ネジと魔術で魔法少女モノ (ヒロキ@クロス好き)
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0話 プリズマ☆イリヤは始まらない

ヘボット「画面の前のみんな!おはネジよう!
ネジと魔術と魔法少女モノ、始ま──

……へ、へ、へ……




屁・ボーーーーーーーーン!!!」ガシャア



チギル「ダメだな、導入がヘボット1話目とかぶってる!捻りが無い!」

ペケット「オリジナリティがまるで無いペケ」

イリヤ(冒頭から厳しい……)

※始まります。


某日、ネジが島──

 

「待てや」

 

いつものネジ屋でヘボットが声を上げる。

 

「どしたのヘボット?」

 

ネジ屋の奥から()()()が……アレ?

 

「今回はクロスオーバーって聞いてたハズヘボ」

「あ~、昨日の回覧板に書いてあったやつ?」

「話の舞台も別の世界とも聞いてたヘボ」

「僕様の出番は無いってねぇ、ネジとボキャボットたちと、あと駄キャラが出るんだってー」

「じゃあ今書かれてるこれは?」

「えーと?

『ネジと魔術の魔法少女モノ』……あれ?

 

ひょっとしてもう始まってる?」

「なのに現場はネジが島。

始まってるようで始まってねぇヘボーーー!!!」

 

オイどうなってんだ作者、学校か空港のシーンから始めるんじゃなかったのかよ。台本合ってる?(ヒソヒソ

は?合ってる?これクロスオーバーだろ?

 

「──ダメだな。安易かつ需要のない組み合わせ、ダメダメだ」

「ペケラッチョ!」

 

出たな!アンチ予備軍!

 

 □ □ □ □ □ □

 

ネジキール「呼びましたー?」

 

ソルジャーボッツ『ボッツー』

 

ヘボット「呼んでねぇ、てか何ヘボこの□」

 

ペケット「セリフまみれで誰がしゃべってるかわからなくなりそうな時は、この□枠で処理するペケ」

 

チギル「ダメだな。自らの文章力の低さを曝してしまう上に、作りが簡単すぎてさらに作者の文章力が下がる。悪循環だ」

 

 □ □ □ □ □ □

 

「それよりヘボット。この作品でネジルの出番が無いことは知っているな?」

「それがどうしたヘボ」

「ダメだな。そこになんの疑問も持たないとは……」

 

ため息をつくチギル、次いでカッと目を見開いた。

 

「『ヘボット!』の主人公であるネジルの不在はつまり!新たな主人公がお前の相棒になる可能性が高いということだ!!」

『しょうなのぉ~?』

 

 □ □ □ □ □ □

 

チャラブレッド「オ゙マ゙エ゙ノ゙オ゙フクロモ゙ォォォォォ!!!イ゙ヷッテヤ゙ル゙ゥゥゥゥゥ!!!」ヴォォォォ

 

DJサルッキー「ありがちな間違いだYo!」

 

呪い〇 祝い×

 

スゴスゴインダーネジ「イイヨ~、祝えばみーんなハッピーなんだヨ~」

 

 □ □ □ □ □ □

 

「ところで、兄上たちは何しに来たの?」

「お前たちにも新たな主人公を見てもらおうと思ってな」

「そのために急遽、今書いてる0話兼設定解説回を作らせたっペケ!」

「まだ始まってなかったのはお前らの仕業か!」

 

驚き怒るヘボット。だがチギルは悪びれる様子も無く、腕を交差させてさらにダメ出しする。

 

「お前たちのようなダメダメな主人公じゃないか確認するためだ!そこに気がつかないとはダメダメだな!」

「実はここからSFで型月な展開になろうとしてたのは内緒っペケ!」

『聞こえてる聞こえてる』

 

 □ □ □ □ □ □

 

作者「前の周回から派生した特殊な並行世界がリセット無しで現在まで存続してってこれどこの異聞帯だっちゅーの!重いわ!書けるかバカ!」ガシャーン!

 

フィーネ「どうするで終幕?処す?処すで終幕?」

 

作者「設定としてコピペして残しとこ」

 

フィーネ「大甘の中の大甘……!愚の愚で終幕……!」

 

ボキャ美「ホントならこの辺からアタシも出てきてるハズなのにキャミ」ハァ

 

 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ←これで場面転換するよ!

 

グチリーマン「ヘボ王子に変わる新たな主人公登場グチ」グチッターポチポチ

 

ゴロリーマン「とりあえず寝るゴロ」

 

ゲロリーマン「物語も別の世界に飛び出してって、規模がデカすぎてオエ~」ザラザラザラ

 

グチリーマン「何、面接?受かればメインキャラ昇格!

これは行くしかねぇグチ!」

 

 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ←場面転換だよ!

 

カスリーナ「新たな世界へ!ヒァウィーゴー!」

 

モエル「異世界突入ってやつか!燃えるぜ!!」

 

スチャット「妻子を持つ身としては、そろそろ仕事が欲しかったところでスチャッ」

 

 □ □ □ □ □ □

 

「もしにーやんたちみたいなちゃらんぽらんだったり、ありがちなキャラだったりしたときはこの0話で連載終了するっペケ!」

「しれっととんでもねぇこと言っとるヘボ」

「生視聴だろうが、YouTuber視聴だろうが、DVD-BOXを購入していようが、SNSで考察なりパロディの元ネタを調査している人たちすら、全体の七割も理解が及んでいないアニメだ!ふざけたヤツなら話が進まず、まともなヤツならツッコミのせいで喉が千切れる!」

「無理ゲーじゃない?」

 

ネジルの言うとおり無理ゲーである。

どうしろっつーんだって話である。

 

「そのぐらいワイたちのやってきたことは、簡単にはこなせないってことだ」

「晴れがましいペケ!」

「始まる前から他作に喧嘩売ってる気がするヘボ」

「その主人公ってどんな人なのー?」

 

はい。こちらその人のプロフね。(ササ

 

『あざーっす』

「どっから出した!!ダメだろ!!」

 

──イリヤスフィール・フォン・アインツベルン

年齢 10歳

性別 女

好きなもの アニメ・ボキャバトル

嫌いなもの 過激な下ネタ

・メイド二人が家にいる

・血の繋がらない兄がいる

・こんな名前だが別に貴族とかではない

・ボキャバトルの実力は世界ランカーとして名を馳せる程の猛者←新要素

・何の変哲もない普通の小学生です☆←ココ重要!

 

『──普通とは何なんだろう?』

 

プロフ見てポカーンとする二人。

そらあんたら……哲学ですね。

 

「ぬぁんじゃくぉの主人公はぁーーー!!!?こんなどこの馬のネジかもわからない女にヘボ様は渡さないキャミーーー!!!」

 

ボキャ美──参戦!

 

「どっから出てきとんねん」

「馬のネジぃぃぃ?ほっすぃのだぁぁぁ!うっぴょおぉぉ!」

「メガネ!」バチコーン!

「あざーっす!!」ズザー

 

チギルもプロフに目を通す。

 

「ダメだな。もともとの設定はよしとして、このチートじみた新要素はダメだ」

「負ける要素/Zero。っペケ。こういうのは成長する過程があってこその敗北が無いといけないペケ」

「そんなことよりナレーター的な文!さっきからふざけすぎだ!ちゃんと描写しないとダメだろ!」

「それ四つ目の壁破りになるペケよ?」

 

俺だって……俺だってヘボット!に出たいんだよ悪いかーーー!!!

 

『逆ギレかよ!』

 

 □ □ □ □ □ □

 

スゴスゴインダーネジ「イインダヨ~。誰が出たってイインダヨ~」

 

作者「駄キャラってば多すぎて書き切れねぇよ」

 

フィーネ「どうするで終幕?デリート?デリートで終幕?」

 

作者「今は扱いやすいヤツだけで繋ごう」

 

フィーネ「お前は甘いで終幕……!」

 

作者「ハッ──?フィネト兄ちゃん……!」

 

フィーネ「誰が兄ちゃんだ」

 

ユーコ「うん、いいと思う」

 

コワコワット冬彦「ゴゴゴゴーストゥ!」

 

ムラキ「え?何これ?どうなってんの?」

 

 □ □ □ □ □ □

 

数分後、新主人公『イリヤスフィール』に会うために、ネジルたちはネジタウンに来ました。

 

「こんなとこにいるのー?」

「トキトキネジとスゴスゴインダーネジを使って、なんやかんやで呼び出せることができた」

「なんでそこら辺フワフワしとるヘボ」

「細かいことはこの際いいっペケ」

「細かかねぇだろ!てか設定解説つったのお前らヘボ!」

 

あっ、野生の段取り無視虫が現れた!

 

『段取り無視虫──作品によっては願望器になるかもしれないぞ!』

 

「どこに解説入れてんだ!」

 

「──あれ?今何か言った()()()()?」

「違ぇヘボ()()()!どっかからオレ様と同じ声が聞こえてきたヘボ!」

 

家の影に女の子の後ろ姿、その先からよーく聞いたことのある語尾を付けた声が。

 

「あの子がイリヤスフィールって人じゃない?」

「あの語尾はヘボ様キャミ!」

「段取り無視ペケ」

「こういう場面じゃ確かに願い叶えとるヘボな」

「ダメだな!薄っぺらかつ超展開のせいで読者がついて行けなくなる!」

「数行前のお前に聞かせたれそのダメ出し」

 

どっちかっつーと叶えてるの作者の願望だな。

 

 □ □ □ □ □ □

 

作者「早く書きたいんだよぅ、本編をよぅ」

 

フィーネ「じゃなんで0話書くことにしたで終幕」

 

作者「絶対に無視しないヤツらが出ると思って」

 

チギル「ダメだ!ここでそういうこと話すな!」

 

 □ □ □ □ □ □

 

「スキアリ──! ここで新たな主人公を亡き者にしてこのシリーズをヘボ様とのラヴ・ストーリーに書き換えるキャミーーー!」

『恐くな~い?』

 

ルパンダイブからのレッツ・キリングタイムボキャ美!

 

「ふぇ?何?」

「イリヤ!危ないヘボ──!」

 

二人の間に、これまたよーく見たことのある姿のボキャボットが割り込んできた。

 

「あれって!?」

「俺様もう一人いるヘボ!」

「ペケと色被ってるペケ!」

 

「二!四!八!

十六!!三十二!!!六十四ォン!!!!」

「ヤッダーバーキャミィィィィィィィ!!!」

 

目にもとまらぬ連撃!ものの三秒でぼろ雑巾!

ボキャ美──再起不能(リタイア)

 

「ギャー!!オーバーキルだよヘボットーー!!!」

「やりすぎちゃいました☆」

 

狼狽える女の子とは裏腹にボキャボット──青い色のヘボットは反省/Zero。

 

「なんということでしょう」

「うわぁ……大丈夫?ネジ挿す?」

「乙女相手に手加減ナシとか……」プスプス

「もうダミだぁ……おしめぇだぁ……」ガタガタ

「何寝ぼけたこと言っとるペケ!へこたれる暇があるならさっさとシオシオ直せゴラァ!」

 

カレーもぐもぐタイム。

でもって。

 

「えっと、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンです。長いから『イリヤ』って呼ばれてます」

 

長白髪の赤い目をしています。格好は……おじさんちょっとわかんねぇや。それっぽい服と思ってちょ。

 

「ダメだな!ちゃんと調べてから書き起こせ!」

(どこに向かって喋ってるのかな?)

 

「オレ様については説明いらんみたいヘボな」

「いや……言わないとわかんないことあると思うよ……」

「並行世界においての同一人物ってのは、大抵中身変わっとらんヘボ。こっちのイリヤ的なソイツもまともに見えてどっかのネジが外れとる可能性大ヘボ」

「なんでわたしが変な人みたいな言い方するの!?」

 

「なにあれー?」

「青いオレ様の言ってること正解なのが残念でならんヘボ」

「ダメだな。減点だ」

「マイナス5点ペケ」

「僕様変じゃないよう。

いたってフツーなネジ好きボーイなのぉぉぉぉ!」ベロベロベロ

「普通とはなんだろう」

 

哲学ですね……アタイは好きよ!

 

「哲学舐めすぎだ!」

 

 □ □ □ □ □ □

 

作者「進んでるようで進まない……前進……前進とはなんだろう……」

 

フィーネ「退却するならショートカットするで終幕。秘伝のデンプシーロールでガコガコにしちゃるで終幕」シッシッ

 

作者「どこをですか?」

 

 □ □ □ □ □ □

 

「なんとなくトキトキネジを挿してみただけなのに、こんなとこに飛ばされるなんて……」

「帰っていもチンうどん食いてぇヘボ」

「なるほど、呼び出せたのは同時にトキトキネジを使ったからか。……まぁそれは置いといてだ」

 

チギルはイリヤに向き直ると、指を指して宣言した。

 

「イリヤスフィール!ここへお前たちを呼んだのには理由がある!」

「呪腕!効果『相手は倒れる』!」ゴシャア!

「最後まで聞けぇーーー!?」

 

 □ □ □ □ □ □

 

あお ヘボット の ふいうち ! ▽

 

チギル は ふかい ねむりに ついた ▽

 

青ヘボット「オレ様ってば最強無敵ヘボな~。つーわけだオラ、オレ様勝ったから帰さんかい」ゲシゲシ

 

イリヤ「話聞いてあげなよ!」

 

チギル「うぅ、ボキ、もうダメだもん……」グスングスン

 

ペケット「コンティニューしてでもやり通せっペケ!」

 

イリヤ「誰だこれーーー!?」

 

ペケット「チギルはシオシオするとこうなるっペケ!」

 

青ヘボット「是非も無し、お湯を注いでレンジでチンヘボ」

 

チギル「押さないでね?絶対に押さないでね?」

 

イリヤ・ペケット『マジびっくりなんですけど!?』

 

ネジル「青いヘボットはケンカっ早いのだ」

 

ヘボット「あいつとオレ様、何かが根本的に違う気がするヘボ」

 

ボキャ美「熱い拳は愛のムチ……!青ヘボ様の真の優しさに!ボキャ美!感動致しましたキャミ!」

 

ヘボット「どこがやねん」

 

青ヘボット「ええで?欲しかったらいくらでも注入したるヘボ?」ゴキゴキ

 

イリヤ「それただのドメスティックバイオレンス!」

 

ヘボット「そのツッコミは勘弁してくれェ!!」

 

ネジル「なんか母上に似てるのだ」

 

 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

ナグリ「愛あるパンチにガードする術ナシでコブシー!」ゴシャア!

 

ジル「寝違い治ったー!!」ズザー

 

 □ □ □ □ □ □

 

「何したら帰してくれはるんですの」

「お前たちがダメダメなら、すぐにでも叩き帰すところだが……幸いお前たちには見込みがある」

「えぇと……それはどうも……?」

 

改めてといった雰囲気でチギルは宣言する。

 

「お前たちが新たな物語の主人公に相応しいか、これから確かめさせてもらう!」

「ダメだったら白紙に戻るペケ!」

 

それに対して首を傾げる新主人公コンビ。

 

「……飛び込みでなんかの番組のオーディションに来ちゃったのかな?」

「……何かは知らんヘボが、オレ様売られたケンカとボキャバトルは爆買いする主義ヘボ!乗った!

あ、青ヘボです」

「無双する気!?」

 

頑張れ新主人公。

ぶっちゃけこれ合格貰わないとお前らのお話剪定事象になっちゃう(汗)

 

 □ □ □ □ □ □

 

ルビー『──ムムッ、今何やら世界危機レベルの悪寒が』

 

サファイア『それは悪寒じゃすまないと思います。姉さん』

 

もじゃもじゃ「コンニチハー!」

 

ルビー・サファイア『あ、こんにちは』

 

 □ □ □ □ □ □

 

「メインキャラの面接はここかグチー!」

「新世界で一発当てるゴロ!」

「左うちわ待ったなしゲロ!」

 

幸薄社畜 ボキャリーマンズ──出社

 

「異世界バトルじゃーい!!」

「リメイクで異世界なライフがアタシを待ってるの!」

「インフレになりがちなストーリーなりそうでスチャッ」

 

49話、かっこよかったよ!モエカストリオ参上!

 

『あざーっす』

 

「なんか色々来たヘボ

青ヘボです」

「ホントにオーディションだったみたいだね」

「ちょうどいい、コイツらで試してみるか」

 

でもって、色々勘違いしたやつらを利用した新主人公たちの試験が開始したのである。

 

あ、あとボキャリーマンズ。

 

「はい何でしょう?」

「俺今から本気出すゴロ!」

「ゲロは出し尽くしたゲロ!」

 

貴様らに……出番は無い。

 

『………………………………は?

なんでさぁぁぁぁぁーーー!!!?』

 

 □ □ □ □ □ □

 

ここでアイキャッチだよ!

 

 □ □ □ □ □ □

 

「えー、新主人公コンビ対モエカストリオ&ボキャリーマンズ、ボキャバトルデスマッチ。結果発表でべしゃり」

 

実況のおしゃべりネジーが進行を務めている中、チギルとペケットは顔を引きつらせ、ネジルとヘボットは唖然として、ボキャバトルを見に来た野次馬たちはドン引いてて、対戦してたモエカストリオとボキャリーマンズは死屍累々としてた。てか全員栽培マンの自爆を食らった時のポーズになっていた。

 

「新主人公コンビのボロ勝ちでイインダヨ~」

 

それは、勝負と言うにはあまりにも差があった。

激しく、速く、賢く、そして強すぎた。

それはまさに蹂躙だった。

 

「し、勝負にすらならんとは……」

「にーやんたちとは別の意味でやべーペケ……」

「てゆーかボキャバトルだったのあれ?」

「ボキャ美はあんなのに殴られてたのかヘボ……!よう生きとったヘボ……!

あ、ネジルのヘボです」

「イヤンヘボ様褒めないで☆」

 

「やっぱオレ様最強無敵のヘボ田さんヘボ~!

青ヘボです☆」

「ヘボット……周りの人たちドン引きしてるよ」

「んなもんオレ様たちに追いついてないヤツらがヘボいだけヘボ」

「うー……やっぱりレベル100以上はやり過ぎだったよ過去のわたし……」

 

『レベル100ぅッ!!!?』

 

術式レベル100(ハンドレッド)……かっこいいぞ!

 

「オレ様たちってば、生まれてからボキャネジ挿しまくって、ゲームもし尽くして、気がつけばレベルMAXからの上限突破してたヘボ。

あと青です」

「な、何が原因で上限突破したか知らないけど、今レベル108ですっ」

 

なんというべらぼうゲーマーだろう。

 

「待って!?ヘボット、ていうかボキャボットのレベルって99まででしょ!?」

「資料によりますと、新主人公コンビの世界では上限突破するためのオプションがあるそうでべしゃり。

さらにこの世界とは違い、レベル100を超えると必要な経験値も桁違いに増えますでべしゃり」

「レベル100以降で1レベル上げるには、50レベル分の経験値が必要なんだヨ~」

 

さぁ、算数の時間だぞぅ。

青ヘボットのレベルは108、ここまでレベルアップするためには、ヘボットを何体分レベルMAXにすればいいでしょうか。

 

「1レベル分で50レベルだから、2レベル分でMAXだな」

「つまりレベルMAXのにーやんが4体いるペケ!」

 

ブッブー!違いまーす!

正解は5体。レベル100+レベルMAXになる2レベル分×4が必要なのでしたー!

 

「なにそれずるいっペケー!」

 

大人はね……ずるいんだよ……。

 

「それよりも!?惑星会議とかネジ王とかが番組最終回間際でレベル98にすんのがやっとだったのに!?その歳にしてオレ様5体分レベルカンストさせるってどんだけやりこんどるヘボ!?

ネジです!」

「そのー……なんていうか、凝り性でして……」

 

照れて頭をかくイリヤ。

 

(──負けた!!根気のスケールで負けた!!!)

「それはコイツらがスゴいのではなく、お前らがダメダメなだけだ。普通なら十分可能だ」

 

惑星会議の面々、ホントに苦労してたんだなぁ。みつを

 

「あの強さは努力の結晶だったのか……!新主人公とは気が合いそうだぜ……!」

「これは強い主人公に導かれる王道パターンスチャッ」

「ヒロイン兼ねてるのが癪だけど……メインキャラになれるならいっか!」

 

チートでないとわかると、あっさりイリヤたちを認めたモエカストリオ。いい表情だ。晴れ晴れとしている。

 

「始まる前から無敵のパターングチ」グチグチ

「あのヘボットとは付き合いきれねぇゴロ」

「毎度振り回されるのはゴメンゲロ」オェェェ

「でも主人公補正に頼らないスタイル、まぁアリなんじゃネ?」

「確かにそれは言えてるゴロ」

「負けたけど清々しいゲロ」

 

ボキャリーマンズも愚痴りこそしたが、強すぎたせいで逆に認めてしまった。

 

「ダメだな……コイツらマヒしてやがる」

「ぶっちゃけ強くなれるのも主人公補正なのに、この差っペケ」

 

 □ □ □ □ □ □

 

若頭ネジル「……ワシら、どこで道間違えたんやろなぁ……」

 

地獄ヘボット「……どーせオレなんか……」

 

ボキャ美「アアッ!ヘボ様が闇落ち寸前キャミ!

ボキャ美のラヴパワーで蘇ってー!」

 

地獄ヘボット「」ベシッ

 

ボキャ美「アッ」バターン

 

地獄ヘボット「ロードローラーだー」

 

ボキャ美「アーーーー♡」ゴロゴロ

 

 □ □ □ □ □ □

 

「っはー暴れ足りんヘボ、骨のあるやつはもういないんか。

青です」

「やめなって、ケンカしにきたんじゃないでしょ」

「ボキャバトルしろっつーからさせてもらっとるだけヘボ。手ぇ出してねぇだけマシヘボ」

「もー!そんなこといってこないだも警察沙汰になったじゃん!いい加減にしてよこのケンカ番長!」

 

はい!そうこうしてる二人の上からタイトルロゴがドーーーン!!!

 

「ヘボーーーーッ!?」

「今度は何ーーー!?」

 

次いで、誰かが『ヘボット!』の文字の上にスタッと降りてきた。

 

「──ふむふむ。お前たちが新たな主人公コンビですのでコブシ?」

「え?もう決まったの?」

「てか誰ヘボ」

 

イリヤたちの前に現れたのは、ネジが島のバーサーカー、ナグリ・ドツーキ。

 

「妾がネジが島王国王妃──ナグリ・ドツーキでコブシ!!以上!!!」クワッ!!!

『オチ担当』←ヘボネジ

 

まだ終わりじゃないよ?

 

「お、おうひさま!?なんでそんな偉い人が!?」

 

「母上!まさか──まだ早すぎます!まだワイらのボキャバトルが残っています!」

「いいえ、結構です。彼女のヘボットがレベル100を超えている時点で、この世界のどのボキャボットであろうと勝ち目はないでしょう。

なれば!あとは拳で直接語りかけるのみでコブシ!!」ムフー!

 

要約。磯野!ケンカしようぜ!

ガントレットが唸ってやがるぜ……ナグリっち……!

 

「わぁヘボットそっくり」

「イリヤ、目にハイライト入ってないヘボ。絶滅種になってるヘボ。

青です」

 

イリヤは絶望した!!ただでさえ手が付けられない程のケンカ好き脳筋野郎が、二人に増えたことに絶望した!!

 

 □ □ □ □ □ □

 

トキ「みんなみーんな」

 

センザンコウ「生きているんだ」

 

シーラカンス「負けてたまるか!レオ吉ー!」

 

誰か「レオポンの名前!」

 

 □ □ □ □ □ □

 

「あ~んなに猛ってる青ヘボちゃんを見て、妾ハートに火がついてしまいましたの!退屈なんてさせないでコブシー!」

「アンタいいやつヘボなー!

青です!」

「あ゙ーダメダメダメー!!一国の王妃様とケンカとかー!!」

 

制止しようとするイリヤに、ムッとなる青ヘボとナグリ。かわいい。

 

「イリヤ。王妃って偉い人ヘボよ?偉い人がいいって言ってんだからバトっても問題ないヘボ。断ったら寧ろ無礼ヘボ」

「妾は青ヘボちゃんと闘り合いたいのでコブシ。王妃様のお願い、聞いてくださいな♪」

「そんなこと言ってボキャバトル世界大会の時に──!!」

 

 〇 〇 〇 〇 〇 〇 ←回想だよ!

 

テレンペ大統領「私とボキャバトルしてみないか?」

 

青ヘボット「いいヘボよ」

 

イリヤ「ワァすごい人に声かけられちゃった!!」

 

テレンペ大統領「私の国のチキン議員も、君たちほど勇敢だったらなぁHAHAHA!」

 

イリヤ「うーん……テレビで見たとおり強烈な人だなぁ……」

 

青ヘボット「ム」カチンッ

 

でもって。

 

青ヘボット「決着ゥーーーーーーーッ!!!」ボゴォ!!

 

テレンペ大統領「たわばァ!!!?」グシャ!!

 

イリヤ「何で手が出ちゃったかなぁー!!?」

 

青ヘボット「全世界にいる反対派代表の拳じゃ、ありがたく受け取りやがれヘボ」ペッ

 

イリヤ「反対派は暴力で解決は望んでないよ!!」

 

SPの人たち『何をするだーッ許さんッ!!!』ドドドド

 

イリヤ「ほらああああえらい騒ぎになっちゃったー!!!」

 

青ヘボット「予想通りヘボ。偉いだけのトップほどお付きのヤツらは多いヘボ。

──てめぇら全員突き指しやがれぇぇぇぇぇ(楽)!!!」

 

イリヤ「絶対に突き指じゃすまないよぉぉぉぉ(哀)!!!」

 

 〇 〇 〇 〇 〇 〇

 

「あの後、SPを全員KOして、逃げようとした大統領締め上げて、最終的に──ヘボット個人と条約締結することになったじゃなーーーーーいっ!!」

「何年前の話だ」

「一月前だよ!!!」

 

涙目になりながら怒るイリヤ。かわいい。

 

「あなた個人と条約ですの?いいなー、妾も一度やってみたいでコブシ」

「気の小せえトップ相手ならすぐできるヘボ。あーゆーのは保身しか考えてないから楽勝ヘボよ。

青です」

 

※青ヘボット個人の意見です

 

「お、おいお前ら!今度はワイたちとボキャバトルで勝負だ!」

「早くしないと大乱闘が始まっちゃうペケ!」

「ハイ喜んでー!!!」

『ええ~、バトらせて~?』

「ダ メ !!!」

 

と言うわけで。

 

「かけるぞペケット!」

「ペケらっちょ!」

「ボキャバトル延長戦でべしゃり」

 

『レディ・ゴー!』

 

 × × × × × ×

 

ネジかけ(MIX!)

 

ウ・ル・ト・ラ・コンボー!!

 

()()物乗って グンググン♪(ノリノリ♪)

 

急いで()()()() 2()()♪(トキトキ!)

 

どちらも前進あるのみだ~♪

 

 × × × × × ×

 

「チギル、ペケット。ウルトラコンボ『ネジ海サイクリング』でイインダヨ~」

「何あの×6個。

ネジです」

「ボキャバトル専用枠だって」

 

「ネジかけだ!生で見るの初めてかも」

「ヘン!ウルトラコンボ恐るるに足らずヘボ!ハンデ付けても勝てるヘボ。

青です」

 

お?言ったな?だそうですみなさーん!

 

「──ならばレベルの差を埋めるために、お前らはエトネジコンボ以下で勝負しろ!」

「ここぞとばかりにセコくない兄上?」

「でも108ってホントに勝負にならんヘボよ。

ネジです」

「青です。

ならイロかカタチコンボ以下で勝負ヘボ」

「よぉし決まりだ!さっさと──

何です?」

 

聞き返すチギル。しかし青ヘボ変わらず、

 

「イロか、カタチ、コンボ、以下で」

「な……オイオイ?その心意気は褒める。褒めるが、相棒の意見ってヤツをだな──」

 

「いいヘボよね、イリヤ」

「え?……うーん……

うん、ヘボットがいいなら」

「つーわけだヘボ」

 

『──やってやろうじゃねえかこの野郎!!!』

「マジギレでべしゃり」

「キレてイインダヨ~」

 

そんな訳で青ヘボの番。

 

「イケイケ・シャレシャレ・ノリノリ!」

 

 × × × × × ×

 

イロ~(イローイロー) カラ~♪

 

ハーイハーイ ハイテンション!(イロがーそろった♪)

 

つねに おシャンティ♪(イロイロそろった♪)

 

ノリノリパーリィ パーリィホー!

 

 × × × × × ×

 

青ヘボット、ハンデ通りイロコンボを叩き出す。その結果──

 

「青ヘボットはイロコンボ、だけど~?」

「だけど?」

「だけど~?

ネジです」

 

「イロコンボでもウルトラコンボに十分勝てるエネジーを弾き出したんダヨーン。

数値にして、5000000000エネジー!対してチギル、ペケットのギャグは1000000エネジー。よって」

「この勝負新主人公の勝利でべしゃり」

 

全然余裕でした。

 

『マジカー!?』

 

 □ □ □ □ □ □

 

作者「書いててなんだけどルールガバガバじゃね?」

 

フィーネ「ご都合主義とかホント勘弁してほしいで終幕」

 

作者「お話進まないから仕方ない」

 

フィーネ「……」グス

 

作者「……最後らへん出る?」

 

フィーネ「作者ぁぁぁ!!!」ウェーン

 

作者「バッドエンド無しね」ナデナデ

 

 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

カドック「…………おい、なんだこれ。なんで僕たちまでこんなイカれた物語に出されてるんだ。パロディでいいだろ」

 

アナスタシア「メタなツッコミは無しよカドック。寒くってしまうわ。

──ロシアだけに」ドヤッ?

 

カドック「やめろ、ホントになんだこの場面。意味はあるのか」

 

 □ □ □ □ □ □

 

意味など無い!!!(無慈悲)

 

「まだだ!!まだネジルがいるぞ!!」

「でも兄上ー?」

「この流れは勝てない雰囲気ヘボ。

ネジです」

「青ヘボ。

わかったわかった。じゃあ今度はランクで勝負するヘボ。流しネジ器ですくったネジでコンボを決めて、上だった方が勝ちヘボ」

「それボキャバトルじゃなくな~い?」

 

疑問に感じるネジルに青ヘボこんなこと言い出した。

 

「──いつから()()()()()()()()()()()()()()()と錯覚していた?

お前らはイリヤの真のすごさをわかっとらんヘボ、イリヤなら目隠ししてても勝てるヘボよー?」

「ちょ、ヘボット!?それは盛りすぎ!」

 

「なぬー!?やってやろうじゃねえかーい!!ネジ好きとして負けてらんないのだ!!」

「ネジル、挑発に乗るなヘボ。ただの相棒バカヘボ、これで勝たないとアイツらが世に出ることに──」

「ちなみに挿す時も目隠しで勝てるヘボ」

「やってやろうじゃねえかこの野郎(怒)!!!!」

「だから盛りすぎだってばー!!」

 

ネジ流し器、到着!早速流されてゆくネジたち。スピードが速くてどれがどのネジなのかわからない。

 

「ただの洗濯機じゃねえか!!

ネジです!!」

「ぐぬぬ……しかし僕様!負ける訳には──イカナスビー!!!」

 

ネ慈愛パワーでじゃんじゃかネジをハシですくう。対して目隠しで挑んでいるイリヤ、なかなかネジに触れない。

 

「やっぱり難しいってぇ……」

「イリヤ!お前の運命力を信じるヘボ!

青です!」

「運命力?」

「いいや、運命とかじゃねえヘボ。お前はネジだ、運命を繋ぎ止めるネジヘボ!迷う必要はない!お前が選ぶネジが、お前の望むものを与えてくれるハズヘボ!」

「……ヘボット」

 

青ヘボの激励に、イリヤは、()()()()()()()()()()()()()()。狙わず、迷わず、ハシでつかめたネジを信じた。

 

「僕様だってネ慈愛溢れてるもんねー!!!」

「……心なしかネジが避けとる気がするヘボ。

ネジです」

 

そして、イリヤが最後のネジを取り、ネジすくい終了。

ネジルの方は大量のネジ。

イリヤの方は数えるほどしかない少量のネジ。

 

「ネジルすごいっペケ!」

「ダメだな。集めりゃいいってもんじゃない、より高いコンボを決めるには必ずレアネジが必要だ」

「何言ってんのさ兄上~、僕様がレアネジを取ってない訳が──ア゙ッッッッ!!?!?」

 

ネジルは気づいた。大量のネジ、豊富な属性、様々な形、その中で輝きを放つのがレア、サイコーレアのネジだ。

だが──見当たらない。

 

「しょんなバカなぁぁぁぁ!!?僕様がレアネジを取り損ねるなんてッ!!?」

「ネジル!あれ見るヘボ!アイツらのネジ──」

 

ネジルのヘボットが指したのはイリヤのすくったネジ。

輝いていた……それはもうむっちゃくちゃ輝いていた。

それもそのはず、そこにあったのは、レアとサイコーレアのネジのみだったからだ。

 

『なんでさッ!!?』

「ダメだダメだァ!お前らズルしただろ!!」

「なら判定役に聞いてみるヘボ。

あ、青です」

 

判定役の証言。

 

「怪しい所は見てないYo!」

「ごく普通にネジを掴んでたっピヨ」

「ハシに迷いは無かっタイ。でも不正をしてるとは思えんタイ」

「青ヘボットも特に何も手ェ出してなかったイノ」

「まさにネジで繋ぎ止めたようだったブリ!」

「本当に──彼女自身がネジであると言うしかないスワン」

 

疑惑/Zero

 

「仮にズルだったとしても、見えてても特定のネジは取れない上、細工する間もなく洗濯機は運ばれてきたから、ネジにも仕掛けはないヘボ」

「じ、じゃあなんでレアネジばっか集まるのさ!」

「言ったハズヘボ。イリヤは、運命を繋ぎ止める!コイツの魂はネジだヘボ!」

「だから盛らないでって……もういいや」

 

諦めたイリヤは目隠ししたままネジを手にする。

 

「あーーーーもうやるしか無いのだー!!」

「ヘボコンボになることを祈るしかないヘボー!!」

 

ネジルもネジの山に手を突っ込んだ。

で。

 

「ヘボネジコンビ、ヘボコンボでべしゃり」

『オイッ!?』

『へたこいた~』

 

痛恨のミス。

 

「まだだ!!まだ終わらんのだ!!」

「あっちは目隠しヘボ!!挿す順番がわからなければヘボコンボに──」

 

 × × × × × ×

 

ウールートーラーコンボォォォォ!!!

 

ドデカいタマタマ!あるがまま!

 

嘘もつかずに(年収は〇〇〇(ピー)億円!)

 

未来は(スターだ!) タマタマ(ゴールデン!)

 

目立つぜ!のぼるぜ!タマタマスターダム~!

 

 × × × × × ×

 

「ウルトラコンボでイインダヨ~」

「つーわけで、勝者──新主人公コンビでべしゃり!」

 

「やったぜウェ~イ!

青です☆」

「よりにもよってこのコンボか……」

 

ハイパーラックである。

 

「マジでどうなっとるヘボ……。

ネジです……」

「ネジに愛されガールなの?」

「……わからない、でも、ネジに導かれてる感じがするっていうか……ネジが話しかけてくる感じというか……」

 

なーんかしどろもどろになるイリヤ。

 

「うまく言えないけど、ネジが絡むことだと、大抵どうすればいいかわかる気がするの。さっきも、ネジに呼ばれた気がして、それに向かってハシを向けて……それで、レアネジが揃ったんだ……と、思う……」

 

──少年は思った。というか、思うしかなかった。

 

「うらやますぃぃぃぃぃ!!!ネジに話しかけられるなんてパラダイスじゃまいかぁぁぁぁぁ!!!」

「今更だけど変だねこの子」

「世界最狂の生物ヘボ。

青です」

 

 □ □ □ □ □ □

 

ジャマイカ!

カリブ海に浮かぶ島国。

 

カドック「………………ちょっとまて!なんで急に僕たちはこんな所に連れて来られたんだ!?」

 

アナスタシア「ガッデムホット(めっさ暑いわ)

 

カドック「アナスタシア!?どうしたんだ!?まさか感化されたか!?」

 

アナスタシア「……ファッ〇ンホット(ク〇暑いわ)!」バサァ!!

 

カドック「ダメだァァァ!!戻ってこぉぉぉい!!!アナスタシアァァァァ!!!」

 

アナスタシア「ッ!? このけだもの!」パシーン!

 

カドック「ヴァージンッ!?」ズサー

 

基本、1年を通して暑い国です。ドンマイカドック。

ジャマイカ!

 

 □ □ □ □ □ □

 

「……なんか聞いたことのあるような主人公設定だな」

「スゲーけど後半から活用されなくなるパターンペケ」

「パターンて。

ネジです」

「──ボキャバトルは終わったでコブシ?なら次は妾の番でコブシー!」

 

腕をブンブン振りながら、待ちきれない雰囲気全開のナグリ。

 

「あ、忘れてたヘボ。王妃様がケンカしてくれるんだったヘボー!

青でーす!」

「わぁぁぁだからぁ!!!」

 

──あ、もう終了間際なんで試験そこまででーす!

 

「助かったぁ~……」

 

つまらなさそうにするナグリと青ヘボをよそに、イリヤは安心してその場でへたれこんだ。

 

「結局どうするヘボ?」

「これ以上長くすると読んでもらえなくなるかもよ?」

「……ダメだな。まだ不安要素はあるが……」

 

──運命を繋ぎ止めるネジヘボ!

 

──ネジが絡むことだと、大抵どうすればいいかわかる気がするの。

 

「……任せてみるしかねぇかな……」

 

無事採用! 事象確定!

 

「青にーやん!ここから帰れるよっペケ!」

 

ペケットが畳を持ち上げる、そこには異空間が広がっていた。

 

「開拓史かな?」

「畳の方から帰っていいの?」

「ノープロブレムっペケ」

 

突然そこに迷いなく突撃する三人組が!

 

『すべて壊してすべて繋げー!!モエカストリオ、いっきまーす!』

『あっ』

 

あ、そうそうここで一つお知らせ。

 

「ハッハッハー!隙を見せたわね新主人公!主役の座は貰ったわよー!」

「燃える主人公のバトルものの始まりだぜー!」

「忘れかけられた所を空かさず狙う、転んでもただでは起きないとは正にこのことでスチャッ」

 

モエカストリオに特に目立った場面はありません。

 

『……………………………………は?

なんでさぁぁぁぁぁぁぁ!!!!?』

 

「ゲロたちも途中から忘れられてるゲロ」オェェ

「ふて寝するゴロ」ゴロゴロ

「どーせあたしらも忘れられる運命グチ。いや悔しくねーし、むしろせいせいするし、実は危ねーところだったし」グチグチ

 

そんなこんなで、異世界からやってきた新主人公、イリヤと青ヘボットは帰って行った。

 

「バイならヘボー」

「おじゃましましたー」

 

「あーん!お待ちになって青ヘボ様ー!」

「……やっぱりあのオレ様、根本的に何か違った気がするヘボ」

「んー、言われてみればー、声がシャンとしてた気がするのだ」

「そこかよ!」

 

 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

「──異世界、か」

 

そう言ったチギルは、一本のネジを手にしていた。

ボキャネジではない、細長い軸のネジだ。

チギルのものではない、はるか彼方から来たネジだ。

だがこのネジは──()()()()()()()()()

 

(全くダメだな。未練がましいにも程がある、ダメダメな奴だ)

 

何のためにあるのかはわかっていた。だが──使うには、まだ早い。

 

「ウホッ、いいネジなのだ~!スキスキ~!」

「お前もダメだな!やめろ!」

「ネジぃぃぃ!ネジぃぃぃぃぃぃ!」

「ダメだダメだダメだーーーー!!」

 

あえて言おう。

うまくまとまりませんでした。

 

 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

『こ、これ以上シめるなッ!!止めろ止めろ止めろーーーー!!』

『ダメです!!次元ネジ加速していきます!!』

『隣接次元危険域に突入!!高速で引き込まれています!!』

『エネジーレベル計測不能!!』

 

『──姫様!!いったいなにがどうなっとるんぢゃ!?』

「何者かが次元ネジに干渉して、他の平行世界を引き寄せているようです!

屁ボーンの効果ではなく、単純に無理やり回されているなんて……!?」

『屁ボーン無しで次元ネジに干渉!?どんな馬鹿力なんですか!?』

『そもそもどうやって巻き込まれる域にまで平行世界を──!!』

「わかりません──ですが、干渉している者たちを抑えないと!このままではまたフィーネが──」

 

「……いや、これは、それさえも上回る脅威で終幕」

「なっ──貴方は!?」

「止めようとする者よ──悪魔と相乗りする覚悟はあるか?」




イリヤ (イリヤスフィール・フォン・アインツベルン)

今作の主人公。ネジを持たせたら、どこに挿すべきかなんとなくわかっちゃうというどこぞの螺旋族の少年みたいな設定にした子。ドリルじゃないからきっと大丈夫だ!

青ヘボット

イリヤの生まれた頃からそばにいたボキャボット、屁ボーンはするけどあんまヘボくない。好きなものはいもチンとうどん。声は佐倉綾音さんを脳内再生してね。

初めまして、ヒロキです。
ハーメルンではこの話が初の投稿になります。
設定的にはドライ!まで考えてはいるんですけど、今のところは一期までを予定しています。
ではまた次回。


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1話 と見せかけためっちゃ時間かかった0.5話的な話

聞いてくれよ……この話できるまで……半年かかってるんだぜ……?
それでこのクオリティーだぜ……?
とりあえず言いたいことはまだあるが……それでもよければ……ご覧になって下さい……。
文句は……受け付けます。



「買い物行ってくるヘボ~」

 

「お気を付けてー」

「いってらー」

 

メイド二人の声を聞きながら、主人公(青ヘボット)見参。以後、「ヘボット」と呼称する。

 

「にしても最悪の目覚めだったヘボな~、着ぐるみの変態は出るわ、シオシオの変態は出るわ。挙げ句の果てにネジ好きの変態が出る夢を見るなんて」

 

0話の出来事は夢オチとされた模様。

 

「でも腕6本の王妃とかいう人とはやり合ってみたかったヘボ。夢だけどー」

 

 □ □ □ □ □ □

 

???「……引けない……あの人が引けない……!

どーなってるのよ確率ッ!!」

 

誰か「ネタバレ防止!」

 

??「おっはー」

 

???「キターーーーー(・∀・)ーーーー!!!!」

 

誰か「ヘボットのセリフと?の文字数で考えてみてちょ」

 

??「これを、なかのひとねた……というのだな」

 

???(ヤダ舞い上がっちゃって私ったら──)カァァ…

 

 □ □ □ □ □ □

 

「きょーうのばーんめーしえーみやーめしー」

 

鼻歌交じりに、ヘボットは商店街に到着。まずは魚屋へ向かう。

 

「一番活きのいいヤツを頼むヘボ」

「はい!毎度ありです!」

 

ヘボットの注文を聞き、魚屋の奥から、帽子とマフラーをつけたジャージ姿の少女が出てきた。

 

「ン?お前新人かヘボ?」

「あっ、ハイ!アルバイトとして働かせていただいてます。ヒロインXと申します」

「ヒロイン?自分で言うんかソレ」

「む、ただヒロイン枠を獲得するために名乗っているのではありません。ある目的を達成するため、真名を隠す必要があるのです」

「顔といい名前といい、まるで隠せてねぇヘボ。頭に至ってはなんか突き出てるヘボ」

「やだなぁきっと幻覚(ファントム)です」

「幻覚て」

 

ぐだぐだ話してると、ヘボットはあることに気づく。

 

「てかいつもいる店番のにーちゃんどうしたヘボ、最近見かけないヘボな」

「それ、店長も言ってました。なかなかの商売上手だったそうで、急に居なくなって困っているそうです」

「アレは商売上手というより親しみ上手ヘボ。むしろ信頼でお客さん買ってたような人だったヘボ」

「まぁおかげで私が雇われたようなものですが」

「お前の笑顔は0円だ」

 

 □ □ □ □ □ □

 

TV<この笑顔100円♪

 

??「……」

 

???「どうなさいました?」

 

??「そなたの笑みが……いや。

私にとってはそなたの笑みは──値がつけられぬ程に尊きもの。金子で買おうなど、愚かな考えであった」

 

???「────!!?!?////」プシュー!

 

☆──ホレてまうやろ──。

 

 □ □ □ □ □ □

 

引き続き、ヘボットは愚痴をこぼしながらも買い物を続けている。

 

「まーた妙なの来たヘボ……見たことない変な魚出すし、セイバーぶっころうるっせぇし」

 

どうにも、あのような輩はよく現れる様子。

次に来たのは精肉店。

 

「鶏むね300gくれヘボ」

「はいは~い」

 

店の奥から出てきたのは、青い羽織と裾の短い着物を来た少女──

 

「……新人ですか」

「はい~、刃物の扱いならお任せという理由で採用されました。皆さんご存じ沖田さんでーす!」

「知らんヘボ。

てことは何か、ここもいつもの店番居なくなったヘボか」

「そのようです。あっ、鶏むね肉でしたね。少々お待ちをー」

「?」

 

5秒後、沖田。刀と生きたブロイラーを持って登場。

 

ブロイラー……食肉専用、大量飼育用の鶏の総称。(Google先生調べ)

 

「何してはるんですか」

「何と……見てわかるでしょう?」

「わかんねぇから聞いてるんだろーが!!」

 

ブロイラーの屠殺(とさつ)。首の動脈を切って逆さにして、血抜きをします。と畜ともいうそうな。

 

「そっから始めなくていいだろ!ここ精肉店ヘボ!」

「だから屠殺から始めてるじゃないですかー」

「売るまでが長ぇわ!」

「こんなことでもないと沖田さんの刀裁き、ひいては新選組の評判がー!!」

「チェーンジぃぃぃぃぃぃ!!

チェンジお願いしますもっと現代知識がある娘にィィ!!」

 

 □ □ □ □ □ □

 

沖田オルタ「……」ジー

 

??「……」ジー

 

 

 

自動券売機『150 200 240 280 330 390 450 …』

 

 

 

沖田オルタ「これは……暗号か?」オロオロ

 

??「私は徒歩の方が早いと思うのだが……」オロオロ

 

沖田オルタ「そ、それではうんちんとやらを出してくれたマスターに悪い」

 

??「ムム……『でんしゃ』とは難解なものなり」

 

 

 

藤丸立香(頑張れ~)コソコソ

 

???「お前わざと使わせてるだろ……!」ハラハラドキドキ

 

どうぞお好きな性別でアテレコしてね。

 

 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

アンデルセン「茶番が多いな」

 

シェイクスピア「ここまで話の進まない作品はあまりお目にかかりませんな、はっはっは」

 

 □ □ □ □ □ □

 

「魚屋よりヒドかったヘボ……結局血みどろの鶏肉売りつけやがって……」

 

愚痴りつつも、ヘボットの買い出しは続く。鶏肉の入った袋は真っ赤だった。

次は八百屋へ。

 

「おう、よりどりみどりだ。買ってけ」

 

マントを羽織った厳つい男。周りには野菜ではなく所狭しと黄色いものが。

 

「たくあんしかねぇ!!?」

「あぁ?違いがわからねぇのか。こっちが江戸から続いてる作り方でできてる。コイツは工場とかで作られたヤツだ、味は控えめだが悪くねぇ。そしてこれが職人がこだわって漬けたっつう嗜好の一品だ」

「全部たくあんじゃねぇかッ!!!

つかお前一人か!?いつもたくさんいる犯沢さんどこいったヘボ!!」

「一人じゃねぇ!!俺が!!!新・選・組・だぁぁぁぁ!!!!」

「話がまるで通じねぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 □ □ □ □ □ □

 

乗り越しちゃったお二人。マスターに電話をかけてます。

 

沖田オルタ「……ますたーとつながらない……」ウルウル

 

??「お、落ち着け抑止の守護者よ。主導者はこんな時を想定して、この覚え書きに対処法を書き記しているはずだ」

 

沖田オルタ「うー……」メソメソ

 

 

 

藤丸立香(泣き顔キターーー!!)

 

???「お前最低だな」

 

 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

アンデルセン「これはアレだ、『困ったら原作リスペクトすればなんとかなる』と思い始めているな」

 

シェイクスピア「先ほどから全く展開が変わっていないので、恐らく」

 

アンデルセン「最低の発想だ」

 

 □ □ □ □ □ □

 

「最低の日ヘボ……厄日なんてもんじゃねぇ……たくあんこんなにどうしろっつーんだヘボ……」

 

風呂敷いっぱいのたくあんを背負って、すでにヘトヘトのヘボット。だが買うべきものはまだ揃っていない。

次は骨董屋に向かう。

 

「ごめんしてー、頼んでたネジ受け取りに──」

「──ロックじゃあああああああ!!!」

「なにごとですかー!!?」

 

入る前に爆音で吹き飛ばされるヘボット。

奥から軍帽を被ったジャケットの──

 

「ワシの生き様桶狭──」

「メガネの店番どこ行ったヘボ!!」

「行方不明!!じゃからワシが店番引き受けた!!」

「変われ!!お前だと人が近寄らねぇ!!」

 

チェンジ。

兜を被った和装風ドレスの幼子が出てくる。

 

「伯母上に変わりまして、茶々がお任せされました!」

「……複雑な家庭事情を垣間見た気がするヘボ」

 

理由。伯母上とやらが若すぎ。

 

「頼んでたネジ?ネジ?ネジってなーに?」

「おいおい!」

 

さっそくダメそうだった。

 

「控えのレシートに書いてあるコレが届いてるハズヘボ。これを持ってきてヘボ」

「はーい」

「どっちが客なのかわかんねぇヘボ……」

 

「ワシの歌を──聴けぇぇぇぇい!!」

「引っ込め!!!」

 

 □ □ □ □ □ □

 

TV<この笑顔100円♪

 

??「!」

 

沖田オルタ「……」グス…

 

~きっちり三分後~

 

??「抑止の守護者よ」

 

沖田オルタ「?」

 

??「これを」サッ

 

沖田オルタ「……む。魔神さんは知っている。この笑顔100円のドーナツだな」

 

??「……そなたに値をつけてしまうような真似をして申し訳ない、だが曇ったままのその顔を放っておくのも良くないと思い……」

 

沖田オルタ「……」ハム モグモグ

 

「これは……うん。

このドーナツは100円だが、お前の気持ちは……プライスレスだ」

 

??「ぷらいすれす」

 

沖田オルタ「うん。プライスレス」

 

??「……意味は存じている。我が妻との時間は、何物にも代えがたい。

そうか……価値ではなく、大切なのは気持ちなのだな」

 

沖田オルタ「マスターとお前の奥さんにもあげよう、これもプライスレス」

 

??「うむ。ぷらいすれす」

 

 

 

???(──今回だけだぞ!)パァン!

 

藤丸立香(──あざっす!)パァン!

 

☆──和解(笑)──

 

 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

アンデルセン「いい話だが!全く進んでないことに変わりは無いな!無意味だ!」

 

シェイクスピア「真名は伏せなくともよろしいかと思うのですが」

 

 □ □ □ □ □ □

 

「ネジお待ちー!」

「コラコラ!箱から出すな!」

「だってこれ、ネジ?だってわかりにくかったんですけど!」

「あー、ったく……それでいいヘボ、早よくれ。さっさとこっから離れたいヘボ」

 

財布の口を開くヘボット。

ちなみに伯母上とやらはまーだギターを弾いていた。

 

「まいどありぃ!」

「しっかし……エネジーもないブランクのネジを頼むとは……まぁ必要なんだヘボな」

 

白い四角のボキャネジを眺めつつ、骨董屋を離れ──ようとしたが、茶々が進行方向に回り込んできた。

 

「ところで茶々は、ネジについて知りたいんですけど」

「は?なんで?」

「だって()()()()()で知らないこと多いし!だからまずはネジから教えて?」

「別にいいけど、なんでネジヘボ?」

「だって小銭もネジの形のじゃん!それによく見ると、店の中もネジいっぱい!ネジそんなにすごいものなの?茶々の興味はネジでいっぱい!」

 

キラキラした目で見てくる茶々。目がシイタケだ。

 

「そんなわけで、ついてっていーい?」

「店番はいいんかヘボ?」

「伯母上と交代します!」

「やめとけやめとけ、ブレーキ役いないとろくに会話できそうにないヘボ。お急ぎでない客に……」

 

「はー、飽きた。次なにするかの」

 

いつの間にか軍服に着替えてた伯母上さん登場。

 

「…………こまんぞ……」

 

「お、客が来とったのか。いやースマンのぅ、バーサーカーになると演奏に夢中になるもんで──」

 

「つっこまんぞーーーー!!!!」

 

「ええ?なにごと?」

 

知らん。

 

 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

茶々 が ついてきた ! ▽

 

「オレ様買い物の途中ヘボ……」

「茶々もおこづかいもらったからなんか買うー!」

「ネジについて教えてほしかったんじゃなかったんかヘボ?」

「それは二の次でいいのです」

 

次の目的地まで歩いていると、人だかりが見えた。交番の前だ。

 

「ヘボ?あれに見えるは」

 

その中に、ヘボットの知る顔がいくつかあった。

馬もいた。

 

「お前らなにしてるヘボ?」

 

「! これは、ヘボット殿」

「む──」

「……」ポロロン

「……ハァ」

「お?よう、ヘボ公」

 

見るからにごつそうな巨漢、父っぽい男、寝てるのかわからんやつ、見ただけで苦労人とわかるような人、反抗期真っ盛りそうな少女。そして──

 

「久方ぶりですね、ヘボット」

 

馬に跨がって見下ろしてくる──女王様。

 

「出たな、プレゼント泥棒」

 

季節はずれな格好をした──女王様。と同じ顔をしたサンタ。黒い。

 

「総出するとか珍しいヘボな」

「我ら円卓の、これまでにない一大事が起きたのです」

「ガウェイン。部外者にそう易々と話すことでは……」

「カテーこというなヘボあっくん、オレ様たちの仲だろ?」

「貴様にだけはあっくん(その名)で呼ばれたくはないわ!!」

 

あっくんは教えてくれなかった。

 

「説明分にもあっくん呼びされたではないか!!」

「せ、せつめいぶん……??」

「ほっといてやりなはれ」

 

首をひねる父っぽいやつ。あっくんは勢い余ってこっちを認識したようだ。

 

 □ □ □ □ □ □

 

作者「……どんな話にするつもりだったかわかんなくなってきた」

 

ヘボット「オイオイ!?」

 

作者「仕方ねぇ、ヘヴンズフィール観に行って気分転換しよう」

 

 ~鑑賞後~

 

作者「くそぅ……さくらちゃん……しあわせにしてぇ……だれだこんなシナリオ思いついたの……日常系アンソロかけやぁぁぁ……」シクシクシク…

 

ヘボット「浸るのはいいけどちゃんと進めろヘボ」

 

作者「誰かクロスで救済ルート書いてくれないかな……」

 

ヘボット「Zeroしか知らないヘボ」

 

作者「できればギャグ作品とクロスしたやつを……」

 

ネコアルク「呼びましたー?」

 

ヘボット「引っ込め!!」

 

 □ □ □ □ □ □

 

「実は……()()()の私が居なくなったのです」

 

『は?』

 

いまいちよくわかってないヘボットと茶々。

 

「厳密に言えば過去の私、いや私はサンタだが、その私にとっては過去の、というのが正しい」

「ややこしいわ!お前が説明すんな!」

「なんの前触れもなく、こつぜんと姿を消したっきり、見つからないのです。

2週間近くも、好物を玄関の前に置いて待っていたというのに……!」

「居なくなったの大分前じゃねーか!探したれや待たずに!」

 

※用意していた料理は、毎晩取り替えてました。

 

「──で、ポリドロに捜索依頼してたわけヘボな」

「これは失踪事件だワン!ケーサツワンの名にかけて、必ず探し出してみせるワン!」

 

張り切っているこのおまわりさんは、エトボキャボット『犬のおまわりさん』こと、『ポリドロケン』。

 

「このイヌコロ、ホントにあてにして大丈夫かよ?」

「まぁ鼻はきくヘボ、んで場所がわかって、誘拐とかだったら即突入できるだろお前ら」

「騎士王程の方が簡単に攫われるとは思えんが……」

「とにかく、お願いします。ポリドロケン殿」

「任せるワン! くんかくんか……」

 

ポリドロケンを先頭に、円卓の人たちは交番から去って行った。

 

「行方不明多いヘボな、物騒ヘボ」

「ねー!かいものー!」

「あーハイハイ、お前はのんきで羨ましいヘボ」

「ところでさ、人が話してる途中で騒ぐのよくないよ?」

「ツッコミ下手で悪かったな」

 

そんなこんなで、次の目的地へ。

 

「……(セリフが無くて)私は悲しい……」ポロロン

 

 □ □ □ □ □ □

 

ゴリラ「」ドラミングダラララララ

 

 □ □ □ □ □ □

 

「……ここかよ……」

「なーにここ?」

 

一軒だけ妙~にファンタジーな建物。道具店なんだそう。

 

「品揃えはいいっちゃいいけど、売ってるヤツがなぁー……」

「たーのもーう!」

「コラコラコラ!ノックしてから入れ!急に入ると──」

 

「あ、いらっしゃいませぇ~♪」

 

お出迎えしてくれたのは、褐色で露出の高い格好の、ムッチムチケモ耳美女でした。

 

「……なにしてんだテメー」

「なに、と。見ての通りですよぅ」

 

あきれ顔をするヘボット。ケモ耳さんとは面識がある様子。

 

「ここに仕入れをしている身としてはお店が開いていないと困りますのでぇ、店主の同居人に許可を取りましてぇ、こうして運営をさせていただいておりますぅ」

「はぁ……」

 

 □ □ □ □ □ □

 

同居人「キュケオーンをお食べ!」

 

 □ □ □ □ □ □

 

「まぁそれはいいとしてぇ、お二人でおつかいですかぁ?」

「まぁそんなとこヘボ。えーと……フライ返しを買いに来たヘボ」

「でしたらこちらをオススメしますよぉ~」

 

営業スマイルでカウンターに移動するケモ耳美女。するとカウンターの下から棚がせり上がってきた。

 

「つっこまんぞ」

「むー、茶々のセリフ少なくな~い?」

「他んとこ見てていいヘボよ」

「やたー!」

「あんま品物にベタベタさわるなヘボー?」

 

店の奥に走って行く茶々。お店の中では静かにネ☆

 

「で、これ普通と何が違うヘボ?」

 

 

 

 

 

────その言葉以降、ケモ耳美女、自称ドルセント・ポンドの機関銃セールストークを前に、ヘボットは最後に「普通ので結構です!!」とシャウトするまで一言も言葉を発せなかったという。

 

 

 

 

 

ちなみに茶々は純金の茶釜を買った。

 

「ケバいな!?てかどんなもん売ってんだ!!」

「キュケオーンをお食べ──」

「引っ込め!」

 

 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

というわけで買い物終了。おつかれしたー

 

「ぐだぐだだったヘボ……最後だけ、なんか違う気がするけどぐだぐだだったヘボ……」

 

ヘボットは今、大量の荷物を抱えていた。買い物で買ったものだけではない、置物とかお菓子とか、ヘボットの倍くらいの大荷物を担いでい──

 

「てか買いすぎだこのバカチンがァ!!どんだけ買う気だヘボ!!ちったぁ自分で持てやぁ!!」

「茶々にハシより重い物を持たせようとするとかあり得ないんですけど!」

「自分以上の大きさの荷物を抱えさせる方もあり得ないんですけど!!?」

 

クタクタのヘボットを余所に、茶々ははしゃいでいた。周りにある物を初めて見るかのように、あっちこっちへ駆け回るので、追いかけるヘボットを余計に疲れさせていた。

そういえば『来たばっか』と言っていたが……。

 

「そもそも、ネジを知りたいっつって、ついて来てなかったかヘボ?」

「──あー!そうだった!ネジ!まだ買ってなかった!」

「荷物増やすんじゃねえ!!」

 

怒鳴るヘボットに茶々はニヤニヤと返す。

 

「てかヘボットだっけ?全然恐くないんですけどー?」

「は?」

「さっきから怒ってるつもりだろうけど、ただキレて叫んでるだけなんですけど!」

「何をぅ!?」

「ツッコミっていうのにすらなってないんですけど!」

「何だとぅ!!」

 

残念ながら、そういうところである。

 

「っせーわゴラァ!!そもそもオレ様ツッコミ役じゃねえんだよ!!イリヤの役目ヘボ!!てかまだ始まってねぇのか本編!!苦手な癖してオリジナル回書いてんじゃねぇよ作者の野郎!!」

 

怒りの矛先が作者にまで向いてきた。

 

 □ □ □ □ □ □

 

ヘボスターリング「後半からプリヤ1話に繋げるつもりが、予想外に伸びたと?」

 

作者「すんません、悪い癖です……」

 

 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

アンデルセン「そんなわけで元々のサブタイトル『ヘボ、参上!』を『0.5話的な話』に書き換えただと?最早呆れるのを通り越して褒めるしかないな!死に体の怪我人に治療と偽り塩をかけるが如き発想だ!」

 

シェイクスピア「ちなみに今までの我々のセリフは後に書き加えられたものですな(約二ヶ月後)。書き手は擬似的なレイシフト気分を味わえますぞ!」

 

フラン「……ゥウ(そんなレイシフトなんてお断りだ)」

 

 □ □ □ □ □ □

 

「も──もう知らんヘボ!!好き勝手しやがって!!どうするか見てろ!!」

「どうするの?」

「……!!

に、荷物預かってやるから一人で行ってきなさい!!」

 

微妙に優しかった。

 

で、都合良くベンチがあったので休憩中。

 

「はーーー……思ったより時間かかったヘボ、もうイリヤと士郎の帰る時間になったヘボ」

 

「──こんにちは、先輩。お出かけですか?」

「?」

 

目の前に、ナスビの後輩……いや、薄紫色の髪の女子高生が、かがんでヘボットの顔を覗き込んでいた。ちなみにメガネ着用だ。

 

「お前かよ……先輩じゃねえし」

「? いえ、先輩は先輩ですよ」

「そんな不思議に思われても──」

「……?」

「澄んだ目で見んな!」

 

さっき言った士郎と同じ学校に通うこの少女は、何故かヘボットのことを「先輩」と呼ぶ。理由は……不明ってことで。

でもって、同じく「先輩」呼びしてくるのはこの娘だけではなく──

 

「セ・ン・パ~イ?」

「帰れ」

「せ、先輩……さすがに失礼では……」

 

早速登場してきたサクラ顔の後輩……じゃなくて黒マントを着けた、紫色の長髪少女。先輩呼び女子二号である。

 

「えぇ~?せっかくお疲れ気味なセンパイを癒やそうと思ってたのに~」

「いらんっつってるヘボ帰れ」

「私特製のお注射で、疲れも意識もぶっ飛び間違いなしですよ~?」

「カエレッ!」

 

二号、もとい後輩二号をあしらおうとするヘボット。

 

「そうやって強がっても、BBちゃんにはわかるのです。センパイは今、足と腰を非常に痛めているようですね」

「んぐ……そ、そんなわけねぇヘボ」

 

そうは言ったが、重ってぇ荷物のせいでヘボットは、腰はガチガチ、足はガタガタになっていた。

おのれ茶々。

 

「そんな時は、仰向けになって休むのが一番です♪」

「あっそ、じゃあそーさせてもら──」

 

うヘボ。と言いながら寝転がろうとした時に、サッとベンチに座る後輩二号。

そのまま寝ていれば膝枕が出来たであろうが、そんなもんに引っかからないのがヘボット(コイツ)なのである。

 

「……一応聞くけど何してるヘボ?」

「膝枕ですよ、センパイ♪」

「いらん」

 

反対を向いて寝ようとして……後輩一号がしれっとスタンバイしているのがわかった。

 

「……」

「あっ……その」

 

「もーいいヘボ。とりあえず寝かせろ」

「センパァァァァイ?」

 

抵抗なく一号の膝に頭を乗せたヘボットに納得がいかない二号ちゃんなのでした。

 

 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

「──ふむふむ、君たち風に言えば……だいぶ『ユルんでいる』とでも言うべきか。

特異点であれば珍しい光景ではないけれど……これはちょっと異常かな?」

「……正確には、シまりにシまって、我々の世界と融合しかけています。ネジはシめれば万物を引き寄せ、収束させてしまう」

「なるほど、引き寄せる。そういう見方もあるんだね。いやー何せ自ら足を運ぶことはあっても、あれだけ大量に召喚されることなんか無いからさ」

「召喚……?あなた達は虚構の存在ではないのですか?」

虚構(フィクション)だよ。ただし──望まれたからこそ、僕達は存在することができる。虚構であって虚構でない、それが英霊ってやつさ」

「ではあなた達は、何を望まれているのです?」

「んーーー……まぁ……色々だね」

 

 □ □ □ □ □ □

 

グチリーマン「色々あって新世界に降り立てたグチ!」

 

ゴロリーマン「全財産はたいて車を改造した甲斐はあったゴロ」

 

ゲロリーマン「超時空マシンにしたゲロ。てか酔ったゲロ」オェェェ

 

グチリーマン「……まーそれはそれとして

ここどこグチ?」

 

ゴロリーマン「……なんか辺り一面黒いゴロ」

 

ゲロリーマン「……泥のような、水のようなものがあふれてるゲロ」

 

ゴロリーマン「なんかイヤーな予感するゴロ」

 

 

 

……ズズズズズズズズズズズズズズズ……!!!

 

 

 

ボキャリーマンズ『ほえ?』

 

 

 

ザッパーーーーーーーン!!!

 

 

 

 

 

 

ティアマト『Aa----------?(だぁれ~~~?)』

 

ボキャリーマンズ『ギャー!?食べないでーーー!!』

 

☆──七章アニメ化しますね(今更)──。

 

 □ □ □ □ □ □

 

「先輩のおつかいについてきたんですね、茶々さん」

「来たばっかって言ってたから引っ越してきたんやろな」

「でも珍しいですね……ネジの知識が一切無い方なんて」

「おかげで振り回される羽目になったヘボ」

 

ため息をつくヘボット。んで、チラッと荷物を見てみた。

 

「……つか戻るの遅いなあいつ」

「センパイ、茶々さんと別れてからまだ5分も経ってませんよ?」

「いつから見てたし!」

 

 □ □ □ □ □ □

 

茶々「じー」

 

車<プップー

 

茶々「じーー」

 

電柱<やぁ

 

茶々「じーーー」

 

イミの無い踊りをする人「ハイ右から来てるよ右から来てからの左にフェードアウト~特にイミはないよ~色々探っちゃダメ~」クネクネクネ

 

茶々「……あれは違うけど、ネジがいっぱい。

でも思ってたより目立ってないし、そのへんにも転がってるし……ネジって何がすごいんだろ」

 

「──あれ?

そういえば、なんで茶々、ネジ知らないの?なんだかめっちゃ詳しかった気がするし、金のネジとか飾ってた気もする……」…ザザ…

 

屋台のおっちゃん「ネジ焼き~、ネジ焼きだよ~ん」

 

茶々「ネジ焼き!?ネジってホントになんなの!?」

 

 □ □ □ □ □ □

 

「! 戻って来ましたよ」

 

後輩一号の視線の先に、紙袋を持って走ってくる茶々が見えた。転ぶなよ?

 

「ネジ焼きっていうの買ってみたんですけどー!食べる?」

「なんで?お前食わないヘボ?」

「焼いたネジなんて食べられないし!でもなんか面白そーだから食べて!」

「……あ~、なら遠慮なく頂くヘボ」

 

何かに気付いてニヤけるヘボット。それを見た後輩一号が気まずそうな顔をした。

 

「あの、茶々さん。ネジ焼きというのは……」

「む、誰なのこのなすび」

「なすびじゃなくて、マシュです……」

 

「いっただっきまーす」

 

ヘボットが受け取った紙袋から出てきたのは、大きくて茶色いネジ。

かぶりつきます。その断面にはたっぷりのあんこが。

 

「ン~ネジ焼きウメぇヘボ」

「エ?」

 

鳩が豆鉄砲食らったような顔をする茶々。

 

「いや~ネジ焼きを買ってきてくれるとは、親切はするもんヘボな~」

「えっ?何?ネジ焼きって……お饅頭だったの!?」

 

ネジ焼き──今川焼きにネジのぐるぐるを付けた見た目の饅頭。ぐるぐるが付いた分あんこが増量されている。

ネジを焼いたもんではない。

 

「──な、なんだってーーーーーー!?!!」

「アホやなぁ~、焼きネジ売るヤツなんているわけねぇヘボ」

「知ってるなら教えてよ!ていうかそれ茶々のだし!」

「何だよお前食えっつったヘボ」

「買ってきたの茶ーーー々ーーー!!」

 

カートゥーンみたいな怒り方になる茶々さん。

 

「先輩!意地が悪いですよ!」

「流石に私もどうかと思います。もぐもぐ」

お前(BB)は食ってから言うな」

 

ヘボットはしゃーねーな、と、どこからともなくスナック菓子を出した。

 

「じゃあイモちんと交換してやっから」

「イモちん~?」

 

 □ □ □ □ □ □

 

美遊「プリンと交換です。毎度ありがとうございます」

 

サファイア『手慣れてらっしゃいますね、美遊様』

 

ヘボット「誰だお前ら」

 

BB「コラボイベントも頑張って下さいね~」

 

ヘボット「それはもう遅いだろ」

 

※どちらももう遅いです。

 

 □ □ □ □ □ □

 

「かっる!これ中身入ってる?」

「いいから開けて食えヘボ」

「紙風船とかだったら怒るからね!」

 

開けようとする茶々に──猫が突撃!

 

「借りてくZE☆」ニャーン

 

「あっ!取られたっ!」

「東の警察に怒られそうな猫ですね!?」

「言ったら余計怒られる気がします!」

 

 □ □ □ □ □ □

 

ムラキ「ヤツはとんでもないものを盗んでいきました……あなたのイモちんです」

 

ジャック「こころじゃないの?」ポタポタ…

 

ムラキ「さすがに脈絡なさ過ぎでしょっていうか、そんなスプラッタ求めてないから!!」

 

ナーサリー「ハッピーエンドの物語には、多少なりとも不幸な展開が必要なのよ」

 

ムラキ「血みどろなハートキャッチなんて展開、子供に読ませられないでしょ!」

 

ふーやーちゃん「ならいっそのこと成人向けにしてしまおうか!臓物書き放題じゃぞ!」

 

ムラキ「ムキーーーー!」←ツッコミきれなくなった

 

 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

コーラ屋のオヤジ「ヘイ!外人のねーちゃん、わしゃ知らねーよ!盗られたのはアンタの財布だァ!いるんなら追いかけなよ!」

 

武蔵ちゃん「……」

 

 □ □ □ □ □ □

 

「待て待てーーー!」

 

逆ト○とジェ○ー状態の茶々さん。ヘボ先輩と後輩一号、二号も追いかけてます。

 

「なぜ猫はイモちんを盗んだんしょうか!」

「海苔塩味だったのがいけなかったか……」

 

そんなこんなで猫は軽トラックの荷台に飛び乗ってしまった。茶々もよじ登って追いかけた。

で、猫を捕まえたかと思ったら──

 

ブロロロロ……

 

「え?」

 

「トラックが走りだしました!」

「おわ!?」

 

急いで追うが、軽トラックは段々加速していき、距離が広がっていく。

 

「ま……待て!!茶々!!」

「茶々さーん!」

「おっと──」

 

このまま走ってても追いつかない。後輩二人は辺りを見渡して、

 

「! すみませーん!」

「そこの速そうな英……素敵なお方ー!」

 

速さに覚えのある人たちに声をかける。

 

「先輩!この方たちが一緒に──先輩?」

 

 □ □ □ □ □ □

 

ボキャリーマンズin軽トラ

 

ゴロリーマン「さっきはエライ目にあったゴロ」

 

グチリーマン「あんなのがサブキャラとか、この世界じゃわたすらどう見てもキャラが弱いグチ」

 

ゲロリーマン「負ける気しかしねぇゲロ」

 

 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

ダディボア「やっぱりダディボア!百人乗っても大丈……」

 

物置<ゴシャア!!

 

バニヤン「うわわ~!」

 

キングプロテア「あっ……乗りたかったのにぃ……」

 

ダディボア「リプ公!テメー!アイツ百人オーバーしてんじゃねえか!」

 

パッションリップ「あ、あんなに大きくなれるなんて知らなかったんですぅー!」

 

 

 

メルトリリス「……なによこれ」

 

パールヴァティー「人手が足りなかったらしくて、代わりになりそうなものを探していたんだそうです」

 

☆──勝てるわけが、無い

 

 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

ゴロリーマン「それよりバイト探さないと、無一文な上に食うものも無いゴロ」

 

グチリーマン「これじゃネジが島とぜんぜん変わらんグチ」

 

ゲロリーマン「おや? 荷台に誰か乗ってるゲロ」

 

ゴロリーマン「子供っぽいゴロな」

 

グチリーマン「ちょーどいいグチ。迷子お届けしてたんまりお礼貰うグチ」

 

  「茶ァァァァァーーーーーーーーーー々ァァァァァーーーーーーーーーー!!!!」

 

ボキャリーマンズ『は?』

 

 □ □ □ □ □ □

 

「────」

 

荷台の奥で伏せている茶々が見えた。この調子なら追いつける。

こんな無茶苦茶なことをするのは、いつぶりだろう。最近はケンカもしていない──いやそもそも禁止令が出されているのだが──格上に挑む時の無理ゲー感を味わうことが快感になっていた。だからこそ──負けようとしない。

とにかくストレスも溜まってたのか、視野が狭くなって他の考えが浮かばなかったのか──

考えるより先に、身体が動いていたのか。

今、ヘボットは、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「──茶ァァァァァーーーーーーーーーー々ァァァァァーーーーーーーーーー!!!!」

 

「!? えっ──えぇ!?」

 

茶々が顔を上げてこちらを見た、見た感じなんともなさそうだ。なんか驚いてるっぽいがまぁいい。

 

「ちょっと車止めてやっから待ってろ!!!」

「ぁ、え、ぅ、うん……!?」

 

運転席まで加速しようとした瞬間、軽トラがさらにスピードを出しやがった。

 

「こんの……ッ」

 

 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

「やっぱりいました!」

「は──はっや!?アイツ何キロで走ってるのよ!?」

 

後輩一号に頼まれて、巨大亀に乗り軽トラを追いかけるドラゴン聖女さん。

その横を並走するにんじん……もとい、アキレス腱さんと後輩二号。

 

「何メートルかは不明ですが、1分弱で追いついていますね」

「オイオイ……俺らといい勝負できんぞ」

 

アキレス腱さんが呆れ気味につぶやく。しかし後輩二号は見逃さなかった。あの猛ダッシュ、かなり無茶をしているのだ。

 

(全く……役割(ロール)を失ってなお、いつまでも元気な方ですねぇ)

 

 □ □ □ □ □ □

 

グチリーマン「ゴロ!もっと飛ばすグチ!追っ手が増えてるグチー!」

 

ゴロリーマン「青ヘボットが全力疾走してきたと思ったら、これどーなっとるゴロ!?」

 

ゲロリーマン「あの女の子が呼び寄せてるゲロ!?」

 

ゴロリーマン「てか止まった方が身のためな気がするゴロ」

 

グチリーマン「なぁに言ってるグチ!あれはきっとテロリストグチ!このおなご守り抜いてたんまり報酬を──」

 

 

 

 

──バン!!!

 

ボキャリーマン『!!?』

 

 

 

ヘボット「────うちの子を返せ!!!!!」ズズズズズ

 

ボキャリーマン『ホギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!』

 

 

☆──\(^o^)/

 

 □ □ □ □ □ □

 

「先輩!茶々さん!ご無事ですかっ!?」

「茶々は大丈夫だけど……」

 

茶々が横を見る。そこには、尻口とカエルと臼(全員目が死んでる)に足を揉ませているヘボットがいた。

靴裏はすり減って平らになり、足は切れ目が入ってそこから千切れたコードが飛び出たりしている。

 

「アーダダダダ……もうぶっちぶちヘボな」

「先輩……!」

「ん~、この足で出せる出力の限界値を上回ったせいですね」

 

ナース服の後輩二号が、ヘボットの足に聴診器を当てる。

 

「完全にズタズタのボロボロ。むしろ一般流通の脚部パーツで、よくあんなことができたものです」

「へへ、それほどでも」

「褒めてないっつーの!」

「ったく、あんま無茶すんなよな」

 

笑うヘボットに、呆れる聖女さんとアキレス腱さん。と、あと一人が、

 

「このっ──うつけッ!!」

 

「!?」

 

茶々さんが声を荒げた。

 

「こんなケガして!!何考えてんの!?この大うつけ!!」

「あァ?お前、誰のせいで──」

 

そこでヘボットは言葉を止めた。

 

「死んじゃったりしたらどーすんの!!あんたの家族とか友だちとか、どんだけ悲しむと思ってるの!?こんな──こんな見ず知らずの人のために……!!」

 

本気で怒っていた。

ちょっと目に涙を溜めて、茶々は本気で怒っていた。

 

「お前……泣いてんのか?」

「泣いてないし、冷や汗かいて目に入っただけだし!」

「ヘボット、からかわないの」

 

へいへい、と返したヘボットは、尻口とカエル(目が逝ってる)の頭を掴んで、体を支えながら立ち、茶々に向き直る。

 

「あのな茶々。見ず知らずだからとか家族とかじゃなくて……っと、俺が助けたいから助けたんだよ。余計なお世話かもしれんけど、……それじゃダメか?」

「……っ!」

 

ぶんぶんと首を横にふる茶々。

まーだ怒ってるみたい。

 

「じゃ、どーしたら許してくれる?」

「……」

 

 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

ヘボット帰宅。

 

「ヘボットさん?」

「なんだよ、今言ったとおりだよ」

「正直に言えばいいものじゃありません!」

 

帰ったらメイドさん──セラさんに怒られた。

何故かというと、買い物から帰ってきたヘボットの足が、キラッキラの新品になっていたからである。

 

「気前のいい人から買ってもらったって……一体なにがあったんです?」

「ケガしたら「そのまま帰るな」って言われて。

あとはガーってなってパッとなってサッと……」

「──ケガ、ほう……ケガですか」

 

瞬間、セラさんの圧が強くなる。いくらヘボットでも視線だけで潰されてしまいそうだ。

 

「ち、違ぇヘボ!言葉の綾ヘボ!その、なんだ、筋肉痛!今日めっさ走ったから!」

「へぇ……ロボットが筋肉痛になるんですか」

「そりゃなるヘボ~!あくまで消耗するものヘボよ!?あんまり無理したからぶちぶちになったヘボ!」

「それは何かを追いかけ回したと言うことですか」

「え?あぁうん、まぁ、見失いそうだったから思わず」

「それは大変でしたね、捕まえられましたか?」

「もちろん、全力で引き止めたヘボ~」

「それから引きずり出してとっちめたと」

「そーそー、途中でスピード上げて逃げようとするから軽く──

オイ!!カメラ止めろ!!!」

 

 □ □ □ □ □ □

 

~大変恐れ入りますが、今しばらくお待ちください~

 

セラ「リーゼリット!!逃がしてはなりません!!殺してでも取り押さえるのです!!!」

 

リーゼリット「あいよー」

 

ヘボット「おま──なにその斧みたいな──ギャアァァァアアアアアアアアアアア!!!!」

 

 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

後輩一号「ネジを知らない……?」ガサガサ

 

茶々「うん、()()()()に大体知識とかが入ってくるハズなんだけど全くわかんなくて」

 

後輩二号「ネジ関連の品が多いのはそのせいですかー!?ちょっとBBちゃんには重いかなーと!」ガサガサ

 

茶々「でもものすごく詳しかった気がするんだよね。形もなんとなく見覚えあったような感じするし」

 

後輩一号「そうなんですか……」

 

後輩二号「ねぇ聞いてー!」

 

茶々「着いたよ、叔父上ー!」タッタッタッ

 

 

 

わっかい叔父上「あ!茶々ちゃん!どこ行ってたのさ!」

 

茶々「買い物ー!面白い子が来たから着いてってたの!」

 

わっかい叔父上「ちょ、そんな危ないよ!?」

 

茶々「んーん、危ないところを助けて貰ったの。めちゃくちゃだけど優しい子だよ」

 

わっかい叔父上「へ、へぇ……?」

 

後輩一号「お、叔父上、さん?ずいぶんお若いですね……?」

 

後輩二号(茶々……だとしたら、叔父にあたるのは……)ゼーゼー…

 

茶々「運んでくれてありがとうねー!」

 

後輩一号「いえ、っと……わ!」

 

 

ビュウウウウ──ッ

 

カラ……カラカラカラ──

 

 

茶々「ん……?こんなとこに風車──」

 

「……風車……」ザ─

 

「回る……回ってる……」ザザザザザザザ…!!

 

「回────」

 

 □ □ □ □ □ □

 

「…………」

 

イリヤが帰ってくるなり目に入ったのは、ボッコボコにされて吊されたヘボットとその首にかけられた看板。

 

『この者、禁を犯した者につき鉄槌を下す』

 

「あ、おかえりイリヤ」

「割りと平気そうだね!?」

「ああ、受け身したからな」

「受け身で抑えられるダメージ越えてると思うけど!」

 

そして本編はまだ始まらない。

 

 

とぅどぅく

 □ □ □ □ □ □

 

 

 

茶々「…………」

 

わっかい叔父上「茶々ちゃーん、ネジの間の組み立て終わったよ」

 

茶々「──うん!ありがと叔父上!」

 

「ふっふっふー、茶々の集めてきたもの程じゃないけど、割りといいネジ出回ってるじゃん!やっほー!」

 

「また買い占めちゃうもんねー!」

 

 

 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

白い魔術師「やはり、消せなかったようだね」

 

フィーネ「ダメだった、ネジの情報をデリートし続けてきたが、すぐに元通りになってしまう。耐性があるのも原因だが、そもそも英霊たちは、ネジを異物と認識していないで終幕」

 

ヴィーテ姫「しかし……存在そのものをデリートしてしまっては意味が無い。この世界と次元ネジを切り離すには、その英霊たちの力は必要不可欠です。大量に呼ばれたのは、それが理由のはず」

 

白い魔術師「……その次元ネジの力は凄まじいね。英霊の記憶にすら干渉するなんて」

 

ヴィーテ姫「いえ、私は次元ネジに、そのような力があるなんて全く存じていませんでした。もちろんフィーネも」

 

フィーネ「度重なる襲撃によって得たものか、または全く違う異世界に触れたことでの変化か。それとも──()()()()()が、次元ネジに何か施したか」

 

白い魔術師「いずれにせよ、今の我々では手の打ちようがないわけだ。なんとか彼らに干渉して、誘導するしかないようだね」

 

 

 

ヴィーテ姫「ところで……あの青いヘボットは……」

 

フィーネ「……わからない。周回で誕生したものと考えるのが妥当だが、あれは恐らく……」

 

白い魔術師「次元ネジの歪みを直す存在の片方か。だったら彼を頼れば……」

 

 

ヴィーテ姫「いえ、彼は、あのヘボットは──

()()()()()()()()()()()()()なのです」

 




※今回のお話しには、やりたい放題要素が詰まっていました。


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