転生ブロリーの異世界転移記録 (リーグロード)
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転生と復讐の序曲

今年最後の日にこれを投稿出来たことを嬉しく思います。


俺は死んで転生してしまった。自分が何で死んだのか覚えてはない。

ただ言えることは、死んだ俺がまだ生きていて、そしてなぜかサイヤ人に転生していたということだ。

 

意識が戻った時は驚いたよ。目が覚めると赤ん坊で、カプセルの外にいる大人の尻から尻尾が生えていたんだからな。

それで気づいたのさ、ここはドラゴンボールの世界なんだって。

 

初めは喜んださ!前世の俺が一番好きな漫画だったからな。小さな頃はかめはめ波の練習や友達とフュージョンの打ち合わせをする程だった。

赤子の頃の俺も、ドラゴンボールの世界に転生したと気付いた時には、かめはめ波を撃つ為の練習として何となくの感じで気を上げようとしたら、まさかの大騒ぎに発展した。

 

ここから先は、当時の自分視点で進めていこう。

 

 

 

 

いきなり、複数人の大人が俺のカプセルの前に集まりだして、しきりに騒ぎ立てまくる。

 

「まさか!?スカウターの故障じゃないのか?」

 

「いや、スカウター5つを使って確かめたが、どれも戦闘力1万を超えていた!」

 

「バカな!こんな赤子がエリート戦士と同格だというのか!?」

 

え!?なんだって?なんかとんでもないことがサラッと耳に入ってきたんだけど。戦闘力1万越えの赤ん坊ってもしかして俺の事なのか?

それっていうと、もしかして俺って映画で有名なあの……、

 

「どけ!どいてくれ!!!」

 

自分が何者なのかと考えていると、俺の前に集まった大人達をかき分けて一人の男が目の前にやってきた。

 

「おお……、我が子ブロリーよ!まさかお前がここまでの戦闘力を持っているとは!?」

 

はいはい、これで決定だな。今このおっさん俺の事をブロリーって言ったよ。

ってことは、この人が俺の父親のパラガスってわけか。それにしても、結構若いんだな。

そんな感想しか出てこなかった俺の感性の低さにちょっと落ち込んでいると、この部屋の入り口から一人の男が、俺の父親であるパラガスに声を掛ける。

 

「おい!パラガスこっちへ来い。ベジータ王がお前をお呼びしている」

 

「なに!?ベジータ王が私をお呼びだてしているだと?」

 

俺のカプセル前に張り付いていた大人達は、パラガスと共にこの部屋から出ていくのが見える。

 

どうやら、俺の親父がベジータの親父に呼び出されてしまったようだ。っていうことはつまりだ、これは映画であった俺達親子の追放の命令が下されるシーンなわけか……。

 

「おぎゃあ!おぎゃあ!おぎゃあ!(ってそれって超やばいじゃん!?追放されるにせよされないにしても、フリーザ様が惑星破壊するから宇宙へ逃げなきゃならないじゃないか!)」

 

しかも、逃げ出す為の宇宙ポッドはない。つまり、映画と同じように俺がバリアを張って脱出しなければならない。

生まれたてで、前世はZ戦士でも何でもない一般モブのこの俺がいきなりエネルギーバリアを作り出す?(ヾノ・∀・`)ムリムリ

 

常識で作品を作ってくれませんかね?監督の山内重保さんと脚本の小山高生さん?

あっ、原作者の鳥山明先生は問題ありませんよ。俺はあなたの大ファンなんですから。

 

それはともかく、早いとこ気のコントロールをある程度までマスターしておかないといけないな。

とにかく、イメージが大切だ。体の奥底にあるエネルギーに目を向ける。ただそれだけをイメージしろ!

 

 

10秒か20秒経っただろうか?結論を言います。めっちゃくちゃ簡単にエネルギーを見つけ出せました。

そりゃあね、戦闘力2か3程度の前世の俺と生まれて戦闘力1万の今の俺とじゃ才能の差があるのは当然だよな。

次のステップに移ろう!今度はそのエネルギーを体の外に出して卵のような膜を作るイメージを……

 

「うんぎゃ!!!おんぎゃ!!!」

 

「!!!?」

 

うおっ!?ビックリした!突然隣りのカプセルから物凄い赤ん坊の泣き声が聞こえだした。

ビックリしたせいでさっきまでできていた気のコントロールが乱れてしまったではないか。

一体どこの誰だ!俺の生き残るための修行を邪魔する奴は……、ん?待てよ?ブロリーの隣にいて、俺がビックリするような声で泣く赤ん坊っていったら、あの人しかいないんじゃないか!?

全世界で最強の称号と最高のヒーローの呼び声を持つ少年ジャンプの3大ヒーロー!

 

「おぎゃあ!(孫悟空!)」

 

思わず叫んでしまった。いや、それも仕方がないだろう。前世の俺が、世界で一番憧れていたヒーローがすぐ隣にいるのだから。

 

俺が何とか顔だけでも見ようと、赤子の体を必死になって動かそうとすると、ダダダッ!!!と廊下を走る音が聞こえてきた。

 

「はあ、はあ、はあ、カカロットはどこだ!?」

 

息を切らせながら部屋の中に入ってきたのは、血だらけになった孫悟空!……ではない、あれはバーダックだ。

部屋の中を見回して、ようやくカカロットの入っているカプセルに気がついたのか、早足でカプセルの前に近づきカカロットを猫のようにつかみ上げる。

 

「おぎゃあ!おぎゃあ!」

 

「静かにしやがれ!鬱陶しい!!!」

 

赤ん坊を泣きやますには逆効果になる怒鳴り声をあげたが、カカロットはそれに答えたように静かになった。

 

「よし!それでいい。いいか、お前には今から地球に行ってもらう。そして強くなれ!遠い未来で、お前が立ち向かう敵は強大な力の持ち主だ。そいつに負けねえ為には強くなるっきゃねえんだ。わかったな!」

 

バーダックが全て言い終わると、カカロットはコクコクと首を縦に振る。

それに満足したのか、バーダックはカカロットを連れてこの部屋から立ち去って行った。

 

そんなバーダックとカカロットの熱い親子の絆を見せられ、完全に蚊帳の外になっている俺はというと…。

 

ああ、いいもの見れた。転生していきなりあんなドラマチックイベントが拝めるなんて、これも日ごろの行いのたまものなのかね。

…と、対して気にもせずご満悦だった。

 

バーダックが去ってから感傷にしばらく浸っていると、パラガスが再び複数人の大人達を引き留めながらやってきた。

 

「もう観念しろパラガス!」

 

「ベジータ王の命はすでに下ったのだ」

 

「そんな、ブロリーはまだ赤子なんだ。この状態で宇宙へ放り出されたら生き残れる筈がない!どうか、再びベジータ王に考え直させる機会をくれ!」

 

必死に俺に近づいてくる大人達にしがみつきながら、俺に近づけさせまいと抵抗するも、ガタイのいい奴に腹に一撃を入れられ倒れ伏す。

パラガスが剝がれたことで、なんの邪魔も入らず俺の前に立つ一人の名も知らぬサイヤ人。

 

「お前もかわいそうな奴だが、これも王の命令だ。俺を恨んでくれるなよ」

 

そう言って、俺を持ち上げたまま倒れ伏したパラガスの横を素通りしていく。

その際に、俺はチラリと床に倒れ伏すパラガスを見るが、何の感情も湧いてこない。可哀想だとか、俺のために…、なんてことが湧いてこないのが少し不思議だったが、そのまま俺は持ち上げられたまま部屋の外へ運び出される。

 

 

「それにしても、こんな状況だというのに全然泣かないな。お前この先どうなるのかわかっているのか?って、赤ん坊なんだからわかるわけないか」

 

いや、分るんですけどね。

それよりも、俺の心配よりあんたの心配をしろよ。あんたは知らないだろうけど、もうすぐフリーザ様が惑星ごとサイヤ人を絶滅させるんだぜ。

 

「おぎゃあ!(あの世で強く生きろよ!)」

 

伝わらないだろうが、せめて死後は地獄で強く生きれと言ってみる。

 

「ははっ、なんだかよくわからんが、もしあの世があるんならそこで強く生きろよ!」

 

ぬう、まさか同じ事を言われるとは、こいつ案外いい奴なんじゃないか?サイヤ人だけど天国へ行くかもな。

 

「さて、ここでお前ともお別れだ…」

 

どうやら、お別れの時が来たようだ。辿り着いた場所は、宇宙船ポッド置き場?

というか、映画の原作はこんな感じじゃなかったよな?俺とパラガスは殺されかけ、ゴミ置き場に捨てられるはず?だった。

だが、どういう訳か俺は殺されかけずにポッドの前に連れてこられ、そのまま待機中のポッドに乗せられている。

 

「目的地は砂漠の惑星バンパと入力っと!それじゃあ、せめて楽に逝けることを願うぜ!」

 

ガコンッ!とポッドが動き出す前動作を始める。キュイーンとポッドが動き出す音が聞こえてきた。

もうまもなく発車という時に、再び俺を追いかけてパラガスがやってきた。

 

「待ってくれ!ブロリーは必ず!必ずベジータ王子のお役に立てるんだ!」

 

「っく!またか、もういい加減にしろパラガスが!!!」

 

俺を連れて来た大人が、俺を取り戻そうと駆け寄ってきたパラガスの頬に、力いっぱい拳を叩きつけた。

まともに喰らったパラガスは、先ほどと同じように床に倒れ込んで気絶する。

そのすぐ後に、残りの大人たちが慌てた様子で駆けつけてくる。

 

「おい!何やってんだお前らは!?パラガス一人も満足に止められないのか?」

 

「そ、それどころじゃないんだよ」

 

「そうなんだ!外を見てくれ、何故かバーダックが先ほどやってこられたフリーザ様に戦いを挑んでいるんだ!?」

 

「な、なに!?」

 

大人たちは慌てて外が見える場所に走り去っていく。その間にも、俺の乗ったポッドは動き出す。

 

「グッ、せめて、私も……ブロリーと共に……」

 

いつの間にか、気絶から目が覚めたのか、パラガスは床を這いながら、空いたポッドに乗り込みブロリーと同じ惑星バンパを目的地に設定して発射させる。

 

ふたつのポッドが惑星ベジータを離れたと同時に、惑星ベジータはフリーザの作り出した太陽を思わせるようなエネルギーボールによって、宇宙のチリとなった。

 

あと一歩でも惑星ベジータから追放されるのが遅ければ、俺達もあの星の爆発に巻き込まれていただろう。

宇宙のチリとなった星の最後を見ながら、俺と親父のパラガスはポッドの中で眠りのつく。

 

 

 

ピーピー!穏やかな眠りを妨げるけたたましいアラーム音が鳴り響く。

 

『惑星バンパに着地まであと10分!あと10分!』

 

どうやら俺が追放される惑星バンパにたどり着いたようだ。ポッドの中から見える景色は、青や緑といった色は全く見えず、地表は全て茶色の砂で覆われている。おまけに、この距離から肉眼で見える程の砂嵐が、あの惑星全体で巻き起こっている。

 

「おぎゃあ?(俺生き残れるかな?)」

 

ピーピー!と再びアラーム音が鳴り響く。

 

『着陸予定の惑星の環境が不安定です。着陸の際に衝撃が発生する恐れあり!』

 

何とも不吉な忠告だ。これマジで大丈夫か?なんだか近づくに連れ、ポッドが揺れまくっている。

ポッドから見える景色も砂嵐だけになってきた。

 

あのアラーム音から十分後に、ドッカーン!という爆音と衝撃と共に、惑星バンパに到着した。

ピーコンという機械音と共に、ポッドの蓋が開けられる。それと同時に、ポッド内に砂煙が入り込んできた。

 

「んぎゃぼ!(ゲホ!)」

 

口の中に砂が大量に入り込んできた。これかなりまずい!呼吸するたびに口に砂が入り込む。

視界も砂煙で覆われて、まるで見えやしない。まさか、伝説のスーパーサイヤ人に転生したっていうのに、星の環境なんかに殺されるなんて、凡人らしいっていえばらしいな。

 

「ブ……ロリー、ど……にいる…」

 

砂嵐の音に紛れて声が聞こえる。どこかで誰かが俺を呼んでいるようだ。聞こえる声からしてかなり必死のようだ。

 

「ブロリー!どこにいるんだ!!!」

 

ようやくちゃんと聞こえた。俺がこの世界に生まれてから一番聞いた声だ。俺の事をかばい続けた男の声だ……。

 

「おんぎゃ!!!」

 

だから俺は叫んだ!俺が生き残る為に、力いっぱい泣き声をあげてやった。

それに気づいたパラガスは、俺の声を頼りに近づいてくる。

 

「ここかブロリー!?」

 

必死の顔でポッドの中にいる俺を見つけると、途端にホッとした顔になり、そっと俺を抱き上げて「良かった」と一言漏らした。

そのパラガスの姿に、俺は父親の威厳と優しさを見た。

 

とは言ったものの、この星に水や食料らしきものはあらず、それどころかまともに休めそうな場所も見当たらない。

 

「グッ!砂漠の惑星バンパ――別名死の惑星とはよく言ったものだ。覚悟はしていたが、ここまで酷い環境だとはな。ポッドで脱出しようにも、砂嵐が酷すぎて離陸すら満足にできんとは…」

 

砂嵐から息子のブロリーをかばいながら、何とか休める場所と食料を見つけようと歩きまわってみるも、歩けど歩けど砂嵐は止むことはなく、洞窟の一つも見当たりはしなかった。

それでも休むことなく歩き続けるが、体力は減り続ける一方に加え、変わらない景色と過酷な砂嵐はパラガスの心を折るのに十分だった。

 

ついには砂漠の上に膝をつき、涙を浮かべながらあきらめの言葉を吐く。

 

「もう…ダメか……、すまんブロリーよ。不甲斐ない父で悪かった」

 

ぽつぽつとパラガスの涙が、腕の中に抱かれた俺の頬に落ちてくる。

俺は親父のその姿に苛立ちと屈辱を感じた。俺が伝説のサイヤ人だからこんな目に遭うだなんてという苛立ちと、そうでなければフリーザの手によって俺たちは惑星ベジータと共に、宇宙のチリへと変わっていたのだろう。そう考えると胸の中でよくわからない屈辱感が沸き起こる。

 

だから俺は自分が出来る最大の力をこの星にぶつけてやることにした。

 

「あぅあぅ、おんぎゃ!!!」

 

「ぬぅお!!?」

 

突如腕の中で抱いていたブロリーが、大声で泣いたかと思うと、緑色の凄まじいエネルギーが一気に放出される。

ブロリーを抱いていたパラガスはあまりのエネルギーの放出に吹き飛ばされる。

 

その勢いは止むことはなく、尚もブロリーの肉体からエネルギーがあふれ出して飛び出していく。飛び出したエネルギーは周りに渦巻いていた砂嵐を搔き消していく。

――――だがそれだけで終わらない。

 

赤子とはいえ伝説のスーパーサイヤ人なのだ。あふれ出たエネルギーは周囲といわず、惑星をも覆う砂嵐を跡形もなく吹き飛ばす。

 

「嵐が消え去った…」

 

ブロリーの力で嵐が消え去った空を仰ぎ見て、呆然としているパラガス。

死の惑星と言われた星に、全体から見ればたった一部だが、それでも、星を覆っていた死の嵐を消し飛ばしたのだ。

 

消し飛んだこの場所には、本来入り込む筈がない太陽の光が…恐らくこの星で最後になるであろう日差しが照らし出す。

 

「…はっ!こうしてはおられん。今のうちにポッドでこの星を脱出せねば!」

 

エネルギーを放出しつくし、泣き止んだ俺を抱えて、親父は砂嵐が再び巻き起こる前にポッドが落ちた場所へと急ぐ。

 

「ぐう、なんとか間に合ったが時間がない。目的地は最低限の水がある惑星と入力して、一刻も早く飛び出さなければ!」

 

まだ空は晴れてはいるが、遠くの空から砂嵐がこちらに迫って来るのが見える。

 

「ええいっ、どこでもいい!とにかく早く発進しろ!?」

 

ゆっくりと閉まるポッドの扉にイライラが止まらない。

なおも、外の景色が青空から元の砂嵐に戻りかけている。

 

「とっとと発射しろ!このポンコツがぁ!!!」

 

ガン!とポッドの内側から強く叩きつける。

それに応えるように、ポッドの扉は完全に閉まり切り、宙に数メートル浮かんでから宇宙に向かって発射する。

 

「いっけぇ!!!」

 

青空から砂嵐に変わった空にポッドが突っ込む。激しい砂嵐に突入したポッドはガタガタと不安な動きをみせる。

 

「頼む!このまま無事に突き抜けてくれぇ!!!」

 

その叫びが神に届いたのか、砂嵐はほんの少しだけ激しさが落ち、ポッドは無事に星の大気圏を抜け出した。

ポッドの窓から飛び去った惑星バンパを見送り、パラガスはホッと胸をなでおろす。

 

「あのまま惑星バンパにいたらと思うとゾッとする。それもこれも全てあの憎きベジータ王のせいだ。いずれブロリーが成長し、更に強大な力を身につけたその時こそが、ベジータ王よ貴様の最後となるのだ!」

 

その胸にベジータ王への復讐心を秘めながら、我が子であるブロリーを強く抱きしめる。

 

 

 

 




実はこの話は11月ぐらいに書き始めたのですが、なかなか筆が進まず難産でした。
次の話を書ききる頃には桜が咲いているんじゃないですかな?(苦笑い)


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