一介の人形遣いに何を求めているんですか… (影元冬華)
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1st stage
それは始まりに過ぎないただの挨拶


 突発的に始めようと思っただけです。続くかは気分次第だけどやる。一〇〇式ちゃん、詐欺人形って呼ばれてるけどそんなことない。かわいいしかわいいしかわいい。癒し。それでいて謙虚で自己評価が低い。

Q:どうしたい?
A:かまって頭なでなでしてあげるしかねぇよなぁ!

Q:何でヒロアカ?
A:世界観が好きだから


気まぐれでいいなら見てって。ただのオタクだから


 目が覚めたら知らない天井でした。

 

 いやまって、マジで知らない天井なんですけど。少なくとも我が家は天井何もない白い天井だったし今見える光景は青背景に星がちりばめられてる壁紙?天井紙?なんですけど。

 とりあえず現状把握したくて回り見たかったんだけど見れない…。え?何で?と思ったらもちゃもちゃと動く手足。

 …あの、私赤ちゃんになってませんか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現状把握しましたねはい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれからしばらくして分かったことと言えば、どうも私は死んでこうして赤ちゃんになったらしいです。輪廻転生とかいうけど、はっきり言って悪行しかした記憶ないですね…。しかも死因は金属アレルギーからのアナフィラキシーショックとか笑えない…。まぁ、それはいいとして。問題なのはさっき両親の会話を聞いた時のこと。「個性」がー、とかなーんか怪しい、もとい聞き覚えのある世界観だと思ったんですよ。そして気づいてしまった私。

 

 あっ、これいわゆるテンプレ転生で「僕のヒーローアカデミア」の世界に飛んできちゃいましたね。

 

 サブカル雑食ソシャゲオタクだった私からすればうれしさ半分恐ろしさ半分といったところですねはい…。とりあえず、これだけは言っておこう。原作はあまり覚えていないけどヒーロー目指すのはやめておくべきだな、ということを。

 あとなぜか意識が切れる寸前で「指揮官!」「指揮官様!」って呼ぶかわいい嫁と推し達の声がたくさん聞こえたんだけど幻聴かなぁ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 この世界に生を受けて早3年少々。どうも私はそれなりのタイミングで個性とやらが発現したらしい。らしい、というのは正直、これが個性なのかと言いたくなるものであったが故である。

 家にいて母上と二人で遊んでいた時なのだが、母上はぬいぐるみを作るのが得意でよく私のために作ってくれていたのだが突如としてぬいぐるみが自分で動き出したのだ。母上の個性は動物と会話することができるというものだったので、この時点で母上が元凶ではないと発覚。家の周りには誰もいないというか、ここは田舎なので近所の家まで最低5分はかかるためほかの人という線もない。つまり原因は私にあったということになった。

 3歳であるため、言葉を理解しても話すことはあまりできないポンコツスペック(違う)な私は「まま!う、うごいたよ!」くらいしか言えなかった。もっと頑張れよ私の語彙力。

 さらにこの動いたぬいぐるみ、なんといっても私の意志で動いてるわけじゃない。さっきから私のほうを見て身振り手振りしてる。アッかわいい、じゃなくて、何か伝えようとしてる…?あ、動き変わってなんかポーズ取った…ってあれ!?このポーズの構図、見たことあるぞ!

 

 それは、私が金属アレルギーで死んじゃう寸前まで遊んでいた「ドールズフロントライン」での嫁こと、一〇〇式機関短銃と呼ばれるキャラのイラストと同じポーズだったのだ。母上は喜んでどっかいったし。たぶんカメラでも持ってこようとしてるんじゃないかな。でも母上がいない今この瞬間にしか確認できないことをしておこう。

 

「も、ももちゃん…なの?」

 

 私が動くぬいぐるみにそう語りかけた瞬間、頭の中に直接響くように、しかし、とても心地よい声が聞こえた。

 

『はい!指揮官!!!やっと…やっと会えましたね!』

 

 

 もし神様がいたら、私はお礼を言わなければならないだろう。前世の嫁兼推しにこの身をささげることができるのだから。



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きっかけは何であれそれもまた、事実です

 オタクの語彙力が仕事をしてて語彙力がなくなってる()

話としては微妙なところで切れてますけどちゃんと次につなぎます。文章書くことなんてめったにないんで困っているんです…駄文ですが気にしないで…。







それはそうとして、コラボカフェの一〇〇式ちゃんのスキンありませんか??????????



 私の個性が発現したことで、市役所に個性届なるものを出さなくちゃいけないらしいんだけど、どうも私の能力がよく分からないためにちょっと困ってます。あ、一〇〇式ちゃんIN猫ぬいぐるみは現在、私に抱っこされておとなしくしてます。どうも一〇〇式ちゃんがしゃべっていることは、私にしか今のところ分からないらしい。母上の個性のカバー範囲からは外れているらしい。不思議。でも確かに生き物というより人形にAIが載ってる存在だったもんね。

 

『うーん、どこから生物扱いされるのかわかりませんが、少なくとも一〇〇式は人形というくくりになると思います。』

 

 あっ、やっぱりそういう括りになっちゃうかー。残念。

 

閑話休題(そんなことより)

 

 

 あの後、父上も仕事を終えて帰ってきたんだけども、今のところ私の個性はよく分からないため、<人形術>と言われてしまった…。もうちょっとなんかいい名前なかったんですかパパ上…。せめて、こう、もうちょっと…。アッ駄目だわ私も思いつかない。しばらくはこのままでいきますね。どうせ後で変更もできるっぽいし。

 個性が発現した以上、他の人との関わりも必要になってくるかもね、と母上に言われてしまった。どうやら、市街地などの外で使うことは禁止されていても建物の中で資格を有する人が見張ってたりする場合は問題ないらしい。えー、案外法律緩くない?いやまぁ、このままぬいぐるみに憑依(?)させ続けるのも悪いし、何より会話が私としかできないのも何かと不便。できるなら一緒にショッピング回って一〇〇式ちゃんにおいしいもの食べさせてあげたいわ。あんな世界(世紀末)だったからね…、おいしいもの食べさせてふわっふわのオフトゥンで寝かせてあげたい。一応宿舎にそれっぽいのはあったけどさ。

 

 確かに、彼女たちは戦うために作られた存在だ。それでも、偽物であったとしても感情を持って、人を、他の人形たちを想う心はある。ならばせめて、私がここにいる間くらいは、仮初であったとしても平和な世界を見せてあげたいって思うのはおかしいことだろうか?いや、おかしいって言われたら否定するしかねぇよ。何せ…

 

 

 

こんなかわいい女の子とキャッキャうふふできて頭なでなでして照れさせることができるんだからなぁ!!!

 

 

 

 

 

 しまった、思わず欲望が暴走してしまったようだ。

 

 

 

 

 

 

そんな訳で入園した幼稚園。うーん、みんな個性出しててすごい光景。せめてもうちょっと抑えようよ(本音)。正直、生前というか前世はこんな光景見ることなんて映画かアニメの中だけだったし…。まぁ、私は大人しくぬいぐるみのフリをしてる一〇〇式ちゃんを抱きしめて様子見してます。あ、この世界で発砲どころか本体出すのはダメって伝えてます。銃刀法違反で捕まると怖いし、何より個性違うってばれそうで。そんなこんなであっという間の2年経ち、年長になりました。

ウッはぁぁ…体に精神持っていかれているせいでそこまでおかしい言動とかは取らなかったよ…。強いぞ幼女。そんでもって時間たつのも早かった。マジかよ。友人もできてた。カラス頭の子。たぶん言わなくてもわかる。よく後ろからにょきっと個性が出てくる。昼間だとおとなしいって聞いたからちょっと安心。ももちゃんが最初警戒しまくってた。今はもう大丈夫らしいけど。

 でも何事もなく卒園できるとおもたら世の中そこまで甘くなかった。おのれ愉快犯神様め…。

何が起きたかというと、個性を育てることを重点においたこの幼稚園から、いい感じの子を誘拐して実験しようとする輩に襲われました。はっきり言おう。この時の記憶ないんです。

…いや、マジで記憶飛んでる。ただ、この事件以降ももちゃん(一〇〇式ちゃんのあだ名)以外も呼べるようになったのと、ゲームと同じ体でこっちに来れることができるようになりましたわ。いくらかの制限はかかってたけど。マジで何があったんだろう…すごく怖い思いしたってことぐらいしか覚えてねぇ…。これはさすがに幼女、自分を守るために忘れたと見た。…相当ショックなことがあったのか。その時のこと誰も教えてくれないし、探りようもないからあきらめてるけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪いが、あんたにはここで黙っててもらうぜ。お守りのヒーローさん、ガシェットさんよぉ!」

「なっ…ガっハ…!」

 

 園内に怪しい気配を感じ、安全を確保するために子供たちがいる部屋へと向かおうとした矢先のことだった。両腕が異常に発達している男がこちらに向かって指差しをした、と思った瞬間に走った激痛。名は知れていないが資格を持つプロヒーローとなっている以上、そこら辺にいる輩程度には負けない実力はあると自負していた私だが、そんなものをすり抜けるほどに、今、目の前にいる男は、(ヴィラン)は手練れであると身をもって知った。動こうにも肩、膝、足首を的確に撃ち抜かれ、この場に縛り付けられてしまう。

 

「はっ、まぁ(タマ)まで取ろうっていうわけじゃねぇ。おとなしくしてな。」

「おい、ブレグ。まだ終わんねぇのか?たかがお守り1人くらいなら余裕だろが。」

「ああ、今終わったところだ。無力な自分をちびどもに見せられるようにな!」

 

 子供たちのいる部屋からもう一人の声がした。目の前にいる敵、ブレグと呼ばれたやつが言った通り、今の自分は何もできない。ああ、意識が遠のいていく。誰か、だれでもいい。こいつらから子供たちを守ってほしい…どうか…。

 

 

 

 そんな願いが届いたか分からないが、大量出血で限界だった私は意識を失う寸前、季節外れの桜が舞い散るのが一瞬見えた。幻覚かどうかを確かめるすべはなく、そのまま暗闇へと落ちていった。

 

 

 

 

 

「敵をよく狙え!弾を無駄にするな!!」「あんたを倒したのが誰なのか、よぉーく覚えておくといいっ!」「お前の罪を数えろっ!外道が!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの時、指揮官はトイレに行こうとして部屋を出ようとしたところでした。一〇〇式(わたし)は一応、指揮官の持ち物ということで、ここにいる間は極力動かないようにしています。その時、私は鞄の上に置かれていました。そのため、部屋の外で起きていたことに反応できませんでした。すぐに聞こえたのは銃声のような音。普段からそういった音を聞いている私ですら迷うくらい音が違っていたのですぐに判断できませんでした。そのあとに聞こえたのは、銃声のような音がした方向とは逆の方向、つまり、トイレの方向から聞こえてきた指揮官の大きな泣き声でした。

 瞬間、流れる景色が遅くなる。今まで繋がっていなかった私の一〇〇式機関短銃(ほんたい)の存在が明確になり、同時に、()()()()()()()()()()()()にいる仲間たちと通信がリンクするのがわかりました。そう理解した直後に私が判断(下した)のは援護要請と撃退。けれどもこれ以上見せられないような光景を作らないために装填するのはBクラス弾倉(暴徒鎮圧ゴム弾)のみ。そしてここは室内、それも狭いところであるため、小回りの利く人形であることが好ましいと判断。同時に、「敵からの攻撃を無効化する」「敵の火力を下げて自身の身体能力を向上させる」二人の人形に援護要請。そして私も、仮初のダミーではなく本来の姿へと戻りつつ、指揮官の元へと走る。

 

 二度と、目の前で失わないようにするために。だから私は、私たちは叫んだ。己を鼓舞し、敵を穿つために。

 

 

 ひらり、と桜が舞う。私の意志に、答えるように。ゆらり、と空間がゆがみ、援護要請を頼んだ二人がやってくる。己が武器を構え、突撃する。

 

 

「敵をよく狙え!弾を無駄にするな!!」(桜逆像)

「お前を倒したのが誰なのか(フォース・) 、よぉーく覚えておくといいっ!!」(シールド)

「お前の罪を数えろ!外道がっ!」(メンタル・インパクト)

 

 

 

 

 

 

 指揮官とともに在るために。




常闇君、名前も出ずに終了。そういえば主人公の名前も出てないね。次の話で出します。

正直、そこまで原作知識ないんでにわか状態ですけどなんかあったら気軽に非難してくださいまじで。間違ったままなのは嫌なので…。

最後に出てきたセリフなんですけど、ラスト一人だけ若干変わってます。指揮官のモンペと化したろーちゃんです。姉御はマジ姉御。一〇〇式ちゃんはももちゃんと呼んでます。


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自覚さえしてしまえばどうにでもなるのです

名前を本編で出そうとした。しかし出す場面を作れなかった…・

どうも、調子に乗ってるオタークです。ちょっと本編でオタクらしさ出てないけど。


マジで文章力が欲しい。もうちょっと表現を頑張りたい。演出とか。


『次のニュースです。関東地方にて発生していた子供の誘拐事件の実行犯とみられる2人組の男が逮捕されました。この2人組はプロヒーローが園長を務める幼稚園で誘拐を実行しようとしたところ、反撃されて拘束、逮捕と至りました。今回捕まったのは、メインの実行犯とみられる指名手配ヴィランであり、警察からは----』

 

 

 

 「____ですので、お子さんの体に異常は特にありません。そのうち目が覚めると思いますが、当時の状況を思い出してパニックになる可能性もあるので、できるだけそういった話をされないようにお願いします。」

「はい…!ありがとうございました…!」

 

 

 

 

 はろーえぶりわん。なんかヤベー事件に巻き込まれたかもしれない幼女INオタクな私です。気が付くと知らない天井が(略)。

 えー、今回はいろいろ聞こえることから病院と判断できました。マジすか。うとうとしてたからさっき母上と父上が医者の人と話してたっぽいんだけど、ボケーっとしてたからスルーしてどっかに行った、というかいったん家に帰ったのかな?物を取りに。そのうちまたここに来ると思うし、今は放置。たぶん抱き付かれるから体力温存しないといけないと思う。なんだかんだで親ばかだと思うんだ、あの2人。

 それにしても、やけに体が重い。物理的なものじゃなくて、気疲れというか、全力疾走した後の筋肉痛の痛みがないバージョンみたいな感じがすごい。えぇ…、幼女あそこで何したん?

 

 

 

 

 

 

 

 …まって、一〇〇式ちゃん入ってるぬいぐるみどこいった?

 

 

 

 

 

 

 

「…っ!」

『指揮官!落ち着いて!落ち着いてください!』

 

 

 

 ふぉぁあっ!?びっくりした…。疲れて寝てる場合じゃねー!と思って飛び起きたらももちゃんの声がした。でも姿見えないし、ぬいぐるみも近くにない。どういうことなの…?幼女三さ…違った、もう五歳だわ。ともかく、この体に急発進を強いたためにまーた眠くなってきた。うっそだろ…許容荷重対数少なすぎない…?JIS(日本工業規格、耐久とか年数とかの規定を決めたもの)びっくりの低さじゃないのこれ…。あー、でも体の欲求に耐えられない。ももちゃんの声が聞けて安心したのもあったけどまずは。

 

 

 

おやすみなさーい( ˘ω˘ )スヤァ

「指揮官…。せめて元の位置に戻ってから寝てください…。」

 

 

 そんな声がしたと思った後に誰かに抱えられた感触がありました。なぜかわからないけど、すごく安心した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや?指揮官(ボス)じゃないか。まさかこっちに直接出向いてくれるなんてねぇ。部下としてはうれしい限りだが、あまり無茶はしないでくれよ?」

「…トンプソン!?」

 

 

 

 寝ちゃったなー、と思ったらよく分からない場所に立ってました。しかも目の前にはリアル姉御ことトンプソンが。さすがに本体や弾倉といった装備類はつけていないものの、頭にかぶったアメリカンハット(だったかな?)とサングラス、キリっとした声は間違えようがない。いや、姿に関しては画面でしか見てなかったからなんとも言えないけど。でも間違えないと思う。口調も含めて。お腹、寒くないのかなぁ…。

 

 

 

「アッハッハ!そうだよ。直接向かい合って話をするのは初めてだが、よく私に向って言っていただろう?『姉御ォォォ!』ってね。」

「ほ、本物だ…。本物の私の姉御が目の前にいる…!マジで…。」

「しっかし、いつになったら呼んでくれるのかと待っていたんだが…。さすがにあれは心臓に悪かったぞ、ボス。」

 

 

 あ、姉御!頭、頭ワッシャワッシャしないでええええ!!!それやりたいの私のほうだし、幼女は弱いからめっちゃぐわんぐわんするのぉぉぉ!!

 

 

「おっと、すまないボス。つい、ね。」

「トンプソーン、まだなの…って指揮官!?どうしてここに!!」

「あ、スコーピオン!」

「指揮官!?本物だぁ!」

 

 

 おぶっ、サソリちゃんよ…頼むから身長差と許容重量考えて…幼女辛いの…。でも抱き着いてきたからそのまま背中ポンポンしてあげる。…かわいいなぁ。初期から一緒に走り回ってただけあってカンストするのも早かった。五番目のカンストで戦場で指輪渡したのもしっかり覚えてる。まっさかーと思ってアイコンタッチしたら渡せたんだもんね…イベントの猛攻撃のさなかに渡すとかどこのアメリカ映画だよってレベル。ごめん、ごめんって。謝るからそろそろ離してほしいなぁ…。できれば姉御の援護が欲しかった。

 

 

 

「二人とも、いろいろ聞きたいことがあるけど今って大丈夫?」

「別に問題はないが、ボスが最初に聞きたいのは副官のことだろう?」

「もも姉なら、今頃帰ってくると思うよ?ちょうど出向いた直後だったからねー。」

 

 

 流石我が司令部トップクラスの出撃数を誇る歴戦のSMG(サブマシンガン)達である。指揮官としてうれしい限りである。

 ここがどこなのかは、何となく二人と話をしていたときに察した。ついでに私の個性がどういう風に使えるのかも。自覚してしまえば、自然に動ける。ここは、私の基地なのだから。

 

 

 

 

 

「さて、私たちはここで下がるよ。副官に説教されるといい。」

「待って姉御!何でそこで説教っていう言葉が出てくるの!?悪いことしてないと思うけど!?」

「アッハハハハ!でももも姉なら説教じゃなくなると思うけどなー!」

 

 

 二人とも…中に戻る前にきっちり私の頭をなでて行きよった…。大きくなったらなでなでしてやる…!覚えておけ…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 霧に包まれた一本道を進んでいく。この道は指揮官の元へと至るための唯一の道であり、私たちが戻るべき場所への帰り道でもある。セーフティをかけた本体(一〇〇式機関短銃)を背負い、いつものように戻る。

 しばらくして、見えた基地はいつも通りだった。けれども、一つだけ、いつもと違う景色があった。基地の入り口、その真ん前に立ってこちらを見ている小さな人影。その姿を、見間違えるわけがない。

 

 

 

 (一〇〇式機関短銃)は、指揮官の元へと走る。

 

 

 

「おかえり!ももちゃん!」

「…っ!ただいま…!指揮官…!」

 

 

 

 

 届かなかった声が、手が、今は届く。私は、小さな指揮官を抱きしめた。

 

 




RO:「指揮官…かわいい…うぅ…」
M4A1:「今は副官と一緒にいさせてあげましょう…。智春さん(スプリングフィールドのこと)のカフェに来た時にでもお話すればいいんじゃないですか?」


M16:「SOP、とりあえず指揮官が15になるまで戦利品を見せるのは我慢しておけよ?さすがに今回の件でどうなるか分かったと思うが。」
SOP:「…そうだね。その代わり!指揮官と遊んでいいよね!」
M16:「指揮官がいいって言ったらな」



AR-15は当直で作戦室にこもってます。



この基地にいるみんなは指揮官セコム。副官の一〇〇式ちゃんには逆らえない。


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張り切って空回りは困ります

感想もらえた!!超絶うれしい!

あ、今のところは1日更新してますが今後は周更新とか月一更新になると思われます。ご容赦ください。


 病院送りにされたあと、本当の意味で個性を使えるようになった。どうも私の個性は、Fateシリーズによく出てくる「固有結界」みたいなところで、そこから彼女たち「戦術人形」を呼び出すことができるものらしい。詳しい原理は知らん。物理法則とかも無視してる。てか考えたら負けな気がするんだよね…顔から火を出して顔隠してるナンバー2のヒーローとか見てると余計に思う。また話が逸れた。あかん、本題に入れないタイプやぞこれ…。

 一応、分類的には「召喚」が近いがさらにそこから「使役」も混ざっているようで、病院の検査ではめちゃくちゃエラー吐いてた。担当してた医者が悲鳴上げてたね…。ごめんよ、愉快犯な神様を恨んでくれ。わたしゃあ悪くない、平和な世界を知らない彼女たちと一緒にいたいオタクの欲望がこうなったんだと思う。結局、個性が「人形術」ではなくなったので再提出らしいのだがここでまたも困った。確認のために個性を使ってみてほしいと言われたので彼女たちに呼びかけたのだが、その、張り切りすぎた結果道が詰まったらしく、出てこれなくなったらしい。おいまてーや、せめてそこはじゃんけんかトーナメント模擬戦で決めておいてほしかった。あるいは永久副官ももちゃんで。とりあえず、疲れてうまく出せない風を装うことにした。

 

「うー…、うまくいかない…。」

「うん?…あー、もしかしたら、あの時個性が暴走しちゃった影響が残っているのかもしれないね。それなら後日、もう一度確認しようか。」

「はーい…。」

 

 さらっと暴走とかいう怖い単語が聞こえてきたけど華麗にスルー。幼女強い。眠そうな口調でやってみたら騙せたぞ。いやマジで。というか、あとでスタートダッシュ決めようとした何人か説教だな。ハッスルし過ぎで本番に来れないとか一番まずいでしょ…。反省点ももちろんあるよね。あとで努力するべき部分なんだろうなーと思ってる呼び出し方。リアル司令部や飛行場から呼ぶわけじゃないし、かといってポンポン呼ぼうとすると体への負担がでかすぎてぶっ倒れる(らしい。ももちゃん談)。ならどうするか?答えは簡単だろう…。

 

 

 

努力(レベリング)という名の修行をしなければならないッッッ!!!!

 

 

 

 

 

『いやまぁ、現実的な答えですけど…無茶しないでくださいね?』

「あ、ナインちゃん抜けてこれたのね。いらっしゃい、ようこそ平和なようでカオスな世界へ。」

『ヤッホー指揮官♪とりあえず、姿見せないほうがよさげだから都市光学迷彩(☆4装備)勝手に持ってきちゃったけどそればっかりは勘弁してね~。』

「ナイス判断。それと、今回張り切りすぎた戦犯は誰なの?」

『ROとAT-15が何も言わずにスタートダッシュ決めて、それを見たSOPが追いかけて行ったと思ったらハンドガンたちがついて行ってって感じだったね…。最初の2人が必死すぎて破壊者(デストロイヤー)をぶん殴りに行ったときよりも殺気立ってたのはさすがに怖かったよ…。』

 

 

 

 うわぁなにそれ超見たい。違った、こっわ!えっ?うっそでしょ…。AR-15は可能性としてはあり得たけどROが全力疾走してくるとは思わなかったよ??私が知らない間になんかの影響でも受けてたの?…いやでもなぁ、彼女たちと長年付き合っていれば影響受けるかもしれないよね…さすがに。

 どうも彼女たち、私が画面の向こうで話していたことが筒抜けだった模様。日本には物には神様が宿るから大切にしよう、なんて言われているがまさかスマホとそれを介しているデータたちも影響受けてたのこれ…?うれしいけど神様もっと別のことに力回してほしかったなぁ!せめて私がもうちょっと課金できるようにとかさ!!!

 

 

『おっと、副官から伝言頼まれてたんだった。<しばらくの間はぬいぐるみに入っていますが、そのほかに迷彩を装備した人形を1人は近くに待機させるようにしてください>だって。』

「ももちゃん、無理してない?ぬいぐるみって結構勝手が違うと思うんだけど。」

『ダミーとして動かすんだけどあれは練習しないと無理ですね~。副官は苦労したと言ってますけど、あれは苦労で済むレベルじゃないですし。』

「あー、やっぱり?そのうちぬいぐるみじゃなくてプラモデルのほうがいいかもしれない…。検討しておくよ。」

『指揮官って本当に私たちのことになると見境なく努力しますよね?』

 

 

 

 

 そりゃあ、ねえ。現実に希望を見いだせないがゆえに、画面の中にいる彼女たちを愛でるしかなかったんだから。他の人とはちょっとずれた好みで、女子らしからぬ言動と行動をしてたから。もし、そうでなかったらきっと彼女たちに出会うことも、ここまで努力する気も起きなかったろう。でも現実は今、目の前にある。ならばどうするか?なんて、聞く意味はないだろう。

 

 

「そりゃそうだよ。だって、私にとってかけがえのない大切な()たちだからね」

 

 

 

 

 文句があるなら出てきて直接言えばいい。面と向かって言い返してやろう。ただし、この世界に私と同じやつがいればな!!

 

 

 

『本当に、指揮官の元に来れて私は幸せ者ですね…。でも無茶はしないでくださいね?』

「絶対にするもんか。さすがに過労からのダウンとかもう勘弁だし。」

『割と現実的すぎませんかそれ?』

 

 

 

 

 

 

 現実は常に非常である。ナインちゃん、たぶん今後はもっと苦労が増えるよ…。404の時以上にね…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで?あの時、本当はどのようなことがあったのですか?」

 

 

 病院の一室、比較的高額な料金を取られる代わりに個室であるこの部屋には2人の捜査官が、私に事情を聴きにきていた。

 あのとき、私は撃たれて動くことも、抵抗することもできなかった。大量の出血により、早々に意識を失った私が最後に見たのは…。

 

 

 

「桜が、舞っていたんです。(こんな時期)だというのに。」

「桜…?ですか。幻覚などではなく?」

「それが幻覚だったのか確認するすべは残っていません。そうである以上、断言はできないでしょう。」

 

 

 実際、あの場には桜の花びらなんて残っていなかった。ゆえに、幻覚だったといったほうが現実味を帯びているだろう。

 

 

「ではもう一つ、敵はグラブ・バレットと呼ばれる犯罪者で、指先から血液を固めた弾丸を撃ち込みました。そのほかに銃を持っていてあなたに向かって発砲しましたか?」

「…?いえ、相手は身一つだけでした。」

「そうですか…。ありがとうございました。」

 

 少々気になる質問をした捜査官が部屋を出ていく。あとに残ったのは重傷を負った私とその場の静寂のみ。

 

 

 

 

 

 …だと思った。

 

「こんにちは、園長さん。少々お話をしてもよろしいかな?」

 

 

 姿は見えず、気配もしない。それなのに、その声は私のすぐそばから聞こえてきた。敵意はない。声からして年齢は10代後半の少女とみられる。だがいつ入ってきた?そしてこの声はどこから?そばにいると思われるのに方向が分からない。

 

「あー、姿も出さずに申し訳ないです。でも、指揮官(マスター)に迷惑かけるわけにもいかないのでこのままで話しますね。」

 

 

 姿なき少女は申し訳なさそうにしつつも、私に何があったのかを話してくれた。どうも、私が負傷したのを見てパニックに陥った園児の個性が暴走、結果として()()()()()()()()ため、桜が舞ったり敵に対して大量のゴム弾が猛スピードで飛んでいったとのことらしい。敵はその攻撃によって負傷、騒ぎを聞いた近所の警察官によって確保&逮捕とのことだった。

 

「マスターは今はもう元気なので気にしなくても大丈夫です。なので、園長さんも体を治すことを優先してくださいな。」

「そうか、ならいいんだ…。子供たちに何事もなくてよかった。だが、すまなかった。私は守るべき立場だというのに何もできなかったのだからな。」

「…確かに、今回は運がよかっただけです。それゆえに、今後は油断なきようにしてくださいね?」

 

 

 少女の声は厳しいものだったが、もっともだ。今後はもう少し隙をなくさなければならないだろう。…プロ失格と言えるような体たらくだ。

 いまだに体の状態が万全でないためか、睡魔が私の意識を持っていこうとしているようだった。

 

「あー、さすがに無理をさせましたね。まぁ、言いたいことはしっかり言ったので。最後に一言だけ言わせてもらいますね。」

 

 

 そうして、眠りにつく直前に少女は私に何かを告げた。

 

 

「404 Not Found。あなたがその目で見た真実は見つけることはできない(リンク切れ)だろうね。」

 

 そのこえは、少し悲しそうな声だった。

 

 

 

 

 

 

「記憶処理完了。まぁ、しばらくの時間稼ぎにしかならないだろうけど十分だよね?45姉。」

『ええ。何も極秘ってわけじゃないからその程度で十分でしょう。いずれは日の目を見る指揮官の力だからね。それと、副官からあなたに伝言。<私はもうしばらく動けないので指揮官の護衛をお願いします>だってよ』

「…りょーかい。お土産も持っていくから楽しみにしててねー。」

 

 

 

 

 私たちは存在しないはずだった。けれども、今もこうしてここにいられるのは指揮官のおかげだ。なら、私たちは指揮官のために尽くそう。今度こそ、最後まで。

 




416:「45、あなた本当にあれでよかったの?」
45:「今はね。それに、あまりやりすぎると指揮官に悪くって…。」
416:「…変なところで指揮官には甘いのね。私も人のことは言えないかもしれないけど。」





一〇〇式:「せぇぇえやっ!!」
AR-15:「うっぐぅ!」
RO:「がはっ!」
スプリングフィールド:「ももさん、あまりやりすぎないで上げてください…修復が必要になると指揮官の負担になってしまうので…。」





副官は戦犯2名に対して説教(物理)を執行中。モンペが行き過ぎたAR小隊を止められるのは副官しかいない。なおSOPは追いかけて止めようとしてたらしいのでアイス券もらって食べに行ってる。


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現実を見ましょうか、今度こそ

 週一回の更新か月一回の更新って言ったよな???いったよな?????

ヒャッハァー!耐え切れねぇ!!次ができたからなげるぜぇ!



すんません、テンション上がってたのと暇だったのでできました。調子乗ってすみませんでした(土下座)
 あのあと閲覧数とか頭おかしいレベルで増えてて跳ねてました。届いた「戦術人形ヌルヌルローション相撲」読みながらですけど。

今後は本当に更新が遅くなります。



重要:大陸版のストーリーネタバレが今後入ってくると思います。今回からも入ってくるのでご注意ください。


 無事病院から退院することができました。幼女5歳です。いや、5歳になったしそろそろ誕生日迎えて6歳なるから幼女卒業ですね。脱幼女、幼虫か私は。個性が暴走して彼女たちを呼んだのはいいものの、ぶっ倒れた私は敢え無く病院に緊急搬送(ドナドナ)されて、ついさっきまで寝かされてました。元気が取り柄の子供をベットに縛り付けるのは大変やろぉ…。私は中身が約18歳だった新卒なんで良識をもっておとなしくしてました。看護師と医者がむっちゃ楽で助かると言っていましたねー。ドヤァ。

 

『大人げないですよー、指揮官。見た目はともかく中身は大人なんですからねー。』

 

 

 お黙りナインちゃん!今の私は5歳児よ!!今は。いやでも、18歳と11か月だったから実質19歳でご臨終して、さらにそこから5年プラスだから今んとこ24ってことですか…。悲しいね、バーニィ。違った、気にしないで。

 結局、個性は人形を動かす他にこの場にないものをどっかから持ってくるという謎個性になりました。うっそやーん。個性が実質2個ある状態じゃないですかそれ?また変な輩に狙われなーい?大丈夫か?って言いたくなった。

 

 

『何のために副官がぬいぐるみに入って、そのほかに迷彩掛けた人形を配置するって宣言したと思っているんですか…。』

「ダッシュしたり脱走してこっちに来ないようにするための布石。」

『ある意味正解かもしれないね、それ。』

 

 

 どうも私が赤ちゃんの時から見守ってたせいか、みんな揃ってモンペに近い感じがする。ナインちゃんも時々頭なでなでしてくるから影響受けてると思うんだ…。早く大きくなりたい…。あ、今は親が医者とお話してるので1人で待合室にいます。ナインちゃんは目の前で迷彩掛けて立っているので見えないらしい。私には薄ーく見えてますが。そんでもって、この会話は実際に声に出しているのではなく、頭の中でテレパシーみたいな感じで会話してます。筒抜けかと思ったらそうではないらしい。万能すぎるぞおい。

 そんなこんなで待っているとこちらにやってくる人影が一つ。ナインちゃんは私の前ではなく横に移動してやってくる人物をじっと見てる。うーん、たぶん見たことはあるんじゃない?誰かは一発でわかると思うけど。カラス頭の常闇君、めっちゃわかりやすいよ。個性の黒影君(勝手に名付けた)は出してない。すげー、もう個性の調整できるようになってるんだ…やるぅ。

 

(かなで)、もう大丈夫なのか?」

「うん、とー君も大丈夫だった?」

「シャドウがびっくりして大変だったけど大丈夫。むしろ奏のほうが大変だったと思う。」

 

 

 常闇君、やっさしー。てかあの黒いのシャドウって言ってるんだ。そのまんまですな。それにしても常闇君、どうやら予防注射で来た模様。マジかよ、ここに来たの偶然かいな…。わっちはあと親が来たら帰るだけなのでボケーっとしてたけど、常闇君が微妙に体硬かったのってそれが嫌だったんか…。わかる、注射嫌い。よくテレビとかアニメで出てきた首にパシュッってやる無針注射でお願いしたい。

 そんな感じでちょこっと話してたら親が戻ってきた。…なんか資料的なものいっぱい持たされてる。ごめんなさいマジで、暴走したのは事故なんですわー。常闇君も医者に呼ばれて診察室にドナドナされていったし、帰るとしますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この前のように、霧に包まれた道を歩いてゆく。隣にいるのは、私の護衛についてくれていたUMP9。本体を背中に掛けて、小さい私の歩幅に合わせて歩いてくれている。ナインちゃん曰く、手を繋いで歩きたいがあまり敵を増やしたくない、ということなのだが指揮官命令で繋げと言っておいた。ナインちゃん、そこでびっくりしないで。あっち(現実)にいるときはさんざん頭なでてきたでしょうが。今更手をつないだところでどうということはないだろう…。

 

 

「むぅ…そういっても、私たちにも感情がある以上、そこらへんは弁えないといけないって思っているんですよ?指揮官は何ともないと思っていても、私たちからすれば問題が大ありですからね。」

「そうなのか…そうなのかぁ…?」

 

 

 

 ちょっと照れながらもナインちゃんはちゃんと手を繋いでくれました。心なしか、顔が緩んでるようにも見えるね。かわいい。そんなこんなで歩き続けると見えてくる我が司令部基地。でかぁぁい!説明不要!ちゃうねん、ネタに走りたいわけじゃないの。ネットで鍛えられた魂が反応しちゃうの。うん、でもでかいことに変わりはない。灰色でカモフラージュをしているような印象はあるけど、どっちかというと周りが霧しかないからあんまり意味ないと思う。鉄血()がいるわけじゃないと思うし。…いないよね?

 

 

「あのくず鉄共はいませんけど、よく分からない奴らなら出てきますよ?多分、現実でいう悪霊とか悪縁とかそういう系?だと思いますけど。」

「嘘だろう!?ここがまさかの幼女最前線防衛ラインだったのか!」

「指揮官って、本当に女の子なのかわからなくなりますよね?」

「周りが男だらけの学校を卒業して影響を受けないと思った?そんなことはないんだよ…。」

 

 

 大陸版の名称、少女前線ならぬ幼女前線。まって、確かこんな名前の翻訳サイトあったはず。すまんな、こっちは現実なんだわ…。それはそうとして、今ナインちゃんが言ってくれたことが事実なら、ここがやられたら私アウトじゃね?即ご臨終はなくても精神的にまいっちゃいそう。これは…レベリングとレベリングとレベリングが必要ですね。主に本体である私の。

 今回ここに来たのは、その相談も含めてだったからちょうどいいかも。ナインちゃんと一緒に作戦室に行くことにしまーす。途中、何の掛札もない部屋からすっごく、くぐもった感じの声が約2名分聞こえてきたけど気のせいだと思う。思いたい。勘違いじゃなければ何が起きてるか、ももちゃんから聞かないといけない。さっきナインちゃんが言ってた悪霊の類だと困る。ナインちゃん、何でそこで顔を背けて引き攣った笑顔になってるの…?えっ、こっわ…すごく怖いんだけど…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「基本的には、指揮官が体力をつけることでカバーできると思います。ですが、我々を呼ぶことができない状況に陥った場合にどうするかを考えなければいけませんね。」

 

 

 そうアドバイスをしてくれたのは赤いコートの軍服を身にまとうイッケメン戦術人形のリー・エンフィールドさん。どうやら、副官がいない間にここの秩序を守ってくれているようで、作戦の立案やシフトなどなどを考えてくれているらしい。ありがとうございます…。頼りない指揮官で申し訳ないね…。リーさんの言葉に、集まってくれた人形たちが頷いている。確かに、いくら人形を召喚することができても、私自身が何もできなければ意味はないのだ。いや、別にどっかに戦争吹っ掛けてるわけでも、命狙われてるわけでもないけどさ。自衛手段くらいはないとダメだよね?あと遊びまわりたくても呼び出す私がへばったら意味ないし。

 ともかく、召喚ができない状況での対処をどうするか。これがしばらくの間の課題になりそう。…小学生が考えて実行することじゃねぇよこれ。一応、将来の夢は溶接技師やぞ…。ヒーローちゃうねん…。

 

 

「私たちは戦うために作られた存在ですが…、指揮官が直接巻き込まれないことのほうが重要ですから。ですので、私たちに気を使わなくても大丈夫ですよ。」

「そうじゃ。まぁ、戦うために作られたとはいっても、この世界ではそもそも戦術人形は存在しないから、微妙なところではあるがの。」

 

 

 うーむ、9A-91とM1895の2人がそう言ってくれるのはうれしいけど、やっぱり作られた理由を考えると、動かしてあげたいと思うけどね。だいぶぶっ飛んだ思考だって言われるかもしれないけど。せめてサバゲーくらいはやりたいよね…、貸し切りフィールドでさ。

 そんな風に相談をしていると基地内にリンゴーン、と鐘の音が響いた。どうやら時間らしい。ここにいられるのは眠っている間だけ。この鐘の音がしたら10分後には朝になっているのをこの前初めて知った。…本当に便利だなこの個性。

 

「時間だね。それじゃあ、次の護衛には…そうだな、Kar98k(かーちゃん)にお願いしてもいいかな?あと特殊枠にROもお願いしたいんだけど…。」

「モーゼル卿、ですか。わかりました、伝えておきましょう。ですが、なぜROも呼ぶのですか?さすがに負担が多くなって維持が大変になると思うのですが…。」

「犬。」

 

 私の一言に全員が「あー」って顔してる。うん、そうだよね…。あんまりそっちの印象少なかったもんね。なにせ日本未実装ストーリー(大いなるネタバレ)だったから印象がないのも頷ける。ももちゃんとROは小さい体に入って動けるから負担も少ない、はず。あとはかーちゃんがどこまで動けるかだよなぁ…。そこを含めて、明日からの実践としておこう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___I am surrounded by(私たちは囲まれている)_____a thousand guns and warrior’s crying(千の銃と戦士たちの叫びに)_____“They’re here!”(「ここにいる!」)_____“Now brace yourself!”(「もう肝を据えろ」) 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目覚める直前、とても覚えのあるフレーズが、聞こえた気がした。




RO:「やった!!!!指揮官からの指名だぁ!!!」
一〇〇式:「言っておきますが、指揮官の迷惑になると判断した瞬間送り返しますので。」
AR-15:「くっ…私もいつかは指揮官のそばに…!」



Kar:「あらあら、私をあちらの世界に呼んでくださるのですか!」
リー:「らしい。指揮官の護衛がメインだから、そのことを忘れないように。」
わ:「(…ふらふらほっつきまわりそうね。)」



奏(主人公/指揮官):「…とりあえず顕現させる前にRO用のモデルの塗装終わらせておかないと。」






ようやく主人公の名前出ました。フルで出すと「秀内 奏」(ひでうち かなで)という名前です。個性の名前は「具現化」ということになっていますが、本人は「ドールズフロントライン」と言いたいと思ってます。言えないけど。


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経験の差が出ているだけです

さーーて、ブックオフに行ってヒロアカの15巻辺りまで買いますかなー(白目)。いえ、今まで友人から借りてたのですがその友人が海外出張ということで返却することにしました。

…それとね、6話になったのに原作の話、まさかの一切出てないじゃないですかやだー!社会人だから時間の確保難しいのに余計に手間がかかっちゃうタイプー!しかも今後コラボイベント来るじゃないですか!!!余計に時間ないわ!!!いえ、やりますはい。(11/5日に予約入れてます)


とりあえず乱流イベントまで頑張る所存(実装遠いよ)。11章?戦力が死ぬよ。
アッ小学校の話はすっ飛ばしました。特にないので



予約は7日にしたのに耐えきれなくて出すぜえええええ!!!!()


どうも、幼女を卒業した指揮官です。小学校は何事もなく卒業しました。うん、特にこれといった事件とかにも巻き込まれず、平和に過ごしてました。…表向きはですけどね!!!!!!!実際は学校生活の他に体力トレーニングとかもしてました。流石に体が成長しきっていないので負担のかからない肺活量トレーニングとかそんな感じですけど。あんまり早い時期から体を痛めつけてもいいことはない、という経験を前世ではやらかしてました。ちゃんとしたところで走り込みすれば駅伝出れたんだろうなぁ…。また逸れた。

肺活量を増やすために何をやったのかというと、お歌歌ってました。どうせならー、と思って動画投稿とかもしてました。…いやぁ、思いのほか人気出てましたねー。実家探られてるって45姉から聞いた時はおもっくそビビった。そのまま電子戦得意な45姉とROに対処を頼んで、ついでにお灸据えておいてっていっておいたけど。2人ともいい笑顔だったねぇ…(白目)。ちなみ歌ってたのは前世で好きだった同人曲とアニソン、ゲーム関係ばかり。独断と偏見で選んだの多すぎると思う。みんなにはすごく人気だったけど、正直カバーしかしてない。

 あと肺活量と声量はパナイ事なってた。合唱団来ない?とかバントのボーカルしない?とかめっちゃ誘われた。全部断ったけどね。

 

 

そんなこんなで中学校に入学したのだが、常闇君とは別の学校になりましたねぇ…。ちょっと惜しいけど、会えなくなるわけじゃないからそこまで気にしない…、気にしないもん…。それと、どうもここの学校は雄英行きを何人か出したことのある、いわゆる「進学校」の仲間らしい。あいにく私はヒーロー目指していないので関係ないんですけど。あ、でも個性使うのに不自由だとわちゃわちゃできねぇじゃん…。みんなで遊べないやん…。

 ごちゃごちゃと考えてるうちに入学式が始まる時間になった模様。うへぇ、渡された資料見てるだけでも時間取られるのに移動して式ですか…。面倒な話し中はかーちゃんと雑談でもしてようかな。離れてても話ができるっていいね!

 

 

 

 

 

『私とROは今のうちに校内で潜めそうな場所などを探索しておきます。一応、式が終わる15分前には戻っている予定ですが万が一いなかった場合は、見つかる危険性があって動けないか何かしらの問題に巻き込まれたと思っていてください。』

「おっけー。かーちゃんは体育館の端で待機。人とぶつからないように気を付けてね。」

『了解ですわ。…それにしても、このマントは動きにくいことこの上ないですわね。』

「装備が装備だからねー。脱いでもいいんだけどそうなると機能低下を招くんだっけか。」

『ええ。私たちの装備は衣装にもそれなりの機能を入れていますから。』

『ROは服は問題なくても小物が多いですから、その分困ることが多いと思いますけど…。その(鉄血犬)だと電子戦は問題ないんですよね?』

 

 

 

 

 ROの体は現在、大陸版最新の大型イベント(乱流)で出てきていた、4足歩行の犬っぽい機械の上にメガホンを付けたよく分からない機体に収まっている。これは私が入手できるプラモデルなどのパーツをスクラッチや改造を施して作ったものだ。電子戦用にちょっといいCPUとか詰まってる。いやぁ、久々に心が躍ったよ。親からは何でプラモ?みたいな感じで見られてたけど。ついでに、ももちゃんが入ってるぬいぐるみは中にカーボン製の骨を入れました。カーボンなんてどこから持ってきた、と言われると答えは父上の会社からである。父上、ヒーロー用のサポート道具を作る会社の下請けをやっている会社に勤めているのだが、作る過程で出た試作品などを持って帰ってくることがあったので頼んだら廃材をいっぱいもらえた。軽くて丈夫だからすっごく助かったわ…。これがなければアルミと鉄で組み合わせて作ってた。重いと思う。

 

 

 

『そうですね。ただ、この体だと高いところに何があるかを見ることができないので注意しなければなりませんが…。』

「見つからないようにね。ごまかすの大変だから…。」

『それでは指揮官、行ってきます(回ってきます)

「うん、2人とも気を付けてねー。」

 

 

 

 さて、私も廊下に並んで式に行きますか…。はぁ、家に帰ったら歌放送しよ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ありがとう、聞こえていますか?____私の声が、私の歌が_____』

 

 

 画面の中から聞こえてくるのは顔のない歌姫の声。どうも、生放送という枠の中で新しい曲を歌い始めたらしい。この歌姫は突然現れ、瞬く間に人気になっていった。名乗っている名前は「少女前線」。どのような理由でこの名前を名乗っているのかは知らないが、日に日にその歌はうまくなっているのがわかる。今回のようにバラード調のものを歌うこともあれば激しい曲を歌うこともある。

 ___ああ、そうか。

 

 

 

 

「次の恋人(獲物)はこいつにしよう。」

 

 

 

 

 

 俺はこの顔のない歌姫を愛したい(殺したい)と思ってしまったのだな。ああ、そうだな。でもまだ早い…。やるならじっくりと成長するのを待ってからだ。

 

 そういった男の足元には、血だまりが広がっていた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『次のニュースです。先月発生した、高級マンションが立ち並ぶ住宅街の一軒家にて、頭部のない遺体が道路にある、と通報があった遺体遺棄事件の犯人は依然として見つかっておらず____』

『____紹介するのはコチラっ!突如として現れた謎の歌姫!!「少女前線」!素顔はもちろん、年齢や衣装なども不明でありながらその歌声は本物という声が様々な人から上がっています!レコーディング会社からは続々とスカウトしたいという声明が出ており_____』

 

 

「ずいぶんと有名になってるねぇ…指揮官。」

「ただのトレーニングついでだったんだけどねぇ…。いっておくけど、歌手になれとかアイドルになれとか言うのは無しだよ。」

「指揮官がアイドルぅ?ないない。むしろそうなったら正気か疑うよ。」

「ずいぶんとひどい言い草だな、M16A1(イム姉)。まぁ、そうだけど。」

 

 

 

 なんだかんだで入学して1年半、現在2年生の中間に差し掛かっております。テスト近いけど正直、勉強必要ないんだよねぇ…。一回履修済みだから復習してるだけって状態だし。そんなわけで今、私はM16を真横に弾道予測と射撃体勢についての講義を受けています。親は働いているので家にはいまーーーせん!ほかの人はテスト勉強でケツに火がついているので遊びの誘いとかもない。勉強教えて!っていうお誘いはあったけど家が離れすぎてて移動時間で惜しいということで流れた。

 中学生の中ごろになると女の子の成長は止まってくるので、体を作るトレーニングを本格的に始めてます。最近だと家の屋根の上をひたすら走り回ってパルクールしてます。おう、いえーい。めっちゃ楽しいけど怖いです。HG(ハンドガン)が護衛兼先生の時に夜中に走ってます。暗視ゴーグルいらないレベルで走り込みしてる…私、戦うためにトレーニングしてるんじゃないんだけど…みんなと遊ぶために体力つけてるだけなんだけどなぁ…。まぁ、今後何があるか分からないし備えあればーって言いますし!

 

 

「さて、休憩も終わりだぜ指揮官。次は弾速計算とその応用で有効射程計算と行こうか。」

「あーい…。また重力による影響を考えながら計算するのかぁ…。」

 

 

 

 

 

 その日の夜、また覚えのあるフレーズが聞こえた。

 

 

 

 

And again we try to hide our hope(また、私たちは希望を隠そうとするだろう)_____but we will never give up. you know(でも諦めない、君は知っている)__________You can’t erase our inner flame(君は内側の炎を消せない)_______

 

 

 

 

 

『君はどこまで耐えられる?どこまでいける?期待してるよ、指揮官ちゃん♪』

 

 

 

 

 そんな癪に障る声も聞こえた。




指揮官:「神なんかが存在したら、きっと左ストレートお見舞いしてる」
M16:「急にどうした?」

・指揮官は左利き。習字は右でやる





UMP9:「あ、智春さん!ちょっといい?」
スプリング:「はい?どうしました、ナインさん?」
UMP9:「実は…ゴニョゴニョ」
スプリング:「まぁ!私はいいのですが、指揮官がどう言うか…。」
416:「指揮官から許可は取ってる。はいこれ、本人から。」
UMP9:「どうせなら、やってみたいって言ってたことをね!」
416:「一番いい場所をとっておいた。現地協力者もいるから問題なし。何かあったらこれで指揮官に連絡を取ればいいし、指揮官に迷惑をかけたくない案件なら私たち(404小隊)か副官に。連絡先も入ってるから。」
スプリング:「うふふ。ありがとうございます。お礼と言っては何ですけど、私のお店にこれから来ませんか?指揮官からいい豆をいただけたのでぜひ。」
UMP9:「お!行きます行きます!」
416:「お言葉に甘えて。」


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偶には驚きもいいでしょう

 いいオパーイの日に何か書こうと思ったのですが仕事でミスして動揺しまくってるので流します。

Q:不定期って?
A:気まぐれのことじゃろう…

Q:どこまで行くつもりで?
A:決めてはいますけどネタバレなのでいいません。

Q:本編参入まだ?
A:この学校祭終わってひと悶着あった後に入る予定。話数的には11とかじゃないかな?私の文章構成力によって変動在り。

何について叫ぶか分からない偏ったツイッター→@kagemototouka


ひゅー!テストが終わったので学校帰りにいつもと違う駅で降りて、オープンしたてのカフェに来ております!!今日の護衛はぬいぐるみに入ってないももちゃんです!!今回は迷彩無しで私の服を貸してます。ももちゃんだけ衣装脱いでも機能低下がなかったらしい。やっぱり特別製なのかな…設定的に。

そんなわけで到着!カフェ&バー「春庭」という名前らしい。ほへー、夜にはバーになるのか。早速入店。やっぱり開店時間からそんなに時間がたってないから人はまだ少ないっぽい。やったぜテスト期間、早く終わると時間ができるから好きだわ。

 

 

 

「いらっしゃいませー…あら、指揮官。今日はもう終わりだったんですね?」

 

 

あ、アイエエエエエエエエエエ!!!?!?!?!ナンデ!!ナンデ智春さんおるねえええええん!?指揮官びっくりだよ!?

 

 

「うふふ。ナインちゃんと416ちゃんから<バッテリーがどう使えるかのテストをしないか?>って言われて、そのままカフェを開いてみまして。」

「ってことはまずバッテリーの効果は分かったっぽいね。ありがたいけど流石にこれはびっくりだよ。」

「智春さん、もしかして昨日の連絡はこのサプライズの為ですか?」

「ええ。指揮官をどうしても連れて来て欲しくて…。」

 

 

 え、ももちゃんには連絡済みだったの?指揮官ハツミミダヨー。まぁいっか。しっかしまぁ、駅前の一等地によくお店を構えることができたよね…。ここ、かなり高いと思うよ、土地代が。

 

 

「ここに来た時にですね、404小隊があらかじめ現地協力員の方を配置してくださっていたみたいでして。カフェ&バーを作りたいといった際には惜しげもなく協力してくれたのですよ。しかも土地に関しては我々で持つから気にするなー、なんて言ってましたし。」

 

 

 

 うっそーん、それ詐欺師ちゃうの?すごく気になった。ももちゃんも気にしてたっぽいねこれ。今夜あたり3人呼んで事情聴取だな。主に現地協力の人物に対して払った対価を。うちにG11はいない。製造運はなかったんや…まったり運営(白目)だったから製造は無理のない範囲だけだったんや…。ウェルロッドもいないくらいだからな???おん????また逸れた。

 それにしても、お店の中はいい感じである。木製の壁とそれに合わせたオレンジ色のやさしい色のライト。テーブルは丸いものを採用して椅子はおそらく革製だろうねー。やべぇよ。本を読んだりするのにはちょうどいい感じの場所になってます。あとコーヒーの香りがすごくいい。すこーしだけ主張してる感じだからなぁ…。お見事。

 

 

「それじゃあ、智春さん、注文いいかな?」

「ええ、もちろん。あ、指令書に書かれてあったことに関しての報告は1週間後でよろしいでしょうか?ちょっと様子見をしてみたいので。」

「よかよかー。それじゃあ、プレーンマフィン2個とマスターブレンドで。」

(一〇〇式)はチョコマフィン1個とオレンジコーヒーをお願いします。」

「かしこまりました。少々お待ちください。」

 

 

 

 さっすがー。基地内でもカフェとバーをやってるだけあって手慣れてますな。うんうん、指揮官としてはうれしいばかりである。

 それはそうとして、今回頼んでいたのは『宿舎で入手できるバッテリーの使い道』についてだったのだが、思いのほか有用であることが証明されたのである。なんと、私の体力を気にせず現世(こっち)に顕現できるのだ!!!すげぇ。これに気が付いた45姉ナイスすぎる。でもなんで気づいたの。まあいいや。でもこれも縛りがあって、『部屋や建物内であるか専用装備にバッテリーを積んだ状態』でなければいけないというのも分かったらしい。今みたいにカフェだったら問題ないけど、ちょっと買い出しに出るとなった場合は鞄に専用の装備を隠して持たなければいけないらしい。わーお、見事に面倒ですねそれ…ごめんよ…不自由させて。あとバッテリーは100もあればまず1週間は動けるらしい。どんな効率なのそれ。

 ほかにどんなメニューあるのかなー、ってももちゃんとみてたらマフィンとコーヒーがやってきた。うまそう。

 

 

「はい、プレーン2個とマスターブレンド。ももちゃんのチョコマフィンとオレンジコーヒーになります。」

 

 

 すごい(コナミ)。プレーンマフィンは表面に軽ーく炙りを入れてるんだ。ふたの部分だけちょっと固く、でも中はしっとりふわっふわ。そんでもってしつこくない甘味があって、マフィンというよりはシフォンケーキに近い感覚である。うまうま。智春さんブレンドのコーヒーはプレーンマフィンに合わせてくれたのか、ちょこっとだけ苦みの入ったもので、でも口の中に残るような苦みではなく、マフィンの甘味とバランスをとれるようにきっちりと考えられてるものだった。後味さっぱり。すご。しかもブラックだったのにきつくない。

 ももちゃんが頼んだオレンジコーヒーはちょっと変わってる。下半分がオレンジジュースで上半分がコーヒー。そのまんまである。でもこれ、コーヒーとオレンジジュースが混ざらないように容器に入れるのどうやってるの…。ももちゃんいわく、最初はオレンジジュース単体でのんでみて、そのあとにコーヒーと混ぜて飲むといいらしい。なんでも、オレンジジュースの甘味でコーヒーがいい感じになるようになっているとのこと。まじか、次に来たら飲むわ。チョコマフィンもすごくうまそうだったわ。あとほおばるももちゃん、かわいい。言葉で言い表せないくらいにかわいい。

これは今後通いつめますわー。学生に優しい金額でもあるのでありがたい。2人でのんびりしてたらいつの間にか行列ができてた。うっそーん、開店して2時間でしょ…ここまで並ぶのは意外すぎる…。あとで何人か他の人形にもお手伝いさせようかな、これ。

 

 

「さて、人も増えて来たしそろそろ帰ろっか。」

「そうですね。智春さん、ご馳走様でした。」

 

お会計を済ませてお家に帰ります。マジでうまかったなぁ…。お持ち帰りしたいマフィンでした。さて、今回はももちゃんと近接戦の訓練と参りましょー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無意味だ無駄だ愚かしい!!!滅びろ消えろ、宇宙のゴミがぁぁぁ!!!」

「消えるのはお前の方だっ!アルケミスト!!」

 

 

 

 

はろーわたしはサンディ…違いました指揮官の場所違いです。あ、今は学校祭で披露する演劇の練習中です。思いっきり負け犬のセリフ言ってるのが私でございます。

 思いのほか演劇って楽しいですね。なまじリアリティがあるらしく即採用というかお前やれとクラス一致で推されました。えぇ…私セリフ変えて見たらって言って例を見せただけなんですけど…。

衣装は白衣に刀を持っているという、なんともアンバランスな格好です。あ、男子から下の制服借りてオールバックにしてたりします。そのせいで知らない人から見たら男にしか見えないらしいです。さっき隣のクラスの男子がしゃべってた。

 

 それにしても…こんな内容の演劇は中学生がやるようなレベルじゃねぇよ!!!高すぎるだろ!!!いや、充実してるからいいんですけどね。内容としてはスタンダードなもので、さらわれた姫様を奪還するという話。問題はそこからで、この姫様、実はホムンクルスでアルケミスト(私の役)はその姫様を使って恨みまくってる国を奪うっていう設定もあるんですよ…。役者の難易度高いよ…前世(まえ)での経験がなければいい役になれないってこんなの…。

 そんなこんなで時間になったので今日の練習はおーしまい。おうち帰る!疲れた!

 あとM16、お前笑いすぎだぞ。どっちかというとお前のほうが似合ってるぞこれ。はぁ…来週の土曜日の本番までにもうちょっと役作りしておこう。もうちょい軽薄そうな感じに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無意味だ無駄だ愚かしい!!!滅びろ消えろ、宇宙のごみがぁぁぁ!!!」

 

 

 突然、体育館のほうからすごい声が聞こえてきた。この時間帯に体育館を使っているのはA組のはず。だとすれば、学校祭の演劇の練習をしているのであろう。

 これだけの迫力ある声、いったい誰が出しているのかとみてみれば、ステージに立っているのは見慣れぬ格好をした生徒だ。いや、よくよく見ると女子生徒であることがわかる。しかし、白衣に刀、そのほかに髪をオールバックにし、下に履いてるのは男子生徒から借りたであろう制服だったため、男に見えたらしい。たしか、彼女の名前は秀内といっただろうか…。部活に所属していないにも関わらず、運動神経は全国クラスと言われ、成績も極めて優秀。素行も見本としてふさわしいくらいに弁えている。まさか、演劇にも才能があったとは意外であった。これだけの声量と明瞭さがあれば、きっと歌手や女優としても通じるだろう。いやはや、彼女はきっと雄英に行って素晴らしい人生を歩むのだろう。今後どうなるかが非常に楽しみである。

 

 

「いまであれ程の実力なら、ヒーローになることもできるだろうなぁ…。」

 

 

 

 そうつぶやいたあと、誰かが噴き出すような声が聞こえたがきっと気のせいだろう。




指揮官:「何で笑ってたの?」
M16:「いや、上で見てたら職員の一人が『いいヒーローになるだろうな』って言っててな」
指揮官:「ブッフォァ。げっほげっほ…。いや、そもそもヒーローなるつもりも女優歌手もないから…。それは笑うわな…。」




智春:「あら、45さん。いらっしゃいませ。」
UMP45:「やっほー。あとこっちにいる間はシーナって呼んでねー。一応周りにはそう通してるから。」
智春:「わかりました。それで今回のご用件は?」
45:「最近、ここの店の周りで怪しい挙動してる人がいるの。今のとこ害はないから放置してるけど気を付けてって警告をね。」
智春:「…わかりました。店周辺の監視をお願いしても?」
45:「落ち着いたら何かいい感じのワインをお願いしようかな?」
智春:「それでよければいいのを仕入れておきますね。お願いします。」










・ネタ話
カフェ&バー「春庭」
→スプリングフィールドを春田ではなくしたバージョン。そのまんまである。

あ、アイエエエエエエエエエエ!!!!~指揮官びっくりだよ!?
→忍者スレ〇ヤーより。挨拶は大事。()

現地協力員
→やから始まる自由業の方々。指揮官の歌トレーニングのボイスをCDにして渡したら協力してくれた。めっちゃファン。放送していない裏のものなので超プレミア状態。404からすれば安すぎるくらいとのこと。あとスプリングフィールドに一目ぼれしてファンクラブできた。

コーヒーの感想
→実体験。めっちゃうまい店が近所にあったのでそこで飲んだコーヒーの感想書いた。ホントはこれの倍あった。

はろー私は__のくだり
→某海戦シューティングゲームの悪夢。あっちもプレイヤーのことを指揮官と言っているので指揮官違いで出しました。今は改善されたので悪夢じゃなくなりつつあるけど。改装してスキルマにすると弾幕すごいよ。

「無意味だ無駄だ!__のセリフ
→某オンラインゲームのボスから。このセリフしゃべってるのは歩いてやってくるロクデナシの魔術師だったり。アークスのおもちゃで検索すると一発。

「消えるのはお前のほうだ!___のセリフ
→ドルフロの6-6ボスのこと。ジャックランタンを奪いに行ってるけど被害が多すぎてシャレにならない。ある意味作者の本音。

白衣に刀、オールバック__の格好について
→実際に私がやりました。ボスじゃなくてお供役だったんですけど。


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歯車は動き始めたのですよ

若干、残酷な描写入ってます。最後あたり。


「ようこそ、我が居城へ!歓迎しようではないか、出来損ないの失敗作よ!」

 

 

絶賛公演中でございます。これから戦うシーンなんですけど、この演劇、なんと個性の使用ができちゃうんです!死ぬって。死なないけど。

午後のラストに私のクラスの演劇が当てられていまして、ラストということでめっちゃ人がいます。多すぎ。あ、でも一部は私の戦術人形たちで占領してます。みんな見た目綺麗で可愛いから周りの視線がすごいです。不埒者はトンプソンの姉御が目線で追い払っている模様。強い。

セリフを喋りながら、クラスメイトから渡された刀のレプリカを鞘から抜いて構え。そのまま演劇の主人公と殺陣(たて)を繰り広げます。クラスメイトの個性が、衝撃を受けると光るシールを作るというなんとも微妙な個性だったが、ここですごい役に立ってます。斬り合うたびに火花っぽい光が出るのでお客さん大盛り上がり。私もテンション上がってます。なんで練習で出してくれなかったんや。

 

「ほう!出来損ないの分際でありながらここまでやるとはな…。だが、それもここまでよ!無念のままに散るがいい!」

 

 

死亡フラグを無事立てて突撃しまーす。割と本気で戦っているので汗がすごかったりする。あ、相手は剣道部のエースです。なんでも、私がこの役になった瞬間に立候補したんだとか。私はその時、先生に呼ばれて居なかったんだよねぇ…。先生、なんであのタイミングで私をクラスから連れ出したんですか。もっと馬鹿騒ぎしたかったんですけど。

がっつり斬り合いをして、やっとあのタイミングが来ました。主人公が叫んで、他のクラスメイトが個性を使って、閃光弾みたいな感じでフラーーーッシュ!眩しいです。悲鳴を上げておきます。

 

「おのれおのれおのれぇぇえええええ!!!!無意味だ無駄だ愚かしい!滅びろ消えろ!宇宙のゴミがあぁああああ!」

「消えるのはお前の方だ!アルケミストぉ!!」

 

 

なんか、練習の時よりめっちゃ気合入ってる。迫力すごいぞおい。そんなわけで切り飛ばされて、そのまま吹っ飛ぶふりをしつつフェードアウト。私の役はこれで終わりでございます。はー、帰りに智春さんのとこ寄って行こうかな。両親はこれ見たら仕事に出ないといけないらしいから1人だし。1人じゃ無いけどね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校祭に招待されたため、ヒーローとしての仕事が終わり次第、ミッドナイトは来賓席に来ていた。時間的に最後の演目だったのだろう。体育館の中は観客でいっぱいになって居た。

この中学校は、毎年数人だが雄英に生徒を輩出している少数実力校の一つ。ある程度の実力を見たりするのに、幾人かのヒーローが見にくることは良くあるのだ。演劇の最初に出てきている生徒は普通。2年生ではあるが伸び代があるか無いかが微妙なところだろう。この調子だと再来年は来れるか分からない、と早々に見切ろうとした時だった。

 

 

 

 

「おのれおのれおのれぇぇえええええ!!!!無意味だ無駄だ愚かしい!滅びろ消えろ!宇宙のゴミがあぁああああ!」

「っ!?」

 

 

 ヴィランと間違うかのような気配と迫力。それに追い打ちをかけるような声量と明瞭さをもって、見切ろうとした気持ちを捨てさせた生徒がいた。レプリカであろう刀は本物のように、その場の空気は戦場のように張りつめている。それはまるで、今までに何度も戦いを潜り抜けた戦士を思わせるものだった。

 

 

「…へぇ?やるじゃないか、あの子。」

「本当ですよ。あの生徒は成績も優秀、素行も問題ない生徒でして。」

「校長、あの生徒の名前を聞いても?」

「秀内。秀内 奏(ひでうち かなで)と言います。」

 

 

 校長とのわずかなやり取り。それで十分だった。

 あの子は今後大物にも、場合によっては()()()()になる可能性もある。覚えておいて損はないだろう。

 

 

「楽しみにしているよ。」

 

 

 

 珍しくいいものが見れたミッドナイトは機嫌がよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅぅぅぅ~~~~~!!!!!!つっかれたあああああ!!!!」

「ハッハッハ!なかなかいい演技だったじゃないかボス。まさか、あそこまでいい声を出すとは思わなかったからな。」

「あんたにそんな才能があったなんてね。」

 

 

 現在、「春庭」を貸し切りにしてのんびりしてます。大体時間的に17時でございますぅ…。ここに来てから1時間くらい経ってるけど、気分的にはまだ30分くらいだったわ。あと何で酒飲んでるんだよARとMGは。でもいい、許す!

 私はトンプソンとVectorの2人に挟まれて、智春さんが淹れてくれたコーヒー飲みながらぐでぐでして話してます。店内は私と戦術人形しかいまーーせん!はたから見れば女子会をやっているような状態です。どうもみんな、バッテリーを持ち出していつの間にか学校でいろいろ楽しんでたらしい。そうだよね、今のところ私がちゃんとした状態で顕現させられるの3人が限界だもん。時間は3日だし。バッテリーは余りまくって溢れてるらしいので、気にする必要はないってリーさんに言われた。うん、ならいいんだわ。

 

 

「ちょっとあっついな…。外に出て涼んでくるー。」

 

 

 からんころーん、と扉を開けてお外へゴー。ついでにちょっと離れた本屋に気になってた本を見に行こうかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、見つけたよ。()()()()()()さん♪」

 

 

 

 

 

 そんな男の声は、私のすぐ真横から聞こえてきた。

 

 

「っつぁあぁぁあ!!」

 

 

 

 咄嗟に距離をとったが、間に合わなかった。男が持っていたナイフは、私の左目を上から下までざっくりと切り裂き、左肩を刺されていた。どくどくと流れ出る血が、地面に血だまりを作っていく。出血する目を抑えつつ、男の姿を確認する。

 

「ッぅう…。なん…だよ、い…きな…り…!」

「おや?僕の個性が効いていなかったみたいだね…。面白い、面白いよぉ!」

 

 男は大仰に両腕を広げ、嗤っている。切り裂かれた傷が、灼熱の痛みを訴えてくる。今すぐにでもしゃがんでしまいたいが、きっとここでしゃがめば、殺される。

 そこまで考えて、ようやく気付いた。

 

 

「(人が…いない!?今の時間帯なら、確実にいるはずなのに。)」

「あっははははは!気づいたかい!!そうだよ、ここは僕と君だけの場所さ!!」

 

 

 男は先ほどよりも大きな声で嗤っている。さっきよりも痛みが増し、視界が揺らぐ。何とかしてあの男を無力化しなければいけない。しかし、先ほどから彼女たちを呼ぼうとしても、何の反応もない。焦りと痛みだけが、今ある現実である。奴と一対一、味方はおらず、こちらは手負い。ふらり、と体が揺れた。

 

 

「っつぁあ…!」

「ああ、いいね…!いいよォ!そうだ!もっといいカオをしてくれよなぁあ!」

「だま…れ!っが…!」

「いつまで正気でいられる?いつまで助けを待てるんだい君は?ここには僕と君しかいないというのに…ねぇっ!」

「っが…!」」

 

 

 倒れたところで、首を、気道をつぶされた。うまく力が入らず、視界が狭まってゆく。意識が薄れていくなか、ふと思い出したのはとある人形のことだった。

 

 

 

 敵の手によって陥れられ、孤立無援の中で大切な仲間のために、たった一人で敵へと立ち向かった、桜色の髪を持つ人形(彼女)。彼女は最後の瞬間まで全力で抗っていた。だが、私にはそこまでの力はない。今の私は、どうしようもなく無力なのだ。

 

 

 

 せめて、彼女のような力が…あれば…。

 

 

 男がナイフを振り上げ、私の心臓に狙いをつける。流れる景色が、ゆっくりとなり、見える景色が緩慢になる。ああ、これで終わりなのか。

 

 

 

 

 そう思い、すべてを諦めようとした瞬間、先ほど思い浮かんだ彼女の声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 刹那、私の中に足りなかったモノが入ってくるような感覚とともに、力の奔流があふれ出た。

 

 

 

「な…ぁあああ!」

「…。」

 

 

 切られた左目と左肩からは未だに血が流れている。だが、先ほどまで感じていた痛みは感じない。残った右目で、男を睨む。

 

「なんだよ、なんだよそれ…!ここは、ここは僕のセカイなんだぞっっ!!」

「…、何のことかは知らない…けど。お前なんかにやられるなっていうことらしくて、なぁ!!」

 

 

 ()()()()()()S()T() ()A()R()-()1()5()を構え、銃口を向ける。

 

「ありえないありえないありえないありえない!!ここは僕だけのセカイだ!!こんなのは、こんなことは絶対にあってはいけないんだよぉ!!僕は君を愛し(殺し)たいんだ!そのために全てを!!ここに!!このセカイにしたのに!!」

「『黙れ!私はこんなところで燻っている時間なんぞ持ち合わせてはいない!とっとと消えろ!!』」

 

 

 右手に持った彼女の本体から鋼鉄の咆哮が放たれ、存在しない自分勝手なセカイを撃ち壊した

 

 

 

 

 

 瞬間、元の世界が戻ってきたと同時に、思い出したように傷が痛みを訴え、私の意識は今度こそ暗闇の中へと引きずり込まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「急げ!出血が思いのほかにひどいぞ!」

「救急車はまだなの!?」

「離れて!ここは見世物なんかじゃないんだぞ!」

 

「なになに?なんかあったの?」

「いきなり人が出てきたんだって。しかも血まみれの女の子一人とやばそうな感じの男らしい。」

「事件ってこと?ヒーローが誰か来た?」

「いや、ヒーローは来ていないらしいぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『次のニュースです。昨夜、__駅前にて血まみれの女の子が倒れていると通報があり_____』

『____もう1人の男は現在、捜索中だった容疑者の男であった可能性が高いとされ、長年未解決だった殺人事件の解決につながるとされています。』

『_____第一発見者である女性を警察では探しており、ピンク色の髪に大ぶりのギターケースを持っている女子高生の情報を求めています____』

 

 

 

 

 

 

 

 




AR-15「っ!指揮官、指揮官!!」
UMP9「くそっ、間に合わなかった!」
UMP45「顔からの出血はともかく、左肩がやばい。416、圧迫止血を。」
416「ええ。副官、救急車を…ってその様子だともう呼んだようね。」
一〇〇式「…。」
9「あの男は放っておいても問題ないよ。わかっていると思うけど、撃たないでね。」
45「コルト、貴方は先に戻って。カフェにいる他の人形も連れて行って。」
15「…そうするわ。あとをお願い。」


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後悔、先に立たず。故に前を向くしかない

呼び名が独特なので、出てきた人形で違う呼び方してるものを乗っけておきます。

一〇〇式→ももちゃん
スプリングフィールド→智春さん
M16A1→イム姉
ST AR-15→コルト姉
RO635→ろーちゃん
Kar98k→かーちゃん
トンプソン→姉御


あとは大丈夫だと思うけど…。


労災にはご注意を!ご安全に!(工場作業員感)


ユラユラと水の中から浮上するような感覚。夢と現実が曖昧な状態の中、聞こえてきたのは規則正しい電子音。目を開こうとして感じたのは、鋭い痛みと倦怠感。そして顔と左肩が上手く動かない違和感だった。

 

「…う。」

「…!指揮官!まだ動かないでください。」

「ん、わか…た。」

 

 

どうも、声の出も悪い。そこまで理解して思い出した。おそらくここは病室だろう。他の人の姿はないから個室。横に見える機器の多さから相当やばい状態だったのだろう。

私の横についてくれていたのはFALだった。格好はいつものものではなく、こちらにいても違和感を感じないものである。おそらく智春さんが用意してくれていたのだろう。いつもの白いモフモフの姿もなかった。

 

「取り敢えず、担当の人に知らせて来ます。おそらく時間がかかると思うので、もう少し寝ていても大丈夫ですよ。」

「ん。そ…する。」

 

 

FALのそんな言葉に誘われる様に、私は再び眠りへと落ちて行った…。

 

 

 

 

 

「___という事でして。左目は失明とまではいきませんが、視力は0.1くらいしか残っていない状態です。傷跡の方は、よく見なければ分からない程度まで治すことができますが、中学校を卒業するかしないかまでの時期までは残ったままになります。」

「そう、ですか。」

「左肩に関しては後遺症もなく治るでしょう。…しかし、しばらくの間は動かすことができないため苦労が多くなりますね。」

 

 

 

 致し方ないとはいえ、流石になぁ…。特に左目の視力がご臨終ですか。クォレハタイヘンデスネェー!なんでも、先に傷を消そうとすると完全に視力がなくなってしまうため後回しにするんだとか。しばらく左目開けないようにとも言われました。眼帯ですね分かります。左肩はなんと、ぶっとい血管を両断するかしないかの位置だったらしい。マジであのタイミングで動けたのはよかった…。じゃないと本当に死んでただろうね。シャレにならん。

 担当医の先生、まさかの幼稚園の時にもお世話になった先生で、最後にめっちゃ肝が冷えたと言ってた。そりゃそうだよね。人生で2回もヴィランに襲われた身だし。正直、私自身びっくらぽん状態だわ…。普通死ぬって。両親はタイミング悪すぎて、海外出張に行くために飛行機乗ってたんだよね…。

 そんなわけで今は、まさかの智春さん預かりの状態です。なんと智春さん、404小隊がどこでやったか分からない書類偽装のおかげで身分があるんです!マジですか。いや助かるけど…。両親とも面識があるので「頼みますー」と言われていた模様。国単位のお仕事だから簡単に抜けてこられないってビデオチャットでいわれた。心配かけて申し訳ねぇ…!でもわたしゃあ悪くねぇ!ヴィランが悪い!

 先生はほかの患者を診るために出ていきました。診察中に出てきてもらってありがとうございました。説明聞いたので私はもう一度寝る!…体が休息を求めてきてしょうがないんだわ。

 

 今回はちょっと基地にも顔を出してみんなに話をしないとな。その中でも特に_________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 霧に包まれたこの世界のどこから風が吹いているのかは分からないが、考え事をして熱くなった頭を冷やすのには十分だろう。ぐるぐると同じことをずっと考えて、後悔して、己を責める。どうすればいいのかなんて分からなかった。あの時、嫌な気配がしていたから外で監視をしていた404小隊の3人に確認を取りに行っていた。簡単な連絡であったが故に、油断していた。指揮官との繋がりが薄まり、声が聞こえなくなった。どうしようも出来ない己の弱さを突きつけられ、また失うところだった。

 

浅い呼吸音と生気の失せた肌色、流れ出る血の多さが、今もフラッシュバックする。他の人形達であればそんなことはないのだろう。だが、(一〇〇式)は違う。人の様に夢を見て、一度壊れてしまえばもう二度と戻ってくることはない。ダミーならともかく、メインフレームたる本体がやられてしまえば…。

そんな事ばかりが頭の中から離れない。感情シミュレータがエラーを吐き、再起動を掛けようとする。もう、どうしようも無かった。

 

 

「いたいた、やっと見つけたよ。」

「…っ!しき…かん…。」

 

 

 感情の処理にほとんど持っていかれていたせいか、後ろからやってきた指揮官に気づけなかった。左目は閉じられ、その上には大きな傷跡が痛ましく刻まれている。その姿は、感情シミュレータにさらなる負荷を掛け、益々言葉が出なくなる。行き場のない後悔の念だけが募り、その場に縫い付けられたかのように動けなくなる。処理限界を超えてしまった私のプログラムが、強制的にシャットダウンしようとする。それでも、どうしても指揮官に謝りたくて…。

 

 

「大丈夫、大丈夫だよ。私はちゃんとここにいるよ、もも。」

「で…もわた…し、は…!」

 

 

 指揮官は、微笑みながら私のことを抱きしめる。直接伝わって来るのは、しっかりとした鼓動と確かな熱。あの時とは全然違う、安心感。それを理解したとき、エラーを吐いた感情の波が収まっていくのを感じる。指揮官は私の頭を優しく撫で、大丈夫だと言い続けてくれている。抑えきれない別の感情が、堰を切ったように表に出ようとしてくる。

 

「抑えなくてもいいんだよ。心配かけてごめんね。だからさ、泣いていいんだよ、もも。」

 

 

 指揮官のその言葉に、私は大きな声を上げて哭いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「後悔先に立たず、って言葉があるでしょ?つまり、今回はそういうことなんだよ。それに、たぶんあの時は誰かが傍についてても同じ結果だと思うよ。」

「傍に、いても同じだった…?」

「そそ。あいつの個性はね、同じ座標に()()()()()()()()()()個性だったみたいでね。条件は厳しいけど、それをクリアすれば完全犯罪なんてお手の物。さらに巻き込まれた相手は自分の個性を発動することができないオマケつき。正直、あいつに目をつけられたら終わりってことだったらしいよ。」

 

 

 

 現在ももちゃんと2人きりでお話してまーす。場所は屋上、霧に包まれてるこっちでお外見てもしょうがないなーと思ったけど案外涼しい、というか寒いわここ。でも頭冷やすのにはちょうどいいと思う。ももちゃんが来てた理由もそうっぽいし。

 ももちゃん、性格が性格だからおそらく自分を責めて、追い込んで、溜め込んじゃうだろうなーと思ったのでまず話をしなければと思った次第でございます。そうして基地内を探せば、まさに屋上で一人自責に追い込んでました。だめよー、私がいるところで塞ぎこむのは許しません!ぬん!というわけで感情吐かせて好きなだけ泣かせました。うん、声を出して泣くことは悪くないからね。むしろ安心しましたわ。

 

 そんでもって現在は、あの時何があったのかを説明しておりまする。いやー、あの後警察の事情聴取とか結構大変でねー。いざ聞いてみればマジでヤバイことが起きてましたわ。よく生き残ったなって本当に思いました。自分の世界に引きずり込んで、そのまま好きなだけ相手を…ここから先はさすがに言いたくねぇ。反吐が出るわ。ともかく、あいつはターゲットを決めて、フィールド張って待機。あとは蟻地獄のごとく待つだけ。証拠も目撃者も出ないわけだ。

 でも私がある程度動けたのは、今のこの個性のおかげらしい。こうやって自分の中に別の世界があったため、ある程度の抵抗ができていて動けたのではないか、と45姉が言ってた。45姉、マジで情報収集に関して優秀すぎひん?春庭周辺の不審者情報もよく見つけたねってレベルだったよ?ともかく、そういった経緯もあり、今回は悪運で生き残ったというわけだ。

 

 

 

「油断してたのは私も同じ。だからさ、これからはそんなことがないようにもっと支えてくれないかな?こんな頼りない指揮官だからね。」

「っ!はい!」

 

 

 

 うん、この様子ならもう大丈夫みたいね。

 そうとなれば、あとは()()()()()()()()()A()R()-()1()5()が制限を超えて出てきたことについて、聞かないとなぁ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コルト姉ー!ちょっと話があるけど、今大じょーぶかーい?」

「…ええ。私もちょうど、指揮官に確かめたいことがあったので大丈夫ですよ。」

 

 

 ももちゃんとやってきたのは射撃演習場、通称『キルハウス』でございます。ソロサバゲーみたいな感じで楽しそう。難易度高くて悲鳴上げてるって聞いたことあるけど。コルト姉はキルハウスやってて、私たち2人は上のほうから見下ろす位置にいたので声を張り上げる必要があったんだけど…コルト姉、さらっと通信機で言って来たね。そうすれば早かったか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの時、何があったか分かる?私はあの時満身創痍だったからほとんど覚えてなくて…。」

「そうですね…。正直、私も何が起きたか分かってはいないです。気がついたら指揮官のそばにいた、といった感じでしたので。」

「そっかぁ…。ももちゃん、外にいたときにコルト姉ってカフェにいなかったんだよね?」

「はい。そもそもAR-15は居残り組だったのでここにいたはずです。」

 

 

 コルト姉もよく分かってないんだ…。ってことは完全に巻き込まれたパターンですね。すまん、でも助かったわ。そして私の中で感覚として覚えているのは…。

 

 

「なんだろう、こう、纏ったって感じだったのかな?でも体の中に入ってくるような変な感じもしたんだけど。」

「もしかしたら、召喚のほかに使えるようになった別の力なのでは?」

 

 

 ナ、ナンダッテー!いや、ありえなくはないかも。いまだにこの個性、何ができるか分からないし。もし、コルト姉の仮説が事実なら戦術の幅が超絶広がるじゃないですか…!そうと決まればやることは決まった!

 

 

「なら試すしかないよね!早速明日にでも___」

「「大人しくけがを治すことに集中してください!!」」

「うっす。」

 

 

 

 

 怒られた。

 このあと、基地内にいるみんなのところにも顔を出して、今回の失敗を繰り返さないようにって言って回った。顔出すたびに撫でられたり抱きつかれたりして結構時間かかっちゃったけど、心配かけたことに変わりはないからね。撫で返したりギュってしてあげた。イム姉はあとで眼帯あげるって言ってくれた。マジで!?うれしい!いやでもあれ学校内でつけると超目立つよね…?今更か。

 そんな風にしてると鳴り響くいつもの鐘の音が。むぅ、もうおしまいですか…。しょうがない、大人しく病院で怪我が治るまでダラダラしてます。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、また明日ね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 二度と大怪我なんてするわけにはいかんな、これは。

 そう、自分自身に誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 聞き覚えのあるあのフレーズはもう聞こえない。つまり、()()()()()()ということなのだろう。ならば、私はそれに対して答えを言おう。

 

 

“What am I Fighting for”(なんのために戦うのか)なんてね。そんなの簡単だよ。」

 

 

『そうしたいから』だよ。たとえそれが私のわがままであっても。




みんなに会いに行った時の一幕
・食堂にて
指揮官「ここに何人かいるっぽいね」
ももちゃん「そうですね…。ほかのみんなは気持ちの切り替えもしっかりしてるから大丈夫だと思いますが…」

入室

M1895『殺してみやがれ!!!ク〇ぉぉぉーーーーッッッ!!!』
指揮官「何事!?」




Codブラックオプスのモノマネをしていたとのこと。細かすぎて伝わらないモノマネ選手権だったらしい。ちなみにこの前にモノマネをしていたのはWA2000とのこと。


・MG達の部屋(M249SAW)
M249「…(無言で指揮官を抱きしめる)」
指揮官「わわ!びっくりした!心配かけてごめんね。」
M249「…指揮官のためなら本気になる。だから、もう無茶しないで。(モフッ)」
指揮官「ふふっ、ありがとね。(もっふもふだぁぁ…!)」

モフモフさせてあげたかったとのこと(本人談)本気出せばやばいMGランク1位。


・404小隊
指揮官「3人とも、苦労掛けてごめんね…。」
45「本当ですよ!!!!!…でも、生きててよかった。」
416「もう目の前で失うのは嫌なの。だから、気をつけなさい。私たちがいつでもついているのだから。」
9「次にこんなことになったら…徹底的にお仕置きするからねー。」
指揮官「んっふふー。わかったよー。…これからもよろしくね。」


徹底的なお仕置き=404小隊による護身術授業。拷問レベルできつい。ももちゃんの近接訓練のほうがすごくましになるらしい。決して監禁などではない。いたって普通の家族とのこと。ファミパンもないよ!









G11チャレンジを続行しています。今のところ150連回しましたが負けてます。KSGは気まぐれで引いたら来ちゃいました。マジですか。



ネタ話
・視力0.1しか残りません~のところ
→私、溶接作業がメインなのですが…。やらかしまして、労災で左目だけほぼ失明状態に近いのでそれを参考にしてます。傷はありませんが。マジで何も見えない。

・左肩に関して後遺症は~のところ
→父上が骨折してやらかした実体験を参考にしています。スキーでの滑落事故にもご注意を!

・一〇〇式ちゃんも夢を見る、のところについて
→これは個人的な設定です!!!実際の設定とは大きく異なっております!!!!ドルフロ世界戦では戦術人形は第2世代(のはず)ということですが、一〇〇式ちゃんだけ1.5世代、つまり【自主規制】で作られた試作人形ということにしております。今後使うか分からない設定。つまり完全な趣味です。

・キルハウス
→同じサイトの中にある2次創作のとある作品に出てきたもの。名前が思いつかなかったので参考にしました(というか丸々持ってきました。名前だけですが)。問題があれば変更します。

・What am I Fighting for
→大陸版で行われた大型イベント「特異点」のエンディング曲です。あれね…イベントでやるシナリオじゃないんですよ…うぅ…。歌っているのは艦〇れのアニメOP歌ってた方です。ニコニ〇にコメントで歌詞を書いてくださっている同志がいます。気になったら覗くのもありですかね。


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どう成るかは自分次第ですよ

 私が書いている文章はちょっと独特なんですね…。友人から言われました。ショウガナイネ。基本読んでるのがラノベ類なので。


G11が!!!!来ません!!!諭吉が解けてますボスケテ



指揮官の現状
・左目ほぼ失明状態。現在は眼帯付けてる
・同時に呼べる人形は3体、3日が限度。
・両親が海外出張中なのでスプリングフィールドの店で居候中





こんなもんですかね。


 ぷれいぼーーーる!違います、野球は始めませんよ。いや、でもやりたいわ。はろー!指揮官です。あれから1か月ほど入院してたのですが、そろそろ退院してもいいと言われたのですることにしました。結構大ごとになってしまった…手続きとか事情聴取とかクッソうるさいマスコミの処理とかがいっぱいあった。ひぃ。

 退院したのはいいものの、親はあと2か月は戻れないらしいのでしばらくは智春さんのお店に居候状態になります。ここなら学校も近いので安心。学校が終わり次第お手伝いもできそうならやることにしますわー。左肩に関しては、若干感覚がなくなったことを除けば経過良好、痛み止めをしばらく飲んでいれば大丈夫だと言われました。目に関しては卒業まで眼帯しててね、と念を押されて言われました。なんでも、眼帯が邪魔で取っ払う人がいるんだけど、そうすると完全に失明しちゃうとのこと。目が見えないのは困るから大人しく付けておきます。イム姉から貰った眼帯をね!あの眼帯、何気に隠す範囲とかフィットする範囲とかがしっかりしてて助かってます。あとかっこいい!

 

 そうしてひっさびさに出てきた学校ですが、その、やはりいろいろと聞かれました…。大体は遠目から見てるだけなんだけど、クラスメイトはがっつり聞きに来ましてね。適当に話しておきました。人はね…嘘の話の中に若干の本当のことを入れると疑わないんだよ…。でも1週間もすれば慣れるのでそこまで気にしなくてもよくなったよ。遅れた分の授業範囲を聞きつつ、高校に向けた進路関係のお話がやってきました。この中学校、高校並みに動き出すの早くなーい?しかも1人1人面談していくらしい。すげぇ、前世じゃそんなことなかった。しかもまだ2年生なのに。

 

 

 そうしてやってきた面談のお時間。私としては東北にある特殊個性資格が取れる工業高校に行こうと考えているんだけど、ここから行くってなれば受験大変そうだなーと思ってます。すごいよね、工事作業のために個性を使用するから限定的なもので許可証が出るって話。これあれば言い訳程度にはなるから助かるし、何より溶接作業もできる!!私が前世で変わり者って言われた理由だったけど。いいやん、溶接。鉄溶かしてくっつけるだけだと思うなよ?あれはかなり作業者の特徴が出るから奥が深い。一つ間違えば大惨事だけど。

 早速先生と一対一で向かい合って話をします!

 

 

「先生、私は東北にあるこの高校に行きたいと思っているのですが…。」

 

 

 

 

 

 

 

 第一声、そんなこと言ったら超絶びっくりされました…。なんでや…。

 

 

 

 

 

 

 

 面談終わって部屋から出てきました…。先生、何でそこまで雄英推してくるんですか…私の夢はヒーローではないのですよ…。

 めっちゃ先生に、雄英行かないの!?ヒーローになれるよ奏ちゃん!!!って言われた。いえ、ヒーローなんて私の柄ではないですし、何よりあれ以上大怪我負うような目にあいたくないんですわー。護身術教室始まっちゃう。それは勘弁願いたい。後ろで護衛についてたSIGがめっちゃ苦笑いしてた。でも先生曰く、学校祭で雄英の先生が気にしてたって言って来たんだけど。うっそだろ、何もしてないけど…。いやでも、あんなことがあった直後だからか?わからん…。先生、とりあえず相談するんで結果はあとでお知らせしますね。

 

 面談終わって教室戻ったらチャイムが鳴りました。あとHRやって、掃除して帰ります!それにしても…片目が見えないから距離感掴むの難しいな。SIGが時々支えてくれなかったらこけたりしてた。すまんね、迷惑かけるよ。

 さてと、それじゃあまずは智春さんのカフェで何人かと相談しますかね…。まだ試していなったあの仮説の実証も含めて。

 

 

 

 

 

 

 

 

「____だとすれば、確実に出しても問題ない雄英のほうが道としてはよさげですね。何より、セキュリティのレベルはかなりいいですよ。」

「45が言うには、痕跡を残さないように侵入するのに手間取ったそうです。かなりの実力者でもない限りは侵入できないでしょうから。」

「うーん…ヒーローにならなくても道は広いからね。専門知識は現場で賄う感じになりそうだけど。」

 

 

 

 春庭のテーブルスペースで相談中な指揮官です。私のほかにいるのはHK416とUMP9とGr MG4の3人です。ナインちゃんはマフィンもぐもぐしてます。かわええ。

 相談した結果、なんだかんだで雄英のほうが有利になることが多いそうで。その分、求められる学力その他がすごいんですけど。なにより、雄英に入る時に考えられる問題は…。

 

 

 

「個性を使った実技試験。これをどう乗り切るかなんだよね…。」

 

 

 そう!!!個性を使用する試験もあるのだ!!!私の個性、特殊すぎるのと性質上、国単位を相手取ることもできちゃうから…。まだ人形を呼べることは誰にも教えてないんだよね。できるのは、ぬいぐるみくらいのものを動かすことと、銃火器の一部を限定で出せるってことにしてます。個性の名前は「具現化操作」ってことになってますけど。本当はゲームの名前まんまで「ドールズフロントライン」って名乗りたい。かっこいいじゃん。逸れたね、うん。

 私の発言に3人が「あー、うん」みたいな顔してます。そうだよね、今のところ自分でできることなんて軍人の真似事みたいなことばかりだし。せいぜい撃てて反動抑えたSMGがいいところ。…せめてあの時みたいにARを片手で撃てればなぁ。

 

 

「ではそうですね、この後コルトの仮説を検証してみませんか?」

「いいけど、どこでやるの?今の時間だと人目を避けて実験できそうな場所なんてないと思うんだけど…。」

「416、先日交渉していたあそこはどうなっていますか?」

「問題なし。今から行けば夕暮れ時になるはずよ。」

 

 

 MG4と416の2人で場所について心当たりがあるっぽいね。ナインちゃん、そんなにマフィンおいしいのか…。あとであげるからここで抑えておきなさい…。とりあえず、場所はありそうなので移動することにします。仮説実証実験と参りましょー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや、ヘッケラーの姉御じゃないですか。今回はどういった用件で?」

「地下を借りたいの。場合によっては爆発等もあるから広いところを。」

「ボスに通しておきます。どうぞ。」

 

 

 なんか、やけにやばいところに来たんですけど。すごく…大きいです、建物が。まって、404小隊こっちに来てから何してるの!?やから始まる自由業の方々とコネもったの!?ひいぃ!今後が怖い。でもなぜだろう、マイルドな感じがすごい。まぁ、何が起きるか分からないから警戒しておこう…。何を餌に交渉したんだろう…。

 そんなわけで通された地下。まって、これってあれじゃない?洪水とか起きたときに水をためて別に流すあそこだよね!?天井たかーい!声ひびくぅー!でもこれ壊したら駄目じゃね?壊すつもりはないけど万が一ってのがあるわけだし。

 

 

「ここはすでに廃棄、というより管理から外れているとのことです。今は別のところに同じようなものがあるので、壊しても問題はないと聞いています。」

 

 

 MG4、なんだかんだで404小隊と組む時が多かったから慣れてきたね…。裏仕事しすぎないようにね。

 さて、一応準備もできたので試してみようと思います。今回はAR-15がいないので代わりに416で仮説実証して行きます!たしか、あの時の感覚は、こう…アタッチメントを装着するように、纏って…。

 

 

 

「416!?」

「これは…!」

 

 

 

 

 出来た。いや、でもこの前とちょっと違う感じがする。右手にはHK416の本体を持ってるけど、そのほかに腰にいくつかグレネードがある。服は変わってないから、装備だけなのかな?あと気づいた、416が消えてます!ってことはこれ、もしかして…。

 

 

 

「人形を【アタッチメント】として私自身に装備してる…?」

『…どうやら、そのようですね。』

「指揮官、体のほうはどうですか?」

「…ちょっときつい。思いのほか体力持っていかれてるかも。」

「一度解除しましょう。あまり負担になるとさすがに…。」

「ううん、このまま動いてみる。おそらく、身体能力にも影響出てるはずだから。」

 

 

 

 右目でしか見ていないはずだけど、視界は両眼で見ている時と同じ状態になってる。それに、だいぶ先まで見えるってことは視力にもバフがかかってるかも。とりあえず、きついことに変わりはないので直線でダッシュしてみることに。ナインちゃんとMG4の2人は横で待機してもらいまーす。416の本体を背負って固定。クラウチングのポーズをとってそのまま…。

 

 

「よーい、どんっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結果、やっぱり身体能力にもバフかかってました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 地下から出てきて、いまから春庭に戻るところです。限界になったら強制的に『装備』していた416が解除されて、私の横に顕現しなおしました。ちょっと、立つの難しいくらいに消耗してしまったのが情けない。でもこれで、仮説が事実になったので戦果は上々。あとは努力さえすれば何とかなりそうですなー!そんなわけで今はナインちゃんに背負われています。ナインちゃん、気のせいかすごくうれしそうだね。うー、ちょっと恥ずかしい。

 

 

「我々が単体で動くほかに、指揮官の力としてつけるようになったのはいい結果でしたね。」

「さすがに416が消えたときはびっくりしたけどねー。」

「うん…でもしばらくは基礎訓練で終わりそう…。」

「病み上がりなのに無茶をするからですよ。」

 

 

 たしかに、病み上がりだったから体力落ちてたかも。ショウガナイネ…しばらくは本当に基礎訓練で終わっておきます…。そして工業高校に行かずに雄英に志望を出すことにしますかー。まだちょっと迷ってるけど、先生からの推薦もあるし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 でもどこか、すっきりしたような気分で雄英に行こうという気持ちもあった。

 

 

 卒業まで、あと1年と少し。




416「ああ居た。正臣さん、少しいいかしら?」
正臣(まさおみ)「おや、ヘッケラーさん。また何かご所望で?」
416「そのうち、何人かでいろいろすると思うから場所を確保しておきたいの。人目につかないところで。」
正臣「ありますよ。この屋敷の地下にちょうど管理から外れたあるものがありまして。」
416「…じゃあこれ、歌姫じゃないけど。カフェのマスターが趣味で歌ってたものだけど。」
正臣「なんと!!!!お任せを!!!話をしておきますので必要とあればいつでも使ってください!!!」


やから始まる自由業の人との会話。404小隊と関わるようになったら姫を守る親衛隊みたいな感じになったらしい。同業者が攻め込んできたら静かに対処してるらしい。後ろ暗いこともしなくなったとか。




指揮官「先生、親とも話をして決めました。雄英行きます。」
先生「よかった!」
指揮官「ただし、推薦はなしでいいです。実力で行きます。」
先生「えぇ!?」


チャレンジしてみたいお年頃。どうせなら試験を受けたいらしい。親にも話した。めっちゃ喜ばれた。






404小隊と自由業の方々とのエンカウントは険悪だったのに404小隊にぼっこぼこにされてブツを出されたらあっさり下った。それでいいのかやから始まる方々よ。416はヘッケラー、45はシーナ、9はクオンと名乗ってる。











 


 ずっと、どこかで思っていたのだろう。私は『みんなの』ヒーローにはなれない。私がなりたいのはきっと『彼女』たちのヒーローなのかなって。
 戦うことを目的として作られた人形。それなのに、感情をもって、心を持っている。ならば、人と同じものを見て、知って、感じてほしい。そう思ったからなのかもしれない。

『彼女』たちに、戦わない世界を生きてもらうために。そんなちっぽけな理由で私はヒーローになろうじゃないか。
 

それが、私がしたいことなのだから。


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2nd stage
ただ自らの実力で挑むのみです


ひゅー!原作見ながらセリフ入力大変だったよ。そして思う。これ、チートに近くないか…と…。

タグ入れたほういいよって思ったら遠慮なく指摘してください…速攻で入れます…





あと!!!原作コミック4巻だけどこもかしこもないんですけど!!!!
そして!!私の嫁出せてない!!!G11も出ない!!!


いよいよやって来ました雄英の受験日です!両親も出張から帰って来たのでお見送りしてくれました。

ただ、左目の状況は悪くなってしまい、失明ではないものの光にめっぽう弱くなったらしく、眼帯を手放せなくなりました。むう、しょうがないけど不便極まりない。慣れたから殆ど見えてる状況と変わりないけど。

 

 

『眼帯を手放せなくなった?なら私と訓練をしないとな!』

『ただ慣れるよりだったらそのまま近接訓練もやってみる?』

『なになにー?指揮官の訓練やるのー?』

『そんなに時間もないし、今からやるぞ指揮官!』

 

 

って感じで、AR小隊と一部戦闘狂と化したSMGその他によるパーフェクト戦闘教育訓練が始まってしまったのだ…。すごかった。夢と現実で訓練してた。でもそこまで苦じゃなかったのは、やっぱり彼女達への思い入れがあるからか。でもさすがにやりすぎた感はある。何せ、色々と戦術の幅が広がったしね…。呼べる人数増えたし、装備に関しても応用が利くようになった。どこでそんな状況が発生するんだよっていう想定のものまでやってたし。ここは修羅の国か。いや、でも今まであってきた目を見れば修羅の国だな、うん。でも全力を使うつもりは今のとこないです!てか使ったら問答(という名の尋問)が始まっちゃう。多分。

 今回の作戦としては【装備】で対応、状況に応じて何人かを呼んでおいて、迷彩掛けた状態で待機してもらうことにしました!流石に、直接出てもらうと混乱が生じると思われます。私は面倒が嫌いなのだ!!面倒はよけるぞ!!

 そんな感じで歩くと見えてくる雄英の姿。やべぇ、でかいぞこれ。下手すれば校内で迷子出るんじゃないの…。ま、そうなったら大人しく道でも聞きますかね。

 

 それにしても、なんか外から軽くテンション上がってる感じの声が聞こえたなぁ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今日は俺のライヴにようこそー!エヴィバディセイヘイ!!!』

 

 

 

 

 めっちゃ声でかい。そして無反応な受験生一同。無事受験説明の場所である大講堂(であってるのかな?)に入って要項聞いてます。すげぇ人数だなこれ、何人いるんだろう…。まあいいや。これくらいの障壁、乗り越えられないようなら私の目標なんて到底至りそうにないことだからな。楽しむ、なーんてもしかしたら不謹慎だって言われるかもしれないけど。

 試験内容はブロックで別れたフィールド内にいるヴィランを模した機械をひたすらぶっ飛ばすことらしい。ほかの受験者への妨害等はご法度、物の持ち込みは自由だそうで。さすがヒーローを育成する学校、試験内容までそういう風にするのか。ポイントの入らないお邪魔虫もいるというが…まぁ、何とかなるでしょう!

 

『ふむ…フィールド内の敵を排除か。本来の私たちの役目と変わらないことじゃないか。』

『とはいうものの、何かありそうな雰囲気ですわね。』

「絶対何かあるよ。持ち込み自由って言ってる時点で何かしら大きな動きもあるでしょ。」

『でも指揮官ならこれくらいよゆーでしょ!何せAR小隊とゆかいな仲間たち総出で訓練をしたし!』

『こら!SOPは大人しくしててって言われたでしょ!すみません指揮官、大事な試験前にこんなに騒いでしまって。』

「よかよー。むしろいつも通りで助かるよ。」

 

 

 上から順にM16・Kar98k・SOP・M4A1となっております。はい、本日のお供である人形たちです!脳内会話なのでほかの人には聞こえていません!!呼べる人数は5人・1週間まで伸びて、装備のほうに関しては3段階までやれるようになりました!よく頑張った私。

 そんな風に会話をしていると説明が終わったらしく、移動が始まった。

 

 

 

「ひっろ…こんなフィールド複数あるとか敷地面積いくらあるのこの高校。」

『こりゃあ、グリフィンの基地より広いんじゃないか?』

『なんというか…特異点事件を思い出しますわ。』

 

 

 M16とKarの言う通り、広いとしか言いようのないものがいくつも並んでいます。しかもビルも見える。とりあえず持ってきた装備として私は、45姉の制服を参考にした黒いジャケット風のアーマーコート(自作)と荒地でも問題なく動ける軍用ブーツ、左足にレッグポーチタイプのベルトで固定したコンバットナイフとごついガスマスクを装備しています。このほかに、時間になったら人形を【装備】して標的を屠っていくことになるので【装備】した人形の銃が手元に現れる予定でございます。というか、装備っていうよりも憑依のほうが近いかもしれないねこれ。

 私の見た目が特殊なせいか、なんか視線がすごく多いです。そうだよね。眼帯にガスマスクとか軍人みたいな格好してればそうなるよね、うん。

 

 

 

『指揮官、そろそろ気を引き締めろ。空気が変わったぞ。』

 

 

 M16からの助言。私はその言葉を聞いて集中する。最初に目指すは右手側に見える高層ビルの屋上。そこを陣取ることができるかどうかで今回の試験は大きく変わってくる。大きく息吸い、呼吸を整える。そして聞こえてきたのは__

 

 

 

 

 

 

『ハイ、スタート!』

 

 

 

 

 試験官の合図。私はそれを聞いた瞬間、飛び出した。

 

 

 

 

『どうしたぁ!実戦じゃカウントなんざねえんだよ!!!走れ走れぇ!!賽は投げられてんぞ!!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうもほかの受験者は出遅れたらしい。まぁ、そうだよね。普通は何かしらの合図があるから、実戦慣れしてない限りは反応できないと思う。

 

 

「Kar、ビルの屋上についたら顕現、そのまま迷彩掛けて索敵。射撃は禁止、ただし受験者含め危険と判断した場合の牽制射撃は許可。」

『了解ですわ。』

「AR小隊は散開後、通信ユニット展開。迷彩を掛けるのを忘れないで。」

『『『了解』』』

「KSG、借りるぞ。」

『了解。』

 

 

 

 ふわり、と風を纏う感覚の後、私の右手に出現する無骨なショットガン。人形を【装備】することで上がった身体能力を存分に生かし、一気にフィールドを駆ける。交差点に差し掛かったそのとき、民家らしき建物を突き破り、躍り出てきたものが見えた。

 

 

「標的補足!!ぶっ殺す!!」

 

 

 丸めの胴体に掘削用のドリルを両腕につけた獲物(標的)が現れる。それを確認すると同時に、地面を蹴り飛ばし奴の頭上を陣取る。そのまま右手のKSGを頭に狙って向ける。

 

 

「砕け散れ!」

 

 

 轟音、衝撃。近距離から放たれた銃弾は狙いを外すことなく標的のコアを撃ち抜いた。崩れ落ちる標的を足場にして、一気にビルの屋上までジャンプ、同時に銃身の下にある先台を引く。吐き出される薬莢と装填される弾の音が響く。

 屋上に到達すると同時にKarが迷彩をかけた状態で顕現、すぐにダミーも用いて周囲の索敵に入った。

 

 

「KSG、中身は?」

『先ほど放ったのは海のものを参考にした徹甲弾のカスタム。右のバレルに非殺傷用の制圧ゴム弾を装填しています。』

「Kar、総数を把握してる範囲で報告。」

『1Pが50、2Pが66、3Pが40。3時方向が比較的受験者少なめのようです。』

「索敵継続。AR小隊、地下から出てくる可能性を踏まえ、警戒せよ。」

『『『了解』』』

 

 

 

 屋上から屋上へと飛んで移動し、空中から敵の頭を撃ち抜いていく。KSGショットガンは発射口の下に2つのチューブマガジンがある。そのため、2種類の弾を装填することが可能であり、戦術の幅を広げる。今回はゴム弾を使用しないため片方のみの使用となるが十分だろう。

 あらかたの敵を撃ち抜いたが、どれもそこまで装甲はなかった。私に本体を貸してくれている本人曰く、この程度なのかと言っており、期待はずれだったようだ。

 残り2分というアナウンスが聞こえたその時だった。

 

 

『うわぁああ!?指揮官、気を付けて!!下から何か出てくる!!』

 

 

 

 

 SOPからの通信が届くと同時に現れた巨大な影。今まで出てきていない機体だ。しかし、その頭部パーツは入試要項の用紙に書いてあったものと同じである。つまり…

 

 

 

「邪魔な鉄屑のご登場ってわけか。」

 

 

0Pのお邪魔虫であった。恐らく今の装備と【装備】出力では牽制がいいところだろう。他の受験者は戸惑い、後退している。だが、私の中に合った感情はそんなものではなく、むしろ…

 

 

 

「いいだろう、訓練の成果を試してやろうじゃないか、お邪魔虫(鉄屑)野郎。」

 

 

燃え滾るほどの闘志だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『終了~~~~!!!』

 

 

 

 

 試験官の合図が入り、試験が終了した。それと同時に崩れ落ちる巨大な鉄屑。その機体の関節は火花を放ち、頭部の根元には風穴があいている。こいつのコアは頭ではなく、その根元の部分に埋め込まれていたのは少々意外だったがそれだけ。大したことはなかった。【装備】していたKSGを解除し、先に帰還するように指示を出す。散開していたAR小隊及びKarと合流し、フィールドを退場した。

 

 

 

 

『存外、あっけないものだったな。』

『うーん、あのおっきな奴はどのくらい強いのかなーって思ったけどマンティコアより弱いと思うよ?』

『ええ。私たちのうちだれか1人だけでも十分だと思います。』

『わたくしは微妙ですわね。スキルの使用であの大きな機体を撃ち抜けるかどうかといったところですわ。』

 

 

 

 4人の言う通り、思ったほど難しいものではなかった。ただ、時々がれきの中に埋まった精巧なマネキンがあったので、標的を撃ち抜き次第順次丁重に救出し、損傷状態に応じて手首あたりにトリアージ(けがの状態を示すもの)の色バンドをつけてみた。ただマネキンが置かれているだけとは考えられなかった以上、やっておいたほうがいいだろうというKSGの判断を聞き入れたのだ。蒸し暑いガスマスクを外し、装備類を外す。そのまま更衣室で着替え、玄関にいる担当官から注意事項を聞いてとっとと帰宅するためにスパスパと動いた。

 ほぁあ~、さすがに緊張からの疲れがあったなこれ…。とりあえず、あとで送られてくる合否判定をのんびり待つとしますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Aブロックの少年、撃破ポイントは皆無であるが…。逃げ遅れたほかの受験生を救出しに行ったか!」

「ふむ…アレを吹っ飛ばした者は久しく見ていなかったな。」

「救助ポイント0で2位の彼もなかなかですな。ほかの受験生が後半で鈍っていく中、勢いを衰えさせないタフネスさもある。」

「だが、1位の彼女は…。」

「撃破ポイント98、救助ポイント72。圧倒的な戦闘力と状況判断能力、さらに終了後も疲れを一切見せていない。」

「片目が見えないハンデが嘘のようじゃないか…。」

 

 

 

 校舎内の一角、そこに集まる審査員の教師たちは各ブロックの様子をモニターで見ていた。様々な個性が入り乱れる光景の中、1人の少女が大型の銃を()()()放つ様子が映っている。格好はテロリストとも、軍人ともとれる無骨なもの。しかし、少女が持つ個性(武器)と相性がいいのは火を見るより明らかである。さらには、ラスト2分で出現した超大型のお邪魔虫である機体を難なく撃破している。その身のこなしは数多の戦場を生き抜いた戦士のようにも見える。

 そんな騒がしい教師たちを冷めた目で見る1人の教師は思う。

 

 

 

 

 

 

この少女は、()()()()()()()()のかと。




指揮官「うーん、マスクはどうしても硝煙から守るために必要だけど…暑いなぁ…。」
FAMAS「私のこの衣装(ハロウィン)に比べればまだましですよ…。」
指揮官「えー、でもそれかっこいいじゃん!」
FAMAS「戦場では困ります!!」



あのマスクマジでかっこいいと思うんだ。はよ日本版実装。



指揮官「うーん…今後どうせならなぁ…。榴弾使うこともあるよねきっと…。」
M4「一応、私の改造もあるみたいですけど…。使ってみますか?」
指揮官「まって、それが本当なら何人か呼ばないといけない。」




日本未実装である改造。M4は強い。何せ…いや、まだ言わないでおこう…。気になったら活動報告に海外のURL載せるのでPCからグーグルで見てください。先生が若干翻訳してくれてストーリーと図鑑と見れます。密度がすごい。





・ネタ話
パーフェクト戦闘教育訓練
→⑨のあれが元ネタ。最近知ってる人が減ってきた気がする。キラキラーダイヤモンドーカガヤクーホシノヨウニー


外から軽くテンションあかってる声
→デク君が麗日に助けられた直後に出してた声。1巻にあります

衣装うんぬん
→本当はAK-12の衣装を着たかった。ですがまぁ、45姉の衣装にAK-12のマスクしてKSG右手に持ってヤベー動きしてたと思ってください。


海のものを参考にした徹甲弾
→本当は三式弾にしたかった。とりあえず貫通力マシマシの散弾だと思ってください。完全にオリジナルでなおかつ銃に関してはど素人なので。あとリロードは左手使いますが撃つときは右手オンリーです。(今回は)

点数について
サーチ&ですとろーいしてたら撃破数TOPでしかもKSGの助言もあって救助&トリアージしてたらすごいことになったことにしました。


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自由だからこそ先を見るのです

コミック4巻買えました。g11も来ました。叫んで叱られた。

補足
指揮官は前世でヒロアカは知ってたけど内容までは知らない感じです

【装備】は3段階で、1で銃装備、2でスキル使用可能、3は完全に人形に体を渡します。ついでに服装も変わります。身体能力もそれぞれ上昇していきます。ただし上限あげるとめっちゃ疲れる。

みんなとの訓練の影響で好戦的に。ただし極力戦うつもりはない。


雄英高校の合否発表日。我が家では両親がすごくソワソワしてる。ついでに私の中でもみんながソワソワしてる。なんでみんな揃ってそんなにソワソワしてるの…たかが合格発表でしょ…。

 

 

『いやいやいや!あれだけ訓練をやって落ちてたらって思うと怖いからね!』

『そうじゃ!儂らが全力で訓練に付き合った以上、不合格なんぞ認めたくないからな!』

 

 

サソリちゃんとナガンおばあちゃん、貴方達2人も私の指導に入ったから分かると思うけど…あれで落ちるわけないじゃん。軍人顔負けの訓練内容をがっつりやったでしょ…。

そうして聞こえてきたのは郵便屋がポストに手紙関係を投函する音。父上がものっそい顔して取りに行った。えぇ…なんでそう、戦場に召集された民間人みたいな顔してるの。どっちかというと呼ばれるのは私だと思う。

 

ダッシュで戻ってきた父上。左手にはいくつかの手紙を持ってて、右手には1つだけ。白い封筒で「秀内 奏様」と書かれたものが。合否通知ですねー。早速受け取り開封の儀を執り行いまーす!えいっ(ベリッ)

 

 

 

『んっんん”~~~私が投影された!!!』

 

 

 

 

 わーお。雄英やることがすごいね!出てきたのは、知らない人などいないといっても過言ではないヒーロー「オールマイト」だ。筋肉モリモリマッチョマンとしか言いようのない体つきだよなほんと…。

 

 

『早速だが試験結果を発表しよう!』

 

 

 だからなんでみんながテンション上がって騒いでるの!!!ちょっとは抑えて!ももちゃん、止めて!アッ待ってこれもしかしてほかでもないももちゃんがテンション上がってストッパーがいないな!?ええい、もうこのまま騒いでおれ!!父上、何で顔面真っ青なってるの。まだだよ発表。

 

 

 

『筆記試験、実技試験ともに極めて優秀!実技試験では撃破ポイントのほかに審査制の救助ポイントを含めた評価にてトップ!文句なしの合格だ!!』

 

 

 

 我が家と私の(基地)でめちゃめちゃ騒ぐ声が響いてる…。耳が痛いです…あと頭も。

 でもよかった。無事合格という結果が出てくるまでは油断できないのに変わりはなかったからね!

 

 

『雄英で会えることを楽しみにしているよ!秀内少女!』

 

 

 

 

 

 

 

 …ん?雄英で会えるって???

 

 

 

『指揮官、どうやら面倒は降りかかってくるらしいね。』

 

 

 

 Vector、お願いだからその事実を直視させないで。オールマイトが先生なら私きっと目を付けられちゃう。

 

 

『いや、すでに試験の時点で相当目をつけられただろ。』

『あれだけ暴れれば流石にねぇ…。』

『指揮官逮捕されちゃう~?』

『もしそうなったら全員で隠蔽と襲撃じゃな!』

『爆破と焼き討ちも忘れないでよね』

『目撃者は絶対に逃がさないわ』

 

 

 試験でやらかした感じはあったけど!でも逮捕はないと思う。あと物騒な相談はやめなさい。死者が出るのは絶対ダメ、やっていいのは五体満足というステータスを一か所だけなくすことよ。ヴィラン限定でね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やってきました登校日!迷子になったら困るからだいぶ早い時間から出てきました。うん、見事に人がいない。もうちょっと遅くてもよかったかもしれないね。とりあえず、あらかじめ渡されていた簡易的な地図を見ながら教室に向かうことにしまーす。

 きょろきょろと周りの教室を見ながら歩くこと五分ほど。目的の教室が見えてくると同時に見覚えのある頭が見えた。あの黒い鳥頭で同年代となればもしかして…。

 

 

「もしかして、常闇(とー)君?」

「奏!?久しぶりだな。」

「やっぱり、とー君だったんだ!久しぶり!」

 

 

 三年ぶりに出会った幼馴染にびっくりです。まさか高校、しかも志望率の高いことで有名なヒーロー科で同じクラスになるとは思わなかった。護衛についてるナインちゃんが「あの時の子かー」って言ってる。正解です。病院で予防注射受けに来てたあの時の子です。見知らぬ人だけで固まると思ってたからちょっと安心した。やけにでかい扉を開けて教室に入る。んん?机が21セットあるよな…?奇数なの?1列だけ1人分飛び出てる。まぁいいや。何かしらの条件が重なった結果なんだろうね。

 黒板に張られてる座席位置を確認したら「爆豪」って人の後ろだった。番号的には18番。窓際の列で前から3番目です!目に悪そうな位置じゃないか…!とー君は右後ろにいますねぇ!席近くてよかったわ。私はビビりでコミュ障だから知り合いが近くにいるだけで心境がだいぶ変わってくる。とりあえず席に物置いたりとー君と話してたら続々と人が入ってきた。見た目が変わっている人とかも結構いるのねー。眼帯付けてる私が言えたことではないが。

 ナインちゃんが「ちょっと校舎内を見て回ってくる」とのことで離脱。代わりにスオミが護衛に入ったっぽい。ぽい、というのは気配はするのに声が一切聞こえてこないからだ。しかもどこにいるか分からないんだけど…何故…。

 HRが始まるまであと5分くらいかなーってところで目の前の席にいる爆豪って人と眼鏡の人が喧嘩し始めたんだけど。しかもタイミング悪すぎて緑色の髪の子が入り口で立ち止まってる。多分あの子私の後ろだね。さらにその後ろからほわっとした感じの女の子も来たよ。…でも気になるのはその後ろ、というか下に感じる気配なんだけど。何で下にいるんだ…?

 

 

 

 

「お友達ごっこをしたいなら他所へ行け。ここはヒーロー科だぞ。」

 

 

 

 担任だろうけど、その、非常に説得力がないですよ先生。もぞもぞと寝袋から出てきて一言。

 

 

 

「ハイ、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限、君たちは合理性に欠くね。」

 

 

 なんともやる気のない感じだが、言ってることは事実である。やっぱりプロだから手厳しい言葉ですねー。もはや理不尽になれた身としては当たり前なんだけど。

 

 

「担任の相澤消太だ。よろしくね。早速だが体操服(コレ)着てグラウンドに出ろ。」

 

 

 

 

 いや、HRもクラスの自己紹介もなしにですか!入学式はないって噂だったけど本当になかったよ!!自由が校風だって言ってるけど先生にも言えてるな!!そういうの好きだけど。

 それにしても、個性使用可能なテストですか。ずいぶんとすごい記録が出そうですねー!

 

 

「爆豪、中学の時ソフトボール投げ何mだった?」

「67m。」

「じゃあ個性使ってやってみろ円からでなければ何してもいい。早よ。」

 

 

 先生がそう言うと爆豪は思いっきり「死ね!」と叫びながらボールをぶん投げた。個性を使ったからなのか、ものすごい爆音がしたと思ったらボールがぶっ飛んでいった。わーお、たーまやー。先生の手元の機器が電子音を鳴らして結果を表示する。700m超えですか、やりますねぇ!そしてそこから最大限を知る。ふむ、確かに。この方法なら手っ取り早く壁が見つかりそう。そして個性が使えることに対して何人かが「面白そう!」と発言する。その言葉に反応した先生は…

 

 

「よし、トータル成績最下位のものは見込みなしとし、除籍処分とする。」

 

 

そう宣言した。

 流石最高峰のヒーロー育成高校。やることが派手だしぶっ飛んでる。だからこそ、やりがいがある。だからこそ…

 

 

 

 

 

「全力、ねぇ。どこまでいけるかな?」

 

 

 

 

俄然、やる気が出るじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 入試で圧倒的な差をもって合格した奏は、先生の宣言を聞いた瞬間、笑っていたような気がした。

 

 3年ぶりに再会した幼馴染の姿はとても変わっていて、左目には眼帯を付けていた。中学生の時にストーカーまがいの男に襲われ、瀕死の重傷を負ったとは聞いていたが、ここまで後遺症の残るものだとは知らなかった。それでも、いつものように自信をもって動いている奏に変わりはないと思っていたが、ここまで好戦的な表情はしていなかったと思う。

 すべてのテストにおいて好成績、クラストップということはなかったがどれも4位以内に収まっている。片目が見えないハンデをものともしないその動きは、学生という枠からはみ出ていた気もした。

 

「とー君、次のテスト始まるよ?はやくいこ!」

「ああ、今行く。」

 

 

 今は追いつけなくとも、いずれは俺も…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラスト1種目、ソフトボール投げでございます。

 今のところ、長座体前屈以外の種目は【装備】で何とかやりくりしてました。段階としては2つ目だったんですけどね!今回出てきてもらったのは護衛でもあるスオミちゃんです。スキルが回避率上昇なんだけど、どうもこちらの世界だと回避=機動力って感じになるらしく、めっちゃ動きが早くなるんですね。リキャストはゲームの時と同じ時間だからすごく短い。助かるけど実践じゃ命取りの秒数だもんね…。

 流石にソフトボール投げは機動力ではなく腕力とか握力のところになるからスオミちゃんを解除、代わりに…どうしよう。ボール飛ばすとなれば力がいるからMGかSGになるんだけど適役がなぁ…。うーん。

 

 

 

 

『指揮官、もしよければ私に任せていただけませんか?』

「お?M4、何か考えあるの?」

『はい。ですが、これを試すには【装備】の段階を2つ目にしていただく必要があるのですが大丈夫でしょうか?』

「ん、それならさっきスオミちゃんでその状態だったから大丈夫だよ。そんで、何をしようと考えてるのかな?」

『私の改造(Mod3)の特徴を憶えていますか?アレにボールを入れて飛ばしてみればよいのではないかと思ったのですが。』

「考えがぶっ飛んでるねM4!?でも試してみたいから採用。準備しておいてね。」

『了解しました。』

 

 

 M4からの提案。それはついこの間発覚したことなのだが…どうにも彼女たち、日本には未実装だった改造が意図的にできるらしい。最初聞いた時びっくりした。だってあれ、性格変わりまくってるじゃん!って言いたくなるレベルで改造してますから…。性能もすごいけど中身の変わりようもすごかった。よく掲示板でM4なんて「復讐爆殺魔」だったか、そんなあだ名がつけられてたし。まぁ、大体は2つ目のスキルのせいなんですけどね!

 そんな風にしていると回ってきた順番。M4からも準備ができたと連絡が。先生からボールを受け取り、M4Mod3を【装備】。同時に出力を2段階目にして、出現した大きな黒い箱にボールを詰める。それを肩に乗せ、前方に向かって構える。先端部分がスライドし、榴弾を発射する機構が姿を現す。そのまま射角を調整し、狙いを定めたら…。

 

 

「openfire!」

 

 

合図としている言葉を宣言して発射。ダァン、と発射されたボールは勢いよく飛んでいく。結果は250m。うん、いいところだろ思う。飛ばしてるものが弾じゃないのにもかかわらずここまで行けば上々だろう。でも流石はMod3。消耗が激しかった。先生に早くどけと言われたのでM4を帰して定位置に戻ります。次は緑色の髪の彼。たしか、緑谷といったかな?今のところどの種目もいい結果を残せていなかったはず。これで結果が出なければ除籍だろうなー。あの言葉が本当だったらだけど。

 1回目を投げたらしいけど見逃した。がってむ。でもみんながざわついてる。あ、先生が個性を消したのか…消した!?そのまま何か先生から言われてる。隣の爆轟は「除籍宣告だろ」って言ってる。でももう一回チャンスはある。彼の個性がどのようなものかは知らないけど、あの目はきっと…。

 

 

 

「SMASH!!」

 

 

 そんな掛け声とともに飛んで行ったボール。先生の手元の機械に表示された数字は…705m。ほとんど爆轟と同じくらいの飛距離だ。涙目になっている緑谷は先生に向かって「まだやれます!」と声高く言い放つ。それを見ていた護衛のスオミちゃんは「へぇ?」と楽し気につぶやく。ステイスオミ、彼に戦いを挑もうとしないの。いくら戦いが好きだからと言ってむやみやたらと戦わせるつもりはないぞ。そんなことを考えていたら爆轟が緑谷に向かって突撃していった。えぇ…なんでや。でもすぐに包帯みたいなのが絡まって一切の身動きが取れなくなる爆轟。哀れ南無三。そのまま先生がまた個性を使って爆轟を止める。見た目はかっこいいんですけど、その、「俺はドライアイなんだ」っていうのはなしでしょ…。いろいろともったいない。

 

 

 

 

「ちなみに除籍は嘘な。君らの最大限を引き出す合理的虚偽。」

 

 

 

 やっぱりな。考えればわかると思うけどなぁ…。何人か思いっきり「はぁー!?」って叫んでますね、見てて面白いよ!

 とりあえず、教室に戻りますかね。あ、その前に着替えないとダメか。うぅ…更衣室まで行くの面倒だわ…教室で着替えたい…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「相……き!」

「オー…見…です…」

 

 

 

 指揮官から許可をもらって校舎内を散策していた時のこと。職員用玄関の近くを通った時に聞こえたのは、通知書の中から出てきてた筋肉のすごい人の声と脱力した感じの声。どうも、さっきまでやってたテストか何かのことについて話をしているらしい。ちょっと気になったのでよく聞いてみることにした。

 

 

 

 

「君は去年の一年生、1クラス全員を除籍処分にしている!」

 

 

 

 聞こえてきたのは衝撃的すぎる言葉。2年生が1クラス足りないと思っていたがまさかこんな理由だったとは驚きだ。ということは、場合によっては指揮官も除籍処分の可能性があったともとれる。この教師、可能性がないと思ったら即切り捨てるタイプなのだろう。その判断は、かつて404小隊で動いてきた時を思い出す。だが、逆に言えば見込みさえあれば徹底的に育成するであるということでもある。

 

 ナインはその会話をある程度聞いたところで、そっとその場を後にした。




9「指揮官、面白い話を聞いたよー。」
指揮官「あとで聞く!とりあえず今は火ついたスオミの相手手伝って!!!」
9「なんでそうなったんですかぁー!!」


スオミはスイッチ入ると止まらない。気がすむまで戦わないとしばらく調子が出なくなる。一〇〇式は一撃で仕留めることができるらしい。


生徒1「ねえ、聞いた?最近校舎内に現れる謎の女の人影の噂!」
生徒2「うん。最近だと赤いコートの外国人だっけ?」
生徒1「そうそう!見てみたいよねー」
生徒2「でも誰なんだろう…」
リー「(しまった。迷彩を掛け直した瞬間を見られてしまったか…)」


迷彩は暑い。掛け直す時を結構見られるらしい。峰田は一目見ようとあちこち動き始めてる。


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第一印象が今後を決めるのです

うーーーーーん!本編と合わせるの案外難しい!!しかもオリジナル主人公ばっかり出てきてる。タグ付けに困るわ。









(コスを受け取って更衣室にて着替え中)
指揮官「僕は、ホコリだけの答えを、見つけた顔しながら____♪」
耳郎「秀内さん、それ、なんていう曲ですか?」
指揮官「ん、これ?オリジナルの曲だよ?」
耳郎「オリジナル!?すごい…。」
指揮官「ずっと前から自分でやってたからねー。」
耳郎「(でもどこかで聞いた感じの声だな…だれだっけ?)」


更衣室での一幕。実際はオリジナルじゃなくて前世で自分が好きだった曲。元はAmazing Treesって曲です。PS4版ボーダーブレイ〇のテーマでめっちゃいい曲ですので聞いてみてください。




「わーたーしーがー!普通にドアから来た!」

 

 

 午前の授業と昼休みが終わって、午後一番。科目はヒーロー基礎学!先生は誰かと思ってたらインパクトのすごい登場の仕方をしたオールマイトがやってきた。しかも最新のものじゃなくてちょっと前のものだろあれ…よく残ってたな。そのまま教壇まで進み、今回やる内容についての説明が始まる。

 

 

「早速だが、今日はこれ!!戦闘訓練!!!」

 

 

 マジでいきなりだな!そしてその宣言とともに動き出す壁。中から出てきたのは…番号が書かれたボックスだ。きっちり21番まである。絶対端数だったはずなのに揃えるあたり、相当期待されてるんですね…。

 

 

 

「入学前に送ってもらった『個性届』と『要望』に沿ってあつらえた…」

「「「戦闘服!!!」」」

「着替えたら順次グラウンドに集まるんだ!!」

「「「はーーーい!!」」」

 

 

 

 そういえば、入学前に書けって指示されたものがあったが…そういうことだったのか。今まで自分で持ってたあの服装(入試の時のもの)で十分だったから、特にこれと言ってこだわったりしたものはなかった気がする。強いて言えば、近接戦闘用の武器をマウントできるアタッチメントを腰につけて欲しいって書いたはず。後は…完全に頭を覆うマスクをおふざけ程度でサラッと書いたっけ。思い出してたのがFGOに出て来た、シグルドってキャラの初期イラストのアレだったから作れていればいいなー。複雑すぎる精密部分は完全手作業なので、発生する手間賃とかがきっとシャレにならないだろう。

 

 

 

なんて思ってました。きっちり作られてるじゃねぇか!!!嘘だろう!?えっまじで?しかもサーモカメラとかもおまけでつけたって…。やりすぎです(歓喜)あ、熱がこもらないように口動かすと下半分というか口回りは動くのか。可動式の仮面もいいよね!

 そんなもんで、とっとと着替えてグラウンドへごー!はたから見れば私はきっと不審者かヴィランに見えなくもないだろうなぁ…。さすがにシグルドのマスク(風の何か)はやりすぎたかも。でもかっこいいから気にしなーい!

お、何気に最後のほうになったらしくグラウンドにはみんな出てきてた。すげー。みんな個性的な衣装にしてる。麗日さんかあれ、めっちゃボディライン見えてる。…でけえな(コナミ)。おうこら峰田だったか、盆栽頭のチビさんよぉ、親指立ててじっと見てるんじゃねぇ。セクハラ親父にしか見えないぞ。

 

 

 

 

『指揮官も側から見れば敵にしか見えないと思うけど。それにしても、全身真っ黒じゃない。その恰好。』

「あー、うん。本当はもうちょっとガッチリして色を振り分けたかったんだけどね。それこそ、あそこにいる飯田君のやつみたいな完全武装のフレームタイプに三色くらい足した感じで。」

『あれはあれで目立つわね。何より、あんな見た目だと私たち的には鉄血を思い出すわ。』

「夜戦地域に出てきた装甲兵って感じかな。あながち間違いじゃないけど。あるいは軍の犬どもか。」

 

 

 

 ガッチガチのメカフレームっていいよね!ガ〇ダムとかゾ〇ドとかフ〇フナーが好きでした。デザイン的に好きなのはガン〇ムAG〇に出てきたガフラ〇なんですわー。変形と獣ってロマンしかないと思うんだ。逸れたよまた…。

 さきほど言われた通り、今の格好はどっかの黒の剣士かよ!とツッコミを入れられるくらい黒いです。顔も隠れているので本当に黒いです。顔には獣のような意匠の仮面、迷彩を掛けても邪魔にならないように肩と首についたアタッチメントが特徴的な耐衝撃アーマー。腰には【装備】をしたときに出現するグレネードを腰に下げるためのベルトとホルスター。左足と右足にはそれぞれコンバットナイフをしまうことができるレッグホルスターと関節部を保護するフレームで固め、足首まで完全に保護するコンバットシューズと、ヒーローとは思えないくらい凶悪な人相です。…ダークヒーローにでもなるのかこれ。

 

 

 そんな感じで護衛のFALと話をしてたら、どうも今回演習を行うのはここじゃなくて屋内らしい。クラスでヴィランとヒーローで別れてそれぞれ戦うらしい。…まてよ?二人組らしいけどこれじゃあ一人確実にソロが出てしまうんじゃないか?そうなった場合は一対一になるのかな…。

 

 

 

 

 

 

「おおっと、そうだった。秀内少女、君は特例的に一人で演習を行ってもらうよ。入試成績を鑑みて、校長から直々に単独演習をさせてほしいと言われていてね。」

「えっ、ちょっ!」

「はっはっは!大丈夫!君が演習を行うのは全員が終わった後になる。そのあとに一組選んで一対二でやってもらうからね。ある程度手の内を知ってから対処できるだろう!頑張りたまえ!」

「…分かりました。」

 

 

 

 マジですか…マジですかぁ!!私だけ単独!しかも相手は二人かよおおおおおお!!!とー君、どんまいって感じでこっち見ないで…悲しいから…。でも言われたのならしょうがない、やれるだけやるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しょっぱなの組からかっとんでますなぁ!!!!演習用のビルぶっ飛んだけど!?これ私死なない?ダイジョブ?いや、今後の組は全員あそこまでやばいものではないと思う、そう信じたい。緑谷君は保健室へ。麗日さんと爆轟君、飯田君は地下のモニタールームに入ってきて講評の後、次の組へ。

 それにしても、さっきの緑谷君の動きは見ていて興味深かった。自分の個性を使わずに爆轟君に挑んで、なおかつ最後の天井発破まで引き付けてたからね。多分、真上を撃ち抜く前にあらかじめ麗日さんと話をしてたと思う。やりますな。あと飯田君の悪役に徹する姿勢は素晴らしいと思った。まじめだなぁ…。

 そのあとは最後までビルを壊したりすることなく順調に進み、ついにやってきた私の番。みんなの個性見てたけど、轟くんの個性は相性悪いなって思った。遠距離から撃とうにもその前に氷の壁作られたり火の壁で溶かされそう。八百万さんもそのあたり一緒かな。壁作られて隠れられたら終わりだね。

 

 

 

「さて、それでは最後だ!秀内少女、君の個性は少し特殊だから今回はヴィランとして動いてもらいたいが構わないかい?」

「構いません。ただ、ハンデとして一ついいですか?」

「あまり行き過ぎたものはだめだが、どういうハンデだい?」

「今回使うのは演習用の模擬弾、つまりペイント弾なのですが当たった部位に応じて行動不能判定などをもらうことはできませんか?頭と心臓付近なら戦闘不能、腕や足の場合はそこの部位を使用することを禁止する、といった具合なのですが。」

 

 

 

 このくらいのハンデはさすがに欲しい。実際にはヴィラン相手であってもゴム弾くらいで収めるんだけど、自分はヴィランということで実弾を使う設定で考えでもらいたい!私の言葉にオールマイトと何人かの生徒が「うーん」みたいな顔してる。いや、クラスメイトに関してはたぶん私の個性知ってる人少ないと思うからね。とー君ですらよく分からんって言ってたし。はい、私は個性を隠してます!!本気出したら絶対質問攻めにあうし監視される。それは嫌でござる!!

 ちょっと待ってからオールマイトが出した答えは「OK」だった。よしっ!これで無効化できる。守るのは正直、今出せる範囲では難しいと思う。相手にもよるけど。

 そうして始まる運命のくじ引き。緑谷君のいるAは抜いてあるらしいけど…だーれだっ!

 

 

 

 

「ヒーローチームは…Cだ!」

「あら、わたくしたちですか。」

「ま、マママジでか!入試一位と当たるのかよ!」

「八百万さんと峰田君かぁ…。お手柔らかに~。」

 

 

 

 いった傍から相性の悪い人にあたったあああああ!?やめて…マジでつらい…。【装備】しか使えないから何とも言えない戦闘力なんだよね。しかも室内となると誤魔化しが外と違うやり方になるから苦労する。でもまぁ、当たったからにはできる限りでやりますがな!

 

 今回はハンデとしてもらった部位ヒット判定だけど、頭と心臓部(背中側も含む)は一撃で戦闘不能、つまり確保と同じ扱いになる。腕と足、その他の部位は当たっても動けなくなることはないが三発目が当たった時点で確保判定とするらしい。ありがてぇ…。そんなわけで、ヴィラン側なので核のレプリカを好きなところに配置して待機、オールマイトの開始の指示を待ちます。室内戦、それも一体多数で相手の戦力は未知数。自分が使えるのは銃のみ。一応、中身を入れ替えたペイント手榴弾は使えるが極力使いたくないのが本音だ。場所を考えないと自分にも被害が出る。まぁ、置き地雷みたいに使うのもありだろうけど。

 隙の大きいMGやSG、RFは無し、HGは取り回しがいいが射程と弾幕の関係で後回し。残るはSMGとARだが…。

 

 

 

『なんなら、私を使ってみる?』

 

 

 

 名乗りを上げたのはVector。巷では放火魔なんて言われてるが実際強い。何せ一度手榴弾を投げてしまえばその爆発と延焼によって焼き尽くす強力なスキルがあるのだ。他の焼夷手榴弾持ちと組み合わせると焼け野原が完成してしまう。SMGとしても優秀な部類に入るため、今回のような屋内では十分であろう。

 

 

 

「おーけー。Vector、装備段階は二で行くから準備しておいて。今回は所持制限を解除。徹底的に()()()()()からね。」

『へぇ?焼き続けるとは珍しいね。窓は開いてるの?』

「開いてる、というかない。ついでに言うと耐火性の建物だからそこら辺の対策もね。ただし広がりすぎない程度に。」

『燃え続けるのに広がらないようにって、ずいぶん難しい注文だね。でもいいよ、他でもないあんたからの提案だからね。』

「よろしく。あと完全に口調は悪役になるからそれに合わせてくれると嬉しいなー。」

『流石にそこまでになると報酬を要求するわ。スプリングフィールドの店でゆっくりしたいわ。』

「じゃあ日曜日の護衛をお願いするよ。その日は春庭でお手伝いするからね。」

 

 

 

 

 そういうとVectorはそっけなく「わかった」と返したが、たぶん顔が緩んでいるんだろうなぁ…。うちのVectorは小説を読むのが好きだから、きっと智春さんのお店でコーヒーをゆっくり飲みながら本を読んでいたいのだろう。Vectorの眼鏡姿を拝むことができる貴重な時間。逃がすもんか!

 

 そんな感じで準備をしてると入ってきたオールマイトからの通信。両者スタンバイ完了かを聞いてきた。無論、私はおっけー。あとはあの二人だけど、あっちもオッケーだったらしい。

 

 

 

 

『さて、それでは始めてくれ!』

「【装備】!Vector!!」

 『任せて』

 

 

 

 

 開始の合図とともにVectorを【装備】。同時に、Vector本体を背中に固定して特殊焼夷手榴弾を手に持つ。

 

 ここは5Fの中心にある部屋で、出入り口は一つ、なおかつ窓などもなく周りは部屋で囲まれている。中心に置かれた部屋であり、壁を壊して入ってくるにせよ二回は必要なのである程度の時間を稼ぐにはちょうどいい場所である。何でこんないいところあったんだ。ともかく、直接乗り込んでこれそうな場所に手榴弾を投げていく。

 今回Vectorに用意してもらった焼夷手榴弾はある程度カスタムしており、水の中でも燃えるような組み合わせの薬剤等を使っている。どうも、基地にはいろんな薬剤やら火薬やらが豊富にあるらしく、その気になれば全く新しい爆薬などが作れるらしい。大丈夫かこれ…質量保存の法則他に喧嘩売りまくっていないか…?そんなことを気にしててもしょうがないからとりあえずぼんぼん投げて道をふさいでいく。正直に言おう、熱い。その様子を見ていたオールマイトから通信が入る。

 

 

『秀内少女!それ以上は危険ではないのかね!?』

「あー、大丈夫ですよ。これ、燃え広がらないようにカスタムしてますから。しかも時間できっちり消えるものなので。まぁ、直接火の中に突っ込まない限りは大丈夫かと。」

『む、そうか。だがさすがにそれ以上は安全上の理由からして使用を控えてもらいたい。』

「わかりました。じゃあここからは素直に自分の得物で戦いますかね。ただ、どうせヴィランになったのだから思いっきり役作っていきますね。」

 

 

 

 オールマイトから疑問の声が上がっていたが、まぁ見てもらえばわかるでしょう!こっちの音声聞こえてるのオールマイトだけだし。Vectorはどうも早く暴れたくてうずうずしているし、ちょうど下から足音が聞こえてきた。ただ、音の重さからして盾か何かを持っているようだ。よし、ここからならもう撃っても問題ないし、何より声がしっかり聞こえるだろう。

 

 Vectorの本体を右腕で持ち、階段のほうに銃口を向ける。そして盾の一部が見えた瞬間、トリガーを引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『八百万、峰田、両名とも被弾限界数突破!よってヴィランの勝利だ!』

「ま、上々かな。さすがに悪乗りしすぎた気もするけど。」

 

「つ、強すぎますわ…。まさかあの作戦が一切通用しないとは…。」

「オイラなんて足蹴にされたほかに銃口を額に直接当てられたぞ…しかもあんなセリフまで決めて…。」

「あー、ごめんね二人とも。さすがに悪乗りしすぎたんだ…。足蹴にしてごめんなさい峰田君。」

 

 

 

 あれから五分で仕留めました、やりぃ。Vectorも上機嫌で帰っていきましたね。「いっぱい撃ったし、燃やせたから満足した」って言ってた。やっぱり放火魔だよお前。

 

 最初にラジコンに盾を持たせて進めてきたのはびっくりだったわ。ラジコンって…。でもそのすぐ下に八百万さんが待機してたので、とりあえず一気に近づいてラジコンから盾を素手ではがして銃ぶっぱ。壊した後に牽制射撃で下にむかってひたすら撃ち込んだ。当初の予定ではこの隙に峰田君の個性、もぎもぎって言ったかな?これで壁かどこかにくっつけて無効化するはずだったらしいけど、フロア一面火の海だから流石にビビったらしく動けていなかったね。その隙を見逃すことなく体当たり。そのまま仰向けに転がしたら右肩を足で押さえていい感じに笑いながら(威嚇しながら)「安心しなよ、一瞬で終わらせるから何の痛みもない…。」ってVectorのセリフ決めて頭に一発。峰田君退場デース。そのまま、残ってる八百万さんを探して下のフロアに移動。あっちこっちにトラップが仕掛けられてたけど全部回避か無効化。ごめん、戦術人形の本気のサバイバルを体感してるから何となくわかっちゃうんだ…。そんでもって、新しく生成してるところをちょっと離れたところから射撃。腕と足に当たって終了でした。

 

 

 

 

「正直、本物のヴィランじゃなくてよかったと本気で思いましたわ。追いかけてくるときのセリフがもう…。」

「本当に悪乗りしすぎてすみませんでした!!」

 

 

 

 そのあと、オールマイトから帰って来いと指示があったので急いで帰りまーす。講評としては、まず放火したのは大変危険だから今後はやめろと釘を刺されました。そうですね、さすがにやりすぎました。また、二人は当初の作戦が瓦解した瞬間に連携が一気に取れなくなっていたので臨機応変な判断をするようにとのこと。私に関しては悪乗りしすぎてやりすぎないかが心配だったらしいです。まって、私に対しての反省点なくないですか??注意だけじゃないですか。講評が終わると同時にチャイムが。おうしーっと、ツッコミを入れたかったのに時間が足りなかった。とりあえず更衣室に行ってコスを脱ぐことにします。

 

 

 一つ、言うとすれば…みんなでけえな(コナミ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、彼女はどう見えたんだい?オールマイト君。」

「…一言でいえば、爆弾、でしょうか。ヒーローにもヴィランにもなりえる。ある意味、どっちに傾いても何かしら大きな影響は出るでしょう。」

「ふむ…やはりそうか。」

 

 

 

 

 校長室に呼ばれた私は、先ほどの演習で見た結果について聞かれていた。

 秀内奏。成績及び素行は模範となりうるほどに優秀。なおかつ、部活動などには所属していないにもかかわらず、身体能力などは全国トップクラス。そしてそれを存分に生かす形となった自らの個性。「具現化操作」という名前ではあるが、実際は銃器及びその副兵装とアタッチメントの精製と身体能力の向上、一定のサイズまでの一部の物を自立行動させることができる個性だと聞いている。身のこなしも軍人やプロヒーロー並みのものであり、しかもそれらはすべて独学だという。

 なぜ彼女はそこまでして自分自身を鍛えたのか、そして何を目的としてヒーローとなろうとしたのか。そういったことも予想がつかないのだ。

 

 

 

 

 

 

「もうしばらく様子を見てみよう。今はまだ、ここに入学して短い。時間をかけなければ見えてこないものも在るだろうからね。」

「ええ。では、前々から話していたあの件は…。」

「やるしかないだろうね。少々心苦しいが、彼女には監視をつけよう。良くも悪くも、それですべて分かればいいのだが。」

 

 

 

 

 

 校長のその言葉に、罪悪感が沸く。これが爆轟少年のように分かりやすければ監視などはつけない。だが、かの少女はわからないのだ。後ろに大きな組織でもついていなければできないことを平然とやってのけてしまうほどの力を持っている、その事実が大きすぎるのだ。背に腹は代えられない。今後何事もなければ監視をなくすことも進言できるであろう。それまで、少々耐えなければ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その会話を、しっかりと聞かれていることを知らずに。

 

 




指揮官「おー、みんな揃ってる。」
全員「(誰だあいつ!?)」

やべー格好してるから分からなかった。悪人面の仮面付けてるからしょうがない。仮面デザインは大陸版FAMASのハロウィンスキンのマスクとFGOのシグルドのマスクを足して二で割った感じだと思ってください。



(指揮官演習中・八百万を追いつめている時)
指揮官「ふぅーん…隠れるんだぁ…いいよぉ。見つけたらどうしようかなぁー…腕から?それとも足から?…何も言わずに遊んでみるのもいいかもねぇ…!」
八百万「(やばいやばいやばい!!!!)」
(しばらくして)
指揮官「みぃーつけたぁ!」
八百万「(あ”あ”あ”!!!!)」


内心めっちゃ怖かった。指揮官はSOPの真似をしようとしてたらしい。ただしあの衣装から出る狂人感がえげつないものだった。銃持ってたのも影響してたと思う。



Vector「今回は四分くらい燃えてれば十分だよね(薬剤投入)」
ナガン「ほう、指揮官自ら焼夷手榴弾を使うとは(火薬搬入)」
FAL「爆発する必要がないなら調整は楽なはずよ。Vector、それ1㎎多いんじゃないかしら?」
Vector「あ、本当だ。ありがと、FAL」

出てくる前の一幕。武器は自分で調達する。FALは投げる回数が多いから目で見て分量がわかるようになった。




一〇〇式「(指揮官に監視を…。大した成果は出ないとは思いますが、一応共有しておきますか)」(退場)
オールマイト「…?」
校長「どうしたのかね?」
オールマイト「…いえ、誰かがいるような気配がしたもので。」


最近は護衛ではなく周辺の監視をしていることが多い副官。奏いわく、やりすぎだと思ったらストップをかけてるからそれまでは自由にさせておいて問題ないとのこと。
隠蔽の技術はトップクラス。ただし指揮官には即ばれする。






衣装
顔につけたマスクは上記の通り。あとは…EDF5のフェンサーを細くしてスタイリッシュにした感じだと思っていただければ。

カスタム焼夷手榴弾
マジでオリジナル。ナパーム的な何かに変わった。条件さえそろえば水の中であっても火は付きます。てか燃えます。危険物の試験の練習しててマジかよってなりました。火の取り扱いにはご注意を。


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見えているものが全てではないのです(前)

ちょっと前のお話。

影元「おっこの作品いいな!感想送ったろ。」(この作品好き!(直球))
感想送った先の作者さん「ありがとうございます。自分も影元さんの作品読んでます。」


!!?!?!?!?!?!まじで????うっそだろ????と思いました。
こういったところで物を書いてる人々は単純でなぁ…。読んでもらってるとわかるだけでテンション上がるんじゃよ…。




あ、題名通り分かれます。長かった、というより一度に書ききれなかった。


「オールマイトの授業はどんな感じですか!」

「“平和の象徴”が教壇に立っているということで様子を聞かせて!」

「教師オールマイトについてどう思っていますか!」

「オールマイト…あれ!?君【ヘドロ】の時の!!」

 

 

 

 

 

 朝っぱらからマスコミがうざったいです。

 どうも、前回の授業のせいでヤベー人という認識になってしまった指揮官です。なんでも、あの授業でやった演技が噂になりまくってたらしく、近づくとおもちゃ(意味深)にされるという認識になってしまったらしい。ひどい風評被害である。いや、でも普段眼帯付けてて見た目もやばいっちゃあやばいので、間違われるのも時間の問題だった可能性。悲しき。

 ただ、私自身眼帯を付けているおかげでマスコミにあまり取っつかれませんでした。眠くて目つきが悪かったのも要因かな。単純にカメラ映り的に問題があるのかもしれないけど。

 

 

 

 

「先生、おはようございます。」

「おう。厄介なことになる前に教室行け。」

 

 

 

 校門前でマスコミを追い払ってる先生に挨拶して、中へと入っていきまーす。でもその直後後ろからすごい音したんだけど。振り返ってみればシャッター、というより装甲壁みたいなのが下りてた。ほー、あれが45姉が言ってたセキュリティの一つね。あれ突破するくらいなら別ルート行ったほう早いかもしれないね。…まてよ?じゃあなんでみんな入っても警報ならないんだ???

 

 

 

 

『私たちが何も対策せずにいると思いますか?』

「いつの間に仕込んでるんだ…。でもレベル下げるようなことはしてないだろうね?」

『もちろんです。システム上での我々は指揮官の持ち物という扱いで登録しています。それ以外の項目には触れていないのでご安心を。』

「ならよーし。ちなみに主導は誰なの?」

『計画は45が、実行したのはROとSOPですね。まさか、戦闘狂だけかと思っていた彼女にこんな技能があるとは思いもしませんでした。』

「絶対Mod3でやったな…。バナナ使えばハッキングぐらいは余裕のはずだったからな…。」

 

 

 

 本日の護衛はGr MG4です!G11がいない我が基地では代理としてMG4が入っています。火力お化け、恐るべし。どうもMG4の話によると入学が決まったその日に実行したとのこと。さすがに手際の良さに驚くというか、恐ろしくなるよ…。やりすぎてない辺り、弁えてはいるけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

「昨日の戦闘訓練お疲れさん。Vと成績見させてもらった。」

 

 

 昨日の戦闘訓練のことで爆轟君と緑谷君にそれぞれアドバイスをしていく先生。よく見ていらっしゃるなぁ…。そしてそのままこっちを見る先生。な、何か言いたいことが…?

 

 

「秀内、一応聞くがアレは演技なのか?」

「演技です。」

 

 

 

 即答します!演技、演技です!!これあまりにも迫真すぎて本性と勘違いされてるのか!!?あとそこで八百万さん目をそらさないで!!

 

 

 

「あと核があるのに放火はダメだろ。オールマイトはそこらへん言うのを忘れていたらしいが。」

「忘れるくらいにはインパクトがやばかったんですね…。」

『あの見た目であんなセリフを言ってしまえば流石に…。』

「(MG4、もしかして誰か外部から見てて視覚共有でもしてた?)」

『してました。護衛のFALではなく自由行動してたグリズリーですが。』

 

 

 

 HGだったか!!!なら見えるし聞こえるわな!!!ともかく、ノリノリで悪役に徹してました。飯田君もびっくりの演技です。…もともと演技関係は好きだから久々でテンション上がりすぎてたのかも。反省。

 あと先生、無言の肯定やめてください。オールマイトも言うこと忘れるくらいにインパクト強かった悪役っぷりは黒歴史になりそうです。

 

 

 

 

「まぁいい。さて、HRの本題だが…。」

 

 

 先生の言葉に教室の空気が緊張感を出し始める。臨時テストかと身構えたが…。

 

 

 

 

 

「学級委員長を決めてもらう」

「「「学校ぽいのきたぁーっ!!」」」

 

 

 

 委員長決めであった。そして発覚した瞬間みんなが一斉に挙手して主張を始めてる。わーお、前世持ちの私からしたらありえない光景ですわー。普通はこういった委員会関係は面倒だと思って誰もやらないのが日本人。だがしかしここはヒーロー科だった…。

 結局、飯田君の提案である投票になったのだが…緑谷君に3票入ってる。意外じゃな。

 

 

 

「じゃあ委員長緑谷、副委員長は八百万だ。」

 

 

 

 とりあえず、先生がそう締めくくって終わった。あとなぜか私にも2票入ってたものの、八百万さんに譲ったので逃げることができました。…先生、なんですかその怪しむ目は。わたしゃあ面倒ごとは嫌なんですよ。ただでさえいろいろ巻き込まれているのに、これ以上巻き込まれたら身が持ちません。そうしているうちにチャイムが鳴ったようで。

 

 お昼ご飯の時間だー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 弁当を持ってきているので教室で食べてまーす。母上が毎朝父上の分と合わせて作ってくれているオベントゥー、めっちゃ凝ってます。今日は3色そぼろご飯と温野菜などなどなんだけど、何せ盛り付けの仕方が艶やか。朝時間ないはずなのに、ここまでできる母上がすごい。

 そんな感じで食べてると、見回りに出てたMG4がやってきた。でもなんだろう、顔が心なしかちょっと固いぞ?

 

 

 

 

『指揮官、2つほど報告がありますが、今よろしいでしょうか?』

「(いいよ。何があったの?)」

『その、迷彩を一時的に解除していた瞬間を生徒に見られていたらしく、何名かに追われてしまいました。申し訳ございません。』

「(あー、暑いでしょそれ。ごめんねー。ちなみに生徒は撒けたの?それとも一時的撤退?)」

『一時的撤退ですね。制服についているバッチからして恐らく3年生とこのクラスの生徒1名です。気配を感じない辺り、この校舎には何かしらの仕掛けがあるのかもしれません。それともう一つですが…。』

 

 

 

 MG4が2つ目のことを報告しようとした時だった。突如として、学校内に警報が鳴り響く。セキュリティレベル3を突破したらしく、生徒は外に避難するようにと放送が繰り返し流れている。

 

 

 

「何事!?」

『遅かったか…!指揮官、もう一つの報告事項はこれです。外部の人間は入れないはずですが、何者かの手引きによって朝のマスコミ集団が侵入してきたのです。』

「なるほどね…。でもマスコミなら逃げなくてもいいかもしれない。もう少し様子見しよう。ちょうどここからその集団見えるし。」

「奏ちゃん!早く外に避難しないと!」

 

 

 

 

 

 教室から避難しようとしてる耳郎ちゃんに声をかけられる。情報を持っていない以上、何が起きているか分からないために放送の指示に従おうとしているのだろう。行動が早いのは良いこと、でも今回はそこまで重要じゃないのでとりあえず今見える状況を伝えることにした。

 

 

 

 

「耳郎さん、一応ここから外見えるんだけど…なったのはあれが原因だと思うから、避難しなくても大丈夫だと思うよ?」

「外…?あれってもしかして、朝のマスコミ集団?」

「たぶんねー。あそこまで侵入してきたから警報が鳴ったんだと思う。でもどこから入ってきたんだか…。」

 

 

 

 

 本当に、はた迷惑な輩である。せっかくのご飯タイムを邪魔しやがって…!この騒ぎのせいでゆっくりする時間が無くなったではないか!!!

 

 

 

 その後、警察が来て騒ぎは収まったけど、あの装甲扉をどうやって突破したのか。それだけちょっと気になった。

 

 

 

 

 

 

 

_____________________

 

 

 

 

 

 

「今日のヒーロー基礎学だが…俺とオールマイト、そしてもう一人の3人体制で見ることになった。」

 

 

 

 

 お昼タイムが終わって午後になりました。結局、この前のマスコミ侵入騒ぎであの装甲扉をどうやって突破したかは生徒含め、真実を知っている人はいない。404小隊にも頼んだけど、警備が厳重すぎて詳しくは分からなかったらしい。まじかよ、あの404でも見れなかったのか。

 午後一番の授業はヒーロー基礎学。さっき先生が言った通り3人体制で見るらしいです。内容は災難水害何でもござれ!な人命救助訓練。どうしよ、地味に大変な奴だよこれ。撤退戦とか籠城戦なら得意だけど救助に関してはペーペーなんだよなぁ…。

 

 

 

 

『だったら尚更いいのではないでしょうか。いざというときに何もできないのは、心苦しいものですから…。』

「(それを言われちゃあ、頑張るしかないよね)」

 

 

 

 

 護衛のROちゃんにそんな感じで言われました。なんでも、みんな前世の私が死んでしまった瞬間を見ていた、というか見えてしまっていたらしく、目の前で死なれるのはもういやらしいのです。スマホ持ちながら死ぬとか、不名誉すぎるけどな。しかもアナフィラキシーショックやぞ。思い出したくもない死因である。

 ともかく、先生がまだ説明している途中であった。

 

 

 

「今回、コスチュームの着用は各自の判断で構わない。中には活動を限定するコスチュームもあるだろうからな。訓練場は少し離れた場所にあるからバスに乗っていく。以上、準備開始。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんだかんだでコスは一部だけ着ることにしました。アーマーがあれば装甲関係はいいんだけど、動きが若干制限されるので今回はフルフェイスの悪人面マスクと腰回りのベルト、あとはコンバットシューズだけにしました。

 学校から渡されたコスはな!!

 そのほかに、個人的に持っている衣装を、放課後に行く予定だったサバゲー用で持ってきていたのでそこから出しました。416の上半身の衣装と似たり寄ったりですね。下はスカートタイプではなくパンツスタイルなんですけど。

 

 

 

 

『404小隊の格好が行動しやすいのはわかりますが…もう少し飾り気があってもいいのでは?』

「(飾ってもいいけど、派手すぎると困るなぁ…。ろーちゃん、あとで考えてもらえないかな?何人かで相談してもいいからさ。)」

『いいのですか!?なら喜んで!!!』

 

 

 

 

 うちのROはなぜかよくはっちゃける。あのクールな性格はどこへ行った…。君M16を慕ってるイケメン系だったろ…。あるいは復讐予備軍。

 

 ともかく、移動中のバスの中では梅雨ちゃんが緑谷君に個性について質問したり、爆豪君をいじって遊んでたね。いやぁ、あの罵倒の仕方はすごかったわ。

 

 

 

 

 

 

 訓練場所についたようです。ひ、広い…!ひたすら広いとしか言いようのない場所だ。どっかの遊園地かな???しいて言えばU〇J…だめだ、これ正式に言っちゃうとネズミの国じゃないけど怒られる気がする。

 

 

 

「水難事故、土砂災害、火事などなど…。あらゆる事故や災害を想定して僕が作った演習場です。その名も…嘘の(U)災害や(S)事故ルーム(J)!!」

「「「まじでUSJだった!!」」」

 

 

 

 

 マジですか。マジでUSJなんですね…。そしてその説明をしてくれたのが宇宙服を着たプロヒーロー、「13号」さんだ。あれ、動きにくそう。

 そして授業を行う前に注意事項を…ってなんか話してる途中でどんどん個数増えてますね。

 

 

 

 

 

 

「____しかし、簡単に人を殺せる力です。皆の中にもそういう“個性”がいるでしょう。」

 

 

 

 

 確かに。特に私の個性なんて、人殺しに特化しているといっても過言ではない。何せ作られた目的が「人殺し」なのだから。けれども、それだけじゃない。彼女たちは銃であり、人形であり、そして今は私のかけがえのない()であり、家族だ。

 

 

 

 

 

「____人命のために“個性”をどう活用するかを学んでいきましょう。君たちの力は人を傷つけるためにあるのではない、助けるためにあるものだと心得て帰ってください。」

「そんじゃあ、まずは___」

 

 

 

 

 先生が指示を出そうとした時だった。中央の噴水辺りから何か嫌な気配を感じ、同時に悪寒が走る。

 

 

 

『指揮官!』

「(わかってる…!この感じは!!)」

 

 

 

「一塊になって動くな!13号!生徒を守れ!!」

 

 

 

 

 

 ()()()()()()()()が叫び、同時に、奴らが姿を現す。この身を刺すような空気、悪意、殺意。全てが気に入らない。そして実感する、【敵】が来たのだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 奇しくも、命を救うための訓練よりも先に、純粋な悪意と向き合うこととなったのである。




というわけで、たぶん次の話は表現で死ぬと思われ_____失踪はしません。頑張ります。時間かかると思うけど。


あと活動報告にも書こうかなーと思っているのですが、番外編を書きたいと思ってます。内容としてはこの作品で気になったことへの質問返しを考えています。メタいです。めちゃくちゃメタいです(多分)

ですので、その質問を活動報告のほうに送っていただければいいなと思っております。(感想と一緒におくってもらってもおKです)溜まり次第書いていく感じになると思いますので、気軽にください。


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見えているものが全てではないのです(中)

少しの間だったんですけど、「ランキング34位」まで上がってました。…まじで?(震え)

あと前のお話にも書いたのですが、質問受け付けてます。お気軽に。




前回、爆豪君の漢字ミスってるの教えてくださった優しい方、ありがとうございました。あと間違えて申し訳ありませんでした。


 ゴーグルをかけた先生が、捕縛用の武器をもって敵へと突撃していった。13号さんに我々生徒を任せ、自分はできる限り時間を稼ぐことに重点を置いたのだろう。さすがはプロヒーロー、判断が的確であり素早い。だが、敵はあまりにも多く、こちらは戦い慣れていない学生を抱え込んでいる。撤退しようにも身動きが取れないのが現状である。

 

 

「あまりよろしくないなこれは…!」

『指揮官、このままでは!』

 

 

 

 

 

 確かに先生は一体多数の状況において、前方方向に現れた多くの敵を足止め、または捕縛に成功している。だが、その後ろには主犯格と思われる敵がいる。そのような状況において、足手まといとなる我々がしなければならないのは…。

 

 

 

 

 

「すごい…!多対一こそ先生の得意分野だったんだ!」

「分析している場合じゃない!早く避難を___」

「させませんよ」

 

 

 

 

 瞬きをしている間に、後方にいた主犯格の一人、黒い靄に全身を包んだ敵が目の前へと現れた。先ほどよりも直に感じる圧力と悪意。どうしようもない不快感が体を支配していく。

 

 

 

 

 

「初めまして、我々は敵連合。僭越ながら…この度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせていただいたのは____平和の象徴、オールマイトに息絶えてもらいたい、と思ってのことでして。」

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉が終わりきる前に、後ろで動く気配。13号さんが奴に攻撃をしようとしているのだろう。だが、その目の前に躍り出る影が2つ。今前方に出ることはすなわち…。

 

 

 

 

 

 

 

「っバカ、前に出るんじゃない!」

「駄目だ!どきなさい2人とも!!」

 

 

 

 

 

 

 13号さんの攻撃の妨害と敵に攻撃させるチャンスを与えるということだ。靄に包まれて顔も含め、見えないはずの奴が笑ったような気がした。瞬間、みんなが奴の靄に包まれ、姿が見えなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 視界がぶれ、自分が立っているのかすらわからない。しかし、その感覚はすぐに消え地面に足をつける。少々眩暈がするが、それ以外は何ともないようだった。

 近くに他の人の気配はなく、目の前にあるのは瓦礫の山。どうやら、倒壊ゾーンに飛ばされたらしい。その事実から予想する奴の個性は…。

 

 

 

 

 

「物理攻撃の無効と転移…。相性最悪な敵だということか。」

 

『指揮官、ご無事ですか!』

 

「とりあえず無事。けど違う場所に飛ばされたみたいだね。」

 

『申し訳ありません…油断していました。私はどうやら山岳エリアに飛ばされたようです。』

 

 

 

 

 

 

 ROも無事だが、どうも違う場所に飛ばされたために合流するまで時間がかかりそうだった。

 周りに見えるのは瓦礫の山だが、ところどころに原型をいくらかとどめているビルがある。様子をうかがうならそこに移動するのが正解だろう。

 そして本来なら【装備】をしておくべきなのだが、今はとある事情でそれができない。ROが近くにいれば【装備】はできるものの、この様子では援護がなければ早々にやられてしまうだろう。

 

 

 

 

「他の4人が用事を済ませるのが先か、こっちがやられるのが先か…。ともかく、皆と合流しないと____」

「させると思うか?クソガキ。」

「いった傍から面倒ごとか!」

 

 

 

 

 敵が出てきてから溜まっていた荒い感情が表に出てくる。それでも、状況を確認するために声のした方向を見る。

 瓦礫の影から出てきたのは異形タイプの敵、それも5人もいる。全員が固そうな外見をしており、特に1人は腕が筒のようになっていることから遠距離にも対応できると予想できる。対して、今の私は「召喚」も【装備】もできない。無理に6人目を顕現させようとすれば待っているのは過負荷による昏睡と他の5人の強制顕現解除。今の状況でそのような事態になれば、訪れるのは確実な『死』であろう。ゆえに、取る行動は一つ。

 腰につけているベルトから1つ、持ってきていた発煙手榴弾を自分と敵の間に投げ入れ、同時に敵の方向へと走る。

 突然目の前に現れた私に反応できず、両腕を顔の前に持ってきて防御態勢をとる敵。そいつの腕を踏み台にして後方へとジャンプ、そのまま全力で駆け抜ける。

 

 

 

 

 

「RO、敵に追われてる。どれくらいで合流できる?」

『くっ…こちらも交戦状態に入ってしまい、しばらくかかりそうです。あの転移で迷彩に不備が起きてしまったよう…でっ!ぜやぁあ!!』

 

「おい!たかが変な格好のガキ1人だろうが!なに逃げられてるんだ!!」

「ああくそっ!銃器の所持が制限されてなければなぁ!!」

 

 

 

 

 

 喋ったところで変わらない悪態を吐きつつ、大きな瓦礫の目立つ場所へと入り込む。先ほど、そう遠くないところから爆発音がしたため、同じエリア内に爆豪君がいるのだろう。うまくいけば爆豪君のほかにも誰かがいる可能性があるため、早急に合流したいところではあるがこの調子では無理だろう。手元にあるのは発煙手榴弾が残り2個、閃光手榴弾が3個、あとはコンバットナイフが1振りだが、あの異形系相手ではナイフが折れてしまうだろう。

 大人しく隠れているか、それとも走って逃げまわるか。その2択のうちどちらかを選ぼうか迷っていた時だった。

 

 

 

 

 

 

 

「『いいこと?あなた達の罪は死に値しますのよ?』」

 

「んがっ!」「グエッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私のすぐ上、崩壊したビルの屋上から銃を構えて敵を狙撃した戦術人形、Kar98kの声がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カラヴィーナ!」

「遅れて申し訳ありません指揮官様。ですが、こちらの問題も無事対処が完了したため顕現を解いてもらっても構いません。わたくしはここの近くにいたので比較的すぐに援護に来ることができました。指示を、指揮官様。」

 

 

 

 

 

 

 Karを警戒してか、残っている3人は距離を保ちつつ様子をうかがっているようだ。まぁ、彼女がいる以上動いた瞬間に足を撃ち抜かれるだろうけど。

 

 そして今、彼女がここに来たということは、私の武器が手元にある状態になったということだ。前言撤回、逃げるなんて事はしない。こいつらを死なない程度に撃ち抜いてくれる!

 

 

 

 

 

 

 

「気に入らないこいつらを撃てるだけ撃つ。無論、死なず、後遺症もない状態にするがな。」

「まぁ、怒り心頭といったところですか。いいですわ、ドイツが誇る狙撃銃の力、存分に振るってくださいな。」

「そうさせてもらう!【装備】、Kar98k!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 一瞬の暴風のあと、手元にずしりと重みと安心感のある狙撃銃が現れる。先ほどまでとは違い、視界は広く、体は軽い。【装備】の恩恵である身体能力の向上が今はとてもありがたい。

 2人だったのがいきなり1人になったためか、戦力が減ったと勘違いした3人が一斉に襲い掛かってくる。だが、その動きは今の私からすればとても緩慢に見える。顔を覆うマスクの下で、突撃してくる敵に向かって笑って(威嚇して)やる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「狩る側と狩られる側が変わったことを思い知るがいい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本命は俺じゃない。______対平和の象徴、改人・脳無。」

 

「ぐぁ…っ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 黒く巨大な図体のナニカが、イレイザーヘッドを組み敷き、その腕を握りつぶしていた。顔に手つけた奴、おそらく今回の襲撃の主犯がその様子を詰まらなさそうに見ている。そのすぐ横に、生徒をバラバラに飛ばした張本人である黒い靄の敵が出現する。

 

 

 

「黒霧、13号はやったのか?」

「行動不能にはできたものの、散らし損ねた生徒がおりまして…。1名逃げられました。」

「………はぁーーーーー。黒霧、お前がワープゲートじゃなければ粉々にしてたよ…。」

 

 

 

 

 その声は、ゲームをしていたのに途中で飽きた子供のような口調であり、心底どうでもいいという感情がこもっていた。

 

 

 

 

 

「さすがに何十人ものプロ相手じゃ敵わない。ゲームオーバーだ。()()()ゲームオーバーだ。」

 

 

 

 

 

 くるりと背を向け、中心の広場へと歩いていく主犯。だが、その途中で何を思ったのか水難エリアから合流した3人の生徒に目を向ける。主犯が見つめた先にいたのは_______

 

 

 

 

 

「ああ、でもその前に平和の象徴を少しでも_____へし折っておこうか

 

 

 

 

 梅雨だった。一瞬で間を詰め、その顔に触れる。ボロボロに崩れ落ちると思っていた主犯は予想しなかった感触にたじろぐ。だが、すぐに思い出したかのように横を向いた。

 

 

 

 

 

「……本当に、かっこいいぜ、イレイザーァヘッドーォ!」

 

 

 

 

 

 そう叫んだ瞬間、脳無は再びイレイザーヘッドを地面にたたきつける。動くことすら困難な力をかけられ、呼吸することすらままならない。このままでは命に関わる。その場にいる誰もが思った時だった。

 

 

 突如として、轟音とともに脳無の頭が()()()()()。それと同時に、入り口のほうから大地を揺るがすかのような、しかしとてつもない安心感のある声が響き渡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう大丈夫!私が来た!!」 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 平和の象徴、オールマイトがやってきた。




緑谷君が脳無に殴ることなく、何者かによって脳無の頭を消し飛ばされました。ダレガトバシタンダロウネー
 あと他の人がいないと結構口が悪くなる奏ちゃん。前世が大きく影響してる…工業高校出身の女子は男子に染まるのよ…


上下で終わると思ったら終わらなかった。まじで?









???1「こっちは対処完了!急いで指揮官のところに走って!!!」
???2「っ!私たちでは遠すぎる、カラヴィーナ!」
Kar「ええ、指揮官に手を触れさせたりしませんわ!」


_________

???1「よかった…間に合ったみたい…。」
???2「ええ。さて、あとはこいつらをどうしようかしら?」
???3「ま、害はないようだし放置でいいんじゃない?何か起きる前に私たちで対処しちゃえばいいだけだし。」
???1「これは警告です。直接手を出せば次は何者であろうと容赦はしない。」
???2「張り切るのはいいけど、ばれたらとんでもないくらい怒られるわよ。」
???1「…その時は素直に言うだけ、です。ともかく、指揮官と合流しましょう。」


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見えているものが全てではないのです(後)

長くしたくせにそこまでまとまってねぇ…!文章力を鍛えなければ…早急に…!





カールさんへ。(見ているか分からないけど)

過大評価じゃ!!!!ないです!!!!私は「これ好き!」って思ったら素直に感想送るなり評価送るなりお気に入りに突っ込んで更新待つんです!!!と、いうかあなたのもの見てこれ書き始めたんですよ!?抑えが利かなくなったのはある意味あなたのおかげですから!!自信もって!!(届け、この叫び)(ビビりだから直接言えない)


「着弾確認。だがあの様子では()()()()ぞ。」

「…いやな予感は大当たりってか。本当に面倒ごとからやってくるなぁ!」

「下で組み敷かれていた奴もオールマイトに確保された。こちらの位置も割れただろうから撤退する。」

「急な呼び出しでごめんね。またKarと交代で。」

『了解した。』

 

 

 

 

 

 隣で黒い敵の狙撃をしてくれたNTW-20にお礼を言い、帰還させる。それと同時に、一度下がってもらったKarにもう一度出てきてもらい【装備】する。このままここにいればあの黒い靄の敵に何をされるか分からない以上、早々に姿を隠すかみんなと合流するのが一番だろう。あとは…

 

 

 

 

 

「ROは少し厄介なところに行ったみたいだな…。」

『無理に帰還させようとすれば被弾してしまう可能性もある以上、得策ではありませんね。』

「仕方ない、ROから連絡が来るまでは何もしないでおこう。」

 

 

 

 

 

 

 ROが飛ばされてしまった山岳エリアは、皆がいると思われるエリアの反対方向にあるため、迂闊に動くことができない。だが、弾に関してはこの個性になってからほとんど無制限になったので被弾しない限りは大丈夫である。こちらから連絡を入れて隙ができてしまえばいけない以上、ROのほうから行動を起こしてもらうしかないだろう。

 そう判断した私は、少し回り道をしながらの合流を選んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___________________________

 

 

 

 

「手ぇ上げろ、個性は禁止だ。使えばこいつを殺す。」

「上鳴さん…!」

「やられた!完全に油断してた…。」

 

 

 

 

 

 

 その状況に遭遇したのは、私を追いかけて襲ってきた敵を一掃した直後だった。上鳴(かみなり)と呼ばれる少年が人質に取られ、2人が動けずにいる。

 今現在、私は少々大きな岩陰にいるためあそこにいる4人にはまだ姿を見られていない。本来なら、今すぐにでも前に出て救出するべきなのだろうが迷彩が機能を一時的に失っているため、姿を見られてしまう。指揮官は、私たち戦術人形を呼び出すことができる事を隠している以上、できることは限られてしまう。

 

 

 

 

 

「…一番は指揮官に許可をいただくことでしょうね。でも…。」

 

「他人の命か、自分たちの命か…!さぁ、動くなよ?」

 

 

 

 

 

 

 …どうも、あとで指揮官に軽く怒られなければいけないようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 上鳴さんが人質に取られ、私と耳郎さんが一切身動きが取れない状況となってしまいました。こちらが動けば上鳴さんが、かといって何もしなければこちらが殺されてしまう。身動きが一切取れないこの状況で、何ができるか…。

 

 

 

 

 

 

「子供2人相手に人質ですか。とんだ悪党どころか屑ですね。」

「なん…がぁっ!!」

「ではあなたにもこういいましょうか。抵抗しなければ生かしておきますが、抵抗すれば…さて、どうなるでしょうね。」

「いつの間に…!?」

 

 

 

 

 

 

 突如として声が聞こえたと思ったら敵が倒され、上鳴さんが解放された。しかし、目の前に現れた人物は学校の関係者ではないことも明らかであり、安易に近づくことかできない。

 だが、敵を抑えているその人物、黄色のパーカーを羽織った女性が敵に銃口を突き付けたままこちらを見ずに告げる。

 

 

 

 

 

「そこの男子生徒を連れて安全な場所へ行ってください。こいつは私が何とかしましょう。まぁ、学校関係者でもない不審人物に変わりはありませんが、あなた達に危害を加えるつもりは無いとお伝えしておきます。」

「…少なくとも、上鳴さんを助けていただきましたから信じますわ。ですが、あなたのことは報告させてもらいます。」

「正しい判断です。お早く。」

 

 

 

 

 

 謎の女性に促され、上鳴さんを連れて離脱する。何度か後ろを振り返ってみたが、言った通りこちらを追いかけたりといったことはしないようだ。

 

 

 

 

 その姿が見えないところまで移動した後、銃声が聞こえた。

 

 

 

 

 

____________________________

 

 

 

 

 

「自分から人質を取っておきながら、ただの威嚇射撃で気絶とは…。自慢の個性でこちらの銃を壊すなりすればよかったのですよ。」

「…」

「まぁ、聞こえていないのでしょうけど。」

 

 

 

 

 

 顔のすぐ横に向けていた銃口を上げ、セーフティを掛ける。あの3人は安全な場所まで移動したのも確認できた。あとは…

 

 

 

「…っ!」

「おっと、今のを避けますか。ですが、あなたに逃げ場はありません。おとなしく投降してもらいましょうか、ヴィランよ。」

「増援のヒーローですか。どう言い訳をしましょう…。」

 

 

 

 

 

 

 

 壁際の入り口から見える複数のプロヒーローの姿。今の私はここに伸びている奴らと同じ、外部からの侵入者。いくら戦術人形とはいえ、複数の、しかも未知数の戦力を相手取ることはまず不可能だろう。迷彩が生きていれば姿を消すことができるため、離脱ならば可能だっただろう。だが、今は何もできない。その時だった。

 

 

 

 

『RO、増援のヒーローが来たはずですが、大丈夫ですか?』

『Karか。すまない、迷彩が死んでいて姿を増援に見られて今対峙している。どうにかして撒いてから合流しなければならない状況だ。』

『…了解しましたわ。外で行動していた3人もこちらに到着した、とのことですので応援を送りますわ。副官はこちらに合流するのでAR-15とUMP9が行くはずです。』

『助かる。それと、指揮官に春庭で話があると伝えてくれ。』

 

 

 

 

 

 

 指揮官といち早く合流したKarが通信を寄こしてきた。おかげで状況がよく分かったが、依然として状況はまずいままだ。応援が来るまでもう少々時間を稼がねばならないようだ。

 Karからは了解、と返事が返ってきて切れた。指揮官のことだからおそらく、遠回りして敵と鉢合わせにならないようにしながら合流を目指しているのだろう。

 

 

 投降の動きを見せないために、ヒーローたちが構え始めた。どうやら、余裕がそこまで無いようだ。

 いっそ、敵らしくして時間を稼いだほうがいい気がしてきた。きっと指揮官には笑われるだろう、が今はそんなことを言っていられるような状況でもないだろう。

 

 指揮官曰く、「やるなら本気で、楽しむつもりで、覚悟する」と言っていたが…私はどこまでやれるだろうか。…いや、この気配は。

 

 

 

 

 

 

「警告はした。本当に投降する気がないなら無理やり投降させるが______」

「では逆に聞きましょう。_________________私がここに一人だけでいると思っているのか?」

「なん…うおっ!?」

 

「ロー!撤退するよ!」

「ナイスタイミングだ、ナイン!」

 

 

 

 

 

 私とヒーローの間に一つの筒状の物が投げ込まれ、瞬間、閃光がその場を支配する。その隙に私は下で待機していたUMP9と合流する。ナインから新規の迷彩を投げ渡され、すぐに装備する。

 後ろからヒーローの様々な個性が迫ってくるが、私のスキルで威力を下げ、同時に機動力を上げて即時離脱する。少し離れたところからAR-15が援護射撃をしてくれている。この調子でいけばすぐに撒けるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「コルトはあのままでいいと思う。今回は本気だったから、Mod3の状態で来てたのが幸いだったね。」

「すまない、こちらの不手際で迷惑をかけた…。危うく指揮官にも危害が加わるところだった。」

「いや、流石にこれは予想できない事象だからお咎めなしだよ。ともかく、早く指揮官と合流して帰還しよう。」

「そうね。…まって、あれは?」

 

 

 

 

 

 

 走りながら中央を目指していた私たちが見たのは_______黒い敵に標的にされた指揮官が、攻撃される光景。

 

 

 

 だが、そいつの攻撃が当たる寸前に見えたのは、この場にはないはずの、大量の桜の花びらが舞う光景だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______________________

 

 

 

「脳無、その邪魔な仮面野郎を殺せ!」

「っ!させるものか__!」

 

 

 

「_____接近戦、用意。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉とともに、秀内少女の姿が桜の花びらによって見えなくなる。同時に、とてつもない打撃音が聞こえたと思った瞬間、脳無の両腕が切り飛ばされ、秀内少女は脳無の背中に向かって銃撃を放った。

 

 

 

 

 

 

 

「____先生!」

 

 

 

 

 

 

 そう叫ぶ声が聞こえ、オールマイト()は止めの一撃を放った。

 

 

 

________________________________

 

 

 

 

 

 

 脳無、と呼ばれる黒い奴の頭を吹っ飛ばしたと一発でばれました。

 

 合流して一番、相澤先生の応急手当をしていたのですが、カラヴィーナを背負っていたために脳無の頭を吹っ飛ばしたと断定され、そのまま危険人物扱いされたっぽいですねー。…面倒ごとは!嫌い!!なんです!!!そのまま、脳無って奴をけしかけられ、オールマイトを無視して突撃してくるものでして。ここにいれば相澤先生を巻き込むと判断、即座に横に移動して敵を引き付ける。オールマイトは脳無にわき腹をやられて瞬時に動けなかったようで、そのまま脳無のパンチをいなす。

 【装備】のおかげで身体自体も強化されているため、圧倒的な力を持つ脳無の攻撃を正面から受けない限りは耐えることができそうだ。いなしたパンチの威力もかなり強く、少々反動を受けてしまう。だが、隙につながるようなミスは侵さない。そのまま振り抜かれた腕をつかんで背負い投げ。遠くへと投げ飛ばした。

 

 

 

 

 

「ああっもう!いきなり攻撃してくるんじゃねぇよ筋肉ダルマが!」

『流石に今のは痛いですわね…次は避けたほうが良いかと。』

「脳無を投げた…?ああ、お前は邪魔になりそうだ。やっぱりここで殺すしかない。」

「…殺す?へぇ、私を殺すって?」

『指揮官…。』

 

 

 

 

 

カラヴィーナにめっちゃ呆れられた。解せぬ。

いやでもね!流石に彼女達と遊びたいって言ったのに有言実行する前に殺されるとか御免被るよ???私としては今回の訓練も楽しみにしてたんだけど…彼女達と一緒に動ける授業がどれだけ少ないと思っていやがる。あんまりないんだぞ、おおん?

 

だからこそ、あいつは私の逆鱗に触れたんじゃ。覚悟しとけやこの野郎。そしていいタイミングで、()()()()()()()()()()の気配がした。今の私が最も全力を出すことができる銃。ならば、やることは一つだ。

 

 

 

 

 

 

 

「Kar、悪いがまた交代だ。」

 

 

黒い敵が起き上がる。

 

 

 

『もちろん、そうさせていただきますわ。』

 

 

 

敵がこちらに向かって体を向け、地面を蹴った。

 

 

 

「『___________________接近戦、用意。』」

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、舞い散る桜を纏い、一〇〇式の銃剣で殴りかかってきた敵の両腕を切り落とし、そに無防備な背に向かって鉛玉を叩き込む。だが、トドメを刺すには私では力不足。だからこそ、本当のヒーローにやってもらおう。

 

 

 

「_____先生!」

 

 

 

 

 

その直後、鬼神のような一撃が放たれ、轟音とともに決着がついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの後、生徒の安否確認のために集合した後、即帰宅となった。まぁ、あんなことがあった以上いろいろ後始末なり現場検証なり内部からの裏切り者を探さないといけないから妥当な判断だろうなぁ。

 そんなことでして、さあ帰ろうとした瞬間ミッドナイト先生に捕まりました。何故。吾輩、お家に帰る前に春庭に行きたいのですぞ。コーヒー飲んでマフィンもぐもぐしたくてしょうがないんですけど。あと反省会。

 

 

 

 

 

「悪いわね。ちょっと聞きたいことがあるから校長室まで来てもらえる?」

「早く帰りたいです…。」

「もはや本音を隠す気もないのか。」「ないです。」

 

 

 

 

 

 

 先生の言葉に被せるように返答したけど、マジで帰りたいです。正確に言うとまだ昂ってる闘争心を鎮めたいってのもあるんです。

 最近の悩み、【装備】して戦うとどうも好戦的になりすぎてしまうようで。自分で自分を抑えるのに必死だったりするんです…スオミちゃんのせいかもしれない。

 

 ともかく、ほぼ強制連行となりました…。何も悪いことしてないです…せいぜい前に出しゃばりすぎたくらいですか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_________________

 

 

「____それで、あの時黒い敵、名前を脳無というらしいが…。頭を吹き飛ばす必要はなかったはずだ。結果としてあいつは再生したが、なぜあのようなことを?」

「あいつはすでに人間じゃない何かだと判断したので。何より、あの後有効射は皆無であり、通常弾は効果がありませんでした。私の個性はある程度であれば敵味方の判別や人間かどうかなのかが分かるものでもありますので。」

 

 

 

 

 

 

 毅然とした態度で答える彼女は、歴戦の軍人を思わせる。あの騒ぎで送られてきた黒い敵、脳無は対オールマイトのために作られたという結果が出ていたが…そいつを相手にしておきながら無傷、なおかつ何度か有効な打撃を与えたと聞いている。

 さらには、彼女の個性は銃を作り出すこと以外の力を持っているのも初めて知らされた。敵味方の識別、生体反応の有無なども分かるとなれば…誤った使い方をしようとすれば、最悪の結果を招くだろう。本当に、雄英(ここ)に来てくれてよかった。

 

 

 

 

 

「そうか。ではもう一つ…あの桜はいったい何だい?あれも個性によるものなのかい?」

「ええ、と言っても個性というよりは銃固有の能力、と言ったほうが的確ですね。私が出す銃にはそれぞれ固有の能力が備わっていますので。例えば___M16A1(これ)ならば、かなり強力な閃光手榴弾を放つことができますし、トンプソン(これ)ならば数秒ですが攻撃を無効化するフィールドを自分の周りに張ることができます。…そのほかにあるのは、それこそ脳無の頭を撃ち抜いた強力な射撃もその一つですね。」

「つまり、用途に応じて銃を変えることで様々な状況に対応できる、と?」

「そうなりますね。あまり切り替えると負担が大きくて駄目ですが。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 聞きたいことはすべて聞いたため、彼女を家に帰す。あの問答の中で彼女は嘘をついている様子はなかった。あの場で即判断し、最善の結果をもたらした彼女の功績は大きいだろう。しかし、あの力はやはり一人の子供が持つには影響力が大きすぎる。

 

 

 

「やはり、監視はつけるべきなのでしょうね…。」

「いくらやりすぎだと思っていたが、あそこまで強力なものであるとなれば…。」

「彼女が正しい道を進むと信じるしかない、というのが率直な感想だね。とりあえず、今後の動きとしては___」

 

 

 

『やりすぎれば、あなた達の保証はしないわ。覚悟することね。』

 

 

 

 

 

 

 

何もないところから、いきなり声が聞こえた。だが、すぐにその声の主の気配は消え、いたと思わしき所にはただの空間が広がっているのみ。

 

 

 

 

「…。今、だれかここにいたのを感じることはできましたか?」

「いや、俺は声がするまで分からなかった。」

「私もよ。」

 

 

 

 

 

 集まった全員がその場にいた何者かに気が付かなかった。それほどまでに、相手は実力を持っていたのであろう。そして、今の人物の言葉が示すのは…

 

 

 

「彼女は、何者かによって監視…いや、護衛を受けているのか。」

「だとすれば、一体何者から…。」

 

 

 

 

 最後まで結論が出ることはなく、全員がその出来事を留めるだけで終わった。

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

「…416、ちょーーーっと脅しすぎじゃないかなあれは?」

 

『あれくらいでいいのよ。と、言うより今日の4人だってそんなもんよ。』

 

「え、あれこの前頼んだ設備の設置のほかに別件も入ってたのかい…でも変に監視がつくと思うくらいなら許す。」

 

『流石に甘すぎない?』

 

「ほかの人に危害を加えなければ許す!正当防衛は…まぁ、痛めつける程度で。」

 

『わかっているわ。指揮官には絶対迷惑をかけないようにするっていうのが“命令”だから。』

 

「そゆこと。さーて、みんなのお披露目はいつになるのかなー?」

 

『案外、近いうちだったりしてね。』

 

「ま、そんときはそんときで。あとは春庭で反省会と試運転と行こうか。」

 

『了解。連絡を入れておくわ。』

 

「よろしく。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 歩いている影は一つ。だが、その隣には確実に「何か」が存在していた。




・食堂にて
M4「第5回、エリート小隊反省会を始めます。」
RO「本当にすみませんでした!!」
UMP9「あれは不可抗力だって…でも流石に4人があとちょっと動くの遅かったらまずかったね。」
…………
M16「んで、最終的な今回の戦犯は…」
M4&AR-15&SOP2&UMP45「「「「HK416」」」」(ですね、よ、だねー、だよ)
416「うぐ…確かにやりすぎたかもしれないけど…それを言ったらAR-15とナインだって___」
一〇〇式「あれは独断なのでノーカンです。むしろ、戦犯は一〇〇式ではないかと…」
全員「うぉああああ!?」




気配遮断EXな副官。反省会は何回か行われて戦犯指定された人は当直1週間となる。





指揮官「あっやっべ。監視されてるっての忘れてたわ。」
智春「まぁ!でもここならわかりにくいので大丈夫かと。」
指揮官「うーん、不審者がいたら【丁重に】ね?」
智春「ええ、もちろんそうしますわ。」
指揮官「あ、それと近いうちにお披露目になるかもしれないけど…しばらくはこっちにいるでしょ?」
智春「そうしたいですね。ですが、指揮官が必要とするなら代理を置いておきますが…。」
指揮官「WAを置くことを許す。あと自由に3人くらい選んでいいよ。」(キリッ)
智春「決断早いですね…。」


バレバレな監視さん。春庭にお手伝いが4人増えました。WAは強制。アワレナムサン










済まねぇ…仕事が忙しくて時間が取れないんだわ…そしてがばがばな文章となりつつあるんです…次回から普通の語り口調に戻ります。


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監視記録・個人日記

ちょっとした番外。後でもう一つ番外作るのでお待ちを


・監視記録1日目

 

担当した時刻になった。雄英から仕事が入った時は何事かと思ったが、どうも生徒の監視をしてほしいらしい。たがが生徒1人に何の疑いをかけているかは知らんが、仕事である以上見るしかないだろうな。

 

今日は担当した時間の間、ずっと駅前のカフェにいたな。随分マスターと親しい関係にあるらしい。時々手伝いをしてた。

 

 

 

・監視記録2日目

 

今日の担当は深夜だった。流石にこの時間にどこかに出るってことはねえだろう。というか、家の中を覗くのはあまりよろしくない。いくら子供とはいえ、対象は女だ。風呂に行った時は流石に見なかった。そこまでプライバシーを覗く必要はないはずだからな。

 

だがこの家、両親は仕事で家にいる時間が短いのか…。今くらいの年齢ならともかく、小学生位なら相当辛いだろうな。

 

 

 

・監視記録3日目

 

休日だからか、起きるには若干遅かったな。9時過ぎに起きてそのまま飯を食ってた。電話をしているところを読唇術で確認したら、親は夜に帰ってくるらしい。ちと安心した。

 

そのあとは家に何人か遊びに来てたな。1人は監視対象の生徒と同じ眼帯をつけてたから、どっちかがあげたって感じか。4人ほど来てたが、どいつも可愛いやつだったぜ。得したわ。

 

 

 

・監視記録4日目

 

前回から2週間ほど空いた。俺としては4日目に当たるからこう記すが、実際は18日と言ったところだ。

 

どうもコスチュームの仮面をいじっているようだ。配線を引っ張り出して回路関係を触っている。あまり電子関係は詳しくないから何も言えんが、正直片目でやるような作業じゃないだろうな。

 

 

・監視記録5日目

 

今日も駅前のカフェにいたな。いつもの眼帯を外してエプロンを付けてたから、バイトか?だがあの高校はバイト禁止だったはず。まぁ、賃金が発生しないなら手伝いで通じるだろう。

 

…そこまで遠いところから見ていたわけじゃないからか、コーヒーの香りがこっちまで来てたな。今度飲みに行くか。夜はバーにもなっているっぽいしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…とまぁ、俺からの報告は以上だ。まだ監視するか?」

「そうだね。だが、くれぐれも…くれぐれも危害を加えたりプライバシーの侵害のし過ぎには気をつけてくれ。」

「…?そこまで危険視する必要があるのか?」

「わからない。だから細心の注意を払ってくれ。何かあってからでは遅いからね。」

「勿論だ。それじゃあ俺は戻らせてもらうぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あの人、監視するのはいいけど…。』

『弁えてるから放置でいいでしょ。』

「動きはプロだし、気配の消し方も上出来だよ?どうせ近いうちにお披露目会だからそこまで気にしなくていいでしょ。……あった、この配線だなー。盗聴器を…ブチっとな。」

『しっきかーーん!終わったなら早く行こーーよーーー!』

「はいはい。P7、あまり店では騒がないでね。」

『はーい!』



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番外編その1:指揮官と一〇〇式。時々お便り

作りました。正直、本編関係ないから無視してもいいけどねー…



何気に漫画見ながらだと時間かかります。

皆さん、ウサギはハンティングできましたか…?私は無理です。S取れませんわ…


指揮官「えーっと、これでいいのかな?」

 

一〇〇式(以下もも)「あ、大丈夫みたいですね。」

 

指揮官「よぉし、じゃあ始めよう!」

 

 

 

 

 

指揮官「第一回、【一介の人形遣いに何を求めているのですか】番外編!」

 

もも「指揮官と一〇〇式。時々お便りとなります。」

 

指揮官「はっきり言います。メタいし本編関係ないので読まなくてもいいと思います。ただ感想返し全体版とか質問への答えを出したりといった感じです。」

 

もも「しかもこの形式は同じサイト内の別の作品をパク…参考にしているので見覚えがあると思います。怒られたら別の形にします。」

 

 

 

 

・同じサイト内の別の作品

 通りすがる傭兵様作、「ドールズフロントラジオ 銃器紹介コーナー」のこと。だってこれが書きやすいんだもん…。傭兵さん、もしこれ見てて駄目なようなら遠慮なく叱ってください。変えます(キリッ)

 

 

 

 

 

指揮官「じゃあまずはもらった感想へのお返事から!一応、感想に返答しているのですが全体的にみている人はあまりいないと思うのでこっちにも出しますねー。」

 

もも「えっと…最初に届いた感想は【後々の展開がとても気になるよい作品だと思います(謎の上から目線)続きが楽しみなので無理せず作者様のペースで更新オナシャス】というものでした。3話ですね。」

 

指揮官「はっきり言います。感想もらえると思っていなかったので奇声あげました。マジです。親に叱られましたね…うるさいって。」

 

もも「指揮官…。でも確かに、予想してたより伸びててお仕事中もずっとニヤニヤしてたんですよね?」

 

指揮官「うん。だってうれしかったもん。インフェルノさん、ありがとうございます…。」

 

 

 

・仕事中ニヤニヤ

 してた。でも防塵マスクの下だったからばれてないはず。

 

 

 

 

 

指揮官「続いての感想への返答はこちら!」

 

もも「最初のころに多かった【女性(あるいは女の子)だったの?】というものです。感想というよりは質問ですね。」

 

指揮官「一人称とかところどころのセリフでわかるかなーと思ったのですが分かりにくかったようで…申し訳ないです。」

 

 

 

・性別について

 わかりにくかった。なので意見としていただいたタグ付けをしましたねー。わかりにくくて本当に申し訳ございませんでした。

 

 

 

 

指揮官「さてさて、次はこれ!【傷が残っちゃった指揮官】についてですねー。何件か感想をもらいました。」

 

もも「本編の私としてはものすごいトラウマ案件です…。あ、今ここにいる指揮官は普通に見えてますね。」

 

指揮官「ここは本編じゃないから…。あと本編では何も言っていませんが、傷が残ったことに関しては対して気にしていません。どっちかというと人形たちの心境のほうが心配だった。」

 

もも「しーきーかーーん…!」

 

指揮官「大丈夫、大丈夫だって!!あと無理はしません!!!」

 

 

 

・傷が残った指揮官

 作者の好みが出た瞬間。PSO〇の自キャラでも傷がある。だってかっこいいじゃん(偏見)視力とかはそのお話のあとがきでも書いた通りです。マジで見えん。

→ペルシカさんいたら義眼とか作ってくれそう

 ほんそれ。でも個性の基地の中にいるのは人形だけです。過労死カリーナとかはいません()

→傷残ったせいでヴィランスレイヤーなりそうw

 指揮官はならないけど人形たちは激おこ。絶 対 に 逃 が さ な い (ただし指揮官ストップが入るため半殺し)

 

 

 

 

 

指揮官「さーじゃかじゃか行きま…おりょ?M4、どしたの?」

 

M4「いえ、基地の放送室で何をしているのかなと思いまして。お邪魔でしたらまたあとできます。」

 

指揮官「問題ないよー。どうせならM4も巻き込もう。かむひーあ。」

 

M4「わわっ。えっと、それでは失礼します。」

 

もも「そこまで緊張しなくても、指揮官が全部持っていくので大丈夫ですよ。」

 

指揮官「責任全投げされたぞおい。でも許す。てなわけで、M4も追加してどんどん返していきましょー!」

 

M4「えっと、これですか?…【核兵器のある部屋で火をばらまくのは…】ですね。確かにばらまきましたね。」

 

もも「そんなことしてたんですか…。」

 

指揮官「してた。あそこまで火力があると思わなかった…恐るべし放火魔SMG。」

 

Vector『誰が放火魔だって?』

 

指揮官「すみませんでしたぁ!でもやりすぎだよ?」

 

 

 

 

 

・演習の放火について

 あんまり考えてなかったのがバレた瞬間。指摘受けてから相澤先生に怒られるように変更した。ドルフロのVectorは夜戦の時に放火して戦力削ってくれるからおすすめ。さあ、製造をまわせぇ!(謎の威圧)

 

 

 

 

 

指揮官「ふむ、感想を見返してみると結構な量あるのね…。ここまで反応貰えるとは思わなかったからなぁ…。」

 

M4「ヤンデレじゃないドルフロは珍しいって言うのもありますね。どれだけヤンデレ案件多いんですかこの界隈。」

 

もも「あとは圧倒的404小隊率ですね。次がAR小隊などなど…。あと日記形式ですね。」

 

指揮官「AR-15は大体キャラ崩壊してる。みんなドルフロ本編でショックを受けたっぽいな…。わかる、わかるぞぉ。」

 

 

 

 

 

・ドルフロ2次創作界隈

 まじでヤンデレ案件多くない???おかげでそっち方向目覚めました。まじかよ、作者がびっくりだった。AR-15は本編で悲しいことになったからね…。大丈夫!あとでまた出てきますから!!…その前にもう一人消えますが(目逸らし&涙目)

 

 

 

 

 

指揮官「うん、感想に対してはこんな感じかな。あとは、最近もらった質問に返答していくと感想への返答にもなるからそれで収めます。」

 

もも「あ、面倒になりましたね。」

 

M4「今何時って、まだ20時回ってばっかりじゃないですか。」

 

指揮官「作者は21時には寝るんだよ。超健康体質。てなわけでもらった質問はこちらッ!【衣装の外骨格はコールオブデューティーアドバンスドウォーフェアのEXOみたいなの?あれより太いの?】【髪の色、髪型、眼の色、顔立ち、身長、体重、スリーサイズ】の2つに答えましょう!」

 

もも「あの、指揮官…コール(以下略)はプレイしていないはずでは?」

 

指揮官「検索した。うん、考えてた奴もいいけどこっちもいいかなってなったの。個人の解釈に任せます!!」

 

M4「見事に投げましたね…。」

 

 

 

 

・外骨格について

 考えていたのは地球防衛軍5に出てくる「フェンサー」という職(?)の物でした。強いて言えばグリムリーパー隊。それを細くした感じで体に合わせてフィットさあせてる感じでしょうか。作者、画力が欲しかったのである…。あとは個人の想像で自由に姿を作ってください。イラスト書いてくれると超絶喜びます。でも無理しないで。

 

 

 

 

 

指揮官「容姿に関する描写が少ないのでは?という質問をいただきまして…確認したらマジで少なかった。申し訳ない…。」

 

もも「…わっ、本当に少ないですね。」

 

M4「これに答えるのはいいとして…スリーサイズですか…。」

 

指揮官「うーーーーん、そこまで詳しいことは考えてないから大体で。あとこれを参考に誰か書いてくれないかなぁ…(羨望)(描いたらこっそり教えてください)(めっちゃ喜びます)(でも無理はしないで)」

 

 

 

 

 

・容姿

 

 髪 黒のショートカット。肩まで行かないくらいの長さ

 目 典型的な茶色。日本人に多い色です。ただし左目は少し白くなってます。怪我の影響ですねー。

 顔立ち かわいい、という部類ではなくどちらかというとおっぱいのついたイケメンになる方。モデルに近いのかもしれない。ただし左目には大きな傷跡が。UMP45の傷を大きくした感じ。頬まで来てる。

 身長 168cm。平均より大きいくらい。体型はスラっとしてるけど無駄のない筋肉がしっかりついてる。腹筋バッキバキというわけではなくシュッとしてる感じかな。

 体重 65kg。筋肉があるからちょっと重い。でも重さとしては全然問題ない。むしろ、ほかのアニメでこの身長で50kg行かないのはおかしいぞ。

 スリーサイズ 考えたことなかったな…。胸のサイズはBくらいと思ってます。実はな、あまり大きいとわがままボディだから痛いし面倒なんだよ?(友人談)正直、大きくないほうが動きやすいからショウガナイネ。あとBは後ろからもにゅっっとすると手に収まるちょうどいい大きさらしいぞ(やられた)要は貧じゃないけど大きくもない、バランスの取れた大きさですね!(投げやり)

 

 

 

 

 

 

 

指揮官「スリーサイズ…マジで考えてなかった。」

 

M4「なんですか、この最後のほうの生々しい感想は。」

 

指揮官「女同士の遊びだよ?行き過ぎればアウトだけどこれは健全な方。楽しかったぞ。」

 

もも「指揮官もやったんですか…。」

 

 

 

 

 

・セクハラタッチーズ

 やった。でも私は揉まれた方だし、やってたのはホック外しだけだゾ☆反応が楽しいですごめんなさい。

 

 

 

 

 

 

 

指揮官「はてさてー。今回はここまでとなりまする。」

 

もも「今後待っているのは…体育祭ですか。」

 

M4「お披露目もするって言ってましたけど…まさか。」

 

指揮官「アッハッハー!どうなるかなぁーー!それでは___」

 

 

 

3人「「「今後の更新もお楽しみに!」」」




指揮官「あ、一つ忘れてた。この作品の404小隊について聞かれてたんだった。」
もも「じゃあここでいってしまえばいいのでは?」
指揮官「そうするか。」


この作品の404小隊
HK416、UMP9、UMP45、Gr MG4の4人です。G11ではないです!!今はいるけど当時はいなかったんや…いまだにウェルロッド来ません!!!!







感想も質問も大歓迎ですのでお気軽に!


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3rd stage
先に待つは、荒事のみ


 演出まだ迷ってます。難しい…というか、みんな期待しすぎです…ワタシ、ブンサイ、ナイノ。期待外れだったらごめんなさい。あと今回はまだ入りませんぞー




ウサギ、まさかのハンドアックス投擲でご臨終&S取りました。うっそやーん…


「えー、第2回現実世界反省会を始めます。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうも、指揮官です。USJ襲撃から1日、本日は臨時休校となったため、春庭を貸し切って人形たちと反省会をしております。なぜに反省会だって?HAHAHA!不用意に全力展開してると何もできないというのが発覚したからだよ!

 と、言っても。本来であれは顕現5体+装備1体ができるのですが…昨日はある設備をこちらに持ってくるために装備枠を圧迫し…結果としてKarが合流してくれるまで何もできない状況が出来上がってしまったのでした。そのため、反省会自体はすぐに終わったのだが…。

 

 

 

 

「本当に!すみませんでした!!」

「RO、ストップ。もういいって昨日言ったじゃん…。」

 

 

 

 

 ROがめっちゃ気にしてました。ごめんよ…。でもこの調子だとお咎めなしってのが響きそう。なので…

 

 

 

「じゃあ、この後の試運転の相手をお願いするよ?はっきり言って調整なんてあるようでないものだから、覚悟してね?」

「喜んでお受けいたします!」

 

 

 

 

 

 

 サンドバック(悪い言い方)をお願いしました。…この字面だとROがドMみたいじゃねぇか。

 

 

 さて、それで昨日4人に頼んでいた設備というのが…春庭の裏に置かれた【箱】である。大きさ的にはゴルフバック辺りかな?と言ってもこの箱、ただの箱じゃない。中身は精密機器が詰まっているけど、役目は【基地の中にあるデータを実体化させる】ための物だったり。簡単に説明すると私がスマホでこの箱はWi-Fi、人形達は通信データみたいなものです。みんなを呼ぶのが楽になったよ!バッテリーを使わなくてもこの箱の影響範囲内なら自由に出入りできる。よく作ったね…イングラムと92式がメインで動いてたらしい。お疲れ様。

 さらに!この箱はみんなの出入りを自由にするほか、データベースにある物の一部を私の【装備】としてだせる、らしい。それをこれから試すつもり。

 

 

 

 

 

「それで指揮官、いったい何を出すつもりですか?」

「んっふふー。日本人のゲーマー御用達の近接用の武器、刀を出したいけど…データベースにあるものでそれっぽいもの、なおかつ大きさ的にちょうどいいのが一つあったんだよねぇ…。これこれ。」

「えっと…これを出すのですか!?」

「あ、ごめん。一部は見たくないと思う。周回数のトラウマ的な意味で。」

 

 

 

 

 スマホの画面をM4に見せる。うん、ごめんね。でも文句はその時の運営に行ってほしいなー。主に製造率とドロップ率に関して。

 その画面に映していたのは…2-6の鉄血のボス、「処刑人」が持っている大ぶりのブレードでございます。いや、さすがにそのままじゃなくて若干サイズ変更はするよ?

 

 

 

 

 

 

 

「さて、それじゃあ…試運転と行こうか!」

 

 

 

 れっつごー試し切り!どこまで振り回せるかな…。

 

 

 

 

_________________________

 

 

 

 

片腕で黒いブレードを横薙ぎに振る。次の動きなど考えない大きな動き。その隙を狙うことは容易だが、ブレードから疾る赤黒い稲妻がそれを許さない。接近されてしまえば、銃よりもナイフや拳の方が脅威となる以上、ROに残された行動は回避の一択のみ。その顔に余裕はなく、いつ首を取られてもおかしくないと言った表情だ。

振り抜いたブレードをクルリと手の中で反転させ、下から首を狙って一閃_______

 

 

 

 

「そこまで!」

「っはぁ…はぁ…。」

「あっぶね…ごめんRO。大丈夫だった?」

 

 

 

 

 

___する前に合図がかかって止めました。危ない、本気になりすぎて首落としにかかるところだった。

 

 試運転のために来たのはヤクーザの人たちが持ってる屋敷の武道場です。なんだかんだあって、ヤクーザの人たちと懇意にさせてもらっております。最近だとヤクザかどうか怪しいって本人たちが言ってた。どういうことやねん。組の名前は霧島組と言うらしいです。マイクチェックしてそう。

 相手をしてくれたROは、思いのほかに激しい攻撃を受け続けたせいかオーバーヒートぎみっぽいです。そこまでぎりぎりだったのか…ごめんよ。本当に最近、好戦的になりすぎてる…何とかしないと。

 

 

 

 

「…ちょっと処理が危険域になりかけていますが…大丈夫です。」

「ROで処理がぎりぎりって…指揮官、そんな動きどこで覚えたの?」

「前世のゲームの動きパクっただけ。正直、処刑人の動きなんて真似できないと思ったから、まだ現実味のある動きをね。」

 

 

 

 

 わきで見てたSOPちゃん、めっちゃ目を輝かせてるんですけど。え、何?そんなに勝負したいの???やめてね…抑えが利かないし調整もできてないから。

 データ取りの為にパッドを持っていたAR-15が顔を上げる。その表情は…何とも言えない微妙な表情だった。うそーん、何か問題でもあったの?

 

 

 

 

「指揮官、いい話と悪い話、どっちから聞きたい?」

「悪いほうからで。」

「わかったわ。悪いほうの話としては…これを単体で使い続けるといずれ死ぬわ。そのブレード、というよりは鉄血製の物限定だけど…それに侵食されるって感じかしら。」

「はぁ!?…いや、細かいことはあとにするけど。それで、いい話は?」

「単体だと使いすぎで死ぬけど、私たちを【装備】したままで使うことが可能ということと、【装備】をすることで侵食を防げるわ。」

 

 

 

 

 

 ってことは…【装備】前提で使わないといけないってことか。単体で使いすぎると死ぬとか…自分の個性に殺されるのは勘弁願いたい。でもこれで、一〇〇式やFAMAS以外の銃を持つときにも接近戦に対応できるようになったということだ。うん、ものは試しだね!

 試運転、もとい試し切りは無事…無事?終わったので帰ります。帰りに416が何か渡してたけど…詮索しません。大きさ的にはCD辺りっぽいけど。

 

 明日は普通に学校だからあと大人しくしてよう…。でも時期的に行事ありそうだなー。その話でもするのかな?

 

 

 

 

 

____________________

 

 

 

「お早う」

『相澤先生復帰早えぇぇぇぇ!!!』

 

 

 

 めっちゃふらついてる。え、マジで早いけど絶対安静じゃないですか???ぐるぐる包帯巻いててミイラにしか見えん。そのまま教卓につき、連絡を一つ。

 

 

「俺の安否はどうでもいい。何よりまだ戦いは終わってねぇ。」

「戦い?」

「まさか。」

「まだ敵が___!?」

 

 

 

「雄英体育祭が迫っている。」

『クソ学校っぽいの来たぁー!!』

 

 

 

 

 あっこれお披露目会のタイミングばっちりですね。でもやったぜ体育祭。吾輩大好き。でも襲撃騒ぎがあったのに決行するの???あ、警備は5倍にするんですか…5倍!?

 うん、まぁオリンピックが形骸化してしまった以上、これ以上盛り上がる行事もないですよね…。何より個性が目立つから派手だし、場合によってはスカウトもあるもんね。そのまま卒業と同時に助手行きとかもあるらしいし。

 

 開催は2週間後。それまでの間にいろいろとやらないといけないことが増えたなぁ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

_____________

 

 

『指揮官、お披露目会をするといったことを話していましたが…。』

「うん。体育祭がちょうどいいだろうね。でもその前に、さ。」

『ご両親に話すんですね?』

「…そのつもり。」

 

 

 

 親にこの個性について話す。そう決意したのはいいけれど、正直なところ「怖い」というのが本音だ。何せ、ずっと騙してきた事からくる罪悪感と何を言われるか予想がつかない不安感でいっぱいなのだ。

 家に向かって歩く足を止め、その場で立ち止まって考えてしまう。

 

 

 

 拒絶されてしまったら、どうしようと。

 

 

 

 

 

『大丈夫ですよ。なにせ、指揮官のご両親ですから。』

「…だといいけど。それでも、怖いものは怖いんだよ、もも。」

 

 

 

 

 

 本当に、言うべきか迷っている事に変わりはない。でも、いずれは話さなければならないし、()()()()()()()他者にも見せなければならない。

 拒絶されるかもしれないという不安とプレッシャーで、息が詰まる。どうするのが正解かなんてわからない。いくら前世があるとはいっても、所詮20に至る前に死んだのだ。そんな出来事なんてあるわけがない。それはそれで幸運だったのかもしれないが。

 

 

 

 

 

 

「…っ!」

「大丈夫。大丈夫ですよ、指揮官。」

 

 

 

 

 

 後ろから一〇〇式に抱きしめられる。この体にかかる重みが、熱が、彼女の存在を証明する。一人じゃないということを改めて実感し、少しだけ、ほんの少しだけ気が楽になった。

 

 

 

 

 

「…うん、ありがと。おかげで覚悟が決まったよ。」

「いざとなったら私も出て話しますから。きっと、きっと大丈夫です。」

「ふふっ、そうだといいなぁ。」

 

 

 

 

 

 さて、覚悟決めて話そうかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 あのあと、親に本当のことを言いました。さすがに前世持ちってのは言わなかったし、彼女たちが元はただの電子データだったことも言ってないけど…今言えることは全部話した。途中でももちゃんにも出てきてもらって、横にいてもらったけど…心配してた反応は来なかった。と、いうより寧ろ「よく正直に言ってくれたね」って頭なでられた。プレッシャーでやばかった身としては、そのまま安心して泣いてしまった…情けない。

 しかも母上、戦術人形たちに対しても「奏の個性から出てきてるなら私たちにとっても家族ってことね!」って言ってくれた…。ももちゃんも頭なでなでされてたね。父上はちょっと納得してた感じがあったけど。なんでも、家に帰ってきて寝落ちしたはずなのに、いつの間にかソファーなりベットなりに寝かされてたことが何度かあったようで。多分、家のほうでいろいろやってた誰かが運んでくれたんだと思う。というか、そんなことしてたんか…。

 

 でも、これで後腐れなくお披露目会ができるようになったから大丈夫だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日。授業が終わって、さあ帰ろう!と思った矢先。なんか、めっちゃ教室の前が騒がしいんだけど。

 

 

 

 

『生徒ばかりですね…。もしかして、偵察じゃないですか?』

「よりによってか…面倒な。」

 

 

 

 

 

 

 

 M1ガーランドが言う通り、教室の前にいるのは生徒のみ。おおよそ、体育祭の前に様子を探っておこうといったところか。正直に言おう。邪 魔 だ !

 あ、でもその前に爆豪君が思いっきり喧嘩売ってる…やるなぁ。しかしそれに応戦する隣のクラスの生徒。めっちゃ目つきわっる!ちゃんと寝てる?大丈夫?

 

 

 

 

『…宣戦布告、ですか。』

「ストップ、ガーランド。クラス全体に言われたことだからスナイプ狙わないの…。やるなら本番で撃て。」

『本番ならいいんですか、指揮官…。」

 

 

 

 

 許す。どうせならお披露目もするんだからその時にな。

 

 でもその前に…流石に帰るのにうざったいから散らそうかね。

 

 

 

 

 

____________________

 

 放課後になって、帰ろうとしたら教室の前にできていたのは人だかり。体育祭の前の敵情視察らしいけど…ここまで来るとは思わなかった。かっちゃんが思いっきり目の前の生徒たちに対して「意味ねえから。どけ、モブ共」って罵倒してる…。それに応戦するように出てきた生徒と言い争いになって、収拾がつかないと思った時だった。

 

 後ろから来たのは、左目に黒い眼帯を付けたクラスメイト、秀内さんだった。鞄を持っているから、きっと帰るところなんだと思う。でもこの人だかりじゃあ教室から出るので一苦労だと思う…。少し人が少なくなるのを待とうよって言おうと思って肩を2回ほど叩いたら、こっちを向いて「大丈夫大丈夫、ちょーーっと脅して出てくから。」って笑いながら言って行っちゃった。

 そうしてかっちゃんの横に行くと…

 

 

 

 

「別に敵情視察とかしに来てもいいけどさ…_____邪魔をすれば、容赦しないよ?

 

 

 

 たった一言。けれども、その一言とともにその場を支配したのは強烈な威圧感。襲撃事件の時のヴィランたちとは違うもの、けれども圧倒的な気配。思わずすくみ上ってしまった。教室の前にいた生徒たちも、秀内さんが歩いていくと道を譲るようにして割れた。

 

 そのまま彼女はヒラヒラと手を振って帰っていった。かっちゃんと言い争いをしてた人も黙り込んでしまい、そのまま生徒たちはそそくさと教室の前から立ち去っていった。

 彼女の実力を、思わぬところで実感してしまった。けれども、かっちゃんは逆に燃えているようだった。

 

 

 

 

 

 

_______________________

 

 

『…っあはははは!!!』

「ガーランド…笑いすぎだよ…。」

『す、すみません指揮官…。んっふふ、でも、あそこまで啖呵切ったなら個人優勝狙わないといけませんね?』

「優勝かー…。ま、お披露目会に飾る花として狙おっか。そうと決まれば…。」

『近接戦のほかに、いろいろと調整しなければなりませんね。』

「だね。いつぞやのフル訓練と同じ感じになるけど…手伝ってもらうよ?」

『もちろん。みんなにも声をかけておきます。』

 

 

 

 

 

 帰り道、来る体育祭の目標は決まった。ならば、全力で行こうか!




M4「指揮官、あの時使ってた動きはゲームを参考にしたと言っていましたが…。」
指揮官「ああ、PS●2って言うゲームの中で刀があってー。その中の【グレ●テッセン】っていうのと【シュンカシュン●ン】ってのを真似してた。」
M4「あれも十分無茶な動きだと思いますよ…。」




PS●2、万能説。シリーズでやってる身としてはP●P時代の2iが一番好き。ディオスめっちゃ好きでした。ちなみに実際にやっている刀でお気に入りはタガミです。




指揮官「寝落ちしてたの誰がカバーしてくれたの?」
もも「指揮官の護衛以外で動いていた人形だと思いますけど…。」
M249「あー、それあたしかも。他にも洗濯とか食器洗いとかもやってたけど…もしかして怒られた?」
指揮官「まさかの!?」
もも「流石にこれは…驚きです。」
M249「いや、あたしだってやるときはやるよ?家事ってのも案外楽しいものだったし。」




我が司令部の夜戦エースはやる気がすごい。全部MVPとっていくもん…。意外な才能ありそう。





指揮官「鉄血のもの以外だと…お?これは何ぞ…?」
??「デレター!ヨロシクー!」
指揮官「のおおおおああああ!?ちっさ!えっかわいい!」




とある物との邂逅。日本に実装されてないけど本国では猛威を振るっておる。細かく言うと編成画面の右端におけるあの子たち。今はカギマーク付いてますけど。


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始めましょう。ここが戦場(いくさば)なのですから【前】

友人「お前、感想の返答に【今週中には出す予定です】って書いて次の日出したよな?」
私「うん。」
友人「ここで最初のほうの話の前書きみろ。習慣か月間って書いてるよな?」
私「うん。」



友人「お前、これ無視して書いては出してるよな????」
私「うん!!!!」



感想と反応がおもしろいので…つい出してます。あとちょっと前にPSO2関係のこと書いたせいでヒロアカxPSO2とか、ドルフロxPSO2書きたくなってしまう…。気が向いたら書いてるかも。






カルカノ姉妹日本版実装おめでとう!!!!12/7のメンテ明けからだよ!!!姉妹でそろえて強い雑魚処理を任せような!!!!作者との約束だぞ!!


「それじゃあ、行ってきます!」

 

 

 

 

 体育祭当日の朝。生徒は先に出校しなければならないので、いつも通りに家を出るところでございます。親は直接見に来るけど、午後からまた海外へ出張しなければならないのでその準備もあるって言ってました。しょうがないよね、国単位のお仕事の打ち合わせってなれば行かないといけないもんね…。優勝するって宣言したので見てほしかったけど、そこは写真か何かで見せるとしましょうかね、人形たちと一緒に!

 

 

 

 

 

_______________

 

『お披露目は最初からいかないんですか?』

『うん。出すのはね…ここだね。本当に最後だし、場合によっては運が必要だけど。』

『最後のこの競技ですか。トリですから、相当注目されますね。』

『そこが狙い。あとはね、出すのは1人だけにして___』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『____明るく、激しく、鮮烈にってね!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________________

 

 

「一年生ステージ、生徒の入場だ!!」

 

 

 

 マイク先生のコールに騒ぎ出す観客たち。通路で待機してる身ですけど…めっちゃ大きい歓声ですねー。

 

 

 

『どうせてめーらもアレだろ!?こいつらだろ!?敵の襲撃を受けたにも拘わらず、鋼の精神で乗り越えた期待の新星!!!ヒーロー科、1年!!』

 

 

 

『A組だろぉぉ!』

 

 

 

 フィールドに入った瞬間、無茶苦茶歓声が大きくなった。うわぁお、満員御礼じゃないですかー。空席なんてねえよ…通路までぎっしり。その点トッp…違った、お菓子じゃねぇ。

 続々と生徒たちが入ってきて整列。そのまま今年の1年生主審であるプロヒーロー、ミッドナイト先生が開会式の進行を始めた。隣から「18禁なのに高校でいいのかよ」「いい」って会話が聞こえてきた。シッテタ。でもあの鞭で打たれる前に黙っておきなよ。

 

 

 

「選手宣誓!代表、A組、秀内 奏(ひでうち かなで)!!」

「はっ!」

 

 

 

 

 

 油断してて返事が軍隊式になっちまったわ。ともかく、呼ばれたので壇上に上がって宣誓します。さすがに、今日はテレビにも映るので今だけ眼帯を外しておきます。威圧感バリバリ出ちゃうM16姉の眼帯は今だけポケットにシュゥゥゥー!左目を開けるわけにはいかないので閉じたままなんですけどねー。

 

 

 

 

 

 

「宣誓、我々選手一同は_____」

 

 

 

 

 普通に宣誓します。ここでやらかすわけにはいかん。噛んだりするのはもちろん、声が裏返ったりしないように、なおかつしっかりと聞こえるようにしておきました。ただし…

 

 

 

「___選手代表、A組、秀内奏。」

 

 

 

 

 普通の宣誓した後にただ降りるだけじゃねぇ!降りるそぶりをして…再び生徒の前に体を向けて一言。

 

 

 

「総合一位は譲らん。せいぜいあがきたまえ。」

 

 

 

 

 思いっきり挑発してやった。

 

 

 

「んだとてめー!」

「調子乗るんじゃねぇぞ眼帯中二病やろぉー!」

『はいはーい、騒ぐのもそこまでよー。』

 

 

 

 案の定大量のブーイング。愉☆悦。いやぁ、挑発して乗ってくれるのは楽しいねえ!でもまずは自分の位置に戻ります。位置に戻ったらしまってた眼帯を付け直し、前を向く。それを確認したミッドナイト先生が早速競技を発表し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『____さて、運命の第一種目は障害物競走(これ)!計11クラス総当たりレースよ!コースはこのスタジアムの外周約4キロ、コースさえ守れば()()()()()()構わないわ!』

 

 

 

 

 障害物競争。一番の障害はほかの生徒ってね!しょっぱなの予選から多くの人数が落とされることとなる。さすが雄英、派手だなー。

 スタート地点のゲートランプが順番に光っていく。覚悟は十分、こんなところで引けを取るような真似はしない。やるなら、徹底的に。

 

 

「【装備】、TMP。」

『は、はい!お任せください!』

「ははっ、そう緊張しなくていいよ。2週間きっちり訓練したんだから、落ち着いてね。」

 

 

 

 ランプが緑に光った。

 

 

 

「スタァァァート!」

「…ふんっ!!」

「どおぁあ!?」

 

 

 

 

 合図と同時に目の前に陣取っていた普通科の生徒を踏み台にして一気に前へと躍り出る。スタート地点のゲートは人数に対してかなり狭い。つまり…

 

 

 

 

「すでにふるいにかけられてるってことなんだよね。危ない危ない。」

『踏みつけにしてよかったのですか、指揮官?』

「いいんだよ。銃突きつけて脅迫とかしてるわけじゃないし。」

 

 

 

 ざっと6メートルほどジャンプして、そのまま着地。しかし勢いを殺さぬように前転、開いているコースを走り抜ける。すぐ後ろに1人、気配がある。あとは悲鳴ですねー…。「寒い!」とか「凍る!」とか聞こえるから轟君が凍らせて足止めしたんでしょう。まぁ、すぐに爆発音とか聞こえてきたからそこまで時間を稼げていないっぽいけど。

 そのまま走っていくと聞こえてくる実況の声。どうも、入試の時のお邪魔虫がいっぱいいるようで。どこから予算持ってきてるんだよ。

 

 

 

 

『まずは手始め。第一関門、ロボ・インフェルノ!!』

 

 

 

 

 ふむ、こうも7体そろって並ぶと壮観であるなー。足元には小型の奴らもいっぱいいるけど。どうせなら、後ろから来てる生徒の妨害を兼ねて進みますかね!

 

 

 

 

「さて、行きますかねぇ!TMP、スキル用意!」

『いつでもどうぞ!』

 

 

「___集中、集中ってね!」

 

 

 

 

 大きく腕を振りかぶり、攻撃しようとしてくるお邪魔虫。だがしかし、TMPのスキルによって機動力が大きく上がった今の私からすれば、あくびをしながらでも避けられる。今回は少しだけ横にずれて素振りをさせる。体の真横を抜けていく鋼鉄の塊、それを確認した後、関節部に向かってSMG用に改造した特殊徹甲弾を撃ち込んでいく。

 

 

 

 

 

『着弾確認。行動予測、完了。足場と妨害にうってつけです!』

「オーケー!そんじゃあ___また来たまえっっってなぁ!!」

 

『おーーーっとぉ、トップを行くは秀内だぁ!入試を圧倒的な成績で合格した実力は伊達じゃねえー!続いて行くは同じくA組、轟!2人そろって攻略と妨害を一度にこなしやがった!!こいつはシヴィー!!』

 

 

 

 めちゃくちゃでかい崩壊音が後ろからしてきた。が、それを無視して次へと走る。すぐ後ろには轟君がいるから油断できないし、この後飛んできそうな爆豪君とかいるし。

 ちょうど第一関門を抜けたあたりでTMPのスキル効果が切れた。オーバーブースト状態だった機動力も普通の【装備】第2段階の状態まで戻ったようだ。

 

 

『リチャージ入ります。残り14秒。』

「おーけー。一応スオミもスタンバイ。場合によっては走るよ。」

『了解。撃てないのが残念でしょうがない…。』

「死人が出ちまうからダメに決まってるだろう!?格闘術だけでも強いんだから抑えて!!」

 

 

 

 ほんと、なんでうちのスオミはこんなにも好戦的すぎるの??相手はロシアじゃねえんだ。いや、むしろロシア組と仲良いのがおかしいのかこれは…。

 ともかく、進むと目の前に見えてくるは…谷だ。

 

 

 

 

 

 

…谷???????待て待て待て!ロープ見えるけどこれ落ちたら失格ですよねきっと!!!

 

 

 

 

 

 

 

『落ちればアウト!!それが嫌なら這いずりな!!第2関門、ザ・フォーーール!!』

 

 

 

 

 

 シ ッ テ タ !!ええい、こうなったら綱渡りは時間がかかるから飛ぶ!!

 

 

 

「飛ぶぞ!【装備】、スオミ!」

Selvä!(了解!)

 

『おおーっと!?トップの秀内、綱がないところに一直線で走っているがどうするつもりだぁー!?』

 

 

 

 

 

 見える範囲の最短距離だと…一切綱がない場所になるな。滑ったら終わりだけど、逆に言えばミスさえしなければ距離を稼げる。

 大きく息を吸って前を見据える。淵に足をかけ、思いっきり蹴り飛ばす。直前でスオミのスキルを発動、TMPよりも強化されたブーストで一気に飛び出した。猛烈な空気抵抗と後ろに流れていく景色、同時に迫る次の足場。内側から伝わってくるのは、余裕だと笑うスオミの感情。ならば、それに応えてやらんとなぁ!

 

 

 

 

『ど、どういうこったぁー!?淵でジャンプしたと思ったら姿が一瞬で消えたぞ!!どんな身体能力してるんだこいつはぁ!!』

『あいつの個性はブラックボックスに近いからな。まぁ、共通して身体能力の向上があるのと銃をどっからでも出せるってこと位しか俺も知らん。』

『担任のくせに全投げしたな!続いて轟が何事もなく続いていくが、秀内との距離はだいぶ離れているぅ!先頭が一足駆け抜けて下は団子状態!上位何名が通過するかは公表していないから安心せずに突き進めぇ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうも距離は稼げたみたいだな。スオミがもっと、って感じで急かしてくるけど…。まだ待て、直接ぶっ放すのは後回しだ。【装備】すると感情も一部リンクするから…お願い、これ以上は引っ張られるから抑えてぇぇ!!もう第3関門っぽいところも見えてきてるから!

 

 

 

 

『そして早くも第3関門、一面地雷原!怒りのアフガンだあああ!!地雷の位置はよく見ればわかる仕様になってんぞ!!目と脚酷使しろ!!』

 

 

 

 

 

 酷使はお断りします。というわけで選手交代、姉御!

 

 

 

 

『いいねぇ!任せな!』

「【装備】、トンプソン!!」

 

『先頭を走る秀内、速度を落とさない!!そのまま突っ込めば地雷の爆発でやられちまうというのに止まらない!!』

『銃が変わったな。今度はどう来るんだか。』

 

 

 

 

 地雷原って言われてるけど…姉御のスキルなら関係ねぇ!ぼんぼん音がしてるけど私自身に来る衝撃はゼロ。正直、地面がえぐれて走りにくいくらい。

 

 このまま戦闘をトップで走り抜けようとした時だった。後ろからものっそい爆発音と空気を伝わってくる衝撃。それと吹っ飛んでいく緑谷君。えっ!?マジで???

 

 

 

 

 

『あっははは!!!そんな抜け方をするとは面白い奴だなぁ!』

「姉御ぉ…。」

 

 

 

『さぁさぁさぁ!この展開、誰が予想できたか!!今一番にスタジアムに戻ってきたのは____緑谷出久だぁー!』

 

 

 

 

 

 

 まさか…地雷と第一関門のロボの装甲を利用して飛んでくるとか。予想できるかっ!でもまぁ、2位になれたので満足満足。総合で1位取ってしまえばいいだけの話だし。姉御は大笑いしながら帰っていった。めっちゃ満足そうだったけど…思いっきり戦いたいって感情、隠しきれてなかったよ?スオミほどじゃないけど…SMGはみんな好戦的だなぁ。

 

 

 

 

『ようやく終了ね。それじゃあ結果をごらんなさい!』

 

 

 

 

 

 

 

 ミッドナイト先生がそう宣言するとスタジアムの巨大ディスプレイに順位が表示される。でかでかと映る緑谷君の隣に私がいます。人相わっる!いや、眼帯ついてるけどさぁ…やっぱこの時だけはもうちょっと控えめの眼帯にするべきだったか。

 結果が表示されたのは上位42人。どうやら、次に進めるのはこの人数ってことか。だいぶ減ったねー。

 

 

 

 

 

『さーーーて、第2種目よ!私はもう知ってるけど…何が出るかしらね!!_____騎馬戦(これよ)!参加者は2人から4人で騎馬を作ってもらうわ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 騎馬戦…。しかも得点は上位になればなるほど増えるし、騎馬によって得点が違ってくるのか。ふむ…。

 

 

 

 

 

 

 

『_____1位に与えられるポイントは1000万ポイント!!下剋上サバイバルよ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 …どうも、これは簡単に乗り越えられそうだね。

 

 




TMP「指揮官、いつの間にSMG専用の徹甲弾を?」
指揮官「父さんにお願いしたら、会社のほうで設計図描いてくれたんだよね。あとはそれを憶えてデータベース送りにした。」
もも「(それって…下手すれば機密漏洩とかのレベルでは?)」



 父上の会社はサポートグッツ関係を作る会社の下請けだったのに、いつの間にか大きな会社へとなって国レベルの会社に。結果として提案するとものすごいものが上がってくる。
 この徹甲弾の設計図(という名の図解)は作業員の息抜きで描かれたらしい。





スオミ「(まだ…まだ足りない。)」
AR-15「待ちなさい、スオミ。基地で戦いを求めて彷徨わないで。」



戦闘狂スオミ。この後ロシア組が演習してくれたらしい。うちのスオミはロシア組と喧嘩しないけど火がつくと見境がなくなる。ヨキトウソウダッタゾ(PSO2ネタ)











終わらない体育祭()長くなるか…3つで終わるかなこれ…


そして作者のせいで退場した本来の42位=サン…アワレナリ。
あと前話の感想で団長の詠唱風の感想くれた人。ありがとね…おかげでテンション上がりまくってこれ2日で書き上げました。



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始めましょう。ここが戦場(いくさば)なのですから【中】

前回の感想にて

Q:ガールズラブのタグつけたほういいんじゃない?(その展開見たい)
A:この作品、愛はあっても恋愛ではなく家族愛のつもりなんじゃ。すまんな。(百合展開書きてぇよ!!!)


Q:緑谷追いつくの無理じゃね?
A:しょっぱなのロボが原作より早く消えたので、その分走ったりできたことにしてください。私にそこまで考える頭はなかった(白目)





 今思った。レア度の高い奴らしか出てきてねぇ!!!でも好みだったり使用頻度高い人形たちなのでしょうがないよね…。何気にIDW好きだけど。
 あとアンソロも買ったんですけど…圧 倒 的 4 0 4 小 隊 率


『騎手がその騎馬のポイント全部を持つことになるのか。』

『責任重大、だけど鉢巻を取られても即失格にならないのはありがたいかな。』

「それは他の騎馬にも言えるのが面倒なんだけどね。」

 

 

『個性発動アリの残虐ファイト!でも…悪質な崩し目的での攻撃はレッドカード!一発退場とします!』

 

 

 

 

 おうふっ。崩し目的はだめなのか…でもそれって、直接狙わなければ妨害で使用可能ってことだから…。うん、やっぱりあれを使うのが手っ取り早そう。

 

 

 

 

 

『指揮官、悪い顔してるー。』

『一応聞きますけど、騎手と騎馬のどっちになるおつもりで?』

「騎手。じゃないと今考えてる作戦は無理そう。あとは…45姉いる?」

『いますよー。現地じゃなくて基地待機なのでいつでも。』

「今回やろうとしてるのは_______ってことだから。45姉、しっかりアシストよろしく。」

『オーケー。ずいぶんと面白そうだけど、やられる側はたまったもんじゃないと思うよ?』

 

 

 

 

 ステンバーイ、ステンバーイ…。いえ、今回は射撃は一切使わずに行くつもりなんですけどね。でもはっきり言ってまだ使いこなせていないうえに、今回やろうとしてるのは…ひっどいことなんですよねー。だがしかし、勝てばいいのだよ!HAHAHA!!

 ともかく、騎馬を作るために設けられた時間は15分。あらかじめ他のクラスの人の個性とかも調べていた分、今回組みたい人は現時点で決まってる。

 さっき1位になってた緑谷君は…うん、よけられてます。狙われちゃうの確定してるし。

 

 

 

 

「さてと。目的の人物はー…みっけ。はろー!騎馬を組みたいんだけど組んでくれないかい?」

 

 

 

 

 

 声かけた瞬間、「はぁ!?」みたいな顔されたけど…。悪かったな、こんな凶悪な奴から声かけて。しかも様子からして私で人数ジャスト。やりい。

 それともう一つ。君の個性は私に対しては効果がないと言っておくよ。安心したまえ!!!安心できなさそうだけど。

 

 

 

 

 

 

『さあ上げていけ鬨の声!血で血を洗う雄英の合戦が今、狼煙を上げる!!』

 

「いやぁ、いきなり声をかけて悪いね。でもさっき言った通りによろしく。」

「…正直に言おう。俺は今すぐにでも投げだしたいくらいだからな。」

「SANチェック入るかもしれないけど…確実に次に進むって約束できるから。」

「…。」

 

 

 

『3…2…1…______スタァァァト!』

 

 

 

 

 

 合図と同時に騒ぎ出すスタジアム。目の前の騎馬はあっという間に緑谷君のいる場所へと殺到していく。こうして見ると、圧巻の光景です、HAHAHA!

 

 

 

 

「1000万ポイントの奪い合いだろ!!」

「くそっ!込み合ってて進まねえ!!」

「だあああああ!!じゃあ眼帯付けたあいつ狙うぞ…おい待て、あいつはどこだ?」

「んぁ?眼帯ついてるならすぐにわかるだろ…ってマジでいねえ!?」

 

『さぁ~~~て!開始2分もたってねえのに早くも混戦混戦!』

 

 

「1000万狙わないで地道に稼ぐぞ!2位だったあいつを探せ!」

「ああっ!爆発野郎にやられっちまった!」

「轟も厄介極まりねえぞ!」

 

 

 

 

 うん、この様子だとしっかりと効果は出ているようで。

 さて、始まって5分でそれなりに鉢巻がまとまり始めたな。行動開始と行きますかぁ!

 

 

 

 

 

「出るよ。まずは壁際で様子見てる所から。やる前に合図するから耳塞ぐの忘れないで。」

「わかったよ…。くそ、何でお前には俺の個性が効かねえんだ…。」

「すでに受けたものに対して、何も対策を取らないのは愚者の選択だからね。覚えておくといいよ。その個性、使い方を誤れば破滅しかないけど、正しい使い方をすれば英雄になれるくらいに強いんだから自信を持てよ。」

「ああもう!お前みたいな規格外には会いたくねえけどな!」

 

 

『…んん???秀内ガールはいったいどこへと消えたぁ!?あれだけ目立つ面なのにどこに隠れていやがるんだぁ!』

 

 

 

 

 おっと、そろそろ効果が切れ始めてる。仕掛けるならやっぱり今だね!

 

「(45姉、さっき言った通りに迷彩を弱めていくように。あとは…私がやられないようにしっかり耐えてね。)」

『任せて。」

「よし、準備完了。()()君、このまま壁際のチームをつぶすよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何とか他のチームから奪い取った鉢巻を死守しつつ、壁際付近で防御に徹底している。何度か狙われたが、奪われないように立ち回り、逃げ切る。あとはこのまま時間切れになれば…。

 

「…あとはこのまま取られないように_____っ!!」

 

 

 

 急に背筋が冷えるような恐怖が、何の前触れもなく襲い掛かってきた。だが、近くに他チームの騎馬の姿はない。ならば一体どこから?_____

 

 

「_____首を差し出すか、全ての鉢巻を差し出すか。貴様に選択する時間を与えよう。」

 

 

 

 

 ____首筋に当てられた黒い剣が見える。その声は低く、感情は感じられない。だが、ここで動けば確実に恐ろしいことが起きる、それだけは理解できた。

 感じたことのない恐怖で一言も発することができない。下で騎馬を務めるクラスメイトも同じような状況だろう。ガタガタと震えることしかできない今、この恐怖から逃れるすべは一つ。鉢巻を差し出すことのみ。

 

 こうして、俺たちからはすべての鉢巻きが奪われてしまった…。だが、あの恐怖を味わうくらいなら、その程度の代償は安いようにも感じた。

 

 

 

 

 その直後に見たのは_____ユラユラと陽炎のように消える騎馬、あの眼帯を付けた生徒が黒く大きな剣を携えながら、悠々と進んでいく姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ____よっしゃああああ!!!!作戦成功!!!!でも心なしか、下で騎馬になってる3人まで震えている気がする。ごめん、ちょっとやりすぎた。

 

 さて、私が何をしたかというと…ただの八つ当たりです。八つ当たり、はい。でもこれ、手の込みすぎた八つ当たりなんですよ。

 手順としては

 

・45姉を【装備】して、4人分の迷彩と認識阻害をかける

・何分か様子見をして鉢巻がある程度まとまるのを待つ

・壁際にいる奴らから狙って奪う

 

 って感じで。そして八つ当たりの内容は…先日発生した襲撃事件です。先ほど奪うときに言ったセリフ、前世で某ソシャゲにて大変お世話になったキャラの物をいじったセリフでして。言ってないところを補うとただの八つ当たりに、省略すると脅迫になります。私はどうも、怒りが外に向くと殺気じみたものになってしまうらしく、怒らせないほうがいいらしい。らしい、というのは自覚してないからなんですけど。

 

 ともかく、「(襲撃事件のせいで人形たちとの訓練がおじゃんになってしまった。この怒りをどこに向ければいいか知らんがとりあえず頭に来ているから)首を差し出すか、すべての鉢巻きを差し出すか。貴様に選択する時間を与えよう。」

 

 となりました。案の定、殺気がすごかったらしい。45姉がめっちゃ笑ってる。そんな感じで外周付近を地味に回って、鉢巻強奪with八つ当たりの殺気となっております。奪われたチーム、どうも「たけしマナーモード」みたいになって震えてますね…あとでケアしなければ。きっとSANチェック入ってる。

 そしてもう一つ。迷彩を解くときに陽炎っぽくすることで某キャラの必殺技演出を再現しています!即死が入らないだけいいと思うんだ。そのため、45姉を【装備】して、そのまま処刑人のブレード、うちでの呼び名が【断罪剣】って呼ばれているんだけど、それも出してます。あとは無表情を維持しつつ悠々と進んでは脅迫(八つ当たり)をしていきます。離れたところでは緑谷君と轟君と爆轟君の混戦がすごいことになってる。見てて派手すぎじゃねーかあれって思うけど。

 

 

 

 

 

『5…4…3…2…1…_____time up!!』

 

 

 

 

 

 よぉし!鉢巻維持!!結果発表を聞くとしよう。45姉、いつまで笑ってるの。

 

 

 

『早速上位4チームを見てみよか!___1位、轟チーム!』

 

 

 

 安定したチームだなと思ってたけど、1000万ポイントをかっさらったみたいね。でも騎手の轟君は悔しそうな顔してる。

 

 

 

『2位、爆豪チーム!』

 

 

 こっちも悔しがってるぞ!?いや、爆豪君の場合は1位じゃなかったとこからくる奴だな。ご愁傷様。

 

 

 

『3位、鉄て…アレェ!?秀内チームだ!!お前どこにいたんだよ!?』

 

 

 

 ドーモ、ミナサン。ヒデウチ=デス。アサシンして八つ当たりしてました。今はもうさっきの剣消してるのでみんな気づけていなかったのかも。

 あと私の個性の力で消えてただけなので。目の前にいましたとしか言えませんぞー。私の名前が挙がった瞬間、マナーモード勢が一瞬びくってしてた。ごめん。

 

 

 

 

 

『4位、緑谷チーム!以上4チームが最終種目進出だぁーーー!』

 

 

 

 あ、とーくんのシャドウが鉢巻咥えてどや顔してる!!やるなぁ。緑谷君、めっちゃうれし泣きしてる。

 

 

 

 

 

『一時間ほど昼休憩をはさんでから午後の部だぜ!じゃあな!』

 

 

 

 

 

 

 

 マイク先生、相澤先生に飯フラれてるじゃないですか。てかけが人寝かせておけよ。

 ふむ、お昼休憩か。でもお昼の前に…親のとこに最終種目出場を直接報告しないとね!…45姉、まだ笑ってるよ。

 

 

 

 

 

 

 

________________

 

 

「父さん、母さん!見てた!?」

 

 

 

 そんな声がすぐ近くから聞こえてきた。声の方向を見れば、眼帯をした生徒が両親のところへと最終種目進出の報告をしているようだ。とても仲睦まじい家族で、見ていて微笑ましい。そこから何言か会話をした後、両親は会場から出て行ってしまった。おそらくは仕事の都合か何かで午前中しか見られなかったのだろう。

 

 1時間の休憩があるから、俺も昼飯を食うために敷地内の売店に行こうとした時だった。やけに人だかりができている場所があった。何事かと思ってみてみれば…やけに美人な外国人が4人いた。しかもこれ、よくよく見るとその集団から円を描くように距離を取ってやがる。まさかの野次馬かよ!!だが、そんな人だかりを無視してその集団に近づいていく1人の生徒の姿が。先ほどの眼帯を付けていた生徒だ。

 

 

 

「みんなこっちに来てたんだ。というか、この人の集まり方はいったい何なの…?」

「あー、私たちは何もしてないぞ。ただまぁ…いつの間にかこうなってたとしか言いようがないんだ。」

「ごめん姉御、注意しなかった私も悪かった。ま、お昼だし一緒に何か食べにいこっか!」

「いいけど、この人混みの中を行くの?」

「それしかないでしょ。あー、もしかしてファル姉、痴漢未遂にでも合った?」

 

 

 

 

 やけに仲がいいようだな。ただ、なんというか…眼帯付けたお嬢ちゃんがいるとどうしても…マフィアの集団にしか見えなくなってきた。でもこんな集団にやられると考えたら…いや、やめておこう。

 美人ぞろいの集団がスタジアムから出て行った。正直、今の奴らを見れただけ眼福だったな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現場に直接見に来てたのは4人が限度っぽいね。まぁ、この人混みじゃあ致し方ないでしょうなー。

 雄英の近くに【箱】を置いていたのか、ここらへんであればもうバッテリーなしでもうろつけるって416が報告してくれてたからそこまで混乱はしてないけど。来てたのはトンプソン、FAL、ブレン、kar98kの4人だった。ブレンが来てるのはちょっと意外だね!

 

 そうしてやってきたのは食堂。めちゃくちゃ人がいっぱいいる。そりゃそうだよね、普段食えない学食を食べることができるんだから集まるよねー。それでも何とか空いたスペースを見つけて5人でお昼たーいむ。頼んだのはお腹に負担がかからないようにと考えて、和食メインの物にしました。煮物うまうま!学食、普段使わないからちょっと新鮮。あと4人もそれぞれ気になってたものを注文してましたねー。姉御はバーガーセット、FALは私と同じ和食メインのもの、ブレンとKarはロシア料理を注文してたみたい。ロシア料理なんてものまで用意してるのか…!

 

 

 

 

 …週一くらいで利用してみようかな。

 

 

 

「…ん?お嬢、あそこにいるのは同じクラスの生徒じゃないか?」

「おん?あ、ほんとだ。どうしたの八百万さんや。」

「秀内さん、その…先ほど峰田さんと上鳴さんから言伝をもらいまして…。」

「もしや、参加しないといけないものが増えた感じ?」

「ええ。時間的にも今から動かないと少々厳しいかもしれませんわ。」

「おっけおっけ。じゃあ4人とも、先に行かせてもらうねー。」

 

 

 

 

___________________

 

 

「…なぁ、確か事前に調べた限りでは生徒が出し物する項目ってなかったはずだよな?」

「そのはずだけど…。」

「もしや、誰かが邪な理由でやらせようとしているのでは?」

「ふふっ、指揮官もチアガールの格好をするんでしょうか?」

 

「「「ない」」」

「そんな夢も希望もない…。」

『そろそろ交代してよーー!席のキープ案外面倒なんだよー!』

 

 

__________________

 

 

 

 

 

 

『___あくまで体育祭!ちゃんと全員参加のレクリエーション種目も用意してんのさ!本場アメリカからチアガールも呼んで一層盛り上げ……ん?アリャ?』

『何やってんだあいつら…。』

 

『どーしたA組!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 あぁー…やっぱりな。これ絶対、邪な理由で騙されたんだわさ。まぁ、私は回避したからいいんだけどさ。

 

 現在、最終種目まえのレクリエーションタイムでございます。私がいるのはフィールドに入るための待機通路、他のクラスメイト(女子)は目の前でチアガールの衣装着て並んでおります。ちょっと奥にいる峰田君と上鳴くんの様子からして、こいつらが主犯だなー。よぉーし、叩きのめすか。ちなみに私がチア衣装を回避できた理由はですね…「合わなかった」という非常に悲しい結果だったためです。多分、体鍛えてるから全体的にがっしりしてるのと、眼帯のせいで方向性がぶっ飛んでるからですね。外してもあまり変わらなかったらしい。まじかよ。

 

 

 

 そうして始まる運命のくじ引きたーいむ。進出4チーム、16人によるトーナメント形式のガチバトル。ここが正念場になるなぁ!

 

 

 

 

 

 

 

『それじゃあ、組み合わせ決めのくじ引きを_____』

「__あの、すみません。俺、辞退します。」

 

 

 

 

 そうして手を挙げたのは同じクラスの尾白君。先ほど騎馬を一緒に組んでいたんだけど…やっぱり、彼の個性で動いてたっぽいね。辞退の理由は「自分の実力で来たわけじゃないから」というもの。素直ですな…。あとごめん、いくら彼の個性で操られていたとはいえ、おもっくそビビらせたね。同じような理由でもう一人、Bクラスの庄田君も辞退。繰り上げとして5位だったチームから2人入ってきた。ミッドナイト先生、主審だけど好みで棄権を認めるあたり相当ノリがいいほうと見た。

 くじ引きの結果、初戦はクラスメイトの芦戸さんとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 レクリエーションが終わり、セメントス先生によるフィールド作りが完了した。

 ひしひしと伝わってくるのは緊張と期待の空気。出番はもう少し後だけど、すでに戦いは始まっている。

 

 

 

 

 

「行くよ。ここは既に敵地と思え。」

 

 

 返ってくるのは確かな返事と自信。こんなところで負けるようじゃあ、あの世界を生きていた彼女たちに示しがつかない。指揮官を名乗る資格もきっとないだろう。

 見据えるは、目の前ではなく未来。たとえちっぽけな理由であろうと、全力で叶えに行くのみ。

 

 

 

 

 

『続いて第5試合!両選手、フィールドへ!』

 

「_____ST AR-15(コルトスター)、出るぞ。」

『ええ。指揮官、あなたに私の力を。』

 

 

 

 

 

 

 

 こうして、私の勝負が幕を開ける。




チア服が似合わない脳筋女子はこいつです()


指揮官が騎馬戦でしてたことはFGO(もはや伏字が面倒になった)の山の翁の宝具のアレンジです。八つ当たりだけど。

Q:何で洗脳効かないの?
A:45姉は本国で実装されたイベントシナリオでそれっぽいことを既にされていてな…だがしかし、とある人形が対策をしていてくれたおかげで何とか生き残ったので、その設定を利用してます。(わかりにくい説明で悪いね)
 要は抵抗持ちってことです。



 迷彩と404小隊お得意の認識阻害で存在感が皆無に…!つまり相手は死ぬ(死なない)処刑人のブレード、めっちゃかっこいいよね!ハンターのスタイルも好きだけど。ただしドリーマー、お前は死ね慈悲は無い。


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始めましょう。ここが戦場(いくさば)なのですから【後】

ちょっと遅れた理由:インフル


辛いです。後戦闘描写なんて飾りなのよ…



一〇〇式ちゃん製造可能になるよ!!!!!!!!!!!500式ちゃんを4人作るしかねええええええ!!!!!!


『さあさあさあ!続いて第5試合!溶かすも滑らせるも自由自在!A組、芦戸三奈!』

 

 

 

 呼ばれた芦戸さんが観客に向かってピースサイン。観客たちも声をあげて応援する。

 

 

 

 

『VS!バカみたいな運動神経と凶悪なブツを取り出す眼帯ガール!A組、秀内奏!』

 

 

 

 

 凶悪なブツ…まぁ、合っているから問題ないか。私は観客席に向かって敬礼。ちょっとは軍人っぽくしたいよね。

 

 そして変わる空気。大きく息を吸い_____

 

 

 

『___スタァァァーーート!!』

 

「先手必勝!」

「___なめるな!!!」

 

 

 

 

 豪風。着ていた体育着ではなく、()()()()()()S()T() ()A()R()-()1()5()()()()を纏い、ST AR-15本体を握り、銃撃をお見舞いする。予め先生たちには使用する銃弾の種類は暴徒制圧用のゴム弾のみ、と伝えているので問題ない。

 突撃してきた芦戸さんはすぐに反応、個性を用いて弾を溶かすと同時に横へと避けた。

 

 

 

 

『おいおいおい!秀内ガール、いきなり服まで変わりやがった!!お前一体いくつ隠し玉持ってるんだよ!』

 

「び、びっくりした…。流石に服まで変わるとは思わなかったよ。」

「そりゃそうだよ、言ってないし。それともう一つ、____おしゃべりはここまでだ。」

 

 

 

 

 スキル発動準備完了。仕掛けてくると警戒して距離を取りつつ止まっている。だが、銃を持っている奴を目の前に動きを止めるのは悪手以外の何でもない。

 

 

 

「___これが、私とお前の差だ!」

 

 

 

 スキル、突撃集中。自身の射速を45%上昇させるこのスキルのメリットは、持続性とリチャージの短さ、そしてほぼ倍になる射速である。射速が倍になるということは___絶えることのない弾幕が自分に襲い掛かってくるということ。

 スキル名の通り、突撃されながら撃たれれば自分は下がるしかない。いくらゴム弾とはいえ、飛んでくる速度はかなりの速度だ。自身の個性である酸を用いたとしても、その衝撃までは溶かすことはできない。

 

 最初こそ、酸を放って溶かすこともできたが…この射速間隔から放たれる弾をすべて溶かすことは不可能。つまり___

 

 

 

「うげ…やっば!いだだだ!!」

 

『芦戸、場外!勝者、秀内奏!』

 

 

 

 

____被弾からの場外。勝負はあっという間についた。銃口を上に向け、観客に向かってウインク。つまるところ、ST AR-15の勝利ポーズを演出として見せた。

 

 

 

 

「いたたた…始まって1分経たずに終わるとか。近づくこともできなかったよ。」

「銃持ってる相手に警戒するのはいいけど、止まるとただの的だからねー。」

 

 

 

 

 あははー、と笑いながら場外に行ってしまった芦戸さんを引っ張り上げる。流石に痛いよね。…うん、目立つところに痣とかもないから冷やしておけばよさげ。

 観客席からの声としては、「銃かっこいい!」とか「銃を取り出す個性か?」とかそんな感じ。めっちゃ困惑してる声があるね。わかる、でもこれまだ序盤なの。

 

 

 

 

『次の試合に移るから2人とも退場してねー。あ、秀内さんは控室だよ?』

 

「わかってますー。それじゃあ下がろっか。」

「そうだねー…あー、もう悔しいよ!!あとでリベンジしてやる!!」

 

 

 

 

 

 リベンジ、いつでも歓迎ぞ。ただし先生の許可が下りたらな。

 【装備】していたST AR-15を解除し、控室へと移動をする。次の試合の常闇(とー)君と八百万さんの勝負を見たいけど、次の作戦とかも考えたいから大人しくしておくことにする。…次は誰を起用しようかな。

 

 

 

___________

 

「…あいつの個性、確か具現化操作といったか?」

「ええ。八百万さんの創造とはまた違った物らしいわ。本人に聞いたことあるけど…『召喚』と『使役』が混ざってるとのことよ。」

「召喚はまだわかるが…使役とはどういうことなんだ?」

「なんでも、前は今のように銃を取り出したり身体能力が上がるような個性ではなくて、ぬいぐるみやプラモデルといったものを動かすものらしいわ。使役はそこから来てるんじゃないかしら?」

「だとすれば…益々分からないな。」

 

 

 

 

 実況室に来ていた主審のミッドナイトこと、香山 睡(かやま ねむり)は相澤に先ほどの試合のことを聞かれていた。ミッドナイトはかつて、秀内奏の出身中学校に来賓としていったことがある。そのため、何かと秀内との交流もあるため聞かれていたのである。

 先ほどの試合、秀内は個性を発動した瞬間に服装ごと変化したため、確認を取っていたのだ。襲撃事件の直後にも個性について質問したが、その時には銃ごとに固有の能力があり、それを利用していると言っていた。だが、ミッドナイトの話によれば中学生のころの個性の能力と大きくかけ離れている。

 

 

 

 

「…もしかすれば、彼女はまだ個性を出し切っていないのかもしれないわね。」

「これ以上まだやるつもりなのかあいつは。すでにあちこちから目をつけられているというのに…これ以上目立つ真似をすれば厄介ごとにしかならないと思うぞ。」

 

 

 

 

 ただでさえ対人に特化した個性。それも、かなり危険性の高いものである以上、雄英のほかに目をつける輩はいるだろう。一番、考えたくないのがヴィランの厄介な奴ら___いわゆる洗脳系の個性を持つ集団にでも捕まれば、大惨事を招くこととなる。

 

 

 

 

「本当に…あいつはどうするつもりなんだ?」

 

 

 

 

______________

 

 

『準々決勝3回戦!爆発銃撃お手の物!秀内奏VSその攻撃力、侮れるものじゃない!常闇踏陰!!』

 

 

 

「とー君と勝負することになるとは…。でも加減なんてしないよー!」

「無論。俺だって全力で行くぞ、奏。」

 

 

 

 

『____スタァァァト!!』

 

 

 

「シャドウ!!」

「アイヨ!」

「【装備】UMP9!」

『まっかせてー!』

 

 

 

 

 真っ先に懐へと襲い掛かってくる黒い影。はっきり言って、速い。【装備】することで身体能力は軒並み上昇するのだが、それでも回避が精一杯。さらには、体の近くであるために銃口を向けることもできない。ともかく、距離を少しでも開けるために影を蹴り飛ばす。左足を軸に上段回し蹴りを思いっきりお見舞いする。

 水面に思いっきり体をたたきつけるような感覚。きれいに決まった回し蹴りだが、浅い。直前で少し下がったようだ。右手に持ったUMP9の本体を影の下、つまりフィールドに向け、ズガガガガっと連射。わずかばかりの粉塵を巻き上げ、一瞬だけ視界を遮る。

 

 無論、その間にも影は襲い掛かってくる。だが、視界を遮られたことにより狙いは甘い。すぐに下へとしゃがみ、左手を腰へと当てる。そこにあるのは、()()()()()。すぐにピンを抜き、先ほど穿った場所へと放り込む。同時に、先ほどは当たらなかった攻撃を再度仕掛けてくる影。避け切れない、と判断したため、閃光手榴弾を放った腕をそのまま振り下ろし、わきへと攻撃を逸らす。

 

 

 その瞬間、先ほど放った閃光手榴弾が爆発。視界が光で埋まるが___【装備】をしている私からすれば少々眩しいだけ。怯んでいる影を無視して常闇君のすぐ目の前へと踊りこみ…銃口を突き付ける。

 閃光が収まり、とー君が目にするのは…自分の眉間に向けられた銃口。それが意味するのは______。

 

 

 

「…まいった、俺の負けだ。」

 

 

『常闇君、降参!勝者、秀内奏!!』

 

 

 

「あ、危なかった…。結構早いし威力もあるね…。」

「いや、そもそもあの速度に反応できてあまつさえ受け流しするとか、普通出来ないからな。」

 

 

 

 

 呆れられた。えぇ…。ともかく、痛い一撃をもらう前に降参をもらえてよかった…。観客は肉弾戦からの閃光、接敵の流れで盛り上がってますねー。

 初戦と同じくUMP9の勝利ポーズを観客に向ければ返ってくるのは声援。物理特化でしかも銃使うから物珍しいんだろうね…。決勝でもうちょっとはしゃぐ(当社比)ことになるけど。

 

 

 

 

「つぎは…そうか、爆豪が相手か。…ここまで来たんだ、負けるなよ。」

「もちろん、頑張るよ!」

 

 

 

 

 とー君と拳を軽くぶつけ、控室へと向かう。後ろからかかる声援は、とても大きくなっていた。

 

 

 

 

 

 

________

 

「…奏、お前の個性はだいぶ変わっているんだな。あの時見たのも…幻覚じゃなければ。」

 

 

 

________

 

 

 

 

 

『準決勝2回戦!その動き、もはやプロか軍人か!銃を使って翻弄していけ!!秀内奏VS爆発するのは怒りか、その手か!爆豪勝己!!』

 

 

「負けるつもりなんてないから。本気で来な。」

「ケッ!そんな()()()()()()で俺を倒せればいいな。」

「…鉄の塊ごとき、ねぇ?」

 

 

 

 準決勝、始まる直前に言われたこの言葉。確かに、強い個性を持っている人からすればその通りだ。だがしかし、私にとってその言葉は___彼女たちへの侮辱でしかない。私の事情なんて知らないだろうけど、こればかりは許せない。ならば、やることは一つ。徹底的につぶすのみ。

 

 

 

『____スタアアアアアァト!!』

 

 

 

 いきなり上がる爆発音と粉塵。ただ真正面から受け止めれば、その威力によって一気に場外、避けても次の爆発が待っている。だが、そんなものは私にとっては意味をなさない。その場に留まり、爆豪を見据える。足元のフィールドは私の周囲を残してえぐれ、瓦礫となっていた。

 

 

 

『秀内、その場から一切動いていない!!しかもダメージは皆無だあああ!!本当にお前、その個性なんなんだよ!!』

「…爆豪、一つ言っておいてやる。」

「あぁ?」

 

 

 次の一手を構える爆豪。だが、その前に宣告をしてやる。

 

 

 

「私が持つ()を鉄の塊呼ばわりした事、万死に値するものと思え。」

 

 

 

 【装備】していたトンプソンを解除、同時に呼ぶのは_____

 

 

 

「【装備】、M16A1___反転(オルタナティブ) /【断罪剣】(エクスキューショナーブレード)

『…了解した。だが、加減を忘れるなよ、指揮官。』

 

 

 

 

 

 

 _____鉄血へと渡ったM16A1と処刑人の黒いブレードだ。

 

 

 

 

 

「来い。お前の全力を叩き切ってくれる!!」

「…舐めるな眼帯野郎が!!」

 

 

 

 

 再び襲い来る爆発。だが、その手元で爆発が起きるよりも速く、速く、右手に持ったブレードを振り抜く。もはや残像が見える勢いで振り抜かれたブレードから放たれるのは…飛ぶ斬撃ともいえる風圧。方向性をずらされた爆発は私の方向ではなく、爆豪の後ろへと向かう。

 

 鉄血の傘下に下ったM16A1の装備能力、その本髄は____他の人形たちを装備した時よりも上がる身体能力だ。無論、デメリットもある。制限時間がある上に、それを超えると体がよくないものに侵食される。侵食されれば、人形たちを呼べなくなるうえに1週間は動くことすらできなくなる。さらには、本来のM16A1のスキル、閃光手榴弾も使えないうえに、本体の銃も大きく威力が落ちる。つまり、完全に近接戦闘主体の戦い方になるのだ。

 制限時間は5分。だが、()()()()ならばどうと言うことはないだろう。

 

 

 

『ひ、秀内!まさかの銃ではなくでかいブレードを出した上に残像が見えたぞ!!!もう分かんねえぞ!!爆豪の攻撃すら無効化するとか、完全に戦いなれてやがるー!!』

 

「クソっ!」

「どうした?それがお前の全力か爆豪。言ったはずだ______全力で来いとな。」

 

 

 

 

 一歩、二歩。進むたびに爆豪が同じように後ろへと下がっていく。よくよく見れば、爆豪は右目をつむっている。先ほどの斬撃によるフィールドの破壊で飛んできた破片か何かが入ったのだろう。動かないならば、こちらから行くのみ。

 

 

 

「構えろ…じゃなければ____恥さらしで済むかな?」

「っっっ!!!!」

 

 

 

 

 爆豪が再び攻撃を仕掛けてくる。先ほどよりも強い爆発。だが狙ったのは足元。目くらまし目的の爆発であれば、そこまでダメージはない。近接戦における防御力の高さは、今【装備】の状態が一番高い。生身で爆発に耐えられるとなれば…かつての世界、ドールズフロントラインの中にいたときよりもずっと高いだろう。

 粉塵による目くらましをブレードを振るうことで払う。その瞬間飛び込んでくる爆豪。だが、そのくらいの行動は読めている。振り抜いたブレードをそのまま突き刺し、そこを軸に飛び込んできた爆豪の首と腕を両足でとらえる。所縁、三角絞めと呼ばれる体勢へと変え、そのまま頸動脈を絞める。

 

 

 人の脳というものはかなり繊細なものであり____しっかりと絞めれば脳に酸素が行かなくなり、ほんの数秒押さえるだけでも気絶する。

 爆豪の体から力が抜けたのを確認して開放する。そのまま地面に横たわり動かない爆豪。つまり_____

 

 

 

『ば、爆豪気絶!!よって勝者、秀内!!!!』

 

 

 

 

 

 ブレードを横なぎに一閃。同時に【装備】を2つとも解除して通常状態に戻る。同時に襲い掛かってくる疲労感。M16の反転はかなり負担になる。だが、本来決めようとしていた技を出さずに三角締めで済んだのはうれしい誤算だった。

 観客に向かって一礼をし、気絶したままの爆豪を米俵を持つようにして抱え____いわゆるお米様抱っこの状態でフィールドを去った。

 

 通路で待機していた救護班に爆豪を任せ、控室へと移動する。少々派手にやりすぎたため、修復に10分ほど時間がかかると言われてしまった。申し訳ねぇ。控室に置かれている椅子に座り、一息つく。

 

 

 

 

『ずいぶんキレてたな、指揮官。』

「そりゃそうだ。みんなのことを鉄の塊呼ばわりしたんだもん。流石にキレる。」

『はは、それでこそ私たちの指揮官だな。だがまぁ、アレを繰り出そうとしてるとわかった瞬間、無理やりにでも止めるつもりだったんだが…あいつが突っ込んできてくれて助かったな。』

「当たっても死にはしないよ。せいぜい粉砕骨折で済ませるように加減したさ。ま、大衆の前で三角締めされて即気絶とか、本人からしたらすごく恥ずかしいだろうけど。」

 

 

 

 その言葉に笑うM16。残す勝負は決勝、轟君が相手だ。手元にあるタブレットで今までの試合を軽く見ているが…緑谷君との戦闘以外では左手、つまり炎は極力使わないようにしている節がある。その分、最初から広範囲、高威力の氷塊で氷漬けにされているが。

 

 

 

「…うん、やっぱり見せつけるなら一番だよね。」

『ってことは…。』

 

「秀内さーん、次の試合始まるから出てきてー!」

「あ、はーい!」

 

 

 

 

 

 お呼びがかかった。これが最後、でも私にとっての始まり。やるならば、「明るく、激しく、鮮烈に!」ってね!

 

 

____________

 

『さぁいよいよラスト!!雄英1年の頂点がここで決まる!!決勝戦、轟 対 秀内!!今!!』

 

 

 

 

 

 やるならば、一番目立つように。印象付けるように。

 

 

 

 

 

『_____スタアアアアアアアアアアト!!』

 

 

 

 

 

 

 開始と同時に走る冷気と莫大な量の氷塊。フィールドを覆うくらい大きな氷は並大抵の奴なら速攻でやられる。だが、正面と多少の上方向に強くても、氷が出てくる順序は変わらない。氷が迫りくると同時に上へとジャンプ。体へと到達する前に蹴り壊し、完成した氷の上へと立つ。高さとしては7mほどだろう。中々に大きいものだ。

 

 

 

『いきなりかましたぁぁ!!秀内にナニかされる前に決着をつけたかったか!!!だがしかし、秀内は氷の上に立っている!!どうやって上ったんだよお前!』

 

 

 

 

 氷の塊の上からフィールドを見下ろす。こちらを見つめる轟は次の一手を出すところだ。それを確認した私は、ニィっと笑って挑発する。

 ひらり、桜の花びらが舞う。

 

 

 轟が私の頭上に氷柱を落としてくる。どうも、今しがた乗っている氷からさらに攻撃を加えるのだろう。座標ではなく、自分の腕を中心にして出しているが故に、その動きまで少々時間がかかる。

 はらり、再び桜がフィールドを舞う。

 

 

 氷柱が落ちる前に、【装備】したスコーピオンのスキル、焼夷手榴弾で氷を壊して溶かしつつ、地面へと着地。そのまま轟へと向かって弾幕を張る。2丁から吐き出される弾幕は攻撃の隙を与えず、轟は自身の前に氷の壁を張って防ぐ。ガチンッ、と弾切れを知らせる音が響いた。その瞬間、再び襲い掛かる氷塊。地面を這いながら迫る姿は、さながら氷の大蛇か。だが、弾が切れても焼夷手榴弾の再装填(リキャスト)は終わっている。迫りくる氷へとそれを投げつけ、爆破と同時に私と轟の間に炎の壁を作る。

 

 少しの間、轟はこちらを警戒している。だが、すぐに氷を出してこない。…よく見れば体に霜がついており、動きも少し鈍っている。左の炎を使えばどうと言うことはないだろうが、きっと彼には彼の事情があるのだろう。

 

 

 

 

「しょっぱなからデカい一撃出してきやがって…。流石に肝が冷える。」

「それを無傷でいなすお前もな。」

「ま、そうだよね。でもまぁ、さすがに長引かせればちょいと面倒だし…それに、私も本気を出したいなー。」

「…まだそれで本気じゃないのか。」

 

 

『両者、にらみ合いが続いている!何を話しているか知らねぇが、早く動いてくれよなぁ!!』

 

 

 

「私の個性はね…銃を出すことがメインでも、身体能力の向上がメインでもない。本来は、『召喚』と『使役』が本来の力なんだよね。」

 

 

 

 

 桜の花びらが、分かるくらいに舞い始める。それに気づいた観客たちが「なんだ?桜?」と騒ぎ始める。それに気づいた轟が構える。

 

 

 

 

「銃を取り出すのも、そこから派生する能力も、ただの応用。私が()()()と並ぶためにできるようになった事だからね。本来なら、私が前に出る必要はなくて、安全なところから黙って指示を出すだけ。」

 

 

 

 

 

 桜が、視界を遮るくらいに舞い始める。それはスタジアム全体に広がるほどの範囲で、急速に舞っていく。轟が動いた。

 

 

 

 

 

 

「だから、本当の私の個性を、本気をもってこれから君に戦いを挑む。轟、出し惜しみをすれば…後悔するよ?」

 

 

 

 

 

 

 轟が再び氷を繰り出す。私は動かない。

 氷が直撃する、だれもがそう思った瞬間、桜吹雪が氷とぶつかり_____消えた。そして、私の目の前に桜が消えると同時に現れる一人の少女。黒く長い髪と赤いマフラーが靡き、その手には不釣り合いな銃が握られている。

 

 

 

「____正式名、一〇〇式機関短銃、参る!」

「っっ!?」

 

 

『なっ…!どういうことだ!!いきなり桜が舞ったと思えば氷が消えて人が出てきたぞ!?』

 

「先生、これが私の『個性』ですよ。本来のね。」

「人を呼び出す個性…!?」

「正確には違うけど。まぁ、そんなもんだよ。言っておくけど____強いよ?」

 

 

 

 

 会場が混乱の声を上げる。そりゃそうだ、桜吹雪が止んだと思えばフィールドに1人増えている。しかもかわいいんだぞ!そんな状況が生まれればどうなっているか分からなくなるなんて当たり前だろう。

 

 そして____私は合図を出した。

 

 

「___行きます!」

 

『な、何がどうなっているか分からねぇが秀内の個性で出てきたお嬢ちゃんが轟に向かっていく!!てか、もしかしてさっきの桜もお前の仕業か!?』

 

「言ったよ、本気で来ないと負けるって。敵はこっちの事情なんてお構いなしに来るんだ。一対多数なんて当たり前だし、いきなりの増援だってありうるんだから、手早くね。」

「っ…!」

「せぇぇやあ!!」

 

 

 

 一〇〇式の蹴りが轟に襲い掛かる。咄嗟に氷を出して防ごうとするが、戦術人形の強さの前にそれは意味をなさない。衝撃音とともに砕け散る氷。一〇〇式はそのまま銃を向け、射撃。轟は防戦一方にならざるを得ない。

 次第に押される轟。それでも、一向に炎を使おうとしない。

 

 

 

 

「使わない、か。それもいいけど…まぁ、終わりにしよう。___【装備】、モシン・ナガン」

『ええ。これで止めにしましょう!』

 

 

 

 手元に呼ぶは、かつて戦場で死神と呼ばれた兵士も愛用したライフル。一〇〇式の対処に集中してる轟はこちらに攻撃する余裕などない。右目を大きく開き、標準機をのぞき込む。同時に、視界に現れるいくつものステータス。モシン・ナガンのスキルによる強力な狙撃。視界のターゲットカーソルが赤く染まった。

 轟が一〇〇式の隙をつき氷を出そうと腕を出す。だが、すでに照準を固めた私が狙っていることに気づいていない。ダァン、と大きな射撃音。腕を撃たれ、体勢を崩す轟。繰り出す氷も見当違いの方向へと飛んでいく。

 

そして、眉間に当てられる銃口と銃剣。倒れた轟が動こうとすればすぐさま一〇〇式が撃つだろう。つまり_________

 

 

 

「チェックメイト、だね。」

「…降参だ。」

 

『轟、降参!優勝は秀内だあああああああああ!!!!!』

 

 

 

 

______私たちの勝ちだ。




キリ悪いけどここで切ります。ちょっとインフルつらくて…

足りないところは番外その2で!!


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宴は終わりて次へと参る

インフルで寝ろと言われたのに寝てないのは私です。皆さん、寝ましょう()


今回は、前回入りきらなかったちょこっとです。短いですはい。



クッキー集め楽になっとるやんけ!!!!!死ねえ!アルケミスト!!!ドリーマー!!!友軍の力を思い知れえええええ!!!


 決勝戦が終わり、一〇〇式と2人で観客たちに向かって敬礼をする。とてつもなく大きな声援がスタジアムに響き渡る。

 

 

 

「やったね、もも。本当はこの光景を父さんと母さんに見せたかったんだけどなぁ…。」

「仕方ありませんよ。…でも、確かに直接見てもらいたかったですね。」

 

『フィールドの2人…いや3人か?ともかく、表彰式の準備をするから退場してくれよな!!』

 

 

 

 マイク先生から退場を促された。とりあえず、一〇〇式とモシン・ナガンには下がってもらう。…このまま退場しても、おそらく待っているのは質問攻めだろうしなぁ。

 一〇〇式が何の前触れもなく消えたため、再び観客が騒ぐ。流石に収拾がつかなくなると判断した先生たちがアナウンスなり直接注意したりしてる。申し訳ないっす。下がった2人のほかに、何人かの人形が「まあ、そうだよね」といった具合にちょっと笑ってる。

 

 まあ、とりあえずクラスの控え場所に行くとしようか。

 

 

 

 

___________

 

「45、状況は?」

「順調。いやー、わかりやすい反応がいっぱい来てるよ。ほら。」

「…本当にわかりやすいですね。では、事前の打ち合わせ通りに。」

「もちろん。これで指揮官に手を出すことがタブーだって思い知るだろうし。416、荒事は任せた。」

 

「はぁ…分かったわよ。MG4、45、そっちもしっかり役目は果たしなさい。」

 

 

 

___________

 

 

 

 

 

『それではこれより、表彰式に移ります!!』

 

 

 

 

 3位に爆豪君、2位に轟君、そして1位には私が。爆豪君の顔がすっごい面白いことになってる。愉悦(悪い顔)。

 

 ただ、本当は3位に飯田君もいたはずなんだけど、なんでも、家のほうで何かあったらしく早退したらしい。詳しいことは聞いてないけど、ヴィランに襲われたとかなんとか。無事だといいけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 表彰式はオールマイトがメダル授与をしてくれたんだけど…ところどころで締まらない出来事が連発してた。これはひどい。それぞれがオールマイトから一言ずつもらい、それからメダルを受け取った。私の目の前に来た時にオールマイトは、9割が褒めたたえるような顔、1割が少々不安そうな、というか心配するような表情をしてた。器用だなー。

 

 

 

 

 

「秀内少女!様々な状況に応じた行動と戦術判断、とても素晴らしいものだった!!」

「ありがとうございます。でも、少し危ないところもあったのでまだまだです。」

「その心意気やよし!常に向上心をもって挑んでくれ!…それと、先ほどの少女はいるかね?」

「あ、先に言っておくと人じゃないので。ほぼ人と変わらない見た目ですけど、人形です。ももちゃーん、武装無しで出てきてー。」

「___えっと、何か御用でしょうか?」

 

 

 

 

 やっぱり、何の前触れもなく人形を呼び出したからオールマイトがめっちゃびっくりしてた。あと隣の轟君も。さっきも見たやんけ…。観客たちも再び現れた一〇〇式に騒いでる…よくよく聞けば「かわいい!」とか「隠れてただけなの!?」とか言ってるのが聞こえる。そのほかにはプロヒーローたちが「奇襲が得意そうだな」とか「人手不足が解消できそうだ」とか言ってる。めっちゃ実用的だけど…すみません、私にそんな気はありません。

 

 

 

「…。」

「あの、オールマイト…ももちゃん、いや、一〇〇式を呼んだのはいいんですけど、何か気になる事でもあったんですか?」

「ああいや、本当に…君の個性から出てきているのだなと思ってね。先日の襲撃事件のように別地点から連れてきているのでは、と他の教師陣が言っていたものだから確認したかったんだ。」

「そういうことですか。じゃあ分かりやすい形にしますねー。ももちゃん、宿舎モデルになってー。」

 

 

 

 私がそう頼むとももちゃんがポンっという音とともに30㎝くらいのデフォルメされたぬいぐるみのような姿になる。宿舎モデルと呼んでいる、いわゆる省エネモードなのだが…ぶっちゃけ「もちシリーズ」と呼ばれるぬいぐるみのようになっている。この姿になれると発覚したのは一週間前、偶然の産物だった。ちっちゃくなったももちゃんを頭の上に乗せ、そのままオールマイトと向き合う。かなりシュールな光景だと思う。しかもそのぬいぐるみは動いてるし。

 

 

 

 

「これではっきりしたと思いますけど…どうです?」

「…うむ、確かに君の個性のようだな。いやしかし、これは…。」

 

 

 

 

 そろそろ時間的にまずいと思うんですけど!?ああほら、ミッドナイト先生が早くってアイコンタクトしてきてるから!

 

 

 

 

 

 

 

 最後の最後まで、どこか締まらなくて、けれども大きな声とともに雄英体育祭が終了した。

 

__________

 

「___というわけで、明日と明後日は休みだ。プロからの指名等は休み明けに発表する。ドキドキしながらしっかり休んどけ。」

 

 

 

 

 やっぱ今から指名が入るのか…どうやって逃げようか。私の目的なんて「人形と一緒にいられる環境を作る」ことだし。ヒーローはその手段の一つという…ものすっごく不純な動機です。絶対他の人には言えない。おうこら、腹抱えて笑っているんじゃないぞナガンばあちゃんや。

 

 

 

 

「___あと秀内、お前はこの後職員室だ。帰るんじゃねえぞ?」

「んな殺生な!!!帰らせてください!」

「駄目だ。」

 

 

 

 

 理不尽すぎる。結局、ホームルームが終わった後、私は職員室へとドナドナされてしまった…。多分、この個性について色々聞かれたりとかするんだろうなー。

 

 

 

_____________

 

「奏との関係?幼馴染だが…何か気になったのか?」

 

 

帰り、俺は緑谷以下数名に呼び止められ奏との関係を聞かれた。フィールドで大分仲が良さそうに見えたから気になったらしい。

聞かれたのはそれだけではなく、個性についても聞かれた。だが、正直なところ俺も詳しく聞いたことはなかったため、みたことを正直に話すだけで終わった。

 

 

 

「常闇君も知らなかったんだ…。じゃあやっぱり隠してたってことなのかな?」

「かもな。それに、中学の時は別の学校だったから怪我についても詳しいことは知らない。」

「あれだけ強いのに隠す必要なんてあるの______」

「面倒ごとは避けるに限るからねー。」

「うおあ!?き、聞いてたの秀内さん!」

「今さっき解放された。もう職員室と校長室行きとうない…。」

 

 

教室に戻ってきた奏は大分疲れた顔をしていた。おおよそ、個性についても色々と聞かれたりしていたのだろう。しかし、校長室にも行きたくないって言っているあたり、そっちにも何度か行ったのか…。本当に、巻き込まれやすい体質だなと思う。

 

 

 

「あともう帰りたい…多分明日以降は街うろつくだけでも体力持っていかれそうだし。」

「相変わらず面倒ごとから逃げたいんだな。」

「そりゃそーだよ!いやまあ、しばらくは大丈夫だろうけど。」

 

 

奏に個性のことについて聞こうと思ったが、辞めることにした。昔から何処か達観したような、それでいて周りの奴らを大切にするこいつが隠すということは、それなりの理由があるということだ。今無理に聞かなくとも、そのうち話してくれるだろう。緑谷たちも今聞くのはやめたようだった。

 

 

 

「な、なあ!も、もももももしかしてだけど!おっぱいの大きい人も呼べたりしな_____」

「シャドウ。」

「いだだだだ!!!!常闇それはかんべ…痛い!」

「自業自得ですわ。」

「呼べるけどこいつの前には出したくねえな。」

 

 

 

八百万と奏自身にクズを見るような目で見られている。シャドウで仕置をして正解だったろうな。

そんなことをしながら、俺たちも帰ることにした。

 

 

 

 

_____________

 

 

「…まさか、我々が思っている以上に目をつけられていたのですね。」

「誘拐未遂7回、暗殺未遂15回…おおよそ、20にならない子供が体験するようなことではないだろう。それを未遂で済ませているあいつも恐ろしいが。」

 

 

秀内の本来の個性が発覚した直後、雄英の教師陣はすぐに聴取をすることを決定した。武器を持った人、秀内は人形と言っていたがともかく、あまりにも危険と思える個性であるがゆえに忠告を兼ねて話をした。

だが、本人から聞かされたのは予想以上の事。幼稚園での襲撃誘拐未遂を皮切りに後ろ暗い組織に狙われ、それらを全て自分の個性で対処していたのだ。あの戦況判断と行動の鋭さはそこからきているものと判明したが、正直なところ、恐ろしくもあった。

 

 

『一番ひどかったのは中学卒業直前ですね。大事になったのでニュースにも出たと思うんですけど…東京湾にパンツ一丁で縛られてたあの外国人集団のやつです。』

『…待て、つまりお前は拉致されるところを反撃してあの状態で放置したのか!?』

『はい。』

 

 

 

普通の子供ならば何もできないままに連れていかれていただろう。それを物ともせずに全て反撃し、社会的に晒し者にしていたという。顔の傷ができた事件に関しては油断し過ぎていたと言っていたが…。

 

 

「…彼女に訓練を施したり、そう言った輩の対処をしていたのは個性で出来た【何か】だというのか。」

「人形、と言っていましたが、あれはもはや人と変わりないだろう。」

「やはり、監視はしておくべきだな。あの個性は子供が持つには危険すぎる。」

 

 

 

一生徒に対する反応が大きい。しかし、そうでもしなければ今後何が起きてもおかしくない。

 

 

 

だが、最後までその処遇をどうするかまで決まることはなかった。




もしかして:過剰反応
次回は番外書きたい。それから職業体験に行きます


指揮官「今思うと本当に巻き込まれすぎてると思う」
ナガン「今更じゃろう」


めっちゃ狙われてた。でも全部対処してるし晒し者にした。



指揮官「とー君ナイス。ありがとね、シャドウ」
常闇「流石にあの発言は酷いからな」


幼馴染コンビ。異性としての意識は皆無。悪ノリする指揮官とストッパー。峰田に容赦しないシャドウだった。



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番外編その2:指揮官と一〇〇式、時々AR小隊

めっちゃ脱線する番外。そこまで返していない気がするぞぉぉぉぉぉぉぉ…




新規人形製造、全負けしました。まって、一〇〇式ちゃんそもそも出てる数少なすぎひん?????






大陸版で鉄血鹵獲の話出ましたね。M16姉さんが関わってくるか!?


指揮官「よっこいっしょ…っと!うん、準備オッケー。ももちゃーん、そっちはー?」

 

もも「…はい、大丈夫です!」

 

 

指揮官「よし、じゃあ今回も始めよっか!第2回、一介の人形遣いに何を求めているんですか番外編!」

 

もも「指揮官と一〇〇式、時々A_____」

 

 

 

SOP「もっと…もっと大きな声を出せぇ!!!アッハッハッハ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

指揮官「…めっちゃ楽しんでるなぁ。」

 

もも「流石に騒ぎすぎじゃないですか?」

 

指揮官「まぁ、今回は放送室じゃなくて娯楽室の隣にあるモニタールームだし。AR小隊全員で楽しんでるけど…SOPがすごい適役すぎると思うなこのゲーム。」

 

 

 

 

 

 

M16「ぐああああああああ!!!!」

 

M4「姉さん!!」

 

RO「くっ…今のうちに少しでも修理を!」

 

 

 

 

指揮官「あ、もうAR-15はお亡くなりになっているのか。道理で静かにしているわけで。」

 

もも「M16もやられましたね。あと3つですか…いいとこですかね。」

 

指揮官「見てると楽しい。与えて正解だったわこのゲーム。」

 

 

 

 

 

・このゲーム

DBD(デットバイデイライト)のこと。殺人鬼1人と生存者4人の非対称型ゲーム。PCとPS4でできるけどそれぞれのプラットフォーム同士でしかマッチングしない。AR小隊にやらせたいと思ったのでやらせた。トラッパー楽しいです。

 

 

 

 

 

指揮官「まぁ、この様子を見ながら質問返し等をしていきますかね。…あ、自力でフックから逃げたぞM16。」

 

もも「滑りやすくしてたんですかね?」

 

指揮官「いや、初期値引いたみたい。すげぇ。ともかく、最初の返答はこちら!」

 

もも「【体育祭の偵察に来た生徒を一睨み】ですね。」

 

 

 

・偵察をどかした睨み

普段物静かな人が切れると怖いよねって感じです。しかも眼帯付けてて見た目補正もかかった。ついでに虫の居所も悪かった。結果として威圧感バリバリの魔王()ができちゃったわけですが。

 

 

 

 

 

指揮官「割と切れた。邪魔じゃぼけぇ!!って感じで。」

 

もも「いや、指揮官があんなこと言ったら周りがおびえるのは当たり前だと思うのですが…。」

 

指揮官「うん、まあ…。」

 

もも「それでは次へ行きましょう!続いては【鉄華団団長の詠唱風感想】です!」

 

指揮官「これ貰った時すごく笑ったんだよね。詠唱してくるとおもわなかったからさ。」

 

 

 

 

 

 

・詠唱風感想

マジで笑った。何やってんだよ!!団長!!

元ネタは言わずともわかる(はず)…あれさ、5月のNH●の特番でランキングあったんだけどアム●とシ●アをぶっ飛ばして1位になったんだよね。恐るべしツイッタ●とネットの暴力。

 

 

 

 

指揮官「感想でこれ送る努力がすごい。おかげでやる気出ました。(前書きにも書いたけど)」

 

もも「あとあれですね、この直後にリアル友人に書いてるのがばれたんでしたっけ?」

 

指揮官「ばれた。ビビった。」

 

 

 

 

RO「ああっ!」(瀕死)

 

SOP「爪から~それとも、配線から一つずつ抜いてあげよっかぁ?」(肉フックガッチョン)

 

RO「うああああああああああ!!!!」

 

M16「RO!!」

 

M4「くっ…!キャンプしてて近づけない!」

 

 

 

 

 

指揮官「こっちもこっちで盛り上がってきてるな。発電機あと1個じゃん。」

 

もも「あ、SOPは今回トラッパーで来ていたんですね。でもキャンプはあまりいい判断ではありませんね。」

 

指揮官「ちょっと気になるけど…まあ、返答していこうかね。お次はこれ!【掲示板ネタ書いていいっすか?】」

 

もも「え、ええ?(困惑)」

 

 

 

 

 

・掲示板ネタ

自分でやろうと思ったけど労力的に無理と判断して投げた。大佐ァ!頼みましたぞぉ!(これ書いてる時点ではまだできてない)

 

 

 

 

 

 

指揮官「今回、書いたのが体育祭。しかも3つに分かれたから返すに返せないというか…本編で答え出てる場合がほとんどだからなぁ。」

 

もも「じゃあ今回番外(ここ)必要なかったんじゃ…」

 

指揮官「私がやりたかったんだ!!」

 

もも「さいですか…」

 

 

 

・やりたかった

やりたかったんです。どうせなら各ステージごとでもいいかなって。あ、ステージって感じで章分けしていますけどそこまで深い意味はないです。コミックスのほうと若干合わせているだけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

指揮官「番外は書くのに労力かかっても苦じゃないの()」

 

もも「どういうことなんですかそれ…」

 

指揮官「なんだろう、深夜テンション?」

 

AR-15「早々に吊られてしまったのでこっちへ来ました…指揮官、お邪魔しても?」

 

指揮官「よかよかー。じゃあこれ読んでー。」

 

AR-15「ええっと…【トンプソン、FAL、ブレン、kar98k...。前者2名の「裏の住人」半端ねぇわw。Karちゃんは強者感隠せないし、ブレンが1番マシ...かな?(震え声)】ですか」

 

指揮官「体育祭のお昼の奴だね。独断と偏見で選んだ結果の4人だけど…よくよく考えればマジでヤバイ。」

 

 

 

 

 

 

・4人

姉御は最初から出すつもりだった。あとはナイスバディとイケメン枠とふわふわ枠で行こうとしてた。ちなみにお昼食べてる間に席キープしてたのはサソリです。

 

 

 

 

 

 

 

指揮官「姉御は見た目が強そうだからナンパ対策でいつもいる。中学校のほうでもそう書いたはず。」

 

もも「…軽く書いてますね。」

 

AR-15「本当に軽くですね。」

 

指揮官「後先考えない悪い作者の例だよ…お次はこれ!【一〇〇式ちゃん桜逆像使った登場カッコよすぎだろぉ!】」

 

AR-15「指揮官がめちゃくちゃ時間かけたところですね。」

 

指揮官「時間かけた。朝間に書いてたから時間やばくて仕事に遅刻しそうになったけど。」

 

 

 

 

・登場シーンの凝り具合

それなり。ただし作者が素人なので細かさとかはお察しの通りです。私は趣味で書いているのでそこまで文をしっかりさせたりできるわけじゃないんです…。でもあれですね、シーンの様子としては「活劇・刀剣乱舞」の鶴丸が最初に出てきたシーンみたいな感じですね。あれもあれでイケメンすぎる登場の仕方だと思う。

 

 

 

 

AR-15「しかもこれ、2日くらいかけて書いてたじゃないですか。インフルになったくせに。」

 

指揮官「マジでつらい。思考があやふやで文が変になってないか確認するのに3時間かけた。」

 

もも&AR-15「寝てください!!」

 

 

 

 

 

 

・寝てください!!

感想欄にもめっちゃ書かれた。でも私は寝なかった!!いや、23話を続けて出したら、とあるお方から命令口調で「寝ろ」と書かれてましたけど…。すごい説得力だった。

 

 

 

 

 

 

 

指揮官「予防注射しても重くなる時は本当に重くなります。辛い。」

 

もも「あ、それとツイッターのほうの質問箱に来てましたけど…こっちの作者とツイッターの中の人本当に同じ人?って聞かれてましたね。」

 

指揮官「ほぼ同じ人です。たまに違う。」

 

AR-15「たまに違うって…。」

 

 

 

 

・中の人

奪われる。身内にな!!

 

 

 

 

 

 

RO「あ、危なかった…M4に救出してもらわなければ今頃処刑されてた…。」

 

M16「私ももう一回吊られたら死んでいただろうな。」

 

SOP「むぅう~~~~!!あとちょっとだったのにーー!」

 

M4「まあ、私は吊られちゃったんですけどねー。」

 

 

 

 

 

指揮官「あ、終わったみたい。みんな楽しそうだったねー。」

 

SOP「しきかーーーん!」(ガバッ)

 

指揮官「おっふ!ストップストップ!今座ってるから!!」

 

もも「AR小隊は殺人鬼をやるとき、基本何を使っているんですか?」

 

M16「ああ、それなら…」

 

 

 

 

 

 

・AR小隊の殺人鬼(独断と偏見)

 

M16 割と何でも使う。特にこれといったものはないがあえて言うなら「シェイプ」。『あきらめろ!お前たちに勝利はない!!』

M4 通常なら割と何でも。ただし本気になってMod3になると「ハントレス」と「ヒルビリー」と「ナース」を使う。『憐れむ心はもう、捨てました』

SOP このゲームが一番合うと思う。メインに「トラッパー」、気が向いたら「ドクター」「ピッグ」を使う。『もっと、もっと大きな声を出せぇ!!あっはっはっはーーー!!』

AR-15 生存者になると途端に餌になる。殺人鬼になるとそこそこ。「ハグ」と「スピリット」がメインになりそう。『あなたに止めを刺すのは、私です。』

RO 初心者っぽい感じがする(偏見)でもチェーンソーの扱いが上手そう。「ヒルビリー」と「カニバル」で追いかけてきたらまず死ぬ。『お前の罪を数えろ!』

 

 

 

 

 

 

M16「って感じだな。」

 

指揮官「ちなみに、この基地の中で一番殺人鬼強いのってだれ?」

 

AR小隊『副官』

 

もも「今のところ全滅させてますね。」

 

指揮官「つっよ!?」

 

 

 

 

 

・副官の強さ

日本人ってさ…たまに変なところで才能使うよね。つまりそういうことだ。

 

 

 

 

 

指揮官「あっもう本編への感想返し関係なくなってる。」

 

もも「じゃあ戻りますか。次は…」

 

SOP「これ!【教師陣の過剰反応】!」

 

指揮官「実はですね…あんまり細かいこと考えてません!!ただ、実際にこんな奴いたらこうなるだろうなぁ…的なことを並べてたりするだけだったり。」

 

もも「後先考えない悪い癖ですね!?」

 

 

 

 

 

 

・過剰反応

マジで何も考えてないけど、実際にいたらこうなるかなって感じで考えただけです。でもね、考えてみようか…銃持った人形を好きな時に呼べるし、しかも見分けがつかないと来た。本人もクッソ強いから本気になられたら…大惨事だよね?って感じです()

この指揮官、全然そんなこと考えてないんだけどね☆

 

 

 

 

 

 

 

指揮官「脱線しすぎた番外だった気がする…。」

 

M4「ま、まあいいんじゃないでしょうか?」

 

M16「次の話は…職業体験か。どこに行くつもりなんだ?」

 

指揮官「んー、実をいうと考えてない。強いえて言えば…戦闘系からは離れたい所存。」

 

もも「えぇ…?」

 

SOP「バリバリの戦闘系なのに?」

 

指揮官「進んで前線に出る人じゃないんです!!!というわけで今回はここまで!」

 

 

 

 

全員「次回の更新もお楽しみに!」

 




この作品(というか私の独特)のあだ名が分からなくなるから教えてくれって来ました。ここに書きますね。呼ばないでそのままの時もありますが


一〇〇式→ももor副官
ST AR-15→コルト姉orコルトスター
トンプソン→姉御
Kar98k→かーorカラヴィーナ
M16→イム姉
スプリングフィールド→智春
Ro635→ろーちゃん
スコーピオン→サソリ

常闇踏影→とー君
処刑人(エクスキューショナー)の剣→断罪剣
M16(鉄血の姿)→M16反転(オルタナティブ)





今のとここんな感じだと思います。
DBDの話は完全に趣味。ハマった。あとインフルは何とか落ち着いたので…


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光あれば影もまたあり

超絶短い語り。




暗躍するは、みんなの汚点を自称する部隊


音声データ、バックアップ完了。_______メインフレーム記憶容量、規定値以下を確認。バックアップを確認しますか?

 

 

 

 

 

______________________________

 

 

 

 

「対象のガキは確認したな?」

「ああ。行動に移る。デルタチーム、定時連絡を。」

 

 

『こちらデルタチームってね。はぁ~い、随分とお馬鹿な奴らが乗り込んできましたねー。』

 

 

「ッ!!総員戦闘準備!!デルタをやったやつを殺せ!!」

 

 

 

ザザッ

 

 

 

 

「くそっ…!なんだっていうんだ!!ガキ1人連れてけばデカい金が入るっていうのに!!」

 

『あれだけ大きい場所で警告をしたのに…それを無視する奴らも、そいつに乗せられて動いたあんた等も相当なバカだけど。』

 

「なん…!がぁぁぁ!!!」

 

 

 

ザザッ

 

 

「畜生!!この国は平和ボケした奴らしかいないはずじゃないのか!!こんなのは聞いていない____」

『___残念だけど、()()からすれば、この世界自体が平和ボケしているわ。己の行動を悔いるといい。』

 

(銃撃音が入る)

 

 

 

 

ザザッ   ________再生終了。データの編集をしますか?

 

 

 

 

_______________________

 

 

 

「…それで、成果のほうはどうだったのですか?」

「十分ですね。ヨーロッパから2組、アジアから3組来ていましたが全て対処済み。また、二度とこちらに手を出さないように仕組んでおきました。」

「これでもまだ、手を出してくるようなら…よっぽど何も学習しないバカか____今まで以上にやばい奴ってことになりますよ、副官。」

 

 

「…引き続き、警戒を。指揮官に手を出すというのなら容赦する必要はありません。」

「りょーかい。でもまあ、指揮官からは「殺すな」って言われているので半殺しですけど。」

 

 

 

 

 

 カツン、コツンと硬質な音が廊下に響く。明りのないこの場所にわずかばかりに反響するのは、みんなの汚点を自称する特殊部隊と指揮官()を支える副官()の5つの声。上を通過する電車がその声をかき消すように通過していく。

 

 

 

 

 

 

「半殺しでも、2度と手を出さないのであれば問題ありません。徹底的にやるか、始末するか。」

「おお怖い。でもまあ、その気持ちはわかるから文句はありませんし。」

「私達だけでは不完全。指揮官がいて、私たちは完璧なもの。障害を排除するのが私たちの役目だから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 指揮官は私たちに存在を与えた。ならば、我々が返すものは_____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、でも…()()()()()()()()()()()()()()




404と副官…体育祭の後のアホゥを掃除(意味深)してました。ちょっと(どころじゃないくらい)怖い戦術人形の話でした。



警察とヒーローが気が付かないのはもはや恒例。次の話から職場体験…のはず!!!


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第4舞台Open the gate 
名は体につながるものですよ


Q:お前今日何個出してんだよ
A:3話。ついでにこれとは別の話も書いてた。

Q:ばっかじゃねえの????
A:インフルで外出できねえと暇なんだよ!!!!








マジでそんな感じ。製造契約書買うか迷いまくってる。うぐぐぐぐ。
あと章の名前をここから変えていきますぞー。わざとなので気にしないで


 体育祭での疲れも取れ、2日後。生憎の雨模様でございますが私は元気です。テンションは低いけど。何でテンションが低いかというと…

 

 

 

 

「…ふっ!」

『んー、次の民家の屋根で降りてね。そこからは道路走ったほうが早いから。』

「おっけー。…っこいしょー!」

 

 

 

 

 朝っぱらから家の前にマスコミが山のようにいて、それを撒いて学校に行かねばらならなかったのです。結果、どう撒いたかというと…勝手知ったるここら辺の家の屋根なり塀なりを走っていくパルクールでございます。雨降ってるので今日の護衛のM249を【装備】してますが…マスコミ、どこまで追いかけてくるんですか…。

 

 駅に行こうとしてもその途中でたぶん、声をかけられて足止めされてしまうので今日は走って学校まで行くことに。たった5駅じゃ!!このくらいなら間に合う…はず。今時珍しい瓦の屋根から飛び降り、そのまま走る。無論、着地の時に水溜りに飛び込まないように気を使ったし、しっかり膝を曲げてショック吸収もしたので問題なーし。

 

 

 

 

「M249、現在時刻は?」

『7時40分。走っていけば50分には着くはず。足止め食らえばわかんないけど。』

 

 

 

 

 ひゅー!いつもより30分以上遅いじゃんか!!お披露目会、大成功だけどやばいな!!個人情報どっから流れたんだよおおおおお!!

 ともかく、走るしかねえ!

 

 

 

 

 

________________

 

「…なるほどなるほどー。あれが指揮官か。初めて見たけど、うん。416達が従う理由が分かったかも。」

「そうですね。私も少々、興味が沸きましたので…期待しているのかも?ともかく、しばらく様子見としましょう。」

 

 

 

 

 

 

_________________

 

 

「____っでえええい!!滑り込みせーーーふ!!」

 

 

 

 スパァァン!!と障子だったらいい音がしてたかもしれない勢いで扉をオープン。そのまま教室の中に滑り込むようにしてIN。おのれマスコミ、どこまで追いかけてくるんだてめえら。そんなにアイドルに仕立て上げてぇのか。

 挨拶してくる数名に手を挙げて返し、自分の席に座ると同時にチャイムが鳴った。それから少しして、相澤先生が入室してくるとさっきまで騒いでいたクラスが一気に静かになった。あ、相澤先生包帯取れてる。

 

 

 

「相澤先生、包帯取れたのね。よかった。」

「婆さんの処置が大げさなんだよ。んなもんより、今日の「ヒーロー情報学」、ちょっと特別だぞ。」

 

 

 

 

 相澤先生の言葉に身体を固くする面々が。法律関係は楽しいんだけどなぁ…。あ、でも小テストは面倒だから勘弁願いたい。

 

 

 

 

 

「『コードネーム』。ヒーロー名の考案だ。」

『胸膨らむ奴来たあああああ!!!!』

 

 

 

 

 

 おあー…ついに名前決めが来てしまったか。なんでも、即戦力として見られるのは2年や3年。つまり経験を積んでから。今回の指名は興味からといったところらしい。そのまま先生が生徒に来た指名の数を公表する。…おん?

 

 

 

 

「例年ならもっとばらけるんだがな…。今回は3人に注目が偏った。特に秀内はヒーローだけでなく自衛隊や警察も来ている分、多くなっているがな。」

 

 

 

 

 そうして黒板に書かれた数字は…4800オーバー。轟や爆豪は3000前後に対してこの数は異常でしょ…。あまりの多さにクラスのみんなが「おぉ…」ってやべえよこいつみたいな声出してんじゃねえか。やめーや、こちとらでしゃばる気はないんじゃ。

 

 

 

 

「これを踏まえ…指名の有無関係なく、いわゆる職業体験ってのに行ってもらう。」

 

 

 

 

 懐かしきインターンシップ。前世はこれで就職先が決まったから重要ってのはわかる。でも1年からやるんだ…。あ、それでヒーロー名を考えろよってことですか!!

 

 うーん…つまり名前でこけると後々面倒になるよってことですね。適当に名前を付けると____

 

 

 

「___この時の名が!世に認知されそのままプロ名になっている人多いからね!!」

 

 

 

 

 ですよねーーー!!!相澤先生はセンス無いからミッドナイト先生に全投げしたんですね分かります!

 というわけで、選考たーいむ。…どうしよう。

 

 

 

 

 

 

『指揮官、いっそ動画出してた頃の名前で行けば?』

「(あー、“少女前線”?言いにくくない?)」

『じゃあそのまま!指揮官!!』

「(まって!?どこから出てきたG41!!でもそれってみんなが私のこと呼ぶ時と被って困るから無し!!)」

『指揮官の格好、黒かったよね…。コードGとか?』

「(それだと主婦の大敵になるから無し。処される!!)」

 

 

 

 

 脳内大喜利状態が始まった。まって、皆一斉に基地から話しかけてくると混乱する…回線が混線してる時と同じ状態になるから…。

 

 

 

『指揮官とコードGがだめか…。』

『コマンダー!』

『将軍!』

『水戸黄門!!』

『水戸黄門は完全に違うからダメでしょ!?』

『ジェノワーーズ!』

『誰だ!!ウサギの悪夢はしまっておけ!!』

『うわ…こんなに騒がしいの?』

『これは…予想外に多いですね。』

『ブラックブレッド!』

『それはいろんな意味でアウト!!』

 

 

 

 

 これが一度に聞こえるのだから何を言っているのかわからない。頭痛がする…ううん…。あ、なんだかんだで15分経ってるじゃん。マジかよ。

 

 

 

 

「じゃあそろそろ、できた人から発表してね。」

 

 

 

 そう言ってさっそく発表した青山君。まって、あれ英語の短文でしょ!?「キラキラが止められないよ☆」って長いぞ!?次は芦戸さん…「エイリアンクイーン」って。プレデタ●シリーズかな????血液が強酸性!!あかん、教室の中まで大喜利始まってる。

 そのあとは梅雨ちゃんがまともなのを発表してくれたおかげで戻ったけど…うーん、決まらない。あっ爆豪君の「爆殺王」はごめん、笑った。

 

 

 

「残っているのは再考の爆豪と…緑谷・飯田・秀内の4名ね!」

「秀内さん、相当迷っているみたい。」

「やっぱ指名が多いから…何か考えてるのか?」

「…。」

 

 

 

 

 正直、考えてたけど…。やっぱりこれしかないのかも。私にはその気がなくても、彼女たちといる以上避けることができない道。

 

 

 

「____決めました。」

「お?それじゃあ、発表しちゃって!」

 

 

「“フロントライン”。いずれ通る道になるものですから…これで行きます。」

 

 

 

 前線(フロントライン)。私が望まなくとも絶対に通ると感じている。彼女たちの存在理由がまさしくソレだからこそ、これが本当に名乗るべきコードネームだろう。

 

 

 

「…へえ、いいんじゃない?その名前に恥じない行為をね!」

Дах(はい)!」

 

 

 

 

________________

 

 

 

『指揮官、フロントラインって名前にしたのって理由とかあるの?』

「あるよー。まあ、前世が影響してるのも否めないけど…戦術人形を指揮する立場だから、せめて“前線”には立たないと示しがつかないと思ってね。」

『そこまで気負わなくていいと思うけど…ま、指揮官らしくていいかもね。でもさ、後決めないといけないのって…。』

「…うん、たぶん名前よりこっちのほうが大変だよね。」

 

 

「『職業体験先』」(だよね・かなぁ)

 

 

 

 

 

 

 帰り道、春庭に向かう途中にM249と今日のコードネームについて話をしてた。実際、自分が前に出て指揮をとらねばならないことに変わりはないため、言った通りのことだが…どうせなら「ドールズフロントライン」から少しは名前を取っておきたかった。いろいろと思い入れがある分、よかったと思っているが。

 しかし、その先に待っているのは「職業体験」。今回のコードネーム決めはただの布石でしかないのだ。指名をもらったのはいいが…正直なところ、戦闘系以外のところに行こうと思っている。あれだけ体育祭で暴れたのに何言ってるんだこいつって先生とかには言われそうだけど。

 

 

 

 

 

 からんころーん、とドアベルの音を鳴らし、春庭へと入店する。目の前のカウンターに立っているのは…マスターの智春さんではなく、白ブラウスと紺色のスカートにエプロンをかけ、長い髪をポニーテールでまとめたWA2000だった。

 

 

 

 

「いらっしゃいませ…って指揮か…じゃなくて、奏か。」

「やっほー。どう?カフェでのお仕事も案外やりがいがあるでしょ?」

 

 

 

 そういうとWAはふふんっ、とどや顔を向ける。うん、楽しそうで何よりです。

 ゲームじゃよく「殺しのためだけ生まれてきた」って言ってるけど、あくまでそれは「銃」本体の話。人形に関しては殺し以外もできるしそれだけが目的じゃねえ!って言って強制的にお手伝い送りにしたら楽しくなった模様。素直なわーちゃんで指揮官うれしい限りです。

 

 今回、春庭に来たのはいつものようにコーヒーを飲むためではなく…ある人に会うためでもあった。その目的の人物はすでに来ているようで、WAが「あっちに待ち人よ。早くいってあげて」と教えてくれた。手元でいじってるのはワッフルメーカーだったから、きっとコーヒーと一緒にあとで持ってきてくれるのであろう。何も言わなくても用意してくれるって…!

 待ち人は奥のテーブル席ですでに資料を用意して待っていたようだ。まだお願いした時間じゃないのに…早くて助かります。あと待たせて申し訳ない。

 

 

 

 

 

「すみません、お待たせしました。」

「いえいえ!私が早く来すぎただけですので、お気になさらず。あ、自己紹介をさせていただきます。今回より奏さんの担当になった柄支(つかじ)と申します。よろしくお願いしますね。」

 

 

 

 黒縁の眼鏡をかけた30代後半くらいそうな男性、柄支さんはそう言って名刺を差し出す。生憎、こっちは高校生なので名刺なんて持ち合わせていない…受け取ってお辞儀が精一杯ですな。

 時間がもったいないという事から、早速話をしていく。目の前に置かれた資料に書かれているのは、大量の「衣服生地の材質」「カラー」「特性」などなど…。そう、つまりはコスチュームを作る会社に連絡をして相談に乗ってもらうところなのだ。

 

 現在用意されているコスチュームはいわば「戦闘用」。指揮を執るのではなく、直接殴り込みに行くときに着用することを目的としている強化外骨格なのだ。そのため、今回頼むのは「指揮用」のもの。いわば簡易的な戦闘はできるが本格的なものではない、様々な環境でも着られる制服のようなタイプだ。

 

 

 

 

 

「ご要望に合うものを作るとなれば、これらの資料から材料と色、特性の相性などを考えてから制作に入るのですが…今回は奏さん自身がデザインを送ってくださったので、それを踏まえてこちらで材料を厳選いたしました。ですがやはり、絞ったとしてもこれだけの候補がある状態になりまして…。」

「結構ありますね…。極端に暑いところや寒いところにはいかないので_______」

「となれば、ここからここは必要なくなりますね。これは動きにくいかもしれませんが_____」

 

 

 

 

 

 

 

 大雑把な要望を出して候補を絞っていく。そうしていくうちに資料は最初の10分の1くらいまで減少し、何とか細かいところを決めれるくらいになった。多いなぁ!!柄支さんが言った通り、すでにデザインは送ったのであとは材料となるものを選ぶだけ。だがしかし、これがいかんせん難題だった。むぐむぐ言いながら柄支さんと話し合い、かれこれ2時間程経ってしまった頃になってようやく決まった。

 

 

 

 

「___了解しました!この材料であれば在庫があるので2週間以内で完成させることができますね。でき次第、雄英のほうに郵送しておきます。」

「ありがとうございます。こんな時間まで付き合ってもらってありがとうございました。」

「いえいえ!今後とも御贔屓に。」

 

 

 

 

 

 さて、新規コスチュームの心配もなくなったし…帰るとしましょうか!わーちゃんのコーヒーとワッフル、うまかった。でも智春さん、どこ行ったんだろう?

 

 

 

 

__________________

 

 

 

 

「…つまり、()()()()()()()()()()()ということですか?」

「見回りに出た副官曰く、らしいです。」

 

 

 

 基地内のブリーフィングルームに集まっているのはこの基地の主力たる人形。囲んでいるホログラムモニターに映し出されているのは____霧の奥にうっすらと見える何か。だが、その姿ははっきりとしておらず、不安定な形をしている。

 それを見たスプリングフィールド(智春)が思いついたことを言う。

 

 

 

 

「形はどことなくですが…パリの凱旋門のようですわ。もしやこれは、こことどこかを繋ぐ【ゲート】なのではないでしょうか?」

「現実世界に出る扉以外のってこと?」

「ありえなくはないな。この基地自体がそもそも不安定な場所にあるともいえる以上、広がったり繋がったりということは考えられるからな。」

「今のところ、問題はないのですね?」

「うむ。じゃが…しばらくは警戒したほうがいいかもしれんな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ホログラムモニターに映る何かが、一瞬だけ陽炎のように揺らめいた。




わずかに出てるセリフでわかったらすげえよ!!(フラグ)
「パルクール warframe 」で検索するとやばい動きが出てくるよ!!指揮官はあの動きを若干劣化させた動きします。ヌルヌル。


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見聞を広げに行きましょう

マジでやばいペースで書いてる気がする。ごめん大佐、こっちのペースは気にしないで…自分が納得のいくものを書き上げてください。


クッキー集めはかどるぅ!!友軍でドリーマーを殴るのよおおおおお!!!(友軍戦力3万3000)(溶けるドリーマー)(指輪が光り輝く)(やばい)




一〇〇式ちゃんも作れず、カルカノ姉妹も来ません。ダネル、お前何で15人も来てるんや…

https://syosetu.org/novel/176794/1.html

体育祭のスレネタ、書いてもらったんやで!!大佐ァ!ありがとなあ!!


「職場体験は1週間。肝心の職場だが、指名のあった者には個別のリストから、指名のなかった者はあらかじめこちらからオファーした事務所40件から選んでもらう。」

 

 

 

 

 名前決めから1週間、体験先を選ぶ時間がやってまいりました。本日の護衛はOTs-14こと、グローザさんでございます。経験豊富そうなグローザさんなら何かいい意見貰えそうってのもあったけど…偶々夜間見回りで怪しい奴らがいたから継続でいさせてくれって言われたんだよねー…まだ狙ってくる奴いるのか。

 ともかく、先生から渡されたリストを見ていこうとしたんだけど…枚数!!多いよ!?150枚って何????横から覗き込んできてるグローザさんも苦笑い。そうだよね…枚数おかしいよね…。

 考えているのは戦闘系以外、救助関係か護衛とかがいいんだけどあるかな?

 

 

 

 

「枚数多すぎて時間かかりそうだなこりゃ…。」

「奏ちゃんはどういうところに行こうとしてるの?」

「んー、戦闘系じゃないところに行こうかなって考えてる。」

 

 

 

 

 麗日さぁーん?なんで戦闘系じゃないところって言ったらそんな驚いた顔してるの…っていうかクラスのほとんどがこっち見て「は?」みたいな顔してんの!?先生???あの私、本来は後ろで指示出して戦況判断するのが役目です!!戦うのがメインじゃないです!!

 

 ともかく、あと2日しか時間残ってないし…大雑把に絞るところから始めるかぁ。

 

 

 

 

 

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「マカロフ、そっちはどうだ?」

「駄目…振り切られてしまったわ。私たち人形ですら撒くほどの実力、伊達ではなさそう。」

『私のほうでも見失った。…まずいな、こちらの顔が割れているか、居場所を把握されている可能性もある。』

「リーエンのほうも見失ったか…しょうがない、今回は撤退しよう。」

「ヒーロー殺しのほかに…指揮官の周りをうろつく身元不明の2人組。久しぶりに猟犬部隊を編成しないといけないか…?」

 

 

_____________________

 

 

 

 

 職場体験当日、駅で注意事項を言われた後にコスチュームを渡され、そのまま各研修場所へ移動ということらしい。今回のコスチュームは、この前頼んだ新規の物が無事届いたのでそっちを持っていくことに。場所はここから6駅ほど離れた場所で、さらにそこから徒歩で40分らしい。まあ、私が走れば15分で着くかな?皆が行くところよりはちょっと近い場所にあるらしい。人によっては隣の県とかだし。

 護衛に来てくれたのはSV98Mod3、本体の銃は分解して楽器ケースにしまっている模様。今は少し離れたところで柱を背に手元でタブレットを見ているふりをしています。あの格好ならちょっとかわいい外国人が待ち人を待っているか時間待ちをしているようにしか見えないだろう。…でもMod3になるって事は何かあったのかな?

 とりあえず、みんなが移動を開始したので私も電車に乗るためにレッツラゴー。SV98もさりげなーく後ろからついてきます。

 

 …見た目で怖がられないといいなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____________________

 

『DNA検査?脳無の?』

 

 

 

 わずかに聞こえた声を詳しく調べれば、少々前に起きた事件に関する会話。人間ならば防音処理のされた扉の中から会話など聞こえないが、人形、それも情報収集をメインにしているUMP9()からすれば、防音扉などちょっと分厚い扉に過ぎない。

 聞こえてきたわずかな単語を聞いていけば…発覚したのはあの筋肉の塊みたいな奴からは4人以上のDNAが検出されたということ。聞いていて頭にくるような事実だ。けれども、そのあとに聞こえてきたことのほうが、なぜか気になった。

 

 

 

 

『_____個性を与える個性がいる。君ならわかるだろう、オールマイト。』

 

「(個性を与える…?でも、与える個性はどこから持ってくるんだ?)」

 

 

 

 これは、もしかしたら共有しておいたほうがいいかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

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 ちょっと市街地から離れた住宅街の一角。もらった案内に書かれた施設名と、今目の前にある看板の名前が一致してる。うん、職業体験先である()()()()()()、「袁雷庭(えんらいてい)」にやってきました!SV98は駅から離れた時点で姿を消してもらっています。流石に個性を街中で使用するわけにはいかない(建前)ので。

 児童保護施設にやってきたのにはちゃんと理由があったり。私の個性、戦闘向けだけども市街地や民間人が多い場所ではまず役立たずなんですねー…。そのため、前線に立てない場合のことを考え、子供のケアなどができるように児童保護施設にしました。なんだっけ、指名の理由が「子供たちがあこがれていたから来てほしい」って書いてあったんだよね。拙僧、子供も好きなので即決でした。普通の幼稚園とかよりはこういったところにいる訳ありの子供たちに会うほうが自分のためにもなるような気がするのでね。

 

 

 

 

「えっと、こんにちはー!雄英から職業体験で来た秀内ですー!」

「おお、待っていましたよ。袁雷帝の園長の雷銅 吼丸(らいどう ほえまる)と申します。こんな辺境まで来てもらってありがとう。」

 

 

 

 

 

 そういって出迎えてくれたのは…ライオンの顔に立派な2本の角を生やしたでっかい男性。マジライオン。あれか、FG●のエジソンかよって言いたくなるけど…体はムキムキマッチョの人ですね。声的にはそれなりの年齢になってそう。SV98が「ライオン丸…。」って言ってる。わかる。

 そのまま施設の中へと案内されると…こっちを見て突撃してくるちびっ子たち。元気があってよろしいですなー。見た目で怖がる人が多いから、こうやって気にせず飛び込んでくれるのは素直にうれしい。雷銅さんも笑ってます。

 

 

 

「眼帯の人だー!」

「ほんとに来たの!」

「すげー!ほんものー!」

「ねえねえ!あのマフラーの人いるのー?」

「銃みたい!!」

 

「こらこら、まだ先生とのお話が終わっていないのでもう少し待ちなさい。」

「「「はーい」」」

 

 

 雷銅さんの指示に従って部屋に戻っていく子供たち。えらい。年齢層は大体3歳から5歳と聞いていたけど…何人かは8歳くらいの子もいるみたい。大きい子たちはこっちを見るだけで済ませてたけど…あとで遊んでやろうぞ。

 

 

 さーて、1週間頑張りますかね!

 

 

 

____________________

 

『SV98、そっちはどうだ?』

「…今のところ問題なし。追手も不審者も確認してない。都市部から離れている住宅街だから、警戒しているのかも。」

『了解した。一応、こっちも【箱】の有効範囲内で警戒するつもりだが…。副官が動けないのは手痛いな。』

「仕方ないよ。でも、それだっていずれは解消される問題だから今は耐えるしかないよ。」

『だな。…すまん、UMP9が来たからいったん切る。また定時で。』

「了解、トンプソンたちも気を付けて。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…厄介なことに巻き込まれなければいいけど。」




ライオンヘッド+角の園長さん。イメージとしては(ライオンじゃないけど)PSO2に出てくる「ジンガ」というペットがいるのですが、その角をライオンヘッドにドッキングさせてください。


個人的にSV98はお気に入り。性能<好みな我が司令部では常に最前線にいます。指輪は渡していません!!ダイヤ足りないよ!!



市街地で追いかけてたのは「トンプソン」「マカロフ」「リー・エンフィールド」「M16A1」「イングラム」です。口調で分けたりしても分からないと思う。すまぬ。








この更新速度は暇人になったが故の弊害と思って!!!明日からは2日3日置きに戻るから!!!(多分)


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厄介ごとは常にあるものです

雷銅さんの設定、本編で出せなさそうだから出しておこうかな…。


雷銅 吼丸(らいどう ほえまる)  65歳 男

ヒーロー名:金獅子(ゴルドリーオ)
個性:雷獣王
 雷を操る事ができる&獣の頂点たる獅子の力を振るうことができる。頭の2本の角からとても強力な電撃を放ったり、咆哮すると同時に周囲に衝撃波と雷を落とすといったことができる。



 今は前線を引いたプロヒーロー。現在は都心から少し離れたところで児童保護施設を営んでいる。教員免許も持っている。
 オールマイトが出てくるちょっと前まではかなり人気のヒーローだった。


 職業体験3日目。袁雷帝で保護している子供たちは皆、育児放棄や虐待などによって保護された経歴を持っている。そのため、基本的に施設の人以外とコミュニケーションをとるのが苦手だったりすることから、学校などにはいっていない場合がある。そういった場合、施設に教員免許を持った人間がいれば義務教育違反などにはならない。袁雷帝の園長である雷銅さんは教員免許とプロヒーローの資格を持っており、今の私はそのお手伝いをしている。つまり…

 

 

 

 

「それじゃあ、この時のおじいさんはゴンに対してどう思っていたでしょうか?」

 

 

 

 

 

 子供たちに対して教鞭をとっています。格好は制服のまま、コスチュームはこの施設の更衣室に置いております。食いつきのいい子供たち、無茶苦茶楽しいですねこれ。

ちなみに今やっているのは国語の物語から登場人物の心情を考えるというもの。ごんぎつねは個人的に好きな内容なのでやっていて懐かしい気分です。雷銅さんに許可をもらって個性を交えつつ…つまり何人か人形を呼んで演技と見回りと指導をしているので時間が足りねえ。このままだと延長授業始まっちゃう。ノリノリで演技する!って言ってくれたのはG41とナガンばあちゃんの2人。狐というより犬だろと思いつつ呼んでみた。まあ、呼んだ瞬間大はしゃぎよね。衣装は際どいと判断したので上着などを着せました。可愛い。

 

 

「____おお、だいぶ楽しそうにしているね。秀内さん、そろそろいいかな?」

「あー、時間ですか。2人とも、一回下がって貰っていいかな?」

 

 

 

 

 子供たちは「えー!」って言ってるけど…時間守るのも大切なんやで。あと今回やる範囲はちゃんと終わってるから問題ないし。G41とナガンの2人も手を振って基地へと帰っていきました。自分でいうのもなんだけど…どういう仕組みなんだろうねこれ。

 

 

 

 

「___さて、秀内さんに少々お願いしたいことがあるのだがいいかな?」

「ええ。力仕事か人海戦術の必要なことですか?」

「いや、ちょっと荷物の受け取りに行ってもらいたいんだ。ただ、時間がかかりそうだからね。」

 

 

 

 

 頼まれたのはおつかい。ふむふむ、時間がかかるとなれば確かになぁ…ここを離れて子供オンリーにするわけにはいかないし。いつもなら配達してもらったりしてるらしいんだけど、今回はちょっと間が悪くて来れないらしい。

 渡されたメモに書かれている住所は…保須?って書いてる。なーんか最近聞いた気がする地区だな。まあいいや、とっとと行って帰って来ましょうかね。

 

 

 

 

___________________

 

「さあ!皆で晩御飯の準備をするよ。今日はカレーにするから役割分担をして作ろうか!」

 

 

 子供たちの返事を聞き、その中でも比較的年齢の高い子に小さい子の面倒を頼む。

 そして、後ろの柱の陰にいるであろう存在に話しかける。

 

 

「そこにいるんだろう?確か彼女は人形と言っていたが。」

「…よく分かりましたね。これでも、気配を隠すことに関しては自信があったのですが。」

「はっはっは。如何せん、私の鼻は獣寄りらしくてね。そして君は、ここに意図的に残ったのかね?」

 

 

 

 そう聞くと目の前にいる彼女は頷いた。メイドのような恰好をした、G36と名乗る彼女はちらりと後ろを見る。…ふむ、なるほどな。一応、こちらに手を出す様子はないところから狙いは出て行った秀内さんだろう。あの年で随分と苦労しているなぁ。ああいや、だからこそここに来たのか。戦うだけでなく、守ることを憶えるために。

 

 

 

「彼女は強い。だが、まだ経験が少ないのだろうね…。あの年で経験がある、と言われればそれはそれで驚きだが。」

「そういうあなたは、守れたのですか?」

「私かい?…そうだね、自分の手の届くところにいる人たちは守れたと思うよ。」

 

 

 

 すべての人を守れるとは言えない。年老いたこの身ではもう前線に立つことはできないだろう。だからこそ、今はこうして行き場のない子供たちを助け、導くところにいるのだが。

 

 

 

 

 

 

「でも一番は…戦わないことなんだろうね。」

 

 

 

 

 

 道具の人形(彼女)は、答えなかった。

 

 

 

_________________

 

 

 

 

 頼まれたものは…木材と工具?あ、自分で修理とかもしているのか。でもそんなに大きいものじゃないから帰りも電車で大丈夫そう。電車の中は定時で終わったサラリーマンと学生でそこそこ混んでいる。外を見れば、若干日が落ちるか落ちないかというところだった。

 護衛に来てたG36が残るといったので今はももちゃんを護衛に連れてきている。タイミングが良かったらしく、個性でできた基地周辺の見回りから帰ってきたところだと言ってた。休ませたいなとは思ったけど、万が一のことを考えると来てもらいたかったので…あとでアイスでも買ってあげよう。流石に姿をいつものままで出すわけにはいかなかったので、今はいつものセーラー服ではなく洋服だが。かわいいなあ!!

 

 

 

「…うん!洋服姿のももちゃんもかわいい!」

「ちょっ…!?奏ちゃん急に何を!!」

 

 

 

 

 

 

 外に出ている時は指揮官って呼ばないように言ってあるので、今は普通に名前を呼ばれてます。ちょっとうれしい。顔をちょっと赤くして抗議する姿は見ててほっこりする。

 

 だけど、そのまま外を見た瞬間、チラリと何かが光った。同時に、いやな気配がこちらへと向かってきている感覚。反射的に私は叫んだ。

 

 

 

 

 

「一〇〇式、電車全体に桜逆像!!」

「ッ!!」

 

 

 

 

 

 桜がぶわっっと舞い散ると同時にとてつもない衝撃音。だが、電車と線路にダメージはなく、少し揺れたくらいで済んだ。衝撃音の正体を確認するために窓辺に行こうとする。しかし、電車の中は軽いパニック状態になっていた。

 

 

 

 

「っええい!仕方ない、一〇〇式は屋根に乗って状況確認、場合によっては交戦も許可!周辺散策してる人形にも応援を頼め!!」

「了解!」

 

 

 

 ダンッ、と窓を開けて外へと飛び出す一〇〇式。戦闘モードに入ったために、衣装も普段のものに戻った。

 

 一般的に個性の使用を禁止されているが、襲撃を受けたので正当防衛と主張するしかないだろう。というか、さっき桜逆像使わなければ確実に死人が出てただろうし。スマホを取り出して袁雷帝にいるであろう雷銅さんに状況を報告。一応、簡易的に個性の使用許可をもらい事態の収拾がつくまでは付近のプロヒーローの指示を聞くようにと言われた。

 

 

 

 

「くそっ…!まだ橋の上とかじゃないからマシか。警察にも誰かが連絡済っぽいからあとは…っっ!!」

 

 

 

 

 咄嗟に横に逃げれば、今まで自分がいたところに大きなクレーターができた。食らえばおそらく即死か重体。電車から離れていたのは正解だっただろう…じゃなければ今頃避難している乗客たちが被害を被っていたはずだ。周りはビルとか商店街とかで人が多すぎて【装備】しても攻撃できない…!ともかく、攻撃してきた奴を確認すれば___あれは、襲撃事件の時の筋肉野郎か?いや、違う点がある。()()4()()()()のだ。さっきの攻撃は腕を振り抜いた衝撃か何かを飛ばしてきたってことか!

 

 

 防戦一方になる中、目の前の4本腕に集中していたせいで______後ろからとびかかってきたもう一体に気づくのが遅れた。

 

 

 

 

「しまっ____!!」

 

 

 

 4本腕の奴から逃げるために空中へと逃げていたのがあだとなった。もう一体は着地する瞬間を狙って確実に攻撃を当てに来るだろう。【装備】をする余裕もなく、かといって防ぎようもない。少しでも傷が浅くなることを祈りながら来るであろう衝撃と痛みを覚悟する。

 

 着地と同時に来る攻撃。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______だが、その攻撃がこちらに来ることはなく、逆に攻撃をしてきた奴の()()()()に風穴があいた。少し遅れて聞こえる()()()と聞き慣れない声。…いや、この声を知っている。だが、ありえない、ありえないのだ。

 

 なぜなら、私はその()()を前世で持っていなかったのだから。

 

 

 

 

『油断大敵。初めましてになるかな?指揮官。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その人形の名は、「G11」。私が求めていた人形の1人であり…本来の404小隊の一体だったのだ。




切り悪いと思う?悪いと思うなぁ!!()

そして姿を現す未所持だった人形。2人組のうちの一人はこいつです。ついでに今主人公がいるのは保須のちょっと手前。電車が襲撃受けたけど緑谷とは別の電車(あっち新幹線だし)
 なので、脳無は10体くらい出てきてることになります。原作からふえてーら、やばい。ついでに一〇〇式ちゃんもタイマン張っているので結構やばめ。





続きはこれから書いていくよ!!()工場寒いから職場で書けない。


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嵐と雪狼の「目」はここに来たり

クッキー集め、順調ですか?私は笑いながらドリーマーを殴って楽しんでいます。


最近雪が降ったせいで、朝4時起きになっているんですよ…眠い…そしてお話書く体力持っていかれる…うぐう




あとホンダのS660という車は雪が積もる東北で冬に乗るんじゃねえわ…ケツ振れて怖い


12/14追記
活動報告で叫んでます。皆さんの怪文書お待ちしてます


 ひときわ高いビルの屋上。そこ2体の人形はいた。1体はスコープを覗き込み、眼下の標的から目を離さない。もう1体は何も構えず、狙いをつけている人形と背中合わせになるようにして違うところを見ている。だが、その両目は閉ざされており、何を見ているのか、あるいは何も見ていないのか。それすらも分からない。

 

 

 

「こっちは私1人で何とかなりそう。あっちの騒ぎを任せていい?」

「ええ。前々から目をつけていたアイツのほかに、私がいじれそうなモノもいますからね。」

「はぁ…早く終わってくれないかな。ようやく出れたと思ったらよく分からない場所に飛ばされるし…布団で寝たいよ…。」

「あら、私なんてそもそも()()すらしていないのに。まあ、あの指揮官はよく知っているみたいですが。」

 

 

 

 2、3言軽く雑談を交わすと、瞳を閉ざした人形はフードを被り、己の本体たる銃を背中に固定してどこかへと跳んで行った。向かった方向の先から爆発音がしているため、そっちの対処に行ったのだろう。

 スコープを覗き込んで警戒している人形、G11は先ほど撃ち抜いた異形の敵が再生していく様をよく観察しておく。そのすぐ側には、先ほど援護した指揮官の少女が4本腕を相手取って大立ち回りを繰り広げているが、周りには一般市民などが多いためにむやみやたらと自分の銃を撃つことができずにいる。せいぜい時間稼ぎがいいところだといったところか。

 

 

 

 

 

「まー、手っ取り早く倒すのが一番だよねー。」

 

 

 

 

 

 その声は、心底めんどくさそうな声だった。

 

 

 

 

 

 

 

_______________

 

 

 

 

「っだらしゃああああああ!!」

 

 

 

 銃を撃てないため、関節技で攻めるしかない今、無駄に腕の多いコイツに手こずってしまっている。もう一体はG11がつい先ほど仕留めたのか、再生する素振りも無く地面と一体化している。

 

 

『ソイツら、再生するのに癖があるみたいだしその気になれば止めれるよ。隙はどのくらい作れる?』

「2秒!」

『余裕。』

 

 

 G11からの念話。どうやら倒す算段があるらしい。頼まれた通り、奴が腕を振り抜き、大きく体勢を変えた瞬間に頭の天辺に踵落としをお見舞いする。

 剥き出しの脳が大きくえぐれ、動きが止まる。

 

 

 

「今!」

 

 

 

 合図を出し、離れた瞬間に奴の背中に三発銃弾が同時に着弾、そのまま頭も吹き飛ばした。いつもなら少し動きが鈍くなって傷が何事も無かったかのように再生していくのだが…G11の宣言通り、再生を止めた上に二度と起き上がってくることはなかった。

 

 

 

 

「…本当に優秀なんだな。助かったよ。」

『そりゃどうも。ふぁぁー…これが終わったらいい布団で寝させてほしいなぁ。』

「いいけど…たぶん他のみんなからの聴取が待ってると思うよ?」

 

 

 

 

 いーやーだー!と抗議の声が上がっているが…正直なところ、私も聞きたいことがいっぱいある。どうして私の個性、というより指揮下の人形として顕現することができたのか、どこから来たのか。でも今は目の前の状況を片付けることを優先しよう。

 …遠くからヒーローらしき人たちが来てるようだし。

 

 

 

 

 

 

__________________

 

 

 眼下にいるのは3人の子供と1人の大人、あとは…数多の刃物を仕込んでいる敵が1人。アイツは私たちがこの町に来てから何度も追いかけてきたことがあったが、大体の場合は奴の姿を見たプロヒーローと呼ばれる何人かがちょっかいを出すので深追いされることはなかった。

 

 

 

 

「…ふぅん?あの紅白の子、だいぶ強そうだけど…まだ振り回してるだけって感じか。緑の子は使いこなせてないし、優等生君は負傷中と。」

 

 

 

 

 この様子だと、手を出さないほうが彼らの為になると判断。流石に危険と思ったら出ていこうと思うけど…。ああ、どうやら決着はひとまずついたようで。氷漬け、とまではいかないけど氷塊の上で気絶したみたい。

 何もせずにただ見ていただけ、と言えばあの指揮官は私への評価をどうするのか。少し気になるけど…どうも面倒な奴がこちらに気づいたらしい。

 

 

 

 

 

 

「_______深度演算モード。」

 

 

 

 

 

 

 しょうがないけど…この瞳を開くとしましょう。

 

 

 

 

 

「_____干渉開始。」

 

 

 

____________________

 

「伏せろっ!!」

 

 

 

 

 スマホに入っていたメッセージを確認し、急いでその場所に駆け付けた瞬間に聞こえたのは警告の声。それと同時に見えたのは有翼型の脳無が()()、緑谷君たちのいる集団に突っ込んでいく瞬間。

 攻撃をするなら既に仕掛けているはず。ならば目的は_____

 

 

 

 

「誰かの誘拐か人質ってことか!!」

 

 

 

 【装備】していた一〇〇式を構え、狙いを定めるが…奴は蛇行しながら飛んでいるせいで定まらない。

 牽制射撃を仕掛けたことで、一体は逃げた。だが、もう一体は緑谷をつかみ、飛び去ろうとしている。奴の翼を撃とうにも、緑谷に誤射する可能性があるため、迂闊に動くこともできない。

 

 

「くそっ…!対処のしようがないの____」

 

『___深度演算モード。』

「偽物が蔓延るこの社会も、徒に力を振りまく犯罪者も____粛清対象だ。」

 

 

 

 

 

 

 聞こえてきたのは二つの声。直後、緑谷をつかんでいた奴は地に落ち、その頭上には血まみれの誰かがナイフを突き立てていた。もう一体はいきなり金切り声を上げながら自分で地面に突っ込んでいくように飛行し、自爆した。

 血まみれの男はおそらく…「ヒーロー殺し」。粛清対象、と言っていることから間違いないだろう。だが、もう一つの声…凛としたあの女性の声は…。

 

 

 

 

 

『ボス、悪いがちょいと体を借りたい。』

「トンプソ…うぐっ。」

 

 

 

 突然トンプソンが話しかけてきたと思ったら、強制的に【装備】の第三段階にされた。【装備】の第三段階は私自身の体を完全にその人形に預けて戦うのだが…今回のように無理やり主導権を持っていかれると負担が大きくなる。けれども、トンプソンがそのようなことをしてくるということは…恐らく、何か必要なことがあってだろう。

 FPSゲームを見ているかのような感覚とともに軽々とビルの上へと登っていくトンプソン。自分の体を自分の意思とは別に動かすことにはまだ慣れていないせいか、少々気持ち悪い。だが、私の体でどこかに向かって走るトンプソンから伝わってくる感情は…焦りと緊張?

 

 

 

 

 

『事情はあとで話す。だが、ここ最近怪しい奴らがうろついてるのは薄々気づいていただろう?』

「まあ。でも一人は発覚したし指揮下に入ったから。…もしかして今向かっているのは?」

『…待て、指揮下に入った?まあいい、そういうことだ。だが、私達のメインフレームはここから遠いんだ。…いたっ、あそこだ!!』

 

 

 

 

 

 一際高いビルの上。そこに佇んでいるのは…フードを目深に被り、じっとこちらを見つめる人影。その背には銃が背負われいるが、特定まではできない。だが…あんな芸当をできるのは正直、人形だけだろう。

 

 

 

 

「トンプソン、銃を向けなくても大丈夫。敵意はないから。」

『…保険はかけておくものだぞ。』

「面と向かって話をするのは初めてになりますね。御機嫌よう。」

 

 

 

 

 

 銃を向けられても大して動揺したり、過剰な反応を取ることはないことから、やはり人形なのだろう。トンプソンは未だに敵意を隠すことなく睨んでいるが…私の予想通りならそれは意味を為さないはずだ。

 

 

 

 

 

「初めまして。そして確認だけど____あの有翼型の怪物、脳無っていうんだけど…あいつに干渉して墜落させたのは君だね、A()K()-()1()2()?」

 

 

 

 

 

 私がそういうと、目の前の人形はフードを下ろし、頭を振る。ビル風に煽られて靡く髪は夕陽を反射して輝く銀色。両目は閉じられているが、その視覚にはきっと私が映っているのだろう。

 

 

 

 

 

「ええ。これからよろしくね、指揮官。」

 

 

 

 

 彼女は、とても楽しそうな声でそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

_____________

 

 

 

 

 

「ああ、いたいた。君が【パンドラボックス】だね?」

「ンあー?なんだあんた。というより、何でここに来れてるんだ?」

「そうだね…僕はいろんな手段を持っている、と言えばわかるかな。」

「そうかい…でも、今の俺はようやく出れた外を楽しみたいんだ…邪魔をしないでほしいな。」

 

 

 

「____じゃあ、もう一度“彼女”に会うことができるよ、といえば?」

「…へえ?詳しい話、聞こうじゃないか。あんた、名前はなんていうんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オール・フォー・ワン、とでも呼んでくれ。」




アグレッシブG11。珍しいって言われた。
そして(恐らく)ハーメルン史上最も早くAK-12を出したと思います。大陸版の人形出てきてるお話、あまりないもんね。ネタバレ関係はあっても。

サブタイの嵐はG11のスキル、雪狼はAK-12のスキルを訳した物です。どっちも目ってついてたんだよなぁ…(偶然。サブタイ思いつかなかったけどこれでいいかなって感じで)








一〇〇式「(いきなり【装備】解除された…びっくりした…)」
エンデヴァー「!?」



突然目の前に顕現しちゃった(というか指揮官の体から追い出された)一〇〇式ちゃん。エンデヴァーは突然現れたセーラー服の女の子を見てしまったのでSANチェックです。




指揮官「トンプソン、あとでOHANASIな。」(低音)
トンプソン「本当に済まなかったボス!!!」



割とびっくりした指揮官。でもこの時は「怒り<気持ち悪さ」だったので声が低いのはそのせい。調子悪いと声も出ない。




(電車襲撃後、G11を回収して緑谷のところに行く直前)

指揮官「…ん?これって、位置情報か?」
プロヒーロー「君、さっき戦ってた子だね?今回は正当防衛で通ると思うけど…個性を街中で使っちゃだめだよ!」
指揮官「あ、一応口頭で使用許可はもらいました。あとで確認とってください。(これ位置情報のところに早くいったほういいよな???)」
プロヒーロー「えっと、だれに確認取ればいいのかな?」
指揮官「金獅子(ゴルドリーオ)っていうプロヒーローです。」
プロヒーロー「!?」



割と有名どころの金獅子さん。元ネタはある。がおー!


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過去に見るは、虚ろな影。現に在りしは陽炎なり

マジで朝早くて疲労がマッハ…あと土曜出勤も許さねぇ…
クッキーは順調に集まり、ボーナスが入ったので宿舎も全開放しました。あとは指輪を追加で8つ買ったりとほっこりした我が司令部です。推しに貢ぐのが信条。ただし嫁は一〇〇式ちゃんのみである!!!あとは親愛の証として渡してるんだ!!!


活動報告に軽い怪文書書いたら友人に「落ち着いて運営に貢げ」って言われました。貢ぎます。


今後は割とマジで出すの遅れるかもしれません。そうなったらすんません…21日には忘年会で部長に誘拐されるので。2次会に。
あとシャッターとフォークリフトの間に挟まれたりしてました。無事ですけど。







サブタイ決まらなくて適当になってる!!!!本編と関係ないかもね!!!


「…虚構空間から?」

「まあ、端的に言えばそうなるわね。でも、これはあくまでも(AK-12)とG11の予想に過ぎないから、<そういう可能性もある>程度に思ってくれればいいわ。」

 

 

 

 

 保須市のヴィラン騒ぎがひと段落し、雷銅さんからも「今日は早く帰ったほうがいい」と言われたので帰宅して、現在自室にAK-12とももちゃんと私の3人で事情聴取のようなことをしております。G11は寝た。基地の宿舎に入れてあげたら速攻で寝た。かわいかったよ…。

 AK-12にどこから来たのか、と聞いたら返ってきた答えは「何もないところ」というもの。やはり元は電子データの塊で、何かしらの影響などを受けて私の個性として自己存在を確立、顕現といった順番で出てきたのだろう。なんでも、呼ばれたような気がしてふわふわしてたら現実世界にG11と2人で立っていたらしい。知識や世界情勢などは最初からインストールされていて違和感などはなかったが、周りには人形や指揮官たる私がいないために動きがいろいろと制限されたとのこと。不思議すぎる。

 

 

 

 

 

「そっか…。それじゃあ今後も増える可能性は十分あるってことなのかな?」

「だとすれば…今までできなかった戦術も使えるようになりますね。ですが、宿舎の割り当てなどはどうしましょうか?」

「あ、そうだ。その前に一つお願いがあるのだけどいいかしら。」

 

 

 

 

 AK-12とG11の宿舎割り当てなどなどをどうしようかと思った矢先、当のAK-12からの頼み事。あんまり厳しいものだと流石に無理だけど…なんだろうか?

 

 

 

 

 

「争いがそこかしこで起きていない平和な世界というものに興味があるのだけど、その中でも<学生>っていうのを体験したいの。」

 

 

 

 

 

 

 …難易度たっかいなぁ!!でもすっごく似合いそうで怖い。

 

 

 

 

 

______________

 

 

 

「…お久しぶりです、雷銅さん。」

「おや、珍しいな。君が来るとは思わなかったよ…面構君。」

 

 

 

 

 秀内さんを少し早めに帰宅させ、施設の戸締りを確認していた時にやってきたのは保須警察署所長を務めている面構 犬嗣(つらがまえ けんじ)だった。かつてプロとして動いたころにはとてもお世話になっていた。

 彼がここに来た理由はおそらく、秀内さんも巻き込まれた保須のヒーロー殺し関係だろう。一応、口頭での個性の使用許可を出したためにその確認をしに来たところか。

 

 

 

 

 

「保須のヴィラン騒ぎのことは把握していると思うのですが…。ここに来ている雄英のヒーロー科の生徒に個性の使用許可を出したと報告を受けたために確認をしに。」

「ああ、彼女なら大丈夫だと判断したから私が出したよ。それと、いつものように話してくれていいんだけどねえ。」

「いえ、流石に貴方に対しては無理ですよ。仮にも歴戦のプロヒーローである以上敬意をもって向かうべきだと思うので。」

「相変わらず融通の利かない性格だなぁ。まあ、だからこそその立場にいても信頼を得ているのだろうね。」

 

「___それで、聞きたいのは個性の使用許可だけではないのだろう?」

「…やはり、分かってしまいますか。」

 

 

 

 

 個性の使用許可の確認だけならば、面構君自らこんなところまで来なくても良い。電話なりもう少し下の立場の警察官を寄こせばいいからだ。彼ほどの立場の人物がやってくるということは…懸念しているのは彼女の個性についてか。長年前線に立っていた経験から、おそらく直接意見を聞きに来たのかもしれないと思ったのだ。直接彼女が戦うところを見てはいないが、今日話をしたあのメイド服の子を見れば危険視する理由はわかる。そしておそらくは、彼女自身もそれなりの動きをできるだろう。

 

 

 

 

「今日のヒーロー殺しに関する事件、ヒーロー殺し以外に現れた人型の化け物…脳無という奴らしいのですが、秀内さんはそれを一人で相手にしておきながら無傷。さらには電車に直接攻撃を仕掛けてきた際にはその攻撃を無効化したとの証言も受けています。」

「そうだね。でも面構君が聞きたいのは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だろう?」

「…そうです。彼女が乗車していた電車周辺にいた脳無は3体。1体は全身バラバラに切り飛ばされてそのパーツには銃創がいくつもありました。残りの2体はバラバラになったやつとは反対方向の空き地で倒していました。こちらの2体は銃創は3つ程くらいしかありませんでしたが…どちらも頭をきれいに吹き飛ばされています。」

「なるほどね…。つまり、一体多数で戦うことができるほかに高い戦闘能力と戦況判断、一番気にしているのは()()()()()()()()()()()()()()()()()()事かね?」

 

 

 

 

 私の最後の言葉に神妙な顔で頷く。普通、銃を扱うことなどない人間が、銃を人に向けて撃つという行為は少なからず何かしらの影響をもたらす。たとえ個性であったとしても人に向けて直接使うことなどプロヒーローでなければまずない。ましてや、あの年齢であればなおさらだ。しかし、面構君の話によればそういった抵抗が一切感じられないことに対して警戒している。彼女の個性で出てきていた子たちを見れば、もしや…。

 

 

 

 

 

「人に対して銃を向ける…もしその気になればいつでも人を容易く殺めるのではないか、というのを気にしているようだね。」

「…ええ。何より、彼女の顔の傷はかつてヴィランに付けられたもの。一般人ならともかくヴィラン相手となれば容赦なく撃ち殺すのではないか、という話が既に上がっているのです。」

「あの子がねぇ…。私は()()()()()()()()()()()()()()()可能性はないと思うよ。」

「そうですか…。いえ、他でもないあなたがそういうのであれば大丈夫でしょう。それでは。」

 

 

 

 

 

 秀内さんは恐らく、既にそういった輩に手を出されている。今日も誰かが狙っていたことからそれは確実だろう。だが、もし容赦なく銃を向けていればそもそもそういった奴らは出てこないはず。つまり彼女にはその気がないという確証に至る。なにより、彼女はそういった気配が一切ないのも一つだ。だが…。

 

 

 

 

 

 

 

「____彼女の個性(人形)は…どうだろうね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

 モノクロの世界。周りに在るのは表面だけのビルと数多の店だけで、その世界に人はいない。聞こえるのは、耳障りなノイズの混ざったあの男の声。強烈な違和感と不快感、そして恐怖が体を支配していく。

 

 

 反転。

 

 

 目の前にいるのはあの男。その手には血濡れのナイフが握られ、視界は半分が黒塗りに、左肩からは痛みと熱が絶え間なく私に警告を訴えてくる。ノイズの混ざった声はとても不快で、それでもあの歪んだ笑顔は嫌になるくらい鮮明に覚えていて_____そして首を、気道をその手でつかまれ、つぶされる。いきが、できない。

 

 

 視界に映る景色はすべてモノクロなのに、あのナイフについた血だけが真っ赤に染まっている。

 

 あいつが、ナイフを私の心臓に向かって振り下ろし_________

 

 

 

 

 

 

 

 

「_____っっっぁ!!っはぁ、っはぁ…。」

 

 

 

 がばっ、と身体を起こし、そこで目が覚める。耳元で煩いほどの心音が聴覚を支配し、いまだに目覚め切っていない頭が痛みを訴える。もう一度布団の中に倒れるようにして横になる。未だに呼吸は粗く、心臓はバックバクと動いている。あの夢は長らく見ていなかったが、やはり何時見てもシャレにならない。

 時計を確認すれば、時刻は4時になるかならないかといったところで、2度寝しようにも微妙だ。

 

 

 

 

 

「…はぁ。最悪すぎる夢だなぁ。」

『指揮官、大丈夫ですか?心拍数と体温がとても高くなっているのですが…。』

「いや、大丈夫。ちょっと悪夢を見ただけだか…ら…?」

『指揮官!?』

 

 

 

 

 おかしい。布団から起き上がって着替えようとしたのに立っている感覚がない。それどころか立っているのか、横になっているのかすら分からず、視界はぐるぐると回っている。なにより、体がとてつもなく重く感じる。

 あ、まずいと思った時にはすでに遅く…私の意識は熱い泥の中に沈んでいくかのように、再び途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________

 

 

 

 

 

「…おかしい。奏がこの時間になっても来ない。」

「寝坊でもしたんじゃない?」

「いや、あいつは一度も寝坊なんてしたことがない。また何かに巻き込まれたか?」

「そこで巻き込まれたっていうあたり相当彼女も苦労しているのですね…。」

 

 

 

 

 職業体験が終わり、いつものように授業が始まる日。朝のHRが始まる3分前にも関らず、普段ならとっくに席に座っているはずの奏が未だに来ていなかった。連絡の一つも入っていないから何かしらのトラブルに巻き込まれたか、本当に寝坊したのか。

 そんなことを考えていると担任の相澤先生が入ってきた。

 

 

 

 

 

「____というわけで、あとでレポートを書いて提出な。期限は絶対だ。一日遅れるごとに追加出すからとっとと書けよ。」

「先生、奏ちゃんは今日休みですか?」

「ん、ああ。発熱で休みだ。あとで誰かレポート用の紙をもっていってくれ。」

 

 

 

 

 

 珍しく熱を出したのか…。あとで連絡でも入れて様子でも見に行くか…。

 

 

 

 

 

 

_________________

 

 

「…ぅ。」

「む、お目覚めのようじゃな。…ああ、無理やり体を起こさんほうがいいぞ。かなりひどい熱じゃからな。」

「ん。いまなん、じくらい…?」

「正午と言ったところか。ああ、無論学校に連絡は済ませておる。…しっかし、いきなり倒れたと思ったらかなりの高熱で驚いたぞ。指揮官よ、あまり無茶はするなと言われていたはずじゃが。」

「むりし…てな、い。」

 

 

 

 

 起きたのはいいけど、どこかはっきりとしない意識のまま、隣で看病してくれていたナガンに状況を聞いた。熱を出して今まで寝てたのか…。かなりひどいのか、うまく声も出せないようだった。横にされているのだろうけど、感覚はぐるぐると回ったままだし、何より頭が痛い。ここまでひどい熱は前世でもなったことがないし、この世界に来てからは健康体そのものだったからちょっと辛い。

 

 

 

 

「ふむ…もう少し寝ておれ。あとで解熱剤を持ってくるから、今は体を少しでも休めておくのが一番じゃからな。」

 

 

 

 ナガンはそう言うと、私の頭をそっと撫でる。起きていたのはほんの数分のはずなのに、とても疲れてしまった私は、その優しい感覚に誘われるようにもう一度眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…41℃、尋常じゃない熱ではないか…!」

「ナガン、様子はどうですか?」

「ああ、副官か。いや、一向に良くなる気配がない。解熱剤だけでは心もとないかもしれんな…。副官よ、本当に指揮官は無茶の類をしておらんのじゃな?」

「していません。それどころか、誰も【装備】したりしていませんし…。」

「…と、なれば。原因はあの2人かもしれんな。だが、あの2人自体は悪くない…問題はそのあとの【門】かの。」

 

 

 

 AK-12とG11の2人が正式に指揮下に加わった直後、あの不安定な何かは実体を持ち、あの基地とどこかを繋ぐ門になった。今のところ、開いた様子はないから恐らく動いていないのだろう。だが、もしかすればあの門から現れた人形は、本来なら指揮官のもとにいない人形であるがゆえに、多大な負荷をかけてしまっているのかもしれない。これが一時的なものであればいいが…持続的なものであれば対処法を考えなければならない。

 

 

 

 

 

 

「…ともかく、今は指揮官の症状が軽くなるまで様子見としよう。」

「…そうですね。もう少しの間看病をお願いします。」

 

 

 

 

 

 そういって部屋を出て行った副官の顔は、とても苦しそうな表情だった。




Q:高熱の理由って何なの?

A:脳の処理落ち。あの2人が来たことによる負担の急激な増加と思ってください。




Q:41℃ってやばくない?

A:割とやばい。場合によっては病院送りです。私はなりました。マジでつらい。







スパロボを買っちゃった…!でもこっち優先してるので…!
次からは時系列的に一気に期末まで行きます。いろいろすっ飛ばすけどごめんね…!


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今の自分を試しましょうか(前)

作者「ほーん…アキバでいろいろやってるのn…」

(アキバのたれ広告に映る一〇〇式と62式などなどの晴れ着スキン集合写真)

作者「……………」(ガタガタガタ)(2度見)

(思いっきりかわいい一〇〇式ちゃんsが映っている)

作者「…当てる。(真顔)」





ボーナスの残りはスキンガチャに行く可能性がすごいことに。パックだといいなあぁ…



指揮官「カリーナ、ダイヤとコインの貯蔵は十分か?」


「まったく勉強してねええええええ!!!!」

 

 

 

 クラス内が悲鳴で騒がしいですなー(白目)。なんだかんだで期末テストまで1週間になったころ、朝っぱら一番で聞こえたこの悲鳴はよく身に覚えがありますね…。前世ではよくやらかしてましたから。

 なんだかんだで謎の高熱は1日で収まり、その後は何ともなかったので授業は遅れることもなく何とかなってる現状。一回だけ基地の周辺にできたらしい門を確認したけど…マジでデカかったです。でもなぜか近づくことができなくて調べることはできなかったんだよね。謎です。

 

 

 

 

「うー…カナちゃんは何を楽しそうにこっちを見てるのかなー?」

「いや、なんかこうやってバカ騒ぎしてるの見てて楽しいなって思って。でもさ、筆記もいいけど演習の心配はしなくていいの?」

「演習はたぶん何とかなる!」

「緩いなぁ!?」

 

 

 

 

 葉隠さん…演習はそんな風にやれば足元持っていかれるぞ…。何人かが分からないところを八百万さんのところに聞きに行ってる。八百万さんは自分が役に立てるのがうれしいのか顔が輝いてる。聞こえてくる内容からして5人くらいが勉強会で行くことになってるっぽい。…でもなぜに紅茶の話にまで発展しているんだ?しかも講堂って言葉が聞こえたけど金持ちか!金持ちだからあるのか!?爆豪は切島君に挑発みたいな言葉言われていつものように切れてる。うん、通常運行だった。あと意外なのは峰田君が結構いい成績だったらしい。予想外すぎるぞエロ魔人。

 そんな風に騒いでればあっという間に授業が始まる時間に。まー、今から心配しててもどうしようもないからやれることをチマチマやっていきますかね…とりあえず数学から。林間合宿行きたいからなぁ!!!

 

 

 

 

___________________

 

「…AK-12、それは本当なの?」

「残念だけど事実よ…スプリングフィールド。いろいろと演算を重ねて対処法を考えていたけど…場合によっては強硬手段に出るしかないかもしれないわ。」

「っ!でもそれは指揮官の信条に逆らうことに…!」

「落ち着いて、まだ動きはないから。それに…こちらに来てばかりの私からすれば情報と経験が不足しているの。まだ何とかなるかもしれないからこのことは内密に。」

 

 

 

 

 

 

あの子(指揮官)に傷をつけた男が、もう一度動く前に。」

 

___________________

 

 

 

 

 

 

 期末試験演習当日。目の前にはヒーロー科の演習の為に何人もの先生が本来の仕事で着るコスを着て並んでいます。こうして目の前に並ばれると、やはり本物は迫力と気迫が違う。この様子だともしや…事前に聞いていたこれまでの対ロボの演習ではないのかもしれない。

 そして今日は前線に出て戦う用のコス、いつぞやのフレームと悪人面のマスクの組み合わせではなく、後方で指揮をするための方のコスを着てきました。

 

 デザインとしては、白をベースとして肩から袖に向かって一本の赤いライン、襟首の淵は黒くしている。ボタンは4つずつ2列のダブルブレストと呼ばれるタイプで金色に輝き、それでいて戦闘をすることになっても動きに支障が出ないように余裕を持った配置に。下は上と同じく白に黒いラインの入ったスカートタイプだが、長さを太ももの半分くらいまでの短さに抑え、黒色の足にフィットしたタイプのボディスーツを履いている。足首の少し上までカバーするつや消しを施したブーツは踵部分と爪先に金属製のプレートを内蔵した、殺意高めのものとなっている。足の甲の部分にも金属プレートが入っているので、万が一物が降ってきてもある程度なら耐えられる。それでいて切れ目もあるため、動くのに支障は出ない。戦闘用と違い、顔にはいつもの眼帯のみだが耳には人形を呼び出したときに戦況や人形のコンディションの確認ができるように、空中にホログラムディスプレイを投影させるための投影装置などを内蔵した通信機をつけている。この通信機は自作、というより今朝イングラムから渡されたものだ。説明受けたとき「うっそやん…」って思わずつぶやいてしまった。謎技術再び。

 

 

 全員が集合場所に集まり、先生から今回の演習についての説明が始まった。

 

 

 

 

「諸君なら事前に情報を仕入れて何をするか薄々わかっていると思うが…今年は諸事情で内容を変更させてもらった。詳しい内容は___」

「__私からさせてもらうよ!」

 

 

 

 説明を始めた相澤先生の首元、ぐるぐる巻きにされている包帯モドキがもぞもぞと動き、中からリス(?)のような姿の小さな人物、雄英の校長を務める根津先生が飛び出してきた。…いや、校長先生どこに入っているんですか!?

 

 

 

 

「今年からは対人活動を見据えたより実践に近い教えを重視するよ!と、いうわけで…これから諸君らには_____二人一組でここにいる教師一人と戦闘を行ってもらう。」

 

 

 

 

 そう宣言すると同時に変わる空気。一気に緊張感を孕むものへと変わり、教師陣たちはいつもの先生としてではなく一人のヒーローとしての顔になる。

 そして発表される組み分けと相手をする教師が発表されていく。だが、このクラスは21人。二人一組で組むと1人が余る計算になってしまう。そう考えていると、相澤先生から指示を()()()()()()しゃべった。

 

 

 

 

 

「____秀内は少し趣を変えさせてもらう。お前はフィールド内にいる要救助者を探し、救出。その後指定された場所へと()()する形とする。他の奴らと違って1人になるが、お前なら大丈夫だろうという判断のもとだ。全力で行け。」

「…了解。」

 

 

 

 

 

 

 なるほど。確かに、私の場合は既に対人戦闘に関するものは十分だということだろう。大方、つけている監視から受け取った情報や体育祭、この前の襲撃事件などからの結果を鑑みれば妥当なところだろう。あとは…私の個性がどこまでやれるのかを試すか、あるいは私自身にそこまでの能力があるのかを確かめるといった具合か。どちらにせよ、やらねばいけないことである以上全力で行くのみ。

 

 今回は出し惜しみなどしない、本来の(使い方)で行かせてもらう!

 

 

 

 

 

 

 

 

____________________________

 

 

 白い花弁がひらりと舞い、重力に従って地面へと落ちていく。しかし、その花びらはまるで雪のように、地面に吸い込まれるかのようにその形を徐々に消していく。手のひらに白い橘を乗せ、高台から街を見下ろす人影は何かに思いを馳せるような表情をして、ある建物の方向を見つめる。

 

 

 

 

 

「…あなたが望むのは、きっと美しい死でも、痛みのない終わりでもなく…自らの人形達と共に歩む未来なのでしょうね。」

 

 

 

 

 

 

 

 その声を聴く者は、だれもいない。

 

 

 

 

 

「ならば、私は存在を与えてくれたあなたの為に…自らの手を染めましょう。たとえ、望まれないことであったとしても…それが、私たちが造られた本来の理由ですから。」

 

 

 

 

 

 

 

 ひらり、ともう一枚花弁が舞う。そこにはもう、誰もいない。

 

 

_________________________

 

 

 

『第一、第二部隊、共に出撃準備完了。第三部隊は遊撃装備、第四部隊は強襲装備で後方待機します。』

「今回は後ろで指示を出すだけだから、打ち合わせ通りに動くように。護衛はKSGとナガンと一〇〇式、第一部隊はダミーをすべて使用、第二部隊はライフルとハンドガンのコンビで状況対応すること。」

『了解。それと…本当にここまでやっても過負荷にならないのですか?』

「うん。どうもあの高熱がきっかけで上限が上がったみたいでね…今のところ4部隊フルリンクで出して1時間が限界だけど。」

 

 

 

 

 移動中のバスの中。予想できる状況を可能な限りで考え、それに見合う部隊を編成する。先日の高熱の後、鈍った体を動かしていた時に気がついたのだが…恐らく負荷の掛かりすぎによる限界突破があったらしい。そのため、今まで一部隊のフルリンク展開が限界だったものが、4部隊分まで増えていた。一気に増えたのは流石に驚いたけど…もしかしたら想像以上にあの門は厄介なものなのかもしれない。まあ、今気にしてもしょうがないけど。

 そうしていると見えてきたのはいつもの無駄にデカい演習場。外は壁に囲われてよく見えないが、ビルっぽいものが斜めにあるのが見えることから、いつぞやのUSJみたいな倒壊ゾーンと似たような構造なのかもしれない。

 

 

 

「さて、行こうか。前線(フロントライン)に出るのは私だけじゃないってのを証明しにね。」




最近疲れがひどいせいか…思いっきり欲望性癖丸出しの夢見たんですよね…人形が人になってること前提じゃねえか!って思ったのは寝起きだった。R18案件ではない


いわゆる現世パロって奴ですねぇ!!!書き下ろすつもりはありません。あれはアカン。





そして詰まる本編内容!!!待ってくれ!!!私が書く内容と合わせるの大変だぞこれぇ!!







(活動報告で暴走してれば書いてるかも)


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今の自分を試しましょうか(後)

調子乗って3連休でテンション上がっちゃう系駄目指揮官です。滑って頭を地面に打ちました。ヘルメットがなければ病院送りだった…(真顔)

みなさま、冬の地面はお気を付けください。


『全員、位置についたね。それじゃあ、今から雄英1年期末テストを始めるよ!_____レディィィィィィ…ゴォーー!!』

「部隊展開、作戦開始。」

 

 

 

 

 

 グイっと意識をどこかに持っていかれるような感覚とともに顕現する第一部隊と第二部隊。MF(メインフレーム)が顕現した直後にその後ろからダミー人形が追従し、要救助者を探すためにバラバラに散っていく。今私が立っているのはフィールドの中央部、一番高い崩壊しかけているビルの中。ビルの傾き方からして、恐らく銃撃戦ならば耐えるが爆発物が一つでも当たればすぐに崩れる、といった崩壊具合だ。

 耳につけている通信機の横に触れ、自分の目の前にホログラムディスプレイを投影、同時に自身の安全を確保するために、配置されたこの場所から離れる。今は誰も【装備】していない状況だが、この程度の瓦礫や障害程度ならば素のままでも問題なく動けるだろう。何があっても大丈夫なようにKSG・ナガン・一〇〇式の3人をフルリンク状態で周辺に配置はしている。

 ホログラムモニターに映るのは今回入ったフィールドの全体図、その略図だ。その地図の上に在るのは…ある意味、見慣れた丸いマークと!マーク(ランダムポイント)の丸いマスの組み合わせ、そしてその上を移動する第一部隊と第二部隊の人形のアイコンが大量に動いている。前世の、ただのソシャゲだった時とは違い、多くのマスとその上を動き回る人形のアイコンの動きは素早く、数もとてつもなく多い。おそらく、何も訓練していない人が見れば混乱して指示などできたものではないだろう。だが、私はこの画面を見て「懐かしい」と思った。もう見ることなどないと思ったUIは、こうして目の前に現実として存在している。面倒ごとに巻き込まれるのは勘弁だが、こういったことを身をもって実感できることはある意味…うれしい限りだ。

 

 

 

 

 

『未だに要救助者が見つからないっていうのに…そんな笑顔をしちゃって。私たちと一緒にいられるだけでいいって感じじゃない。』

「まー、そういう気持ちもある。でもさ、やっぱりみんなは物でもあるから…使わないで飾る、なーんていやでしょ?」

『それはもちろん。使ってもらわないと錆びてしまうわ。』

「錆びるのは困るよ、FAL。私としてはね…みんなと一緒に居れることと自分で思う存分使うことができるっていう今の現実が堪らないくらいうれしいんだよ。」

「なんじゃ、要は自慢したいのかお主は。」

「自慢したい。てかするもん!…SIG-510、現在地周辺を詳しく調べて。MP40、カバー。」

『『了解』』

 

 

 

 

 護送地点付近まで移動した後、ディスプレイを見ながら人形たちに指示を出していく。この演習の時間は30分。その間に要救助者を見つけ出し、今私がいる地点まで護送しなければならない。今回はマネキンを使うらしいが…恐らくは護送するときの行動も見られるだろう。そして何より…先生から言われたのは「護送」ということ。この言葉が意味するのはすなわち_______

 

 

 

 

 

『グリズリーより指揮官。A-2地点より生体反応、恐らくはヴィラン役のヒーローかと。』

「ダミーで情報収集。同時にMFは退路確保を行いつつC-4まで後退。第三部隊、近接戦闘を想定して展開準備。相手はプロだから加減はいらん、叩きのめすくらいの気概で行け。」

『第三部隊、了解。』

『グリズリー、ダミー3が発見された模様。ペアのWA2000の援護を受けつつ下がります。』

「交戦は第三部隊に任せるように。第一部隊、状況報告。」

『各員、要救助者のマネキンを発見できず。おそらく瓦礫の下にいるものと仮定します。』

「2体ずつで行動するように。瓦礫の下となれば見つけても崩壊して救助失敗になる可能性が高い。必ず補助をつけること。」

『了解。』

 

 

 

 

 

 次々と流れてくる情報を頭の中で整理しつつ、フィールドの比較的端のほうに現れたヴィラン役のヒーローの対処方法を考える。今わかっているのは…比較的隠れるのが得意なグリズリーのダミーが物陰に隠れたにもかかわらずすぐに見つかったことから、索敵関係の能力が高いことしかわからない。ホログラム上の情報を見れば、敵としての赤いアイコンがゆっくりと動いている。少し表示を変えれば、M14が視界範囲内に収めているために今は表示されているといったところか。おそらく視界から外れればこの画面からも見えなくなる可能性がある。

 

 

 

『第三部隊、展開します。地点指示を。』

「B-3にダミーのみで展開、MFはC-5からC-7でダミー操作に集中するように。M14、敵の外見及び見受けられる武装状況は?」

『…あれ、もしかしてこの前の園長さんかも。金色の装甲が眩しいのと、頭から時々電撃が見えます。武器は確認できず。』

「…第三部隊、固まって動くな。常に風下にいるように。あの人は…正直、敵に回ると厄介だ。」

『了解。ボス、スキルの使用は?』

「許可する。…が、手榴弾系は控えるように。要救助者がいたらやばい。一〇〇式、2体ダミーを捜索に回せ。KSG、ナガンはそのまま私の周辺で待機。」

 

 

 

 

 ホログラムに表示されている地図データのほかに、もう一つディスプレイが投影される。ずらりと表で並ぶのは人形の許容ダメージ限界と残弾数、スキルのリチャージ状況などだ。残弾数に関してはマガジンの中身のみの数字だが、これは私の能力の派生でなくなれば空中やホルダーなどに新規のマガジンが再装填されるからである。リロードのタイミングを指示できる、というのはフェイントなどをする場合にはとても有効だったりする。まぁ、今時銃を使って暴れるような輩はだいぶ少なくなったらしいが。

 

 チン、と音がして画面の横を確認すれば残り時間が15分と表示されている。第三部隊は先ほど交戦状態に入り、ダミーが戦闘をしている音が聞こえてきている。時折地面から空に向かって雷が奔っていることから、敵役はゴルドリーオ…雷銅さんで間違いないだろう。咆哮も聞こえるし。

 マップ情報が更新され、新たなランダムマスが表示された。その中でも一つ、違和感のようなものを感じる場所があった。

 

 

 

「この位置だと…トカレフ、ダミー4をF-7の車の残骸付近に移動させて捜索。SASS、トカレフの補助に。」

『…要救助者発見!確かに、これは一人だと困難ですが…2人以上ならすぐに移送できます。』

「周囲の安全確認が終わり次第応急手当、それからD-10の指定エリアまで護送すること。背負ってこれる?」

『ええ、大丈夫そうです。戦闘状況はどうなっていますか?』

「第三部隊がAラインまで押してるから問題なし。ただし要救助者が他にいればまずいとしか言えないから、ある程度索敵しつつ来ること。そっちに一〇〇式のダミーを送ったから対処して。」

『了解』

 

 

 

 

 

 

 

 さて、残り時間10分だけど…これで終わるほど温くないよな?

 

 

 

________________

 

「…これは。」

 

 

 

 

 モニタールームを支配したのは沈黙。目の前で流れている映像は、自分たちの予想をはるかに上回るものだった。

 開始と同時に出現した人物が65名、そしてその人物全てが統率され、動きは身体能力を強化する個性を持っているヒーローに匹敵しているのだ。だが、それだけではない。現れた人は何人かが全く同じ容姿をしている。戦術人形、そのダミーを知らなければ普通は異常事態と言える現状を前に、何かを喋ることなどできはしない。

 しかも、それらの人物に指示を出しているのは…ただの生徒。目の前には何かが出現しており、それを見ながら通信機を使って指示を出している様子がうかがえる。指示を出しているその表情は全く油断しておらず、常に警戒をしていることがわかる。その姿は、現場指揮を担当している歴戦のヒーローのそれに近い。

 

 

 

 

「…これだけの人数を呼び出せる個性なんぞ聞いたことがない!なぜ今まで把握できていなかったんだ。」

「本人が隠していたか、あるいは今まで出すに出せない状況だったか…。」

「それだけではない。指示が的確である上に様々な状況を想定して動いている…一生徒がここまでの経験を積むとなれば、彼女は今までどういった生活をしていたのだ?」

 

 

 

 推測と疑問。根拠のない事ばかりがどんどんと広がっていく。その中に一人、画面を見つつ冷静にしている男がいた。

 

 

 

「…あのデザイン。まさかとは思うが…俺のほかにもいるというのか?」

 

 

 

 

 そのつぶやきは、部屋の喧騒に紛れて消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____________________

 

『要救助者の指定エリア到達を確認。条件達成につき試験終了だ!』

 

 

 

 

 

 まさか、本当に要救助者1人だったのか…。あのあと、何人かに捜索を継続させたけど何も見つからず。結局要救助者を背負ったトカレフと護衛のSASS、ダミーの一〇〇式1体とともに指定エリアに連れてきたら先ほどの放送が流れた。ただし、戦闘中で放送が聞こえていないのか未だに奥の方から爆発音と銃声、あとはものすごい雄たけびと雷撃が見えてます。この様子だと久々にスオミが暴れているかもしれない。はっきり言って、まずい。主に雷銅さんが。

 

 

 

 

「トンプソン、条件達成につき終了。戦闘をやめて撤退せよ。」

『…っおっと!ああ、すまないボス。これから撤退するが…スオミが止まらない。』

「…スオミ、指揮官権限を持って命ずる。即座に戦闘行為を中断、撤退せよ。」

『…了解。』

 

 

 

 

 おもいっっっきり不満そうな声だったなスオミちゃん!でも今ここで際限なく暴れると後々動けなくなるから勘弁してほしい。護衛としてももちゃんを残し、それ以外の人形をすべて帰投させたあと…奥からやってきたのは敵役だった雷銅さんだった。本当に金色装甲が眩しいです。

 

 

 

 

「ふぅむ…まさかここまでのやり手がいるとはね。まったく、秀内さんの個性は恐ろしいな。」

「すみません雷銅さん…うちの人形が張り切りすぎて大変だったと思います。」

「はっはっは!なに、私も本気になることができる相手など限られているからね。久しぶりに全力でぶつかることができたから満足しているよ。それにしても…まさか妨害の一つもできなかったのは予想外だったよ。」

「私の個性は人海戦術に近いですからね。はっきり言って、正面からのぶつかり合いだと劣ると思います。だからこそ、それをカバーしていかないといけないんですけどね。」

「課題も分かっているようだね。なら、私から言うことはないよ。これからも抜かりなく励むように。」

「はい。ありがとうございました。」

 

 

 

 

 

 ズシンズシン、という効果音がつきそうな後姿を見つつ、もう一度ホログラムディスプレイを出す。最後の最後で第三部隊が受けた被害は…各人形ダミーを3体やられたようだ。5人、しかもスキルも優秀な編成だったというのに装甲にひびを入れるのが精一杯で、スオミが銃剣突撃かましたっていうのに未だに歩くことができるとは…。オールマイトが出てくるまで社会を支えていた偉人は強い。

 

 

 

 

「上には上がいる…けど私が目指しているのは上じゃなくて______」

 

 

 

 

 共に歩む未来だから。




ちらっと出てきた謎の人。あとでちゃんと話だします。ただし、人によっては「えぇ…」ってなるかも。そうなったらごめんね(てへぺろ)



どんどん強さが増しているのに本人はそれを「どうでもいい」というか、人形呼べてある程度自衛できればいいんじゃい!くらいにしか考えてない。


戦闘狂スオミ、ついに指揮官権限行使されちゃう…ちなみに戦闘狂の設定は我が司令部でアホみたいなMVP取得回数から来てます。ドリーマー殴る時のエース。あいつの攻撃全部交わして殴るもん…


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次に備えましょうか

はしれそりよーーーつきのうみよーーー(略)『パドルパドルーーー!!』



変なテンションですが私は元気です。スパロボVでようやくオリジナル機体がアップグレードしたくらいにのんびりと遊んでいます。ついでにドルフロで晴れ着が来るせいでお財布の諭吉が溶けることが確定してます。



23日の朝にですねぇ…ランキングを見てみたら少しの間だったんですけど2位になっていまして…

ビビりすぎて手が震えてました。(大丈夫???こんな趣味妄想全開の誰得案件よ???)
あとクリスマスだからと言ってリア充爆発しろとかは言いません。どっちかというと「告れよ??手伝うから告れよ??」っていう立場です。


 期末試験の演習が終わった次の日。廊下にまで聞こえてくる悲鳴がいくつか聞こえるなぁ、と思いつつ教室に入るとお通夜ムードになっている方々が…。うん、試験でクリア条件を達成できなかった人ですか。

 

 

 

「皆…お土産話っひぐ…楽しみにしてるっ…がら…。」

「まっまだわからないよ!どんでん返しがあるかもしれないから!!」

 

 

 

 

 お通夜4人組をフォローしてる緑谷君。先にいっちゃうとそれ、実行されないパターンよ…。いや、でもあの先生のことだしわかんないか。

 

 

 

 

「奏、おはよう。」

「おはよー、とーくん。そっちはどうだった?」

「蛙吹のおかげでクリアできた。奏だけ俺たちと違う内容だったが…どうだったんだ?」

「終わった後に校長室に強制召喚されたこと以外は何ともなかったよー。むしろ校長室でのやり取りのほうが大変だった。」

「お前はまた何かやったのか。」

「やってない!!ちょっと派手に動かしすぎただけだからな!?」

「やらかしてるじゃないか。」

 

 

 

 

 私は何か行事等があれば呼ばれるのが恒例行事となっている為、やらかしたと勘違いされることが多々あるが…残念ながら大体は被害者か聴取のどちらかだ。決して加害者側には回ってない…直接は。

 まぁ、勝手知ったる仲だからとーくんも分かっていて言っているのだろうけど。後ろから「同情するならなんかもう色々くれ!!!」と特大の悲鳴と悲しみが混ざった声が聞こえたタイミングで勢いよく扉がオープン、相澤先生が教室にINしました。即座に席に着く皆。先生はそのまま処刑宣告をするかのように赤点保持者がいることを告げた。ああー、ってことは何人か林間合宿いけなくなるのかn…

 

 

 

 

「______したがって、林間学校は全員行きます。」

『どんでんがえしだぁぁぁぁぁぁ!!!!!』

 

 

 

 

 騒がしいわ!!いや、うれしいのはわかるけどさ…耳郎さんと吾輩、案外耳がいいので結構つらい。一瞬視界がぶれた位には声が大きかった…。赤点はどうも演習のみで筆記は全員赤点を回避したみたい。よかよか。

 

 

 

 

「今回の試験、秀内を除いて敵側は、生徒に勝ち筋を残しつつどう課題を向き合うかを見るように動いた。でなければ課題云々の前に詰む奴らばっかりだろうからな。」

「本気で叩き潰すと言っていたのは…。」

「追い込むためさ。そもそも林間合宿は強化合宿だ。赤点取ったやつこそここで力をつけてもらわなければならん。」

 

 

 

 

 私を除いてってところが非常に気になったんだけど。あとこのパターンはちょっと前にも見ましたね…確かあの時は。

 

 

 

 

「合理的虚偽って奴さ。」

「ゴウリテキキョギーーーーー!!!」

 

 

 

 

 合理的虚偽シッテタ。本日の護衛のM590が苦笑いしてるが、正直なところ私もそうなってる。相変わらず考えていることがせこいなぁ…。

 だがしかし、そこで話が終わりかと思ったらそうじゃなかった。相澤先生がこっち見て悪い笑顔してる。え…また何かするんですか…?

 

 

 

「秀内に関して言えば、対人戦闘なんてお手のもだとわかっていたから別のを用意した。まあ、薄々気づいていたと思うが…お前はあれが全力なのか?」

「いえ。その気になれば短時間ですけど…80は呼べます。今回はフィールドが狭いと判断したので少なめにしました。」

「…ちょっとまて?お前は体育祭で出したあの子以外にも複数出せるのか?」

「出せるよー。…峰田くーん?鼻の下伸ばしたところで呼ばないからねー。あんまり狙ってくるようなら…こっちからお仕置きが飛ぶぞ。

 

 

 

 本当はダミーフル展開含めれば100人だけど流石に少なく言ったよ。限界を教えるとどこで突かれるか分からないし。轟くんが「勝てない…。」とか言ってるけど、正直なところ私自身の力はそこまでじゃないから慣れれば対処可能だと思う。言っちゃえば身体能力高めの銃持った人と変わりないから…氷と炎に対しての耐性なんてあんまり高くないからね?あとなんで他の人も「マジで?」みたいな顔してるの???私ができるのは人形たちを呼ぶのと銃持って戦うことだけよ!!改めて思うとすっごく物理特化すぎる。

 ついでに峰田君を軽ーく脅して大人しくさせておく。ああいった変態はあらかじめ釘を刺せば出てこないのが大半だからねー。

 

 

 

 

「まあ、秀内はよりによって救助演習でこちらが想定していたよりも規模が大きすぎることをやってくれたんでな…。今回の合宿ではお前ひとりでこのクラス全員の相手をしてもらう。」

「…はぁ!?」

 

 

 

 

 素のままの声で驚いたのは悪くないと思う。いや待って…私一人に対して20人、しかも全員が強力な個性を持っているんですけどぉ!?

 

 

 

『指揮官…なんというか、どんまいです。』

「(M590…うん、みんなに連絡しておいて。)」

『了解です。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とりあえず、明日クラスのメンバーで買い物に行くことになったよ。人混みの中となれば…迷彩掛けないで護衛してもらうことになるかな?

 

 

 

 

 

 

______________

 

 

 

 勝手知ったる基地の中。いつものようにうろうろしているとある部屋からやけに楽しそうな声が聞こえてきた。歓声が大きいってことはかなりの人数がそこにいることになるけど…。

 

 

 

 

 

「アウト!!!!!」

「セーフ!!!!」

 

 

『よよいのよい!!』

 

 

 

 

 

 なんで野球拳をやってるんだこいつらは。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お見苦しい姿を見せてしまいました…。」

「いや、楽しそうだったからいいんだけどさ。なんで野球拳だったの?」

「当直の擦り付け合いだったものがな…ただの勝負じゃ物足りなくなったからどうしようかと。」

「まさかの理由…。でもさ、これの被害者って絶対悪意あるでしょ。」

 

 

 

 

 

 野球拳が無事に終わったので比較的後ろで見ていたMG4とM16に事情を聴いてみた。野球拳をしていた理由は、この基地周辺の見回り当直の担当決めだったらしいんだけど…普通のじゃんけんやトランプでは物足りず、しかし模擬戦をすれば決着まで時間がかかりすぎるということで野球拳になったとのこと。今回じゃんけんをしていたのはAR小隊と404小隊で、AR-15とUMP45の2人が追いつめられた表情で勝負してました。うん、この2人の組み合わせは個人的に因縁だったり運命を感じるよ…傘のこととか胸部装甲に関してとかだけど。

 ちなみに勝利を収めたのはAR-15で404小隊が当直になったが…どちらも下着姿でガッツポーズと床に倒れる構図はやばかった。私が男じゃなくてよかったね。

 

 

 

 

 

「そういえば指揮官、なぜここに来たのですか?」

「あ、そうだった。野球拳のインパクト強すぎて忘れるところだったけど…今度の林間合宿で必要なものを買いに行くんだけど、その護衛を誰かに頼もうかと思ってねー。迷彩は掛けないから現世慣れしてる誰かがいいかなって。」

「あー、そういうことなら私はパスだな。眼帯があるから目立ってしまう。404のほうはどうだ?」

「当直のタイミングとぶつからない誰かが行けるでしょうが…G11以外になりますね。416は結構目立ちますからUMPの2人のどちらかがいいと思われますが。」

「ん?MG4は来ないの?」

「ええ。現世の方にはいくのですが…少々会わなければならない人がいまして。すみません。」

「いやいいよ。独自の行動を許しているのはこっちだし、トラブルが起きたら連絡はすることを忘れなければいいよ。」

 

 

 

 

 ふむぅ…UMPの2人の内どちらかを選ぶか、AR小隊から選ぶか…うーん。

 

 

 

 

 

「シキカンダー!コンニチワー?」

「ぬおっ!?びっくりした…こんばんわ、妖精さん。」

「シキカン!オソトデテミタイノー!」「ダシテー」「ヨンデヨー」

「お、おう。と言ってもどう出そうか…ていうか出てこれるのか?」

「___あぁっ!見つけたぁァ!大人しくしててって指揮官!?」

「落ち着いて56-1式(カムイ)。今はオフだから敬礼とかはいらないよ。」

 

 

 

 

 候補考えてたら妖精さんが降ってきた。マジでびっくりした…。手のひらサイズの妖精さん、元は装備品に付けたAIが人格を持っただけっていう話らしいんだけど…この妖精さんたちはどうもドルフロ、というより大陸版の方の少女前線に出てきてる感じじゃなくて、付喪神みたいなものらしい。いきなり出て来たり喋り方がおぼつかないのはそれが理由らしい。うん、海でも指揮官とか提督とか兼業してたから違和感は特にないけど。

 目の前で妖精さんを叱っているカムイ。それを見てちょっと思いついた。

 

 

 

「カムイ、もしよければさ…今度現世で一緒に買い物しない?」

「ふぇっ!?」「イクー!」「メイワクカケナイカラツレテイッテー!」

 

 

 

 

 

 

 よし決定。あとそこで妖精さんたちも反応したのはびっくりだけどな…。

 一応、ROかM4のどっちかにも頼もうかな。SOPちゃんは見た目が危ないし、AR-15は…なんか、被害にあいそう。何の、とは言わないが。

 

 

 

_________________

 

 

 

 集合場所に集まった皆がどうするかを話し合ってるけど…なんか、目的のものが違いすぎて時間で集合したほうよさげな感じになりました。

 聞こえた内容だと「ピッキング道具」「虫よけスプレー」「大きめのキャリーバッグ」「靴」辺りが聞こえたけど。ちょっとまて、ピッキング道具って何をするつもりだ、というか誰だこれを買おうとしている奴は。流石に誰が何を求めているかまでは把握できなかった。

 私の場合は冷却シートを大量に用意しなければ…20人を相手にするからきっと頭が痛くなるはず。人形たちの同時展開は流石に負担が大きいところがあるからね。渡された資料によれば1日30分で終わるらしいから、一応ぶっ倒れて行動不能っていう事態は避けれそうかな?行動不能、というか最悪の場合は昏睡だけど。流石にそこまでやるようならきっとももちゃんが黙っていないはず…というかももちゃんだけで5人相手できるんじゃないかこれ?ダミーの展開はそこまで負担大きくないから何とも思わなかったけどどうなんだろう、強さとか。

 

 

 

 

 

「えっと…薬系のコーナーに…お、あったあった。」

「指揮か…奏、目的のものは見つかった?」

「見つかったよー。あ、でもどうしよう。こっちより隣のほうが効力強いな…でも高いし。」

 

 

 

 

 お目当ての冷却シートの箱を持ってレジに行こうとしたタイミングでスッ、と隣の棚の列から顔を出してきたのはカジュアルな服装に着替えたRO。制服のスカートではなくショートパンツとは珍しい。あと髪はポニーテールですか…すんばらしい!そして私が直々に誘ったカムイちゃんは現在おやつコーナーに行ってるらしい。うん、FNCと一緒に食べるおやつ買うくらいは許す!偶にもらえるから文句ないし。

 時計を確認すればあと10分くらいで集合時間になったみたい。あと目的のものは特にないし、あったとしてもここには無い物ばかりだから先に集合場所に行こうかな。

 

 

 

 

「…?」

「どうしたの、ろー。」

「いえ、少し嫌な気配を感じたので…。」

「…そういった直感はバカにできないよ。56-1式、戻ってきて。RO、本体は隠したままでカメラハッキング。そのまま怪しい奴らが居ないか確認。」

『了解、戻ります。』

「ハッキング中は少し動きが鈍くなります。ですので、カバーしつつ行動できるルートでお願いします。」

 

 

 

 

 

 ただの買い物のはずなんだけどねぇ…!なんっで行く先々で巻き込まれるんだろうなぁ!!

 

 

 

_________________________

 

 

「ふぅーん。そっちは陸なんだね。()()の他にいるってわかった時は驚いたけど…先生が実際に見たっていうから会いたいって言ってたよ。」

「マスター…いえ、指揮官は恐らくそちらのことは関知していないでしょう。まだ把握しているのはごく一部の人形だけですから。ですが、いずれそちらに行くことになると思います。」

「オーケー。ま、確かに狙われる身じゃあ事情を知ってる者同士のほうが安心できるだろうからね。伝えておくよ。詳しい日程とかは後日でいいよね?」

「ええ。こちらとしても、未だに分からないことが多すぎるので…そちらの指揮官、いえ先生が対処してくれると助かりますから。」

 

 

 

 

「まっかせてー!それじゃあね、()()()()()()()()!」

「それでは…()()()()()()()()。」

 

 

 

 

_________________________

 

 あのあと、ROの直感は大当たりだったのが分かった。一階の休憩スペースで思いっきり首をつかまれている緑谷君が、だいぶやばそうな顔で黒フードの野郎と何かを話しているのを確認したのだ。そのあとすぐに麗日さんが来たから事なきを得たけど…そのあとは通報したから警察が来て他に仲間がいないかを確認したり、事情聴取なんかがあったりしてすっかり夜になってしまったのである。

 警察では、雄英での襲撃事件、保須市での騒ぎなんかがあったために敵連合に対しての対策本部を立てていたらしい。今回もそっち関係のものだったらしく警察やそこにかかわるプロヒーロー達が少し殺気立った様子で歩いていたりした。

 

 

 

 こうして、あまりにも濃すぎた高校1年生の前期は終わり、夏休み…ついに林間合宿の時が来た。




ドルフロ2次創作伝統の「野球拳」(ただしやるのは人形)

ある意味これが書きたかっただけかもしれない!!




そしてセリフだけだけど一発でわかる「あの子」が出てきました。いつ出そうかな…いや、設定とかは決まっているんですけどね。タイミングぅ…











…え?クリスマス特別編が欲しいって?(幻聴)
えぇ…何をどうかくの…?


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番外編:クリスマス自由権争奪戦

本当は明日出すべきなんだろうけど今出す!!!調子乗ってる今出す!!!


本編と時間軸関係ないです。なので短編扱いでいいかもしれない。








メリークリスマス。


「これよりっ!第一回クリスマス争奪模擬戦を開催します!!」

「急にどうした指揮官。」

「優勝者には私と一緒にという条件が付くものの国内であれば一日自由権を進呈する。」

 

「参加者は銃を持てぇー!!今すぐに試合を始めるぞおおおおおおおお!!」

 

 

 

 

 基地内の食堂。そこでチマチマと雑談なり何かしらの作業をしていた人形たちがいるのを確認した私は宣言する。隣でスコーピオンと一緒に酒を飲んでいたM16がツッコミを入れた直後に参戦の声を上げたけど顔が一瞬で狩人のそれに変化した。ついでに食堂中の人形たちもそれに倣うようにして顔つきが変わる。まって、そこまでお外で自由に動き回りたかったの?

 

 

 

「先に言うと、ここにいる人形達だけってなると不公平だから誰か放送室に行って知らせt…」

『指揮官主催のクリスマス争奪模擬戦を演習場にて行います。優勝者には指揮官と一緒に国内1日自由権が進呈されます。参加は自由、参加者は演習場に銃をもって待機してください。』

「早いな伝令!?」

「ルールは簡単、銃のみで1対1の勝負。トーナメント形式で組み合わせは乱数で決める。使用する弾はペイント弾で被弾したら負け、一回5分で決着をつけること。無論ダミーとスキルの使用も禁止、ただし肉弾戦はありとする。Mod持ちはそれを解除して通常状態で参加すること。文句はないな?」

 

『文句なぁし!!』

 

「審判は参加しない人形と指揮官だ。不正した場合は即座に失格とともに当直2週間とする。」

「待って待って待って。決めるの早くない?」

「参加者は演習場に移動だぁー!」

『おぉーーー!』

「聞こえてない…M16、お前はいつからそんな風になったんだよ…。」

 

 

 

 

 言い出しっぺが言うのはあれだけど…マジで決まるまで早すぎ。私は状況がつかめなくなったよ…。後ろから肩にポンっと手を置かれた。振り返ってみればいたのはAK-12、そのまま「ああなったら手が付けられないわ。諦めましょう。」って言われた。はい、おとなしく審判します。

 

 

_____________

 

 

 争奪模擬戦終盤戦。ここまでに至るまでかかった時間はわずか3時間。おっかしいな…参加してる人形は優に100体を超えていたはずなんだけどな…。HG達は無理だと判断したためか最初から参加しない子が多かったね。コルトSAAは参加してたし今も残ってる。あやつ…早撃ちのスキルがえげつない。抜く瞬間と撃つ瞬間が全く見えなかった。

 残っているのは6人。コルトSAA・M4A1・HK416・スオミ・KSG・トンプソンである。張り切ってたM16は416と撃ちあって僅差で負け。めちゃめちゃ悔しそうにしてたM16とそれを見て思いっきりどや顔決めてた416が見てて面白かった。あとはスオミは未だに銃を撃っておらず全部肉弾戦で撃破とかマジで頭おかしいとしか言えない戦い方してる。なんでスキル使ってないのに弾全部避けるんだお前は…何より無言でめっちゃ笑顔で向かってくるとかどんなホラーだよ。

 

 審判として一緒に見に来てるAK-12は流石に苦笑い。そうだよね、本来の動きとはかけ離れてるし…何よりみんな揃って個性的すぎるもんね。大いに私の影響を受けていると思われる。拝啓、私にこれほどまでに素晴らしい力をくれたであろう神様。おかげで私はいろいろ巻き込まれて苦労しているものの充実した毎日を送っております。前世持ちである私のかつての記憶がどれだけ平和すぎたのかを実感するくらいには。

 

 

 

『ふっふーん!私の早撃ちに対応できるかなー?』

『…撃たせなければいい。ルールと常識は破るもの。』

「手加減してねスオミ!?みんなメインフレームだから修復発生させたら私がつかれるからね!?」

 

 

 

 

 …やっぱりスオミはこの中で一番飛びすぎてると思うんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結果は時間切れによる引き分け。マジかよ。でも今回は引き分けの場合両者負けの判定になるので2人とも「オアァー!!」って感じだった。M4と416の2人はM4の勝ちで「M16姉さんの仇は取りました…!」ってうれしそうにしてた。反対に416は「くっ…私はM4には勝てないということなの…!」って感じだった。安心してくれ、M4にはできないことを立派にこなしているぞ416よ。KSGとトンプソンの2人は最初から殴り合いになってた。なぜだ…お前らは銃を使う人形だろう…!なぜに「殴り合い宇宙」みたいな展開になってしかも引き分けになるんだ…!試合前に何か喋っていたけど、何を言ってたんだろうなぁ…。

 

 

 

「『こいよKSG、ご自慢のショットガンなんて捨ててかかってこい!!』、『…そこまで言うのなら受けて立とう。覚悟しろ、トミーガン!』っていってるわよ。」

「コマ●ドー!?なんでそうなるんだよ!!」

「直前まで見てたらしいわよ。シアタールームに置いてあったのを見てたみたい。他にも何人かいたけど…ああほらあそこ。『やろーをぶっ殺してやれー!』とか言ってるけどそれが元ネタなのかしら?」

「誰だ!!誰がコ●ンドー置いたんだ!!!あとで私も見るぞ!」

 

 

 

 

 ●マンドーなんてツッコミどころしかなかった。そして決勝戦をやる以前にまさかの引き分けで勝者が決まってしまったのは不完全燃焼すぎるぞ!!

 優勝したM4はちょっと驚いた顔をしたあと、とびっきりの笑顔でこちらにピースサインを向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

______________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「___それで、本当にここに来るだけでよかったの?」

「ええ。ドールズフロントライン(かつて)の世界では見ることができなかったので…。でも、本当に冷たいんですね。」

「そうだよー。あとはまあ、もうちょっと北に行けばスキーとかスノーボードとかで滑って遊ぶこともできるよ。」

 

 

 

 

 あのあと、M4が行きたいと言って来たのは関東地区で最も雪が見やすい地域。街中ではなく、ちょっとした山であり、夏場には天体観測などで多くの人が来る場所だというのだが…季節柄、今は人はおらずM4と私の2人で貸し切り状態だ。

 ちらちらと空から降ってきている雪は、どこか懐かしさを感じるものだった。この世界に来てからは雪なんて見ていなかったから、ちょっと新鮮だったかもしれない。前世じゃあ東北に住んでいたから嫌というほど見てたし、それで悲鳴を上げたり辟易してた位なのに、いざ離れるとやはり恋しくなってしまうようだ。

 周りには街灯もなく、照らしているのは月明かりのみ。皆との訓練のおかげで夜目は効くけど…うん、今なら眼帯を外しても大丈夫だろう。

 

 

 

「あ。指揮官。眼帯を外してもいいのですか?」

「灯りは月だけだからそこまで強くないしね。今くらいは外して見たいのさ。…うん、やっぱり片目より両目のほうがいいな。」

 

 

 

 

 左目につけていた眼帯を外し、ゆっくりと目を開いていく。かつての怪我のせいで光にめっぽう弱くほとんど見えない左目だが、やはり両目で景色を見たほうがきれいに見える。空を見上げれば、雲一つなく月と星が輝いているのがしっかりと見える。そして降ってくる雪はそんな月明かりをほんのりと反射して輝いている。そのままチラリとM4のほうを見れば、どこかで買ったであろうカメラで写真を撮っていた。その顔はとても楽しそうであり、決してゲームの中では見せることがなかった表情であろう。

 

 

 

「(まったく…クリスマスプレゼントってことで誰か一人を実験的に自由にしようと思ったのに、これじゃあ私へのプレゼントみたいじゃないか。)」

「…うん、いい写真が取れました!指揮官、そろそろ体が冷えてしまうので帰りましょうか。」

「ん、いいよ。どっか寄り道する?」

「それじゃあ…ケーキを買ってから春庭に寄ってもいいですか?」

「いいよー。ちょっと遠回りだけどいいケーキ屋があるからそこにね。」

「はいっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 眼帯を再び装着し、山を去る。くるりと身を翻し、帰り道のほうを向いたその時だった。シャンシャンと鈴の音が一瞬、聞こえた気がした。もう一度、今までいたところを振り返ってみてみたが、当然そこには何もない。

 

 

「どうしたのですか、指揮官。」

「…いや、なんでもないよ。さて、行こうか。」

 

 

 

 

 まあ、サンタなんていないだろうけど…いや、この世界ならいてもおかしくないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 メリークリスマス。




一〇〇式ちゃんは問答無用で別の日に指揮官と一緒に自由行動する日を用意されていたので今回は参加せず。というか参加すれば無双するから誰も勝てない。



乱数で決めたのはマジの話。この組み合わせになったのは恐ろしいよバーニィ。


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☆番外編:違う道より来る迷子

私は今年から働き始めたんだが…クリスマスプレゼントが仕事終わりに届いていた…。

届いた通知、開いたメッセージに乗せられていたのは…奏ちゃんだったのだ!!!!!!!!!!!!
いや速攻で叫んでお礼のメッセ飛ばしてツイッターでうれしい悲鳴上げて友人に自慢してきました。



ごすろじ様!!!!!ありがとうございます!!!!
https://syosetu.org/?mode=img_view&uid=192034&imgid=47680
(これで見れるかな…?挿絵の方法分からない)


 吾輩は医者である、個性は特に関係ない。

 元々はただの医者を目指して居ただけの学生だったのに気がついたら赤ちゃんになっていた。それですべてを察することができた辺り、自分がこよなくアニメゲームとそれらにまつわる2次創作を愛するところにいたことを感謝するべきかもしれない。

 そして何より気になった、というか気づいてしまったのは…この世界は【個性】という特殊能力、というより超常能力が人類の7割とか8割で発現している世界らしい…。ごめんなさい、俺はこの世界を知っています。『僕のヒーローアカデミア』の世界ですねこれは。でも俺は設定を知っていても話の、というより漫画の内容までは知らない。強いて言えばオールマイトっていうムキムキマッチョな人が関係してるって言うことぐらいしか分からない。

 

 さて、そんな俺はどうもはずれ枠に当たったらしく、いわゆる「無個性」という分類になったのである。これが発覚したのが小学校4年生の時、体育の授業で骨折をしてしまった時についでに受けた検査で分かったのである。個性主義とも受け取れる現代社会の中で無個性というのは、言ってしまえば劣等生ともいえるのだ。しかし、俺はそんな社会の中でも比較的恵まれたほうにいたのか、無個性というのが原因でいじめにあう、と言ったこともなくむしろ皆がカバーしてくれたくらいである。

 そうして何事も無く大きくなった俺は高校を卒業した後、前世と同じ目標である医者を目指して医学大に進学。経験があった分優秀な成績を収め無事卒業。何年か指定された病院で働いた後、自分の病院を開設。街の片隅で小さな診療所を営んでいる。年齢でいえば27歳、三十路が近づく身だが、異性の友人は数人いても恋人関係の女性は皆無である。しかし、ずっと無個性だと思っていた俺にも実は個性があったらしい。

 

 きっかけは3週間ほど前のこと。ある日朝起きていつものように朝食を作ろうとしたらテーブルの上に準備されていたのだ。最初は酒の飲みすぎで酔っぱらったところを友人の誰かが介抱してくれたのか?と思ったがそんなことはなかった。しかし、目の前にある朝食は現実であり夢ではない。混乱した頭ではなにも思いつかなかったが…それを実行した人物はすぐに姿を現した。

 

 

 

「おはよう、Admiral。ようやくあなたの前に出ることができたよ。」

「…アーク・ロイヤルなのか?」

「ああ。私が他の艦娘に見えるというのか?」

 

 

 

 

 赤い髪をボブくらいの長さで切りそろえ、首元の赤いリボンとそれを映えさせる白いドレス風の制服は見間違いようがない。だがしかし、彼女は艦娘であり…決してこの世界に存在しているわけがないのである。余計に混乱した俺は放心状態で固まってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらくして復活した俺は、目の前に座るアークに事情を…というより最初に喋っていた「ようやく出ることができた」という言葉について詳しく聞くことにした。

 

 

 

 

「出てくること…てことは今までは見ているだけだったとかそんな感じなのか…?」

「そうよ。かれこれ前から含めれば30年近くってところね。いつになったら気づいてくれるかってみんなで賭けまでしてたのに…。」

「いや…俺自身未だに混乱してるけど、俺の個性で出てきてるってことでいいのか?それともお前らはお前らでこっちに来ているのか?」

「Admiral…あなた、本当に気づいていなかったのね…。」

 

 

 

 

 呆れられた。いや、でも検査で無個性って言われたしそのあとも一切兆候とかもなかったからね。普通気づくはずがないと思う。アークは俺の方を見て「本当に鈍いのね…。」って言ってるけど正直、俺のほうが状況分かってないから何も言い返せない。

 だがしかし、アークの方もあまり分かっていないようだ。なんでも、今まではいわば密室のような空間にできた鎮守府に他の艦娘と一緒に居たらしいが、いきなり出口のようなものができて出てこれるようになったんだとか。でも外は知らないし、どんなことに巻き込まれるか予想できないがために…俺が唯一指輪を渡したアーク・ロイヤルが代表で出てきたらしい。まあ、今回はいろいろと見かねていた俺の生活状況を改善するところからやるつもりだったようだが。

 

 

 

 

「正直なところ、私たちも分からないのよ。でもAdmiralが居なければ私たちもここには存在することができないっていうのははっきりしているわ。」

「じゃあ、その出口っていうのが何かしらの理由でできたから俺の個性も同時に発現、お前たちが出てこれるようになったって感じか。」

「恐らくはね。でも自由には動きまわれないようなのよ…詳しく言うと、あなたの診療所内が限度よ。」

 

 

 

 

 ふんふん…そっかあ…。でも、こうして直接話したりすることが今後できるってことかぁ。俺がそれなりに頑張ればもうちょい広く動き回ったりもできるだろうし。

 

 

 

 

 

 人数、すごいけど大丈夫かな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________________

 

和田抓(わだつみ)診療医院…416、本当にここがセンサーで探ることができない場所なのですね?」

「そうよ。中をスキャンしようにもジャミングが掛かったかのようになって見れないの。」

「だとすれば…何者かが隠れ蓑にしている可能性があるということで…っ!!」

 

 

 

 殺気を感じ、咄嗟に飛んで避ければ今までいた場所に突き刺さる矢が見えた。飛んできた方向を416とともに確認すれば…ビルの屋上に見える人影が一つ。幅広の洋弓を携え、騎士のような風貌の衣装と赤い髪。その瞳はこちらをじっと見て警戒している事がわかるくらいに目つきが鋭かった。

 MG4と416は即座に撤退しようと動く。だが、その進路上に立ちふさがるように躍り出る影が現れ、足を止めてしまう。もう一つの人影、たった今目の前に躍り出た人物は自らの得物、陽光を反射させて閃く日本刀をこちらに向けて振り下ろす。

 

 

 

「っ!!」

「逃がしません…!」

「416、伏せろっ!!」

 

 

 ガァンッ、と咄嗟に自らの足に装備していたコンバットナイフではじき返すが、思いの外に強い一撃だったために体勢を大きく崩した416。それを追撃するように向けられた日本刀を狙い、MG4はサブアームとして持ってきていたFive-Sevenを撃つ。細い路地裏で思わぬ出来事に遭遇した2人はすぐに副官たる一〇〇式に通信を入れた。だが、こうしている間にも弓と日本刀による攻撃を受けているために、その場から離れることだけはかなわない。

 

 

 

 

 

『副官、悪いけど…っつ!!援軍をお願いしたい!』

『416!?場所はどこですか、遊撃部隊を派遣します。』

『エリアC9の…小さな診療所!弓持ちと日本刀が得物の2人組が…しつっ…こい!!』

 

 

 

 

 前方に刀を持った敵と後ろから狙ってくる弓持ち。両方を警戒するために背中合わせで対峙するしかなくなった416とMG4は、最悪の場合を想定していた。万が一捕まるようであれば…情報記憶領域(マインドマップ)を完全に熔かしてからの自爆、という手段を取らねばならないと留意する。一応、指揮官の中にある基地にバックアップは取ってあるため、問題はないが…指揮官はあまりそういった行動を是認しない。おそらくバレればこっぴどく怒られるだろうが…指揮官の身に危険が迫るくらいならば安いものだ。

 じりじりと迫られ、次第に逃げ場がなくなってきた。銃を持つために動けば、恐らくはトリガーを引く前に斬られるのが容易に予測できるため、動くこともできない。チラリと後ろにいるMG4を見ても、同じような状況であり…本当に自爆を考えなければいけないという演算結果が出てきている。

 

 だが、そんな状況は唐突に終わることとなった。路地裏の上、弓を持った人影がいるところとは違う場所…つまりは自分たちの頭上からいきなり声をかけられたのである。

 

 

 

「はい、すとーっぷ。神通、アーク、ちょっとその2人組を攻撃するの止め。提と…じゃなくて先生から攻撃中止命令出たから。」

「姉さん!?…いえ、先生からの命令であれば致し方ありませんね。」

「ま、そういうこと。そこの2人組、もうこっちから危害は加えたりしないから…とりあえずお話してもいいかな?」

「…416。」

「ええ。MG4は副官に状況を伝えて…援軍は無しでいいと。」

「話は決まったみたいだね。…っしょっと、うん。一つ聞くけど…あなた達も『人間』ではないんでしょ?」

 

 

 

 

 どこか一〇〇式(副官)を思わせる衣装を纏う人物がこちらに笑顔で聞いてくる。だが、先ほど声を聴くまで一切気配が感じられず、センサーにも引っかからなかった。それが示す事実は一つ、逃げても無駄であるということ。同時に、掛けられた質問からある可能性が一つ浮上してきた。

 

 

 

 

「『戦術人形』、そう言えば通じるかもしれませんね。あなた達も?」

「いや、私たちは戦術人形じゃない。というか、そもそも物とか人とかじゃないね…うーん、付喪神?みたいな感じかも。あ、そっちのトップには『艦娘』って言えばわかってくれると思う。」

「____川内!なぜそうも容易く敵に声をかけるんだ!!そいつらは何度もAdmiralの仕事場を覗こうとしていたんだぞ!」

「アーク、この2人はいわば先輩だよ。多分こっちが後発だから、怪しいところだったら調べるに決まってるでしょ。それに、どうも()()()()がするからねー。」

 

 

 

 

 MG4のいる方角から現れた弓を持つ人物、アークと呼ばれた人は私達に向かって殺気を向けながら歩いてきた。遠くにいたときにはよく見えなかったが…持っている洋弓はかなり大きく、矢自体もかなり大きく、直撃すればライフル並みの威力であっただろう。そしてもう一つ、川内と呼ばれた人物が「同じ気配」がするという言葉。だとすれば、それが指し示すのは…。

 

 

 

 

「____汚れ仕事を請け負う、皆の汚点。」

「そこまでじゃないけど…ま、そういうことだね。でも、だからこそわかると思うけど…こうして向き合うってことは敵意はない証明だとね。」

「…そちらの要求は?」

「あー…よっぽどそっちは修羅場だったのかな。先生からは『話をしたい。できれば近いうちに。』って。もちろん、一人で来いなんて言わないし。」

「…いいでしょう。後日、またここへ来ます。」

「りょーかい。あ、なんて呼べばいいかな?どこで誰が聞いてるか分からないだろうし。」

「『陸の戦術人形』と。」

「じゃあこっちは『海の夜戦忍者』で。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これが、とても頼れる人物たちとの初邂逅であった。

 

__________________

 

 

 

 

 吾輩は医者である。個性は特に関係ない。だが、俺はとても恵まれているだろう。

 

 

 彼女のように命を狙われることも無く、自分の叶えたい夢を半分叶えているのだから。

 

 

 

 

 前世は道半ばで終わった。今は歩んでいる途中である。ならば、人生の先輩として一つ面倒を見るのもまた、いいかもしれない。

 すみませーん、と診療所の入り口から声が聞こえてきた。あの時、雄英からけがをした生徒の面倒を見る手伝いをしてほしいと言われて出向したときに見た少女。どことなく前世で見てきた物をリスペクトしているであろうデザインのコスチュームはひときわ目立ち、同時に同じ境遇の人がいるのかと思って、コンタクトを取りたいと思った。思わぬ形で彼女の個性である子たちと接触したが…正面切って敵対するような事態にならなくてよかったと思っている。

 隣でどこか警戒した様子で立っているアークに「そう構えなくてもいいぞ」というが、彼女はそうもいかないと言って自分の弓から手を放さない。初めて向かい合った時とは逆に、俺が呆れた声を出した。

 

 

「まあいい。____いらっしゃい。前世ではだれが嫁だった?」

「いっぱいいるけど全員嫁。そして隣にいるのはくっころ姫ですな!?」

「誰がくっころ姫だ!!」

「アーク、どうどう。」

「指揮官…初対面の人にそれはないですよ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 それじゃあ、俺は俺らしく…提督らしく向かい合おうかな。

 

 

 




だいぶ端折ってるけどこんな感じです。指揮官より先に提督が転生してますが艦娘が表に出てきたのはUSJ襲撃の後です。箱が設置されたので出てこれるようになりました。



クリスマスプレゼントのイラスト…マジでうれしい。みなさん、ご自由に描いてください。私は大歓迎ですので待ってます。
 あと挿絵の方法誰か教えて…分かんない…


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第5戦役 Cross Possibility
☆少々、本気で参りましょうか


あのあのあのあの。マジでイラスト描いてもらってテンション爆上がりなんですよ。この話、30日に出すつもりだったのを繰り上げるくらいには。


というわけでいただいた2枚目のイラストがこちらです!
https://syosetu.org/?mode=img_view&uid=192034&imgid=47752

ごすろじ様ァ!まじでありがとう!!!あと要望言うと一〇〇式ちゃんとのセットが欲しいです(欲張り)(控えろ)(土下座)(のんびり&気が向いたらでいいです)



さて、戦闘描写に困る作者ですが…仕事中に内容考えるあたり相当アホゥなんです。ついでに言うと職場で書いてたりするので何人かにばれました。うっそやーん…。


 夏休み、林間学校当日。移動中のバスの中はテンションの上がりまくったみんなの声で大盛り上がりだった。

 先日の緑谷君が敵将と恐怖面接をしてしまったことが原因で、例年使っていた施設をキャンセル。当日までどこに行くか分からない、という事態になったものの…中止しないって辺りからして何か狙いがあると予想してる。まあ、そんなのどうでもいいんですけどね!!人形達を思いっきり人目を気にすることなく出せる環境バッチコーイ!!

 

 

 

 

 

「音楽流そうぜ!夏っぽいの!チューブだチューブ!!」

「ポッキーちょうだーい。」

「ばっか夏と言えばキャロルの夏の終わりだぜ!」

「終わるのかよ。」

「しりとりのり!」

「席は立つべからず!!べからずなんだ皆!!」

 

 

 

 めっちゃ騒いでますはい。生憎私は夜にある所に行っていたために若干の寝不足であり…席で大人しく目を閉じてました。寝ようにも皆騒いでるから意識はずっとあったけど…相澤先生が何かを言おうとしてたのは感じた。すぐに諦めたっぽいけど。

 出来るだけ体を休めたかった私だが…突然耳郎さん達に声をかけられたので起きることにした。と、いうか起きざるを得なくなったというか…。

 

 

 

 

「そういえばさ、入学したての頃に奏ちゃんが歌を歌ってたのを聞いたんだけど…すっっっごく上手だったんだよ!」

「そうそう!ねえかなちゃん、一回歌ってみてくれない?」

「っ!?いきなりにゃにおう!」

「噛んでるぞ奏。」

 

 

 

 

 話を振られてびっくりしたのと、寝不足で不意打ちに近い形だったので思いっきり噛んだ。とーくんに指摘されてしまったぞ…。そして耳郎さんと葉隠さんの話を聞いたクラスのみんな(一部除く)がこっちをじっと見てきてる…。え、なに…マジで歌わんといけんのこれ?アシストを頼もうととーくんのほうを見れば…諦めろと言わんばかりに頭を横に振られた。まじですか。

 ここ最近は春庭でのプライベートライブとトレーニングで軽くやるくらいだったからなぁ…。あんまり歌ってないんだけど、まあいっか。でも何歌おうかなー。

 

 

 

 

「歌ってもいいけどさ…なんか指定ある?曲というかジャンルだけど。」

「なんかテンション上がるやつ!」

「テンション上がるやつか…おっけ、ちょっと待ってね。」

 

 

 

 

 

 

 テンション上がるやつで…なおかつこのメンバーだから…前世の時のアニソンでいいか。ちょうど曲名もいい感じだし。

 

 

 

 

「それじゃあ一曲だけ。_______理想だけを口にしてた過去 壁はどこにだって立ち塞いで 手探りで生きていく______

 

 

 

 

 

 「プライド革命」、前世ではよく聞いていた曲であり…今ではがっつり歌っている曲の一つ。テンション上げろって言われて思いつくのがこれって…まあオタクの本性ってこんなもんよね。アニソン・ゲーム音楽ばっかり詳しくて3次元系の人たちには一切興味がないっていう…典型的な輩です。

 ひっさびさに本気で歌ったからか、若干喉が痛いけど…うん、皆そろって驚いた顔してる。と、言うかそこまで意外だったのか。

 

 

 

 

「…一応聞くけどさ、どう思ってたの?他の人は。」

「なんか…意外だった。」

「本当に私への印象どうなってたんだよ。」

 

 

 

 

 

 おのれ…。でも眼帯付けてるし言動が女子じゃないことのほうが多いからそれが原因かもしれない。仕方ない…こればかりは見た目の第一印象が大きいから諦めるしか無かろう。そうこうしている間にバスが止まった。どうも一回目の停車位置に来たらしい。

 とても見晴らしのいい高台のような場所についたバス。とりあえず全員降りろと先生が言うので降りることにします。みんな飛び出すように出て行ったけど…なんでだろう、いやな予感がする。しかもB組のバスも見えないしパーキングって感じの場所でもそれっぽい建物もない。

 皆から少し遅れて降りたせいか、先生が誰かと話をしていた。頭を下げてるってことは今回の合宿の関係者ってことなのかな?

 

 

 

 

「煌めく眼でロックオン!」

「キュートにキャットにスティンガー!」

『ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!』

 

「今回お世話になるプロヒーロー、「プッシーキャッツ」の皆さんだ。」

 

 

 

 あ、やっぱり関係者だった。緑谷君がいつものように興奮しながら説明してくれたんだけど…途中でプッシーの片割れの人に顔面パンチされてた。「心は18!」って言われながらってことは年齢にかかわることを言ったんだな…女性にそれはご法度だぞ。そして同時に察した。これ、ただの休憩駐車じゃないなって。それを証明するかのように、今回連れてきている…というよりスタンバイさせている人形たちの一部からピリピリした気配が流れ込んでくる。自然と目が覚めて耳を澄ませる。

 

 

 

「ここら一帯は私たちの所有地なんだけどね、あんたらの宿泊施設はあの山のふもとね。」

 

 

 そういって指をさした場所はここから見える山、しかしとても遠いということが一目でわかる場所だった。ざわつくクラスメイト達と悪い笑顔のプッシーキャッツの2人。そのまま普通に話しかけるようなテンションでやばーいことを宣言する。

 

 

 

 

 

「現在時刻はAM9:30。はやければぁ…12時前後かしらん。12時半までにたどり着けなかったキティはお昼抜きね。」

 

 

 

 

 

 

 その宣言とともに大きく地面がうねり、そのまま下へと流される。だが、決して潰したり飲まれないように調整されており…個性で落とされたとすぐにわかった。

 

 

 

 

 

 

「私有地につき“個性”の使用は自由だよ!今から3時間、自分の足で施設までおいで!!_______この、魔獣の森を抜けてね!!」

 

 

 

 

 

 なぁるほどね。つまり、最初っからこのつもりで降ろしたんだな。

 着地すれば、周りは鬱葱とした緑で囲われ、日もあまり射していない。薄暗いこの環境のなか、私の周りにはクラスメイトの姿は見えない。だが、悲鳴やら爆発音やらが聞こえてくるためそこまで離れてはいないのだろう。

 肌を刺すような緊張感と土の匂いが、私の中にいる彼女達(人形達)を刺激しているのか、先ほどから「早く出せ」と言わんばかりに騒いでいるのが伝わって来る。じりじりと内側から灼くように湧き上がる感情は…どうしようもなく醜い破壊衝動。でも、それを抑えるつもりは毛頭ないのも事実。

 ニィ、と笑い正面を見据える。その奥から現れたのは…高さ3メートルはあろう魔獣としか言いようのない獲物。いいだろう、個性の使用が自由というのならば…全力で潰すのみ。もう隠すなんて面倒なことは止めだ、向かってくるなら消すのみ。

 

 

 

 

 

「行くぞ。敵はただの木偶人形、手加減する必要なんて無い。徹底的に壊してやれ…それこそ、本来の目的(鉄血の屑鉄)のようにな。」

 

 

 

 

 

 

 

 私を放し飼いにして本気にさせたことを後悔させようじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

____________________

 

 

「…ねえ、イレイザー。あの眼帯の子だけ単独で、しかもみんなより少し後ろに飛ばせって言ったけどさ…。」

「すまん、俺もあれは予想できない。」

「だよねぇ…。寧ろあの子が自分から雄英に入ってきてくれたことが幸運じゃないかな?」

 

 

 

 A組を下の森に落として10分ほど経ったころ。最初の位置から様子を見ていたが…明らかに一人、動きがおかしいとしか言いようのない事をしている。ピクシーボブの個性を発動し、土魔獣を生み出して障害として用意しているのだが…それを出した瞬間に木っ端みじんにされ、その周辺をこれでもかと言わんばかりに爆破と放火をしつつ、ものすごいスピードで森を駆け抜けている生徒が一人いるのだ。たとえ、突然地面を動かしたりしても、それを事前に感知したかのような動きと機動性、それなりに固い土魔獣をすれ違いざまに撃破する実力は正直、プロヒーローに匹敵するのではないかと思ってしまう。

 圧倒的な火力と状況判断、そしてそれを実現するための体は既にある。もし、この子が道を外れていれば…と考えることすら嫌になってくる。

 

 

 

 

「むしろもうあの子は合宿いらないんじゃないかな…。」

「いや、あいつは力があっても経験が少ない。今回は…それに加えて片目のハンデの影響を少しでも少なくすることがあいつの課題だ。それに、秀内はあらゆる状況に応じることもできるが…逆に言えば尖っていない。対策を練られればそれで終わり、と言ったこともあり得る。」

「なるほどねー。」

「では、引き続きお願いします。『ピクシーボブ』」

「くぅー!お任せ!逆立ってきたぁ!」

 

 

 

 

 

 

 …でも、本当にあの調子だと3時間どころか2時間で着きそうな勢いだな。

 

 

 

 

____________________

 

「…ノギク。これが現れたということは、近いうちに貴方に『障害』が立ちふさがるのでしょう。」

 

 

 

 

 風にさらされる白く長い髪は大きく靡き、同時に手の上にある花___ノギクを攫っていく。だが、ノギクは空を舞ってしばらくした後…地面に落ちることなく、空気に溶けるようにして消えていった。肩から尾のように伸びる、2本の黒い衣装の一部が髪とともに靡くと…その姿は、影のように消えて見えなくなった。




もはや隠すことをやめたヤベー奴。ただし自重はする。人が見てないと暴れだすというか…ウン。






お年玉はドルフロに消えました(素振り)(ダイヤ購入済み)(課金でモチベーションに差をつけろ)(課金はほどほどに…!)


コミケ行きたいけど地方田舎民にはつらかった。



お前何兼業してるんだよ!?ってよく言われるので挙げていくとですね…
「PSO2」「艦これ」「刀剣乱舞」「アズレン」「ドルフロ」「DBD」「ボーダーブレイク(PS4)」「グラブル」「FGO」「とじとも」「バンドリ」などですかねぇ…マジで多い。
そのほかにも忘れているだけでやってるのもあったりするはずなので…。うん、ネタの宝庫はここから来てます。


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嵐の前の静けさ

財布(諭吉)よぉーし!Wi-Fi環境よぉーし!急な仕事の予定なぁーし!

ステンバイステンバイ。







あの…秋葉原の扇子すごくほしいんですけど!!


「____該当区域到達。指揮官、確認を。」

「“マタタビ荘”…うん、ここが合宿施設だね。現在時刻は…11時58分か、もうちょっと早く来れたかも。皆、お疲れ様。」

 

 

 

 一緒に走り回ってた第一部隊を一度基地に返し、ぐぐっと体を伸ばす。

 爆破と放火と零距離ショットを決めながら【装備】を使って全力疾走した結果、お昼前に施設に到着しました。予想だと11時30分のはずだったからロスが多かったかもしれない。森を駆け抜けるのは初めてだったけれど…人形達との訓練、という名のサバゲーを日ごろからやっていたのでそこまで大変だとは思わなかった。あの魔獣モドキは土の塊でイチコロだったし、邪魔だと思った密集地帯は若干加減して吹き飛ばしたのでそこまで苦労することもなかった。燃え広がりすぎないように調整するほうが大変だったけど。あ、でも地面がいきなり動き出したときはさすがに驚いた。一定のパターンがあったから2回目からは利用したけど…あれだけの広さで大規模な地形操作はなかなかのものだと思いました。

 

 

 

 

「…まさか、途中で抜かれるとは思わなかったにゃん。」

「え?途中でってことはあの森の中に隠れていたんですか。」

「そうだよ!!!というか、爆破はともかく放火はやめてほしかったよ!!こっちでも延焼が起きないように動くの大変なんだから!!!」

「あれ放っておいても延焼起きませんよ…。私の個性(人形)は優秀ですから!」

 

 

 

 

 ふふんっ!放火、もとい延焼に関してのスペシャリスト、Vectorが本気でやってますから!!でもどうしよう、この様子だと絶対12時前に生徒が着くこと想定していなかったっぽいね。

 自主練でもして時間潰そうかなぁ…と思っていた時、プッシーキャッツの…確か、マンダレイって言ったかな?その人がちびっ子を一人連れてこっちにやってきた。でもなんというか、すっごく目つきが悪い。なにゆえ。でもその前に相澤先生がのっそりと出てきたから指示を聞くことに。

 

 

 

 

 

「秀内、先にバスから物を下ろして部屋に運んでおけ。そのあとは昼食って他のやつらが来るまで自由にしてろ。」

「了解です。…あ、ここで個性使っちゃっても大丈夫ですか?」

「…迷惑にならん程度にな。」

「よぉし!カモン、IDW!!荷下ろししたら適当になんか作るぞー!」

「___ボディガードのお出ましニャン!!!」

 

 

 

 

 

 よし、荷物持ち兼本日のお供召喚完了!自由にしろって言われたけど…まあ、風呂でも借りようかな。そのあとに近接戦闘用の武器メンテと再設計済ませないと…。あとちびっ子、そう睨むんじゃねぇ…私が何をしたっていうんだ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…被っている気がする!!」

「諦めろ。あいつの個性はブラックボックスだからどんな奴が出てくるか予想できん。」

 

 

_____________

 

 

 

 

 

 一歩、右足を前に踏み込み上段から小太刀を振り下ろす。そのまま返す刃で下から上へと切り返し、左足を前に出すと同時に正面へと拳を振り抜く。その場で反転、空中にTMPの本体だけを顕現させて左手で持った瞬間に空撃ち。そのまま目の前に左手を出したまま少し待ち、構えを解く。くるくると右手で回した後に小太刀をしまい、同時にある違和感を振り払うために少し左肩を回す。呼び出したTMPの本体を消し、左肩辺りを少しさする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…駄目だ、やっぱり反応が鈍くなってきてる。」

「にゃー…指揮官、やっぱり無理はするべきじゃないにゃー。」

「まあ、そうなんだけどさ。でも、これだけひどくなってるとは思わなかったし……っい゛っつうぅ…!」

「指揮官!?」

 

 

 

 

 ズキリと突然痛み出したのは、かつて切られた左肩。予想外の痛みだったために、その場に膝をついてしまった。心配して駆け寄ってきたIDWに「一時的なものだから大丈夫」と伝え、少し離れたところに置いたウエストポーチから薬を取り出す。

 最近はあまり痛み出すことはなかったものの、いつも急に来るために流石に困ってしまう。大体は半日も放っておけば収まるが…そろそろ夕方になる。おそらくクラスのみんながこちらにつく頃だと思うので、心配させないように痛み止めを飲んで待機しておくとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 みんなが無事森を脱出してマタタビ荘にやってきたのは17時ちょっと過ぎ、夕日がきれいに見えるようなタイミングだった。先生に「先に食堂に行って飯の準備手伝ってろ」と言われたので、現在は私と何人かの人形で鍋を回したり炊きあがったご飯をお櫃に入れたりと結構忙しいです。さっきから唐揚げを油に入れていい感じになったら取り出す作業をかなりこなしてる。跳ねてくる油が痛い、あと量多いよ…何十キロあるんだこの唐揚げは…。

 

 

 

 

 

 

 

「ペーシャ、そろそろこのお皿をあっちに持って行ってー!スコーピオンは追加の野菜切っちゃって、IDWはそのままタマネギとニンジンを炒めてG36のとこの鍋に入れてー。」

「しきかーん、お櫃(おひつ)全部にご飯入れ終わったよ!」

「オッケー、ステンはそのまま調理器具洗ってるAS Valの手伝いに行ってー。」

 

 

 

 

「うおぉぉぉ!!!!すっげーうまそう!!!」

「肉!肉だ!」

「ああもう腹減ったーーーー!!」

「てか秀内!?お前何でそこに立ってるんだよ!」

「後ろにいる子たちかわいいな…お手伝いさんか?」

「メイド!メイドもいるぞぉぉぉ!!」

 

「ええいっ、いいからとっとと座れ!!唐揚げの割合減らすぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 一気に騒がしくなる食堂。荷下ろしが終わったから一気に流れこんできて来やがった!裏口の方から先生が来て「お前も座って食え」と言われたので離脱。ただし、まだ作業中だった人形達は切りのいいところで終わりたいらしく「もう少し動いてから下がりますねー。」と言ってくれた。すまんな、指揮官が先に飯にありつくんだからな…。

 女子組の席に座れば、そこにいたのは疲労困憊の様子の面々。あー、この様子じゃあ水を取りに行くのも大変かもな。

 

 

 

 

 

「水取ってくるけど、他になんかほしい物とかある?」

「だいじょーぶ…うぅ、流石に脚が痛いよ。」

「秀内さん、いつぐらいには着いたのですか?」

「水だけでオッケー、と。ああ、なんだかんだでほぼ12時だねー。周りに誰もいないのをいいことに暴れてショートカット状態だったから。」

『12時!?』

「お、おう…。てか、ところどころ樹がなぎ倒されてたり、木っ端みじんになったり、火事になってたりしてなかった?あれの犯人私なんだけど。」

「あの爆心地みたいなのお前がやったのかよ!」

「ますます秀内さんの個性が分からなくなりましたわ…。」

「ついでに言うとあそこに立ってる何人かも私の個性ぞ。そのうち帰…消えると思うけど。」

 

 

 

 

 

 

 益々わかんない、といった表情でこっちを見てくる面々。というか、B組も見てきてる。ええい、まずは飯を食いたいんじゃあ!!

 ひょいひょいと動き回る男子共を避けて、盆に水を入れたコップを人数分のせて席に戻る。峰田君他何名かがずっと吾輩の人形たちをイヤラシイ目つきで見てたけど…手を出せば地獄を見せるしかないな。いただきます!、とみんなであいさつした瞬間に唐揚げが消えていく。どんだけ肉食いたいんだよお前ら。そのほかの料理も順調に消えていくのを傍目に見ながら、自分で作った一部のおかずを評価していく。…うーん、もうちょっと時間かけれればよかったかな。

 

 

 そのあと、疲れすぎてテンションのおかしくなっている男子の叫びを聞きながら夕飯を済ませ、皆で大浴場へと移動してお風呂タイムとなりました。片付けはしなくていいとプッシーキャッツの方々に言われたので、ありがたーくそうさせてもらうことに。レッツゴー露天風呂!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________________

 

 

 

「いやー、気持ちいいねぇ。」

「温泉あるなんてサイコーだわ。」

「あ、昼間空いてたのは男湯の方だったのか。まあ一人だったから問題ないか。」

「かなちゃんだけ2回入ってるのずるいよー!」

「いや、先についただけだからね?暇だったし。」

 

 

 

 

 なぎ倒した木を足場にしてお空飛んだり枝から枝に飛び移ったりしてたのでね。流石に葉っぱなり硝煙なりでそこそこ汚れたもん…。今は汗流す目的できたけど。あ、ちゃんと眼帯も外してきてます。目の傷が思いっきり見えちゃってるけど…うん、今くらいは大丈夫でしょう。

 かこーん、という旅館とかに置いてあるシシオドシは流石にないけどあったらよさげな露天風呂。広い風呂に澄んだ夜空、騒がしい車の音とかも一切ないこの場所は体を休めるのにはちょうどいいなぁー。これで雪が降ればもう文句は出ない。まあ、今の時期的にそれはないけど。

 

 

 

 

 

「…うん?なんか男子側の風呂騒がしいな。」

「そう?いつも通りに騒いでるだけだと思うけど…。」

 

 

 

 

 

 なんか、男子側の風呂から飯田君の声が聞こえる。いや、他の男子の声も聞こえるんだけど明らかに制止するような声なんですよ。てか、男子と入浴時間一緒なのかい!?

 …まてよ、男子側と女子側を遮るのは目の前の板のみ。しかし材質は木なのでその気になれば穴をあけたり上に上ることができ____

 

 

 

 

 

 

「峰田が覗きをするつもりか!!」

「ストップかなちゃん!!だったら隠して!!」

 

 

 

 

 ザバァ、と風呂から飛び上がったけど直後に腕を引っ張られて再度IN。一応、壁を確認すれば…おりょ?あのちびっこ…確か洸汰と言ったかな。その子が追い払ってというか突き落としてくれてたようだ。峰田の怨嗟の声がよーく聞こえてきます。ザマア。

 

 

 

 

「やっぱり峰田ちゃんサイテーね。」

「ありがと、洸汰くーん!」

 

 

 

 梅雨ちゃんと芦戸さんが上で門番してるちびっ子にお礼を言うと…あ、落ちた。…落ちたぁ!?ちょっと待て大丈夫かあれ!高さ的には5mくらいあるんだぞ!

 その直後、「ナイス緑谷!」って聞こえてきたから…きっとうまい感じにキャッチしたんだろうな。よかったよかった。

 

 

 

 

「さて、男子が覗いてきたし…ちょっと逆上せそうだから先に上がってるわー。…それに、ちょっと眠い。」

「早いねー。じゃあちょっと早いけどおやすみー。」

 

 

 

 本当はもうちょっと入っていたかったけど…左肩の調子が戻らないし、痛み止めの効果も薄れてきてるから早いとこ下がったほうがいいかなと思った次第でございます。うぅ、明日以降はのんびり入りたいよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ああ、見つけたよ。僕が付けた()が見えるよ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 待っていてくれ、僕の愛する人(殺したい人)よ。




やばい人もステンバイ。ついでに裏でいろんなこともステンバイ


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墜ちる鳥(上)

雪は好きだけど積もらないでほしい(切実)
コミケ、バイオテロとか言われてるけど大丈夫ですか…?手洗いうがいをしっかりしてくださいね。



友人との会話

友人「ねえ、ヒロアカって戦闘描写書くの難しくない?」

私「クッソ難しい!!淡々とした表現にしかならないから苦労してる!特に銃撃戦なんてな!!」

友人「いっそ刀出しちゃえば?」

私「それ刀剣乱舞になるから…ドルフロだからね??」

友人「格闘戦してる時点でどうなんだよそれ」

私「ガンカタってあるじゃろ?」

友人「もう訳が分からないよ…。」




安心してくれ、私も分からない。


「っっっぜやあああああああ!!!!」

「まだまだぁ、我に有効打の一つも入っていないぞ!」

 

 

 

 蹴り抜いた足はわずかに届かず、空を切る。そのまま頭を狙って繰り出される拳をしゃがんで避け、懐へと飛び込み掌底をお見舞いする。しかし、当たった感触はあっても隙を作り出すまでには至らない。そのまま反撃の頭突きをまともに受け、一瞬意識を持っていかれた。

 

 

 

「うぐっ…」

「おっと、流石に強すぎたかね。」

「いっつつ…いえ、まだいけます!!」

「その意気やよぉし!!我ーズブートキャンプ・スペシャルでもっと高みを目指すのよ!!」

「イエス・サー!」

「声が小さいぞ!」

「イエス・サー!!」

 

 

 

 

「なあ、あいつって強化系の個性じゃないよな…。」

「どっちかというと八百万に近いんじゃないか?」

 

「じゃあなんでさ……格闘訓練してんの?」

 

 

 

 

 

 

 

 聞こえてるぞB組。

 そんなわけで翌日。早速強化訓練を受けているのですが…プッシーキャッツの虎さんに呼ばれて始まったのは「近接戦闘」の訓練でした。私も意味が分からない。しかも虎さん、私のほかに緑谷君や切島君の相手もしているんですぞ…もはやそれだけ相手にして動きが鈍らないのはすごい。

 

 合宿前に言われていた対20人戦闘については学校側の予定が変わったので無しになり、代わりに私もプッシーキャッツの方々との訓練に参加することに。出された課題は左側からの襲撃に右側と同じスピードで反応できるようにすることと、()()()使()()()()()()()での近接戦闘を有効打にすることの2つ。確かに、【装備】をしていないと視界は狭いし、肉体的な強度も弱い。はっきり言ってしまえば…人形がいない場合、あるいは呼び出せない場合にはとてつもなく弱いことになる。無論、普段から人形が傍についているとはいえ、奇襲や私ごと行動不能にする個性などを使われてしまえば、もやはただの案山子状態になってしまう。元々、人形達は強くても私自身は何の強化もかからないので致し方ないのだが…。そのため、【装備】が使えるのはとても大きい事である。提督に見せたら「それ、装備というよりは憑依だな。」って言われたけど。

 

 

 

 

 

「まだキレッキレじゃないか!もっともっと筋肉を伸ばして千切れ!!」

「イエス・サー!」

「軽いっ!!先見の明があってもその程度か!!あんたはもっと舞えばいいのよ!!」

「っぅるああ!!っイエッサアー!」

 

 

 

 

 

 ともかく今は!!!ひたすら舞うように殴って蹴るだけだああああ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______________________

 

 

 マタタビ荘の建物の屋上から、自らの指揮官を見守る人形達。その全員が熱光学迷彩を掛け、会話はすべてネットワークを通じて行われていた。

 

 

 

『指揮官の左肩、大丈夫なのかな?』

『一応、AK-12に見てもらってましたけど…。どうだったのですか?』

『…傷とその下の神経系に異常はなかったわ。幻肢痛の類かとも思ったけど、そっちも違うようなの。』

『つまり?』

『…人間は噂されるとくしゃみをする、という迷信があるでしょう?アレに近い何かではないかと。』

 

 

 珍しく確信をもって宣言しないAK-12。事実をもって相手を誘導し、惑わし、着実に仕留める彼女が言い淀むのは…不可解な点が多いという事。

 指揮官に頼んで現在は医学大の生徒として通っていると聞いたが、思わぬところでその知識が役に立つと思わなかった。しかし、その知識を持っても分からないとなれば…個性が関っているということか。一〇〇式は下で近接戦闘を行っている自分の指揮官をじっと見て何かを考えているようだ。

 

 

 

『副官、ちょっといいか?』

『トンプソン、どうしたのですか。』

『少し前にあの医者から連絡があってな。医者の下にいる艦娘と言ったか、3人ほどこっちに送るそうだ。』

『急ですね。何かあったのですか?』

 

 

 

 指揮官の様子を見ていた一〇〇式はトンプソンからきた通信を聞き、顔を上げる。そのまま手元の小型機器を弄り、空中にホログラムディスプレイを投影する。現れたディスプレイに表示されているのはこちらに来るという3人の名前と顔写真、それから艦種だ。空母・駆逐艦・航空戦艦と書かれている文字の下には移動中の表示がある。

 

 

 

 

『少し前にエリア6(保須市)で指揮官も巻き込まれた騒ぎがあっただろう?G11とAK-12の2人が指揮下に来た日のやつだ。』

『ええ。ですがあの騒ぎ自体はもう収束したはずでは?』

『ああ。その騒ぎだけはな…問題は、あの時町で暴れた脳無って奴が護送中だった罪人の乗っている車を壊したんだが…その護送中のやつが問題だったんだ。』

 

 

 

 

 少し硬い声になるトンプソン。同時に、一〇〇式達も察する。

 

 

 

 

『脱走したのは…2年前に指揮官を殺そうとしたあの男だ。』

『っ!』

『尚且つ、現在行方は分からずしまい。そしてあいつの行動理由は…自分の個性(スペース)での対象の殺害。その方法に妄信的なこだわりがあるくらいにやばい奴だ。』

 

 

 

 思わず、あの時のことを思い出してしまい一瞬だけ殺気が出てしまう。しかし、トンプソンの報告はまだ続いている。すぐに冷静になり、一〇〇式はあり得る可能性を演算する(考える)

 

 

 

 

『あの医者が送った3人は万が一の為らしい。もしかしたら来ないかもしれないが…最近は懐に敵がいるからな。送った3人なら奴の個性に対抗できるし、隠密行動も可能だから有効活用してくれと伝言も預かっている。』

『指揮権は?』

『指揮官と副官に任せるらしい。第3部隊(私達)はもうしばらく足取りをこっちで探すから動けない。指揮官のことは頼んだぞ。』

『そちらも気を付けて。』

 

 

 

 

 

 一〇〇式は思う。どうか、この嫌な予感が的中しませんように、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

________________

 

「さあ昨日言ったね!世話を焼くのは今日だけだとね!」

「己で食う飯くらい己で作れ!!カレー!」

 

 

 

 

 目の前に大量に置かれた野菜と肉の山。そして覇気のない返事をするクラスメイト達。うん、そうだよね…もうクッタクタになってるくらいに疲労してるから。

 でも飯田君が頑張ってまとめて、ふらっふらだけどみんなで作り始めましたわ…。私も加わろうとしたけど…虎さんに呼ばれてしまったので、近くにいた蛙吹さんに離れることを伝えてついていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少し離れた場所、昼間に訓練をしていた場所についた瞬間、何の声掛けもなくいきなり虎さんが攻撃を仕掛けてきた。突然の行動を予測できず、しかも左側からきた攻撃であるがために一瞬隙ができる。まずい、と思い来るであろう衝撃を覚悟する。___しかし、その衝撃は来ず、代わりに誰かが受け止める音と気配がした。

 

 

 

 

 

「…ST AR-15(コルト姉)。」

「油断大敵ですよ、指揮官。」

「ほぅ…昼間から何かしらの気配がすると思ったけど、ここまで分からないとは。それが、あなたの個性で作った人なのね。」

 

 

 

 

 虎さんの拳を受け止めたのはMod3の状態のコルト姉だった。だが、いつもより伝わってくる気配に殺気が混ざっている。掴んだままの手からはギリギリと対抗する音がわずかに聞こえ、虎さんの表情は硬くコルト姉は無表情のままだ。だが、もとより戦うために作られた人形、その中でもハイスペックタイプの彼女であれば恐らく、人の骨を砕くくらいは余裕でできる。これ以上力を籠めればまずいと思った私はコルト姉に放すように命令する。

 

 

 

 

「コルトスター、解放しろ。」

「…了解。」

「虎さん、なぜこののようなことをしたのかお聞きしても?」

 

 

 

 こちらをじっと見たまま動かない虎さん。私とコルト姉を見る目はどこか、見定めるような眼をしている。

 

 

 

「…確かに、あなたは他の生徒たちに比べて戦闘経験が豊富で強い。だが、言ってしまえばそれだけ。」

「?」

「要は()()()()()()()()については他の生徒たちよりも遅れているということだよ。」

 

 

 

 

 一瞬、こちらを睨んだ目は鋭く…そして思い当たるところがある私からすれば図星だった。

 

 

 

 

「そのままではいずれ大きく足元を掬われるよ。自分に足りないものを何か考えて、動きなさい。これはその警告でもある。」

「…肝に銘じておきます。」

 

 

 

 

 

 かけられた言葉は少しだけ。それでも、言われた言葉は的確であり、痛いところを突かれてしまったなぁと思う。側で待機しているコルト姉は立ち去る虎さんを警戒しているのか、未だに構えをとっている。そこまで警戒しなくても、あの人は必要なことを教えようとしてくれただけだから問題ないと思うんだけどなー。

 

 

 

 

「___ありがとね、コルト姉。」

「いえ…しかし、指揮官。()()()()()がうまく動かないのをなぜ隠したままにしているのですか?しかも、我々人形にも。」

「…やっぱりバレちゃうか。コルト姉、動きにくくなってるのに気づいているのは何人くらいなの?」

「今のところは私だけです。他の人形…AK-12はもしかしたら気づいているかもしれませんが。」

 

 

 

 

 コルト姉に言われたのは…昨日からさらに悪化した体の不調。左肩周辺だけだった違和感、というより反応の鈍さは今日の昼辺りから足のほうにまで広がっていた。先ほどの奇襲に対しても反応が遅れたのはそれが要因にもなっていたのだろう。

 

 

 

 

「今ここで不調を言えば、せっかくの機会をつぶすことになると思ったし…何より、ここまでひどくなるとは思っていなかったから。」

「だからと言ってそれを無視するのは…!」

「大丈夫、本当にまずいと思ったらすぐに言うから。その時は助けてほしいな。」

「…っ。ですが、しばらくは私が傍につきます。命令されてもそれを覆すつもりはないので。」

 

 

 

 

 本当に、ちょっと反応が鈍いだけだからそこまで急ぐことはないと思うけどなぁ。鈍い、って言っても麻酔が切れる直前の微妙な感覚に近いし。動かないってわけじゃないから合宿が終わったら病院に行ってみてもらうしかないだろうけど。

 

 

 

 

「さて、そろそろ戻ろうか。流石に長時間離れていればあとで何言われるか分かったもんじゃないし。」

「…本当に、無茶だけはしないでください。あの時みたいに…消えない傷が残るのは嫌ですから。」

「痛いのは私も嫌だからねー。そんなことはしないさ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コルト姉と一緒に戻るために歩く。

 その一瞬、視界にやけに目立つ白い花が見えたような気がしたが…きっと気のせいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

________________________

 

「今回はあくまで狼煙だ。虚ろにまみれた英雄たちが地に墜ちる。その輝かしい未来のためにな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まずは思い知らせろ、てめぇらの平穏は俺たちの掌の上だということを。」

 

 

 

 

________________________

 

 

「ああ、早く…早く君に会いたいよ…。僕の証をその身に受けた愛しき人よ…。」

『わかっているだろうけど…とりあえず、僕にも話をさせてくれよ。くれぐれも、愛しすぎないようにね。』

「もちろん。ここまで手伝ってもらったんだ…話位ならいいよ。でも…すぐに終わらせてほしいナ…。」

『…健闘を祈るよ、パンドラボックス。』

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう君は限界だから、殺す(愛する)前に死ぬだろうけどね。」




虎さん…あんさん、元女性の現男性やな…口調難しいのよ…。

コルト姉が出てきたのは理由あるんですけど…くそう、そこを書くまで至らねえ!!でも頑張るしかないだるぉぉ!!あと指揮官はちょっと感覚ずれてます。鈍いって言ってるけど、どのくらいかというと…寒くて体が動きにくい感じだと思えば。

 雪国にいる人ならわかるはず!!学校の体育で寒い体育館に体操着でいるときそんな感じだから!!




年内の投稿はこれでいったんストップになると思います。次は新年ですねぇ!暇人だから暇つぶしに書くぞい!
皆様、よいお年を。


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☆墜ちる鳥(中)

あけましておめでとうございます!そして個人の妄想趣味全開のこの作品にお付き合いいただきありがとうございます!

速攻でダイヤ購入して衣装買ったんですけど…年齢的な問題で2万円までしか課金できないって表示出て「製造があああああ!!!」ってなりました。悲しき。

あとですね…大晦日に思いっきりテンション上がるものを投下されまして!!!マジで!!!叫んだの!!これです

後方指揮時のコスチューム

【挿絵表示】



ごすろじ様…マジでお時間大丈夫なんですか????情報渡して3日か4日くらいしかたっていませんよね???ありがとうございます(ありがとうございます



64式自以外のスキンはそろいました。テーゼの目標は一瞬で達成されたのだよ…。


 合宿3日目、今日は近接戦ではなく集団指揮の訓練をすることになりました。先生曰く「お前は自分が出ることも他のやつを出すこともできるから両方の強化を狙う」とのこと。私だけ規模の違うことやってるけど…致し方ないよね!

 体の不調は昨日のまま、つまりは左側の感覚が鈍いだけに収まっている。良くならないってことは本当にまずいから、今日の訓練が終わり次第先生に報告しておくしか無さげ。途中離脱は悔しいけど、健康状態を損なうのはあまりよろしくない。なんだかんだでコルト姉はずっとついてるし、ももちゃんも傍にはいないけど出てきてるって言ってた。心配かけてすまんな…でも皆と一緒に居たいからそのために力つけないとダメだし。

 

 

 

 頭の中でみんなの位置と的の位置を予測、誰がどこに移動して射線を遮らず、なおかつ有効射程で撃てるか、マガジン内の弾薬は十分なのか、といったことすべてを考えつつ指示出しと、飛んでくる攻撃を避ける…という並列行動をやっております!!さっきから至近弾がバンバン飛んできてるし、人形たちの周りに表示されてる的表示も動きが複雑になってきてせいで一切余裕がない。それどころか、キャパオーバーになるんじゃないかといった勢いだ。

 

 

 

 

「_____何をするにも原点を常に意識しとけ。向上ってのはそういうもんだ。何のために汗かいて、何のためにこうしてグチグチ言われるか、常に頭に入れとけ。」

 

 

 

 

 余裕が無いというのに、なぜか相澤先生のこの言葉だけはしっかりと聞き取れた。

 原点。私の原点は…人形たちと一緒に居ること。そして、最後まで生きること。今思うと、その間にいろいろと巻き込まれたり命の危機にさらされたりと…まあ、前世では絶対にありえないことばかりを体感してるけど。

 

 

 

「原点を考えればここもただの通過点…ってねぇ!」

「うおっ、ここで反撃するのか…。」

「悪いな切島、こっちも余裕ないから必死なんだわ。」

 

 

 

 

 さて、今日の訓練終了まであと少し。耐えろ私!

 

 

 

 

 

 

 

________________

 

 

 

少し前の話

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ガンナースタイル?」

「おう。嬢ちゃん、今のところ【装備】っつったか?あの状態じゃないとほとんど一般人と同じだからな。要は、お前さんたちがいない状況でも銃を使って戦うスタイルを取ればいいって話だ。」

 

 

 

 カタカタとキーボードをたたく音が響く部屋の一室。6枚の並べられたディスプレイの一つに表示されているのは、期末試験の演習風景の写真。この時の指揮官は前線には出ず、後方から指示を出すことに徹していたはずだ。その傍には何人か人形も見えているが…確かに、指揮官自身は何も装備しておらず、直接襲撃されれば限りなく弱いだろう。

 

 逃走したとされる、かつて指揮官を殺そうとした罪人の情報を得ようと、指揮官と同じく本来なら存在しないモノたちを呼ぶことができる人物、今目の前にいるこの医者は目的の情報のほかに助言をしてくれている。無論、時間は惜しいが的を得ているこの言葉を無視するわけにもいかず聞いているのだ。

 

 

 

 

 

「俺みたいに、完全に指揮官…俺の場合は提督か。まあ、そういった命令系統トップは前線に出て戦わない。よっぽどのことがあれば別だが…ともかく、嬢ちゃんの場合はお前さんたち戦術人形を信じすぎている節がある、と言えばいいか。そのせいで自分も同じ場所に立たなければトップとして面目がつかないと無意識に思っちまっているんだろうな。」

「…。」

「思い当たることがあるみたいだな。だったら、尚更人形に頼らない自衛手段が必要になる。なにより、嬢ちゃんと戦術人形の間には見えないパスみたいなのがあるんだ、それも複数。今はそれを切られたり遮られるといったことが無いから問題ないだろうが…逃げたこいつは違う。」

 

 

 

 

 何度か手元のタブレットを操作し、一番大きいディスプレイに情報を表示する提督。そこに書かれているのは…逃げた男の顔写真と個性の説明だ。

 

 

 

「本当ならこの行為は…法律違反で免許剥奪、そのまま檻の中に送られるが今回ばかりはそんなことも言ってられねえ。俺の病院にはデータが流石になかったから…ちょいと裏技(妖精さん)を使ってすっぱ抜いた。それでわかったんだが…こいつは嬢ちゃんとすこぶる相性が悪い。」

「どんなふうに悪いっていうんだい?」

「さっき嬢ちゃんとお前さんたち、戦術人形の間には見えないパスがあると言ったろう?こいつの個性は…空間を作ると言ってもいい個性なんだが、その空間に入っちまえばパスが切れる。しかも座標は同じだが次元が違う。だから見ることも触ることもできず、再び戻ってくればもう手遅れってことになるんだ。」

「…じゃあなんであの時はぎりぎりで間に合ったんだ?」

「俺の予想じゃあ、まだパスが完全につながってなかったタイミングで襲われたせいで、パスを繋ごうとした結果空間に干渉できたってところだろうな。今回、もう一度襲われればそんなことはもう無理だろうが。」

 

 

 

 

 

 先ほどまで映していたものを消し、何事も無かったかのようにこちらを向く提督。だが、その顔は険しさを醸し出している。

 

 

「こいつは今現在行方不明。そして今、雄英は合宿中なんだろ?コイツは情報収集も念入りにしてターゲットを自分の空間に引きずり込む。さながら蟻地獄のようにな…だとすれば、こいつは嬢ちゃんを狙うに違いない。俺の指揮下の艦娘は人でも物でもない。こいつの個性に対して耐性があると言える存在だから連れていけ。今回襲われることがなくとも、休み中に襲われるってこともあり得る以上、早くから動いた方がいい。」

 

 

 

 

 そういって渡してきたのは3枚の紙の資料。そこに書かれているのは「雲龍」「江風」「日向」という3人の艦娘の情報だった。

 

 

 

 

「ありがたい。だが、一つ聞いてもいいか?」

「なんだ?」

「どうしてあんたは…そこまで指揮官を助けてくれるんだ?まだ会って日数もたっていないというのに。」

 

 

 

 トンプソンから言われた言葉が少し予想外だったのか、驚いた顔をしている提督。だが、すぐにその顔は柔らかい笑みを浮かべる。

 

 

 

「何でだろうな。まあ、俺としてはただ同類がいたっていうのがうれしかったのと…夢をかなえる途中にいるかわいい後輩を見捨てたくないってのがあるんだろうな。要は俺自身の満足のためにやってるってことだよ。」

 

 

 

 椅子を収め、立ち上がる提督。その目線は窓際に置いてある写真を見ていた。写真に写っているのは4人組の男女。一人は今目の前にいる提督本人なのだろうが、他の3人はどういった関係なのかは分からない。

 

 

 

 

 

 

「手遅れになる前に、誰かが手を差し出さなければどこまでも落ちちまうってことだ。引き留めて悪かったな、早いとこ嬢ちゃんの側に行ってやってくれ。3人は外で待機させている。身体能力もお前さんたちと大差ないはずだから気にせず走るなり飛ぶ為してくれ。」

「ああ。情報提供、感謝するよ。」

 

 

 

 

 ともかく今は一刻も早く指揮官の元へ行かなければならない。トンプソンはこの後行くルートをどうするかを考えながら出て行った。

 

 

 

 

「…本当に、手遅れになる前に頼むぞ。」

 

 

 

 

 そんなつぶやきは、静かに部屋の中に溶けるように消えていった。

 

 

 

 

____________________________

 

 

 

「腹も膨れた!皿も洗った!お次は…。」

肝を試す時間だー!

 

 

 

 

 ひゅー!肝試しのお時間でございまぁす!でも正直頭痛くてそれどころじゃねえ。脳の処理限界にいっちゃったぽくてさっきから頭痛がひどい。おまけに左肩も痛み出してきてるせいで動くのもつらいんだけど…。

 

 

 

「奏、大丈夫か?」

「うー…大丈夫じゃない…頭痛いしちょっと肝試しどころじゃない…。」

「なら先に部屋に戻って寝ていろ。お前の個性の人も心配しているからな。」

「そうする…ごめん、先生とみんなに言っておいて。」

「ああ。」

 

 

 

 とー君に伝言を頼んで先に宿舎へ戻ることに。補習組も移動しているはずだから相澤先生は宿舎にいるだろうし、肝試しのほうにいるのはプッシーキャッツの方々だけかな。みんなの楽しそうな声を後ろで聞きつつ、コルト姉と一緒に歩いて戻る。

 さっきから頭痛はひどくなる一方だし、肩も痛い。ここまで痛くなったのは初めてかもしれない。隣で肩を貸して一緒に歩いてくれているコルト姉はとても心配そうな顔をしているけど、うん、今回はちょっと無理をしすぎた自覚がある。限界突破のためとはいえ、下手をすれば昏睡コース一直線の負担ばかり掛かるから仕方ないけど。…ホント、かなりピーキーな個性と言ってもいいよね、これ。

 

 

 

「指揮官、本当に大丈夫ですか?」

「いや、ちょっとまずいかも。さっきから眠くてしょうがないし、頭と肩は痛いままだし…。」

「では、ちょっと失礼します。」

「おわわっ!」

 

 

 

 

 コルト姉は一言入れると私のことを背負って歩き始めた。確かコルト姉って、大陸版の方のイベントストーリーでもM4を背負って移動したりしてたもんね…。手負いじゃないけど、今の私だって十分似たような状態だからなぁ…。う、背負われて自分で歩く必要がなくなったからか本格的に眠くなってきた。疲れも限界に来てたせいかな…。

 

 

 

 

「無理しなくてもいいですよ。あっちに戻ったら起こしますから。」

「う、ごめん…。ちょっと寝るね。」

 

 

 

 

 

 コルト姉の背中に背負われたまま、体の欲求に従って私は意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『副官、少しいいかしら。』

『ええ、何かありましたか?』

『いえ、指揮官が疲れて眠ってしまったので替えの服と冷却シートの準備をお願いしたいと思って。』

『ああ、なるほど。分かりました、任せておいてください。』

 

 

 

 

 

 背中で静かに眠っている指揮官を感じながら施設に繋がる一本道を歩いて戻る。先ほどから悲鳴のようなものが聞こえていることから、肝試しが始まってそれなりの時間がたっているのはずだ。本当なら、あの中に指揮官も入って楽しんでいたのだろう。

 

 

 

 

 

「…本当に、無茶ばかりしますね、あなたは。」

 

 

 

 

 ため息をつきながら、呆れの混ざった声でつぶやくAR-15。

 

 

 だが、一瞬何かが焼けているような臭いを感じ、意識を切り替える。同時に、ダミーの人形を4体顕現させる。本来なら指揮官の許可が必要だが…それを待っていられる状況じゃないと直感的に感じたのだ。メインフレームである自分は無改造、つまりいつもの姿だが、ダミーだけはMod3の状態で周囲に展開しておく。

 

 

 

 

 

 

 

 

『副官、この森周辺で異変が起きていないか確認してほしい!』

 

 

 

 

 急いでネットワークを通じて呼びかけるAR-15。しかし、すぐに返答が来ると思ったのに何時まで経っても反応がない。同時に、何かが切れるような感覚。すぐに自分のダミーリンクと背中の指揮官を目視で確認するが、そこには異常がない。だが、それ以外___外部から先ほどまで聞こえていた声や気配…それどころか周囲に生き物の気配が一切感じられない。同時に、とある既視感を感じる。

 

 

 

 

 

 

「物はあるのに気配がない…まさか!」

 

 

 

 

 

 

「あーあ…彼女の気配がしたから【口】を開けたのに…余計な虫までついてたのか。」

「お前は…!」

 

 

 

 

 

 

 

 ___2年前、指揮官を笑いながら殺そうとしていた男。顔には指揮官からの反撃でつけられたと思われる傷跡が残っており、AR-15の背中で眠っている指揮官(獲物)を見て歪んだ笑顔を向ける。

 

 

 

 

 

「邪魔だなぁ…でもあの人は壊すなって言ってるし…しょうがない_____________手足を飛ばすくらいならいいよね?」

「ッ!」

 

 

 

 

 突然目の前に現れたと思ったら腕をつかまれそうになった。すぐさま後ろへと飛び、何とか避けるが…()()()()()()()()。それどころか予備動作も音もなく、本当に一瞬で目の前に現れて掴まれると思った。同時に、捕まれば即死だろうというのも察した。

 

 

 

 

 

 

「あっはははは!!さあ逃げろよ!!最後の最後まで僕の殺したい人(愛したい人)を守ってみなよ!!」

「っつう!!」

 

 

 

 ダミー4体による攻撃と囮動作をしても、すぐに近づかれる。何より、このような事態になっているのに背中にいる指揮官が起きない。何度も声を掛けても、規則正しい呼吸音をしたままで意識が戻る気配がない。そんな動揺を分かっていたかのように、目の前にいる男は嘲笑う。

 

 

 

 

「無駄だよ。いくら声を掛けても彼女は起きない…彼女の意識は既に僕が【箱】に入れたからねぇ!」

「なに…!?」

「彼女の肩…僕が付けた印はただの扉!僕の庭に彼女の意識を持ってくるのにここまで苦労するとは思わなかったけど…まあ、今となっては関係ないさ!あとは彼女の体を手に入れればすべて整う…だかラ____」

 

 

 

 

 あの男の言葉が最後まで言い切る前に、ダミーによる速射攻撃で頭を撃ち抜く。だが、男は倒れたと思ってもすぐに立ち上がり、何事も無かったかのようにまたこちらへと寄ってくる。撃ち抜いたはずの頭に出血痕はなく、それどころか汚れの一つすら見えない。

 

 

 

 

 

「言ったよ、無駄だとネ…ここじゃあ僕がすべて。望まぬものを拒絶し、僕が望むものだけを通す。ああ、でも例外として先生がいるか…今は出てこなイから関係ないケど。」

「…っ!」

「君の背中にいる彼女を渡してくれれば、おとなしく僕は帰るし君に手を出サナい。だけど、彼女を渡さないっていうのなら…処分すルしかないよ?」

「…指揮官を今度こそ守り抜くと決めた以上、お前のような外道を相手にしている余裕はない!」

 

 

 

 

 

 

 じりじりと、危機感と余裕がなくなっていくのを感じながら、AR-15は後退するしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

_________________

 

 

 

 

「…っ!?コルト!指揮官!!」

「___遅かったか!悪りィ、雲龍と師匠は歪みを探してくれ!江風(こっち)で切り込んで入り口を作る!」

 

 

 

 一〇〇式は合流した第3部隊とあの医者から送られてきた3人の艦娘達から詳しいことを聞いている途中、AR-15と指揮官の気配が消え、同時に何かが切れるような、そしてとてつもないくらいにいやな気配をいくつも感じる。艦娘の3人、江風・雲龍・日向の3人は思い当たることがあるのかすぐに動き出した。

 シャラン、と澄んだ鈴の音を鳴らして錫杖を地面に打ち込み同時に何かを詠唱している艦娘、雲龍と呼ばれた彼女の足元から人型の紙が大量に空を舞い、そして散っていく。もう一人、刀のみを装備している艦娘、恐らく日向は先ほど飛んで行った紙___偵察用のドローンのようなものから受け取った映像を見て処理をしているのだろうか、その場で目を閉じて雲龍に指示を出している。飛び出していった最後の一人、江風は赤く長い髪を靡かせながら猛スピードで森を駆け抜けているようだ。

 

 

 

 

 

「駄目、指揮官とAR-15に繋がらないどころか気配の一つも感知できない!」

「副官、だいぶまずいことになってるぞ!!ここら一帯に敵が湧いて出ている!」

「…っ!こんな時に!」

 

 

 

 

 指揮官たちの気配が感じられない事に重ねるように来る悪い出来事。恐らく指揮官はあの男に狙われたがために連絡が取れない状況に陥ってしまったと思われる。であれば、援護に来てくれた艦娘の3人に任せるしかない。だとすれば、取るべき行動は___

 

 

 

 

 

「現在出てきている人形でベースとなっている施設周辺の索敵と警護を。…指揮官がどのような状況になっているか分からない以上、負担を掛けないようにする必要が出るのでこれが限度です…!」

 

 

 

 

 本当ならもう少し援護をするべきなのだろうが、自分たちを顕現させる指揮官の状況が分からない以上、取れる行動はこれが限界だろう。自分たちから進んで動くことができない歯がゆさにぎゅっと拳を握る一〇〇式。だが、そんな人形たちのもとに聞いたことのない声が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

 

「______狭間に引きずりこまれた魂は、まだ悪魔の箱に収められていません。動くとすれば今しかないでしょう。」

「…あな、たは?」

 

 

 

 

 突然、暗い木々の隙間から姿を現したのは___どこか喪服を思わせる黒いドレス風の服に対称となるような白く長い髪と大きな白い花を頭に乗せ、その手には、戦術人形であることを確信させる刻印の刻まれた銃が握られている。

 一〇〇式の問いには答えず、その両目で並んだ戦術人形たちをじっと見つめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなた達は、自らの指揮官を最後まで信じて待つことができますか?」

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉は、どこか憂いを感じさせるような言葉だった。




なげぇ(確信

途中で書いてて「あれ…これもしかして体育祭のラスト並みに長かったりするん・・・?」っておもった。あとこれ次で区切れるか!?




指揮官、変態の個性によって昏睡状態に(予定通り)そしてやってくる援護用の艦娘3名(独断と偏見と好み)。

出てきた戦術人形、わかったらすごいと思う。大陸版にいます。そして私の個人的な設定とかの意味合いで妖しいこと言ってる感じにさせてますが実際はもうちょっと儚い感じです。


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落ちる鳥(下)

黒い!そして最後!!

人によっては胸糞悪いと感じるし、場合によっては方向性が合わないと思う人がいるかもね…


「ああくそっ!提督に頼まれたから出てきたけど…これじゃあ怒られっちまう!」

『…そのまま進むと既に始まってる戦闘に巻き込まれるわよ。3時方向に迂回して。』

「了解…歪みが多すぎて処理しても空くじばっかりか…っよ!!」

 

 

 

 悪態をつきながら何もない空間を殴りつける江風。だが、何もないと思われるその場所を殴れば、何かが割れるような音と同時にわずかな違和感が晴れる。しかしそこには目当ての人物たちの姿はなく…またしても、ただ置かれただけのダミー空間だとすぐにわかる。さらに江風はこの作業を既に100を超える数をこなしており、圧倒的に人より体力的に有利であっても若干呼吸が荒くなってきていた。

 そのほかに、同時に襲撃してきた敵が複数おり、さらには場所もそれなりにばらけている為にそこかしこから戦闘音が聞こえてきていた。先ほど、皆が肝試しをしていた場所からそこそこ離れた位置にある岩場から盛大な爆発音のようなものが聞こえてきていたが…今は聞こえなくなってきているようだ。おそらく、誰かが敵と戦って決着がついたのだろう。そのおかげか今のところ、江風達、艦娘と戦術人形たちに敵が当たっていないのはある意味幸運なのかもしれない。

 

 

 

「またはずれ…畜生、この体たらくじゃあ川内さんに叱られっちまうじゃないか…。」

『江風、私も出る。生憎私は殴って空間干渉などできない為に、己の艤装()を使わなければいけないが…少し下の川辺であれば振るえる。森林地帯は任せる。』

「ありがたい。んじゃ、江風ももう少し本気になって壊す(直す)しかないねぇ…!」

 

 

 

 

 顔に浮いた汗を乱雑にぬぐいながら、江風は再び走って騒がしい森林にある空間の歪みを探しに行った。

 

 

 

 

 

 

______________

 

 

「あなた達にできるのは、この人が帰ってきたときに安心していられる場所を守る事。彼女の魂は彼女自身があるべきところに帰ろうという心があれば、自ずと戻ります。」

「だから、あなたはいったい何者なんですか!」

 

 

 

 

 現れた時と変わらない態度で話を続ける謎の戦術人形。その人形に向かって怒りを向ける一〇〇式の顔には焦りが浮かび、おおよそ冷静ではないと一瞬でわかる状態だった。

 

 

 

 

 

「落ち着け副官!他でもないアンタが冷静じゃなくなれば総倒れになるぞ!」

「…トンプソンの言う通りよ。それにしても、まさかあなたまで出てきているとはね____AUG。」

「ええ。実を言えば、貴方(AK-12)とG11が出てきたときに私も来たのですがね。しかし、()()()()()()を引いたのは、もしかすれば彼女からすればよくないことかもしれませんが。」

 

 

 

 

 

 

 一歩前に出て一〇〇式のほうを見る人形、AUG。しかし、そこには先ほどまで感じることのなかった圧力があり、最初の時のように怒りの言葉を向けることはできそうになかった。

 

 

 

 

 

「この際、はっきりと告げましょう。今回の敵に対して、我々戦術人形は無力であり______どうすることもできない。今更出たところで壊された人形の残骸しか出てこないでしょう。」

「…っ!」

「…ですが、それはあくまで()()()()()()()()ということ。今ここには人でも物でもない…かつて物だった、力のヒトガタたる艦娘という存在がいる。戦術人形に比べて存在は不安定、しかしここに在ることに変わりはなく…同時に、無い物への干渉も可能。あとはお分かりでしょう、鏡の桜を持つ人形であるあなたなら。」

 

 

 

 

 凛として言い放たれたAUGの言葉。それはある意味、分かっていたことであり…同時に、認めたくなかった己の無力さである。鏡に映った像(無い物)には触れられない、それはどうしようもなく前から分かっていたことであり…実感した事。

 不安な心を抑えて、落ち着いた一〇〇式は前を向く。今できる、自分がやるべきことをするために。

 

 

 

 

 

 

 

 

「_____総員、戦闘準備。今この領域にいる敵を抑えつつ、増援が来るまで時間稼ぎをします。ですが、あくまで我々は指揮官の個性であること…故に、許されているのは正当防衛のみ。決して攻め込まないこと。また、要救助者がいるようであればそちらの援護を。」

「了解だ!ようやくそれらしいことができそうだ。」

「ハイモデルタイプの人形は艦娘の指示に従って現場待機。指揮官とAR-15を見つけ次第護衛しつつ撤退を。」

「ああ。AR小隊4名及びAK-12、準備完了しているぞ。」

「覚悟は決まったようですね。なら、私は私の役目を果たすとしましょう。」

 

 

 

「作戦、開始!絶対に指揮官達を取り戻します!!」

 

 

 

 

 

 こんなところで立ち止まるわけにはいかない。その決意のもとに、人ならざる者(人形と付喪神)は動き始めた。

 

 

 

 

____________________

 

 

「アッハハハハハ!!!結局守るとか言っテ、その程度シか動けないのかよ!!」

「くっそ…!」

「諦メて彼女を僕に寄こセばよかったのになァ!!」

 

 

 

 

 

 背中に背負った指揮官の意識は戻ることなく、目の前の男に捕まらないように逃げ回るので精一杯。ダミーはあの男に掴まれた瞬間にその部位が綺麗に切り落とされ、最後は頭を落とされて全部オフライン。そして今、切り立った崖の端にまで追い詰められ、逃げるためのルート上にはあの男がいる。

 

 すでにこの空間に引きずり込まれて45分ほど経過しただろうか。目の前にいる男に有効打の一つも与えられず、AR-15はただただ追い回されるのみであった。

 だが、先ほどからところどころの木に、最初に感じた違和感を感じなくなっており、もしかしたら時間で何とかなっているものかという推測もできている。できるなら、ダミーを用いてもう少し時間を稼ぎたいところであったが、もはやそれは叶わない。しかし自分が死ねば指揮官も死ぬ。本当に、八方塞がりな状況に変わりはなかった。

 

 

 

 

 

「後ろは崖…目の前には僕がイる…もう逃げ場はないん___ゲッホゲホ___ガハッ。」

「っ!」

 

 

 

 突然、男がその場にうずくまるようにして咳き込んだ隙を見逃さず、一気に駆け抜ける。男は未だにその場から動かず…口元に手をやり、押さえている。その指の隙間からは数滴だが、血が流れていた。

 

 

 

 

 

「ああ…もう時間がないのか…ならなおさら、遊んでいられないよなぁ!」

「お願い…これ以上はもう持たない…!」

 

 

 

 

 

 神頼みなどしても意味はない。そう分かっていても願ってしまうのは、指揮官と長い間居たことで影響を受けたからなのか。

 だが、神という不確定な存在はいなくとも_____仲間は、頼りになる存在はいる。

 

 

 

 

 

 

『______見つけたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 聞き覚えのない、しかし味方だとわかるその声が響いたと思ったその瞬間、違和感だらけの虚像の世界が壊れ、靡く緋色の髪が男を殴り飛ばした。

 

 

 

 

 

 

_________________

 

 

 

 敵が撤退してから15分後。救急や消防が到着した。

 生徒41名のうち、敵のガスによって意識不明時の重体15名、精神攻撃による昏睡1名。重・軽症者9名。無傷で済んだのは15名だった。

 

 そして_____行方不明1名。

 

 プロヒーローは6名のうち1名が頭を強く打たれ重体、1名が大量の血痕を残し行方不明となっていた。

 

 

 一方、敵側は3名の現行犯逮捕。その3名を残し他の敵は跡形もなく姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その他、現場から20㎞離れた地点で()()()()()()()()()()とされる、脱走していた罪人の遺体が崖の下から発見された。その遺体の上には、誰かが弔う意味で花を置いたのか、黄色いユリが一輪、身体の上に置かれていた。

 

 

________________

 

 

 

 

 

 

「日の光を見る人形あれば、影にてすべてを飲み込む人形もまた、必要でしょう。」

 

 

 

 つぶやく言葉は誰にも聞こえず、聞く者もいない。あるのは、たった今自分が()()()()()()()()()()()()()()()罪人の亡骸。その声は冷淡そのものだが、瞳に映る感情は怒り。

 

 あのあと、AR-15と指揮官を見つけ出し、元凶たるこの男をその場で殺そうとした一〇〇式を抑え、警察に送るといった後_____AUGはひとりでに偽装し、この男を処刑した。無論、これは私情が大半であり決して許されざる行為ではないことを自覚している。だが、汚れるのは前の世界で既に人を撃った自分だけでいい、という考えであるAUGは、指揮官の指揮下に加わらずに動いている。

 

 

 

 

「『偽り』。私自身の在り方とお前の力の使い方を示す楔として、この花を手向けとしよう。」

 

 

 

 

 

 そうして、一輪の黄色いユリが遺体の上に置かれる。そして、AUGは誰に見られることもなく姿を再び消した。




殴り飛ばされて簀巻きからの引きずりコース。撃たれないだけまし。なお最終的に「お前は最後に殺すといったな?あれは嘘だ」の状態になる模様。




五〇〇式ちゃんが6人出来ました。(なお残り資材と人形製造契約)
このあとKSGも作らないといけないんですけどぉ!?


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番外:その3指揮官と一〇〇式、時々提督

めちゃめちゃ空いたせいで返しが多くなった模様。眠いよ…


指揮官「第3回、一介の人形遣いに何を求めているんですか番外編!」

 

もも「指揮官と一〇〇式、今回のゲストの提督こと和田抓先生を誘拐して(添えて)行きたいと思います!」

 

提督「ん”ん”-!!」(手首と足首を縛られ、口にはテープが張られている)

 

 

 

 

誘拐

 なんとなく。ただ座らせるだけじゃつまらないと思った。

 

 

 

 

 

 

 

指揮官「えー、前回の返しからだいぶ空きました。申し訳ない。」

 

もも「指揮官曰く、『番外3つ繋がったらだめじゃね…?』という思いからここに来ました。」

 

指揮官「ついでに言うとまだこの章終わってないんですよ。まだいくつかやってから6章、つまりは第6戦役になります。」

 

提督「…ぶっはぁ!おう嬢ちゃん、人をいきなり誘拐したと思ったらここはどこだよ!?」

 

指揮官「私の基地ですね!らっしゃいせー。」

 

提督「…俺の必要あったかこれ?」

 

 

 

 

 

もも「では提督の自由も確保されたのでいつもの質問返しに行きましょう!」

 

指揮官「すっかりここだとももちゃんも染まったなぁ…。」

 

 

提督「えっこれ読めばいいの?____ああもう分かった!分かったから睨むんじゃねえ!【裏で暗躍する部隊、いいよね!】」

 

 

 

 

・裏部隊

 ちょっと黒い話を書きたかった。指揮官の為に邪魔は隠れて排除しちゃう。ある意味まだ大丈夫な方のヤンデレって言われた。

 

 

 

 

指揮官「裏部隊とかのやり取り好きなんです…深層映写(ディープ・ダイブ)早く来ないかなぁ…その前に低体温症か。」

 

もも「確か夜戦じゃありませんでしたっけ?」

 

指揮官「死ぬ。」

 

提督「(そんなに夜戦で困るのか…人形は大変だなぁ…。)」

 

川内「夜戦と聞いて!!」

 

 

指揮官・提督「下がれ夜戦バカ。」

 

 

川内「はーい…。」

 

もも「では次に行きましょう!職業体験の時のもので【2人組…一体誰なんだ!?】」

 

指揮官「あー、AK-12とG11のやつね。独断と偏見と感想欄の意見から出てきたやーつ。」

 

 

 

 

・2人組

 好きな人形(未実装)と手に入れた記念で出したかったG11を出しました。門に関してはテレビ見てたら凱旋門映ってたのでまんま出しました。

 

 

 

提督「見てたのそのまんまかよ!?」

 

指揮官「だって…描写楽だし…細かい特徴書く必要ないし、凱旋門言うとそれで済むからね。」

 

もも「手の込んでいない手抜きですね。次は【ゴルドリー…あれ?】」

 

 

 

・金獅子さん

 ゴルドリーオって出しても気づかれへんやろーと思ったら結構バレた。アニメつおい。この名前だとわかりやすいかもしれないって言う狙いもあったんだけどね!

 

 

 

指揮官「ゴルドリーオ好きです。ジルバディーガもいいけど。でも一番はツェンちゃんですねぇ!」

 

提督「何の話だよ!?」

 

もも「ジャンル違いのアニメ…というより小説ですね。メカメカしいのもいいけど獣系が好きな指揮官らしいです。」

 

指揮官「今回は割と空いたせいで書く部分が多いから脱線してられない!次!【指揮官の41℃の発熱!】」

 

 

 

・発熱

 結構指摘された。あとで下げようと思ったけどやばそうにしておいたほういいなと思ってそのままに。皆さんは病院行ってくださいね!!私は座薬で熱下がったらしいんですけど覚えてません。

 

 

 

指揮官「うわひっでえ。作者のせいで熱でひどい目にあったのかよ。」

 

もも「メタいですね。」

 

提督「メタすぎるだろ…。」

 

指揮官「いいんだよ!!次!!【2人組とは別の人形】【謎の男】」

 

 

 

 

・はぐれ人形

 この前出した!AUGです!!声が好き。大陸版だと「オペレーション・シャドウ」だったかな?それの報酬らしいです。ARのくせに陣形効果が全銃種なんです…頭おかしい。

 

 

・謎の男

 提督のこと。ただし普通に医者なのでこの時は出張でお手伝いに来てた。ヤブじゃないし普通に腕のいい医者。おっきい病院に呼ばれることも結構あるぞ!

 

 

 

 

指揮官「どっちも合宿で出てきてる。けど正直ここまで出す機会がなかったとは…!」

 

提督「自覚有りなのかよ!?」

 

もも「提督がツッコミに徹していますね…。」

 

提督「お前らがここだと自由すぎるんだよ!?人のこと誘拐したり殺気向けてしゃべるように強要したりな!!あと俺に関しての意見、というか感想もあったな…【海の指揮官…やばくね?】」

 

 

 

・海の指揮官…という名の提督

 決してアズールな方ではない。あっち船が多すぎてやべえよ。しかもコイツ、最初は無個性だと思って何もしてなかったんやで???最近になって指揮官が設置した箱の効果で艦娘が出てこれるようになってから若干努力してるけど。

 あと提督は作者が初めて手を出したPCゲーなので思い出深いのも理由。嫁は時雨と金剛。最近はギミック多すぎてイベントは参加してないです。それ以外はやっていますが。

 

 

 

提督「風当たりのひどい読者たちだぜ…俺が男で悪かったな!!!」

 

指揮官「まあまあ、あと本名をフルネームで教えてください。」

 

提督「おのれ作者ァぁ!!和田抓 広大(わだつみ こうだい)と言います。大体は和田抓で通じるけど。」

 

もも「あとアーク・ロイヤルが指輪を渡した相手であっているんですよね?」

 

提督「おう。唯一指輪を渡した艦だな!実装されるイベントの2か月前に初めて…あとはイベントが始まった瞬間死ぬ気でレベリングと攻略した。課金万歳。」

 

 

 

 

・提督のモデル

 リアル友人。今は大型建造芸人になってる。ビスマルクが来ないって叫んでて今のところ500連敗らしい。ある意味すごい

 

 

 

指揮官「あとあれだ、【夜戦忍者】」

 

 

 

・夜戦忍者

 出したときの感想欄に「アイエエエエエ!」がいっぱい。恐るべしご長寿オンラインブラウザゲー。夜戦忍者の知名度高すぎるだろ…。

 

 

 

もも「反応がみんな同じで大爆笑してましたね。」

 

提督「あれ…ここってヒロアカ世界戦のドルフロじゃなかった?」

 

指揮官「ここまで反応が来ると思ってなかった。あといくつあるんだ…!次!【イラスト!?】」

 

 

 

 

・指揮官のイラスト

 ある日、お仕事を終えて帰るとメッセージが届いていた…。何だろうかと思えばそこにあったのはなんと…奏のイラストだった。…イラスト?

 

 

アイエエエエエエエエエ!?ナンデ!?何故ええええ!!となったのはガチ話。超テンションで仕事場でニヤニヤしてた。相変わらず防塵マスクで隠れてたけど。

 

 ごすろじ様、本当にありがとう!!しかも3枚も描いてくれてさぁ!!

 

 

 

 

もも「ここまで描いてくれる人なんて初めて見ましたね…。」

 

指揮官「大丈夫か?マジで時間大丈夫なのか???」

 

提督「そのうち他の人も描きそうだよな…。」

 

指揮官・もも「わかる」

 

提督「お、あと少しか。【ヤベー奴の再来】【フラグ】」

 

 

 

・ヤベー奴の再来

 本当は出すつもりなかったけど…のちのち考えると「あれ、こいつ便利じゃん。つかっちまえ☆」ってなりました。変態。

 あれですね、SAOのオベロン(本性出したときの姿)でいいのかな…あれをさらにやばくした感じか。

 

 

・フラグ

 指揮官昏睡入りまーす(白目)最新話での昏睡1名は指揮官です。外傷ないのに眠って反応がないので昏睡判定受けてます。

 

 

 

 

指揮官「私は亡き者にされたのだよ…」

 

もも「死んでません!死んでませんから!?」

 

提督「あとあれだ、【副官で留まりすぎる情報】」

 

 

 

・情報

 何も考えてないのがばれた瞬間その3。でも実際に情報集まったのを整理してから渡すとなれば結構時間かかると思う。あと単純に指揮官に変な情報与えて不安にさせたくなかった。

 

結論→作者が悪い。ガバガバ設定

 

 

 

 

指揮官「がばがばです。ご容赦ください…!」

 

もも「本当に今回は返すだけで終わりましたね…量がそこそこあったのでしょうがないですけど。」

 

提督「俺を誘拐した理由は・・!どこにあったんだ…!」

 

指揮官「まあまあ、この後別件で出てくるんだから気にしないのー。本業だし。」

 

もも「それでは!」

 

 

 

指揮官・もも・提督「次回の更新もお楽しみに!」




指揮官「これでもだいぶ削ったんだよね…」

もも「えぇ…。」


提督「お…?あっこれ続きの話か?」



指揮官「まだそっちだしちゃらめええええええ!!!!」


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迷い込むは狭間の可能性。交わるはまだ見ぬ未来

これ、人によっては気づくぞ…同じサイト内に作品があるから分かる人いるはず。








それはそうと低体温症も夜戦ってマジですか????SGとMGの育成しろって言われたんですけど????


 チリーン…チリーン…、と神社で聞くような鈴の音が耳元で聞こえる。どこかはっきりとしない意識の中、その音に釣られるようにして目が覚めていく。焦点が定まらず、ゆらゆらとした視界が安定していき目の前に映っているのは…黒地に白い桜の紋様の描かれた振袖と、灰色の袴を身に纏い___いわゆる、大正と呼ばれていた頃の女学生の衣装と酷似している服を着ている…一〇〇式と瓜二つの女性だった。だが、違うとすればその瞳は桜を思わせる赤みを帯びたものではなく、冬の晴天を思わせる蒼い瞳であり、頭についている飾りが桜の簪になっていることだろうか。

 そしてもう一つ、今見えているのはこの女性の顔。そこから考えられるのは…

 

 

 

 

「ああ、ようやっと起きなはったんやなぁ。おはようさん。」

「…!?」

 

 

 

 

 

 どう考えても、この女性に膝枕をされていたということだ。あまりの出来事に声も出せなかったし動くこともできなかったけど…一〇〇式のようにしか見えないこの容姿の女性は笑って私のことを見ている。

 ガバッと身を起こして周りを見渡せば…そこは先ほどまでいた森の中ではなく、石塀で囲まれ下は石畳、目の前には時間が経ってはいるがボロボロにはなっていない神社の神殿。そして後ろには赤い鳥居が一列にずっと続いているように見える。だが、それ以外のところは深い霧に覆われており、何も見えない状態になっているようだった。私とこの女性はどうも、この神社の境内のど真ん中に居座っているようで…もし管理する人がいればこっぴどく怒られているだろう。

 

 

 

 

「…えっと、ごめんなさい?」

「ええよええよ。うちもここに迷い込んだだけの放浪人や。それに…ももちゃんと縁の深い人物に合うのは久しぶりやからねぇ。」

 

 

 

 

 とても陽気に笑うこの女性は一〇〇式のことを知っている?でも大陸版にもそんなキャラはいなかったはずだし…見逃してたらしょうがないけど。それにしても…本当にももちゃんそっくりな人だなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 というか、そんなこと思ってる場合じゃない!ここどこだ!?コルト姉は!他のみんなの気配が一切ないしどうなっているんだ!?

 

 

 

 

 

 

「落ちつきぃ。ここはあんさんの力でできた隙間みたいな空間らしくてなァ…でも出ようにも出られず、かといってここに居続ければ現実に戻ることもなくどっかの狭間に消えてまうんじゃないか、というのがうちの考えなんよ。」

「ちょっとまって?もしかして、ここがどこか分かるんですか…?」

「だーかーら、ここはあんさん自身の中ってことなんよ!恐らく、(現実)で不味いことなりようて反射で作ったんちゃうか?うちはある意味それに巻き込まれただけやけど。」

 

 

 

 

 

 

 

 ますます分からなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…じゃあ、もしかしてここは私の中にある基地とか門とかと同じ系列の場所なのかな?」

「うちは分からへんて。ただ呼ばれたような気がして歩いとったら、あんさんがここで眠ってはったんや。そんで悪戯するつもりで膝枕したら起きてまってなぁ…。」

 

 

 

 

 

 この少し変わった話し方…関西系の方言に近いけどちょっと違う気もする言葉の女性、名前を「セツ」というらしい。本人は本当の名前はあるけど話したくない、というので偽名なのだが今は問題ないので気にしていない。

 でもこの人もどうやら人間ではなく人形、それも一〇〇式と関わり深い人形だったらしい。道理で見た目がそっくりなわけだ…。でも名前からして戦術人形ではないらしいけど。

 

 かいつまんだ憶測を聞くと、この神社は私が現実で不味い攻撃を受けて反射的に作った精神世界、ということであり、同時に私の気の持ち方によって出口ができるのではないか?ということだった。今は何ともないけど、正直なところ現実世界で体に異常があればすぐに崩壊して死ぬ可能性もあるらしい。

 

 最後に覚えている光景だと、AR-15に背負われて合宿の施設に帰る途中だった、ということしか覚えていない。どこに危険があったんだ。私の個性になってから戦術人形には傘ウイルスなんて仕込む奴いないだろうし…あったらそもそも私が何とかできるから意味ないし。その線からまずAR-15にやられた可能性は消えた。あとは外部からの攻撃だけど…洗脳系に対しては効果がないって体育祭でわかったし、UMP45のおかげでそれが成り立っているのも実証済み。

 じゃあ洗脳系…あるいは精神系の攻撃ではないもの?

 

 

 

 

 

「外じゃなくて、内側からやられてまえば…その壁は意味ないんとちゃうか?」

「内側…?」

「せや。たとえば、最近誰かから贈り物が来たり、あるいは殴られた、蹴られたってことは?」

「贈り物はないけど殴る蹴るはここ2日いっぱいあったよ。でも全員物理系の個性だからね…精神攻撃とかできる個性はないはず。」

 

「じゃあ____昔、そういったことはあったりせえへんかった?」

 

 

 

 

 

 

 昔…そうだ、今から2年前に変な奴に襲われて…!

 

 

 

 

 

「…やられた。この顔の傷と左肩。合宿に来てから特に左肩はいきなり痛くなった!」

「原因、というよりトリガーはそれやな。痛くなったのは左肩っちゅうことは、あとそこから入り込むことはできへんやろなぁ。でも、残るはその目ってことやな。」

「これをどうにかしないと戻ってもまたやられる…それどころか、今も現実ではあいつに襲われてるってことか!」

「せやろなぁ。______だからこそ、うちがここに来たかもしれへんな。」

 

 

 

 

 

 

 チリーン。また、最初に聞こえた鈴の音が後ろ____神社の本殿から響く。

 私の言葉に、何かに気づいたらしい。目の前にいるセツは先ほどまでの明るい笑顔ではなく、どこか覚悟を決めたような顔をしていた。

 

 

 

 

 

「____ここは可能性が集まり、そして数多の可能性を紡ぐための収束点。神社の姿を取ったのはあんさんのイメージしやすいものになるためだったかもしれへんな。」

「セツ?」

「今思えば、そもそもうちがここに来ることも…もう一度ももちゃんの力になることもなく、消えた可能性の一つとして漂うはずやったんろうな…。」

 

 

 

 

 

 悲し気に、しかしどこか晴れた顔をしたセツ。その澄んだ蒼い瞳で私をじっと見つめ、懐かしむように頭をなでてくる。

 

 

 

 

 

 

「もしかすれば、これは過ぎたモノかもしれへん。けれども、ももちゃんと縁が深いあんさんは今、死ぬかもしれへん…。だったら、少しでも…ももちゃんの力に、ももちゃんと一緒に居るあんさんの力になってあげたいんよ。」

「えっと…セツ、なにをするつもりなの?」

「そうやなぁ…ここから出るための唯一の手段をやろうとしてるんよ。」

 

 

 

 

 スッと立ち上がり、どこから取り出したか分からない扇を広げたと思ったら視界をふさがれた。それを避けてセツを見ようと思ったけど、他でもないセツに「動かんといて」と言われてしまい、そのままじっとしている。

 チリーン、チリーン…と鈴が連続で鳴り始め、途切れなくなってきた。

 

 

 

 

「よう聞き。きっと目が覚めればうちのことは忘れるはずや。けれども、あげるだけで教えないのは癪やから使い方だけは覚えさせておくよ…。絶対に、絶対にももちゃんと一緒に…あんさんの個性(人形達)と一緒に最後まで生き続けといてや。」

「セ…っ!」

「うちは違う世界でももちゃんと出会って…そして消えた。けれども、もう一度会えるのなら、力になれるのなら惜しむつもりはもう無いんよ。」

 

 

 

 

 

 セツを呼ぼうとして声を出そうとしたら、抱きしめられた。だが、次第にその体が消え始めているようで…後ろにあるはずの鳥居が見えてきている。

 ほんのわずかな時間しか一緒に居なかったはずなのに、どうしてここまで悲しいと感じるのだろうか。分からない、けれども…いやだと思う自分がいる。

 

 

 

 

『いい?うちが背中を押したげる。したら、あとは決して後ろを向かずに鳥居を潜ってまっすぐ行くんや。絶対に、絶対に後ろを向いちゃいかんで…』

「セツ…!」

 

『ふふっ、なんでやろなぁ…君に直接会ったのはこれが初めてなのに、なぜかももちゃんと一緒に居るように感じてなぁ…。でももう、時間なんよ。さ、胸張って前を向いて________桜と一緒に舞って!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とんっ、と背中を押される感覚。それはどこか、懐かしいようで、悲しくて。けれども、その意思に沿うようにして_____私は鳥居でできた道をまっすぐに駆け抜けた。

 

 

 

 

 

 

 

『うちの名前はなぁーー!■■■…いや、□□って言うんやでぇーーー!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 最後の最後で、どこから吹いたか分からない風にかき消されて聞こえなかった本当の名前だったけど…この会話すらも忘れると思うと、悔しくて、けれども笑って私も叫んだ。

 その声が、届いたかどうかは分からないけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______________________

 

 

 

「…んぅ。」

「っ!指揮官!」

「ちょっ、ももちゃ…うぐっ。」

 

 

 

 

 起きて呻けば飛び込んできた一〇〇式の姿が映る。そのままベッドとももちゃんに挟まれて潰された蛙みたいな声が出たけど、致し方ないと思う。寝ぼけたままの頭で何が起きたか…というかなんでこうなったのかを思い出そうとしたけど…すぐには思い浮かばなかった。合宿中で森の中にいたはずなんだけどなー。

 部屋を見ればももちゃんのほかにいたのはAR-15、スプリングフィールド、HK416にスコーピオン、そのほかにも6人くらいと個室じゃなければ絶対に迷惑になるだろう人数だった。そして外を見れば真っ暗。カーテンを閉めているわけではないのでたぶん夜だということだろう。…もしかして何日か寝込んでたのか?

 

 

 

 

「よう。もう肩の痛みとかは無くなっていると思うが調子はどうだ?」

「お、提督。おはよう?それともこんばんわ?まあいいや、痛くない。…どのくらい寝てた?」

「ざっと2日半。そんでもってどこまで覚えてる?」

「うーん…3日目の途中まで。あとはあやふやで全然。あとなんで寝込む羽目になってたの?」

「あー、結果だけ言えば変態ストーカーにまた襲われたとしか言えねえ。あとそのほかに、あの合宿自体に敵の襲撃があった。」

 

 

 

 

 たぶん見回りの検診に来た提督…もとい和田抓先生は簡単にだけど何があったか教えてくれた。合宿の3日目に敵の襲撃があったこと、それとは別口で私が単体で狙われて死にかけてたこと、そして_____生徒とプロヒーローが一人ずつ誘拐されて行方不明になったこと。肩が急に痛み出したのはその攻撃の一つであり…精神を別の空間に持って行くためのきっかけだったらしい。まじか…また死にかけて皆に心配かけてたのかよぉ!

 

 

 

 

 

 

「ま、間一髪だったが何とか救出してそのまま病院送り。幸い、外傷はなかったからお前さんが起きるのを待ってたってとこだな。大変だったんだぞ?お前の人形達、思いの外にアグレッシブでな…。」

「_____本当にそうよ。艦娘の私達なんて、かつての艦の馬力がそのまま出るから本気で押さえるわけにはいかないし、かといって見てるだけだとそこらへん火の海にしかねないし。Admiralがどれだけ苦労した事やら…。」

「本当にすみませんでした。」

「おう、あとでもう少し人形たちを抑える指導をしてくれ。ともかく、手遅れになる前に戻ってこれたようでよかった。それと、お前さんの親は家に帰したが…かなり心配してたぞ。」

 

 

 

 

 

 あー、まあそうだよね。これでお世話になるの2回目だし、何より今回は外傷ないくせに意識が戻らなかったからなぁ…。だが私は悪くない!悪いのは突っかかってきたストーカー野郎だ!

 

 そんな風にガウガウと怒ってたら新たに部屋に入ってきた人が4人…UMPの2人とG11、そしてMG4だった。その手には何やら紙の資料が握られており、4人の顔はどこかやり遂げたような顔をしている。その様子を見た416がこちらを向き、ある事を告げる。

 

 

 

 

 

 

 

「指揮官、これまでに突っかかってきた裏社会の奴らと今回のストーカー野郎…後ろに大きなバックがあることを突き止めました。」

「…待て、今までのやつら全員に共通しているのか?」

「ええ、全員です。ストーカー野郎に関しては2年前は関係なかったものの今回の合宿時には付いていたようでして。_____そして今、その黒幕に対しての大型捕獲作戦が実行されるとのことです。」

 

 

 

 

 一瞬で部屋の中が緊張に包まれる。特に一〇〇式は殺気も混ざっており…怒り心頭といったところか。和田抓先生は何かを察して、顕現していたアーク・ロイヤルと一緒に部屋を出て行ってくれた。

 

 

 MG4が持っていた資料をこちらに渡してくる。そこに書かれていたのは…今までに撃退してきた裏社会の奴らとその母体、さらにはそれらはすべて一人の人物に集まっていたことが書かれている。

 その一人の項目を見れば…人体実験、大規模殺害やテロ、極め付きには「他人の個性を奪う」ということまで表記されている。読んでいるだけでも虫唾が走るくらいの悪党だ。

 

 その黒幕の名前は…「オール・フォー・ワン」。

 

 

 

 

 

「…こいつの狙いは私自身か、それとも個性か。どちらにせよ、今までの襲撃の恨みを何もせずに他人に任せるのは少しばかり不愉快だな。」

 

 

 

 本当はこんな事すれば、叱られるだけじゃ済まない。それどころか、場合によっては退学処分ですら甘いかもしれない。それでも、長年の恨みを晴らさないわけにはいかないし…何より、私自身が頭に来ているんだ。

 

 

 

 

「では…指示を、指揮官。私たちはあなたの人形ですから。」

「一〇〇式達はいつでも動けます。」

 

 

 

 

 いつものような明るい声ではなく、戦闘中のように気を引き締めた声。部屋の中にいる人形たちのほかに_____私の中の基地にいる人形からも、その気配が伝わってくる。

 チリーン、と鈴の音が一瞬聞こえた。どこかで聞いたような、けれども思い出せない。しかし、同時に受け取ったモノが私自身の中で起きた。

 

 準備はできた、だが殺しはご法度…さらには資料を見る限り私のことなど小指一つで殺すことも容易いだろう。なら、できるのは______

 

 

 

 

 

 

 

「出撃。今まで散々こっちをいじってきた大悪党だ。本命は叩きたくとも恐らく敵わない。だからこそ_______奴がこれまでにやっていたこと…つまり徹底的に造ったものを壊して塵芥にしてやれ!」

 

 

 

 

 

 

 

_______コイツが造った今までの努力を無に帰すことだ。




セツ→雪です。あとで関わる事なので覚えておいてね…





_______反撃、開始。


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小さな仕返し

大型建造、爆死したと思ったラストなけなしの一回でKSG来ました。資材18万溶けたよ…ヒィ。
いや、前からいたけどもう一人育てておかないと低体温症で苦労すると思ったので。





今回、でかくしようと思ったらこちらの実力不足で消化不良気味になったよ…すまねえ。
指揮官がいる病院はみんなとは違うので緑谷君たちの出奔は一切関知してません。


「やるのは言わば敵の補給線を断つ事。直接殴りに行ったところで歯牙にもかけられずに死ぬのがオチだろうしな。」

 

 

 

 ガサリ、と手元の紙の資料を読んでいて考えたこと。それはUSJと保須市に現れた脳無がいるとされる廃工場を無力化すること。大本のオール・フォー・ワンを狙いに行ったところで倒せるかと言われればノー。ならやるのは補給線…あるいは増援に当たるものを無力化するのが2番手に手痛い仕打ちだ。それに、もう一枚の資料を見れば警察とプロヒーローが動き出していることも、どこに向かっているのかも書かれているが為にこちらも動きやすい。

 

 

 

 

「廃工場…木を隠すなら森にってことか。確かに、それなりの設備もそろっているだろうし、廃棄されているのなら人も寄ってこない。」

「我々が見つけたのは3か所、そのうち一つにはすでに警察とヒーローが動いています。」

「なら目標は決まりだな。残りの2つをAとBとし…手段は問わない。二度と使えなくしてやれ。」

 

 

 

 

 

 

 むしろ3か所も脳無を管理している施設があったのか…。しかも狙う場所は長野と群馬の2つ。微妙に離れているのが実にいやらしい。警察たちが向かっているのは神奈川の端にある地域…この病院からそう離れていない場所であり、そこに向かえば鉢合わせになる可能性もあるために部隊は出さない。その代わりに、恐らく警察が気づいていないであろう場所を潰す。徹底的にな!

 

 

 

 

 

 

 

 

「一〇〇式、編成は任せる。それぞれ2部隊ずつ展開、周囲に人がいるなら丁重に、関係者だと判明したら…生き地獄を見せるくらいで済ませとけ。絶対に殺すな、こんなところでも手を汚す必要はないからな。」

「了解。」

「容赦ないねぇ、指揮官。ま、そのくらいがあたしたちにとってもいい感じの落としどころだけど。」

「スコーピオン、今回は好きなだけ投げていいぞ。巻き込まない程度に、なおかつ何も残らないくらいにな。」

「やった!」

「出撃する人形は一般人や周辺施設等に影響を与えない限りで好きなだけ暴れてやれ。ただし、()()()()()()()()()。不自然に何もないくらいがちょうどいい。」

「その理由は?」

 

 

 

 

 416が聞いてくる。そんなの、決まっているじゃないか。

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()事になっているんだ。今更()()()()()()()()()()()()()()()()()があったってことになって終了だからな。…要は、ここ2つはどこぞの企業が税金を逃れるために作った不当な施設だったんだよ。」

「なるほど。なら、偶々そこで誰かが何かをしていて…巻き込まれていてもそれは不慮の事故だった、と?」

「関係者だけな。一般人は巻き込むなよ。」

「了解。」

 

 

 

 

 

 

 

 ぞろぞろと人形たちが部屋を出ていく。しかし、その動作はすべて音もなく行われ、見ていなければ決して気づくことはないだろう。人ではない人形だからこそできる動きともいえる。

 寝かされていたベットから降り、いつもとは趣のだいぶ違う服を着る。UMPの2人がいくつかの服と装備を持ち込んできてくれたおかげですぐに動ける。

 今回は完全に隠密行動で行かなければいけない。それ故に、顔を出さないように…少々思い入れのある黒い狐面をつけ、首には一〇〇式と似たような赤いマフラーを巻く。そのほかに、耳に少し前にも使った高性能通信機を装備。軽く体をほぐすようにその場で肩や足を回す。

 

 

 

 

 そしてそのまま______窓から外へと飛び降りた。高さは3階…おおよそ10mと言ったところだが一瞬で【装備】した一〇〇式による身体能力の上昇効果のおかげで音もなく着地。無論、ダメージも皆無である。

 【装備】を解き、すぐ横に再顕現する一〇〇式。言葉は交わさず、一瞬視線を合わせ…同時に静かな町を駆ける。

 

 

 

 

 確かに、私は大本のボスと戦うとは言わなかった…が、その顔を見ないとは言っていない。これまでの恨みは無論ある。それに、しつこく狙ってきていた上に今回は完全に殺しに来ていたようなもんだった。ならせめて、「クソ野郎」の一言でも言ってやらなければ気が済まない。何が目的で、どうしようとしたかなどを尋問なり拷問で聞けるならそれが一番だけど。…今までにされたこと全部があいつのせいだとわかって余計に腹立たしくなってきたな。

 

 

 

 

 

『だからと言って独りでに突っ込んだりしないでくださいね。』

『無論。多分実力的には…代理人以上だと思うし、そこまで行けばいくら何でもちょっかい出すつもりもないから。』

『でも確かに…指揮官を狙っていたのは戯れというわけではなさそうですよね?』

『私に何かをさせたかったのか、それとも本当に遊んでただけなのか。どちらにせよ、一方的に顔を知られてるだけってのは気に入らない。』

 

 

 

 

 

 軽快に並ぶ家々の屋根を駆け抜けながら、2か所に散った部隊の状況を確認していく。箱を中継地点及び顕現用の地点とすることで、私から離れていても顕現できるのは隠密行動においてとても大きな利点である。長野は合宿の時に、群馬は何人かの人形が自由行動している時に設置していたおかげで、既に行動に入っているようだ。

 先ほどスコーピオンから『爆破だー!』という楽しげな通信が一瞬届いたために、今頃派手な花火でも上がっているだろう。もう片方、404小隊がメインで動いている方からは通信が無いが…何事も無く予定通りということなのだろう。

 

 

 

 

 

 

『さぁて、少々いやらしい八つ当たりと行きますかね!』

 

 

 

 

 

 

 そう叫ぶ私と一〇〇式の向かう先で、一際大きな爆発音と光、そして______混乱しているヒーローたちの怒号が聞こえた。

 

 

 

 

_____________________

 

 

 

 

「こいつら…あっちから流れてきているのか!?」

「ジーニストたちと連絡がつかない…恐らくあっちが失敗した!」

 

「グダグダじゃないか全く!」

 

 

 

 

 敵連合がアジトとしている場所を突き止め、突入した。そして全員をシンリンカムイの個性で捕らえ、制圧したと思った瞬間だった。

 突如として敵連合と誘拐されていた生徒が真っ黒い水のようなものに飲まれたと思えば、何もないところから脳無が溢れんばかりに出現。数で有利だったはずの制圧戦が一気に乱戦へと変わっていった。オールマイトは何かを察したのか、すぐに別の場所へと移動していったが…ここでの作戦は失敗したということに変わりはなかった。

 №2プロヒーロー、エンデヴァーやそのほかのヒーローがいても、あまりにも多すぎる脳無相手に苦戦している。時間が勝負な今は、それがとても致命的すぎる。

 

 

 

 

「くそっ…動向を探られないようにと少数だったのが仇になったか!」

「いいからこいつらをとっとと倒してオールマイトの援護に行くぞ…ああもう邪魔だぁ!」

 

 

 

 

 いくら倒しても際限を知らないかのように沸いてくる脳無。そこまで強くはないが如何せんしつこいとしか言いようのない動きと数に、徐々に消耗していく。警察の機動部隊にも負傷者が増え始め、後退していく。元より援護は見込めない状況の中、それでも脳無をここで倒さなければ町へと被害が及ぶ。

 

 もう駄目だ、と誰かがつぶやく。その言葉は決して大きい声で言われたわけではないはず。しかし、その言葉は皆が思っている事に違いないだろう。

 ある種の諦めがちらついたその時だった。視界の端に、白と桃色の何かが見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「『この身が行きしは月下の雪原、ともに在りしは日ノ本の象徴…ってなぁ!』」

「『接近戦、用意!』」

 

 

 

 

 

 

 

 ()()()が視界を覆うほどに舞い、黒い狐面に赤いマフラーを靡かせた何者かが、ここにいる脳無を刈り取っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_________________________

 

 

 

「一〇〇式、桜逆像用意。あとは熱光学迷彩を掛けて接近戦のみで対処するように。」

「しかしそれだと指揮官は…!」

「大丈夫。ちょうど、試したいこともあるからね。武器に関しては…まあ、近接武器をデータベースから引っ張り出して顕現させるよ。」

 

 

 

 

 眼下で起きている戦闘、それはどこから見ても制圧戦ではなく乱戦。戦線維持すらできていないところからして奇襲を受け、そのまま縺れ込んだと見える。すでに後退している機動隊なども見えることから士気も落ちている可能性までありうる。しかも目標を見失って打つ手なし、といった通信も傍受したためにここでの作戦は失敗、出現した脳無の掃滅戦といったところだろう。

 見える範囲に雄英の先生はいない。知名度の高いヒーローがぽつぽつと見えるけど…あっちはあっちで手一杯みたいだな。

 

 

 先ほどから、体の内側で溢れるように何かが滾っている。けれどもそれは嫌な感じではなく…むしろ、こういった時の為に使えと言わんばかりに荒ぶっている。今までにこんなことは一切なかったし…けれども、何がきっかけか覚えがない。だったら使えばいいだろ!といった短絡思考になっているけどあながち間違っていないと思う。

 お面よし、声の調子よし、突撃地点よし…。データベース照合、顕現…抜剣・闇鴉。

 

 

 

 

 

 

「さて、得物を使っての戦闘はそんなにやったことないけど…まずは援護と行こうか。親玉の顔を拝むのは無理そうだったけどねぇ!」

「___はいっ!」

 

 

 

 

 

 

 押さえていたものを全力で外に出すような感覚。同時に、【装備】をした時のような体の軽さになり、自分が持っている刀…闇鴉が自分の手足のように感じる。そして、眠っているものを起こすためにトリガーとなる祝詞を詠う。

 視界の端に舞い始めたのは______真っ白な雪。驚く一〇〇式の顔を傍目に見つつ、大丈夫という意味を込めて笑いかける。直後に舞い始める桜も確認し、下の戦場へと飛び降りる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『この身が行きしは月下の雪原、ともに在りしは日ノ本の象徴…ってなぁ!』」

「『接近戦、用意!』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 勢いをそのままに目の前の敵を切り裂いていく。無論、突然現れて攻撃してきたこちらに向かって脳無も襲い掛かってくる。だが、その攻撃は舞い散る雪に阻まれ届かず、それどころか自分の攻撃がそのまま返って自滅する。たとえ倒れなくとも出来た隙を逃さず首と胴体をサヨナラバイバイ状態にしてやる。迷彩で姿を隠したままの一〇〇式も桜を纏いながら己の銃身についた銃剣で切って倒していく。

 

 陣形の崩れていた機動隊たちもその間に立て直し、その顔には先ほどのような諦めの色はない。立て直してくれればあとは何とかしてくれるだろう。なら、あとは止めに暴れるだけだな!

 

 

 チンッ…と鞘に刀身を収め息と体勢を整える。一瞬だが動かなくなったのを好機と見た脳無が私を囲んで襲い来る。柄に手を添え、体を沈め、右足を半歩前へ。そのまま、一息に抜刀、一閃____そして納刀、残身。再びチンッと音がすれば襲い掛かってきた脳無全てが地に沈んでいった。

 

 

 

 

 

「なん…っ!」

「あの数をあっという間に…!?」

 

『一〇〇式、撤退!流石に目立ちすぎたからあと病院に戻って何事も無かったかのようにする!!』

『了解、スモーク投げます!』

 

 

 

 

 時間にして3分もたっていないだろう。しかし、先ほどまで猛威を振るっていた脳無は機動隊のほうに多くいたために…そのほとんどを倒す形になってしまったようだった。もう少し離れたところで戦闘していたプロヒーローも片付いたのかこちらに合流しようとしている。このままでは大ボスの顔を拝む前にこっちがお縄になる。それは絶対に避けなければならない事態なので大人しく下がることにした。…だいぶ予定が狂ったけどしょうがないか。

 迷彩を掛けたままの一〇〇式がスモークグレネードを投げ、その煙に紛れるようにして離れる。何人かがこちらを追いかけてこようとしていたが、途中で止められて下がっていった。

 

 

 

 

 

 

 ある程度離れたところで一〇〇式は迷彩を解除し、私も顕現させていた刀を解除した。同時に、がっくりと体から力が抜けたような感覚、それとともに先ほどまで舞っていた雪も消えた。時間切れ、ということだろうか。それでも、だいぶ助かったことに変わりはなかったけど。

 いきなりふらついた私を心配して駆け寄ってきたももちゃんに肩を貸してもらい、のっそりと立ち上がる。本当に、お礼参りどころじゃなくなったなぁ…。

 

 

 

 

 

 

「指揮官…!」

「消耗しただけ…休めば問題ないと思うから大丈夫。いやぁ…まさか親玉見に行こうとしたら乱戦騒ぎで鉄砲玉になるとは思わなかったな。」

「もう…。それと、先ほど2か所に送った部隊から作戦終了の報告を受けました。跡形もなく吹っ飛ばして、なおかつ偽装工作も完璧に終わらせたとのことです。」

「ならいっか!これで大本の顔を拝めれば一番だったんだけど…ま、高望みはしないほうがいいか。早いとこ病室に戻ってこっちも偽装工作しないとね。」

 

 

 

 

 

 とりあえず、あいつが造ってた施設はわかる範囲で吹っ飛ばしたし…これ以上は流石に個人の身に余りすぎる。ここが引き際だろう。完全に個人の理由でしか動いていなかったけど…ほかに動いてる人なんていないはずだし。…いないよね?

 またフラっと来てしまったので、今度こそ一〇〇式に背負われてしまう。無茶しすぎました、はい。

 

 

 

 

「お願いですから指揮官、これ以上突っ込んだりするのは控えるようにしてくださいね。」

「うぅ…善処します。」

 

 

 

 

 

 

 こうして、どこか消化不良な気もしたけど…ただの子供にできる反撃はここまで。あとは強い大人に任せるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ももちゃんに背負われて戻る途中、誰かの笑い声が少しだけ頭の中で響いたような気がした。




3分クッキング(物理)
反撃→脳無造ってる施設を爆☆破

原作と少し離れて拡大解釈したりしてる部分がありますが作者の都合だと思って見逃してください。




指揮官が手に入れたスキル

スキル名・雪月花   開幕2秒 CT15秒
効果:4秒間敵の攻撃を反射するシールドを展開する。シールドの展開中に10回以上攻撃を受けると火力(攻撃力)が100%上昇、10回未満で回避(機動力)120%上昇する。
 また、一〇〇式が指揮範囲内にいる場合桜逆像の効果を50%上昇させる。








元ネタ
・闇鴉
 PSO2から。個人的に好きな武器の一つ。衣装エロイじゃん…ウェポノイドやばいよ。

・黒い狐面
 同じくPSO2から。ゲンガマスク黒というアクセサリー。ついでにこの時着てた衣装は同じくPSO2内の衣装、「カムイコイッタカラ茜」と脳内解釈してました。全然隠密じゃねぇ…!





謎の人物から渡されたのはこのスキルでした。
桜には雪が対称的できれいじゃね?といったことからできたもの。やったね!指揮官も人形みたいにスキルを手に入れたよ!




や り す ぎ た


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☆幕間:僅かな休息

仕事速すぎるよごすろじ様

【挿絵表示】



というわけで医者な提督の「和田抓 広大」先生です!マジで仕事早いよありがとうございます。
考えているところだと「腕のいい医者」「嫁艦はアーク」位だけなんです。何も考えてないからあちこちで使えてベンリィ(ダメ作者)



この話で合宿編が終わり、次から寮と試験ですね!私死んじゃう。死なないけど






低体温症、1/25からだってよ!!皆、SGとMGの準備はいいかい!!ついでに2面は夜戦stageよ!!木星砲は囲ってから壊そうな!!じゃないと死ぬぞ!


『オールマイトの交戦中もヒーローによる救助活動が続けられていましたが、死傷者はかなりの数になると予想されます…!』

『今回の戦闘によって電車や周辺地域の道路への被害があるとみられ、ダイヤが乱れるなどの影響が出ると予想されます。また、救急車両を優先して通すために通行止めや車線閉鎖などもあるとおもわれ_____』

 

 

 

 

 あの後、ももちゃんの背中で眠ってしまったらしく…病院に戻った直後のことは一切覚えていない。そしてもう一つ、あのあと、オールマイトと大ボス、つまるところオール・フォー・ワンが無茶苦茶としか言いようのない規模と威力の攻防をしたらしく…神野区の一角が廃墟としか言いようのない事になっていた。

 何かやらかしてないかをテレビで確認するために付けてみれば…映ったのは目も当てられないほどの廃墟と化した町の一角だったのだ。その中に立っていたのは…確かに、オールマイトなのだろう。だが、その体はいつものような筋肉ムッキムキのあの自信にあふれる姿ではなく、いつ折れてもおかしくないとしか言えないほどに細く、小さいものだった。

 

 

 

 

「…平和の象徴って言われてる人物がここでいなくなったらどうなる事やら。」

「隙を狙われるのがオチだろうな。といっても…すぐに攻め込んでくるほど敵連合も傷がないっていうわけじゃない。それどころか、ヒーローも敵連合も動くまで時間がいくらかかかるだろう。」

「提督も同じ意見かぁー。ところでさ______もう起きたし健康体だからベットに縛り付けなくてもいいよね?」

「駄目に決まってるだろアホ!夜の脱走は見逃したが帰ってきたのを確認すればついさっきまでぐっすりだぁ?体にどれだけ負担掛ければ気が済むんだよ!!」

「人形達にも全く同じこと言われたでござる!!でも私は悪くねえ!!」

 

「______十分悪いと思いますよ?指揮官。」

「______自覚無しなの?あなた達のgeneralは。」

 

 

 

 

 

 診察に来た提督と顕現したももちゃんとアークに総ツッコミされた。えぇ…。

 

 

 

 

 

「はぁぁ…元々お前さんは鍛えているとはいえ、あれだけの数を顕現させれば脳にどれだけ負担掛かると思っているんだ。しかも俺のとこの艦娘と違って同じ人形が複数いるんだろ?」

「もう慣れたから大丈夫だと思ったんだけど…うん、複数いるね。今はできないけど、恐らく最高で250人まで展開できるはず。」

「にひゃっ…オイオイオイ。どっかの国に喧嘩吹っ掛けけれ大惨事確定じゃねえか。」

「吹っ掛けないよ???そんなことしても面倒だし被害も多いからやるなら暗殺だよ?」

「しないでくださいね指揮官??」

「しないから!あくまで例えだから!!」

 

 

 

 

 5人×ダミー4体で1部隊、それが10部隊分あるから…うん、250人ですね。そこまで動かすつもりはないし、喧嘩を吹っ掛けるつもりもありませんけど!

 

 そのあと、提督は医者らしく診察を終えて「寝てろよ」と言って次の患者の診察に向かった。アークは提督が部屋を出るときに顕現を解いて帰ったけど。部屋に残ったのは私とももちゃんの2人のみ。ぽふっ、と私が寝かされているベットの淵に腰を掛け、窓の外を見ている。

 雲はあるけど快晴。テレビで神野区の惨状のことを知らなければ「いい天気だ」の一言で済んだんだろうけど…あんな状況の後だと何とも言えない。でもある意味、その戦闘に巻き込まれる可能性もあったということでもある以上、あそこで大人しく撤退して正解だったなというのが正直な感想だろう。だからこそ、気になってくるのだ。

 

 

 

 

「…あれだけの規模を吹き飛ばすこともできる奴が、何で私の身柄を狙っていたんだ?」

「そうですね…。404小隊にも情報収集を頼みましたが、今の所めぼしい情報はないようです。」

「そっか…じゃあ私が狙われてた理由は不明のままってことか。でも今後は狙われなくなるかな?後ろで圧力掛けて吹っ掛けてきた奴がいなくなったんだし。」

「だといいですね。しばらくは様子見になると思いますが…。」

 

 

 

 

 

 狙って来た理由は分からず仕舞い。けれども、これ以上身柄を狙われる心配がなくなっただけでもいい事だろう。知らぬ間に家に侵入されたり盗聴器があったりといったことを心配する必要がなくなったからね!

 

 そうしてももちゃんと一緒に過ごしていると脇に置いていたスマホが振動した。とって画面を確認すれば、そこに表示された文字は_____智春と書かれていた。今日は私の方から直接顕現させているのではなく、箱から顕現しているためだろう。念話のような通信ができるのは、私が直接出した場合のみだから。だが、今の時間は春庭の営業時間のはず。それでも連絡を入れてくるのはよっぽどのことと見た。

 すぐ横に来たももちゃんにも聞こえるようにスピーカーをオンにして通話に出る。本当なら駄目なんだけど…個室だから見逃してほしい。

 

 

 

 

 

 

「おはよう。それでこの時間に電話してきたってことは何か問題でも起きたの?」

『おはようございます。いえ、問題というほどではないのですが…その。』

『別に指揮官に直接被害があるとかそういうものじゃないでしょ。言い淀むほどでもないはずよ。』

「あ、AK-12(アーニャ)もいたんだ。ってことは今は普通に営業中…どころかカウンターで話してるのかな?」

『大当たりよ、Доброе утро(おはよう)。それでね、智春が言いたかったのは…今ここに雄英の先生が休憩時間か何かで来てるのと、その会話の内容を聞いたら家庭訪問をするってことを話していたのよ。』

「それ盗聴じゃないよね?」

 

 

 

 

 

 

 思わずツッコミを入れてしまったが間違っていないと思う。特にAK-12なんて性能がいいから狙ってやろうと思えば余裕でできる。しかも電子戦と行動・認識阻害までできるから敵に回すと速攻で詰むくらいにはヤバイ。隣で一緒に聞いていたももちゃんも「何しているんですかこの人形は…」って感じで呆れてた。

 それはともかく、家庭訪問をこの時期にやるとは。…でもそれって外部に漏れたらいけないことじゃないかな?誰だよそんなことをパブリックスペースで話している関係者は。智春さんが言い淀んだ理由も分かったけど。

 

 

 

 

 

『私からすれば、この喫茶店の中の会話をすべて聞き取ることぐらい朝飯前なんだけどね。ま、聞こうと思って聞いていたわけじゃないし、偶々よ。』

「うん、まあ。でも情報ありがとね。それと、心配かけてごめんね。」

『お願いだから無茶するのだけはやめてよね。出てきてから時間は経ってないけど…あなたが居なければ何もできないんだから。』

『アーニャの言う通りですね。指揮官、私たちといる為に努力するのは良いことですが…くれぐれもご自身の身の安全を一番に考えてください。』

 

 

 

 

 

 2人からそれぞれお叱りの言葉を受けました。いや、ほんと心配かけてごめんね。

 ともかく、今日は一日安静にしてろと厳命されてるので寝る!明日には学校行かないといけないんだし…というか、休みなのに出校するのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

________________________

 

 

 

 

 

 

 

「家庭訪問…そんなのがあるのね。」

「アーニャはこちらに来てから1年も経っていませんし、知らないのも無理はないかと。…はい、ご注文の品です。」

「ん、ありがと。それと______接客はWA2000とG36に任せて自分は調理関係に集中することにしたの?」

「そうですね…ここもそれなりに有名になってしまったのでお客さんが多くて。出すものには妥協したくないので、2人に頼んで私はこっちに集中することにしました。」

 

 

 

 

 もらったコーヒーを飲みながらスプリングフィールドと他愛もない会話を楽しむ。あと1時間もすれば大学に戻って授業を受けた後にレポートに手を付けなくてはならない。演算機能をフルに使えばレポートなどすぐに終わるのだが、どうせなら苦労している人間のように一から少しずつやっていくのも悪くないな、と思っているので時間をかけてやっていくのだ。

 後ろで先ほど家庭訪問の話をポロっとしゃべっていた雄英の関係者が会計を済ませて出ていったようだ。カランコロン、と心地良い音色を奏でたカウベルが扉の動きに合わせて鳴る。そのまま店内を軽く見渡せば、席はほとんど埋まっており、外にも何人かが並んでいるようだ。時間によっては人待ちができてしまうほどの人気があるようで、AK-12は興味がそそられる。

 

 

 

 

 

「ここにお客が集まる理由を調べるのも面白そうね。」

「駄目ですよ。お店のお手伝いをしてくれるのならいいですけど、ここに座ってデータを集めるだけというのは許可しません。」

「む、バレちゃったか。でもそうね、偶にはここでバイトをしてみてもいいかも。」

「ふふ、じゃあ時間ができたら連絡くださいね。もちろん、ちゃんとバイト代も出しますから。」

「そうさせてもらうわ。_____それじゃ、ご馳走様。」

「ありがとうございました。」

 

 

 

 

 カウンターにお代を置き、鞄を持って外へと出る。途中で何人かの男がこっちを見ていたが、おおよそ外見で判断しただけだろう。

 元より戦術人形は民間にあった人形に火器管制コアを積んで、烙印システムによって戦闘を効率化させるために作られた存在。見た目が大多数の人間に対して「良い」と思わせるものばかりだからだ。無論、傭兵まがいのことをするときに敵の人間の心理に突け込むためという理由もあるが。

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に、この世界は面白そうなものが溢れているのね…。______もし、アンジェリカが居たらどんな反応をしていたのかしら。」

 

 

 

 

 

 

 絶対に究明できる筈のない事をポツリとつぶやく。意味がないとはわかっていても、やはり考えるのは楽しいことだと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

___________________

 

 

 

「_______一日ホントに大人しくしてたな。ま、何ともないってわかったから晴れて退院だ。俺もようやく自分の診療所に戻れる…。」

「腕がいいとは聞いていたけど、本当だったんですね…。」

「お前がよく分からねえ原因で昏睡状態になるからだろうが!…巻き込まれて死ななかっただけ幸運だと思え、次は呼ばれても出てこないからな。」

「じゃあ提督の診療所に行けばいいんだな!そうだな!」

「やかましい。医者が本分とはいえ、世話にならないほうがいいに決まってるだろうが。」

「そうだよね、うん。____お世話になりました、先生。」

「応、おだいじに。」

 

 

 

 

 翌日、もう大丈夫だと言われて退院できました。提督にも世話をかけて本当に申し訳なかったよ…。でももうそういった目に合わないように対策もできたから大丈夫。しばらくの間はいつものような訓練は控えろって言われたからそこは守らないといけないけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何本かの電車とバスに乗り、家までももちゃんと2人で歩いて帰る。なんだかんだで1週間ほど家を留守にしてたことになるけど…本当に長かった。

 合宿に行ったと思えば敵の襲撃に合い、そのまま昏睡。私からすれば突き飛ばされて、森を走って、ひたすら格闘戦と並列演算をやっただけなんだけど…そのあとに死にかけたとなればシャレにならない。

 そのあとはお礼参りしようと夜の暗い間に出れば親玉に会えず襲われてる機動隊の援護に入って撤退。同時進行で親玉がちょこちょこ動いていたと思わしき施設をきれいに吹き飛ばしたりと、密度の濃すぎる期間だったと思う。

 

 

 

 

「____でもこの後に家庭訪問があるって智春さんとアーニャが言ってたし。もうこれは行動方針を大幅に変えないといけないかもね。」

「と、言いますと?」

 

 

 

 

 

 今まではヒーローの資格を取ってある程度の実績を積んだ後に、皆を呼んでも文句の言われない状況を作ってから、隠れて過ごすつもりだった。しかし、ここまで素性がばれてしまえば隠れることなど無理だろう。お披露目会があんなに早いタイミングで行われる予定ではなかったし。

 

 

 それ故に__________

 

 

 

 

 

 

 

「_____いっそ隠れないで堂々とできるように動く。ヒーローになる動機は最低とか言われるかもしれないけど、実力をもって叩き伏せていく。要は…本気で暴れるってことだよ。」

 

 

 

 

 もう隠さないで殴ったほうが早い。そう考えたのだ。

 

 

 

 

「もう…結局指揮官が鉄砲玉になって突っ込んでいくってことじゃないですか。指揮官なんですから大人しく後ろから指示を出してください…。」

「それじゃあ満足できない。やるなら()()()で、だよ。」

「はぁ…もう何を言っても無駄そうですね。分かりました。でも、みんなでと言った以上一人で突撃するのはやめてくださいね。」

「もちろん!援護よろしく。」

 

 

 

 

 

 にひひっと笑って向かえば、目の前にいるももちゃんは呆れてため息をつく。それでも、その顔はどこか嬉しそうだけど。

 そうしてようやくついた我が家。ポストを確認すれば…おや?封筒が一つだけ。父上と母上のどっちかがいるのかな。…あ、でもカギ掛かってるってことは今は出かけたのかな、タイミング悪っ!いや連絡しなかった私も悪いか。人形たちがいるからうっかりしてたわ、反省。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 入っていた封筒をもってしばらくぶりの家へと入る。とりあえず荷物を置いて封筒を開けてみれば_____そこに書かれていたのは雄英からの「全寮制導入検討」と書かれた手紙と、先生が家に来て直接説明を行う日程表だった。つまりは…

 

 

 

 

 

「本当に家庭訪問、するんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 家庭訪問のお知らせだった。




AK-12はアーニャというあだ名になりました。ついでに春庭でポロリしちゃったのは「行きたくない」という愚痴をしていたため。(はいそこ、時系列合わないとか言わないの!作者の都合だと思って見逃して!!)



 そしてついにこそこそするのをやめた指揮官。全力で暴れます。正面切って戦わなければこいつはやばい。正面からタイマン張られれば死ぬけど。


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第6戦役 進む道
足並みをそろえましょうか


残業と土曜出勤許すまじ。絶対に許さねえぞ…同じ会社の違う事業部の設計班ンんンんンんン!!!!!!


今まで1週間以上間空いたことなかったんですね…すげえ。





みなさん、レベリングと装備の準備はいいですか?低体温症(失温症)は地獄を見ますよ?主にマップの広さに。





…あと大陸版の新イベントにM16姉さんがバイクに乗った新ハイエンデモデルのSGのやつと一緒に暴れてるシーンが出たんですけどイケメン過ぎませんかね???あと圧倒的ラスボス感がえげつない。惚れる。でも死なないで…お願いだから帰ってきて!!!!
AR-15とAN-94(?)は両手挙げて降参してるシーンをコラ画像の素材として遊ばれてましたけど。


「家庭訪問で我が家に先生が来るけど…絶対に遊ばないこと。頼むから『笑ってはいけない家庭訪問』とかやったり扉開けた瞬間見てはいけないものを見せて反応を楽しむとかしないでね。」

 

 

 

 そう忠告した瞬間「ちぇっ」って声が聞こえたんだけど。マジでやる気だったのか…。はろー指揮官です。家庭訪問の日になったのですが、何人かの人形がやけにそわそわしてたので釘を刺したらめり込みました。

 父上と母上は現在、下の部屋で先生が来るのを待ってます。予め来た資料を読んで話し合いはしたけど、直接聞いてみないと何とも言えないところがあるのも事実。特に我が家は親が仕事の関係上家を空ける時間がとても長く、そもそも1年の半分が海外だったりするのでその間家を空けておくのはどうなのか、といったことを聞きたいと言っておられた。確かにねぇ…。

 

 私の部屋で届いた資料を見つつ、膝の上に猫のぬいぐるみを乗せて読んでいたももちゃんがいきなり顔を上げた。恐らく何かに気づいたんだろう。

 ちなみに今、私自身は自分用の武器の設計図を描いています。データベースに登録するためには構造を一から叩き込まないといけないからね…。

 

 

 

「南西から聞きなれない車の音がしますね。もしかして、来たのではないでしょうか?」

「おっけ…。アッしまった、1㎜オーバーしたかも。」

 

 

 

 

 切りのいいところで、と思ってペンを止めたはずなのに若干のオーバー。ドラフター(設計図を描くために使う専用の台のこと)を使って描くとどうしても目盛りばかり見てるせいで視線を少しでもずらすとすぐに距離感を失う。ただでさえ片目で距離感が掴みにくいのに…。あとで修正しよう。

 使っていた道具を仕舞い、ももちゃんと2人で下に降りる。確かに、家の前に車が止まった音がしたし、そのあと2回扉の閉まる音も聞こえてきた。先生は2人で来るって書いてあったし…一人は相澤先生だろうけどもう一人は誰だろう?校長かな?

 リビングにちょこっとだけ顔を出して「来たみたいだよー」と言ってそのまま玄関へ。

 

 

 ピンポーン、とチャイムの音がすると同時にドアオープン。そうしてドアの向こうに立っていたのは…スーツをしっかりと着てる、普段とは全然違う印象の相澤先生と頭と腕に包帯と三角巾を付け、いつも見ていたあの姿からかけ離れてしまったオールマイトの2人だった。

 

 

 

 

 

 

 

__________________

 

 

「それで、指揮官はどんな武器を使おうとしてたんだ?」

「トンプソン…流石にこっそり出てきて見るのはだめでしょ!指揮官のことだからあとでびっくりするような使い方して見せに来るだろうしさ。」

「スコーピオン、あのボスのことだ…よく考えてみな。どうなると思う?」

「…あっ、絶対後ろで大人しくするどころか前に出て切り飛ばす方が早いって言って出そう。」

 

 

 

 

 指揮官と副官が下に行った直後、いつものように何もないところから出てきたトンプソンとスコーピオンの2人。今日家に来るという教師に対して悪戯をしようと画策していたが、指揮官に釘を打たれてしまったので仕方なしに引っ込んでいた…が、先ほどまで指揮官が描いていたという、今後使う予定の武器の詳細図をこっそり見に来たのだ。

 2人の予想では、この前も使ったという刀と同類の近接武器だろうと見込んでいる。

 

 元々、銃火器に関してはこの世界に来てから扱い、なおかつ【装備】をすることでかなりの精度や技術を持っている。しかし、どうしても生身のままでは片目であるということもあり、近接戦闘のほうが安定している。その場合、単純な身体能力強化や触れることで発動条件の整う個性を持っている奴が相手だった場合、一撃でやられることもあり得る。元より、そうなる前に自分たち戦術人形が対処をするのだが万が一ということもあるのだ。

 

 

 

 2人は興味深々な様子でドラフターの上に固定されている紙を見る。そこに描かれていたのは…

 

 

 

 

 

 

「…何これ?」

「どうしたスコーピオン…ってこれはさすがに同感だな。」

 

 

 

 

 白くどこか雪を思わせる模様の入った持ち手に水色の柄紐、そしてその持ち手の先にあるのは…丸い棒状の部分と、その根元からL字に伸びる副枝のようなパーツ。戦術人形達からすれば…否、時代劇などを見ない今の時代からすれば知っている人も少ないと思われる物。捕り物道具として、かつて日本で使われていた十手だったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________________

 

 

 

「_____ということでして。雄英の全寮制についてどうか、ご理解のほうをお願いしたいと思います。」

 

 

 

 

 

 

 そういって相澤先生とオールマイトが頭を下げた。

 うちではすでに全寮制については仕方のない事だと理解している。私自身にこの前のようなことがあっても、海外で仕事をしているとすぐに戻って来たりすることは難しい。その上、仕事内容の関係上、機密保持や契約の関係上国外に出ることも制限されることもあるらしいからね。

 先生達に向かって両親は「よろしくお願いします」と返した。もしかしたら、先生側からすればここまであっさり賛成してもらえるとは思っていなかったんだろう。ちょっと拍子抜けした顔になってる。まあ、普通は反対されるだろうからね。あれだけ派手に攻撃されて被害も出てたわけだし…私も生死を軽く彷徨ってたし。シャレならねえ。

 

 そしてもう一つ、先生からのお話が終わったので今度はこちらのターン!なんてね。冗談はともかく、クリアファイルに入れていた書類を出して今度はこっちからお話をする。もともと、両親とも話して考えていたことだけど…。

 

 

 

 

 

「先生、うちは両親が仕事の関係で家にいない期間が長いのは知っていると思うんですけど…普段は私がいるから大丈夫ですが、寮になって家に人がいない時間が長くなると空き巣被害に合う可能性があるのはわかると思います。____そこでですね、ちょっと法律関係も覗いて見つけたものがありまして…この申請書類に必要事項を書いてもらいたいんです。」

「…個性限定継続使用許可申請か。滅多に使われないものだから見つけるのに苦労したんじゃないか?」

「しましたよ。1週間ほど法律関係の本とにらめっこしてようやくですからね…。」

 

 

 

 

 ちょっとここ1週間の苦労を思い出すだけでげっそりする。もう細かい字と難しい用語の組み合わせは見たくない、しばらくは文字も見たくないくらいには嫌になってる。

 

 個性限定継続使用許可申請。文字に起こすとクッソ長いうえに随分と細かい字でまとめられているので、正直見つけ出すのに時間がかかった。この申請の内容は「個性の使用ができる施設及び敷地外で長時間かつ長期的に個性を使用する場合」に国に許可を出してもらうというものだ。文字の意味そのまんま。その癖に、書類には「個性の使用者の名前」「使う個性の内容」「場所と時間」「プロヒーローおよびそれに準ずる資格保持者10名以上の署名」「使用場所になっている都道府県長の署名」を書いて提出しなければならない。はっきり言って面倒すぎるために死に法律と化しているとまで言われてた。

 

 ともかく、それを書いてもらい提出することで空き巣対策をしておきたい。ついでに長期間開けると掃除も大変だし。

 

 

 

 

「私の個性の人形たちに家の管理を任せたいので、どうしてもそれを書いてもらう必要が出てきます。寮になっても週一で帰ってこれるようなら何ら問題もないのですが…流石に長期休暇や許可をもらった時だけとなると。」

「ああ。必要な書類などに関してはほぼ対応することになっている。…ご両親方も、これでよろしいですか?」 

「ええ。既に娘とは話をしていましたし、私たちとしても家を長期間開けるのには些か抵抗がありますので。どうか、お願いします。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして、比較的平和に家庭訪問…というより全寮制についての事と同意についての話が終わり、残りわずかとなった夏休み。それすらもあっという間に過ぎて、ついに雄英の敷地内にできた_____私たちの家となる寮へとやってきた。

 

 

 

 

________________________

 

 

 

 

 

「とりあえず、1年A組無事に全員集まることができて何よりだ。」

 

 

 

 寮の前に集合し、久しぶりに会うみんなとの顔合わせ。全員親から許可が下りたんだね…よかったよかった。でもやっぱり何人か…特に直接敵にやられたという葉隠さんは苦労してたみたい。普通はそうだよね。

 それに何より、その時の責任を取るという意味で先生が何人かいなくなるかも?と言われていたにも関らず、そういったこともないというのはちょっと珍しいと思う。ま、いろいろあるんだろうね…大人の事情というやつが。

 

 軽く手を叩いて自分に視線を集中させる相澤先生。だが、その顔はだいぶ険しいものだ。

 

 

 

 

「さて、これから軽く寮について説明するが…その前に一つ。当面は合宿でとる予定だった”仮免”取得に向けて動いていく。____そのうえで、だ。轟、切島、緑谷、八百万、飯田…この5人はあの晩あの場所へ爆豪救出に赴いた。」

 

 

 

 

 

 なんと…あの時私も脱走していろいろ爆破なりいつの間にか使えるようになっていた新技を試していた時か。いやまあ、確かに私一人だけ病院違ってたし離れてたからさぁ…。でもマジで知らんかったな。一応、提督は知ってるけどあの時私は寝てることになってたし。

 

 

 

 

 

「その様子だと行く素振りは皆も把握していたわけだ。いろいろ棚上げした上で言わせて貰うが…オールマイトの引退が無けりゃ俺は______爆豪・耳郎・葉隠・秀内以外全員除籍処分にしている。」

 

 

 

 

 

 

 

 これ、バレてないだけですけど先生。私も除籍扱いになるどころかお縄つく位のことしてました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのあとお叱りを受けて、爆豪君が気落ちしてしまった皆を戻すためにちょっと動いたりとあった後、本格的な説明が始まった。

 

 外見がでかくて豪華なだけあって中もすごかった。と言っても、まだ入り口から見える範囲でなんだけど…。

 1棟1クラスで1階が共用スペース。部屋は2階からで、左右に分かれて男女となっているようだ。

 部屋は一人一部屋、エアコン・冷蔵庫・トイレ・クローゼット付きの超絶贅沢な部屋らしい。まって、一学生に対してここまでやるの?

 ちょっと後ろから隠れてついてきてるM1ガーランドが「うわぁ」って言ってるよ。分かる、呆れるくらいにすごい。しかもベランダまであるんやぞ…中庭まであるんだからもはや高級マンション。

 

 

 部屋割りは学校側で割り振りしてあるらしく、自分の名前を探せば2階にあった。2階には他の女子いないのか…あ、でもとー君と一緒の階だね。よし、遊びに行こう。

 そのあとは部屋作りの時間とされ、詳しい説明は明日以降となった。さて、と…荷ほどきをしますか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大きい物多すぎて今日中に終わるかなこれ。

 

 

 

 

 

 

 

________________

 

「…データリンク及びハッキング完了。これで校舎内と同じように戦術人形も動けます。」

「オーケー、MG4はそのまま囮のデータバンク作っておいて。ナイン、そっちはどうなってる?」

『うーん…駄目、指揮官が言った通りのデータしか出てこない。でも身体パラメータ関係に異常はないし、侵食関係も無いから私たちのスキルと同じって考えてもいいかな。刀に関してはずいぶん前に落書きで描いてたのがあったみたいだけど。』

 

 

 

 寮の屋上で迷彩を掛けたまま作業をしているUMP45とMG4の2人。そこに通信で情報解析をしていたUMP9も加わり、3人でついこの間の事や新しくできた寮の電子機器を制御下に置くなどの作業をしていた。

 建物の中からはずいぶんと騒がしい声がたくさん聞こえてきており、恐らく自分たちの指揮官もその中に混ざっているのだろうと思う。だが、やはり自分たち404小隊はそういった場所よりも、今いるような薄暗い場所にいるほうが気が楽なんだろうなぁ、とも同時に思う。

 

 

 

 

 この世界に来て、いくら今まで自分たちがしてきたことから離れることができたとはいえ…染み付いたものは中々取れることはない。その分、指揮官が自分たちにストレートにぶつかってきてくれるのはとても心地よいものだが。

 ふと、上を向けば空に雲はなく青空が広がっている。散々見てきていた空だが、今のように何も考えずに見ることなどなかったかもしれない。

 あの世界(ゲーム内の世界)で見ていた空はいつも曇っていて、青空など一回も見た記憶はない。常に建物の中か硝煙と土煙の漂う戦場に身を置いていたあの時を思い出せば、今がどれほど恵まれているかを実感できる。

 

 

 

 

 

 だからこそ、指揮官にはこのまま…自分自身を貫いて明るいところにいてほしい。

 

 

 

 

 

 それが、404小隊の…そして今の奏の指揮下にいる人形たちの思いだ。そのためならば幾らでも努力しよう、必要ならば犠牲も厭わない。それで、今の世界が、指揮官が居られるのならば。

 

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 次の日、いつものように始まる先生の話。といっても、間にいろんなことがありすぎて飛んでるけど。ちなみに昨日は荷ほどきし終わった時点で夜になってたので部屋から一切出てないですねぇ…みんなで部屋訪問してたらしいけど見たかったなぁ。まさかドラフターのネジが見つからないとは思わなかったし。ガーランドにも手伝ってもらったのに不甲斐ない。

 

 ともかく、先生の話に耳を傾け何をするのかをしっかりと聞く。

 

 

 

 

「昨日話した通り、仮免取得が当面の目標だ。ヒーロー免許って言うのは、人命に直接かかわってくる責任重大な資格だ。当然、取得のための試験はとても厳しい。仮免と言えど、その合格率は5割を切る。」

 

 

 

 

 

 仮免の取得で半分…じゃあプロの試験はさらに厳しいって言うのか。ふむ…俄然、やる気が出てくるじゃないか。むしろ、ここで躓いたら私が目標としている「人形たちと一緒に過ごす」ということが遠くなる。それはまじめに勘弁してほしい、今はまだ隠れてこそこそしてるけど…正直大変なんだからな!電子系の証拠隠滅に動かす人形も限られてるし、何より証拠隠滅してる時が一番負荷掛かるんだよね。主に体力面で。

 しかし、先生の話にはまだ続きがあった。

 

 

 

 

「____そこで、今日から君らには1人最低でも2つ…必殺技を考えてもらう!」

 

 

『学校ぽくて、それでいてヒーローっぽいの来たぁ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 必殺技、ねえ。________テンション上がってきたよ!




お部屋探索は跳びました。作者の都合です。

あと時系列地味にわからねぇ…仮免は夏休み終了後でいいんだよな?寮がどのタイミングかも分かんないけど。





・十手のデザイン
PSO2のタクト、ユキカゼ(漢字面倒なので)っぽいデザインがいいなぁと思ったり。柄の部分だけね!刀身(?)は普通の十手で。




人形たちは過保護で過激派なのよ…(気が付いたらそうなってしまった)
あとなんで私の作品で「ドルフロ始めました!」って人増えたん???これで布教できてるの???


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決め手と試験と参りましょうか

休日出勤マジ許すまじ。




あとPSO2とヒロアカのネタが浮かんでは消えてを繰り返し、ドルフロ単体の話もネタはあっても中身ができませぬ…うぐぐ


今回、人形がほぼ出てこねぇ!!次回から暴れるよ!!


 必殺技。ある意味、アニメを見ている人ならば一度は考えるもの。それを自分で考えてやっちまえ!というのだからテンションが上がらないはずなどない。それを如実に証明するかのように騒いでいるクラスメイトと私の中で話を聞いていた人形達。…人形に関して言えば1個、Mod持ちなら2個はあるだろ!?まあ、私もあるんだけど…人形たちにしか見せてない物が。

 

 

 

「詳しい話は実技を交え、合理的に行いたい。コスチュームに着替え、体育館γに集合だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 体育館γ、通称「TDL」…トレーニングの台所ランドって言う名前らしいけどその略称はまずいですよぉ!?ありありと浮かぶ目元に黒い線を引かれたネズミのキャラクターの声が…。

 この体育館、やはり雄英が持っている体育館でヒーロー科が使うことが前提らしく、広さも高さも半端ない。建築法に引っ掛からないのかすごく気になるけど、たぶん気にしたら負けだと思う。

 

 周りの環境を気にしてきょろきょろしてたら、いつの間にか相澤先生達の説明が始まっており、急いでそちらを聞くことに。うっかりしてた…ちょっと気が抜けてきてるかもしれない。

 

 

 

 

「____ヒーローとは事件・天災・事故・人災…あらゆるトラブルから人を救い出すのが仕事だ。取得試験では当然、その適正を見られることになる。情報力・判断力・機動力・戦闘力、他にもコミュニケーション能力や統率力といった多くの適性を毎年違う形で試される。」

「その中でも、戦闘力はこれからのヒーローにとって重要視される項目となります。備えあれば憂い無し!技の有無は合否に大きく影響する。」

「状況に左右されることなく安定行動をとれば、それは高い戦闘力を保有していることになるんだよ。」

 

 

 

 

 上から順に、相澤先生、ミッドナイト先生、セメントス先生で説明を受けた。ふむ…状況に左右されない行動か。…あれ、もしかして私の場合人形呼ぶことがそれにあたるんじゃないのかな?

 

 

 

 

 

「______つまりこれから、後期授業開始まで残り10日余りの夏休みは…”個性”を伸ばしつつ必殺技を編み出す圧縮訓練となる!」

 

 

 

 

 

 轟音とともにできる高低差の激しいフィールドと大量に作り出されたエクトプラズム先生の分身体。なるほど、確かにこれなら指導を受けつつ同時に何人も鍛えることができるだろう。

 

 

 

 

 

「尚、個性の伸びや技の性質に合わせてコスチュームの改良も並行して考えていくように。_______プルスウルトラの精神で乗り越えろ。準備はいいか?」

 

 

 

 

 

 さて、何をどうしていこうかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______________

 

 

「やってるねえ。特に用事もないけど暇だったから来てみたよ。」

「オールマイト…その怪我ですから休んでいてくださいよ。」

「オイオイオイ、つれないなぁ。必殺技の授業なんだろ?そんなのみたいに決まっているじゃないか!」

 

 

 

 挨拶代わりにマッスルフォームになったオールマイト。相澤先生がそれを宥めるが本人はさほど気にしていないようだ。

 目の前のフィールドでは氷と炎が天井付近まで上がっていたり、作られた壁を爆音とともに壊れるなど各々が必殺技を編み出そうとしているのがありありと感じられる。だが、ある程度の生徒の位置が変わりその姿を見ることができる中、全く姿の見えない生徒が一人いることに気づいた。

 

 

 

「…うん?秀内少女の姿が見えないのだが、保健室にでも行ったのかね?」

「いえ、居ますよ。…いや、本当にどこに行ったあいつ。」

 

 

 

 

 出現しているエクトプラズムの数は21体。そこだけを見れば全員居るのはわかるが、生徒の数を数えれば20人しか見えない。白い軍服のようなコスチュームを着ている以上、それなりに目立つはずだ。

 そこから考えられたのは、個性による行動。

 

 

 

「あいつ、もしや姿を消しているのか?」

「彼女の個性は最終的に【召喚】になったはずだが…いや、その呼び出した人形が規格外すぎるのか。」

『正解ですねー。あ、でもちゃんと私はここにいますから!さぼってどっかに出たりはしてませんから!』

 

 

 

 

 姿を2人で探していれば、突然声が真後ろから聞こえてきた。だが、そこには誰の姿もなくあるのは体育館の出入り口だけだ。相澤先生が個性を発動させて扉の方を見ても何も変化がない、ということはそこには本当に誰もいないのだろう。不思議に思っていると今度は目の前から声が聞こえてきた。

 

 

 

「あー、後ろから聞こえてきてる感じだと思いますけど…私は離れたところにいましたよ。」

「っ!…おい、いきなり目の前に立って話しかけてくるな。心臓に悪い。」

「すみません…でも、今の2人の反応で効果抜群ということが分かりました。ついでに言うとエクトプラズム先生の分身と本人も欺きましたし。」

 

 

 

 

 あっはっはー、と言った感じで笑っている秀内。だが、本当に声を掛けられるまで目の前にいることに気が付かなかった。今は教師としてこの場に立っているが、プロヒーローである以上気配を感じ取ることに関して、それなりに自信はあった。衰えたとはいえ、ついこの間までは前線に出ていたオールマイトですら分からなかった、ということは…本当に姿を消していたのか。

 

 

 

 

「秀内、一応聞くが何をどうしたんだ?」

「えっと、2つやってたんですけど…一つはあの声ですね。本来は呼び出した人形たちに指示出しするときにしか使わない通話、というより念話?のようなものを使って最初に声を掛けました。それで、本当に聞きたいのはこっちだと思うんですけど…実際には姿を一切消してません。強いて言えば認識をずらして『見えているのに見えていない』状態にしてました。」

 

「…は?」

 

 

 

 

 一瞬、説明されたことが分からなかった。念話、と言っていた方に関してはプッシーキャッツにも一人いるから分かるが、もう一つの方である「認識をずらす」ということに関しては理解が一瞬で追いつかなかった。オールマイトは覚えがあるようだが…恐らく、ずらしたとしてもここまでのものではなかったのだろう。

 だが、問題はそれをどのようにして発動させたのかだ。秀内の個性は召喚、ほとんど人にしか見えない人形を呼び出し、それを使役することで戦うものであるはずだ。その応用で人形を自分自身に装備することで身体能力なども向上すると聞いたことはあったが…。

 

 

 

 

 

「実際に見せたほうが早いかもしれませんね。____アーニャ、私の姿を別のものに。とりあえず、ここにいる人のうちだれかでね。」

 

 

 

 そう秀内が誰かに話しかけると…瞬きをした直後、その姿はミッドナイトになっていた。だが、先ほどからミッドナイト本人は少し離れたところで蛙吹の指導をしており、こちらには来ていないはず。目の前にいるのは紛れもなく秀内である、はずなのだが姿かたちがそのままミッドナイトであるため、確証が持てないくらいである。

 

 

 

 

「…ミッドナイトの姿になっているのか。」

「む?セメントスではないのかね?」

 

 

 

 ぽつりとつぶやけば、隣にいたオールマイトはセメントスだという。だが、相変わらずこちらはミッドナイトの姿であり、そこから変化した様子はない。

 その反応を待っていましたと言わんばかりに秀内は笑いながら説明をする。

 

 

 

「はい、そうです。相澤先生にはミッドナイト、オールマイト先生にはセメントスの姿に見せています。ついでに言うとこっちを見てるクラスのみんなには校長の姿にしてたりします。____こんな感じで、私の人形の一体の能力をフル活用すればだまし討ちや同士討ちをさせることができます!…長時間使えないのが弱点ですけど。」

「お前の人形は本当に人形なのか?」

「人形ですよ!?ちょーーーっと美女ぞろいのつよーい銃を持って戦う人形ですよ!人だったらここまでできませんし。」

「それができるから個性なんだろうが。それで、その必殺技の名前は何という名前にしたんだ?」

 

 

 

 ひとしきり説明、というより若干の自慢が入った気もするが。秀内は技の名前を聞かれてハッとした表情をした。こいつ、考えてなかったな。

 

 

 

「お前の場合、現時点で十分すぎるからこれ以上どう指導すればいいか分からないしな。強いて言えば時間を伸ばせということか。ともかく、名前は考えておけ。名前を付けることで型になり、すぐに発動できるようになったりするからな。」

「了解です。…名前かぁ、考えたことなかったな。」

 

 

 

 

 

 考えながらフィールドの奥へと移動していく秀内を見ながら、オールマイトに声をかける。オールマイトもオールマイトで、どこか考えているような感じであったが。

 

 

 

 

「…今の、どう思いましたか。」

「そうだね…まずは私たち二人を完全にだまし切ったところからして相当強力であるのは分かった。本人はさほどすごい事とは思っていないだろうが、プロ2人を欺き…なおかつ完全に姿かたちの違う人物に認識させていた。それに特化していると言っても過言ではないくらいにね。」

 

 

 

 

 

 ありえないものを見た、と言いたげな調子のオールマイトの声に同意してしまう。

 体育祭で見せた桜吹雪のようなバリアとも言えるものは大規模で発動しており、同じ規模の轟の氷ですら無効化した。期末では召喚することができる人数の多さから手数と集団行動、戦闘力の強さを。そして林間合宿では荒地をものともしない機動力と空間把握の強さを見せた。

 この時点で並みのヒーローの実力を超える制圧力の高さがあるが、それ以上に秀内は切れる手札を持っていることになる。底知れぬ能力の高さと汎用性に、こちらが若干の恐怖を覚えるくらいに秀内は様々なことをしてくる。

 

 おそらく、オールマイトも同じようなことを考えているだろう。

 

 

 

 

「秀内の場合、正面からの近接攻撃に持ち込まれればあまり対処できずにやられるでしょう…それこそ、切島や爆豪に一瞬でやられるくらいには。」

「ああ、だが彼女場合そこに持っていくまでの間で決着がつくだろう。さらには今のような認識阻害もあると来た。そのほかにも出していない札をいくつも用意しているはず…。それほどの手札を使いこなす実力もそうだが、あれだけ連続で大規模となれば体力も相当必要だろうね。」

「期末の時の記録を見れば…かなり高精度な索敵も可能なようでした。さらには先ほどのように声が届けば後方からの救出支援や指示出しもできるでしょう。______特化していないが故に、決定力には若干欠けますがそれを補う手数の多さが武器になるでしょう。」

 

 

 

 

 

 

 奥へと移動した秀内を再び見れば、何もないところから赤い軍服を着た大きめの銃、ライフルを背負った凛々しい女性が現れ何かを話している所だった。相変わらず、いつどのように召喚しているか分からない。予備動作もなく、目立つ兆候もない。しかも呼び出す人形は数が多すぎて把握できない。これだけでも、既に危険ともいえるものであり、秀内の強みだろう。

 

 

 

 

 

「______まあ、今から心配してもどうにもならないことですし。あいつが正しい道を行けるように導くしかありませんね。」

「うむ!さて、私は緑谷少年の所へ行ってくるよ。相澤君、君も回ってみたらどうなんだい?」

「遠慮します。自分できっかけをつかんでからでなければ、教えるのは合理的ではないので。」

 

 

 

 

 

 

 今は見るだけにしておこう。

 

 

 

 

 

_________________

 

 

 

 訓練の日々はあっという間に過ぎ、ヒーロー仮免許取得試験当日。

 移動のためのバスの中は緊張と不安と興奮が入り混じったような雰囲気であり_____会場に下りれば、それはさらに膨らんでいた。周りを見れば他校の生徒で溢れかえっており、それぞれから感じられる雰囲気はどれも「強味」を感じる。だが、圧倒的に負けると思えるものはほとんどない。油断をしなければ恐らく大丈夫だろう。あとは、調整を間違えないように気を付ければいいだけか。

 

 荷物であるコスチュームの入った箱を持って下り、クラスで気合を入れるために円陣を組むらしい。おー、と思って集まった時に一つ視線を感じた。…気のせいか、一瞬風が乱れたような気もしたけど。

 

 

 

 

「せーの…Plus…Ultra!

 

 

 

 

 なんでその視線を送ってきた人もいつの間にか混ざっていたのか、めっちゃビビったんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コスチュームに着替え、試験官のヒーロー公安委員会の人から第一次試験の説明が始まった。巨大な会場には隙間が一切ないくらいにたくさんの生徒が集まっており、どのような試験になるのか、周りはどのような特徴を持っているかなどの情報収集や様子見と言った感じにもなっている。

 

 説明によれば、一次試験の内容は試験者同士による弾当て。自分に付けた3つのターゲットに当てられないようにしながら、他の生徒2名を倒すというものだ。渡されるボールは6個のみ。だが他者から奪ってはいけない、一人に3個自分で当てなければならないとはないため、実際は同じ学校同士での協力、他校との勝負と言った感じになるのだろう。入試以上に厳しいルール、だがここまでやらなければプロにはなれない、ということだ。

 

 説明が終わり、ターゲットとボールを配ると言ったが…展開後とはいったい…?

 そう思っていると、突然施設が揺れたと思ったら壁が分離してすべて外側へと倒れていく。そこから見えるのは…ビルの立ち並ぶエリア、崖のように切り立ったフィールド、廃工場に水辺や森林と様々なエリアだ。なるほど、自分の有利なところで争うことができるわけだ。物を受け取り、クラスのみんながいるところへと行く。今回の場合、私は支援に回ってみんなの援護をした方がよさげだなぁ…。今回は戦闘でも指揮でもいいようにと黒いコートタイプのコスチュームを着ている。外骨格のタイプのように戦闘に全振りしているわけでもなく、かといって後方にずっといることを想定していないので軍服の方でもない。ライトアーマー、というところだろう。

 ダッシュで移動しながらとりあえず私の動きをみんなに伝える。爆豪とそれについていった切島、轟君はもう別方向に行ったみたいだけど。

 

 

 

 

「みどり…デク、一応聞くけどどういう方針で行く?私は攻撃じゃなくて援護に回るよ。」

「皆バラバラじゃないの?爆豪君や轟君みたいに。」

「だってほら…僕らはもう手の内がばれているんだ。学校単位の対抗戦になるのなら…一番最初に潰すのは出方の分かるところからになる。個性が分からないというアドバンテージを失っている高校…つまり僕らは_____」

 

start!!!

 

 

 

 

「______格好の餌だからねっ!!」

 

 

 

 

 

 

 叫びながらこちらへと飛んでくるボールに対処していく。最初に狙われるのが分かれば対処はまぁ、楽になるよね。数はつらいけど。でもこの程度で被弾するほど生ぬるい訓練をしていたわけじゃない。

 

 

 

 

 

「締まって、行こう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう叫ぶ緑谷君、いやデクの掛け声が開戦の合図となった。




しばらくお休みしていいですか????(疲労困憊の顔)大体1週間から2週間くらい!!

低体温症来たら余計に遅くなりますねぇ…あ、前日に公式がニコニコで生放送するので見ましょうねー!


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戦闘と援護をしましょうか

 低体温症が始まってしまい、こっちが一切手つかずに…!でもおかげでランキング含め何とか完走しました!!…え?限定泥??回るか時間泥棒め。
 大陸でも新イベント「異性体」が行われており、ツイッターで知り合った先人の方が「M16!M16がヒャッホォォォォォォォ!!!!」とハッスルしておりました。ストーリー翻訳はよ
 (ノシ 'ω')ノシ バンバン



 本編の更新、今まで確認したらどれも必ず1週間以内に出していて…正直どんなペースだったんだよとセルフツッコミもしてました。
 と、ともかく本編書いたのでさらっと流してください!!!やけに長いけどさ!!!







 8章の告知が来ましたね…皆さん、緊急で泣く準備をしておいてくださいね…ウゥ。
 あと予想では5月にまたイベントが来ると予想します。デカいの。404がメインのデカいイベントではランキング戦でライフル無双が始まるらしいですぞ。









ジュピターは沈めえええええええええ!!!


 一瞬だけ目を閉じ、集中する。目を開いた瞬間、感じるものすべてが止まっているかのように遅くなり、同時に視界に見えるものを瞬時に捕らえる。

 

 

敵23、距離800から1500まで、軌道予測…完了。

 

 

 

 傍から見れば何もしていないようにしか見えないだろう。何せ始まった直後に仕掛けられた攻撃の第一波を受け流している途中なのだから。

 

 バレットタイム

 

 それが今、私が発動させている『指揮官』としての能力の一つ。元はゲームの中で、戦闘中の人形をタッチ&スライドで配置変更させる際に初心者などの為に用意された機能の一つ。通常よりも遅く動くようになり、操作ミスを無くすためやタイミングの見極めなどに用いられるものだった。

 今使っているのは単純な判断時間の延長、あるいは思考の加速といったようになっている。それでも、こうして戦闘状態になれば指の動きや視線、位置などをしっかりと見極めることができることは相当なことであるが。

 

 チリッっと視界が一瞬歪む。バレットタイムが使える時間は短い。だが、次にどのように動くか分かれば対処はしやすいし、何より余裕ができる。もう一度瞬きをすれば返ってくる本来の感覚。静かだった世界は一瞬で騒音と怒号、そして自分たちを狙ってくる殺気で覆われる。

 手元に顕現させるのはスコーピオンと厚めの刃を持つコンバットナイフ。バレットタイムで確認したときに把握した自分に向かってくるボールは23個。先行して飛んできた6個をナイフで切り飛ばし、残りはスコーピオンで牽制弾を兼ねて乱射しつつも的確に撃ち落とす。少し前にいるデク達もそれぞれ向かってきたボールに対処できているようだ。まあ、この程度で離脱するほど生ぬるい訓練や経験をしていないから当たり前だろうけど。

 

 

 

 

 

 

「そう簡単に当たりはしないよな。分かってたことだけど、こうもあっさりと防がれて、挙句牽制弾を的確に撃ってくるとはな。」

「だがまあ!先行してる団体サマと離れたから御の字だろう!」

 

 

 

 

 目の前にいる2人の生徒がこっちを見て狙いを定めている。確かに、2人の言う通り少し前にいるデク達から離されたことは事実だ。だからといってアッサリやられるつもりはないし、寧ろ()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

「スコーピオン、【装備】解除。スオミ、G41、M1895の3体の出撃(顕現)を許可する。…手加減しろよ?」

 

 

「ええ…ええ!ようやく私らしく戦って見せましょう!!アイツ(夢想家)のように動ける奴はいるんですかね!!」

「ご主人様の為に頑張ります!」

「___ええい!お主、狂犬2体の手綱をワシに握れというのか!?あとで報酬を要求するぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 攻撃の第2波が来る直前で3体の人形を呼び出す。この3体にしたのにも理由がある…が、ナガンには「頑張って」としか言いようがない。

 正直に言ってしまうと、今の第一次試験は私の独壇場ともいえるルールではあるものの…個人戦ではなく学校ごとの団体戦として考えれば早々の離脱はよろしくないだろう。3体に対して手加減しろといったのはそういうことなのだが、ボールを当てなければいいだけなので挑発とダメージだけ適当に与えて撒くとしよう。

 

 正面に2人、その後ろに5人、右方向に2人いる今、私は一人だけの格好の獲物。こちらも3体出したとはいえ数的には不利だろう。____数だけで見ればだが。

 体育祭で個性が広く知れ渡っている雄英の生徒は基本的に研究され、対策を取られる。だが、私の場合はそれが意味をなさない。何せ体育祭で出してたのは【装備】の一部と一〇〇式のみ。呼び出せる人形の数も、【装備】によって使える物も体育祭の何十倍と隠し持っている。それを如実に表すように、今出した3体を見て軽く動揺しているのが手に取るように分かる。

 

 

 

 そして、その隙を逃すほど私の狂犬(スオミ)は甘くない。

 一瞬、悪夢に出てきそうな笑顔になったと思った直後に姿が消え、僅かに遅れて衝撃音がする。それと同時に正面に立っていた2人のうち1人が言葉通りに()()()()()()()

 

 

 

 

 

「…は?」

「_____この程度ですか?つまらない、次。」

 

 

 

 

やったことは簡単、スキルで加速してから飛び出し、相手の胸ぐらを掴んで投げただけ。その速度が音速より少し早く、なおかつ初見だったから誰も反応できないだけ。

 隣にいた相方が一瞬で消えたことに思考が止まるもう一人。スオミはその間に自身の本体をセーフティを掛けたまま本来の持ち方とは逆に構え_______銃床で呆けていたもう一人を殴りつけ、強制的に地面とキスをさせた。

 ここまでわずか3秒。無論、命令をしているので死んではいないだろうが…流石に脳震盪を起こしているだろう。戦術人形が本気を出せば素手で人を握りつぶすことなど朝飯前であり、スオミはその中でもトップクラスの性能を誇る。…些か、私が前世で夢想家(ドリーマー)を殴るために前線で酷使していたのが原因で、とてつもないくらいに個性的な性格になってしまっているが。

 

 2人をあっという間に沈めたスオミに、私のことを狙っていた奴らが気を取られている。その隙にクルクルと手元のコンバットナイフを3回転させ集中する。スコーピオンを解除したのは、これを使うため。どうも私の中にあるもので最もピーキーなのはコレらしい。だが、あの時とは違い、表に出すのは強化だけで「花弁()」は出さない。あれは最終手段として残しておくべきだからしょうがないけど…本来は一〇〇式の援護のためにあるようなものだから。 

 フッ、と体が軽くなる感覚。片目でありながら視野が広がり、遠くまではっきりと見える。一瞬、前に出て直接戦いたいという衝動が出てくるが我慢する。G41とナガンにアイコンタクトをし_____スオミに気取られている7人に強襲した。

 

 

 

 

 

「AK-12、眩ませ。」

『了解。』

 

 

 

 

「外さないから!!」

「っうううおお!?なんだ、何でコイツこんな少ない布…っ!!」

「_____邪な考えを持つ余裕があるとはのう。シベリア送りにされたいようじゃな、お前さんは。」

 

 

 

「っハハハハハ!!そうだ、もっと狙ってこい!!私をその程度の威力のもので沈めようなど生温いくらいです!!」

「う、うわあああああああ!!来るなあああああ!!!!」

 

 

 

 

「くそっ!眼帯付けたあいつをやらない限り…どこだ!?」

「『ここだよ。______おやすみなさーい。』」

「なん…がっ!」

「一名様床ペロごあんなーい、なんてね。的当てはしないから頑張ってねー。」

 

 

 

 

 

 サクッと襲ってきた9人を地面に沈め、その場を離れる。一応1人分…つまり3個分当ててリーチを掛けてからだが。今回の試験は相性が重要になってくるし、何よりチームワークも考えなければならない。個人ならもう終わってるだろうし。

 先ほどの9人を倒している間にデク達の集団とは大きく離れてしまっていたらしい。おまけに地面はボッコボコの地割れ多数。どうやら離れただけじゃなくて分断もされたと考えたほうがいいだろう。

 

 

 

 

「…取り敢えずは合流と援護に集中かな。」

 

 

 

 

 

 一応、他校の生徒の情報も集めながらの捜索と行こうかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_________________________

 

「21人とはねえ。アンタにしては珍しいじゃない、イレイザー。今回は当たりってことなのかい?」

「…別に。約1名ほどは監視の意味合いが大きいが。」

「約1名って…あー、あの眼帯の子か。あれは確かに約って付いちゃうなー。」

 

 

 

 

 試験会場の観客席で、目線を会場から離さずに見て入る2人。引率として来ている2人は自分のクラスの様子を見つつ課題点などを探したりしていた。

 だが、今2人が共通して見ているのは一風変わったコスチュームと動きをしている眼帯をつけた生徒…奏を見ていた。

 

 

 

 

「9人に狙われてたのに3分足らずで無力化。でもすぐにポイントを取らずに離脱したあたり、協調性がないわけではない感じかな。」

「あいつはいつもそうだがな。…今回の試験はアイツの独壇場とも言えるが、それを理解した上で情報収集と他の奴らの援護、あわよくばなんかの試運転でもするつもりだな。」

「おー恐ろしい。でも確かにねぇ…遠距離から攻撃しようとすれば全く違う方向から襲われるし、こっちが気付く前に倒すことも出来るのは強みだね。」

 

 

 

 

 

 

 

 瓦礫と地割れで視界と足元が安定しないにも拘らず、一定の進行スピードと維持しつつ的確に他校生徒と出会わないルートで雄英の生徒を探している。先ほど出現した3人に索敵と護衛をさせているようであるが、走りながら指示を出している辺り、相当慣れているようだ。

 

 

 

 

 

 

『あ、ようやく一人目の通過が…うおっ!?脱落者120名!一人で120名脱落させて通過した!!』

 

 

 

「まずは一人、だね。」

「…。」

「さてさて、それこそ監視が付くほど警戒されてる子は……あれ?」

 

 

 

 

 

 ほんの少し別の場所を見ていただけ。そのわずかな時間であれ程分かりやすい4人組全員を見失った。隣のイレイザーは分かっていたのか、既に別のフィールドにいる教え子を見つめている。もう一度先ほどまでいたであろう場所とそこから動ける範囲を見るが…やはりいない。

 

 

 

 

「いない…?そんなことはあり得ないんだけどなぁ。ねえイレイザー、あの子の個性は本当に呼び出すことなの?」

「さあな。だが本人がそう言っているんだから、それ以上は俺も知らん。」

 

 

 

 

 

 どうでもいいと言わんばかりの態度のイレイザー。この様子だとあの子が特に躓くことなく通ることはわかりきっているといった感じか。

 

 

 

 

 

 

「ふぅん…そこまで放任してるのか。それじゃあ、お手並み拝見としようかね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 視線をイレイザーからフィールドへと戻し乱戦となっている場所を見つめる。

 

 

 

 そのあと、少し離れた高台でチラリと何かが光ったように見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______________________

 

 

『通過者82名、残り18人となりました。』

 

 

 

「何人か合流させて流したけど…飯田君(インゲニウム)は見つからなかったな…。」

「おおよそ、お主と同じことをしていて入れ違いになっていたのではないかの?」

「その可能性が高いね…仕方ない。スオミ、G41の2人は撤退準備。ナガンはもう少し付き合ってもらうよ。」

 

 

 

 

 

 

 はぐれていたクラスメイト達とちょくちょく合流してはポイント稼ぎの為に援護をして、それが終わったら次を探してと繰り返すこと幾許か。アナウンスによって残りの枠もだいぶ狭まっているようだった。

 基本的に動くときはAK-12の演算と能力を使って認識阻害。スオミとG41の2人で索敵と先制の牽制攻撃。はぐれと合流したらナガンの陣形効果でバフを掛けつつ後方援護、と割と忙しい立ち回りをしまくっていた。ここからだいぶ離れたところにNTW-20とSVDのライフル2人を配置していたけど…SVDがどっかのエリアにいるクラスメイトの為に援護射撃を行っていたみたいだった。なんでも、よく分からない肉塊に飲み込まれそうだったから無理やり吹き飛ばしたらしい。やり方が物理的すぎる。せめて肉塊を撃ってほしいけど…効かなかった場合を考えれば妥当かもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はい、えー…今一気に7人通過しましたので残り11名です。』

 

 

 

「枠が本格的に狭くなった。仕方ない、乱戦場にいって1人狩って進もうか。」

「うむ…撤退戦に近いものだったがここまでくれば難しくなってしまう…待て、あの光の柱はなんじゃ?」

「…?あの光り方はもしかして…ナガン、走るよ。多分皆あそこに来るから止めを刺すのにちょうどいいはず!それと________」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 突然見えた光の柱…恐らく青山君の個性によるもの。あれだけど派手な個性を出しているということは…狙いは囮だろうと推測。見えた距離的にそこまで離れていないのは幸運だったかもしれない。

 見えた光の方向に向かって全力で走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「_____何をしている!?待っ…!」

「目立っている☆」

「とってもな!!違う、そうじゃなく!」

 

 

 

 

 地面に寝そべり、空へとビームを出し続ける青山。見事なブリッジを決めながら空へと伸びる光はとても眩しく____目立っている。

 

 

 

 

 

 

「目立っている僕はあと1か所当てられるとアウト、君に譲っちゃう。」

「!」

「目立っている僕を取りに来た人の裏を取るんだよ。君のスピードなら…君一人なら余裕だろ?☆」

 

 

 

 

 

 

 周りには光を見て狙ってくる姿が多数見えている。向かっていなくとも、自らの個性を用いて遠距離から狙っている人も無論いる。

 青山は動く気配を一切見せず、未だに光の柱を撃ち続けている。周りから迫る他校の生徒。飯田も青山を見捨てるわけにはいかないという使命感からその場を動かない。

 

 

 絶好の好機と2人を狙い、攻撃しようとしたその時だった。

 突然、どこからともなく大量のハトが飛来し、視界をあっという間に覆っていく。しかしハトは飛び去って行くことなくその場で旋回を続け、時折衝突事故を起こしている。

 ハトによりどこに誰がいるか、目の前の地面はどうなっているかも分からない。その混乱と死角に紛れるように黒い何かが幾人もの生徒をなぎ倒し、地面へと叩き伏せていく。

 それを避けようと後退すれば、足で何かを踏みつける感触。だが、すぐに離れようとするがビクともせず動かない足に違和感を覚え、下を見れば黒い球体の物が地面に大量に転がっている。いくら剥がそうとしても取れる気配はなく、むしろ履いている靴などのほうが壊れてしまうだろうということも容易にわかってしまう。

 次々とやってくる情報に理解が追い付かず、混乱していく。その隙に乗じて動く人影が、青山と飯田の後ろから続々と現れてきた。

 

 

 

 

 

 

 

「____取れる奴から取っていけええええええ!!!」

「他の奴らに持っていかれる前に!!」

 

「っ!雄英だ、狙ってい______」

 

 

 

 

「だーれが狙わせるか。_______もう少し前線に出て経験を積んでくるといい。」

「『敵をよく狙え!弾を無駄にするな!!』」

「『帝国時代の老兵の実力、思い知るがよい!』」

 

 

「みーんな焦って大雑把んなってきて、敵も味方もぐっちゃぐちゃで周り全然見えなかったんだよ___!青山のおへそレーザー見えたから!また集まれたねえ!!」

 

 

 

 

 

 

 ハトの大群が消えた瞬間、目の前に現れたのははぐれていた雄英のクラスメイト達。他校の生徒をしのぐコンビネーションで次々とラインを潜り、確実に行動不能にしてから試験を通過していく。やられることを覚悟していた青山も、その援護をしていた飯田の通過を確認し_____指揮官()は動いた。

 

 

 

 

 

 

 

「_____味方の合格(撤退)を確認、止めと行こう。」

 

 

 

 

 

 そう小さくつぶやいた次の瞬間、どこからともなく顕現した、大量のボールを持った戦術人形たちが一斉に残りの的に当て_________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『100人!今埋まり!!終了、です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

_______雄英生徒、21名全員が第一試験を合格した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________________________

 

 

 

 

『っしゃあああああああ!!!』

 

 

「雄英全員一次試験合格だねー。援護が間に合ってよかったよかった。」

「って秀内!?お前なら一抜けすると思っていたのに、最後まで残ってたのはなんでだ?」

「いや、あそこで抜けてもよかったけど…多分後方支援できる人いないから、やっておこうかと思ってただけなんだけど。」

 

 

 

 

 

 

 控室に移動し、次の指示が来るまでの休憩時間。雄英から来た皆が合格したようでよかったよかった。

 そんでもって今は、先ほどの一次試験での出来事をちまちまと話しているんだけど、どうも最初に分断された時点で私が一抜けしていたと思われていたらしく…援護してたと言ったらめっちゃ驚かれた。何故。

 

 

 

 

 

 

「そこまで驚くことあった?今回はチーム戦というか団体戦だからできる範囲で援護して、適当なところで引っ込むつもりだったんだけど。」

「…あ!もしかして、蛙吹たちを狙っていた奴が急に体制崩したりうまく個性が発動していなかったのって_____」

「うん、それ。直接姿は出してないから分からなかったと思うけどねー。」

「お前…本当にこの試験受ける意味あるのか??」

「いやこれ合格しないと法律違反で刑務所送りだからね!?」

 

 

 

 

 

 

 いろんな人の動きが見れてだいぶ有意義でした。ついでに言うと前線指揮の練習にもなっていたのでテンション上がってたのも事実。試験にまじめに取り組んでないって思われそう…言わぬが花。

 周りにいる合格者、その中でも他校の人たちが「あいつに近づいたら不味い」みたいな表情してますけど、私はいたって人畜無害な一般人です、私は。ちょこっと銃の取り扱いと格闘術に慣れているだけで片目見えないし(実際は視野が広がるので両目と大差ない)、特化しているわけではないのでタイマンからの近距離で個性ぶっぱされれば死にます。そうなる前にセコm…人形たちが何とかしちゃうんですけど。

 そうしていると、待機室に設置されたモニターに電源が付き、同時に放送も流れ始める。モニターに映っているのは先ほどまで走ったり爆破したりしてたあのフィールド。先ほどまでの戦闘の痕跡がそのままにされており、修復した様子などは一切ない。

 

 

 

 

『えー、100人の皆様、これをご覧ください。』

 

 

 

 

 

 そう言われ、モニターを見ていると…部屋の外からいきなり大量の爆発音と衝撃が伝わってくると同時に、モニターに映る景色が一瞬で世紀末みたいな状態に変わっていった。

 一瞬で思考が追い付かなくなった100人。やったことの意味が分からず、しかし全員が思っていることはきっと同じだろう。

 

 

 

 

 

_____なぜ!?、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

『次の試験でラストとなります。皆さんにはこれからこの被災現場でバイスタンダーとして救助演習を行ってもらいます。』

 

「…救助。」

 

 

 

 

 

 

 

 放送から流れる説明と、誰かが小さくつぶやいた救助という言葉。

 

 第2次試験が、こうして始まった。




 私は戦闘シーンを入れて暴れさせたかった。しかし表現と語彙が追い付かず書けなかった。すまぬ。


以下説明

・スオミ
→我が司令部(リアル)でドリーマー専用特攻兵になっている。なんでだよ。
 その事実をもとに戦闘狂にした結果…まあ、やべえ奴になったよね。(狂化EX)
 銃撃<近接戦 になってる。すまねえスオミが嫁の方々よ。

・G41
→至って健全な人形。ただし火力はお墨付き。わんわんお(狂犬)を舐めるべからず。

・ナガン(M1895)
→みんな大好きおばあちゃん。ただし我が司令部では火力ごり押しの為にバッファーとされる。
 スオミと本来なら仲の悪いロシア組なのだが…うちのロシア組はスオミと仲が良い。火力で突撃できるからスオミは過去を気にしなくなったのだ!(ぐるぐるお目目)
 火力で突っ込む人形の手綱をよく握らされる。胃薬は友達かもしれない。早撃ちが得意。命中もすごい。

・AK-12
→一言だけしか出てこない。やってたのは認識阻害なんだけど…分かりやすくすれば「カゲロウデイズ」(小説)のキドさんの能力みたいな感じです。一瞬で消える。
 本当はこんな能力一切ないです。この小説、もとい作者の都合でこうなってる。…いわゆる魔強化ってやつかな!元は水着スキンの重傷絵で鉄血装甲兵をハッキングして配下に置いていることから。脳に「ハッキング」しているという解釈にしてます。やばい。


・指揮官
→うろうろして指揮を出しては下がってた。チキン戦法。ただししっかり決めるしラストは2部隊フルリンクでボール投げ(全力投球)してやった。
 狙撃犯を置いたのはビルの上。撃った先にいたのは爆豪たちでした。撃たれたのは切島。装甲あってよかったな!あとで謝罪した。
 ナイフクルクルは癖。手元にある武器は大体回す。


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救助演習

 低体温症、限定泥以外(ログイン&ポイント☆5)は全部出たんですけどねぇ!?ランキングマップでぽろぽろ落ちるなんて聞いてねえぞ!!57、お前何で8体も落ちてるんだ!!!

 ランキングはとりあえず10万超えたので放置。50%に入ってスキンが手に入れば満足なんや…。




 後半に大陸版要素ありです。若干だけど。


『この被災現場で、バイスタンダーとして救助演習を行ってもらいます。』

 

「パイスライダー?」

「現場に居合わせた人のことだよ。授業でやったでしょ?」

「一般市民を指す意味でつかわれることもありますが…。」

 

『ここでは一般市民としてではなく、仮免許を取得した者としてどれだけ適切な救助を行えるのかを試させてもらいます。』

 

 

 

 

 モニターに映る現状を見ながら説明を聞き流していく。あちこちから火の手が上がり、時折バランスを失った建物だったものの一部が崩れ落ちたりしている。

 救助演習ということは、恐らくこれから人が配置されたりもするのだろう。そのうえで、今度は何を見るのか、求められるのは何かを考えていく。

 

 

 

 

「(恐らく内部に人を配置していくはず…。範囲と規模からしてここにいる人数では手が足りなくなるのは必然。いかに効率よく作業をするかが鍵になるな。)」

『指揮官、あとどのくらい部隊を出せそうですか?』

『そうだね…思いの外、認識阻害で体力を持っていかれたから4部隊くらいかも。1部隊は救護スペースに配置したいから動くのは2部隊、予備で1部隊。』

『了解しました。SGとHGをメインで部隊編成、救護用の軽装部隊と遊撃部隊を編成しておきます。』

『うん、任せた。ダミーは3体までに抑えるように。』

 

 

 

 

 

 頼れる一〇〇式(副官)が意図を組んで動いてくれた。これで今は目の前の状況把握に集中できる。

 この廃墟同然の瓦解した建物の多さはどことなく…いや、恐らくは先日の神野区での戦闘を模したのだろう。死傷者もそれなりに出たあの戦闘は記憶に新しい。なら今度はどう動くことで被害を最小限にできるか、何をすればいいかを考えさせ、そして他のヒーローたちとの連携をうまく取れるかを試される。

 

 うーん、と唸りながら動きを考えていると後ろから誰かが来る気配。振り返ってみれば…そこにいたのは常闇君(とー君)だった。考え事をしていたとはいえ…ここまで近づかれるまで分からなかった。相変わらず気配消すの上手いなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

「奏、ずいぶんと難しい顔だが不調か?」

「うんにゃ、この後の動きをどうするか考えてただけだよー。如何せん、何が起きるか予想できないから柔軟に動けるようにしておかないとって思ってさ。」

「そうか、ならいい。…また無茶をするようなら今度こそシャドウで咥えてでも下がるからな。」

「まだ根に持ってるの!?何年前の事を引きずってくるのとー君は!?」

「当たり前だろう。あれ程心臓に悪いことはないからな…ともかく、いつもの突撃癖は_______」

 

 

 

 

 とー君の言葉は途中で切れた。話している声をかき消すように鳴り響いた警報と放送が状況を知らせてくる。気持ちを切り替え、会話を中断。流れてくる放送に耳を傾ける。

 

 

 

 

『敵による大規模破壊が発生。規模は__市全域。建物倒壊により傷病者多数!』

 

「____始まったか。」

 

 

『道路の損壊が激しく救急先着隊の到着に著しい遅れ!到着するまでの救助活動はその場にいるヒーローたちが執り行う!』

 

 

 

 

 

 

 

 ガコン、と一次試験のように入っていた建物の壁が外側へと倒れていく。それと同時に、2次試験開始の合図が出された。

 

 

 

 

『____START!!』

 

 

 

 

 

 一斉にみんなが飛び出していった。

 

 

 

 

 

_________________________

 

 

 

「一〇〇式!部隊編成は!?」

『完了してます、部隊長はKSGとM590です!』

「KSG、M590は共に出撃、センサー感度を上げて見つけ出すのと同時に倒壊しないように注意!先行しているヒーローと連携しつつ迅速に行動を。」

『『了解』』

 

 

「そこの眼帯の人、救護所を作るから人を出してくれ!」

「っ、了解した!______救護班、行動開始!」

 

 

 

 

 

 

 声を掛けられ、人手の足りないところに救護班として編成した人形たちを顕現させる。どうやら一〇〇式は「PPSh-41」「G36」「M500」「LWMMG」「アストラ」の5体で組ませたようだ。

 戦術人形は戦場で戦うものだった以上、最低限の知識として応急手当などの情報も入っていると聞いているが、それよりもう少し進んだ治療や知識などは人形たちが自分で学ばなければ縁が無い。その点、この5体は興味をもって調べたり学んでいたらしい。一番は最近来た「AK-12」だが…先ほどの認識阻害の影響で行動に支障が出てきているとの事だった。恐らくオーバーヒートに近い物だろう。継続使用はやはり負担が大きい、といわれてしまった。うーむ、長時間運用はまだ無理らしい、反省。

 

 呼び出した5体はダミーも出しつつ、先に動いていた何人かの指示に従って素早く救護所を作っていく。先ほどまで待機室だったために、残っていたテーブルやパイプ椅子、長椅子を用いてベットの代わりに。窓の部分は踏み抜いた場合に割れてしまうと怪我のもとになる、ということでG36とアストラが器用に窓枠ごときれいに外して脇に寄せていた。PPSh-41はこの後来るであろう怪我人が来た際にどのくらいまでなら対処できるかを聞いたり、自分が持っている医薬品などの譲渡を行っている。M500とLWMMGの2体は持ち前の出力の高さを生かして救護所周辺にある、倒壊の危険がある建物の撤去と車両が入ってこれるように通路形成をしていく。

 5体が動いている間に、現場に出た2部隊から送られてくる地形情報と怪我人の状態、予想される潜伏地域などをホログラムを出して整理していく。絶え間なく送られてくる情報の多さと、センサー感度を上げているが為に持っていかれる体力を気にしながら救護所に報告していく。

 

 

 

 

 

 

「都市部エリアから5名、トリアージステージ(治療優先順位)はⅢとⅡ。一名骨折の疑い、四名は裂傷なれど傷は浅い。止血と包帯、それから添え木と冷やすための物を準備お願いします!」

「わ、分かった。」

 

『KSG、工場エリアから6名、2名は塩素系ガス吸入の疑いあり。他4名は打ち身と切り傷ですがそのうち1名は骨折まで行かずともヒビの可能性あり。』

『M590、水場エリア、3名保護。2名が低体温症、1名が頭部負傷。判定は赤と推測できます!こちらで最低限の治療を行った後に安定した機動力のあるヒーローの派遣をお願いします!』

「了解。______工場エリアから6名、水場から3名!内、塩素系ガス吸入の疑い2名、低体温症2名、頭部負傷のステージⅠが1名!」

 

 

 

 

 

 

 

「___もう大丈夫です。ここにいればちゃんとご両親と会えますよ。少し痛いけど我慢してくださいね。」

「はーい、ちょっと痛いかもしれませんが傷口をきれいにしますよー!_____はい、よく我慢できましたー!」

 

 

 

「すまん!ここの瓦礫を何とかできるか!?」

「んー…よし、大丈夫!LWMMG(ルウェイ)、合図したら…今送った座標に押し込むよ!」

「ん、了解。M500(モカ)の合図でいつでもいけるよ。」

「それじゃあ____今っ!」

 

 

 

「すまない!こっちに追加の包帯を頼む!」

「____アストラ!PPSh-41(ペーシャ)から追加を受け取って譲渡、そのまま近くにいて陣形バフを掛けるように!」

 

 

 

 

 

 目まぐるしく動く救護所。あっという間に運ばれてきた要救助者で、臨時に敷かれた救護所の床は一杯になっていく。だが、あくまでここは専門の救助が来るまでの橋渡しでしかない。いかにスムーズに渡すことができるか、適切な処置をすることで少しでも多くの人を助けるための時間稼ぎでしかない。

 

 そのうえで、考えられる状況はこれだけではない。ただの災害ならば…余震などに気を付ければいいだろう。だがこれは大規模破壊_____つまりはテロ。そのことから、考えられ、求められるのは救助行動だけではなく__________

 

 

 

 

 

 

 

 

「てっ、敵だぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

__________対敵と撤退戦だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

___________________

 

『敵が姿を現し、追撃を開始!現場のヒーロー候補生は敵を制圧しつつ救助を続行してください。』

 

 

「なっ!救護所の近くで戦闘なんて始められたら…!」

「____まだ時間はある。今のうちにステージⅠを優先的に移動させ、自力で移動できる怪我人たちの誘導と護衛を。私の個性(人形)は今の5体を付けます。5体、といっても合計で行けば15体、12体までは損傷を受けても何とかなります。それまでに防衛線と避難所を。」

「わかっ____っておい!!一人で時間稼ぎでもするつもりか!?」

 

 

 

 

 敵が出現したと聞き、急いで救護所とされている場所へと急行してきた雄英の生徒たち。何気なく周辺の会話を聞いていた常闇は、聞きなれた一人の声と救護所にいる他校の生徒がやり取りしているのを偶々聞き取った。

 その会話が聞こえてきた方向を見れば、今しがた出てきた敵の大将らしき人物の方向_____ではなく、そこから少し離れた場所にいる、大量の戦闘員らしき団体の方向を見据えて今にも飛び出そうとしている幼馴染の姿があった。少しだけ聞こえてきた会話の内容から、避難を別の人たちに任せ、自分は戦闘兵の排除に出向くつもりだろう。

 

 

 

 

 

 

「敵は30から40…機動力は無いが範囲と距離がある射撃武器と格闘戦でやられるか。それならやっぱり______」

「突撃して混乱を招き、その間に避難させる算段か?」

「っ!って、驚いた…銃を持ってなくてよかった。持ってれば撃ってたかもしれない。」

「それは困る。で、答えは?」

「…イエス、です。」

 

 

 

 

 少し気配を消して近寄ったのちに声を掛ければ、予想通り突撃しようとしていた奏。

 いくら数で何とかできると言えども、その数を補うのは他でもない奏1人のみ。万が一、懐にでも付け込まれてしまえば、如何に強い人形といえども個性である以上消えてしまうだろう。

 

 

 

 

 

 

「一人で行くなと言ったのだがな…俺も付いていく。文句は言わせないぞ、奏。」

「うぇっ!?いや、でも他の人の援護行かなくていいの?こっちは人形呼べるから手は足りて________」

「お前がやられたら全滅するだろう。何より…体力を思いの外、消費して余力がないんだろう?」

 

 

 

 

 体力があまり残っていないと言えば、図星だったのか顔を背ける。分かりきっていた事であるため、思わずため息をついてしまう。むしろ、バレないとでも思っていたのだろうか。

 

 

 

 

 

「別に、前に出ると言っているわけじゃない。奏が動けなくなったら俺が運ぶ。それだけだ。」

「あー、うん…分かった。絶対に私より前に出ないで。じゃないと、確実に巻き込むから。」

「了解した。それで、どうするつもりだ?」

「これからやるのは__________」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少し離れた場所から、怪我人を守りながら別地点へと移動するヒーロー候補生を狙って撃っていく。行動阻害を兼ねたプロテクターを付け、攻撃手段は殺傷性のないセメントガンのみだが…一般市民を守りながらの移動というのは思いのほかに難しい。一発も市民に当てることなく、しかし敵を攻撃するために離れるわけにはいかずという心理戦とそこから出る焦りを誘発するため、非常に守る側は不利となる。

 

今の所は市民のほうに当たる前に撃ち落とすか壁を作るなどして防いでいるが…守っているのは健全な市民ではなく怪我人。足並みはそろわず、どうしてもはぐれてしまう何名かがいる。その市民を守るために隊列から離れれば集中砲火を受け、失格扱いに。かといって見捨てるわけにもいかない。

 もはやヒーロー側は大して何もできないと判断し、35人による一斉攻撃をしようと合図を出す。

 

 

 

 

「よぉうし、よーく狙えよ!」

「シャチョーがあの2人を止めてるうちに避難組を_______」

 

 

 

 

 

 だが、その合図が来る前に________死神がやってきた。

 

 

 

 

「あなたに、脊髄なんて必要ですか?」

 

 

 

 

 それは突然、降って沸いてきたように現れ、水滴を払うかのような感覚で一人の首をつかみ、投げ飛ばした。

 華奢に見える身体でありながら、背にはアサルトライフルらしきものを背負い、首には骸骨の口元を模したスカーフ、手と脚には金属製と思わしき強化用の骨格パーツらしきものを嵌め、暗めの緑色で統一された衣装は本物の戦場で生きるための何かを感じさせる。そして、その目は気に入らないものを見下す、とてつもなく冷たい目をしている。

 あまりの出来事に一瞬、体と心がすくんだがすぐに立て直す。いや、立て直そうとした。未だに混乱の声が消えず、むしろそれらが増えている。

 

 

 

 

「なっ…!?」

「おいおいおい!いくら敵相手でも今のは_____」

 

 

「諦めろ、お前たちに勝算はない。」

 

 

「ガッ…!」

「いつの間に!!陣形を立て直せ、確実に行動を止めてか________」

 

 

「己の運命を受け入れなさい!」

 

 

「早…ぅぐう!」

「なんだこいつらは…!」

 

 

 

 

 

 

 少しでも距離を放そうとセメントガンを撃つが、必要最低限の動きのみで躱され、当たりそうで全く当たらない。それどころか、全く同じ顔、同じ声、同じ装備で何人もいる。

 成すすべもなく掴まれ、投げ飛ばされる。

 眼帯を付け、片方の視界など無いはずなのに、それすら関係なく対処し、的確な格闘技術で地面にたたき伏せられる。

 離れたとしても、いつの間にか接近していた一人が銃口を突き付け、行動不能に陥っていく。

 

 

 気が付けば30人以上いたはずの仲間は片手で数えられるほどしか立っていない。残りは全て、地面の上で行動不能に陥り、うめき声をあげている。

 一方的な蹂躙、いや、戦場ならば虐殺としか言えないような状況をほんのわずかな時間で行われ、頭の中で状況を理解することを拒んでいる。一瞬で狩る側が狩られる側に代わってしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

「…この程度か。指揮官に負担をかけるこの姿(Mod3)でなくても十分だったようですね。」

「ま、そういうなよM4。万が一の可能性もあるしな…だがまあ、油断が命取りになるのはわかっていると思って警戒していたんだが拍子抜けだったことに変わりはないな。」

「SOPとROを待機させて正解かもしれないわね。そうでなければ…()()が起きていたかもしれないわ。」

 

 

「_____まあ、そういうことだ。悪いがお開きとさせてもらおう。」

「シャドウ!!」

 

「しまっ…後ろに…ィっ!」

 

 

 

 

 

 目の前に黒い影が躍り出たのを最後に、意識を手放すこととなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

___________________________________

 

 

 

 その後、全員を地面に叩き伏せた直後に終了を知らせるブザーが鳴り、試験が終了した。

 試験が無事に終わったことに安心したせいか、指示された控室に向かう途中で…情けないものの、体力を使い果たしたことが原因で気絶したらしい。とー君が一緒にいなかったらこっちも地面の上で寝る羽目になってた。そのせいで結果発表を直接見ることができなかったものの、無事合格。ただ、轟君と爆豪君が落ちたから特別補習を受けることになったと聞いた時は驚いた。理由を聞けば、轟君は私とAR小隊が戦闘兵を相手取ってる時に、親玉の目の前で士傑の人と喧嘩したのが原因、爆豪君は口の悪さが原因らしい。何ともまぁ、惜しい理由で落ちているんだか。

 

 結局、意識が戻ったのは寮に戻ってきてから。案の定、とー君に怒られたし先生にも怒られた。体力の管理くらいしっかりしろと言われましたよう!うぅ…今回は初めての運用が多かったもん…ワイ将悪くないもん…。

 

 

 

 

 

 

 

「うっ…気絶中に変な体勢だったかこれは。あちこち痛いや。」

「___あら、何なら私が治しましょうか?」

「今はいいよ…もうちょっと時間ができたらね。…アーニャにもだいぶ迷惑かけたかも。でも助かった、ありがとね。」

「どういたしまして。___副官と交代の時間になったし、あなたも今日は大人しく寝なさい。」

「そうする…おやすみ、アーニャ。」

 

 

 

 

 

 

 寝かされていた保健室から退室すれば、体のあちこちが悲鳴を上げているのをありありと感じ、「あー」と思いながらもAK-12(アーニャ)にいつ頃解してもらおうかと考える。それ以上に疲れが半端ないし、既に日も落ちて外は真っ暗になっている以上、あとは自室で寝るしかないのだが。

 

 一先ず、大きな山の一つを乗り越えたことで安心しきった私は、ベットに直行してすぐに睡魔に体を預けて意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 その直後、机の上に設置されたPCに電源が入り、謎の画面とエラーを大量に吐いていたなど露にも思わず。




 よし仮免終了!閉廷!!次は短い日常()書くよ!!!

 撒いた伏線、回収する日は来るだろうか…そしてインターンどうしよう(無計画)さらっと流してもいいんだろうけど。





以下ネタ説明

・医療班
何となく。いかつい顔したり強めの語調じゃない人たちをチョイス。つまり独断と偏見。

・現場班
SGとMGは他の人形に比べて出力とか高そうだったから。特にSGは10mH鋼を余裕で持ち上げそう。防御力と衝撃から身を守るためにそれくらいはあってもいいはず。

・遊撃班(という名のAR小隊)
SOPとROはお預け。手加減できなさそうだし。SOPに関してはトラウマを与えそう。
復讐爆殺魔となったM4も十分怖いけど。M16とST AR-15はノーマルで、M4のみMod3でした。脊髄のセリフはスキル発動から。お前は雷電か。


・気絶
超絶消耗したから。あとはそこに作者の都合が入ったのが原因。合格発表の下りが面倒やったんじゃ…


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番外IF:血に濡れた鉄と

 本編関係なしのIF。時系列もバラバラどころか先に行っちゃってる。あと人形なんていないと言っても過言じゃないくらいに出てこない。

 そのうえ超絶長いし!




 時間があるときに、暇つぶし程度で見てもらえれば。


 ポタポタと垂れ落ちる水滴を無感情のままで見つめる。周りから聞こえるのは車が行きかう騒がしいエンジン音のみであり、ここには誰もいない。否、誰もというのは語弊があるだろう。人ではないが、人の姿に限りなく近いモノ。それが後ろに立ってこちらを見ている。

 

 

 

「まだ終わらねえのか。とっとと始末して帰るぞ。」

「…。」

 

 

 

 

 何も反応がない事にイラついたのか一緒に赴いていた未届け人は、手に持った大きすぎる身の丈に合わない黒いブレードを構え始める。私の目の前にあるコレはもう既に人としての生命の動きを止めているというのに、跡形もなく消し去るまで満足しないのだろう。

 コンクリートと鉄が擦れあうような、変にくぐもった音をさせながらも、このモノは_______私の個性から出てきてしまっている人形(処刑人)はブレードに赤黒いスパークを出しながら振りかざし、そして私の目の前にあった肉塊はわずかばかりの残骸を残して融けた。鼻を突く異臭も、振り下ろしたブレードによる強烈な風圧も、そして焼いた稲光による轟音ですらも、今の私からすれば()()()()()()

 

 ふと、日も落ちて薄暗くなった空を見上げる。空には黒く厚い雨雲がいっぱいに広がり、雨を降らせている。顔にかかる水の感触すら分からない今となっては、この感情は何なのかも考えられない。それでも、ずっと、ずっと思っていることはある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 誰か私を、私の中にいるこいつ等ごと______×してくれ、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_________________________________

 

 私が小さいとき、既に両親はいなかった。その代わり、気づいた時には目の前に2つの肉塊と、白黒の衣装に黒く、そして鈍く輝くブレードを手にしたモノがいたのを憶えている。

 紅くどこか鮮血を思わせる瞳に映っているのは、遊びを楽しんでいる子供のような感情か。右手、というよりも右肘から先は機械と鉄で作られたものであり、手の部分はどの場所よりも大きく、そして強く作られているのが一目でわかる。あんなもので体のどこかを掴まれただけでも死は必然。そう思わせるに十分すぎるくらいだった。

 

 その光景を見ても何一つ感情が動かなかったのは、既にこの時点で何かが壊れていたからか。それとも、前世での記憶が()()()()()受け継がれてしまったからなのか。今と前世が変に混ざっているせいで言動も思考もずれてしまい、自分という存在が分からない。そのうえ、私の個性がさらにそれを加速させた。

 前世の記憶から読み取ったことによれば、こいつらはとあるゲームの敵陣営のキャラクターであり、その中でも上位にいる奴だった。

 最初に聞こえてきたのは「殺せ」という言葉と負の感情。それがずっと自分に対して向けられ、そしてささやき続けるのだ。大の大人でもあっという間に精神をやられて病んでしまうことも、あるいは壊れてしまうことだって容易にわかる。

 

 

 

 

 

 

 殺せ、壊せ、砕け、千切れ、憎め、怒れ、恨め、撃て、切り刻め、食いちぎれ。ありとあらゆる人間を殺せ。人の手で作られたものを壊せ。全部、全部、全部!

 

 

 

 

 

 そんなのがずっと頭の中で響いて、誘惑して、つぶしにかかってくる。それでも、感情を殺してでも手放さなかったのは残った最後の理性か何かが「こいつらを出すな」と本能に訴えたからなのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 暗転。

 

 

 

 

 

 

 

 居場所のない身であり、人と関わる事すらできず、ひたすらこいつ等を表に出さないようにと生き続けて10年。きっかけは町はずれにあった廃工場でいつものように身を潜めていた時だった。私の中にいる鉄血の人形共が「誰かいる」「殺せ」「壊せ」と騒がしくなり、私の中から無理やり出てこようと暴れ始めた。いつまで経っても慣れない感情と破壊衝動の波に、声を出して狂いそうになる。身を食い破るように、しかしそれを決して外に出さないようにと抵抗しながらそこを離れようとした。

 

 

 

 

 

「おい、そこにいるのは誰だ。」

「頭、サツにばれれば厄介になる。“処分”しますか?」

 

 

 

 

 だが、一足遅く廃工場から出る機会を失った。耳鳴りがひどくなり、体を焼き尽くす勢いで流れてくる負の感情は終わりを知らず、そうして動くこともできなくなった。ここに来たであろう何者かに対して警告も、先ほどの質問に対しても返答できない。口から洩れるのは小さなうめき声のみ。もはや目を開くこともできないくらいに奴らは暴れて出てこようとしている。

 カツリ、コツリと足音が近づいてくる。それに応じて人形共も激しく暴れる。

 

 

 

 

「っぅ…ぐぅ…ぁ…!」

 

「______な…だ?ガ…こんなと…で一体なんで…。」

「チッ、頭。ど…すか、こ…ガキ。この…りじゃ後ろ…ざなさそ…すが。」

「…。」

 

 

 

 

 ブツブツと会話している声すら途切れ途切れに聞こえてくる。ああ、もう限界だ。奴らが出てしまう。

 

 そこから先は、覚えていない。

 

 

 

 

 

 

 暗転。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目が覚めれば、まず見えたのはひび割れたコンクリートの天井。そして肌寒さと全身に圧し掛かるような気怠さと痛み。いつもなら響いて嫌になるあいつらの声はなぜか聞こえない。

 身を起こそうとすればジャラリと金属の擦れる音が首と手から聞こえてきて、起きることができない。それだけでどうなったかを把握した。

 

 

 

 

「ようやく起きたか…。ずいぶんと危ねえ個性だが、所詮は個性の範囲から出ねえってことか。」

「…。」

「だんまりか。まあいい、無駄に抵抗しようなんて考えるなよ。お前にとっても悪い話じゃないだろうしな。」

 

 

 

 

 そう言って連れてこられたのは研究室のような、それでいて不釣り合いなベッドとたくさんのおもちゃにぬいぐるみ、とよく分からない部屋だった。誰かがここにいるのだろうか。まあ、私には関係ない事だろうけど。

 

 

 

「お前はここで実験に付き合ってもらう。拒否権はない。」

 

 

 

 

 じゃらじゃらと実験動物のように金属製の拘束具を引きずったままその部屋へと入れられる。その日はそれで終わった。

 

 嫌な声は、低く響いて頭が痛い。ああ、もう起きてしまったのか。

 

 

 

 

 暗転。

 

 

 

 

 外に出ることも、何人かを除いて人間と接触することも無く2年ほど経った頃だろうか。

 腕と首には実験の為に打たれた注射針の跡がおびただしいほどに残り、サンドバック代わりに連れていかれたこともあって全身に大きな傷もできた。代り映えもなく、言われた通りに動き、薬を打たれ、切られ、直される。いつもの日々。けれどもあいつらの声が一切聞こえないし、暴れられることも無いからそこだけはありがたい。

 ずっと押し込められた部屋、ベッドのほかにぬいぐるみなどが置いてあった理由はここの組織に利用されている女の子がいたからだった。私がこの部屋に入れられたのは、女の子と一緒に監視するためだろう。そしてあわよくば私に懐いてくれれば、といった具合か。

 

 こんな傷だらけで感情などない私に懐くはずなどないだろうに。だからと言ってずっと無視することもなかったが。

 

 

 

 

「うぅ…ひっぐ…。」

「…。」

 

 

 

 どこかに出かけ、逃げ出したが連れ戻されたのだろう。この小さな女の子、壊理(エリ)といったか…その子が連れ戻された後に乱暴な方法で血を抜かれていた。この組織は壊理の血液を使って何かを作っている。その後は効果の確認の為に私に打ち込み、そのままサンドバッグにされるのがいつものパターンだ。あの薬を投与されると、基本的に気怠さが襲ってくる。そのあとは色々だ。あいつらの声と感情が来ないのは確定しているが、吐き気がするときもあるし、血を吐いたこともある。一度だけ全身から血を噴き出して死にかけたこともあったが、いつの間にかここに戻されて何事も無かったかのように寝かされていた。拘束具も付いているが。

 

 ともかく、壊理は先ほどのことが響いているのか泣き止まない。見た目的には3歳か4歳といったところ、大の大人に囲まれてあんなことをされれば怖いだろう。感情を失った私では前世の残滓から予測することしかできないが。

 かといって、この子を泣き止ませる言葉も、行動も分からない。私自身も見た目が相当威圧的で、傷だらけで恐怖の対象にもなりえるものだが、このまま泣かせておくのはよくないと頭の片隅で思う。とりあえず、エリの頭に手を乗せて撫でておく。擦れた記憶にあるのはこの程度のものだ。あまりあてにはならんし、場合によってはPTSDにしてしまうかもしれんな。

 

 

 

 ああ、こんな人らしい考えに至ったのは、一体何年ぶりだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 暗転。

 

 

 

 

 最近は薬を打たれることが少なくなった。人形共はどうもあの薬を打たれて強制的に動けなくされるのが嫌になったらしく、最初の頃ほど騒ぐことも暴れることも無くなった。その代わり、「指示を聞くから外に出せ」と言ってくる。

 私がお前たちを外に出すことなど、絶対にしてはならないことだと盲目的なくらいに科していると知っているくせに。

 

 ああ、でもそんな状況を知ってかここの組織のやつらが私を外に出すらしい。そのまま逃げだした裏切り者を殺しに行って来いと言われた。なぜ私なんだ、この組織にいるだけで入った覚えはない。だが断る道も塞がれた。壊理を幽閉する、と言われてしまえば動かざるを得ない。

 

 

 

 

 私はそのくらいには、壊理に対して何かしらの感情をもって(タグ付けをして)しまっていた。

 

 

 

 

 

 

 暗転。

 

 

 

 

 

 ここに来た頃に比べて感情が分かりやすくなったと言われた。自覚は無いが、恐らくは壊理の為に無表情でいるわけにはいかないと無意識に思った結果なのだろう。おそらくは表面上だけだろうが。

 ずっと分からなかったが、ここは死穢八斎會という今時天然記念物並みに珍しいヤクザの施設らしい。私は行き場もなく、かといって無意味な自殺志願者でもないから一先ずここに居座ることにした。

 

 ずっと手入れすることなく放置していた髪を切り、首には傷を隠すための赤いマフラーを、顔には黒い狐の面を、そして両腕を隠すために袴を模した赤と黒の衣装を身にまとう。ここの構成員は男ばかりだから、渡されたものも一通り男物しかないが…対して問題はない。強いて言えば肩幅が広いものが多いくらいだろう。私の個性はあの人形を呼び出すもの。衣装にこだわりもないから気にしない。

 

 この姿になってからエリがやけに私のもとに引っ付くようになった。分からない。それに私の側で笑っているのはなぜなんだ。

 

 

 

 

 

 分からない。だが、それで済ませようとすることもなぜか不愉快に思っている。なぜだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…嗚呼、泡沫の夢ということか。」

 

 

 

 

 両腕で抱えた2人の重さを感じつつ、己の腹を刺し貫いている何本もの鉄の破片を何の感情もなく見つめる。それを伝って地面へと滴り落ちる鮮血は時間とともに増え、同時に自らの視界は狭く、感覚は薄くなっていく。痛みは相当昔に感じなくなった。傷を負う前に障害を排除することのほうが多かったのもあるが。

 先ほどまでに見ていたのは今までの人生()、いわゆる走馬燈と呼ばれるものなのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 頭が何かデカいことをしようと画策していたのは薄々気づいていた。それを止めることも、口出しすることもできない身だったが、エリが犠牲になるのは嫌だと思った。

 そうすればヒーローと警察が乗り込んできて敷地で戦闘が始まった。私も出ろと言われ、嫌々個性を使って人形を出し、何人ものヒーローと警察をなぎ倒した。殺すつもりはないが、あの人形共が手加減をするはずはないだろうから死者は出ているだろう。

 一際でかい爆発音が聞こえたと思ったら、頭が本気を出して私と同い年ぐらいの緑色の髪を持つ少年と戦っていた。その様子を敷地の端で見ていたが、途中から少年が誰かを抱えて戦い始めていた。抱えていたのが一般市民なら無視をしていただろう。だが、抱えていたのは市民ではなくエリだった。頭もそれに気づいている、だが奪われるくらいなら殺すという顔をしていた。

 

 エリの怯えた顔と、エリを抱えて戦う少年を見て私の中で死んで失われたと思った感情(何か)が「行け」と叫んだ気がした。

 

 

 頭が少年を確実に殺すために壊した建物を利用して瓦礫と鉄の雨を降らせようとする直前で追いついた。だが、2人はその雨の中心にいる。人形共はここから遠く、呼び寄せるには遅い。精々幾つかでかいものを撃ち落とすのがいいところ。ならそれで十分。

 空中でバランスを崩した少年をつかみ、エリと少年を庇う形で立ちふさがった。

 

 あとは、今の通りだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…っ!お姉、ちゃん!」

「っう…なっ!」

 

 

 

 

 見た感じ、エリと少年にダメージは行っていないようだった。それを確認できれば十分。

 体に力が入らなくなり、崩れ落ちる。頭は私の人形に撃たれて大きな隙を作った。それを見た少年はすぐさま飛び出し、そのコアたる頭にデカい一撃をお見舞いしたようだ。

 

 最早視界は滲んで色はない。声もどこか遠くで鳴いている小鳥のさえずり程度にしか感じられない。それでも、鉄が突き刺さった腹から温度が、熱が、自分の生命を動かす大切なものが失われていくのだけは鮮明に感じる。

 そんな中でも、誰かが…否、エリが私に呼びかけているのだけはなぜか分かった。同時に、泣きながら叫んでいるのも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 嗚呼、私が死ぬのはいいが______壊理が悲しむのは嫌だなぁ。

 

 

 

 

 

________________________

 

 

 

 

 

 

 

_____なあ、何でこいつは人を恨まないんだ?

 

_____この子は小さいときに傷を受けた。それも、自身の生みの親たちから。

 

____だったら、私たちが守らないとな。

 

____主が傷つく前に、私たちが障害を排除しないと。

 

____恨むも何も、そういったものを知る前に壊れてしまったのでしょう。

 

____私たちはそんなことしないのに。あの時と違ってさー。

 

____だが…やはり人間は気に入らない。これならSOPを相手取ったほうが楽しいな…。

 

____アルケミスト、それはあなたが楽しみたいだけでしょう?

 

____…だが、やはり人間は駄目だ。人形である私たちのほうがこの子にとっていい、邪魔なものは壊して無くすに限る。

 

 

 

 

 

________________________

 

 

 

 

___どうして、どうしてあなたは私たちを出してくれない。呼んでくれないのだ!

 

___そいつは危ない、あなたを殺そうとしている!

 

___逃げろ、逃げろ!

 

___呼べ、私たちを呼べ!

 

___ああ、どうして…どうしてなのですか…。

 

 

 

 

_______________________

 

 

____駄目だ!それはあなたを殺すものだ!!

 

____やめろ、やめるんだ!

 

____あなたは死にたいのですか!!

 

____どうして、あなたは自ら死に向かうのですか…!

 

____それは私たちを抑える物じゃない、あなたを殺すものに他ならない!

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

__いやだ、死なないでくれ。

 

__諦めないで、お願いだから諦めないで!

 

__あなたが望むことをやった。だから一緒に居てほしい。

 

__私たちはあなたが死ぬのを見たくないんだ。

 

__いやだ、いやだ、いやだ!

 

__あなたは、ようやく取り戻した「心」を…あの子を見捨てて居なくなるのですか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 嗚呼、そうか。こいつ等は…いや、私の中にいる彼女たちは私を守ろうと_______

 

 

 

 

 

_____________________

 

 

 

 

「…。」

「えっと…。」

「…?」

 

 

 

 

 

 もう何度目か分からない、見知らぬ天井とベッド。そして今までになかったこととして、私の体に乗っかってこちらの顔を怒りながら涙を浮かべる壊理と、その横に立っている包帯だらけの緑色の髪の少年、その後ろには眠たげな顔に全身を黒い服でまとめた男。

 おそらくここは病院…それも、それなりの設備がある大きいところだろう。思い出せるのは貫かれ、大量出血で死ぬことがほとんど確定していたこと。そして、眠っている間に聞こえた人形たちの声。

 

 緑色の髪の少年はこちらを見て、何かを言おうとしているが言い淀んでいる。それもそうだろう、目の前にいるのは敵対していた組織の一人で、あの時は面をしていたのだから。体を起こして向かおうとすれば、慌てた様子でエリとその少年に止められた。なぜだ、人と向かって話をするのならば体を起こさなければ失礼だろう。

 

 

 

 

「えっと、もしかしてですけど…痛くないんですか?」

「…ああ。そこまでひどいのか?」

「ひどいとかそんなレベルじゃないんですよ!?エリちゃんが何とかしなければとっくの昔に死んでるくらいにはひどいものだったんですから!」

「…っ。」

 

 

 

 

 

 少年の言った言葉にビクリと反応するエリ。死んでいる、と言ったところで反応したということは…そうか、今生きているのはエリのおかげだったのか。私の足の裾をぎゅっと握り、先ほどより泣きそうになっているエリ。なぜだか、エリが泣くところはもう見たくないと思って頭を撫でてやる。だが、それは行動としては失敗だったらしく、エリは泣き出してしまった。

 

 

 

 

「っ…!っぅう!!」

「えっ…と…エリ、その…ごめ、ん?」

 

 

 

 

 

 傷に触らないように気を使ってくれているが、その範囲で顔を私にうずめて泣くエリに、どうしたものかと戸惑ってしまう。ああ、そうか…でも「戸惑う」という感情が在る。ずっと分からなかった、というより無くしていた感情(モノ)だからだろうか。それが戻ってきて、どこか腑に落ちた。

 その様子を静かに見ていた男がこちらにやってきて、話があると言ってきた。その表情からするに、私の処遇に関してだろう。…エリに聞かせられるようなものではないな。幼いとはいえエリは賢いから理解してしまうかもしれない。それで悲しませるのも嫌だ。

 

 

 

 

「少年、エリを頼みたい。」

「えっ、でも____」

「緑谷、連れてけ。ここから先は少々小難しいものだからな。そもそもお前は本来ここに入る事すら許されない。言い訳にこの子を連れていかなければな。」

 

 

 

 

 

 男の説得にどこか悔しげな表情をしながらもエリと一緒に出てくれた。よかった、エリが安心してついていってくれるような少年だったか。____あの少年がいるなら、私が居なくても大丈夫だろう。

 

 

 

 

「…分かっているだろうが、お前は犯罪者、敵の一人だ。」

「ああ、それは理解している。ならばなぜ…私を警察病院の類に収容しなかった?」

「エリ、と言ったか。あの子がひどく取り乱してな…。いやだ、お姉ちゃんと一緒に居たい、放して、と暴れに暴れてな。重症だから動けんだろうと特例でこっちにいれたらしい。」

 

 

 

 

 随分と面倒をかけたようだ。男の表情を見るだけで容易に想像できる。いや、想像できた。私も私で、いろいろと還ってきたようだ。

 

 そのあとは、今後の私の身柄についての話だった。両親を殺したのは私だし、組にいたときにも何人もの裏切り者を殺してきた。その点に関しては素直に認めたし、この男も警察を通して知っているようだ。私の知識では、恐らく少年法が通る年齢ではあるがそれで擁護できるほどのものではないくらいに罪を重ねている。二度と日の目を見れないだろうということも分かる。むしろ、こうして生きている今が不思議なくらいだ。

 それでも、これほど晴れた気分になったのはこの世界に生まれてきてから初めてのことで、どこか満足していた。今なら、このまま殺されても恨んだりすることなどないだろう。

 

 

 

 

「それで、意識を取り戻した私は移送されるのだろう?そしてそのまま裁判から檻行きだ。“タルタロス”だったか、あの特別収容監獄にいれるのか?」

「ああ、それに関してだが______監視付き、という条件が付くが日常生活を送れる。お前が望めば、だがな。」

 

 

 

 

 

 一瞬、この男が言ったことが理解できなかった。私は殺人をした罪人、いくら未成年とはいえそれはあり得ない。何かの罠か、それとも何かの情報を吐かせるためのカマかと思う。私のそんな様子に男も同情するような表情で見てくる。

 

 

 

 

「お前、あの時に自分の個性で相手取ったヒーローを気絶させるだけで殺さなかった。そのうえ緑谷、あの緑髪とエリを守って死にかけた。お前のこれまでのことを調べて「どうか温情を」といったヒーローが結構いたんだよ、なぜかな。」

「…分からん、人殺しに情を掛けるヒーローなんぞ失格だろう。そのまま見捨てて殺してくれてもいいくらいにはな。」

「全くだ。ともかく、上からもその許可が出ている。お前はどうしたい。」

 

 

 

 

 突然出された未来への道。だが、既に血で汚れに汚れた私が表世界になんて出るなど_______ああ、でも…もしそれが本当に許されるというのなら。

 

 

 

 

「…こんな傷だらけで、何もできず、不愛想だが…それでも見捨てないのか。ヒーローは。」

「ああ。」

「…一つ、聞きたい。エリはどうなる。」

「お前と同じで、監視付きで日常生活を送れる。しばらくは病院で検査を受けるが。」

 

 

 

 

 

 

「そうか…。なら、私は__________」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




主人公(女)
・名前出てこなかったね。けど秀内 奏ではないです。あっちとはかけ離れた環境の不幸な場所で生まれてしまった。
 虐待を受けてしまったので感情が死んだ。ついでに痛覚も死んだ。
 エリちゃんと出会い、一緒に居るうちに若干感情が返ってくるものの間違った方向のセコム鉄血人形の感情によって結局消える。最後辺りで今度こそ返ってきた。
 前世の記憶は中途半端に思い出したせいでSAN値が死んでた。

 最後辺りの年齢は15か16あたりです。でも雰囲気と傷の数がやばすぎてそれ以上の年齢にしか思えない。



鉄血人形達
・ゲーム本編と違って、蝶事件が無かったことになっているので人間絶対殺すマシーンではなくなってる。でも主(主人公)が親から虐待受けてヤベーってなって間違った方向でセコムした。その結果主がもろに影響受けて余計に悪くなった。
 途中で「これまずくね?」ってなって従順になった。


エリちゃん
・主人公と一緒になって最初はビビってたけど、頭なでてくれた辺りから懐くように。自分の事よりエリちゃんのことを気にしてるからずっと悪い気持ちがあった。でも面とか衣装とか着てほっとした。
 漫画と違って個性が暴走してない。お姉ちゃんを助けたくて正しい意味で個性使った。デクは直接助けてくれたから信頼してる。でも一番は主人公。










 最後、主人公がどういう道を取ったかはご想像にお任せします。


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番外:日常の端くれに

友人「お前本編出せよ!!!」
私「イベント回ってるし短編も書きてえんだよ!!」
友人「じゃあ短編のURL教えろおおおおお!!!」
私「ヤローオシエテヤロウジャネエカアアア!!!」



※実際の会話です


本編と言っても今回は短い幕間、次から続きです!!今回は会話しかねえ…

あ、これが短いほうですね。
https://syosetu.org/novel/180274/


_____データ確認。録画された映像及び音声を閲覧しますか?

 

 

 

___________________________________

 

●月×日 AM8:23 カフェ&バー 春庭 カウンター監視カメラ

 

 

 

「智春さーん、きたぞーい!」

 

「お早うございます、指揮官。今日はどちらで動きますか?」

 

「うーん…休日だし、人がいっぱい来そうだよねー。料理のほう手伝うよ。オーダーはダネルとわーちゃんに任せて智春さんと私の2人で料理を出していけばいいかな?」

 

「わかりました。では今日のランチとケーキセット、それに合わせたコーヒーは_______」

 

 

 

__________________________________

 

×月●日 PM5:12 蝓主梛縲?荳企劼 スマートフォン

 

 

 

「ボス!ヘッケラーの姉御方が来てくださった!!」

 

「ああ、分かったよ。龍の間に通しておいてくれ。____昭栄!あいつらが持ってたブツを持ってこい!」

 

 

雑音 おそらくは移動音と思われる

 

 

「お待たせしたようで、申し訳ない。」

 

「気にしないでください。それで、見せたいものとは?」

 

「これです。_____うちのほうで調べてみたが、余りいい機材も人もいない。そのせいで人体に対して有害であるということぐらいしか分からなかったのですがねぇ…。」

 

「…無針注射器?」

 

「ええ。今は中身が入っていないが…ついこの間、シマで随分とデカい騒ぎを起こした他のやつらが居ましてね。そいつがうちの組員にこれを打ち込んできたんですよ。」

 

「その様子では…何かがあって、そのうえで我々に協力を仰ぎたくなるほどの緊急性の高いものである、ということですか。」

 

「まさしく。これを打たれた直後に____________」

 

 

 

________________________________

 

日時不明 生徒部屋 連絡用回線

 

データ損傷につき音声のみ

 

 

 

「…っ、っぅう!!ん…んぅ!」

 

「ふふっ…そんなかわいらしい声を出しちゃって…いつまで経っても弄りがいがあるわね、指・揮・官?」

 

 

 

「っうぁあ…!んっ…ふっ…うぅう…!」

 

「相変わらずここが弱いのね…それっ!」

 

「__っっっ!」

 

 

 

「顔を真っ赤にして耐えようなんて考えない方がいいわよ?力を抜いて、私にされるがままになったほうが早く終わるし、何より気持ちいいわよ?」

 

 

 

「っ…ぜ、絶対分かってて…いっ、てるよ…ね…アーニャ!」

 

「当たり前よ?そうじゃないと、ここまであなたを弄ぶことなんてしないわ。_______さ、最後よ。ちょーーーっと刺激が強いだろうから…頑張って耐えてね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぬ”う”ぅ”ぅ”う”ん”!!!!」

 

 

 

「もうちょっとその野太い悲鳴何とかならないの?」

 

 

「…………。」

 

「まあいいわ。これでおしまいよ_______これに懲りたら私から整体を受けないように努力することね。」

 

______________________________

 

▽月×日 AM11:56 雄英 生徒指導室 監視カメラ

 

 

「_____で?結論から言うと?」

 

「マッサージ受けていた時の声が非常によろしくない声でそれを勘違いされたことによる冤罪です!!!」

 

「ずいぶんとひどい結論だ。八百万、耳郎、お前らは何か弁明はあるか?」

 

「「ありません…。」」

 

「災難だったな、奏。」

 

「全くでござる!!!いや、部屋でやってた私も悪いけどさ…。」

 

「ハァ…もういい。だが秀内、お前はもう少し自重しろ。今回みたいなことが今後起きないという保証もないからな。」

 

「はい…すみませんでした。」

 

 

 

 

 

 

 

「でも常闇さんも受けていたとは…少々意外でしたわ。」

 

「まあな。元は強制的に受けさせられたんだが…思いの外に効果があって、それ以来ちょくちょく受けている。」

 

「そっかぁ…ウチも受けてみようかな。」

 

 

 

 

_______________________________

 

データ確認中… … … 照合完了、該当3件

 

内2件が同一人物によるもの

_______________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…まさか、目覚めたと思えば体はないし、かといって自由かと言われればNOというこの状況。何か情報を得たいと思って探ればこんなのが出てくるとはね。」

 

 

 

 

 0と1が並び、見渡す限り青と黒、そしてノイズばかりが走る世界の真ん中。そこに周りの風景とは一切違うモノがいた。

 少し茶色を帯びる長い髪に赤色のメッシュの前髪、羽織っている黒いコートの腕部分には鉄血のマークに赤のバツマークが付けられ、体を覆う服はレザータイプのスーツだが隠している部分はとても少ない。左腕についた大きな盾は作られた理由を示すものか。

 

 SGの戦術人形、M1887は電脳体として存在している。現実世界に己の体は存在せず、自分でもわかるくらいにその存在は脆く小さい。だが、こうした形で出てきたということは何かしらの理由があっての事、そう割り切ることにした。

 

 

 

 

「今度の指揮官は真面目な人かしら。」

 

 

 

 そう言って、己の名を関するショットガンをくるりと回転させ、もう一度広い電子の海へと潜っていった。




キャリコ来ました。ハンドガンはコンプです


ランキングもういやああああああ!!!!コンテンダーほしいよおおおおおおおお!!!!!


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第7戦役 ■■■■■■
□□□□ 1


 バグじゃないです。意図的にこうしてます。

 対ヤクザ編入ります。先に宣言すると…本編とだいぶ内容が変わると思う&本編視点がめっちゃ少なくなる&時間がかかって間隔が空きまくる可能性があります。ご了承ください。


 低体温症、楽しかったですねぇ!ランキングは専用装備諦めてスキンだけにします。資材死ぬって。コンテンダーが欲しい。エチエチ




 あともしかしたら感想への返答ができないかもです…ネタバレしたくない…っ!


 無事仮免試験が終わり、少し疲れを引きずったまま起きた次の日。夏休みが終わって始業式!と思ったその時であった。

 

 共用スペースは1階にあり、校舎へ向かうとすれば必ず通るのだが________そこで爆豪君と緑谷君が眠そうな顔をしながら掃除機をかけていた。

 現在時刻はAM5:45位。皆はまだ寝てるか起きはじめといったところの時間であり…私のように朝一番で体を動かすようにしている人以外ならいないはずだ。

 

 

 

 

「…2人ともなんかやらかした?」

「「…。」」

 

 

 

 無言。されどその態度は肯定と思われる…。マジで何したんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「____喧嘩して謹慎、とな。」

「うん、まあ。」

 

 

 

 事情を聴けば爆豪君はそっぽ向いて掃除を再開、自分からは言いたくないというのがありありと感じられたぞ。だがしかし、他の人みたいに罵倒してこないのは何故…ちょっと気になる。

 緑谷君は掃除の休憩も兼ねて簡単に教えてくれた。

 

 ところどころぼかされた感のある説明だったものの、まあ分かった。でも一つ、今までの様子を見ていた感想としては____

 

 

 

 

「よく今まで爆発してなかったよね、爆豪君は。」

「かっちゃんは口は悪くてもちゃんと考えてるから…流石に時と場合をわきまえていたんじゃないかな?」

「って言っておきながら仮免の日の夜に暴れてるじゃん。」

「ごもっともです…。」

 

 

 

 

 

 日々の鬱憤はまとめて爆発させてはいけませぬぞ…これ実体験からな。前世持ちって言う特殊すぎる体質(?)だから言えるけど、あまり溜めると悪い方向に行ったりすることが多いからね。特に考える人とかは。

 時計を見れば6時になっていた。そろそろ走り始めないと人がどんどん増えてきてしまう。座っていたソファーからスクっと立ち上がってくるりと反転する。

 

 

 

 

「まぁ、緑谷君も何かあるみたいだしこれ以上は深く聞かないよ。ともかく________喧嘩するにしてもばれないようにしなよ。」

「気にするのそっちなの!?喧嘩するなとかじゃないの!?」

「喧嘩はやってなんぼでしょ。じゃないと伝わらないアホだっているんだし。」

「秀内さんが意外と物理に走ってた…。」

「元からだよ。頭使うのはそんなに得意じゃないし…それじゃあねー。」

 

 

 

 

 そのまま手をひらひらと振りながらお外へごー。疲れが取れてないから今日は外2周でやめておこうかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________________________________

 

 

 

「…なあ、本当にそこが本体なのか?」

『ええ…悪いけどそうらしいの。それはあなた達が一番わかっていると思うけど。特に、副官の一〇〇式機関短銃さんはね。』

「って言っているが、そこんとこ教えてくれないか?副官。」

「事実ですね…基地のリストに名前があったのにそれに纏わるダミーや本体、あまつさえ弾丸の追加なども見つかりませんでした。門が開いた、と報告を受けたにもかかわらず手ごたえがなかったのは()()が現実だからでしょう。」

 

 

 

 指揮官の私室で、PC画面に向かって話しかけるM16と一〇〇式の2人。その画面にはよく見るショートカットのアイコンなどが並ぶほかに、M1887と呼ばれるショットガンの戦術人形が困ったような顔をして2人と会話をしていた。しかし、肝心のその人形が映っているのはよくある通話ソフトなどで見るようなカメラ越しではなく…そのまま画面の中にいる、と表現できる様子で映っている。

 

 

 

 

「指揮官のもとにいる人形は死んだときのままであり未入手や未実装などは存在しない代わりに知識などはだいぶ先まである、はずだったが…それを補う形で門が現れて、G11やAK-12、そして行方不明のAUGにM1887(お前さん)ときたか。ったく、どうなっているんだ…。」

『それを言いたいのは私もよ。まあ、電脳体というのも面白そうだからしばらく動く気はないんだけども。』

「とりあえず、指揮官はしばらくこの部屋に戻ってこないので夕方に説明などをしましょうか。それと、M1887は現実(こちら)ではなく指揮官の(基地)の方には来れますか?」

『分からないわ。でも時間はあるようだし、試してみる。』

「お願いします。_____それとM16、あとで副官室に。少々聞きたいことがあるので。」

 

 

 

 

 

 うげ、という顔で逃げようとするM16。しかし副官の顔はそれを認めないと宣言しているようなもの。その光景を間近で見ていたM1887は思わず、クスリと画面の中で笑った。

 

 

 

 

_______________________________

 

 

 始業式で校長が少し気になる話をしたり、生徒指導のハウンドドック先生が若干自我を失う位にキレる事案…爆豪君と緑谷君の喧嘩など慣れない寮生活を注意したりとした後。

 

 わたくしは現在、いつぞやの病院に来ております。

 

 

 

 

 

「うーっす。言われた通りに来ましたぞー。」

「_____もう少し素を隠せバカ。まあいい、保健証は時雨に渡して荷物はこっちの椅子に。あとは学校提出用の書類があるはずだからそっちは大淀に渡してくれ。」

「ほいほい、よろしくー。」

 

 

 

 

 前世の口調を表に出しても気兼ねせずにいられるのはいいねぇ…。というわけで、和田抓先生の病院に定期検査の為に来ております。

 言われた通りに保険証を出したり書類を出したりとした後に奥のレントゲン室へ。

 

 

 夏休みの合宿で襲撃を受けた際に、他の人と毛色の違う攻撃を受けてしまった私は時間をおいての定期検診を受けるように打診されている。今となってはそういったことに対する抵抗もあるので問題はないが、数値上で確信を得るまでは油断できないとのこと。だがしかし、このご時世敵が活性化している現状、一般の病院では検査内容が曖昧、あるいは腕がよくないと困るということで指定病院以外は基本的に行けないようになっている。

 その点、ここ和田抓医院は腕もよく信頼もできるということで、すこーし面倒な書類を書かなければいけなくなるというデメリットを背負うことで来れるようになっている。私は特殊の塊なので、今後一般病院に行ったらしつこく絡まれそうだからありがたい。おまけに先生も似たり寄ったりで提督という状況で話も通じるので気が楽なのだ。

 …言ってしまえば中身は結構な年食ってる成人だからなぁ。私に関しては高卒で死んだから学生気分が抜けなくて子供感半端ないけど。

 

 

 

 

 

 

「それで、最近はどうなんだ?」

「……日常のほう?それとも体のほう?」

「両方だ。あとなんだ、反応鈍かったってことは疲れているのか?」

「3つの質問かいな…まあ、おおむね問題なし。昨日はヒーローの仮免試験で無理したから床ペロしたけど。反応が鈍いのはそれでまだ眠いから…うぼぁー、駄目だまだ眠い。」

 

「…うん?無理して床ペロってことはまたぶっ倒れたのか!」

「お、おう…というか提督、そこまで大きい事なの?」

「検査追加だバカ野郎。レントゲンと血液検査で良かったはずなんだが頭もチェックだ。_______お前は自覚が足りなすぎる!脳を自分で焼きつぶすつもりか。」

「まってそこまでやばいの??」

 

 

 

 

 いつもの調子で白状すれば返ってきたのは驚きの答え。使いすぎはまずいなーと自覚していたけどそこまで生死に関わるデメリット、というか反動があったとは思わなかった。

 思いっきりその考えが顔に出ていたのか、顔に手を当てて天井を仰ぎながら「あぁー」みたいに嘆いている提督。明らかに「こいつここまでやばい奴か」って感じだ。

 

 

 

 

 

 

「いいか?そもそもお前さんは艦娘…じゃなかった。戦術人形をどういう仕組みで現実世界に『実体』として顕現させているか把握しているか?」

「全然。オカルトパワー的な何かとしか思ってない。」

「それもある…が、実際は少し違う。そうだな…簡単に説明すると水道だな。俺と嬢ちゃんは「バルブ」、人形たちは「水」と思ってくれ。普段は俺たちという体にストックされている水、要は人形や艦娘を「個性」という弁で表に出てこないように塞いでいる。」

 

 

 

 

 どこからか持ってきた紙に簡単に図を書きながら説明し始めた提督。流石医者、説明手馴れてる。

 

 

 

「体の中にいる彼女たちを現実に出すためには弁を開いてバルブを回す必要がある。だが、全開にすれば弁もバルブも水圧に耐えれず壊れる_____つまり許容限界を超えてしまうと、個性を使うのに重要な脳が処理限界を起こして壊死する。」

「なるほど…マジでヤバイ状況だったんだね。」

「そういうことだ。…というか、理解速いな。」

「前世は工業系の学生だったし、就職先もそういったことに携わっていたからねー…少しだったけど。」

 

 

 

 

 

 

 提督の説明がとても分かりやすくてありがたい。

 それにしても…まさか使いすぎによる反動で死とかシャレにならない爆弾抱えてたな…。これは少し、考えと動きを改めないと直葬コースまっしぐらだ、それは勘弁してもらいたい。

 

 

 

 

「はぁ…ともかく、しばらくは呼ぶ人数を少なくしておけ。脳に過負荷…あー、オーバーヒートといったほうが的確かもしれないな…それが完全に抜けていないはずだから、1か月は今出せる人数の半分以下、そのほかの付随能力も控えるように。」

「了解。おとなしく…って言ってもヒーロー科だから完全に使わないってのは無理だと思うけどね。」

「それでいい。______一応、やりすぎで脳が焼き切れること以外に、どんな危険性があるかも聞くか?」

「リスクは知っておいて損はないし、聞きます。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 提出した書類に書いた時間より伸びちゃうけど、流石にこれくらいは怒られない…はず。病院だから予定外のことがあっても多少は許してくれるといいなぁ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局、話が終わって教室に行くと…誰もいない。みんなどこ行った?と思って、ちょっと教室を見渡せば黒板に書かれている文が。

 

 

 

『秀内へ 体育着に着替えて体育館γへ 授業終了15分前なら来なくていい』

 

「うん…?今日は座学のはずだよね、確か。まあいいか。」

 

 

 

 

 

 特に疑問に思うことなく着替えて体育館へ。

 何やら音がするなーっと思って扉を開けた瞬間見えたのは________上半身裸で戦う見たことのない顔の人と、地面に倒れてお腹を抱える何人かと、上半身裸の人に襲い掛かるクラスメイト達だった。

 

 

 

「病院から帰ってきたと思ったらリンチが始まっていた。」

「やっと来たか。予定時刻過ぎてるぞ。」

「すみませんね…検査項目1つ増えたので。それで、この状況はいったい何ですか?」

 

 

 

 

 この会話をしている間にも上半身裸の人_____よくよく見れば先輩があっという間に移動しては鳩尾に一撃決めて確実に地面へと落としていく。瞬間移動と思わしき速度だが、どうも違うようだ。皆の攻撃がすり抜けているし、地面に半分だけ埋まったりしていることから透過系の個性と思われる。うーむ、経緯はわからないけど相性が悪そうだ。いなくて正解かも。隣で大人しくしている轟君はいろいろ追い付いていなさそう。まあ初見殺しって言えるもんね。

 

 

 

「全員沈んだな。説明は…面倒だからしない。何となくで考えろ。」

「横暴過ぎませんか先生!?」

 

 

 

 

 

 

 

 結局、細かいところは分からなかったけどインターンに関することだったらしい。前回のあれとは違うようだな…油断した。

 その後は簡単な説明と反省になり、特に気になることもなくいつものように過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

________________________________

 

 

 ビー、とアラームが鳴り、部屋に付けられた監視カメラが対称の方向へと即座に動く。しかし、モニターに映る姿は特に変わりなく、異常の類はなかった。

 

 

 

「またか。ここ最近やけに動いているな…。」

「早く罪状の確定と刑の執行が行われてくれないと、こちらの身が持たんな…手順が多いのも悩みどころということか。」

 

 

 

 監視室に並ぶモニターを見つめつつ、そこにいる2人がつぶやく。件の部屋が映されたモニターに映るのは_____オール・フォー・ワン。椅子に生命維持装置とともに縛り付けられた姿は哀れにも見える。

 

 

 

『ああ、すまないね。僕が()()()()()()()()がようやく動き始めたらしくてね。』

 

「呼び起こした…?おい、周辺に怪しい奴がいないか、あとデカい組織関係も見張るように各省庁へ連絡。」

「ああ。…くそっ、こいつのシンパが多いのは面倒だ。」

 

 

 

 

 

 そう言ってボヤく2人をあざ笑うかのように、オール・フォー・ワンは僅かに肩を揺らした。




中身だけでいえばアラフォー近い元高卒と還暦過ぎた元医者・現医者やぞ。でも2人ともオタークなので立場も年齢も気にしない。


最後のやり取りはそこそこ重要。セリフ回しは最新刊前後のを使ったけど。



爆豪なんで強く来ないの?
→ヒント・体育祭の暴挙


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□□□□ 2

 前回の話に感想くれたお方!ネタバレをうっかりしそうになったので返せませんでした!!でも見てます、見てるので返せなくてごめんなさいね!!


 

 コ ン テ ン ダ ー 来 ま し た(20回目、ピックアップ無し)






 あと!!!!めっちゃ!!独自設定などなどが!!!!増えます!!!!!!ヒロアカ要素もドルフロ要素も!!!!どこ!!!!(迷子)(オリジナル視点で進めていく)(暴走を始める作者)(苦手な人はそっと逃げてね)


「インターン、ねぇ。」

「実感湧かないと何とも言えないよねー。」

 

 

 週末ということもあり、いつもよりのんびりとした雰囲気で共用スペースでくつろいでいる。

 授業で説明されたインターンシップ。前回行った職場体験と違い、前回のような客人待遇とは違い、今回はパトロールやヒーロー活動の後方支援、場合によっては実際に前に出て対処したりと危険度が上がるという。

 だがしかし、危険が伴いといわれてもどこまでなのか、またその現場の緊張感などは実際に行かなければ感じられない。今ここでどうこう言っても仕方のない事だった。

 

 

 

 

『____続きましてはコチラ!6年ぶりに活動を再開した天才探偵、黒鉄 穿牙(くろてつ こうが)さんへ復帰インタビューをしていきます!』

 

「あ!ヤオモモ、見て見て!!王子が復活したみたいだよ!」

「本当ですの!?」

「わっわっ!ちょっ葉隠押すなって…!」

「ごめん上鳴くん!でも見えないからごめんね!」

 

 

 

 

 テレビで流していたニュースのコーナーの一つでとある人物が復帰したらしく、そのインタビューになった時だった。急に女子勢が反応したと思ったら食いつくような勢いでじっと画面を見ている。そこに映っているのはいつもの女性アナウンサーと轟君の髪を黒一色にして表情を豊かにしたような印象の少年らしき人物だった。うん、アイドルとかやっててもおかしくないくらいに整った顔だ。一つ気になるとすれば、座っている椅子の横に杖が一本置かれている事だろうか。

 

 

 

 

 

『黒鉄さんは6年前に警察との共同捜査で怪我を負ってしまってからお仕事をお休みしていましたが、復帰した理由を教えてもらってもいいでしょうか?』

『ええ、いいですよ。僕は6年前に共同捜査していたとある事件で怪我…もしていたんですけど、実はつい半年前まで昏睡状態だったんです。』

『なんと!?昏睡状態から復帰して半年、その状態になりながらも復帰表明を出したのは___』

『6年前の事件、【幻夢傷(げんむそう)】事件は多少の犠牲のもとに解決しました。ですが…僕が目覚めて2か月後に、その事件と関連性の極めて高い事件が起きたと聞きました。だから僕は、あの時解決できなかった事件を今度こそ解決するために復帰を決めたんです。』

 

 

「すげぇな…怪我してずっと寝てたのに、事件が終わってないから復帰とか。並大抵の度胸じゃないよなこいつ。」

「上鳴君と違って頭もいいしねー。」

「…。」

「カナちゃん、ずっと静かだけどどうしたの?」

「いや、なんだろう…ちょっと、こう、なんというか…うーん。」

 

 

 

 

 

 

 テレビに映る探偵を見ていると、どことなく嫌な感じがする。だがしかし、それを言うわけにはいかない気もしたので自分の中に押しとどめておくことにした。

 そのインタビューが終わった後は、彼のこれまで解決してきた事件を流したり、探偵になる経緯を説明したりとして、女子組が楽し気になりつつそのコーナーは終わった。

 

 しかし、最後まで違和感がぬぐえることはなく、どことなく落ち着かないまま自室へと戻った。

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 カタカタとキーボードを叩く音だけが静かに響く。画面に映っているのはこれまでに検証してきた自分の個性についてのデータと仮説。傍から見ればよく分からない単語ばかりが並び、なおかつそれが意味することをとらえられる人はまずいないだろう。

 先ほどテレビに映っていた探偵がやけに気になって、いつもより集中できていない。まとめていたデータを保存し、とりあえず休憩の為に席を立った。

 

 ここ最近は、先日提督に言われた通り人形たちをあまり表に出さないようにしているため、いつもより部屋は静かだ。常に2人から3人は部屋にいることが多いので、少し話をしたり、一緒に銃のメンテナンスをしたりとやることが尽きないが…ここまで静かなのは久しぶりすぎて寂しさまで感じる。

 

 

 

「…思えば、最初から誰かが傍にいたもんなぁ。」

『やけに落ち着かないと思えば、今度は何を言い出すのか。』

「辛辣だねM1887…。それで_____表に出てきたってことは何かあったの?」

『大ありよ。()()()()。』

 

 

 

 

 M1887の言葉に一瞬で気を引き締める。

 『蛇がいる』、この符号が示すのは_____誰かが(ウサギ)を狙って動いているということ。そしてもう一つ、他の人形たちが出ずに、わかりにくい形でM1887が警告に来たということは…。

 

 

 

 

ちょいと出かける(表で姿を)から上着を羽織って(隠すけど)出たほうがいいかな?(説明する余裕は?)

 

 

 

 

 独り言のようにつぶやいた言葉はブラフ、実際は動きで言いたいことを伝えている。PCに映る文字は「No One Escapes Death」という1文のみであり、私が確認したと判断された瞬間消えた。この英単語は危険度を示すものであり、意味は「人形でも対処が難しいほどに危険」というもの。今まで使われたことはなかったものだ。

 あまりに急な事で、正直考えが追い付いていない。雄英に入ってからは狙われることが少なくなっていたので油断していた。

 

 狙ってきている理由も、相手が誰なのかもわからない。情報が足りなさすぎるが、人形たちが動けないくらいには厄介。しかし外に出る為に外出届けを出す必要があるが、時間がかかってしまう以上ロスをしていられるほどの余裕もない。かといって隠れて動けば余計に目立ってしまうだろう。

 

 

 

 

「情報が足りない…くそっ、ここまで来てまだ狙ってくる輩がいるのか。」

『指揮官!手短に言うぞ、表に出たらすぐに裏手方向のゴミ捨て場に来てくれ、そこで拾う!』

 

 

 

 簡単に必要なものだけを持ち、いろいろと確認をしていた時にM16から話しかけられる。その指示に声は出さずに、肯定の意志を伝え部屋から出ようとした時だった。コンコン、とドアをノックされ声を掛けられる。だが、気配と足音の感じからしてクラスの誰かや相澤先生ではない。何より複数人いる。

 

 

 

「失礼。秀内奏さんはいますか?」

 

 

 

 聞こえてきたのは男の声。だが、とてつもなく嫌な気配が出ており…出てはいけない、反応してはいけないと本能的に思ってしまう。咄嗟にPC画面を見ればM1887が首を横に振って窓を指さしている。この部屋は2階、【装備】をすれば難なく飛び降りられる高さだ。

 

 

 

「部屋にいますよね?少々出てきてもらってもよろしいでしょうか?____開けなければ警察権限でマスターキーを使いますがよろしいですか?」

 

 

 

 反応がないために強硬手段に出ようとしている。先ほどの言葉からすれば、目の前にいるのは警察関係。しかし、こちらは何もやったわけではないし、ましてや人形達も出していないのでそっちが問題を起こしているわけでもないだろう。

 ガチャガチャと何かをいじる音がしている。少しでも時間を稼ぐために、虚言を吐いた。

 

 

 

「す、すみません…ちょっと今シャワーを浴びているのでもう少し待ってください!」

 

 

 

 そう言いながらシャワーのコックを開いて、なおかつその方向から声を出す。その言葉に若干たじろいだのか、扉の向こうで聞こえていたものをいじる音が聞こえなくなった。

 その隙に窓へと移動し、下と周囲を確認。___誰もいない、よし。

 

 

 

 

 

 

「【装備】、マカロフ。」

『隠密行動ね。集合場所も把握しているわ。少し身体を借りるけど、文句は言わないでね。』

「任せた。」

 

 

 

 

 タンッ、と窓から外へと飛び降り、音もなく着地する。それと同時に少々騒がしい音が聞こえてきたということは入れ違いで入ってきたのだろう。この時点で、相手は何が何でも私を捕らえる気だとわかる。

 稼いだ時間を無駄にしないように、すぐに指定されている場所へと走っていく。M16が指定してきた場所に行くとそこには______見たことのない黒い大型バイクが鎮座しており、その上にはヘルメットを被り、いつもと違うバイクに乗る時特有の革ジャケットなどを着こんでいるM16が待機していた。

 

 

 

「M16、いつの間にこんなものを?」

「詳しいことは走りながらだ。___これ被って乗れ、時間がない!」

 

 

 

 投げられたヘルメットを被り、M16の後ろに座る。できるだけ騒音を出さないように、しかし早く出られるように気を使ってアクセルを回されたバイクは、力強く道路を疾駆し始めた。

 

 

 

 

 

________________________

 

 

「ねえ、なんか下の方騒がしくない?」

「うん?…あ、ほんとだ。耳郎ちゃん、ちょっと詳しい音の解析してみてくれない?」

「いいよー。」

 

 

 

 

 部屋でトランプをしていた葉隠、芦戸、耳郎の3人は突然騒がしくなった下の階で何が起きているかを把握するために、一度トランプを中断した。

 耳郎が自らの個性でできた器官を床に挿し、集中して音を聞いている。防音対策がしっかりしているため、いくら耳郎といえども集中しなければ細かい音を聞き取るのは難しい。

 

 最初に聞こえてきたのは、ものを動かす音と複数の足音。続いて聞いたことのない男の声だった。

 

 

 

 

「なんだろう…男の人が複数いて、ものを動かしたり指示を出してるみたいだね。」

「上鳴とか峰田じゃないの?」

「ううん、大きい人かな、これ…まって、何か言ってる。」

 

 

 

 先ほどよりも集中して聞き取る耳郎。しかし、その顔は次第に驚いたものへと変わっていく。

 

 

 

 

「『容疑者が逃げた、至急応援を呼んで追跡をしろ』…えっ?」

「容疑者!?じゃあ今下にいるのって…警察ってこと?」

 

 

 

 

 耳郎の言葉に驚きを隠せない芦戸。そこで葉隠はある事に気づいた。

 

 

 

「…ねえ、この下って確かカナちゃんの部屋じゃなかった?」

「えっと…そう、だね。」

「じゃあ今聞こえてきた声が本当だったら…奏が何かしたってこと?」

 

 

 

 何が起きているか分からない、といった表情(1人はわからないが)で固まる3人。しかし、そこに追撃を仕掛けるように3人のスマホに同時にメールの着信が届いた。

 そこに書かれていたのは______事件を起こした生徒がいる為、全員寮から出ないこと。そして____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____秀内奏を見つけ次第、警察に身柄を引き渡すために連絡をするように、と書かれたものだった。




「ああ、もう自分からここに来れるようになったんだね。___それで、気分はどうだい?」

「最悪だよ…目が覚めればずっと声が聞こえるし…全部壊したくなる。」

「ははっ、そうかい。なら順調ってことだね。」

「言っておくが、『俺』はアンタに殺されかけたことを忘れてはいない。コレも、押し付けられただけのものだしな。」

「もちろん。でも、そのプレゼントは君にとって都合のいい物だろう?」

「都合のいい、ねぇ…。まあ、気に入らないあの女を直接×すのにはいいだろうな。コレもそれを望んでいるようだし。」

「君の持っているものを使えば、彼女を表舞台から切り離すのは簡単だろう?でっち上げた事件の容疑者にして、身柄を確保したらあとはご自由に。遺体の処理も検視結果も容易に偽装できる。」

「そうだね…今頃動いているだろうし、そう遠くないうちに何とでもなるだろうね。」

「そうか…なら、報告を楽しみにしているよ。」

「フンッ…どうせこの『夢』の中でしか話せない身なのに、ずいぶんと余裕なんだな______オール・フォー・ワン。」

「現実で何もできないんだから、このくらいいいだろう?それに…彼女には随分と邪魔をされたからね。暇つぶし程度にやるんじゃなくて、本気で潰しにかかればよかったと後悔したよ。」

「アンタがしたかったことは知らん。俺は俺のやりたいことをするだけだ。…じゃあな。」






「行ってしまったか。まあいい、夢の中くらいでしか仮面の下を出せない彼だからね。」


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光陰反転 

 時系列整理もだけどさぁ!!本編内時間進まなすぎぃ!!!これ時間的に…どのくらいなの???

 あと軽率にM16をバイクに乗せて鉄血仕様にしていく作者。描写…





 最近「星と翼のパラドクス」というアーケードゲームを始めました。めっちゃ楽しい。けどね…あれはなんというか…


弟「あんなの、羽のついたブラストよ!!!」(コマンドー吹替のセリフのように)
姉「だったら飛んで撃てばいいだろ!!」(コマンドー風に)


※ブラストとはボーダーブレイクに出てくる機体の総称です。ネフェリム最高。ティアダウナー許さない。



追記:活動報告にて今後の更新についてちらっと発言してます。単純に遅れるだけですはい。


「それで、どこまで把握できてる?」

「何も。ただまあ、ネットワークを監視していたM1887が「雄英の寮に対する情報が多く流れてる。あと周辺に一般車両に化けた警察関係の車両を確認しているわ。」っていう報告があったから監視網を敷いて通信を傍受していたら…強硬だよ。そのあとは今の通りさ。」

 

 

 

 4ストロークエンジンの振動と音を感じながらM16に状況を聞いていく。今走っているのは雄英や都市部から離れた郊外、平日は通る車両の少ない山道を走っている。どこに向かっているかは分からないが、恐らくは現実世界のほうに出てきていろいろとやっている人形たちの誰かが拠点としている場所に向かっているのだろう。

 木々に挟まれた山道ではあるが、連休などでは多くの車両が通るためそれなりの整備が施された道は目立った穴やヒビ、補修の跡などはほとんど見当たらない。こんな状況でなければツーリングやドライブを楽しむのにちょうどいい場所だろう。

 

 それにしても…事前に学校側に通さず直接乗り込み。入り口の守衛には緊急事態だ、とでもいえば後回しにして乗り込むくらいは容易にできるだろう。プロヒーローと警察では、権限としては警察が上であることに変わりはないから、ということもあるが。

 

 

 

 

「指揮官、通信のできる電子機器の類は?」

「持ってきてない。入り口で警察を名乗った時点で追跡の可能性があったから全部置いてきた。PCに関してはM1887が工場出荷状態にしたはずだから問題なし…といっても、あのPCには大した情報なんて無いと思うけど。入っていても暗号化しているし、解読してもそこからアナログな方法で読み解かないと意味ないし。」

「ならいいな。通信端末に関してはあとで45が持ってくる手はずになっている。あとはこのまま_____霧島組の所に走る。」

「分かった…それと、M16。」

「ああ…見えている。随分と早い段階で追っかけてきたようだな!」

 

 

 

 

 その言葉を皮切りに、グイっと体にかかる重力と風、そしてエンジンが吼える音。後ろに見えるのは…おおよそ、警察の物には見えないごく一般的な4輪普通自動車が逃がすまいと追従してきている。今走っている道は1本道のストレート、それがしばらく続いた後は急カーブが連続する下り坂と崖がある。狙い目は急カーブの連続する場所だ。

 ちらりと後ろを見れば、中にいるのは2人。助手席に座っている一人は窓から身を乗り出して何かをしようとしているのが見える。おそらくは…こちらの足を止めるために個性を使うか、あるいは______撃ってくるか。

 

 

 

「M16!」

「ああ、いつでもできる!」

「それじゃあ頼んだ____M16【反転(オルタナティブ)】!!」

 

 

 

 

 

 一瞬、体から力が抜けそうになるような感覚。しかし、それを気力でカバーし、態勢を動かさないようにしっかりとM16の腰にしがみつく。運転しているM16は私が出した許可と共に一瞬で姿を鉄血の物へと変え、流れる水のようにたなびく髪が白く染まっていく。

それと同時に後ろタイヤの右横で何かが爆ぜた。後ろから身を乗り出している1人の個性による攻撃だ。

 

 

 

「これで相手の目的がはっきりしたな。あっちは()()()()()()止める、でも目的はそうしようとして起きた事故による私の排除(殺害)だな。」

「だろうな。それで、こちらの方針はチェイスでの時間稼ぎと逃走…車両への被害は?」

「許容範囲、死なない程度に抑えてね。_____しばらく表に戻れなくても、流石に殺人は勘弁だから。」

「了解した_______振り落とされるなよ!」

 

 

 

 ブゥゥンッ、と一際大きく唸るエンジンと同時にかかる横荷重と一瞬の浮遊感、そして下から突き上げるような強い衝撃。M16はバイクを一瞬空中に浮かせ、180度回転させたあと____後ろにいた車と真正面から突っ込むように走りはじめた。焦げたタイヤのゴムの匂いとガソリンが燃える独特の匂い、そしてヘルメット越しに聞こえる風切り音を聞きながら振り落とされまいとしがみつく。幾ら他の人と比べて力があるからといって、流石にここまでやるのか。少し油断すれば今頃肉塊になっていてもおかしくない。

 

 ダンッ、ダンッ、と2発の銃声。それが聞こえたと同時に追って来た車とすれ違う。時速100kmを超える車とバイクがすれ違うのはほんの一瞬、その間にM16は弾をフロントガラスと天井部分の隙間、つまり境界部分に的確に命中させ_____車のフロントガラスは設計された通りに粉々に砕けていく。

 そのまま今まで走っていた道を戻るように疾駆しながら、M16はさらにバイクを加速させた。

 

 

 

 

「初弾命中、人的被害は…まあ、車がぶつかったことによる衝撃とかだろう。運が悪ければガラスが目に入っているかもしれないが。」

「十分。あとね…流石にアクション映画以上の事されるとは思わなかった。」

「だから言っただろう?振り落とされるなってな。」

「限度があるでしょう…。」

『指揮官、ご無事ですか!』

「一〇〇式、大丈夫、無事だよ。それで_____雄英の方はどうなってる?」

 

 

 

 少しふらつく視界を無視しつつ、通信を入れてきた一〇〇式に答える。…うっわマジで目が回る。しがみついてないといつ落ちてもおかしくないくらいだ。

 それからしばらくして、一〇〇式は気まずい感じで報告をしていく。声の調子からしても、相当悪い方向にあるとすぐにわかるくらいに。

 

 

 

 

『非常にまずいです。指揮官の私室は完全に捜査と言って立ち入り禁止、寮内にいる生徒も自室待機を命じられています。』

「やっぱりか…。くそっ、これだけのことをして来るのは初めてだ。」

『ですが…どうやら雄英側にも話は通っておらず、警察と校長が睨み合いをしています。雄英と関わりの深い部署や所属ではないようです。』

 

 

雄英と関わったことのない部署…?ふと、一〇〇式が推測で言った言葉が気になった。

 雄英にいるのはプロヒーロー。例え教師であるとしても、要請があれば現場へと赴き、敵の鎮圧・確保をする以上、それなりに警察と関わりがある。それこそ、捜査や逮捕を任される部門のほかに、治安維持のためのパトロールを担当する部署や、盗難などの物を扱う部署などだ。そこまで警察と深いはずのヒーローたちすらも睨みあいをするくらいに知らない、あるいは強硬を取った部署というのはいったいどこなのか。

 

 

 

 

『インターンで外に出ている生徒は例外、というよりまだ確認していないだけという可能性もありますが…ほとんどの雄英生に警察権限で配信された緊急メールもあります。詳細は…今M16に送りました、確認を。』

「…おいおい、今回暴れてるやつらはどれだけの権限でこんなことをしているんだ?」

「M16、詳細を。」

「ああ、生徒が一人事件を起こしたから部屋から出るなって言うのと____指揮官を見つけたら即刻警察に連絡しろ、というものだな。それこそ、不自然なくらいに無理矢理感の出ている文面だ。」

 

 

 

 M16が吐き捨てるように言う。確かに、権限がいくらあるとはいえ()()()()()()に対するやり方じゃない。それこそ_______私の個性の危険度を深く知っていないと、大仰すぎるくらいに。

 だとすれば、今回の相手は…私や提督と同じ境遇である人間、つまるところ「転生者」という可能性が浮上する。だが、なぜこちらを狙ってくる必要が?

 

 

 

 

 

「…駄目だ、情報が足りなさすぎる。推測も仮定もできないくらいに不足、それでいて相手は権力も装備もあるのに対してこちらは現実での備えが薄すぎる。一〇〇式はそのまま情報収集、ROとSOPを補助に付ける。」

『了解。…指揮官、くれぐれも、くれぐれも無茶はしないようにしてください。』

「大丈夫だって、死ぬのはごめんだし。それじゃあ、任せた。」

 

 

 

 

 不安そうに訴える一〇〇式の声に、問題ないとはっきり応える。今までにどれだけ心配をかけたか、自覚している部分もあるので尚更だ。

 

 

 

「さて、次の追手が来る前に少しでも行方をくらませるぞ。」

「分かった…でも事故るのは勘弁だよ?」

「運が悪ければ_____なっ!」

 

 

 

 

 

 M16が再びアクセルを回し、けたたましい音と共に速度を出す。

 それでも_____どれだけ風が吹きぬけていこうと、心の中にある不安感や疑問は消えることはなかった。

 

 

 

 

___________________________________

 

 

 ピピッ、という短い電子音が携帯に着信が来たことを知らせる。未だに起き切らぬ頭を無理矢理働かせ、画面に表示された文字を見る。そこに書かれているのは_____「初動失敗、対象確保ならず」の文字。

 予想はしていたが、思わず不満を吐き出し、舌打ちをする。それを聞く人間などいない為に、全く気にしてはいないが。

 

 カーテンを無造作に開き、そのまま入ってきた日光に思わず顔をしかめ、目を逸らす。その目線の先で床に散らばった書類にはPCで書きこまれた無機質で、機械的にキレイに並ぶ文字の横に手書きで追加された情報と推測が。壁に貼り付けられた地図には多くの丸印とバツ印、そして________大量に張られた戦術人形の写真があった。

 その写真を見た瞬間、ズキリと頭が痛む。同時に、早くあれを壊したい、とも。

 

 

 

 

「ああ…全く、全く不愉快だ。こんなものを押し付けられた挙句、反動で6年も寝て…こいつらを抑えるのがどれだけ大変な事か。」

 

 

 怨嗟とも思える声で、呻くようにつぶやく。それでも、少し頭を振って深呼吸をし…表向き用の顔を作る(偽る)。合わせたかのようなタイミングで携帯がもう一度着信を知らせる。今度は電話だった。

 

 

 

 

「お早うございます。___報告は受け取りました、これから本部に出るので特務3班を呼んでおいてください。…ええ、わかっています。これだけ大きいことをしている以上、長い間抑え込むのは難しいでしょう。ですが…犯人を、彼女をとらえることができれば何とかなります。そのためには_____」

 

 

 

 言葉を切り、相手に顔が見えないのをいいことに人前に決して見せることのできぬ笑顔で答える。

 あいつを捕まえ、自分の中にいるこいつらが望むままに殺す瞬間を思い浮かべながら。

 

 

 

 

 

 

 

「_______雄英の生徒を味方にする必要があるはずです。その役目は、僕が引き受けましょう。多少無理があっても何とかなるはずですから。」

 

 

 

 

 

 

 

 憎いあいつを殺すために。これは、その予行練習だ。




「…。」

「ホークス、何を見ている?」

「なぁ、この子って君の同級生じゃない?」

「…?…奏!?」

「やっぱりか。一つ聞くけどさ______」

「_____なっ。」

「ならいいよ。それで、答えは?」

「…。」

「まあ、いいけど。でも____あまり時間はないよ?」

「…あいつは、こんなことするわけがないだろう!」

「なら、それを証明しに行くよ。と、言ってももう動いているんだけど。」










早すぎるって言うのは、噂じゃないんだよ。


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狼煙は静かに上げられる

Q:遅かったな。
A:スランプ。





短編は行ける…けどこっちがなかなか進まなかったんや…!
AA-12をゲットして国際条約違反できなかったです。配給禿げたんや…

追記:ごめんなさい、活動報告にて重要なことを書きました。ご確認ください(7/10)


 通された客間は異様に広く、どことなく落ち着かない。元より、今自分が置かれている状況を考えれば当たり前かもしれないが。

 

 霧島組。関東の3割ほどを自分たちの縄張りとして「いた」組。

 少々前に404小隊の面々に消滅寸前まで陥れられたこの組は、今現在、組としての動きは一切しておらず、自警団のような働きをするようにして活動している。

 

 その大本である屋敷に客人待遇として入れられれば、関係者でない限りは落ち着かない…どころの騒ぎではないかもしれないが。

 

 

 

「直接お目にかかるのは初めてになりますな。霧島組組長、霧島焔と申します。以後、お見知りおきを。」

「こちらも部下がお世話になっています、秀内奏です。…事情も話せないのに、匿ってくださりありがとうございます。」

「構いません。…こちらも、足を洗おうにも手遅れになっていたところを無理矢理ですが、戻してもらえただけありがたい。その恩がある以上、此方もできる限りの事はお手伝いしましょう。」

 

 

 白地に赤い模様の袴を着た焔さんは、まさに組長と言えるだけの気迫がある。目の前で対峙しているだけで緊張してる。というか、404小隊の面々は知らない間にこの人たちをぼっこぼこにしてたのか…。M16がちょっとだけ同情の表情でこっちを見ていた。

 今後の行動をどうするかを話そうとしたその時、いきなり部屋の扉を開けて入ってきた組の人が、やけに焦った表情でやってきた。

 

 

 

「姉御、急ぎの知らせです!」

「…手短に。」

「死穢八斎會の下っ端が、街中で騒ぎを起こしています!」

 

 

 

______________________________

 

 

 

 

「…首を突っ込むべきではない、と言いたげだね。」

「当たり前だ。誰がどこで指揮官の事を狙っているか分からない上に…どちらも、警察からすればお尋ね者だからな。」

「知ってる。…けど、胸騒ぎがする。」

 

 

 

 焔さんと報告に来た組の人たちが出ていった直後の事。客間に残ってM16と話をしていた。けれども、あの人たちが出ていった直後から変に胸騒ぎがして落ち着かない。今すぐにでも追いかけていったほうがいい気がするくらいに。

 

 

 

「KSG。」

『お呼びですか?』

「装備一式を貸してほしい。それとは別でKSG自身も表に出てきて、そのまま護衛に。」

『【装備】とは別で、ですか。…分かりました、少し時間をいただきます。』

「指揮官?」

「…誰かが見てる。声を抑えて。」

「!」

 

 

 

 チリチリと変な感じがしている。しかし周りに気配はない。どこから感じるのかを、もう少し気を回してみると…ふと気になったのは部屋に置かれていたデスクトップのPCだった。

 電源は付いておらず、画面も本体のランプも光は灯っていない。だが、これから何かを感じる。何気なくそのPCに近づいた時だった。

 

 ジジッ、とノイズのような音がして、スピーカーから聞いたことのある声が聞こえてきた。

 

 

 

『へえ?もう気が付くんだ。()()()()()()()()()()()()()。』

「!!」

「指揮官下がれっ!!」

『ああ、今回は手出ししないから安心しなさい…まあ、他がどうなるかは知らないところだけども。』

 

 

 

 

 少し高めの声。だが、ありえない。この声は…!

 

 

 

 

 

侵入者(イントゥルーダー)…!」

『ご名答…正体がばれたところで、貴女にゲームの案内をしましょう。』

「指揮官、こいつの妄言など!」

『まあまあ、そう言わずにね、M16。_____ルールは簡単、私達鉄血を統率する人物を無力化するか、貴女が死ぬか。手段も期限も問わないデスマッチよ。』

 

 

 

 

 

 いきなり告げられたのは、命を懸けた勝負の話。だが、これで今追いかけてきている敵ははっきりした。何が目的か、それは私の命。どうやって殺すか、鉄血を率いてやってくる。

 後ろで控えたM16がギリ、と顔を歪めて自らの銃を握りしめる。

 

 

 

 

 

『ま、精々無駄に足掻いて死ぬといいわ。_________既に種は撒かれているから、足元をすくわれないように気を付けることね。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして、静かにデスゲームの開始が宣言された。

 

 

 




短い。ごめんね…最近ドルフロメインの創作指揮官の話のほうが進むんや…


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陰にいる者、壊れた人形

お久しぶりです。ドルフロ単体でいろいろ書いたりしててこっちをほったらかしていました。…メンタルブレイク案件もあったので致し方ないのですが。


そしてな!!!今回は!!!なんと!!!敵側しか出てこねえ!!!




久々の更新が敵側オンリーとかうっそだろお前



 一際強く風が吹く。肌を撫でる風は冷たく、切り裂くのではないかと思うくらいに乾いている。

 その風に揺さぶられ、靡く黒いマフラーは今にも飛ばされそうなくらいにバサバサと揺れる。

 

 

 町の中でも一段高いビルの屋上、そこにAUGは立っていた。

 

 

 

「…ついに、動き出しましたか。」

 

 

 

 開かれた瞳は下、人であふれかえった道路をぼんやりと見つめている。つぶやく言葉にはどこか緊張が感じられ、それを隠すように己の半身たる銃を強く握る。

 

 

 

 

 

 

「【処刑人】【狩人】【侵入者】…今動いているのはこの3体のみ。今なら、まだ。」

 

 

 

 

────私一人で、対処できる

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽▽

 

 

 

「見るからに不衛生だな。ここが拠点か?」

「ああ!いきなり本拠地連れてくかよ。面接会場ってとこ。」

「勘弁してくれよ…随分埃っぽいな…病気になりそうだ。」

「安心しろ、中にいる奴らはとっくに病気だ。」

 

 

 

 とある山中に存在する廃工場。寂れた入り口の鉄扉を開け、中へと入って行く2人のやり取りはあくまで事務的なものである。ガコッ、と滑らかではない、錆びた音を響かせながら扉を両手で開ける男。連れてこられたもう一人は心底嫌そうな雰囲気を隠そうともしない。

 開かれた扉の先には数名折おり、現れた人物に対して少々驚いているようだった。

 

 

 

「───大物とは…皮肉が効いているな、敵連合。」

「何!?大物って有名人!?」

「“先生”に写真を見せてもらったことがある…。」

 

 

 

 部屋の奥、数名立っている中で真ん中にいる顔に手の模型を付けた人物──死柄木弔がやってきた人物を見据えて話し始める。

 

 

 

「いわゆるスジ者さ…【死穢八斎會】、その若頭だ。」

 

 

 

 

 死穢八斎會。昔は山ほどあった裏組織を取り仕切る団体がヒーローの活躍によって激減、摘発と解体が進み時代を終えた後にも尻尾を掴ませず、生き残った「敵予備軍」。監視され、肩身の狭い思いをしながらも生きている極道と呼ばれる者たち。

 

 

 

 

「時代遅れの天然記念物、と言っても過言ではないね。」

「まァ、間違っちゃいない。」

「それで、細々ライフの極道君がなぜ敵連合に?あなたもオールマイトが引退してハイになっちゃったタイプ?」

 

 

 

 ペストマスクの下、死穢八斎會の若頭はため息とも取れる呼吸をした後に死柄木の方を見据え、見極めるように目を細める。

 

 

「いや、オールマイト(ヒーロー)よりもオール・フォー・ワンの消失が大きい。」

「…。」

「裏社会の全てを支配していたという闇の帝王…俺の世代じゃ都市伝説だった。」

 

 

 

 ほんの少し、どこか興味があると感じる口調になる若頭。なおも死柄木の表情は動かない。

 

 

「だが、老人たちは確信をもって畏れていた。死亡説が噂されても尚、な。それが今回、実体を現し…タルタロス(監獄)へとブチこまれた。」

 

 

 

 

 若頭は僅かに目を開く。その下に隠している獰猛な『何か』と共に。

 

 

「つまり今は、日向も日陰も支配者がいない。じゃあ次は、誰が支配者になるか。」

「……うちの“先生”が誰か知ってて言ってるんならそりゃ…挑発でもしているのか?」

 

 

 

 

 チリッ、と一瞬で部屋の中に殺気が満ちる。思わずその雰囲気に若頭以外の全員が身構える。だが、そんなことを意に介さないように、今この場にふさわしくない朗らかな声を出す人物が奥からやってきた。

 

 

 

「まぁまぁ!そんなことを言わずに穏便に行きましょうよ…若頭も詰まらない挑発しないでくださいよ。」

「…。」

「誰だ、お前は。」

 

 

 

 部屋の奥からやってきたのは一人の男。白いタキシードに白のシルクハット、その顔にはのっぺらな白い面を付けており、いかにも「怪しい」としか言いようのない姿。隙だらけのようだが、その立ち振る舞いに突け込む隙は無い。

 突然湧いたように出てきた不審者に、死柄木は若頭に向けていた視線をずらす。不審者の姿を確認した若頭は「面倒な奴が来た」と言わんばかりにさっきまで放っていた殺気を霧散させる。

 

 

 

 

 

「…後ろを付けてきたのか、【顔無し】(ノーフェイス)。」

「えぇ、まあ。こちらもやることは終わっていましたし、そちらの全身タイツ野郎に話しかけられた貴方を見て、穏便に事が済まなさそうに見えたので。」

 

 

 

 ケラケラと人をあざ笑う、神経を逆なでするような物言いに言いようのないイライラが募る。ノーフェイスと呼ばれた真っ白な人物は死柄木の方へと向き直り、大仰に両腕を広げて自己紹介をする。

 

 

 

 

「さてさて、初めまして。敵連合の首魁たる死柄木弔様、(わたくし)はノーフェイス、とある人物を殺したくてしょうがない道化師でございます。此度、招きもなくここへと来たことは謝罪しましょう!で・す・が…。」

 

 

 

 桁桁とした物言いを突然やめ、一気に静かになるノーフェイス。その不気味さに思わず、ぞっとする怖さを感じた。

 

 

 

 

「───お互い、利用価値あるうちに利用し合ったほうがいいでしょう?」

「…何が言いたい。」

「死穢八斎會は【覇権】を、あなた方は己の正義を、そして私は───」

 

 

 

 クツクツと、壊れた人形のような動きで笑いだすノーフェイス。先ほどの雰囲気と言い、今の不気味さと言い、こいつ自身が「壊れた人形」を感じさせる。

 そして、告げる言葉すらも壊れているかのように。

 

 

 

 

「『秀内奏』をこの手で殺すこと。…どうあがいても相手取るのは『ヒーロー』なのですから、お互い使い潰して生き残れば「勝ち」でしょう?ハイリスクハイリターン…乗りませんかね、お二人様?」

 

 

 

 

 壊れた人形が、動き出した。



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【鬼さんこちら】

 うへぁあ。ここまで長かった…

 という事で進めていきます!



 特異点を終わらせました。死ぬかと思った。M16強すぎるんだよてめぇ…!
 でもこれはまだ大陸版より弱めにされているという温情仕様。重装部隊いればもっと危なかった。



 それと、ハマっているアーケードゲーム(星と翼のパラドクス)をやりすぎて足首を痛めるという実績を解除しました。悲しいね…


 雨、と言うのは非常にうっとおしいことこの上ないのだが、今ばかりはとてもありがたいなーと思っている。

 はろー、現在いわれも無い罪状吹っ掛けられて逃走中の指揮官です。悲しきかな、正規軍に裏切られたクルーガー状態を強制的に味わってるよ〇ぁっきゅー。

 

 

『次のビル、右側から人が来てる。12秒待機した後一気に飛んで。』

「了解。」

 

 

 【侵入者】による宣戦布告とも挑発ともとれる通信の後、ここにいるのは危ないと判断したので顕現させてたM16と共に即撤退。今はいつの間にかポケットに突っ込まれていた小型インカム…に入っているらしい電子体のM1887のナビゲートをリアルタイムで受けながら逃走してる。

 …はっきり言って、何に追いかけられているかもわからないけど。

 

 

『3…2…まって、警察絡みの連中が来てる。そこから7歩後ろに。』

「っ、警察まで動き回ってるのか…!」

「どうやらそのようだな…指揮官、私が出て人目を引いておこうか?」

「………いや、このままいて。下手に動いてハイエンドが出てきたら、やられる。」

 

 

 一瞬、M16に出てもらえば見た目が似てるからワンチャン…と思ったけど、寮から脱走するときにもしかしたらみられている可能性も否めない以上離れるのは得策じゃない。何より、今は自由に人形を呼び出して周りを見てもらうことも、【装備】を使って直接戦うことも極力抑えないといけない…。畜生、ハードモード状態じゃねえか!?

 

 

「…面倒この上ない野郎が狙ってくるとはな。おまけにこっちは個性も碌に使えない状況、相手は鉄血と警察のどっか暴走してる部署、雄英は今の所中立だけど姿を出せばどうなるか分からない…。」

「四面楚歌、といったところか。」

『ねえ、貴方っていつもこんな感じで追われているの?』

「ん?ああ、そっか。M1887は最近来たから知らないのか。まぁ、普段はここまでじゃないけど…それなりに、ね。面倒な輩をちょーっと成敗したら一気に飛び火して、なんだかんだで13年近くは目を付けられてるかも。」

『本当に何してるのよ。』

「お前のツッコミはごもっともだ、新人。」

「M16?」

「事実だから文句は言わせないぞ、指揮官。」

 

 

 

 確かに事実ですすみませんでした。でも一番悪いのは自分の悪運だと思ってる。なんで幼稚園に拉致誘拐犯が攻め込んでくるんだよ。

 しっかし、流石に雨に長い間当たっていると体が冷えてしょうがない。幾ら他の人より鍛えているから、と言っても限界というのももちろんある。それに、男ならともかく女なら余計に体は冷えやすいだろうからなぁ…。

 

 

 

『────前方250m二時の方向!!!!!』

「っ!!!」

 

 

 耳元で聞こえた注意の声にほぼ反射で反応し、すぐ近くの路地裏へと身を隠す。それと同時に、先ほどまでいた場所の後方、建物の壁が砕けてはじけ飛んだ。銃声らしき音は無し、見える範囲でそれっぽい動きをしている奴も見えない。クソッ、こんなに早く攻撃を仕掛けられるのは予想外だった!!

 

 

 

『そのまま路地裏を走って!!85m先を左に、大型用水路があるからそこに一段降りて北に!』

「っ、M16は!?」

「大丈夫だ!指揮官は先に行け、誰だか分からないがそれっぽい奴の前で妨害をする!」

「───っ、やられるなよ!重傷になった場合は即時撤退すること!」

「了解だ、任せておけ!」

 

 

 

 …すまない、M16。後ろは任せた!

 

 

 

 

 

 耳元で急かしてくるM1887の声を聞きながら、じわじわと迫ってくる焦りと不安に対して目を背けるようにして路地裏を走り抜けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽▽▽

 

 

 

「…ああ、随分と懐かしい気配がしたと思えば。お前が傍にいたのか、M16A1。」

「───【狩人】(ハンター)…!」

「一般人に当てないようにして撃て、という命令が無ければ炙り出していたんだがな。」

 

 

 

 降りしきる雨の中、M16とハンターが対峙する。M16は殺気を、ハンターは何も感じさせない不気味な気配を出していた。

 ハンターの右手には、本来自分の扱うハンドガンではなく、簡単な狙撃に対応できるアサルトライフルを持っていた。

 

 周りには一般人もいる以上、下手に自分の武器を出すわけにはいかないと思っていたM16だったが、そこで違和感を覚えた。

 

 

 

「………人が、消えた?」

「ふん、あいつが手を回したか…まあいい、これで邪魔は入らない。M16A1、お前は変えの利かないワンオフだったがここでも同じかな?」

「──知れたことをっっっ!!!」

 

 

 

 人がいないのならば問題ない、そう判断したM16は己の銃を取り出してハンターへと向け発砲した。ダンッ、ダンッと正確な射撃を行うがハンターはその場で姿勢を低くして第一射を躱す。

 そのままM16の方へと走るハンター。己の間合いで圧中距離へと詰めるためだ。すかさずM16はフラッシュバンを腰から自分の前へと投げ込み、それと同時に身を翻す。

 

 瞬間、フラッシュバンは強力な光と音を巻き散らし一瞬で視覚と聴覚が奪われる────そう、普通の人間であれば。

 相手はハイエンドモデル、そういった妨害に対しても対策は取られている。ハンターは多少面喰いはしたがすぐに対応し、M16へとフルオートで撃ち返す。戦術人形が持っているようなちゃちなものではなく、最早持つのが人間ではないものとして想定された武器…反動がとてつもない代わりに火力を得た「本来なら存在しない銃」を巻き散らすようにして撃ってくる。

 

 

「っぐう…!」

「まずは一発。…AR-15にやられ、404共にもやられたのだ。もう油断なんてしない。」

「っは、そこは慢心してほしいところだがな…!」

「ぬかせ。」

 

 

 ズガガガガッ、とM16が一時的に隠れた建物の壁をハンターの持っているアサルトライフルが食い散らかしていく。コンクリートで作られた壁をあっという間に削っていくほどの威力、例え掠っただけでも致命傷になりかねない。

 だが、M16は引けない。ここで引けば、指揮官である奏に狙いが向けられ、最悪の場合死んでしまうだろう。今M16ができるのは、奏が他の人形と合流するまでの時間を稼ぐこと。…ここで、自分がやられることになったとしても。

 

 

 

「5つ数えてやる。その間に出てくれば一撃で沈めてやる。それまでに出てこない場合は───」

「出ていくと思うか?2回も負けた、駄犬の癖に。」

「───気が変わった、お前は今ここで苦しみながら死に絶えさせてやる!!」

 

 

 

 M16の挑発にハンターが乗る。本来ならば乗るに値しない挑発、しかし今はハンターとM16の1対1の状況。それ故に、ハンターは問題ないと判断し一気にM16のいる建物の影へと飛び込んでいく。

 だが、ここまでの負けの経験が警鐘を鳴らす。何かがおかしい、と。

 

 普通、ハイエンドモデルにフラッシュバンの類が効かないことは当の昔に思い知っているはず。だというのに、M16は使ってきた。聴覚も視覚も奪えない、おまけに自分たちには効果があるのでこんな近距離での撃ち合いで使えば、最悪の場合自滅する。

 今は雨も降っており、視界も良好と言えない。その代わり、降っている雨…つまり水が光を反射して眩しくなりやすい、と言うのはあるが。

 

 

「(…まて、反射光?)」

「────これで、3回目だな。」

 

 

 建物の影、M16がいるべき場所に見えたのは───M16と()()()()()()()()()()()()姿()の2つ。先ほどの無差別射撃が掠ったM16はところどころに損傷がある。だが、その真横の人形は別だ。

 白く長い髪、どこか喪服とも受け取れる黒いレースの付いた衣装、そして目印ともいえる頭部についた白い花。

 

 

「────バカは死んでも治らない、と言いますが…貴方はまさしくそうでしょうね。」

「っっっっ貴様あああああああああああ!!!!!」

「さようなら、偽物の狩人。」

 

 

 

 

 

 ────戦術人形、AUGがハンターの頭部と心臓部を狙い違わず撃ち抜いた。

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽▽

 

 

 

『ハンター脱落。重要な部分を2か所も抜かれたから再出撃まで3週間は必要よ。』

「…チッ、使えないやつだ。逃げたウサギはどこへ行った?」

『指定ポイントに誘導中。…面白いくらいに予定通りに動いているわ。』

「ならいい、仕留めろ。」

『了解。万が一、逃げられたら?』

 

 

 

 カタカタとPSのキーボードを叩きながら、【侵入者】の声に耳を傾け、失敗した際のプランを考える。

 なるべく表に出さず、言い訳のしやすい状況に仕立て上げれる様に。

 

 

 

「───その時は、()()()で殺してやればいい。」

『了解よ。』

 

 

 

 【侵入者】が消える。一人暗い部屋の中、()()()()()()は何も映さない仄暗い瞳でPCの画面に表示されている情報を眺めている。

 

 開いているタブは2つ。一つは雄英のとある教室らしき映像、もう一つは画質の悪い…誰かの視点に限りなく近い一人称視点。一人称視点の方は絶えず揺れて移動している。ザリザリと耳障りなノイズは風を切る音か、荒れている呼吸の音か、それともただ電波が悪い故のものなのか。

 だが、突然その視点の映像が止まった。代わりに、目の前には人影らしきものがしっかりと見えている。

 

 

 

「…ここで死んでくれ、俺の反対側に立つ指揮官(邪魔者)さんよ。」

 

 

 

 

 

 

 窓から一瞬、雷の光が届き、音が響いた。




 この作品でコラボ書きたい、って人がいるのですがまって、難しくないですか???かける???大丈夫???こっちは大歓迎だけど大丈夫???


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追われたウサギ

ひっさびさすぎる件。アークナイツに浮気して理性とかしてました


 雨が地面を叩きつける音と匂いがする。だが、それよりも目の前にいるアイツをどうするか、そのことばかりが脳内を支配する。

 

 

「よぉ。ハンターを撒いたみたいだが俺がこっちにいるって予想できたか?優秀な指揮官サマよ。」

「…っ、エクスキューショナー…!」

「ッハ!そう睨むなよ。まだお前に奇襲をかけてないだけ温情をかけているんだからよ。少しくらい話でもしようぜ。」

 

 

 身の程ある黒い大剣を肩に掛け、随分と楽しそうに話しかけてくる。だが、私を刺すような殺気が伝わってくるあたり、逃すつもりは毛頭ないらしい。

 降っている雨が頬を伝って地面へと落ちていくが、緊張で汗もきっと出ているだろう。当たり前だ。人間なんて敵いもしない人形、その中でも馬鹿げた出力と身体能力、そして演算機能を持った化け物みたいな奴を目の前にしているんだ。オールマイトかエンデヴァーで対処できるとかそんな感じだ。相性が悪ければ一方的だろうけど。

 

 そんな奴を目の前にして余裕なんてかけるか。それどころか、自分の強みである戦術人形を呼べない状況。呼べても時間制限をかけないと私がダウンする。何より、いわれもない罪状をふっかけられている今、下手に騒いで人がくれば困る。

 ならどうするか、そんなの決まっている。

 

 

「生憎、私は話をしている余裕なんて無いんでね…。」

「自慢の人形はどうした?散々けしかけて来たのに、今は出せねえのか?」

「…。」

 

 一歩後退りする。逃げ場は少ないが、その中で確率の高い退路を探す。障害物、直線、視線、人の目。その全てを考えた上で目の前の【処刑人】から逃げるしかない。

 ずっと心臓を掴まれたような嫌な予感と息苦しさが体をその場に縫い付ける。それを意地だけで無理やり動かしている。ここまで明確な死を感じたのは、一体いつ以来だろうか。いや、後にも先にもあの時だけ。初めて人形をこの身に宿した、あの市街地以来。

 

 

「…つまんねえな。久々にクソッタレなグリフィンの人形を斬れると思ったんだがな。───じゃあ死んじまえ。」

「っっっ!!!」

 

 

 ほぼ勘で真横に飛ぶ。瞬間、突風みたいな風がすぐ横を飛んで行った。それは地面を抉り、アスファルトを斬り裂いた。あそこに立っていれば今頃真っ二つになって、地面に赤い華を咲かせていただろう。

 それを理解した瞬間、全身に薄寒いものを感じ、足が竦んだ。逃げろという理性と本能的な恐怖が鬩ぎ合って気持ち悪い。だが、ここで止まっているわけにはいかない。アイツはまだ剣を構えている。逃げろ、逃げろ…!

 

 

「そぉら!!逃げて見せろ!指揮官サマよぉ!!」

「っは、はっ…!」

 

 

 アイツはまだ遊んでいる。こうして避けるので精一杯な私で斬撃だけで殺そうとして、それを楽しんでいる。

 削り飛ばされたアスファルトの破片が顔を擦過し、血が垂れる。それを上書きするように雨が体を打ち、そのまま体温も奪っていく。

 

 

「(呼べる人形で、負担が少ない…それでいてアイツとタイマンできるのは…!)」

「考え事か?それとも限界か?動きが鈍いじゃねえか!!」

「うっ、さい…!っは…っはぁ…はっ…。」

 

 

 一瞬、視界がブレて体から力が抜ける。呼吸は乱れて、思考すらままならない。心臓が早鐘を打ち、その音すらうざったいとすら思えてくる。いつの間にか耳に付けていた通信機も落ちたか、あるいは壊れたのか、何も聞こえない。

 まだ致命的なダメージを受けていないのは幸運。それでもコンディションは最悪だから、いつ死んでもおかしくない。

 人形を呼べば早い、が今の状態で呼べば恐らく倒れる。最悪、昏睡に陥る可能性だってある。それは冤罪をかけられている今はよろしくない

 恐らく、冤罪をかけているのはコイツらを従えている誰か。それをなんとかしない限りは倒れるわけにいかない。

 

 

「…はぁ、もう少し楽しみたかったんだがな。どうもトップはそうじゃないらしい。遊んでないで殺せと来た。」

 

 

 ガシャリと重厚な鋼の音が嫌なくらいに響いて聞こえた。エクスキューショナーは大剣を上段大振りに構えて、ブレードを鈍く赤い色に染めていく。さっきまでの斬撃は遊び、次に来るのは本気の──ゲームでも散々見た、あの赤くてデカい一撃。

 生身で食らえばまず生き残れない。避けても、おそらく余波で無事には済まない。それ以前に弄ばれたこっちは限界がきている。どうする、賭けて呼ぶか、纏うか──

 

 

 

「悪いな。恨むなら遊ぶなと言って来たトップのクソ野郎を恨んでくれ。」

 

 

 

 ──とても詰まらなそうに、随分と冷めた顔と声で【処刑人】は大剣を振り下ろした。

 

 

 

▼▼▼

 

 

「…ここも外れ。次行くよ。」

 

 

 追いかける背中は止まるということを知らないのか、と言わんばかりに羽ばたいて次へ次へと飛んでいく。追いかける側にしてみれば、とてもじゃないが辛い。主に体力が。

 それに、何を探して動き回っているのかすら分からない。目の前にいるヒーローは教えてくれない。時折行った先々で【敵】の類が悪行をしているので、そういった時は指示に従う。インターンで赴く学生にはそれが限度だ。

 

 プロヒーロー、ホークス。ここ最近有名になって来た翼の実力者。常闇はその下でインターンを受け、そして今、ホークスが何かを探しているのを追いかけている。

 常闇からすれば追いかけるので精一杯。手伝おうにも何を探しているかすら分からないのだから手伝いようがない。

 

 何より、探している場所が余りにもちぐはぐなのだ。

 PCを探ったと思えば次は壁にあるスイッチを。別の場所では数多あるPCには一切触れず、それどころかコンセント付近を。そして今は空き家の屋根、そこにあるテレビ用のアンテナを見て「外れ」と言った。

 本当に何を探しているのか分からないのだ。

 

 

「…ホークスは一体、何を探している…?」

 

 

 段々と小さくなるホークスの背中を必死に追いかけつつ、常闇は小さく呟いた。

 だが、理由を考えていたその時、唐突に巨大な爆発音のようなものが聞こえて来た。同時に、追いかけていたホークスが急旋回。爆発音がした方向へと飛んで行った。 

 すかさず常闇も追いかける。だが、天気は荒れており、時折雷が聞こえるほどの雨。全力で追いかけて、それでもホークスよりその場所にたどり着くのが遅くなった。

 

 そして、降りた場所で見た光景に言葉を失った。

 

 

「…!?」

「…先手を越されたか?それにこの破壊痕と血の跡は…。」

 

 

 

 

──そこにあったのは、粘土のようにズタズタに切り裂かれて壊れたアスファルトの残骸と大量の血痕。そして…見慣れた、幼馴染の眼帯が落ちていた。

 



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電子の隅に煌めく欠片

お久しぶりです。アークナイツに盛大な浮気をして、挙句の果てに本を出そうとしてます。
対に異性体の告知が来て来週に迫る中、私の財布は危機契約をしています…!そう!skebを依頼しすぎて余裕がないのである!!!!お前これでさらにコドモスキン404来るとか正気かよ

副官をKSGとMG4で並べて臨時指令室に並べるとめちゃめちゃあってて「あっシュキい…」ってなります。私は顔のいい女に弱いので




最初の方、スレ形式になっております故、苦手な方はしたまで飛ばしてください


【これってもしや】ヴィランだと思って外見たら爆破した件【やばい奴】

 

 

1:名無しのヒーロー

このスレは「先日発生したガス管爆発騒ぎ」について語るスレです。

その光景を見た、動画または画像を取った、直接見た人から話を聞いたなど、ともかく爆発騒ぎとされている【例の件】についての情報提供をお願いします。

電子機器に強い奴、ヒーロー、ヴィラン関わらず情報提供願う。

 

2:名無しのヒーロー

立て乙

 

3:名無しのヒーロー

おつ

 

4:名無しのヒーロー

爆発騒ぎってあれだろ?川沿いの

 

5:名無しのヒーロー

ガス管爆発って言ってるけど完全に痕跡が爆発じゃないんだよなぁ…

 

6:名無しのヒーロー

でも警察と専門家はガス管爆発って言ってるし、ガス会社も会見開いたやん

 

7:名無しのヒーロー

これがグルだったらおっそろしいわ

 

8:名無しのヒーロー

でもなぁ、前例があるから何も言えないよな

 

9:名無しのヒーロー

誘拐騒ぎか

 

10:名無しのヒーロー

あれは衝撃的すぎたわ。それ以来だっけ?雄英で寮生活になったのって

 

11:名無しのヒーロー

あれは隠してたというよりマスコミ対策って面が大きそうだけど

 

12:名無しのヒーロー

あれでマスコミいれば絶対被害があそこだけで済まなかったでしょ。オール・フォー・ワンとかいうラスボスとの死闘

 

13:名無しのヒーロー

そうそう。

と言うか話それてきてるじゃねーか

 

14:名無しのヒーロー

ガス管騒ぎ、爆発で周囲のカメラ全滅って言われてるけどよ…あり得ねえんだよそれ

 

15:名無しのヒーロー

どういうこと?爆発の衝撃でやられるっしょ?

 

16:名無しのヒーロー

衝撃が来るまでの速度ってのがってな…

 

17:名無しのヒーロー

光よりも早く!が売りのヒーローがいたけど、まあ

 

18:名無しのヒーロー

止めろって。可哀相だろうが

 

19:名無しのヒーロー

金獅子が一撃で殴り飛ばした事件はやめろって

 

20:名無しのヒーロー

その時丁度300mくらい離れた河川敷で実験やってたんだけどさ、急に電子機器が反応返さなくなったんだよ。その直後位かな、めっちゃでっかい爆発音したの

 

21:名無しのヒーロー

おいいきなり情報投下されたぞ

 

22:名無しのヒーロー

>20 コテ付けて詳細クレメンス

 

23:戦闘妖精

実験はラジコンにつけた小っちゃいジェットの稼働テストだったのでコテはこれで

 

河川敷に4人配置して周辺の人に被害が及ばないようにしながら飛ばしてた。最初はちゃんとジェットが動いて何ともなかったんだけど、ジェットの中に入れてる薬品の貯蔵量とかが6割切ったタイミングで制御が急に利かなくなった。

一応薬品が3割になるまでちゃんと動くのは散々試したから、本体の故障かなーと思ったけど、自立飛行が働いてたから通信不良と判断。

おっかけて落ちてもキャッチできるようにしてた

 

ちょっと書き溜めるから時間貰う

 

24:名無しのヒーロー

薬品で飛ばすジェットとは??????

 

25:名無しのヒーロー

??????????

 

26:名無しのヒーロー

それはジェットではなくロケットとかの類では?

 

27:名無しのヒーロー

自立飛行とか…グライダーかな???

 

28:戦闘妖精

続き

 

GPSも付けてたから手元で座標確認してたら、急に全部消えた。文字通り電気系統全部。

そんでもって自立で飛んでたラジコンも急転直下からの墜落未遂。一応キャッチできたから問題ないし、薬品の保守性も確認できた。

急に電気系全部切れたから何事、と思ったら持ってたスマホもうんともすんとも言わなくなってた。

 

全員で悲鳴上げてたらボカン、よ

 

29:名無しのヒーロー

太陽フレアの磁気嵐かと思ったけど違うなそれ

 

30:名無しのヒーロー

大体の時間は分かる?

 

31:戦闘妖精

>30 時計もご臨終。ただ全員そろってデジタル時計だからアナログはどうか分かんない

飛行距離で計算すると電子機器が狂い始めたのは爆発の3分くらい前かな

 

あ、あと爆発の後スマホは復活したけど他は死んでた

 

32:名無しのヒーロー

何でスマホだけ生き返ったんだよ…

 

33:名無しのヒーロー

ほんそれ

 

34:戦闘妖精

んにゃぴ…わかんにゃい

まあ俺からは以上っだ

 

35:名無しのヒーロー

謎のっ

 

36:名無しのヒーロー

にゅうりょくみすだきにしないでくれ

 

37:名無しのヒーロー

落ち着け。ただの入浴ミスだろう

 

38:名無しのヒーロー

おい

 

39:名無しのヒーロー

おい

 

40:名無しのヒーロー

ああああああああ!!!

 

41:名無しのヒーロー

このスレ立てたイッチはいずこへ?

 

42:名無しのヒーロー

雑談目的じゃないだろし

 

43:1

戦闘妖精に感謝。俺が見たのは幻覚じゃなかった…

 

44:名無しのヒーロー

噂をすればイッチ

 

45:名無しのヒーロー

イッチ、幻覚ってなんやねん

 

46:1

ちょっと待ってくれ、今引っ張り出してくる

あともう一つ、この中で暗号化通信に詳しい奴はいるか?

 

47:名無しのヒーロー

 

48:名無しのヒーロー

暗号化通信とかドラマとアニメとゲームでしか聞かないよ…

 

49:名無しのヒーロー

いるし

 

50:名無しのヒーロー

せかいせっっま

 

51:1

コテくれ

 

52:反逆者

これでいいか?

 

53:名無しのヒーロー

無駄にコテかっこいいの草

 

54:名無しのヒーロー

ヴィランかよ。通報するか???

 

55:反逆者

無理だな。私を追いかけたところで何もないし、そもそもヴィランじゃない。

どちらかと言うと迷子だ

 

56:名無しのヒーロー

迷子wwww

 

57:名無しのヒーロー

なんで迷子がここにいるんだよwww

 

58:名無しのヒーロー

大人しく交番いって、どうぞ

 

59:1

なら試しのテストだ。これを15分以内に開いて書いてる文字列を

【壊れた暗号化通信の圧縮データファイル】

 

60:名無しのヒーロー

15分?

 

61:名無しのヒーロー

うわなんだこれ!?文字化けと馬鹿みたいにでっかいクソデータの塊じゃねーか!?

 

62:名無しのヒーロー

プログラミング弱者ワカンニャイ…

 

63:名無しのヒーロー

>62 ざっくり言うとノートに意味のない文字を大量に書いて10冊くらい縛ってぶん投げてきた上で「ここに隠したラブレターを探してね♡」って言う案件

 

64:名無しのヒーロー

ざっくりしすぎて笑う

 

65:名無しのヒーロー

でもまさしくその通りなんだよなぁ

 

66:反逆者

眼帯娘は素晴らしい

 

67:名無しのヒーロー

ふぁっ!?

 

68:名無しのヒーロー

急になんだ反逆者

 

69:1

…驚いた、流石に7分は早い。と言うか無理だと思ってたんだが

 

70:名無しのヒーロー

ふぁーーーーーwwwwww

 

71:名無しのヒーロー

反逆者、マジ反逆者じゃねーか!!

 

72:名無しのヒーロー

※ただし迷子

 

73:名無しのヒーロー

そう言えば迷子だったwwww

 

74:名無しのヒーロー

迷子がここにいていいのか(困惑

 

75:1

本題のデータはここに投げておく。先ほどと同じ解読方法と修復で行ける

【壊れたデータファイル】

 

 

76:反逆者

…何だこれは?

 

77:名無しのヒーロー

えっもう開いたのかコイツ?

 

78:名無しのヒーロー

イッチが出して1分経ってないんだけど

 

79:名無しのヒーロー

迷子じゃなくてハイスペック迷子か…

 

80:名無しのヒーロー

掲示板に迷い込んだハイスペック残念反逆者

 

81:名無しのヒーロー

反逆できてない

 

82:1

見れてない面々に説明する

・爆発した現場付近の住民オレ

・熱出して寝てた。ちょうど喉乾いてトイレ行きたかったので起きてたタイミング

・ソシャゲのログインしてたら爆発した

・仕事柄の関係で咄嗟にカメラ起動して現場に向ける

・録画は成功したけどデータが見れない

・この目で見てたのがちょっと信じられない案件で、確認の為に同志を探していた

・暗号化したのはことごとく修復してアップした傍から消されてるから

 

83:名無しのヒーロー

情報大杉

 

84:名無しのヒーロー

何見たんやイッチ

 

85:名無しのヒーロー

アップしても即座に消える?それマジかよ…

 

86:反逆者

一つ聞きたい。この後左の方はどうなったんだ?

 

87:1

分からん。急に煙幕みたいに白い煙でいっぱいになったからな

ついでに言うと10分後にはホークと新人(?)っぽいヒーローが来たぞ

 

ただまあ、何も残ってないってことは引いただろうな

 

88:名無しのヒーロー

ほーく!(ガタッ

 

89:名無しのヒーロー

座れ

 

90:名無しのヒーロー

ステイ

 

91:名無しのヒーロー

お縄につけ

 

92:名無しのヒーロー

>91 お縄はなんでや!!!

 

93:名無しのヒーロー

引いた?ってことは人いたんか

 

94:名無しのヒーロー

やっぱ爆発じゃねーじゃねーか!!

 

95:縺九s縺励☆繧九b縺ョ

縺翫∪縺医◆縺。縺ッ繧医¢縺?↑繧ゅ?繧偵∩縺溘↑?

 

96:名無しのヒーロー

なんだ?

 

97:名無しのヒーロー

えっ急なホラー

 

98:名無しのヒーロー

荒しか?

 

99:謖?尚閠?r螳医k繧ゅ?

縺薙l莉・荳企未繧上k縺ョ縺ェ繧牙ョケ襍ヲ縺ッ縺励↑縺

 

100:名無しのヒーロー

ちょっとまてかいどくもなにもあったもんじゃな

 

101:縺ヲ繧偵□縺吶↑

縺薙l縺?§繧?≧縺輔$繧九?縺ェ繧峨?

 

102:萓九∴辟。霎懊?豌代〒繧

蠖シ螂ウ縺ョ縺溘a縺ォ谿コ縺

 

 

 

 

 

【このスレッドは管理者によって削除されました】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ここに、12が追いかけてきた人間がいたのか。」

 

 

 目の前に広がるのは砕けたアスファルトと、その下から溢れる水道の水。そしてニュースで見た通り未だに直されていないガス管に残っているガスの僅かな匂い。

 この場所で起きたのが爆発ではなく、自分が見て、相対し、戦った奴によって引き起こされた戦闘の余波であるというのはすぐにわかった。

 

 すでに降りしきった雨によって流れ出た血なとは流されてしまったようだが、追われているであろう人物のことを思えばそれは不幸中の幸いであるともいえるだろう。

 先ほどまで見ていたサイトは何者かによって削除され、今頃はアクセスしていた人間の電子機器にまで侵入して、その痕跡を消しているはずだ。この件に関わっているものが予想通りであればの話だが。

 そしてもう一つ、先ほどまで見ていたサイトに何者かが不正アクセスをしていたのも文字通り「感じ取っていた」。それもただの不正アクセスではない、もっと入り組み、存在しない何かの物。つまりは、今ここにいる自分と同じようでありながら敵対しているもの。

 

 

 

「今はここまでが限界だ。ともかく、12と合流することが最優先事項とするしかないだろうな…。」

 

 

 僅かに聴覚センサーに引っ掛かる風切り音がする。おそらくは現場検証の為にもう一度来た第一発見者であるホークとかいうヒーローだろう。今ここで不用意に姿を見られるのはまずい。そう判断を下し、すぐにその場を離れていく。

 風に揺らされた白銀色の長い髪がふわりと後ろに流れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽▽

 

 あつい。さむい。いたい。くるしい。きもちわるい。

 ぐるぐるとして立っているのか座っているのか、それとも寝ているのかすら分からないくらいに感覚が死んでいる。それでも僅かばかりに残った根気でまともな意識をかき集め、何が起きたのかを思い出す。

 ズキズキと頭が痛くて何かを考えることすら億劫になってしょうがない。しかし、これからのために思い出そうと努力する。

 

「う、ぐぅ、っ。」

「───うわっちょっ!?動かないで!!アンタ肩からバッサリ【処刑人】に斬られて瀕死の重体なんだから!!」

「言っても聞こえていないと思うぞ…とりあえず鎮静剤だ。これで、少しばかりの時間稼ぎができれば上々だろうがな。」

 

 

 聞き慣れない明るい声と、とても頼りになる医者の声。そして痛みで麻痺した体に何かが当てられる感覚。

 そのまま浮き上がりかけた意識は、引きずり込まれるように再び眠りへとついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…それで、自己紹介がまだだが、お前もこいつの人形であっているのか?」

「合ってるよ。初めましてオイシャサマ。───あたしの名前はP90…この指揮官が自分の記憶を頼りに細い縁を引きこんで引っ張り出してきた、ある意味【誰も知らない】人形だよ。」

 






出したくなっちゃった☆
危機契約等級18行ったので満足。叫んだよね。
めいどMODを4体準備したのでランキング行けるはず。MG4の装備は絶対にもぎ取る。今度は5%目指したい。(前回8%)


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