燐子さんは暴走する (うみみ山)
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何気ない日常
気持ちは暴れる


1つ言っておきます。
これはただの自己満足小説なので、不定期更新になると思うのでそこの所お願いします。
ではどうぞ…


一つ彼との話をするならば、最初はただの不可抗力だった。何のハプニングもなく、学校に行って帰ってゲームをして少しピアノを弾く毎日。ピアノも人前に出ず、好きだから引くだけ。そんな自分に嫌気が指して、劣等感で後ろ向きになっていく。変えたくても変えられない。そして、それでまた自分が嫌になる負の連鎖の毎日だ。

だが、そんなある日だった。一つハプニングが起こる。

その日も私はいつも通りに学校に登校して、いつも通り教室へ向かった。

教室のスライド式のドアを開け、教室に入ると、いつもとは違う感じがあった。まぁ、簡単に言うなら少しざわついていたのだ。なんだろうと少し気になり、聞き耳を立てると

 

「あいつ、誰だっけ?」

 

「ほら!あの人だよ。弦巻家と肩を並べる天神家の一人息子!」

 

「あ〜知ってる知ってる。いつもテスト1位の。名前だけなら聞いた事あるぜ」

 

ざわつきの正体は、一人の男子生徒だった。会話からすると、要するにお坊ちゃまで、才能溢れる人物なのだろう。

 

でもその時の私はその会話がまるで頭に入っていなかったのかもしれない。何故か?それは私自身自覚がない。というか、覚えてない。

 

どういう訳か彼は、私の席に座っていたのだ。恐らく、席替えの時に彼は欠席でその事に気付かず私の席に座っているのだろう。そういえば、いつも私の隣の人は欠席だったような、、、、、

間違ってるな………

 

普通、私はこういう時慌ててしまって声も出ないだろう。しかも男子生徒ときた。ますます緊張するばかりだ、それなのにそれなのにだ。私の体は意識とは逆に、足を動かし、自分の体を席の前まで移動させた。

 

「あっ、あの」

 

彼は、なんだといった感じでこちらを睨む。

 

「す、すいません。そこ……私の……席……なんですけど…」

 

「あ?」

 

そう。私の口は文字通り、意図せず開いていた。これが、最初の彼との会話だった。

 

***

 

パチッと、まるで決められた時間に鳴る目覚まし時計のように目が開く。意識が覚醒して、夢の世界から現実の世界に引きずり出されたのだ。気怠い体をモソモソと動かし体を起こす。ファ〜と大きな欠伸をして焦点の合い始めた目を擦りながら締め切られたカーテンをサッと開ける。時刻は5時半。比較的起きてる人は少ない時間帯。外を見ると朝の犬の散歩をしている老人、新聞の配達をしている若者がいる。ってそれは私も一緒か。はぁとため息をつき、私は思いっきり開けたカーテンを締め切った。

 

 

色々な行動が少しアグレッシブになっている。少し機嫌を悪くしてしまっているせいだろう。

何故不機嫌か。まぁ、本当に傍から見れば、イライラする人もいれば、呆れる人もいる理由だ。その理由は簡単。ただただ、もう少し見ていたかったのだ。さっきまでの夢の世界の出来事を。

 

(もう少し空気読んでよ。私の意識)

 

理由もなく、罪のない自分の机を軽く叩く。軽くといっても、今の軽くはドンと大きな音が鳴り響く程度の、軽くだ。(もはや軽くない)

当然、自分の意識に空気を読めなんて無理難題ができる筈もなく、悲しい現実が私を苦しめるのだった。あ、苦しめてはいないか。この場合は悩ませる、か。ニュアンスが違うから、こっちの方がわかりやすくていい。うん、日本語難しい。

 

見ていた夢は3ヶ月前の出来事の夢。()との出会いの夢。あの時は怖かったな〜なんて今では思いもしないことを思い返す。まだそんなに経っている訳でもないのに何故か懐かしんでしまう。それほど、今までの私では考えられない程衝撃的で大きな出来事だった。あれから沢山のことがあった。人前に出るのが大の苦手だった私が、今ではRoseliaというバンドに加入し、キーボードをやっている。今まででは考えられない程、この3ヶ月間で私の生活はガラリとかわったのだ。

 

おっと、感慨深く振り返るのはここでおしまい。さっきまでは不機嫌だったけど、そもそもこの時間にぱっちり起きてしまうのはいつも通り(・・・・・)だし仕方ない。それで、私の機嫌は元通りになる。とにかく支度をしよう。「約束」の時間まではかなりあるが、やれることは早めに済ませよう。私は今の寝巻きから制服へと着替え、今日の授業で必要なものをカバンに押し込む。これで朝支度をおしまい。ご飯の用意は、、、今日はしなくていい日か。今日は彼の家で食べる日だ。

 

もう分かるとおもうが、私と彼、天神輪渡(あまがみわたる)は正式にお付き合いをしている。彼自体お坊ちゃまだから、私が豪邸に行くのか?って思う人もいるかもだけど、とある事情で彼は一人暮らし。今はアパートの一室で暮らしている。彼の両親も、彼の生活が心配だったらしく、面倒を見てくれると助かるし、彼女だと尚更だということで彼の親公認なのである。私はというと、私の両親もこのことを公認している。もうドンと来いくらいの公認。多分私が彼を正式に親に紹介したら、婚約出来るレベルである。冗談抜きに。

簡単にこのことを説明すると、私の親は昔から結構私にベッタリで私の性格のことでかなり悩んでいたらしい。私が、Roseliaに加入+彼氏が出来たという報告は問答無用で泣き出したくらいだ。やっと、人前に立てるくらい成長してくれてとても嬉しい、と。その時は私も泣いてしまった。

 

彼氏についてはかなり言及されたが、Roseliaに入れたのも彼のおかげだということや、色々な出来事を話すとすんなり認めてくれたのだった。それからというもの、毎日朝挨拶を済ませて、ご飯の時に父母揃って「いつ結婚するの?いつ彼氏を紹介してくれるの?」と聞かれる始末だ。ま、私も早く婚約はしたいんだけど、彼を悩ませるのは避けたい。今日は二人とも夜勤で夜からいないからいいが、困ったものだ。

 

さて、また暇になってしまった。「約束」の時間まであと、10分近くある。やることやること………

あ、そうだ。彼の寝顔でも見よう(・・・・・・・・・)。多分もうそろそろ起きてしまうから、彼の寝顔を今のうちに堪能してしまおう。うんそれがいい。いつも凛々しくてカッコイイのに、寝顔になったとたん赤ん坊のように柔らかくなるあの可愛い彼を見たい。惚れるが負けという言葉があるが、私は愛が強いんだから、勝ちだと思ってしまう。彼が大好き。彼が愛おしい。私の愛は強い。いやどんどん強くなる。あぁりんくん。りんくん。お願い。早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く

 

暴走する意識に身を任せ、PCを立ち上げ、彼の部屋に設置した監視カメラのソフトを起動する。普段デリケートな機械は優しく扱っている私だが、この際壊れてもいいくらいキーボードを叩く。別に壊れてもいい。りんくんの顔、声彼が見れるなら。頭の先から爪の先まで全て私のモノ。私の、私の、ワタシノモノダ……

 

おっと、、、ダメだまた。こんなに暴走してしまっては、「約束」の時間のとき歯止めが効かなくなって彼を怯えさせてしまうではないか。落ち着かなくては……ソフトが立ち上がるまでの時間に、何とか暴走を抑える。暴走を抑えると丁度、画面が彼の部屋に切り替わる。

 

「あれ?りんくん……起きてる」

 

彼にしては随分と早く起きてるな。私としては、寝顔も起きてる顔も大好物なんだけど、なんで起きてるのか気になってしまうものだ。む〜、そんな真剣な顔しちゃって。カッコイイな〜………話したいな〜

こんなことだったら、盗聴器もつけて置くんだったな。「約束」は時間通りに、と彼と決めてしまったのがあだになった。とは、言いませんよぉ〜。こんな時の為に、彼からハッキングの技術を教わったのだ。なんとかして、彼のパソコンのマイクから出力される音声データをこっちに繋げればっ………とできた。よーし、彼は何をやってるのかな〜。

 

カタカタカタカタカタ

 

カタカタ音?キーボードをひたすらに打ってるのかな?一体なにを………あ〜分かった

 

「執筆作業か………」

 

彼はたまに小説を書く時がある。まぁ、ほんとにごく稀と言ってもいいのだが……彼が小説を書く時は、少なくとも20000〜30000文字を書く。彼曰く「生ぬるい気持ちで書きたくないし、書く時はできるだけ真剣に書きたい」らしい。実際に私も読んだことがあるのだが、彼の才能と、得意とするシリアスの織りまじる恋愛ストーリーに引き込まれて、文字の量など気にならないくらいすんなり読み切ってしまった。要するにとても面白かったのだ。いつも思うのだが彼の作るものや、書くものには不思議な力があると思う。なんというか、とても惹き込まれるのだ。彼が本気で小説なんかを書いたら、本当にベストセラーを超えてしまうんじゃないかと思ってしまう。なんの運命か、惹き込まれ、自然と周りを笑顔にしていく弦巻こころとは、また違った才能。私の周りのお金持ちは天才ばかりなのだろうか?まぁ、るんっとお化けはいますが…

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっくしゅ……」

 

「なんですか、こんな朝早くにおきて……」

 

「なんか、朝からるんっと来ないな〜」

 

「?なにを言ってるんですか日菜」

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなことを考えている内に執筆作業が終了したみたいだ。

 

「あ〜!まだ物足りないのに……」

 

彼が小説の執筆作業をしているときの真剣な顔をもっと堪能したかったのに。これに関しては完全に失敗した。また次回ですか……貴重な映像を見過ごしたよ…

それにしても、彼が気まぐれに書くのは珍しい。というか、気まぐれ自体私も数回しか見た事がないのだ。なにか、きっかけを作って書いてる可能性が彼の場合は高いのだ。そして、例え彼であっても20000文字以上を書くのにこんな短時間で書くなんて考えにくい。少なくとも、深夜1時辺りから書き始めないと無理だ。なにをきっかけにした?

あ、そういえば昨日あこちゃん、りんくんと一緒にNFOやって0時に落ちたけど、なんかあこちゃんにりんくん「付き合ってくれないか?」なんてチャット送ってなかったっけ。一瞬で表記揺れかもしれないと思って、彼を咎めはしなかったけど……

チャット履歴スマホで見るか。…………やっぱり……………

 

 

 

なんで、、、、あこちゃんなの???

私はスマホを潰す勢いで握る。

 

「これは、説教が必要かな…」

 

 

 

 

説教はどうしよう?とりあえず監禁?いや、それは彼が傷ついてしまう。とにかく、あこちゃんに追求シヨウカ……いや、やっぱり直接縛ろう。彼を………

 

「ほかに移るなんて………ユルサナイカラ」

 

画面の向こう側にいる彼を見つめ、そっと画面を撫でる。彼は………私のモノダ。彼と触れ合うのも、愛し合うのも、見つめ合うのも、口付けを交わすのも、全て私だけの特権。ワタシダケノカレ。

 

ねぇ、りんくんは離れたりなんかしないよね?私を捨てたりなんかしないよね?

ドロドロとしたドス黒い感情が私の中を埋めつくし、まるでそれだけ(・・・・)が私を支配し動かすように、私をコワス(・・・)

 

チクタクと、私の部屋で静かに木霊する時計は、6時になったことを私に知らせる為に大きな音をたてる。

ふふ、りんくん。「約束」の時間だね……

慣れた手つきでメッセージを彼に送ると、私はPCをシャットダウンして、彼からの返信を待つ。

 

数秒して、彼からの返信が来る。

さて、話すことはいっぱいある。

昨日のこと。今日の体調。そして、彼の体調を気にかけての説教。当たり前だよ?彼女だもん。彼を気遣うし、彼を癒してあげなきゃ。なにより…

 

「ぜっっっっったいに、私以外にはワタサナイカラ。ネ?リンクンモワタシノコト……」

 

愛し合っている私達の、、邪魔はさせない……

 

「ふふ、まっててね、今……イクカラ……」

 

私は静かにめを閉じ、彼に電話をかけた。




ヤンデレ燐子ちゃんて、めちゃくちゃ彼女に欲しいのです。推し友希那しゃまとこころんなんだけどね(´>ω∂`)
まぁ、現実はそんなに甘くないんですけどね…(;´д`)トホホ…
何故、オリ主視点から始めなかったの?って言う疑問。
お答えしましょう……ただのミスです(まじですいません)

良かったら感想・評価お待ちしております。
不定期更新ですが、どうか、お願いします…
次回はオリ主視点です


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天才少年の考えは矛盾だらけでふざけてる

はい。今回は主人公回です。まぁ、これからは基本主人公のターンになるのでよろしくお願いします。
勿論、燐子ちゃん視点は書くのでそこは気にしないでください^^
では本編どうぞ。


 

 人は皆平等だ、とは福沢諭吉が残した数ある名言の1つらしい。

 実際には、天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らずという言葉らしい。ま、とにかく人類皆平等だよって言うことだ。

 

 

 勿論、人には力量などの差はある。元から優秀な人もいるし、はたまたそうではない人もいる。にんげんなのだからそこは仕方ないのだろう。生まれもった才能(・・)などがあるのだから。と、ここまで聞くと、諭吉は矛盾したことを言っているように聞こえるだろう。では、諭吉は一体なにを言いたいのか。

 

 

 知識の差、と言いたいのだと思う。

 身近でわかりやすいものだと貧富の差だろうか。誰でも分かると思うが、どんな所でも貧富の差はあるだろう。裕福な家庭、そうではない家庭。必ずしも、貧富の差は生まれてしまう。

 

 

 賢い人ほど、知識をつけ、巧みにその知識を使い高い位に付きお金を稼いでいく。逆転して考えれば、貧乏人は知識を身につけようとしないということだ。だから、いつまで経ってもその差は埋まらない。むしろ差は開く一方である。

 

 

 ならば、勉強し知識をつけろ。勉強して知識を付ければ、富を得られる。だから、ひとは平等なのだと。他のことでも努力さえすれば、才能や力量の差は埋められる。そう言いたいのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 否だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺自身(・・・)の結論を述べよう。ありえない。結論、と言うとピンと来ないかもしれない。言い方を変えよう。自分自身の考えだ。

 

 

 俺はこの言葉を、酷く無責任であほらしいと思う。何故か?至極単純。誰でも分かる事だ。

 

 

 

 

 

 

 

「必ず上はいるし下はいる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 上には上、下には下。必ずある上下関係だ。

 よく考えればわかることだ。結局は不平等。そんな言葉などありえないと。冷静に考えれば簡単な話だ。

 

 

 

 わかりやすく言おう。

 例えば才能に満ち溢れ、将来を期待されるものは大きく評価される。だが、逆はどうなのだろうか。もちろん全ては逆転し、酷く評価されるだろう。

 知識を付ければ評価される?否だ。

 それよりも上がいれば、そんなもの簡単に霞み消え去るのだから……例え、自分が努力と研鑽を続け1番上に行ったとしても、また「次」の努力と研鑽。評価をつけられ、凄いなと言われるのだろうが、決して認められることはないのだろう。なぜなら、努力を知らない。表面上にある結果のみを評価されるのだから。自分自身が認めらることは決してない。

 

 

 

 

 

 結局は、自分を騙しみんな同じ土俵にいるから、一緒に頑張っていこうぜなんていう、クソみたいな綺麗事だ。そんなもの、俺が真っ向から否定する。

 

 

 

 何で、こんなにも反抗的なのか?それは、俺自身が問題だ。もしかしたら、こんな捻くたやつじゃなかったかもな。

 理由は単純。俺は才能を持っている。いや、俺には才能が大きな備わってしまった(・・・・)が正しい言い方だろう。

 

 

 

 ずっと疑問を持ちながら今まで生活してきた。何故こんなにも自分と人とは違うのかと。

 俺は、ある大企業の一人息子として生を受けた。勉強は聞き、読み、教わり、取り組めば全て出来たし、運動に置いても人のものをみて真似するだけで難なくこなすことができた。まだ、自分が幼い時は、こんなこと誰でも出来ると思っていた。前提の言葉を信じきっていた。自分のように出来ない人は、その為の知識を、経験を、努力を積めばできるのだと。

 

 

 

 でも違った。現実の非情さを身にしみて知ったのだ。俺は優遇されている人間なのだと。そんな綺麗事は、ゴミクズのように砕け散るのだと。結局は才能や環境に左右される。平等など元から無い。不平等の元で生きる。

 

 

 

 弱肉強食とはよくいったものだ。弱いものは強いものに食われる。同じように、才能のないものは才能のあるものに潰される。どれだけ努力しても、何度も知識を深めようと、天才が軽く努力、知識を深めれば、軽々とそれを超える。弱者が多大な努力をしてようやく超えたレールを、強者はそれを跨ぐかの如くに軽々と超えてしまう。これのどこに平等などという概念が存在するのだろうか。

 

 

 

 そうなると、俺は強いものの方に部類されるのだろう。弱いものは淘汰される。まるでゴミのようにだ。この世界のルールは酷く歪んでいる。勝者は肯定され、敗者は否定される。それが成立してしまう、腐った世界だ……

 

 

 自分に才能があると気づいた時、心底自分が嫌になった。自分はこれまで、知らぬ間に何人もの人間を貶めてきたのか……

 ここではあえて、貶めるという言葉を使うが、今までの自分は本当に酷く、醜いものだった。

 

 

 

 今思えば、この才能を与えられ、親に期待されては、無駄にその才能をふるって皆からは冷たい目で見られ続けられていた毎日だったと思う。無意識にほかの人間を突き落としては「いいよな、才能があって」なんていう嫌味を吐き捨てられていたのだろうか?または、自分の積み上げて来たものを簡単に踏みにじられ、憎悪に満ち溢れていたのか。いずれにせよ、俺には知る余地すらない。

 

 

 

 いつしか、この毎日に嫌気がさして、全てを投げて逃げた。この重圧から、このクソみたいな才能からとにかく逃げたかった。捨てたかった。幸い、親は大企業で大金持ち。適当な理由をつけて逃げ、一人暮らしを始めた。家賃や生活費は親が支給してくれた。こういうのを親の七光りと言うのだろうが、ここまでしてでもあの生活を捨てたかったんだ。そして、これを境にして学校にも行かなくなった。テストの時と、単位を落とさないための必要最低限の授業日数を稼ぐ為だけに学校へと登校する。そして、それ以外は家でずっとゲームをしていた。

 

 

 

 そうだ、俺にはこれが1番似合ってる。誰にも、自分の存在を知られず、ある程度のお金を支給して貰って、持ち前の才能で軽く金を稼いで生活していけばいい。生活面では生きていくには仕方がない。嫌な才能に頼らないと行けないのは皮肉なものだが、これに関してはどうしようもないだろう。

 

 

 

 だから、代わりに俺は誰とも関わらずにこのまま一生、、ひっそりと生きていこう。本当の俺は誰にも、みせない……

 

 

 そんなある日だった。それは、あまりにも唐突だった。

 それは、NFOというオンラインゲームをしているとき。やることもなく、適当なルームのマッチングをしてあるプレイヤーと出会った。

 

 

「Rin Rin……おぼえやすい名前だな……」

 

 

 内心で思ったことをそのまま復唱する。

 俺も、キャラネームはRinだし、同じようなもんだ。てか、俺の名前の2倍Ver.みたいな感じだな。なにか、変な縁でもあるのだろうか?

 まぁ、名前なんてどうでもいい。結局の所ゲームだって、ただの暇つぶしの娯楽に過ぎない。本気で楽しいだなんて思えたことないしな。全部この才能のせいだ…

 

 

【Rin>>Rin Rin:よろしく】

 

 

 とりあえずは軽く挨拶だけでもしといた方がいいだろ…

 これが最初で最後のマッチングだろうし、馴れ合うつもりはないがな。フレンドになるつもりもない。あっちから来た場合は…………………………………………………

 

 考えなくもない。

 

【Rin Rin>>Rin:こちらこそ(`・ω・´)/】

 

 

 毎日退屈で、つまらない日常。そう、それが当たり前だった。ゲームでも持ち前の才能が嫌でも発揮されるのだから。

 だが、こんじつこの日常に変化が生じ始める。

 

 このマルチをはじめ、クエストに行き早2時間が経過しようとしていた。

 一般から見れば何ら普通に思えるだろうが俺にとってこれは異常だった。まぁ、これにはかくかくしかじかと色々な意味もあるけど、大半は俺のプレイスタイルと才能に問題があったためだ。こんな俺とはマルチとにかく俺とマルチをやるやつなんて、ましてや1時間以上もやってくれる人なんて、これまでに1人もいなかった。最高マッチ時間は46分58秒。何故かメモってた。特に理由はないが…

 

 

 更に俺が驚いていたのは、自分自身の事だった。

 

 

【RinRin>>Rin:今日はありがとうございます!お陰で素材回収もスムーズに出来ました!(っ´ω`c)】

 

【Rin>>RinRin:いや、こちらこそ。色々付き合って頂いて。】

 

 

 自分の才能に確信してから初めて、自分自身の才能が嫌に感じられなかったのだ。

 とても、とてもスッキリした気分だった。

 自分にかかっていた重荷を綺麗に取られたかのように爽やかに気分だった。実際この人にその気は無い。でも、とても感謝の気持ちが込み上げて来た。恩付けがましいが、その気持ちは本物だった。自分を、自分として見てくれている様で…

 

 

(……この人なら……この人ならもしかしたら……)

 

 俺は、何故だか聞いて欲しくなった。たかが、ゲーム。顔も名前も知らない人。でも、何故だか、打ち明けたくなった。この人ならと。そう思ってしまった。ただの衝動的なものかもしれない。不思議な事もあるものだ。でも、気まぐれでもいい。無意識に変化が欲しい、と心の中で思っていたのかもしれない。この日常に。俺自身に。だからこそ。

 

 

 

【Rin>>RinRin:あの、本当にどうでもいい話なんですけど、俺の話を聞いてくれませんか?】

 

 

 手馴れたタイピングでチャットを送る。

 身勝手かもしれない。気持ち悪いかもしれない。実際驚いてる。あれほどまでに否定し続けてきた考え。今でも、自分の考えを変えるつもりは無い。あんな想いをするくらいなら他者との関わりなんて持たない方がいいと。行動と考えは矛盾している。それでも俺は…

 

 

【RinRin>>Rin:なんですか?私で良ければ聞きますよ!(*^^*)】

 

【Rin>>RinRin:少し、俺のリアルの……話を聞いて欲しくて…】

 

 

 この人なら……信じられると思ったんだ…

 

 

 

    

 

 

 朝の5時半。カタカタと、東京某所のアパートの一室にキーボードを打つ音が鳴り響く。手馴れたタイピングさばきは、目にも止まらぬ速さで、画面には1つ1つ字が増えていく。なにをやっているか、気づいてる人もいるだろうが、なんて言うかまぁ、執筆作業ってやつですわ。ほら〜たまにクラスに1人はいるだろ?根暗で、何故か小説投稿してる奴。あれ俺だから。

 

 

 まあ、こんな感じに飽きもせずこうやってPCと向き合いながら早5時間程経過している訳だが………普通だったら、執筆などとうに終わってるのだが、衝動書きというのは、展開も1から考えながら書かなきゃ行けないから、少し詰まりながら書いていたわけだ。どんな天才だろうと、1からものは作れないだろう?それと同じさ。そして、ここまで遅くなっちまったわけだ。

 

 

 5時間、っていう時間ずっとやっていて眠くならないのか?なんて言う疑問は、俺にとっちゃ愚問!1年間ゲーム廃人生活をしてきた俺を舐めるでない!今は違うけど………

 もともと、根っこからな夜型だしな…

 こうやってたまに小説を書くのも悪くない。実際楽しいしな。

 

 

 お、いきなりで驚いたかな?悪いな。自己紹介もせずに……誰も俺のことなど興味無いだろうが、数少ない俺の名前を知りたい人達のために、自己紹介したいと思います!

 俺の名前は天神輪渡(あまがみわたる)高校2年生。年齢16歳。自宅は杜王町北東部の別荘地帯にありk

 

 

 じゃなくてだなぁ!ってついノリでふざけてしまった。じゃなくて!……………

 まぁ、とにかく軽くの自己紹介はこれで終わりだな。はい、自己紹介終了。吉良○影さよならだ。地獄へ行ってらっしゃい。

 ジョ○ョに興味がある方々。是非、単行本を買うことをオススメする。ちなみに俺は第4部が大好きだ。特に吉良吉○が本当に大好きすぎる。あの、独特な今までに無かった悪キャラ感がたまらん。読んでるうちにハマって、買おうって思った時にはもう購入は終わってましたねハイ。

 ……………すいません、自分は、自分の趣味を押し付けるドチンポ野郎です、はい。

 

 

 さて、本題に戻るとしよう。

 俺が何故小説を書いているかというと………まぁ、あれだよあれ。忘れた…もういいや

 

(趣味でやってます)

 

 あ〜そうそう。趣味趣味………ってだれ?

 

(あ!やべ……)

 

 やべって……なんか、途端声聞こえんくなったし…なんなんだよ…

 

 ま、趣味でやってるわけだが、この作業は毎日やるの?って聞かれるとそういう訳じゃない。趣味っていってもガチガチでは無いのだ。所謂暇つぶし。たまに書きたくなって書くような、そんなものだ。小説を投稿して満足感が凄いって理由だけでこれまで書いてきている。本当にくだらない理由だ。まったくもう。真面目にやってるやつに謝れってんだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 すいませんでした┏○┓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気になるやつのために簡単にここまでの経緯を説明するぞ。聞きたくないやつは適当に飛ばしてもOKだ。

 今日は0時までオンラインゲームをして、ネ友兼リア友さんに小説の相談に乗ってもらってそれをメモったら寝ようと思ったんだが、根っこからの夜型の俺がゲームをやってすぐに寝れるわけでもなく、こうやってもう1つの趣味で不定期に執筆する小説の作成作業に勤しんでいるわけなんだが。

 あ、ちなみにもう1つの趣味はオンラインゲームだ。最近だとNFOが最高に楽し(ry

 

 

 んで書いてるうちに夢中になってたらいつの間にかこんな時間に、という訳だ。

 

 

 

 

 

 

 とりあえず、状況は分かって貰えたと思う。簡潔に言えば、ネ友兼リア友さんの相談を聞いた後に寝る気も起きず、小説書いてたら、いつの間にか朝になっちゃったなんていうなんとも間抜けな理由だ。現に、とてもいいペースで飽きもせずキーボードを打ってるしな。正直いって、書いてる間は本当に時間の経過が早く感じてしまう。趣味ってのはいいもんだ。

 まぁ、デメリットとしてはそう感じすぎてしまうことだな。それのせいで前は3時間も遅刻して教師にこっぴどく叱られたからな。

 

 

 さて、そろそろこの戦いに終止符を打とうか。約5時間40分。長い戦いだった。お前達のことは決して忘れないよ。ま、今から投稿するぶんなんですけどね!

 

 

 ようやく作業が終わりエンターキーを押して投稿が終了する。ん〜と伸びをしながら、達成感に満ち溢れる体を起こして体を軽く解す。体からバキバキバキって鳴っちゃいけないような効果音がながれてるけど、気にしちゃいけない。。。

 

 

「あ〜〜〜〜〜、腰が痛い〜。もう歳かね」

 

 16歳のガキがなにを言っているのやら。この際もう、ジジイでもなんでもいいが、罵るのはやめちくりな。一応16歳なんで。ジジイなんて言われたら、僕の豆腐メンタル崩れちゃう……

 だったら最初から言うなという話なんだが、ここは軽くスルーして貰うのが俺としては得策だと思う。

 

 

 それにしても、よくこんな社会不適合者の俺が、こんな風に学校に行って授業を受けて帰るなんて学生じみたことが出来るようになったものだ。今では、こんな感じで趣味を午前6時前には終わらせ、制服に着替える準備をしているのだから。とても、3ヶ月前までゲーム廃人生活を送っていた人間とは思えない。この3ヶ月っていう短い時間で変われたのも、全て彼女(・・)のおかげである。

 

 ちらっと、机の上にある写真を見る。

 

 

「はぁ。何で、ここまで好きになっちまったんだ。昔の俺何処行ったんだ………あ〜くっそぉ〜!可愛いな、畜生!!!」

 

 

 机の上に飾ってある写真を見て、ベッドに転がりながら悶える。第三者が見たら凄い光景だ。気持ちが悪い、気色が悪い、何やってんだの、言葉が出てくることだろう。尚、恥など無かった。

 

 

 ないよっ!恥ないよっ!!

 

 

 

 

 

 ゴホン。決してふざけてる訳じゃないが。話を元に戻すとしよう。

 

 

 写真の人物は、もう分かると思うが俺のお付き合いさせて貰ってる彼女さんだ。

 名前は白金燐子(しろかねりんこ)。極度の人見知りで他人とコミュニケーションをとるのが苦手な女の子だ。 大人しくて臆病な性格なんだけど芯はしっかりとしてて、本当にいい子なんだよ。本当にもう、自分でもどうかってくらい毒されてる。本当にどうにかなってしまうくらいだ。

 

 

 

 会ってまだ3ヶ月。付き合ってからまだ2ヶ月しか経っていない。なのに、何でこんなにも好きなんだろう。似合わないが、本当に運命を感じてしまう。初めて会った時から、俺はあいつしかいないって、心の中で思っていたんだと思う。

 まだ短い時間の付き合いだけど、燐子と過ごした日々は宝物だ。

 そして、この写真も宝物の一つ。恥じらいながら、ピースをしている燐子と、馬鹿みたいに緊張してる俺とのツーショット。

 この燐子マジ可愛い。マジ天使。マジ女神。マジ極女神。

 ……………………………極女神ってなんだ?まぁいいや

 

 

(ああ、早く燐子の顔がみたいな〜燐子の声が聞きたいな〜)

 

 

 デヘヘと、自分でも気持ち悪い声を上げながら、ベッドの上で寝転がる。やばいやつだ。こいつ、やばいやつだ。

 

 

「って、もうこんな時間か。約束の時間じゃねえか」

 

 

 不意に時計が目に入り、時間を確認すると5 時の55分。「約束」の時間まで後5分、、だが燐子だと、結構早めに掛けてくるかな〜。引っ込み思案なのに、変に律儀な所あるし。ま、そこが可愛いんだけど…

 

 

(リア充爆発しろ)

 

 また、なんか聞こえたけど完全に嫌味じゃねぇか。彼女作ればいいのにさ…

 あ、分からない人ように、「約束」のことについて説明しとくぜ。

 

 これは俺達2人が決めた、朝の挨拶と健康チェックを兼ねた、会話のお時間なのだ。その時間は毎日朝の6時に必ず行うようにしている。学校とか、たまに燐子か俺がお互いの家に行く時があるから、話す時間はだいたい15分程度だが、俺にとって毎朝の至福の時間なのである。

 

 

 RAINNのビデオ通話でお互い顔を見ながらいつも話している。顔も見れて、声も聞こえるってもうそれ最高だよな、本当。RAINN最高、マジ至高ですわ。

 

 

 さて、そろそろ電話かかってきそうだし、準備でもしておこう。

 っと、その前に。本人の前ではまだ恥ずかしくて言えてないけど、練習がてら。写真に……

 

 

「えっ、えっと燐子。その、、、」

 

 

 こういう時にヘタレ属性になるのは、本当無くすべきだよな。でも、いつか必ず言えるように、その為の練習だ。

 

 

「あ、愛してるぞ…………」

 

 

 今日も、俺の1日は始まる。

 退屈じゃない、楽しい生活が。




どうでしたか?面白かったら感想、評価お待ちしてます!
かなり間を置いてしまって申し訳ありません┏○┓
テストって言うクソみたいなものがあったのが、大半の理由なんですが………
今回のロリイベやりまくってました(๑>؂•̀๑)
すいません。気をつけます。本当すいませんでした。

☆10永夢さん
☆9猫鮪さん 九条ゆうきさん 生ナマコさん

ありがとうございます!
まさか、1話でUA2000超+お気に入り40は予想外でした!嬉しいです!これからもお願いします。

ではまた次回( ´ ▽ ` )/


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相対性理論とその原理。あ、授業じゃないよ?

皆様、お久しぶりです。


言い訳タイムに入ります。



ラブライブのギルキスファンミ行ったり映画行ったり楽しい冬休みを過ごしてたら、いつの間にか1ヶ月経ってました。



罵るなら、罵れ。
ということで…本当にすいません。


とにかく、皆さん。あけましておめでとうございます!!


1ヶ月、筆をおき、その間多くの人に読んでいただき、UA5000超、お気に入り65件、評価人数7人、本当にありがとうございます。

☆10九条ユウキ 様評価UP!!!!
☆8Mairo Murphy 様
☆4ケチャップの伝道師 様

評価ありがとうございます┏○┓


それでは、1ヶ月ぶりの最新話です!どうぞ


どんな人間でも苦しいことや楽しいことを体験したことはあると思う。そして皆さん同じく体験したことがあると思いますが、楽しいことは直ぐに過ぎてしまうけど、苦しいことは、とても長く感じるというものがあるだろう。

 

 

これは一つの時間の相対性理論と言われる。

 

相対性理論とは皆さんもよく知る天才物理学者、アインシュタインが説いた理論だ。光の速度に近づくと時間は遅く流れるっていうアレ。難しいと思うので簡単に説明してみようと思う。まぁ、期待はするな。

 

 

わかりやすい例でいうと、「カイジ」という漫画を知っているだろうか?

分からない人でも分かるように今からいう説明をしよう。

 

この漫画の中で、敵役が主人後に対して土下座をするシーンがあるのだが、その敵役のボスがある提案をするのだ。

 

 

「誠意を示して貰う為にはただの土下座ではなく焼き土下座をしよう」などというあまりにも狂った提案。

 

これをその敵役が10秒感行うというシーンがあるのだ。これがとても惨い。

 

 

これに時間の相対性理論と何が関係あるのか?それはこの焼き土下座を見ている時間に関係がある。

 

 

たった10秒。そう皆さんが休みのときなどで、だらだらして暇な時に直ぐに流れていく10秒という時間。だが、主人公にとってこの10秒は永久に感じられたらしい。実際に見たものにしか分からない感覚なのだろう。永久にも感じられる10秒。まさに一つの時間の相対性理論である。

 

 

何故こんなに長く感じてしまうのか。

それは脳が新規な刺激を前にすると、その時間を長く感じるという性質があるからだ。このシーンで説明するなら、焼き土下座などというとち狂ったもの。つまり、人生の中でここまで惨いことを初めて(・・・)見たことになる。脳にとっては新規な刺激になる訳だ。そして、恐怖心もこれに関わってくるだろう。初めてが重なりに重なり、この時間感覚を産んだのだ。

 

 

逆に楽しいことは早く感じるだろう。

これは仕事と自分が一体となり1種の「没我」となっている状況。特に「フロー」と呼ばれるものだ。好きなアニメを見ている時間は一瞬だろう?つまりそういことだ。

 

 

こんな感じで、俺達が主観的に感じる時間っていうのは、脳の働きによって伸び縮みする。ぎこちない時間は長く、楽しい時間は短く、苦痛の時間は長い。こんな感じで数多くの相対性理論があるわけだ。

 

 

 

 

 

 

ッとぉ、ここまでのご付き合いサンキューだ。今の説明で分からなかったら、Googleで相対性理論で検索だゾ。それでも分からなかったら、まぁ………頑張れ!!

 

え?全然分からなかった?ま、多少はね?†悔い改めて† by YJP

 

 

閑話休題

 

 

今俺は、どこに立たされているのかが分からない。逆境なのか。それとも順境なのか。そもそもそうは言わないのかは定かではない。とにかく、曖昧な状況に立たされてるのは確かだ。自分でもよく分かっていない。

俺は、毎日の日課。これについては前話をご参照にお願いする。その日課で彼女と電話でやり取りをしている。毎日の挨拶を交わし、朝の雑談。これは、そう『いつも通り』。だからこそ、その先の曖昧な場所なのだ。うーん、こういう場合どう言えばいいかがよくわからん。

 

ただ、これだけはハッキリ言える。それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ……りんくんなんで?なんでなの?」

 

「あ、あのな?燐子とりあえず落ち着いて……」

 

「十分落ち着いてるよ?それに、私は質問してるの……宥めてとは言ってないんだよ?ただ質問してるだけ。りんくんは、学校で質問を宥めて返すって教えられたの?とにかく怒ってないから順番に私の質問に答えて?昨日あこちゃんに相談してるのをなんで私にしなかったのか…………なんでその事を隠したのか………そして、自分の健康を鑑みずに何故体調を崩してしまうかもしれない徹夜をしたのか………徹夜のことは前に注意したよね?りんくんが体調を崩してしまうかもしれないことは控えてって。あとは、なんであこちゃんに相談して私には相談してくれなかったのか。相談しちゃ駄目とは言わないけど、何で相談してことを隠したのかなぁ?私だってりんくんをこうやって言いたくないんだよ?でも心配だからやってる事なの。さ、順番に答えてね。りんくん?」

 

 

おこですはい。現在進行形で彼女が、おこでございます。やべぇよ…やべぇよ…

 

 

怒っているであろう理由が燐子の口から次々流れていくる。どうしてこうなった……こうなる覚悟は出来てたのか?

 

 

すまん、ブチャラティ……全然出来てなかったわ……つか、予期してねぇよこんな事態。まじで……身から出た錆なのかこれは………事の発端はほんの数分前に遡る。

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

ピロン

 

携帯の通知音が部屋に鳴り響く。

6時ちょっきりだ。燐子はいつもこの時間を厳守している。もうこの通知音爆音にして目覚ましにしてもええかも………

 

 

まぁそれは、近所迷惑だからやるつもりはないがこの時間の厳守ようからも分かるようにうちの彼女は本当にしっかりしている。自分も見習わなければならない。こんな素行不良な俺の事を好きになってくれた事が未だに謎だ。

 

 

RAINNを開くと、そこには短く「約束の時間だよ」と書かれていた。こういう簡単なメッセージで、毎日やっていることでも、やっぱり彼女からのメッセージはとても嬉しい。マヌケな話だが、彼女にメロメロの骨抜き状態にされているようだ。

 

 

「OK。掛けてきてもいいよ」っと。

彼女に電話をかけるように促すメッセージを送る。

 

この「約束」についてだが、基本的に約束の電話の時間は燐子が俺に確認のメッセージを送って、俺がOKを出したら燐子が電話をかける感じだ。

 

 

これは付き合ってから直ぐに始めた事なんだが、1回だけ俺が風邪で返信が遅れたときはやばかった。主に燐子からのメッセージが。とにかく通知音が鳴るのだ。気づいたのが30分後くらいだったんだが、アプリを見てみると通知数が999+を超えていてまじでビックリした。

 

それ以降は、できるだけ早く返信するように心がけている。1秒でも早くを胸に抱き。これ以上、燐子を困らせたり悲しませたりしたくないしな!

 

 

返信から、10秒も経たないで電話が鳴る。画面には「Rin Rin」と表示されている。

これはRAINNでの燐子の名前であり、オンラインゲームなどのハンドルネームでもある。因みに俺たちが知り合ったのはNFOという現在普及のオンラインゲームで知り合ったのだ。その話はとりあえずまた後日で…

 

 

「もしもし?おはよう燐子」

 

 

電話に出て、電話の向こう側にいるであろう彼女に朝の挨拶をする。

 

「うん。おはようりんくん。今日の体調はどう?」

 

「万全万全!燐子は?」

 

「私も元気だよ…」

 

 

これが俺達の朝の挨拶の時間。つまり「約束」である。

これを始めたのは、燐子の提案だ。

理由としては燐子曰く「朝早くにりんくんの声を聞きたい」かららしい。

 

 

俺としては彼氏冥利に尽きる。ていうか尽きすぎてパンパンですわよ。

でも、こんなにいつも朝早くに起きても大丈夫なのかと思ってしまう。彼女からしたら習慣なんだろうが、俺からしたら1年間続けた、マルデニート生活のせいで未だこの時間は眠い。あまり無理はして欲しくないからな……燐子がしたくてしている事なのだから、止める気にはなれないけど、心配してしまうのがジレンマである。そんな事を考えていると、燐子が話を持ち出す。

 

 

 

「そうそう。ねぇ、りんくん」

 

「ん?なんだよ」

 

「昨日、私がNFOのパーティ落ちたあと、あこちゃんと話してた相談ってなのなの?」

 

「…………………………………………へ?」

 

 

 

 

この数秒間の悩み事や考えことも全て吹っ飛んだ。何故かって?答えは簡単。

 

 

 

 

(詰んだ………)

 

 

朝から修羅場である。

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

 

 

「ねぇ、答えて?」

 

 

と、こんな感じで今に至るわけだが。

もう1回いうぞ。どうしてこうなった……

まぁ、大体察しはつくがどうしてなんだよ……

 

 

好きな人から、怒られるってのは我々の業界ではご褒美なのだろうが、こうやって何故知っているのかを問い詰められるのは怖いものもある訳で……

こういう場合って時間が早くすぎるのか、遅く進むのかは定かではないが、時間の相対性理論って無視な気がする。

アインシュタインさん、貴方バカだっn(殴

 

 

話を戻そう。

何故かは知らないが、燐子がNFOのパーティ。つまりギルド(俺の友達も合わせて全員で4人の小規模ギルドだが)内の、燐子が落ちたあとのチャット内容を把握しているようで……何それこっわ……

 

「何を相談してたの?」

 

「それは……」

 

「つまるってことは、そういうことなの?」

 

「そんなわけないだろ!」

 

 

と言ってもだ…

もし仮に、あのチャットを知っているなら燐子としては少し不安にさせてしまったのかもしれない。確か内容としては…

 

 

『なぁ、あこ。ちょっといいか?』

 

『?どうしたのわたるにぃ』

 

『ちょっと相談に乗って欲しいんだが……ちょっと長くなるからボイチャに切り替えるぞ』

 

『わかった!』

 

 

ここで、確かボイチャに切り替えたんだっけ……

確かにこれだけ見たらボイチャまでの経緯がわからない。この後の話がわからないわけだし……

 

でも、俺があこに相談したのって燐子とまた今度行くデートの相談なんだよな〜

 

 

俺と燐子が付き合い始めたのは、出会ってから1ヶ月後。お互い一目惚れだったってことやまぁかくかくしかじかあったこと(この話はまた後日)で、かなり早く付き合い始めた俺達な訳だが、付き合ってからまだ2ヶ月しか経ってない訳だし、俺も燐子の事を完全に把握してる訳じゃない。だから、燐子の親友であるあこに相談したのだ。どんな所だったらデートする場所に最適なのかとか、まぁとにかく色々。

 

 

でも、何より大事なことは

 

 

『いい?最も大切なのは、りんりんの為にどれだけわたるにぃが考えて行動できるかだよ?例えるなら誕生日の時にどれだけ想いのこもったプレゼントが出来るのかとか。とにかく、わたるにぃがりんりんに何をしてあげたいかが、大切なの!!あとはわたるにぃしだい!!!」

 

 

俺次第、か………

 

兎にも角にも、今のままでは埒が明かない。燐子に事情を説明しないと事は進まないし。悩んでる時間は無駄だ。

 

 

「ねぇ、りんく…」

 

「燐子!」

 

「っ!」

 

 

 

燐子は俺の声にビックリしたようで、電話越しからでも、少し狼狽してるのが分かる。ここだ。この状況を逃さない。隠すつもりだったけど、仕方ない。

 

 

「俺があこに相談してたのは燐子とのデートの事なんだ」

 

「え、、私との?」

 

「そう。何回かデートには行ってるけどさ。燐子のことしっかりエスコートしたくって。だから、燐子の事をよく知ってるあこに相談したんだ。俺と燐子は彼氏彼女って関係だけど、お世辞にも長い付き合いだって訳じゃないからな……」

 

「りんくん………」

 

 

相談した内容を打ち明けると、燐子の様子が変わった。電話越しだが、燐子が落ち着いてくれたのが分かる。

 

 

「りんくん……私………」

 

「大丈夫、分かってるから。ごめんな。不安にさせたよな」

 

「そんな!私が勝手に暴走しちゃったから………」

 

「いいんだよ。俺だって、もし燐子が俺以外の男と親しげに話してたら嫉妬したりするだろうしな」

 

「りんくん………」

 

 

ようやく燐子が分かってくれたみたいだ。朝からぎこちなくなったら最悪だからな。自分の好きな人とぎこちなく1日を過ごすなんて絶対嫌だし、解決出来て良かった…

 

 

「じゃあ、りんくん。また7時半にそっちで…」

 

「おう。気をつけて…本当にごめんな?」

 

「ううん。全面的に私の暴走のせいだし、本当にりんくんのせいじゃないよ。私こそごめんね」

 

「ああ。こっちに来る時は気をつけてな?燐子に何かあったら、燐子の両親にドヤされちまうからな」

 

「ふーん。ドヤされるのが嫌だから事故をするなと?随分と軽く見られてるね〜」

 

「じょ、冗談だって…」

 

「もう……そういう冗談を言っちゃうところも好きだけど……………」

 

「お、おう……照れること言うな……………好きだよ、そういうところも……………」

 

「ッッッ//////ふ、不意打ち禁止!!!!/////」

 

 

 

和んだ空気で、話が弾む。

朝はやっぱり明るく始まるのが1番だ。誤解も解けて、スッキリしたし、今日もいい日になりそうだ。時計がさしている時間は6時半なのに、自分が感じている時間の感覚は10分にも満たないものに感じられる。

 

 

あれ?やっぱりアインシュタインって天才じゃね?

 

 

楽しい時間はあっという間に過ぎるもの。もういい時間だ。まだ、話し足りないがそろそろ電話を切る時間だ。

 

「それじゃ、またあとd」

 

「待ってりんくん」

 

「どうした?」

 

「忘れてることがあるよ?さて、なんでしょう」

 

 

え?忘れてること?誤解は解いたぞ。

 

 

「私、前にも言ったよね。徹夜は控えてねって。さっきも言った気がするんだけど…」

 

「あ……」

 

 

燐子は何故、私の生活を知っているの?

 

私の耳に何故、今日の徹夜の事を言われているの?

 

教えて、教えてよ……作者様(うみみしゃま)

 

(知るか。自分で考えろ)

 

 

んな、理不尽なァ!!!!!!!!

 

 

「りんくん。少しの遅刻はどうってことないんだよ?」

 

「遅刻。ダメ。絶対」

 

「某ラブコメボッチ主人公は、遅刻をなんと唱えたでしょう。答えなさい」

 

「逆説的に考えて、遅刻は正義……」

 

「それじゃ、覚悟してね?」

 

「は、はぃぃ……」

 

 

この後、燐子に説教されたのは言うまでもない。

 

その時間は長くもなく短くもない、曖昧なものだった。強いていうなら、恋人との時間ってのは、曖昧なものが多いってことを知ったことだろうか。

 

燐子が俺の私生活を知っていることはまた今度聞くとして……とにかく言いたいことがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっぱりアインシュタインさん、バカじゃn(殴殴殴殴殴殴




ということで…
どうでしたでしょうか。

誤字脱字、まりましたら感想の方にお願いします。
つまららねぇとか、日本語がおかしいとかのアンチも僕は受け入れる所存です!!:;(∩´﹏`∩);:


もしよければ、評価・感想お待ちしております!
自分はとにかく、1ヶ月更新とかいう不定期ではなく、1週間に1回くらいの頻度で投稿できるように努力します!これからもよろしくお願いします┏○┓

では、またな!


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奇妙な運命

どうも。
1週間過ぎましたね、はい。ほんっとすいません。


さぁ、気を取り直して!(話を切り替えるやつ)
今回はかなりの長文です。投稿が遅れたのはこういう意味もあります。(隙あらば言い訳をする)

と、本編に行く前に。いくつかの気になってるかもしれない読者様のために、主人公のプロフィールを考えて来ました。


天神輪渡【あまがみわたる】
身長188cm 体重75キロ
趣味:ゲーム 読書 小説執筆
特技:運動 ボードゲーム

本作の主人公です。今はまだ直接的にこの人の才能は出ていませんが、とんでもない才能です。言うなら化け物でしょうか?これはのちのち明かされるので首を長くして待っていてください…


UA8700超
お気に入り87件
評価8人

本当ありがとうございます!


さて、本編です。今回は燐子sideからのスタートです。それではどうぞ


舞い上がるという言葉がある。

意味合い的には心が舞い上がって調子に乗るとかそういう意味のもの。

 

 

 

基本的に日常で使われたりする表現方法としては、気持ちが舞い上がるなど使ったりするだろうか?

 

 

疑問文で投げかけてしまったが、恐らく大半の人がそれくらいしか使わないんじゃないだろうか。というか日常で舞ってる人はいるのだろうか?舞ってる人は舞ってる人なんだろう。どういう心情なのかは知らないけれど…

 

 

 

話が逸れてしまったが、舞い上がるというのは、嬉しい時や、楽しい時、幸せな気持ちだとか最高の気分だとか、それと同じような意味合いだ。そんな感じで人は状態というのを表現する。本を読んでいてこういう表現は結構好きだ。

 

 

 

 

それを踏まえ、今の私の状態を説明しよう。

 

最高に幸せで、気持ちが、心が、舞い上がって……いや、舞踊り上がってしまっている。

 

あんな感じに……朝から、、朝から、、好きだなんて……私、その言葉だけで世界征服出来ちゃう気がするよ…

どこかの少女漫画で使われているような表現だけど、今の自分の気持ちは表現しきれない域まできている。到達地点は頂より高い…………

 

 

「約束」の電話が終わり、現時刻は6時50分。いつもなら、15〜20分で終わる電話だが、2倍もの時間が経過してしまっていた。

 

 

なんで、こんなに時間を使ってしまったというと、お灸を据えないといけないことがあったんです。それで、つい♡

彼の彼女として、当然の事をしたまで。この程度は慣れっこ。少し前は1時間もしたことがあるし、序の口も序の口である。

ましてや、これは自分が愛する人の事だと思えば、序の口の数が4乗ほどされてしまう。

 

 

でも、時間は時間である。序の口とはいえ、使ってしまった時間は元には戻らない。りんくんと一緒に居られる時間が減ってしまったが、彼の為に使った時間だからしょうがない。急いで彼の家に行こう。

 

 

事前に準備しておいて良かった。備えあれば憂いなし。

 

 

ここからりんくんの家まで15分ほどだ。到着するのは7時ちょっと過ぎ。登校する時間が8時10分くらいだから、居られる時間は1時間はあるはず。

 

 

お腹がすいた状態だし、りんくんの朝ごはんが楽しみです。

 

「じゃあ行ってきます。待ってて……ね……♡」

 

私は、ゆっくりと部屋のドアを閉じた。

 

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★

 

わたるside

 

俺の名前は天神輪渡(あまがみわたる)。NEETだ。働いたら負けだと思ってる。

 

 

ゲームと自堕落に惰眠を貪ることこそ正義であり境地。学校なんてクソッタレ……俺はこのまま自堕落に暮らしていくんだ…ハハ……………ハハハ………………

 

 

な〜んて冗談だ。すまん、自暴自棄なんだ。許してください何でもしますから(なんでもするとは言ってない)どうでもいい話、俺は嫌なこととかあった時に、すぐポジティブ思考に切り替えられる奴が嫌いだ。だって、羨ましいもん。

 

 

燐子に約30分間の説教を受け、現在の時刻は7時前まで来ていた。本来であれば、6時45分あたりから、一緒にご飯を食べて、登校までイチャつくってのに……自業自得過ぎるんだけどな…………

 

 

怒られたのは徹夜についてだ。それについて30分も怒られた訳だ。

 

燐子は俺の健康面や、生活面のことを心配してくれていたってのに………俺ってやつはつくづくダメ人間らしい。あそこまで彼女に想われておきながら……

 

 

怒られて、かなり心にきている。自分の彼女がこんなに考えてくれてるってのに…しっかりと反省しないとな。

 

 

俺は何かに縋りつくように、部屋にあったせんべいをかじった。

 

 

「ってかった!!何だこのせんべい!?」

 

何これ!?せんべいってこんなに硬かったっけ?!いったいなんでできてんだよ…袋に商品名が書かれてるな……え〜っとなになに?

 

「まるでダイヤモンドのようなせんべい醤油味……なんでこんなのが部屋に置いてあるんだよ!!」

 

需要が全く感じられんわ!こんなんに醤油味とか書いても美味しそうじゃねえよッ!!歯がお陀仏する物騒な醤油味せんべいって悪意しかねぇだろ。一体何故こんなものが……部屋全体を見回してもこんなものが出てきそうなものなんて……ん?なんだこれ。ダンボール箱?

 

 

あ、そういえば一昨日くらいに結構すぐそこにある天神家の使用人が持って来てたな。カッターで開けただけで面倒だったから中身見ずにそのまま放置したんだった…

とりあえず中身確認してみるか。

 

 

「え〜っと。生活面で使うもんが多いな。助かるから嬉しいけど野菜とトイレットペーパーとかは分けろよ…」

 

 

少しの愚痴を吐きながら中身を確認すると生活必需品とも言うべきものが多かった。油や塩こしょうといった調味料。野菜。トイレットペーパー。お菓子。……………コイツか……

 

 

高速で脳がフル稼働する。このダイヤモンドせんべい。略してモンべいをこのダンボールにぶち込んで俺に送り付けてきた人物。そのあらかたの犯人を絞り出し、ダンボールの底にてを突っ込むと、やはりそこにはあった。犯人からの脅迫状…………もとい手紙。差出人の名前は…

 

 

「やっぱりてめぇかよ……お袋ォ……」

 

手紙の差出人。俺の犯人は母親だった。

 

『歯がなくなっている頃かしら?それとも面食らってる頃?いずれにしても滑稽で醜い感じになっているのでしょうねぇ?あらあらごめんなさい。気を悪くしたら自分の顔でも見つめ直せば?少しは人生をやり直したいとか思うかもね。せいぜいドブでも啜りながら生きなさい、この穢れた血 母より』

 

内容が皮肉しかねぇ……

つか、穢れた血って……半分アンタの血だからな!?分かって言ってるとしても自分ディスってどうすんだよ。御丁寧に母よりなんて書きやがって。嫌味のつもりかよ…

 

 

手紙から分かると思うが、俺と母親との関係はかなり最悪だ。と言っても、前に比べたら天と地程の差がある。これでもましになった方なのだ。

 

 

少し昔の話をするが、こうなってしまったのは俺が一人暮らしを始めたことにある。

まぁ、なんていうか一人暮らしする前の俺は、簡単に言えば缶詰め状態だった。

 

 

俺は昔学校から帰ってきたらひたすらに色々な勉強をさせられた。書道や茶道や弓道の作法の取得。色々な国の言語の獲得。言葉遣いやコミュニケーション能力の向上にまで力を入れられた。まあ世間一般でいう英才教育ってやつだな。これ以外でも色々なことを教えられたが、長くなるからここまで。

 

 

天神家は、この地域だと、っていうか世界的に見ても 有名な名家なんだよな。総資産はたしか5000億ほど。親父から聞いたことだから詳しくは知らないが、そうらしい。だからそこの一人息子である俺は物心着く前から、色んな教育をさせられてきたわけだ。将来この天神家を取り仕切るものとして恥をかかないようにと……

 

 

俺が家を出た理由としては正にこれだ。俺はこんなもの受けたくもなかった。ただ、俺は普通が良かった。天神家の一人息子としてじゃなくて、天神輪渡という1人の人間として生きていたかった。無駄に才能があるからって、そんなものを伸ばさなくていい。ただ周りの人達と同じの普通が良かった。だから、家を出たわけだ。

 

 

そこで対立したのが俺の母親。俺の母親は普段はとても優しい人だ。だがそれとは裏腹に完璧主義者なのだ。例をあげるなら、昔俺がテストのケアレスミスで100点が取れなかったとき、1時間の説教を受けたことがある。あの時から俺のテストの目標は必ず100点をとることだった。理由は言うまでも無し。

 

 

まぁ、俺の教育の中心人物もあの人なんだよ。だから、俺が一人暮らしをすると言った時はそれはまぁ猛反発された。一体なんの為にお前を育ててきたのだと。恩を仇で返す形になってしまったが、おれだったやってくれなんて頼んだつもりはなかった。あの時俺も必死だったのもあるが、母親を押し切って無理やり出てきたのが今のこの状態を生んだのだ。

 

 

ちなみに父親との関係は良好である。今は海外での遠征でいなけど心配してくれている。仕送りも大半が父親からだ。昔っから父親は俺を甘やかしてくれたからな〜。今でも変わらんが……

 

さらに因むが、うちの天神家は両親共働きだ。父親が海外での契約や取引。母親は日本の天神の会社の責任取締役。いずれも万能両親ってことだな。その代わりめちゃくちゃ忙しいが…

 

 

ともかく、そんなこともあって俺とお袋との関係は悪いわけだ。前はもっと最悪だったけど…前なんて、顔を合わせたら殴る蹴るのオンパレードだからな。あの、美人なのに血の気が多い殴りをくらったらダメージは著しいものなんかじゃ済まされない。一触即発とか、なにそれ美味しいの状態だからな。

 

 

紆余曲折を経て、なんとか今は顔をあわせたら悪口言い合うくらいの仲間までには良好にはなったんだけど、こんな具合でちょくちょく巫山戯たことをしてきやがる。

 

 

ったく。変わらずお袋はお袋というわけか…

でもま、貰えるもんはもちろん貰いますよ。野菜とか調味料は正直有難いしな。あのお袋にしては優しい施しだ。

保管するために、賞味期限とかも確認しなくちゃな。えーっと油の賞味期限はっと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

賞味期限1年前

 

 

「ふざっっけんなあのクソババァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

手に持っている油を床に思いっきり投げつけ、届かないであろう俺の怒号をクソッタレあまにぶつける。なんなんだよ!?もしかして、この野菜も期限切れとかじゃないだろうな。このままだから切れてるのかとか分からないし……

 

安心できねぇ!

 

 

いや、落ち着け俺。まだトイレットペーパーとか使えるやつがあるじゃねえか。これだけでも

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紙に見えるプラスチック製のトイレットペーパー!!これで、新聞紙のまとめは完璧!!

 

 

 

「需要無しの巣窟かよここはァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

なんなんだよ!?トイレットペーパーなのに新聞紙まとめってなんだよ!?ゴミ出しようだったの!?紐があるだろ紐がァ!トイレットペーパーの要素ひとつも残ってねぇじゃねぇか!!

 

 

嫌がらせをさせるがために、こんなくだらないものを用意したのかよ。

 

 

訂正。父親は忙しいが、母親は暇人だった…

 

 

クソッタレ。朝から疲れる……

なんで、こんなに疲れにゃならんのだ。

楽しい1日が始まるってなんだよ。リア充ですかァ?………………はいそうです。

 

 

もういい、この中に入ってる物は学校から帰ってきてからでも十分片付けられる。というか、仕送りだったら普通多い筈だし、こんなにこじんまりしてるわけが無いと最初から見抜くべきだった…

 

 

仕方ないが、モンべいだけ冷蔵庫の上にあるバスケットに入れておこう。一応食べ物らしいし。これが食べ物とか信じたくないけど……

 

俺はモンべいが入った袋を持つ。

 

 

 

 

 

「ん?なんだこれ」

 

持った瞬間だった。この袋の口に違和感を感じる。

 

この袋、明らかに1回あけて、もう1回閉じられてる。結構上手く細工されてるけど俺の目は誤魔化せないぞ。

 

一体なんの為に…

 

「中になにか入れたかったとか?」

 

こんなの中に、何を入れたいんだ?でも確かにお袋とかだったら何か嫌がらせとして仕込んだりとか…奥とかなにかあったり、、、あっ、やっ

 

気づいた時にはもう遅い

 

 

「あ〜!やっちまった…」

 

中を確かめようと袋逆さにしちまった。モンベイが無残に床に散らばる。つかすっごいな、結構な高さから落ちたのに全然割れてねぇ。さっすが硬度10。というかこんなん作れるんだったらまじで他に技術と労力かけろよ。ま、とりあえずは食べ物なのだし拾うか。こんなことして、本当何が楽しいってんだよ……ふと、母親のことがまた頭によぎる。

 

 

「やっぱり、お袋俺の事嫌いなのかな…」

 

こんな関係だけど、俺はお袋が、母が今でも好きだ。教育のことは恨みに近いものはあるけど、それ以前に俺の事を育ててくれたんだから、感謝がないはずない。

 

 

ご飯も、シェフには悪いが、母のご飯が俺は大好きだった。

 

ご飯以外でも色んなことをしてくれた母を嫌いになる訳ないんだ。今でも母のことを尊敬してるし、憧れてる。本当に元の関係に戻りたいと……

 

 

いや、これは望んじゃいけない。俺は母の気持ちを踏みにじった。それは変えようのない事実なんだ。これ(・・)以上求めるのは傲慢で強欲なんだ。

 

 

「はは、皮肉なんもんだよな。あの時は逃げたいと望んだ……でも、今はこんなんなんだからよ」

 

つくづく、自分には自業自得って言葉が似合うらしい。朝の事も、母のことも全てが自業自得。自己責任。俺は、なんでこんなにもクソッタレなんだ……

 

 

一度壊してしまったものは、もう二度と完全に戻りはしない。必死に直したって、いくら繕ったて、壊れる前と後じゃもう違うものなんだ。関係だって同じこと。

 

自分で壊して、切り捨てて…自分でぶち壊した関係を今更戻したいだなんて酷く我儘なんだ。

 

 

 

「…………これで最後だな」

 

 

考えているうちにあっという間に散らばったモンべいを拾い終える。

 

 

ただ、せんべいを拾っているだけでこんなに虚しくなるのか?俺はこんなことを望んだ訳じゃなかったのにな。昔の自分勝手で起こした破壊行為。母から逃げたのに、今はその人に固執している自分がいることに反吐が出る。

 

 

矛盾だらけで、自分勝手な自分自身を殺してやりたい。嗚呼、このせんべいみたいに母との関係も壊れなかったら俺はこんなに悩まずにすんだのに…

 

 

思い出せば、思い出す程に気持ちが沈む。なんか、2ヶ月前のあの時みたいだな。あの時は燐子がいたけど……今この部屋にはいない……

 

 

『りんくん!』

 

 

パンッ!!

部屋に音が木霊する。

 

 

俺は反射的に自分の頬を叩いていた。

 

辛気臭くなってもしょうがない。今は今なんだ。現実を受け入れなきゃ、いつまでたっても前になんか進めやしない。3ヶ月まえの自分にはもう二度と戻りたくない。

 

 

考えたって状況なんか一切変わりやしない。俺の気持ちが沈んでることで燐子を無駄に心配させたくないしな。もうそろそろ燐子も到着するだろうしこれ以上彼女に無担はかけたくない。

 

 

結局細工の意味はわからなかったけど、また今度使用人にでも聞いてみればいいか…とにかくこいつをバスケットに入れてご飯の準備しないと…

 

ってあれ?

 

「まだ全部じゃなかったのかよ…」

 

机の下に微かに見えるモンべいが見える。よく気づけたな俺。

 

かがみ、机の下にあるモンべいに手を伸ばす。まったく、傍迷惑なせんべいだ。(自分で落としたのにこの言い分である)

 

 

「よし、取れた。ってこれ亀裂入ってる!?まじかよ!」

 

うっそ〜。確かにダイヤモンドは普通にハンマーでわれるいいますけどもぉ……落としただけで割れるんかいな。だったら普通ににせんべい作れよ。

 

 

ほんと無駄な労力じゃん。でも中身どうなってんのか気になるな。作りがどうなってるのか知りたかったし。一体どうやったらせんべいの原材料でここまで硬く…ってん?なんだコレ

 

 

「中身に…………紙?」

 

もしかしてコレが硬さの秘密?

 

なに?硬くなれ!ってこめた紙を入れたら硬くなるの?やかましいわ。

 

 

でもほんとになんで紙が。フォーチュンクッキーならぬフォーチュンせんべいなんて恋しませんよ。恋するフォーチュンせんべいとか絶対ときめかねぇだろ。需要なし×需要なしじゃんかよ。絶望じゃん。

 

一体なにが書かれてるんだ?

 

俺は紙に書かれている文を読む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………………………なるほど、な」

 

そうか。そういう事か。だから袋に細工を…

 

ピンポーン。

不意にインターホンが鳴り響く。ドアの向こう側にいるであろう人物は分かっているがとりあえずモニターを見てみる。

 

 

そこには最愛の人がいた。すぐさま玄関口まで行き家のドアをあけ、、、

 

 

「り〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜んくん♡♡」

 

 

彼女が飛びついて(゚д゚ノノ゛☆キタキタキタキタキタキタ‌‌

 

ってまずい、このままで勢いで倒れ…

 

「だが断る!」

 

「?なにを?」

 

何その首傾げながらの抱きつきながらの上目遣い。めちゃくちゃ可愛いからもっとやってくれ。

 

 

「おはよう、りんくん。ふふ、2回目だね……」

 

「おう。おはよう燐子。電話越しも可愛いけど、やっぱり実物が1番可愛い。最高、大好き」

 

「はわぁ//////もう………朝から………もう///////」

 

よし、可愛いぞ。やっぱり燐子超可愛い!RMT(りんりんマジ天使)って俺の彼女のために出来た言葉だナ!

 

 

名残惜しいが、このままじゃ埒が明かないから頭から湯気がでてる彼女を落ち着かせ部屋へと招き入れる。

 

「お邪魔します」

 

「はいどうぞ〜。適当な所に座っててくれ。今からご飯作るからさ」

 

「あ、じゃあ私も手伝う。いつも任せっきりだし…」

 

「じゃあ頼む」というと、燐子は満面の笑みでキッチンまでやってくる。本当はゆっくりしていて欲しいけど、彼女になる前と違って、かなり強情になったからな〜燐子。

 

 

それに、こんな感じで一緒にご飯作るのってなんか、夫婦みたいで気恥しい。

 

「なんか、夫婦みたいだね♪」

 

思考読まれたみたいに考えていることがかぶるな。運命感じるぞ。

 

「そうだね〜」

 

おっそうだな。…って地の文読んでない!?

 

「うん、そうだよ?」

 

平然と言って首を傾げるのやめろォ?可愛いから…

 

「ふふっ…ありがと…」

 

何だコレ…ツッコミが追いつかん………

 

とにかく、料理だ。簡単なものがいいな。

献立は………よし。ポテトサラダとスクランブルエッグがいいだろう。

 

 

「ねぇりんくん?」

 

「ん?どうした燐子」

 

ふと献立を考えている所を彼女が話し掛けてくる。

 

 

「なにか、いい事でもあった?」

 

「なっ!?どうしてそれが…」

 

「顔に出てるよ。嬉しそうな顔してるもん……可愛いね〜」

 

 

まじか、そんなに顔に出てたか?!鏡見てくるか?

 

 

「りんくんが嬉しいと私も嬉しいな〜」

 

「正に一蓮托生だな。俺も燐子が嬉しいと嬉しいぞ」

 

「もう………ご飯作っちゃお?」

 

「そうだな…」

 

 

 

 

 

 

『風邪引くんじゃないわよ? 京子より』

 

 

 

 

 

なんでもない、1日の1秒が、幸せな時間となり過ぎていく。今日もいい事がありそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【天神家】

 

ここは天神家。門をくぐれば、そこには信じられないほど大きな庭が広がっている。その庭の広さと言えば、家を6、7軒建てられるんじゃないか?と思うほどに…

 

屋敷に入れば、無数の部屋が迷宮区のように存在する。初見で入ったものは迷子間違いなしだろう。使用人が着いていなければ確実に迷子になる。

 

 

これはつい先日のこと。

カツンカツンと、1人の使用人の足音が屋敷の廊下に木霊する。この人物は、昔天神輪渡の世話役をしていた人物だ。輪渡からは『しー』という愛称で呼ばれていた。今でもたまにコンタクトを取っている。

 

 

と、途端に足音はなくなり、静かな廊下へと元に戻る。使用人はドアの目の前に立っていた。ガタンと思いっきりドアを開けると、目の前には椅子に座っているであろう人物が、椅子を背に向け座っていた。

 

 

使用人。いや、『しー』はその人物へと声をかける。

 

「京子さま。お荷物の方は使用人に送らせました」

 

「………そう」

 

「それで?何故あんな遠回しなことを?」

 

「決まってるじゃない……」

 

椅子に座っているであろう。彼女は背を向けながら窓の外を見渡す。

 

そして、突然こちらに振り返るとゲス顔で言い放った。

 

 

「嫌がらせよっ!!!!」

 

「かっこよく言っても全然かっこよくないですよ。寧ろあほ面です」

 

「うっ、うっさいわぃ!」

 

 

2人の言い合いが部屋に鳴り響く。こんな昼から何をやってるんだ、思うかもだがこの2人の日常のようなものなのだ。

 

 

「まったく、京子さまもあじなことを致しますね。あんなの、普通気づきませんよ?」

 

「いいのよ。というか、気づかない方が私的にはいいのよ」

 

「私的には………ねぇ?」

 

「ちょっと?敬語なくなってるわよ」

 

「あっ、ごめんなさい?焦れったいものだからつい…」

 

「うっさいわよ!白金晶子(・・・・)!」

 

「フルネームで呼ばないでくださいまし」

 

「あんったがさせてるんでしょうがァ!!!!」

 

 

ハァハァと、京子は息をあげながら目の前にいる使用人に突っかかる。

 

 

「ほんとうに不器用ですね、京子……まさか、せんべい全部にあんな面倒な細工をするとは…」

 

「うっさいわね。分かってるわよ……」

 

 

照れくさくなったのか、京子はまた背を向ける。この空気はこの2人の中での日常茶飯事なもの。いつもは堅物な京子はここだけは肩の荷を下ろせるのだ。

 

 

「晶子も晶子よ。自分の娘を私の息子に取られて……」

 

「あら?私は輪渡おぼっちゃまだったら全然問題ないわよ?今すぐにでも式場の予約しますか?」

 

「しないわよ!!」

 

 

 

日常は繰り返していく。

 

白金晶子と天神輪渡。奇妙な巡りあわせなのだろうか。それとも運命なのだろうか。

 

いずれにしても、子は親に似るんだろう…

 

「というか、何故せんべいなんです?」

 

「それは私がただ単に好きだからよ」

 

「適当ですか……」

 

 

今日も一日が過ぎていく…




いかがでしたでしょうか?

分からない点とかもあるかもですけど、のちのち分かってくるように過去編というものも用意してあるので、それを待っていてください。



次回はついにRoselia登場です。
お楽しみに♪


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それでは、またな!


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