仮面ライダーW&ドライブ Eの復活/ライダー捜査線 (ラズベアー)
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第一章 黒い処刑人 第1話

今日も風都には良い風が吹いている。

 

風都。読んで字の如く、風の都である。

日本の首都である東京にも劣らない経済力を誇り、原子力に代わって、この街のシンボルである風都タワーから生み出される風力によって街は成り立っている。

街の至るところに風車のオブジェがあり、風の街であることをアピールしている。もちろん、この街のマスコットも風車由来だ。

大都市故に都民も不自由なく暮らしているが、一方で犯罪も起こってしまう。大都市には犯罪はつきもの。それはどの国においても当てはまることだ。それを裏付けるように、連日報道されている。

やれ人質だ、やれ強盗だ、やれ人殺しだ…。全く、人間てのはつまらないことで犯罪を起こしやがる。

 

ただ、この街で起こる犯罪というものは、他のものと毛色が違う。

 

この街で起こる犯罪。その大部分はガイアメモリによって生まれる怪人・ドーパントによるもの。

こいつはガイアメモリ所有者がその力に溺れてしまうことで起きてしまう。怪人故に、風都警察でも太刀打ち出来ないくらいだ。

だからこそ、この街には必要なんだ。

 

"仮面ライダー"というヒーローが。

 

俺の名は左翔太郎。鳴海探偵事務所に籍を置く、風都の私立探偵だ。

子供から老人まで、小さな悩みから大きな事件まで。

風都民のためなら、何だって引き受ける。それが俺のポリシーだ。

いや、俺"達"の、か。

しかし、それは一般での顔でしかない。

ドーパントが絡んだ事件の時、俺達はその姿を変えて事件に臨む。

そう、仮面ライダーWとして。

 

ん?さっきから何で俺"達"か、だって?

悪い。紹介してなかったな。

俺には、かけがえのない大切な相棒がいる。名はフィリップ。本名は園咲来人だが、俺にとってフィリップはフィリップだ。勿論、日本人だ。

色々あって、かつて事務所の先代所長だった俺のおやっさん・鳴海荘吉がフィリップという名を与えたんだ。

俺と相棒のフィリップ。二人で一人の仮面ライダーだ。

 

この事務所には色んなやつが訪れる。

鳴海亜樹子。おやっさんの娘で、"一応"ここの所長だ。自意識過剰でスリッパを振り回す危なっかしい女だが、俺達のことをいつもサポートしてくれる俺達の大事な仲間だ。

実は、結婚して今の姓は照井で、一児の母だが、事務所にいる間は鳴海を名乗っている。

 

照井竜。風都警察のエリート警察官。そして、この街のもう一人の仮面ライダー、アクセルだ。立場は違うが、この街のために、俺達は力を合わせて事件を解決させてきた。名字の通り、亜樹子の旦那だ。口癖は「俺に質問するな。」

お陰で何も質問できねぇ。

 

クイーンとエリザベス。

ウォッチャマン。

サンタちゃん。

風都イレギュラーズと呼ぶ彼は、風都の情報元で積極的に協力してくれる、家族みたいなやつらさ。

 

探偵業だからこそ、無論警察からも捜査協力を依頼される。

その時に決まって訪れるのが、刃野警部補、通称ジンさん。人当たりのいい、俺にとってのもう一人のおやっさんみたいな存在だ。時折、警察官としてそれでいいのか。なんてツッコミたくなることもあるが、そのお陰で俺達も捜査に関われるから文句はないさ。

あ、真倉もいたな。あいつは…、ジンさんのお付きみたいなもんか。

 

ジンさんからの依頼で大方の事件に携わることになるんだが、今回ジンさんが持ち込んだ案件。

これがまさか、とんでもない大事件になるとは、この時は誰も想像だにしてなかったんだ。

 

今日もいつものように亜樹子が事務所に連れてきた娘・春菜をあやしている時だった。

 

「よぉ、翔太郎。お、皆揃ってんなぁ。んん?春菜ちゃんまでいるのか。いやぁ、亜樹子ちゃんに似て可愛いねぇ。」

ジンさんは事務所を訪れると、早速春菜をあやしに行った。

「もう、ジンさんったら~。うふ♥️」

亜樹子も何故かまんざらでもない様子だ。

「確かに、このまま育てば、あきちゃんそっくりになるかもねぇ。」

フィリップも興味深そうに春菜を見ていた。

「そうじゃねぇだろ。ジンさん。」

俺はジンさんに訪れた理由を聞いた。

「あぁ。翔太郎、お前に捜査協力を頼みたくてなぁ。」

ジンさんが言った。

「ここに来るということは、ドーパント絡みか?」

俺はジンさんに尋ねた。

「まぁ、そう言うことなんだが。」

概ね予想通りの返事だったが、照井がいる以上、俺が出る必要があるのか疑問を感じた。

「俺が言う立場じゃねぇが、ドーパント絡みなら、照井で何とかなるんじゃないのか?」

「んん?亜樹子ちゃんから聞いてないのか?」

ジンさんが亜樹子を見て言った。

「え?」

「あぁ。竜くんなら今東京に行ってるの。」

「え、そうなの?」

俺は照井が東京にいることを知らなかった。

「何だ、知らなかったのか。今、照井警視は別の事件の捜査で東京に出向いているんだ。」

ジンさんは言った。

なるほど、俺達を頼る理由がわかった。

「それで、俺達の出番って訳か。」

「照井警視がいれば、お前らみたいな探偵に頼らなくて済むんだがな!」

ジンさんの後ろから声が聞こえた。

「あん?何だ、マッキーか。相変わらず影が薄いな。」

俺は真倉ことマッキーを鼻で笑いながら言った。

「影薄くないわ!それにマッキーて呼ぶんじゃねぇ!」

マッキーが喚いていたが、無視した。

「任せな、ジンさん。」

「それで、事の概要は?」

フィリップも続けて言った。

「引き受けてくれると信じてたぜ、翔太郎。」

「既に被害者3人、身元不明なんだが、これがまた妙なんだ。」

ジンさんは手に持った茶封筒から被害者と思われる男女3人の写真を出した。

「妙?」

フィリップが尋ねた。

「これら被害者の共通点、どうやらガイアメモリ所有者らしいんだ。」

そう言うと、ジンさんはさらに彼らの身体の一部を撮った写真を出した。

そこにはガイアメモリのコネクト痕が印されていた。

「どういうことだ…。」

俺は不審に思った。

「それと、被害者の側にもガイアメモリがあったんだが…。」

ジンさんはさらにガイアメモリの写真を出したが、それをみたフィリップが言った。

「メモリが…、破壊されている?」

「初めは、お前らが戦ってこうなったと思っていたが、お前らが殺しまでするはずはないと思ってな。そうだろう?」

確かに、俺達が変身する仮面ライダーWにはメモリ使用者を殺さずメモリのみを破壊することが出来る。戦いの中で死んだ者もいなかった訳ではないが、それはメモリの負荷に耐えられなかったことが原因であり、直接的な原因ではない。

しかし、被害者の様子を見るに彼らは外傷が見られる。明らかにそれが死因と言えるだろう。

「あぁ、ジンさんの言う通り、これは俺達の仕業じゃねぇ。」

俺は言った。

「そうよ!翔太郎くんが殺しまでするはずないわ!」

亜樹子もフォローした。

「だよなぁ。」

ジンさんも納得してくれた。

「もしかして、彼らは使用する前に殺害された?」

フィリップが呟いた。

「その通りだ。」

「けど、この殺傷痕は…。」

明らかに人の手によるものでは無かった。

「翔太郎、これは恐らくドーパントによるものだ。」

フィリップも同じことを考えていたようだ。

「つまり、どこの誰かが俺達の真似事をしてるってことか。」

俺は嫌悪感を覚えた。

仮面ライダーは風都を守るヒーローだ。風都を守るということは、街に住む人達のこと。つまり、どんな悪人でも正しく裁かれるべきであって決して殺してはならない。

それを無視したものが正義などと、到底認められるはずがない。少なくとも、俺は認めたくなかった。

「気にいらねぇな。俺達の真似事なんて。」

「違うよ、翔太郎。」

「こんなもの、ただの犯罪さ。」

フィリップが訂正した。その表情は涼しくしていたが、それでも憤りを感じていただろう。

「ただ、これだけだと情報が少なすぎる。もっと調査をしないと。」

共通点がガイアメモリ所有者でどれも殺害、犯人はドーパント、そして身元不明。これだけでは、条件が広すぎるため、捜査の為にキーワードを集める必要があった。

「…あぁ。ジンさん。この依頼、引き受けたぜ。」

「頼む、翔太郎。こっちも何か分かったら連絡する。」

ジンさんはそう言うと事務所を後にした。

 

恐らく、次のターゲットもガイアメモリ所有者。しかし、誰が所有しているか分からない以上、調査は困難だろう。

「フィリップ、現時点でガイアメモリの数がいくつあるか分かるか?」

「全てとなると、僕でも分からない。けど、この場合で言えば恐らく、23本。」

フィリップは答えた。

「その根拠は?」

「さっきの写真を思い出してくれ。破壊されたメモリは全てT2(タイプツー)に酷似していた。」

フィリップは言った。

「だが、T2は全て破壊したはず。」

俺はあの時の事を思い出して言った。

「そうだね。だから、恐らくT2メモリの複製品だろう。もしこれが全てそうだとしたら、全部で26本。」

「そして破壊された3本を除いて23本か…。」

「犯人がドーパントならそれを使用している分を除けば22本。つまり、もし犯人の狙いがメモリの破壊なら次のターゲットは22人いるということさ。」

フィリップは言った。

22人。条件が少ない中でこの人数は決して少ない訳ではなかった。

ましてや、メモリ所有者を見分けるなんて、いくら探偵の俺でも容易ではなかった。

「責めて、犯人が何のメモリを使っているかさえ分かれば…。」

「とにかく調査だ、相棒!」

「…だね。」

 

俺達は風都イレギュラーズにも協力を仰いだ。すると、ウォッチャマンから興味深い話を聞くことができた。

「たまたま、殺害現場を見た人がいたみたいだよ。」

「そいつがどんな姿だったか見たのか?」

俺はウォッチャマンに尋ねた。

「それがさ、翔ちゃん。犯人の姿わからなかったんだって。」

ウォッチャマンが答えた。

「どういうことだ?」

「どうやら人が化け物になった後に襲いかかったらしくて。そいつが目にも止まらぬ速さでボコボコにしたらしく、人の姿に戻った瞬間に殺したらしい。」

やはり、ドーパントを狙った犯行のようだ。しかし、目的は何だ?

「他に何か言ってなかったか?」

ウォッチャマンにさらに尋ねた。

「そういえば…。すばやい動きで殺害したから、まるで"忍者"みたいだ。って言ってたな。」

 

俺は、ウォッチャマンに聞いた事をすぐにフィリップに伝えた。

「忍者のようなドーパント、ねぇ。」

フィリップは頭を悩ませていた。

「忍者ということは、忍者の記憶を持つメモリ。Nのメモリか?」

俺はフィリップに言ったが、

「いや。」

とだけ言われてしまった。

「"忍者"というのは目撃者の比喩表現であって真実である確証はない。」

「素早いだけならば、速さの記憶のメモリ。もしくは速さに関わる何かのメモリかもしれない。」

フィリップは淡々と説明した。

「犯行の手口が分かった所で、手がかり無し、か…。」

「だけど、犯人はドーパントに変身した後に犯行に及んでいる。ということは、犯人も誰がメモリ所有者か見分けがついてないってことだけは確かになった。」

フィリップは言った。

 

次の被害が出る前に何とかしないと。




時間軸は、仮面ライダービルド平成ジェネレーションズFINALより少し後の設定です。

また、作風としては、本作主人公である左翔太郎が作成した事件後のレポートであるため、基本的には翔太郎視点で語られます。故に、全編通して翔太郎のことは"俺"と表しています。

前作以上に多くのライダーが登場します。
お楽しみください(^^)


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第2話

だが、俺達の調査も虚しく、新たに犠牲者が出てしまった。

「すまねぇ、ジンさん…。俺が不甲斐ないばかりに。」

俺は、被害を防ぐことができなかった自分に苛立ちを感じていた。

「いや、お前らが謝ることじゃない。本来なら、警察である俺達が何とかしなきゃならねぇこった。」

ジンさんがフォローしてくれたが、それでも自分が許せなかった。

「…だが。」

ジンさんは続けた。

「これまた、奇妙なことがあったんだ。」

「奇妙なこと?」

フィリップが尋ねた。

「今回の件、遺体の近くにガイアメモリが無かったんだ。」

「何?」

メモリが無い?

今まで破壊されてきたメモリ。しかし、今回はメモリが見当たらない。

となると…。

「犯人の狙い。メモリの破壊が目的じゃないのか…。」

「どういうこと?」

隣で聞いていた亜樹子が聞いてきた。

「ジンさん。僕を遺体安置所まで連れていってくれませんか?」

フィリップがジンさんに提案した。

「あぁ…。いいが、何するつもりだ?」

「被害者のコネクトから、何のメモリを使ったか調べるのさ。」

フィリップは答えた。

「え、何で?」

亜樹子には理解できていなかった。

「フィリップなら、コネクトに触れることで、使用されたメモリが何かを見つけることが出来るんだ。」

俺は答えたが、

「うん、知ってるけど。」

何だよ。素で思ってしまった。

「それをしてどうするの?」

「もし犯人が僕たちの模倣が目的なら、全てのメモリを破壊するはず。けど、今回の事件ではメモリが残されなかった。考えられるのは、メモリの収拾。だとしたら、犯人の目的が僕たちの模倣ではない可能性が出た。だから、改めて被害者について調べるのさ。」

フィリップが答えた。

「なるほどな…。わかった、連れていってやる。」

「翔太郎、そっちは任せたよ。」

フィリップはジンさんと共に風都警察署へ向かった。

 

俺は俺で調査を続けたが、それらしい結果は残せずにいた。

風都イレギュラーズに聞いてみても、結果は同じだった。

犯人の目的は何なんだ?

そして、もう一つの疑問があった。

何故今になってT2メモリが流通しているんだ?

 

T2メモリ。それは俺達の敵だった園咲家と財団Xによって開発された次世代型のガイアメモリだ。

以前から出回っているメモリを上回る性能を誇り、それを用いて変身したドーパントもまた厄介だった。

T2メモリが絡んだ"ある一件"のせいで、この街は危うく地獄となる所だったんだ。

今回の事件で、あの時の記憶が鮮明に浮かび上がってきた。

そして、"あいつ"のことも…。

 

きゃあああああ!!!!

うわあああああ!!!!

 

繁華街の方から悲鳴が上がった。

駆けつけると、そこにはドーパントが暴れていた。

「フィリップ、ドーパントだ!次に狙われるターゲットかもしれねぇ!」

俺はすぐにフィリップに連絡をした。

しかし、

「悪いね、翔太郎。今、遺体からメモリを読み取っている所で手が話せないんだ。切るね。」

「あ、おい!?フィリップ!!」

俺の声に対して帰ってくるのは、通話が切れた音だけだった。

フィリップは一つのことに興味を持つと他のことには何も手を付けたがらない。あいつの悪い癖だ。

「仕方ねぇ!」

俺は、普段使用するダブルドライバーではなく、もう一つのドライバーを装着した。

そして、迷わず黒いガイアメモリを取り出した。

 

ジョーカー!

 

「変身!」

俺が手にしたのは"切り札の記憶"を擁するJ(ジョーカー)メモリ。それをロストドライバーに装填し、スロットを右へ傾けた。

 

ジョーカー!

 

すると、ベルトを中心に黒い鎧が身体を包み始めた。

俺はWとは異なる黒い仮面ライダー・ジョーカーに変身した。

 

「さぁ、お前の罪を数えろ!」

いつもなら決まる台詞も、独りだと寂しいもんだぜ。

そう思いながらも、俺はドーパントに攻撃を仕掛けた。

探偵といえど、密偵がその全てではない。やむを得ず戦うことも想定し、戦闘術は身につけておく必要がある。俺はおやっさんにしこたま訓練され、その術を身に付けた。だからこそ、例えドーパントだろうと戦いに怯えたりはしない。

やつは、全身刃物みたいな姿をしていた。さしずめ"刃の記憶"を宿したメモリって所だ。

ならば、戦い方は簡単だ。

刃物を持つ相手と戦う時に、まず気を付けないといけないことは、斬撃である。

それは人の腕の可動範囲内で生まれるため、上下、左右、斜めに振り切ること、そして刺突が考えられる。

次は刃物のリーチ。ナイフの様な短いものから刀の様な長いものまで、そのリーチから生まれる攻撃範囲も予測しなければならない。

そして、今回のケースに限り、斬撃波も想定する必要がある。例え、刃物による物理的な攻撃を避けたとしても、斬撃波により致命傷を受ける可能性もある。

 

それらの事を想定し、俺が導きだした結論。

一つ。全ての斬撃を見切る。

二つ。支点となる手を攻撃し、武器を落とす。今回は腕と刃物が同化しているため、その支点となる関節を狙う。

三つ。刃物を破壊する。

 

ドーパントはその刃で俺を切りつけようとする。が、予想通り、上下、左右、斜め、刺突、その全てをかわした。

ドーパントはすぐに手を変え、斬撃波を飛ばす。予想通り。俺は見切ってかわした。

やつの攻撃パターンを把握した所で、俺は懐に飛び込み、肘を拳で打撃した。それでも、ドーパントは片方の腕の刃や脚の刃で反撃を試みた。

悪いな。それも想定済みだ。

俺は、それらをかわし、各々の関節に打撃を加える。

「おりゃあ!」

怯んだ所で、俺の渾身の一撃が、やつの刃を叩き折った。

「とどめだ。」

ドーパントは戦意を喪失していた。だが、メモリブレイクしなければ、いずれ過ちを重ねる。悪く思わないでくれ。

俺がベルトからメモリを抜こうとした時だった。

「何!?」

突然、ドーパントが苦痛の声を上げた。目に見えぬ何かの攻撃を受けていたからだ。

いや、正確に言えば、"目にも止まらぬ速さ"で攻撃されていた。

ドーパントはその身体を地に伏せると、元の人間の姿に戻った。

すると、倒れたメモリ所有者の前にまるで黒い影のようなドーパントが現れた。やつが何をしようとしているのか、俺にはわかった。

「やめろ!!」

俺は叫んだ。しかし、それも虚しく、ドーパントはメモリ所有者に止めを差した。急所を狙った一撃。俺の目の前でメモリ所有者は即死した。

そして、ドーパントはメモリ所有者から抜け落ちたメモリを拾い上げた。

「見つけた。刃の記憶、S(ソード)メモリ。」

見つけた?やはり、メモリを狙っていたのか。

「おい、お前!!」

俺はメモリ所有者を助けられなかった怒りに任せ怒鳴った。

「仮面ライダーW、いや、ジョーカーか。貴様には用はない。」

ドーパントはこちらを振り向いて言った。

「お前に無くても、俺にはある!そいつをどうするつもりだ!」

俺はSメモリを指して言った。

「答えるつもりはない。」

ドーパントは言った。

「しかし、用が無いとはいえ、姿を見られた以上生かしておくわけにはいかんな。」

ドーパントは攻撃の構えを取った。

「ハッ。いいぜ、相手になってやる!」

とは言ったものの、こいつはただ者じゃないことは肌で感じていた。

風貌からドーパントだろうが、わかっている情報が"忍者のように素早い"こと、そして"急所を的確に狙う正確な技"を持っていることだけだ。まずは、やつの出方を伺うか。

しかし、既に相手は動いていた。

ギリギリの所で攻撃をかわしたが次の一手はかわしきれなかった。

 

速い。次の攻撃までもが予測できない。

 

次々と攻撃が飛んでくるのを、俺はひたすら耐えた。しかし、徐々に体力も削られ、どこまで耐えられるかわからなかった。

 

見極めろ、やつの攻撃パターンを。

 

攻撃に耐えながら俺はチャンスを待った。

「しぶとい!」

ドーパントは痺れを切らして言った。そして、そこにチャンスが生まれた。言葉を発したことで一瞬だが、攻撃に隙が生じた。俺は自分の拳を相手に叩き込んだ。

「うっ」

動きが鈍った。間髪入れずに俺は拳を、蹴りを相手に叩き込んだ。

しかし、先のダメージで呼吸が乱れていたこともあり、こちらの攻撃も長くは持たなかった。

「はぁ、はぁ…。やるな、ジョーカー。」

「はぁ、はぁ…。」

互いに息が上がっていた。

先に動いたのは、ドーパントだった。

「まぁ、姿を見られた所で我らの計画を止められる訳がないか、今回は痛み分けとして身を引こう。」

「待て!」

俺が叫ぶと同時に、ドーパントは姿を眩ました。



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第3話

「すまねぇ、ジンさん。目の前でメモリ所有者を助けられなかった。」

俺は風都警察署の死体安直所でジンさん、フィリップに事の一件を伝えた。

「翔太郎のジョーカーを上回るメモリ…。少々厄介な相手だね。」

フィリップも流石に真剣な顔をしていた。

「翔太郎の言う、ドーパントの風貌、戦闘スタイル…。推測だけど、使用しているメモリは"暗殺者"の記憶を擁するメモリ、A(アサシン)メモリの可能性が高い。」

暗殺者か…。目撃率の低さ、身のこなし、的確な殺害…。なるほど、合点が行く。

「…で、そっちは何か掴めたか?」

俺はフィリップに尋ねた。

「あぁ。興味深い事がわかったよ。」

さすが相棒だ。

「それで?」

「まず、被害者が所持していたメモリ。それは、"吹雪"の記憶を持つB(ブリザード)、"羽根"の記憶を持つF(フェザー)、"昨日"の記憶を持つY(イエスタデイ)、そして、"暴力"の記憶を持つV(ヴァイオレンス)だ。」

フィリップは続けた。

「その内、破壊されたのがB、F、Y。そして行方不明なのが…。」

「…Vか。」

俺が言うとフィリップは頷いた。

「さらに、翔太郎が戦ったドーパント。仮にアサシンドーパントとしよう。やつが持っていったメモリが"刃"の記憶を持つSメモリ。やはり、アサシンドーパントの狙いは僕たちの模倣ではなく、特定のメモリの収集と見て間違い無いだろうね。」

だが、何のために…?

その時、俺はアサシンドーパントが去り際に言った一言を思い出した。

 

ー姿を見られた所で我らの計画を止められる訳がないか

 

「フィリップ、ジンさん。この事件、裏で何かが動いてるかもしれねぇ。」

「どういうことだ、翔太郎?」

ジンさんが言った。

「アサシンドーパントを退いた時、"我らの計画を止められる訳がない"って言っていたんだ。」

「我ら…。一人称複数形で言ったというのなら、複数での犯行ということかい?」

フィリップが確認してきた。

俺は頷いたが、ジンさんが続けて言った。

「けど、お前たちを欺くための嘘の可能性もあるんじゃないのか?」

「あぁ。だが、その可能性はかなり低いと俺は考えてる。」

俺は答えた。

「その根拠は?」

フィリップが尋ねた。

「殺しの腕は確かだ。やつは強い。それは俺のその身を持って感じた。だが、やつはメモリの力を過信しているのか、不測の事態には弱いと見たんだ。戦いの中で、俺を倒せないことで焦りを見せた。最後まで焦りを見せずに詰められたら、正直危なかったと思う。その焦りで助かった所もあるからな。やつが"我ら"なんて言ったのは、無意識に口から出たって所だ。」

俺が言い終えた所で、フィリップが鼻で笑った。

「なるほどねぇ。腕は一流だけど頭は二流、といった所か。アサシンが聞いて呆れるねぇ。」

全くだ。戦闘が専門ではない探偵でさえ、不測の事態に備え、ありとあらゆる可能性を踏まえて行動しなければならない。

まぁ、強いて言えば、やつにとって相手が仮面ライダーという所がイレギュラー中のイレギュラーだったのかも知れないが。

 

「あぁ、それと、翔太郎。もう一つ被害者の共通点がわかったんだ。」

ジンさんが言った。

「共通点?」

「被害者の身元が一切わからないんだ。」

「何だって!?」

俺は思わず声にしてしまった。

「被害者の顔は潰されている訳じゃないから、住民登録も漁ってみたんだが、全く情報がないんだ。」

言われて見れば…。

俺は風都の事なら何でも把握していると自負している。風都民についても、顔を見れば誰だか大体はわかる。しかし、最初に写真で見た顔も、アサシンドーパントに殺された被害者の顔も全く見覚えがなかった。

「被害者は、風都民じゃないのか?」

俺はジンさんに尋ねた。

「恐らくな…。まぁ、あくまで現時点で、だがな。」

所々わかってきたが、結局進展はなかったということか…。

 

「現時点でわかっていることは、特定のメモリを狙った犯行であること、被害者は皆身元が一切不明であること、そして、複数犯の可能性があること、か。」

事務所に戻り、俺とフィリップは今回の件を整理した。

「もし…。何らかの組織が関与しているとしたら、君なら何を想像する?」

フィリップが尋ねた。

ガイアメモリ。当初それを流通させていたのは、今は亡きフィリップの親父で園咲琉兵衛率いる園咲家・ミュージアムだ。彼らの屋敷の地下洞窟にあるガイアゲートと呼ばれる所に、全ての事象を記憶した地球(ほし)の本棚が存在し、そこで得た情報をガイアメモリに封じ込めることで製造される。風都で出回っているガイアメモリはそういった経緯で開発され、ミュージアムの人間の手によって広まったのだ。

しかし、改良型のT2メモリはミュージアムの手から離れ、別の組織が開発に携わっていた。それが…。

「…財団Xか。」

俺は答えた。

死の商人。目的は不明だが、あらゆる組織の技術を取り入れ、独自に開発をしているらしい。俺が知っている限りでは、ガイアメモリの他に、オーメダルやアストロスイッチ。噂でだが、ガシャットとやらやカイザーシステムとやらにも手を出しているらしい。

「けど、財団が絡んでるなんてことが有り得るのか?」

俺はフィリップに問い返した。

「もちろん、あくまでも可能性の一つさ。ただ、ガイアメモリの製造には地球の本棚が必要さ。その存在を知っているのはミュージアムや財団X以外に有り得ない。」

フィリップが言った。

フィリップの言うことも最もだ。

しかし、財団Xが絡んでいるなら疑問が生まれる。

「仮に、財団とアサシンドーパントがつるんでいるなら、その目的は何なんだ?やつらならメモリの製造できるんだから、直接メモリを渡せばいいハズだ。」

「確かに…。とにかく、今わかっていることで検索をかけてみるよ。」

フィリップはそう言うと、一階のガレージに降りて行った。

フィリップは地球の本棚にアクセスすることが出来る。それは幼少期に、ガイアゲートに転落してしまい命を落としたことで、地球の本棚の力でデータ人間として蘇ったからだ。今は、肉体を持った人として生活しているが、名残りから今も地球の本棚にアクセスできるということだ。

ただ、難点としてはアクセス中は地球の本棚と意識をリンクしているため、外部からの干渉を一切受け付けない。つまり、Wとして戦う必要があってもそれが出来ないということだ。

検索中に何も起きなければいいが…。

 

その時、事務所の扉を弾きOL二人組が入ってきた。

「クイーンにエリザベス!?どうしたんだ、そんなに慌てて!?」

「大変だよ、翔ちゃん!!」

「街に怪物が!!」

それと同時に、偵察に行かせていたバットカメラが事務所の窓を叩いていた。

「ナイス、二人とも!!」

そう言うと俺は急いでハードボイルダーに跨がり現場まで飛ばして行った。

フィリップはおそらく検索中だろう。正直アテにならない。

 

現場に着くと、俺は驚くべき光景を目の当たりにした。

街で暴れていたであろうドーパントを、別の黒い怪人が始末をした所だったのだ。

「くそっ、またお前か!アサシンドーパント!!」

俺はロストドライバーを装着し、すかさずメモリを装填、ジョーカーとなって、黒い怪人に殴り掛かった。

ところが、俺の拳はそいつの顔に届かなかった。片手で受け止められてしまったのだ。

「何!?」

次の瞬間、腹に強烈な打撃を受け蹴り飛ばされてしまった。

態勢を整え、黒い怪人を見た。

俺の眼には信じられないものが映っていた。

「お…、お前は!!」

それは怪人ではなかった。全身を黒い装甲が包んでおり、手には紫色の炎のような模様があった。複眼の様だが眉間が繋がった赤い単眼と、アルファベットのEを横にしたアンテナを持っていた。

 

まさか、そんなはずは…。

あの時、俺は確かにそいつを倒した。

だが、その姿は間違いない。

やつは…。

 

「仮面ライダー、エターナル。」

かつて風都の街を混沌に陥れた、風都史上最凶最悪のテロリスト・大道克己。そして彼が変身した仮面ライダーエターナル。俺はそのライダーの名を呟いていた。

しかし、俺の知っているエターナルは白い装甲、青い炎の模様、黄色い単眼だ。

それに、腰に着けている物はロストドライバーとは別の物で、よく見ると両腕と両脚にはタイヤのような黒い装飾がなされていた。

それらの差違を差し引いても、そこにいたのは仮面ライダーエターナルだった。

「バカな…。お前は、お前は俺達が倒したハズだ!」

俺は思わず叫んでいた。

黒いエターナルは何も答えなかった。その代わりに攻撃を仕掛けてきたのだ。

俺は応戦するが、自身の気持ちが整理されていなかった。その為、防戦一方となってしまった。

 

一体どういうことだ?

生き返ったというのか?

それとも死んでいなかった?

そもそも別人なのか?

 

俺の頭の中で様々な思考が巡っていた。

だが、そうこうしている間にも黒いエターナルの熾烈な攻撃が続く。

 

「うぉおおおあああ!!」

俺は叫んだ。

考えてもしょうがねぇ。

そう思ったと同時に自分を鼓舞するように叫んだ。

そして、攻勢に出た。

思わぬ攻撃を受け、黒いエターナルは一瞬怯んだ。だがすぐに俺の攻撃に対応してくる。

それが俺の中で別の違和感を生んだ。

 

ふと、黒いエターナルの動きが止まった。止まったというより、丸で機械が動作不良を起こしたような止まり方だった。

俺はそれを見逃さず、拳を打ち込もうとしたが、かわされてしまった。

態勢を整え、俺は黒いエターナルをマスク越しで睨んだ。

黒いエターナルも同じく様子を伺うようにしていたが、

 

ズゥーット・エターナル!

 

黒いエターナルはベルトのスイッチを数回叩き、電子音がなるとその場から消えた。消えたというより超高速でその場から去ったというのが正しいか。

 

俺は呆然としていた。

ふと見下ろすと、ドーパントは人の姿に戻っており、事切れていた。

その場にはガイアメモリは無かった。超高速で立ち去ると同時に持ち去ったのだろう。

黒いエターナルもメモリを収集しているのか。ということは、アサシンドーパントの仲間なのか。

俺は再び果てない思考に捕らわれてしまった。

 

だが、銃声と共にすぐに意識を呼び戻された。

咄嗟のことだったが銃弾は足元で砕けた。俺は銃声の元の方を見た。

そこには白いライダースジャケットを身に纏った青年が銃器のようなものをこちらに向けていた。

「誰だ?」

俺は青年に尋ねた。しかし、青年は答えずこちらを睨んだままだった。

「見つけたぜ。黒い仮面ライダー!」

そう言うと青年はロストドライバーやWドライバーに似たものを手にしていた。

「メモリドライバーか!?」

青年はそれを腰に装着すると、ガイアメモリ程の大きさの白いバイクを模したものをベルトに装填した。

 

シグナルバイク・ライダー!

 

「レッツ!変身!!」

青年が叫ぶと彼の身体を白い装甲が包み込んでいった。そして、バイクのヘルメットの用なマスクと右肩にタイヤのような装飾も装着された。

 

マッハ!!

 

「追跡!撲滅!いずれもマッハ!!」

「仮面ライダぁ~…、マッッハー!!!」

 

青年は仮面ライダーの姿に変わった。

「仮面ライダーだと!?」

俺は驚きを隠せなかった。




本作登場の敵
<アサシン・ドーパント>
"暗殺者の記憶"を擁するA(アサシン)メモリを使って変身したドーパント。現時点での変身者は不明。
能力:自身の気配を消す、身軽な身体能力

<仮面ライダーダークエターナル>
作中で黒いエターナルと呼ばれる仮面ライダー。
黒い装甲、紫色の炎の模様、赤い単眼、メモリスロットを持つベストやエターナルローブを装備していない、両手脚にタイヤのような装飾がある(ドライブ・タイプフォーミュラーのような配置)など、オリジナルのエターナルとの差違がある。
また使用しているベルトも、ロストドライバーではなくマッハドライバー炎であり、シグナルバイクはシグナルエターナルを使用している。
現時点での変身者は不明。

終盤に登場した仮面ライダーマッハ。その目的とは…。
次回をお楽しみください。


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第4話

黒いエターナルでさえ想定外だったのに、今度は白い仮面ライダーが現れたのだ。

しかし、どうやらガイアメモリ由来のライダーでは無さそうだ。

おそらくオーズ、フォーゼ、ウィザード、鎧武の様に違う街の仮面ライダーだろう。

 

だが、それが何故風都に?

 

「返して貰うぜ、その身体を!!」

そう言うとマッハと名乗る仮面ライダーが攻撃を仕掛けてきた。

「身体!?何言ってんだ!」

俺はやむを得ず応戦した。

先の戦いでダメージが残っていたため、満足に戦えなかった。が、相手の動きが若い。だから少ない手数で攻撃を受け流すことくらい容易いことだった。

「とぼけんな!!その身体、俺達にとって大事なもんなんだよ!!」

マッハは言うと、右手に持った銃器・ゼンリンシューターを撃ってきた。

ジョーカーは素手による格闘向けの力だ。その為、銃撃となると相性が悪い。俺はかわしながらも物陰に隠れた。

「そんな所に隠れたって無駄だ!!」

マッハはベルトからシグナルバイクを抜き取り、別のシグナルバイクを装填した。

 

シグナルコウカーン!

マッハ!マガーレ!

 

すると右肩にあるタイヤのホイールにあたる装甲に90°に曲がった矢印が印字された。

そして、ゼンリンシューターでジョーカーの隠れている所ではなく、あらぬ方向に射撃した。しかし、弾道は突如曲がり、影に隠れたジョーカー目掛けて飛んでいった。

予期せぬ攻撃に俺はその身をさらしてしまった。

「隠れていても当てにくるのかよ、反則じゃねぇか!」

「言ってる場合かよ、早く返せ!」

マッハからいくつもの弾が俺を目掛けて飛んできた。

 

せめてトリガーが使えれば…。

Wであれば、"銃"の記憶を擁するT(トリガー)メモリでボディサイドをトリガーボディに変える(ハーフチェンジ)ことが出来る。そうすることで、専用武器トリガーマグナムが扱える。

しかし、ロストドライバーでそれを試したことがなかった。

そうしている間でも、マッハから雨の様に銃弾が降り注ぐ。

 

「一か八か、やってみるか!」

 

トリガー!

 

JメモリからTメモリに入れ換えた。

 

トリガー!

 

すると、姿はそのままに、胸元にトリガーマグナムが現れた。

「あ。なるほど。こんな感じか。なら!」

俺はトリガーマグナムを手に取り、応戦した。

ルナの恩恵がないため、トリッキーな弾道で撃ち込むことは出来ないが、敵の弾を撃ち落とすことくらい造作もないことだった。

「うお!?マジかよ!」

マッハは動揺していた。

「へへん、さっきまでの威勢はどうした?」

だんだんこちらのペースになってきた。しかし、先の戦いのダメージやダイレクトにトリガーボディになっていないことでWのトリガーボディ程の精密射撃にはならなかった。

こんなことなら、しっかり射撃の練習をしておけば良かったぜ。

俺は、今までいかにメモリの恩恵に助けられていたのか痛感した。

やがて、距離を詰め再び格闘戦に持ち込んだ。

今度はマッハが防戦になった。そして、マッハに蹴りを打ち込んだ。

「…くそっ。やるじゃないの。だったら!」

マッハは立ち上がるとベルトのスイッチを数回叩いた。

 

ズゥーット・マッハ!

 

その瞬間、マッハは俺の目の前から姿を消した。

さっきの黒いエターナルと同じく超高速で移動しているのだ。

それを理解すると同時に、あらゆる方向から攻撃が飛んできて、俺はそれをもろに喰らってしまった。

速いなら追いつくのは不可能だ。ならば、確実に攻撃を当てるしかない。こいつを使ってみるか…。

 

メタル!

 

俺はTメモリを抜き取り、次に"闘志"の記憶を擁するM(メタル)メモリを装填した。

 

メタル!

 

思った通り。背中にメタルシャフトが現れた。

俺はそれを持つが、いつもより重量を感じた。

「重たっ!?こんな重いやつ振り回してたのか、俺は。」

それもメタルボディの恩恵だったのだろう。だが振り回せない訳ではなかった。

俺はメタルシャフトを地面に叩きつけ、そのまま自身を中心に円を描く様にそれを振り回した。砕けたコンクリートや土煙が宙を舞った。土煙を弾きながら、その中を高速で動くマッハを見つけた。

「そこだっ!」

俺はメタルシャフトを横に降った。

「ゔっ!!」

それは見事にマッハの胸元を捉えていた。マッハはその場で膝をついた。

だが同時に俺も眩暈を起こした。

そろそろ限界か。

俺はマッハを横目にメモリ使用者の死体を担ぐとハードボイルダーに乗せ、そのままその場を後にした。

「ま、待ちやがれ…!」

後ろからマッハの声が聞こえたが振り向くことなく、バイクを走らせた。

 

俺は、死体を担ぎ事務所のドアを開けた。

ボロボロの身体を見て、二人は目を見開いていた。

「翔太郎くん!?」

亜樹子が声を上げた。

「翔太郎…!?」

フィリップは驚きの余り、声が出なかった。

「へ、へへ…。よぉ、相棒…。」

俺は担いでいた死体を床に降ろし、ソファーの上に倒れこんだ。

亜樹子は棚から救急箱を持ってくると、何とか俺の身体を起こし、治療をし始めた。

「何があったんだい?」

フィリップが尋ねた。

「フィリップ…。驚くなよ。ヤツが…、エターナルが復活した。」

「!?」

「エターナルって、あの…??」

亜樹子は強張った顔をした。

フィリップは少し考えてから言った。

「…。新たにE(エターナル)メモリが開発されたということかい?」

フィリップの言う通り可能性としては有り得ない話ではなかった。現に今回の事件で使われているメモリは明らかに新造されたものだ。だとしたら、"永遠"の記憶を擁するメモリが開発されたとしてもおかしくはない。

「いや…。確かに可能性としては捨てきれない。だが、ヤツのベルトはロストドライバーじゃなかった…。」

「どういうことだい?」

フィリップの問いに俺は先の件を伝えた。

「黒い…、エターナル…。」

「でもそれって、エターナルに似た偽者ってこと…?」

亜樹子が確認した。

「あぁ…。」

「それに、翔太郎の言う"まるで機械のような動作"が引っ掛かるね。」

「そして、黒いエターナルを追って現れた、マッハとかいう仮面ライダーだ。俺をエターナルと誤認したらしくてな。"身体を返せ"なんて言っていやがったが…。」

身体の傷が疼き、傷を庇いながら言った。

「今回の事件、俺達が思っている以上にヤバい案件かもしれねぇぜ。」

 

「うわあああああ!!?」

俺たちの後ろで突然叫び声が上がった。

「ぎゃああああああ!!!!」

「うぉああああああ!!!?」

「!?」

亜樹子と俺は、反射的に叫んだ。

振り向くと、死んでいたはずのメモリ使用者が身体を起こしていた。

「いやぁああぁあぁぁぁ!!!!ゾンビいいいい!!」

「ど、どど、どどどうなってんだ!?」

二人ともパニックを起こしていた。

「うわあああああ…、あ?お…俺、生きてるのか?」

メモリ使用者は自身の身体を確認しながら言っていた。すると。

「…ない。ないないない!!くそっ何でないんだ!!」

「ないというのは、ガイアメモリのことかい?」

フィリップはメモリ使用者に恐る恐る聞いた。

それを聞いて我に返ったメモリ使用者がこちらを見てまた叫んだ。

「うわあああああ、だ、誰えええ。」

「うるさぁああああい!!」

 

スパァン!

 

亜樹子の緑色のスリッパが、メモリ使用者の頭に直撃した。

「あいたっ!?」

「もう一度聞くよ?ないというのは、ガイアメモリのことだよね?」

フィリップはメモリ使用者の目を見て言った。

「…あ、ああ。」

メモリ使用者は答えた。

「何のメモリだ!?痛っ…」

俺も身を起こして聞いた。

「そ、それは…。」

メモリ使用者はどもった。

ガイアメモリを使うことにどんな意味を持っているのか、知っている様子だ。

「俺達は、警察なんかじゃねぇ。探偵だ。あんたみたいなガイアメモリ使用者が立て続けに殺害されているんだ。それに特定のガイアメモリを収集しているらしい。次の犯行を止めるためにも、あんたから話を聞きたいんだ!」

「あなたをここまで連れてきたのだって、翔太郎くんのおかげなんだからね!」

亜樹子も言った。

それでもメモリ使用者は黙っていたが、やがて口を開いて言った。

「…、ネヴァーだ。」

彼の一言に俺とフィリップは耳を疑った。

「何だって!?」

俺は思わず怒鳴って言ってしまった。

「悪いね。」

フィリップはすかさずメモリ使用者の身体に印字されていたコネクトを指で触った。

「"決意"の記憶、N(ネヴァー)メモリ。」

「決意?」

亜樹子が首をかしげた。

「"決して~ない"。ネヴァーの言葉の意味さ。メモリ使用者が強く願った決意に反応して、その力を発揮するものらしい。」

「てことは、こいつが死ぬ直前に、死にたくないって思ったことで、それにメモリが反応して生き返ったってことか?」

俺はフィリップに尋ねた。

「あぁ。最も効力は一回こっきりだけどね。」

「そ、そりゃ、誰だって死にたくないだろ。」

メモリ使用者も答えた。

「そのメモリ、どこで手に入れた!」

俺は傷だらけの身体を無理矢理動かし、メモリ使用者の胸ぐらを掴んで言った。使用メモリがNメモリだ。俺はそれを聞いただけで、"あの時"の記憶がフラッシュバックしていた。この情報を押さえない訳にはいかなかった。

「い、言える訳がない!言ったら殺される!!」

「君は既に一度死んでいる身さ。なら何も怖くないだろう?」

フィリップも脅しをかけた。

「そうは言っても…。」

 

バーン!

 

事務所のドアが開いた。

「その場を動くな!」

突然、スーツ姿の男数人が拳銃を構え事務所に突入してきた。

拳銃はメモリ使用者を捉えていた。

「ひっ!?」

亜樹子も突然のことで驚きを隠せなかった。

「何だあんた達は!?」

俺は一人のスーツ姿の青年に尋ねた。

「警視庁の者です!元ネオシェード構成員・忍野瞬矢!その身柄を確保する!!」

警視庁の人間が何故ここに…?

青年の脇にいた男達が、メモリ使用者を拘束し、事務所の外まで連れ出そうとしていた。

「は、離せっ」

「ちょ、ちょっと待て!!そいつにはまだ話を聞いちゃいない!!」

俺は立ち上がろうとしたが、無理に動いたせいで身体の傷が疼き、それが出来なかった。

「左!」

ドアの奥から聞き慣れた声がした。

事務所の入り口から、赤いライダースジャケットを纏った男が現れた。

「竜くん!!」

「照井か?」

「彼の身柄は我々で一度預かる。心配するな、情報共有は必ず行う。お前の力も借りたくてな。」

照井が言った。

「いったい、どうなってんだ…。」

翔太郎が呟いた。

メモリ使用者は警視庁の警官達によってその場から連れ出されてしまった。




突如現れた仮面ライダーマッハとジョーカーの戦いです。

本作のオリジナル要素として、TメモリとMメモリの扱い方を新たに設定しました。
Tメモリ、Mメモリ共に、ジョーカーの状態で使用すると、姿はジョーカーのままで、トリガーマグナムやメタルシャフトを召喚することができる。
しかし、Wと違い、それぞれのボディサイドの恩恵が受けられないため、トリガーボディ程の精密射撃できないことや、メタルボディ程の力が出せないため思うようにメタルシャフトが扱えないという難点がある。

ぶっちゃけた話し、オリジナルだから仮面ライダートリガーとか仮面ライダーメタルにしても良かったんですが、筆者がジョーカー好きな為、以上のような設定にしました。

ちなみに翔太郎はこれまでに映画等で様々なライダーと交流を持っていました。その為、鎧武までのライダーのことは認知しています。
※意外と客演していたことに驚きました。
オーズ&フォーゼ=映画オーズ×フォーゼMOVIE大戦
ウィザード&鎧武=映画平成対昭和

さて、マッハの言う"身体を返せ"という意味とは。
そして、東京から戻った照井竜と警視庁公安の青年。
さらに、彼の口から出た"ネオシェード"という言葉。
ここから物語が加速し始めます。
次回をお楽しみに!


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第二章 ネオシェード 第5話

後に残ったのは、俺達事務所の三人、照井竜、そして警視庁の青年だった。

「突然ですまなかったな、所長。」

照井は妻である亜樹子に言った。

「竜くぅん。いつ帰ってきたの?」

「つい先ほどだ。」

「あ、照井警視。噂の奥様ですね!」

警視庁の青年が言ったが、照井は睨み返すだけだった。青年は察したようで、小声ですみませんとだけ呟いた。

「照井、説明してくれ。何が起きてんだ !?」

俺は照井に尋ねた。

「俺に質問するな。」

照井の口癖が炸裂した。

「言ってる場合か!こっちはこっちで大変なことになってんだ!!」

俺は引き下がらず、今まで起こっていることを照井に伝えた。それを聞き、照井も驚きを隠せなかったようで、俺の問いについて答える気になったようだ。

「そんなことが…。いいだろう、まずは彼を紹介しよう。」

照井は青年を指して言った。

「彼は警視庁捜査一課所属の刑事で特殊状況下事件捜査課巡査長の…。」

「泊進ノ介です。」

照井の後に続き、泊進ノ介が挨拶をした。

見た目は俺よりも幾分か若い。フィリップよりは少し上くらいか。だが年齢に反してそのキャリアだとしたら、彼は能力の高い警察官なのだろう。

「警視庁の人間が、何故風都に?」

「実は、都内で暗躍しているあるテロリスト集団の捜索をしていまして、それを追って風都にやって来た次第です。」

泊が答えた。

「テロリスト?」

「その名は、"ネオシェード"。」

ネオシェード。聞いたことがある。都内を中心に暗躍していたテロリスト集団だった。

「たしか、ネオシェードは数年前に、当時リーダーだった岡村敬助が逮捕されたことで壊滅したはず。」

フィリップは泊に尋ねた。

「ああ。泊巡査長が逮捕した。それで終わったはずだったんだが、最近になり残党が活動を開始したんだ。」

泊に変わって照井が答えた。

「ネオシェードの活動を調査していく内に、風都で出回っているガイアメモリが絡んでいることがわかったんです。」

続けて泊が答えた。

「ガイアメモリ関連の事件となれば、我々、風都署超常犯罪捜査課が動かずにはいられない。それで俺は東京へ出向き合同捜査という形をとったという訳だ。」

「それで竜くんは東京に…。」

亜樹子が言った。

「そして、ネオシェードの元構成員が風都に潜んでいると聞き、我々公安も同行してきたということです。」

泊が説明した所で、俺はあることに気づいて言った。

「ちょっと待て、さっき連れていった男。あいつも元ネオシェード構成員だったって言ったな!?」

「そうですが?」

泊は答えた。

俺は件の被害者の顔写真を泊に見せた。

「こいつらに見覚えがないか?」

「この人達は…。」

泊は一度息を飲んだが、続けて言った。

「すべて、元ネオシェードの構成員だ…!」

「だとするなら…、メモリ使用者は全て元ネオシェード構成員。つまり、あのアサシンも元ネオシェード構成員の可能性が高い。」

フィリップは今までの事象を整理しながら言った。

「だが、まだ引っ掛かりがある。」

照井が口を挟んだ。

「全員が"元"構成員というのはどういうことなんだ?残党とはまた別なのか?」

「はい…。後でわかったことですが、彼らはネオシェード壊滅前に組織から離脱した者達です。離脱した後は身分を伏せ一般社会に溶け込んでいたはずですが…。」

泊は答えたが、彼らがガイアメモリを所有していたことについては理解出来ていない様子だった。

「てことは、ネオシェード残党とは別で元ネオシェード構成員もガイアメモリを使って何か企んでいるってことか。」

俺は今の話を整理して言った。。

「おそらくは…。ですが、彼らがガイアメモリを何故所有しているのか…。」

「考えられるのは、財団Xが彼らに接触したということさ。」

フィリップが答えた。

「財団X?」

俺とフィリップ、そして照井は泊に財団Xのことについて簡単に説明した。

しかし、新たに謎が生まれるばかりだ。

ネオシェードは何を企んでこの街に現れたのか。

財団Xは何故元ネオシェード構成員にメモリを与えたのか。

そして、そのメモリを狙うアサシンドーパントと黒いエターナル。

彼らの目的はいったい…。

やがて、照井が口を開いた。

「アサシンと黒いエターナル。やつらの目的が何であれ、新型ガイアメモリの所有者が元ネオシェード構成員ならば、先にこちらで押さえてメモリを押収すべきだろう。」

俺も照井の意見に同意だった。

「泊巡査長!今すぐに警視庁に連絡を!合同捜査本部を風都署に移転させる!」

「はい!」

泊は警視庁と連絡を取るために事務所を出ていった。

「左、フィリップ。お前達にも協力を願いたい。」

「へっ!こっちが受けた依頼を横取りされたような気分だが、風都をまたあんな惨劇に遭わせる訳にはいかねぇ!」

俺は皮肉を込めて言ったが、この街を守るためにも照井の協力を引き受けることにした。

 

翌日。

風都警察署大会議室は「対ネオシェード合同捜査本部」として機能を始めた。

照井とジンさんの計らいにより、俺とフィリップも本部会議に同席することになった。

正直な所、俺はあまり警察を好んじゃいない。警察は規律を重んじる組織だ。組織力が強いからこそ、平和が守られている訳だが、規律に則った組織である以上、それに反した捜査は行うことが出来ない。言ってしまえば、"型にはまったことしか出来ない"ということだ。片や探偵業はその縛りがない。探偵個人の力量が試されるため、警察程の組織力はないが、自由に多面的に捜査が行える。俺の性分からすれば探偵の方が都合がいい。故に、事件の早期解決の為とはいえ、こんな所にいると息が詰まる。

 

定刻になると、照井を先頭に二人の警察官が会議室に入ってきた。それと同時に会議室の警官が一斉に席から立ち一礼した。俺達も一テンポ遅れてそれにならった。

全員が席に座ると、照井が話を始めた。

「この度は、第一級犯罪組織ネオシェード壊滅のために皆様のお力をお借りできて光栄であります。風都署署長に代わり、御礼申し上げます。」

「今回の件において、ネオシェードが我が街で出回っている忌まわしき凶器、ガイアメモリと関係していることが判明し、合同捜査本部をここ風都署に移転した次第であります。」

「また、ネオシェードがガイアメモリを使用しているということは、それによって産み出される怪人・ドーパントも脅威となり得ます。そこで本捜査にあたり、それに酷似した存在と対抗してきた皆様のお力をお借りしたいと考えている所存であります。」

ドーパントに酷似した存在と対抗してきた警察官…?

俺はふと辺りを見渡した。確かにただの警察官にしてはかなりの数の修羅場を越えてきたような雰囲気を漂わせている人も見受けられる。

 

「本捜査の現場主任として、かつて東京を震撼させた未確認生命体の駆逐に尽力された、長野県警警備部の一条薫氏を任命したいと思います。」

照井の言葉で会議室内にざわついた。

照井の紹介の後、ちょうど反対側の席に座っていた男性が立ち上がり、一礼した。

「一条薫?」

「知らないんですか!?一条薫といえば、未確認生命体第4号と共に、その他の未確認生命体を駆逐した伝説の刑事ですよ!?」

小声だが、席の近くにいた泊が興奮気味で俺に言った。

「長野県警警備部所属の一条です。かつての東京のように、ここ風の街風都を凶悪犯の巣窟にすることは、我々警察として決して許される事ではありません。とは言え、相手は人成らざる者であることに違いはありません。我々の被害が最小限になるよう、私も不手際のないよう尽力を尽くします。」

一条は一度一呼吸し、続けて言った。

「しかしながら、この風都には第4号…、失礼。仮面ライダーという脅威に対抗し得る戦士がいます。かくいう風都署の照井警視もその一人です。東京にて未確認生命体を駆逐できたのも、同じく未確認生命体である第4号、今で言う仮面ライダーの協力があって成し得たことであります。私の他にも、同様に仮面ライダーの協力を得て、様々な脅威と立ち向かってきた方もおられるでしょう。我々も仮面ライダーと協力し、全面的にバックアップしていくつもりでおります。どうか皆様のお力をお借りしたい。よろしくお願いいたします。」

一条は再び一礼すると席に座った。

 

再び照井が話を始めた。

「そして本捜査の最高責任者として、警視庁加賀美陸警視総監を任命させていただきます。」

その言葉を合図に中央の席に座っていた老齢の男性が立ち上がった。

「警視総監の加賀美です。諸君らは、蜜蜂の真の強さを知っているかな…?」

蜜蜂?突然何を言い出すんだ、あのじいさん。

同じく会議室内がどよめいたが、加賀美警視総監は続けて言った。

「蜜蜂は花から花へその蜜を求め飛び交う。途中で外敵に襲われればやむを得ずその針を用いて戦う。そして、強大な敵と対峙する際は集団で戦うのである。警察官である諸君らも同じだ。事件から事件へ、その真相を求め足を進める。犯人から攻撃されれば手にした拳銃を撃つだろう。しかし、今回の相手は諸君らよりももっと獰猛な存在である。一人一人では太刀打ち出来ないかもしれない。だからこそ、我々は協力して脅威に立ち向かわねばならない。諸君らの健闘に期待する…。」

「なるほど…。」

隣でフィリップが呟いた。

いや、さっぱり意味がわからなかったんだが…。

「なお、本捜査にあたり、この風都の情勢を把握している鳴海探偵事務所の私立探偵、左翔太郎とフィリップにも捜査の依頼をしております。本来ならば、部外者である彼らを捜査に参加させることは異例ではあります。しかし、彼らの力量は風都署職員全員が納得するものであります。事件の早期解決のためにも皆様にご承知して頂きたい。」

突然の照井からの紹介で、 俺は面を喰らった。

「よ、よよよろしく。」

一度立って挨拶をしたが、隣のフィリップは涼しげな様子で会釈だけで済ました。

座ってから照井を観ると、ニヤついてやがった。あの野郎…。

「本捜査の最終目的はネオシェードの壊滅。しかし、ガイアメモリを凶器として扱っています。よって、まずはネオシェード構成員からガイアメモリを押収すること。これを第一目標とします。」

照井が言ったあと、再び一条が言葉を続けた。

「捜査を二班に分けて行います。第一班を一条班。第二班を氷川班とします。配置は各々で確認してください。各員の健闘に期待します!」

「解散!!」

照井の合図を受け、会議は終了した。

 




今回は戦闘シーン無しですm(__)m

本作のもう一人の主人公・泊進ノ介の登場です。
彼が風都に現れた理由。
それは、テロ組織ネオシェードが暗躍し始めたからと設定しました。

改めてネオシェードの概要を説明します。
<ネオシェード>
仮面ライダードライブ本編に登場した国家転覆を狙うテロリスト集団。
岡村敬介をリーダーとし、ロイミュードと結託し爆破テロ等を引き起こしていた。
進ノ介がネオシェードを追う中でグローバルフリーズに遭い、誤って相棒を負傷させてしまったことがあり、そのことから彼に取って因縁深い組織とも言える。
ドライブ本編にて、岡村敬介が逮捕されたことで組織は壊滅した。はずだったが…。

本作では、ネオシェードを主な敵対組織として扱っていきますが、その理由はまた後程。


本作を執筆する上で、一番やりたかったこと。それは探偵ライダーと警官ライダーが力を合わせて難事件に挑むというストーリーです。
そして、それをやるからにはやってみたかったこと。
それが、各ライダー作品でライダー達に協力してきた警察官達の登場です。
※タグにある警察とはそういうことです。笑

その第一号が一条薫です。
本作では未確認生命体を駆逐した伝説の警察官として登場しました。そのキャリアから今後も活躍していく予定です。
本作の警視総監として加々美陸を設定しました。ということは…?
最後に出てきた"氷川"班とは…?

今後、まだまだライダーに縁のある警官達も登場していきます。
次回もお楽しみに!!

<登場警察官>
一条薫(仮面ライダークウガ)
加々美陸(仮面ライダーカブト)


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第6話

「あ゙ぁ~…。息の詰まる会議だったぜ。」

俺は珍しく締めたネクタイを緩めながら言った。

「そうかい?警察との合同捜査なんて、滅多にあることでもないじゃないか。それにドーパントと対等に渡り合えそうな警察官達…。何だかゾクゾクするねぇ。」

フィリップが言った。

確かに、ドーパントに酷似した存在と対峙してきた警察官というのは興味がない訳ではなかった。

すると、会議室にまだ残っていた警官の話し声が俺達に聞こえてきた。

「私立探偵を捜査に参加させるって何を考えてんだかな。」

「全くだ。探偵なんて、胡散臭い連中に何ができるって言うんだか…。」

「個人でできることなんて、たかが知れてるな。」

聞き捨てならなかった。

「おい!あんたら…。」

「探偵をバカにはできませんよ!!」

俺が叫ぼうとした所で、別の警官が声をあげた。

「探偵は確かに個人でしか動けない。だからこそ、我々のように規律に縛られない自由な捜査が可能です。探偵でしか出来ないこと、探偵にしか気づかないこともあります!風都署職員も認めているのなら、我々も見習うべきだとは思いませんか?」

警官が話すと、先ほどの警官達は黙り、そのまま席を立って行った。

「…失礼しました。左さん。」

警官が改めて挨拶をしてきた。

「お…おお。あんたのお陰で少し気が晴れたぜ。」

「いえ…。私の恩師も探偵業をやっているもので、つい…。」

警官は申し訳なさそうに言った。

「申し遅れました。警視庁の沢村と申します。どうやら同じ班ではなさそうですね。お互い、捜査に全力を尽くしましょう!」

沢村は俺達に一礼すると、その場を後にした。

 

「左、こっちだ!」

廊下から照井の声が聞こえた。俺達は照井に案内された部屋に入ると、既に十数名程の警官が活動を始めていた。そして、その場には一条の姿もあった。

「君が左君か。照井君から噂は聞いている。」

一条はこちらに気がつくと、手を差し出した。

俺とフィリップはそれぞれ握手をした。その手は優しい印象を与える顔に似合わず硬かった。その感触だけでも、この男が未確認生命体とかいう脅威と戦ってきた証に思えた。

「なるほど…。どこか、五代に近いものを感じるな。」

「五代?」

俺は思わず聞き返した。

「ああ、すまない。気にしないでくれ。」

「何も隠すことはないだろう、一条。」

二人の男性警官が近づいてきた。

「警視庁の杉田だ。」

「同じく桜井です。」

「俺達も一条と同じで、未確認生命体と戦ってきた。五代君と共にな。」

杉田が言った。

「五代というのは、もしかして未確認生命体第4号のことですか?」

フィリップが尋ねた。

「あぁ。今で言う仮面ライダー…、あー、何て言ったっけ?」

杉田が一条に聞いた。

「…クウガだ。」

一条が答えた。

第4号と言われて分かっていなかったが、"クウガ"の名を聞いてピンときた。

ちゃんと面と向かって話したことはないが、何度か共に戦ったことのある赤いライダーだ。

「我々も怪物と戦ってきた経験がある。そのドーパントとかいうやつらも同じ一条班として駆逐して行きましょう!」

桜井が言った。

「え?俺達一条班なんすか?」

「なんだ、まだ聞いてなかったのか?」

杉田が言った所で照井がやってきた。

「左、フィリップ。お前達は一条班と共に活動してくれ。」

「お前は?」

俺は照井に尋ねた。

「俺は氷川班だ。戦力バランスを踏まえて、俺とお前達は離れた方がいいと思ってな。後は一条さんの話を聞いて行動してくれ。」

照井はそういうとその場を後にした。

 

「では、我々一条班のメンバーを確認する。まず、班長兼現場責任者の一条。副班長として杉田。次に桜井…。」

杉田が班員の名前を呼び上げ始めた。

「…、大門、泊、左、フィリップ。以上だ。」

「左君、フィリップ君。ドーパントのこととガイアメモリについて説明してくれ。」

一条の言葉に従い、俺達はドーパントとガイアメモリのこと。そして暗躍しているアサシンと黒いエターナルの存在を話した。

「まさか、仮面ライダーなのに犯罪に加担してるだなんて…。」

大門凛子が呟いた。

「バイクのようなデバイス…。」

泊もどこか疑問に思っている様子だった。

「アサシン・ドーパント、ならびにエターナルと呼ぶ仮面ライダー。やつらが元ネオシェード構成員なのか、ネオシェード残党なのかが不明だとしても、やつらよりもメモリを回収する必要がありそうだ。各員、泊巡査長の元ネオシェード構成員の写真を元に捜索を始めよう。」

一条が言った。

「あんた達がこれまでどんなやつらを相手にしてきたかわからねぇ。だが、ドーパントを確認したら、無理はせず俺達に連絡をくれ。」

「何故お前達なんだ?」

杉田が尋ねた。

「この街を守る仮面ライダーとのコネがあるからね。」

フィリップが代わりに答えた。

「マジですか!?」

大門が言った。

「…わかった。君達に任せよう。」

一条も同意してくれた。

 

『市街地にて、ドーパントと思われる生命体が暴れているとの情報アリ。総員、現場に急行せよ!繰り返しますー』

 

署内で放送が流れた。

「一条班、これより現場に急行する!」

杉田の合図で各員行動を始めた。

 

「左さん、フィリップさん、大門さん!どなたかこっちの車両に乗ってください!」

泊に促され駐車場に向かうと、パトカーの並びにとても似つかわしくない車が停まっていた。

「うわっ、何だこのド派手な車!?」

俺は思わず言ってしまった。それは真っ赤なボディのスポーツカーのような車両だった。

「これでも公認された警察車両です!さぁ、早く!!」

泊は言うが正直乗り気ではなかった。

しかし、

「申し訳ない、泊さん。僕乗り物に酔いやすくて…。自前のバイクで向かいます。」

フィリップが言った。

「そうですか…、では向こうで会いましょう!」

「ちょっ、待てフィリップ!そんな話聞いてねぇぞ!!」

俺はフィリップに言ったが、彼はニヤっと笑いハードボイルダーに乗って行った。

あの野郎…、乗りたくなくて嘘言いやがったな。

「わ、私も…別の車両で向かいますね…。」

大門も引いていた。

「あ、じゃあ俺も…。」

「行きましょう、左さん!!」

「えぇ~…。」

しかし、フィリップはハードボイルダーで走り去り、残りのパトカーも出動してしまった。俺はしぶしぶ泊の車に乗り、現場に向かった。

 

「しかしまぁ…、よくもこんな車が警察車両として認められたな。」

車内で俺は泊に言った。

「これも一応訳アリなんですよ。でも、スポーツカー顔負けの馬力ですから、現場に急行するなら打ってつけです!」

泊が答えた。

「いやでも…。これは…。」

俺が言おうとしたときだった。

『全く、文句の多い青年だな!』

泊とは違う声が車内に響いた。

「!?な、何だ!?」

俺は驚きの余りに叫んでしまった。

『進ノ介、次の角を右に曲がれば近道だ!』

「わかった、ベルトさん!」

またしても声がした。

「誰だ!?」

『私はここだ。』

運転席と助手席の間にある機械から聞こえた。

中心にディスプレイを持ち、そこに顔のようなものが映されていた。

「カーナビか??」

『失礼な!私はこのトライドロンそのものだ。全く、ハードボイルドを語る探偵にしては、似つかわしくないな。』

「何だと!?」

「まぁまぁ、左さん。」

泊がなだめてきた。

「彼はベルトさんです。」

『よろしく!』

ディスプレイの顔が笑顔になった。

「ベルトさんだぁ??」

ベルトにはとても見えないが…。

 

『付近の警官がドーパントを確認。しかし、逃走を始めた模様。追跡してください!場所はー』

 

『急ごう、進ノ介!』

車内の無線を聞き、泊はアクセルを吹かし、目標地点へと向かった。

 

現場に着くと、ドーパントと白い仮面ライダーが戦闘をしていた。

マッハだった。

トライドロンから降りると同時にフィリップの乗るハードボイルダーと杉田、桜井、大門を乗せたパトカーも到着した。

「あいつ、あの時の!?」

「あいつかい?君が戦ったという仮面ライダーは。」

フィリップが言った。

「翔太郎、今回は僕が戦うよ。僕の相棒を傷つけたお礼をしなきゃね。」

珍しくフィリップから殺気を感じた。

「わかった!泊、大門、あんたらはこっから離れてろ!」

俺は二人に言った。

「ちょ、待ってくれ!あいつは…。」

「泊さん、離れましょ!」

泊が何か言いかけたが、大門に無理矢理移動された。

「桜井、距離を取って応戦するぞ!」

「はい!」

杉田、桜井は物陰に隠れ、相手の様子を伺っていた。

俺はロストドライバーではなく、ダブルドライバーを腰に装着した。それと同じものがフィリップにも現れ、装着された。

すると、どこからともなく小さな恐竜のようなロボットが現れ、フィリップの手中に収まった。

フィリップはそれをガイアメモリに変形させた。

 

ファング!

 

それは"野獣"の記憶を擁するF(ファング)メモリだ。

 

ジョーカー!

 

俺もJメモリを手にした。

「「変身!!」」

俺が先にメモリを自分のベルトに装填すると、それはフィリップのベルトに転送され、続けてフィリップがFメモリを装填した。

 

ファング!ジョーカー!!

 

フィリップの身体を、右側を白、左側を黒の装甲が包み込み、仮面ライダーW・ファングジョーカーへと姿を変えた。

それと同時に俺の意識は身体を離れ、変身したフィリップの方へ移された。

「あの探偵、仮面ライダーだったのか!?」

杉田は驚きを隠せないでいた。

 

『「さぁ、お前の罪を数えろ!!」』

「は?あ、お前は!!」

マッハはこちらに気がついた。

「君かい?僕の相棒を傷つけたのは?」

「何を?そもそもお前は俺達の身体だ!姿が変わろうが、返してもらうぜ!!」

マッハが言ったが、前回同様、何の話か分からなかった。

「ふむ…。翔太郎の言う通り、何の事かわからないね。でも、相棒を傷つけた借りは返させてもらうよ!」

フィリップが言うとマッハに攻撃を仕掛けた。

 

「まさか、フィリップさんが仮面ライダーだったなんて!」

大門が言った。

「剛のやつ、何やってんだ…。考えるのは止めた!二人を止めないと!」

泊はトライドロンからベルトさんを取り外し、自身の腰に装着した。

「ちょ、泊さん!?」

大門が言ったが泊には届かなかった。

 

「ベルトさん!ひとっ走り付き合えよ!」

『OK !START YOUR ENGINE!』

泊はベルトさんに付いている鍵状のスイッチを入れ、左手首に着けたブレスレットに車型のデバイスを装填した。

 

「変身!!」

 

ブレスレットの車を前に倒した。

 

ドラーイブ!

ターイプ・スピード!!

 

泊の身体を赤い装甲が包み込み仮面ライダードライブの姿に変えた。その直後、トライドロンからタイヤが飛び出し、ドライブの身体に装着された。

「ストーップ!!」

ドライブがマッハとWの間に入った。

「何!?」

『あ!?』

俺とフィリップは、目の前に飛んで入ってきた赤いライダーに驚いた。

「し、進兄さん!?」

マッハも驚いていた。

「進、兄さん?」

『てことは、お前、泊か!?』

「はい!ていうか、あなた達も仮面ライダーだったんですか!?」

ドライブも俺達の姿を見て驚いていた。

『どうなってんだ!?』

俺にはこの状況が理解できなかった。

「進兄さん!何でこいつと一緒に!?」

マッハが言った。

「説明は後だ。俺も剛から聞きたいことがある!」

「とにかく、彼は俺達の味方だ!」

ドライブがマッハに言った。

「皆、各々言いたいことがあるだろうけど、ドーパント、逃げちゃうよ。」

フィリップが冷静に言った。

 

「「『あ。』」」

 

気がつけば、ドーパントはすでに俺達からずいぶん距離を取り、今にも逃げそうだった。

『待ちやがれぇ!!』

俺達は急いでドーパントを追った。




鳴海探偵事務所の二人が警察と合同捜査という形で一条薫率いる一条班とともに行動を開始しました。

そして、本作のもう一人の主人公・泊進ノ介がついに変身します。遅くなりましたm(__)m

今回はライダー作品の警官達が何人か現れました。気づきましたでしょうか?

<登場警察官>
沢村(仮面ライダー555)

〔一条班〕
杉田守道(仮面ライダークウガ)
桜井剛(仮面ライダークウガ)
大門凛子(仮面ライダーウィザード)

ちなみに、警察所属の仮面ライダー達は警察官の間では周知のことであり、一条班の警官達は泊=ドライブであることは知っている設定です。

次回をお楽しみに!


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第7話

 

「お、お前ら!三対一は卑怯だろ!」

ドーパントが言った。

『四人だ!!』

俺が言った。

「いや、五人だろ。」

ドライブが自身のベルトを指して言い返した。

『進ノ介!私もカウントしてくれるのか!』

ベルトさんが喜んでいた。

「それでも四人だろ、だって一人はほら。」

マッハは、倒れている俺の身体を指して言った。

『それには色々あんだよ!』

「もういいかい?翔太郎。」

フィリップが呆れて言った。

「無視すんじゃねぇ!!」

業を煮やしたドーパントが襲いかかってきた。

やつは両腕から、植物の蔦のようなものを飛ばし、鞭の様に振り回してきた。

三人の仮面ライダーはそれを避けるが、自在に操られた蔦の猛攻は続いていた。

「桜井、大門!ライダー達を援護するぞ!」

「「了解!!」」

三人の警官は狙いを定め、ドーパントへ射撃を始めた。

「蔦ならば、切り落とすまでさ!」

 

ショルダーファング!

 

フィリップがFメモリの角のようなスイッチを二回押し、右肩に白い刃が現れた。

それを手に持つと、ブーメランのように蔦へ投げつけた。それは蔦を次々に切り落としていった。

『進ノ介!植物なら、火が適切だ!』

「わかったベルトさん!これでどうだ!」

ドライブは左腕に装着しているシフトブレスに別の車型のアイテム・シフトカーを装填した。

 

タイヤコウカーン!

 

トライドロンから炎を纏ったタイヤが飛ばされ、ドライブに装着された。

「はぁ!!」

身体に装着された炎のタイヤから炎の車輪が飛び出し、ドーパントを炎で包みこんだ。

「あち、あちぃあちち!!」

さらに、炎を纏わせた拳や脚で次々に攻撃を加えていった。

「負けられないよ!」

マッハはベルトのスイッチを数回叩き、高速移動しながら矢継ぎ早に攻撃を加えていった。

「これで最後だ!」

 

ファング・マキシマムドライブ!!

 

フィリップがスイッチを三回押し、右足首に白い刃が現れた。それと同時に右脚にエネルギーが蓄えられた。

「ま、まずい…!」

ドーパントが逃げようとしたが、

「逃がすか!」

 

ヒッサーツ・フルスロットル!

 

ドライブがシフトブレスのスイッチを押すと、トライドロンが自動で動きドーパントを中心に回りを高速で移動し始め、ドーパントの動きを止めた。トライドロン目掛けドライブが跳び蹴りをすると、トライドロンを蹴って再び跳躍し、その反発力を生かしドーパントを蹴り飛ばした。

「うわっ!」

ドーパントは宙に飛ばされた。

 

『「ファングストライザー!!」』

 

右脚に溜めたエネルギーを刃に纏わせ、回し蹴りの要領で刃でドーパントを切り裂いた!

「うわああああ!!!!」

ドーパントは地に伏せると、人の姿に戻りメモリが排出された。

「元ネオシェード構成員、お前の身柄を拘束します!!」

影で見ていた大門が駆け寄り、元ネオシェード構成員に手錠をかけた。

「おい、フィリップ!何でメモリブレイクしなかった!?」

フィリップが変身を解くと同時に意識が戻った俺は、フィリップに尋ねた。

「アサシンや黒いエターナルが、どのメモリを狙っているか、調べる必要がある。その都度メモリブレイクして、犯人の身体から調べるのは非効率的だからね。」

フィリップは排出されたメモリを拾いながら言った。

「"植物の記憶"I(アイヴィ)メモリか…。」

「左さん!」

ドライブから姿が戻った泊が駆け寄った。

「まさか、あなたも仮面ライダーだったとは。」

「照井から聞いてないのか?」

照井と捜査をしていたなら、知っているはずだと俺は思っていた。

「それが…。照井警視が仮面ライダーアクセルだったことは、一度ライダーとして一緒に戦ったことがあったので知っていましたが、左さんのことを尋ねた時に"俺に質問するな!"と言われてしまいまして…。」

照井の野郎…。

「それと。」

泊が白いライダースジャケットを着た青年を引っ張って言った。

「こいつが、ご迷惑をお掛けしてすみませんでしたっ!!!!」

泊は頭を下げると同時に青年の頭を掴んで無理やり下げさせた。

「ちょっ、進兄さん!?」

青年は泊の手を払い除けて言った。

「やっぱ、泊の弟か?」

俺は泊に尋ねた。

「いえ、彼は義理の弟で、詩島剛です。」

「義理の?」

「嫁の弟です。」

「お前も既婚者かよ!何だよ、くそぉ!!」

「翔太郎。君、結婚願望強かったっけ?」

フィリップが尋ねてきた。

「うるせぇ!そろそろそういう年頃なんだよ…。」

俺は何だか悲しい気持ちになった。

「…てか、お前!この前はよくもやってくれたな!」

俺は剛に言った。

「黒のライダーなんて、紛らわしいんだよ!」

剛も反論した。

「けど、何故君は黒いエターナルを追っているんだい?それに、"身体を返せ"ってどういうことなんだい?」

フィリップが剛に冷静に尋ねた。

「そ、それは…。」

剛は言葉を詰まらせた。

「剛!その黒いエターナル、ベルトにマッハドライバーが使われてるのは本当か!?」

泊も詰め寄った。

「あー。取り込み中に悪いんだが、話は署に戻ってからにするぞ。」

杉田が話に割って入ったことで、剛も含めた俺達は再び風都署に戻った。

 

今回の一件を報告したことで、一条班の面々に、俺達が仮面ライダーであることが露呈した。最も他言無用を約束してくれた。

「やはり君達が…。」

一条は驚きはしていたが、冷静であった。

「黙っていて悪かった。合同捜査と言っても、俺達にとって部外者だからな。」

「職業柄、あまり正体を知られたくないもので。」

俺とフィリップは言ったが、誰も非難することはしなかった。

「気持ちはわかるさ。だが、我々も君達に協力していきたい姿勢だ。これからはなるべく隠し事は無しで頼む。」

そういうと、一条は改めて手を差し出した。

「あぁ。よろしく頼むぜ、一条さん!」

俺は一条の手を握った。

フィリップも続いて握手をした。

「そして…。君が泊君の義弟の詩島剛君だね?」

「進兄さんや姉さんが世話になってます。」

見かけによらず、剛はしっかりと挨拶をした。

「こんなにも仮面ライダーが多いなら、心強いですね!」

「そうだな!」

桜井と杉田も歓迎していた。

「ここに晴人君も居たらなぁ…。」

大門が呟いた。

「晴人?」

俺は尋ねたが、何でもないと言われてしまった。

「剛。教えてくれ。お前の言う黒いライダー。やつを追っている理由を。」

泊が本題に話を戻した。

「…。」

剛は黙っていたが、やがて口を開いた。

「あの黒いライダー。あれはロイミュードだ。」

「何だって!?」

泊が言った。

「ロイミュード?」

聞き慣れない単語だったが、泊の様子から、おそらくドーパントと同じ類いのものだろう。

「機械生命体・ロイミュード。重加速を武器に破壊工作をしていた怪人です。」

大門が答えた。

「翔太郎、前に東京を襲ったグローバルフリーズ事件を覚えているかい?あれはロイミュードの仕業だったことが、検索結果でわかったんだ。」

フィリップが言った。

「なるほど…。で、黒いエターナルがロイミュードって言い切れる根拠は何だ?」

俺は剛に尋ねた。

「あれは…。特状課で封印されていたロイミュードボディで、俺の恩師、ハーレー・ヘンドリクソンに預けていた個体だ。」

「!?どういうことだ?何であの身体がハーレー博士の元に…?」

泊が尋ねた。

「…。チェイスを、復活させたくて…。俺が博士に頼んだんだ。」

それを聞いた泊が、突然剛の胸ぐらを掴んだ。

「剛、お前!!」

「落ち着け、泊!」

俺は、二人の間に入り泊の手を離させた。

「ごめん!進兄さん…。俺、どうしてもあいつに伝えたいことが…。」

剛は申し訳なさそうに言った。

「その、チェイスというのは?」

一条が尋ねた。

「…。チェイスは、俺達の大切な仲間のロイミュードだったんです。かつて、俺達と同じく仮面ライダーとして共に戦ってきました。ですが、戦いの中で彼は消滅してしまって…。」

泊が冷静さを取り戻しながら言った。

「チェイスもロイミュードだったから、俺達は一度だけロイミュードボディを作って、あいつを復活させようとしたんだ。思ってたのと違う結果になったけどね。」

剛も続けて言った。

「なるほど、そういう事情があったんだな。」

杉田が言った。

「けど、それが黒いエターナルって言うのはどういうことなの?」

大門が剛に尋ねた。

「数週間前、何者かがハーレー博士の研究所を襲撃してきたんだ。そして、ロイミュードボディと、それと共に預けていたチェイスのマッハドライバーも奪って行ったんだ!」

剛は言葉を続けた。

「やつら、ボディに何か細工をしやがって、俺が一度追い詰めた時にはマッハドライバーを使ってあの黒いライダーに変身したんだ!」

「それってつまり…。」

「ネオシェード…。」

フィリップに代わって泊が言った。

「本来、ロイミュードは"コア"がなきゃ起動しないんだ。それがどういう訳かコア無しで、しかも仮面ライダーとして動いてやがる。」

剛の言葉で俺はあることに閃いた。

「…。なぁ、フィリップ。ネオシェードは、ガイアメモリを収集しているな。ガイアメモリは、地球上の総ての事象を記憶したもの。だとしたら…。」

「あぁ。僕も同じことを考えていた所だよ、相棒。」

さすがはフィリップだ。

「どういうことだ?」

一条が尋ねた。

「そのコアの代わりに、ガイアメモリの記憶を起動キーとして使った可能性が高いということです。」

フィリップが言った。

「泊、ロイミュードってのは人間に擬態することは可能か?」

俺は泊に確認した。

「え、えぇ…。」

「ロイミュードを素体とし、ガイアメモリを利用した結果、エターナルの姿をしているのだとしたら…。それから、さらに特定のメモリを収集しているのなら、ネオシェードの目的は…。」

「…。ロイミュードを用いた、大道克己の復活。」

俺はフィリップの言葉に続けて言った。

「!?風都を襲撃したテロリスト集団・ネヴァー。そのリーダーの復活が、やつらの狙いだと言うのか!?」

一条が言った。

「憶測ですが…。でも、それならネオシェードがガイアメモリを収集していることにも合点が行く。」

フィリップが言った。

「…繋がった!ガイアメモリ一つの記憶では大道克己の完全復活に至らなかった。それで完全復活させるためにいくつかのメモリが必要なんだ!」

泊が言った。

「てことは、やつらが狙うメモリは"大道克己に繋がる記憶"を擁するものか…!」

俺は戦慄した。

「署内に情報伝達!一つでも多くガイアメモリを押収するぞ!」

一条の指示で班員捜査を続けた。




ダークエターナルの正体。そして、ネオシェードの目的。それぞれが明かされてきました。

今回は、オリジナルドーパントならびにガイアメモリを設定しました。
<I(アイヴィ)メモリ>
植物の記憶を擁するガイアメモリ。

<アイヴィ・ドーパント>
植物怪人。腕から伸びる伸縮自在の複数の蔦が武器。これを鞭の様に振るったり、蔦を収束させ、棍棒や槍の様に変化させて攻撃したりすることもできる。身体中を幾重にも蔦が覆っているため、衝撃を吸収することができ、物理攻撃に対する防御力が高い。
しかし、植物由来であるため炎また斬撃が弱点。
能力的には強い部類だが、斬撃がメインだったWファングジョーカー、炎攻撃が可能なドライブタイプスピード・フレアと完全に相手が悪かったため、敢えなく撃破された。

ネオシェードが集める、大道克己に繋がる記憶とは。
翔太郎達は、ネオシェードの狙いを阻止できるのか。

次回もお楽しみに!



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第8話

今回は照井視点の物語です。
照井が事件の報告書を作成し、その一部を抜粋したという体です。


「…なるほど。大道克己の復活。それだけは阻止しないとだな。」

左からの連絡を聞き、俺は戦慄を覚えた。

大道克己。風都史上最凶最悪のテロリストであり、仮面ライダーエターナルに変身する男だ。

ネオシェードの狙いが大道克己の復活だとするならば、早急に手を打たねばならない。

「照井警視、その話は信じても良いんですね?」

氷川班の班長・氷川誠が尋ねてきた。

「ええ。おそらくネオシェードは、大道克己を復活させ、やつを手中に収めることで力を示し、日本政府を転覆させる気だと思われます。」

俺は一連の事件を整理しながら言った。

「そこまでして、日本へテロ行為を行う理由って何なんでしょうか…。」

氷川班の刑事、泉信吾が言った。

「テロリストの考えることなんて、一般人である僕たちが考えた所でわかんないっすよ。」

G5ユニット主任、尾室隆弘が緊張感のないように言った。

「しかし、ネオシェードが何か目的を持って行動している以上、黙って見過ごす訳にはいかないですよ、尾室さん。」

氷川が尾室を叱責した。

「す、すみません…。」

 

「ダメです。中々強情で、話を割りません。」

泊が逮捕した元ネオシェード構成員・忍野瞬矢を尋問していた沢村ともう一人の警官が戻ってきた。

「ご苦労様です。沢村さん、須藤さん。」

氷川が言った。

「どこでガイアメモリを入手したのか、ネオシェードの目的が何なのか。何一つ話しませんでした。最も、ネオシェードの目的については本当に知らなそうでしたが。それで、何か進展はありましたか?」

須藤雅史が言った。

俺は、須藤と沢村に左から得た情報を伝えた。

「なるほど…。では、それも踏まえた上で、引き続き忍野への尋問を行います。」

須藤はそういうと、部屋を後にした。沢村もそれに続いた。

 

『港町にて、ドーパントの目撃情報あり。各員出動せよ。繰り返しますー』

 

署内放送が部屋に響いた。

「こちら氷川。氷川班出動します!」

「待ってました!G5ユニット、出動!!」

氷川の合図で俺達は出動した。

 

現場に着くと、ドーパントが港にある貨物コンテナを襲撃していた。

「あー、そこのドーパントぉ!無駄な抵抗は止めて、大人しく投降しなさぁい!」

パトカーから刃野がメガホンで訴えた。

「ふん!たかが警察ごときが止められる訳がねぇだろ!」

ドーパントが答えた。

「ごもっともだぁ!」

刃野が言ったが、何とも拍子の抜けた言い方だった。

「だがなぁ、俺達には仮面ライダーがついている!痛い思いをしたくなきゃ、黙って投降しろぉ!」

「そんなハッタリが効くか!」

「ならば仕方ない…。」

投降する気がないことが分かり、俺は他の警官達より前に出て、アクセルドライバーを取り出し腰に着けた。

 

アクセル!

 

「変…、身っ!」

俺は"加速"の記憶を擁するA(アクセル)メモリをドライバーに装填し、ドライバー左右にあるバイクのハンドルのようなグリップを右手で捻った。

 

アクセル!

 

その途端、俺の身体を赤い装甲が包み込み、仮面ライダーアクセルに変身した。

「ま…マジで仮面ライダーかよ!?」

明らかにドーパントは怯んでいた。

「ジーン・ドーパントか…。個人的にだが、そのメモリのお陰で嫌な思いをしてな…。本気で振り切るぜ!」

俺はエンジンブレードを構えた。

 

「あれが風都の仮面ライダー…。」

氷川は目を見開いて言った。

「…氷川さん、本当は戦いたいんじゃないんですか?」

泉が氷川に言った。

「いや…、今の僕には…。それに、G3ーXは今…。」

 

「くっ…!」

ジーン・ドーパントは踵を返し逃げようとした。

 

ファンファンファンファン…。

 

サイレンの音と共に3台の大型の白バイ・ガードチェイサーがジーン・ドーパントの行く手を遮った。

 

黒い装甲の仮面ライダーと、その簡易型の青い仮面ライダー二人がバイクから降りて銃器を構えた。

「こちらG3ーX、尾室!ならびにG5!配置に着きました!逃がさんぞ、ドーパント!!」

「ええい…。こうなったら!」

ジーン・ドーパントは、海の中の魚にめがけ、腕から怪光線を放った。それに直撃した数匹の魚は海中から飛び出すとその姿を人の形に変えた。

ジーン(GENE)・ドーパント。その名の通り、"遺伝子"の記憶を擁するガイアメモリで変身した姿だ。その力は有機物を遺伝子組み換えをし、姿を変える。ドーパントの怪光線を浴びた魚は、その力で人の形に変えられたということだ。

「行け、魚人達よ!」

ジーン・ドーパントの命を受け、魚人が迫ってきた。

「おおおおおお!!!」

俺は迷わず剣を振るい、魚人を切り倒した。

「尾室主任…!」

「狼狽えるな、僕たちも行くぞ!」

G5ユニットも射撃で応戦した。

「各位、ライダーに続け!」

氷川の合図で、警官達も発砲し始めた。

「まだだ!」

ジーン・ドーパントは、さらに足元の蟻にも怪光線を浴びせ人型にした。

「今度は蟻か!」

このままでは、埒があかない。

「照井警視、離れて下さい!」

G3ーXが叫んだ。

その手には大型のガトリング砲ケルベロスを携えていた。

「これで薙ぎ払います!」

各々がケルベロスの射撃範囲から逃れたことを確認すると、G3ーXはトリガーを引いた。

毎秒数百発の弾丸が魚人や蟻人間を次々と撃破していき、ジーン・ドーパントにもダメージを与えた。

「くそっ…。」

 

エンジン!

 

俺はギジメモリであるE(エンジン)メモリをエンジンブレードに装填した。

 

エレクトリック!

 

ブレードのトリガーを押し、ブレードに電気を纏わせると、それをドーパント目掛けて振るった。

「ぐわっ!」

ドーパントが膝をついた。

「止めだ!」

 

その時、何か殺気を感じ取り、俺は攻撃を止めて回避行動を取った。それと同時に俺のいた所を高速で何かが走り抜け、その勢いでドーパントを蹴り飛ばした。

「な、何だ!?」

G3ーXは何が起きているのか理解していなかった。

だが、ドーパントを蹴り飛ばした者が何なのか、俺には分かった。

「黒い、エターナル…!」

左の言った通りだった。装甲や単眼の色は違えど、そこにいたのは、仮面ライダーエターナルだった。

「氷川班長!あれが例の黒いエターナルだ!」

俺は変身前に身につけていたインカムを伝って氷川に言った。

「こちらでも確認しました。ということは、やつの狙いはあのドーパント!」

「マジか…。」

刃野も驚きを隠せなかった。

「攻撃します!」

先に動いたのは尾室のG3ーXだった。

「尾室さん、迂闊だ!」

氷川が叫んだが、すでに攻撃をしていた。

後方のG5達が援護射撃をし、それを掻い潜ってG3ーXは肉弾戦を仕掛けた。しかし、黒いエターナルは弾丸をものともせず、またG3ーXの攻撃を意図も簡単にかわしていた。G5達も肉弾戦に切り替えたが、それでも黒いエターナルはかわし、一方で的確に一撃一撃をG5とG3ーXに与えていき、地に伏せさせていた。

各々、装甲の耐久性が落ちたのか、所々でショートしていた。

「な、何て強さなんだ…。」

G3ーXの中で、尾室が息も絶え絶えに言った。

G3ーXは旧型とは言え、近代化改修も施されている。並大抵の怪人相手なら善戦できる程だ。それでも黒いエターナル相手に手も足も出なかった。

黒いエターナルは地に伏せたG5ユニットを余所に、ジーン・ドーパントに近づいていった。

「く…、くるな…。」

ドーパントも逃げようとするが、先の戦闘でのダメージが祟ってか、うまく身体を動かせずにいた。

「総員、黒いエターナルをドーパントに近づけさせるな!!」

俺は叫ぶと同時に黒いエターナルに挑んだ。

「総員、アクセルを援護する!」

氷川の合図で警官達も黒いエターナルへ射撃を始めた。

黒いエターナルは、警官隊からの射撃は気にも留めていない様子だったが、こちらの攻撃には慎重になっていた。

俺は再びエンジンブレードに電気を纏わせ斬りかかった。しかし、それは黒いエターナルがいたはずの場所を空振りした。黒いエターナルは高速で移動を始めた。それに気づいた時点で、四方から飛び交う攻撃に身をさらしていた。

「何だ、このスピードは…。」

あり得ない。かつてのエターナルにはこのような力はなかったはず。やはりエターナルに模した別物と捉えるべきか。

「照井警視!トライアルならば対等に戦えるはずです!」

インカムから泉の声が聞こえた。

「言われなくとも!」

 

トライアル!

 

俺は、"挑戦"の記憶を擁したT(トライアル)メモリをベルトに装填した。

 

トライアル!

 

赤い装甲が砕け散り、代わりに青い装甲が身を包んだ。

耐久力やパンチ力には欠けるが、この方が高速で戦える。

俺は、黒いエターナルと同じ土俵に立った。

黒いエターナルは、俺が高速の世界に飛び込んだことに動揺していた。

「もっと早く!」

俺は拳を蹴りを幾度も黒いエターナルに叩き込んだ。黒いエターナルも対応しようとするが、徐々に追い付かなくなっていた。

「はあっ!!」

俺は最後の一蹴りを与え、黒いエターナルを蹴り飛ばした。

「地獄へ還れ、エターナル!」

そう言うと、俺は、ベルトからTメモリを抜き取り、スイッチを押した。メモリに設けられているタイマーが起動すると同時に、俺も再び高速で移動し、黒いエターナルへ最後の攻撃をしようとした。

 

ところが、その直前に、俺と黒いエターナルの間に何者かが飛び入り、俺の攻撃を弾き返した。

「うわっ!」

俺は何とか受け身を取り、体勢を整えた。

黒いエターナルを守るように、両手にハサミのような武装をしたドーパントが新たに現れた。その姿はまるで人の形をした蟹のようだった。

「ここで、これを破壊される訳にはいきません。」

ドーパントが言った。

「貴様…、ネオシェードの残党か!」

俺はドーパントに向かって言った。

「勿論。」

「さて、狙いはそこのドーパントでしたが、どの道手に入りますから今回は見送りましょう。ではまた。」

「っ…!逃がすか!」

しかし、黒いエターナルは再び高速移動を始め、どこかへ走り去り、新たに現れたドーパントは海中に飛び込み姿を眩ました。




照井が所属するもう一つの捜査班・氷川班のお話です。

班長はその名の通り元G3ユニットの氷川誠が務めています。
今回はアクセルの他に仮面ライダーG3ーXとG5が登場しましたが、オリジナル要素を取り入れた設定となっています。

<仮面ライダーG3ーX 尾室カスタム>
かつて氷川が装着していたものをとある理由からG5ユニット主任の尾室に譲渡した強化外骨格。
近代化改修が施されており、総合的な性能は底上げされている。現在の能力ならばエルロード以外のアンノウンならば易々と駆逐できるようになった。
外見は当時と変わらないが、尾室の趣味によりG4のようなカラーリング(複眼はオリジナルのまま)になっている。

氷川が尾室にG3ーXを譲渡した理由は後に明かされます。

<仮面ライダーG5>
仮面ライダーG3ーXの簡易量産型の外骨格。見た目はG3に近いがスペックはそれを上回っており、前身にあたるG3ーMILDの上位互換の仕様となっている。量産が前提であるため、コストダウンの影響でG3ーXよりも防御力や万能性(武装がスコーピオン、サラマンダー、ガードアクセラーしか扱えない)が落ちたが、集団での戦闘でそれをカバーすることができる。G5ユニットに多数配備されている。

アギト本編最終回で登場した、尾室が主任を務めるG5ユニットを個人的に掘り下げてみました。

<ジーン・ドーパント>
W本編でも登場したドーパント。新型メモリを用いているので、他の生物の姿を変えられる力を持っている。

<クラブ・ドーパント>
オレンジ色の体色をした蟹型のドーパント。見た目は某ライダー作品に登場したあるライダーにそっくりで、両腕に左右非対称な巨大なハサミを持つ。右手のハサミはス○○○○・○○トのように切れ味が鋭く挟む力も凄まじい。左手のハサミはガ○○・○○トのように堅牢な甲殻で盾として用いる。こちらのハサミでも攻撃が可能。腰にはV○ッ○○が見られない。
変身者は不明(笑)。

新たにネオシェードの刺客として現れた蟹型のドーパント。
ジーンドーパントを狙って現れたダークエターナルの狙いとは。

次回もお楽しみに!!

<登場警察官>
〔氷川班〕
氷川誠(仮面ライダーアギト)
尾室隆弘(仮面ライダーアギト)
須藤雅史(仮面ライダー龍騎)
泉信吾(仮面ライダーオーズ)
※以前登場した沢村は氷川班所属となっている
※照井の部下であるため、刃野と真倉も氷川班所属となっている


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第三章 風都署襲撃事件 第9話

「新たな刺客か…。」

照井からの情報を聞いた俺達は頭を悩ませていた。

「そういえば、最近アサシンの目撃情報ありませんね。」

大門が言った。

「その代わりの蟹型のドーパント、さしずめ"蟹"の記憶を擁するC(クラブ)メモリを用いたクラブドーパントって所かな。」

フィリップは照井の報告から推測して言った。

「黒いエターナルも神出鬼没ときた。まったく尻尾が掴めないな。」

剛も若干苛立ちながら言った。

現在、一条班と氷川班の尽力により多くのガイアメモリを回収した。しかし、回収したところでどれが大道に繋がるのか見当がつかなかった。

「大道克己に繋がるの記憶、大道克己に繋がるの記憶…。」

俺は会議室内をうろうろしていた。

「落ち着いてください、左さん。」

泊が言った。

「ネオシェードが所持しているメモリ、もう一度おさらいしませんか?」

大門が言った。

「現状、僕たちが把握している限りで言えば、V、S、N…。マッハドライバーであの姿ではあるけど、おそらくEもあると見るべきだろう。」

フィリップが言った。

「そして、俺達で回収したメモリの中で、GとM(メロディ:旋律の記憶)は黒いエターナルが狙ってきたな。」

俺が言葉を続けた。

「一見、共通点が見えて来ないが…。」

一条が呟いた。

その時、部屋のドアが開いた。

「何か分かったか、左。」

照井ともう一人警官が部屋に入ってきた。

「今、やつらが狙っているメモリを整理していたところだ。…あんたは?」

俺は警官に尋ねた。

「氷川班班長の氷川誠です。」

「氷川って、元G3ユニット所属の仮面ライダー!?」

大門が興奮気味で言った。

「あんたもライダーなのか。」

俺は氷川に尋ねた。

「今は警視庁所属のただの警察官ですよ。」

氷川が答えた。

「今は違うって訳?」

剛が氷川に尋ねた。

「えぇ…まぁ。」

氷川が言葉を濁した。

「おい、剛!!余計な事を言うんじゃない!!」

泊が剛に言った。

「あー、話を進めていいか?」

おそらく氷川がライダーを辞めたことについては、何か理由があるのだろう。それを察した俺は話を変えるべく言った。

「照井、頼みがある。」

「何だ?」

「先日捕まえた男。確か、忍野って言ったな。やつと話がしたい。」

「何故です?」

泊が尋ねてきた。

「ドーパントに変わった連中は、皆戦闘による後遺症として意識不明になっている。唯一その例外なのが忍野瞬矢。いわば、彼が重要参考人だ。」

フィリップが俺の代わりに答えた。

「しかし、何度も尋問したがやつは何も話さなかったぞ。」

照井が言った。

「だからこそ、アプローチを変えてみるんだ。探偵である俺達が話をすることで何か違う反応が見られるかもしれねぇだろ?」

「なるほど…。」

大門が頷いた。

「そんな簡単にいくものか?」

剛が疑いの目を向けてきた。

「まぁ、見てなってボウヤ。」

「ぼっ…!?進兄さん、こいつぶん殴っていいか!!」

剛が言った。

「全く大人気ない…。これだから君はいつまで経ってもハーフボイルドなんだよ。」

フィリップがため息をつきながら言った。

「は…ハーフボイルドじゃねぇ、ハードボイルドだ!!」

まさかのフィリップからの一言に俺はカチンときた。

「…。あの、照井警視。本当に彼らを信用していいんですよね?」

氷川が照井に耳打ちをした。

「…。私に質問をしないで頂きたい。」

照井が呆れたように言った。

「まあまあ。…いいだろう。」

その場を収めようとしながら、一条は同意してくれた。

「ただし、共同捜査とはいえ、あくまでも取り調べは警察の仕事だ。君達の他に警官一人は着かせてもらうぞ。」

一条が言った。

「それなら、私が同席します。」

泊が名乗りを上げた。

「それと、別室でも我々は待機している。そのつもりでいてくれ。」

「分かった。」

 

俺とフィリップ、そして泊は、面会室で忍野に会った。

「た、探偵の旦那ぁ!」

忍野が言った。

「よぉ、元気そうだな。」

俺は忍野に対しフランクに言った。

「では、本題に入ります。忍野瞬矢さん。あなたがガイアメモリを手に入れた経緯、ネオシェードの動向など知っていることをお話願います。」

泊がお堅く言った。

「それは…、前の刑事さんにも言ったハズだ。ガイアメモリのことはともかく、ネオシェードが今何をやろうとしているのかなんて、俺の知る所じゃねぇ。」

忍野は答えた。

「ガイアメモリ、白衣の人間から貰わなかったかい?」

フィリップが言った。

「…。」

忍野は答えなかった。だが、俺の経験上、この黙秘は黙認と変わらないものだ。

「どうなんですか?忍野さん!あなたの知っていることをお話して頂かないと、ネオシェードがテロを起こしてしまう!」

泊は焦りを見せていた。

「焦ってるねぇ、刑事さん。」

気味の悪い笑みを浮かべながら、忍野が言った。

「そりゃそうか。俺のいたネオシェードのせいであんたのお仲間、間違って撃っちまったんだもんなぁ。」

「お前…っ!!」

泊が立ち上がって言った。

「それに、正直な所、日本がどうなっても構いやしねぇ。今さら警察に捜査協力をする気すら湧かねぇさ。」

忍野は泊に対し挑発的に言った。

「黙って聞いていれば!!」

泊は、忍野との間を隔てている防弾ガラスを拳で叩いて言った。

「落ち着け、泊。」

「気持ちは分かるよ、泊さん。」

俺とフィリップはどうにか泊の気持ちをなだめた。

「フーッ…。すみません、既に過ぎたことですし、あれはロイミュードによるものですから…。」

泊は何とか自分を抑え、再び席に着いた。

「じゃあ、他のことを聞くぞ。そもそもネオシェードに加担しようとした理由は何だ?」

俺は忍野に尋ねた。

「…旦那。あんた家族はいるかい?」

忍野が問い返してきた。

「家族…。」

フィリップが呟いた。

「家族って思える仲間達はいる。だが、俺は独り身だし、肉親もいねぇ。」

「そっか…。俺には家族がいたんだ。女房とかわいい子供と。俺は大黒柱として養わなきゃいけなかった。だが、社会は残酷だ。俺は勤めていた会社を辞めさせられた。それで女房も俺のことを見切りをつけて出ていっちまった…。」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

別室にて、俺、一条、氷川はモニター越しで左達の様子を見ていた。

左の問いに対し忍野が答えている所だ。

「家族か…。」

俺は思わず呟いた。

「奥様は、あの探偵の事務所の所長でしたね?」

氷川が尋ねてきた。

「えぇ。」

「旧姓は鳴海…。鳴海荘吉さんの娘さん?」

一条が尋ねてきた。

「?…一条さんはお義父様をご存知で?」

「えぇ。彼の評判は都内や長野にも広く伝わっていまして。生前、何度か捜査協力をお願いしたことがありまして。」

一条が答えた。

「そうだったんですね。」

「今回、左君達を捜査本部へ参加して頂いているのは、信頼できる鳴海さんのお弟子さん達であったこともあるんです。」

道理ですんなりと許可が降りた訳か。

「惜しい人を亡くされたんですね…。僕も是非ともご一緒に仕事したかった。」

氷川が言った。

そうこうしていると、中の様子が変わっていることに気づいた。

「何があった…?」

一条は切っていた室内マイクのスイッチを入れた。

 

うおおおおおおおおん。

うわあああああ。

うっ…、ひっぐ…。

 

中は阿鼻叫喚の如く、泣き声や喘ぎ声が轟いていた。

「…。」

「…。」

「…。バカかあいつらは!」

よくよく聞いていると、何とも阿呆らしい会話だった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「…でよ!そんな大金ちらつかせたらさぁ、やるしかねぇじゃねぇか!!」

忍野は涙ながらに訴えていた。

「あぁ…そうだな、そうだよな…うわあああ。」

俺は涙が止まらなかった。

「女房は事故で亡くなっちまってさぁ、おまけに治すのに莫大な大金が必要な程の病気にかかった子供の為に、俺は…、俺はやむを得ず…。」

「ぼ、僕にも家族がいます…。そりゃ、お子さんのことが心配ですよね…うぅ…。」

泊も号泣していた。

「けどよ…!やっぱ親父として頑張ってるって胸を張りたいと思ったんだよ!だから、俺は組織から足を洗ったんだ…。」

「お父さんとして…。それは大事なことですよね…ぐすっ」

フィリップも袖で涙を拭いながら言った。

「わかってくれるかぃ?探偵の旦那達、刑事さんよぉ!!」

忍野が言った。

「あぁ…、わかったよ忍野さん!」

「…で、メモリはどうやって手に入れたんだ?」

俺は近くにあったティッシュを手に取り鼻をかみながら言った。

「あぁ…、財団Xって野郎から貰った。…あ。」

忍野は言い切った所で"しまった"という顔をした。お涙頂戴作戦の成功だった。

「…!?」

泊はまさかの証言に驚いていた。

「…さすがだね、翔太郎。」

フィリップも感心していた。

俺は涙を拭い、改めて問いただした。

「財団は、なんて吹っ掛けてきたんだ?今さら知らねぇは効かねぇぜ、忍野さんよぉ。」

忍野は黙ったが、観念し重い口を開けた。

「参ったよ、旦那。あんた上手いねぇ。」

「俺達…、組織を抜けた連中は、ネオシェード残党に命を狙われているんだ。」

「命を?」

と俺が。

「どういうことですか?」

と泊が尋ねた。

「ネオシェードの掟さ。裏切り者には死を。俺達何人かが組織を抜けた直後は何もなかったんだが、最近になって死刑宣告されてな。」

そういうと、忍野はズボンのポケットから青い薔薇の花びらを出して見せた。

「これが、そのサインとでも言うのかい?」

フィリップが薔薇を指して言った。

「そうだ。それとほぼ同じ時期に、財団Xが接触してきたんだ。命が惜しければこれを使うといいってな。」

「ということは、アサシンや黒いエターナル、それと新たな刺客であるクラブ・ドーパント。奴らはネオシェード残党であり、組織離脱者を粛清するために行動しているということか。」

俺は言った。が、しかしそれでもわからないことがある。

「でも繋がらない…。ネオシェード残党も元ネオシェード構成員もガイアメモリを所有している。言ってしまえば、どちらにも財団Xが関与している。となると、なぜ双方にメモリを渡しているんだろうか…。」

泊が言ったが、俺も同じ考えだった。そして、ネオシェード残党はそれを幾つか回収している。ならば、目当てのモノを財団から手に入れれば済む話だ。何故そんな回りくどいことを…。

「さぁ…。俺には分からん。だが、そろそろ時間か…。」

忍野が呟いた。

「時間?」

俺は忍野に尋ねた。

 

その時だった。

ビー!ビー!ビー!ビー!

署内の警報が鳴り響いた。

 

『署内職員に通達!直ちに近くにあるモニターを付け、電波を繋げて下さい!』

 

「何だ!?」

すると泊がスマートフォンを取り出しテレビ中継にした。

別室の照井達も室内のモニターに電波を繋いだ。

モニターに写し出されたのは、無表情の男の姿だった。

「!?岡村敬介!!」

泊は投獄されているはずの男の姿を見て叫んだ。

 

『日本全土に住まう国民ども。我々の言葉を聞くがいい。我々はネオシェード。我々の目的は現行の日本社会の変革である!』

『日本社会は、自由を謳いながらも決められた枠組みの中で生かされ続けているのが現状である!我道を進めば周囲の圧力により修正され、果ては異端者となれば社会から弾かれる。この国での自由とは本来の自由とは呼べないものである!これは許されるべきではない事実である!』

『故に、我々は本来の自由を取り戻すべく、立ち上がった次第である!同士達よ!準備は整った!我々の目的を果たす機会が訪れたのだ!』

『日本政府に告ぐ!我々ネオシェードは、本来の自由を取り戻すべく!政府に対し宣戦を布告する!』

 

 




元ネオシェード構成員との戦闘を毎回やってしまうと間延びしてしまい面白さに欠けてしまうと判断し、アイヴィ戦とジーン戦以外は全カット。既にある程度のドーパントからガイアメモリを押収したことにしました。
既に押収した内の一部として、Mメモリを登場させました。

少しながら、キャラクターのクロスオーバーを設定しました。

翔太郎と氷川誠の対面。
一条と鳴海荘吉がかつて共に仕事をしていたこと。
そして、一条と氷川が同じ場面に出てくること。

どこかで一条さんと氷川さんが共に活躍する場面を作りたいです。笑

第3話で逮捕された忍野瞬矢への尋問の中で明らかになった財団Xの陰。
そして、ネオシェードの掟。
最後にドライブ本編最終回で逮捕されたはずのネオシェードリーダー岡村敬介による、ネオシェードの宣戦布告。

物語は、いったいどうなっていくのでしょうか。
次回もお楽しみ下さい。


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第10話

突然のネオシェードによる反逆宣言。署内はもちろん、風都民、いや、日本国民に戦慄が走っただろう。

 

ドカアアアアアン!!!!

 

程なくして風都署内のどこかから爆発音がし、面会室もその衝撃で揺れた。

「爆発!?」

 

『緊急事態発生!署内にドーパントを確認!場所は…きゃあ!』

『さぁ…。モノは全て手に入れましたよ。アサシン!』

 

「何だと!?」

俺は部屋を出ようとした。

「左さん!!」

泊が呼び止めた。

「フフフ…。さて、旦那。色々と話せて良かったぜ。」

忍野は不敵の笑みをこぼしていた。

「忍野…?」

「…っ!翔太郎!!彼は!!」

フィリップが言った。

忍野は自分の拳を自身の鳩尾に叩きつけると、口から何かを吐き出した。それはAと印字されたガイアメモリだった。

「忍野、お前!!」

「ははっ、あんたらのお陰でメモリ探しが随分楽にできた。感謝するぞ!」

 

アサシン!

 

忍野は口を開き、ガイアメモリを自身の舌にあるコネクタに押し当てた。

メモリは忍野の体の中に入り、その姿を変えた。そこにいたのは、俺が戦ったアサシン・ドーパントの姿だった。

「アサシン!!」

俺達は構えた。

突然、目の前の防弾ガラスが砕け散り、俺は部屋の壁まで吹き飛ばされた。一瞬何が起きたか理解できなかったが、殴られたようだ。身体を起こすと、泊も同じく吹き飛ばされていた。

そして、フィリップは気絶したままアサシンに担がれていた。

「この小僧は預かっていくぞ。」

「待ちやがれ…!」

しかし、アサシンはフィリップごと高速でその場から立ち去った。

「大丈夫ですか、左さん…!」

泊が俺の肩を担いだ。

「フィリップが…、後を追うぞ…!」

俺と泊は何とか部屋を出た。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

(照井視点)

爆発音と共に俺は部屋を飛び出していた。方角的に押収したガイアメモリを厳重保管している金庫の方だったからだ。

署内は騒然としていた。事務員は避難行動を取っていたり、拳銃を持った警備員や警官達も署内を走り回っていたりしていた。

 

バンバンバン!

 

エントランスの方から銃声が聞こえた。

駆けつけると、3、4人のマスカレイドドーパント達と杉田を始め、警官達が戦闘を繰り広げていた。その中にあの蟹型のドーパントもいた。

「待てぇ!!」

俺に気づいたマスカレイドを蹴散らしながら、ドーパントの前に立ちふさがった。

「また貴方ですか、照井警視。」

「ここは通さん!変…、身っ!!」

俺はアクセルになり、エンジンブレードを振りかざした。

 

ギィン!

 

金属同士が鈍い音を上げてぶつかった。

ブレードがドーパントの左腕の鋏によって防がれたのだ。

俺は、後退しすぐさま距離を取った。

「ガイアメモリを返して貰うぞ、クラブドーパント!」

「私の名はシザースです。ガイアメモリ、確かに頂戴しました。」

シザースが答えた。

「やるものか!」

「なら、その気持ちにお答えするまで!!」

シザースが迫ってきた。

両手の巨大な鋏で襲ってくる。俺はそれに合わせエンジンブレードで受け流す。が、奴の体術は凄まじく防戦になってしまった。

「おや、口だけですかぁ?」

シザースは余裕を見せていた。

「くっ…!」

すると再び銃声が鳴り響いき、シザースが後退した。

「待たせたね、刑事さん!」

「…マッハか!」

俺とシザースの間にマッハが割って入った。

「ええい…数が増えようが関係ありません!」

再びシザースが迫ってきた。

マッハは新たにシグナルバイクをベルトに装填した。

 

シグナルバイク!

シグナルコウカーン!トマール!

 

マッハがゼンリンシューターでシザースに撃ち込んだ。それが当たると、シザースはその場で動きが止まった。

「う、動きが…。」

「今だ!」

 

ヒッサーツ・フルスロットル!

 

マッハはシザースに向けて飛び蹴りをしようとした。

しかし、どこからともなく黒いエターナルが現れ、迫るマッハを蹴り返し、吹き飛ばした。

「うわっ!」

「エターナル!」

 

エンジン!マキシマムドライブ!

 

俺はエンジンブレードにエネルギーを溜め、刺突の要領でシザースに向けて放とうとした。

「止めておけ、アクセル!」

今度はアサシンがシザースの前に立った。その腕にはフィリップが担がれていた。

「何!?」

俺はすぐさま攻撃を止めた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

(翔太郎視点)

「フィリップ!!」

追い付いた俺は、相棒の名を叫んだ。しかし、気を失っていて返事がない。間もなく、別室にいた一条と氷川も合流し、敵に対し拳銃を構えた。

「あれがアサシン、黒いエターナル、それとクラブドーパント!」

「シザースです、一条刑事!」

シザースが訂正した。

「最悪な組み合わせだな…。」

氷川は拳銃を向けて言った。

「忍野!フィリップ君を離せ!」

泊が叫んだ。

「やはりやつが!」

照井も言った。

「離せと言われて離すバカがいるか?」

アサシンは嘲笑った。

「あんたらのお陰で必要な数のガイアメモリが簡単に手に入った。」

「どういうことだ!」

一条が聞いた。

「思ったより警察の動きが早くてですね。予定通り行動しては、我々が必要とするガイアメモリが全て奪われてしまうことに気がつきましてね。ならば、むしろ警察に集めさせ、後で一辺に奪うことにしたんですよ。」

シザースが答えた。

「そこで、俺が署内に潜り込むことにしたのさ。」

アサシンが続けて言った。

俺ははっとして言った。

「忍野を黒いエターナルに始末させたのは、署内へ潜り込ませるための芝居だったのか!」

あの時点で気づくべきだった。己の思慮の浅はかさに辟易した。

「ご名答!さすがは探偵ですねぇ。Nメモリがあれば蘇生が可能ですから。アサシンがダークエターナルに始末された振りをすることで、その死体は警察署の中の死体安置所に送られるか、重要参考人として拘束されるか。何にしても、署内に送られれば、内側から準備ができますからねぇ。」

シザーズが言った。

「Nのコネクトですらダミーだったのか。」

「一つの身体に複数のメモリを使うのは正直怖かったさ。だが、前例がなかった訳じゃなかったんでねぇ。上手く言って良かったよ。」

アサシンが言った。

「そして、警官の中にも内通者がいたって訳!?」

マッハも言った。

「何てことだ…。」

一条は呟くように言った。

「さて、我々には三つの盾がある。この青年とダークエターナルのボディとなるロイミュード、エターナルになるべく使っているこのベルト。無事で済ませたければ、抵抗は止めるんだな。」

アサシンが言った。

くそっ!

誰も手も足も出なかった。

回りには負傷した警官もいる。下手に戦えば彼らの命も保証できない。

「いい判断ですね。では、我々はこれで。」

シザースの言葉を合図に、アサシン達はその場を後にした。

 

「くそっ!」

俺は力任せに壁を殴った。

俺達は風都私立病院で怪我の手当てを受けていた。

ネオシェード残党による風都署襲撃により、その復旧の為暫く立ち入ることが出来なくなっていた。幸いにも署員の死者はおらず、各々の怪我の程度も大したものではなかった。

「落ち着いて、翔太郎くん!」

亜樹子が照井の看病もしながら言った。

「すまない、所長…。気を遣わせてしまって。」

「ううん、いいの!それが可愛い妻の勤めでしょ?」

亜樹子が言った。

普段なら黙っとけ!と言いたい所だったが、そんな気にはならなかった。

「進ノ介さんも、無事で良かった…。」

「ありがとう、霧子。」

向かいのベッドでは泊の妻である泊霧子が看病していた。

「姉さぁん、こっちも頼むー…。」

剛も情けない声を出していた。

 

何故だろう。身体だけじゃなく、俺の心もボロボロだ。

 

程なくして、室内のドアが開き、一条が入ってきた。

「一条さん、もう大丈夫なんですか?」

泊が言った。

「あぁ。恥ずかしいことだが、君ら程前線に立っていた訳ではなかったからな、軽い怪我で済んだんだ。」

一条が答えた。

「それは何よりです。」

照井が言った。

「しかし…。本当に申し訳ない!」

一条が皆に頭を下げた。

「何で…、あんたは何も悪くはないだろ…!」

俺は一条に言った。

「やめてください、一条さん!」

泊も言った。

「風都署の襲撃。警察官の中に内通者がいた。それを見抜けなかったのは私の落ち度だ。」

一条が言った。

「それだけ、ネオシェードの根が俺達が思っていた以上に深かったってことだろ。あんたの責任じゃない。」

剛もフォローした。

「幸いにも死者が出なかったんです。一条班、氷川班共に。それに少しの間ですぐに動けるようになります。まだこれからです!」

泊が言った。それに続き、俺達は頷いた。

「…すまない、みんな。」

一条の表情が少し柔らかくなった。

「所長、もう大丈夫だ。少し席を外してくれないか?」

照井の言葉に対し亜樹子は頷いて答え、部屋を後にした。霧子もまた泊と目を合わせたあと、それに倣った。

俺と剛で目が合ったがすぐに視線を離した。

「こんな所ですみませんが、今後のことを話しましょう。」

照井が言った。

「無論、まずはフィリップ君の救出が最優先だ!」

一条は迷わずに言った。

「しかし、何故フィリップ君を人質に取ったのか…。」

「それはあいつの能力を狙ってのことだ。」

俺は言った。

「能力?」

俺は一条、泊、剛にフィリップの生い立ちや力について話した。

「そんなことが…。」

一条が驚いて言った。

「だから、やつらがエターナル復活の為のメモリを揃える為に悪用されるか、新たにメモリを作ってドーパント軍団を作り上げるか。何にしても最悪なパターンになる…。」

俺は噛み締めて言った。

「そんな…。だったら尚更フィリップ君を助けないと!」

泊が言った。

「だが、あのままやつらがどこへ消えたのか、見当もつかない…。」

照井が答えた。

「進兄さん。前に岡村が使ってたアジトはどうだろう?」

「俺も考えた…。だが、あそこはすでに特状課で押さえたし、現さんに捜査してもらったけど、もぬけの殻だったそうだ。」

泊が答えた。

打つ手が無いのか…。どうすればいい…。

しばらく考えた後、

「…。悪い、席外すわ。」

俺はベッドから立ち上がった。

「どこへ行く?」

照井が尋ねた。

「外の風に当たってくるだけだ。」

そういい、俺は部屋を後にした。

 




忍野瞬矢の正体が明かされました。
忍野はネオシェードの計画のため、身体に二本のメモリ用コネクタ処置が施されました。
忍野曰くの前例というのは、お馴染み井坂先生のこと。

一瞬ですが、泊進ノ介の嫁、詩島霧子も登場しました。
お陰で翔太郎に余計なダメージが入ります。笑

フィリップは拐われてしまい、押収していたメモリも奪われてしまった。
打つ手は無しなのか…。

次回をお楽しみに!


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第11話

俺は病院の屋上に出た。そして、誰もいない屋上の柵に身体を任せ目を瞑った。

 

風都の風は気持ちいい…。

風に当たってるだけで傷が癒えていく感じがするぜ。

やっぱり、俺は風都に吹く風が大好きだ。憤りを感じる時、悲しい時、もやもやした時…。こうやって小高い所で風を感じることで、全てが洗い流されていく気がする。風に当たっている内に気持ちが落ち着くんだ。

仕事をしている時だってそうだ。

調査に行き詰まった時、風に当たることで頭の中が整理される。

それに風がいい知らせを運んで来るときもあるから、それを待つのだっていい。

まぁ、これはおやっさんの請け負いなんだがな。

「おやっさぁん。俺はどうしたらいい…?」

俺は空を仰ぎながら呟いた。

 

「左さん。」

我に返り、声の元へ向いた。

「氷川さん?」

「お邪魔でしたか?」

「いや、そんなことはねぇよ。」

「それなら良かった。」

氷川が缶コーヒーを差し出した。俺はそれを受け取り一口飲んだ。何とも安い味だ。それでもホッと一息がつける。

「風都。本当にいい風が吹いてますね。」

氷川が隣でコーヒーを飲みながら言った。

「お、わかるか?この良さ!」

「ええ、この街に住んで見たいくらいですよ。」

「だが、代償としてドーパントとやり合わなきゃならないぜ。結局落ち着かないさ。」

「そうかもしれませんね。」

お互い静かに笑った。

「フィリップさん。大切な相棒なんですよね?」

氷川が尋ねてきた。俺は黙って頷いた。

「照井さんから聞きました。何と言っていいのか…。無事であることを祈りましょう。」

「…あぁ。」

俺は呟くように言い、コーヒーを啜った。

「僕にも、大切な仲間がいました。警察官ではないんですが、戦友とでも言うんでしょうか。一緒に闘ってくれた仲間が。だから、少しだけかもしれませんが、左さんの気持ちわかりますよ。」

氷川が気を使ってくれているのがわかった。

「…なぁ、氷川さん。聞いてもいいか?」

「何ですか?」

「何でライダー辞めてしまったんだ?」

「…。」

氷川は黙ってコーヒーを啜った。

「…いや、答えなくていいっすよ。悪かった。」

「…僕は、仮面ライダーになりたかったんですよ。」

氷川が言った。

「?」

「僕は、かつてG3ユニットに所属し、G3ーXの装着員として闘っていました。といっても、強化外骨格装甲ですから、本来の意味でのライダーではなかったんです。」

「どういうことだ?」

俺は問い返した。

「左さんは、アギトをご存知ですか?」

「あー、あぁ。角の開くやつだよな?」

仮面ライダーアギト。クウガと同じくちゃんと顔を合わせた訳ではないが、知っていた。

「ええ。不可能犯罪を続けていた新種の未確認生命体・アンノウン。その脅威から人々を守るために闘っていたのがアギトなんです。」

氷川は続けて言った。

「アギトは、言葉では上手く説明できない人智を越えた力を持っていました。その力で数々のアンノウンを倒していったんです。本来なら市民の安全は警察が守らなければならなかったんですが。」

氷川は自嘲気味に言った。

「だから、あんたがG3ーXとして戦ったんじゃないのか?」

「まぁ、そうなんですが…。でもそれは、結局はアギトの力じゃない。人でしかなかったんです。僕は。」

俺はそのまま黙って聞いていた。

「ずっと仮面ライダーになりたくて戦っていましたが、ある時に気づいたんです。人として出来ることをすればいいんだって。それからは何だか吹っ切れた感じがして。自分の出来ることを精一杯やってそれで戦おう、みんなを守ろうって思ったんです。ただ…。」

「ただ?」

「所詮は人間。無理をし過ぎると身体のどこかを悪くしてしまうんですよね。」

「…。」

「僕の場合、ブラックアウトしてしまうんです。」

ブラックアウト。戦闘機なんかに載ってると起こる現象だ。身体に負荷が掛かってしまい、眼球に血液が回らなくなって一時的に失明してしまうのだ。

「初めはストレスによるものと診断されたんですが、戦い続けていく内にそれが頻繁に起きるようになり、はたまた長時間見えなくなったりしていったんです。ついにはドクターストップですよ。全く…。」

ハハっと氷川は笑って言った。

「幸い、G3ーXを手放せば警察官としてはまだまだ戦えるとのことだったので、後任の尾室さんに任せて、僕はその一線を退いたというわけなんです。でも、やっぱり心のどこかに、ライダーとして戦いたい気持ちが残ってるんですよ。先の戦いだって、僕が戦えていれば結果は少し違ったんじゃないかって。」

「なるほどな…。氷川さん、あんた強い人だ。」

「え?」

氷川は面を喰らったような顔をした。

「だってそうだろう、あんたは最後まで"人として闘い抜いた"んだろ?何かの力に頼るでもなく、自身の力で。」

「…でも、それに気づかせてくれたのは仲間達のお陰ですから。」

「その仲間達の為にも、あんたはライダーとしてだけでなく、氷川誠として戦えばいいんじゃないか?」

「…左さんって、僕より年下ですよね?」

「これがハードボイルドってもんすよ。」

「は、ハード…?」

 

「翔ちゃーん!」

また俺を呼ぶ声がした。

風都イレギュラーズの一人、サンタちゃんが駆け寄ってきた。

「なんだよ、サンタちゃん。こんな所まできて。」

俺は呆れていった。

「探したよ~。実はさ、あの超人気ワインセラーのG'sヴィンテージがちょっと前から風都に出張店舗出してんだよ!」

サンタちゃんが興奮気味に言った。

「あー、サンタちゃん、わかったけど今する話か?」

「聞いてって!ほら、そろそろボジョレー解禁でしょ?だから俺もちょっと様子見に行ったらさ、本店の店長が来てたの!そしたら、鳴海探偵事務所を知らないか?って聞かれたわけ!」

仕事の依頼か?

「んで、知り合いだって伝えたら、話したい事があるからすぐに来て欲しいって!」

「ったく!あのな、今…。」

その時、不意におやっさんの言葉が脳裏を過った。

 

「いいか、翔太郎。風都の風は、時に予期せぬものを運んでくることがある…。それが調査のキッカケに繋がることだってあるんだ。そんときは黙って風の流れに身を任せろ。ただの気のせいなら、それでいいじゃねぇか…。」

 

「…わかった。場所は?」

俺はサンタちゃんから場所を聞き、そこへ向かおうとした。

「左さん!」

氷川が呼んだ。

「ありがとうございました。美味しいフレンチレストランを知っているので、今度ご馳走しますよ!」

俺は片手でハンドサインを送ると、その場を後にした。

 

「ここか…。」

サンタちゃんに教えられた場所。

それは風都通りに面したフリースペースを借りて営業していた。

G'sヴィンテージ。あまりワインには詳しくないんだが、ここのオーナーが俺に何の用なのか。

「考えても仕方ねぇか…。」

俺は意を決して、入店した。

中は中世ヨーロッパをモチーフにした内装が施されていた。ショーウィンドウには、オススメのワインとそれに合うスナック等が置かれている。反対に店の奥には年季の入ったワインボトルが壁一面に並べられていた。

そして、さすがワインセラーだけあって、果物の香りが漂っていた。しかし、決して葡萄の香りだけではなく、様々な果物の香りがする。

もう少し奥へ行くと、立ち飲み用のカウンターやイートインもあり、俺を呼びつけた男はそこにいた。白いジャケットと暗めのデニムを身につけていた。

「あんたか、俺を呼んだのは。」

俺は男に尋ねた。

しかし、男は黙ったまま、ワインボトルを見つめていた。

「あの、あんたここのオーナーだよな?」

反応がない。

「おい…!」

「しっ!」

「…!?」

突然、男に黙らされた。

「ワインを嗜む時は、ボトルをあける所から慎重にならなければならない。少しの衝撃で風味が変わってしまうからね。」

そういうと、オーナーはジャケットの中からワインオープナーを取り出し、ゆっくり丁寧にワインの口を開け始めた。

 

ポンっ

 

思ったよりも小さな音を立て、ワインはこの世に放たれた。

そして、それを静かにグラスに注ぎ始めた。

「君は、普段からワインを嗜むかい?」

オーナーが尋ねてきた。

「いや…、あんまり…。」

「そうか…。ワインを注ぐ時もグラスの底に柔らかなクッションがあるつもりで注ぐといい。例えば水を硬いコンクリートの上に流せば四方に飛び散ってしまうだろ?そうではなくて、それを柔らかく受け止めてくれるものを想像しながら注ぐんだ。そうすることで、口当たりがさらにマイルドになる。」

「はぁ…。」

いや、別にワインの注ぎ方を聞きに来たんじゃないんだが…。

「そして、静かにグラスを回すと空気を含みさらに味わい深くなる…。さぁ。」

オーナーはワインを差し出した。

「いや、俺一応仕事中なんで…。」

「一口だけで構わない。味わってみてくれ。」

俺はしぶしぶそれを受け取り、一口だけ口に含んだ。

その途端、口の中をワインの風味が広がった。赤ワインだが癖も少なく、でもジュースと異なりしっかりと熟成された味が舌の上を流れていく。喉の奥へ流れたかと思えばその風味だけが逆流して鼻から抜けていった。芳醇の香りだ。

何だこれ、こんなにワインって美味かったか?

たった一口だけだが、全身を幸福感が包み込むような満たされるような気分だった。

「どうだい?」

「何とも、例えがたい感じだ…。ただ、少なくとも今まで飲んだ中で一番美味しい…!」

それを見たオーナーは笑顔を見せた。

「そうか、それなら良かった。けど…。」

オーナーは手に持ったワインボトルのラベルを見せてきた。

「多分、みんなが良く口にするものだよ?」

それはコンビニのロゴが入ったものだった。そして、事務所でやるクリスマスパーティーで飲んだことのあるごくごく普通のワインだったのだ。

「…へ?」

俺は大げさに答えた自分に恥ずかしさを感じた。

「ふふ…。すまない。けど、普段から口にするワインでも、アプローチを変えることで風味がガラリと変わるんだ。ワインの世界は奥が深いだろ?」

完全にオーナーのペースにのまれていた。

「君が鳴海探偵事務所の探偵・左翔太郎君だね?」

オーナーが尋ねてきた。

「…あぁ、そうだ。」

「僕は…、君が探しているものの在処を知っている。」

「!?それは本当なのか?」

いや、それよりも俺がフィリップを探していることを何故知っているんだ?

「何者だ、あんた。ただのワインセラーのオーナーじゃないな?」

俺は身構えた。

「…。ここではワインが泣いてしまう。表に出よう。」

オーナーに続き、俺は店の外へ出た。すると突然、オーナーから鋭い蹴りが飛んできた。

俺は咄嗟にかわし、距離を取った。

「ほぅ。今のをかわすとは…。さすがは仮面ライダーWか。」

オーナーは身だしなみを整えながら言った。

仮面ライダーとしての姿を知っているとなると、選択肢は絞られる。

「お前、ネオシェードか!!それとも財団Xか!!」

「ネオ、シェード…?そうか。今はそう名乗っているのか。」

オーナーは意味あり気に言った。

「何者か、と聞いたね?左翔太郎君。ならばお答えしよう。」

俺は、あの男の腰にベルトが巻かれていることに気づいた。

「あんた、まさか!?」

 

「変身!」

オーナーの右手には小さなワインボトルが握られており、それをベルトに装填した。装填したことで持ち上がったワインオープナーのようなトリガーを反対に戻した。

そして、ベルトを中心に装甲が展開され、仮面ライダーの姿になった。

「僕は…。シェードの改造人間!」

「仮面ライダーGだ!」




前半は翔太郎と氷川誠が交流する場面を設定しました。
本作で、氷川誠がG3ーXを手離した理由が明らかになりました。
アギト本編において、一時的に視力が無くなった場面がありました。それについては、過度のストレスによる一時的なものとされ、以降、再発することなく終わりました。
本作では、それを敢えて過大解釈をし、氷川さんがライダーを辞めざるを得ない設定にしました。
このまま、氷川さんはG3ーXとして戦わずに終わってしまうのでしょうか…。

後半は仮面ライダーGの登場です。
本作でやりたかったこと第二弾です。笑
ドライブ本編や東映公式で特に言及されていませんでしたが、ネオシェードと聞いて某バラエティ番組中の物語で登場した組織"シェード"を思い浮かべた読者も多いのではないでしょうか。
本作の敵はネオシェード。そして、ここは二次創作の場。ならば!と思い切って登場させました。
果たして、翔太郎の前に現れた仮面ライダーGの真意とは…。

次回もお楽しみに!


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第12話

またしても予想外の展開になった。

シェードの改造人間?

ネオシェードとは違うのか?

「さぁ、君がネオシェードを倒すべく力量の持ち主か、確かめさせてもらおう!」

とにかく相手はやる気だ。

考えてる場合じゃない。

「やってるさ…!変身!」

俺はロストドライバーを使い、仮面ライダージョーカーに変身した。

「ん…?Wは黒と緑のライダーだと聞いていたが…?」

どうやらジョーカーとしての姿を知らないようだ。

「さぁ、お前の罪を数えろ!」

「罪、か…。数は少ないけど、そのどれもが重いよ!」

そう答えると、Gは仕掛けてきた。

拳、蹴り、どれもが鋭いものだった。受け流すのが精一杯だった。

「くそっ…!」

一方で、こちらの攻撃は簡単にかわされてしまう。

「その程度かい?風都の仮面ライダーは。」

パンチをかわされると同時に腹に拳が叩きこまれた。

仮面ライダーとしての力を差し引いても、並大抵の身体能力じゃない。

「これが、改造人間とかいうやつの力か…。」

「これから君が戦う相手は皆この力を持っている。そんなことで倒れるようなら、街を守れやしないよ。」

言ってくれる…。

「そんなこと、俺がさせねぇ!」

俺は脚を踏ん張り立ち上がった。

「俺は、俺達は、この街を守る為に仮面ライダーとして闘ってんだ!こんな所でくたばる訳にはいかねぇんだ!」

俺の想いに応えるかのように、身体中に力がみなぎってきた。

「なんだ…?彼の想いに反応して…。そうか、それが君の強さなんだね!」

Gは何かを感じ取ったらしい。

そして、Gはベルトのスイッチを押した。

「ならば、君の想い、僕に見せてくれ!」

そう言うとGは大きく跳躍した。

「魅せてやるぜ!」

 

ジョーカー・マキシマムドライブ!

 

俺も大きく跳躍し、最後の一撃に備えた。

 

「スワリング・ライダーキック!!」

「ライダーキック!!」

 

二人のライダーキックが空中で交わった。

 

一瞬のことで何が起こったのか、俺にはわからなかった。

気がついた時には、俺は仰向けに横たわっていた。

「はぁ…。はぁ…。」

「見事だったよ、左翔太郎君。」

頭の上の方からGの声がした。

何とか身体の向きを変え、Gの方を見た。

Gは背を向けてしゃがんでいた。

俺と違い着地出来たのだろう。

しかし、Gが立ち上がって振り替えると胸の装甲に足跡のような窪みがあった。そしてそれを中心にGの装甲が砕け落ち、オーナーの姿が現れた。

やつの身体そのものにはダメージが無さそうだった。

「はっ…。俺のマキシマムドライブ受けて無傷とか…。さすが改造人間か…。」

俺は自身の変身を解きながら言った。

「確かにそうだね。並の人間だったら、こうじゃ済まされなかったよ。」

オーナーは静かに歩み寄ると手を差し出した。俺は迷わず手を掴んだ。

オーナーが俺の身体を起こすと、トライドロンがやってきた。

「左さん!!」

「泊!?何で?」

「サンタクロースの格好したおじさんに教えてもらって…。その方は?」

「…ちょうどいい。君も入りたまえ。」

「え?」

泊は俺を見た。俺は頷いて返事をした。

 

オーナーに案内され、先程のカウンターについた。

「さて…。君の相棒が連れ去られた所は、ここで間違いないだろう。」

オーナーは、近くに置いてあったワインオーダー表の裏側にその経緯を書いて泊に渡した。

「あの、あなたは?」

泊が尋ねたが、

「何…、しがないソムリエさ。」

とだけ答えた。

「君達が追っているネオシェード、その先駆けの組織が存在したんだ。」

オーナーが静かに言った。

「何だって!?」

泊が驚いて言った。

「その名は、シェード。かつて、日本政府が組織した、対テロ組織だったんだ。」

「マジか…。」

俺も驚いて言った。ネオシェードはテロ組織なのに、その先駆けのシェードが対テロ組織だった。皮肉とも言えるこの変遷に、一体何があったんだ。俺はそのまま黙って話を聞いた。

「そう。でも、その実態は優秀な身体能力を持った人間を拉致し、洗脳、肉体改造を施し狂戦士を造り出すという非人道的な組織だったんだ。それを指揮していたのが、徳川清山。」

「徳川清山といえば、元陸自の将校。でも、彼は随分前から行方不明のはず…。」

泊が言った。

「報道ではそういうことになっている。でも、シェードの実態が露呈したことで警察が逮捕したんだ。ただ、政府が発案したことだけあって、表沙汰にはできなかったというわけさ。」

オーナーが言った。

「そんなことが…。」

「言っちゃ悪いが、隠蔽されてたってことだな。」

俺は泊に声をかけた。

「清山が逮捕されたことで、組織は瓦解したかに見えた。けど、清山の息がかかったやつらが、清山奪還の為に暗躍していたんだ。」

「そして、その為に僕もシェードに拉致され、シェードの兵士として組織に加担していたんだ。」

「!?」

「けど、僕は洗脳に打ち勝った。それは僕が愛したものたちのお陰でね。そして、仮面ライダーGとして組織に立ち向かった。」

オーナーは拳を握り、それを見つめながら言った。

「けど、僕が戦った連中も所詮は氷山の一画でしかなかった。それから暫くして現れたのが…。」

「岡村隆之率いるネオシェード。」

オーナーの言葉に続けて泊が言った。

「岡村も清山の息がかかった人間の一人だ。」

オーナーが言った。

「…てことは、ネオシェードの次の目的って…。徳川清山の奪還!?」

泊は戦慄していた。

「恐らくね。」

「待てよ。そんなやつが解放されたら、どうなるんだ!?」

俺はオーナーに尋ねた。

「やつは自分を捕らえた日本政府を憎んでいる。解放された暁には、改造人間を増やし、クーデターを引き起こすだろう。そしてそうなった場合、いくら仮面ライダーが揃っても勝ち目はない…。」

「…っ」

仮面ライダーとはいえ、この男もまた改造人間だ。戦いの中で自身との力量の差を感じたからこそ、それが何体もいると考えるだけで、希望が見えなくなりそうだ。

「さぁ、僕が話せることは君たちに伝えた。時間があまり無い、すぐに仲間を助けに行くんだ。」

オーナーは俺達を促した。

「あんたも一緒に戦ってくれないか?」

俺は協力を申し出た。

「…僕は行けない、何故なら…。」

その瞬間、爆発音と共に店の半分が吹き飛んだ。俺達は店の奥にいたため難を逃れた。

「ナンバーファイブぅ!ここまでだ!」

外を窺うと数人のマスカレイドと人型歩兵兵器と思われるマシン数機が店を囲んでいた。

「言ったはずだ。僕はシェードの裏切り者。いつもやつらに追われている身だ。」

「だったら、俺達が!」

泊が言った。

「いいや、無駄さ。やつらは地獄の底まで追ってくるだろう。そして、このタイミングで現れたということは、君の仲間も危ないはずだ。」

「フィリップが!?」

「ここは僕が抑え込む。君たちは早く仲間の所へ!」

「…っ!ベルトさん!!」

泊の呼び掛けに応えるように、駐車してあったトライドロンが独りでに走り出し、敵を轢き飛ばしながら俺達の元へやってきた。

「左翔太郎君、忘れないでくれ。どんなに強大な敵でも、自分の背中には大切な仲間がいることを!そして、彼らが君の帰りを待っていることを!そんな彼らを待たせてはいけない!信じて戦え、仮面ライダー!!」

オーナーの言葉に俺は黙って頷いた。

「行きましょう、左さん!」

「死ぬんじゃねぇぞ!」

俺と泊はトライドロンへ乗り込み、オーナーが示した場所へ走り出した。

 

「死ぬな、か…。」

オーナーはほくそ笑んでいた。

「僕は死ぬつもりはない…。愛する者のためにも!今…、僕のヴィンテージが芳醇の時を向かえる!変身!!」

 

 

『各車両へ通達!東京ならびに風都各地において、ネオシェードによる暴動が発生!付近の警察官は至急急行されたし!』

 

トライドロンの中を無線がひっきりなしに響き渡る。

ネオシェード対策本部が風都署に敷かれていたが、そこはネオシェードの襲撃により、機能していない。その上、警視庁の選りすぐりの警官達も風都に派遣されたため、東京にまで手が回りきらないだろう。

完全にやつらの作戦に嵌まってしまった訳だ。

「こちら警視庁の泊!これよりネオシェード施設へ急行する。応援を求む!」

『現在、各地でネオシェードによる暴動を鎮圧させるために、人員を割くことができません。泊巡査部長、直ちに暴動鎮圧に参加されたし!』

「くそ!」

泊は苛立ちを見せていた。

「ちっ…。本丸に向かわせないために、痛手を追っている所を狙って同時多発テロか!」

俺自身も焦りを隠せなかった。

『どうする、進ノ介!?』

ベルトさんも言った。

 

『泊巡査部長、聞こえるか!応答せよ!』

無線から一条の声が聞こえてきた。

「こちら泊!」

「一条さん、どっから無線を飛ばしてるんだ?」

俺も思わず答えた。

『風都市民ホールを臨時捜査本部として機能させた!聞いていると思うが各地で暴動が起こっている。そちらの状況は?』

「我々はフィリップ君の所在を特定しました!今そこへ急行してます!」

『フィリップ君が?どうやって?』

「今は説明している時間が無ぇ!そっちから応援は寄越してくれないか!?」

泊に代わり俺は言った。

『…現在、風都各地でも暴動が起こっている。無理を押して、照井君も剛君もそちらへ対応している。警官隊もそちらの援護へ向かっている為、人員が足りないんだ。すまないが…。』

くそ!こっちもかよ!

そう思った時だった。

『警視総監の加賀美です。』

「総監!?」

『話はわかった。現在東京においても各地でネオシェードの暴動が発生している。そのため、本庁から応援を派遣することはできない。しかし、その括りに捕らわれない人物を派遣しよう。』

一体誰なんだ?気にはなるが、諦めかけていた応援が来るだけでも、有り難かった。

「こちら泊、応援に感謝します!」

『目的地を登録した。行こう、進ノ介!』




ネオシェードの前身組織としてシェードを設定しました。
そして、G本編で登場した指導者・徳川清山。
ただの人が対テロ組織シェード設立は無理があると思ったので、陸上自衛隊の将校であったと設定しました。

<徳川清山>
元陸上自衛隊の将校。とある理由からテロに対する防衛手段が必要と考え、日本政府に掛け合いシェードを設立した。しかし、その実態が優秀な人材を拉致し肉体改造と洗脳を施し狂戦士(改造人間)を生み出すと言うことだった。それが露呈したことで警察に身柄を拘束された。

また、本作における仮面ライダーGの世界観は、平成仮面ライダーの世界観と共有していますが、G本編とは異なるパラレルとして扱ってます。

例)
G本編:シェードは徳川清山の解放要求を全国に向け放送したため、全国的にその存在を認知している。
本作:徳川清山の解放のため暗躍していた一部隊を仮面ライダーとして覚醒したGが倒しため、シェードの放送が行われず全国的に認知されていない。

基本的に、仮面ライダーGとして覚醒するまでの過程はG本編と同じです。単純にシェードの存在が知られているか知られていないかの差異です。

次回、フィリップ奪還なるか?
加賀美総監から送られる助っ人とは誰なのか。

お楽しみに!


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第四章 復活 第13話

今回はフィリップ視点です。


ジーン!

 

どこか遠くの方で聴こえる。それが何かまでははっきりとはわからない。

 

ソード!

 

それもそのハズだ。ここはどこで自分が何なのか分かっていない。それなのに、何が聴こえるかなんてわかるはずがない。

 

ヴァイオレンス!

 

だが、少しずつだが、意識がはっきりしてきた。それまで眠っていたものが意識を取り戻し、いつかの夜明けを待つかのように。だが、まるで何も見えない。

 

メロディ!

 

聴こえる。誰かが自分を呼んでいる。だけど、この不愉快さは何だ?だれが眠りを妨げる?

 

テラー!

 

光が見えた。日差しか?視界がハッキリしない。だが、嫌だ。目覚めたくない。

 

ウェポン!

 

やめろ!やめてくれ!!

誰が眠りを妨げるんだ!!!

 

ナイト!

 

そうか、ようやく分かった。

自分が何者かを…。

自分は…、俺は…!!

 

ネヴァー!

 

 

「もうやめろぉ!!!!」

僕は叫んだ。

「ほぅ…、ようやく意識を取り戻したか。」

男が言った。

その言葉で、僕は今まで気を失っていたことに気がついた。そして、両手を天井から垂れている鎖で縛られ、座りたくても座れない状態で拘束されていた。無機質な空間の中で、目の前には忍野と男とマッハドライバーを身につけたロイミュードがいた。

男は、ガイアメモリに封じられた記憶を注ぎ込むかのように、次々とガイアメモリをロイミュードに当てていた。

「目覚めるまでには覚醒させたかったが、まぁいい。お前もその目でしかと見届けろ。」

男はそう言うと、忍野からメモリを受け取った。

 

アサシン!

 

アサシンメモリをロイミュードに当てる。するとメモリが光り、その光がロイミュードに吸い込まれるように消えた。

「やめるんだ!何故そんなことを…。岡村敬介!」

僕は獄中にいるはずの男に言った。

岡村はフンっと鼻で笑った。

「この世界が気に食わないからだ。」

岡村は僕に近づきながら言った。

「ネオシェードが新たな世界を創る。そうすれば、こんな狭苦しい思いをせず、本当の自由を得ることができる。それがいけないことなのか?」

岡村が言った。

「たしかに、世界は不器用だ。自由を謳いながらも、本来の意味での自由は存在していない。だけど、無秩序の中の自由ほど、恐ろしいものはない!だから、規律が大事なんだ!それは決して飼い殺しということじゃない、それは…。」

話している途中で、視界が震えた。一瞬、何が起きたか理解できなかったが、舌に流れる生ぬるい鉄の味を感じた瞬間、それを理解した。

「そんなものは、綺麗事だ。それで解決させようとするから、どこかでしわ寄せが来る。そして、それを精算しなくちゃならない。その末路が俺達なんだよ!」

岡村が吐き捨てるように言った。

「だから、ネオシェードが世界を変えるんだ!清山先生のためにも!こいつの力が必要なんだ!」

「徳川清山…。ネオシェードの母体、シェードの創始者にして野蛮なテロリスト!」

「黙れ!」

岡村が再び僕を殴った。

飛びそうになる意識を何とか繋ぎとめ、岡村を睨み付けた。

「お前にはわかるまい!清山先生の理想郷を!」

「わかるさ…。混沌とした地獄の始まり…!そこに理想も何も有りはしない!」

「減らず口を!!」

岡村がさらに僕を殴ろうとした。

「やめておけ。それ以上やれば、計画に遅れが出るだろう?」

岡村はその声で動きを止めた。

部屋の扉をくぐり、全身白ずくめの男が現れた。その姿は良く見た姿であり、この男が何者かは容易に想像がついた。

「財団…、X…!」

僕は因縁深い組織の名を口にしていた。

「憐れな姿だな…。こんな形でご対面するのも何だが、ともかく始めましてだな。園咲来人。私は桃瀬理(さとる)だ。」

財団の男が後ろで手を組ながら言った。

「やはり、この事件はお前達が噛んでたんだな。」

「あくまでもバックスポンサーとしてだがね。」

桃瀬が答えた。

「ネオシェードが、かつてシェードと呼ばれた組織だったとき、その指導者であった徳川清山とコネがあってね。彼の生み出した改造人間。とても興味深かった。囚われていた彼を救いだすと岡村君から連絡を受け、我々が協力をしたという訳だ。」

桃瀬が言うと懐からガイアメモリを取り出した。

それは僕にも見覚えのあるものだった。

「っ!エターナル…。何故!?」

僕は叫ぶ様に言った。

「俺達は国を転覆させるための力が必要だった。」

岡村が答えた。

「数年前、ロイミュードと結託し活動したが、その個体数は少なく、仮面ライダーどものお陰で敢えなく組織は壊滅してしまった。だが、獄中でガイアメモリの存在と一都市を壊滅寸前まで追い込んだ大道克己の存在を知り、それをネオシェードの手中に収めたかったんだ。日本の首都さえ潰してしまえばいい。その為の力が必要だったのさ。」

「そこで我々は新型のガイアメモリ、TN(タイプネクスト)メモリを彼らに譲渡した。」

桃瀬が言った。

「タイプネクストメモリ?」

僕は言った。

「T2の改良型とも言えよう。風都で出回っているP(プロダクション)タイプでも十分な性能を示しているが、君達仮面ライダーが相手では今一つなんでね。」

桃瀬が言った。

「さらに、彼らが大道克己を蘇らせたいことを知った我々は、ロイミュードを素体にガイアメモリの記憶を注ぐことで復活を試みようとした。だが結果は…。」

「失敗に終わった。それはそうだ。いくら地球の記憶といえど、生前の人間を蘇生させることなんて不可能だ。」

僕は桃瀬の言葉に続けて言った。

「悔しいが否定しようのない事実だ。それは認めよう。ただし、蘇生は出来なくても"記憶を再現"させればいい話だ。だが、Eメモリだけでは、大道克己どころか、仮面ライダーエターナルでさえ再現できなかった。だから私は考えた。大道克己を蘇らせるには、彼にまつわる記憶を注げば良いのではないか、と。」

桃瀬が言った。

「それで、特定のガイアメモリを収集していたのか。」

しかし、それでも疑問が残る。

 

僕は敢えて、ずっと疑問だったことを投げ掛けた。

「ならば、なぜTNメモリをネオシェードに直接与えなかった?元ネオシェードに与え、殺してまで回収するなんて、回りくどいことを。」

一瞬、桃瀬は黙ったが口を開いて言った。

「…いいだろう。教えてやろう。」

「桃瀬…、余計な話しをしている時間なんてない!」

岡村が言った。

「時間はいくらでもある。ここを知る人間などいやしないのだろう?」

桃瀬は余裕を見せていた。それでもと言わんばかりの岡村を無視して桃瀬は言葉を続けた。

「初めは、君の言う通り、大道克己に繋がるメモリを含め26本のメモリを生成し、彼の記憶にまつわるメモリをこのロイミュードに与えた。しかし、結果は変わらなかった。もちろんPタイプでも同じように試した。PタイプもTNメモリも結果は同じだった。」

「そうした実験の中で、ガイアメモリのある特性に気がついたのさ。何だかわかるかな?」

桃瀬はニヤっと不快な笑みを作って言った。

ガイアメモリの特性。あるとするならば一つだけ思いつくものがあった。

「メモリのレベルアップか。」

「ご名答!さすがは園咲家の長男にして、地球の本棚に認められた男。」

桃瀬は嬉々として言った。

「N (ナスカ)メモリに見られたレベルアップ機能。あれはメモリの力をさらに引き出す機能だ。言い換えれば、より強い記憶を引き出せるとも言える。」

「そこで、TNメモリにレベルアップ機能を付随させた。しかし、レベルアップさせるにはそれ相応の経験値が必要だった…。」

桃瀬が言った所で僕は閃いた。

「まさか…。元ネオシェード構成員にメモリを譲渡したのは、ネオシェードの掟をちらつかせ彼らをけしかけることで、自らにその力を引き出させるように仕向けたというのか!」

「いやぁ、さすが探偵の旦那の相方だ。頭がキレるねぇ。」

忍野が感嘆の声を出していった。

「奴ら裏切りものは、のうのうと生きようとしていた。死刑を通達すれば必然的にそれに抗おうとする。単純な話だ。それを我々が密かに始末し、レベルアップしたメモリ回収していけば良かった。唯一の誤算は、メモリを使ったものは何故か皆風都へ向かったことだが…。」

岡村も言った。

「そんなことの為に、組織を抜け、全うな生活を送ろうとしていた彼らを殺したのか!?」

僕は心底腹が立ってしょうがなかった。

「旦那の相棒さん、言ったはずだぜ?ネオシェードは裏切りを許さないってな。一切関わりのない人間を使うより、身内で事が済むんだ。良心的だと思ってもらいたいくらいだ。」

忍野が言った。

「さぁ。まもなくエターナル目覚めの時だ…。」

桃瀬が言った。

しかし、いくつものメモリを注入されても、ロイミュードは依然として変わらない。

「ふっ…。それも失敗というわけだね。」

僕は笑って言った。しかし、

「何を言っている?まだ必要なメモリがあるんだよ。」

桃瀬は懐から別のTNメモリを取り出した。

「そ、それは…!」

僕は目を見開いた。

それに印字されているもの。

C(サイクロン)と…。

「大道克己が嫌っていた風都の風の記憶。これほど刺激の強い記憶はないだろう。だが、このメモリだけは誰も使えなくてねぇ。」

桃瀬が僕を見て言った。

「それで、僕を…!?」

僕は恐怖を覚えた。あの男が僕にしようとしていることくらい想像がつく。しかし、鎖に繋がれている以上、為す術がなかった。

「君なら簡単にレベルアップさせられるだろう。心配するな、すぐに終わる。」

桃瀬はまたも不快な笑みを浮かべて近づいてきた。

 

サイクロン!

 

Cメモリを起動し、そのコネクターを僕の首筋に当てた。

その途端、僕の脳裏を様々な風の記憶が駆け巡った。

穏やかなそよ風の記憶もあれば、全てを破壊し続ける暴風の記憶。戦争による爆風や熱風の記憶、凍えるような吹雪の記憶。これが風の記憶。

いつも、Wドライバーを介して使用していたため、これ程の膨大な風の記憶を受け止めたことがなかった。

「うわああああああああ!!!!!」

僕は叫び声を上げた。

処理しきれない。このままでは、いつか脳が焼き切れる。僕は何とかして地球の本棚へ意識をリンクさせた。メモリの記憶がどんどん本棚へ流れていった。本棚は暴風によって次々と倒れていき、本は吹き飛ばされていった。

しかし、桃瀬の言った通り、それはすぐに止んだ。

「はは、ははははは!!さすが地球の本棚に選ばれし男!一度の起動でこうも簡単にレベルアップさせるとは!」

 

サイクロン!

 

桃瀬は再びメモリを起動させた。

「さぁ、感じたまえ。お前の嫌う風都の風だぁ!!」

桃瀬はCメモリをロイミュードに当てる。

その途端、ロイミュードの身体中が発光し始めた。先ほどから注入されていた記憶達がCメモリによって活性化されたのだろう。それぞれの光が一つに集まっていく。

これが何を意味しているのか、しかし、わかった所でどうすることも出来ない。

諦めかけていたとき、扉を突き破って突入してきた相棒の姿を捉えた。




ネオシェードと繋がる新たな敵、財団X。
そこに所属するオリジナルキャラを登場させました。

<桃瀬理>
財団X所属。W本編に登場した加頭順の直属の部下だった。加頭の元でガイアメモリの研究をし、そのノウハウから新たなガイアメモリ・タイプネクスト(TN)を開発した。ある目的から、ネオシェードに接触し、彼らにガイアメモリの提供をした。

本作における新型のガイアメモリについても以下のように設定しました。

<TNガイアメモリ>
T2ガイアメモリの発展型メモリ。T2を一般流通させることを目的として開発された。性能はT2と同等。さらにNメモリの特徴であったメモリのレベルアップ機能を付随したことで、性能を全て引き出せばT2以上の性能を発揮する。しかし、レベルアップ機能を使いこなすにはそれ相応の精神力が必要であり、一般人には使いこなせず、最悪メモリの負荷により使用者は暴走、果ては死亡してしまう。
コネクタ手術により通常時ならば誰でも使えるが、量産に向けたコストダウンやレベルアップ機能の付随により、T2よりも強度が落ちてしまい、仮面ライダーの攻撃によりメモリブレイクしてしまう。また、同等タイプのメモリを使ったドーパントならば、簡単に破壊出来てしまう。

エターナル復活の為にしようされたメモリは
G(ジーン:遺伝子)
ネヴァーとして生きる為に細胞活性化酵素が必要なことから。
S(ソード:刃)
エターナル(大道)の基本武器がコンバットナイフだから。※E(エッジ)の方がしっくりくるんですが、E(エターナル)が控えていたためボツ。
V(ヴァイオレンス:暴力)
傭兵として破壊の限りを尽くしたから。
M(メロディ:旋律)
生前、ハーモニカを嗜み、ミーナに形見として預けたから。
T(テラー:恐怖)
風都を恐怖の世界に陥れようとしたから。
W(ウェポン:兵器)
ネヴァーは生物兵器だから。
K(ナイト:騎士)
仮面"ライダー"
N(ネヴァー:決意)
ネヴァー。そのまんま。
C(サイクロン:風)
風都を嫌う記憶だから。

これらのメモリを用い、次回ヤツが復活します。

お楽しみに。


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第14話

「うぉりゃあ!!」

俺は部屋の扉を突き破った。

部屋に入るなり、目に映る光景は何とも形容しがたいことになっていた。

「フィリップ!!」

鎖に繋がれ、ぐったりしている相棒の姿を見て俺は叫ぶように言った。

「っ!?岡村敬介!!」

泊は忍野の隣にいる男に向かって言った。

「おや?この場所はバレないはずだったんじゃないのか?」

白ずくめの男が驚くように言った。

「その格好、財団Xの人間だな!探偵の力なめんじゃねぇぞ!!」

俺は財団の男に向かって言った。

「…まぁいい。準備は整った!君達にもお見せしよう…。」

 

 

「大道克己の復活を!!」

 

 

エターナル!

 

「桃瀬…、やめ、ろ…。」

フィリップが弱々しく言ったが、男はEメモリを起動し、ロイミュードへ投げつけた。

メモリはそのままロイミュードに飲み込まれていくと、室内にも関わらず、物凄い風が吹き込みロイミュードを覆っていった。

俺達は身体を庇うように構えた。

 

「オオオオオオオオオ!!!!!」

ロイミュードも雄叫びを上げた。

 

そして風が収まると、その中からロイミュードに変わって見覚えのある人物が現れた。

全身を赤いラインの入った黒いコンバットスーツに包まれた男が。

「大道…克己っ!!」

俺は絶句した。

忘れもしない。

一度はWを打ち負かし、街を混乱に陥れた男の顔を。俺の瞳には、その男が映っていた。

「あいつが、風都を恐怖の世界へ変えようとした、最凶最悪のテロリスト。大道克己!」

泊も愕然としていた。

「ふふ、ふふふ、ふはーっはははは!!成功だぁ!!」

桃瀬が高笑いをしていた。

岡村も忍野も笑みを溢していた。

「さぁ!大道克己よ!!エターナルとなり、奴らを始末しろ!!」

桃瀬が大道に向かって言った。

しかし、大道が手にしていたものは、依然、マッハドライバーだった。

それを腰に装着した。そして、シグナルバイクをドライバーに装填した。

 

シグナルバイク・ライダー!

 

「変身。」

大道は呟くように言った。まるで生気がないかのようだった。

 

エターナル!

 

マッハドライバーを中心に大道の身体を装甲が包み込んでいった。

そして、仮面ライダーエターナルの姿へ変わった。

「仮面ライダーエターナル!」

泊が言ったが、

「いや…!」

俺は否定した。

その体は確かに俺の知るエターナルと同じ白い体色をしていた。また、黒いエターナルの時と異なりメモリスロットを備えるベストとエターナルローブも身に付けていた。

だが、腕と脚のタイヤのような装飾は残されたままだった。また、腕の炎のエンブレムは暗い紫色であり、単眼も赤いままだった。

まだ完全に復活したようでは無かった。

「はっ、どうやら失敗したようだな!」

俺は桃瀬に向かって言った。

「失敗?確かに、まだオリジナルとの差違はあるが気にするところではない。彼は正真正銘の大道克己であり、仮面ライダーエターナルだ!」

「さぁ、やれ!」

桃瀬が言った。

「さぁ…地獄を楽しみな…。」

エターナルが言うと俺達に向かって飛び込んできた。

俺と泊はそれぞれかわした。

「フィリップ、大丈夫か!?」

俺はぐったりしているフィリップの身体を支えながら言った。

「…体力の消耗がひどい。けど…、半分くらいなら力は貸せるよ、相棒…。」

フィリップは弱々しくも、それでも闘志の消えていない眼差しで答えた。

「任せてください、フィリップさんが貸せない半分は、俺がカバーする!」

泊が力強く言った。

「…ファング!」

フィリップが呼ぶと、影に潜んでいたファングメモリが現れ、その牙でフィリップを吊るしている鎖を噛みきった。

「やらせるか!」

岡村が構えたが、

「待て。エターナルの準備運動だ。我々は見ているだけでいい。」

桃瀬が制した。

「行くぜぇ、相棒!泊!」

「ああ、翔太郎!」

「はい!」

 

サイクロン!

 

ジョーカー!

 

「「「変身!!!」」」

 

サイクロン!ジョーカー!!

 

ドラーイブ!

ターイプ・スピード!!

 

俺達の身体をそれぞれの装甲が包み込んでいった。

『「さぁ、お前の罪を数えろ!!」』

俺とドライブで、エターナルに立ち向かった。

俺が拳を上げればドライブが蹴りを、ドライブが拳をつき出せば俺が回し蹴りを、タイミングをずらして攻撃をした。

しかし、どれもエターナルに届かず、全てを受け流されてしまった。

諦めずに攻撃をするが、エターナルはそれぞれの攻撃にカウンターをしていった。

「うわっ!」

「つ、強い!」

『翔太郎…あの動き、偽者なんかじゃない!』

『しかし、違和感を感じる。一体なんだというのか!』

各々がエターナルに対し戦慄していた。

死体再生によって生み出された強化人間計画ネクロオーヴァー、通称ネヴァー。

大道克己はその一号として生まれ変わった。

人為的ではあるものの死を克服したことで半不死身となった彼は傭兵として戦場を駆け抜けていった。数々の死線をくぐり抜けてきただけあり、その戦闘技術は高い。そして、死を恐れぬことで消える隙や迷い。それがやつの最大の武器だ。

エターナルは俺達の攻撃を許さないかのように隙を与えぬ攻撃を続けた。

俺達は一度距離を取った。

『やつの動きを止める。メモリチェンジだ!』

フィリップの合図で俺達は別のメモリを取り出した。それぞれ起動させベルトに装填した。

 

ルナ!メタル!!

 

俺達の身体を金と銀の装甲が包み込んだ。

 

ドラーイブ!

ターイプ・ワーイルド!!

 

ドライブも黒と銀の装甲の姿に変わった。

 

「ドライブ!俺達がやつの動きを止める。その隙に一撃お見舞いしてやれ!」

「わかった!!」

俺は背中に装着されたメタルシャフトを構えた。ルナボディの恩恵を受けたメタルシャフトは鞭のようなしなりを見せた。俺がそれをエターナルに降ると、シャフトはエターナルを捕らえ身体に巻き付いた。

「今だ!」

俺はドライブに向かって叫んだ!

「行くぞ!!」

ドライブは手に剣を持ち、シフトカーを装填すると、高速移動でエターナルに詰め寄った。

しかし、エターナルは拘束されているにも関わらず、その場で大きく跳躍し、ドライブの斬撃をかわした。

「何!?」

「うわっ!」

それどころか空中で身体を大きく捻った。予期せぬ動きによって、俺はメタルシャフトを保持出来なくなり、手放してしまった。

 

ヒッサーツ・フルスロットル!

 

自由になったエターナルは空中に飛んだ勢いを載せ、俺達めがけて飛び蹴りをした。とっさにガードの構えをしたが敵わず直撃した。

「うわああああ!!!!」

俺達の変身は解かれ、エターナルの前に地に伏せてしまった。

「く、そ…!」

「ぐっ…。」

パチパチパチ…。

俺達の頭の上から拍手が聞こえた。

「素晴らしい…!計画成功だ!!」

桃瀬が高らかに笑いながら言った。

「…桃瀬。遊んでる時間はない。上手くいったなら、こいつらを始末して先生の所へ行こう。」

岡村が痺れを切らして言った。

「まぁ、いいだろう。エターナル復活の初戦も無事に終えた。後は君たちの好きにするといい。」

桃瀬の言葉を合図に、岡村と忍野が前に出た。

 

アサシン!

 

忍野が先に変身した。

 

リキッド!

 

岡村も、L(リキッド:"液体"の記憶を擁する)メモリを出し、自身の右腕に当てた。

そして、群青色をしたリキッド・ドーパントへ姿を変えた。

まずい…。

エターナルとの戦いで俺達は上手く身体を動かせない。

ここで、こいつらに始末されるのか。

絶望しかけていたその時だった。

 

バアアアアアン!!!!

 

天井を突き破り、大きな青い球体のようなものが俺達とドーパントの間に飛んできた。

「何だ!?」

アサシンが突然のことに驚いていた。

青い球体が消え、中からしゃがんでいる人影が見えた。

「あ、あれは…!?」

それは立ち上がった。

全身を黒いスーツが多い、胸から右肩にかけて青い装甲を身につけていた。

頭部はまるで流れ星のように、左上に伸びる角と同化した青い仮面を着けていた。

そして、やはり腰にベルトが巻かれていた。

「仮面、ライダー?」

泊もその姿を見て呟いた。

「仮面ライダーメテオ。お前達の運命は俺が決める!」

メテオと名乗る仮面ライダーが言った。

「…と言いたい所だが、今回の任務は人質の救出。お前がそうだな?」

メテオはフィリップを見て言った。

「何者だ?」

俺はメテオに言った。

「話は後だ。ここを出るぞ!」

「逃がすか!」

リキッドが言ったが、

「いいや、ここは退散だ。今の衝撃でここはもう持たない。」

桃瀬が言った。

たしかに、先の戦いやメテオの登場で壁の至るところにヒビが入っていた。また、ここは地下であるため、天井からも土がこぼれていた。

「ちっ…。行くぞ!」

リキッドは舌打ちをして言うと、桃瀬達はその場を後にした。

俺達も急いでここを後にした。

 

 

「フィリップ君、無事だったか!」

俺達が風都市民ホールへたどり着くと、一条、照井、氷川が迎えた。

「あぁ。だが、最悪なことが起きた。」

俺は一条に言った。

「最悪なこと?」

氷川が尋ねた。

「まさか…。」

照井は勘付いていた。

「えぇ。仮面ライダーエターナル。大道克己が甦りました。」

泊が答えた。それを聞いた警官達は騒然としていた。

「出来ることなら、大道を復活させる前に、彼らを救出したかったが…。」

メテオから変身を解いた青年が言った。

「いえ、あなたのお陰で彼らが助かったのです。私からお礼を言わせてください。インターポール捜査官朔田流星さん。」

一条が朔田と呼ぶ青年に礼を述べた。

「インターポール…って、ICPOの!?」

泊が驚きながら言った。

「加賀美総監からの命により、日本へ臨時で出向したんです。最も、ネオシェードはICPOでもその存在を懸念していましたから、いずれは日本へ行くつもりでしたが。」

朔田が答えた。

加賀美総監の言っていた、警視庁の管轄外の助っ人。なるほど、そういうことだったのか。

「あんたのお陰で助かったぜ。俺は…。」

「左翔太郎。それとフィリップ。仮面ライダーWですね。」

俺が言い切る前に朔田が言った。

「知ってるのか?」

「如月、フォーゼから話は聞いていましたから。」

朔田が言った。

「私は…。」

「泊進ノ介刑事。仮面ライダードライブ。」

またしても朔田は言い当てた。

「一度ネオシェードを壊滅させた刑事。その噂はICPOにも届いていますよ。」

「そ、そうなんですね。何でも分かるなんて…。」

泊が照れくさそうに言った。

「一条刑事。本日から私もこの捜査に参加させて頂きます!」

「もちろん!よろしく頼みます!」

一条は朔田と握手を交わした。

「これは心強いですね!」

氷川も言った。

「…しかし、ネヴァーの大道が復活した以上、事態は余談を許さない状況になっています。」

照井が言った。

「それに、岡村も脱獄し徳川清山の奪還を狙っています!」

泊が言った。

「徳川清山…?たしか元陸自の将校だよな?」

「ですが、彼は行方不明のはず…。」

近くで聞いていた杉田と桜井が不信がっていた。

「いや…、やつは超一級戦犯として地下刑務所に留置されている。」

朔田が言った。

「どういうことだ!?」

「徳川清山。ネオシェードの前身組織シェードの指導者だ。」

俺は一条達に、徳川清山とシェードについて説明した。

「そんな事がありながら、隠蔽するなど…。」

照井は憤慨していた。

「そして、今回の事件の裏で、やはり財団Xも絡んでいました。」

フィリップが言った。

「いよいよヤバくなってきたんじゃねぇの?」

剛が言った。

「最早、一刻の猶予もありません。一条刑事、組織を再編しネオシェードの撲滅を!」

朔田が言った。

「…わかった。班を再編する!ネオシェード捜査班と攻撃班に二分、捜査班は私一条班と氷川班に、警視庁と風都署の警官で編成!」

「攻撃班は照井警視を筆頭に、ライダーチームとしてネオシェードへの攻撃を!」

「なお、G5ユニットは捜査班の援護のためこちらへ編入、朔田捜査官はライダーチームへお願いします!」

尾室と朔田は黙って頷いた。

「各員、尽力しネオシェードの拠点制圧ならびに構成員の検挙を最終目標とします!!」

一条が話終えた後、それぞれで行動を開始した。




ついに大道克己が復活してしまいました。
しかし、どこか様子が違います。ここで登場した仮面ライダーエターナルについての設定は以下の通りです。

<仮面ライダーエターナル・ダークフレア>
ロイミュードボディを通して復活した大道克己が変身したエターナル。
白い装甲となり、ほぼオリジナルに近い姿になった。ダークエターナルにはなかったメモリスロット付きのベストやエターナルローブも備えている。
しかし、ダークエターナル同様、手足の炎の色が暗い紫色で、単眼も赤いままである。
また、依然としてマッハドライバー炎とシグナルエターナルを用いており、手足にタイヤの装飾が施されている。
そのため、仮面ライダーエターナルの派生フォームの様だが、ダークエターナルの派生フォームの位置付けとなる。
戦闘力はオリジナルと同等であるため、見た目を除けばエターナルそのものである。ただし、必殺技がマキシマムドライブではなく、フルスロットルであるため、ガイアメモリの機能を停止させる力はない。

次に岡村敬介が変身するリキッド・ドーパントについての設定は以下の通りです。

<リキッド・ドーパント>
本作オリジナルのドーパント。
"液体"の記憶を擁するL(リキッド)メモリを用いて変身した群青色をした姿。
自身の身体を液状化することができ、使い方次第では全ての物理攻撃を無効にすることができる。また、手から光弾を放ったり、サーベルを生成して攻撃したりすることができる。岡村の身体能力も合わさり非常にアグレッシブな戦法を取る。
弱点は電撃。また、液体であるため火の耐性が高いが、水分を蒸発させる程の熱量には耐えられない。さらに凍るとが全ての物理攻撃が効く。

とある戦士モチーフですが、ご想像にお任せします。

彼らのピンチに仮面ライダーメテオこと朔田流星も登場しました。
これから物語はどう展開するのか。
次回をお楽しみに!


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第15話

「現状、我々の戦力は?」

朔田が言った。

「W、アクセル、ドライブ、マッハ、そして貴方のメテオの5人だ。」

照井が答えた。

「一方の敵戦力は岡村のリキッド、忍野のアサシン、シザース、そして仮面ライダーエターナル。」

泊が言った。

「裏で動く財団X、桃瀬も何かしら力を持っていると思っていいでしょうね。」

フィリップも加えて言った。

「それに、ネオシェードの構成員が皆、改造人間だとしたら、俺達だけで何とかできるか怪しい。」

俺はGのことを思い出しながら言った。

「いや、それは大丈夫そうだ。」

照井が言った。

「どういうことだ?」

俺は照井に聞き返した。

「あの後、すぐに被害者である元ネオシェード構成員の死体を司法解剖してもらったんだ。その結果、普通の人間と変わらなかったそうだ。」

「…ということは、シェードからネオシェードに変わった段階で改造されていないということかい?」

フィリップが言った。

「可能性としては考えられる。肉体改造にどれだけの費用がかかるのかはわからないが、ガイアメモリ一つで怪人になれるのなら、そちらの方が都合がいいのかもしれない。」

朔田が言った。

「さらに、警察内部にもネオシェードの内通者がいます。こちらの捜査情報は相手に筒抜けと考えていいでしょう。」

泊が言った。

 

ゲリラ的に起こるネオシェードの暴動の鎮圧に尽力してはいるものの、現れては潰し、潰しては現れる。また、敵も俺達の動向を見抜いてか、俺達が現場に着いた時点で撤収していたり、対応している事件とは別の場所で暴動が勃発したりしていた。まるで、終わりのないマラソンを走っているようだった。警察組織にネオシェードに加担している連中がいるため、下手に情報伝達をすることができず手当たり次第、対応するのが精一杯だった。

岡村達ネオシェードのアジト、桃瀬ら財団Xの動向、エターナルの行方。どれも依然として把握することもできず、八方塞がりというのが現状だ。

 

「…つまり、この中にも内通者がいる可能性もあると言うことか。」

朔田が俺達を鋭い目で見回した。

「は?冗談キツいぜ、お巡りさん。」

剛が強気に言った。

「あんたも、もしかしたらネオシェードの人間かもしれないしな。」

俺も朔田を見て言った。

「よせ、左!」

照井が言った。

「お互い探り合うのはやめましょう。それに、実は内通者の目星は付いています。」

フィリップが言った。

「本当ですか!?」

泊が身を乗り出すように言った。

「えぇ。ここは一つ賭けにでないかい?」

「賭けに?」

俺は聞き返した。

「あぁ。警察内部に潜むネオシェードを炙り出すためのね。」

確かに、警察内部のネオシェードを排除出来れば、俺達の行動範囲は一気に広くなる。

「何するつもりだ?」

俺はフィリップに尋ねた。

「それはー。」

 

「徳川清山をICPO本部へ護送する。警察内部に敵が潜んでいる以上、地下拘留所から脱獄もしくは奪取されるのも時間の問題です。総監のご判断により、ICPOへ送ることで、ネオシェードの動きを抑制する!しかし、敵も間違いなく我々の邪魔をしてくるはず。従って、捜査チームはネオシェードの動向を各所で監視、些細な動きでもあれば逐一報告して下さい!また、徳川清山の護送にはライダーチーム及びG5ユニットで行う!以上、各員準備にかかれ!」

一条からの指示で俺達は動き始めた。

「泊、フィリップを頼んでいいか?」

俺は泊に言った。

「良いですが…?」

「Wになったとき、フィリップを安全な所に避難するのに、トライドロンが最適だ。頼む。」

「分かりました!」

泊はそう言うと、フィリップをトライドロンの助手席へ乗せた。

『各員、聞こえるか。』

事前に配られたインカムから一条の声が聞こえた。

『私は本部から指示を出す。何かあれば直ぐに知らせてくれ!』

「了解!」

照井が答えた。

そして、照井のハンドサインを合図に俺達は各々のマシンを走らせた。

 

徳川清山を乗せた護送車と合流した俺達は空港を目指していた。

空路で清山を護送する手筈になっているからだ。

まずG3-Xを先頭に6人のG5が護送車を挟むように並んでいた。

その両側を更に固めるために、俺のハードボイルダー、照井のディアブロッソ、剛のライドマッハー、朔田のマシンメテオスターが並び、護送車後方に泊とフィリップの乗るトライドロンが配置された。

 

『こちら杉田、今のところ以上無しだ。』

『こちら氷川、同じく動きは見られません。』

 

インカムから報告が聞こえる。今のところ問題はなさそうだが…。

 

『こちら大門!ネオシェードによる暴動発生!市民に攻撃を仕掛けています!』

 

『何!?』

照井が言った。

 

『こちら泉!こちらでもネオシェードが繁華街で暴動を開始!応援を求む!』

 

『こちら須藤。現在、ネオシェードと思われる集団を発見、妨害行動に移る!』

 

「おいおい、冗談じゃねぇぞ!!」

俺は吐き捨てるように言った。

『このままでは、市民に被害が!』

泊が言った。

『やはり、我々の戦力を分断するために各所で暴動を始めたか!』

朔田が言った。

 

『こちら泊、一条刑事、指示を求む!』

『一条だ。やむを得ないが応援に動け!』

『くっ…。りょうか…。』

『おっけー!やるしかないんだろ!!』

泊が答えかけたが、剛が言った。

『剛!?』

『進兄さん、そっちは頼んだよ!』

『…。一般人の被害を押さえることが先決か!』

『左!そっちは任せるぞ!』

剛に続き朔田、照井も答えた。

『…わかった!』

俺が答えると、剛、朔田、照井はそれぞれのマシンを別の道に走らせ、暴動鎮圧に向かった。

『…我々は引き続き、護送任務を続けます!』

G3-Xが答えた。

しかし、間もなくバイクや車などの車両が脇道から現れた。

ネオシェードだ。

構成員は皆、マスカレイドを纏っていた。

「く、人手が少なくなればこれか!」

『行くよ、翔太郎!』

「おう!」

 

ルナ!

トリガー!

「「変身!!」」

 

ルナ!トリガー!!

 

「俺達も行くぞ!」

『OK! Start your Engine!』

 

「変身!」

 

ドラーイブ!

ターイプ・テクニッーク!!

 

俺達は変身するとトリガーマグナムを手にし、マシンを操りながらネオシェードへ向けて攻撃を始めた。

ドライブも同じく、手にした銃で射撃した。

『G5ユニット!迎撃開始!!』

G3-Xの合図により、G5達も応戦し始めた。

次々と敵車両を撃破していくが、次から次へと現れた。

「くそ、キリがねぇ!」

『翔太郎、あれを!』

フィリップが前方を指して言った。

護送車の前を須藤のパトカーが走っていた。

そのパトカーをネオシェードが追撃していた。

『須藤刑事!!』

G3-Xはガードチェイサーを前へ走らせ、須藤のパトカーを援護し始めた。

やがて、パトカーのタイヤがバーストしてしまい、道を塞ぐように横向きに止まってしまった。

行く手を遮られ、やむ無く護送車も停車した。

俺達も敵を蹴散らせながらマシンを停めた。

「須藤刑事!」

トライドロンから降りたドライブが叫んだ。

「だ、大丈夫です…!」

G3-Xによって炎上するパトカーから救出された須藤が答えた。

しかし、俺達をネオシェードは囲っており、事態は最悪だった。

「こちら泊!ネオシェードにより行く手を阻まれました!応援を!」

『ザザー…。』

ドライブは一条へ伝えようとしたが、電波障害からか雑音しか帰ってこなかった。

「無駄だ、この一帯は我々が電波ジャックしている!」

ネオシェードの男が言った。

「何!?」

俺は声をこぼした。

「そして、清山先生は我々が預かり、貴様らはここで死ね!」

男が言うと、その姿を虫のような怪人に変えた。ガイアメモリを用いていない。改造人間の力だというのか。

「まずい!」

須藤は拳銃を手に取り、怪人に向けた。

「大人しく清山先生を引き渡せ!」

怪人が言った。

「…ここは、引き渡すべきでは。」

須藤が言った。

「ダメだ、どの道俺達を始末するつもりだ。」

俺は須藤の案を否定した。

『残念だけど、お前たちの要求には応じないよ。』

フィリップが言った。

「それに、お前たちこそ大人しく引き下がった方がいいと思うぞ!」

ドライブも続いて言った。

「何だと!?」

怪人が言った。

「どういうことですか?」

須藤も尋ねてきた。

「つまりは…。こう言うことだ。」

俺達とドライブ、そしてG3-Xは手にした銃を須藤に向けた。




ネオシェードに追い詰められていく現状を打破するために、フィリップが提案した作戦とは。

後半、ネオシェードの人間が変身した怪人態ですが、ワ○ムのような姿をしています。笑
しかし、あくまでも改造人間なのでクロックアップはできません。

誤解されないよう補足しますが、敵のネオシェードは旧シェードの人間とネオシェードの人間の混合組織になっています。その為、怪人態に変身できるのは旧シェード、ガイアメモリで変身するのはネオシェード、と認識してください。(ただし、例外もあり)

最後にライダー達が須藤に銃を向けた理由とは。

次回もお楽しみに!


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第16話

「!?何のつもりですか、左探偵!!」

須藤は狼狽えていた。

「今さら芝居は止めましょう、須藤刑事!」

ドライブが言った。

『いや、クラブ・ドーパント!』

「シザースです!…しまった。」

フィリップの言葉に、須藤は反射的に答えた。

「ハッ!ついに化けの皮が剥がれたな!」

俺は言った。

「くっ…、いつから気づいてたんです?」

須藤が聞いた。

「風都署襲撃事件。あれは留置されたアサシンと警察内部にいたネオシェードが計画したものだ。つまり、アサシン、忍野と接触できる人間は限られる。」

俺は続けて言った。

「そして、クラブドー…。」

「シザースです!」

「わかったよ!シザースが現れる時、須藤の姿が確認されなかった。風都署襲撃事件の時でもな!」

『さらに、この捜査組織は極秘裏に結成されていた。外部はおろか、警察内部でも認識されているのはごくわずか。それなのに、シザースは照井や一条の名前を知っていた。その時点で、シザースはこの捜査組織の一員であることが特定できたのさ。』

俺に続き、フィリップが言った。

「そこで、俺達はその事を一条刑事に伝え、徳川清山護送というエサでシザースを炙り出す作戦を実行したんだ。その時に接触してくる刑事がシザースだと踏んでな!」

ドライブも言った。

「なるほど、この作戦自体が私を炙り出すための罠だったということですね。正直、田舎探偵と侮っていました。」

須藤はついに自身がシザースであることを認めた。

「これで全て繋がった。観念しろ、須藤刑事!」

ドライブが言った。

「須藤刑事…どうして!」

G3-Xが須藤に尋ねた。

「力ですよ。」

須藤が答えた。

「力?」

「他を圧倒することのできる力…。魅力的じゃあ無いですか。力さえあれば、総てが私にひれ伏す。想像してみてください…。あぁ、これ程までの優越感を得られたことがあるでしょうか…。」

須藤は不気味な笑みを浮かべながら言った。

「…それだけの為に、ネオシェードに加担したのか!」

ドライブが怒鳴った。

「何か勘違いしていませんか?泊刑事。」

須藤が言った。

「私は元よりネオシェードの人間ですよ?さらなる力を求め、法的権力のある警察に所属し、風都で流通しているガイアメモリの力を手にした。そう言うことですよ。」

須藤が言った。

『とうとう本性を現したか!』

ベルトさんが言った。

「だが、この状況で何もできまい。おい、ネオシェード!そっちの幹部は俺達の手の中だ!大人しく引き下がれ!」

俺はネオシェードに向かって言った。

しかし。

「フっフっフ…。」

怪人は笑いだした。それに続き、周りのネオシェードも笑い始めた。

「何がおかしい!」

ドライブが言った。

「くっ…はは…ははは!詰めが甘いですねぇ。囲まれているのは、あなた方だというのに!」

須藤が答えた。

「え?」

その時、俺達を銃弾が襲ってきた。

「うわっ!!」

「何だ!?」

「っ!?そんな!!」

体勢を立て直した所で、G3-Xが声を上げた。

6人いる内の一人を除く全てのG5がこちらに銃口を向けていたのだ。

「!?何をしてるんだG5ユニット!!」

一人のG5が言った。

しかし、他のG5は黙ったまま一人のG5に向けて発砲した。

「止めろ、G5ユニット!」

G3-Xが言ったが、指示に従う様子は見られなかった。そこで俺は勘づいた。

「こいつら…、まさかネオシェードか!」

俺は言った。

「まさか!?」

G3-Xが驚いて言った。

「そのまさかですよ、尾室主任。」

G5の一人が答えた。

「我々崇高なるネオシェードがあなたみたいな人間に従うなど、冗談ではない!」

「この決起までの辛抱だったが、それもようやく終わった。」

「ここでサヨナラだ、尾室主任。」

G5達が口々に言った。

「そん、な…。」

G3-Xは、その場で膝をついてしまった。

「聞いちゃダメです、尾室さん!」

ドライブが言った。

「G5にまで…。」

俺は噛み締めるように言った。

「何も、私だけが内通者という訳ではないんですよ。」

そう言うと、須藤はシルバープラグのガイアメモリを取り出した。

 

クラブ!

 

「変身!」

須藤は自身の腹部にメモリを当て、その姿をクラブドーパント・シザースへと変えた。

「あぁ…。この身体中を巡る力…。最高だ…。仮面ライダーW。ガイアメモリを使うあなたなら、私の気持ちも解るでしょう?」

シザースが俺に言った。

「あぁ、わかるぜ。ガイアメモリが人を惑わす忌まわしきものってことをな!」

俺は構えた。

「左さん…。」

「実に愚かだ…。その愚かさを持ってここで死ぬがいい!」

シザースの合図で、ネオシェード、G5ユニットが構えた。

『まずい、形勢が逆転された。』

『改造人間、ドーパント、G5。我々だけで相手するには戦力差が有りすぎる。』

ベルトさんの言うこともごもっともだ。それに。

「尾室さん、尾室さん!!しっかりしてください!!」

「…。」

一人のG5がG3-Xに言ったが、完全に意気消沈していた。

「ダメか…。おい、そこのG5!お前を信じるから、尾室刑事を頼んだ!」

俺が残った一人のG5に言うと、そいつは強く頷いた。

「やるしかねぇ!!」

 

サイクロン!ジョーカー!!

 

ドラーイブ!

ターイプ・スピード!!

 

俺達は姿を変え、ネオシェードに立ち向かった。

マスカレイド程度なら簡単にあしらえたが、やはり怪人、G5、そしてシザース相手に、俺達は苦戦を強いられた。

G5もおそらく改造人間だろう。上位機種であるはずのG3-Xをも凌駕する戦闘力だった。

このままでは…。

「くっ…。」

「先程の威勢はどうしましたぁ?」

シザースが挑発するように言ってきた。

「どうやら、終わりのようですね!」

シザース以下ネオシェードが最後の攻撃を仕掛けようとした時だった。

 

「まだ終わりじゃない!」

俺達の背後から声がした。

振り向くと一人のG5が銃を構えていた。

「おい…よせ!あんた一人じゃ…。」

俺はG5に言ったが、聞く耳を持っていないようだ。

「俺は、世界の平和の為に戦っている!こんな所で諦める訳にはいかない!」

そう言うと、G5は駆け出しシザースへ立ち向かった。

「ほぅ。面白い!」

G5は手にした銃を発砲したり、ガードアクセラーを振るったりしたが、シザースは両手のハサミで軽くあしらい、逆に一撃一撃を確実に当てていた。

「ふっ、その程度で世界の平和など守れませんよ!」

「うわぁ!」

シザースの一撃でG5は吹き飛ばされてしまった。

「大丈夫ですか!?」

ドライブが駆け寄り、G5の身体を起こした。

「はぁ…はぁ…。やはり、"これ"じゃダメか…。」

G5が呟いた。

「もう…。いいっすよ…。」

意気消沈していたG3-Xが言った。

「何を諦めてるんですか…、尾室主任!あなたはG5ユニットの隊長でしょう!そんな弱気になってどうするんですか!」

G5が言った。

そして、G5はおもむろに自身の装甲を外し始めた。

「何する気だ!?」

俺はG5を脱いだ男に言った。

「俺は諦めたくないんだ。あいつみたいに、すべての人の手を掴む、訳にはいかないが、せめて世界の平和を守りたいという自分の意志は最後まで貫きたい!」

男が言った。

「随分立派ですねぇ。ですが、安心してください。あなたもここで死にますから!」

シザースが言った。

「まだだ。俺には、これがある!」

そう言うと男は小さな銀のメダルを取り出した。

『セルメダル!?』

フィリップが言った。

「後藤君、何を…!」

G3-Xが男に言った。

「主任。今まで黙っていてすみません!」

男の腰にはG5のエナジーゲージとは別のベルトが付けられていた。

 

「変身!!」

 

男がベルトにメダルを装填すると、ベルトを中心にいくつかの球体が現れ、身体の至るところに散らばった。

そして、球体から装甲が展開されていき、ついには仮面ライダーの姿に変わった。

「何!?」

シザースが驚いて言った。

「あれは確か、仮面ライダーバース?」

俺は、以前照井から聞いたことを思い出した。

「さぁ、探偵、泊刑事。まだ終わりじゃないぞ!」

バースが言った。

『…ふふ、そうだね。行こう翔太郎!』

「ああ!!」

「ベルトさん、もうひとっ走りつき合えよ!」

『OK、進ノ介!』

俺達はバースのお陰で奮起した。

「僕だって…、僕だって仮面ライダーだ!」

G3-Xも立ち上がった。

「ええい、何人揃おうが変わりません!」

シザースが言うと、ネオシェードが再び攻撃を仕掛けて来た。俺達もそれに応戦した。

 

ドリルアーム!

 

メダルを装填したバースの右腕にドリルが装着され、敵を次々に攻撃した。

G3-Xもケルベロスで敵を薙ぎ払った。

俺達とドライブで怪人、シザースを相手取った。

しかし、さすが改造人間。一対一でも強敵だ。お互い攻防戦を続けるだけだった。

『進ノ介!フォーミュラーで駆け抜けるぞ!』

「おう!」

 

ドラーイブ!

ターイプ・フォーミュラー!!

 

ドライブは青いスポーツカーのような装甲を纏った。

「行くぞ!」

 

FFFフォーミュラー!!

 

ドライブは超高速で駆け抜け、次々に敵を攻撃した。

怪人も例外ではなく、ドライブの攻撃で怯んだ。俺達はそこを逃がさなかった。

「今だ!」

 

ヒート!メタル!!

 

メタル!マキシマムドライブ!!

 

『「メタルブランディング!!」』

 

炎を纏わせたメタルシャフトを怪人に叩きつけた。

「うわああああああああ!!!!」

その勢いで吹き飛ぶと同時に怪人は爆散した。

「そんな、ばかな…。」

残りのネオシェードは全て倒され、シザースは狼狽えていた。

「これで、お前だけだ!」

俺はシザースに向けて言った。

「…いいや。清山先生を取り戻すまでは終わりません。」

依然としてシザースは余裕を見せていた。

「須藤刑事、いい加減にしてください!」

ドライブも言った。

『須藤!この護送車に徳川清山なんて居やしない!お前を釣るための嘘さ!』

フィリップが言った。

そう。今回の作戦において徳川清山の護送車とは全くの嘘。警察内部のネオシェードを炙り出す為に大事にしてまで作り上げた嘘だったのだ。

「…それはどうでしょうね。」

シザースはせせら笑いながら言った。

 

その時だった。

 

バアアアアン!!!!

 

護送車の扉が内側から吹き飛ばされた。

「何だ!?」

 

コツ、コツ、コツ、コツ…。

 

護送車から男が降りてきた。

右目に眼帯を付けているが、鋭い目付きの壮年の男だ。

『まさか、そんなはずは…!?』

フィリップは驚きを隠せないでいた。

「ご苦労だったな、須藤。」

男が口を開いた。

「…清山先生!!」

シザースが歓喜の声を上げた。

「あいつが、徳川清山!」

俺は男の名を口にした。

「そんな!この作戦じゃ、清山は護送なんてされないハズ!」

ドライブが言った。

「お前らも分かってたはずだ。我々シェードの同胞が、警察内部にいることは。」

清山が言った。

「…だが、俺達がお前を捕まえる!」

バースが言った。

「フッそうも言ってられないぞ?」

清山が言った。

 

ドォォォォン!

 

遠くの方で爆発音がした。

「あの方向、警視庁!?」

ドライブが言った。

その途端、電波障害が無くなったのか、インカムから一条の声が聞こえてきた。

『左君!泊巡査長!応答してくれ!』

「どうしたんだ!?」

俺は答えた。

『やっと繋がった!たった今、ネオシェードが警視庁を襲った!そして、総監の行方も分からなくなった!』

「何だって!?」

ドライブが声を荒らげた。

『そちらの状況は!?』

「須藤がネオシェードだった。そして、やつらの手引きで徳川清山が脱獄した。護送車に乗っていやがった!」

『何だと!?そんなばかな!!』

一条も声を荒らげて言った。

「さて、俺達は失礼するぞ。仮面ライダー。」

清山が言うとシザースと共にその場から姿を消した。




クラブドーパント・シザースの正体が、ついに明らかになりました。
お察しの通りですね。笑

須藤ファンには大変申し訳ないですが、リセットされた龍騎世界でも汚職刑事であることには変わりないと思い、いっそのこと敵幹部として扱いました。

そして、満を持して(?)仮面ライダーバースこと後藤慎太郎の登場です。
元警察官で、世界平和の為に鴻上ファンデーションへ籍を置き、オーズとグリードの戦いが終わると警察官へ復帰したという経緯がありました。
隠れ警察ライダーとして登場させました。

後藤さんが何故G5ユニットにいたのかは後日明らかになります。

しかし、須藤を拘束するはずの嘘が現実となってしまい、シェードの黒幕・徳川清山の脱獄を許してしまいました。また、警視庁襲撃により加賀美総監の行方は一体…。

次回、照井視点での話です。
お楽しみに!


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第17話

<同時刻・照井視点>

 

「こちらへ避難してください!向こうは危険です!早く避難を!!」

俺と朔田が現場に着くと、交番勤務と思われる警官達が、市民の避難誘導をしていた。

「巡査、状況は!?」

「あなたは、照井警視!」

一人の男性警官が敬礼して言った。

「向こうの方で警官隊とネオシェードと思われる集団が戦闘中です!」

大門達が戦っているのか。ならば、早急に向かわなければ彼らが危ない。

「行きましょう、照井警視!」

「自分も一緒に行きます!」

朔田に続いて、男性警官も言った。

「いや、巡査はここで引き続き避難誘導を。普通の警官がどうにかできるような相手ではない!」

俺は男性警官に言った。

「けど、俺はー」

 

ドオオオオオオン!!

 

大門達が戦っている方向から爆発音が聞こえた。

「行くぞ!」

何か言いたげな男性警官をおいて、俺達は現場に急行した。

 

既に、警官隊とネオシェードが戦っていた。

大門、杉田、桜井は他の警官同様パトカーを盾に戦っていた。中には炎上しているパトカーもあった。先ほどの爆発音の正体は恐らくこれだろう。

相手はマスカレイドに人型歩兵兵器、そればかりかG5も警官隊に攻撃をしていた。

「これは…。」

朔田が警官に攻撃しているG5を見て、驚いて言った。

「おそらく、やつらもネオシェードの一員ということだ。行くぞ!」

俺はAメモリを取り出した。

 

アクセル!

 

「変…、身っ!」

 

アクセル!

 

俺の身体を赤い装甲が包み込んだ。

 

メテオ!レディ?

 

「変身!」

 

朔田がベルトのスイッチを入れると天空から朔田をめがけ青いエネルギー光線が照射された。やがて朔田の身体を青い球体状のエネルギー体が包み込むと、中から仮面ライダーメテオが現れた。

 

「さぁ、振り切るぜ!」

「お前達の運命は俺が決める!」

 

俺達は警官隊に加勢した。

「仮面ライダーアクセルにメテオか!」

杉田が歓喜の声を漏らした。

「よかった、G5が突然我々に攻撃を!」

櫻井が言った。

「分かっている!遠慮はいらない、戦うぞ!」

俺は警官達に言った。

警官達は俺達の後方支援に動いた。

「ホォ~~、ゥワチャア!!」

メテオは丸でカンフーのような戦い方だった。それだけではない。

 

サターン・レディ?

OK!サターン!!

 

右腕のガントレットにあるスイッチらしき物を操作し、惑星を表した武器を手に戦っていた。

俺とメテオの連携により、敵を次々に撃破していった。

「残りはわずか!」

「そうはさせない!!」

男の声がした。

声の方を向くと岡村が現れた。

 

リキッド!

 

岡村はLメモリを用いてリキッド・ドーパントとなった。

「岡村ぁ!!」

俺は真っ先にリキッドへ立ち向かった。

エンジンブレードで斬りかかったが、やつの身体はまるで水の様で手応えが全くなかった。

「そんな攻撃効くものか!」

リキッドは何事も無かったかのように、反撃してきた。

 

ジュピター・レディ?

OK!ジュピター!!

 

メテオも攻撃したが結果は同じだった。

「俺は"液体"の記憶を具現化した存在。物理攻撃など効かない!」

リキッドは余裕を見せていた。

「ならば、これでどうだ!」

俺はエンジンブレードにEメモリを装填した。

 

エレクトリック!

 

エンジンブレードに電撃を纏わせ、斬りつけた。

「うぅ…!!」

電撃が通ったようで、リキッドは怯んだ。

 

マーズ・レディ?

OK!マーズ!!

 

「ホァチャア!!」

メテオは炎の拳を何度もリキッドに叩き込んだ。

「ぐっ…。」

どうやら、水を蒸発させる程の熱量にも耐えられないようだ。

「言うほどでもないな!」

俺は再び電気を帯びたエンジンブレードを振るった。

しかし、次はやつの身体に当たらなかった。

「何!?」

「嘗めるなよ!」

リキッドは自身の右腕を剣状に変え、エンジンブレードを受け止めたのだ。

そのまま力業でエンジンブレードを弾き、何度も俺の身体を斬りつけた。

「ぐあっ!!」

「アクセル!!うわっ!!」

メテオが前に出たが、リキッドは左手からエネルギー弾を撃ちだし、メテオを足止めした。

「フン!言うほどでもないな。」

「調子に乗るなよ、テロリスト!」

俺達は体勢を立て直して再び構えた。

 

「えぇん、えぇん!ママぁ、どこぉ…?恐いよぉ…っ」

物陰から女の子の泣き声が聞こえた。

「!?逃げ遅れた子が!!」

俺は近づこうとしたが、リキッドのエネルギー弾によって動きを制された。

「丁度いい。」

「キャ!」

リキッドは物陰に隠れていた女の子を無理矢理引きずり出した。

「この子の命を助けたければ、そこを動くなよ!」

「卑怯だぞ!」

メテオは叫んだが、リキッドはそれを笑い飛ばした。

「フン、そこで大人しく死ね!」

リキッドはエネルギー弾を次々に撃ってきた。俺達は為す術なくやつの攻撃に身をさらしてしまった。

「うわぁ!!」

トライアルになる隙さえ作れば…。

しかし、やつの熾烈な攻撃に耐えるのが精一杯だった。

「ライダー達を援護しろ!」

杉田の掛け声と共に、警官隊もリキッドめがけ射撃した。しかし、銃弾は丸で水の中を通っていくかのようにリキッドの身体を通り抜けていくだけだった。

「ふはははは!!無様だなぁ!」

リキッドは勝ち誇るように笑っていた。

「たすけてぇ!!」

女の子は恐怖から叫んでいた。

ここまでか。

そう思った時、どこからか小さい何かが飛んできて、リキッドを攻撃した。

「うっ何だ!?」

 

ブブブブブ…。

 

聞こえてきた音は丸で虫の羽音だった。

よく見ると青いクワガタのような物だった。

左のスタッグフォンか?しかし、スタッグフォンには似ているが、それとはまた別物のようだ。

「っ!今だ!」

やがて、リキッドはクワガタの攻撃に怯み、その隙にメテオがリキッドの懐に飛び込み、女の子を救出した。

「もう大丈夫だ。」

メテオは女の子を逃がした。

「貴様!ぐっ…鬱陶しい!」

尚も青いクワガタはリキッドに纏わりついていた。

 

「そこまでだ!」

また男の声がした。

声の先には、先程市民を避難誘導をしていた警官がいた。

「巡査!?」

俺は思わず叫んだ。

「俺の友が言った。」

警官が言った。それと同時に先ほどの青いクワガタが警官の所へ飛び、彼の右手に収まった。

「男にはなぁ、やってはいけないことが二つあるってな。」

「はぁ?」

リキッドは声を漏らした。

しかし、俺にもあの男が何を言いたいのか、よく分からなかった。

「一つは、食べ物を粗末にすること。そしてもう一つは…。」

気がつくと、警官の腰にベルトが着けられていた。

「!?まさか…。」

「女の子を泣かすことだ!!変身!!」

警官は手にしたクワガタをベルトに装填した。

 

HENSHIN!

 

すると、ベルトを中心に装甲が展開し、重厚な鎧を纏った仮面ライダーに変身した。

「仮面ライダーだと!?」

リキッドは驚いていた。

「市民の平和を脅かし、女の子を泣かすなんて、友に変わって俺が許さない!!」

ライダーになった警官が言った。

「何が友だ!」

リキッドは両腕からエネルギー弾を次々と撃ちだした。

しかし、ライダーは避けるでもなく、身体で受け止めていた。おそらく重装甲が衝撃を和らいでいるのだろう。

「これでもくらえ!」

ライダーは両肩のキャノン砲を撃ちだした。リキッドに命中するも、身体を液状化させ威力を殺した。

「無駄な攻撃だ!今度は斬り刻んでやる!」

リキッドは手をかえ、剣状に変えた腕でライダーに迫った。

「お前の攻撃は当たらない!」

ライダーはそういうと、腰のクワガタのアゴを開いた。

「キャストオフ!」

 

Cast off!!

 

それと同時にライダーの重装甲が弾け飛んだ。リキッドはその破片を受け、怯んだ。

そして、重装甲の中から青い仮面ライダーが現れた。

 

Change STAG BEETLE!

 

頭部両側の角が頭を挟み込む様にして装着された。

その姿は丸で先ほどの青いクワガタの様だった。

「ぐっ、それがどうした!」

リキッドは体勢を立て直すと、再びライダーへ斬りかかろうとした。

「クロックアップ!」

 

Clock up!

 

ライダーは腰のスイッチを押すと、突然その場から姿を消した。

「どこへ行った!?」

リキッドは辺りを見渡した。ところが、どこからともなくリキッドの身体を何かが斬りつけていた。

一撃一撃、あらゆる方向からだ。

その瞬間、俺はあのライダーもアサシンや黒いエターナルのように超高速で攻撃していることに気づいた。

リキッドの身体が液状化しない。恐らく、ライダーのあまりにも速すぎる攻撃を前に液状化する隙が作れないのだろう。

「うわあああああ!!」

リキッドが地に伏せた。

 

Clock over!

 

ライダーが姿を表した。その両手には剣を携えていた。

「く、くそ…。」

「これで終わりだ!」

 

1・2・3 !

 

「ライダーキック!」

 

Rider Kick!

 

ドォォォォン!

 

ライダーが蹴りをしようとした時、遠くの方で爆発音が聞こえた。

それと同時にインカムやパトカーの無線から一条の声が聞こえてきた。

『緊急事態発生!ネオシェードが警視庁を襲撃!総監の安否が不明!』

「何だと!?」

俺は声を荒らげた。

「親父が!?」

ライダーも同じく言った。

さらに無線から左の声が聞こえた。

『…徳川清山がネオシェードの手引きで脱獄した。護送車に乗っていやがったんだ!』

「まさか!」

メテオも驚いて言った。

「ふ、ふふ。まだ終わりじゃないぞ…!」

リキッドは立ち上がると姿を眩ました。

「警視総監が…。」

俺は唖然とした。薄手になった所をネオシェードに本庁を襲撃された所か、徳川清山まで脱獄してしまった。

我々の作戦が失敗したのか…。

「そんな、親父が…。」

ライダーは肩を落としていた。

「親父とは総監の事か?あなたは一体…。」

俺はライダーに尋ねた。

「…。俺は、加賀美新。マスクドライダーガタックだ。」




W・ドライブがシザースと戦っている同時刻のアクセル・メテオの場面です。
また、第14話に登場したリキッド・ドーパントの戦闘シーンも描きました。

そして、第二の隠れ警察ライダーである加賀美新・仮面ライダーガタックを登場させました。

カブト本編終了後、ZECTは解散しZECT職員はそれぞれ違う職に着きました。加賀美は交番勤務の警察官になっていたので、本作に出そうと模索してました。

次回は剛視点の話です。
お楽しみに!


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第18話

<同時刻・剛視点>

無線を頼りにたどり着いた場所では、既に警官とネオシェードが戦闘を始めていた。氷川を筆頭に警官達が応戦しているが、相手は改造人間の集団。警官だけでどうにかできる状況ではなかった。

「いっちょ、蹴散らすか!」

俺はライドマッハーを走らせ、ネオシェードの集団に突っ込んだ。

避けきれなかったネオシェードの戦闘員の何人かが吹き飛んだ。

「詩島さん!!」

氷川が言った。

「剛でいいよ、氷川さん!」

俺はライドマッハーから降りながら氷川に言った。

そして、手にしたマッハドライバー炎を腰に装着し、シグナルバイクを装填した。

 

シグナルバイク・ライダー!

 

「貴様、ライダーか!!」

ネオシェードの怪人が言った。

 

「レーッツ・変身!!」

 

マッハ!!

 

「追跡!撲滅!!いずれも、マッハ!!!」

「仮面ライダぁ~~~~~…。」

 

ネオシェードは身構えていた。

 

「マッッッッッッッッッッ…。」

 

「…溜めが長ぇ!!」

しびれを切らしたネオシェードの怪人が迫ってきた。

 

「ハあああああああああああ!!!!」

 

掛け声と同時に、俺は迫ってきた怪人にボディブローをお見舞いしてやった。

「ぐふぇ!?」

思わぬ攻撃で怪人は吹き飛んでいった。

「人の名乗りを邪魔するからよ!」

俺は言った。

「…派手ですね。」

「ええ…。」

泉と氷川が話していたが、俺は手を振っていなした。

「行くよ、お巡りさん達!!」

「総員、マッハの援護を!!」

俺が先陣を切り、警官達が後に続いた。

怪人一体とマスカレイドが数人。数は少ない訳ではなかったが、俺にとって問題ではなかった。

 

シグナルコウカーン!

マッハ・カクサーン!!

 

俺はシグナルバイクを入れ替え、ゼンリンシューターを天へ向け放った。それは上空で放射状となり敵に銃弾が降り注いだ。

大方の敵は蹴散らした。しかし、怪人だけはそうはいかなかった。

「ったく、ネオシェードの連中は使えねぇのばっかだな!」

「はん、お前もその一人だぜ!!」

俺はゼンリンシューターの前輪パーツ・ゼンリンストライカーを高速回転させた。回転速度により切れ味の増したゼンリンシューターで怪人に殴りかかった。

ところが、怪人は何度もかわし、または受け流して、俺の攻撃が届かなかった。

「当たるか!」

「くっ、だったら!」

俺は怪人と距離を取り、ベルトのボタンを複数回押した。

 

ズゥーット・マッハ!!

 

俺は高速で怪人に迫った。しかし、それさえも怪人は俺の攻撃を見切り、かわした。

そして、俺の腕を掴んで動きを止めた。

「俺はシェードの改造人間だ!動体視力も強化され、お前が高速で動こうが止まって見えるんだよ!」

「マジかよ!?うわっ!!」

怪人の攻撃が直撃した。

さすが改造人間ということか。

体勢を立て直すものの、どう突破口を導き出すか。

進兄さんならどうする…?

 

「剛さん!」

氷川が俺の名を呼び、俺は我に返った。

「我々がやつの注意を逸らします!その隙に攻撃を!」

「…オッケー!」

俺は答えると新たにシグナルバイクを取り出した。それは普段使うシグナルバイクと違い、サイドカーが付いていた。

 

シグナルバイクシフトカー!

ライダー!!デッドヒート!!!

 

「はあ!!」

 

俺はシフトデッドヒートをベルトに装填し、自身の姿を変えた。マッハの白い装甲に被さるように、肩や胴体を中心に赤い装甲を纏った。そして、ドライブ同様トライドロンのホイールが身体に装着された。

「姿が変わった所で同じこと!!」

怪人は尚も迫ってきた。シフトデッドヒートの恩恵で通常のマッハよりも戦闘スペックは向上している。先程とは違い怪人とも互角の肉弾戦を繰り広げられた。

「これでも同じだってぇ?」

「ふざけやがって!」

しかし、それでも"互角"と言ったところ。攻防戦が続いた。

やがて、警官から射撃が始まった。

「小賢しいマネを!」

怪人は丸で相手にしていなかった。

「改造人間とて、基は人間。急所を狙えば隙が生まれるはずです!」

泉は、怪人の顔面目掛け発砲した。

しかし、銃弾は怪人から逸れ、あらぬ方向へ飛んでいった。

「あ、あれ…?」

「ちょ、お巡りさん!?」

俺は思わず泉に叫んで言った。

「ふん、所詮その程…ぐぁ!」

余裕を見せていた怪人が苦しみだした。

頭部や脚の関節等を銃撃されたからだ。その弾道を辿ると、氷川が銃を構えて立っていた。

「今です、剛さん!」

 

シグナルコウカーン!

マッハ・トマーレ!

 

俺はゼンリンシューターで怪人を撃ち、動きを止めた。

「しまっ…た…!」

 

ヒッサーツ!フルスロットル!!

 

俺は高く跳躍し身体を高速回転させた。

「はあああああああ!!!!」

「ぐあああああああ!!!!」

回転で生まれた力を脚に集中させ、怪人に向け一気に蹴りを喰らわせた。それをまともに受けた怪人は、耐えきれずに爆散した。

「ふぃ~…。サンキュー、氷川さ…。うわっ!!」

気を抜いた所で、何者かの攻撃を受けてしまった。

高速で動き回る影のような存在。

次々と警官達を襲っていた。

「アサシンか!」

以前、風都署を襲撃したドーパントだった。

 

ズゥート・マッハ!

 

俺は高速の世界へ飛び込んだ。

「ほぅ…。若造にしては、気づくのが早かったな。」

アサシンが鼻で笑った。

「これでも、それなりの場数は踏んでんだよ!行くぜ!」

俺とアサシンは互いに拳を交えた。警官達からしたら何が何だかわからなかっただろう。

「くそ、デッドヒートで互角なのかよ!」

俺は戦いながら苛立っていた。

「ちっ、思ったよりやるな。だが…。」

アサシンは高速移動を止めた。すると突然、まだ明るい時間だってのに、辺りが暗闇に覆われた。

「なんだ!?」

氷川が言った。

「アサシンの力なのか!」

泉も戸惑っていた。

「ククク…。何も速いだけが能じゃねぇんだ…。」

そしてアサシンは、その暗闇に溶け込むように姿を消した。

「どこ行きやがった!」

俺は辺りを見渡すが、アサシンの姿は見えない。

が、突如在らぬ方向から攻撃を受けてしまった。

しかし、どこにもアサシンの姿がない。それどころか、その気配すら感じない。

「気配を消す…。"暗殺者"ってことか…。ぐっ!」

ダメだ、全然太刀打ちできない。

「うわあああ!!」

警官達の方からも悲鳴が上がった。

アサシンは自身の気配を消しながら、警官達にも攻撃を始めた。

「やめろ!」

俺は警官達の方へ駆け寄るが、再び俺にも攻撃が始まった。

「じゃあ、お前から始末してやる!」

「うわっ!」

アサシンの熾烈な攻撃が続き、ついに俺の変身が解除されてしまい、地に伏せてしまった。

「ふっ、じゃあな。」

アサシンが俺に止めを刺そうとした。

 

パァン!

 

銃声の方を向くと、氷川がアサシンに狙いを定めていた。

「剛さんをやらせない!」

氷川が再び射撃した。それは吸い込まれるようにアサシンに直撃した。

「ぐっ、やるな。」

「俺は、今までいくつものアンノウンと戦って来たんだ!お前ごときに…!」

しかし、氷川の言葉の途中でアサシンが攻撃を加え、氷川は殴り飛ばされた。

「ゔぅっ!?」

「氷川さん…!!」

アサシンは氷川に詰めよっていた。

「先にお前を殺っておくべきだったな…。」

「くっ…。」

氷川が再び拳銃を構えようとしたが、アサシンがそれを蹴落とした。

「じゃあな、お巡りさん…。」

アサシンは今度は氷川に止めを刺そうとした。

「やめろおおお!!!」

俺は叫んで言った。

しかし、アサシンはそのまま動きを止めた。

「なん…、だ…?」

いや、正確には動きが止まった訳ではなかった。

動いてはいる。だが、その動作が著しく遅くなっていた。

それはアサシンだけではなく、氷川も泉も、他の警官達もそうだった。

だが、俺だけは違った。それに、この感覚には覚えがあった。

「これは、重加速!?」

すると、重加速の中を何かが飛んできて、俺の目の前に現れた。

「シグナル、チェイサー!?」

チェイスの愛車であるライドチェイサーに酷似したシグナルバイク。あの日、チェイスのロイミュードボディとマッハドライバー炎とともに奪われたはずの物が俺の目の前に現れたのだ。

「お前が重加速を?」

シグナルチェイサーは答えなかったが、代わりに俺の手に収まった。

「チェイス…。俺に力を貸してくれ!!」

 

シグナルバイク・ライダー!

チェイサー!!

 

俺は立ち上り、自身のベルトにシグナルチェイサーを装填した。

 

「レーッツ・変身!!」

 

再び俺の身体を装甲が纏う。だが、マッハとは似て非なる。上半身はマッハの姿だが、腹部より下半身と両腕は、かつての仲間・仮面ライダーチェイサーの装甲に包まれていた。

そう。俺はチェイサーの力を借りて、仮面ライダーチェイサーマッハに姿を変えた。

「氷川さん!!」

俺は攻撃を仕掛けているアサシンを突き飛ばした。

「ぐっ。何だその姿は!?」

アサシンが言った。

「お前は、ここで俺が倒す!」

「はっ、やれるもんならやってみなぁ!!」

アサシンは再び加速した。

俺も同じく加速し応戦した。だが、先程とは比べものにならない程の加速をしてみせ、アサシンに攻撃を加えた。

「なっ。さっきより速いだと!?」

俺は徐々にアサシンを押していった。

アサシンは、すぐさま手を変え自身の気配を闇の中に消した。

「無駄だ!」

俺はベルトのスイッチを押した。すると、再び重加速が生み出された。

「ま…た…!?」

アサシンは重加速に捉えられ、姿を表した。

俺は拳を握り絞め、渾身の一撃をアサシンに放った。

「ぐわぁっ!!」

「これで終わりだ!」

 

ヒッサーツ・フルスロットル!

 

俺は再び跳躍しアサシンに蹴りを放とうとした。

 

シャングリラ!

 

跳躍した俺の身体を突然何かが絡んで来た。

「な、何だ!?」

良く見てみるとそれは植物の蔦の様だった。

「危ない所だったな、アサシン。」

アサシンとは別の声がした。

声の方を振り向くと、銀色の怪人がそこにいた。

「も、桃瀬さん…!」

アサシンが怪人に向かって言った。

「くっ。あんた、財団Xってやつか!」

俺は怪人に言った。

「そうだ。今はシャングリラ・ドーパントの姿だがな。」

桃瀬ことシャングリラ・ドーパントが答えた。

こんなときに、敵の親玉登場か。

警官達もかなり消耗している。この状態で二人を相手にするのは流石にまずい。

「君にしては、かなり手を焼いていたようだね。アサシン。」

「め、面目ない。」

シャングリラはアサシンに言った。

「さて、このまま締め上げたい所だが…。」

「はっ!」

すると、突然俺の身体が空中から落ちた。何者かが、蔦を切り落としたらしい。

「大丈夫かい?」

何者かが手を差し出した。

俺はその手を取り、身体を起こした。

「あんたは!?」

「ここでシェードの裏切り者の登場か。ナンバーファイブ。いや、仮面ライダーG、だったかな。」

シャングリラが言った。

「これで二対ニだ。フェアに行こうじゃないか。」

Gが言った。

「いいや、今回は止めておこう。」

シャングリラが言った時だった。

 

ドォォォォォン!

 

遠くの方で爆発音がした。

「何だ!?」

俺は思わず声に出してしまった。

「ネオシェードの志しに対する、祝砲。とでも思ってもらおうか。」

シャングリラが笑って言った。

そして、パトカーから無線が鳴り響いた。

 

『緊急事態発生!ネオシェードが警視庁を襲撃!総監の安否が不明!』

 

「そんな!?」

無線を聞いた氷川が声を上げた。

「どうやらチェックメイトのようだな。ハッハッハッハッ!!」

シャングリラは高笑いしながら、アサシンを連れて姿を眩ました。

「くそっ!」

俺は吐き捨てるように言った。

「…。まだ終わりじゃない。」

Gは静かに言った。

「どういうことです?」

氷川がGに尋ねた。

「今、詩島剛君が持っているシグナルチェイサーに、ネオシェードに関する全ての情報が託されている。」

「何だって!?」

俺はシグナルチェイサーを手にし、それを見つめた。

「正確には、"彼"がそこで全てを見ていたようだ。」

Gは続けて言った。

「それを解析すれば、ネオシェードの拠点やエターナルの所在も解るだろう。」

そういい終えると、Gはどこかへ去ろうとしていた。

「ちょっ!あんた、一緒に戦わないのか!?」

俺は思わず声を出した。

「まだ僕にはやらなければならないことがある。」

そして、Gは氷川の方を向いて言った。

「貴方もこんな所で燻っていてはいけない。あなたにだって、やるべきことはあるんだ。」

「え?」

氷川は聞き返したが、Gはそのままどこかへ去って行ってしまった。




仮面ライダーマッハVSアサシン・ドーパントを中心に書きました。

デッドヒート、チェイサーマッハとそれぞれの活躍はいかがだったでしょうか。

そして、財団X・桃瀬理が変身したドーパント、シャングリラ・ドーパント。
使用したガイアメモリを含め以下のように設定しました。

<シャングリラ・ドーパント>
桃瀬理が"理想郷"の記憶を擁するゴールドタイプのガイアメモリ、シャングリラ(S)メモリを用いて変身するドーパント。
能力は、"理想の再現"である。使用者の理想を実現させる力であり、例えば使用者が自然に溢れた世界を望めば、使用者の周囲に木々や草花を生やし自然豊かにする。その際に、その理想にとって邪魔なものは徹底的に排除する。また、使用者ではない人の理想も実現可能に出来るが、それは、その人の理想を"シャングリラ・ドーパントが再現"するという、いわば鏡のように働いてしまう。
ただし、再現できる物には限りがあることと、その理想を再現するには使用者が理想を実現するために"行動しなければならない"(つまり、理想を思い描くだけでは効果は発動しない。)ため、使い勝手が非常に難しい。
桃瀬はその力を完全に把握しており、力を存分に扱えるために非常に強力なドーパントである。

戦闘の中、突如現れたシグナルチェイサー。
仮面ライダーGの言う、「"彼"が全て見てきた。」の意味とは。

次回、再び左翔太郎視点で進みます。
お楽しみに!


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第五章 反撃の狼煙 第19話

俺達は風都ホールへ戻った。

明らかに重い空気が漂っていた。無理もない。俺達の本丸だった警視庁を襲撃され、警視総監は行方不明。さらに徳川清山もネオシェードの手に渡ったのだ。警官達も何を信じていいのか、何をすればいいのか分からないんだろう。

「一条さん。」

俺は一条に声をかけた。

「左君、無事だったか。」

一条は優しく言ったが、同時に失意も感じられた。

「すみません!僕達が居ながら、徳川清山を…。」

泊が一条に頭を下げた。

「それを言うなら、僕にも責任があります。G5ユニットの主任だってのにネオシェードの影に気づかなかったんだ…。」

尾室も落胆していた。

「尾室さん…。」

氷川が呟いた。

「…相手が上を行きすぎていたんだ。僕達だけでどうにかできた問題じゃない。」

フィリップがフォローした。

「その通りだ。君達の責任ではない。」

一条が言った。

「しかし、警視総監も失うとは…。このままでは警察組織としての機能が…。」

照井が言った。

「…けどよ。また新しい仲間も増えたぜ。」

俺は、後藤を指して言った。

「後藤さん、まさか?」

泉は既に知っているような反応だった。

「ア…。いや、泉刑事。その通りです。俺は仮面ライダーバースとして復帰しました。」

後藤が言った。

「確か、君はG5装着員では?」

氷川が言った。

「バースはセルメダルを用いて変身する仮面ライダーですが、変身する度にそれを消費してしまいます。さらにそのセルメダルには数の限りがある為、この力を使うには慎重にならなければならなかったんです。それで、バースに頼らずに戦う選択肢としてG5に志願した訳です。

事態が事態なので、出し惜しみしている訳には行きませんから、バースとして戦います!」

後藤が答えた。

「こちらにも有志がいるぞ。」

照井が一人の警官を指して言った。

「仮面ライダーガタックに変身する加賀美新巡査。加賀美警視総監のご子息だ。」

「…。」

加賀美は黙ったままだった。

総監が父親ならば、その安否は気になるはず。大切な人を亡くす辛さは誰よりも解っているつもりだ。

「大丈夫か?」

俺は思わず声をかけてしまった。

「…ああ。俺も戦う。これ以上あいつらの好きにはさせない!」

加賀美は活気を取り戻したようだ。

「だが、これからどうする?結局やつらの足取りが掴めていない上に、こんな状態じゃ捜査だってままならないぞ。」

言ったはいいものの、誰も返事しようとしていなかった。

 

「あれ?何か辛気くさくなってない??」

剛が戻ってきた。

「剛…。」

泊が呟いた。

「それに、なんだか新顔のお巡りさんもいるし。」

剛は後藤と加賀美を見て言った。

「あぁ。新たに協力してくれるライダー達だ。」

一条が答えた。

「あのな、剛。警視庁も襲われ、総監も行方不明。組織も壊滅的で捜査もままならないから、ネオシェードの足取りも掴めないんだ。こんな状態で明るくいろってのが無理な話なんだ。空気読めよ。」

俺は剛に悪態をついてしまった。

「まぁ、そうなんだけどねぇ。けど、ネオシェードの所在なら何とかなりそうだぜ!」

剛が自信たっぷりに言った。

「どういうことだ?」

朔田が聞いた。

「ほれ。」

剛は懐から黒いシグナルバイクを取り出した。

「…それは?」

氷川が聞いた。

「剛、それって!」

泊も食いついた。

「ああ。シグナルチェイサー。ネオシェードにチェイスのマッハドライバーと共に奪われたシグナルバイクさ!」

『どこでそれを!?』

泊の左肩に止まっているミニカーからベルトさんの声がした。

「ネオシェードと戦闘中に現れて俺を助けてくれたんだ。もしかしたら、こいつがネオシェードのこと何か知っているかもしれないだろ?」

剛が言った。

「そうなのか?」

一条が言った。

「はい。シグナルバイクならびにシフトカーはそれぞれ意思を持ってます。なので、彼らが経験したことはデータとして蓄積されるんです。」

泊が解説した。

『一条刑事、私に1日時間をくれないか?私の仲間と共にシグナルチェイサーの情報を調べたい。』

ベルトさんが言った。

「一条刑事。私からもお願いします。」

泊が言った。

「わかった。」

一条は深く頷いた。

「罠という可能性はありませんか?」

フィリップは疑っているようだ。

「俺達は、こいつを信じている。こいつは、チェイスの形見であると共に俺達の戦友なんだ。」

泊が言った後で剛も頷いた。

「フィリップ。」

俺はフィリップに声をかけた。

フィリップと目が合ったとき、俺は小さく頷いた。

わかったよ。と言うようにフィリップも頷き返した。

「これが、我々に取って最後の希望かもしれない。ベルトさん、よろしく頼みます。」

一条が言った。

「シグナルチェイサーの解析が明日終わる。一同、今日はこれで解散にしよう。休むことも大事だ。」

一条が言った。

その言葉を聞いた俺達は、各々の帰る場所へ向かった。

ベルトさんの結果が最後の希望だ。

 

翌日。

俺達は、風都ホールへ戻らなかった。

朝、一条からの連絡で違う場所を指定されたからだ。フィリップと相談し、照井にも連絡をしたところ、照井も半信半疑だが向かうと言った。

俺達は指定された某所のオフィスビルへ入った。

入り口には、黒スーツの案内人がおり、地下へ連れていかれた。そこにある地下室に入ると、中はまるで秘密基地のようだった。複数の大型モニターに通信機器の数々。既に何人もの人がいたが、彼らもまた、警官のような格好でもなかった。

中には、照井、泊、剛、朔田、それに一条以下警視庁の警官達もいた。

「一条さん、これは一体。」

俺は一条に尋ねた。

「実は、警視総監から連絡があってな。」

「総監から!?無事だったのか?」

「詳しくは分からない。だが、総監から指定された人達をここへ集めて欲しいと指示があって。」

警視総監は何を考えているのか。

「親父!!」

加賀美が叫んだ。

振り向くと、加賀美総監が入室してきた。

「新か…。このような形でお前を巻き込んでしまうとはな。」

加賀美総監が自身の息子に言った。

「総監!よくぞご無事で!」

一条が言った。

「ああ。危うい所を、私の同胞に救われたのだ。」

「そうでしたか…。総監、実は…。」

「全て解っている。」

一条が言う前に加賀美総監が言った。

「俺達をここに呼んだ理由はなんだ?」

俺は加賀美総監に尋ねた。

「…警察内部にネオシェードが潜伏していたのは、早い段階で分かっていた。ガンを消す為にも裏工作をしてきたが、ここまでに及ぶとは想定外だった。まずは、皆に迷惑を掛けてしまったことを謝罪させて欲しい。」

加賀美総監は頭を深く下げた。

「だが、もちろんこれで終わりにするつもりはない。諸君、我々の反撃はこれからだ!」

加賀美総監が力強く言った。

「だが、悪いがこの中にもまたネオシェードの連中が潜んでいるかもしれない以上、俺達に打つ手なんてあるのか?」

「左さん!」

泊が言ったが俺は遠慮なしで言った。

「心配は無用。ここに集められたメンバーは既にシロであることが分かっている。完全にガンは排斥してある。」

加賀美総監はそう言うと、皆の方へ向いた。

「諸君!知っての通り、警視庁は襲撃され組織としての機能はほぼ死んでしまった!これにより、ネオシェードは慢心している所であろう!しかし!ここからが我々の反撃となる!」

「ただいまを持って、対ネオシェード対策本部を解体!超法規的組織・ZECTの結成をここに宣言する!」

「ゼクトぉ!?」

俺は思わず言い返した。

他の警官達も動揺を隠せていなかった。

しかし、この場においてZECTの職員を除いて、フィリップと加賀美だけは平然としていた。

「まさか、でもZECTは既に機能を停止したはずじゃ!!」

加賀美が父親に言った。

「もちろん、かつてのZECTとは毛色が違う。」

加賀美総監が答えた。

「加賀美巡査は、ZECTをご存知なんですか?」

泊が加賀美に尋ねた。

「あぁ。ZECTは地球外生命体・ワームを駆逐するために結成された極秘組織だったんだ。俺はかつてZECTに所属し、マスクドライダーとしてワームと戦ったんだ。そして、そのトップにいたのが親父である加賀美陸なんだ。」

加賀美が言った。

「君は覚えていないかもしれないけど、20年前に起こった渋谷の隕石落下事故。あれがワームを呼び寄せたんだ。それを駆逐していったのがZECTということさ。」

フィリップも続けて言った。

なるほど、警視総監直属の秘密組織か。

確かに、警視庁を襲撃したことでネオシェードのやつらは勝利を確信しているだろう。その隙に俺達はZECTの一員としてやつらを叩くということか。

「ですが、そのワームを駆逐してきた組織が動き出すというのは、何か訳があるのでしょうか?」

フィリップが加賀美総監に行った。

「…。」

加賀美総監は考えるように黙っていたが、やがて口を開いた。

「…今回、ネオシェードを先導している徳川清山。やつは、ワームと同族の地球外生命体・ネイティブだ。」

加賀美総監の一言によって、辺りは騒然とした。

「何だって!?」

加賀美が言った。

「正確に言えば、人類ネイティブ化計画によりネイティブと成った元人間だがね。」

「しかし、それを知ったのは三島らネイティブを駆逐した後のことだった。突然、徳川清山がシェード計画を提案し怪しいと思い調査したことで、彼がネイティブであることが発覚したのだ。その後、万が一の事を考慮し、新たなマスクドライダーシステム構築のために地下牢獄へ隔離幽閉し今日までに至った訳だ。」

加賀美総監が言った。

「その結果が、ネオシェードの勃興に繋がってしまったということですか…!」

朔田は静かに、ただし語尾を強めるようにして言った。

「本当にすまないことをしたと思っている。」

加賀美総監は改めて頭を下げた。

「…下がっててもしょうがねぇ。とにかく、こうなった以上何とかしてでもやつを止めねぇと!」

俺が言うと、隣でフィリップも頷いた。

「そうですね。一刻を争う事態です、ネオシェードを討伐しましょう!」

泊も続いて言った。

「すまない…。皆の力を貸して欲しい。」

加賀美総監の言葉に皆で頷いて答えた。

 

「一条君。君は今まで通り、実働部隊の指揮を頼む。」

加賀美総監が一条に言った。

「…しかし、私は既に多くの犠牲を生み出してしまいました。今さら指揮官としての器など。」

「何言ってんだ、一条さん。」

俺は一条に言った。

「俺達、仮面ライダーがここまで戦って来れたのは、あんたを信じてきたからだ。」

俺の言葉にライダー達は頷いた。

「あんた達、警察の協力があったお陰で戦い易かった。正直、俺は警察は好きじゃなかった。けどな。あんたのお陰で、その気持ちも変わったんだ。」

「左君…。」

一条は呟くように言った。

「…。わかりました。市民の平和の為に、全力を尽くします!」

一条は力強く答えた。

「うむ…。」

『お待たせした!シグナルチェイサーの解析が終了したぞ!』

赤いミニカーが現れ、ベルトさんの声が聞こえた。

『ネオシェードの活動拠点、本拠地、全てが記録されていた!』

「ご苦労!全ZECTエージェントにデータを送信してくれ。」

加賀美総監が言った。

「これよりZECTは、ネオシェード討伐作戦を開始する!」

一条の言葉を合図に、全員が動き出した。




久しぶりの更新ですm(__)m

警察組織による反撃が始まります。
ZECTの再編。それは加賀美陸の起用、徳川清山の正体を理由付ける為に設定しました。
仮面ライダーGでワ◯ムそっくりの改造人間が出ました。徳川清山もワーム(今回はネイティブ)として置けば納得できるかと思いました。

後藤慎太郎、加賀美新が新たに加わったライダーチーム。
ネオシェード討伐は叶うのでしょうか。

次回もお楽しみに!


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第20話

シグナル・チェイサーからもたらされた情報を元に、俺達仮面ライダーはそれぞれの拠点に奇襲を始めた。

勝利を疑っていなかったネオシェードは、突然の襲撃により為す術もなく次々と撃破されていった。

警察内部からの情報を元に俺達の行動を先読みしていたことが裏目となり、俺達の反撃を全く想定していなかったようだ。

だが、俺達が奇襲をかけた拠点には主犯格のやつらは見当たらなかった。

「こちら泊。ネオシェード活動拠点を制圧しましたが、主犯格のメンバーの所在は不明でした。」

俺とフィリップと共に行動していた泊が一条に伝えた。

『了解した。照井君や他のライダー達からも同様の連絡があった。一度本部まで戻ってくれ!』

「了解!」

 

「やはり清山等は先に逃げていたか…。」

一条が言った。

本部へ戻った俺達は、会議室の机に広げられた地図を囲いながら見つめていた。地図にはライダー達によって潰されたネオシェードの拠点にバツ印が付けられていた。

「目ぼしい拠点はほぼ全て抑えましたから、そうなると…。」

氷川が地図を指で辿った。

「奥多摩川山岳部。」

「何だか正しく、て感じだな。」

剛が言った。

「えぇ…、奥多摩ですか…。」

大門が怯えるように言った。

「どうかしたのか、大門さん。」

泉が尋ねた。

「いや…。この時期、奥多摩の方で変な話が上がるじゃないですか。巨大な妖怪みたいなのがいるとか何とか。」

「何かと思えば。」

後藤が鼻で笑った。

「俺達は今まで色々な化け物と戦ってきたんだ。今さら妖怪なんて驚く方がおかしな話じゃないか。」

「いや、まぁ…。それはそうなんですけど。私、ジャパニーズホラーが苦手で…。」

大門がぼそぼそと言った。

「妖怪か…。そういえばちゃんと検索したことなかったな。ちょっと興味が沸いてきた。」

何故かフィリップが嬉しそうにしていた。

「話を戻すぞ。」

照井が睨んで言った。

「ともかく、この場所に清山等が潜伏している可能性が極めて高い。我々の戦力を全て投入すべきだと思う。」

「私も照井警視に同感です。数は少なかれど、敵は改造人間に新型ガイアメモリを用いたドーパント。歩兵型兵器もあるとするならば、出し惜しみしている場合ではないでしょう。」

朔田も照井に同意した。

「そうだな。それにやつらの中には財団Xの桃瀬、テロリストの大道もいる。各位準備が整い次第、ネオシェード総本山、奥多摩川へ出動する!」

「はい!」

一条が言うと、各自で最後の戦いに向け、準備を始めた。

「…。」

俺は静かに会議室を出た。

 

いよいよネオシェードとの戦いに終止符が打たれる。アサシンによるガイアメモリ使用者殺害事件から始まったが、まさかここまでデカイ規模になるとは思いもしなかった。

そして、大道克己・仮面ライダーエターナルの復活。

一度つけたやつとの決着を再びつけるのか。

 

だが、何かが俺の中で引っ掛かっていた。

黒いエターナルの時、戦いの中で不意に攻撃を止めたこと。

大道の復活を目の当たりにし、やつの行動を見た時に感じた違和感。

このままやつを倒すのか。

いや、倒していいのか…?

 

「翔太郎?」

フィリップの呼び掛けで、俺は我に帰った。

「どうしました、左さん?」

続いて泊も現れた。さらに、後から照井、剛も現れた。

「いや、何でもない。」

俺はすかさず言った。

「ほんとかい?」

フィリップは、俺が誤魔化したことを見抜いているようだ。

「言いたいことがあるなら言え、左。」

照井も言った。

「…なぁ、フィリップ。」

俺はフィリップに向かって言った。

「?」

「お前、大道克己の復活を見て何か思わなかったか?」

俺はフィリップを見て言った。

「…思ったさ。」

フィリップが答えた。

「何の話です?」

泊が聞いてきた。

「あの時、俺達があいつを倒した時、あいつ喜んでたんだ。」

「喜ぶ?」

「あいつは一度死んで生き返った。でもそれは、あいつにとって望んでいたことじゃなかったはずなんだ。」

俺は続けて言った。

「あいつは兵器として戦い、退くに退けない所まで来てたんだ。だから最後の仕上げに風都を、俺達の街を地獄にしようとした。」

「はんっ、はた迷惑な話だな。」

剛が鼻で笑いながら言った。

「だが、それは俺達で阻止した。そして、倒されることに喜んでいたんだ。」

「つまり、再び死ぬことに安堵を感じたということですか?」

泊の言葉に俺は黙って頷いた。

「そして、彼は再びこの世に呼びだされた。それも、彼自身が望んだ結果じゃない。」

フィリップが言った。

「なぜわかる?」

照井が言った。

「ロイミュードボディにメモリの記憶を注がれていく度に、彼の叫びが聞こえたんだ。甦ることを拒む叫びが。」

照井の問いにフィリップが答えた。

「だったら、尚更エターナルを倒さないと。」

泊が言った。

頭じゃ分かってる。分かってるんだが…。

「…二人とも、何が言いたい?」

照井が怪訝そうに言った。

「俺は…。エターナルを、大道克己を叩くことに反対だ。」

俺の隣にいたフィリップも小さく頷いた。

だが俺の一言で、一瞬の沈黙が生まれた。

「…何だと?」

照井が聞き返した。

「どういうことです?」

泊も聞いてきた。

「エターナル復活の点において、一つ気がかりなことがある。」

フィリップが答えた。

「気がかりなこと?」

泊が言った。

「ネオシェードは回りくどい方法を取ってまでエターナルの復活を望んでいたはず。だけど、実際は不完全な状態でそれを終わらせた。変だと思わないかい?」

「…確かに。だったら、黒いエターナルの時点で目的は果たしたことになるはず。それでも尚、復活の為にメモリを集めておきながら、不完全で終わらせるなんて。」

フィリップの問いかけに泊が言った。

「ただ単にめんどくさくなった。て訳でもなさそうだね。」

剛が言った。

「そこで考えられる可能性。それは、ネオシェードはエターナルと大道克己の"力"が欲しかった訳で、大道克己"本人"の復活は望んでいなかった。」

「言い換えれば、大道克己の復活はやつらに取って不都合という訳だ。」

フィリップに続いて俺が言った。

「照井…。俺達は、大道克己について、お前に未だ伝えてないことがある。」

「何?」

「それは、彼が本当の仮面ライダーになれたかもしれない、悲劇の話さ。」

俺達は、大道克己のことを知るミーナという女のこと、ビレッジと呼ばれる場所での出来事を伝えた。

「…。それが、大道克己の真実。」

聞いていた泊が呟いた。

「今までのやつの軌跡を考えれば、やつが完全復活したらネオシェードにつく可能性が低い。」

「むしろ、敵対してこちら側につく可能性だってゼロじゃない。」

俺とフィリップは言った。

 

しかし、

「…聞くだけ無駄だったな。」

照井が冷たく呟いた。

「何だと?」

「お前達の話が真実だとしても、やつがテロリストであったことに変わりはない。ましてや、ネオシェードにつくつかないなど可能性の話でしかない。」

照井が言った。

「不安定要素を抱えたままでネオシェードを潰せる程甘い組織じゃないのは、左さん達も承知のはずです。やはりエターナルも含め、敵を倒すべきです!」

泊も言った。

「ちょっと待ってくれ!あのエターナルの素体とマッハドライバーはチェイスのものだ。ただエターナルを倒したら、それらがダメになっちまう!」

理由は違えど、剛はエターナルを倒すことに否定的な態度を示した。

「剛…。気持ちは分かるが、このままじゃ、無関係の人々が犠牲になってしまうんだ。こればかりは。」

泊はエターナル撃破の立場を取った。

「じゃあ、進兄さんはあいつの形見を平気で壊せるってのかよ!!」

「平気な訳ないだろ!でも、事の一因に、俺達の身勝手さが関わっているんだぞ!それくらい、お前も分かってるだろ!?」

「…ぐっ」

剛は唇を噛みしめていた。

エターナルを倒すか倒さないか。実際の所、俺達の考えが甘いのは十分承知だ。不安定要素を払拭しエターナルを倒すことが合理的なことくらい、俺は、いや、俺達はわかっている。

だが、それでも俺達は大道を信じてみたかった。何故かと問われれば、それは探偵としての"勘"というやつだ。今思えば、ずいぶんと浅はかな考えだった。

「…よそう、翔太郎。答えは分かりきっていたことさ。それよりも一刻も早くネオシェードを叩かないと。」

フィリップが言った。

「…わかった。」

「左、一応聞いておくぞ。」

照井が言った。

「何だ?」

「フィリップ程ではないが、俺もお前とは長い付き合いだと思ってる。だから、このままお前が引き下がるとは思わん。」

「…。」

「だから、聞く。エターナルが完全復活し、お前達の思惑通りに行かなかった場合、どうするつもりだ?」

「…俺達が倒す。必ずな。」

俺に質問するな。なんて言ってやりたかったが、照井にぶん殴られそうだから変わりに答えた。

 

準備を整えた俺達は奥多摩川山岳部へ向かった。

シグナルチェイサーからもたらされた情報によると、敵の本拠地は奥多摩川のさらに奥地に位置していた。正直陸路で進むには最悪だった。ヘリを用いて攻めこむ考えも出たが、敵が対空措置を取っている可能もあるため、結局行ける所まで警察車両で進み、後は徒歩で樹海を進むこととなった。

「各員、ここから先は歩いて行く。恐らくこれが最後の戦いとなるだろう。心してかかれ!」

「はい!!」

一条の言葉に全員が答えた。

「何も一条さんまで前に出ることはなかったでしょうに。」

氷川が言った。

「いや、これが最後の戦いになるのならば、一人安全な所になどいられないものさ。」

一条はそう言うとサムズアップしてみせた。

「僕もここに残って、一条さんをバックアップするさ。」

フィリップが言った。

「よし…。ここから先の樹海は視界が悪い。敵も何か仕掛けてくるはずだ。慎重に進むぞ!」

照井の言葉を合図に、俺達は森の中へ進んだ。

 

端から見れば雄大な自然に思ったが、いざ中に入ると、日中にも関わらず薄暗く、動物の鳴き声以外の音もなかった。それが一層の不気味さを増していた。

「いやぁ…。ほんと何も出てこないで…。」

俺の後ろで大門が怯えていた。

「まさか、本当に妖怪が出ると思っているんですか?」

泊が茶化すように言った。

「意識を集中させろ。何が現れるかわからんからな。」

照井が言った。

「しかし、それにしても静かだ。」

と後藤。

「静かなんてもんじゃない。静かすぎるぞ。」

と加賀美が言った。

「妙だな…。」

俺は思わず呟いた。

「妙?」

朔田が尋ねた。

「俺達を潰すなら、ここは打ってつけの場所だ。言い方は悪いがアサシンの力があれば容易に暗殺できるはずだ。だが、やつの気配所か何も感じやしない。」

俺は辺りを見渡してみたが、天まで貫きそうな高さの樹木以外何もなかった。

そう、自然にいるはずの動物ですら見当たらなかった。

しばらく進むと、俺達は何事もなく川辺に出た。

「ふぅ~。」

大門が大きく息をついた。

「はん、結局何にも出やしないじゃないか。」

剛が鼻で笑った。

その時だった。

 

 

ズゥン…。ズゥーン…。

 

 

地響きと共に地面が揺れ始めた。

「地震!?」

泉が言った。

『翔太郎!何かが皆に近づいている!』

インカムからフィリップの声聞こえてきた。

 

 

グォオオオオオオオオオオオ!!!!!!

 

 

突然、獣の雄叫びが聞こえた。

「何だ!?」

「ギャアアアア!!!!」

大門が叫び声を上げた。

「な、な…、何じゃありゃああああ!!!!」

俺も思わず叫んでしまった。

俺達の目の前に、地響きの正体であろう小さな山のような巨大な化け物が姿を現した。

 




いよいよ警察による反抗作戦が始まり、ネオシェードを追い詰めることに成功しました。

最後の戦いの舞台は、奥多摩川山岳部。
そこで繰り広げられる戦いの行方は…。

そして、突如現れた巨大な化け物。
これはネオシェードの罠なのか…。

次回、最後の隠れ警官ライダーの登場です。
お楽しみに!


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第21話

「出たああああ!!オバケええええ!!」

大門が絶句していた。

「マジかよ!?」

剛もさすがに驚きを隠せないでいた。

「あぶねぇ!!」

俺は咄嗟に叫んだ。

ヤマアラシが、背中に生えた刺を俺達に向けて飛ばしてきたからだ。

幸い誰にも当たることはなかったが、このままじゃいつかは殺られるだろう。

「まさか、ネオシェードの生物兵器か!?」

朔田が言った。

「だとしても!やることは一つだ!」

 

アクセル!

 

そう言いながら、照井はガイアメモリを構えた。

「くっ、行くぜ、フィリップ!」

 

ジョーカー!

 

『皆、待つんだ!』

俺もガイアメモリを構えたが、フィリップがそれを止めた。

「どうした、フィリップ!」

『あいつは"ヤマアラシ"という妖怪。いや、魔化魍だ!』

フィリップが言った。

「魔化魍!?」

泊が聞き返した。

『魔化魍を倒すには、"清めの力"が必要だ!僕たちはその力を持っていない!』

俺達じゃ倒せないだと?

そんなやつ相手にどうすりゃいいんだ!?

 

グォオオオオオオオオオオオ!!!!

 

そうしている間にも、ヤマアラシはゆっくりだが、徐々に俺達に近づいている。

『照井君、一旦退避だ!』

インカムから一条の叫び声が聞こえてきた。

「総員退避!」

照井の指示に従い、警官達は先ほど出てきた森へ急いで戻った。しかし、大門は腰を抜かしたようでその場から動けないでいた。

「あ、ああ…。」

「不味い!」

加賀美がガタックゼクターを手に駆け始めたが、既に大門に向かって刺が飛ばされていた。

「…っ!」

 

キィン!

 

しかし、刺は大門に届くことはなかった。刺が何かに弾かれたようだった。

大門とヤマアラシの間に"何か"がいた。

緑色の身体の装飾や顔にある歌舞伎のような隈取は銀色に染められた姿。手には、まるでギターのような大きな剣を持っていた。そして頭頂部には、太く鋭い角が生えていた。その姿はまるで…。

「鬼!?」

俺は思わず呟いた。

緑色の鬼はヤマアラシに向かって果敢に立ち向かった。

一筋、また一筋と鬼の持つ大剣がヤマアラシの身体を刻みつけた。

そして最後の一振りにより、ヤマアラシは大きな隙をみせた。緑色の鬼はその隙を見逃さず、大剣をヤマアラシに突き立てた。

「音撃斬!雷電激震!!」

 

ギュイィィィィィィン!!

ジャンジャンジャンジャン!!

 

鬼は突き立てた大剣をギターのように弾き始めた。

 

グ、グォオオオ…。

 

ヤマアラシは苦しむ声を上げた。

「何してんだ?」

俺は呟くように言った。

『あれが"清めの力"…。』

フィリップも興味を持っていたようだ。

「ハァ!!」

 

ジャーーーン!

 

ドォォォォォォォォン!!!!

 

鬼が演奏し終えると、ヤマアラシは爆散した。

『あれが、清めの力を携えし鬼、いや、音撃戦士…!』

 

「大丈夫すか?凛子ちゃん!」

緑色の鬼が大門に向かって言った。

「その声…、戸田山先輩!?」

大門の問に答えるかのように、顔を人の姿に変えた。

「あんたも、仮面ライダー…、なのか?」

俺は緑色の鬼・戸田山に聞いた。

「え、かめんらいだー?何だか分かんないっすけど、俺は猛士関東支部の轟鬼(トドロキ)と言います。鬼っす!」

やっぱり鬼なのか…。

戸田山改めトドロキが答えた。

「大門、彼とは知り合いなのか?」

照井が大門に尋ねた。

「はい…。警察学校時代の先輩なんです。ただ、警察になってしばらくして辞めたと聞いていたんですけど…。」

「いやぁ、こんな所で凛子ちゃんと再開するとは…ははっ。」

トドロキは笑いながら言った。

「でも、皆さん見たところ警察官のようですけど、何でこんな所に?」

「実は…。」

照井がトドロキに事の経緯を話したところだった。

 

ザバァァァァァン!!!!

 

川の中から巨大なカニのような化け物が現れた。

「また化け物か!?」

俺は叫ぶように言った。恐らくこいつも魔化魍とかいうやつだろう。

「化けガニまで!?ここの所、奥多摩川で魔化魍の活動が妙に活発になっていたのは、そのネオシェードとかいうやつらの仕業っすね!」

トドロキが武器を構えて言った。

「多分な。俺達を近づけないようにするために、けしかけたんだろう!」

俺はトドロキに答えながら構えた。

「事情はわかったっす!魔化魍は俺に任せて下さい!皆さんは、早くネオシェードの元へ!」

「わかった!」

トドロキは素顔を再び鬼の姿に変え、轟鬼となって化けガニに立ち向かって行った。

俺達は、この場を轟鬼に任せ、さらに森の奥へ進んだ。

 

森を抜けると開けた場所へ出た。

「やはり来ましたねぇ、警察の皆さん!」

「須藤!」

泊が叫んだ。

須藤だけではなく、岡村、忍野、さらにネオシェードの構成員が複数いた。

「いよいよ追い詰めたぞ、ネオシェード!」

俺は言った。

「さすがは探偵の旦那だ!警視庁を潰して俺達の勝ちだと思っていたが、まさかまだ奥の手があったなんてな。」

忍野は言った。

「だが、ここで貴様らも終わりだ!」

岡村は未だに負けを認めてはいなかった。

「終わりなのは、お前たちの方だ!国際警察の権限において、お前たちを全員逮捕する!」

朔田が言った。

「ハハハっ!出来るものならやってみなさい!」

須藤が不敵の笑みを浮かべながら言った。

「桃瀬と徳川はこの奥だな!?」

照井が言った。

「ふん。その通りだ。だが、お前たちを通すつもりはない!」

 

リキッド!

 

アサシン!

 

クラブ!

 

岡村の言葉を合図に忍野、須藤、その他ネオシェード構成員達は自身の姿を変えた。

「俺達も行くぜ!」

「はい!」

「待て、左、泊。」

俺と泊は変身の構えを取ったが、照井に止められた。

「何でだ、照井!」

「ここは俺達に任せろ。左は先に行け!」

照井が言った。

「ボスはあの先なんだろ?だったら進兄さん達は清山を!」

「照井警視、剛…!」

泊が言った。

「…生き残れよ!」

俺は皆に向かって言った。

「お前もな!」

照井の言葉を聞き、俺と泊は走り出した。

「行かせるか!うっ!」

リキッドが立ちはだかったが、上空からの射撃により怯んだ。

車体の両サイドにジェットエンジンを装着したトライドロンだ。俺達の目の前で着陸すると中からフィリップが降りてきた。

「ナイスフライトだ、相棒!」

「フッ、これくらい飛行機の全てを閲覧した僕には、容易いことさ。行こう、翔太郎!!」

俺とフィリップ、泊は清山達が待つ場所へ向かった。

 

洞窟の様な入口を抜けると、再び広い空間に出た。採掘場の様でいつ崩れてもおかしくはない状態だった。

「徳川ぁ!桃瀬ぇ!出てこい!!」

俺は闇の中に向かって叫んだ。

「お前に、もう逃げ場はない!大人しく降伏しろ!」

泊も辺りを警戒しながら言った。

『皆、気を付けるんだ!』

泊の腰につけられたベルトさんが言った。

「…っ!?来る!」

フィリップが言った。

 

ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…。

 

二人分の足音が闇の中から聞こえてきた。

暗闇に溶け込む程黒いスーツ姿の清山と暗闇からも分かるくらい真っ白な装衣の桃瀬が現れた。

「中々やるじゃないか、田舎探偵。」

「徳川…!」

俺は言った。

「ここまで計画を狂わせてきたのはお前たちが初めてだ。非常に不愉快だ!」

「桃瀬!」

泊も言った。

「だが、せっかくシャバの空気が吸えるようところに戻って来たんだ。シェードの計画を実行するまで捕まる訳にはいかんな!」

清山は言った。

「なぜそこまでして計画に拘るんだ!何がお前達を駆り立てる!?」

フィリップが言った。

「…冥土の土産に教えてやる。」

清山が言った。

「お前たちも既に知っているだろうが、ネオシェード、いやシェードは元々対テロ組織だった。」

『非人道的な人体実験をしておいて何を!』

ベルトさんが叫ぶように言った。

「そうまでしなければ、"やつら"を潰すことが出来ないからだ!」

「やつら?対テロ組織と言っていたが、何と戦うつもりだったんだ!」

俺は言った。

「俺達が潰すべき相手、それは…。」

 

 

「秘密結社・SHOCKERだ!」

 

 

清山の声が、洞窟内に響き渡った。

「何、だって…!?」

俺は予期せぬ返答に戸惑った。SHOCKERと言えば、これまで何度もライダー達の前に立ち塞がった巨悪の根源。大ショッカー、スーパーショッカー、スペースショッカーとその都度名を変えてきた組織だ。

それを潰すことが、シェードの目的だというのか?

「ショッカーを潰すことが、シェード結成の理由!?」

泊も驚きを隠せないでいた。

「そうだ。やつらの科学技術力は異常だ。その力を持って、世界征服を企む位だからな。」

「けど…。ショッカーは既に様々なライダー達によって倒されているはずだ!」

フィリップが言った。

「フッ、甘いな。」

清山は鼻で笑った。

「光があればそこに闇が生まれるのと同じ様に、ライダーがいる限り、SHOCKERは何度でも甦る。」

「だから、シェードを結成した!SHOCKER、ひいては仮面ライダーを潰す為に!その為ならば、俺は悪魔にでもその魂を売るのさ!」

そう言うと清山は怪人の姿へ変わった。丸でバッタを擬人化したかのような姿だ。しかし、すぐに元の姿に戻った。

「っ!それで人間を捨てネイティブにまで成ったのか!」

俺は言った。

「その通りだ!」

清山が答えた。

「SHOCKERの殲滅…。それは私の悲願でもあった。」

今度は桃瀬が言った。

「何!?」

泊が言った。

「我々、財団の栄華の為にはSHOCKERの影が邪魔でしかなかった。やつらを潰す為に、我々は数多くの技術を取り入れようとしたのだ!」

今まで俺達の前に現れたのはそれが理由なのか。そして、そんな理由の為に風都を、関係のない人々を泣かせたというのか。俺は心底腹が立ってしょうがなかった。

「全てが繋がった。お互いの利害一致によって、財団とシェードが手を組んだ。その結果!罪のない人々を危険な目に遭わせた!そんなこと、許されることではない!!」

泊も怒りに任せて言っていた。

「何故だ?SHOCKERは紛れもない社会悪だぞ!?その撲滅の為に、人をやめてまでシェードを結成したんだ。それが何故許されない!?」

清山が言った。

「当たり前だ!ショッカーを潰すことは理解できるが、やり方が間違ってる!それに、ネオシェードとなった今、お前たちがしていることは、ショッカーと何ら変わりがねぇ!」

俺は言った。

「そりゃあそうだろう!シェードの理想が認められないならば、それを否定した現日本政府を潰すしかない!そして新たな社会を作り、改めてSHOCKERを潰すのだ!」

桃瀬が言った。

「そんなこと、僕たちが許さない!シェードもショッカーも、僕たち仮面ライダーが倒す!」

フィリップが言った。

「その前に、倒されるのは貴様らだ!」

清山の言葉を待っていたかの様に、闇の中から大道が俺達目掛けて飛び込んで来た。

咄嗟のことだったが、俺達は大道の攻撃何とかかわし構えた。

「大道…!」

大道は生気のない眼差しを俺達に向けていた。

「行くぜ、フィリップ!泊!」

「ああ!」

『これで最後にしよう、進ノ介!』

「ベルトさん!最後までひとっ走り付き合えよ!」

 

サイクロン!

ジョーカー!

 

俺達はガイアメモリを構えた。

同じく、泊もシフトカーをブレスレットに装填した。

 

シグナルバイク・ライダー!

 

大道もまた、マッハドライバーにシグナルバイクを装填した。

 

「「変身!!」」

 

サイクロン!ジョーカー!!

 

「変身!」

 

ドラーイブ!

ターイプ・スピード!!

 

「変身。」

 

エターナル!

 

お互い仮面ライダーの姿へ変わった。

 

「これが、最後の戦いだぁ!」

清山が叫んだ。

 

『「さぁ、お前の罪を数えろ!!」』

 

「行こう!ベルトさん」

『OK!START YOR ENGINE!!』

 

「さぁ、地獄を楽しみな…。」

 




魔化魍であるヤマアラシと化けガニ。彼らは、ネオシェードが奥多摩を隠れ蓑として使い始め、且つネオシェードが外敵を近づけさせないように刺激したため、暴れていると設定しました。
そんな魔化魍を倒すため、最後の隠れ警官ライダー、仮面ライダー轟鬼の登場です。猛士に所属する前は警官だったという設定から登場させました。
大門凛子との絡みは、中の二人がウィザードで共演していたことから作りました。
まさか轟鬼さんがジオウに出るとは…。笑

後半、いよいよネオシェードとの決戦が始まる訳ですが、ついに徳川清山のシェード計画、桃瀬理の野望が明らかになりました。
SHOCKERの打倒。シェードが対テロ組織でありながら、改造人間を生み出さなければならない理由、財団Xが平成二期ライダーの敵組織の技術を集めていた理由、それらの理由付けとしてライダー達の永遠の敵・ショッカーの存在を利用してみました。シェードはともかく、財団Xは平成ライダー達にとってショッカーみたいな存在ですしね。

ただし、清山、桃瀬が思っている"SHOCKER"と翔太郎達が思っている"ショッカー"は実は別物です。
何故そうしたのか、それはまた後程…。
ショッカーが"SHOCKER"と表記されてる作品、それが何かを考えていただければと思います。

そして最後に再び対立した翔太郎達と大道克己。
彼らの戦いの行く末は…。

気になる所ですが、次回、表で戦っている警官ライダー達のお話です!
お楽しみに!


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第22話

<剛視点>


「ちっ!やつらを逃がすな!」

アサシンが先に向かった進兄さんとムカつく探偵達の行く手を遮るよう他のネオシェード構成員に指示を出したが、警官達がその行く手を遮るように立ちはだかった。

「無駄だぜ、アサシン!」

俺はアサシンに向かって言った。

「こいつがネオシェードの幹部か!」

俺の隣には、加賀美がいた。

「また新たなライダーってか!」

アサシンが挑発するように言った。

「俺の友が言っていた!」

「あん?」

「へ?」

加賀美の言葉にアサシンと俺は声が漏れた。

「この世に不味い飯屋と、悪は栄えないってな!!」

加賀美が言い放ったが、意味が分からなかった。

「何言ってんの、お巡りさん?」

「え…。俺の友の言葉だよ!こう、戦う前にガツン!と言うんだ!」

「え~…と、まぁいいや。」

俺は考えることをやめた。

「面白いデカだなぁ。ま、二人まとめて死ぬんだなぁ!」

アサシンは余裕を見せて言った。

「何言っちゃってんの?お前、前に俺に負けかけたじゃん!」

「あんときはな。だが、俺にだって奥の手がある!」

アサシンはそういうと、口から再びガイアメモリを取り出した。

そして、銀色のアダプターと思われる物を取り出し、メモリに装着した。

 

アサシン・アップグレード!

 

アサシンは再びメモリを取り込んだ。すると、その姿は変わり、まるで絵に描いた死神のような風貌になった。

「パワーアップしたのか!?」

加賀美が言った。

「悲しいことに、俺の身体はメモリのレベルアップに耐えられんからな。だが、こいつで俺も強くなったわけだ!」

アサシンは構えた。

「…お巡りさん、俺の速度についてこられるか?」

俺はシグナルチェイサーを手にしながら、加賀美に言った。

「は?それはこっちの台詞だ。俺はお前より前から音速を超えてるんだよ!」

加賀美の手には青いクワガタ・ガタックゼクターが収まっていた。

「へっ!」

俺と加賀美は互いに顔を合わせ、笑って見せた。

 

「レーッツ!」

「「変身!!」」

 

シグナルバイク・ライダー!

チェイサー!!

 

HENSHIN!

 

俺達の身体はそれぞれのライダーの姿に変わった。

 

「追跡!撲滅!!いずれも~、マッハ!!!」

「仮面ライダーぁぁぁぁぁぁ…!」

「チェイサ~…マッッッッッッッッッハァ!!」

 

「何だそれ?」

ガタックが聞いてきた。

「決め台詞ってのは、こういうんだよ。インパクトが大事ってこと。」

「って言うか、お巡りさんそんな姿で俺の速度に追い付けんの?」

俺はガタックの重装甲を見て笑いながら言った。

「言ったはずだ。俺はお前よりも前から、音速を超えている。それに、インパクトなら負けてないぜ!」

「え?」

加賀美が自信満々に言いながら、ベルトに装填されているクワガタのアゴを開いた。

「キャストオフ!」

 

Cast off!

 

「うおっ!!!?」

電子音と共に弾けとんだ外装に俺は驚いた。

 

Change!STAGBEETL!!

 

「マジかよ…。俺より派手じゃん!」

「だろ?」

何だか負けた気がした。

「…。お前ら、漫才は済んだか?ならさっさと死になぁ!」

アサシンが仕掛けてきた。また、それを合図に回りにいたネオシェードの怪人達も動き出した。

「させるかよ!」

俺はとっさにベルトのスイッチを押し、重加速を生み出した。

「なん…だ…!」

ガタックは重加速に捕らわれ、その動きが急激に遅くなった。他の怪人達も同様だった。

しかし、アサシンは何食わぬ顔をして迫ってきた。

「何!?」

「言ったろ!俺はパワーアップしたんだ、この前の様にはいかんぞ!」

重加速の中を動けるということは、それを凌駕する程の加速度を持っているというのか。

「く…ろ…」

ガタックが何かしようとしているが、構ってる場合ではない。

アサシンは以前よりも攻撃の鋭さが増していた。

重加速の中でも、それだけ動けることに驚いた。それどころか、今の俺はデッドヒート以上に速いはずなのにそれに合わせて攻撃してくる。

正直に言って、受け流すのが精一杯だった。

「さっきまでの威勢はどうしたぁ?」

アサシンは余裕を見せていた。

「くそっ!」

俺はゼンリンシューターで射撃してみせるも、アサシンは容易く避けていく。

「遊びは終わりだ!」

アサシンの振り上げた脚が手にしたゼンリンシューターを蹴り飛ばした。その反動で体勢を崩した俺に、やつは容赦のない一撃を与えた。

「ぐあっ!」

俺はついに地に伏せてしまった。

「これで終わりだ。」

アサシンが止めを刺すべく構えた。

 

Clock up!

 

ガキィン!

 

「まだ、終わりじゃない!」

アサシンの攻撃をガタックが両手に持った剣で防いでいた。

「バカな!?」

アサシンは狼狽えていた。

ガタックはアサシンの攻撃を弾き返すと、俺の腕を取って立ち上げさせた。

「行くぞ!」

「おっけぃ!!」

俺達は再びアサシンに立ち向かった。

「ええい…!」

アサシンも襲いかかってきた。

タイマンだと食って掛かっていたのか、高速の世界にいる二人のライダーに対してアサシンは徐々に押されていった。

俺とガタックは初めて共闘するのだが、俺の攻撃にガタックが合わせてくれている。さすが先輩ライダーと言った所か。

「ぐっ…。ま、負ける訳には…。」

アサシンは尚も迫ってきていた。

「一気に畳み掛けるぜ!」

俺は最後の切り札を取り出した。

「来い!ハイパーゼクター!!」

ガタックが左手を高く掲げると、ガタックゼクターより一回り大きいカブトムシが現れ、その手に収まった。

 

シグナルバイク・シフトカー!

ライダー!!

 

マッハ!チェイサー!!

 

Hyper Cast off!

 

Change!Hyper STAGBEETL!!

 

それぞれベルトに装填・装着すると、新たな姿に変わった。

「まだそんな手が…。くそおおお!!」

「諦めろ、アサシン!」

 

Hyper Clock up!

 

ハイパーガタックが言うと、カブトムシの背にあるスイッチを押した。

すると、重加速の中にも関わらずさらに高速で動き出し、アサシンを攻撃していた。

「ぐあっ!!」

ハイパーガタックの攻撃で、ついに、アサシンはその身を宙に投げ出した。

「今だ!」

 

Maximum Rider Power!

One Two Three!

 

「ハイパーキック!!」

 

Rider Kick!!

 

「終わりだ、アサシン!」

 

ヒッサーツ!

フルスロットル!!

 

「はあああああああ!!!!」

俺は高く飛び上がり、アサシン目掛け飛び蹴りを放った。

「でぇやあああああ!!!!」

そして、挟み込むようにハイパーガタックも中段蹴りを放った。

「ぐあああああああ!!!!」

宙に飛ばされたアサシンは成す術もなく二人のライダーキックを受けた。

 

ちょうど、俺の重加速が解除されると同時に、アサシンは忍野の姿に戻った。

排出されたガイアメモリは、アダプター共々砕けていた。

「く…そ…。俺は…家族のため…に。ここ、まで…。やってきた…んだぞ…。」

忍野は声を絞り出すように言った。

「家族か…。俺にも、録でもない親父がいたさ。だがそいつは、俺や姉さんのことを家族だなんて思っちゃいなかったがな。けど、家族のことを想えるあんたの方が随分マシか…。」

俺は自然と言葉にしていた。

「家族のためとはいえ、お前がやってきたことは許されることじゃない。家族のことを想うなら、その分刑務所で罪を償え。忍野瞬矢、お前を逮捕する。」

ガタックが言った。

「罪…、か…。ふふっ」

そう呟くと忍野はその場で気を失った。

 

「おいおい、俺達を忘れちゃいねぇか!」

重加速を解除したことで身動きが取れるようになった怪人達が俺達を囲っていた。

「くそっ。雑魚どもがうじゃうじゃと!」

俺は再び構えた。

その時、シグナルチェイサーが何かに反応するかのように震えていた。

「剛君!ここは俺に任せて、泊刑事の所へ!」

それを見たガタックが言った。

「けど!」

「俺は、戦いの神・ガタックだ!これくらいどうにでもなる!」

ガタックが自信満々に言った。

「…わかった!」

俺はシグナルチェイサーが示す所へ向かった。




アサシン・ドーパントこと忍野瞬矢との決着が着きました。

最速ライダーとして、マッハ&ガタックというタッグで組ませてみました。
Clock upとマッハの超加速を実現させたかったのですが、敢えて重加速の世界の中での戦いを描きました。
重加速の中でガタックが対等に動ける為にClock upし、さらに加速している描写を描くためにハイパーバトルビデオ以来となるハイパーガタックのHyperClock upと設定しました。
それに合わせて、同じくドライブサーガ以来のマッハチェイサーも登場させました。
それだと相手のアサシンも可哀想だったので、ガイアメモリアダプターを登場させ、アップグレードアサシンとして戦わせてみました。

次回、VSリキッド・ドーパント
対するライダーは…。

次回をお楽しみに!


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第23話

照井視点


「ここまでだな、岡村!」

俺は、リキッドに向かって言った。

「ちぃっ!どいつもこいつも俺達の邪魔ばかりを!」

リキッドは苛立ちを隠さずに言った。

「そこまでして、この国を破滅させたいのか!?」

朔田が言った。

「ああ、そうだ!清山先生の思い描く理想の実現の為に、この国は邪魔なんだよ!」

リキッドが吐き出すように言った。

「お前達の理想など、地獄でしかない!この国の平和の為にも、お前達を倒す!」

後藤が言った。

「ふんっ…。だったら、俺の命に変えても、この国を潰してやる!」

「うぉおあああああああああああ!!!!」

リキッドは叫び声を上げると同時にその身体から莫大なエネルギーが発せられた。

リキッドの身体に金のラインが浮かび上がり、先程よりも殺気立っていた。

「くっ。まさかレベルアップしたのか!?」

朔田が言った。

「ハァ…、ハァ…。来い…!」

レベルアップしたリキッドが手招きして挑発してみせた。

「ならば、やることは一つだ。行くぞ!」

 

アクセル!

 

メテオ、レディ?

 

俺はガイアメモリを、後藤はセルメダルを取り出し、朔田はベルトのスイッチに手をやった。

 

「変…、身!」

 

アクセル!

 

「変身!」

「変身!」

 

俺達は、アクセル、バース、メテオへと姿を変えた。

 

「さぁ…、振り切るぜ!」

「この国の平和は、俺が守る!」

「お前の運命は、俺が決める!」

 

俺達はレベルアップしたリキッドに立ち向かった。

 

エレクトリック!

 

俺はEメモリをエンジンブレードに装填、剣に電気を帯びさせた。

 

マーズ、レディ?

OK、マーズ!

 

メテオはガントレットのスイッチを操作し、右腕に火星を模した炎のグローブを装着した。

 

「いいか、リキッドに物理攻撃は効かん。水に対抗できる力で戦うんだ!」

俺はバースとメテオに言った。

「わかりました。なら、俺がヤツの気を引きます。その間にアクセルとメテオで攻撃してください!」

バースが先行した。

バースの攻撃に合わせ、リキッドは軽くあしらっていた。

しかし、バースはあくまでリキッドの気をそらすことに専念している。バースの攻撃の間を縫って、俺はリキッドに向けエンジンブレードを振るった。

「そんなものぉ!!」

リキッドは右腕をサーベル状に変え、それでエンジンブレードを受け止めた。

「まだだ!ゥアチャア!!」

リキッドが動きを止めた隙にメテオが炎の拳を叩きつけようとした。

「ぐうおおお!!!!」

しかし、リキッドは俺のエンジンブレードを力ずくで弾き返し、回し蹴りの要領でメテオを蹴り飛ばした。

「うわっ!」

さらに、バースに向けて光弾を撃ち込んだ。

「ぐっ!」

レベルアップしたことで、ヤツはさらに強力になっていた。

「ハハ、ハハハ…、うぐっ…。」

笑いかけていたリキッドが苦しそうな声をあげ、片膝を付いた。

やはり、レベルアップに身体がついてこられていないようだ。

「メモリを手放せ!それ以上は危険だ!」

俺は咄嗟にリキッドへ言った。

「ハァ、ハァ、だ、黙れ!」

それでも、リキッドは立ち直した。

「何て執念なんだ…。」

バースが呟いた。

「ここでお前達を潰す!そうすれば、清山先生が喜ばれる!はあ!!」

リキッドはそう言うと、自身の分身を二体分生み出した。

「何!?」

三体のリキッドがそれぞれ攻撃を仕掛けてきた。

応戦するも、水に対抗できる力を持たないバースだけが押されていた。

「くっ、うわっ!」

「バース!!」

メテオが叫んだ。バースの援護に行きたいが、リキッドがそれを許そうとしない。

「はん…。ここで死ね!!」

一体のリキッドが両手にエネルギーを貯め始めた。

「こんな所で…!」

その時だった。

 

バラバラバラバラバラバラバラバラ!!

 

上空からプロペラの音が聞こえてきた。

「ぐあ!」

バースに止めを刺そうとしたリキッドを上空から砲撃が襲い掛かった。

「あれは!?」

ヘリが十数機現れた。

そのヘリの幾つかの機体に"KOGAMI Fund"と印されていた。

「鴻上ファンデーション!?」

バースが声を上げた。

ヘリが高度を下げると共に、中から次々とG5が降りてきた。

その中に、ドラム缶のような物を背負い、銃のような物を手にした女性の姿もあった。

「はぁ!」

彼女はリキッドに向けて銃撃していた。

「ぐっ!何だ!?」

銃弾はリキッドの身体をすり抜けていくものの、突然の攻撃に退いた。

「里中か!?」

バースが里中と呼ぶ女性に言った。

「お久し振りです、後藤さん。」

「里中、どうしてここへ?」

「仕事で。」

里中は淡々と答えた。

「それよりも、後藤さん。貴方こそ何て戦い方を。さしずめ、メダルの消費を気にして手こずっている感じですか?」

「ゔ…。」

どうやら図星らしい。

確か、セルメダルは有限でありバースとして戦う度にそれを消費するとか。セルメダルはかつての戦いで大半を失っているとも言っていた。

「そんなことだろうと思った、鴻上会長からの餞別です。」

里中は背負っていた物をバースに渡した。

「セルメダル!?こんなに沢山…。」

バースは驚いていた。

「それと、これも。」

さらに里中は剣も渡した。

「メダジャリバー?しかし、これは…。」

「うちの技術部で作られたバース仕様になってます。セルバッシュモード対応です。」

「それから、会長からのメッセージです。」

里中はタブレットを取り出し、バースに見せた。

「貴様ら、無視をするな!ぐあ!」

体勢を立て直したリキッドが迫ってきたが、再び里中が銃を突き付けて放った。

「仕事の邪魔をしないで下さい。」

里中は何事もなかったかのように、バースにタブレットを見せた。

『ハッピー!バースディ!!後藤君!再びバースとして奮起した君の欲望!すばらしい!!』

金色のスーツを身に纏った恰幅の良い壮年の男が言った。

「鴻上会長!」

「これ録画です。」

「あ、うん…。」

里中の一言でバースが黙った。

『この映像を見ているということは、君のことだ、セルメダルをケチって苦戦している所だろう!はっきり言って、ナンセンス!』

「うぐ…。」

『だから、君が心置きなく戦えるよう、私のヘソクリを送った!存分に使いたまえ!何、心配はいらん!財団Xが何度もグリードを甦らせたお陰で、セルメダルも沢山生れたのだ!まだまだ欲望の渦は止まらんよ!ワッハッハッハ!!』

鴻上はそう言うと、映像が止まった。

「以上です。ちなみに、G5の輸送も会長のご厚意によるものです。」

さすがというか、何者なのだろうか、鴻上という男は。

「里中、すまない。ありが…。」

「あ、定時になったので、私帰ります。お疲れ様でした。」

そう言うなり、里中は何処へと姿を消した。

「…噂には聞いていましたが、癖の強い方々でしたね。」

メテオが言った。

「…。アクセル、メテオ。心配をかけました。でも、これで俺も戦えます!」

バースは再び奮起した。

「ならば、早急に対処しましょう!」

 

メテオストーム!

 

メテオはアストロスイッチと呼ばれるものを取り出し、起動させた。

 

メテオ!オン、レディ?

 

そして、スイッチをベルトに装填し、ギア状のパーツを回転させた。

ベルトを中心に姿が変わっていき、新たなメテオ、メテオストームの姿になった。

「それがどうした!行けっ!」

三体のリキッドが両手からそれぞれ光弾を撃ち出した。

「ホォ~、アチャチャチャチャ!!」

メテオストームは背にあるシャフトを棒術の如く回転させ、光弾を次々と弾き返した。

「今です!」

メテオストームの合図に、俺とバースは飛び出した。

 

エレクトリック・マキシマムドライブ!!

 

セルバースト!!

 

俺とバースの剣が、二体のリキッドを切りつけた。

切りつけられたリキッドの分身は水に戻るように消えた。

「バカな!?」

リキッドは狼狽えたが、俺達はそれを見逃さなかった。

「「「はあ!!!」」」

俺達の剣、それとメテオストームのシャフト、それぞれがリキッドの身体に振り下ろされた。

「ぐわあああ!!!!」

ついにリキッドが膝を付いた。

「終わりだ、岡村!」

 

アクセル・マキシマムドライブ!!

 

キャタピラレッグ!

セルバースト!!

 

リミットブレイク!

 

俺達は飛び上がり、リキッドへ飛び蹴りを放った。

「「「はああああ!!!!」」」

「ぐわああああああ!!!!」

リキッドは為す術もなく、三人のライダーキックを受け、地に伏せた。

「絶望がお前のゴールだ…!」

岡村の姿に戻り、身体からガイアメモリが排出されると、それは間もなく砕けた。

「岡村…。お前の求める理想など、ただの幻想に過ぎん。自身の過ちを償え。」

俺は気を失っている岡村に対して言った。

「岡村敬介。国家反逆罪により逮捕する!」

メテオが言うと、回りで様子を伺っていた警官達により身柄を拘束された。

しかし、まだネオシェード構成員がにじり寄っていた。

「くっ。幹部を捕らえた所で大元を絶たんことには変わらないか!」

俺は構え直した。

しかし、

「アクセル!貴方は探偵達の元へ!」

「桃瀬と徳川を捕らえて、戦いの終止符を打ってください」

バースとメテオが言った。

「すまない!」

俺は左達の元へ向かった。




リキッド・ドーパントもとい、ネオシェードのリーダー、岡村敬介との決着がついに着きました。

アクセル、バース、メテオ。
2期2号ライダーによる戦いの場面を描きました。いかがでしたでしょうか。

バースが満足に戦闘出来ないのは、グリードとの決戦において、大多数のセルメダルが失われてしまったため。しかし、抜け目がないのがこの男・鴻上会長。
そしてオーズ以降、財団Xにより何度も甦ったグリード達。それによって必然的にセルメダルも再び集められた、という解釈をしました。
ちなみに、リキッドに対抗する為の力として、空間さえも切る=切れないものでも切れるということから、メダジャリバーも用意しました。バース仕様ということで、スキャニングチャージではなくセルバーストで技が出せます。
さらに、バースにライダーキック技が(確か)無かったため、キャタピラレッグで飛び蹴りするという技も追加しました。

トリプルライダーキックがしたいがために、アクセルは敢えて通常形態で戦いました。

メテオストームも登場しましたが、やや弾除け要員気味でした。笑

一方のリキッド・ドーパントはレベルアップし、リキッド・ドーパントL2を登場しました。
リキッドのモチーフが某特撮作品の巨大ヒーロー故にレベルアップ後は身体に金のラインが発生するという、どこぞのV2っぽい見た目になりました。

次回、VSシザース。
"彼ら"ががんばります。
お楽しみに!


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第24話

氷川視点


「おやおや…。所詮、ネオシェードはシェードの名を騙る素人集団でしたか…。」

シザースは、倒された忍野と岡村を見て嘲笑うように言った。

「それが、それが仲間に対する言い方か!」

僕は心底腹が立った。

「お前、曲りなりにも警察官だろ!」

杉田も怒りを露にして言った。

「何を…。私は元よりネオシェード、いや、シェードの人間ですよ!」

シザースが答えた。

「そんな…。こんなヤツが警官だったなんて!」

大門が言った。

「ふん。だったら、何だと言うのです?」

シザースが問うた。

「私たちが、あなたを捕まえる!そして、罪を償ってもらいます!」

沢村が言った。

「近くにいながら、私の正体に気づけず、良く言いますねぇ。」

シザースが言った。

「だから、俺達がその責任を果たす!」

泉が言った。

「ただの人間ごときに、この私は倒せません!」

シザースが構えた。

「いや、倒してみせる!」

桜井が言った。

「ならば、やってみなさい!」

ついにシザースが迫ってきた。

「総員、シザースを確保する!!」

僕は全員にそう伝えた。

そして、警官達はシザースに向けて発砲し始めた。

「ふはは!無駄ですよ!」

シザースは物ともしていなかった。

「舐めるな!俺達だって、体術は心得てんだ!うおおおお!!」

杉田が前に出た。しかし、シザースに軽くかわされた。

「やああ!!」

大門も続くが、それも暖簾に腕押しの如く流された。

それぞれ警官達も続いていくが、誰もシザースに届くことなくあしらわれてしまった。

「弱い、弱すぎる!」

「まだだ!」

今度は僕が立ち向かった。

例え、G3-Xがなくとも、僕は僕の出来ることをするだけだ。そう言い聞かせ、シザースへ目掛けて走った。

「元G3-X装着員、氷川誠刑事。少しは楽しませてください!」

シザースも構えた。

拳を脚を、それぞれシザースに向けて振りかざした。しかし、どれも防がれてしまう。だが、一方でシザースの攻撃も見切って避けてみせた。

「ほう…。さすがは、あかつき号事件の英雄。しかし!」

シザースの猛攻に耐えきれず、僕は弾き飛ばされた。

「うわっ!」

それでも、警官達はシザースに向けて銃撃を続けた。

「鬱陶しいですねぇ。」

シザースは右腕のハサミを振るい、大門を吹き飛ばした。

「キャア!!」

「大門さん!!このぉ!!」

泉が叫びながら、シザースに立ち向かった。

「なるほど、確かあなたも怪人に憑依されていましたねぇ。」

「アンク君がいなくても、身体が彼の動きを覚えている!」

「しかし、所詮はただの人間だ!」

シザースは今度は泉を吹き飛ばした。

「ぐあっ!」

「泉さん!」

やはり、生身の人間では敵う相手ではないのか。

 

バキバキバキッ!!

グシャアア!!!!

 

その時、森林から巨体の4輪ビークルが姿を現した。フロントの装甲が左右に展開されると、中からガードチェイサーが走り出した。

「尾室さん!」

尾室のG3-Xは、ガードチェイサーに搭載されていた4連装ミサイルランチャー・ギガントを担いだ。

「みんな下がって!」

G3-Xの合図で警官達は離れた。それを確認したG3-Xは腰のスイッチを操作し、ミサイルを発射した。

「まずい…!」

 

ドガアアアアアアン!!!!

 

ミサイルは命中した。

「やったか!?」

杉田が言った。

しかし、爆煙の中からシザースが姿を現した。

それも、今までのシザースの姿ではなく、さらにカニらしさが増した姿に変わっていた。

「そんな!?」

僕は思わず声に出してしまった。

「今のは流石に堪えましたね…。ですが、レベルアップした私は、もはや誰にも止められません!」

レベルアップしたシザースが迫ってきた。

「くそぉ!行くぞ!!」

G3-Xは空になったギガントを放棄し、肉弾戦をしかけた。

「総員、G3-Xを援護しろ!」

僕は叫ぶように言った。

「撃てぇ!!」

杉田も雄叫びを上げながら射撃し始めた。

「G3システムなぞ!」

シザースは、警官の弾を物ともせず、G3-Xに肉薄した。

「負けない!お前なんかに!」

G3-Xは片手にスコーピオン、片手にコンバットナイフ・ユニコーンをそれぞれ持ち、シザースに挑んだ。

しかし、スコーピオンの弾はシザースの甲殻に弾かれ、ユニコーンによる斬撃でさえ、傷一つつけられなかった。

「無駄です。私の堅牢な甲殻の前には無力!」

シザースは両手のハサミでG3-Xを何度も切りつけた。

「うわ!」

G3-Xが弾き飛ばされた。

「フフ、ハハハハ!!何が警察ですか!?所詮、ただの人間!烏合の衆!そんなもので、何を守ると言うのです!?力こそ全て!!力さえあれば、それでいいんです!!」

シザースが高らかに言った。

その言葉に僕は怒りを覚えた!

「ふざけ…。」

「ふざけんじゃねぇぞおお!!」

「!?」

僕が言うより先に、誰かが叫び、シザースにしがみついた。

「あなたは、刃野刑事!」

そう、風都署の刃野と真倉がしがみついていたのだ。

「確かに、お前の言う通り。俺達、警察は無力かもしれねぇ。仮面ライダーなんかとも比べ物にならないくらいにな!」

刃野が続けていった。

「だけどな!俺達にだって、譲れないものもあるんだよ!それは、誰もが安心して暮らせる為に、人々を守るこった!その気持ちに、力があるとか無いとか関係ねぇんだよ!なぁ、真倉!」

「ひ、ひぃぃぃ!!そ、そうだ…!」

威勢の良い刃野に比べ、ひどく怯えてはいるものの、真倉も必死にしがみついていた。

「くっ、離しなさい!」

しかし、回りの警官もシザースにしがみつき、囲い始めた。

「俺達だって!誰かの笑顔を守る為に戦ってんだ!」

「お前らごときにやられてたまるか!」

と杉田と桜井。

「誰かの夢の為に戦うことだってあるんだ!」

と沢村。

「みんなが平和に手を取り合える為に!」

と泉。

「誰かの希望になれる為に!」

と大門。

「俺達、警官は戦うんだ!そうでしょ、氷川さん!」

G3-Xは再び立ち上がった。

「皆さん…。」

 

その時だった。

 

バラバラバラバラバラ!!!!

 

上空より一機のヘリが降下してきた。

着陸すると、中から見覚えのある人物が降りてきた。

「相変わらずですね、氷川さん。」

「北條さん…!」

かつて共にアンノウンと戦った北條透だった。

「ギリギリ間に合いましたね。小沢さんから、あなたへ贈り物です。」

「小沢さんから、僕に?」

そういうと、北條は手にしたアタッシュケースを開け、僕に中身を見せた。

「これは…!?」

それはアギトのベルトに似ている装備だった。

「オルタリングギア、だそうです。そして…。」

北條はさらにタブレットを取り出し、僕に見せた。

『久し振りね。相変わらずで安心したわ、氷川君。』

モニターに写し出されたのは、現在ロンドンにいる、かつての上司・小沢澄子だった。

「小沢さん!」

「ちなみに、録画ではありませんよ。」

『全く、しっかりなさい!あなたは仮面ライダーである前に、氷川誠じゃなかったのかしら?』

「…っ!」

小沢が言った。

『でも、正直驚いたわ。あの時のブラックアウトがまだ残っていて、G3-Xから降りたと聞いたときは…。』

「それは…。」

『どうせあなたの事、生身でも戦おうとするのは、わかってたわ。だから、また戦えるために、それを開発したのよ。』

「小沢さん、これは一体?」

『最新型G3システム。その名も…。』

 

 

 

『G3-X(テン)よ!!』

 

 

 

「…なんかiPhoneみ…」

『何か言ったかしら?』

小沢が間髪入れずに言った。

「いえ、何も。」

言いたいことはあったが、黙ることにした。

「それでも、僕は…。」

『大丈夫。あなたの身体も全て考慮してあるわ。いくら戦ってもブラックアウトしないようにね。』

『ほら、さっさと行きなさい!それを腰に装着。後は分かるわね?』

小沢が促した。

「本当なら、私が使いたい所なんですが、あなた用にチューニングされています。さあ。」

北條も言った。

僕は、オルタリングギアを手に取り腰に装着した。

そして。

「変身!」

ギアの両サイドにあるスイッチを押した。

すると、ギアを中心に僕の身体を装甲が包み込んだ。

そして僕は仮面ライダーG3-X(テン)に変身した。

「これは、凄い!」

自分で身体を動かしてみた。確かにG3-Xのような懐かしいフィット感があった。ただ、それ以上に軽かった。

これなら、戦える!

「小沢さぁん!」

G3-Xが小沢に言った。

『あら、尾室君。思ってたより様になってるじゃない。』

『氷川君のこと、頼んだわよ!』

「了解!」

G3-Xが敬礼して言った。

 

「ええい、離れろ!!」

「うわ!」

「キャっ!」

シザースは警官達を振りほどいた。

「ふっ、新型だろうと所詮G3!私の敵ではない!」

シザースが迫ってきた。

「尾室さん、行きましょう!」

「はい!」

僕とG3-Xはシザースに応戦した。

システムのサポートもあり、シザースの攻撃を防ぐ。そして、隙を見ては攻撃を加えていった。

「行ける、行けるぞ!」

僕は思わず声に出した。

武装こそG3-Xと変わらないが、アンノウンと戦ってきた経験を生かし戦った。

尾室のG3-Xは、射撃戦にシフトしシザースの動きを牽制するように射撃していた。

「く、こんな事が…!しかし!」

だが、やはりシザースの甲殻を前に効果的なダメージを与えられていないことにも気づいていた。

「そうか、わかった!皆さん、シザースの甲殻に一点集中させてください!」

泉が言った。

「どういうことだ!?」

杉田が言った。

「面の攻撃で効かないのならば、点の攻撃をするんです!つまり、一ヶ所に攻撃を集中させれば、その圧力で甲殻が砕けるハズです!」

「了解!」

僕はユニコーンを手に、再びシザースへ接近した。

「無駄なことを!」

シザースがハサミを振り上げ応戦しようとしていたが、その時、森林を抜けて現れたロードバイクがシザースに向かって突撃してきた。

突然の事でシザースはかわすこともできず、その勢いに負け体勢を崩した。

「今だ、氷川!」

ロードバイクもといトライチェイサーに乗っていたのは一条だった。

「はい!うおおおおおおお!!」

僕は、ユニコーンを逆手に持ち直し、シザースの胸元にそれを突き立てた。

「ぐぅ…!」

貫通こそしなかったが、僅かに傷を作ることが出来た。

「これでも食らえ!」

G3-Xはケルベロスを手にし、シザースの傷に向かって銃弾を撃ち込んだ。

「G3-Xに続け!!」

一条の合図で、警官達も同じく攻撃を加えた。

「ぐっ、がはっ!」

シザースは銃弾の嵐を耐えようとしたが、みるみる内に先につけた傷が広がっていった。

「行けぇ!」

ケルベロスをGXランチャーへ換装させると、G3-Xは銃口に付けたグレネード弾をシザースへ撃ち込んだ。

「ふざけるなぁ!」

しかし、シザースは寸での所でグレネード弾をハサミで受け止めた。

だが、一条はそれを見逃さず、一条のコルト・パイソンでグレネード弾を狙い撃ち、誘爆させた。

「うわっ!」

その一撃により、甲殻は傷だらけになった。

僕は、ギアのスイッチを再び押した。右足にエネルギーが蓄えられていることがわかった。

「これで終わりだ、須藤!」

僕は大きく跳躍し、シザースに向けて跳び蹴りを放った。

警官の猛攻により満足に動けなくなっていたシザースは、成す術もなく跳び蹴りを受けた。

「うわああああああああ!!!!」

蹴りの反動で跳ね上がったシザースは間もなく爆発した。

 

爆炎の中から、気を失い倒れていた須藤の姿と、砕け散ったガイアメモリが姿を現した。

「はぁ…はぁ…。やった…!」

僕は自然と呟いていた。

「須藤雅史!国家反逆罪で逮捕する!」

杉田は須藤の手に手錠を掛けた。

「やりましたね、氷川さん!」

一条が言った。

「ありがとうございます!」

僕は自分の目頭が熱くなっていることに気づいた。

「いんや、まだ終わりじゃなさそうだ。」

刃野が言った。

ネオシェード構成員がまだ幾らかおり、こちらに近づいていた。

「一条、お前は黒幕を捕まえてこい!」

杉田が言った。

「ここは、我々に任せてください!」

僕はそう言うと、一条に向けてサムズアップして見せた。

「…わかった!」

一条が答えると同時に、トライドロンが自動で走り出し、一条の前で停まった。

一条は、迷わずトライドロンに乗り込み、左や泊達の元へ走って行った。




VSシザース編いかがでしたでしょうか。

警察の裏切り者と対峙するのは生身の警官達。
ここしばらく警官ライダーばかりの描写が多かったので、彼等にも活躍の場をと思い描きました。

シザースが途中レベルアップしました。
更に蟹感が増した姿。
そうです、ボ○○○○サーです。笑

そんなボ○○○○サーとなったシザースと戦う尾室のG3-X。名前こそ伏せましたが、Gトレーラーではなくリボルギャリーに搭載した状態で参戦しました。
密林を抜けるにはGトレーラーでは不可能であることから翔太郎からリボルギャリーを借りたという隠し設定です。
が、リボルギャリーからG3-X出てきたらかっこよくね?という単純な気持ちから、やらせてみました。笑
ちなみにギガント装備はG4へのオマージュです。

そして、我らが氷川誠が遂に"変身"しました!
その名も仮面ライダーG3-X(テン)!
iPhoneみたいな名前の本作オリジナルライダーですが、ここで簡単にスペックを

<仮面ライダーG3-X(テン)>
Gシリーズの産みの親・小沢澄子が完成させた最新型G3システム。アギトのベルト(オルタリング)を独自に研究し開発した"オルタリングギア"を用いて変身(装着)する。

オルタリングギアの見た目は、まさにアギトのオルタリングであり、本体は銀色、中心のエネルギーコアは赤色をしている。ただし、オリジナルとことなり中心のエネルギーコアの両サイドにサークルが存在せず、オルタリングギアという名ではあるものの、クウガのアークルにも見える造形である。
近年の技術を注ぎ込んで誕生したG3-X(テン)は、従来の他者による装着型ではなく、粒子レベルまで分解された装甲を電磁力で結合することで自動で装着する、まさに"変身"するG3である。

見た目こそG3-Xと変わりないが、ベルトがオルタリングギアであること、オルタリングギアがエネルギー源となるため、バックパックにバッテリーが存在しない。
装着者への負担軽減を前提に(というのは建前であり、実質的に氷川専用として)開発されたため、最新型と銘打っているが出力そのものはG3-Xの12%増し程度である。
しかし、氷川の戦闘経験も相まってカタログスペック以上の力を発揮する。

武装はG4と同性能のハンドガン・スコーピオンとコンバットナイフ・ユニコーン。
必殺技はギア両サイドのスイッチを押すことで発動するG3キック。

このオルタリングギアを届けに北條透と小沢澄子が登場しました。

警官達の想いと新たなG3の力により、見事シザースを撃破。

次回、いよいよ最終回(のつもり)!
お楽しみに!


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終章 エターナル 第25話

「くっ!」

「うわっ!」

やはりエターナルは強い。

俺とドライブの二人がかりでも丸で歯が立たなかった。

「くそっ、どうすりゃいい!」

『翔太郎!』

フィリップが呼び掛けた。

『エクストリームでいこう!この前とは違って、今の僕の身体なら問題ない!』

「わかった!」

エクストリームならば、俺とフィリップは文字通り一心同体となる。そして、フィリップが戦いながら地球の本棚へアクセスすることができるため、敵の全ての情報を閲覧し、それを踏まえた上で戦うことができる。

『エクストリーム!』

フィリップの呼掛けに答えるように、バード形態のエクストリームメモリが飛翔してきた。

 

シャングリラ!

 

しかし、それを手にしようとしたとき、何かによってエクストリームメモリが弾き飛ばされた。

「何!?」

「させませんよ、W!」

桃瀬が姿を変えたシャングリラ・ドーパントによって妨害されたのだ。

「ちぃ!」

俺は舌打ちした。

「邪魔はさせない!」

ドライブがシャングリラに向かって飛び込んだ。

「させてもらう!」

シャングリラが手を掲げると、ドライブの真上の天井から岩石が落ちた。

「うわ!」

『大丈夫か、進ノ介!』

ベルトさんが行った。

『理想郷を体現する力…。厄介過ぎる。』

フィリップが珍しく狼狽えていた。

加えてエターナルだ。それに、改造人間である徳川清山。

とにかく打開策を考えないと。

しかし、そうこうしている内にエターナルとシャングリラの猛攻が続く。

『翔太郎!戦いに集中するんだ!』

フィリップが言った。

「ぐあっ!」

エターナルの攻撃により、ついに俺は元の姿へ戻ってしまった。

「左さん!うわっ!」

同じく、シャングリラの攻撃で泊も姿が戻った。

「翔太郎!!」

意識が戻ったフィリップが俺の元へ駆けつけた。

「どうやら、決着が見えたな。」

傍観していた徳川が言った。

「探偵…。ここまで俺達を追い詰めたのは、お前達が初めてだ。かつて、シェードに反旗を翻した男もいたが…、それ以上に中々楽しませてもらったよ。」

「くっ…。」

「ハァ…ハァ…。」

俺と泊は息も絶え絶えだった。

「だが、お楽しみもここまでだ。ここで死ね。」

徳川はその姿を再び怪人に変え、俺達に迫った。

 

「…はん。」

俺は笑った。

「何が可笑しい?」

徳川怪人態が言った。

「どんなに絶望の縁に立たされようが、それをスマートに解決させるのが、ハードボイルドの極み。今、俺が今まで待ち望んだ最高のシチュエーションにいるんで、たまらなくなったんだ…!」

俺は、力を振り絞り立ち上がった。

「…何かと思えば、今この状況でそんな事考えていたのかい?」

隣で、フィリップがニヤっとしながら言った。

「でも…。もし君の想い描く理想が実現できるとしたら…。ゾクゾクするねぇ。」

フィリップが言った。

「気でも狂ったか?そんな理想、私が消してやる!」

シャングリラが言った。

『全く…。本当に面白い探偵だな!』

「ああ。でも、お陰で脳細胞がトップギアになった!」

泊も立ち上がった。

「何故立ち上がる?何故立ち上がれるんだ!?」

徳川怪人態が言った。

「当たり前だ!!俺達は負けない!俺達の背中には守りたい人達が沢山いるんだ!」

「僕達を必要としている人達がいる限り、何度でも立ち上がる!」

俺の後にフィリップが続いた。

「市民の平和を守る為に俺達は戦う!」

泊が言った。

「それが…。」

「それが何だと言うんだ!」

徳川怪人態が俺の言葉を遮るように言った。

「その程度の事で、"守る"だと!?笑わせるな!」

徳川怪人態が吐き捨てるように言うと、俺達に迫ってきた。

 

ブォオオオオオオン!

 

後方からエンジン音が聞こえてきた。

俺達の横を赤い車体が駆け抜け、徳川怪人態をその車体で吹き飛ばした。

「ぐふっ!?」

「大丈夫か、左君、フィリップ君、泊刑事!」

トライドロンから一条刑事が降りてきた。

「一条さん!?」

俺はまさかの登場で驚いた。

「一条薫か!丁度良い、貴様もここで殺してやろう!」

シャングリラが構えたが、突然の銃撃で足が止まった。

「やらせるかよ!」

マッハがゼンリンシューターを手に駆け付けてきた。

「剛!」

泊が言った。

「へへ、お待たせ、進兄さん!」

マッハが言った。

「大丈夫か、左!フィリップ!」

アクセルも共に駆け付けてきた。

「彼らはお前達ごときで止められはしない!何故なら、彼らは仮面ライダーだからだ!!」

一条が言い放った。その後にアクセルがシャングリラに、マッハは徳川怪人態に向かって行った。

「そういうこった!行くぜ、フィリップ!泊!」

俺は再びJメモリを手にした。

「ああ!」

フィリップもCメモリを手にした。

「これで終わりにしよう!」

泊はシフトカーを手にした。

「させるか!行け、エターナル!」

徳川怪人態の合図でエターナルが飛び込んできた。

「ぐっ!」

「うあっ!」

泊が咄嗟に俺の前に出たが、エターナルに殴り倒され、続いてフィリップを蹴り倒した。

「くそっ!」

俺はエターナルから飛んできた拳を受け止めたが、同時に放った俺の手刀も受け止められた。俺とエターナルは密着状態とも言える。

だが、それは俺にとって最大のチャンスであった。

「大道…、そういやお前。まだ"記憶"が足りないみたいだったな!」

「…。」

エターナルから返事はなかった。

「俺が、お前を目覚めさせてやるぜ!」

俺は手刀に見せかけ、Jメモリを握りしめていた。

「まずい…。エターナル!早くそいつを始末しろ!」

シャングリラが焦るように言った。

一瞬、息が詰まったかと思えばエターナルの左手が俺の首を掴んでいた。

「かはっ…!」

意識が飛びそうになる中、エターナルの右手にエターナルエッジが握られていることに気づいた。

「左君!」

「左さん!」

「やめろぉ!!」

一条と泊、フィリップの叫び声が聞こえ駆けてきたが、間違いなく間に合わない。

ここまでか。

 

 

<剛視点>

「まずい!」

戦いの中で、俺はあの探偵が今にも息の根が止められそうになっている所を見つけた。

 

ブォオン!!

 

その時、シグナルチェイサーが突然独りでに走り出した。それはそのままエターナルの方まで行くと、マッハドライバーからシグナルエターナルを弾き飛ばして、自ら装填しにいった。

 

シグナルバイク・ライダー!

チェイサー!!

 

<左視点>

「うぐっ…。」

突然エターナルの手が離れ、俺の身体は解放された。

「ぐっ…、あ゙っ…。」

エターナルが突然苦しみだしたのだ。

そして、何かに捕まえられたかのように、身動きが取れなくなっていた。

「あ…、あれは…!?」

泊が驚くように言った。

丸で幽霊のようにうっすらとだが、何者かがエターナルを後ろから羽交い締めしていた。

全身が銀色をしており、紫のラインが施されている。黒いフェイスに赤い複眼。マッハドライバーも着けていた。

それは、紛れもなく仮面ライダーだった。

「チェイス!!」

そのライダーの幻影とも思える姿を見てマッハが叫んだ。

 

 

 

行け!!

 

 

 

俺にはそう聞こえた。本当にそう言ったかどうか、今となってはわからない。だが、あの時既に俺の身体は先に動いていた。

「大道克己!お前に足りない記憶、それは!」

俺は身動きの取れないエターナルに駆け寄った。

「お前を倒した、俺達!」

 

ジョーカー!

 

「風都の切り札の記憶だ!!」

俺はJメモリをエターナルの胸元に突き立てた。

その直後、凄まじい突風が吹き上がり、俺の身体はエターナルから弾き飛ばされた。

それと同様にライダーの幻影も掻き消されるように消えていった。

 

「おおおあああああああ!!!!」

 

エターナルから叫び声が上がった。

それは俺だけではなく、この場にいる全員が我を忘れそれを見ていた。

 

 

 

 

 

カシャン…。

 

 

 

 

 

風が収まると共にマッハドライバーが地面に落ちた。

風の中から、再び大道克己の姿が現れた。

「大道…。」

俺は呟くように言った。

「…。」

大道は黙ったまま自身の両手を見ていた。

そして、

「探偵…。一つ借りが出来たな。」

大道が言った。

その眼光は今までの虚無感は無く鋭いものだった。

「大道…、克己…!」

シャングリラが狼狽えていた。

「貴様らか…、俺を地獄から呼び起こしたのは…。」

大道はシャングリラと徳川怪人態を見て言った。

「そ…その通り!君を地獄から助けてやったのだ!さぁ、君を地獄へ突き落とした、憎き仮面ライダー達を共に始末しよう!」

シャングリラが言った。

「"地獄から助けた"…だと?」

大道が言った。

「俺は俺で地獄を楽しんでいたさ。そして、己の罪を数えていた。気が遠くなるくらい、多くの罪をな…。」

「大道、お前…!?」

俺は思わず声に出してしまった。

「あと少しで数え終えようとしたとき、俺はまた罪を重ねる道具としてこの世に戻された。これ程の不愉快さを感じたのは久し振りだなぁ…!」

そう言うなり、大道はロストドライバーを手に取り、腰に装着した。

「探偵…、力を貸せ。さっきの借りを返してやる。」

大道が言った。

「あん?それが恩人に対する態度かよ!」

俺はムッとして言い返した。

「助けを請うた覚えはない。だが、俺を解放してくれたことは事実だ。それについては、礼を言っておいてやる。」

大道が上からの態度で言った。

「こんの…。」

「まぁまぁ、翔太郎。それよりも早くやつらを倒そう!」

フィリップが言った。

「僕達の事も忘れないでください!不本意ではありますが。」

泊も大道を見ながら言った。

大道は泊を一目見るなり、ふんと鼻で笑った。

「この、愚か者どもがあ!!」

シャングリラが言った。

「悪いな。俺もお前が憎む、仮面ライダーだ!」

大道が言い放った。

 

サイクロン!ジョーカー!!

 

「「変身!!」」

 

エクストリーム!!

 

俺の姿が一瞬CJに変わったが、エクストリームメモリがフィリップの身体を取り込み、俺のベルトに装填すると、俺達はCJエクストリームの姿へ変わった。

 

「変身!」

 

Fire! all Engines!!

 

ドラーイブ!

ターイプ・トライドロン!!

 

後方で駐車していたトライドロンがバラバラに分解すると、泊の身体にそれぞれ装着され、新たなドライブの姿へ変わった。

 

エターナル!

 

「変身!」

 

大道は、TN・Eメモリを起動させロストドライバーにを装填した。

大道の身体を木枯らしが多い、続いて青い炎に包まれた。程なくしてそれが収まると、中から純白の仮面ライダー、エターナルが姿を現した。

それは、手足に青い炎の模様、黄色単眼であり、俺達の知る正真正銘のエターナルだった。

 

エターナルを中心に俺達とドライブは並んだ。更にそれぞれの隣にアクセルとマッハもついた。

「おのれ、仮面ライダーどもぉ!!」

徳川怪人態が恨むように言った。

「さあ!」

『お前の罪を…』

 

「「「「『数えろ!!!!!』」」」」

 

 




最終回になりませんでしたm(__)m

仮面ライダーエターナル・大道克己。
ネオシェードの呪縛から解き放たれ、完全復活しました!

エターナル完全復活に欠けていた記憶。それは破壊や風都の記憶だけではなく、再び死を感じさせた風都の切り札・仮面ライダーWの記憶。やはり、この記憶だけはエターナルにとって切っても切れないものになっていたでしょう。
既にサイクロンメモリを取り込んでいたので、ジョーカーメモリがエターナル復活のトリガーとしました。

そして、それに貢献した仮面ライダードライブ第3のライダー・仮面ライダーチェイサーの登場。いかがでしたでしょうか。
エターナル復活にチェイスのロイミュードボディを用いたことで、必然的にチェイス復活の望みは薄れていました。というか、エターナル復活を本作の主軸に置いていたので、個人的にチェイスを復活させるつもりはありませんでした。
しかし、だからといってチェイスノータッチはしたくもないという欲により、幻影として翔太郎達に力を貸す役割を与えました。

ちなみに、第18話にて仮面ライダーGがシグナルチェイサーの事を"彼"と呼んでいたのは、チェイスの意思を宿していたということの伏線でした。下手くそな伏線ですみませんm(__)m

次回、最終決戦となります。
お楽しみに!


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第26話

<左視点>

 

プリズム!

 

俺達はプリズムサーバーから召喚されたプリズムビッカーを手にし、プリズムソードを抜き取った。

俺達とアクセル、そしてエターナルはシャングリラと、ドライブとマッハは徳川怪人態と戦った。

「加頭さんの敵ぃ!!」

シャングリラが迫ってきた。俺達は応戦するが、俺達の攻撃を全て見切ってかわし、一方的に攻撃をしてきた。まるで、俺達の攻撃を読んでいるかのように。

『そうか、やつの力は"理想の体現"。全ての理想を反映させる力だ!』

「どういうことだ!?」

フィリップの言葉にアクセルが言った。

『つまり、僕達が"こうしたい"という考えが全てやつに反映される。だから、やつはそれを逆手に取って僕達の行動を読んでいるんだ。』

「それって、俺達が地球の本棚とリンクしてるのと似たような状況じゃねぇか!」

俺は思わず言った。

それでは俺達がどう行動しようにもシャングリラには筒抜けということになる。

これでは勝ち目がない。

だが、一人。それでも余裕を見せる男がいた。

「ふん…。理想の体現か…、面白い!」

エターナルが単身で挑んだ。

「ハアァ!!」

「ぐぅ!」

しかし、エターナルの攻撃はシャングリラに届いていた。

「何故やつの攻撃は通る?」

アクセルが言った。

シャングリラはエターナルの攻撃だけかわせていない。むしろ、エターナルの攻撃に恐れすら見せていた。

その瞬間、俺の中で何かがはまった。

「成る程、そういうことか!」

『何か分かったのかい?』

フィリップが聞いた。

「桃瀬はエターナルの、いや大道の完全復活を望んでいなかった。それは、もし敵に回ったときやつの理想を体現できないからだ!」

俺は続けた。

「やつは元々死人。死んだ人間に理想も何もありゃしないってことだ。」

「成る程、だがそれが俺達に取っての希望となるのか。皮肉だな…!」

アクセルが言った。

「照井!エターナルに合わせられるか!?」

「俺に質問するなっ!!」

俺達はエターナルの攻撃に合わせるように攻撃に加わった。

俺達の攻撃を読めてもエターナルの攻撃だけは読めない。怒涛の攻撃の中に一点だけ見えない攻撃が加わると言える。そうなると、シャングリラは俺達の攻撃に対応できなくなっていた。

「ぐはっ…。こ、こんな…こんな事がぁ!!」

シャングリラが言葉を絞り出すように言った。

『シャングリラ、お前の総てを閲覧した。もうお前に勝ち目はない!』

「だが、お前達の理想が見えないだけだ!!」

突如、木の根のようなものが地面から現れ、俺達とアクセルの身体を縛り付けた。

「しまった!」

だがエターナルは間一髪難を逃れた。

「貴様の理想なぞ、俺が潰してやる。」

エターナルはそう言うと自身のベルトからガイアメモリを抜き取った。

そしてそれをエターナルエッジに装填しようとしていた。

「まさか、"アレ"をするつもりか!?」

アクセルの言葉を待たずして、俺にもエターナルが何をしようとしているのか分かっていた。

『今ここで"アレ"はまずい!!』

「止せ、大道!!」

俺達は叫んで言った。

「…。」

エターナルは俺達を一瞬見たが、エターナルメモリをエッジに装填した。

 

エターナル!

マキシマムドライブ!!

 

「ぐああああ!!」

シャングリラが苦痛の叫びを上げた。

それと同時に、俺達とアクセルを締め付けていた根が崩れ落ちた。

ところが、俺達の身体には何も起きなかった。

「大道、お前…。」

「…ふん。」

エターナルは鼻で笑った。

「く、そ…。メモリの、力が…!」

シャングリラは苦しんでいた。

『今だ、翔太郎!』

 

エクストリーム!

マキシマムドライブ!!

 

アクセル!

マキシマムドライブ!!

 

エターナル!

マキシマムドライブ!!

 

俺達はメモリの力を引き出し、高く跳躍した。

『「終わりだ、桃瀬!!」』

 

「「『「ハアアア!!!!」』」」

 

「ゔあああああああ!!!!」

俺達の飛び蹴りがシャングリラに叩き込まれた。

「さぁ…。」

エターナルが右手を真横に上げた。

「地獄を楽しみなぁ!!」

そして親指を下に突き立てた。

桃瀬はシャングリラから元の姿に戻り、そのまま地に伏せた。

 

 

 

 

<泊視点>

 

「もう諦めろ、徳川!」

俺は徳川怪人態に向かって言った。

「ここまできて、諦めるものかあ!!」

徳川怪人態はそう叫ぶと、その姿を消した。

「消えた!?」

『いや、超高速で移動しているんだ!』

ベルトさんが言った。

「だったら、俺に任せろ!」

 

ズゥート・マッハ!

 

マッハも同様に超高速で移動を始めた。

互いに高速で攻撃しあっているが、まもなくマッハだけが弾き飛ばされた。

「うわっ!!こいつ、強い!」

マッハをも上回る戦闘力があるのか。俺は戦慄した。

『進ノ介!運転交代だ!』

ベルトさんが言った。

「わかった!」

そう答えると、俺の意識は身体から離れ、ベルトさんがその身体を使って戦い始めた。

『例え高速でいようと、私達仮面ライダーは負けない!』

ベルトさんはハンドル剣を構えた。

『っ!そこか!』

「ぐはっ!」

ベルトさんは何もない空間に向かって剣を振るった。しかし、それは間違いなく徳川怪人態の身体を捉えていたのだ。

「ナイス、ベルトさん!」

『私にかかれば、高速で動いていても捉えることは可能だ!』

ベルトさんが得意気に言った。

「お前達…。SHOCKERが世界を意のままに操ることを許すというのか!?」

徳川怪人態が言った。

「言ったはずだ、ショッカーもネオシェードも俺達が倒す!」

俺は言った。

「お前達のやり方を許すわけあるかよ!」

マッハも続いて言った。

「もういいだろ…。お前がこの国を守りたい気持ちは分かった。だから…。」

「だから何だ!?」

俺の言葉を遮るように徳川怪人態は言った。

「お前達にわかるものか…。SHOCKERの闇を、それを目の当たりにした、俺の恐怖を…!」

徳川怪人態が言った。

「それを善しとする日本政府を、許す訳にいくか!!」

再び徳川怪人態が迫ってきた。

『まだ来るのか!』

ベルトさんが構えた。

「ベルトさん、俺が戦う。変わってくれ!」

俺はベルトさんに言った。

『…いいだろう。』

すると、俺の意識は再び自身の身体に戻った。

「剛、俺達があいつの思いを受け止めるんだ!」

俺はマッハに言った。

「は?どういうこと?」

マッハが聞いてきた。

「詳しくはわからない…。ただ、やつも何か呪縛に囚われているんだ。それを俺達で助ける。」

俺はそう答えた。

人間を辞めてまでショッカーを潰そうとするその信念。徳川自身に何かがあったことは明らかだ。やつは、怨念ともとれる何かに囚われている。だとするならば、俺達が出来ることは、あいつの思いを受け止め、そして、倒すこと。

「どうやって助けるんだ!?」

マッハが再び尋ねてきた。

「戦う、そして勝つ!!」

「はっ、分かりやすくていいね!」

そして、俺とマッハは徳川怪人態に立ち向かった。

「ハッ!」

俺とマッハで、タイミングをずらしながら徳川怪人態に攻撃を加えていく。

「まだだ!」

徳川怪人態も負けじと応戦するも、徐々に押されていた。

「もらった!」

 

シグナルバイク・ライダー!

シグナルコウカーン!

マッハ・トマーレ!!

 

「ぐっ…!」

マッハはゼンリン・シューターからエネルギー弾を撃ち込んだ。それは徳川怪人態に直撃すると、その場で動きが止まった。

「くらえ!」

俺はトレーラー砲を構えた。シフトフォーミュラーを装填し、それを打ち出した。

「ぐわああ!!」

それは徳川怪人態に直撃した。そして、ついに膝を着いた。

「行くぞ、剛!」

「おっけい!」

 

ヒッサーツ!

フルスロットル!!

トライドロン!!!

 

ヒッサーツ!

フルスロットル!!

チェイサー!!!

 

俺達は高く飛び、徳川怪人態に向けて蹴りを放った。

 

「ぐああああああああ!!!!」

徳川怪人態は爆発した。爆煙が収まると、元に戻った徳川が倒れていた。

「お…のれ…、仮面ライダー、ども…。」

徳川は声を絞り出すように言った。

「…。俺達でショッカーを倒す。お前はもう、頑張らなくていいんだ。」

俺は徳川に言った。

「…。そう、か…。俺は…、もう、頑張らなくて、いい…のか。」

徳川は安堵の表情を浮かべると、その場で気を失った。

 

 

<左視点>

 

「やったな、みんな…!」

物影で様子を見守っていた一条が言った。

桃瀬も徳川も倒れた。それはネオシェードの壊滅も意味していた。これで、俺達の戦いは終わった。

しかし。

「いや、まだだ。」

エターナルが言った。

「何!?」

俺はエターナルを見て言った。

まさか、エターナルは俺達と戦うつもりなのか?

しかし、エターナルが見ているのは俺達ではなかった。

エターナルの視線の先に、ボロボロになりながらも立ち上がった桃瀬の姿があった。

「そうだ…。まだ終わりではない…!」

桃瀬が言った。

「桃瀬!?」

アクセルが言った。

「徳川清山は倒れたが、私はまだ立っている。財団Xの栄華の為にSHOCKERは潰さなくてはならない!そのために、貴様らを生かしてはおけん!」

桃瀬はそう言うと、再びSメモリを取り出した。

『そんな!メモリブレイクしたはずだ!』

フィリップが驚いて言った。

「ふふ…、このSメモリは新造されたT2メモリ!そう簡単にメモリブレイクはされん!そして、貴様らとの戦いでレベルアップも果たした!」

「何!?」

 

シャングリラ!

アップグレード!!

 

桃瀬はSメモリにメモリアダプターを装着し起動させた。

『よせ!レベルアップし、さらにアップグレードなんてしたら、身体が持たない!』

フィリップが言った。

「財団の為ならば命なぞおおおお!!!!」

そして、桃瀬は再びガイアメモリを取り込んだ。

すると、桃瀬の身体が宙に浮かんだかと思うと岩石や植物、洞窟に住まう生き物などが囲い始めた。桃瀬を中心に集まり始めた。それは徐々に膨らみ始め巨大化を始めた。

 




W、アクセル、そして味方になったエターナルのトリプルライダーキックにより、シャングリラ・ドーパントは撃破。
さらにドライブとマッハにより、徳川怪人態も撃破しました。

言うのを忘れていましたが、徳川怪人態はグ◯◯スワ◯ムを真っ黒にしたような姿。もちろんネイティブである為、クロックアップも可能。

詳しくは書きませんでしたが、徳川がシェード結成という狂気に囚われる原因にSHOCKERの"何か"を見てしまったという設定を設けました。SHOCKERの脅威から人類を守る為に行動を起こしたという、実は徳川も根っからの悪者ではなかったと、勝手に妄想して設定しました。

しかし、そうじゃないのがこの男、桃瀬理。
シャングリラメモリを暴走させた彼の行く末は…。

次回をお楽しみに!


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最終話

「何が起きようとしてるんだ!?」

ドライブが言った。

『おそらく、自分自身が"理想郷"になろうとしているんだ!』

フィリップが答えた。

「神にでもなろうというのか!?」

一条が言った。

「だが、俺達がさせない!」

俺は言うと再び暴走したシャングリラに向いた。

『このまま進化が終われば、手が付けられなくなる。でも、不安定な今なら!』

フィリップが言った時だった。

「ゔっ…。」

突然、エターナルが苦しみだし、片膝を着いてしまった。

「どうした、大道!?」

俺は思わず声をかけた。

「ハァ…、ハァ…。そろそろ、潮時のようだ…。」

エターナルが言うと、自身のベルトからEメモリを取り外し、俺に向けた。

「これを、お前が使え!」

エターナルが言った。

俺は迷わずそれを受け取った。

「左!」

アクセルもまた、Aメモリを渡してきた。

「進兄さんも!」

今度はマッハがシフトライドクロッサーをドライブに託した。

ドライブは頷いて答えた。

「やりましょう、左さん、フィリップ君!」

『「ああ!」』

 

サイクロン!

ジョーカー!

アクセル!

エターナル!

 

マキシマムドライブ!!

 

ビッカーシールドに4種のガイアメモリを装填した。

 

「フィリップ、最大出力だ!」

『ああ!!』

 

プリズム!

マキシマムドライブ!!

 

エクストリーム!

マキシマムドライブ!!

 

さらに2種のガイアメモリも起動させた。

プリズムソードに全6種のメモリの力が収束され、刀身が七色に輝きだした。

 

「ベルトさん!ひとっ走り付き合えよ!!」

『OK!』

 

カモnカモnカモnカモnカモnカモnカモン!!

カキマゼーrカキマゼーrカキマゼール!!!!

 

Fire! all Engines!!

 

全21種のタイヤが一つの白く輝くタイヤとなり、ドライブに装着された。

そして、マッハから受け取ったシフトライドクロッサーをブレスに装填した。

 

ヒッサーツ!

フルスロットル!!

マッハチェイサー!!!

 

ドライブは高く跳躍した。

 

『「ビッカー!ヘキサバースト!!」』

俺達はプリズムソードを振るった。それは長大な剣状のエネルギー刃となり、シャングリラをぶった切った。

 

「うおおおおおおお!!!!」

ドライブが蹴りを放つ。その背後にはマッハの幻影とチェイスと呼ばれた銀のライダーの幻影も蹴りをしていた。

ドライブの蹴りがシャングリラに届く直前に二つのライダーの幻影がドライブに重なり、勢いの増した蹴りがシャングリラを貫いた。

 

ドカアアアアアアアアン!!!!

 

暴走したシャングリラは爆散した。

そして、気を失った桃瀬とメモリブレイクされたSメモリが転がり落ちた。

 

「終わった…。」

俺は呟いた。

全ての力を出しきったからか、自然と俺は元の姿に戻っていた。

それはみんなも同様だった。

しかし、その瞬間ハタリと一人倒れこんだ。

「っ!?大道!!」

俺は倒れた大道に近寄り身体を起こした。

「ハァ…、ハァ…。」

大道は虫の息の状態だった。

「おい、大道!しっかりしろ!」

俺は叫ぶように言った。

「ダメだ、翔太郎。」

フィリップが言った。

「元々、ロイミュードのボディを介して甦った存在。そのボディに多くのガイアメモリの記憶を注ぎ込んだんだ。その負荷が限界に達したんだよ。」

フィリップが続けて言った。

「ハァ…、ハァ…。そういうことだ、探偵…。」

大道が弱々しく言った。

「園咲、来人…。お前のように、こいつみたいな…、相棒がいたなら…。ハァ…、ハァ…。俺の未来は…、違っただろうか…?」

大道がフィリップに向かって言った。

「…。それは、僕にはわからない。ただ、翔太郎と出会えたことは、今でも良かったと思っている。」

フィリップは答えた。

「そうか…。なら、あの時お前に倒されたことは本望だったな…。」

大道は俺を見て言った。

「そうだ…、探偵…。」

大道が言った。

「…何だ?」

「お前、あの時俺に向かって言ったよな…?俺は仮面ライダーじゃない、と…。」

「ああ。だが、前言撤回だ。お前も、俺達と同じ仮面ライダーだったんだ。」

俺はそう答えた。

「ふ…。なら…、良か…。」

言い切る前に、大道は力尽きた。そして、まるで風で舞う砂のように姿が消えると同時にロイミュードのボディに変わった。

「…じゃあな、仮面ライダー。」

俺はロイミュードボディに向かって言った。

顔を上げると、照井や泊、一条も静かに敬礼していた。

 

 

 

俺達が洞窟から戻ると、外は大戦を決していた。

岡村を始めとしたネオシェードの連中は一人残らずお縄に着いていた。無論、桃瀬と徳川もだ。

「一条さん!」

こちらに気づいた氷川が言った。

同じく気づいた警官達が近づいてきた。

「みんな…。よく戦ってくれた。ネオシェードの首魁、徳川清山ならびに共謀者である桃瀬理、両名の身柄を拘束した!」

一条が言った。

「これを持って、ネオシェードの壊滅を確認、我々の勝利だ!」

照井が告げると周りで歓喜の声が上がった。

「よくやった、一条君。」

加賀美総監が現れた。

「君達の尽力のお陰で、第一級犯罪組織ネオシェードを壊滅させることが出来た。これを持って、ZECTも解散とする!」

加賀美総監が告げた。

「あ゙~…、ようやく終わったぜ。」

俺は深くため息をついた。

「そうですね。でも、これで貴方達と共に戦えないと思うと、何だか寂しくも感じますね。」

泊が言った。

「確かにな。」

俺は思わず笑みがこぼれた。

「僕達が仮面ライダーている限り、そして誰かの平和を守るためなら、また何処かで巡り会うさ。その時は、また共に戦おう。」

「はい!」

フィリップの言葉に対し、泊は元気よく挨拶して返した。

「しかし、警視庁が崩壊したとなると、組織として建て直すには時間がいるな…。」

杉田が思い出したように言った。

その時だ。

 

バラバラバラバラバラバラ!!

 

再び1機の警察ヘリが飛来した。俺達の目の前に着陸すると、中からずいぶんガタイの良い、しかしとても柔らかな表情をした壮年の警官が降りてきた。

「心配はいらんよ。」

警官が言った。

「あ、貴方は!?」

周りの警官達が驚きのあまりどよめいていた。

「ほ(風の音)う元警視総監!」

風の音で上手く聞き取れなかったが、どうやら加賀美総監以前の警視総監らしい。

「貴殿方がネオシェードと戦っている間に、私が組織を立て直しておいた。建物こそ復旧に時間は掛かるが、明日からでも組織は機能する。」

元警視総監が言った。

「ありがとうございます!」

加賀美総監が礼を言った。

そして元警視総監が俺達と泊に近づいてきた。

「成る程…。君達が新たなライダーか。」

そう言うと、先ほどの優しそうな顔から一転し、鋭い目付きになり言った。

「この世界の未来、任せたぞ!」

 

 

こうして、ネオシェードによる長きに渡る大事件は幕を下ろした。

警視庁から来た警官達は復旧しつつある風都署で照井達と挨拶を交わした後、東京へ帰って行った。

「君達と共に戦えたこと、光栄に思う!」

「また会いましょう、左さん、フィリップさん!」

一条や泊と交わした握手はしばらく忘れないだろう。

剛は、二度と悪用されないように守ると泊に誓い、ロイミュードボディと共にアメリカへ帰った。

また、朔田はかつて学業に努めていた母校に寄ってから渡米すると言い、その場から去って行った。

そういえば、照井が警視庁から何か声をかけられたそうだが、断ったらしい。聞こうにも「俺に質問するな。」の一点張りで教えてはくれなかった。おのれ照井!

 

風都の方もネオシェードの傷跡が癒え始め、普段通りの街並みに戻りつつあった。

一つ奇妙なのは、俺達がしばらく風都から離れていたにも係わらず、あれから全く被害を受けた様子がなかったことだ。照井の帰りをいつもの事務所で待っていた亜樹子に様子を尋ねたが、「ほんとに凄かったんだから!」しか連呼せず語彙力が死んでいたため、よくわからなかった。まぁ、街が無事だったから良かったが。

 

お縄についたネオシェードの奴らはというと、みんな揃いに揃って孤島の超一級戦犯しか収容しないような刑務所で厳重に縛り上げられているそうだ。ただ、忍野だけは中でも深く反省しているようで模範囚として貢献しているようだ。おいそれと会いに行ける訳ではないから、顔を見れないのは残念だが、元気そうならば何よりだった。それから間もなく、警察からネオシェード幹部の逮捕が発表されたため、風都民からは歓喜の声と安堵の声が聞こえてきた。

 

ただし、一つ気掛かりなことが残ってしまった。

徳川が言った、"ショッカー"というワード。

幾度もライダー達の前に立ち塞がり悪事の限りを尽くしてきた集団。気になったからフィリップに検索を依頼したが、特に目立った情報はない、とのこと。

では、やつが口走ったあれは何だったのだろうか…。

未だに真相は謎だが…。

 

だが、この世界がどんな脅威に晒されようと、俺達仮面ライダーがいる限り戦い続ける。

それに仮面ライダーは一人じゃない。仲間との助け合い

、はたまた新しい仮面ライダーの誕生。平和を思う気持ちは時に共有し合い、時に受け継がれていく。

そう、仮面ライダーがいる限り永遠に…。

 

今日も風都に良い風が吹いている。そして、その風が再び奇妙奇天烈な事件を持ち込んで来る。

 

コンコン…

「あのう…、依頼したいことがあるんですけど…。」

 

「待ってたぜ、レディ?さぁ、俺達に任せな!」

 

 




暴走したシャングリラ・ドーパントに引導を渡した仮面ライダー達。

CJXの必殺技を発動するに辺り、アクセル、そしてエターナルのガイアメモリを用いました。
三人のライダーのガイアメモリで戦うW。やりたかったです。笑

それに負けじとドライブ・タイプトライドロンwithシグナルライドクロッサー。
トライドロン最後のタイヤ融合に加え、マッハ最終形態のシグナルバイク・シフトカーを使うという荒業。やりたかったです。笑

それらを受け、遂にシャングリラを撃破し、ネオシェード壊滅に成功しました。

ただし、ロイミュードボディの限界により大道克己は再び永遠の眠りに着くことになりました。

最後に登場した、ほ(風の音)う元警視総監。
劇場版仮面ライダーアギトに登場した当時の警視総監。
警官キャラ最後のゲスト登場でした。
加賀美陸がZECTとして活動していた裏で、警察組織再編に尽力されたという設定です。
元警視総監。誰なんでしょうか。笑


これにて、本作本編は終了となります。いかがでしたでしょうか。
長編の為、だいぶ設定が粗まみれだったかと思います。それでも楽しんで頂けたのなら幸いです。

今後は、本編の裏で起こっていた出来事をまとめた、サイドストーリー編を展開していく予定です。
サイドストーリー編からは、警官ライダーと関係が無くなりますのでご了承願います。


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サイドストーリーズ 地獄の戦士(第16~18話)

第16~18話の間に起きた、ネオシェードによる警視庁襲撃。絶体絶命の中、無事だった加賀美陸警視総監。

「危うい所を、私の同胞に救われたのだ。」

その真実とは。


加賀美陸視点


ネオシェードへの対応が追い付いていない。

"彼"の手伝いもあって、裏切り者の粛清はしてきた。残念ながら微々たるものだが。思いの外、裏切り者は上手く立ち回っているようだ。特に須藤雅史。やつは間違いなく黒。いや、下手をすれば元々ネオシェードの人間かもしれない。しかし、確固たる証拠があるわけではない。ご丁寧に経歴も完璧に整っている上に、裏切り行為の証拠も上手く隠している。故に下手に吊し上げることもできない。何とも厄介な男だ。

"彼"に命じようにも、あの時ほど私に対し忠誠心があるわけではない。しかし、どういう訳か私の命を守ってくれるが、それ以上のことはしない。"彼"なりのルールがあるようだが、私の知るところではない。

「状況は?」

私は、警視庁執務室で部下に尋ねた。

「芳しくありません。」

部下が答えた。

現在、一条班と氷川班を中心としたネオシェード掃討作戦が実行されてはいるが、やはり警察側の動きがネオシェードに流れているからか、遅々として進まない。

「そうか…。ならば、"あれ"を実行に移すとしようか。」

「よろしいのですか?」

私の言葉に、部下が問い質してきた。

無理もない。

それは、あの風都の探偵が提案した"徳川清山護送計画"。と、表面上はそうなっているが、実際は徳川清山の護送という情報を餌に警察内部の内通者、須藤をあぶり出す作戦だ。どうやら探偵も勘づいていたようだ。なかなかやる。

「うむ…。何にせよ、警察内部に裏切り者がいるとなれば、ネオシェード掃討まで我々が持たないだろう。」

そして、私はこう言った。

「徳川清山、本人を護送させる。」

それを聞いた部下は目を丸くさせた。

「ご冗談を!?」

「いや、私は本気だ。」

これは一つの賭けである。

何事もなく徳川をICPOへ送りさえすれば、ネオシェードの計画を頓挫させることができる。

仮に脱獄を許したとしても、そうだな…。

仮面ライダーが徳川に打ち勝てば、ネオシェードの戦意を喪失させることもできる。

だがもし、徳川に負けることになれば…。

「本当に、よろしいのですか?」

部下が改めて聞いた。

「…。」

私は黙ったまま頷いた。

 

間もなく、作戦は実行された。

部下の手腕により、徳川の護送も開始されたそうだ。

ただし、これは極秘で行った。

もちろん、周囲に反対される可能性があった。と言うことは言うまでもない。しかし、"ネオシェードの手引きで徳川が脱獄を果たした"というシナリオにしてしまえば、"私の切り札"を使う口実にもなる。何の問題でもないのだ。

 

作戦開始から30分経った時のことだった。

 

ドガアアアアアン!!!!

 

爆発音と共に執務室が大きく揺れた。

 

『緊急事態発生、緊急事態発生!ネオシェードと思われる集団による襲撃を確認!職員は速やかに退避してください!繰り返します!』

 

やはりか。

徳川清山護送任務に仮面ライダーは総動員をかけている。つまり、我々は今、丸腰の状態と言えよう。今のうちに本丸を潰そうと行動を起こすことは、何ら不思議ではない。ネオシェードも馬鹿ではなかったということだ。

「警視総監の加賀美です。待機中のG5に出撃要請をしたまえ。」

私は内線で指示を出した。しかし。

『それが…。一部のG5達もネオシェードと共に行動しているようで!』

「え。」

予想外だった。

マスクドライダーシステムに比べたら、お粗末な戦闘力とはいえ、一般人でも容易に活用でき、それなりの戦闘力も期待できる。それ故に万一に備え幾人か待機させていたのだが。

よもやネオシェードに裏切るとは。

ちょっとびっくり。

 

「総監!!」

執務室のドアを突き破るように、部下が飛び込んできた。

「ここは危険です!私が誘導しますので、御移動を!!」

私は部下に促されるまま、避難した。

 

護衛に囲まれながら、庁舎を出ると、既に凄惨な状態となっていた。

庁舎は半壊していると言っても過言ではない状態だった。あちらこちらから火の手が上がっている。上空を火災による黒煙が覆っていた。

「こちらです!…ゔっ!」

部下が凶弾に倒れた。

ネオシェードに寝返ったG5が銃撃してきたのだ。

護衛も構えるが、虚しく次々と凶弾に倒れていった。

「警視総監、加賀美陸だな!」

ネオシェードの一人が言った。

「ネオシェードか…。」

「フハハハ!その命、貰い受ける!」

ネオシェードの一人が言うと、その姿を怪人に変えた。

そのまま、迫ってきた。

が。

寸での所で、私とネオシェードの間に全身黒尽くめの"彼"が入り、片足でネオシェードをあしらった。

所謂V系と呼ばれるような装衣、どこか暗いネガティブな雰囲気を纏う男。

どこからともなく現れた"彼"はこう言った。

「お前今…、俺を笑ったな?」

「ぐっ!」

"彼"は足でネオシェード怪人を蹴り飛ばした。

「大丈夫か!?」

ネオシェードのG5が怪人に言った。

"彼"はそれに反応した。

「はぁ…。お前は良いよな…。どうせ俺は…、誰にも心配されやしない…。」

"彼"は深いため息をつくと手をかざした。

それを合図にバッタのようなもの・ホッパーゼクターが現れ、"彼"の手に収まった。

「ほら、笑えよ…、俺の事を…!」

「貴様、仮面ライダーか!?ならば!」

それを目にした怪人が言った。

「お前の相手、仮面ライダーには仮面ライダーだ!」

怪人の合図が挙がると、ネオシェードの集団の中から、黒地に赤いラインの入ったコンバットスーツに身を包んだ男が現れた。

まるで生気のない顔をしていたが、その男が何者かはわかっていた。

「大道克己か…!」

私は思わず声に出してしまっていた。

「さぁ…。地獄を楽しみな…。」

 

シグナルバイク・ライダー!

 

大道はマッハドライバーにシグナルバイクを装填した。

 

「お前がそうか…。お前は良いよな…。本当の地獄見れて…。どうせ俺は…!」

そう言いながら、"彼"は構え直した。

 

「変身。」

 

エターナル!

 

「変身…!」

 

HENSHIN!

 

"彼"はホッパーゼクターをゼクトバックルに装着させた。

お互いの体を、ベルトを中心に装甲が纏いはじめた。

純白の身体に手足に黒い炎、赤い単眼。大道は仮面ライダーエターナルに姿を変えた。

 

Change! KICK HOPPER!!

 

そして、"彼"は緑色のバッタを模したマスクドライダー、キックホッパーへ姿を変えた。

お互い、睨み合ったまま立ち尽くしていたが、間もなく始めの一手が打たれた。

 

ズゥート・エターナル!

 

Clock up!

 

瞬きした瞬間、ライダー達の姿が消えた。

「うわあっ!」

「ぐあっ!」

突如、ネオシェードから苦痛の悲鳴が聞こえ始めた。

そう、彼らは消えた訳ではない。クロックアップし、超高速化したのだ。そして、彼はエターナルと戦う片手間でネオシェードにも攻撃を加えているということだ。

ただし、加速してから未だにどちらも姿を現さない。ということは、エターナルはキックホッパーと互角の戦いを高速の世界の中で繰り広げているということだ。

「なんという男なんだ…。大道克己。いや…。」

むしろ逆なのかもしれない。

大道はネヴァーと呼ばれる不死身の傭兵。いわば戦いのプロフェッショナルなのである。そんな男と、彼は互角に戦えているのである。

かつてZECTの精鋭部隊シャドウのリーダーであったとは言え、傭兵と渡り合えるとは、"彼"もまた化け物なのかもしれない。

 

Clock over!

 

そう考えている内に、ライダー達は再び姿を現した。

「ライダージャンプ!」

 

Rider Jump!

 

キックホッパーはゼクターの脚部を操作すると、両足にエネルギーが蓄えられた。そしてそのまま高く飛び上がった。

 

「ライダーキック!」

 

Rider Kick!

 

ゼクターの脚部を戻すと、跳躍で得られたエネルギーとゼクターから新たに送られたエネルギーを左足に纏わせ、急降下した。

エターナルは構えたが、キックホッパーの狙いはエターナルではなかった。

「ぐはあ!」

キックホッパーの蹴りは、ネオシェード構成員に向けられていた。

「何だと!?うわああ!!」

怪人は驚愕していた。

キックホッパーは、最初に蹴った敵の反動を活かし、さらに他のネオシェード構成員にも攻撃を加えていった。言うまでもなく、リーダー格の怪人にも、である。

キックホッパーの蹴りを受けた敵は次々と爆散していった。

そして最後にエターナルへ向かっていった。

 

ヒッサーツ!

フルスロットル!!

 

エターナル!!!

 

エターナルもエネルギーを足に蓄え、キックホッパーに向けて蹴りを放った。

 

 

ズゥゥゥゥゥン!!!!

 

 

衝撃が走ったかと思うと、キックホッパーとエターナルはお互いの攻撃の反動で吹き飛ばされていた。

「もっと…、お前の地獄を見せてくれよ…!」

キックホッパーは立ち上がるとエターナルに言った。

エターナルも立上がりキックホッパーを見ていたが、エターナルは踵を返して去っていった。

「はぁ…。あぁ、そうか…。どうせ俺なんかに…、地獄を見せる価値すらないんだな…。」

キックホッパーは再び深いため息を着くと同時に、元の姿に戻った。

「…。ほら、笑えよ…。」

"彼"は私を見るなり、そう言った。

「何故、私の事を助ける。もはや君に完全調和の精神がなければ、私への忠誠心すら無いはずだが?」

私は"彼"に尋ねた。

「…確かに、完全調和なんてどうでもいい…。だが、あんたには借りがある。地獄が垣間見える程、どん底に墜ちた俺に手を差し伸ばしてくれたからな。だが勘違いするな…。」

"彼"は鋭い目付きになり、言葉を続けた。

「あんたのせいで、俺の相棒は死ぬことになったんだ。それだけは忘れるな!」

「…。」

「だから、あんたが死ぬことは俺が許さない…!生き続け、その命が尽きるまで罪を償え…。」

"彼"はそう言うと何処へ立ち去ろうとしていた。

「…すまない。」

私は"彼"の背中に向かって言った。

彼は一度止まり、こちらを振り向きかけたが、

「どうせ俺は…。」

何かを言いかけたが、"彼"・矢車想はそのまま歩き続けた。




サイドストーリー編
第一弾、いかがでしたでしょうか。

ネオシェードによる警視庁襲撃、そこに現れた仮面ライダーエターナル・ダークフレア。
絶体絶命の加賀美警視総監を救ったのは、仮面ライダーキックホッパーこと地獄兄弟兄貴・矢車想。
矢車は、カブト本編でもZECTを追放されたにも関わらずキックホッパーの資格者に選ばれていました。それは、追放されても加賀美陸から信用されていた、と設定しました。故に自身の危険には助けに来る用心棒と認識していました。
しかし、矢車はそうではなく、結果として相棒であり地獄兄弟弟分・影山瞬の死への切っ掛けを作った元凶という認識でした(理由はなんにせよ加賀美がネイティブと結託していたという点)。
彼の死を無駄にしないため、矢車は罪を償わせる為に加賀美を助けているという設定にしてみました。

エターナルVSキックホッパー。
お互い地獄に関係するライダー(片方は中二を拗らせた感じですが。笑)なので戦わせてみました。しかし、あくまでも加賀美陸視点ですので細かい戦闘描写は敢えてカットしましたm(__)m

次回、皆さんはあまり認識してないかと思いますが、本作の影の主役である仮面ライダーGの物語を描きます。

お楽しみに!


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芳醇の風 前編 (第11話)

風都に迫る魔の手。
それを払い退けていたのは、警官ライダーだけではなかった。

シェードの改造人間・仮面ライダーG
この物語は本作物語の裏で活躍した誰も知らない彼の戦記である。

仮面ライダーG視点


風都に流れる風は、何て心地よいのだろうか。

 

風の都、噂に聞いた通り、素敵な風が吹いている。

この風を受けて育った果実は、さぞ爽やかな風味と共に実るだろう。

しかし、風は時として災いを運ぶこともある。

 

シェード。

 

僕にとって、その名は耳に付いたように忘れられない名だ。

僕は彼らに拉致され"改造人間"と呼ばれる兵器にされた。肉体改造と共に洗脳もされ、シェードの命令を何も疑わず忠実に従っていた。

"NO.5"と呼ばれていた自分に反吐が出るほど嫌気が差していたが、僕を愛してくれた人との再開、そして、僕が愛したワインの味わい。これらの存在が、僕を人として呼び覚ましてくれた。

それと同時に、僕は"仮面ライダー"としての力を覚醒させたんだ。

 

前置きが長くなってしまったが、僕が風都を訪れたのは、そのシェードが名を変え大規模なテロ活動を始めたという"風の噂"を耳にしたからだ。

この風都にも仮面ライダーがいると聞いている。

名をダブル、と言ったかな。緑と黒のライダーらしい。

だが、僕のそれとは異なり、"ただの人間"がガイアメモリなるものを用いて変身するらしい。

相手は改造人間の軍勢。風都のライダーがどこまでの力があるのか定かではないが、普通に考えればただの人間が改造人間と戦うなど、はっきり言って論外だ。

かといって、確かめもしないのに決め付けるのは良くない。

だから、風都の仮面ライダーの実力を確かめるために、僕は風都にやってきたということさ。

 

風都の仮面ライダーは探偵をやっていると聞いた。確か、"鳴海探偵事務所"、と言っていたかな。

ところがその事務所に訪れてみると、誰もいなかった。

それもそうか。

僕がこの街に着いた時点で、だいぶシェードにやられていた。崩壊した建造物をいくつか見たし、この街の警察署は見るに耐えられない状態であった。

恐らく、探偵も仮面ライダーとして戦いに出ているのだろう。

さて、どうしたものか。

僕は、大通りに面したレンタルスペースにこしらえたG'sヴィンテージに一旦戻ることにした。

元々、僕はワインソムリエ。東京にワイン専門店G'sヴィンテージ本店を経営している。シェードの動静を見張る為にここ風都にその小型店舗を用意したということだ。

仕方がないので、店で仕入れたワインを嗜んでいた時、奇妙な格好をした男が入店してきた。季節だからか、サンタクロースの格好をした…、しかしアロハシャツに短パンでしかもサングラスを掛けていた。いかにも怪しげな男。

話を聞くと、どうやら本店のファンであり、風都にも店を構えたと噂を聞いて来られたそうだ。ありがたい話ではあるが、ここはあくまでも仮屋に近い。今は売買をする気はないのだが…。しかし、風都の住民であるのなら、探偵の居場所を知っているかもしれない。

「話を遮ってしまって申し訳ないのですが、鳴海探偵事務所の方々が今どちらにいるか、知らないでしょうか?」

「ん、翔ちゃんのこと?」

知っていた。

これほど怪しい男でも親しくできるとは、尊敬に値する探偵なのだろう。

しかし、これも聞いてみると昨日から姿を見ていないという。

「まぁ、翔ちゃんのことだから、どこかで風に当たってるんだと思うよ。」

とは言っていたが、結局どこにいるのかわからないのでは話にならない。

急がば回れ。彼が現れるのを待つとしよう。

「すまないのですが、もし探偵に会ったらここに来てくれるよう、お願いしてもよろしいですか?」

僕が尋ねてみると、快く引き受けてくれた。

 

探偵を待つ間に色々調べてみたところ、この街の住民はほとんどの人が探偵の事を知っていた。

情報屋を名乗る男や二人組のOL達、美人なマジシャンや気を失うかと思うほど、申し訳ないがド下手な歌い手の男とそのパートナー等々。

探偵は本当にこの街の人々に愛されているのだろうな。

話を聞いてわかったことは、探偵は左翔太郎、相棒にフィリップという青年の二人組らしい。事務所の所長は若干胡散臭いが可愛らしい女性・鳴海亜樹子が勤めていること。

そして、探偵に協力している刑事もいるとのこと。僕はその刑事とコンタクトを取ることにした。

風都署は崩壊し掛けていたが、刑事達の無事は確認されているそうだ。

自宅療養中とのことで、尋ねることにした。

 

「ワインソムリエが、こんなボロボロの刑事に何のようだい?」

刃野と言う刑事が言った。

「この街の探偵に会いたい。」

「翔太郎達に?仕事の依頼なら、今はやめとけ。」

「何故です?」

「フィリップ。翔太郎の相棒がテロリストに拉致されてな。今は彼を助けるのに躍起になっていて、それどころじゃねぇんだ。」

「成る程…。わかりました、ありがとうございます。ああ、そうそう…。」

僕は立ち去る前に、持ってきていたワインをボトルごと刃野に渡した。

「早い回復を祈っています。ワイン。とりわけ赤ワインは抗菌作用もありますから、適量飲み続けると回復も早くなりますよ。では。」

僕は、きょとんとした刃野を置いて店に戻った。

 

シェードがフィリップを拉致した。

考えられることは、やはり人体改造か、もしくは洗脳か。ただ、このタイミングでそれらを行うのは妙だ。探偵は仮面ライダーダブル。フィリップか左という者かどちらがライダーかはわからないが、仮にライダーの方だとしても、人質として誘拐したというのもおかしな話だ。

むしろ違う目的で拉致したと考えるべきだろう。

監禁されているとすれば、恐らく都内の"あの場所"か…。

あの場所を考えただけでも、僕は脂汗をかく程嫌悪感を感じた。何故なら、僕はそこで人体改造を施されてしまったからだ。

同じ過ちを繰り返させない為に、"あの場所"は早々に潰さないと。そう思ってはいるものの、"あの場"へ行こうとすると、本能的なのか体が激しく拒絶する。一種のトラウマなのだろうか、我ながら情けないが今まで手が打てないでいた場所だ。彼を助ける為には、どうしたものか…。

その時だった。

 

カランカラン…。

 

店のベルが鳴った。

ドアを通ってきたのは、黒いパンツにボーダーの入ったシャツ、ジャケットの代わりに羽織っている黒いベストにワインレッドのネクタイ、それらしい黒いハットを身につけた男。

彼が左翔太郎か。風都の探偵にして、仮面ライダーダブル。

思っていたより若い。少しからかってやろう。僕はそう思い、適当な所からワインボトルを取り出した。

 

「あんたか、俺を呼んだのは。」

翔太郎が僕に尋ねた。

しかし、僕は敢えて黙ったまま、ワインボトルを見つめていた。

翔太郎が何度か僕に呼び掛けていたが、僕はポーカーフェイスを保った。

「おい…!」

彼は痺れを切らして強い口調で言ってきたが、僕は動じない。

「しっ!」

「…!?」

「ワインを嗜む時は、ボトルをあける所から慎重にならなければならない。少しの衝撃で風味が変わってしまうからね。」

そういうと、僕はジャケットの中からワインオープナーを取り出し、ゆっくり丁寧にワインの口を開け始めた。

 

 

 

ポンっ

 

 

 

心地のよい小さな音を立て、ワインはこの世に放たれた。

そして、それを静かにグラスに注ぎ始めた。

「君は、普段からワインを嗜むかい?」

 

僕は翔太郎に尋ねた。

「いや…、あんまり…。」

「そうか…。」

ならば、ワインについて少しレクチャーしよう。

僕がワインについて軽く説明すると、彼はだんだん理解が追い付かなくなったような表情になり始めた。

「さぁ。」

僕は翔太郎にワインを差し出した。

彼は、一度は断ったがしぶしぶ受け取り、一口だけ口に含んだ。

その瞬間、彼は目を見開いた。

「どうだい?」

僕は彼に尋ねた。

「何とも、例えがたい感じだ…。ただ、少なくとも今まで飲んだ中で一番美味しい…!」

何とも分かりやすい男だ。探偵が聞いて呆れる。

「そうか、それなら良かった。けど…。」

僕は笑いそうになるのを堪えながら言った。そして、僕は手に持ったワインボトルのラベルを見せた。

「多分、みんなが良く口にするものだよ?」

彼は嘘だろ?という表情を浮かべた。

さぁ、そろそろ本題と行こうか。

「君が鳴海探偵事務所の探偵・左翔太郎君だね?」

僕は彼に尋ねた。

「…あぁ、そうだ。」

「僕は…、君が探しているものの在処を知っている。」

彼は驚きを隠さずに言った。

「!?それは本当なのか?」

彼は一瞬驚いていたが、すぐさま警戒するような目付きに変わった。

「…何者だ、あんた。ただのワインセラーのオーナーじゃないな?」

ほう、勘は鋭いようだ。

「…。ここではワインが泣いてしまう。表に出よう。」

僕は彼を店の外に促した。

店の外へ出るやいなや、僕は翔太郎へ蹴りをした。が、彼はそれを素早くかわした。

「ほぅ。今のをかわすとは…。さすがは仮面ライダーダブルか。」

僕は身だしなみを整えながら言った。

「お前、ネオシェードか!!それとも財団Xか!!」

翔太郎が尋ねた。

「ネオ、シェード…?そうか。今はそう名乗っているのか。何者か、と聞いたね?左翔太郎君。ならばお答えしよう。」

僕は、変身用ワインボトル"GORO"を取り出した。

「あんた、まさか!?」

翔太郎は驚いていた。 

 

「変身!」

 

僕はGOROをベルトに装填した。装填したことで持ち上がったワインオープナーを模したトリガーを反対に戻した。

そして、ベルトを中心に装甲が展開され、僕は、仮面ライダーGに変身した。

「僕は…。シェードの改造人間!仮面ライダーGだ!」

 

さぁ、君の実力を見せてもらおうか!




サイドストーリー・仮面ライダーG編
いかがでしたでしょうか。

本作本編にて仮面ライダーWとドライブ、そして警官ライダー達がネオシェードと戦っていた裏側で活躍していた物語となっております。
二次小説とはいえ、仮面ライダーGの本名が大物有名人と同じなため、何かあっても嫌なので敢えて名前は伏せてます。

"ダブル"と表記しているのは、仮面ライダーGが"風の噂"で聞いたため、"W"という表記を知らないためです。

次回、芳醇の風 中編
お楽しみに!


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芳醇の風 後編(第11話)

引き続き、仮面ライダーG視点


戦いは間もなく終わった。

"風の噂"から聞いていたこととは違い、黒い姿をした仮面ライダーダブルだったが、力の差は歴然だった。しかし、最初こそ僕の方が押していたのだが、ガイアメモリが翔太郎の意志と同調して発揮された力により、僕は負けてしまった。

彼を殺すつもりは毛頭無かったとはいえ、本気で戦ったのだが。

だが、これでわかった。

 

彼は、強い。

 

それは単純な戦闘力の話ではない。何かの為に戦うという"思いの強さ"だ。そして、黒いガイアメモリは、彼の思いを増幅させている。

ただ戦う為"だけ"に産み出された改造人間には無い力。この力さえあれば、シェードを、いや、ネオシェードを倒せるかも知れない。

 

「はっ…。俺のマキシマムドライブ受けて無傷とか…。さすが改造人間か…。」

翔太郎は自身の変身を解きながら言った。

「確かにそうだね。並の人間だったら、こうじゃ済まされなかったよ。」

同じく姿が戻った僕は彼に手を差し出した。彼は迷わず手を掴んだ。

僕が彼の身体を起こすと、赤いスポーツカーのような車がやってきた。

「左さん!!」

車から警官の青年が降りてきた。警視庁の刑事・泊進ノ介。彼もまた、仮面ライダードライブというライダーらしい。

「…ちょうどいい。君も入りたまえ。」

僕は進ノ介にも店内に入るよう促した。

 

「君達が追っているネオシェード、その先駆けの組織が存在したんだ。」

その言葉の後に、僕は翔太郎と進ノ介の二人にシェードについて、また、自身の成り行きについて話した。話をしている内に、二人はネオシェードの狙いが、前身組織シェードの創始者である徳川清山の奪還であることに気づいたらしい。

そして、シェードについて一通り話終えようとしたときだった。

 

ゾワっ…。

 

全身を嫌悪感が鋭く走った。同族嫌悪に近い感覚。"やつら"が近づいてきたようだ。

「さぁ、僕が話せることは君たちに伝えた。時間があまり無い、すぐに仲間を助けに行くんだ。」

僕は二人にここを出るように促した。

「あんたも一緒に戦ってくれないか?」

翔太郎が協力を申し出た。

「…僕は行けない、何故なら…。」

その瞬間、爆発音と共に店の半分が吹き飛んだ。僕達は店の奥にいたため難を逃れた。

 

「ナンバーファイブぅ!ここまでだ!」

外を窺うと数人の怪人達(確かドーパントと言ったか)と人型歩兵兵器と思われるマシン数機が店を囲んでいた。

狙いは間違いなく僕だろう。そして、このタイミングで現れたということは、ネオシェードはフィリップに近づけさせないよう策を講じたと言える。

「ここは僕が抑え込む。君たちは早く仲間の所へ!」

「…っ!ベルトさん!!」

進ノ介の呼び掛けに応えるように、駐車してあった赤いスポーツカーが独りでに走り出し、敵を轢き飛ばしながら二人の元へやってきた。

「左翔太郎君、忘れないでくれ。どんなに強大な敵でも、自分の背中には大切な仲間がいることを!そして、彼らが君の帰りを待っていることを!そんな彼らを待たせてはいけない!信じて戦え、仮面ライダー!!」

僕の言葉に翔太郎は黙って頷いた。

「行きましょう、左さん!」

「死ぬんじゃねぇぞ!」

翔太郎と進ノ介は車に乗り込み、僕が示した場所へ走り出した。

 

「死ぬな、か…。」

僕は思わず呟いた。

「僕は死ぬつもりはない…。愛する者のためにも!」

そして、僕はGOROを手にした。

「今…、僕のヴィンテージが芳醇の時を向かえる!変身!!」

ベルトにGOROを装着すると、再び仮面ライダーGへと姿を変えた。

 

「さぁ、来い!」

 

僕の挑発に乗り、ネオシェードが迫ってきた。

僕は胸部からソムリエナイフを模した剣、Gナイフを取り出し、応戦した。

ガイアメモリで変身した人間、それに人型歩兵兵器。その程度で僕の相手をするなんて、随分とナメられたものだな。

僕は特に力むことなくGナイフを振るい、一体また一体と斬り伏せていった。

「な、なんて強さなんだ!?」

ネオシェードの一人が狼狽えていた。

「君達ただの人間に、僕が負けるはずがないだろう?」

僕はさらに挑発するように言った。

「確かにな!」

別方向から声がした。

振り向くと、知った顔がそこにいた。

「…九龍、いやナンバーナインと呼ぶべきか。」

「久しぶりだな、ナンバーファイブ!」

彼は九龍、もとい改造人間No.9。

改造人間として完成された物にだけナンバーが与えられる。数から察せるだろう、彼は僕の後に生まれた"完成品"である。

そして、ずっと僕を付け狙うシェードの刺客という訳だ。そんな彼は同じく改造人間を他に二人連れていた。

「しつこい男は嫌われるって知っているかい?」

僕は冗談を言ってみせた。

「しつこいから女は男に落ちるんだぜ?」

何だ、その理論は。

ナインはそう言い返した。

「だが、お前は男だ。落とすのはその命だ!」

そう言うと、ナインは怪人に変異した。それに習い、他の二人も怪人に変異した。

「行くぞぉ、ナンバーファイブぅ!」

ナインが迫ってきた。

ナインは重量級かつ無駄に熱血な怪人だ。正直に言うと僕が一番嫌いなタイプだ。

「ふんっ!!」

ナインは肥大化した両腕を振るってきた。

「く…。」

僕はGナイフでそれを受け流す。が、その隙を狙って他の怪人が攻撃しようとしている。

「させるか!」

僕はナインの腕を払いのけ、怪人に回し蹴りをした。

「うわっ!」

しかし、もう一体の怪人の攻撃をかわしきれず、そのまま受けてしまった。

「良い声出すなぁ、ナンバーファイブ!」

気持ち悪い事を言うな。

しかし、三人相手はこちらの歩が悪い。ましてや、僕の後に生まれたということは、仮面ライダーとしての能力は把握しているはず。相当厄介な状態と言えるだろう。

だが、僕も今までの"僕"とは違う所を見せてやろう。

「ならば、君達に新しい力を見せてやろう!」

僕はそう言いながら、白いボトルを取り出し、ベルトに装填した。

 

シャルドネ・スパークリング!

 

僕の黒いスーツ部分が乳白色に代わり、赤かったGラインは緑色に変化した。

 

ソーカイな味わい!

 

「何だ、その姿は!?」

僕の新たな姿、シャルドーネボディを見て、ナインが驚いていた。

「行くぞ!」

僕は胸部から、コルクスクリュー型の双剣・Gスクリューを両手に持ち、再び挑んだ。

シャルドーネボディはスピーディーな戦い方を得意としている。怪人の攻撃を素早くかわし、二本のGスクリューで何度も切り刻んだ。

その内、一体の怪人が膝を付いた。

「そこだ!」

僕はベルトのスイッチを押した。

すると、両腕にワインのエネルギーが蓄えられた。

「エレガンススラッシュ!」

エネルギーを二本の剣に移し、それを振り切った。白い斬撃波となり、怪人の体を切り裂いた。

「うわあああ!!!!」

斬撃波を受けた怪人は爆散した。

「まだだ!」

僕はさらに紫のボトルを取り出し、ベルトに装填した。

 

カルベネ・フルボディ!

 

白いスーツが、今度は濃い紫色に代わり、緑色のGラインはマゼンタカラーに変わった。

 

ジューコウな味わい!

 

カルベーネボディは、シャルドーネボディの逆でパワフルな戦い方を得意としている。胸部からは巨大なコルク状の鎖付きハンマー・Gコルクを取り出した。

「逃がすか!」

僕は鎖を回しながら、鞭の要領で怪人にハンマーを叩きつけた。

「ぐはっ!」

一撃一撃を受けるごとに怪人は怯む。

「止めだ!」

ベルトのスイッチを押し、ハンマーにエネルギーが蓄えられた。

「トロッケンブレイク!」

エネルギーの溜まったハンマーが怪人に命中した。

「ぐわああああ!!!!」

怪人は爆散した。

「ちぃ…。おのれ、ナンバーファイブ!!」

元の状態に戻った僕に対し、ナインが言った。

「さぁ、まだ戦うかい?」

「当たり前だ!俺達は清山先生を取り戻す!その邪魔はさせん!」

ナインが迫ってきた。

しかし。

「いちいち、うるさいやつだな。お前。」

僕とナインの間に、別のライダーが間にふらっと入った。

右半身が緑、左半身が黒のライダー。仮面ライダーダブルだった。

「翔太郎君?なぜ!?」

僕はダブルに言ったが、無視された。

「ほぅ…。風都のライダーか!貴様の命も貰おう!」

ナインがダブルに挑んだ。

ダブルは自身の両手をパンパンと払うと、ナインに応戦した。

ナインの攻撃を意図も簡単に受け流し、一方的に攻撃を加えた。

「くっ!」

「その程度か、シェードの改造人間は。」

ダブルが言った。

 

おかしい。

 

先程戦ったとき、翔太郎は僕に手も足も出なかった。

それが、僕よりも強力な改造人間に対して優位に立っている。

しかし、その疑問はダブルの次の一手により、解決した。

 

アタックライド・メタル!

 

ダブルはガイアメモリ、ではなく、ガイアメモリが印字されたカードをベルトに装填した。

 

サイクロン!メタル!!

 

ダブルの黒い半身が鉄のような銀色の半身に変わる。と同時に、その背に現れた棒状の武器を手にし、ナインを殴りつけた。

「ぐはっ!」

 

アタックライド・ルナ!

 

ルナ!メタル!!

 

今度は緑の半身が金色に変わった。そして、棒状の武器が鞭のような撓りを見せると、ダブルはそれをナインに投げつけた。それは独りでにナインを縛り上げた。

「ぐぬぅ…。バカな、ナンバー入りの、ナインである俺が遅れを取るなど!」

ナインが言ったが、ダブルはふんと鼻で笑いながら言った。

「当然だ。俺は"10番目"だからな。」

 

フォームライド・サイクロンジョーカー!

 

サイクロン!ジョーカー!!

 

ダブルはカードを装填して、最初の姿に戻った。

 

ファイナルアタックライド・DDDW!!

 

さらにカードを装填したダブルは空中に浮遊した。

 

「ジョーカーエクストリーム!」

 

風の力を受けたダブルは、ナインに向けて両脚蹴りを…。いや途中で、黒と緑のボディが二手に別れ、それぞれ蹴りを放った。

「ぐわああああ!!おのれ、ディケイドおおおお!!!!」

ナインは爆散した。

 

僕は自身の変身を解いた。と、同時にダブルもまた変身を解いた。現れたのは翔太郎、ではなく、上下黒いスーツとマゼンタカラーのシャツを着こなした、"風の噂"が現れた。

「やれやれ…。君には驚かされることばかりだな。」

僕は言った。

「そうでもないだろ?」

"風の噂"が言い返した。

「所で、そのベルトはどうしたんだい?以前の物とは違うようだけど。」

僕は"風の噂"が腰に着けたマゼンタカラーのベルトを指して言った。

「これか?課金した。」

「…?」

"風の噂"の言っていることを理解できないでいると、彼はふんと鼻で笑って言った。

「冗談だ。色々と、訳ありでな。それより…。」

"風の噂"は目付きを変えて言った。

「お前の世界は何ともなっていないようだな。」

「どういう、意味だい?」

僕は尋ねた。

「いや、こっちの話だ。」

そう言いながら、彼は一枚の写真を僕に渡した。それは黒いバイクのような物が写されていた。

「次はこれを解放しろ。」

"風の噂"が言った。

写真の背景から、ここがどこかは察しがつく。が。

「なぜこんなことを僕にさせる?今回のシェードの件といい。君の狙いは何だ?」

僕は尋ねた。

「ネオシェードはお前にとっても因縁浅からぬ存在。潰せるに越したことはないだろう?」

"風の噂"が言った。

「それに、シェードを潰すことで、"やつら"も顔を出すだろう。それが俺の目的だ。」

「やつら?」

「お前には関係ない。」

僕の問いをあしらうと、彼の目の前に銀のオーロラが現れた。

「じゃあな。上手くやれよ。」

そう言いながら"風の噂"・門矢士はオーロラの中へ姿を消した。

 

士の目的が何なのかはわからない。だけど、シェードを潰すことは僕の悲願でもある。今回は彼の言葉に甘えよう。

僕は受け取った写真を頼りに、バイクで目的地へ向かった。

 




お詫び
前回、次回は中編というようにお話しましたが、余り話が膨らまなかったため後編となりました。すみませぬ。

というわけで、サイドストーリー・仮面ライダーG編、いかがでしたでしょうか。

仮面ライダーGオリジナルフォームを考えました!

<仮面ライダーG・シャルドーネボディ>
白い変身ボトルを装着した、スピードタイプのフォーム。変身音は「シャルドネ・スパークリング!」「ソーカイな味わい!」
モチーフはスパークリングワイン(白ワイン)
基本カラーは白、Gラインは緑。
スピードに特化した形態。基本形態よりも走力や跳躍力は飛躍的に上がっているがパンチ力が落ちている。それを補うように武器を使用する。
武器はコルクスクリューを模した双剣・Gスクリュー。
必殺技は斬撃波を飛ばすエレガンススラッシュ。
上品な味わいからエレガンスを使いました。

<仮面ライダーG・カルベーネボディ>
濃い紫の変身ボトルを装着した、パワータイプのフォーム。変身音は「カルベネ・フルボディ!」「ジューコウな味わい!」
基本カラーは紫、Gラインはマゼンタカラー。
パワー重視の形態で、基本形態よりも腕力や防御力が飛躍的に上がっているが、走力や跳躍力が落ちている。パワーを生かし、鎖付きハンマーを武器とする。
武器はコルクを模した鎖付きハンマー・Gコルク。
必殺技はハンマーをぶつけるトロッケンブレイク。
辛口な味わいからトロッケン(辛口)を使いました。

対するシェードの改造人間、九龍。
ナンバーファイブの後に誕生した改造人間であるため、ナンバーナインと呼ばれる。
Gよりも後に生まれたため、基本スペックはGを上回っている。肥大化した両腕が武器であり、重量級の攻撃を得意とする。
モチーフはカブトのワーム・ベルバーワーム。
他二体はご想像におまかせします。

そして、ナインを葬ったのはまさかのディケイドW。
Wとして戦う際に、ハーフチェンジの変わりに、片方のみの変化をアタックライド、サイクロンジョーカー、ヒートメタル、ルナトリガーの基本フォームはフォームライドで変身するのではないかと想像して設定しました。

そう。"風の噂"と表現された世界の破壊者・仮面ライダーディケイドこと門矢士でした。
今回の事件にシェードが絡んでいると仮面ライダーGが知っていたのは、士がある目的を果たす為にGに助言をしていたということです。

士の言うやつらとは…。


次回サイドストーリー・鳴海亜樹子編
サイドストーリー編最終章となります。

お楽しみに!


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ほんとに凄かった 照井亜樹子の語彙力が死んだ話 前編

「…嘘だろ?」
と、俺。
「まさか、こんなことが。」
と、フィリップ。
「所長…。」
と、照井。
「ね?凄いでしょ??」
と、得意気な亜樹子。

俺とフィリップ、そして照井の三人掛りで読み解いた、我らが所長・鳴海亜樹子の語彙力が死んだ話。

俺達が徳川清山らと戦っている間に起こった、風都での戦いが、今語られる。

亜樹子視点でお送りします。


私の名は照井亜樹子!旧姓鳴海!

ここ風都で唯一の探偵事務所「鳴海探偵事務所」の空前絶後の超絶美人な女所長よ!

ある日、ガイアメモリ使用者が殺害される事件が発生。それはネオシェードっていうテロ集団によるものだったの。しかも、かつて風都を壊滅させようとした最凶最悪なテロリスト・大道克己またの名を仮面ライダーエターナルも復活して、大変なことに。

一体この街はどうなっちゃうのかな…?

 

「じゃあ所長、最後の戦いに行ってくる…!」

竜くんはそう言うと家を出ていった。話によると、すでにネオシェードを追い詰めたそう。

「気をつけてね、竜くん。」

竜くんなら大丈夫。それに翔太郎くんやフィリップくん、泊さんもいるから、きっとテロリスト達を捕まえて事件を解決してくれる!

そう、信じたいんだけど…。

どこか、落ち着かない自分がいる。

 

いっつもそう。

 

事務所所長という肩書きは持っているものの、事件を解決するのは翔太郎くん達仮面ライダーの仕事。

それは仕方がないこと。だって、この街で起こる事件というのは、ドーパントと呼ぶ怪人によって起きる。普通の人じゃ太刀打ちできないけども、ドーパントと同等の力を持つ仮面ライダーなら解決できる。

私にできることと言えば、元気に振る舞って翔太郎くん達の帰りを待つこと。

「これでいいのかなぁ…。」

私はぼそっと呟いた。

「ママ、どしたの?」

娘の春菜が心配そうに見つめていた。

「う、ううん!何でもないよ!」

私は空元気で言った。

「大丈夫!パパがきっと街の平和を守ってくれるよ!」

私が言うと春菜はにっこりして言った。

「うん!ママもつよいもんね!」

春菜がそう言った時だった。

 

『亜樹子、お前はほんとに強い子だなぁ。』

 

ふと、亡くなった父・鳴海壮吉の言葉が脳裏に浮かんだ。

「お父さん…。」

「ママ?」

春菜がまた心配そうな顔をした。

「あ…、ごめんごめん!ハルちゃん、ママと一緒にお散歩しよっか!」

「うん!」

 

散歩と言いながら、向かった先は鳴海探偵事務所だった。ここで、所長として待つことが私のできること。だとしたら、私はここにいなきゃいけない。そう思っていた。

「亜樹子さん。」

私を呼ぶ声に我に帰った。

声の主は泊霧子さん。泊さんの奥さんだ。息子の英志くんをベビーカーに乗せて来ていた。

「霧子さん、どうしてここへ?」

私は霧子さんに尋ねた。

「進ノ介さんに家で待っててと言われたんですけど、いてもたってもいられなくなってしまって…。それで、ここに来れば亜樹子さんに会えるかなって思ったんです。」

霧子さんが言った。

「それじゃあ、霧子さんの推理は当たったということね!」

私は笑顔で言った。

「そうですね!」

霧子も笑ってみせた。

「あ、そうだ!よかったら一緒にお散歩しない?」

私は霧子に言った。

「ええ、是非!」

 

私達は、風都こども公園に向かった。街の中では少し小高い所にあり、ある程度街を一望できる。芝生もあるため、こども達もここでよく遊んでいるそう。

でも、今は人気もなく閑散としており、ここからの風景も決して良いものではなくなっていた。

「さすがに、誰もいませんね。」

霧子さんが言った。

「誰もいなーい…。」

春菜も言った。

「いなーい。」

英志くんも言った。

「…でも、貸し切りと思えば!ね?」

私は言った。

「そうですね!」

霧子も元気に言っていたが、彼女もまた空元気なのだろう。

 

フゥー…。

 

うん。やっぱり風都の風は気持ち良い。

翔太郎くんや竜くんが言うように、この風に当たってると、すごく気持ちが落ち着く。さっきまで抱えていた不安感が少し和らいで行くのがわかった。

「んん~…。風都の風は気持ち良いですねぇ~。」

霧子さんも背伸びしながら言った。

「でしょ?元々わたし、大阪出身なんだけど、風都の風を感じてからは離れたくないって思っちゃって!」

私は言った。

「そうなんですね!いいなぁ。私もここに引っ越ししたいなぁ~。でも、進ノ介さんも私も警視庁直属だから東京から離れられないし。」

霧子さんは不満を口にした。

「うーん、ドンマイ!」

「あ、何ですかそれぇ。」

私達は自然と口が閉じなかった。段々と我が子自慢になり、旦那の愚痴、翔太郎くんのことや霧子さんの弟の剛くんの話と、話題が止まらなかった。

気がつくと、春菜と英志くんも芝生広場で遊んでいた。ちょっとお姉さんの春菜が英志くんをリードしながら楽しそうにしていた。

その時だった。

 

「ふぁあぁあ~…。」

 

大あくびするように男性の声が聞こえた。

「え!?」

私達はびっくりした。まさか他に人がいるだなんて思っていなかったから。たまたま私達の死角になってた所で昼寝していたようだ。

「マ…。」

「マ…。」

「「ママぁー!!」」

驚いた子ども達が泣きながら私達の元へ走ってきた。

「ん…、あ!ええ!?」

寝ぼけながらも事態に気づいた男性が慌てて言った。

「ごめんごめん!驚かすつもりはなかったんだ!」

男性が言っても子ども達は怯え、ついでに私達も警戒していた。

「な、何なんですか、あなた?」

霧子さんが言った。

「えーっと…。わかった!」

男性は何か閃くと、自身のボストンバッグから玉を三つ取り出した。

「見てみて!」

そして男性は三つの玉をそれぞれ宙に飛ばして、ジャグリングを始めた。

「よっ、ほっ…。」

「…。」

子どもは泣き止みそれをじっと見つめた。

「あのさ、カバンからピンも取って来れる?」

男性がそう言うと、子ども達はゆっくりとカバンに近寄り、中からピン三本を取り出した。

「そうそれ!それを投げ入れて!あ、優しくね?」

幼い英志くんに代わって春菜がピンを三本投げ入れた。始めに回した三つの玉と合わせ、六つの物が宙で回った。

「わあ、すごーい!」

「しゅごーい!」

春菜と英志くんは拍手しながら喜んでいた。

気がつくと、私達も自然と楽しんでいた。

やがて、玉とピンは男性の両手に収まり、終了した。

「ありがとうございました!大道芸人さんなんですか?」

私は男性に尋ねた。

「…て訳でもないですよ。俺の妹が幼稚園の先生やってまして。そこで子ども達を喜ばせようと思って始めたんです。」

男性は答えた。

「そうなんですね。他にもできるんですか?」

霧子さんも興味津々だった。

「はい!何たって2000の技を持つ男ですから!」

そう答えると男性は笑顔でサムズアップしてみせた。

「そんなに!?」

私はそれを聞いて思わず驚いてしまった。

「あ、すみません。名乗りもしないで勝手にべらべらと。これ名刺です!」

そう言いながら、男性は自身の名刺を私達に渡した。

「わたしもほしい!」

「ほちい!」

「うん、いいよ!」

男性は子ども達にも渡した。

「"夢を追う男・2000の技を持つ男"五代雄介、さん?」

私は呟くように言った。

「冒険家やってます。」

五代さんが言った。

「世界中、旅してたんです。それで久々に日本に戻ってきて、ここに来たんですよ。」

「そうだったんですね。」

霧子が言った。

「あ、私は照井亜樹子です。」

「泊霧子です。」

お互いに自己紹介をした。

「この街、すごく良い風が吹いてますね。旅の疲れも一緒に吹き飛ばしてくれそうで。…それでついつい居眠りを。ごめんなさい、驚かしちゃって。」

ハハハと笑い頭をかきながら五代さんは言った。

「ほんとこの街は良いとこですよ!でも…、今は訪れる時期じゃなかったかも…。」

私は口を濁しながら言った。

「みたい…ですね。」

五代さんももの寂しげな表情をしていた。

「ネオシェード、でしたっけ?この街と東京とでテロ行為をしている連中って。」

五代さんが言った。

「ええ。亜樹子さんのご友人や旦那さん、私の弟や夫が事件解決の為に行ってるのですけど。」

霧子も不安げに言った。

「なるほど。」

 

「「「う~ん…。」」」

 

三人して頭を抱えていた。

「…て、ごめんなさい。五代さんには関係ない話ですよね。」

私は言うと、五代さんは真剣な表情になった。

「いや、そんなことないです。」

五代さんが言った。

「え?」

「俺が旅をしてるのは、誰かの笑顔を守る為なんです。偶然とはいえ、この街の人が悲しんでいるなら、放ってはおけないですよ。」

五代さんが言った。

何だか翔太郎くんみたい。

ふとそう思った、その時だった。

 

ファーーーーーーーーーン。

 

急に街中にサイレンが鳴り響いた。

 

『警視庁から緊急放送です!風都民の皆さん。テロ集団ネオシェードの活動が確認されました。外出されてる方々は速やかに屋内に建て込もってください!繰り返します。』

 

「そんな!?」

竜くんがもう追い詰めたと言っていたのに。再び不安が押し寄せてきた。

「ママ!」

春菜と英志くんがそれぞれ母親の元へ寄ってきた。

「亜樹子さん、事務所に戻りましょ!」

霧子さんが言った。

「その方がいいですね。俺は、街の方を見てきますから!」

五代さんはそう言うと街の方へ行こうとした。

「五代さん、危ないですよ!?」

私は咄嗟に五代さんを呼び止めた。

「大丈夫!俺に任せてください!」

五代さんは、こんな状況でも笑ってみせた。

そして、街の方へ駆けていった。

 

なんて、強い人なんだろう。

 

私は思った。でも、それが大事なんだろう。

きっと五代さんも不安なはず。でも笑顔を見るとそんな不安な気持ちが和らぐ。

私達が今できることは、笑顔でみんなの帰りを待つこと。仮面ライダー達の仲間として、そして母親として。

 

事務所へ戻る途中、街中に爆発音が響き渡った。

「キャア!」

「ママ!」

「大丈夫!」

私は春菜を抱えた。霧子さんも同じく英志くんを抱え走り出した。

しかし、最悪なことにネオシェードと思われる大軍団と鉢合わせてしまった。

「風都民よ!もはやネオシェードに未来は無くなった!しかし、このままでは終わらせない!この街ごと道連れにしてやる!」

ネオシェードの一人が叫んだ。

「何よ!勝手なことを言わないで!あんた達の好き勝手なんて仮面ライダーがさせないんだから!」

私は叫んで言った。

「はっ、言うじゃねぇか!だがな、お前の言う仮面ライダーどもは、全員俺達のアジトに向かっている。誰がここを守るってんだ!?」

「…っ!」

あいつの言う通りだった。

「まさか、この状況を知って攻めてきたんですね!」

霧子が言った。

「察しがいいな!そういうことだ。お前達も道連れだ!」

ネオシェードがそういうと、全員怪人に代わり迫ってきた。

「こわいよ!」

「大丈夫、ママがあなた達を守るから!」

私はそう言うと、事務所から持ち出したガイアメモリを取り出した。

 

バット!

 

スパイダー!

 

スタッグ!

 

ビートル!

 

メモリガジェットにそれぞれメモリを装填すると、それぞれライブモードとなり、ネオシェードに向かった。

 

ブォン!

 

さらに霧子の周りからミニカーのような物が走り出して、同じくネオシェードに向かった。

「ええい、鬱陶しい!」

少しだけネオシェードは動きを止めたが、力ずくでそれらを払いのけ、再び私達に迫ってきた。

「助けて、竜くん!」

私は春菜を、霧子さんは英志を庇うように抱き寄せ、背を向けた。

 

「ぐわっ!」

 

私達にネオシェードの攻撃は届くことはなかった。

「大丈夫か?」

男性の声がした。

「っ!竜く…。」

私は振り返りながら夫の名前を口にしかけたが、途中で声が詰まった。

私の知る夫、照井竜は赤い革ジャンのライダースを着ている。が、今私の目の前にいる男は、真っ黒な革のロングコートを着ていて、どこか影のある男だった。

「…誰?」

私は黒コートの男性に言った。

「下がってろ、あなたは俺が守る。」

黒コートの男性が答えた。

「俺が本当の地獄を見るのは、どうやらまだ先らしい。あなたのような美しい女性の側にいられるなら、俺は…。」

 

え、もしかして私、一目惚れされた?

 




サイドストーリーズ・照井亜樹子編 前編
いかがでしたでしょうか。

今回はあまり登場しなかったヒロイン・照井(鳴海)亜樹子と泊(詩島)霧子の二人が主人公のお話しです。
彼女達にはお子さんがそれぞれいますから、照井春菜(5)、泊英志(3)のつもりで描いてます。

そんな彼女達の前に現れたのは、まさかまさかの2000の技を持つ男・五代雄介!
これから彼が物語にどう絡んでくるのか。

そして、最後に現れた黒コートの男。その正体とは。

次回、後編です。
お楽しみに!


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ほんとに凄かった 照井亜樹子の語彙力が死んだ話 後編

照井亜樹子視点


「貴様、何者だ!?」

ネオシェードの一人が言った。

「あ、コイツ知ってるぞ!警視庁襲撃組を全滅させた仮面ライダーだ!」

別のネオシェードが答えた。

「「ええ!?」」

私達は揃って驚いた。

「だが、所詮ライダー一人だけだ!行くぞ!!」

ネオシェードが構えたが、再び彼らの前をバイクが横切り、行く手を阻んだ。

「亜樹子さん、霧子さん!大丈夫!?」

ヘルメットから五代さんが顔を出して言った。

「五代さん!」

霧子さんが言った。

五代さんは私と春菜、そして黒コートの男性を見て、一言言った。

「もしかして、旦那さん?いや、カッコいいなぁ。」

「ちちち違いますよ!」

私は全力で否定した。

「このおじさん、パパじゃなーい!」

春菜も全力で否定した。

「…旦那が、いるのか?」

黒コートの男性が聞いてきた。

「うん、ほれ。」

私は左薬指に嵌められた婚約指輪を見せつけた。

「ちなみに私も。」

と、霧子も私に続いた。

「…またか。」

黒コートの男性は深くため息をつきながら言った。

「…どうせ、俺には地獄がお似合いなんだ…。笑えよ、俺を…。」

黒コートの男性は五代さんを見ながら言った。

「えー…っと…。ま、まぁ、この先きっと良いことあるから、大丈夫ですよ!」

五代さんは笑顔でサムズアップをしてみせた。

「こらぁ、無視すんじゃねぇぞ!」

ネオシェードの一人が言った。

「往生際が悪いぞ、ネオシェード。」

別方向から声がした。

白いジャケットに暗いデニム、癖毛の男性が現れた。

「あの人って、G'sヴィンテージのオーナーさん?」

霧子さんが言った。

「仮面ライダーG!?貴様が何故ここに!?」

ネオシェードの一人が言った。

「ええ!?あの人も!?」

私はさらに驚いた。

「ネオシェードの本拠地にライダー達が総力を上げてるとなれば、こちらが手薄になる。そこを攻めて来る事ぐらいわかっているさ!」

Gと呼ばれたオーナーが言った。

「くっ…、おい貴様!!話と違うじゃねぇか!!」

ネオシェードの一人が仲間と思われる男性に悪態をついた。

「何も間違っちゃいない。俺は、今なら"風都"のライダーはいない。と言っただけだ。当たってただろ?」

と、黒いスーツにピンクのシャツを纏った男性が挑発的に言った。

「なるほど、やはり君の仕業だったんだね。士君。」

オーナーが黒スーツの男性・士さんに言った。

「ま、そういうことだ。矢車想、お前も手を貸せ!」

士が黒コートの男性・矢車さんに言った。

「…ハァ。どうせ俺は、お前みたいなヤツに濃き使われるのがお似合いなんだな…。」

矢車さんは凄くネガティブな発言をしながら手を構えた。すると、どこからともなくバッタのようなものが現れ、彼の手に収まった。

「五代雄介。お前は戦わないのか?」

士さんが五代さんに言った。

「五代さん、あなたももしかして…?」

私は五代さんを見て言った。

「…。俺は…。」

「五代さん?」

五代さんは拳を強く握り締めていたが、戦うことに迷っている様子だった。

「なら、そこで見てろ。」

士さんはそう言うとカードを構えた。

「さぁ、覚悟しろ!ネオシェード!」

オーナーも小さなワインボトルを手に取って言った。

「変身!」

 

「変身!」

 

カメンライド・オーズ!

 

タ!ト!バ!

タトバ・タ!ト!バ!!

 

「変身…!」

 

HENSHIN!

 

Change!KICK HOPPER!!

 

男性達が目の前で仮面ライダーに変身した。

「うっそぉ!?」

私は口をあんぐりと開けていた。

「行くぞ!」

仮面ライダーGの合図で三人のライダーはネオシェードに立ち向かって行った。

とはいえ、相手は相当な数がいた。三人がかりでもかなり手を妬いてるようだった。

「…亜樹子さん、霧子さん!あなた達はお子さんを連れて早く逃げて!」

五代さんが促した。

しかし、私達が動き出そうとしたときに、行く手を阻むようにネオシェードが現れた。

「逃がさんぞ!貴様らも道連れだ!!」

ネオシェードの怪人が私達に迫り来る。

でも、五代さんが間に入り、応戦していた。

「五代さん!!」

霧子さんが叫んだ。

相手は怪人。生身の人間が挑むなんて、いくらなんでも危険過ぎる。

「うわっ!?」

五代さんが力負けして吹き飛ばされた。しかし、それでも彼は立ち上がり、ネオシェードに立ち向かった。

「五代さん、危ない!一緒に逃げましょ!!」

私は五代さんに言った。

「ダメだ!こんな奴等のために、あなた達の悲しむ顔なんて見たくない!!だから、俺がみんなを守る!!」

「ならば、何故変身しない!?」

五代さんの答えに、オーズという仮面ライダーが戦いながら尋ねた。

「くっ…。」

今度は五代さんが黙ってしまった。

「誰かの笑顔を守る…。そんなこと言っている君が、そんな顔をしてどうするんだ!」

Gも戦いながら言った。

「どうせ俺は、誰かを笑わすことすら出来ないのに…!」

キックホッパーという仮面ライダーもみんなに倣った。

「お前の言う守りたいという思いは、その程度なのか?仮面ライダークウガ!」

「え!?」

オーズが畳み掛けるように言ったが、それより五代さんを仮面ライダーと呼んだことに驚いた。

「五代さん、あなたも…。でも、どうして!?」

霧子さんが尋ねた。

「…。」

何をそんなに迷うの?

その気持ちが揺らぐ原因って?

彼に何があったの?

五代さんの表情を見たときに、私はふとそう感じていた。

「このまま死ねぃ!」

再び、ネオシェードが仕掛けようとした時だった。

 

ファンファンファンファン…

 

パトカーのサイレンが鳴り響いた。それも複数だ。

数台のパトカーが現れると、次々と拳銃を手にした警官達がネオシェードに応戦し始めた。

「警視庁か。」

キックホッパーが気づいた。

「生身の人間が、無茶だ、退け!」

「いや、その心配はなさそうだ。」

Gが言ったが、オーズがそれを遮るように言った。

私達の前に一台のパトカーが停まり、ガタイの良い壮年の警官が車から降りてきた。

警官が五代を鋭い目付きで見ると、一言言った。

「君の気持ちは、わかる!」

「え!?」

五代さんは面食らった顔をした。

「いくら敵とはいえ、その拳で戦うことに苦痛を感じている。それは、君が戦うことを拒む平和な心の持ち主だからだ。」

警官が丸で五代さんの気持ちを代弁するかのように言った。

「勝手に現れてベラベラ喋りやがって!」

ネオシェードが警官に攻撃を仕掛けた。

「ハァ!!」

「ぐはぁ!!」

でも、警官は敵の攻撃を見切ってかわし、重そうな拳を敵に叩きつけた。

「だが、偶然とはいえ、力を手にしてしまった以上、その力を使う責任を果たさなければならない!たとえ、悲しみを一人で背負うとしてもだ。」

警官は力強く、でも静かに五代さんに言った。

「しかし!君が力を得たのは、必然だ!そして、その力で君が今まで為してきた事は、平和を願う君の気持ちそのものだ!」

「俺の、気持ち。」

五代さんが言葉を繰り返した。

「君の戦う理由はなんだ!?」

「俺は、みんなの…、みんなの笑顔を守るために戦う!!」

五代さんが答えた。

「貴様!何者だ!?」

ネオシェードが言った。

「俺か?」

オーズが言ったが、

「いや、君じゃない。」

と、Gに言われていた。

「俺の名は、本郷猛!またの名を、仮面ライダーだ!」

そう言う警官の腰には、いつの間にかベルトが巻かれていた。

「行くぞ、五代君!!」

「…はい!」

奮起した五代さんが自身の腰の前に両手をかざすと、ベルトのようなものが姿を現した。

そして、二人とも構えた。

「ライダー…!」

 

「「変身!!」」

 

本郷さんの体を木枯らしがWのそれと同じように包み込んだ。間もなく、黒い体に銀のグローブとブーツ、赤いマフラー、バッタのような赤い複眼を持つ仮面をした仮面ライダーの姿に変わった。

 

一方の五代さんは、赤く光るベルトを中心に姿が変わっていき、同じく赤い鎧のような体に、金の角を持つ仮面ライダークウガの姿に変わった。

 

「凄い!!」

霧子さんが声を上げた。

「何これ!!わたし、聞いてない!!」

私も叫ぶように言った。

「がんばれー、かめんらいだー!!」

「がんばえー!!」

娘達も応援し始めた。

 

「我ながら、とてつもないシチュエーションだね。」

Gが感心していた。

「まさかこの俺に、まだ見ぬ光があったとはな…。」

キックホッパーが言った。

「さて、これで俺の役目は終わった。後は、こいつらを片付けるぞ。」

オーズが手を払いながら言った。

「皆さん、心配掛けました。俺も戦います!」

クウガが言った。

「みんな、行くぞ!」

仮面ライダーの一言で五人のライダーが立ち向かった。

 

迫るネオシェード。

まるで、地獄から現れたような軍団。

私達を狙う黒い影から、この風都の平和を守る為に。

今、仮面ライダー達が、ベルトを光らせながら戦っている。

「行けっ仮面ライダー!」

私は思わず叫んでいた。

「これで終わりだ、ネオシェード!」

仮面ライダーが言った。

 

ファイナルアタックライド!

OOOオーズ!

 

オーズは自身のベルトにカードを装填した。

それと同時に、Gもベルトのスイッチを押した。

クウガは、右足に炎を纏わせ駆け出した。

 

「ライダージャンプ!」

 

Rider Jump!

 

キックホッパーはベルトのバッタを操作し、高く跳躍した。

 

「とぅ!!」

 

続いて仮面ライダー、オーズ、G、クウガが高く跳躍した。

 

「ライダーキック!!」

 

Rider Kick!

 

「スワリング・ライダーキック!!」

 

「はあああああ!!!!」

 

「うぉりゃあああああああ!!!!」

 

「ライダぁキぃーック!!」

 

それぞれのキックが敵を次々と貫いて言った。

「ぐはあああああ!!!!」

「おのれ、仮面ライダーああああ!!!!」

「仮面ライダーがああああ!!!!」

「ライダーがあ、ライダーどもがあああああ!!!!」

断末魔と共にネオシェードの軍勢は、倒された。

 

「これで、僕の戦いもようやく終わった。」

変身を解いたオーナーが晴れやかな顔をして言った。

「お前はいいよな…。どうせ俺には、終わりのない闇しか待っちゃいない…。」

矢車さんが言った。

「それも悪くないだろ。いずれ、お前の前にも、お前だけの光が見えるさ。」

士さんが矢車さんに言った。

矢車さんは、ふんと鼻を鳴らすと、何処かへと去って言った。

「所で士君。何故君はさっきから本来の姿で戦わないんだい?」

オーナーが士さんに言った。

「この世界での役目は終わったが、俺の目的がこれからだからな。正体をさらす訳には行かないんだ。」

その時、私は士さんの正体を思い出した。

「そういえばあなた、確かディ…。」

その瞬間、銀のオーロラのようなものが現れた。そして、士さんが五代さんを見て言った。

「戦う意義、見失うなよ。五代雄介。」

そして、士さんはサムズアップして見せた。

「ありがとう!」

五代も、笑顔でそれを返した。

「ほぉ、中々言うようになったな、士。」

本郷さんが笑いながら言った。

「ふん、俺は通りすがりの仮面ライダーだからなぁ。また会おう、本郷猛。」

そう言うと、士さんはオーロラの中へ姿を消し、間もなくオーロラも消えた。

「さて、向こうもそろそろ決着が着く頃だろう。」

本郷さんも乗ってきたパトカーに乗ろうとした。

「本郷さん!ありがとうございます!」

五代さんが礼を言った。

それを見た本郷さんは満足そうな柔らかい表情を作り、そのままパトカーに乗って去っていった。

「これから、どうするんですか?」

霧子さんが五代さんに尋ねた。

「うーん、せっかく帰ってきたから、東京に行くよ。おやっさんや妹に、そしてあの人に会いにね。」

五代さんが答えた。

「いっちゃうの?」

春菜が五代さんに言った。

「ん?大丈夫、また会いに来るよ!」

そう言うと五代さんは娘の頭を優しく撫でた。

「ぼくもー。」

英志くんもおねだりした。

「はいはい。」

五代さんは同じく英志くんを撫でた。

「僕も東京に帰ろう。良かったら、僕の店に寄ってみてくれ。君に合う最高のワインを贈ろう。」

オーナーが言った。

「お、いいんですか?おやっさんも喜ぶだろうなぁ!」

二人はそれぞれのバイクに跨がりながら言った。

「それじゃ、またね!」

「翔太郎君によろしく伝えてくれ。」

そう言うと二人は東京を目指してバイクを走らせた。

 

こうして、私達の街・風都での奇跡の戦いは終わった。

程なくして、竜くん達も事務所に帰ってきた。

「お帰り、竜くん!」

「ただいま、所長。」

私達は熱い抱擁を交わした。

「進ノ介さん、お帰りなさい!」

「ただいま、霧子!」

同じく泊夫妻も抱き合った。

「おいおい頼むぜ。こんなところでいちゃつくなよ。」

翔太郎くんが羨ましそうに言った。

「ヒュー、ヒュー!お熱いねぇ、姉さん達!」

剛くんも冷やかすように言った。

「しかし、僕達がいない間、風都は凄く平和そうだけど、何もなかったのかい?」

フィリップくんが聞いてきた。

「そうそう!みんな聞いて!!ほんとに凄かったんだから!!!」

 

 




サイドストーリーズ
照井亜樹子編 後編
いかがでしたでしょうか。

サイドストーリーズ終章なので、「地獄の戦士」「芳醇の風」に登場したライダー達を再登場させました。

先手はキックホッパー・矢車想
続いて仮面ライダーGとDオーズ・門矢士
最後に、クウガ・五代雄介
本作本編の最後に登場した元警視総監、本郷猛改め仮面ライダー1号

彼らの活躍により、風都の平和は守られていました。

ただし、ディケイドがWやオーズに姿を変えていたのは何故なのか。
通りすがりの仮面ライダー、まだ裏に何かあるのでしょうか…。

以上を持って、サイドストーリーズ完結です!

続いてエピローグ編、お楽しみに!


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エピローグ編 15GREEDS

「警視庁特殊ライダー部隊。通称SART(サルト)の結成をここに発表致します!」

 

 

"ネオシェードの反乱"と名付けられた大事件から数ヶ月が経ったある日、加賀美警視総監から提案された。

SART。Special Assault Rider Teamの頭文字を取って名付けられたものだ。

 

怪人による超級犯罪の危惧。それを今回の反乱によって思い知らされた警察は、それに対抗するために警察に所属する仮面ライダーを結集させ、来るべき怪人犯罪の抑止力を目的として結成された。

基本的には、"ネオシェードの反乱"を鎮圧したメンバーが初期メンバーとして任命された。ライダー側は氷川誠、尾室隆弘を中心に再結成されたG5ユニットや、泊進之介、加々美新、警察官ではない故に限定的ではあるが、詩島剛、そして、この俺・後藤慎太郎が籍を置くこととなった。残念ながら、照井竜警視は、風都の治安維持を優先された為、候補から辞退されてしまった。しかし、風都に直接的被害が予想された場合は、快く協力するということは約束してくださった。サポーターとして、杉田刑事以下警視庁の警官が任命された。

結成されるや否や、既に数件の怪人犯罪を鎮圧した。最も、ネオシェード程の大規模犯罪ではないため、状況に応じてメンバーを分散したり再構築したりして鎮圧にあたっていった。

氷川刑事曰く、「アンノウンによる不可能犯罪と比べれば全然大したことはない。」だそうだ。

 

結成から暫く経った、ある日のことだった。

『怪人と思われる破壊活動の情報有り、SARTの出動を要請します。繰り返しますー』

署内をアナウンスが鳴り響く。SARTのメンバーはグリーティングルームに集結した。

「破壊活動の規模は!?」

杉田刑事がオペレーターに確認した。

「現在確認中ですが、三体の怪人の目撃情報有り!」

オペレーターが答えた。

「自分が行きます!相手の正体が不明ならば、弾力的に対応しやすいバースが妥当です!」

俺はすかさず提案した。

「僕も行きます!」

泊刑事も名乗り出た。

「わかりました。では、後藤さん泊さん、出動して下さい!G5ユニットも、現場周辺の安全確保を!」

氷川刑事の合図を受け、俺達は現場に向かった。

 

現場は騒然としていた。全身銀色の怪人が形振り構わず暴れまわっていた。

「なんだあいつらは!」

「とにかく、行きましょう!」

赤いスポーツカー型の警察車両・トライドロンとライドベンターから降りた俺と泊刑事は、すかさず怪人達の前に立った。

「ベルトさん、ひとっ走り付き合えよ!」

『OK!START YOUR ENGINE!』

泊刑事は、ベルトを腰に装着させると鍵型のスイッチを入れた。それと共に、手にした小型のスポーツカー型デバイスを左手首のブレスレットに装填した。

俺も、バースドライバーを装着し、左手首に着けたホルダーからセルメダル一枚取り出した。

 

「「変身!!」」

 

ドラーイブ!

ターイプ!スピード!!

 

泊刑事を赤い装甲が覆い、トライドロンから放たれたタイヤを装着すると、仮面ライダードライブに変身した。

俺の身体も、カプセル型のエネルギー体が身体の各所に散らばると、そこから装甲が展開され、仮面ライダーバースに変身した。

「行くぞ!」

ドライブは剣を、俺はバースバスターを手に、怪人達に立ち向かった。

「ハッ!」

「フッ!」

俺達は手持ちの武器を使って怪人に攻撃する。

 

シャリンシャリン!

 

すると、怪人の身体から血飛沫のように銀色のメダルが飛び散った。

「セルメダル!?」

俺は驚きを隠せないでいた。

「セルメダルって、確かグリードやヤミーを構成する物でしたよね!?」

ドライブが言った。

「ああ…。だが、グリードは全滅し、ヤミーも生まれないはず…。」

そう。グリードとヤミーは、数年前の激闘で全て倒されたはず。財団Xの手により再生怪人として甦ったことは火野から聞いていたが…。

「とにかく、やることは一つだ!」

俺は新たにメダジャリバーを持ち出した。さらに、セルメダルをドライバーに装填した。

 

CATERPILLAR LEG!

 

電子音と共に、俺の両脚にキャタピラーが装着された。そして、セルメダルを二枚ドライバーに装填し、セルバッシュモードを起動した。

「うおおおおおお!!!!」

キャタピラーから生み出される機動力で怪人に迫り、その勢いを乗せ、メダジャリバーを振り抜き、怪人を切り裂いた。

「ギッ!?」

空間ごと切り裂かれた怪人は、切り裂かれた空間が元に戻ると同時に爆散。メダルの塊になった。

 

ヒッサーツ!

フルスロットル!!

 

怪人を中心にトライドロンが弧を描くように走り出した。その中にドライブが飛び込むと、トライドロンを蹴り、その反動を活かして怪人に飛び蹴りを放った。また、怪人を蹴った反動で再びトライドロンに向かうと、さらに蹴り、繰り返しながら怪人を蹴り続けた。

「はああああ!!!!」

「ギギャー!!!!」

最後の一蹴りを浴びた怪人は、そのまま爆散した。

「よし、あと一体。」

所が、残った一体は、状況を不利に感じたのか、踵を返して逃げ出した。

「待て!」

俺達は怪人の後を追った。

暫く追い続けると、怪人はビルの窓ガラスに向かって走って行った。

その時だ。

「はっ!」

ガラスの中から、赤い身体の何者かが飛び出し、怪人を蹴り飛ばした。

「何だ!?」

ドライブが言った。

その人物は、赤い身体に銀の鎧のような装甲を纏っていた。よく見ると、登頂部には龍のシンボルが記されていた。そして、腰にはピンク色のバックルが備えられていた。

「仮面ライダー!?」

ドライブが驚いて言った。だが、驚くべきはその後だった。

 

カメンライド・オーズ!

 

タカ!トラ!バッタ!

 

タ・ト・バ!

タトバ!!

タ!ト!!バ!!!

 

赤いライダーがベルトにカードを装填すると、オーズに変身したのだ。

「オーズだと!?」

俺は思わず声に出してしまった。

 

ファイナルアタックライド

OOOオーズ!

 

再びカードをベルトに装填すると、オーズの両腕からトラクローが展開された。そして、思い切り地面を蹴り出し、怪人に飛びかかった。バッタの脚力から生まれた力をトラクローに乗せたオーズは、怪人を切り裂いた。

切り裂かれた怪人は爆散し、メダルの塊となった。

「あ…えと…。こちら泊、怪人の鎮圧に成功。任務完了しました。」

変身を解いた泊刑事が本部に報告した。

「お前…、火野、じゃないよな?」

同じく変身を解いた俺は、目の前にいる謎のオーズに向かって言った。

「…そうだ。」

オーズは一言呟くと、自身の変身を解いた。

現れたのは、ピンクのシャツに黒いパンツ、丈の長い白衣を羽織り、黒縁のメガネを書けた男だった。

「やはり、ミラーワールドには入れなかったか…。となると、俺の役目は研究員ってところか。」

男は言った。

「おい、答えろ!何故お前がオーズになった!何者だ!?」

俺はバースバスターを男に向けた。しかし、目の前の男は、それには動じなかった。

「じきに分かるさ。」

男は言った。それと同時に、俺のスマートフォンに着信が入った。

「出た方がいいんじゃないか?」

男はスマートフォンに出るように促した。

俺は、男から視線を離さずに、スマートフォンを取り出し、発信者を確認した。画面には、鴻上ファウンデーションの会長であり元上司の鴻上光生の名が記されていた。

「はい。」

「久し振りだねぇ、後藤君!!無事に、バースに復帰したようだね!素晴らしい!!」

会長のでかい声が鼓膜に響いた。

「会長、今それどころでは!」

「では、手短に要件を言おう。我が研究員・火野映司君の消息が途絶えた!」

「何だって!?」

俺は会長に聞き返した。

「詳しいことは直接会って話したい!すぐに我が社に来てくれ!」

会長はそう言うと、一方的に通話を切った。

「そう言うことだ。さっさと火野映司を探しに行け。」

男が言った。

「お前、何か知っているのか?」

俺は男に聞いた。

「大体な。」

男は続けて言った。

「オーズが忽然と姿を消した。となれば、オーズの世界の崩壊が始まってしまう。だが、心配するな。オーズが帰還するまでに、俺が代わりにオーズとなって世界の崩壊を防いでやる。だから、早くオーズを見つけてこい。」

男はそう言うと、男の背後に銀のカーテンのようなものが現れた。男は、その中に進もうとしていた。

「ま、待て!」

俺は、男を呼び止めた。

「ああ、俺が何者かって言ってたな?俺は、通りすがりの仮面ライダーだ。覚えとけ。じゃあな。」

男はそう名乗ると、カーテンの奥へ消えて行った。そして、カーテンも霞むように消えた。

「火野…。どこに行ったんだ…?」

火野の失踪。これが、新な戦いの幕開けとは、俺にはまだ理解出来ないでいた。

 

 

 

 

 

 

新作予告

 

突然、姿を消した火野映司。彼がたどり着いた先は、かつてない程の欲望に満ち溢れていた狂気の世界。そこでは、己の欲望の為に15人の仮面ライダー達が潰し合っていたのだった。

 

「仮面ライダーオーズ 15GREEDS」

近日公開予定




エピローグ編

という名の次作予告。いかがだったでしょうか。笑

今作において、"ネオシェードの反乱"が勃発。それを受けた警察組織が、ライダーを中心とした新たな組織SARTを結成しました。
SARTの物語。あるのか、ないのか。

そして、今作サイドストーリーにて、某通りすがりの仮面ライダーさんがオーズとして現れた理由の一つが、明らかになりました。
オーズの失踪。これが、次回作のメインとなります。さらに、通りすがりの仮面ライダーさんがオーズになる前に、赤い龍のライダーとして登場しましたが、これには意味があるのでしょうか。

次回作、お楽しみに!


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