とある転生ハンターの一生 (あきのみそら)
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出発点

モンハンやってたらちょっとだけ書きたくなった。
初投稿なので文章がガバガバでも許してください。何でも(ry


自覚したのは何時だっただろうか……。確か、齢が6つを迎えた時の事だったと思う。

ドンドルマから5日ほどの所にある、主要な街道からかなり離れた小さな村の少年として生きていた俺は……ある出来事で前世の記憶というものを思い出した。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

『ドンドルマからの緊急連絡だ!こ、こ、こ、古龍がっ!!ラオシャンロンがこの村を通るみたいだっ!!!』

 

 

息を切らして外から帰って来た村の大人が、村中に響き渡るような大声でそう叫んだ。

直ぐに他の大人達が集まり、うちの村長も顔を青くして家から飛び出してきた。いや、それどころか村中の人が何事かと表へと顔を出しにきた。

 

 

『おい!今の話は本当か!!?』

 

 

『あ、あぁ!ギルドナイトがこっち来てに連絡してきた。10日前に動き出して今ゆっくりとだがこっちに向かってるそうだ!』

 

 

『マジかよ……!直ぐに避難の準備だ!女子供を最優先にしろ!荷物も最低限の食糧と道具だけだ!! 村長!!』

 

 

『うむ……そうじゃのう。避難先はドンドルマで問題ないのじゃな?』

 

 

『えぇ、今向こうでは村の避難民の受け入れ準備も進めていると!』

 

 

『分かった。ここからドンドルマまでは距離があるし男衆の中で腕に覚えのある者は避難の護衛に付け。大所帯になる、荷車の点検を忘れるな!!』

 

 

村長が男衆に指示を出し、一斉に村へと散らばっていく。瞬く間に村は騒然となり、自分も大人に背を押される様に避難の準備をし始めた。

 

隣の家に住む家族が荷車にギリギリまで荷物を詰めようとして怒鳴られたり。

 

村の鍛冶屋の娘が護衛に就く大人達にどんどん武器を渡して行ったり。

 

子供たちは荷物も持たずに、一番大きく頑丈な荷車に纏めて乗せられたり。

 

 

そんな中で、自分はさっきの大人が口にした言葉が気になって頭から離れなかった。

 

 

『……ラオ……シャンロン……』

 

 

恐らく、何かの名前……古龍、とも言っていた。お伽噺にも出てくる、天災の様な力を持つ存在。母親から聞かされた寝物語でもよく出てきた。

そして……そんな存在は今もこの世界にいると、自分は何故か確信しているかのように知っていた。

どうしてそう思うのか自分でも分からなくて……それを深く考えようとして―――

 

 

『~~~~~~~~~ッ!!!!!』

 

 

―――――頭に稲妻が走ったかのような痛みを覚えた。

 

 

『……あぁ、そうか。ここは…………!』

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

8年前。ラオシャンロン亜種が突如として目覚めドンドルマへと接近した。古龍観測所はその事実をいち早く掴みドンドルマギルドへと緊急連絡を走らせた。

その報告を受けた大長老は即、ドンドルマ中のハンターにラオシャンロン撃退作戦のクエストを発した。

詳細な事は分からないが、結果としてラオシャンロン亜種は無事に撃退された。

 

 

しかし突然の超大型古龍の襲来に伴いドンドルマは勿論の事、その周辺被害は甚大な物となっていた。

古龍の通り道となり跡形もなくなった村々は少なくとも6つ。周辺のモンスターも各方面に散らばり生態系が激変し小さな谷が新たに出来た。

撃退作戦に使用した砦も凄惨な有様でバリスタや大砲といった迎撃装置はほぼ破壊され、撃龍槍も修理に数年掛かる程のダメージを受けたそうだ。

 

 

もちろん多くのハンターも死んだ。延べ500人を超える腕利きのハンター達が参加したが、生き残ったのは僅かに150人程だったという。

それが、あの時の出来事。俺が前世の記憶を思い出すきっかけになった事件であり……俺がハンターを目指すきっかけになった出来事だ。

 

 

「ヨオーーッシ!!!!貴様ら、全員揃っているなっ!!!」

 

 

あの時から月日は流れ俺は14歳になった。目の前にはドンドルマの街にある訓練所の一つを仕切っている教官。

周りには俺と同じ訓練所でこれから教えを乞う見習いハンターが自分を含め、17人も集まっていた。

 

 

「今日から貴様らはこの訓練所でハンターとしての基本を叩きこまれる。叩き込むのはこのワシ、教官だっ!!!」

 

 

クロオビシリーズを身に纏い、無精ひげを生やした覇気のある顔をした教官が仁王立ちをしながら言葉を続ける。

怒鳴り声の様に響く声は風貌も相まって迫力が凄まじく、気圧される者も少なくなかった。

 

 

「さて、自己紹介は後で各自済ませろ。訓練所で教えるのは主に狩りでの基本、その他の事は訓練の時以外で考えるのだ」

 

 

ドンドルマには訓練所が幾つかある。ハンターに成りたいという者は後を絶たないので、訓練所は幾らあっても困るものではないからだ。

……とはいえ、全部が全部同じという訳ではない。ハンターの基礎を教えるという事は共通しているが、それぞれの訓練所にはちょっとした特色というものがある。

 

 

「……ではまず貴様らにはさっそく武器を振らせてやろうと思う」

 

 

例えば、今自分が教わるこの訓練所。言ってしまえば超実戦形式で見習いから見れば無茶苦茶な事も行われる訓練所なのだ。

何せ、この訓練所では事前に行われる体力テストの様なものを受けて一定の水準に至らなければ教わる事すら出来ないのである。

 

 

つまり量より質。その過酷さは厳しい基準をクリアした数十人もの見習いハンターが、最後まで残り卒業までに至れるものすら居ない……という事すら起きる程だ。

 

 

「今から倉庫に案内してやる!そこで自分の使いたい武器を選べ!!武器を選んだ奴は倉庫入口の横で防具一式を受け取れ!!ガンナー用、剣士用とを間違えずに申告しろ!!」

 

 

さて、いよいよハンターへの第一歩を踏み出す事になる。8年前のあの日から少しずつ身体を鍛えてきた。ハンターとしての最低限の体力はあるつもりだ。

高揚感が徐々に湧き上がってくる。心臓が心なしか早く鼓動する感覚を覚えながら、俺は倉庫へ向かって歩き出すことにした。




だいたいプロローグ部分。
更新は不定期かもしれない。でも明日にはまた1つ投稿したい。


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ハンターの原石

主人公がまだ息してない……活躍は多分次話以降かなぁ?
あと文章、長いのか短いのかちょっと判らない。


 

倉庫の中に入るとハンターシリーズの武器が一通り、まるで美術品であるかのようにズラリと並べられていた。

一瞬、その光景に目を奪われてしまい思わず立ち止まってしまう。自分だけではなく他の者達も似たように立ち止まっていたようだ。

とはいえ何時までも突っ立っているわけにはいかない。頭を振って意識を無理やり戻すと武器を選ぶために動き出した。

 

 

「さて……どんな武器にするか」

 

 

モンスターハンターの世界には大剣やランス、弓、ヘヴィボウガン……およそ十数種類の武器が存在する。

シリーズが進むたびに新しい武器も増え、操虫棍やスラッシュアックスといった物。フロンティアでは更に武器種により多彩な型も存在する。

ブシドースタイル、エリアルスタイルと言った特殊なスタイルに狩技と呼ばれる物も、ゲームでは記憶に新しい。

 

 

だが、この世界ではその辺りの武器事情がかなり違うようだ。倉庫にある武器の種類を見ればそれは直ぐに理解できた。

 

大剣。太刀。片手剣。双剣。ランス。ガンランス。ハンマー。弓。ライトボウガン。ヘヴィボウガン。

 

この辺りはほぼ当然の様にあるが、ドンドルマには無い筈のチャージアックスや操虫棍も並べられている。

少なくとも、据え置きと携帯ゲームに出てきた武器種はこのドンドルマでも一般的に普及している位には馴染みがあるようだ。

フロンティアで存在した特殊な型や各スタイルは存在するのかは分からないが、武器を使っていけばその辺りの疑問は解決する筈だ。

 

 

「決めたぜ!俺はガンランスだ」

 

「私は弓にするか」

 

「ククク……この双剣……気に入った」

 

「…………ふん」

 

 

そんな事を考えているうちに他の者は次々と自分が気に入った武器を手に取り倉庫を後にしていく。

17人もいるとはいえこの数と種類だ、どれかが無くなるという事はあり得ないだろうがそろそろ決めた方が良いだろう。

 

この日の為に身体を鍛えてきたとはいえ、生き物を殺すために武器を持つのは初めてだ。

今日選んだ武器種だけを使い続ける……というつもりはないのだが、初めから癖の強い武器を使うと武器を変える時に苦労するだろう。

 

 

「それならこれにするか」

 

 

考えた末に一組の剣と盾を手に取った。握り込み、周囲に当たらない様に小さく振り回す。気付けば俺が最後だったようで、もう倉庫の中に人影は無かった。

盾の具合も確かめて左腕にしっかりと装着する。腰に剣を付ける為のホルダーも装着し、そこに剣をスルリとしまう。

足早に倉庫から出て剣士用の防具を訓練所の者から受け取った。倉庫にはもう誰もいない事を告げ、ハンター一式らしき防具を身に纏い教官達の待つ広場へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

(一通り選び終わったようだな)

 

 

 

広場にはハンター一式を着こんだひよっこ共が17人。男が12人と女が5人。近接武器が9と遠距離武器が8。

フンッ!少し遠距離が多いな。ライトが5に弓が2、ベヴィは1か……。

近距離は片手が1、双剣が3、太刀が3、ガンランスが1……ふむ、最後は操虫棍か。打撃武器が居ないのは珍しい。

 

 

「い、いきなり武器を選ばされた……ええっと、ボウガンのリロードは確かこうやって……」

 

「ウッ、オォッ!!フンッ!!っとぉ!!銃身と、盾をそれぞれ、片手で持つのは中々慣れんなぁッ!!」

 

「猟虫……フム……美シイ……ツヤ……」

 

 

ひよっこ共には武器を選び次第、広場で準備ができるまで待たせている。その間に武器の扱いを軽く実感するように言い含めてだ。

ここの訓練所を選んだ連中なだけあって、予め武器の扱い方を座学か何かで予習してきた様な動きをする者が殆どだ。

一部それとは違う者も居る気がするが別段珍しくもない。どちらにせよ、命のやり取りを行う為の武器を初めて持つという事実は誰でも変わらない。

 

 

(今期のひよっこ共は随分多い。最低限の資質を持つ者は年々増えて行っているようだな)

 

(だが、ただ資質を持つだけの奴らは直ぐにこの訓練所を去るだろう。そして、ここで潰れる様なら仮にハンターになれても上級下位が精々……それ以上は望むべくもない)

 

(それでは足りない。あまりにも……8年前に、死に過ぎた)

 

 

そう、今のドンドルマにはハンターが足りない。ただのハンターではなく、強いハンターが。

だから育てなければならない。例えどれ程の苦境や逆境の中にあっても決して心が折れないハンターを。

 

 

(ここはその為の訓練所。今はまだ磨かれていない原石を見つける為の篩となる場所だ)

 

 

広場の上部……モンスターを逃がさない様に高く作られた柵の上で、武器を慣らしていくひよっこ共を見下ろしていく。

 

17人中、武器に振り回され、期待できそうにない奴らは6名。動きには慣れてきているが、身体と上手く噛み合わない者が4名。

 

身体と武器の動きを上手く擦り合わせられた者が5名。……それとは別に、他とはレベルが違う者が2名。

 

 

(今期はアタリか、それともハズレか。さて、見極めるとしようじゃないか)

 

 

「教官~、準備の方が整いましたよぉ?」

 

 

訓練所の職員でもあるヘルパー一式を装備した女がやって来た。頼んでいた用事が済んだらしい。

 

 

「ウム、よろしい。モンスター共の様子はどうだ?」

 

「キチンとお腹を空かせてますよぉ。はぁ、全く手を変え品を変え、毎度の事とはいえ可哀想ですね?スパルタに過ぎますよぉ、これ」

 

 

そう、この訓練所を開いてから必ず行っている恒例行事。歓迎の超実践訓練の準備が整ったのだ。

 

 

「たかだか下位モンスターだ。いざとなれば俺一人で捻り潰せる。事実、今まで一人として死者を出したことなどないからな」

 

「それで見習いさんの殆どがトラウマになって、1週間で全員が逃げ出した期もありましたよぉ?」

 

「16人もいてドスランポス3頭を瀕死にすら出来ん奴らなどハンターに成る資格すら無いわ」

 

 

あの期の連中はとことん根性無しばかり集まっていたと記憶している。

ハンターとして必要な身体を持っていても口だけが達者でヘラヘラとした態度が透けて見えていたぐらいだ。

 

 

「厳しいですよぉ~。せめて同時じゃなくて、時間差で放り込むぐらい加減しないと」

 

「ほう?ではお前ならどれ程の猶予を与えるんだ?」

 

「2分ポッキリですね~。最初の1匹殺しても1分余る計算ですよぉ。優しいでしょぉ?」

 

「ハッ!大して変わらんではないか!!」

 

 

そんなことないですよぉ~。などと不満げに頬を膨らませる奴から目を離し、頃合いと見て柵の上へ身を躍らせる。

そう、この瞬間だ。今この瞬間から、このひよっこ共から光るモノを見つける為の試練を始めるのだ。

ニヤリ、と口角を上げ深く息を吸い込む。……そうして広場へ向けて怒声のごとく叫ぶ!!!

 

 

「突然だがぁ!!!たった今から超実践訓練を開始するぅ!!!腹を空かせたランポス3種類、合計50頭の狩猟だぁ!始めぇ!!!!!」

 

 

お前たちが果たして一端のハンターに成れるかどうか、このG級ハンターが見定めてやる!!!




訓練所にちょっと濃い味感を出してみたらこうなってしまった。
他の訓練所はこんな、こんがり肉をドンッ!!と焼いただけみたいな味付けじゃないのでお許しください。


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