アインズの育児記 (ヌック)
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ツアレの妊娠

『それは、間違あの無い事実なのか?』

ユリは手元の資料を確認して報告を続ける。

 

『ツアレの定期検査の結果、その身体に新たなる生命を宿し

半年後には出産するとの報告かワンコ様より挙がっています』

 

(マジかよ、ツアレが妊娠って セバスすげぇな、てか

竜人と人間て交わるのか?ハーフ?)

 

俺は嬉しさより突然の報告に思考が追いつかないでいた。

 

ふとユリを見ると此方を伺い支持を待っている。

『ツアレはそれを知っているのか?』

『いえ、アインズ様に報告をするのが早急と判断しましたので

伝えていません。』

(え!それ本人に先に言う事だよな? 俺を崇めてくれるのは良んだけど 守護者を始め度が過ぎると思うんだよな)

 

『でツアレは今何処に居るんだ。』

『今は他のメイドと共に清掃業務を行って居ますが?』

 

『なに! 何か事故でも有ったらどうする気だ!

直ぐに医療施設へ移し医療チームを編成させろ!

今後ツアレの出産のフォローをナザリック最優先事項とする!』

 

俺はつい声を荒げ命令する

(妊娠3カ月って確か一番大事な時だよな?タッチさんが

そんな事言ってたような気がするし 流産でもしたらセバスに

何て言うんだよ、ホント)

 

(そーか、子供か 俺にしてみたら孫かな? 男の子かな?女の子かな?

ツアレに似たら可愛いだろーな、男の子も良いなワンパクで一緒に

冒険したりするのも良いよな。魔獣狩りなんてのもやりたいし山でキャンプもやりたいよな)

 

色々な妄想が頭を掛け巡り一人で幸福感に包まれていると

いきなり感情が抑え込まれる。

(クソ、こんな事まで制御しなくても良いのに)と自分のアンデットを呪う。

 

(セバスも呼び戻して話しをするか、今後の事もあるし

ツアレも含めて話し合いは必要だよな)

 

俺はメッセージでセバスチャンを呼び戻し医療施設で待ち合わせする事とした。

 

 

 

 

****半年後***

 

[アインズ様]

突然脳内にメッセージが届く。

 

『生まれたか!』

『はい?イエ 定時報告ですナザリック内異常有りません』

それはシャルティアからの巡回報告だった。

 

 

 

『そうか、シャルティアご苦労 しかし本日は何か問題が発生した場合のみ報告せよ。』

 

『畏まりました、仰せの通りに』

 

今日は殆どの守護者達をナザリックから追い出している

特にアルベドはツアレが妊娠したと聞いてから俺の側で発情期の様な目で俺を見つめ いつかの如く俺を押し倒そうとしているのかオーラの様に溢れだして身の危険を感じたからだ。

デミウルゴスなどは医療チームなと必要は無く今直ぐ取り出し培養液内で育成させれば効果的且つ安全にデーター解析ができますと実験動物を扱うかの如く言い放つ。

 

 

それに出産予定日に仕事など気が散ってやる気が起きないからだ。

本当なら病室の側で待ちたいのだが自分の子供でも無いのに

ソワソワしながら居るのも体裁が悪いので我慢しているが

先程から自分の部屋を散歩に行きたい犬の様にクルクルと行ったり来たりしているのである。

 

(そう言えば名前考えたのかな? セバスチャンにはそれとなく

考えた方が良いと言ったら 『名前ですか? ツアレの子供ですから

【ツアレの子】で良いかと』と訳の分からない事を真顔で言ってたからな)

 

(もしなんなら、俺が名前考えても良いかな? 一応ナザリックの支配者だし セバスチャンとツアレの仲人だよな アインズからアインをやっても良いな、あいんちゃん って呼び易いよな あーでもタッチさんの名前も入れないダメかな、タッチさんの タとアインで タイン

かな?)

と考えていると

 

(アインズ様 陣痛が始まりました生まれそうです)

とワンコからメッセージが入った。

(良し直ぐに行く)

と部屋を出ると本日の当番メイドがそそくさと着いて来る。

転移魔法で移動するつもりだったがメイドはそれを使え無い事に気が付き。

『転移魔法を使用するので私に掴まれ』と命令すると

『アインズ様に掴まるなど恐れ多くて』と言うメイドを

抱え急いで魔法召喚する。

 




これから、アインズの親バカっぷりが発揮されます。


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その名は

アインズの親バカっぷりが徐々に開花していきます


『アインズ様 ナザリック内守護者及びプレアデス以下の配下全てが

揃いました。』

 

『ウム』とアルベドを促すと

「顔を上げ、アインズ・ウール・ゴウン様の御威光に触れなさい」

 

玉座に坐すこの世の頂点にしてナザリック地下大墳墓の絶対的支配者、自らの崇拝すべき主人の姿を目にするべく一斉に身動きする音がする。

そしてそこには、支配者の証であるスタッフを握り禍々しいオーラでその身を包む、主人の姿があった。

側に控えているアルベドが全員揃っていることを確認すると微笑みながらアインズに顔を向ける。

 

「うむ、ご苦労だった、アルベド……ではまず緊急の集合にも関わらず私の前に集まってくれた各階層守護者たちに感謝を告げよう。特に遠方で動いていたデミウルゴス、そしてリザードマンの村落にいたコキュートス、忠勤感謝するぞ」

 

「何をおっしゃいますアインズ様! アインズ様のご命令こそ、私たちが第一に行う指命です。」

「全ク、デミウルゴスノ言ウ通リデス。呼バレレバ即座二参ルノガ、御方へノ忠誠ヲ考エレバ当然ノコトデゴザイマス」

 

二人とも──コキュートスはあまり表情からは読み取れないが──歓喜に打ち震えていることは間違いない。

 

「そうか、では今後とも忠勤に励むがよい。加えてマーレ、行ってもらったのにまたすぐにナザリックに呼び戻してすまなかったな」

「っ! い、いえ!アインズ様のためなら僕もどこでも行きます!」

 

「そうかそうか、感謝するぞ」

「えへへ……」

 

マーレが照れているのを隣の姉と吸血鬼ヴァンパイアはそれをジト目で羨ましそうに見ている。

 

「では早速だが本題に入ろう。今日皆をここへ呼んだのは他でもない、セバスとツアレニーニャの件だ」

『既に知っていると思うが二人に子供を授かりこの子を我が孫とする

そして、タッチミーさんの名前を貰い受け ミイニーニャ::ゴウンと名付けナザリックの全てに置いて最優先で守護する者とする。ミイニーニャは私だと思え。』

 

(これでデミウルゴスも実験などと言えないし、他の物からの嫉妬も回避出来る筈、流石にゴウンの名前を付けた者を蔑ろにはしないであろうと)

 

しかしこの娘の成長には驚かされる、生後2週間で立ち上がり歯が生え揃って来ているのである、流石竜人の血を引くだけの事はある。

竜人について調べさせたところ、成長は早く、しかも長寿であり全ての能力に置いて人を遥かに凌駕するという文献があったそうだ。

 

魔王の宝石箱の近くで家を借りて人の近くで育てさせようとも考えたがナザリック内の方が警備や医療の面で優れていると思いやめたのは正解だったかもしれない。

決して俺がミイの側で顔を見たいからではない。

 

『そしてセバスは魔王の宝石箱の運営に従事することを命令し外商本部長の役目を新たに命ずる、尚ツアレはセバスの世話とミイの育児に専念しその全てを子供に捧げよ』

 

『アインズ様のご命令を拝聴し更なる崇拝を捧げます。』

セバスがツアレ共々に頭を下げる。

 

(これでセバスが危険な仕事から解放され、キチンと部長として賃金を受ける筋道が出来た事になる。ツアレも欲しい物が有るだろうし

何せ子育てはお金がかかるって聞いたからな)と一人で納得していると

デミウルゴスが此方を伺い

『アインズ様、発言をお許しください,』と許しを乞う

(なんだ、何か不味いコトをしでかしたか? ちょっとゴリ押しが過ぎたかな? 怒っているのか)

俺はドキドキしながらそれを許可する。

 

『は、申し上げます。ミイニーニャ様をアインズ様と同等と扱う以上

その叡智そして全てを司る知識、力、思考を学ぶべきかと思われます』

 

『成る程、英才教育という事か』

(確かにナザリック内に居る限り安全ではあるが外へ出た時やこれからのミイのあらゆる可能性を見つけやりたいとも思う)

 

『恐れながら私めにご命令頂けましたら私の全てを持ってミイ様にご教授させて頂きます。』

するとそれを聴いていたアルベドが

『アインズ様、デミウルゴスは今いくつもの仕事を抱えております故

その指南は私アルベドがお受け致します。』

 

『あーズルイ アルベド 、アインズ様自然界や魔獣の事とかはアルベドより私の方が良く知っています。』とアウラが横槍を入れると

 

『剣技ヤ武術ノ事ナラ私メガ』とコキュートスまで

言い出す始末である。

シャルティアは爪を噛みながら自慢ネタを探している様だ。

 

『それは今後の課題とし、其々の特技や知識を考慮し改めて任命する事とする。良いな』

 

此処でデミウルゴスやアルベドに一任すると揉めると思い話題を止める。

(良く考えたら、俺も指南役と称してミイと遊べるいや、育児に参加出来るじゃん! ナイスだぞデミウルゴス)

とほくそみアレコレとやりたい事を妄想する。

 

 



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竜人 ミイニーニヤ

『あいんず、ミイも動物飼いたい』

ミイが愛らしい目でねだってくる、するとアルベドは

『ミイ様、アインズ様とお呼びする様に何度も注意している筈ですが』とミイを嗜める。

 

『だってあいんずがあいんずって呼んでいいって言ったモン』

『ウム、アルベド構わぬぞ、ミイにはそう呼ぶ事を許可している』

『自分の孫に様を付けて呼ばれてもな』と付け加える。

『ミイには、ペットが居るではないか?』とその肩に乗った蝙蝠を指す それはシャルティアの誉属である吸血蝙蝠をミイの監視として召喚させていた。

『マーレみたいに乗れるのがいい』

『そかそか、今後捕まえに行こうな』と言い聴かせると

『えー、今度はいつ?ねね、いつ』と駄々をこね始める

するとアルベドが

『魔獣の捕獲には探索や気配を隠す能力など色々な経験や特技を勉強してからでないと難しいのでそれを身に付ける勉強が必要です』と

言い切ると

『ミイ出来るもん』と言い返し

『あいんず、アルベドに目隠ししてよ、5数えたらミイを探してみて』

アインズはアルベドの背後からマントで目隠しをする

アルベドは何故か鼻息が粗くなり口元が緩んでしまっている

ミイが何をするのか興味本意でみていたアインズはその行動に驚愕した。ミイは足音を消し不可視化の魔法を使い姿を消して見せた。

 

アインズには薄っすらとミイの姿が見えるが目隠しを取られたアルベドには探索能力が無い為ミイの姿を見つける事は出来ない。

 

アルベドは机の下やカーテンの裏など検討違いな場所を探すが全く持って見つからない。 ミイはアルベドの直ぐ後ろを無音で付いて廻ってみせる。

『アインズ様、魔法を使うのは反則ですよ』とアインズに詰め寄るアルベドの背後からミイは

『ワッ! コッチだよ』と戯けてみせる

アインズは

『ミイ、それを誰に教わった?』と尋ねると

 

『へへ、スゴイ? ルプーだよ、いつもミイを隠れて脅かすから教えてもらった、ミイは筋がいいっていってたよでもあいんずには効かないからムリって聞いた』

 

(成る程ルプスレギナと遊んでいるうちに覚えたか、確かツアレの妹のニニャが魔法を使いこなし二つ名で[スペルキャスター]の異名を持っていたな。しかし、ルプスレギナに人を指導する能力が有るのは

知らない情報だな今度直接聴いてみるか。)

 

『 あーミイはすごいな、早速アウラとマーレに時間を作って貰う様に

伝えから一緒に行こう』

 

『アルベドも行こうよ、ね!』

不可視化で脅かされて拗ねているアルベドに纏わりつく様にミイが誘う。

 

『アルベドよ、私と一緒に行こうかたまには外で過ごすのも良いだろう』と誘うとアルベドは機嫌を直したのか羽を震わせながら

 

『アインズ様の仰せの通りに』と頬を赤らめる。

 

 

後でルプスレギナに聴いたところ

(別になんも教えてないっス、ただそーっと足音を消す感じで自分は空気中に溶け込む感じっスってミイニャに言っただけっスよ)と言われ

感覚を伝えただけでミイはそれをスキルとして習得してみせたのである、そしてミイの超感覚はこれだけでは無かった。

マーレに魔獣狩りを頼むとミイなら問題無く狩りを出来ると言い切り

マーレの魔獣であるドラゴンやリザードマンの部落のロロロも臆する事無く遊んでいると言う。

 

ミイは遊びの中から自然とスキルを身に付けているらしい。

 

 

 

 

 

 




殆どチートスキルの様な超感覚、物語を進める上で都合よく解釈できるので便利かなっと


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捜索願い

***アインズ様***

脳内にメッセージが届く。

『シャルティアかどうした?』

 

『も、申し訳ありません。その あの』

 

『ん?どうした? 何があつた?』

 

『ミイ様を見失いました.申し訳ありません!』

 

『な、なにーーーー!』

シャルティア曰くミイを見張っていた誉属の蝙蝠がミイに撒かれ見失ったのコトである。城内でかくれんぼをしていたのだが何処を探しても居ないと言うのだ。メイドも総出で探したが見つからず報告をしてきたのだ。

(多分、不可視化のスキルを使っているのだろう、感知能力の無いメイドでは探索は絶対にムリだ)

 

***アルベド緊急事態だ直ぐに私の元へ来い!***

 

 

(クソ!こんな事なら、アサシンを付けておくべきだった)

誉属の前にアサシンを忍ばせていたらミイからプライバシーの侵害だから辞めてと、怒られた為 代わりに誉属を付けたのだか後悔しか今のアインズには無かった。 どうして良いのかも判断出来ない事も相俟って苛立たしさが溢れては沈静化をくり返す。そんな事を何度か繰り返しやっと落ち着きを取り戻した。

 

『緊急事態だアルベドが来たら直ぐに通せ!』本日の当番メイドにそう伝えアインズは又考え込む。

 

 

 

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『みーつけた!』

『今度はミイが隠れるから探すんだよ?』

誉属の蝙蝠は壁に向かいミイが隠れるのを待つ

『もーいーよ!』

声のした方向へパタパタと羽ばたいていく、その様子を笑いを堪えミイは場所を移動する。不可視化のスキルを使用し机の下から這い出しドアまで進むと部屋を出る。

右手からハム助が来るのが見えた。

 

目の前を通り過ぎて行くがハム助は気が付かないでいる、首に何か包みを巻き付け何処かへ行く様だった。

 

 

『ばぁ!』ハム助の目の前に突然姿を現わす

『ヒィーーーー!』壁に張り付き怯えるハム助が

『ミイ様勘弁でごさるよ、もう少しで粗相をすろところでござった』

後ろ足で立ち上がり両足を擦り合わせ手で隠す仕草をする。

ミイはニコニコし

『何処へ行くの?お使い?』と自分の興味のあるコトだけを聞く

 

『殿に頼まれたでごさるよ、カルネ村のうんふあーれと言う人にナザリックで採取した薬草を届けるお仕事でごさる。』

ハム助は胸を張り首から下げた荷を自慢気に見せ付ける、ミイに対して(俺って仕事出来るだろ!)をアピールしてくる。

ミイはそれを察した様に

『スゴイね、お仕事頑張って』と声を掛ける、

カルネ村の事はルプスレギナから良く話しを聞いていた、エンリやゴブリン、ドワーフの事などそこで生活している全てミイの心を虜にするには充分な話しだった。(そっか、後を付ければ村まで迷わずに行けんだ) 自分の欲望の赴くままに不可視化のスキルを使用しハム助の後を追った。

 

 

 

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『アインズ緊急事態と伺い駆けつけました。』

アルベドが片膝をつきながらアインズからの指示を待つ

 

『ウム、ミイが城内より飛び出したようだ、アルベドよすまぬが

ニグレドに探索をたのんで貰えぬか?』

 

『ニグレドにですか? 』

いつもならアインズの命令に即答するアルベドが少し考え込む

『畏まりました、直ぐに探索を開始し御連絡致します。』

と言いアルベドは部屋を後にする。

(ニグレドに探索を依頼するのはシャルティアを含め2回目だな

アルベドにも余分な負担を掛けてしまったか) アインズは自分の不甲斐なさと力不足に怒りが込み上げて来るのを覚えたがこれも沈静化されて行くそして それが苛立ちを更に倍増させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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怒りのアインズ

『ハム助さん、こんにちは』エンリがハム助を見つけ挨拶する

『こんにちはでござる、エンリ殿』挨拶を返すハム助の視線から後ろを不思議そうに見つめるエンリ

『後ろの女の子は新しいメイドさん?』エンリが始めて見る娘に声を掛ける

『こんにちは、ミイです、ミイニーニャ・ゴウンですエンリさん』ミイは丁寧にお辞儀をし挨拶を交わす。

『ゴウンさん?アインズ様の家系の方ですか』と訊ねるとミイが返事をする前にハム助が

『ミイ様はアインズ様のお孫さんで殿と同じぐらいにエライでござる。』

 

 

 

 

『欲しいモノがあるから、見つけに来た』と言うミイにエンリが

『この村に何を?』と訊ねる

『香水?匂いのする水を作れる人が居るって聞いたから』

と答えるミイ

 

『あ、主人ですね、今薬草作りで手が離せないので代わりにお聴きします。』 エンリは自分で主人と言った事に少し恥ずかしさを感じながら頬を赤らめる。

『お母さんにあげたいので優しくて素敵な匂いの香水が欲しい』ミイはツアレの誕生日に何か送り物をしたく以前ルプスレギナに聴いた香水をあげる事を思い付いたのである。

 

『おねーちゃん水汲み終わったよ。』

ミイと同じぐらいの少女がエンリに話し掛ける。

『ご苦労様ネム、お昼からは薬草詰みと一緒に香草も少し詰んで来て』

ネムと呼ばれた少女はミイとハム助を交互に見つめ

『一緒に行くの?』と問い掛けると

『この方達はお客様だから行かないわ、行くのならゴブリンさん達に

護衛をお願いしておくから』 薬草が自生している森はそれ程深くはないが魔物や獣に出会す事を考えて例えエンリでも一人では行かないからだ。

しかしミイは

『森?行ってみたい、ハム助も行くわ』とハム助の意思など気にもせずに答える。

 

 

村の裏手から森へと入って行きゴブリンを先頭に二人と一匹は後を付いて行く。

 

道すがらミイはネムから花の名前や鳥、森で取れる薬草や木の実の説明をしてもらう、二人はいつのまにか仲良く手を繋ぎりまるで姉妹の様にゴブリンに続く、すると突然ゴブリンが立止まり待ての合図を指し示し警戒すると同時にミイがネムを守る様に背後へ導きハム助がゴブリンの横へ移動する。

 

前方の藪から老婆が現れ

『脅かしてすまんの、山菜を採りに森へ入ったら道に迷っての』と

此方の警戒を解くように話し掛けて来る。

『老婆さん一人でこの森に?』ゴブリンが警戒を解く事なく返事を返すとハム助も

『この人間なんか怪しいでござるよ』と追い討ちを掛けるが如くゴブリンに同調する。

『人語を喋るゴブリンと魔獣だと!お前らこそ怪しいわ』と先程までの老婆の声では無く男の野太い声で老婆が後ろへ退がる、それが合図の様に木の上から二人の男が老婆の前に現れ背中から細身の剣を抜くとそれぞれがゴブリンとハム助に切り掛かる。

ゴブリンは剣で応戦しハム助は後ろ足で立ち上がると左手で剣を受け右手で袈裟切りに手を払う、男は声を上げる事無く地面に倒れる。

ゴブリンはまだやりあえっているがハム助は先程の老婆へ突進する

老婆は恐るべき跳躍でハム助の頭を踏み台にして交わすとミイの後方へ着地しそこに居たネムの手を取り引き寄せる、ミイは素早く老婆の手首に手刀を落す。人との戦闘に慣れないミイは手加減が分からず父親との乱取り同様に渾身の力をこめる。老婆は引いた力のまま空を切り後ろへ踏鞴を踏む。老婆の手首はそこから先は切り落とさられ無くなって血溜まりを作る。

 

老婆を見つめるミイに手裏が飛ぶ。ミイは側転で交わし警戒する

『ミイ!』ネムが叫ぶ、手裏剣を交わしたまでは良かったのだがそれはネムとの距離を置いてしまう事でもあった、マスク姿の男がネムを

小脇に抱き抱え

『うるさい、ガキ黙れ。親方様大丈夫ですか?』と手首を抑える老婆に問い掛ける。老婆は

『なんだコイツらは、人語を話すゴブリンと魔獣だけでも珍しいのに

手刀で私の手首まで落すガキ』

『マドラ、ワシはアジトに戻る、ガキは連れて来い、魔獣は殺して

ゴブリンは村への伝令に解放しろ』

親方と呼ばれた老婆は姿を消した。

マドラと呼ばれたマスクの男は

『女コッチへ来い、ゴブリンと魔獣はそっちへ離れろ!』とミイ達に命令する。

ゴブリンとやり合って居た男は闘いを辞めマドラの横に並ぶとマドラに

『あの獣かなり厄介ですぜ』と告げるとマドラはネムをその男に預け

『いい、俺が殺る』とハム助に向かうがミイがその前を塞ぎ殺意を込めて睨む。

 

マドラは『お前はやらねーよ、親方の命令だからな

あの娘を殺されたく無かったらどきな。』とネムを指差す。

ネムの首に剣が突き付けられる。

『ミイちゃん逃げて」』ネムが叫ぶ

『黙れ』男の平手がネムの頬を打つ

 

ミイはその男の行為が許せなかった怒りだけが全てを包み殺気となり

身体の内から込み上げ抑える事が出来ず動く。

『止めるでござるミイ殿!』ハム助の声に振り返るミイ

『こんなヘンテコな仮面の奴に吾輩は殺されないでござるよ』

『アインズ様の部下である吾輩が人間如きに殺せる訳はないでござるから安心して観てるでござるよ』

 

『さあ、まどら殿 やってみるでござる。』ハム助はマドラに近づくと

四つ脚のまま顔を差し出す。

『面白い、その首、綺麗に切り離しアジトに飾ってやるわ』

マドラは腰の剣を抜き気を込める、剣はその気を纏うと青白く輝き妖炎な揺らめきを放つ。

『魔破剣!』マドラが叫び剣を振り降ろすと同時にマドラの首にムチが絡みつき後ろへ引っ張り込まれる。

『ルプスレギナそっちは?』ムチの持ち主がマドラを拘束しながら訊ねる。

『問題ないっス!アウラ様 ネムちゃんも無事っすよ』赤毛のメイド服の女性がネムを平手打ちした男を同じく拘束する。

『ミイ様、アインズ様が心配してますから戻りましょう。』

アウラと呼ばれたエルフがミイを諭す様語り掛ける。

 

—————————————————————————————

 

 

 

『マドラはまだか!』怒りを露わにして怒鳴り散らす。

『はっ、ザナドゥ様、マドラ様はまだ戻られていません』

ザナドゥはその返答に更に怒りが増す。

『誰か見に行かせろ。たかが小娘を連れて来るのにいつまで待たせるんだ』

 

ザナドゥは森の覇王が居なくなり森の奥で金鉱脈を見つけ、運搬と人夫の拠点としてカルネ村に目を付け村の子供であるネムとミイ(ミイもカルネ村の住民だと思っている)を人質に占領するつもりだったが

思わぬ反撃に会い手首を無くす事になってしまった事も含め苛立ちを

覚えていた。

 

『クソ、あの小娘め何処かの奴隷市場にでも売り飛ばしてくれるわ』

切り落とさられた手首を撫でながらザナドゥは部屋をうろつく。

 

(ドン!)という音がしドアが無造作に開く

『マドラ遅いぞ!』イスに腰掛け入り口に向かい怒鳴る。

黒いマントが見え見知らぬ男が部屋に入って来た。

 

『人違いで済まぬ、我が孫と私が懇意にしている娘とペットが世話になったみたいなので挨拶に来たのだが』

 

『孫?ペット?』ザナドゥは何を言っているのか分からなかった

『失礼、その手首は我が孫に痛めつけられたのであろう?』

マントの男ば手首の無い腕を指差す。

『貴様があの小娘の!』ザナドゥはそう叫びアインズに掴み掛かろうとするが逆に地面に叩きつけられてしまった。

『虫ケラ如き人間がアインズ様に触れるなど恐れおおい』と黒髪の女性がザナドゥを抑えて込む。

『アインズ様この様な虫ケラ殺しても構いませんか?』と剣を抜き

ザナドゥの首筋に突き付ける。

『ダメだナーベラル、コイツは私が気がすむまで嬲り殺しにして

やる、我が孫と私の管理下の村に手を出した事を後悔させてやらねばな』

『恐怖と絶望に狂気し、何度も回復させてやるからな楽に死ねると思うなよ。』

 

アインズの拷問は丸一日休む事無く続きその後、恐怖公の元へ送られたザナドゥであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回はナザリック剣技大会です、読んで字の如く剣たけで誰が一番かを競い合います
乞うご期待下さい。(余り大風呂敷を掲げるのは如何なるモノ?)


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剣技大会 その1

『でミイはどうだ?』アインズはミイの成長を確かめたくコキュートスに訊ねる。

『オ答エシマス、アインズ様』

『ミイ様ハ、リザードン達ヲ相手ニ腕ヲ上ゲラレテオリマス』

コキュートスの報告に人間なら目尻が下がりニャニャが止まらない位に顔が崩壊していたであろうアインズは

『そうか、しかしまだまだコキュートスには敵わぬであろう?』

武人建御雷(ぶじんたけみかづち)によって想像されたコキュートスはナザリックでその剣技に於いて実力は一番である。

『イエ、ミイ様ハマダ伸ビルト思ワレマス』

『人間ト竜人ノ間ニ生マレシ故ニ高ミハ望マレマス』

アインズはその言葉に納得する、確かにナザリックではそのスキルによって技、強さのバランスは決まってしまうが人は鍛錬や武技など

によって強くなる。ミイはゲーム内で設定して生まれた訳では無い

紛れも無くセバスとツアレの子供である。

『では、スキルや魔法を使わない剣闘ならばコキュートスに匹敵するというのか?』

『ハイ、モシクハ同等カト』

アインズを崇拝し絶対主君に嘘や偽りを言う事などあり得ない、

アインズは考え込みそして

 

『見てみたいものだな、どれ程のモノなのか』

『そうだな、剣技大会を開くか参加を募るのも良いな』

アインズは一人で納得し

アルベドとデミウルゴスを呼ぶ

 

 

 

 

 

ナザリック会議室にアルベド、デミウルゴス、コキュートス、マーレ

アウラ、シャルティアが集まる。

『成る程流石はアインズ様でいらっしゃる』とデミウルゴスが納得すると続けてアルベドも

『全くですわ、いつもながらアインズ様のお慈悲には頭が下がりますわね』と答える。

(へ?な、何??何の事?俺って何か褒められる様な事言った?)

無論、コキュートス、マーレ、アウラ、シャルティアも頭の上に

何個も?マークを点灯させている。

それを見たデミウルゴスは

『解らないのですか?アインズ様のお考えが』とアインズを見ながらデミウルゴスがメガネをかけ直す。

『そうか、二人にはバレてしまったか、二人には私の考えが

筒抜けだな』

(あーいつものアレか、デミウルゴスに振って話しをしてもらうパターンね)

 

『ウム、デミウルゴスでは皆に解る様に話しを頼む』

デミウルゴスはこのパターンがよっぽど嬉しいのかシッポを上下に動かしながら

『良いですか、アインズ様がただミイ様の実力が見たいから暇潰しに

大会を開くと思ったのですか?』と解らないコマッタちゃん組を見渡す

(へ?その通りで、ただの暇潰しなんです)アインズの心の声が語る。

 

『アインズ様はこの大会を通してナザリックの連帯感と外から連れて来たリザードンマンを含めだ者達へ、いずれはアインズ様の片腕となるミイ様をお披露目する目的も、兼ねておられるのだよ』

 

『そうね、それとその者達へアインズ様は、絶対の主君である事をより一層知らしめる為でもあるのよ』とアルベドの言葉にデミウルゴスが頷く。

(えー、そんな広大な野望と思惑があったんですか?)

アインズの、心の声が驚きを隠せない。

 

『成ル程、流石ハアインズ様』とコキュートスが

『アインズ様の、慈悲深さが伝わりんす。』とシャルティア、

『頑張って闘技場を掃除しまきゃ』とアウラが言うと

『僕もお手伝いするよオネーちゃん』とマーレが続ける。

 

アインズはまたアインズ様スゲーポイントが上がるのがが心に刺さるのを感じた。

 

 




次回はいよいよ大会が開かれます。
下書きは出来ていますのでなるべく早く投稿したいなーと思ってます。
参加者は次回のお楽しみです。


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シャルティア VS アルベド

『では、参加者は自分の全てを出し切りその闘いを皆にみせつけて欲しい』

闘技場か拍手に包まれアインズを称える。

『では参加者による、対戦カードの抽選を行います、尚最後に勝ち残ったものがアインズ様と試合出来る権利を獲得します。』

マーレ饒舌(じょうぜつ)にアナウンスをして盛り上げる。

参加者はミイ、コキュートス、ザリュースシャルティア、アウラ

アルベド、パンドラズ・アクターの7名でコキュートスは1回戦シード

となっている。

 

『それぞれの木札の色が対戦相手です、それぞれが木札を見せ合う

そして

『あら、』

『フフフ』アルベドとシャルティアがお互いの札を見つめ火花を散らす同じ(黒)を相手にさしだす。

抽選結果はAブロックがシャルティアVSアルベド、ミイVSザリウス

Bブロックはパンドラズ・アクターVSアウラとシールドのコキュートス

『では1回戦を始めます、シャルティア、アルベドの入場てす、』

『この大会のルールを簡潔に説明します。

本物の剣、武器は使用出来ず、模造品を使い、頭、胸、胴に付けたポインターを破壊すると1P.獲得又は場外へ出ると相手に1Pか付き

2p取った者が勝ち 尚、魔法攻撃及び相手への弱体化等のスキルは禁止してます。』マーレが更にスラスラとルールを発表する。

 

『シャルティアはスポイドランスの模造品、アルベドば長槍か』

『ハイ、二人共に使い慣れた武器を模造して来た様です。』

『一応確認の為参加者の武器、防具はチェック済みで予備を含め本日まで厳重に保管しておきました。』

デミウルゴスが即答する。

 

 

試合序盤 シャルティアが運動能力を活かしアルベドに攻撃を畳み込むが

アルベドはそれを全て矛先で交わすと今度は間合いを詰め攻撃に転じる そのバワーに押されシャルティアが下がる上段からの袈裟斬りシャルティアがランスで受ける、返す刀で横切り、突きと怒涛の攻撃に

防戦一方になるシャルティア そこへ マーレのジャッジが入る

『シャルティア場外、アルベドに1P、両者開始戦に』

防御に徹していた為故に(場外ルール)を忘れてしまっていたのである。

 

舌打ちし下を向くシャルティアとそれを見下すアルベド

お互いが不本意である勝負に不満を表すが言葉には出さない。

 

『試合始め!』マーレの開始の合図と共にアルベドが打って出る。

しかしシャルティアは一歩も下がらない。

 

『ウム、やはりスキル無しの闘いではバワー系が有利な様だな』

アインズが独り言の様に呟く。

シャルティアは本来なら多様なスキルの発動により体力の回復、魔力増幅。打撃無効化などのパッシブを掛けるが模造品のランスやアイテムを装備していない、ランス自体振り回すだけで体力が削られ実際シャルティアは肩で息をしている。

『貧乳小娘に留めを刺してあげるわ』

と自分を鼓舞する如く罵声を浴びせるがシャルティアはもう返す言葉も出ない程に疲労困憊している

アルベドは躊躇なく攻撃を仕掛ける、先程とは違いシャルティアの防御が遅延してギリギリの防御になってくる。

アルベドはランス目掛け槍を振る、ランスは砕けシャルティアの頭のマーカーが割れる、そして崩れ落ちるシャルティア。

『勝者アルベド!』

アルベドは崩れ落ちたシャルティアを抱き抱えアインズに一礼すると

退場していった。

アインズは片手でそれに答え拍手を送る

『この試合はシャルティアの武器の選択ミスが響いたな』と隣のデミウルゴスに語る。

『仰る通りです、いくら使い慣れた武器を模造したモノでも自分のスキルが有って始めて活かされますのでシャルティアには良い勉強になったと思います。』

アインズは頷きながら次の対戦表に目を移す。

『次はミイだなどんな闘い方を見せてくれるか楽しみだ』

とまるで孫の試合を見学に来た親の様にソワソワするアインズに

『私もコキュートスから話しだけは聞いてますがリザードンの村でかなり修行をしているとの事です』とデミウルゴスが称賛する。

 

アインズは自分の身内が褒められた様に嬉しく

『ウム、そうかそれは益々楽しみだな』と感情の昂ぶりと気分の高揚を覚えるがそれも直ぐに制御され押さえ込まれる。

(楽しい気分ぐらいじっくりと味わいたいモノだな)

アインズは自分のアンデットである体を妬ましく思った。

 

 




一試合毎書きたいのでしばらく大会編が続きます。


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ミイVSザリュース

『続いてはミイVSザリュースの登場です!』

ミイが左手から登場すると

『な、なんだあの足は、いかん、ま、待て』

アインズが悲鳴に近い声を出し登場を止める

デミウルゴスは慌てて

『何か落ち度が有りましたでしょうか?』と訊ねると

『服は良いとしてあの短パンはダメだろ露出が多過ぎではないか』

とミイの服装というより生足を大胆に晒している事が気に要らないのである。

(女の子が人目も憚らず生足を見せるなんて)アインズは気持ちのモヤモヤと格闘していた。

 

『は、申し訳有りませんでした、確かに怪我でもすれば問題かと』

『直ちに防具を用意させます、不手際をお許しください。』

デミウルゴスは慌ててメイドを呼び付け防具を準備させる。

 

するとミイに何か耳打ちされたマーレがアインズの元へ小走りで駆け寄り

 

『アインズ様、ミイ様から伝言を授かりました。』

『ウム、伝えよ。』

 

『ミイ様の言葉をそのままお伝えします、(余計詮索は無用、この試合に口出ししたり、邪魔をしたら一生口を聞かないし絶交する) との事です。』

 

アインズの背後に(ガーン!)という文字とピコピコハンマーで叩かれるエフェクトが流れる。

 

ミイを見るとゲンコツをアインズに向けて威嚇しているのが見えた。

 

 

『イヤその 何だチョット心配しただけだ何でも無い すまなかったか続けてくれ』

 

マーレはミイとザリュースを中央の開始線に並ばせる 二人は握手を交わし互いに礼をするとミイは体の前で腕をクロスさせ腰だめに構える。

その手には見慣れぬ武器を持っていたがアインズは直ぐにそれを言い当てる。

『トンファーだと』

 

(うへ、なんて厨二病をくすぐる武器をセレクトしてくるんだ、モンク職で女の子しかもトンファーって 浪漫だよな)と一人興奮する

それを聞いていたデミウルゴスは

『流石はアインズ様あの武器をご存知とは』

アインズはデミウルゴスを見ながら

『ウム確かナザリックの武器庫にも誰かが集めて来たモノが有ったと思うが』

 

『そうですか、私は初めて見る武器でしたので蔵書を調べて来ました、その本によりますと

 

およそ45センチメートルの長さの棒の片方の端近くに、握りになるよう垂直に短い棒が付けられている。基本的に2つ1組で、左右の手にそれぞれ持って扱う。握り部分を持った状態では、自分の腕から肘を覆うようにして構え、空手の要領で相手の攻撃を受けたり、そのまま突き出したり、または攻撃を受けたまま空いてる手や蹴りを繰り出して攻撃することが可能。逆に長い部位を相手の方に向けて棍棒のように扱う事が出来る。それらは手首を返すことで半回転させて瞬時に切り替えられ、さらには回転させて勢いを付けつつ相手を殴りつけることも出来る。それだけでなく、長い棒の部分を持ち、握り部分を相手にむけて鎌術の要領で扱うことも可能。主に刀を持つ敵と戦うために作られた、攻防一体の武器だそうです。(ウィキぺディア参照)』

『なんでも、ザリュースが放浪中に出会った武闘家が使っていたとの事でミイ様に伝授したとの事てす。』

 

 

アインズはデミウルゴスの話しを聞きながら試合に見入る

ミイはザリュースの攻撃を右肘で受けるとトンファーの乾いた音が聞こえる、

そして左のパンチを繰り出すと手首を捻りトンファーを前に打ち出す。相手にしてみればパンチを交わした間合いより更にトンファーの部分だけリーチが伸びてくるので更に回避行動しなければならない。

 

『確かにあのトンファーのリーチは闘いづらいな』

 

ザリュースも愛用のフロスト・ペインを模した斧に似せた武器を使い

左肘に盾を装備しているがミイの流れる様な攻撃に苦戦している。

左右の攻撃に加えミイがケリを織り交ぜて叩き込む

右肘が盾で防せがられる、左のフックと見せかけてからのトンファー

ザリュースはバックステップで間合いを開ける、すかさずミイは前に出てからの回し蹴り繰り出す、見事なコンビネーションにアインズは

『おお、素晴らしく卓越されたコンビネーションだ』と声を漏らす。

 

ザリュースもミイからの攻撃を受けながらも斧を振る、盾で左右の攻撃を躱し蹴りが飛んで来る前に間合いを詰め斧を振る

ミイはサイドステップで躱すとザリュースもそれを追い攻撃を仕掛ける。

振り被って斧を振り降ろすミイは左肘でガード、ザリュースの左肘が下から突き上げる、右手のトンファーで受けるだがそれはザリュースのフェイントでクルリと左回転したザリュースの右手がバックブローとして飛びミイの顔面を直撃しポインターが潰れた。

 

『ほぉー流石ザリュース、自分の間合いに持ち込んで戦いを進めるとは実戦経験が優った結果だな』

アインズが批評を下す。

 

ザリュースが1Pを先取し試合が始まる。

 

先程とは変わりお互いが相手の出方を観ているのか動かない、睨み合いが続きザリュースが仕掛ける、ミイとの間隔を縮めトンファーの攻撃を警戒するが如く近距離で攻撃を仕掛けるザリュース。

 

ミイは腕を振り切れず防御に徹する、ミイのトンファーの射程45センチこれを開けさせる事でトンファーを封じているのだ。

ザリュースが勝負に出る、盾を攻撃に使いガードを下げさせる斧を振り上げ叩き込む、突然ミイが視界から消えたと思ったら下からトンファーが突き上げられポインターが粉砕された。

 

『上手い』アインズが声にだす。

ミイはザリュースの攻撃をしゃがみ込み躱すとそのまま伸び上がりトンファーを繰り出したのだ、トンファーの射程を退がるのではなく屈む事で距離を作り対応したのである、

経験のなさを格闘センスで補う生まれ持っての天性があればこそ出来る芸当だ。

 

お互いが1Pで引き分けもう後は無い、試合開始の合図と共にミイは

怒涛の攻撃を繰り出しザリュースを攻めまくる、攻撃に押されて少しずつザリュースが下がる。すると会場から

『ザリュース、後ろ、場外だぞ!』

『後ろ、後ろ!』とリザードマン達が声を掛ける、先程のシャルティア宜しく場外に落ちれば相手のポイントになってしまう。

ザリュースはそれに気が付きミイの攻撃を横っ飛びで躱すその瞬間

ミイはザリュースが着地するタイミングで足払いを掛けザリュースは地面に転がる。

ミイは転がるザリュース目掛け自分の体重を乗せたまま肘打ちを落とす。

ザリュースの胸のマーカーが粉砕される。

 

『勝者ミイ!』 マーレが高らかに宣言する。

 

『素晴らしい!』アインズは興奮して立ち上がり拍手を送る、デミウルゴスも立ち上がり拍手を送るするど会場全てが惜しみ無い拍手で包まれ声援が飛び交う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次はアウラVSパンドラズ・アクターになります。
脳内では既に大会編は完結してますので早く掲載したいと思います。

実はこの後まで構想は出来ているので大会編は早めに切り上げるかも


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決戦!

いよいよ剣技大会の決戦、ミイVSアインズ ミイの戦闘をお楽しみ下さい。


『ここまで良く勝ち上がって来た、順当に行けばコキュートス辺りと考えていたがまさかミイとやり合うとは』

 

アインズは嬉しさと喜びそしてそれとは裏腹に刹那さを感じざるを得なかった。

 

『ここまで、登って来た以上無様な負け方はしたくは無い、何処までやれるか判らないけど全てを貴方にぶつけるつもりだ』

ミイは自分の感情思いをそのままアインズに伝える。

 

『無論手加減なぞしないさ、本気で相手をさせて貰う、お前の全てを

ぶつけて来い。』

アインズは先端が扇状に広がった150センチはあるグレートソードを2本背中から抜き戦闘態勢を取る。モモンとして使用しているソードを模した物だ。

 

ミイは左右のコンビネーションを巧みに使い分け攻撃を仕掛ける。

アインズはそれを受けながらミイに

『攻撃が単調にならない様にフェイントも入れろ!』

『拳を捻るんだ』

『体重をもっと乗せて打て』と的確なアドバイスを送る。

ミイは素直にそれを攻撃に取り入れる。

当たる瞬間に腰を捻り体重を前に掛けるアインズが右の剣で受けるが

トンファーの打撃に堪え切れず体をもっていかれる、体が開いた所へ

ミイの右肘が顔を目掛け飛んで来る。

アインズは左腕を曲げブロックする、ギリギリで防ぐ事が出来た。

(うは、ヤバ 少しアドバイスしただけなのに素直に修正してくるなんて)

 

ミイの格闘センスに驚かされるアインズだった。

『では、今度は私から行くぞ』

上下左右、コンビネーションは無視し不規則に剣で攻撃する、

ミイはトンファーだけでは防ぎきれず、後方に飛び間合いを取る。

 

『そんな間合いではトンファーでは届かないだろう』アインズが問い掛ける。

 

『それは、やり方によると思うけど』と言い放つと

クラウチングスタートの態勢からダッシュし、アインズに攻撃を仕掛け脱兎の如く離れる。

ヒット&アウェイ(攻撃しては離れる戦術である。)

『それでは、ポイントに当たらないであろう?』

ミイはそれに答える事無く再びクラウチングスタートを切る

 

左右の連打から上段突きを入れる、アインズが剣で受ける、

ミイの姿が突然視界から消える。

ミイはしゃがみ込み小さく体を縮め全体をバネの様に伸ばしアインズの頭部を狙う、ザリュース戦で見せたあの技を繰り出して来た。

アインズは半身で躱すとミイの胸に剣を叩き付ける。

ポインターが粉砕されミイは勢い良く転がる。

 

『面白い技だが初見しか使え無いな』とミイに語る。

(さっきのザリュース戦を観てたからギリ避けたけど初見なら喰らってたわ)

アインズは無いはずの心拍数が上がる思いだった。

 

再び開始線より再開するとミイは再びクラウチングスタートで向かって行く。

アインズが構える手前1メートルで飛び身体を捻って回転し両手のトンファーで叩き付けるとブロックしたアインズのソードが砕けアインズも堪らず地面に叩き付けられる。ミイの肘が落ちて来た。

横にゴロゴロと転がり躱す、トンファーの肘撃ちは地面をごっそり削った。

(なんて破壊力だ、普通の人間から死んだぞ、ミイ半端ないって)

 

手元から半分に折れたソードを後方に構え臨戦態勢のままミイの動きを見る。

(ミイの格闘センスは闘いで伸びているのか、短期決戦で無いと負けるか?)

アインズは試合の度に強さを増すミイに感服する思いだった。

『そろそろ、決着を付けてやろう』

 

『ソード1本では攻撃が単調になると思うのだけど』とミイが挑発する。

 

『それは、やり方次第だろ。』先程のミイのセリフをそのまま返す。

 

アインズは折れたソードを逆さに構え、右のソードで攻撃を仕掛ける。

余りの速さとそのパワーに両腕で防ぐが推されガードが下がる

アインズはミイの腕を掴みそのまま背後に回り腕をロックすると

折れたソードで首筋を狙い更に腕を締め上げる。

 

腕に激痛が走り思わずアインズにタップする。

(ギブアップの合図である)

『勝者アインズ様!我等の主人が優勝しました。』

マーレのアナウンスに会場中から歓声が沸き、拍手の嵐に包まれる。

アインズは手を挙げてそれに応える。

そしてミイと握手を交わす。

『ありがとうございました、まだまだ修行が足らない事を思い知りました。』ミイが頭を下げる。

 

『そうだな、世にはお前が知り得る知識、技能がまだまだ山程ある、今から色々な経験と実戦を積むと良いであろう』

アインズがミイに返事を返す。

 

『そうですね、知らない世界を知りたい、もっと強くなりたいと思いました。』

 

 

何気無い会話がこの後のアインズを後悔させる事となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アウラVSパンドラ戦は面白かったよね、パンドラがモモンになって闘うとは、アウラの三節棍(さんせつこん)もカンフー映画みたいで興奮したし、そんでもって勝ち上がったパンドラとコキュートスの試合も
まさかの展開だったよね。
暇が出来たら掲載したいです。

次回からミイの魔導学園編に突入していきます。


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旅立ち

『ふう、来年の種籾はこれくらいでいいかな、野菜も備蓄があるし』

エンリは作業を終え腰を降ろそうと椅子に座る 。

『仕事終わったッスか?』突然背後から声を掛けられ驚くエンリ

『もう!いつもそうやって驚かせるんだから、辞めてくださいルプーさん』

 

ルプスレギナは嬉しそうに

『いやーエンちゃんはビックリしてくれるから楽しいッス』

振り返りルプスレギナを見ると服装がいつもと違う事に気が付き

『何処かの制服ですか?』と訊ねるエンリにルプスレギナは

『流石エンちゃん、良く気づいてくれたっスね、実は学校ってトコで勉強しに行くんすよ』

ルプーは赤紫のブレザーと同色のスカートをヒラヒラさせてクルッと廻ってみせる、フワリとスカートが広がり褐色の腿が見えた。

 

『学園ですか?凄いですね、服も似合ってますよ』と褒める。

『で、エンちゃんとは少しだけ会えなくなるっすから挨拶に来たっすよ』

 

『でも、いつか帰ってくるんですよね』

『帰って来たら又一緒にご飯をたべましょうね。』

『わかったっす、ゴールデン芋のスライスが良いっす』

 

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『な、なんだと!』

アインズはミイの言葉に反応する

『はい、この前の試合で自分の力の無さを知らされました』

『このナザリック以外の知識、世界を知りたいと思います。』

『ナザリックと違い外の世界には、危険な男とかお前を騙そうとする男とかいるんだぞ』

何故か男限定に話しをするアインズだったが

『あの時(世界に目を向けろ)と言われましたが』ミイが反論する。

(あの時は言ったかも知れないがそれはそれ、話しの流れで)

とアインズは試合後の会話を後悔する。

 

『アインズ様、発言ヲオ許シクダサイ。』

コキュートスが口を挟む、事の始めはコキュートスからミイが話したい事があると言われ二人を呼んだのである。

 

『ミイ様ハマダ計リ知レナイ潜在値ガ有リマス』

『ソレヲ開花サセテアゲタイノデスガ』

『ウム、しかしだな世間を知らな過ぎる者を世に送るのはリスクが伴う(この場合は『危険』と言う意味の『リスク』だと読み取りましたので『伴う』かと)と心配しておるのだ』

 

『仰ル事ハ解リマス、デハ誰カ人間ヲ知ル者ヲ付ケテハ如何デスカ?』

 

(このままでは、私がいい加減な事を言った悪者にされてミイに嫌われるのも嫌だしな)

少し考えてから

 

 

『では、セバスでどうだ?お前の保護者だし』

 

(安全牌のセバスを付ければ悪い虫も寄り付かないだろ)

と どうしても男から遠ざけたいアインズであった。

 

『父は今、忙しく他の者達の陣頭指揮を取っていますので迷惑は掛けたくは有りません。』

(確かにセバスには部長職を与えて店の運営に当たっているセバスの代わりは居ないからな)

『ルプスレギナを連れて行っては駄目ですか?』ミイが訊ねる。

『ルプーだと、あの駄』

(駄目犬か 、 しかし見た目も人間だしカルネ村の一件より成長してキチンと報連相も出来てるみたいだからな)

 

『解った。ルプスレギナを付けるとしょう』

 

アインズは本日の当番メイドを呼ぶ

『直ぐにルプスレギナ いやユリ・アルファを呼んでくれ』

 

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『良いですか、くれぐれもナザリックの名前を出してはいけません』

『そして、ミイ様を命に代えてもお守りするのですよ』

ユリは懇々とルプスレギナに話して伝える。

アインズ様からミイ様の供回りにルプスレギナを指名され困惑したが

アインズ様の決めた事は絶対であるやるしか無いのだ。

 

『大丈夫、わかったっす。』ルプスレギナは深く頷きユリを見る

 

『それと(報連相)を忘れずにするのですよ今度ミスをしたら直ぐに連れ戻して部屋で監禁して食事も散歩も禁止にします』

まるで、教師が出来の悪い生徒を叱る様に説教する。

 

『えー!食事と散歩を禁止されたら死んじゃうっすよ』ルプスレギナが文句を言うと

『ではそうならない様に努力しなさい』

ユリはきっぱりと言い切る。

 

『ユリ姉はホント怖いっす』

 

帝国の魔法学園への入学はアインズがジルクニフに頼み手を回し転入生として許可を貰った、ミイと同じ年代の者達と触れ合いアインズの目の届き易い場所を選んだのだった。

 

 



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褐色の転校生

『ジーン、アレは持って来たんだろーな』

ジーンと、呼ばれた少年はビクビクしながら3人の少年を順番に見ると

 

『アレは父さんの物だから勝手には持って来れないよ』

と怯えながら答える、すると胸倉を掴まれ

 

『なんだと、殴られたいのか』

と目の前に拳を突き付けられる。

 

 

『助けて欲しいの?』

少女がジーンに声を掛ける、

とジーンは目で訴える。

 

タッカーは少女を睨んで

『怪我したく無かったら向こうに行ってろ!』

 

と怒鳴るが後方から胸倉を掴んでいた右拳ごと握り潰され声を上げて振り返る

『イタタ、は、離せよ』

それは赤毛の褐色の肌の少女だった、身長はタッカーと変わらないくらいだかその握力はタッカーの拳を白くなるまで握っている。

『離さないっす、ミイに刃向かうヤツは排除するっす、でないと散歩と食事抜きになってしまうっすよ』

 

『お前らには関係ないだろ!』

と言うタッカーの言葉に

『そう言われたらそうっすね』

と力を抜き掛けるルプスレギナにミイは

 

『困っている人が居たら助けるのは当たり前』

 

とルプスレギナとタッカーに言い放つ

ルプスレギナは

『だそうです』と再び力を入れる。

ダッツとコウがミイに向かい

『何言ってんだ』と掴み掛かるがミイはダッツに掌底を打ち込みクルリと腰を捻りローキックをコウの脚に叩き込む。

ルプスレギナが手を離してやると気絶しているダッツをタッカーとコウが抱えて逃げて行く。

『覚えてろよ!』

遠くで捨て台詞が聞こえた。

 

ジーンがお礼を言うとミイは

『別に、当たり前の事をしただけだ』と去って行く。

『上級生かな?、見た事無い人達だ』

 

 

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『ちくしょう、まだ手がジンジンするぜ』

タッカーは右手を抑えながら二人に当たり散らす。

 

『俺だってまだ頭がフラフラするよ、』

ダッツが顎を抑え タッカーを見る。

『俺なんて足腫れて来たんだぜ、女のくせになんて重い蹴りなんだよ』

 

三人は各々のに愚痴や不満を漏らすが始業のチャイムと共に話しを辞めて席に戻る。

クラス担任のデニスが入って来るとその後ろから二人の女性が続く。

教室が少しザワ付くとデニスは

『級長号令を』と挨拶を促す。

このクラスの級長イリヤが返事をすると号令を掛け担任に対し礼をする。

 

『今日からこのクラスに二人の転校生が皆と学ぶ事となりました。』

 

担任の言葉にクラス18名の視線が二人に刺さる

『では、自己紹介を』

デニスはルプスレギナを見る。

『ルプスレギナ・ベーターっす、ルプーでいいっす、ミイと一緒に来たっすよ』

余りの砕けた紹介にデニスが『

コホン』

と咳払いをするがルプーには通じ無いようで愛想良く手を振っている、デニスは諦めミイを見る

 

『ミイ・ニーニャです、ミイと呼んで下さい。カルネ村の近くからきました。』

 

するとそれまでルプーとミイに熱い視線を送っていた生徒達がざわつき始め口々に

『村?』『カルネ村ってドコ?』『村だってよ』と

お互いの顔を見合わせて話し始める。

するとそれを確かめるべくイリヤが手を上げて立ち上がり

『村人が編入されたのですか?』と質問をする。

 

民主差別とかヘイトでは無くこの帝国魔法学院は厳しい試験を突破し優秀と認められた者か、貴族階級で多額の金銭を支払いそれなりの試験を受けた者しか入学出来ないのである。例えば教科書はかなり高価な紙を使っているし、魔法道具、武具なども揃えなければならない。

 

ましてや編入試験更は超難関な試験で入学試験よりも難しいとされ殆ど例を見ない。

 

『この2名はフールーダ・パラダイン様が直接試験官を担当され、学園長の立会いの元 SSの及第点で合格しました。』

担任の説明にイリヤが

『SSですって!しかもフールーダ様が自ら試験官をなさるなんて』

 

フールーダ・パラダインはこの学園を立ち上げ今も魔法省のトップに立つ者である、しかも学園長のお墨付きでSSランクの最高得点と言われれば納得するしかない。

 

『では、二人は空いている席へ』

『ミイ・ニーニャは前にルプスレギナ・ベーターはその後ろに座ってください。』

 

ミイが窓際の前から二番目の席に座るルプスレギナが後ろに座ろうと

ミイの横を通り過ぎ様とすると反対の席から足が伸びる、ルプスレギナばそのまま足を踏み付け席付く。

『ウギャー!痛いー!』

 

足を伸ばして来たタッカーは悲鳴を上げ机にうつ伏せ涙を堪える。

『タッカー・ザンブルグ静かに』デニスが注意し言葉を続ける。

『2週間後に行われる模擬試験の案内を配ります、各自目を通し速やかに班編成を行い、各班でリーダーを決めて準備に取り掛かってください。』

 

『級長のイリヤ・ダルタニアスは班の編成表とリーダーを確認して私まで持って来て下さい。』

 

『転校生の二人も班に漏れる事無く仲良くしてあげてください』

 

『この後講堂にて学園から模擬試験の説明会が有りますので講堂に集合する事』

イリヤの号令で担任に礼をする、イリヤがミイに近づいて話し掛ける

『誤解なさらないで欲しいですわ、転校生が珍しいので確認したかっただけです。』先程の質問を詫びる。

 

『別に気にする事は無い、疑問は解決されたならそれで良い』

ミイは素っ気なく答える。

『良かったわ話しの分かる人達で、もう一つ良いかしら?』

ミイは怪訝な顔でイリヤを見る、(何に興味があるんたろ?自分が知らない事があるのが気に入らないのか?)

『どうぞ』と言うミイの返答と同時にイリヤが質問する。

 

『試験ってどんな試験を受けたの?』

 

 

ミイは改めてこの娘とは合わないと思い

『それは』と言い始めると後ろからルプスレギナが

『フレイムゴーレム』と口を挟むと同時にミイは

 

『ルプー』

と話しを止めるルプーは驚き口を抑える。

 

(フレイムゴーレム!まさかたった二人で倒したの? あり得ないわ、カッパークラスの冒険者でもチームで作戦を練って倒すモンスターなのに)

 

 

イリヤはSSの及第点という担任の言葉を思い返す。

 

『テスト内容は守秘義務なんだ』

『今のは聞かなかった事にして貰えないか』

とミイはイリヤに頼んでみる。

 

 

『守秘義務ってシーってことっすなんか?マズかったっすね、コイツラ殺すっすか?』ルプーがミイに耳打ちするとルプーの額にゲンコツが落ちる。

 

 

『解りました、私も先生方にチェックされるのは御免被りますので

聞かなかった事に』

『それよりも、先生に言われた様に模擬試験に向けて班を作ら無くてならないので、良ければ私達の班に入って貰っても宜しくってよ』

 

『因みに、夏の模擬試験はトップでしたけど』

 

 

『誘って貰ってありがとう、なら今回もトップを狙える様に願っているから辞退させて貰うよ』

 

と断り、話しを止めて立ち上がり講堂へと向かった。

 

『あ、あの ミイ・ニーニャさん』

ミイは呼ばれた方へ振り返る。

 

先程のジーンがたっていた。

『何?用事?』

 

ジーンはオドオドしながら、

『君達二人だと模擬試験に出られないから誰かと組んだ方が良いと思うよ』

 

と配られた案内をミイに見せる

『3人以上で班を組まないとダメなんだ』

 

ミイとルプーは顔を示し合わせるすると

『んじゃ、アンタでいいっす、今日から同じ班っす』

と言われたジーンは唖然としながら

 

『ぼ、僕でいいの?』

と確認する

 

『何か問題でも?』

 

ジーンはハニカミながら挨拶をする。

『ジーン・クライスラー、宜しくお願いします。』

3人は連れ立って講堂へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




とこで切って良いかわからなくてダラダラと書いてしまいました。
次回は模擬試験が始まります。


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ハック

講堂に着くまでにジーンは自分の事を話していた。

『という訳で、僕の一族は代々ビーストティーマーを生業としてきたんだよ』

『僕強くなってコイツを強くしてやりたいんだ』

 

とポケットからカプセルを見せて、

『今度紹介するよ、僕の相棒さ』とカプセルを撫でる。

 

講堂に入りクラスの列に並ぶとルプーが見慣れた人間に気が付き驚く

『モモンさん!』

声に気が付いたのかモモンが此方の方を見て手を挙げる。

 

講堂の主賓席と書かれた席にフールーダとモモンが隣り合わせで座る。

アインズはフールーダに今回の模擬試験は冒険者組合に護衛を依頼しモモンが来る様に根回しを行った。

 

(これでミイの側にいても全く持って不自然さはない、完璧な作戦だな)アインズは自分の策略に満足していた。

(何せ、2日もミイに会ってないのだからな、ミイも寂しいに違いない)

顔を背けるミイを確認すると

(ミイも嬉しいのか、照れている様だ)

 

 

学園長の話しが始まるがミイは耳に入らない。

(何しに来たんだ?、ナザリックから離れて生活したいのに)

鬱陶しさだけが湧いてくる感情を抑えきれずミイはルプーにアインズへの伝言を頼んだ。

 

 

//////////メッセージ

 

『ルプーかどうした?』

 

『モモンさん、宜しいですか?』

『ミイ様に言われた通りにお伝えします。』

 

『何をしてる?か え れ 』

 

『あと、絶対に声を掛けるな だそうです』

 

ルプーがメッセージを伝える。

その言葉に絶対防御のスキルは破られ大ダメージを喰ったが

HP1を残して辛うじて耐えたアインズは

 

『イヤ、し 仕事なんだ、依頼だ、依頼が警備の仕事で 』

と仕方なく来た事を前提に説明する。

 

(なんだ、何がいけなかった?完璧な作戦だった筈だ、2日も会えない環境で寂しくて駆け寄って来ても良い場面じゃないのか?)

 

アインズの心は今にも砕けそうな切なさでいっぱいになった。

 

.

 

 

 

 

——————————————————————-

 

『ジーン以下3名準備整いました。』

リーダーを押し付けられたジーンが精一杯の声で報告する。

『チーム名、Jocer(ジョーカー) だな、前のチームが出発後この砂時計が落ちきったらスタートだ』

 

ミイ達は事前の打ち合わせでジーンの使徒する魔獣(ハック)の能力

 

(磁場制御により 半径2kmの探索が可能)を使いより質量の大きな所即ちポイントの高い魔物、トラップを効率よく攻める作戦を取る事にした。

 

『ハックって便利っすね』

ルプーが一番後ろから誰ともなく話し掛ける。

 

『確かにな、敵の位置やトラップが判るんだから。』

とミイがハックの頭の後ろをまじまじと見る。

ハックの頭というか胴体は手のひらサイズの円形に手と足が付いていて、後ろから見ると射的の的の様な模様が等間隔で点滅を繰り返しで要る。

 

するとその中心の大外で赤く印が点灯する。

『どうした?』

ミイが異変に気付くとジーンは

『赤い光は質量が周りと違ってるんだ、しかも動かないからトラップかな、』

 

つまり、誰かが地面に穴を掘る、するとそこは当然質量が変わる、ハックはその差を感知出来るのである。

 

暫く歩くと、今度は赤く点滅をした箇所が体に現れた、しかも複数個点在する。

『コレは動いているから動物、もしくは魔物って事なんだ』

『それが何かまでは分からないから目視しないとダメなんだけどね』

 

『イヤ、凄いよそこに何か居るか解るのと解らないのでは段違いに違いが出るから』

 

『取り敢えずは動いている物が何か探ってからトラップ回避かな』

ジーンは冷静に分析する。

 

点滅地点に近づくと5体のスケルトンが動いている。

 

『1体2Pで10pか』

ミイが考え込む。

『ぶわーっと 焼いちゃいますか?』

ルプーが面白半分に話すとミイは

 

『イヤ、良い考えが浮かんだ、スケルトンを誘導して』

 

『どっちすか?』

 

『私が行く方向に向かわせてくれたら良いから』

 

とミイは右手に駆け出すとそれに合わせてルプーがスケルトンを掠め左後方に火炎弾を打ち込む。ミイはスケルトンが追い付けるギリギリのスピードまで減速する。

 

火炎に追われミイを見つけたスケルトンがミイに迫る。スケルトンは

二手に別れるがルプーのブロウアップフレイム(吹き上がる炎)により

それを塞がれ一団で追って行く。

 

『ミイ!その先はトラップが』

 

とジーンの叫びと共にミイは立ち止まる、スケルトンが迫る

ミイば身を屈め大きくジャンプして木の枝に捕まりクルリと旋回する。スケルトンはそのまま突っ込みトラップが発動する。

大木がしなり地表から網が持ち上がりスケルトンは一網打尽に捕縛された。簡易型の単純な罠だ。

 

『流石っすね、スケルトン討伐とトラップ回避で20Pっすよ』

 

今回の模擬試験ではトラップに掛かると−10p.回避で10pモンスター、魔獣はそれぞれのランクで違いはあるが加点がある。

そして、隠しPが何箇所か有り其れを探し当てるとボーナスPが与えられ時間内にスタート地点まで戻る事が優先される。

しかも時間は体内時計のみでの感覚勝負である。

より点数を稼ぎ尚且つ時間内に戻るか、冒険者としての資質が問われる試験でも有る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ビーストティーマーって便利かなって思うんです。
使徒した物の能力が使えるってかなりなチート的じゃないかなって
ハックはいわゆるレーダー及びサーチ能力で身体からソナーを打ち出して反響による感知を想像して頂ければ幸いです。
身体の背面がレーダー画面になってジーン達から見えるって感じです。ポケモンのニョロモをイメージしました。


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