戦国乙女~時を越えし乙女と気楽な転生者 (生徒会長月光)
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番外編
クリスマス番外編


今回はクリスマス編となります。時系列は結構先になっています。楽しく読んで貰えると嬉しいです。それではどうぞ。


始まりはヒデヨシの一言からであった。

「お館様、明後日クリスマスパーティーしましょう。」「何じゃ、くりすますとは?」

 

「ソウリンちゃんが言ってたんですけど、何か偉い人の誕生日を祝う日らしくて、皆でお祝い事をするらしいんです。あとサンタって言うのがプレゼントを置いていくかもしれないって。ユーさんが言ってました。」

 

「祝い事か。面白そうじゃな。良し直ぐに準備せよサル。」

 

そして近くにいた、ミツヒデに戦国乙女たちへと知らせを送らせ、迎えたクリスマス当日。

 

そこにはノブナガからの書状が届いた各地の戦国乙女たちが集結していた。

「あの野蛮人がこんな気のきいた催しをするとは思いませんでしたわ。明日は雪ではなく槍が降るのではありませんか。」

 

「お姉様余りノブナガ様のの悪口を言われるとヒデヨシさんが悲しみますよ。」

と駿河の今川ヨシモトと徳川イエヤス。

 

「今日は沢山飲むぜ。ケンシン後で飲み比べしようぜ。」

 

「シンゲンお酒は程々にしなさい。こういったお祝い事は静かにやるものよ。」

 

相変わらずの仲の甲斐の武田シンゲンと越後の上杉ケンシン。

 

「今日はキリスト様の誕生を祝う日なのにこんな派手に飾りつけをするのはちょっと違うものですが。」

 

「ソウリン様良いではありませんか。皆で楽しく過ごし分かち合うのも素敵なことですよ。」

 

「そう考えるとしましょうかドウセツ。」

 

「そうよソウリン余り深く考えたら損しちゃうわよ。こういうのは楽しんだもの勝ちよ。」

 

豊後の大友ソウリンとその従者の立花ドウセツ、偶々豊後に遊びに来ていてそれについて来た長宗我部モトチカ。キリシタンであるソウリンは少し不満があったが、ドウセツに宥められそれもありかと納得をした。

 

「それにしても良かったのでしょうから。まだ我々にも仕事が残っていたのに。やはり城に戻った方が良いのでは。」

 

「まぁそう仰らずにヨシテル様。貴女は普段将軍として頑張っていらっしゃるのです。たまには息抜きも必要です。それに松永殿が任せよと言っていたのです。その行為を無下にするのはいけません。」

 

「そうですね。ありがとう。ユウサイ」

 

第13代将軍の足利ヨシテルと相談役の細川ユウサイ。

 

「まさか我々にも書状が来るとは。」

 

「そうね。たまには修行以外にも精を出した方が良いんじゃないかしら。」

 

「そうですよマサムネ様。今日はお祝い事何ですからいっぱい食べましょう。」

 

「ヒデアキ食べ過ぎれば太るわよ。」

 

「そんなことないですぅモトナリ様~」

 

「フフっ。冗談よ。」

 

「モトナリ。良いではないか。少し太ったとしても修行で体を動かせば。」

 

「それもそうね。ヒデアキ明日からの修行はいつもよりきつめでいくわよ。」

 

「うぅ~モトナリ様~」

 

全国を旅している伊達マサムネと全国の救われぬ魂を解放し輪廻へと導くためそれに同行する毛利モトナリ、強くなりたいと願いモトナリに修行をつけてもらっている小早川ヒデアキ。

 

そしてあるものの謎を解くために全国各地を旅している。出雲祐希とクニナガは所用で少し遅れてくるとのことである。

 

それぞれが話しをしていると準備ができたようで城へと入っていった。城は綺麗に装飾をされ庭も所々手が加えられていて見る人を楽しませていた。そして大部屋へと通されるとそこではノブナガが座りヒデヨシと最近家臣になった前田トシイエに指示を出していた。その傍らでは料理を均等に分けて配膳している将軍家に仕える明智ミツヒデと先に部屋へと通されていた千リキュウが茶をたてていた。

 

「良く来たな。今日は集まってくれたこと感謝するぞ。」

 

「あら、貴女がそんなことを言うだなんて、やはり明日は槍が降るんじゃありませんこと。」

 

「フン。相変わらずじゃのうお嬢。そんなことよりさっさと始めるとするかのう。」

 

そして始まるクリスマスパーティー、それぞれが料理に舌鼓をうち楽しみ始める。

 

「あらこれは美味しいですわ。」

 

「それは熊吉が取って来てくれたきのみで作ったパンケーキだよ。ヨシモトさん。」

 

「そうだったのですか、後で余っているきのみを少し分けていただきましょう。それよりヒデヨシさん今度またお城へ遊びに来てくださいな。新しい衣装も用意したんですよ。」

 

「時間ができたらお館様と遊びに行きますね。」

 

「いえ別にあの野蛮人は……」

 

「お姉様。この前高そうなお茶菓子を持って今度こそ誘うと息巻いていたではありませんか?」

 

「いイエヤスさんあの時いたのですか!?そうではなくてですね。」

 

「?どうしてヨシモトさんは慌ててるのかな?」

 

「ヒデヨシさんは気にしなくて大丈夫ですよ。只素直になれずにちょっと拗らせてるだけですから。」

 

「ミツヒデ。此方のお刺身も美味しいですよ。ほら一口。」

 

「よヨシテル様そんなあーんなんて。」

 

「ほら食べないとこぼれますよ。」

 

「それでは失礼して、あむっ……」

 

「美味しいですか?」

 

「私には勿体ないものです。」

 

「ねぇユウサイ殿あれって狙ってやってる?」

 

「そうですね。完全にあれは天然なので狙ってないですよ。」

 

「イヤー凄いわね。明智殿お酒も飲んでないのに顔真っ赤よ。将軍様は人垂らしなのかしら?」

 

「それがヨシテル様の魅力ですから。」

 

「ほらモトチカ、こっちのお肉も柔らかくて美味しいですよ。」

 

「あんた宗教的に肉って大丈夫なの?」

 

「大丈夫です。主も分かってくださいますよ。」

 

「そんな大雑把で良いのかしら?」

 

「ヨッシャーもっと持ってこーい。」

 

「負けませんよ~勝ってヒデヨシ先輩とお話をするんです~。」

 

「ほら貴女たち、落ち着いて食べなさい。食べ物は逃げないんだから。」

 

「追加で持ってきましたよ。」

 

「あと水も持ってきたわ。」

 

「悪いわねドウセツ。モトナリ。」

 

「いえ、こう言っては何ですが、少し微笑ましいので見ていて飽きませんよケンシン様。」

 

「そうね。ヒデアキもみんなと馴染めてるようで良かったわ。」

 

「フフっそうね。所で貴女たちお酒は飲めるかしら?」「えぇこの前、祐希様に色々改良をしてもらって飲めるようになりました。」

 

「私たちはのんびりと飲みましょう。」

 

「そうなのね。それじゃあ飲みましょう。」

 

「っかー旨いなこの酒。」

 

「そうじゃろう。この酒は祐希の奴が譲ってくれたものでな少し辛めではあるがその分こういった甘い、まふぃんやぱんけーきに良く合うのじゃ。」

 

「あぁ酒が止まんないな。よしもう一杯。」

 

「シンゲン殿余り飲みすぎると明日に響くぞ。適度に水を飲みながら。」

 

「ハイどうぞ。お茶ですよ。」

 

「これはかたじけないリキュウ殿」

 

「いえいえ、こうした催しは久しぶりですからね。私も楽しんで参加させていただいております。」

 

「リキュウ殿のお茶はこの刺身と程よく煮込まれて柔らかくなった肉も合って大変美味しく頂いている。良ければお茶をもう一杯頂けるかな。」

 

「ハイ。どうぞ熱いので良く冷ましてから味わってください。」

 

そうして楽しんでいると、遅れていた祐希とクニナガが入ってきた。

 

「ノブナガ殿。遅れて申し訳ない。」

 

「おお来たか。祐希、早速だがこの前の酒を頼む。」

 

「あぁ。分かった。よっと。」

 

「おっこれがノブナガの言ってた酒だな。」

 

「さっ開けて飲むぞ。」

 

「祐希殿この前の魚とても美味しかった。どこで捕れた魚か教えてほしい。」

 

「あれは偶々山奥の川で鮭が上流してきたときだったからな。場所は後で熊吉に聞いてみるといい。あそこは行き慣れてるそうだからな。」

 

「祐希様この前頂いたモモンのみとマゴのみとブリーのみを使ったポフィンとお茶菓子美味しかったですわ。今度また頂いてもよろしいですか?」

 

「口にあったようで良かった。今度また新作を持ってそちらに伺わせてもらうよ。」

 

「クニナガお姉さんこっちこっち。」

 

「ヒデヨシ元気そうで良かったわ。」

 

「あらクニナガさんお久し振りですね。元気そうで何よりですわ!」

 

「ヨシモトさんもお変わりないようですね。あれから進展しましたか?」

 

「うっ?!それは」

 

「なるほどまたヘタレたんですね。」

 

「そんなことはありませんのよ。只どうにもタイミングが掴めなくて。」

 

「そういうのは度胸と勢いがものを言うんですよ。このままだとその内誰かに取られちゃいますよ。」

 

「そんなの許しませんわ。そんなことがあったら私…」

 

「そうならないためにも今日誘いましょう。踏ん切りがつかないのであればお酒の力を借りましょう。」

 

「クニナガさん。分かりましたわ。女は度胸です。ゴクっゴクっ」

 

「クニナガさんありがとうございます。お姉様ったらいつも思い止まってしまって一向に進展しないんですもの。」

 

「イエヤスちゃん少し近くないか?」

 

「えぇ私クニナガさんに会えなくて寂しかったんですよ。だからこんな日ぐらい良いではありませんか。」

 

「イエヤスちゃんがくっつくなら私も~」

 

「わっヒデヨシも全く。」

 

「クニナガさ~ん。お久し振りですぅ~。」

 

「おっと今度はヒデアキか。」

 

「はい。聞いてください。私この間モトナリ様に漸く一撃当たられるようになったんですぅ。」

 

「そうか。ヒデアキは頑張りやさんだな。よしよし。」

 

「うぅくすぐったいですよ~」

 

「クニナガさん私も撫でてください。」

 

「へっ?イエヤスちゃん」「ほら早く、」

 

「イエヤスちゃんも甘えたがりだな。よしよし。」

 

「これは癖になりそうですね。」

 

「ズルい!!私も撫でてクニナガお姉さん。」

 

「あらヒデアキも大胆ね。」

 

「そうですね。クニナガ様も大変そうですが楽しそうで何よりです。」

 

「ほんとにあの子は小さい子たちに好かれるわね。」

 

「豊後に来たときもソウリン様や子供達と良く遊んでくれたりしてましたからね。」

 

「あの子も人を引き付ける何かを持っているからではないかしら。」

 

「それもあるでしょうが人柄も好かれるし、何よりどんなことにも真摯に耳を傾けるから好感が持てるのよ。」

 

「そうですね。」

 

「ノーブーナーガーさ~ん」

 

「なんじゃお嬢大分酔っておるが大丈夫か?」

 

「そんなことはありませんわ。私は絶好調ですわ。」「あーこりゃ酔ってるな。完全に。」

 

「ヨシモト殿少し休まれては?」

 

「休むだなんて勿体ないですわ。私はノブナガさんに言わなければいけないことがあるのです。」

 

「なんじゃ?」「今度わわ私の所でお茶会をやりますわ。」

 

「フムそうか。それを言って儂に何かあるのか?」

 

「ですからお茶会をやるので特別に仕方ありませんが来てもよろしいですのよ。」

 

「おぉお嬢の方から誘ってくれるとは明日は弓でも降ってくるのかのう。」

 

「何ですって?!」「ハハッ冗談じゃ。また日にちが決まれば言ってくれ。ありがとうのぅ。」

 

「はぅ。うぅその笑顔は反則ですわ。」

 

「相変わらずだな。ヨシモトさんは。」

 

「まぁ今川の姫様も今回は頑張ったほうじゃないか?」「違いないな。」

 

「こら御二人とも、ヨシモト殿も勇気を出したんだ。そう言うものではないぞ。」

 

「まぁマサムネ様。ヨシモト様のヘタレッ振りは今に始まったことではありませんよ。」

 

こうして楽しいクリスマスパーティーは夜まで続いた。料理も粗方食べ終わり酔いつぶれたもの者たちもノブナガが泊まっていくと良いと言いそれぞれが割り振られた部屋へと入っていった。

 

部屋割りとしてはソウリン ドウセツ モトチカ ミツヒデで一室。

 

マサムネ リキュウ ヒデアキ トシイエで一室。

 

ケンシン シンゲン モトナリ ユウサイ で一室。

 

ヨシテル ヒデヨシ イエヤス クニナガで一室になった。さて一方のノブナガはというと酔いが回ったヨシモトを自室へと運んでいた。

 

「全く、お嬢は余り酒に強くないというのにこんなになるまで飲みおって。全く世話が焼けるのう。」

 

「すぅzzノブナガさ~ん。」

 

「全く仕方ないのう。惚れた弱味というやつか。」

 

「あれ私は確かあたたたっ」

 

「そんなに強くもないのに飲むからじゃ。」

 

「あっノブナガさんっ。」

 

「ほれもうちょい待っとれ。もう着くからのぅ。」

 

スーットッ襖を開けて予め引いておいた布団へとヨシモトを下ろしてそっと寝かせる。

 

「ありがとうございますわ。あれ?一つしか布団がありませんが。」

 

「んあぁ儂は別に畳でも寝れるから別に良い。」

 

「それはいけませんわ。風邪を引いてしまいます。」

 

「別に大丈夫じゃが。くしゅん。」

 

「大丈夫ではないじゃありませんか。そうですわ。ノブナガさんも一緒の布団に入れば良いのですわ。」

 

「いやだから」

 

「さっ入ってください。」と大胆にノブナガの手をとり布団へと引き込むヨシモト。

 

「フム確かにこれは暖かいのぅ。」

 

「(いっ勢いとはいえノブナガさんと添い寝することになってしまいました。どうすれば?!?!)」

 

「のうお嬢。」「ひゃいっ」

 

「今日は楽しかったか?」

 

「そうですわね。とても良い記念になったと思いますわ。」

 

事実イエヤスと過ごし今川家のためにと多忙な一日を送っていたヨシモト。家臣には期待され、今川のために今後も生きると思っていた彼女はノブナガと出会いその自由な生き方と己が信念を貫く姿勢をみて嫉妬を覚えたと同時に羨ましく感じていた。

 

そして合う度に視線を釘付けにさせられ次第に惹かれ今ではノブナガに恋をしていた。

 

「そうか。それは良かった。」

 

そう言いノブナガはヨシモトをそっと胸に抱き締めた。「あのノブナガさん?」

 

「最近お嬢は何か悩みごとを抱えているように思ってのう。ちょうどサルがクリスマスパーティーをしようと言ったから、この機会に色々聞こうと思って招待したんじゃ。」

 

「そうだったのですか。別に私は悩みなどありませんわ。(もう貴女のことで悩んでいたのにこんなことされたらもっと好きになってしまいますわ。)」

 

「そうか。それなら良い。もし辛いのであれば直ぐにいうと良い。儂はどこにいようと駆けつけよう。」

 

「フフっお気持ちだけ有り難く頂いておきますわ。スゥー」疲れもあってかヨシモトは直ぐに寝入ってしまった。

 

「眠ったか。お嬢。儂は本気じゃぞ。お嬢のためなら儂は全てを滅ぼす気もある。それぐらい好いておる。儂が天下を取ったその時は……」

 

こうしてクリスマスの夜は過ぎていく。

 

ソウリンたちの部屋では飲み直すとのことで度数の低いお酒でドウセツ以外がそのまま酔いつぶれてしまった。マサムネたちの部屋ではトシイエのお館様自慢にヒデアキのマサムネ自慢となりそれを眺めてお茶を啜るリキュウとマサムネ。

 

ケンシンたちの部屋では4人でトランプでババ抜きをやり、顔に出ないモトナリと、直感でカードを引き上がったシンゲンが抜けてケンシンとユウサイの二人が火花を散らした。

 

クニナガたちの部屋ではヨシテルにクニナガが旅をして来た各地の暮らしの様子を聞かせて、時折ヨシテルも質問をしながら楽しく話していた。そしてヒデヨシとイエヤスはぐっすりと寝入っていた。時折ヨシテルがお姉ちゃんと呼んでくださいと冗談なのか真面目になのかわかりづらいことを言われクニナガを困らせていた。

 

そうして真夜中になり皆が寝静まったところに祐希はある格好をしていた。そう。サンタクロースだ。そして傍らにはキテルグマこと熊吉もサンタの格好をしていた。祐希は乙女たちのプレゼントを買っていたためにパーティーに遅れていたのだ。

 

「よし。熊吉これとそれはソウリンちゃんたちの部屋、これはノブナガ殿のところだ。あとは俺が置いてくる。」

 

「ぐぅぐっ」「あぁ頼んだぞ。」「キィー」

 

「さてと行きますか。」

 

最初に祐希はマサムネたちの部屋を訪れる。そしてそれぞれの枕元にプレゼントをソッと置き直ぐに部屋を出る。続いてシンゲンたちの部屋へ。これまた枕元にプレゼントを置いて直ぐに去る。しかしある人は少し起きていたのに気付かぬまま。

 

そして最後にクニナガの部屋へと入る祐希。布団にはヨシテルが横からクニナガを緩く抱き締めるように寝てイエヤスが反対から抱きついていた。そしてヒデヨシは仰向けになったクニナガのお腹に乗るように抱きついていた。祐希はプレゼントを置きソッと扉を閉め元の部屋へと戻る。

 

そして部屋の前に戻ってくると一仕事終えた熊吉と会った。「熊吉どうだった?」

 

「グゥーグッ」と熊吉は人だったら親指をたててバッチリだとするように腕を曲げていた。

 

「ありがとう。後日に鮭ときのみを持っていく。」「キィー」と熊吉は自分の寝床へと飛んでいった。

 

「さて一仕事したし寝るかな。」

 

「あら一仕事って何をしていたのかしら?」

 

振り向くとそこには寝巻き姿のモトナリが立っていた。

 

「貴方が入ってきたときまだ私は起きていたのよ。それで貴方が変な格好をしていたから後をつけたのよ。」

 

「何だ起きていたのか。これは少し失敗したかな。」

 

「それで何でプレゼントを置いていっていたのかしら?」

 

「クリスマスは昔からサンタという存在が子供が良い子にしてると貰い物が貰えると言われててな。最初にヒデヨシちゃんに話したら、ものすごく楽しみにしてたんだ。それでヒデヨシちゃん一人だと不公平だと思って全員にプレゼントを置いたのさ。」

 

「そうだったのね。私のところにあった漬物もプレゼントで良いのかしら?」

 

「あぁ二月程漬けたから良い味になってるはずだ。」

 

「そう。ありがとう。この事は皆には内緒にしておくわね。」

 

「そうしてくれると助かるよ。」

 

「それはそうと少し目が覚めてしまったの。月見酒付き合ってくれるかしら。」

 

「勿論。」こうして二人で月見酒を楽しみ夜は更けていった。

 

翌日

皆が起きたときに枕元にプレゼントが開けてみるとそこには自身の好物やこれから役に立つものなど様々なものが入っていた。

 

「ユーさんっ」

 

「どうしたんだヒデヨシちゃん。」

 

「見てみてサンタさんがプレゼントくれたの。」

 

見せたのはヒデヨシにあった着物であった。

 

「今度お館様と神社に参拝するときになくてちょうど良かったの。」

 

「サンタはヒデヨシちゃんが良いことをしていたから願いを叶えてくれたんだと思うよ。」

 

「そうだね。お館様にも見せてくる!」とヒデヨシは走っていった。

 

「良かったわね。あの子も喜んでいて。」

 

「あぁモトナリか。そうだな。用意した甲斐があったよ。」

 

「ほんとうに言わなくて良いのかしら?サ・ン・タさん」

 

「こういうのは言わないのが華と言うやつさ。」

 

そうしてクリスマスは過ぎていった。そしてサンタという存在が気になったノブナガが来年にサンタ捕獲作戦をしようとしていたのはこの時の祐希には想像もしていなかった。




あとがき
今回も読んでいただきありがとうございました。一日で書くと結構辛いですが何とか書きました。クリスマス番外編という訳で時系列は結構先になっています。カップリングとしてはノブナガとヨシモトにしてみました。何と言うか強引だけど一途でヨシモトの笑顔に惹かれたノブナガとその真っ直ぐさに惚れたヨシモト何て思い付きました。

そしてクニナガはイエヤス、ヒデヨシ、ヒデアキ、になつかれていてヨシテル様に気に入られています。そしてモトナリは少し祐希を気になっています。

因みにプレゼントはノブナガ 新しいキセル

ヒデヨシ 着物

トシイエ 上司に好かれる10の方法という祐希のアドバイス本

ヨシモト恋愛成就の本と簪

イエヤス 金平糖及びポフィン、マカロンなどの甘味

リキュウ 自家製のそば

ソウリン 聖書

ドウセツ オリーブオイル

モトチカ 度数を控えた甘えの酒数種類

マサムネ 料理包丁などの刃物セット

モトナリ 漬物と砥石、躍りの本

ヒデアキ お茶菓子と手軽で丈夫な鍋

ヨシテル 米俵3つと新鮮な卵

ユウサイ 多彩な呪術の載った本と髪どめ

ミツヒデ 上質なお茶っぱと筆

シンゲン 上質な肉30キロ分

ケンシン 山菜セット及び山で採れたタケノコ

クニナガ きのみの詰め合わせと魔除けのペンダント(どせいさん印)となります。

今年も残り少なくなり新しい年になります。今年でたぶん最後の投稿になります。一年間お疲れ様でした。そしてまた来年もよろしくお願いします。FGOでは闇鍋ガチャが来るので何が引けるのか楽しみになります。コメントや感想を貰えると助かります。それではまた次回も読んで頂けると嬉しいです。


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序章 尾張
プロローグ


BLAZBLUE本編の展開が少し行き詰まってるので気分転換気味の小説です。基本何でも許せる方だけお読みください。それ以外はブラウザバックをオススメします。それでは始まります。


BLAZBLUE本編より数年後のある日、出雲祐希は転生させた神であり自らの師匠から世界の狭間に呼び出されたことから始まる。

 

「祐希よ。お前に調査してほしい世界があるんじゃ。」

 

「どうしたんだじいさん。いつもは空間の歪みの調査がメインなのに今回は世界そのものの調査だなんて。」

 

「実はその世界から何らかの正体不明のエネルギー反応が観測されたようなのじゃ。空間の歪みとは違うものの何らかの膨大な力が時に影響を及ぼしているのじゃ。

これがその世界特有の物の力ならば良いが、それ以外が原因ならばこれはその世界だけでなく周りの世界にも影響を与えかねん。だからこそお前に行って確かめてほしいんじゃ。」

 

「いつも通り任せてくれじいさん。」

 

祐希は自ら作り出した概念核武装や道具を揃え準備を整えた。

 

そして祐希は拳銃に2つ付いたmaximum スロットにdimensionメモリとwrapメモリをmaximum driveさせ調査を依頼された世界へと旅立った。

 

祐希が調査を依頼された世界は戦国乙女と呼ばれた戦国武将が天下をとるためしのぎを削る世界であった。

 

その世界では正史とは違うある出来事が起こっていた。

 

ある村に守人の一族の住む集落があった。その村の守人の一人娘は村から離れた森で動物と戯れていた。(その中にはどこかで見たことのある熊も混ざっていた)そんな日常はある日突然崩れた。

 

村が謎の集団に襲われ、集落は火に包まれ大勢の村人が死んでいった。少女は森に行っていたため火に巻き込まれずに済んだものの、集落を襲った集団に見つかってしまう。逃げるものの途中で木の幹に足をとられ躓き倒れてしまう。

 

先頭の男が剣をまさに振り下ろそうとし少女は目をぎゅっと閉じた。

しかしいつまで経っても痛みが来なかった。そうして目を開けると、そこには独特な刀を持った、女性が立って男を切り伏せていた。切り伏せられた男は倒れずに闇にとけるように消えた。

 

「ごめんなさい。怖かったでしょ。少しの間目を閉じていて。すぐに終わらせるから。」

 

そう言いまだ残っていた集団へと走り剣を振るい、切り裂いていく。そうして数分後その場には少女と女性しか立っているものはいなかった。

 

「もう大丈夫。よく頑張ったね。怖かったでしょ。」

 

女性が言い終える前に少女は女性に抱きつき堪えていた涙が溢れだす。命の危機に極限の環境のなかで助けられ目の前に大人の人がいたのだ。人の温もりが少女にとってどれだけありがたかったことか。

女性は少女を抱きしめ少女が落ち着くのを待つ。その間も周囲の警戒は怠らないようにしていた。

 

ある程度時間も経ち少女も多少の落ち着きを取り戻し、女性は少女に何があったかを聞く。

「この村で何が起きたか何か知ってる?」

 

「わかんない。あたし村の近くの森で動物さんたちと遊んでたの。いつも通り暗くなったから村に帰ったら。」

 

それ以上言葉は続かなかった。

「ありがとう。話してくれて。ひとまずここから離れよう。またさっきの集団が襲ってこないとも限らないから。」

 

「おとうさんとおかあさんがまだ村にいるの。探しに行かないと。」

 

「けど、またさっきみたいに怖い目に遭うかもしれない。戦う力のない今の貴女は今度こそ死んでしまうかもしれない。」

 

「でも...」

 

「ただしそれは貴女一人だったらの話し。」

 

「えっ?!」

 

「私がついていけば少なくともさっきの奴等は敵ではないわ。ここから避難して安全なところに行くか、両親を探しに危険を犯すかどっちにするかは貴女が決めなさい。」

 

「お願い。おねーさん一緒におとうさんたちを探して。」

 

少女は間髪入れずにそう言う。

 

「それじゃあ行きましょう。あと貴女の名前を教えて。」

 

「ヒデヨシ。豊臣ヒデヨシだよ。おねーさんは?」

 

「私は……クニナガとでも呼んで。」

 

「うん。クニナガおねーさん。」

 

そうして炎が辺りを照らす中、少女と女性は進む。その先に一体何が待つのかは少女たちはまだ知らない。




あとがき
久しぶりに小説を書いたものの出来は今一な月光です。パチスロ戦国乙女2で大勝した記念と,あるSSに触発され書いてみました。時系列としてはBLAZBLUE centralfictionから数年後となります。なので祐希はアローラ含めたポケモンとZクリスタルも入手しているとします。
女性の正体は追々明かしていこうと思います。

続くとしたら結構なオリジナルになると思いますが続けるかどうかは考え中です。
ここまで読んでいただきありがとうございました。また、次回があればお願いします。

dimension メモリ
次元の記憶を宿したメモリ。あらゆる次元が記憶されていて、maximum driveにより特定の次元空間に繋げることができる。

wrap メモリ
歪みの記憶を宿したメモリ。maximumdriveによりあらゆる場所へと瞬間移動させることができる。その他にも攻撃を任意で歪めた場所へと移すことができる。


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第一幕 邂逅

連載で続けていくことにしました。不定期ですが読んで貰えると幸いです。今年のFGOクリスマス誰がサンタになるか今から楽しみな作者です。それでは第1話始まります。


時は少し遡り

神に調査を頼まれた祐希は件の世界に移動し半年ほどが過ぎた。その中でわかったのはまだ室町幕府が健在であり戦国武将ならぬ戦国乙女がしのぎを削る世界だということを知り合った戦国乙女から聞いた。

 

知り合った戦国乙女についてはまたいつか語ることとしよう。そんな中祐希元の世界では有名だった織田信長(この世界では織田ノブナガであるが)を訪ねようと尾張の国へと向かっていた。そんなときに炎が燃え盛り空を赤く染めているのを見つけその場所へと向かった。

 

炎燃える村の中そこで祐希は生存者を探し見つけては結界を造りその中で回道で応急処置で命を繋ぎ、深手を負った者はポケモンたちの協力で治療していた。

 

そして大多数の治療を終えこの元凶を見つけるべく、祐希は結界を自身のポケモンであるルカリオ、ゲッコウガ、プクリン、ハピナス、ボスゴドラに任せ炎の中を走る。

 

「嫌な気配が辺りからしまくってるな。早い所、原因又は元凶を探さないとな」

 

そうして走る祐希の前に無数の闇が集まり始め大量の足軽が姿を現す。

「これは何らかの術か?何にせよこの先に行かせたくないってことは何かあるな。」

 

祐希は文字の概念が込められた1st-G概念核を宿したグラムで迎撃をする。しかし斬って斬っても後から復活し行方を遮る。

 

「もう50は斬った筈なんだが減らないな。負の気が集まってこいつら出てきたなら陽の気ならいけるか?良し」

 

祐希は懐から光ペンを取り出しグラムに文字を刻んだ、浄化と。そして概念空間が展開され効果を発揮する。

 

【ーーー文字は力を持つ。】

 

「さてさっさと片付けるとしようかなっ」

そうして無数の足軽となった闇を切り裂く。すると今度は復活せずに消えた。どうやら魔を払う力には弱いようだった。そこからは祐希の独壇場であった。そして全て切り伏せ終えた祐希の前方には他の建物よりは厳重そうな建物があった。

 

「他より目立ってかつ炎が上がってないところを見るとあの中に何かあると見て良さそうだな。さてと……ッ」キンッ

 

前方の建物に歩みを進めようとしていた、祐希は何かの気配に気付き、すぐさま反転しグラムで受け止めた。鍔迫り合いになるも剣を弾き体勢を整えた祐希が見たのは剣を持ちこちらを警戒している女性と幼い少女だった。

 

祐希side out

 

 

炎の中で出会ったクニナガとヒデヨシは重要な書物が納められている本殿に向かっていた。自分の両親がそこにいるかもしれないとヒデヨシが言ったためだ。彼女の両親は代々それらを守る役目があるそうだ。

 

そして道中現れる連中をクニナガが切り伏せるなかそれは聞こえてきた。

 

【ーーー文字は力を持つ】

 

「何だろう。今の?」「今のは一体?」

「クニナガおねーさんあそこに誰かいるよ!!」「あれは?!」

そこで目にしたのは一人の男が、数百近く居た後に魔物兵と呼ばれるものたちを長剣で切り裂かれていく光景だった。

全て斬り終え向かおうとしている先を見ると本殿があった。男が何者か知らないものの、この炎の中無事であったことを考えると敵である可能性もあった。クニナガは気配を消し素早い一太刀を振るう。

 

ここまでは奇襲としては成功していた。普通の相手なら確実に息の根を止められるほど的確な攻撃だった。しかし男は普通とはかけ離れた存在であった。ふとこちらを振り向きキィン と自身の攻撃を受け止めた。その事に驚きつつも更に剣を押し込もうとしたものの、クニナガの剣を弾いた男はこちらを見据えていた。一筋縄ではいかない相手だということが分かり警戒をする。場合によってはヒデヨシを守りながら戦わなくてはならないと思うもそれは相手が話してきたことにより杞憂に終わる。

 

「さっきの一撃とても鋭い一撃だった。だがまだ少し殺気が隠せていなかったから気を付けた方がいい。俺と同等の相手なら気付けるだろうからな。所でこの村で何があったかを知っているか?」

 

「その問いに答える前に此方も確認させて。貴方は私たちの敵?それとも味方?」

 

「そうだな。端的に言うと味方だ。最もこの状況だとそれを示すには時間が足りないんだがな。」

 

「そう。今敵じゃないなら良い。私も全部を知ってはいないけどこの村に大事に保管されている巻物が狙いなんだと思う。それとこの娘、ヒデヨシの両親を探してるの」

 

「あのお兄さん本殿の近くに誰かいなかった。おとうさんたちがいたと思うの。」

 

「ヒデヨシちゃんだったね。俺も今来たばかりでまた見てないんだ。」

 

「そうなんだ…」「何、もしかしたら本殿とやらにいるかもしれないし、さっきまで治療していた村人の中にいるかもしれない。先ずは本殿を目指そう。」「うん。」

 

「そういえば名前を言ってなかったな。俺は出雲 祐希だ。好きに呼んでくれ。」

 

「そう。私はクニナガこっちは」「豊臣ヒデヨシだよ。よろしくね。ユーさん」

 

「ユーさんって俺のことか?」「うん、出雲祐希だからユーさんっ。ダメ?」

「いやあまりそういった風に呼ばれたことがなかったから新鮮でな。」

「やったー。」

 

「それとさっきの変なのは貴方がやったの?文字は力を持つって聞こえたんだけど。」

 

「あぁそれはな」

その時本殿に異変が起こる。本殿付近から炎が上がり始めた。

「おとうさん おかあさん!!」ヒデヨシは直ぐに走り本殿へと向かう。

「すまないが話しは後だ。急ごう。」「そうね。急ぎましょう。」

 

そうして二人が本殿にたどり着いたとき、

 

「おとうさん?!!」

悲鳴に近い声でヒデヨシが叫ぶ。そこに駆けつけた二人が見たのは倒れ伏すヒデヨシの父と母らしき人、そして倒れ伏す両親に涙を流しながら必死で呼び掛けるヒデヨシ

 

そしてその奥に巻物を持った全身に闇を纏った謎の人影が血の付いた刀を持ち立っていた。

 




ここまで読んでいただきありがとうございました。作者の月光です。今回からシリーズにして続けていくことにしました。不定期更新なため途切れることが多いですが書いていこうと思います。BLAZBLUEの方はもう少し時間がかかると思います。


戦国乙女の世界ですが結構なオリジナルになると思います。なのでご都合主義な所が多くなってしまうかもしれませんがご了承下さい。感想など貰えると嬉しいです。

後祐希は戦国乙女の世界を知らないのでヒデヨシの名前を聞いたとき内心驚いてました。そして最後に出てきたのは一体何でしょう?それでは次回もまた読んでいただけると幸いです。


1st-G 文字が力を持ち、大気には1st-Gにとっての文字の役割を担う精霊が存在し、1st-G住人は説得する事で自然を操作出来た。生物は文字という力が進化と突然変異を繰り返した末に誕生した。そのため1st-G生物は体内に遺伝子として文字がある。とある原因が元になり世界は滅びた。

1st-G概念核武装 グラム

1st-Gを司る概念核を搭載されている武器で戦闘中も概念の力で刻まれた文字を実体化させることが可能。なお太陽の魔剣ではないので、破壊を巻き起こすことはできない。


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第二幕 魔王降臨そして収束へ

第2話となります。今回原作キャラの登場です。そして今回でヒデヨシの故郷編は終わりになります。それではどうぞ。


本殿へと辿り着いた祐希、クニナガ、ヒデヨシ。そこで見た光景はヒデヨシの両親らしき人が倒れ伏し闇を纏った謎の人影が血の付いた刀を持ち巻物を手にする光景だった。そんな状況下で最初に祐希が動き出す。両親に駆け寄ったヒデヨシを両親ごと連れ本殿から瞬歩で離脱し、結界を張りクニナガは謎の人影に刀を振るう。

 

「おとうさん、おかあさん目を開けてよ、ねぇ。起きてよ。しんじゃやだよぅ。」

 

「ヒデヨシちゃんすまないが少し離れてくれ。二人とも治療する。」

 

「ユーさん、治せるの。それならおとうさんたちを助けて。」

 

「助けるって言うよりは本人たちの生きたいという意思を手伝うだけさ。傷は治せるけどその後はご両親の精神力を信じよう」

 

ポォン「ソーナンス!!!」

 

治療を始める祐希。先ずは重症な父親の容態を見つつ回道で傷を塞ごうとする。母親の方は自分で出てきたソーナンスに傷を調べさせる。

 

「ソソソソーナンス!!!」

 

「毒?いや呪いというべきか。解呪しながらじゃないといけないか。ソーナンスバックから浄めの札と輸血パックも取ってくれ。」

 

「ソーナンス!」「ありがとう。」

 

「呪いってどういうことなのユーさん?」

 

「多分だけど、さっきの鎧武者の刀かそいつ自身から溢れた負の気そうだな、障気が体を蝕んでるんだ。解呪しながらじゃないと治せないようだ。」

 

「そんなぁ」「大丈夫。昔に障気に似たものを祓ったことがある。これぐらいならまだ治せる。」

 

そう言い札を手に取り二人に貼り自身の持つ魔道書と接続する。すると二人から障気が抜け、顔色が少し良くなる。回道で二人の傷を塞ぎ、ソーナンスに血液型を調べさせ、四次元バックから二人にあった輸血バックを使い失った血を増やす。

 

「取り敢えず傷は塞いだから後は安静にすれば治るはずだ。」そう言いヒデヨシを安心させようとしたとき、結界の外で本殿がが吹き飛ぶ。

 

一方本殿内~

「何者なんだお前は。」

そう言うクニナガの前には姿のはっきりとした人影がいる。祐希がヒデヨシたちを下がらせたことでクニナガは剣を人影へと振るも持っていた、剣で受け止められそのまま斬り合いが続いていた。人影は今まで遭遇した足軽よりも大きく鎧武者を連想させる。そして何よりも一言も喋らないことが一層不気味に思えた。

 

故に問いが返ってくるとは思わなかったがそれでも呟かずにはいられなかった。そして何十と斬り合う中相手は動きを見せる。自身を覆う闇を剣にも纏わせその場で横へ振るう。剣に纏わせた闇を見て直ぐ様回避を選択したクニナガ。さっきまでいた場所を斬撃が襲い本殿そのものを吹き飛ばした。その衝撃は離れた場所で治療する祐希たちの元にまで分かるものだった。

 

炎舞う中、鎧武者はクニナガの先で治療していた祐希たちの方へと走り出す。クニナガも狙いが自分から移ったことに気付き剣を振るも鎧武者の周りから足軽が出現したことにより足止めを受ける。

 

結界に向かってきた、鎧武者の攻撃が結界を容易に切り裂く。それをグラムで迎撃をする祐希だが

 

「くっなんだこいつの力。それに闇が強すぎる。」

予想以上に強い力と纏う闇、治療し力を使っていた反動で一瞬よろめく。ソーナンスが後ろから支えるもその刹那を狙われ大きくその場から一人と一匹は弾かれる。そして

「しまったヒデヨシちゃん逃げるんだ!!」

 

「クソッ数が多すぎる。このままだと...!!」

 

鎧武者はヒデヨシに刀を向ける。ヒデヨシは逃げようとしたが、逃げたら後ろにいる両親が死んでしまうかもしれないと思い、精一杯、腕を伸ばし庇おうとする。

 

鎧武者は剣を振り上げそのままヒデヨシに向かって振り下ろす。

 

「「ヒデヨシ」ちゃん!!!」

来るだろう衝撃にヒデヨシは目を閉じる。

 

ガキィン

しかし衝撃が襲うことはなかった。恐る恐る目を開けるヒデヨシ。その前には大剣をもち鎧武者の刀を受け止めた凛々しい、赤髪の女武将が見えた。それを祐希は何者かクニナガは驚愕と懐かしさを含んだ眼差しで見る。

 

「大切なものを守ろうとした心意気見事じゃ。ここからは任せよ。儂の領地でこれだけやったんじゃ。落とし前はつけてもらおうかのぅ。フンッ」

 

そう言い鎧武者を弾き返し名乗る。

 

「我はノブナガ。この尾張の領主である。貴様はここで斬る!!!!」

 

ヒデヨシの絶体絶命に現れた尾張領主織田ノブナガ。これにより形勢が変わる。

 

「そこのお主ら!!まだ戦えるか?」

 

「あぁ勿論戦えるとも。」「大丈夫です。」

 

「ならば露払いを頼む。奴は儂がやる。」

 

そうしてまた増える足軽を見つつ三人が揃いながら敵を見る。

 

「足手まといになるでないぞ。」

 

「わかってるさ。早いところ終わらせよう。」

 

「大丈夫。二人とも来るわ。」

 

そして此方へと足を進める足軽へと突っ込む。ノブナガは大剣に炎を纏わせ凪ぎ払う。祐希はグラムから2nd-G概念核を搭載した剣[[rb:十拳> とつか]]に持ち替え、敵を倒していく。クニナガは持ち前のスピードとその身からは想像できないほどの怪力を活かし凪ぎ払う。そして残りが鎧武者だけとなりノブナガ、クニナガは走る。鎧武者が動くより先に祐希は動く。

 

「縛道の六十一 六杖光牢!!二人とも今だ。」

 

そして二人の剣が炎を纏う。

「行くぞ。非情の」「業火の」

「大剣」「刃」

その一撃で鎧武者は倒れる。すると残っていた足軽が消滅する。

 

「ようやく終わったな。」「そうね。これでこの村は大丈夫ね。」「お主らのお陰で儂の民が救われた。礼を言うぞ。」

 

「偶々ここを通りかかっただけだが、礼は素直に受け取ろう。」

 

「私も別に助けたかったから助けただけなので大丈夫です。」

 

「そういえば巻物は?」

 

「そうだ。確か鎧武者が持ってたはずだけど。」

 

と振り返り鎧武者のいた場所を見るが巻物は何処にもなかった。

 

「何処にもないのはおかしいな。」

「(まさかどさくさに紛れてあいつらが持っていったんじゃ)」

 

「無いもののことを考えてもしょうがないじゃろ。それよりお主ら名を何という。」

 

「俺は出雲祐希。」「私はクニナガです。」「そうか。なら祐希にクニナガよ。お主ら儂の家臣にならぬか。お主らは相当な実力者じゃからな。どうじゃ。」

 

「光栄なことだか俺はまだやることがあってな。その申し出は断らせてもらう。ただ、貴女とは友人関係は築きたいとは思っている。」

 

「私もやらないといけないことがあって、すいません。」

 

「そうか。なら気が変わったら何時でも言え。儂は歓迎するぞ。」

 

そう言いノブナガは両親のいるところで座り込んでいたヒデヨシの元へ行く。

 

「大丈夫だったか。」「あの、ノブナガ様助けていただきありがとうございました。」

 

「なに儂は領地の民を助けただけじゃ。気にするな。それにお主のように勇気をもち守ろうとするやつは儂は好きじゃぞ。」

と笑う。

その笑顔を見たとき、ヒデヨシの緊張の糸が切れたのかノブナガに抱きつき泣き始める。それをノブナガは驚きつつもしっかりと受け止め、落ち着くまで抱きしめた。

 

そして2nd-Gの概念が祐希の名前、出雲に反応し上空に雲が産み出され、炎による熱も合わさり雨が降りだす。

それはこの襲撃で命を落としたものたちの嘆きの涙なのかもしれない。

 

こうして事態は収束を迎えた。しかしこれは新たなる火種の序章に過ぎないことはまだ一人を除いて知る由もなかった。

 

 

???~

「???様ただいま戻りました。」「首尾は。」

「えぇ順調です。巻物もこちらに。」とその人物は鎧武者が持っていたはずの巻物を渡す。

「これがアレについて巻物か。あとは邪魔な結界を消せば我が手にアレが手にはいる。」

 

「???様一つご報告が。守人一族がまだ生き残っているようです。織田ノブナガと正体不明の男女二人に試作品が敗れたそうです。如何致しますか。」

 

「良い。巻物が手に入ったのだ。それならわざわざ危険を犯さずとも守人一族など放っておけば良い。」

 

「分かりました。それと引き続き邪魔をした二人組について調べようと思います。」

 

「そうだな。頼むぞ。」

そう言い下がらせる。

 

その者の前には封と書かれた札で封じられた何かがあった。

 

「アレを手にいれればこやつの封印など簡単に解ける。そしてアレでこやつを制御できれば世界は我が物だ。フフフハハハハハハハァ。」

 




あとがき
今回も読んでいただきありがとうございました。作者の月光です。今回原作キャラ二人目となるノブナガの登場でした。今回でヒデヨシの故郷の話しは終わり1話か2話挟んでから次に進んでいきます。そこで次に祐希が訪れる場所でアンケートの協力をお願いします。。候補としては京、豊後、越後となります。他にもありましたら感想お願いします。締め切りとしては次の投稿までとします。そして最後に出てきたのはわかる人にはわかるあの人たちです。
それでは次回も読んでいただけると幸いです。

2nd-G概念核 十拳
概念は ー名は力を与える

2nd-G人類は力と意思を持つ概念核を、自然を操る一種の装置とし、2nd-Gという世界を巨大なバイオスフィア(密閉型の人工生態系)として改造した。
政治大系は皇族という家系が主要となって世界を統治。姓名を重視し、世襲制が中心となった文化を有していた。
王の一族に生まれた者は王としての姓名と力を、刀工の一族に生まれた者は刀工の姓名と力を受け継ぎ、それは解釈次第である程度の変更が効くが一生をかけてそれに向き合わなければ行けないことになる。
十拳は概念核が八叉となり暴走を起こし2nd-Gを滅ぼした後に産み出された。

十拳は鉄片に刻まれた名前を展開することで封印の天球図を作り出し、その内部において八又の封印作業を行う。


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第三幕 一時の別れと旅立ち

今回は閑話となります。次からはまた別の場所へと向かいます。それでは第三幕始まります。


村を襲った凶事から2週間。祐希たちは亡くなった村人たちを弔い、壊れた住居を修理など復興を手伝った。ノブナガは支援のための物資を送るため、一度清洲城へと戻った。村は徐々に以前のように生活を取り戻しつつあった。

 

祐希は簡易的な診療所を立て村人達の怪我の経過を見て薬を処方していた。怪我の多かった者には治癒の概念を付与をした包帯を巻いたりした。

「はい。もう包帯を取って大丈夫。ただしまだ治ったばかりだから無理だけはしないように。」「わかってるよ。心配すんな。先生」

 

生き残った村人はやけどが大半でそういった薬草が足りなかったが、あるもので代用することで事なきを得た。

 

「キィーー」「ん?あぁ熊吉か。今日も悪いな。」診療所を訪ねてきたのはキテルグマであった。このキテルグマ、ヒデヨシの友達でヒデヨシから熊吉と呼ばれていたのでそのまま呼んでいる。邂逅当初はヒデヨシを庇うようにし、こちらを警戒していた。しかしソーナンスやルカリオが間にたち話しをしてくれたことで警戒を解いてくれた。診療所を開いた時に、薬草がないと呟いていたときに熊吉がオレンのみやチーゴのみなどといった木の実を持ってきたことでそれも解決した。どうやらこの近くには水が清らかで土地が潤っている場所があるらしく、その場所に木の実が実っているそうだった。

 

ヒデヨシやクニナガにも手伝ってもらい、木の実を運びそれをすりつぶし軟膏の代わりとし更に体力を戻すため、オボンのみやオレンのみをジュースにしたりと飲みやすいように工夫した。それにより、村人たちはすっかり元気を取り戻していた。

 

「ユーさん、おっはよー。あっ熊吉。おっはよー。」「グゥーグゥ」「ヒデヨシちゃんおはよう。ご両親の具合はどうだ?」

 

「うん。お父さんもお母さんも元気になってきたよ。でも傷は痛むみたいで辛そうかも。」「そうか。治ってきてるようで安心だ。後でまた薬を持っていこう。」「うん。ありがとう。」

「そういえば今日はクニナガは今日は一緒じゃないのか?」「クニナガお姉さんは村の子供達と遊んでるよ。」「そうか。さてと。」

 

と祐希はいつの間にか用意をしていた、バックを持ちヒデヨシと熊吉と共に村を見回りへと向かっていった。

 

村を回り村人たちの様子や住居を訪れ、置き薬を置いたりと回っていると、子供達と遊んでいるクニナガを見かけた。

 

「おーいクニナガお姉さーん。」「ん。ヒデヨシに熊吉と祐希。どうしたの?」

「クニナガお姉さんがいたから声掛けたの。」「そう。お父さんたちは元気にしてる?」「うん。ユーさんのお陰で元気になってきてるよ。」「そう。良かったわね。」と喋っていると、子供達は熊吉と今度は遊ぶようで熊吉へと群がっていた。

 

その場で熊吉と別れ、クニナガが今度は加わり見回りをしようとすると、馬に乗ったある人物とその兵士たちが来た。

 

「久し振りじゃのぅ。お前たち。復興は進んでおるか?」

 

「これはノブナガ殿。遠路遥々ご足労いただきありがとうございます。」

「そう。畏まらんで良い。普通に話して良いぞ。」「では失礼して。ゴホン。ノブナガ殿今回の支援、誠に感謝する。お陰で村も以前のように戻ってきてるようだ。」「そうか。それは良かった。それと送られてきた貢ぎ物であったが、とても良いものであった。今後とも宜しく頼むぞ。と伝えておいてくれんか。」

 

「喜んでもらって良かった。村の者たちにも伝えよう。」「ところで、儂の家臣になる気にならんか?」「悪いが」「良い。お主にもやることがまだあるようじゃからのぅ。しかしいつかは頷かせて見せよう。」「流石だな。それはそうとここまで来るのは大変だったろうから休憩していってくれ。馬はこっちの馬小屋で休ませておくといい。」「そうするかのぅ。」と言い兵士たちへと命令しながら休憩所へと向かうことにしたノブナガと祐希たち。

 

「あのノブナガ様。」「なんじゃあのときの娘か。元気そうじゃのう。」「ノブナガ様あのときは助けていただきありがとうございました。」「何気にするでない。儂は自身の民を守っただけのことじゃ。」

「あの.....その。」「なんじゃ。何か言いたいことでもあるのか?」「あ、あたしをノブナガ様の家臣にしてください。」

 

「家臣になるというこがどういうことかわかっとるのか?戦いに出なければならない時には人を殺めなければならない。そして故郷を離れることになるのだぞ。」

「まだあたしは子供だし戦うってことがどういうことなのか分かりません。でもあたしの村みたいにまたあの化け物が現れるかもしれない。もう二度とあんなことにならないためにも力をつけたい。そして命を救ってくれたノブナガ様の夢を手伝いたいんです。」「フム、そうか。」

 

ノブナガは少し考えそしてヒデヨシの目を見る。その眼差しはとても純粋であり覚悟があった。

 

「良かろう。お主の覚悟は分かった。儂は天下を取る。その道に付いてきたいならば付いてくるが良い。」「はい。ノブナガ様。あっ呼び方はどんな風にすれば?」

「別に儂は気にせん。好きに呼ぶがいい。」「じゃあお館様。」

 

その光景を微笑ましく見守る祐希はふと気になりクニナガの方へと顔を向ける。クニナガの表情は懐かしさや寂しさといった憂いを帯びたものだった。

 

「クニナガ、君はどうして」そんな表情をと続けようとした祐希だったが何か訳があると思い口を閉ざす。

 

「ノブナガ……殿お疲れでしょうからこちらをどうぞ。」とクニナガはオレンのみをブレンドしたジュースをを渡す。

 

「有り難く頂こう。ゴクッ 旨いな。程よい果汁に喉を適度に潤わすこの味わい。何よりもみかんより甘い。」「それは此処等に生えているある果実のような木の実を使ったんだ。」「フム、これならば我が領土で売れば一押しの物になるかもしれん。この村の代表と後で話がしたい。」「多分お父さんがそうだと思うから後で案内しますねお館様。」

 

そうしてノブナガを迎え入れて村では宴会が開かれた。村人と兵士たちは各所で酒盛りをして料理に堪能していた。ノブナガの回りでは飲み比べをし、既に何人かの兵士はダウンしていた。そんな中祐希はノブナガと共に飲んでいた。

「お主中々に強いのぅ。儂とここまで飲めるのは武田の奴くらいじゃぞ。」

「あぁ。昔にある奴の酒盛りに付き合わされてな。徐々に慣れたんだ。」(祐希は幻想郷の鬼たちとも親交があり、度々酒盛りに付き合っていた。そのお陰か今では山の四天王との飲み比べでは勝ち越している)

 

その横ではヒデヨシがノブナガへとお酌しオレンのみやオボンのみ、マゴのみから作った、ポフィンやお菓子さらにジュースを飲んだりしていた。

 

さてではクニナガはというと、

「クニナガ。もうその辺りで止めておけ。明日に響くぞ。」「私はまだのめましゅよ。」「いや、呂律もまわってないぞ。」「何を言うんですか。私はよってましぇんとも。」「少し酒を勧めすぎたか?」

「いやクニナガも嬉々として飲んでいたから良いんじゃないか。」

「そうか。それなら良いのだが。」クニナガは最初遠慮がちにしていたが、ノブナガの儂の酒が飲めんのかの一言に飲み始めると、段々とペースを上げ更に用意していた、料理をどんどんと消化していった。

「人によって飲める人飲めない人はいるからな。水を飲んで風に当たれば酔いも醒めるさ。よっと。」

そう言い祐希はクニナガを腕で抱えるとそのまま風の当たる小屋まで歩いていった。

 

「さてとそろそろ終いにするとしようか。明日からはまた忙しくなるぞ。お主も覚悟しとくんじゃな。ヒデヨシ。」

 

「はいっ、お館様。私も精一杯頑張ります。」こうして宴会は賑やかに幕を閉じた。片付けを兵士たちも手伝い、夜も遅くなり皆も寝しづ待った夜更け。

 

祐希は診療所へと戻りクニナガを診ていた。幸い水を飲ませたあと直ぐに眠ってしまい、そこまで大変ではなかった。祐希は空に浮かぶ月を見ながら一人月見酒をしていた。

 

「この世界に来て半年ちょいか。色々あったもんだな。それにしても。」祐希は少し前にあった神からの言葉を考えていた。

「時の魔力がこの世界で観測された………か。」時の魔力はタイムリープやタイムトラベルの時に発生する力のことで、滅多に観測されることはないとされている。それがこの世界で観測されたということは。

「この世界で何が起きようとしているんだ。」ゆっくりと酒を口へと含む祐希。その時横から何かにうなされるような声が聞こえる。

 

「ダメ。お……い…… 行かないで。私を置いてかないで。一人にしないで 」

 

震えるクニナガの手を祐希は自然と握っていた。

「大丈夫。俺は此処にいるし置いていきもしない。安心しな。」そうすると段々と震えが止まり穏やかな息遣いへと変わっていった。

 

「時間があるし当分はこの娘を見守ろう。色々と溜めやすく、そしてどこか儚げに笑う今にも壊れそうな彼女を。」

 

翌日、ノブナガが自分の城へと帰る時間となった。ヒデヨシは両親にノブナガの家臣になることを伝えると毎月手紙を書き近況を伝えることを条件とし、承諾した。更に熊吉も付いていくことにしたようで、ノブナガより熊の面倒はヒデヨシが見るようにということとあとは力自慢がいると木材を運ぶといった力仕事も楽になるからという理由もあり、同行を許された。

 

祐希とクニナガも村より旅立つことを決めたようで旅支度を済ませていた。

 

「儂らは城へと戻る。お主たちはこれからどうするのじゃ?」「一先ず京の町を目指します。そこで少し調べたいことがあるので。」「そうか。いつでも儂の城へと遊びに来ると良い。来たときは酒盛りで歓迎するぞ。」「程々にお願いします。」

 

「ユーさん一緒にいかないの?」「悪いね。ヒデヨシちゃん俺もやらないといけないことがあって一緒には行けないんだ。」「折角友達になれたのに……」「ヒデヨシちゃん例え離れていても友情は切れたりしないし生きてれば必ず会える。だからヒデヨシちゃんも頑張ってノブナガ殿を助けて上げるんだよ。」「うん。あたし頑張ってお館様の一番の家臣になる!!」

 

「クニナガお姉さん。」「んヒデヨシ。」

「あの時あたしを助けてくれたからお館様にも会えた。ありがとう!!」「ヒデヨシ。貴女にはこれから色々と大変なことが待ち受けてるでしょう。だからどんな時も諦めない心を大事にしなさい。」

「うん。またね。クニナガお姉さん。」

 

そうして挨拶もそこそこにし、一同は村を去る。村に残ったのは祐希の手持ちのルカリオとボスゴドラ、カイリキーの三匹だ。三匹とも、村に愛着が沸いたことや子供達を心配してのことだ。

 

「貴方はノブナガ殿に付いていかないで良かったの?何か聞かなければいけないっていってたとでしょう。」

「その事は昨日にもう聞いたさ。結果は空振りだったけどな。」

「なら何で私に付いてくるの?」「そうだな。一人よりかは二人旅の方が楽しいからっていうのが一つ。あとは放って置けないからっていうのもあるな。嫌かい?」

 

「別にいいわ。一人だと不便もあるかもしれないし丁度良いわ。」「なら決まりだな。所で次の行き先は京でいいのかな?」

 

「えぇ。そこで確かめないといけないことがあるから行かないといけない。」

 

「そうか。それじゃあ行こうか。」

 

こうして尾張でノブナガとヒデヨシと別れ次の目的地を京の町へと定めたクニナガと祐希の二人。そこで目にするものとは一体なんであろうか。そしてクニナガを苛むものは一体なんであろうか。

 

 

過去尾張編 終幕




今回も読んでいただきありがとうございました。作者の月光です。もう今年も残すところ一週間と少しとなりました。冬の寒さになり始め風邪を引かないよう皆さん気を付けてください。さて今回で過去の尾張編は終幕となります。後にヒデヨシの故郷で取れるきのみは尾張でも有名になっていきノブナガ御用達のものになります。そして暫くはノブナガ、ヒデヨシの出番は先になります。

次からは京になります。少しネタバレになりますがある原作キャラが少し変わっています。誰なのかは今後の本編で明かしていきます。因みに祐希は幻想郷に行ったことがあり、東方キャラとも関わりを持っています。医療は永琳から教わっているので大抵のことは何とかなります。そしてある原作キャラを弟子にし、様々な魔法や技術を教え込みました。その事はまた何かの時に書くかもしれません。

最近のFGOのクリスマスイベントで思ったのは物凄いぐらいにキン肉マンネタが多かったことです。そして役割が大体キャラで合っていたので楽しめました。これから来る福袋ガチャがどういうものになるか楽しみになります。

今回も読んでいただきありがとうございました。気軽にコメントなども送って貰えるとありがたいです。次回もこんな駄文を読んで貰えると嬉しいです。


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第1部 一章 京の都
第四幕 到着、再会、そして新たな出会い


第四幕です。今回からは京が舞台になります。新しい出会いと再会があります。アンケートもやっているのでご協力お願いします。


祐希とクニナガは尾張の領地を出て約1週間。道中茶屋により自然を堪能しながら京の町へと辿り着いた。祐希はBLAZBLUE世界では見られない、大自然を満喫しクニナガは茶屋で団子を大量に頼み風流な景色を楽しんでいた(団子のお金は全て祐希がこの時代に来たときに金などの貴金属を換金していたもので支払った。)京の町では様々な山菜や魚や南蛮から仕入れたワインなどといった様々な種類のものを扱う市場が開かれていた。

 

「さて無事に京へ来れたがこれからどうするんだ?」「何とかして将軍様に会おうと思ってる。」「将軍に?何で。」「それはまだ言えない……」

 

「そうか。だが将軍に会おうにも知らない奴がいきなり会いたいってだけじゃ門前払いされるだろう。」

 

「何とかして将軍様と何か繋がりが持てれば良いのだけれど、そう簡単には行かないし、困ったわ。」

 

「まぁまだ京に着いたばかりだし、一先ず宿を取って上手い飯を食べたら何か閃くかもしれないぞ。」

 

「そうね。今はそうしましょう。」

そして無事に宿を取ることが出来た二人は

魚が美味しいと評判の食事処で魚に舌鼓をうち〆にお茶を飲んでいた。

 

「さてと将軍に会う方法を一つ思い付いた。」「私も思い付いたわ。そっちの考えを先に聞かせて。」

 

「最近京では作物の被害が多数出ているそうだ。幕府は対策を練っているがまだ対処ができていないのが現状だ。その状況を利用し俺たちで解決すれば良い。」

 

「でもそんな簡単に将軍様に会わせてくれるかな?」「流石に一回だけならそうだ。だが回数を重ねていけば幕府側としてはどんな人物か気になり接触してくる。」

 

「私も京のためになることをすれば良いと思ったけど回数を重ねないといけないのね。」

 

「こればかりは仕方ないさ。誰か幕府に知り合いでもいれば良いんだけどな。」

 

そうして食事処から出て宿へと向かう二人。後日祐希は知り合いが幕府の重鎮だったことに後から気付くことになる。

 

 

 

次の日から祐希たちは精力的に田畑を荒らす動物や賊を捕まえ京へと貢献をした。そうしている内に周辺の村人と仲良くなり徐徐に慣れていくことに成功した。それから数日が経ったある日。その日は祐希は調べものをするために歴史の書物を探しに本屋へと足を向けた。

 

(ヒデヨシちゃんの村を襲った謎の影…あれを放置していると後に大変なことになりそうな感じがするが昔の出来事でそれに類似したことが起こっていれば対策が打てるんだが。そう簡単には行かないだろうな。)

 

そして本屋で書物を探し始め約一時間程たち目的の本が無さそうだったので気になった本を買おうと手を伸ばす。

 

「「あっ」」「すまない」「すみません」

 

「「ん?あっ」」

 

「祐希殿、お久し振りですね。いつ頃此方へ?」

 

「あぁ。あんたか。久しぶりだな。体はもう平気か?俺はつい最近に京に来てな。」

 

「そうでしたか。体は今のところ問題はありませんね。しかし何かあってはいけないので注意はしてますね。」

 

「そうか。」「そういえばあの時助けていただいた時のお礼をさせてもらえませんか?」

 

「別に気にしなくても良いんだぞ。もう半年ぐらい前のことなんだから。」

 

「いえ。受けた恩をそのままにすることは出来ません。おもてなしをさせてください。」

 

「はぁ。わかったよ。その前に連れがいるからそれを迎えに行ってからでも良いか?」

 

「えぇ。構いませんよ。それでは参りましょう。」

 

「所でもてなすって言ったってどこへ行くんだ?」

 

「実は私今、二条城で将軍様の手伝いをしているんですよ。」

 

「えっそれは本当か?ユウサイ殿。」

 

 

祐希がユウサイと出会ったのはこの世界に来た当初に遡る。炎の勢いが凄まじい中で苦しそうにしていたユウサイを発見し近づき手当てをしようとしたときに、ユウサイから闇の波動が吹き荒れ、突如として襲い掛かってきた。

 

いかにも暴走か何かに乗っ取られた感じがした祐希は六杖光牢で動きを封じて、持っていた強力なお札(博麗印)で怨念のような思念体を体から追い出すことに成功した。そして懐に仕舞っていた小さい瓶を取り出しその中に封じ込めた。その時、封じ込めたものから微かに切り離されたものが何処かへと飛んでいってしまったことは勇気も知らない。

 

その後意識を取り戻した彼女から経緯とこの世界のことを聞いたりして具合が良くなるまで様子を見て別れたという経緯があった。

 

 

 

一方その頃のクニナガは周辺の村を見て回り平和そうなのを確認したところであった。

 

「この村は比較的平和だな。いつぶりかな。こんなゆっくりと考える時間があるのは。」

 

クニナガは考える。自分が将軍に会ったとき何をすれば良いのかを。自分のような余所者が将軍に危機が迫っていると言っても信じてもらうには根拠がない。だがそれでも彼女は伝えなければいけない。今後の世界を良くするためにも、

 

そうして考えて歩いていると、建物の影から出てきた人とぶつかってしまった。幸いクニナガは倒れなかったものの、ぶつかった人影は男の子であったようで尻餅をついていた。

 

「すまない。考え事をしていて気付かなかった。立てるか?」

と言い手を伸ばし起こすのを手伝う。

 

「すみません。ありがとうございます。」

 

「急いでいたようだがどうしたんだ?」

 

「それは……」

 

「いたぞ。オイッこっちにガキがいたぞ。」

 

そう言い柄の悪そうな男たちが少年を囲むように現れる。

 

「おい姉ちゃん、怪我したくなけりゃ、そのガキをこっちに渡しな。」

 

「少年君が何かしたのか?」

 

「そいつはウチで扱ってる商品を見たんだ。生かして帰すわけには行かないんでね。わかったらさっさと。」

 

カチッ シャリンッ カチッ

 

その音が聞こえたときには目の前の男は倒れていた。

 

「安心しろ峰打ちだ。さてと見ただけでこんな子供まで追いかけるなんて、そんなにヤバい物を扱ってるのか?まぁ答えなくても別に良いけど。」

 

そして回りにいた男たちに動揺がはしるがそれより速くクニナガの刀は男たちの意識を刈り取った。

 

「さて。少年君は見られたら不味いものを見てしまったってことで良いかな?」

 

「はい。私が御付きの者と一緒に歩いていた時、御付きの者が定期連絡をしているとき怪しい人影が目に映ったので追いかけたら幕府で取引が制限又は禁止している物が沢山あったんです。それでそれを知らせようとしたら見つかってしまって、逃げていたときに貴女にぶつかってしまったんです。」「そうだったのか。」

 

「通りすがりの方に言うことではないということは承知していますがお願いします。私をお城まで護衛をしてもらえませんか?」

 

話している内にどこかで見たことがある顔だということに気付き少年に聞いてみる。

 

「お城って二条城のこと?少年君の名前ってもしかして。」

 

「申し遅れました。私第13代将軍足利ヨシテルの弟 足利義昭と申します。」

 

こうして突然の出会いを切っ掛けにクニナガは幕府の抱える問題に関わることになっていく。無事にクニナガは解決できるだろうか?

 




あとがき
今回も読んでいただきありがとうございます。今回から京の町での物語になります。そして祐希が最初に知り合った戦国乙女は細川ユウサイでした。彼女から出てきたものは魔封波で瓶に封じ込めました。ユウサイが乗っ取られる可能性は無くなりました。しかし何処かへと飛び去った不穏な力は物語へと絡んでくることになります。

博麗印のお札は永琳のところへ遊びにいったときに、神社へ賽銭を入れに入れたら気前よく譲ってもらったという経緯があった。次回からは幕府の問題にクニナガが向かっていくことになる予定です。
感想やコメント貰えると助かります。

それとアンケートでクニナガのパートナーポケモンを募集するのでご協力お願いします。

来週はFGOプリヤコラボが来るのでガチャが楽しみです。それでは今回も読んでいただきありがとうございました。次回も読んで貰えると嬉しいです。

BLEACH 縛道編
縛道の六十一 六杖光牢
詠唱
雷鳴の馬車 糸車の間隙 光もて此(これ)を六(むつ)に別つ

六つの帯状の光が胴を囲うように突き刺さり動きを奪う。

祐希は相手の動きを封じるとき無詠唱でよく使用する縛道である。


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第五幕 終結と嘗て救えなかった者との再会

久し振りの投稿になります月光です。今回で京の都での出来事は終わりとなります。それではどうぞ。


京の都に辿り着いた祐希たち。クニナガの目的が将軍に会うことだと知った祐希は京の都を悩ませる作物の被害をなくそうと奮闘する。そして一段落しているときに祐希はこの世界に来たときに初めて会った戦国乙女の細川ユウサイと再会する。一方クニナガは京では制限・禁止されている物を見てしまい追われている13代将軍の弟、義昭に出会う。そして二条城まで護衛をして欲しいと頼まれる。クニナガそれを引き受けるのであった。

 

義昭を護衛して二条城へ向かうことにしたクニナガはまだ昼を食べていなかったので、丁度お腹がなった義昭と共に和食屋へ入りお昼を食べることにした。

 

「義昭様はなにか食べられないものとかありますか?」

 

「いえ、ありません。でもお金の持ち合わせが。」

 

「私が誘ったのですからここは私が出しますので心配しないでください。魚定食で宜しいですか?」

 

「はい。お願いします。あと私のことは呼び捨てで良いですよ。」

 

「わかったわ。義昭。」

 

そうしてクニナガは注文をして待つことになった。

 

「義昭は見てしまった物が何かわかったものはあったかしら?」

 

「流通が制限されている鉄砲が無数にあったのと体に害があるものの一時的に気分を和らげる類いの薬草がありました。幕府では中毒になってしまった人たちが沢山出ていて対策をたてているのですが根本が深く根絶が出来ていません。」

 

「成る程。幕府の手に余るほど事は大きいのね。」

 

「姉上も心を痛めていました。私にも何かできることがあるんでしょうか?」

 

「そうね。私は貴方ではないから将軍様の事は分からないけど、貴方の出来ることで将軍様を支えれば良いと思うわ。」

 

「クニナガさん。ありがとうございます。」

 

そして会話が一区切りしたところで頼んでいた物がきた。

 

そうして食べ終わった、クニナガたちは食事処を後にした。そうして暫く歩いていると二人に向かって明らかに怪しい気配が集中しだしていた。クニナガは他の住人が巻き込まれないように、人通りの少ない場所へと向かった。

 

「そろそろ出てきたらどう?」

 

クニナガの言葉が辺りに静かに響く。そして、辺りから刀や槍おまけに鉄砲(銃)といった武装をした30人規模の集団が出てきた。

 

「俺等に気づくとはあんた結構やるみたいだな。」

 

「一応聞くけど何か用かしら?」

 

「あんたの側にいるガキを此方に引き渡してもらおう。うちの商品を見たんだ。帰すわけには行かないな。」

 

「断ったら?」

 

「その時はあんた等二人ともここで死んでもらうしかないな。早く決めな。」

 

「勿論、断るわ。」

 

「残念だな。じゃあ言った通り死んでもらう。鉄砲隊構え。」

 

「義昭。しっかり捕まっててね。」

 

「打てっ。」

その言葉が響く直前に義昭を抱えて飛び上がり鉄砲の玉をかわすクニナガ。

 

そして前方の鉄砲隊が仕留められなかった動揺を突いて納刀したままの鞘で思い切り叩き銃身を歪ませた。その勢いのまま剣を抜き死なない程度に腕を中心に斬り裂く。

 

そして義昭を抱えて走る。

 

「逃がすな!!追えっ」

 

リーダー核の男が命ずるままに追い始める他の者たち。こうしてクニナガと裏を仕切る売人との戦いが始まった。

 

一方ユウサイと再会した祐希は二条城への道を共に歩いていた。

 

「そういえば先程はどのような本を探しておられたのですか?」

 

「あぁ。実はユウサイ殿が言っていたカシン居士や昔に何かしらの災害があったか調べていたんだ。」

 

「理由をお聞きになっても?」

 

「最近カシン居士のような闇の気配が、ある村を襲ったんだ。その時の気配が尋常じゃなくてな。何か起こる前触れなんじゃないかと思って過去にそういったことがなかったか文献を調べていたんだがあまり良い情報は得られなかった。」

 

「それでしたら二条城にも文献は無数にあるので調べてもらって構いませんよ。」

 

「それは助かる。」

 

そうして話していると前方から人影がものすごい勢いで近づいてきた。

 

「ユウサイ殿!!」

 

「どうかされましたか?ミツヒデ殿。確か今日は義昭様とお出掛けだったのでは?」

 

「申し訳ありません!!定期連絡をしているときに義昭様を見失いました!」

 

「それは一大事です?!一刻も早く義昭様を見付けなければ。」

 

「済まない。何があったんだ?」

 

「ユウサイ殿。此方の御仁は一体?」

 

「此方の御仁は私の命の恩人で信頼できる方です。」

 

「そうでしたか。私は明智ミツヒデと申します。」

 

「俺は出雲祐希と言います。所でなぜそんなにも慌ててるのですか?」

 

「義昭様は13代将軍ヨシテル様の弟君なのです。最近京では裏取引が活発になっているようで取り締まりを強化しているのだがとかげの尻尾のように末端ばかりが捕まり、首謀者が捕まっていないのだ。そんな状況で義昭様が居なくなってしまわれたのだ。義昭様の身に何かあったのではヨシテル様に示しがつきません。」

 

「成る程。それなら手を貸しましょう。人数が多いほど早く見つかるでしょうし。」

 

「かたじけない。幾つかの目星はつけているからそこを中心に探しましょう。」

 

そう言い祐希、ユウサイ、ミツヒデの三人ははぐれてしまった箇所から幾つかの地点を移動しながら探し始めた。

そうして探していると前方から60弱の武装をした者たちに囲まれた。

 

「これは一体何の真似だ?」

 

「あんた等幕府の役人がここに来たっていうことはこの場所がばれたってことだ。ならあんた等を始末して商品を移さなきゃならなくなったんだ。ここで死んでもらう」

 

「どうやら違法取引の手掛かりが向こうからやって来てくれたようだな。」

 

「そうはいいますがミツヒデ殿。油断なさらないように。相手は鉄砲持ちです。当たり処が悪ければ死ぬ可能性もあります。注意をしてください。」

 

「打てっ。奴等を始末しろ。」と10人二列に並んだ鉄砲が次々に打とうとする。その刹那

 

「一刀流 居合い 」チャキッ スパッ

 

「つむじ風。」

2nd-G概念核 十拳を鞘から振り抜き前方の鉄砲隊の銃を全て斬り落とした。そして呆気に取られた鉄砲隊と後ろの者たちに次の瞬間猛烈な風が襲った。空高く舞い上がった者たちは地面に叩きつけられ気を失うか地面に衝突した痛みで動けなくなっていた。

 

「祐希殿今のは一体何をなされましたか?」

 

「ん、あぁ素早く刀を振り切って斬撃を横に広がるように鉄砲を斬り裂いて振り切った刀の風圧で全員巻き上げただけだ。」

 

「素晴らしい腕前です。祐希殿、協力感謝する。さてお前たちが知っていることを話せば情状酌量の余地はあるが、どうする?」

 

「わかった。話す、話すから殺さないでくれ?!!」

 

そうして話を聞くとどうやら彼らの取引の現場を少年に見られたということ。そのすぐ後にミツヒデたち幕府の役人が来たため口封じに始末しようとしたとのこと。

 

「話に出ていた少年が義昭殿だったら不味いですね。」

 

「えぇ。もう片方の取引の相手が義昭様を探していたら殺されてしまうかもしれないです。」

 

「とにかくこいつらは縄で縛って動けないようにしたから、早く義昭様を探そう。」

 

そうして片方の取引相手を捕まえた祐希たちは義昭を探すため辺りを捜索することになった。

 

義昭を抱えて裏の売人から逃げるクニナガ。既に30人以上倒したものの、後から来る援軍が更に40人増えていた。鉄砲隊は既におらず刀と槍といった武器などが主な為に距離をおいて迎撃をしていた。

 

「しつこいわね。そんなだと女にモテないわよ。」

 

「うるせぇ!余計なお世話だ。野郎共行くぞ。」

 

一度義昭を降ろし迎え撃つクニナガ

 

「相手は一人だ囲んじまえば此方のもんだ。」

 

「それは下策だよ。」と長剣の間合いに入ってくる者たちを斬り伏せる。粗方終わり義昭の方を向くとその後ろから剣を振りかぶっているのが見れた。義昭はまだ気付いておらず、急いで戻る。そして

ザシュッ

その場に鮮血が迸る。

 

義昭を庇い左肩付近を斬られたクニナガだが右手で振り下ろした相手を斬り伏せる。

 

「クニナガさんっ?!」

 

「大丈夫。ちょっとした掠り傷よ。」

そう言いながらも傷口から血が流れ出る。

 

「ガキを庇いながら良くやるもんだ。だが此処までだ。最後にもう一度だけ言う。そのガキを渡せ。」

 

「何度言っても答えは変わらないわ。」

 

「クニナガさん私は大丈夫です。だから」

 

「そんな保証は何処にもないし、それにここで貴方を渡したら私のポリシーに反するわ。」

 

「ならしかたねぇ。てめえ等やれ!!!」

 

サクッ

その時地面にクナイが突き刺さる。次いで無数のクナイが男たちに降り注ぐ。

 

「そこまでだ。お前たちを幕府への背信行為で捕らえさせてもらう。」

 

近くの民家の屋根に立つ戦国乙女ミツヒデ

そして一通り掃討し終わり義昭の元へと駆け付ける。

 

「義昭様。遅くなり申し訳ありません。」

 

「ミツヒデ。それよりクニナガさんの治療を。私を庇って怪我を。」

 

「フンっ安心するには早いんじゃないか。まだ、俺には金で雇った奴等が沢山いる。まだ終わっちゃいねぇ。」

 

???「いいえ。其処までです。既に貴方の雇った者たちは捕らえさせてもらいました。」

 

「なっ?!あんたは。」

 

「姉上!!」

 

「貴方たちには然るべき罰を受けてもらいます。覚悟していなさい。」

 

そうして売人の最後の抵抗も将軍ヨシテルにより鎮圧された。縄で縛り上げられた売人及びそれに荷担した者たちは二条城の兵士たちにより連行されていった。

 

「義昭様を守って戴き感謝する。傷の手当てはこれでよし。血は止まったが応急手当だからまだ不完全で動きすぎると傷が開くかもしれない。」

 

「いや、これで充分です。」

 

「弟を守って戴きありがとう。私は足利幕府第13代将軍足利ヨシテルと申します。お礼をしたいのと怪我の治療をするので城へ来ていただいても宜しいですか?」

 

「私はクニナガと申します。折角のお誘いですが、今は離れているんですけど連れがいて。」

 

「心配するな。今は将軍様の好意に甘えとくべきだぞ。」

 

「祐希今まで何処に行ってたの?此方は大変だったんだからね。」と少し怒り気味で言うクニナガ。

 

「悪い。そっちを追っていた奴等とは別のを相手しててな。」

 

「しかし祐希殿のお連れが義昭様の恩人でしたとは。」

 

「?!! 貴女は……」

 

その姿を見たクニナガは警戒を露にする。しかし自己紹介のところで少し戸惑いが出た。

 

「私は将軍家に遣え宰相をしている細川ユウサイと申します。祐希殿には命を助けられました。」

 

「あ、えと…クニナガと言います。祐希とはその一緒に旅をしています。」

 

「貴方がユウサイが言っていた方ですね。 貴方も一緒に城へどうでしょうか?」

 

「それではお言葉に甘えさせてもらいます。」

 

「では参りましょう。クニナガ殿歩けますか?」

 

「大丈夫です。これぐらい。痛っ。」

 

「無理をしては行けませんよ。ハッ」

 

とクニナガを抱えて歩き出すヨシテル。

 

「わわっヨシテル様何を 」

 

「体に負担のかからないように抱えあげただけですよ。」

 

その姿勢は俗に言うお姫様抱っこであった。因みにクニナガの身長は152でヨシテルが168なので遠目から見ると怪我をした妹を運ぶ姉のような構図である。

 

こうして当初の目的である将軍に会うことに成功した祐希とクニナガ。クニナガの怪我の治療のために一同は二条城へと歩を進めることになった。




あとがき
久しぶりの投稿になります。月光です。最近は就職や卒業などがあり忙しく時間が余り取れてませんでした。これからも忙しくなるものの一月に最低一話は挙げていきたいと思っています。

さて今回で京の都での話は終わり二条城へと話が進んでいきます。ここではクニナガの正体や目的について触れようかと思っています。現時点だと多分まだ正体は分からないと思います。タイトルの意味は後に分かります。

ヨシテル様の今後のポジションとしては無茶をするクニナガを心配する姉として展開させていこうかと思います。
ぶっちゃけFGO水着ジャンヌみたいな感じにしようかと思っています。

そして明後日ぐらいにFGO新イベントが来るかとワクワクしています。1,5部で活躍をした村正がくるのか又は新しい鯖がくるのか楽しみです。

それでは今回も読んで頂きありがとうございました。感想などコメント宜しくお願いします。

続きはキテルグマがロケット団と共に持っていってしまいました。


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第六幕 将軍との謁見と驚愕の事実

2ヶ月振りの投稿の第六幕です。活動報告でアンケートもやっているので答えてもらえると有難いです。それではどうぞ。


第六幕 将軍との謁見と驚愕の事実

 

京で蔓延っていた裏取引を検挙した祐希とクニナガ。その際にクニナガが怪我をしたので将軍ヨシテルの好意により二条城へと足を運ぶことになった。

 

二条城の固く閉ざされた門が開き城の中へと招かれた祐希とヨシテルにお姫様抱っこされているクニナガ。

 

一先ず傷を診るとの事で薬草が保管された医務室と言える場所までをクニナガを連れていく。

 

「此方が傷に良く効く薬草がある部屋です。」とヨシテルが先頭で部屋へ入る。

 

「私も全て把握しているわけではありませんが、大体どれが効くかは判りますので安心してください。」

 

「ヨシテル様ここからは私が処置いたしますので少し御休みになられては。」

 

「ありがとう。ミツヒデ。しかし彼女は義昭の命の恩人。ならば姉である私が治療をすべきだと思います。」

 

「しかし。」

 

「ミツヒデ殿 俺も多少の医術の心得はあるから任せてはくれないか?」

 

「ミツヒデ殿。ヨシテル様のお気持ちもありますし此処はお任せしても宜しいのでは?」「ユウサイ殿……判りました。」

 

「心配してくれてありがとう。ミツヒデには義昭のことをお願いしても宜しいですか?」

 

「かしこまりました。失礼致します。」

 

「ではヨシテル様。私も職務に戻らさせて頂きます。祐希殿ヨシテル様を頼みます。」

 

「あぁ任せとけ。」

 

「ではクニナガ殿、包帯を取りますね。」「ありがとうございますヨシテル様。」

 

「診たところ其処まで深い訳ではないし肩から腕に流れる神経も問題なさそうだ。」

 

祐希は薬草を合わせた塗り薬があるかをヨシテルに効くと保管されていた容器をヨシテルが持ってきた。

 

「それでは塗りますね。多少染みますが我慢してください。」「ッツ」

 

そうして塗り終わり祐希が取り出した細胞組織を活性化させて治りを良くする術式を込めた包帯を出しそれをヨシテルが巻いていく。

 

「これで大丈夫ですね。後は傷が癒えるまで何度か包帯を巻き直してください。」

 

「お風呂も出来る限り、左肩を熱しないようにすれば入っても問題ない。包帯は水も弾くものだからそのままで大丈夫だ。」

 

「ありがとうございました。貴重な薬を私のために。」

 

「感謝するのは私の方です。義昭は私にとって唯一の家族です。それを救ってくれた方には最大限の礼を尽くさなければ将軍としても姉としても恥ずかしいことです。」

 

「ヨシテル様は立派ですね。お若いながらも家臣にも慕われていて。」

 

「私は良い家臣に恵まれました。しかし、前将軍から遣えるものからすれば私はまだ未熟者です。」

 

「人間誰しも最初から何でも出来るなんてあり得ないんだ。大事なのは学ぶ姿勢と自分自身が何をしたいのかを考えることだと思うな。」

 

「自分自身が何をしたいかですか?それは将軍としてではなく私個人のものでしょうか?」

 

「こればかりは自分で気付かないといけないことだ。他人の考えで出す答えよりも自分自身が出したことなら納得も出来るしな。敢えて言うなら他の戦国乙女に会ってその姿勢を見るのも有りかもしれない。人間誰しも考えは異なるからそれを聞いた上で答えを出したらいい。幸い時間はまだまだあるだろうしな。」

 

「祐希殿。ありがとうございます。」

 

「……ワタシニハジカンナンテソンナユウチョウナコト…」

 

「?クニナガ殿どうされましたか。」

 

「いえ何でもありません。」

 

「そうですか。お二人とも日も暮れて来たので城で寝泊まりしてください。それからお二人をもてなしさせて頂きます。此方へどうぞ。」

 

「ありがとうございます。ヨシテル様。」

 

「(……さっきのクニナガの言葉…近い将来何か不吉なことが起きるか知ってるみたいにも感じられるな。)にしても遠目から見るとあの二人まるで姉妹みたいに見えるな。」

 

そうして日も暮れて夕食の時間となる。京の都で取れた野菜や山菜に魚や鹿肉等が出され、クニナガがご飯を10杯程お代わりして驚かれたり等あったが何気無い話で過ぎていった。

 

そして、様々なことがあって疲れている義昭を布団へ寝かせにいったヨシテルが将軍の間にて話をしたいと言い、クニナガ、祐希とユウサイ、ミツヒデを将軍の間へと誘った。

 

「まずは今一度義昭を救ってくださりありがとうございました。」

 

「ヨシテル様。私は人として当たり前のことをしただけです。」

 

「その当たり前のことを出来る方は少ないものです。だからこそ聞きたい。貴女方はどう言った目的でこの京の町へ来たのでしょうか?」

 

「どういう目的とは?」

 

「数日前から幕府でも頭を抱えていた作物の被害が減りました。村人から話を聞くと刀を持った青年と少女の二人組が助けてくれたと言いました。これは貴女方ですよね。何故その様なことを?」

 

「作物が取れないことで、貧しい村人たちの生活がこれ以上困窮しないようにしたいと言う善意と少しの打算がありました。」

 

「善意は解りますが打算とは?」

 

「ヨシテル様に謁見し話をしたいと思っていました。幕府で頭を抱えていた問題ならばそれが解決したなら必ず調べると思っていたので。」

 

「成る程。それで私に話しとは何でしょう?」

 

「ヨシテル様。お待ちを。義昭様を助けていただいた手前ですが素性の分からぬ者の話しを聞くのは危険では?」

 

ミツヒデの指摘にクニナガはそれもそうかと納得する部分があった。素性がわからない者と将軍が話すかとなど普通は有り得ないことだからだ。しかし彼女の思っていないところから擁護する声が。

 

「ミツヒデ殿。確かに彼女らは素性がわからないかもしれませんが少なくとも善人であることは間違いありませんよ。」

 

「ユウサイ殿。何故断言出来るのですか?」

 

「それは彼女が祐希殿の連れだからと言うのが一つです。私は半年前に祐希殿に助けられました。そうでなければ今頃私ではない私が居たかもしれません。それに彼女の目は純粋な目をしています。覚悟を決めた力強い瞳です。何かあれば私が責任を取ります。」

 

「ユウサイがここまで言うのです。ミツヒデわかってくれませんか?」

 

「ヨシテル様。入らぬことをしました。申し訳ありません。」

 

「良いのです。貴女は私を心配してくれただけのこと。謝る必要はありません。クニナガ殿貴女が私に会って話したいこととは?」

 

「私が話したいことは3つあります。まずひとつはヨシテル様はカシン居士というものを知っていらっしゃいますか?」

 

「カシン居士?聞かぬ名前ですね。」

 

「ヨシテル様。お話を遮ってしまい申し訳ありません。しかし彼女に聞かねばならないこと故、宜しいですか?」

 

「ユウサイ。貴女はもしやそのカシン居士を知っているのですか?」

 

「知っていると言うよりも半年前私はカシン居士に殺されかけました。いえ、乗っ取られ掛けたといった方が宜しいでしょうか。」

 

「乗っ取るとは一体?」

 

「カシン居士は言うなれば世界を滅ぼそうと古い時代から生き続けている存在です。訳合ってある方を守るため、私自身カシン居士を滅ぼそうと身体のなかに入れました。しかしカシン居士は私の意識を消し私に成り済まそうとしたのです。もし乗っ取られていたら、ヨシテル様方を危険に晒していたことでしょう」

 

「ユウサイさん。今の貴女はカシン居士に乗っ取られていないと言うことでしょうか?」

 

「えぇ。幸い寸前に祐希殿に救われました。あと少し遅ければどうなっていたことか。」

 

「どうやら貴方にも御礼をしなければならないようですね。私の家臣を助けていただいたこと深く感謝致します。」

 

「頭をあげてくれ。偶々そこにいてユウサイ殿を助けられる術を持っていただけのことなんだ。」

 

「祐希はどうやってユウサイさんを助けたの?カシン居士は肉体を持たない幽霊みたいな存在なのに。」

 

「それはこれを使ったのさ。」

と取り出したのはおふだである。

 

「これは札ですか?」

 

「只の札じゃない。とても強い対魔の力、邪悪を祓う事が出来る札なんだ。これでユウサイ殿からカシン居士を切り離したんだ。普通の札よりも丈夫でかつ高威力だけどそう何枚も作れるものでもないから貴重ではあるけどな。そして追い出したあとこれに封じた。」

と厳重に蓋をされた瓶を取り出した。

 

「この瓶が割れるでもしない限りカシン居士は復活はしないはずだ。」

 

「そうなんだ。良かった。」

 

「クニナガ殿。貴女は何故カシン居士を知っていらっしゃったのですか?あれは我々の一族の中でも限られたものしか知らない存在であるのに。」

 

「その質問は最後に説明します。なのでそれまで待っていただけませんか?」

 

「分かりました。」

 

「カシン居士については分かりました。クニナガ殿がその危険を伝えようとしたかとも。」

 

「私もカシン居士については安心しました。まさか祐希が解決してたとは思わなかったけど」ツーン

 

「悪かった。まさかカシン居士のことだったとは知らなくてな。」

 

「まぁいいけど。」

 

「話しを戻して。二つ目の話です。」

 

「ヨシテル様は死を振り撒く呪いの桜をご存じですか?」

 

~クニナガサイド~

「死を振り撒く呪いの桜をご存じですか?」

祐希がカシン居士を封じていたことは正直驚いたけど、前の時と違ってユウサイさんが味方なのは正直有難い。魔法のこともそうだが彼女は知識が豊富であるから色々知りたいことを知っているかもしれない。悩みの種が減ったことを考えれば嬉しいことでもあり心配事が減ったことでやれることが増える。

 

「桜は分かりますが……呪いの桜ですか。曰く付きの桜の事でしょうか。私も京の町に長くいますが聞いたことがないですね。ミツヒデとユウサイはどうですか?」

 

「申し訳ありません。私もその様なことは聞いたことがないですね。」

 

「私も分からないですね。」

 

「そうですか。」

残念ながらどうやら収穫は無いようだ。何か情報を得られればと思ったが、そう簡単にはいかないか。

 

「その桜はどういうものですか?」

 

「私も詳しくは知らないんです。でも分かるのはその桜に触れると生命力を奪われて死に至る恐ろしいものぐらいしか……」

 

あの桜の力がなければあの人も死ぬことはなかった。クニナガは知らず知らずの内に手に力が入る。

 

そうして話しを終わらせようとした時。

 

「その桜の呪いは無差別で死に至るまでにどれぐらいかかる?」

 

祐希がそう聞く。

 

「無差別で少し触れるだけで数日寝込むこと、桜に触れ続けるとその場で死ぬ。」

 

そう言うと祐希は上を見る。

 

「祐希殿はその桜を知っているのですか」とヨシテルは尋ねる。

 

「確証がないんだがもしかしたらっていう推測のものになる。」

 

それは今まで手がかりを得られなかった物に手が届いた瞬間だった。

 

「それでも良いの!!お願い教えて!!!」

今までのクニナガを知っている祐希はとても真剣で藁にもすがる思いをするクニナガに言葉を紡ぐ。

 

「その前に将軍さん。西行法師という歌人を知っているか?」

 

「西行法師でしたら知ってます。今も京では彼が残した歌は有名です。」

 

「西行法師が亡くなった理由は分かるか?」

 

「確か身体が桜へ向いて倒れてそのまま眠るように亡くなったと書物にありました。」

 

「西行法師に娘が居たっていう話しは。」

 

「西行法師には娘が一人居たとあります。彼女については色々謎があって西行法師が亡くなった次の年に突然居なくなってしまったらしいです。」

 

「十中八九決まりだな。縁っていうのはバカにできないな。」

 

「祐希殿。勿体振らずに教えて戴けませんか?」

 

「あぁ済まないユウサイ殿。その呪いの桜は西行妖だと思う。」

 

西行妖それが呪いの桜の正体。

 

「西行妖は人の生気を吸って成長する妖怪桜。多分だが西行法師とその弟子たちそこに住む住人まで手当たり次第に生気を吸っていった。記録がないのは多分だがそれを知るものがいない内に封印されたからだろう。」

 

「祐希殿。貴方は何故其処まで詳しく知っていらっしゃるのですか?私も色々な書物を見てきましたが知りませんでした。まるで実際に見たようです。」

 

「将軍さん。まるでじゃなくて実際に見たことがある。此処とは違う場所で。」

 

「祐希どうすればその桜を消滅させられるの私はもう二度と大切な人を喪いたくないの!」

 

「一先ず今の西行妖は封じられている状態だ。だから封印が解けなければ無害なだけだ。もし解けたときは俺が何とかする。」

 

「でもそれでもダメなら。」

 

私はあのとき庇われた。そのお陰で今も生きている。しかし自分には桜に対処できる力がない。祐希には色々世話になった。私の勝手に付き合わせてもし万が一死んでしまったら。私のせいで ワタシノセイデ

マタシナセテシマッタラ。

 

その時クニナガの頭に手をのせた。

 

「クニナガ。お前の過去に何があったかは詳しくは知らない。お前の気持ちがどういう物かもわからない。だけど、俺は約束は破らない男だ。だから信じてほしい。」

 

「本当に?祐希は私の前から居なくならない?私を置いてかない?」

 

「あぁ。約束だ。お前を一人にしないと誓うよ。」

 

「ありがとう。本当にありがどうぅ」

 

今まで自分一人で本当に出来るかわからない不安と自分の性で誰かが傷つかないかの恐怖があったクニナガは初めて安堵し祐希の胸の中で涙を流す。

 

そうしてひとしきり落ち着いたクニナガは自分の秘密を打ち明ける。

 

「ごめんなさい。話しを途切れさせてしまって。」

 

「いいえ。貴女の気持ちを知れて良かったです。気にしないでください。そして最後の話しとは?」

 

「私のことです。私が何故カシン居士を知っていたのか。呪いの桜のことを知ってたかそれは…」

 

 

「私が時を越えて未来から来た存在だからです。」

 




あとがき
待ってる人がいるかはわからないですが第六幕やっと投稿できた月光です。
社会人になり仕事の忙しさで執筆作業が中々進まず気付けば前回から2ヶ月経ってました。今回で漸くタイトルの時を越えし乙女がクニナガのことだと判明しました。因みに彼女はある存在の未来の姿になります。その正体はまた次回以降で。

そして東方で幽々子が亡霊になった原因の西行妖。公式では言及されてませんが小説内では西行法師の娘とさせてもらいます。因みに戦国乙女の世界には幻想郷がありませんので西行妖は封印されてる状態で何かに守られているわけではありません。

最後に活動報告でアンケート実施するので協力お願いします。内容は紫を出すか出さないかです。
一応アンケートは1週間で締め切ります。出す場合は西行妖とがっつり関わり出さないなら祐希との会話シーンだけ出します。

次はもう少し早く投稿出来るようにしたいですね。そしてFGO二部4章が何時になるのか気になるところです。今回も読んでいただきありがとうございました。
早速次に取りかかり、はて原稿がない一体どこに? キィィィィィィ
ん?あれはキテルグマ?手に持ってるのは?
( ゚д゚)ハッ! 待ってくれーそれは次の原稿だー。 グゥゥ

続きはキテルグマが巣へと持っていってしまいました。

出雲 祐希 補足
祐希は幻想郷に行ったことがあり、そこで昔世話になった永琳から医療を学びました。永琳には及ばずとも大抵の怪我は治せる腕と知識を持っています。そして博麗神社に定期的にお賽銭を入れているため、霊夢とも知り合いで、(祐希の賽銭でご飯を食べている状態)霊夢からそのお礼に博麗印のおふだを何枚か譲ってもらい、さらに八雲紫とも知り合いそこで西行妖について知ったとのこと。




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第七幕 乙女の嘆きを晴らす光

投稿遅くなり申し訳ありません。待っている方がいれば嬉しい月光です。それでは第七幕始まります。


クニナガから将軍へともたらされたカシン居士の危険そして死をもたらす桜。西行妖そしてクニナガが最後に話した、未来から来た。

 

普通に聞けばあり得ないやピンとこない、荒唐無稽な戯れ言と言っても良いものである。

 

元にヨシテル、ミツヒデはあまりにも壮大なことで一瞬呆けるほどであった。

 

しかしユウサイそして祐希は驚愕と納得の表情をしていた。

 

「クニナガさんもしや貴女は榛名の力を使ったのですか?!」

 

「ユウサイ榛名はお伽噺のものではないのですか?」

 

「詳しい所在は判りませんが、しかし榛名は実在しております。一説では世界を手にするほどの力を発揮するとも言われています。それほどの力ならば時を越えられる可能性はあります。」

 

「ユウサイさん榛名には直接的に時を越える力はありません。しかし榛名には膨大な魔力が蓄えられていました。私にも原理は分からないけど、時と時を繋げることが可能でした。」

 

「クニナガ一つ良いか?」

 

「何?」

 

「酷なことを言うかもしれないが、この世界の未来を変えたとしてもお前の世界は…」

 

「わかってるよ。私の居た世界は救われない。私がこの世界を変えたとしても既に滅びが確定している私のいた未来は変わらない。全て覚悟の上でここに来たの。」

 

「祐希殿どういうことですか?過去を変えるのでしたらクニナガ殿の未来は救われるのではないのですか?」

 

「簡単に言うと選択の違いなんだ。例えば将軍さん、貴女が将軍になるかならないかという選択がある。勿論今将軍になってるのだからなるという選択をしたのだが、もしならないという選択をしていたらというもしもがあったら。それはここにいるのが足利ヨシテルという人物ではなかったかもしれない。その時点で将軍足利ヨシテルはいない未来が固定される。決して交わることのないもしもの世界これをパラレルワールドという。」

 

「そのぱられるわーるどというのは分かりましたがそれとクニナガ殿の未来は何か関係があるのですか?」

 

「滅びが確定してしまった未来とまだ滅ぶかどうか分からない今。クニナガの居た未来は滅びが確定してしまった。それによってどんなに過去を変えたとしても彼女の居た未来は救われない。」

 

「そんな馬鹿なことが。どうにもならないのですか?」

 

「世の中にはどうしようもない出来ないことがある。」

 

「それではあまりにも彼女が「それ以上はクニナガの覚悟を侮辱することになるぞ。将軍さん。「祐希殿…」

 

「良いんです。ヨシテル様。確かに私の居た未来は救われないでしょう。それでも私は皆が笑顔になれるそんな光景が見たいのです。」

 

「今日は遅いですしこの辺でお開きにしませんか?今日の話しを一度整理する必要もありますので。」

 

「分かりました。また明日も話を聞かせてください。」

 

「それでは失礼します。」

 

そう言いクニナガは用意された部屋へと戻っていった。

 

「ミツヒデ、ユウサイ先程の話しどう感じました?」

 

「半信半疑と言ったところです。カシン居士という存在の危険はユウサイ殿が証明している分信じられますがそれ以外は怪しいと。」

 

「私は信じたいと思いますが流石に未来から来たというのは信じることが難しいです。何せ途方もないことです。」

 

「祐希殿貴方は少しの間共に行動をしていたそうですが貴方から見た彼女はどうでしょうか?」

 

「当然全て信じるさ。」

 

「何故そのように?」

 

「クニナガの目は、言葉は嘘を吐いている者がするものではない綺麗な色だった。あとはそうだな。勘だよ。」

 

「勘という曖昧な物を信じるというのか?」

 

「俺の勘はよく当たるからな。話し合いは明日もすることになるから今日は休んだ方がいい。」

 

「そうしましょうか。ミツヒデ、ユウサイまた明日。」

 

「ごゆっくり御休みください。ヨシテル様。」

 

「俺も部屋に戻らせてもらう。また明日も宜しく頼む。」

 

そう言い祐希もまた、立ち上がり用意された部屋へと戻る。

 

クニナガ視点

 

私はヨシテル様たちに未来から来たことを伝えた。本当は誰にも言うことなく未来を変えるつもりだった。伝えたとしても信じられることはないと思っていたこと、そして親しくなってしまえば、また失ってしまったときの悲しみを味わうことになる。

 

そうして私は部屋へと戻ってくる。目を瞑り明日に備えようとするが今日話したことの影響なのか、あの日大切な人を失った記憶が甦る。

 

そうしている内に部屋の襖から声が聞こえてくる。

 

「クニナガ入ってもいいか?」

 

「祐希?別にいいけど。」

 

襖を開け祐希が入ってくる。そして私の近くに座る。

 

「何か用?明日も早いならもう寝た方がいいと思う。」

 

「少し気になったことがあってな。クニナガ、君は本当はもう何人かと共に過去へ来ようとしていた。違うかな?」

 

「なんでそう思ったの?」

 

「まず未来の時間軸と今の時間軸を繋げるもの、榛名の力を制御すること。これらは一人で出来るものじゃない筈だ。ならばもう何人かと共に行動を共にしていたとしても可笑しくないと思ってな。」

 

「確かに私は残った仲間と一緒にこっちに来るはずだった。でも、」

 

「不測の事態がおきてクニナガ一人がこの時代に来たと言うことだな。」

 

私が話していないはずの状況を当てて見せた祐希。そして私は祐希とあってからずっと思っていた疑問を投げ掛ける。

 

「祐希貴方は何者なの?私がいた時代に貴方の名前を聞いたことがない。それに誰も正体を知らない呪いの桜についても知っていた。あの子たち貴方が言うにはポケモンのことも知っていた。古い文献でしか語られなかったあの子たちの正体を知っていた。何故なの?」

 

私が過去に来た目的はカシンの復活の阻止と呪いの桜のことを探るためともう一つ理由があった。

 

「何から話したものか。まず俺はこの世界の人間じゃない。別世界からやって来た異世界人なんだ。」

 

「それはさっき言ってた何とかわーるどとは違うの?」

 

「厳密に言えばパラレルワールドだ。パラレルワールドは世界のもしもという複数の選択が無限に広がるものだ。異世界はそもそも普通に生きていたら絶対に交わらない別世界。言うならば法則の違う世界とも言えるかもしれない。」

 

「じゃあなんで祐希はここに来たの?此処とは何も関係ないんなら。」

 

「ある依頼を受けたんだ。」

 

「依頼?」

「あぁ。この世界で正体は分からないものの膨大な力が時に干渉した。その正体と原因を調べるためにこの世界に来たんだ。今しがたその原因は分かったところだ。」

 

「なんで、」「ん?」

 

「何でもっと早く来てくれなかったの。貴方が来てくれていたら私の居た未来は変わったかもしれないのに。どうして…どうしてなの!!」

 

ヨシテルたちに未来でのことを話して、その時のやるせない気持ちを思いだしクニナガは祐希にぶつける。

 

「私の目の前で主君は死んで、仲間も一人また一人と消えて過去に遡ろうとしたときには私を入れて三人しかいなかった。その二人も私を過去に送るために犠牲になった。私の居た未来は絶望しかなかった。私は只皆が笑えるそんな世界が欲しかっただけなのに、その願いも叶えてくれない。私には未来を変えるしか生きている意味なんて」

その時祐希がクニナガを自身の胸の中に抱きしめる。

 

「済まなかった。クニナガがどれだけ苦しかったのか。俺には想像することしか出来ない。それでも生きる意味がそれしかないなんて寂しいことは言わないでくれ。クニナガを送り出した仲間はきっと未来を変えて欲しいということ以外にもいつか心から笑えるようになって欲しいと思って送り出したかもしれないんだ。」

 

「でも私にはそんな力なんてない…送り出してくれた二人の方が、力があった。」

 

「もしかしたらその二人は力だけではどうにもならない事態なのをわかっていてクニナガを送り出したんだろう。」

 

「力がないと未来を変えることなんて!」

 

「クニナガ、お前は未来を変えるという強い意思と人を思いやれる優しい心を持っている。その二人はそれに賭けたんだろう。」

 

「でも…私一人で」

 

「クニナガは一人じゃない。少なくとも俺はどんなことがあってもお前の味方になろう。今日話した将軍さんだって味方になってくれる筈だ。」

 

「それでも未来を変えられなかったら…」

 

「約束する。絶対に未来を変えて見せると。だからクニナガ遅れてしまった俺に君の手伝いをさせて欲しい。」

 

「ほんとうに 本当に信じていいの?」

 

「あぁ勿論だ。」

 

「私寂しかった。」

 

「あぁ」

「本当は皆ともっと一緒にいたかったっ。もっと何気ない明日を過ごしていたかった。」

 

「あぁ。」

 

「私は皆と一緒に笑い合える明日が欲しかっただけなのに。それがあれば私には満足だった。」

 

「クニナガはよく頑張った。だから今は眠るといい。」

 

「祐希、ありがとぅ……」

 

「眠ったか。心の傷はそう簡単には癒えない。どうしても時間が解決するのを待つしかない。色々な世界を救ったが目の前の一人救えないのはやるせないな。」

 

そうして祐希は自身の部屋へと戻ろうとしたがクニナガが服をぎゅっと握って離れなかった。

 

祐希は諦めて四次元バッグから布団を取り出し、そのまま敷くとそのまま横並びになるように寝る。

 

「いつかクニナガが心から笑えるようなそんな未来が来るように協力するからな。」

 

そうして京の都での一日が過ぎていく。

少女の心からの叫びを祐希は受け止め前へ進んでいく。

 

その先にあるのは希望ある明日か?絶望の未来か。まだ誰も知らない。




今回も読んでいただきありがとうございます。待ってるかは分かりませんが作者の月光です。独り暮らしのために引っ越しをし仕事もあり、投稿できませんでした。今は少し落ち着いたので、一月一話のペースで更新できるように努力したいと思います。

さて今回で京での町の出来事の前半部分は終了となります。後半は西行妖についてと未来で何があったかを中心にしていこうかと考えています。それが終わり次第原作の方に入りたいと思います。

そしてFGOではギル祭がまた開催になるので楽しみです。ボックスで秘石をGETしまくってスキル強化をしないとです。夏の水着は武蔵、カーミラ以外は当たりメルトをスキルMAXフォウくんも金以外は詰め込み聖杯を2つ使い、100まで使うか未だに迷うところです。にしても聖杯でご飯とは、武蔵は予想の斜め上を行って面白かったです。そして沖田さんの水着おめでとう。……性能が少し使いづらいけれども(笑)

それでは皆さんこんな小説ですが次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。

さてと原稿を厳重に保管してと
ん?可笑しいな。さっき金庫に閉まったはずなのに?

ヌゥー マグッ

あれはヌイコグマ?!しかも手に持ってるのは原稿じゃないかΣ(゚Д゚)

グゥーグッ マグー

しかもキテルグマに渡しただとぉ
Σ(゚◇゚;)

キィー マァーイマァーイマァーイ!

巨大な凧と一緒に飛んでった。
待ってくれ~

おまけ
4th-G概念核 ムキチ

植物に命と意思を与える概念を有した世界
アフリカ神話の原型とされるGで、Low-Gではアフリカ、神州世界対応論では九州にあたる。

太陽としての機能を持つ恒星を中心に3つの環状大地が回転する構造の世界で、環状大地は概念核によって動物化した植物で覆われ、環状の内側には川が流れていた。
各大地で生態系に差異が生じると他の大地の交差時にそれを交換し、生態系を均一化というシステムを有していた。
4th-Gには人類が存在せず、概念により動物化した植物、終わりのクロニクル世界の、草の獣のみが住んでいた。

4th-Gは生命力と治癒力は高かったものの戦闘力は皆無であり草の獣に侵略する意思もなく、滅ぼそうにも概念核を有するムキチを捕らえる事が出来ず、他Gは4th-Gへの侵略を除外したため概念戦争中数少ない平和と言えるGであった。

その中で佐山御言の祖父、佐山・薫だけはムキチの正体を見破り、ある約束を結び、それが果たされた後にはLow-Gに協力するよう交渉した。薫は約束を果たす事が出来なかったが、ムキチは「彼の眷属がいつか約束を果たせば良い」とし、彼等の庇護に入り、草の獣と共にLow-Gへと移住し、4th-Gは滅びた。

一にして全。全にして一とも言える。全ての草の獣が滅びない限り不死身であり、個としての意識より全体の意識が一つになっているような状態。

例えば佐山・薫と佐山・御言の二人を同じ佐山なので佐山と呼ぶこと、個人の判別ではなく全体での認識になるといった感じである。


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第八幕 闇夜に咲く死の桜

ポケモン盾、FGOをやっていて遅れました。

第八幕になります。

どうぞごゆっくり。


第八幕 闇夜に咲く死の桜

 

クニナガはヨシテルたちに自らが未来から来た存在であること、そして未曾有の被害を出した呪いの桜、西行妖について語った翌日。

 

クニナガside

 

クニナガは夢を見ていた。それはまだ自身の主君が生きていたとき領地の大きな祭りが開かれた時。主君がポツリと皆で祭りを楽しみたいものだと溢したその言葉に私はきっと未来で叶うと自信をもって言った。

 

その数年後に世界は終わりを迎えようとしていた。私たちは必死に足掻いたがそれでも一人また一人仲間が減り遂には私を含め3人しか残っていなかった。

 

世界は闇に包まれ、何故こんなことになってしまったのか。私のささやかな願いすら叶えてくれないのか。神がいるのならどうか……

 

ふと目を開ければ誰かの胸板だった。上を少し向くとこの時代に来てから行動を共にしている祐希の顔があった。

 

未来世界では男性と関わりもなく主君と天下統一を目指していたので間近で見る胸板というのは刺激が少し強く、顔が熱くなっていた。

 

そして昨夜の出来事を思いだし更に顔が熱くなる。

 

「(どどど、どうしよう。私昨日祐希に……あうあう、抱きついて何だか安心してそのまま。あの方と同じみたいに安心したなぁ。ってそうじゃなくて男の人の胸板って凄い厚いし何だか守ってくれるんだなと思っちゃうし、もうちょっとこのまま……zzZ)」

 

そうして起こしに来た細川ユウサイが見たのは仲良く眠る祐希とクニナガの姿であった。後にユウサイは昨日はお楽しみでしたかな?と冗談めいたことを言い、クニナガは必死に弁明したとかしなかったとか。

 

 

朝食を食べ終わり今一度大広間に集まった一同。その中には昨日はいなかった男が一人混ざっていた。

「将軍さんそちらにいる御仁は一体?」

 

「此方は家臣の松永弾正久秀。幕府の中でもキレ者で今回のことで知恵を借りたいと思い呼びました。」

 

「ヨシテル様の家臣、松永弾正久秀と申す。そなたらの事情は大まかではあるがヨシテル様から聞いた。私個人としては信用しても良いものか半信半疑ではあるがもしその話が本当であるならば幕府にも悪影響が及びかねん。最悪のことも視野にいれ私も話に加えさせてもらう。」

 

「よろしく頼む。松永殿。」

 

「よろしくお願いします。」

 

「クニナガ殿、昨日の話しを聞き私は貴女を信じようと思います。これは幕府の将軍としてではなく一人の戦国乙女としての判断です。なので、幕府全てを動かせませんが個人的に協力をさせてください。」

 

「ヨシテル様、ありがとうございます❗」

 

「早速ですが、その西行妖が封印されている場所が何処なのかを推測していこうと思います。」

 

松「まずこの京にある桜は東西南北合わせて最低でも100本程ある。しらみ潰しに探すにしても、ここまで沢山あると時間が掛かりすぎてしまう。そこで西行法師が生前何処に住んでいたかで絞り込む。」

 

ミ「西行法師が住んでいたとされる場所の候補はバラバラではありますが全て東か北の方角に集中しております。この事から西行妖もこの二つの地域の何処かにある可能性が高いでしょう。」

 

「それなら2手に別れて捜索した方がいいかもしれない。」

 

「その場合の組み合わせてしては、ヨシテル様、クニナガ殿、ミツヒデ殿 そして祐希殿、松永殿、私ユウサイの組み合わせが一番良いでしょう。」

 

「成る程。確かにこの編成ならば仮に西行妖を見つけたとして、その場所が何処なのかとその場で幕府としての判断も出来ること、そして西行妖を知っていてどんな感じの気配かも分かるクニナガと俺を分ける良い編成だろう。」

 

「仮に西行妖を見つけても、直ぐに対処しようとする前に、相手側に位置を知らせるようにしてください。」

 

「それならこの通信札を三枚そちらに渡しておく。こいつは霊力や魔力を流すことによって同じ札を持っている同士で連絡を取れる物だ。」

 

「確かにこれならば、一々そちらに確認を取ることなくその場で判断を仰げますね。」

 

「それから保険でこれも渡しておく。急ぎで作ったから一人一つしか作れなかったが、ないよりはマシになる。」

 

そう言い祐希は守護と文字を刻んだ概念の宿った賢石を手渡す。

 

「祐希これってなに?只の石にしか見えないけど。」

 

「それを持っていれば、一度だけであるがあらゆる災厄から身を守ってくれる優れものだ。あくまでも調査だけとはいえそのまま戦闘になる可能性もある。持ってて損はないさ。」

 

「出雲殿、貴方の分はどうなさった?私が来ることは貴方も聞いていなかったはず。ならば必然的に貴方が持っていた物を渡したと推測するが。」

 

「まぁ念のため作ったが、俺は元々持ってなくてもある程度のものは防げるからな。それよりも俺以外が持っていた方がいいと思ってな。」

 

「フム、それなら良いのだが。」

 

「話しも纏まったことなので、行きましょう。」

 

そうして祐希、クニナガ一行は西行法師が住んでいたとされる場所の候補を巡る。

 

二手に別れ、文献からの情報や昔の言い伝えなどを参考にしながら探すものの、見つからず数日が経過した。

 

一同は城に戻り経過を互いに報告しあっていた。

 

「中々見つからないものですね。これだけ探したのにまだ目星がつかないとは。」

 

「流石にこれだけ探してないのでは西行妖の存在があるのかも疑わしいものになってしまうな。」

 

「ミツヒデないと決まったものではないのですよ。」

 

「分かっております。しかし………300年も昔の事なのです。時間が経ちすぎているのと西行法師の住居のことも不明な点が多いのです。」

 

「明日探して、成果が得られなければ一度探索は中止にして時間をかけるしかないのではと私は思います。如何ですかヨシテル様。」

 

「そうですね。松永とユウサイは幕府の仕事もあるので無理強いは出来ません。その方針で行きましょう。」

 

そうして解散した一同。

 

その夜

ヨシテルはふと目が覚め、庭園のある場所にやって来た。そして人影が見えその人物に声を掛ける。

 

「眠れぬのですか、クニナガ殿。」

 

「ヨシテル様……」

 

「良ければ少し話しませんか?」

 

そう言い、城の縁側に腰掛ける二人暫く無言の時間が続くがクニナガが話し出す。

 

「ヨシテル様すいません。私が場所を覚えていたらこんな手間をかけずにすんだのに。」

 

「何を言うのです。私が協力すると決めたのです。どんなに時間が掛かろうと、探しだしますとも。」

 

「ヨシテル様は私を疑わないのですか?私が嘘を言ってる可能性もあるのに」

 

「確かにその可能性は考えました。でも最初から嘘だと決めつけるのは良くないと思いますし、それに…」

 

「それに?」

 

「騙されたとしたって構わないんです。だって、一緒に過ごした時間は嘘ではないのですから。ここ数日貴女といて人柄は何となく分かりました。不器用ながらもお人好しで子供好きな良い人だと感じました。」

 

「それだって貴女を騙す演技かもしれませんよ。」

 

「それだったら最初に会ったとき、私を背後から襲っていたでしょう。それに貴女は怖がりいいえ、何かを恐れているように思います。元に私たちと少し距離を置いているそんな感じがします。」

 

「…それは」

 

「やはり失うのは恐ろしいですか。」

 

「私は主君も友達も何もかも亡くしました。未来の時は戦わなければ生き残れないほど苛烈でした。失った悲しみを考えることも出来ないほどに。でも過去へ来て様々なことを考えるようになりました。あの時の私の判断が早ければ、あの時にこうしていれば考えれば考えるほど答えがでないまま時が過ぎていく。だから」

 

「親しくなりすぎないようにしているですか」

 

「はい。我ながら自分勝手ですよね。」

 

「そんなことありません。確かに世界を救うと言うのは大事なことです。」

 

ギュッ

隣に座るクニナガを横からソッと優しく抱きしめるヨシテル。

 

「貴女はずっと自分を責めてるのですね。世界を救う前に自分を大事にしないとダメですよ。」

 

「ヨシテル様…わ私は、主君に庇われて友達にも庇われて今を生きています。私は自分が許せないんです。私がもっと確りしていれば、そう思わずにはいられないんです。」

 

「そうですか。貴女が自分を許せるその時まで、出来る限りのことをさせてもらいます。いつか自分を許せたらお祭りを開いてお祝いしましょう。」

 

「ありがとうございます。…ヨシテル様少しお願いがあるのですがその今日だけで良いので一緒に寝ても良いですか?」

 

「えぇ構いませんよ。」

 

そう言い寝室へと二人で戻り、そのまま就寝する二人。

 

翌日部屋にやって来たミツヒデが見たのは仲良く眠る姉妹のような二人であった。

 

翌日、再び捜索を再開した一同。

 

そうして探すうちに正午を過ぎ、夕方に差し掛かろうとしていた。成果がないままかと思いきや、この日は違った。

 

「あれ、ヨシテル様どうなさったのですか?」

 

クニナガ、ヨシテル、ミツヒデが調査しているとき、声をかけられた。

 

「ソウリン今日はどうされたのですか?」

 

「今日は京で新しい聖書が届くと聞いたので、来たのです。所でそちらの御方は一体?」

 

「此方はクニナガ殿です。彼女には弟を助けていただき今は城へ滞在してもらってます。クニナガ殿こちらは大友ソウリン。私の友人で、幕府を支援している豊後の大名の一人です。」

 

「初めまして、クニナガと言います。豊後からはお一人でこられたのですか?」

 

「えぇ。私の留守は家臣の方に任せたので安心して此方まで来たのです。」

 

「そうだったのですね。」

 

「そうだ!ヨシテル様豊後でもらったカステラ皆で食べませんか?」

 

「そうですね。ここら辺で一度休憩しましょう。」

 

「ヨシテル様私、休息にピッタリな場所を知ってるんです。この間たまたま見つけて、凄く過ごしやすそうだったんです。」

 

「それではそちらに行きましょう。」

 

そうして歩くこと10分ほど。丁度京の北東に当たる場所にポツンと屋敷が建っていた。少し古びた感じのする屋敷で更には人が住んでいないのである。

長く将軍として京に住んでいるヨシテルも知らない屋敷であるためソウリンに聞く。

 

「ソウリンここは一体?」

 

「私たまたま見付けたんですけど、人も来なくて、一年中涼しいので休憩にはもってこいなんです。この間掃除をしたので縁側で食べましょう。」

 

そうして庭先へと向かうとそこには庭と〆縄とお札が張られた大きな木があった。

 

「ッ!!まさか…ここにあったなんて。」

 

「クニナガ殿もしや…」

 

「はい。この嫌な感じ多分そうです。」

 

「早速連絡しましょう。」

 

そう言い離れたところで祐希たちへと連絡をいれるミツヒデ。

 

「ソウリン。少しここから離れましょう。カステラは城で食べましょう。」

 

「どうしたのですか?ヨシテル様。」

 

「ソウリンさん事情は後程話します。今はここから離れましょう。」

 

少し離れたところへ移動する一同。

 

「祐希殿に連絡を入れたところ此方に向かうとのことだ。直ぐに行くとは行っていたが、彼らは今北西方向の桜を調査している最中といっていた。どんなに早くとも四半刻(30分)ほどかかるだろう。」

 

「そうですか。一先ず目的の物は見付けられました。あとはこの桜をどうするかですね。」

 

「下手に弄れば封印が解けるかもしれないので慎重にした方がいいですね。」

 

「確かにあの木からは良からぬ力を感じます。クニナガ殿貴女の言っていたことは真であった。今まで疑ったこと謝罪させていただく。」

 

「良いんです。ミツヒデ殿、普通こんなこと言われてもすぐに信じることなんて出来ません。それよりもこれからのことです。」

 

「先ずは祐希殿たちが来てからですね。」

 

祐希たちを待つ間ソウリンに簡略的に事情を説明したクニナガたち。

 

「ということはあれを放っておくと大変なことになってしまうと言うことですね。」

 

「そういうことになります。なので早めに見付けられたのは幸いでした。」

 

「待たせたな。」

 

「お待たせしました。ヨシテル様」

 

「無事に見付けられたのですね。」

 

「皆さん彼処の庭先にあるのがそうみたいです。」

 

そう言い全員が庭先に集まる。

 

「こいつはやっぱりそうだな。この力そして封印の仕方からみて西行妖でまず間違いないな。封印が弱まっている気配はないが念のためもう一重封印を張った方がいいな。」

 

「でしたら私も協力しましょう。結界の類いは私も使えますからね。」

 

そう言い祐希、ユウサイの二人がかりで封印を張ろうとする。

 

その時、

 

「それは困るな。」

 

とどこからか声がした。

 

「何者だ?」

 

「その力は我が持つものそれをなくされては困るのでな。」

 

そう言い姿を表す。

 

その姿をみて誰なのか困惑するなか、その中で3人は驚愕する。

 

「バカな。奴は確かに俺が封じたはず。なのに何故ここにいる。」

 

「祐希殿やつを封印した物は壊れていないですよね!」

 

懐を確認する祐希

「壊れていない。どう言うことだ?奴は双子であったとでも言うのか?」

 

「いえそんなことはないはずです。」

 

「そんなまさか…」

 

「よもや貴様が過去へ跳ぶとはな。お陰で此方も苦労したものだ。時を渡った代償に力の大半を消耗してしまったのだからな。」

 

「ッお前は私の時代にいたカシン居士!!!!」

 

「そんなに我が憎いか?」

 

「何を❗お前のせいで世界が滅ぶことになったんだ。お前はここで討つ。」

 

「クニナガさん。落ち着いてください。」

 

「ほう、この時代の将軍か。それに貴様クニナガと名乗っているのか。ここではあえてそう呼ばせてもらうかのぅ。どうだ。クニナガ思い出すであろう。この桜をお前を庇い無駄死にした愚か者を。」

 

「黙れ!!!!私のことをどう言われるか何ていい。でもあの人を侮辱することは許さない!!」

 

「フン、力のないものが何を言おうと無駄なこと。ハァッッ」

 

バリッーンと甲高い音がなる。それは西行妖を縛っていた封印が解けてしまったことを表していた。

 

「フハハハハハハハハッこれで封印が解けた。さぁ西行妖よ。世界全てを滅ぼすのだ。その前にその力を少しもらうとしよう。力の回復に役立つからのでな。」

 

「カシン居士貴様っ」

 

「我の相手をする暇があるのか?これを止めねばこの一体は滅びそれが伝染するように他の国も滅ぶぞ。」

 

「クニナガ。腹が立つが奴の言うとおりだこいつを何とかしないと京の町いや付近の国にも被害が出る。」

 

「そういうことだ。ではなクニナガよ。また誰かに庇われて生き残るか死ぬのか楽しみだ。」

 

そう言い未来のカシン居士は消えていった。

 

「何と言う気配なのだ。しかも距離が離れているのに徐々に我々の体力を奪われていくとは。これが西行妖の力と言うのか。」

 

「急ぎで結界を張った方がいいな。」

 

パンッ

 

そう言い祐希は辺り一体を包むように二重に結界を張り、その場にいた全員を囲むように球体の結界を張り巡らす。

 

目覚め始めた西行妖。

 

死を振り撒く桜は災厄をもたらそうと襲いかかる。

 

果たして祐希、クニナガたちは西行妖を止めることができるのか?

 

 

 

to be continued




あとがき
久しぶりの投稿になります。月光です。
最近はFGOクリスマスイベントやポケモン盾をやっていて遅れました。クリスマスイベントまさか婦長がサンタになるとは最終再臨とてもよかった。

それにしても、中々面白いポケモンが多く良かったです。コオリッポや図鑑説明が面白いドラメシア、ドロンチ、ドラパルト。卵厳選がやはり中々難しい…ミミッキュは6Vが比較的早く出たんですが、コオリッポが中々6V出なくて大変です。

さて今回で西行妖編も次の展開へと進んでいきます。ヨシテルとクニナガの絡み。クニナガの容姿としては薄い金髪にスレンダーな体型です。

なので知らない人からみると姉妹に見えるかもしれないですね。

これ以降ヨシテルはクニナガのことを気遣うようになっていきます。

そして然り気無く原作キャラであるソウリンが参戦しました。これからどう活躍するかはまだ未定です。

そして未来からの来訪者その2カシン居士。
カシン居士は未来から来たものの、強引に時を遡った影響で弱体化をしています。

それでも並みの戦国乙女では相手にならないぐらいの力を秘めています。

西行妖の封印を解いたあと行方を眩ませる。

クニナガの正体を知る者であるがあえてクニナガと呼んでいる。その真意は一体?

次回からは戦闘シーンも取り入れて展開していく予定です。それでは皆さん今回も読んでいただきありがとうございます。

次回の投稿も遅くならないうちに投稿したいと思います。


???
っここは一体?
私は確かあの娘を送り出すためにカシン居士を相手にしてそれから……駄目だ。

そこから先はよく覚えていない。

あの娘は無事に辿り着けたのだろうか?

親友とも呼べるあの娘は……


あら今日はお早い目覚めなのですね❗

朝食の準備が出来てますわ。

早くしないと冷めてしまいますよ。

私は驚いた。何故ならあの世界では死んでしまった大切な人がそこにいたのだから。

そしてその場を去ったあの人を尻目に私は側にあった鏡を覗き込む。そこに写っていたのは若き日の自分であった。

どうやら私は魂だけ過去へと戻ってきてしまったようだ。

to be continued


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第九幕 夜を照らす炎は未来への道筋

今回は早く出せました。第九幕です。
今回で西行妖戦は終了です。
それではどうぞごゆっくり。


西行妖を無事に発見することが出来た祐希、クニナガたち。

 

途中大友ソウリンを加え、西行妖をどうするかを話し合っている中、何とクニナガと同じく未来から来たと言うカシン居士が西行妖の封印を解いてしまい、その脅威が京の町を襲おうとしていた。

 

フゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

 

西行妖は花びらを咲かせ続け辺り一面を花びらが多い尽くすように猛烈な勢いで吹いてきた。

 

結界を張り巡らした中にいる祐希たちは打開策を考えていた。

 

「一先ずこの結界の中ならある程度防げる。あとそこのお嬢さんこいつを持っておくんだ。即席で作ったがないよりはましだ。」

 

「ありがとうございます。」

 

「出雲殿、あれが西行妖の力なのですね。離れていても感じる巨大な力、体感温度も心なしか寒くなっているような。」

 

「辺り一面の生命力を吸ってるんだ。そうなれば周りの気温も一気に下がる。生命力が枯渇すれば死ぬそして魂すらあれは養分にしてもっと成長する。」

 

「もう一度封印しようにもこうも、荒れ狂っていては近付くのも厳しいですね。近づけても、その前に命が尽きてしまう。」

 

「昔の人は一体どうやってあれを封じ込めたというのでしょうか?」

 

「考えれば分かることだ。西行法師の娘さんだよ。」

 

「どういうこと?祐希何でそこで西行法師の娘が出てくるの。」

 

「時期的にもピッタリ合うんだ。いなくなった時期とあれが封印されたのが。多分だが人柱になって命を懸けて封じ込めたんだろう。」

 

「じゃあもう一度封印するなら、」

 

「封印したってまたカシン居士が解いてしまえばいたちごっこにしかならない。ここで、終わらせないといけない。」

 

「しかし一体どうやって…」

 

「あの桜を構成している核を見つけて破壊するか全て残さず燃やし尽くすかないだろう。」

 

「そうですね。出来る限り近付いて確認するしかないですね。」

 

「全員に渡した賢石があればある程度生命力を吸われることはない。だが攻撃を受ければたちまち吸われるだろう。その場合は素早く離れてくれ。」

 

「分かりました。ックニナガ殿大丈夫ですか。」

 

「だ大丈夫です。」ガクガクッ

 

「クニナガ、無理をしなくても良い。あれはトラウマだと思う。それなら」

 

「そんなのはイヤ‼️私の大事なものを奪ったものを前に何もするなって言うの!!」

 

「一瞬の判断間違いが死に直結するそれでも飛び込むか?」

 

「私はあの時何もできなかった。ここで何もしなかったらまた後悔する。もう私は後悔をしたくない!!!!」

 

「分かった。それなら何も言わん。」

 

「祐希殿、そろそろ西行妖が本格的に動き出します。」

 

「分かった。ユウサイとミツヒデ殿は遠距離からの援護を。松永殿は二人に来る攻撃の迎撃を。俺、将軍さん、クニナガは接近しつつ、核を探ろう。お嬢さんえっと大友殿は何が出来ますか?」

 

「槍と大砲を撃てます。」

 

「それなら将軍さんの援護をしてくれ。最後に命を粗末にしないように。帰ったら俺の奢りで好きなもの食べて良いからな。」

 

「祐希殿……まぁ良いでしょう。城に戻ってからのことはこれを終わらせてからにしましょう。行きます。」

 

結界を解いた祐希たちはバラバラに散会する。すぐさま西行妖は無数の枝を伸ばし補食しようとする。それをミツヒデが無数のクナイでユウサイは魔力弾でそれぞれ迎撃する。それでも迫る枝は松永の持つ剣が切り裂いていく。

 

「セイッ ヤァァァァ」

 

ヨシテルは自信の持つ力を用いて高速で動き回り近付いていく。

 

「ハァッッ吹き飛べぇぇー」

 

ソウリンは自慢の大砲で豪快に吹き飛ばしていく。

 

「ハァァァァ 」

 

クニナガも自身の剣に炎を纏わせ枝を斬り時には燃やしながら突き進む。

 

「フンッ オラァァ」

 

祐希は1st-G概念核グラムを使い、時には弾幕を張りクニナガ、ヨシテルの方の枝を処理していく。

 

そうして突き進みある程度近くに接近するものの核のようなものが見付からない。

 

そうしている内に西行妖の攻撃が激しくなり、均衡が徐々に崩れ始める。

 

「クッ数が多すぎる。」

 

ソウリンの大砲を潜り抜け枝がどんどん迫るなか、後方に退避し大砲を変形させスピアにするものの次々と枝が迫りフォローのためヨシテルがソウリンを抱え枝を迎撃する。

 

「ヨシテル様このままではヨシテル様まで危険です。私のことは気にせずに。」

 

「なりません。誰一人欠けることなく切り抜けるのです。」

 

ヨシテルが後方に下がったことによりクニナガへと枝が集中し始める。

 

「ハァァァァ セヤァッ」

 

クニナガも迎撃をするが遂に、

 

ドンッ バリッーン

 

西行妖が放つ枝と共に放たれる弾幕に当たってしまう。

 

賢石がダメージを肩代わりしたものの、一瞬の倦怠感に襲われ体勢が崩れるクニナガ。

 

その隙を西行妖は枝を集合させクニナガ目掛けて放つ。

 

クニナガは交わそうとするが、体勢が崩れていたために対応が遅れる。

 

ザシュッ

 

西行妖の攻撃が当たった。

 

 

しかしそれはクニナガにではなかった。

 

寸前のところで祐希が左腕でクニナガを突き飛ばしたからだ。

 

「グックソッ」

 

「祐希ッッ?!」

 

その代わりに左腕を枝が貫通した。そこから生命力を吸い取ろうとし始めるが、祐希は直ぐ様グラムをしまい右腕に炎を纏わせながら肘から先を斬り離す。

 

プシャャャー

その場に鮮血が迸る。西行妖は祐希の左腕に広がった炎から燃え移った枝を切り離し自身の側に手繰り寄せる。炎が消えてから左腕の生命力を吸おうとしたのだろう。

 

祐希は残った右腕でクニナガを抱え後ろに下がり幅広く結界を張り巡らし、直ぐ様保護魔法を掛ける。

 

ドンッ シュルシュルシュル

 

と結界を削る音が響く。

 

「祐希、いやっ血が。私のせいで、また私のせいで失っちゃう。イヤ、イャァァァ」

 

「祐希殿。左腕がっ!!」

 

「止血と麻酔は同時に掛けた。一先ずは大丈夫だ。」

 

「祐希 ゆうきっ 私のせいで、」

 

「クニナガ無事か?」

 

「私よりも祐希のことだよ。左腕が!」

 

「腕一本でお前を守れたんだ。後悔はない。」

 

「それより祐希殿その腕では戦闘に支障が出る。今ならまだ逃げられるでしょう。体勢を立て直した方が宜しいと思います。」

 

「松永殿の言うとおりです。ここは一旦身を引きましょう。」

 

「このままでは我々全員が殺られるのも時間の問題です。」

 

「祐希殿急いで撤退しましょう。」

 

「いや、撤退は出来ない。西行妖は封印が解けたばかりで力が安定していない。倒すなら今しかないんだ。」

 

「でもそれじゃあ祐希が死んじゃう❗そんなの嫌だよ。」

 

「クニナガ」

 

「私のせいで目の前で死ぬ人を見たくない。だから、」

 

「大丈夫だ。俺は死なん。約束したろ。一緒に未来を変えるって。俺は約束は絶対に違わない。だから信じてくれ。」

 

「祐希……絶対に約束して。死なないって。私と一緒に生きるって。」

 

「あぁ約束だ。絶対に死なない。」

 

「祐希殿、結界が軋んでます。このままでは、」

 

「さてと将軍さん、クニナガ二人とも俺に触れてくれ。」

 

「祐希殿一体何を?」

 

「一時的に俺の持つ力を二人に共有させる。但し二人同時にって言うのは初めてだ。危険があるかもしれない。」

 

「それは西行妖を倒せるものなのですね。」

 

「保証はないがやらないよりはましだろう。」

 

「分かりました。時間もありません急いでやってください。」

 

「私も祐希を信じる。」

 

祐希は二人が触れたと同時に共有し分け与える程度の能力を発動させる。二人に共有させるのはエンテイの加護、命の炎を操る程度の能力、シェイミの邪を払う程度の能力だ。

 

そして共有が終わると二人の身体から炎と白い光が溢れ出す。

 

「これは力が溢れて。」

 

「この炎熱くない。何だか凄い暖かい。」

 

「成功だ。」

 

「ヨシテル様凄い輝いてます。」

 

「何と神々しい。」

 

「ミツヒデ、ユウサイ、松永、貴方達を危険に晒すようなことになり、すみません。こんな私ですが貴方たちに背中を任せても宜しいでしょうか。」

 

「全く。ヨシテル様は甘いです。我々家臣は貴方の手となり足となるべくいるのです。そういう時はもっと堂々と言うべきでしょう。」

 

「松永殿の言うとおりですよ。ヨシテル様私たちは貴方に着いていくと決めたのです。ならば命を懸けることなど当然のことです。」

 

「ヨシテル様は真っ直ぐ進んでください。露払いは我々の仕事です。」

 

「三人とも……ありがとう。」

 

「ヨシテル様私も微力ながら力を貸します。共に戦いましょう。」

 

「ソウリン」

 

「ヨシテル様。」

 

「クニナガ殿」

 

「元々は未来の事情なのに巻き込んでしまって申し訳ありません。本当は私がやらないといけないことなのに。」

 

「いいえ、クニナガ殿それは違います。確かに西行妖が解き放たれたのは未来のカシン居士のせいでしょう。しかしだからといって今の私たちの問題ではありません。私たちの生きている今この瞬間の問題なのです。そこに未来も何も関係ありません。だから共に打ち倒しましょう。」

 

「…はいっ。」

 

「クニナガ、こいつを使え。」

 

ジャキッ

 

「祐希この鞘のついてない刀は?」

 

「そいつは妖刀心渡り。そいつは人を斬ることはできないがそれ以外の存在を斬ることが出来る。」

 

「人以外を斬る……」

 

「さてと先ずは此方から注意をそらすとしよう。」

 

「しかしこれだけ枝が集中しているなかで注意を反らすだなんて。」

 

「出来るとも。偶然にも西行妖の側には俺の腕かあるからな。」

 

「どう言うことなのだ?」

 

「これから使う術は焼け焦げた自身の肉体の一部を媒介にしてでしか放つことが出来ないものでな。使えばどこか欠損する禁術。」

 

西行妖の側で祐希の左腕が膨大な熱を放ち始める。

 

「しかし放たれる威力は絶大なものだ。左腕を取った慰謝料だ。遠慮なく貰っていきな。犠牲破道 破道の九十六 一刀火葬!!」

 

ドン バキバキッ

 

その威力は西行妖その物を大きく亀裂をいれた。

 

此方に向かっていた枝と弾幕も途切れる。そうしてヨシテル、クニナガは西行妖目掛けて走る。

 

西行妖は死に物狂いで弾幕を張るがその全てをクナイと魔力弾、更には大砲が凪ぎ払い、後方の攻撃を辞めさせようと迫り来る膨大な弾幕も剣が切り裂く。

 

そうして二人が西行妖の根本まで辿り着く。

ヨシテルとクニナガは力を貯めて

「これで終わりです。天剣一刀雲斬!!!!」

 

「これ以上私の大切なものを奪わせない。業火破砕!!!!」

 

ザンッ ザシュッ

 

ヴォォォォォォォォォォォ

 

斬られた西行妖は断末魔をあげるかのように、暫く呻く。そして

 

バキッ ドンッバキバキッ

 

西行妖は斬り倒された。そして倒れた木の幹から光が溢れる。

 

パァァァァァァァァァァ

 

無数の霊魂が飛び出し空へと還っていく。

 

「これは一体?」

 

「西行妖に取り込まれた魂が解き放たれたんだろうな。二人に共有した力が西行妖の呪縛を撃ち破ったからこそだな。」

 

「はっヨシテル様とクニナガ殿は?」

 

「私たちは無事ですよ。ミツヒデ。」

 

「ご無事で何よりです。」

 

「皆さんのお陰で京の町は救われました。まだカシン居士の脅威は去っていませんが、この瞬間は私たちの勝利です!!」

 

「祐希。あの…ありがとう。守ってくれて、信じてくれて。」

 

「良いってことさ。良くやったな。クニナガ。」

といい右腕で頭を撫でる祐希。

 

クニナガの視線は自然と無くなってしまった左腕にいく。

 

「祐希の左腕がなくなったのは私のせいだからこれからは私が左腕の代わりをする!」

 

「気にしないでくれ。左腕ぐらいなら直ぐにでも元に戻せる。しかし元の動きの確認としっかり再生させるから3~5日は様子を見ないとだな。」

 

そう言うと全員が唖然としていた。普通腕がなくなったらそのままなのだ。それが5日もあれば再生すると聞けばそうなるだろう。

 

「祐希殿、規格外ですな。普通は左腕は再生しないですぞ。」

 

「まぁこの時代のカシン居士を完全に封印してしまえるくらいなのでまぁ一応納得はしましょう。」

 

「ヨシテル様!!城に戻ったらお祝いしましょう。」

 

「今日のところはもう遅いですから、明日またお祝いしましょう。」

 

「準備は私のほうでしますので、今日は休みましょう。」

 

「ほらっクニナガ行くぞ。」

 

と5人が城へと戻ろうとするので、そのあとを着いていく、祐希とクニナガ。

 

「うん!!祐希っ。」

 

「ん、なん」

 

チュッ

 

「お礼だよ。私の初めてだよ。」

 

と左頬に柔らかい感触を感じクニナガが赤面しながら言いそのまま歩いていく。

 

「こりゃあいつに会ったときの言い訳を考えておかないとだな。」

 

と言いながら祐希も歩いていく。

 

こうして西行妖は倒れた。

 

しかし未来のカシン居士の脅威はまだ去ってない。祐希たちの戦いはまだ始まったばかりである。




あとがき
今回も読んでいただきありがとうございます。月光です。

今回で西行妖との戦いは終了です。西行妖は東方世界でも大妖怪である紫でさえ手出しが出来ないほどの力を持っています。

しかし祐希一人だったらイベルタルの加護の破壊する程度の能力で大規模に西行妖の周りの土地ごと破壊するか流刃若火で焼き尽くすか卍解した大紅蓮氷輪丸の真の力で西行妖の活動を停止させれば一発で終わりです。しかし使えば周りの被害も大きく味方も巻き込む可能性もあるため使いませんでした。

そんな中で、一重に勝てたのは祐希の尽力と化物語で出てくる妖刀心渡り(祐希が改造して怪異以外の人外の存在すらも斬れるしかし人は斬れない。)そしてヨシテルとクニナガが身に纏った力のお陰です。

命の炎を操る程度の能力はポケスペのエンテイの生命エネルギーに溢れた命の炎を使える設定から。悪しき細胞すら焼き尽くすことが出来ることはポケスペのカツラのミュウツー細胞を取り除けることから西行妖の中の死という概念を燃やし尽くした。

更には邪を払う程度の能力はシェイミからの加護になり劇場番の空の花束で反転世界の障気を取り込み浄化していたのでこんな形で能力にしました。

次回かその次くらいで京での話しは終わりにして、番外編を挟んで原作まで時間を進めようかと思います。

クニナガの中の祐希への好感度?が上昇しました。これからの二人の展開はどうなっていくか楽しみにしてもらえると助かります。

前回の最後に出てきたのは未来からの逆行者でクニナガの親友です。今のところ未来から来たのはクニナガ、カシン居士とその一人になります。何となく予想がついている方もいると思いますがネタバレは厳禁ですので悪しからず。

それでは今回も読んでいただきありがとうございました。感想ももらえると嬉しいです。


???
私が未来から逆行してきてから数年がたちます。その間私は今まで以上に自分の力を磨きました。もう二度とあんなことが起きないように。

そうした中、私の大切な人からあるお客が来ると言われ庭先でおもてなしをしていました。

そして私が屋敷を歩いていると頭が真っ白になるほど驚きました。

そこには未来で私の親友だった人が幼い姿でそこにいました。

思わず抱きついてしまい驚かせてしまいましたが、その後お菓子をあげたりして仲良くなることができました。

今度こそこの娘が笑えるそんな世界にしたいと私は改めて決心しました。

そうして私の二度目の生で守りたいものが増えた瞬間でした。

to be continued.


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クリスマス番外編2

クリスマス番外編となります。
それではごゆっくりどうぞ


番外編 Merry Christmas

 

今年もクリスマスの季節がやって来た。

去年と同じく清洲城にてパーティーが行われることになった。

 

去年と違うことはサンタの存在をすでに知っていることとサンタが何者か確かめようということだろう。

 

「さて今回もパーティーなのじゃが今回は」ドン

 

「サンタの正体を知るためにやつを捕まえることじゃ。」

 

「ノブナガ殿それは良いのだが、果たして捕まえてよいものだろうか?」

 

「どういう意味じゃマサムネ。」

 

「捕まえることができたとしても、サンタ殿からの印象が悪くなって来年、最悪今年のプレゼントを貰えるか」

 

「なぁに別にサンタを捕まえてプレゼントを奪うわけではない。」

 

「では何のために?」

 

「去年奴はプレゼントを置いてそのまま去ってしまったからのぅ。貰うだけもらってそのままというのもなんじゃからな。今回は然るべき褒美を用意したのでな。それを渡すだけじゃ。」

 

「成る程。それなら別に大丈夫であるか?その褒美というのは一体?」

 

「それは後の楽しみじゃ。今は儂の部屋においてあるからのぅ。」

 

「なぁノブナガ。」

 

「なんじゃシンゲンよ。」

 

 

「さっきからお前のところの嬢ちゃんが凄いそわそわしてるのはサンタのことでか?」

 

「あぁ。今年はどんなプレゼントだろうかと楽しみにしていてな。更にサンタへ手紙を書いたと言っていたな。」

 

「サンタへ手紙って。それ渡しても来年まで返信を待たないといけなくないか?」

 

「そこは気持ちが届けばよいといっとった。」

 

「まぁ本人が良いならそれで良いんじゃないか。」

 

「ノブナガ殿、先程祐希殿がケーキが出来たと言われていた。」

 

「そうか。遂に出来たのか。いや出来てしまったというべきか。」

 

「ノブナガ殿、覚悟は決まりましたか?」

 

「儂の方は出来ておるが他のものは。」

 

「はい。ヨシテル様、ユウサイ殿は遠い目をしながらも覚悟を決めておりました。ソウリン殿、ドウセツ殿、モトチカ殿も同じく。他の乙女たちはそもそも知らないので覚悟もなにもないかと思われる。」

 

「しっかし祐希のやつ何でもできるって思ってたから正直意外だよな。」

 

「シンゲン殿。確かに普通なら笑い話しになるが祐希殿のそれは一線を越えているであろう。」

 

何故ケーキでこんな話しになってしまったかというと、簡単な話である。

 

祐希が料理をするためである。

 

今話しに挙がったノブナガ、シンゲン、マサムネ、ヨシテル、ユウサイ、ミツヒデ、モトチカ、ソウリン、ドウセツそしてここにはいないクニナガ、松永は皆祐希の料理を食べたことのある者たちだ。

 

何故こんなことになったかというと戦国乙女全員でトランプのババ抜きをしていたのだ。人数が多いので2グループに別れてやりドベから上の三人同士の六人で最下位を決めることになった。

 

参加者はAグループからヒデヨシ、祐希、ユウサイBグループがシンゲン、ヨシモト、クニナガであった。順位は左からがドベである。

 

そうして6人でババ抜きが始まるが、ヒデヨシがとても顔に出るため、他の者たちにとってどのカードが引いていいのかジョーカーを持っているのか分かりやすいためどんどん上がっていった。残ったのはヒデヨシと祐希の二人であった。

 

祐希にとってみれば何てことはないババ抜きなのだが、最下位には罰ゲームが設けられておりヒデヨシとしては負けたくないと思っていた。

 

最初のゲームでは不馴れなこともあり負けてしまい悔しくて泣いてしまったが今回こそはと挑んだものの、残りの手札はジョーカーとあと一枚。祐希は残り一枚。

 

「(ゥウウウ私の所にあるのは最後まであったら負けちゃうのともう一枚。ユーさんはあと一枚であたしのもう一枚を引かれたら負けちゃう…)」

 

「んーこれは嬢ちゃんが負けちまうな。」

 

「シンゲン殿まだ最後まで勝負は分からぬもの。」

 

「いやマサムネ、サルのやつの場合はあれじゃぞ、顔にものすごく出るのだぞ。」

 

「可愛そうですけれども、これは祐希さんが勝ちますわね。」

 

「ヒデヨシ先輩負けちゃうんですかぁ。」

 

「お姉様、ヒデアキさんまだわかりませんよ。」

 

「ならどっちが勝つか賭けるか。俺は祐希のやつに賭るぜ。」

 

「私も今回ばかりは祐希さんにしますわ。」

 

と言いシンゲン、ヨシモト、ミツヒデ、マサムネ、モトチカは祐希にイエヤス、クニナガ、ノブナガはヒデヨシに賭けて他の面々は不参加だった。因みに賭け金は夕飯のおかず一品だった。

 

「ノブナガお前さっき負けるっていってたろ。」

 

「確かに言ったのぉ。じゃが儂がサルを信じないでどうする。あやつならやってくれると思っておるからのぉ。」

 

「家臣思いなことで。徳川の姫さんはどうして嬢ちゃんに賭けたんだ?」

 

「そうですね。それは相手が祐希さんだからです。」

 

「?どうしてそこで祐希殿が出てくるのだ。」

 

「普通の方なら確かにヒデヨシさんが負けるでしょう。でも思い出してください。祐希さんはヒデヨシさんにとても甘いです。それを考えると…」

 

「ユーさん早く引いてよぅ。」

 

「悪い悪い。今引くさ。んーこっちかな」

 

「((;´゚д゚)ゞわわわわ)」

 

「それともこっちか。」

 

「パァーーーーー」

 

「いやあれじゃ分かりやすいだろ。」

 

「まぁそうですね。でも祐希さんは優しい方です。そうなると自然とヒデヨシさんが勝つことになります。」

 

「それはどういう…」

 

「よしこっちだな………おっと上がれなかったかーあぁーザンネンダナー」

 

「おい。すげぇ棒読みだぞ。」

 

「(^o^)わーい。」

 

「さてとほらヒデヨシちゃん引くといい。」

 

二枚の内の片方微妙に上げながら言う祐希

 

微妙に上がった方を普通に取ろうとするヒデヨシ。

 

「それじゃあいっくよー。………ィヤッター上がれたぁ(^o^)」

 

「しまった。そういや祐希のやつ嬢ちゃんに対して結構過保護だった。」

 

「これは祐希さんの性格を考慮しなかった私たちの敗けですわね。」

 

こうして夕飯のおかず一品はヒデヨシに賭けたクニナガ、ノブナガ、イエヤスに軍配が上がった。

 

「勝てて良かったわね。ヒデヨシ」

 

「うん クニナガお姉さん」

 

「さてと罰ゲームは何だ?」

 

「まぁ慌てるな。それはこの用意した箱の中にある紙に書いてあるものだ。」

 

「まぁ取り敢えず引くかな。」

 

ガサガサガサッ

 

「コレだ!!」

 

ドン

 

自分一人で料理してクリスマスケーキを作ること

 

「おっ普通のことだな。良し今から早速作るか。」

 

「待て!!祐希やはりもう一度引き直してくれぬか。」

 

「ノブナガの言うとおりだ。今のは無しだ。」

 

「そうです。今のは箱の中身が悪かったのです。もう一度引き直しましょう。」

 

ノブナガ、シンゲン、ヨシテルが必死に止めようとするものの、

 

「あらっ別によろしいではないですか。殿方の料理など滅多に食べられないのですしこれでよいではありませんか。」

 

「お館様ユーさんのケーキ食べたいです。」

 

「何を慌てているのよシンゲン。別に引き直すほどのことではないでしょう。」

 

「という訳で、作ってきていいわよ。祐希。」

 

「任せとけ。」

 

とモトナリに言われそのまま作りに行ってしまった祐希。

 

「お主ら何ということを!!」

 

「何故ノブナガさんはそこまで動揺してらっしゃるのです?」

 

「逆に何故お嬢は知らんのじゃ。あやつの料理を食べたことがないのか。」

 

ノブナガ、シンゲン、マサムネ、ヨシテル、ユウサイ、ミツヒデ、モトチカ、ソウリン、ドウセツ、クニナガ以外が手を挙げた。

 

「もしや祐希さんは料理があまり得意ではないとかですか?」

 

「いやそれについては大丈夫じゃ味は確かに保証できる。しかし見た目がのぅ。」

 

「祐希が料理してるところを見たことがあるけどそこまで酷くないでしょう。」

 

「モトナリよく思い出してみよ。あやつは一人で作ってたか?」

 

「そういえば側でソーナンスが手伝っていたような。」

 

「そうじゃ。料理するときにはソーナンスのやつが何とかしておったが、さっきの罰ゲームは一人で作ることじゃ。こうなってはソーナンスの手助けもできないのじゃ。」

 

「取り敢えず覚悟だけでも決めておかねば。」

 

「ヨシテル様、我々家臣どこまでも付いていきます。」

 

「ミツヒデ…そうですね。まだ何とかなるでしょう。覚悟を決めれば。」

 

祐希一人が作る料理は見た目がとんでもなくゲテモノに近い。しかし作ったものの中で美味しいこともあれば見た目通りな味の時もあるまさにロシアンルーレットである。祐希が転生前からこれであり転生したあとも直らないものである。

 

その時、部屋にある一匹が入ってくる。祐希のパートナー、ソーナンスだ。

 

「ソォォォォナンス。」

 

「あっソーナンス、ヤッホー」

 

「ソーナンス祐希と一緒じゃないの?」

 

「一緒に待っててほしいと言われたんだ。」ポケモンの声を翻訳してくれる特注の翻訳機を腕に着けているので普通に喋れます。

 

「ソーナンスよ。今回の祐希の料理はどの程度まで大丈夫なのだ?」

 

「ケーキを作るんだったら大丈夫。」

 

「ソーナンス。祐希殿は料理を一人でさせると大抵ロクでもないことになるのでは」

 

「大丈夫ナンス。」

 

「そういえばソーナンスさん祐希さんってお菓子の差し入れするときは一人で作ってるのですか?」

 

「ソォォォナンス」

 

「なら大丈夫だと思います。」

 

「イエヤスさんなんの根拠で」

 

「ケーキも菓子類に入るならきっと大丈夫です。」

 

そうして祐希の手作りケーキを待つことになった戦国乙女たち。

 

そうして冒頭に戻る。

 

そうして夕飯を食べ終わった後にケーキを祐希が運んできた。結構なデカさであるもの蓋をされているためにその全容が分からずどうなっているのかは分からない。

 

「悩んでも仕方なし。ケーキに沈むことになるのであればそれも人生。是非もなし」

 

「ノブナガ様そこまで覚悟を決めなくても宜しいのではないですか。」

 

「徳川の姫よ。儂に何かあればお嬢を頼むぞ。」

 

「駄目ですよ。ノブナガ様将来的にお姉様を任せられるのは貴女だけなのです。そこはお姉様に愛を告白してからにしてください。」

 

「まさかお主が儂に協力的なのは驚いたぞ。儂としてはお嬢を娶るための最終防衛だとおもっとったのだが。」

 

「私はお姉様に幸せになってもらいたいのです。それにお姉様も満更ではありませんし、ノブナガ様ならどんなことがあってもお姉様を守ってくれると信じられますから。」

 

「勿論だとも。儂の目の黒い内は守るとも。」

 

「まぁ後はお姉様次第なのですよね。本当に肝心なところでヘタレるのと恥ずかしさから素直になれないですし。そこが直ればすぐにでも結納を挙げられるのですけれども。」

 

「時折お主は黒くなるのぅ。それと行動力半端ではないのぅ。」

 

「当然です。お姉様周りの家臣たちへの根回しも済んでいますので、何時でも大丈夫です。」

 

「仕事が早いであろう。いつものポヤンとした感じが嘘のようじゃ。」

 

「ノブナガさんにイエヤスさん何時まで話してらっしゃいますの。早く食べますわよ。」

 

「すぐにいく。さて覚悟は決めたのだがどうなることやら。」

 

そう言いながらノブナガたちはケーキのところまでいく。

 

そして共に来ていた。キテルグマこと熊吉が蓋を取る。

 

そこには立派にデコレーションされたイチゴのショートケーキがそびえ立っていた。

 

 

「わーすごーい。ユーさん全部食べていいの?」

 

「勿論だとも。あとお茶と紅茶の2種類を用意したから各自で注いでくれ。」

 

そうして全員にケーキを配り全員が覚悟を決めて食べる。

 

その瞬間口の中に広がるのはスポンジの柔らかさと甘いクリームの味、スポンジの中のイチゴの程よい酸味が更に味を引き立てる。

 

「これは嬉しい誤算であったな。まさかこんなに旨いとは。」

 

「ユーさん凄い美味しいよ。」

 

「おぉすっげぇな。」

 

「まぁ美味しいですわね。イエヤスさんもちゃんと食べてってもうお代わりしてますの?!」

 

「美味しいです。いくらでも食べれます。」

 

「お茶も一緒に飲むと更にまろやかさも加わって良いですね。」

 

「こんなに美味しいと思わず食べすぎてしまいます。」

 

「ヨシテル様、こんな時出ないと食べれないのですから今は食べましょう。」

 

「そうですね。とても良い甘味です。」

 

「まぁたまにはこういう甘いものも悪くないな。」

 

「そうね。普段甘いものなんて食べれないんだから。」

 

「ドウセツ凄く甘いですよ。南蛮のものよりもくどくないです。」

 

「そうですね。ソウリン様、口元にクリームついてますよ。」

 

「イチゴの味も良くて紅茶も合うわね。」

 

「モトナリ様美味しいですね。」

 

「そうね。渋いお茶と飲むといくらでも食べれそうね。でもそんなに食べると太るわよ。」

 

「モトナリ様~」

 

「まぁその時は稽古の量を増やせばすぐにでも戻るのだから気にしなければ良いものだろう。」

 

そうして各々が楽しむ。

 

「祐希珍しいよね。普通の料理作ると見た目が凄いのに。」

 

「まぁそうだな。お菓子とかデザート系は昔良く作ってたからな。」

 

「ふーん。そうなんだ。誰かに作ってたの?」

 

「あぁとても大切な存在にな……」

 

「その人はとても幸せなんじゃないかな。」

 

「だといいな。俺はもう会うことができないからな。」

 

「!ゴメン祐希気軽に聞くことじゃなかったよね。」

 

「いや良いさ。もう過ぎてしまったことだ。だが、出来るならもう一度あの娘に作ってあげたかったというのと話したいと未練がましく思ってしまう。」

 

祐希の言葉にクニナガも黙ってしまう。少しの間沈黙がその場を支配したが、

 

「ユーさん!!」バッ

 

とヒデヨシが背中から抱き付いてきた。

 

「おっとヒデヨシちゃんどうしたんだ?」

 

「えへへ美味しいケーキ作ってくれてありがとう 」

 

「ふふふっあぁどういたしまして。」

 

「ヒデヨシまだまだあるみたいだからちゃんと食べなさい。」

 

「はぁーい」

 

「今はクリスマスを楽しもう。」

 

「そうだね。」

 

「ノブナガさん頬にクリームが付いてますわよ。ほら」と指先で拭うヨシモト。

 

「おぉすまんのぅお嬢。」パクっ

 

………ん?

 

「ののののののののノブナガさん?!!!!!」

 

「なんじゃお嬢。そんなに慌てて。」

 

「わわわわたわたわたくしの私の指先を」

 

「そのままでは勿体無かろう。お嬢お主口の先についとるぞ。」と言い指先で取って自分の口に入れるノブナガ。

 

「カカか間接キスですわアワアワアワ」

 

「いやー旨いもんじゃのう。ほんのりお嬢の味がするようじゃのぅ。」

 

カァァァァァァァァァァァ

 

「あうあうあうきゅぅ」ばたん

 

「あー今川の姫さん倒れちまった。」

 

「まぁ初々しいですね。所で皆さんこちらの苦いお茶も如何ですか。」

 

「利久殿ありがとうございます。とても口の中が甘くてしょうがなくて。」

 

「あれ前が見えない。どうしたの?イエヤスちゃん」

 

「いえまだヒデヨシさんには早いので気にしなくて良いですよ。ふふふっ。」

 

「おぉっとお嬢が倒れてしまったから運んでくる。今回はこれで終いにするとするかのぅ。儂は部屋に寝かしてくるぞ。」

 

そう言いながらノブナガはヨシモトをお持ち帰りゴホン、寝かすために部屋に戻っていった。

 

「まぁ我々もそろそろ休むとしよう。」

 

その言葉を皮切りに各々片付けを始める。ある程度片付けると今回は大部屋でノブナガ、ヨシモト以外が寝ることとなった。

 

 

大部屋で寝ることとなり就寝する乙女たち。その間にサンタに衣装替えした祐希は各布団にプレゼントを置く。

 

更に余ったケーキを保存用のバッグに入れる。

 

「さてと今回は比較的楽で良かったな。ノブナガの部屋にはあらかじめ置いといたし………」

 

祐希は一度外に出た。

 

空に見える月は明るく見守る静かな夜である。

 

「はぁ。オレのあの時の行動に後悔はない。だがそれでも残しちまったあの娘が心配だ。俺がいなくなってからどうなったのか………ミライ」

 

祐希には心残りがあったそれは生前置いていってしまった自身の義妹のことだ。

 

自身に依存してしまっていた義妹。もう会うことができないそんな思いを胸に祐希は生きていく。

 

その時、突然パリーンという音が聞こえ何かに吸い込まれ始める祐希。

 

「なっ何だこりゃ。ヤバいっ」

 

完全に吸い込まれる寸前に短刀にマーキングをして何時でも戻れるように床に投げる。

 

そうして一時的に姿を消す祐希。

 

一方のノブナガとヨシモトは

 

早々と布団に運び寝かせたノブナガ。

 

布団で眠るヨシモトはとても無防備だ。

 

ノブナガはこれからの行き先を考える。ヨシモトと結ばれるのは良い。その後の跡継ぎのことだ。ヨシモトとの間に子をなして共に育てる。しかしそれは女同士では叶わない。

 

考えるノブナガが目線を上げるとそこには何か不思議な瓶が置いてあった。そしてサンタに用意していた褒美も消えていた。

 

瓶と共に置いてあった手紙に目を通す。そこに書いてあったのは、瓶の中身についてだ。要約すると中に入っている錠剤を3粒飲めば自身の思った事が実際に起こるというものだ。例えば男になるなど効果は大体半日ほど続くとのこと。

 

「サンタの奴め。全く、もっと褒美を用意しておけばよかったかのぅ。」

 

そう言いながらヨシモトの方に向かうノブナガ。寝苦しいのか少し服がはだけたヨシモトの唇にゆっくりと顔を近づける。

 

そして自らの唇をヨシモトの唇に当てる。

 

「んぅぅ?んむっ?!ンチュッンン?!?!」

 

「プハァ起こしてしまったかのぅ。すまんなお嬢。」

 

「ノブナガさん?!あれ私今あれ夢?」

 

「何を寝ぼけておる。まだ信じられぬのなら仕方ない。」

 

と言いながら、再度口付けするノブナガ。

 

「ンクチュ チュパ ンン んぐぅ んうぅんうん!!ハァハァ」

 

「ほれ夢じゃないだろう。」

 

「ノブナガさん一体どうされたのですか。」

 

「全くお主は儂を焦らしおって。」

 

「じ焦らしてなんていませんわ。」

 

「儂の気持ちも知らんで、」

 

「へっ?」

 

「儂はお主を好いておるんじゃぞ。」

 

「ボンえええぇぇぇぇぇぇぇ」

 

「なんじゃそんなに嫌か?」

 

「いえそのあの本当に私のことを?」

 

「お主以外おらんぞ。」

 

「でも女同士では叶わないことだってありますわよ。跡継ぎがいないと後々困りますわよ。」

 

「儂もそう思っておったがどうやらサンタというのは気が利くようでな。」

 

と瓶を見せながら説明するノブナガ。

 

「これで何の憂いもない。お嬢良いか?」

 

ヨシモトから声はなかったがコクンと頷きが帰ってくる。

 

「あのぅノブナガさん。」

 

「なんじゃ?」

 

「私最低でも子供は二人欲しいですわ。一人っ子というのは寂しいですから。」

 

「二人と言わずもっとでも良いのだぞ。」

 

「ノブナガさんが望むのであれば何人でも。あっそれと」

 

「ん?」

 

「私初めてなので優しくしてくださいね。」

 

プツン

 

パカッ シャッ ゴクン

 

ポン

 

「のっノブナガさんっ?!それは」

 

「お嬢今夜は寝かさんぞ。」

 

「はいっ!!」

 

そうして夜が更けていく。

 

途中ヒデヨシが厠に行きノブナガの部屋から物音がするので行こうとしたものの、何処からともなく現れたイエヤスに回収されていった。

 

その夜ノブナガの部屋から恥ずかしがる声と喘ぎ声が途切れることはなかったそうだ。

 

翌朝、全員が起きて朝御飯を食べようと集まる中、祐希とノブナガ、ヨシモトが中々現れなかった。

 

心配そうにするヒデヨシを宥めるイエヤスとクニナガ。イエヤスは何で遅いか事情は知っていたので、そのうち来るとヒデヨシに言っていた。

 

そして襖が勢い良く開かれるとノブナガとヨシモトが現れた。ノブナガがヨシモトをお姫様抱っこしながら。

 

「すまんのぅ遅れてしまって。さぁ朝御飯とするかのぅ」

 

と言いヨシモトをあぐらをかいたその間に入れるノブナガ。

 

「ヨシモト様どうしたんですか?」

 

「いえちょっと寝返りが悪くて腰を痛めてしまっただけですので大丈夫です。」

 

その言葉を聞きソウリン、ヒデアキ、ヒデヨシ、トシイエ以外の乙女たちは

 

「あー成る程漸く結ばれたのね。」

 

と感じ取っていた。

 

そのすぐ後に祐希も入ってきて、楽しく朝御飯を食べた。その間時折、ヨシモトがビクンと震えていたような気もするが、気のせいであろう。

 

「祐希、昨日の夜何かあった?」

 

「どうした行きなり、」

 

「何だか憑き物が落ちたみたいな感じがするから。」

 

「悪いが秘密だ。」

 

そういう祐希の顔はとても晴れやかであった。

 

朝御飯を食べ終わり、各自去っていったあと、ノブナガとヨシモトも立ち上がり、部屋へと行く。その間ヨシモトはお姫様抱っこで連れてかれその後には透明な水滴が滴り落ちていったそうだが、それを拭いていた姉思いの戦国乙女以外は知らないとのことであった。

 

そうして各自パーティーが終わり領地へと帰っていく。ヨシモト、イエヤスはまだ何日か尾張にいることにしたらしく暫く滞在するとのこと。

 

そして祐希が歩いていると、その前からノブナガが歩いてきた。

 

「昨日のパーティーは中々であったぞ。」

 

「楽しく過ごせたようで何よりだ。」

 

「儂からの褒美もしっかり使うのじゃぞ。それと足りなくなったら追加を頼むから準備をしとくようにな。……サンタよ」

 

スタスタと歩いていくノブナガ

 

「バレてたか。流石ノブナガ殿」

 

こうして二度目のクリスマスは無事に終わった。これからも波瀾万丈の物語を乙女たちは歩んでいくことであろう。




あとがき
メリークリスマス、月光です。
今回は前の年もやった戦国乙女のクリスマス会です。今回は祐希が実はお菓子やデザートのスイーツ系は得意だった話です。他のシリーズの短編集の義妹の未来のために作っていて、それが義妹がイチゴ系のお菓子が好きになっていった理由でもあります。

さてと祐希は一体どこに飛ばされていたのかはまた何処かの物語で語ろうと思います。

そしてノブナガとヨシモトの二人のカップリングです。祐希が用意したのは、飲めばその飲んだ人物の願望を叶えてくれるものです。効果は半日ほど続くとのこと。

この後二人とも興奮しすぎて夜が明けるまで続いたようである。
朝御飯を食べている途中もノブナガがヨシモトにちょっかいをかけて朝御飯の味も分からないほど発情し、全員が帰ったあと、もう一回戦したかもしれない。

人払いの結界と防音の魔法をさりげなくノブナガの部屋回りにかけた姉思いのイエヤスがいたとかいなかったとか。

R18版は気が向いたときにでも書こうかと思います。

各乙女たちがもらったプレゼントは

ノブナガ 望んだものを形にする薬

ヒデヨシ 食べ放題チケット一月分

トシイエ 2槍の槍での有効な鍛練法という本

ヨシモト素直になれる液体もとい媚薬

イエヤス 金平糖及びポフィン、マカロンなどの甘味 魔法の書物

リキュウ 自家製のそば、茶葉

ソウリン 聖書 ぶどう酒

ドウセツ オリーブオイル 上司を鍛える方法100選といつ本

モトチカ 度数を控えた甘めの酒数種類と高級肉

マサムネ 研ぎ石と新鮮な魚

モトナリ 伝統的な踊りの本

ヒデアキ お茶菓子と手軽で丈夫な鍋

ヨシテル 米俵3つと新鮮な卵並びに姉と呼ばせる50の方法という本

ユウサイ 呪術の本とミサンガ

ミツヒデ 上質なお茶っぱと筆とミニ義昭人形

シンゲン 上質な肉30キロ分と酒3樽

ケンシン 山菜セット及び山で採れたタケノコとトリュフ

クニナガ きのみの詰め合わせとどせいさん印のリボンとフランクリンバッジ(雷を反射する)となります。

ノブナガの褒美とは尾張全体で買い物をするときに、半額になる優待券です。

あと数日で今年も終わります。次回も早めに投稿できるようにしたいと思います。

感想、コメントなど貰えると嬉しいです。次回も読んで頂けると幸いです。

さてと次回の原稿をっとあれ?原稿がないまさか?!

クリスマス位休みなさい。キテルグマより

キテルグマ原稿は持ってかないでくれ~


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第十幕 願いを探す旅路。新しい明日へ

今回で京での出来事は終わりになります。

第十幕どうぞごゆっくり。


西行妖との死闘より半刻程。

 

二条城では細やかながらも宴が開かれていた。

 

城に合った食材を調理して更にお酒も入り意気揚々と宴を楽しむ姿がそこに合った。

 

料理はミツヒデと祐希の手持ちでありパートナーのソーナンスが手伝い色々と出てきた。

 

魚に鮭を切り身にしたものからじゃがいもを使ったコロッケに茄子の漬物、カツ煮といったように多種多様である。(一部の料理は祐希が自身愛用の倉庫空間から材料を出している)

 

そうして出てきた料理をヨシテル、ミツヒデ、ユウサイ、松永、義昭、ソウリン、祐希、クニナガは楽しみながら語らう。

 

「それにしてもこんなにも種類の多い料理を食べるというのも中々ないので良いものですね。」

 

「ソーナンス殿が作ったこのコロッケ外のサクサク感を楽しみ中のじゃがいもの味を引き立てていてとても美味しいですね。」

 

「そしてこのソースを掛けると更に旨味がましてごはんが進みますね。ヨシテル様こっちの鮭も美味しいですよ。」

 

「義昭様、こちらの鮭もどうぞ。」

 

「ありがとう。ミツヒデ。」

 

「祐希殿の持ってきたこの酒も良いものですね。程々の辛さが食をどんどん刺激して止まらないです。」

 

「将軍さん、あまり飲みすぎないようにな。明日が辛くなるぞ。」

 

「祐希殿、もしもの時は我ら家臣がいるので大丈夫だ。今はこの宴会を楽しもうではないか。」

 

「そうは言うがな。松永殿。」

 

「祐希、あーん」

 

「あぁ済まない。クニナガ。んぐ。それだと家臣たちに負担がかかるんじゃ」

 

「祐希、あーん」

 

「んぐ。ゴクン済まないクニナガ。楽しむとしてもある程度の節度を持たないと」

 

「祐希、あーん」

 

「ゴクン。つまりだな。」

 

「祐希、あーん」

 

「……クニナガ?自分で食べれるからお前も食べないと駄目だからな。」

 

「大丈夫。私も食べてるから。今祐希左手ないから食べづらいと思う。だから食べさせて上げる。」

 

「祐希殿、今日は堅いこと無しで楽しもうではないか。」

 

「はぁ まぁそうだな。クニナガ。俺は大丈夫だから適度に食べな。」

 

「…うん。」

 

そうして出された料理も平らげてある程度した頃。

 

「今回はお疲れ様でした。皆無事と言い難いですがそれでもカシン居士の思惑を防げました。」

 

「ヨシテル様。ありがとうございます。私の話しを信じて頂いて。」

 

「クニナガ殿、私の方こそお礼を言わせてください。貴女のお陰で京の町を守れました。」

 

「ヨシテル様……」

 

「しかし楽観視できないこともあります。今回出てきた。クニナガ殿の世界のカシン居士。奴は西行妖の力の一部を取り込んでいる。これは由々しきことでしょう。」

 

「幸いなのは奴自身の力は大きく削がれているように感じたことだろう。この世界で会ったカシン居士よりも力は下だったことも分かっている。

 

即ち猶予は少しあるということだろう。短く見積もって3~5年といったところ。それまでに此方も対抗できるように準備をしなければならない。」

 

「今こそ戦国乙女たち全員の力を集結させなければ。そのためにも天下統一を進めなければ。」

 

「それなんだか将軍さん。見積もった期間内での天下統一は厳しいだろう。」

 

「何故ですか?!この世界に危機が迫っているのです。皆話し合えば」

 

「それはカシン居士の危険性を直に感じたからこその危機感があるからだ。他の戦国乙女たちは知らないんだ。会ったこともないものに、危機感なんて感じづらい。更にどの戦国乙女たちも己が天下を取りたいと思っているんだ。それを話し合いだけでまとめるのは、はっきりいって無理だろう。それに将軍さんは身分もあって身軽に動くことも出来ない。」

 

「しかし我々が一丸とならねば。」

 

「だからこそ、俺たちがいる。俺とクニナガははっきり言ってそういった身分がない分、何処へでも行ける。他の戦国乙女たちに会って協力を持ちかけ備えさせる。そうすればいざというときに動きやすくなる。

 

何事も準備は大事だ。いくら備えたとしても、備えすぎなんてことはない。必ず役に立つ。だからこそ将軍さんは信頼できる家臣及び戦国乙女たちとの連携をしてほしい。次のカシン居士との戦いに向けて。」

 

「祐希殿…私は人は話し合えば分かり合えると思っています。こんな時にだからこそ。将軍として民のためにこの世の中を守らねばならないと。それはこの戦国乱世の時代では甘いのでしょうか。」

 

「ヨシテル様……」

 

「確かに甘いのかもしれない。戦で死ぬ者なんてこの世の中当たり前であるしどうしたって力のない者たちは意見を通せない。力のない正義に誰も着いていこうとしないのかもしれない。」

 

「祐希殿いくら貴方でもこれ以上のヨシテル様を侮辱する事は。」

 

「ミツヒデ殿 話しは最後まで聞きな。しかし力だけでの支配何てものは直ぐにでも瓦解する。人って言うのはどうしたって一人で出来ることなんて限られている。力による恐怖政治、誰も着いていこうなんて考えない。何時しか人は団結し大きい力となり個を打破する。何が言いたいのかというと、人を思いやれる心がある将軍さんは人として間違ってないってことだ。あとは将軍としてではなく将軍さん自身の気持ちを持てばそれだけでもこの世の中は良くなっていくさ。」

 

「私自身の気持ちですか?」

 

「そうさ。尾張のノブナガ殿は天下統一をして日ノ本の外と交易しその交易で得たもので自国を更に強くして日ノ本を世界でも強い大国にしたいという野望いや願いを持っていると言える。将軍さんはどうしたいという野望はあるか?」

 

「それは…それは」

 

「今は朧気で分からないかもしれない。だからこそ様々な戦国乙女たちの在り方を知り自分だけの願いを見つける。そうしたら自然と人は貴女の周りに集まります。話し合いをするという貴女のスタンスは間違ってない。」

 

「私だけの願い……祐希殿ありがとうございます。何時か答えが出たらまた聞いてもらえますか?」

 

「勿論だとも。」

 

そうして宴会は終わりそれぞれ部屋へと戻る。部屋へと戻った祐希はそのまま眠りに着いた。

 

 

そうして一週間ほど、京で滞在クニナガと祐希。その頃には祐希の左腕も元通りになり、そろそろ次の町へと旅立つ準備をしていた。この一週間クニナガは足軽たちの訓練をしたり、ヨシテル本人から手合わせを申し込まれお互いの実力を確認し、どういったところが悪かったかをお互いで話し合い自らを鍛えた。

 

祐希は城にある書物からなにか有力な情報がないかと、調べ上げるのと同時に左腕の調子を確かめるため、クニナガとヨシテルの二人を相手に手合わせをして調子を確かめていた。

 

手合わせは終始祐希が有利に進めていた。そこでは二人に自分の知る技能の基礎を教える姿があった。

 

そして荷物も程々に二人は城門まできた。

 

城門にはヨシテル、ミツヒデの姿があった。松永は幕府としての仕事があるためこの場におらず、ユウサイは最後まで有益な情報がないかを調べているため此処にいない。

 

「ヨシテル様、この一週間お世話になりました。」

 

「クニナガ殿また機会があれば京の町に寄ってください。何時でも歓迎しますので。」

 

「はいっ。」

 

「祐希殿、他の戦国乙女たちへ、カシン居士に対する備えをする役割お願い致します。」

 

「任せときな。そっちは幕府同士の連携を宜しく頼む。それとなにか怪しい動きをするものがいたら充分注意するんだぞ。」

 

「何かあればこのミツヒデがヨシテル様をお守り致します。」

 

「宜しく頼む。」

 

そうして会話も程々にし二条城を後にしようとする二人を後ろから小走りでこちらに来たユウサイが引き留める。

 

「祐希殿!!間に合って良かった」ハァーハァー

 

「ユウサイ何か分かったのですか?」

 

「とても古い文献にある出来事が綴られていました。」

 

そう言いながらユウサイはその書物をその場にいる者たちに見せる。そこにはこう書き記されていた。

 

世界を闇が包み込み作物は枯れ人は疑心暗鬼に陥り争いが絶えず太陽が射さない暗黒の日が続いた。それを憂いた巫女とその親友は光の神を招き世界から闇を無くそうとした。しかし闇は膨大な力で空を覆い尽くし猛威を振るった。巫女と光の神との死闘の末、深き闇は眠りに着いた。しかし光の神も深刻な傷を負い、元の姿を失った。巫女も親友二人をなくすことになり、彼女自身もその力の大半を失い巫女の座を降りた。彼女は死の間際にこう予言した。

 

長き月の果てに深淵なるもの甦り再びその猛威を振るい世界を闇へ包み込む。

しかし、魔獣と心通わせし親友の生まれ変わりとその仲間たちとの絆により光の神は再誕し闇を払うだろう。18の光を集めよ。

 

「これはかなり古いものですね。」

 

「いったい何を指しているのかは分かりませんが何かしらの手掛かりになるかと思い急いで持ってきました。」

 

「確かにこの所の騒ぎで闇に関連する出来事が沢山合ったし、でもこの深淵なるものも気になるけど、光の神?は何だろう。」

 

「(18の光?この世界にポケモンがいるがそれはいったい何時からだ。)将軍さん魔獣いやポケモンたちが確認されたのはいつ頃なのか分かるか?」

 

「祐希殿のいうポケモンが確認されたのは正確には分からないのです。それぐらい私たちの間では身近になっているものです」

 

「(18の光…ポケモン タイプ そして招かれた光の神二体までは絞れるがどっちだ)」

 

「ヨシテル様。ずっと気になっていたのですが首から下げているペンダントって?」

 

「あぁこれは先祖代々受け継がれてきた物なのです。ペンダントといってもこれは中にあるものを保護するためのケースで中には。」

 

「とてもきれいな光ですね。それに形もクリスタル見たいです。」

 

その発言を聞いた祐希はすぐさまヨシテルの手元に光るものを見た。

 

「(…成る程そういうことか‼️光の神の正体そして18の光、この世界に散らばったそれも探さないとだな。)将軍さんその黄色いクリスタルみたいなものは他の戦国乙女たちも受け継いでいたりするものか?」

 

「えぇ。知り合いの中でも、ソウリンと長宗我部の系譜、上杉家も同じものがあると聞いております。」

 

「それは必ず肌身離さず持ち歩くようにしてくれ。必ず何時かそれを使うときが来る。」

 

「祐希殿これが何か知っているのですか?!」

 

「まだ確証がないから話せないが、時が来れば話すことを約束する。」

 

「分かりました。ちゃんと話してくださいね。」

 

「あぁ必ず。」

 

こうしてクニナガと祐希は京の町を後にした。果たして彼らはカシン居士の野望を阻止できるのか?謎に包まれた深淵の闇、光の神の行方は…まだ誰も知らない。




あとがき
今回も読んで頂きありがとうございます。作者の月光です。

今回で京の町での出来事は終わり一話か二話挟んでから原作時間軸に入れたらいいなと思っています。

祐希の口にあーんするクニナガの姿……羨ましいです。

そして将軍ヨシテルの考えそしてその中でも野望という願いを見つけるのはこれからとなります。

そして最後の部分。深淵の闇と光の神との戦い。イメージとしてはスマブラSPのギーラとダーズを思い浮かべていただきたい。

18の光、異世界からの召喚、光 クリスタル
ここまで来れば大半の方は分かるでしょうがネタバレは無しでお願いします。

ちなみにこの巫女は卑弥呼様になります。

FGO2部5章オリュンポスの双子尊い。今までのキリシュタリアのイメージがガラリと変わりました。本当にAチームの皆と人理修復を見たかった。


最近はコロナの影響を受け緊急事態宣言も発令したり、有名人の相次ぐコロナによる死去。

暗いニュースが大きく流れています。不要不急の外出をなるべく減らすようにして、この状況を乗り切っていきたいです。

間が空いてしまう可能性はありますがこれからも更新していこうと思いますので次回も読んで頂けると幸いです。

フゥー辛いな。

ポンポン。

ん?キテルグマ。どうしたんだ。おっと

キテルグマに覆い被さられる。

グゥウ。

慰めてくれるのか?

グゥゥウ!

優しいな。お前は…

ありがとう。


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