元気なアルバイターとひとつ下の後輩 (オレンジフラワー)
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第1話 元気だけはいい男
オレンジフラワーと申します
ノリと勢いでこの作品を描きました。
タグでもあるように亀投稿になってしまうと思います。
分からないことも沢山あるので意見やアドバイスを貰いながら頑張りたいと思うのでよろしくお願いします。
突然だがみなさんは高校生活といったら何を思い浮かべるだろうか
学校行事、部活、高校生ならではの恋愛など沢山のものがある。だがそれ以外で俺が選んだのは…
「いらっしゃいませー!!」
コンビニのアルバイトである。
学校行事は嫌でも強制参加だし、元々運動は嫌いではないが逆に好きなものもないからそこまで興味は湧かなかったし、偏見かもしれないが文化部は女子がやるイメージだったので指示通り動けばお金が貰えるアルバイトを選んだ。しかもバイト先も家からそこそこ近いという俺にとってなかなかの好条件だった。
初めは分からない事だらけだし、お客にはめちゃくちゃ文句も言われるしやめてやろうかと思ったが、いざ給料を貰うとまたやる気になってしまい、なんやかんや1年続けてしまっていた。
学年も1つ上がり高校2年になり、学校生活ではクラス替え以外は特に変わりはなかったが、バイトでは1つだけ変わったことがある。
それは…
「3点で520円になります。」
今、俺が接客している女の子が週に2、3回ここのコンビニに来ていることだ。1年も続けていればだいたいの常連さんは覚えてくる。この子はここ最近よく見るから常連になりかけている所だろう。
顔を見る限り綺麗な顔立ちで、少し大人っぽいような雰囲気だった。
相手の子が小銭を探してる間にチラッと見るとうちの高校制服を着ていた。こんな子同級生にいたってけ?
あ、そもそも俺高校入ってほとんど女の子と話してないから分かるわけなかったわ。
「600円でお願いします。」
「あ、はい。600円お預かりします」
おっと、危ない。寂しい感情にひたってる暇じゃなかった。仕事は仕事で割り切らないと…
「80円とレシートのお返しになります。」
1年間鍛えた華麗なレジ捌きでお釣りを返す。
お釣りやレシートを渡す時、必ずこの子は一礼をしてくれる。店員からするとこういうちょっとした事で嬉しい気持ちになる。たまにお釣りも受け取らずどっか行く奴はいるし、レシートだけなのに待ってる人がいて、いざレシートを渡すと見もせずに捨てる奴がいてお前なんで待ってたねんって奴がいるので一礼をしてるくれるだけで、大袈裟かもしれないけど仕事して良かったと思う瞬間である。
「ありがとうございましたー!またお越しくださいませー!」
元気よくあいさつをし、そして今日もこの子はお釣りを渡したあと軽く一礼をして店を出ていく。
うわっ…後ろ姿も綺麗だわ。年上なのかな…
気づけばバイトであの子に会うのが楽しみになっていた。
_____________________________________________
場面は変わって翌日の1限目の体育の授業。
種目はサッカーである。
バイトが22時まででなかなか眠いところだが、サボり過ぎず授業に取り組むとしよう。
「俊太いったぞ!」
試合終盤ついに俺の元にボールが来た!
「おっしゃ!まかせろーい!」
俺はバイトで極めた声には自信があるので、勢い良く声を上げ転がってきたボールを華麗に空振り。ボールはコートの外に出て相手チームのスローイン。そしてなんとも言えない静寂が生まれる。
「……あっ」
「……」
それから、全員の笑いものにめちゃくちゃ恥ずかしい授業となった。
だから運動は嫌いなんだ…。
_______________________________________________
またまた場面は変わり、3階、1年A組。
私は窓際の席から2年生と思われる体育の授業を眺めていた。
うちの学校は学年ごとにジャージの色が違い、1年生は赤、2年生は青、3年生は緑と分かれている。
今日の数学は、先生の都合で自習になってしまったので、クラスのみんなは課題をこなして怒られない程度にお喋りをしていた。
私も、課題が終わりどうしようか迷っていた所に外から男子生徒の声が聞こえたのでグラウンドに目を向けた。
すると、どこかで見覚えのある男の人が、コートギリギリをだるーい感じで走っていた。
私は記憶を辿り、ひとつ思い出したことがあった。
「……あっ、あの人は…」
私はふと思い出すことが出来た。
「凛?何見てるの?」
私の声に気づいたのか、前の子が私に話しかけてきた。
「うん?あぁ〜…外の体育の授業を見てたんだよ」
外に向かって指を指すと同時に大きな声が聞こえてきた。
「おっしゃ!まかせろーい!!」
そして、ボールを華麗に空振り。みんなに笑われていた。
「あはは!あの人めっちゃ面白い!」
前の子は可笑しそうに笑っている。
「あの声…やっぱりあの人だ…」
「ん?なんの話?」
「いや、なんでもないよ。」
話す機会があれば今度からかってみよう。
よく通っているコンビニの、元気で明るい店員さんはひとつ上の先輩だった。
読んでいただきありがとうございました。
沢山の方の意見、感想、アドバイスを待ってますので気軽によろしくお願いします!
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第2話 育て方次第で人もペットも変わる
ノリと勢いで、2話目投稿です。
楽しんでいただければ光栄です。
今回もよろしくお願いします!
それから数週間、俺がやることはほとんど変わっていない。
学校に行き授業を受け、部活をやってる人達を横目にバイトに向かう。
最近スマブラ買ったのに全然出来てないなー。なんて考えながら自転車を走らせる。
するとグラウンドのフェンス越しに見覚えのある女の子が寂しい顔で部活をしている人達の姿を見ていた。俺の事は気づいていない様子だし、顔見知りだかほぼ初対面に近いので話しかけるのは辞めておこう。変に話しかけて妙な空気になるのはお互い嫌だし、そのまま気づかれないように通り過ぎた。
部活やりたいならやればいいのにな。
******
「なぁ?知ってるか?」
「……何が?」
1限目と2限目の間の休み時間に、寝ようと思ったら幼稚園から腐れ縁の多田拓真から話しかけられ睡眠の邪魔をされた。つまらない話だったらブチギレるぞ。
「この学校の1年生にめちゃくちゃ可愛い子が入学したらしいぞ?」
「へぇー。まぁそれがどうしたんだって話だけどな。」
「相変わらずノリが悪ぃな俊太は…」
「何?褒めてくれてんの?」
「アホか!しかもそれだけならまだしも、入学してから数週間なのにもうその子に10人も振られてるらしいぞ…」
「へぇ〜。10人か。まぁそれがどうしたんだってはな……は?」
一瞬思考が止まる。入学式があってからまだ3週間ほどで、10人はエグすぎるだろ…そんなに可愛いのか?
「その1年生はどんな子なんだ?」
「お、なんだ?お前も告白するのか?」
「うっせぇ!違うわい!会ったこともない子に告白する奴がいるのかよ」
「それがいるんだなこれが…。」
「え、マジ?」
どうやら拓真の話を聞く限り、10人のうち半分は全然話した事もないのに告白したらしい。それで付き合えたら逆に凄いけどな…。
「それで?どんな子なんだ?」
「お?なんだ?告白するのか?」
「それさっきやったくだりだろうが!」
「わりぃわりぃ!」
こいつ笑いながら平謝りしてるじゃねぇか。全然反省しちゃいねぇ…。
「名前は渋谷凛。1年A組らしいぜ」
「…渋谷…凛…?」
どこかで見た気がするんだが、どこで見たか思い出せん…。
「どうかしたか?」
「いや、なんでも…それで見た目は?」
「お?なん…「それはもういいよ!」」
ごほんと咳払いをして再び拓真は話し始める。
「見た目は背は気持ち少し高めだな。髪は黒色で、サラサラロングヘアー、耳にはピアスが開いていて、瞳は緑で綺麗な顔立ちだ。」
「いや、お前めっちゃ詳しいじゃねぇか…。」
特徴を聞き1人だけ俺の頭に思い浮かんだ子がいた。
黒髪…ピアス…緑の瞳…。あの子はうちの制服を着ていたし…まさかな…。
昼休みに1年生の教室に乗り込もうと言われたがご丁寧にお断りをした。
********
それから何日かその子は、コンビニに買い物には来なかった。
そして休日の土曜日、予想もしないことが起きた。
「戸村くんわざわざありがとね!夕方からなのに昼間に回ってもらっちゃって…」
「いえ、全然構いませんよ。どうせ暇ですし」
「戸村くんかっこいいんだから彼女の1人や2人いるでしょ?バイトばかりして遊ばなくていいの?」
「いや、いませんよ…てか、二人いたらやばいっすよ…」
「冗談よ!冗談!じゃあ最後ゴミ捨て終わったらそのままあがっていいわよ」
「了解っす。お疲れっした。」
店長との事務所でのやり取りが終わり、ゴミ捨ての準備をして外に向かう。
しっかし、昼のピークの時はやべぇーな…弁当やら揚げ物が売れる売れる…。レンジ4つじゃ足りねぇーだろあの量は。頭おかしいだろと言いたいレベルだ。
あとコンビニで1万も使うなよな…スーパー行けや…。
と、思いながらゴミをゴミ捨て場に捨て、事務所に帰ろうとした時だった。
「あれは…犬?」
首輪にリードをつけた小型犬がこちらに向かって走ってきていて、明らかに俺に向かってきていた。
「ワン!」
「…」
案の定俺の前に来てひと吠え。
「…おすわり」
「ワン!」
またひと吠えしておすわりをする。
こいつ…できる犬や。
「待て。」
「…」
犬はそのままこっちを見つめ、おすわりした体勢で待てをする。そして俺は、ダッシュで事務所へ戻りタイムカードを切り着替えて再び戻ると
「…」
まだ待てを続けていた。
***********
「さて…どうするか…」
「ワン!」
とりあえず公園まで行き、飼い主を探すことにした。だが何にも手がかりがなくただただベンチに座ってることしか出来ていなかった。
「お前の飼い主の特徴は?」
「…ワン!」
まぁ、そうなるよなー。さすがにしゃべってはくれないか。諦めかけていたその時だった。
「ハナコーどこ行ったのー!ハナコー!」
女の子が必死に声を出しながらこちらに向かってきていた。
「ワンワン!」
その声に反応した犬は、その女の子に向かって猛ダッシュ。俺も犬について行く。…あれ?あの子はもしかして…
「よかった!ハナコ!こんな所にいたんだね…。」
「えっと…この子の飼い主さんですか?」
「はい。そうです。もしかしてあなたが…ってあれ?」
「あ、もしかして見覚えあります?」
「はい。ここの近くのコンビニの店員さん…ですよね?」
「そうです。それだけでも分かっていれば話は早いっす。」
ここまでの経緯を話をしてことを伝える。
**************
「そんなことが…。本当に助かりました。ありがとうございます。」
「いや、全然。俺はなんもしてないから気にしないでよ。」
「えっと…お名前聞いてもいいですか?」
「俺は、戸村俊太。〇高の2年生だよ。」
「私は、O高1年の渋谷凛です。戸村さん、今日は本当にありがとうございました!」
渋谷さんは俺に向かってお辞儀をしてくる。
やっぱりこの子が渋谷凛だったのか…。黒髪、緑の瞳、ピアス…。改めて見てみるとめっちゃ可愛いじゃねぇーか…。
「…戸村さん?」
「あ、いやなんでもないよ!ほんとに気にしなくていいからさ!またコンビニおいでよ!待ってるから!」
「はい。また買い物にいきますね。じゃあ私はこれで失礼します」
「あぁ…気をつけてね」
そうして帰路に着く。その後ろ姿を見ていると、突然渋谷さんは振り返った。
「戸村さん!体育で大声出すのはいいけど、しっかりボールも蹴ってくださいね!」
ニコッと笑いながらそう言って、犬と共に小走りで帰っていった。
「……渋谷さんにも見られてたのかぁ!!!!」
ここまでまお読みいただきありがとうございます。
主人公及びほかのキャラの詳細はのちのち紹介を含め後書きなどでかこうとおもっております。
今回も読んでくださった方々ありがとうございました。
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第3話 小さい頃の夢ってありました?
祝UA1000突破!ありがとうございます!
評価、感想、しおり、お気に入りしてくれた方々もありがとうございます。これからも精進しながら頑張りますのでよろしくお願いします。
さて、今回は若干アニメの方の展開も混ぜてみました。
よろしくお願いします
「さて、何をするか」
俺、戸村俊太は久々に1日フリーな日ができてしまった。元々バイトが入っていたのだが、先週の急遽なシフト変更を承諾してくれたという理由で休みをもらった。俺としては家にいても暇だしバイトに行きたかったのだが、店長のゴリ押しで今に至る。
「あ、そうだ…今日はこいつの最新刊の発売日だ」
こいつとは、長年ジ〇ンプを牽引し続けている今も人気が耐えない漫画だ。やることもないし久々に駅前に運動がてら探しに行くかな。
「ちょっと出かけてくるわー」
両親に一言かけ、俺は家を出た
*************
「いや〜ラスト1冊ゲット出来て良かった」
やはりジ〇ンプで数十年続いてる漫画だぜ…売れるのも早い早い…。
「さて、用も済んだし帰るとするか…ってあれ?」
駅前の銅像の前が何やら騒がしい様子だ。ちょっと気になるし見に行って見るか…。
自転車に鍵をかけて、騒ぎがある方に足を運ぶ。人混みを掻き分けて前に進むと、まだ小学生らしき男の子と、見覚えのある女の子、そして、見知らぬいかつくて背の高いスーツの男の人が警官2人に詰め寄られていた。一体どういう事なのか考えている暇もないで現場に急ぐ。
「…渋谷さん!」
「…?あれ、戸村さん?どうしてここに?」
「それは、こっちのセリフだよ!これはどんな状況なの!?」
************
「た、大変失礼致しました!!とんだ勘違いを…」
「いや、私は何も…」
「…いえ、大丈夫です。慣れていますので…」
「変な事件に巻き込まれてなくてよかった…」
どうやら小学生がおもちゃの部品を落として泣いてるとこをたまたま渋谷さんが見つけ、一緒に探してあげようと思って声をかけた所に勘違いした警官が乱入。からのこのスーツの男の人がさらに乱入。そして最後に状況を把握していない俺が乱入。という感じだ。てか、お兄さん慣れてるってどういうことだよ…
「じゃあ私はこれで」
「俺も、失礼します」
「おねぇーちゃん、お兄ちゃん、それにおじさんもまたねー!」
「またね」
「おう!もう無くすなよー」
「…」
俺と渋谷さんは小さく手を振り、スーツの男の人は軽くお辞儀をする。
事も済んだし帰ろうとしたとき渋谷さんが口を開いた。
「あんたも戸村さんもその…ありがとう」
「いや、俺は何もしてないよ…」
「いえ、誤解が解けてよかったです。」
どうやらこの人は渋谷さんの誤解を解くために助けてくれたようだがそんなことよりも俺より明らかに年上の方に『あんた』って…なかなかやりますね渋谷さん…。
「じゃあ私は家の手伝いがあるからこれで。」
「俺も用は済んだし帰ろうかな」
「ちょっと待ってください」
俺らが帰ろうとすると、スーツの男の人が俺らを呼び止め、ポケットの中から名刺を2枚取り出し俺らに差し出してくる。
「私はこういうものでして」
その名刺には346プロダクションシンデレラプロジェクトとよくわからないことが書いてあった。この名刺を見る限りこの人はスカウトのようだ。その名刺を見て渋谷さんは呆れた顔していた
「…あんた、私を助けた理由ってスカウトのためだったの?」
「…いえそういう訳ではなく…」
「悪いけど、そういうの興味ないから」
冷たくあしらい渋谷さんは帰ってしまった。
「…」
「あの、えっと…少しお話いいですか?」
俺は急に気まずい状況になってしまい、何を思ったのかスーツの男の人をお茶に誘ってしまった。
**************
「…」
「…」
近くの喫茶店に足を運んだもののお互い飲み物を頼んだ後一言も話していなかった。この時俺は思った。間違いなくあそこでお茶に誘うという選択肢ではなく帰るという選択肢を選ぶべきだった。
「…あの」
「え、あ!はい。なんでしょう?」
後悔をしてるとスーツの人にいきなり話しかけられた
「お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「あ、そういえば自己紹介がまだでしたね。俺は戸村俊太です。渋谷さんのと同じ高校の2年生です」
「戸村さんですね。私はこういうものです」
「はぁ…。」
再び名刺に遭遇。この人は誰にでもこの名刺を渡すのだろうか…。
「このシンデレラプロジェクトっていうのは?」
「はい。これは我が346プロダクションの新たなアイドル企画で、この企画をスタートさせるために私は動いています」
「なるほど…それでなんで渋谷さんをスカウトしたんですか?しかも会ってすぐに…」
「笑顔です」
「…はい?」
いや、待て待て。さっきの出来事で渋谷さんはいつ笑っていた?笑ってないよな?それとは正反対に怒ってたよなあれは…まぁ聞かなかったことにしよう。
「このシンデレラプロジェクトは『輝く夢を叶えるためのプロジェクト』をもっとうにしています。」
「輝く夢を叶える…ですか」
「はい」
夢…か。考えてみれば俺も夢なんてないな…。小さい頃は仮面ラ〇ダーになりたいとかバカ夢はあったけど…。前の俺はただ学校で授業受けて帰って飯食って寝る。特にやることもなく、部活にも興味は湧かなかった俺が、たまたま見つけた『元気な高校生募集』というキャッチフレーズのバイトのチラシ。迷った挙句、なんだかんだバイトを始めて今となっちゃ馬鹿らしいと思うが、始めて後悔はない。お金はもちろん、色々な方と仲良くなれたのもまた事実で、渋谷さんもその1人なのだから。この企画で、渋谷さんに笑顔が増えるとしたらそれに越したことはない。あの時の放課後にグラウンドを寂びそうに眺めてたのはもしかしたら、何か始めるきっかけが欲しかったのか?あくまで推測だがもしそうだとしたら、この人に任せてみたら渋谷さんは変われるかもしれない。
「俺、プロデューサーさんを応援してますよ。このプロジェクトのライブとか見てみたくなりました。」
「ありがとうございます。」
「いえいえ。まぁあれです…渋谷さんをスカウトするのはいいですけど、うちの学校の周りはあまり近づかない方がいいですよ?最近不審者が出てるらしくて警官が巡回してるみたいなんで。」
「分かりました」
「じゃあ俺はこれで失礼しますね。企画早く始動できるといいですね!」
「はい。ありがとうございます。お気をつけて。」
初めは怖かったが、この人は案外いい人なのかもと思った。お茶するという選択肢はなんだかんだで間違ってなかったのかもしれない。
しかし、俺はまだ渋谷さんと知り合ったばかりなのに何でこんなにあの子事を考えてるんだろうな…。
*********
数日後の放課後
「おい!俊太!また不審者が出たらしいぜ!?」
「どうせまたいつもの噂のやつだろ?」
「それが違うんだ!」
なんだろ…物凄く嫌な予感がする…
「一応聞くけどさ?その人の特徴は?」
「一応ってなんだよ…特徴は背がものすごく高くてそれに目付きも悪くて、そんでもって渋谷凛にばっかつきまとってるらしく、毎回名刺みたいなのを渡してるみたいだぜ?ほら、校門の方見てみろよ」
「えっ…まさか…」
時すでに遅しとはこのことだろう。
「ちくしょう!あの人全然人の話聞いてないじゃん!!!!!」
俺は全力で校門へ走った。
そこには警官と渋谷さん。そして見覚えのあるスーツの男の人がいた。
今回も読んでくださりありがとうございました。
ものすごく個人的なのですがデレステ10連でみりあちゃんが当たり嬉しかったです。
あ、関係ない?笑
こんな感じで次回もよろしくお願いします!笑
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第4話 期待、不安、勇気
久々の投稿です。待っていてくれた方ありがとうございます。初めての方もこんな下手な小説でよければ読んでいってください。
今回は会話文が多いかと思います。悪しからず…。
「…はぁ」
「あはは…」
「……」
私たちは3人は今、駅前の喫茶店にいた。3人というのは私と、駅前で会ったスーツの男の人、そして突然走って助けに来た?戸村さんだ。
「えーと…僕も一緒でなんかすみません…」
戸村さんが口を開く。
「いえ、かまいませんよ。」
スーツの男の人は言葉を返す。
「しかし、また警察の人に勘違いされるなんて思ってませんでしたよ…」
あの駅のことがあってから、このスーツの男の人は私に毎日つきまとって来た。そして、無言で名刺やら書類を差し出してきて私は何度も「興味ないから」と断ったのだがこの人は毎日私の元に現れた。
「…すみません」
「いや、誤解で済んだのならそれに越したことはないですけどね…」
「…はぁ」
「渋谷さんどうしたの?」
ため息してる私に気がついたのか、戸村さんが声をかけてきた。
「いや、別に…それよりさ…」
私はスーツの男の人に目線を向ける。
「あの時、「興味ない」って言ったよね?そもそも私の何を見てアイドルになれって言ってる訳?」
「…笑顔です。」
「…は?」
予想もしない答えに私は呆れてしまった。そもそも私はこの人の前で笑ったことがあるだろうか?笑うどころか睨みつけるような顔しかしていないと思う。理由が訳が分からないの一言に尽きる。戸村さんに視線を向けると「あちゃー」と言わんばかりに額に手を当て呆れていた。
「私、あんたの前で笑ったことあったっけ?」
「いえ…今はまだ…」
「もしかして…適当なこと言ってるの?」
「……」
スーツの男の人は黙り込んでしまう。
あぁ…やっぱりそうなのか。やっぱり適当なことこと言って私を勧誘したかっただけなのか。
「もういいよ…。戸村さん…帰りましょ…」
「お、おう…」
そして私がカバンを肩に下げて帰ろうとした時だった。
「あの…!」
スーツの男の人はさっきの声より少し大きめの声で私を呼び止める。声に反応して振り返った時スーツの男の人は私に問いかけてきた。
「今…あなたは楽しいですか?」
「え…?」
いきなりの質問に私は戸惑ってしまった。
「…どういう意味?てか、それあんたになんか関係あるの?」
真意が見えない質問に私は少しイラつきを見せてしまった。
「…それは分かりません。ただ、あなたは今何か夢中になれるものを、心を動かされる何かをもっているのだろうかと気になっていたものですから…」
「…あんたには関係ない。行こ。戸村さん」
「あぁ…うん。えっと…これで僕達は失礼します。」
「…はい。わざわざ戸村さんもありがとうございました。」
「いや、俺は何も…また会えますかね?」
「…えぇ。必ず…。」
プロデューサさんに挨拶をして俺らは店を出た。何故かわからないが俺はあの人がすごくかっこよく見えた。
**********
「夢中になれる何かか…」
私は家のベットに仰向けになりながら考えていた。
そんなものはない。と勝手に決めつけて私は今まで生きてきた。
喫茶店で話をしてから私はモヤモヤしていた。放課後に部活を見に行ったり、駅前にある本屋で美城プロダクションの特集が載っているアイドル雑誌を見てみたりなどしてみたが、結局これといって答えなんて見えて来なかった。
それから数日間、あの人は来なかった。学校の周りをうろついていた本物の不審者は無事に捕まったみたいで少し安心した。
答えの出ない私は、ある人に相談することにした。
「いらっしゃいませー!ってあれ?渋谷さん!」
「…どーも。」
「また犬の散歩帰り?」
「いえ…今日は戸村さんに相談があって…。あの…バイトの後って時間ありますか?」
「ちょっと待ってて!」
そう言って戸村さんは勢いよく事務所に入っていった。
「9時でも大丈夫!?1時間だけ早く上がらせてもらうこと出来そうだからさ!」
数分後、戸村さんは勢いよく事務所から飛び出してきた。
「私は全然大丈夫ですけど、戸村さんは大丈夫なんですか?」
「店長には冷やかされたけど大丈夫!」
「あはは…ありがとうございます。場所はあそこの公園でいいですか?」
「了解!じゃあまたあとで!」
*************
バイトを早く上がらせてもらい急いで渋谷さんのいる公園へ向かった。そしてベンチに座っている渋谷さんに声をかけた。
「ごめん!お待たせ!」
「いえ。こちらこそ…バイトだったのにすみません。」
渋谷さんは申し訳なさそうに頭を下げる。
「いいよ!気にしないで!それで相談ってのは?」
「ありがとうございます。えっと…」
「この間の喫茶店のこと?」
「…なんでわかるんですか?」
「んー…なんとなく…かな?」
戸村さんはあははと笑いながら頭をかいていた。そして真剣な顔に戻り私に問いかけた。
「渋谷さんはどうしたいの?」
「…正直まだ分かりません。でも、事実あの人の言ってたことは全部あってました。いつもいつも結局何もせず終わってしまうんです。でも…何か自分の心が本気で動かされるものがあるとしたら…やってみたい…」
「…あの人はそのきっかけをくれる人かもしれないよ?」
「どういうことですか?」
「駅前で警察の人ともめたあと、あの人の勧誘にイラついて渋谷さんが帰っちゃったあとに、俺あの人と少し話をしたんだ」
「えっ…」
「その時俺聞いたんだ。渋谷さんをスカウトした理由は何なんですか?って。」
「…はい」
「笑顔。だってさ」
「やっぱり…」
「あの人がプロデューサを担当してるシンデレラプロジェクトっていうのは『輝く夢を叶えるためのプロジェクト』ってのがコンセプトなんだってさ」
「『輝く夢を叶えるためのプロジェクト』ですか…」
「そう。凄いコンセプトだよね…」
「確かに…」
誰が考えたか気になるコンセプトだよな…きっとあの人なんだろうけど…
「やっぱりさ…」
「……?」
「何か新しいことを始めるのは誰しも怖いと思うんだ。現に俺もバイトを始めるのは怖かったからさ」
「え、そうなんですが…?」
「そうだよ?今はみんなと仲良いけど、初めはみんな知らない人だったし、慣れないことももちろんするわけで、期待なんかよりも不安の方が沢山あったんだ。」
「意外ですね…戸村さんは器用だから全然不安とかないと思ってました。」
「あはは…俺はきっと渋谷さんが思ってるほど器用な人間なんかじゃないよ。どこにでも居るなんの特徴もない普通の高校生なんだよ」
夜空を見上げて星を見上げて言った。私もそれにつられて空を見た。
そしてゆっくりと戸村さんはまた話し始めた
「不安なんてみんな持ってるし、でも何事も最初の1歩を踏み出す勇気だよ。最初は怖いかもしれないけど、始めてみたら同じ目標に向う友達やライバルができると思うんだ。それだけでも楽しいしワクワクするし、そして何より自分の知らない世界が待ってると思うともっとワクワクしない?ましてや、アイドルなんてなろうと思ってもなかなかなれないと思う。そのなかなかなれないもののきっかけをくれてるんだよ。あの人は。」
「アイドル…私の知らない世界…。」
「俺はさ…」
「……はい?」
「俺は…渋谷さんの笑顔が見てみたいかな。」
「……」
「大舞台で全力で歌って踊ってる渋谷さんが俺は見てみたいよ。きっとその姿はすごく輝いてると思うんだ。」
「…ふふっ」
「え、なんで笑うの?」
「いや、セリフがクサイなーって思って…」
渋谷さんは口に手をあてくすくす笑っていた。
「やかましいわ。しかもこれじゃあ、俺がスカウトしてるみたいじゃんか!」
「ふふっ。確かに…でも…」
「…?」
「前向きに考えみたいと思います。あの人にちゃんと話を聞いてみてからでも遅くはないと思うので」
「いいと思うよ。」
「また、何かあったら相談してもいいですか?」
「俺でよければいつでも。」
「はい。ありがとうございます。今日は遅くにありがとうございました…おかげで少し楽になりました。」
「気にしなくていいよ。少しでも力になれたらならよかったよ。」
「また、コンビニに遊びに行きますね」
「あぁ。待ってるよ」
「ちゃんとサービスしてくださいね?」
彼女は距離に詰めて来て、上目遣いで言ってきた。
この時心臓の音が急に早くなったのは内緒の話。
************
数日後
「プロデューサーさん!」
「はい。なんでしょうか…?」
「2人目の子に会いに行く前に、あそこのコンビニで飲み物買っていきませんか?」
「…かまいませんよ。いきましょう。」
ご愛読ありがとうございました。
ゆっくりかもしれませんが投稿できるようにしますのでこれからもよろしくお願いします。
(どのタイミングで凛をタメ語にしようかな…笑)
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第5話 とびっきりの笑顔を持つ少女
投稿がものすごく遅れてしまって申し訳ございません。
頑張って投稿して行けたらと思っておりますので今後ともよろしくお願いします。
「やっぱ昼時は混みますね店長···」
「そうねぇ〜乗り切れちゃえば今みたいに暇になるんだけどね〜」
コンビニの昼時は平日だろうが、休日だろうが忙しい。
揚げ物の補充、店の掃除、レジの対応、納品の検品などやることは沢山だ。特にレジが鬼忙しい···。気づけば平気で5、6人並んでる時だってあるからな。
その昼時を乗り越えやっと暇な時間になり店長と話をしていた。
「戸村君、最近あの子とはどーなのよ〜?」
「あの子···?あぁ〜渋谷さんですか?」
あの日、相談に乗ってから特に渋谷さんとは話はしていない。学校でも特に会って話すこともなかった。彼女は今頃、アイドルの事を真剣に考えているのだろう。
「あれから特に話はしてないですよ。学校でも学年が違うので会わないですし」
「そーなのー?男の子なんだからもっとグイグイ行かないとー」
「あはは···別にそういう目で見てないんですけどね···」
店長はこういう話になると毎回目を輝かせる。女性はやっぱり恋愛話が好きなようだ。まだ若いんだから、店長も恋愛すればいいのにと思うが口に出せない俺がいるのは内緒だ。
「あら?戸村君、こっちに歩いてきてるのって、この間の男の人じゃない?」
「え?」
外を見ると、プロデューサーと知らない学校の制服を着た女の子がこっちに向かって歩いていた。
「あの人年下好きなのかしら」
「·····」
やはり、素性を知らないとそういう風に見えてしまうのだろうか。一緒にいるあの子は誰だろう···候補生かな?
「「いらっしゃいませー」」
相変わらずスーツでガタイの良いプロデューサーと女子高生が入ってきた。俺と目が合うと二人はこちらに寄ってきた。
「こんにちは。戸村さん」
「こんにちは。プロデューサーさんお久しぶりですね」
「はい。お仕事はどうですか?」
「やっとピークを越えて暇になって来たとこです。プロデューサーこそどうしたんですか?それと隣の子は···」
「島村卯月です!あなたが2人目の候補生ですか!?」
とても元気な挨拶は褒められるけど、俺はアイドルにはならないよ···
「えーと···俺は戸村俊太です。男だからアイドルにはならないし、なれないよ」
「す、すみません!私、早とちっちゃって···」
「いやいや、全然大丈夫だよ。お気になさらずに。プロデューサー?この子がプロジェクトの?」
「はい。島村卯月さんです」
名前を紹介され、彼女はお辞儀をする
「よろしくお願いします!えーっと、 戸村さんはマネージャーか何かですか?」
そう来たか···でも、俺とプロデューサーの関係ってなんなんだろうか
「この方は2人目の候補生のお友達です」
あ、素直に言っちゃうんすねプロデューサー。
「そうなんですね!お仕事お疲れ様です!」
え、笑顔がキラキラしている!?何だこの笑顔···自然と元気が貰える気がする。
「あ、ありがとう···プロデューサー?この子の採用理由ももちろん···」
「はい。笑顔です。」
ですよねー。まぁ確かにこの子の笑顔なら納得できるな。
「今日、渋谷さんはこちらに来られましたか?」
「いや、今日は来てないですよ。これから会いにいくんですか?」
「はい。その前に、飲み物でも買おうかと思い寄らせもらいました。」
「なるほど、その···頑張って下さい。」
「ありがとうございます。」
そして、二人はジュースを買って店を出た。島村さんは店を出る時俺を見て軽くお辞儀をして出ていった。礼儀正しい子だと感じた。
「さて、残りも頑張りますかね!」
*****************
「ここが、2人目の候補生の家ですか?」
「はい。」
二人はとある花屋の前に立っていた。
「私、この前、ここの店にきました!ここの店員さん可愛いんですよ!」
「そうなんですね。私が店の中に行ってくるので、島村さんは外で待っていてください。」
「わかりました!」
プロデューサーは花屋の中に入っていった。
「··········」
「お久しぶりです。」
「今度はうちまで来るなんて、あんた相当しつこいよね」
「···すみません。」
「はぁ···丁度今からハナコの散歩だから、場所を変えよう」
外に出るといつだか見た女の子が立っていた
確かこの子は、自分への贈り物と言って花を探していた女の子。その時に見た彼女の目は期待に満ち溢れていて、私は彼女の目を見て自然と白いアネモネという花を勧めた。花言葉は『期待 希望』今の彼女にピッタリだと思ったのだ。そのあと彼女は『ありがとうございます!』という言葉と、とびっきりの笑顔を見せて店を出ていった。
今思えば、この子の笑顔が羨ましいと私は思っていたのかもしれない。私にはあんな笑顔ができないから。
********************
三人で歩いてきたのは、戸村さんに相談を乗ってもらった公園。春ということもあり桜が綺麗に咲いていた。
「可愛いワンちゃんですね!」
「あっ···うん。」
「あの、お名前聞いてもいいですか?」
プロデューサーと一緒に来ていた子がハナコを触りながら質問してきた。何故かプロデューサーは離れたベンチに一人で座っていた。
「え、あぁ···ハナコ。」
「ハナコちゃんですか!私は島村卯月っていいます!あの時はお花を選んでくれてありがとうございました!ハナコちゃん!」
「えっ!?ハナコは犬の名前で···」
「えっ!うわぁー!す、すみません!」
両手を頬に当てながら戸惑っていた。
「ふっ、ふふふ·····」
そんな姿を見て、私は自然と笑ってしまった
「凛。」
「···ん?」
「渋谷凛。私の名前。」
「は、はい!よろしくです!渋谷さん!」
「凛でいいよ。」
「じゃあ···よろしくね。凛ちゃん!」
「よろしく。えっと···」
「卯月って!」
「卯月···。」
「えへへ···それで凛ちゃん!」
「何?」
「これからアイドル一緒に頑張りましょうね!」
「·····えっ?」
「·····え?」
*****************
「あれ?プロデューサーからメールきてる」
実はさっきメアドを交換していたのだ。こんな早くに連絡来るとは思ってなかったけど。
「なになに?えっと···」
「近くの公園に寄ってください。待ってますので」
「·····」
淡々としてんなーあの人は·····。内容も全然わかんねぇーし。まぁ、とにかく行ってみますか!
*******************
公園に着くとプロデューサーが1人ベンチで座っていた。
「お疲れ様です。プロデューサーさん」
「戸村さん。お疲れ様です」
「どうですか?渋谷さんの勧誘は。」
「今、あちらでお話をしています。」
プロデューサーは正面のベンチの方を指さした
そこには渋谷さんと島村さんが二人で座っていた。
「プロデューサー直々にじゃないんですね···大丈夫なんですか?」
「はい。島村さんが渋谷さんとお話をしたいと言っていましたので。」
「なるほど。」
「それに、彼女の言葉なら渋谷さんにも届くと思いますので。」
「···俺もそんな気がします。」
******************
「卯月はどうしてアイドルになりたいの?」
「え?」
「あの人さ、毎日来てアイドルになりませんか?って言ってきてそれだけ···不審者にも間違われたりしてさ」
「あはは·····」
「しかも、選ばれた理由が笑顔です。ってそれしか言わなくて。」
「えっ···私も同じこと言われて·····」
「え、あぁ〜でも、私、卯月の笑顔は本当の理由だと思う!」
「そ、そうでしょうか〜···」
あの時、見た卯月の笑顔は本当に輝いて見えたから。私なんかとは全然違うのだから。
「いいんです!それでもプロデューサーさんは、私の長年の夢を叶えてくれる人かもしれないから!」
「夢?アイドルになるのが?」
「はい!」
「あのさ···卯月はどうしてアイドルになりたいの?」
「えぇっ?えっと···だって綺麗な衣装とか着れて···キラキラしたステージに立てて、お姫様みたいで···!」
お姫様か···私には想像つかない
「正直、どういう仕事がアイドルお仕事なのか私もよく分かってないんですけど···でも、夢なんです。」
「···夢?」
「はい。スクールに入って、同じ研究生の子達とレッスンを受けながら私、ずっと待ってました。アイドルに···キラキラした何かになれる日がきっと私にも来るんだって···そうだったらいいなって···ずっと思ってて···そしたらプロデューサーさんが声をかけてくれたんです。」
「···あの人が?」
「はい!」
突然、卯月は立ち上がって私の前に立ち、足元にあった桜の花びらを拾いあげる。
そしてとびっきりの笑顔を私に見せて···
「プロデューサーさんは、私を見つけてくれたから!私はきっとこれから夢を叶えられるんだなって!それが嬉しくて!」
「あっ···」
私はこの時、卯月の笑顔に心を動かされたのかもしれない。私にはないとびっきりの笑顔。まっすぐに夢を追いかける卯月の姿に私は見惚れていた。きっと、この子と一緒なら···キラキラした何かになれるのかもって···そう思えたのだ。
「り、凛ちゃん!ハナコちゃんが!」
「え、あぁ!ハナコ!」
リードを掴んでいた力が自然と抜けていたのか、私の手から離れハナコは、プロデューサーの方へ走っていった。
私もそれを追いかけ、ハナコの元へ急ぐ。ハナコに追いつくと、プロデューサーと戸村さんも一緒にいた。
プロデューサーはリードを取り私に渡す。
「あ、ありがとう···」
少し間を開けてプロデューサーが話し始めた
「···少しでも、君が夢中になれる何かを探しているのなら、一度踏み込んでみませんか?」
「·····」
「そこにはきっと···今までと別の世界が広がっています。」
「別の世界···」
****************
「渋谷さん···怖い?」
「わかんない。でも···ドキドキしてる。」
プロデューサーさんと、島村さんが帰った後、二人でベンチに座っていた。
「そっか。島村さんはどうだった?」
「卯月は···私には無いとびっきりの笑顔を持ってた。夢に向かう姿勢も私とは違って···でも、卯月自身もアイドルがどんなものなのか私と同じでよく分かってなかった。」
「初めはみんなそうなんだよ。やってみなきゃわかんないことばっかりだよ。」
「卯月が言ってた。プロデューサーは私の夢を叶えてくれる人かもしれないって。」
「夢を叶えてくれる人か···。渋谷さんの夢は?」
「···わかんない。でも」
「···?」
「このままの自分じゃダメだなって思ったんだ。何をするにも中途半端で、やる前から無理だって諦めて···そんな自分を変えたいと思ったんだ」
プロデューサーさんと島村さんのおかげで、渋谷さんはアイドルに対して前向きに考えてくれていた。応援してた俺からすればこんなに嬉しいことはない。
「アイドル···始めるの?」
「···うん。私に、卯月みたいな笑顔ができるかわからないけど、私は私なりに頑張りたいと思ってる。もちろんやるからには他の人には負けたくない。」
「そっか···やっと、一歩踏み出してみる覚悟が出来たんだね。」
「はい。でも···」
「まだまだ不安なことは沢山あると思います。その時はまたこうやって相談に乗って欲しいです」
「あぁ。もちろんだよ。俺でよければいつでも相談乗るよ。」
「ありがとうございます。」
この時見た渋谷さんの笑顔は、島村さんに負けないくらいキラキラしていたと思う。
ご愛読ありがとうございました。
会話文が多くて申し訳ありません。
お気に入り、ご感想、コメント等励みになりますのでよければよろしくお願いします。
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第6話 驚きは突然に
またまた久しぶりの投稿です…
突然書きたい衝動にかられ下手くそながらも書きました
少しでも多くの方に読んで貰えたら光栄です。
「どうですか?シンデレラプロジェクトの調子の方は」
「はい。悪くは無いと思います。みなさん毎日レッスンを必死に取り組んでくれています」
「戸村さんの方はお仕事どうですか?」
「自分は相変わらずあのコンビニで働かせてもらってますよ。大変ですけどここでアイドル目指してやってる人達と違って、ちょっと覚えればできちゃう仕事だから全然苦ではないですかね…昼時はめちゃくちゃ忙しいですけど…はははっ…」
「さすがですね。どんな仕事であれちゃんと続けていることが偉いことだと思います。」
「いえいえ…そんなことは…」
俺はとある休日に、プロデューサーと346プロジェクトの敷地内のカフェでお茶をしていた
特に用があった訳では無いのだが、ふらっと近くを通ったらプロデューサーとばったり会い、気づけばこうなっていた
「ところで良かったんですか?部外者の俺がここに居ても…」
俺は自然と周りを見渡してしまう
敷地内はスーツの人がほとんどで、346プロの出入口付近には警備員が立っていてとても一般人が入れるようなところでは無く、芸能事務所ってこともあるからか、とにかく建物が大きいこの上なかった。というよりもここまで大きい建物を今まで知らなかった自分に驚きを隠せなかった。
「問題ありません。その首から掛けている名札があれば大丈夫です」
どうやらさっきプロデューサーから渡されたこのお客様用の名札があればどこでも行けるらしい。それでも他から見たら俺ってあいつは何者?って感じだろうな…
「せっかくですので中も少し見学されて行きますか?」
「え?いいんですか?」
「はい。是非」
##############################
「いやいや…プロデューサーさん?広すぎやしませんか?」
「そうでしょうか?」
「多分初めて来たら100人いたら100人全員広いって言うと思いますよこれは…」
外見から大きいのは分かっていたが、想像を越えていた
食堂、ロッカールーム、レッスンルーム、マッサージ室などなど、どれも規格外の大きさで驚いていた
廊下を歩いてるととある有名アイドルに話しかけられた。誰もが知っているあの方に…
「あらあら?プロデューサーさんお客様ですか?」
「お疲れ様です。高垣さん」
「え、この人は…」
「こんにちは〜高垣楓です」
「どどど…どうも…コンニチハ…です」
にこやかに笑って挨拶してくれたのは有名アイドル高垣楓さんだった
346プロの中でもナンバー3の中に入る大人気のアイドルの1人と言われている人だ。
普段テレビの中にしか居ない人だと思ってた人が、いきなり自分の目の前に現れて気持ちが上がってしまった
何やらプロデューサーと話しているが、俺は高垣さんに会えた喜びと驚きもあって全然耳入ってこなかった。
「じゃあ私はこれで。」
「はいお疲れ様でした」
「君もまたどこかで会いましょう」
「あ、会える事があればぜひ!!」
会釈をし、手をヒラヒラさせ高垣さんはどこかへ行ってしまった
「戸村さん大丈夫ですか?」
「…本当に実在してて安心しました。」
「…?」
#############################
それから俺とプロデューサーさんはシンデレラプロジェクトの事務所へ向かう為エレベーターに乗っていた。シンデレラプロジェクトの事務所は32階らしい
「…大丈夫ですか?」
俺の疲れた具合を察したのか、プロデューサーさんは心配してくれた
「大丈夫ですけど、見学だけでこんなに疲れるなんて思ってもいませんでしたよ…」
事務所に向かうまでも、色々な有名アイドルとすれ違っては挨拶をし、その度驚き、実在してることを実感し、安心する行動が数回繰り返されていた。
「気を使わせてすみません…ですが、もう着きましたよ」
「え?あぁここが…」
そこの扉には『シンデレラプロジェクト事務所』と書かれていた
扉を開けると事務員さんが出迎えてくれた
「プロデューサーさんおかえりなさい。…あれ?この子は?」
「ちひろさんお疲れ様です。この方は私のお客様で戸村俊太さんです」
「は、初めまして!戸村俊太ですよろしくお願いします!」
「そうでしたか!では改めて…初めまして。私はシンデレラプロジェクト事務員の千川ちひろと申します。こちらこそよろしくお願いしますね。」
お互い軽く挨拶を済ませて、ソファーにプロデューサーと向かい合って座ることに。
ちひろさんはお茶入れますねと言って給湯室へ行ってしまった。
「戸村さん346プロダクションはどうでしたか?」
「想像してたより中の方も広くて驚きました…テレビの中でしか見たことない方も沢山会いましたし…なんか夢見たいだなって正直思いました。多分、理由はどうであれプロデューサーさん、それに渋谷さんと関わって無かったらここには入れてないと思うし…お礼を言いたいレベルですよ…いい経験をさせていただき感謝しています。」
「そうでしたか。満足して頂けたならこちらも光栄です。」
「大大大満足ですよ!!」
そんな話をしながら周りを見渡すとまだ誰もシンデレラプロジェクトの人達は帰ってきていなかった
「そういえば他のみんなは?」
「今ちょうどレッスン中です。もう少しで帰って来ると思いますよ。」
「そうなんですね…」
新しいプロジェクトってこともあるからか、事務所は綺麗でホコリひとつなく眺めもいい。知り合いでマンションなど高いところに住んでる人もいないのでとても新鮮な気持ちだ。
「戸村さん」
「はい!なんでしょう?」
周りをキョロキョロ見渡しているとプロデューサーから話しかけられた
「実は今日は戸村さんに頼みたいことがありここに来てもらいました」
「頼みたいこと…ですか?」
「はい。」
少し間をあけ俺を見つめる。
え、何?めっちゃ緊張するんだけど…
「もし、戸村さんが良ければなのですが…シンデレラプロジェクトのマネージャーを引き受けてくれませんか?」
「………はい?」
俺は突然のプロデューサーの言葉に空いた口が塞がらなかった。
「凛ちゃん?どうしたの?」
「しぶりん風邪?くしゃみ4連続なんてなかなかないよ?」
「わかんない…でも、これから何か起こる予兆なのかも…」
凛の最後だけで申し訳ないです…
今回は戸村君メインで書きたかったのです…
次書く時はシンデレラプロジェクトがメインだと思います!
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第7話 それぞれの思い
この小説とは関係ないのですが、最近パワポケの彼女攻略動画を見るのにハマってます。是非某動画サイトで拝見して見てください。
僕のおすすめは七島麻美というキャラです。
話を戻して、今回は戸村くんと凛がメインです。
よろしければお読みください。
「えっ!?戸村さんをマネージャーに誘った!?」
「はい。いけなかったでしょうか」
「いけないも何もあの人はバイトもしてるし大変だよ!」
「しぶりん?戸村さんって誰なの?」
「私は会ったことありますよ!凄く優しい方です!」
「しまむーも知ってる人なの!?いいなぁ!私も会いたい!」
私、卯月、未央はプロデューサーに呼ばれ事務所に戻るとプロデューサーの突然の言葉からその話題で盛り上がっていた。
プロデューサーは戸村さんの返事待ちとは言っていたけど、本当にマネージャーとしてここに来てくれるのかな…バイトだってあるし、続けていくに連れて自分自身の進路だってある。これから忙しくなっていくのに引き受けてくれるのかな…
「先程も言いましたが確定ではないので皆さんは各々のレッスンや仕事に集中してください。こちらの件は私が対応しますので。」
「はい!」
「あいあいさー!」
「…わかった。」
##########################
「…マネージャーか」
布団で仰向けになり俺は1人つぶやく
プロデューサーの突然の勧誘。突然の事で驚きはしたけどこんな自分が頼りにされるのは素直に嬉しいと思った。それと同時にマネージャーという大事な仕事を完璧にこなすことが出来るのか不安しかない。渋谷さんも、アイドルに勧誘された時こんな感じだったのかな…。
彼女は今、1歩踏み出し、トップアイドルになる為に努力をしている。それを手助け出来たら…って少なからず思ってたこともあった。渋谷さん輝いてる姿を近くで見たい気持ちはどうやっても消せない…こんな自己満足的な考えでマネージャーを始めてもいいのだろうか…。
「あぁ!考えてもダメだ!今日は寝る!」
モヤモヤした気持ちのまま俺は寝ることにした
#####################
「なぁ拓真…」
「おう!俊太!どうした?」
「お前さ…今、やりたいこととか、なりたいものとかってあるか?」
「なんだ突然?何かあったのか?」
「いやー実は知り合いがさ…新しい目標を見つけてそれに向かって頑張っててさ…たまたまそれを手助けしてあげられる仕事を紹介されてさ…」
「ふーん…どういう仕事かは知らんが、お前その子のこと好きなんだろ?」
「え!?いや…そんなことはないと思うけど…」
こいつに聞いたのが間違いだったのかもしれない。この話はなかったことに…
「だって普通の友達だったら、そこまで思い詰めないし、俺だったらその場で断ると思うぞ?そもそも連絡取り合うだけで近くに居たいとか思わないだろ?」
「……」
「その子を好きだなって思うんならやるべきじゃねぇーの?事情はどうであれ近くにいれるならな。」
「確かにそうかも…」
「きっと紹介してくれた人もその事に気づいてるからこそ、お前に声をかけたんじゃないかと思うぞ?俺は。」
「そういう考え方もあるってことか…なるほど…」
「やるやらないはお前次第だし、お前の気持ちは俺にはわからないけど自分が後悔しない方を選ぶべきだな。」
「後悔しない選択か…」
「やらないで後悔するよりやって後悔する方がいいぞ?…多分。」
「だな…つまんない話して悪かったな」
「全然?珍しいとは思ったけど悩みが無くなったなら安心したわ」
「てことで、俺マネージャーやることにするわ」
「おう!!……え?何の?」
「そのうち教えてやるよ!」
普段、アホそうに見えても色々考えてるんだなこいつも…とにかくプロデューサーからもらったチャンスなんだ。やってやる。俺もマネージャーとして頑張って…そして渋谷さんがアイドルとして輝けるように精一杯努力するんだ。自分の好きな人が輝いてる姿を1番近くで見るために…
#########################
「……」
「ごめん!渋谷さん遅くなった!」
「…あっ。」
待ち合わせ場所はあの公園。お昼に突然戸村さんからメールが来てここで待ち合わせをしていた。
「はぁ…はぁ…バイトがちょっと長引いちゃって…俺から呼び出したのに遅れてごめんね?」
「いえ!全然待ってないですよ!なんなら時間ちょうどです!」
「あはは…ありがとう…」
「隣座りますか?」
「あぁ…じゃあ失礼してっと…」
2人並んでベンチに座ることにした。しばらく無言が続いたが戸村さんから話しかけてきた。
「アイドルの方はどう?」
「この間シンデレラプロジェクトのみんなと顔合わせして、みんな学校のあとでレッスンしに行ってる感じです…」
「そっかぁ…他にも何人かいるんだっけ?」
「私を入れて14人です。」
「多いな…顔と名前ちゃんと覚えられるかな…」
「…?」
「えっと…俺さ…シンデレラプロジェクトのマネージャーになる事にしたんだ。それを渋谷さんに1番に伝えたくて…」
「そ、そうなんですか!?でも…戸村さんバイトもあるし、勉強だって…」
「勉強は頑張って両立して行くつもり…。バイトはさっき店長と話してきて辞めてきた。もし、マネージャーで上手く行かなかったらロッカー空けとくから帰ってきなさいって…失礼しちゃうよな全く…」
「あの店長なら言いそう…」
「ちょっと?そこ笑うとこじゃないんだけど!?」
頭の中でその場面が容易に想像出来てしまいつい笑ってしまった。
「でも、本当にいいんですか?マネージャーを引き受けてもらっても…」
「うん。俺も渋谷さんと同じで、今までこれといってやりたいことってって無くてさ、だから挑戦してみようかと思って。この先こんなチャンスないと思うし、何より渋谷さんのアイドルとして輝いてる姿を誰よりも近くでみたいな…と…思って…」
「……」
「……」
「と、とにかく!これからマネージャーとしてビシバシ行くので!よろしく!!」
「ちょっと今…照れてましたよね?あと最後のほうちょっと誤魔化しましたよね?」
「以上解散!!」
戸村さんは呼び出したくせに颯爽と走り去ってしまった。
もう…ほんと慌ただしい人なんだから…
「アイドルとして輝いてる姿か…」
今のままの私じゃあとても想像つかないけど、これから少しずつ頑張っていけば輝けるのかな?これから増えていくかもしれないファンの人達…私にアイドルになる為のきっかけをくれたプロデューサー。そして私の輝いてる姿を誰よりも近くで見たいと言ってくれた戸村さん。
全ての期待に応えたい。私も戸村さんに見てもらいたい。他の誰にも負けないくらい輝いてる姿を…。いつになるか分からないけど、トップアイドルになったら絶対言うんだ。
いつも傍で私を見てくれてありがとう。
そんな貴方が大好きですって。
いかがだったでしょうか?
次回からは戸村俊太マネージャー編ですかね?
こんな下手な小説で良ければ是非お気に入り登録などよろしくお願いします。
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