チラシの裏の日記 (とうや)
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これまでの歩み@β版

端的なプレイ中の行動記録覚え書きです。
本編に含めていない箇所もあります。


beta参加1日目

Vault76のなかをうろつきあれこれ見てみる。

端末にミニゲームがあったけど、プレイ時間の都合でスルー。

チュートリアル的なアイテム回収をしてVaultの外へ。

 

外に出たらリベレイター(恐らく中国製ロボ)に弱いレーザー攻撃されるも殴り壊す。

殲滅後に初めて周囲に死体があることに気付いてマチェットや手斧を入手。

 

周囲にプレイヤー今したがスルーして散策。

 

リベレイターうざい(^q^)

 

その後初スコーチ遭遇。

最初はプレイヤーと勘違いして良い銃撃食らいました。

「これでお前も家族だ」とファミパン親父のごとく殴り殺す。

 

レスポンダーのクラフトチュートリアル、水と食料編を受けてこの日は終了。

 

Beta参加2日目

退治のイベントに参加しつつ町中を散策。

監督官の足跡を辿ったり寄り道したりで監督官の実家までいく。

最後はC.A.M.Pで休憩小屋(一面だけ壁解放)を建てて横になって終了。

 

Beta参加3日目

監督官の足跡を引き続き追うかと思ったけど、補給物資の申請をしてみることにしてスーパーミュータントとマシンガンタレットの前に敗北(死亡)。

タレットが痛すぎる。

 

何度かやり直して申請成功、うっかり何が手に入ったか忘れてしまうけど、あとでインベントリ見ても大したものはなかった。

 

世界の頂上からの放送を聞いたのでそっちに向かうことに。

 

途中でスキーグッズ店でスキーウェアとか入手。

端末に残されたログに世紀末感を感じさせられながら岩肌沿いに目的地を目指すとそこには……多数の凶悪な軍用ロボ軍団が!

勝てる筈もないのでサクッと逃げながら目的地を目指してさらに移動。

目的地に道路から大幅に外れたルートで侵入。

後で知りましたが正面から行くとスコーチの群れと戦闘になるのだけど、それに気づかず進んでスルーしていた模様。

ここで初めてVault76関係者以外の生存者(の放送)と遭遇するのですが、その生存者はより遠くに放送がしたいそうでシグナルリピーターを持ってこいと指示を出す。

なお、この時この話を全く聞かずに同じ話を聞かされたであろう監督官のログを聞いてました。

監督官、どんなペースで移動してるんでしょうね。

自分はこの時点でLv9でしたのでかなり苦労してえっちらおっちら来ていたのですが…。

 

この近辺は先ほど書いたスコーチ、そしてスーパーミュータントの巣です。

元はレイダーの一大拠点だったようですが、彼らの死体しかなく生存者は放送施設に立てこもったラストサバイバーのみです。

なお、ここでレイダーパワーアーマーが入手可能です。

Lvの都合でパーツ全外しですが。

 

その後、シグナルリピーター求めて進路を取りますが途中で発電所を発見。

イベントで施設の修理が発生したので挑戦してみました。

結果は冷却施設以外は修理できましたが、後はBetaプレイのタイムオーバーでその日は終了です。

冷却施設の残り故障個所、どこだったんだろう。

 

Beta4日目

出社前の1時間プレイという短時間でまず工場に再度寄りましたが……

クリーチャーがガン沸きしてました、勝てなくて逃げました。

 

その後、Vault76周辺の町でイベントが発生していたので暴走農業機械を破壊したり、缶詰工場の護衛をして終わりです。

缶詰工場はアレ一人でやるもんじゃないです。

最低限二人でやるべきです。

守るべき設備が3つあって1つしか守れませんでしたし。

こういう時にこそ、オンラインの共闘プレイが必要なんだなって……。

 

次回はきっと監督官の母校に向かう(たぶん、きっと、めいびー



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チラシの裏
チラシの裏1枚目:外の世界①


Vaultの外では何が起こるかわかりません。
水、食料の準備を忘れず、可能ならば武装も用意できれば言う事はありません。

==Vault76監督官の再生の日前日の通達==


過去の、あの核爆弾が落とされた……Vault76に逃げ込んだあの日から早25年。

待ち望んだ外の世界に出る日がやってきた。

この穴蔵で生まれた子供や孫の世代もいると思うと随分長い時間がたったと思う。

俺は独身で自分の子供はいなかったが、その分おじさん、おじいさんとそれなりに頼られていたように思う。

もの作りや修理は得意だったから子供達に廃材で作ったおもちゃや人形をせがまれたな。

 

暫し過去を振り返りつつ、そろそろ自分も外に出る時間だと気づき部屋の壁面パネルでメンテナンスしていたPipboyを身に付け、次に回収物をしまう為のポーチを腰や両太腿、両腕、胸元に取り付ける。

大きいものではないので大したものは入れられないが無いよりはマシだ。

 

外へ向かう途中、ロボット達に支給品を渡された。水や食料、豆知識の書かれたS.P.E.C.I.A.L.のトレーディングカード、だがそれらよりも万能工作ツールのC.A.M.Pは特にありがたい。

此があれば資材を用意できれば小屋くらいなら直ぐに建てられるし頑張れば様々な工作ベンチも作れるだろう。

 

少々重い気分だったが随分と気分が楽になった。

 

外に出ると待っていたのは思っていたよりはマシな世界だった。

俺の爺さんが持っていた日本のとても古い漫画で見たような荒廃しきった世紀末で筋骨隆々のモヒカンが大暴れしているような世界でないのは幸いだ。

自分は少し手先に自身がある程度で一子相伝の暗殺拳の使い手ではないし、グロックナックの様なバーバリアンにもなれない爺だからな。

 

外の世界に、Vault76の近場に「まとも」な生存者は居なかった。

ただ彼らの死体と突然変異したと思われる元人間が、後は中型か大型犬サイズのネズミと二つ頭の牛と鹿、ばかでかいハエいた。

元人間は身体中からトゲのような物を生やしていて言葉は喋るがまともな会話はできず攻撃された。

物を扱う知性はあるかもしれないが攻撃性が非常に高く友好的ではない。

中には銃やライフル持ちも居たが腕が悪いのか当たることなく倒せたのは幸いだ。

集落を調べるとやはり生存者はVault周辺に居たようだが何らかの事情でこの周辺を放棄したようだ。

気になる情報がいくつか有ったが、先に水と食料の確保が必要だ。

こちらはまた今度調べよう。

 

それはともかくとして武器の整備が必要だ。

手斧とナイフ、銃身を切り詰めたショートライフルと手作り感溢れるパイプガンにパイプライフル、パイプリボルバーだ。

どれも実用には問題ないが、手斧やパイプガンは状態が悪いので使い続ければ近い将来壊れるのが目に見えている。

何処かで修理素材を確保しなければ。

 




Betaテスト参加記念に。
本日の午前6時~7時の時間帯で参加しました。
仕事がなければ……と、思うも仕事があるからゲームができる。
でも時間帯制限はキツイっす。


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チラシの裏2枚目:外の世界②

過去にはただのゴミでしかなかったキャップは今ではその頑丈さから通貨として使用されます。
ヌカ・コーラやビール等のボトルのキャップは捨てずに確保しましょう。
25年前とは価値観が違います。

戦前のお金は既に貨幣としての価値は無い。


一世代目のVault住人にとって多かれ少なかれ外の世界の生存者に罪悪感を感じている。

特に友人知人への情が深い者は余計に。

 

友人の家や見慣れた風景が荒らされてズタボロになっているのを見ると心が痛む。

俺の家も勿論荒れきっていた。

庭に見覚えの無い簡素な墓が二つあった。

もしかしたら、誰かが両親を弔ってくれたのだろうか?

ありがたいことだ。

お陰で親不孝な俺も親の墓参りをすることができた。

 

しんみりした気分を振り払い、廃墟の町並みを見て回ると、見慣れたジャンプスーツの男達を見掛けた。

Vault76の元住人で顔見知りの男たちだ。

 

何をしているのかと思って話しを聞くと稼働しているプロテクトロンが商人のように取引を行っていること。

その取引にはどうもボトルキャップ、王冠とも言われるアレが貨幣代わりに使えると。

聞いたときに思わずマジかと聞き返した。

25年前まででどれだけのキャップをゴミに出したことかっ!!

こうなると知ってたら残してたよちくしょうめ!

 

キャップを稼ぐ手段はどうやら幾つかあるようだ。

第一に物資の交換……ただし交換レートはこちらに明らかに不利だ。

第二にこの地に居た生存者達の組織、其処に活動データを送ることでキャップを報酬として得られる。

 

気分的にはバイトみたいなものだが、やっている事を考えるとこの外の世界での生活の為のレクチャーの様に思う。

実際にそうする事で素人でも火を起こして水を煮沸する事が出来る様になるし、|双頭牛≪バラモン≫を狩ってリブアイステーキを作れるようになる。

個人的には懐かしのカレーを食べたい所だが、香辛料はもはや大航海時代並みかそれ以上に貴重なものになり果てているに違いない。

その後、しばらく彼等の受けるレクチャーに同行し、その合間合間に先行してVault76を出た監督官の残したホロテープを集めては聞く。

 

やはり、同世代だけあって思う所は似ているようだ。

この外の世界、|廃墟の荒野≪ウェイストランド≫での生活の基本を学んだ男達と別れ、俺は取り敢えずの目標を監督官の足跡を追う事に設定した。

 

所で、煮沸したお湯も、それで淹れたお茶も、野生動物の肉を焼いて作った料理もPipboyの反応を見る限り放射能反応が微妙に出ていて少しがっかりだ。

どうにか放射能を完全に除去できるようになればいいのだけど……流石にラッドアウェイ漬けはやりたくない。

 

そうそう元人間のクリーチャーには女性もいるようだが、アレに手を出すもの好きはいないだろう。

少なくとも俺は見た目の時点でドン引きだ。




前書きはゲームローディング画面でのお約束のトピックスを書き込んでみようかな。
そう思って1話と2話をちょっと編集。


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チラシの裏3枚目:外の世界③

裏のきれいなチラシが意外と少ない。
というか、物を書くのに適した紙その物が少ない。


==元Vault76住人の男の呟き==


廃墟の探索をしていて直ぐに気付くことだが、資材になりそうなジャンク品は意外と多い。

特にキャニスターとか、納屋なり倉庫なりには割と一個は必ずある様に思える。

ただし、そのままだと当然かさばる上に素材として余計な物もあるので重量がきつくなる。

そこで作業台で解体すれば必要なものと不必要なものをより分けられる。

まぁそれでも持ち過ぎればきついのは変わらないので後で何処かでC.A.M.P.を使って簡易拠点を作って収納箱も用意しよう。

今の資材収集状況を考えれば、狭い小屋に寝袋ぐらいは用意できそうだ。

 

街中には元人間の化け物の数が思ったより多い。

どこから来ているのか見当もつかないが、時に隠れてやり過ごす、或いは暗殺染みた事でもして安全に倒せるように工夫が必要になるかもしれない。

こいつらは極力無視したい気もするが、銃器を持つ事もあり下手に無視するよりは極力殺しておいた方が他の者の助けにもなるし資材も集まって一石二鳥だ。

 

今使っているパイプガンにサプレッサーを付けたいが……構造を忘れてしまったな。

今度資料を探しておこう。

 

ジャンプスーツでは防御力に不安があったので、革製のアーマーを作る事にした。

出来れば鉄製で作りたいが、少々資材が足りないのでこっちだ。

革製は動きやすさ重視で防御力はそれほどでもないが、俺のようなジジイ一歩手前の男には丁度良い重さだ。

Vaultの子供達には散々年寄り扱いされていたけどな。

 

音のしない飛び道具、という事で投げナイフを作ってみた。

鉄製の防具?革製作ったから当分は良いよ…。

当然だが威力の前に当たるかどうかの話もあるし、当たっても当たり所にや当て方次第でケガさせる事も出来ないだろう。

 

そういえばウッカリしていた事だが食材は放置すれば当たり前のようにダメになる。

Vaultでは食事が管理されていたし担当ではなかったから、腐るなんてのはなかったからな、すっかり忘れていた。

まぁ、元々家事の類はあまりやらない人間だったからな、俺は。

もっとも人間の腐った様な奴はいた。

しかし悪貨であろうと貴重な人手であるが故に生かされはした。

Vaultから解放された奴やその仲間が生存者やほかの元住人達を襲わないかだけが気がかりだ。

 

☆気が付いた事は書くようにしているが、近い内に必要な情報は別途より分けておく必要がある

 

或いは端末を探してPipboyやホロテープに記録を残す様にするのも良いか?

まぁ、より分けた情報だけにしよう。

こういったメモは割と気が付いた時に書けるが、Pipboyへの情報書き込みやホロテープへの記録は手間だからな。




基本的に1話毎は短めです。
Bataプレイ@1時間の経験から抜き出して書いてあるので仕方ないですね!
プレイ時はこれをやろうとか思ってませんでしたし。


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チラシの裏4枚目:登山

各地にはいまだに稼働し続けている施設が幾つもあります。
しかし、今の状況では車で気軽に移動する事もかなわず、その分苦労することが多いでしょう。
またメンテナンス不足で完全稼働に至らない施設もあります。
もしも稼働状態にする事が出来ればあなた方の生活に大いに役立つでしょう。


補給物資の支給を申請できる、らしい。

ただし、申請するには少し離れた山頂の軍の通信施設まで赴きホロテープを提出する必要があるようだ。

 

面倒だが、貴重な物資を入手できる可能性もある。

 

 

クソッたれめ!

トゲの生えた怪物がまだカワイイじゃないか!←スコーチというらしい

あの緑のデカブツとマシンガンタレットは嫌がらせか!?嫌がらせだよな!!

ショートライフルが無かったらタレットの破壊も緑の化け物も殺せなかったぞ!

しかも俺自身も結構打撃や銃撃も受けた。

今は応急手当もすんでるし玉も貫通していたからマシだが、25年ぶりに死ぬかと思った!

 

補給物資の支給は即座に行われていた。

まるで砲弾の様に何処かから飛来していたのがビックリだ。

これを考えたヤツ、馬鹿じゃないか?

下手すりゃ死人が出るぞ!しかも落着地点がまた大きくずれたのか麓の町中だ。

そこはスコーチと犬が多いから余り寄りたくなかったというのに。

 

結局、目につくスコーチも犬も皆殺しにしてようやく物資を得たが、正直苦労に見合う価値があったのかは疑問だ。

 

気になるラジオ放送をキャッチした。

どうやら雪山の方にある放送局に人が居てレイダーが…云々と言っていた。

それなりに遠いのだが、果たして行くだけの価値はあるのだろうか?

 

結局数日かけて放送局までやってきたが、ナニコレ……要塞化した集落?

しかもスコーチの巣にもなってるし、またも初見の良く判らない化け物もいる。

イエティかな?

なお、幹線道路沿いは稼働中の軍用ロボットがたむろしていたので回避した。

軍用ロボットなんて相手できるか!

奴等は対中国で攻撃性高くて、しかも時折識別バグって味方も攻撃するんだぞ!?

腕がガトリングとミサイル付きのセントリーボットまでいた、あれは動きの良いロボ戦車って軍に居た時に部隊で有名だったぞ?!

 

本気で相手は出来ない、迂回して山を登ろう。

 

 

ようやく生存者に会えると思ったが、会いたいならシグナルリピーターとか言う部品を持ってくる必要があるようだ。

後、監督官がここに立ち寄った痕跡があった。

 

監督官、アンタ俺と同年だと思ったがかなり体力あるんだな。

ただ当然の様にと言ってはアレだがとっくにここを後にしたようだ。

……そういえばこの周辺も敵だらけだったがもしかして監督官は戦闘を可能な限り回避して進んでるのか?

まね出来るとは思えないから忘れよう。

とりあえず、ここの主は悪党の様ではあるがこちらも情報やなんやら欲しい。

先ず従ってみよう。

 

レイダーの集落でパワーアーマーを発見した!

これは幸先が良いな!

これさえあれば着地体勢さえきちんととれば高所からも落下しても死ぬ可能性が激減する。

と、喜んでのもつかの間。

 

また緑のデカブツだ←自称スーパーミュータント

 

殲滅して先を急ぐと今度は発電所が見えてきた。

そういえば、こんな場所にあったんだったか?

正直完全に忘れていたが、シグナルリピーター入手のついでに寄り道してみよう。

 

 




そんな訳で地図の東側、山方面を今回は進んでみました。
描写していませんが、何回かタレットやスーパーミュータントに殺されてます。
奴ら、スコーチよりも強い上に装備も良いので普通に手強いです(ソロプレイヤー感
また、レイダーの居住区にも足を運びましたが、見事にスコーチとスーパーミュータントの巣です。
レイダー(武器弾薬防具運搬係)に会いたい。


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チラシの裏5枚目:食品工場

Vault76を離れる程敵は強く、敵の装備の質も向上する。
遠出をするなら状態と性能の良い装備を用意しよう。
後、武器は近接武器と銃が一つずつあればなお良い。
近接武器は壊れるまで使えるが銃は弾が切れたら使えない。
==Vault76の住人の注意事項メモ==

収納箱の容量にも限界がある。
解体した資源はバルク材にして纏めると節約になるだろう。

==Vault76の元整備員
==


山から降りた。

いや、無理だアレは。

町中より随分と敵の装備が良い。

発電所に足を運んだが化け物に占拠されていて逃げ帰ざるえなかった。

彼処を拠点化できればかなり便利なのだが、今は無理だな。

今回はレイダー拠点でのパワーアーマーのフレームとフュージョンコアの入手がいちばんの収穫だ。大事なことだ、何度でも言う。

相応に痛い目にあったが、それでもパワーアーマーが有るのと無いのとでは今後の活動が大違いだ。

何せパワーアーマーがあればいつかはジェットパックで少しの間だが空を飛べる。

野性動物相手に大きなアドバンテージだろう。

他にも様々なモジュールがあるがそこはおいておこう。

 

C.A.M.Pを使用して簡易拠点にタレットも用意して休む事にした。

休むことも視野に入れた拠点を作るならしっかりと壁と屋根のある物をお勧めする。

雨風を防ぐのは当たり前として、壁があれば襲撃を受けても時間を稼げる。

マシンガンタレットがあれば音さえ気にしなければ安全は確保できるだろう。

ただし、耐久性には不安があるので銃を持つ相手がいたら壊される事も十分ありうるだろう。

 

ジャンクや不要品の解体を進めては収納箱に納めてきたが容量を考えるとバルク材にしてまとめるのが良いか。

整理整頓は大事だ、再使用時に使える資源が減るが気にしてもしょうがない。

余らせる位なら使うべきだし、使わないなら整理できるようにする。

基本的な事だ。

俺の様に拠点を2階建てにしても良いし更に上を作っても良いだろう。

余り敷地面積を増やすと移築する際に場所を選ぶようになるのでそこが難点か。少なくとも斜面の多い山ではこの点が悩ましい。

 

Pipboyに農場専用のMr.ハンディが暴走したから止めてくれ、という依頼が流れてきた。

丁度近場だし顔を出すことにする。

 

楽勝だった。

報酬でキャップとクラフトに使えそうな図面をもらったので今度気が向いたら作ってみよう。

 

装備品の整備をしていると今度に食品工場稼働の手伝いを依頼する放送が届いた。

食料品工場が稼働すれば食事事情も改善するだろう。

 

 

 

改善、無理だろう。

稼働の度に騒音撒き散らして敵を呼び寄せるし。一応今回は守りきれたが、一人ではキツイ。

薬品も使いきった。

何処かで入手するか作るしかない。

だが、今回は怪我をしてしまった。

しばらくは休むべきか。

一度Vault76に戻ろう。

 

そう言えば薬品調合できる作業台の設計図、どこかに落ちていないものだろうか。

毎度作業台がある場所まで出向くのは非常に手間なんだよな。




という事でBeta版終了です。
世界の頂上、レイダー拠点やスパミュはどうにかできましたが、そこから北上した発電所ではごり押しできず撤退に追い込まれました。
後、拠点は本当にタレット必須。
モールラットとかフェラル、スコーチが襲撃してきますんで。


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チラシの裏6枚目:モーガンタウン

モーガンタウンは飛行場、列車の駅、店、高校、そしてVault-techの大学がある町だ。
人が多くいた場所で様々なものに溢れていた。

それは翻すと今の世界ではジャンクの山でお宝の山に見えるが同時に巨大なスコーチを始めとしたクリーチャーの巣であるともいえる。
本当、アパラチアは地獄になってしまったものだ。

===元アパラチア住民で元Vault居住者===


モーガンタウンがアパラチアでそれなりに大きな町だ、というのは否定する所のない事実だ。

勿論、ボストンやワシントンDC、ニューヨーク等といった米国の有名都市と比べればあまり有名ではないがこの地の特徴は何と言ってもVault-tech大学がある事だろう。

 

高校時代に徴兵を受けなかったら私も受験していただろう……間違いなく記念受験で終わるが。

 

さて、そのモーガンタウンだが先日の工場がまた稼働準備が出来ていたようなので今度はたまたま居合わせた元住民仲間と一緒に防衛した。

人が一緒にいると楽ではあるが、ここの安定した防衛を考えるなら4人か5人は必要だ。

今回は3人なので微妙に手が足りなかった。

おかげでポンプアクションのショットガンが壊れてしまった。

後で修理する必要がある…。

 

商人もどきのプロテクトロンを何度か見掛けたが、彼らは明らかに足元をみている。

まぁ此方も状態が良いとは言え使い古しの銃器やレザーアーマーを出してるので余り文句も言えないか。

ただ、実用に耐える武器防具でも精々2キャップと言うのは辛い。

今度から不要品を押し付けるのに使ってやろう。

 

そうそう、監督官の足跡を高校、大学で見つけた。

人に歴史あり、あの鋼鉄の女に恋愛経験があったとは。

この辺りの彼女の記録を書き記したいがかなりの長文になるのでやめておこう。

 

さて、高校大学と足を運んだが当然飛行場や駅にも足を運んでいる。

残念だがスコーチだらけで人間はいなかった。

レスポンダーとやらはこの分では壊滅したかアパラチアえから逃げてしまったのではないだろうか?

此処でも偶然居合わせたVault76の仲間達と共闘したお陰でスコーチは殲滅したけれど、恐らく直ぐにまた集まりそうだ。

 

そうそう、監督官のログが此処にもあった。

……あの人チームで動いてるのか?それとも単独?

どちらにしても行動も調査も早いな……とても寄り道もしているとは思えない。

流石は鋼鉄の女監督官、それとも女シルバーシュラウドかな?

 

それからレスポンダーはスコーチ化の奇病の薬の研究開発をしていたようだ。

この奇病のウィルス源はスコーチビーストというコウモリの翼のようなものを持つ巨大な化け物だそうだ。

B.O.Sという武装組織が最初にこれと遭遇し交戦したらしいこともログに遺されていた。

監督官は薬の研究施設に向かうようだ。

 

モーガンタウン周辺のスコーチは他よりも良い装備を持っている。

ショットガンだ。

散弾を撃つこの武器は多少狙いが甘かろうが問題なしになり、上手く使えば相手は一発でミンチだ。

3体のスコーチ横並びで構えて待ち伏せしてたのには割と本気でびびった。

これを書き残している時点でわかるだろうが3体とも倒した。

手斧があってよかったよ。

 

街を暫く歩き回っていたら巨大な化け物が居た。

スーパーミュータントの倍ありそうな背丈に強靭そうな肉体。

まともに相手をするべきではないだろう。

 

パイプガンの弾も切れたしな。




正式リリースまでのネタは切れました。
今朝は5時から7時までプレイしましたが、眠気が最大の敵でした。


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本編:再生の日 Reclamation Day
1:過ぎ去りし月日。


再生の日

この日が来ることを待ち望んでもいたし、永遠に来て欲しくないとも思っていた。
同じことを思っていた第一世代のVault居住者はどれほどいるだろうか?


 俺のひい爺さん、生きていれば恐らく110歳を超えていただろう帰化日本人がこの地、アパラチアに流れてきたのは俺の爺さんが学生の頃だ。

ひい爺さんは不思議と勘や運の良い人でひい爺さんはそれまでの仕事を全て投げ捨てて米国のアパラチアに移住した。

 

ひい爺さんの不安は俺が生まれる少し前頃に遂に目を出した。

簡単に言えば地球全体での資源不足、特に原油の不足が騒がれ始めたのだ。

その結果が2052年の中東欧州間戦争であり、これに端を発して終戦後には欧州連邦は崩壊しその後、数少ない原油生産国のアメリカのアラスカに中国が攻め込むという事態につながっていった。

俺は日系と中華系の区別もつかない奴らに嵌められて高校中退で軍に入隊。

教官である軍曹に呪詛を吐きながら訓練に明け暮れ、正式な軍役は4年。

より正確には3年間を前線の車両やパワーアーマー、その他武装の整備員として戦場に張り付けられた。

アンカレッジ解放戦にも裏方の整備員として参加したが、実に酷い戦いだった。

ネイトという兵士は味方を率いて大活躍をしていたが、こちらにも大量に敵が押し寄せて整備員まで完全武装で態々ステルスを仕掛けて浸透してきた中国兵と戦う嵌めになったあの時は本当に生きた心地がしなかった。

 

無事にアパラチアの実家に帰ってこれた時は思わず泣けた。

帰宅後は色々と騒がしい所もあったが、Vault-Tech社員が胡散臭い態度でVault76への入居申請の紙を持ってきたのもその時期だ。

しかし、平穏は長く続かない。

核爆弾が落ちてきた、このアパラチアに。

俺は偶然にもVault76で施設整備の研修を受けていたから無事だったが、家族はどうなっただろうか?

想像も容易い結末だが案じずにはいられなかった。

 

25年。

Vault76がシェルターの役目を終え再びアパラチアを、アメリカを世界の再生を開始するまでの待機時間だ。

荷物は学生時代になんとなく買ったギターと譜面、爺さんから貰った古いが面白い日本のマンガ本、婆さんと母さんに持たされた植物の種と醤油と味噌とレシピエント本。

親父からは銀の懐中時計だ。

 

これらは25年のVault暮らしで人々とのコミュニケーションに実に役立った。

Vaultは安全で快適だがあくまでも避難施設。

娯楽の面では限界がある。

だからこそ、食事やマンガ、運動、音楽といった娯楽は重要だった。

この地下で何人かが病気で死に、この生活に耐えきれず或いは未来に絶望して死んだ。

逆にポジティブな人間や目的意識のある人間は生き続けた。

25年の間に当然、新しい……Vault生まれの世代も多く現れた。

俺は彼らに多少の知恵と技術を教えた。

幸いにも子供の世話は嫌いではなかった。

まぁ自分が独身で子供も居なかったというのが大きいだろう。

 

そして再生の日が来た。

 

「人は過ちを繰り返す。俺達Vault76の人間もまた、過ちを繰り返すのかもしれないな」

 

Vaultの堅固な扉が開き外の眩しい光が目を灼く。

再生の日、目覚めの時だ。

 

「整備員のおっちゃん、懐かしの外はどうだ?」

「外に出れて嬉しい、懐かしい光景が嬉しい。だが、随分と荒れ果ててしまった。わかっていたことだが悲しいものだ」

 

ガタイの良い正義感が強く頭はちょっと残念だが腕自慢の青年に話しかけられそう返す。

展望台から見える町並みは懐かしい面影を随分残しているが、反面よく見れば建築物はボロボロで木々も生え放題。

いっそ荒野にでも変わっていれば諦めもつくが、この状態では懐かしい顔がどこかにと期待を持たされてしまう残酷なものだ。

 

「監督官の率いるAlphaチームは先行して各地の調査に出ているんだったっけ」

「そうだな。我々Betaチームは彼らの後追いをしつつアパラチアの安定と各地に居住地を作りやがてはアメリカを再生するのが使命だ。先ずは麓の町を探索して監督官の足跡を探すのも良いだろうな」

 

青年はふぅむと頷き考える。

 

「おっちゃんはどうするんだ?」

「寄り道をしながら向かうとするさ」

 

木材には困らないが掃除は大変そうだなとも思う。

折角C.A.M.Pがあるのだし早速使ってみたい気もする。

そんな俺の思考を見て取ったのか青年は肩をすくめて別れを告げる。

 

「そうか、じゃあまたな」

「あぁ、また会おう」

 

青年と別れ展望台近辺で資源に成りそうな物を拾い集めていると小型ロボットの群れに襲撃された。

うす緑で赤い星、英語でも日本語でもない言葉……畜生、中国製のゴミか!

奴等は5体程で赤いレーザーを放ってくるが威力は見た目程ではなくちょっとしたスタンガン程度だ。

とは言え楽観は出来ない。

足をたたんで頭部に刃を無数に生やして回転させて飛んで来る体当たりがで来たはずだ。

 

それが一番攻撃力がある…のだが中国製の迷惑なゴミは執拗にレーザーを撃つだけだった。

途中、痛みを堪えて殴り掛かればあっさり壊れた。

他の個体も同様に殴れば壊れた。

成る程、25年の月日で少なくともここにいるゴミは本当にスクラップ寸前だったのか。

落ち着いて見れば錆びだらけで凹凸も多い、寧ろなんでレーザー発射機構や歩行機能が生きていたって話だ。

その後も周囲を探すと手斧やマチェットを見つけた。

 

「戦闘前に見つけれればよかったんだがなぁ」

 

ボロボロとは言え鉄製のジャンクを殴る蹴るしたわけで手も足も痛い。

 

……そろそろ町に降りよう。

いい加減、目を逸らしていてもしょうがない。

懐かしい故郷の荒れ果てた光景は老いて涙腺が緩くなったジジイには辛いものだった。

我が家は多少マシとは言え壁に大穴、見知らぬ他人の死体?石化した何かが転がっていた。

庭に木を十字に組んだ簡素な墓が家族の分だけあった。

家に転がっていた石化した死体が生前に家族を弔ってくれたのだろうか?

とはいえ、俺の部屋が完全に他人の物になっていたし、家の中も面影が多少あるだけでほぼ内装は違う。

引っ越し後、別の住人が入った賃貸ってこんな気分なのだろうか、という感想を抱きつつ外に出る。

人が石化するとは妙な話だ……。

その後、野犬に警戒しながら辺りを探索すると今度は人の姿を見つけた。

ただし、意味のわからん戯言ばかり口にする、突起の生えた異形。

奴等は当然のごとく襲い掛かってきた。

 

 

「ぐっ、この!?」

 

斧で奴等を殴りつければ、予想外に呆気なく死んでしまう。

 

「だが、銃を持って奴もいたな…幸い、撃ちはするが腕は悪いようで助かったが…」

 

パイプや廃材で作った簡素な銃だ、恐らく普通の銃よりも遥かに速くダメになってしまうだろう。

ただ、それとは別にちょっとした改造品もあった。

銃身部分を切り詰めた狩猟銃だ。

取り回しは楽になるが、その反面で安定性や飛距離が落ちる。

威力は高いのだけど元の特性が死んでいるのでこれはどうなんだろうな、本当に。

単純に威力が高いのが欲しいのなら44口径弾を扱える銃を使えばいい。

元がその用途だから無理なく使えるだろう。

逆に距離を置いて狙撃をするためのライフルを切り詰めて射程距離を殺すとか、本気でダメじゃないだろうか?

 

その後も暫く探索をしつつ同時に監督官の足跡を探す為に移動を続けると、誰かが展開したCAMPを展開して文字通りのキャンプを張った跡が見える。

 

「これは……監督官のホロテープか」

 

テープの内容を聞いてみると、CAMPの使用方法や防具作成の推奨だった。

作り方は設計図のファイルを再生の日が来る何日も前に監督官と一緒に準備したな、という苦労の記憶の方があるぐらいだ。

ここに来るまでで双頭の鹿や狼、モグラみたいな鼠と色々倒したおかげで皮は確保してあるのでそこは問題なかった。

 

「部屋のインテリア用に、後は防寒着用に使おうと思っていたがここで使う事になるか。

 まぁ、革で防具を作れば多少はマシか」

 

 本音を言えば鉄製が一番だが、重い上に作るのも大変そうだ。

等分は革製を改良していくことになるが、改造すればその分重量は増すので結局は筋力や体力をつけて扱えるようにならなければいけない。

今から体を鍛えなおしかと思うとげんなりするが、死ぬ気もないのならやるしかない。

 

「さて……この後はどうしたものかな?」

 

監督官の足跡を更に追うもよし、途中で見つけたレスポンダーなる自警組織の痕跡をたどるのも良いだろう。

彼らは生存者の訓練等もやっていたようだからもしかすると良いトレーニングになるかもしれないな。

 

……その訓練に参加して簡単なお湯の沸かし方、というか火の付け方を覚えた。

結構簡単に作れる道具で楽に火を付けれるんだな。

 

煮沸した水?

いや、放射能云々以前に普通生水は飲まないだろう……赤痢とか寄生虫とか何入ってるかわからないし。

余裕があるなら蒸留水を作りたい所だが、そこまですると時間も燃料も余計にかさむからそこまで手を付けられない。

それに準備も面倒くさい。

しかし、双頭の鹿の次は双頭の牛か……これ、単純に放射能のせいとは言い切れない状態じゃないか?

絶対何か変なウィルスとか流出しただろ。

そうじゃ無けりゃ鹿や牛があの姿が当然とばかりの生態系作れないし。

馬鹿みたいにデカいハエもありえんしゴキブリもな、本当に誰だよ下手人っっ!

 

「ふぅ……茶でも飲んで落ち着くか」

 

お茶と呼ぶのもおこがましい、干した草花をお湯で戻して風味を載せただけのものだ。

意外とすっきりするので重宝しそうだ。

 

「とりあえず、今後の事は監督官の足跡を追うのが最大目標だな。後はメモでも残しておくか。

最終的にはサバイバルガイド的な形にしたいが、今は日記のように書くでも問題ないだろう。

紙は……チラシの裏で良いか」

 

裏が白のチラシは割と多いし。

 

 

 

 



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2:モノ作り~はじめてのCAMP~

物を作る際には用途に合った工作台と当然ながら素材が必要になります。
そして忘れてはいけないのが設計図です。
にわか知識で銃を作っても動作不良で暴発するのがオチです。
食事は更に素材の鮮度も関わってきます。
せっかく作った料理で、おなかを壊したくはないでしょう?
なので料理は鮮度の良い素材でレシピ通りに作りましょう。

=========執筆途中のサバイバルガイド モノづくり編より======


監督官を追う前に、ジャンクの解体と装備の整備をしなおすことにした。

先ず、レザーアーマー類は作ったばかりだから問題ない。

皮の加工も工作台付属の道具だけであっという間に……というのは少し違うな。

恐らくモールラッドやラッドスタッグ、バラモンの皮が恐ろしい程にこういう加工向きの性質なのかもしれない。

あっという間に水気が飛んだし、腐りやすい肉の部分は油もあわせて簡単に剥がれた。

それよりも問題は武器だ。

 

先ずパイプガンだが予想通り壊れやすいようだ、言うまでもないが急ごしらえの武器なので使い続ければ熱で銃身が容易く歪む。

これは他の銃にも言える事だがパイプガンはそれが他よりも顕著だ。

序に言うと銃身のみならずその他もあり合わせだから故障率も高いだろう。

その反面、有り合わせの素材で十分に作れるという訳だから一長一短だ。

 

「まぁ何事も善し悪しだが、正規の銃があった方が良いのは確かか」

 

当然の話だが、これを使い続けるぐらいならば10mmハンドガンやハンティングライフル、44口径ハンドガンを使った方がいいし、手に入るならショットガンの方がいい。

というかショットガンが欲しい、虫や動きの速い敵を相手にするならショットガンが本当に心強い。

その他の銃で相手をするなら、せめて照準補助になるスコープとかを着ける必要がある。

 

「普通の照星だけで中遠距離を狙える自信はないな」

 

そもそも、整備兵経験はあっても一般兵よりも戦闘力は低いのは当然だ。

整備兵は一般兵に比べて戦闘メインではなく基地や前線の陣地で乗り物や装備の整備をするのが仕事だったからな。

当然訓練内容にも差が出てくるし、こっちは勉強もしなくてはならない。

物をいじるのは好きだったからよかったが、そうでなければ苦労も多かった。

 

その経験で得た知識も25年のVault暮らしで随分なまったのは言うまでもない。

お陰でサイレンサーの構造を忘れてしまった。

サイレンサーがあれば安全にスコーチとか言うらしいあのトゲ付きを苦も無く殺せるようになるんだが……。

真正面から脳筋戦闘ばかりというのは正直ありえんし。

仕方なく、余った鉄材で手慰みに投げナイフを作ってみた。

これ自体は整備兵時代にダーツ代わりに投げて遊ぶのを流行らせた事もあって簡単に作れた。

残念ながら、当たっても遠すぎれば碌に刺さらないし、硬い装甲の前には簡単にはじかれるが、ないよりはましだろう。

ここまでの作業で粘着剤は尽きた、そろそろ……。

 

「夕飯にするか?いや、どうせだから少し離れたところでC.A.M.Pを試すのも良いか」

 

監督官の痕跡は他のVault76の住人にとっても目安になるだろう。

そこを占拠するのも如何なものか。

そう思い、ある程度離れた場所でC.A.M.Pを試した。

 

「おぉ……」

 

最小限の労力云々と語っていただけあって、ほぼ組み立てるだけで材料の建材への加工はほぼC.A.M.P側で行われた。

基礎の加工はC.A.M.P側で全てやってくれるのか、実にありがたいな。

何せ素材を加工する所が作業で一番面倒だ。

そこを機械があっという間にやってくれるなら、こちらは設計図通りにはめ込み式で組み立てるだけだから成る程、確かに最小限の労力ですむ。

鉄の加工も同様にやってくれるのでこちらは軽く溶接するぐらいですむ。

 

お陰であっという間に寝袋とキャンプファイアとせまい小屋を用意できた。

 

「これがもっと普及していたら大工は職を失っていたんじゃないか?」

 

何だかんだで立派に作れているので思わずそう自画自賛する。

 

「何時か城塞も作ってみたいが、流石にそれは無理か?」

 

寝る前に拾い歩めた紙と鉛筆で日記を書き、そんなそんな楽しそうな夢想をしながら眠りについた。

 

翌朝、旅立つ前に荷物整理を兼ねたジャンク品の解体と資材整理だ。

 

「ふぅむ、解体すればマシだが今度はバラけすぎて整理が大変だな。ここから整理する良い手段は……あ、バルク(ひとまとめ)化すれば良いか?」

 

それをするにも専用作業台が必要だな。

恐らく、それがあれば銃弾も作れる。

現時点で作れるのは……アーマーと武器の作業台とクッキングステーションだな。

薬品調合台は設計図がないからこれも探さねば。

 

次の目的地としてモーガンタウン方面に向かって移動中だ。

どうも監督官は母校の高校や大学に足を延ばすようだし、自分も中退したとはいえ高校はモーガンタウンだ。

そっちに足を延ばしてみるのも良いだろう。

更に言えば政府に支援物資を要請するホロテープも有るのでモーガンタウン西の通信施設を利用すれば補給物資の至急もうけられるだろう。

 

「問題はそのシステムが生きてるかどうかだな。25年前時点でベルチバードや物資輸送用の飛行カーゴが自動化はしていたが」

 




プレイして書いて、とやるとプレイ内容を抑える必要が出て結果、ママドルスの食品工場や近場のイベントで稼ぐ日々です。
気付けばLv36…意外とあっさり上がります。
パワーアーマーも4と違って特定の場所にリポップするのでキャップとインベ用量に余裕があるなら回収して欲しい回るパワーアーマーガチャをするのもあり。
フレームが確定で手に入ります。


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3:サットンからの寄り道

「アメリカ政府補給申請」のホロテープを手に入れたなら最寄りの通信施設に足を運ぼう。
そこでホロテープを読み込ませて申請コマンドを送れば政府からの補給物資が近くに届くはずだ。

中身に当たり外れがある宝くじの様なものだから、外れが当たっても落ち込まない様に。
当たりやすいのはVaultから遠く強い怪物が多い地帯の様な気もするが、気のせいだと信じたい。

=========Vault76の元住人の感想=========


フラットウッズ近辺でぼちぼち探索とクラフトを繰り返していたが、そろそろ他所に移る事にした。

何人かと協力してサバイバルの訓練をしたりMrファームハンドを破壊したり、プログラム修正したりとしていたが、ここでずっと過ごす事が本命という訳ではない。

 

本命は「アメリカの再建」だが、それと同時に核兵器の確保だ。

前者はアメリカ政府から重要ミッションであり、Vault76住人全体が持つ使命だ。

核兵器に関してはVault-Teckからの依頼だが、正直な話現時点でVault-Teckは滅びている公算が大きい。

しかし核兵器自体は放置していて良いはずがない。

だから核兵器を確保し封印したい、というのが監督官の願いだ。

 

故に彼方此方を歩き回ってミサイルサイロを探す必要がある。

これは本来監督官のミッションだが監督官から一部の住人(第一世代と信頼できる第二世代)に託された任務だ。

これは強制ではないが、しかし未来を考えれば見つける必要だけはあるだろう。

 

さて、そんな事をうだうだ考えながら俺はフラットウッズから道路沿いに歩いて南回りでサットンを訪れていた。

 

相変わらずスコーチというらしいトゲ付きの怪物が多い。

レスポンダーというボランティア団体もかなり苦労していたという話で、人がアレに変貌していく奇病が流行っていたらしい。

どこのどいつだ、そんな頭おかしいウィルスばらまいてるのは…。

もしかして中国……よりもアメリカ極秘のBOW研究が核戦争で施設にダメージを負ってウィルス漏れしたとかそういう話は大いにありそうだ。

白人至上主義者は白人以外がどうなろうと愉悦にしかならんキチガイ共だからな、さもあらん。

しかもそういうのに限って権力や金を持ってるんだから本気で頭の痛い話だ。

流石にこの25年で大半は死滅しただろうが、生き残ってるようだったら殺して回ってやろうか、と思う程度には俺も奴らが嫌いだ。

日系米国人の俺と中国人の見分けの付かない奴等も俺を見たら襲いかかってくるだろうから防衛戦闘だ、問題ない。

後、中国人は殺す、絶対にだ。

 

殺意を新たにしたところで辿り着いたサットンだが、相変わらずスコーチだらけでうんざりしてくる。

 

「ここに用事はない、手早く抜けるとしよう」

 

合間に監督官のログを見つけたが、それ以上に興味を引いたのは政府へ支援物資を要請するホロテープの存在だ。

 

「ふぅむ、水と食料、医療品が手にはいるなら試すのもありか」

 

そう思い、サットン東の通信施設まで足を運ぶ。

道中はスコーチも出ない快適なものだったが、目的地について目を剥いた。

 

「何だあの緑のデカブツは」

 

ライフルを持った身長は明らかに2メートル以上で恐ろしくマッシブな奴等が施設を占拠していた。

恐らく数は3体程度だが、最悪な事にマシンガンタレットが稼働している。

遠目に一回りぐるっと確認したところ3基だ。

 

「あのデカブツ、まさかハッキングまで出来るのか?」

 

政府か軍か知らんが何てもん作ってやがる。

これは撤退しかない、と考えて茂みから抜け出しサットンへ向かおうとしたところで、緑のぶっ細工な犬のようなブタの様な化け物が施設から出てきた。

 

「………」

 

こちらを見たかと思うと角笛のような雄叫びを上げる。

「ニンゲンだ!ニンゲンがイルゾ!」

「捕まえてオモチャにしてやる!」

「ははっ、バラバラだぁ~!」

 

この瞬間に選択肢は3つ諦めるか、逃げるか、戦うかだ。

手元にはフラググレネードとショットガン、それと猟銃があるが既に期を逸している。

 

先ずはフラググレネード!

 

緑のデカブツの未来位置を予測して投げ、次に犬モドキが迫ってくるのでショットガンを二連射。

ショートバレル或いはソードオフ仕様なだけあって至近での面制圧と殺傷力はピカイチだ。

……個人的にはロングバレルのポンプアクションタイプが好きなんだが、今回はこの仕様で助かった……と言うには気が早い。

 

このダブルバレルショットガンは二発撃ったら手で弾を入れ直す必要がある。

流石に斧で殴り合うのは怖い。

幸い未だ相手は持ち直していないのでもう一個フラグを投げる。

フラグの直撃受けていながら未だ生きていたデカブツが二体、これで倒れたがもう一体が施設入り口のタレットで防御の厚い箇所で壁を盾に応戦の構えを取っ手いた。

フラグは使いきったので……火炎瓶で炙ってみるか。

此方も盾にしていた木の影から出ると一斉に射線が俺に集中する。

 

「ぐぅぅ」

 

投げてすぐ隠れたが手足に数発受けてしまう。

幸いにもレザーアーマーで受けきれるレベルだったが、これでもしジャンプスーツだけだったら今頃手足に重傷を負って居たかもしれない。

防具があってもダメージが辛いからな。

 

「これと正面から渡り合うのは無理だな。タレットを攻撃できるギリギリから攻めるか?」

 

幸いにも残ったデカブツは臆病者らしいので撃って出てくる可能性は小さいだろう。

火炎瓶で炙ってみても出てこない位だ。

なのでタレット1つだけの裏口に回ってそこのタレットをライフルで潰し、次に施設を制圧すれば行けるだろう。

斜面と茂みを利用してこっそり移動して裏口が見える場所までいく。

 

この程度ならば、アンカレッジの時の方が余程きつい。

 

ライフルでタレットを撃つ。

運が良いのか何なのか、砲口にホールイン・ワンしてタレットは爆散。

これで裏口から施設内に入れる。

ダブルバレルショットガンに持ち替え、中に入ると同時に死角に向けてそのまま散弾を放つ。

 

「うぎゃあぁあおぅ」

 

放った散弾の一発目が中に居たデカブツの顎を破壊した。

しかし、まだ動く、生きている。

今度は鼻っ面に銃口を突きつけると同時に放つ。

 

「きたねぇなぁ」

 

飛び散った肉片に辟易としつつ、部屋の中を見回す。

敵はもういない。

部屋の中に投げ込んだ火炎瓶の火は既に消えていて、延焼もしていなかったようだ。

 

終わったかと思うと、体のあちこちに鈍痛が走る。

タレットのせいで多少銃で撃たれたが、直撃はない。

むしろ筋肉痛の方がきつい、ジジイに無理させないで欲しいものだ。

 

息を整え、応急処置をして次に目的の施設の端末を探す。

探せば部屋の中央にある端末が直ぐに見つかる。

 

「ふむ、これにホロテープを読み込ませればいいのか」

 

読み込ませたホロテープは支援要請を送信すると使えなくなるようだが、まぁそんなものだろう。

どうせまだいっぱいあるのだ、ここで試しに使ったところで問題ない。

 

支援要請をすると、送信済みと出て次に携帯端末への送信可能と出る。

 

「PipBoyに送れたりするのか?」

 

実施してみると、Pipboyに受信反応がある。

弄ってみるとMAP画面にサットンの大通りに円形の支援物資到着予定地域と表示されている。

 

「……戻るのか、面倒だな」

 

ラジオでも聞きながら戻るかな、と思っていると見知らぬ放送をキャッチしている事に気づいた。

放送が言うには世界の頂上……スキー場の辺りの放送施設に居るので会いに来て欲しいという感じの内容だった。

 

「補給物資を回収したら向かってみるか」




間があいたのはゲームのイベント期間が重なったせいだと思ってください、PSO2とかプリコネとかゴ魔乙とかグラブルとか。
大体はチラシの裏に沿う形で進めていますが、そろそろゲームの道順は参考程度で監督官ルートを直進しようかな。

主人公のおっさんは戦争のせいで白人至上主義者に迫害されたりしてたので民族主義者は大嫌いです。
それ以上に余計なまねをした戦争相手の中国人は抹殺対象です。
殺意が高いですが上記以外の人間には優しいおっさんでした。



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4:プレザントバレーへの道中記

プレザントバレーはアパラチアの冬場で一番ホットなスポットでした。
かつては観光客で賑わったこの地は同時に進行ルートの限られる要害であり核戦争後はレイダーの拠点となりはて、今ではスコーチやスーパーミュータントが闊歩する危険地帯です。
私も昔、子供の頃に家族とスキーをしに行きました。
真っ白なゲレンデを景色を楽しみながら両親に習いながら滑ったものです。
あぁ、懐かしいわ……。


監督官の残し忘れた本来のログ:世界の頂上


補給申請をして暫くして大きな爆発音がした。

核爆弾の爆発ではないようだが、何事かと思ってサットンに戻ると、燃え盛るメカのジャンクと政府の補給物資周辺に群がるスコーチが居た。

ここまで来ると最早慣れたものでライフルで狙撃して排除した俺は補給物資の中身を見て少々残念な気分になった。

「水も食料も現時点では十分にあるからありがたみは薄いな」

 

他にも手投げ斧や10mm拳銃があった。

威力はあるかも知れないが斧は重い、拳銃は見た目が立派だが作りが雑な粗悪品だ。

高級モデルになると様々な面で性能が良い筈なんだが、これは本当に…。

解体して必要なものだけ選り分けて持っていこう。

 

サットンを少し離れた場所でC.A.M.Pを起動する。

当然の話だが、前に作った建築物がこの場にある……なんてことはない。

漫画だったら不思議なポケットに何でも入っていたり瞬間移動したり出きるのだが、現実はそんな事はできない。

C.A.M.Pがあればあっという間に建築が出きるんだからこれ以上の贅沢はないだろう。

 

そうして作り上げた小屋で一晩休んで次の目的地、世界の頂上プレザントバレーを目指す。

 

「ふぅむ、道路を歩いていくか、山道を突っ切るか」

 

どちらもメリットデメリットがある。

道路を進めば道なりに家や施設もあるだろう。

そこで物資…弾薬や薬品が入手できることもあるだろうが、その反面でスコーチやフェラル・グールというゾンビもどきや緑のデカブツとの遭遇も増えるだろう。

山道を突っ切るコースはメリットは先ほど挙げた怪物との遭遇は減るだろう、だが道がコンパスとPipboyの地図頼みになるのでいちいち確認する必要があるし、そもそも踏破できる保証もない。

 

「ふぅむ……むむむ……食料や水もある事だし、山道に挑戦してみるか?」

 

デメリットが大きそうな山道をあえて選ぶにも理由がある。

 

「スコーチの相手は面倒だし、そもそも道路沿いってなるとまた大きく南へ迂回して回らなけりゃいかんのだよなぁ」

 

更に言うと、現在地点から移動ならば多少険しかろうが何だろうが山道の方が圧倒的に速いという理由もあった。

少し考えて結局山を進むことにした。

 

1時間強歩で進んでは休憩と方角確認を繰り返し、ある程度進むと断崖絶壁の麓に付いた。

 

「むぅ……流石にこれを登るのは少々無理があるな。

 ジェットパック付きのパワーアーマーでもあれば話は別だろうが、おっさんにこの絶壁は流石に無理だ」

 

万が一スコーチやデカブツがやって来てロッククライミング中に撃たれでもしたら死ぬしかないだろう。

 

そんなわけで崖を迂回するために南に向かう。

ここから南に道の駅とウィンタースポーツ用具店を兼用した施設があった筈だ。

家族で何度かスキーに行く時は寄ったから覚えてる、あそこでは毎度フランクフルトやコーラを買ったな。

 

そうだ、向こうについたら日記も書くか。

流石に安全地帯でないと書けないからな。

 

辿り着いた場所は懐かしさも感じたが緊張感も俺に強いてきた。

スコーチが施設を占拠していた。

人の居るところ故に元住人がいる可能性も理解していたがやはりうんざりする。

 

毎度銃撃戦は辛いので今回はスニークキル、暗殺を行うとしよう。

使うのはコンバットナイフと投げナイフで十分だな。

施設の大雑把な概観は俺の居る山林、駐車場と二階建ての店、道路で道路向こうは切り立った崖。

 

相手の数は外にいるのは3人、中は不明。

バラけているから釣りだして仕留めるのも簡単だろう。

 

実際にやってみたら至極あっさり肩が着いた。

投げナイフを使って適当に物音を立てて釣りだして背後からスニークキルだ。

 

後は内部の敵だが、残念な事に気づかれたのかギャーギャーと騒ぎ声が聞こえる。

だが直ぐには来ないようで山林に待避するには十分に時間を確保できた。

 

「残念な事に整備兵だけど激戦区ばかり経験したからな。

この程度ならどうにでもなる」

 

デカブツが持っていたスコープ付きのライフルとオートパイプガンはこの場で重要な役割を果たしてくれた。

遠距離狙撃は本当に便利だ。

そして弾丸がばらまけるフルオート可能な銃は中距離の制圧で本当に便利なのだ。

何が言いたいかというと、結論は楽勝でした。

そもそも、相手は外に居たのはともかく、中に居たのは近接武器程度しかもっていなかったので、カモ撃ち状態だった。

 

「スコーチの動きは大体固いからな、落ち着いて相手をすればどうにでもなるか」

 

倒した遺体をがけ下に放り投げ死体処理を雑に終えた後、店舗内の探索を行う。

店舗内には幾らかの食糧(冷凍フランクフルトを焼いたもの)とスキー用品があった。

更に工作台などもあったのでここで不用品の解体を行う事にした。

 

そのまま一晩休憩し、比較的きれいなチラシの裏に日記を書いて就寝した。

 

翌日は再びプレザントバレーを目指して歩く。

Pipboyの地図には載ってないが、確か車が走れるくらいの山道があった筈だ、其処を進めば大幅なショートカットになるだろう。

大雑把な目安を付けて進めば、それらしき山道にぶち当たった。

 

「うん?車が二台に白骨死体?」

 

車の方は山道側と山道を外れた位置にあるジープ。

この二大は山道側の車がけん引しようとしていたのかロープでつながっている。

そして白骨死体の付近には黒ずんだ血の跡と、L字のレンチが落ちていた。

 

「……何やらミステリの雰囲気を感じなくもないが、まるで状況が分からんな。

 というか、血の跡はよく残っているな、コレ」

 

白骨化しているくらいだから相当前の物だろうと思うのだが、くっきり跡が残っているのは何なんだろうか?

 

「こっちのほうがミステリじゃないか?」

 

 

とはいえこんな謎が俺に解ける筈がない、分野違いだ。

そう思うと、写真に残しておこう……こういう時このピップボーイは便利だな。

 

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気を取り直して山を越えると、大きな鉄塔……送電線が見えた。

更に山の上の方に続いてるようだ。恐らくプレザントバレーに続くものだろう

少し視線を下すと列車が止まっているのが見えた。

 

「ふむ……何か目ぼしい物でもあったりするだろうか?」

 

そう思って少し降りて近づこうとして動きが止まった。

 

「何であれが居るんだ……」

 

セントリーボット。

戦場でアサルトロン同様に、あるいはそれ以上に中国兵を蹂躙したロボットだ。

味方であれば頼もしいことこの上ないが、どうも常に警戒状態で赤色蛍光灯がともっている。

 

「近づくのは危ういな、さっさと目的地に行こう」

 

列車を無視する形で線路沿い…からやや離れたあたりを進み、ようやく世界の頂上に辿り着いた。

 

 




という訳で少々端折り気味ですがこんな感じで進みました。
今回初めて挿絵機能を使ってみました。
以下、ウチの76のオッサンです。


【挿絵表示】


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5:世界の頂上大決戦

双眼鏡は持っているか?
スコープ付きの武器は?
人の痕跡があった場所に行くなら遠距離を見渡すことのできる道具を持っておくといい。
例え何度も訪れた場所でも、新しくフェラルやスコーチ、スーパーミュータントやその他アボミネーション共が住み着いている可能性がある。
そういった相手を事前に察知するのは重要な事だ。

逃げるにしても、戦うにしてもだ。

Vault76元警備部門担当の老人の言葉


世界の頂上、このリゾート施設には何度か家族で来た覚えがある。

弟たちと誰が早く滑れるか競ったものだ。

 

スコーチの待ち構える|略奪者≪レイダー≫のキャンプを迂回し、世界の頂上に足を進めてその感想を得た。

ここまで来ると今回の世界の頂上ラジオを発信している相手の正体の一端も見えてくる。

|略奪者≪レイダー≫だ。

ラジオの電波が悪くてそれっぽい単語が聞こえても、半ば現実逃避で無視したがやっぱりアウトなようだ。

どこで拾ったか忘れたが、持っていた双眼鏡で『世界の頂上』とその周辺を眺めるとスコーチの数の多さ、更に迂回して索敵と探索を続けると周辺の施設や建造物には緑のデカブツ……確かスーパーミュータントを自称する存在も数が多い。

そして良く判らない黒いずんぐりむっくりした何か……イエティとか?

でも、俺のイメージだと白くて毛の長いゴリラなんだが……うん、こいつらも結構数が居るな。

結論だけ語ると、恐らく一度戦闘を始めればなし崩しで連戦になるだろう。

向こうは銃器持ちもそれなりの数が居るので、囲まれれば相当厳しい。

となると暗殺して対処する必要がある。

正面から挑めるのは余程の馬鹿か、完全武装でパワーアーマー持ちの精鋭の兵士ぐらいだ……そう、アンカレッジで英雄になったネイトさんぐらいだ。

彼はガチで強い、同じ人類なのかと疑うレベルだった。

 

うーむ……まぁそれでも。

 

「何とかなりそうだな。警備って訳じゃないだろうが、ザルだし」

 

そこから先はひたすら時間をかけて地味にスコーチ共の数を減らした。

木々や草むらの陰に隠れてのナイフ投げ。

背後から忍び寄って斧で脳天を一撃。

スコーチからかっぱらったサイレンサー付きのパイプガンで暗殺。

トドメはレイダーの死体から剥いだフラググレネードでまとめて爆殺。

 

やってみれば以外にできるものだと我ながら感心したものだ。

 

次に黒いイエティもどきだが……よく見るとなんだか見覚えのある装備な気がする。

アレ、近所のおっさんが着ていた鉱夫の防護服とガスマスクにも見えなくはない様な……。

観察していると、向こうに気づかれた。

 

「……」

 

互いに無言で見合うが、特に撃ってはこない。

俺は彼らを迂回しスーパーミュータントのいる方へ向かうが、彼らは結局攻撃することなく見ているだけだった。

まぁ、それだけでも結構プレッシャーであったし、向こうはコンバットショットガンで武装していた。

近よらなくて正解だろう。

 

最後にスーパーミュータント。

確かに数はいるがスコーチほどでは無い。

サイレンサー付きのパイプガンを俺が手に入れた以上、脅威ではないと言って良い。

 

「意外と楽に進むもんだな……ついでにこれまで手に入ったからにはもう、脅威いないか?」

 

スーパーミュータントの持っていたライフル、これもまたサイレンサー付きの物があった。

序に言えば、単距離向けとは言えスコープ付きだ。

運が向いてきたのではないだろうか?

 

そして先程の鉱夫?を避けて本来の本命、世界の頂上ラジオの主、レイダーと思わしきローズを自称する女に会いに来たのだが。

 

「話が長い…というか監督官のホロテープ聞いた方が率直で解り易かった」

 

ローズから情報を得る、或いは会いたいのなら放送機器の部品獲得とここから南方の大規模通信施設まで行き、ラジオの電波を遠くまで飛ばせるように協力する必要があるようだ。

 

「まぁ、折角だし物のついでにやってみるとするか」

 

時間はあるのだから。



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6:モモンガー発電所、ショットガンの悪夢

パワーアーマーは米軍が誇る最高の歩兵装備だよ。
あれ一つあるだけで小さな町一つ楽に占領できるって触れ込みだからね。
実際、装甲は10㎜拳銃は効果無いし、ライフル狙撃にだって耐えきれる。
ミサイルの爆発やグレネードも何のそのだ。
難点は衝撃なんかは殺しきれない場合があるって事だな。
このパワーアーマー、フレームの作りからして縦方向の衝撃には強く、お陰でかなりの高所から落ちても仲の人間は無事なんだが、前後や横といった方向からの衝撃はあまりカバーしてくれないんだ。
つまり、撃たれた衝撃なんかは通るからそれが中の人間を殺すって訳だ。
だからパワーアーマーやフレームは無事なのに、人間だけ死んでるってケースはそこそこ出てるそうだぞ。

アンカレッジ戦争中の整備班の男との会話より


「うぅああああああああ!!!!」

 

老年の男の悲鳴が発電所に響く。

 

勿論俺の事だ。

 

プレザントバレーの探索でパワーアーマーを得て気を良くした俺は険しい山道を迂回して麓を経由して部品があると思われる発電所近くの町をめがけて北上した。

何の問題もなく発電所付近まで来ることはできたが、通り過ぎる筈のそこで一つの放送が聞こえた。

 

端的に言えば、発電所の再稼働要請だ。

 

もしも発電所が再稼働できるのなら、それはかなり大きい意味を持つ。

端的に言えば街一つが蘇るに等しい電力を確保できるのだ。

もっとも、外も中も怪物の巣窟。

外にはスーパーミュータント、こちらは数が多く中々に苦労したがパワーアーマー(装甲はレイダーのお手製)があったお陰で多くの鉛玉を弾く事が出来た。

そんな訳であったので、ごり押しの力押しで真正面から打ち返し、殴り返してすすみ、先ず外の冷却設備の修復を行う事にした。

具体的には破裂しているパイプを叩いて整え、適当な鉄板をあてがいダクトテープで抑えて修理、破壊されたコンソールはパネルのカバーを外し、同線しかダメージを受けていないのでレバーの修理とカバーの修理だけで済んだ。

元々、Vault76の整備もしていたのでこの程度は朝飯前だ。

思わず鼻歌を歌いながら発電所内のリアクターとジェネレーターの修理となる。

 

そして、中が地獄だった件について語らざるを得ない。

 

中に住み着いていたのはスーパーミュータントではなく、どこぞで見たメモによるとモールマイナーやっぱり炭鉱夫か……と思うがここ発電所なんだがなぁ。

向こうは侵入者である此方を見ると一斉に銃口を此方に向けた。持っているのはコンバットショットガン。

全員が全員、コンバットショットガンだった。

 

まさかの一斉射撃に思わず防御姿勢をとるが、この一瞬で手足の装甲は完全に破壊された。

 

「やはり内よりマシ程度のレイダー性の粗悪品だったのが運のツキかっ!」

 

フラググレネードを投げて何人か削れれば、と思うも爆炎の晴れた先には想定外な事に全員余裕で立ちふさがってじりじりとこちらとの距離を詰めていた。

 

「うそぉ!?タフにも程があるぞ!?!」

 

俺の言葉に返事するかのように再度のショットガン斉射が行われる。

慌てて壁を立てに身を隠すも、これと戦うのは無理と悟り、俺は悲鳴をあげながら這う這うの体で発電所内を逃げ回ってようやく脱出したのだった。

お陰で余計な重りとなっていたジャンク品は全て袂から放棄する必要があったほどだ。

 

兎にも角にもそういった事情からモモンガー発電所は俺の悪夢となり、俺は発電所より東を諦めてモーガンタウンに向かう事にした。




挑んだ頃のSS


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7:モーガンタウン探索

モーガンタウンには商店、教育施設、駅、飛行場と様々な施設が揃っている。
ここに来れば大体の物が揃うのは言うまでもない事実だが、
最終戦争の後である今は大体の物がジャンクになり果てている。

とはいえ、それを再生して新しく何かに作り直す事が出来ればジャンクはそのまま資源へと見方が変わる。
最終戦争のきっかけが資源の争奪戦であったことを考えれば皮肉なものだ。

しかし、監督官はあの敵だらけの高校や大学でよくログをのこす余裕があったな。

とある日のチラシの裏の日記


モーガンタウンにやってきた。

ここにやってきた理由は3つ。

第一に監督官のログ探し、次にレスポンダーのキャンプとなってる飛行場に顔を出すこと。

最後にママドルスの食品加工工場で物漁りをする事だ。

 

先ず最初にタッチしたのは監督官のログ探しだ。

これは目的地が分っていたので焦る必要はない、モーガンタウン高校とVault-Teck大学だ。

後、恐らくだがレスポンダーの施設にもあるのではないかと踏んでいる。

監督官が短期間で驚くほどあちこち探索しているのは既に理解している。

そして、当のレスポンダーだが恐らく既に壊滅している可能性が高い事も想像がつく。

 

何せ、それなりにあちこちと歩き回ったが、生きている人間で遭遇したのは元Vault76の住人だけだ。

スコーチとフェラルグールは除外する、アレを生きた人間扱いはしない、ただの害獣だ。

どっちも脳味噌イカレてるからな、仕方ない。

 

見かけたら駆除する以外の選択肢が無い。

 

まぁ、最初の頃はともかく今では突っ込んでくる敵はカウンターでコンバットナイフで一撃、離れた敵はライフルで頭から消し飛ばしているぐらいだ、実に慣れたもんだと思う。

 

高校を探索して思ったのは、間違いなう一時期はここが避難所として使われていただろうことだ。

ただし、有益な情報があるかと言えば特にない。

強いて言うならプラスチックごみが多いのでプラスチックが欲しければここに来ると丁度いいことぐらいか。

次に探索したのはVault-Tec大学だ。

ここも間違いなく避難所として使われたはずなのだが……最終的にここの監督官らしきものが住民に襲われ壊滅下と思われることが見て取れた。

フェラルグールばかり多くジャンクはあまり欲しいものが無かった。

 

「ウチの監督官様はこんな場所で本当に良くログをのこす気になったもんだな」

 

かく言う自分もメモ書き程度はしているが……まぁ、他にも来た奴がいるのだろうかフェラルやスコーチの死体も多かったく、残りも少なかったので殲滅できたが故の余裕だ。

 

「ステルスボーイは姿を隠すだけで臭いや足音は消せないし、独特な揺らぎが見えるんだよなぁ」

 

監督官の実力という謎が深まった気がするが、其処は置いておいて次はレスポンダーの足跡を……とも思ったが、一度この地にCAMPを設営する事にした。

まだ時間はある仕組みたてにも慣れたのでそこそこ大きめの小屋を建てよう。

 

まず大事なのは床というか地面の基礎作りだ。

これがしっかりしていないと組み立て後にあっさり崩れかねない。

その次に支柱、壁や天井を作る際にこれの有る無しで完全に違うし、増築改築の際にも差が出てくる。

最後に壁と天井を作る。

 

当然ながら扉の作り忘れとか言うミスは犯さない。

 

更に今回は天井の一区画は空けてあるそこに階段を通してさらに部屋を作っていけば2階も作れる、という訳だ。

先ず1階は工作台や調合台等を設置し、武器や防具の整備や薬品調合が出来る様にする。

2階はベッドや簡易の机と椅子を用意し更に調理台も用意して生活の為の部屋だ。

念の為に周囲にはタレットを幾つか設置し、ここまですればしばらくの拠点として使えるだろう。

 

「思わず予定外の二階も作っちまったな……まぁ生活部屋と工作部屋は分けた方が良いから問題なし、としておくか。

 それよりも頑張り過ぎてもう体が疲れた…トシとしか思えねぇなぁ」

 

調理台で沸騰させたお湯と布切れで手早く体を清め、年老いたくはないもんだなと愚痴りながらベッドに潜るとCAMPが生成してくれた掛布団は存外に心地よく、ベッドもふかふかしており実に寝心地が良かった。

 

翌日、モーガンタウンの探索に行ったが正直ロックされた扉が多く、その殆どが特殊な鍵でもかかってるのか手が出せなかった。

更に悪い事は重なるもので、この町はフェラルグールの巣窟だった。

ひっきりなしに敵に襲われるうえに成果は薄い、そう考えれば後の判断は早い、レスポンダーの拠点の空港に足を向けた。

 

しかし空港も空港で今度は大量のスコーチの巣窟だった。

こちらは色々と有用そうな情報や物資もありそうなので諦めるわけにもいかないだろう。

 

そんな気持ちを抱いた俺の前に存在したのはレスポンダーのトレーニングという名の虚しい施設回りだ。

本来であれば新人の顔見せという意味のある行為だったのだろうが、現在この場にいるのは全てスコーチだ。

途中、医療研究をしている場所を見つけて重要情報を得たり、それを見つけた監督官のログも見つけたがあるのは死体かスコーチだけだった。

正直なところ、かなりうんざりしたが、情報に関しては非常に有益だった。

何せスコーチ化を防ぐ為の情報だ……正確にはその研究をしている、という段階だが。

その情報だけでも値千金だろう。

そう思っていたら外から大きな雄たけびが聞こえた。

 

「なんだ?初めて聞く雄たけびだが…」

 

警戒しつつ物陰から外を見上げるとそこには例えるのなら超巨大な蝙蝠の化け物、或いはシンプルに悪魔とでも言ってしまえるような存在が空を舞っていた。

奴は鱗粉の様なものをまき散らしながら飛び続けている。

 

「…!?」

 

スコーチ化の研究に関する事で触れられていた化け物スコーチビースト、空を飛ぶその姿は書き記されたものその物だろう。

だが俺が危機感を抱いたのはそこではない、スコーチ病だ。

周囲を見渡し、大したものは何も見当たらず、しかしバンダナが見えたので無いよりはマシとマスク代わりに口元を覆う。

スコーチ病のキャリアーはスコーチビースト、という記述もあったが、あれだけ盛大に鱗粉を撒いているのだからあながち間違いではないのだろう。

奴と真っ向から戦うのならT61型のパワーアーマーをフルセットで用意してオプションも盛大につけて、武器はミニガンがガトリングレーザーでもなければ無理だろう。

あるいはそれ以上の装備か対空戦闘装備があれば話は早いのだろうが…。

 

無い物強請りをしても仕方がない、次は…。

 

「スコーチ病の対策研究、その成果を確認するべきか」

 

今回の一件で俺自身もまた感染している可能性がある。

まだ、こんな場所で死ぬつもりはない。

 

「まだ何も為せていないんだ、せいぜい足掻いてその内スコーチビーストも狩って見せようじゃないか」

 

勝つ為の道筋が見えないわけじゃない。

それにあんなものを放っておいたら人の安心して住める場所がなくなりかねない。

あれを狩るのもまた俺の仕事だ。

そう決意し、俺はスコーチビーストの去った空港を後にした。



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8:AVRメディカルセンター

このアパラチアで一番怖いのは恐らくフェラルになってしまう事と、スコーチになってしまう事の二つだろう。
何故かと言えばどっちも防ぐのが難しい。
特にフェラルはグール化の件と合わせて原因が良く判らない。
スコーチはキャリアーであるスコーチビーストを殲滅すれば或いはその脅威はなくなるのだろうか?

とりあえず、AVRメディカルセンターに向かう事にする。
もしもVault76の同胞、或いは生きた人間がこれを手に取る事があれば同じ様にメディカルセンターを目指すと良い。
スコーチ病の対策があるらしいからな。
スコーチの同類になりたいんだったら無視しても構わない。
スコーチ病に関して知りたければ空港に行ってみれば良い、多少の情報がある。
ここに書けって?

少し苦労してこいってことだよ!

モーガンタウン駅の机の上の書置き


モーガンタウンの空港で得た情報を確認すべく、AVRメディカルセンターへと向かっていた。

その途中でスコーチの襲撃にあったり、グールに遭遇したり、スーパーミュータントに遭遇したりと散々戦う嵌めになったが、奇跡的にも怪我無く生きている。

やっぱ遠距離狙撃は正義だ、間違いない。

 

「とはいえ、さすがに今回は移動距離が長いな」

 

安全確保が出来ていない道を通るのも怖かったのでフラットウッズ方面から回り込む形で南下する事にしたが、その移動距離は車やバイク、せめて自転車が欲しいのが本音だ。

無い物強請りでしかないので諦めるが……愚痴は出てしまうものだ。

 

さらに問題なのは水や食料と言った必需品以外の荷物だ。

長旅になるのがわかりきっていたのでモーガンタウンの拠点には不要なジャンク品や武器弾薬など色々と置いてきたが、絞り過ぎて今度は逆に不安が出てきてしまった。

具体的に言うと、コンバットナイフは既にボロボロ、手斧も同じく、ライフルは損耗していて、ショットガンは弾切れ寸前。

パイプガンは一応持っているが威力が残念なのでいまいち頼り切れない。

それ以外の物は置いてきたのだが、無理にでも持つべきだっただろうか?

 

 

AVRメディカルセンターに到着すると俺は再び頭を抱えた。

 

「スコーチの数が多すぎる。なんだってこんなにいるんだ」

 

とはいえ、ここを突破にしない事には件のスコーチ病の対策も打てないのでなんとしてでも突破する必要がある。

 

着こんでいるパワーアーマーは既に完全に修復が済んでいる。

元が襤褸のレイダーパワーアーマーだが、無いよりは遥かにましだろう。

 

「最初は暗殺で入り口周辺を削るか。パイプガンにはサプレッサーもついているし、ある程度は隠密に事を運べるはずだ」

 

とあるパイプガンについていたものを解体して見様見真似で作った自作品だが、それなりの効果は確認できている。

それよりも問題はメディカルセンターの内部を知らないから下手すると相当探索時間が必要、ということだ。

入り口周辺のスコーチを適切に処理し、死体は物陰に遺棄し警戒しつつ手早く建物内に入ると侵入には気づかれなかった様子だがそれでも結構な数のスコーチが建物内部を徘徊しているのが見て取れた。

 

「……距離があってこっちが幾ら気を使ってるとはいえパワーアーマーの侵入に気づかないって随分と警戒がザルだな」

 

とは言え、交戦してしまえば向こうの銃声で一気に集まってくるだろう。

そうなればパワーアーマーの装甲任せで突撃するしかなくなる。

 

なので、ちょいと誘き寄せてみた。

投げナイフを物陰から放り投げわざとらしく音を出させる。

スコーチの集団が…ってこんなに来るのか?

10近いぞ……まとめて爆破だな。

グレネードを投げてまとめて仕留めた所で更に後続の気配があったので、手早く地雷を幾つか設置して隠れた。

その十数秒後に爆発音、更にスコーチが吹っ飛んだようだ。

ここまでやって未だに入り口エントランスなんだが、ここスコーチ多すぎやしないか?

 

その後に更なる襲撃は無かったのでパワーアーマーの照明で明かりを確保して探索に入った。

 

やはりというべきか、内部は崩落している箇所もあり、本来はシンプルな構造であろう内部が変に複雑化されていた。

 

「ふむ、良品のジャンクもそれなりにあるな」

 

思わず目的を忘れそうだが探索を続ける。

様々な部屋をめぐると医療ベッドの上に寝た宇宙服を着た猿のぬいぐるみと、その猿の顔に覆い被さる青い宇宙人のぬいぐるみを見た時は思わず噴いてしまった。

誰が仕掛けたか知らないが、なかなかセンスがあると思う。

 

暫く地上階を探索したが、それらしき研究施設は見当たらない。

 

「と、なると残りは地下だな」

 

地下はいざというとき脱出不可能になりかねないからあまり向かいたくないが、そのイザと言うときはパワーアーマーを信じるしか無いだろう。

せめて初期モデルのT45とか正規品ならもっと良かったんだが。

 

その後、無事に地下への道を見つけたが、エントランス近くの大穴がショートカットになっていたと気付き少しショックを受けた。

 

 

地下の研究施設を漁った結果、俺はお使いに行かなければいけなくなった……勿論ここにも相変わらず生存者はいなかった。

 

専用ヒューズの入手と血液採取だ。

 

…………。

 

 

まぁ、既に行った事のある場所だったし、血液も道中で入手出来たので特に気にする事は何もなかった。

 

「うーむ、ここに居たレスポンダーの医者、どうにも的確に狙われ過ぎじゃないか?」

 

気のせいだと思いたいが、モーガン空港にスコーチビーストの群れがスコーチの大群を伴ってレスポンダーを襲撃した件と合わせて見ると多少どころでない戦術的思考が出きると考えるべきなんだろう。

 

またレスポンダーの残した資料や奴等の口にする言葉を考えるにある程度のテレパシーの様な物を扱う可能性が見える。

もっとも効果範囲は狭いか、或いはグループ単位、もしくは上下関係等があるかもしれないとは思っている。

 

処置用のカプセルから出て次に何をするべきかと考える。

 

監督官の足跡を引き続き追ってみるか。

ローズの依頼をこなすか、はたまたメインオーダーであるミサイルサイロを目指すか。

或いは……。

 

「ガラハン重工……いや鉱業だったか?採掘用のパワーアーマーを開発しているって噂を昔に聞いた気がするな」

 

レイダーパワーアーマーでは対放射能を始め環境対策が正しくされていない。

 

「取り敢えず、次は南の採掘地帯だな」

 

もしも噂が正しければ、運良く設計図を得ることも有りうるかもしれない。

無くても何か面白いものがありそうだ。




このじい様はこの時点でINT、STR極で日中夜間それぞれでパワーアップし、日光浴びるとどんどん回復する人外になってるが米軍としては恐らくまだまだ凡人程度に違いない、骨の入れ換えや脳のサイバネ化、水中呼吸は導入してませんし……(目そらし
ついでに言うとFo76の仕様で101のアイツやモハビの運び屋、111の将軍には及びませんよ、えぇ。
特にPipboyの性能差(VATSの時間停止)が大きいんじゃないかな?


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9:ガラハン鉱業本社

メディカルセンターより南に進むと炭化、或いは灰に塗れた荒野と遭遇する。
炭化した木々に延々と燃え続ける炎と上がり続ける煙、そして降り積もる灰。
一言で言えば下手をしなくても重篤な病にかかりかねない劣悪な環境だ。
なにがしかの用事が無い限り、この辺りに近づくのは賢い選択とは言えない。
だが、あえて俺がこの積灰の山を進む理由はひとつ、ガラハン鉱業のお手製パワーアーマーを得るつもりだからだ。
現物が無くても、最悪設計図はあるのではないかと思っている。

その辺りの情報確認のために侵入したホーンライトインダストリアルのビルに侵入した。
情報はやっぱりと言うか予想通りと言うかあったのだが、改めて戦前の企業はやっぱクソばかりだなと確信した。
コスト削減は良いが、過剰な自動化で暴徒を増やすような真似しやがって。
やってる事も腹黒い事の多い事多い事、製品自体は良いものがあるだけになお後ろ暗い面が際立つ。
ガラハンは良い企業だったんだなぁ…たぶん。

陸軍も入ってみれば割と良い所だったし、Vault-techの建造スタッフなんかも監督官が上司だったお陰なのか勤務はスケジュールには厳しいが無理のない範囲だったし勤め先には恵まれていたのかもしれんな。

元Vault76の住人の残したチラシの裏の日記より


チラシの裏に書き綴った日記を見返した後、机の上に置き溜息一つつく。

この灰の降り積もる積灰の山では常にパワーアーマーを着込んでいたので、いい加減に休める場所が欲しくてガラハン鉱業本社にほど近い場所でCAMPを展開し拠点を設営し、一服つける場所を用意した。

勿論、屋根と壁は当然でベッドやキッチン、浄水付汲み上げポンプもある立派な奴だ。

警報代わりのタレットもそれなりの数を用意したので、暫くは安全だろう。

流石に空気清浄機までは作れないが、壁と屋根のお陰で大分マシな環境になっているといえる。

 

「ふむ、このお茶もまぁ割とイけるな」

 

煤の花こと夕顔を乾燥させて茶葉にしたものだったが、割とおいしく飲めて満足している。

まぁ、水分が取れるってだけで十分うれしいのだけれど、味や香りがあればなお良いものだ。

 

目的地のガラハン鉱業本社は入り口前の駐車場の時点で警備用ロボットが彷徨いている突入に躊躇いを感じる警戒ぶりだ。

装備が貧弱なまま挑めば蜂の巣にされて終わりだろう。

 

なので廃品をかき集めてそこから重火器を作り、弾を用意し、防具を用意し、グレネードも十分用意した。

食料に関しては拾い集めた保存食がたっぷりあるので問題ないし、そうでなくてもかき集めた肉や野菜で調理したものを食べたりとしているので余裕はある。

 

それに攻略の糸口は実の所十分ある。

駐車場には車が十分に止まっている、『やや不安定な核ジェネレーター』搭載型の車が何台もだ。

そしてそれらは手榴弾一つで容易に弾け飛ぶのだ。

 

だがそれより怖いのはやはりスコーチビーストだ。

大爆発を起こせば奴らが気づいて此方に来る可能性も否定はできない。

好き放題飛べる相手というのはやはり手強いし早くて狙いづらい。

建物などを盾にして戦えばある程度被害は抑えられたが、鱗粉撒きや放射能衝撃波なんかはどこの大怪獣だと言わざるを得ない。

ウチの爺さんが語っていた怪獣王って映画の主役よりはマシだろうけどな。

 

話がそれた、スコーチビーストが来た場合はさっさとガラハン鉱業本社に侵入すればいい。

あの巨体だからもしも入り込んでくれば最大の利点である機動性は失われるだろう。

そうすれば弾を当てるのも楽になる。

 

次に、そもそもの話だがここにステルスボーイmk3がある。

いわゆる『切り札』の一つだ。

何時拾ったかは忘れたが、効果時間が1分以上あるので潜入する分には十分だろう。

 

「ぽちっとな」

 

ステルスボーイを起動させるとなんだか妙に不安な気持ちになるんだが、なんなんだろうな、これは。

 

そうして潜入した社内だが、中はロボットとモールマイナーのドンパチ真っ最中だった。入口の脇で置物になって待つこと数分。

銃声が遠くなったのでこの近辺の戦闘は落ち着いたのだろう。

 

そう思い進むと死体とスクラップの山が転がっていた。

当然ながら漁りながら進む、平然と漁るという選択が出てくるようになった辺り、自分ももう大分思考がおかしくなっているような気もするが、其処は気にしないことにした。

 

先ず、重役の部屋へと進んでみると豪勢な?デスクの上にガラハン氏宅のカードキー、他にも部屋中漁ると他多少のジャンクと武器と弾薬、薬などがあった。

 

「武器に関しては手持ちの奴の方が質が良いな、後で解体するか」

 

この頃は武器作成の腕も上がったのか下手な拾得品よりもハンドメイドの武器の方が質も良くまた状態も普通に作られた物より頑丈に作れるので拾い物をそのまま使う、という事はほぼなくなっていた。

 

袋に詰めるだけ詰めて先へ進む。

当然そうするとモールマイナーやロボットが居たが両方撃つ。

強行で進んだだけあってパワーアーマーの装甲も見る影もない屑鉄状態でかろうじて頭部と胴体は原形を保っているが、ここで壊れたら廃棄するべきだろう。

 

地下の工房に入るとパワーアーマーの設計図は直ぐに手に入った。

 

「ふむ……部品は足りそうだしこの場で作ってみるか」

ブラックチタンがギリギリだが、拾ったジャンクを潰せばどうにかなるとわかり、早速作業を開始し、作り終われば直ぐにフレームに取り付ける。

 

「ふぅん、結構ゴツくて格好いいじゃないか」

 

大昔の漫画のヒーローロボットを思い出すが、あっちはもう少しスリムだったかな?

それにからりーんぐは設計に忠実にしたせいで銃器っぽい黄色と黒系が目立つ警戒色とでも言えば良いのか、とにかくそんな感じだ、だがそこが良い。

 

早速フュージョンコアを差し込んで乗り込むと、俺は一つ困ったことに気づいた。

 

「いかんな、予備も無いのに残りENが20%未満か」

 

何処かで拾うか、或いは発電所にでも行けば入手可能だろうか?

これが今後付き合いの長くなるだろう相棒ともいえる|エクスカーベーション≪掘削機≫型パワーアーマーの完成だ。

 

「軍用よりも扱いやすいかもしれんな。少なくとも着心地は悪くない動きも遜色はない……装甲は若干薄いが今までの屑鉄と比べればマシか」

 

元々軍用から民間用に再開発された経緯があり、その使用用途も鉱山などでの事故からの生存性向上を狙った物であり、ガスや熱などにも強くまた放射性物質に対する耐性もパワーアーマーとして当然ながらある。

戦闘用では無いのでそっち方面の優秀さは他に譲るだろうが、トルクは強いので重機として考えればかなり優秀の一言だ。

流石は敵対してたホーンライトが手放しでほめただけはある。

レイダーパワーアーマーは雑に鉄板を重ねてただけとも言えるから装甲は厚くても重量がネックだった。

それにあっちは拡張性もないしそもそも設計図も持って無いので新規作成は困難だし修理も大変だった。

その反面、この掘削機級はご丁寧に設計図が手に入ったし改良点もお陰で判る。

なによりこっちの方が拡張性があってモジュールの設計図は恐らく大本のT-45と共通して使えそうだ。

ガラハンの技術者、かなり優秀だったんだな。

 

「相変わらずナックル系の武器は使えんか、まぁ当然だが」

 

そもそも、パワーアーマーの素手が既に武器として優秀だ。

だから、その素手を補うのは電気や熱を用いたものが良いのだろうか?

フレームにダメージがいきそうだからやめておくべきか。

 

「さて……次はどうすっかねぇ?」




遅くなりましたがFo76のある意味目玉パワーアーマー、エクスカーベーションの登場です。
作者はこれが好きで普段使いしてます。


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10:鋼鉄兄弟

今日は長年の疑問が解決できた……と終えたらよかったんだがなぁ。
監督官もやはり人間味のある人物でそして、だからこそ俺や彼女を知る人間の殆どが彼女を支持し、敬愛しているのだ。
第二世代、第三世代の奴らも彼女を慕っているからこそ、このアパラチアの為の活動を彼女の姿が見えずとも行っているのだ。

そしてやはりスコーチビーストはどんな手を使ってでも殲滅しなければダメだな。
あれは人類の未来の為にも殲滅せねば。
我々元Vault居住者が成すべきは祖国の再建だが、その為にも人類種の天敵たるスコーチビーストを殲滅しスコーチ病のキャリアを滅ぼす必要がある。
その為にも、奴らについての情報をなるべく多く知る必要がある。



今日もPAの具合は快調だ、換気と言うかPAその物の欠点で非常に蒸すと言うことを無視すれば。

灰まみれの街中をスコーチやミュータントを切り飛ばし、殴り飛ばし、叩き潰しながら探索している。

悲しい事に随分と板についたように思う。

同じぐらい、遠距離からライフル狙撃で頭を吹き飛ばすのにも馴れた。

 

更に悲しいことに銃撃をされるのもハンマーで殴られるのも同じくだ。

PAが無ければ即死だったんじゃなかろうか?

 

探索しながら情報を集め、人々の書き遺しをまとめながら進むとVault入り直前、直後からしばらくの間のアパラチアの情勢が見えてくる。

懐かしくも忌々しい日々を思い出すのが難点だ。

過去を振り返りながら探索を更に進めると不思議な光景が見えた。

スーパーミュータントが歌を歌いながら荷物満載の牛を引き連れてあるいていた。

 

そして見つかった。

 

「おぉーい人間、取引しないか?」

 

SM特有のしゃがれた声音は喜色をもって放たれた。

 

「と、取引?」

「グラムは肉が欲しい、無ければキャップでも良いが肉があれば嬉しいぞ!

代わりにグラムは集めたものを代価にやる。取引だ!」

 

なるほど、どれなら確かにそうだ。

 

「薬はあるか?」

「スティム、Radaway、バフタス、他にも色々あるぞ!」

 

そういう時はバラモン…ムームーのチャリーと言うらしいが背負っていたトランクを開いて見せると現物と値段が書いてあった。

値段は時折見かけるベンダーボット変わらないもので市場価格としてみれば妥当だろう。

 

「武器はあんまり無いが、弾もあるぞ、見るか人間?」

「あぁ見せて欲しい」

 

言うだけあって主要な弾、10mm弾やライフル弾、ショットガンの弾から携行ミサイルランチャーの弾や核弾頭まであった。

 

「人間は売るものがあるか?」

「そうだな……マイアラークとラッドスタッグの肉ならそれなりにあるぞ。調理したばかりのものもある」

「おぉそれは良いな人間!グラムは調理したものも欲しいぞ!」

 

それから交渉、というか互いに欲しいもの出せるものを言い、取引を終えた。

 

「人間良い取引だった!飯もうまかったぞ!」

「こっちも弾薬に薬品の補給できて助かった」

 

その後、互いにまた会う機会があれば取引しようと約束しては言塗れの領域を歩き続けると監督官の足跡がまた見えてくる。

 

「なるほど、恋人さんこの辺りで働いてたんだな」

 

だとすると、行く末はモールマイナーか或いはスコーチか、はたまたフェラルグール……運が良ければ意識を保ったグールになってしまっているのだろうか?

残された記録から人の意識を残したグールの存在は知っているが一度も遭遇したことが無い。

デマでも掴まされたのだろうか?

 

そんなこんなで歩き回っているとあっさり見つかった恋人さんの成れの果て。

 

「監督官はよくもまぁこの中に誘導して閉じ込めたもんだよ」

「うぅう…あぁああ。我々ではない?コロス!」

 

がっちゃんがっちゃんと閂で閉じられた扉を開けようとするスコーチ。

俺はBGM代わりに監督官のログを聞き、溜息一つ突いて10ミリを抜いて額に一撃加えて、それで終わりにしてやった。

 

「監督官はこの結果を喜びはしないだろうし、悲しむだろうけど、けど最後は冥福を祈ってくれる筈だ」

 

これは彼女の感傷の残滓だ。

俺を含めた76の元住人は賢く責任感があり、そして人間味がある彼女を敬愛していたからこそ76の住人は彼女の掲げたアパラチアの……アメリカの再建という目標の為に動けるのだ。

少なくともVault-Techの為ではない。

 

さて、次はどこに行こうか。

そう言えば、東にワトガがあったな……山を越える必要があるが、まぁ準備を整えれば十分行けるな。

確か間に病院があった筈だ。

細かいことは覚えてないが、それなりに大きい病院だったはずだ。

医薬品や医療道具が残っていれば回収してもいいかもしれないな。

 

最早馴染みの建築行動をとりつつ、クラフト用の作業台や調理場を用意し数日物資を集めて武具の補修を行い準備を終えると東のワトガを目指して歩き始めた。

 

山道を進んでいくとSMに襲撃されたので反撃してミニガンと弾を豊富に入手し、更に進むと野犬に襲われ、スコーチに襲われと散々だったがようやく半分こしたぐらいと言う所で以前に思い出した病院……だった場所を見つけた。

だった、と言うのはあからさまに防衛設備がエントランス前に準備されていて、パワーアーマーを着込んだ死体が転がっているからだ。

恐らく米国陸軍関係者だと思うのだが、見覚えのないエンブレムがあったりと色々と疑問符が残る。

そう言えば、レスポンダーの記録にパワーアーマーで武装したブラザーフッドオブスティール(鋼鉄兄弟)とか言う組織があるんだったか?

確か略称はBOSだったか。

エントランス前の防衛設備と思われるものに近づこうとすると、突如スコーチ共が湧いて出た。

お前らは虫か!?

数の多さに辟易としながらもパワーアーマーの装甲を頼りに力で押しつぶしていくと、今度は頭上からどっかで聞いたような叫び声が聞こえた。

 

「ビーストまで来やがるかよ!」

 

幸いな事に手元には弾丸がたっぷり余ってるミニガンがあった。

このおかげで逃げ隠れしながらもスコーチビーストの撃退に成功する事が出来た。

ガトリングは途中で銃身が焼け付いた上に歪んだので使用不可、暴発しなくて済んだのは運が良かった。

途中から本来のメインウェポンだったコンバットライフルに切り替え、弾が尽きてサブウェポンの10ミリまで抜き、落ちてきて格闘戦になった所でナイフで切り刻んで勝利。

 

「ブラックチタン製だけあって頑丈で頼れる、我ながらいい物を作ったもんだ」

 

そんな自慢のブラックチタン製ナイフも病院…と言うかディファイアンス砦内のグールとの戦闘で壊れた。

途中から拾い物の斧を使い潰しながら

進んだが、正直数が多過ぎで死ぬかと思った。

 

「ゴールっぽい所に辿り着いたは良いがレーザーフェンスで通り抜け不可か」

 

無理に押し通ればサイコロステーキになるのは間違いないだろう。

何か解除方法は、と思うと監督官の残したと思われる何時ものVault-Techロゴのコンテナ。

 

「あ、監督官もここにきて手段の模索をしたのか」

 

少しこの周辺を調べて見ても良いだろう。

 

「って、あっさりヒント見つかったな軍人のIDが必要なのか……退役軍人だが、使えるだろうか?」

 

軍人のIDを端末で登録すればこの先に勧めるようだ。

もし、持っていなければどこぞのキャンプでトレーニングした後にIDの発行手続きで無意味に時間かけさせられたりと、間違いなく退屈で眠気と戦う時間が待っているだろう…と言うのが戦前の話。

あの時は本気で長々と待たされたものだ。

 

「む、さすがにダメか」

 

どうやら現役の軍人のIDでないと駄目なようだ。

流石に退役した証明書などは持っていないからそうなると訓練施設のあるキャンプマクリントンで手続きして、その後にチャールストンの議事堂でID申請をするという流れになるだろう。

 

「面倒だな……ヘリで移動できるのなら楽だが……下手に飛んでもスコーチビーストに撃墜されそうだな」

 

だが、この地で唯一スコーチビーストに対抗できたBOSの足跡は是非とも確認したい。

 

「仕方ない、どうせ時間はあるんだやってみるか」

 

この後、キャンプマクリントンでロボ軍団に年寄りの冷や水と言う言葉の意味を思い知らされ、更に議事堂ではフェラルの群れに襲撃されてと非常に散々だった。

その反面、どちらも有用なジャンクが多く、役に立ったと言えば立ったのだけどお陰で普段使いしている武器の弾薬にスティムパックは完全に底を尽いた。

 

「まったく、どうしてこんなにグールが多いんだ。レスポンダーのファイヤーブリーザーとか言う精鋭たちもキッチリ処分しておいてほしかったものだ」

 

何せ、この近くにある消防署がレスポンダー、ひいてはファイヤーブリーザーの基地の様なものだったし、チャールストンは彼らの訓練コースだ。

何故足元をきちんと掃除しないのか、これが分らない。




しばらく時間が空きました。
PSO2のEP5とかEDF5、スマホゲーとかFF7Rとか色々やってたせいですごめんなさい。


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12:遺された物

レスポンダー、BOSと語るとどうしても次に語るべきは恐らくフリーステイツとなるだろう。
フリーステイツ、要するに合衆国製に反感を抱く人間たちだ。
今はともかくとして戦前では州=国と言って良いほど合衆国の国土は大きい。
それ故か、或いは別の思惑からか合衆国から脱したいと考える層はある程度存在した。
こういうのが居たから内ゲバもあるし『共産主義者を利用して』等と甘い考えで外患を招き入れてしまう愚か者達が後を絶たなかった。
実際、そういった話は何度か聞いてうんざりしていた。
政府も政府で労働者を追い込むロボットを頼った自動化なんて考えていたのだから政府に反感を持つのは、まぁ分からないでもないのだが…。

彼らの方でも多少は何か情報を持っているだろう。
BOSの足跡を追えばスコーチビーストの巣に挑む事になる可能性は十分にある。
現時点で挑んでも弾薬も使い果たしたばかりで碌な事にならないだろう事は間違いない。
その為、情報と物資を求めて過去にフリーステイツの根城があったらしい東の森林地帯に足を延ばす事にした。

元Vault76の住人の日記


 沼地地帯に向かう際、俺はワトガを経由したルートは選ばなかった。

それもこれも、極度に自動化が推進されたワトガはロボットで溢れているのだが、そのロボットが暴走して人間を襲っているという情報をBOSが残していたからだ。

もしもこの中に純軍事向けのアサルトロンやセントリーボットが複数いたら普通に死ぬ。

連携とられても死ぬ。

アサルトロンは格闘能力も高いが、その目玉は頭部からのレーザー照射攻撃だ。

PA着てても装甲が熔けて死ぬ、間違いない。

更にセントリーボットはそもそも軽快に動き回るガトリング砲だ。

アッパーバージョンでは小型のロケットランチャーだかグレネードだかを積んでいると言う噂も聞く。

そんなのと遭遇したら幾らPAでも意味がない。

そして現時点では弾薬も底をついているので無茶が出来ない、そういう訳で大きく迂回する事を選んだ。

 

「途中でモノンガー発電所を機能回復してコアを補充できたのはよかった……。

内部のミュータント共を殲滅するのには苦労したけど」

 

それはそれとしてやってきた沼地地帯はうっそうと生い茂る樹木と良く分からん謎の赤い蔓、そして足を取られそうな沼がやはり印象的だ。

さてフリーステイツの活動調査だが結論から言うとやはり彼等も滅んでいた。

だが、彼らの遺した設備は未完成だったがその有用性は恐るべきものがある。

未完成故に完成させ、機能を有効にするためにあちらこちらと歩き回させられ、序に

 

「スコーチ探知機、完成させる為の苦労はあちらこちらと歩き回されてとんでもなかったが、有用性は抜群だな。

もしも彼らがレスポンダーやBOSと協力出来ていたら、再生の日まで生き残るのは十分目があったんじゃなかろうか?」

 

そう考えると余計な猜疑心を煽りに煽ったであろうレイダーには苦い物を感じる。

彼らの様な野蛮な人間がいるから猜疑心は強くなり、組織毎の連携を阻んだのだろうとも思える。

彼らの爪痕は残虐その物で、正直に言えばローズも出来る事ならば破壊した方が良かったぐらいだが、破壊しなかったのは俺の感傷が招いた甘さだろう。

そしてその代償はきっと受ける事になるだろう。

 

さて、そんな事はさておきフリーステイツの遺産だがこれは技術的な物で有用なものは他にもある。

RADシールドというRAD-Xの強化版みたいな薬だ。

一つ使ってみたが、これを使うだけでフェラルとの戦闘が随分と楽になった……RADアウェイを使うタイムロスが減っただけで痛い物は痛かったが。

 

とは言え、物資の補給が潤沢化と言えば少し微妙だ。

弾薬は十分だが、スティムパックの量が若干…いや、多分足りないな。

だが、これ以上時間をかけても仕方ない。

 

ワトガ南のクランベリー湿原に突撃していったBOS隊員の……なんといったか、そいつの足跡を追いかけるのが良いだろう。

恐らく、スコーチの巣のような場所になっているだろうが、戦闘は最小限で済むようにステルスボーイも用意してある。

きっと大丈夫だ。

 

 

全然大丈夫に思えない。

 

 

ちょぉおっとスコーチビースト湧きすぎじゃないですかねぇ!?

 

「…!!……!!!」

 

遠くでガトリングやミサイルやレーザーをぶっぱする音が聞こえる。

どうやらワトガ周辺はロボット共と、それ以外はミュータントすらも交戦しているようだ。

なんだか、それ以外にもPA着た人間やVaultスーツ着た人間が暴れまわってた気がするが、見間違いだろうか?

正直に言うと心臓に悪い。

PipBoyが受け取るBOSの発信機の反応を更新しながら進むと、段々とスコーチの密度が高くなってくる。

天然の塹壕ともいうべき地面の割れ目が無ければ、途中で引き返す事になったであろうことは想像に難くない。

 

何とか進んだ先で天然の洞窟……ではなく、何者かが掘った恐らくなにかの鉱脈と思われる場所に出た。

人の手が十二分に入った場所だ。

内部もスコーチが蔓延っていたが、それでも人の手が入っていて一部は明確に施設化もされていた。

 

「これは……BOSのマークか、ここまで来て力尽きた人間がそれなりにいるようだな」

 

更に進んでいくと俺はようやく探し求めていた人間の遺体を見つけた。

BOSのダガーディ、彼女は記憶が確かならアパラチア出身の精鋭部隊の隊員だったはずだ。

そして、俺自身も彼女を知っていた。

 

「……リジー中尉、できれば生きてまた会いたかったんだがな。

T-51B型じゃ整備するのも一苦労だったろうに……アンタとアンタの部下は間違いなく英雄だった。

BOSの奴らが生きていたら、アンタの最期は俺が報告しておくよ」

 

エリザベス・ダガーディ中尉が率いるダガーディズ・サンダースは俺の所属した整備小隊が世話したことのある部隊だ。

性能の優秀さで後継機のT-60以上であるT-51系列は防御能力も機動性も最高傑作だと言われている。

だが、その反面で整備性の劣悪さはガチで整備員泣かせで整備の間に合わせでT-60にして、その後T-51に戻したという話も聞いたことがある。

T-51B型となると更に整備性は悪くなっているがその分性能は良い筈だ。

だからこそ、彼女たちはタッチダウン(スコーチ拠点強襲)作戦を決行しスコーチ化した大型アボミネーション全てを道連れに相打ちとなったのだろう。

彼女らの検診が僅かなりと時間を作りレスポンダーはスコーチ病の抗体作成、フリーステイツはスコーチ探知機やスコーチビーストルアーの開発が出来たのだろう。

……やっぱりレイダーは滅んで当然だったんだろうな、何も貢献してないし。

 

まぁ兎に角スコーチに大打撃を与えたのは間違いないだろうが、現実としてまだスコーチは蔓延している。

この辺りの情報を得るためにはリジー中尉の遺した情報をもう少し探す必要があるだろう。

 

俺は彼女の荷物を漁り、IDを回収すると再びディファイアンス砦に向かった。




なお、帰りはファストトラベルでスコーチはガン無視で逃げました。


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13:影の支配者

どんな時代にも国家を裏で操る影の支配者がいるだのなんだのの陰謀論は存在する。
アメリカにもあれば日本にもあったのだろう。
ヨーロッパの国々もそうに違いない。
だが、ジョークの一種としてそういった論絶を口にしても誰も本気にはしていなかった。
だというのに……実にあほらしくなってきてしまう。


 リジー中尉の遺した資料を見るに、核ミサイルをぶっぱしてスコーチビーストの巣を叩くという考えがあったようだ。

勿論、これは彼女が玉砕したタッチダウン計画が失敗した場合の対処なのだけれど実際失敗した上にディファイアンス砦の方も防衛に失敗しているのでこの最終手段が使えなくなった。

だが、そもそもの話で核ミサイルのサイロへの侵入方法が現時点で存在しない。

場所はわかってもサイロのセキュリティを突破できないからだ。

 

そこで目を付けたのは州の上院議員まで上り詰めた癖にあっさりとその座を捨てて姿をくらませたサミュエル・ブラックウェル…大体の場合はサム・ブラックウェルと呼ばれる男の足取りを掴み情報を探す事だ。

そして情報がありそうなのはやはり議事堂、そして政治家のスキャンダルが大好きな新聞屋だ。

 

「しっかし、余りにあちこちに移動するのはこの歳だと少し堪えるな」

 

 ジジイになってからの方が壮年時代よりも動き回るお陰で流石に体中痛くなってくる。

同時に傷も増えた。

噛まれて殴られて斬られて撃たれて爆破されておまけに焼かれてと凡そ軍人時代でも合わなかった酷い目に遭い続けている。

しかも敵は無限を思わせる数が居て、自分は孤軍奮闘。

戦わなければ生き残れないから戦うが、いい加減疲れるのも事実だ。

傷は応急処置もしているが、そのうち動けなくなるかもしれない。

そうなる前にスコーチの増殖に歯止めをかけなければ死んでも死にきれない。

 

「さて、またチャールストン……山越えだなぁ」

 

山を越えて向かったのは先ず議事堂。

前に軍人IDを発行した際にブラックウェル議員の部屋が残っている事は探索で確認済みだ。

あの時にもっと調べれば…とも思うが、それは無茶な話だ。

 

議事堂にそれなりの情報はあったが、直接足取りにつながる情報は得られなかった。

ならば次に向かうのはホーンライトだ。

あそこになら記事に出来なかったネタもそれなりにあるに違いない。

チャールストンのスコーチとSM溢れるエリアを強引に突っ切って倒壊しかけているビル内を探索すると、やはりと言うか情報はあった、探すのに時間はかかったが。

 

「今度はまた沼地地帯?ハーパーの東か…老人をにやさしい距離にしてほしいぞ、全く」

 

途中でレールライフルと言う武器の設計図をワトガ駅で購入したのでさくせいしてみたが、なかなかご機嫌な武器だった。

何せ、弾薬が釘だから下手に鉛とか火薬を用意しなくていい。

ネックなのは重さと反動だけだが、まぁ何とかなるだろう…威力もそれなりに高い。

そうして向かった先はデスクローの巣だった。

 

「ふざけんな!お前マジでふざけんな!」

 

デスクロー2体に襲われた俺はお気に入りのハンドガンを破壊され、PAも稼働ギリギリまで破壊され散々だった。

 

「これで何の成果も無ければこのバンカー爆破して埋めてやる!」

 

なお、バンカーは埋めずに済んだがブラックウェル議員の迷走ぶりの理由もわかった。

彼は愛する娘の為にあれやこれやと手を尽くした、簡潔に、短くまとめるとそういう事になる。

娘もボケ始めた父親の介護を頑張ったようだが、スコーチビーストにでもやられたようだ。

そう思うと、口から出るのはただ一つの決意だ。

 

「やはりスコーチ共は殲滅せねばならない」

 

決意を新たに俺は議員のIDカードを拝借し、リゾート地であるホワイトスプリングにこっそり存在するバンカーへと向かった。

また山越えか、とあきらめの溜息をつきつつ。

向かった先のバンカーはただのバンカーではなく、Vaultだった……まぁそういう事もあるだろう。

そしてそこでは俺を待ち受ける存在が居た。

MODUS、エンクレイブとか言う組織の所有する人工知能だが……MODUSのモニターアイコンの胡散臭さも相俟って若干の忌避感を感じる。

もう少し見た目を良くしてほしいものだ。

 

『ではどの様な画像だったらあなたは気に入りますかな?』

「コミカルなのが良い、もしくはキュートなのだ、人間は先ず視覚情報から物事を判断する。

その点から言えば、お前の顔は胡散臭いか、怖いか不気味と言った評価しかできない」

 

とぶっちゃけてやった。

 

『コミカル、キュート……機械の私には人間の感性からくる判断は難しいですね。

具体例はありますか?』

「そう、だなぁ……例えばVaultボーイはわかるか?」

『あぁ、Vault-Techのですね?』

「例えばあれはコミカルの範疇だ。逆にキュートとなると難しいな。……そうだ、昔曾爺さんが教えてくれたゲームの主人公なんかが良いな。紙とペンはあるか?」

『えぇ、ベンダーから受け取ってください。色ペンも出しましょうか?』

「あぁ、頼むよ」

 

そうして描いたのは桃色の団子に手足と目と口があるだけのキャラクターだ。

自分では割とかわいいと思う。

 

『ほう……これはシンプルですね』

「こういうのがコミカルでキュートなキャラクターだ」

『なるほどさいよ……う出来ないみたいですね。

どうやらキャラクターの著作権があるようです』

「そうなのか、残念だ」

 

MODUSとそれなりに会話して思ったのは、またアパラチア中を歩き回らなけりゃならないな、と言う現実だった。

先ずMODUSが最初に要求したのは自身と衛星の通信の復旧だ。

その対価として報酬と施設の利用権を俺によこした。

安全に補給と休憩が出来る場所が一か所でも増えるのはありがたい事なので俺はそれを引き受けた。

 

その後、施設の利用許可を得た俺は装備や薬品のレシピ、装備の設計図を購入してMODUSの管理下に存在しない軍司令施設へのアクセスの為に色々とロボットの起動前の防衛やら凶悪なアボミネーションの討伐、スコーチビーストの殲滅を行った。

当然、それだけではモチベーションが上がらなかったのでスカウトのサバイバル実習のまねごとであちこちに足を延ばしたりもした。

……ただ、人助けの項目は非常に難しいと思う。

どう考えても助ける対象が居ない上にたまに会う元Vault76居住者は随分と…まぁ、強靭な様で俺の助けは必要なさそうだった。

 

そんな風に日々を過ごせばあっという間に「将軍」になった。

……Vault76の居住者ならこれ誰でもクリアできそうだなぁ。

 

そんな感想を抱いた俺が次に行うのは核ミサイルサイロの起動コードの断片探しと、カードキー探し、そしてコードの断片の暗号解読だ。

 

しかし、米国の影の支配者を自称する組織にしては内部分裂で破滅とは随分とお粗末な結末だ。

恐らく別の州にも支部や或いは本部はあるのだろうが、彼らが『正しく』米国の、そして文明の再建に手を貸して呉れれば良いのだがなぁ。

 

 

 




コードの複合にはそれ用にエクセル作って算出とかやらせてみましたが、
アナグラムとかそもそもMODUSの解析が遅かったりとうまくいかないので色々探したらもっと安易な答えがありました(白目


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14:過ちを繰り返してでも

 人は過ちを繰り返す。

==施設に残された元Vault76住人の残したメッセージ==


 キーカード、コードの断片集めは想像以上に苦労する事となった。

と、言うのもキーカードはカーゴボットと護衛のベルチバードを撃破して回収せねばならず、カーゴボットが想像よりも早く弾が普通に当たらない。

更に厄介なのは逃げ回られる事でスコーチの群れやフェラルの群れ、果てはヤオグアイとまで遭遇して割と命の危機に陥った事だ。

途中でスコーチからはぎ取ったライフルが無ければ墜とせなかっただろう。

次にコードの断片探しだが、これもまた手間が多く、またアパラチア中を走り回らされた。

ただ、走り回らされたがキーカード程死ぬような目には合わなかった。

いちいちホワイトスプリングに帰還するのが大変だったが、其処はもう諦めるしかなかった。

 

そして集めきって俺はフリーズした。

暗号の複合方法がさっぱり解らなかったのだ。

俺自身それなりに頭は回る方だと思うのだが、残念ながら知恵と言う方面では閃き的なモノが働いた試しが無い。

それが出来るようなら俺は整備士ではなく開発者になっていただろうしな。

 

なので、全力で助けを求める事にした。

 

『Vault76居住者諸君、聞こえているだろうか?俺の声は届いているだろうか?

俺はVault76整備士だった爺だ、どうかスコーチ病根絶の為に知恵を貸して欲しい。

現在ホワイトスプリング・リゾートで奴等を根絶する手段を見出したのだが、どうしても俺一人では解決できない問題がある。

そしてその先にあるのはスコーチビースト、そして奴らの女王であるクイーンとの戦いだ。

かつてこの地でアメリカの、人類委の復興の為に戦った組織の遺した情報によりワトガ南東にある奴らの巣を攻撃し、クイーンを倒す。

そうすれば少なくとも今の状況は随分と改善される、スコーチ病に怯えないで済む未来を得られるかどうかという瀬戸際だ。

 

そして、その手段とは巣の破壊方法はシンプルだ、核ミサイルを撃ち込む事だ。

 

賢明な諸君は愚かな考えだと思う事だろう。

だが、奴らを滅ぼす為に我々に残された時間はどれほどだ?

 

奴らがこのアパラチアの外にまで出てその生息域を増やすまでの時間はどれほどある?

かつて、この地で戦って命を懸けて我々が地上に出るまでの時間をつないだ人々が居た。

命を懸けてスコーチ病の抗体を作ったレスポンダー達。

死ぬと解っていてもスコーチに対する警戒網を用意し力尽きたフリーステイツ。

そしてこの命懸けで時間を稼いだB.O.S.が居た。

彼等が遺した総てが我々が未来に進む為の遺産となって今の我々がアパラチアで生きる礎となった。

そして今度は俺達の番だ。

俺達がこのアパラチアの、アメリカの再建の為に命をとして奴らと戦い、勝たなければならない。

核ミサイルの使用と言う愚行を繰り返してでも……それでも人類の未来の為に勝たなければならない。

どうかこの放送を聞いているVault76居住者諸君、スコーチ根絶の為に力を貸して欲しい』

 

それから暫く、数日するとホワイトスプリングに段々と人が集まってきた。

中には当然俺を止めようとする声もあった。

だが、俺が集めた情報を伝え、彼らの遺したホロテープを聞かせると段々と状況を察した。

更に、俺が撮影した巣の周辺写真も見せればどれだけスコーチ化したアボミネーションに溢れかえっているかも理解したようだ。

何せマイアラーク全種揃った上でフォグクロウラーもいてその上でスコーチビーストも出てくる、その上で大量のそれらの頂点に立つのがスコーチビーストクイーンだ。

それらの脅威は察して余りあるものだった。

 

故に彼らは核の脅威を理解しつつも俺に協力し、それ以上の脅威であるスコーチ病の拡散を止めるべくこの作戦に参加する事を決意してくれた。

 

賛同を得られてからの話は早かった。

先ず暗号の複合があっという間にできた。

次にミサイルサイロ・アルファに乗り込み施設を全員が重武装のPAで完全制圧した上で遂に発射の段階となった。

後は場所を設定し、ボタンを押すだけと言う段で若者たちのリーダー格の男女に少し待ってくれと声をかけられた。

 

「爺さん、アンタが今回のリーダーだ、発射前に声掛け頼むぜ」

「そうね、整備士のおじさん、頼むわよ」

 

他にも同行してくれた若者たちが同じように声をあげる。

 

「……人は過ちを繰り返す。

有史以来、何度も戦争という過ちを繰り返してきた、この核ミサイルと言う力はその象徴だ。

俺のご先祖は人類で初めて核を落とされたニホンのヒロシマ出身だったそうだ。

全てがたった一つの爆弾であっという間に落とされた。

放射能の毒が人々を長く毒し続けた。

故に核を用いるのは悪い事だと教えられてきた、これに関しては戦前のアメリカ国民にとっても同じだろう。

俺達はその核の脅威から運よく逃れた人間だ、そしてお前たちはその脅威から逃れた両親や祖父母を持つ者達だ。

この中でヌカランチャーの爆発を見たことがある人間は?

はっきり言おう、核の爆発はあの程度では済まない。

この一撃はスコーチの巣とあらゆるものを吹き飛ばし、そして強烈な放射能汚染をばらまく事になる。

だが、放射能汚染も何時かは晴れるだろう。

しかしスコーチ病は放っておけば拡大するばかりだ。

そして奴らが拡大すれば俺達も死を待つばかりだ、先人達の様に。

俺達の使命は何だ!」

 

「アパラチアの再建!」

「ウェストバージニア州の再建!!」

「アメリカ合衆国の再建!!」

「文明の再建!!」

「再建!!」

「再建!!」

「再建!!」

 

「過ちを繰り返してでも、奴らを止める。

未来の為に!!」

 

「「「未来の為に!!」」」

 

そして25年ぶりの核ミサイルがアパラチアに降り注いだ。

光と衝撃波が一瞬で着弾点を食い荒らし、抉り、吹き飛ばし、猛毒の放射能が大地を汚染した。

それは狙い通りにスコーチビーストクイーンの巣穴さえも蹂躙し、多くのスコーチを滅ぼしつくした。

だが、それでもクイーンは生き残った。

そして訳も解らず同胞を死滅させ、巣を破壊した何者かに怒りを燃やした。

必ず復讐せねばならないと。

或いはこれをできる何者かを我々に取り込めば恐れるものは何もなくなるとも。

しかし、考える以上に今は巣穴からの脱出が必要だった。

長い時間をかけて築き上げた巣穴は先ほどの攻撃で今にも崩れ落ちる寸前だ。

そうして随分と久しぶりに外界の光を浴び、空を飛ぶ。

直後に強烈な衝撃と熱と炎が自身に何度も叩きつけられた。

意識が一瞬跳ぶ。

しかし続けざまに痛烈な激痛が自身に幾つも刺さり、痛覚で意識が強制的に覚醒する。

 

我々よ、助けろ!

 

 

「ミサイル喰らってまだ生きてるのかあの化け物は」

「核を直撃では無いとは言え耐えたんだ、さもありなんだな。

鉛玉にプラズマ、レーザーも浴びる程にたらふく食わせてやれ!」

「余裕がある奴は防御陣地構築急げよ!前衛PA隊、少しで良い時間を稼げ!」

「屋根を忘れるなよ!後、空だけじゃなく陸から他のスコーチ感染者共が来るからタレットの設置を忘れるな!」

「ならここで拾い物のロボット達の出番ね!こいつらにも弾幕張らせるわ!」

「弾薬補充用意できました!薬品は準備中です!!」

「放射能汚染に注意しろよ!」

 

多くのVault76元居住者がそれぞれに出来る最善を尽くしていた。

クイーンのみならず、スコーチ化した数多くの敵を前に力尽き膝をつく者もいた。

誰一人として最後の瞬間とて役割を放棄しなかった。

最早弾が尽き果て、壊滅寸前の元居住者たちの前に、多くの配下を殺され息も絶え絶えとなったクイーンが降り立った。

 

「くたばれ、蝙蝠野郎!!」

 

最期の一撃、文字通りの鉄拳を見舞い、クイーンの頭を潰したのはT-61Aパワーアーマーを纏った青年だった。

彼の事はよく知っている。

第三世代の若者たちの中で一番良くも悪くも目立っていた正義感があり、カリスマもある男子だった。

その光景に何となくだが、既にバトンが渡りきり、時代は切り替わったんだな、と思った。

為すべきは為せた、ならば老人の出番はもう終わりだろう。

どうにも急に体の力が一気に抜けていく。

立っているのも億劫だ。

視界が黒く染まった。

 

 

「爺さん!!」

 

 

クイーンの討伐成功から数日後、スコーチの活動は以前よりも明確に連携が悪くなり、また弱まっていた。

元居住者の何名かはあの戦いで帰らぬ存在となった。

あの戦いに参戦が間に合わず後から駆け付けた者は自身の無能を悔いて、しかし戦場からの後退において彼らを助けた。

 

「しっかし、監督官の婆ちゃんもスゴいけどあの整備士の爺さんもかなりスゴいよな」

「あぁ、確かに……私達もかなり頑張ってアパラチア中を旅してたが大体の場合監督官のホロテープかあの爺さんのメモ書きや注意書きが残ってたな。

しかも、時々割と大きめの休憩所まで作っていたし」

「他の爺さん婆さん達はどうにも力尽きている人が多かったしな、俺達の世代も何人も道半ばで…」

「それでも、今回の件で難敵の一つ、スコーチは大いに弱体化する筈だわ。

なら、後は本格的な再建こそがあの人達から託された私たちの使命……でしょ?」

「そうだな……それじゃあ、行くか。アパラチアの為にしてやれる事は沢山ある」

「そうね、私達の再建を始めましょう」

 

 

25年の歳月を経て開かれたVault76の居住者がその身に使命を日て旅立った。

アメリカの再建という国家の為にという誇りを胸に旅立った世界は居住者達の想像を遥かに超えた過酷で、そして寂しい世界であった。

幾つもの組織があった。

レスポンダー、レイダー、フリーステイツ、BOS、そしてエンクレイブ。

それぞれが疑心暗鬼から手を取りあえず、方針或いは欲望から対立し殺しあう事すらあった。

人々は脅威が差し迫った環境でなお一つにまとまる事は出来ずにスコーチの脅威の前に滅んだ。

人は過ちを繰り返してしまった。

 

しかし、後から現れたVault76居住者達は彼らの歩みを知り、思いを知り、遺産を得てスコーチを撃滅した。

核ミサイルという禁忌を用いた事の善悪は人類が続くのならば後の歴史が物語ってくれるだろう。

 

唄が聞こえる。

故郷への道(カントリーロード)の唄が、あの頃のウェストバージニアへ帰りたいと願う唄が…。

帰る事などでき無いと知るあの故郷を思い起こさせる唄が、何時までも聞こえていた。




以上にて本編完結となります。
途中随分駆け足にしましたが、グダグダと地域紹介するのも似たような描写連発になりかねないんで巻いて駆け抜けさせてもらいました。

なお、劇中では主人公が自分をジジイと言ったり、他の居住者からもジジイ扱いされますが設定的には実際はまだギリギリ50歳にもなってないぐらいだったりします。
監督官の方も年齢的には近いものと思われます。
また、本編で描写の無い第一世代では当然現時点で60歳半ば近い方々も当然いると思われますが多分サットン辺りを手始めに近場から居住地を精力的に作っていると思われます。
60歳を超えてアパラチア中を精力的に旅して殺して回っての大暴れは少し無理があると思ったのでこんな扱いです。
そして描写無しに裏で襲撃されて何人も死んでいるものと思います。

Wastelanders編は要望があれば、或いは気が向いたら書いてみます。


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本編:荒野の人々 Wastelanders
1:外からの来訪者達


整備士の彼が居住者達と共に核ミサイルと武力でスコーチビーストのクイーンを撃滅して少しの時間が経過した。
その間に驚いた事にアパラチアの外部から人々がやってきた。
一つは新たな居住地を求めてやってきた移民者たち、もう一つはあまり喜ばしいとは思えないレイダーたちとなります。
とは言え、アパラチアに人間が増えるのは喜ばしい事でしょう。
前者はファウンデーションに住居を構え、後者はアパラチア中に分散している。

現時点ではまだスコーチも存在し、感染の恐れは十分にあります。
故に彼等には可能な限りスコーチ病の抗体を摂取してもらうべきなのですが……さて、どうしましょうか。

==サットンに居住する婦人の日記==


不意に目が覚める……体を起こし、ぐっと伸びをすると、腕に何か…点滴が付いているのが分かった。

序に左腕につけていたPipboyが外され、傍にあった机の上でラジオの曲を流していた。

流れているのはカントリーロード、ウェストバージニアで一番馴染みのある一曲だ。

 

「ここは……」

 

廃墟ではなく、それなりに奇麗にされた一室、ベッドの上で目が覚めた様だ。

いや、ここはもしかしてVault76の俺の部屋ではないだろうか?

 

「点滴……栄養剤か?」

 

体がだるく感じるが、それは恐らく傍にあった机の上に載っているRADアウェイの空袋や中身が空のスティムパックも無関係ではないだろう。

 

「……いや待て、なんで俺はこんな所にいるんだ?」

「その件に関してご説明しましょう」

 

にゅっと現れたのは馴染み深いロボット、Mrガッツィー…ではなくMrハンディの様だ。

 

「うぉ!?」

「おはようございます、整備士殿、私です、ぺニントンです。

伝言をお預かりしていますのでお伝えします」

 

ぺニントンは言うが早いか早速伝言メッセージを再生する。

 

『クイーンとの戦いの後、整備士の爺さんは怪我と放射能汚染のショックでぶっ倒れちまった。

ウチのチームのメディックが言うには過労とかも重なって緊張の糸が緩んだせいじゃないかとか言っていた。

このアパラチアで一番……安全な場所、言うまでもないがここ、Vault76に運んで治療をした。

あぁ、言うまでもないと思うがクイーンはきっちり殺したぜ。

ペニントンにアンタが目覚めるまでの世話は頼んである、そのVaultも鍵が掛かってただけで空気自体は入れ替えられているけど空調はそこまで良い状態じゃないし水や電源周りもほとんど死んでるから落ち着いたらまたアパラチアに出る事をオススメするぜ。

後、監督官の婆ちゃんが見つかった、会いたければサットンに向かったらどうだ?

以上、またアパラチアで会える日を楽しみにしているぜ』

 

「以上です。

大変な冒険をなさったようですね、若者たちも立派になられた様でこのペニントン感動いたしました!

もしも涙を流す機能があれば感涙していた事でしょう!」

「あぁ、彼らはとても立派になった…もう子ども扱いはできないな」

 

あの戦いの時、確かに世代が変わったのを実感できたな…。

 

「えぇ、少々寂しくもあります懐かしいですね…25年前のあの日以来皆様と過ごしたあの罅は窮屈でもありましたが私にとっては良き思い出の日々です。

今でも時々様子を見に戻ってきてくれるんですよ、あの子たちは」

「そうか、そう考えると俺はどうやら薄情者みたいだな。

よろしい、今度からは偶にお前に会いに来るとしよう……さて、俺はそろそろ監督官に顔を見せてくるとするよ」

 

点滴を引き抜き、軽く伸びをしてから立ち上がる。

 

「おや、そうですか?

では監督官様にも偶にはこのペニントンに顔を見せて欲しいと是非ともお伝えください・

あ、それと貴方様が眠っていたのは大体3日、正確には2日と15時間ぐらいですね。

眠っていた原因は過労と重傷と放射能汚染です。

過労以外は若者たちが診てくださったので後はその点滴と目覚めるまで寝かせておくだけで問題ないとのことでした」

「あぁ分かった伝えておこう……って、俺そんなに寝てたのか。

このだるさは寝過ぎと言うのもありそうだな」

 

最早体の一部とも言えるVaultスーツを纏い、その上に整備士用のジャンプスーツを上に纏い、後は愛用のレザーアーマー一式を装備して外に出た。

道中で見かけた敵は当然殺す、フェラルもまだまだいるスコーチも人々の敵なのには違いないからだ。

 

そうしてサットンにつく頃には日が暮れ始めていたが、そのお陰で俺は一つの事実に気付いた。

 

「街に明かりが……そうか、他のみんなも頑張っているという事だな」

 

そんな街から少し外れた場所にポツンとある家にもまた明かりが灯っていた。

 

「おそらく、あそこが監督官の家か」

 

俺は監督官の家と思わしき場所に入り、久しぶりに監督官と顔を合わせた。

 

「待っていましたよ、先ずはそこに座りなさい」

「え?」

 

それから30分、俺は堅い床に正座して彼女にこ懇々と説き伏せられていた。

 

「……お説教はこの辺りとしましょう。

結局の所、無謀な戦いを挑むか、核を用いて先ずは一撃強烈な攻撃を当てるかとなれば、あの方法は忌まわしきものであれど、有効でないわけではないのですから。

それに、あなたの集めた情報に関してはあの子達からも聞かせていただきました」

 

彼女とてやはりそれは分かっていたが、それでも核を用いない方法があればという理想を抱いていたのだろう。

そして彼らの活躍に関しても監督官は語っていく。

どうやら、クイーン討伐以前にも様々な場所で凶暴なスーパーミュータントや発電施設や浄水場の確保の為に彼等も力を入れていたようだ。

 

「そう言えば彼らの集めた情報によるとこのアパラチアに有ると噂される『宝』を求めてアパラチアの外から多くの人々が集まってきているそうですが、この話はご存知ですか?」

「その話は聞いた覚えがある。

Vault76近くに来ていた人が二人いて彼女らは『宝』を求めてアパラチアに来たと。

詳細に関しては『ザ・ウェイワード』という酒場で聞いたとも言っていたか」

「おそらくそれに関連する話でしょう。

ですが、私が気にしているのはそれとはまた別の事なのです。

 

所であなたはもうスコーチ病の予防はなされていますか?」

 

スコーチ病の予防と言うと当然やっているな。

 

「あぁ、既に予防はしてある。

レスポンダーの研究には感謝しなければいかんな」

「えぇ、もしもの話ですが彼らと別の組織が手を取り合えれば恐らく今のアパラチアはもっと良い物であったのでしょう。

疑心暗鬼、すれ違い、そういった不幸の積み重ねが彼らの全滅を齎しました。

そして新しい入植者達と我々が同じ轍を踏むわけにもいきません。

そこで差し当たって私たちが先ずするべき事があります、わかりますか?」

 

ふむ、何だろうかと一瞬思うがこの話の直前に聞かれたことを思うと答えは先に出ていたか。

 

「スコーチ病の予防接種?」

「えぇ、その通りです。

放っておいては新しいスコーチのコロニーが出来上がるだけ。

ならば例えレイダーであっても予防接種を受けさせる必要があります」

「レイダーは殲滅してしまった方が良い気もするが……」

 

俺がそう口にすると監督官は悩まし気に溜息をつく。

 

「そう考えるのも解ります。

しかしアパラチアは広く我々や善良な入植者だけが予防して、広範囲に分布する彼らが感染すれば後々に被害が大きくなる可能性もあるのです。

それに……出来る事なら話し合う余地があるのならば話し合いで解決したいと思うのです。

思う所があるのは分かりますが、力を貸してください」

「……あなたに頼まれて、嫌とは言えないよ監督官。

それにあなたの言う事も甘いとは思うがもっともな事だ、存分に俺の力を使ってくれ」

 

そう言うと着いてきて欲しいと言われて着いていった先はMrハンディのいる地下のちょっとした工作室だった。

壁には大きな地図があり、ちょっとした秘密基地的な気分が味わえる。

 

「紹介します、彼はダベンポートです。

ダベンポート、彼はVault76で整備主任を行っていた人物でスコーチビーストクイーンを討伐の立役者です。

少々頑固な所もありますが、優秀で人間的にも頼れる人物ですよ」

「ご紹介に預かりましたMrハンディのダベンポートです。

ここでは監督官殿のお手伝いの一環で最近アパラチアにやってきた新興勢力の情報収集を行っています。

以後よろしくお願いします、整備主任殿」

「あー、まぁよろしく頼む」

 

俺達の挨拶が終わるのを見計らって監督官が続きの話を促す。

 

「あなたにお願いしたいのはここにファウンデーションと言う集落を作った入植者と、レイダー達に予防接種を受けさせる交渉をお願いしたいのです」

「……俺が交渉するのか?」

「はい、申し訳無いのですがアナタにお願いしたいのです。

他の第一世代の殆どが今サットンで居住地を作り上げていますが、彼らは最早戦闘するに厳しい老齢ばかり。

防衛戦ならばタレット等も用いてどうにかなりますが、各地を赴いての交渉は荷が重いでしょう」

「第2、第3世代の子供たちは?」

「彼等には沼地地帯の『霧』に関して調査をお願いしています。

他にもアパラチアの外部への調査と探索に出て貰いましたし、ミサイルサイロの周辺の拠点化もして貰っています」

 

それぞれが今のアパラチアにとって必要な事だというのが分かる。

 

「監督官自身は?」

「私はワクチン量産設備を見繕う為に調査に出ます。

Vault76の生活の時と同じです、皆がそれぞれの役割をこなさなければなりません」

「なるほど、任せてくれ」

 

俺が言うと監督官は小さくにこりと笑う。

うん、この人は普段クッソ真面目で表情はお堅いがやはり喜んだときは意外と解り易い人だな。

 

「レイダーに関しては……そうですね、世界の頂上に居るローズを頼るのも手でしょう。

彼女のあの声を聴くのは余り得意ではないので申し訳ないのですが、しかし彼女のレイダーとの伝手は見逃せないものがあります」

「あぁ、恐らくレイダーに関して一番詳しいのはローズだ……また難題を押し付けられそうだが、まぁ何とかなるだろう」

 

そんな風に話している中で、不意に思い出したことがある。

監督官の恋人……正確には婚約者だったか?のエヴァンの事だ。

 

「監督官、そのアンタの婚約者の事なんだが……眠りについたよ。

ウェルチの家の外に墓を作った、其処で眠っている」

「……そうですか、貴方にはプライベートでも苦労を掛けてしまったようですね」

 

一瞬凄く複雑そうな表情をし、必死に言葉を選んだであろうことが分かった。

 

「……さて、俺はそろそろ行くとしよう。

こういうのは早いに越した事は無いからな」

「えぇ、そうですね。

事が済んだらここに来てください」

 

こうして、俺は新たな目標を手にアパラチアを歩き回る事となった。

新たな住人を迎えたアパラチア……いや、荒野と化した世界(ウェイストランド)の住人と言う物を改めて知る事となるのだ。




という訳でウェイストランダーズ編の導入でした。
監督官と主人公の関係は頼れる(カワイイ)上司と何だかんだで頼れるがちょっと頑固な部下と言う感じです。
お互いに十分な信頼関係があり、他の居住者達も同じく信頼関係は十分ある…と言うのが切削におけるVault76居住者達です。
当然レイダー被れなんかも出て来るかもしれませんが、少なくとも前話まではいませんでした…と言う感じです。
ちなみに監督官が引き籠り疑惑を持ってたりしますが、


【200516:本文修正】
前半部分が途中でダブった状態だったので修正。トクユウさん報告ありがとうございます!


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2:ザ・ウェイワードとお宝さがし①

『お願い』をする立場と言うのはやはり苦労が多い。
俺が苦労性なだけかもしれんが、アパラチアの目立つ様なスポットももしかすればお使いで7割以上回ったんじゃないだろうか?
それと、ザ・ウェイワードという酒場で初めてグール、人としての意思を持ってるフェラルじゃないグールと遭遇した。
見た目は酷い焼け爛れた感じではあるが、フェラルとの違いが良く分かる。
というか、全てのグールに該当するかはわからないが、人相が全然違う。
フェラルは獣、グールには人間らしさを感じる。

ただ、いきなりドアップで出てこられたら心臓に悪そうなのはどちらも一緒だ。

==元Vault76整備士の日記


監督官の家を出た俺だが、ダベンポートから監督官とはまた別の依頼を受けていた。

 

「カメラを入手して、入植者たちの拠点のファウンデーションやレイダーの拠点のクレーターを調査して欲しいとはまた手間のかかる……」

 

とはいえ、彼からは俺以外にもカメラを用いた調査依頼は出しているので手が空いていればとの事だった。

そしてファウンデーションもクレーターも規模も人員が大きい拠点で、下手に手を出すのは控えていたのだが今回の予防接種で縁が出来るのならばできればやって欲しい、との事だった。

 

カメラ、と言うとイメージ的には観光地だが、それにしたってどこにいるかなど想像もつかない。

 

「とりあえずの順路は……南側から進むか?」

 

ザ・ウェイワードという酒場も気になるところだしな。

近い所から片付けると言う心算で俺は先ずザ・ウェイワードに向かう事にした。

 

話に聞いていた場所に向かうと、依然は見かけなかった看板と奇麗にされている建物を見つけた。

建物の周囲には人と、牛が3頭、その中に何故かセントリーボットが混ざっていて、牛の鳴き声を発していた。

あのセントリーボットが牛になってるとか笑わせてくれるな。

思わず呆れながらも笑ってしまう。

そんな気分を引きずったまま店に入ると、何やら男が怒鳴り、女がいさめるような声が聞こえた。

店内に入っていくとカウンターバーを挟んで店主の女とパイプガンを構えた男がいた。

 

「おや、今日はここの酒場は貸し切りか?」

 

俺が軽口を叩いて男の注意を引く。

 

「アナタ、飲みに来るタイミングを間違えたわね」

「さぁどうだろう……もしかすれば最高のタイミングかもしれんぞ?

誰にとっての最高かはこれから決まるが」

 

そんな軽口を店主と言いアウト男はいらだって此方に注目する。

銃口はこちらに向く。

 

「おいお前は誰だ!?

関係のない奴は黙っていろ!」

「おいおい、関係が無いかどうかはお前さんの話次第さ。

なんだってそんな風に銃を突き付けているんだ?

もしかすれば俺がお前を手伝ってやれるかもしれんぞ?」

 

そう言って愛用の10ミリを引き抜くがトリガーに指は掛けていない。

 

「この人、私が宝のありかを知っているって思っているみたい。

こんな襤褸いバーを立てている私はよっぽど物好きなんでしょうね」

「うるさい、これが最後の警告だ!

宝はうちのクルーが手に入れるんだ!」

 

なるほど、阿呆だな。

意識が俺から店主へと再び移り、周囲への注意が散漫になっている。

ぐだぐだとモノをいう男に俺はもはや呆れしか感じなくなった。

男が再び俺の方に銃を向ける。

 

「そうだな、宝に関して教えてくれれば力になれるかもしれんぞ?

何せ俺はスコーチ狩りでアパラチア中を歩き回っているからな、どうだ?」

 

男は思案しようと銃を下げ始めたその直後、暗がりで出番を虎視眈々と狙っていた男に後ろから撃たれて呆気なく絶命した。

 

「残念ながら縁がなかったようだな」

「その様ね。

ザ・ウェイワードの紹介にはもっと相応しい物があったと思うのだけどごめんなさいね」

「構わんさ」

 

俺は死んだ男を無視して椅子に座る。

 

「最初の一杯は私のおごり、何飲む?」

「ビールで」

 

言えばすぐに冷えたビールが出てきた。

 

「私はダッチェス。

何か力になりましょうか?」

 

そういわれて俺はビールを飲みながらここに来た本題を話す。

というのもこれは監督官の家に寄る途中、Vault76を出て直ぐの話なのだが「宝探し」でVault76目指してやってきた女性二人のコンビが居た。俺はVaultの実情を語ると彼女たちはあから様にがっかりしていた。

 

そりゃ、何時扉が閉まりっぱなしになって酸欠で死ぬかもわからない場所で雑貨漁りなんてしていられないだろう。

そして彼女達はこの宝探しの情報はザ・ウェイワードでなけなしのキャップを払って得たと言っていた。

 

まぁ、ほぼジャンクなその辺の塵に比べれば奇麗な品が多いが、命を懸けて拾いに行くほどの価値は無いだろう。

役職柄内部の構造はそれなり以上に熟知しているが、そもそもメインジェネレーターが耐用年数ギリギリで25年間を何とか保つ程度しかValut76の運用は考えられていなかったのだからな。

 

そしてVault76は再び閉じられたので、もう開く事はそうそう無いだろう。

だが、お宝探しで万が一にもVault76を荒されたくはない。

もう済む事が出来ない場所だとは言え、あそこは多くの元住人の家だった場所だ。

もしもあそこに手を出す人間が居れば、アパラチアのどこに逃げようと追い詰められて確実に消されるだろう。

そうならない為にも「宝探し」の正しい情報を得てさっさと決着をつけたい気持ちがある。

 

「ま、ただのデマだというならそれはそれで構わんさ、Vault76を荒されない限りな。

そこのそれみたいなのが来てもらっても迷惑だしな。

お前さんは何か知ってるかい?」

「私も大して知らないわ。

アイツはクレーンって奴の居場所を探してきたみたい、私が前に手を貸した男みたいね」

 

それ以来酒場を立ち上げたばかりなのにろくでなし(レイダー)が来るようになって苦労してるそうだ。

 

「ふぅむ、ならば少し手を貸そうか?」

「是非とも借りたいわ。ああいうのは初めてじゃないのよ、これっきりにしてほしいんだけどね」

 

悩ましげにダッチェスはそういう。

 

「普段はうちのスタッフが対応してくれるんだけど、今はいなくて。

用心棒含めて人手が足りないわ」

 

色々と解決してくれるなら当然報酬は出すという。

 

「面白い、だが先ずは計画を話してくれ」

「それもそうね」

 

大体の場合、奴らはクレーンを探してやってくるというのでならば喧伝すればいいという話になった。

そうして誘き出して奴らの根城を探し、対処すればいいという話になった。

どうせ初めに来るのは使い走りが精々だろうというのは読めていたからだ。

 

「看板と宣伝文句、後映像情報を流すテープのセットよ。

図面が正しければ看板なんかはこれでいけるわ」

「準備が良いな、元からやるつもりだったのか?」

 

ダッチェスはにこりと笑って答えない。

 

「もしもその件で助言が必要だったら言ってくれ……まぁ何となくだがお前さんなら大丈夫そうだがな」

「彼はモート、ウチのスタッフの中では物を作ったりするのが得意な方よ」

「モートだ、流石に今回みたいな件があると困るので直接は手伝えんが、助言くらいはできる。

何だったら話し相手でも構わんぞ?」

 

その後、少しの雑談の後に俺は行動を開始した。

ザ・ウェイワードからそれなりに離れた、道路に面した少し広い場所を探しそこで「店」を建築し始めたのだ。

幸いにも材料はうなるほど転がっていたのであっという間に建築は終了し、後は武具のメンテや料理でもして待つぐらいしかやる事が無かった。

テープも最寄りの放送施設で流して2~3日待つとホイホイと誘い出された奴が現れた。

 

見た目少し武装した旅人風の男だ。

 

「クレーン!いるのか!?」

「残念ながらクレーンはここに居ない」

「お前は誰だ?何が起こっているんだ?」

 

互いに軽く事情を説明しあうと彼はため息をついてザ・ウェイワードに向かって言った。

残念ながらただのトレジャーハンターでレイダーではない、外れだった。

次に現れたのは如何にも荒野のゴロツキと言わんばかりの上半身裸の男だった。

 

「クレーン!!どこにいやがる!」

「随分と威勢が良いじゃないか」

 

そこから交渉で何とかしようとしたが向こうが攻撃してきたので返り討ちにしてしまった。

 

「まぁ、俺自身もそこまで熱心に説得したい訳じゃなかったしな、仕方ない」

 

幸いにも敵の根城は北の材木会社だと解った。

しかし、そこはスーパーミュータントが根城にしていた気もするが…。

とはいえ、先ずは経過報告をダッチェスに行うとしよう。

 

「……という訳だ、奴らは材木店の跡地を根城にしている」

「そこって前に足を延ばしたことがあるけどスーパーミュータントの根城だった場所よ?

そんなとこを占拠するなんて、随分と戦力が多いみたいね」

「……」

 

スーパーミュータントやスコーチ、モールマイナー等のアボミネーションだらけの拠点なら、何度か壊滅させた事はあるのだがなぁ…。

特に発電所だ、あそこを解放して発電システムを復旧させないと得られないモノが幾つもあった。

 

「だとすると警戒する必要が…」

「まぁ、賊を相手に手加減は無用だな、皆殺しにすればそれでいいだろう?」

 

テロリストみたいなもんだ、中国軍の大部隊を相手に戦うよりも気が楽だな。

アンカレッジの時は英雄が居たから何とかなったんだよなぁ

今では俺もPA纏って暴れまわっているから彼に及ばなくても似たような事は出来る。

 

「あー、まぁやり方は任せるわ。

一応、噂では北の農場を営む一家がどうやってかは知らないけど彼らの侵攻を撃退したと言う噂もあるし聞いてみたらどうかしら?」

「おう、それは良いな。

情報があればその分スマートに殲滅できるしな」

 

この時点で俺は既に奴らを殺しつくすのは規定事項となっていた。

 

「思っていたより血の気が多い人なのかしら?」

「元軍人でね、テロリスト、敵兵、犯罪者相手に交渉する気は無い。

ましてや今回はVault76元住人の未来も関わるからな……ダッチェス、我々と敵対すればどうなるか、彼らを見て学ぶと良い」

 

念の為に釘を刺しておく。

その後、農場に行けば彼らの協力者がいてそいつのお陰で何とか出来たという。

そうしてそいつが移動遊園地を根城にしていると聞いたのでそちらに出向くと、手品の種は割と簡単に割れた。

ステルスボーイで姿を隠してレイダーのボスの秘密を握って対処したそうだ。

ちなみに彼の根城の移動遊園地は何故かしょっちゅうスコーチ共が集まる危険地帯だ。

今回もスコーチが集まっていたので一度すべて散らした。

 

「しかしステルスボーイか、そんなに数がある訳でも無いし対応しきれなそうだな」

「だったらあそこの卵を持ってくれば幾つかやるよ。へへ、アレの卵は美味しいんだ、なぁどうだ?」

 

そう言って指示されたのは西の方にあるデスクローの住む島だ。

 

「いい根性しているな、お前。

まぁステルスボーイの対価と考えれば妥当か?

分かった持ってきてやろう」

 

20分後、デスクローは親子で俺と彼の胃に納まる事になった。

昔、ひい爺さんが作ってくれた『OYAKO-DON』を思い出すいい具合の料理になってくれた。

 

ここまでやっていると不意に予防接種の件が何日も進んで無いな、という事を思い出す。

さっさと終わらせて仕事に戻らないとな。

 



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3:ザ・ウェイワードとお宝さがし②

ひい爺さんの代から継承されている我が家の『お宝』……実態は日本語の(ジャパニーズ)漫画(カートゥーン)なんだが、その中の一つが世紀末……この今の世界のような場所を拳一つで銃も刃物もものともせずに立ち向かう拳法家の物語だったか。
他にも色々とあったが、俺の集めた『お宝』と合わせて大多数はVault76の図書室に寄贈してしまった。
あれもある意味『お宝』と言えば『お宝』だが、Vault76の住人達以外にはあれを読めないだろう。
そもそも、日本語の文法や言い回しは独特過ぎて習得するのも困難だったからな!
だが、流石選ばれしVault76の住人達と言うべきか。
俺もそうだが基本的に優秀で仕事も忠実にこなす彼らは、割と暇を持て余しやすかった。
そんな中で読めないけど面白そうな漫画があれば、読める様に努力したのはもはや言うまでもない。

時間は腐るほどあったからな。

だが現金というか大量のキャップに繋がる様な価値のある物と言われると難しい。
雑貨や備品を持ち出せばそれなりになるだろうが……ザ・お宝と言える物が実は無いのだ。
少なくとも、建設に携わった関係上、それを仕舞っておくスペースが無いというのも実は確認してある。

==Vault76の元整備士とグールの会話より


材木会社敷地への侵入は深夜に行った。

見事なまでに中途半端な要塞化しており、俺にとってはやりやすさも感じていた。

 

「遮蔽物が多いという事は隠れ潜むに丁度良すぎる。

せめて板でも用意していれば潜入難易度は上がっていたんだろうがなぁ」

 

こそこそと中腰になったり匍匐で進んだりとしながら敷地内を移動する。

途中、余りに隙だらけのレイダーの暗殺を心掛けていた。

ステルス状態でのライフル狙撃、背後から忍び寄り至近距離でのナイフ連撃などで思いのほかあっさりと敵が片付いていった。

 

「……もしかしたら俺には潜入工作員の才能もあったか?」

 

気付けば既に周囲は制圧できていた。

途中ステルスボーイも使ってしまったが、まさか全ての敵を暗殺で片付けられるとは思っていなかった。

 

ボスに至っては最初から容赦なしのオートグレネードランチャー連射からのプラズマグレネードで寝込みを襲い死体すらもバラバラになって貰った。

 

「ふむ……スコーチビーストとかなら余裕で耐えるが、やはり人間相手だと過剰火力だな」

 

グレネードランチャーは威力が十分過ぎる程なのだが、実の所スコーチやフェラルを相手にする事が多いと微妙に使いずらかった。

と、言うのも連射の微妙なラグがあり、耐えられてしまうと距離を詰められて下手をすれば自爆してしまい逆にこっちが危ない。

というか、なんであいつら耐えられるんだろう、俺だってPA着てなきゃ無理なんだが。

 

そんな些細な疑問が浮かんでは消えつつ、部屋の中を漁ると、無事なホロテープがあったので、何となく読み込ませて、すぐに止めた。

端的に言うとホロテープの記録内容はこの犯罪者共は殺すのがやはり妥当であったという確信に足る物だった。

どう考えても後の禍根になるのが目に見えているからな。

レイダーの影響を受けた第三世代以降が出なければいいが、難しいだろうな。

人は総じて安易で暴力的な解決に魅力を感じやすいものだ。

自分自身もそうなのだから。

当然の話だが、交渉で繋ぐのも良いだろう。

だがそれは潜在的な脅威は残りっぱなしで後回しにしているだけになってしまう事も多々ある。

もっとも、世の中には権威やカリスマによって十二分に人を惹きつける指導者がいる。

そういう人間が居れば少なくともその人間の『意思』が伝えられている限りは何とかなる。

まぁ、そんな先の事を今考えても仕方ない。

 

「おう、戻ったぞ。奴等は壊滅させた。新しいのが入らない限り当分は平和だろうさ」

「見事、と言うべきなのかしらね。

ただウチの用心棒たちが盗賊を追いかけて今も行方不明なの、探すのをお願いできないかしら?」

「ふむ、良いだろう。

その代わりクレーンの事は事が終わったらキッチリと教えてくれよ?」

「えぇ、助かるわ、本当に」

 

俺が即助ける事を判断すると少し呆れたようにダッチェスは言う。

 

「構わん、人助けも最終的にはこちらの目的の内だ」

「あら、どういう目的なのかしら?」

 

俺はVault76居住者のこの荒野(ウェイストランド)での目的、アパラチア再建に関して語る。

 

「まぁ、端的に言えば市民が今よりももっと安心して暮らせるようにするのが理想だ。

実際、全てのアボミネーションを駆逐するのも、レイダーを滅ぼすのも現実的ではない。

そして腐った政治家ばかりの国を再建したい訳でも無い。

昼はそこそこ働いて、夜は酒飲んで寝る、それが保証されている世界がどれだけ理想の世界と化してしまったことか」

「ま、言いたいことは分かるわ」

 

ダッチェスは理解を示しつつも話を遮った。

脱線していたか……俺もジジイになってから随分とこういうのが増えたな。

 

「すまんな、で、用心棒どうやって探せばいい?」

「用心棒は二人なのだけど片方に発信機が仕込んであるの。

この信号をラジオで受信すれば見つける事が出来るわ」

「……発信機を植え込んであるのか?人間に?」

 

俺が驚いて問うとダッチェスはふふっと笑う。

 

「ダッチェス、余り意地悪はしてやるな」

「あら、秘密と言うほどでもないけど……そうね、胸糞悪くなるような事はしてない、とだけ言っておくわ。

元軍人さんを怒らせて、良い事なんてないしね」

 

ダッチェスはれじゃ頼んだわと言って俺を送り出した。

PipBoyのラジオモードを起動し、電波をたどる地味な探索作業を行っていると、途中でフェラルに襲われている入植者を助けたり、スコーチを返り討ちにしたり、スーパーミュータントに奇襲して爆殺したりとしたが人助けが加わった以外は実にいつも通りだ。

 

そうして辿り着いたゴーリー鉱山の入り口で思わずため息をつく。

 

「ここ、完璧にスコーチの根城じゃないか」

 

つい最近クイーンを撃破したばかりだが、感染してスコーチ化した存在が実に多い事に今更実感がわいてくる。

 

「さっさと隠居してのんびり暮らしたいもんだ……戦前だったら退役金でも出たのかねぇ?

あぁ、いや出ないか、あの経済状況じゃ絶対出ないな」

 

あの頃に米国が崩壊しなくても、恐らく経済破綻でホームレスだったかもと思うとうすら寒い物がある。

野宿したりするのは今もそうなんだがな。

鉱山内を思わず独り言を言いながら進むとやはり何度もスコーチに遭遇し、駆逐しながら進む事になる。

とはいえ、誰かが先にここに訪れていたようで、銃とレーザーでスコーチが殺された痕跡が残っていた。

 

ある程度進むと苦悶している人の声が聞こえた。

 

「おい、そこにいるのは誰だ!」

「俺は人間だ、スコーチじゃないぞ!」

 

大怪我を負った男が壁に背を預けて座り込んでいた。

 

「俺はザ・ウェイワードの用心棒をやってるソルだ。

襲撃してくるスコーチをどうにかしようと動いてたら返り討ちにあっちまってよ……済まねぇんだが、薬とか持ってないか?」

「なるほど、俺はダッチェスに言われてお前とあともう一人を探しに来た。

薬は、このスティムパックを使え」

 

状態や装備を見て敵対されても余裕と判断してスティムパックを一つ渡す。

 

「ありがとよ、兵隊さん…か?そのPAはBOSの装備にゃ見えないが?」

「あぁ、俺は元兵士だがあの核が堕ちてくる前にはとっくに退役しててな。

後、別にBOSって訳じゃない、これはエクスカベーターっていう採掘用の馬力重視のパワーアーマーだ」

 

話している内に男の様子もあっという間に落ち着いていく。

 

「動けそうか?」

「おかげさまでなんとか……そうだ、ポリー!ポリーを助けに行かなきゃ!」

 

ソルが急に立ち上がってそういうが、即座に顔をしかめて脂汗を垂らす。

 

「無理をするな、スティムパックは即効性とは言え一気に全部直るわけじゃない。

お前の相棒は俺が連れ帰る……しかし、なんでお前たちはこの鉱山に?」

「ダッチェスのバーには色々と襲撃者が来るんだが、その中で最近一番多かったのがスコーチだ。

どうにかしようとして俺とポリーは良いアイディアを思いついたんだ。

それで、先ずは鉱山の奥にあいつらを押し込めようとして…」

 

その後も幾らか話を聞くにどうも奥に押し込めて坑道を爆破して封鎖しようとしたらしい、だがスコーチに感づかれて反撃され、ポリーと言う人物が先行して奥で戦っていたそうだが、どうにも銃声が途絶えたらしい。

そして自身も奴らに追い込められて窮地に陥って今に至る、と。

こうなると同行されても重りをする必要があるかもしれない、そうなると手間だ。

 

「わかった、後は俺に任せろ。

今なら帰り道にスコーチはいない、すべて倒してきた」

「すまない、恩に着るよ」

 

ソルがその場を離れるのを見届け、俺は坑道の奥に向かう。

行動の中には相変わらずスコーチが多いが、それと同じぐらいスコーチの死体も転がっていた。

 

「打撃痕に、レーザーか何かで焼き切った痕だな。

……この特徴的な痕跡はアサルトロンの物か?」

 

更に進むと開けた場所に出た。

 

「アラ…? 誰かいるのかしら?」

「その合成音声っぽい声、アサルトロンか?」

 

俺はどこからか聞こえるオカマっぽいその声に周囲を見渡すがアサルトロンの姿は見えない。

 

「ちょっとやられちゃってね、みっともない姿だけど…あぁもう少し前よ、倒れたトロッコの上」

「……見事にバラバラだな、アサルトロン以外のロボットだったら普通にダメになってたな」

 

首だけちょこんと横倒しになったトロッコに乗っていたアサルトロンの頭を見て俺は思わずそう言った。

 

「私はポリー、貴方は?」

「俺はダッチェスからお前とソルを探すのを依頼されてここに来た……っと、お喋りの時間は終わりだな」

「よかったら私を使う?

 レーザーぐらいなら撃てるわよ?」

 

アサルトロンのポリーがそういうが、俺はそれを断った。

 

「お前、それで電源切れたらそのままシャットダウンだろう、その状態でシャットダウンされても困る」

 

アサルトロンは基本は胴体に動力源を持つが頭部にもレーザー用のバッテリーがある。

普段は頭部レーザー砲の為の補助電源だが、胴体の動力源損傷時にはそのバッテリーで動く事も出来る。

あの驚異的なレーザー砲の出力を考えればその電源がどれだけ大容量なのかは想像もつくが、だからと言って今の状態で戦闘に使えばすぐに尽きかねないだろう。

 

「あら優しいのね、じゃあお手並み拝見ね」

「任せろ、この程度ならば楽勝だ」

 

淡々とショットガンで胴を打ち抜き、弾が尽きれば10ミリで頭を、また弾が尽きればナイフで、ナイフが折れればPAの鉄拳で……。

 

「ってちょっと多くないか!?」

「まだまだ来るわよ。スコーチの武器を拾って対処するのが良いんじゃないかしらね?」

「あぁそうだなド畜生!!」

 

その後、2度ほど武器を使い潰してようやく一息付けた。

 

「外だったら間違いなく爆破してた、鉱山でソロであの数と戦うのは二度とごめんだ!!」

「PA着ているとはいえ、良く凌ぎ切ったわねぇ」

 

PAの装甲も中々にボロボロだが、それ以上に装甲を抜けてきた衝撃や貫通した弾丸などで中身の俺もボロボロだった。

当然、スティムパックを使用して応急処置はしたが、正直体中痛い。

 

「我ながらびっくりだよ……んじゃ、ウェイワードに戻るぞ」

「えぇ、よろしく頼むわ」

 

そうして戻った後にダッチェスから礼を言われた。

なんとなく分っていた事だが、ダッチェスは最初からクレーンの事はすべて把握していて俺をうまく問題解決に利用した、という訳だ。

どちらにしてもあのレイダー共はどうせ近い内に掃除したのは間違いないだろうから問題はない。

それに入植者達から信頼を得るための活動も実際必要だからな。

便利屋として動くのもこれもまた仕方ない。

 

「これが最後のお願い、ポリーの新しい体を用意したいの」

「まぁ乗り掛かった舟だ、最後まで面倒を見よう」

 

ロボット販売店のMrハンディと交渉する場面もあったが、俺が軍のIDを持っていたお陰で軍が購入予定だったアサルトロンボディをあっさりと入手し、ポリーは新しいボディを。

俺はクレーンの真実を知る事になった。

 

ザ・ウェイワードの二階、閉ざされた部屋で拘束された一体のスコーチ。

 

「彼がクレーンよ……ほんの少し前までは普通だったの、だけど気が付いたらこんな事に」

「この拘束は?」

「彼自身が望んで……」

 

なるほど、それなりに親しい仲間、友人がスコーチ化してしまった…そういう事か。

情報を出し惜しんだのもそれが理由という事だろう。

 

「スコーチ化する前に予防できていればよかったんだがな。

こうなってしまえば最早人としてのクレーンは死んだよ……スコーチになると意識も彼らの物に浸蝕される。

終わらせてあげよう」

 

何時かの様に。

俺は愛用の10ミリでクレーンだった者の額を撃ち抜き、それで幕とした。

 

ダッチェスは少しの間悲しむと、クレーンの持っていたというIDを俺によこした。

 

「鉱山の奥に倉庫があるそうよ。

お宝が本当にあるのかは知らないけど、良かったら行ってみて。

それと、今回のお礼、後お酒はアンタが相手なら割り引いてあげるわ」

 

お礼として物資を渡され、更にサービスもすると言われた。

ダッチェスは人使いは荒い様だがこうした所はきっちりとした性分なのだろう。

 

「そうか、わかったありがとう……。

もしスコーチ病の予防をする気があるのならサットンのVault76元居住者達に相談すると良い。

それじゃあ俺は行とするか……クレーターとファウンデーション……どちらから向かった物やら……」

 

随分と寄り道してしまったが、今度こそ次に向かわなければならない。

人々は果たして俺達の提案を受け入れてくれるだろうか?




なお、言うまでもないですがサットンの元居住者の設定などは本作オリジナルです。
76は人が多かったそうなので、第一世代で監督官大好きな人々ならお膝元に集ってそうというそれだけでこういう設定にしました。
主人公も第一世代でさらに元軍人なので有能でカリスマある指導者な監督官には男女の好意というよりも、王族に仕える騎士かというレベルで忠誠誓うレベルで慕っています。
本人にそこまでの意識はありませんが、頼まれれば命懸けで諸々成し遂げるレベルです。

そして大体の住人がそこまででなくとも監督官の言う事は割と聞くので揃えば、並み居る襲撃者を撃退する無敵の要塞と戦闘部隊を作れそう(小並感


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3:どんな名前を付けるかでセンスが分かる

みんな大好きヌカ・コーラ。
勿論俺も大好きだ。

戦前は勿論、今でも見つけたらキッチリ確保しているし、態々冷蔵庫も確保して自分のキャンプで冷やして飲んでいる。
ヌカコーラが欲しいけど手に入らない?
なら、工場に行けばいい。
そこで工場設備を動かして作ってしまえば何も問題はない、敵が多い事だけが大問題だが。

お前もいく時は銃と弾薬はきっちり用意しろよ。
フェラル達もヌカコーラが大好きみたいだからな。

==ヌカ・コーラ大好きなVault76第一世代の警備主任との会話より


ザ・ウェイワードとのやり取りを終えた後の俺は、先ず最初にファウンデーションに向かった。

それというのも犯罪者集団と取引する抵抗感があったからというのが大きい。

とは言えどちらに話を持って行ったとしても俺には『信頼』と『実績』が不足していた。

信頼と実績が足りないのならば、どちらも得られるように力を入れれば良い。

 

そういう訳で俺は向かった先のファウンデーションではリーダーの言葉に従い、彼らの医者を探してスコーチに襲われて壊滅して逃げ回っていた所を救助。

スコーチ病に対する認識をしてもらい、それに対する手段がある事を伝えてリーダーの説得を依頼した。

翻ってクレーターを拠点とするレイダー達は先ず直接向かったが碌な交渉材料も無かったので門前払い。

やはり仕方なく世界の頂上にてローズの協力を取り付ける事に成功した。

その為に某社の廃屋でホロテープを探したり、趣味の悪い髑髏のトロフィーを探してきたりとしたわけだ。

 

「結局ローズの依頼が一番面倒くさかった件について」

「やはりそうなりましたか。

とは言え予防接種の件はどちらも認識してくれたようで何よりです」

 

嬉しそうに言う監督官はしかし直ぐに態度を真面目なものに切り替える。

 

「ワクチンに関してですが、少量であれば何時かの病院に連れて行けばよかったのですがしかしあの辺りは未だにスコーチ、フェラル、スーパーミュータントと入り混じっている激戦区です。

それに一人ずつポッドに入って治療するというのは掛かる時間を考慮すれば出来れば控えたい所…、そういう訳で『大量生産に向いた場所』を探しそこでワクチンとなる物を用意する事にしました」

 

監督官が経緯を振り返るように説明する。

そう言えば、微妙にレザーアーマーに傷跡が増えているような?

 

「この地図で南東の川沿いにあるヌカコーラの工場、ここが現在も稼働可能な状態である事は調査できました。

しかし、残念ながら施設の稼働を行うとその分大きな音がしてしまいますし、中は実の所フェラルが大量に潜んでいる為危険な場所です」

「つまり、フェラルを相当しつつ工場を稼働させ、ワクチンを生産する?」

「そうなります。私とあなたで制圧が出来次第、整備と警備の為の人員を派遣する予定です」

 

監督官がそう口にした所で、少し気になる事があった。

 

「最初から複数人を投入できないのか?」

「……非常に残念な事なのですが、それは難しいと言わざるを得ません。

警備と言っても基本的にはタレットのメンテナンス要員と緊急時の此方への連絡が精々で本格的に戦うには実力が足りない状況なのです」

「……そういえば、探索に人員を派遣していると言っていたが、それに関わる感じで?」

「はい、ワシントンDCやボストンのCIT等確認すべき場所はそれなり以上にあります。

嘗ての噂ではラスベガスでは富豪が体格戦争に備え大量の迎撃施設を用意していたという話もありましたので、彼方も生き残りはいるでしょう。

特に確認したいのはワシントンDCのVault-Tech本社です、あそこを調査できればもしかすれば生きている別のVaultの情報や他の重要施設の情報を得られる可能性があります。

確実に難を逃れたと思われるブラウン博士にはどうにかして協力を得られればとも思いますが……話が脇道にそれましたね。

兎に角、現時点では直接戦力としての人材が枯渇しているので私達が動く必要があります」

 

監督官ができうる限りの事をしているという事を理解しつつ、人材不足の深刻さは頭を抱える状況の様だ。

スコーチやフェラルを筆頭に多くのアボミネーションという25年前には想像もしなかった化け物共が居なければ恐らくVault76の居住者だけでも十分人では足りていた可能性がある。

勿論、勢力争いに巻き込まれる可能性は十分ある。

 

「まぁ、将来の為の備えはしますが……備えるだけ備えたら後はガキ共に任せる事になりますわな。

精々産めよ増やせよ地に満ちよとやって行って欲しいもんですわ」

「その通りではあるのですが、もう少し言葉は選んでほしくもありますね」

 

監督官が苦笑気味に言う。

 

「はっはっは、そいつぁ今後の課題といたしましょう」

 

互いにライフルを撃っていたり、スレッジハンマーで殴り飛ばしたりしてなければ和やかなんだがねぇ。

 

「周辺の掃除はこのぐらいですかね、後は内部になりますが?」

「内部もそれなりの数を前回の調査で確認しています。

ですがそれ以上に注意するべきはウェンディゴというフェラルの亜種の様な手足がヒョロ長い敵です。

俊敏な身のこなしと怪力は装備を整えていても脅威であることに違いはありません」

「奴ですか……開けた場所ならともかく、室内だとどうなるかわかりませんな。

とはいえ、俺がパワーアーマーを着ていれば囮として前に立つには十分でしょう、監督官はうまい事を狙撃して頂ければよいかと」

 

俺はエクスカベーターの装甲をカンカンと叩くと監督官は納得して頷く。

 

「私は基本的にPAは使わないでここまで来ましたが、やはり重装甲というのはこういう時頼りになりますね」

「まぁ、逆を言えばPA無しでは生き残れない場所ばかり行っていたという事にもなりますが……デスクローなんかの凶悪な奴を相手にする時なんかはPAを着ていても怖いと思ってしまいますがね」

「わかる気がします、迫力がありますからね……恐竜が今も実在すればあんな感じなのでしょうか?」

「かもしれませんなぁ!」

 

途中で柄の折れたハンマーは投げ捨て、ワトガで貰ったスーパースレッジでフェラルの頭を砕く。

 

「パワーアーマーのお陰もあるのでしょうが、Vaultに居た頃よりももしかして腕力が付きましたか?」

「かもしれませんな、整備をやってた時の習性なのか、武器や建物の補修に仕えそうなものはついため込んでしまいます。

あぁ、そこのクリップボードも持っていきましょう。

なんだかんだでバネやギアの類はよく使いますからな」

「……その割には薬や食料も抱えているのですね?」

「一度外に出ると何日も戻りません。

基本は日持ちする既製品がメインで運が良ければ拾った肉を焼いて食ったりしてますな。

そんな生活をしていれば自然とVaultで暮らして居た頃よりも力も付くし何やら頭の回転もよくなった気が…?」

 

そんな会話をしながらもフェラルを倒し続ける。

途中で電源設備を発見するも、流石に経年劣化していたせいかショートしたり断線していたりしたので、手持ちのジャンクから使えそうなものを引っ張り出して修理を行う。

25年の経験の影響もあるがジャンクを修理材料にする手際はここ最近の物だな、生活の知恵というかサバイバルの知恵というか…。

 

「流石にこの手の作業は慣れたものですね、見事な手際です」

「25年、これで食ってきましたからね、良し、起動した」

 

電源が動き始めると、今度は音に反応してフェラルが襲い掛かってくる。

 

「おかしいですね、前に来た時よりも多いような?」

「PA着ててよかった、腕の感覚が大分馬鹿になってきてるから素手で握ってたら今頃マメが出来た上に破けてたな」

 

破壊される訳にもいかないのでその場で迎撃し、途絶えた所で次のフレーバーラボに移動する。

そこでフレーバーの代わりに抗体を流し込むのだ。

そして監督官の案内に従い、何故か俺はバイオメトリックスキャナの中に入っていた。

 

「あの……なんで入る必要が?」

「この装置であなたの血液を始めとした遺伝子データから抗体を採取し、其処からワクチンが生成できます。

なんでこんな装置がコーラ工場にあるのかは私も不思議ですが、今回においては実に好都合です。

装置の操作やワクチン生成手順の都合もありますので私の方で機械を操作します。

あなたはその中で少々休んでいてください。

しかし、これであなたがヌカコーラの細心のフレーバーという事に……?

考えるのはやめておきましょう」

「……」

 

微妙な沈黙が出来てしまったので、黙々と抗体の製造に取り掛かる。

この辺りは軍で何故か衛生兵のまねごともやらされた経験が生きた。

……整備兵だったはずなのに思い返せば俺、色々とやらされていた気もするな、あの頃は必死過ぎてそんな認識はなかったが。

 

 

次に端末から製造プロセスを開始する必要があり、別室に移動した。

「対象は……『病気で死ぬのが嫌なもの!』で、製品名は……俺の血が入ったヌカコーラだろ?

とはいえ、そんなの意識したら誰も飲めないな、スコーチ病の予防だからヌカコーラスコーチ…はダメだな、逆の意味になりそうだ。

シンプルにヌカコーラワクチンで良いか」

 

最後に製造ラインを起動すれば…という所でウェンディゴが襲い掛かってきた。

だが、あえて言うが力不足だ。

 

「一人ならば時間はかかったが二人掛かりで苦労するわけないだろう?」

「確かにその通りですね、私も近接戦闘ならば苦しいですが援護射撃に徹していたので随分と余裕を持てました」

 

そんな話をしながら、監督官がぽちっとラインの稼働スイッチを押すとほんの数秒でヌカコーラワクチンが出てきた。

 

 

「試しに一本飲んでみましょうか」

「そうですな、ワクチン要素を抜けばヌカコーラであることは確かですし」

 

ゴク!ゴク!と音を立てて飲むのはもはや様式美だった。

 

「味は普通のヌカコーラよりも少し薬品っぽいですね、しかし十分普通に飲める方です」

「確かにこれなら十分だ」

 

その後の段取りとして、事前に話してあった通り監督官がVault76元居住者の人員を派遣し、ここの運営を行う。

監督官自身は指揮官としてサットンに残る。

俺はクレーターとファウンデーションにワクチンを運ぶ。

そして運んだ先で俺が言った言葉は何故か歴史に残った。

 

 

「おいしく飲める薬があっても良いじゃないか!」

 

 

これ以降、何故かアパラチアの予防接種の薬はヌカコーラワクチンと同じ様に作られることが増えた。

これが理由でヌカコーラ工場とVault76元居住者はレイダー、ファウンデーションの両勢力とそれなりにうまくやっていける様になったとかならなかったとか。




前回と同じく割と駆け足で話を進めました。
実際ファストトラベル使いまくったというのもあります。

基本PC版(ベセスダ.net版)で遊んでいるのですがPS4でもFo76を購入しました、安くなっていたので。
理由としては『名前に日本語が使用可能だから』です。
そんな理由で?と思われそうだけど、地味に大事です。
PAフレームの名前がつけれるんで、インベントリやコンテナ格納時に判別しやすいので!

地味に英語で名前つけるのも面倒なんで購入を踏み切りました。
これでクロスプラットフォームに対応してくれればなおよろしいのですが。


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4:監督官になろう!(なれない)

Vault-Tech大学が有名だからあぁだこうだと持ち上げる輩は多いが、高度な情報知識も大事だが、それ以前の基礎もきちんと磨く必要がある。
最低限で言うなら小学校(エレメンタリー)レベルでもこの世界の状況じゃ十分に役立つんだ。
加減乗除さえできれば、取引の基礎は十分だからな。
それ以上を求めるのは本格的な科学を取り扱う人間ぐらいだ。

だが、まぁよく聞け。

農業は労働の基本だ、どんな仕事よりも素晴らしい。

(延々と農業を称え農家になる事を誘う言葉が続く)

そんな訳で先ずはテイトから始めようか。

==Vault76元居住者で農業指揮担当アバナシーの音声ホロテープより



ヌカコーラワクチンの運搬が終わった後、俺は再びサットンの監督官の家に戻ってきた。

手土産として、ファウンデーションのジェネレーターや近場の監視塔、クレーターの農地の写真や石碑周辺の写真なんかを携えて。

 

監督官の家に着くと俺はさっそく監督官にそれらを交えて報告をする。

 

「ご苦労様です。

これらの情報と彼らとの友好は今後の我々の身の振り方のカギになりますね」

「そう……ですか?」

 

俺が良く判らないままに尋ね返すと、監督官は頷いて説明を始める。

 

「先ずファウンデーションですが、このジェネレータは調子がいいとは言えそうにありませんね?」

「そうですな、ガワもボロくなっていましたし、内部も少々不都合が出そうでした」

「そして極めつけはこの監視塔です。

近場であるにも関わらず、レイダーに占拠されています。

本来であれば彼らが確保していて然るべき場所で、軍事的に見てもこの場所を占拠されるというのはのど元にナイフを突きつけられているのと変わりません。

ここから読み取れるのは戦闘力不足、そしてそれが理由で施設の補修用の物資も不足しているのではないか、という予測です」

 

監督官は次にレイダーの拠点、クレーターの写真を取り出す。

 

「クレーター側で読み取れるのは彼らの食糧生産能力の低さです。

まぁ、そもそもあの汚染された地域で農業を行うというのがそもそも間違っていると思うのですが宇宙ステーション跡というのはそれだけ中の物資も期待できるものなのでしょう。

少なくとも彼らがそこを拠点にし続ける旨味を感じる程度には。

そして石碑周辺ですが完全にがら空きです、あそこは見晴らしのいい場所なのであそこに前線基地の一つでもあれば厄介ですが、彼らは攻める事は考えても周辺に防衛拠点を気付くことはしていないというのが読み取れます。

或いはクレーターの防衛に自信があるのか……。

基本的に補給線と言う物を考慮していないのでしょう、彼らの補給は略奪とイコールで結びつきそうですし。

とはいえ、今回の件で判るように交渉が出来ないわけでもない事が証明されました。

彼らに旨味がある取引だと思わせる事が出来れば当面は何とかなるでしょう、そしてそれはファウンデーションにも言えそうです」

 

所で、と言って監督官は話を改める。

 

「あなたは『財宝』の噂はご存知ですか?」

「それは……レイダーや入植者、それ以外の人々がアパラチアに来る原因となった噂のあれですか?

えぇ、それだったら一応……」

 

ザ・ウェイワードでの顛末を監督官に語ると納得したようにうなずく。

 

「先ず、私の見解ですが『財宝』は存在します」

「……本当ですか?」

 

流石の俺もこの発言には素直にうなずけなかった。

 

「はい、というのもアパラチアというのは私が知る限りではVault-techからの扱いが少々特殊だったのです」

 

そう言って監督官は付き合いの長さや信頼もあってか俺にそれなりに色々と語ってくれた。

端的に言うと、Vault-techの闇というか暗躍に関してだ。

 

「なるほど……なんとなくそんな感じだというのは軍に居た頃やアパラチアの各地を巡って集めた情報、あなたのログで察していましたが……まさかそこまで一企業がやらかしているとは」

 

とは言え、俺の所感としてはVault-tech自体は既に滅んでいるのではないか、という事だ。

監督官が独断で実験から外れた行為を行うのは裏切り行為であり、粛清が行われる可能性も十分にありうる。

アメリカの影の支配者を自任していたエンクレイブ……MODUSの存在がそれを証明している。

 

「Vault76は私の独断であの形にしましたが、本来であればVaultは須らく実験室のフラスコと変わらない存在であり、住人はフラスコの中の試薬と言ったところでしょうか。

監督官は実験者……と、勘違いさせられているのが大半でしょうが、結局は監督官もまた実験材料の一つに過ぎません」

「だが、少なくとも俺達Vault76の居住者は大半が監督官の事を信頼している。

それはアンタが常に全力で俺達居住者の為に心を割いてくれていたと実感しているからだ」

「ありがとう……少し照れてしまいますね、真正面からそういわれてしまうと。

話を戻しましょう、Vault-techとしてもVault76の表向きの目標である『アメリカの再建』を行う心算は当然ながらありました。

しかし、人材だけで再建が出来ると思いますか?」

 

その言葉に俺は少し首をひねる。

 

「戦前の常識で言うなら人がいても資材や金が無ければ無理だな」

「そう、ここで注目したいのはその部分です」

「……つまり、Vault-techないしエンクレイブの財宝がアパラチアの何処かにあると?」

「はい、私はそう睨んでいます、そしてなのですが恐らくその情報が残されているのは『Vault-tech大学』です。

あそこはVault監督官候補の養成も行っていましたし幹部も多く輩出しています、そして時折その幹部がこぞって集まる事がありました。

こうなれば何かあると考えるのが自然な事でしょう」

「なるほど、ならば探ってみるのもありでしょうな」

 

途中、ママドルスの食品加工工場で工場が再稼働するという報告があったのでそちらによって食料を確保したが、その際に矢鱈ジャンプ力が高かったり、卵みたいな頭になってたり、なんかよく分からない事になってる第3世代、の子供達が居た。

 

「監督官、若者の人間離れが凄すぎて俺はもう隠居した方が良いんじゃないかって気がしてきた」

「これが終わったら飲みましょう、飲んで忘れましょう」

 

二人揃ってちょっと現実から目をそらしたくなったのは、まぁしょうがない事だと思いたい。

まさか、一年足らずで知人がこうも変化してるとは誰が想像できるというのだろうか。

とはいえ精神面で彼らが変わっていたわけではなく、効率や能力を求めてそうなってたらしい……いや、それもどうなんだろうな、本当に。

 

「気を取り直して大学に向かいましょう」

「そうですね」

 

大学の建屋に入ってすぐに俺と監督官は分かれて探索を行う。

内部はフェラルとガードロボットがうろついており、多少面倒ではあったが大した障害ではなかった。

 

「そういえば、BOSがここでスコーチビーストのDNA解析をして弱点探しをしようとしてたはずだな…」

 

そして俺は監督官の依頼で動き回っている際にもスコーチビーストを撃破して肉を手に入れていた。

 

「とりあえず、DNA解析やらせておくか・・・」

 

BOSの遺した装置を動かし、俺は更に探索を行うが、結局の所成果は特になかった。

別棟で探索中の監督官の元に向かうと何やら大学のロボットとやり取りをしているようだが旗色は宜しくなさそうだ。

 

「丁度良いところに、本来であればある筈の私の卒業資格で恐らく入れる筈のエリアがあるのですが、どうにもデータの一部がトンでしまったようで」

 

何とかならないかと交渉を重ねたが、変にデータが残っているせいで監督官のデータではどうにもうまくいかなかったようだ。

その結果、仕方なく交渉を交代して俺が学生として色々課程をスキップして卒業課題の監督官候補の試験を受けることになった。

 

「所で、あなたはこのVaultに来たことはあるのですか?」

「えぇ、何度か。ジャンク漁りがメインだったのでまさか今回のような秘密があるとは思いもしなかった」

 

雑談をしながら課題をこなす。

課題はVaultの内部分裂を防ぐためのものだ。

詳細は看護士の行方不明一名と推定死者の整備員一名、そしてリアクター故障とリアクターの封鎖。

これらが絡み合って殺人事件か適正な対処であったかが争点となる。

詳細は省くがメンタスグレープ味をキメて知的カリスマを発揮する事となった俺が適当にペラ回しをしてリアクターの鍵を受けとり、リアクター調査して真相を調査して終了だ。

 

「中々スムーズな解決でしたね」

「良い見本が居ますから」

 

これでようやく通行権限を得たので監督官と共に隠しフロアを調査すると、なるほど確かにVault-Techは財宝を隠していたようだ。

それはアメリカの再建……とまでは行かなくとも、この近辺の立て直しにはかなり役立ってくれる事だろう。

だが、その為にも俺達元Vault76住人とレイダーと開拓者たちとの勢力的な付き合いをうまくこなす必要があるだろう。

 

それこそ事後を見越した関係構築が必要だ。

本来であれば若者達を事の中心にしてやりたいところだが、はてどうしたものか……。

 

「こちらでも若者たちの協力者を集いますが、先ずはあなたが率先して動いてもらってもよろしいですか?」

「えぇ、準備は整えておきますよ。問題はレイダー達の事をアイツらがどう思うかですが……」

 

レイダーは端的に言えばならず者集団だが少なくとも一部は交渉は出来る様に見えた。

開拓者たちも自分たちに理があるのならば協力し合える可能性は十分あるだろう。

 

ただ、両方同時となればどういう化学反応を起こすかは俺にとっても監督官にとっても未知数だった。




長らくお待たせいたしました。
仕事が忙しかったり、別ゲーで忙しかったり、別作品に詰まってたり、PS4でつ買ってた外付けHDDが壊れて気力を失ってたりで執筆が滞っておりました、すみません。
ちょっと中途半端な所で区切りますが宝探しはここからが本番です。

ここはともかく、後の戦闘がきつくて逃げてたって訳じゃないですよ、多分。


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