ゴールデンロード ~君のための道となる~ (kanakana_tuin)
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プロローグ

えと、ども。絶狼201です。金恋で理亜√が自分的にハッピーエンドじゃなくて結構リアルでも支障きたしてるので、書かせていただきます。

それと、批判したり文句付けたりしたいやつ帰ってくれ。俺は好きで書いてるし、自己満足のために書いて公開してるだけだ。それと、同士が欲しいから、高評価くれたりうれしい感想とか来ると嬉しいです。すでに作者はリアルで恋が出来ないぐらいにまで落ちているので。ではどぞ。


あ、それとタイトルコール的なので区切るから。場面の切り替えは多分分かりやすいと思う。


一人の少年の手元にある箱の中には金色が入っていた。

 

その中の物を見つめる。女の子二人と男の子一人。

 

「金色だ」

「金色デス」

「ああ、金色だな」

 

箱の中にあった金色が、全ての始まりだった。

 

そう、金色の時の始まり。

 

そして男の子はそれを手に取り

 

「うん……これあげるよ」

「いいノ?」

「ゼロ……アリガト」

 

それから、男の子は女の子と話すようになった。

 

そして、3人は仲良くなり、この世界で生きる意味を見つけた。それが俺だ。

 

俺は求めていた、金色を。

 

あの二人に会うまでは世界が黒かった。

 

だが、あの二人は何物にも侵されない、無垢な輝き。金色と一緒だった。

 

だから、俺は道を作りたかったのだろう。

 

「じゃあ、どうして俺たちを裏切ったんだよ!」

「澪史くん―――どうして…」

「さぁ…な」

 

みんなを導いてやりたかったのかも知れない。道を作りたかったのかもしれない。

 

それと同時にかっこつけたかったのかもしれない。

 

だから。

 

「ふわっ」

「うっし、捕まってな」

 

こんな変な状況になるとは思わないぞ。

 

誰にでもあるでしょ?その場の勢いってやつがさ。

 

俺は道を作りたかった。金色の道…ゴールデンロードってやつをな。

 

その結果が

 

ドレス姿の女の子を抱えて街中を疾走するとは思わないだろ?!

 

「まて、止まりなさい!」

「止まれええええ!」

「止まってほしいなら追い付いてみやがれ!」

「あらあら」

 

まさか、黒服な奴らに追いかけられてお姫様を抱っこして逃げるのは普通ない。

 

で、どうしてこうなったかというと。それは寝起きまでさかのぼる。

 

 

 

【金色ラブリッチェ ゴールデンロード】

 

 

 

懐かしい夢を見た。あれは確かキャンプの時か。

でも、名前がはっきり思い出せないんだよなぁ…

確か…

 

prrrrrr

 

思い出そうとしたところで電話が鳴る。

 

「…もしもし?」

「あ、澪史君?起きt――」

 

声で分かったので速攻で電話を切る。だが、再びなるのですぐに出る。

 

「もう!いきなり切るなんて酷いじゃない!」

「うるさいなぁ。別にいいだろ?どうせ、口うるさいんだから。そして、言ってなかったけどこれから用事あるから電話してくんな」

「え、ちょ。聞いてないn」

 

返事を待たずに切る。…全く。うるさいんだから…。まぁ、用事は無いけどこうでも言っておかないと

 

prrrrrrr

 

あっれれー?おかしいぞー?また掛けてきたのか!

俺は名前も見ずに電話に出る。

 

「うるせぇーな電話し

「俺だよ、馬鹿野郎」

「てくんなって。名人お前かよ!」

 

名人は俺のちょっとしたことに関係してる人物だ。

 

「あ、お前。今日空いてるよな?」

「は?なんでだ?」

「いやさ、仕事が入ってさ、今日と明日。どっちがいい?」

「今日は却下。明日でお願い。要件はそれだけ?」

「そんな感じかな。そんじゃまたな」

 

一方的な感じで伝えて来て切りやがった。ま、いいけど。

さてと、暇だし出かけるか。

 

 

ぼんやりとした足並みで街中を歩いていると声が聞こえた。

 

「放しなさい!」

 

歩いてたらそんな声が聞こえて

 

「放して!わたしにはやらねばならない使命があるの!」

 

声の出所を見つけるより先にぶつかられた。

 

「ひゃっ」

「おっと。失礼—――」

「いえ、こちらこそ」

「ん?」

 

一目見て可愛い子だと思った。それと同時にインパクトの塊みたいな感じだった。

どっかの式場から逃げてきたのか煌めくシルクのドレス。頭には重たげなくらいの宝石の編み込まれたティアラ。顔つきはもちろんスタイルも完璧だ。なによりその、おとぎ話にしかないような金色の髪に目が奪われる。

太陽のように金色の長い髪。

 

だが、次の瞬間には

 

「お待ちください!」

 

俺たちの周りを10は超える黒服の男たちに囲まれる。…え?黒の黒ずくめか?コ〇ン?   冗談だ。

 

女の子は彼らに鋭い目を向けており、男らは、明らかに俺を警戒しながら近づいてきた。

 

「こっちに来なさい。大人しくして」

「おかしな動作はするなよ」

 

物騒な様子でいきなり無礼な言い方をされれば俺だってもちろん警戒する。

特に寄ってきた男が胸元に手を入れて、応援のためのトランシーバーか拳銃化は分からない。けど、面倒になるのが分かったので取り出す前に

 

「こっちだ!」

「ふぇ!?」

 

彼女の手を引いて逃げたのは間違いではないと思う。ま、それが要因で、応援が更に増えるのは目に見えてたから、まだ安全な方向に賭けただけさ。

 

「ッ!マルタイ逃亡!至急応援を頼む!」

 

だから逃げた。乱暴そうな男たちに追われる女の子。誰だってまず保護するだろう。だから間違えたとは思わない。

 

「ひゃっ、ひゃっ」

「走れないのか?」

「ごめんなさい、ヒールが高くて」

 

長いスカートを持ち上げてみせると、確かに走りには向かないヒールだった。なので

 

「よっとな!」

「ふわっ」

 

お姫様だっこだ。ま、怪我するのは大変だからな。こうするのも当然だ。

 

だから俺は当たり前のことを。いや、流れに従ったのだが

 

「待てええええ!」

「姫様をはなせえ!」

「こらまてええええガキぃいいいいーーーーー!」

「あれれ?多くなってませんか?つか、100は超えてるだろ!!?」

 

まさか100を超えるとは思わなかった。黒服は商店街は埋め尽くすだろう人数になっていた。このままならいつか囲まれるかやらかして捕まるのがおちだ。待てよ?俺、そもそも逃げてはダメだと思ったが、彼女が全然抵抗しないんだもん。間違ってはいないと思う。

 

「念のために聞くが、君はあの人らから逃げたいんだよな?」

「えと、ええそうね。今、捕まるわけにはいかないわ」

 

本人がそういうなら別にいいか。

 

「よし!なら捕まってな!危ないぜ!」

 

なので、俺は黒服の人たちを撒くために

 

 

飛び上がり建物の上に乗ったのだ(・・・・・・・・・・・・・・・)

 

 

「「「「「ええええええええええ!!!???」」」」

 

勿論だが、彼女と黒服の奴らは驚きの声を上げたのだ。彼女は普通に40は確定であるので普通は飛び上がらないし、そもそもそこまで脚力がないためそんな事は出来ません。

まぁ、俺は特別だしな…

 

そして、そのまま建物を走り飛び黒服たちを撒いたのだ。

 

一人の少女?さあ?

 

 

 

 

 

【金色ラブリッチェ ゴールデンロード】

 

 

 

 

「ふっー。ふーっ」

「大丈夫から?」

「まぁな。少し疲れたかな?」

 

久しぶりに全力で疾走したのだ。だがそのおかげで追っ手を撒けた。

 

「さてさて。ここらへんで更に隠れられる場所ってあるか?」

 

今いる場所は湖。浜松湖の付近だ。

 

「そっちね。あ、それと。もう平気よ。甘えちゃってごめんんさいね」

「なーに、気にすんな。でもその靴は?」

「大丈夫よ」

 

そう言って、彼女はその靴を、ぽいぽいって捨ててしまった。

長いスカートをたくし上げて、ぎゅっと雑に結ぶ。

 

「さ、行きましょうか」

「…ああ」

 

シルク製の綺麗なソックスが汚れるのも気にしないでどんどん奥に歩いていく彼女。

 

「そうそう、自己紹介しなくちゃね。シルヴィアよ。シルヴィア・ル・クルスクラウン」

「おう」

 

歩きつつ頭を下げて笑顔で紹介してくれた。ま、分かるけどやっぱり外国人らしいな」

 

「シルヴィと呼んでちょうだい。えっと

「澪史だ。巻上澪史」

「レイジ。分かったわ。よろしくね」

 

緊張感なさすぎでしょ。まぁ、追っ手を撒けたからいいけどさ。ともあれ、どんどん道を進んでいく。てか、どこまで続いてるんだ?

あれ?この何もない丘になぜ道があるんだって

 

「は…?」

「ふう、到着」

「門?てか学校?え?」

 

数年前まで何もなかった丘の奥には、でっかく敷地が取られていた。

あ。思い出した。最近この辺に学校ができたって聞いてたけど、ここって

 

『私立 ノーブル学園』

「ここにあったのか、ノーブル学園って」

「ご存じ?」

「そりゃ、この街の住人だしね」

 

すんごいお金持ちの通う学校ってのは聞いてるけど、ノーブル学園が身近にあるとはなぁ…。ってあれ?名前も聞いたな。そいえば、4月ぐらいにどっかの国のお姫様が、今年から入学することに決めたとか

 

「シルヴィア王女がさらわれただと!?」

 

っと。声のした方を見てみると物騒な感じの女性が出てきた。

そして、開ける時間が惜しいのか、締め切られた門を軽々と飛び越えた。…彼女、意外と身体能力高いのか?

とか思っていると、女性は手にした携帯に怒鳴りつけながら

 

「しかも、そいつは尋常ならざる脚力の持ち主だと?!それは不味い!即刻市内全域を緊急隔離!この国の警察はあてにならん!騎士院派第0部隊を動かせ。…言い訳はいい、いまそちらへ行く待っていろ!」

「あらエル、お出かけかしら」

「はいシルヴィ様。緊急事態です。今、シルヴィ様が攫われたと……は?」

「うん?」

「…」

「…」

「エキスナ、ボラルコーチェ。こちた現在学園の門の前。シルヴィさ…シルヴィア王女がいらっしゃるのだが。私をからかったのではないのだな。分かった。お前たちはあとで始末書を出すように。……姫様!」

「うふふ、なにをピリピリしてるの、おかしなエル」

 

そりゃ、誘拐なんて聞いたら焦るでしょ。あ、犯人俺っぽい。

 

「はあ……誘拐されたと聞き心臓が止まるかと思いました」

「……」

 

ん?いや待てよ。俺って結構ヤバいよな。つまるところ、

 

「貴様が誘拐犯か!」

「ですよね!ってありゃ!??」

 

ブウゥウン。……シュタッ。

逃げようとした矢先、速攻で投げられるが速攻で逃れて着地した。

 

「おいこら!いきなりなにすんだよ!」

「ッ?!今ので着地するとは……」

「聞く耳なしですか…」

「こうなれば…覚悟!」

「え…剣?!」

 

彼女、エルって言ったか?が剣を取り出して俺に切り掛かってくるが、俺はそれを真剣白刃取りして、無理やり奪い取る。

 

「全く…。俺が一般人とかけ離れてて良かったな。下手したら死んでたぞ?」

「まさか、真剣白刃取りを生で見れるとは思いませんでしたが、武器は一つではありません!」

 

そして、彼女はまた一つ剣を取り出す。

 

「なあ、シルヴィさん?彼女ってどれぐらい強いの?」

「んー、そうね。分かりやすく例えるなら内のフェンシング部のエースよ」

 

オーマイ。こりゃ、苦戦しそうだな…

 

「よそ見してる場合ですか?」

「ま、普通ならな」

 

シルヴィに強さを聞くために振り向いたが俺には通用しないぞ。

 

ガキィィン!

 

剣と剣がぶつかる音が聞こえる。彼女なりに本気で殺そうとはしてないものの、腕などは狙ってきてたのでそれに合わせるように、剣をその場に置いたのだ。その方向を振り向きもせず(・・・・・・・・・・・・)

 

「なッ?!」

「あらあら」

「剣の扱いとか戦いとかこう見えて慣れてるんだよ…なッ!」

 

振り向きざまに力を入れて彼女の剣を吹き飛ばすが、後ろから飛んできていたものには気が付かなかった。

 

「ッ?!…この感覚は麻酔弾か。流石に薬物には勝てませんわ」

「澪史?!」

「はぁ…はぁ…今回は運が良かっただけみたいですね。まさかここまで強いとは……」

 

俺は倒れて、その言葉を最後に俺は気を失った。

 

 

 

そう、これが俺の中での人生におけるゴールデンタイムとなり、いつしかゴールデンロードとなる物語の始まりだった……。

 

 

 

 

 




この作品の主人公はかなり身体能力高めで若干不良に近いかも知れないが意外といい奴。昔の事は案外覚えてる。だが、再会するまでは大抵忘れている。

なぜ、彼がゼロと幼いころ呼ばれていたのかは今は謎である……




質問とかあったら頂戴ね。出来る範囲で答えます。


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第一話 ソルティレージュってなんとなく怖い

絶狼201です。金恋GTでやっぱり泣いてしまって火が付いたので投稿再会です。


「えー」

「……」

「コホン。シルヴィア様、シルヴィア・ル・クルスクラウン・ソルティレージュ・シスア様は誉れ高きソルティレージュ王国王家、シスア家のご息女であられる」

「簡単に言えば、お姫様なのか」

「日本風に言うとそうなるわね」

「ソルティレージュ国の第九王女。即ち、我が祖国ソルティレージュの至宝とも及ぶべきお方なのだが、そのことは知っていたか?」

「いいえ、全然、何も、これっぽっちも、知りませんでしたね」

 

っていうのは嘘だ。

俺の名は巻上澪史だ。現在、俺は麻酔弾に撃たれて意識を失って目覚めたらこの状態だ。そして、なんで嘘かというのは名前は知っているからな。うん。こうでも言わないとねぇ...

 

「そうか。ではひとまず腕を取るのはやめよう。ボラルコーチェ、剣を離せ」

「はい。分かりました」

 

そう。なんであんな事を言ったのかはぐるぐる巻きで縛られ、その上に伸し掛かり右腕にでっかいサーベルを載せていたからだよ。いや、まぁ。この縛られた状態でも落ち着いていられるのは簡単にこの縄は力づくで千切れるからな(おさらいですが、主人公は一言でいうと超人です。)

 

「もうエルったら。ボラルコーチェにエキスナも、誤解だと言っているでしょう」

「おうおう。もっと言ってやってくれよ」

 

それとトイレに行きたいのだ。現在、全気力を総動員してトイレを我慢しているのだ。あ、そうそう。トイレって我慢しすぎると体に悪くて(ry

 

まぁ、それはさておき。学園の一角に連れてこられているのか気が付けば黒服な人たちが集まってきて、室内だけで50人強で外には500人は居そうだな。つまり逃げられる確率はほぼ0と言っても過言ではない。しかも、100人は超える人数から振り切ったり超人的な能力を見せた俺に警戒かむかついているのか知らんが黒服sな人たちの目つきは厳しい。つまり、俺の、味方は

 

「澪史はわたしが襲われてると勘違いして助けてくれた。それだけよ」

 

彼女のみかな?

これなら助かりそうかな。など思っていたら…

 

「しかし、シルヴィア王女。もしかしたらランダムに選んだ人を誘拐するような人でその標的がシルヴィア王女だったかも知れませんよ」

「あ、それはありそうね」

 

前言撤回。あんまり頼りにならねぇ。それとさ、俺がやばい奴だとは思うけどそれはひどくないか?そんな変態じゃねぇよ!

 

そして、先頭に立ってる人からはなかなかの強者のオーラを感じる。それに先ほど、少し相手をして分かったがそうとうなやり手だろう。しかも、恰好がまさに騎士って感じだしなぁ。あの剣、案外軽くて使いやすかったのは高得点だ。うんうん。しかも美人だ。更に高得点だね。

 

「なんです、ジロジロ見て」

「んにゃ、なんでもないぞ」

 

流石に、今この場で褒めるわけにはいかねぇよなぁ。警戒されてんだし

 

「うふふ、エルは美人だから、殿方は見ちゃうわよね」

「ちょ、シルヴィ様」

「いや、美人だと思うぞ。二人ともな」

「「え?!」

 

おっと。口が滑った。

 

「貴方は急に何をおっしゃるのですか!?」

「え、えっとありがとう……」

 

うーん。いい反応だなぁ。照れる子って可愛いよなぁ。

 

「こほん。紹介するわ澪史。こちら近衛騎士のエロイナ・ディ・カバリェロ・イスタ。エルと呼んで。わたしの……そうね。一番のお友達よ」

「おう。どうも」

 

エロイナ。いかんいかん。アホな事はやめよう。今なら余裕で切られる自信があるからなぁ。

 

「あー、シルヴィア、様って呼んだ方がいいのか?」

「そんなにかしこまらなくて結構よ。気軽にシルヴィと呼んで欲しいわ」

「なら、シルヴィ―――」

「……」

 

エルさんがジト目で見てくる。つまり、駄目みたいですね。

 

「ア、様」

「ンもう」

 

王族。まさにファンタジー感満載な単語だ。けど実際世界にわりとあふれてる制度だしな。日本にもそんな感じのあるしってこの話は思い出したくないな。ソルティレージュか。……ん?ソルティレージュ?んー、何か引っかかるなぁ。

 

「まぁ、シルヴィア様が王女で、この人達は護衛従者って感じかな?」

「ええ。その通りよ。みんなわたしの頼れる護衛従者よ」

「我らはソルティレージュ王室を代々お守りする、騎士院の物だ」

「なるほどねぇー」

 

やっぱり騎士じゃねえか。しかも今よくよく周りを見たら誘拐犯って顔じゃねえな。前に見た誘拐犯の方が如何にもって感じだったし、これは俺がバカやってるなぁ。

 

「あー、聞きたいことがあるんだけどみんなシルヴィア王女万歳って感じかな?」

「「「「「勿論です!」」」」」

「えっへん」

 

やべぇ。カリスマたけぇ……。どこぞのネットのうー、とは違う。こう感じる物がな。しかも身分がどうのでなく、黒服s全員、彼女に心酔してる感じだね。凄すぎます!だが、だからこそ気になるのがある

 

「ならなんで揉めてたん?」

 

街中で言い合ってれば気にもなるし心配にもなるわ。

 

「あー……あれは」

「そうでした。それも聞かないと。シルヴィ様。お昼休みに学園を抜け出してどこへ行かれていたのです?」

「あう」

 

なんか気まずそうに眼をそらすシルヴィ。なんかホント、ショーもないことな気がしてきたなぁ。

 

「確かなことは申せませんが、シルヴィア様が常々、近くのパン屋のメロンパンに興味をお持ちでしたこと。本日突然昼食は要らぬと申しだしましたこと」

「昨日そのパン屋が美味しかったと話されていた、ご学友の妃様と一緒に抜け出していたことに鑑みますに」

「……シルヴィ様」

「てへ☆」

 

これあれでしょ。追跡して見つけて戻るように伝えたら予想外に抵抗されたんだろ?そうだろ?それで俺がちょうどそこにやってきて勘違いしたと…。我ながら恥ずかしくなってきたじゃないの。

 

「それで抜け出したシルヴィア様を追跡し、見つけまして戻るようにお伝えしたところ、予想外に抵抗されたのでございます」

「巻上さんが来たのがちょうどそこですね」

 

ほらね?予想あってたでしょ?はっずいなおい。

 

「だってぇ。まだ買えてなかったんだもの。あと30秒待ってくれればよかったのに」

「昼休みとはいえ学園を抜け出すこと。加えて買い食い。どちらとも学則に違反します」

「ぶー」

「そんなに欲しかったらエキスナさんとかに頼んだらよかったんじゃない?」

「あら?その手があったわね。澪史も中々やるわね」

「そいつはどうも」

 

はぁー。俺はホントにどうしてこうなった。

 

「あー、俺が何をやらかしたかは分かったぞ」

 

要するに関わりたくない事に自分からカッコつけて飛び込んでったわけだ。

 

「わいってやはり誘拐犯って事になるの?」

「そうなります」

「デスよねー」

「ボラルコーチェ、凝血剤の用意はできていますか。腕は落としても命までは取らぬように」

「心得ております」

「ふぁ?!マジですかいな!!」

 

正直、腕はやめぇ。

 

「いやホント俺が誤解してたわ。だがな、俺は彼女が心配だったんだよ!分かるっしょ?」

「そうよみんな。澪史はいい人だと思うわ」

 

片腕持ってかれるなら大暴れしてやるぞこら。縄ほどいて剣奪って暴れてやるぞこら。あ、でもそんなことして大事件になったらちぃが悲しむな。やめとこ。でもほんとに勘弁してくれ。

 

「ことは単純ではありません」

「ほわい?」

「我らも馬鹿ではない。誤解であろうことは分かっています。ですが、先ほどエキスナが言った通りそう言った危険性はないか精査中です」

「精査か。納得だ」

「現在入っている情報では、名前は、巻上れいじで合っているのですか?」

「ああ。そのまんまさ」

「なるほど。巻上澪史どの」

「ふふ。素敵な名前よね」

「澪史ですか。どこかで聞いたような…」

 

爺さん。気のせいだろ。俺だってボラルコーチェなんて名前の初めて…じゃねぇな。いや、まさかな…。

つうか、俺のプライベートはどこまで漏れたんだい?

 

「巻上澪史。宗教的経済的に、特に危険思想らしき面は見られない」

 

幸い、聞く耳は持ってくれるようだ。現在、王室誘拐なんてたくらむ人間じゃないか確認中って感じだな。いやー、俺はちょっぴり強い庶民だしな。ホントにね。

 

「先日インターネット通販で、祖父のパスを使って18禁のゲームを購入していますね。黒き薔薇のローザ。~くっ殺せ。純真な姫はオークの種汁になど屈しない~……なんですこれは?」

「たねじる?」

「ガハッ(白目)」

 

王族パワーってしゅごいのな。

 

「女性を陵辱することを主題においたゲームですなあ」

「りょ……っ。貴様!シルヴィア様に近づいた理由はそれか!」

「まぁ、うん必然とそうなるよね。でもさ、姫騎士ものなんだからエルさんの方が合ってるんじゃね。ってあ、やべ。言っちゃった」

「貴様ぁああああ~~~~~!」

「流石にごめんなさいぃいいいいい~~~!」

「ねぇエキスナ、りょうじょくってなぁに?知らない日本語だわ」

「不明です。日本語は難しいですね。調べちゃだめですよ」

「ボラルコーチェ!嫌疑はいかほどです、この男は腕を取るべきか!」

「ちょ、おまふざけんな!」

「まぁまぁ、落ち着いてください部隊長殿。若い男のこと、これくらいが俗というものです。それにこのゲーム中々評判がよろしいようですぞ。なるほど、シナリオ担当はチクタク重工。よいご趣味をされてますな」

 

な、なに?!

 

「フン!(縄を無理やり引きちぎる)爺さん、あんたも分かるのか!?」

「ええ。昔、使えていた主人の坊ちゃまに見つかってしまい逆にもっとやっていいと言われたのが懐かしく感じます」

 

ん?え、今なんて言った?昔、使えていた主人の坊ちゃま……。え、流石に無いよなぁ?

 

「人気に推されて。という面もございましょう。これだけで人格を判断するのは聊か乱暴かと」

「うぬ……ですが、そのぐるぐる巻きから容易に抜け出せるようだが?」

「あ……いや。もう流石に暴れる気はゼロだから勘弁して、体痛くなってきたから」

「まぁいいでしょう。嫌疑は不十分としておきます」

 

よかったぁ。とりあえず、普通に座ろう。体が痛くて辛い。

 

「まぁ、祖父のIDを使うのはいかがなものかと思いますがな」

「それに関してはほんとごめんなさい」

「他には……特になし」

 

うん?今、間があったけど。あの件は伏せてくれたのかな。優しいな。そして、エルさんは書類を伏せた。

 

だが、ポケットの中から押収されたものの中で気になるものがあったようだ。

 

「これは……」

「チョコボーロね」

「さっきコンビニで買ってな」

 

どこも不思議な場所はなくないか?

 

「わぁ、いいわねチョコボーロ、私も大好きよ。けど変ね。パッケージが白いわ」

「チョコバナナ味?おかしい。チョコボーロはナッツとキャラメル味しかないはずです。違法な薬の梱包に、お菓子を偽ったパックを使うのは運び屋の常套手段……」

「日本にはイチゴも抹茶もあるぜ。たまに新しいの出たり期間限定だったりな」

「そうなんだ。わあ、10年ぶりの日本だけど知らなかったわ。ねえ、澪史。おひとついいかしら」

「どうぞどうぞ」

「はむ。ん~♪おいしーい」

「姫様!いけませんぺっしてぺっ」

 

おいおい。言い方がかわいいじゃねぇかよ

 

「久しぶりねチョコボーロ」

「昔からお好きでしたなそういえば」

「じいやによく無理を言ってたくさん買ってこさせたわよね。わたしこの子大好きなの、キョロちゃん。可愛い」

 

パッケージのキャラを突く。シルヴィは2粒食べたそれを俺の持ち物の所にもどし、

 

「ねぇ、エル。わたし、やっぱりどう考えても澪史が悪い人だとは思えないわ」

「む……」

「だって、ふふふ、あんなに楽しかったのは初めてだもの。殿方に連れられて街を逃避行だなんて」

「はあ」

 

いやー照れますねぇ。

 

「まぁ、悪い人ではないというのは根拠のない直観だけど」

「それはありがとう。けどエルさん、そう簡単な問題ではねえんだろ?」

「巻上殿は察しが早くて助かります」

「あう」

「やっぱりか」

「ええ。あなたの考えている通り問題は貴公の手でシルヴィア様が我ら護衛を務める騎士院から強奪されたことにあります」

「前に聞いたことがあるんだが、これって王族の場合極刑に値するんだろ?」

「まさにその通りです。我ら騎士院の伝統に従えば、王族をかどわかした者の刑罰で最も軽いものは利き腕の没収です。いかがかな?」

「勘弁してくれ」

 

ホント、腕だけは勘弁。でも

 

「どうせだが、公安も動いてるんだろ?これって国際問題だろうし」

「ええ。留学時に取り決めているので。予想ですが、貴公の身がどうなっているか分かりますよね」

「ああ。ソルティレージュにゆだねられているんだろ?裁量権を」

「やはり分かっていらっしゃるのですね。なので、もしその裁量権を放棄した場合、当然日本の警察が裁きにかかります」

「デスよねー」

 

昔に聞いたことがあるんだ。色々とな。そして、俺が無罪となった場合こんどは黒服sな人たちが拉致暴行未遂でしょっ引かなきゃ行けない。そして、俺はかなりやばいことやっちまったって訳。それに過去にも色々あったのだからそれも影響するだろうな。つまり、まず無実はありえねぇ。

 

「これ、シルヴィア様の事を考えて拘留するとかあるよね?」

「ええ。まさしくその通りですね。というか、巻上殿はどうしてそこまで詳しいのですか?不思議です」

「エルさん、俺にも色々と経験してきたことや勉強してきたことが頭に入ってるのだよ」

「はぁ。まぁ、貴公の成績はよろしいみたいですしね。そして、現在困っております。腕と拘留、どっちがいい?」

 

やめてくれ。その優しい表情で聞いてくんな。

 

「公安から寄せられた彼の情報がそろいましたけど、やはり問題はありませんね」

「ということはやはりあれは善意からの逃避行。我らも責めたくはないのですが」

「外に出たら公安に捕まるよね」

 

困ったなぁ。と思っていると

 

「うーん……」

 

シルヴィがなんか考えていた。

 

「エキスナ。公安の方々にはどう伝えたの?」

「は……?えと、正体不明の男に王女様がかどわかされた、と」

「そう。ならこういうのはどうかしら」

 

ポン、と手をたたくシルヴィ。

 

「澪史、あなた、このノーブル学園の生徒にならない?」

「ふぁ?!」

「あなたは今日転入する手はずだったの。それでわたしは、あなたを案内してあげてたのよ」

「正体不明の男ではなく、お友達なの、わたしを連れ去った男は」

「む……」

「じいやたちはそれを勘違いしたってちょっと恥ずかしい立場になってしまうけれど」

「我らの恥は問題ありません。シルヴィア様のお気持ち一つにございます」

「じゃああとは澪史の気持ち一つね。どうかしら澪史」

「転入ねぇ……」

 

ここは貴族様の学校。貴族は俺が今思い出したくないものだが、それに俺、もう学園には……。

 

「ダメなの?」

「はぁー。どうせ、腕か拘留か転入になるんだろ?なら転入するさ」

「あはっ、やったぁ、これで澪史はクラスメイトね」

 

周りは困っていたが

 

「じいや、手続きよろしくね」

「了解しました。そのように処置いたします」

「ええ、お願い」

「はい」

「全てはシルヴィア様の望むとおりに」

 

納得した様子で包囲を解いた。これはこれでありだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、シルヴィとエルさんは焦って去って行った。

はぁ。これからどうなんだろうなぁ。

 

「巻上様、日本警察への伝達が済みました。外に出ても結構です」

「あんがと」

 

ちかれた。これでピンチは脱出だ。転入を引き換えにな。

 

「改めて聞くけど俺はここにガチで通うの?」

「ええ。手続きはわたくしどもで済ませます。入試の類も免除させていただきますが、学園長が巻上様の名前を聞いた途端、一度会って話したいらしいのですがよろしいですか?」

「あ、ああ。構わないけど」

 

なんだ?名前聞いてから会いたいって人は。

 

 

 

 

 

 

そして、連れてこられた理事長室。なんでまた理事長室?

 

「わたくしどもは外で待っていますので、どうぞ」

「分かった。案内ありがとう」

 

そういってノックする。

 

「どうぞー」

「失礼します」

 

中に入ると、金髪ロングで顔は整っており見た人全員が美人と答えるほどで出てる所は出てて、清楚な感じがする人だった。そう。普通なら一目ぼれでもしてたかもしれん。だが、俺はこの人を知っているのだ。

 

「久しぶりね。澪史!いや、ゼロ君って呼んだ方が言いかしら?」

「その名前はやめろって言ってんだろ。京子さんや」

「そうね。そうするわ。では改めて。ここ、ノーブル学園の理事長を務めています。野上京子です。以後お見知りおきを」

 

 

 

 

俺の知り合いの野上京子さんがいたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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