異世界渡り(ワールドウォーカー)の異世界探検記 (清一)
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プロローグ

前書きと後書きでは、シリーズ設定資料を随時掲載します。
設定資料集・・・世界編1

 背景世界・・・50年後以降の未来の地球を含む現実世界と様々な異世界、この異世界のように世界が変わってしまった、この世界を改変後の世界と呼んでいる。

 50年後の世界・・・とある異世界でその世界を征服したあと我々の世界に目をつけるも魔法を使うために必要な魔素(またはマナなどと呼ばれているもの)がすくないため、魔素(またはマナなどと呼ばれているもの)を世界に満たすため世界の三ヵ所に世界樹を植えて世界樹の排出する魔素(またはマナなどと呼ばれているもの)が世界に満たされるようになり、魔物があらわれ魔法が使えるようになった地球が舞台。その後、異世界から来た魔王は異世界召喚から帰還した者達の協力で40年ほど前に退治された。異世界渡り(ワールドウォーカー)の異世界探検記はこの年に主人公が死んでしまい転生するところからはじまる。

 異世界のシステム・・・異世界では現実世界とは異なり様々な種族や成長システムが各異世界ごとに決められている中にはポイント制の成長システムを採っている異世界もある。

 異世界転移者(ワールドウォーカー)・・・
異世界テラーナから侵略してきた魔王デモニスを討伐した異世界召喚者(帰還者)の一人が
召喚用魔法陣や転移魔法陣を応用して開発した魔法陣を使用して様々な異世界に転移しながら旅する者達。なかには、異世界を旅しながら冒険者として成長して行くなかで神になった者達もいる。

 冒険者育生学校・・・冒険者や異世界転移者(ワールドウォーカー)を育生する学校。世界がファンタジーで描かれているような、魔法とモンスターが存在するようになった数年後に全国に設立された学校。中学卒業後、異世界転移者(ワールドウォーカー)や冒険者になるために通う。学校に入学すると冒険者ギルドに自動的に登録される所が多い。

 異世界召喚者(帰還者)・・・世界改変前に異世界召喚された後、異世界での使命を終え帰還した者達。帰還の際、異世界で得た力を失った者、そのまま保持していた者など様々なだったが世界改変後、力を失っていた者たちも力を取り戻しており、異世界転移者(ワールドウォーカー)になった者達もいる。

 異世界転生者・・・世界改変前は異世界転生した者は帰還していない者達もいるが、世界改変後は異世界転生した者のなかには、帰還する者達もいる。世界改変後、異世界転生者の帰還に関する法律などが整備され、帰還後そのまま世界に残る者達、異世界転移者(ワールドウォーカー)になった者達など様々。

 異世界転移者(ワールドウォーカー)候補・・・異世界に最初に転移した時には、まだ異世界転移者(ワールドウォーカー)候補であり、その異世界での冒険者としての活動後、新たな異世界に転移した時に初めて異世界転移者(ワールドウォーカー)となる。

 神族化・・・『改変前』異世界に召喚されたり異世界に転移や転生するとき神に匹敵する力や加護などを得て後に神になること。『改変後』改変前のような者達に加え、異世界転移者(ワールドウォーカー)が数々の異世界を旅しながら神になれるほどの力を得て神になること。

 ステータス・・・小説やゲームなどでお馴染みの生物や物の持っている能力を表したものそれぞれの異世界ごとに表記の仕方や存在する魔法やスキルなどが違うがこの世界人々のステータスはこの世界のステータス表記を基本に異世界に居る時は、それぞれの異世界に合わせて異世界転移者(ワールドウォーカー)を初めとして召喚者、転移者、転生者は完全偽装スキルで偽装させたステータスを表示させている。

冒険者・・・改変後の世界で魔物退治などを行う者達。異世界での冒険者と同じく大抵は冒険者ギルドに所属して依頼をこなしている。

 ダンジョン・・・ダンジョンには大きく分けて、3種類ある。一つ目は世界の改変が始まったとき、魔王がダンジョンコアから生出したダンジョン。二つ目は世界改変後、自然発生したダンジョン。魔素の濃密な場所でダンジョンコアから生み出される。三つめは、異世界召喚や異世界転移から帰還したものたちや異世界転移者(ワールドウォーカー)が異世界で手に入れてたり作り出したダンジョンコアを使って生み出したダンジョン。以上の三種類の内、初心者用ダンジョンは三つ目である。
 全てのダンジョンの入り口に承認用のプレートがあり、そこにギルドカードをかざし承認されないと、入り口に張ってある結界に阻まれダンジョンに入れないようになっている。一般人や子供が間違って入らないようにするためである。

冒険者ギルド・・・この世界の冒険者ギルドは異世界とほとんど変わらない。ギルドランクがFランクからSSSランクまであり、依頼のランクと難易度から達成ポイントがあり。達成するとポイントが溜まり各ランクごとの必要なポイントまで累計ポイントに到達するごとにランクが上がっていく。

魔物の素材・・・この世界では基本的に魔物の素材は剥ぎ取りをして手に入れる必要がある。但しダンジョン産の魔物は素材やアイテムをドロップする。

魔法属性・・・基本属性七つ、地、水、火、風、無、光、闇に加え、雷、時空、付与がある。現実世界では魔法もスキル扱いの為、魔法書などで学ぶことで習得できる。それぞれレベルが1〜10まである。

初級魔法入門・・・各基本属性の初級魔法を使えるようになるために必要な事が書かれている。街中の一般の書店で購入可。

魔法書・・・初級魔法入門以外の魔法書は許可された人間にしか読めないようになっている。図書館の閲覧制限の部屋や冒険者育生学校には持ち出そうとしても出来ないように学校の敷地から外に出せない魔法が付与されている。

 ステータスカード・・・冒険者ギルドカードを兼ねる持ち主のステータス、ギルドランク、挑戦したダンジョンと到達した階層、所持金が登録されている。ダンジョンにはいるときには転移魔方陣でステータスカードに登録されている階層までとぶことができる。

私立神騎学園・・・元冒険者が創立した学園、冒険者や異世界転移者(ワールドウォーカー)を目指す人達が通う学園、本校では一般の生徒も通っている。全国各地の地方都市に分校がある。

 異世界転移魔法陣・・・異世界テラーナから侵略のためやって来た魔王を倒した召喚勇者の一人が召喚用魔法陣や転移魔法陣を応用して開発した魔法陣。

100年後の世界・・・


「やぁ、クリフ今日はいつもより早い出勤だね。」

後ろから聞こえて来た声に振り返るとカイルだった。彼は王立の貴族学園で同級生で友達だった。彼は今、クロアール王国騎士団の団員である。

「おはよう、まぁね今日は大事な例の儀式を行う日だからね。」

するとまた後ろから声をかけられる。

「おはよっ、いよいよ今日だね。」

振り返るとクレアだ彼女も王立の貴族学園の同級生で僕の友達である。彼女は宮廷魔術師になったばかりのはずだ。

「おはようクレア君も今日は早いね、どうしたの?」

「私も儀式に参加しなさいって言われたからよ。」

クレアはすごく嬉しいらしくかなりテンションがたかいそれもそのはずである、この国ではある理由から召喚の儀式に参加するのは、大変名誉なことだからだ。

「そうなんだ、それはお疲れ様頑張ってね!」

「ありがとーじゃあ行ってくるね。」

今、謁見の間では勇者召喚の儀式が行われようとしている。500年に1度、魔王が復活するため召喚される勇者に魔王討伐の旅に出てもらうためだ。

その勇者召喚の儀式にはこの国の第三王女のソフィア様と宰相の娘リアナが立ち会っている。どんな人物が勇者として召喚されるのか興味があるためである。

なぜ二人が召喚される勇者に興味があるのかそれは僕に原因がある。僕はクリフ・ライトフェロー、ライトフェロー伯爵家の四男で二人の婚約者である。僕には一部の者達しか知らない秘密がある。それは僕は転生者だって事だ。この世界は異世界転生者が過去何人かいた。彼らは、この世界で様々な変化をもたらしてきた。

そして、転生者がいた国々に多くの利益をもたらしてきたため、転生者を国に留めておくため王族や貴族の子女との政略結婚で留めておく例が多々ある。僕の婚約もその一貫である。しかも転生するとき、神様から召喚される勇者のサポートを頼まれたのだ。

「そういえば、君の婚約者のソフィア様とリアナ殿も儀式に立ち会うんだったよね?」

「そうだよ、召喚されてくる勇者がどんなやつなのか見てみたいらしいよ。」

「召喚されてくる勇者は前世で君がいた世界の人間だからか?」

「うん、そう言う事みたい。」

カイルとクレアには僕が転生者であることは、話してある。二人は大切な友人であり信頼できる仲間だからだ。もちろん、僕が転生者であることは一部の者達にしか知られていないため、かたく口止めしてある。

転生者であることがしられれば命を狙われたり他国に目をつけられる恐れがあるからだ。

なぜ僕がこの世界に転生したのかそれは15年以上前にさかのぼる。

 

 

 




設定資料集・・・時系列編

西暦20XX年突然世界各地でゴブリンやオークなどの物語の中に出てくるような魔物やダンジョンが現れる。それより遡ること2年前異世界テラーナの魔王デモニスが地球の3ヶ所に世界樹を移植する、世界樹は大気と大地からの栄養を使い魔素をつくりだし放出し世界に魔素を満たす、その事により魔法を使えるようになる。



その3年後異世界に勇者として召喚され帰還していた者たちにより魔王デモニスがたおされる。



その数ヶ月後、魔王デモニス討伐に参加していた者たちの一人が勇者召喚魔法陣





その5年後異世界転移者(ワールドウォーカー)の一人が異世界テラーナに行き魔族と人間や亜人と和平協定結ぶ手助けを




 クリフ・ライトフェロー(高杉晋一)と浅香春奈との間に生まれた高杉春翔(はると)


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第1章 転生
第1話 それぞれの思い


晋一は1学期の終業式に出席したあと下校中である。すると智章によばれて振り返る。

「晋一!ひどいよ僕を待たずにさっさと帰ろうとするなんて!」

「わるいわるい、学園に通うようになって最初の夏休みで、嬉しくてね。」

「確かに俺も楽しみだが、うかれすぎないようにな!それより夏休みの課題だがどうするつもりだ?」

僕はこの時、冒険者を育生するための学校に通っている。将来、異世界転移者(ワールドウォーカー)に成りたい為だ、智章はその学校で友達になったクラスメイトであり、僕と同じく異世界転移者(ワールドウォーカー)志望なため仲良くなったからだ。

「僕はもちろん初心者用ダンジョンに潜る

課題に挑むつもりだよ。」

「じゃあ、俺も一緒の課題に挑もうかな?」

「OK.じゃあそうしよう!」

そんなやりとりをしていると聞き覚えのある声が聞こえたので振り返ると中学時代のクラスメイトの浅香春奈だった。

「高杉君!君も今日から夏休みだよね?」

「そうだよ、浅香さんの通っている高校もそうなの?」

「そうよ、所で高杉君は夏休み何か予定はあるの?」

「僕は彼と一緒に夏休みの課題の初心者用ダンジョンに挑むか、冒険者ギルドの簡単な依頼をこなしていくつもりだよ。」

「そうなの?でもせっかくの夏休みだから海やプールで遊んだり旅行に行ったりしないの?」

「あっ!そう言うこと!もちろん夏休み中ずーっとって訳じゃあないよ。」

「じゃあさ、高杉君の都合のつく日にみんなでプールに行こうよ。」

「別に僕は構わないよ、智章も良いよね?」

「ああ俺も別に構わないぜ!」

だが、その後浅香さんはこんな事を言い始めた。

「それからさ、もしよかったら私にも少し高杉君の手伝いをさせてくれないかな?」

すると、今まで浅香さんのそばで僕の事をしかめっ面で見ながら黙っていた、浅香さんの幼馴染の神城龍馬が声を荒らげて彼女に声をかけた。

「春奈!そんな危険な事ダメに決まっているだろう!」

「龍馬君、別にあなたに許可を求めてないわ、私は高杉君に聞いたのよ、どうかな高杉君?」

「えっ、ああ僕も危険だから、やめた方がいいと思うよ。僕や智章は学校で戦闘や魔法などの基礎を学んでいるから大丈夫だけど、浅香さんはそうじゃないだろ?」

「うーん、そっかそれじゃあしょうがないか。だったらさ高杉君が学校で学んだ戦闘や魔法の基礎について教えてもらえないかな?」

浅香さんはそんな事を言い出した。

晋一は、春奈が言い出したことに戸惑っていた。

「浅香さん、なぜ戦闘や魔法のこと教えてほしいねかな?」

春奈は中学時代、晋一が異世界転移者(ワールドウォーカー)になることが夢だと聞いたときいずれ晋一が異世界に旅立ったら次いつ会えるか分からなくなる、そのことが春奈に晋一への恋心を自覚させるきっかけになったのである。その時から自分が晋一とともに居るためには自分も異世界転移者(ワールドウォーカー)になって、彼ともに異世界を旅立ちたいと考え、春奈は自分も晋一が受験する冒険者育生学校に自分も受験しようと思い両親に

伝えたが反対されたため、今通っている高校に進学したのだ。

「晋一君はウォーカーになりたいんでしょ?だから私も晋一君と異世界を旅をするためにいつかウォーカーになるために成人したら晋一の通っている学校に入学するんだ!」

それを聞いた神城龍馬は

「なんだって!僕はそんな事初めて聞いたぞ!」

「当たり前だよ今初めていったもの、私も高杉君と同じ学校に進学したかったけど親の反対であきらめたけど。」

「駄目だそんな事許さないぞ!」

「私の将来を幼馴染だからって龍馬君に勝手に決められる筋合いはないとおもうんだけど?ねえ、高杉君お願いします。」

結局、浅香さんにどうしてもと頼み込まれ訓練の手伝いを約束して家に帰ってきた。

「はあ〜、今日は終業式だけの筈なのにすごく疲れた!」

浅香さんの発言にはすごく驚かされた。確かに中学時代から浅香さんの好意に気付いていた。さらに神城君が浅香さんに幼馴染以上の感情を持っておりそのため僕の事をあまりよく思われていないため今後の事を考えるだけで憂うつな気分である。

 

春奈side

春奈が晋一と中学三年生の時に同じクラスになったが初めて彼に出会ったのは、それより4ヶ月にさかのぼる。その日、春奈は女友達と街に遊びにきていたが、突然数匹のゴブリンか出現し襲われそうになった。それを助けたのが晋一だ、晋一は初級の魔法で春奈に

襲いかかったゴブリンを追い払った後短く声をかけた後、名前も告げずに立ち去っていった。

中学三年生になり一緒のクラスになった時あの時助けてくれた彼と再会できたため晋一に積極的に声をかけた。彼と話しているうちに彼が異世界転移者(ワールドウォーカー)を目指している事を知り自分も異世界転移者(ワールドウォーカー)となって、一緒に異世界を旅したいと思うようになった。だから晋一に稽古をつけてもらえる約束を取り付けることができてウキウキしていた。だから彼の身にあんなことが起こるとは思いもよらなかった。そして春奈の望みが意外な形で叶うことになるのだか。それはしばらく後の事である。

 





西暦20XX年突然世界各地でゴブリンやオークなどの物語の中に出てくるような魔物やダンジョンが現れる。それより遡ること2年前異世界テラーナの魔王デモニスが地球の3ヶ所に世界樹を移植する、世界樹は大気と大地からの栄養を使い魔素をつくりだし放出し世界に魔素を満たす、その事により魔法を使えるようになる。



その3年後異世界に勇者として召喚され帰還していた者たちにより魔王デモニスがたおされる。



その数ヶ月後、魔王デモニス討伐に参加していた者たちの一人が勇者召喚魔法陣





その5年後異世界転移者(ワールドウォーカー)の一人が異世界テラーナに行き魔族と人間や亜人と和平協定結ぶ手助けを




 クリフ・ライトフェロー(高杉晋一)と浅香春奈との間に生まれた高杉春翔(はると)


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第2話 迷宮探検そして、告白

結局、春奈に晋一が初心者用ダンジョンを探索する合間に、都合が合う日に稽古を

つける事になった翌日から初心者用ダンジョンに挑む事になる。さらに学校の授業でいつもパーティーを組む相楽紀之と前嶋健太に智章から連絡を入れて四人で挑むことにする。

 晋一は今、初心者用ダンジョンの入り口にいる。智章との待ち合わせ時間にはまだ少し間がある。しばらくすると智章が相楽紀之と前嶋健太がやってくる。

「やぁ晋一待たせたね、それじゃあ始めようか!」

そう言うとダンジョンの入り口にあるプレートにギルドカードをかざし 承認されたことを確認しダンジョンに入っていく。

ダンジョンには初心者用ダンジョンだけでなく全てのダンジョンの入り口に承認用のプレートがあり、そこにギルドカードをかざし承認されないと、入り口に張ってある結界に阻まれダンジョンに入れないようになっている。四人は授業で第五層までクリアしているため、ダンジョンの入り口にある転移魔方陣に立つと第六層目に転移する。しばらく進むとオークが五匹あらわれる。

 「オークがあらわれたか、みんな!いつもどうり落ち着いて闘えば大丈夫だ、いくぞ」

 そして、いつものように戦闘を行いオークは四人の連携プレーで倒していく。この階層にはオーク、ブラックウルフ、ポイズンスライムだが、厄介なのはポイズンスライムの毒による攻撃だけであり、それさえ気をつけておけばいいので順調に攻略していく。

 そして、第七層からいよいよ難易度が難しくなっていく。魔法を使ったり特殊な能力を持った魔物やトラップ、隠し扉などが現れるようになるためだ。 さらに、約束どうりダンジョンに挑んでいく合間に浅香さんに稽古をつける。

 「浅香さん、まずは体内の魔力を感じる訓練から始めようか?」

 「それじゃあ、まず目を閉じて体中を血液が循環しているところをイメージしてみて。」

 僕がそう言うと彼女は言われたとおり目を閉じる。しばらくすると

 「高杉君、言われたとおり感じたよこれが魔力なんだ!」

 「浅香さん、すごいね!そんなにすぐ魔力を感じ取れるなんて魔法の才能があるのかもね!」

 こうして浅香さんの稽古は順調に進んでいったのである。だが、そんな二人に思いもよらないことがおこることになる。その日も浅香さんに稽古をつけるため待ち合わせていた。そして浅香さんに稽古をつけようと声をかける。

 「浅香さん、それじゃあ今日もがんばろう。」

 「高杉君、その前に私の事名前で呼んでくれないかな?私も晋一君て呼ぶから。」

 「ちょ、ちょっと浅香さん?」

 「浅香さん?」

 「春奈さん。」

 「何?晋一君。」

 「ちょっと聞きたかったんだけど、春奈さんはなぜ異世界渡り(ワールドウォーカー)になりたいの?」

 「晋一君が異世界渡り(ワールドウォーカー)になりたいって言ってたからよ。異世界渡り(ワールドウォーカー)になって晋一君と一緒に異世界を旅したいの。」

 春奈はそう言うとさらに続ける。

 「晋一君」真剣な顔でついに決定的な言葉を口にする。

 「あなたのこと好きです。もちろん同級生としてや友達としてだけじゃなく、1人の男の人としてよ。」

 「春奈さん、どうして幼馴染で女の子にももてる神城君じゃなく、僕なの?」

 「晋一君、君は君と私が初めて会ったのは中学三年生に同じクラスになったときだと思っているでしょ?」

「うんっ、そうだと思っていたけど。」

「やっぱり、実は初めて会ったのはその4ヶ月前に街中に突然ゴブリンが現れたことがあったでしょ、その時襲われそうになった所を晋一君が助けてくれたのよ。」

 その話を聞いた晋一は、やっとその時の事を思い出した。

 「あの時の三人組の女の子、1人は春奈さんだったんだ。」

 「やっと思い出した、そうだよあの時君に助けてもらった時から多分、晋一君の事が好きになっていたの。自覚したのはしばらくたってからだけど。」

 晋一は春奈の告白に戸惑っていた。すると

 「突然そう言われてもすぐに返事できないよね?返事はしばらく、じっくり考えてくれてからでいいから。」

 結局、その日は訓練にならなさそうなので、そのまま帰ることになる。

 そして、その翌日ダンジョンに入ってはみたものの、前日の春奈の告白の為、集中力が散漫になり、時折ミスをしてしまう。そんな僕に智章は心配そうに声をかけてきた。

 「晋一大丈夫か?体調でも悪いのか?」

 「大丈夫だよ、心配かけてごめん。この階層をクリアしてしまおう!」

 そう言って先に進みだす。今思えばここで一旦引き上げて心の整理をつけてから、あらためてダンジョン探索を続けるべきだった、

だがそうしなかった結果それはおこった。

それは探索中ある部屋に入ったときだった。

 足元に突然魔法陣が現れるとまばゆい光に包まれる。そして、気が付くと僕だけ別の部屋に跳ばされていた。すると、晋一前方に魔法陣が現れドラゴンが出現する。

「くそっ、転移トラップか!?しかもかなり下層に転移されたみたいだな、しかもよりにもよってドラゴンとは!?」

 どうやら、ファイアードラゴンのようである。しかも倒さなければ部屋からは出られない。晋一の今のレベルではとても太刀打ちできる相手ではない。だが、絶望的状況でもただで死ぬわけにはいかない。剣を抜くと切りかかるが、硬い鱗に阻まれ傷つけられない。

 「くそっ、ウォーターランス!」

 魔法を放つがやはり傷つけられない。

 すると、ファイアドラゴンがブレスを放つ

とっさに魔法で結界を張るが魔法スキルのレベルが低いため、すぐ結界か消滅する。そして、晋一はブレスの直撃をうけたのだった。

 



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第3話 クリフ・ライトフェロー

気がつくと何も無い空間にいる。ファイアードラゴンのブレスを受けたところまでは覚えているが一時何故こんな所に居るのかわからなかったが、しばらくするとここが転生の間だと気づいた。

 「ここはまさか転生の間?」

  すると目の前にまばゆい光が現れたと思ったらその光が人の形になっていく。そして、目の前に女性が現れた。

 「あなたが高杉晋一君ですね?あなたはすでに気付いているでしょうがあなたは亡くなられました。」

 「やはりそうですか、でもここに居るってことは僕は転生できるのですか?」

 「はい、その通りです。それからあなたには転生したらしてもらいたいことがあります。」

 晋一は、正直あまり気乗りしなかったが、目の前に立つ美女の頼みならやってみるのも悪くないと思っているとその思考を読んだのか目の前のおそらく女神様と思われる女性が

 「ふふっ、ありがとう君にそう思ってもらえて光栄に思うわ。」

 「僕の思考を読んだんですか?勘弁してください。」

 「ごめんなさいね、それよりあなたに頼みたいことだけど、私の名前は創造神グロシアナ、私の管理するグロシアという世界には500年に一度、魔王が復活するのだけどその時、異世界から儀式を使って勇者たちが召喚されるのだけれど彼らのサポートをお願いしたいの。」

 「勇者たちのサポートですか、それはどういう事ですか?」

 「あなたが生前目指していた、魔道具などのアイテム制作でのサポートです。」

 「なるほど、それなら出来そうです。」

 「それは有難いですね。もちろん魔王討伐が終われば後は、あなたが異世界転移者(ワールドウォーカー)になることもかまいません。それと、あなたが確実にサポートに選ばれるように勇者召喚の儀式がおこなわれる王国の貴族に転生できるようにしましょう。それと、私の創造した世界のほとんどは、地球や他の異世界からの転生者を受け入れているので、あなたが転生者であることを教えて私に召喚される勇者のサポートを頼まれたと言えばさらに確実でしょう。」

 さらに、女神様はこうも続ける。

 「それと、私の頼みを受け入れていただいたお礼に、あなたに加護を授けます。魔法神エフェリア、技巧神クライフ、知識神アカデミス来て下さい。」

 すると老人の姿をした技巧神と創造神グロシアナ様に勝るとも劣らない美女の魔法神、そして、優しい笑顔をうかべたがお婆さんのような知識神が現れる。

 「お呼びでしょうか、グロシアナ様。」

 「あなたたちの加護を彼に授けてあげて。」

 「わかりました、まずはわしからじゃ。」

 そう言うと技巧神は僕の目の前に立つと頭に手を置き加護を授けてくれる、次に魔法神と知識神も同じように授けてくれた。すると、

「私の事、褒めてくれたから、私も加護を授けてあげましょう。」

 そして、創造神様も加護を授けてくれた。

 すると、突然まばゆい光とともに中年の男性が現れる。

 「あなたは剣神ブレイディアあなたは呼んでいないのですが。」

 「それは、俺も加護を授けてやろうと思ったからだよ。」

 「彼は支援職なので戦闘スキルの必要性は高くなくていいのですが。」

 「確かにそうだが異世界転移者(ワールドウォーカー)になるなら、有った方がいいだろう。」

 「確かにそうかもしれませんね。」

 結局、剣神ブレイディアにも加護をさずかる。そして、いよいよ転生する事になる。

 「記憶は2歳になったときに思い出すようにしておきます。では、お願いします。頑張って下さいね?!」

 こうして僕はグロシアに転生したのである。

 「知らない天井だ。」

 目を覚ますと晋一の意識とクリフ・ライトフェローとしての意識が一つになっていく。

すると部屋の扉がノックされる。そして、メイドのメアリーが入ってくる。

 「クリフ様、おはようございます。お誕生日おめでとうございます。」

 「おはよう、ありがとうね。それと今日も素敵だね。」

 「クリフ様、クリフ様も素敵です。」

 「ははっ、冗談はこれぐらいで、父上と母上は朝食中かな?」

 「はい、クリフ様もご朝食になさいませ。」

 そして、食卓に向かった。

 「父上、母上おはようございます。」

 「クリフおはようそして、誕生日おめでとう。」

 「ありがとうございます。それでは創造神グロシアナ様の恵みに感謝を」

 この世界で食事前の祈りを捧げると朝食を食べる。この世界では朝食にパンとスープにサラダが一般的である。クリフは朝食を終えるとへやにもどる。クリフはこれから、勇者が召喚されるまでにやるべき事を考える。この世界では前世の記憶持ちの転生者を大切に扱っている。それは転生者が前世の知識によって様々な恩恵をもたらしてきたからである。そのため転生者は彼らが住む国以外の国から誘拐や暗殺など狙われる事も多いため、転生者であることを告げるのは、身を守る力を付けてからにしなければいけないため、家庭教師を雇って貰うよう頼まなければいけない。だがその前に、ステータスをまだ確認していないことに気づいた。

 「そう言えばステータスを確認してなかったな。ステータスオープン」

するとステータスカードが手のひらに出現する、この世界では皆ステータスオープンと唱えるとステータスがカードとなって出現する。クリフは出現したステータスカードを見て唖然とする。

 クリフ・ライトフェロー

年齢2才

職業 錬金術師

LV 1

HP 10

MP 75

 

体力  12

筋力  9

知力  15

魔力  15

敏捷度 13

器用度 18

 

スキル 剣術   1

    錬金術  1

    鍛治   1

    魔力感知

    無限知識(知識神の加護による取得)

    魔術総合 1

    創造魔法 5(創造神の加護による取得)

    完全偽装  10

    必要経験値軽減

    獲得経験値増加 

 

加護  技巧神の加護

    知識神の加護

    魔法神の加護

    剣神の加護

    創造神の加護

 

称号 転生者・異世界転移者(ワールドウォーカー)候補・創造神候補

 

能力値と加護とスキルはまだわかる称号の中にとんでもない文字をみつけたのである。

 



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第4話 家庭教師

 クリフはステータスカードをもう一度確認するがやはり称号に創造神候補という称号を確認する。まさか創造神の加護が関係しているのじゃないか?そんな事を思っていると突然、頭の中に声が響いてくる。

 『晋一君、あらためクリフ・ライトフェロー君私の声がきこえますか?』

 「はい、聞こえます。」

 『あっ、声に出さなくても念じるように考えると伝わりますよ、念話なので。』

 『分かりました、これでいいですか?』

 『ええ、それで聞こえますよ。』

 そして、本題にはいる。

 『ステータスを確認したようですね。』

 『はい、加護やスキルについては問題なさそうですが称号に創造神候補とありますが、どういう事ですか!?』

 『それはおそらくあなたに、物事を創造する才能が有ったところに創造神の私が加護を与えちゃったのが原因かもてへ!』

 『ちょっと待って下さい、与えちゃったのが原因かもてへ!じゃないですよ、て言うか転生の間で会ったときと口調が違うんですけど。』

 『ごめんなさいね、それと転生の間では他の神々が見ているため威厳のある話し方をしていますがこの口調が素なのよ。』

 『はあ、もういいですよ最初見つけて驚きましたがあくまでも候補みたいなので』

 『ええ、今はそれでいいと思いますよ、しかしあなたが異世界渡り(ワールドウォーカー)になるつもりならばいずれ創造神になるかどうか選ぶ時が来るでしょう。』

 『分かりました、心に留めておきます。』

 『それでは頑張ってくださいね。それとまた何か有ったら話をしましょう。』

 こうして創造神との念話による確認を終えるとステータスを偽装するため完全偽装を使用したあとステータスを確認する。

 「ステータスオープン」

 

クリフ・ライトフェロー

『()の中は完全偽装で隠匿中』

年齢 2才

職業 錬金術師

LV 1

HP 10

MP 75

 

体力  12

筋力  9

知力  15

魔力  15

敏捷度 13

器用度 18

 

スキル 剣術   1

    錬金術  1

    鍛治   1

    魔力感知

    無限知識『知識神の加護による取得』

    魔術総合 1

    (創造魔法 5『創造神の加護による取得』)

    (完全偽装  10)

    必要経験値軽減

    獲得経験値増加 

 

加護  技巧神の加護

    知識神の加護

    魔法神の加護

    (剣神の加護)

    (創造神の加護)

   

 

称号 (転生者)・異世界転移者(ワールドウォーカー)候補・(創造神候補)

 「うん!これでなんとか誤魔化せるだろう。」

 こうして創造神から頼まれた使命を果たすためクリフとして歩み始めるのである。そして、前世の記憶がクリフの記憶と一つとなって2年が過ぎ、クリフは4歳になった。その日、クリフは朝食中、口に入れたパンを呑み込むと少し前から考えていたあることをきりだした。

 「父上、折り入ってお願いがあるのですが?」

 「なんだい、出来ることであれば叶えてあげよう。」

 「ありがとうございます、では家庭教師を付けていただきたいのですが?」

 「家庭教師か、かまわないがまだ少しはやくはないか?」

 「いえ、僕は四男で領主になれる可能性は低そうなので、将来はアイテムや魔道具を作る工房を開こうかと、そのため冒険者ギルドに登録できる年齢までに少しは闘えるようになりたいので。」

 「なるほど、わかった心当たりがあるのでたのんでみよう。」

 「ありがとうございます。」

 父上にそう礼をいうと、朝食を食べ終えて自室に戻ってくる。そしてそれから3日後その日、部屋で魔力操作の練習をしていると、父上に呼ばれたため、執務室向かうと扉をノックして部屋に入る。そこにはクリフの父より20才ほど若い男女がいた。

 「クリフ、彼らがお前の家庭教師となる、クライブ・ガーラントとセシリア・フロイストだ二人は代々ライトフェロー家に仕える家の子女で兄姉の家庭教師もしていた者だ、彼らの言うことをよく聞いて、しっかり勉強しなさい。」

「はい、分かりました父上、先生よろしくお願いします。」

 家庭教師となる二人に挨拶をする。

 「クリフ様、こちらこそ、よろしくお願いします。」

 家庭教師となる二人も挨拶をする。するとクリフは

 「先生、お二人は年上ですし僕の先生になるのですから、様付けと敬語は止めて下さい。」

 するとセシリアは

 「そうですね、ではクリフくん私のことはセシリー先生と呼んでください。」

 「それでは、俺のことはクライブ師匠と呼んでくれ。」

 「分かりました、クライブ師匠、セシリー先生あらためてよろしくお願いします。」

 こうしてクライブ師匠とセシリー先生が家庭教師になったのである。

 「それでは今日は、いろいろ準備がありますので、明日の朝からはじめます。お昼まではクライブの剣術と体力づくり、お昼からは私の座学になります。ところで、ライトフェロー伯爵様礼儀作法やダンスなどは誰が教えるのでしょうか?」

 「あぁ、二人は知っているだろうがライトフェロー家では代々礼儀作法やダンスなどはライトフェロー家の女主人の伯爵夫人が教えているため、クリフもセシリアの座学がある程度進んだら、妻のサリアが教える予定だよ。」

 「分かりました、クリフ君このように疑問に思ったことはどんなことでも私たちにききなさい、疑問を疑問のままにしておくことで恥をかくのはクリフ君ですからね?」

 「はい、セシリー先生。」

 「それでは、失礼します伯爵様。」

 「それでは、失礼いたしました伯爵様。」

 こうして、家庭教師の二人との顔合わせは無事終了した。

 「それでは父上、僕もこれで失礼します。父上ありがとうございます。」

 「あぁ、クリフ頑張りなさい。」

 父上の激励を受けて退室する。そして部屋に戻ると読みかけの本を続きから読み始める、そうこうするうち夜になり、晩御飯の時間になる、この世界の一年は12ヶ月360日で1ヶ月30日:1週間は6日:月5週間で1日は24時間:1時間は60分:1分は60秒である。そして時間は24時間表記であらわされる。そしてこの世界では貴族だけでなく一般の家庭でも、前世での7時に朝食を12時に昼食、午後7時すなわち19時に夕食をとる、これはこの世界の全世界共通である。

 この世界の時計は魔道具で高価なため、各地ね町や村に時計台が設置されている。そして、7時と12時と19時に鐘が鳴り響くようになっており、それに合わせて食事をとる。

 夕食の合図の鐘が鳴り響くと創造神への感謝の祈りを捧げる。食事をしていると母上のサリアが食事の手を止めはなしけてくる。

 「クリフ今日、家庭教師の二人と顔合わせをしたそうね?」

 「クライブ師匠とセシリー先生です。」

 「まぁ!クライブ・ガーラントとセシリア・フロイストのことかしら?」

 「はい、母上そのとおりです。」

 「そう、クライブ君とセシリアちゃんなら大丈夫ね、ほかの兄妹も二人に家庭教師をしてもらったものね。」

 食事を終えると部屋に戻る、いよいよ明日からすべてが始まる。

 



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第5話 体力づくりと戦闘訓練

 翌日、朝食を食べ終えると、クライブがやってくる。

 「それでは、今日から訓練を始める。まずは体力づくりから始めよう。その前にけがをしないように体をほぐしていくぞ。」

 そう言うと前世で言うところのストレッチを始める。それが終わると、いよいよ体力づくりを始める。

 「準備運動を始めようか。それではお屋敷の回りを走る。初日なので俺がクリフ君の前を走る、クリフ君は俺の走り方をまねながら自分のペースで私の後を付いて走ってきてくれ。」

 そう言うとクライブ師匠は走りだす。クリフは後に続きはしる。屋敷の回りを2周すると、少し休むとまた屋敷の回りを2周するこれを5セット行う。そして、10分ほど休憩するとクライブ師匠は短剣ほどの長さの木の枝で作った木刀の様なものを渡される。

 「クリフ君年齢だと長剣は、まだ扱えないから、短剣の扱い方を習ってもらう。」

 「はい、師匠!」

 「よろしい、短剣では戦闘の時には、切るのではなく突き刺すか、敵の攻撃を受けることが基本です。短剣は長剣と違い腕力を使って叩き切るのではなく、速さで切り裂く為、大したダメージは与えられないためだ。」

 「はい!よくわかりました。」

 「では、短剣に攻撃の型などはないので、組み手形式で訓練を行う。まずは短剣1本で15分間打ち合って10分休憩を5セット行うぞ。では構えて。始め!」

 そして、クライブ師匠との、組み手形式の稽古を5セット行うと今日の戦闘訓練は終了する。そして、セシリー先生が昼食の10分程前にやってきた。家庭教師の二人は、僕が学園に通うようになるまでは伯爵邸で昼食を僕たちと食べることになる。それはライトフェロー伯爵家の伝統である。

 「クリフ君、初日の戦闘訓練はどう?つづけられそう?」

 「はい、まだ一日目なのですがクライブ師匠の教え方は分かりやすいです。」

「そう、それは良かった、頑張りましょう。昼食後は私の番だからよろしくね!?」

 そんな風に会話をしていると、メイドが昼食に呼びに来る。そして全員が席につくと「クライブ君、セシリーちゃん久しぶりね、クリフのことどうぞよろしくね!?」

 「はいサリア様、こちらこそよろしくお願いいたします。」

 そう言うと創造神様への祈りを捧げ昼食をすませる。そして、セシリー先生の座学の時間である。

  「クリフ君、今日からお願いね!?」

 「はいセシリー先生、よろしくお願いします。」

 「いい返事ね、今日からこの世界の様々な事を学んでもらいます。まずこの世界の言葉からね!?」

 セシリー先生はそう言うと、一冊の本を取り出す。それはこの世界の言語を記すための文字の教本である。この教本にはこの世界共通の前世でいえば、50音やアルファベットにあたる文字を書くためのお手本や簡単な単語が書かれている。

 「クリフ君にはこの本を使ってこの世界の言葉を勉強していきます。ではまず文字を書く練習をします。本を開いて、一文字ずつ書いていきます。まず2ページ目の最初の一文字目を10個書いてください。」

 セシリー先生にそう言われて一文字目を書き終えると続けて同じことを17文字分行う、そして5分休憩すると一文字10個17文字書いて5分休憩を続け5回目で次に移る、

 「はい、それでは次に、創造神、グロシアナ、この世界の名前のグロシア、この国の名前のクロアール、ライトフェローを10個ずつ書いてください。」

 セシリー先生の言うとおり書き終わると、また同じく5分休憩をとり同じく5回繰り返す。書き取りが終わると次は簡単な足し算、引き算を教わると一日目を終える。

 そして、メイドに一日目の座学を終えたことを告げるとメイドが部屋をでていった。しばらくすると来客用の部屋に呼ばれセシリー先生と僕は僕の部屋から来客用の部屋に入る。すると部屋ではティーセットとともに母上がいた。そして母上は僕たちに声をかけてくる。

 「二人ともお疲れ様、セシリーちゃん久しぶりにクリフとお茶にお茶菓子で、お茶会をしましょう!?クリフは礼儀作法の練習をかねてますから、しっかり学ぶのですよ。」

 さらに、母上から今まで、家庭教師の二人に教わっている間は、お茶会が毎日続くそうである。お茶会を終えてセシリー先生がかえっていくと夕食までの間今日の復習をして過ごし夕食を食べ終えると長かった一日目が終わる。

 家庭教師に文武両面を教わる2日目、クライブと準備運動、走り込み、組み手形式の短剣の稽古、セシリー先生の指示での19の文字と、簡単な単語の書き取りを終えると母上とセシリー先生とのお茶会での礼儀作法と続く。この世界では1週間は6日で週末二日は休息日であり、世間では、貴族、庶民問わずどちらか一日、または二日とも仕事をお休みにしており、明日と明後日は休息日で、家庭教師の二人はお休みである。その二日は家庭教師に教わった事を思い出しながら自主練習を行う、そして3日目、クライブ師匠との体力づくりと戦闘訓練を終えると昼食をとり、セシリー先生の座学である。17の文字の書き取りは休みの日の自主練で見本を見ずに書けるようになったため、書き取りは10個の単語とその単語の説明を書き取りする。この世界の言葉は9つの子音と5つの母音による基本となる言葉とその言葉の意味の組み合わせによる単語に過去、未來、疑問をあらわす、3つの文字を組み合わせて文章を作ることができるのである。そして文法の勉強へとうつっていった。

 



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第6話 帝国の誕生とクロアール王国の歴史

 そしてクライブの体力づくりと戦闘訓練はクリフの成長と体力が付いてきたのに合わせて走り込みの距離や回数を変えて行う。クライブ師匠の修行の後は、セシリー先生との書き取りと母上とセシリー先生との礼儀作法の練習を繰り返して1年が過ぎた。クライブ師匠との体力づくりと戦闘訓練の成果と剣神の加護のおかげでかなり力がついてきている。戦闘訓練の後は、セシリー先生の座学だ。勉強を始めて一年、今日から単語の書き取りを終える。そしてセシリー先生が

 「はい、それでは今日で書き取りはここまでです。今日からこの世界やこの国の歴史、文化などを学んでいきます。」

 と言うと、セシリー先生の話を紙に書き写していく。

 「まずはこの世界の成り立ちから、この世界は創造神グロシアナ様が創造された世界のひとつだと言われています。まずグロシアナ様はこの世界に星々と太陽と月、そして我々の住むこの星を創造しました。その後、さまざまな生き物を創造し最後に人間や亜人を創造しました。」

 この世界の創造神話の後は

「では、次にこの大陸とその歴史についてです。創造神によって創造された人間と亜人ですが、人間は大陸に広く散らばり家族単位で狩猟などをしながら暮らしていました。やがて人間達の中にトラナと呼ぶ植物を栽培しひとつの所に定住する者達が現れる。」

 ここまで、話すと休憩を入れる。今の話に出てきたトラナとは前世の世界の小麦のことでやがてトラナを使ってパンや麺などが作られるようになる。休憩が終わると歴史の話を再開する。話は人間が定住するようになってから、村や町やがて国へと発展し、国々が領土をめぐる争いへ発展していったことに及んだ。そこまではなしをすると再び休憩はさむ。そして休憩を終えはなしだす。

「さて、国々の領土争いにある時転機がおとずれます、一人の男性が現れその武力とカリスマ性で次々と大陸の国々を傘下に治め大陸を統一しました。」

 そこまで話すと一息つくとつづける。

 「こうして大陸を統一した者こそガルム・ゼフェリアのちにゼフェリア帝国の皇帝と呼ばれるようになります。」

 そうこれがグローシア大陸の半分を統治する大国、ゼフェリア帝国誕生の歴史である。

 「その後、ゼフェリア帝国は分裂しいくつかの国が帝国から独立するのですが今日はここまでです。続きは明日にしましょう。」

 そういって今日も母上とお茶とお茶菓子を美味しくいただいた。

 「それでは昨日の続きからはじめます。昨日は帝国が成立するまででした。帝国は皇帝となった後、統一のために戦った者達にその功績に応じて爵位や領地を与えました。帝国の皇帝陛下が生きていた頃は大陸は平穏でした。しかし、初代皇帝が亡くなり、皇帝4代、5代目になると帝国の政治も腐敗し始めました。広大な大陸の辺境では民から搾取し圧政をしくものや帝都の政治では醜い権力争いを繰り返し、民は帝国に不満を持つようになりました。」

 と、話しはいよいよクリフにとって重要な出来事に差し掛かる。

 「そんな人々の恨み、嫉妬、怒り、欲望などの負の感情がこの世界に魔王と言う存在を生み出しました。そして魔王は人間を支配する為、魔王は自分の手足となる様々な魔族を生み出し彼らを率いて、帝国に攻めてきました。」

 とここで一度休憩をはさみ話しを続ける。

 「帝国は軍を率いて魔王と魔族の軍勢に立ち向かったが魔王と魔族の圧倒的な力の前に劣勢だった帝国は魔王に支配されるのも時間の問題でした。そんな中、帝国の宮廷魔術師のなかに創造神から神託を受け、異世界から勇者を召喚する魔法を完成させたのです。この魔法は異世界とこの世界結ぶ魔方陣に召喚と魔力による異世界人を強化する術式を加えたものでした。」

 「こうして召喚された勇者によって魔王はみごと討伐されました。その後勇者は召喚魔法を生み出した魔術師の送還用の魔方陣によって帰還しました。するとその魔術師は世界を救った英雄となりました。ですが人々の称賛をあつめる彼のことを妬んだ者達は魔術師が民衆を扇動し皇帝の座を狙っていると濡れ衣をきせ、それにより魔術師は辺境へと送られました。」

 ここで再び、休憩を入れる。

「魔術師が送らた辺境の領主は民から、財産を搾取し苦しめていました。そしてそんな領主の横暴を目の当たりにした彼は民とともに蜂起しました、そしてその周囲の民へ圧政を強いている領地の民達を率い帝国からの独立を宣言し圧政を強いていた領主を処刑しました。そうして成立したのがクロアール王国です。すると、他の辺境の民も次々と独立蜂起しました。そして、誕生したのが今も存在している6つの国々です。」

 その後、王国の歴史そして500年ごとに倒したはずの魔王の復活、そしてその度に異世界からの勇者召喚、そして帝国からの独立を維持する為の6カ国との同盟締結、などを学んでいく。そして今日の勉強は終了する。

 さらに翌日は、亜人と人間との関係、さらに亜人について学ぶのだが、その事については亜人、すなわちエルフやドワーフなどはいずれ登場するときに記すとします。さらにクロアール王国以外の国々(帝国を含む)についても主人公と関わりが出てきてから記すことにしましょう。こうして、さらに1年がたった。

 

 

 



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第7話 次の段階と魔法訓練

僕に家庭教師がついて2年目になり僕は6歳になった。 体つきも能力も成長したため戦闘訓練も次の段階に進む。

 「よし、これからいよいよ、長剣を扱う為の訓練に入る、まずクリフこれを使え!クリフ用に合わせて作った剣だ!」

 そう言うと、一本の木の枝で作られた剣をわたされる。

 「クリフはまだ成長途中で成長に合わせて使う剣を変えていくから今はそれに合わせて木剣を変えながら剣術を教えていく。」

 「はい!師匠よろしくお願いします。」

 そう言うとクライブは庭にある2本の木の杭が5メートルの間をあけて立ててある場所に立つ。

 「よし、ではまず構えからだ、まず利き手を上、そしてもう一方を下にして持つ、それから切っ先を正面に向け構える。これが基本の型の中でも最も多い型だ。では構えて!」

 そう言われて、教わった通りにかまえると、

「まず俺が見本を見せる。」

 と、言うと右側の木の杭に立ち杭に木剣を打ち込む、その後をクライブを真似て打ち込む。それを昼食の時間10前まで休憩をはさみながら続ける。

 

 昼食の後はセシリー先生の魔法の訓練である。魔法の訓練は始めてから半年になる。歴史と他国の誕生の歴史や対帝国のための同盟のことなど大陸の歴史の勉強が終わったあと魔法の訓練に移っていった。

 

 半年前、

 「昨日までで大陸の歴史と情勢は以上です、今日からは魔法の勉強を始めます、魔法には属性があり、その属性の才能がなければその属性の魔法は使えません。そして属性には火・水・土・風・光・闇、無の基本属性と時空・付与・治癒の特殊属性の10の属性があり、一人1つ以上の属性を持っています。この内どの属性を持っているか調べるには、鑑定用の魔道具を使うか、実際に試してみて使えるかで判断します。鑑定用の魔道具は冒険者ギルドに置いてありますが、貴族の家ならば持っているので今回はそれを使用させていただきます。」

 そう言うと鑑定用の魔道具を目の前に置く。この世界の者は生まれ付きステータスオープンでステータスカードを取り出すには作成されたステータスカードに魔力を通して個人認証しないといけないが、もちろん僕は転生者であり、その為ステータスカードオープンと唱えるだけで、ステータスカードを出せばわかるのだが、現時点では転生者であることを秘密にしているためセシリー先生の指示に従い鑑定する。

 

 鑑定結果、基本属性七色に鑑定の魔道具が変化する。すると、セシリー先生は

 「さすがはクリフ君基本属性すべてに才能があるとは、ライアス君達は3つから4つの属性だったからさすがはライトフェロー家の人間ね!」

 「ありがとうございます。」

 「まず、魔法を使うには体内の魔力を操作して使用する魔法の効果をイメージして大気中の魔素を変化させることによって発動します。魔法の威力は体内の魔力をどれだけ注ぐかで決まり使用する魔法の基本の威力値を足して使用する魔法の属性のその時の属性レベルを掛けたものになります。」

 そう言うと、さらに魔法の詠唱について学ぶ。

「魔法を使うときには使用する魔法のイメージを助けるため、詠唱を行いますがあくまで使用する魔法のイメージの補助であるため、レベルが上がり魔法のイメージがスムーズに行えるようになれば詠唱を省略したり破棄して使用することができるようになります。では外に出て魔法を使用する練習を始めます。」

 こうして魔法の訓練が始まって半年がたったのである。

 



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第08話 錬金術工房

 冒険者ギルドに登録したあと依頼が書かれた紙が貼ってあるボードの前で立ち止まると一枚の紙を選ぶ。

 「クリフ、今日はまずFランクの薬草リステアの採集依頼を受けるぞ。」

 そう言うと紙を受付に持っていく。

 「薬草採集依頼ですね?薬草リステア100本採集、報酬は200シアナこれでよろしいですか?」

 「あぁ、お願いする。」

  依頼を受けるとクライブは

 「まずは薬草採集依頼を受けたが、冒険者登録したらFランクから始まり依頼をこなしていくがFランクだと薬草採集かスライムやゴブリンの低ランクの魔物の討伐依頼があるが討伐依頼を受けていなくても、素材の買い取りはして貰える、そして薬草採集依頼で向かうミストレルの森にはスライムやゴブリンが出るため武器屋に寄ってクリフの武器と防具を買うぞ。」

 

 そう言って武器屋に向かう。武器屋に入ると若い男がカウンターにいる。若い男は僕達が入ってきたことに気づく、すると

 「いらっしゃいませ、今日はどういった御用でしようか?」

 「やぁクリスト、今日はこいつの武器と防具を買いに来たんだが、親父さんは留守かい?」

 「えぇ、父さんは今、武器作りに必要な素材がきれたので冒険者ギルドに採取依頼を出しに行ってます。」

 「そうか、入れ違いになったかそれじゃぁ勝手に選ばせてもらうよ!?」

 師匠はそう言うとまずは武器の並んでいる所まで移動する。そしてショートソードを手に取ると、

 「クリフ、これを手に持ってみて君の身を守る武器だから扱いやすい物をえらんでくれ。」

 そう言われ慎重に選ぶ、そして次に防具選びにうつる、革製の鎧と盾、ブーツなどをあわせていく。

 「クリフは成長過程にあるから用はすこし大き目の物を選ぶようにしないと。」

 そう言って防具を選び終えるとちょうど武器屋の店主のグレアムが戻って来た。

 「クライブ、セシリア久しぶり今日は何しにうちの店に?」

 彼も師匠達にそう聞くと、師匠は僕の事を紹介する。

「やぁ、彼はクリフ・ライトフェロー今日から冒険者ギルドに登録して、依頼を受けるから彼の装備を買いに来たんだ。」

 「ライトフェローってもしかして領主さまのクリフお坊ちゃんですか?」

 「はじめまして、クリフライトフェローと言います、今日から冒険者として依頼を受けるのでこれから偶にこのお店のお世話になると思うのでよろしくお願いしますね?!」

 「これはクリフ様、こちらこそ伯爵家の方々と私設騎士団の方々にはお世話になっていますのでクリフ様には上質な装備をご用意しますのでぜひ御贔屓ください。」

 「ありがとう、こちらこそよろしく、そうだ実は僕は将来魔道具や薬品、などのアイテム作りをする魔工師になりたいんだけど、その為の技術を教えてくれる人を紹介してください。」

 「そうですか、分かりました俺の知り合いでドワーフの鍛冶屋でガーラントってやつがいるから訪ねて見ればいいですよ。」

 「ありがとうございます、依頼を終えたら早速たずねてみますね。」

 そういって買い揃えた装備品を受け取ると依頼の薬草採取の為近くの森に向かった森につくと師匠から注意点の説明を受ける。

 「クリフ薬草を採取するときは根っこを残す為にナイフなどで茎の部分を切り取って採取してください。」

 師匠達の説明通りに採取していく。すると

クリフが薬草採取をしているとスライムが現れる。スライムが体当たりしてきたが買ったばかりのショートソードを抜きスライムを真っ二つに切って捨てる。するとスライムの核とスライムゼリーがドロップされた。それをアイテムバッグにしまい採取を続ける、その後も採取作業中にスライムやゴブリンと遭遇し倒して行くするとスライムとゴブリンを10匹倒したときレベル2にアップした。

  クリフ・ライトフェロー

職業 錬金術師

LV 1→2

HP 58→75

MP 135→168

 

体力  68→89

筋力  45→74

知力  35→57

魔力  46→68

敏捷度 38→57

器用度 48→67

 

スキル 剣術    1

    錬金術   1

    鍛治    1

    魔力感知

    無限知識(知識神の加護による取得)

    全属性魔法 1

    創造魔法 5(創造神の加護による取得)

    完全偽装  10

    必要経験値軽減

    獲得経験値増加 

 

加護  技巧神の加護

    知識神の加護

    魔法神の加護

    剣神の加護

    創造神の加護

 そうするうちに依頼された必要な採取数を達成したため冒険者ギルドに依頼達成の報告に向かう。

 

 「薬草採取依頼が終わったので処理してください。」

 冒険者ギルドの受付に声をかける。そして冒険者登録の時に対応してくれたカトレアさんが確認してくれる。

 「たしかに薬草100本確認しました。それではこれが報酬の200シアナです。」

 報酬を受け取り冒険者ギルドを後にする。

 「クリフ、まだ時間があるからすこし付き合ってくれ。」

 師匠はそういうとある店に案内された。

 「この店は俺たちのよく利用している錬金術工房だ。」

 そう言って店に入って行く。

 「いらっしゃいませ、おや?クライブさんセシリアさんお久しぶりですね、今日はどうしたんですか?」

 「やぁライル久しぶり!実は君に頼みたい事があってね!」 

 そう言って僕のことを彼の前に引き出した。

 「こいつはクリフこいつは将来魔工師に成りたいらしい、だからアンタに錬金術を教えてあげて欲しい。」

 「はじめまして、クリフ・ライトフェローといいます。さきほど師匠の言われたとおり将来は魔工師を目指しています、よろしくお願いします。」

 「ライトフェロー!そうするとライトフェロー伯爵家のご子息様ですか?」

 「はい、ライトフェロー伯爵ライナス・ライトフェローの四男のクリフです。ライルさんそれで弟子入りですがよろしいですか?」

 「はい、もちろんです。」

 「良かったです、それではよろしくお願いします。」

 「ですが弟子入りするからにはそれなりの扱いをさせて頂きます。」

 「はい、結構ですよクライブ師匠やセシリー先生も僕のことを弟子、生徒として接していますから問題ありません。」

 「それでは予定が決まりましたらまたお話しましょう。」

 「はい、それでは失礼しました。」

 その後鍛冶師のガーラントと同じようなやり取りをして、弟子入りした後明日からの予定を決めたのである。



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異世界転移者の異世界見聞録

 ここには北大陸と南大陸を繋ぐ転移魔法陣が設置されているセフィーロ島、異世界テラーナにある北大陸と南大陸の間にある群島その中でも一番大きな島である。3,000年前、まだ北大陸と南大陸が互いの存在を知らなかった時代、北大陸の南端のある漁村にすむ漁師が漁にでた時、嵐に遭って漂流し南大陸に偶然流れ着いたことがきっかけでお互いの存在を知ったのである。その後、島と北大陸そして島と南大陸を行き来する魔法陣が設置され北大陸と南大陸の交流が始まった、やがて島と北大陸そして島と南大陸を行き来する魔法陣とその周囲にそれぞれの大陸から来る旅人のための宿屋や食堂や商店などが出来たことにより島の南北に町が出来それを結ぶ街道が出来その間にいくつかの街ができたのである。

 そんなセフィーロ島の中央部本来は鬱蒼とした森が広がっていたのだが、今はいくつかの建物がたちならんでいる。そして、その建物の側では何人もの魔族、人間、亜人たちが作業をおこなっている、建設中のこの建物群はこれからはじまるこの世界にあるすべての国と種族の代表を交えた重要な会議を行うためである。この世界の国々が魔王の支配から開放されてから人間と魔族の間にある嫌悪と憎悪、特に魔王デモニスが誕生し直接統治していた北大陸の一部の国々のなかにはもともと人間至上主義国家がいくつかありその国々は魔王デモニスが討伐された後、魔族への迫害が激しさを増していたため異世界から異世界転移者(ワールドウォーカー)となった加島亮太が彼らの調停役としてやってきたのである。

 亮太は、調停会議の舞台となる建物群が完成していく様子を眺めながらここまでこぎ着けるまでの苦労を振り返り感慨深い思いを懐いていた、そしてこれまでの事を振り返っていたのである。

「次!加島亮太」

 檀上から呼ばれた亮太は檀上に進むと卒業証書を受け取る。今日は神騎学園の卒業式である、加島亮太は異世界転移者(ワールドウォーカー)になるため学園に通い3年間の学園での訓練を終え晴れて異世界転移者として歩み始める、学園を後にしてこれから異世界転移の手続きをするため役所に来ていた。

 手続きを行い転移許可証を受け取り転移魔法陣に向かうと転移の間へと転移する、すると目の前に綺麗な美女がいた、そして亮太に語りかける。

 「ようこそ転移の間へこれからあなたには異世界へと転移していただきます、ただ本来なら転移先はランダムになるのですが、もし私の依頼を受けてくれるならあなたにはわたくしの管理する異世界に転移していただくことになります。」

 



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