INFINITE・JUSTIRISER (加古川託麻)
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幻の星、幻の夢、幻の神
IS──インフィニット・ストラトス 宇宙空間での活動を想定し、開発されたマルチフォーム・スーツ。開発当初は注目されなかったが
【白騎士事件】 によって変わった。それにより注目された女性にしか使えないその力は一夜にて良くも悪くも、正しくも歪にも世界の在り方を力のバランスというものを変えてしまったのだ。
5年前
少年は星を見ていた。否、見ざるを得なかったのだ。
廃工場の中、地に伏せ、小さな自らの血の海の中、今にも弾けてしまいそうな命は虚ろな目で星を見ていた。
その近くには少年を貫いたであろう、レイピア形状の武器を持ったIS。
「わかるぅ? あなたって見放されたのよぉ すっごい
ケラケラとIS操縦者の女は笑った。
「かわい...そう」
可哀想。この言葉ほど彼を表すコトバはなかった。
生まれつき病弱であり、それでも日々を一生懸命生きていたつもりだった。 少なかったけれど[友達]もいた。
だが、奪われてしまった。 己が姉、篠ノ之束に。篠ノ之束が創り出したISのせいで【白騎士事件】のせいで家族とも引き剥がされた。孤独の中、何度も引っ越しさせられ当然、友達なんて出来なかった。
そして今、誘拐され9歳という短い人生というものがエンドマークを打たれようとしている。
この少年──
「お姉.......ちゃ...ん......」
息も深く眼を閉じ最後に見たものは、夢見たものは、信じる神は──────。
ただそこにあった幻の星を───
少年が抱えていた幻の夢を───
決して存在しない幻の神を───
薄れ行く世界の中、手を伸ばした空が輝いて見えた
現代
世界の数多ある戦場の一つ。
そこにISはあった。 薄汚い人間の欲望は当然、ISという強大な力を振るう。条約など守っている国などあるか。どの国もその事実を把握しながら糺す国などありやしないのだ。知ったものはこの世から消せば良いのだから。 そこに【正義】などは力の象徴でしかない。
だが、決して【正義】はこの世から消失したものではない。
【正義】を示す鎧は迫り来る悪を断つために現れた。
揺るぎない勇気を持って、誰かの笑顔を守ってみせるため、見果てない夢をかなえるため。
そして、かけが得ない宝物を渡さないために。
対峙するは3つの鎧。 星しか見えない闇夜の中でも紅、蒼、玄の輝きは色褪せずにあった。
一つは鎧武者を思わせる、赤い鞘をした日本刀を模したモノを持つ紅の輝き。
一つは忍びを思わせる、左腕に特殊な形状のクロー型武器を持つ蒼の輝き。
一つは山伏を思わせる、これまた特殊な形状をした二問の射撃武器を持つ玄の輝き。
それぞれ共通しているのは全身を覆うようなそれぞれの色を模した外套と右胸に印籠を模したものがつけられていることだろうか。
突如現れた闖入者に先ほどまで虐殺を行っていたIS操縦者は嘲笑を浮かべた。
───何が現れようがこの世界最高の力は決して負けない。人も戦車も戦闘機も
「
錯乱、狂乱、狂気? どれでもないがどれでもある。 そのような高揚をぶつけるように手に掲げたライフルの照準を3体の中心にいた武者に向ける。
「どうでもいいわ、邪魔よ、邪魔するなら大人しく私に、この子に殺されなさいッ!」
「──やはりか」
「何……?」
「やはり貴様らはこの世界にあってはならない。人の身に余る力・・・許さず」
紅の武者が吐き捨てる様に呟いた。 鎧により表情は読み取れないがその言葉には得体も知れない憎悪と殺気が宿っていた。
「もぉー、どうでもいいでしょ? どーせここで終わるんだから」
蒼の忍者は武者を嗜めるように話す。
「…………」
玄の山伏は何も語らず、前を見据えていた。
「ごちゃごちゃと!何者よアンタ達は! どこのデータにもそんな姿は無かったッ!どこの軍ッ!」
ISのコアネットワークで検索をかけ目の前と一致するモノがデータベースに存在しないことを知ると怒気を強くするIS。
「そう? 知りたい? ならば皆よし行くよっ! 私達はー」
「ジャスティライザー!」
「グレン」
「カゲリ!」
「ガントッ」
「見参/参上!/推参ッ」
その日、世界からISが一つ消失した。
アドバイス、感想、お待ちしております。
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剣と碧色の少女
季節は春。山の上にあり剣術道場でもある篠ノ之神社、そこに彼、篠ノ之 剣は一人住んでいた。高校進学を断ち、療養を兼ね実家である此処へと帰ってきたのだ。その際、政府の人に小言を言われたが彼の決意は変わらなかった。
誰も来ず今や閑静と化したその地は昔は道場に剣道を習いに来る子もいたが、白騎士事件以降徐々に減りやがて誰も来なくなった。
仏閣部分も滅多に人は来ず来たとしても夏に行われる祭りの時なので普段は無人である。
そこで剣は日課の神社の境内の掃き掃除を行っていた。
「……………」
黙々と落ち葉を掃いていく。隅から社の下まで…8割を超えもう終わりが見えた時、石段の下からどたどたと騒々しい足音が登ってきた。
「剣くん!!!」
剣の首に彼を君付けで呼ぶ見た目は彼と同じ位の黒髪のトレンチコートを着た少女が抱きついた。
「剣くん剣くん♫ マイスウィートソーデン♬」
変なリズムと一緒に首に顔をうずめながら。
このテンションが高い少女の名は
そこから顔色一つ変えずへばりつく碧を剥がし掃除を終え、家宅の方へと戻った剣。
畳とちゃぶ台だけが置かれている広い居間で碧と向かい合って正座の姿勢で座る。
「.............」
「.........むぅ........」
碧の自分で持ってきた茶をいれた茶碗(勝手に買ってきた)が啜る音だけが響く。
「.............」
「................」
ついにお茶が無くなると同時に碧の口が開いた。
「ねぇ剣くん?」
「..............」
「ねぇーえー、ねーーえーー!」
無視を続けていると痺れを切らしたかついに両手を伸ばし、剣の方を前後に揺らし始めた。
斑白の髪の毛が揺れるが、それでも彼の口が開かない。何か思いついた様ににっこりと笑みを浮かべ碧は深く息を吸い───
「......すぅ.......ねぇえぇぇぇぇえ
ええええええええええええ!!!」
「なんだ」
碧の部屋中に響く絶叫の後、固く閉ざされていた剣の口が開いた。
「ぜぇ....ぜぇ...やっと聞いてくれたー! ひどいよもー!」
「これ以上大声を出されたら流石に近所迷惑だ」
「わざと!? ひっどーい! 」
「何度も言うが僕はお前に君付けされるほど親しくなった覚えはない。」
「えー?いいでしょ?剣くんは剣くんなんだから合ってるでしょ?」
「..........そういうものか」
「そういうもーの! 次からはちゃんと反応してねっ♪」
「理解、了解した。それで何の用だ」
「うんうんその言葉、碧ちゃんは待ってたよ! 見よ!」
全てボタンが嵌められたトレンチコートわざわざ見せつけるようにを一つずつとりバッと広げる。
「なんだそれは」
剣の顔はシワ一つ動きがなかった。
...碧の下に着ていたものがわかるまでは。
「IS学園の制服だよ♪」
「.......そうか」
一瞬、その顔にかげりが表れたが眉はすぐに戻った。
碧はその反応に分が悪そうに顔をうつむける。
「……私もね、ホントは剣くんとずっとずうっと一緒にいたいよ。 でも、でもでもそれでも家の───」
「──気にしなくていい」
「え...?」
「僕とお前は他人だ」
剣の遮った言葉といい放った言葉に碧は少し困惑した。
その反応も気にせず語っていく。
「他人だから他人にどうこう言われる筋合いはない。」
「たとえ、歩まされた道だろうが──そこから始めることはお前次第だ。」
「剣くん...!」
感極まった碧が再び抱きつこうとしたその時、玄関の引き戸の音が聞こえた。
「...少し離れろ」
ピタリと止まった碧を隣の同じく畳しかない部屋へと押し込み、何やら言おうとしたが有無を言わせず襖を閉めた。
目を閉じ、深く息を吸う。
「...」
木板が軋み廊下の足音が近づいてくる。
碧が押し込められた方と反対側の廊下側の障子がゆっくりと開き立っていたのは───
「..........剣」
「.......姉さん」
数年ぶりに出会った剣の姉の一人、篠ノ之 箒が息苦しいような表情で立っていた。
何か相変わらず地の文が変ですね、あと何言ってんだろうか。
よかったらアドバイスか何かお願いします。
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変わってしまったモノ
6ヶ月───それが剣の、私の弟が生まれるまでにかかった月日。
この早生まれのせいで剣は生まれたときからとても体が弱く山から出られない程だった。......でも、その弱さを補うように優しかった。
「お姉ちゃん」
少しおとなしかったが顔を見合わせる度に笑顔を朗らかに向けてきてくれた。
しかし───七年後
久しぶりにあった弟の姿は一変していた。
見合わせるたびに浮かべていた笑顔は枯れ、髪にはその年には早すぎる白髪が鈍く黒の中に光っていた。
普通に暮らしていてはこうはならない、なるわけがない。聞かされてはいたがここまでとは......剣、お前をそこまでに変えてしまったのはやはり────
「姉さん」
再び私を呼ぶ剣の声が意識を懐かしい実家の居間に引き戻した。
感情を読み取れない瞳が私を貫く。
「お久しぶりです。 ご機嫌よろしいでしょうか」
平坦な抑揚のない声で用意でもしてきたような挨拶をかけられる。
「...ああ、私は元気だ。会えて嬉しいよ」
「そうですか、それは良かったです。申し訳ありません、政府に差し押さえられた為、茶も何もお出しすることが出来なくて」
「...気にしなくていい。 少し寄っただけだ、すぐ帰る 」
「そうですか」
「.......」
「...............」
沈黙が居間を支配する。 ここは意を決して何か世間話でもしようかと口を開いたとき。
「姉さん」
「.....っ...何だ」
「姉さんはあそこに行かれるのですか」
あそこ、とはおそらくはIS学園...私たちの長姉が造り出したISの人材育成と管理を行うための場所。
「...ああ、行くも何も無理やりだがな」
あの人がISを公表して以降、行方を眩ませているため表向けは政府の保護プログラムの一環だが人質のために入れさせられたかもしれない...最も効果はわからないが。
「剣、お前はどうするんだ? ここに帰ってきたのもその───」
「しばらくは通院して数年はここで療養を行いたい所存です。 ここは掛かり付けの病院が近いので」
言葉に詰まっていると遮るように事情を話された。
「姉さん、姉さんは今の世界をどう考えていますか」
「...なんだいきなりそんなことを聞く?」
「今だからこそ聞きたいのです 、ISによって変わってしまった世界だからこそ」
10年、10年の間に多くのことが変わってしまった。
一家離散、引っ越し・転校。 姉さんのことに対する尋問・追及の強要。
そして
「私は........私は.........」
答えられなかった、否。 答えは出なかっただけだ。出せない、出してしまえば何か認めちゃいけないものを認めてしまう、そういう気がした。
「.........っ...」
返答出来ずにうつむくしか出来なかった。
「もう、いいです。姉さん、申し訳ありません。変なことを聞いてしまい」
「..........すまない、急な用事を思い出した」
そのコトバを言いきるより先に剣に背を向けるように黙って立ち上がった。 障子を開けそのまま廊下に出る。
障子を閉めるまで剣はただ黙ったまま顔の調子を変えはしなかった。
駆け足気味に玄関から出て深く深呼吸をし、不規則に脈打つ胸を押さえる...心が息苦しかった。 あそこまで変わり果てた姿を瞳に写すのがあれ以上は怖くなったのかもしれない。こうなってしまったのは姉さんが、ISがお前の心を──
「...やはりか」
考えすぎたせいかこの時の私は一人残った剣の表情に映されていたモノに気付けなかった。
私、あらすじというものが苦手なのです。
何か難しいんですよ、まだいろいろ決まってないのに何をかけというのですか。
ということであらすじは必ずしも本編を指すとは限らないのであしからず!
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ジェット・アンド・アッシュ
第一作目のグランセイザーは12人の個性豊かな戦士達が面白いから! 特に伝通院先生!
「ちわーすっ!ジェットエクスプレスでーすっ! お届けに上がりましたー!」
3月中旬。バイク便からメールを受け取り剣は軒先で読んでいた。読んでいると書面に影が映る。
「よぉ、元気か?」
「......」
「.........」
「...って、無視か! 酷いやつだねぇキミは、自分めっちゃ悲しい、涙がちょちょぎれちまう」
スーツケースを引摺り、こんなところまでにわざわざ来て絡んでくる若い男のことを意にも介せず最後まで読むと手紙を便箋にしまった。
「なんだ」
「おぉ、やっとか もしかして自分だけ世界に取り残されたかと思ったぜ」
「これ以上は目障りだからな、何の用だ」
「まぁ、用なんてねぇさ。 近くまで来たから生きてるかどうかの確認? ってやつ?」
「生憎だが、まだ僕は健康だ。 悪かったな」
男は頭に手を当て軽く嬉しそうに苦笑いを浮かべた。
剣の斑白の髪に似た灰色が揺れる。
「ははは...あの娘が『ダーリンは私がいないと3日に一回しかご飯食べないしぃ...しかも食べてもお茶碗一杯だけなんだよ!? 』」って愚痴ってくるからさぁ、ま、念だ念。んでなに読んでた?」
身ぶり手振りで頬を膨らませながら愚痴った今は入学の準備などで来ていない少女の真似をする男。
そんな男を特に気にせず先ほどしまった手紙を男に突きつける。
「どおも...えぇっと.........つまりぃ...IS適正の検査を受けろってことかな?」
少ないうなずきで反応を剣は返す。
「まぁ、そうだよな...何てったって
...」
今までISは女性にしか扱えないそれが世界の常識だった。
それがつい先日世界で初めての男性IS操縦者が現れたというのだ。
だから世界中で男性のIS適正の検査が行われているのだ。
それは政府の保護プログラムを受けている剣も例外ではない。
故に手紙の内容は週末に行われる近くの会場に検査に来いといった内容だった。
「お前は受けたのか」
「自分?自分は勿論あるわけないさ、そんなもん。あって何がめでたいのか......んで行くのか?」
「ああ、その予定だ」
「大丈夫か? ...身体とか───心とか。まだ残ってるし無理はするな、検査なら自分と碧ちゃんでなんとかごまかすからさ...キミは無理をしすぎるきらいがあんだからこれ以上負担を追ってほしくないんだ。 分かるな? だから───」
「だからこそ僕がやらねばならない、 彼奴らを滅ぼすために手段を問う必要が何処にある、この身一つ位捧げてやろう。それこそが
感想、アドバイスありましたらよろしくお願いいたします。
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砂漠の旅人、太陽の旅人
今年も拙いですがよろしくお願いいたします。
4月。検査の日───から半月後。
IS学園、1年1組。SHR中。ISの名が指す通り9割を女子が占めるクラスの中に二人の
「えー、えっと....織斑 一夏です。 よろしくお願いします。........................以上です!」
一人は今、自己紹介を行って教師───織斑 千冬に出席簿で殴られた千冬の弟、世界で
「げぇっ!? 関羽!?」
「誰が三國志の英雄か、馬鹿者」
「千冬姉!?」
スパン!
「織斑先生と呼べ」
「は、はいぃ...」
キャーーーーーーー!と響き渡る女子の黄色い爆音にも顔色一つ変えず正面を向いていた。 その後も自己紹介は続き、ついに剣の番となった。
「では、篠ノ之 剣くん」
「はい」
剣の名前を呼ぶ副担任───山田 真耶(逆から読んでもやまだまや)の声に従い起立し、全体を向いた。女子の視線が突き刺さる。
「篠ノ之 剣です。よろしくお願いします」
そこまでいうと口をつぐみ、また正面を向く。 教室全体を静寂が包み、次は何を発するかを期待しているようだった。
「以上で───」
すを言い終わるタイミングで出席簿が飛んできた。そのまま頭に直撃し投げた千冬の元にブーメランのように戻る。あちこちから息を呑む音が聞こえた。
「......っ」
「自己紹介もまともに出来んのか馬鹿者」
「............」
表情を変えずに直撃した部位を少し撫でたがそのまま席に座った。
千冬はため息をついたが山田先生に次を促した。
一時間目の授業が終わり、休み時間に入る。
すると、女子の興味の雨の中、一夏が剣の席にやって来た。
「よお、剣じゃないか! 久しぶりだな~!」
すっと周囲の女子たちが散らばり、辿り着いた一夏は先程から女子に囲まれていたせいか砂漠のオアシスにたどり着いた旅人のような笑顔を浮かべていた。
「...久しぶり」
一方の剣は、太陽に照らされた旅人のような顔をしていた。
「おう6年ぶりだな。いやぁ驚いたぜ、まさか剣もここにいるなんてなぁ...」
「そうだね、僕も驚いた。
うんうんと二人で頷き会う。
しばらく互いに6年間の出来事について当たり障りなく話した。
「一夏」
「......でさ、そこで!拳王流と鳳龍院心拳の火蓋が切って落とされ──」
「一夏」
「? なんだ?」
「時間、もうすぐ二時間目が始まる」
剣が指した時計が休み時間の終わりを告げる時刻に着こうとしていた。
「おっととやべぇ遅れたりしたら千冬姉にやられちまう! じゃまた!」
「.........」
手を振りながら自分の席に戻る一夏に軽く手を振り返す剣だった。そんな二人を席から篠ノ之 箒ともう一つの視線が見つめていた。
「───であるからして、ISの基本的な運用は現時点で国家の認証が必要であり、枠内を逸脱したIS運用をした場合は──」
山田先生がすらすらと教科書を読む中、2時間目の授業は進んでいく。
(やべぇ........全然わかんねぇ......)
一夏はうろうろと周りを見渡すが皆、ノートを一生懸命取っていた。
(もしかして...わからないの俺だけ......?)
(...ハッ........剣........!)
仲間を探すかのように剣の方を向くが剣はノートもださずただ話を聞いているだけだった。
「織斑くん、篠ノ之くん、何かわからないところはありませんか?」
「え、えっと──」
「ないです」
(剣ぃぃぃいぃぃいいい!! 嘘だろ!? こうなったら仕方ねぇ!!)
「先生ッ!」
「はい、織斑くん!」
「まったく全部わかりません!」
「痛てててて......くっそぉ千冬姉...一切容赦がねぇ...」
2時間目が終わりまた剣の元に出席簿ではれた頭を押さえながら一夏がやってきた。
「仕方ないよ、先生のいっていた通りISは兵器だ。兵器を扱うんだから深く知ることは大事だ」
「まあそうかぁ....」
「ちょっとよろしくて?」
突如呼ばれた声に同時に振り向く。
いかにも高貴そうな金髪ロールの女子が声をあげていた。
もっと、地の文を削ってテンポよくしたいですね......
感想、アドバイスお待ちしております。
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ゴールデン・イングランド
いや、あと長くて5~7話位でしょうか?
「ちょっとよろしくて?」
「ん? なんだ?」
男子たち二人に金髪ロールののいかにもお嬢様と言った女子が声をあげる。
右手を口元に左手を腰に当て威圧している様だ。
「........」
一夏は反応したが剣の反応はなく一夏の方を向いていた。
まるで存在を認識していない様であり、急に一夏が止まったことに不思議がり、じっと顔を見つめる
「そこのお方? 聞いてまして!」
「........」
金髪の女子が更に声をあげるも反応はなく。更に一夏を強く瞳に写す。
「...おーい剣。つーるーぎー? おーい剣さーん?」
一夏が彼の肩をつつく。するとピクッとした反応の後、慌てた様に近くにいた金髪の女子に今気づいたような仕草を見せた。
「...すみません、疲れからか意識が遠のいていました。 ええっと..........どなたでしょうか。一夏、知ってる?」
「うぇ、俺ぇ? えー、ええっとぉ..............誰だっけ?」
二人が名前を覚えておらずうんうん唸っていると金髪の女子は苛たった声で名乗りをあげた。
「オルコット! セシリア・オルコット!イギリスの代表候補生ですわ!」
「そうですか。すみません、トルコさん」
「オルコットですわ!」
「そうだったのですか。度々すみません。コルトパイソンさん」
「ですからオルコット!! これだから極東の島国というものは...ここほどまでに未開の───!!」
重ね重ね名前を間違えた無礼さに怒りを見せるセシリア。一夏がなだめに入った。
「まあまあ......いやぁうちの剣がどうもすみません...あー、...代表候補生?」
「ええと…代表候補生はまあ簡単に言えばエリートみたいなものだよ」
「エリート?」
再び怒らせる前にすかさずフォローを入れる剣。
「そう! エリートですわ!」
一周回ってある意味落ち着いたのだろうか。さっきまでの調子に戻り指を指してくるセシリア。
「っで? そのエリートさんは俺らに何のようで?」
「あなた方、ISのことについて何も知らない癖に入学してきたのでしょう? 」
「はい/ああ」
「ですから、わたくしのような選ばれた人間があなた方のような人間にも優しくしてさしあげますわ...そう、入学試験で唯一教官を倒したこのエリート中のエリートが!」
「俺も倒したぞ、それ」
「はぁ...!?」
「わ、わたくしだけ聞いてましたが...!?」
「それは多分女子だけの話じゃないでしょうか。僕は倒せませんでしたが」
相当ショックだったのだろうか。セシリアが狼狽える中、休み時間の終わりを告げるチャイムがなった。
3時間目、山田先生の代わりに千冬が立っており授業の前に今度はクラス対抗戦にでる代表者を決めることになった。
「自薦他薦は問わん、誰かいないか」
「はい! 私は織斑くんを推薦します!」
「私もそれが良いと思います!」
「え?俺ぇ?」
「だったら私は篠ノ之くんが良いと思いまーす!」
「はいはい私もそう思います!」
「......」
「え?え? ちょっと待ってくれ! 」
「他薦された者に拒否権など無い、覚悟しろ。 ほら、篠ノ之弟は文句一つないぞ。」
「いや多分何言ったらいいか悩んでる顔だからアレ!?」
「候補者は織斑と篠ノ之弟と...。他にいないか? いないならこのまま投票に入るぞ」
「無視!?」
その投票という言葉が女子の間に激震が走った。云うならばこれは人気投票! 出逢ってまだ三時間も経ってはいないが明るく正統派イケメンの一夏と穏やかミステリアス美少年…この投票でこのクラスの顔が決まるわけである!
「織斑くんと篠ノ之くん...初日からどちらが人気か決まるってわけ...」 「私は織斑くんだと思うな素直にカッコいい顔だし」 「篠ノ之くんは幼げを残した顔がいい...!かわいい...!」
「お待ちください!納得いきませんわ!」
ざわめきに覆われた教室の中、机に手を叩きつけ憤慨した様子のセシリアが勢い良く立ち上がった。
「男子に代表を任せるだなんて...」
(そうだ変わってくれ...!)
「恥ですわ!」
(え...?)
「そもそもこんな辺鄙な極東の島国の珍しいだけの猿なんかに代表は務まるわけございませんわ! ですからこのわたくしのようなエリート、実力トップであるこのセシリア・オルコットこそが相応しいに決まっていますわ!」
その言葉に強く反応して一夏も立った。
「むっ...クラス代表なんざ興味はねぇが、なんか日本をバカにされてムカつく」
「ふっ、当然ですわ! イギリスの文化の偉大さに比べればこんな文化後進国、歯牙にも掛けられませんわ!」
「なんだと!まずい料理世界ランキングで毎年一位の癖に!」
「なんですって!? 我が祖国を侮辱しますとは! 」
その後も二人の馬頭混じりの口論のヒートアップは加速し続けついに。
「こうなったら仕方ありませんわ!」
「ここまで言われちゃあ仕方ねぇ!」
「「決闘ですわ/だ!!」」
「.........」
その後、ハンデ云々の話が会ったが結局は無いことになり、話はクールダウンし始めた。
「篠ノ之弟。お前自分には関係ないように考えているようだが無論お前も候補者だ。戦ってもらうぞ」
「.....はい」
「よし、話はまとまったか?では、決闘は一週間後の月曜、放課後第三アリーナとする!それまでに各々準備をしておくように! それでは授業を始める!」
何か剣の反応が無さすぎるせいで一夏が熱い奴になってる気がする!
まぁ、きっと同じ男子がいるからリラックスしているのでしょう。
感想、アドバイスお待ちしております。
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紅白、紅碧
「全然わからん!!」
放課後、難しい用語が並ぶ教科書を読んだことで頭の中ハテナの森に迷った一夏は机に突っ伏していた。
夕日がやけに目に染みる様だ。
「...大丈夫か?」
「おう......あん時は一週間あれば基礎なんて完璧だと思ったんだよ........って箒!?」
勢い良く顔をあげた先に髪をポニーテールでまとめた少女。剣の同い年の姉、篠ノ之箒が覗き込むように見ていた。
「久しぶりだな一夏」
「おう、久しぶり箒。 聞いたぜ、剣道の全国大会で優勝したんだけっか、おめでとう」
「...あ、ありがとう」
「いやぁ人目でわかったぜ髪型あのときと変わってないもんな、剣はちょっと変わってたけど...そうだ剣は?あいつどこ行った?」
「あぁあいつは───」
「織斑くん! よかったです、まだ教室にいたんですね」
「山田先生!」
箒の言葉を遮るように教室へ来た山田先生がそのままかけよって来た。
「篠ノ之くんは先に寮へ向かいました。『勉強している織斑君の邪魔をしたくない』って言っていましたよ」
「寮? まだ自宅から通うんじゃなかったんですか?」
山田先生から説明を聞いた。なんでも政府の意向で保護と監視の観念から最優先で割り振ったためそれぞれ別々の相部屋になったらしい。 待てよ...別々?
「あれ?俺たち男子だから同じ部屋じゃないんですか?」
「ええっとぉ....それは....────」
夕暮れに照らされる並木道を一人で進む剣。
普段なら寮への道であるそこは沢山人がいるのだがその時に限っては不自然なほど人が居なかった。
「やぁ
「えぇこんにちは。 あなたは同じクラスの
「........」
「..........」
先程までいなかった前方に突如現れたIS学園の制服を着た少女──藤宮 碧と柔らかい表情を浮かべ向かい合っていると、ふいに碧が我慢しきれないといった感じで笑い始めた。
「ぷっ...ふふふっ...やっぱ難しいねこういうのって...そうでしょ
「やめろ。 馴れ馴れしいぞ」
浮かべていた笑顔を一転、能面のような無表情へと戻す剣。それに連動するかのように口調も冷たいモノへと変わる。
「ふふっ、まさか剣くんが来るだなんて思ってなかったよ。あんなしゃべり方してるの初めてみた」
「ふん...所詮お前の模倣だ。まだ不完全だがな」
碧の脳内に今日一日、密かに観察していた剣と織斑一夏の姿が浮かんだ。私ってあんな話し方だっけ?とも思うがそれはそれとして私を(実質)頼ってくれて嬉しいとも考えていた。今すぐにでもこの溢れるような気持ちを伝えようとも思ったが
「へぇ~...何でここに来ることにしたの?確かにここは最重要目標の一つだけど...適正のことは私の方がごまかすんじゃなかったっけ?」
「計画変更だ、残りのステラプレートよりもジャスティクリスタルの回収を優先する」
「クリスタルを......? でもあれはどこにあるかはわからないって....」
ジャスティクリスタル───それはある力が秘められた水晶であり代先祖々篠ノ之の家に伝えられている代物である。現在の在り処は不明。
「あの時、検査会場にあったISからジャスティクリスタルのビジョンを見た。おそらくはコアネットワークとこいつが共鳴したのだろう」
困惑する碧の言葉を遮り、剣は懐に忍ばせてあるものに触れた。四角い箱...印籠に似ているとでも云うべきか無機質な感触が伝わる。
「...それで? 何が見えたの?」
「白騎士だ」
白騎士。その名を聞いたとたん碧の顔がいぶしげな表情を浮かべた。零のIS、あの白騎士事件を引き起こした存在でありそのコアは研究所に提供されたあとクリスタルと同じく行方不明とされている。
「...白騎士ってあの白騎士?」
「そうだ、白騎士には篠ノ之束が持ち出したジャスティクリスタルが使われている」
「え、ちょっとまってそれ初耳なんですけど」
初めて聞いた情報に眼を丸くする。これまで付き合ってきた関係にもかかわらず伏せられていたことだ。さぞ重要な理由があるに違いない...。
「どうして言ってくれなかったの?...あ、何か大事な理由があったからかな...?」
「語る必要が無かっただけだ」
頭を抱えてため息を吐くが一切合切気にも止めず続けて話す剣。
「...これまで、奴の復活を阻止するためにステラプレートの探索を行ってきたがジャスティクリスタルがあるなら話は変わる......ジャスティクリスタルさえあれば奴を──
「なるほど...白騎士さえ見つければすべて終わるってことだね」
「ああ、ノルンの悲願を叶える時だ。そしてIS自体も......」
その時、学園の方からチャイムの音が聞こえ女子生徒の声が聴こえてきた。碧は少し不満げに頬を膨らませる。
「...じゃあ、ここまでだね。またね篠ノ之くん」
「はい、ではさようなら。藤宮さん」
剣が再び表情を模倣し柔らかくする。去ろうと背中を向ける碧だったが振り替えった。印籠のようなモノ───インローダーを上着のポケットの中で撫でる。
「...最後に言っておくね剣くん。私達の心はこれでいつも繋がってること忘れないで..........とっても心配だから...」
「承知した」
最後の方を剣には何を言っているか解らなかったがその言葉を最後に碧は一つ瞬きする間に目の前から消え再び剣は一人寮へと歩んでいった。
白騎士→ISのコアネットワーク→剣(ビジョン)→IS学園?
はたしてこれが真実でしょうか......なんちゃって
アドバイス、感想お待ちしております。
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悪鬼羅刹/異形騎軍
「やぁ、おはよう一夏」
「おはよう剣...」
次の日、朝食を摂るために食堂へと向かう途中で少しぐったりとした顔をした一夏と鉢合わせる剣。
「大丈夫? 疲れてる顔してるよ?」
「いや昨日ーあれからいろいろあってさ...」
何でも箒と同じ部屋で早速怒らせてしまったかららしい。それとは別に剣以外全員女性であるため慣れてない環境の疲れもあるのだろう。肩を並んで進んでいるが女子の注目が激しい。剣は何も気にしてはいないが
姉の性格といきなりの同年代の女子との共同生活は一夏にはきついものがあるのだろう...そう剣は捉えていた。
「決闘...つい受けちまったが俺全然ISのことわかんねぇんだよな...」
ぽりぽりと髪をかきながらぼやく一夏。
悩みは別のようだ。そういえば物心ついたときから姉との二人暮らしだったと回想した。
「大丈夫だよ、一夏なら勝てるって」
「そうか?」
根拠など一切無いが。
「うん出来るよ、 絶対勝てる」
会話を交わすうちに食堂の入り口が見えた、普段ならごった返しているはずらしいが今日は何故かぽかんと空いている箇所があった。
「......」
そこには箒が鎮座していた。黙っていることと背筋を伸ばして突っ立っておりさらに見られたら射殺す様な鋭いきれ目であるためすれ違う生徒がひっと怯える。
「よ、ようホウキサン、お早うございます.....」
「一夏...それに剣」
「おはようございます。姉さん」
「...あぁ、おはよう」
剣は箒を一瞥しそのまま券売機へと歩を進めた。
放課後、迫り来る女子を避け剣は一人屋上にいた。
織斑一夏と篠ノ野箒はどうやら剣道の練習をするらしいいが剣にとってはどうでもいいことだった。
無心で手すりにもたれ掛かり沈んでいく太陽を見つめていると。
「だーれだっ♪」
鈴のような声の寸時の後に突如後ろから眼を手で覆われる。
「......」
無言で手を払いニコニコと笑う来訪者───碧の方を向く。
碧が収集した合法・非合法を問わない対戦相手二人のデータを剣は聞いていた。
「...ええっとぉ。織斑一夏は専用機が当日に届くからデータ不明...いや、たしか倉持技研だったかな?そこから来るのだけはわかってるよ」
「珍しい、お前が無いとは」
「うん...フツー開発した所ならあるはずなんだけどその機体のデータだけは無かったんだよね~ なんでだろ?」
碧の手の中にあるタブレット型端末のデータをスライドさせ切り替える。
「まあ、それは置いといて...こっちが本命だね。セシリア・オルコット...イギリスの代表候補生、専用機はブルー・ティアーズで...」
射撃戦を主とした第3世代でBT兵器が実験的に搭載されており特筆すべきはブルー・ティアーズのビット。計6基で死角からの全方位オールレンジ攻撃が厄介、多くのデータでこれによる勝利が確認される。
それ以外は主力のスターライトmkIIIというライフルと接近戦用のショートブレードが装備されている。
弱点は咄嗟の近接といったところか。
「どう? 一日でこんなに集めるなんて碧ちゃんユーシューでしょ!でしょ!」
腕に幾度も抱きつこうとする手を払うと不意に上目遣いで見つめてきた。
「...勝てる?」
「無論...と言いたいが...はたしてどれくらい持つか、だ。所詮僕はアイツの当て馬、せいぜい引き立てるだけだ」
夕日に向けていた視線を碧に傾けられた。
「まっかせて! そのために碧ちゃんだから!」
「...そうか」
置いてあったカバンを持ち屋上の扉へと向かう剣。
「え~剣くん~、もう行っちゃうの~!」
「そうだな
...............『僕』も備えないといけないので、それでは」
もう終わり?とした残念そうな声を無視しそのまま降りていった。
「大丈夫かな......?」
最後に呟かれた言葉は聞こえず、地平に沈む夕日がやけに眩しく感じた。
邪気満ちる暗闇があった。
その中には異形の影が映る培養槽が無数に並んでいる。
コツ...コツと白衣の女が踵を鳴らし武骨な床を踏み歩き、鎖で縛られた石像へと着くと恭しく跪いた。
そこから発せられるはこの空間の中でも漂う邪気が最も濃く常人ならば発狂してしまう程だ。
「...オオ、オオオオオオ........!!」
石像から唸る怨嗟の声が慟哭する。
波動で鎖がガシャガシャと揺れるが傷一つ無くその身に穿たれている何百年も経ってもなお強固さを示す全体のビスに問題はあらず。眼にあたる部分は空いておりそこから深紅の邪眼の光が漏れ出ていた。
「嗚呼...おいたましや我が主! 怨敵の奴原どもの封印が解けてもなお封印されておるとは!」
怨嗟の咆哮以外は言語として認識出来ない、人払いを兼ねての封印である。
「オオオオオオオオオオ!!」
「嗚呼!嗚呼!解りますともその怨み、憎悪、この私は解っておりますとも...ええ貴方様の復活の為にも...ステラプレートを...」
「サイバーナイト・ザウラス!」
しかし理性無きコミュニケーションを解ったように含み笑い、指を鳴らすと培養槽の一つが割れ恐竜を模した異形の騎士が現れる。
威勢を示すかのように地面を踏みつけ唸り声をあげる。
「グオオオオオ!!」
3度目の絶叫と共に大仰にその身を異形の巫女装束風の姿へと変貌を遂げる。
その者ら人間にあらず、450年前地球に襲来した異星人であり、地球を侵略しようとし8枚の宇宙金属板───ステラプレートにより封印されていたがその封印が破られ現代へと甦った悪鬼羅刹共。その名は
「目障りな邪魔物は必ず始末してご覧に入れます──────カイザーハデス」
今だステラプレートによって生じられている結界───ステラアレイにより封印されているカイザーハデス率いるハデス軍が現世の技術により創られたサイバーナイトによる本格的侵略は開始されようとしていた......。
残るステラプレートはX枚
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人間書く方が何で難しいんでしょう?
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