俺だけとある症状に掛からないようです(仮 (ミシシ)
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いちわめ。

*←のこれは場面が切り替わるときに使います。


「朝よー、降りてきなさーい!」

 

 母の朝から無駄に元気な声で目が覚める。

 

「今日も学校にはいかないのー?」

「行かん!」

 

 母に聞こえるように大きな声で返事を返す。

 母は小声でなにか言っていたが十中八九小言だろうと決めて、瞼を閉じる。

 

 

 

 

 よくあるテンプレものの異世界転移?だと思う。実際に目が覚めたら俺の知ってる部屋で寝てないし、慌てて家を出て表札を見れば『宮本』と変わって焦ってパニックになりかけたがこの家の住人に「名闇(なやみ)、そんなに慌ててどうしたの?」と言われなければ逃走しているところだった。

 

 この後は落ち着いて現状確認をした。

 1、ここは元いた世界ではない。

 2、名前は変わっているが容姿自体は転移?する前と同じ見た目だった。(なお身長は縮んでいる模様)

 3、親は名前以外変化無し。

 4、三人家族に変化無し。(母、父、俺)

 5、これから引っ越し←(今ここ)

 

 結局引っ越しでバタバタすることになり考える時間はあまりなく、心を落ち着けるためにも手伝いに集中した。

 

 それから二時間位で荷物もまとめ終わり、何の思い出もない家からお別れを告げる。

 母さんははしみじみと「今日でこことはお別れね…」と呟いていたが俺としてはこの家に思い出はないので少し複雑な思いで黙り込む。

 

 その後何事もなく軽自動車に三人で乗り込み父が車のエンジンをかけて車を発信させる。

 

 なんとなしに窓から外を見ると空には雲ひとつない綺麗な青色の空が広がっていた。

 そしてふと思いつきこの世界の母に引越し先を尋ねる。

 あまりの出来事に現実逃避をして、目的地を知らない。

 

「前に言わなかったっけ? ここから結構離れたところにある雛見沢ってところよ。」

 

 …え?

 

「まだまだ時間かかるから寝ときなさい。」

 

 母の言葉に全ての思考がフリーズする。しかしその先を頭を軽く振って無理やり中断させる。考えすぎてもそれが本当なのかといえばきっと確率的には低いだろう。

 

 疲れてるんだな…俺。

 確かにここの所色々あったもんな、今どき珍しい嘘告白で傷ついたり、恋心を寄せていた幼馴染に恋愛相談されたり……人間不信になりそう。

 

 夢にしては車の揺れや、父の吸う煙草の煙の匂いなど、とてもリアルだがきっと明晰夢とかいうやつだろう。

 

 窓に頭を押し付ける。硬くて寝心地は最悪だが車の揺れと引っ越しの手伝いなどですぐに瞼が下がるのを感じてそれに抗わずに意識を落とした。

 

 

 

 

 

 

「起きなさい」

 体を揺すられるのと同時に聞こえてきた声に意識が覚醒する。

 やっぱりというかなんというか、夢じゃなかった!(絶望)。

 

「荷物なんかは業者の方がやってくれるそうだから名闇はここらへんでも散歩してきたら?」

 

 母の言葉に頷こうとしたが、辺りを見渡すと視界に入る限りコンビニやファミレスなんかが何もない田舎の見本のような場所だったので首を振り業者の手伝いをさせてもらうことにする。

 

 外堀が埋められていくことに少しだけこわくなってくる。

 

 結局その日は何事もなく引っ越し作業は終わり、久しぶりの運動?で疲れたからかシャワーをぱぱっと浴びて気絶するようにベットに倒れ込む。

 一度寝たはずだがまたすぐに睡魔に襲われたがそれに抗うことはせずに目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 次の日の朝はすぐに雛見沢分校に通うことになった。

 本音を言えば行きたくないし何なら違う地方の学校へ通いたい。

 

 しかしそんなワガママも通るはずがなく俺の力説(笑)は母には軽く受け流されるだけで父は鼻で笑われた。

 ちょっとショックだったがまだここがあの世界と決まったわけではない。いざとなればもう部屋から出なければいいのだ。

 

 不安な気持ちを胸にしまい込み、取り敢えず必要なものといざというとき用の物を鞄に詰め込み、全身同色の深い藍色のジャージを着込む。

 玄関で動きやすさ重視のスニーカーを履き、脱げないようにしっかりと固めに紐を結ぶ。これで何かあっても一応打てる手はある。

 カバンの中に入れたそこそこ威力が強いグロック18cのガスブローバックをカバン越しから撫でる。

 いざとなったらこれでなんとかするしかない。

 

 ドアノブに手を掛けて外へと出る。涼しかった室内に慣れていたせいか予想以上のムワッとした暑さに足を止めてしまいそうになるが気力で歩き始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 けっこう歩いてきたあたりで何故ジャージを着てきたのかと、後悔した。

 もう少し通気性の良い物を着てくるべきだった。

 

 体中から吹き出る汗の不快感を感じながら、都会では見ることはない砂利道を黙々と歩き続ける。

 学校から家まで徒歩1時間するという苦痛。サバゲーにハマって足腰鍛えていなければ途中で道端に倒れていただろう。ありがとう、サバゲー。これからも行きます。

 

 無駄な事に思考を使い暇を潰す。ひぐらしの事はなるべく考えない用にすることにした。

 もしも本当にこの世界がひぐらしの世界だとしたら…雛見沢に来た時点で詰んでいるのだから。

 

 

*

 

 なんやかんや無駄な妄想をしたり、誰もいないのを確認してジョジョ立ちをしたり、できる限り体が震える程の緊張感をなんとかしようとしたが、教室の前に立つとその行動が無駄になった。当たり前である。

 たとえ所要キャラ達と運良く接点が無くても毒ガス事件だったり雛見沢大災害で村人凶悪化など色々あるのだ。

 雛見沢大災害は梨花ちゃんが死なない限りは発生することはない(それだけでも難しい)が、毒ガス事件は東京の人達の気分で行われそうで怖い。

 

 教室の扉を開けるために手を伸ばすが引き戸に触れる前に手が止まる。

 ここで開けてしまえば嫌でも現実を見なければ行けなくなる。

 現実世界でも雛見沢村は存在するが、俺に起きた現象がこの世界が元いた世界ではないと否定している。俺の頭が正常ならばだが…。

 

 取っ手を掴み、俺の頭がおかしくなっていてくれとおかしな思考を携えて扉を開き教室の中に足を踏み出すと、何故か足元にあるロープに引っ掛かり、転んだ先に何故かある書道で使う墨を入れる物(中身有り)に顔面から突っ込む。

 

 顔面の痛みにうめき声を上げながら目の周りについた墨をジャージの袖で拭い、視界を確保する。

 まず最初にこんなことした糞餓鬼が誰かを確認して殴ろうと教室を血走った眼で見渡すと色んなカラーの髪色をした少女達が目に見える。

 

紫色(驚いた顔)、金色(やっちまった顔)、緑色(アチャー顔)、茶色女(苦笑い顔)、茶色男(同情顔)。

 

 怒りで真っ赤になった思考が一気に真っ白になる。

 

 茶色男(同情顔)が、申し訳なさそうに近づいて来る。

 ある程度覚悟していたとはいえ、ある一点に視線が釘付けになってしまった。

 周りからは話しかけられているのに頭に入ってこない。ただ一点を見つめ続ける。

 

 青紫のロングヘアーの少女だけなら、『あぁ…やっぱひぐらしか』と、憂鬱な気持ちになるだろうがその少女は空中に浮いていた。

 よく見ると髪の間から二本の漆黒の角が飛び出ており、さらり『あぅあぅ』と、俺の目線に気づいて慌てていた。

 

 脳内容量のキャパシティーオーバーで、白目を剥きそうになるが次の行動を取る前に体が無意識に動いた。

 そして体が動くままに開けられていた窓から教室を飛びたした。

 

 俺がとった行動は逃げの一手だった。

 




ひぐらし小説ふえろ…ふえろ…。


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にわめ。

続いたけどあんま進まない。文章がおかしゅうない?と思ったら傷つかない程度に教えて貰えたら嬉しいなぁ|ω・)


 教室からバイ○4のエリートさんが(多分)褒めてくれる飛び出しをして、宛もなく走り逃げてきた場所はゴミ山だった。自分でもびっくりしている。

 家に直行しようとしたが学校に連れ戻されるのは分かっていたし、かと言って今更逃げ出した教室に入るのも躊躇われる。なんならもう学校に行きたくない。

それに目が会ったらいけない物も見てしまったし厄介事が多すぎて脳内容量がオーバーしてしまう。

 

走り続けたのもあって休憩できる場所を辺りを見渡しちょうど座れそうな場所をを見つけてゴミ山えと足を踏み入れる。

最初はこのゴミ山からなるべくはやく離れようと思ったが少しだけ聖地巡り(現実)をしてみたいと思ってしまった。学校は今から一〜二時間目が始まる位だろうし大丈夫だろう。後は冷蔵庫当たりを見なければいいかな…?

 

あまり考えることなく倒れていた冷蔵庫に座り青空を眺める。

太陽が眩しく目をそらす。その先には廃車があり、その窓からは鋭利なものが反射していた。

意識が遠くなりかけるがここで気絶したら色々と終わる気がして意識を保つ。

腰を冷蔵庫から降ろして廃車へと向かう。そして冷蔵庫にはもしかしたらということがあるかもしれないので心の中で合掌しておく。わざとじゃないんです。

 

廃車に近ずく前にカバンからグロックを取り出し、ホルスターは付けてきてないのでジャージのズボンポケットの中に突っ込み、上ジャージで隠す。

 

廃車に近づくにつれその刃物の正体が明らかになっていく。どう見ても鉈ですね、しかも所々に血まで着いてる。

なんでここに鉈があるのか突っ込みたいがそれよりも気になったのが……

 

「なんで血が着いてんだ…」

 

「ここにいたんだね」

 

空気が凍った。

恐怖で震える身体を、顔を声がした方向に向けると竜宮レナがいた。だがそれは日常回で朗らかに笑う、さっき見たばかりの顔とは全くの、全ての感情を捨て去ったような目が俺を見ていた。

 

今にも腰が抜けそうになるが、鉈は廃車の中にあるしポケットにはガスガンがある。何も無いわけじゃない。

 

無表情の少女はまるで口調だけはいつもどうりに話しかけてくる。

 

「さっきはごめんね」

 

「さっき?」

 

緊張で口の中の水分が消えていく。周りのひぐらしがうるさい。

 

「沙都子ちゃんが仕掛けたトラップのことだよ」

 

「あぁ…あれならもうき、気にしてないよ」

 

話せば話すほどこの少女が人間では無い何かに見えてくる。

 

「そういえば名前言ってなかったね。私の名前は竜宮レイナ、レイナって呼んでね」

 

混乱していた思考が止まった。

「ボーっとしてどうしたのかな?かな?」

 

話しかけられるがそれどころでは亡くなった。ただでさえこの世界は生きるだけでもハードモードで、見えたら行けないもの見えてSAN値がピンチなのに本編通りとは行かなくなった。

原作だと竜宮礼奈は両親の離婚がきっかけで自分のことを『レナ』とまわりに言わせていたが、今なんて言った。

現実と向き合いたくないが今確認しないと行けない気がした。

 

「ごめん、名前がよく聞こえなかったからもう1回言って貰えますか」

 

あまりの緊張で同級生?に敬語を使ってしまった。

 

「?…いいよ、竜宮レイナだよ」

 

今度ははっきりと聞こえるように名前を、レイナと言った。

もしかしてここはひぐらしににた何かかと思い始める。

 

「そういえば…中は見たの?」

 

中?…あ(察し)、鉈のことか。

ここはどうしようか、今ならはぐらかすことが出来るか?

唾を飲み込み喉を潤して誤魔化す。

 

「な、なんのこ「誤魔化すな!!」…ッ!」

 

冷え切っていた空気が数度、更に下がった気がした。

いきなり叫んだ少女を見ると首元を左手で掻き毟り、右手は何故かポケットに突っ込んでいた。

 

「いきなり叫んでごめんね、レイナってどんくさいから早めに仮装パーティーの準備をしてたの」

 

今はひぐらしが元気よく鳴く夏である。いくら馬鹿の俺でもわかるその嘘に…

 

「あ…ああ!そうなんだ。レイナさんは準備が早いんだね」

 

乗っかった。

 

「そうなんだ、だからね…」

 

1歩ずつ近づいてくる少女に震えていた足は力無く折れ、ゴミ山に座り込む。しかし、少女は無表情でこちらに近づき耳元に口を寄せると…

 

「誰にも言っちゃ嫌だよ」

 

ひぐらしの鳴き声が、全ての音が消えた。

心臓は煩いぐらいに耳に響く。

 

すっと耳元から離れていく少女の顔を見ると漫画で見た事のある人付き合いの笑顔になっていた。

 

「じゃ、また学校で会おうね」

 

可愛らしく手をふると、俺から背を向けて歩き見えなくなった。

そのまま数秒間、もしくは数分は固まったていたかもしれないが、緊張が解けてゴミ山に寝転ぶ。

 

何故ここにレナもといレイナがいるんだとか、何故鉈がこんなにわかりやすく置いてあるだとか色々あるが考えるのも億劫になり、そしてお腹がなった。どうやら大分時間が立っていたようだ。

 

身体を起こし服に着いた埃などを払いゴミ山から出て家がある方面へと歩く。

 

あの時見た無表情の顔は、実は俺が発症している可能性もあるし、考えることは山積みだ。まぁ考えても解決しそうにないものばかりだが…。

 

どうやって学校を休むか、そんな方法を考えながら長い帰路を歩いた。

 

 

 

 

勿論学校逃亡に着いては学校から連絡があり、親にこってりと絞られた。泣けるぜ。




誤字報告ありがとうございました。この場でお礼を申し上げまする。


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