月が照らされたフィールドに地響きが起こり、地面が割れてその中から翼を羽ばたかせた青白いドラゴンがフィールドに現れた。

 

「スピリット・ドラゴン・・・・・」

 

「スピリット・ドラゴンの効果発動!墓地の『HERO』融合モンスターをゲームから除外して、次の相手ターンのエンドフェイズまで、そのモンスターの攻撃力の半分だけアップして、同じ効果を得る!俺が選ぶのはM・HERO ダーク・ロウ!スピリットドレイン!」

 

 『ギャアアアア!!!!』

 

スピリット・ドラゴンの咆哮で墓地に眠っていたダーク・ロウが現れて、魂のように光へと変わり、スピリット・ドラゴンに吸収された。

 

E・HERO スピリット・ドラゴン 攻2200→3400

 

「さあこれで終わりだぜ!バトル!スピリット・ドラゴンでジェムナイト・ファントムルーツに攻撃!」

 

「だけどまだ私のライフは!!」

 

「忘れてないか?手札のE・HERO オネスティ・ネオスの効果発動!」

 

「あっ・・・・」

 

「自分の『HERO』モンスターが戦闘を行う時、手札のこのカードを捨てる事でその戦闘を行うモンスターの攻撃力を2500ポイントアップする!」

 

スバルさんの手札にいたオネスティ・ネオスがスピリット・ドラゴンの後ろに現れる。そのままオネスティ・ネオスは消えてしまうけど、オネスティ・ネオスにあった白い羽はスピリット・ドラゴンに残されて、スピリット・ドラゴンの身体はひと回り大きくなる。

 

「行けえぇぇ!!!フレア・アースシュート!!!」

 

E・HERO スピリット・ドラゴン 攻3400→5900

ジェムナイト・ファントムルーツ 攻1450

 

祈 LP 2450→0

 

 WIN スバル  LOS 祈

 

 

『そこまで!勝者、高等部1-1、遊城スバル!!』

 

『わああああああああ!!!!!』

 

スバルさんが勝ち、ソリッドビジョンが消えて私達の周りにいる生徒は大きな歓声を上げる。私は脱力してしまい、膝が崩れ落ちてしまう。そんな様子を見たスバルさんは慌てた様子でこっちにやって来た。

 

「お、おいおい、大丈夫かよ?」

 

「え、ええ・・・・なんか・・・・一気に疲れました・・・」

 

「そうか・・・・それだけお互い全力で出し切ったって事だな」

 

「・・・・はい」

 

「ところで祈、最後の伏せカード何だったんだ?ブラフか?」

 

「い、いえ。ブリリアント・スパークです」

 

「ああ・・・・じゃあ余計な事しなくて正解だったのか、一瞬クンツァイト倒したほうが格好いいかなって思ったけど」

 

「・・・クス、そうかもしれないですね」

 

少し失敗したような顔をして苦笑いを浮かべているスバルさんを見て、私は微笑んでしまった。やっぱり、こういうところがこの人の良いところです。とにかく純粋なこの人が、私の初恋の人です。

 

「まぁ良いか・・・・っとそうだ。ガッチャ!楽しいデュエルだったな!!」

 

「・・・・はい!!私もです!!」

 

スバルさんはこっちに向けて右手を突き出してお決まりの決めポーズを決める。私もそれに応えるように同じポーズをして、デュエルフィールドから離れる。

 

「すみません、負けてしまいました」

 

「いや、あれは仕方ないわよ。良くやったわ」

 

「お前が勝つチャンス2回もあってそれ全部乗り越えたんだからな」

 

「翔吾、違う。祈は3回チャンスあった」

 

「あ゛っ?」

 

「こらこら二人とも、喧嘩しないでください。桜さん、余計なことを言わないでください」

 

「私は事実を言っただけ」

 

「んだと!!」

 

桜さんと翔吾さんの些細な口喧嘩から言い争いへと発展してそれを恭輔さんと絢さんが止めに入る。そんな様子を見て、私はスバルさんがいる反対側の方を見る。

 

「(やっぱり私の憧れる人は近くて遠い存在です。だからこそ、私がスバルさんに勝ってから・・・・・告白します)」

 

 

途中結果 決勝トーナメント 決勝戦

 

中等部2-3 対 高等部1-1

 

第1試合 山吹 翔悟 × ー ○ 水野 奏

第2試合 氷川 絢 ○ ー × 小野寺 響

第3試合 成田 恭輔 ○ ー × 葵 レミ

第4試合 桜井 祈 × ー ○ 遊城 スバル

 

総合結果 2 ーー 2




恭輔「相変わらずスバルさん強いですね」

絢「確かスバルさんは天性のドローの持ち主でしょ?それが今回はサーチばかりしてすごい堅実に言ったわね」

桜「HERO強化されまくっているから。それがEだけじゃなくてDとかVとかばかりだけど」

翔吾「なんか間接的に強化されていっているよな」

祈「あ、あと一歩だったんですけど・・・残念です」

桜「ん、祈の仇は私が打つ。そしてお兄ちゃんに勝って優勝して、私が強いことを証明してお小遣いをもらう」

絢「まだ言っているのですか・・・・」

翔吾「って言うか祈だけじゃなくて俺は!?」

桜「・・・・・自業自得の負け方」

翔吾「俺そんな酷い負け方してないからな!?」

恭輔「やれやれ・・・次回、『決勝戦 第5試合 振り子の魔術師と双陽龍』。次回もよろしくお願いします」


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第44話 決勝戦 第5試合 振り子の魔術師と双陽龍 前編

バイトがある中で就活始まりました。
今後の執筆ペースはこれくらいだと思ってください。

いつもとは雰囲気が違う、遊輝と桜のガチの読み合いのデュエルを意識してみました。

・・・・決勝戦の最後ってこんなに長くなる予定無かったんだ(汗)ただ、もっと続くとなるとここで一回区切らないと。


桜 side

 

『決勝戦、第5試合に出場する生徒はデュエルフィールドに上がりなさい』

 

「来た、来た・・・」

 

「気合い入ってますね」

 

「だって私のお小遣いが掛かっているから」

 

「貴方、それしか言葉を知らないのですか?」

 

決勝戦の第5試合、つまり大将戦が始まることに周りの生徒たちの期待は高まり、色々な声が上がる。だけど私からすればそんな物なんてどうでも良い。

遂に、待ちに待った決勝戦の最終戦。お兄ちゃんはリーダーとして最後に上がると予想して恭輔に最後に回してもらったけど、本当にその思い通りになった。後は私が勝って、優勝して、お小遣いの権利をもらうだけ。

 

「頑張れよ桜、優勝して軽音部よりも強い事を証明してくるんだ」

 

「ガッテン」

 

気合を入れた私はデュエルフィールドに上がる。反対側の対戦者スペースにはすでにお兄ちゃんが立っている。

 

「何してたんだ?」

 

「気合い入れて貰った」

 

「気合い、ねぇ・・・・そんな事しても空回りするだけだぞ」

 

「・・・・随分余裕かましている」

 

「何かね、もう慣れた。決勝だぁ、ライブだぁ、命掛けた戦いだぁで」

 

「・・・・・命掛けた戦い?」

 

「何でもねぇよ。まぁでも、優勝は何度でも味わいたいもんだからな・・・・・悪いけど俺も本気で行くぞ」

 

「・・・・私だって負けない」

 

お互いにデュエルディスクを構えてデッキをセットする。周りの生徒の歓声は決勝戦の最終戦ということもあってヒートアップしていく。

 

『決勝戦!中等部2-3対高等部1-1、第5試合!遠藤桜vs遠藤遊輝!デュエルスタート!』

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

桜 LP 4000 遊輝 LP 4000

 

「先行は私、まずは魔法カードテラ・フォーミング。デッキからフィールド魔法、閃刀領域ーエリアゼロを加えて発動」

 

フィールドがアカデミアのデュエルフィールドからエネルギーバリアが貼られたフィールドへと変わる。

 

「魔法カード、おろかな副葬。デッキから錬装融合を墓地に送って、魔法カード、閃刀起動ーエンゲージ」

 

「ブン周りじゃねぇか・・・」

 

「デッキから閃刀機関ーマルチロールを加えて、墓地に魔法カードが3枚以上、1枚ドロー」

 

桜  手札 2枚→4枚

 

「閃刀機関ーマルチロールを発動。効果、閃刀領域ーエリアゼロを墓地に送って、このターン私が発動する魔法カードに対して相手はカード効果を使えない。墓地に送られた閃刀領域ーエリアゼロの効果。デッキから閃刀姫ーレイを特殊召喚」

閃刀姫ーレイ 攻1500

 

発動した閃刀機関ーマルチロールの効果でフィールドにあった閃刀領域ーエリアゼロを墓地に送る。墓地に送られた閃刀領域ーエリアゼロの効果で私のデッキから閃刀姫ーレイがフィールドに現れた。

 

「現れて、未来へ続くサーキット」

 

特殊召喚した閃刀姫ーレイが私の上空にできたリンクマーカーの中に入り、左斜め上の矢印が赤く光る。

 

「アローヘッド確認、召喚条件は火属性以外の『閃刀姫』モンスター1体。私は閃刀姫ーレイをリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン、リンク召喚、フォームチェンジ、閃刀姫ーカガリ」

 

閃刀姫ーカガリ 攻1500 ↖︎

 

「閃刀姫ーカガリの効果。特殊召喚に成功した場合、墓地から『閃刀』魔法カードを回収する。閃刀起動ーエンゲージを加えて、もう一度発動。閃刀起ーウィドアンカーを加えて1枚ドロー」

 

桜 手札 3枚→5枚

 

「閃刀姫ーカガリをリンクマーカーにセット。フォームチェンジ、閃刀姫ーシズク」

 

閃刀姫ーシズク 攻1500 ↗︎

 

「カードを2枚伏せてターンエンド。エンドフェイズ、閃刀領域ーマルチロールの効果、このターンに発動した『閃刀』魔法カードの数だけ墓地から『閃刀』魔法をセットする。2回発動した、閃刀起動ーエンゲージと閃刀領域ーエリアゼロをセット、閃刀姫ーシズクの効果。このカードを特殊召喚したエンドフェイズに墓地に存在しない『閃刀』魔法カードを手札に加える。2枚目の閃刀起動ーエンゲージを加えて、終了」

 

 

桜 手札 4枚 LP 4000 墓地魔法 3

 

▲▲△▲ー ▼

ーーーーー

○ ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

遊輝 手札 5枚 LP 4000

 

 

「・・・とりあえずメタバースが無いことだけ分かったわ」

 

「・・・何故バレる?」

 

「あるんだったらエリアゼロ伏せないだろ、ってか墓地魔法3枚で返してきたか・・・俺のターン!ドロー!」

 

遊輝  手札 6枚

 

「(ウィドアンカーは確定、そうなるともう一枚の可能性が高いのは2枚目か夢幻抱擁あたりか、嫌なことしてくれるわ)」

 

お兄ちゃんが手札と睨めっこして真剣に考え出した。全く持って何を考えているか。

 

「・・・魔法カード、おろかな埋葬。デッキからモンスターを落とす」

 

「・・・・通す」

 

「(・・・目線落としたな。ありゃなんか手札誘発も握ってやがるな)デッキから覇王眷竜ーダーク・ヴルムを落として、効果発動」

 

「手札から増殖するGを発動」

 

「そいつか・・・・・通す(Gならまだ予想範囲だな)」

 

覇王眷竜ダーク・ヴルム 攻1800→1500

 

私の手札から飛び出したGがブンブンと飛び回る。お兄ちゃんの墓地から覇王眷竜ダーク・ヴルムが復活して、G1枚がこっちにやってきて1枚手札を加える。

 

「(そうなると伏せが読めるから展開できないな・・・)ダーク・ヴルムの効果。特殊召喚に成功した場合、デッキから『覇王門』Pモンスターを手札に加える。覇王門零を手札に加える。レフト・Pゾーンにスケール5の慧眼の魔術師、ライト・Pゾーンにスケール5の慧眼の魔術師をセット」

 

「・・・・何も無い」

 

「魔法カード、デュエリスト・アドベント。デッキから『ペンデュラム』Pモンスター、または魔法・罠を手札に加える」

 

「それも通す」

 

「(・・・・今のところうららは無さそうだな)俺はデッキから永続魔法、星霜のペンデュラムグラフを加える」

 

お兄ちゃんが加えたカードを聞いて、私は心の中で舌打ちをした。いつもならEM ペンデュラム・マジシャンを加えてくれるのに、伏せカードが分かっているから星霜のペンデュラムグラフを加えてきた。

 

「そのまま星霜のペンデュラムグラフを発動、慧眼の効果」

 

「・・・・通す」

 

「もう片方のPゾーンが『魔術師』または『EM』Pカードの場合、自身を破壊してデッキから別の『魔術師』PモンスターをPゾーンにセットする。スケール8の虹彩の魔術師をセット、永続魔法、星霜のペンデュラムグラフの効果。自分フィールドの『魔術師』Pモンスターがフィールドから離れた場合、デッキから『魔術師』Pモンスターを手札に加える。賤竜の魔術師を手札に加える」

 

「賤竜の魔術師?」

 

「レフト・Pゾーンの慧眼の魔術師の効果。自身を破壊して、スケール2の賤竜の魔術師をセット。手札のクロノグラフ・マジシャンの効果」

 

「・・・・通す」

 

「自分フィールドのカードが破壊された場合、手札からこのカードを特殊召喚、その後、手札のモンスターを特殊召喚できる。クロノグラフ・マジシャン、その後で賤竜の魔術師を特殊召喚」

 

賤竜の魔術師 攻2100→1800

クロノグラフ・マジシャン 攻2000→1700

 

「増殖するGで1枚ドロー」

 

お兄ちゃんが手札からクロノグラフ・マジシャン、その後にクロノグラフ・マジシャンを特殊召喚して私は1枚ドローする。同時で特殊召喚だからこれ以上のドローはできない。っというかお兄ちゃん手札良すぎ、増殖するG打ってなかったら、EM ペンデュラム・マジシャンが飛んできてヤバいことになっていた。

 

「レフト・Pゾーンの賤竜の魔術師のP効果。もう片方のPゾーンが『魔術師』Pモンスターの場合、EXデッキの表側の『魔術師』または『オッドアイズ』Pモンスターを手札に戻す。慧眼の魔術師を手札に戻す」

 

Pゾーンの賤竜の魔術師が杖を振り回し、お兄ちゃんのEXデッキの慧眼の魔術師が手札に戻る。

 

「ライト・Pゾーンの虹彩の魔術師の効果、自分フィールドの闇属性・魔法使い属モンスターを対象にとり、そのモンスターが相手モンスターを倒して戦闘ダメージを与えた時、倍にする」

 

「・・・通す」

 

「対象はクロノグラフ・マジシャン、その後自身を破壊する」

 

虹彩の魔術師がクロノグラフ・マジシャンの後ろに着き、エネルギーを与える。その後、クロノグラフ・マジシャンは破壊される。

 

「破壊された虹彩の魔術師の効果。デッキから『ペンデュラムグラフ』カードを手札に加える」

 

「・・・・通す」

 

「デッキから永続罠、時空のペンデュラムグラフを手札に加える。Lv6の賤竜の魔術師とクロノグラフ・マジシャンでオーバーレイ」

 

 ☆6 × ☆6 = ★6

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築。白夜の地に輝く純白の太陽よ、天空の世界から降臨して、この世界の光の神となれ。エクシーズ召喚、輝け、ホワイト・サン・ドラゴン」

 

 ホワイト・サン・ドラゴン 攻2400→2100

 

『・・・・ギャアアアア!!!!』

 

お兄ちゃんと私のフィールドにブラックホールが現れて、その中に賤竜の魔術師とクロノグラフ・マジシャンが吸い込まれていく。そしてブラックホールから白い太陽が登って、白い太陽が変形してドラゴンへと変わっていった。

 

「・・・・増殖するGで1枚ドロー(何、このモンスター?)」

 

増殖するGの効果で再び1枚ドローしたけど、私は首を傾げた。こんなモンスター、見たことがない。お兄ちゃんだけじゃない、軽音部の5人がドラゴンを特殊召喚していたけど私は全く見たことがない。

 

「ホワイト・サンの効果。オーバーレイ・ユニットを一つ取り除いて、モンスター1体を選択する。対象は自分自身」

 

ホワイト・サン・ドラゴン OVR 2→1

 

「対象のモンスターはこのターン、ダイレクトアタックができる」

 

「!?(ダ、ダイレクトアタック!?だけどここで使ったら、ペンデュラム召喚に対応が・・・)通す」

 

「ライト・サプリメーション!」

 

ホワイト・サン・ドラゴンが自身のオーバーレイ・ユニットを取り除き、天空から光がホワイト・サン・ドラゴンに注がれる。

 

「バトル!ホワイト・サンでダイレクトアタック!サンシャイン・パティズム!」

 

ホワイト・サン・ドラゴンから放たれた攻撃は閃刀姫ーシズクを通り抜けて私へと放たれる。両手をクロスで構え、攻撃を受け止める。

 

桜 LP 4000→1900

 

「っ・・・・効いた」

 

「メイン2、賤竜で回収した慧眼の魔術師をセッティング、効果発動。デッキから紫毒の魔術師をセット。カードを1枚伏せてターンエンド」

 

 

桜 手札 6枚 LP 1900 墓地魔法 3

 

▲▲△▲ー ▼

ーーーーー

○ ー

○ーー○ー

△ー△▲△ ー

 

遊輝 手札 2枚 LP 4000

 

 

「私のターン、ドロー」

 

 桜 手札 7枚

 

あれだけ良い手札だったのにペンデュラム召喚をしなかったってことはこの伏せカード、読まれている可能性がある。見えているウィドアンカーはともかく、夢幻泡影まで読まれているかもしれない。

 

「・・・・カードを1枚セット、永続魔法、閃刀機関ーマルチロールの効果発動、対象はさっき伏せたこのカード」

 

「リバースカードオープン、永続罠、時空のペンデュラムグラフ。自分フィールドの『魔術師』Pカードとフィールドのカード1枚を対象にとり、破壊する。対象は紫毒の魔術師とマルチロールの対象にしているカード」

 

マルチロールの効果を使おうとしたけど、お兄ちゃんが時空のペンデュラムグラフを使い、Pゾーンの紫毒の魔術師と私がさっき伏せた伏せカードを破壊する。

 

「チェーン1、星霜のペンデュラムグラフの効果、チェーン2、紫毒の魔術師の対象をマルチロールにして発動」

 

「・・・・チェーンなし」

 

「紫毒の魔術師の効果で対象のカードを破壊、星霜のペンデュラムグラフの効果でデッキから3枚目の慧眼の魔術師を手札に加える」

 

お兄ちゃんのPゾーンにいった紫毒の魔術師が再び現れて、私のフィールドの閃刀機関ーマルチロールに取り憑いて破壊する。そして星霜のペンデュラムグラフでお兄ちゃんは慧眼の魔術師をデッキから加える。

 

「墓地の錬装融合の効果。このカードをデッキに戻して1枚ドロー」

 

桜 手札 6枚→7枚

 

「(・・・・・死に札が多い、ドローカードも引けないのは辛い)伏せている閃刀起動ーエンゲージを発動」

 

「手札のドロール&ロックバードの効果」

 

「?ドロール&ロックバード?」

 

「相手がこのターン、ドローフェイズ以外でデッキからカードを手札に加えた場合、手札から捨てて発動出来る。このターン、これ以降お互いにデッキからカードを手札に加えられない」

 

「!?」

 

伏せていた閃刀起動ーエンゲージを発動したけど、お兄ちゃんの手札から飛んできたドロール&ロックバードによって閃刀起動ーエンゲージの前に集り、効果を無かったことにされる。

 

「順番間違えたな。錬装融合を発動する前にやるべきだったな」

 

「・・・先に時空を発動したのはこのため、閃刀機構ーマルチロールの効果で伏せられた閃刀起動ーエンゲージはゲームから除外される」

 

お兄ちゃんが灰流うららと増殖するG以外の手札誘発を入れてくるとは予想外だった・・・このターンに決めるためにウィドアンカーを使うよりは次のターン以降に勝つために温存する方が良さそうだ。

 

「閃刀姫ーシズクをリンクマーカーにセット、フォームチェンジ。閃刀姫ーハヤテ」

 

閃刀姫ーハヤテ 攻1500 ↙︎

 

閃刀姫ーシズクがリンクマーカーの中に入り、左斜め下の矢印が赤く光り、閃刀姫ーハヤテがフィールドに現れる。

 

「閃刀姫ーシズクがフィールドに存在しなくなったことで俺の場のモンスターの攻撃力は元に戻る!」

 

覇王眷竜ダーク・ヴルム 攻1500→1800

ホワイト・サン・ドラゴン 攻2100→2400

 

「閃刀姫ーハヤテはダイレクトアタックができる。バトル、閃刀姫ーハヤテでダイレクトアタック」

 

閃刀姫ーハヤテが右足で地面を蹴り、大きく飛び上がる。お兄ちゃんのモンスターを飛ばし、お兄ちゃんに向かって攻撃する。

 

遊輝 LP 4000→2500

 

「ッチ・・・・」

 

「閃刀姫ーハヤテの効果。このカードが戦闘を行なった場合、デッキから『閃刀』カードを墓地に送る。閃刀姫ーロゼを墓地に送る」

 

「・・・・閃刀姫ーロゼ、か」

 

「閃刀姫ーハヤテをリンクマーカーにセット、フォームチェンジ、閃刀姫ーカイナ」

 

閃刀姫ーカイナ 攻1500 ↘︎

 

「閃刀姫ーカイナの効果発動。特殊召喚成功時、相手フィールドのモンスター1体を対象にとり、次の相手ターン終了時まで攻撃できない。対象はホワイト・サン・ドラゴン」

 

特殊召喚した閃刀姫ーカイナがホワイト・サン・ドラゴンを照準に合わせ右手に持った銃を構え、発砲する。球は途中で爆発して網と変わり、ホワイト・サン・ドラゴンを捕まえる。

 

「カードを1枚伏せてターンエンド」

 

 

桜 手札 6枚 LP 1900 墓地魔法 4

 

▲ーー▲▲ ▼

ーーーーー

ー ○

○ーー○ー

△ー△△ー ー

 

遊輝 手札 2枚 LP 2500

 

 

「(・・・ブラフか?)俺のターン、ドロー」

 

遊輝  手札 3枚

 

「(・・・・さて、どこで伏せカードを使わせるか。そろそろうららの事も考えないといけないな)」

 

お兄ちゃんがドローしたカードを見て再び睨めっこを始める。今までにないくらい真剣に考えている。

 

「(・・・・このターンの攻撃は放棄する程でいくか)ライト・Pゾーンに慧眼の魔術師をセット、賤竜の魔術師のP効果。EXデッキの慧眼の魔術師を手札に戻す。慧眼の魔術師のP効果、デッキからスケール8の黒牙の魔術師をセッティング。星霜のペンデュラムグラフの効果」

 

「・・・手札の灰流うららの効果。このカードを捨て、『デッキから手札に加える効果』『デッキから特殊召喚する効果』『デッキから墓地に送る効果』のいずれかが効果に含んだカード効果を無効にする。星霜のペンデュラムグラフの効果を無効にする」

 

星霜のペンデュラムグラフの効果を使おうとしたが、桜の手札からうららが飛んできて、星霜のペンデュラムグラフの効果を無効にされる。

 

「さて・・・・どうしたものか・・・」

 

「・・・ウザイ、考えているフリしないでさっさとして」

 

「・・・・演技しているのにバレるのか。黒牙の魔術師のP効果、相手のモンスター1体を対象にとり、そのモンスターの攻撃力をエンドフェイズまで半分にしてこのカードを破壊する。対象はカイナ」

 

Pゾーンの黒牙の魔術師が飛び出し、閃刀姫ーカイナの後ろに取り付く。

 

 閃刀姫ーカイナ 攻1500→750

 

「破壊された黒牙の魔術師の効果。墓地の闇属性・魔法使い族モンスターを特殊召喚する。クロノグラフ・マジシャンを特殊召喚。ホワイト・サンの効果。対象はクロノグラフ」

 

ホワイト・サン・ドラゴン OVR 1→0

 

「・・・・使わないと負ける。リバースカードオープン、速攻魔法、閃刀機ーウィドアンカー。ホワイト・サン・ドラゴンの効果を無効にする。その後の効果は使わない」

 

ホワイト・サン・の効果をクロノグラフ・マジシャンで使おうとしたため、伏せていた閃刀機ーウィドアンカーを発動した。これを通してしまったら普通に負けてしまう。

 

「まず1枚・・・ホワイト・サンの効果を使用したターン、対象のモンスター以外のモンスターは攻撃できない」

 

「・・・・なるほど、このターンはクロノグラフ・マジシャンしか攻撃できない」

 

「だけど攻撃する気は鼻っからないけどな。魔法カード、セブンストア。自分フィールドのエクシーズモンスターをリリースして1枚ドローする。ホワイト・サンをリリース。・・・・」

 

お兄ちゃんが発動したセブンストアによってホワイト・サンはリリースされお兄ちゃんは1枚ドローする。その時、お兄ちゃんは何かを呟いた。

 

「・・・何言った?」

 

「ん?いや、関係ない。現れろ、未来へ続くサーキット」

 

お兄ちゃんの上空にリンクマーカーが現れて、その中にクロノグラフ・マジシャンと覇王眷竜ダーク・ヴルムが入り、左斜め下と右斜め下の矢印が赤く光る。

 

「アローヘッド確認、召喚条件はPモンスター2体。俺は覇王眷竜ダーク・ヴルムとクロノグラフ・マジシャンをリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン、リンク召喚、リンク2、ベビーメタルフォーゼ・エレクトラム」

 

ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム 攻1800 ↙︎ ↘︎

 

リンクマーカーの中からヘビーメタルフォーゼ・エレクトラムが特殊召喚され、私を見つめてくる。

 

「・・・・エレクトラムの効果。特殊召喚成功時、デッキからPモンスターをEXデッキに置く」

 

「許す訳ない。リバースカードオープン、罠カード、夢幻泡影。ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラムの効果を無効にする」

 

ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラムが動き、お兄ちゃんのデッキからカードを1枚取り出そうとしたが、私が伏せていた夢幻泡影によってエネルギーが吸い取られて無効にする。

 

「この時、このカードがセットされていた状態で発動した場合、相手はこのターンのエンドフェイズまでその縦列の魔法・罠カードの効果は無効になる」

 

「もっとも、その縦列のカードである賤竜の魔術師は使い終わったが・・・レフト・Pゾーンに回収した慧眼の魔術師をセッティング。効果発動、デッキから2枚目の黒牙の魔術師をセッティング。これでLv3から7までのモンスターが同時に召喚可能」

 

「来る・・ペンデュラム召喚」

 

「揺れろ、魂のペンデュラム。天空に描け、光のアーク、ペンデュラム召喚。現れろ、俺のモンスターたち」

 

お兄ちゃんのPゾーンの賤竜の魔術師と黒牙の魔術師の間に大きな振り子が現れ、振り子が大きく触れ始め円を描く。その円の中から3つの光が飛び出してきた。

 

「EXデッキから紫毒の魔術師と黒牙の魔術師、手札から覇王門零を特殊召喚」

 

紫毒の魔術師 守2100

黒牙の魔術師 攻1700

覇王門零 守0

 

3つの光がモンスターへと変わり、紫毒の魔術師、黒牙の魔術師がヘビーメタルフォーゼ・エレクトラムのリンク先に、覇王門零がフィールドに現れる。

 

「Lv4の紫毒の魔術師と黒牙の魔術師でオーバーレイ」

 

☆4 × ☆4 = ★4

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚、ランク4、星刻の魔術師」

 

星刻の魔術師 攻2400

 

お兄ちゃんと私の間にブラックホールが現れて、そこに紫毒の魔術師と黒牙の魔術師が吸い込まれていく。ブラックホールは爆発を起こしてフィールドに星刻の魔術師が特殊召喚された。

 

「星刻の魔術師の効果、オーバーレイ・ユニットを一つ取り除いてデッキから闇属性・魔法使い族モンスターを手札に加える」

 

 星刻の魔術師 OVR 2→1

 

星刻の魔術師がオーバーレイ・ユニットを吸収して両手に魔力を込める。そこから1枚のカードが生まれ、お兄ちゃんの手札に加えられた。

 

「EM ドクロバット・ジョーカーを手札に加える」

 

「・・・めんどくさ」

 

「覇王門零の効果、このカードと自分フィールドのカード1枚を対象に取り、選択したカードを破壊してEXデッキから融合またはシンクロのドラゴン族モンスターを攻守0、効果を無効にして特殊召喚する。対象は黒牙の魔術師」

 

「・・・・ない」

 

覇王門零が黒牙の魔術師を取り込み、自身の円の中央にエネルギーを送り、扉を開く。黒牙の魔術師が生贄となってその扉の中に吸い込まれて、覇王門零の中から1体のドラゴンが特殊召喚される。

 

「瑚之龍を守備表示で特殊召喚」

 

瑚之龍 守800→0

 

「・・・・シンクロチューナー」

 

「その通り。その前に破壊された覇王門零の効果。このカードが破壊された場合、空いているPゾーンに置くことができる。チェーンして破壊された黒牙の魔術師の効果、墓地から紫毒の魔術師を特殊召喚」

 

破壊された黒牙の魔術師が霊となってお兄ちゃんの墓地から紫毒の魔術師を蘇させる。そして破壊された覇王門零はフィールドに残り、お兄ちゃんのPゾーンへと移動した。

 

「・・・ウィドアンカーと夢幻泡影を打ったのに止まらない」

 

「現れろ!未来へ続くサーキット!」

 

再び現れたリンクマーカーの中にヘビーメタルフォーゼ・エレクトラムと瑚之龍の2体のモンスターが入り、再び左斜め下と右斜め下の矢印が赤く光る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件はチューナーを含むモンスター2体!俺はヘビーメタルフォーゼ・エレクトラムと瑚之龍をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、水晶機巧ーハリファイバー!」

 

水晶機巧ーハリファイバー 攻1500 ↙︎ ↘︎

 

「ハリファイバーの効果、デッキからLv3以下のチューナーモンスターを特殊召喚する。EM オッドアイズ・シンクロンを特殊召喚」

 

EM オッドアイズ・シンクロン 攻600

 

「ただし、このターン特殊召喚されたこのモンスターの効果は発動できない。Lv4の紫毒の魔術師にLv2のオッドアイズ・シンクロンをチューニング」

 

☆4 + ☆2 = ☆6

 

「黒炎に包まれし龍よ、目指す頂を超え更なる次元へと進化せよ。シンクロ召喚、Lv6、メタファイズ・ホルス・ドラゴン」

 

メタファイズ・ホルス・ドラゴン 攻2300

 

「!?ま、不味い・・・」

 

「メタファイズ・ホルスの効果発動、このカードのシンクロ召喚成功時、このカードをシンクロ素材にした非チューナーモンスターの種類によって効果を得る。紫毒の魔術師は効果モンスター且つPモンスター、両方の効果を使うことができるが使用するのはPモンスターを素材にした効果、相手は自分のモンスター1体を選び、そのモンスターのコントロールを相手に渡す」

 

「くっ・・・・閃刀姫ーカイナしかいない」

 

シンクロ召喚したメタファイズ・ホルス・ドラゴンの身体が光に当たって眩しく光る。その光を見た閃刀姫ーカイナは目の色が無くなり、無表情となってお兄ちゃんの場に移動する。

 

「これで攻撃できたら終わりだったんだが、まあウィドアンカーと夢幻泡影を使わせるためにホワイト・サンの効果を使ったんだ、必要経費としよう、魔法カード、ペンデュラム・ホルト。自分のEXデッキの表側表示で存在するPモンスターが3種類以上の場合、2枚ドローする。慧眼・紫毒・虹彩の3枚で2枚ドロー」

 

遊輝 手札 1枚→3枚

 

「ただし、このカードを使用した後、デッキから手札にカードを加えることは出来ない。これでターンエンド」

 

 

桜 手札 6枚 LP 1900 墓地魔法 5

 

ーーー▲ー▼

ーーーーー

○ー○ー○

△ー△△△ ー

 

遊輝 手札 3枚 LP 2500

 

 

 




翔吾「・・・・俺、こんな読み合い見たことねぇぞ」

恭輔「ま、まぁ・・・・桜さんのデッキと師匠のデッキは相反するタイプですから」

絢「決勝の最後の試合でこんな頭脳戦になるなんて・・・」

祈「あ、あんな淡々とした遊輝さん初めて見ました」

恭輔「物凄い考えていましたからね・・・桜さんもどこで何を使うのか悩んでいましたし」

翔吾「すげぇ頭痛いのにこれまだ4ターンしか経ってないからな」

祈「そ、それでは次回『決勝戦 第5試合 振り子の魔術師と双陽龍 後編』」

絢「ついに兄妹対決決着よ」


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第45話  決勝戦 第5試合 振り子の魔術師と双陽龍 後編

ようやく決着です・・・・すごい場と墓地と手札の確認作業の繰り返しで大変でしたが、早めに決着を書いて読者様に待たせる訳には行かないので。
いよいよ内のアルバイト会社の年末年始の特大イベントの招集が来ました。あの会場、まじでぶっ倒れるからあんまり行きたく無いけど、年末年始時給上がるからな・・・・


【*11月19日、追記
こんだけ真剣に考えて、プレイング気をつけたのに1カ所プレイングミスしてました。ちょっと直している余裕がないので、そのプレイヤーのミスということにします。真剣勝負の話の中、申し訳ありません】


前回までの状況

 

 

桜 手札 6枚 LP 1900 墓地魔法 5

 

ーーー▲ー▼

ーーーーー

○ ー

○ー○ー○

△ー△△△ ー

 

遊輝 手札 3枚 LP 2500

 

 

 桜 side

 

「(・・・・強い)」

 

お兄ちゃんと改めてデュエルしてそう思わざろうえなかった。私の考えていることや防御札をいとも簡単に突破してくる。長期戦が有利な私のデッキと違ってお兄ちゃんのデッキは短期戦向き、それなのに私と同じ土俵で立ち塞がる。

 

「・・・・私のターン、ドロー」

 

桜 手札 7枚

 

「(だけど負けるつもりはない)魔法カード、閃刀起動ーエンゲージ」

 

「手札の灰流うららの効果。このカードを手札から捨て、相手が発動した『デッキから手札に加える効果』『デッキから特殊召喚する効果』『デッキから墓地に送る効果』のいずれかを含むカード効果を無効にする」

 

「ぐっ・・・・仕方ない、魔法カード、貪欲な壺。墓地の閃刀姫ーカガリ、閃刀姫ーシズク、閃刀姫ーハヤテ、増殖するG、灰流うららの5枚を戻して2枚ドローする」

 

桜 手札 5枚→7枚

 

「・・・・・・水晶機巧ーハリファイバーか」

 

「(・・・・ロゼの特殊召喚を狙っているのか?)」

 

「・・・・伏せているフィールド魔法を発動、閃刀領域ーエリアゼロ」

 

「・・・・まぁスルー」

 

「効果発動、対象はこの伏せカード」

 

「(・・・・・時空を使いたいけど我慢するか)良いぞ」

 

「デッキトップ3枚をめくり、その中に『閃刀』カードがあれば手札に加え、対象のカードは墓地に送られる。1枚目、ツインツイスター、2枚目、強欲で貪欲な壺」

 

足りない・・・・これじゃダメ。この3枚目に・・・・

 

「3枚目・・・・!!閃刀術式ーベクタードブラスト!」

 

「ッチ、まじか・・・・・・」

 

「閃刀術式ーベクタードブラストを手札に加えて、セットされたこのカードは墓地に送られる。魔法カード、閃刀術式ーベクタードブラスト、互いのプレイヤーはデッキの上から2枚を墓地に送り、私の墓地に魔法カードが3枚以上あれば、EXモンスターゾーンの相手のモンスターを全てデッキに戻す」

 

「(・・・・・・ハリファイバー使っても意味ない。ここはハリファイバーをEXデッキに戻してもらおう)何もない」

 

閃刀領域ーエリアゼロで加えた閃刀術式ーベクタードブラストをすぐに発動、互いのデッキの上からカードを2枚墓地に送った後、ベクタードブラストが起動して水晶機巧ーハリファイバーに向けてエネルギーを放ち、乗り込まれた水晶機巧ーハリファイバーはそのままお兄ちゃんのデッキに戻っていった。

 

「この瞬間、墓地の閃刀姫ーロゼの効果発動、相手のEXモンスターゾーンのモンスターが戦闘で破壊された場合、または私のカード効果によってフィールドから離れた場合、墓地から特殊召喚する」

 

閃刀姫ーロゼ 攻1500

 

お兄ちゃんの場から水晶機巧ーハリファイバーが飛ばされた事により、私の墓地にいた閃刀姫ーロゼが飛び出す。閃刀姫ーレイとは違う、大正ロマンを感じさせる服を身に包み、黒いマフラーと黒い学生帽、黒いスパッツと黒一色に染まり、銀髪の髪とクールな顔が逆に目立つ。

 

「この効果で特殊召喚した場合、相手フィールドのモンスター1体の効果を無効にする。対象はメタファイズ・ホルス・ドラゴン」

 

「(使うならここしかねぇ!)特殊召喚処理後、永続罠、時空のペンデュラムグラフの効果!対象は賤竜の魔術師と閃刀姫ーロゼ!」

 

「・・・チェーンで速攻魔法、サイクロン。時空のペンデュラムグラフを破壊する」

 

「なっ!?」

 

お兄ちゃんの時空のペンデュラムグラフが起動してエネルギーを充填し始めたところで私が発動したサイクロンが時空のペンデュラムグラフを巻き込んで破壊する。

 

「永続罠の時空のペンデュラムグラフはこれで効果を発動できない。ついでにスケール2の賤竜の魔術師とスケール0の覇王門零ではお兄ちゃんはペンデュラム召喚できない」

 

「ぐっ・・・・(一番恐れていたことが起きてしまった)」

 

「これで有利になった。現れて、未来へ続くサーキット」

 

閃刀姫ーロゼが飛び上がり、リンクマーカーの中に入る。

 

「アローヘッド確認、召喚条件は火属性以外の『閃刀姫』モンスター1体。私は閃刀姫ーロゼをリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン、リンク召喚、フォームチェンジ、閃刀姫ーカガリ」

 

閃刀姫ーカガリ 攻1500 ↗︎

 

「閃刀姫ーカガリの効果。特殊召喚に成功したため墓地の『閃刀』魔法カードを回収する。閃刀起動ーエンゲージを加えて、発動。閃刀機関ーマルチロールを加えて、墓地に魔法カードが3枚以上あるから1枚ドロー」

 

 桜 手札 6枚→8枚

 

「閃刀姫ーカガリは墓地の魔法カードの枚数×100ポイント、攻撃力がアップする。墓地のカードは9枚」

 

閃刀姫ーカガリ 攻1500→2600

 

「バトル、閃刀姫ーカガリでメタファイズ・ホルス・ドラゴンに攻撃」

 

閃刀姫ーカガリ 攻2600

メタファイズ・ホルス・ドラゴン 攻2300

 

遊輝 LP 2500→2200

 

「ッチ・・・・」

 

「メイン2、閃刀姫ーカガリをリンクマーカーにセット、フォームチェンジ、閃刀姫ーシズク」

 

閃刀姫ーシズク 攻1500 ↖︎

 

「永続魔法、閃刀領域ーマルチロールを発動。カードを3枚セット、エンドフェイズ時、閃刀姫ーシズクの効果。特殊召喚したターンのエンドフェイズ時、墓地に存在しない『閃刀』魔法カードを手札に加える。装備魔法の閃刀機構ーハーキュリーベースを加えてこれで終了」

 

 

桜 手札 5枚 LP 1900 墓地魔法 11

 

▲ー▲△▲ △

ーーーーー

○ ー

ーー○ー○

△ー△ー△ ー

 

遊輝 手札 2枚 LP 2200

 

 

「閃刀姫ーシズクの効果でお兄ちゃんの場のモンスターは私の墓地の魔法カードの枚数×100ポイント攻撃力と守備力がダウンする」

 

閃刀姫ーカイナ 攻1500→400

星刻の魔術師 攻2400→1300

 

「俺のターン、ドロー!」

 

遊輝  手札  3枚

 

「・・・・・・・」

 

お兄ちゃんが再び手札と睨めっこを始める。このデュエル中、お兄ちゃんはずっと私の場と手札、そしてお兄ちゃんの手札を見て考え続けている。

 

「・・・・星刻の魔術師の効果。オーバーレイ・ユニットを取り除いて、デッキから魔法使い族・闇属性モンスターを手札に加える」

 

「・・・・ん、通す」

 

そう言えば星刻の魔術師忘れていた、まあ仕方ない。お兄ちゃんの手札にはドクロバット・ジョーカーはある、ここを止めても意味がない。ここは通さないといけない。

 

 星刻の魔術師 OVR 1→0

 

「・・・・・俺は2枚目のEM オッドアイズ・シンクロンを手札に加える」

 

「・・・2枚目があった」

 

「(・・・ヤバいな。ここに来て増Gによるハンドアドバンテージが重くのしかかってくる。どっちを出したもんか・・・)魔法カード、貪欲な壺。墓地からドロール&ロックバード、ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム、黒牙の魔術師、賤竜の魔術師、灰流うららの5枚を戻して2枚ドロー」

 

遊輝  手札 3枚→5枚

 

お兄ちゃんの墓地から5体のモンスターがデッキやEXデッキに戻って、デッキがシャッフルされて2枚ドローする。

 

「(・・・・ハリファイバーだけじゃなくてエレクトラムが戻ったのも不味い)」

 

とは言え私の伏せカードの1枚は夢幻泡影、2枚目はシャークキャノン、さっきみたいに黒牙の魔術師の蘇生はさせない。灰流うららがないのが不安だけど代わりにエフェクト・ヴェーラーも構えている。

 

「・・・・・・チューナーモンスター、EM オッドアイズ・シンクロンを召喚」

 

EM オッドアイズ・シンクロン 攻200→0

 

「オッドアイズ・シンクロンの効果「手札のエフェクト・ヴェーラーの効果」・・・・脳死かよ」

 

「手札のこのカードを捨て、EM オッドアイズ・シンクロンの効果をエンドフェイズまで無効にする」

 

お兄ちゃんが召喚したEM オッドアイズ・シンクロンの効果を使われる前に手札にあったエフェクト・ヴェーラーを墓地に送る。エフェクト・ヴェーラーがキスをして、効果を発動させない。

 

「ペンデュラム召喚出来ないのにそんな事させない」

 

「(そうだよな・・・伏せカード使わせるか)現れろ、未来へ続くサーキット。召喚条件はチューナーモンスターを含むモンスター2体。俺は閃刀姫ーカイナとEM オッドアイズ・シンクロンをリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン、リンク召喚、リンク2、水晶機巧ーハリファイバー」

 

水晶機巧ーハリファイバー 攻1500→400 ↙︎ ↘︎

 

再び現れたリンクマーカーの中にブルートエンフォーサーとEM オッドアイズ・シンクロンが入り、その中から私が前のターンに戻した水晶機巧ーハリファイバーがリンク召喚される。

 

「ハリファイバーの効果発動」

 

「・・・・・リバースカードオープン、罠カード、夢幻泡影。相手のモンスター1体を対象に取り、その効果をエンドフェイズまで無効にする」

 

リンク召喚したハリファイバーが効果を使おうとしたが、伏せていた夢幻泡影を使い、その発動を無効にする。

 

「そしてこのターン、夢幻泡影をセットした縦列の魔法・罠の効果は無効になる。私から見て左側、お兄ちゃんからは右側の一番端の列は無効になる」

 

「・・・・・・」

 

「これで止まった。賤竜の魔術師と覇王門零のスケールではペンデュラム召喚はできない」

 

「確かにな・・・・じゃあこれは?速攻魔法、揺れる眼差し。お互いのPゾーンのカードを全て破壊する」

 

「なっ・・・」

 

お兄ちゃんが発動した揺れる眼差しにより、フィールドにペンデュラム召喚で使われる大きな振り子が現れて、無造作に揺れる。Pゾーンに存在した賤竜の魔術師と覇王門零はその振り子にまきこまれて破壊される。

 

「この時、破壊した枚数によって効果を得る。1枚以上破壊した場合は相手に500ポイントのダメージ」

 

「ぐっ・・・」

 

桜 LP 1900→1400

 

「2枚以上破壊した場合、デッキからPモンスターを手札に加える。アストログラフ・マジシャンを加える。チェーン1、星霜のペンデュラムグラフ、チェーン2、アストログラフ・マジシャンで発動。自分フィールドのカードが破壊された場合、手札のアストログラフ・マジシャンを特殊召喚」

 

 アストログラフ・マジシャン 攻2500→1400

 

揺れる眼差しの効果が終わり、お兄ちゃんの場の星霜のペンデュラムグラフ、さらに手札に加えられたアストログラフ・マジシャンが反応して、アストログラフ・マジシャンが特殊召喚される。

 

「このカードがこの効果で特殊召喚された場合、このターンに破壊されたモンスター1体を選んでデッキから手札に加える。選ぶのは賤竜の魔術師、そして星霜のペンデュラムグラフの効果、自分フィールドの『魔術師』Pカードがフィールドから離れた場合、デッキから『魔術師』Pモンスターを手札に加える。チューナーモンスター、調弦の魔術師を手札に加える」

 

「(・・・・不味い、揺れる眼差しを入れていたなんて)」

 

「(揺れる眼差しを引いたが攻め手には欠けるな・・・・・あの伏せカードなんだ?ウィドアンカーだったら不味いんだが)ライト・Pゾーンにスケール2の賤竜の魔術師、レフト・Pゾーンにスケール8の時読みの魔術師をセッティング」

 

お兄ちゃんの空いたPゾーンに新たに賤竜の魔術師と時読みの魔術師がPゾーンにセットされる。

 

「賤竜の魔術師のP効果、もう片方のPゾーンが『魔術師』Pモンスターの場合、EXデッキに表側で存在する『魔術師』または『オッドアイズ』Pモンスターを手札に加える。慧眼の魔術師を回収。揺れろ、魂のペンデュラム。天空に描け光のアーク、ペンデュラム召喚。現れろ、俺のモンスターたち!」

 

Pゾーンの間に大きな振り子が再び現れて、今度は縁を描くように揺れ始める。振り子が描いた軌跡の円から2つの光が飛び出してくる。

 

「エクストラデッキから紫毒の魔術師と黒牙の魔術師!」

 

紫毒の魔術師 攻1200→100

黒牙の魔術師 攻1700→600

 

「現れろ、未来へ続くサーキット」

 

アストログラフ・マジシャンと紫毒の魔術師が飛び上がり、お兄ちゃんの頭の上に再びリンクマーカーが現れて、その中に飛び込む。

 

「アローヘッド確認、召喚条件はPモンスター2体、俺は紫毒の魔術師とアストログラフ・マジシャンをリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン、リンク召喚、リンク2、ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム」

 

ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム 攻1800→700 ↙︎ ↘︎

 

リンクマーカーの中から再びヘビーメタルフォーゼ・エレクトラムが特殊召喚され、水晶機巧ーハリファイバーのリンク先に現れる。

 

「エレクトラムの特殊召喚時効果は使わない。起動効果発動、自分フィールドのカードを破壊して、EXデッキのPモンスターを手札に戻す。賤竜の魔術師を対象に取り、破壊。アストログラフ・マジシャンを回収」

 

ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラムがお兄ちゃんのPゾーンの賤竜の魔術師を掴み、破壊する。そしてEXデッキに行ったアストログラフ・マジシャンを回収した。

 

「チェーン1、エレクトラム、チェーン2、アストログラフ・マジシャンの効果。アストログラフ・マジシャンを特殊召喚、破壊されたのは賤竜の魔術師だけだが、デッキからサーチはしない。エレクトラムの効果で1枚ドロー」

 

遊輝 手札 4枚→5枚

 

「さらにアストログラフ・マジシャンと黒牙の魔術師で融合、覇王につく四龍の1体よ、融合の力を得て、全てを食い尽くせ、融合召喚、覇王眷竜スターヴ・ヴェノム!」

 

覇王眷竜スターヴ・ヴェノム 攻2800→1700

 

アストログラフ・マジシャンと黒牙の魔術師がお兄ちゃんの後ろに現れた融合の渦に吸い込まれていき、渦の中から覇王眷竜スターヴ・ヴェノムが現れる。大きな翼が開かれて、翼にある触手部分の口が開き、涎を垂らす。

 

「スターヴ・ヴェノムの効果、自分または相手のフィールド・墓地のモンスター1体を対象に取り、エンドフェイズまでそのモンスターと同じカード名そして効果を得る。対象はエレクトラム」

 

『ギャアアアア!!!!!』

 

覇王眷竜スターヴ・ヴェノムの触手が動き出し、お兄ちゃんのフィールドのヘビーメタルフォーゼ・エレクトラムに突き刺さる。エレクトラムから触手を介してエネルギーを吸収して効果をえる。 

 

「そしてこの効果を使ったターン、俺の全てのモンスターは貫通能力を得る。慧眼の魔術師をセット、効果発動。デッキから2枚目の紫毒の魔術師をセット、スターヴ・ヴェノムの効果。対象は紫毒の魔術師」

 

同じ効果を得た覇王眷竜スターヴ・ヴェノムが慧眼の魔術師の効果で現れた紫毒の魔術師を破壊、再びEXデッキに戻ったアストログラフ・マジシャンを回収する。

 

「チェーン1、紫毒の魔術師、チェーン2、アストログラフ・マジシャンで発動。アストログラフ・マジシャンを特殊召喚、そしてデッキから3枚目の紫毒の魔術師を手札に加える。紫毒の魔術師の効果、このカードが破壊された場合、相手フィールドの表側表示のカード1枚を破壊する。マルチロールを破壊」

 

EXデッキから回収されたアストログラフ・マジシャンが再び特殊召喚、今度はデッキから紫毒の魔術師をサーチして、さらに破壊された紫毒の魔術師が霊となり、私の閃刀機関ーマルチロールに取り憑いて破壊する。

 

「これで終わり・・・・バトル、覇王眷竜スターヴ・ヴェノムで閃刀姫ーシズクに攻撃!」

 

「まだ・・・負けない!リバースカードオープン、速攻魔法、残留思念!墓地からエフェクト・ヴェーラーと閃刀姫ーカイナの2体を除外して、このターン私が受ける戦闘ダメージを0にする!そして覇王眷竜スターヴ・ヴェノムの攻撃力も下がる!」

 

覇王眷竜スターヴ・ヴェノム 攻1700→1600

 

「それでもシズクは破壊させてもらう!猛撃のヴェノム・ショット!」

 

覇王眷竜スターヴ・ヴェノムが飛び上がり、閃刀姫ーシズクに向かって突進して閃刀姫ーシズクを噛みつき、そのまま上空に飛び上がる。閃刀姫ーシズクも反撃するが上空まで上がった覇王眷竜スターヴ・ヴェノムが急降下して投げつけて、閃刀姫ーシズクを破壊した。

 

「閃刀姫ーシズクが破壊されたことで俺の場のモンスターの攻撃力は元に戻る!」

 

水晶機巧ーハリファイバー 攻300→1500

ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム 攻600→1800

覇王眷竜スターヴ・ヴェノム 攻1600→2800

アストログラフ・マジシャン 攻1300→2500

星刻の魔術師 攻1200→2400

 

「・・・・・どうせ出しても変わらない。閃刀姫ーレイの効果は使わない」

 

「感の良いやつ・・・・メイン2、カードを1枚伏せてターンエンド」

 

 

桜 手札 4枚 LP 1400 墓地魔法 12

 

ーーーー▲ △

ーーーーー

ー ○

○ー○○○

△▲△ーー ー

 

遊輝 手札 4枚 LP 2200

 

 

「(あれ・・・・返されるの?)」

 

私の心は非常に焦っていた、使う予定が無いけど念のためと伏せていた残留思念を、エフェクト・ヴェーラーと夢幻泡影を打ってもなお使わざろうえない状況まで追い込まれた。

 

「(シャークキャノンを使わなかったけど・・・っていうかお兄ちゃん、まさかシャークキャノンも呼んでいた?)」

 

そうなるとかなりまずい・・・モンスター少ないから何とかしないと・・・

 

「私のターン・・・ドロー!」

 

桜 手札 5枚

 

「装備魔法、閃刀機構ーハーキュリーベースを覇王眷竜スターヴ・ヴェノムを装備」

 

閃刀機構ーハーキュリーベースを発動、お兄ちゃんの場の覇王眷竜スターヴ・ヴェノムに装着される。

 

「・・・そうきたか」

 

「フィールド魔法、閃刀領域ーエリアゼロの効果。対象は閃刀機構学ハーキュリーベース。1枚目、閃刀機ーアフターバナー、2枚目、屋敷わらし」

 

ダメ・・・モンスターに繋がるカードを・・・・

 

「3枚目・・・・!!閃刀術式ーシザークロス!!」

 

「シザークロスか・・・・嫌なものを・・・」

 

「閃刀術式ーシザークロスを手札に加えて、閃刀機構ーハーキュリーベースを墓地に送る。閃刀機構ーハーキュリーベースの効果、フィールドのこのカードがカード効果で墓地に送られた場合、墓地のこのカード以外の『閃刀』カード3枚をデッキに戻す。閃刀姫ーカガリ、閃刀起動ーエンゲージ、閃刀機ーウィドアンカーを戻す」

 

墓地に送られた閃刀機構ーハーキュリーベースにより、私の墓地の閃刀姫ーカガリ、閃刀起動ーエンゲージ、閃刀起ーウィドアンカーの3枚がデッキに戻る。

 

「魔法カード、閃刀術式ーシザークロス、墓地のLv4の『閃刀姫』モンスター1体を手札に戻す。墓地に魔法カードが3枚以上ある場合、戻す代わりに特殊召喚する。閃刀姫ーレイを特殊召喚」

閃刀姫ーレイ 攻1500

 

回収した閃刀術式ーシザークロスによって墓地に眠っていた閃刀姫ーレイが飛び出して私のフィールドに戻ってくる。

 

「現れて、未来へ続くサーキット」

 

閃刀姫ーレイが飛び上がり、私の頭上のリンクマーカーに入る。

 

「アローヘッド確認、召喚条件は火属性以外の『閃刀姫』モンスター1体。私は閃刀姫ーレイをリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン、リンク召喚、フォームチェンジ、閃刀姫ーカガリ」

 

リンクマーカーの中に入った閃刀姫ーレイが装甲を身につけ、再び閃刀姫ーカガリが特殊召喚される。

 

「閃刀姫ーカガリの効果、特殊召喚成功時、墓地の『閃刀』魔法カードを回収する。閃刀機構ーハーキュリーベースを加える」

 

「この瞬間、水晶機巧ーハリファイバーの効果発動、このカードをゲームから除外してEXデッキからSチューナーモンスターをS召喚扱いで特殊召喚する」

 

カガリが墓地から閃刀機構ーハーキュリーベースを加えたところでお兄ちゃんの水晶機巧ーハリファイバーが効果を発動、自身がゲームから除外される。

 

「星の流れに身を捧げる龍よ、永遠の輝きと共に宇宙を駆け巡れ、シンクロ召喚、Lv7、シューティング・ライザー・ドラゴン」

 

シューティング・ライザー・ドラゴン 攻2100

 

除外された水晶機巧ーハリファイバーが7つと星となって、除外された跡から白い龍が現れる。

 

「シューティング・ライザー・ドラゴンの効果発動。S召喚成功時、このカードのレベルより低いモンスターをデッキから墓地に送り、このカードのレベルをその墓地に送ったモンスターのレベル分下げる、俺はデッキからLv6の賤竜の魔術師を墓地に送る」

 

シューティング・ライザー・ドラゴン ☆7→☆1

 

特殊召喚されたシューティング・ライザー・ドラゴンの前にお兄ちゃんがデッキから墓地に送った賤竜の魔術師の霊が現れ、吸収される。シューティング・ライザー・ドラゴンのレベルは1へと変わる。

 

「この効果処理後、シューティング・ライザー・ドラゴンの効果発動。このカードをS素材としてS召喚を行う、俺はLv7のアストログラフ・マジシャンにLv1のシューティング・ライザー・ドラゴンをチューニング!」

 

☆7 + ☆1 = ☆8

 

「覇王に付く四龍の1体よ、同調の力を持って、フィールドを拭き荒らせ。シンクロ召喚、覇王眷竜クリアウィング!」

 

覇王眷竜クリアウィング 守2000

 

シューティング・ライザー・ドラゴンとアストログラフ・マジシャンが飛び出して、一つの光となる。その光が黒く染まり、大きな球体となる。球体は変形を始め、覇王眷竜クリアウィングが姿を表す。覇王眷竜クリアウィングは特殊召喚されたのと同時に私の場に向かって無差別に攻撃を始める。

 

「覇王眷竜クリアウィングの効果!S召喚成功時、相手の表側表示のモンスターを全て破壊する!」

 

覇王眷竜クリアウィングの攻撃により、私の場の閃刀姫ーカガリは破壊されてしまった。

 

「ぐっ・・・・墓地の閃刀姫ーレイの効果。自分フィールドの『閃刀姫』リンクモンスターが相手によって破壊された場合、特墓地から特殊召喚する!」

 

破壊された閃刀姫ーカガリの装甲だけが壊されて、普通の姿に戻った閃刀姫ーレイがフィールドに残る。

 

「(このターンに勝てる可能性はなくなった・・・・だったらお兄ちゃんよりも有利な盤面を作る!)現れて、未来へ続くサーキット。アローヘッド確認、召喚条件は水属性以外の『閃刀姫』モンスター1体。私は閃刀姫ーレイをリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン、リンク召喚、フォームチェンジ、閃刀姫ーシズク」

 

特殊召喚した閃刀姫ーレイがリンクマーカーの中に入り、今度は閃刀姫ーシズクが特殊召喚される。

 

「閃刀姫ーシズクは墓地の魔法カードの枚数×100ポイント、相手モンスターの攻撃力と守備力を下げる。墓地の魔法カードは13枚」

 

覇王眷竜クリアウィング 守2000→700

ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム 攻1800→500

覇王眷竜スターヴ・ヴェノム 攻2800→1500

星刻の魔術師 攻2400→1100

 

「装備魔法、閃刀機構ーハーキュリーベースを閃刀姫ーシズクに装備。装備モンスターはダイレクトアタックできない代わりに、1度のバトルフェイズで2回モンスターに攻撃できる」

 

閃刀姫ーカガリの効果で回収した閃刀機構ーハーキュリーベースを今度は閃刀姫ーシズクに装備する。

 

「バトル、閃刀姫ーシズクで覇王眷竜ークリアウィングに攻撃」

 

閃刀姫ーシズクが地面を蹴り、飛び上がる。覇王眷竜クリアウィングよりも高く飛び、後ろに装着した装甲にエネルギーが溜められ、覇王眷竜クリアウィングに攻撃する。

 

「ハーキュリーベースを装備したモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した場合、1枚ドロー」

 

 桜 手札 4枚→5枚

 

「さらに墓地の閃刀姫ーロゼの効果、EXゾーンの相手モンスターが戦闘で破壊された場合、墓地からこのカードを特殊召喚」

 

覇王眷竜クリアウィングが破壊されたことによって、墓地から閃刀姫ーロゼが飛び出して私のフィールドに特殊召喚される。

 

「閃刀姫ーシズクでヘビーメタルフォーゼ・エレクトラムに攻撃」

閃刀姫ーシズク 攻1500

ヘビーメタルフォーゼエレクトラム 攻500

 

遊輝 LP 2200→1200

 

「ぐうぅ!!!!」

 

「戦闘でモンスターを破壊したため、ハーキュリーベースの効果で1枚ドロー」

 

桜 手札 5枚→6枚

 

「閃刀姫ーロゼで星刻の魔術師に攻撃」

 

閃刀姫ーロゼ 攻1500

星刻の魔術師 攻1100

 

遊輝 LP 1200→800

 

「ッ・・・・・」

 

「メインフェイズ2、現れて、未来へ続くサーキット」

 

閃刀姫ーシズクと閃刀姫ーロゼの2体が飛び出して、リンクマーカーの中に入る。リンクマーカーは上向きと下向きを指す。

 

「アローヘッド確認、召喚条件は『閃刀姫』を含むモンスター2体。私は閃刀姫ーシズクと閃刀姫ーロゼをリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン、リンク召喚、フォームチェンジ、閃刀姫ージーク」

 

閃刀姫ージーク 攻1500

 

リンクマーカーの中に入った閃刀姫ーシズクの装甲が分解され、人型のアーマーへと変わる。その中に閃刀姫ーロゼが入り、閃刀姫ージークがリンク召喚される。

 

「閃刀姫ージークの効果、このカードのリンク召喚成功時、フィールドのモンスター1体を次の相手ターンのエンドフェイズまでゲームから除外する。対象は覇王眷竜スターヴ・ヴェノム」

 

閃刀姫ージークが覇王眷竜スターヴ・ヴェノムの前に移動して、右手を前にかざす。覇王眷竜スターヴ・ヴェノムの上空に穴が開いて、その中に吸い込まれていった。

 

「カードを2枚セット、閃刀姫ージークの効果。1ターンに1度、このカード以外の自分フィールドのカード1枚を墓地に送り、このカードの攻撃力を1000ポイントアップする。対象はさっき伏せた真ん中のカード」

 

2枚伏せたカードのうち、真ん中の伏せカードが消えて、閃刀姫ージークにエネルギーが加えられる。

 

閃刀姫ージーク 攻1500→2500

 

「これでターンエンド」

 

「エンドフェイズ、リバースカードオープン、永続罠、錬成する振動。自分のPゾーンのPモンスターを破壊して1枚ドローする。時読みの魔術師を破壊して1枚ドロー」

 

遊輝 手札 4枚→5枚

 

「そして永続魔法、星霜のペンデュラムグラフの効果、デッキから黒牙の魔術師を手札に加える」

 

 

桜 手札 4枚 LP 1400 墓地魔法 15

 

▲ーーー▲ △

ーーーーー

○ ー

ーーーーー

ー△△ーー ー

 

遊輝 手札 6枚 LP 800

 

 

「(私の伏せカードはウィドアンカーとシャークキャノン、そして手札に灰流うらら、これで踏み越えられたらもう・・・)」

 

「俺のターン、ドロー」

 

遊輝 手札 7枚

 

「レフト・Pゾーンにスケール12の超天新龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴンをセッティング」

 

お兄ちゃんの空いたPゾーンに頂天新龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴンがセットされる。

 

「オッドアイズ・レボリューションのP効果、自分の墓地のドラゴン族S・X・融合モンスター1体を対象に取り、このカードを破壊してそのモンスターを特殊召喚する。対象はシューティング・ライザー」

 

「・・・リバースカードオープン、速攻魔法、閃刀機ーシャークキャノン、シューティング・ライザー・ドラゴンをゲームから除外する」

 

ここでモンスターの特殊召喚はマズイと判断して閃刀機ーシャークキャノンを発動してシューティング・ライザーをゲームから除外する。

 

「オッドアイズ・レボリューションは破壊される。EM ドクロバット・ジョーカーを召喚」

 

EM ドクロバット・ジョーカー 攻1800

 

「ドクロバット・ジョーカーの効果、デッキから『EM』『オッドアイズ』『魔術師』Pモンスターのいずれか1枚をデッキから手札に加える」

 

「・・・・灰流うららの効果、EM ドクロバット・ジョーカーの効果を無効にする」

 

ドクロバット・ジョーカーの効果に対して手札の灰流うららを使い、無効にする。しかし、お兄ちゃんは一切困った様子はない。

 

「(まさか・・・突破される?)」

 

「レフト・Pゾーンにスケール8の黒牙の魔術師をセッティング」

 

頂天新龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴンの破壊されたPゾーンに黒牙の魔術師がセッティングされる。

 

「魔法カード、デュエリスト・アドベント。フィールドのPゾーンにPモンスターが存在デッキから『ペンデュラム』Pモンスターまたは魔法・罠を手札に加える。竜剣士ラスターPを手札に加える。黒牙の魔術師のP効果発動、閃刀姫ージークの攻撃力をエンドフェイズまで半分にする」

 

閃刀姫ージーク 攻2500→1250

 

「その後、このカードを破壊する。破壊された黒牙の魔術師の効果発動、墓地の闇属性・魔法使い族を特殊召喚する。星刻の魔術師を特殊召喚」

 

星刻の魔術師 攻2400

 

特殊召喚した星刻の魔術師とEM ドクロバット・ジョーカーがお兄ちゃんの頭上のリンクマーカーの中に入る。

 

「アローヘッド確認、召喚条件は効果モンスター2体、俺はドクロバット・ジョーカーと星刻の魔術師をリンクマーカーにセット、リンク召喚、リンク2、ブルートエンフォーサー」

 

ブルートエンフォーサー 攻1700 ↙︎ ↘︎

 

「空いたPゾーンにスケール5の竜剣士ラスターPとスケール1の紫毒の魔術師をセッティング。これでLv2からLv4のモンスターが同時に召喚可能、現れろ、魂のペンデュラム、天空に描け光のアーク、ペンデュラム召喚!現れろ・・・・俺のモンスター達!」

 

お兄ちゃんの上空に現れた大きな振り子、その振り子が描いた円の中から3つの光が飛び出す。

 

「エクストラデッキから黒牙の魔術師2体!そして手札から調弦の魔術師!」

 

黒牙の魔術師 攻1700 ×2

調弦の魔術師 攻0

 

「調弦の魔術師の効果発動!このカードが手札からP召喚に成功した場合、デッキから『魔術師』Pモンスターを守備表示で特殊召喚する!」

 

「まだある・・・・・通す」

 

「デッキから星読みの魔術師を特殊召喚!」

星読みの魔術師 守2400

 

調弦の魔術師の効果により、お兄ちゃんのデッキから星読みの魔術師が特殊召喚される。ここでウィドアンカーを使ったらは覇王眷竜スターヴ・ヴェノムを出されて、負けてしまう。確かお兄ちゃん、スターヴ・ヴェノムは2枚しか入れないないはず。勝つならここで使うしかない!

 

「フィールドの星読みの魔術師と黒牙の魔術師で融合!融合召喚!覇王眷竜スターヴ・ヴェノム!!」

 

お兄ちゃんの後ろに現れた融合の渦に星読みの魔術師と黒牙の魔術師が吸い込まれていき、2体目の覇王眷竜スターヴ・ヴェノムが特殊召喚される。

 

「特殊召喚成功時、リバースカードオープン。速攻魔法、閃刀機ーウィドアンカー!覇王眷竜スターヴ・ヴェノムの効果を無効にして、墓地に魔法カードが3枚以上ある場合、エンドフェイズまでそのモンスターのコントロールを得る!」

 

私が発動した閃刀機ーウィドアンカーが覇王眷竜スターヴ・ヴェノムを捉え、私の場にコントロールが移る。

 

「これで・・・お兄ちゃんの場の・・・」

 

「そうだな・・・ようやく最後の伏せカードを使ってくれたな・・・俺の勝ちだ」

 

「!?」

 

「桜、お前一つ忘れていることがあるぞ・・・・調弦の魔術師はチューナーモンスターだ」

 

「あっ・・・・」

 

「まぁ結局、その伏せカードがウィドアンカーの時点でお前の負けが決まっていた!!Lv4の黒牙の魔術師にLv4の調弦の魔術師をチューニング!」

 

☆4 + ☆4 = ☆8

 

「極夜の地に潜む漆黒の太陽よ!暗黒の世界から舞い降りて、この世界の闇の神となれ!シンクロ召喚!染まれ!ブラック・サン・ドラゴン!」

 

ブラック・サン・ドラゴン 攻1000

 

『・・・グオオオオ!!!』

 

調弦の魔術師が作った4つの輪の中に黒牙の魔術師が入ってひとつの光となる。その光はやがて黒く染まりながら大きくなっていき、黒い太陽へと変わる。その黒い太陽が変形をして黒いドラゴンがフィールドに現れた。そのドラゴンはお兄ちゃんが出したホワイト・サン・ドラゴンと瓜二つだ。

 

「攻撃力・・・・1000?」

 

「ブラック・サンの効果!特殊召喚成功時、墓地のXモンスター1体をこのカードの装備カードとして装備する!対象はホワイト・サン!」

 

地面が大きく揺れ始め、ブラック・サン・ドラゴンの目の前の地面が割れる。その中からホワイト・サン・ドラゴンの白い太陽が昇り、ブラック・サン・ドラゴンに吸収され、身体が一回り大きくなる。

 

「そしてブラック・サンは装備したモンスターの攻撃力の分だけアップする」

 

ブラック・サン・ドラゴン 攻1000→3400

 

「・・・こ、攻撃力・・・・3400」

 

「ラスト・・・・ブラック・サンで閃刀姫ージークに攻撃!ダークネス・ブラスト!!」

 

ブラック・サン・ドラゴンが閃刀姫ージークに向けて照準を合わせ、口から黒いエネルギーが放たれる。閃刀姫ージークはそのエネルギーに飲み込まれ、その余波が私に襲ってくる。

 

ブラック・サン・ドラゴン 攻3400

閃刀姫ージーク 攻1250

 

桜 LP 1400→0

 

 

WIN 遊輝 LOS 桜

 

 

 

『そこまで!!勝者、高等部1-1、遠藤遊輝!!決勝戦、中等部2-3vs高等部1-1は3-2で高等部1-1の勝利!!』

 

『・・・・・ワアアアアアアア!!!!!!!』

 

「シャアアアアア!!!!!」

 

「やったぜ遊輝!!!」

 

「優勝!!優勝よ!!!」

 

「負け・・・た・・・・」

 

ライフが0になった瞬間、観客からは歓声が巻き起こり、軽音部のメンバーはデュエルフィールドに上がってお兄ちゃんに飛びつき、人差し指を頂点に指す。そして私は膝から崩れ落ちた。

 

「(・・・・悔しい、お兄ちゃんにまた勝てなかった・・・・)」

 

「さ、桜さん!?大丈夫ですか!?」

 

膝から崩れ落ちて両手を地面についている私の周りに祈や恭輔、翔悟に氷川さんが集まる。

 

「・・・・みんな・・・ごめん、お兄ちゃんに・・・ヒグッ・・・」

 

「!!お、おいお前・・・・」

 

「ヒグッ・・・・お兄ちゃんに、勝てなかった・・・・ヒグッ」

 

気づいたら目から涙が溢れていた。今までお兄ちゃんに負ける時もあったが、こんなに悔しい思いをしたのは初めてだった。何も出来ず、お兄ちゃんの手のひらで踊らされたような気分だった。

 

「ヒグッ・・・ヒグッ・・・・悔しい・・・・・悔しいよ・・・・」

 

「桜さん・・・・」

 

「・・・・桜さん、その感情は絶対に忘れないでください。あなたのその悔しさはいつかバネになってお兄さんに勝てる時があります」

 

氷川さんが私の方に寄り添って優しく抱きついてくる。その暖かさが私の心を落ち着かせ、涙が止まる。

 

「・・・・桜さん、来年頑張りましょう。今年の会議でルール変更があるかもしれません。来年も勝ち上がって師匠達に挑みましょう」

 

「そ、そうですね・・・私もスバルさんに負けましたので・・・」

 

「・・・・あ〜、俺も悔しさが込み上げてきた。来年は絶対にぶっ倒す!!!」

 

みんなが歓喜で喜んでいる軽音部を見る。私も喜んでいるお兄ちゃんの姿を見て、決心する。

 

「グスッ・・・・・ん、来年も出る。そして今度は私がお兄ちゃんを倒す」

 

『それでは表彰式に移ります。優勝チーム、準優勝チームは所定された場所に向かいなさい』

 

 

桜 side out

 

 

No side

 

デュエルアカデミアのデュエルフィールド、歓喜が沸き起こり、優勝チームと準優勝チームの表彰式が行われている中、その天井から一人の女性が見つめている。

 

「(・・・・・DMWが感情を持ち始めた、不味いわね・・・・)」

 

彼女の名はドゥ、桜を狙う組織に雇われた人間だ。彼女はファーストコンタクトで遊輝と桜に会って以来、ひたすら身を隠して二人やその仲間達の調査を続けていた。

 

「(これは実験に支障が出る可能性があるわ、本部に報告して早急に連れ戻さないと)」

 

立ち上がった彼女はデュエルフィールドの天井から忽然と姿を消す。




桜「・・・・・悔しい」

恭輔「来年またリベンジしましょう」

祈「ル、ルール変更があればですけど」

桜「・・・ルール変更させる」

恭輔「さ、桜さん!!凶器持っちゃダメですよ!!」

祈「ま、待ちましょう!!」

桜「・・・っち」

恭輔「じ、次回は平穏な休日です。『茜色の空』」

祈「じ、次回もよろしくお願いします」


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第46話 茜色の空

前までのアカデミアデュエル大会のエキシビジョンみたいな感じです。
何気にこの小説でこの二人がデュエルする描写を描くのは初めてです。


遊輝 side

 

 

「やってきました高○山!今日は3人でハイキングよ!」

 

「・・・・・・・・」

 

「お兄ちゃん、私あのさつまいもソフト食べたい」

 

「・・・・・どうしてこうなった?」

 

アカデミアデュエル大会が終わって最初の休日、前日の部活を終えて帰宅するとアリアが桜と一緒に家にいて、『○尾山にハイキングに行こう!紅葉が綺麗な季節だよ!』とか言ってきた・・・こんな時期の○尾山なんか人が多すぎて絶対に面倒くさいことになるから行きたくなかったが、桜が何故か乗り気で2対1に敵わず、ネオドミノシティから2時間近くもかけてここに来たわけだ。案の定、行きの電車で既に満員だった。

 

「さあ遊輝ちゃん!ここからハイキングよ!綺麗な紅葉を見るわよ!」

 

「いや・・・・こんな人混みでゆっくり紅葉なんか見れるかいな・・・見ろよケーブルカーの入り口、2時間待ちだぞ・・・」

 

「何言ってるのよ!ハイキングは山を歩くのが醍醐味でしょ!」

 

「えぇ・・・・」

 

「お兄ちゃん、いく」

 

「・・・・なんでお前そんなに乗り気なんだよ」

 

「秘密」

 

未だに何故、インドア派な桜がハイキングに賛成したのかよく分からない。さてはこいつ、アリアに買収されたな。っていうかケーブルカーで人がいっぱいだからハイキングコースも人でいっぱいだぞ。動いているだけマシだけど。

 

「というわけで・・・・Lets'go!」

 

「ゴー」

 

「・・・・・行きたくねぇ」

 

俺の愚痴を聞かず、アリアは俺の右手と桜の左手を握って沢山の人がいる山道道へと歩いていく。

 

 

遊輝 side out

 

 

桜 side

 

 

パシャっ・・・・・パシャっ

 

「良いねぇ・・・・・高い所から見ると心がが現れるよ」

 

「景色が良いのは認めるがこの人の多さはなんとかならんのか・・・」

 

一眼レフカメラで写真を撮るお姉ちゃんはイキイキとしているけど、隣に座っているお兄ちゃんはゲッソリとした表情をしている。満員電車で揺られて、山登りを初めて1時間、まだ山の中腹に辺りにいる。今はここのお店で休憩中だ。

 

「・・・・・・(モグモグ)」

 

「お前も食べすぎなんだよ、それ何個目の饅頭だよ」

 

「・・・・(モグモグ)まだ15個・・・腹一分も満たしていない」

 

「いやお前・・・・今朝俺が大量に弁当作ってきたのに余裕あるのか?」

 

「こんなの朝飯前」

 

「(・・・・今更だけどこいつは我慢を覚えることから始めた方が良いな)」

 

山の中腹にあるお店の名物の饅頭を3箱買って、その場で開けて食べる。1箱20個で2000円とはかなりお買い得だ。お兄ちゃんに追加で買ってもらおう。

 

「(モグモグ・・・・・・)お姉ちゃんの言う通り、景色はずっと良い。ベランダから見る景色も良いけど」

 

「あっちは人工的なネオン街でこっちは自然の成り立つ形だからな」

 

「ん、こういうのは絵になる」

 

「・・・・・お前が食べ物以外に興味を持っているのを初めてみたわ」

 

「お兄ちゃん、私を馬鹿にしすぎ」

 

お兄ちゃんの私に対するイメージは食べることしかない。かく言う私もお兄ちゃんのイメージは家事も炊事も出来て、モデルとアーティスト。こなす女性にしか見えない・・・・・あれ?私、お兄ちゃんに女性的なことで負けている?

 

「はぁ〜・・・・・なんとかならねぇかな」

 

「?何が?」

 

「何でもねぇよ」

 

「ほら遊輝ちゃん!桜ちゃんも行くわよ!山頂までもう少し!」

 

「へいへい・・・・・」

 

「ん、行こう」

 

写真を撮って満足したお姉ちゃんは私とお兄ちゃんに催促をして、休憩所のベンチから立ち上がる。時間通りに行けばあと30分くらいで山頂に着くけど、今日の人混みだと1時間近くは見たほうが良さそうだ。お姉ちゃんが先導となってその後ろを私とお兄ちゃんがついて行く。

 

「♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜」

 

「鼻歌歌いながら歩く、お姉ちゃんよっぽど楽しみにしていた」

 

「・・・・あいつがこういう事に興味があったのが驚きだわ」

 

「お姉ちゃん、意外と多趣味。服作るだけじゃなくて色んなことに手を出している」

 

「ほへぇ・・・・前まで何もしてなかったのにな」

 

「前?」

 

「桜がここに来る前の話だ。あいつとは色々合った腐れ縁だよ」

 

「ふ〜ん・・・・・何が合った?」

 

お兄ちゃんが話したお姉ちゃんとの腐れ縁の話は興味がある。お兄ちゃん、夏休みにあった私と同じくらいの女の子が彼女と言っていたのに、明らかにお姉ちゃんにも同じくらい親しく接している。

 

「まぁ・・・・2年前か、あいつと初めて会ったのは。最初は敵対同士だったけど、向こうからアプローチがあってな」

 

「・・・・・お兄ちゃん、二股?」

 

「ちげぇから!!!向こうが一方的なアプローチをしてきただけだから!!」

 

「何大声で騒いでいるのよ」

 

私がお兄ちゃんに若干引いた口調で質問したらお兄ちゃんが慌てた様子で大声で言う。それを聞いた周りの人達もこっちを見る。お姉ちゃんもこっちのことを気にしてか振り向いて近づいてくる。

 

「何言ってるのよ」

 

「ん、お兄ちゃんとお姉ちゃんの出会い」

 

「あ〜・・・・・あの時は色々あったわね」

 

「最初見た時は普通の女性だという感じだったけど、今じゃただの変態魔女だからな」

 

「おっと遊輝ちゃん、その余計な事を言う口はお口チャックしましょうか」

 

「すみれさんと一緒に誘拐紛いして色んな奴にコスプレさせる奴に変態魔女って言って何が悪い、あっ、さっきの言葉を訂正しないと、誘拐犯と言う言葉を付け加えないとな」

 

「ちょ、ちょっと・・・・」

 

お兄ちゃんとお姉ちゃんが目を合わせ、仁王立ちで構える。バチバチと火花が立つように見える。私は間に入って二人の仲を元に戻そうとするが二人は私のことを目にもくれてない。

 

「さあてまずはそのお口をチャックしましょうか。そう言えば最近またすみれさんの新作が溜まってきてるんだよね〜」

 

「そうか、お前がやれば全部解決するな。自分の服作ってそれを着てお金貰えるなんて夢のある暮らしじゃねぇか」

 

「そうしたら願ったり叶ったりなんだけど私と茜の二人じゃ処理しきれない量なんだよね〜、だからちょうど助っ人を呼ぼうか考えていた頃なんだよ」

 

「そうかそうか、そんなに忙しいのか。でも体力無尽蔵で不眠不休で服を作り続けるお前には関係のない話だろ?」

 

「遊輝ちゃん、私はとてもか弱い乙女なんだよ?乙女に向かって体力無尽蔵とか不眠不休とか如何にも不健康な言葉を並べるなんて常識を知らないの?」

 

「俺は知らないな〜、まともな生活を送ってないから。あっ、でもお前の方がもっと激動な人生を送っているのか、山の中で自給自足だっけ?まるで野蛮人だ」

 

「ほう〜、遊輝ちゃんのお口は常識のない言葉の他にも人を傷つける言葉も言うんだね〜、これは私が一から教育をしてあげないといけないわね〜」

 

「ま、まって二「別に野蛮人から教育を受けるほど俺の頭と常識は終わってないからな、何なら俺がお前に教育してあげようか?伊達に勉学一位を取り続けているんだぞ、学校に行っていない魔法使いさん」

 

「あら〜、私だって劣等生から優等生まで上がるくらい頭の回転力は身につけたんだからね〜。頭が固くて逃げることしか脳みそにないどっかの誰かさんと違って私は勉強ばかりせずに生きていたから頭の回転は早いわよ〜」

 

「はっ、頭の回転が早い?違う違う、脳みそがスライムのように溶けて、スポンジのように吸収してすぐ忘れる頭だろ?」

 

バチバチと火花を巡らせるお兄ちゃんとお姉ちゃん、その圧倒的な圧力で野次馬達が少しは見て、すぐ離れる状況が続く。しかしはたから見ればただの兄弟喧嘩にしか見えない。お兄ちゃんの身長が低すぎるせいで。

 

「やっ、まって二人とも・・・・流石にここで喧嘩は」

 

「よ〜し、そこまで言うならこれで決めようじゃない」

 

「ほぅ・・・・良いだろう。今日こそ俺が上だって教えてやるよ」

 

一向に終わる気配のないお兄ちゃんとお姉ちゃんの抗争はお姉ちゃんがデュエルディスクを取り出し、ある程度の距離を取る。ああなってしまったらもうどうしようにも出来ない。

 

「さあ行くわよ!私が勝ったら2週間無賃労働+女の子教育よ!」

 

「俺が勝ったら2週間の桜の食費お前持ちな!!」

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

遊輝 LP 4000 アリア LP 4000

 

「先行は貰うわよ!まずは速攻魔法、転生炎獣の炎陣(サラマングレイド・サークル)を発動!デッキから『サラマングレイド』モンスターを手札に加える!」

 

「手札から灰流うららの効果!転生炎獣の炎陣の効果を無効にする!」

 

お姉ちゃんが発動した転生炎獣の炎陣はお兄ちゃんの灰流うららによって無効にされる。それよりお姉ちゃん、また違うデッキ使っている。お兄ちゃんもそうだけど一体何個デッキ持っているの?

 

「転生炎獣フォクシーを召喚!」

 

 転生炎獣フォクシー 攻1000

 

「フォクシーの効果!召喚時、デッキトップ3枚をめくり、その中に『サラマングレイド』カードがある場合、手札に加える!」

 

・大捕り物

・サラマングレイド・ロアー

・増殖するG

 

「サラマングレイド・ロアーを手札に加える!手札の転生炎獣スピニーの効果!」

 

「持ってやがったよこんちきしょう!」

 

「自分フィールドに『サラマングレイド』モンスターが存在する場合、このカードを手札から捨て、自分フィールドのモンスター1体を対象にとり、攻撃力を500ポイントアップする!」

 

転生炎獣フォクシー 攻1000→1500

 

「そして墓地に送られたスピニーの効果!自分フィールドに『サラマングレイド』モンスターが存在する場合、墓地からこのカードを特殊召喚する!」

 

転生炎獣スピニー 攻1000

 

お姉ちゃんの手札から捨てられた転生炎獣スピニーはそのまま墓地から復活する。能動的に墓地に送れて、それでいて自己蘇生って強くない?

 

「ただし、この効果で特殊召喚したスピニーはフィールドから離れた場合、ゲームから除外する!Lv3のフォクシーとスピニーでオーバーレイ!」

 

☆3 × ☆3 = ★3

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!ランク3、転生炎獣ミラージュスタリオ!」

 

転生炎獣ミラージュスタリオ 攻2000

 

フォクシーとスピニーがブラックホールに吸い込まれていき、爆発が起きる。ブラックホールからプロミネンスが吹き出して、その中からペガサスのようなモンスターが現れる。

 

「ミラージュスタリオの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ取り除いてデッキから『サラマングレイド』モンスターを守備表示で特殊召喚する!転生炎獣ガゼルを特殊召喚!」

 

転生炎獣ミラージュスタリオ OVR 2→1

転生炎獣ガゼル 守1000

 

転生炎獣ミラージュスタリオがオーバーレイ・ユニットを一つ吸収して、甲高い鳴き声を上げる。お姉ちゃんのデッキから転生炎獣ガゼルが飛び出してくる。

 

「ガゼルの効果!召喚・特殊召喚成功した場合、デッキから『サラマングレイド』カードを墓地に送る!転生炎獣Jジャガーを墓地に送る!権限せよ!光を照らすサーキット!」

 

お姉ちゃんの頭上にリンクマーカーが現れて、その中に転生炎獣ミラージュスタリオと転生炎獣Jジャガーの2体が入り、上と下の矢印が赤く光る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件は炎属性モンスター2体!私は転生炎獣ミラージュスタリオと転生炎獣Jジャガーをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、転生炎獣サンライトウルフ!」

 

転生炎獣サンライトウルフ 攻1800 ↑ ↓

 

「墓地のJジャガーの効果!墓地のこのカード以外の『サラマングレイド』モンスターをデッキに戻す事で、墓地のJジャガーを自分フィールドの『サラマングレイド』リンクモンスターのリンク先に特殊召喚する!ミラージュスタリオをEXデッキに戻して特殊召喚!」

 

転生炎獣Jジャガー 攻1800

 

「サンライトウルフの効果発動!このカードのリンク先にモンスターが召喚・特殊召喚された場合、墓地の炎属性モンスターを手札に戻す!ガゼルを手札に戻す!」

 

・・・・えっ?何あのモンスター強っ、つまり灰流うららを毎ターン回収できるじゃん。

 

「権限せよ!光を照らすサーキット!アローヘッド確認!召喚条件はLv4以下のサイバース族モンスター1体!私は転生炎獣Jジャガーをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク1、転生炎獣ベイルリンクス!」

 

転生炎獣ベイルリンクス 攻500

 

「ベイルリンクスの効果!特殊召喚に成功した場合、デッキから転生炎獣の聖域(サラマングレイド・サンクチュアリ)を手札に加える!権限せよ!光を照らすサーキット!」

 

再び現れたリンクマーカの中に転生炎獣サンライトウルフと転生炎獣ベイルリンクスの2体が入り、サンライトウルフと同じ上と下の矢印が赤く光る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件は炎属性モンスター2体!私は転生炎獣ベイルリンクスと転生炎獣サンライトウルフをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!転生リンク召喚!リンク2、転生炎獣サンライトウルフ!」

 

「・・・あれ?同じモンスター?転生リンク?」

 

「・・・『転生炎獣』リンクモンスターは同名リンクモンスターを素材としてリンク召喚に成功した場合、新たに効果を得る」

 

お姉ちゃんが同じリンクモンスターをリンク召喚したため、私はつい思ったことを口に出す。そうしたらお兄ちゃんがゆっくりとその理由を教えてくれた。

 

「ん、つまり同じ名前のモンスターを素材にすれば強い効果を得る」

 

「そう言うこと、サンライトウルフの効果!墓地から『サラマングレイド』魔法・罠をサルベージする!転生炎獣の炎陣をサルベージ!カードを3枚伏せてターンエンド!」

 

 

アリア 手札 3枚 LP 4000

 

▲ー▲ー▲ ー

ーーーーー

○ ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

遊輝  手札 4枚 LP 4000

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

遊輝 手札 5枚

 

「(・・・・ロアー、サークル確定、レイジ、抱擁、フォクシーで見えた大捕り物の可能性大)手札の超天新龍オッドアイズ・レボリューションの効果!ライフを500払ってデッキからLv8以下のドラゴン族Pモンスターを手札に加える!」

 

「スルー!」

 

 遊輝 LP 4000→3500

 

「デッキから覇王眷竜ダーク・ヴルムを手札に加える!レフト・Pゾーンにスケール1の紫毒の魔術師をセッティング!」

 

「嫌がらせ!?紫毒セットとか巫山戯ているでしょ!!」

 

「魔法カード、デュエリスト・アドベント!」

 

「通す!」

 

「デッキからスケール8の虹彩の魔術師を手札に加えて、ライト・Pゾーンにセット!」

 

「そのままスルー!」

 

「揺れろ!魂のペンデュラム!天空に描け光のアーク!ペンデュラム召喚!現れろ!俺のモンスター達!」

 

お兄ちゃんのPゾーンの間に大きな振り子が現れて、ゆっくりと揺れ始める。その揺れた軌跡て円が描かれて穴が開き、2つの光が飛び出す。

 

「手札からEM ペンデュラム・マジシャンと調弦の魔術師、覇王眷竜ダーク・ヴルム!」

 

EM ペンデュラム・マジシャン 攻1500

調弦の魔術師 攻0

覇王眷竜ダーク・ヴルム 攻1800

 

「何その上振れ!?」

 

「(・・・・サークルなら破壊するのはこっちか)チェーン1、ペンデュラム・マジシャン、対象は虹彩の魔術師、チェーン2、調弦の魔術師、チェーン3、覇王眷竜ダーク・ヴルムで発動!」

 

「うららもロアーもケアしないでよね!スルー!」

 

「ダーク・ヴルムの効果でデッキから覇王門零をサーチ!調弦の魔術師の効果でデッキから黒牙の魔術師を守備表示で特殊召喚!」

 

 黒牙の魔術師 守800

 

「ペンデュラム・マジシャンの効果を解決!虹彩の魔術師を破壊して、デッキからEM ドクロバット・ジョーカーを手札に加える!虹彩の魔術師の効果発動!デッキから『ペンデュラムグラフ』カードを手札に加える!星霜のペンデュラムグラフを手札に加えて、そのまま発動!」

 

「(・・・エレクトラムがいるから無理!)スルー!」

 

「(夢幻泡影とレイジではないことは確定、手札誘発もファンタズメイのみ警戒、伏せは大捕り物辺りか・・・・・)現れろ、未来へ続くサーキット!」

 

お兄ちゃんの上空にリンクマーカーが現れてEM ペンデュラム・マジシャンと調弦の魔術師の2体がリンクマーカーの中に入り、左斜め下と右斜め下の矢印が赤く光る。

 

「召喚条件はチューナーモンスターを含むモンスター2体!俺はペンデュラム・マジシャンと調弦の魔術師をリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン、リンク召喚、リンク2、水晶機巧ーハリファイバー」

 

水晶機巧ーハリファイバー 攻1500 ↙︎ ↘︎

 

「チェーン1、星霜のペンデュラムグラフ、チェーン2、ハリファイバーの効果発動!リンク召喚成功した場合、手札・デッキからLv3以下のチューナーモンスターを特殊召喚する!」

 

「エレクトラム残す嫌なプレイングしないでよね!ちょっと考える!」

 

水晶機巧ーハリファイバーが特殊召喚され、その効果を発動したことでお姉ちゃんが考え始める。カウンター罠のサラマングレイド・ロアーを伏せているのが見えているからそれを使うかどうかかな?

 

「(・・・・エレクトラムにロアー!)チェーンで手札のファンタズメイの効果!相手がリンクモンスターを特殊召喚した場合、手札のこのカードを特殊召喚する!」

 

幻創龍ファンタズメイ 攻2400

 

水晶機巧ーハリファイバーがリンク召喚に成功したところでお姉ちゃんが手札のカード1枚をフィールドに出す。お姉ちゃんの後ろから幻創龍ファンタズメイがフィールドに特殊召喚される。

 

「その後、相手のリンクモンスターの数+1枚ドローして、相手のリンクモンスターの数だけ手札のカードをデッキに戻す!2枚ドローして、1枚戻すわよ!」

 

「水晶機巧ーハリファイバーの効果解決!デッキからEM オッドアイズ・シンクロンを特殊召喚!」

 

EM オッドアイズ・シンクロン 守600

 

水晶機巧ーハリファイバーの効果によってお兄ちゃんのデッキからEM オッドアイズ・シンクロンが特殊召喚される。

 

「チェーン1の星霜のペンデュラムグラフの効果!自分フィールドの『魔術師』Pモンスターが離れた場合、デッキから『魔術師』Pモンスターをサーチする!2枚目の紫毒の魔術師を手札に加える!」

 

星霜のペンデュラムグラフで紫毒の魔術師を回収・・・・手札のドクロバット・ジョーカーの攻撃力を乗せるつもりか。

 

「(ロアー残したと言うことはエレクトラムに打つのか・・・・そうなると打つ手はこうだな)Lv4の黒牙の魔術師にLv2のオッドアイズ・シンクロンをチューニング!」

 

☆4 + ☆2 = ☆6

 

「黒炎に包まれし龍よ、目指す頂を超え更なる次元へと進化せよ。シンクロ召喚、Lv6、メタファイズ・ホルス・ドラゴン」

 

メタファイズ・ホルス・ドラゴン 攻2300

 

EM オッドアイズ・シンクロンが2つの緑の輪となり、その中に黒牙の魔術師が入って4つの光となる。それらが一つの光となってメタファイズ・ホルス・ドラゴンが特殊召喚された。

 

「げっ!?そいつの存在忘れてた!!」

 

「メタファイズ・ホルスの効果発動!まずは効果モンスターを付与した効果!相手フィールドの表側表示のカード1枚を無効にする!対象はファンタズメイ!チェーン2でPモンスターを付与した効果!」

 

「ぐうぅ・・・・(ハリファイバー奪っても紫毒2枚あるから割られる!)チェーンでリバースカードオープン!永続罠、大捕り物!相手モンスター1体を対象に取り、対象のモンスターのコントロールを永久に奪う!奪うのはメタファイズ・ホルス!」

 

お姉ちゃんの大捕り物が解決して、お兄ちゃんの場のメタファイズ・ホルス・ドラゴンが大捕り物の網に囚われてお姉ちゃんの場に移る。

 

「チェーン2解決!相手は自分フィールドのモンスター1体を選択してコントロールを渡さないと行けない!」

 

「大捕り物で奪ったメタファイズ・ホルスを選択!」

 

メタファイズ・ホルス・ドラゴンの目が虚な状態となる。そのままフラフラと移動してメタファイズ・ホルス・ドラゴンはお兄ちゃんのフィールドに戻る。

 

「チェーン1解決!ファンタズメイの効果は無効になる!ちょっと計算タイム!!」

 

計算タイムと言ってお兄ちゃんは手札のカードとフィールドを何度も見る。あれはお姉ちゃんをこのターンに倒すつもりだ。

 

「(・・・・・・ドクロの効果を使うとロアーが飛んでくる。ってなると・・・・100足りねぇ、仕方ねぇ。ここはこうしようか)通常召喚!EM ドクロバット・ジョーカー!」

 

EM ドクロバット・ジョーカー 攻1800

 

「効果は使わない!」

 

「・・・・・(ニヤリッ)今、通常召喚したわね!」

 

「えっ?」

 

EM ドクロバット・ジョーカーが召喚して、お兄ちゃんが効果を使わないことを宣言したそのタイミングでお姉ちゃんの口角が上がり、高らかに宣言した。

 

「ようやくドクロバット・ジョーカーを通常召喚してくれたわね!この召喚に反応して手札の原始生命態二ビルの効果!」

 

「はっ?・・・・・・はああぁ!?!?二ビルだと!?お前ふざけんなよ!!!!」

 

「初手神引きの遊輝ちゃんには言われたくないわね!!相手が5体以上、モンスターの召喚・特殊召喚に成功したターンのメインフェイズ時、自分と相手フィールドのモンスターを全てリリースしてこのカードを特殊召喚する!」

 

晴天で覆われた天気が突如曇りだす。上を見上げると超巨大な隕石がこのデュエルが行われているフィールドに降り注いできた。私は少しの恐怖感に襲われて一歩後ろに下がり身構える態勢に入る。

 

「出でよ!原始生命態二ビル!」

 

原始生命態二ビル 攻3000

 

フィールドに落ちてきた隕石はお兄ちゃんの場のモンスターを全て粉々にしてお姉ちゃんの後ろに巨大な隕石が現れる。

 

「その後、相手フィールドに原始生命態トークンを特殊召喚する!このトークンの攻撃力と守備力はこの効果でリリースしたモンスターの元々の攻撃力・守備力の合計の数値となる!トークンは守備表示よ!」

 

 原始生命態トークン 守?→4900

 

モンスターを破壊されたお兄ちゃんのフィールドには降り注いだ隕石の破片がトークンとして場に残る。

 

「これで遊輝ちゃんの残りの手札は紫毒の魔術師と覇王門零!次の私のターンには勝つわよ!」

 

「(ちきしょう!!ファンタズメイで二ビル引きやがった!!しかもアリアに手札がバレている!!次のターンを凌ぐ方法がねぇ!!)」

 

原始生命態二ビルを特殊召喚したことで状況は再び一変した。お姉ちゃん優勢からお兄ちゃんがひっくり返したと思ったらお姉ちゃんがトドメを刺した。これは流石に厳しい。

 

「・・・・・ターンエンド」

 

「エンドフェイズ!リバースカードオープン!速攻魔法、転生炎獣の炎陣!デッキから2枚目のフォクシーを手札に加える!」

 

 

アリア 手札 3枚 LP 2500

 

▲ーーーー ー

○ーーーー

ー ー

ーーーー□

△ーーー△ ー

 

遊輝  手札 2枚 LP 3500

 

 

「私のターン!ドロー!」

 

アリア 手札 4枚

 

「さあて、口の聞き方がなってない遊輝ちゃんにお仕置きタイムよ・・・・フォクシーを通常召喚!効果発動!デッキトップ3枚を巡るわよ!」

 

・サラマングレイド・レイジ

・転生炎獣の意思

・墓穴の使命者

 

「転生炎獣の意思を手札に加えるわよ!」

 

「テメェオーバーキルするつもりか!!いっそそのまま殺せ!!」

 

「女の子がテメェとかオーバーキルとか殺せとか下品な言葉を使ってはいけないんだよ。そう言うところもキッチリと教育してあげるわ・・・・墓地のスピニーの効果!このカードを特殊召喚!Lv3のフォクシーとスピニーでオーバーレイ!」

 

☆3 × ☆3 = ★3

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!転生炎獣ミラージュスタリオ!」

 

再び転生炎獣フォクシーと転生炎獣スピニーがエクシーズ素材となり、転生炎獣ミラージュスタリオが特殊召喚される。

 

「ミラージュスタリオの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ取り除いて、デッキから転生炎獣ファルコを特殊召喚!」

 

転生炎獣ファルコ 守1600

 

「さらに墓地に『サラマングレイド』モンスターが墓地に送られたことで手札のガゼルの効果!自身を特殊召喚!効果発動!デッキからサラマングレイド・レイジを墓地に送る!」

 

次々にモンスターを展開して墓地を肥やすお姉ちゃん、でもこのままじゃトークンを突破出来ないけどどうするんだろ?

 

「権限せよ!光を照らすサーキット!アローヘッド確認!召喚条件は炎属性モンスター2体!私は転生炎獣ミラージュスタリオと転生炎獣ファルコをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、転生炎獣サンライトウルフ!」

 

転生炎獣ミラージュスタリオと転生炎獣ファルコがリンク素材となって3体目の転生炎獣サンライトウルフが特殊召喚される。

 

「リンク素材となったミラージュスタリオの効果!X召喚したこのカードが『サラマングレイド』リンクモンスターのリンク素材になった場合、相手フィールドのモンスター1体を対象に取って手札に戻す!原始生命態トークンを戻す!」

 

墓地に送られたミラージュスタリオの現霊がお兄ちゃんの場に残った原始生命態トークンを吹き飛ばす。ああ、あのエクシーズモンスターそんな効果あったんだ。

 

「さらに墓地のJジャガーの効果!墓地からサンライトウルフを戻してフィールドのサンライトウルフのリンク先に特殊召喚!サンライトウルフの効果発動!墓地のフォクシーをサルベージ!権限せよ!光を照らすサーキット!アローヘッド確認!召喚条件はLv4以下のサイバース族モンスター1体!私は転生炎獣Jジャガーをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク1、転生炎獣ベイルリンクス!ベイルリンクスの効果発動!ベイルリンクスの効果でデッキから転生炎獣の聖域をサーチ!」

 

次々とお姉ちゃんのフィールドにモンスターが展開されていき、さらに手札も増えていく。

 

「顕現せよ!光を照らすサーキット!アローヘッド確認!召喚条件は炎属性モンスター2体!私は転生炎獣ベイルリンクスと転生炎獣サンライトウルフをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!転生リンク召喚!リンク2、転生炎獣サンライトウルフ!転生リンク効果!墓地のサラマングレイド・レイジを回収!」

 

「お前本当にオーバーキルするつもりかよ!?」

 

「手札の機巧帝ー天迦久御雷の効果発動!」

 

「おいこら待て人の話を聞け!!」

 

「EXゾーンにモンスターが存在する場合、このカードを特殊召喚する!」

 

機巧帝ー天迦久御雷 攻2750

 

お姉ちゃんの後ろに雷が落ちてその中から機械の身体で出来た巨大なモンスターが現れた。

 

「さらに手札から永続魔法、転生炎獣の意思(サラマングレイド・ハート)を発動!効果発動!このカードを墓地に送り、自分フィールドの転生リンクした『サラマングレイド』リンクモンスターを対象に取り、そのモンスターのリンクマーカーの数だけ墓地から『サラマングレイド』モンスターを守備表示で特殊召喚する!転生炎獣Jジャガーと転生炎獣スピニーを特殊召喚!」

 

 転生炎獣Jジャガー 守1200

転生炎獣スピニー 守1500

 

お姉ちゃんが発動した永続魔法は墓地に送られて墓地から2体のモンスターが特殊召喚される。お姉ちゃん、本気でお兄ちゃんをオーバーキルするつもりだ。

 

「顕現せよ!未来へ続くサーキット!」

 

転生炎獣サンライトウルフと転生炎獣スピニーざお姉ちゃんの頭上のリンクマーカーに入り、左斜め下、右斜め下、そして上の矢印が赤く光る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件は炎属性モンスター2体以上!私は転生炎獣ベイルリンクスと転生炎獣サンライトウルフをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク3、転生炎獣ヒートライオ!」

 

転生炎獣ヒートライオ 攻2300

 

お姉ちゃんの頭上のリンクマーカーが赤く燃え上がり、中から二足歩行のライオンが現れる。毛並みが赤く光り、そのまま毛が燃え上がる。

 

「ヒートライオの効果発動!リンク召喚成功時、相手フィールドの魔法・罠ゾーンのカード1枚をデッキに戻す!星霜のペンデュラムグラフ!」

 

 『グオオオオ!!!!!』

 

ヒートライオが大きな咆哮をあげて、お兄ちゃんの場の星霜のペンデュラムグラフを吹き飛ばす。

 

「フィールド魔法、転生炎獣の聖域を発動!」

 

お姉ちゃんがフィールド魔法を発動して、辺り一帯が紅葉が広がる山々から今にも噴火しそうな火山へと変わる。

 

「転生炎獣の聖域の効果!『サラマングレイド』リンクモンスターをリンク召喚する場合、フィールドの同名の『サラマングレイド』のリンクモンスター1体のみでリンク召喚する!顕現せよ!未来へ続くサーキット!」

 

お姉ちゃんの場の転生炎獣ヒートライオが再びリンクマーカーの中に入って、そのまま同じ矢印3つが光る。

 

「転生リンク召喚!転生炎獣ヒートライオ!」

 

リンクマーカーがさっきよりも激しく燃え上がり、身体が人一倍大きく、そしてさっきよりも燃え上がった転生炎獣ヒートライオが現れた。

 

「ヒートライオの効果発動!戻すのはPゾーンの紫毒の魔術師!さらにヒートライオの転生リンク効果!フィールドのモンスターと墓地の『サラマングレイド』モンスター1体ずつ選び、フィールドのモンスターは墓地のモンスターと同じ攻撃力になる!フィールドはガゼルで墓地はヒートライト!」

 

お姉ちゃんのフィールドの転生炎獣ガゼルが墓地から霊として現れた転生炎獣ヒートライオの魂を吸収して攻撃力が上がる。

 

転生炎獣ガゼル 攻1500→2300

 

「やり過ぎだこの野郎!!」

 

「明日からその汚い言葉使いを直して上品な仕草を勉強してもらうわよ!!これでバトル!転生炎獣ヒートライオ、転生炎獣ガゼル、機巧帝ー天迦久御雷、原始生命態二ビルでダイレクトアタック!」

 

「ちょっ!?おまっ!?やめ、ああああ!!!!!」

 

遊輝 LP 3500→1200→ー1100→ー3850→ー6850

 

WIN アリア LOS 遊輝

 

 

「うっし!!遊輝ちゃんしっかり働いてもらうわよ!!」

 

「ま、負けた・・・・・」

 

デュエルが終わってお姉ちゃんはガッツポーズをして、お兄ちゃんは膝から崩れ落ち両手を地面に付ける。なんかついこの前、お兄ちゃんにボロ負けにされたから気分がスッキリした。

 

「さあ遊輝ちゃん、明日から2週間の無賃労働と言葉の勉強を学んでもらうわよ!!劣等生だったら期間が伸びるからね!!」

 

「ああああ!!!!不幸だああああ!!!」

 

「お、お兄ちゃん・・・・みんなが見てるから・・・・・」

 

負けた腹いせで叫ぶお兄ちゃんのせいでみんながこっちを見てくる。恥ずかしいからやめて欲しい。

 

「さあこのまま山登り再開!!絶好の紅葉を見に行くわよ桜ちゃん!!遊輝ちゃん!!」

 

「い、行きたくねぇ・・・・・・」

 

ルンルン気分のお姉ちゃんは私の手とお兄ちゃんの手を握りしめてそのまま山頂を目指す。

 

 

〜〜(数時間後)〜〜

 

 

「着いた!!見て見て!!綺麗な景色だよ!!ちょうど夕陽が沈む頃だよ!!」

 

「・・・・綺麗」

 

「・・・・・俺の心は灰色だよ」

 

なんかお兄ちゃんが訳の分からない事言っているけど無視しよう。相変わらずの人混みで時間が掛かったけど無事に山頂に着くことが出来た。既に太陽が沈みかける時間で夕焼けとなっている。それが山頂から見る紅葉の色と重なり、神秘的な景色となる。

 

「・・・・・綺麗、こんな景色初めて」

 

「私もここまで綺麗な紅葉は始めてね。夕焼けが重なると神秘的ね、ね、遊輝ちゃん」

 

「・・・・まぁ、景色は確かに綺麗だな」

 

3人で頂上から見上げた景色はとにかく綺麗だった。

 

「(・・・・・いつまでもこんな関係が続いたらいいな)」

 

最近思う事だ。こうやってお兄ちゃんと一緒に暮らして、お姉ちゃんや軽音部、祈や恭輔達とアカデミアで過ごす。すごい平凡な毎日、だけどそれがずっとずっと楽しい。

 

「(・・・・記憶が戻るなんてどうでも良い。今はただ、この楽しい暮らしがいつまでも続いたらいいな・・・・)」

 

「さあて!!目の英気を養ったから次はお腹の英気を養うわよ!」

 

「・・・・はっ?」

 

「(ピキッ)きた・・・・きた・・・・・」

 

「はっ?えっ?何?」

 

お兄ちゃんはポカ〜ンとしているが、私はお姉ちゃんから聞いた言葉を聞いて胸が高まる。ついにこの時がやってきた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「・・・・・・・・・・」

 

「お姉ちゃん、ここのバイキング美味しい」

 

「でしょ〜!ここのホテルバイキングは超有名だからね!!」

 

ハイキングが終わり、帰りの電車から1時間ほど、山ばかりの景色は再びビル群が並ぶ都会へと変貌して、夜のネオン街へと変わる。そんなビル群にそびえ立つ超有名ホテルの1階、ここに私たちはやってきた。目的はただ一つ、この超有名ホテルで有名な今一番予約が取れないと言われる超高級ホテルバイキング、お値段一人13,000円。お姉ちゃんが3人分予約したのだ。お金は今日負けたお兄ちゃん持ち。

 

「・・・・・・・・・」

 

「う〜ん!!このロッシーニ超美味しい!!」

 

「美味しい・・・・ここは天国」

 

「・・・・・何で桜が乗り気なのかよ〜く分かったわ」

 

「断じて違う。私はハイキングが目的で今日一日歩いた。これはそのご褒美」

 

お姉ちゃんにハイキングって言われた時はまぁたまには綺麗な景色を見ようかと思ったけど、その後に高級バイキングに行くって言われたから決心したんじゃない。ハイキング1割、バイキング9割で決めたのだ。

 

「ほらほら遊輝ちゃんも食べなよ!せっかく美味しい料理が並んでいるんだから」

 

「・・・・・くそぉ、美味いのが余計に腹立つ」

 

お姉ちゃんに言われてお兄ちゃんも食べ始める。

 

「(・・・でもやっぱり一番美味しいのはお兄ちゃんの手料理かな)お代わり」

 

そう思って私は10回目のお代わりに向かう。

 




遊輝「くそう・・・余計な出費を」

アリア「美味しかったね〜」

桜「・・・美味しかった、満足した」

遊輝「お前ら二人でいくら食べたんだよ。元は愚か原価分まで食べて支配人に泣き疲れるなんて思いもしなかっなわ」

アリア「こういう時はお上品かつ元を取るように食べるのよ!」

桜「・・・・いっぱい食べれる幸せ、バイキング最高」

遊輝「今日の話はハイキングだぞ」

アリア「というわけで次回!!『優姫ちゃんのセレブな生活』」

桜「次回もよろしく」


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第47話 優姫ちゃんのセレブな生活

ひっさびさにあのアイテム登場。そして遊輝ちゃんに新たな属性が付きました。


 桜  side

 

高○山のハイキングが終わって翌日、現在時刻は11時。今日は晴天で実に清々しい朝だった。やはり昨日、山歩きして運動したのが効いている。こう思うと運動するのは大変素晴らしいと思う。こんなにも清々しい気持ちになるならたまには運動するのも良いのかもしれない。そう思い、ベランダで紅茶を飲む。

 

「ん、美味しい・・・・・お姉ちゃん(・・・・・)の入れてくれた紅茶は素晴らしい」

 

ネットに書いてあった完璧な紅茶の入れ方を見たお姉ちゃんが作った紅茶、安物の茶葉だけど凄く美味しい。そしてこれがアリアお姉ちゃんの手作りのクッキーと相性抜群だ。そしてベランダの庭、ここはまるで西洋にいるみたいだ。今日も一日、素晴らしい日になりそうだ。

 

「いやああああああ!!!!!!!」

 

・・・・・・綺麗に髪を整えポニーテールして、ハイヒールを履いて、清楚なお嬢様が来ていそうな白いワンピースを着たお姉ちゃんの悲鳴が無ければ、の話だけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「違うわよ優姫ちゃん!そんな歩き方じゃなくて線の上を歩くイメージで歩きなさい!」

 

「もう嫌だ・・・ヒールで歩きたくない・・・・・スカートなんて嫌だ・・・・」

 

「あんまりやり方悪いとまた残業よ!!」

 

「いやああああ!!!!!」

 

先ほどの服装を着たお兄ちゃんの声が屋上のベランダに響き渡る。そのお兄ちゃん、いや、お姉ちゃんを指導しているのはアリアお姉ちゃんではなく茜のお母さんだ。

昨日の○尾山でお姉ちゃんはアリアお姉ちゃんにデュエルでコテンパンにされて、2週間の無賃労働と言葉で聞いただけでは意味が分からない授業をアリアお姉ちゃんから受けることになった。このワンピースの衣装はアリアお姉ちゃんのコスプレ衣装らしい。

 

本気でリーリエそっくり、一瞬『マジでお兄ちゃん?』って言ってしまった。アリアお姉ちゃんのコスプレ力ヤバすぎる。お姉ちゃんをチノちゃんに変えた実力は伊達じゃなかった。

 

因みにアリアお姉ちゃんが言っていた無賃労働、あれはお金を払わないわけじゃなくて、お姉ちゃんがモデルとして発生した賃金丸々がアリアお姉ちゃんの授業料として回るみたい。アリアお姉ちゃん、濡れ手に粟だ。

 

「ほらしっかりしなさい!手は横にするだけじゃなくてこうやってしなやかに振りなさい!!」

 

「意味分かんねぇよ!!普通に手を振っているじゃねぇか!!」

 

「優姫ちゃん!!言葉が悪いわよ!!そこは『ごめんなさい、意味が分からないです。教えてください』でしょ!!」

 

「うわあああああ!!!!!!」

 

「・・・・・お姉ちゃんって言葉遣い悪いからそんな綺麗な言葉言えないと思う」

 

「まぁ確かに、遊輝っちって言葉遣いとか全然気にしないタイプだもんね。それでいて年下相手には敬語を言えって言っているけど」

 

「・・・・それ、典型的な嫌なタイプの上司」

 

「確かに」

 

お姉ちゃんの仕事の様子をベランダでティーセットのカップとソーサラー、そしてお皿に洋菓子を並べたテーブル近くの椅子に座り、茜と一緒に話す。茜は軽音部のバンドの他にファッションモデルもやっている。寧ろ後者が本業、昔からファッションモデルをやっているというからこういうのはお手の物だ。実際問題、お姉ちゃんと同じ量を昨日やったらしいけど1時間半で終わらせたっと言っている。お姉ちゃんは3時間経ってまだ1/10だ。残業って言われても仕方ない。

 

「・・・・そう言えばここ最近軽音部練習している様子ないけど大丈夫?」

 

「この前のライブである程度一区切り付けたからね〜、レミっちには休んで欲しいって言うのがメンバーみんなの希望だったから。ここ2年はずっと走りっぱなしでレミっちなんか私たちの倍以上の仕事量をこなしていたからね」

 

「走りっぱなし?」

 

「最初のツアーの前のアカデミアのライブ・・・・私達が中等部2年の文化祭ライブの練習だから大体3ヶ月前・・・・2年間丸々、そこから私たちはずっと音楽漬けの生活をしてきたわ。みんな多分、一日足りとも楽器を触らなかった日はないくらいよ」

 

「・・・・・それは大変」

 

「そんな中で遊輝っちや奏っちは作詞をしていたから大変だったけど、レミっちはそれ以上だったからね〜。全部の曲の作曲から編曲、ライブのステージ構成やらセットリストやら会議やら、私が見ているだけでも結構な量の仕事があったわね〜。下手したら寝てないなんて時もあったんじゃないかな?」

 

「寝てないって・・・・・」

 

「そんな状態が2年続いて、ツアーが2回だからね〜、本人も休みたい休みたい言っていたし、2枚目のアルバムもほぼほぼ完成したからちょうど良いタイミングかな〜って」

 

紅茶を飲みながら茜は私に丁寧に教えてくれる。確かにそんな状態をずっと続けていたら何処かで休みたくなる。っというか休まないと体を壊してしまう。レミも普段ふざけたりしているけど、実はかなり大変だったんだ。

 

「まぁ今日は皆ここに来るみたいだけど」

 

「えっ?」

 

ピンポ〜ン

 

「あっ、来た来た。多分これよ」

 

家のチャイムが鳴ったので私は茜の言葉を聞きながらインターホンに向かう。カメラ越しには確かに軽音部と祈、恭輔といういつもどおりのメンバーがいた。

 

「桜ちゃ〜ん、ごめんね」

 

「今開ける」

 

扉越しで確認した私はそのままインターホン脇のボタンを押す。私がボタンを押したことで軽音部のメンバーが建物の内部へと入り、エスカレーターの中に入っていく。その後、私は玄関に小走りで行く。

 

ピンポ〜ン

 

「ん、開ける」

 

玄関の鍵を開けて扉を開ける。いつも通りに手を振るみんながいた。

 

「よっ、桜。急に悪いな」

 

「ごめんね。これ、私の店のカップケーキよ」

 

「ん、奏ありがとう。どうぞ」

 

奏からカップケーキが入った紙袋を受け取ってみんなを中に入れる。奏の店のカップケーキは美味しい、しかも小ぶりだから何個で「いやああああああ!!!!!」・・・・相変わらずお姉ちゃんの悲鳴がうるさい。

 

「な、何ですかこの悲鳴!?」

 

「・・・・・また師匠ですか」

 

「昨日アリアからL○IN来たわね〜。アリアに勝てるなんて思わない方が良いのに」

 

「あいつ下手に勝っているから勝てるって思うんだろ」

 

「っていうか3人で高○山にハイキングに行くなら私たちも誘ってよ!!」

 

「ん、誘ってもその後のバイキングには誘えなかった」

 

「ハイキング行った帰りにバイキングに行ったのですか・・・・普通疲れてそんな大量に食べられませんよ」

 

「何言ってる恭輔、体を動かしたあとだからご飯は美味しく進む」

 

「・・・・何となく店長辺りが泣きついた様子が目に浮かぶわ」

 

「・・・・それよりなんで来たの?」

 

「いや〜、なんかすみれさんに呼ばれてさ」

 

「茜のお母さんから?」

 

「そうそう、またモデルの仕事じゃないんかな〜」

 

「あの人、作るだけ作ってそれを溜めて私たちに仕事としてやらせるからな〜、良い加減新しい人雇えば良いのに」

 

「それ今日の朝、お姉ちゃんも言ってた」

 

みんなのたわいの無い話をしながらベランダに向かう。ちょうど休憩に入ったのか、お姉ちゃんは椅子に座って「優姫ちゃん!!そんな座り方したらダメでしょ!!」・・・・座り方一つにも注意されるお姉ちゃん、情けなさすぎる。

 

「すみれさ〜ん、来ましたよ」

 

「ようやく来たわね。なんで時間かかったの?」

 

「響が寝坊したから!」

 

「ちょっ!?スバル言わないで!!」

 

「じゃあ響のバイト代は減額ね」

 

「す、すみれさ〜〜ん!!!!」

 

「そ、それよりすみれさん。私たちを呼んだ理由ってなんですか?」

 

「あっ、そう言えばそうだ。ちょっと待ってて、資料とってくる。アリア、休憩入るわ」

 

「は〜い!じゃあ優姫ちゃん!!私の授業受けてもらうわよ!!」

 

「いやああああ!!!!!!」

 

「・・・・・・何してるのよ」

 

茜のお母さんは何かを思い出したようにベランダからリビングに戻り、アリアお姉ちゃんは椅子に座ったお姉ちゃんを捕まえてリビングに戻る。

 

「・・・・アリアお姉ちゃんはともかく何で茜のお母さんも私の家に慣れているの?」

 

「ア、アハハ・・・・なんだかんだここ溜まり場にさせてもらっているから・・・・」

 

「ごめんね〜、3人ともこの資料見てくれる」

 

茜のお母さんが資料らしきものを手に取ってそれをレミ、響、奏の3人に渡す。私は隣にいたレミの資料を覗くように見る。

 

「『関西コレクション 参加される企業様へ』これって・・・」

 

「関西コレクションって有名なファッションショーじゃない!?えっ!?すみれさん参加するの!?」

 

「参加するからその資料があるじゃない。ようやく個人事務所としての地位も築いてモデルの数もある程度雇えてきたからそろそろ参加しようと思ってね。まずは国内から、ゆくゆくは海外のファッションショーも個人事務所の名で参加する予定だから」

 

「へぇ〜・・・・・で、これを私達に渡した理由は?」

 

「何聞いてるのよ、貴方たちはモデルで参加してもらうのよ」

 

「デスヨネ〜」

 

茜のお母さんが澄まし顔で言い切り、奏は少し苦笑いで返答した。へぇ、関西地方でのファッションショーか。私この街しか知らないからな・・・

 

「あ、あの・・・・すみれさん、私は?」

 

「祈は勉強のために一緒に来てもらうわよ。アカデミアの春休みと同時期に一緒に会場まで行って視察とかしてもらうから」

 

「は、はい!!」

 

「スバル君と恭輔君はアルバイトスタッフとして雇いたいわ。大きなファッションショーとなるとそれなりに人手が必要だから」

 

「あ、あの〜・・・僕一応中学生「何言ってるの?私が前に所属していた事務所は中学生から働いている人はいたわよ。それに恭輔君はすでに働いているじゃない」・・・・・・」

 

「まぁ別に良いですけど何するんですか?俺たち二人、ファッションショーについてそんな詳しく知らないですよ」

 

「何、資料をまとめてもらう事とエスコートしてもらうだけだから。スバル君は多少機械系のことを頼むかもしれないけど」

 

「分かりましたっと・・・・っで、遊輝は?」

 

「優姫ちゃんはモデルに決まっているじゃない。私の事務所の稼ぎ頭なんだから」

 

「デスヨネ〜」

 

今度はスバルが苦笑いをする。お姉ちゃん、やっぱりそういう役目になるのか、それでさっきから歩く練習していたのか。何でモデルの仕事で歩く練習しているのかと不思議に思ったから。

 

「とりあえず貴方達も午後から練習ね。パリの時は突貫工事だったけど、今回はちゃんとレベルの高いところまで持っていくから」

 

「は、は〜い・・・・・」

 

「ね、寝かしてくれないわね・・・・」

 

「・・・・パリ?」

 

「桜さんは知らなくて当然です。4年前にレミさん達はパリでファッションショーに参加しました」

 

「・・・・・お姉ちゃんも?」

 

「アリアさんは参加してませんよ」

 

「違う、お姉ちゃん」

 

「・・・・あぁ、師匠ですか。その・・・・はい」

 

「やっぱり」

 

「桜!!全部聞こえているぞ!!やっぱり「優姫ちゃん!!妹に向かって何て言葉を使ってるのよ!!」いたただだだだ!!!!」

 

お姉ちゃんがこっちに振り向いて噛みつこうとしたけど、アリアお姉ちゃんがお姉ちゃんの耳を引っ張ってお姉ちゃんを捕まえる。

 

「ついでだからそのままリビングに戻るわよ!食事の作法を教えてあげるわ!!」

 

「いただだだだ!!!!!」

 

「・・・・まぁまずはあの聞き分けの悪い子をしっかりと矯正しないといけないけど。祈、あなたは新作のデザイン考えなさい」

 

「は、はい!」

 

「・・・・・あいつ何回もやっているのにまた怒られているのか」

 

資料をもらった3人がテーブルに置き、茜のお母さんはアリアお姉ちゃんが教育をしているお姉ちゃんの方を見る。それをスバルや恭輔は凄い哀れな目で見ている。

 

「・・・・・僕、お昼ご飯作って来ますね。この様子だと師匠、また昼ごはん作れなさそうですし」

 

「あら、助かるわ。出前の費用が抑えられるわ」

 

「私も手伝う」

 

恭輔はベランダからリビングに戻り、キッチンに向かう。恭輔一人だとあれだから私も手伝いに行く。正直、お姉ちゃんの頭の悪い所はもう見飽きた。

 

「さて、何作りましょうか」

 

「何でもいい。食べることさえできれば」

 

「・・・・・少しは食べること以外のこと覚えてください。冷蔵庫は・・・・これだったらシンプルに焼きそばを作りましょう。桜さん、野菜切ってください」

 

「ん」

 

恭輔が冷蔵庫の野菜室からキャベツとにんじん、玉ねぎを出したので私はまな板と包丁を収納スペースから取り出して水洗いを始める。お姉ちゃんの影響で少しは料理することが出来た。ただ、お姉ちゃんの家事炊事のスペックが高すぎる。

 

「優姫ちゃん!お嬢様はね、そんな早くに紅茶を飲み終わらないのよ!ティータイムのマナーなってないわ!!やり直し!!」

 

「もう飲みたくねぇよ!!腹の中チャポ「その言葉使いもダメ!!こうなったら最終手段よ!!こっち来なさい!!」グヘッ!!!」

 

アリアお姉ちゃんはお姉ちゃんの服の首元を掴み、ズタズタとリビングを後にする。お姉ちゃんが何か言っているがそのまま引きずられていく。

 

「・・・・・アリアさんも大概言葉使い悪い方ですけど」

 

「恭輔、それアリアお姉ちゃんに言ったら殺される」

 

「分かってますよ、そんな師匠みたいなヘマ僕はしませんよ」

 

「恭輔、毒吐きすぎ」

 

弟子に完全に舐められているお姉ちゃん、しかしあの態度じゃ舐められても仕方あるまい。すべて自業自得だ。

 

 

〜〜(数十分後)〜〜

 

 

「みなさ〜ん、お昼ご飯できましたよ」

 

「待ってました!!」

 

恭輔の声を聞いて響が一番乗りでリビングに戻ってきた。その後に続いてみんなゾロゾロとやってくる。

焼きそばと恭輔はその付け合わせで余っていた野菜たちをオイスターソースで炒めた。ご飯も大量に炊いたので存分に食べることができる。

 

「あれ?アリアさんたちは?」

 

「お待たせ〜!!」

 

リビングから出て行ってまだ戻ってきてないアリアお姉ちゃん達がいないので恭輔はキョロキョロと見渡す。それと同時にアリアお姉ちゃんが戻ってきた、お姉ちゃんを右手に繋いで。そのお姉ちゃんは何故か伊達眼鏡を掛けていた。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「師匠、何してるんですか?早くご飯食べましょう?」

 

「・・・・はい、恭輔さん」

 

「!?!?(ガタッ!?)」」

 

余りにも、そう余りにも強烈な衝撃に恭輔は飛び上がった。いや、恭輔だけじゃない、私も飛び上がってしまった。

 

「お、おおお・・・・お姉ちゃん?」

 

「どうしたのですか桜お姉ちゃん?」

 

「!?!?お、おおおお・・・・お姉ちゃん」

 

今度はお姉ちゃんが私に言った一言の衝撃が大き過ぎた。一瞬立ち眩みを起こしてしまった。

 

「さあ優姫ちゃん、これからみんなでご飯を食べましょう」

 

「はい、アリアお姉ちゃん。皆さんも一緒に食べましょう」

 

いつもオラオラとしていた男っぽい性格やオーラは全く無くなり、そこにいたのは本当に清楚なお嬢様だった。声のトーンも一つか二つ高い。替わったのは言葉使い使いだけじゃない。椅子に座る時もお淑やかにスカートの裾を整えて、座る。そしてお箸を持って焼きそばの麺を一つ取り、上品に食べる。そして恭輔に向かってニッコリと微笑む。

 

「とても美味しゅうございます」

 

「良かったね恭輔!師匠から褒められたよ!」

 

「は、はわわわわわ・・・・あわわわわ・・・・」

 

「きょ、恭輔さん!?しっかり!!しっかりしてください!!」

 

相変わらず恭輔は口をパクパクと動かしているだったが、お姉ちゃんからの一言で頭から白い煙が出て、倒れてしまった。それを見た祈が慌てて恭輔のところに駆け込む。それくらい、あまりにも強い衝撃が私たちの目の前で起こっている。

 

「ア、アリア・・・・・貴方何したの?」

 

みんな固まったままだったが、ついにレミが一言喋った。

 

「ふふ〜ん!!レミから貰ったあの伊達眼鏡を使ってちょ〜〜〜っと教育をしたらこの通りよ!ついでに私と桜ちゃんをお姉ちゃんと呼ぶようにしたのよ!」

 

「・・・・あっ、あの伊達眼鏡か」

 

薄い胸を突きつけてドヤ顔を決めるアリアお姉ちゃん、その横でお姉ちゃんが上品な箸使いで野菜炒めを食べる。いつもならご飯と一緒に掻き込んで食べるお姉ちゃんの姿が何一つ見えない。

 

「・・・・ま、負けた・・・遂に完膚なきまでに・・・・」

 

「ゆ、遊輝にこんなマナーを付けられたら私はどうすれば・・・」

 

「わ、私、モデルだよ?本業だよ?全部取られた気分・・・・」

 

後ろで響、奏、茜の3人は膝から崩れ落ち、すごい哀愁を漂わせている。いや・・・・こんなのが男なんて言われたら世の中の女性全員が自信をなくす。家事・炊事も完璧、テーブルマナーの身のこなしから何から何まで完璧・・・・それが男なんて・・・・

 

「どうしたのですか桜お姉ちゃん?早く一緒に食べましょう」

 

「(お、お姉ちゃん・・・・・・良い)」

 

お姉ちゃんから言われる『お姉ちゃん』という言葉が凄い心に響く。妹を持つってこんなにも素晴らしいものか。これはアリアお姉ちゃんの気持ちが凄くわかる。守りたい、この笑顔。

 

 

 桜  side out

   

 No side

 

 

とある一室、大きなビジネステーブルを挟んで椅子に座っている男性と立っている女性がいる。女性・・・・・ドゥは書類は持って男性と書類の内容を淡々と話す。

 

「・・・・以上が今のDMWの現状です。感情を持ち出した事で例の計画にも影響が出るでしょう」

 

「そうか。なら一刻も早く回収する必要があるな」

 

「しかし、DMWを守るシークレットシグナーやアリアという女性はかなりの実力者です。正直言って私では勝てないのが現実です、下手したら貴方も負けるでしょう」

 

「ふむ・・・・なら手段は選ばずだな」

 

「はっ」

 

「しかし・・・・そうか、そんなに実力があるのか」

 

「えっ?」

 

「今までは敵対していたが・・・・・そこまで実力があるなら使えそうじゃないか・・・・・・第2、第3のDMWとして」

 

ドゥの間抜けな返事に男性はニヤリと笑って返事する。彼の手元にあるチェスボード、その王と女王の駒には遊輝とアリアの写真が張られている。

 

「今まではチェスのように敵を倒すことしか頭に入ってなかったが、ここは将棋のように相手の駒をこちらの戦力として迎え入れることも考えようではないか」




遊輝「桜お姉ちゃん」

桜「・・・・・良い、凄くいい」

アリア「ふふ〜ん!私にかかればざっとこんなもんよ!」

レミ「一種の洗脳ね・・・・恐ろしいわ」

スバル「ってかあいつ、あの伊達眼鏡掛けたら執事になるんだろ?」

アリア「そこもちゃ〜んと教育したわ!着ることはないと思うけど、男物の服を着ると執事属性に変わるわ!」

スバル「・・・・・本当に人形じゃねぇか」

遊輝「桜お姉ちゃん」

桜「・・・・・・・・・」

レミ「桜ちゃん!?天に招されちゃダメだよ!!」

アリア「次回、『冬景色』。次回もよろしくね!」


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第48話 冬景色

遅くなりましたが、新年一発目の投稿です。

バイト漬けの年末年始でした。目標の風邪を引かないは達成しましたが、脳みそのイカれかけてます。
忘れ物が多い・・・・・

(*・・・今回は展開の都合のため、後書きは休ませてもらいます)
(*・・・地味にアンケート設置しました。1月31日までの予定です。)


遊輝  side

 

 

「綺麗なイルミネーションね」

 

「もうクリスマス一色だな。クリスマス終わってすぐに年越しか」

 

「・・・・クリスマス?」

 

「えっとクリスマスクリスマス・・・・イエス・キリストの生誕祭で24日の夜から25日の日没まで祝うんだって」

 

「さすがwi○i、有志の情報は響よりも賢い」

 

「ちょっと奏!?」

 

紅葉の季節から巡り12月も中旬、今日も部活の練習が終わり街に繰り出している。今日は軽音部とレミの仕事場からライブスタッフの親しい関係者と忘年会をすることになっている。街はイルミネーションで色鮮やかに照らされている。

 

・・・・因みにここ2週間の記憶が全くない。高○山で負けた次の日にすみれさんにファッションショーの特訓して、アリアに部屋に連れ込まれたところまでは覚えているけど、その後の記憶が全くない。桜は「・・・・お姉ちゃん」とか言って気色悪い顔をするからアテにならん。

 

「去年はお鍋で今年は焼肉か〜豪勢になったわね〜」

 

「今年の景品はどうなるかな〜」

 

「それより俺は桜のことで頭一杯だよ・・・・」

 

「アァ・・・・確かに」

 

「?私?」

 

「お前馬鹿みたいに食うだろ」

「馬鹿は失礼、私は満足するまで食べている」

 

「そこを馬鹿だと言ってるんだよ」

 

俺たち軽音部の忘年会には桜も出席する。本来なら関係者じゃないからあれなんだけど、アリア達も忘年会で桜は参加出来ない。そうなると桜一人にさせてしまうので、結局こっちの忘年会に参加することになった。

 

「頼むから馬鹿みたいに食わないでくれよ。ちゃんと節度を持って食べてくれ」

 

「私は満足するまで食べる」

 

「・・・・・今更だけど焼肉バイキングとかに変えてくれないかな」

 

「ア、アハハハ・・・・・・(汗)」

 

「まぁ良いじゃん。ちゃんと凄い食べる人がいるから30万は見といてくださいって伝えているし」

 

「30万でも怪しいぞ」

 

「着いた〜!!」

 

響の声が響き渡る。俺たちの目の前には高級焼肉チェーン店、学校の制服7人組来るような場所ではないので明らかに浮いている。周りからは少し見られるが、そんなことお構いなしにお店の中に入る。

 

「いらっしゃいませ」

 

「えっと、スタジオミュージックの者です」

 

「はい、スタジオミュージック様のお部屋は3階でございます。エレベーターでどうぞ」

 

入り口のスタッフがパソコンで確認した後、左横のエレベーターが開く。7人全員が乗り込んでそのままエレベーターが動き、3階に着く。

 

「小林さ〜ん、お待たせ〜」

 

「おぉ、来たね〜。10分前だよ」

 

「抽選会のグッズ持ってきたりとか準備しないといけないんでね。ちょっと時間かかりました」

 

「お久しぶりで〜す」

 

「根岸さん!出産おめでとうございます!」

 

「勝田さん、今年も一年ありがとうございました」

 

「おお〜スバル君!こっちこそ悪かったな!今年のツアーの機材チェック任せる形になってしまって」

 

3階は宴会場になっていて、エレベーター降りてすぐに簡易の受付スペースがある。そこにメンバー全員で受付係をやっている小林さんに挨拶した後は先に来ているスタッフたちに挨拶する。

 

「遠藤君〜、今年も一年お疲れ様〜」

 

「お疲れ様です。篠山さん」

 

「おっ、それが噂の妹か。色々と振り回されているって聞いているよ」

 

「・・・・・お兄ちゃん」

 

「周りが勝手に言いふらしているだけだ・・・」

 

「レミからギャ○曽根並に食べるって言っていたから。今日は遠慮なく食べていいよ。何たってお兄さんが会計持ちだから」

 

「ちょっと!?」

 

「冗談冗談、今年も会社の利益は過去最高になったからな。一番貢献してくれたみんなに恩返しで忘年会をやっているから、さすがに3桁行ったら少しストップかけるけど」

 

「肝冷やすこと言わないでくださいよ・・・・」

 

20人近くの宴会に+桜の食費なんか掛けてられるかよ・・・・ただでさえ節約に心掛けているのに。

 

「お〜い遊輝!早くくじ引き引けよ!」

 

「桜ちゃんも!」

 

篠山さんに悪い冗談を言われてヒヤリとしたが、何とかまぁ、なった。そんな事思っていたらスバルと響から催促がかかる。俺と桜は受付に戻り、くじを引く。

 

「えっと・・・・8番か」

 

「私4番」

 

「おっ、二人とも近いところに入ったね。じゃあそこで待っといてくれる?」

 

「分かりました」

 

くじ引きで引いた番号を確認して自分たちの席を目指す。テーブルにはすでに前菜のサラダやナムル類、4人前程度のお肉が並んでいる。

 

「えっと・・・・・あった、ここだな」

 

「私はこっち」

 

「向かいか・・・・頼むからあんまり食べるなよ」

 

「無理な話」

 

はぁ・・・こいつの頭は本当に食べることしかないのか。

 

「みなさ〜ん!全員揃いましたので乾杯の飲み物頼みましょう!瓶ビール何本ですか!?」

 

「私たちウーロン茶で」

 

「私はレモンチューハイ!」

 

「お前未成年だろ!」

 

「はいは〜い、軽音部のテーブルは烏龍茶ピッチャーね」

 

小林さんが全員分の乾杯ドリンクをメモして店員さんに渡す。1分くらいで最初の瓶ビールと烏龍茶のピッチャーがやって来て、各々のテーブルに置かれていく。

 

「それじゃみんな注いで注いで!」

 

「はいは〜い」

 

「ほれ桜、お茶注ぐぞ」

 

「ん」

 

ビールを飲む人は瓶ビールの栓を開けて、烏龍茶組の俺らはピッチャーからコップに注ぐ。全員分注いだのを確認してレミが立ち上がる。

 

「えぇ、皆さん。今年も一年お疲れ様でした」

 

「お疲れ様でした!」

 

「今年も無事にツアー完走できました!さらに今年はデビューアルバムも発売してとりあえず最低限の目標は売れたので一安心です」

 

「最低限の目標どころか夢物語と言われた20万枚売れたじゃないですか」

 

「それは置いといて・・・・・2ndアルバムもほぼ完成したので、今日は皆さん、今年の思い出に花を咲かせましょう!乾杯!」

 

「「「「かんぱ〜い!!!!」」」」

 

「お疲れ様でした!!」

 

「じゃあ頼むぞ!まずは・・・・」

 

「カルビ10人前、ハラミ10人前、ロース10人前、ビビンバとわかめスープ、とりあえず前菜でそれだけ」

 

「は、はい!?」

 

「・・・・・前菜で頼む量じゃねぇっつの」

 

乾杯の音頭が終わり肉を焼く物からいきなり追加メニューを言う奴も様々、目の前にいる義妹は隠し持っていたメニュー表を手に取り店員さんにえげつない量を注文する。

 

「何言ってる、こんなの全然足りない。もっと食べたい」

 

「うるせえ、それだけで3万近く飛んで行ってるんだよ。もっと物の価値を知れ」

 

「食べて美味しかった物は価値がある。安かっても高くても」

 

「ハハハハ、それは言えてるな」

 

「笑い事じゃないですよ小林さん・・・・」

 

「ほれ!バンバン肉焼いていくからどんどん食べていこうか!」

 

同席の小林さんが大皿に乗っている肉を網に乗せて焼いていく。小林さん、独り身だって言っていたから子供を持っている感覚なのかね。

 

「・・・・・・・・」

 

「こら桜、箸で肉を突くな。行儀悪い」

 

「・・・・この肉は私の」

 

「んなこと言ってねぇでサラダとか食えよ・・・せっかく来ているんだから」

 

「・・・・・・・・・ん」

 

肉ばっかり突いていた桜は丁度いい感じで焼けた頃合いを狙って一枚取る。そのままタレにつけて、ご飯にバウンドさせて食べる。その勢いのまま、ご飯をかきこむ。

 

「・・・・おかわり」

 

「早えぇよ!?肉1枚でご飯1杯!?」

 

「今日はバイキング、たくさん食べる」

 

「バイキングじゃねぇよ!!高級焼肉だよ!!」

 

「・・・・もらい」

 

「人の話を聞けええぇ!!!!」

 

「ハハハ、遊輝君もカッカせずに食べよう。こんな店滅多に来ないんだからたくさん食べよう」

 

小林さんが桜の味方されたらどうしようにも出来ないんですけど・・・・・

結局桜はそのまま食べに食べまくる。周りのスタッフも俺が散々言ってきて、且つお酒も入っているのでどんどん行け行け状態だ。

 

「はいじゃあ皆注目!!これからお待ちかねの抽選会やるよ!!」

 

しばらく時間が経って皆とたわいもない話をしていると、マイクを持った響が部屋の入り口付近に立っている。

 

「じゃあまずは会社社長から現金3万円!ここから行くわよ!番号は・・・・6番!」

 

「っしゃあああ!!!」

 

「おっと、音響Dの高梨さんがガッツポーズ」

 

「社長ありがとうございます!!」

 

「じゃあ次!!レミから!!Boseのヘッドホン!!これ私が欲しい!!ライブで使うから!!」

 

「おい、司会者が欲出したらダメだろ」

 

「関係ないね!私が引き当てるんだから!!・・・・・・8番!!」

 

「あっ、俺だ」

 

「何で!?ギタリストヘッドホン使わないじゃん!!」

 

「司会者が文句言い出したぞ〜」

 

響が引き当てた番号を聞いて立ち上がり、ヘッドホンを受け取る。ヘッドホンか〜、良いブランドなんだけど俺イヤフォン派だからな〜。ライブもイヤフォンじゃないとダメだし。

 

「まぁいいか」

 

「遊輝!!それちょうだい!!」

 

「何で司会者にやらないと行けないんだよ。自分で買え」

 

「ぶうぅ!!!じゃあ次!!ケチな遊輝から!!・・・・・何これ?」

 

「それ、魚介セット。高級魚とか詰め込んで2万円相当」

 

「おお!!それ良いな」

 

「嫁さんへのクリスマスプレゼントになる!遊輝君ありがとう!」

 

「なんか皆当てた気でいるけどまだ決まってないわよ!んしょ・・・・4番!!」

 

「・・・私」

 

「桜かよ」

 

俺が景品で出した魚セットは桜が引き当てた。つまり、実質俺の手元に戻ってきたも同然、桜が取りに行くがすごい重そうな表情する。

 

「・・・・重すぎ」

 

「そりゃ詰め込んで貰ったんだから。市場のおっちゃんに頼み込んだんだから」

 

「去年の詰め合わせも良かったから今年も狙っていたのに・・・・・」

 

「じゃあ次!!奏からはこれ!!SO○Yのウォークマン!!行くよ!!・・・・・・」

 

 

〜〜(数時間後)〜〜

 

 

 

「満足満足」

 

「よく事足りたよ・・・・3桁行かなくて良かったわ」

 

帰り道・・・・イルミネーションが点灯して綺麗な街路樹を歩いていく。皆とは別れ、帰路に着く。桜の当てた魚の詰め合わせは俺が持って帰る。

 

「とりあえず家に帰って風呂入るか」

 

「ん・・・・・・お兄ちゃん、来た」

 

「!?」

 

桜の言葉を聞いて俺はすぐに警戒心を放ち、桜を守るように囲う。

 

「(・・・・桜)」

 

「(・・・・分からない、だけど何処かに)」

 

「(・・・生命反応が反応しねぇ、ゾンビか)」

 

 バン!!!!!!!

 

「!?!?」

 

「!?お、お兄ちゃん!?」

 

「ガ・・・・ア・・・・」

 

突如聞こえた小さな爆発音、その音が鳴った直後、右足に鈍器で殴られたような痛みが駆け巡り、膝が折れる。右足は太ももから赤い血が大量に出血していた。反射的に俺は両手を使い、シグナーの能力を発動する。

 

「ガ・・・・グ・・・・」

 

「お兄ちゃん!!!お兄ちゃん!!!」

 

「無駄よ、利き足の太ももの筋肉を撃ち抜いたんだからしばらくは動けないわよ。例えシークレットシグナーの能力で回復しようとしても3日はかかるはずだわ」

 

音が鳴った方向、その方向に身体を鞭打って向ける。そこには銃を持ったドゥがいた。

 

「ガ・・・・グッ!!!こ、このやろう・・・・・」

 

「銃を撃ったのに意識がある辺り、そんじょそこらの奴と違うわね。シークレットシグナーさん」

 

「グッ・・・ウッ・・・・」

 

「だけど無駄ね」

バン!!!!

 

「!?!?!?ガホッ・・・・」

 

「お、お兄ちゃん!!!!」

 

右足の回復に意識を集中し過ぎたせいで、相手が銃を構えているのが見えていなかった。すぐに相手が銃を打ち直し、今度は左足が撃たれてしまう。

 

「アッ・・・・アッ・・・・」

 

「お兄ちゃん!!お兄ちゃん!!!」

 

「・・・・ろ、逃げろ」

 

「!?そ、そんな・・・・」

 

「に、逃げろ・・・桜・・・!!!!!逃げろ!!!!!!!!」

 

「良いの?今度は内っ腹撃つわよ」

 

涙目の桜が俺の顔を見るが、俺は力を振り絞り鬼の形相をする。相手は弾を入れ直して、俺に照準を合わせる。

 

「さあこっち来てくれるかしら?そうすればお兄ちゃんは助けてあげる」

 

「あっ・・・・うっ・・・・・」

 

「逃げろ桜ああああああ!!!!!!兄の言うこと聞けええええええええ!!!!!」

 

「!!!う、うん・・・・・・」

 

ありったけの力を込めて、俺は叫んだ。桜は俺の叫びを聞いてドゥとは反対方向に全速力で走り出した。

 

「良いの?撃つわよ」

 

「桜ああああああ!!!!!絶対に振り向くな!!!逃げろおおおお!!!」

 

・・・・ピーポーピーポー

 

「チッ、セキュリティがもう来たわ。叫んで合図にした訳ね」

 

「ハァ・・・・ハァ・・・・・」

 

やべぇ・・・・もう意識が・・・・

 

「仕方ないわね。まぁ貴方も手に入れろとお察しが来たし、貴方だけでも連れて帰るわ」

 

ドゥの不敵な笑みを最後に俺は意識を手放した。



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第49話  過去

2度目の就活が始まりです。
大変ですが、前みたいな後悔しないように突っ走りたいと思います。


桜 side

 

 

『おはようございます、さて本日のトップニュースです。昨日午後9時ごろ、ネオドミノシティの繁華街近くで銃の音が聞こえたと言う110番通報が相次ぎました。セキュリティが駆けつけますと道路に血溜まりが発見されました。近くに人の姿は見当たらず、セキュリティは何者かがここで撃たれ、連れ去られた可能性があるとして、殺人事件と誘拐事件の両方面で調査中です。連れ去られた人物の身元は今の所分かっておりません』

 

『朝から怖いニュースですね。市民が沢山いる時間帯に銃声が聞こえたとは』

 

「お兄ちゃん・・・・お兄ちゃん・・・・・ヒグッ・・・ヒグッ・・・」

 

「桜ちゃん・・・・」

 

ネオドミノシティの高層ビル群、トップスの最上階、そこにある私の家に軽音部、祈と恭輔、アリアが集まっていた。私はお兄ちゃんが撃たれたというショックに頭がまだ混乱している。

昨日は途中から記憶が飛んでいる。ただひたすら逃げて、アリアお姉ちゃんの家に飛び込んだ記憶しかない。

 

「よりによって昨日の楽しい日に・・・・」

 

「狙っていたような犯行ね・・・・・」

 

「クソッ」

 

「お前ら、待たせたな」

 

「皆さん、ごめんなさい」

 

リビングにお兄ちゃんのセキュリティの知り合いである牛尾さんと狭霧さんが入ってきた。

 

「血液検査が終わった。間違いない」

 

「じゃあ・・・・じゃあ遊輝は何処に!?」

 

「分からないわ・・・・何の痕跡も残ってないもの」

 

「痕跡がないって・・・・あんだけ血塗れになっている奴を運んだのにか!?」

 

「だからこそセキュリティも困惑しているのよ。何の証拠も残っていない。近くの防犯カメラを見てもどうやって逃走したのか全く見当もつかない。まるで幽霊のように消えたって」

 

「そんな・・・・・・」

 

「今の状態じゃ安否確認も取れない。まずは敵の足取りを掴まないといけない。すまないが力を貸してくれないか?」

 

「あったりまえでしょ!?仲間がやられて黙っている私達じゃないわよ!!」

 

「すまない」

 

「それと、マスコミが色々調べ始めているわ。もしかしたら勘付かれるかもしれない」

 

「チッ・・・マスゴミめ」

 

舌打ちをしたスバルさんが悪態を付ける。こんな時にテレビや新聞、メディアは本当に障害となる。

 

「まずは別れよう。遊輝の動向を探すグループと桜の面倒を見るグループだ」

 

「私が桜ちゃんの面倒を見るわ。あとは探して」

 

牛尾さんが2グループに別れることを提案して、真っ先にアリアお姉ちゃんが手を開けて言った。他の人達はアリアお姉ちゃんの顔を見る。

 

「・・・・分かった。アリアには悪いが一人で頼んでもらう。他の奴らは捜索を頼む。軽音部の皆はサングラスと帽子をして正体を隠してくれ」

 

「分かったわ・・・・・」

 

「よし・・・・行くぞ」

 

「皆さん、くれぐれも安全にお願いします」

 

牛尾さんと狭霧さんを先頭にアリアお姉ちゃん以外の人達はリビングから出ていく。この部屋には私とアリアお姉ちゃんしか居なくなった。

 

「お兄ちゃん・・・・お兄ちゃん・・・・」

 

「桜ちゃん・・・心配よね。大事な人が目の前で撃たれた・・・・」

 

アリアお姉ちゃんは私の頭を優しく撫でて、胸に寄せてくれる。

 

「ん・・・・心が和らぐ・・・」

 

「そう・・・・これで少しでも和らぐならお姉ちゃんも嬉しいわ・・・・」

 

「お姉ちゃん?」

 

アリアお姉ちゃんの声が震えているのが聞こえた私はお姉ちゃんの顔を見る。アリアお姉ちゃんの顔は凄い悲しそうな顔をしていた。

 

「私もね・・・・・遊輝ちゃんがいなくなったのはショックよ。桜ちゃんと比べる訳にはいかないけど、私も遊輝ちゃんに救われたから」

 

「えっ?」

 

「私もね・・・・拾われた身なのよ。こことは違う街で拾われて、叔母さんに育てて貰ったわ。だけど小学校に上がった時、劣等生のレッテルを貼られて全て投げやりになって街から逃げた」

 

「お、お姉ちゃんが・・・劣等生・・・・」

 

とてもそんな風には思えなかった。アリアお姉ちゃんは頭の回転もデュエルの腕前も一流だと思っていた。

 

「2年かな、山に篭って自給自足をしながら修行をした。それで街に帰ってきて、馬鹿にしてきた奴らを見返した、だけど今度は力をつけ過ぎた。周りが私から敬遠して行ったわ。気付いたら私はまた一人ぼっち、心の中がポカンと空いていたわ。そんな隙間を埋めてくれたのが遊輝ちゃんよ」

 

「お、お兄ちゃんが?」

 

「私の心の感情が無くなった頃に遊輝ちゃんと会ってね、始めは敵対同士だったけど私がやることなす事全てに構ってくれたから私は嬉しかった。初めて人の温もりを味わった気分だった」

 

「・・・・お姉ちゃん、もしかしてお兄ちゃんの事、好き?」

 

「えぇそうよ。私を救ってくれた恩人で、私のことを構ってくる唯一の人よ。好きにならない理由(わけ)がないじゃない」

 

「でも、お兄ちゃんって彼女がいたような・・・」

 

「そうよ、ほぼ婚約前提で付き合っているわね。だけど私は諦めたつもりは無いからね。正妻にならなくても良いと思っているから」

 

「・・・・お姉ちゃんって執念深い人なんだ」

 

「私は諦めが悪いから。遊輝ちゃんと違って逃げの一手なんか使わないわよ」

 

「ん・・・確かに」

 

「だから絶対に遊輝ちゃんを見つける。何がなんでも、どんな手を使ってでも・・・・」

 

アリアお姉ちゃんの手が力強くなって私を引き寄せる。お姉ちゃんの顔は凄い決意に満ちた顔だった。

 

「・・・・・ん、お兄ちゃんを見つける。そしてアイツらをギャフンと言わす」

 

「桜ちゃん、ギャフンなんて甘えた言葉いらないわよ」

 

「えっ?」

 

「私はね・・・・その組織、徹底的に潰してあげるわ。完膚なきまでに」

 

 

桜  side out

 

 

遊輝 side

 

 

『(・・・・・どこだ、ここ?)』

 

俺の周りには何もものがない。ただ、黒い空間が広がっていた。

 

『(なんだこれ・・・・)』

 

『お兄ちゃん・・・・・』

 

『!?桜!?』

 

何も無い、平凡な空間に桜の声が響き渡る。俺は辺りを見渡して桜を探す。

 

『桜!?何処にいるんだ!?桜!!!!』

 

『お兄ちゃん・・・・・ごめんね、さようなら・・・・・・』

 

『おい桜!?!?桜!?!?』

 

何処にいるか分からない桜は突然、さようならと言った。混乱した俺は辺りを探し回る。だけど見当たらない。

 

『桜!?さくうぐっ!?』

 

辺りを見渡しただけじゃ見つからず、走り出そうとしたが、足が何故か動かずに倒れてしまう。

 

『桜・・・・・桜!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「桜!!!!!」

 

気付いたら上半身だけ起き上がっていた。口の周りには人工マスクが付けられていた。服はアカデミアの制服から白い病院着みたいな物を着せられていた。

 

「っツ・・・・そうか、俺、確か両足を撃たれて・・・・」

 

鬱陶しい人工マスクを外して、両足に痛みを感じ、それで俺は意識を失う前のことを思い出した。忘年会の後、桜を狙う組織に襲われて、両足に一発ずつ銃弾を食らったんだ。布団を地面に落としてみると、両足は太もも部分を中心に包帯を巻かれている。更には両足首に脚枷が付けられて、脚枷から鎖が伸び、ベッドの側面の柵に括り付けられている。

 

「ったく・・・こんな状態で足が動かせる訳ねぇだろ。あ〜・・・・・やっぱ動く訳ねぇか」

 

 カチャン

 

「あら、気付いたの?早かったわね」

 

枷を付けられているとは言え、一応の確認で足を動かそうとしたがやっぱり上がらなかった。そんな確認をしていたら部屋の扉が開いた。部屋に入ってきたのは俺を撃ったドゥだった。

 

「どうかしら?私の雇主は医薬会社でこういう治療面でも最高峰を自負しているわ」

 

「そもそもお前が撃たなかったらこんな治療受ける必要は無かった」

 

「貴方が私たちの言うことを聞いてくれたら良かったのよ。それと人工マスクは外しちゃダメよ。まだ安定期では無いからね」

 

ドゥは真っ先に俺の所に近寄り、俺に人工マスクを付け直す。そして地面に落とした布団を丁寧に掛け直す。

 

「普通の人ならショック死か出血多量による死、生存しても両足切断コースが、貴方のシークレットシグナーの能力で最悪の事は回避できたってお医者さんは言っていたわ」

 

「あんな事されたら本能で生きようと思うわ」

 

「とは言え、今の貴方はそのシークレットシグナーの能力は使えないはずよ。なんせ生命力が安定していないんだから」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

こいつら、俺が気絶している間に治療と俺のことを隅々まで調べやがったな。確かに今はまだ呼吸と心臓が安定せずに荒れている感じがする。血液も足りている感じがしない。こんな状態でシークレットシグナーの生命の能力なんか使ったら逆に負担がかかってしまう。

 

「医者の診断は銃弾を撃たれたことによる筋肉、ハムストリングと大髄四頭筋の破裂、萎縮病にならなくて良かったわね。それと神経の切断、他にも血管とか色々あるけど、長ったらしいから忘れたわ」

 

「別に言わなくて良い。俺も覚える気ないし、何より俺自身が動けないことがよく分かっている」

 

「普通から回復見込みなんてないけど今までの回復力で全治6ヶ月から1年だってね。良かったわね、1年経ったらまた歩けるわよ」

 

「その前にリハビリがあんだろ。俺、仕事の関係で色々と走り回らなきゃ行けねぇって言うのに」

 

「そんな事知っちゃこっちゃないわね。まぁ暫くはここで過ごしてもらうわよ。貴方は客人で大切にもてなしなさいと言うのが雇主からの命でね」

 

「ハッ、ほぼ人質扱いだろ」

 

「その減らず口を言わなければもっと手厚く歓迎できたのに・・・まぁ良いわ。もう暫くしたらご飯の時間よ。しっかりと食べないと病気は治らないからね。それと、貴方のこれ、こっちで保管させてもらうから」

 

ドゥは右の人差し指で壁を指す。そっちの方向に顔を向けると、俺の竹刀と刀、そしてデッキケースが保管されていた。

 

「暗証番号が掛かっているから貴方には取り出せないわよ」

 

「そもそもの問題でこんな状態で竹刀とか刀とか振り回せねぇよ」

 

「万が一の為よ。貴方の回復力は異常だって聞いたからね。デッキは没収でも良かったけど、雇主が置いとけって言うから取れないようにしたわ。その代わり、携帯は没収してデータ消去で粉々にしてあげたわよ」

 

「余計なお世話どうもありがとうございます」

 

「心がこもってない言葉は嬉しくないわね・・・・そうそう、私の雇主が明日貴方に会いたいって言っていたわ」

 

「・・・・・はっ?」

 

「明日は少し早めに起きてね。じゃあ」

 

「ちょっ!?まっ、うぐっ!?」

 

「あんなに大声出しちゃダメだよ」

 

ドゥを止めようとしたが、声を出そうとして心臓が痛くなった。直ぐに呼吸が乱れる。人工マスクの呼吸機械ですぐに呼吸を調えるようにする。

 

「(ハァ・・・ハァ・・・明日、桜を狙った奴が俺に会うだと?)」

 

一体何のために会うんだ?こんな状態の俺とあって何を話すつもりなんだ?

 

「とりあえず一発ぶん殴ってやりたい所だけど、あ〜ちきしょう・・・身体動かねえから何も出来ねぇな」

 

『マスター!!』

 

「・・・・ダイヤか。悪かったな、危ない橋渡って」

 

『危ない橋どころの問題じゃないですよ!!!死にかけの状態でしたからね!?』

 

「だから悪かったって言ってるだろ。流石に桜を逃すことに重くのせすぎた」

 

銃を使ってくることに頭を入れてなかったとは言え、言い訳もできねぇくらいにやられたからな・・・・何で生命の能力に反応しなかったのか結局分からずのままだ。

 

「・・・・そっちはどうだ?」

 

『・・・・少しは自分の心配をしてください。私たちは全員大丈夫です。ただ、この建物自体に特殊なジャミングシステムが掛かっていて、私たちの力でも抜け出すことは出来ません』

 

「腐っても金を持っている研究機関だな。つまりは外の連絡手段もねぇのか・・・・・どうやって伝えるもんか・・・」

 

『まずは治療に専念してください・・・・脱出方法は私たちの方で考えますから』

 

「・・・・・分かった。頼むわ」 

 

そう一言、返事をしてダイヤはスゥ〜と消えていった。流石にこんな状態じゃ何も出来ないことは俺でも分かる。ここはダイヤたちに任せて俺は身を流れるままに行こう。

 

ガチャ

 

「失礼いたします。お食事を持って参りました」

 

扉が開き、外から1人の女性が入ってきた。病院だから看護師かと思ったら何故か黒いタイトのスカートに白いワイシャツ、黒のジャケットを羽織り、紫のスカーフを巻いた、いわゆるスーツを着た秘書みたいな女性だった。

 

「本日より遊輝さんのお世話を担当いたしますアンと言うものです、他、部下が2〜3人ほど就かせていただきます。よろしくお願いします」

 

「・・・・・病院だろここ、看護師は?」

 

「我が社の社長の大事なお客様です。下手なナースより私の方が適していると我が社長からの命です」

 

「ふ〜ん・・・・ってことはあんたは重要役職か?」

 

「私は社長秘書を務めております」

 

「(社長秘書か・・・・・それでスーツなんだな)」

 

「ではお食事の準備をさせて頂きます」

 

 パチン

 

女性秘書・・・・アンが指を鳴らすと外から同じスーツを着た女性や男性が合計3人ほどがワゴンを持って入ってきた。俺の目の前に白テーブルを設置してテキパキと料理を並べていく。白いご飯に味噌汁、サラダに焼き魚だ。料理が並べ終えたところで俺の人工マスクを外してくれる。

 

「では、ごゆっくりどうぞ。1時間後に食器の片付けに参ります」

 

アンの後ろに部下が並び、全員が頭を下げる。そのままワゴンを持って部屋から出て行った。

 

「・・・・・・変なもの入ってねぇよな?結局食べるしかないけど」

 

不信感が拭えないが箸に手をつけて、味噌汁の入ったお椀を手に取る。そのまま口に入れる。

 

「・・・・・うっす、病院食が美味しくなったって言うけどあれは嘘だな」

 

なんかテレビで最近の病院食はレストラン出来るくらい美味しくなったって言うけど、やっぱ嘘だな。普通に考えてそんな簡単に美味しくなるとは思わんし、なによりそれが出来ても一部の病院だけだからな。

 

「(・・・・・桜、無事でいてくれよ)」




桜「お兄ちゃん・・・絶対に見つける」

アリア「私の怒らせたことを後悔させてあげるから・・・・」

スバル「しかし銃か・・・いよいよ戦争になってきたな」

アリア「勝つわよ、向こうがそういう手を使ってきたんだからこっちもそれなりの報復をさせてもらうわよ」

スバル「お、おう・・・・(この二人の気迫が凄まじすぎる(汗))」

桜「次回、『対面』。よろしく」


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第50話 対面

何かこの回だけ書きたいことをすっと書けました。
こんな調子が続いたら楽でいいんですけどね〜。


遊輝  side

 

 

「それではご案内いたします。少し時間がかかりますがご辛抱ください」

 

そう言って秘書のアンが車椅子のブレーキレバーを一つずつ、丁寧に外していく。いよいよ桜を狙っている組織のトップと面会が始まる。分かっているが何か緊張してくる。

 

昨日はご飯を食べた後、そのまますぐに寝た。あまりにもやる事がなさ過ぎる上に、今の俺はできない事が多すぎる。トイレにすら自分一人でいけず、コールボタンを押さないといけない。連絡手段も失くし、武器も取り上げられた以上、この部屋で治療に努めるしか無いのだが、この部屋には娯楽と呼ばれるものはない。せめて本の一冊くらい置いてくれても良いじゃないかと思う。

 

とまぁ、今からトップと会いに行くが、当たり前だが今の俺は普通に歩くことは出来ない。そのため、車椅子に乗って移動する。ベッドから秘書一人で車椅子に移乗してもらう。後ろは秘書様がレバーを持ち、周りには秘書の部下が固める。

 

「・・・・・・なぁ」

 

「何でしょうか?」

 

「これ、必要あるのか?」

 

そう言って俺はジャランと音がなる両手をあげる。ベッドから車椅子に移動した際、足を動かさないようにフットレスにベルト、さらに今の俺は下半身の筋肉が無いに等しいから腰にベルトを巻いて、落ちないようにされている。動けない脚のベルト、百歩譲って腰のベルトまではまだ良い。ここまではまだ分かる。だが・・・・

 

「この手錠は絶対にいらないだろ」

 

「貴方が社長に何をするのか分かりませんので拘束させていただきました」

 

「こんな状態で出来るわけねぇだろ。今の俺は赤子ですら負けるぞ」

 

「貴方は何しでかすか分かりませんので」

 

「(これ、俺の意見を聞き入れない感じだな・・・・)」

 

秘書の感じを見て、俺はもう何も言わないでおこうと思った。こんな何も出来ない状態でお前らトップにグーパンチするか、してもすぐボロ負けにされちまう。

そんな事を思いつつ、エレベーターに乗って下に移動、1階まで降りて正面玄関の方に向かう。

 

「?何だ?ここにいないのか?」

 

「ここは我が社の病院であると共に研修施設件実験施設です。社長は本社ビルにございますのでそちらまで車で移動します」

 

「さいですか、それはそれは結構な繁盛ですね。癌の特効薬と偽り、国に武器を売りつけていくら儲けたんだ?」

 

「貴方は口が軽いですね。情報通りです」

 

「はっ、お前らみたいな悪事を繰り返す奴らの噂なんかすぐに広めても問題無いだろ」

 

「揉み消すのにどれだけの時間とお金が必要かわかってないですね」

 

「知っちゃこっちゃ、寒〜〜!!!!!」

 

正面玄関から出た途端、冷気が俺の身体に襲い、身を震わせる。そう言えば今の俺、肌着と薄い病院着しか着ていなかった・・・・・・鳥肌が・・・

 

「ああ、これは失礼。おい」

 

「はっ」

 

後ろの秘書が横にいる男の部下に目線を送る。男は一瞬この場から離れたがすぐに毛布とコートを持ってきた。俺の上半身を前のめりに倒し、コートを上からかぶせ、足元は毛布をかける。

 

「これで幾分かはマシかと」

 

「さ、さっきよりマシだけどさ・・・・ってかここ寒いな!?何処だここ!?ネオドミノシティより寒いぞ!!」

 

「それはお教えできかねます。では、あちらの車に乗りましょう」

 

そう言って目の前あったハイエースの一番後ろの扉が開く。そこから板が自動で伸びて降りてくる。俺はそこからハイエースに乗り、ブレーキをかけて、タイヤはベルトでしっかりと固定する。

 

「では行きましょう」

 

車椅子の固定を終えた秘書とその部下はハイエースの座席に乗り込む。秘書が助手席に座り、女性の方が運転席につく。そのままエンジンがかけられて車が動き出す。ものの5分ほどで病院らしき建物か大きなビルの前に車が止まる。

 

「着きました。ただいまより降ろしいたします」

 

テキパキと秘書の部下たちが動き、固定されたベルトは外されていく。そのまま後ろ向きで降りて、ビルの中に入っていく。中は人が多く、意外と活気があった。部下の一人は建物の中に入ってすぐにコートと毛布を回収していった。

 

「・・・・人多いんだな」

 

「研究施設として、多くの優秀な人材を育てるのが我々の役目ですから」

 

「そのまま普通の研究だけで終わらせてくれたらこんな事にならずにすんだけどな」

 

「貴方は口が軽すぎですね」

 

「自覚してますよ」

 

そう言いながら正面のフロアを抜けてエレベーターフロアへと行く。3基あるエレベーターのうち真ん中のエレベーターが来て乗り込み、秘書がボタンを隠すようにしてボタンを押す。

 

「(社長室に行くのに細工が必要か・・・)」

 

上に登るのも一苦労だな、そう思っていたらエレベーターが動き上へ上へ登っていく。十数秒経って、エレベーターが止まる。

 

「それでは、ご案内いたします」

 

エレベーターの扉が開いたそこはごく普通のオフィスだった。フロアの大きさあたりの扉の数が異様に少ないから一部屋一部屋辺りはかなり大きいだろうな。そして一番向こう側の扉まで移動して、周りの部下たちが壁の前で一斉に直立不動に立つ。

 

「お前たちはここで待て」

 

「「「はっ!!」」」

 

「では行きましょうか」

 

車椅子のブレーキがかけられ、先に秘書が扉を叩き、中に入る。

 

「失礼いたします。社長、遠藤遊輝様をお連れしました」

 

「入ってくれ」

 

「かしこまりました」

 

扉は全開で開き、ストッパーで止められる。秘書はブレーキを解除してそのままレバーを持ち、社長室に入る。俺の予想通りの大きな部屋で黒い光沢の壁には本棚に本や資料が並べられている。窓ガラスは普通のサイズで光は入っているが、薄暗い印象だ。目の前にソファとテーブルが並べ、その奥にビジネスデスクがあり、そこに男が座っていた。男の隣にはドゥが立っている。

 

「アン、ご苦労。すまないが彼の隣で待っていてくれ。彼は今、自力で移動が出来ないから君が頼りだ」

 

「かしこまりました」

 

「テメェの隣の奴が銃なんか使わなければこんな事にならなかったんだよ」

 

「・・・・噂通りの口の悪さですね。まぁ確かに、どんな手段を使っても良いとは言いましたが死にかけの状態で持ってこいとは一言も言いませんでしたよね?」

 

「ごめんね。そうじゃないと捉えられなかったもんだから」

 

「本来ならDMWを捕まえなかったことも相待って契約違反だが、無事に生きているし多めに見てやろう。その代わり、任務は続行するよう」

 

「分かっているわ」

 

「(こいつら・・・・やっぱ桜のこと諦めてねぇな)」

 

分かっていたけどやっぱりそう簡単にはならねぇか。本当なら「桜に手を出すんじゃねぇ!!」って言いたいところだけど、こんな身体じゃ何言っても負け犬の遠吠えにしかならない。

 

「ドゥ、君はここから離れてくれ。しばらくしたらまたDMWを連れ戻すように」

 

「分かったわ」

 

ドゥは社長から離れ、俺の横を通り、この部屋から出ていく。

 

「さて、こうやって対面で会うのは始めましてだね遠藤君、君のことは調べさせてもらったがなかなかに興味深い人物だ」

 

「・・・・・その前にあんた、自分の名前くらい名乗ったらどうだ?このままだと一生あんたとしか呼ばんぞ」

 

「おっと失礼、そうだったな」

 

椅子から立ち上がった社長は両手を後ろで組み、ゆっくりと俺の前に近づく。そして右手を差し出してきた。

 

「私はこのアムールという会社の代表取締役社長を務めているゼロ・アンクルだ。よろしく」

 

「悪いけど親しくするつもりはない。桜を狙っている以上、俺はお前たちのことを敵としてしか見ない。そもそもこの状態じゃ握手できん」

 

そう言って俺は手錠を見せつける。それを見た社長は「その通りだな」と一言言って俺の元から離れていった。

 

「さて、何処から話したものか・・・まずは会社の経緯からでも「そんなどうでも良いこと聞きたくもない。何で桜を狙っているかだけ聞きたい」・・・・・全く、扱いが難しいですね」

 

「お前らみたいな奴らと付き合うならこれくらいの関係でいい」

 

「ハァ・・・まあ貴方の境遇は察していますから、多少半グレでも仕方ないと思っています。この世界に来て慣れない生活をずっとしてきたんですから」

 

「・・・・・そう言えば俺の素性も調べていたんだったな」

 

「えぇ、簡単にハッキングさせてもらいましたよ。アーククレイドル事件の時はセキュリティがガタガタでしたから」

 

アーククレイドル事件・・・・あの時か。確かにあの時はセキュリティウンヌンじゃなくて皆逃げなきゃ行けなかったからな、まさかその時にハッキングされるとは。そう言えばリンク召喚の情報もあの時だったな、それをハッキングしたということは・・・・

 

「・・・リンクモンスターはコピーカードか、すげぇ犯罪集団だな」

 

「ほぅ、そんな事も分かったのか」

 

「今のハッキングで分かった。まだデータに載せた頃のはずだから試作品すら作っていない。となると、データハッキングからのコピーカードくらいの製造しか思い浮かばなかっただけだ」

 

「さすが、WRGP初代チャンピオンチームのリーダーはブレインとしても働くようですね」

 

「一応褒め言葉として受け取っておく」

 

しかしハッキングで俺の転生した情報まで仕入れたとなるとかなり心臓部の方までか・・・まさか俺も知らないようなネオドミノシティの情報まで握ってないだろな?

 

「さて、貴方が第一に知りたいDMWのお話から致しましょうか。我が社は医薬会社として名を馳せています。が、なかなか医薬品だけで会社が成り立つのは難しいご時世ですので、我が社もマルチに分野を広げているのです」

 

「その一つが殺人兵器の開発かよ」

 

「そう思ってくれて結構。我が社の医薬部門は世界一を誇る。故に毒ガスやら毒物を作ることもたやすい。本来なら裏社会の人間に売るのが通例だが、とある国から高値で買いたいという話があってね。そこから色々な国と商売している」

 

「毒物の開発だけでそんな儲かるのかよ、どれだけ国は戦争したいんだ・・・」

 

「勘違いしないでほしいが何も戦争目的で買っている国だけではない。実験目的、暗殺目的など多様な理由がある。しかし主な理由は戦争ですから、一概に君の意見を否定することは出来ないですね」

 

淡々と話す社長、その一言一言は確かに会社の売り上げを上げるためにやっている敏腕社長のように思えるが、殺人兵器を作ったりセキュリティのデータにハッキングしたりしている。ここで聞いただけでもかなり危ない奴だろう。

 

「で、それがどうした、俺は桜を狙っている理由と聞いているんだが?」

 

「感の良い君なら薄々感付いているんじゃないか?」

 

「・・・・・・・おいまさか」

 

「我が社の新たな兵器開発として兵士を作ることが決まった。ただの兵士じゃない、人間の脳内にICチップを埋め込み、こちらの奴隷のように都合よく行く兵士だ」

 

「・・・・・・・・・」

 

「そして私はサイコデュエリストに目が入った。かつてアルカディアムーブメントが研究し、サイコデュエリストを兵士として戦場に送り出そうとした計画、だが、私はサイコデュエリストだけでは事足りない。幼く、親も知らない孤児を兵士として育て、国に売りつけるのだ」

 

「テメェ・・・・・」

 

「DMW・・・・・・略さないで言うとDuelist of Murder Weapon、『デュエリストによる殺人兵器』の略だ」

 

「テメェ・・・・・人を何だと思ってやがる」

 

この野郎の言葉を聞くたびに怒りが込み上げてくる。自然と右手に力が入り、握り拳になる。こいつ・・・・人を兵器として扱うだと?

 

「DMWはただ兵士のように扱うだけじゃない。無限とも言われているデュエルモンスターズのパワーをサイコデュエリストのように遺憾なく発揮して世界中のあらゆる戦争の概念を覆す」

 

「テメェの思想とか聞きたくねぇ!!テメェには倫理とか命の大切さとかねぇのか!?人を金にする道具にしか見えないのか!?」

 

「何か勘違いしているな。私はただ孤児として生涯何も出来ずに困る子供達の親代わりとして育て、その子たちを兵士として戦場に駆け出そうとしているんだ。子が親孝行をするのは当然だろ?」

 

「テメェが言っているのは親孝行でも何でねぇ!!ただのうぐっ!?」

 

クズ野郎の言葉を言い返そうとした途端、再び心臓付近が痛み出す。ちきしょう・・・まだ血と栄養が足りねぇのかよ・・・・

 

「おや、これは行けませんね。アン」

 

「はっ」

 

隣の秘書が社長室の壁から大きめの機械を取り出してきた。それを車椅子の後ろに取り付けて、人工マスクを再び俺に被せる。

 

「スゥ・・・スゥ・・・・」

 

「心臓が安定していない時期です。無闇に大声を出さない方が良いです。酸欠になりやすいですし、筋肉が硬直してしまいます」

 

「スゥ・・・スゥ・・・・(クソッ・・・ムカつくがあいつの言う通りだ)」

 

足へのダメージが想像以上に大きくて心臓の負荷がまだ大きすぎる。それに血液が全然足りない。

 

「スゥ・・・スゥ・・・・」

 

「まぁそのまま聞いてくれたまえ。君の治療はしっかりと行う。君は不思議な存在だ、実験材料としても充分な逸材なんだ」

 

「スゥ・・・スゥ・・・・(んのやろう、人を何だと思ってやがる)」

 

「君は本当に不思議な存在だ。色々と調べさせてもらったが、シークレットシグナーとしての力か、通常の人間にはあり得ない力がある。そしてもう一つ、シークレットシグナーには関係ない、人間本来の能力、その値が尋常じゃない値を示した」

 

「スゥ・・・スゥ・・・・(すげぇな・・・霊力の存在も見つけたって言うのかよ)」

 

霊力って確か数値では現れない人間の潜在能力ってあの人が言っていたはずだが、それを発見するとは思わなかった。こいつら、犯罪をするだけじゃなくて研究設備も一流か。

 

「君は素晴らしい実験材料だが、それと同時に私のコマとしても充分な戦力だ」

 

「スゥ・・・・スゥ・・・・(何だと?)」

 

「君はチェスという物を知っているか?よく将棋と似ていると言われているが、全く違うものだ」

 

社長は俺の目の前からテーブルの前まで戻り、机の上に置いてあるチェスのコマを手にする。

 

「ポーンの昇格とか色々な特殊なルールがあるが、最大の違いはチェスは相手の奪ったコマを味方にする事はできない。つまり、相手の戦力を自らの戦力にすることはできないんだ」

 

「スゥ・・・・スゥ・・・・・」

 

「私はチェスが趣味でね、色々な戦略を考える時、チェスの作戦を用いることがある。だが、今回は発想の転換をしてね、この奪った相手の駒を将棋のようにこちらの駒として使おうと思っている」

 

「スゥ・・・スゥ・・・・つまり俺を仲間にするってか?」

 

「あんまり喋っちゃいかんぞ。まだ心臓への負荷が大きいからな。だが、そういう事だ」

 

「スゥ・・・・・スゥ・・・・」

 

「何だ?いつもの君なら反論する所だろ?」

 

「スゥ・・・スゥ・・・うるせぇ・・・まだ安定してねぇんだよ」

 

「ああ、そうだったな、私から言ったのに、これはすまなかった」

 

心臓を落ち着かせるためにこいつの言うことに反論はしなかったが、とりあえずこいつの目的は分かった。桜を殺人兵器としての利用、そしてその過程で俺を仲間に連れ込もうとしている訳か。

 

「スゥ・・・スゥ・・・・(ざけんなよ・・・そんな事させるか!)」

 

「しかし今の君の状態だと戦力としては考えられない。流石に私は重病人を兵士にしようとは考えていないから、まずはその怪我を完治してもらわないと。因みにこの計画にはもう一人、仲間にしたい人がいてね」

 

パチン!

 

社長が指を鳴らすと、俺の目の前にスクリーンが天井からゆっくりと降りてくる。秘書が部屋の電気を消して、スクリーンに映像が映し出される。

 

「・・・・!?桜、アリア!?」

 

「こいつはリアルタイムの映像だ。ネオドミノシティの防犯カメラを一部ハッキングしている。現在進行形で君を探しているこの二人何だが、私はこの女性も仲間にしたいと考えている」

 

「何だと・・・・」

 

「今の君の状態だ、この様子を映し出せば直ぐにでも来るだろう」

 

「んやろう・・・・!!」

 

「とは言え・・・こちらもまだ2人を迎え入れる準備は終わっていない。なんせ肝心の施設が調整中でな」

 

「(調整中・・・・?)」

 

「それにドゥも警戒されている。1ヶ月近くは準備に時間がかかるだろう」

 

「(1ヶ月・・・・つまり俺のチャンスは1ヶ月しか無いって事か)」

 

「さて、君との話はここまでにしよう。私は仕事に戻らないといけないが君は大事な客人だ。この後のお昼ご飯に招待しようと思う」

 

「・・・・どうせ断れないんだろ、いまの俺、動けねぇし」

 

「話の飲み込みが早くて助かる。君とはまだまだ話がしたいからね。アン、彼を客人室に迎え入れてくれ。その間の世話は君に任せる」

 

「かしこまりました」

 

秘書は車椅子の後ろにつき、ブレーキレバーを一つずつ外していく。180度回転して、そのまま社長室から出る。

 

「すまないが予定変更になった。遠藤さんは隣の客室で待機してもらう。お前たちは自分たちの仕事に戻ってくれ」

 

「「「はっ!!!!」」」

 

秘書は自分の部下に命令を下す。部下の3人はすぐにエレベーターのほうに向かって乗り込んでいった。部下の様子を見ることもなく、秘書は車椅子を動かして一つ隣の扉の前に移動する。そのまま扉が開かれて部屋の中に入る。客室らしく豪華なソファや本棚、壁には大きな絵がかけられている。そして部屋の隅っこにベッドが置いている。

 

「ではこちらの部屋でしばらくの間、お待ちお願いします。とは言っても、先ほどのことがありますので安静にしてもらいます」

 

「(・・・・・・ダイヤ、聞こえるか?)」

 

『(はい、大丈夫です)』

 

秘書が車椅子をベッドに移動して、俺を移乗させる間に俺は脳内でダイヤを呼ぶ。その間に秘書は俺の手錠と人工マスクを外す。

 

「ではベッドに移ります。私の首に手を巻いてください」

 

「(あいつの目的が分かった。想像以上に脳味噌がイカれている奴だ)」

 

『(えぇ、人間を兵器にするとは思いもしませんでした)』

 

「(それと、猶予は1ヶ月だそうだ。急で悪いが1ヶ月以内で脱出かあいつらに伝える方法を早急にやってほしい。俺は足の治療に専念する)」

 

『(分かりました。くれぐれも無茶はしないようにお願いします)』

 

ダイヤとの会話が終わったタイミングで移乗が終わり、ベットに乗り移った。俺はそのまま身体を少し斜めに上倒してベッドに横がる。秘書は俺の足を片足ずつ持ち上げて、ベッドの上に乗せ、今度は片足ずつ足枷を付けていく。その後、ベッドの横脇から白いテーブルを出す。全ての動作が終わった後、俺は上半身を起こす。

 

「では遊輝さん、しばらくはこの部屋でゆっくりしてください。私はこの部屋で作業していますので、何か必要な時は申し付けてください」

 

「・・・・・ノートとペンをくれ」

 

「理由は?」

 

「そこにあるビジネス本や医療本はは読む気にならん。作詞しておく」

 

「ふむ・・・・良いでしょう。ただしこちらのタイミングで検閲させてもらいます」

 

「好きにしろ」

 

秘書は俺の注文通り、真っ新なノート1冊と高そうなボールペン1本、それと鉛筆と消しゴムを1セットをテーブルに置いてくれた。気を紛らわすため、俺はノートを開けて作詞をするフリをしながら、右足にシークレットシグナーの能力を少し解放する。

 

「(・・・・・全治6カ月から1年?俺の回復力舐めんなよ。こんな怪我回復して逃げ出してやる!)」




遊輝「クッソ腹が立つ・・・・」

ダイヤ「あの男、完全に会社の名誉のことしか頭にありませんでした」

遊輝「それで桜を道具?冗談じゃねぇ。何としてでも逃げ出す」

ダイヤ「こちらで対策を考えますから足の治療を」

遊輝「分かっている。次回、『見つけるため』。次回もよろしく」


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第51話  見つけるため

*注意、というか補足

今回のデュエルの場面であるモンスターが出せるには出せるんですが、あれはこの世界の設定上、まだライディングデュエルでしか出せないと言うことにしています。モーメントやらスピードの境地やら原作の設定がありますので、そこの所はご理解お願いいたします。

いつかは出来るようにしたいですね。


桜  side

 

 

お兄ちゃんが行方不明になって2週間近く経った。

あれから牛尾さんと狭霧さんを中心としたセキュリティ、そして軽音部のみんながネオドミノシティ中を探し回ったがお兄ちゃんを見つかる気配がしない。そもそもお兄ちゃんを誘拐した組織がどんな組織でどこを拠点にしているのかも分からない。幽霊のように消えたお兄ちゃんはここには居ないのでは無いか?とセキュリティの中で出ている。

そして私たちの周りの状況を徐々に悪化していってる。軽音部は必死に探しているが情報が見つからず、さらにはこんな事まで・・・

 

『続いてのニュースです。2週間前にネオドミノシティで起きた謎の血溜まりと銃声音、我々の独自ルートの調査、そしてセキュリティを追撃した結果、この血溜まりはバンドグループSECRETのギター、遠藤遊輝さんの血液だということが判明いたしました』

 

『遠藤さんは現在、行方不明でセキュリティが極秘に捜索しているという情報も入っています』

 

『このことに関して遠藤さんが所属しているSECRETのマネジメント会社○○○音楽はコメントを差し控えています』

 

「まずいわね・・・・遂にマスコミが遊輝ちゃんのことを知ったわ。こうなると軽音部は動けないわよ」

 

「お姉ちゃん・・・・・・」

 

テレビのニュースでは血溜まりのDNA鑑定の結果が詳細と映し出されている。お兄ちゃんの写真を大きく乗せ、さらにカメラはレミのお父さんの会社をとらえている。

 

「セキュリティは秘密にしているって言ったのにどうして・・・」

 

「このマスゴミども、隠れて調査していたかセキュリティのゴミ屑が何処からか情報を漏らしたわね。こうなると軽音部の周りにもマスゴミどもがうろつくわ。そうなると軽音部は囲まれるし、精神的な問題もあるし・・・・事実上の戦力ダウンだわ」

 

「お姉ちゃん・・・・」

 

テレビに舌打ちをするお姉ちゃん、だけどお姉ちゃんの精神もかなり答えている。お姉ちゃん、この頃不眠不休でお兄ちゃんの捜索に当てている。朝から陽が落ちるまで捜索、少し休んだら今度はネットを使って色々なサイトにハッキングを試みている。それでも見つからない、お姉ちゃんは私には察しないようにしているけど、目の当たりのクマがドンドン酷くなっている。

 

「さて桜ちゃん。私、もう時間だから出るわね」

 

「待って・・・私も行く」

 

「桜ちゃんは家にいて、あいつらの狙いは桜ちゃんだから「お姉ちゃんをほっておけない!!」!?」

 

「お姉ちゃん・・・・ずっと寝ていないでしょ?もしもの時に何かがあったら・・・・」

 

「・・・・・そうね。人数は多い方がいいし、桜ちゃんの方があいつらを見つけるの得意しね」

 

お姉ちゃんは私の気迫に押される感じで承諾した。少し嬉しそうな表情をしていたけど、やっぱり疲れている感じがする。

 

「ただし絶対に離れない事、これが条件だからね」

 

「分かっている」

 

「それじゃ行くわよ」

 

お姉ちゃんが立ち上がってテレビの電源を消す。私もコートを着て、リビングを後にする。

 

「今日は港付近を捜索するわよ。あの辺りは死角となる場所が多いから」

 

「分かった」

 

 

〜〜(2時間後)〜〜

 

 

「・・・・・・・見つからない」

 

「死角が多いけど、これと言った物も無いし、倉庫の数も多すぎるわね・・・・」

 

お姉ちゃんと一緒に港付近を捜索しているけど、手がかりは相変わらず見つからない。倉庫の数も多く、一つ一つしらみつぶしで探すのにはキリがなさすぎる。

 

「あてが外れたわね・・・・さて、どうしたものか」

 

「ん・・・・・・お姉ちゃん、あいつら」

 

「!?何処!?」

 

「待って・・・・・分からない、近くにいる」

 

お兄ちゃんを捜索している今、またあいつらが近くにいる感覚が来る。神経を集中させて敵の気配を察知しようとするが、何処にいるのか・・・・

 

「(もっと・・・もっと・・・・!!)来る!」

 

「!?ぐっ!!」

 

バン!!!

 

私の反応とお姉ちゃんの反応がほぼ同時に起きる。お姉ちゃんは私の頭を持ち、すぐにしゃがみ込む。突如、何かが私たちの上を通過して、それが倉庫の壁に当たり、破裂音がした。

 

「あら、今の避けられるの?凄い集中力ね」

 

お姉ちゃんと一緒に銃が撃たれた方向を見る。そこに銃をこっちに構えたドゥが立っていた。

 

「あんたね・・・・遊輝ちゃんを連れていったのわ」

 

「お兄ちゃん・・・お兄ちゃん返して!!」

 

「それは出来ない相談ね。私の命令はあなたを連れ戻す事、そして・・・・・アリア・リューベック、貴方も連れて行くことよ」

 

「!?遊輝ちゃんだけじゃなくて私も!?」

 

「そうよ、私の雇主の命令でね・・・さあ大人しく来てもらうわよ」

 

「逃げるわよ!」

 

「動くな!!」

 

バン!!カン!!

 

「なっ!?弾かれた!?」

 

お姉ちゃんは私の手を握り、即座に反対方向に逃げ出す。ドゥは躊躇わず銃を撃つが、私とお姉ちゃんの後ろに謎のバリアが貼られ、弾は弾かれてしまった。

 

「ぐっ!!待ちなさい!!」

 

「お姉ちゃん!!」

 

「今は逃げるわよ!!銃持ちの相手じゃ不利だわ!!体制を立て直す必要がある!!」

 

「そうはさせないわよ!!」

 

私とお姉ちゃん、そしてドゥの鬼ごっこが始まる。捕まったら負け、勝ちの条件が見つからない圧倒的に不利な鬼ごっこ、お姉ちゃんが私の手を引っ張り、必死に逃げるがドゥも銃を撃ち続ける。お姉ちゃんは左手を口に構え、ずっと何か呟き、私たちの後ろのバリアみたいなものはドゥの撃つ弾を弾き続ける。

 

「ハァ・・・ハァ・・・」

 

「しつこいわね!銃の弾が切れたじゃない!」

 

「よし・・・これで・・・」

 

「・・・なんてね」

 

「!?ぐっ!?」

 

 バン!!!

 

「弾の予備くらい用意しているわよ!!さっさと手を上げてこっち来なさい!!」

 

「冗談じゃないわよ!!怪しい組織に捕まるわけにはいかないでしょ!!」

 

お姉ちゃんは私の手を離さないようにきつく握り、必死にドゥから逃げようと走っている。だけど、もうお姉ちゃんの体力は底を尽きそうだ。寝不足の影響か、足がもたついてきている。

 

「ハァ・・・ハァ・・・グッ!」

 

ガギン!!

 

「逃げてばっかりいてもつまらないわよ!」

 

「うるさいわね・・・こっちだって眠い中防いでいるのよ・・!」

 

「お、お姉ちゃん!!真っ直ぐ行ったら行き止まり!!」

 

「!?・・・こっちだよ桜ちゃん!!」

 

目の前に迫った行き止まり、お姉ちゃんも確認してすぐに右の空いていた倉庫に入る。そのまま薄暗い倉庫の中を進み、物陰に隠れる。

 

「ハァ・・・・ハァ・・・・・」

 

「お、お姉ちゃん・・・」

 

「大丈夫・・・・じゃないわね・・・・流石に寝不足は堪えるわ・・・」

 

「出てきなさい!!隠れたって無駄よ!!」

 

「うっさいわね・・・寝不足なんだから静かにしなさいよ・・・頭がガンガンするわ・・・・静かに・・・・」

 

「う、うん・・・・」

 

お姉ちゃんが口に指を抑える動作をする。私も息を殺し、ドゥがこっちに来ないことを祈る。

 

「どうしたのかしら?いつもの反撃は?つまらないかくれんぼは退屈よ」

 

「(しつこいわね・・・・こっちは寝不足って言っているでしょ!)」

 

「(お、お姉ちゃん・・・)」

 

「(一発・・・・チャンスは一発のみ!)」

 

お姉ちゃんは何かを呟く。その間にもドゥは刻々とこっちに近づいてくる。

 

「さあ・・・怯えているウサギは何処にいるかな〜?」

 

「(・・・・・・一歩、もう一歩)」

 

・・・・コツ、コツ

 

「(・・・ココ!!)食らえ!!!」

 

 バーーン!!!!!!

 

お姉ちゃんが立ち上がり、振り向いて目の前の方向にエネルギー弾を放つ。すぐにエネルギー弾は何かに当たり、爆発を起こす。

 

「ハァ・・・ハァ・・・・」

 

「や、やった?」

 

「どう・・・・かしらね?」

 

「・・・・危ないことするんじゃないわよ」

 

「!?う、嘘・・・・・」

 

「ッチ・・・・」

 

「あと半歩前に出ていたら死んでいたじゃない」

 

煙が舞い上がる中、一歩一歩ゆっくりとドゥがこっちに歩み寄る。右手の銃はしっかりと私たちに照準を合わせている。

 

「ハァ・・・ハァ・・・・」

 

「たったあれだけ走ってもう息切れ?・・・・ああ、クマがあるわね。しかもかなり大きい、もしかして寝不足?」

 

「ハァ・・・ハァ・・・・あんまり喋りかけないでほしいわね。頭がガンガンするのよ」

 

「あら失礼、ならそのまま大人しく捕まってくれたらゆっくり寝かせてあげるわよ」

 

「結構よ、寝る時は自分の好きなタイミングで寝るから」

 

「そう・・・・なら強引に連れて行くしかないわね」

 

ドゥは歩みを止めて、アリアお姉ちゃんに合わせた。

 

「今度は手を狙ってあげるわ・・・・・」

 

ガシャン!!!!

 

「何っ!?」

 

ブオオオオオオ!!!!!!!

 

ドゥが大きく振り向く。突如、倉庫の窓ガラスが大きく大破、そこから赤い流線型のようなDホイールがエンジンの爆音ともに入ってくる。そのDホイールは方向転換した後、ドゥに向かって突進する。

 

「ぐっ!?こいつ!?」

 

ドゥは横っ飛びをして回転レシーブのように避ける。その反動で銃を離してしまう。Dホイールはドリブルをして、銃を弾き飛ばし、そこからブレーキをかけて、90度回転して止める。

 

「誰だお前!?私の邪魔をする奴め!!」

 

「おい・・・・」

 

「はぁ?」

 

「おい・・・・・・デュエルしろよ」

 

Dホイールの運転手はDホイールと同じ赤いヘルメットを手にして、ヘルメットを脱ぐ。凄い特徴的な・・・・カニのような髪をした男性だった。その人の顔を見て、お姉ちゃんは凄い驚いた表情をした。

 

「ゆ、遊星さん!?どうして!?」

 

「事情は後だ、アリア。今はこいつを倒す」

 

「遊星?何処かで聞いたような・・・・まぁ良い。誰がは知らないけど、私の邪魔をするなら容赦はしないわよ!!」

 

半ギレ状態のドゥがデュエルディスクを構える。私たちを助けた男の人もDホイールのデュエルディスクを腕につけて、ドゥと対峙する。

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

ドゥ  LP 4000 遊星  LP 4000

 

「先行は私が貰うわ!このカードは自分フィールドに効果モンスターが存在しない場合、手札から特殊召喚できる!天威龍ーアシュナを特殊召喚!」

 

天威龍ーアシュナ 守2600

 

「突き抜けろ!天に轟くサーキット!」

 

特殊召喚された天威龍ーアシュナがすぐにリンク素材となり、リンクマーカーの中に入る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件はリンクモンスター以外の『天威』モンスター1体!私は天威龍ーアシュナをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク1、天威の拳僧!」

 

天威の拳僧  攻1000 ↓

 

「さらに手札の天威龍ーアーダラの効果!同じく、フィールドに効果モンスターが存在しない場合、特殊召喚できる!」

 

天威龍ーアーダラ 守0

 

「墓地の天威龍ーアシュナの効果!自分フィールドに効果モンスター以外のモンスターが存在する場合、デッキからこのカード以外の『天威』モンスターを特殊召喚する!天威龍ーシュターナを特殊召喚!」

 

天威龍ーシュターナ 守2000

 

「Lv4の天威龍ーシュターナにLv1の天威龍ーアーダラをチューニング!」

 

☆4 + ☆1 = ☆5

 

「天と地の間で、龍の誇りを轟かせる!シンクロ召喚!Lv5!源竜星ーボウテンコウ!」

 

源竜星ーボウテンコウ 守2800

 

天威竜ーシュターナと天威竜ーアーダラがシンクロ素材となって、源竜星ーボウテンコウがシンクロ召喚される。

 

「ボウテンコウの効果!このカードがシンクロ召喚に成功した場合、デッキから『竜星』カードを手札に加える!竜星の九支を手札に加える!さらに源竜星ーボウテンコウの効果!1ターンに1度、デッキから幻竜族モンスターを墓地に送り、このカードのレベルをそのモンスターと同じレベルにする。光竜星ーリフンを墓地に送り、Lv1に変更!」

 

源竜星ーボウテンコウ ☆5→☆1

 

「カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

遊星 LP 4000 手札 5枚

 

ーーーーー ー

ーーーーー

○ ー

ー□ーーー

ーーー▲ー ー

 

ドゥ 手札  3枚

 

 

「俺のターン!」

 

遊星  手札  6枚

 

「魔法カード、増援を発動!デッキからLv4以下の戦士族モンスターを手札に加える!」

 

「カウンター罠、竜星の九支!ボウテンコウを破壊して、増援の発動を無効にして持ち主のデッキに戻す!」

 

男の人が発動した増援をドゥは脳死で竜星の九支を使い、効果を無効にする。

 

「チェーン1で破壊されたボウテンコウ、チェーン2で墓地の光竜星ーリフンの効果!リフンは自分フィールドの『竜星』モンスターが破壊された場合、墓地から特殊召喚する!」

 

光竜星ーリフン  守0

 

「ボウテンコウはフィールドから離れた場合、デッキから『竜星』モンスターを特殊召喚する!地竜星ーヘイカンを特殊召喚!」

 

地竜星ーヘイカン 攻1600

 

「この特殊召喚処理後!地竜星ーヘイカンの効果!相手ターンのメインフェイズに『竜星』モンスターのみでシンクロ召喚を行う!Lv3のヘイカンにLv1のリフンをチューニング!自身の効果で特殊召喚したリフンはゲームから除外される!」

 

☆3 + ☆1 = ☆4

 

「虹色に輝く橋で天使が舞い降りる!シンクロ召喚!Lv4!虹光の宣告者(アーク・デクエアラー)!」

 

虹光の宣告者  守1000

 

特殊召喚されて地竜星ーヘイカンと光竜星ーリフンがシンクロ召喚され、虹光の宣告者がシンクロ召喚された。

 

「ヘイカンの効果!ヘイカンをシンクロ素材としてシンクロ召喚されたモンスターは戦闘では破壊されない!そして虹光の宣告者の効果でお互いにデッキ・手札から墓地に送られるカードは除外される!さらにモンスター・魔法・罠カードの効果が発動された場合、このカードをリリースしてその発動を無効にする!」

 

これは・・・面倒くさいことになった。これで男の人の墓地壊しは無効、さらにはもう一度だけカウンターされてしまう。

 

「・・・・なるほど、魔法カード、調律。デッキから『シンクロン』と名のついたチューナーモンスターを手札に加える!」

 

「(シンクロン!?って言うことは相手のデッキは高速シンクロ!?あのカードを許すわけにはいかないわね・・・)虹光の宣告者の効果!このカードをリリースして「速攻魔法、墓穴の指名者!対象は虹光の宣告者!」なっ!?」

 

「対象のモンスターをゲームから除外し、次の相手ターン終了時まで互いのプレイヤーは同名の効果を使えない!」

 

男の人がドゥが使用した虹光の宣告者に対して墓穴の指名者を使い、すぐに虹光の宣告者の効果を無力化する。

 

「調律の効果で俺はデッキからクイック・シンクロンを手札に加え、シャッフルした後、デッキの一番上を落とす!」

 

・ジャンク・コンバーター

 

「手札のボルト・ヘッジホッグを捨て、チューナーモンスター、クイック・シンクロンを特殊召喚!」

 

クイック・シンクロン 守1400

 

「墓地のボルト・ヘッジホッグの効果!自分フィールドにチューナーモンスターが存在する場合、このカードを特殊召喚する!」

 

ボルト・ヘッジホッグ 攻800

 

「ただし、この効果で特殊召喚したボルト・ヘッジホッグはフィールドから離れた場合、ゲームから除外される。そして手札のドッペル・ウォリアーの効果!自分の墓地からモンスターが特殊召喚された時、手札のこのカードを特殊召喚する!」

 

ドッペル・ウォリアー  攻800

 

「開け!未来へつなぐサーキット!」

 

男の人の上空にリンクマーカーが現れて、その中にクイック・シンクロンとボルト・ヘッジホッグが入る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件はチューナーモンスターを含むモンスター2体!俺はクイック・シンクロンとボルト・ヘッジホッグをリンクマーカーにセット!リンク召喚!リンク2、水晶機巧ーハリファイバー!」

 

水晶機巧ーハリファイバー 攻1500 ↙︎ ↘︎

 

「ハリファイバーの効果!デッキからLv3以下のチューナーモンスターを守備表示で特殊召喚する!ジェット・シンクロンを特殊召喚!」

 

ジェット・シンクロン 守0

 

「Lv2のドッペル・ウォリアーにLv1のジェット・シンクロンをチューニング!」

 

☆2 + ☆1 = ☆3

 

「集いし願いが機械に魂を宿し出す。光刺す道となれ!シンクロ召喚!再起せよ!シンクロチューナー!武力の軍曹!」

 

武力の軍曹 守2200

 

「シンクロ素材に送られたジェット・シンクロン、同じくシンクロ素材に送られたドッペル・ウォリアー、そして武力の軍曹の効果発動!武力の軍曹はシンクロ召喚成功時、墓地のチューナーモンスターを特殊召喚する!ジェット・シンクロンを特殊召喚!」

 

武力の軍曹が腕を振り回し、自身の機械を稼働、隣にジェット・シンクロンが現れた。

 

「ドッペル・ウォリアーの効果!シンクロ素材として墓地に送られた場合、Lv1のドッペル・トークン2体を攻撃表示で特殊召喚する!」

 

ドッペル・トークン 攻400 ×2

 

「そしてジェット・シンクロンの効果!シンクロ素材として墓地に送られた場合、デッキから『ジャンク』と名のついたモンスターを手札に加える!チューナーモンスター、ジャンク・シンクロンを手札に加える!Lv1のドッペル・トークン2体とLv3の武力の軍曹でチューニング!」

 

☆1 + ☆1 + ☆3 = ☆5

 

「集いし願いが新たなスピードの境地へ導く。光刺す道となれ!シンクロ召喚!新たな希望、シンクロチューナー、アクセル・シンクロン!」

 

アクセル・シンクロン 守2100

 

「アクセル・シンクロンの効果!デッキから『シンクロン』と名のついたモンスターを墓地に送り、そのモンスターのレベル分だけ、このカードのレベルを上げる、または下げることができる!Lv1のジェット・シンクロンを送り、レベルを1つ上げる!」

 

アクセル・シンクロン ☆5→☆6

 

「なに・・・・・この流れるようなシンクロ召喚の連続は・・・・」

 

「見ておきなさい桜ちゃん・・・・・あの人はこの街で遊輝ちゃんと肩を並べるくらいのデュエリストよ。別名は色々あるけど・・・・・この場合は『シンクロ召喚の申し子』」

 

「シンクロ召喚の・・・・・申し子」

 

「そして通常召喚!ジャンク・シンクロン!」

 

ジャンク・シンクロン 攻1300

 

「ジャンク・シンクロンの効果!このカードが召喚に成功した時、墓地のLv2以下のモンスター1体を効果を無効にして守備表示で特殊召喚する!ドッペル・ウォリアーを特殊召喚!Lv2のドッペル・ウォリアーにLv3のジャンク・シンクロンをチューニング!」

 

☆2 + ☆3 = ☆5

 

「集いし願いが新たな力を呼び起こす。光刺す道となれ!シンクロ召喚!出でよ、ジャンク・ウォリアー!」

 

ジャンク・ウォリアー 攻2300

 

「ジャンク・ウォリアーの効果!さらにドッペル・ウォリアーの効果発動!更なるドッペル・トークンを2体特殊召喚!ジャンク・ウォリアーはシンクロ召喚に成功したターン、自分フィールドほLv2以下のモンスターの攻撃力分、アップする!俺のフィールドにはLv1のドッペル・トークン2体とジェット・シンクロンの合計3体!攻撃力は1300ポイントアップする!」

ジャンク・ウォリアー 攻2300→3600

 

「そしてLv1のドッペル・トークン2体にLv6のアクセル・シンクロンをチューニング!」

 

☆1 + ☆1 + ☆6 = ☆8

 

「集いし願いが新たに輝く星となる、光刺す道となれ!シンクロ召喚!」

 

もう何度行われた分からないシンクロ召喚、アクセル・シンクロが作った6つの緑の輪の中に2体のドッペル・トークンが入り込む。

 

「飛翔せよ!スターダスト・ドラゴン!!」

 

スターダスト・ドラゴン 攻2500

 

アクセル・シンクロンとドッペル・ウォリアーから出来た一つの光から、沢山の星屑が降り注ぐ。その星屑が龍の形となり、美しい、白色のドラゴンが特殊召喚されて。

 

「ス、スターダスト・ドラゴンだと!?そいつは確か不動遊星が・・・・・遊星?まさか・・・・・お前、不動遊星!?!?」

 

「不動遊星!?」

 

ドゥの言葉を聞いて、私は耳を疑った。不動遊星・・・・・お兄ちゃんから聞いた話ではライバル的な存在で、去年行われた世界大会の決勝戦の最後に戦った相手、高速シンクロ召喚を戦術とする、この街を救った英雄として讃えられている。そんな人が・・・・・今、私の目の前に・・・・・

 

「バトルフェイズ!スターダスト・ドラゴンで天威の拳僧に攻撃!シューティング・ソニック!」

 

スターダスト・ドラゴン 攻2500

天威の拳僧 攻1000

 

ドゥ  LP 4000→2500

 

「ぐうう!!!ぼ、墓地の天威竜ーシュターナの効果!自分フィールドの効果モンスター以外のモンスターが戦闘・効果で破壊された場合、墓地のこのカードを除外して、破壊されたモンスターを特殊召喚、その後、相手フィールドのモンスター1体を選んで破壊する!」

 

「スターダスト・ドラゴンの効果!フィールドのカードを破壊する魔法・罠・モンスター効果の効果が発動した時、このカードをリリースしてその発動を無効にする!」

 

「なっ!?」

 

「ヴィクテム・サンクチュアリ!」

 

ドゥの墓地にいた天威竜ーシュターナが飛び出そうとしたが、スターダスト・ドラゴンが飛び出して、天威竜ーシュターナを包み込む。そのままスターダスト・ドラゴンは星屑へと消えて、天威竜ーシュターナの効果は無効にされた。

 

「ジャンク・ウォリアーでダイレクトアタック!スクラップ・フィスト!!」

「ぐうわああああああ!!!!!」

 

ドゥ  LP 2500→0

 

 

WIN 遊星   LOS ドゥ

 

 

 

 

「うっ・・・ぐっ・・・・」

 

「す、凄い・・・」

 

ほぼ完璧に近い天威竜星の妨害を全て交わした。なんて強いんだろ・・・遊星さんはデッキをデッキケースにしまってドゥに近づく。

 

「さあ答えてもらおうか、お前たちの目的、そして遊輝の居場所を!!」

 

「!?ゆ、遊星さん!?何でその事情を!?」

 

「い、言うわけないでしょ・・・・ここはひとまず退散ね」

 

「待て!!!」

 

バン!!!

 

「ぐっ!?発煙筒か!!」

 

デュエルに負けたドゥがポケットから何かを取り出し、直ぐに投げる。辺り一面は白い煙で纏われる。

 

「ゴホッ・・・ゴホッ・・・」

 

「くっ・・・・逃げられたか」

 

煙が晴れるとすでにドゥの姿は見えなかった。遊星さんは振り向いてこっちに近づいてくる。

 

「大丈夫かアリア?」

 

「な、何とかね・・・・それよりどうして遊星さんが「俺たちが依頼したからだ」?・・・う、牛尾さん?」

 

「一歩遅かったわね・・・・」

 

出口の方から声が聞こえたので、お姉ちゃんと一緒にそっちの方向には牛尾さんと狭霧さんがいた。

 

「一行に遊輝が見つかる気配がなく、さらに遊輝のことがマスコミにバレたという垂れ込みが入った」

 

「このままでは私たちもなにも見つからない、それどころか貴重な戦力を失うかもしれない」

 

「そこで昨日、俺が遊星に直接頼み込んだ。助けてくれと」

 

「久しぶりに牛尾がきたと思ったらとんでもない事を言ってきたからな、さすがに驚いた。だが、仲間のピンチに駆けつけない俺ではない」

 

「ゆ、遊星さん・・・・」

 

「それと、手がかりは見つけた」

 

「何だと!?それ本当か遊星!?」

 

「ああ、昨日の地点で遊輝を襲った組織の情報をある程度、ハッキングで手にした。そして今日、あいつの去り際にGPSを取り付けた」

 

「い、いつの間に・・・」

 

「あとはあいつが何処にいるかだ」

 

そう言って遊星さんは自分のDホイールのところに向かい、パソコンを取り出してカタカタと打ち出す。

 

「・・・・・よし、GPSは正常だ」

 

「本当か!?」

 

「お、お兄ちゃん!!お兄ちゃんは何処!?」

 

「慌てるな・・・・・既に本拠地に帰ったのか?ここは・・・・」

 

遊星さんはパソコンを打ち出す。するとドゥが潜伏していそうな場所がどんどんと拡大されて行く。

 

「これは・・・・島か?」

 

「島だと?」

 

「・・・・待って、この島って」

 

「・・・・!?!?こ、これって、今年に入って突然できた人工島じゃないの!?」

 

「じ、人工島?」

 

「ああ、このネオドミノシティから北にある人工島だ。今年に入って誰かが埋め立てて島を作ったと大問題に発展したんだ。結局、所有者が分からずじまいのまま終わってしまったんだが・・・・こんなところにいるとは」

 

「じゃあ・・・・遊輝は」

 

「まだ分からないがここにいる可能性は高い。だが場所が特定できたならその後は簡単だ。1日だけ時間をくれ、出来る限りの情報を集める」

 

「あ、ありがとう・・・・」

 

バタン

 

「!?おいアリア!!アリア!!」

 

「お、お姉ちゃん!?」

 

「・・・・スゥ・・・スゥ・・・・」

 

「ね、寝ていやがる・・・・」

 

遊星さんのパソコンを見て、少し安心したお姉ちゃんはそのままフラフラと倒れてしまった。私や牛尾さんが心配して様子を見たけど、心配なさそうだった。

 

「・・・・お姉ちゃん、ここのところ徹夜でお兄ちゃんを探していたから」

 

「それでか・・・よく見たらクマができてるじゃないか」

 

「何とかして遊輝さんを見つけたかったのでしょう・・・・アリアさんと桜ちゃんは私たちが送迎します」

 

「遊星、すまないが後は頼む」

 

「ああ、帰って直ぐに調べる」

 

「桜ちゃん。行きましょう」

 

「うん・・・・」

 

牛尾さんがお姉ちゃんを背負って、私は狭霧さんの手を取り二人の車に向かって歩く。遊星さんはパソコンを片付けて、Dホイールに乗り込んだ。




桜「ようやく・・・ようやくお兄ちゃんの手がかりが・・・」

遊星「遊輝のことが好きなんだな」

桜「ん、何でも出来るし、料理も美味しい。けど・・」

遊星「?」

桜「お小遣いだけくれない」

遊星「(・・・・苦労しているんだな)」

桜「次回、『反撃と脱出』。次回もよろしく」


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第52話 反撃と脱出

就活中です。とりあえずESとSPIの勉強中です。

次いつ出せるかな・・・・


桜  side

 

 

「これがこの島の見取り図、そして組織の経営実態だ」

 

遊星さんが助けてくれた次の日、私とアリアお姉ちゃん、そして軽音部のみんな、牛尾さんと狭霧さんが遊星さんが住んでいる噴水広場の大きなガレージに集まった。遊星さんはプロジェクターと小型のパソコンを使ってあの人工島のことを調べてくれた。

 

「・・・・かなり大きいわね。ビルが3つ並んでいるわ」

 

「これが損益計算書で売り上げ表か・・・・確かに国相手に商品を売り捌いているな、表書きは『実験器具』だが」

 

「これが本物ね。毒物を中心に国に販売、その他にも裏組織とも繋がっていますね。ここまでなら立件には繋がりにくいですが」

 

「それとこいつもだ。コピーカードの情報もある」

 

「コピーカード・・・・っていうことはあいつらが手にしているリンクモンスターは全てコピーカードの可能性があるのか」

 

「デュエルディスクはコピーカードを反応しないように設定されている。ともなると、デュエルディスクも違法改造か・・・・」

 

次々と見つかる不正の悪事、表向きは医薬会社として医薬品、時々医療品を売っているがその売り上げ以上に裏社会や国との繋がりが大きくなっている。

 

「殺人兵器の方は難しい、コピーカードもデータはあるが肝心な所が掴めなていない」

 

「でもほぼほぼ黒だろう。あとは遊輝がいるかどうかだが・・・・」

 

「防犯カメラの映像は今解析している。が、こんなものが見つかった」

 

遊星さんがパソコンを操作する。そこにまた何かしらの資料が映し出される。

 

「!?これ、遊輝の名前が!!」

 

「そうだ、どうも遊輝のカルテらしい」

 

「って言うことは遊輝は・・・・」

 

「間違いなくここにいる。そしてカルテ通りなら両足に多大な損傷を起こしているがまだ生きている」

 

「良かった・・・・お兄ちゃん・・・・・」

 

お兄ちゃんが生きている。このことが私の心に安らぎを与えてくれる。みんなもホッとした表情をしている。

 

「だがそれよりも気になるものが見つかった」

 

「気になるもの?」

 

「こいつだ」

 

遊星さんはお兄ちゃんのカルテを縮小して、別の人のカルテを拡大した。そこに映し出されていたのは・・・

 

「・・・・わ、私?」

 

「桜ちゃんのカルテ!?一体どういうこと!?」

 

「何だこの文字の量・・・・細かすぎてよく分からねぞ」

 

「遊星さん・・・」

 

「俺もこいつを訳すことはできなかった。暗号のように書かれている」

 

「あ、暗号・・・・・」

 

お兄ちゃんのカルテには両足に線を引いて、何か文字を書いていたけど、私のカルテには色々な所から線が出て、たくさんの文字が書かれていた。

 

「雰囲気でロクではないことをしているわね・・・」

 

「DMWだっけ・・・・一体桜ちゃんに何をさせようとしているのこの組織」

 

「それは本人に聞いた方が早そうね」

 

「!?おいアリア、お前、乗り込む気か!?」

 

「あったりまえじゃない。昨日の借りを返さないとこっちの気が済まないわ」

 

アリアお姉ちゃんは手の指をポキポキと鳴らす。その顔はすでに相手をどうしようか考えている顔だった。

 

「アリアさん!いくら何でも無茶ですよ!相手は何してくるか分からない組織ですよ!」

 

「だから?私、千人相手に一人で戦ったこともあるし、これくらいなら余裕よ」

 

「く、国が後ろ盾する企業ですよ!?下手したら国際手配されるかもしれませんよ!?」

 

「国が後ろ盾?そんなもの関係ないわね。私はね・・・・・私の好きな人と私の可愛い妹を襲った奴らは絶対に許さないわよ。どんな手を使ってでも」

 

お姉ちゃんの目はかなり燃えている。決心もかなり硬い、誰がどう言っても突入する気だ。

 

「・・・・しょうがねぇ」

 

「牛尾君!?」

 

「狭霧さん、もうアリアは耳を貸しません。あいつの思う通りにしましょう。アリア、悪いけど今の俺たちは動けない。決定的な証拠が見つからない、コピーカードの情報も黒に近いグレーラインだ。確実な証拠がいる、まだまだ時間がかかりそうだ」

 

「良いわよ。私一人で全部ぶっ壊してやる」

 

「こっちはこっちで情報を集めて、全て整ったら援護射撃に行く」

 

「アリアさん、私たちは」

 

「ごめん、軽音部のみんなも連れて行けない。気持ちは分かるけど皆は今、そんな立場じゃない」

 

「ッでも!「響、ダメ」か、奏!?」

 

「今の私たちじゃアリアさんの足手まといだわ。思っている以上にマスコミが動いている。何処かで監視されている状態の私たちじゃ下手に動けないわ」

 

「クソッ・・・分かっているけど・・・・こんな時に何もできないのか・・・・」

 

軽音部のみんなは項垂れている。確かに今の軽音部はマスコミに追われまくっている。お兄ちゃん一人が行方不明という情報を掴んだだけで、ゴキブリのようにどこからでも湧き出てくる。ここに来るのも一苦労していたと聞いているし、レミの会社にはマスコミが戯れていると聞いた。もしかしたらそのうち、みんなの家にもマスコミが来るかもしれない」

 

「悔しい気持ちは分かるけど、今は貴方達は有名人、もう下手に手を汚すことが出来ない立場になってしまった。手を汚すなら私一人で充分よ」

 

「・・・・・アリアさん、お願いします」

 

一人、レミだけはお姉ちゃんに頭を下げる。それを見たお姉ちゃんはフィッと横に向ける。

 

「よし、準備してくる」

 

「・・・・待って、お姉ちゃん」

 

「ん?」

 

「私も・・・・行く」

 

「!?さ、桜ちゃん!?」

 

「私も行く、お兄ちゃん助ける。そして・・・・私も蹴りをつける」

 

皆が驚いている表情をしているが、私だってやらなきゃ行けない時がある。私のせいでお兄ちゃんは大怪我して連れ去られた。もうこれ以上、私たちに構わないで欲しい。その為には私自身が行って私が全て片付けなければならない。

 

「桜ちゃん!!いくら何でも危険よ!!」

 

「・・・・・・」

 

「お姉ちゃん、私も行く。そしてお兄ちゃんを助け出す」

 

「・・・・・・良い目」

 

「えっ?」

 

「良い目しているわ。決意に満ちた、凄い気合の入った目、良いわよ。桜ちゃん自身も色々とあるだろうし、連れて行ってあげる」

 

「ア、アリアさん!?良いんですか!?」

 

「良いよ。私が見てあげるし、守ってあげる。ただしコレだけは肝に命じておいて。私たちがやることはもう犯罪に近い行為、下手したら一生お日様に当たらないかもしれないわよ」

 

「・・・・大丈夫、お兄ちゃんを助けるためにはどんな手段もいとわない」

 

「そう・・・・じゃあちょっとだけ準備しましょう」

 

「ん」

 

私はお姉ちゃんに連れられてガレージを出る。

待っててお兄ちゃん、もうすぐ助けに行くから。

 

 

桜  side out

 

 

 遊輝  side

 

 

「では本日の検査はこれで終了です。お疲れ様でした」

 

「・・・・・・・・・」

 

俺を部屋のベッドに戻した秘書はそのまま静かに扉を閉めてる。確実にいなくなったタイミングを見計らう。

 

「(・・・・・良いぞ、ダイヤ)」

 

『(はい)』

 

俺の横に精霊状態のダイヤが現れる。

 

「(今日、決行する)」

 

『(はい、プラチナの方も準備は整えています。しかし足のほうは・・・・)』

 

「(正直、5割行っているかいないか。動かせることは動かせるが長時間歩くことはできない)」

 

脳内でのダイヤの会話で俺は自分の足を見つめて、動かす。この前と違い、だいぶ自分自身の意思で動くようになったし、痛みもない。ただ、リハビリをしていないので実際に歩けるかどうかは若干の不安が残る。

 

『(大丈夫ですか?)』

 

「(やるなら今日しかない・・・秘書と社長が主張する今日の夜しか)」

 

昨日、秘書が明日から1泊2日で出張すると言っていた。つまり今日の今から明日まで社長と秘書はいない、俺を見張るやつがいない、この時しかチャンスがない。

 

『(ガセかもしれませんよ)』

 

「(んなもん百も承知だ。だがガセでもやらないとチャンスは二度も来ない。あれだってあるのは分かっているんだ)」

 

そう言って俺は部屋の隅を指す。一見何もないように見えるが、若干だけレンズが膨らんでいるのが見える。間違いなく防犯カメラだ。あれで俺のことを監視していると思う。

 

『(良いんですか、こんな事つらつらと話して)』

 

「(こういう時こそあいつの言葉を借りるんだよ・・・弾幕はパワーだぜ)」

 

『(・・・・ハァ、相変わらずですね。まあここで大人しくしても一向に良くなりません。一か八かの掛けに掛けましょう)』

 

「(・・・・決行は夜、それまで周りの警備の状態も見てくれ。恐らくかなり警戒していると思う)」

 

『(分かりました)』

 

「(プラチナの方もいつでも良いように伝えといてくれ)」

 

『(はい)』

 

そう言ってダイヤはスゥ〜と消えていった。さて・・・まずはっと。

 

「・・・・その防犯カメラ鬱陶しいなぁ(パチン)」

 

防犯カメラを見ながら指パッチンをする。部屋の温度は目には見えないが少しずつ上昇していく。これで幻影を作る作戦だ。

 

「(後はこいつとあいつだな・・・・)」

 

ベッドの下に隠していたダイヤに頼んだ特殊なバケツを取り出して、布団を退かひ、自らの足に付けられた足枷を見る。上半身を屈伸するように前に倒して右の足枷を左手に持ち、右手で太陽を作る。

 

「(さあ溶けろ・・・・・)」

 

足枷の熱はどんどんと上がっていき、やがて1000度近くとなる。金属で出来ている足枷はだんだんと溶けていき、それがバケツの中に入っていく。

 

「(・・・・・よし、次は反対だ)」

 

完全に溶け切って足枷が無くなると、次は反対の足枷を溶かしにかかる。足枷は溶けていき、バケツの中は溶けた熱々の金属で溜まる。

 

「(これで足枷は大丈夫っと、その前に・・・・)」

 

俺は体を振って足を地面に付ける。5割ほど治ったとはいえそれは感覚、さらには外見上だ。実際に足を動かせるかどうかはまだ分からない。

 

「っと・・・・ほっ・・・・ほっ・・・・」

 

足を地面に付けた後、ベッド横の小さな物入れに手をかけてゆっくりと立ち上がる。完全に立ち上がった後、今度は手を離して自立で立てるかの確認、その後に一歩一歩歩けるのか、確認する。

 

「(・・・・・痛み自体はない、けど筋肉がなさ過ぎるから前みたいに速く走れないし、持久力もなさそうだな)」

 

とりあえず動けたことにホッとする。この施設に入ってからまともなリハビリを受けてなかったから心配したけど、まあよかった。コレで足が動けなかったら脱走計画が全てパーとなってしまう。

 

「(足のちゃんとした治療は戻ってからやろう。後はこいつだな・・・・)」

 

そう思い、目の前にあるガラスケースを見る。中には俺の竹刀と刀、そしてデッキが入っている。

 

「(パスワードかけたっていうけど、下手にパスワード触るより溶かしたほうが早いな)」

 

『(マスター!!ドゥって女が来てます!!)』

 

「(!?ッチ、感づきやがったか!?)」

 

ダイヤの知らせを聞いた俺は慌ててベッドに戻り、布団を被る。足枷が溶けたことがバレないようにちょっとだけ細工をして、部屋の温度を調節する。

 

ガラガラ〜

 

「お疲れ〜、今日も検査大変だったわね」

 

「・・・・・何のようだ?」

 

「あの秘書が出張するから私が代役であなたを見守るように言われたのよ。あの社長、すごい調べているから貴方が脱出するかもしれないから見張っとけって」

 

「・・・・こんな状態でどうやって脱出出来るんだよ。リハビリしてねぇんだぞ」

 

「そうだよね〜。私も必要ないって言うけど煩いから」

 

「(・・・・これは社長も秘書もこいつも感づいてやがるな)」

 

ドゥの口調と話し方で俺は一瞬で察した。あいつらは俺が今日脱走すると確信を持っていやがる。とことん俺のことを調べていたから、俺の考えとか読めるんどろうな。アリア曰く、俺の考えは読みやすいとか言っていたし。

 

「とりあえず私の今日のお仕事はここで貴方を見張ること、変なことしないでよね。私の仕事が増えるだけなんだから」

 

「うるせぇ。じゃあここから出せよ」

 

「それはできない相談ね・・・・・足枷も大丈夫」

 

ドゥが俺の足元の方の布団をめくり上げる。さっき鉄は溶かしたがとある細工をすぐにしたおかげでドゥには足枷が付いているように見える。

 

「(とりあえずコレでバレることはない。後はこいつをどうするかか・・・・)」

 

「まぁ時間はたっぷりあるし、ゆっくりとお話ししましょう」

 

「・・・・・・・」

 

ドゥは俺の横にパイプ椅子を置いて本を取り出す。これは本当に見張るつもりなんだな。

 

「(ってことは出張もあながち嘘ではなさそうか・・・・100%信じるわけにもいかないが)」

 

「あなたにオススメの本があるのよ。これなんてどうかしら?」

 

「・・・・興味ない」

 

「そうかしら?あなたの好きな料理に関する本だけど」

 

「こんな気分で読みたくねぇよ」

 

「残念、すごく面白い作品なのにね・・・・気分が変わったらまた声をかけてね」

 

ドゥは取り出した本を開き、読み始めた。これで集中してくれたらいいもんだが、逐一俺のことを目にしたり、声をかけたりする。こっちもそこそこに返している。

 

「・・・・しつこい・・・・・寝る」

 

「そう、じゃあそのままゆっくり寝てちょうだい」

 

しつこく声をかけたり見たりするので、さすがにイライラが止まらなくなり不貞寝することにした。脱走の実行は夜を考えているし、今の間に寝ていても問題ない。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「あら、もうこんな時間ね。ご飯取ってくるわ」

 

「・・・・・・・・・」

 

「まだ寝ているのね。じゃあ私が離れても大丈夫よね」

 

あれからしばらく時間が経ち、日が沈む時間になった。ドゥがご飯をとりに行くと言い出した。俺は狸寝入りのまま、ドゥの言葉を流す。ドゥが部屋から出て行き、少し立った後、布団を蹴り飛ばす。

 

「(行くぞダイヤ)」

 

『(分かりました)』

 

頭の中でダイヤに合図を送り、すぐに部屋の温度を上げる。これで幻影を作り、監視カメラを騙す。ベッドから立ち上がり、俺のデッキと竹刀、刀が入れられたガラスケースの前に立つ。そのまま目の前のガラスに手をかざし、太陽を作る。

 

「(さあ溶けろ・・・・・真っ赤にそしてドロドロに)」

 

ガラスはすぐに溶けて液体となって地面に流れる。そのまま俺はデッキと竹刀、刀を手に取る。

 

『(マスター、服を持ってきました)』

 

「(よし)」

 

予め頼んでいた服がダイヤの手によって届く。普通の作業員の服だ。病院服を脱いで、作業員用の服を着る。

 

「(行くぞ)」

 

『(はい)』

 

精霊状態のダイヤとともに、俺は病室から出た。




遊輝「ようやく身体が動かせる・・・」

ダイヤ「無茶しないでくださいよ」

遊輝「っていう風にしたいけどなんかあるだろうなぁ・・・」

ダイヤ「まぁ・・・・確かに・・・」

遊輝「次回は・・・・・おい、タイトルねぇぞ」

すみません・・・・構成はありますけどタイトルは思い浮かばなかったです。

遊輝「おい・・・・」

ダイヤ「次回もよろしくお願いします」


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第53話 逃走

新型コロナヤバイですね・・・
皆さん大丈夫ですか?作者は寒暖差アレルギーで鼻詰まりがヤバすぎです。


遊輝  side

 

 

「(できる限り遠く・・・そして正確な場所を・・・)」

 

『この先を左です。そして突き当たりまで行ってください』

 

「(サンキュー)」

 

作業員姿になって病室を抜け出した俺は非常階段を使って下に降りた後、地下街の電気室やら倉庫やらを移動している。

 

『突き当たりの角を右、そこから非常口です。そこからは森となっています。まっすぐ行けば小さな港に着きます。そこで小さなボートがあります』

 

「(ボートね、了解)」

 

ダイヤからかけられる言葉に俺は必要な言葉だけを確認して返事する。ボートがあるならこの島からの脱出も楽だ。最初ダイヤからここが島って言われた時、どうしようかと本気で悩んだがプラチナが上手いことしてくれたみたいだ。そんな事を思っていたから目的地となる非常口が目に入る。

 

「(さて・・・この非常口だけど、反応は中か)」

 

『主、主が脱走したことが島全体に知れ渡りました。ここから先はさらに警備が厳しくなります』

 

ダイヤと反対側に精霊状態の銀河眼の光子竜、プラチナが現れて、状況を説明してくれた。脱出計画始まってまだ5分も経ってないがもうバレちまったか。ドゥ辺りが帰ってきたのか?

 

「(サンキュープラチナ、さて、大人しくしてくれたら良いんだが)」

 

『難しいでしょう。今の主の姿でもこの森にいること自体が怪しい人物ですから』

 

「(となると強行突破も視野に入れないとな・・・・)」

 

『いざと言う時は力を貸します』

 

「(助かるぜ。さて、どこまでバレずに進めるか・・・・・)」

 

プラチナの言葉が背中を押してくれる。意を決して俺は非常口の扉に手をかけてゆっくりと開ける。冬なのでもう日が暮れて辺りは一面真っ暗だ。こんな状態で森の中を進むのは危険だが、ここで足を止めると捕まってしまう。

 

「(・・・・・今は近くにいない。とりあえず進もう)」

 

生命反応がない事を頼りに俺は非常口から出て、森の中に身を隠す。そのまま前に進み港を目指す。

 

「(何もなければ良いんだが・・・・)」

 

『マスター、捜索部隊5人ほどが森の中を捜索し始めました』

 

「(う〜ん・・・・少し多いな。何とか見つからないといいが・・・)」

 

森の中をゆっくりと進む。足の調子はまだ大丈夫だが、あんまり追いかけっこはしなくない。

 

「(見つからないよう慎重に・・・・)」

 

「探せ!何としてでも見つけ出せ!社長からの命令だ!」

 

「(ッチ、近くにいたか。運が悪い。反応は・・・・2つか)」

 

近くで声が聞こえたので俺はより一層声を潜め、草原から様子を見る。周りが暗くて見えないが俺の生命反応で2つ反応した。ダイヤの言う通りならの残り3人がまだ森の中にいる。

 

「(まだ遠いしこっちに気付いてない。ゆっくりと行くか)」

 

「ちくしょう・・・・どこに逃げやがった」

 

「おい、本当に両足歩けないのか?歩けないならこんな所にいるはずねぇだろ?」

 

「あいつには車椅子がある。そいつで移動可能だ」

 

「それだったら尚更おかしいじゃねぇのか?車椅子ならエレベーターを使わないといけないだろ?何でエレベーターの防犯カメラに映ってないんだ?」

 

「・・・・・確かに、まさかもう足が治った?」

 

「だったら余計に不味いですね・・・・我々の機密情報を知っていますから」

 

機密情報もクソもオメェらのやってきた悪事はセキュリティにも薄々と知れ渡っているちゅうの。悪さしていると自覚しているならさっさと自主しろや。

 

「ああ、お前はあっちを探せ!俺はこっちを探す!」

 

「分かった!」

 

そう言って手下二人が何処かに散らばっていった。ふむ・・・散らばってくれるのはありがたい。一人襲って服を奪う手もあるが、足の状態的に無理しない方が良いだろう。

 

「(さて・・・・ダイヤ、港まであとどのくらいだ?)」

 

『(500mぐらいです)』

 

『(今のところ、港付近に人の姿は見当たらないですが、いずれ人が集まるでしょう)』

 

「(サンキュープラチナ。じゃあ少し急ぎ目に行くか)」

 

ダイヤとプラチナの話を聞き、急ぎ目に森の中を進む。幸いにも向こうはまだこっちを気付いていない。少し早めても大丈夫だ。

 

「(とにかく早く脱出しよう。そして桜の無事を確認しないと・・・・ん?)」

 

ゆっくりと前を進んでいたら変なものが目に入った。一瞬人と思ったが、動きが直角でおかしい。だが生命反応はある。

 

「(・・・・なんだあれは?ロボットか?にしては生命反応がある)」

 

『主、ロボットにしてはやけに人にそっくりな体型ですよ。生命反応があるならなおさら人では?』

 

「(しかし動きがおかしいぞ。人間、あんな動きしねぇぞ?)」

 

『・・・・・覇気がないですね。まるで誰かに操られている感じです』

 

「(・・・・・嫌な予感がするが今は構ってられねぇ。とりあえずあいつも敵として避ける事に専念しよう)」

 

何となくあの社長の言葉が頭の中で引っ掛かったがそんなに時間があるわけではない。今は脱出することに専念しよう。

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

「(気色悪いな・・・・・早いところ向こうに行ってくれ)」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「(・・・・・・よし)」

 

謎の人型ロボットが通り過ぎて行き、また前に進む。ああいうのが監視に回っているとなると早くには進みそうにないな、やっぱり慎重にゆっくりと行くべきか。

 

「(・・・・・後ろは)」

 

『(大丈夫です。私たちが見ています)』

 

『(警戒すべきポイントまで後2mです。そこを過ぎれば一気に行けます)』

 

「(OK)」

 

ダイヤとプラチナの言葉を背に、俺は港を目指す。ゆっくりと低い姿勢で前へ進む。もうすぐ危険地帯か・・・・

 

「(・・・・確かに反応が多いな。これは一苦労しそうだ)」

 

『シグナーの能力は・・・無理ですね。これだけ木々に追われていたら火事を起こしてしまいます』

 

「(そうだな。さてと・・・・少し遠回りで様子見ながら行くか)」

 

生命反応が大量に反応した。これは骨が折れそうだ。とりあえず危険地帯を覗き込む。ライフル銃みたいな物をもった兵隊のような格好をした奴らがうじゃうしゃといる。

 

「(いつもなら相手にしているんだが今回はちと無理があるな。増援なんて呼ばれたらスタミナ切れだし)」

 

『(マスター、左側のルートが空いています)』

 

「(じゃあそのルートで行こうか)」

 

ダイヤに言われ、左側へ進む。バレないように草陰に頭を隠し、時々あいつらを見ながら進む。

 

「(・・・・・・・・・・)」

 

「隊長!こちらは見つかりませんでした!」

 

「チッ・・・どこに逃げやがった」

 

「(・・・・何もないで)」

 

カサッ

 

「ん?なんかそっちの方で音がなったぞ?」

 

「(!?ヤバっ!?)」

 

「音・・・ですか?」

 

慎重に進んでいたが、草腹を踏んでその際に踏む音を鳴らしてしまった。一瞬、身体に鳥肌が立つがすぐに姿勢を低くして身の影に隠れる。

 

「(頼む・・・・来るな!!)」

 

「・・・・気のせいじゃないか?今日は少し風が強いですし」

 

「そうか・・・・悪かった。お前らはあっちの方を捜索頼む。B隊はモーメーションエリアだ」

 

「「「「はっ!!!」」」」

 

隊長らしき奴の命令ですぐに兵隊の姿をした奴らは散らばっていく。やがて兵隊たちが完全にいなくなり、生命反応がなくなったところでホッと息を下ろす。

 

「(た、助かった・・・・)」

 

『一時はどうなるかと・・・』

 

『マスター、今のうちに』

 

「(わ、分かってる)」

 

ダイヤに急かされて俺は少し急ぎ目でこの場所を後にする。何とか危険地帯を抜け出すことができた。このまま何事もなく港付近まで近づくことができた。

 

「(ふ、ふぅ・・・どうなるかと思ったが何とか港には来れたな)」

 

『主、精鋭部隊達が数人ですが潜んでいます。主のルートを悟られたようです』

 

港付近の草陰に身を潜めていたところでプラチナから最悪な情報が脳内に響き渡る。露骨に嫌な顔をして隣にいるダイヤに顔を向ける。

 

「(こんな時にそんな報告聞きたくねぇよ・・・ダイヤ、他は?)」

 

『(ヘリコプターが止まる飛行場がありますが、現在はヘリコプターはいません。港はここ一ヶ所だけです』

 

「(つまりいずれここに辿り着くだろうと予測したのか・・・かと言って他は断崖絶壁に近いしな・・・)」

 

『主、さらに最悪なニュースです。一台のヘリコプターがこちらに向かっているようです。どうやら連絡を受けたトップが止まらずに帰ってきたようです』

 

「(まずいなぁ・・・・今度捕まったら脳内に訳分からんチップ埋められて操り人形になっちまう)」

 

『しかしここにいるのも時間の問題ですよ。現に人が増えていってます』

 

「(んなもん見てもわかるし、生命反応がビンビンと立っているんだよ)」

 

港には物騒な姿をした兵隊の方、色んな人々が車からやってきて俺のことを捜索している。手には機関銃やら銃やら物騒な物しか持っていない。

 

「(こんな状態であの頭いかれている社長が帰ってきたら勝ち目ないしな・・・・こんな足の状態で強行手段を取らざるを得ないのか・・・)」

 

『我々も力を貸します』

 

『一緒にこの地から脱出しましょう』

 

「(・・・・・やるっきゃねぇか)」

 

覚悟を決めた俺は背中から2本の竹刀を取り出し、左手に作った太陽を竹刀に当てる。当然、竹刀は赤く燃え上がる、が、この竹刀はとある世界で作られた燃えない特注の竹刀。強度も抜群でそこら辺の竹刀と比べられたら困る。

 

「(さあ・・・・盛大な花火を咲かせようぜ!!)サン・フレア!!」

 

俺は右手で巨大な太陽を作り、それを港に向けて投げる。高速で移動した太陽は港付近の奴らを巻き込んで爆発、辺り一面が燃え上がる。

 

「な、何だ!?何があった!?」

 

「緊急事態だ!!火事「うおらああ!!!!」うがあ!!!!」

ドスッ!!!

 

港にいる奴らがパニックを引き起こしたところで草陰から飛び出して近くにいる奴を殴り飛ばす。

 

「なっ!て、てめぇ!!「そうりゃ!!!」グホッ!!」

 

「いたぞ!!脱走者が見つかった!!」

 

「悪いがお前ら相手にしている暇は無いんだよ!!さっさとボートの所に行かせてもらう!!」

 

「グホッ!!」

 

「ガハッ!!」

 

俺のことを見つけ近づいてくる奴らを燃えている竹刀で返り討ちにして海に落とす。

 

「くそっ!こっちガハッ!!」

 

「!?ど、どうしグホッ!!」

 

『フン!!』

 

『全く、下品な人たちです』

 

遠くから俺を攻撃、狙い撃ちしようとする奴らはもれなく精霊状態になっているダイヤとプラチナからブローやら魔法攻撃を受ける。向こうからしたら見えない敵から攻撃されている。さらにパニックを引き起こす。

 

「止まれ!!止まらないと撃つぞ!!」

 

「撃てるもんなら撃ってみろや!!!」

 

「このっ・・・!!!!」

 

機関銃を構えた兵士が俺に照準を合わせる。だが俺はそんな事を気にしていられない。目の前にやってくる敵をなぎ倒し、前に進むしか道がない。

 

「くらいやがれ!!」

 

「あめぇんだよ!!!」

 

相手が銃を乱射始めたところで目の前にバリアを貼る。銃の玉はそのまま壁に当たり燃え尽きていく。バリアを貼ったまま、俺は機関銃をぶっ放している奴まで走る。

 

「く、来るな!!来るな来るな来るな!!!!」

 

「喧嘩を売ってきたのはそっちだろうが・・・・目には目を、歯には歯を!!」

 

「ぐおばああ!!!!」

 

右手の竹刀を左手に持ち、そのまま右ストレートで相手の頬をぶん殴る。モロに受けた相手は口の中から血を出して倒れる。

 

「動くな!!」

 

「だから動くなって言われて止まる馬鹿がいるか!!サン・フレア!!」

 

今度は反転して後ろに右手で作った太陽を投げつける。さらに俺の上にいるダイヤとプラチナも魔法攻撃をして後ろの奴らをなぎ倒していく。

 

「ハァ・・・ハァ・・・運動不足には堪えるな」

 

『マスター、早く動きましょう。どんどんと人が来ています」

 

「んなもん分かってらぁ。行くぞ!」

 

「待て!!」

 

 バン!!!ガギン!!!

 

「二度も同じ手が通用すると思うなよ!!」

 

後ろから銃声が聞こえてきたが、その前にバリアを貼ったので銃弾は弾かれる。

 

「(しかし人が多すぎる・・・いつ足が悲鳴を上げるか分からなくなってきたな・・・)」

 

「足だ!!そいつの足はまだ完治していない!!足を狙え!!」

 

「そんな大声を出して狙われてたまるか!!」

 

敵の将みたいな奴が大声を出す。一斉に銃を持つ奴らが俺の足に照準を合わせるのが目に見えた。あんな大声を出されて対策しないはずもなく。全方向にバリアを貼る。

 

「ぐっ!!このやろう!!」

 

「化け物め・・・!!」

 

「前を退いてもらおうか!!俺はここから出るぞ!!」

 

「そういう訳には行かないんだよ!!」

 

バーーン!!!

 

「!?ぐっ!?」

 

「チッ!!」

 

「あっぶねぇことしやがる・・・・」

 

敵の後ろからランチャーみたいなものを構えた奴が一瞬だけ見えて、そいつが上空めがけて放つ。上空で網が広がり、間一髪で避ける。その際、一瞬右足がグネった感覚を覚える。

 

「(ハァ・・・ハァ・・・・足は・・・大丈夫か?)」

 

敵が態勢を整える前に右足を僅かに動かせる。痛み自体は走らない。だが・・・・

 

「(・・・・足の感覚がおかしくなってきている。そろそろタイムリミットが近いってことか)」

 

右足を動かした時、反応が鈍かった。それだけじゃない。軽く左手で左足の太腿を触った時、触覚の感覚を感じるのに数秒の時間がかかった。

 

「(ダイヤ、プラチナ、悪い。もうそろそろ足が言うこと聞かなくなりそうだ。一気に決めたい、前を空ける一撃を頼む)」

 

『分かりました』

 

『了解です』

 

ダイヤとプラチナに声を掛け、精霊状態の二人が俺の目の前に現れる。そして二人が同時攻撃をする。

 

『くらいなさい』

 

『ハアアアア!!!』

 

「ぐわああああ!!!!!!」

 

ドオオオオンンン!!!!!

 

二人の合わせ技で俺たちの前側にいた敵は吹き飛ばされていき、港からボートまでの道ができる。

 

「(よし、行くぞ!)」

 

「待て!!」

 

二人のおかげで道が切り開き、俺は走り出す。後ろから声が聞こえてくるが、そんな物は無視だ。足が言う事を聞かなくなる前にボートを・・・・

 

「(見えた!!あれに・・・)」

 

シュッ、ドーーーン!!!!

 

「!?ぐっ!?」

 

ボートに飛び乗ろうとした瞬間、後ろから何かが聞こえ、目の前のボードに当たり、ボートは爆発。とっさに体をかがめ、爆発したボートの破片から身を守る。

 

「ハァ・・・ハァ・・・」

 

「危ないことしてくれるじゃない。本当に逃げ出すところだったわ」

 

港付近から聞きたくもない声が聞こえ、そっちの方に目を向ける。コツコツと一歩ずつ近づいてくるドゥと後ろにランチャーを構えた兵士、さらに物騒な武器を持った部下達が全員俺に向けて照準を合わせている。

 

「ハァ・・・ハァ・・・」

 

「でも、あなたとの鬼ごっこもお終いね。もうすぐ連絡を受けた依頼主が帰ってくるわ。あなたの処遇はその時にでも決まるわ」

 

「ハァ・・・ハァ・・・悪いが俺はまだ捕まっちゃいないぜ?」

 

「へぇ〜、これだけ囲まれているっていうのにずいぶん余裕ね」

 

「(・・・・・ダイヤ、プラチナ)」

 

『分かってます』

 

『御意』

 

・・・・ドン!!!

 

「ぐわああああ!!!!」

 

「!?何!?」

 

ダイヤとプラチナに声をかけて攻撃を仕掛けようとした時、ドゥの後ろの方にいる兵士達何人かが吹き飛ばされていった。

 

「(・・・何だ?)」

 

「どういう事だ!?」

 

「た、大変です!!何者かが乗り込んで我々に攻撃を開始しています」

 

「何だと!?」

 

「(乗り込み?)」

 

「人数は!?」

 

「じょ、女性、2人です!」

 

「(・・・・ダイヤ、プラチナ)」

 

『はっ』

 

『御意』

 

ドン!!ドン!!

 

「うわあああ!!!!」

 

「!?ちっ!?言うこと聞かないガキがいたわ!!」

 

混乱状態をついてダイヤとプラチナに攻撃を下す。同時攻撃によってドゥ以外の前にいた兵士達が吹き飛ばされてる。ドゥは銃を俺に構えた。

 

「悪いけどしばらく大人しくしてもらうわよ!」

 

「(足が動かねぇ・・・もうなりふり構ってられる場合じゃない!)」

 

そう考えた俺は動かない足に喝を入れて少しだけジャンプ、そのまま数cm、相手にはバレない程度で宙に浮く。

 

 バン!!ガン!!

 

ドゥが発砲した弾を竹刀で弾き飛ばす。

 

「なっ!?」

 

「悪いけどお前も寝てもらう!炎舞ー龍の舞!」

 

炎を纏った竹刀をドゥに向ける。右手を使い、ドゥを空に投げ飛ばし、俺もそのまま上昇、八の字を描くように動いてドゥを斬り付ける。

 

「があああぁ!!!!」

 

「そのまま海に落ちろ!!」

 

斬りつけたところで右手で再びドゥを掴み、海に向けて投げる。

 

 ザボーーーーーン!!!!!

 

大きな水しぶきを立てて、ドゥは海に落ちていった。

 

「お前らも全員海に落ちろ!!サン・フレア!!」

 

 バーーン!!!バーーン!!!

 

「ぐおおお!!」

 

「うわあああ!!!」

 

飛び上がったまま今度は複数の太陽を作り、地上にいる奴らも焼き尽くす。港付近は炎で燃え上がり、一種の地獄絵図となった辺りは火から逃れたり、燃え上がった奴らが海に飛び込んでいく。

 

「ハァ・・・ハァ・・・・足はもうダメだな」

 

ゆっくりと地上に降りていく。足は地面に着くがもうすでに感覚がないし、何か壁にもたれないと立つこともできない。

 

「しょうがねぇ・・・霊力も完全に回復はしてないけど使って飛ぶしかねぇ。にしても誰だ?乗り込んきた奴」

 

「・・・・・私よ」

 

「・・・・・・ああ、なるほど。確かにお前ならできるか・・・・アリア」

 

「ようやく見つけたわよ、遊輝ちゃん」

 

「お兄ちゃん!!」

 

後ろから声が聞こえたので誰かと思い後ろに振り向くと、見慣れた二人が立っていた。そのうちの一人が走ってきて、俺の胸に飛び込んできた。

 

「久しぶりだな・・・・無事でよかったよ桜」

 

「良かった・・・・お兄ちゃん、お兄ちゃんが生きていた」

 

「勝手に殺すな。俺はまだまだ生きなきゃ行かん。プロポーズもしてねぇんだから」

 

「遊輝ちゃん、足はどう?」

 

「回復はして歩けるくらいにはなった。ただ、今は使いもんにならん」

 

「ああ・・・・なるほどね」

 

飛び込んできた桜は俺の胸で泣きじゃくる。そして後ろに腕を組んでいるアリアは俺の状態を聞いてきた。俺は素直に今現状の状態を言い、アリアは俺の足元を見て納得した様子をした。

 

「それより何で来たんだ?とりあえず今は逃げるぞ。社長が出張でいないんだ。帰って来られる前に「そんな逃げ腰の一手のために来たんじゃないわよ」はっ?」

 

「私と桜ちゃんの目的は2つ」

 

「1つはお兄ちゃんを助けること」

 

「もう一つは・・・・この組織をぶっ潰す。跡形もなく」

 

「・・・・・・マジで言ってるのか?」

 

「大真面目よ」

 

アリアがとんでもないことを言ってきたので俺は問い返した。アリアの顔を見て、本気である事が読み取れた。

 

「・・・・・・分かった。俺もいく」

 

「もちろんよ。元々遊輝ちゃん含めて3人でやるつもりだったから?」

 

「あいつらは?」

 

「止めたわ。今マスゴミどもに追いかけれているから、それに皆を悪者扱いにはさせないわよ。汚い手を汚すのは私一人で充分だわ」

 

「・・・・・俺はどうでも良いのか。まあ別にいいけど。あの社長を一発ぶん殴ってやらないと気が済まない」

 

「お兄ちゃん、私も手伝う。もう二度と私を付け回さないようにする」

 

「分かった。そろそろ社長が帰ってきそうだ。社長室に乗り込む」

 

アリアと桜の決意を聞いて、俺も決心する。寄っかかっていた壁から離れ、数cmだけ軽く宙に浮く。

 

「社長室の場所も分かったけど多分ヘリコプターだろ。飛行場なら右に行ったところだ」

 

「OKよ」

 

目的地を定め、俺たち3人は港から離れる。

 




桜「やっとお兄ちゃんが無事に・・・・」

遊輝「いや、全然無事じゃない。足治ってない」

アリア「いつもなら治っているのにねぇ〜」

遊輝「いやお前、死にかけだったんだから・・・・」

桜「次回から第1章最終盤、私たち3人で組織をぶっ潰す」

アリア「『怒りのアリア』。次回もよろしく」


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第54話 アリアの怒り

コロナの影響で就活が・・・・
すげえ心配で不安です。



桜 side

 

「ぐおおおらあああ!!!」

 

「ぐお!!」

 

目の前に迫ってきた兵士の頬にお兄ちゃんは思いっきりグーで殴る。モロに食らった兵士は口から出血、歯も何本か折れて倒れた。

 

「行くぞ!まだまだ乗り場は先だ!」

 

「桜ちゃん!走るわよ!」

 

「ん!」

 

「止まれ!!止まらないと撃つぞ!!」

 

「うっせハゲ!!!氷符『絶対零度の術』!!」

 

「一生悪夢に着いてなさい!!『ダークホール』」

 

「ぐわああああああ!!!!!!!」

 

前から来る大軍に向けてお兄ちゃんは懐から取り出した1枚のお札見たいな紙を口の前に持ってきて呟く。すると大軍の右半分の奴らが瞬く間に氷漬けにされる。残った左半分はお姉ちゃんが言った呪文によって足元に真っ黒い穴が現れて、その中に吸い込まれていき消えていった。

 

「・・・・・・・・・」

 

「行くぞ!!」

 

「・・・・・二人とも、何そのいつも以上の気狂い能力。っていうかお兄ちゃん、浮いている」

 

「終わったら全部話す!!どうせあの社長から桜のことも全て聞くからイーブンだ!!」

 

「次来たわよ!!」

 

「めんどくせぇ!!フレイム・ダンス!!」

 

「「「「「「ぐわああああああ!!!!!」」」」」」

 

「フリージングゼロ!!」

 

お兄ちゃんとお姉ちゃんのコンビネーションでどんどんと敵は倒れて、いや吹き飛ばされたり傷を追ったりしている。はっきり言って異常、何人か瀕死の状態の人まで出ている。そう思っていたら頭の上に何か気配を感じた。

 

「っ!?アリア!!桜を連れて右だ!!」

 

「!?分かったわ!!」

 

ドオオオオンンン!!!!!

 

お兄ちゃんとお姉ちゃんも感じ取り、すぐに二手に分かれる。私達のいたところには大きな岩が落ちてきた。

 

「ちっ・・・・遊輝ちゃん!!」

 

「大丈夫だ!!すぐに行く!!」

 

「お、お姉ちゃん!!左から!!」

 

「止まれ!!お前たちに逃げ場は無い!!」

 

「わざわざ逃げるために走っているんじゃないの!!マジカルシャイン!!」

 

「ぐわああああ!!!!!!!」

 

どっかのポケモンの技を宣言したお姉ちゃんは右手を突き出して、お姉ちゃんを中心とした白い光が強く照らされる。その光が衝撃波へと変わり、走ってきた敵を根こそぎ倒していく。

 

「かかってきなさい!!私は貴方たちをなぎ倒すまで立ち続けるわよ!!」

 

「ぐおら!!!」

 

「ぐはっ!!」

 

「お兄ちゃん!!」

 

上から声が聞こえてきて、私たちのすぐ目の前に敵が落ちてくる。その上にお兄ちゃんが飛んできた。

 

「数だけ揃えやがってめんどくせぇ!!」

 

「遊輝ちゃん!!行くわよ!!」

 

「んなもん分かってらあああ!!!!」

 

「二人とも!!前!!」

 

「死ねええええええ!!!!」

 

「「うっせえええええ!!!!!!」」

 

「ぐおら!!!!!」

 

正面から飛び込んできた敵に私は大声で叫ぶ。お兄ちゃんとお姉ちゃんは同じタイミングで前を向き、お兄ちゃんは左でお姉ちゃんは右で相手の顔面にグーパンチをかました。

 

「行くぞ!!」

 

「桜ちゃん!!走るわよ!!」

 

「う、うん!!」

 

あらかたの敵を倒したことでお兄ちゃんは前に飛び出し、お姉ちゃんは私の手を引っ張って走り出す。私も二人に置いていかれないように必死に走る。深い森を抜けて今度は平地に戻り、飛行場まで走る。

 

「あとちょっとだ!!ヘリコプターももうすぐ着くってよ!!」

 

「分かったわ!!」

 

「止まりなさい!!」

 

 バン!!!

 

何処からか、銃声が聞こえた。それを聞いたお兄ちゃんは止まり、お姉ちゃんも止まる。前を見る。建物から抜けて道路しかない場所にドゥと後ろに沢山の兵士がいた。

 

「・・・・・・・・」

 

「止まりなさい、今なら痛い目に合わずにすむわよ」

 

「うるせぇババア。録でもない所に捕まって痛い目に合わない訳ねぇじゃねぇか」

 

「減らず口を・・・・この人数をどうやって突破する気?」

 

ドゥは不敵な笑みを浮かべている。気づけば私たち3人は兵士に囲まれていた。

 

「んなもん、端っこから片付ける」

 

「へぇ・・・・ずいぶん強気ねぇ。そんな足の状態で?」

 

「遊輝ちゃん!飛んで!ダークホール!

 

前に出ていたお兄ちゃんに対して、ドゥは強気な発言をした直後、横にいたお姉ちゃんが大声で叫ぶ。お兄ちゃんも飛び上がり、お姉ちゃんも私を掴んで上に飛んだ。すると私たちの周りから大きな黒い円が広がり、その中に兵士たちが吸い込まれていく。

 

「な、何だ!?」

 

「お、おちる!?」

 

「うわあああああ!!!!!」

 

周りの兵士たちはどんどんと吸い込まれていき、最終的に相手は私たちの声を聞いてすぐに離れたドゥだけになった。

 

「危ない真似をして・・・・」

 

「あんた達みたいに数を揃えてくるのはこういうので一発よ」

 

「ずいぶん生意気・・・・流石に私も怒ってきたわ」

 

「良いわよ・・・・私が相手してあげる。遊輝ちゃん、桜ちゃんを連れて先に行ってて」

 

「行かさないわよ!!」

 

ドゥがポケットからボタンを取り出して、そのボタンを押す。ドゥの後ろの道がバリケードが張られる。そしてドゥはデュエルディスクを構える。

 

「私を倒さないと進めないわよ。その間にさらなる援軍を呼ばせてもらうわ」

 

「めんどくせぇ・・・やってや「私が行くわ」アリア?」

 

「この女には頭きてるのよ。私がぶっ潰さないときがすまない」

 

「・・・・・分かった、頼む」

 

お兄ちゃんが一歩下がり、かわりにお姉ちゃんがデュエルディスクを付けて前に出た。

 

「あんたを木っ端微塵にしてあげる」

 

「あなたを倒して社長から特別ボーナスをもらうわ!」

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

アリア  LP 4000 ドゥ  LP 4000

 

「先行は私!メインフェイズ開始時、魔法カード、強欲で禁欲な壺!エクストラデッキのカードを6枚、ランダムで除外して2枚ドローする!グローアップ・ブルムを召喚!」

 

 グローアップ・ブルム  攻0

 

「ぎゃあああああ!!!!!アンデット!!!」

 

「お兄ちゃん、うるさい」

 

「権限せよ!光を照らすサーキット!」

 

お姉ちゃんの頭上にリンクマーカーが現れて、その中にグローアップ・ブルムが入り、下の矢印が赤く光る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件はレベル1のモンスター1体!私はグローアップ・ブルム1体をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク1、リンクリボー!」

 

リンクリボー 攻300 ↓

 

「墓地に送られたグローアップ・ブルムの効果!このカードをゲームから除外して、デッキからLv5位上のアンデット族モンスターを手札に加える!黄金卿エルドリッチを手札に加える!さらに永続魔法、呪われしエルドランドを発動!」

 

お姉ちゃんの後ろに黄金色に輝く城が現れる。

 

「呪われしエルドランドの効果!LPを800ポイント払って、デッキから『エルドリッチ』モンスターか『黄金卿』魔法・罠を手札に加える!黄金卿のガーディアンを手札に加える!カードを4枚伏せてターンエンド!」

 

 アリア 手札 2枚  LP 3200

 

▲▲△▲▲ ー

ーーーーー

○ ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

ドゥ  手札  5枚  LP 4000

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

ドゥ 手札 6枚

 

「魔法カード、予想GUY!自分フィールドにモンスターが存在しない場合、デッキからLv4以下の通常モンスターを特殊召喚する!星杯に誘われし者を特殊召喚!」

 

 星杯に誘われし者 攻1800

 

「さらに魔法カード、虚ろなる龍輪!デッキから幻竜族モンスターを1体墓地に送る!さらに自分フィールドに効果モンスター以外のモンスターが存在する場合、墓地に送られたモンスターとは異なる『天威』モンスターを手札に加える!天威龍ーアシュナを墓地に送り、天威龍ーアーダラを手札に加える!墓地の天威龍ーアシュナの効果!自分フィールドに効果モンスター以外のモンスターが存在する場合、墓地のこのカードをゲームから除外して、デッキから『天威』モンスターを特殊召喚する!天威龍ーヴィシュダを特殊召喚!」

 

天威龍ーヴィシュダ 守2500

 

「通常召喚!チューナーモンスター、天威龍ーアーダラ!」

 

天威龍ーアーダラ 攻0

 

「Lv4の星杯に誘われし者にLv1の天威龍ーアーダラをチューニング!」

 

☆4 + ☆1 = ☆5

 

「天と地の間で、龍の誇りを轟かせる!シンクロ召喚!Lv5!源竜星ーボウテンコウ!」

 

源竜星ーボウテンコウ 守2800

 

「ボウテンコウの効果!」

 

「チェーン!リバースカードオープン!永続罠、スキルドレイン!」

 

「なっ!?」

 

「ライフを1000ポイント払い、フィールドの効果モンスターの効果は無効になる!」

 

 アリア LP 3200→2200

 

源竜星ーボウテンコウがシンクロ召喚されて、効果を発動しようとしたけど、お姉ちゃんがスキルドレインを発動してボウテンコウの効果は無効になった。

 

「ぐっ・・・・(スキルドレインを剥がすには墓地のヴィシュヌの効果を使わないといけない)ボウテンコウの効果!コストで光竜星ーリフンを墓地に送る!」

 

「その効果処理後!リバースカードオープン!罠カード、紅き血染めのエルドリクシル!デッキから『エルドリッチ』モンスターを特殊召喚する!黄金卿エルドリッチを守備表示で特殊召喚!」

 

黄金卿エルドリッチ 守2800

 

源竜星ーボウテンコウの効果のコストで光竜星ーリフンが墓地に送られたタイミングでお姉ちゃんが仕掛けて、デッキからマントを付けた黄金色の鎧を着た人形のモンスターが現れる。

 

「・・・・・・ヒュー」

 

「!?お兄ちゃん!?気絶しないで!!」

 

「突き抜けろ!天に轟くサーキット!」

 

源竜星ーボウテンコウと天威龍ーヴィシュヌが相手の上空に出来たリンクマーカーに入り、右下と左下のの矢印が赤く光る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件は幻竜族モンスター2体!私は源竜星ーボウテンコウと天威龍ーヴィシュダをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、天威の龍仙女!」

 

天威の龍仙女 攻1600 ↙︎ ↘︎

 

「墓地のボウテンコウの効果!」

 

「リバースカードオープン!カウンター罠、永遠に輝きし黄金卿!自分フィールドに『エルドリッチ』モンスターが存在して、魔法・罠・効果モンスターの効果が発動した場合、アンデット族モンスターをリリースしてその発動を無効にして破壊する!」

 

「なっ!?」

 

特殊召喚された黄金卿エルドリッチがすぐにリリースされドゥの源竜星ーボウテンコウの効果を無効にする。

 

「こ、この・・・・バトル!天威の龍仙女でリンクリボーに攻撃!」

 

「リンクリボーの効果!リリースして発動するからスキルドレインも効かないわよ!攻撃宣言したモンスターの攻撃力をエンドフェイズまで0にする!」

 

天威の龍仙女 攻1600→0

 

お姉ちゃんの場のリンクリボーがリリースされて、天威の龍仙女の攻撃力は0になった。

 

「こ、この・・・・カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

アリア 手札 2枚  LP 2200

 

ー▲△△ー ー

ーーーーー

ー ○

ーーーーー

ーー▲ーー ー

 

ドゥ  手札  3枚  LP 4000

 

 

「私のターン!ドロー!」

 

アリア 手札  3枚

 

「永続魔法、呪われしエルドランドの効果!ライフを800払ってデッキから黄金卿のコンキスタドールを手札に加える!」

 

アリア  LP 2200→1400

 

「墓地の黄金卿エルドリッチの効果!自分フィールドの魔法・罠カード1枚を墓地に送って、墓地のこのカードを回収!」

 

お姉ちゃんの墓地にあった黄金卿エルドリッチがフィールドの呪われしエルドランドを墓地に送って、お姉ちゃんの手札に加えられる。

 

「その後!手札からアンデット族モンスターを攻撃力を相手ターンのエンドフェイズまで1000ポイント上げて特殊召喚する!回収したエルドリッチを特殊召喚!」

 

黄金卿エルドリッチ 攻2500→3500

 

「さらに墓地に送られた呪われしエルドランドの効果!墓地から『黄金卿』魔法・罠か『エルドリッチ』モンスターを墓地に送る!黄金卿のワッケーロを墓地に送る!墓地に送られた黄金卿のワッケーロの効果!このカードを除外して、デッキから『エルドリクシル』魔法・罠カードをセットする!白き目醒のエルドリクシルをセット!バトル!エルドリッチで天威の龍仙女に攻撃!

 

「リバースカードオープン!聖なるバリア〜ミラーフォースー!攻撃宣言時、相手の攻撃表示モンスターを全て破壊する!」

 

黄金卿エルドリッチが攻撃宣言して、天威の龍仙女に向かって突撃したけど、ドゥが聖なるバリア〜ミラーフォース〜が発動した。

 

「これでモンスターは「バ〜カ!!エルドリッチは不死身よ!!」なっ!?」

 

ミラーフォースの反射によって黄金卿エルドリッチの攻撃が反射されるけど、黄金卿エルドリッチはその反射攻撃を無視して突撃した。

 

「エルドリッチは自身の効果で特殊召喚した場合、相手ターンのエンドフェイズまで効果で破壊されない!」

 

「嘘でしょ!?」

 

黄金卿エルドリッチ 攻3500

天威の龍仙女  攻1600

 

ドゥ LP 4000→2100

 

「ぐううう!!!」

 

「カードを1枚伏せて墓地の紅き血染めのエルドリクシルの効果!このカードをゲームから除外して、デッキから『黄金卿』魔法・罠をセットする!黄金卿のワッケーロをセット!これでターンエンド!」

 

 

アリア 手札 3枚  LP 1400

 

▲▲▲△▲ ー

ーーーー○

ー ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

ドゥ  手札  3枚  LP 2100

 

 

「わ、私のターン!ドロー!」

 

ドゥ 手札  4枚

 

「(くっ・・・スキルドレインが鬱陶しいわね!!だけど墓地のヴィシュヌで・・・)天威龍ーシュターナの効果!自分フィールドにモンスターが存在しない場合、手札から特殊召喚する!」

 

天威龍ーシュターナ 守2000

 

「特殊召喚成功時、リバースカードオープン!永続罠、黄金卿のワッケーロ!このカードは発動後、通常モンスターとして特殊召喚される!」

 

黄金卿のワッケーロ 攻1800

 

黄金卿エルドリッチの隣にゾンビが現れて、大きな剣を持っている。

 

「さらに!この効果の発動時にエルドリッチがいる場合、特殊召喚した後に墓地のカード1枚を除外する!これは罠カードで発動しているからスキルドレインをすり抜けるわよ!」

 

「何だって!?」

 

「除外するのは天威龍ーヴィシュヌ!」

 

黄金卿のワッケーロが特殊召喚され、そのまま走り出し、ドゥの墓地にある天威龍ーヴィシュヌをゲームから除外した。

 

「ぐっ・・・だがまだまだよ!突き抜けろ!天に轟くサーキット!」

 

特殊召喚された天威龍ーシュターナがすぐにリンク素材となり、リンクマーカーの中に入る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件はリンクモンスター以外の『天威』モンスター1体!私は天威龍ーシュターナをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク1、天威の拳僧!」

 

天威の拳僧  攻1000 ↓

 

「特殊召喚成功時!リバースカードオープン!永続罠、黄金卿のコンキスタドール!」

 

「また!?」

 

「発動後、このカードを通常モンスターとして特殊召喚!エルドリッチがいる場合、追加効果でフィールドの表側表示のカード1枚を選んで破壊する!破壊するのは天威の拳僧!」

 

黄金卿のコンキスタドール 守1800

 

今度は鎧馬車と鎧騎士が現れて、ドゥのフィールドに特殊召喚された天威の拳僧に向かって突進、手にしている剣で身体を真っ二つに破壊した。

 

「さあどうよ!後続ある!?」

 

「ちょ、調子に乗ってるんじゃないわよ!!通常召喚!ジェット・シンクロン!」

 

ジェット・シンクロン 攻500

「突き抜けろ!天に轟くサーキット!アローヘッド確認!召喚条件はレベル1のモンスター1体!私はジェット・シンクロン1体をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク1、リンクリボー!」

 

リンクリボー 攻300 ↓

 

「墓地のジェット・シンクロンの効果!手札のカード1枚捨てて、墓地からこのカードを特殊召喚!突き抜けろ!天に轟くサーキット!」

 

ドゥの墓地からジェット・シンクロンが飛び出し、ドゥはそのままジェット・シンクロンとリンクリボーがリンクマーカーの中に入る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件はチューナーモンスターを含むモンスター2体!俺はリンクリボーとジェット・シンクロンをリンクマーカーにセット!リンク召喚!リンク2、水晶機巧ーハリファイバー!」

 

水晶機巧ーハリファイバー 攻1500 ↙︎ ↘︎

 

「ハリファイバーの効果発動!」

 

「手札の灰流うららの効果!」

 

「なっ!?」

 

「手札からこのカードを捨てて、ハリファイバーの効果を無効にする!」

 

お姉ちゃんの手札から灰流うららから捨てて、ドゥの水晶機巧ーハリファイバーの効果を無効にされる。

 

「・・・・・・」

 

「どうよ!!まだある!?」

 

「・・・・タ、ターンエンド・・・・」

 

「エルドリッチの攻撃力は元に戻る!」

 

黄金卿のエルドリッチ 攻3500→2500

 

 

アリア 手札 2枚  LP 1400

 

△△▲△▲ ー

○ー□ー○

ー ○

ーーーーー

ーーーーー ー

 

ドゥ  手札  1枚  LP 2100

 

 

「私のターン!ドロー!」

 

アリア  手札  3枚

 

「手札の黄金卿エルドリッチの効果!手札のこのカードと黄金卿のガーディアンを捨てて、フィールドのカード1枚を対象に取り、墓地に送る!対象はハリファイバー!」

 

「チェーンでハリファイバーをゲームから除外して発動!このカードをゲームから除外してEXデッキのシンクロチューナーを特殊召喚する!」

 

「チェーン!リバースカードオープン!カウンター罠、永遠に輝きし黄金卿!」

 

「に、2枚目!?」

 

「黄金卿のコンキスタドールを墓地に送り、ハリファイバーの効果を無効にする!」

 

最後の綱であったはずのハリファイバーも2枚目の効果も無効にした。

 

「これでバトル!エルドリッチでダイレクトアタック!」

 

 ドゥ LP 2100→0

 

WIN アリア   LOS ドゥ 

 

 

「あっ・・・・がっ・・・・・」

 

「さあ!!進ませてもらうわよ!!」

 

「さ、させないわよ・・・・・」

 

デュエルが勝利して負けて膝が折れたドゥにお姉ちゃんが高らかに叫ぶが、ドゥは呟く。そして懐から銃を取り出した。

 

「動くんじゃないわよ!!まだ私は負けた「食らいやがれ!!炎斬ー三刀流 百花繚乱!!」ぐおら!!!!!」

 

ドゥがお姉ちゃんに照準を合わせたけど、横からお兄ちゃんが飛び出して本物の日本刀を3本取り出して、両手を口に加え、横っ腹から斬りつける。そのまま上に上がったドゥに向かって飛び上がり、ドゥを叩きつける。

 

「うおらああああああ!!!!」

 

「あああああ!!!!!!」

 

そのまま急降下して炎を纏った刀を使い、ドゥを斬り付ける。土埃が舞い上がり何が起きているかわからないけど、ドゥの悲痛な悲鳴が響き渡った。

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・片付けだぜ」

 

数十秒後、土埃が終わりお兄ちゃんはこっちにやってきた。ドゥは身体から煙が出て所々黒焦げとなって屍になっている。

 

「・・・・・・・・」

 

「暫くは起きないと思う。今のうちに行こう」

 

「そう・・・・・じゃあ行くわよ。桜ちゃんも」

 

「・・・・ん、私も蹴りをつける」

 

お姉ちゃんが屍になっているドゥからボタンを取り出して押す。私たちの目の前にあったバリケードは消えた。そのまま私たちはヘリコプター場へ向かう。




アリア「まずはムカつく奴一人を片付けたわ」

桜「・・・・ボッコボコだった」

遊輝「俺はあいつに殺されかけたから」

アリア「目には目を、歯には歯をだよ」

桜「(この二人って考え方が本当に似てる)」

遊輝「次回、『桜の過去』。次回もよろしく」


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第55話 桜の正体

すみません、書いている内に過去の話がいらないことに気づき、タイトル変えました。


コロナのせいで就活が進まない。家族とかには平気でのほほんとしている姿を見せているけど、内心は不安。
こういう不安な一面を見せないから前職でぶっ倒れたんだけど、いつになったら元の日常に戻るのかな・・・・・


No side

 

 

バババババババ!!!!!!!!

 

ネオドミノシティから北東に800kmにある人工島。ここは医薬会社のアムールが建てた人口の島である。面積約40平方キロメートル、大きな島であるこの島には大きく自然豊かな森と3つの巨大な建物が目立つ住居エリアに分かれている。ここでは日夜様々な研究が行われている。そしてこの会社の代表取締役社長、ゼロ・アンクルはヘリコプターに乗って自身の会社の総本山に今、着陸しようとしている。彼の隣にいる秘書、アンは忙しそうにパソコンを打ち込みながら電話をしている。

 

バババババババ!!!!!!!

 

「着陸しました」

 

ゆっくりとヘリコプターは飛行場へと降り立つ。操縦士の言葉を聞いて、秘書のアンはパソコンを閉じ、扉を開ける。アンが扉を支え、ゼロはゆっくりとヘリコプターから降りる。その視線の先には彼の獲物である3人の姿がいた。

 

 

 遊輝  side

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「これはこれは、皆さんのお出迎えありがとうございます。まさか3人揃って私を迎えてくれるとは思いもしませんでした」

 

「うるせぇ、もうテメェの声なんか聞きたくもねぇ」

 

目的の飛行場、そこに1台のヘリコプターが降り立ち、その中から首謀者のゼロと秘書のアンが降り立った。ゼロは俺たちの姿を見てニヤリと笑みを浮かべる。

 

「それより遠藤君、足は治ってないのにどうして立っていられるのかね?君の足は回復してないはずだが?」

 

「ああ、回復してない。それがどうした?俺には関係ない」

 

「・・・・・やはり君には驚かさられることばかりだ。素晴らしい」

 

「うるせぇ」

 

「あいつが黒幕ね・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

俺の後ろにいるアリアと桜はあの憎たらしい笑みを浮かべている社長を見る。どうにも胡散臭い笑顔で吐き気を覚える。

 

「さて、アン」

 

「はい」

 

「やるんか?やるんなら俺が相手してやる」

 

「おやおや、勘違いしないでほしい。こちらは歓迎の宴をやろうとしているのだよ。そこにいるDMWを私たちに返してくれるって言うなら」

 

「いらないわよ。私たちはあんたたちをぶっ倒すのみ。遊輝ちゃん」

 

すでにアリアは戦闘態勢へと入っている。アリアは前に出て、桜は俺の方に近寄ってくる。俺は桜を後ろにやる。

 

「・・・・・はぁ、最近の若い子は血の気が多い。まるでヤクザみたいだ」

 

「ヤクザの方があんた達より100倍マシだわ。殺し合いとかしても義理と人情は必ず通すんだから」

 

「私をヤクザ以下にするとは・・・・・・まぁいい。そんなことは今は関係ない。さっさとDMWを返してもらおうか。そうすれば君たち二人はお咎めなしで返してあげる」

 

「却下だ。お前、俺にあんだけ秘密をベラベラと話して普通に返すわけねぇだろ」

 

「ハッハッハッ!流石にこのくらいの嘘はお見通しですか」

 

向こうの提案を俺は速攻で返答する。その答えを聞いたゼロは大声で笑う。

 

「しかしその子を返してもらわないと私たちの計画が始まらない。その子は大事な実験材料なんだから」

 

「んのやろう・・・・相変わらず人のことをなんだと思ってやがる」

 

「人、か・・・・・君たちが言えたことか?君たちは人間ではないだろ?」

 

「俺もアリアも人間だ。ちょっと可笑しい能力を持っているだけだ」

 

「百歩譲って私たちが化け物だとしても桜ちゃんは普通の人間でしょ」

 

「その子はもう人間じゃない。すでに脳内にICチップを埋め込んでいる」

 

「んだと外道が・・・・・!!」

 

「アン」

 

「はい」

 

「!?!?うっ!?ううう!?!??」

 

「桜!?どうした!?」

 

秘書が何かをした途端、後ろにいた桜が頭を抱えて苦しみ出した。俺は桜を抱きつき、暴れようとする桜を押さえつける。

 

「ううう!?!?お、お兄ちゃん!!!!」

 

「アリア!!!」

 

「分かったわ!!!!!」

 

凄い苦しそうな表情をする桜を見ているはずもなく、俺はアリアに声を出す。アリアもすぐに反応してアンに向かって走り出す。

 

「どうりゃああああ!!!!」

 

「フン!!!!!」

 

「ぐっ!?まだまだ!!!」

 

アリアは加速した勢いで飛び蹴りをしたが、アンに見極められ両腕をクロスして防がれる。そのままアリアは横に受け流されるが、体をすぐに反転させて杖を手にする。

 

「フリージングゼロ!!」

 

杖から吹雪のような雪が飛び出してアンに襲いかかる。しかし、アンはその攻撃も見極めて直ぐに横飛びして、社長の横につく。

 

「う!?ううう!?!?」

 

「頑張れ桜!!もう少し待ってくれ!!」

 

「私の可愛い妹をいじめるな!!!!!!!」

 

「!?ぐっ!?」

 

吹雪が吹きあふれているその中心をアリアが突っ込んで、アンに飛び込み、そのまま殴る。不意打ちを食らったアンはそのまま右頬にストレートを喰らい、懐から機械のスイッチらしきものが飛び出した。

 

「こいつね!!」

 

「待て!!」

 

アリアはアンから飛び出したスイッチらしき物を拾おうと駆け出す。それを見ていた社長も慌てたように飛び出すが、すでにアリアの方が体一つ抜けていた。先にアリアがスイッチを手にして俺のほうにつく。

 

「アリア!」

 

「分かっているわよ!!このスイッチね!!」

 

「うう!!・・・・・ハァ・・・ハァ・・・・」

 

アリアが手にした数種類あるスイッチのボタンの中から『STOP』と書かれた赤いボタンを押す。俺が抱えていた桜の暴走は収まり、酷く肩で息をしている。

 

「桜!!大丈夫か!?」

 

「ハァ・・・・ハァ・・・・だ、大丈夫・・・・・」

 

「ぐっ・・・・・」

 

「も、申し訳ありません!!」

 

「くそ・・・・・流石にこれは許せないな」

 

桜が苦しみから解放され、俺は桜を抱えてあいつらを睨み付ける。

 

「アリア、様子は?」

 

「こいつからは間違いない。外道がスペアがあるかもしれない。それと、桜ちゃんのあのカルテから見て、脳内にチップを埋め込まれたって話は本当のようね」

 

「油断ならねぇ状況か・・・・ってかお前何つった?カルテ?」

 

「とあるルートで入手したわ」

 

「貴様・・・・何処からそれを」

 

「あんたに言う必要ない。それと脳内チップ、やっぱり埋め込まれている」

 

「・・・・・・・マジか、いや、薄々感じていたけど、信じたくなかった」

 

アリアから聞いた言葉に驚く事はなかった。何となく、こいつらの言動とさっきのアレでもしかしたらって思ったけど。

 

「・・・・そうか、ドゥが文化祭の時に記憶を消去していたって言っていたけど、俺が拾う前にやっていたのか。テメェ、すでに人体実験したのか。外道が」

 

「実験して何が悪い?私は商品を完成させるために開発しているんだ」

 

「胸糞悪いわね・・・・」

 

「ハァ・・・・ハァ・・・・・」

 

「桜ちゃん、大丈夫」

 

「ハァ・・・ハァ・・・・・・」

 

「?おい桜?どうした?」

 

息切れをしている桜を気にして顔を見るが何か暗い顔、いや悲惨な顔をしている。

 

「ハァ・・・何か・・・何か思い出しそうな・・・」

 

「何だと?」

 

「アン!!」

 

「はい!!」

 

「!?ぐっ!?」

 

「!?アリア!!!」

 

桜が何か思い出しそうと呟いた瞬間、背中の方から声が聞こえる。咄嗟にそっちの方に振り向くと、アリアが防御態勢でアンの蹴りを受けていた。

 

「てめぇら本当に邪魔ばっかりしやがって!!サン・フレア!!」

 

抱きかかえた桜を少しだけ離して、飛び上がり上空から数十発のサン・フレアを放つ。まずはあいつらの周りに太陽が落ちて逃げ道をなくし、そしてあいつらに向けて太陽が落ちる。

 

「ハァ・・・・ハァ・・・・・・」

 

「ゆ、遊輝ちゃん!!」

 

「ハァ・・・・ハァ・・・すまん、熱くなった。それにダメージを与えた感覚がねぇな」

 

ゆっくりとアリアと桜のところまで降りる。すでに体力も霊力も底に尽きかけている。そして、相手に向けた攻撃が当たったとは思っていない。

 

「ちきしょう・・・・生命反応がピンピンとしてやがる。どんなタネ仕掛けやがった」

 

「・・・・危ない事してくれたな」

 

ブンッ!!と何かが切れる音が聞こえた。そしてあいつらの周りに囲まれた炎が消えた。そしてあの社長どもの周りに何人かの兵士みたいな物が囲まれた。一部、兵士の鎧みたいな物がシューと焦げていて、それが剥がれ落ちる。

 

「ハァ・・・・ハァ・・・・・・」

 

「よくやったお前ら」

 

「何あの兵士?生きている感じがしない。ってか何処から出てきたのよ?」

 

「あいつら・・・・・・・」

 

「知ってるの?遊輝ちゃん」

 

「俺が逃走している時に見つけた兵士達だ。妙な反応がしたんだよ。生命反応はあるのに屍みたいで、最初見た時変な感じだったけど・・・・・・ようやく分かった。あいつら、脳内にチップを埋め込まれている」

 

「フッ、感がいいな。その通り、こいつらはDMWの大量生産の試作品だ」

 

兵士に囲まれた社長が笑みを浮かべて答える。剥がれ落ちた鎧からは到底人間の肌には思えない機械の部品が見えた。

 

「お前・・・・子供の脳内にチップを埋め込んだだけじゃなくて人体改造もしやがったのか」

 

「生憎まだまだ調整段階でね。武装強化が必要不可欠なんだ」

 

「テメェ・・・・・」

 

「そんな危ないコトを桜ちゃんに・・・・・・」

 

「ハァ・・・・ハァ・・・あ、私・・・・・あの人を見たことが」

 

「桜、無理に思い出さなくていい。それに見たことならあるだろう」

 

「違う・・・・もっと前に・・・」

 

「社長」

 

「ああ、そろそろこの場から移動しないと」

 

「待てやこら・・・・話が終わってねぇだろ」

 

兵士に囲まれた社長達は余裕が出来たのかヘリコプター場から移動しようとする。まだ決着が付いていない俺はその集団を止めようとする。

 

「やれやれ・・・・・こんなところで話すよりキチンとした場で話すのが礼儀だろ?」

 

「んなもん関係ねぇ。俺たちはここで蹴りを付けるつもりなんだよ」

 

「とりあえずここであんた達をぶっ倒して可愛い妹のことから手を離して貰わないと。それと桜ちゃんのことも色々と聞かないと」

 

「DMWに名前をつけるとはなんとも愚かな・・・・」

 

「うっせぇ秘書。人間を道具にしか見てないお前らには分からないことだろ」

 

「・・・・・・私は誰?そして何でここに囚われたの?そして貴方との関係は?」

 

「ふっ、そんな物君が知る必要がない。君は我々の元に戻って兵士として活躍するんだ」

 

「・・・・・・嫌だ」

 

「桜ちゃんは絶対にあんたらには渡さない。人間を道具に、ましてや子供にこんな事をさせる奴なんかに」

 

「孤児とはいえこの子達にも人生があるんだ。この子達も解放して貰わないと」

 

「孤児?・・・・・・孤児・・・孤児?」

 

「孤児・・・・・孤児か・・・・フフフフ」

 

孤児という単語を聞いた瞬間、社長が突然笑い出した。

 

「フフフフ、ハハハハハ!!!!!」

 

「何が可笑しい?とうとう頭のネジが全て外れたのか?」

 

「お前らが孤児だと言った事だよ!!確かに君にはDMW計画で使っている子供を孤児と言ったが、その子は孤児ではない!!」

 

「はぁ!?」

 

「じゃあ桜はなんだって言うんだ!?」

 

「その子はな・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の実の娘だ」

 

「・・・・・・・・はっ?」

 

「えっ?」

 

「・・・・・む、娘?」

 

一瞬、何を言ってるのか分からなかった。俺とアリア、桜の3人ともポカンとしてしまった。ただ、娘と言葉を聞いた瞬間、俺の右手には自然と力が入っていた。それはもう、怒りとかそんな感情じゃない。そんな感情じゃない物が込み上がってきた。

 

「そうだ!!その子は私の娘だ!!我が娘がDMWの試作機第一号だ」

 

「む、娘・・・・・私が・・・・・娘?」

 

「桜ちゃん!?」

 

「お、お前・・・・・・・お前!!!!!なんて事をしやがる!!!!!実の娘を実験材料にしたのか!?!?」

 

「ああそうだ!!DMW計画を立てた時、私の計画の最初の人間には完璧な子供が必要だった!!知能が高く、運動能力も高い子供がな!!それで手に入ったのが私の娘のその子なのだ!!!」

 

「あ、あんた、自分が何を言ってるのか分かってるの!?大事な娘をこんな危ない実験の材料にするなんて、母親が反対するわよ!!」

 

「関係ない!!その子の母親は既に病気で亡くなっていた!!父親は私しかいない!!子供が親の為に尽くす物だろ?だから私はその子を最初の実験材料にしたのだ!!!」

 

「それで・・・・・それで桜を利用したっていうのか!?」

 

「何とでもいうがいい!!私の計画は既に動き出した!!もう誰も止めることは出来ない!!そこにいるDMW第一号機を連れ戻し、私は戦争に革命を起こすのだ!!!」

 

フハハハハと笑いながら社長はそう言った。その言葉を聞いた俺は脳内の何かが切れた。

 

遊輝  side out

 

桜  side

 

 

「私には未来が見える!!このDMW計画でたくさんのお金が「ボルケーン・エルプティション」ん?」

 

「!?しゃ、社長!!下がって下さい!!!」

 

 バアアアアアアン!!!!!!!!

 

男の人が高らかに喋っている時、お兄ちゃんが低い声で呟く。何か危険を察したのか秘書の声が聞こえ社長を突き飛ばす。その直後、その場を中心に大きな爆発が響き渡る。

 

「ぐううううううう!!!!!!」

 

「さ、桜ちゃん!!!踏ん張って!!!」

 

「・・・・・・・・・・」

 

大きな爆発が響き渡り、その場にあった飛行機も誘発して爆発、辺り一帯は一気に火の海となった。お姉ちゃんは私をギュッと抱きしめて爆発から守ろうとする。

 

「ゆ、遊輝ちゃん!?何してるの!?私たちまで巻き添えにして!!」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「ゆ、遊輝ちゃん?」

 

「お、お兄ちゃん?」

 

お姉ちゃんと一緒にお兄ちゃんを見たが、雰囲気が変わっていた。今までの人を思いやるような熱い心の持ったお兄ちゃんじゃなかった。そこにいたのは冷徹で相手を見下し、機械のような心を持っているか分からないお兄ちゃんだった。

 

「ア、アン!!!くそ!?何がどうなってる!?貴様!!一体何をした!?」

 

火の海となった辺り一帯が少し落ち着いて、ゆっくりと見渡すことが出来た。社長を庇った秘書の女の人は多くの兵士と共に倒れ、気絶していた。一部の物は炎が移り燃え上がっている。

 

「クソっ!!!貴様何しやがった!?」

 

「・・・・・・お前だけは、お前だけは何があっても生かしておけねぇ・・・・」

 

「!?」

 

社長を見つめる遊輝ちゃんは冷徹な目のままゆっくりと口を開いた。その言葉を一つ一つに重みがあり、社長の表情は強張った表情をしている。

 

「お前には地獄の底に行ってもらう・・・・・今まで何人の子供を改造したのか分からねぇが、ここでお前を叩き落とす」

 

「ぐっ!!何を言ってるのか分からないが、私を倒すことなど不可能だ!!」

 

社長は秘書のところまで立ち寄り、秘書の鞄の中からデュエルディスクを取り出し、右腕につけた。

 

「ほぅ・・・・そんなに死に急ぎたいのか・・・・いいぜ、痛ぶってやる。死にたくても死ねない苦しさを味わってもらう・・・」

 

遊輝ちゃんもデュエルディスクを取り出してデッキケースからデッキを取り、デュエルディスクにセットする。

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」




桜「何・・・・あのお兄ちゃん・・・・・」

アリア「分からない・・・・私も見たことない・・・・」

桜「切れたとか怒ったとかそんな感じじゃなかった・・・・あの目・・・」

アリア「あれは不味い・・・・本気で不味い・・・・」

桜「次回、『ゼロvs遊輝  感情無き者の殺意』。次回もよろしく」


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第56話 ゼロvs遊輝  感情無き者の殺意

*注意・・・・・胸糞展開があります。ご注意ください。

第1章のボス戦ですが・・・まぁ正直、こんな展開になるとは思わなかったです。


桜 side

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

 

ゼロ  LP 4000 遊輝  LP 4000

 

「先行は私だ!」

 

「お、お姉ちゃん・・・・お兄ちゃんどうしたの?」

 

「分からない・・・・私にも分からない。あんな遊輝ちゃん、見たこともない」

 

突如始まったお兄ちゃんと首謀者のデュエル。相手の実力が分からないまま挑むのは愚作だけど、そんな事どうでも良い。お兄ちゃんの雰囲気がガラリと変わってしまった。無慈悲で冷獄・・・・・まるで、暗殺者のような。

 

宵星の騎士(ジャックナイツ・オルフェゴール)ギルスを召喚!」

 

宵星の機神ギルス 攻1800

 

相手のフィールドに人型の機械が現れる。大きな槍を構えて、兵士のような構えをしている。

 

「チッ、厄介なデッキだわ・・・」

 

「お姉ちゃん?」

 

「相手のデッキ、中々に強いデッキだよ。遊輝ちゃんも苦戦するわ・・・・」

 

「ギルスの効果発動!召喚成功時、デッキから『オルフェゴール』カード又は『星遺物』カードを墓地に送る!オルフェゴール・ディヴェルを墓地に送る!」

 

宵闇の騎士ギルスの効果により、相手のデッキからカードが1枚墓地に送られる。

 

「さらにギルスの効果!自分フィールドにこのカード以外のモンスターが存在しない場合、お互いのフィールドにLv1の星遺物トークンを守備表示で特殊召喚する!」

 

星遺物トークン 守0

 

「!不味い!!遊輝ちゃん、手札誘発1枚も無いわね!」

 

「えっ?」

 

「非常に厄介なことになるわよ!遊輝ちゃん!!」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「墓地のオルフェゴール・ディヴェルの効果!墓地のこのカードを除外して、デッキから『オルフェゴール』モンスターを特殊召喚する!オルフェゴール・トロイメアを特殊召喚!」

 

オルフェゴール・トロイメア 守2000

 

「通せ!我が未来に輝くサーキット!」

 

相手の星遺物トークンが上空のリンクマーカーの中に入り、下の矢印が赤く光る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件はLv1モンスター1体!私はLv1の星遺物トークンをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク1、リンクリボー!」

 

 リンクリボー 攻300 ↓

 

「さらに通せ!我が未来に輝くサーキット!」

 

今度はリンクリボーとオルフェゴール・トロイメアの2体がリンクマーカーの中にセットされ、左斜め下と右斜め上のリンクマーカーが赤く光った。

 

「アローヘッド確認!召喚条件は『オルフェゴール』を含む効果モンスター2体!私はオルフェゴール・トロイメアとリンクリボーをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、オルフェゴール・ガラテア!」

 

オルフェゴール・ガラテア 攻1800 ↙︎ ↗︎

 

リンクマーカーの中から腰までかかる薄い青紫の少女のような機械人形が現れる。大きく、鋭い刃が銀色に光る斧を持ち、お兄ちゃんを睨み付ける。

 

「墓地のオルフェゴール・トロイメアの効果発動!このカードをゲームから除外して、フィールドのモンスター1体を選択!デッキから闇属性モンスターを墓地に送り、そのモンスターのLv×100ポイントの攻撃力をエンドフェイズまであげる!」

 

相手の墓地のオルフェゴール・トロイメアがゲームから除外され、相手のデッキから1体のモンスターが墓地に送られる。

 

「俺はオルフェゴール・スケルツォンを墓地に送り、オルフェゴール・ガラテアの攻撃力を300ポイントアップする!」

 

オルフェゴール・ガラテア 攻1800→2100

 

「ガラテアの効果発動!除外されている機械族モンスター1体をデッキに戻し、デッキから『オルフェゴール』魔法・罠をセットする!オルフェゴール・トロイメアをデッキに戻して、フィールド魔法のオルフェゴール・バベルをセットして、そのまま発動!」

 

燃え盛るフィールドの地面が大きく揺れて、相手の後ろに大きなバベルタワーが現れる。雲をも突き破る大きなタワーだ。

 

「このカードが存在する限り、俺のフィールドと墓地に存在する『オルフェゴール』モンスターの効果は相手ターンにも使える!さらにオルフェゴール・ガラテア1体でオーバーレイ!」

 

「リンクモンスターでエクシーズ召喚!?」

 

「桜ちゃんは知らないわね・・・・1体だけ、馬鹿みたいに強いモンスターがいるわ」

 

オルフェゴール・ガラテアがブラックホールの中に吸い込まれていく。

 

「1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!宵星の機神(シーオルフェゴール)ディンギルス!」

 

宵星の機神ディンギルス 攻2600

 

ブラックホールの中から機械仕掛けの馬に金色の装備をつけ、その馬にまたがる同じく金色の鎧をつけた機械仕掛けの騎士が現れた。

 

「ディンギルスの効果!特殊召喚成功時、除外されている機械族モンスター1体をこのカードのオーバーレイ・ユニットに加える!俺はディヴェルを選択!」

 

宵星の機神ディンギルス OVR 1→2

 

相手の除外ゾーンにいたオルフェゴール・ディヴェルが現れて、宵星の機神ディンギルスの中に吸い込まれていき、宵星の機神ディンギルスのオーバーレイ・ユニットが一つ増える。

 

「通せ!我が未来に輝くサーキット!アローヘッド確認!召喚条件はリンクモンスター以外のモンスター2体!私はディンギルスとギルスをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、I:Pマスカレーナ!」

 

I:Pマスカレーナ 攻800 ↙︎ ↘︎

 

宵星の機神ディンギルスと宵星の騎士ギルスの2体がリンクマーカーにセットされ、I:Pマスカレーナが特殊召喚される。

 

「カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

遊輝  手札  5枚   LP 4000

 

ーーーーー ー

ーーーーー

○ ー

ーーーーー

▲ーーーー ▽

 

ゼロ  手札  3枚  LP 4000

 

 

「マスカレーナは相手ターンにもリンク召喚できるけど、他のモンスターは・・・・」

 

「最悪・・・・」

 

「えっ?」

 

「最悪な状況よ・・・・ほぼオルフェゴールの理想展開だわ・・・・」

 

「・・・俺のターン」

 

遊輝  手札  6枚

 

「スタンバイフェイズ!墓地のオルフェゴール・ディヴェルの効果発動!墓地のこのカードをゲームから除外して、デッキから2体目のギルスを特殊召喚!」

 

相手の墓地からオルフェゴール・ディヴェルが除外されて、2体目の宵闇の騎士ギルスが特殊召喚される。

 

「ギルスの効果!先程デッキに送ったトロイメアを墓地に送る!さらにオルフェゴール・トロイメアの効果!デッキからLv8の機巧蛇ー叢雲遠呂智を墓地に送り、マスカレーナの攻撃力を800ポイントあげる!」

 

I:Pマスカレーナ 攻800→1600

 

「そうか・・・・これでマスカレーナの素材を確保するのか」

 

「それだけじゃないわ・・・・相手の奴、遊輝ちゃんのデッキの特性を把握しているわ」

 

「えっ?」

 

「・・・・・・・」

 

カードをドローしたお兄ちゃんはそのままじっくりと手札を見る。

 

「・・・・手札の超天新龍オッドアイズ・レボリューションの効果。このカードを捨て、ライフを500払ってデッキからLv8以下のドラゴン族モンスターを手札に加える」

 

遊輝 LP 4000→3500

 

「(・・・・・・ここで通してスターヴ・ヴェノムの一撃必殺を通すわけにはいかない)リバースカードオープン!速攻魔法、墓穴の使命者!お前の墓地のオッドアイズ・レボリューションをゲームから除外して、このターン、互いのプレイヤーは除外した同名モンスターの効果は使用できない!」

 

相手が発動した墓穴の使命者によってお兄ちゃんの墓地に送られたオッドアイズ・レボリューションをゲームから除外する。

 

「チッ・・・オッドアイズ・レボリューションのケアも完璧ってわけ・・・」

 

「この処理後、I:Pマスカレーナの効果!相手ターンのメインフェイズにこのカードを使用して、リンク召喚を行う!」

 

一連の処理が終わった後直ぐに相手がI:Pマスカレーナの効果を使い、2体のモンスターがリンクマーカーの中に入る。

 

「通せ!我が未来に輝くサーキット!アローヘッド確認!召喚条件は効果モンスターモンスター2体以上!私はリンク2のI:Pマスカレーナとギルスをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク3、トポロジック・トゥリスバエナ!」

 

 トポロジック・トゥリスバエナ 攻2500 ↑ ↙︎ ↘︎

 

リンクマーカーの上と左斜め下、右斜め下の矢印が赤く光ってその中からトポロジック・トゥリスバエナが特殊召喚される。

 

「あれは・・・・・」

 

「これと叢雲遠呂智で1回だけ遊輝ちゃんの魔法・罠ゾーンを吹き飛ばす。2枚のカードも飛ばされたら遊輝ちゃんのペンデュラムデッキには非常に重くのしかかるわ・・・」

 

「・・・・・手札のクロノグラフ・マジシャンをレフト・Pゾーンにセット」

 

「・・・・通す」

 

「ペンデュラム効果発動。このカードを破壊して、デッキから時読みの魔術師を特殊召喚する」

 

時読みの魔術師 攻1200

 

「EM ドクロバット・ジョーカーを召喚」

 

EM ドクロバット・ジョーカー 攻1800

 

「ドクロバット・ジョーカーの効果。デッキから『EM』『オッドアイズ』『魔術師』Pモンスターのいずれか1枚をデッキから手札に加える。紫毒の魔術師を加えて、レフト・Pゾーンにセット。メインフェイズ終了」

 

「・・・・うまいわね。ドクロを持っていたのは大きかったし、時読みを出したのもいいわ」

 

「(・・・・・紫毒の魔術師め)そのまま通す」

 

「バトルフェイズ、ドクロバット・ジョーカーでトゥリスバエナに攻撃。ダメージ計算前、紫毒の魔術師のペンデュラム効果。闇属性・魔法使い族モンスターが攻撃する場合、このカードを破壊して攻撃するモンスターの攻撃力を1200ポイントアップする」

 

EM ドクロバット・ジョーカー 攻1800→3000

 

Pゾーンの紫毒の魔術師の効果でEM ドクロバット・ジョーカーの攻撃力を底上げする。

 

「破壊された紫毒の魔術師の効果。フィールドのこのカードが破壊された場合、相手フィールドの表側表示のカードを破壊する。オルフェゴール・バベルを破壊する」

 

破壊された紫毒の魔術師の霊が相手の背後にあるバベルタワーが破壊される。

 

「行け、ドクロバット・ジョーカー」

 

EM ドクロバット・ジョーカー 攻3000

トポロジック・トゥリスバエナ 攻2500

 

ゼロ LP 4000→3500

 

「チッ!!」

 

「時読みの魔術師でダイレクトアタック」

 

「墓地の叢雲遠呂智の効果!デッキの上から8枚を裏側で除外して、墓地のこのカードを特殊召喚する!」

 

機巧蛇ー叢雲遠呂智 守2450

 

相手のデッキトップ8枚が裏側で除外され、このターンに墓地に送られた機巧蛇ー叢雲遠呂智が特殊召喚される。

 

「・・・・バトル中断、メイン2。現れろ、未来へ続くサーキット」

 

お兄ちゃんの上空にリンクマーカーが現れて、時読みの魔術師とドクロバット・ジョーカーが入っていき、左斜め下と右斜め下の矢印が赤く光る。

 

「アローヘッド確認、召喚条件はペンデュラムモンスター2体。俺は時読みの魔術師とドクロバット・ジョーカーをリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム 」

 

ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム 攻1800 ↙︎ ↘︎

 

「エレクトラムの効果。リンク召喚成功時、デッキからペンデュラムモンスターをエクストラデッキに送る。アストログラフ・マジシャンをエクストラデッキに送る。レフト・Pゾーンにスケール5の慧眼の魔術師をセット、魔法カード、デュエリスト・アドベント。デッキから『ペンデュラム』と名のついたペンデュラムモンスターまたは魔法・罠カードを手札に加える。虹彩の魔術師を手札に加えて、ライト・Pゾーンにスケール8の虹彩の魔術師をセット。慧眼の魔術師のペンデュラム効果。もう片方のペンデュラムゾーンに『魔術師』または『EM』ペンデュラムモンスターが存在する場合、このカードを破壊してデッキから慧眼の魔術師以外の『魔術師』Pモンスターをペンデュラムゾーンに置く」

 

ペンデュラムゾーンの慧眼の魔術師が破壊され、お兄ちゃんのデッキから紫毒の魔術師が飛び出し、空いたペンデュラムゾーンに置かれる。

 

「スケール1の紫毒の魔術師をセット。エレクトラムの効果、ペンデュラムゾーンのカードが離れた場合、1枚ドローする」

 

遊輝 手札 1枚→2枚

 

「これでLv2から7までのモンスターが同時に召喚可能。揺れろ、魂のペンデュラム。天空に描け、光のアーク、ペンデュラム召喚。現れろ、俺のモンスターたち」

 

ペンデュラムゾーンの賤竜の魔術師と虹彩の魔術師の間に大きな振り子が現れて軌跡を描き、円を描き、2つの光の玉が飛び出る。

 

「エクストラデッキから紫毒の魔術師とドクロバット・ジョーカーを特殊召喚」

 

紫毒の魔術師 守2100

 

2つの光の玉から紫毒の魔術師とドクロバット・ジョーカーが飛び出す。

 

「・・・・・お兄ちゃんにしては大人しい。アストログラフと合わせてスターヴ・ヴェノムを出す」

 

「いや・・・・もっと別のことをしようとしているわ」

 

「Lv4の紫毒の魔術師とドクロバット・ジョーカーでオーバーレイ」

 

「なっ!?」

 

「えっ!?」

 

フィールドにブラックホールが現れて、紫毒の魔術師とドクロバット・ジョーカーがブラックホールに吸い込まれていく。

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築。エクシーズ召喚、深淵に潜む者」

 

 深淵に潜む者  攻1700

 

「し、深淵に潜む者だと!?」

 

「あれって・・・・」

 

「オーバーレイ・ユニットを一つ取り除いて、相手は墓地のあらゆる効果を無効にする・・・・・つまりオルフェゴールにとっては天敵よ。遊輝ちゃん・・・・あれは相手に何もさせないつもりよ」

 

「エレクトラムの効果。自分フィールドのこのカード以外の表側表示のカードを破壊して、エクストラデッキから表側表示のペンデュラムモンスターを手札に加える。紫毒の魔術師を破壊して、アストログラフ・マジシャンを手札に加える」

 

ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラムがペンデュラムゾーンの紫毒の魔術師を破壊して、お兄ちゃんはエクストラデッキのアストログラフ・マジシャンを手札に加える。

 

「チェーン1、紫毒の魔術師、チェーン2、アストログラフ・マジシャンの効果。アストログラフ・マジシャンは自分フィールドのカードを破壊された場合、このカードを手札から特殊召喚する」

 

アストログラフ・マジシャン 攻2500

 

「その後、このターンに破壊したモンスターと同名のカードをサーチする。慧眼の魔術師を回収、チェーン1、紫毒の魔術師の効果で叢雲遠呂智を破壊」

 

破壊された紫毒の魔術師の霊が今度は機巧蛇ー叢雲遠呂智に取り憑き、破壊された。

 

「ぐっ!?」

 

「2枚目の慧眼の魔術師をレフト・Pゾーンをセット。ペンデュラム効果発動、このカードを破壊してデッキから3枚目の紫毒の魔術師をセット。虹彩の魔術師のペンデュラム効果。自分フィールドの闇属性・魔法使い族モンスターを対象にとり、このカードを破壊して、そのモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した場合、その戦闘ダメージは2倍になる」

 

続いてペンデュラムゾーンの虹彩の魔術師がアストログラフ・マジシャンに取り憑き、アストログラフ・マジシャンにオーラが纏う。

 

「破壊された虹彩の魔術師の効果。デッキから『ペンデュラムグラフ』魔法・罠を手札に加える。時空のペンデュラムグラフを手札に加える。カードを1枚セットして、ターンエンド」

 

 

遊輝  手札  2枚   LP 4000

 

△ー▲ーー ー

○ー○ーー

ー ○

ーーーーー

-ーーーー ー

 

ゼロ  手札  3枚  LP 3500

 

 

「ひ、ひっくり返した・・・・」

 

「ただひっくり返しただけじゃないわ・・・深淵に潜む者のおかげで次の相手のターンを実質無かったことにしていてるわ。これは・・・・チェックメイトだわ」

 

「わ、私のターン!」

 

ゼロ  手札  4枚

 

「スタンバイフェイズ、深淵に潜む者の効果。オーバーレイ・ユニットを一つ取り除いて、このターン、相手は墓地から魔法・罠・モンスター効果を発動できない」

 

「くっ!?(叢雲遠呂智を出しても時空のペンデュラムグラフで破壊される!無駄にデッキを削るわけにも・・・・)」

 

深淵に潜む者 OVR 2→1

 

深淵に潜む者がオーバーレイ・ユニットを一つ使い、相手の墓地に何かを打ち込む。これで相手は墓地から動くことは出来なくなった。

 

「これでオルフェゴールはほぼ死んだも同然・・・・本当に遊輝ちゃん、何もさせないつもりだわ」

 

「くそっ・・・・終末の騎士を召喚!」

 

終末の騎士 攻1400

 

「終末の騎士の効果!デッキから闇属性モンスターを墓地に送る!オルフェゴール・カノーネを墓地に送る!さらに手札からオルフェゴール・トロイメアを墓地に送り、ダーク・グレファーを特殊召喚!」

 

ダーク・グレファー 攻1700

 

「・・・・リバースカードオープン、永続罠、時空のペンデュラムグラフ。自分フィールドの『魔術師』ペンデュラムモンスターとフィールドのカード1枚を対象にとり破壊する。紫毒の魔術師とダーク・グレファーを破壊する」

 

お兄ちゃんの伏せカードである時空のペンデュラムグラフが作動して、お兄ちゃんのペンデュラムゾーンの紫毒の魔術師とダーク・グレファーを破壊した。

 

「チェーン1、エレクトラム、チェーン2、紫毒の魔術師の効果。紫毒の魔術師の効果で終末の騎士を破壊、そしてエレクトラムの効果で1枚ドロー」

 

遊輝 手札  2枚→3枚

 

「ク、クソ・・・・ターンエンド」

 

 

遊輝  手札  3枚   LP 4000

 

ーー△ーー ー

○ー○ーー

ー ○

ーーーーー

-ーーーー ー

 

ゼロ  手札  1枚  LP 3500

 

 

「俺のターン、ドロー」

 

遊輝  手札  4枚

 

「スタンバイフェイズ、深淵に潜む者の効果」

 

「クソっ!チェーンで墓地の叢雲遠呂智の効果!デッキの上から8枚を裏側で除外して、特殊召喚する!」

 

 深淵に潜む者 OVR 1→0

 

深淵に潜む者がオーバーレイ・ユニットを使って相手の墓地のカードを封じようとしたが、その前に相手が機巧蛇ー叢雲遠呂智の効果を使って、叢雲遠呂智を特殊召喚する。

 

「・・・・デッキ枚数は?」

 

「・・・11枚だ」

 

「あと1発か・・・まあ関係ない。このターンで終わりだ」

 

「確かにこのまま攻撃したら終わりだわ・・・・完全に遊輝ちゃんのペースだったわ」

 

「だが・・・・こんな勝ち方じゃぬるい。お前には地獄を見てもらう」

 

「お、お兄ちゃん?」

 

「黒牙の魔術師をライト・Pゾーンにセット。エレクトラムの効果。黒牙の魔術師を破壊して、虹彩の魔術師を手札に加える。チェーン1、エレクトラム、チェーン2、黒牙の魔術師の効果。黒牙の魔術師は破壊された場合、墓地から闇属性・魔法使い族モンスターを特殊召喚する。紫毒の魔術師を特殊召喚」

 

紫毒の魔術師 攻1200

 

「エレクトラムの効果で1枚ドロー」

 

遊輝 手札  3枚→4枚

 

「ゆ、遊輝ちゃん・・・・・そのまま攻撃すれば終わりだよ!!」

 

「アストログラフ・マジシャンと紫毒の魔術師で融合、覇王につく四龍の1体よ、融合の力を得て、全てを食い尽くせ、融合召喚、覇王眷竜スターヴ・ヴェノム」

 

覇王眷竜スターヴ・ヴェノム 攻2800

 

アストログラフ・マジシャンと黒牙の魔術師がお兄ちゃんの後ろに現れた融合の渦に吸い込まれていき、渦の中から覇王眷竜スターヴ・ヴェノムが現れる。

 

「スターヴ・ヴェノムの効果、自分または相手のフィールド・墓地のモンスター1体を対象に取り、エンドフェイズまで名前と効果をコピーする。対象はエレクトラム」

 

覇王眷竜スターヴ・ヴェノム→ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム

 

「レフト・Pゾーンに虹彩の魔術師を、ライト・Pゾーンに賤竜の魔術師をセット。賤竜の魔術師のペンデュラム効果。もう片方のペンデュラムゾーンに賤竜以外の『魔術師』ペンデュラムモンスターが存在する場合、エクストラデッキの表側表示の『魔術師』または『オッドアイズ』モンスターを手札に戻す。慧眼の魔術師を手札に加える」

 

「お、お兄ちゃん・・・・?」

 

「遊輝ちゃん!!落ち着いて!!!もう攻撃したら終わりだの!!」

 

「き、貴様何のつもり「黙れ!!!」!?」

 

「言ったはずだ・・・・・貴様に生温い敗北なんてするつもりはない・・・・・地獄の方がマシだと思うくらい痛みつけてやる!!!」

 

「!?」

 

延々と回し続けるお兄ちゃん、明らかに様子がおかしいことに気づき、私とお姉ちゃんが止めようとしたが、お兄ちゃんは聞く耳を持たなかった。

 

「永続罠、時空のペンデュラムグラフの効果!虹彩の魔術師と叢雲遠呂智を破壊する!」

 

再び時空のペンデュラムグラフが起動して、今度は虹彩の魔術師と叢雲遠呂智が巻き込まれて破壊する。その時、叢雲遠呂智が破壊された衝撃波が1回目の時よりも強く、私たちをも吹き飛ばすような力になっていた。

 

「ぐわああああ!!!!」

 

「ぐう!?」

 

「ぐうう!!!な、何だこのパワーは!?」

 

明らかに違うパワー、その存在に私は困惑した。そして、それは相手も同じだった。

 

「破壊された虹彩の魔術師の効果!デッキから星霜のペンデュラムグラフを手札に加えて発動!手札の慧眼の魔術師をレフト・Pゾーンにセットしてペンデュラム効果!このカードを破壊してスケール8の黒牙の魔術師をセット!星霜のペンデュラムグラフの効果!『魔術師』ペンデュラムモンスターがフィールドから離れた場合、デッキから『魔術師』ペンデュラムモンスターを手札に加える!」

 

星霜のペンデュラムグラフの効果でお兄ちゃんのデッキからカードが1枚飛び出し、飛び出したカードをお兄ちゃんは手札に加える。

 

「調弦の魔術師を手札に加え、現れろ!未来へ続くサーキット!」

 

ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラムと深淵に潜む者が飛び出し、リンクマーカーの中に入る。

 

「アローヘッド確認!召喚条件は効果モンスター2体!俺はエレクトラムと深淵に潜む者をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、ブルート・エンフォーサー!」

 

ブルート・エンフォーサー 攻1600 ↙︎ ↘︎

 

「揺れろ!魂のペンデュラム!天空に描け!光のアーク!ペンデュラム召喚!現れろ、俺のモンスターたち!」

 

黒牙の魔術師と賤竜の魔術師の間に再び振り子が現れて、円の軌跡を描く。その中から3つの光が飛び出した。

 

「エクストラデッキから黒牙の魔術師と紫毒の魔術師!手札から調弦の魔術師をペンデュラム召喚!」

 

黒牙の魔術師 攻1700

調弦の魔術師 攻0

 

「調弦の魔術師の効果!手札からペンデュラム召喚に成功した場合、デッキから『魔術師』ペンデュラムモンスターを守備表示で特殊召喚する!星読みの魔術師を特殊召喚!」

 

星読みの魔術師 守2400

 

「星読みの魔術師と黒牙の魔術師で融合!融合召喚!覇王眷竜スターヴ・ヴェノム!2体目のスターヴ・ヴェノムの効果!同じくエレクトラムをコピーする!Lv4の紫毒の魔術師にLv4の調弦の魔術師をチューニング!」

 

☆4 + ☆4 = ☆8

 

「天高く突き上げる龍よ!弾丸を込め相手の心房を撃ちぬけ!シンクロ召喚!Lv8、ヴァレルロード・S・ドラゴン!」

 

ヴァレルロード・S・ドラゴン 攻3000

 

調弦の魔術師が作った4つの緑色の輪に紫毒の魔術師が入り、4つの星となる。それらが一つの光に変わり、光は大きなリボルバーへ変わり、リボルバーが変形していってヴァレルロード・S・ドラゴンが特殊召喚された。

 

「ヴァレルロード・Sの効果!シンクロ召喚成功時、墓地のリンクモンスターをこのカードに装備する!」

 

ヴァレルロード・S・ドラゴンの身体の胸の部分にあるシリンダー部分にヘビーメタルフォーゼ・エレクトラムが入り、弾が2つセットされた。

 

「ヴァレルロード・Sは装備したモンスターの攻撃力の半分の分、アップする!」

 

ヴァレルロード・S・ドラゴン 攻3000→3900

 

「1体目のスターヴ・ヴェノムの効果!黒牙の魔術師を破壊して、アストログラフ・マジシャンを回収!チェーン1、黒牙の魔術師!チェーン2、アストログラフ・マジシャンの効果!アストログラフ・マジシャンを特殊召喚して、黒牙の魔術師をデッキから手札に加え、黒牙の魔術師の効果でドクロバット・ジョーカーを特殊召喚する!」

 

止まらないお兄ちゃんの展開、相手を木っ端微塵にしそうな気迫。その圧倒的な迫力と展開力に相手も、お姉ちゃんも、私もただ口を開けることしか出来なかった。

 

「バトル!ドクロバット・ジョーカーでダイレクトアタック!」

 

EM ドクロバット・ジョーカーが不適な笑みを浮かべ飛ぶ。相手の目の前まで移動して、そのまま相手の左側の横っ腹に回し蹴りをする。

 

「ぐわああああああ!!!!!!!!」

 

ゼロ  LP 3500→1700

 

「ガハッ・・・・ゴホッ・・・・」

 

「!?ち、血!?」

 

「な、何だ・・・・何だ、ゴホッ!?」

 

「痛いよな・・・・俺が味わった痛みほどじゃないけど、痛くて苦しいよな・・・・・」

 

EM ドクロバット・ジョーカーの攻撃を食らった相手は吹き飛ばされ、立ち上がったときには吐血をしていた。その様子を見て、お兄ちゃんは酷く冷酷に相手を見る。

 

「お前・・・俺のことを調べたら知ってるんだろ?シークレットシグナーの能力にはモンスターの実体化・・・・サイコデュリエストと同じ能力があることを」

 

「ゴホッ!!ゴホッ!!」

 

「これがお前が手にしたかった力だよ・・・・・デュエルで人を殺す・・・・人の心を持たない、殺人兵器だよ」

 

「ガッ・・・アッ・・・・・」

 

「まだ終わんねぇぞ・・・・俺の攻撃は終わってねぇんだから」

 

「!?ま、待ってくれ!!悪かった!!!!私が悪かった!!!頼む!!!命だけは!!!」

 

「命だけ?ハンッ・・・・・・今まで何人の子供に脳内手術したんだよ。俺は見てねぇけどその子供たちも、桜も今のお前みたいに泣いて許しを得たんじゃねぇ?だけどお前は聞く耳持たなかったんだろ?・・・・・自業自得だろ、ブルート・エンフォーサー、攻撃だ」

 

「ひっ!?く、くるな!!!来るなあああああ!!!」

 

 

相手は必死に許しを願うがお兄ちゃんは相手の願いを聞く様子はない。次のブルートエンフォーサーが銃を構え、相手の右足を撃ち抜く。

 

 ゼロ  LP 1700→100

 

「グワアアア!!!!!」

 

「まだ終わんねぇぞ・・・・・・アストログラフ・マジシャンでダイレクトアタック」

 

ゼロ LP 100→-2400

 

「ガアアアア!!!!!」

 

「スターヴ・ヴェノム2体でダイレクトアタック」

 

「!?お、お兄ちゃん!!!」

 

アストログラフ・マジシャンの攻撃で相手のライフは0になった。だけどお兄ちゃんは攻撃の手を緩めない。

 

ゼロ LP -2400→-7200

 

「ッアアアアア!!!!!!」

 

「ラストだ・・・・・ヴァレルロード・Sでダイレクトアタック!迅雷のヴァレルファイア!!」

 

「遊輝ちゃん!!!!!」

 

お姉ちゃんが大声でお兄ちゃんに向かって叫ぶ。だけどお兄ちゃんは聞く耳を持たず、ヴァレルロード・S・ドラゴンの攻撃が放たれてしまう。

 

ゼロ LP -7200→-11100

 

 

WIN 遊輝   LOS ゼロ

 

 

 

 桜  side out

 

 

No side

 

 

「アッ・・・アッ・・・・・・・」

 

デュエルは終わった。一方的な展開で。負けたデュエリスト、ゼロは今にも死にそうな感じだ。口からは吐血、服は攻撃によってボロボロにされ、皮膚は切り傷や火傷の痕が残る。声を出すのが精一杯感じた。

一方、勝ったデュエリスト、遊輝は酷く冷徹だ。静かにデュエルディスクを片付けてゆっくりと相手に向かって歩いて行く(・・・・・)

 

「!?お兄ちゃん!?」

 

「ゆ、遊輝ちゃん!?あ、足は!?」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

このデュエルを見ていた桜とアリアは遊輝が歩いている姿を見て驚く。彼の両足は銃で撃ち抜かれ、未だ重症で歩くことは出来ないはずだ。だが、そんな事も気にせず、遊輝はゼロに向かってゆっくりと歩いていく。

 

「アッ・・・ヒッ・・・・・」

 

「グオオラ!!!」

「!!!!アアアア!!!!」

 

グオン!!と大きな音がヘリポートに鳴り響く。遊輝が相手の胸元を掴み、右手を振り抜き、相手を殴りつけたのだ。

 

「グオオ・・・オアッ・・・・」

 

「・・・まだ終わってねぇぞ。貴様の地獄は」

 

「ヒッ!?」

 

「フン!!」

 

「グアハハ!!!」

 

遊輝はゼロに向かって痛みつけるのをやめない。胸元を掴み、頬や腹をぶん殴ったり、動けないはずの足で踏み付けたり、蹴りを入れる。ゼロは痛む身体に鞭を打ち、必死に後退りをして逃げようとするが、目の前に迫ってくる悪魔に怯え、体が震え動けない。

 

「ヒッ・・・ヒッ・・・・」

 

「グオラ!!」

 

「ギャアアアア!!!!」

 

あまりにも一方的な殺戮劇。大の大人が中学生くらいの子供に泣き、許しを得ている。この時、ゼロは激しく後悔をした。自分は怒らせてはいけない敵を怒らせてしまった、っと

 

「・・・・どうだ、自分で計画した殺人ロボットに殺される気分は?」

 

「ヒッ!!ヒッ!!た、助けてくれ!!!」

 

「・・・・・俺さ、今まで殺人犯の気持ちなんて分からなかったんだよ」

 

許しを願うゼロだが、遊輝はゼロの腹に蹴りを入れて、馬乗りとなり、相手の顔を無表情に殴り続ける。

 

「何で人を殺すんだろうって・・・・憎い気持ちは分かるけど、結局何も残らないんじゃないかって・・・・でも、今なら分かる。人を殺す時って・・・・心が無になるんだな」

 

「ヒッ!?ヒッ!?」

 

「何でだろうな・・・・罪悪感とかそんな感情、一切沸かないや。ハハッ・・・・とうとう俺は心も人間じゃなくなったのか・・・・」

 

遊輝は乾いた笑い声と笑みを浮かぶ。だが、命の危機にあるゼロは悪魔の笑みにしか見えなかった。

 

「さあ・・・・どうやって死にたい?毒で殺されたいか?それともコンクリに埋められたい?ああ・・・・体を縛り付けて海に流すってのもいいな・・・・」

 

「だ、だすけけてくれ!!!だのむ!!!もう二度とぎみだぢを追わないから!!!」

 

「・・・・さっきも言っただろ?そうやって泣いて、許しを願う奴、お前は今まで何人の奴を無視してきた?・・・・・・自業自得だよ」

 

そう言って、遊輝は右手をパーにして大きく上げる。その掌にシークレットシグナーの能力により、太陽が出来、その太陽はだんだんと大きくなっていく。

 

「まずは貴様には火あぶりを味わってもらうよ。ああ大丈夫・・・・まだ殺さないから」

 

「ダメエエエエエエエエ!!!!!!!!」

 

「グッ!!!」

 

だんだんと大きくなる太陽をゼロの身体にぶつけようとした時、何かが遊輝の横っ腹目掛けて体当たりをしてきた。無防備な遊輝はその攻撃を受けて飛ばされる。

 

「ヒ、ヒイイ!!!!」

 

「!!あんたねぇ!!!」

 

「グオアア!!!」

 

馬乗りの状態から解放されたゼロは傷んだ身体を必死に動かして逃げようとする。それを見たアリアは走りだし、ゼロを蹴飛ばした。ゼロはフェンスに体をぶつけ、気絶してしまった。

 

「グッ・・・ま、待て「ダメ!!!お兄ちゃん!!!!」!?」

 

「お兄ちゃん!!動いちゃダメ!!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

飛ばされた遊輝は逃げるゼロを追いかけようとするが、その前に桜が手を大きく広げて立ち塞がる。

 

「・・・・桜、退いてくれ」

 

「嫌だ!!!お兄ちゃん!!このままじゃ犯罪者になっちゃう!!!そんなの許さない!!!」

 

「・・・何でだよ桜、お前、自分の実の父に酷い目に遭わされたんだろ?凄い憎いだろ?殺したいだろ?だから、俺が代わりに殺すんだよ・・・・もう一度言う、退け、桜」

 

「嫌だ!!!!絶対に退かない!!!お兄ちゃんだけ犯罪者にはさせない!!!!」

 

「・・・・そうか」

 

ゆっくりと立ち上がり、桜に向かって敵対の視線を向ける遊輝。だけど、桜の決意は固かった。それを見た遊輝はもう一度右手に太陽を作る。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「大丈夫だ桜・・・・・・俺が狙うのはあいつだけだ、少しだけ怖い思いをさせるけど「フリージングゼロ!!!!」グッ!!!」

 

桜の後ろから冷たい冷気が吹き溢れ、遊輝の右手を凍りつかせる。遊輝は凍った右手を下ろし、自身の右手を凍らせた人物を睨み付ける。

 

「・・・・・・・アリア、テメェ」

 

「させないわよ・・・・・遊輝ちゃんに人殺しの汚名なんてつけさせないわよ!!!」

 

「じゃあ・・・・・じゃあどうすれば良いんだよ!!!!」

 

右手を突きつけて、氷の魔法を掛けたアリアは桜と一緒に遊輝の前に立ち塞がる。それを見た遊輝はありったけの大声で叫ぶ。

 

「このままじゃ・・・・・またあいつが桜を狙いに来る!!!!!あいつがこのまま野放しにされたら!!!!また!!!!あいつが!!!!!」

 

「・・・・・・よっぽど桜ちゃんのことが大事なのね。お姉ちゃんとして安心したわ。だけどね遊輝ちゃん、今の貴方は本当に殺人ロボットだわ」

 

「だったら!!!!だったらどうしたら良い「お兄ちゃん!!!!!!!!!」!!!!!!」

 

狂気とかしている遊輝に向かって桜は思いっきり叫び、遊輝に向かって突進する。その勢いのまま遊輝は桜を受け止めて、地面に激突した。

 

「・・・・・・・・」

 

「さ、桜・・・・・?」

 

突進を受け止めた遊輝は桜の顔を見る。その顔からは涙が流れていた。

 

「もう・・・・もう、良いんだよ。もう、終わったんだよ。お兄ちゃんはあいつに充分なトラウマと恐怖を植え付けたんだよ。あいつはもう私たちに関わらないって言った・・・・・だから、もう・・・・・帰ろう」

 

「さ、桜・・・・・・・・」

 

「お兄ちゃん・・・・疲れているんでしょ?無理していたんでしょ?足撃たれて、監禁されて、ずっと訳のわからない人たちに見られて、緊迫状態で、あいつに訳の分からない事言われてさ・・・・だから、少し休もう?お兄ちゃん」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

 ・・・・・・ガガガガガガガ!!!!!

 

突如、上空に十数台近くのヘリコプターのらいとがヘリポートに照らされる。アリアはヘリコプターを見上げる。その中で1台のヘリコプターの無線が島中に響き渡った。

 

『セキュリティだ!!!!!この島は包囲されている!!!!!ゼロ・アングル!!!貴様にはカードの偽造、セキュリティへのハッキング、誘拐罪の罪がある!!!大人しく縄についてもらうぞ!!」

 

「・・・・ハハ、ハハハ・・・・・」

 

ヘリコプターの無線からはセキュリティ・・・・・牛尾さんの声が響き渡る。それを聞いた遊輝は壊れたように笑い出し、目を瞑った。




アリア「・・・・終わったわね。あっけなく」

桜「お兄ちゃん・・・・・」

アリア「よっぽど憎んでいたのね。気持ちは分かるけど」

桜「・・・・・・・・・」

アリア「桜ちゃん、まずはゆっくりしよう。皆、疲れているから」

桜「・・・・・うん」

アリア「次回、『休息』。次回もよろしく』


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第57話 休息

なんか最近、色々と上手くいかなくてちょっと・・・・・
就活も上手くいかなくて、マイナス思考が続いて・・・なんか疲れてきました。

気分転換でこの小説の番外編の構想を考えて作っている時が一番脳味噌が休めるんですよ。


桜  side

 

 

1月1日・・・・・

新しい年の門出、多くの人は祝い、そして祝福をあげる。それはもちろん、テレビもそうだ。毎年、正月三ヶ日は特番が続く。そんなはずだが、今年は様子が違った。

 

『新年明けましておめでとうございます。さて、新年最初のニュースです。先月10日にネオドミノシティの繁華街で血溜まりが見つかり、SECRETのメンバー、遠藤遊輝さんの誘拐された事件。セキュリティは遠藤遊輝さんを発見して、救出。遠藤さんを誘拐したとして、主犯のアムール代表取締役社長、ゼロ容疑者と実行犯のドゥ容疑者を逮捕しました』

 

『またゼロ容疑者が代表取締役を務めるアムールはセキュリティへのハッキング、カードの偽装と余罪があり、他にも出てくるのではないかと言われています』

 

『一方、救出された遠藤さんは両足を複雑骨折の重症で、現在はネオドミノシティの病院で治療しているとのことです』

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「お兄ちゃん・・・・」

 

「・・・・目覚める気配がないわね」

 

あの乗り込みの日、あの島に乗り込んだセキュリティは主犯の人とその仲間連中を捕まえた。牛尾さんが乗っていたヘリコプターには救急用のドクターヘリも兼ねていた。気絶したお兄ちゃんを担架に乗せてすぐにセキュリティ直属の病院に緊急入院、緊急手術をした。手術は終わったが、足の状態は良くならず、そしてお兄ちゃんも目が覚めない。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・軽音部のみんなは?」

 

「マスコミに囲まれているって、何とか抜け出してこっちに来るようにはしているからもうすぐじゃない?」

 

ガラガラ

 

「二人とも、大丈夫か?」

 

「遊輝さんの状態は?」

 

「牛尾さん、狭霧さん」

 

「全然、今も眠ったままです」

 

病室の扉が開いて、牛尾さんと狭霧さんが入ってくる。お兄ちゃんの様子を見て無事なことを見たのか安心する。

 

「・・・・・・・・・」

 

「医者の話だと命に別状は無いみたいだ。実際に見て安心したよ。ただ、相当疲れている様子だとよ」

 

「全く・・・・寝不足どころか栄養も足りていませんよ。囚われたところは紛いなりにも製薬会社だったでしょ?」

 

「食べているはずなんですけど・・・・」

 

「・・・・お兄ちゃん、警戒していたから」

 

「なるほど・・・勝手に毒が入っているとか思ったのですかね。流石にそんなことしないでしょ」

 

 ガラガラ!!!

 

「遊輝!!」

 

「大丈夫!?」

 

再び病室の扉が開き、軽音部、祈と恭輔が走って入ってくる

 

「おいお前ら!!!病院で騒ぐな!!」

 

「うぐっ!?す、すみません・・・・・」

 

「遊輝!!ねぇ遊輝!!!」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「心配しなくても寝ているだけです。相当疲れていたみたいですから」

 

「ホッ・・・・」

 

「良かった・・・・」

 

「とりあえず遊輝のことは医者に聞くとして・・・・アリア、お前に聞きたいことがある」

 

「・・・・何?」

 

「首謀者のゼロの事だ。あいつの怪我、あれは何だ?いくら何でも傷が深すぎる」

 

「傷が深い?どういう事ですか牛尾さん?」

 

「・・・・・顔が変形するくらいに腫れている。それだけじゃない、全身が痣や切り傷、内臓も一部破裂したり、全身の骨が砕けている様子もある。明らかに異常だ」

 

牛尾さんがお姉ちゃんに問い詰めるように聞く。お姉ちゃんは牛尾さんを見た後、お兄ちゃんを見て、ため息をついた。

 

「・・・・・全部、遊輝ちゃんがやったわ」

 

「遊輝が?」

 

「えぇ・・・・あんな遊輝ちゃん見たことがないわ。ブチギレどころの騒ぎじゃないわ」

 

「どういう事?」

 

「・・・・あの目は人殺しの目だった。感情なんて無くて、本当に殺人兵器みたく・・・・・・シークレットシグナーの実体化能力も使って」

 

「実体化能力を使って!?それ本当に言ってるの!?あれはサイコデュリエスト以上に危険だから使用は禁止しているはずよ!!!!ここにいる皆にも通達しているはずだわ!!」

 

実体化能力という言葉を聞いて狭霧さんは驚いた表情でお姉ちゃんに詰め寄る。だけど、お姉ちゃんは首を横に振って、分からないという表情をしている。

 

「えぇ・・・・遊輝ちゃんだってそんな事分かっているはずよ。だけど、使った。それくらい憎かったのよ」

 

「実体化能力って・・・・・あの時か」

 

「レミ?あの時って?」

 

「遊輝はね、一回だけ実体化能力を使ってデュエルしたことがあるのよ」

 

「なにっ!?」

 

「と言ってもあの時と今回とで状況は違うわ。あの時も相手をボコボコにしたけどそんな大怪我を負うような状態にはしてないわ」

 

レミさんから衝撃的なカミングアウト。お兄ちゃんは一度だけ実体化能力を使ったと言ってきた。それを聞いた私たちは驚いた。

 

「・・・・・禁忌の力を使ってでも殺したかった相手か・・・・よっぽど桜のことを大切にしたかったんだろうな」

 

「だが、どんな理由であれ、人殺しをしたら俺たちは遊輝を捕まえなくちゃいけなかった」

 

「その点では遊輝さんを止めてくれた桜さんとアリアさんには御礼したいわね」

 

 ガラガラ

 

「失礼いたします」

 

三度病室の扉が開き、白衣を着た医者が入ってきた。この医者はお兄ちゃんが私を連れて駆け込んできた時に見てくれた人で、セキュリティ直轄の病院の中でも名医の人だ。私たちを見た二人はそのままお兄ちゃんの様子も見る。医者はお兄ちゃんの上半身の服を脱いで聴診器を当てる。

 

「すみません、心拍数の検査をさせてもらいます」

 

医者の人は聴診器を外してお兄ちゃんの上半身の服を閉じ、ボタンを閉める。

 

「・・・・正常ですね。まあこれが一番なんですが、後は本人が目を覚ませば大丈夫でしょう。さて、遊輝さんの親戚者さんは?」

 

「・・・・・私」

 

「戸籍上違うけど、一応私も遊輝ちゃんの身内だわ」

 

「今から私の診断結果を言います。覚悟して聞いてください」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

医者は私とお姉ちゃんの方を見て、診断結果を告げようとする。その言葉の重みがさっきまでとは違う。

 

「はっきり申し上げますと・・・・・彼の両足はもう使い物にならないでしょう」

 

「!?」

 

「どうして!?遊輝ちゃんは歩けていたわよ!!!」

 

「それにあいつならシークレットシグナーの能力で!!」

 

「お前ら落ち着け!!!」

 

お兄ちゃんの足は使い物にならない。その言葉を聞いて、軽音部や恭輔は大声をあげて反論しようする。しかし、牛尾さんがそれ以上に声を張り上げて、皆が一斉に沈黙する。

 

「う、牛尾くん・・・・・」

 

「ちゃんと医者の話を聞け・・・・・理由もない診断を下すほど、この医者は腐っちゃいねぇよ」

 

「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」

 

「すみません・・・・続けてください」

 

「遊輝さんはハムストリングと大髄四頭筋の破裂、神経類の損傷、それに骨の損傷とかなりの重症で、あの出血です。むしろ、出血多量で死んでいない方がおかしいくらいです」

 

「で、でもお兄ちゃん・・・・・自分で回復して」

 

「確かに、遊輝さんのあの回復力は我々医者からも目が見張ります。普通に考えたらそれで治るかもしれませんでした」

 

「・・・・・どういうこと?」

 

「完全に回復し切れていない状況で無茶をしたからです。はっきり言ってあの状態で歩くなんて死ぬ行為同然です。普通なら直ぐに転けてしまいます」

 

「・・・・・・・・・」

 

「なのにジャンプしたり走ったりして・・・・・中途半端に回復して足を動かした。結果、足の負担は怪我した時よりも酷くなり、治りにくい状況になってしまいました。それとシークレットシグナーの力で回復したこと、これも不味かったです」

 

「おいどういうことだ?なぜ回復をしたことがいけなかったのだ?」

 

「正確には異常なまでに回復スピードを早めたことです。普通、回復というのは細胞の修復から始まります。皮膚の怪我が代表例ですね。おそらく、シークレットシグナーの回復もほぼ同じところから始まるのでしょう。その場合、細胞が活性化されるのです。異常なスピードで」

 

「・・・・・・・・」

 

「今までも遊輝さんは銃で撃ち抜かれたりした時もありましたが、あの時はキチンとした、いや、限界ギリギリの速さで回復していたのでしょう。それを本人が意識してやったのかどうか分からないですが」

 

そう言って医者は眠っているお兄ちゃんを見る。お兄ちゃん・・・・前にも銃に撃たれたんだ。

 

「今までは正常なスピード・・・・・まあ問題ない速さで細胞を回復させていたので良かったのです。しかし、今回はその回復するスピードが速すぎました。それが良くなかったのです」

 

「何で何だ?回復するスピードが早くなる事はいいことだろ?」

 

「細胞の異常なまでのスピードでの活性化・・・それは細胞の異常増殖へと繋がります。これを繰り返すと・・・・癌の発症に繋がるのです」

 

「が、癌!?遊輝ちゃん、癌に!?」

 

「落ち着いてください!!!あくまで発症なだけで、遊輝さん自身の身体に癌の兆候は今のところありません!!!」

 

お姉ちゃんが椅子から飛び上がり、医者に問い詰める。医者はお姉ちゃんに落ち着くように促し、お兄ちゃんが癌になっていないことを伝える。

 

「・・・・す、すみません」

 

「いえ、私も言葉足らずでした。もちろん、今のままでは癌にはなりませんし、普通に生活をしていたら少なくとも50年から60年はこの事が原因で癌になることはないでしょう。遊輝さんが目覚めてからもう一度精密検査をしないといけないでしょうが、恐らく、今の状態では癌は見つからないでしょう。しかし、これだけの怪我ですからどこかで問題は起きてもおかしくないですが」

 

確かに・・・あれだけの怪我を負って、中途半端に動き回り、敵の攻撃も受けているとなると身体のどこかで怪我をしてもおかしくはなさそう・・・・・

 

「・・・・・医者の観点から言えば、普通の人はこれだけの重傷を負えばもう両脚は言う事聞かないはずです。寧ろ、生きているだけで奇跡なのです。筋肉も神経も撃ち抜かれ、大量出血をしているのですから、ショック死もあり得たでしょう。それを遊輝さんは自身の力で無理矢理回復させにいった。時間が無かったのかもしれません、だから焦ってしまい、普段よりもスピードを速めたのでしょう。そこでキチンと完治していれば良かったのですが、完治せずに色々としたせいでこうなってしまった、という事です」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「・・・ねぇ、お兄ちゃんの足、普通に治るの?」

 

「・・・・・先ほども申しましたが、彼の足はもう使い物になりません。外見上の治療はできますし、治すことも可能です。ですが、中の筋肉と神経の損傷が酷すぎまし、それどころか、今こうして足の細胞を回復させていること自体、遊輝さんの身体によろしくありません。足の細胞の活性化の異常値が実際に出ていますから、いつ癌が発症してもおかしくはないです」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「もしこのまま放置していますと、下手したら全身に癌が転移する可能性もあります。ですので・・・・私からは両脚の切断をオススメします」

 

「せ、せつ・・・・だん?」

 

「う、嘘でしょ・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

医者から言われた・・・・・お兄ちゃんの両脚はもう使えない、そして癌のリスクを抑えるために両脚を切断しないといけない。

 

「ほ、ほかに・・・・他に治療法はないのですか?」

 

「残念ながら今の医療では・・・・・遊輝さんが今後、長く生きるためには「必要ねぇよ・・・」!?」

 

「!?遊輝!?」

 

「遊輝!!!」

 

医者が話している途中、お兄ちゃんの声が聴こえた。慌ててベットのほうに振り向くと、お兄ちゃんが目を覚まして上半身を起こしていた。その様子を見て、皆がお兄ちゃんのところに飛び込む。

 

「ったく・・・・・気持ちよく寝ていたのに、随分騒がしいじゃないか」

 

「遊輝・・・・・・」

 

「良かった・・・・本当によかった・・・・・・」

 

「勝手に殺すな・・・・俺はまだまだやり残した事があるんだから。それと・・・・・医者の方、名前は?」

 

「・・・・渡辺です」

 

「渡辺さん・・・・俺の答えは切断の必要ないです。両足は見た目も中身も問題なく完治させます」

 

「なっ!?」

 

「全部話聞いてましたよ。シークレットシグナーの能力も、完治せずに無茶し過ぎたことも、それと癌のリスクも」

 

お兄ちゃんはハッキリとした口調で医者に必要ないと伝える。お兄ちゃんの言葉を聞いた医者はすごく驚いた表情をする。

 

「あ、あなた、話を聞いていたのですか!?」

 

「何度も言わせるな・・・頭がガンガンする・・・・」

 

「は、話を聞いているなら尚更です!!もちろん、両脚切断を断るのは患者の意見として尊重します!!問題はそこじゃないです!!完治を目指すって、このまま回復したら癌になりますよ!!あなたは癌になりたいのですか!?」

 

「んなもん簡単な話だよ・・・・最初に異常に活性化した細胞を休ませる。異常に低すぎる数値まで」

 

「!?」

 

「そこから少しずつ数値を上げる。もちろん、適正値で、そこからゆっくりと足を治療すれば良い。最初は外見から、そこからゆっくりと骨と筋肉、神経系全てをシークレットシグナーの能力で。時間がかかるが、これなら癌の発症リスクは下がるだろ?」

 

「た、確かに理論上はそうですが・・・・実際にそんな事を試した事もないですよ!?それに細胞の活性化を下げるってことはそれだけ免疫力が低下して、他の病気になるリスクを抱えてしまいますよ!?」

 

「そのリスクを下げるのが医者の仕事だろ・・・・集中治療室でも入れてくれよ。そこならまず間違いなく治療ができる」

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・私からも、お願いします」

 

「桜?」

 

「お兄ちゃんの意見と同じです。お兄ちゃんの両脚を切らないでください。そして、完治させてください」

 

「わ、私からもお願いします!!」

 

私もお兄ちゃんの両脚が切断されるところは見たくもない。お兄ちゃんが治せるっていうなら私はお兄ちゃんを信じて待つ。医者の方に頭を下げて、私の要望を聞いてもらう。お姉ちゃんも私に続き、頭を下げた。

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「渡辺さん、こいつはそこら辺の普通の人間じゃないんです。今までだってこいつは重傷を自分の力を信じて治してきたんです。俺からもお願いします」

 

「・・・・・分かりました。ただし、6ヶ月です。遊輝さんの足の細胞の活性化、免疫の低下諸々を含めて6ヶ月が限度です。6ヶ月を過ぎても改善の見込みがない、または細胞の異常な活性化が見られた場合は治療を中断します。医者の倫理的価値観として、患者を病気にさせるわけにはいきません」

 

「・・・・・・その場合は未練をスパッと切る。足を切断する」

 

「!?遊輝!!!」

 

「良いんだレミ。俺だって死にたくないし、こんな歳で癌になんかなりたくねぇよ」

 

「・・・・・お兄ちゃん」

 

医者との話が終わったタイミングで私はお兄ちゃんに近づき声をかける。お兄ちゃんは右手をゆっくりと動かして私の頭を撫でる。

 

「桜・・・・あの時は助かったよ」

 

「えっ?」

 

「あの時、桜が俺に言葉をかけてくれなかったら俺は完全に人間辞めてた・・・・・桜が言葉をかけて、止めてくれたから俺はこうしてここにいる事が出来る。ありがとうな・・・・」

 

「!!お、お兄ちゃん・・・・・」

 

「おいおいおい・・・・泣きそうな顔をするよ。全部終わったんだろ?これで全部終わったんだからさ、また笑い合う日を作ろうぜ」

 

「・・・・グスッ・・・ウウ・・・・お、お兄ちゃん・・・・・・」

 

「今から準備をします。集中治療室に入っている間は基本的に点滴で栄養を取ってもらいます。細胞の異常な低下は免疫力をなくすと言う事になりますので、出来る限り外部のものは入れないようにします。その間は面会謝絶とさせていただきます」

 

「分かった・・・・」

 

「事件の処理は俺たちに任せてくれ。お前には負担をかけないようにしておく。それと、軽音部の方にもマスコミは回さないように手配しておく」

 

「遊輝、無理しなくていいからね。今年は皆が私のために1年休もうって言ってくれているし、完全に回復してからまた皆でバンド、しよう」

 

「牛尾さん、レミ・・・・・ありがとうな。ここん所忙しかったから暫く休むよ・・・・」

 

「さて、次に桜さんのことです」

 

「?桜のこと?」

 

医者の方がお兄ちゃんの方のカルテからもう一つの方のカルテを取り出した。急に私の名前を呼ばれてまた医者の方を見る。

 

「脳内チップの件です。もう一度、レントゲンを確認したら確かに脳内にチップを埋め込まれていました。サイズで言えば一辺2mm程度の極小サイズです」

 

「そ、そんなに小さいの!?」

 

「えぇ、我々も驚きました。脳内チップは聞いたことはありますが、ここまで小さく出来るとは・・・・・」

 

脳内チップの話をあいつから聞いたけど、そんな小さいチップなら最初のレントゲン検査で検知されないわけない。

 

「そ、それで、その脳内チップがどうしたのですか?」

 

「そこからは俺たちだな。セキュリティの技術班と暗号解析班で分析して桜の脳内チップを解析した」

 

「その結果、桜さんの記憶喪失は脳内チップが電気信号が遮断していることが分かりました。つまり、このチップのスイッチを元に戻すと、桜さんの記憶が蘇ります」

 

「そうなの!?」

 

「さ、桜さん、良かったですね。記憶が戻りますよ」

 

「ただ・・・・」

 

脳内チップを正常に戻せば記憶が戻ると言って、皆喜んでくれたがすぐに狭霧さんが苦悶な表情を浮かべる。

 

「ただ?何だ?」

 

「残念な事にこのスイッチを元に戻した時、桜自身に何が起こるのかは分からないわ」

 

「えっ?記憶が戻るだけじゃないの?」

 

「私たちもそう判断はしていますが、脳内チップの情報量が多くて、桜さんの脳が果たして処理できるのか・・・・・下手したらこれが原因でまた記憶喪失を起こしてしまう可能性もなくは無いのです」

 

「そ、そんな・・・・・・」

 

「と、取り除くことは?」

 

「無理ですね。チップが小さすぎる上に、何年も経ってしまっていますので脳の神経系と深く絡んでいます。下手に触ってしまうと障害が残ってしまいます。触らずに放置しても日常生活には問題ないですので、このままにしておくのが得策でしょう」

 

医者からは脳内チップを取り除かれないと言われた。けど、私自身、チップを埋められている感覚もないし、今の生活に不満があるわけじゃない。それに・・・・・

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「桜、どうする?」

 

「・・・・・別に何も、変わらない。記憶を戻す必要もない。私は今の生活が楽しい、あんな奴と一緒に生活をしていた記憶はいらない」

 

「・・・・・そうか」

 

私の言葉聞いたお兄ちゃんはフッと笑みを浮かべてベッドに身を預けた。どうやらお兄ちゃんも同じ意見の感じだ。

 

「桜、俺も無理矢理記憶を呼び起こす必要はないと思う。紛いなりにも1年間、兄としてやってきたつもりだ。最初はあんな形で義理の妹になったけど、今じゃ大切な家族だ」

 

「・・・・・ありがとう」

 

「ただ・・・・」

 

「ただ?」

 

「・・・・いや、いいよ。今言うべきことじゃないや。アリア、桜のこと、頼んだ」

 

「分かったわ。ちゃんと身体治しなさいよ」

 

「もちろんだ・・・・・」

 

お兄ちゃんは布団を深く被り、ゆっくりと眠りだした。

 

「ほら、患者も寝たことだし、今日は引き上げよう」

 

「あなたたちもこれから忙しくなるでしょ。私たちも付き合ってあげるから頑張りなさい」

 

「はい・・・・」

 

「はぁ〜、なんで言えばいいかな〜」

 

「リーダーは大変だね〜」

 

「皆気楽で良いわね。私の休みはどこに行ったのよ・・・・」

 

牛尾さんと狭霧さんに押され、私たちはお兄ちゃんの病室から出る。軽音部の皆はこれから、お兄ちゃんの怪我の状態とそれに伴う活動休止を宣言しないと行けないらしい。表面上はお兄ちゃんの怪我を治すため、実際はレミさんの休暇のため。

 

「・・・・・終わったわね」

 

「ん、またああやってわいわいする日が来る」

 

「俺たちはまだまだ仕事が終わらないけどな。素直にあいつが喋ってくれたら良いんだが」

 

「まずは怪我を治してもらいましょう。その上で色々と話してもらいましょう」

 

「そうですね・・・・・一時はあいつが世界中の敵になるんじゃないかとソワソワしていたが、無事に帰ってきてよかった」

 

「ん・・・・・」

 

そうだ、もうこれで私の取り巻く環境は全て終わった。これからはお兄ちゃんと軽音部、皆と楽しい日常を過ごして生きたら良い。




アリア「ようやく落ち着くことができるわね・・・」

桜「ん、やっと普通の生活に戻れる」

アリア「遊輝ちゃんも満身創痍とはいえ、無事で良かったよ」

桜「これからはのんびりしていく」

アリア「だと良いけどねぇ・・・・遊輝ちゃん、トラブルメーカーだから」

桜「・・・・確かに」

アリア「次回、『日常への一歩』。次回もよろしく」


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第58話  日常への一歩

リハビリで完全非公開の小説を執筆しているけど、文章量と情報量が多すぎて、もうスマホじゃ追いつかなくなったしまった。

iPadとスマートキーボードが欲しいな・・・・


桜  side

 

 

あの元旦の日から数日が経ち、今日からアカデミアの3学期が始まる。

お兄ちゃんはあの後、集中治療室に入り宣言通り足の細胞の活性化を抑える治療から始めた。シークレットシグナーの能力を逆手に使い、回復力を極限まで抑えて細胞の活性化を抑える。机上の空論でしかない、前代未聞の治療法でもしものことを備え、面会謝絶。基本的にお兄ちゃんも寝たきりの状態が続く。昨日、お姉ちゃんが状況を聞きに行ったら、才能の活性化は抑えられているみたいだ。

 

そして元旦の次の日、お兄ちゃんのバンドグループの会社が会見をして、当面の間の活動休止を発表した。会見には会社の社長とレミのお父さん、リーダーであるレミだけが上がり、お兄ちゃんの無事と活動休止理由だけを述べた。今まで公表しなかった理由は「誘拐されて所在地が分からず、何があるか分からないため」とした。大体合っているため、それ以上の追求は無し、そもそも有名グループとは言え、未成年を誘拐した事件なので批判の対象は犯人グループ9割、管理をしていなかった会社側1割くらいの感じになっている。

 

全てが無事と言うわけではない。お兄ちゃんや軽音部は代償を支払ったけど、皆のおかげで何もない日常へ戻ることができた。

 

「おはよう」

 

「・・・・おはよう」

 

「お、おはようございます」

 

教室につき、すでにいた絢と祈が挨拶してきたので私も挨拶する。席に着いて鞄を机の上に置く。

 

「私とは明けましておめでとうだけど・・・・お兄さん大丈夫?」

 

「・・・・大丈夫。あれくらいの怪我なら簡単に治して帰ってくる」

 

「何か凄い大怪我って言っていたけど・・・・」

 

「大丈夫」

 

「ひ、氷川さん・・・・」

 

「・・・そうね。これ以上は貴方にも心配をかけてしまうわ。ごめんなさい」

 

「ん、大丈夫」

 

「おはようございます」

 

「おはよう」

 

「お、おはようございます。恭輔さん、翔吾さん」

 

「うんしょ、お前大丈夫だったか」

 

「大丈夫」

 

「は〜い皆さーん!!席ついてください!!出席取りますよ」

 

教室に加藤先生が入ったので皆席に着く。そのまま出席を取り始めた。

 

「・・・・はい、皆さんいますね。ではこのまま講堂へ移動します。始業式を始めます」

 

「うへぇ・・・・また校長の長い話かよ」

 

「今年1発目ですから気合入ってそうですね」

 

出席を確認してそのまま始業式を行うため全員で講堂に向かう。ぞろぞろと動き、生徒からは面倒くさいの声が聞こえる。私としても校長先生の話を無駄に聞くより何かを食べている方がずっと有意義に感じる。

ゆっくりと団体で動いて、講堂につきいつもの決まった席に座る。そのまま全学年が講堂に入って教頭先生がマイクを持つ。

 

『えぇ、では始業式を始めます。まず初めに校長先生からのお話です』

 

『皆さん、あけましておめでとうございます。こうしてみなさんが無事にアカデミアに来てくれたことを嬉しく思います。さて、新年が始まって早々ですが先日、悲惨なニュースが入ってきました。皆さんも・・・・・・・』

 

「ああ、また校長の長い話が始まった・・・・」

 

「ってか誘拐されたって確か軽音部の・・・」

 

「そう言えば先月の中旬から見かけないって・・・・」

 

「確か意識を失う重傷だって・・・・」

 

ヒソヒソ話が聞こえてくる。みんな、お兄ちゃんのことを言っているだろう。お兄ちゃんは良い意味でも悪い意味でも目立ちすぎる。おまけにあんな事件があったんだ、どうしても噂が広がってしまう。

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「さ、桜さん・・・僕から先生に言いましょうか?」

 

「・・・大丈夫、すぐに収まる」

 

『・・・・・・・以上で私のお話は終わります』

 

『ありがとうございました。続いて生徒指導部の柳先生からです』

 

『おはよう、早速だがそこら辺でヒソヒソ話をしていた奴!!人が喋っているときに他の話をするな!!!たるんでるぞ!!』

 

「・・・・・ねっ」

 

「・・・・度胸ありますね」

 

『ったく、早速だが君たちの冬休みの活動は・・・・・』

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

『えぇ、それでは始業式を終了します』

 

「やっと終わった〜」

 

「翔吾さん、あんまり声出すと・・・・」

 

『そこ!!たるんでるぞ!!』

 

「げっ!?」

 

「・・・・馬鹿だ」

 

始業式が終わり、腕を伸ばす翔吾。その姿を見た男性の先生が注意して翔吾が慌てて手を引っ込める。みんながゾロゾロと教室に戻っていく。私も教室に戻ろうとすると加藤先生に捕まった。

 

「すみません桜さん、校長室に行ってもらいますか?」

 

「?何で?」

 

「あなたのお兄さんの事でお話があるとのことで」

 

「ん、分かった」

 

加藤先生に言われたので仕方ない。私は教室から校長室へ向かう。講堂から職員室を通り、校長室の前に立つ。

 

「失礼します」

 

「どうぞ。突然すみません」

 

「ん、大丈夫」

 

校長先生に案内されて、ソファに座る。校長先生も対面のソファに座る。

 

「まずは遊輝さんが見つかってホッとしました。無事とは言えない状況なのは聞いていますが、命あってのものです」

 

「ん」

 

「さすがにこれだけの事をしましたから遊輝さんや軽音部の皆さんには暫く大人しくしてもらうように一言添えておきました。そこは桜さんもお願いします。マスコミに聞かれても答えないようにお願いします」

 

「分かってる」

 

「それと申し訳ありませんが遊輝さんの状況を教えてくれませんか?セキュリティからは復学しても暫く車椅子登校だと」

 

「・・・・お兄ちゃん、両足を銃で撃たれた。でも命に別状はない。ただ、治療に失敗したら足が切断って」

 

「なるほど・・・すみません、余計な事を聞きました」

 

「ん、大丈夫」

 

「それで桜さんは今どこに?」

 

「お姉ちゃんの家」

 

「お姉さん?」

 

「あっ、茜の家」

 

「栗城さんですか・・・分かりました。では遊輝君への連絡事項などは金曜日にまとめて渡しますので」

 

「ん、分かった」

 

「ではこれで大丈夫です」

 

校長先生との話を終えて、私はソファから立ち上がり、ドアの前に立つ。

 

「失礼しました」

 

しっかりと一礼をしてから校長室から出た。

 

「・・・・・ふぅ、何事も問題なく終われば宜しいですが、今回ばかりは肝を冷やしましたね。これで全て終わり・・・・なんでしょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

校長室から出て、自分の教室に戻る。扉を開くと、ホームルーム中で喋っている加藤先生がいた。

 

「あっ、桜さん、終わりましたか?」

 

「ん、大丈夫」

 

「では桜さんも宿題の提出お願いします」

 

「ん、ちょっと待って」

 

加藤先生に言われて自分の机に戻り、鞄の中を見る。冬休みの宿題は・・・・・

 

「・・・あった、はい」

 

「はい、確かに。これで全員分ね。じゃあ次に連絡事項よ。明日から授業が始まるからちゃんとお弁当とか持って来てね」

 

「・・・・お弁当」

 

「それじゃ今日は解散」

 

ホームルームが終わり、クラスのみんなが立ち上がる。「終わった」とか「どこ寄って帰る」など、色々な声が聞こえてくる。隣に座っている氷川さんも荷物をまとめて鞄を背負い立ち上がる。

 

「桜さん、今日はどうしますか?」

 

「・・・・お弁当、どうしよう」

 

「お弁当?」

 

「私・・・・・普段お兄ちゃんに任せっぱなし、料理は出来るけど・・・・」

 

「?食堂を使った事が無いのですか?」

 

「食堂?」

 

「多分桜さん、食堂に行った事ないですよ」

 

氷川さんと話していると恭輔と祈がやって来て私のフォローをしてくれた。食堂があるなんて知らなかった。

 

「さ、桜さん、普段はお弁当ですし、遊輝さんからお金を貰ってないので」

 

「あっ・・・ごめんなさい」

 

「ん、でも明日からお弁当どうしよう」

 

「アリアさんは?料理は出来ますよ?」

 

「お姉ちゃん、暫く忙しくなるからそんな事してる余裕ないと思う。もうすぐ関西コレクションって言っていたし」

 

「あっ・・・・私もすみれさんの所に行かないと。すみません、先抜けます」

 

お兄ちゃんの事件で忘れていたけど、お姉ちゃん達は3月に大きなイベントがあって、今そのイベントに向けて忙しいみたい。祈も思い出したみたい。

 

「弱りましたね・・・・・僕もお弁当は一人分が限度ですし。桜さん今お金は?」

 

「ない。お兄ちゃんから欲しい時に貰っていたから」

 

「う〜ん・・・・・でもアリアさんぐらいしかお金を貸してもらえる相手はいないでしょ。そのくらいのお金なら後で師匠も払いますでしょうし」

 

「ん、お姉ちゃんに相談する」

 

「桜さん、この後は?」

 

「職員室に行ってお兄ちゃんの手紙をもらって来る。お兄ちゃんの所に行って一応、渡しておく」

 

「じゃあ僕も行きますよ。一人より安全でしょ」

 

「助かる」

 

結局、恭輔と一緒に職員室に向かうことにした。職員室に入り、お兄ちゃんの担任の先生から書類を受け取り、病院へと向かう。

 

「アカデミアも賑やか」

 

「確かにそうですね。今日からまた普通の生活が始まりますから」

 

「・・・・・そう、普通の生活が戻る」

 

「おい、ちょっと待てもらおうか」

 

職員室から出てしばらく歩いたところで後ろから男の声が聞こえて来た。そっちの方に振り向くと男子生徒一人がこっちを見ていた。

 

「・・・・・普通の生活が戻らない」

 

「ア、アハハ・・・・(汗)」

 

「お前だろ?あのSECRETのギターの妹ってやつ」

 

「・・・・そうだけど」

 

「お前の兄ちゃんちょっと調子乗っているんじゃないか?ニュースに乗ってちょっとした怪我で入院だなんて貧相な身体をしてな」

 

「ちょ、ちょっと・・・・」

 

「良い恭輔、相手にするだけ無駄」

 

「そうは問屋が卸さないんだよな〜」

 

かかとを返して相手を無視、お兄ちゃんの病院に向かおうとしたけど男子生徒はこっちの右肩を掴む。

 

「・・・・・何、何がしたいの?」

 

「お前を連れてちょっと兄ちゃんの所に挨拶に行こうかと、たんまり金があるんだろ?」

 

「別に良いけどお兄ちゃんには会えないよ。面会謝絶だから」

 

「ああ?だったら何で手紙やプリントを渡しに行くんだよ。本当は会えるんだろ?」

 

「無駄、手紙を関係者に渡すだけ」

 

「んな連れないこと言わねぇでさ。最近小遣いがなくてピンチなんだよ」

 

「アルバイトでもすればいいじゃない」

 

「桜さん、中等部はアルバイトしちゃダメですよ・・・・・」

 

「私の周りはやってる」

 

「つべこべ言わずに連れて行けよ!!」

 

「うるさい。追い返す」

 

いい加減鬱陶しいので私は肩にかけられた手を振り払い、デュエルディスクを起動させる。

 

「へへ・・・・ならやってやるよ」

 

男もデュエルディスクを起動して対峙する。

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

桜  LP 4000 男子生徒 LP 4000

 

「先行は私、魔法カード、増援。デッキからLv4以下の戦士属モンスターを手札に加える。閃刀姫ーレイを加える。さらに魔法カード、テラ・フォーミング。デッキからフィールド魔法、魔鐘洞を手札に加えて、魔法カード、成金ゴブリン。デッキから1枚ドローして、相手はライフを1000ポイント回復する」

 

男子生徒 LP 4000→5000

 

「魔法カード、閃刀起動ーエンゲージ。デッキから『閃刀』カードを加え、墓地に魔法カードが3枚以上ある場合、1枚ドローする。閃刀機関ーマルチロールを加えて1枚ドロー」

 

桜 手札  4枚→6枚

 

「永続魔法、閃刀機関マルチロールを発動。閃刀姫ーレイを召喚」

 

閃刀姫ーレイ 攻1500

 

「現れて、未来へ続くサーキット」

 

私のフィールドに現れた閃刀姫ーレイが上空に現れたリンクマーカーの中に飛び込む。

 

「アローヘッド確認、召喚条件は炎属性以外の『閃刀姫』モンスター1体。私は閃刀姫ーレイをリンクマーカーにセット、フォームチェンジ、リンク召喚、閃刀姫ーカガリ」

 

閃刀姫ーカガリ 攻1500 ↖︎

 

「閃刀姫ーカガリの効果。特殊召喚成功時、墓地から『閃刀』魔法カードを手札に戻す。閃刀機関ーエンゲージを加えて、発動。閃刀機ーウィドアンカーを手札に加えて、1枚ドロー」

 

桜 手札 4枚→6枚

 

「さらに閃刀姫ーカガリをリンクマーカーににセット。フォームチェンジ、閃刀姫ーシズク」

 

閃刀姫ーシズク 攻1500 ↗︎

 

「カードを3枚伏せてエンドフェイズ時、閃刀機関ーマルチロールの効果。このターン、発動した『閃刀』魔法カードの数だけ、墓地の閃刀魔法カードをセットする。閃刀起動ーエンゲージをセット。閃刀姫ーシズクの効果、特殊召喚したターンのエンドフェイズ、墓地に存在しない『閃刀』魔法カードを手札に加える。閃刀術式ージャミングウェーブを手札に加えて終了」

 

 

桜 手札  4枚 LP 4000 墓地魔法2

 

▲△▲▲▲ ー

ーーーーー

○ ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

男子生徒 手札  5枚  LP 5000

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

男子生徒 手札  6枚

 

「フィールド魔法、Kozmoーエメラルドポリスを発動!効果!手札の『Kozmo』モンスターを任意の枚数戻して、戻した枚数分、ドローする!手札のフォルミートとランドウォーカーを戻して2枚ドロー!Kozmoーダーク・ローズを召喚!」

 

Kozmoーダーク・ローズ 攻1900→1700

 

「バトルフェイズ!Kozmoーダーク・ローズで閃刀姫ーシズクを攻撃!」

 

Kozmoーダークローズ 攻1700

閃刀姫ーシズク 攻1500

 

桜 LP 4000→3800

 

「墓地の閃刀姫ーレイの効果。自分フィールドの『閃刀姫』リンクモンスターがフィールドから離れた場合、墓地から特殊召喚する」

 

「関係ねぇ!ダークローズの効果!このカードをゲームから除外して、手札からLv5以上の『Kozmo』モンスターを特殊召喚する!Kozmoーダークシミターを特殊召喚!」

 

 Kozmoーダークシミター 攻3000

 

Kozmoーダークローズがゲームから除外され、巨大戦艦をイメージするKozmoーダークシミターがフィールドに特殊召喚される。

 

「ダークシミターの効果!特殊召喚に成功した場合、相手フィールドのモンスター1体を破壊する!」

 

「閃刀姫ーレイの効果。このカードをリリースしてEXデッキから『閃刀姫』リンクモンスターを特殊召喚する。フォームチェンジ、閃刀姫ーカイナ」

 

閃刀姫ーカイナ 攻1500 ↘︎

 

「閃刀姫ーカイナの効果発動。特殊召喚成功時、相手フィールドのモンスター1体を対象にとり、次の相手ターン終了時まで攻撃できない。対象はKozmoーダークシミター」

 

閃刀姫ーレイをリリースして特殊召喚した閃刀姫ーカイナは自身の銃をKozmoーダークシミターに照準を合わせる。銃を放ち、そこから網が放たれて、Kozmoーダークシミターの動きをとらえる。

 

「チッ!メインフェイズ2、カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

桜 手札  4枚 LP 4000 墓地魔法2

 

▲△▲▲▲ ー

ーーーーー

○ ー

ーーー○ー

ーー▲ーー ▽

 

男子生徒 手札  2枚  LP 5000

 

 

「私のターン、ドロー」

 

桜  手札  5枚

 

「閃刀機関ーマルチロールの効果。このカード以外の自分フィールドのカード1枚を墓地に送り、このターン、私が発動する魔法カードに対して相手は魔法・罠・モンスター効果を発動できない。対象はこの伏せカード」

 

閃刀機関ーマルチロールの効果で私はいらない伏せカード1枚を墓地に送る。

 

「リバースカードオープン。閃刀起動ーエンゲージ、デッキから閃刀機ーホーネットビットを加えて1枚ドロー」

 

桜 手札 6枚→7枚

 

「閃刀機関ーマルチロールの効果でセットしたカードはフィールドから離れた場合、ゲームから除外される。リバースカードオープン、速攻魔法、閃刀機ーウィドアンカー。Kozmoーダークシミターを対象にとり、そのモンスターの効果を無効、墓地に魔法カードが3枚以上ある場合、そのモンスターのコントロールをエンドフェイズまで奪う」

 

「チッ!ならチェーン『ビー!ビー!』なっ!?」

 

「閃刀機関ーマルチロールの効果でこのターン、相手は私の魔法カードに対してカード効果を発動できない」

 

「!?」

 

「それにチェーンで手札から速攻魔法、閃刀機ーホーネットビットを発動。閃刀姫トークンを、墓地に魔法カードが3枚以上あるため攻撃力1500にして特殊召喚」

 

 閃刀姫トークン 攻1500

 

「Kozmoーダークシミターのコントロールを奪う」

 

閃刀起ーウィドアンカーを発動、ダークシミターに向かって発射され、ダークシミターがアンカーにぐるぐる巻きとなり、私の場に引きずられた。

 

「なっ・・・・」

 

「バトル、全てのモンスターでダイレクトアタック」

 

男子生徒 LP 5000→0

 

 

 WIN 桜  LOS 男子生徒

 

 

「うっ・・・・ぐっ・・・・」

 

「終わった、さっさと消えて」

 

「くそ!!覚えてろ!!」

 

雑魚の悪役みたいな台詞を吐いて男子生徒は走って逃げていく。ものすごく格好悪い。

 

「全く・・・・無駄に労力を使った」

 

「何でしたのかね、あれ・・・・」

 

「もういい、さっさと行こう。お兄ちゃんにプリント渡さないと」

 

「そうですね」

 

もうあいつの事は忘れて病院に行くと恭輔に言い、玄関を目指す。

 

「(・・・・もう私に付き纏う奴はいなくなった。これからは普通の日常が送れる)」

 

 




桜「・・・・なんなったのあいつ」

恭輔「カツアゲでしょ」

桜「親にすねかじればいいのに」

恭輔「変なプライドが邪魔しているんじゃないですか?」

桜「知らない」

恭輔「次回、『リハビリ』。よろしくお願いします」


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第59話 リハビリ

ネタが思いつきません。
2章のストーリーはある程度浮かんでますがそれに繋がる布石をここら辺でやらないといけないので


 遊輝  side

 

「少し足を動かしますよ」

 

「はい」

 

先生が俺の右足を持って非常にゆっくりと上げていく。まだ感覚は何も感じない。

 

「どうですか?」

 

「感覚はないですね」

 

「ではゆっくり戻します。次は左足をあげますね」

 

上げられた右足がゆっくりと下されて次は左足が上げれられる。

あの絶望的な怪我から2週間近く、俺の足の細胞は正常値まで回復して医者から次の段階に進んでも良いという許可を得た。つまりリハビリ段階まで回復ができた。

 

「次は刺激が強いですよ。少し脚と太もものツボを押しますよ」

 

医者が俺の右足の太もも部分を強く押す。その瞬間、右足に激しい痛みが走る。思わぬ痛みに顔を顰めてしまう。

 

「ぐっ・・・・うっ・・・・・」

 

「ここはどうですか?」

 

「っつぅ・・・感覚は、あります」

 

「痛みが大きいですね。まだ歩く練習は先の方がよろしいでしょう」

 

「ハァ・・・ハァ・・・・」

 

「軽いマッサージをしておきましょう。今日のリハビリはこれで終わりです」

 

「あ、ありがとうございます」

 

ベッドの上で仰向けで寝転がっている俺の足をリハビリの先生がゆっくりとツボの刺激があるように押す。痛みが激しく感じるところと何も感じないところ、この2つしか今の俺には感じない。

 

「しかし君の体は本当に凄いね。あの怪我で足切断の状態からここまで回復するとは」

 

「回復力が俺の強みですから。とは言っても今回は本気で危なかったです・・・・正直、足の切断も致し方ないと思ってました」

 

「非常に悪いけど、あの状態生きているだけ奇跡だから足の犠牲は仕方ないと思ったよ」

 

「とは言え・・・・・回復するのには時間がかかりそうですね」

 

「下手したら1年をかけての治療だね。最も、君の精神力次第だが」

 

1年か・・・・・悪いけどそんなには待ってられない。少しでも早く回復して元気に走り回りたい。ライブの事もあるし、桜の面倒を見なくちゃならん。

 

「はい、お疲れ様。今日はこれまで」

 

「ありがとうございましす」

 

「絶対に無茶しないでよ。能力の使用も禁じられているんだからこっそり使わないでよ」

 

「・・・・・膳所します」

 

医者に釘を刺されてしまった・・・・俺の考えってそんなに読まれやすいのかな?医者から看護師に変わり、ベッドの上から車椅子に移動、そのまま看護師に車椅子を押してもらって病室へ向かう。

 

「遊輝さん、お手洗いは大丈夫ですか?」

 

「大丈夫です・・・・あっ、ちょっと売店寄ってもらいますか?飲み物を買いに行きたいです」

 

「分かりました」

 

看護師さんにお願いしてリハビリ室からほど近い売店に向かってもらう。中に入ってお茶のペットボトルと数点のお菓子を買ってレジでお金を払う。そのまま売店を出て、エレベーターに乗り、病室へ着く。

 

「それではベッドに移りますよ〜。1・2・3」

 

看護師さんの首に両手を回して、ベッドに乗せてもらう。動けない足がベッドに乗せらせて布団が乗せられる。

 

「それじゃ、何かあったらナースコール押してね」

 

車椅子が畳まれて看護師さんは病室から出る。俺はベッドから起き上がり、棚の中に入れているデッキケースを取り出す。

 

「暇だな・・・・」

 

『良い事じゃないですか。危険な橋を渡ってきたのですからしばらく休んでください』

 

「分かってるんだけどさ・・・・ここ3年近くずっと忙しかったから、慣れなくて」

 

デッキケースからカードを1枚取り出し、そのカードに向かって話しかける。俺の隣に精霊状態のダイヤが現れて、話し相手になってくれた。

 

『その3年間の内容が濃すぎる気がします。たまには立ち止まってゆっくりするのも良いでしょう』

 

「・・・・レミにずっと言っていた言葉だったけど、俺もそういうのが染みついちゃったのか」

 

『だと思います。まともに休んだ日なんてあまり無いですよね』

 

「まぁ・・・・年に片手で数えられるくらい」

 

『この機会です。一度立ち止まって色々と考えてみたらどうですか?』

 

「う〜ん・・・・・考えると頭に歌詞の事しか出てこないんだよな」

 

ウィ〜ン

 

「は〜い遊輝ちゃん。久しぶりね」

 

病室の扉が開く。アリアが果物を持って部屋に入ってきた。

 

「アリアか。お前、仕事は?」

 

「今日の分は片付けたわよ。すみれさんとかは忙しいけど私は服を作るのが仕事だからね。この時期はむしろ暇な方よ」

 

「そうか。そう言えば春にファッションショーとか言ってたな」

 

「遊輝ちゃんが参加できなくて残念ってすみれさんが言っていたわ」

 

「・・・・・・行かなくて良かったよ」

 

「・・・・・・あれからもうすぐ3年か」

 

「ん?」

 

「私たちが初めて出会って、もうすぐでしょ」

 

「・・・・あぁ、そうか。もうそんな経つのか」

 

アリアが窓を眺めながらまだ蕾の桜の木を見つめる。

 

「初めて会った時はこんな事になるなんて思いもしなかったわ。私は運命に背負った道しか未来はないと本気で思っていた」

 

「あんな事あったんだ。誰だってそう思う、俺がお前と同じ立場だったら俺もお前と同じ運命を辿っていたかもな」

 

「あんな敵同士だったのに、冷たい私の心を温めてくれたのは遊輝ちゃんただ一人だけだったから」

 

「・・・・・・・・・」

 

出会った当初のアリアは今でも覚えている。美しい女性だとは感じた。だけど、冷たい表情をしてまさに氷の女王みたいな感じだった。

 

「今思い出せばあの時は何やっても楽しくなかったわ。思い通りに動いたけど、心が躍ることは全く無かったわ。遊輝ちゃんの日常を見た時、羨ましいと思った」

 

「・・・・・・・・・」

 

「だから無理矢理でも遊輝ちゃんの気を引こうとしたわ。私の心を暖めてくれる唯一の人だったから」

 

「・・・・・その割にはやり方が強引だったな」

 

「でも遊輝ちゃんはついてきてくれた。私は本当にそれが嬉しかったわ。今回の事件はね、私は借りを一つ返したと思っているよ。遊輝ちゃんを見つけ出して、遊輝ちゃんが間違った道に歩まなかった事に、私は全力を尽くしたから」

 

「・・・・・そうだな。今回は本当にお前と桜に救われた。後一歩で俺は間違いなく殺していた」

 

あの時、本当に心は無になって頭の中にはあのクソ社長を殺すことしか考えていなかった。自分の娘をあんな状況にまで追い込んだのに、人のことを道具としか考えていなかったアイツのことが物凄く憎かった。

 

「気持ちは分かるけどね・・・・あんな状況で怒らない方がおかしいわ。だけどね、憎しみや妬みで殺すのはやっぱりダメよ。それはもう人じゃない、ただの木偶の坊に成り下がる。私が言える義理じゃないけど」

 

「・・・・そうだな」

 

「あぁ、思い出した。桜ちゃんの情報、見つかったって狭霧さんが言っていたわ。会社の家宅捜索で」

 

「そうか・・・・・」

 

「それを元に桜ちゃんの戸籍を改めて正式に作り直すって言っていたわ。今度は出身地も誕生日もしっかりと載せられるわ」

 

「それは良かった。俺たちみたいな存在はいないほうが良いからな」

 

アリアとの会話を終えて俺はまた窓の方を見る。去年から桜の木を見る機会が多くなった気がする。

 

「また桜の咲く季節ね。もうすぐ1年か」

 

「そうだな。俺もさっき同じことを考えた。本当に1年が早く感じる」

 

「私も時の流れを早く感じるわ。歳をとると早く感じるってこういう時嫌になるわ」

 

「全くだな」

 

「で、どう?足の調子は?」

 

「全然、痛いか痛くないかのどっちかしか感覚がない」

 

「あの状態から感覚が戻っただけマシでしょ」

 

「それはそうだな」

 

「とりあえず大人しく療養してくれてほしいわ。今年は何もなければ良いけど、トラブルメーカーの遊輝ちゃんは何か起こすからね」

 

「おいこら、どう言うことだ」

 

「・・・・・・・良からぬ噂が流れているのよ」

 

「なにっ?」

 

アリアが急に真剣な顔をして俺にそう言ってきた。俺は何かしらの異変を感じた。

 

「昨日ね、イェーガー長官から電話があったのよ」

 

「イェーガーが?」

 

「えぇ、軽音部のみんなにも伝えていたって言っていたわ。もうすぐ2回目のWRGPの開催が発表されるって」

 

「・・・・そうか、来年で3年目か」

 

アリアの言葉を聞いて俺は天井を見つめる。第1回WRGP・・・・・あのアーククレイドル事件から1年半が経った。来年で2回目の開催か。

 

「イェーガー長官からは参加するかって言う話だったけど、全員断ったって言ったわ。遊輝ちゃんの怪我の状態もあるし、全員、これからは音楽活動に舵を取りたいって」

 

「・・・・まぁそうだな」

 

「でもね、これはイェーガー長官も考えていた事らしいわ。問題はここからよ」

 

「・・・・・・・」

 

「ある程度察しは付いていると思うけど、世間に発表する前に大きな企業向けにWRGP開催の趣旨は伝えているみたい、スポンサーを募るためにね」

 

「それは普通だが、そこのどこが良からぬ噂だ」

 

「・・・・どうもね、遊輝ちゃんをスカウトしたいチームや企業が沢山いるみたいなの」

 

「・・・・・・・」

 

「第1回大会優勝チームのSECRET、準優勝チームの5D'sは大会不参加・・・・そうなると何が起こるかと、争奪戦が起こるのよ。だけど準優勝チームの5D'sは表面上、争奪戦が起こらないはずよ」

 

「・・・・そうだな。ジャックはライト・リーグのプロデュエリスト、クロウもプロチームだし、遊星さんは市直轄の研究者、上にイェーガー長官がいるからチーム参加は絶対に無理だろうな」

 

「そうなると目をつけられるのは優勝チームのメンバー、その中でもリーダーとしてチームを引っ張り優勝に導き、さらにエクシーズ、ペンデュラム、リンクの先駆者である遊輝ちゃんは何処のチームも喉から手が出るくらい欲しいのよ」

 

「・・・・・・・・・」

 

「正直、戦力として見ているチームもいるでしょう。世間の公表は足の怪我としか言っていないから半年もすれば復帰できると思っている輩がほとんど、たとえ選手として参加できなくてもヘッドコーチとして参戦すればチームの戦略アップ、上手くいけば海馬コーポレーションとの繋がりで新カードの入手も容易でしょうね」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「イェーガー長官もそこが悩みの種だと言っていたわ。いくら市長とは言え一個人に介入することは難しいって」

 

「それくらいなら俺が全部断れば良いだろ」

 

「それくらいなら、ね・・・・・この前の事件、あの社長が余計な置き土産を置いて行ったらしいわ」

 

「何だ?」

 

「・・・・遊輝ちゃんの個人情報、接待会社に流したって取り調べで言っているらしいわ、あの社長」

 

「・・・・チッ」

 

「・・・・・・一番ヤバい転生者の情報だけは漏れなかったみたい。だけどシークレットシグナーや遊星さんたちのシグナーの情報は渡ったみたいよ。おかげでイェーガー長官も何をしてくるか分からないって」

 

「・・・・・・・・」

 

「とりあえずセキュリティがガードを固めてくれるみたい。だけど裏で何されるかまでは追いつけないって言っていたわ」

 

「・・・・なるほどな、そりゃ厄介ごとになりそうだな。大人の利権もかなり汚いから、裏でどれだけお金が動くやら」

 

アリアの話を聞き終えた俺はゴロンとベッドの上に転がった。正直、こんな目にあったのであんまり関わりたくない話だけど、絶対に何かしら動きがあるだろうな。

 

「開催発表は3月1日、スポンサーの支援自体は8割型終わって、チームの選抜も始まっているとのこと、数日したら遊輝ちゃんにも挨拶回りが始まるでしょうね」

 

「全く・・・・入院中何だから静かにしてくれよな」

 

「本当、その通りね。さっきも言ったけど、セキュリティ、特に牛尾さんと狭霧さんが追い返すようにしてくれるけど、やっぱりある程度の面会はしないと行けなくなるみたい。よっぽどのことがなければ面会謝絶出来ない」

 

「嫌になるぜ・・・・」

 

「・・・・入院中は可能な限り私や他の人たちも一緒にいるわ。退院した後も、でも私たちも必ず遊輝ちゃんを守れるわけじゃないわ」

 

「無茶しなくていいぞ。下手なことして捕まるのだけがもう勘弁だからな」

 

「・・・・・・・少しは私たちを頼ってもいいんだよ。遊輝ちゃんって冷静そうに見えてなんだかんだ一人で突っ走って抱え込んでしまうタイプ何だから」

 

「痛いところつかれるな・・・・昔からそうだったからな、もう・・・・治らん」

 

「そっちを治してもらった方が良さそうじゃ無い」

 

「出来るんならやってるさ。俺はな・・・皆と一緒に笑っていたい、今はそれだけさ」

 

「・・・・・・・・」

 

 ガラガラ〜

 

「遊輝!!!お願い!!!宿題教えて!!」

 

「おい馬鹿!病院の中で騒ぐな!!」

 

「響!」

 

病室の扉が開いて響が大声で叫ぶ。慌てて俺と、同じく病室に入った奏が響を注意する。

 

「お願い!この宿題出来なかったら明日補習だよ!」

 

「知るか!自分でやれ!第一それ冬休みの宿題じゃねぇか!」

 

「響がサボったからよ。とりあえず落ち着きなさい」

 

「・・・・・遊輝ちゃんの周りはいつも賑やかね」

 

「・・・あぁ、この日常が続いたらいいんだ」

 

響と奏の言い争いを見て俺はアリアにそう答えた。




遊輝「騒がしかった・・・」

アリア「結局補習だって」

遊輝「宿題サボるからだろ。ってかあいつ、何してたんだよ冬休みの後半、暇だっただろ?」

アリア「遊びまくってたんじゃ無いの?」

遊輝「割とありえるな・・・・」

アリア「って言うわけで次回、『天体観測』。次回もよろしく」


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第60話 天体観測

2ヶ月ぶりの投稿・・・正直、早いところ2章に行きたいのですが、多分あと1話か2話くらいは書かないと繋がらないからもう少しお待ち下さい。


桜 side

 

 

「天体観測〜?こんな寒い時期に?」

 

「そうよ。追加でお金払った人達を対象にした校外学習みたいな物なんだけど」

 

レミから渡されたプリントを見る俺、その横で桜がそわそわしていた。

今日も足の治療及びリハビリを終えて病室に戻ったところにレミと桜の2人がいて、桜が俺にプリントを渡してきた。内容は1泊2日の天体観測ツアーで近くの山に登り、そこから流星群を見ようと言うことだ。親同伴で50組100名の限定らしい。

 

「ふ〜ん・・・・で、桜はこれに行きたいと?」

 

「(コクコク)」

 

「それは構わないし行ってきても良いんだが、親って誰が行くんだよ?」

 

「・・・・・お兄ちゃん」

 

「俺!?まさかの俺!?アリアじゃねぇの!?」

 

「どうしても遊輝と行きたいって」

 

「いやいやいや!!!俺、義理の兄であって親じゃないぞ!?しかもまだ入院中だし!!」

 

「入院のアレくらい一時退院手続き取れば良いでしょ。それと親の問題は大丈夫だよ、あんたが親じゃない」

 

「いやいやいやいや!?!?簡単にいうなよ!?」

 

「校長に言ったらOK出たよ」

 

「こ、校長・・・・・」

 

「私たち、校長に頭上がらないからね」

 

レミから校長という言葉を聞いて俺は頭を抱えた。あの人、融通効きすぎる。なんで車椅子で入院中の義理の兄を親扱いにするんだよ。

 

「桜ちゃん、ちょっとジュースを買ってきてくれる?お釣りは桜ちゃんに上げるから」

 

「分かった」

 

レミは桜に1000円札一枚を渡す。桜はレミからお金を取り、病室から出ていく。

 

「まぁ良いんじゃない?気分転換になるでしょ。ここ最近嫌な日々を送ってきたんでしょ?逃げ出して泡吹かせたら良いじゃない」

 

「・・・・・・・・そうもそうか」

 

レミが机の上に置いている一枚の紙を手に取りそれを読む。一枚だけじゃない。机の上に散らかるようにある大量の紙と横のタンスには袋包のものがたくさん。これ全部、プロRDデュエルチームか大手企業の契約書だ。

 

「物好きね〜、みんな断るって分かっているのにどうしてもあんたをスカウトしたいわけでしょ?」

 

「ああ・・・・脚が動かないって言ってるし、医者からもライディングデュエルは支障が出るって説明しているのにスカウトしてくる。『選手がダメでもヘッドコーチで入ってくれ』って言い出す始末だし」

 

はぁ〜とため息をついて俺は机の書類を纏めだす。先週、アリアから聞いてきた通り、月曜日から色んなプロチームや大企業が俺の所にお見舞いと言う名のスカウト巡業が始まった。こっちには牛尾さんがボディガードで、俺の担当医である渡辺さんが主治医として参加してくれた。

 

渡辺さんの見解は『足の完治は見込まれますが、そこからリハビリの期間を入れてWRGPには間に合いません。そして、脚は完治しても非常に脆くなり、長時間マニュアルモードでやるライディングデュエルは医者として絶対に認められない。事故なんて起こしたら今度こそ命に関わる』とのこと。これに関してはどうやら真面目なようで、本来ならDホイールの運転も辞めるべきだと言われた。

 

だが、向こうはそうは行かない。世間的にはただの足の怪我の入院としか言っていない。せいぜい骨折だと思われていたのにそんな大怪我なんて知る由もない。

 

「足の怪我は嘘だでっち上げだと言う始末だよ。まぁこれくらいは少し予想できた。問題はそこからだよ・・・・・シークレットシグナーや海馬コーポレーションの繋がりを出してくる輩もやってくる」

 

「・・・・・・・・」

 

「予想していたけど、しつこかった。牛尾さんが居なかったら脅しでサインさせられそうになるし」

 

「・・・・・あんたも大変そうね」

 

「・・・何かあったのか?」

 

パイプ椅子に座ったレミが今度は大きなため息をつく。顔に顎を当てて沈んだ顔をしている。

 

「どうした?」

 

「色んなところから楽曲提供やソロデビューの声が上がっているのよ」

 

「何?」

 

「と言ってもほとんど私や奏だけ、それも明らかに金稼ぎしか考えてない奴らばかり。私たちがバンド活動を休止してすぐに来たってお父さんから話されたわ。奏はソロデビュー、私は楽曲提供からバックバンド、バックバンドはスバルや響にもきたね」

 

「・・・・バンド活動はレビューしてまだ1年目だぞ。確かにアマチュアの活動は長かったけど、そんな事を声に出すか?」

 

「何度も言うけどあいつらは私たちを金蔓としか見ていない。私たちが休んだ理由も分かろうとしない奴らばかりよ。まっ、全部断ってやって頭を撃ち抜いてやったわ」

 

「・・・・・・物騒な事を言うなよ」

 

「お待たせ」

 

桜が缶ジュースを買って戻ってきた。病室の横にあるタンスの上に缶ジュースを3本を置く。桜はその中から1本を手に取って缶タブを開ける。

 

「それで、天体観測行くの?」

 

「まぁ・・・医者の許可が降りたらってところだな。流石に一人で判断できん」

 

「ん、分かった。これ申し込み書類」

 

桜からもう一枚別の紙を渡される。俺はそれをざっくりと見てお金や止まる施設、予定表を確認する。

 

次の日、主治医から一時的な外出許可を取り、桜と一緒に天体観測をすることが決まった。

 

 

〜〜(数日後)〜〜

 

 

「うぅ・・・・山はやっぱ冷え込むな」

 

「お兄ちゃん、温かいお茶」

 

「ありがとう」

 

天体観測当日、俺はすみれさんに車を乗せてもらい、アカデミアまで直行、そこで待ち合わせた桜と他の生徒達と一緒に目的地の山までバスで移動した。既に晩ご飯を食べ終えて、流星群が来るのを待っている。他のみんなはロフトから山頂に向かって歩いて行ったが、車椅子の俺はそれが難しいため、付き添いの先生と桜と一緒にロフト近くから流星群を見る。

 

「・・・・おっ、始まったようだな」

 

現在時刻深夜0時、予測通り流星群が始まった。大きな光を発した星が一つ流れ星のように流れ、そこから少しずつ星が増えてくる。

 

「・・・・綺麗」

 

「あぁ、俺も実際に見たのは初めてだ」

 

夜空に流れる流星群、こうやって見るのは初めてだが本当に綺麗だ。一度、プラネタリウムや動画で見たが、生で見ると迫力と美しさが断然に違う。

 

「それにしても何でまた流星群なんか見に行きたいって言ったんだ?」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「桜?」

 

俺の後ろで車椅子を操作してくれた桜に声を変えるが返事がしない。右に振り向くと既に桜は地面に座って星空を眺めていた。

 

「(桜も集中するんだな〜・・・・)」

 

「・・・・・お兄ちゃん」

 

「何だ?」

 

「・・・・色々ありがとう。私のことを見てくれて」

 

星空をずっと見上げ突然そんなことを言い出す桜。俺はポカンとしてしまう。

 

「・・・・何言い出すんだお前?」

 

「お兄ちゃんが居てくれたから私・・・今があるって」

 

「・・・・・・・」

 

「正直、この1年はすごく濃かった。前の人生の記憶が無くなったせいかもしれない。だけど、私はこの1年で色んなことを学べた」

 

「・・・・・・・・」

 

「私には感情なんて無かった。1年を通して喜怒哀楽を学んだ。楽しかったことも悲しかったことも色々とあった。だけど、そばにはいつもお兄ちゃん達がいてくれた」

 

「・・・まぁ、最初はそれが義務だったからな」

 

「そのおかげで私は感情を知った。泣くことの大切さも笑うことの大切さも知った。今の人生の方がずっと楽しい。私の記憶は戻っていないけど、このままでいいと思っている」

 

「・・・・・・・」

 

「だけど、いずれ向き合わなくてはいけない時もあると思う。今は私の過去のことは知ろうとは思わない。だけど、いつかは・・・・・」

 

「・・・そうだな」

 

「・・・お兄ちゃんは?」

 

「ん?」

 

「お兄ちゃんの過去は?あの時、飛べたことも含めて、お兄ちゃんの過去を私は知らない」

 

「・・・・・そうだな。あの時、約束したもんな。ここに来いよ。地べたじゃ寒いだろ」

 

「でもお兄ちゃん、足の上」

 

「痛くなったら立ち上がってもらう。まだ感覚はないから少しくらい平気だ」

 

星空を眺めながら桜は今の思いを言ってくれた。そして桜は俺の過去のことを知りたいと言ってきた。あの時、話すと約束して、暴走しかけた俺を止めてくれたんだ。義理の兄として、伝えなくちゃいけない時がした。桜は俺の膝の上に座る。

 

「・・・・さて、今から話すことはおとぎ話に聴こえるかもしれない。だが、これは俺、そしてアリアも実際に経験したことだ。言いたいことはあるだろうがとりあえず聞いてくれ」

 

「・・・・分かった」

 

「まずは・・・・桜、ライトノベルとかで異世界転生物って見たことあるか?」

 

「・・・・ある」

 

「簡潔に言ったら俺とアリアはその転生組だ。俺は事故で死んで、アリアは病気で死に、この世界に転生した」

 

「・・・・・・・」

 

「俺とアリアは前世での面識は何一つない。だが、何の因果関係か同じ世界に生きていた。とは言え、前の世界での世界人口は70億人、この中でアリア一人を探すのは難しいだろう」

 

「・・・・・そうだね」

 

「アリアが転生した話はアリア本人から聞いてくれ。今回は俺の話だ。俺はこの世界に転生して、龍亞と龍可の双子の兄弟に拾われた。夏休みにあったあの双子だ」

 

「・・・・ん」

 

「俺は目が覚めたとき、頭が混乱した。全く知らない場所で目が覚めた。だけど、俺はその双子を知っていた」

 

「・・・・何で?」

 

「・・・この世界は俺が前の世界にアニメとして存在していた。この世界は俺から言うとアニメの世界で、双子は登場人物だった」

 

「・・・・・・・」

 

「どうしようか悩んでいたら、神様の悪戯でな、その時に大量の荷物が来て俺の身分がバレてしまった。だけど、あの二人は俺を受け入れてくれた。二人の親も優しくて俺のことを養子として受け入れてくれたよ」

 

「・・・・そうなんだ」

 

「あとはそうだな・・・・色んなことがあった。アニメで見た通りのストーリーもあったら俺の知らないストーリーもな・・・・」

 

「・・・・・・・」

 

「だけど、そのアニメのストーリーも去年、全部終わった。みんなそれぞれの目標を見つけてこの街を出た。あの双子もな」

 

「・・・お兄ちゃんは何で残ったの?好きな人と一緒にいかなかったの?」

 

「確かに選択肢としてあった。だけど、俺は今バンドグループの一員だ。あいつらの時間とも大切にしたかった。だから龍可には謝った。今は離れ離れになる。だけどいつかは向かいに行くからって」

 

「・・・・そうなんだ」

 

「桜と出会ったのはそれから1ヶ月先だな。そこからまた戦いの日々だよ。まさか原作ストーリーが終わった後すぐに戦う運命になるなんてな・・・・悪い桜、降りてくれ。足がプルプルしてきた」

 

「ん」

 

両足の感覚が少し戻り、痛みが出てきたので桜には立ち上がってもらう。

 

「・・・・お兄ちゃんもお姉ちゃんもいろんな経験をしたんだ」

 

「そうだな。常人では考えられない経験をしてきた。一度死んで、自分たちが知っている世界に転生して、何度も生死をかけた戦いをしてきた。アリアを止めるために戦ったこともあるし、何だったら別世界に飛ばされたこともあった。空を飛べるようになったのもその時の経験だ」

 

「そう・・・」

 

「・・・今のこの状況だ。あのクソ野郎が余計なことをしてくれたせいで・・・・もしかしたらまた大変なことに巻き込まれていくかもしれない」

 

「・・・・ってあげる」

 

「えっ?」

 

「その時は私も一緒について行ってあげる。お兄ちゃんは命を掛けて私を救ってくれた。今度は私の番だから」

 

桜は後ろから俺の肩を掴んでそう言ってきた。俺たちは今も流れ続ける流星群を見て、今後のことを考える。

 

「・・・・・・大変だぞ。牛尾さん曰く、最悪、世界全部を使った逃走劇だぞ」

 

「それでも良い。何の変哲もない日常を送るくらいならお兄ちゃんと一緒にどこまでも行ったほうがずっと楽しい」

 

「・・・・・そうか、分かった。じゃあその時はよろしく頼む」

 

「ん・・・・・・」

 

桜の言葉を聞いて、俺たちはまた流星群を見始める。




遊輝「流星群綺麗だったな」

桜「ん、凄い輝いていた」

遊輝「寒いだなんだ言ったけど、行ってみると案外良いもんだな」

桜「そうだね。でも・・・」

遊輝「でも?」

桜「お腹空いた」

遊輝「・・・・台無しだよ」

桜「次回、『退院、始まりへのスタート』。次回もよろしく」



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第61話 退院 新たなスタート

第2章まで後1話、もうしばらくお待ちください。


遊輝  side

 

「遊輝君、退院おめでとう」

 

「ありがとうございます」

 

病院の総合入口、そこで車椅子に座った俺は主治医を担当してくれた渡辺さんと退院の挨拶をしていた。

 

「しかし本当に君には驚かせるよ・・・・冗談抜きで君の体の構造は論文で発表するべきだと思うけどな」

 

「やめてください渡邊さん」

 

「もちろんしないよ。それに完治ではないから、まだまだリハビリは続くし、ハッキリ言って前みたいな状態に戻る可能性は薄いからね」

 

「分かってますよ」

 

「おい遊輝」

 

「お兄ちゃん、お待たせ」

 

渡邊さんと話をしていると後ろから声が聞こえた。車椅子を動かして、後ろに振り向くと牛尾さんと桜の二人が立っていた。

 

「迎えにきたぞ」

 

「ヴィ」

 

「それでは私の仕事はここまでです。頼みますからこんな大怪我もう二度としないでくださいよ。私の寿命も削れるんですから」

 

「まぁ・・・・ここまでの大怪我は無いと思います」

 

「それじゃ、後はよろしくお願いします」

 

そう言って渡邊さんは奥の廊下へと歩いていった。代わりに牛尾さんと桜がこっちに近づいて、桜が後ろのハンドルを手にした。

 

「さて、ここからは俺の仕事だな。結論から言うと既に嗅ぎつきやがって裏口も表側もマスコミとスカウトがいる」

 

「・・・・・・・」

 

「そこでだ、裏口に俺の部下達が囮としている。あいつらが出て、いなくなったところでお前は表玄関に来る車に乗るぞ」

 

「・・・すみません牛尾さん」

 

「気にするな、元を辿ればあの野郎が余計な口を滑らせたのが原因だ。おう・・・・・そうか、うまく頼むぞ」

 

牛尾さんが右耳に手を当てて無線を発砲する。どうやら陽動が動き始めたようだ。

 

「おう・・・・おう・・・そうだ、そのまま表にも回ってくれ・・・・・ああ、ご苦労。遊輝、行くぞ」

 

「桜、頼む」

 

「合点」

 

桜は俺の車椅子を押し出す。牛尾さんが先頭で歩き、正面玄関に誰もいないことを確認して、1台の黒いワゴン車が到着する。

 

「牛尾さん、お待たせしました」

 

「いや、ちょうど良い。よくやった風間」

 

「乗るよお兄ちゃん」

 

「ああ」

 

ワゴン車の後ろの扉を開き、桜は車椅子を押して俺を車の中に入れる。そのまますぐに後ろの扉が閉まり、全員車に乗り込んだ。

 

「それじゃ出発します」

 

「あまり目立つようなことはするなよ」

 

「分かっています。迂回しながら遊輝さんの家に向かいます」

 

「桜、後ろはカーテンを閉めておけ。勘づかれたら厄介だ」

 

「了解」

 

桜が後ろの窓全てにカーテンをかけて外から景色が見えないようになる。風間さんが車のエンジンをかけて、病院から出発する。

 

「・・・・・この辺りにはいません」

 

「そうか、まずは第一関門はクリアだな。さて、遊輝、すまないが1週間後のリハビリまで家でじっとしてくれ。下手に外出されると何されるか分からないから」

 

「分かってますよ。こんな状態で出掛けられませんから」

 

「世話係で桜の方にアリアが来てくれるみたいだ。それ以外のメンバーも放課後に来てくれるそうだ」

 

「・・・・あいつら、俺の家で練習しないだろうな?」

 

「そんな所までは知らん」

 

「はぁ・・・人の家を溜まり場にするのはやめて欲しいな」

 

「・・・・お兄ちゃん」

 

「ん?どうした?」

 

「・・・・新しいデッキ、作りたい。私も新しい戦略を試したい」

 

「・・・・そうか。もうリンク召喚のテスターとしての役割は任務は終わったからな。分かった、家のカードを探ってみるか」

 

「そうだ思い出した。お前、ルールの話海馬コーポレーションのことに言うんじゃなかったのか?」

 

「ああ・・・そんな話忘れていたわ。先月の頭だったのに」

 

「すぐに事件が起きたからな・・・アポどうするんだ?」

 

「後でこっちから電話掛けますよ。多分しばらくはテレビ会議だな・・・まぁ暇つぶしにはなるか。ああ、スマフォも壊されたんだったな・・・早いところ携帯会社に行かないと」

 

外の景色がどうなっているか見えないが、こうやってたわいもない会話が続くってことは何事も問題が無いんだろうな。

 

「そろそろ着きますよ。今の所は誰もついてきていません」

 

「後は家の周りに居るかどうかだが・・・セキュリティの権限で周りに群がるなって言ってはいるけど」

 

「・・・・居ませんね。裏側の駐車場は分かりませんが」

 

「居ないんだったら都合が良い。表側の方がエレベーターに近い。風間、そのまま路肩に寄せてくれ。遊輝を降ろしたらお前は戻っていいぞ」

 

「分かりました」

 

車は路肩に寄せて止まる。すぐに牛尾さんと桜が降りて、後ろの扉が開く。桜はゆっくりと車椅子を下ろしてマンションの中に入る。牛尾さんがエレベーターを呼んでくれたみたいでそのまま中に入った。

 

「・・・よし、ここまでまだ来たらもう大丈夫だ。マスコミもプロチームも追ってこない」

 

「ありがとうございます」

 

エレベーターに乗って数秒、最上階に着いて扉が開く。桜が車椅子を押して家の玄関の前に到着、牛尾さんが扉を開けてそのまま中に・・・・ん、開いて?

 

「桜、誰かおるのか?」

 

「お姉ちゃん、暫くは住み込みでここにいるって」

 

「ああ・・・そっか。家事炊事出来ないからな」

 

「おかえり〜」

 

家の中からアリアの声が聞こえてくる。長い廊下を抜けてリビングに入る。エプロンを付けたアリアが掃除機をかけていた。

 

「すまんなアリア」

 

「良いよこれくらい。流石に今回はしょうがないところがある」

 

「日用品はアリアが買い揃えてくれて、ある程度バリアフリーになるようにスバルが改造してくれた」

 

「頭が上がらないよ」

 

「とりあえず俺はここまでだ。1週間は出かけるなよ」

 

「分かってますよ」

 

「それじゃな」

 

牛尾さんはリビングから出て、家を出る。掃除機をかけていたアリアが掃除をやめて俺に書類を渡してきた。

 

「?何だこれ?」

 

「学校の書類と家に入っていた広告、あとプロチームからのお誘い」

 

「・・・・・・こんなところまで来るのか」

 

「あっ、後これ。龍可ちゃんの手紙」

 

「龍可から?」

 

「大分心配していたみたいよ。携帯壊れたことは私から伝えておいたから」

 

そう言ってアリアが最後に1通の手紙を渡してくれた。

 

「今読まなきゃ行けないんだろうけど・・・・」

 

「この書類なんとかしないとダメでしょうね。その間に私お昼作ってこれ読むから」

 

リビングにあるダイニングテーブルに置いてある漫画一冊を取り出す。

 

「・・・○滅の刃?」

 

「そう!!滅茶苦茶面白かったよ!!」

 

「それ私も読んだ。面白い」

 

「へぇ〜。俺も読んでみようかな」

 

「遊輝ちゃんも役に立つよ。炎を使った剣の技とかあるし」

 

「そりゃ便利だ。漫画とかこう言うので見ると想像しやすい。奏の超電磁砲とかもろアニメの技だし」

 

奏のあの技カッコいいもんな・・レミとか響とかオリジナルでやっているし、漫画とか見て技習得すれば良いのに。

 

「さて・・・やるべきことやらなきゃ。まずはこの書類を全部捨てて・・・」

 

「・・・返答するんじゃなくて捨てるんだ」

 

「こう言うのは無視。龍可の電話は・・・ロンドンって今何時だ?」

 

「えっと今正午過ぎだから・・・・夜中の3時ね」

 

「じゃあこれも後回し、海馬コーポレーションに電話するか。部屋からタブレット持ってこよう」

 

「私が持ってくる」

 

桜がトテトテとリビングから出る。その間にアリアは掃除機を片付けて、キッチンに入る。エプロンをつけて冷蔵庫の中身を見る。

 

「とりあえず昼飯作るね」

 

「頼む」

 

「はい」

 

桜が戻ってきてタブレットを俺に渡してくれる。タブレットのスイッチをつけてテレビ電話を起動、そのまま海馬コーポレーションへ電話をかける。

 

「・・・・・・・」

 

『もしもし?』

 

「お世話になってます。遠藤です」

 

『ああ遊輝さん、良かったですよ。行方不明って聞いた時は驚かされました』

 

「いや〜・・・面目ないです」

 

『じゃあ早速ですが・・・・・』

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

『・・・・・じゃあそれで最終調整にするよ』

 

「はい、ありがとうございます」

 

『あんまり無茶しないでよね。君のおかげでデュエルモンスターズの面白さだけでなく、戦略の幅が広がったんだから』

 

「膳所します・・・・」

 

『それじゃまた』

 

テレビ電話を終えてふぅ〜と息を吐く。これで一つやることは片付いた。ルール改定もあとは向こうに任せて大丈夫だろう。

 

「終わった?ご飯出来たわよ」

 

「ああ、ありがとう」

 

アリアに声をかけられて俺は車椅子のハンドリムを使ってダイニングテーブルに向かう。簡単なうどんと天ぷらが並んでいた。桜も椅子に座って待っていてくれた。

 

「それじゃ食べましょうか」

 

「「「いただきます」」」

 

どんぶりを手にして天ぷらを一つ乗せる。ズルズルと音を立てながらうどんを啜る。

 

「とりあえず飯食ったら契約書関連の会社に断りの電話だな」

 

「すみれさんの方にも入れといてよ。あの人も心配していたんだから」

 

「俺あの人苦手なんだけど・・・・」

 

「お兄ちゃん、私のデッキ」

 

「んあ?そうだったな。じゃあ電話入れたら段ボール見るか」

 

「ん」

 

「何?デッキがどうしたの?」

 

「新しいの作るって。新しい戦略試したいってさ」

 

「へぇ〜、次いでだから私も手伝うわよ」

 

「そうか、じゃあご馳走さん」

 

「・・・・相変わらず早いわね。早食いは早死にするわよ」

 

「癖ついてもうたからもう治らん。さてと・・・・まとめて電話だ」

 

どんぶりをテーブルの上に置き、書類を手にして固定電話がある所まで車椅子を動かす。

 

 

〜〜(数時間後)〜〜

 

 

『何故ですか!?この契約条件でも飲めないんですか!?』

 

「だから怪我して無理だって言ってるだろ!!それと、怪我しなくてもあんたみたいな糞みたいな事しか考えていないチームには行かない!!それじゃ!!」

 

バンと音を立てて受話器を直す。全く・・・どいつもこいつも人の話を聞きやしない。

 

「これで全部か・・・・ようやく終わったよ」

 

「お疲れさん。悪いけど早速部屋来てもらうわよ。桜ちゃんがそわそわしている」

 

「分かった」

 

後ろからアリアの声が聞こえ、そのまま車椅子を押される。家がスバルの手によってバリアフリー化され、小さな段差の所は坂になり、移動しやすくなっている。アリアと一緒に俺の部屋に入り、すでに段ボールから大量のカードをぶち撒けて桜がカードを探している。

 

「また派手にやったな・・・」

 

「なかなかしっくり来ない」

 

「そりゃそうだろ。複数使う奴の方が珍しいから」

 

「でもお姉ちゃん使いこなしている」

 

「私も遊輝ちゃんも複数使いこなすことに慣れているから。遊輝ちゃんも言っていたけどこっちの世界だと2つ以上の違うテーマを持っている方が珍しいから」

 

「ん〜・・・・・」

 

桜は唸りながらまたカードを1枚1枚手にしてすぐに離す。

 

「どんなカード使いたいんだ?」

 

「・・・・とりあえずリンク召喚から離れる。あればっかり使っていると他の戦術が頭に入らない」

 

「次の4月からルール変わるし丁度いいかもな。ただ、メインプランはともかく、サブプランでは入れた方がいいかもな。デッキによりけりだけど」

 

「私的にはこう言うのが桜ちゃんに合うと思ったけどな。閃刀姫と似たような感じだけど、でもこれリンク召喚だからダメね」

 

「閃刀姫ね・・・・ああそう言えばこういうのがあったな」

 

閃刀姫と聞いて俺は違うダンボールを開けてそこから1つのテーマを取り出す。

 

「・・・これは?」

 

「エクシーズを主体にしたテーマだ。昔、俺がエクシーズ召喚として名を馳せていた時があったけど、これはそのエクシーズのテーマ群でもぶっち切って強いテーマだ。いくらか規制は掛かっているが今でも、いや、前以上のパワーはある」

 

「・・・うわ、それ使うの?」

 

「それかペンデュラムかだ。正直、俺は融合とシンクロからは離れているから、扱えるのはペンデュラムとエクシーズくらいだ」

 

「かくいう私もリンクかペンデュラムか融合ね。シンクロは私も少し離れているから・・・専門的に見るんだったらシンクロはレミ、融合はスバルの方が良いわよ」

 

「儀式は氷川さんに勝てない・・・・エクシーズは恭輔だけど」

 

「こいつはな・・・・こうやって動くんだよ」

 

そう言って俺はそのテーマのカードを幾つかピックアップして動き方を桜に見せる。桜はじっくりと俺の手元を見て観察する。

 

「・・・・・すごい」

 

「ああ、こいつが出た時は革新的かつエクシーズというシステムを一番悪用した奴らだ。何より閃刀姫と同じく、少ないモンスターで様々な動き方、相手に合わせた対応力が必要になる」

 

「・・・・・・これにする」

 

「そうか、ならパーツをかき集めるか。こいつも閃刀姫と一緒でデッキ構築の腕が試されるからな」

 

「合点」

 

組みたいテーマも決まったのでまずは必要なパーツを全てかき集め、そこから汎用カードと必要なカードを集め、大雑把な骨組みを作る。そこから不必要だと感じるカードを減らし、40枚にして仮で回し、微調整を繰り返す。

 

「・・・・・しっくりくる」

 

「そうか、じゃあ完成だな。あとは微調整していけば良い」

 

「また強いデッキね・・・・」

 

ピピピ・・・・

 

「あっ、お兄ちゃん、時間」

 

「ん?ああ、マッサージか」

 

「どれ、私がやるわよ。ベッドに乗せるわよ」

 

アリアが車椅子を押してくれてベッドのそばに移動、そのままベッドに介助してくれてうつ伏せにする。アリアはベッドの上に乗り、俺の左足をゆっくりと押す。

 

「大丈夫?」

 

「ああ、強さもちょうど良い」

 

「そう。これ何分やるの?」

 

「片足5分くらいだな。脚全部の血行を流す感じ」

 

「OKOK」

 

アリアにマッサージをしてもらう。その間にも桜は完成したデッキを一人回しする。

 

プルプル・・・・

 

「電話?もしもし〜・・・・あ〜龍可ちゃん。うん、いるよ。ちょっと待って、変わるから。遊輝ちゃん、龍可ちゃんから電話」

 

「はいよ」

 

うつ伏せのまま、アリアから携帯を借りる。そういえばもう良い時間だったか。

 

「もしも『遊輝!!大丈夫!?!?』わぷっ!?る、龍可!!声大きい!!」

 

『そんな事より!!身体大丈夫!?足は!?』

 

「お、落ち着け龍可!!深呼吸!!」

 

耳元から聞こえる龍可の大声、あまりにも大きい声だったので耳から離してしまった。龍可に深呼吸するように言って、電話の向こう側から深呼吸の音が聞こえる。

 

『ハー・・・・』

 

「落ち着いた?」

 

『うん・・・・その、遊輝、大丈夫?』

 

「あ〜・・・・大丈夫。今回は心配かけた」

 

『今回はじゃないよ!いつも危ないことに突っ込んでいるじゃない!』

 

「ちょっと待て、流石にいつもいつも突っ込んではいないぞ」

 

「遊輝ちゃん、ダウト」

 

「流石にそれは嘘八百、私でも分かる」

 

「聞こえているのかよ・・・」

 

龍可に危ないことし過ぎと言われたので、さすがにそこまでの頻度はないと否定したが後ろから思いっきり罵られた。

 

『とにかく生きてて良かった・・・ここ1ヶ月ずっと心配していたから』

 

「・・・・ごめんな。今度会った時、うんと話聞くからさ」

 

『・・・・それで、怪我は?足が重症なのでしょ?』

 

「まだリハビリ段階だな・・・・完治まで1年は見ている」

 

『そう。でも最悪なケースは免れたのね』

 

「そうだな・・・って言いたい所だけど、100%元通りは難しいな。医者からはライディングデュエルはもう出来ないって言われたし、そもそもDホイールの運転もさせたくないみたい」

 

『・・・・でも、仕方ないよね』

 

「まぁ足が言うこと聞かなかったら乗れないのは事実だし」

 

『とにかく、遊輝の声を聞けて良かった』

 

「俺も久しぶりに龍可の声を聞けて良かったよ。気が楽になった」

 

『それじゃ、私は学校があるから』

 

「ああ、頑張れよ」

 

電話の切れる音が聞こえる。俺はアリアに携帯を返す。

 

「元気な声出ていたじゃん。本当に沈んでいたんだから」

 

「まぁ今回ばかりは本当に申し訳なかった」

 

「・・・・言わなかったんだね、スカウトのこと」

 

「あぁ・・・あんまり迷惑かけるわけにもいかないし、下手に巻き込むわけにもいかないだろ?」

 

「気持ちは分かるけどやっぱり大切な人ぐらいには伝えなさいよ。なんでも一人で抱え込むのは遊輝ちゃんの悪いところよ」

 

「・・・・それはレミに向かって言う言葉なんだけどな〜」

 

アリアから放たれた言葉に俺はため息をついてそう返した。

 

「・・・・来年のWRGPの登録締め切りまで逃走の日々だな。下手にされなきゃ良いんだけど・・・・」

 

「心配しなくても私や軽音部のみんなは遊輝ちゃんの仲間よ」

 

「ん、お兄ちゃんの邪魔はさせない」

 

背中から逞しい声が聞こえ、俺は安心した。




遊輝「うちの電話がうるさすぎ・・・・」

桜「みんなお兄ちゃんのスカウト電話」

アリア「家にいると分かった途端にこれだからね。基本的に遊輝ちゃんの家は訪問販売みたいなタチ悪いこと出来ないようになっているし」

遊輝「冗談抜きで電話の回線切ってもらおうかな・・・・」

桜「そしたら今度は携帯になるよ」

遊輝「うぜぇ・・・・・」

アリア「次回、【復学】。次回もよろしく」


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第62話 復学

ようやく第1章終わりました・・・・・
11月忙しかった・・・・真面目にバイトと学校の授業の記憶しかない。



遊輝 side

 

 

「お兄ちゃん、行くよ」

 

「ああ、頼む」

 

「いってらっしゃい。余計なことに巻き込まれないでよね」

 

「学校周りは校長が何とかしてくれるよ」

 

後ろから桜が車椅子を押してくれる。そのまま玄関を出て、エレベーターに乗る。退院して10日、ようやく復学の許可を得ることが出来た。朝ごはんを食べて、30分かけて制服をアリアに手伝いながら着て、鞄を車椅子の背もたれにかけて出発する。

 

「・・・・・・・・」

 

「どうしたの?」

 

「いや・・・・なんか緊張して」

 

「・・・お兄ちゃんも緊張するんだ」

 

「そりゃ俺だって緊張するよ。それに・・・・ちょっと怖くてさ」

 

「怖い?」

 

「あんな事あっただろ?2ヶ月も休学してて、事故に遭ってみんな俺のことをどう思っているのかなって・・・・・」

 

正直、不安でしかない。学校をこんなに休んだのは前世でも記憶にない。あんな事件が起きてしまったんだ。何を言われても仕方ないとは思うがそれでも・・・・

 

「・・・大丈夫、お兄ちゃんはお兄ちゃんだから」

 

「その根拠のない言葉はどこから出てくるんだよ」

 

「お兄ちゃんは怪我してもお兄ちゃんで変わりないから」

 

「・・・・・・・」

 

俺は俺で変わりない、か・・・・まさか桜からこんなこと言われるとは。

 

「そうだな・・・・まぁ何とかなるか」

 

「お〜す遊輝」

 

「師匠、おはようございます」

 

エレベーターから降りてロビーを出る。そこにスバルと恭輔がリュックサックを背負って待っていてくれた。

 

「おはよう。待ってくれたんだな」

 

「あったりまえだろ」

 

「僕たち仲間なんですから」

 

「・・・・サンキューその言葉で助かるぜ」

 

「早く行こうぜ。何だかんだ時間ねぇし」

 

「お兄ちゃん、行くよ」

 

「頼むからあんまりスピード出さないでくれよ」

 

足が動かないで車椅子に乗って、スピード出すって滅茶苦茶怖いからな・・・・まじで普通に走られたら風圧が凄いんだから。

 

「そんなビビるほどか?」

 

「お前坂道を前に走ってみろよ。マジで転がって怪我するぞ」

 

「そんな事しませんよ普通」

 

「されたら俺が困る」

 

そんなたわいもない話をしながら通学路を歩いていく。アカデミアに近づくにつれて徐々に学生服を着た人達が増えてきた。みんなこっちをチラッと見るがすぐに目線を外す。

 

「・・・・・・めっちゃ視線が」

 

「嫌でも目立つぞ。車椅子なんか使っているから特に」

 

「流石に車椅子までは隠せませんしね・・・」

 

「それよりお兄ちゃん、職員室に行けばいいんだね」

 

「ああ、先生に挨拶しなくちゃ行けないから」

 

校長先生には桜を通して何度か話を通したので今回はスルーしても良いと言われ、代わりに担任の先生に一言だけ言っておくようにと言われた。怪我をして以降、アカデミアには通えずじまいなのでやはり授業前に軽く挨拶だけでもと言われた。

とりあえず色んな人から見られはしたが、何もなくアカデミアに着いて職員室の前に着いた。

 

「じゃあお兄ちゃん、また後で」

 

「ああ」

 

ここまでサポートしてくれた桜は自分の教室へと向かう。少し前に出て、扉を3回叩き、職員室の扉を開く。

 

「失礼します。高等部1年の遠藤です」

 

「遠藤君、こっちいらっしゃい」

 

自分の名前を言った後すぐに担任の声が聞こえる。車椅子のブレーキをかけてタイヤを浮かし、職員室の小さな段差を超えて職員室の中に入る。手を振っている担任の小泉先生のところまで向かう。

 

「お久しぶりです」

 

「お久しぶりどころではないですよ!あなた毎学期休学しないと気が済まないんですか!?」

 

「う゛っ!?す、すみません・・・・・」

 

「でも・・・・無事で良かったです。生きていてくれて良かったです・・・・」

 

小泉先生は少し涙ぐみ、右手で俺の肩を触り、そのまま抱きしめた。

 

「先生・・・本当に不安でしたからね。大事な生徒が悲惨な事故で亡くなってしまうのではないかって・・・・」

 

「・・・・すみません」

 

「良いんです、貴方が悪いわけではありません。あなたは正しい行いをしようとして襲われたんです。だけど、あなたはもっと自分のことを大切にしてください」

 

「・・・・はい」

 

「では、教室に行きましょう。もうすぐホームルームが始まります。皆さんにちゃんと挨拶をしましょう」

 

「はい」

 

小泉先生は机の上から出席簿を手に取り、俺が乗っている車椅子のハンドルを手にする。

 

「それにしてもあなた本当に休学が多いですね。補習をしないと学年が上がれませんよ」

 

「えぇ・・・せっかく戻ってきたのにその言葉は聞きたくなかった」

 

「今回はともかく、今までは自業自得です」

 

「いやいやいや・・・・前までもちゃんと公欠取っていましたし」

 

そんなたわいもない話をしながら教室の前に着く。そのタイミングでチャイムが鳴る。タイミングが良すぎだろ。

 

「おはようございます」

 

『おはようございます』

 

先生は教室の扉を横に開き、一緒に教室に入る。

 

「はい、今日から遠藤君が戻ってきました。まだ足は治ってませんので実技と体育は無理ですが、皆さんも普通に接してくださいよ」

 

『は〜い』

 

「それじゃ遠藤君、席に着いてください」

 

「は〜い」

 

先生に言われて俺は車椅子の横のハンドルを動かす。俺の席は・・・・ゲッ、一番後ろじゃないか。先生、イジメかよ。そんなことを思いつつ、車椅子を動かして席に移動する。隣のスバルがこっちの事を心配そうに見えている。

 

「はいじゃあ連絡事項を言いますよ」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「お前また怪我したんだな〜。毎年毎年馬鹿みたいに怪我して」

 

「馬鹿みたいには余計だろ後藤!」

 

「全く〜、みんなお前のこと心配していたんだからな。本気で死んだと思ったぜ」

 

「遠藤君が無くなるとは思わないけど」

 

「俺を人間じゃないみたいに言うなよ京子・・・・」

 

「だってお前どれだけの怪我でも今までキョトンとしてきたじゃねぇか」

 

「とりあえず無事でよかったよ!また前見たいに楽しくなるね!」

 

1時間目が終わった休憩時間、クラスメイトが俺の所にやってきて色々と声をかけてくれた。4年近く一緒の奴もいて、皆温かく迎えてくれた。

 

「次実技教授で移動だろ?俺が連れてってやるよ」

 

「サンキュー」

 

「あんた車椅子動かせる器用さあるの?」

 

「俺のことを馬鹿にしすぎだろ葵!?」

 

「でも健太は信用ならんからな〜」

 

「んだと田中!!俺だって車椅子ぐらいちゃんと動かせ・・・あれ!?」

 

「ブレーキハンドル握りながら動くわけないじゃない」

 

「あっ・・・・」

 

「おいごめん変わってくれ。信用ならん」

 

「だっさ〜・・・・・」

 

「うるせええええ!!!!」

 

『ダハハハハ!!!!!!』

 

教室に笑い声が響き渡る。俺の車椅子のハンドルを手にしていた健太は結局やめて、スバルがハンドルを手にしてデュエルフィールドに向かう。

 

「お前実技参加するのか?」

 

「無理に決まっているだろ。ソリッドビジョンの爆風に巻き込まれたら車椅子ごと転倒だ」

 

「それくらい、強度ある車椅子使えよ」

 

「そんな物あるわけねぇだろ。別にデュエル出来ねぇわけじゃねぇんだ。テーブル使えばいいし」

 

「分かるんだけど迫力がねぇからな」

 

キンコーンカンコーン

 

「は〜い、全員集合ね」

 

デュエルフィールドに着いたところでチャイムが鳴る。小泉先生がホワイトボードを持ってきて、集合の合図がかけられる。

 

「では本日の実技ですが、昨年から試験的に始まりました新マスタールール、今年の3月から新たにルールを改正して正式ルールとして行うことが発表されました。大きな違いは何でしょう?水野さん」

 

「はい、従来のルールはEXデッキから出るモンスター、融合・シンクロ・エクシーズ・ペンデュラム、そしてリンクモンスターはEXゾーン、またはリンクモンスターのリンク先にしか出ませんでしたが、次回以降ではこの中の融合・シンクロ・エクシーズモンスターはEXゾーン以外にもメインモンスターに出すことが出来ます」

 

「その通りです。昨今の融合・シンクロ・エクシーズ・ペンデュラムの一時抑制、そしてリンクモンスターのテストを兼ねていた新マスタールールですが、色々な兼ね合いもあり、このルールに落ち着きました。というわけで、本日のテーマは『EXデッキデッキから出す位置』です。今まで以上に重要になりますので、それに合わさて皆さんもデュエルしてください。では、本日の講義に使うデッキです」

 

小泉先生は箱の中に入っている大量のデッキケースに指差す。クラスメイトは適当にデッキケースを一つ手にして、デッキの中身を確認、すぐに相手を見つけて対戦する。

 

「遠藤君は見学してしっかりとルールを確認してください」

 

「・・・・はい」

 

小泉先生の言葉に俺は少し濁して答えた。ルールの確認も何もこのルール、俺の前世のルールを海馬コーポレーションに提案したから知っているんだよな・・・・・

 

「(まぁ見学する振りをして車椅子で移動する練習するか)」

 

ここ一週間、車椅子を自力で動かしてみたけどやっぱり腕が疲れる。リハビリで練習したとはいえ、日常でほぼ毎日、5〜6時間動かすとなるとかなりのハードになる。

 

「(とは言えしばらくは車椅子生活だし・・・まぁ何とかなるか)」

 

「俺のターン!」

 

「手札から・・・」

 

「(・・・・・いいなぁ)」

 

一人で車椅子を動かしてデュエルしている姿を見ていると、ふとそう思ってしまう。皆、楽しそうにやっているんだ、これでやりたくない訳がない。

 

「(治療のために暫くソリッドビジョンのデュエルは禁止だしなぁ・・・スバルにはああ言ったけど、やっぱりテーブルデュエルだとよく考えるけど、迫力がねぇんだよな・・・)」

 

この世界に来てもうすぐ5年目が始まる。この間の生活が濃すぎてここ最近、前世の記憶が少しずつ忘れていっている気がする。昔連んだ友達の名前や一緒に切磋琢磨した剣道仲間、よく世話になった隣のおばちゃんなどの名前どころか顔ですら思い出せなくなってしまっている。

先生からは「足だけの障害以外にも何か起こるかもしれないから何かあれば報告するように」って言われたけど、もしかしたら脳にも異常があるのかな・・・・

 

「(・・・そんなことないか、それくらいこの世界に馴染んでいる証拠なんだろうなぁ・・・前世はテーブルデュエルが当たり前だったのに)」

 

慣れって怖いもんだな・・・・今の世界を生きているから仕方ないとしてもこうして前世のことも少しずつ忘れていくのか・・・・

 

「(・・・・もうストーリーが終わったっていうところで気が抜けてしまったんだな。思えばその時から記憶が少し曖昧になってきている気がする。まぁ、もう向こうの世界には戻れないんだ)」

 

「・・・き!!遊輝!!!」

 

「どわっ!?」

 

突然、背中を押された。前のめりになった俺は転倒しそうになるが、何とか持ち堪える。

 

「響!!強く押したら転ぶからダメでしょ!!」

 

「ごめんごめん!!」

 

「ったく・・・・っで、何だ?」

 

「先生が呼んでいるよ。『あまりウロウロするな』って」

 

「えぇ・・・・分かったよ。戻ればいいんだな」

 

すごい不服な顔をして奏に返したがその後ろでチラチラ見える先生の顔が般若になりかけだったので大人しく戻ることにした。別に見回るくらい良いじゃねぇかよ・・・・・

 

「っと・・・・戻りました」

 

「勝手に動いていいなんて言ってませんよ?」

 

「良いじゃないですか・・・見学のために移動していたんですから」

 

「ここからでも見えるでしょ。あんまり勝手に動き回ると留年させますからね」

 

「それだけはマジ勘弁してください!!」

 

俺の声がデュエルフィールドに響き渡る。皆がこっちに振り向くが気にしてられない。

 

「だったらちゃんと言うこと聞きなさい。怪我人の症状をさらに悪化させてら責任取るの私なんですからね。そこは頭に入れてくださいよ」

 

「・・・・・はい」

 

「トドメだ!!」

 

「負けたあああ!!!!」

 

シュンとする俺の目の前にはクラスメイトが先程のことを気にせずにデュエルをしている。

 

 

遊輝   side out

 

No side

 

こうして彼らの高等部1年目の物語は終わりを迎えとうする。そして・・・・・それは新たなる物語が始まろうとする。

 

 

 

 

「・・・・2回目のWRGP開催までもうまもなく1年になる。何としてでも彼を我がチームに引き入れるだ!」

 

「はい!!」

 

とあるところではWRGP優勝を目論み・・・・・

 

 

 

「・・・彼がいたら我々の計画が阻止される。何としてでも捉えろ」

 

「はっ」

 

とあるところでは邪悪な野望のために・・・・・

 

 

 

 

「それ程までに彼の力は凄いのか・・・・興味が湧いてきた・・・この情報をさらに手に入れよ」

 

「御意」

 

とあるところでは己の欲望を満たすために・・・・

 

 

 

 

 

 

それぞれがそれぞれの野望を抱き、世界をまたにかける、遊輝を狙った物語が始まる。

 




というわけでここまで見てくれた読者の皆様、ありがとうございました。

第1章はこれにて完結です。
第1章のテーマは「感情」です。
主に桜をメインしましたが、私なりに色々な喜怒哀楽を少し意識しました。もちろん、最初はいつも通りと思っていたのですが、どうにもこうにもこの章って感情の起伏が激しかった気がするんですよ。私だけかな?

最初は喜びや楽しみを知り、その途中途中で悔しさや時には愛情というものを学び、そして終盤では悲しみと怒り、それによる爆発っていうのを書いてみました。

上手くいったかどうかって言われると微妙なんですが、良い経験にはなったかなと思っています。

次回から第2章、テーマは「欲望と己の信じる正義」
様々な大人たちによって振り回せる遊輝たち、そして軽音部、彼らの周りに絡む醜い大人の利権と欲望に苦しみ、もがき、そして己が正しいと思える正義って言うものを目指します。

それでは、ここまでありがとうございました。第2章も引き続き、緩く頑張っていきたいと思います。


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第2章 世界をかけて 〜True my justice〜
第63話 慌ただしい非日常


*この章から新マスタールール2に変更します。
あと、オリキャラ紹介も更新いたしました。桜のキャラ設定の追加、アリアさんのイメージキャラも変更いたしました。

第2章、スタートです。


 No side

 

 

『12時になりました。ニュースをお伝えします。昨日発表された第2回WRGPに関連するニュースです。前回優勝チーム、チームSECRETが参加を見送ることを表明しました』

 

3月2日、ネオドミノシティの中心部にあるビジョンに、そこに映し出されたニュースキャスターの速報に人々は足を止めてビジョンを見つめる。

 

『チームSECRETはデュエルアカデミアネオドミノシティ校の生徒のみで構成されたアマチュアRDチームであり、人気バンド、SECRETのメンバー全員が参加しているチームです。今大会の参加を見送った理由と致しまして、メンバーの遠藤遊輝さんの足の怪我の回復が見込めず開催時期に間に合わないこと、また、これからは音楽活動に力を入れるため、参加を見送るとのことです』

 

『これにより昨年の優勝チームと準優勝チーム、チーム5D'sの2チームが参加しない大会となりました。一部の専門家は『優勝チームと準優勝チームが参加しないなんて前代未聞であり、大会の人気に関わる』と懸念を示しています。以上、ニュースをお伝えしました』

 

『さあ始まりました○○デス!!本日のゲストはこちら!!人気アイドルグループの・・・・・』

 

大型ビジョンに映ったニュース番組は終わり、お笑い芸人が司会となるお昼のバラエティ番組が始まる。それを見て、人々は再び足を動かし出した。その人混みの中、フードを被った高い身長の人はただ一人、立ち止まって画面を見続けていた。

 

 

 遊輝  side

 

「今回の大会に参加しないようですが他のチームからスカウトされているという話は本当でしょうか!?」

 

「遊輝さんが怪我をしているという理由だけで他のメンバー全員が参加しないのですか!?参加しない理由は他にあるでのしょうか!?」

 

「現在、音楽活動は休止しているとのことですが、何かファンに向けて一言お願いします!!」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「おいマスコミ!!良い加減にしろよ!!怪我人相手に過熱的な囲み取材をするな!!」

 

「不味い!!セキュリティだ!!」

 

車椅子を押し押されの囲み取材は後ろから聞こえた牛尾さんの大声によって終わった。一斉にマスコミたちは一目散に逃げ出して周りから消えていった。

 

「ったく・・・・・取材禁止だと通達したのにこれかよ。おい遊輝、大丈夫か?」

 

「・・・・・だあああああ・・・・・・・しつけぇ、ってか本気で怖かった・・・・」

 

牛尾さんに肩を叩かれてようやく心が休める時間になり、息を吐く。正直、鬱陶しいどころではない、あれは一種の恐怖だ。立てない俺に四方八方囲んで押し倒す勢いで取材して来るから、こっちの恐怖はマジで尽きない。

 

「ハァ・・・こっちは大人しく治療したいのに何で勝手に掻き立てるんだよ・・・」

 

「ああいう奴らだとは分かってはいるけど、あれは流石にやりすぎだな。冗談抜きで車椅子が倒れそうになりそうだった・・・・もう一度通達して、今度同じ事をしたら拘束する事を伝えるか。それよりお前、この後病院なんだろ?何で一人で行こうしたんだ?」

 

「いや、本当なら桜と一緒だったんだけど、門抜けたらあんな感じでさ・・・・桜には一時避難をしてもらった」

 

「・・・ちっとは自分のことも心配しろよ。あんなの見たら普通逃げるか、こっちに言えよ。今回も校長が連絡したんだろ」

 

「分かっているんだけど・・・・・迷惑かけたくねぇんだよ」

 

「お兄ちゃん、大丈夫?」

 

牛尾さんと話していると、校門から桜がやってきてきた。車椅子のハンドルを手にしてくれたので、俺はハンドリムから手を離す。

 

「他の奴らは?この様子だとあいつらもマスコミに囲まれるぞ?」

 

「部室にいるよ。今日は動画の撮影だって言っていた」

 

「ああ・・・あのDJグループだな。幸か不幸かあの動画の人気もマスコミがお前らに寄る原因なんだろうな」

 

牛尾さんが言うDJグループ、SECRETの女子メンバーが組んだ、レミをDJ、奏をヴォーカル、響をキーボード、茜をVJとサヴDJ、コーラスも兼ねたカバーグループの事だ。バンド活動を休止して音楽から離れたレミだけど、どうやら3日もしないうちに音楽活動をやりたくてしたかなかったらしい。しかし、休みたいという本音もあるのも事実で、どうしたかというと、過去のライブでやったことのあるDJをカバー専用でグループでやってみようとやったらしい。

それがバズりにバズって、動画サイトを見ると平均100万再生をやるという離れ業をやっている。何よりレミが一番楽しそうにしている。ここ最近見ていない、無理をしていない笑顔で心の底から楽しんでいる様子だった。何も縛られず、何も考えず、ただ純粋に音楽を楽しんでいる。

 

「まぁ良いんじゃね?みんな気分転換になっているみたいだし、スバルも裏仕事でウキウキしているみたいだし。俺がいなくても楽しそうにやっているよ」

 

「そんな卑屈な考えをするなよ・・・・お前ここ最近元気が無いぞ。前までなら強気で返事していただろ?」

 

「なんかね・・・・疲れたんだよ。色んなやつに囲まれたり追われたりして・・・・身を休める時間が無いんだ」

 

「(・・・なぁ桜、こいつ本気でヤバくねぇか?)」

 

「(結構精神的に追い詰められていると思う。皆気をかけているけど、お兄ちゃん全く相手にしようとしない)」

 

「(そうか・・・・)」

 

「じゃあ桜、病院まで頼むよ」

 

「合点」

 

「牛尾さんも忙しかったのに来てもらってありがとな」

 

「あぁ・・・・元気出せよ。お前は悪く無いんだから」

 

牛尾さんの言葉を背に、俺は牛尾さんに手を振って桜に連れられて病院へと向かう。

 

「・・・・あんな調子だとこっちだって狂うって言うのに。よりにもよって色々と悪い噂が立っているな・・・狭霧さんと話して少し対策を練る必要があるな」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「それで松葉杖は?」

 

「練習はしているけどまだかかりそうだって、先々週の練習でやっと始めたけど、やっぱり足が言う事聞かないや」

 

桜のたわいもない話をしながら病院を目指す。足の状態は少しずつ良くなってはいる。だけど俺の意思と乖離している現実が続いている。心の中では「動ける」と思っても実際には1cmしか足をすり足することしか出来ない。

 

「焦っちゃダメ。焦っちゃお兄ちゃん、絶対に悪くなる」

 

「分かっているんだけどな・・・・やっぱり焦るんだろうな・・・周りの奴らが大人しくしてくれば良いのに」

 

桜に言われるくらいだからよほど心は焦っているんだろう。実際、その自覚は薄々と感じている。前世で味わったあの敗北を経験した後の修行期間だ。間違いなくあれと同等に焦っている。

 

「・・・・足を治して何とかしたいと思うが、今の状態だと良くなるどころか悪くなる一方だな」

 

「いました!!遊輝さん!!」

 

「いたぞ!!今日はリハビリだと聞いていたが本当に来たぞ!!」

 

「・・・・・ハァ」

 

アカデミアから歩いて10分ほど、いつも通っている病院の正面玄関の前に着いた。目の前には数十人のマスコミがいた。

 

「面倒くせぇのばかりだな・・・大人しくしたいのに・・・」

 

「・・・・・私が相手する」

 

「桜?」

 

「ちょっと待ってて」

 

桜はハンドリムのブレーキをかけて俺の前に出る。マスコミは俺目掛けて走ってくる。

 

「・・・・・・・」

 

「ちょっと君どいて」

 

「フン」

 

「!?」

 

桜はポケットから何かを握りしめて投げる。細かい何かだったのでよくわからなかったがマスコミを止めるのには充分だった。

 

「お兄ちゃんの取材は禁止、ちゃんと通達しているはず」

 

「だ、誰だね君は!?関係ないだろ!?」

 

「関係ある、私はお兄ちゃんの妹。どうしても取材したいなら私を倒して行くこと」

 

桜はカバンからデュエルディスクを取り出して構える。一方、マスコミは一歩引いて何かゴソゴソと話しだす。

 

「・・・どうする?あの優勝チームリーダーの妹だろ?」

 

「おまけにリンク召喚テスターだろ?勝てるわけ」

 

「面白ぇ、俺が相手になってやるよ」

 

人混みの中から一人の男性が前に出た。髪はボサボサで長く、帽子を被り、丸眼鏡をかけている。あいつは確か・・・・俺たちがデビューする前から見掛ける記者だな。

 

「俺は定岡、週刊文秋のライターだ」

 

「・・・・ゴシップ記事のライター」

 

「あ゛っ!?んだとテメェ!?」

 

「まぁ良いや。とりあえず相手してやる」

 

「歳上相手に上から目線・・・気にくわねぇぜ!」

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

桜 LP 4000 定岡  LP 4000

 

「私のターン」

 

「(・・・へっ、あいつの事は調べ尽くしている。リンク召喚のテスターは1体のリンクモンスターを主軸に戦っている。そして俺の手札にはファンタズメイがいる)」

 

「十二獣モルモラットを召喚」

 

十二獣モルモラット 攻0

 

「なっ!?閃刀姫じゃないだと!?」

 

「十二獣モルモラットの効果。召喚成功時、デッキから『十二獣』カードを墓地に送る。十二獣ラムを墓地に送る」

 

「チッ・・・(落ち着け、相手は攻撃力0のモンスターを攻撃表示で出したんだ。たいした事じゃない)」

 

「『十二獣』エクシーズモンスター共通効果。1ターンに1度だけ、自分フィールドの同名以外の『十二獣』モンスター1体の上に重ねて特殊召喚できる」

 

「・・・・はっ!?ってことはモンスター1体だけでエクシーズ召喚できるのか!?」

 

「十二獣モルモラット1体でオーバーレイ」

 

通常召喚されたモルモラットが桜と相手のフィールドの間に現れたブラックホールに吸い込まれて行く。

 

☆4 → ★4

 

「1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築。エクシーズ召喚。十二獣ライカ」

 

十二獣ライカ 守?→0

 

モルモラットを吸い込んだブラックホールは爆発を起こして、十二獣ライカが特殊召喚される。

 

「全ての『十二獣』エクシーズモンスターの攻撃力・守備力は素材となっている『十二獣』モンスターの攻撃力・守備力の合計となる。だけど、こんなのオマケ・・・・・十二獣ライカの効果。オーバーレイ・ユニットを一つ取り除き、墓地の『十二獣』モンスターを特殊召喚する」

 

 十二獣ライカ OVR 1→0

 

「手札からエフェクト・ヴェーラーの効果!このカードを手札から捨て、十二獣ライカの効果を無効にする!」

 

「速攻魔法、抹殺の指名者。カード名一つを宣言、私はエフェクト・ヴェーラーを宣言。その後、自分のデッキから宣言したモンスターをゲームから除外、このターンのエンドフェイズまでお互いのプレイヤーは除外したカード及びそのカードと元々のカード名が同じカードの効果は無効になる」

 

「なっ!?」

 

相手がエフェクト・ヴェーラーを切ったが、すぐに桜はカウンター。桜のデッキからエフェクト・ヴェーラーのカードがゲームから除外され、相手のエフェクト・ヴェーラーを亡き者にした。その間にライカはオーバーレイ・ユニットを一つ吸収する。

 

「効果解決。十二獣ライカの効果で墓地から十二獣ラムを特殊召喚」

 

十二獣ラム 守2000

 

「ただし、この効果で特殊召喚したモンスターはエクシーズ素材にすることができず、エンドフェイズまで効果は無効になる。十二獣ライカ1体でオーバーレイ」

 

「はっ!?エクシーズモンスターはエクシーズ素材に「何を言っているの?私は『十二獣』モンスターをエクシーズ素材にできると言った」!?」

 

★4 → ★4

 

驚愕している相手、前代未聞のモンスター1体でエクシーズ召喚が出来るだけじゃなく、エクシーズモンスターを重ねてエクシーズ召喚が出来る。これが桜が新たに作ったリンク召喚に頼らないデッキ・・・・『十二獣』だ。今回は純正だが、桜には派生パーツをいくつか渡してある。どう組むかは桜次第で閃刀以上に対応力がある。

 

「1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚。十二獣ドランシア」

 

十二獣ドランシア 守?→0

 

ライカがブラックホールに吸い込まれて爆発、今度は十二獣ドランシアがエクシーズ召喚される。

 

「十二獣ドランシアの効果。オーバーレイ・ユニットを一つ取り除き、フィールドの表側表示のカードを破壊する。私は十二獣ラムを選択」

 

「はっ?」

 

 十二獣ドランシア OVR 1→0

 

ドランシアがオーバーレイ・ユニットを一つ吸収、そのまま桜のフィールドにいたラムに向かって腕を振り下ろし、ラムを破壊する。その行為に相手だけでなく、向こう側にいる奴ら全員がポカンと表情を浮かべている。

 

「破壊された十二獣ラムの効果。墓地から『十二獣』モンスターを特殊召喚する。十二獣ライカを再び特殊召喚。十二獣ドランシア1体でオーバーレイ」

 

★4 → ★4

 

「1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築。エクシーズ召喚。十二獣タイグリス」

 

十二獣タイグリス 守?→0

 

「十二獣タイグリスの効果。オーバーレイ・ユニットを一つ取り除き、墓地の『十二獣』モンスター1体を自分フィールドの『十二獣』エクシーズモンスターの下に重ねる。墓地の十二獣ラムを十二獣ライカに重ねる」

 

十二獣タイグリス OVR 1→0

十二獣ライカ  OVR 0→1

 

タイグリスがオーバーレイ・ユニットを一つ吸収、そして桜の墓地にいた十二獣ラムがフィールドに現れて、オーバーレイ・ユニットへと変わり十二獣ライカの素材になる。

 

「十二獣ライカの効果。オーバーレイ・ユニットを取り除き、墓地から十二獣ドランシアを攻撃表示で特殊召喚」

十二獣ドランシア 攻?→0

 

「そして十二獣ライカと十二獣タイグリスでオーバーレイ」

 

「はあ!?エクシーズモンスターをエクシーズ素材にするだと!?」

 

「・・・・それ、さっきも言った。ってか数が少ないだけでここ最近では当たり前」

 

★4 × ★4 = ★0

 

「2体のエクシーズモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築。エクシーズ召喚、FNo,0 未来皇ホープ」

 

FNo,0 未来皇ホープ 攻0

 

「さらにFNo,39 未来皇ホープでオーバーレイ」

 

 ★0 → ★0

 

「1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築。エクシーズ召喚、FNo.0 未来龍皇ホープ」

 

FNo,0 未来龍皇ホープ 攻3000

 

エクシーズ召喚された未来皇ホープはそのまますぐにブラックホールに吸い込まれていき、未来龍皇ホープが特殊召喚される。

 

「手札から永続魔法、十二獣の会局。効果、自分フィールドのカード1枚を破壊して、デッキから『十二獣』モンスターを特殊召喚する。このカードを破壊して、十二獣ヴァイパーを特殊召喚」

 

十二獣ヴァイパー 攻1200

 

桜のフィールドに十二獣の会局はすぐに爆発、デッキからヴァイパーが特殊召喚される。そして爆発して粉々になった十二獣の開局は粉々が一つの光の弾となり、十二獣ドランシアのエクシーズ素材になる。

 

「破壊された十二獣の会局の効果。このカードが破壊された場合、自分フィールドの『十二獣』エクシーズモンスターのオーバーレイ・ユニットになる。そして、十二獣ヴァイパーの効果。手札・フィールドのこのカードを『十二獣』エクシーズモンスターのオーバーレイ・ユニットにする」

 

十二獣ドランシア OVR 0→1→2

攻0→1200

 

「魔法カード、強欲で貪欲な壺、デッキの上から10枚を除外して2枚ドロー」

 

桜 手札 1枚→3枚

 

「カードを1枚伏せてターンエンド」

 

 

桜 手札 2枚 LP 4000

 

ーーーー▲ ー

○ーーー○

ー ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

定岡 手札 4枚 LP 4000

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

定岡 手札 5枚

 

「(クソッ!!情報と違うじゃねぇか!!ファンタズメイが腐っちまった!!)手札から速攻魔法、武装竜の霹靂(アームド・ドラゴン・フラッシュ)を発動!デッキからLv3の『アームド・ドラゴン』を守備表示で特殊召喚する!」

 

「・・・・手札の増殖するGの効果。このカードを捨て、このターン相手が特殊召喚する度に1枚ドローする」

 

「アームド・ドラゴン・サンダーLV3を特殊召喚!」

 

アームド・ドラゴン・サンダーLV3 攻1200

 

「増殖するGで1枚ドロー」

 

桜 手札 1枚→2枚

 

相手のフィールドに子供のドラゴンが現れる。小さな翼をバタバタと羽ばたかせて両手は電気で帯びている。

 

「アームド・ドラゴン・サンダーLV3の効果!手札の幻想龍ファンタズメイを墓地に送り、フィールドのこのカードを墓地へ送ってデッキからLv5以下の『アームド・ドラゴン』1体を特殊召喚する!」

 

「・・・・いいや。スルー」

 

「舐めた真似を・・・!!出でよ!!アームド・ドラゴン・サンダーLV5!!」

 

アームド・ドラゴン・サンダーLV5 攻2400

 

「増殖するGで1枚ドロー」

 

桜 手札 2枚→3枚

 

「アームド・ドラゴン・サンダーLV5の効果!LV3と同じ条件で手札のアームド・ドラゴン・サンダーLV3をコストにする!」

 

「・・・・ここかな。FNo,39未来龍皇ホープの効果。モンスター効果が発動した場合、このカードのオーバーレイ・ユニットを一つ取り除いて、その発動を無効」

 

「なっ!?」

 

「さらにこの効果で無効にしたモンスターがフィールドにいた場合、そのモンスターのコントロールを得る」

 

「何だと!?」

 

FNo,39未来龍皇ホープ OVR 3→2

 

特殊召喚されてアームド・ドラゴン・サンダーLV5の効果にチェーンして桜がホープの効果を使用、LV5の効果は無効になり、さらにそのコントロールは桜のものになる。

 

「くそっ!!手札から捨てられたアームド・ドラゴン・サンダーLV3の効果!デッキからカードを1枚ドローする!」

 

定岡 手札  2枚→3枚

 

「砲撃のカタパルト・タートルを召喚!」

 

砲撃のカタパルト・タートル 攻1000

 

「(・・・・あれ確かLv5以下のドラゴン族モンスターを特殊召喚するはず)召喚成功時、十二獣ドランシアの効果。オーバーレイ・ユニットを一つ取り除いてフィールドの表側表示のカードを破壊する」

 

「はぁ!?こっちのターンだぞ!?」

 

「この効果は相手ターンでも使える」

 

十二獣ドランシア OVR 2→1

 

十二獣ドランシアがオーバーレイ・ユニットを吸収、そのまま腕を振り下ろし、地面から衝撃波が出てカタパルト・タートルを破壊した。

 

「く、くそ・・・カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

桜 手札 3枚 LP 4000

 

ーーーー▲ ー

○ー○ー○

ー ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

定岡 手札 1枚 LP 4000

 

 

「私のターン、ドロー」

 

桜 手札 4枚

 

「(・・・・伏せカード破壊するの来なかったな。どうしようかな)」

 

「(俺の伏せカードはミラーフォース!これで全滅だ!)」

 

「(・・・・まあいいか。相手の手札1枚だし、この手札なら多少のリスクは背負える)バトルフェイズ、FNo.39未来龍皇ホープでダイレクトアタック」

 

「(かかった!!)リバースカードオープン!聖なるバリア〜ミラーフォース〜!!これでお前のモンスターは全滅だ!!」

 

桜のホープが攻撃を開始、そのタイミングで相手はミラーフォースを発動、ホープの攻撃は相手に包まれたバリアによって阻害され、アームド・ドラゴンとドランシアはミラーフォースによるバリアの攻撃を受けて破壊される。

 

「ヒャハハハハ!!これでお前のモンスターは全滅《ザシュ!!》グオオ!!!!」

 

定岡 LP 4000→1000

 

だが、ミラーフォースの効果を受けたはずのホープはフィールドに残り続け、攻撃をした。

 

「グホッ・・・・な、なぜだ!?」

 

「FNo,39未来龍皇ホープは戦闘・効果で破壊されない」

 

「何だと!?」

 

「メインフェイズ2、永続魔法、炎舞ー「天璣」。発動時、デッキからLv4以下の獣戦士族モンスター1体を手札に加える。十二獣サラブレードを加えて召喚」

 

十二獣サラブレード 攻1600→1700

 

「十二獣サラブレードの効果。召喚・特殊召喚成功時、手札の『十二獣』カードを捨てて、1枚ドローする。十二獣の方合を捨て、1枚ドロー。十二獣サラブレードでオーバーレイ」

 

☆4→★4

 

「1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚。十二獣ハマーコング」

 

十二獣ハマーコング 攻?→1600→1700

 

「十二獣ハマーコング1体でオーバーレイ。1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築。エクシーズ召喚、十二獣ワイルドボウ」

十二獣ワイルドボウ 攻?→1600→1700

 

「さらに十二獣ワイルドボウ1体で保オーバーレイ。エクシーズ召喚、十二獣タイグリス」

 

「さ、さっきから好き勝手にエクシーズ召喚しやがって・・・!!」

 

「これで終わり・・・十二獣タイグリス1体でオーバーレイ」

 

★4→★12

 

「1体のエクシーズモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築。エクシーズ召喚、天霆號アーゼウス」

 

天霆號アーゼウス 攻3000

 

最後に桜は十二獣タイグリスをオーバーレイ・ユニットとしてアーゼウスを特殊召喚した。

 

「はぁ!?いきなり十二獣に関係ないモンスターが出てきたぞ!?どういう事だ!?」

 

「このモンスターは自分のバトルフェイズにエクシーズモンスターが戦闘を行ったターンに1度、エクシーズモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚できる」

 

 

桜 手札 3枚 LP 4000

 

ーーーー▲ ー

○ーーー○

ー ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

定岡 手札 1枚 LP 1000

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

定岡 手札 2枚

 

「(・・・・・まだ付いている!)手札から魔法カード、強欲で金満な壺!EXデッキからランダムに裏側で6枚除外!除外した枚数が3枚につき1枚ドロー!」

 

「・・・・通す」

 

 定岡 手札 1枚→3枚

 

「(・・・・ちっ、ホープのせいで展開出来ねぇ・・・だが仮面竜なら防げる)モンスターセット、カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

「・・・エンドフェイズ、天霆號アーゼウスの効果、オーバーレイ・ユニットを2つ取り除いて、このカード以外のフィールドのカードを全て墓地に送る」

 

「はあぁ!?!?」

 

天霆號アーゼウス OVR 4→2

 

アーゼウスがオーバーレイ・ユニットを2つ吸収する。翼が開いて、電気を帯びてエネルギーを吸収、そのまま上昇してエネルギーを放出、フィールド全てのカードがエネルギーに飲み込まれて墓地に送られた。

 

「墓地の十二獣の方合の効果。墓地のこのカードを除外して、墓地の十二獣モンスターを5種類デッキに戻して1枚ドローする。十二獣ドランシア、十二獣タイグリス、十二獣ライカ、十二獣ワイルドボウ、十二獣モルモラットの5枚をデッキに戻して1枚ドロー」

 

 

桜 手札 3枚→4枚 LP 4000

 

ーーーー▲ ー

○ーーー○

ー ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

定岡 手札 1枚 LP 1000

 

 

「私のターン、ドロー」

 

桜 手札 5枚

 

「バトル、天霆號アーゼウスでダイレクトアタック」

 

定岡 LP 1000→0

 

WIN 桜  LOS 定岡

 

 

 

 

「終わった、帰った帰った、皆帰れ」

 

「くそっ!!覚えてろ!!」

 

相手は捨て台詞を吐いて逃げるように走っていった。他の記者たちも定岡の跡を追いかけるように消えていく。

 

「根性もない記者どもは二度と来るな」

 

「口悪いな・・・・・」

 

「お兄ちゃんの言葉が写った」

 

「いやまぁ・・・あれくらいの奴らならそれくらいの言葉でいいけど」

 

「お兄ちゃん、早く病院に行こう。リハビリの時間が押している」

 

「そうだな」

 

桜はデュエルディスクを片付けて、俺の車椅子のハンドルを手にして病院の中に入る。




桜「雑魚は集まっても雑魚」

遊輝「お前本当に口悪くなったな・・・・」

桜「お兄ちゃんのせい」

遊輝「そこは否定せんがもう少し世間体というのを気にした方がいいぞ・・・」

桜「そんなもの気にしているからマスゴミがわんさかやってくる」

遊輝「何だかなぁ・・・分かるんだけど下手な事言えないんだよ」

桜「次回、『不穏な影』。次回もよろしく」


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第64話 不穏な影

あけましておめでとうございます。今年も一年間よろしくお願いします。

大晦日に一話書けました・・・・
去年は色々と大変だった。良い経験って言いたいけど流石にこんな経験はもう二度と味わいたくありませんね・・・・見えない敵の中就活とかマジで嫌です。



遊輝 side

 

 

「うっ・・・・ぐっ・・・」

 

「頑張ってください。もう少しですよ」

 

「ぐつ・・・・動け・・・!!!」

 

平行棒の間に立ち、両手で持って足を動かす。リハビリの先生に励まされて、言うこと聞かない足を無理矢理動かす。足の感覚はあるが、痛みが辛い。

 

「ぐっ!!うっ!!」

 

「もう少しです」

 

「ぐっ・・・ぐうう!!」

 

「!?遊輝さん!!ストップ!!誰か!!車椅子持ってきて!!」

 

「ッハァ・・・・ハァ・・・・」

 

前体重になって足を無理矢理動かす。そのツケが来て体のバランスが崩れてしまい、足の痛みが激しくなった。先生が俺の体を支える。俺は両手を離してゆっくりと後ろに体を下ろし、椅子に座る。

 

「無茶しすぎですよ・・・・いきなりあんな歩幅を大きくしたら痛みをぶり返しますよ」

 

「・・・・・すみません」

 

「お兄ちゃん、落ち着いて。今出来ることを」

 

「分かってるんだけど・・・・ハァ」

 

「今日はもうやめましょう。この状態では逆に悪化してしまいます」

 

「・・・・・・・・」

 

先生が車椅子を動かしてベッドの横まで移動する。介助を受けて車椅子からベッドに移り、仰向けの体制になる。

 

「マッサージしますよ」

 

「はい・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

先生の言葉を聞いてボゥ〜と天井を見る。さっきまで激しかった足の痛みが嘘のように引いていく。

 

「(・・・・ここ最近、上手くいかないな)」

 

本当に何もかも上手くいかない。何をしても裏目になる。デュエルにしても音楽しても料理しても、日常生活で全てのことが全く上手くいかない。

 

「(なんか・・・・呪われているんかな。そう言うの怖くて触れてなかったけど)」

 

「はい、マッサージ終わりました。今日のリハビリはこれで終わりです」

 

「・・・・ありがとうございました」

 

「元気出してください。少しずつ足は良くなっているんです。実際に少しずつ動いているんです。ゆっくり行きましょう」

 

「・・・・はい。桜、頼む」

 

「ん」

 

桜が車椅子の後ろからハンドルを持ち、そのままリハビリルームを出る。確かに足は回復しているだろう、実際、先月と比べていたら格段に動けるようにはなった。だけど何も出来ない事に変わりはない。

 

「お兄ちゃん、そのまま帰るよ」

 

「あぁ・・・頼む」

 

「何ですか一体!?関係ない人に患者を合わすことはできません!!」

 

「・・・・何だ?」

 

「揉め事?」

 

リハビリルームから入り口に向かう途中、その入り口の方から大声が聞こえた。何か揉めている感じがする。俺と桜はそのまま入り口の方に向かう。その曲がり角で白衣を着た渡辺さんがいて、こっちに気づき小走りでくる。

 

「あっ、遊輝さん。ちょうど良かった」

 

「渡辺さん?どうしました?」

 

「いや・・・それが君に会いたいっていういかにも怪しい奴らがいるんだが、知り合いなのか?」

 

「怪しい奴ら?」

 

俺と桜は渡辺さんの後ろに着き、そっと壁から入り口を見る。黒いスーツを着た偉い人とナースの人が奇抜な衣装の集団と揉めている。白黒のラバースーツにサングラスをかけて、緑色に髪を染めている。

 

「ですから、この場で患者とお会いすることは出来ません。貴方達は遊輝さんとどういうお関係ですか?」

 

「今は関係はない。だがこれから関係を作っていくんだよ」

 

「知っていますか?」

 

「・・・・あいつら、また」

 

「また?」

 

「あいつら、お兄ちゃんをスカウトしようとしているRDチーム、裏で碌でもない噂が流れている、宗教集団みたいなもの」

 

「なるほど・・・・つまり貴方は彼らと会いたくないのですね」

 

「そういうことです・・・」

 

「なら裏道から行こう。ちょうどセキュリティを呼んだ。これ以上騒ぎが大きくなったら病院としても迷惑だ」

 

渡辺さんの案内で入り口から離れていき、裏側の従業員用の出入り口へ向かう。背中側では未だに揉めた声が聞こえる。

 

「よし、ここから出ようか」

 

「すみません・・・」

 

「気にしなくて良いよ。君を目当てにしているとはいえ、原因を作っているのは向こうだ。君は何一つ悪くない」

 

「・・・・・・・」

 

「お兄ちゃん、行こう」

 

桜に車椅子を押され、従業員出入り口から病院を出る。駐輪場と駐車場が兼ねられていて、そのまま病院の敷地から出る。

 

「お兄ちゃん、この後はどうするの?」

 

「・・・・買い物しないとな。スーパー行かないと」

 

桜に言われてポツンと浮かんだやらなきゃいけない事を言う。正直、急いで買い物したいわけじゃないけどなんかこのまま帰っても嫌な気持ちが晴れないため少しブラブラしよう。

 

「ハァ・・・何とかならないかな」

 

「・・・・・お兄ちゃん、誰か見ている」

 

「・・・・・ん」

 

病院を出てすぐ、桜が誰かに見られている事を告げる。俺もすぐに能力を使い検査する。俺と桜、それに移動している車など、人々の反応がする中、すぐ先の曲がり角で一際目立つ反応がした。それだけじゃない、動いている人の何人かがこっちを観察している。

 

「・・・・誰だ、そこの曲がり角にいるやつ」

 

「おやおや、噂の力は本当みたいだな」

 

曲がり角から1人の男が現れる。黒いハットに黒いスーツを着て、黒いマント、黒いサングラスと全身黒づくめのいかにも怪しい奴だ。

 

「・・・・お前は何だ?スカウトか?」

 

「ある意味スカウトだね。だがRDチームのスカウトじゃない。君のそのシークレットシグナーの力を利用する者に雇われた者さ」

 

「・・・・・・桜」

 

「おっと、動かれちゃ困るぜ(パチン)」

 

男が指を鳴らす。周りを見ていた人々がその音に気づき、ゆっくりと歩いて俺たちの周りを取り囲む。

 

「・・・・・・・・・」

 

「大人しく付いてきてもらうぜ」

 

「・・・・・サン・フレア」

 

「ギャアアアア!!!!」

 

右手を上げて上空に小さな太陽を複数作り、360度全てに放つ。周りの人たちはその攻撃を受けてバタバタと倒れていく。

 

「チッ・・・厄介な事を」

 

「取引相手から俺のことを聞いてきたんだろ?これくらい想像できただろ?」

 

「躊躇なくやる事は聞いてないんだよな・・・」

 

「これ以上付き合わん、帰ってもらうぞ」

 

「ふっ、慌てるなよ」

 

そう言って黒づくめの男はデュエルディスクを取り出して起動させる。

 

「・・・・・」

 

「ここはこれで決めようではないか」

 

「お兄ちゃん、私が「いや、俺がやる」お兄ちゃん?」

 

「これ以上、迷惑をかけてられん。自分でやるべき事は自分でやる。桜、車椅子を支えてくれ」

 

「・・・・・分かった。はい、デュエルディスク」

 

桜が車椅子の背もたれにかけてあるカバンからデュエルディスクを取り出してくれる。それを右腕につけて起動させる。桜はタイヤにブレーキをかけて後ろから支えてくれる。

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

遊輝 LP 4000 謎の男 LP 4000

 

「先行は私だ。宣告者の神巫(デクレアラー・ディヴァイナー)を召喚」

 

宣告者の神巫 攻500

 

相手のフィールドに虹色の翼を広げたフードを被った女性が現れる。

 

「宣告者の神巫の効果。デッキまたはEXデッキから天使族モンスターを墓地に送り、エンドフェイズまでこのカードのレベルはそのモンスターのレベル分、上昇する。EXデッキかれ虹色の宣告者(アーク・デクレアラー)を墓地に送る」

 

宣告者の神巫 ☆2→☆6

 

「めんどくせぇモンスターを・・・・」

 

「墓地に送られた虹色の宣告者の効果。デッキから儀式モンスター、または儀式魔法を手札に加える」

 

「(・・・・あれを入れているって事は多分儀式デッキ、そして宣告者の神巫を入れるって事は方はアレ)・・・・通す」

 

「デッキから儀式モンスター、サイバー・エンジェルー弁天ーを加える。魔法カード、極超の竜耀巧(ドライトロン・ノヴァ)。デッキから『ドライトロン』モンスターを特殊召喚する」

 

「・・・・チェーン、灰流うらら」

 

「それに私もチェーンで速攻魔法、墓穴の使命者。灰流うららは除外させてもらう」

 

「さらにチェーン、増殖するG」

 

「チッ、それが本命か・・・まぁ構わない」

 

「チェーン処理解決、このターン、お前が特殊召喚するたびに1枚ドローする」

 

「墓穴の指名者の効果は解決され、灰流うららはゲームから除外されお互いのプレイヤーは次のエンドフェイズまで同名モンスターの効果は無効になる。極超の竜輝巧の効果でデッキから竜輝巧ーエルγを特殊召喚!」

 

竜輝巧ーエルγ 攻2000

 

「増殖するGの効果で1枚ドロー」

 

 遊輝 手札 3枚→4枚

 

「本当なら強い盤面を作りたかったが、致し方ない。手札の竜輝巧ーアルζの効果!」

 

「チッ・・・」

 

「このカードは通常召喚できない代わりに、手札・フィールドから『ドライトロン』モンスター又は儀式モンスターをリリースする事で守備表示で特殊召喚できる!サイバー・エンジェルー弁天ーをリリースして、特殊召喚!」

 

竜輝巧ーアルζ 守0

 

「増殖するGで1枚ドロー」

 

「その後、デッキから儀式魔法を手札に加える!私は流星竜輝巧(メテオニス・ドライトロン)を手札に加える!リリースされたサイバー・エンジェルー弁天ーの効果!デッキから光属性・天使族モンスターを手札に加える!私は崇高なる宣告者(アルティメット・デクレアラー)を手札に加える!」

 

「崇高なる宣告者!?でもその儀式モンスターは専用儀式魔法が必要な上にレベルの合計が12必要、とても相手のフィールドだけでは・・・・」

 

「桜、あのデッキはレベルは関係ないんだよ・・・」

 

「儀式魔法、流星竜輝巧!このカードは儀式召喚をする際、機械族モンスターしか儀式素材できない代わりに、攻撃力の合計を参照にして、手札の儀式モンスターを儀式召喚できる!」

 

「!?攻撃力を参照!?確かエルγとアルζは・・・・」

 

「私は攻撃力2000のエルγとアルζをリリース!合計攻撃力4000!出でよ!崇高なる宣告者!」

 

 崇高なる宣告者 守3000

 

相手フィールドのエルγとアルζがリリースされ、最強の天使族儀式モンスター、崇高なる宣告者が特殊召喚される。

 

「増殖するGで1枚ドロー」

 

「私はこれでターンエンド。エンドフェイズ、宣告者の神巫のレベルは元に戻る」

 

宣告者の神巫 ☆6→☆2

 

 

遊輝 手札 6枚  LP 4000

 

ーーーーー

ーーーーー

ー ー

○ー○ーー

ーーーーー ー

 

謎の男 手札 1枚 LP 4000

 

 

「俺のターン、ドロー」

 

遊輝  手札 7枚

 

「(・・・幸いにも相手の手札は1枚のみ、ただ、あれがイーバだった時を考えると、2回止められるのか)」

 

「さぁ、こいつを越えられるなら越えてみろ」

 

「(・・・すげぇ自信満々だな。となると天使族モンスターを抱えている事は確定か。ペンデュラムは慎重に行わないとな)レフト・Pゾーンにスケール1の紫毒の魔術師をセッティング」

 

「紫毒の魔術師だと!?」

 

「(・・・うまい、紫毒のペンデュラムゾーンの発動を無効にすれば紫毒の魔術師のモンスター効果を無効に出来ず、崇高なる宣告者は破壊される。そして闇属性・魔法使い族モンスターを通常召喚すれば・・・)」

 

「どうする?無効にするか?」

 

「クソッ・・・・そのままだ!」

 

「通常召喚。EM天空の魔術師」

 

EM 天空の魔術師 攻1500

 

「バトルフェイズ、EM天空の魔術師で宣告者の神巫を攻撃、ダメージ計算前、紫毒の魔術師のペンデュラム効果発動。自分フィールドの闇属性・魔法使い族モンスターの攻撃力を1200ポイントアップさせ、このカードを破壊する」

EM 天空の魔術師 攻1500→2700

 

「破壊された紫毒の魔術師の効果発動。破壊された場合、相手フィールドの表側表示のカード1枚を対象に取り、破壊する。対象は崇高なる宣告者だ」

 

「(ここで崇高なる宣告者の効果を使って効果を無効にしても、また紫毒の魔術師の効果を発動されてしまう!いやだがここは・・・・)崇高なる宣告者の効果!手札から天使族モンスターを墓地に送る事で、相手が発動した効果を無効にして破壊する!手札のイーバを墓地に送る」

 

ペンデュラムゾーンで破壊された紫毒の魔術師が崇高なる宣告者を道連れにしようとしたが、崇高なる宣告者の効果で相手は手札のイーバを墓地に送り、その発動を無効にした。

 

「(・・・・なるほど、手札交換か)アクティブプレイヤーの俺からだな。ペンデュラムゾーンで破壊されて墓地に送られた紫毒の魔術師の効果発動」

 

「チェーンでイーバの効果!このカードが墓地に送られた場合、手札・フィールド・墓地からイーバ以外の天使族モンスターを2体まで除外して、イーバ以外のLv2以下の天使族モンスターを手札に加える!墓地の虹色の宣告者を除外して2枚目の宣告者の神巫を手札に加える」

 

「紫毒の魔術師の効果、今度こそ崇高なる宣告者を破壊!」

 

ペンデュラムゾーンから墓地に送られた紫毒の魔術師の亡霊が再び現れて、崇高なる宣告者に取り憑き破壊する。

 

「バトル続行、天空の魔術師で宣告者の神巫を攻撃」

 

EM 天空の魔術師 攻2700

宣告者の神巫 攻500

 

謎の男 LP 4000→1800

 

「ぐううぅ!!!」

 

「メイン2、レフト・Pゾーンにスケール2の賤竜の魔術師を、ライト・Pゾーンにスケール5の慧眼の魔術師をセッティング」

 

空いたペンデュラムゾーンに慧眼の魔術師と賤竜の魔術師がセットされる。

 

「魔法カード、デュエリスト・アドベント。ペンデュラムゾーンにペンデュラムカードが存在する場合、デッキから『ペンデュラム』と名のついたモンスター・魔法・罠を1枚手札に加える」

 

デュエリスト・アドベントにより周りに振り子が現れてゆっくりと大きく揺れる。俺のデッキからカードが1枚飛び出して、俺はそのカードを手札に加える。

 

「EM ペンデュラム・マジシャンを手札に加える。ライト・Pゾーンの慧眼の魔術師のペンデュラム効果。もう片方のペンデュラムゾーンが『EM』または『魔術師』ペンデュラムカードの場合、このカードを破壊してデッキから『魔術師』ペンデュラムカードをセットする。スケール8の虹彩の魔術師をセット。揺れろ、魂のペンデュラム、天空に描け光のアーク、ペンデュラム召喚!現れろ・・・・俺のモンスター達!」

 

虹彩の魔術師と賤竜の魔術師の間に大きな振り子が現れて揺れ始める。その振り子の軌跡で描かれた大きな円から二つの光が飛び出す。

 

「エクストラデッキから慧眼の魔術師!手札からEM ペンデュラム・マジシャン!」

 

慧眼の魔術師 攻1500

EM ペンデュラム・マジシャン 攻1500

 

「ペンデュラム・マジシャンの効果。このカードが特殊召喚した場合、自分フィールドのカード2枚までを破壊してデッキからペンデュラム・マジシャン以外の『EM』モンスターを手札に加える。虹彩の魔術師を破壊して、デッキからEM オッドアイズ・シンクロンを手札に加える」

 

特殊召喚されたペンデュラム・マジシャンがペンデュラムゾーンの虹彩の魔術師を手にしている振り子を飛ばして破壊、デッキから1枚のカードが出てきて手札に加える。そして破壊された虹彩の魔術師の破片が集まり1枚のカードとなって俺の手札に加わる。

 

「破壊された虹彩の魔術師の効果。デッキから『ペンデュラムグラフ』魔法・罠カードを手札に加える。EX 天空の魔術師の効果、このカードが召喚・特殊召喚した自分のメインフェイズ時にこのカード以外のモンスターの種類によって効果を得る。ペンデュラムモンスターが存在する場合、俺はエンドフェイズにデッキからペンデュラムモンスターを加える。星霜のペンデュラムグラフを加えてそのまま発動。現れろ、未来へ続くサーキット」

 

上空にリンクマーカーが現れて、慧眼の魔術師ととペンデュラム・マジシャンがリンクマーカーの中に入り、左斜め下と右斜め下の矢印が赤く光る。

 

「アローヘッド確認、召喚条件はペンデュラムモンスター2体。俺は慧眼の魔術師とペンデュラム・マジシャンをリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2、ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム 」

 

ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム 攻1800 ↙︎ ↘︎

 

「チェーン1、星霜のペンデュラムグラフ、エレクトラムの効果。リンク召喚成功時、デッキからペンデュラムモンスターをエクストラデッキに送る。アストログラフ・マジシャンをエクストラデッキに送る」

 

リンク召喚したエレクトラムの効果によりデッキからアストログラフ・マジシャンがEXデッキに送られる。

 

「星霜のペンデュラムグラフの効果。『魔術師』ペンデュラムモンスターがフィールドから離れた場合、デッキから『魔術師』ペンデュラムモンスターを手札に加える。2枚目の紫毒の魔術師を選択して発動」

 

空いたライト・ペンデュラムゾーンに再び紫毒の魔術師がセッティング。それにより、反対側のペンデュラムゾーンにいる賤竜の魔術師が動き出す。

 

「賤竜の魔術師のペンデュラム効果。もう片方のペンデュラムゾーンに『魔術師』ペンデュラムカードが存在する場合、EXデッキの表側に存在する『魔術師』または『オッドアイズ』ペンデュラムモンスターを手札に戻す。慧眼の魔術師を選択。エレクトラムの効果。自分フィールドのカードを1枚破壊してEXデッキの表側のペンデュラムカードを手札に戻す。賤竜の魔術師を破壊して、アストログラフ・マジシャンを回収」

 

エレクトラムが動き出し、ペンデュラムゾーンの賤竜の魔術師を破壊、そして破壊した賤竜の魔術師のバラバラの破片が一つの光となって1枚のカードとなり俺の手札に加えられる。

 

「チェーン1、エレクトラム、チェーン2、アストログラフ・マジシャンの効果発動。自分フィールドのカードが破壊された場合、このカードを特殊召喚する」

 

アストログラフ・マジシャン 攻2500

 

破壊された賤竜の魔術師の残された破片が再び一つの光となる。その光が青く、そして大きくなり、その中からアストログラフ・マジシャンが姿を表す。

 

「その後、このターンに破壊されたカード1枚をデッキから手札に加える。賤竜の魔術師を加え、エレクトラムの効果で1枚ドロー」

 

 遊輝 手札 3枚→4枚→5枚

 

「ライト・Pゾーンにスケール6のEM オッドアイズ・シンクロンをセッティング。ペンデュラム効果発動、自分フィールドの『EM』モンスター1体を対象に取り、そのモンスターはこのターン、Lv1のチューナーとなる。対象は天空の魔術師」

 

EM 天空の魔術師 ☆4→☆1

 

「現れろ、未来へ続くサーキット」

 

再びリンクマーカーが現れ、エレクトラムと天空の魔術師がのリンクマーカーの中に入り、同じく左斜め下と右斜め下の矢印が赤く光る。

 

「召喚条件はチューナーモンスターを含むモンスター2体!俺はエレクトラムと天空の魔術師をリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン、リンク召喚、リンク2、水晶機巧ーハリファイバー」

 

水晶機巧ーハリファイバー 攻1500 ↙︎ ↘︎

 

リンクマーカーに入ったエレクトラムと天空の魔術師の代わりにハリファイバーが現れる。

 

「ハリファイバーの効果発動。リンク召喚成功した場合、手札・デッキからLv3以下のチューナーモンスターを守備表示で特殊召喚する。2体目のEM オッドアイズ・シンクロンを特殊召喚」

 

EM オッドアイズ・シンクロン 守600

 

「オッドアイズ・シンクロンとアストログラフ・マジシャンで融合、覇王につく四龍の1体よ、融合の力を得て、全てを食い尽くせ、融合召喚、覇王眷竜スターヴ・ヴェノム!」

 

覇王眷竜スターヴ・ヴェノム 攻2800

 

アストログラフ・マジシャンと天空の魔術師が融合の渦に吸い込まれていき、渦の中から覇王眷竜スターヴ・ヴェノムが大きな咆哮を上げて現れる。

 

「スターヴ・ヴェノムの効果。自分または相手のフィールド・墓地のモンスター1体を対象に取り、エンドフェイズまで同じ名前、効果を得る。対象はエレクトラム」

 

覇王雀竜スターヴ・ヴェノム→ベビーメタルフォーゼ・エレクトラム

 

「スターヴ・ヴェノムの効果。オッドアイズ・シンクロンを破壊して、アストログラフ・マジシャンを回収、アストログラフ・マジシャンの効果。自身を特殊召喚して、3枚目の紫毒の魔術師を回収、カードを1枚伏せてターンエンド。エンドフェイズ、天空の魔術師の効果でEM ドクロバット・ジョーカーを加える」

 

 

遊輝 手札 5枚  LP 4000

 

△ーー▲ー ー

ー○ー○ー

ー ○

ーーーーー

ーーーーー ー

 

謎の男 手札 1枚 LP 1800

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

謎の男 手札 2枚

 

「宣告者の神巫を召喚」

 

再び相手のフィールドに宣告者の神巫が召喚される。

 

「効果発動!」

 

「(・・・・・・あのデッキは一度崩壊したら立て直すのは難しいな)チェーン、ハリファイバーの効果、このカードをゲームから除外して、EXデッキからシンクロチューナーをシンクロ召喚扱いで特殊召喚する」

 

ハリファイバーがフィールドから天空に舞い上がりフィールドから消える。その消えた後の光は星屑へと変わる。

 

「星屑に導かれし龍よ、宇宙から地平へと誘い未来へ駆け抜けろ!シンクロ召喚!Lv7、シューティング・ライザー・ドラゴン!」

 

シューティング・ライザー・ドラゴン 攻2100

 

ハリファイバーが残した星屑が降り注ぎ、それが形となってシューティング・ライザーが姿を表す。一度空へ羽ばたき、大きな咆哮を上げて相手を睨みつける。

 

「再び虹色の宣告者を墓地に送り、レベルを4つあげる!」

 

宣告者の神巫 ☆2→☆6

 

「虹色の宣告者の効果!」

 

「こっちもシューティング・ライザーの効果だ。シンクロ召喚成功時、デッキからこのカードのレベル未満のモンスターを墓地に送り、そのモンスターのレベル分、このカードのレベルを下げる。Lv6のクロノグラフ・マジシャンを墓地に送る」

 

シューティング・ライザー・ドラゴン ☆7→☆1

 

「虹色の宣告者の効果で2枚目のサイバー・エンジェルー弁天ーを加える!」

 

「その後、シューティング・ライザー・ドラゴンの効果。相手メインフェイズにシンクロ召喚を行う。Lv7のアストログラフ・マジシャンにLv1のシューティング・ライザーをチューニング」

 

☆7 + ☆1 = ☆8

 

「天高く突き上げる龍よ、弾丸を込め相手の心房を撃ちぬけ、シンクロ召喚、Lv8、ヴァレルロード・S・ドラゴン」

 

ヴァレルロード・S・ドラゴン 攻3000

 

特殊召喚されたシューティング・ライザーとアストログラフ・マジシャンが飛び上がる。シューティング・ライザーが作った一つの緑の輪にアストログラフ・マジシャンが入り、7つの光となる。それらが一つとなってヴァレルロード・Sが特殊召喚される。

 

「ヴァレルロード・Sの効果。シンクロ召喚成功時、墓地のリンクモンスターをこのカードに装備する。エレクトラムを装備」

 

『ギャアアアア!!!!!!』

 

サベージが大きく咆哮して、地面にヒビが入る。そこからエレクトラムが丸い球体に包まれて現れて、サベージの体に吸収された。

 

「ヴァレルロード・Sは装備したリンクモンスターの攻撃力の半分、攻撃力が上昇してリンクマーカーの数分、このカードにヴァレルカウンターを乗せる」

 

ヴァレルロード・S・ドラゴン 攻3000→3900

C 0→2

 

「今更何を・・・魔法カード、金満で謙虚な壺!エクストラデッキからカードを6枚選んで裏側で除外!除外した枚数が3枚につき1枚ドローする!」

 

「ヴァレルロード・Sの効果。1ターンに1度、このカードのヴァレルカウンターを一つ取り除き、効果の発動を無効にする」

 

「なっ!?」

 

ヴァレルロード・S・ドラゴン C 2→1

 

相手が発動した金満で謙虚な壺はサベージがカウンターを取り除き、発動を無効にする。

 

「さあどうする?その手札は弁天だろ?」

 

「・・・・タ、ターン、エンド・・・・」

 

 宣告者の神巫 ☆6→☆2

 

遊輝 手札 5枚  LP 4000

 

□--■- ー

-○-○-

ー -

---○ー

----- -

 

謎の男 手札 1枚 LP 1800

 

 

「俺のターン、ドロー」

 

遊輝 手札 6枚

 

「バトル、ヴァレルロード・Sで宣告者の神巫を攻撃、迅雷のヴァレルファイア」

 

サベージが攻撃を放ち、相手の宣告者の神巫を倒し、その余波が相手を襲った。

 

ヴァレルロード・S・ドラゴン 攻3900

宣告者の神巫 攻500

 

謎の男 LP 1800→0

 

 

WIN 遊輝  LOS 謎の男

 

 

「ぐっ・・・うっ・・・・」

 

「俺の勝ちだ、さっさと消えろ」

 

「くそッ・・・・今回は引いてやる。次こそは!!」

 

黒づくめの男は口元だけでも分かるくらいの悔しいそうな顔をして俺と桜の前から立ち去った。周りの人はまだ気絶して倒れている。

 

「桜、さっさとこの場から離れるぞ」

 

「ん」

 

俺は桜にすぐに移動することを伝え、桜はブレーキを外しすぐにこの場から立ち去る。

 

「(・・・・ほぉ〜、噂に聞いていた化け物じみた能力とはこの事か。そしてそれを狙う組織ねぇ〜、良い記事が書けそうだ)」




遊輝「ハァ・・・・」

桜「お兄ちゃん?」

遊輝「なんかパッとしないなって・・・あのデュエルももう少し良い方向に持って行けたんじゃないかって」

桜「そう?崇高なる宣告者の対処とか完璧だったと思うけど」

遊輝「あんなのすぐケアされる。もっと考えてプレイしないと」

桜「(・・・・なんか凄いネガティブ思考、本当に不味いかも)」

遊輝「次回、『マスコミとの戦争』。次回もよろしく


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第65話 マスコミとの戦争

コロナいつ治りますかね・・・旅行にも行けないし、自分の将来も不安になってきます。


遊輝  side

 

 

『誰だよこんな問題持ち込んだやつ』

 

『お前が怪我ばっかするからこっちにも迷惑かかってるんだぞ』

 

ち、違う・・・・俺じゃない・・・・

 

『優勝してバンド組んで調子乗ってるからそうなんじゃない?』

 

『だな』

 

違う・・・俺は・・・俺たちはちゃんと実力で・・・

 

『お前みたいな化け物ともう付き合ってられないぜ』

 

『私の前から消えて!!』

 

違う・・・・

 

『ここに来て我々の実験に手伝ってもらおう。化け物の君には大変名誉な事だろ?』

 

『我々のチームに来てくれたら優遇するよ?』

 

違う・・・・違う違う違う!!!!!!

 

『お前違う世界から来たんだって?』

 

『何それ?そんな痛いこと起きるわけないじゃない?脳みそ焼いていんの?』

 

違う違う違う!!!!

 

『お前は人殺しだよ』

 

『人殺し!人殺し!人殺し!』

 

違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「違う!!!!!」

 

バサッと布団を上げて上半身を起こす。ふと我にかえり、今自分がベッドの上にいることに気がついた。

 

「ッハァ・・・ハァ・・・み、水・・・」

 

ベッドの横にあるサイドテーブルからペットボトルを手にして水をガブ飲みする。

 

「プハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・・寝汗がすごいな。今何時だ・・・・」

 

ペットボトルを空にした俺はペットボトルをサイドテーブルに置き、時計を手にする。

 

「ハァ・・・ハァ・・・6時か。今日はまだ寝れた方だな・・・・」

 

ここ最近、こんな夢ばっか見ている。罵倒され、馬鹿にされ、しまいには秘密にされている転生したことをバラされ、文字通り悪夢となって俺を蝕んでいる。

 

「ハァ・・・・ハァ・・・・アリア・・・・アリア?」

 

俺はアリアの名を呼ぶ。いつもなら一言呼んだだけで部屋に来る奴が今日は来ない。

 

「おいアリア?・・・・・ああ、そうか。そう言えばあいつら昨日から関西に行ってるんだな」

 

思い出した、今週の日曜日にすみれさんの大きな仕事の関係でみんなして神戸に行ってんだ。呼んでも来ないわけだ。

 

「弱ったな・・・まぁ車椅子に乗る練習ならしたし、トイレにでもいくか。よっと・・・・」

 

両手をうまく使い、少しずつベッドの真ん中から端の方に移動してブレーキして止めてある車椅子に座る。リハビリのお陰でこういうことも時間を掛ければだが出来るようになった。

 

「さてと・・・・行くか」

 

車椅子を動かし、俺はトイレへ向かう。せっせと車椅子を動かし、スバルのおかげでバリアフリーになった廊下を歩きトイレへ向かう。

 

 

 

 

 

 

「よっと・・・・味噌汁一つ作るのにも一苦労だな・・・」

 

「・・・・おはよう」

 

「おはよう、朝飯作ったぞ」

 

「・・・・・ん、ありがとう」

 

時間かけてトイレを終わらせた後、そのまま朝ごはん作りにかかった。時間的には少し早いくらいだし、今日はアリアもいない。常備しているおかずと昨日炊いたご飯がまだ残っているので味噌汁だけ作ってお茶碗とお椀にそれぞれ注ぐ。そのタイミングでちょうど桜が起きてきた。桜はこっちを見て、すぐにお盆におかずとご飯を置いてテーブルに運んでくれる。

 

「それじゃ食べるか」

 

「・・・・ん、いただきます」

 

手を合わせてご飯を食べる。テレビのリモコンをつけて今日の朝のニュースを見る。

 

『続いてのニュースです。先日発表された第2回WRGP、前回大会に参加したプロチーム、チームユニコーン、および前回大会準優勝、チーム5D'sのメンバー、クロウ・ホーガンが率いるチームアンリミテッドがWRGP参戦を表明しました』

 

『いや〜、これは面白くなりますね〜。前回大会は優勝候補として挑みながらも予選で敗退してしまったチームユニコーン、その後の大会はチームメンバーの結束がさらに高まり、数ある大会を総なめしてきました。今大会も優勝候補筆頭になるでしょう

 

『しかし、その障壁となるチームがまた参戦するというのが面白いですね〜。チームアンリミテッドは人気チームでしたが、今一歩勝ち切れないところありました。ところが去年の4月から鉄砲玉のクロウ・ホーガンによる加入により、チームは一気に強豪チームへ、チームユニコーンに次ぐ優勝回数を誇っています』

 

『前回大会は様々なトラブルがありながらも大成功を収めたWRGP、今大会は準優勝チームのチーム5D'sの解散、さらに優勝チームのチームSECRETの不参加でどうなることかと思いましたが、今大会も面白くなってきましたね〜』

 

『ですね』

 

「チームユニコーンもチームアンリミテッドも参戦か・・・こりゃまた豪華な面子が来たこと」

 

「知ってるの?」

 

「1回目の大会に出ていたチームと準優勝したチームのメンバーがいるチームだ。そのメンバーとは知り合いなんだよ」

 

「ふ〜ん・・・・そう言えばお兄ちゃん、優勝したって」

 

「あぁ、前回大会は優勝した。だからスカウトが来ているんだよ、優勝した証拠ならそこにある」

 

そう言って俺はリビングに飾ってあるガラスケースに指を指す。そこには第1回WRGPの優勝カップと優勝メダル、それに今までのライブで使ったグッズなどを飾ってある。

 

「・・・あのトロフィーって結構価値あったんだ」

 

「ある、っていうか無くしたら困るんだよ。俺たちの大事な宝物なんだから」

 

「ん」

 

『続いてのニュースです。昨年、12月に起きたバンドグループ、SECRETのギタリスト、遠藤遊輝さんが誘拐された事件、その主犯であるゼロ・アンクル容疑者の弁護士団が本日、保釈請求をします』

 

「あいつ保釈されるのかよ・・・・」

 

『ゼロ・アンクル容疑者の弁護士団が昨日、保釈請求をしました。弁護団の話によりますと【初犯を起こした人が2ヶ月近くも勾留されるのは人権侵害である】と発言しています。これに対し、セキュリティは裁判者に取り消しを要求しています』

 

『裁判官の判断になりますでしょうけど、これはどうなんでしょうね〜。遠藤さんは有名とは言えまだ未成年ですよ?未成年を殺人未遂にした上に誘拐、監禁した犯人を保釈なんてしたら問題だと思いますよ?』

 

『この会社は色々と黒い噂がありますから何も問題が起きなければ良いですが』

 

『それでは今朝入ってきたニュースは以上です。次は○○さんの・・・』

 

「ご馳走さん」

 

「ご馳走様」

 

「桜、掃除機と洗濯頼む。俺は食器を洗ってくる」

 

「分かった」

 

朝食を食べ終えて食器をまとめる。桜がお盆に載せた食器をキッチンに運んでくれて、その後を俺は追う。桜はリビングから出て、俺はそのまま洗い物を始める。

 

『続いて芸能ニュースです。本日発売の週刊文秋掲載の記事で、SECSETの遠藤遊輝さんの特殊能力について掲載されていました。誘拐事件の際、遊輝さんの個人情報が流されたという情報があり、その中に様々な噂がありましたが、本日発売された週刊文秋によって遊輝さんが特殊能力を持っていることが判明しました』

 

『週刊文秋の記事によりますと、遊輝さんは何者かによって囲まれた際、右手を突き上げて、何かしらのエネルギー弾をばら撒いたとのことです』

 

『これについてセキュリティは『既に容認をしており、市民の皆様の安全を守っていただくのに協力している』との回答がありました』

 

『これは・・・・大丈夫なのですかね?もちろん、彼はこの事件の被害者ですが、あまりこういう面倒事を引き起こすと・・・・』

 

「・・・面倒ごとを引き起こしてるんじゃなくて向こうから来るんだよ」

 

キッチンで洗い物していた俺、テレビで流れたニュースで嫌な気分になり近くにあるリモコンで消した。洗い物を終える頃に桜が掃除機を持ってリビングにやってくる。

 

「お兄ちゃん、今日は?」

 

「今日も補講。時間的にはお昼頃に終わる」

 

「ん、分かった」

 

適当に言葉を交わした後、桜は掃除機のスイッチを入れて掃除を始める。俺はリビングから出て、自分の部屋に行き、アカデミアに行く準備を始める。

冬休みのあの事件で出席単位ギリギリの俺、さすがにあの事件で単位を逃すのは・・・となったアカデミアの判断で春休みの間は歩行を受けることになった。

 

「・・・・よし」

 

「お兄ちゃん、終わらせた」

 

「じゃあアカデミアに行こう」

 

先に制服に着替え、カバンに今日の補講分の教科書とプリントを詰め込み終えたところで桜がやってくる。車椅子のハンドリズムを回し部屋を出たら、後ろのハンドルを桜が持ってくれて部屋を出る。

エレベーターに乗って下に降り、トップスのマンションから出る。

 

「はぁ〜・・・・春休みだって言うのに毎日補講補講ってしんどいなぁ」

 

「でもお兄ちゃん、出席単位がギリギリじゃん」

 

「あんなことあったからだけどさ・・・もう少し大目に見てくれてもいいじゃん」

 

そんなたわいもない話をしながらアカデミアに向かって歩く。なんて事の無い、平凡な普通の平日の朝だ。だけど、何か違和感を感じる。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「お兄ちゃん?」

 

「・・・・誰かに見られている気がする」

 

「えっ?」

 

俺は当たりをキョロキョロと首を振る。桜も俺に釣られて辺りを見渡す。しかし、ここは朝の通勤ラッシュのサラリーマンやOLが多く歩き、誰が見ているのか分からない。

 

「・・・・気のせいじゃ無い?」

 

「気のせい・・・・か、まぁ良いや」

 

多分、たまたま見られたんだろう。車椅子を乗っている人が珍しかっただけだ、そう片付けて俺たちはアカデミアに向かう。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「はい、では今日の補講はこれにておしまいです」

 

「だはぁ・・・・」

 

小泉先生の声を聞いて俺はだらんと腕を前に伸ばした。これで補講は10日目、あと5日やれば補講は終わる。

 

「やっとゴールが見えた・・・今日はもうゆっくり」

 

「あっ、遠藤君。悪いけど校長室に行ってくれる?桜さんもそこで待ってもらってるから」

 

「校長室?何で?」

 

「先生にタメ口は行けませんよ」

 

「あいてっ」

 

小泉先生は手にしていた出席簿の角を俺の頭に叩く。地味に痛かった俺は頭を押さえる。

 

「今朝発売の週刊誌のことみたいよ」

 

「・・・・・・・・・」

 

「色々あるのは先生も理解しているけど、またマスコミが大きく騒ぎそうだから対策しないといけないって」

 

「・・・・そうですか」

 

「・・・大丈夫、遠藤君?疲れてない?」

 

「・・・大丈夫ですよ」

 

「そう・・・・なら良いけど(この子、本当に大丈夫かしら・・・)。校長室に行くけど大丈夫?」

 

「えぇ、荷物纏めましたので」

 

机の上にあって補習用のプリントと筆記用具を鞄に直した俺。小泉先生は俺の車椅子のハンドルを持って教室から移動する。校長室に行くために一度中央にあるエレベーターに乗って、1階の職員室の奥に移動しなくちゃならない。その間、小泉先生は何も話さなかった。

 

「・・・はい、着いたわよ。失礼します、校長、遠藤君をお連れしました」

 

「どうぞ」

 

中から校長の声が聞こえてくる。その声を聞いて小泉先生は扉を開ける。ドアをストッパーで固定して、俺はハンドリズムを回して校長室の中に入る。中には校長と桜がソファに座って待っている。俺は桜の隣に移動してブレーキをかける。小泉先生は校長の横のソファに座る。

 

「すまない遠藤君。補講終わりで疲れているのに」

 

「いえ・・・大丈夫です」

 

「・・・・本当に大丈夫かね?君、目の下にうっすらとクマが出来てるぞ」

 

「・・・・・・・」

 

「何かあったのか?ここ最近寝れていなのかね?」

 

「・・・・大丈夫です」

 

「・・・・少しは君の心情を知っているからあまり声を掛けないけど、たまには我々を頼っても良いんだよ。今の君はどうも元気がない」

 

「・・・・・・・」

 

「校長先生、そろそろお話を」

 

「・・・・そうだな」

 

俺は大丈夫ときっぱり、校長先生は何か言いたげだったが小泉先生は話を進めるように促す。校長先生は少し間を置き、一冊の週刊誌を机の上に置いた。

 

「小泉君からも聞いていると思うがこの週刊誌に君がシークレットシグナーの能力を使っている写真を撮られた」

 

「・・・・・・」

 

「今までは噂が一人歩きしていたが今回のスクープはその噂が現実となる大きなスクープとなっている」

 

「・・・・すみませんでした」

 

俺は校長先生の言葉を聞いて何も答えらせず、ただ一言、謝罪の言葉を言って頭を下げる。

 

「君が謝ることは何一つない。セキュリティから話を聞いたら君は変な組織に襲われ、正当防衛として能力を使ったんだ。何一つこちらから責める理由はない」

 

「・・・・・・・・」

 

「それに、アカデミアの対応は変わらない。元々、君たちの能力はセキュリティから聞いているし、我々も君たちが手助けしてくれることを条件に見逃してきた。事実、君や君らの仲間のおかげで助かった場面は何度もある」

 

「・・・・・・・・」

 

「大きな力はそれだけ大きな波紋を呼ぶ、君たちの力を狙う悪から、その力を不安・恐怖して罵倒する者もいる。だが、どんな力も正しい使い方をすれば必ず人に役立つ。過去には原子力もあったし、現在もモーメントエネルギーがある。これら2つも間違った使い方をすれば人類が消滅するエネルギーだが、正しい使い方をすれば人類が生きていく上で重要な物となる。君たちはちゃんとそのことを弁えてくれている」

 

「・・・ありがとうございます」

 

「マスコミにはセキュリティから取材禁止令が送られている。先週の過激的な囲み取材、あれは本当にやり過ぎる。あんな事を見逃すほど我々は黙っていない。さっきも言ったが、君はもう少し周りの信頼できる大人に頼りなさい。難しいと思うが、逃げる勇気も必要だ」

 

「・・・・・はい」

 

校長先生の言葉、すごい大事な事を言ってくれているのはわかるが今の俺には何一つ響かない。虚無感に襲われている。週刊誌に撮られた事を気にしていないと思っていたが、こうまで言われると逆に心配になったり、迷惑をかけているんじゃないかって思う。

 

「週刊誌のことはこれくらいで良い。それで、スカウトの方はどうなってる?」

 

「・・・・今でもしょっちゅう来て頭を悩ませています。断ったチームからもしつこく来ています」

 

「全く・・・未成年にやることじゃない。断られたら引く美学も大事だぞ」

 

「それだけだったら良いんですけど・・・何か宗教集団みたいな奴らも追いかけ回したりするんで・・・・・」

 

「・・・・・遠藤君、悪いことは言わない。一度この街から離れたらどうだ?」

 

「えっ?」

 

突如、校長からビックリする発言を言われ、無意識な状態だった俺も少し覚醒した。

 

「今、この街は少し可笑しくなってる。明らかにマスコミが君や軽音部を掻き立てている。一つ何かを見つければそれが波紋のように広がり、大きくなっていく」

 

「・・・・・・・・・」

 

「君に責任を押し付けて非常に申し訳ないが、原因が君である事実も変わらない。君はこの街から仕事以外で出たことがないんだろ?せっかくだから世界を見てきたらどうだ?」

 

「・・・・世界、ですか?」

 

「そうだ、この休みの間に色々見てきて勉強してきなさい。もしかしたら君の足を治す新たな治療が見つかるかもしれないし、今のこの状況を打破する案が思いつくかもしれない」

 

「・・・・治療」

 

「無論、その間は休学扱いにしてあげる。私からも微力ながら君の支援をする。こんな馬鹿げた提案をしたんだ、君がそうすると言うなら最後まで責任を持って面倒を見る。それが、大人が子供に対する義務だ」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「・・・・すまない、君を責め立てるつもりは無かったが、どうも君を責めているみたいだな。ちょっと頭を冷やしてくる」

 

「・・・いえ、大丈夫です。校長の言っていることはもっともなので、少し考えさせていただきます。桜、帰ろう」

 

「・・・・ん」

 

桜はソファから立ち上がり、俺の車椅子のブレーキを外す。そのままハンドルを持って校長室から出る。

 

「失礼しました」

 

「失礼しました」

 

校長室から出て、桜が扉を閉める。

 

「・・・・校長先生」

 

「・・・・私はダメな大人だ。あんなに困っている生徒一人を助けることすら出来ないなんて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「桜、今日はスーパーに行くぞ」

 

「お兄ちゃん、昨日スーパーに行ってなかった?」

 

「えっ・・・ああ、ごめん。じゃあ良いや」

 

スーパーに行って買い物しようと考えたが桜に昨日行った事を言われ、思い出した。ここ最近、変なこと考えたりしたりして、記憶力があやふやになっている。ハァ〜とため息を一つ吐いてアカデミアの正門から出ようとする。

 

「見えたぞ!」

 

「遠藤さんですね!私、アジアリーグの○○プロのものですが・・・」

 

「私はIRD、チームの△△の営業のものです!」

 

「遊輝さん!」

 

「・・・・・桜、反対側の通用門から行くぞ」

 

「ん」

 

前に見た鬱陶しい集団を見て、桜はすぐに車椅子を180度回転、そのまま正門とは別のところにある通用門を目指す。

 

「・・・・なんで俺なんかに声かけるんだろ・・・もっと良いやつがいるだろ、俺はもう・・・Dホイールに乗れない、ライディングデュエルも、下手したら歩くことすらできないんだから」

 

「お兄ちゃん・・・・・」

 

「俺はただ・・・今は静かに足を治したいだけなんだよ・・・」

 

俺のこの嘆きは桜以外の誰にも聞こえなかった。後ろにいる桜は何を思ったのだろうか、少し、車椅子のスピードが速くなった気がする。




遊輝「・・・・世界か、世界逃亡とか言っていたけど」

桜「お兄ちゃん・・・・」

遊輝「・・・・・・・・・」

桜「お兄ちゃん!」

遊輝「んあ?どうした、桜」

桜「今、次回予告」

遊輝「ああ・・・・悪い、桜頼む」

桜「・・・・・次回、『動き始める影』」


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第66話 動き始める影

何か思うように進みません。
頭の中にあるプロットは組んでいますが、どうもそれが文字に出来ないんですよ・・・・どうすればいいかな・・・


遊輝 side

 

 

「今日のリハビリは以上です」

 

「・・・・ありがとうございます」

 

今日も病院でリハビリの日々、いつも通りの足のマッサージをしてもらい、いつも通り足を動かしてもらい、いつも通り平行棒を補助として歩く練習をしたり、いつも通りのリハビリが淡々と作業のように進められた。全く変わらない、そして全く進歩がないこの状況に俺は機械のように淡々と進めた。

 

「マッサージしますね、うつ伏せにお願いします」

 

「はい・・・・」

 

リハビリの医師の手によって車椅子から医療用のベッドに移動してうつ伏せになる。そのまま医師は足を触り、ツボを刺激する。若干の痛みを感じるが、まだ足の感覚は無いに等しい。

 

「・・・大丈夫ですか遊輝さん?寝不足ですよね?」

 

「・・・大丈夫です」

 

「口ではそう言っても身体は正直ですよ。クマが出来ているし、体のツボを刺激してもいつもと違います。何かあったのですか?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・そう言えば今日は検診の日でしたね、渡辺さんに少しは話してみたらどうでしょうか?普段検診ばかりで雑談とかしないのでしょ?」

 

「はぁ・・・・」

 

リハビリの医師が言葉をかけてくれるが何一つ頭に響かない。寝不足なのは理解しているし、しんどい思いをしているのは知っている。実際、眠くて頭が回っていない。だけど、どうすればこの現状を打破できるのか解決策が見つからない。

 

「はい、リハビリは終わりです。車椅子に移動しますよ」

 

俺は身体をうつ伏せの状態から上半身の力を使って仰向けになり、状態を起こしてリハビリ用のベッドから足を蹴り出す。リハビリの先生が俺の腰あたりに手を回してくれる。俺は先生の首に手を回し、そのまま腰が浮き、車椅子に乗る。

 

「はい、それじゃ診察室に行くよ。お願いします」

 

「はい」

 

担当の先生から看護師に変わってリハビリ室を出る。俺は先生に頭を下げてそのまま病院の廊下を渡っていく。リハビリ室から廊下を何度か曲がり、俺の主治医の先生の診察室の前に立つ。

 

「先生、遊輝さんをお連れしました」

 

「入ってくれ」

 

「失礼します」

 

看護師は扉を開けて、俺と一緒に入る。先生は机でカルテを眺めていたが、すぐに俺を見る。

 

「・・・・・大丈夫、とは言えそうにないね。目にクマが出来ている」

 

「・・・・・・・」

 

「話は聞いている。またマスコミにスカウトが押し寄せて来たんだってね。近頃、この街はどうもおかしい。未成年に対する扱いがあまりにも軽すぎるし、プライバシーのカケラもない。それに、どうも君たちの周りばかり追いかけて他の事件には何も追いかけて」

 

「先生、今は・・・」

 

「おっとそうだっと。すまない、君にとってはナイーブな話だった」

 

「・・・いえ、大丈夫です」

 

「・・・・・医者としてはっきり言わせてもらうよ。今の君は100%大丈夫じゃない。今すぐ何かしらの策を取らないと、君自身が壊れてしまう」

 

先生は俺に厳しい目つきでそう言ってきた。俺は先生の言葉が頭から離れることが出来なくなった。

 

「二日前に君の検査をしたが、はっきり言って最悪だった。肉体的な部分ではない、精神的な部分でだ」

 

「・・・・・・・・」

 

「肉体的には心配しなくてもしっかり回復している。このままリハビリをすれば普通に歩くことは出来るだろう。だけど、このままの状態が続けば、君は肉体が回復する前に廃人になってしまう。今の君はそれくらい危険な状態だ。鬱と言っても良いな。私はその辺の分野は専門外だから正確な診断は出来ないが」

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・君は以前、記憶力が低下していると言っていたね」

 

「・・・・はい」

 

「恐らくその精神状態が原因の一つかもしれない。君の言っていた能力の代償という線も捨て切れないが・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・あれこれ言って悪い。こんだけ言っておきながら今の君の精神的治療法は僕には想像付かない。無責任なことを言ってすまない」

 

「・・・・いえ、大丈夫です」

 

「とりあえず来週からしばらく検査入院して、精神科の先生のカウンセリングを受けてもらう。これ以上は医者としても人としても今の君を見ていられない」

 

「・・・・・分かりました」

 

「今日はもう大丈夫だ」

 

「・・・・ありがとうございました」

 

俺は頭を下げて、車椅子を反転させる。そのままゆっくりとハンドリズムを回して部屋を出る。

 

「・・・・一体、あの子の周りに何が起こってるんだ」

 

「可笑しいですよね・・・・何故あの子ばかりに」

 

「ドクター!!た、大変です!!」

 

遊輝が出た後、診察室にタブレットを持った看護師が慌てた様子で入ってくる。

 

「騒々しいな。一体どうしたんだ?」

 

「こ、これを見てください!!」

 

看護師はタブレットに映し出された記事を医師ともう一人の看護師に見せる。その内容を見た二人は口を大きく開ける。

 

「う、嘘・・・」

 

「ほ、本当なのか・・・本当なら・・・君!!すぐにセキュリティに連絡するんだ!!」

 

「は、はい!!」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「ご馳走様」

 

「うん、食べ終わった食器は洗っといてくれ。俺は書類を見ておく」

 

「分かった」

 

病院から帰って来たその日の夜、晩御飯を食べ終えた俺と桜、桜に食器の後片付けを任せて俺はテーブルの端に置いてある書類に目を通す。大半はチラシとかで、残りの半分はスカウトになる。

 

「・・・・これもいらん、これも・・・・」

 

スカウトの紙を捨てる度に思う。何でみんな俺をスカウトするのか・・・・確かに肩書きはWRGPの初代チャンピオンチームのリーダー、エースでエクシーズ・ペンデュラム・リンクの創始者となってる。だけど、それは俺の前世の知識と神様が送ってくれたカードのおかげ、俺自身の力は何一つない。優勝できたのもみんながいてくれたからだ。なのに、皆が俺を祭り上げる。

 

「(・・・・・・俺なんか大したことしてねぇよ。もうライディングデュエル出来ねぇし、そもそもここ2年間、まともにライディングデュエルもDホイールの練習もしてねぇよ)」

 

この2年間、SECRETとしてのバンド活動に魂を込めてやって来た。メンバーとも何度も話し合い、時にはぶつかった事もあるが、それでも達成して来た。俺はもう、デュエルで活躍するということよりも音楽活動をしている方にシフトしている。そっちの方が楽しいし、やりがいと感じている。

 

「(・・・・何でそれが分かってくれねぇのかな。俺は・・・・脚を治して、皆とまた楽しい日常が送りたい・・・ただ、それだけなんだ・・・・)」

 

「お兄ちゃん、食器洗い終わったからリハビリするよ」

 

「あ・・・・あ〜、ありが」

 

 ガシャン!!!!

 

「!?」

 

「なにっ!?」

 

「どこだ!?」

 

「いた!!そこだ!!」

 

突如、リビングの窓ガラスが割れた。俺と桜は慌ててそっちのほうに顔を向ける。そこには武装した男たち3人ほどが部屋の中に入っていた。

 

「貴様だな遠藤遊輝!!私々と一緒に来てもらう!!」

 

「・・・・・・か」

 

「どうした?何が言いたいことがあるならはっきりいうんだな?」

 

「・・・・テメェらみたいな奴らがいるから、俺はゆっくり脚を治せぇんだよ!!!サン・フレア!!」

 

怒りに震える俺は右手に太陽を作りそれを武装集団に向けて投げる。武装集団は慌てた様子で横にジャンプ、太陽は窓ガラスを突き破り、大きく爆発する。

 

「桜!!」

 

「合点」

 

武装集団が怯んだ隙に俺は桜に合図をしてリビングから脱出、そのまま玄関を出て、エレベーターに乗る。

 

「チッ!!逃げやがった!!追いかけろ!!」

 

「「はっ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん」

 

「セキュリティだ!セキュリティのところまで行くぞ!」

 

「分かった」

 

エレベーターから降りた俺はセキュリティの所まで行くことを桜に言う。桜は俺の言葉を聞いて車椅子のハンドルを握りしめて走り出す。

トップスの目の前の道は大通りで車がたくさん往来している。俺と桜は歩道を走り、セキュリティまで向かう。

 

「ハッハッハッハッハッ・・・・・」

 

「大丈夫か桜」

 

「大丈夫」

 

ブブーーー!!!!

 

「!!後ろからトラックが」

 

「桜、この道を曲がれ」

 

「合点」

 

後ろからトラックのクラクションの音が聞こえる。一瞬だけ後ろを向いた桜がすぐにさっき襲って来た武装集団と分かり、俺に言ってくる。俺はすぐ近くの道を曲がるように指示、桜は巧みに車椅子を動かして脇道に入る。

 

「このまま真っ直ぐ最初に道を右だ。そうすればまた大通りに出る」

 

「ん」

 

桜は俺の指示通りに最初の角を右に曲がり、そのまま真っ直ぐ進む。すぐに車が走る音が聞こえ、大通りへと出る。その瞬間、強いフラッシュが当てられた。

 

「グッ!?」

 

「まぶっ・・・!!」

 

「甘いな!!そんなことで我々から撒けると思ったのか!?」

 

大通りを出ると武装した集団が囲んでいた。先程の人数よりも圧倒的な人数で俺たちを囲んでいた。先程追いかけていたトラックの他に色々な車が大通りを占拠している。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「さあ観念して我々についてきてもらおうか?」

 

「・・・・・プロミネンス・チェーン!!」

 

俺は両手を前に突き出す。俺たちの周りに大量のプロミネンスが出現してそれらが縄のようにうねり、囲んでいた武装兵を叩き倒していく。

 

「うわあああ!!!」

 

「グワアアアアアア!!!」

 

「怯むな!!我々の方が優勢なんだ!!数で押し込め!!」

 

「サン・フレア!!炎舞ー鳥籠の悲しみ!!」

 

武装集団のリーダーらしき人物が大声を上げる。周りの奴らが怯まずに俺たちまで走り出そうとするが、俺はすぐに次の技を出す。大量の太陽を全方向に放ち、前方に固まった武装集団には炎の鳥籠で囲い込み、中で火柱が立つ。

 

「グオオオオ!!!」

 

「ギャアアアア!!!!」

 

「怯むな!放て!!」

 

バン!!バン!!

 

「ッ!!」

 

「お兄ちゃん!?」

 

炎が上がる中で銃声やら何やら物騒な音が聞こえる。その中の何かが俺の右肩を掠る。桜が心配の声を出すが俺は左手で右肩を抑え、すぐに桜に指示する。

 

「ッツゥ・・・・桜!!逃げろ!!」

 

「合点!!」

 

「怯むな!!ただの幻影だ!!」

 

「だったら自分で浴びてみろよ!!サン・フレア!!」

 

武装集団が攻撃を受けて攻めあぐねている状況で俺は桜に指示、桜は車椅子を動かす。リーダーは俺たちを追いかけようと指示したので俺はリーダー目掛けて太陽を放つ。

 

「ハッ!!」

 

「桜!!このまま真っ直ぐだ!!」

 

「ん!!」

 

ピーポーピーポーピーポー!!

 

桜が歩道を走ろうとする。そのタイミングで俺たちが行こうとした方向から大量のパトカーとDホイールがやってきた。先導していたパトカーが急ブレーキをかける。

 

「セキュリティだ!!この公道を占拠している奴ら出てこい!!」

 

「チッ・・・仕方ない、お前ら撤退だ!!」

 

パトカーから聞こえるセキュリティ、牛尾さんの怒鳴り声。その声を聞いて、リーダーらしき男の声が響き渡る。武装集団はすぐにトラックに乗り込み、逃げ出した。

 

「Dホイール班は追いかけろ!!絶対に逃すな!!」

 

『はい!!!』

 

パトカーから飛ばされる牛尾さんの声、それにより後ろにいたDホイールに乗ったセキュリティ組はスピードを上げ、武装集団を乗せたトラックを追いかけ始める。パトカー組は全車止まり、占拠していた公道の調査を始める。その中で一台のパトカーが俺たちの前に止まる。

 

「遊輝!!大丈夫か!?」

 

「遊輝さん!!」

 

「牛尾さん・・・狭霧さん・・・・」

 

「お兄ちゃん、肩を・・・」

 

「分かってる!!今救急車を呼んだ!!もう少しだけ待ってくれ!!」

 

「ハァ・・・ハァ・・・な、何で・・・」

 

「通報があったのよ。トップスの屋上で爆発音が聞こえたのと、公道を占拠している謎の集団がいると」

 

「トップスの爆発音で間違いなく何かあると思ったが・・・ここまでとは・・・」

 

「ハァ・・・ハァ・・・・・」

 

「お兄ちゃん!!お兄ちゃん!!」

 

「ウグッ・・・」

 

・・・ポー、ピーポー!!!

 

肩の痛みが強くなってくる。耳元に救急車の音が聴こえてくる。

 

 

 

 

 遊輝  side out

 

 

 

No side

 

 

「申し訳ございません。思っていた以上に抵抗が激しく・・・」

 

「別に構わないよ。そう簡単に捕まるとは思っていないから」

 

とある場所・・・・薄暗い部屋で男二人が会話している。一人は椅子に座り、一人は姿勢を正して立っている。座っている男の膝に白猫がのんびりとあくびをしながら寝ている。

 

「ですが我々がしっかりしていれば・・・・」

 

「何、チャンスはいくらでもある。しっかりと根回しはしているんだ。ところで彼をスカウトしている奴らは?」

 

「以前としてスカウト活動を続けているようです・・・・あの、なぜ彼らを放っておくのでしょうか?周りを排除した方が我々としても動きやすいと・・・」

 

「確かにそうだ。だが、今は彼の周りを騒がした方が良い。その方が我々の事を探られにくい」

 

「なるほど・・・・」

 

「だが、ニ、三日は大人しくしておこう。もう少しすれば根回しは完璧となる。そうなれば・・・彼は我々の駒となる」

 

「ハッ・・・・」

 

男は頭を下げ、この場から立ち去った。男は猫の頭を撫でながら椅子を回転、窓に映る月を見つめる。

 

「・・・・・素晴らしい月だが、明るさが足りない。文字通り、太陽の力を持つ彼を手に入れば我々の野望が叶う」




桜「お兄ちゃん・・・・」

遊輝「・・・・・・・・・・・」

桜「・・・・また、怪我して」

遊輝「・・・・・・・・・」

桜「・・・次回、『世界が敵に回る時』。よろしく」


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第67話  世界が敵に回る時

遅くなって申し訳ありません。

仕事には慣れてきました、が、とにかく筆が進みませんでした。
骨格は出来ているんです。肉付けがうまく出来ないんです。どうしても薄っぺらい内容になってしまいました。暫くこの状態が続くかもしれません。


 No side

 

 

「何ですって!?」

 

「牛尾君!!声が大きいわよ!!」

 

「す、すみません・・・ですが声を大にして言わないとダメでしょう!!」

 

ネオドミノシティ、セキュリティ。市の制度となり、長官から市長となって2年近く経つこの街でまだまだ警察としての役割を保つこの組織。そんなセキュリティ本体の会議室の一つでセキュリティ特別捜査課の部隊リーダーを務める牛尾は上司の狭霧の話を聞いて驚きの声を上げた。

 

「何で昨日起きた事件がいきなり捜査終了になるんですか!?犯人を誰一人捕まえてないどころか、何も調べてすらいないんですよ!?」

 

「私だって分からないわよ!今朝、出勤していきなり長官に呼ばれて捜査終了を突きつけられたんだから!」

 

「俺は納得しませんよ!!昨日のアレだって解決してないんですよ!?」

 

「だから私も理由を聞こうとしたわよ!だけど何も取り受けてくれないのよ!」

 

「くそっ!!どうなってるんだ!?」

 

牛尾は上司である狭霧の目の前だと言うのに苛立ちを隠せなかった。

二人が言う昨日の事件、遊輝が謎のグループに襲撃された事件、それが突然捜査打ち切りとなった。狭霧は異議申し立てをしたが何一つ要望が通らなかった。明らかにおかしいと感じた狭霧は信頼できる部下である牛尾だけを呼び出し、この事を伝えた。

 

「何で・・・何で何だ・・・あんな目立つ事件で捜査打ち切りだなんて・・・」

 

「・・・多分、私たちには見えない巨大な何かが隠れているわ。この掲示板を作った人たちみたいに」

 

二人が気にしているのは昨日の事件だけではなかった。昨日、遊輝の主治医から寄せられた情報で、遊輝は今、立場的に問題が起きており、その状況をひっくり返すことが出来ていないのだ。

 

「くそっ・・・あいつがあんなに苦しんでいるのに・・・・」

 

「・・・・・牛尾君、この件から降りて、この件は私一人で調べる」

 

「!?さ、狭霧さん!?」

 

「どうも嫌な予感がするわ・・・あなたは万が一私に何かあった時のために、この件から降りて」

 

「し、しかし「これは上司命令です!」!?・・・・・」

 

「二人で一緒に捜査して二人とも何かあったらダメなの・・・私が万が一のことになった場合、その時に捜査をして欲しいわ・・・」

 

「ッ・・・・・」

 

「・・・・今日は別の仕事をして」

 

狭霧は牛尾にそう言い残して会議室から出る。牛尾は右手に力を込めて、壁を殴りつける。

 

「クソオオオオ!!!!!俺は認めないぞ・・・・あいつがあんなに苦しんでいるのに見逃すかよ・・・・」

 

 

 

 桜 side

 

 

「傷は大きいが大した怪我じゃない。普通に生活していても治る怪我だ」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「お兄ちゃん・・・・」

 

昨日の夜、お兄ちゃんはまた変な組織に襲われた。私と一緒に必死に逃げたがその際に肩に大きな怪我をした。幸いにも傷が開いただけですぐに治ると医者の方は言ってくれて、お兄ちゃんはベッドで寝ている。

 

「どうして・・・お兄ちゃんばかり・・・・」

 

「・・・・・狭霧さんから言わないように、と釘を刺されたがやっぱり言わないといかん。桜ちゃん、これを見てくれ」

 

医者の方はタブレットを出して私にとあるページを見せてくれた。私はそれをスライドして読み、医者の顔を見る。

 

「・・・・これ、本当?」

 

「・・・残念ながら本当だ」

 

そこのページにはお兄ちゃんの写真がデカデカと掲載され、その写真の下に10億円という数字が掲載させてれていた。

 

「いわゆる闇の売買サイト、これに遊輝君が乗っていた。誰が載せたか分からない。だが、これによって昂っていた火種が一気に爆発した感じだ。表社会、裏社会関係なく、今金に目が眩んでいる全ての人間が彼を捕らえようと必死になっている」

 

「・・・・・・・・・」

 

「タチが悪いのは日を追うごとにドンドンと価値が上がると言っている。このままじゃ・・・」

 

「う・・・うう・・・・」

 

「お兄ちゃん?」

 

「うう・・・うわあああ・・・うがああ・・・・!!」

 

・・・ピー!!ピー!!

 

「!?みゃ、脈拍が!?おい!!手伝ってくれ!!」

 

「は、はい!!」

 

突如、お兄ちゃんの脈拍が乱れ、心電図から危険信号の音が鳴る。医者は近くにいた看護師を捕まえて心臓マッサージを始める。

 

ピー!!ピー!!

 

「け、血圧上昇!!心臓が大きく乱れてます!!」

 

「何故だ!?どこにも体に異常はないぞ!?」

 

「お兄ちゃん!!お兄ちゃん!!」

 

私は苦しんでいるお兄ちゃんの右手を両手で握りしめる。

 

「うがああ!!!うううう・・・・・ うがああ・・・・」

 

その瞬間、あれだけ苦しんでいたお兄ちゃんが突如苦しみがなくなり、大人しくなった。

 

ピー!!ピー!!・・・ピー・・・・ピッ、ピッ・・・・

 

「みゃ、脈拍正常・・・その他も異常なしです・・・」

 

「・・・・い、一体この子に何が起きてるんだ?」

 

「お兄ちゃん!!お兄ちゃん!!」

 

「う、うう・・・・・うあ・・・・うわあああ!!!!!」

 

私は必死にお兄ちゃんを呼びかけた。苦しみが抑えられたお兄ちゃんはそのままいきなり大声をあげて、上半身を起こす。

 

「ハァ・・・・ハァ・・・・」

 

「お兄ちゃん!!」

 

「ハァ・・・・ハァ・・・」

 

「ゆ、遊輝君!!大丈夫か!?」

 

「み、水・・・・水・・・・」

 

「お、おい!!誰か水を持ってきてくれ!!」

 

「は、はい!!」

 

医者は近くの看護師にお水を持ってくるように指示、慌てた看護師の一人は一度病室から出て、すぐにペットボトルに入った水を持ってきてお兄ちゃんに渡す。お兄ちゃんはペットボトルのキャップを開けて勢いよく水を飲む。

 

「・・・・プハァ!!ハァ・・・ハァ・・・」

 

「お兄ちゃん!?大丈夫!?」

 

「ハァ・・・ハァ・・・あ、あぁ・・・」

 

「・・・遠藤君、あれは一体・・・・」

 

医者は先程のお兄ちゃんの状態を聞いてきた。素人の私から見てもさっきのお兄ちゃんは明らかに不味かった。お兄ちゃんはペットボトルのキャップを閉めて静かに語り出した。

 

「・・・・1ヶ月前、マスコミやスカウトから追いかけられ始めてから悪夢のようなものを見出した。それからうなされている」

 

「う、うなされるって・・・・そんなレベルじゃなかったぞ!?君、死にかけたんだぞ!?それに一ヶ月前って・・・・まさか毎日とか言わないよな?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「な、何故言わなかったんだ!?こんな状況が続けばいつか命を落としていたんだぞ!?」

 

「せ、先生!!落ち着いてください!!」

 

「・・・・・・・・」

 

「・・・お、お兄ちゃん、他に知っている人は?」

 

「・・・アリア、ただ一人。俺の世話で部屋に入った時に見られただけ。その時に黙らせた。余計なネタを掴まれたくなかったから」

 

「・・・・・・・・・・」

 

プルプル・・・

 

「失礼・・・・私だ。・・・・何!?・・・・分かった。すまない、カーテンを閉めてくれ」

 

「えっ?」

 

「いいから!!マスコミがヘリコプターでこの部屋を撮影している!!

 

「え!?は、はい!!」

 

医者からの指示で看護師は慌ててカーテンを閉めて外から見れないような状況にする。カーテンを閉めた後、誰も何も言えない状態になってしまった。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・遊輝君、君はどうしたいんだ?」

 

「・・・・・仰ってる意味が分かりません」

 

「今、君の周りには多くの人間が君を追いかけてきている。このまま、この病院にいたら間違いなくマスコミやスカウトは何か仕掛けてくる」

 

「・・・・・・・・」

 

「・・・あまりこういうこと言いたくないけど、転院することをお勧めする。人が少ないところで治療する方が君のためになる」

 

「・・・・・どこに行くんですか?マスコミとかはまた追いかけてきますよ?」

 

「・・・・・・・・」

 

「・・・・まぁ、逃げようとは考えていましたけど」

 

「えっ?」

 

「すみませんが出ていってくれませんか?しばらく桜と話したいです」

 

「・・・・・分かった」

 

「先生!?良いのですか!?彼はまだ不安「患者のいうことを聞けないのか!!」!?」

 

「・・・・・病室から出るぞ」

 

医者は叫んだ後、お兄ちゃんに頭を下げて部屋を出る。看護師の方も戸惑った表情をしながら病室から出た。残ったのは私とお兄ちゃんだけだ。

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・お兄ちゃん、逃げるって」

 

「・・・桜、一生のお願いがあるんだ」

 

「・・・何?」

 

「・・・・俺を病院から連れ出してくれ」

 

「・・・何処に行くの?家?」

 

「いや・・・・荷物は取りに帰るけど、家には帰らない。しばらくは身を隠す旅に出よう」

 

「えっ?・・・・」

 

「もう・・・・うんざりだ。マスコミと訳分からない連中に追いかけ回される日々は・・・・・疲れた・・・・・しばらく出かけよう」

 

お兄ちゃんからポツリポツリと言葉が漏れる。その一言一言に覇気を感じられない。まるで死人のように感じる。

 

「・・・・・・・」

 

「校長の言う通り、しばらくは世界を回ろうと思う。俺の足りないところを探しに行く」

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・嫌だったら着いてこなくて良い。1年くらいこの街に帰ってくることはないと思う」

 

「・・・・・私、約束した。お兄ちゃんは私を守ってくれた。今度は私が守る番」

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・何があろうと私はお兄ちゃんについて行く」

 

「・・・・・・・ありがとう」

 

「・・・・行こう、お兄ちゃん」

 

私は車椅子をベッドのそばにつける。お兄ちゃんは起き上がり、無理矢理点滴を抜いて車椅子に移動する。私は車椅子のハンドルを持ち、病室から抜け出した。

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「良いんですか先生!!あの子達本当に抜け出して「良いんだ・・・」せ、先生?」

 

「・・・・もう、あの子達はこの街に居られない。だから、あの子達自身で解決するしかない」

 

「せ、先生・・・・」

 

「・・・・非常に情けない、何が医者だ・・・・」

 

 

~(翌日)〜

 

 

「・・・・・・・」

 

「お兄ちゃん」

 

「・・・・悪かった。行こうか」

 

翌朝、早朝、病院から抜け出した私とお兄ちゃんは鞄に必要最低限の荷物を持った。お兄ちゃんは少しだけ部屋を見て玄関を出る。そのまま家の鍵をかけ、エレベーターに乗る。このエレベーターから降りたら私たちはこの家にしばらく帰ることはない。下手したら一生、この街に帰ってくることがないかもしれない。だけど、それでも私はお兄ちゃんを助ける。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・桜、ありがとうな。無理矢理着いてきて」

 

「・・・・大丈夫、私はお兄ちゃんに一生ついて行くから」

 

「・・・・・・」

 

ピーン

 

エレベーターが1階につき、扉が開く。エレベーターから降りてトップスの玄関口を出る。そこで、私たちは足を止めた。そこには鞄を肩からかけ、帽子を被ったお姉ちゃんがいた。

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・水臭いわね。兄妹だけで海外旅行なんて」

 

「・・・アリア、お前・・・まだ神戸にいるんじゃ」

 

「アリアさんや皆が異常事態に気が付かないと思った?一昨日の事件、みんなの耳に入ってるよ。本当なら皆、帰って来たいって言っていた。けど私とレミが止めたわ」

 

「レミが?」

 

「リーダーとしての役割だって。『今、私たちが言ったらもっとややこしくなる。それに、私たちが今、できることは限られている。だから、私たちは今あることをやりましょう』って・・・・皆、色々文句を言っていたけど、私が無理矢理納得させたわ」

 

「・・・・どうして」

 

「腹の内は分からないわ。正直、ここ最近のレミは様子が変なところはあったから。でも、色々と考えた結果だと思う」

 

「・・・・・・・・・」

 

「仲間としては最低な判断だっかもしれない。けど、リーダーとしては最適な判断だと私は思うわ。この場で混乱して遊輝ちゃんに迷惑をかける方がダメでしょ?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・私も行くわよ。仲間は多い方が良いでしょ?特に遊輝ちゃんは足の怪我が完治していない」

 

お姉ちゃんはそう言ってお兄ちゃんの両手を手に取り、白い紙の束をお兄ちゃんの手に渡した。

 

「これ、皆からの手紙。私が代表して行くって言ったら皆手紙を書いていったわ。後でゆっくり読みましょう」

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

「皆、遊輝ちゃんを心配しているのよ。確かにここ最近はこんな状態だけど、あなたの事を心配している。それが仲間なんでしょ?遊輝ちゃんが私を救ってくれたように、今度は私が遊輝ちゃんを守る番よ」

 

「・・・・・アリア、桜・・・・」

 

手紙を受け取ったお兄ちゃんは下に俯き、涙を流していた。強がっていたお兄ちゃんが、この場で初めて涙を流した。

 

「泣いている暇はないわよ。さっさと行かないとマスコミ達が追いかけてくる」

 

「・・・・分かった。空港に行こう」

 

涙を拭いたお兄ちゃんの一言で私たちは空港を目指す。目的も内容も、何一つ無い、永遠に終わることがないかもしれない旅が始まる。

 

「(・・・・・へぇ〜、この街を出る、か。面白そうだから俺も追いかけてみようか)」

 

 

桜  side

 

 

 レミ  side

 

 

「・・・・そう、言ったのね」

 

『はい、間違いないです』

 

「・・・・・ねぇフェザー、私って最低だよね。仲間を見捨てるような行動をして。皆の意見を無視して」

 

『・・・・私はレミ様の側をずっと見てきました。レミ様の考えは理解しています。遊輝さんを思っての行動をされたのです』

 

「・・・・ありがとう。それより、例の件、調査している?」

 

『はい。ですがまだ・・・・ダイヤに聞いても分からないの一点張りで』

 

「でしょうね。これはあくまでも私の仮説だから・・・・・・・・シークレットシグナーが歴史において何も記載されていなかった理由、私自身が感じたんだから・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シークレットシグナーは、その能力の副作用のせいで短命、説は」




レミ「・・・・・・・・」

フェザー「レミ様」

レミ「・・・そうね、私は私なりに出来ることを探さないといけないわね」

フェザー「はい」

レミ「(遊輝・・・頑張ってよ)」

フェザー「次回、『未開の地による仲間』。次回もよろしくお願いします」


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第68話  未開の地による仲間

ようやく完成しました・・・・
まだまだこんな感じで間が開くこともありますがよろしくお願いします。


*追記、今更ですが中国語の日本語訳を《》で表記しました。最初からこうすれば良かった・・・


No side

 

ネオドミノシティから遠藤遊輝が消えた。そのニュースは瞬く間に日本、世界へと広がっていった。

 

「何だと!?消えた!?」

 

「は、はい!!今朝自宅を訪ねましたが忽然と・・・・」

 

「クソ!!これじゃ我がチームの優勝がなくなる!!何としてでも探し出せ!!」

 

「はい!!」

 

 

 

 

「そうか・・・・逃げ出したか・・・」

 

「ボス、どうしましょうか?」

 

「構わん。引き続き探せ、奴を捕まえることさえすれば俺たちのチームは世界一のギャングになる」

 

「ハッ」

 

 

 

 

「クソッ・・・研究対象が・・・・・」

 

「司令」

 

「何だ!?今俺は忙しいんだ!!」

 

「司令、遊輝さんの情報ですが」

 

「なんかあったのか!?」

 

 

 

執念、欲望、憎悪・・・・様々な感情が世界中で駆け巡る。この世界はたった一人の少年を追いかけるために、

 

 

 

桜 side

 

 

「着いた、か・・・・」

 

「・・・・空気があまり綺麗じゃない」

 

「丁度黄砂の季節らしいからね」

 

ネオドミノシティから空港に乗り約4時間、着いたのは中国、上海。ネオドミノシティにも負けない高層ビルと多くの人たちが街を歩き、活気付いている。その多くの人々が歩く街並みに私たちは身を紛らわしている。車椅子のお兄ちゃんはサングラスと帽子を被り、身を隠し、お姉ちゃんはパーカーを着て髪を隠している。私は普段通りの恰好をしている。

 

「・・・何でここ?」

 

「今出回っている表世界の組織はヨーロッパ、アメリカ系が多いのよ。裏世界の組織は世界中どこからでもだけど」

 

「だがずっと同じ所にいるつもりはない。ここから陸路でヨーロッパの方を目指す」

 

「目標はあるの?」

 

「・・・・・この騒動の元凶を叩き潰す。俺に懸賞金をかけたのは誰か分からない。だが、そいつが情報を発信している限りいつかは墓穴を掘る。それまでは身を隠しながら旅を続ける」

 

「分かっていたけど険しい旅になりそうね・・・・」

 

お姉ちゃんは少し苦い声で話す。確かに目標が漠然としすぎている上に果てしない。だけど、今はこれしかない。

 

「その前に足を何とかしないといけないわね」

 

「んな事言ってもどうするんだよ?どうにかできるんだったらどうにかしてる」

 

「そうだよ・・・」

 

「?アリア?」

 

「・・・・誰か見てるわ」

 

一瞬、言葉を止めたお姉ちゃん、辺りを少し見渡した後、すぐに小声で私たちに声を掛けた。

 

「ちっ・・・・もう気づいたか」

 

「・・・どうするの?」

 

「少し様子を見てみるか?」

 

「そうね・・・・向こうのほうが地の利を得ているはずだから、おいそれと動くことはできないわ。表通りでゆっくりとしましょう、いずれ向こうから来るわ」

 

お姉ちゃんが車椅子を持ち、ゆっくりと歩き出した。ネオドミノシティと同等に人混みが多いこの街では車椅子を動かすのにも人混みを掻き分けないといけないため、早く移動することもできない。

中心街の通りからは大型ビジョンから中国語のCMがバンバンに流れ、高級なお店から露天まで様々な店が並んでいる。

 

「桜、露天のものには飲み物さえも手を出すなよ。露天は道端で拾ったものを売ってることもザラだから、下手したら腹壊すぞ」

 

「ん、分かった」

 

「そうね・・・・まずはご飯を食べましょう。腹が減っては戦はできぬ、だわ」

 

「向こうは?」

 

「着いてきているけど様子見って感じね。仕掛けてこないなら丁度いいわ。何もしなかったらこっちにとっても都合が良いし」

 

お姉ちゃんはそう言って近くにある食堂に入っていった。私自身も少しお腹が空いてきた頃なので丁度いい。ご飯を食べながら今後の事を考えよう。

 

「欢迎《いらっしゃい》」

 

「あ〜・・・Can I sit here?」

 

「好的《どうぞ》」

 

「良さそうだな」

 

店の奥から出てきた少し年老いた丸い体型でエプロンを着た女性店主にお兄ちゃんは英語で話し、空いている席に座る。お兄ちゃんは車椅子なので通路の方に車椅子を止めてブレーキをかける。私はメニューを手にする。中国語は漢字ばかりで読むことはできないが、漢字単体の意味は分かるのである程度の想像はつく。

 

「・・・・牛肉麺、焼飯、野菜炒め」

 

「相変わらずよく食べるな・・・・」

 

「これでも抑えている」

 

「とりあえず食べながら考えましょう。すみませ〜ん」

 

お姉ちゃんが手を上げて店主を呼ぶ。適当にメニューを指差して、店主がそれをメモして奥へ引っ込む。

 

「で、追っては?」

 

「外で律儀に待ってるよ。観察してるんじゃない?」

 

「どうでもいい。ご飯を食べたらさっさと移動する」

 

「そうだな・・・・そうするか」

 

「请《どうぞ》」

 

店主が料理を持って机に置いていった。どれもが食欲をそそられる匂いだ。箸を一膳取り、牛肉麺を一口食べる。世界共通、料理は美味しい。

 

「遊輝ちゃん、次はどこ目指すの?」

 

「情報収集しないといけないな・・・上海ならIT系で協力してくれる奴らがいればいいんだが」

 

「コネ作らないといけないわね・・・・こういう時は裏組織が良いんだけど全員目が金になってるわ」

 

適当に注文したメニューが全て来たので私はそれらを食べながらお兄ちゃんとお姉ちゃんの話を聞く。

 

「外の連中が言うこと聞くと思うか?」

 

「さあね?」

 

「まぁいい、面倒な奴らだったら蹴散らす」

 

「ようやく調子が戻ってきたわね」

 

「・・・2人とも、さっきから箸が進んでない」

 

そんなこんなでお昼ご飯を食べ終えてお店を出る。私がスマフォを持ち、目指すべき場所を考えながら歩き始める。みんな、お兄ちゃんが車椅子で移動するので少しだけ視線を向けてすぐにそっぽを向く。

 

「・・・・・なんか誘導されているな」

 

「まぁ良いでしょ。どうせ向こうの方が有利なんだから」

 

車椅子を操作するお姉ちゃんは人混みをかき分けたり、時折り人がいない方に道を変えたりとして街中を移動、少しずつだが大通りから外れていっている。お店から出て30分、ついに私たちは人も少ない、ここら辺に住んでいる人しか使わないような高層ビル群から少し離れたスラム街のような場所に辿り着いた。そのまま道なりに歩いていき、一つの空き地に目をつけて入る。

 

「う〜ん・・・・中国はやっぱり空気が汚いわね。さっさと出てきなさいよ」

 

お姉ちゃんが一言かけて周りを見渡す。ぞろぞろと同じ黒色のスーツを着た男性たちがこっちを睨みつけるようにしながら空き地に入ってきて、私たちを囲む。

 

「マフィアね」

 

「是罪犯吗?《お前が遠藤遊輝だな?》」

 

「何言ってるの?」

 

「中国語分かんねぇよ・・・English OK?または日本語」

 

「オレが話せるぜ」

 

そう言って人混みをかき分けて一人の男が前に現れた。ゴツい体格をしているうえに強面の顔をしているので見た目はかなり厳つい男だ。

 

「日本語通じるのはありがたいわね」

 

「手っ取り早く済ませようぜ、さっさと捕まってくれよ。お前を捕まえたら大金を手に入れることが出来るからボスが狙ってるんだ」

 

「うっせぇ、テメェらみたいのがいるから面倒なんだよ」

 

そう言ってお兄ちゃんはデュエルディスクを取り出す。それを見て相手側もニヤリと笑い、デュエルディスクを取り出す。

 

「俺が勝てば撤退してもらうぞ。二度と関わるな」

 

「俺が勝てば捕らえさせてもらう」

 

「アリア、車椅子頼む」

 

「分かったわ」

 

「さあ行くぞ!!」

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

遊輝 LP 4000 男 LP 4000

 

「先行は俺がもらうぜ!魔法カード、機甲部隊の再編制(マシンナーズ・リフォーメーション)!手札のマシンナーズ・カーネルを捨てて、デッキから『マシンナーズ』カードを2枚加える!マシンナーズ・ギアフレームとマシンナーズ・アンクラスペアを手札に加える!」

 

相手が発動した機甲部隊の再編制によって相手のデッキからカードが2枚飛び出して、マシンナーズ・ギアフレームとマシンナーズ・アンクルペアが手札に加えられる。

 

「マシンナーズ・アンクラスペアの効果!ドロー以外の方法でこのカードをデッキから手札に加えた場合、手札から特殊召喚できる!」

 

 マシンナーズ・アンクラスペア 攻1800

 

「アンクラスペアの効果!特殊召喚成功時にデッキから『マシンナーズ』モンスター1体を墓地に送る!マシンナーズ・ルインフォースを墓地に送る!マシンナーズ・ギアフレームを通常召喚!」

 

マシンナーズ・ギアフレーム 攻1800

 

「マシンナーズ・ギアフレームの効果!召喚時、デッキから『マシンナーズ』カードを手札に加える!機甲部隊の超臨界(マシンナーズ・オーバードライブ)を手札に加える!Lv4のマシンナーズ・アンクラスペアとマシンナーズ・ギアフレームでオーバーレイ!」

 

☆4 × ☆4 = ★4

 

「2体の機械族モンスター2体でオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!ギアギガント!」

 

ギアギガントX 攻2300

 

相手フィールドのマシンナーズ・アンクラスペアとマシンナーズ・ギアフレームが中央のブラックホールに吸い込まれていき、その中からギアギガントが特殊召喚される。

 

「ギアギガントXの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ取り除いて、デッキ・墓地からLv4以下の機械族モンスターを手札に加える!2体目のマシンナーズ・ギアフレームを手札に加え、カードを枚伏せてターンエンドだ!」

 

男 手札 3枚 LP 4000

 

▲ーーー▲ -

-----

○ -

-----

----- -

 

遊輝 手札 5枚 LP 4000

 

 

「俺のターン、ドロー」

 

遊輝 手札 6枚

 

「(俺の伏せカードの1枚は醒めない悪夢!これであいつのペンデュラムモンスターを封じさせてもらうぜ!)」

 

「・・・・(機甲部隊の超臨界か、面倒くせぇな〜)永続オノマト選択(ピック)を発動」

 

お兄ちゃんのフィールドに1枚の永続魔法が発動され、そのカードの効果により、お兄ちゃんのデッキがシャッフルされ、1枚のカードが飛び出る。お兄ちゃんはそのカードを手札に加える、

 

「このカードの発動時の処理としてデッキからこのカード以外の『オノマト』カードを手札に加える。オノマト連携(ペア)を手札に加える」

 

「(オノマト選択!?嘘だろ!?まさかペンデュラムじゃないのか!?)」

 

「魔法カード、オノマト選択。手札を1枚捨て、デッキから『ズババ』『ガガガ』『ゴゴゴ』『ドドド』の内1体ずつ、合計2枚まで手札に加える。希望皇オノマトピアとズバババンチョーーGC(ガガガコート)を手札に加える。希望皇オノマトピアはルール上、『ズババ』『ガガガ』『ゴゴゴ』『ドドド』として扱う。希望皇オノマトピアを召喚」

 

希望皇オノマトピア 攻1500

 

「希望皇オノマトピアの効果。手札からこのカード以外の『ズババ』『ガガガ』『ゴゴゴ』『ドドド』の名前を含むモンスター1体を手札から特殊召喚する。ズバババンチョーーGCを特殊召喚」

 

ズバババンチョーーGC 攻1800

 

「ちっ!これ以上展開してエクシーズ召喚は我慢できねぇ!リバースカードオープン!機甲部隊の超臨界!自分フィールドの機械族モンスター1体を対象に取り、そのモンスターとは名前が違う『マシンナーズ』モンスターをデッキから特殊召喚、その後、対象に取ったモンスターを破壊する!ギアギガントXを対象に取り、デッキからマシンナーズ・メガフォームを特殊召喚!」

マシンナーズ・メガフォーム 攻2600

 

相手が発動した機甲部隊の超臨界により、ギアギガントXが破壊され、その破壊された破片が再集結されマシンナーズ・メガフォームが特殊召喚される。

 

「さらに墓地のマシンナーズ・カーネルの効果!フィールドの機械族・地属性モンスターが破壊された場合、このカードを特殊召喚する!」

 

マシンナーズ・カーネル 攻3000

 

さらに破壊されたギアギガントXの破片の一部が墓地に回収され、その回収されたパーツがスクラップ工場のように新しく構築されてマシンナーズ・カーネルが特殊召喚された。

 

「続けてマシンナーズ・カーネルの効果発動!自分フィールドの機械族モンスターを対象に取り、そのモンスターと対象に取ったモンスターよりも攻撃力が低いモンスターを全て破壊する!スクラップにしやがれ!!」

 

特殊召喚されたマシンナーズ・カーネルがすぐさまマシンナーズ・メガフォームを破壊、その破壊された部品が飛び散りお兄ちゃんの場のモンスターを全て破壊した。

 

「・・・・・・」

 

「どうだ!これでお前のモンスターは全滅だ!!」

 

「・・・・魔法カード、ガガガ・ゲット。デッキから『ガガガ』と名のついたモンスターを特殊召喚する。2体目のズバババンチョーーGCを特殊召喚」

 

「何だと!?」

 

お兄ちゃんが手札から発動したガガガ・ゲットの効果によって2体目のズバババンチョーがフィールドに特殊召喚される。

 

「ズバババンチョーの効果。墓地から『ズババ』または『ゴゴゴ』と名のついたモンスターを特殊召喚する。希望皇オノマトピアを特殊召喚。Lv4のズバババンチョーとオノマトピアでオーバーレイ」

 

☆4 × ☆4 = ★4

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築。エクシーズ召喚、SNo,39 希望皇ホープ・ダブル」

 

SNo,39 希望皇ホープ・ダブル 攻2500

 

希望皇オノマトピアとズバババンチョーがエクシーズ素材としてブラックホールに吸い込まれていき、爆発が起きてその中から希望皇ホープの抜け殻が光り輝くようなモンスターがフィールドに特殊召喚された。

 

「ホープ・ダブルの効果。オーバーレイ・ユニットを取り除き、デッキからダブル・アップ・チャンスを手札に加え、このカードの上にこのカード以外の『希望皇ホープ』モンスターをエクストラデッキからエクシーズ召喚扱いで特殊召喚する。ホープ・ダブル1体でオーバーレイ」

 

SNo,39 希望皇ホープ・ダブルのオーバーレイ・ユニットが一つ吸収され、そのまま身体が光へと戻り、再びブラックホールに吸い込まれていく。

 

「1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築、エクシーズ召喚。現れろ、No,39 希望皇ホープ」

 

No,39 希望皇ホープ 攻2500

 

ブラックホールの中から出てきたのは大きな鍵のような形をした剣、それが変形をしていき、No,39 希望皇ホープが姿を表す。

 

「この効果で特殊召喚した希望皇ホープは攻撃力が倍になる」

 

「何だと!?」

 

No,39 希望皇ホープ 攻2500→5000

 

「こ、攻撃力がカーネルを・・・・いや、そんなことよりお前、さっき手札に加えたカードって!?」

 

「バトルフェイズ、希望皇ホープでマシンナーズ・カーネルに攻撃。攻撃宣言時、希望皇ホープの効果発動。オーバーレイ・ユニットを一つ取り除いてこの攻撃を無効にする」

 

No,39 希望皇ホープ OVR 2→1

 

希望皇ホープが攻撃しようと手にした大剣を大きく振り上げたが、オーバーレイ・ユニットを一つ吸収してその大剣が無くなり、希望皇ホープの攻撃は空振りに終わる。

 

「速攻魔法、ダブル・アップ・チャンス。自分のモンスターの攻撃が無効になった時、そのモンスターの攻撃力を倍にしてもう一度攻撃を行う」

No,39 希望皇ホープ 攻5000→10000

 

お兄ちゃんが発動したダブル・アップ・チャンスによって希望皇ホープの消えた剣が倍の本数、そして巨大化して元に戻る。

 

「終わりだ、希望皇ホープでマシンナーズ・カーネルに攻撃、ホープ剣・スラッシュ」

 

大きくなった2本の大剣を再び降りかかり、希望皇ホープはマシンナーズ・カーネルを一刀両断、X字で斬れたマシンナーズ・カーネルはそのまま爆発してその余波が相手を襲った。

 

 「ぐわあああ!!!!!!」

 

 

No,39 希望皇ホープ 攻10000

マシンナーズ・カーネル 攻3000

 

男 LP 4000→0

 

 遊輝  WIN 男  LOS

 

 

「うっ・・・・くそ・・・・噂につかず強い奴だ・・・・」

 

「さあ、帰ってもらおうか」

 

「ちくしょう・・・こんな所まで来て金蔓を逃すか!!」

 

お兄ちゃんがデュエルに勝ち、男は片膝をついたが、すぐに声を上げ、周りの男たちを見る。男どもは指を鳴らし、鉄パイプやナイフを持つ。

 

「做吧!!《やっちまえ!!》」

 

「スパーク」

 

「ギャアアアア!!!!!!」

 

男どもが一斉に襲いかかってくる。しかし、車椅子のハンドルを持っていたお姉ちゃんが杖を取り出し、その杖を地面に叩きつける。私たちを中心に円形状に電気が帯びて、金属製の武器を持っていた男たちはその電気を浴びて一斉に倒れる。

 

「心配しなくても致死量じゃないわ」

 

「ぐっ・・・・・ぐお・・・・・己・・・・・」

 

「噂通り、強いわね〜」

 

「!?」

 

「ちっ・・・新手ね」

 

皆が電気を帯びて倒れている中で一人の女性の声が聞こえてきた。私たちは全員、声が聞こえた方に目を向ける。そこにいたのはサングラスを外し、女性用の黒スーツを着たビジネスマンっぽい女性とその付き添いっぽい男性二人が付いていた。

 

「やっぱジュンジェには荷が重すぎたわね」

 

「ボ、ボス・・・・」

 

「ボス?こいつがか」

 

「おい、ボスに指を「良いわよハオン。警戒して当然よ」ハッ・・・・」

 

「始めまして遠藤遊輝さん、私の名前はリー・ヨウランよ。この上海の街を裏で牛耳ってるマフィア、『仁龍』のボスよ」

 

「・・・そんな親しく俺を呼ぶな」

 

「冷たいこと言わないでよ。私はあなたやあなたの仲間が凄く気に入ったのよ。最初は依頼されてあなたたちを捕まえようとしたけど、気が変わったわ。あなたたち、私たちの仲間にならない?」

 

「・・・・何を企んでるの?」

 

「企みも何もないわよ。単純にあなた達のことを気に入っただけ。私は強欲でね、気に入った物は近くに置いておきたいのよ。誰の手にも渡さないわ」

 

「・・・・・この女、ヤベェな」

 

ツゥ〜とボスと呼ばれた女は舌を出して舐める動作をして私たちを見つめる。それを見てお兄ちゃんはボソッとそう言った。確かにこの人はヤバい、身体的な強さや肉体的な強さではなく、圧倒的な貫禄と威圧を私たちに見せつけている。

 

「・・・・裏切らないでしょうね」

 

「そんな事しな「老板!!迅速地杀这样的家伙, 要钱吧!!《ボス!!さっさとこいつを売っぱらってお金を要求しましょう!!》」・・・こういう裏切り者には・・・・」

 

「ゴホッ!?」

 

何か言い寄ってきた下っ端らしき男が一人いた。だが、女はそんな男を気に入らない目で見て、右手の拳で溝内を殴る。たった一撃で男は悶絶して動かなくなる。

 

「・・・・小さい女の子がいるわ。ここじゃなくて別のところでやりなさい」

 

「好的《ハッ》」

 

女の後ろにいた男の内、一人が倒れた男を抱え込み、どこかへ連れていった。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「私は気に入ったものを絶対に手放さないわ。裏切り者がいたら容赦なく・・・・・殺す」

 

「・・・・・あんた、碌な人生送ってないわね」

 

「マフィアのボスに上り詰めるために必要なことよ。それでどうする?仲間になってくれたらあなた達に必要な物は用意してあげるわ」

 

「・・・断ったら」

 

「別に良いわよ、今回は引いてあげる。でも私は強欲よ。気に入った物や欲しい物は絶対に手に入れるわ、何が何でも、どんな手段でも・・・・」

 

女の一言一言に威圧感や貫禄がある。改めて思う、この女はかなりヤバい。マフィアのボスに登りつめた事だけはある。

 

「・・・・・アリア、桜」

 

「・・・良いわよ。情報くれるし、ある程度の身の安全は確保してくれそうだわ」

 

「・・・・私はどこまでもお兄ちゃんについて行く」

 

「・・・・取引成立だ。俺たちはお前の仲間になる」

 

「じゃあ私たちはあなた達に必要な物を好きなだけ提供するわ。ハオン、この店予約しなさい、お客様を盛大にもてなすわよ」

 

「好的《ハッ》」

 

「着いてきなさい。あなた達の寝床を紹介するわ」

 

女は背中を向けて歩き始める。お姉ちゃんはお兄ちゃんの車椅子を押し始め、私は歩き始める。




遊輝「あいつヤバい、マジでヤバい」

アリア「あの女はヤバかったわ・・・・」

桜「貫禄凄かった」

遊輝「裏社会のボスの貫禄ってすげぇんだな・・・・」

アリア「どういう人生を送ったらあんなねじ曲がった性格になるのよ・・・」

桜「次回、『グリード・アナコンダ』。次回もよろしく」


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第69話 グリート・アナコンダ

お久しぶりです。

仕事でなかなか時間が取れない上に日本選手権とYUDTに参加したためひたすら調整してました。結果は・・・・お察しです(汗)

でもYUDTのジャンケン大会は勝てたんです!!(ジャンケンの)読みは当たってたんです!!
・・・・ジャンケン大会の賞品はヴァイスのごちうさ ココアのSSPの尊い生贄になりました。


「今日からあなた達の部屋はここ。結構良い所でしょ?」

 

「・・・・・まぁ、確かに」

 

「の、割には窓が無いわね」

 

「当たり前よ。あなた達は私たちの組織にとって、重要な切り札よ。外にバラすなんてことはしないわ」

 

上海で出会った女、マフィアのボス、リーについていき、とある建物の中にはいった。中は白を基調として必要な物が揃っているオシャレな部屋となっている。部屋も1LDK のそこそこ大きい間取りとなっている。

 

「隠れ家としては最高でしょ?」

 

「まぁそうだな・・・・」

 

「トイレとお風呂はあそこ、台所はあの部屋ね。後は自分達で確認してちょうだい。詰めの話は今日の夜にしましょう、私今から忙しくなるから。私の部下が呼びに来るまでこの家から出ちゃダメよ」

 

「部下との区別は?」

 

「ここの家と鍵を知っているのは私とここにいる私の直属の部下のみよ。心配しなくても誰も訪れないわ」

 

「・・・分かったわ」

 

「それじゃ今日の夜のご飯、楽しみにして待っていてね。玄関は鍵をかけておくから」

 

リーは笑顔で右手を振り、部屋から出る。そのまま後ろにいた男の部下と一緒に隠れ家から出て、外から鍵を掛けた。アリアは玄関まで行って鍵の様子を見る。

 

「・・・・電子ロックも掛かってるわね。中から出るのにも暗証番号がいるわ」

 

「予想通りといえば予想通りだな」

 

「お姉ちゃん、解除は?」

 

「時間を掛けたら出来るだろうけどしない方が身のためね。電子ロックということは何かしらの方法で向こうにも伝わるはず」

 

「やらなくて良いぞ。あのタイプの人間は一度敵に回すと厄介だが、味方にすれば心強い」

 

「そうね。とりあえず迎えに来るまでの間、身の回りの整理をしましょう。飛び出して来たから何が必要なのか確認もしないといけないわ」

 

アリアはそう話してリビングに戻ってくる。俺たちは鞄を持ち寄りお互いの荷物を出し合う。

 

「まずは服ね、それから財布に救急用品と寝袋・・・」

 

「俺の方は服と・・・・・」

 

そんな感じでお互いに荷物を出し合う。小さなリュックサックしか持ってこなかった為、数着の衣類と簡素な救急セット、スマフォにデュエルディスク、そして幾ばくかの現金しか持ってきていない。

 

「・・・・しばらくはここに住むとはいえ、基本的に現地調達ね。特に食料をどうするか考える必要があるわ」

 

「お姉ちゃん一人だけ自由に動き回れるから何とかならない?」

 

「ある程度は・・・・だけど長期的に誰かからの支援はいるわ」

 

「・・・ねえ、それってあの女性からできない?」

 

アリアが腕を組んで悩み始める時に、桜は長期的な支援をリーからできないかと言ってきた。ふむ・・・・確かにあいつは俺たちのことを非常に気に入っている。上手いこと話を付けたら何とかなるかも知れない。

 

「試してみる価値はありそうだな」

 

「そうね、マフィアのボスなら裏ルートからの支援も容易でしょう」

 

アリアも桜の考えに賛同した。もし資金面が解決したらこの旅は一気に楽になる。それくらいお金をどうするのか悩まされていた。

 

「次に逃走ルートね・・・・空のルートが一番だけど危険性も高いわ」

 

「空のルートはダメだ。情報社会のこの世界じゃすぐに情報が回ってしまう。陸路や海路で行けるところはそれで行こう」

 

「・・・・そっちも危険じゃないの?」

 

「どのルートも危険だ。だけど狙われる頻度が違うし、敵に見つかりにくい」

 

「でも陸路ばかりでは危険なのも変わりはないわ。ケースバイケースで見極める必要があるわ」

 

それからも俺たちは今後の計画やこのマフィアの情報を仕入れる作業をした。特にこのマフィアの情報は可能な限り調べた。だが、表社会の情報しか載ってないネットではやはり何の役目もなかった。

 

・・・・ピンポーン

 

「・・・・時間のようね」

 

アリアが代表して玄関の前に立つ。玄関の電子ロックが鳴り、リーの近くにいた男二人が立っている。

 

「お迎えに来ました」

 

「・・・分かったわ」

 

アリアは返事を返し、桜が俺の車椅子を押す。そのままガタイの良い男たちに挟まれながら俺たちは隠れ家から出る。隠れ家には車庫があり、家から外に出ることも出ずに車庫に直接行き、車に乗ることができる。それにより俺たちは誰にも目を合わさず車に乗り込むことができた。窓は黒いカーテンが惹かれている。そのまま男二人が運転席と助手席に座り、車庫の扉が開いて車が動き出す。

 

「5分ほどで到着します」

 

「近くなんだな」

 

「ココラ一体ハ我々ノ支配エリア、警察ヤ大企業ナンカヨリモ偉クデキル」

 

「ふ〜ん」

 

桜は適当に相槌を打つ。俺は黒カーテンで何も見えない窓を見つめる。正直、マフィアをやるんぐらいだったらそれくらいの影響力があってもおかしくない。

 

「着いた」

 

車は店の前に止まった。男達二人が先に降りてドアを開ける。先にアリアと桜が降り、その後に俺が車椅子ごと降りる。桜が車椅子のハンドルを手にして店の中に入る。スーツを着た店員が軽く会釈をしてそのままエレベーターに案内、上に上がり、最上階に着く。そのまま歩き、目の前にある個室の前にたどり着く。その個室には入ると中国料理店独特な大きな円形テーブルがあり、すでに料理は並べられていた。その一番上座の席にリーが笑顔で座っていた。

 

「来たわね。あなた達とは面で話したいからそちら側にお願いね」

 

男二人が俺たちの席の椅子を少し後ろに下げ、リーの後ろに立った。アリアと桜はその席に座り、俺はその二人の間、明らかに開けられたスペースに車椅子を止める。

 

「・・・・二人は食べないの?」

 

「えぇ、この二人は食に興味がないみたい」

 

「・・・・もったいない」

 

「それじゃ私たちの出会いを祝福して乾杯しましょうか、乾杯」

 

リーがワイングラスを片手に上げ乾杯の音頭を上げた。桜は訳がわからないようで適当にグラスを上に上げたが俺とアリアはそんな事しなかった。単純にそこまでお互いのことを知っている訳じゃないのに乗り気ではない。

 

「料理は好きなように食べて。私の奢りだから」

 

「いただきます」

 

好きなように食べて、その言葉を聞いて桜はすぐに皿と箸を両手に取り、料理を食べ始める。

 

「・・・・お前はもう少し見境を見ろよ」

 

「ふふ・・・さて、色々と話をつける前に貴方達のこともう少し詳しく教えて欲しいわ。そこの遊輝さんだけでなく、義理の妹に魔法使いさん?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「ふふ、やっぱり驚いたわね。あまりマフィアを舐めないで欲しいわ。これくらいの情報なら少し埃を叩いたらすぐに出てくるわ」

 

リーの不敵な笑みに俺とアリアは汗を垂らす。やはりこの女は侮れない。

 

「貴方、生まれこそ人間世界だけど育ちは全く知らない・・・異世界と言えばいいのかしら?学歴がない上に未知の力を持っているじゃない。まるで魔法みたいに」

 

「・・・・・」

 

「でも不思議な事に貴方たちの出生だけが不明なままなのよ〜。折角仲良くなるんだから教えてくれない?」

 

「・・・悪いけどそれは無理だ。どんなことがあってもそれは教えられない」

 

「ふ〜ん・・・まあいいわ。それくらいのことは気にしないわ。折角シークレットシグナーに魔法使いが手元に入ったんだもの。充分すぎるくらいだわ」

 

リーはワイングラスに入った赤ワインを一口飲んでワイングラスを回す。マフィアの底力は半端ないな。

 

「それじゃ料理を食べながら色々と条件を話し合いましょう。貴方たちの望みは、この騒動の首謀者を探し出す事だね」

 

「随分簡単に言ったわね。アテがあるのかしら?」

 

「それは秘密よ。でも、この条件が貴方たちが今一番求めているものでしょ?」

 

「ああ・・・・それと、この両脚を治す医者を探してる」

 

「貴方ご自慢のシークレットシグナーの能力を使えば治せるでしょ?」

 

「まだダメだ。能力の使いすぎで癌になる可能性があるし、他の副作用が否定できない」

 

「へ〜副作用なんてあるんだ。それは拾った情報になかったわ。良いわ。この辺りで一番の医者を紹介してあげるわ」

 

「助かる」

 

「他に条件は?」

 

「・・・・私たちが旅をしている間の資金面の援助、それをお願いしたい」

 

「資金面の援助?まさかそんなことを持ち出してくるとはね。仮にも海馬コーポレーションにカードの提供している者でしょ」

 

「そんなもの置いてきた。海外の銀行から下ろす余裕もないんだ」

 

「まあいいわ、それくらいなら余裕よ。ただルートを確保するのに時間がかかるから待ってもらう必要がある」

 

「それくらい構わない」

 

よし、これで資金面の問題は解決した。隣のアリアも少しホッとした表情をしている。

 

「次は私たちの、いや私の条件ね。まずは貴方たちには私の部下を鍛えてもらおうかしら?」

 

「何?喧嘩?マフィアの方がプロでしょ」

 

「デュエルに決まっているでしょ。初代WRGチャンピオンチームのリーダーにしてエクシーズ、ペンデュラム、リンク召喚の生みの親、そしてそのチャンピオンよりも強いと噂されている魔法使いからカードを貰い、鍛えてもらうのよ。私たちの組織がさらに強くなり、中国一、いや世界一の組織になれるわ」

 

銃や麻薬などが飛び交うマフィアの世界も決闘による弱肉強食の世界なんだな。本当、前世では考えられないことだ。

 

「・・・良いだろう。多少のカード提供とデュエルの腕前を上げてやる」

 

「一つ目は良し、次に貴方たちには私の会社の経営を手伝ってもらうわ」

 

「会社?なんの会社よ」

 

「表側の貿易関係の会社よ。なに、私の指示することをただ従ってやれば良いだけ。最近は裏社会だけではお金稼ぎが厳しくてね。こうやって表社会の会社を経営をしていかないと部下たちを養うことができないのよ」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「因みに私の会社は忙しいよ。これでもアジアではトップを誇る貿易会社を経営しているの。でも弱音を吐かせはしない」

 

アジアでトップの貿易会社、か。この女、表世界でもそれなりに顔が効くのか・・・・なるほど、情報を表社会でも裏社会でも情報を探し出すのは俺たちと比べたら苦労しないわけか。

 

「分かった。それくらいなら引き受けられる」

 

「ありがとう。さて、最後なんだけど・・・・ぶっちゃけ、今までの報酬だけでは貴方たちの報酬の一割も満たないわ」

 

「どういうことよ?」

 

「当たり前じゃない。こっちは情報提供に治るか分からない怪我を治すこと、裏ルートからの資金援助を受け入れたのよ。これだけの条件で終わると思った?」

 

「・・・・・最後の条件は何?」

 

アリアはリーにそう問いかける。リーはその質問を待っていたかのように口元をあげ、ワイングラスをテーブルに置き、立ち上がった。そのままゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。

 

「貴方たち3人、私の忠実な人形になりなさい」

 

「人形?僕でななく?」

 

「ええそうよ・・・・この仕事柄、私には部下が付き纏うことは当たり前、数少ない一人の時間も命を狙われないように大人しくじっとしている・・・・そういう運命を私は選び、そしてここまでのし上がってきた。けど遊び相手がいないのはやっぱり退屈なの。本当なら同世代などの友人を誘えば良いのだけど、そこの妹さんと同じで私も親なしの孤児、しかも一人っ子政策の闇に葬られた無戸籍よ。今は地位と金で戸籍を作りはしたけどね」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「それに私は戯れ合うことに楽しみを持てないわ。友達と遊ぶ?そんなもので私は満足しない。私は非常に強欲なのよ・・・・欲しいと思ったものは必ず手に入れて支配する。お金は死に物狂いでかき集め、道具なら金目に厭わす大量に手に入れ、ペットなら心ゆくまで私好みにするの・・・・・人間も一緒よ」

 

ゆっくりと歩いてきたリーは俺の真後ろに立ち、少し前屈みの態勢になる。右手は俺の頭に乗せて優しく撫で、左は腕まで回し俺の首をガッチリとホールドする。

 

「ふふふ・・・本当に可愛いわね。まるで子犬みたいだわ」

 

「・・・・・・・狂ってるわね」

 

アリアが絞り出すように、そう返答した。かくいう俺も額から汗を流し、料理にしか目をくれていない桜ですら箸を止めてしまっている。この女の欲望は底知れぬくらい深い。その為にマフィアのボスという地位まで上り詰めたくらいなのだから。

 

「最初にアムールから情報を受けた時は何の魅力も、は嘘になるけどそれほど感じなかった。世界中で貴方みたいな異端児は探せば出てくるから。サイコパスなマッドサイエンティストにでっち上げも魔法使い、アムールが計画していたサイコデュエリストが例かしら。貴方を捕らえる仕事が来た時も単なる金のなる木にしか見えなかった。でも、今日実際に見て180度変わった。あの会社が貴方達3人を手にしようとした考えがよく分かったわ。だから、お金を捨てて、世界の表社会・裏社会から敵に回そうが今こうして貴方たちを匿っているのよ。それ以上の価値が貴方たちにはあるわ」

 

「・・・・・・・・・」

 

リーはそう言いながら俺から離れ、今度はアリアの後ろに立ち、同じように頭を撫でたり体を触る。この女から発せられる言葉一つ一つの重み、それが俺やアリア、桜に鎖のように重く、そして固く雁字搦めになって縛り付ける。

 

「だから決めたの。貴方たち3人を私好みのお人形にするの。イエスとしか答えない心ある部下や僕、奴隷ではない。本当に私の好きなように操ることができるお人形になること・・・・これが最後の条件よ」

 

リーはハッキリとそう言った。その条件の答えに俺は躊躇ってしまう。分かっていた、こんな事になるとは。だが、俺たちはそうなってでも情報が欲しかった。そして・・・・

 

「・・・・・何となく読めるけど、最後の条件をこちらが飲み込まなったら」

 

「交渉決裂、だけど逃しはしないわ。私の欲しいものが今こうして目の前にあるんだもの」

 

「・・・・・・・・・」

 

「ふふ、言ったでしょ?私は非常に強欲だって、どんなことをしてでも貴方たちを手に入れる・・・・・調教するのも面白いし、四股を切断して本当に人形にするのも良いわね。心配しなくても捨てたりはしないわよ?私は『手に入れた物』は最後まで大事に持っておくから」

 

「・・・・・・・・・」

 

アリアから離れたリーは桜にも同じように体に抱きついた。桜の手が少しだけ震えている。

 

「あらあら、こんなに震えちゃって。小さい女の子には少し刺激が強い話だったかな?大丈夫、貴方たちがこの条件を飲んだら五体満足の状態でお人形にしてあげるわ」

 

「・・・・・」

 

「何か考えているようだけど貴方たちに考える時間は与えないよ。今、この場でYesかNoか答えなさい」

 

リーは俺たちに時間をくれないようだ。すでに俺たちは壁に追い詰められたネズミ、この強欲な蛇に飲み込まれるしか選択肢がない。俺は横にいるアリアと桜を見る。アリアは苦しい表情をしながらも顔を縦に振った。桜は怯えた表情をして、少し抵抗したがゆっくりと縦に振った。

 

「・・・・分かった。その条件、全て受け入れる」

 

「・・・・ふふ、そうよね。少し賢明な貴方なら無条件で受け入れると思ったわ。じゃあこれから契約しましょう」

 

俺の言葉を聞いたリーはそう言い放ち、桜から離れた。部下の男の一人から銀色のアタッシュケース手にとる。

 

「私たちの組織では仲間の証として同じ模様の刺青を掘ってもらうの。でも貴方たちはこれから私専用のお人形になるんだからその綺麗な体に刺青なんて掘りたくもないわ。だから、代わりに同じ模様が刻まれたこれを身につけてもらう。これが契約を交えた証よ」

 

アタッシュケースのロックが解除され、開かれる。その中には黒色の皮製の首輪が3つが入っていた。そこ首輪の中央には銀色の紋章があり、そこには蛇の絵が刻まれていた。




遊輝「・・・・・・・」

アリア「・・・・・・・」

桜「・・・・・・・」

遊輝「・・・・悪い」

アリア「・・・・良いわよ。気にしてないわ」

桜「・・・・大丈夫お兄ちゃん。私はいつまでもお兄ちゃんの味方だから」

遊輝「・・・・・・」

桜「・・・次回、『操られた人形』。次回もよろしく」


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第70話 操られた人形

なんとか今年の最後に投稿できた・・・

今まで携帯のiPhoneで投稿してきたけどパソコンがそろそろおじゃんになりかけたので思い切ってiPadにマジックキーボードを付けたけど正解だな・・・・でもやっぱパソコンは念の為に欲しいな


というわけで今年1年ありがとうございました。
来年の亀のような更新速度になりますがどうかよろしくお願いします。


*追記、今更ですが中国語の日本語訳を《》で表記しました。最初からこうすれば良かった・・・


 遊輝 side

 

 

「じゃあまた明日、私の可愛いお人形ちゃん♪」

 

そう言ったリーはゆっくりと扉を閉める。その数秒後、電子ロックのピーという音が鳴り、緑色のランプが赤く光った。こうなるとリー以外は鍵を開けることができない。

 

「・・・・・・・・・」

 

隠れ家についた俺たちの間には気まずい空気が流れていた。誰一人言葉を交わさず、リビングまでトボトボと歩く。

 

「・・・・・」

 

「・・・・とりあえず桜ちゃん、お風呂に入ってきたら。首輪が取れる時間は限られているわ」

 

「・・・・・分かった」

 

アリアは桜にお風呂に行くように伝える。桜もすぐに答え、リビングから離れる。食事の時に付けられたこの首輪、お風呂の時だけは邪魔にならないようにとリーがこんなことを言っていた。

 

『今日は帰ってから2時間以内、明日以降は8時から10時の間だけ、一人だけロックが解除できるようにしてあげる。だけど30分以内に付け直さないと残り二人の首輪が動いてキツく締め付けられるわ』

 

その他にも色々と首輪の性能を自慢げに話していた。録音機能にGPS機能など色々と話していたが、要はこれを付けたら俺たちは逃げることはできないという事だ。

 

「・・・・・悪い、少し考えたとはいえ、もう少し考えてやるべきだった」

 

「・・・気にしなくていいわ。どちらにしろ、あの女は如何なる手段を使ってでも私たちを捕らえようとしていたわ。だったら仲間になってくれる方がこっちにもメリットがある」

 

「でも「遊輝ちゃん、それ以上はダメ」・・・・」

 

車椅子に座っている俺にアリアは両手を握り、俺と同じ目線に合わせてくれた。

 

「色々と思うことがあるのは私も同じ、でも一番最悪の事態は免れた。あの女はいつか必ず私たちの放浪記を再開させると約束してくれた。いつ解放されるか分からない恐怖は確かにあるけど、今は前向きに考えましょう」

 

「・・・・・・」

 

アリアは必死に俺を前向きにしようと励ましてくれる。本当ならアリアも、桜もすごい怖いはずだ。明日から何をされるのか分からない。それでもアリアは俺を励ましてくれる。

 

「・・・・・・」

 

「・・・今前向きに考えるのが難しいなら明日からでもいい。とにかく今は情報を待って脚が治ることに集中しましょう」

 

「・・・・分かった」

 

アリアの話を聞いて俺は返事をした。そうだ、まずは時間を掛けてでも脚を治さないと何も始まらない。いつまでも車椅子生活は疲れるし、桜やアリアに迷惑をかけられない。今まではマスコミに追われてゆっくりと治療できなかったけどここならできる。

 

「・・・・・お姉ちゃん、終わった」

 

「早いわね、気を使わなくてもよかったのに・・・仕方ない、先に遊輝ちゃんから洗うわよ私も手伝うから」

 

「助かる」

 

アリアとの話が終わったタイミングで桜がお風呂から上がってきた。ものすごく早い気もするが、桜はもう首輪をつけてしている。今日はどうしようにも出来ない。アリアは俺の車椅子を動かして風呂場へと移動してくれた。隠れ家の風呂場なんで小さいものを想像していたが、結構広かった。ある程度配慮はしてくれたみたいだ。

 

「服脱がすわよ」

 

「ありがとう」

 

下半身が動かすことが出来ず、ズボンを脱ぐことが出来ない俺に代わってアリアが俺のズボンを脱がしてくれる。今まで桜が手伝ってくれたから・・・・アリアは何か新鮮だな。

 

「・・・・懐かしいわね」

 

「はっ?」

 

「前もこんなことあったじゃない。精霊世界でさ、二人だけで冒険してさ、こんな感じで裸の付き合いをして、敵に捕まって」

 

「ああ・・・・そんなことあったな」

 

「何、もう忘れたの?私たちにとっては結構重要な出来事よ。首輪取るわよ」

 

「ありがとう、そうだな・・・細かいことは忘れているかもしれん。前にも言ったシークレットシグナーの副作用もあるかも」

 

脱衣所から風呂場に入り、椅子に座ったところでアリアの手によって首輪が外される。

ここ最近の騒動の影響か物忘れが少しひどくなったかもしれない。まだ他人から話されて思い出すことはできるけど、日常的なこと以外、過去のことを中心にどんどんと忘れていく。何よりも怖いのはこんな状態なのに何一つ危機感を持つことができない。他人事のように感じてしまう。

 

「頭から洗うわよ。あの時は一緒にお風呂に入っただけだけど、今はこうして遊輝ちゃんのサポートするとはね」

 

「まああん時はほとんどお前の無理矢理に付き合っただけどな」

 

「私からすればありがたい話だったわ。一人で過ごしていたあの時の気持ち、今でも覚えているわ。あんな虚しい気持ちになるのはもう経験したくないわ。シャワー出すよ」

 

アリアがリンスインシャンプーで俺の頭と髪を洗い終え、ヘッドノズルを手にする。確かにあの時のアリアは心のない女性だった。初めて会った時と比べたら心があったかもしれないが、今と比べたら天と地の差だ。

 

「とにかく、私はあの時のことは今でも感謝しているわ。あの事件のおかげで私は人としての温かさと心を持つことができた。遊輝ちゃんと軽音部のおかげよ」

 

「・・・・・お前にしては珍しいな、人に礼を言うなんて」

 

「私だってお礼を言って、頭を下げるわよ。次、体洗うわよ」

 

頭のシャンプーを洗い落としたアリアはそのままタオルにボデイソープをつける。

 

「だから、私は遊輝ちゃんについていくわよ。どんな状況になっても。間違っていた私を止めてくれた遊輝ちゃんが迷っているなら今度は私が助けるわ」

 

「・・・・そうか、ありがとなアリア」

 

アリアと桜には感謝しかない。マスコミに巻き込まれた俺を連れ出し、こっちが圧倒的に不利な条件を突き出しても一緒について来てくれた。何とかしてこの騒動を終わらせてやる。

 

「・・・・・そのためには少なくとも足を治さないとな」

 

「そうね。シャワー出すよ。洗い終わったら脱衣所に行くから」

 

アリアが再びヘッドノズルを手にする。全身に少し熱めのお湯を浴びて ボデイソープを落とす。その後に軽くバスタオルで水気を拭き取った後、脱衣所に戻り、下着とパジャマを着て、首輪を付け直す。

 

「じゃあこのまま私がシャワー浴びるから、悪いけど」

 

「ああ、ありがとな」

 

俺はアリアに礼を一言言って車椅子を動かし、脱衣所を出る。リビングに戻ると桜が困った表情をしていた。

 

「どうした?」

 

「・・・・ベッドが一つしかない。しかもセミダブル」

 

「・・・・・ソファもないし3人で共有するしかないか」

 

「あと、冷蔵庫に食料品が補充されていた」

 

「・・・・帰ってきた時に部下が何か荷物を持って入ってたがそういうことか」

 

桜の言葉を聞いて、俺はキッチンの冷蔵庫を覗く。最初きた時に空だった冷蔵庫にはぎっしりと食料と調味料、野菜などが入っている。

 

「基本的には自炊して生活しろってことね」

 

「上がったわよ、何見ているのよ」

 

冷蔵庫の中をじっくりと見ていると、シャワーを終えたアリアがバスタオルを頭に巻いてこっちにやって同じように冷蔵庫を見る。

 

「冷蔵庫の中を見ていた。食料が大量に補充されていた」

 

「それがないと生活できないわよ」

 

「上手にやりくりしないと次の補充がいつになるか分からないな」

 

「それは明日から考えて、もう寝ましょう。10時回っているし、今日は色々あって疲れたわ」

 

アリアが軽く欠伸をしながらキッチンから離れる。時計を見ると確かに10時を回っていた。日本時間だと11時を回っていることを意味する。確かに今日は色々ありすぎた。明日から何されるか分からない、もう寝た方が得策だ。

 

「お姉ちゃん、ベッドが一つしかない」

 

「良いわよそれくらい、一緒に寝たら解決する話でしょ」

 

「そうだな・・・・あっ」

 

「どうしたの遊輝ちゃん?」

 

「・・・・・どうやって寝よう」

 

俺がそうポロッと口からこぼし、アリアも桜も少し間が空いて「あっ」と漏らした。今、俺は寝相・・・って言えばいいか。がとにかく酷い。二人に多大な迷惑をかけてしまう。かと言って今の俺は床で寝ることはほぼ不可能。

 

「・・・まあ、今日はみんなで寝ましょう。もう今日は色々あって考えたくないわ」

 

俺が色々と悩んでいるとアリアが車椅子のブレーキを解除してハンドルを握り、リビングから離れ寝室に入る。そのままアリアは車椅子をベッドの横につけて、俺を介助してくれてベッドにねっ転がる。その後すぐに桜とアリアもベッドに入り、俺に抱きつく。

 

「大丈夫、いざとなったら私と桜ちゃんで叩き起こすわ」

 

「お兄ちゃん、私に任せて」

 

「・・・・頼むから優しく起こしてくれよ」

 

その日、俺は二人の温かさに触れた影響か久しぶりに悪夢を見ることなく寝ることができた。

 

 

〜(次の日)〜

 

 

「それじゃ今日は遊輝の脚の状態を病院で検査するわ」

 

朝、起きて朝食を食べ終えたタイミングでリーが入ってきた。今日は俺の脚を検査するみたいだ。そのままリーと部下に連れられて黒いワゴン車に乗り、車は動き始める。

 

「検査の間は暇だからね、その間に・・・・・アリアも検査を受けてもらうわ」

 

「私は遊輝ちゃんみたいに悪いところはないわよ」

 

「貴方のその異端な能力について検査するのよ。その力は現代科学では説明できない。どうやってその力を得たのか調べさせてもらうわ」

 

「・・・・・はぁ、分かったわ」

 

「桜は私についてきてもらうわ」

 

「・・・・・何するの?」

 

「私と一緒に遊ぶのよ。さ、病院に着いたわ」

 

いつの間にか車は止まっていた。もう目的地に着いていたみたいだ。車から下ろされて周りを見渡す。地下駐車場のさらに奥、人通りが明らかに少ない区画の扉の前に下ろされた。

 

「ここの医者と病院は私の部下たちが負傷した時によく利用してね、上海一信頼できて、最新鋭の機材が整えられた病院なのよ」

 

部下たちが鉄の扉を開け、リーが先頭になり次いで俺たちが入り最後に部下たちが扉を閉めて建物の中に入る。少し歩いてエレベーターに乗り、とある階で下される。そこには白衣を着た医者というより、科学者のような雰囲気を醸し出している集団が俺たちを待ち構えていた。

 

「恭候您多时了《お待ちしておりました》」

 

「像昨天说了那样,今天请求两个精密检查《昨日話した通り、この二人の精密検査をお願いするわ》」

 

「明白了《分かりました》」

 

「何言っているのよ」

 

「オイ、ボスが話している時が話すな」

 

医者らしき人たちとリーが中国語で話し始めたため俺たちは置いてけぼりになってしまう。中国語はノータッチ、桜も知らず、独り身のことが多いアリアも分からない。

 

「じゃあ今から二人には検査を受けてもらうわ。ハンファ、貴方は通訳として二人に着いて行きなさい」

 

「好的」

 

「・・・・行くかアリア」

 

「ええ、桜ちゃん、ちょっとの間待っててね」

 

「・・・・分かった」

 

アリアが車椅子のハンドルを握り直し、医者の後を歩き出す。

 

 

 遊輝 side out

 

桜 side

 

 

「ふふ、それじゃ桜は私と一緒にきてもらうわ」

 

「・・・・・・・・」

 

病院でお兄ちゃんとお姉ちゃんに別れた後、私はリーに左手を握られてお兄ちゃん達とは反対方向に向わされる。本当は抵抗してお兄ちゃんたちと一緒に居たいけどこの女の前で逆らうことは死を意味する。私たちはこの女の掌で踊らされるしかない。

リーと私、それともう一人の部下の三人で廊下を移動してとある部屋に入る。

 

「・・・・・決闘スペース?」

 

「そう、ここで貴方はデュエルしてもらう」

 

私たちが入った部屋は一面の決闘部屋だった。ただ違うのは観覧席がなく、四方囲まれた壁に一面がガラスでこの部屋を覗き込む作りになっている。

 

「・・・私がデュエルすることになんの意味があるの?」

 

「一つは貴方の実力を確かめるため、もう一つは貴方がアムール社が作った決闘兵器としてどれくらい人体に影響があるか調べさせてもらう」

 

リーはそう言いながら私の頭に色々な装置やコードがついたヘルメットみたいなものを被らされる。

 

「・・・・やっぱり碌な考えじゃない」

 

「でも気にはなるものでしょ?心配しなくても貴方は普通にデュエルすれば良いだけ。簡単でしょ?ルオン、彼女にデュエルディスクを渡しなさい」

 

「・・・・・分かった。相手は?」

 

「私が相手するわ。私の部下だと貴方の実力を引きだせずに終わるわ」

 

どうせ何を言っても無駄、そう感じた私はリーの部下からデュエルディスクを受け取る。私はデュエルフィールドに立つ。反対側にはリーが立った。

 

「・・・・私なんかと相手する暇はあるの?」

 

「ご心配なさらず、仕事は徹夜して終わらせたわ。私、三徹くらいは余裕よ」

 

「そう・・・・・じゃあ、完膚なく叩き潰す」

 

「デュエル」  「デュエル」

 

 桜   LP. 4000 リー LP 4000

 

「先行は譲ってあげるわ」

 

「・・・・魔法カード、増援。デッキからLv4以下の戦士族モンスターを手札に加える。閃刀姫ーレイを加えて、そのまま召喚」

 

 閃刀姫ーレイ 攻1500

 

「カードを一枚伏せて、エンドフェイズ、閃刀姫ーレイの効果発動。このカードリリースしてEXデッキから「閃刀姫」リンクモンスターを特殊召喚する。フォームチェンジ、閃刀姫ーシズク」

 

閃刀姫ーシズク 攻1500 ↗︎

 

閃刀姫ーレイの衣装がヒーロー戦隊や魔法少女の変身シーンみたいに青く光り、武装した姿へと変わる。

 

「閃刀姫ーシズクの効果。このモンスターを特殊召喚したエンドフェイズに墓地に存在しない『閃刀』魔法カードを手札に加える」

 

「手札から罠カード、無限泡影!自分フィールドにカードが存在しない場合のみ手札から発動!閃刀姫ーシズクの効果を無効にする!エフェクト・ヴェーラーを警戒したようだけど残念ね!」

 

「いや、灰流うらら以外だったら大丈夫。手札から速攻魔法、閃刀起動ーリンケージ。自分メインモンスターゾーンにカードが存在しない場合、自分フィールドのカード1枚を墓地に送り発動する。閃刀姫ーシズクを墓地に送る」

 

相手がカウンターで発動した無限泡影の効果を受ける前に私が発動した閃刀起動ーリンケージの効果で閃刀姫ーシズクがフィールドからリリースされる。

 

「EXデッキから『閃刀』リンクモンスターを特殊召喚する。フォームチェンジ、閃刀姫ーハヤテ」

 

閃刀姫ーハヤテ 攻1500 ↙︎

 

墓地に送られた閃刀姫ーシズクの魂が形成され、閃刀姫ーハヤテがフィールドに特殊召喚された。

 

「無限泡影の対象になった閃刀姫ーシズクは墓地に送られ不発。閃刀姫ーシズクの効果は継続、デッキから閃刀起動ーエンゲージを手札に加える。これでターンエンド」

 

 

桜 手札 3枚 LP 4000 墓地魔法 2枚

 

ーーーー▲ ー

ーーーーー 

 ○ ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

リー 手札 4枚 LP 4000

 

 

「へ〜やるじゃない。上手く交わされたわ。流石、WRGPチャンピオンチームのキャプテンの妹ね」

 

「・・・関係ない。私は私」

 

「そうね。これは失礼、では私のターン、1枚ドロー」

 

リー 手札 5枚

 

「魔法カード、龍相剣現。デッキから『相剣』モンスターを1体選び、手札に加える」

 

「手札から灰流うららの効果。龍相剣現の効果を無効にする」

 

「速攻魔法、墓穴の指名者。貴方の墓地の灰流うららをゲームから除外して次のエンドフェイズまでお互いに除外した同名モンスターの効果は無効になる!」

 

相手がモンスターをサーチしようとしたので手札に握っていた灰流うららを使い無効にしようとしたが、墓穴の指名者で回避される。

 

「これで龍相剣現は通るわね。デッキから相剣師ー莫邪を加え、そのまま召喚」

 

相剣師ー莫邪 攻1700

 

相手のフィールドに青白いマントを羽織り黒い甲冑のようなものを身につけた人形の騎士みたいなモンスターが現れる。

 

「莫邪の効果!手札から幻竜族または『相剣』カードを見せることでLv4、水属性、幻竜族、チューナーの相剣トークンを特殊召喚する!」

 

「チェーン、手札から増殖するGを発動。このターン、相手が特殊召喚をする度にカード1枚引く」

 

「それが本命なわけね。良いわ、手札から相剣暗転を見せ、相剣トークンを特殊召喚する」

 

私の手札から増殖するGが飛び出してリーの周りを飛び回る。リーは手札のモンスター1体を公開して、フィールドに相剣トークンが特殊召喚される。この瞬間、増殖するGに1体が私のところまで戻ってきてカードを1枚、私の手札に加えてくれる。

 

桜 手札 1枚→2枚

 

「鬱陶しいわね・・・やっぱりゴキブリは見たくないわ。この相剣トークンが存在する限り、私はシンクロモンスター以外をEXデッキから特殊召喚できないわ。Lv4の相剣師ー莫邪にLv4の相剣トークンをチューニング!」

 

 ⭐︎4 + ⭐︎4 =  ⭐︎8

 

「古代の地に眠りし大剣が魂を宿し、軍を率いる王へと道標!シンクロ召喚!LV8、相剣大師ー赤霄!」

 

相剣大師ー赤霄 攻2800

 

「増殖するGで1枚ドロー」

 

 桜 手札 2枚→3枚

 

「相剣大師ー赤霄の効果、さらにシンクロ素材になった莫邪の効果発動!莫邪は1枚ドロー、赤霄はデッキから『相剣』カードをサーチする!」

 

「・・・・チェーン、リバースカード、速攻魔法、閃刀機ーウィドウアンカー。自分メインモンスターゾーンにカードが存在しない場合、相手フィールドのモンスター1体を対象に取り、その効果を無効にする」

 

相剣大師ー赤霄の効果を通したら不味い、そう感じた私は伏せていた閃刀機ーウィドウアンカーを発動する。閃刀姫ーハヤテから放たれた狩猟用の網が解き放たれ、相剣大師ー赤霄を捕らえる。

 

「あら、なかなか鋭いじゃない。ここで赤霄を止めるのは正解よ。でも莫邪の効果で1枚ドローするわ」

 

 リー 手札 3枚→4枚

 

「あら、強いカードを引いたわ。魔法カード、強欲で貪欲な壺。デッキの上から10枚をp除外して2枚ドロー」

 

 リー 手札 3枚→5枚

 

「(・・・・・ま、そう続かないわね)これでバトル、相剣大師ー赤霄で閃刀姫ーハヤテに攻撃!」

 

相剣大師ー赤霄が右足を踏み込み、閃刀姫ーハヤテに攻撃する。ハヤテは最初の攻撃を避けて、対抗するがすぐに捕まり赤霄が振り落とした剣を受けて破壊される。

 

 相剣大師ー赤霄 攻2800

 閃刀姫ーハヤテ 攻1500

 

 桜 LP 4000→2700

 

「ッ・・・墓地の閃刀姫ーレイの効果。自分フィールドの『閃刀姫』リンクモンスターが相手の効果でフィールドから離れるまたは戦闘で破壊された場合、墓地から特殊召喚できる」

 

破壊された閃刀姫ーハヤテ、その武装が剥がれ落ち、閃刀姫ーレイが私のフィールドに舞い戻ってきた。

 

「カードを2枚伏せてターンエンド」

 

「エンドフェイズ、閃刀姫ーレイの効果。自身をリリースしてフォームチェンジ、閃刀姫ーシズク」

 

「また?同じ芸は飽きられるわよ」

 

「関係ない。閃刀姫ーシズクの効果。閃刀術式ーアフターバーナーを手札に加える。閃刀姫ーシズクの効果で相手フィールドのモンスターの攻撃力は私の墓地の魔法カードの枚数×100ポイント下がる」

 

相剣大師ー赤霄 攻2800→2500

 

 

桜 手札 4枚 LP 2700 墓地魔法 3枚

 

ーーーーー ー

ーーーーー 

 ○ ー

ーーーー○

▲ーーー▲ ー

 

リー 手札 3枚 LP 4000

 

 

「私のターン、ドロー」

 

桜 手札 5枚

 

「(・・・・・厄介な効果持ってる)」

 

デュエルディスクを通して相手のモンスター効果を確認する。あのモンスター、サーチするだけでなく私のフィールドのモンスター効果まで無効してくる。それに伏せたカードの内1枚は相剣暗転という罠カードのはず。確か毒蛇の供物と同じ効果のはず。下手な行動ができない。だけど、灰流うららは前のターン、墓穴の指名者で除外した。

 

「(つまりこのターン、相手も灰流うららは使えない)魔法カード、閃刀起動ーエンゲージ。デッキから同名カード以外の『閃刀』カードを加え、墓地に魔法カードが3枚以上あればその後に1枚ドローできる」

 

「(強欲で貪欲な壺で灰流うららを加えたけど墓穴の指名者の対象にしてしまったわね・・・)」

 

「デッキから閃刀起動ーリンケージを手札に加えてその後に1枚ドローする」

 

桜 手札 4枚→5枚→6枚

 

「魔法カード、閃刀術式ーアフターバーナー。相剣大師ー赤霄を対象にとり、そのモンスターを破壊、その後、墓地に魔法カードが3枚以上あるならフィールドの魔法・罠カード1枚を破壊する」

 

「(あれを通すと赤霄が破壊されるだけでなく相剣暗転かこの伏せカードを破壊ね)リバースカードオープン!罠カード、相剣暗転!相剣大師ー赤霄と閃刀姫ーシズク、閃刀術式アフターバーナーを対象に取り破壊する!」

 

「速攻魔法、閃刀起動ーリンケージ」

 

「リバースカードオープン!永続罠、虚無空間!これでお互いに特殊召喚が出来なくなるわ」

 

「速攻魔法、サイクロン」

 

「!?」

 

「虚無空間を対象に取り破壊する」

 

チェーンの逆順処理でまずサイクロンから解決され、相手が発動した虚無空間が破壊される。

 

「これで閃刀起動ーリンケージが通る、閃刀姫ーシズクを墓地に送り、フォームチェンジ、閃刀姫ーカガリ」

 

閃刀姫ーカガリ 攻1500 ↖︎

 

「そして相剣暗転が解決される」

 

「!?しまった」

 

相手が発動した相剣暗転により対象になった閃刀術式ーアフターバーナーと相剣大師ー赤霄が破壊された。

 

「閃刀術式ーアフターバーナーは対象のカードを破壊できなかったから追加効果は発動できない。閃刀姫ーカガリの効果。特殊召喚成功時、墓地の『閃刀』魔法カードを手札に戻す。閃刀起動ーリンケージを手札に戻す。現れて、未来へ続くサーキット」

 

閃刀姫ーカガリがリンクマーカーの中に飛び込み、左斜め下の矢印が赤く光る。

 

「アローヘッド確認、召喚条件は風属性以外の『閃刀姫』モンスター1体。私は閃刀姫ーカガリをリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン、リンク召喚、フォームチェンジ、閃刀姫ーハヤテ」

 

「打点になるカガリをわざわざリンク召喚?何を企んでいるの?」

 

「簡単な話。このターンで決める。バトル、閃刀姫ーハヤテでダイレクトアタック」

 

閃刀姫ーハヤテが足元のブースターを起動させて急加速しながら相手に目掛けて発進、そのまま相手を斬りつける。

 

リー LP 4000 →2500

 

「くううう!!!」

 

「閃刀姫ーハヤテの効果。戦闘を行なった後、デッキから『閃刀』カードを墓地に送る。閃刀姫ーロゼを墓地に」

 

「(ロゼ?このタイミングでモンスターを?)」

 

「速攻魔法、閃刀起動ーリンケージ。閃刀姫ーハヤテを墓地に送り、フォームチェンジ。閃刀姫ーカイナ」

 

  閃刀姫ーカイナ 攻1500 ↘︎

 

閃刀起動ーリンケージによって閃刀姫ーハヤテの武装が代わり、閃刀姫ーカイナが特殊召喚される。

 

「そして閃刀起動ーリンケージの追加効果。墓地に光属性・闇属性の『閃刀姫』モンスターがそれぞれ1体以上存在する場合、この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は1000ポイントアップする」

 

「!?」

 

 閃刀姫ーカイナ 攻1500→2500

 

墓地に眠る閃刀姫ーレイと閃刀姫ーロゼの魂を受け継いだカイナの体からエナジーが解き放たれる。

 

「バトル、閃刀姫ーカイナでダイレクトアタック」

 

リー LP 2500 → 0

 

WIN 桜  LOS リー

 

 

 

 

「ふふ・・・・やるわね。さすがと言わざる得ないわ」

 

デュエルが終わり、リーはただ私に賛辞の言葉を述べて拍手をする。

 

「・・・どうでもいい。早くこの頭の機械をとって」

 

「あら?誰も一回で終わりだなんて言っていないわよ?」

 

「・・・ッ」

 

リーのその言葉を合図に部屋の扉が開いてリーの下っ端らしき部下たちが10人くらい入ってくる。

 

「まだあなたのお兄さんとお姉さんの検査は終わってないの。それにあれだけのデュエルでは充分にデータが取れていないわ。次は私の組織の幹部連中一人一人と相手になってもらうわ。実力は私より劣るけどデータを取るには充分でしょ」

 

リーのその言葉に屈強な男が一人デュエルディスクを構え、私の反対側に立つ。

 

「(・・・・これは大分長くなる)」

 

私の首筋から汗が一筋流れる。

 

 

 




桜「はぁ・・・・はぁ・・・」

リー「ふふ、どうしたの?まだ3人しか終わってないわよ?」

桜「・・・・」

リー「もっとも〜と私のために働いてね、お人形ちゃん♪」

桜「はぁ・・・・・」

リー「次回、『運命を賭けた治療』。よろしくね」


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第71話 運命を賭けた治療

時間かけた割にはあんまり良い出来になりませんでした。申し訳ありません。


マスターデュエル、滅茶苦茶楽しいです。周りに遊ぶ人がいない自分にとっては本当にありがたいです。
2月期はまだプラチナ2ですがね(下手くそ&操作ミスという恥ずかしい負け方をしまくっています)

・・・・・ところでマスターデュエマルで組んだセフィラなんですが、全く言うこと聞いてくれません。(主にグラマトンを引かない)。誰か、このデッキと仲良くなる方法を知っている方いらっしゃいませんか?


*追記、今更ですが中国語の日本語訳を《》で表記しました。最初からこうすれば良かった・・・


遊輝  side

 

 

「・・・であるからして貴方の足の治療が遅れているのは」

 

「話が長い。要約して言ってくれ」

 

「人の話はよく聞きなさい。まぁ端的にまとめるとあなたの脚は神経系も筋肉系も骨も治っている。後は筋肉系が通常通りに戻れば大丈夫なのよ」

 

精密検査から1週間後、俺の検査結果が出たということでリーが俺たちの隠れ家に医者を連れてやって来る。医者からカルテみたいなものを渡されたが全部中国語で読めないのでリーが医者の話を聞いてそれを話してくれたが、遠回しに言ってきて肝心の所を話してくれない。俺が要約するように言ってようやく話してくれた。

 

「それを治す方法は?」

 

「地道にリハビリで歩いたり運動したりでしょうね。ただ、あなたの場合は撃たれた反動があるから筋肉系と神経系がうまく反応していないのよ。医者の見解では少なく見積もっても1年は掛かるって」

 

「時間がかかり過ぎだ。そんなに待っていられない」 

 

「私はそれくらいかけてもいいけど。私の手元にずっと残ってくれるんだから。だけどまぁそうね・・・医治他的腿的方法?《今の医学でこの怪我を早く治す方法は?》」

 

「有是有,但是・・・・《あるにはありますが・・・》」

 

「是什么问题吗?《どんな方法?》」

 

「是刺激所谓童话、穴的治疗《いわゆる伝説と言われている鍼治療です》」

 

「頼むから日本語で話してくれ」

 

さっきからリーと医者の会話は中国語でしか会話されてない。二人はいいかもしれんが一番の当事者である俺が分からないなら全く意味がない。

 

「あなた、中国人が日本語を喋れると?」

 

「お前喋れるじゃないか」

 

「私は仕事柄日本語と英語は喋れるの」

 

「で、そこの医者は何を言ったの?」

 

「鍼治療よ」

 

「鍼治療だと?」

 

「そう、私も噂に聞いただけだけど、この広い中国で昔から鍼治療のみで数多くの患者の病気や怪我を治した伝説の一族がいるの」

 

「そいつらなら俺のこの脚を治せるのか?」

 

「早期ならね。とは言え、まずこれは伝説よ。今、この鍼治療を受け継いだ医者が何処にいるか分からないわ。それに」

 

「それに?」

 

「この治療、最後の砦であると同時に大きな博打よ」

 

「どういう事だ?」

 

「噂では多くの患者を治療して治してきたがそれ以上の患者の治療に失敗して病気を悪化させたとも言われているわ。ある種、闇医者の人体実験ね」

 

リーの言葉を聞いて俺は腕を組んで考える。確かに鍼治療だけで多くの病気や患者を治療してきたとは俄かに信じ難い。それに悪い噂も流れているときた。だけど、俺には時間がない。

 

「・・・・その医者、中国の何処かにいるんだな?」

 

「お兄ちゃん・・・・・」

 

「今まで海外に出たという事聞いた事ないしそうだと思うわ」

 

「探してくれ」

 

「・・・・・いいわ。私としてもあなたの治療に失敗して一生私のお人形として生活して欲しいわ。找那名医生《その医者、探してちょうだい》」

 

「明白了《分かりました》」

 

リーは後ろにいた直属の部下に中国語で指示を出す。その部下は指示を受けた後すぐに医者と共にこの隠れ家から外に出る。

 

「医者が見つかるまでは通常のリハビリを受けてもらうわよ。もちろんその合間にも私の仕事を手伝ってもらい、部下を鍛えてもらうわ」

 

「・・・・分かった」

 

「早速だけど今日のノルマをパソコンに送ったわ。3人で今日のノルマを達成したらメール頂戴。じゃあ、私も仕事に行ってくるわ」

 

そう言ってリーは隠れ家から出て、玄関の電子ロックが赤く光る。今日も外に出ることは禁じられたようだ。アリアは与えられたパソコンを起動させ、教えられたパスワードを打ち込む。

 

「・・・・お兄ちゃん」

 

「何だ?」

 

「良いの?危険な治療を選んで」

 

「・・・・・リハビリを続けたら少なくても1年はかかってしまう。そんな時間はないし、待つこともしない。それにどうせ切断する状況から復活したんだ。賭けに出てやるよ」

 

「しかし鍼治療で完治ね・・・・中国ならではね。日本にいたら間違いなくそんな話は聞かないわ。これね・・・・・・」

 

アリアはマジックパッドを使い送られたファイルをダウンロード、開封する。

 

「・・・・これくらいなら私一人でもいけるわね。日本向けの商談相手だから日本語で書かれているし」

 

「何の仕事だったんだ?」

 

「商品管理ね。商品をExcelで管理して在庫数の確認。表向けが貿易会社のだけあるわ」

 

そう言ってアリアはパソコンと睨めっこを始める。そうなると俺と桜は手持ち無沙汰になってしまう。

 

「・・・・・しょうがねえな。俺たちは家事でもしておくか」

 

「分かった。私掃除する」

 

「洗濯するか」

 

俺と桜で適当に分担して家事を始める。午前中はこれで時間を潰せるするけど外には出られないし午後は暇になるだろうな。

 

 

〜〜(数時間後)〜〜

 

 

「終わったわ。今日の仕事は終了よ」

 

「ちょうど昼飯作り終えたところだ」

 

「お姉ちゃん、お疲れ」

 

「全く、こんな時代に手入力なんて時代遅れだわ。商品打ち込んだら自動で整理されるソフトでも作ってあげるわ」

 

家事をやり終え、昼飯を桜と一緒に作り終えた後、パソコン作業を終えたアリアが腕をなばしてこちらに声を掛けた。桜にご飯を運んでもらいテーブルに移動する。

 

「「「いただきます」」」

 

お昼に選んだのはごく普通の焼きそば、相変わらず桜の量は普通の3倍の量があるが気にしない。

 

「・・・・こうやって生活していたら本当に家族みたいね」

 

「奴隷の首輪をつけられて、監禁生活をさせられているこの状況がなければそうなるんだがな」

 

「遊輝ちゃんまたネガティブ思考になっているわよ」

 

普通に会話して普通にご飯を食べている、一部のことを除けば確かに家族と言われても仕方ない。俺としてはこれくらい静かな環境でリハビリ生活をしたかった。

 

「お兄ちゃん、メールが来た」

 

「メール?誰からだ」

 

「リー」

 

ずるずると焼きそばを食べていた桜が箸を止め、借り物の携帯を俺に見せる。差出人はリーになっていて件名は情報となっている。

 

「何が送られてきたのよ」

 

「・・・・・早く仕事を終わらせた褒美だとよ。俺たちを追いかけている組織の一つの情報が手に入ったとさ」

 

リーから送られたメールの内容は俺を狙っていた組織の一つに関する情報だった。

 

「表向きは最近RDチームを結成したばかりのチームでしつこく俺を勧誘したり、脅しを入れたヨーロッパ系の情報会社だ」

 

「表向き・・・・ていうことは」

 

「裏向きは国の政治家・警察等国家に関わる連中の弱みを握り賄賂やいらない連中を消すヤバイ組織。国を裏で操っている会社だな」

 

「物騒な会社しか世の中にはないのね」

 

全くもってその通りだ。無理だと何度も言ったのに、脅迫じみたことをしてきた。あのゼロの事件で俺の情報が流れたとはいえ、滅茶苦茶情報を握っていたのはこういう事情だったのか。

 

「リーのメールの続きで『追加の条件を受け入れたら数日中に潰す』とも言ってきている」

 

「いいんじゃない?あの女は私たちに無理難題なことを押し付ける代わりに手伝ってくれると言ってくれたし」

 

「・・・・ん、私も賛成。だけど条件は?」

 

「後日だとよ。んじゃ、そういう旨を伝えておく」

 

俺たちの答えをリーに返信する。すぐに再返信がきて「楽しみに待ってなさい」と返ってきた。

翌日、ヨーロッパにあるとある情報会社の社長が突然、多くの罪が世間に露呈され逮捕、会社が倒産する事態が発生したみたいだ。

 

 

 

あれから数日が経った、相変わらずの監禁生活、外に出れる時はリハビリの時かリーの部下のデュエルの腕前を上げる時のみ、その時もワゴン車に黒い幕をして移動、建物も無機質な場所なので刺激のない毎日を過ごしている。事務作業はアリアが自動で仕分けしてくれるソフトを開発、導入したのでほぼパソコンを開くだけで仕事が終わる。そんな時、夜ご飯を食べている時間にリーが部下を一人連れてこの隠れ家にやってきた。

 

「夜ご飯中に失礼ね」

 

「こんな時間に何のようよ?」

 

「もしかして医者は見つかったのか?」

 

「もう少し待ちなさい。たった数日で人一人見つけることは難しいことよ」

 

医者が見つかったからここに来たのかと期待したがそうじゃないみたいだ。

 

「・・・・じゃあ、何しにきたの?」

 

「今日は別件よ。この前の件、覚えているかしら?」

 

「・・・・・追加の条件ね」

 

「そうよ。ようやくお人形と遊ぶ時間ができたわ」

 

「・・・・・どういうことだ?」

 

「この数日間で1ヶ月分の仕事を終わらせたわ。つまり、私は明日から1ヶ月休みなのよ」

 

「・・・・・・・・」

 

「追加の条件、貴方達には一人1週間ずつ、私のお人形として私の手元に置いておく」

 

「・・・・・要は一人ずつお前の言いなりになれってことか。だとしても残りの1週間はどうするんだ?」

 

「3人まとめて遊んであげるわ。これが楽しみで仕事を頑張ったんだから」

 

両手を握り笑顔で俺たちを見つめるリー。それを見て俺たちは互いに顔を見つめることしかできない。

 

「じゃあ遊輝、今日から1週間私と一緒に過ごすわよ。私の家に一緒に帰るわ」

 

「・・・・・いいけどお前、車椅子生活の看護とか大丈夫なのか?」

 

「私には部下がいるのよ。介助なら彼らに任せるわ。ハンファ、彼の車椅子をお願い」

 

「ハイ」

 

リーの横にいた部下が一人、俺の車椅子の後ろにつきハンドルを握る。

 

「・・・・せめて飯が食い終わってからにして欲しいんだが」

 

「そんなちゃっちいものじゃなくても私の家には豪勢な食事を用意してあるわ。行くわよ」

 

リーの部下に車椅子を操作され、俺は強制的に隠れ家から離れる事になった。




リー「楽しみねぇ〜♪あんな事やこんな事をしてみたいわ♪」

遊輝「・・・・・」

リー「さっきから難しい表情しているけどそんな顰めっ面だったら老けるわよ?」

遊輝「・・・・どうせろくな目に合わないんだから」

リー「そんな事ないわよ。きっと楽しい一週間になるわよ。私の事しか考えないような・・・・」

遊輝「・・・・・・」

リー「次回、『お人形生活 遊輝編』。よろしくね」


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第72話 お人形生活 遊輝編

ガルパのイベント走ってました。
明日までですが明日は仕事なので実質今日までです。

カエルスプライト楽しすぎる。ただ使われたら嫌われるデッキだけど。

実はこっそり短編を書いていました。
頑張ればGW中に投稿できるかもしれません。短編はこの小説と全く関係ない、それどころか遊戯王とは関係ない官能小説です。


遊輝 side

 

 

「ここが私の家よ。結構広いでしょ?」

 

「・・・まぁ、そうだな」

 

半ば強制的に連れてこられたリーの家は広かった。場所は上海でも一等地の上、マンション上層階、しかも角部屋ときた。俺と桜が住んでいるトップスのあの家と比べたら流石に小さいが、それでも一人で暮らしていると考えるなら結構な豪邸だ。

 

「ってかカーテンしていないけど大丈夫か?俺がここにいることがバレたら色々とまずいだろ?」

 

「何のためにお金をかけてこのマンションを買ったと思っているの?ここのセキュリティは最強よ。この窓ガラスはマジックガラス加工をしているわ。こっちからはこの素晴らしい景色を独り占めできるけど向こうからは曇ったガラスにしか見えないわ。でも今日はもうカーテンを閉めましょう」

 

リーがそう言いながらスマフォのスイッチを押す。カーテンは自動で動いて窓ガラスはカーテンに閉じられる。マジックガラス加工・・・・確か一方からは普通のガラスだけど反対側から見れば中が見えない技術だったな。

 

「さ、まずはご飯を食べましょう。今日は貴方がここに来るから豪華なご馳走をお願いしているわ」

 

「・・・・・・」

 

車椅子のハンドルをリーが持ち、大きなリビングの入り口付近から移動、4人掛けのテーブルに移る。そこには手作りの料理が数種類並べられていた。

 

「・・・・まさかシェフを雇っているのか?」

 

「そんなことないでしょ。今日は家政婦に頼んだだけだわ。普段はちょっとした物を作って一人で済ましているけど流石お客をもてなすんだから今日くらいは見栄を張るわ」

 

リーは車椅子をテーブルに停めてブレーキをかけ、壁側にあるワインセラーからボトルのワインを1本とワイングラスを2つ取り出して俺と反対側の椅子に座る。

 

「この白ワイン美味しいわよ。キリッとした辛さがあるけど後味はスッキリしているわ。今日はこれを一緒に飲みましょう」

 

リーはボトルのコルクを抜き、2つのワイングラスに白ワインを注いでいく。一つは自分の手元に、一つは俺の手元に置く。

 

「・・・・俺、酒は苦手なんだけど。ってかそれ以前に飲めない年齢だが」

 

「ここは私の家。つまり王様は私よ。王様のもてなしを受けないの?」

 

「・・・・・・・・」

 

「それに、その言い草だと過去に飲んだことがあるみたいね。それじゃ、乾杯」

 

何を言っても通じない。俺はワイングラスを持ち、リーのワイングラスとコツンと音を鳴らす。リーは豪快にワインを飲んでいく。俺はグラスを傾けて少しだけ飲む。ワインの味はよく分からないが確かに辛口で後味はスッキリしている。

 

「遠慮せずに料理を食べて。身体を治すのに栄養のあるものは大事よ」

 

「・・・・にしても量が多すぎだろ」

 

「中国は大皿料理でお客にもてなすときは必ず食べられないくらいの料理を出すのよ。心配しなくても残った料理は明日以降のおかずや部下に配るわ。それ以前に貴方はもう少し食べるべきよ。明らかに痩せ型ね」

 

「大きなお世話だ」

 

なんだかんだ悪態をつきながらリーとお喋りして料理を食べていく。当然、全部を食べることは出来ないため、残すことになるが・・・・・

夕食を食べ終えた後はすぐにシャワーを浴びてリーから借りたパジャマを着る。リーがシャワーを浴びている間、俺はリビングにあるテレビをつけてニュースを見る。中国語で話しているので当然内容は頭に入ってこない。

 

「(・・・・あいつら、今頃どうしているかな?)」

 

ニュースを見ながら俺は日本に残っているレミ達のことを考える。あいつらに迷惑をかけないようこっそりとネオドミノシティを脱出しようとしていたが、そんな考えはお見通しと言わんばかりに俺に手紙を渡してくれた。みんな今の騒動のことを気にせず楽しんで来いと書いていた。

 

「(・・・・そういえばレミの様子がおかしいってアリアが言っていたな)」

 

ネオドミノシティを離れる直前、アリアがそんなことを言っていた。その前の様子は何ともない感じだったけど・・・・・

 

「(・・・・ダイヤがこんなこと言っていたな。『フェザーが妙なことを聞いてきた』だっけ・・・)」

 

「お待たせ。テレビなんかつけても意味ないでしょ」

 

「・・・・暇つぶしにはちょうどいいだろ」

 

色々頭の中で巡らせているとリーがシャワーを終えて俺の隣に立つ。髪をバスタオルで拭いてテレビを見ている。

 

「・・・・ふ〜ん、どうやら貴方のことを報道している見たいよ。日本から忽然といなくなって騒動になっているみたいだわ」

 

「・・・・・・・・」

 

「まさかその張本人がここにいるとは誰も思わないでしょうね〜」

 

リーはそう言いながら俺の頭を優しく撫でる。ここに来る前から思ったがリーはやたらと俺の体を触ってくる。アリアや桜も撫でられるが俺はその二人以上に撫でられる。

 

「それじゃ今日はもう寝ましょうね、お人形ちゃん」

 

リーはリモコンを持ちテレビの電源を落とす。俺の車椅子のハンドルを手にしてリビングから離れる。廊下を抜け寝室に案内される。キングサイズのベッドに豪華なベッドカーテンが取り付けられ、まさに王様が寝るベッドだ。車椅子をベッドの横につけ、掛け布団を半分捲る。リーの介助で車椅子からベッドへ移動、足を乗せられた後は腕と上半身、わずかばかりに動く下半身の力をうまいこと利用して端の方から中央付近、枕元まで移動する。リーは車椅子をベッドから離れたところまで動かし、俺のあとを追うようにベッドに入った。そして、掛け布団をかけてそのまま俺をぎゅっと抱きしめた。

 

「ふふふ・・・・捕まえたわ。こうやって抱きしめて寝ると抱き心地が本当に良いわね」

 

「・・・・うるせぇ」

 

「貴方、今までに抱き心地がいいって何回も言われてない?本当にお人形を抱いているみたいだわ。男性なのに髪の毛は腰まで長く女性が羨むほどサラサラ。それ以外の体毛は一切無い・・・・・女性として完璧な身体付きねえ」

 

「人のコンプレックスをズバズバ言うな。結構気にしているんだぞ」

 

「でも貴方はそうせざるを得ないんでしょ?なんてったってわざわざ女装してまでモデル活動をしているんだから」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「ふふ・・・・遂に顔が歪んだわ。動揺しているわね」

 

とんでもない爆弾発言をして俺は驚いた顔をしてしまった。こいつ、本当に調べるところまで調べてやがる。

 

「簡単だったわ。貴方と同じ発音の名前と顔つき、身体つきを調査したら一発よ。あんな才能があるなんて貴方はマルチな才能の持ち主ね」

 

「・・・・・嬉しくねえよ」

 

「顔を背けても意味がないわよ。こっち向きなさい」

 

「ちょっ!?どこ触ってやがる!?』

 

プイッと顔を背けたがリー下半身の股間、俺の息子の部分をギュッと握られて慌てて顔を向ける。

 

「本当に男なのか確かめているのよ。確かに息子がいるわね。生物学上男だわ」

 

「うるせえ!!」

 

「どうせ人形になるんだからこのまま夜のお世話もしてあげましょうか?」

 

「大きなお世話だ!!」

 

俺の下半身を弄りながらリーは不敵な笑みを浮かべる。くそ、脚が動いたら蹴り上げて逃げていたのに。リーは反対の手を俺の顔に近づけてゆっくりと撫でる。

 

「色々調べていると分かることはいっぱいあるわ。人の性格なんかも把握できる。貴方は何でも一人で解決する癖があるわよね。あまり人に頼らずほぼほぼ一人で解決してしまうでしょ?」

 

「・・・・・まあ、一人で解決するのは否定出来ないな」

 

この前の桜の件もそうだし、アリアの件も大概一人でなんとかしようと思っていた。結局、みんなにバレて仲間と一緒に解決することがほとんどだ。思えば一人で解決しようとするのは前世からだったな。

 

「でもそう言う人って心の底では結構甘えんぼうだったりするの」

 

「・・・・俺、一応一人っ子だぞ。しかも小さい頃から家事を手伝っていたし、それに今は一人暮らしで桜を養うこともしているんだぞ。甘えて欲しいなんて思ってないぞ」

 

「そこよ。貴方、今まで人に褒められたり甘えたりしたことないんじゃ無い?その行動も誰かに褒められたかったからじゃない」

 

「・・・褒められたかった、か・・・・・・」

 

リーに言われて俺は考えてしまう。前世で一人っ子で親がそこそこお金があったから、割と不自由ない生活を送れていた。段々と薄れていく前世の記憶、今では両親の名前や顔ですら忘れてしまっているが色々とさせて貰ったから両親には感謝はしている。そんな俺が唯一、不満だったのは両親と接する機会があまりにも無さすぎた。両親は共働きで朝から晩まで働く仕事人間。休日も常に電話が鳴り、パソコンと向き合っていた。母親があまり家事が得意じゃなくゴミが貯まる、料理が不味いなどもあって気づいたら俺は家の家事を全てやっていた。小学生になった頃には機械類の使い方も覚えて、家の家事全てをやっていた。最初はただ義務的なことだと思っていた。だけど・・・・

 

「(褒められたかったから、か・・・・・俺もアリアみたいに誰かに依存したかったのかな)」

 

今考えたら俺が剣道で活躍してもテストで良い点とってもそこに両親は居なかった。周りから褒められたことがあっても何故か嬉しい感情はあまり湧かなかったが、今なら分かる気がする。

 

「今までは何でも自分で解決していたけど今は誰かに頼らないといけない。むしろ一人で何か出来たら褒められる立場なのよ」

 

「・・・・・・・」

 

「貴方はね、何も出来ないお人形なのよ。明日からは何をするのも私に頼らないといけない、甘えないといけないのよ。そして何か出来るたびに褒められるの。そうなるとどうなるかしら?」

 

「・・・・・わかんねえ」

 

「フフ・・・・貴方は誰かに依存しないと生活出来ないお人形になるのよ。もう自分では何も出来ない、本当のお人形よ」

 

そう言ってリーは俺の顔を自分自身の胸に押し付けた。アキさんほどでは無いけどそこそこ大きな胸が俺を包み込む。

 

「明日から貴方は生まれ変わるのよ。何もするのにも人に頼らないと生きていけない、甘えん坊の女の子になるの」

 

「・・・・せめて男のままにして欲しいんだが」

 

「ほら、そういう所。もう何も考えなくていいのよ。私に全てを委ねなさい」

 

「・・・・じゃあいいか。胸から離れたい。息苦しくて仕方ない」

 

「素直じゃ無いわね。ここは素直になっているのに」

 

「ちょっ!?俺の下半身を触るな!!」

 

「フフフ・・・・でも、貴方はこうやって誰かに抱きつかれないと寝れないんでしょ?聞いたわよ。その首輪から貴方のこと、一人で寝れないんでしょ?」

 

「・・・・・・・・」

 

俺は今、精神的に可笑しくなっていて、寝る時悪夢を見る。ただ、その悪夢を見ない唯一の方法が誰かと一緒に寝ることだった。ネオドミノシティを旅立ち、この上海の地に降り立った初めての夜、アリアと桜と一緒に寝た俺は全くうなされることはなかった。悪夢になりかけたところで何か分からない暖かい光に包まれて悪夢を見ずに済んでいる。

試しに一人で昼寝をした時があったが、その時もうなされて桜が俺の手を握ると普通に寝るようになったと言ってきた。

 

「・・・・でも流石に今のままじゃ息苦しくて仕方ないんだけど」

 

「素直になりなさいって言ってるでしょ。今日はこのまま寝なさい」

 

「・・・・・分かったよ」

 

お酒を飲んだ影響か、酔いが回って頭が働かなくなっている俺は素直に寝ることにした。その時、リーに頭を撫でられて何故かリラックスしてしまった。

 

 

〜〜(翌日)〜〜

 

 

翌朝、目を覚めて朝の身支度を終えた俺はリーから渡された服に着替えた後、変装用のマスクとサングラスとニット帽を渡された。

 

「何で家にいてこんな格好をするんだよ」

 

「午後から出かけるからよ」

 

「でも午前中からやる事じゃないだろ」

 

「関係あるわ。もうすぐ人が来るのよ」

 

「何だよ、客か?だったら俺をこの部屋に閉じ込めておけば良いじゃねぇか」

 

「客じゃない『ピンポ〜ン』きたわ。貴方も来なさい」

 

リーが俺の車椅子のハンドルを手に取り玄関まで連れていかれる。扉を開けるとリーの直属の部下一人と紺色のジーパン、黒色のTシャツを着た白髭、白髪の年配の男がいた。男の手には大きなスーツケースがあり、大量の荷物を持ってここにやってきたことが分かる。

 

「いらっしゃい」

 

「好久不见《久しぶりです》」

 

「・・・・誰だ?医者か?」

 

「半分正解ね。だけど、今日は私が施術してもらうのよ」

 

「さっきから話が全く掴めないんだが」

 

俺は話についていくことが出来ず、リーの部下にハンドルを握られ、玄関に程近い部屋に入れられる。そこには医療用のベッドが中央に置いておる簡素な部屋だった。老人はスーツケースを横にして開ける。リーは上着を脱ぎ、服を投げ捨てた。その姿を見て俺は言葉を失った。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「フフフ、凄いでしょ?私の自慢よ」

 

リーの背中、そこには竜が描かれていた。黒色で縁取りされ、緑色で鱗が塗られ魚で言うヒレの部分は赤く靡いていた。天高く登る龍、その圧倒的な迫力に俺は圧倒された。

 

「・・・・刺青、てことはそこの老人は」

 

「そう、彫り師。中国一の腕前で私が若い頃からお世話になっているわ。私がこの世界に入ってもう30年近くね」

 

「・・・・・・・」

 

「貴方の右腕にあるシークレットシグナーの紋章とは比べ物にならないでしょ」

 

「・・・ああ。生で見たのは初めてだが、本物はこんなに迫力があるんだな」

 

「刺青はね、ヨーロッパ圏のタトゥーとは訳が違うの。あっちはただただデザイン性で掘っているけど、刺青は掘られた人間の背中に魂を刻むのよ」

 

「魂・・・・」

 

そういってリーはベッドの上にうつ伏せになる。彫り師が皿に黒色のインクを垂らし、リーの真横に接近して背中にニードルみたいなものをあてる。

 

「ん・・・・刺青はその人の生き様を表すのよ。自分の生い立ちや将来の目標、そして生き様をね」

 

「生き様・・・」

 

「私の刺繍、綺麗で圧倒的だったでしょ?その通り、私はこの裏世界で全てを圧倒したわ。苦労した事もあったけど、それすらも己の力と脳をフル回転してこの地位に昇り詰めた。この竜はそんな私の生い立ちから生き様を示しているの。背中の下の方、少し小さい蛇が彫っているでしょ?」

 

「・・・ああ」

 

「これは私がこの世界に入った時に掘った蛇よ。組織の人間になって蛇を掘る時、この彫り師に出世払いで蛇を小さくしてもらったのよ。私が掘るのは竜と決めていたから」

 

「・・・・・・・」

 

彫り師が黙々とリーの背中の刺青を入れ直している間、リーは自分自身の背中の刺青のことをずっと語っていた。それだけ背中の刺青に誇りとプライドがあり、自分自身と鏡合わせなんだと思う。

 

「ウン・・・・你,能力掉下来了?稍微地痛《貴方、腕落ちた?少し痛いわよ》」

 

「我也是年龄。现在找到技术高的家伙,正教导《私ももう歳ですよ。今弟子を見つけて修行中です》」

 

「的确《なるほど》・・・・本当はね、貴方達3人にも刺青を彫って貰わないと困るのよ」

 

「・・・・・・」

 

「私の人形になったとは言え、組織に加盟したんだからその掟は守ってもらわないといけない。でも、あなた達3人、特に貴方は立場上ダメなんでしょ?」

 

「・・・・そんな事もう気にしていない。俺は確かにバンドのメンバーだが、こんな事になったんだ。ほぼほぼ、脱退したに等しい状態だ」

 

「フフ・・・じゃあいつか彫っても良いわけね?」

 

「・・・流石に魂を入れるとなると話が変わってくる。そこまで重たい話になると覚悟を決めないといけない」

 

「あなたならそう言って逃げると思ったわ。まぁ良いわ。お人形の綺麗な身体に傷をつけたくないという私の気持ちは本当だから」

 

「それに」

 

「それに?」

 

「刺青彫ったら温泉入れねぇし」

 

「・・・・あなた、仮にもシークレットシグナーで右腕に紋章があるのでしょ?そもそも温泉に入れないでしょ?」

 

「刺青なんか彫ったら温泉地の宿泊施設にも行けねぇじゃねぇか」

 

「どうでも良いじゃない」

 

「结束了《終わりました》」

 

「谢谢。ハンファ、请迎接《ありがとう。ハンファ、お出迎えお願い》」

 

「是」

 

どうやら終わったらしい。彫り師が道具を片付け始める。リーはベッドから立ち上がり、白いYシャツを着る。彫り師はリーの部下と一緒にこの家から退出。リーは俺の車椅子のハンドルを持ち、玄関にあるサングラスと麦わら帽子を身につける。

 

「それじゃ、出掛けましょうか。今日は美味しいものを食べて可愛い服を買いに行くわよ、優姫ちゃん」

 

「・・・・その言い方、こんな所で聞く事になるなんて思わなかったなぁ」

 

玄関を出て、そのまま近くにあるエレベーターから直接地下の駐車場に直行、様々な車が並ぶ中、一際目立つ赤い高級車に横に並び、リーは鍵のボタンを押す。そのまま助手席の扉が開き、俺はリーの介助で助手席に乗せられる。車椅子は折り畳み、後部座席に乗せられた。

 

「お待たせ、まずはショッピングモールに行くわよ」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

車に揺られること30分、大きなショッピングモールに着いた。休日なのか多くの人で溢れ返っている。リーはそんな人混みをかき分けるように俺の車椅子を動かし、女性服のブランド店に入った。これだけ混み合っているのに、このブランド店の中はそこまで人がいない。その中にいる人たちも金持ちの雰囲気を醸し出している。一人の店員がこちらに気づき、早足で駆け寄った。

 

「欢迎光临《いらっしゃいませ》」

 

「想要适合这个女儿的衣服10位分《この娘に似合う服を10着くらい欲しいわ》」

 

「明白了。请稍等《分かりました。少々お待ちください》」

 

相変わらず分からない中国語で会話をされ、俺一人だけ置いてけぼりされている気分だ。店員は外にいたもう一人の店員と何か話し、一緒に中に入っていた。

 

「・・・何話したんだ?」

 

「貴方に似合う服を探してちょうだいって頼んだのよ。それなりの数を頼んだからしばらく時間かかってしまうわ。その間にこっちでも服を選びましょう。ほら、こんな服とか似合うんじゃない?」

 

そう言ってリーは目の前にある純白の襟付きワンピースを手に取り俺に見せつけて来た。半袖で袖の縁にはフリルがあり、襟からは金色に見える少し長いネックレスみたいなものが取り付けられていた。

 

「・・・・因みにだが、俺の意見は聞き入れてくれるのか?」

 

「聞き入れないわよ。昨日言ったでしょ?あなたは何も考えずに全てを受け入れれば良いのよ。ひたすら私に甘えたら良いわ。早速試着してみましょう」

 

「(じゃあ俺に聞く意味ないじゃないか・・・・・)」

 

リーは手にしたワンピースと近くにあったサンダルを手にして奥にある試着室に俺と一緒に向かう。一番奥の試着室は周りの試着室より一回り大きく車椅子でもそのまま入ることができた。

 

「じゃあ、今の服を脱いでこのワンピースに着替えましょうね優姫ちゃん」

 

「・・・・・わかったよ」

 

はあ〜とため息を一つ吐いて俺はまず上半身のシャツのボタンを外してシャツを脱ぐ。次にズボンに取り付けたベルトを外し、ズボンのボタンを外す。そのままズボンに手をかけ、身体を少し左側に体重をかけて右側をわずかに浮かし、ズボンをずらす。次に反対側に体重を移し、左側を浮かして反対側もずらす。こうすることで少しずつズボンを脱いでいき、膝近くまで来たところでリーがズボンを下ろし、俺の片足を上に上げて、ズボンを脱がした。

次にリーはワンピースを手に取り、背中側のチャックを開けて、先ほどとは逆に片足ずつワンピースを入れて、膝まで上げる。もう片足にも入れて、また片側の部分を浮かして少しずつワンピースを着ていく。お尻の部分まで着ることが出来たらあとは服を上げて両手を袖に通し、リーが背中のチャックを閉じた。リーは俺のニット帽とサングラス、マスクを全て外し、試着室にある鏡に俺を向ける。いかにも清楚なお嬢様な見た目になり、俺は両手を足の間に置き、モジモジして顔を赤くした。リーはそんな俺の頭を優しく撫でる。

 

「偉い偉い、一人で着替えることが出来るなんて」

 

「小学生じゃないんだぞ」

 

「フフフ・・・・本当、お似合いね。清楚なお嬢様のようだわ。首輪は奴隷の証で囚われの身、右腕の紋章は邪魔ね」

 

「うるせえ」

 

「ついでだからこのまま少し髪も整えて、伊達メガネをかけましょうか。そうすればマスクとかサングラスをしないで貴方の美しい姿が全ての人に見てもらえるわ」

 

「・・・・ここ服屋だろ?良いのかそんなことして」

 

「ここは私の下部組織が運営している店だわ。多少のことなら見逃してもらえるし、なんだったら特価で買うこともできるわ」

 

「・・・・・裏社会のトップに君臨する特典は凄いんだな」

 

そう思いながらリーは俺の髪を触りブラシで髪を整え始める。

 

「優姫ちゃんは見た目が優雅なお嬢様だからあえて何もアレンジせずに、このまま髪をストレートにした方が似合うわね。腰まで髪があるんだし、あとはこの辺にコサージュとかつければ良いわ。後でヘアアクセサリーも見に行きましょうね」

 

「・・・はいはい」

 

「ほら、少しファンデーションつけるわよ。そうしてこの伊達メガネをかけたら・・・フフフ、見た目から生まれ変わったみたいね」

 

簡単に化粧もされ、渡された伊達メガネをかけて鏡を見る。そこにいたのは少し恥じらった姿をした清楚な女の子だった。よくすみれさんやアリアに捕まって女装させられるけど、リーもリーでこういうことは得意なんだな。

 

「これなら街中を歩いても貴方だとバレないわよ」

 

「・・・恥ずかしくて嫌なんだけど」

 

「そんな事ないわ、優姫ちゃんは可愛いわ。きっとみんなから羨ましがれるわ。さあいくわよ。そろそろ店員が貴方に似合う服を持ってきてくれるわ」

 

試着室のカーテンを開けてリーは俺の車椅子を押し出す。中にいたお客さんらしき人はチラッとこっちを見た後、すぐに二度見をした。少し驚いた表情をした。一人の店員が何着か服を持ってきて座っている俺に服を合わせ確認している。

 

「这样的衣服觉得这个女性适合《この女性はこのような服がお似合いだと思います》」

 

「哼・・・・、不爱好这样的轻便的衣服。选更高雅的衣服《ふ〜ん・・・こんなスポーティな服は優姫ちゃんには似合わないわ。もっとお淑やかな服を選んで頂戴》」

 

「这样的衣服怎么样?《でしたらこういう服はどうでしょうか?》」

 

「啊,好。那么买那个。也给其他这种的系统《あら、良いじゃない。購入するわ。他の服も似たような系統を頂戴》

 

「明白了《かしこまりました》」

 

「(・・・・中国語全く分かんねぇがなんとなくこの二人が話しているのは想像できる)」

 

間違いなく俺を着せ替え人形としてしか見ていない。さっきから服を当てられては変えられることしかしていない。結局一時間近く待たされてリーは10着以上の服を購入、クレジットカードで支払い、一部の品物を除き、買ったものは今日リーの家に届くように手続きされた。

 

「じゃあ優姫ちゃん。次はヘアアクセサリーを見に行くわ」

 

グゥ〜

 

「あら、随分可愛い音が鳴るじゃ無い」

 

「・・・・死にたい」

 

お店を出てすぐ、お腹が鳴ってしまった。昨日そこそこ食べたのに朝飯を抜いてしまったことでお腹は正直だった。リーにも聞かれてしまい、顔を赤くしてしまう。

 

「先にお昼にする?お腹空いた?何が食べたい?」

 

「・・・・ご飯食べたい」

 

「ふふ、そうやって素直に答えたら良いのよ。良いわ。レストラン街に行きましょ」

 

また頭をリーに撫でられる。その度に何故か心が安らいでいく。結局服屋を出て、レストラン街に連れられてきた。その中にあったラーメン屋に入っていく。注文は全てリーに任せ、割と早めに来たラーメンが運ばれてくる。箸を手に取り食べようとした所でリーが俺の分のラーメンを取り上げてしまった。

 

「フフフ・・・このままじゃ食べにくいでしょ?はい。器に入れてあげるわ」

 

「・・・・子供じゃないぞ」

 

「ほら、零したりしたらダメだから紙エプロン付けましょうね」

 

リーは俺の分のラーメンを小皿に少し移し、その後店員から渡された紙エプロンを俺に付けた。そのまま俺の横に座り、小皿に移したラーメンの麺を箸で持ち上げて俺の口元まで持っていく。

 

「はい、食べましょうね」

 

「・・・・・・・」

 

ジト目で俺はリーを見たが何をしてもこちらの言い分は通らない、素直に口を開ける。リーは俺の口に麺を入れ、それを俺は噛み締める。

 

「どう?」

 

「・・・・美味しいのが腹立つ」

 

「フフフ、偉い偉い」

 

リーはまた俺の頭を撫でる。その後は普通にご飯を食べたが、仕切りにリーは俺の頭を撫でてくる。将来禿げないか心配になってきた。

 

「(・・・・でも、褒めてもらうってこんな感覚なんだな・・・)」

 

今までに感じたことのない感覚。前世で大体15〜16年、この世界に来て3年くらい、こんなにこそばしいけど嬉しい感覚は初めてだった。

 

「(・・・・・・親の温かさってこんな感覚だったんだな)」

 

「ふぅ〜、ご馳走様。優姫ちゃんは食べ終えた?」

 

「・・・・うん」

 

「じゃあ買い物の続きしましょうか」

 

ラーメンを食べ終えてリーがテーブルで会計を済ませる。そのままお店を出てショッピングモール内の散策を再開する。車椅子に座っている俺は今、リーから与えられた事しか出来ない。寧ろ、させて貰えない。

 

「(・・・・何でだろうなぁ。何でこんなにも心を許しているんだろうなぁ・・・ん?)」

 

そう思ってふと顔を向け、ある物が目に入った。

 

「(・・・・・・・クマのぬいぐるみ)」

 

「どうしたの優姫ちゃん?・・・ああ、あのぬいぐるみね」

 

リーは俺の振り向いた方向にあるものを見て、車椅子を動かし俺が見た商品の目の前まで移動してくれる。リーはクマのぬいぐるみを手に取った。

 

「フフフ・・・・これ、欲しいの?」

 

「・・・・・・」

 

「ほら、試しに抱いてみなさい」

 

リーから俺にクマのぬいぐるみが手渡しで渡される。このクマのぬいぐるみは背丈が70cmある結構多きな品物で車椅子の座面に置くと俺の口が隠れるくらいまである。俺はそのクマのぬいぐるみをギュッと抱きしめた。

 

「(・・・・・ぬいぐるみってこんなに温もりあったんだ・・・)」

 

「そんなに抱きしめちゃって。そんなにそのぬいぐるみが欲しいんなら買ってあげるわよ」

 

「・・・・・」

 

「ほら優姫ちゃん。ちゃんと口に言わないと分からないわよ?」

 

「・・・欲しい」

 

「偉い偉い、ちゃんと言えたじゃない。じゃあこれも買いましょう」

 

「あっ・・・・・」

 

リーが会計のためにぬいぐるみを持つ。なんて事ない普通の動作、なのに何故か今の俺には取り上げられた気分になった。その様子を見たリーは微笑みながら俺の頭を撫でた。

 

「心配しなくてもすぐに優姫ちゃんに返すわよ」

 

リーは店員を呼びつけてその場で会計を済ませる。すぐにぬいぐるみの値札が切られ、俺に渡された。

 

「はい、これが欲しかったのでしょ?」

 

「・・・・うん」

 

店員から受け取ったぬいぐるみを俺は離さないように大事に抱きしめる。

 

「本当に可愛いわ・・・・お人形を育ててるみたいだわ」

 

「・・・・・」

 

「それじゃヘアアクセを探しにいきましょうか」

 

リーは再び俺の車椅子のハンドルを握り、ショッピングモール内を移動する。

 

 

 遊輝   side out

 

 

アリア  side 〜(1週間後)〜

 

 

「・・・・・・・」

 

「お、お兄ちゃん?」

 

「フフフ、どう?可愛いでしょ?私と生活をして遊輝の本当の性格が出たわ」

 

遊輝ちゃんがリーに連れられて一週間、約束の日に二人は帰ってきた。しかし、遊輝ちゃんのあまりの変貌ぶりに私も桜ちゃんも開いた口が塞がらなかった。

白い清楚なワンピースに花のコサージュ、上品な白くて膝まで隠れる靴下、何処からどう見てもお嬢様にしか見えない子が大きなクマのぬいぐるみを抱えて自信無さげな表情を浮かべている。

ここ最近は弱音を吐いていたけど、そこそこ強気で、見た目に反して漢としての根性と自信があった遊輝ちゃんの面影が全く見えない。ここにいる子は気弱で甘えたがり、そんな印象を与える女の子だ。

 

「可愛いでしょ優姫ちゃん。4日目くらいかな?ストレスと環境変化に耐えられず、少し風邪で寝込んだ時があったけど、その時もずっと私に甘えていたわ」

 

「(一体何をされたのよ・・・・)」

 

「じゃあ約束通り、遊輝は返すわ。優姫ちゃん、また2週間後ね」

 

「・・・・(コクコク)」

 

「次はアリア、貴方の番よ」

 

「・・・・分かったわ」

 

「・・・お姉ちゃん」

 

「心配しなくて良いわ桜ちゃん。私は大丈夫だから」

 

リーに言われて私は一歩前に踏み出す。桜ちゃんに心配されたけど、私は大丈夫。

 

「(何があっても・・・私は私、それだけは変わらないから)」




リー「優姫ちゃん可愛かったわ〜。あれは人気モデルになれるわ」

アリア「・・・・・・何したのよ?」

リー「別に何もしていないわ。私はただ、彼の本当の性格を引き出しただけよ」

アリア「本当の、性格、ね〜」

リー「ふふふ・・・・あなたはどっちかというとカッコいい部類ね」

アリア「(・・・何をしたいのよ、この女)」

リー「次回、『お人形生活  アリア編』。よろしくね」


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第73話 お人形生活 アリア編

リコリス・リコイルって超面白いですね。

オリジナルアニメとか普段見ないのにあれはマジでハマった。
・・・・ガチで二次創作書こうか悩んでます。とりあえずアニメをしっかり見てから考えます。


*注意・・・・デュエルしている時だけ、日本語表記にしてます。


アリア side

 

 

「ふふふ、どう?私のお気に入りのワインよ」

 

「・・・・ワインを飲んだ事ないから分からないけど美味しいわね」

 

遊輝ちゃんと入れ替わりで今日からは私がリーのお人形として生活をする。連れていかれた場所はリーの家。そこで今日の夕ご飯を食べることになった。大皿料理が大量に並べられ、大食いの私でも脂っこい料理が多くてちょっと胃もたれがしそうだ。

 

「あなたはワインを嗜んだ事がないの?」

 

「仕事の上司がビールと酎ハイが好きだからそっちばかり飲んでいるわ。とは言っても、普段はそんなに飲まないけど」

 

「ヨーロッパ系の人種なのに珍しいわね」

 

「こんな見た目だけど生まれも育ちも日本よ」

 

半分嘘だけど。私の精霊世界で過ごした情報はどう頑張っても手に入らないでしょ。情報社会のネオドミノシティでもその情報だけは言葉でしか伝えてないから。

 

「ふ〜ん・・・そう言えばあなたと遊輝の生まれた情報だけ、どこを調べても無かったわね」

 

「私と遊輝ちゃんは色々あったのよ。それだけは隠し通さないといけない事実だし」

 

「せっかくお人形になったんだから教えてくれても良いじゃない。まぁ良いわ。それでねアリア・・・あなた、確か魔法使いだったわね」

 

「・・・・まぁそうね」

 

「魔法使いなら魔法を使うときに棒みたいなものがあるでしょ?」

 

「・・・・あるわよ」

 

「ちょっと見せて貰えるかしら?」

 

「・・・何する気?」

 

「別に?ただの人間の好奇心よ」

 

「・・・・分かったわ」

 

リーの圧に屈してしまった私は右手に杖を出現させ、杖を渡す。これは小さい方の杖、小回りを利かせる魔法を使うのに使う。予備の大きい杖があるから一本くらい渡しても問題はない。

 

「ふ〜ん・・・・これで魔法ね、これが無かったら魔法は使えないって訳?」

 

「大分制限はされるわね。簡単な事なら出来るけど大きい魔法は無理」

 

「ふ〜ん・・・・じゃあこれは貴方が私に忠誠を誓うまで没収ね」

 

「・・・・忠誠?」

 

そう言ってリーは小さい杖を懐に隠した。

忠誠を誓うとか意味が分からない。既に私たちはリーの手に操られていると同じなのに。

 

「遊輝は私に甘える赤ちゃんのようなお人形にしたけど、貴方はそんな事をしたら勿体ないわ。貴方は遊輝以上にスペックが高いし、そんな人材を放っておく訳ないわ」

 

「・・・・・・」

 

「貴方、私の秘書兼メイドになりなさい」

 

「・・・・・本当に意味が分からないんだけど?それじゃ貴方の言う意思のない人形じゃないでしょ?」

 

「言ったでしょ?貴方みたいな高スペックな人間を人形にするだけじゃ色々と勿体ないわ。適材適所、ビジネスの常識よ」

 

「・・・・何考えているのか分からないけどようはあんたの身の回りの世話をすれば良いって事ね」

 

「その通り、まずはその言葉遣いを直してほしいわね」

 

「・・・・メイドらしく振る舞えば良いってわけね。分かりました、ご主人様」

 

「よろしい」

 

リーは私の言葉使いに満足したのか笑みを浮かべた。まぁこういう事は手慣れているし、結局のところ、私はリーの手のひらで踊り続けるしかない。今後一週間、こういう生活が続くと思うと気が滅入るけど、やるしかない。

 

「明日から貴方は私の仕事に同伴して仕事を覚えてもらうわ。優秀な貴方なら1日で覚えるわ」

 

「結構無茶な事言ってくるわね」

 

「フフフ・・・・貴方の仕事ぶり楽しみにしているわ」

 

ツゥ〜と唇を舐めまわしリーは私にそう言い放った。

 

 〜(翌日)〜

 

 

「・・・秘書やメイドがこの服っていうのも違和感あるわね」

 

「そんな事ないわよ。よく似合っているじゃない。流石魔法使いね」

 

「・・・・私服だからね」

 

次の日、起きて身支度を終えて、鏡で自分自身を見た姿に違和感を覚える。

リーは私に服を指定してきた。私が今着ているのは、魔女の格好だからだ。魔女特有の三角帽子に大きなロープ、その下は白いYシャツに黄色のリボン紺色のスカートを着た、帽子とロープが無ければ見た目はちょっと、いや、大分変な格好をしたOLだ。

 

「こんないかにも目立つ服なんて着て大丈夫なの?帽子なんか特にそうよ」

 

「心配する必要はないわ。あなた、強いんでしょ?」

 

「・・・・・・・」

 

「それじゃ、期待しているわよ。まずは仕事場に行って仕事を覚えてもらうわ」

 

「?仕事は無いんじゃ無いの?」

 

「大きな仕事はね、何、ほんの数時間で終わる簡単な仕事よ」

 

「・・・・分かりました、ご主人様」

 

私はリーに忠誠の言葉を言い、リーの後をついていく。居住区からエレベーターで移動、流石に車の運転免許証は持っていないから運転は出来ない。リーの車の助手席に乗り、リーは車の運転を始め、そのまま揺られる事十数分、馬鹿でかい高層ビル群が並ぶ中の一つのビルの中に入り、駐車場に車を停める。

 

「ここが私の職場よ」

 

「表向きが国際的な貿易会社なだけあって、随分大きなビルに事務所を構えているわね・・・・」

 

「見栄ってものは大事よ。さあ、こっちにきなさい」

 

リーの指示に従い、私は車から降りて駐車場からすぐ近くのエレベーターホールに入り、エレベーターに乗り込む。リーは入館証をリーダーにかざし、エレベーターは扉を閉めてそのまま上昇をする。数十秒後、目的の階につき、私たちはそこで降りる。目の前には4人ほど、スーツを着た男女のビジネスマンが左右に立ち、頭を下げる。

 

「是总经理,疲惫的样子(社長、お疲れ様です)」

 

「从今天起有新的秘书。她的事情也可以(今日から新しい秘書が付くわ。彼女のこともよろしく)」

 

「明白了(分かりました)」

 

「(相変わらず何言ってるか分からないわね・・・翻訳魔法とかあったら嬉しいんだけど)」

 

そんな便利な魔法あるわけがない。よくアニメとかで「翻訳魔法で・・・」とか言うけど精霊世界は昔はともかく今は統一言語になっているからそんな物ない。だから翻訳魔法なんてものは廃れてしまった。

そんなくだらないことを考えながらリーは『President's office』と書かれた部屋に入る。扉の向かい側には大きな窓ガラスがあり、右側は壁一面本棚で覆われ、中央に来客用のソファにテーブル、そしてソファの反対側には大きな龍の絵が飾られていた。来客用のテーブルの奥には大きな社長の机、その右側に90度向きを変えて書記用と思われる机と椅子があった。

 

「ここが私の仕事場。貴方の席はここね」

 

「はいはい。で、まずは何をすれば良いんですか?」

 

「簡単に中国語を覚えてもらえれば良いわ。あなたなら半日あれば出来るでしょ?」

 

「一つの言語を半日で習得って無茶言うわね・・・」

 

「大丈夫よ。この表を見て仕事すれば自然と覚えるわ」

 

パサっと一つの資料が指定された机の上に置かれる。私はその紙を手に取り、パラパラと流し読みする。

 

「今日の仕事はそれを日本語に訳しなさい。日本企業向けの相手のプレゼン資料よ」

 

「ビジネスの世界の言葉をど素人に翻訳任せるなんてどうかしているわね・・・分かりました、ご主人様」

 

「ああ、そうだわ」

 

パンと両手を叩くリー。次の瞬間、バン!!と扉が蹴飛ばされて、黒いスーツを着てサングラスをかけた男数人がこの部屋に入ってくる。その雰囲気は物凄く殺気立っている。

 

「・・・・・・・」

 

「貴方の役目はもう一つ、メイドとして私を守りなさい」

 

「你、签订了不近情里的欺诈!!(テメェ!!俺たちの仕事を奪いやがって!!)」

 

「・・・・ここの防犯システスはどうなってるのよ?ってか主人を守るっていうのは、もうメイドの役目を超えているでしょ?」

 

「杀!!(殺してしまえ!!)」

 

「貴方なら余裕でしょ?魔法使いさん」

 

リーはそう言って一本の木の棒を私に下手投げで渡してきた。私はそれを受け取り、こちらに向かってやってきた男どもに向かって木の棒を向ける。

 

「ダークホール」

 

「!?」

 

走ってきた男どもの足元に黒い穴が出来る。重力の法則に従い、男どもは全てその黒い穴の中に落ちていった。

 

「あらあら、物騒な魔法ね。どこに繋がったの?」

 

「近くの海、500mも泳げば近くの岸に着くわ」

 

「ふふ、やっぱり貴方は優秀ね」

 

「・・・・・・周りが物騒なだけでしょ、ご主人様。それよりもう一人いるみたいですよ」

 

「李、那个家伙是谁?《リー、そいつはだれだ?》」

 

男どもが消えて嵐が去ったこの部屋、その部屋にまた一人の男が入ってくる。同じようなスーツを着て赤いネクタイを付けた50代くらいの堅いの良い男性だ。

 

「惊人?我的新的佣人(凄いでしょ?私の新しいメイドよ)」

 

「对那个比较,没穿戴成奇怪的样子。为脱离而现在的东西是什么?(その割には随分変な格好だな。それに今のはなんだ?)」

 

「誰よこいつ。さっきから私のことをずっと見てくるし」

 

「この前、大型契約を奪って、仕事を無くした会社の社長よ」

 

「ああ・・・ライバル会社なのね」

 

リーも酷いことをするわね・・・・大型案件を奪うって事は裏で何か手回しがあったんでしょうね。やっぱ裏社会とやりあうっていうのは大変ね。

 

「姑且还我合同吗?(とりあえずうちの契約、返してもらおうか?)」

 

「讨厌、没理由虽然特意得到了好的合同但是让给(嫌よ。せっかく良い契約を貰ったのに譲るわけないでしょ)」

 

「那样的话,强迫夺回!(だったら力づくで取り戻す!)」

 

何を言っているかわからないがとりあえず口喧嘩をしているのはよくわかった。男の方がデュエルディスクを取り出してこちらに敵意を向ける。

 

「ほら、貴方の出番よ。秘書兼メイドなら私を守りなさい」

 

「・・・・分かりました、ご主人様」

 

私は鞄からデュエルディスクと複数あるデッキケースから一つ、中身を取り出してデュエルディスクに突き刺す。ああ、そうだ。

 

「申し訳ありませんが翻訳お願いします」

 

「あら、随分丁寧な言葉になったわね。感心感心」

 

私の隣にリーが立つ。翻訳する人がいないと相手と意思疎通が出来ない。やっぱりいやでも中国語を覚えないといけないみたいね。

 

「デュエル‼︎」 「決闘‼︎」

 

アリア  LP 4000 社長  LP 4000

 

「先行は私!フィールド魔法、|壱世界(いせかい]=ペルレイノを発動!」

 

私の後ろに水色の円形が何層も出来たものが現れる。

 

「このカードの発動時処理でデッキから『ティアラメンツ』モンスターを手札に加える!ティアラメンツ・レイノハートを加えて、そのまま召喚!」

 

 ティアラメンツ・レイノハート 攻1500→2000

 

「ペルレイノの効果で私の融合モンスター及び『ティアラメンツ』モンスターの攻撃力は500ポイントアップする!レイノハートの効果発動!召喚・特殊召喚成功時、デッキから『ティアラメンツ』カードを墓地に送る!ティアラメンツ・シェイレーンを墓地に送り、墓地に送られたティアラメンツ・シェイレーンの効果発動!」

 

レイノハートの効果で墓地に送られたシェイレーンが私の墓地から現れて、レイノハートの魂と一緒になる。

 

「このカードがカード効果で墓地に送られた場合、墓地のこのカードを含む、自分の手札・フィールド・墓地のモンスターを素材として融合召喚する!レイノハートとシェイレーンで融合召喚!ティアラメンツ・キトカロス!」

 

ティアラメンツ・キトカロス 攻2300→2800

 

レイノハートとシェイレーンが融合され、私のフィールドにキトカロスが融合召喚される。

 

「キトカロスの効果!融合召喚成功時、デッキから『ティアラメンツ』カードを手札に加える!壱世界に奏でる哀唱(ティアラメンツ・サリータ)を手札に加える!カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

アリア  手札  4枚  LP 4000

 

--▲-- ▽

○----

ー ー

-----

----- ー

 

社長  手札  5枚  LP 4000

 

 

「私のターン、ドロー」

 

 社長  手札 6枚

 

「自分フィールドにモンスターがいない場合、手札のフォトン・スラッシャーを特殊召喚する!」

 

フォトン・スラッシャー  攻2100

 

「さらにこのカードは手札に『フォトン』モンスターがいる場合特殊召喚できる!手札からフォトン・パニッシャーを特殊召喚!」

フォトン・パニッシャー 攻2000

 

「フォトン・パニッシャーの効果発動!特殊召喚成功時、デッキから『銀河眼の光子竜』を加える!」

 

ああ、そう言えば遊輝ちゃんのカードも刷られていたわね。精霊としての魂が無いだけで普通に使えるカードだし。

 

「Lv4のフォトン・スラッシャーとフォトン・パニッシャーでオーバーレイ!」

 

☆4 × ☆4 × ★4

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!ランク4、輝光竜フォトン・ブラスト・ドラゴン!」

 

輝光竜フォトン・ブラスト・ドラゴン 攻1800

 

フィールド中央に現れたブラックホールにフォトン・スラッシャーとフォトン・パニッシャーが吸い込まれていき、フォトン・ブラスト・ドラゴンが特殊召喚される。

 

「フォトン・ブラスト・ドラゴンの効果発動!このカードのエクシーズ召喚成功時、手札の『フォトン』モンスターを特殊召喚する!俺は」

 

「リバースカードオープン!永続罠、壱世界に奏でる哀唱(ティアラメンツ・サリータ)!相手フィールドのモンスター1体を対象に取り、その効果を無効にする!」

 

相手が手札にあるカードに手を伸ばしたときに私が伏せていた壱世界に奏でる哀唱が発動され、フォトン・ブラスト・ドラゴンの効果が無効になる。

 

「チッ!」

 

「その後、自分フィールドの『ティアラメンツ』モンスターを墓地に送る。ティアラメンツ・キトカロスを墓地に送る。キトカロスの効果!このカードがカード効果で墓地に送られた場合、デッキトップ5枚を墓地に送る!」

 

・烙印融合

・現世と冥界の逆転

・ティアラメンツ・メイルゥ

・剣神官ムドラ

・古衛兵アギト

 

「墓地に送られた古衛兵アギト、ティアラメンツ・メイルゥの順で効果発動!メイルゥは他のティアラメンツモンスター同様、このカードを含むモンスターで融合召喚を行う!墓地のメイルゥとキトカロスをデッキに戻して、融合召喚!ティアラメンツ・ルルカロス!」

 

ティアラメンツ・ルルカロス 攻3000→3500

 

「古衛兵アギトの効果!このカードがカード効果で墓地に送られた場合、お互いのプレイヤーはデッキトップ5枚を墓地に送る!」

 

「クソが!」

 

社長

・サンダーボルト

・銀河遠征

・銀河の魔導師

・銀河戦士

・トレード・イン

 

 

アリア

・ティアラメンツ・レイノハート

・沼地の魔神王

・ティアラメンツ・シェイレーン

・シャドール・ビースト

・ティアラメンツ・ハゥフニクス

 

 

「墓地に落ちたシェイレーン・ハゥフニクス、ついでにシャドール・ビーストの効果!シャドール・ビーストはカード効果で墓地に送られた場合、1枚ドローする!」

 

 アリア 手札 4枚→5枚

 

「そしてシェイレーンとハゥフニクスでそれぞれ融合召喚を行う!シェイレーンとレイノハート、沼地の魔神王の3体で融合召喚!ティアラメンツ・カレイドハート!」

 

 ティアラメンツ・カレイドハート 攻3000→3500

 

「さらにハゥフニクスとシャドール・ビーストで融合!エルシャドール・ミドラージュ!」

 

エルシャドール・ミドラージュ 攻2200→2700

 

「お、俺のターンでちょこまかと!!」

 

「カレイドハートの効果発動!このカードの特殊召喚成功した場合、または水族モンスターが効果で墓地に送られた場合、相手フィールドのカード1枚を対象に取り、デッキに戻す!フォトン・ブラスト・ドラゴンをバウンス!」

 

融合召喚したカレイドハートが手にしている鞭みたいな槍を振り、フォトン・ブラスト・ドラゴンを簀巻きにして振り回す。フォトン・ブラスト・ドラゴンは上空に飛ばされ、相手のエクストラデッキに戻った。

 

「だがまだ終わらん!魔法カード、トレード・イン!手札のLv8モンスター、銀河眼の光子竜を捨て、2枚ドロー!手札の光属性モンスターを墓地に送り、銀河戦士を守備表示で特殊召喚!」

 

銀河戦士  守0

 

「銀河戦士の効果発動!デッキから同盟モンスターを手札に加える!さらに私は手札の『ビー‼︎ビー‼︎』なっ!?警告音!?」

 

「エルシャドール・ミドラージュの効果!お互いのプレイヤーは1ターンに1度までしか特殊召喚できない!」

 

「なっ!?」

 

「さっき銀河戦士を特殊召喚したから2体目の銀河戦士は特殊召喚出来ないわよ!」

 

「くそっ!?カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

アリア  手札  5枚  LP 4000

 

--△ーー▽

○-○ー○

ー ー

--□ーー

---▲ー ー

 

社長  手札  3枚  LP 4000

 

 

「私のターン!ドロー!」

 

アリア 手札  6枚

 

「(俺の伏せカードはミラーフォース!これで一掃してやる!)」

 

「さっさと決めるわよ!宿神像ケルドウを召喚!」

 

宿神像ケルドウ 攻1200

 

「魔法カード、融合!フィールドのケルドウと手札の増殖するG、ハゥフニクスの3体で融合召喚!ガーディアン・キマイラ!」

 

ガーディアン・キマイラ 攻3300→3800

 

「ガーディアン・キマイラの効果!このカードが魔法カードの効果で融合召喚に成功した場合、手札で融合素材とした枚数だけドローして、フィールドで融合素材とした枚数だけ、相手フィールドのカードを選んで破壊する!」

 

「なっ!?」

 

「2枚ドロー!そしてその明らかに怪しい伏せカードを破壊する!」

 

 アリア 手札 3枚→5枚

 

融合召喚されたガーディアン・キマイラの効果で2枚ドローしたあと、相手の伏せカードに向けてガーディアン・キマイラが拳を振り下ろし、破壊する。

 

「バトルフェイズ!ミドラージュで銀河戦士を、他のモンスター全てでダイレクトアタック!」

 

私の指示でミドラージュが特攻、その後を続くように他の融合モンスター達が相手に向かって攻撃をする。

 

「う、ウワアアアアア!!!!!!」

 

 バリン!!!!

 

 社長  LP 4000→0

 

攻撃を受けた相手の社長は勢いのまま吹き飛ばされていき、窓ガラスを割ってそのまま奈落の底へ落ちていった。

 

「ああ・・・・やりすぎた?」

 

「大丈夫よ。寧ろこれくらい強いって証明すればお相手も手出しできないわ」

 

「・・・・あんた、まさか私をダシに使った?」

 

「さぁ?今日たまたまあの社長が来ただけよ」

 

「・・・・・・」

 

「それに、今の『あんた』って言葉、メイドとして相応しくないわ」

 

「・・・・申し訳ありません、ご主人様」

 

「それで宜しい。では、早速仕事に取り掛かってね」

 

リーは私の机にコンコンと右拳で叩き、ここに座れと促す。それを見て私は席につき、渡された資料を見て、パソコンで日本語に翻訳する。

 

「(・・・・・悔しいけど、あいつの事を主人って思ってきている節があるわね)」

 

あの女には不思議な力がある。私の魔法としての力とか遊輝ちゃんのシークレットシグナーとかの人外の力ではない。人を惹きつける力や引っ張る力と言うものがある。

 

「(・・・・これじゃ、昨日の覚悟も無意味になりそうね)」

 

心の中でため息をつく。とりあえずこの資料を日本語に直しましょう。隠れ家のPCにあるソフトを組めば良いでしょ。幸いにも簡単なプログラムをExcelで打ち込めば良いだけだし、その間にでも中国語を少し頭に叩き込みましょ。

私はそう思い、パソコンを起動させ、Excelを立ち上げる。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ふふ・・・よく出来ているじゃない」

 

「お褒めに預かり光栄です」

 

夕方ごろ、資料をリーに見せる。リーは一枚一枚をじっくりと見て評価をいってくれる。

 

「やっぱり良く出来る部下は頼りになるわ。裏社会は居ても表社会でここまで頭が切れる人は中々見かけないわ。仕事の合間にメイドとしてお茶を出してくれたり、気の利いたこともしてくれるじゃない」

 

「それくらい当然です」

 

その間にもリーがあれやこれや言ってくるのでその対応をしていった。しかし、怖いものでリーの考えていることや何をしたいのか自然と解るようになり、最後の方にはリーが何も言わなくても何を求めているのか分かってしまった。

 

「(・・・・本当、人を操る能力は凄いわね)」

 

「それじゃ、今日はもう帰りましょ。明日は私の買い物に付き合ってもらうわよ。魔法使いのメイドさん」

 

「・・・・・かしこまりました、ご主人様」

 

 

アリア  side out

 

 

桜  side

 

 

「・・・・・・・」

 

「お、お姉ちゃん・・・」

 

「桜さん、どうかされましたか?」

 

お兄ちゃんと入れ替わりでお姉ちゃんがリーに連れて行かれて一週間。

この間、お兄ちゃんのお世話は基本的に私一人でやっていたが、とにかくお兄ちゃんの変貌ぶりに驚き疲れた。リーに何をされたのか、お兄ちゃんは自分自身で行動することや考えることをやめてしまった。何をするにしても受け身で私が何かを言わないと何もしない。ご飯も一人で食べず、トイレにも自分で行かない。ひどい的には一日中、ずっとクマのぬいぐるみを抱きしめるだけだ。脚のリハビリにすら積極的に動かない。

 

そんな中帰ってきたお姉ちゃんは、また変わってしまっていた。明るくお茶目な雰囲気で私のことを妹様に扱ってくれたお姉ちゃんの姿はなく、そこにいたのは魔法使いの服を着て、手に手帳を持ち、メガネをかけ、ビジネスマンの雰囲気を醸し出しているOLだった。

 

「どう桜ちゃん?アリアも私の手にかかれば立派な秘書になったわ。お陰で今まで私にちょっかいをかけてきた奴らもアリアの力に怖気付いてそう簡単に近づいてきてないわ」

 

「ご主人様の役に立てて私も嬉しいです」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「それじゃアリア、次は桜ちゃんを連れて行くから暫くは私の可愛いお人形ちゃんのお世話をお願いね」

 

「かしこまりましたご主人様」

 

「遊輝ちゃん、来てすぐに悪いけどもう一週間待っててね」

 

「・・・・・(コクコク)」

 

「それじゃ桜ちゃん、行きましょうか」

 

「・・・・・・・・・」

 

お兄ちゃんの車椅子のハンドルを手放す私。その手は震えていた。お兄ちゃんもお姉ちゃんもあの女の人によって、何もかも変わってしまった。その恐怖が私の身体を包み込んでいる。

 

「(・・・・私も・・・変わってしまう)」

 

「ふふ・・・じゃあ桜ちゃん、お姉さんと一緒に家に帰りましょ」

 

「・・・・・・」

 

「そんな震えなくても大丈夫よ・・・・何も考えず、私に身を任せてくれたら良いのよ」

 

震えている私をリーは捕まえる。そのまま一緒にこの隠れ家から出た。

 




桜「・・・お兄ちゃん、お姉ちゃん」

リー「そんなに二人のことを思うなんて桜ちゃんは良い妹ね」

桜「・・・・・・」

リー「心配しなくても二人のことは忘れさせたりしないわよ。ただ、私のことを第一に考えるペットにするだけだから」

桜「!!・・・・・・」

リー「次回、【お人形生活 桜編】。次回もよろしく」


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