破滅を宿した寂しがり屋 (紫蒼慧悟)
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原作前のワーキング
悪夢


本当は別のハイスクールD×Dの二次を書いていたのに…
設定を考えていたらこっちが書きあがっていたんだ…
並行連載はダメだね☆


これは夢だ…

そうだ…夢なんだ…

「逃げなさい!!お父さんとお母さんのことはいいから!!

 少しでも遠くへ逃げなさい!!」

無理だよ、母さん…

だって、足が動かないんだ…

目を背けたくても体の支配権が乗っ取られたみたいに動かないんだ。

「ハハハハハハハハハハハハハ!!なかなか楽しめたぞ!!」

笑い声を上げるのは漆黒の翼を十枚生やした男だった。

「ククク。まさか途絶えたと思っていたヴァレフォールの生き残りがいたとはな…

 人間の方もなかなか楽しかったぞ。」

あいつだ…あいつを殺さないと…

母さんが…母さんが……

「ふん。餓鬼、俺の名はコカビエル。復讐したいなら強くなってから出直すんだな。」

殺してやる。絶対に…俺が…この手で…

 

 

 

『夕牙!!』

「!!…夢?」

どうやら寝ていたみたいだ。

戦闘が終わったからってその場で寝るのは弛んでる証拠かな?

『大丈夫?』

「大丈夫だよ、ティア。

 いつものことだからね…流石に慣れたよ」

『アレは慣れたらダメなんだから、冗談でもそんなこと言わないの!』

「うん。心配かけてごめんね。」

『構わないわ。それより、早く報告して帰りましょ?』

「うん」

既に廃墟となった戦場跡を目的地に向かうために歩き出す。

周りには先程まで確かに生きていた堕天使の死体替わりに黒い羽が一面を覆い尽くすように散っている。

「体が痛い…」

『副作用受けたあとにあんな姿勢で寝てるからよ』

「どんな姿勢?」

『干された悪魔のような姿勢だったわ』

「どんな姿勢!?」

そんな感じでティアと雑談をしながら戦場を抜けるとお迎えが来ていた。

神父服を着た年上の男。

「なんでこんなところにデュリオがいるんだよ?」

「ミカエル様に言われて迎えに来たんだよ

 直ぐに行くかい?それとも腹ごしらえしてから行くかい?」

「報告してから飯に付き合え!!」

「フフフ。OKだ。

 それじゃいこうか。」

そして、依頼者であるミカエルの下に行くことになる。

まあ、歩いていったら時間かかるから助かるけど…

こんなことは今までなかったから何かありそうだな…

『案外、夕牙に会いたいのかもよ?』

なんで?

俺に会ったって…新しい依頼か?

『はぁ…』

?

なんでため息ついたの?

『貴方は相変わらずね…

 姉さん貴方のことが心配よ』

また子供扱いする…

「着いたよ。

 それじゃあまた後でね」

デュリオはそう言い残して街の方に戻っていく。

ティアとの話し合いに夢中で街を通ったのに気付かなかった。

扉を開けて中に入ると、

「夕牙!!」

おっとり風ブロンド美女に抱きつかれた。

「ガブリエル…苦しい…」

オパーイで窒息する…

「あら、ごめんなさい。

 さあ、こっちよ」

ガブリエルから開放されて彼女の後ついて行こうとしたら、いきなり手をつながれた。

なんで?

ミカエルのいる部屋までの道はわかるし、迷うこともないよ?

「さあ、いくわよ」

………まあいいか

ミカエルの前まで連れて行かれてガブリエルは仕事に戻ったので、ここに居るのは

俺とミカエルの二人…

『私は?』

訂正、三人だ。

「お帰りなさい、夕牙君」

「ん。報酬は何時もどおりで」

「ええ。分かっていますよ。

 さて、デュリオに迎えに行ってもらったのは理由がありまして…」

「コカビエルを始末すればいいのか?」

「違いますよ!?

 サーゼクスが貴方に依頼があるそうなのですが、連絡が取れないそうなので…」

え?さっきの戦闘で携帯が壊れたのか?

ポケットに入っていた携帯は…

「あ、電池切れだわ」

苦笑しているミカエルを横目にしつつ予備のバッテリーと交換して電源を入れる。

「着信128件、メール268通…」

『まるでヤンデレの女みたいね』

取り敢えず電話する。

サーゼクスの依頼は日本の地方都市にいる妹の護衛をして欲しいというものだった。

堕天使関係じゃない依頼は断っているんだが、これも何かの縁だろうということで

取り敢えず承諾。

住居は向こうがもってくれる上に、学費も払ってもらえるらしい。

しかも月200万の破格の条件だ。

金は幾らあっても困らないから受け取るけど…

明日の昼前に迎えが来るらしいが…

「話は終わったかい?」

あ、ミカエルいるの忘れてた。

「ん。取り敢えずデュリオと飯の約束があるから行くわ」

「ええ。今回の依頼の件、ありがとうございました」

「別にいい。それよか、さっさと和平結べよ?」

「耳の痛い話です。それが出来るようにしたいのですが…」

「アザゼルのハゲは知らないけど、サーゼクスはそれを望んでいるぞ?」

「相変わらずアザゼルには辛辣ですね」

当たり前だ!!

今はそうでもねえけど昔は死ぬほど憎んでいたし、

グリゴリに攻め込んで『覇龍』使ってアザゼルの髪を全部引っこ抜こうと思ったくらいだ。

「ふん!」

ミカエルが出ていこうとする俺に対して、

「またいつでもいらして下さいね」

とか言ってたが…ここは狂人が多いからあんまり来たくないんだよなぁ…

帰り際にガブリエルに捕まって数分のロスをしたが、デュリオは待っててくれた。

遅いとか言われてもなぁ…

「だったらガブリエルをどうにかしろ」

って言ったら苦笑いで返された。

食事を済ませてデュリオと別れたあとに荷物を置いてあるホテルに戻って、荷造りを済ませる。

といっても、荷物はそこまでない。

『さて、この先どうなるのか…』

「いつもどおりだよ、ティア。

 未来はわからない。ならば自分の道を自分らしく進めばなんとかなる」

『そうね。』




設定ってあったほうがいい?


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引越し

アレ?
他の小説が進まない…


殺してやる!!絶対にお前を殺してやる!!

「ハッ!!餓鬼の割にはなかなか心地いい殺気だ」

黒い翼を生やした両親の敵…

『だめ』

俺の手には何時の間にか銀色の鎌が握られていた。

『また…悪夢が始まる』

神器(セイクリッド・ギア)持ちだと!?」

声が聞こえる…

悲しみに満ちてしまっている声だ…

丁度良い…これを使えばあいつを殺せる…

絶対に…ぶち殺してやる!!

 

 

 

 

 

 

『夕牙!!もうすぐ約束の時間です!!』

「ん。今起きるから…だから…二度寝させて…」

『いい加減にしなさい!!』

うおっ!?

大音量で耳が痛い!!

「ふあ~っ」

欠伸が自然と出る。

朝は眠いから嫌いだ…

半分は悪魔だから仕方ない…

「ねむねむ…」

取り敢えず顔を洗ってこよう…

『夕牙!迎えが来たわよ!』

んー?ちょっと待って…今から顔を洗うから…

ポヨン

「ん?」

顔に当たったとてつもなく柔らかいもの…

枕?

取り敢えず触ってみる。

とても柔らかかった。

顔を上げてみると顔見知りの銀髪美人がこっちを見ていた。

「グレイフィア?」

グレイフィア・ルキフグス

悪魔陣営の四大魔王の一人、サーゼクス・ルシファーの妻。

人妻メイド。

子持ちの人妻メイド。

俺の苦手な人物の一人。

その人に俺は何をしている?

オパーイを揉んでる。

つまり…死刑!?

『間をかなり端折ったわね…』

「ごごごごごごごごごごごめんなさい!!!

 謝罪します!!心の底から謝罪しますから!!

 命だけは!!命だけはご勘弁を!!」

すぐさまジャンピングDO☆GE☆ZAを実行。

頭の部分からドゴンとかしたら危ない音がしたけどそんなの関係ない。

俺はこんなところで死ぬわけにはいけないんだ!!

「頭をお上げ下さい、夕牙様

 私は怒っておりませんので」

グレイフィアの方を見ると少し困った表情でこっちを見ていた。

『取り敢えず止血しなさい。血が出てるから…』

「おっとっと…包帯包帯…」

結論から言おう。

俺は自分の傷を手当できなかった。

グレイフィアが回復魔法を使ってくれたからだ。

その後、俺の荷物を持って魔法陣で一緒にサーゼクスの執務室へ直行。

「やあ、夕牙君。待っていたよ」

紅髪の青年が笑顔で迎えてくれる。

「依頼内容は?」

「単刀直入だね。食事をしながら話そうか」

「は?そんなのいいk(グ~~)……お前の奢りだろうな?」

「もちろんだよ」

こいつ…

『顔、真っ赤よ?』

五月蝿い!!

「まあいい、店の食材が無くなるぐらい食ってやる…」

「構わないよ?」

「やっぱりお前ムカツク…」

「ハハハ、そんなことを言わないでくれ

 悲しいじゃないか」

「嘘泣きしてんじゃねえよ!!」

よし、腹ごしらえだ!

 

 

 

 

 

冥界のレストランもなかなかイケルんだな…

「本当に食材が無くなるところだったよ…」

冷や汗かいてる…

「まだ食えるぞ?」

「それで、仕事の話なんだが…」

『逸らしたわね』

逸らしたな…

「既に向こうに夕牙君の住居や学園の制服は既に用意は済んでいる。

 後は君が何時向こうに行ってもらえるかどうかなんだが…」

「すぐにでもいいぞ?」

「本当かい!?じゃあ、すぐに行こう!」

いきなり立ち上がるサーゼクスだが、

「いけません!」

サーゼクスの背後にいたグレイフィアが止める。

「痛いじゃないかグレイフィア」

「仕事を済ませてからにしてください。」

「それじゃあ、グレイフィアが案内してくれるかい?」

「かしこまりました」

俺抜きで話が進んでるんだが…

『別にいいんじゃない?』

まあそうなんだけど…

「それでは夕牙様、まずは住居の方へ案内させていただきます。

 護衛対象のお嬢様方へのご紹介は後日となります。」

「ん。

 じゃな、サーゼクス」

「ああ。また会おう、夕牙君」

 

 

 

 

 

 

グレイフィアに連れてこられたのは、日本にあるグレモリーの管轄地にある普通の一軒家だった。

「見た感じ普通だな…」

「内部は見た目より広くしてありますし、地下にはトレーニングルームも御座います。」

「別にそこまでしなくていいのに…

 まぁ…ありがと…」

『なんで照れてるの?』

ティア、五月蝿い!!

グレイフィアの方を見ると優しい表情でこっちを見ていた。

「…ふん」

『そんな反応だから子供扱いされるのよ?』

!?

そうだったのか…

因みに中は本当に広かった…

掃除が大変そうだ…

その後に転入先である"私立駆王学園"までの道程や近所のスーパー等を案内してもらった。

余談だが、御近所さんは全員悪魔関係者だったよ…




一話一話が短い気がしてきた…
因みに原作開始は一巻の終盤を予定しております。


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夕飯

書いてたらお腹空いてきた…


「まさか…ドラゴン系神器か!?」

は?神器?

あれ?なんで俺は鎧を纏っているんだ?

『また…悪夢が始まる…』

誰だ?

『私はティアリス…あなたの力よ…』

なんで、泣いてるんだ?

『貴方がこの力を使ったら悪いことが起きるのよ…

 私にはそれが悲しくてたまらない…』

使えば…アイツを殺せるのか?

『今の貴方では無理よ…』

なんでだよ!!

俺は父さんと母さんの敵を討つ事も出来ないのかよ!!

 

 

 

 

 

 

日本に来てから数日…

周囲の地理を把握するため、暇なときは散歩に出ている。

勿論、ティアとお話しながらだ。

『そういえば、台所の洗剤が切れ掛かってたわよ?』

何?

散歩が終わったら買い物に移行だな…

『今日の夕飯は何にするの?』

う~ん…悩むなぁ…

『昨日はオムライス、一昨日はハンバーグだったわね…』

よし、今日は青椒肉絲だ!

『ピーマンも買うのよ?』

わ、わかってるよ…

そんなことを話していると黒髪のゴスロリ幼女とすれ違う…

……

へ!?

『あら?』

「おいこら、待てや!」

取り敢えず後ろからアイアンクロー

「夕牙、久しい」

「おい、オーフィス…お前はここで何をしている?」

「何もしてない」

「……なんかしてたら、ティアを召喚するからな?」

「絶対にしない、我、誓う」

なんかオーフィスが震えながら首を縦に振っている。

アイアンクローは継続中だから、オーフィスの首から下がブラブラしてる。

なんか不気味だったので下ろすと、

「夕牙、我、お腹減った」

「はぁ?ちょっと待て…これから買い物行くから…」

「我も行く」

「はぁ!?」

『まあ、妹みたいね』

年上の妹とか誰得だよ!?

しかも年齢差が半端ねえわ!!!

ティアと議論(?)を交わしていると、オーフィスが何時の間にか手を繋いできた。

はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?

なにこいつ!?

無限のくせしてところどころで人間臭い振る舞いするからやりづらい…

『オーフィスがそうなったのは貴方のせいなんだけどね…』

俺なんかしたっけ?

『覚えてないならいいわ』

そういや、グレートレッドもティアの名前出すと大人しくなるけど…

ティア、昔何やったんだ?

『お姉さんとして悪い子を叱ってただけよ?』

それであの態度はおかしいだろうが…

『男の子が細かいこと気にしちゃダメよ?』

そんなこんなでスーパーに到着。

オーフィスはさっきから一言も喋らない。

というよりも、人間観察をしている。

目がキョロキョロ忙しなく動いているからだ。

傍から見ると、兄妹にしか見えないんだろうが…

残念なことにオーフィスは黒髪、俺は白髪で正反対だ。

『ピーマンは?』

くっそ!!

ティアはお母さんみたいになってきた…

 

 

 

 

 

 

 

買い物を終えて家に帰るまで、オーフィスは手を離してくれなかった…

会計の時の支払いがめんどくさかったとだけ言っておこう。

さて、空も暗くなってきたので調理開始だ!

まずは買ってきた牛肉を細切りにする。

細切りにした牛肉は醤油・酒・胡椒・片栗粉を混ぜたモノに入れて下味をつけておこう。

ピーマンと筍は細切りにして、生姜と大蒜をみじん切りだ。

フライパンで肉を炒めて、生姜と大蒜を入れる。

しばらくしたら、ピーマンと筍も入れてさらに炒める。

オイスターソース、ウェイパー、塩コショウで味を整えれば完成だ。

という訳で…我が家の夕食が始まる。

 

本日のメニュー

白米

青椒肉絲

中華風卵スープ

サラダ

 

ティアも食べれればいいんだけど、それは出来ないらしい…

『私は夕牙のその気持ちだけで十分よ?

 いつもありがとう』

という訳で、用意したのは俺とオーフィスの二人分。

やっぱり納得いかねえ…

『仕方ないでしょ?

 出来ないものは出来ないの』

むぅ…

『ほら、オーフィスに全部食べられるわよ?』

「あっ!オーフィス、俺の分まで食うなよ!!」

「我、夕牙の御飯、好み

 この世は、弱肉強食」

「理由はわかったが納得はしてねえ!!」

そして始まる俺とオーフィスの青椒肉絲争奪戦…

結論だけ言うと…殆ど食われた…

俺の青椒肉絲が…

「我、ここに住む」

「は!?

 なんでだよ!?」

「ダメ?」

『部屋も余っているしいいんじゃない?』

「仕方ねえな…明日買い物に行くからお前も来いよ?」

「ん。わかった」

『妹が出来たみたいで何か楽しくなりそうね』

ティアがお母さん属性に加えてお姉さん属性まで備えて…

お姉さん属性は初期装備だったな…




俺も妹が欲しい
割と切実に…

ティア「諦めなさい」


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確信犯

どうしてこうなったんだ!?
オーフィスがこんなことになるなんて…


「ハハハハハハハハハハハ、覚醒したばかりでは上手く扱えまい!!」

こいつを殺さないと…気がすまないんだよ…

『生きたいなら逃げなさい!』

嫌だ!

アイツを殺すための…力を!!

『!? これは!?』

力が…溢れてくる?

さっきまで動くのもやっとだったのに…

これなら…

「コカビエル!!お前何やってんだ!?」

また黒い羽…

コイツも…コロサナイト…

 

 

 

 

 

 

 

 

眠い…

やっぱり朝は嫌いだ…

「うぅ~…ねむねむ…」

あれ…何時もより布団が暖かい…

俺抱き枕なんて持ってたっけ…

まぁ…いい…や…

「夕牙、苦しい…」

なんか聞こえた…

まぁ…いい…か…

『オーフィスを抱き枕にしてるけど、いいの?』

ふぇ?

ティアに言われて自分が抱きしめていたものを見ると…オーフィスだった…

まあそれだけなら問題はない…

「何故全裸!?」

『さあ?』

御陰で目が冴えたけど…

「服を着ろ!!」

「夕牙が離してくれればすぐに着れる」

はいはい、俺のせいですね、すみません

「夕牙、朝」

「へいへい、朝飯にするから座って待ってろ」

オーフィスはトテトテと擬音がつきそうな歩き方でリビングに向かう。

「トテトテ」

『自分で擬音つけてたわよ?』

もうアイツが分かんなくなってきたよ…

 

 

 

 

 

 

 

朝飯を食べたあとは暇だったので、買い物の時間まで地下のトレーニングルームで汗を流していた。

オーフィスは一緒についてきたので適当に言ったら、500kgのバーベルを小指一本で軽々と持ち上げていた。

そして今現在…オーフィスの服や生活必需品などの買い出し中だ。

「オーフィス、どれがいいんだ?」

「どれでもいい」

会話が成立しねえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!

「適当に選ぶぞ?」

「ん。」

という訳で俺がオーフィスに似合いそうな服をとっていき、ティアから指摘があった場合は

それ込みで別の組み合わせをして次々と服をカゴに入れていく。

周りの客はこちらに注目して自分の買い物なんかしてない。

そりゃそうだ…服でいっぱいになったカゴが既に二つあるのに未だに服を選んでいるのだから。

「まぁ、このくらいか?」

『そうね…このくらいあれば十分ね』

因みに俺は一つ目のカゴがいっぱいになった時点で十分だと思ったんだが、

『まだ足りないわ!あと最低でも20着は必要よ!!』

と、ティアに言われてどんどん入れていったというわけだ。

「お、お会計の合計が…268万8500円になります…」

レジにいた店員さんが引き攣った笑みで答えてくれる。

「カードで」

取り出したのはチタン製のブラックカード。

流石に驚きすぎたのか店員さんが後ずさりしていた。

荷物は流石に多かったので家に配達してもらえるシステムを利用させてもらった。

「次はオーフィスの部屋の小物か…」

「小物…?」

俺の右手を握って俺を見上げているオーフィスが首を傾げる。

………くっそ、ちょっとキュンときた…

『これは本格的に妹ね…』

まぁ…いいんじゃないの…

「夕牙、着いた」

オーフィスに言われて気づくと、デパートによくあるような雑貨屋があった。

『デパートによくあるっていうか…駅前のデパートよ?』

ほら、視聴者は俺達がどこで買い物してるか知らないじゃん?

『メタ発言はやめなさい!

 この前それやって3時間ぐらい正座で説教されたの忘れたの?』

誰に説教されたのか覚えてねえ…

説教された理由も内容も全く覚えてねえ…

そんなくだらないことを話しながらもオーフィス用の小物を買い物カゴに入れていく。

今回は前回のように俺とティアだけで選んではいない。

「これとこれならどっちだ?」

「左」

いくつかの小物を選んでからオーフィスに選ばせるという手法だ。

「これとこれなら?」

「右」

まあ、小物とかは数が多いと嵩張って邪魔なだけだからこれぐらいあれば十分かな?

『そうねー』

レジに行こうとするとオーフィスが立ち止まる。

いきなりだし、この幼女はさりげに馬鹿力だから腕が痛い…

オーフィスが見ていたのは西洋のドラゴンがデフォルメされた感じのヌイグルミだった。

しかも赤と白…

「買うか?」

「………」

取り敢えず、ヌイグルミを手に取るとオーフィスの視線もヌイグルミに釣られて顔ごと動く。

なにこれ!?おもしれえええええ!!!

『遊んでないの!』

怒られたので赤と白両方をカゴに入れる。

そのままレジに行くとオーフィスもいつもどおりの定位置で付いてくる。

やべえ、オーフィスが妹にしか見えなくなってきた…

『フフ。計画通り…』

確信犯!?

カードで払って買ったものを受け取り、店を出る。

家に向かっていると俺と同じ白髪の少女とすれ違う。

駆王学園の制服だった。

今の娘…黒歌に似た気配だったような…

まあいいか。

家に帰ったらサーゼクスから連絡が来ていた。

どうやら今日の夜に顔合わせらしい…

なんかこの街…堕天使の匂いするからあんまり好かないんだけど…

夜にサーゼクスに聞いておくか…




次回から原作開始予定
多分2~3話で終わって、一誠の話とか使い魔の森とかで終わって
焼き鳥戦に行きますよ。


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旧校舎のディアボロス
願い


原作が始まります。
まあ、殆ど終わりの方なんだけど…
まあ、楽しんでくれれば幸いです。


夜になってから、サーゼクスが来た。

グレイフィアから言われたのか、直接魔法陣からではなく玄関からの訪問だった。

珍しくグレイフィアが不在だったのがアレだが…まあ気にしないでおこう。

「やあ、夕牙君。おや、そちらの少女は?」

無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)

「なっ!?

 何故こんなところに!?」

サーゼクスがかなり狼狽えてる。

「俺の妹」

「………………」

あ、頭抱えだした。

「オーフィス、少し出てくるから留守番頼んだぞ?」

「わかった。我、留守番してる」

チョコンという擬音が付きそうな感じでリビングにあるソファに座っている。

多分適当にテレビを見てるだろう…

最近覚えさせたら、何故かはしらんが興味を持った。主にアニメにだが…

「ほら行くぞ」

未だに頭を抱えているサーゼクスを連れて家を出る。

なんかブツブツ言ってるけど大丈夫かなぁ…?

『にしても…オーフィスは妹なの?』

ティアが最初に言い出したんだろ!?

『私は無理強いなんてしてないよ?』

も、もう別にいいじゃん…

今までティアと"アイツ"以外に家族出来なかったし、特に意味はないよ!

『相変わらず…というよりは出会った時から寂しがり屋だけど、まだ治ってなかったのね…』

別にそんなんじゃねえ…

寂しくなんか…ない…

 

 

 

 

 

暫くしてから…というよりも家の外に連れ出してから正気(?)に戻った。

徒歩で学園の裏門から旧校舎にいるサーゼクスの妹…リアス・グレモリーに会いに行くことになった。

魔法陣で転移したほうが早いだろうに…

「おら、さっさと行こうぜ」

「夕牙君、何故オーフィスが妹なんだい!?」

「今度教えるかもしれない…」

サーゼクスから視線をそらして答える。

あんなことコイツに言ったら絶対に笑われる…

それだけは何があっても阻止する!

サーゼクスに知られる→四大魔王に知られる→四大魔王からからかわれる→悪魔社会滅亡

『途中からめんどくさくなったわね…』

ティアが何か言っているが、おれは何も知らない。

ベツニハッショッテナンカイマセンヨ?

「それで妹のリーアたんのことなんだが…」

「妹にたんづけすんなよ…」

「優雅もオーフィスのことを"オーたん"った呼んでみてはどうだい?」

「俺まで巻き込んでんじゃねえよ!!」

『そうね…どっちかって言うと"フィーたん"よね!!』

そうゆう問題じゃねえから!!

「おや?」

サーゼクスの言葉に気付いて前を見ると結界が貼られていた。

あの結界は外から出られなくするタイプの結界だったはずだ…

俺とサーゼクスは気にせずに結界の中に入る。

結界の中には紅髪の少女と黒髪ポニテの巫女、そして堕天使が三人いた。

「お兄様!?」

「サーゼクス様!?」

紅髪の少女と巫女が揃って驚きの声を上げる。

堕天使も全員でこっちを見ているが、動きが遅すぎる。

堕天使がこっちを向いたとき…其れは、

俺が男の堕天使の首を狩りとった時だった。

「「なっ!?」」

驚きの声を上げたのは堕天使ではなく、悪魔側…

紅髪と巫女の方だった。

「遅すぎる」

俺は一言だけ呟くと、残り二人の堕天使に襲いかかる。

『なんかエロい』

変な意味じゃない!!

残りは小さいのと大きいの…

距離的にはほぼ同じ…なら!

俺は一気に加速して擦れ違いざまに両方の胴体を切り落とす。

「殺すぞ、堕天使?」

「言うの遅いよ!?」

言い忘れた言葉を言うと、的確なツッコミをサーゼクスがしてくれる。

俺は神器をしまって携帯を取り出し、電話をする。

「あ、アザゼル?今さっき堕天使3人殺したから」

『いきなり電話してきたと思ったら順序が違うだろ!?

 しかも事後承諾かよ!?』

「は?お前の部下がグレモリーの管轄地で悪さしてるのが悪いんだろ?」

『何っ!?俺はそんな命令はしてないぞ!?』

「お前の意見なんざしらんわ」

『お前、相変わらずだな…

 まあいいや、そいつらの名前は?』

「は、知らねえよそんなもん?」

『自慢げにいうな!!!』

「めんどくせえな…ちょっと待て」

一旦電話を切ってサーゼクスの方を見ると

紅髪女と巫女の二人を侍らせていた。

「サーゼクス、さっきの堕天使の名前知らねえ?」

「貴方!お兄様に向かってなんて口の利き方を「いいんだよ、リアス」お兄様!?」

「知ってるのか知らねえのかどっちだよ?」

「ふむ、リアスは知っているかい?」

「ええ、ミッテルトとカラワーナとドーナシークです」

「だそうだよ」

俺はサーゼクスに頷いた後もう一度アザゼルに電話をかける。

「わかったぞ、ハゲ」

『ハゲてねえよ!!』

「ミッテルトとその他らしい」

『略すな!!って…そいつらはレイナーレって奴の部下だったな…

 一応コッチとは関係ないから別にいいけどよ』

俺の横にサーゼクスが来て耳打ちしてくる。

「なんかサーゼクスの妹の眷属に手出したらしいけど?」

『マジかよ!?あー、代わりに誤っといてくれ』

「お前が頭を丸刈りにするなら考えといてやる」

『嫌だよ!!なんd』

聞きたいことも聞けたしめんどくさくなったので電話を切る。

「グリゴリとは関係ないから殺してもいいってさ」

「関係ないと知ってて殺したんじゃないのかい?」

「いや?」

俺が首を横に振るとサーゼクスと少女二人が引き攣った笑みを浮かべていた。

その3人を放っておいて、この街の教会がある方向へ目を細める。

『あそこにもいるね』

取り敢えず魔法陣で教会に転移しようとすると、何故かサーゼクス達も魔法陣に入っていた。

特に問題もないためそのまま転移する。

 

 

 

 

 

 

 

さて、視点が変わって驚かれる前に自己紹介と行こう。

俺は兵藤一誠。

おっぱいが大好きな下級悪魔だ。

今俺は…心の底からムカついている。

その理由は簡単に言うと、元カノに殺された挙句、友達まで殺されちまったからだ!

そして、その元カノ…レイナーレをせめて一発ぶん殴ってやらないと気がすまねえ!!!

目の前にいるレイナーレは友達の…アーシアの神器"聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)"を持っている。

そのせいで…アーシアから無理矢理奪ったせいでアーシアは死んじまったんだ…

もっと…もっと俺が強ければアーシアは死ぬことはなかったかもしれない…

だから……許せない!

弱い俺自身のことも…目の前のレイナーレのことも!

━━思いなさい。神器は想いの力で動き出すの。そして、その力も決定するわ。━━

「返せよ」

━━あなたが悪魔でもそれは変わらないわ。想いの力が強ければ強いほど、神器はその想いに答えてくれるわ。━━

「アーシアを返せよォォォォォォッ!!」

『Dragon booster!!』

俺の左腕の神器が俺の声に答えるように光り輝く。

力が溢れて来る。これなら…いける!

レイナーレに殴りかかるが、軽々と避けられる。

クッソォォォォォォ!!

「所詮一の力が二になったところで無駄なのよ!!

 あなたにもわかりやすいように説明してあげる。私が千で貴方が二。あなたがどれだけ頑張っても無駄なのよ」

『Boost!!』

宝玉からの音声でまた力が溢れてくるが、それでも俺の攻撃はレイナーレに当たらない。

「フフ。喰らいなさい」

レイナーレの両手から光の槍が形成されて俺の両足を貫く。

「ぐあああああぁぁああぁっ!!」

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!

こんなところで……膝なんかついてられるかよおおおおおおお!!

ジュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

光の槍に手をかけると、肉が焼けるような音がする。

「ぐううぅぅぅああああああ!!」

熱い熱い熱い!!超熱ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!

光の槍を触っている両手と足の傷口から煙が上がっている。

「アハハハ!光は悪魔にとって猛毒に等しいのよ?触れるだけで身を焦がすわ。

 あなたのような下級悪魔では━━」

いちいち…うるせええええええええええええ!!!!

「ぬがぁぁっぁぁぁぁぁぁ!!」

痛ぇぇよ!!死ぬほど痛ええ!!けどな…この程度で、倒れるわけないだろうがあああああああ!!

「この程度!アーシアの苦しみに比べれば!屁でもねえんだよ!!」

光の槍を気力と根性で引き抜くと光の槍は霧散して消える。

足の傷口から血が流れるが、そんなこと気にしていられねえ

『Boost!!』

左手の宝玉からは変わらずに音声が流れる。

力が溢れてくるが、足に力が入らずその場に尻餅をついてしまう。

いや……体に力が入らねえんだ。

レイナーレが何か言ってるが光の濃度とかそんなの知らねえし興味もねえから聞き流す。

確かに俺は悪魔になってから日が浅い。

つまり、俺じゃお前に勝てないって言いたいんだろう。

だからなんだよ…?

確かに体中痛えよ…

体の内側から焦がされてる感じで、少しでも気を抜いたらおかしくなっちまいそうだよ…

だから…それがどうしたんだよ?

「こういうときって、神様に頼むんだっけ…」

俺の口から言葉が漏れる。

「?」

レイナーレが疑問を浮かべているがどうでもいい。

アーシア…すぐにコイツをぶん殴ってアーシアの神器を取り返すからもう少し待っててくれ…

「あー、神様はダメだ。さっきも聞いてくれなかったし、アーシアも助けてくれなかった」

「遂に壊れたのかしら?」

「じゃあ、アレだ。魔王様なら俺の願いを聞いてくれますかねえ?いますよね?聞いてますよね?

 俺も一応悪魔なんで、ちょっと俺の願いだけでも聞いてくれませんかね?」

レイナーレが哀れみのこもった視線で俺に何かを言っている…

「今から目の前のクソ堕天使を殴りたいんで邪魔が入らないようにしてください。ほら、乱入とかマジでゴメンです。

 増援もいりません。俺が自分で何とかしますんで。足も大丈夫です。今から立ちますから。

 だから、俺とコイツだけのガチンコをさせてください。

 いい場面なんです。怒りが凄まじくて、痛みもどうにか耐えられています。

 ━━一発だけでいいんで…殴らせてください!」

動く。足の感覚はもうすでにない。でも動く。

少しでも動かすと激痛が走る。それでも動かす。

立ち上がれる。体中がガクガクと震えて止まらない。

「嘘よ!!立ち上がれるはずないわ!!」

「よー、俺の元カノさん。色々とお世話になりました。」

「ありえないわ!!全身を内側から焦がしているのに、光を緩和する魔力も持たない下級悪魔ごときが耐えられるはずがないわ!!」

「あー、痛えよ。超痛えよ。意識飛びそうだ。けどな、てめぇへの怒りと憎悪が凄くてさ、どうにかなりそうなんだ。」

この一発が最後だ。これを撃てば俺はもう動けないだろう。

だから…次で決めないとな!

「なぁ、俺の神器さん。目の前のコイツを殴り飛ばすだけの力はあるんだろう?じゃあ、トドメと洒落こもうぜ!!」

『Explosion!!』

左手の籠手が光り輝く。

堕天使が使う光とは違う。優しい光だ。

力が…溢れてくる!!

目標は目の前の堕天使一人だけ…なら後はやるだけだ!

「ありえないわ!どうして貴方の力が私を超えているの!?

 この力…中級…いえ、上級クラス!?」

上級?つまりは部長とおんなじってことか?

じゃあ、コイツを殴るのも簡単だなぁ…

レイナーレが喚いているが、正直体の痛みが凄くてよくわかんねえな…

また光の槍を投げてくるが、左手の篭手で弾いて霧散させる。

弾かれるとレイナーレの表情が絶望に染まっていく。

「い、いやっ!」

レイナーレの翼がはためく。

!

「逃がすか馬鹿!!」

「私は!私は至高の!」

捕まえた!後はこの拳で殴るだけだ!!

「吹っ飛べ!クソ天使!!」

当たった!!後は振り抜くだけだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

「おのれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!下級悪魔がぁぁぁぁぁぁ!!

「うおおおりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」

堕天使が吹っ飛ぶ。

「ざまーみろ…」




あれ?
今回長くね?
まあいいや


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願い《裏》

【悲報】今回子猫ちゃんの台詞無し

子猫「!?」


転移した場所は教会の地下だった。

あり?座標間違えたかな?

『そうみたいね』

金髪のイケメンと夕方に擦れ違った白髪のロリが大量の神父相手に戦っているところだった。

「裕斗!小猫!」

紅髪女が二人の名前を呼ぶ。

巫女は二人の援護をするために魔力を練っているところだった。

「ウザイ…」

黒い方の油虫みたいでウザったい。

体の中を駆け巡っている魔力を両の掌に集めるように集中する。

性質を瞬時に変換させる。

セラフォルーから氷の変換は嫌になるほど教え込まれたから氷の変換は得意だ。残念ながら…

魔力は一瞬で巨大な氷の槍になった。

両方の槍を神父達に向けて投げる。

「!?裕斗!小猫!避けなさい!!」

紅髪女がこちらの意図に気づいたのか、二人に命令する。

槍は空中でバラバラになり、細長い槍になり神父全員を襲う。

「ぐあああ!!」

「腕が…腕がぁぁぁ!!」

「い、痛いぃぃぃ!!」

神父の殆どが氷の槍の餌食になり、体のどこかに槍が刺さりその部位から徐々に凍り始めている。

「ちっ!流石に全員は無理か…」

舌打ちをして愚痴ると、隣にいた紅髪女が文句を言ってくる。

「ちょっと!!私の眷属がいるのにあんなことしないでくれる!?」

取り敢えず無視だ。

残っている神父に向けて魔力弾を放って、制圧していく。

「ちょっと!?「アハハハハハハ」お兄様!」

「サーゼクス様!?」

サーゼクスの笑い声に紅髪女が抗議の声を上げ、金髪がサーゼクスの存在に驚いている。

ん?お兄様?

ってことは、この紅髪女がリアス・グレモリー?

『今頃気づいたの?』

うっさい!悪かったな!

『あれ?上から懐かしい気配がするわね…』

上?

あ、堕天使の気配もするわ…

「上か…」

俺が天井を見上げて呟くと、裕斗と呼ばれた金髪が思い出したように喋る。

「部長!一誠くんが上でレイナーレと!」

「わかっているわ」

リアス嬢(推定)と金髪達が話しているスキに上に行くための階段を発見したので階段を上る。

何故か俺の後ろにサーゼクスがいた。

何時の間にいやがった!?やっぱりコイツは油断ならねえ…

「お兄様!?」

リアス嬢(推定)達も付いてくる。

『仲間が増えたわね』

どこがだ!?

 

 

 

 

 

 

上に出ると、女堕天使と左手に赤い篭手を付けた少年が戦っているところだった。

「兵藤くん!!」

金髪が出そうだったので止める。

止めたのは3人…

俺とサーゼクスとリアス嬢(推定)だった。

『その(推定)やめてあげなさい…』

不確定だから…

「君のことだからすぐにあの堕天使を始末すると思ったんだがね」

「いくら俺でもそこまで無粋なことはしねえよ…」

俺とサーゼクスのやりとりに、後ろでも金髪に対してリアス嬢が説明している。

「だめよ裕斗。一誠にやらせてあげなさい」

「ですが、部長!一誠くんじゃ…」

『あの子の神器…赤龍帝ね』

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)か…」

俺の発言に戦闘中の二人以外が俺の発言に驚愕の表情を浮かべる。

「二天龍の片割れ…赤龍帝が!?」

「アレが!?」

「あらあら」

上からサーゼクス、リアス嬢、巫女だ。

「夕牙君、なぜ赤龍帝だと?」

「簡単な話だ。

 龍の手(トゥワイス・クリティカル)なら神器を出した時点で一の力を二にしている。

 宝玉から音声が流れても一度だけだ。

 ならアレが何度も倍加している理由にならない。」

俺の説明にあの二人以外が耳を傾ける。

「持ち主の能力を十秒ごとに2倍にする。つまり、十秒後に2倍…二十秒後には4倍という風に時間が経てば経つほど倍加される。」

『でもまだドライグの声が聞こえてないみたいね』

宿主の潜在能力が低すぎるからじゃないのか?

━━こういうときって、神様に頼むんだっけ…━━

少年が呟く。

その一言で俺たちは黙ってしまった。

━━あー、神様はダメだ。さっきも聞いてくれなかったし、アーシアも助けてくれなかった━━

アーシア?

『多分あそこの長椅子で動かない女の子のことじゃないかな?』

━━じゃあ、アレだ。魔王様なら俺の願いを聞いてくれますかねえ?━━

「呼ばれてるぞ?」

「フフフ。」

小声でサーゼクスに言うと、魔王様は笑っていた。とても楽しそうに…

━━いますよね?聞いてますよね?━━

サーゼクスの笑みが心底楽しそうになっていく。

━━俺も一応悪魔なんで、ちょっと俺の願いだけでも聞いてくれませんかね?━━

「だってよ?」

「内容によるね」

━━今から目の前のクソ堕天使を殴りたいんで邪魔が入らないようにしてください。ほら、乱入とかマジでゴメンです。━━

少年は徐々に立ち上がろうとしている。

「そういうことは立ってから言えよな…」

『そうね。しゃがんだままで言われてもねえ…』

━━増援もいりません。俺が自分で何とかしますんで。足も大丈夫です。今から立ちますから━━

「増援はいらないそうだよ、リアス」

「ええ。私の下僕ですもの。アレぐらいは言ってくれないと困るわ!」

「あらあら。部長ったら」

━━だから、俺とコイツだけのガチンコをさせてください━━

またもや俺たちは黙る。

━━一発だけでいいんで…殴らせてください!━━

「いいだろう。その願い…聞き届けた。」

サーゼクスがそう呟くと、少年は立ち上がった。

足はガクガクで今にも崩れ落ちそうだ。

普通だったら立ち上がれないだろう。

それでもたちあがった。

『昔の夕牙に似てるわね』

さあ?なんのことやら…

『だから直ぐに殺さなかったんでしょ?』

そんなんじゃねえよ…

『Explosion!!』

赤龍帝の籠手から今までとは別の音声が聞こえた。

「すごい!」

「上級悪魔並ですわね」

「今まで貯めてた倍加の力を一発に集中したってところか…」

『確かに…あの子、今にも倒れそうだしね…

 最後の一発ってところかしらね』

「吹っ飛べ!クソ天使!!」

殴り飛ばした。

堕天使はそのまま協会の壁を突き破って外まで吹き飛んでいく。

「本当に立って殴ったな。」

「これからが楽しみだよ」

俺の感想にサーゼクスも同意するように笑っている。

まだまだ弱いけどな。

今のままじゃアイツとは勝負にすらならんぞ?

アイツは歴代最強、コッチは歴代最弱

さて、どうなるのか…

『最強vs最弱って何かのアニメであったよね?』

どこの学園都市だよ?

pipipipipipipipipipipipipipipipi

携帯が鳴る。

いったい誰なんだ?

めんどくさいが電話に出る。

『すまんが、レイナーレは殺さねえでくれねえか?』

堕天使の総督(ハゲ野郎)だった。




子猫ファンの皆様申し訳ない。
悪気はなかったんだ。
ピンポーン!
おや、誰か来たようだ…
あれ黒歌さん?どうしたんですか?
ウワッ!?ナニヲスルヤメ…アッーーーーーーーーーーーーーーーー!!


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ギャグ化

サーゼクスェ…


切りたい…今すぐに切って着信拒否にしたい…

「切りたい…今すぐ着信拒否にしよう…」

『声に出てるぞ!?というか連絡手段がなくなるからやめてくれ!!』

電話の相手はアザゼル。堕天使の総督だ…

「高くつくぞ…?」

『すまんなぁ。迎えはよこすから殺さないでくれや』

「ん。毎度有り」

どちらともなく切る。

携帯をしまっているとサーゼクスがよってくる。

「何かあったのかい?」

「アザゼルからあの糞女の背後関係吐かせるから生かしとけってさ」

「背後関係?」

「向こうにもいろいろあるんだろ?」

あいつらじゃないよなぁ…?

あいつらだったら速攻で潰しにいかないと俺の目的のために邪魔だなぁ…

『そういえば、アソコのトップは誰なのかしら?』

潰していけばわかるんじゃないか?

最悪ティアを召喚すればどうにでもなるし…

『そうね…その時は全☆力☆全☆壊で潰してあげないとねぇ…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?」

夕牙の家のリビングでオーフィスが震えていた。

「何か、嫌な予感が…」

この時はまだ幸せだった。

そう、後のオーフィスは供述していたとかなんとか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れ。まさか堕天使を倒しちゃうなんてね」

「遅ぇよ、色男…」

ティアと相談していたら、赤龍帝が倒れそうになっていたところに金髪が肩を貸していた。

『どっちが攻めかしら?』

腐ってやがる!?

『腐れも大事な文化よ?』

まぁ…実害がないなら別にいいけどさぁ…

そんなことをやっていると協会の外から白髪ロリがさっき飛ばされた堕天使を引きずって持ってきた。

「……部長。持ってきました」

白髪ロリの声を初めて聞いた気がするんだが…

『無口なのよ』

今堕天使の周りに集まっているのが護衛対象のリアス嬢の眷属か…

サーゼクスと俺が遠巻きに見守っているというわけだ。

「リーアたんも成長したなぁ…」

こいつは…いや、何も言うまい……

そんなことをしていると堕天使の尋問(?)が始まった。

巫女が手を上へかざし、魔力を水に変換して堕天使に被せる。

『あ、正しい拷問方法…』

ティア…どこでそんなことを覚えたんだ?

まあいいや

情報収集の時に役立ちそうだし…

まあ、そんなことをされれば誰だって咳き込む。

案の定堕天使は「ゴホッゴホッ」と咳き込んでいた。

「ごきげんよう、堕天使レイナーレ」

「…グレモリー一族の娘か…」

「はじめまして、私はリアス・グレモリー。グレモリー家の次期当主よ。短い間でしょうけど、お見知りおきを」

サーゼクスがカメラでリアス嬢を撮っていた。

「何やってんだよ?」

「リーアたんの勇姿だよ?録画しないとダメじゃないか!」

黙れ、このシリアス・ブレイカーが…

ギャグ化(シリアス・ブレイク)

とかサーゼクスが言っても不思議じゃないなぁ…

『種族関係なしでできる人がかなりいそうね…』

リアス嬢達はサーゼクスが壊れてるのにも気づかずに尋問を続ける。

「フフフ。甘いわね!私には協力してくれる堕天使がまだいるわ!!」

「お生憎様。あそこにいる彼が殺してしまったわ」

そう言ってこちらを見ずに俺に指を向けるリアス嬢。

堕天使は俺の顔を見て顔を青ざめさせている。

「な、なんでここに《白刃》がいるのよおおおおおおおおおお!?」

《白刃》

俺の異名の一つだ。

俺の髪の色が白いのと、俺の神器が鎌なのが由来だが、それだけじゃない。

堕天使専門の殺し屋だった頃に神の子を見張る者(グリゴリ)に攻め込んだ時のことだ。

傷ひとつ付けられず周りは堕天使の死体だらけ…

その姿はまるで白い刃のようだったらしく、この異名を付けられた。

しかも、攻め込んだはいいがコカビエルはいないし…

アザゼルとシェムハザとバラキエルとアルマロスと刃狗(スラッシュドッグ)に囲まれて四面楚歌状態だった。

少なくとも…見た目はだが…

俺の神器の効果で堕天使の光や神器の能力を無効化して逆に追い詰めてやった。

『その後、コカビエルがいないなら帰る…とか言って帰ったわよね?』

元々コカビエルがいない時点で帰るつもりだったのにあいつらがいきなり襲いかかってきて帰れなかったんだよなぁ

「仕事だ…

 仕事じゃなければすでにお前の首は刈り取ってるよ」

俺がそう言うと堕天使は諦めたのか項垂れるように顔を背ける。

その時の表情は全てに絶望したような表情だった。

「冥土の土産に教えといてやろう…」

俺は赤龍帝に指を向ける。

赤龍帝は「お、俺?」とか言っている。

「あいつの神器は『龍の手』ではない。十三種の神滅具の一つ。

 『赤龍帝の籠手』…二天龍の片割れだよ」

堕天使の顔がさらなる絶望に染まる。

「そ、そんな…一時的にとはいえ、神や魔王すら凌駕する力が得られるという……あの神器が、何故こんな子供の手に!?」

赤龍帝は俺と堕天使の発言に驚いている。

「お、俺の神器ってそんなにすごいものだったのか!?」

「まぁ、そこまで上がるのに時間がかかりすぎるし、待ってくれるのは馬鹿だけだろうがな…」

俺の発言に赤龍帝は落ち込む。

「さて、消えてもらうわ。堕天使さん」

リアス嬢が堕天使に最後通告を言い放つと、堕天使は何かを言おうとしたがその言葉は紡がれることはなかった。

「そいつはちと困るなぁ…」

俺の隣…サーゼクスの逆側からの声に全員がこちらに振り組む。

「アザゼル様!!!!」

「「「「なっ!?」」」」

堕天使の一言にリアス嬢達が驚く。

赤龍帝は誰なのかわかっていないのか首を傾げている。

俺とサーゼクスは驚いてすらいない。

「お前直々に来たのかよ?」

「ああ。アイツ等今出払っててな…」

リアス嬢とその眷属は俺にまで警戒をしている。

「で?サーゼクスは何やってんだ?」

「ほっとけ…」

俺の言葉にアザゼルは嘆息する。

「すまんが、そいつは殺されちゃ困るんでな…」

「おい待て。」

アザゼルが女堕天使を持って帰ろうとしたところに赤龍帝が声を掛ける。

その声には怒気が含まれていた。

「アーシアの神器を返せよ…」

「ふむ。この指輪か…ほらよ。」

アザゼルは女堕天使の指から指輪を取り上げ赤龍亭に投げ渡す。

神器を無理矢理抜き取ったのか?

『そうみたいね…』

「あ、ありがと…」

赤龍帝の例の一言にアザゼルはニヒルに笑う。

「似合わねえ…」

「うるせえよ!!それより、ほらよ」

アザゼルはアタッシュケースを俺に向けて放り投げる。

「基本的に現金払いは受け付けてねえんだけどな…」

「まぁ、気にすんなよ。俺とお前の仲じゃねえか」

『どっちが攻めなのかしら?』

ティア!?

「まあいいや。毎度有り」

「へっ!じゃあな、サーゼクス!」

「ああ。また会おう、アザゼル」

サーゼクスとアザゼルの会話がこれだけだったのは言うまでもない。

さて、仕事の開始はまだなのか?




全然話が進まない…
こんなはずでは…


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謝罪

【悲報】今回巫女さんの台詞無し

朱乃「!?」
そして今回は短い


アザゼルが帰っても警戒は解かれなかった。

『堕天使の味方だと思われてるんじゃない?』

は?殺してやろうか!?

『少し落ち着きなさい!まだ、そうと決まったわけじゃないわ!』

ティアに言われて気づくと、手には何時の間にか神器の『破銀の大鎌(シルバリオン・バスタトリオン)』が握られていた。

そして、リアス嬢達の前にはサーゼクスがいた。

いつもの柔和な笑みではなく、真面目な顔だった。

「はぁ…悪かったよ…」

俺が自身を落ち着けるために息を吐いてから謝罪すると、サーゼクスもいつもの笑みに戻る。

神器の方は既に仕舞っている。

「良かったよ。君相手じゃ私じゃこの子達を逃がす時間稼ぎ程度にしかならないからね。」

「ふん」

皮肉言ってんじゃねえよ…

確かにサーゼクスは俺には勝てなかった。

だが、俺もこいつに勝ったとは言えなかった。

引き分け。それが一番しっくりくる。

「そんな…冗談ですよね、お兄様!?」

リアス嬢が唯一反応できた。

というよりは、眷属が警戒に集中して自らの身を挺してでも《王》を守ってるようにも取れる。

いい眷属だな…

他の悪魔と違って大事にされ、同時に強く育てている。

強さにしてみればまだまだ全然弱い。だが強い。

単純な力量なら弱い。《絆》。この一点になるとそこらの相手は目じゃないな…

成程。流石はサーゼクスの妹というべきか…

前へ進む。

警戒する必要はない。

さっきのは俺の失態。

勝手に決め付けてリアス嬢を敵と思いかけた。

赤龍帝も同様の警戒を見せているが、堕天使との戦闘で消耗しすぎたんだろう…

リアス嬢同様に守られている。

本人としては自分の現状を受け入れて守られることに甘んじてはいるが、

『心中は悔しくて堪らないでしょうね…』

その証拠に歯を食いしばっている。

リアス嬢の後…長椅子を支えにようやく立てている状態だ。

その為金髪は今は自由に動ける。

赤龍帝という荷物がない分こちらへの攻撃も出来るだろう。

俺の考えの通りに金髪は動いた。

一瞬で俺との距離を詰めるが、俺には当たらなかった。

止めたのだ。俺ではない。サーゼクスだ。

「サーゼクス様!?」

金髪含め全員が驚く。

「すまないが彼を攻撃するのは止めてくれ。」

サーゼクスの行動に全員が止まる。

あ、赤龍帝は別だ。

未だに何が何だかわからず首を傾げている。

それでも俺は進む。

その光景に赤龍帝がやっと動く。

だが、赤龍帝は動けなかった。否、動くことが出来ずにいた。

流石に限界だったのだろう、『赤龍帝の籠手』も消えてしまっていた。

「な、なんで?」

「体の限界だ。それ以上使うと死にかねんからだろう」

赤龍帝の疑問に俺が答えると赤龍帝はそれでも立ち上がってリアス嬢を守ろうとしている。

根性で出来れば苦労はしないんだがなぁ…

そして、変わらずに歩みを進める。

リアス嬢は俺の後ろにいるサーゼクスに視線を向けて何かを教えられたのか警戒を解いていた。

そして、手が届く距離にまで近づいた。

「部長、逃げてください!!」

赤龍帝の叫び声をBGMに俺は行動を起こす。

「えっ!?」

誰かの声が響く。

「………」

俺の目の前のリアス嬢も驚いているだろうが何も言わない。

それはそうだろう。先程まで敵だと認識していた相手が頭を下げているのだから

「先程の失礼を謝罪したい。

 本当に済まなかった」

微かにサーゼクスが笑った声がしたが、今はどうでもいい。

「貴方の謝罪。確かに受け取ったわ

 許すかどうかは別としてね」

「それでいい」

下げていた頭を上げるとリアス嬢が微笑んでいた。

『惚れた?』

ありえないな。第一俺が今一番好きなのはティアだ。

『フフ。ありがと』

「……部長」

白髪ロリの言葉にリアス嬢は気付いて、眷属に警戒を解くように指示をする。

リアス嬢は後ろにいる赤龍帝に微笑む。

「イッセー、アーシアさんにそれを返してあげましょう」

「で、でも、アーシアはもう……」

赤龍帝は先程の威勢が嘘のようになくなっていた。

リアス嬢はそんな赤龍帝にあるものを見せた。

チェスの駒だ。

「イッセー、これ、なんだと思う?」

紅いチェスの駒…

そう…悪魔の駒(イーヴィル・ピース)だった。




次回はあーシアたん復活だと思う。

さて、バラキエルが来る前に逃げないと…

朱璃「いつからバラキエルさんが来ると錯覚していたんですか?」
なん…だと…?

アッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


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喧嘩

喧嘩、ダメ、絶対!!


悪魔の駒(イーヴィル・ピース)

悪魔陣営の四大魔王の一人であるアジュカ・ベルゼブブが開発したチェスを基にした制度。

前大戦で前・四大魔王と多くの上級悪魔が死んだため、勢力拡大のために開発されたと言われているが、

これは表向きの理由だ。

本当の理由は、『面白そうだから』とアジュカが言っていたが…

まあ、そこはどうでもいい…

「成程…転生悪魔にするわけか」

俺の発言にリアス嬢は笑顔で頷く。

「ええ。『僧侶(ビショップ)』の駒が一つ余っているの」

『赤龍帝はよく分かっていないようね』

はぁ…

「お前にもわかりやすく言ってやると、そこのシスターを生き返らせることができるということだ」

「え!?本当ですか、部長!?」

俺が赤龍帝に少し違うが説明すると、赤龍帝は俺ではなくリアス嬢に疑問をぶつける。

はぁ…

「前代未聞だけどね。このシスターを悪魔に転生させるわ。」

いや、前代未聞ではなかった気がするぞ?

『確かに…現役シスターを眷属にした悪魔がいるって情報も入ってたわね…』

そんなことをティアと思っていると、リアス嬢の体を紅い魔力が覆っていく。

アレが、眷属にするために必要な事なんだろう。

眷属にする様子を目にするのは初めてなので自然と見入ってしまう。

『あんな長い呪文みたいな言葉をよく噛まずに言えるわよね…』

なんかティアが感心しているが、確かに…

覚えるのが大変そうだ。

正直…これを覚えろって言われても速攻で拒否する自信がある。

アーシアと呼ばれていた少女の胸にあった神器と悪魔の駒が光を発して体の中へ沈んでいく。

二つが完全に入ったのを確認するとリアス嬢は魔力の波動を止める。

「あれ?」

初めて聞く声だった。

そうこれはつまり転生が成功したということだ。

先ほどの声はアーシアから聞こえた声なのだから…

「悪魔をも回復するその力が欲しかったからこそ、私は転生させたの。後は貴方が守ってあげなさい、イッセー。」

リアス嬢の言葉に赤龍帝は涙を流していた。

「……イッセーさん?」

首を傾げていたアーシアを赤龍帝が抱きしめる。

「帰ろう、アーシア」

これでめでたし、めでたしってところか…

『そうね、私ちょっとウルッときたわ…』

ティアは感動物が好きだよなぁ…

『ええ。リフレインの最後のグリリバのあの台詞は号泣しちゃったわ…』

あれ?それってエロゲじゃ……

というか、感動がティアのせいで感動が台無しだよ!!

「……というか、貴方は何者ですか?」

白髪ロリの発言に全員が「あっ!」とい声を出すが、サーゼクスは笑っておりアーシアは首を傾げている。

「それじゃあ、そのことを含めて説明しないとね」

サーゼクスの言葉に全員が耳を傾ける。

サーゼクスが口を開け、説明が…

「ここじゃなんだから学校に戻ろうか」

始まらなかった。

「夕牙君、頼むよ」

「はぁ…」

仕方なくこの場にいる全員を駆王学園の旧校舎の裏手に転移する。

そこから歩きで旧校舎内に入るが、

「あれ?」

赤龍帝が動けなかったので担いで行く羽目になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駆王学園の旧校舎二階にある一室。

《オカルト研究部》と入口にある扉を潜るとそこにあったのは魔法陣だ。

室内の殆ど…それこそ壁に天井まで魔法陣が描かれている。

「悪趣味…」

思わず口から漏れた言葉を聞き取ったのかリアス嬢が睨みつけてくるが、そこまで怖いわけではない。

表すなら…

ギロッではなくムムッという感じだ。

『的確ね』

「それではお兄様?説明していただけますか?」

リアス嬢がそう言うとザーゼクスが俺のことを説明する。

「彼にはリアス達の護衛を依頼していてね。

 今日は顔合わせをと思っていたのだが、あんなことになってしまったのだよ。」

「お言葉ですがお兄様。私に護衛など必要ありません!」

「リアス。これは既に決定した事なんだよ。それに君の体は既に君だけのものではない」

「それはあのことも関係しているという意味ですか?」

「それも含めてだよ…」

『只の兄妹喧嘩にしか見えないのだけど…』

そういうなティア。

サーゼクスにも考えが……ないな。

喧嘩は放っておいて俺は赤龍帝のもとへ向かう。

「あ。さっきはありがとな。俺は兵藤一誠。気軽にイッセーって呼んでくれ」

赤龍帝改め兵藤が笑顔で自己紹介をしてくる。

「そうか。俺は神下夕牙だ」

『なにげに夕牙のフルネームを久しぶりに聞いた気がするわ…』

そうか?

赤龍帝は現在進行形でアーシアに回復してもらっている。

「夕牙だな!よし、覚えたぜ!!」

コイツは無駄に元気だな…

なんかめんどくせえ…

『何言ってるの?ちゃんと交流しなさい!

 唯でさえ常識が欠落してるんだから』

ティアがお母さんモードで説教じみてきたので聞き流す。

向こうの喧嘩も未だに終わる気配が見えない。

そんなことをしていると、イケメンの方の金髪と巫女と白髪ロリがこっちに来る。

「あらあら。イッセーくんはもう仲良くなられたのですか?」

「僕等も混ぜてもらうよ、イッセーくん」

「……私も混ざります」

赤龍帝の怪我の回復に時間がかかっているアーシアは神器に集中しており、こちらの会話に参加できずにいた。

「今は回復に集中しろ。話は後でもできる。」

俺の言葉でアーシアは心なしか微笑んだように見えた。

「あらあら」

巫女達は俺の発言に笑顔でこっちを見ていた。

なんなんだよ…

『…って、聴いてるんですか!?

 ん?何があったの?』

ティアの説教が強制終了したので説明すると、何故かティアに褒められた。

『そう。夕牙も成長したわね。私に体があれば今すぐに抱きしめれたものを…』

なんか、最後のほうが聞こえなかったけど…まあいいや。

にしても喧嘩がいつまでも終わらないな…

『先に自己紹介を済ませなさい』

わかってるよ。

アーシアも回復が終わったのか、話に参加できそうだ。

「改めて名乗ろう。神下夕牙だ」

『もう少し自分のことも紹介できるといいんだけど……』

「僕は木場裕斗。リアス・グレモリー様の『騎士(ナイト)』です。」

「……塔城小猫です。『戦車(ルーク)』、です。よろしくお願いします」

「私はアーシア・アルジェントと申します。よろしくお願いしますね、夕牙さん」

「あらあら。私が最後になってしまいましたわ。

 私、姫島朱乃と申します。以後、お見知りおきを」

個性豊かすぎるな…

イケメンに猫にハーフ堕天使か…

「よろ」

自己紹介は終わったので後は喧嘩を仲裁するかどうかなんだが…

あんまり長引くようなら強制終了させないと…

『そうね!妹が心配だもんね!』

ちゃんとお風呂入ったのか?

『立派なお兄ちゃんになって姉さん嬉しいわ』

またティアがめんどくさいことに……




夕牙の中では完全にオーフィスが妹になってるようです。
そして、ティアが早くも壊れてきている…
そしてなにげにフルネーム初☆公☆開!!

フリード「俺っちの出番はどこですかねぇ…」

エクスカリバー編までねぇよ

フリード「!?」

お前は大人しくSAOでもやってろ


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孤独

あれ?
俺の目の錯覚かな?
オーフィスが超可愛いんだが…


神下家ではオーフィスがテレビを見ていた。

「夕牙、遅い」

以前の…いや、今までの彼女を知っているものが見れば顔を驚愕の色に染め上げるかのような発言をリビングのソファーに座っているオーフィスが発していた。

最強の一角。無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)

グレートレッドに負けてはいるが、その力はグレートレッド(それ)以外から見れば『化け物』の一言で片付けられるだろう。

つまりは、周りには誰もいないのだ。

そのままの意味ではない。

最強。それはつまり孤独ということだ。

最強が全て孤独と言われれば違うと言えるだろう…

現にオーフィスが負けたのはグレートレッドだけではない。

遥か昔…それこそ神がまだ生きていた時代では彼女は最強ではなかった。

グレートレッドとは互角だったし、二天龍に六大龍王は敵ではなかったがティアリスがいたからだ。

破滅の銀龍姫(シルバリオ・ブレイカー・ドラゴン)、ティアリス。

オーフィスやグレートレッドのように出鱈目な相手ではない。

無限…つまりは尽きることはない。故に殆ど無敵。

夢幻…つまりは夢を見るものがいる限り消えることはない。

この二人でさえ適わなかったのがティアリスだ。

ティアリス自体がすごいわけではない。

問題はティアリスの能力だ。

ドラゴンの中には希に特殊な力を持って生まれるものがいる。

代表的な例だと二天龍だ。

赤は増加に譲渡。

白は半減に吸収だ。

ティアリスは無効化に奪取だ。

つまり、オーフィスの尽きることのない力を息をするように無効化し攻撃してくるのだ。

それはすなわちグレートレッドの夢幻すら無効化してくるのだ。

彼女がいなくなるまで彼女以外のドラゴンは滅多なことでは争わなくなった。

だが、ある日突然彼女は消えた。

突然だった。

他のドラゴンは知らないが、オーフィスにとっては衝撃だった。

胸にポッカリと穴が空いたような感覚だった。

そして、再びティアリスと会ったのは夕牙の神器としてだった。

その時オーフィスの中にあった感情は嬉しさだった。

また、会えたという喜びだった。

だが、それ以上に怒りが占めていた。

自分でも敵わない相手を自分よりも弱いものが従えていた。

それが、気に入らなかった。

だから…初対面の相手に対して初めて怒りの感情をぶつけた。

だが、負けた。

いや、引き分けだった。

負けてはいなかった。夕牙は倒れてオーフィスが立っていたからだ。

だが、勝ってもいなかった。彼は最後まで諦めていなかった。

ティアリスが制止の声をかけてもその声に逆らい続けたからだ。

自分を含めたドラゴンはティアリスの言うことは聞いた。

逆らうことは絶対と言っていいほどしなかった。

だが、目の前の相手は違う。

自分が絶対にできないことを平然としている。

だから、自分の負け。そうオーフィスは思ったのだ。

その時からだろう…オーフィスの中に夕牙に対する興味が湧いたのは…

現在はその興味の度合いが問題になっている。

今までの彼女の最優先事項は故郷である次元の狭間に帰ることだった。

それはつまり、今現在あそこにいるグレートレッドを倒さなければいけない。

夕牙の力を借りればすぐにでも叶うだろう。

神器に封じられたといってもティアリスの力は絶大だ。

例えグレートレッドでもひとたまりもないだろう…

だが、オーフィスには夕牙に頼む気にはならなかった。

産まれて初めての感情だった。

「我、どうすればいい…?」

テレビを見ながら一人呟く。

答えてくれる相手はいない。

今はこの場に一人なのだから…

オーフィスの腕の中には二つのヌイグルミがある。

赤と白。

夕牙に買ってもらったヌイグルミだ。

優しく…潰れないように抱きしめる。

こうしてると落ち着く。

だが、それだけではない。

夕牙が傍に居てくれる気がするからだ。

「夕牙…」

オーフィスの寂しさは誰に気づかれることもなく募っていく。

夕牙が帰ってくればこの寂しさも癒えるのだろうか…

それはオーフィスにしかわからない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駆王学園の旧校舎での喧嘩は沈静化していた。

というよりもグレイフィアを呼ぶことによって強制終了させた。

『やっぱりこうなったわね…』

仕方ないさ、俺は早く帰りたいんだから…

「申し訳ありません夕牙様。この二人にはよく言っておきますので…」

喧嘩両成敗。

その通りの結果になった。

リアス嬢とサーゼクスの頭にはたんこぶがあったからだ。

リアス嬢の眷属は苦笑いしながら壁際まで後退している。

「ああ。こっちもいきなり呼んで悪いな」

「いえ。これがご迷惑をおかけしました。」

グレイフィアがサーゼクス(コレ)をボロ雑巾のように扱っている。

「後、仕事の顔合わせが始まってもいないんだが、どうすればいい?」

「私が引き継ぎますのでご安心ください。」

ようやく始められる…

「それでは、お嬢様。こちらの方がこれからお嬢様とその眷属の護衛になる神下夕牙様です。

 夕牙様にはこの学園に転入という形になります。」

「リアス・グレモリーよ」

グレイフィアの淡々とした紹介に、リアス嬢が両目に涙を貯めながら頭を抑えて挨拶してくる。

貴族の威厳とか有ってないようなものだ…

「改めて、神下夕牙だ。」

リアス嬢と俺とで握手をする。

『駆王学園に来て夕牙と握手?』

どんなヒーローショーだ!?

どちらかというと、『冥界に来てレヴィアたんと握手☆』ならありえそうだぞ?

『本当にありそうで怖いわ…』

「では次に眷属の紹介を…」

「あ、そっちは終わっているぞ?」

「はい?」

珍しくグレイフィアが驚愕してる。

「喧嘩が30分近く続いたから先に済ませた。」

俺の発言にグレイフィアが肩を震わせる。

「お嬢様?」

「ち、違うのよ!!だってお兄様が…」

「言い訳はあちらで聞きますね?」

そう言ってリアス嬢を隣の部屋に引っ張り込んでいく。

取り敢えず怖かったとだけ言っておく。

姫島に「今日は帰る」とだけ、伝言を頼み帰路につく。

急いで帰るとするか…

『オーフィスもう寝たのかしら?』

さあ?

ひとまず、家に向けての速度を上げた。




次回、アーシアの歓迎パーティー!!
のはず…


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転入

今回はアーシアの歓迎パーティーと言ったな…アレは嘘だ。

アーシア「!?」


「ただいま」

「夕牙、おかえり」

家に帰るとリビングからオーフィスが小走りに駆けてきて抱きついてくる。

『今すぐにオーフィスを抱き締めたいんだけど、どうすればいいの?』

我慢してください。

取り敢えず頭を撫でておくとオーフィスがニッコリと微笑む。

……………はっ!!

『今、意識飛んでたわよ?』

仕方ないさ…

これはたとえ誰であれ意識飛ぶわ…

いつまでも玄関にいるわけにもいかず、部屋へ行く。

『エロいわね…』

変な意味じゃねえよ!!

「夕牙、もう寝る?」

「ああ。きょうは買い物で疲れた…」

「我も寝る」

「おお。お休み…」

そう言ってオーフィスは自分の部屋へ…行かずに俺のベッドに潜り込んでくる。

『俺のベッド(意味深)…』

そうじゃねえだろ!!

まあいいや…

特に問題はないし…

というか…睡魔が来てるから…考える余裕が…ない…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝になるとオーフィスは昨日買ってきた服に着替えて見た目相応の…どこにでもいるような少女になっていた。

『こんな美幼女どこにでもはいないわよ?』

そういえばそうか…

服が気に入ったのかオーフィスは服を摘んでは一回転したり、動きやすさを確かめるかのようにいろんな動きをしている。

「ん。我、この服気に入った」

満足したのかいつもの席に座って朝ごはんができるのをじっと待っている。

こっちも朝ごはんの仕上げに取り掛かる。

 

御飯

里芋の味噌汁

ベーコンエッグ

ポテトサラダ

 

これが今朝の朝食だ。

「できたぞ」

「いただきます」

オーフィスのを優先して作ったので自分のは未だにフライパンにある。

半熟好きの俺としては急がないと黄身が固まってしまうので、オーフィスが食べているのを横目に皿に移す。

『それにしても…和と洋が混ざった朝ご飯ね…』

そこは特に問題無い。美味しくて栄養バランスが取れていれば問題はないからな。

『でも、夕牙は味覚がお子ちゃまだから必然的にお肉が多くなるのよね…』

誰がお子ちゃまだ!?

『去年、一ヶ月毎食ハンバーグにしたのは誰だっけ?』

あれはソースを毎回変えてたから別の料理だ。

『いや、その理屈はおかしい』

いいんだよ

「いただきます」

自分で用意した朝食を食べる。

弁当は用意してあるが、昨日の残りや冷凍食品で構成されている。

『といいつつ、卵焼きには拘ってたわね?』

卵焼きは最近作ってなかったから腕が落ちてると思う。

『落ちててアレだけできるなら私は十分だと思うのよねー』

「ご馳走様」

オーフィスが食べ終わったようだ。

因みにちゃんと手を合わせている。

教育の成果とだけ言っておこう…

『オーフィス、夕牙のご飯は美味しかった?』

珍しくティアがオーフィスにも聞こえるように語りかける。

「ん。夕牙のご飯は美味。」

オーフィスがそう言ってくれる。少し嬉しい。

やっぱりアレだな…自分の作った料理を食べてもらって「美味しい」って言ってもらうのは嬉しい。

『笑ってるわよ』

別にいいだろ?

『ええ。今とってもいい顔してるわよ、夕牙』

やっぱりティアといるのは楽しい。

今はオーフィスもいるし…

これからは幸せな日々が続きそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幸せな日々が終わってしまった…

『はやっ!?』

だって…学校なんて行ったことないし…

これまでの一般常識はティアとかに教えてもらったことばっかだしな…

今日は駆王学園に転入する日だ。

因みにアーシアも今日なので今一緒にいる。

クラスも同じらしい…

「夕牙さんは緊張してないんですか?」

隣でソワソワしているアーシアが話しかけてくる。

「そうでもない。今まで学校になんて行ったことないからな…

 正直今すぐ帰りたい。」

俺の答えにアーシアは吃驚していたがすぐに笑顔になった。

「そうなんですか?実は私もなんです。おんなじですね!」

「まぁ、俺はいろんなところを転々としてたから日本の一般常識が欠落しているがな…」

「私もここのことはあんまりわかりませんよ?」

『似た者同士ね…』

アーシアと話しているうちに教室の前に着く。

「うう。緊張します…」

隣のアーシアの御陰であんまり緊張してないのが唯一の救いだ。

『今までの生活が仇になったわね…

 せめて、普通の生活も経験させておけば…』

ティアがなにか苦悩してるっぽいけど、俺には自己紹介という壁が待っているので総スルーだ。

どうしよう…

ダメだ…どっかの眼帯黒兎みたいに名前しか言えないダメな奴になっちまう…

別に尊敬してる人の弟にビンタするわけじゃないから俺の方がマシなんだが…

あれ?よく考えれば学業はついでなんだし名前だけで『ダメよ!!』!?」

『ちゃんと自己紹介しなさい!!しなかったら後でお説教だからね!!』

退路は絶たれたか…

「どうやって自己紹介しよう…」

思わず口から漏れてしまった…

「どうやって…?はっ!?まさか日本には自己紹介の特殊な作法があるのですか!?」

案の定アーシアに聞かれた。

しかも奇跡的な誤解をしたようだ。

「そうだな。エロいポーズでやればいいんじゃないか?」

「ふえぇ!?私には無理ですよぉ!!」

適当に言ったら間に受けたようで顔を真っ赤にして首を横にブンブンと振っている。

その度にアーシアの金髪が当たって微妙に痛い。

「なら、普通にやれば?」

「で、でも…」

あれ?考え込む余地あった!?

そして、教室の中に先に入っていった教師から入るように指示がくる。

人生初の学校生活か…

今までで一番不安だ。俺…今日、帰れるかな?

『そんなにやばいところじゃないからね?』




さて、アーシアはどちらの自己紹介をするのか?
そして早くもオーフィスがオリキャラ化してきた
因みに焼き鳥はまだです。

焼き鳥「なんだと!?作者貴様!!」

うるせえな!?エクスカリバーぶつけんぞ?

そして、この物語…
連載してまだ十日ほどですが、お気に入りが100件突破しとります…
皆さん、ありがとうございます!!


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自己紹介

作者はソーたんが嫌いなわけではありません
むしろ好きだからこそです。
基本的にドSなので…


駆王学園2年生のある教室は静まり返っていた。

別に怖い担当教師の授業中という訳でも誰かがギャグで滑ったというわけでもない。

いつも騒いでいる俺を含めた男子でさえも黙っているこの状況は呑気に「珍しいなー」とも思っていたりもする。

静まり返っている理由は簡単だ。

転校生だ。しかも二人。

一人は授業前にオカルト研究部で歓迎パーティーをした俺の友達のアーシアだ。

やっぱり可愛いなぁ…金髪美少女最高!!

だが、部長に朱乃さんのお胸様も最高だし、子猫ちゃんのロリおっぱいも最高だ!!

だが、落ち着け。落ち着くんだ、兵藤一誠!!

俺はそんなことを考えているとまた女子共に「気持ち悪い!!」「ケダモノ!!」とか言われかねん!!

あ、遅かった…

既にクラス中の女子が俺に非難の視線を向けていた。

クッソー!!!俺が何をしたってんだ!?

俺だけに向けずに松田と元浜にも向けろよ!!

そして、忘れてたわけじゃないけどもう一人の転校生。

昨日会ったばかりでよく知らないが…良い奴だといいな。

名前は…神下夕牙だったっけ?

部長の護衛らしいけど…よくわからねえなー

護衛ってことは部長より強いってことか?

あの部長より強いってちょっと想像できねえな…

でもレイナーレも恐れていたよな?

ってことは俺よりも強いのは確かか…

う~ん…俺ってもしかして弱いのか?

いやそんなはずはねえ!!

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)って強力な神器もあるんだ!!

そうだ。部長とも約束したんだ!!

最強の兵士(ポーン)を目指すって!!

なら、これから強くなろう!!いや…強くなるんだ!!

大事なものを守れるくらいに…強く!!

 

 

 

 

 

 

 

 

アーシアが自己紹介しようとした途端赤龍帝…じゃなかった。

兵藤がいきなり右手を天に振り上げるようにして立ち上がった。

何やってんだ?

クラスの全員がポカ~ンとして兵藤を見ている。

それに気づいたのか、兵藤が顔を赤くして謝りながら席に座る。

クラスの連中はいつものことのようにスルーした。

アーシアは兵藤を見て、クスクスと笑っている。

俺?

取り敢えず鼻で笑ってやったよ。

案の定兵藤は怒ったような顔をしていたが…

『それで?自己紹介の方は決まった?』

なんとかなりそうだ。

具体的にはアーシアの真似をするなんだが…

担任が改めてアーシアに自己紹介するように促すが、アーシアはモジモジしている。

時折、兵藤の方を見ては顔を伏せ俺の顔を見ては「本当にやらなきゃダメですか?」的な視線を向けてくる。

仕方ないのでアーシアの耳元で「普通にやれ」と言うと、決心したように胸の前で握りこぶしを作り、自己紹介を始める。

「はじめまして。私はアーシア・アルジェントと申します。

 日本には来たばかりで慣れないことも多いですが、皆さんよろしくお願いします。」

普通に終わった。エロいポーズも何もなしだ。

期待してたら済まない。だが、認めろ。これが現実だ。

男子共はアーシアの自己紹介にお祭り騒ぎのように燥いでいる。

担任が落ち着くように指示をしても止まらないので、仕方なく俺が行動する。

こいつらを止める方法は簡単なことだ。

アーシアガあることを言えばそれで済む。

取り敢えずアーシアにそのことをいうように誘導する。

「私は今兵藤一誠さんの家にホームステイしています。」

教室内の動きが止まった。

兵藤は苦笑いしながら涙を流していた。

何故泣いているのかは俺にはわからん。

本人に聞いてみてくれ。

男子共は目から血の涙を流しながら兵藤を睨みつけている。

担任に俺の番と言われたので、「パスしていいか?」と聞いたところ…

案の定却下され、アーシアからも怒られた。

仕方ない自己紹介だ。

「神下夕牙だ。子供の頃から海外で生活していたから、こっちの生活は少々不慣れだ。

 仲良くはしなくていいから静かにしてくれれば助かる。

 ああ。俺は兵藤の家にはホームステイしていないからな」

最後の一文をいったところで、数人の女子から舌打ちが聞こえた。

あぶねえ…

こっちに実害があるならとことん潰す。

ないならどうでもいい。放置だ。

『名前だけじゃないからいいけど…

 後で愚痴るからね?』

なんでだ!?

取り敢えず自己紹介は終わりだ。

男子女子ともに騒いでいる。というよりはざわついている。

まあ、俺の発言が原因なんだろう…

その証拠かはわからんがアーシアが俺のことを寂しそうな目で見ている。

「どうしてそんな悲しいことを言うんですか?」

そう視線が言っている。

兵藤も似たような視線をこちらに向けてきている。

残りのクラスメートは怪訝な視線をこちらに向けている。

HRの時間がなくなるので席に着くように支持を受け、クラスのみんなの声も静まる。

アーシアは兵藤の後ろ。俺は兵藤の左隣だ。

なんでももともとこの席は坊主頭の男子の席だったのだが、強制的に移動させたとかなんとか…

 

 

 

 

 

 

アーシアは兵藤といつも一緒にいるから問題ないが、他のリアス嬢の眷属はそうでもないため学園の中を探索している。

生徒会室に悪魔の気配がしたが、ここにはセラフォルーの妹の眷属がいるらしいのでソレだろう。

休み時間になるたびに学園の至る場所に魔力で危険感知の印を刻む。

初めて"母さん"に教えてもらった魔力の使用方法だ。

ヴァレフォール家だからこそ出来ることらしいが詳しいことはわからない。

刻んだ印は危険を感じると刻んだ本人に教えるような感じだ。

しかも刻んだ本人にしか見えないため、印が消される心配もない。

現在は屋上で昼食だ。

まあ、自分で作ったものを食べるという簡単な作業だ。

そして、今現在一人の女子生徒に絡まれている。

眼鏡っ子でスレンダー体型で上級生だ。

「アー、オベントウオイシイナー」

「馬鹿にしているんですか?」

あ、いかん。つい無視してしまった。

かれこれ10分ほど…

「で・す・か・ら!!学園内に張り巡らしてある魔力はなんですかと聞いているんです!!」

無視。

「聞いているんですか!?」

無視だ。

てか、早く教室に帰ってくれないかなぁ…

『話してあげれば?』

最初の態度でイラッ☆ってきたからヤダ。

「少し貴方に話があります。ああ、拒否権はありませんので」とか言われたからだ。

俺は上から目線が嫌いなわけではない。

仕事の関係上そう言う奴は腐る程いた。

いちいち気にするのも面倒なので、基本的に無視するという癖がついた。

これはそのためだ。

さて、どうしよう…

『セラフォルーに連絡したら?』

やだよ。あいつもめんどいもん…

『まあ、会うたびに結婚迫られてるもんね?』

どうしてああなったんだっけ?

『覚えてないの?』

全く。

pipipipipipipipipi

電話だ。

「もしもし?」

『あ!ユーたん?』

「……なんのようだ、セラフォルー」

噂をすればなんとやらだ。しかもメガネっ娘の動きも止まった。

『ユーたんが駆王学園にいったってサーゼクスちゃんに聞いたから連絡したんだよ?

 どう、学校は?』

「今、お前の妹にカツアゲされてる」

俺の発言にメガネっ娘が「ちょっ!?」とか言ってるが無視だ。

ギャグ要員は全部無視だ。

『そんな!!ソーたんが不良になっちゃうなんて…

 待ってて!!今からそっちに行くから!!』

「来るのはいいけど仕事終わってからにしろ。後で何を言われるかわかったもんじゃねえから」

セラフォルーが来るという言葉に反応したのかメガネっ娘が冷や汗を流しながら後ずさりする。

「くるんなら連絡ぐらいしろよ?」

『うん。わかったわ。』

電話が切れたのと同時に予鈴が鳴ったので教室に戻る。

メガネっ娘?

さあな。俺はあいつの名誉のために何も言わないでおこう。




なんか全然進んでないな…

よし!!
次回は使い魔の森だ!!
夕牙の使い魔も出てくるよ!!


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使い魔

総UAが一万件突破してた。
みなさんありがとうございます。
他の作品全く進んでないけどありがとうございます。
そして、ここに来ての超展開…
ティア「超展開ってほどでもないわよ?」


こんにちは。俺だよ俺!

え?違えよ!!オレオレ詐欺じゃねえよ!!

兵藤一誠だ!!

今は昼休みでアーシアと一緒に弁当を食べてる。

松田と元浜?

ああ、一緒に飯食ってるけど数えてない。

「おいイッセー…なんか俺に向けて毒吐かなかったか?」

鋭い奴め…

「そんなわけ無いだろ…」

全く…失礼な奴だ。

俺がそんなことを考えているわけないじゃないか…

考える価値すら無いというのに…

にしても…夕牙の奴、なんであんなことを言ったんだ?

「イッセーさん、夕牙さんのことを考えているんですか?」

「ああ。あいつなんであんなことを言ったんだろうって思ってさ…」

俺とアーシアの会話にエロ坊主とエロメガネも加わる。

「気にすることないよ、アーシアちゃん。」

「そうだな。あいつはなんか気に食わん」

お前らがアイツを気に入らないのは木場と同じでイケメンだからだろうが…

木場とは違ったイケメンだが、あの言葉で人気は出ないだろうとも思うが、女子の方ではそうでもないようだ。

"あの雰囲気がたまらない!!"とか"もっと罵って欲しい"とか言っている奴もいる。

俺としてはレイナーレの部下を倒してくれたらしいから少し感謝している。

だが、イケメンは敵だ!!

………けど、アイツ悲しそうな目をしてたんだよなあ…

なんでなんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転校初日の授業は滞りなく終わった。今はあれから数日後の放課後だ。

ティアから勉強を教わっていて良かったと今日ほど思ったことはない。

仕事の内容はリアス嬢だけではなくその眷属も対象なので、授業後には兵藤達と一緒に旧校舎に行くことになる。

昨日の自己紹介の時に眷属の方には魔力でマークをしておいたからいいんだけど…

リアス嬢にはそれができずに帰ってしまったので、今日はそれをやらないとなぁ…

最悪、使い魔の"アイツ"に手伝ってもらうしかないか…

やっぱり複数人の護衛はオーバーワークになるから人手が欲しいな。

俺が純潔悪魔だったら眷属が持てたのかもしれないが、そんなことを考えていても仕方ないか…

というよりも父さんが悪魔かぁ…

想像がつかねぇなぁ…

『確かにねぇ…悪魔にしては優しすぎるわ…』

人を傷つけることが大の嫌いだったからなぁ…

『今、夕牙が復讐しようとしてるって知ったら、どう思うのかしらね?』

怒られそうだなぁ…

怒ると母さんよりも怖いんだよなぁ…

……

怒られるかな?

『確実に怒られるわね』

うあぁ…

やだなぁ…怒られずに復讐するには…

『無理ね』

無理だな。

自己解決したら、丁度部室についた。

室内にはリアス嬢の眷属だけじゃなく数日前のメガネっ娘眷属までいた。

「げっ!?」

思わず口から漏れてしまった。

「……」

メガネっ娘は睨みつけており眷属の中で唯一の男がこっちに文句を言ってくる。

「おい貴様!!会長に対して生意気だぞ!?」

「おっと、思わず本音が…」

「匙、おやめなさい」

メガネっ娘が普通に止めてきた。

こないだとは雰囲気が違う。というよりもこっちを見下していない?

『最初からこんなんだったと思うけどね』

そうだっけ?

「数日前は申し訳ありませんでした。あの後お姉さまから貴方のことをお聞きいたしました。」

メガネっ娘が頭を下げて謝罪してきた。

こいつ本当にセラフォルーの妹か?

有り得ないって言いたい…

 

 

 

 

 

 

 

「ん?」

「どうしたんだい、セラフォルー?」

「ごめんね、サーゼクスちゃん。何か今私のことを馬鹿にされたような気が…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どこかの会議室で魔王少女が電波を受信した気がしたが気のせいだろう。

さて、今日は〈使い魔の森〉に行くと聞いてたんだが…

話を察するに一緒に行くのか?

めんどくせえな…

「それではリアス、行きましょうか?」

「そうね、ソーナ。行きましょうか」

「いってらっしゃーい」

「「貴方も行くのよ!!」」

怒られた…

オレ、使い魔いるから行く意味ないんだがなぁ…

 

 

 

 

 

 

 

 

転移してきたのは鬱蒼とした樹海のような場所…

使い魔の森だ。

見た感じだと樹海だ。

しかも年中暗いので悪魔じゃないと視界が保てない。

だが、ここにしかいない魔物とかもいるため使い魔が欲しいものにとっては穴場だ。

「ゲットだぜ!」

危ない発言だ。

その声に初心者組(兵藤、アーシア他)は驚いている。

「俺の名前はマダラタウンのザトゥージ!使い魔マスターを目指して修行中の悪魔だ!」

本格的に危ないな…

「今、オレハブられた気がする…」

「匙、五月蝿いですよ」

はっ!怒られてやんの!!

ザトゥージがオススメでティアマットを紹介しているが、それは無理だろいろんな意味で…

そういや、ティアとティアマットって名前が似てるけど姉妹なの?

『いいえ、違うわよ。ただ、あの子が私を慕ってあの名前に変えたって過去はあるけど…』

何、その驚愕の展開!?

「それで、貴方は使い魔を持っているの?」

何時の間にかリアス嬢の顔がかなり近い位置にあった。

『キスしちゃえば?』

やだよ、気色悪い…

しかも兵藤が何故かこっちのこと睨んでるし…

「いるけど?」

「見せてもらえないかしら?」

「なんで?」

「気になるから…じゃダメかしら?」

「ダメ」

リアス嬢の発言に尽く即答していると、怒りマークがリアス嬢の顔に大量についているような気がする。

まあ、気にしないでおこう。

「見せてもらえないのかしら?」

「めんどい」

「………」

「………」

シュッ!!

いきなりリアス嬢が攻撃してきたので避ける。

「……」

「……何すんだよ?」

更に理不尽な攻撃が俺に襲いかかるが目を瞑って躱す。

リアス嬢の攻撃の速度が上がる。微妙に魔力がこもってる気がする。

「はぁ…はぁ…」

攻撃が止まったので目を開けると、息絶え絶えになってるリアス嬢が目の前にいた。

あの程度で疲れたのか?

流石はお嬢様だ。体力がないな。

「見せて……くれて…も…いい…じゃない」

「流石はお嬢様。体力ないなぁ…」

「お嬢様って…言われ方…好きじゃ…ないから…止めて…くれない…かしら?」

「やだよめんどくせえ」

「馬鹿…にし…てるの…?」

そこまで体力ないのか、リアス嬢…

木場達も俺が手を出さずにリアス嬢が自滅してるだけなので苦笑いしてるだけだ。

「神下君。私からもお願いします。」

今度はメガネっ娘か…

「万事屋『白刃』…金額次第でどんな仕事も請け負うと聞いています。」

「……高いぞ?」

「いくらですか?」

「初回サービス価格で、50万だ」

「「高っ!!」」

眷属たちの声が響く。

「聞いていた通り高額ですね…」

「魔王の妹だからこその金額だぞ?」

「姉は関係ありません」

「なら3000万だな」

「「増えた!?」」

当たり前だ。

コネで金額の上下はこの業界では常識だぞ?

「はぁ…まぁいい後でシスコン魔王(あっち)に請求するとして…

 そんなに見たいのか?」

「「はい!」」

仕方ない…

右手の親指と人差し指を口に咥えて音を出す。

甲高い音が森全体に響き渡るように広がる。

数秒すると、近くの木々に隠れていた生き物が音を潜めたり、遠くへと逃げ出す。

そして、俺の使い魔が現れた。

「呼んだか、夕牙?」

俺の使い魔、天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)ティアマットが…




名前被るな…
次回までになんとかしよう…

さて、これから更新速度が激落ちします。
これからもよろしくお願いします。


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馬鹿二人

あけおめです!!
今年最初の投稿がこんなに遅れてしまった。
遅れてしまって済まない。
だが、後悔はない


"使い魔の森"で部長から「使い魔をゲットしなさい」と言われて会長達と来たんだが…

夕牙の使い魔を見たいと言った部長と会長の言葉に夕牙がようやく首を縦に振って呼び寄せたのはドラゴンだった。

しかも…何故かそのドラゴンは俺を睨みつけているんだ。

殺気…って奴なのか?

体の震えが止まらない…

夕牙が俺とドラゴンの間に入っているおかげなのかはわからないけど、多分幾分かはマシなんだろう…

「取り敢えず落ち着け」

夕牙の声でドラゴンからの殺気が幾分かマシになった。

てか、本当にすげえな…

夕牙の強さがよくわかる気がする。

「ティア呼ぶぞ?」

アレ!?殺気が完全に消えた!!

本当にすげえな、コイツ!!

部長と会長も流石に驚いているのか空いた口が塞がってない。

というか、使い魔マスター(?)のザトゥージは顔を青くさせて震えている。

なんでだ?

「アレは…天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)…」

へ?

それって、さっき言ってた…魔王級に強いってドラゴンじゃ…

ええええええええええええええええええええええええ!?

マジかよ!?

俺は夕牙を見る。

すると夕牙は竜王の一角を土下座させていた。

コイツ、本当に何やってんだよ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

「取り敢えず、土下座な」

俺がそう言うと、目の前にいる俺の使い魔は素直に土下座を敢行した。

まあ、どちらかというと犬が伏せている状態にも取れるんだが…

「夕牙、土下座でもなんでもするからティアリス姉様を呼ぶのだけは勘弁してくれ」

『相変わらずね…《ラービーナ》』

《ラービーナ》

これはティアマットの呼び名だ。

俺はラビと呼んでいる。

ティアと名前が被るから俺が付けた名前だ。

最初に名乗っていた名前はなんでも赤龍帝に馬鹿にされたとかなんとかで絶対に名乗らないと決めているそうだ。

なので、俺がラビと初めて出会った時、襲いかかられたので応戦したら、

雪崩が起きたからそう名付けた。

それを教えたらラビは何故か喜んでいた。

なんでかはわからない。

『夕牙…あなたは何でそんなに…』

ティアが何か嘆いているような声を発しているがなんでだ?

俺にはわからないことが多すぎるな…

そういえば…リアス嬢達がいることをすっかり忘れていた。

あの二人はどんな顔をしている……

なんでラビの方を見て口を開けてままで固まってるんだ?

『流石に使い魔が竜王の一角とは思わなかったんじゃない?』

あ、兵藤だけは違うな。

ラビじゃなくて俺の方を見てる。

『どっちが攻めなのかしら?』

そのネタもうやめね?

いい加減しつこいと思うんだ、俺…

『仕方ないわよ、腐れも立派な文化なのだから…』

何を悟った声で妙にかっこいいコト言ってんだよ!?

『ほらほら、彼女達が正気に戻ったわよ?』

ちっ…兵藤に悪戯させようと思ったのに…

因みに一部は未だに固まったままだ。

主に匙だっけ?

あいつは何故か真っ白になっている。

「で?呼んだけどどうすんだ?」

「「え?」」

「まさか、見てみたかっただけなんてことはないよな?」

そんなことならラビが怒り狂うぞ?

メガネっ娘とリアス嬢は汗を垂らしながら顔を背けている。

多分理由を考えているんだろう。

「夕牙、食っていい?」

「まだダメだ」

「後ならいいの?」

「………後ならな」

俺とラビの遣り取りに考え中の二人は慌てて更に考える。

「いや、食うなよ!!」

「ああん!?」

兵藤のツッコミにラビが本気で殺気を浴びせる。

兵藤は全力で後ずさりして、アーシアの傍に行く。

「殺気を出すな、めんどくさい」

「ちっ!」

舌打ちしながらも殺気を消す。

それに安堵の息を漏らす眷属達。

ラビは基本的に自分より弱い相手は歯牙にもかけない。

機嫌が悪い時は別としてだが…

兵藤に絡んだのは赤龍帝を宿しているからだろう。

というか、どんだけ嫌ってんだよ…

相当根が深いぞ、これ…

『色々あったのよ…』

ティアが意味深なことを言うが、正直ティアにも分かっていないらしい。

ラビに聞いても教えてくれないし、ティアが聞いても答えないという徹底ぶりだ。

兵藤は「なんで俺だけ…」みたいな顔で顔を引きつらせている。

護衛の対象になってることだし、一応説明しておくか…

「この程度の殺気でびびんなよ…」

「だってよ~…」

はぁ、こりゃあ説明しないとダメそうだな…

「コイツは昔お前の神器の元になっている赤龍帝に馬鹿にされたとかなんやらでな…

 御陰で…今の赤龍帝であるお前を文字通り殺そうと思っているだろうな。

 というか、現在進行系で殺気を撒き散らしているからもうこれ以上の説明はいらないな…」

説明の途中からラビがまたもや殺気を撒き散らす。

取り敢えず視線で黙らせたけど…

「…………」

兵藤はまたもや銅像のごとく固まってしまった。

他のメンツは一部が「お前のせいかよ」的な視線を兵藤に浴びせている。

言っておくが、兵藤がやったわけではなく神が生きてた時の話だぞ?

それにしても根に持ちすぎだな、ラビのやつ…

『女の子なら普通よ?』

年齢考えろよ…

『私たちにはそんなの無用の長物よ?

 はっきり言ってドラゴンは基本的に寿命なんてものないから…』

え、マジで?

『完全にないというわけではないわよ?

 ただ、悪魔よりは長生きよ』

どんだけだよ…

たしか悪魔って一万年近く生きれるんだっけ?

それ以上って…

『長いものでは確か一京年生きた例もあるわよ?』

長すぎるわ!!

『まあ、その前に戦いで死んだりするからあんまり知られてないけどね』

「………はっ!」

兵藤が動き出したので改めて未だに必死で考え込んでいる二人に向き直る。

「取り敢えずここから帰るまでには答えを出せよ?」

「「わ、わかってるわよ…」」

明らかに取り乱しているな…

わかりやすい奴ら…

「おい、ザトゥージ…さっさと案内しろ」

「へ!?お、おう…そうだった」

やっと使い魔の森を探索できるな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まずはウンディーネ。

見た目はボディービルダーの女版だった。

期待していた匙と兵藤はウンディーネを見た瞬間に地面に崩れ落ちていた。

「くっそ!!俺の俺のこの期待をぶち壊しやがって…」

「ああ、わかるぞ兵藤!!」

「匙!!」

「兵藤!!」

抱き合ってんじゃねえよ、忙しい奴らだな…

『どっちが攻めなのかしら…?』

だから…

「「どっちが攻めなのかしら…?」」

こっちもかよ!?

お前らは理由は考えついたのか!?

(キング)》同士仲いいな!!

 

次に見つけたのはシルフ。

風の精霊と言われる少年だ。

ただ…馬鹿二人はロリっ子と勘違いしていたが…

「匙!!幼女だ!!」

「これは使い魔にするっきゃないよな!兵藤!!」

「シルフは種族的に性別が男だ」

ザトゥージの説明にすぐさま態度を変えたのは言うまでもなかった。

 

次はケンタウロス。

よくゲームに出てくる下半身は動物上半身は男ではなく…

動物にまたがった、全裸の女性だった。

「うおおおお!!俺もまたがられてぇぇぇぇぇぇえ!!」

「分かるぞ!!兵藤!!」

「あいつらの主食は男の肉体だ。食事的な意味で」

「「次に行こう!!!」」

その程度で怖がんなよ…

 

他にもミノタウロス、オーク、ゴブリン、トロル、コカトリス等の色々な生物がいたが、

結局使い魔にしておらずただ馬鹿(匙と兵藤)が一喜一憂していただけだった。

そして現在見つけたのが、

蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)の子供だ。

そして今は俺の肩に乗って俺の頬に体を擦りつけている。

ようは懐かれている状態だ。

「う~む…ドラゴンか…それともおっぱいか…

 いや、おっぱいは捨てきれんな…だが、ドラゴンも捨てがたい…

 おっぱいドラゴンっていないのか…」

意味のわからんことをブツブツと言っている兵藤。

おっぱいドラゴンはお前だろうが!!

おっぱい好きの赤龍帝って意味でな…

バカすぎて付き合いきれんな…

そう思って空を見上げると、人間界とは違う色の空が目の前に広がっていた。

だが、その色はいつもの冥界の空とは違っていた。

「あ、スライムだ…」

女性が嫌いなもんすたーの中でトップ5に入るモンスターが

ネバネバした体を雨のように降らせてきた。




話が進んでないけどもうちょい待ってくれや。
次の話の最後に焼き鳥入れてやるから…
後、夕牙の眷属(予定)も出るから期待しててくれ。


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不吉な予兆

やっと終わったよ…
次からはフェニックス戦だ!!
後、最後に出てくるキャラは似ているだけだよ?
口調が少し違うからセーフだよ?


「いやあああああああああああああああああ!!」

俺の耳に届いたのは美少女の悲鳴。

これはこれで興奮する。

いや、基本的に陵辱とかはアレなんだけどさ…

女の子が上げている悲鳴って妙に興奮しないか!?

同感の人は後で感想欄に挙手してくれ!!

赤龍帝との約束だ!!

そして俺の視界に飛び込んでくるのは会長とその眷属(匙以外)の制服が徐々に溶けていく光景。

最高に興奮するぜええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!

会長のスレンダーな裸体。

副会長のナイスプロポーション!!

そして他の生徒会メンバーの裸体!!

あ…匙以外な…

因みに匙は生徒会メンバーに連続コンボ入れられて崩れ落ちている。

そして、自分の仲間である我がグレモリー眷属を見ると…

スライムは部長達に届かず上空で待機している。

なんで!?

地面に落ちたスライムが接近しようとしても見えない壁に阻まれるようにして近づけない。

なんでだよ!?

くっそおおおおおおおおおおおおおお!!

部長に朱乃さんのあの素晴らしいおっぱい!!

子猫ちゃんの真っ平らに近いちっぱい!!

アーシアの手頃なちっぱい!!

俺のおっぱいがああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!

 

注意「別に赤龍帝のものではありません。」

 

くっそ!!

今なんか理不尽なテロップ(?)が流れた気がするぞ!!

なんでだ?

一体なんで俺のおっぱいが……

お前かあああああああああああああああああああ!!

夕牙ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんか兵藤の視線に殺気が篭もりすぎだろ…

一応護衛対象なんで守らないといけないんだよなぁ…

お仕事、お仕事…

魔力を練って空間に溶け込ませる。

すぐに周囲の空間を把握して、グレモリー眷属の周囲の空間を歪ませてスライムの被害が

行かないようにする。

だが、メガネっ娘眷属は知らねえ。

セラフォルーからそんなことは頼まれてないんでな…

メガネっ娘が睨んでくるが知らん。

というか触手まで出てきてもうエロゲみたいになってきた。

『よく知ってるじゃない』

アジュカが触手ゲー開発しようとしてて色々と手伝ってたし。

『あの魔王何やってるのよ…』

「こいつらは特に名称はないスライムと触手でな…

 スライムは衣服を溶かし、職種は女性の分泌液を好む性質でな…

 探索中に会うと邪魔な魔物たちだ。」

ザトゥージの説明に兵藤の殺気が消えて、何か考え出す。

そして、その口から出た言葉は俺の予想どおりの言葉だった。

まあ、予想していても本当に言うとは思っていなかったから流石にビックリしたが…

「部長!!俺、このスライムと触手を使い魔にします!!」

目が先程と違ってランランと輝いている。

考えてることがよく顔に出る奴だな…

どうせリアス嬢達に使うんだろうな…

取り敢えず、魔力を炎に変換させる。氷に変換させてもこいつらにはあまり効果がないからな。

炎への変換はセラフォルーから氷への変換方を習った時の応用だ。

空間を歪めて空中に留めていたスライムを燃やす。

「ノオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!俺の使い魔がああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」

頭を抱えて悲痛な叫び声を上げる兵藤。

顔が某有名な絵みたいになってやがる…

そこまでかよ…

おい、マジ泣きすんな!

「あのね、イッセー。使い魔は悪魔にとって重要なものなのよ?

 ちゃんと良く考えて結論を出しなさい!」

「分かりました!!」

元気よく返事をした兵藤は目を瞑って考える。

そして考えを纏めて目を開く。

その間一秒未満。

「やっぱり、使い魔にします!!!」

先ほどよりも元気に返事をしやがった。

誰かこいつ何とかしろよ…

木場は剣で、子猫は拳で、朱乃は魔力を雷に変換してスライムと触手を切り捨て、叩きつけ、焼き焦がしていく。

その光景を見て兵藤は更に悲鳴を上げる。

仕方ないので俺もメガネっ娘の方を助けてやる。

メガネっ娘だけを俺の近くに転移させる。

メガネっ娘だけというのは文字通りの意味だ。

つまり、メガネっ娘にまとわりついていたスライムや体を縛り上げていた触手は

いきなり獲物に逃げられた衝撃に戸惑っている。

流石に裸は寒そうだから俺の制服の上着をかけてやる。

『恥ずかしいだろう、という考えは思いつかなかったの?』

え?俺は恥ずかしくないけど?

『夕牙じゃないわよ…』

ティアがなんか呆れているようだが、まあいいや

『あら?魔王少女の妹さんの頬が赤くなっているような…』

へー

『どうでもよさそうね?』

正直どうでもいい。

取り敢えず今は仕事中だし、あのクソ堕天使を殺すまではどうでもいい。

『その後は?』

……………………

そういえば…考えたことなかったな…

『実はこの件何回もやってるんだけどね…』

そうだっけ?

まあいいや。

そして先程までメガネっ娘がいた地点には触手とスライムが蠢いている。

そこに魔力を叩き込む。

魔力は炎に変換され、その空間にいるモノを塵も残さず燃やし尽くす。

スライムはそのゲル状の体を炎に焼かれ蒸発され、

触手は体の表面にある自身の体液を分泌させ抵抗していたが、その抵抗は一秒も持たなかった。

体液は瞬く間に蒸発し、その体を生きたまま焼き焦がす。

スライムと触手は自身の命が失われていくのを感じながら必死に抵抗する。

だが、その抵抗も虚しく俺の放った炎に無慈悲に焼かれていく。

「スラ太郎ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!触手丸ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!」

兵藤が絶叫してスライムだったものと触手だったものを抱え上げるが、

抱え上げた兵藤の手からボロボロと残骸が地面に落ちて更に砕けて塵になる。

「世界は広いな…スライムと触手をあそこまで求めた悪魔は彼が初めてだよ…」

さすがのザトゥージも驚きを隠せないようだ。

それに対してリアス嬢が謝罪している。

まあ、自分の眷属だもんな…

リアス嬢も当初はこんなに変態だとは思わなかっただろうに…

というか、名前をつけるの早いなぁ…

何時の間にか蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)が俺の肩を離れ空中を自身の羽で飛んでいる。

そして蒼雷龍の体を蒼い電気が纏っていく。

兵藤ごとスライムと触手を蒼い雷撃で焦がして燃やしていく。

メガネっ娘の眷属も巻き込まれていたが、その体には傷一つなくまとわりついていたゴミ(スライムと触手)だけが崩れて塵となった。

「蒼雷龍は外敵と認めた相手以外には危害は加えないんだ…」

成程。つまり外敵は俺を除いた男衆ってことか…

木場はさりげに殺気を蒼雷龍に向けているし、既に気絶している匙、ザトゥージと兵藤は言うまでもなし。

「なんで夕牙は無事なんだよ…」

掠れた声で兵藤が疑問をぶつけるがそんなのはアーシアの頭の上に乗っている蒼雷龍に聞いてくれ。

「くっそー、あいつらを使っていっぱいエロいことを学園でやろうと思っていたのに…」

生徒会のメンツは体が痺れて動けない兵藤を蔑むような目で見下している。

流石に擁護できねえ…

あれ、兵藤と木場の護衛出来てない気が…

まあ、死んでないしいっか…

結局アーシアが懐かれたようでそのままアーシアの使い魔になった。

匙と兵藤は使い魔を手に入れられなかったようだ…

まあ、久しぶりにラビと会えたしなかなか楽しめたな…

 

 

 

 

 

 

 

 

「くくくくくくくくくくくくく…」

不気味な笑い声が部屋の中を駆け巡る。

「やっとだ……やっとこの日が来たか…」

男の声だが、部屋の中は明かりがついておらず声の発生源はわからない。

「待っていろよ、リアス…」

唯唯、男の声が響くだけ…

声の通り、リアス・グレモリーに危機が迫っていた。

それがわかるのはあとのお話…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すみません。ご足労頂いて…」

部屋に入ってきた女性に対して頭を下げるのは紅い髪の青年…魔王の一人である、

紅髪の魔王(クリムゾン・サタン)》、サーゼクス・ルシファーだ。

部屋に入ってきた女性はサーゼクスの行動を歯牙にもかけず部屋の中に入る。

「別にいいわよ。」

短く済ませる。

女性というよりは少女だ。

見た目は十代後半にしか見えないが、彼女の年齢は見た目どうりの年齢ではない。

部屋の中にいたのは、一人の女性に二人の男性。

サーゼクスを合わせて四大魔王と呼ばれている悪魔陣営のトップだ。

「あ、お久しぶりです。先生☆」

彼女にいち早く気付いたのは唯一の女性である、セラフォルー・レヴィアタンだ。

「ええ。久しぶりね、セラフォルー」

セラフォルーの声で本を呼んでいる男と机に突っ伏してだらけている男も気づく。

「これはこれはアンナさん。ご無沙汰しています」

「あー、挨拶すんのダルイ…」

最初に声をかけたのは本を読んでいた男…アジュカ・ベルゼブブ。

そして、机に突っ伏していた男…ファルビウム・アスモデウス。

「相変わらず、だらしがないのね、ファルビウムは。

 アジュカとはいつ以来だったかしら?」

「以前お会いしたのは、半年ほど前でしたね…」

四大魔王が揃って立場的に自分たちより下の立場である、

アンナと呼ばれた女性に対して遜って接しているのには理由があった。

「貴方達は魔王なんだから私のことぐらい顎で使いなさいな…」

女性の呆れた声に答えたのはセラフォルーだ。

「ダメです☆先生は私達の家庭教師でしたしね♪」

「はぁ。そんなの貴方達が本当に子供の頃の話じゃないの…」

何年前の話よ。とアンナの呆れ声に苦笑を浮かべる四大魔王。

「それで?また魔王の仕事を手伝って欲しいの?

 私、これでも忙しいのだけれど…?」

その言葉に四大魔王が全員動きを止めた。

「領内の仕事は《全方向の狙撃手(オールレンジ・スナイパー)》が全てやっているはずでは…」

代表してサーゼクスが聞くと…

「何言ってるの?新しい拷問方法に決まっているじゃない」

アンナの嬉しそうな表情に顔を青くさせる四大魔王。

「さ、流石は《拷問地獄の女帝(ヘルズ・トーチャー・クイーン)》、アンナ・マレウス…」

アジュカの言葉に心底嬉しそうな笑顔を浮かべるアンナ。

「そういえば、リアスちゃんの結婚…もうすぐなんですって?」

「え、ええ。少し一悶着ありそうなんですがね…」

「あら。トラブルは大好きだから見物に行かせてもらうわ」

アンナの楽しそうなものを見つけた目にサーゼクスは引き攣った笑みを浮かべるだけで、

他の三人は同情の視線をサーゼクスに向けていた。




何時もより少し、長くなっちまったけど大丈夫だよね?
因みに、夕牙の眷属は決まったよ。
オリキャラ作んのめんどいから他作品キャラで行くよ…
大丈夫。口調とか変えるから…若干…


「おい!!俺の台詞が少ないじゃないか!!」
うるせえな焼き鳥!!!
超究極聖水ぶつけて浄化すんぞ!?


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戦闘校舎のフェニックス
婚約者


久々の幼女登場!!
というか初っ端の過去話的なアレがすぐにバレそうだ…


私にとって…あの人は憧れで命の恩人で姉同然の人だった…

だから…あの人が消えた時はショックだった。

私はあの人の次に皆を纏めなければいけなかったのに…

ダメだった……

体から力が抜けて平衡感覚すら無くなった。

目から涙が溢れてきて止まらなかった。

喉から声が出てきて止まらなかった。

体中の水分が出尽くしたかと思った…

喉が枯れて声が出なくなっても叫び続けた…

私を置いていかないでよ!!

ずっと一緒にいるって言ったじゃない!!

もう…一人は嫌なのよ!!

そう心の中で叫んでいた。

もしかしたら、声に出して叫んでいたのかもしれない…

気づいたときには…

自分の部屋で引き篭っていた。

あの子のこと言えないわね…

それから…なんとか折り合いを付けるのに随分と時間がかかった。

明確に復活できたと自覚できたのは…

あの人の領地を守ると決めたあの時だった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

使い魔の森から帰ってきてから既に2週間…

アーシアは蒼雷龍に"ラッセーくん"という名前をつけて可愛がっているようだ。

あれから変わったことは特にないが、強いて言えばリアス嬢と兵藤が早朝に鍛錬と称した子供騙しの肉体作りに精を出しているぐらいだ。

護衛として俺も付き合っている。

さりげにアーシアも加わっているが、アーシアの体力が全くと言っていいほどなかったので、

基礎の基礎の基礎である筋トレするための体力を作る体力作りという意味のわからないトレーニングをさせることになった。

リアス嬢は最近上の空で、時折空を見上げてため息をついている。

今更深窓の令嬢ぶってもリアス嬢が凶暴なのは隠せんぞ?と言ったら、

何故か怒られた。

『当たり前でしょう…』

俺にはわからん。

サーゼクスにも聞いてみたところ、近々リアス嬢が婚約するそうだがそれを拒絶しているからだそうだ。

まあ、仕事に関係ないから別にいいか…

ただ、サーゼクスがその後奇妙なことを言っていたな…

確か……

「少し一悶着ありそうだから、色々と頑張ってくれたまえ。…もう本当に色々と頑張ってくれ」

なんか必死だったのを覚えている。

何なんだ?

因みに今日はリアス嬢と兵藤の二人はおらず、俺とアーシアとティアの三人だけだ。

『あら、私も数えてくれるの?』

は?当たり前だろ?

『なんでこの子はこんなにいい子なのかしら…』

あ、ティアのスイッチ入った。

仕方ないからティアは放置してアーシアのトレーニングに意識を戻す。

未だにアーシアの体力は底辺のままだ。

「はぁ…はぁ…んぅ……はぁ…」

御陰で未だに1kmも走れない。

無理に走ろうとしてもその前に体力が尽きるという、ダメっぷりだ。

「大丈夫か…?」

「は…はいぃ……大…丈夫…です……よ……」

全然大丈夫じゃないな…

「今日はもう終わりだ」

「私は…まだ…いけ…ますよ…」

「時間だ」

「はぁ…はぁ…わ…わかりましたぁ…」

体力の無さに全俺が泣いた…

取り敢えず運動部のマネージャーのようにアーシアにタオルとスポーツ飲料を渡す。

アーシアは地面に座り込んでいて息を整えるのに必死になっている。

仕方がないので温めにしたスポーツ飲料をストローでゆっくりと飲ませてやる。

汗まみれの体を拭くわけにもいかないので、髪の汗をタオルで拭いてやる。

「ありがとうございます、夕牙さん」

ようやく息が整ったようなのでアーシアを兵藤の家に送ってやる。

最初よりは体力が付いたがもう少し付いて欲しかったな…

本格的に体力付けさせるとなると…半年ぐらいかけて一日に5、6回は血反吐吐くくらいやらないとダメかもしれないな…

「にしてもあの二人はどうしたんだ?」

「部長さんは昨日の夜から朱乃さんと一緒にどこかに行っているそうです」

ふーん…

昨日の夜にグレイフィアが来たのと関係ありそうだな…

「じゃあ、兵藤は?」

「イッセーさんはわかりません…お部屋でいろいろとやっていましたけど…」

「ふ~ん」

いろいろ……ねぇ…

そういえば、昨日の夜に兵藤からメールが来てたな…

確か内容は……

『部長の処女をもらってやれなかった。どうすればいい?』

だったな……は?

遂に妄想と現実の区別もつかなくなったか…

取り敢えずこのメールは見なかったことにしよう…

そんなこんなで兵藤の家に着いた。

アーシアとはここで別れて自分の家に向かう。

一悶着ある……ねぇ…

なんかめんどくさくなりそうだな…

護衛の増援としてラビでも呼ぶか?

あ、ダメだ。

アイツ護衛に一番向いてないわ…性格的に

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

「夕牙、おかえり」

玄関の扉を開けると、リビングの方からオーフィスが黒い兎のヌイグルミを抱っこした状態で出迎えてくれた。

今日のオーフィスはワンピースを着ていた。

流石は俺の妹。

可愛い。素直にそう思える。

「夕牙、お腹が減った」

「へいへい。少し待ってろ」

最近はオーフィスがこうして朝食を急かしてくる。

御陰でレパートリー考えるのも大変だ。

取り敢えず最終手段はお茶漬けだな。

「我、お茶漬けでもいい」

「心を読むな!!

 座って待ってろ!!」

オーフィスはトテトテとリビングのテーブルに行き、

言われた通りに椅子に座る。

座ると床に足が届かないので足をブラブラさせている。

『なんか無性にオーフィスを抱きしめたくなってきたわ…

 体が恋しいわ…』

おい、オーフィスが震えてるぞ?

『なんでかしらね?』

まあいいや。

「出来たぞー」

そんなことより朝食だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

時は飛んで放課後。

オーフィスは例によって留守番だ。

最近は特にはぐれ悪魔とか来ないから気が楽だが、護衛の特性上気を抜くわけにもいかない。

今は旧校舎に木場と兵藤とアーシアと一緒に向かっている途中だ。

2時間目の途中にグレイフィアが旧校舎に来てたからなんかありそうだ。

めんどくさいのは勘弁だ。

因みに今日の授業前に兵藤はメガネとハゲにダブルラリアットを喰らっていた。

辛うじて聞き取れた言葉は「ミルたん」という言葉だった。

なんのことだろうな?

そして、部室前…

「…僕がここまで来て初めて気がつくなんて…」

扉を開けようとした木場が悔しそうな声で呟く。

なんだ、気づいてなかったのか?

「入るぞー」

木場の代わりに俺が開ける。

因みに兵藤とアーシアは毛ほども気づいておらず、首を傾げているだけだった。

部室にいたのは、いつものメンツに加え銀髪の人妻メイド…

グレイフィアだ。

「全員揃ったわね。部活を始める前に少し話があるの」

機嫌の悪そうなリアス嬢が話を始めようとする。

グレイフィアが代わりに話そうとするも、リアス嬢がそれをいらないと、手で遮る。

「実は━━」

リアス嬢の言葉は続かなかった。

部室の床に描かれた魔法陣がその紋様を変える。

俺の記憶が正しければあの紋様は…フェニックスだ。

「――フェニックス」

木場がそう呟いたのを聞いて確信が持てた。

魔法陣から炎が溢れる。

危ないので旧校舎入口付近にある消化器の中身を魔法陣の真上に転移させる。

俺の転移魔法と魔法陣から人影から現れるのはほぼ同時だった。

「ふぅ、人g…」

魔法陣から現れたホスト崩れの悪魔が真っ白になった。

「「……………………」」

この場にいる全員が何も言えずに黙ったままだった。

「消化完了」

取り敢えずリアス嬢に親指を立てて報告しておく。

リアス嬢はさっきまでの不機嫌な雰囲気ではなく顔を引きつらせていた。

「貴様アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

うるせええな白貴族…

「世界は広いな…全身真っ白な悪魔は初めて見たわ…」

俺の呟きが聞こえたのか、白貴族が全身をワナワナと震わせている。

「貴様アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

白貴族の怒声と共に再び炎が舞うが、消火器の中身はまだ半分ほど残っているのでもう一回ぶちまけてやろうと思ったが、

「双方ともお収めください」

グレイフィアに止められた。

白貴族も悔しそうな表情で炎を消す。

白貴族はそのままリアス嬢の傍まで行き、

「愛しのリアス。会いに来たぜ」

気障ったらしくリアス嬢に言い寄るが…

「ライザー御免なさい。今の貴方冗談抜きで臭うから近寄らないでくれるかしら…」

リアス嬢はドン引きだった。

「ブッ…」

誰かが吹き出した。

因みに吹き出したのは兵藤だ。

またしても白貴族がワナワナと震えだす。

「ライザー様」

白貴族がまたもや叫ぼうとしたがグレイフィアに諭される。

埒があかないようなのでグレイフィアが説明し出す。

「知らない方もいますのでご説明させて戴きます。

 こちらはライザー・フェニックス様…

 リアスお嬢様のご婚約者になります」

グレイフィアの言葉に兵藤の動きが止まる。

「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええッッ!?」

兵藤の叫び声が部室内をピンボールのように跳ね回る。

てか、うるせえよ…




取り敢えず俺から焼き鳥に一言…

ざまあ


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初めての…

この話投稿しようか迷ったから投稿するわ。

この話は別に読まなくても大丈夫だよ。

ただのイッセーの初体験未遂だから


領地の大半は三つ巴の戦争で生き残った『元七十二柱』の一つであるアガレスに預けることとなった。

正直私は彼のことを信じていない…

アンタがあの人にしたことを私は許していないわよ?

アガレス…アンタは私を怒らせたのよ?

まぁ、これに関してはグレモリー、フェニックス、シトリーにも言えることね…

あんな変態が当主なんて貴方達の一族はおしまいね…

この変態一族共め…

確か、フェニックスは私にもやろうとしたことがあったわね?

自虐ってわけじゃないけどあんたらロリコン?

はぁ…まぁそれはいいわ。

今度拷問しに行くから…

本邸宅を中心にした僅かな領地を私達は現在進行系で守り続けている…

今でも私達は主の帰還を待ち望んでいる。

あの人は死んでいない。

あの戦争に生き残ったんだもの…

この程度のことであの人が死ぬわけない…

絶対に……死ぬわけ…ない…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりだな!

俺だ!おっぱいの伝道師だ!!

え?帰れ?

なんでだよ!?

今日の部活も無事に終わってアーシアと一緒に帰宅したところだ。

アーシアは悪魔としての初仕事だったからか、結構緊張していたみたいで先に風呂に入っている。

べ、別にエロい意味じゃないぞ!?

にしても、最近の部長は少しおかしい。

何かに悩んでいるようにも見えるし、性欲を持て余しているようにも見える。

後者だったら俺の出番だな!!

うへへへへへへ……

あのおっぱいが…俺の目の前で…

うへへへへへへへ……

おっと、いかんいかん…

俺の清楚なイメージが崩れてしまうところだった。

前者だったら……俺で役に立てることだったら全力でなんでもしてあげるんだが…

……ん?

部長が俺の言うことをなんでも聞いてくれる?

 

注意『ただの馬鹿です』

 

…………ブッ!!

おっと、いかん鼻から俺の欲望が流出しちまった。

こういう時は座禅だったか?

………痛ええええええええええええ!!!???

馬鹿か俺は悪魔がお経を唱えてどうするんだよ!!

危うく成仏するところだったぜ…

頭を抑えて転げまわっていると部屋の中に魔法陣が現れる。

いつも見ている魔法陣だ。

つまりはグレモリー家の魔法陣…

恐らくは部長からの重要なお知らせってところか?

ふふん。

俺にだってこれくらい分かるぞ?

魔法陣から浮かび上がるのは女性のシルエット。

あの大きさからして部長か朱乃さんのどちらかだな…

紅い髪…ってことは部長だな。

「イッセー、私を抱きなさい」

一瞬何を言われたのかわからなかった。

だってそうだろ?

いきなり現れた女性から、

「貴方の言うことをなんでも聞きますから可愛がってください」

なんて言われたら…

 

注意『ただの妄想です』

 

俺が止まっていることに部長は聞こえなかったと勘違いしたのかもう一度言ってくれた。

しかも、わかりやすくだ…

「私の処女を貰って頂戴。至急頼むわ」

部長…その日本語は刺激的すぎます…

 

 

 

 

 

 

 

慌てた俺は取り敢えず夕牙にメールをしたが返信は来なかった。

クッソー!!!

俺は一体どうすればいいんだ?

取り敢えず落ち着け俺!

こういう時は……おっぱいを数えるんだっけ?

おっぱいが一つ。おっぱいが二つ。おっぱいが…三つ…。

ダメだ!!興奮してきた!!

俺の股の乳龍帝の愚息(ブーステッド・ギア)が《Boost!!》しちまう!!

「ほら、ベッドへお行きなさい。私もすぐに支度をするわ」

だから部長。

俺の思考が未だに追いついていないんですが…

「ぶ、部長!?」

いきなり俺の目の前でいきなり行われる部長の健康的なストリップショー…

純白のおパンツ様!!

最高の脚線美!!

撫で回したい太もも!!

至高のおっぱい!!!!!!!!!!!!!

「イッセー、私では不足かしら?」

「い、いえ…」

むしろ大歓迎です!!!

けど……

脳裏にチラつくのは俺の初めての彼女の顔だ。

俺が部長の誘いに乗ったら…

彼女を裏切ってしまうという思いがあるわけではない。

部長とあの子の顔がダブって見えるんだ…

部長にまで裏切られたらどうしよう…

この思いが俺の一歩を踏みとどませる…

「いろいろと考えたのだけれど、これしか方法が思いつかなかったのよ」

部長、俺が言うのもなんですけど…

それいろいろと間違ってません!?

「既成事実ができてしまえば文句もないはず。身近でそれが出来そうなのはあなたしかいなかったのよ」

部長…俺の頭がもうパンパンでよくわかんないです…

つまり…部長の○○○(ピーーー)○○○(ピーーー)して○○○○○(ピーーーーーー)すればいいんですかね!?

あ、ダメだ…頭がクラクラしてきたぞ…

「……祐斗ではダメ。彼は根っからのナイト。だからイッセー、貴方しかいなかったの」

木場に勝った?

なんかよくわからんけど、ざまあみろイケメン!!!!

「部長、夕牙はダメなんですか?」

俺は無意識のうちにそう聞いていた。

「あの子は知らないことが多すぎるし、言い方は悪いけど得体が知れないから候補にすら挙がってないわ」

いよっしゃあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!

あいつにだけは勝てないと思ってたけど何時の間にか勝ってたぜええええええええ!!!

「頼んでから数分で情事に持って行ってくれそうなのは貴方ぐらいだもの」

アレ?

これって褒められてるんだよな?

部長は遂に全裸になって俺に跨ってくる。

やべえ…

これはやべえ…

部長の最強のお胸様が拘束を解かれて暴れてやがる…

俺のブーステッド・ギアも暴れちまいそうだぜ…

「イッセーは初めてよね?」

「は、はい!!初めてです!!」

思わず声のボリュームを《Boost!!》してしまう。

「そう。お互い不慣れでしょうけど大丈夫よ。私の"ここ"に貴方の"それ"を収めるだけよ」

部長…エロすぎて俺のブーステッド・ギアが《Explosion!!》しちまいそうです…

不意に部長が俺の右手を部長のお胸様に持っていく。

なんだこれわ!?

言葉に現せねえ…

言葉に現した瞬間にこの部長のお胸様が消えてしまうのではないかという錯覚に囚われる。

もうすげえ、としか言えない。

御陰で俺の欲望が鼻から流出してしまった。

俺の意識は部長のお胸様に吸い寄せられていく。

俺はするのか?

今から部長と大人の階段を上るのか?

そんなことを考えていると部屋に再び魔法陣が描かれていく。

部長が来た時と同じ、グレモリー家の紋章が描かれた魔法陣だ。

朱乃さんも来ての3Pか!?

それとも子猫ちゃん!?

木場と夕牙以外ならいいけど…俺の思考がもうはち切れそうなんだが…

「一足遅かったわけね…」

部長の一言で俺のはち切れそうだった思考が徐々にしこうが現状に追いついてくる…

魔法陣から現れたのは銀髪のメイドさん。

「こんなことをして破談へと持ち込もうというわけですか?」

こんなこと?

こんなにエロい(素晴らしい)行為をこんなこと呼ばわり?

いくらメイドさんといえど俺の怒りが爆発するぞ?

「こんなことでもしないと、お父様もお兄様も私の意見を聞いてくれはしないでしょう?」

部長まで!?

「このような下賎な輩に操を捧げると知れば旦那様もサーゼクス様も悲しまれますよ」

なんか罵倒されたが俺はMではないので喜べない。

というか、ちょっとショック…

部長はメイドさんの発言に腹を立てて怒りを孕んだ声で反論する。

「私の貞操は私のものよ!それに例えあなたでも私の可愛い下僕を下賤呼ばわりするのは許さないわ!!」

部長…俺のために怒ってくれて感激です…

その後は銀髪のメイド、グレイフィアさんに自己紹介され、部長が俺の名前を読んだら、グレイフィアさんに驚かれた。

取り敢えず俺の今の状況は自分のベッドで半脱ぎの状態で茫然自失(?)としている状態だ。

「イッセーさん、お風呂空きましたよ」

アーシアの声で我に返ると部長とグレイフィアさんが魔法陣で帰ってから五分後のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

「ということなんだ」

「回想なげえよ!!」

なんか夕牙に怒られた。

これ、理不尽じゃね?




特に書く事がないや…


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非公式

部長の全裸が見れると思ったかい?
残念だったな、それはブラフだよ…


私は守られてきた…

だからあの人が守ってきたここを今度は私が…

ううん…

私達が守る!!

他の有象無象にこの場所を奪われてたまるもんですか!!

私達の想いに上層部の殆どは反対していた。

当主のいない土地を遊ばせておくわけには行かない?

ここは私達の土地よ?

それを渡すぐらいなら…私達全員で"はぐれ"になってでも守り抜くわ!!

これが私達のいなくなってしまったあの人に対しての忠誠。

我が主、アイリス・ヴァレフォール様…

我らは今でも貴方のご帰還を信じております。

 

 

 

 

 

 

ホスト崩れの白貴族、ライザー・フェニックスは真っ白だった体を自身の炎で包むことによって浄火した。

兵藤は口を開けたままライザーを見て固まっている。

ライザーは部室のソファーに座って寛いでいる。

リアス嬢の眷属にとってはこの上なくウザイんだろうけど、俺にとっては護衛の邪魔さえしなければ心底どうでもいい。

「いやー。リアスの『女王』が入れてくれたお茶は美味いな」

「痛み入りますわ」

朱乃の声が冷たい。

コイツどんだけ嫌われてんだ?

しかもそれに微塵も気づいてないとか…

『自称オリ主(笑)みたいね…』

いや、そうだけどさ…

俺もそう思ったけどさ…

「いいかげんにして頂戴、ライザー!!」

遂にリアス嬢がキレた。

まぁ、さっきからセクハラしまくりだったし仕方ないわな…

しかもこのホスト崩れ未だにニヤニヤしてやがる…

『ドMなのかしら?』

「以前にも言ったはずよ、ライザー!!私は貴方とだけは"絶対"に結婚なんてしないわ!!」

完璧に脈無しじゃねえか!!

少しだけこのホスト崩れが可哀想になってきた…

『夕牙は優しいわね…

 私はこんな屑に同情なんかしないわよ?』

リアス嬢とホスト崩れの口論はなおも続く…

話を聞いていると、古い家柄特有の柵やら、帰属特有の固定概念やら…

悪魔陣営は先の三つ巴の戦争によって爵位持ちの『七十二柱』と呼ばれていた家の

おおよそ半分が断絶しているので現在は『悪魔の駒』で転生悪魔になった者たちが

頭角を現してきているそうだ。

要はクソ戯けたプライドが引き起こしているということでいいんだろう…

しかも結婚しないって二回目をリアス嬢が大声で宣言しだした…

これにはさすがのホスト崩れも頭にきたのか、炎を撒き散らしながら怒り出す。

もう一回消火剤を撒き散らしてやろうと思ったけど、また同じことの繰り返しになるのはめんどくさい。

「俺は君の眷属を全て燃やし尽くしてでも君を冥界につれて帰るぞ!!」

流石に看過できないので俺は神器を使うことにした。

手に現れたのは何時もどおりの銀色に輝く大鎌。

炎程度ならまだ『秘技・消火剤召喚』でどうとでも出来るんだが、

殺気まで混ぜられると洒落にならん。

手にした大鎌を一閃する。

それによってホストから撒き散らされていた炎が消える。

ホストは兵藤達に向けられていた殺気が俺に集中するが、この程度なら涼しいものだな。

まだそこで「だから喧嘩すんなよ、コラ!!」って顔してるグレイフィアの方が怖いからなぁ…

『睨まれてるわよ?』

なんでだよ?

「はぁ。やはりこうなりましたか…

 これ以上続けるようでしたら、我が主、サーゼクス様の名誉のためにも遠慮はしません」

人妻メイドがやっと動いたか…

「最強の『女王』と称されるあなたにそんなことを言われたら、俺も流石に怖いよ。

 サーゼクス様の眷属とは絶対にやりあいたくないのでね…」

え?

俺、グレイフィアに勝ったことあるんだけどこれ言ったら怒られるかな?

というよりもグレイフィア程度だったらどうにかなるわ。

流石に本気は出すし、『禁手化(バランス・ブレイク)』するけどな…

「こうなることは、旦那様もサーゼクス様もフェニックス家の面々も重々承知の上です。

 これが最後の話し合いだったのですが、仕方ありません。

 最終手段と行きましょう。」

「最終手段?」

「お嬢様。ご自身の我が儘を貫き通されたいのならば、ライザー様と『レーティングゲーム』にて勝利なさってください」

「――ッ!?」

やっぱりか……

だが、ホスト崩れはともかくリアス嬢はまだ未経験のはずだ…

結果は火を見るよりも明らかだな…

兵藤とアーシアはなんのことだかわからないという顔をしていたが、木場が小声で補足説明している。

「いいわ。決着をつけましょう――ライザー」

リアス嬢は一も二もなく返答する。

勝機があるのか?

どうもそう見えないんだが…

「承知しました。では両家の立会人として私がこのゲームの指揮をとらせていただきます」

最終確認としてグレイフィアが今一度両者に確認を取る。

「ええ」

「ああ」

両者の確認が取れたことによって、非公式ではあるもののレーティングゲームが行われることとなった。

「それでリアス。まさか、ここにいる面子が君の下僕なのか?」

「俺は違うぞ」

ホストの問いに答えたのはリアス嬢ではなく俺だ。

俺までカウントされたら非常にめんどくさい。

俺の返答に続いてリアス嬢が俺以外の面子で全てだという。

リアス嬢の返答にホストが笑い出す。

見た目からして頭が可哀想だから仕方ないか…

『そうね。激しく同意するわ』

なんか今日のティア冷たいんだが…

ホストが自分の眷属を魔法陣から呼び出す。

その数15名。

つまりは質より量の精神なのか?

それともただハーレムを作りたいのか?

なんか、兵藤が発狂しそうだな…

兵藤の方を見ると…泣いていた。

『予想通り過ぎて詰まらないわね…』

「お、おい…リアス。君の下僕が俺のことを見て号泣してるんだが…」

さすがの白貴族も困惑しているな…

リアス嬢は額に手を当てて呆れ果てている。

「その子の夢なのよ。きっと貴方の眷属を見て感動したんだと思うわ」

リアス嬢の言葉が正解です!というように兵藤が泣きながら首を縦に振る。

「きもーい」

「ライザーさまー、この人気持ちワルーイ」

「ホント、まじ死ねよ」

白貴族の眷属に混じって俺の気持ちも吐露しておく。

「お前まで!?」

兵藤のツッコミが来るがぶっちゃけ送り返したい。

「夕牙!!お前も男ならハーレムに興味ぐらいあるだろ!?

 それでも男かよ!!!」

兵藤がなんか今までに見たこともないようなぐらい気合を入れている。

正直ウザイ。

知り合いの情報屋の『水銀の蛇』ぐらいにウザイ。

まあ、あいつは宇宙一のウザさだから兵藤の方が未だ遥かにマシだが…

「あんなブス共に興味はねえ」

俺の一言に部屋の空気が凍った。

「ちょっ…おまっ!?」

兵藤が慌てふためいているがどうしたんだ?

兵藤は俺の後ろを指差していたので振り返るとそこには仮面の女がいた。

「イザベラ、構わん好きにやれ」

白ホストはニヤニヤしながら仮面の女に命令する。

どうせ、おれが無様にやられるのを期待しているのと、さっきの消化器の恨みか?

仮面の女は主の命令に従い俺に自身の拳で襲いかかる。

だが、正直言って遅い。

武器も魔力も使わないところを見ると、『戦車』か『兵士』だな。

そういえば…

冥界の芸人で拳で冥界最強の人がいるという噂があったな…

あれって確か…『マッキー☆大嶽』だったけ?

あの人に一度だけ依頼を受けたな…

確か3年前のことだったな…

『一人で回想しながら避け続けないの』

この程度なら余裕。

「す…すげえ」

兵藤の驚きの声が部室内にいる奴らの思いを代弁していた。

仮面の女は俺に攻撃を当てられないことに歯噛みしていた。

「流石にめんどくさいなぁ…」

めんどくなったので…もとい、飽きたから終わらせる。

『全然言い直せてないわよ?』

大丈夫だって、問題無い。

既にこの部屋の中は俺の()()()で満ちている。

俺の魔力で反応する仕掛けなのでこいつらにはバレても問題ないな…

という訳で仕掛けの一つを作動させる。

俺の目の前から仮面の女が消えて、白ホストの真後ろに現れる。

それは一瞬のことだった。

いつまでも当てられないことに業を煮やしたのか、彼女にとっての最大威力を大ぶりで振りかぶろうとしたその姿のまま彼女の主の真後ろに現れた。

振りかざした拳は突然には止められない。

そして、次の瞬間…

ゴガン!!!

してはならない音が白貴族の頭から聞こえた。

仮面の女の拳が白貴族の頭にクリティカルヒットしたのだ。




取り敢えず前回に引き続き、焼き鳥にはお仕置きです。

因みに冒頭のとある貴族は伏線です。


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御家断絶?

ライザーの呼び方がバラバラなのは仕様です。

さて、ライザーはもう終わったな…


三つ巴の大戦から数年後のことだった。

私の家を含めてあの大戦を生き残った『七十二柱』の一族は半分以下だった。

悪魔を従えていた四大魔王様は戦争で死んでしまったために、悪魔社会には新たな変革が促された。

悪魔の駒(イーヴィル・ピース)

チェスに準えたこの制度によって、悪魔はその数を着実に増やしていった。

斯く言う私も自分の眷属をきちんと作っている。

皆、私の家族も同然。

このまま平和な日々が続いて、好きな人ができて、その人と結婚して、愛するその人との間に子供を作ると思っていた。

あの時……突如現れた謎の軍勢に襲われるまで…

私はこの平穏が壊されることを想像すらしていなかった…

 

 

 

 

 

 

 

白貴族の頭は潰れていた。

いや、文字通りの意味で…

自分の眷属に潰されるとは思っても見なかっただろう。

白ホストの体が突如炎に包まれ、その炎が消えるとそこには無傷の白貴族がいた。

流石に不意の一撃だったからか、白貴族は息切れを起こしたように息を吐いている。

「殴られて興奮したのか?」

兵藤が見当外れのことを言っているが、傍から見たらそう見えなくもないな…

「「うわっ…」」

グレモリー眷属が全員で引く。

勿論アーシアは首を傾げているだけだが…

「貴様…」

因みに白ホスト貴族は俺を殺気の篭った目で睨みつけてきている。

「リアス。そこの下賎な輩も参加させてやる。ついでに十日の猶予もやろう」

「私にハンデをくれるということ?」

え?

なんで俺まで参加する羽目に…

「ちょっと待て、俺は関係ないだろう!!」

そんな面倒なことに参加できるか!!

「話は聞かせてもらった!!」

この声は…

部室の入口…現在は白ホストの眷属が邪魔で見にくいがそこにいるのはリアス嬢と同じ紅髪。

「仕事サボってんじゃねえよ、サーゼクス」

魔王が仕事サボってんじゃねえよ…

「お兄様!?」

「サーゼクス様!?」

両眷属は突然の魔王の登場に跪いている。

兵藤とアーシアも見よう見まねで跪いている。

「夕牙君、リアス達の特訓を依頼したい。」

「20億だ」

「高くないかい?」

「前払いな」

「スルーはやめてくれないかい?」

「さっさと払えよシスコン」

「今日はいつにもまして辛辣だね!?」

俺とサーゼクスのやり取りに他の物はついていけていない。

誰も彼もが口を開けてポカーンとしている。

「今回の報酬は()()ではダメかい?」

その言葉で俺の行動が止まる。いや、止められた。

俺がやっている万事屋への支払い方法は、現金か情報のどちらかだ。

そして情報での報酬の場合は9割コカビエルの情報だ。

「いいだろう。リアス嬢を含めて全員を最上級悪魔クラスまでシゴキ抜けばいいんだな?

 任せろ。軽く死にかければ成長ぐらいはするだろうからな…」

俺の満面の笑みにグレモリー眷属が軽く後ずさる。

「それとライザー。君の願いも叶えてあげよう。

 夕牙君もリアス側として参加させて欲しいと、そういうわけだね?」

サーゼクスが今度は白ホストに問いかける。

そこでやっと白ホストの意識が戻る。

「はっ!?…はい!自分で言っておいてなんですが、可能なのですか?」

殊勝な白崩れに兵藤が少し驚いている。

「可能だよ。ただし、夕牙君には少しハンデが必要だね」

「そうだな。神器使用禁止とあとはどうする?」

「ふむ……魔力を含む身体能力を百分の一まで落とさせてもらおう」

「いいだろう」

俺とサーゼクスのやり取り(Take.2)にまたもや驚きを隠せない奴等。

「サーゼクス様…それはどう言う意味です?

 俺がこいつに負けるとでも?」

「そういうことだよ、ライザー。

 彼は強い。私でも引き分けに持ち込むので精一杯だった」

「「なっ!?」」

サーゼクスの実力を知っている奴等が今日一番の驚きをその表情に現している。

「嘘ですよね、お兄様?」

リアス嬢の言葉にサーゼクスは苦笑するだけだった。

「それでは私は仕事があるのでこれで失礼するよ」

そう言ってサーゼクスは魔法陣で帰っていった。

この状況どうするんだよ…

取り敢えずこいつらの調教か…

『調教……ある意味間違ってないわね…』

「というわけだお前等…一旦家帰って準備してこい…

 初日から半殺しで行くから…」

「「物騒すぎるわ!!!」」

なんかグレモリー眷属が一致団結して突っ込んできた。

「で、お前らはいつまでいる気だ?

 日程は決まったんだからさっさと帰れよ…

 ぶっちゃけ邪魔だから」

俺の言葉に貴族崩れが声を荒げる。

「貴様のような下賎な輩に言われずともすぐに帰るさ」

俺にそう言うと今度はリアス嬢に近づいていく。

「ではな、リアス。もうすぐお前を俺のものにしてやるぜ」

そう言って、リアス嬢の手の甲にキスを…

できなかった。

リアス嬢の『兵士』、兵藤一誠。

兵士は命をかけてでも王を守る。

その言葉を表すように動いて、リアス嬢を守った。

別に命の危険があるわけでもなし後で手を洗えばいいだけだろうに…

「おい、その汚い手を離せよ…この劣等が!!!」

「部長に軽々しく触れてんじゃねえよ、この焼鳥野郎が!!」

なんでこいつらキレてんだよ?

『自分の獲物を横取りされそうになったからってところかな?』

大体あってるな…

てか、焼き鳥は俺の好物だからその例えは止めて欲しい。

「焼き鳥だと?この下級悪魔風情がァァァァァァァァ!!!」

火に油を注いで更にガソリンを投下する兵藤。

「レーティングゲームなんて必要ねぇ!!今すぐ俺がここで全員ぶっ倒してやるぜ!!」

無理だな

『無理ね』

「やれ、ミラ」

貴族の命令で前に出たのは棍を持ったロリっ子。

あ、兵藤の負けだ

『そうね。あの子のほうが強いわね』

先手必勝とばかりに兵藤が前に出るが、ロリっ子の方が早かった。

棍を突き出し、兵藤の鳩尾に向けて突く。

だが、当たらなかった。

「なっ!?」

俺が止めているからだ。

ただ、単純に突き出された棍を兵藤に当たる前に掴んだだけだ。

「悪いが護衛対象をやらせるわけには行かないんでな…」

ロリっ子は棍を戻そうとするが俺が掴んでいるせいかピクリとも動かない。

可哀想なので離してやると、また棍を構えて今度は俺に敵意を向ける。

「なら、あんたから!!」

コイツはさっきの仮面女の時のことを忘れたのか?

ロリっ子が俺に向けて棍を突き出す。

仕掛け其ノ二を発動させてまたもや部室内の別の位置に一瞬で転移させる。

現れたのは白貴族の目の前。

ここで考えて欲しい。

高身長の者と低身長の者が向かい合う。

低身長の者は腰を落とし棍を突き出す。

結果は……

「□※▽ΩΘ◇~~~~~」

声にならない悲鳴を上げて股間を抑えて崩れ落ちる。

「「ひっ!?」」

兵藤と木場が短く悲鳴を上げる。

「可哀想に……これでお家断絶だな…」

白貴族は尻を突き出した体勢から動かない。

眷属たちは自らの主が崩れ落ちたことに心配して白貴族に近寄っていく。

そして白貴族を連れてやっと帰ってくれるようだ。

帰り間際に出てきた化粧の濃いおばさんが三下セリフを吐いていったのがなかなか印象的だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

非公式レーティングゲームに参加することが決まってしまった翌日のこと。

俺はグレモリー眷属を引き連れてグレモリー家所有の別荘に向かっている。

ゲームに参加するのは不本意だが、これもコカビエルの情報のためだ。

仕方ない。

「遅いぞ。さっさとしろ」

俺の後ろにはヘロヘロのグレモリー眷属がいたが、俺の声に応えるものはない。

いや、答えられないのだ。

全員には既に重りをつけてもらっている。

重りといっても俺があいつらの周囲の空間を弄っているだけの簡単仕様なんだが、

「はぁ…はぁ…はぁ…」

全員の息が荒い。

「興奮していないで歩けや」

「「するか!!!」」

今度は俺の言葉に反応できたようだ。

「余裕ありそうだしもう少し重くするか…」

「「えっ!?」」

グレモリー眷属の顔が青くなる。

因みに俺の肩にはオーフィスが乗っかっている。

所謂、肩車である。

オーフィスは景色を楽しんでいるのか時折俺の頭の上から鼻歌が聞こえる。

『オーフィス可愛いよオーフィス、ハァハァ』

なんかティアがぶち壊れちまった。

更に2回ほど重りを追加しているとやっとのこと別荘に到着する。

グレモリー眷属は返事をすることもなく死んだように地面に寝転がっている。

俺はオーフィスを降ろすとオーフィスは別荘の広すぎる庭を探検でもするようにトテトテと駆けていった。

「おら、さっさと起きろ雑魚共。

 調教の時間だ…」

返事がなかった。

「ラビ呼ぶか…」

「さあ、頑張って修行するわよ!!」

「「おお!!!」」

お前等そんなにラビが嫌いか?

まあいいや、仕事だ。

こいつらを調教しないとな…

…………楽しみだ…




焼き鳥ざまああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

結構無理矢理感あるけど大目に見てくださいな。

さて次回からは修行です。
オーフィスも参加してるからどうなることやら…


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初日

オーフィスが可愛くてたまらない、今日この頃…

そして、話があんまり進まない…


その軍勢が悪魔で構成されているというのは嫌でも分かった。

ただ…何のために私を襲ってきたのか、それがわからなかった。

魔力の雨が私を襲いかかるがそんなものは無いに等しい。

私の目の前の空間に吸い込まれて、私の目の前の軍勢の真上から魔力の雨が降りかかる。

私に襲いかかるということは死ぬことは覚悟の上ってことよね?

味方には愛を…敵対するものには破壊を与えよう…

それが…『空間支配の破壊者(オートクラシー・デス・クラッシャー)』と呼ばれた私の信念なのだから…

皆が待っているのだから、早く破壊し尽くして帰らないとね…

 

 

 

 

 

 

オーフィスがアゲハ蝶を追いかけているのを癒し効果にしつつ、グレモリー眷属の調教を始める。

「取り敢えず、今日の調教は夕方までだ。」

「「調教言うな!!」」

グレモリー眷属のナイスツッコミを華麗にスルーしてアーシアに重り(物理)を渡す。

「アーシアはまずは体力をつけろ。取り敢えずそれつけて夕方までずっと走ってろ」

「は、はい!!」

純粋なアーシアは握りこぶしを作って体力作りに向かう。

「そんでお前らは…俺と勝負な」

「それで、最初は誰から?」

「何を言ってんだ?全員まとめて相手してやる。さっさと来い」

「「へ?」」

神器はゲームでは使えないから魔力だけで行くか…

「神器は使わないでおいてやるし、手加減はしてやる」

おれの言葉に頭にきたのかリアス嬢は眉間に皺を寄せて睨みつけてくる。

「後悔しても知らないわよ?」

お前まで三下みたいなセリフ使うなよ!!

俺が先手を取るのもアレなので向こうからの出方を待つ。

先に来たのは木場だ。

『騎士』の特性を生かし一瞬で接近してくる。

目の前で切りつけてくると思ったが、今度は方向を変えて更に加速。

右斜め後ろから切りつけてくる。

まあ、わかってるから避けるけどな。

「なっ!?」

お前最近驚きの声しか出してなくないか?

袈裟斬りに斬りかかってきたので半身ずらして避けたところを木場の腕を掴んでそのままリアス嬢に向けて投げつける。

乳龍帝の(ブーステッド・)…じゃなかった、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)!!」

投げ飛ばした木場と入れ替わりになる形で来たのは、兵藤だ。

というか、今なんか違う言い方をしたな…

作戦もなにもあったものではなく、ただ突っ込んでくる。

取り敢えず殴りかかってきたところを首を捻ることで躱し、顔面を掴んで木場と同じように投げる。

「……えい」

兵藤の後ろに隠れる形で接近していた小猫の拳を魔力を使って防ぐ。

『戦車』の特性である金剛力(笑)は厄介だ。

だが、空間を貫くには至らなかったようで自分の攻撃が防がれたことに驚いて動きを止める。

動きが止まったのを俺が見過ごすはずはなく、投げ飛ばす。

残るは二人。

先に動いたのは朱乃。

まあ、『王』より後に動く『女王』とか使えないにも程があるからなぁ…

魔力を雷に変えて雷撃での攻撃。

まあ、小猫と同じように防いでもいいんだが、ここは避ける。

今までのような避け方ではなく魔力を使用しての回避だ。

まあ、要するに超短距離転移だ。

俺が消えたことにあたりを見渡す朱乃。

流石は『女王』といったところか…

少しは本気を出せそうだ…

『手加減するんじゃなかったの?』

そうだった。

取り敢えず俺も見つからないように移動する。

といっても向こうは空を飛んでいるのですぐに見つけられてしまった。

「そこですわ!!」

なら…

飛んできた雷撃を空間を歪ませて防ぐ。

そして、転移。

朱乃の後ろに回り込み、両腕を掴み振り回す。

俺は空間を把握しているのでそこまででもないが、これをやられると三半規管が狂う。

暫く振り回してからリアス嬢に向けて投げる。

リアス嬢も朱乃と同じように飛んで投げられてぶつかりそうだった朱乃をナイスキャッチで助けていた。

朱乃は暫くは復帰は無理そうだな…

俺は空中から地面に降り、リアス嬢と対峙する。

「さて、後はアンタだけだな…お嬢様?」

「強いわね…」

「馬鹿か?お前らが弱すぎるだけだ…」

「言ってくれるじゃないの…」

思考が冷静のようで冷静じゃないな…

サーゼクスとよく似ている…

リアス嬢は手に魔力を貯める。

その時間はおおよそ一秒といったところだ。

遅い。

あのライザー…だっけ?

あいつなら一秒もあれば炎投げつけてくるだろう…

まあ、舐めプで待ってくれるかもしれないが…

取り敢えず俺も待つ。

リアス嬢の手に集められた滅びの魔力。

サーゼクスには遠く及ばないもののその魔力は並の者なら一瞬で消し去る威力を秘めていた。

「消え去りなさい!!!」

おい、俺を殺す気か!?

まあ、無理だがな…

俺は魔力を一瞬で練り上げてリアス嬢の放った滅びの魔力をその空間ごと転移させる。

現れたのは俺の遥か後方…遠くに見える山の中腹辺りだ。

「…………………」

リアス嬢は自分の最大の攻撃が無意味だと知って呆然としている。

これで俺の勝ちが決まった。

 

 

 

 

 

 

「取り敢えず…お前らは雑魚だ」

模擬戦が終わってからの俺の最初の一言に目の前で正座している奴らが項垂れる。

「まず、兵藤…」

「お、おう…」

いつもの元気がない…

「お前はアーシアと一緒に体力作りして来い。」

兵藤にアーシアの3倍の重りを渡す。

「お、重っ!?」

「それは自動的に装着され速度を落とすと激痛が走る仕組みになっている」

「物騒だな、おい!?」

既に強制的に装着された兵藤は激痛に耐えながら突っ込む。

流石に激痛は嫌なのだろう…

すぐに走り去ってしまった。

「次に木場…」

「う、うん…」

木場は兵藤と違って落ち込んではいないが、少し緊張しているようだ。

「お前は『騎士』の特性を生かしきれていない。

 動き回って相手を翻弄しろ。切ると見せかけて蹴りでも食らわせてやれ。

 『騎士』だからって正々堂々とやってんじゃねえよ。

 お前が相手を潰せなきゃお前のご主人様に危険が迫るということを頭に刻み込め」

俺の言葉に耳を傾ける木場。

その表情は真剣そのものだった。

「僕が守らなければ部長が酷い目に…」

「そうだ。

 具体的に例えると、超強力な媚薬でも投与されて寝る暇もなく体中を真っ白に染められて、穴という穴を塞がれて性奴隷にされるだろうな」

「「具体的すぎるわ!!!」」

リアス嬢が自分の体を抱きしめて震えている。

それを朱乃が抱きしめて慰めている。

『キマシタワーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!』

ちょっとティアに一体何があったんだ…

木場の方を見ると顔を引きつらせている。

「で、小猫と朱乃は飛ばして…」

「「!?」」

二人は驚いているが放置。

「リアス嬢はその魔力をどうにかしろ。」

「それはどう言う意味かしら?」

「魔力を込めてから滅びの魔力を打ち出すまでに時間がかかりすぎる。

 滅びの魔力の使い方が単調すぎる。少しは工夫しろ。

 お前の脳みそは腐ってんのか?」

俺の言葉に徐々に凹んでいくリアス嬢。

「そ、そこまで言わなくても…いいじゃない…」

うぜえ…

「うざっ…

 お前は戦略よりも先にそこをどうにかしろ」

リアス嬢は凹んでいるがやるべきことはわかっただろう。

「という訳でお前らふたりはそこを自分なりに考えてこい。

 明日再テストだ。」

ふたりは頷いてこの場を離れていく。

「さて…」

残った二人…

小猫と朱乃に視線を向ける。

こいつらの場合は状況が状況だしな……

「お前ら自身でもなんで後回しされて人払いまでされたかわかってるだろう…」

俺の言葉に二人はシンクロしたように肩を震わせた。

「別にそれを使えとは言わねえ…

 だがな、使わずにいてリアス嬢があの貴族の嫁にされても後悔すんなよ?」

「「……………」」

二人は顔を俯かせたまま一言も喋らない。

「はぁ……

 肉親がいるだけマシだろうに…」

思わず俺の口から愚痴が溢れてしまった。

『どっちかって言うと嫉妬だけどね…』

「……先輩のご家族は?」

小猫が聞いてくる。

別にこの情報は話しても問題ないか…

「10年前に俺の目の前で殺されちまったよ……コカビエルにな…」

「「!?」」

流石に想像してなかったのか二人は顔色を驚愕に染めて俺を見る。

「俺から言わせてもらうと"家族がいて羨ましい"としか言えないからなぁ…

 まぁ、そこは俺が踏み込むべきとこじゃないからこれで黙っておく。

 明日までに決めろ。決められないなら使うな。」

そう言って二人を置いてこの場を後にする。

スタミナ料理でも作って、明日からの本格的な調教についてこれなくなるだろうし…

俺は別荘内にある厨房に入って料理に取り掛かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日が暮れた頃には料理は尽く完成していて、今か今かと食べられるのを待っている。

食卓には頭を悩ませている木場とリアス嬢。

表情の暗い小猫と朱乃。

燃え尽きたように真っ白になっている兵藤とアーシア。

そして、料理を運んでいる俺とテーブルについて待機しているオーフィスがいる。

「おら、さっさと食え」

俺の一言を聞いた瞬間にオーフィスが食事を始める。

最初からクライマックスな勢いだ。

他のメンツものろのろと食事を始める。

「「!?」」

オーフィスと俺以外のメンツ…つまりはグレモリー眷属が俺の料理の腕に驚いていた。

「う、うめえええええええ!!!

 な、なんだこれ!?体が求めているような味だ!!

てか、手がとまんねえ!!!」

兵藤…喋るか食うかどっちかにしろ…

「とても美味しいです」

アーシアはいつもどうりだな…

「ま、負けた…」

リアス嬢はどうでもいい

「とても美味しいよ、夕牙君」

木場は特に疲れてなさそうだな…

明日はもっと厳しくしよう…

「…………」

小猫…お前は何か言えや

「………」

お前もか、朱乃…

「おかわり」

オーフィスは通常運転だった。

「相変わらず食うの速いな…」

オーフィスの丼を受け取り、白米を山盛りで渡してやる。

「俺もおかわり!!!」

兵藤、口の中を空にしてから喋れ。

そして子猫、無言で茶碗を差し出すな。

「あ、そうだ。夜も調教はあるぞ?」

「「え!?」」

グレモリー眷属の絶望は止まらない…




衝撃の新事実!!!ってほどでもないな…
次回黒猫登場(予定)!!

※予定は未定ということわざを皆様はご存知ですか?


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温泉

全然進まねえ!!

取り敢えず調教シーンは早く終わらせないと


飛んでくる魔力の雨を尽く転移させて敵方の戦力を削ぎ落とす。

既に半分は削りきり、残るは後方にいる主戦力。

今までのは謂わば前菜というところね…

にしても…後方でふんぞり返ってる悪魔には見覚えがあるような…

……誰だったかしら…

思い出せないわね…

思考の大半を思い出すことに費やしつつ、前菜を処理していく。

アンナの知り合い?

違うわね…

アンナを誘拐しようとしていたロリコン集団?

いや、アレは全員私の『絶死の終焉空間(メメント・モリ)』で破壊し尽くしたわね…

私の家の敵対勢力は全て屈服させたあとに全裸土下座させて脅したから有り得ないわね…

なんだったかしら…

ランディの一族を殺した奴らだったかしら?

いや、アレは堕天使だったわね…

思い出せないわ!

一体誰なのかしら?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食事は終わった。

結構な量を作ったから食べきれなかったら明日の朝に回そうと考えていたのに全部平らげやがった。

「風呂から上がったら明日に響かないようにマッサージしてやるからさっさと入って来い」

俺の言葉の"風呂"という単語にグレモリー眷属は顔を輝かせた。

「そういえば最初から気になっていたのだけれど、その子は誰なの?」

リアス嬢がオーフィスに指差して聞いてきた。

そういえば、説明していなかったな…

オーフィスの正体バラすと後々めんどくさくなりそうだし、誤魔化すか?

『そのうちバレて更に怒られるかもしれないわよ?』

じゃあ、バラすか!!

あ、サーゼクスには伝えてたから別にいいか

「あー、そいつは依頼で預かってる子だ」

「あら、そうなの?

 でも少し危険ではないかしら?」

「安心しろ俺より強いから」

「「はい!?」」

全員驚いている。

あ、アーシアは何時もどおり首を傾げているだけだった。

まあ、俺に複数で挑んで来といて傷ひとつ付けられず手加減までされて惨敗だったからな…

その俺より強いと言われるのがこんな幼女なんだから…

『ちょっと自慢っぽく言わないの。

 嫌われる原因になるわよ?』

別に他人の言動なんか気にしないし…

俺はティアと他数名がいればどうでもいい…

『一般常識が抜け落ちている箇所があるわね…』

俺達が騒いでいるのをよそにオーフィスはいつもどうりの平常運転で、食後のお茶を飲んでいる。

「まあ、そんなことは置いといてさっさと風呂に入ってこいよ。

 ここ露天風呂だったぞ」

俺のお風呂という言葉に全員の表情がいつもどおりに戻る。

「お風呂!!」

兵藤がニヤニヤしながら立ち上がる。

「僕は覗かないよ、イッセー君」

「俺はそもそも興味がない」

木場と俺に先に言われて兵藤が焦る。

「ば、馬鹿…お、お前らなぁ!!」

木場はどうか知らんが正直こいつらは調教してもいい護衛対象としか認識していないから覗く気はない。

第一、俺の好みはグレイフィアみたいなタイプだ。

『あら、それは初耳ね』

そりゃあ、誰にも言っていないしな…

最初に言っておくが別にメイドさんが好きなわけじゃないぞ?

「あらイッセー、私達の入浴を覗きたいの?」

視線が兵藤に集中する。

「なら、一緒に入る?」

リアス嬢の発言に俺は耳を疑った。

え…?

コイツ、痴女だったのか…

兵藤は嬉し泣きをして握り拳を作っている。

コイツは本当にブレねえな…

だが、この様子なら明日からは更にキツくしても問題なさそうだな…

いざとなったら"アイツ達"に依頼でもするか…

「朱乃はどう?」

おい、周りを巻き込むなよ…

「私は別に構いませんわ。夕牙君も一緒にどうです?

 殿方の背中を流してみたいかもしれません」

「だから、興味ねえっつってんだろうが!」

しかもなんだよ、『みたいかもしれません』って、

疑問形なのか?肯定してんのか?

兵藤はいつもどおりに鼻の下を伸ばしてんな…

「アーシアは?愛しのイッセーなら大丈夫よね?

 仲もいいみたいだし、夕牙も大丈夫なんじゃないかしら?」

「お前もう死ねよ…」

なんでこいつは周りを巻き込みたがるんだ?

おい、アーシア頷いてんじゃねえ!!

否定しろよ!!

「小猫はどう?」

「……嫌です」

よし良くやったぞ小猫!!

女湯なんて行けるか!!

俺の隣で兵藤が燃え尽きているがそんなことはどうでもいい!!

「……でも、夕牙先輩なら構いません」

なんでだああああああああああああああああああああああああああああああああ!?

「だから、嫌だっつってんだろうが!!!!

 てめえら大人しく入って来い、この痴女ども!!」

俺の叫びに反応したのは小猫だ。

「……夕牙先輩、他はともかく私は痴女じゃありません」

「ちょっと待ってくれる、小猫…

 それじゃ私達が痴女みたいなんだけど…」

「「違うのか(んですか)?」」

俺と小猫の声がハモって言うと、リアス嬢はなんか落ち込んでいた。

「うふふ、私も違いますわよ」

「わ、私も痴女じゃありませんよ!!」

これで否定しなかったのはリアス嬢だけだな

木場が空気になりつつあったので食事を終えた奴から風呂場に行かせる。

よって、さっきまで賑やかだったこの場所は俺とオーフィスの二人だけだ。

「おかわり」

「まだ食うのかよ!?」

オーフィスの食欲は尋常じゃなかった…

 

 

 

 

 

 

洗い物を済ましてオーフィスと温泉に向かう。

男湯と女湯の暖簾が架かっている場所が見えたのでやっと風呂に入れると思うと、少し嬉しくなる。

というか、ここただの別荘だよな…

なんでのれんがあるんだよ…

男湯の暖簾を潜ると兵藤と木場が丁度上がったところらしく、体を備え付けのバスタオルで拭いているところだった。

「お、夕牙!いい湯だったぜ!!」

全裸でこっちに来んな!

「それよりもその子は女湯の方じゃなくていいのかい?

 今なら部長たちもいるし…」

「問題ねえよ。家ではいつも一緒だし…」

「夕牙…ロリコンなのか?」

「お前の夜中の調教は100倍の濃度でやってやるから覚悟しておけ」

「本当にすいませんでした!!」

土下座かますぐらいなら最初から戯けたこと抜かしてんじゃねえよ…

妹に欲情なんてしてたまるか…

弟に欲情する姉と姉に欲情している弟の白髪姉弟なら知っているが…

二人を放っておいて俺も服を脱ぐ。

「「!!」」

後ろから木場と兵藤の驚きの声が聞こえる。

俺の背中の傷だろうな…

『そういえばそれってコカビエルに付けられた傷だったわね…』

俺の背中には無数の傷跡がある…らしい。

背中は自分で確認できないからどんな傷跡になってるかもわからない。

聞いた話だと、刺し傷、切り傷等の傷跡がごちゃまぜになったような傷跡だそうだ。

まあ、未熟だった頃はいろいろと傷だらけになったからな。

コカビエルにやられた傷跡だけじゃなく、討伐対象だったはぐれ悪魔とかから受けた傷跡もある。

「夕牙、傷だらけ」

既に服を脱いだオーフィスが俺の背中をペタペタと触ってくる。

結構くすぐったい。

おい兵藤、オーフィスの全裸見て鼻の下を伸ばすな。

お前の方がロリコンじゃねえか…

リアス嬢に言いつけるぞ?

貸切状態の温泉はかなり気持ちよかった。

オーフィスは泳いでいたが…

 

 

 

 

 

風呂から上がると食事を作る前に貼っておいた侵入者捕縛用の結界に異常が見られたのでそこに向かう。

「う~、夕牙これ外すにゃん!!」

「なんだ痴女か」

「痴女じゃないにゃん!!」

なんか猫妖怪痴女、黒歌が捕らえられていた。

捕らえたのは俺の結界なんだが…

「なんで結界なんか張ってあるにゃん!?

 これじゃあ、白音の総てを記録できないにゃん!!」

「黙れよ、シスコン」

「ひどいにゃん!!」

なんで俺の周りはシスコンが多いんだ?

サーゼクス、セラフォルー、黒歌、ベイ、後ティアだな

『夕牙も含まれるからね』

え…

まじで?

そんなことよりこのシスコンをどうするか…

「さてサーゼクスにでも突き出すか…」

「ちょっと待つにゃん!!

 なんで私が突き出されなきゃいけないにゃん!!」

「自分の胸に手を当てて考えてみろ」

「それじゃあ、この拘束を解くにゃん!!」

「やなこった」

結界に捕縛されている黒歌にそう言うと黒歌がすかさず講義してくる。

「大体、私を冥界から逃がしたのは夕牙にゃよ!!

 逃がした本人が捕まえるとか矛盾しすぎだにゃん!!」

そう、このはぐれ悪魔を逃がしたのは俺だった。

だから捕まえると俺が逃がしたことまでバレてしまうので捕まえるに捕まえれない。

「記憶にございません」

「目を見て話すにゃん!!」

いい加減にしないと黒歌が本気で結界を破壊しそうなので怖い。

俺は結界を張るのはあまり得意じゃないので直ぐに破壊される。

「じゃあ見逃してやるけど、すぐに帰れよ?」

「夕牙の子種をくれるなら考えてあげるにゃん!!」

「イバンな、痴女」

「だから痴女じゃないにゃん!!」

てか、セラフォルーといいこいつといい…なんで俺の子種が欲しいんだよ…

『それだけ好かれているってことでしょ?』

好きな相手には子種を強請るものなのか?

『いや、そんな世界はちょっと…』

そうなのか?

ヘルガがこの前ベイの子種がどうのこうの言ってたから…

『あの二人は放っておきなさい…』

「む~、仕方ないから今日のところは帰ってあげるにゃん

 だけど、私はあきらめないわよ!!」

仕方ないので拘束を解くと捨て台詞を吐いて帰っていった。

「何がしたかったんだあいつは?」

『さあ?』

その後別荘に戻ったら偶然出会った小猫に抱きつかれて泣かれた。

理由はわからん。

取り敢えず宣言通りに兵藤の調教は難易度ルナティックで半殺しにしてやった後にリアス嬢にオーフィスの裸を見て興奮してやったことを教えてやった。

その結果、更なる調教が施されて兵藤の悲鳴がすごいことになったがまあ、よくあることだな。

オーフィスは部屋で寝ていたが、兵藤の声で起きたらしい。




イッセーはまだ生きています。
ちっ…

取り敢えず他作品キャラの何人かが絡むかもしれません

刹那とか水銀とか黄金とかインポとかゾウリムシとか屑兄さんとか…


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再試験《騎士》

やっと書けたよ。

いろいろとリアルで忙しかったりエロゲやってたりしてたのは表向きの理由で、

本当は閃の軌跡やってた。

そしてエクスカリバー編までもしかしたら10話ぐらいかかるかも…


「悪あがきはやめなさい、アイリス・ヴァレフォール!!」

悪あがき?

自分の手下を全員倒されて悪あがき?

この子頭がおかしいのかしら?

「あなた誰だったかしら?胃のあたりまで出てきてるんだけど…」

目の前の少女は私を睨みつけたまま顔を赤くして更に睨みつけてくる。

「カテレアよ!!カテレア・レヴィアタン!!」

………え?

「ダメだわ…思い出せない…」

「嘘つきなさい!!さっきの間はなによ!?」

「冗談ですよ」

「笑うなーーーーーーーー!!!」

レヴィアタン様の娘のカテレア様か…

面影はあるのだけれど…こんな生意気に育っているとちょっと調教したくなるわね…

「それで、カテレア様?こんなことして一体何の真似ですか?」

「勿論私が真のレヴィアタンになるための作戦ですわ!!」

あらー…頭がパーになってる…

今までのシリアスが消えていったわね…

にしても、旧魔王派が本格的に動き出してきたってわけね…

これはこれで大変なことになってきたのかしら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、夜中に昼の数倍の濃度での調教を施したためか朝から気力がないグレモリー眷属を引きずって朝食を(無理やり)詰め込んで朝の特訓とはいかなかった。

午前中は勉強会だそうだ。

絶対に休みたいだけだろうがな…

『別にいいじゃないの…

 休息も必要よ?』

でも、半殺しにして最上級悪魔クラスまで引き上げないと…

『あれ、本気だったの!?』

まあ、悪魔になったばかりの兵藤とアーシアもいるし必要な事なんだろう…

おれはもう知ってることばかりなんでリビングのソファで寝転んでいる。

オーフィスが上に寝転んでいるので微妙に重い…

「我、重くない…」

「心を読むな…」

俺たちを華麗にスルーするように無視して、兵藤とアーシアに知識を教えていく。

一通り教えてから問題を出してちゃんと覚えているか確かめている。

「それじゃあ、僕らの仇敵である神が率いる天使。そこの最高位の天使の名は?そしてそのメンバーは?」

「えっと、『熾天使(セラフ)』で、メンバーが………ミカエル、ガブリエル、ラファエル、ウリエル…だっけ?」

「正解」

木場が問題を出して兵藤がなんとか問題に答えている。

「じゃあ、次は我らが『魔王(サタン)』様。四大魔王様を答えてもらおうか」

「任せろ!!いつか出世してお会いする予定だぜ!!

 ルシファー様、ベルゼブブ様、アスモデウス様、そして憧れの女性魔王様であらせられるレヴィアタン様!!」

「正解」

お前は既にルシファーには会ってるぞ、兵藤…

にしても魔王って変態ばっかだよな…

ドMのシスコンとコスプレ痴女のシスコンとエロゲ好きの変態とオタクの引きこもり…

『こうやってみてみるととても魔王とは思えないわね…』

「それじゃあ、イッセー君の嫌いな堕天使の幹部を全部言ってもらおうか」

「え~っと、中枢組織が『神の子を見張る者|グリゴリ』で、総督がアザゼルで副総督がシェムハザ

 ……残りが…アルマロス、……バラキエル、……ダメだ!!覚えきれねえ!!」

堕天使の幹部は天界と悪魔陣営と違って多いからなあ…

『でも悪魔は元七十二柱合わせればすごい数になるわよ…』

そういえばそうだな…

兵藤が覚えきれていないので俺が堕天使幹部を言ってやる。

本当に不本意だ。

「総督アザゼル、副総督シェムハザ、幹部がバラキエル、サハリエル、タミエル、ベネムネ、アルマロス、後コカビエル…」

コカビエルの部分にだけ殺気が篭ってしまい上で寝ていたオーフィスが俺のさっきに反応して起きてしまった。

「夕牙、コカビエルが憎い?」

「……………」

オーフィスの質問に俺は何も言わなかった。

憎いさ…父さんと母さんを目の前で殺されたし、絶対にこの手で殺してやるって誓った程だ。

不本意だが、ある意味兵藤にとってのハーレムみたいなもんだな…

一緒にして欲しくないけど…

「え、えと…で、では私アーシア・アルジェントが悪魔祓い(エクソシスト)の基本をお教えいたします」

さっきの暗い雰囲気を払拭するようにアーシアが前に出て説明をする。

『あ、不貞寝した…』

うっさい…

 

 

 

 

 

何時の間にか眠ってしまったが昼前には起きた。

というよりも、アーシアが「はうっ!?」とか悲鳴のような声を上げるから眠れなかった。

昼は消化のいいものにして調教中に吐かないようにしてやった。

今日の俺は優しいんだよ。

『いや、内容がハードだから優しいとは言えないわ…』

あれ?

まあいいや。

昨日の課題を与えた木場とリアス嬢の再試験を行うため、今は全員で庭に出ている。

「さて、考えてきたか?」

「うん。今日は勝つよ」

木場は腰に下げた剣を抜いて準備を終えている。

俺は今日も神器を使わずに魔力だけで戦う。

神器を出したら俺の負けということになっているし、元々木場が課題をクリアできていればいいという話なので勝ち負けは無いに等しい。

木場の課題は『バカ正直に剣を使うのではなく、フェイントを入れての戦闘スタイルの構築』だ。

さて、どんな感じにしてきたか…

俺は基本的に構えは取らないので指の関節を鳴らしながら木場に近づく。

木場は早速動き出した。

『騎士』の特性を生かした高速移動で俺の周りを縦横無尽に動き回る。

確かにこれなら並の相手ぐらいならどこから攻撃してくるかわからないから混乱するだろうが、まだまだだな。

上には上がいるように、この程度ならすぐに慣れる奴は腐る程いるだろう。

「ここ!!」

木場が俺に攻撃を仕掛けてきたのは真後ろ。

常に警戒している後ろからの攻撃は反応されやすい。

それに、攻撃の時にいちいち叫ぶなよ、ど三流が…

魔力弾を作って真後ろに投げると、そこに木場は居らず剣だけがあった。

「へえ…」

叫んだ時に斬りつけてくるのではなく剣を投げたのか…

俺の魔力弾は剣に当たり消えるが、剣の軌道を変えて俺に当たらなくすることになった。

気配が右手側からするので魔力弾を3つそちらに放つとそれも剣だった。

すぐに移動したのか、木場の姿はもうなかった。

「『魔剣創造(ソード・バース)』だったか…

 使用者の望む魔剣を創り出す創造系神器…

 気配を消す魔剣でも作り出して気配を隠して作り出した魔剣を相手に投擲することで更に相手を混乱させる」

俺の説明に正解とでも言うように魔剣が飛んでくる。

その数3つ。

しかも方向は全部別方向だ。

一本を魔力弾で弾いて、残り2本をしゃがむ事でやり過ごす。

「だが……即席すぎるな…」

まあ、これに関しては仕方ないだろう…

たった1日でここまで出来るなら上等だろう。

残りの日数でどこまで行けるかで、レーティングゲームの勝敗も変わるかもしれん…

あの貴族自体は上級悪魔だが腕の方はそこまででもないし、罠にハマらなければ俺がいなくてもやり方次第で勝てるだろうな。

問題は不死の方だな。

長期戦に持ち込めば何とでもなるし、俺の場合は神器を使えば不死なんて無意味だからいいんだが…

今回は神器の使用を禁止されているからこの案は無理。

となると、兵藤を集中的に鍛えて禁手化に至らせるのが一番いいんだが…

潜在能力が低すぎて日数的に不可能。

ティアを使って赤龍帝の意識自体を起こすか…

起こしても特に意味はないが、やらないよりはマシか…

「考え事とは…余裕そうだね!」

やっと姿を現した木場の手には右手に気配を消すための魔剣なのか刀身が霧状の剣が握られ、

左手には短めの刀身をした魔剣が3つ指の間に挟むように持っている。

「そのまま姿を隠していればいいものを…」

「気づいてたくせに、よく言うよ!」

魔力弾を4つ木場に向けて放ち、俺自身も木場に近づくため正面にいる木場へと距離を詰める。

「昨日のようにはいかないよ!!」

木場は左手の魔剣を一本投げつけ、魔力弾の一つに当てると小規模ながらも爆発を起こして、俺の放った魔力弾を4つとも消してしまう。

「接触爆発型の魔剣か…」

「正解だよ!」

なかなか考えている。

あの魔剣は少し厄介だ。

なら……

「少し…本気を出しても良さそうだな…」

「!?」

魔力を込めてスピードを上げる。

木場は一瞬驚いていたが、直ぐに『騎士』の特性を生かして俺のスピードに追いついてくる。

「この程度のスピード、僕にとっては朝飯前だよ?」

「知ってるよ」

俺と木場の追いかけっこが数分続くと、徐々に木場のスピードが落ちていく。

理由は簡単だ。

俺が魔力を使って空間を弄って木場の移動距離を長くしつつ、重力を加えてるからだ。

え?ずるい?

は、なんとでも言え!!

「取り敢えず、お前にばっかりかまけてる訳にも行かねえから終わりにするぞ!!」

木場からの返答を待たずに鳩尾に魔力を込めた正拳突きを食らわせてから、木場の真後ろに転移して魔力弾を12発直撃させる。

死んではいないだろうがまず間違いなく戦闘不能で気絶してるだろう。

魔力弾が木場に直撃した時に地面にも当たったのでちょうどいい感じの土煙が立っている。

「やったか!?」

「イッセー!?貴方はどっちの味方なの!?」

兵藤がフラグを立てたので一応それなりに警戒はしておく。

というよりも、リアス嬢にはもう一つ課題を追加だな。

自分の眷属ぐらいは信じてやれよ…

過信しすぎなければいいだけの話だろうに…

兵藤がフラグを立てたおかげなのか、木場は立っていた。

「ちっ…」

「イッセー!?」

兵藤が舌打ちをしてリアス嬢がそれに突っ込む。

まあ、そんなことはどうでもいい。

木場はあと一撃でも喰らえば倒れそうなほどに弱っている。

手にした魔剣を杖がわりに荒く息を吐いている。

これ以上は無理か?

「まあ、時間ないし終わりな」

「…ハァ…ハァ…」

木場は声すら出せずにその場に崩れ落ちるように座り込む。

リアス嬢達が木場に心配の声を掛けながら走り寄る。

あの調子でやっていけばゲームにはギリギリ間に合いそうだな…

「よし、次リアス嬢な」

「えっ!?」

リアス嬢が絶望したような声を出し、兵藤が籠手を展開してリアス嬢と俺の間に入る。

「木場にやったみたいに部長にひどいことするつもりか!?エロ同人みたいに!!」

「お前と一緒にすんな変態。リアス嬢程度に興味なんかミジンコほども抱いちゃいないから安心しろ」

「ならいいか…」

「イッセー!?」

リアス嬢がさっきからツッコミキャラになってるがまあいいか…

「ほら、手加減して鍛えてやるからさっさと来いよ、お・じょ・う・さ・ま」

俺の挑発にまんまと乗ってくれるリアス嬢。

コイツ面白いな…

好意は持てないけど…

兵藤達は木場を連れて俺とリアス嬢から距離を置く。

「昨日のようには行かないわよ!!」

手に滅びの魔力を纏わせながら宣言してくるリアス嬢。

それさっき木場が似たようなの言ってたぞ…




他の作品もちょくちょく書いてるから更新速度が遅いのは勘弁です。

リリカルなのはと戦国恋姫も書き始めてしまった…

ちょっと自重してどれかをさっさと終わらせるようにしますよ。

あ、それと前に獣殿出さないって言ってたけど、出るかもしれない…


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再試験《王》

今回は難産だったし多分好き嫌い分かれる上に
若干リアスアンチになってしまったような気が…

そして、やっぱりDies勢を絡ませようと思う。
聖剣編で2~3人と夕牙の眷属に一人ってところかな…
まあ、そこまで行くには結構かかりそうなんだけどね…


本当にカテレア様には困ったものですね…

レヴィアタン様に頼まれて何度か面倒を見ていたことはありましたが…

相変わらずやんちゃですね…

「離しなさいよーー!!」

まあ、私にとっては雑魚同然なので普通に弱らせて空間に固定させていますが…

「それでカテレア様?

 今度は一体どんな遊びを思いつかれたのですか?」

「遊びじゃないわよ!!」

「私も結構忙しいんですけどね…」

「コイツムカつく…」

それは本当は私のセリフなんですがね…

「それで旧魔王派が動き出したと解釈してよろしいんですか?」

戦争が終結して500年…

悪魔陣営もようやく立て直しがなってきたという時に動き出しましたか…

まあ、ちょうどゴタゴタしてますからね…

「にしても、カテレア様…恥ずかしくないんですか?」

「恥ずかしいに決まっているでしょうが!!!!

 さっさと解きなさい!!」

嫌ですよ。

結構頑張ったんですよ?亀甲縛り…

「笑うなー!!!」

おっと、自然と笑ってたようですね…

それにしてもどうしましょうか…

このまま旧魔王派の領地に送り返してもいいんですけど…

「さてと、まずは旧魔王派が何を計画しているのか…全部吐いてもらいましょうか…」

「ひっ…!!」

あらあら、笑いかけただけで顔を青くしちゃって…

いい暇つぶしにはなりそうね…

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の目の前にいるリアス嬢は俺を敵と認め、格上とわかっていながらもその戦意を失わずにいる。

まあ、開始早々に戦意喪失されても困るが…

「行くわよ!!」

「そこからが間違いだ。

 敵に攻撃宣言すんな!!避けられてしっぺ返し喰らうぞ!!」

俺の叱咤にリアス嬢は苦虫を噛み潰した顔で滅びの魔力を手に集める。

遅い。

俺は魔力弾を生成してリアス嬢が攻撃してくるまで待つ。

リアス嬢が攻撃するまでにおおよそ一秒。

この一秒間に俺は魔力弾を30発作って待機させてある。

「多い!!」

兵藤が叫ぶが俺もリアス嬢も兵藤に反応するような愚行を犯すことはしない。

だが、リアス嬢の表情は曇り気味だ。

「わかるか?お前がその手に集めた魔力で攻撃する前にお前に攻撃できるものは腐る程いる。

 お前の攻撃がいかにトロ臭いか理解したなら改善しろ!」

「言われなくても!!」

リアス嬢は手に集めた滅びの魔力をこっちに投げつけてくる。

俺はそれを昨日と同じ方法で無力化する。

「攻撃が単調すぎる!!もう少し考えろ!!

 お前は兵藤か!!」

「なんで俺!?」

「馬鹿にしないで!!イッセーは確かにエロいしだらしないし単純だけど…」

「あれ…?目から汗が…」

二人揃っての兵藤イジメに遂に崩れ落ちて膝を抱える兵藤。

アーシアが兵藤の頭を撫でて慰めているのはご愛嬌だろう。

「お前がきちんと考えているなら、防ぎきって見せろ」

俺は30発の魔力弾を全て動かし、リアス嬢に猛攻を仕掛ける。

リアス嬢は襲い来る攻撃から躱し、魔力で防ぎ、滅びの魔力を使って消していく。

確かに考えてはいるが目の前のことにしか集中してない…いや、できていない。

この状況で俺が更に別方向から攻撃を加えたら確実に動きが止まるな…

「やっぱり、この程度か…」

溜息をつきたくなるほどに弱い。

いやまあ、わかっては居たいんだが改めて確認するとアレだな…

リアス嬢でこの程度なら鍛えるのは長期的にやらないと無理だぞ?

『やらないの?』

だって、めんどくさいし…

『本音が出たわね…』

リアス嬢は必死に、それこそ全力といってもいいほどに俺の魔力弾を捌いているが、

俺はそもそもあくびが出るほどに暇なのだ。

俺とリアス嬢の邪魔にならないように離れている兵藤達はその差に顔を引きつらせている。

いや、この程度でそんな顔されても…

まだ一割程度も出してないし、俺手加減とかあんまり得意じゃないんだよなぁ…

さて、魔力弾も10個まで減ったし増やすか。

取り敢えず50個追加…

「ちょっ!?」

リアス嬢の顔が絶望に染まる。

「どんどん行ってみよー」

俺の笑顔での応援にリアス嬢が泣いてしまった。

嬉し涙だろうな…

『ガチ泣きさせないの!!』

いや、これ訓練だし…

木場はちゃんと考えてきていたのにその主のリアス嬢がこのザマかよ…

主(笑)じゃないか…

「はぁ…」

リアス嬢に聞こえるようにわざと溜息をつくとわかりやすいぐらいに反応してくれる。

魔力弾を捌くスピードが上がったが被弾率が増加した。

集中力が格段に下がったな…

頭に血が上りやすいのか…

そこも改善しないといかんな…

「集中しろ!できないんなら婚約パーティーだぞ!」

「くっ!!言われなくても!!」

更に被弾率増加…

どうしてこうなった!?

『アレの調教は不可能ね、一週間では…』

もうめんどくさいから兵藤の神器の強化に全力を注ごう。

『そうね。ドライグは腐っても神滅具だしなんとかなるんじゃないかしら?』

そうだな。

リアス嬢は諦めるか…

滅びの魔力があっても宝の持ち腐れだな…

「不合格だ…」

魔力弾を100発増やして全方向からリアス嬢へ殺到させる。

「えっ!?キャアアアアアアアアアアア!!!」

「部長!!!」

何時の間にか立ち直った兵藤が気絶したリアス嬢へと駆け寄る。

丁度いい。

いまここで赤龍帝を起こそう。

『ドライグに会うのも久しぶりね…

 本当に楽しみだわ…』

俺の何時の間にか浮かべていた笑い声にナニカを感じ取ったのか、小猫と朱乃の2人がリアス嬢と俺の間に盾になるように入り込んできた。

全く…俺は敵じゃないんだが…

因みに木場は未だに動けないが、殺気を視線に込めてこっちに送っている。

まあいい。

「気絶してるだけだよ、兵藤」

「なんであんなことをした!?言え!なんでだ!?」

「リアス嬢は不合格だ。これで理解できたか?」

俺の言葉に堪忍袋の緒が切れたのか、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を出して殴りかかってくる兵藤。

『計画通り』

ティアが言うのかよ!!別にいいけど…

「はあ……

 破銀の大鎌(シルバリオン・バスタトリオン)

神器を使うのは赤龍帝を起こす為であって兵藤を首チョンパするためではない。

「このおおおおおおおお!!!」

「攻撃が大振りすぎる。力の伝達が不十分。」

避けるとループする可能性があるので兵藤の殴りかかってきた腕を掴んで捻り、地面に倒す。

兵藤の背中を踏めばそれで兵藤は動けなくなる。

後は籠手の方の腕を捻り上げて宝玉の部分に大鎌を突き刺す。

「いていててててててて!!」

その痛みは腕を捻り上げてる時の痛みか?それとも宝玉に突き刺さった大鎌の鋒の痛みか?

「「イッセー君!!」」

小猫と朱乃が動こうとしたが、もう遅い。

『ほら、起きなさい…ドライグ』

ティアの声が周りに響く。

邪魔が入らないように全員の動きを魔力で封じる。

「さっさと目覚めろよ…赤龍帝…」

『ドライグ?何寝たふりしてるの?ちぎるわよ?』

『起きたぁぁぁぁぁぁ!!!!今起きたから!!!お仕置きだけは!!お仕置きだけは止めてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!』

「「……………」」

赤龍帝のガチ泣きに全員がドン引きしていた。

いや、ここまで怯えられているティアにドン引きしたと言ったほうがいいのかもしれない…

赤龍帝が起きたので宝玉から大鎌の鋒を抜く。

宝玉には傷一つなく、点滅しながら赤龍帝のすすり泣く声が聞こえる。

破銀の大鎌を消して、アーシアにリアス嬢を回復させるように指示を出す。

魔力弾によるノックダウンなのでそこまで時間はかからないだろう。

『いつまでも泣いてないでシャキッとしなさい!』

『だって…グスッ…グスッ』

ティアに泣かされた赤龍帝がティアに慰められているという意味のわからない状態。

小猫と朱乃は勿論、動けない木場も赤龍帝を宿している兵藤もどうしていいのか何かを喋ればいいのかわからない状態だ。

そりゃそうだ。俺だってどうすればいいかわからん。

あっちで気絶したリアス嬢を治療しているアーシアのところに行って現実逃避しようかと考えるくらいには混乱している。

「ドライグ、久しい」

何時の間にか兵藤の隣にオーフィスがいた。

『うえっ?……オーフィス…ぐすっ』

まだ泣いてるのか…

「ドライグ、泣いてる?」

『ティアリスが…ティアリスがあああああああああああああああ!!!!!』

「よしよし。それなら仕方ない」

オーフィスが赤龍帝を慰めるように宝玉を撫でている。

ある意味和む状況なんだろうけど、かなりシュールだ。

案の定誰も言葉を発せずにポカーンとしている。

アーシアはリアス嬢の回復を優先しているのでそうでもなかった。

取り敢えず、カオスすぎるので全員を別荘内の先程まで新人(兵藤とアーシア)にいろいろと教えていた部屋へと強制転移する。

どうしてこうなった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて…木場は合格だがリアス嬢は不合格だ」

木場とリアス嬢が動けるようになるまで回復したのを見計らってそう答える。

二人が短時間で回復できたのはアーシアの神器のお陰でもあるが俺の作った《特性スタミナ回復ドリンク》のおかげだ。

飲んだ直後はのたうち回って泡を吹いていたが3秒で目を開いて叫びながら復活した。

効能は聞いていたがまさかあんな状態で復活するとは思わなかった。

しかも聞いたところによると魔力も安定していて体も軽く、最高の状態らしい。

流石は水銀のアホに女神って言われてるだけはあるな…

あの人どうやってこんな作り方を思いついたんだ?

「今なら貴方にも勝てる気がするわ…」

「落ち着け馬鹿汚嬢。気のせいだ。調子にのんな、焼き鳥以下」

俺の言葉に部屋の隅で体育座りをしながら泣き出した。

「「言いすぎだよ!!」」

グレモリー眷属全員に突っ込まれたが総スルーだ。

これでか?

水銀とか赤騎士とかに比べれば全然なんだが…

あ、そういえば孤児院の方に顔出せって言われたのをすっかり忘れてた。

まあいいや。

「兵藤、お前の中の赤龍帝を起こしたからそいつに神器の使い方を習え。

 ないとは思うが拒否されたら俺に言え。ティアに…『全面的に協力しよう!!!!』…」

そこまで嫌なのか?

ティアも嫌われたもんだな…

『ドライグ、後で覚えてなさいよ?』

『ひぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいい!!!!!』

「喧嘩すんな」

『命拾いしたわね…』

『たたたた助かったぞティアリスの所有者よ!!』

本当にカオスだな…

こんなんでレーティングゲームは大丈夫なのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冥界にあるとある孤児院で一人の少年が電話をしていた。

「…………出ないな…」

彼は手に持っていた受話器を置くと、奥の部屋へと歩いていく。

そこにいたのはトランプをしている少年と同世代の男女たちだ。

「どうだったよ?」

彼に問いかけたのは左手だけ袖のない赤いロングコートを着た少年だ。

「ダメだ」

少年が椅子にかけながら答える。

「はぁ、全く。アレだけ定期的に連絡しろって言ったのに相変わらずなんだね…

 これは帰ってきたらお仕置きが必要みたいだね…」

彼らの遣り取りに反応して、表情を変えずに言葉を発するのは白い装いの銀髪の少女だ。

「それでどうするの?彼、このまま顔も見せないかもしれないわよ?」

少女の言葉に追随するように反応したのは黒い長髪の少女だ。

トランプをしながらの問答に電話をしていた少年が言葉を発する。

「次出なかったら俺が直接行く」

少年の言葉に3人の動きが止まる。

「だったら俺も行くぜ」

面白そうなモノを見つけたように笑うもうひとりの少年。

少女二人は溜息をつきつつ二人に任せようと結論づける。

「それに糞親父が言っていたことも気になるしな…」

「ん、ああ。『彼の心は壊れ果てている』だったか?

 まあ、もっとも…俺達がそれでアイツを見限るわけでもないんだがな…」

「ああ。あいつも俺の愛する刹那だからな…」

「相変わらずホモくせえんだよ…」

少年二人が動き出したのはレーティングゲームの終了した翌日だった。




さて、誤字脱字は勿論、獣殿まだ?等のコメントお待ちしております。

そして、ここまで時間がかかった理由としてはリアルが忙しかったのと
ISのほうでいろいろとヒャッハーしてたりしてましてね…

後はこれの外伝的な話が思い浮かんできて、ゼロ魔の世界に夕牙くんが召喚されたら的な話でベイ中尉並みにヒャッハーしてました。
いや、まだ書いてないよ?
頭の中にしか思い描いてないし、何よりゼロ魔の原作持ってないから…

という訳でまた次回!


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最終確認

オリジナルの魔剣って名前付けるのがめんどくさい…
そして、やっと調教シーンが終わって次回からフェニックス戦です。

次回からは他作品キャラという名のオリキャラがかなり出る(予定)


カテレア様を亀甲縛りにしたままアンナ直伝の尋問で口を割らせたところ…

どうやらクーデター的なことを企んでいるようですね…

「ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ…」

にしても煩いですねえ…

「黙らないなら…その口を塞ぎますよ、カ・テ・レ・ア・様?」

「ひっ…!!」

やっと静かになりましたか…

にしても、旧魔王派が動き出したということはカテレア様だけではないということ。

後3人は一体どこでバカやってるんでしょうか…

いや…

リゼヴィム様は動いていないはず…

あの方はルシファー様とリリス様がいなくなられてからまるで魂が抜けたようになられてしまわれたから…

……

あの戦争も色々と裏事情があったみたいですし、そっちの調査もあるので忙しいんですよね…

う~ん…

仕方ありませんね…

邪魔する者、歯向かう者には断罪という名の殲滅を与えましょう。

丁度邪魔者が来てくれたようですし…

「クルゼレイ!!」

あらら…今度はクルゼレイ様ですか…

死なない程度に殲滅しましょう。

両手両足を消し飛ばす程度にしておきましょう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダメだ!!こんなんじゃダメだ!!

俺にはこの神器があるのに…

夕牙にも神器の中にいる赤龍帝ドライグにも使い方を教わりながら手探りで修行を続けているけど…

こんなんで本当に強くなれるのか?

あの焼鳥野郎から部長を守り切ることができるのか?

そんなよくない感情が俺の旨を支配し始める。

『その考えを止めろ、相棒』

ドライグ…

『神器というのは所有者の感情に大きく左右される代物だ。

 そんな不安や恐怖に包まれていては強くなれるものも強くなれんぞ?』

わかってる!!

わかってんだよ、そんなことは!!

けどな!!俺には時間がないんだよ!!

『ならば必殺技を作ってみてはどうだ?

 かつての俺の所有者はそれぞれ独自のものを作っていたぞ?』

必殺技…

俺の少ない魔力でも十分すぎるもので…

かつ、エロに特化したもの…

そういえば…

魔力の修行の時に野菜を魔力だけで剥いた時……

アレを戦闘で使えば…

よし!!

早速修行だ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤龍帝を起こして兵藤を集中的に鍛えてから一週間…明日には街に戻るので今日が最後の修行日だ。

一応鍛える前に一通りの基礎中の基礎中の基礎をやらせたが、全然ダメだった。

 

・木場と剣術修行。重りもあるよ!→速攻やられた

・朱乃と魔力修行。アーシアもいるよ!→魔力が全然ない

・小猫との組手。休憩はないよ!→体力がない

・リアス嬢と体力作り。野生動物もいるよ!→速攻バテる

・俺と神器の修行。ドライグとティアもいるよ!→経験値が足りなさすぎ

 

という壊滅的なため、体力作りと神器の修行を同時に行っている。

具体的な内容は伏せるが、簡単に言うと鬼ごっこ+リンチという内容だ。

 

    兵藤が逃げる

      ↓

    全員で追う

      ↓

  見つけ次第フルボッコ

      ↓

   アーシアが回復

      ↓

兵藤が逃げる(以下無限ループ)

 

こんな感じのを食事と睡眠以外の時間をフル活用してやってやったわけだが、

夜になるとアーシアと共に俺の張った結界内の中ではあるものの、森の中へと出ていく。

一度後をつけて覗いてみたがよくわからなかったが、『必殺技』という単語が聞こえたので放置することにした。

というよりも、アレの後に自己鍛錬する余裕があるとは思わなかった。

これはアレか?

この程度じゃ足りないという意思表示か?

なので、その次の日は兵藤にだけ魔力で空間を弄って間接的に重しを付けた。

勿論、物理でも付けてある。

そしたら何かアーシアの回復量が増えた。

意味がわからなかった。

グレモリー眷属だけで事足りたので俺は木場を奇襲することにした。

木場もそれを踏み越していたのか魔剣で迎撃してきた。

いい判断だ。

取り敢えず普通に無力化してアーシアに回復させた後何が悪かったのか、あの場面での対処法を説明した後に実戦で再確認させる。

その日の夜も二人が出て行ったのでこれは無限ループになると確信したので完全放置することにした。

朱乃と小猫は自分の本気を出すことを認めなかったので適当に鍛えておいた。

黒歌とバラキエルに任せるとしよう。

リアス嬢についてはあの糞貴族とほぼ同じように自分の力を過信しているので放置。

本人はそれがいたくご不満なようで、しきりに俺に勝負を吹っかけてくるので、一度…

「お前、あのフェニックスと同じぐらい自意識過剰だな」

って言ったらレイプ目になって自殺しようとしてたので全員で止めた。

ビックリしたよ…

オーフィスが目を見開いて思考停止していたのに俺はビックリした。

まあ、なんやかんやと言いながらきちんと言われたことをこなすあたり、こいつらは優秀なんだろうな…

とか、考えていた。

最終日なので全員の修行の出来を確認したら後は自由にしてやろう。

オーフィスは俺達が修行している間は森で虫取りをしていたり別荘の中で本を読んでたり昼寝をしていただけだった。

まあ、俺が飯を作る時だけは起きていて、テーブルでスタンバッているのは呆れたが…

「それじゃあ、準備はいいかい?」

「おう!!いつでもいいぜ!!」

まずは兵藤…

俺じゃあ、瞬殺しちゃうから木場に任せた。

兵藤は自分が強くなっていく実感がなかったようなので今回の確認は丁度いいだろう。

最初は木場にボロックソにやられていたにも関わらず、今はほぼ互角。

木場が振るう魔剣を籠手で弾き、逸らし、壊して、木場に有効打を当てる為に拳を振るう。

木場はその拳を躱して新たな魔剣で斬りかかる。

さっきから無限ループだ。

『Boost!!』

兵藤の籠手から6回目の倍化の音声が流れる。

「ここだ!!」

『Explosion!!』

今まで倍化した分の力が兵藤の体を包み込む。

『今だ相棒!!魔力を掌に集めて打ち出してみろ!!』

「おう!!」

兵藤は掌に集められた魔力(米粒サイズ)を木場に向けて打ち出す。

打ち出された魔力は倍化された影響で瞬時に巨大な魔力弾になる。

その大きさは木場を余裕で飲み込む程の大きさだった。

『あ、惑星殺しの大閃光…』

あー、アニオタ魔王ファルビーがお薦めしてきた砲撃系魔法少女アニメだっけ?

ヘイトさんは結構好みだった。

強くなるために露出狂になるところは必見だぜ…

『ただのエロガキじゃないの…』

俺も男なんです…

兵藤の放った魔力弾は木場に躱されそのまま一直線に飛んでいくが、途中で止まり消える。

丁度俺が邪魔が入らないように張った特別性の結界を貼った場所だ。

兵藤の放った魔力弾によって、その部分にはまるで空間に罅が入ったような光景だった。

「おお…あの結界、ラビの攻撃を余裕で防げたんだが…」

「「え!?」」

俺とティアと赤龍帝以外の全員がこっちをガン見してきた。

「兵藤の魔力が倍化されて上級悪魔クラスになってたからなぁ…

 まあ、罅くらいは入るわなぁ…」

「俺の魔力が…上級悪魔クラス…?」

俺の呟きが聞こえたのか、兵藤が籠手を見つめながらそう、呟いていた。

「勘違いすんな馬鹿。この程度でフェニックスを殺せるかハゲ。

 わかったらもっと体を鍛えて更に倍化できるようになれ雑魚」

「そこまで言わなくてもいいじゃんかよ!!!!

 泣くぞ!?」

もう泣いてんじゃねえか…

兵藤の確認はできたので次は木場だ。

「時間が惜しい。

 木場最後はお前だ。」

「え?

 あの、夕牙君…部長たちは?」

「は?

 特に成長すらしてないんだから確認する必要なんてないだろ?」

「「うっ…」」

呻き声を上げるのは朱乃に小猫そして、リアス嬢の3人だ。

アーシアは首を傾げている。

いつもどおりだ。

「あはは…」

木場は苦笑いをしているが否定はしなかった。

「じゃあ、改めて…

 はじめるぞ…」

「うん。いつでもいいよ…」

『どっちが攻めなのかしら…?』

ティアが何か言ってる…

もうツッコミを入れるのもめんどくさい…

とゆうか、ネタが古い…というよりも何回目だよ…

魔剣創造(ソード・バース)!!」

俺がティアのせいで考え事をしていると木場がこのチャンスを逃す訳もなく魔剣で斬りかかってくる。

魔力を右手に集めて、纏わせる。

右手を手刀の形にして、真上から振り下ろされる魔剣を受け止めるが、魔剣が触れた瞬間に木場ごと掻き消えるように霧散する。

「またか…」

いつもどおりの不意打ちか?

爆炎剣(ショート・ボマー)!!」

真上から俺に当たらないように足元に投げつけられた6本の赤い短剣…

え?ボマー?

ドガァァァァァァァァァァァァァン!!!!!

爆音と共に体に衝撃が走る。

とっさのことに簡易防御結界しか張れなかったため、流石に無傷というわけにはいかなかった。

『最初から全力でいかないからよ』

うっさい…

「次行くよ!!爆炎剣(ショート・ボマー)!!」

更に足元に8本…

またもや爆発。

先ほどよりも威力が高い…

「やったか!?」

兵藤、お前は後で殴る。

「二度も同じ技が効くと思うな!!」

「思ってないよ」

爆炎の中から飛び出し、木場のところまで飛ぶと、そこにはさっきからうざい程に見た赤い短剣が…

3度目の爆発…

確かに勝つために手段を選ぶなとは言ったが…

ちっ…仕方ないか…

「破銀の大鎌」

再び投げられた短剣に向けて手にした大鎌を振り抜く。

短剣はその形を保てずに崩壊する。まるで、元々存在していなかったように…

『Breaker!!』

大鎌からティアの声で音声が流れる。

別に赤と同じように力が上がるわけでもなく…

白と同じように相手を弱体化させるわけでもない…

いや、弱体化という意味では白と似ているのかもしれない

「魔剣創造!!…あれ!?」

木場の手には魔剣は現れなかった。

「なんで!?」

隙ができた…!!

短距離転移で木場の後ろに飛び、首元に大鎌を添える。

「……はぁ、降参だよ」

これで調教は終わりだな…

結構疲れた。




さてと、水銀と黄金が観戦するフェニックス戦は次回からです。


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ゲーム直前

今回はフェニックス戦と言ったな…
アレは次回だ…

という訳で、直前ということと、伏線貼りです。
やっと出てきた!!
みなさんの大好きなコズミック変質者!!


魔方陣から現れたクルゼレイ様はこちらを見るなり苦虫を噛み潰した表情で後退る。

「人の顔を見るなりその行動とは…褒められたことではありませんね…」

私の放った言葉にクルゼレイ様は更に顔を歪めて後退る。

その歩数分踏み込む。

私が踏み込むとカテレア様が変な声を上げるが、そんなものは無視だ無視。

新しい玩具が来たのだから…

「フフフフフフフフフフフフフフ…」

「「ひっ!?」」

二人共酷いですね…

ただ、この後のクレゼレイ様から聞き出す工程を考えていただけじゃないですか…

「迎えに来てみれば、大物連れてるじゃねえか…姐さん」

「喜んでる場合じゃないだろ、ランディ…」

クルゼレイ様の更に後ろから転移で現れたのは私の眷属だ。

「アイリス・ヴァレフォールが眷属…

 戦車(ルーク)、ランドルフ・オルランド」

「同じく戦車、ロイド・バニングス」

クルゼレイ様とカテレア様の二人から焦りの感情が見え始める。

「くっ…!?」

クルゼレイ様…劣勢になるのわかっててきたんですか?

相変わらずオツムの足りない方ですね…

ちゃんと状況把握に務めるように何度も何度も耳にタコができるぐらい言っておきましたのに…

「姐さん、囲まれてるわ」

ランディの言葉に周囲の状況を瞬時に把握する。

はぁ…

「たった5千ですか?

 その程度で私たちを止められるとでも?」

「やってみなければ…わからんだろうが!!!」

クルゼレイ様の声と共に四方八方から攻撃が迫ってくる。

「っは!!舐められたもんだな…」

「俺がいる時点で攻撃は通らない」

最速にして最硬の矛、ランディ。

最硬にして絶対の楯、ロイド。

この二人が来た時点で彼らの命運は決まっているというのに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地獄というには生温すぎる修行を終えてから数日が経った現在。

駆王学園、旧校舎内のオカルト研究部の部室内では俺とグレモリー眷属が各々に待機していた。

レーティングゲームが始まるまであと少し…

兵藤とアーシアはカチコチに緊張で固まっていたが、リアス嬢と朱乃は優雅にティータイムと洒落込んでいる。

まあ、十中八九緊張を誤魔化しているんだろうが…

木場は壁に凭れながら瞑想中で、子猫はオープンフィンガーグローブを嵌めて気合マックス状態。

俺?

緊張するわけがない。

『結構な修羅場くぐってきたしねー』

修羅場というより地獄だよ。

あの白髪コンビがあちこちの戦場に無理矢理連れ回すせいだ。

まあ、片方は後で姉に怒られていたから少しすっきりしたが…

もう片方が厄介すぎる。

『まあ仮にも大隊長だしね、あの子…』

まあ、珍しく赤騎士が怒ってたから良しとしよう。

『それよりも夕牙、いいの?』

何がだ?

『定期連絡』

………あ、やべ…

ヤバイかな?

『確実にアウトね』

やべえ…

誰が来るんだ?

問題はそこだ…

大隊長がここで動くわけはない。

水銀と黄金も動かないのは確定していい。

ベイ?リザ?ヘルガ?年の差54歳カップル?

蓮と司狼は嫌です。

『確実にその二人でしょ?』

まじかー…

『そういえば大隊長の最後の一人って誰なのかしらね?』

ああ、黒騎士か…

俺が来る前に旅に出たとかなんとかでいないんだよなぁ…

司狼に聞くと不機嫌になって苛められるからもうどうでも良くなった。

あ、そんなことより連絡しないと…

「皆様、準備はお済みでしょうか?開始十分前です。」

携帯を取り出そうとしたら、魔方陣からグレイフィアが現れた。

なんかもうダメかもしれない…

ゲーム後に急いで確認しよう。というか速攻でゲームを終わらせよう。

『フラグね』

勝手にフラグにすんな

「時間になりましたらこの魔方陣より異空間に用意された使い捨ての戦闘フィールドへと転送されます。

 くれぐれも魔方陣の外へ出ないようにしてください。特に夕牙様。」

あー、窓から綺麗な月が見えるなー

『ほら、図星を突かれたからって目を逸らして現実逃避しないの』

「わかったよ、大人しくしてるって…」

「ええ、お願い致します。それと、異空間内では予定通り夕牙様の魔力をはじめとする全ての力が百分の一になります。」

グレイフィアは僅かに申し訳なさそうにしているが、そんなのはどうでもいい。

最初から決まっていたことだしな。

というより、俺限定でステータス低下の術式組み込むの大変だったろうに…

「神器を出現させた場合は強制失格とみなしこちらから待機室へ強制転移します。」

「あいあい、了解」

グレイフィアの方は見ずに手をヒラヒラと振って軽く返事をしておく。

「そういえば、もう一人の『僧侶』は参加しないんですか?」

俺とグレイフィアのお話が終わったのを見計らって兵藤がリアス嬢に質問する。

「残念だけどあの子は参加できないの。それに関しては近いうちに話すわ。」

ん?一階の開かずの間っぽいところに閉じ込められている金髪ヒッキーのことか?

時間停止の神器だったな。

蓮で慣れてたから速攻で無効化したけど…

『アレは時間停止じゃなくて相手の時間を遅くして自分を加速してるって能力だった気がするんだけど…』

蓮はチートだから…

「……それと夕牙様は3人までしか相手にできません。」

「上層部か…」

グレイフィアは言葉を発さず頷くことで肯定する。

「な、なんでだよ!?」

兵藤が声を荒げて慌てるように立ち上がるが、そんなもの当然だろうに…

「相変わらずお前はアホだな。今回のメインはお前らだろうが…

 俺はあのフェニックスの我が儘とはいえ、紛れ込んでるだけだ。

 それとも何だ?俺に全員倒して欲しかったのか?」

俺の発言にグレモリー眷属が全員押し黙る。

確かにこいつらは強い。

だが、成人してレーティングゲームを経験している相手には部が悪い。

こいつらはレーティングゲームのルールを知っていても、実際に経験したことがないからだ。

経験は貴重だ。

ある物事を経験した者とそうでない者では圧倒的に経験者の方が有利だ。

向こうは数回の経験があるし、情報によれば二回負けてるがそれは接待プレイらしい。

つまり実質は全勝だ。

その相手に未経験で未成人のこいつら…

勝率は一割あるかどうかってところだろうな…

『夕牙がいる時点で向こうの勝率は一割切ってるけどね』

いや、これで負けたのがバレたらレアさんに殺される。精神的な意味で。

『赤騎士も来そうね…』

マジで怖いんですが…

俺が内心レーティングゲームとは別のことで縮こまっているとグレイフィアが未だに伝えていなかったことをグレモリー眷属に伝えていた。

サーゼクスが観戦すること。何故かセラフォルーも観戦していること。

上級悪魔達がこぞって観戦しながら賭けをしていること等等…

まぁ…グレイフィアはサーゼクスのことしか伝えていないが…

「お兄様が?…そう、やっぱり直接見ているのね…」

まあ、俺の参加を認めたんだから色々とあるんだろう。

主に大人の事情とか、上層部の老害とかのご機嫌取りとかそこらへんだろう。

「え?…あの、今魔王様がお兄様って…え?」

兵藤は混乱したようで、声が震えている。

「なんだ、知らなかったのか?お前もこの前見ただろう、あの紅髪の馬鹿だよ。」

俺のバカ発言にリアス嬢が声を荒げようとするが、グレイフィアの行動の方が早かった。

「うちのバカが本当にすみません」

「グレイフィア!?」

グレイフィアの謝罪にグレモリー眷属は口をポカンと開けている。

唯一発言できたのは付き合いの一番長いリアス嬢だけだった。

木場も朱乃も小猫も口を開けて目を見開いて驚いていた。

「あ、あの…てんグレイフィア…?」

「お嬢様…忘れないでください。アレは魔王である前にただの馬鹿です。大馬鹿野郎です。」

動揺しているリアス嬢の肩に手を置いて力説するグレイフィア。

ゲーム前に動揺されると困るんですが…

『原因が言わないの…』

「グレイフィア!?お兄様は貴方の夫でもあるのよ!?」

「ええ。結婚して分かりました。軽く後悔もしています。」

「ちょっ!?」

取り敢えずお取り込み中の二人は置いといて未だに魔王のことで混乱している兵藤に説明してやる。

「いいか、簡潔に説明してやる。

 三つ巴の大戦で、魔王は死んでいるから現魔王は全魔王の名を継いだ普通の悪魔なんだよ。」

「じゃあ、部長のお兄さんが魔王に選ばれたのか?」

「そういうことだ。ま、現悪魔陣営では一番強いからな。」

俺の説明に兵藤は疑問を次々とぶつけてくる。

「あれ?でも、夕牙は部長のお兄さん相手に引き分けになったんだよな?

 お前ってどれだけ強いんだ?」

「さあ?少し前にグレートレッドに挑みに次元の狭間に言ったら土下座で戦闘拒否された。」

「何をしているんですか!!」

俺が兵藤に説明して、兵藤の質問に答えていると、グレイフィアが突然俺に掴みかからん勢いで近づいてきて叫ぶ。

「最終手段使えば勝てるし」

「"アレ"を使えば今度こそ貴方は死にますよ?」

「俺の命に価値なんてねえよ」

俺とグレイフィアの遣り取りにグレモリー眷属は再び止まったように動かなくなった。

「時間だぜ、グレイフィア…」

「……ええ。お気を付けて。

 ゲーム終了まで転移は不可能になっておりますので」

時間の止まったグレモリー眷属と共に床に展開されていた魔方陣の形が変わり戦闘用のフィールドへと飛ばされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

照明が落とされ最低限の光しか灯されていない空間に多くの人影があった。

部屋の入口が開き新たな人影が空間内に入ってくる。

既に空間内にて談笑していた人影達は新たに入ってきた人影の正体に驚き、戸惑い困惑していた。

「アンナ・マレウス!?」

「嘘だろ…!?」

「ヴァレフォール家の残骸か…」

驚きの声の中には憎しみの入っている声なども混ざっていたが、アンナは聞こえていないように振る舞い部屋の中央にいる二人の魔王の元へ歩みを進める。

「………」

アンナの後ろに付き従うようにいるのはアッシュブロンドの青年。

腰にぶら下げるように差している剣の鞘に手を添える。

「やめなさい」

青年の目を堂々と歩くアンナの指示に従い、青年は鞘から手を離し睨むだけに留める。

部屋の中央には二つの玉座のような豪奢な椅子があり、どちらも空いておらず、その二人がこの空間内において一番位が高いことを言外に示していた。

「「お久しぶりです、サーゼクス・ルシファー様、セラフォルー・レヴィアタン様」」

アンナと青年の声にサーゼクスとセラフォルーは投影された様に浮かび上がる画面から目を離し二人を見る。

「マレウス卿は以前より聞き及んでおりましたが、まさか"剣帝"まで来るとは…」

「ご無沙汰しております」

サーゼクスの言葉に青年は頭を下げて応える。

「さてと、建前はここまでにしておきましょうか、二人共?」

アンナの言葉に頭を下げたのは魔王二人だった。

「「お久しぶりです、先生」」

アンナは二人の椅子から割と近い席に腰を下ろす。

剣帝と呼ばれた青年は、アンナの横に控えるように立っている。

サーゼクスとセラフォルーも元々座っていた椅子に座る。

「おお、マレウス卿!お久しぶりですな!!」

アンナの元に大仰な声で向かってきたのはグレモリー家の現当主だ。

「おや、グレモリー卿そちらもマレウス卿にご用事ですかな?」

今度は別方向からグレモリーと同じようなセリフを吐いて近づいてくる者がいた。

フェニックス家の現当主だ。

「あら、二人とも何しに来たの?"アノ事"ならここで言う気はないわよ、私はね…」

「「…………」」

アンナのからかうような言葉に冷や汗を流して押し黙る両家の当主。

アンナは押し黙ってしまい、すごすごと両家用に用意されたスペースに戻っていった二人を視線だけで見送り、目の前に展開されている画面に目を向ける。

「おやおや、相変わらずの辛辣な物言い。昔と変わらず安心しましたよ、マレウス卿」

その男は何時の間にかそこにいた。

部屋の入口が開いた様子もなく、転移の反応もなかった。

「相変わらずウザイわね、メルクリウス?」

ボロボロのローブを纏った長身の男がそこにいた。

「いつからいたのよ?というか珍しいわね、貴方がこんな遊びに興味を持つなんて」

アンナの旧知の間柄であるため剣帝は動かなかった。否、動けなかった。

今の今まで気づくことすらできなかったのだ。

「いや何、少し知り合いがいてな…」

メルクリウスの視線の先には画面に映った白髪の少年がいた




次回からフェニックス戦(確実)
という訳で焼き鳥のフルボッコはまだ先です。
艦これもイベントが開始されたので執筆時間が取れるか微妙なところ。

誤字脱字はいつもどおり。
ではまた、次回


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フェニックス(前編)

何時の間にか年末。
遅れて申し訳ない…
仕事が黒すぎて休みがあんまり取れないし勤務時間は増えるしで、執筆時間が取れない。
これは本当にアカン。

まあ、そんなことは置いといて…
やっと書きあがった前編。
多分中編はないと思う。


「何故だ!?何故当たらないんだ!?」

「くっ!?アイリス・ヴァレフォールは未だに動いていないのだぞ!?

 奴の眷属はいったい何なんだ!!」

5千いた旧魔王派の悪魔達は既に半分以下にまでその数を減らしていた。

ま、あの二人がいる時点で彼らの勝ち目は既にない。

これで二人のどちらかが負けるようなことがあれば、その時はこの子達が弱かっただけ。

次はない用に調教を施すだけのこと…

「「――ッ!?」」

ランディとロイドが突然背筋を震わせたように動きが一瞬止まり、後退する。

?

「何かあった?」

「「いや…なんか悪寒がして…」」

あらら…

風邪でも引いたのかしら?

まあ、問題はないでしょう…

この程度の力で我らを止められると本気で思っているのか?

もしもそうなのなら……

現魔王の指示を仰ぐまでもなく今すぐに旧魔王派を塵も残さず潰す。

「さあ、貴方達はこれからどうする気なの?」

私からの問いかけに答える者はいない…

徐々に減っていく旧魔王派を見ながら私は笑みを浮かべる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転移が終了して目を開くと、そこは先程までいた部室と何一つ変わっていなかった。

グレイフィアがいないこと以外は…

「あれ、転移の失敗か?」

兵藤が声に出して首を傾げる。

俺は即座に魔力を使用してこの戦闘空間を把握する。

「成程。駆王学園をまるごとコピーしたのか…」

「「え?」」

俺が説明するまでもなく、グレイフィアの声で今回のレーティングゲームの説明がされる。

フェニックスの陣地は新校舎にある生徒会室。対してこちらは旧校舎にあるオカルト研究部の部室。

しかも今回に限っては魔王が2人も観戦しているとのこと。

御陰で観戦している貴族どもも多いってわけで…

リアス嬢に視線を向けるとやる気に満ちた目をしている。

ありゃダメだな…

気負いすぎてるな…

アレのフォローもしないといけないのかよ…

メンドくせぇ…

『情報の報酬ももらってないしね…

 ここで負けたら報酬のグレードが下がるかもしれないわよ?』

あー、あいつならなんだかんだでやりそうだなぁ…

悪魔の上層部のゴミども相手取ってるんだし…

『それに、オーフィスも見てるんだしカッコいいところ見せないとね、お・に・い・ちゃ・ん?』

え!?あいつ見てんの?

『仮にも無限の名を持ってるんだもの

 これぐらいは息をするようにできるわよ?』

あー…じゃあ、適度に頑張りますか…

朱乃から受け取った魔力式の通信機を耳に嵌めて、木場が机に広げた地図を見る。

長期戦を想定して魔力を温存しなきゃいけないんだが、百分の一まで落とされているのは魔力だけではなく体力や持久力などもだ。

その為、俺の戦闘参加はできるものの、いつもどおりの戦い方はできない。

『まあ、私も使えないしね…』

素手と魔力弾か…

『母親から教えてもらった奥義は?』

う~ん…アレをこの状態で繰り出すのには時間かかるからなぁ…

それに使えるとして一度だけだし…

まあ、保険として準備だけでもしておくか…

リアス嬢が素人の兵藤達の為にいろいろと懇切丁寧に説明しているが俺は完全スルーしている。

取り敢えず、メモを残して仕掛けに行くか…

『急がないと向こうも仕掛けてくるかもね…』

そうだな。急ぐとしよう。

報酬なしとかマジしんどいし…

定期報告の遅刻理由を説明しないと今度こそ殺される…

『ザミエルにね…』

簡単に想像できるんで止めてください。

『誰にも合わずに済んだわね』

旧校舎から新校舎までを現状の最速のスピードで最短距離を突っ切ってきたが誰にも会わないどころか、警戒網すらかかっていなかった。

まあ、楽にできそうだしいいや。

『範囲はどれくらいにするの?』

もしものことを考えて新校舎全体かな?

魔力を込めて仕掛けを新校舎全体を囲むように施していく。

『それにしても校舎内に気配があるのに動かないのはなぜなのかしらね?』

知ってて見逃してるのか…

本当に気づいてないのか…

『前者っぽいわね…』

(ちょっと夕牙!!今どこにいるの!?)

仕掛けが半分ほど終わった時点でリアス嬢から通信が入った。

というか、五月蝿い…

(新校舎の傍)

俺が現在地を伝えると耳元からリアス嬢の絶句した声が微かに聞こえる。

それに合わせて、何かが割れる音と周りが慌てている音も聞こえる。

ティーカップでも落としたか?

(ああもう!!時間がないからそのまま体育館に向かって頂戴!!)

耳元からリアス嬢のヒステリックな声がする。

(あいよ)

今はリアス嬢の指揮下に入るのでおとなしく従う。

まだ、3分の1も終わってないんだがなぁ…

『まあ、行くしかないでしょうね…』

向こうは既に動いているしな…

というか、動いているのに俺に気づいてないってどうゆうことよ…

「まあいいや。報酬のためだし…」

体育館に向かう途中に金髪縦ロールのウザお嬢がいたが華麗にスルー。

そして、焼き鳥の女王もいたけどこっちに気づいてないので石を投げて注意を逸らしておいた。

体育館に着くと朱乃が上空で待機。

内部では、小猫がチャイナ娘と兵藤が昆を持った少女とチェンソーを持った双子と戦っていた。

まあ、兵藤は逃げてるだけな気がするが…

俺がきた意味ってあったのか?

兵藤は避けてばかりだが負けてる様子はないし、小猫は隙を伺っているから問題ないだろ?

小猫がチャイナ娘を殴り飛ばしたのでもう問題なくなったな…

とか、思ってたら兵藤を攻撃していた3人娘の服が弾け飛んだ。

『何アレ…』

知らんがな…

微弱ながら3人娘に兵藤の魔力があるのはわかっていたが…

「見たか!!これが修行の成果!!朱乃さんにヒントをもらい!!夕牙に習った魔力運用を下に開発した必殺技!!その名も洋服崩壊(ドレスブレイク)!!」

よし、後で血祭りだ…

『これ、評判下がるわね…』

コツコツと築き上げてきたイメージが…

よし、殺す。

『まあ、今回は止めないわ』

「あ、夕牙先輩…」

「お?遅かったじゃねえか!!部長が怒ってたけ…へぶしっ!?」

『相棒!?』

もうゲームなんか知ったこっちゃねえ…

「いきなり何すん…だ…よ…」

どうした、兵藤…

何を顔を青くしている?

(3人とも、聞こえてるわね?予定通り体育館は破棄。今すぐにそこを離れなさい。)

「ちっ…」

腹いせに兵藤を体育館の外へ投げ捨てる。

「ぐえっ!?」

兵藤が変な声を出したのと同時に小猫と一緒に体育科を後にするが、

「待て!!」

あの棍使いが突撃してきたので突きの勢いを利用して一回転させて体育館に投げ飛ばす。

棍使いは5回転ぐらいして反対側の壁に当たって止まる。

辛うじて意識があるのか消えてはいなかった。

棍使いが何かを言おうとしていたがその声は俺の耳に届くことはなかった。

とてつもない爆音とともに体育館は瓦礫の山となった。

上空には朱乃の姿が有り、その手には未だに魔力の余波があるのか、パチパチと電撃の残滓が見える。

「フフフ、撃破(テイク)

音符マークがついてそうなくらいに上機嫌な声だ。

『ライザー・フェニックス様の兵士3名、戦車1名、戦闘不能』

グレイフィアの声で異空間内全体にアナウンスされる。

俺が張った空間結界に反応があったので、足元の兵藤を蹴り飛ばして隣にいた小猫を兵藤と同じ方向へ投げ飛ばす。

「グペッ!?」

兵藤の傷が味方(俺限定)によって増えていくが知ったことではない。

「いきなり何すんだよ!?」

兵藤の怒りに答える前に俺は爆炎に包まれた。

『思ったより威力がないわね?』

「撃破」

聞こえたのは焼き鳥の女王の声だった。

「夕牙!!」

「夕牙先輩!!」

兵藤と小猫の声からするに無事みたいだが、こっちは少し暑い。

『暑いで済ませることじゃないんだけどね…』

「あらあら。あなたの相手は私がしますわ、『爆弾王妃(ボムクイーン)』さん」

朱乃や兵藤が俺の仇討ち的思考になってるけどまだ俺リタイアしてないからな?

「てめえ!!よくも夕牙を!!!降りてきやがれェェェェ!!!」

うん、兵藤五月蝿い。

『ボwwwムwwwクwwwイwwwーwwwンwww』

ティアの笑いのツボがよくわかんない。

確かに痛いとは思うけど…

いい加減暑いのは飽きた。

右手を横に一閃する。

本当は神器でやりたいんだけど今使えないし…

俺の周りを燃やしていた炎が消し飛ぶ。

あー、涼しい。

「あー、暑かった」

兵藤達は困惑しているようだ。

「馬鹿な!?」

最初に声を発したのは俺を爆炎に包んだ張本人である焼き鳥の女王、名前は知らない。

「あの程度でヤられるかアホ。後、俺が殺られたと思ってたお前らは後で腹パンな」

「「ごめんなさい」」

朱乃、小猫は謝ったから許すが、兵藤お前は謝っても許さん。

「さてと、それでは先程も言いましたがここは私が受け持ちますわ」

兵藤と小猫は朱乃に任せて先に行く。

が、俺はその場で朱乃を見上げる。

朱乃が視線に気づいたのか俺に向けて疑問を視線に乗せてぶつけてくる。

「全てを出し切らないと勝てないぞ?」

「………」

使わないか…

「まあいい。それがお前の選択なら後悔だけはするなよ?

 リアス嬢が焼き鳥と結婚しても後悔すんなよ?」

「………」

朱乃は未だに何も言わないが苦しそうに顔を歪めていた。

「まあ、尻拭いくらいはしてやる」

俺はそう言い残して新校舎へと向かう。




という訳で、夕牙君のヒャッハー無双は来年までおあずけです。
小猫ちゃんのリタイアは遠のきました(笑)

さて、今更ですがヒロインはオーフィスにしようと思っていますが皆さんどうでしょう?
作者はロリコンですが巨乳も好きです。
因みにゼノヴィアはいっせーのヒロインにします。
イリナちゃんどうしよう…
まあ、天使(笑)でいいか…

こんな感じで今年最後の投稿です。
では、皆さん良いお年を~


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フェニックス(中編)

あけましておめでとうございます。
今年最初の投稿ではありませんが、最初の投稿の時にしていなかったので…


何故か3つに別れたけど、未だに終わらない。
イベントがまだ残ってるし、エクスカリバー編はまだまだ先です


旧魔王派の面々は既に虫の息、生かさず…そして、殺さず…

尋問の鉄則ですね…

「で、姐さん…こいつらどうするよ?」

さて……おや?

「クルゼレイ様、カテレア様…良かったですね。

 お迎えのようですよ?」

「そこまでです!」

来たのはやはり貴女ですか…

「げ、ルキフグス家かよ…」

「しかも、ルキフグス家一の才女、グレイフィアだ…」

ランディとロイドが嫌な顔をする。

そういえば、何度も負けてはレーヴェやアンナにお仕置きという名の修行を受けてましたね。

今回もそうなるとは限りませんし、生きて戻れるとも思えませんが…

この二人はもうずいぶん前から打倒グレイフィアを誓っていますからね…

「お久しぶりです。アイリス・ヴァレフォール様」

「ええ。随分と強くなったようねグレイフィア」

そういえば、現ルシファーのサーゼクスがなんかグレイフィアのことを言ってたわね…

なんだったかしら…

……まぁ、いいわ

ここで死ぬならばその程度なのよ?

わかっているの、グレイフィア?

「っ!?」

いきなり距離を取られたわね…

「どうしたの?」

「惚けているのですか?相変わらず最強の名を欲しいがままにした人ですね。

 アイリス・ヴァレフォール…いえ、空間支配の破壊者(オートクラシー・デス・クラッシャー)と呼んだほうがいいでしょうか?」

「その名で呼ぶということは…死ぬ気で来るということですね?

 まぁ……楽々と死なせはしませんがね…」

私以外の全員が敵味方関係なく顔を青ざめさせているが、私のすることは変わりはしない。

歯向かう者は全て壊し尽す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朱乃が負けるのが確定して、あの女王をどうやって倒そうかと思案しながらグラウンドに向かう。

そういえば、アキレウスが面白い技使ってたな…

超短距離転移を併用すれば出来そうだよな、あれ…

《計算めんどいわよ?》

そこはどうにかする。

《まあ、頑張りなさい》

あいよ。

《ライザー・フェニックス様の兵士3名、戦闘不能(リタイア)

ティアと新技について考察しているとグレイフィアからのアナウンスが響く。

木場が予定通りに倒したか…

残りはグラウンドに集結しているようだな…

って、おいおい…

あのお嬢様は頭に蛆でも湧いてんのか?

なんで王自ら動いてるんだよ?

アーシアには止められなかったか…

目的地は焼き鳥のところっぽいな…

「はぁ…大人しくしてろよ、あのジャジャ馬が…」

《はぁ、メンドクサイ小娘ねぇ…》

全くメンドクサイ…

自分がやられたら終わりだってことぐらい分かんねえのか、あいつは?

「あ、夕牙君…」

何時の間にかグラウンド手前まで来ており、そこには兵藤たちが集まっていた。

俺が来たことに気づいた木場が声を掛ける。

「グラウンドに残りがいる」

俺の言葉に3人が表情を強ばらせる。

どう作戦を立てようか考えようとすると、

「私はライザー様の『騎士』、カーラマイン!!こそこそと腹の探り合いにも飽きたところだ!!

 リアス・グレモリーの『騎士』よ、いざ私と尋常に勝負せよ!!」

おいおい…

《脳筋ね…》

木場の方を見ると、冷めた目で焼き鳥の騎士を見ていた。

「どうするつもりだ?」

「そうだね…取り敢えず後ろから首でも掻っ切ってくるよ」

笑顔ですごいことを言った。

「………祐斗先輩が壊れました。」

「木場……辛いことがあったんなら力になるぜ?」

おい、余計なこと言うなよ…

「僕はいつもどおりだよ、二人共。

 夕牙君に言われたとおり『最悪』を想定して動いているだけ…」

木場の発言に二人は耳を傾ける。

「部長の望みは今回の婚約を破棄すること。

 なら僕は部長の『騎士』として汚名を被ってでもその願いを叶えるだけ。

 それが僕の騎士道だと思うから…」

そういうなり木場は俺との模擬戦で使った魔剣を創造して姿を消し遠回りであの騎士の背後に回り込む。

「…………部長のために、私がすべきこと…」

「くっそ~…かっこいいじゃねえかよ、木場…」

2人も気合が入ったところで、木場のフォローにでも回りますか…

「敵は引きつけておいてやるから、お前ら二人も奇襲しろ。

 いいか、奇襲だぞ?叫び声上げて敵に知られる馬鹿なことすんなよ?いいな、兵藤?」

「………そうですよ、一誠先輩」

「二人共酷くね!?」

お前が一番その可能性が高いんだよ

グラウンドにいる騎士に俺が見える場所まで移動する。

「ん?なぜ貴様なのだ!?そちらの騎士はどこだ!?」

なんでいきなりキレられたんだ?

というか本当に残りが集合してんのな…

周りを見回すと、仮面の女、もう一人の騎士、縦ロール、着物、猫耳AとB…

うわー

《改めて見ると引くわねー》

「はぁ…雑魚ばっかか…」

聞こえないように口に出すも聞こえていたらしく…

「貴様…!!我が騎士道を愚弄するか!!!」

《騎士道ってなんだったかしら?》

「なら、俺を倒してみろよ?

 まぁ、お前には無理だろうがな…」

「なにぃ…きs…がっ!?」

だから言ったんだよ…

「そう…無理だよ…だって君はここで退場なんだから…」

木場が騎士の背後から魔剣で腹を貫いている。

「貴…様……卑怯…者…め…」

「何とでも言ってくれ…僕は部長に勝利を捧げなくてはならないんだ…」

《ライザー・フェニックス様の騎士1名、戦闘不能》

「で?次の雑魚は誰だ?」

「私だ」

出てきたのは仮面の女。

《お前だったのか…》

ティアに突っ込むのもいい加減疲れてきた…

「お前には借りがあるのでな…白刃…」

そういうなり、仮面の女はいきなり距離を詰めて殴りかかってくる。

大振りすぎて避けやすいな…

ギリギリまで引きつけて避けるも、今度は下から蹴りが来る。

ソレを左手に魔力弾を握り込み、蹴りに当てる。

当たった瞬間俺と仮面が爆発に飲まれる。

まあ、そうなるように魔力を変換したからな…

つうか、左手痛い。

「ぐううああああ!!」

仮面の叫び声と同時に爆発で傷ついた足を掴んでその骨を折る。

「ふん!!」

「あああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

その場に崩れ落ちたところを頭を狙って意識を奪うために蹴りを放つ。

仮面はそのまま吹き飛び新校舎の壁をブチ抜いて…

《ライザー・フェニックス様の戦車1名、戦闘不能。

 神下夕牙様は残り二人を戦闘不能にした時に強制退場になります》

仮面はそのままリタイアとなった。

「ちっ!あんまり威力が出ねえな…」

「いや、十分すぎるよ…」

木場からのツッコミの力がない…

木場の方に振り向くと、顔が引き攣っていた。

「くっ!!皆、あの男を仕留めなさい!!」

縦ロールが叫び、残りが俺に向けて殺到してくる。

ダブル猫耳ともうひとりの騎士の3人がこちらに来て着物は魔力でサポートか…

着物が魔力を貯めているところに…

「…………隙ありです…」

小猫が着物の真後ろにある茂みから奇襲を掛ける。

『戦車』の特性である馬鹿げた力で頭部を打撃する。

「がっ!?」

『ライザー・フェニックス様の僧侶1名、戦闘不能』

「それは、貴女もよ?」

上空からの声と共に小猫がいた場所が爆発する。

「「小猫ちゃん!?」」

兵藤と木場が叫ぶ。

だから叫ぶなといったんだよ、兵藤…

潜んでいる意味がないだろ…

《まあ、今回ばかりは仕方ないか…》

上空を見上げるとあの女王がいた。

やっぱり負けたか…

《リアス・グレモリー様の女王1名、戦車1名、戦闘不能》

辛うじて意識を保っていたが無理だったってところか?

《そうね。あの女王もアナウンスで味方がやられすぎて焦って見落としていたのかも…》

ボロボロのところを見るとそれなりにはやったようだな…

「ユーベルーナ、フェニックスの涙を使ったらどうかしら?」

「既に使ったあとなのです。

 気をつけてください、向こうはかなり手強いです。」

縦ロールの傍に降り立った女王は縦ロールの質問にそう返した。

今、現在手の空いているのは俺一人のためアイツ等二人の相手は俺か…

ダブル猫耳は木場のところに、騎士は兵藤の近くに強制転移させたので二人は現在戦闘中だ。

「おわ!?危ねぇ!!」

「くっ!?素早い!!ならこちらも!!」

兵藤は危なげに…木場は余裕そうに相手と戦っている。

仕方ないので兵藤に魔力弾で援護してやる。

「くっ!?いったいドイツだ?」

「隙有りだ!!」

「ぐああああ!!!」

《ライザー・フェニックス様の騎士1名、戦闘不能》

兵藤の援護はできたが木場の方は出来ずに…

「ぐあああああああああっ!!」

木場が爆炎に包まれ叫び声が上がる。

猫耳は両方共動きが止まった。

「ただでは死なないよ…」

木場のその呟きと共に

片方の猫耳が氷漬けになり、もう一方は木場と同様に爆炎に包まれた。

《ライザー・フェニックス様の兵士2名及び、リアス・グレモリー様の騎士1名、戦闘不能》

残りはあいつら二人か…

「くっそ!!木場の敵討ちだ!!」

傍に来た兵藤が悔しそうに叫ぶ。

いや、死んでないけどな…

「お前は校舎の屋上にいけ」

俺は兵藤の方には向かずそう言い放つ。

「けど!?」

「いいから行け。お前の王が苦戦してる」

俺の言葉に兵藤は悔しそうにしながらも校舎へ走る。

「行かせるとでも?」

行かせるさ…

女王の放つ爆炎をこっちの魔力弾で相殺して、あいつの視線をこっちに向かせる。

「くっ!あくまで邪魔をするようですね、白刃…」

さっきの篭った視線で向こうが睨んでくるが、正直怖くない。

まだベイのほうが怖い。ザミエルはもっと怖い。

校舎の屋上からは滅びの力と不死の炎が咲き誇っている。




次回でレーティングゲームは終わらせます(予定)
ではまた次回。


あ、破滅を宿した寂しがり屋の外伝も書いてますのでよろしくです。


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フェニックス(後編)

いやー、やっと書けた書けた。
色々とあったので称略しているけど、本当にお待たせです。


多分これを読んでいる途中で「お前が使うのかよ!?」
とか言われそうだけど、仕方ないね。

前半をギャグで後半を無双で書いているはず…多分
ついでに言っておきますが、別にリアスアンチではありません


「いえ…今日はこれで失礼させていただきます。」

私としてはグレイフィアがどれだけ成長していたかが気になっていたので少し残念ですね。

「ならばさっさと私の前から消えなさい。…さもないと、消滅(消して)しまいそうになるから…」

「「!?ッ」」

青い顔をしながら直様消えるように転移していくグレイフィアを見送りながら両手に貯めていた魔力を霧散させる。

旧魔王派の撤退により、こちらは不完全燃焼…

「まあ、いいわ…

 帰るわよ、二人共」

ランディとロイドの二人に声をかけ、返事を待たずに歩を進める。

「あ、はい」

「あ、おい、姐さん!!」

二人は慌てて私を追い、私は歩を緩めずに暗くなってきた冥界の荒野を歩む。

ふふふ。最後に向けた殺気で気絶せずに逃げ切ったことは褒めてあげませんとね。

「うふふふふ」

笑いがこみ上げてきますね…

「おい、姐さん笑ってんぞ…」

「はぁ、今日も特別コース確定か…」

あぁ、これだから世界は楽しいんだ…

私より強い奴は世界中にいる。

封印されていない邪龍に無限と夢幻。

サーゼクス達、新四大魔王やグレイフィア等の若者達…

人間の中にもいるかもしれないわね…

本当に楽しみだわ…

だから……簡単に壊れないでね…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兵藤が校舎内に消えたのを見届けてから敵の女王と縦ロールに視線を向ける。

《うわぁ、弱そう…》

ティアが哀れみの感情を込めて言うもんだから、なんか弱いもの虐めしてるみたいだ。

「はぁ、めんどくせえけど…一応足止めをしておくか、はぁ…」

言葉の最初と最後に溜め息を入れたせいか、目の前にいる女王と縦ロールはおこのようだ。

「舐めてくれたものね…白刃!!」

縦ロールは動かずに女王が突っ込んでくる。

《あら?意外に脳筋なのかしら?》

真っ直ぐに突っ込んでくるので右に体をずらして躱す。

「掛かったわね」

あ、そうきたか…

躱した直後に俺の背後から爆音が聞こえ、俺の体は宙に投げ出された。

「やりましたわね!!」

縦ロールのフラグ声が聞こえたので短距離転移で縦ロールの背後に移動する。

女王は爆発した地点の上空を舞って、警戒している。

残念ながらそこには誰もいないんだがな。

縦ロールの声が煩いのでお仕置きと母さんから受け継いだ先祖代々のドS心でタイキックをかます。

《デデーン!縦ロール、アウトー!》

「ぎにゃあああああああ!?」

気絶はしないように加減したので大丈夫だろ…

というよりもタイキックでリタイアってのもカッコ悪いだろうし…あれ?俺優しくね?

《とても邪悪な笑顔をしているわよ?》

「レイヴェル様!?」

「うっ…ひぐっ…」

あ、泣いちゃった…

《ちょっと男子ー》

ティアは本当にどうやってそういうネタを仕入れてくるんだ…

「くっ!白刃!!」

「なんだよ?」

女王がこっちを睨んでくるが別に怖くない。

だからベイの方が怖いって…

《あ、上の方がピンチよ?》

え?

校舎の屋上に視線を移すと、真紅の炎が咲き誇っていた。

まぁ、こいつら足止めしててもあいつらじゃ、ダメだったか…

はぁ、仕方ない…

短距離転移を使い屋上で何故かガイナ立ちしてる焼き鳥にレアさん直伝の奥義を炸裂させた。

「秘技・千年殺し!!」

「あっーーーーーーーーーーーー!!!」

尻を抑えて屋上に倒れこむ焼き鳥の姿がそこにあった。

「「…………」」

アーシアと兵藤とリアス嬢はポカーンとして動こうとしない。

さて、どうするか…

俺の後ろにはおってきた女王と縦ロールが状況が読み込めずにポカーンとしている。

とりあえず、目の前に尻を突き出している焼き鳥の股間が無防備だったので爪先で蹴り上げてやった。

《容赦ないわねー》

「ふんぬっ!!」

焼き鳥のこの世のものとは思えない悲鳴が聞こえたが無視だ。

「ひっ!?」

兵藤が股間を抑えて後ずさりする。

女性陣はドン引きしてる。

これでこの勝負こっちの勝ちじゃね?、と思い込んでいたら焼き鳥がいきなり燃え上がった。

「焼身自殺か…」

《違う、そうじゃない…》

「くっ!やってくれたな、この下等生物がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

炎の中から現れるなり殴りかかってくる焼き鳥。

拳に炎を纏っているので選択肢は避けるだけだ。間違っても受け止めることはない。だって熱そうだし。

そのお陰なのかはわからんが、図らずとも俺と焼き鳥の一騎打ちのような状態になってしまった。

えー、俺こいつに興味ないんだけどなー

間違っても俺がこの雑魚焼き鳥を倒すわけには行かない。

倒せないわけではない。ぶっちゃけ余裕で倒せる。

だが、今回の主役は俺ではない。

俺はあくまで添え物。スーパーに売っている刺身のパックに入っている大根のアレみたいなものだ。

《言ってて寂しくない?》

五月蝿い

魔力を使いリアス嬢達のいる空間を切り取り位相を僅かにずらす。

それだけで焼き鳥たちはリアス嬢達に手出しできなくなる。

現に、上空に舞っている女王がリアス嬢に爆炎を見舞おうとしたが、位相がずれているために見えない壁にぶつかったかのように爆発する。

「どうゆうつもりかしら?」

リアス嬢が何かを言いたげに俺に問いかけてくるが、その顔を一瞥したあとに兵藤とアーシアに指示を出す。

「アーシアはさっさと兵藤を回復させてやれ。」

「は、はい」

アーシアは即座に兵藤に癒しの力を振るう。

兵藤もわけがわからないという顔をしていたが、ドライグのほうは解っているようで少し安心した。

《相棒、奴の動きを見ておけ。今より更に強くなりたいのならな》

「ドライグ…」

という訳でやっと理解できたオツムの弱い赤龍帝(笑)

一瞬でも目を離さないように真剣に俺の動きを観察しようとしている。

「やっと、終わったか?」

「なんだ、待ってたのか?馬鹿じゃねえの?」

アホだろこいつ等…

隙があるならさっさと来いよ…

「だが、お前が倒せるのはあと二人だけ…それに俺とレイヴェルは不死だから倒すのは無理だ!!」

「は?アホかテメエは?確かに俺は後二人しか倒せないが、3()()()()()()()()ちゃ()()()()()()()()()()()()()?()

「「!?」」

目の前の3人に殺気をぶつけるだけでいい感じに顔を歪めてくれる。うん、少しやる気出た。

《"殺る気"の誤変換ね…》

聞こえない

まずは…女王だな。

さっきから羽虫みたいに飛び回っててウザイ。

魔力を体の全身に行き渡らせ、連続短距離転移の準備が終わり次第に、動く!

最初の転移で移動したのは、魔力で飛んでいる女王の真下だ。

パンツ見えたとか兵藤が思ってそうだなぁ、と思いながら女王を真上へ蹴り飛ばす。

焼き鳥たちが気づく頃にはもう遅い。

次の転移で移動したのは真下からこっちに向けて飛んでくる女王の上。

今度は右へ蹴り飛ばして、転移。

その次は下、その次は右…

これを延々と繰り返すだけの楽な作業だ。

右、下、上、左、右、上、右、下、左、下、上、と延々と続くかに見えた作業も終わりがきた。

女王のダメージが限界に来ているからだ。

なので最後の転移で、女王の真上に移動し重力を利用しての回転型かかと落としを丁度胃がある辺りにぶち込み、全力で振り下ろす。

「アキレウス直伝…ケイロン・ステップ」

技名を言う必要はないのだが、アキレウスとの約束なので仕方ない。

女王はグラウンドのほぼ中央に、クレーターを作って倒れていた。

『ライザー・フェニックス様の『女王』1名、戦闘不能(リタイア)

グレイフィアのアナウンスが来ると同時に俺はさっきまでいた屋上に降りてきた。

「まずは一人…」

俺がそう言って、焼き鳥兄妹を見ると顔面に絶望の色を貼り付けた二人の悪魔が後ずさりしていた。

さて、使わないのも勿体ないので校舎周辺に仕掛けたアレを使って一人をリタイアにもう一人を瀕死に追い込むか…

「なんなんだ…なんなんだ、貴様は…」

焼き鳥が何か言ってるが知らんし、俺は俺だ

残っている魔力を総動員して、その全てを喉に…いや声に込める。

「――ものみな眠るさ夜中に――」

俺の声が空間中に響く。

魔力を込めて紡ぎ、空間を操作する…

俺が母さんから教わった奥義の一つでもある、"魔言法(まごんほう)"…

他の悪魔でも出来なくはないが、今ひとつ効果は薄いだろう。

母さんの家系であるヴァレフォール家だからこそ使える方法だそうだ。

「――水底を離るることぞうれしけれ。――」

校舎周辺に仕掛けた魔力と共鳴しあい、不可視にしていた魔方陣が姿を現す。

「まさか…魔言法!?」

「有り得ん…有り得るはずがない…」

リアス嬢と焼き鳥が顔を青ざめさせて後退りをしている。

「――水のおもてを頭もて、――」

魔方陣の数は徐々に増えていき校舎を取り囲んでいく。

焼き鳥は俺を一瞥すると、妹を抱えて上空へ逃げる。

無駄なことを…

「――波立て遊ぶぞたのしけれ。――」

縦ロールがやっと自分の状態に気づいたのか焼き鳥に講義しているが焼き鳥は出来るだけ上空に飛ぶのに必死で気づいていない。

俺は魔言法を続けながらリアス嬢達の空間を更にずらす。

位相がずれるごとに3人の声がこちらに通じなくなるが、そこは耳にはめた通信機がカバーしてくれる…はず

「――澄める大気をふるわせて、互に高くよびかわし――」

後もう少しというところで空間の端まで飛び上がった焼き鳥が縦ロールを自分の後ろに隠しつつも、こちらに火球を放ってくる。

兄としてのプライドなのかは知らんが、妹を守ろうとする姿勢は十分評価に値する。

だが、火球のコントロールが悪く俺には当たらなかった。

「――緑なす濡れ髪うちふるい――」

魔方陣が全て顔を出し校舎全体を囲うように回りだす。

全ての魔法陣が現れたことで全ての条件が揃った。

魔法陣が組み合わさり、一つの巨大な魔法陣としてこの空間に広がっていく。

「――乾かし遊ぶぞたのしけれ――」

魔方陣が現れたことで俺の親がバレたがまぁ、いいだろう…

母さんからの遺言もあることだし…

「――食人影(ナハツェーラー)――」

魔法陣が光り輝いた瞬間にはそれは始まった。

校舎や体育倉庫等の建造物はもちろん木や花壇などの例外なく()が全てを飲み込むために蠢き出す。

次の瞬間にはこの空間は更地と化した。

影はそれだけでは飽き足らず上空にいる焼き鳥兄妹を狙ってその手を伸ばす。

いや、手といっても影なんだけどね…

上から火球が降ってくるも、影に火を当てる事など出来る訳もなくあっさりと足を絡め取られる縦ロール。

「ひっ!?いやあああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

影の半分は未だに逃げ回る焼き鳥を追い、もう半分は絡め取った縦ロールに絡みついていく。

「いやっ!!助けて!!誰か!!誰かあああああああああああああああああああ!!!」

本来ならすぐにリタイアにさせてやるところなんだが、まだ焼き鳥が捕まっていない。

だが、母さんの考案したこの技から逃げることはほぼ不可能だ。

ほら、つかまった。

という訳で…

「食ってよし…」

俺の言葉に反応して縦ロールの包み込まれた黒い影の球体と、包まれつつある焼き鳥から咀嚼音が空間中に響き渡る。

グチャグチャ、ゴリゴリ、ベチャベチャと…

「嫌ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

「うがあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

二人の悲鳴が響き渡り、縦ロールの包まれた球体が萎んでいく。

『ライザー・フェニックス様の『僧侶』1名、戦闘不能(リタイア)。神下夕牙様は規定人数を戦闘不能にしたため強制退場となります。』

グレイフィアのアナウンスが響く。

退場させられる前にずらしていた位相を戻す。

「夕牙!!」

いの一番に話しかけるというよりも叫んできたのは兵藤だったが、ソレを遮るように俺の言葉をぶつける。

「俺ができるのはここまでだ。これで負けたらお前はその程度ということだし、敗因はお前だぞリアス嬢?」

「ええ、わかっているわ」

リアス嬢の満面の笑みを最後に俺は控え室へと転送された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木場たちの様子を見に行こうとしてスタッフがいる医務室へと行くと、全員起きていた。

「あ、夕牙君…」

「……夕牙先輩」

「夕牙君」

三者三様の呼び方で俺の名前を呼ぶ。

その顔には申し訳無さやら恐怖やら色々込められているが、とりあえず放置。

こっちに転移してくる気配がある。

まあ、十中八九サーゼクスだろう。

顔面パンチの準備をしておく。

飛び込んできたのはピンク髪の小柄な少女というよりロリっ子だった。

わけがわからなかった。

『リアス・グレモリー様の『兵士』1名、戦闘不能(リタイア)。同時にリアス・グレモリー様の投了(リザイン)を確認。ライザー・フェニックス様の勝利です。』

「はあああああああああああああああああああああああああああ!?」

俺はわけがわからないうちに負けた。




今回は結構長かった。
負けた理由は次回で判明。
しつこいようですがリアスアンチではありません。
必要なんですよいろいろとこのあとの展開に…
最後に飛び込んできたのは誰か、みなさんはお分かりでしょう…?
次回はレーティングゲームの一誠サイドとサーゼクス達観戦者サイド
その次に本気の夕牙君かな?

誤字脱字あったらよろしくお願いします。


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フェニックス《裏》

遅くなりました。

リアルが忙しいのもありますが最近スランプ気味です。はい、言い訳です。
こんなのでもいいという、心の広い方許してください。


「あれ、転移の失敗か?」

《いや、違うぞ相棒》

俺が疑問の声を口にすると、俺の神器の赤龍帝の籠手からドライグの声が響く。

「成程。駆王学園をまるごとコピーしたのか…」

部室の入口にいた夕牙が目を瞑ったままそう口にする。

マジかよ…

悪魔スゲー

窓の外を見ると確かに何時も通りの駆王学園だった。空以外は…

なんだあれ…

《ここが異空間であることの証明ということだ。今はそれだけ理解していればいい》

そっか、偽物の学校ってことはいくら壊してもいいってことだよな?

《ああ。弁償なんてする必要もない。存分に暴れるぞ相棒》

おう!!

部長の貞操がかかってんだ…最初っからクライマックスの勢いで行くぜ、ドライグ!!

俺とドライグで気合を込めていると全校放送のようにグレイフィアさんの声が響く。

話に耳を傾けるとどうやら今回のレーティングゲームに関してのルール説明みたいなもんらしい。

部長のお兄さんには一度レイナーレの時に一度あっただけだが、今回は観戦しているらしい。

他にも貴族の人達が観戦しているだとか、もう一人の魔王様も来ているとか…

木場が机に広げた駆王学園の地図を見ると、部長が作戦を説明してくれた。

木場と朱乃先輩はトラップをかけて敵を誘い出して数を減らす。

そして重要拠点になる体育館に敵を留めて一網打尽。

「そして、夕牙貴方なん…って、いない!?」

「「ええ!?」」

アイツ、何時の間に…

《ん?なんだ、相棒気付いていなかったのか?》

何時の間にいなくなったんだよ…

《騎士の小僧が地図を広げたすぐ後だ》

結構前だな…

「あー、もう!!」

うわー。部長がかなり怒ってる…

夕牙の奴、いったい何してるんだ?

「部長、通信機は渡していますので連絡してみてわ?」

朱乃さんの提案に部長は無言で頷いて夕牙に通信する。

朱乃さんの入れてくれた紅茶で喉を潤しつつ夕牙に通神する部長。

「ちょっと夕牙!!今どこにいるの!?」

耳にはめた通信機から部長の怒鳴り声と、それをめんどくさそうにあしらう夕牙の声が聞こえる。程よく自動的に調整されているのか、鼓膜が破れる心配はなさそうだ。

夕牙が新校舎付近…つまりは敵の陣地の真っ只中にいると聞いたときは部長は絶句して思わずティーカップを落としてしまったほどだ。

色々とあったが、夕牙との通信を終えると、直様作戦の準備にかかった。

木場と朱乃さんがトラップを仕掛けに旧校舎の外へ、小猫ちゃんは体育館へ偵察へ。

部長とアーシアは旧校舎で待機。

そんな中俺は今、部長に膝枕をされている!!

 

HI ZA MA KU RA

 

それは男なら誰もが憧れる魅惑の響き…

それを今、俺が堪能している!!!!

ふははははっ!!今日の俺は木場すら凌駕する存在だ!!!

 

 

 

 

『おい!!』

だから、あの焼鳥野郎にも勝てる。ていうか、勝つ。

俺より強い夕牙もいるんだ、負けようがないぜ!!

『おい、相棒!!』

そうだよ、負けるはずがない!!

なのに……

 

 

『相棒!!!』

聞こえてるぜ、ドライグ……

くっそ……、分かっていたことじゃねえか!!あの焼鳥野郎が俺よりはるかに上にいる存在だってことぐらい……

この程度のダメージで寝てるんじゃねえよ、兵藤一誠()!!

ドライグ、どれぐらい寝てた……

『10秒程度だ。だが、シスターの嬢ちゃんはやられちまった』

くっそ、全身が痛い。立ちたくない。もう寝ていたい。

けどな、この程度レイナーレの時に比べればまだマシなんだよ!!

「ま・だ・だーーーーーーーーーー!!!!!」

そうだろ、ドライグ?

赤龍帝がこの程度で倒れられるかってんだ!!

『あたぼうよ!!』

負けられないし、負けたくない。この男にだけは負けられない!!

何よりも、おっぱ……じゃなかった、部長を渡すもんかよ!!

 

 

だが、俺は負けた。

あいつに負けた。殴ってやったし蹴ってもやった。夕牙に鍛えられたおかげでそれなりに力は付いたと思っていたが、それでも全然足りなかった。もっと強い力がいる。誰にも負けない力が……

『相棒、力が欲しいか?』

だから俺は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その場は静寂に包まれていた。

勝負の結果は当初の予想通り、ライザー・フェニックスの勝利だ。だが、圧勝すると殆どの者が信じ込んでいた結果は裏切られ、ライザー陣営はキングであるライザー・フェニックスただ一人まで減らされてのリアス・グレモリーのサレンダー宣言。

ルール上はライザーの勝利だが、傍から見ると成人して居らずレーティングゲーム未経験の相手に辛勝。これを勝ちと言えるのかは人によるだろう。

だが、静寂に包まれた理由はそんなことではなかった。

理由はただ一つ。この場が今現在濃密な殺気に包まれていること。

発生源は一人の少女。少女の外見をしたナニか。

その顔は愉悦に歪み、彼女のことを知っている者が今までに見たこともない笑顔を浮かべていた。

傍らに備えている剣帝は涼しい顔をしているが、その顔は微かにだが微笑んでいる。

「レーヴェ、全員を招集なさい」

「わかりました」

この一言で静寂に包まれていた会場はざわめきに包まれていた。

「彼が何者かはわからないけれど、アイリスに繋がる物を持っているのは間違いないわね。アイリスの忘れ形見だとしたらどれだけ出来るのか見ておかないとね。本当に愉しみだわ」

魔王よりも魔王らしく嗤う彼女を見て、誰もが戦慄し顔を青ざめさせる。

「ああ、愉しみだ……」

誰よりも愉しく、顔を赤らめて、アンナ・マレウスは先程まで見ていた白髪の少年に思いを馳せる。




さっさと終わらせて黒円卓出したい


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説教

ここ一年程執筆時間が取れない状況でしたが、これからは何とかなりそうです。
待っている人がいるのかもわかりませんが、お待たせしました。


『はい……、一体何の用かしら草履虫?』

「ごめんなさい……」

『それは何に対しての謝罪なのかしら?定時連絡が遅れたこと?あなたの存在に対して?一体何に対して謝っているのか私に分かるように説明してくれないかしら?』

やばい。かなりキレてる。

「定時連絡が遅れたことです」

『ああ、そんなこと?とりあえず迎えを送るから大人しくしていなさい、草履虫』

「はい」

携帯を耳から離し、ベッド上に倒れる。

やばい。これはやばい。

『ボキャブラリーが貧困よ?』

わかってるよ。くっそー、わざとじゃないのにぼろっくそに言ってくれやがって……

というか、なんでリザじゃなかったんだよ。レアさんは苦手なのに……

『私に言われても困るわ。私が決めてるわけじゃないんだから……』

わかってるよ。ただの愚痴だよ……

『まあ、お仕置きは確定ね』

ですよねー。内容がわからないのが一番精神にくるから嫌なんだよなー

「はぁー、死にたい……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日というか、日付が変わった瞬間に迎えが来た。こっちの都合も考えてほしい。

来たのは二人。幸の薄そうな神父と足のスリットにしか視線がいかない系シスターだ。

夜も遅いので扉を閉めて鍵をかけてチェーンロックもかけて自室に戻る。

リビングに二人がいるのは、まあ。驚かない。今更だしな。

「時間考えて」

「それについてはすみません。ですが連絡しなかった貴方が悪いんですよ?」

ぐうの音も出ない。

「貴方にも貴方なりの理由があるんだろうけど、それとこれとは別よ?」

反論の余地もない。というか出来ない。

これは徹夜説教フルコースになると覚悟した時、2階からオーフィスが降りてきた。

「「なっ!?」」

あ、そういやオーフィスのこと話してなかった気がする。

『また怒られるわよ?』

ははっ、知ってる。

「……誰?」

トコトコと擬音が付きそうな歩き方で俺のそばに来て目をショボショボとさせている。

ふと、嫌な予感がしたのでシスターの方を見ると、笑っていなかった。

「正座」

一言。その一言に俺は逆らわなかった。だって怖いんだもん。最大の要因は敵じゃないことだが……

神父は「わかりますよ、怖いですよね」みたいな顔で頷いている。

「何してるのヴァレリア、貴方もよ」

「アッハイ」

哀れ神父。俺の隣に正座をして覚悟完了した顔でいる。

そして、徹夜説教フルコースが始まった。

オーフィス?正座した俺の膝の上で寝てたよ。

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、学校は休んだ。

説教が終わってなかったからな。仕方ないな。

俺は定時報告をしなかったこととオーフィスの未報告の件、神父は今までの生活態度やらなんやら。

昨日の深夜から始まったフルコースは日が昇っても治まらなかった。昼前に一時休憩になった。終わってないみたいだ。

お昼はシスターが作った。

『料理が出来るようになったのね』

確かに前に見たときは卵焼きを作ろうとしてレンガが出てきたな。

『どうやったら、食べ物が鈍器になるのかしら?』

さあ、錬金術じゃね?

出てきた料理はさすがに予想外だった。

きちんとした料理だったからだ。見た目だけは。

「え、普通に食べれそう」

「味は最悪ですよ?」

「レンガよりはましだろ?」

「そりゃまあ……」

神父と俺は未だに手を付けてない。だって絶対まずいんだもん。オーフィスは朝から外に出かけている。逃げやがったな。

シスターは俺たちの対面でニコニコと笑っている。目以外が。

『ほら、さっさと食わんのか?』

視線でそう言ってるが俺たちは未だに手を付けられずにいる。

神父と顔を見合わせ、覚悟を決める。

「「ジークハイル(いただきます)」」

「なんでそんな覚悟が必要なの?」

口に含んだ瞬間、俺と神父が椅子から転げ落ちた。

「「まっず!!!」」

ひどい味だ、何このひどい味。口の中が阿鼻叫喚というか……

「「口の中がかなり酷いこと(アクタ・エスト・ファーブラ)になってる」」

「酷い!!」

シスターが立ち上がって抗議するが、それどころではない。立ち上がることすらできない。

神父は既に意識を手放した後だ。こいつも逃げやがった。

シスターの視線は必然的に俺に向けられることになる。俺もさっきので気絶しとけばよかった。

視線が言っている。『お前は全部食べるよな?』と。

さて、食べますか(死にますか)……

全力の死に物狂いで完食したが、本気で死にかけた。

 

 

 

 

神父も強制的にたたき起こされて、胃袋に(強制的に)食事を詰め込まれたところで説教が再開された。

食事のインパクトのせいで忘れていたが、説教されていたんだ。

神父は既にグロッキーというか死にそうな感じ。顔色も土気色だし、途中でリバースしそうな感じ。

距離を取っておく。

「夕牙、ヴァレリアの隣に座りなさい」

「アッハイ」

大人しく神父の隣に座りなおすと、神父が最悪のコンディションで俺を見ていた。

視線が語っている。『もう無理です』と。

俺は一瞬の判断で後方へバックステップをした。次の瞬間神父がシスターに向けてリバースした。

こうなるとは思っていたけど最悪の形で説教が止まった。

シスターを風呂場に放り込んで、神父をトイレに投げ込み、俺は後始末。

結果的に説教は終わった。

『本当に酷い終わり方ね』

全くだ。いったいどうしてこうなったんだ?

『貴方が報告を怠ったのがそもそもの原因よ』

俺のせいじゃない。絶対にだ!!

どう考えても間が悪かったということにしたい。



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