東方究幻伝 (OKSK)
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1章 物語の始まり
1話 幻想入り


初めまして。OKSKです。
駄文化しそうですが、
「せいいっぱいがんばる」
のでよろしくお願いいたします。


「ん…ここは?」

目を覚ますと、見慣れない場所に倒れていた。

そこは、辺り一面何も無い真っ白い場所。

(目がチカチカするなぁ…)

 

そんなことよりここはどこなのだろうか。

(ん…ああ、僕そういえば死んだんだっけ)

だとしたら、ここは死後の世界とかなのだろうか…

 

だけど、だとしたら僕はなんで死んだんだろうか。

死んだことは覚えてるのに、

なぜ死んだか、どうやって死んだのかがまったく思い出せない…

「思い出すことを拒むような死に方したのか…」

 

(とにかく、ここから出る方法とか無いかなぁ)

と思って後ろを振り返ると、

そこには、さっきまでなかった禍々しい紫色の扉があった。

しかも、その扉には、無数の目玉がついていた。

「どー考えても入らない方がいいけど、他に方法がないしなぁ…」

そう呟いて、扉を開けると、中にも無数の目玉が浮かんだ紫色の空間が広がっていた。

(帰れる確証はないけど、入るしかない)

覚悟を決めて中に入ると…

 

 

見知らない森の中に出た…

「ここ…どこよ…」

これが、最近はやりの、異世界転生とやらなのだろうか…

 

 

気味の悪いぐらい暗い夜の森だった。

(何か出てきそうだなー…)

とにかく早くここから出ないと。

(絶対なにか良くないものに出会う。僕の直感がそう警鐘を鳴らしている。)

頼むからそうであって欲しくない、そう思ってその場から動こうとした時、

 

グルルルルルル…

 

「ひっ………」

出た。

やっぱり出た。

(まだフラグも立ててないのにぃぃ…)

そんなアホなことを考えつつ、後ろを振り返ると、

体長10メートルはあるんじゃないかという、

銀色の美しい毛を持った狼が屹立していた。

こういう時は、あれだ、あれ。

せーのっ、

「逃げるんだよ〜☆」

ドタタタタタタタタタ…

 

少年逃走中…

 

「ぜぇ……はぁ……これだけ走れば…」

(どうせなら、FFの世界とかだったら良かったのに…)

悔やんでいても、何も始まらない。

後ろを振り返ると、狼の姿はなかった。

「よし、大丈夫だ!」

「……………ガルル…」

そう思っていた時期が、僕にもありました。

いやはや、後ろじゃなくて前にいるとはね。

 

ガァルウウウウウウアアアア!

 

「げぼっ!」

前を向いた瞬間、丸太のような前足で蹴り飛ばされた。

そのまま数メートル吹っ飛び、木に激突した。

(やばい…意識が…)

迫り来る狼の姿を最後に、意識が途絶えた…

 

 

 

 

 

 

……あなた、また死ぬつもり?……

 

(誰…?)

 

……また、何も出来ないまま無様に死ぬつもり?……

 

(うるさいな…しょうがないじゃないか、あんなのどうしろって言うんだよ…)

 

……力が欲しい?……

 

(…ああ。わからないまま終わる、

そんなのは嫌だからね。)

 

……ふふっ、うまいこと言うわね。

わかったわ、あなたにピッタリの能力を授けるわ……

 

 

 

 

 

 

 

 

〈こやつもまた、私の求める者では無かったな〉

銀狼は、気絶している少年の前に立った。

 

 

その銀狼は、自分の主人となる強き男を探していた。

探し始めて、もう100年以上経ってしまった。

もうその理由も思い出せない。

自分を退治しに来た人間も、幾度となく

追い払ってきた。

 

 

 

そして、探し人から獲物へと変わったそれを

食べようと近づいた時、

その少年を光が包んだ。

「!!」

異変を感じ、咄嗟に飛び退いた。

 

 

「なんだ…これ……」

目を開けると、自分の着ていた服が変化していた。

全身を紺色で統一した服、ボルトの飛び出した肩当て、

左腕の銀色の小手、そして何より…

 

右手に持った、見覚えのある巨大な剣。

 

(これって…まさか…)

FF7のクラウドになってる!!!!!?

「まさか…これが僕の力?」

呆然としていると、銀狼が飛びかかって来た。

 

「えっ、ちょっ、まっ、」

慌てて手に持った大剣、バスターソードを構えると、

突然、自分からオーラが発せられて、銀狼を

吹き飛ばした。

「うわわわっ、体が勝手に!?」

 

斬符「超究武神覇斬」

 

謎のカードが目の前に現れ、同時に体が銀狼に

突進していった…

 

 




いかがだったでしょうか。誤字・脱字などありましたら感想欄などで教えていただきたいです。
投稿が遅れることが多々あるかもですが、よろしくお願いいたします。


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2話 古狼と少年

今1番警戒しているのは、早くもネタ切れにならないかです。
でも、この話を終わらせる気は更々ないので、頑張ってネタ考えます!


〈こやつ、急に雰囲気が変わった!?〉

どうやら、力を隠し持っていた、いや、あの様子だと、

今まさに力に目覚めたようだな……

「面白い、この私がその力、見極めて進ぜよう。」

小声で呟くと、まだ呆然としている様子の少年に飛び掛った

〈うっ!?〉

いきなり、少年から気のようなものが発せられ、

銀狼は軽く吹き飛ばされた。

〈こやつの力は…いったい…〉

 

 

(今…超究武神覇斬って見えたような…)

だとしたら、あの技が出せるのだろうか。

「おおおおおっ!行くぞっ!!」

銀狼の前まで一瞬で距離を詰め、連撃を叩き込む!

 

〈うっ…これはまずいかもしれん…〉

連撃を叩き込まれ、瀕死の銀狼は、焦りと同時に、

喜びを感じていた。

〈これが…私の探し求めていた男…〉

だが、このままでは目的を目の前に死ぬことになりそうだな…

 

 

11撃目を当てた時、何故か銀狼の目が悲しげなことに気づいた。

(あの目…1人で寂しい思いをしていたような…)

だが、それを確かめようにも技が止まらない。

気付けば、もう最後の一撃だ。

「クソオオオオッ、止まれええええ!!!!!」

 

 

〈やられる……!〉

そう思って目を閉じたのだが、

なかなかトドメが来ない。

ゆっくりと目を開けると、

あの大剣が、自分の目の前で止まっていた。

〈た…助けられたというのか、こやつに…〉

と思った瞬間、全身から力が抜け、伏せるように地面に倒れ込んだ……

 

 

「おい、大丈夫か?」

とりあえず、倒れ込んだ狼に話しかけた。

しかし、返事がない。

「これはまずいかも…」

何か、回復魔法とか使えないだろうか?

よし、物は試しだ。

「ケアルガ!」

すると、銀狼を緑色の光が包み、瞬く間に傷が癒えた。

「う…あ…」

ん?今誰かの声が聞こえたような…気のせいか?

そんなことは置いといて、

この様子だったら大丈夫そうだな。

いつの間にか格好も元に戻ってるし、さっさとこの森から出よう、とその場から立ち去ろうとした時、

「待ってくれ!」

(え、誰?)

振り返ると、銀狼が立ち上がって

こちらを見据えていた。

「お主、名はなんという?」

「え、あ、究 幻佑です。って、ええええ!?」

狼が喋った!?

「そうか、幻佑と言うのか。私は大神 凛子という。」

「あ、はい。」

いきなりどうしたんだろうか…?

「突然で悪いが、お主について行っても

良いだろうか?」

「え!?ま、まあいいですけど…」

驚きつつも、内心少し喜んでいた。

(よし、この人(狼?)この森に詳しそうだし、この森の出口とか教えてもらえるかな。

あ、でもその前に…)

「すいません、この世界、何って呼ばれてますか?」

「ん?お主、外来人か?」

「ガイライジン?」

「ここは、この世界は、幻想の集う郷、

幻想郷と呼ばれている」

「幻想郷、かぁ…」

なんか聞いたことがあるような

気がしないでもないけど…

「そして、その外の世界からきた者を、

外来人というのだ。」

「へぇ…わかりました、ありがとうございます。」

(おっと、いけない。出口を聞き忘れてた。)

「それで、まずはこの森から出て、人のいるとこに行きたいんですけど」

「ああ、では案内しよう。私の背に乗るといい。」

「ありがとうございます、凛子さん。」

「凛子で良い。あと、敬語じゃなくていいぞ。」

「わかった。じゃあ、お願いするね。」

そう言って、凛子の背中に乗ると、凛子は森の外に向かって走り出した…

 

 

 

 

 

 

 

 




何気に主人公の名前がここで初めて分かるっていう…
大神 凛子 が なかまに 加わった!
次か、その次くらいになったら
東方のキャラが誰か出ると思います。
お楽しみに。


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3話 人里へ

まだだ…まだネタは終わらんよぉ!
…FF以外の元ネタも入ってる気がしてきた…
それでは、つづきをどうぞ!


まだ夜が更ける気配はない。

(朝までには人里には着きたいな…)

と、気になったことがあったので、

凛子に聞いてみた。

「凛子って、なんで僕を襲ったのに、こうして手助けしてくれるんだ?」

「うん?ああ、それはな、元々私は強い男を探していたのじゃ。そして、私がこの男だ、と思った男について行こう、と決めておったのじゃ。

ただ、何故そのような男を探していたのか、その理由は忘れてしまったがな。」

 

(…ついでに食事の為ってのもあったけど…これは内緒にしておこう)

 

 

凛子がそんなことを考えているとは

露ほども知らない幻佑は、

「ふーん、それで僕が選ばれた、と。」

「まぁ、そう言うことじゃ。

お、もうすぐ出口に着くぞ」

そう言われたので、前を向くと、

灯りが見えてきた。

 

凛子から降りて、人里に向かおうとした所で、

凛子が狼だったことを思い出し、

「あ、そういえば凛子はどうするんだ?」

「ん?何か問題があるか?」

「いや、さすがにその姿じゃあ目立つどころの話じゃ済まないぞ…」

「その点は問題ない。ふんっ」

そういった瞬間、凛子の体が光りだし…

 

「どうじゃ、なかなかうまいもんじゃろ」

人の姿になっていた。

銀髪ロングでスレンダー、ルビーのような赤い目、艶のある肌を持ち、なんと僕より身長が高いという、母親…というか、姉のような雰囲気を醸し出していた。

しかし、完璧かと言われたらそうではなく、問題が2つほどある。

1つは、ぴんと立った獣耳や、ふっさふさのしっぽが生えていること、もう1つは…

 

「……裸じゃん!」

「あ…ホントじゃの。」

 

(わーわーわーっ!見、見ちゃったんですけど!)

まさか…こんなタイミングで見ることになるとは…

というか、凛子さん裸でいることに抵抗ないの!?

「とっ、とにかく、早くなんか着てっ…て言っても何も無いし、どうしろと〜!?…あっ、そっか!」

とりあえず、来ていた服上半分を一枚脱いで渡し、着てもらった。

…問題は下半分だ。

(あー、こんな時にメニューとか開けたらなぁ~)

とか考えていると、

 

ピコン

 

という音がして、目の前に大きなタッチスクリーンみたいなのがでてきた。

「え…本当に開けた…」

ただ、僕の知っているメニューと明らかに違う。

アイテム、アビリティ、ジョブ、装備、ステータスとかその辺はまだ知っている。ジャンクションとかライセンスリングとかもギリギリ許容範囲内だ。

ただそれ以降と自分のステータスが壮絶だった。

「アイテム生成・増殖」「アイテム合成・分解」「アビリティ生成」「アビリティ合体・分離」「マテリア化」「アイテム改造」「モンスター生成」「モンスター合体・分離」「クリーチャークリエイト」と、もうチートかと思った。更に、ギャラリーでアルティマニアや、FFWikiの情報が見れたりするって…

ステータスは、HPとMPが異常なほど高く、

その他のステータスも、

上二つ程ではないがとても高い。

自分の能力という欄があり、そこには2つの能力が書かれていた。

『究極の幻想を司る程度の能力』

『あらゆる物を合成・分離・増殖させる程度の能力』

究極の幻想というのは、多分ファイナルファンタジーのことだろう。

それもそうだが、2つ目…なに?さっきチートかって言ったけど、もうチートだよ!

…はっ!驚きすぎて本題を忘れてた。

とりあえず、この能力で何か着るものを…

(…思ったんだけど、

FFに下半身装備あんまし無くね…?

…あっ、そうか!〇〇モデルとかなら!)

 

防具生成『ヤ・シュトラモデル』

 

獣耳でとっさに思いついたが、あんまり違和感ないな。

(あとはしっぽとかだが…一応聞いておこう。)

「服は何とかなったけど、その耳としっぽってしまえたりする?」

「うむ…気に入っているから残しておいたのだが、駄目かの?」

「ああ、里に入った瞬間異質な目で見られる。」

「うーん…まあ、仕方ない。ほいっ」

と、獣耳としっぽが消えた。

(ふう…やっと休める…)

そう思いながら、人里への道を歩いていった…

 

 

 

 

 




凛子さん…あれですね… 支〇凍〇さんのあの人かな?
そして、幻佑!チートすぎ!(まあ、本人の技量がそうでも無いので、完全なチートでは無いですが…多分)
そして出ましたヤ・シュトラ!(服だけ)
東方キャラは次回かな?
乞うご期待!




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4話 人里にて

ここまで原作:東方Projectと呼べるかどうか怪しい内容でしたね…やっと東方キャラ、出ます。
それでは続きをどうぞ。


やっと…やっと人里に着いたあああぁぁぁ!

「ぐすん…えっぐ、ひっぐ、長かったよおおおうわぁぁぁぁぁぁぁぁん!」

「おい幻佑、あれだけ目立ちたくなさそうにしてたのに、お主が一番目立っておるぞ…」

…うっ! 周りの視線が痛い!

さすがにキャラ崩し過ぎたか……?

「と、とにかく、宿とか無いか聞いてみるか。」

「とは言うものの、とっくに昼じゃぞ。」

「んー、でも眠いし…」

「そんなもの、テントかコテージで寝れば一瞬じゃろ」

「なぜそれを知っている!?」

テントとかって寝てるの一瞬なのに

全快するんだよなぁ…

どうなってんだろ?あと眠気とか取れてるのかなぁ?

「試してみるか。」

一旦人里の外に出て、テントと目覚まし時計

(Ⅳのアイテム。使い方が違う。)を生成して寝てみた。

 

少年&狼就寝中…

 

「ふああああ、さて、どのくらいたったかな…」

12秒しか経ってなかった。

しかも、HPMPが全快してた。

テント系アイテム万能説………

「夜更かしの心強い味方じゃな」

「そんなことに使うなよ…」

 

 

眠くなくなったので、何か観光スポットみたいなものないかなーと思って、里の人に聞いてみた。

すると、博麗神社に行くといい、と言ってくれた人がいたので、行く事にした。

「博麗か…」

と、凛子が呟いた。

「どうかした?」

「ん?いいや、なんでもないさ。」

 

 

 

教えられた道を行って、神社の石段の前までたどり着いたのだが…

「…地味に長くね?」

「いや、私の記憶が正しければ、もっと長い石段はあるみたいじゃ。」

うーん、さすがに地道に上がるのは

めんどくさいしなぁ…

…あっ。いいアビリティあったわ。

 

アビリティ『ダッシュ』

 

「よし、行くか。」

「ちょっと待った、私はどうするんだ?」

「え?あっ、そっか、じゃあどうしようか…」

うーん、揺れるけど、バイクで上る?

まあ、物は試しだ。

 

アイテム生成『ハーディ=デイトナ』

 

…無免許運転だけど、まあいっか。

どうせならクラウドの格好で…

 

少年&狼爆走中…

 

「ふう、思ったより長くなかったな。」

とりあえず、ハーディを消して、格好も元に戻した。

うーん、MPは…こんだけしたのにほとんど減ってない。

(パワーバランスがなぁ…)

この先自分が力に溺れないか心配。

 

 

 

「すみませーん、誰かいませんかー?」

…返事がない。ただのs「げほんごほん!」

それはダメ。絶対ダメ。

とりあえず、お賽銭いれてみるか…と思ったのだけど、

こっちのお金持ってない…

金とか生成してメダルとか作るか。

「というわけで、メダルを作ってみま

 

少年工作中…

 

した。」

(色々ツッコミたいけど、我慢しておくかの…)

よし、少し増やして入れよう。

 

チャリーン

 

「おーさーいーせーんー!!!!」

…やけに露出度高い巫女が出てきた。

「……?これほんとにお金?」

「あー…自作のコイン。」

「……」

うわー、凄い落ち込んでる…

「一応、純金製なんだけどなぁ…」

「えっ!?!?これ全部金!?」

(凹んだり立ち直ったり、忙しいなぁ…)

「…お主、本当に博麗の巫女か?」

凛子が聞いた。

「ええ。正真正銘博麗の巫女、博麗霊夢よ。」

腋巫女…もとい、博麗霊夢が答えた。

「博麗の巫女?」

「説明しておくか。博麗の巫女とは、博麗大結界の維持に必要な役職であり、巫女の力として一部の妖怪の力を制限する能力を有する者のことじゃ。」

「へぇ…」

「なるほど、今の博麗の巫女はこやつか。

とすると先代は…」

「えっ、あなた先代の知り合い!?」

「…昔、色々あってな。あやつは強かった。」

…何があったんだろう。

「おっと、まだ名乗ってなかったな。私は大神 凛子。」

「僕は究 幻佑だ。君は、博麗霊夢だったっけ。」

「ええ。ところで、こんな所になんの用?」

「いや、特に用はないかな。…あ、そうだ。この世界についていろいろ教えてくれない?」

「いいわよ。お賽銭も貰ったしね♪」

(うーむ、先代もがめつかったような…)

 

 

と、色々聞こうとしたのだが、そこに乱入者が現れた。

「おーっす霊夢、遊びに来てやったぜ…

って誰だあんたら?」

「久しぶりのお客様よ」

「久しぶりって…私は客じゃないのかよ?」

「人んちに来て勝手に弾幕勝負仕掛けてお茶飲んで帰るやつのどこがお客様よ、まったく…」

「いいじゃねえか、別に。で、あんたらは?」

「僕は究 幻佑、そっちが大神 凛子だ。」

「ふーん。私は霧雨魔理沙。普通の魔法使いだ!」

「普通の?」

「ああ、そういうのは肩書きみたいなものじゃから、気にしなくていいぞ。」

肩書きねぇ…

「早速だが霊夢、弾幕勝負しようぜ!」

「嫌よ、面倒だし。」

「んー…じゃあお前、弾幕勝負しようぜ!」

「えっ、僕?」

だいたい弾幕勝負って何?

「問答無用!行くぜっ!」

 

魔符『スターダストレヴァリエ』

 

魔法少女…魔理沙がカードを掲げたと思ったら、いきなり大量の魔法弾が飛んできた…

 

 

 




はい、というわけで東方初キャラは博麗霊夢と霧雨魔理沙でした!
それはそうと、最近GBA版のFF5を始めました。
実はFFは3 4 7 8 9 10 10-2
12LW(レヴァナント・ウィング)
CCEOT(エコーズ・オブ・タイム)しかやったことないです。(ちなみにKHは1 2のファイナルミックス版をやったことあります。)理由はハードがPS PS2 DS GBAしかないからです。(PS3 PS4どっちかほしーよー(泣))
出来れば、FF5 6の改造パッチもやってみたいです。
言い忘れてましたが、幻佑はFFの上の下くらいの
ユーザーです。
知識はそこそこです。
あと、生成能力とかはMP使います。
なので、10-2のラグナロク(消費MP0)とかは作ったとしても、アクセサリではなく消費アイテムになりそうです。(あと、アイテムは消せます。)

次回、初めての弾幕勝負。
デュエルスタンバイ!


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5話 初めての弾幕勝負

さあ、原作未プレイの作者が、
どんな弾幕勝負を見せるのか、続きをどうぞ!


「うわうわうわうわっ!」

やばい。咄嗟に出した片手剣二刀で大量の弾幕を打ち落としているけど、いつミスるかわからん。

「言い忘れたけど、被弾数は2回、

スペルカードは4枚までな!」

被弾数って…ルールすらまともに分からんのに…

とにかく、今はこの魔法弾を、躱し、

撃ち落とし、弾き返すことが先決…

ん?魔法を?弾き返す?

…なんでこれに気づかなかったんだろう。

 

 

 

 

(不意打ち気味だったけど、なかなかやるな…)

あいつ、私の弾幕を躱しながら

剣2本で弾き落としてやがる。

ただ、攻撃はしてこない。

そろそろ1枚目は時間切れだ。

(スペル切れを狙おうっていう魂胆だろうが、

そうなる前に全力で叩く!)

そして、1枚目が切れた瞬間、

即座に次のスペルカードを宣言した。

 

魔符「ミルキーウェイ」

 

 

 

必死に弾幕を躱していると、魔理沙がなにか叫んだ。

すると、さっきとはまた違った弾幕が飛んできた。

(ん?弾幕の種類が変わった?)

明らかに弾幕の動きや数が違う。

なんか躱しにくくなって来た。

(確か1回目がスターダスト……何とかで、

今のはミルキーウェイって言ってたような…)

とにかく、あれが魔法弾ならあの魔法を試してみるか!

 

「リフレク!」

 

唱えた瞬間、自分の周囲を反射壁がおおい、

それに当たった魔法弾が次々と弾き返り、

魔理沙の方へ飛んで行った。

「成功!」

 

 

 

一方魔理沙は、

自分の弾幕が弾き返ってこっちに飛んできていることに気がついて、慌てて回避した。

「うわっ、ちょっ、いきなりなんだぜ!?」

あまりに突然の事だったので、躱しきれず、

自分の弾幕で被弾してしまった。

更に、そのままスペルブレイクしてしまった。

「ぐっ……さすがにこれはまずいぜ……」

だが、次と最後のスペルで2回稼げばいい!

懐からミニ八卦炉を取り出し、宣言した。

 

「行くぜっ!恋符『マスタースパーク』!」

 

 

「よし、これで被弾1…でいいのか?」

うーん、よくわからん。

そうこうしているうちに、魔理沙が何かを取り出した。

「?なんだあれ?」

なんか八角形の小物入れみたいな…

「行くぜっ! 恋符『マスタースパーク』!」

(!! なんかヤバいのくる!)

と思い、躱そうと走り出した瞬間、魔理沙の手に持っていたなんか(…後で聞いたら、八卦炉って言うらしい)

から、7色で極太のレーザーが発射され、

躱しきれずに左手足に食らってしまった。

「ぐっ……なんだよ今の…」

まるで波動砲のようなレーザーだった…

というかそれより、左手足に力が入らない。

(このままじゃあ、

動けない→スペルカード食らう→被弾数2→負ける!

別に負けてもいいけど、それじゃ僕の気が済まない!

それに、さっきのスペルカードを見て

思い出した奴がいる!)

 

 

 

 

「よし、命中!」

しかも、あいつはもう動けない。

こっちのスペカは残り1枚。

「この勝負、もらった!」

と、魔理沙が最後のスペカを使おうとした途端、

「そいつ」は出て来た。

 

モンスター生成『オメガ』

 

 

それは機械で、黒みがかった楕円体の胴体から足が4本、目のようなものがひとつ生えていた。

 

 

「なに…あれ…」

最初の頃は呆れ半分で退屈しのぎになるかと思って観戦していた霊夢だったが、オメガを見て絶句した。

 

(あやつ、とんでもないものを隠しておったな…)

自分に勝ったくらいだから、弾幕勝負くらい楽勝だろうと思ってそのままにしていた凛子も、さすがに驚いた。

 

「な、なんなんだぜ、それ!」

「これか?これはな、古代ロンカ文明の遺した、

最強の兵器さ!」

「はっ、反則だろ!そんなの!」

「生憎、ルールをよく知らないものでね!

行くぞ!オメガ!波 動 砲!」

 

最終兵器『波 動 砲』

 

「ぎにゃぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

…その日、幻想郷では、博麗神社からまっすぐ天に向かって伸びる光が観測されたという…

 

 

 

 

 

 

 

 




幻想郷でリフレクって最高の盾な気がする。
そしてオメガ。TUEEEEEEEEEE!
主人公に弾幕要素が全く無い回でしたね…
黒魔法でなんとか出来るかなあ…
とにかく、次回もお楽しみに!


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6話 自己紹介

うーん…オリジナルスペカの案がほしいです。はい。
では、続きをどうぞ!


波動砲を食らって気絶していた魔理沙が目を覚ますのに、少しかかった。

目を覚ますなり、こっちに食ってかかってきた。

「だあーっ!あれは反則だろ!」

「魔理沙、ルールすらまともに分かんない相手に

不意打ちしたあなたが言えることじゃあないんじゃない?」

「うっ…それでもだ!」

「はいはい、負けたのに文句言わない。」

 

 

「それにしても、ルールも知らないのに

よく魔理沙に勝てたわね。」

霊夢がこちらを向いて言った。

「うーん、それは僕の実力と言うより

能力のおかげだと思う…」

「あなたの能力って?」

「あ、まず、『究極の幻想を司る程度の能力』っていう能力で、僕外来人なんだけど、元の世界でやってたゲームの全てが使えるようになる能力なんだ。」

「ふうん…ゲームって言うのは前紫に聞いた気がするけど…よくわかんないわ。でも、あんなのが呼び出せるっていうのは凄いわね。」

「そうじゃの、私が倒されるくらいだものな。」

「で、2つ目が…」

「ちょっと待て、お前能力2つ持ってたのか!?」

魔理沙が心底驚いていた。

「あー、うー、うん。さっきは使ってなかったけど、『あらゆるものを合成・分離・増殖させる程度の能力』っていう能力ももってるんだ。」

「えっ、じゃあさあ、さっき純金のメダル作ったって

言ってたのはどうやったの?」

「ゲーム内で金が作れるから、それを使って。」

(なら、それを使えば、お金持ちに…)

「ただ、これを使って金儲け、

とかは考えてないかな。」

「……チッ」

霊夢さん、お金儲けする気満々だったらしい…

 

 

 

「そう言えば、そっちの彼女は?

人間ではないようだけど?」

さすが、博麗の巫女だ。

凛子が人ではないことを見抜いていたらしい。

「私か?私は大神凛子という。一応これでも、

昔神に祀り上げられたことがある。」

 

 

…え?初耳なんですが…

 

「…凛子、そんなこと一度も聞いたことないけど…」

「それはそうじゃ。話しておらんかったし、

別に聞かれなかったからの。」

確かにそれはそうだけどさあ……

「…あなた一体、何者?」

霊夢がこちらに聞いてきた。

何者かと問われましてもね…

「まあ、この幻想郷には現人神がいるけどね。」

「ふむ、先輩として会っておきたいものじゃの。」

「確かに、挨拶回り位はしとくべきかな…」

これからやるべきことは沢山あるな。

 

 

「それでさ、霊夢」

「何?」

「弾幕勝負とかスペルカードについて

教えて欲しいんだけど…いいかな?」

「ええ、いいわよ。でも、時間は大丈夫?」

確かに、もう日が暮れてきた。

「今日どこか行く当てはある?」

「うーん…宿に泊まるつもりだったけど、

お金ないしね…」

「じゃあ、うちに泊まってかない?」

「「え!?」」

何故か魔理沙も驚いた。

「何よ、私が人を家に泊まらせるのが

そんなに珍しい?」

「だって…あの霊夢が…非情さでは前に出る者のいない、あの霊夢がだぜ!?」

「魔理沙、私のことをなんだと思ってるの!?」

「幻想郷一の金巫女」

「ちょっと!金巫女じゃないわよ!

あとそれとこれは関係ないじゃない!」

「…まあ先代もかなりの金巫女だったみたいだしの。

(ボソッ)」

…とにかく、泊まるとこ何とかなって良かった…

 

 

 

神社に入ると、霊夢が食事を作ってくれた。

「霊夢、どうしたんだ!?

いつもはこんな食事じゃないのに!」

と魔理沙が言う割には、味噌汁や焼き魚など、

だいぶ庶民的な和食である。

てゆーか何故か魔理沙まだ居るし。

それに、いつもこんな食事じゃないなら、

普段はどんな食事なのか…(もしくはただ単に今回の食材のグレードが高いだけなのかな?)

「ふふん。内緒よ♪」

多分僕の純金メダルだろう。

まあ、ここはこの食事、

ありがたく頂戴させていただきます。

 

「じゃあ、また来るなー!」

「しばらく来なくていいわよ。」

「なっ…!」

仲がいいんだか悪いんだか…

 

その後、霊夢に布団を借り、寝ることにした。

(なんか激動の1日だったな…)

霊夢や魔理沙、そして凛子に出会えた。

(凛子には襲われたけどね…)

さて、明日からはやることが沢山だ。

弾幕勝負について教えてもらうだけじゃなくて、

仕事とかも探さなくちゃならない。

「よし、寝るか!」

明日に備えて、深い眠りについた…

 

 

 

 

 

スキマの中にて……

「ふふっ……彼の『可能性』、底知れないわね…」

「しかし紫様、あのような強大な力を放置しておいてよろしいのでしょうか?」

「大丈夫よ。もし彼が幻想郷にとって脅威となるならば、その時はーーーーー

 

 

 

 

ーーーー幻想郷の全てが、彼を排除するだけよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 




毎日投稿は無理…
ネタがあるのに時間がない(´・ ω ・`)
ようつべでゆっくり実況か茶番でもしようかなと
考える今日この頃(編集下手くそだからなあ…)
次回は弾幕勝負について詳しくやろうと思います



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7話 弾幕勝負指南①

時間が欲しい。
では、続きをどうぞ!


「………け、……佑」

(うーん…あと5分…いや30分…)

「…ん佑、幻佑!」

「うーーーん…あと1時間……」

「いつまで寝てるつもりじゃ!!」

「ウボァー!」

狼の凛子に蹴り飛ばされた。

 

「あっ痛つつ……」

2回目で能力のおかげで意識は飛ばなかったけど、

やっぱり慣れないなあ…

(慣れるもんでもないけどね)

 

朝食を食べた後、

凛子が「散歩に行ってくる」と言って出かけたので、

神社には霊夢と二人っきりになってしまった。

 

「じゃあ、スペルカードルールについて

説明するわね。」

 

「スペルカードルールとは、

人間でも神様と同等の強さを発揮できるように

出来た決闘のルールのことよ。

もちろん相手を殺してはダメ。

妖怪の争いが幻想郷の平和を壊さないよう作られた…

っていうか、発案者は私なんだけどね。」

「へえ…(霊夢って、意外とすごい人だったんだ)」

「弾幕勝負は、スペルカードという契約書に

則って行われるの。こんな感じのね。 」

そう言って、霊夢はどこからか、

『霊符 夢想封印』と書かれたカードを取り出した。

 

(?こんなカード、どっかで見たような…

ああ、昨日魔理沙が使ってたな…って、)

「あっ!」

「?どうかしたの?」

「僕も1枚、持ってるかも。」

 

それは凛子と初めて戦った時の、

技が出た時に現れたカードである。

あの後どこに行ったか分からないけど、

アイテム欄にあるかな…と思ってメニューを開き、

探してみた。

「あなた、そんなことも出来るのね…」

「…あった!」

僕はそのカードを具現化した。

「ふうん…『斬符 超究武神覇斬』、ねえ…

どんな感じの技なの?」

「うーんと…実際に見せた方がいいかな。

カカシかなんかないかな?」

「カカシなんてないわよ…私に使ってみたら?」

 

「えっ!?さすがに…それはまずいんじゃない?」

「大丈夫だ、問題ない。」(大問題だよ)

「じゃあ…」

そう言ってバスターソードを出し、構えた。

 

「じゃあ…行くよ…

斬符『超究武神覇斬』!」

スペカを宣言し、一瞬のタメの後、

霊夢に斬りかかった。

「! 純粋な近接技!」

まあ、そりゃあそうだ。

FFの剣技に多段弾幕型の技なんてほとんどない。

霊夢は一瞬戸惑ったものの、

僕の剣撃を難なく躱して行った。

(うーん、やっぱりほかの攻撃がない分

スイスイ躱されるな…)

そんなことを考えていると、14撃目が終わり、

ラストのタメに入った。

この技のタメの長さはネックだなあ…

そしてラストの一撃も躱された…のだが、

ラストの振り下ろしが地面に直撃し、爆発が起きた。

それに巻き込まれて、霊夢が軽く吹っ飛んだ。

「ごめーん!大丈夫?」

「いたた…ええ、大丈夫よ。と言うか、

最後の爆発のこと先に言っときなさいよ。

格好つかないじゃないの。」

「なはは…こっちもすっかり忘れてた…」

と言うか、当たらなくても爆発するんだ…

 

 

 

 

 

「で、さっきのが僕の初めてのスペカなんだけど…」

「うーん…とりあえず弾幕勝負には向いてないわね。」

だよなあ…当たる可能性も低いし…

 

 

そもそも、FFの技・魔法は全体的に単発で、

相手を確実に倒すために威力に重点を置いている。

つまり量より質である。

対してこの世界の弾幕は、逆に質より量である。

さらに、相手を殺してはいけない。

なので、FFの技はこの世界での戦闘には

向いてないかもしれない。

 

 

「かと言って魔法も単発ものだし…あっ。」

「ん?どうかしたの?」

「もう一つの能力のこと忘れてた…」

 

 

 

 

 

 

 

 




FFはATBシステムで、
技中に相手が攻撃してくることが想定されてないので、タメなどは大きな隙になりやすいですね。
次回はスペカが数枚出来るかもですね。


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8話 弾幕勝負指南②

インフルなのに元気だった自分。
どーすりゃいーの?
…では、続きをどうぞ!


ここで僕のもう一つの能力、『あらゆる物を合成・分離・増殖させる程度の能力』について説明しておこう。

名前の通り、あらゆる物を合成・分離・増殖させることが出来る。

合成することによって全く違うアイテムに変化したり、

合成に失敗したアイテムを分離したり、

既製品を素材に分離したり、

上記の物などを好きなだけ増やしたり出来る。

しかも、FFには素材となるアイテム、

解体すれば貴重な素材に化ける武具などが沢山ある。

この二つの能力の組み合わせは

もうチートやチーターやんと言われても文句が言えないレベルの相性の良さである。

 

 

 

…話を戻そう。

この能力と魔法を使えば、擬似的…いや、

場合によっては実戦的な弾幕が作り出せるかもしれないということである。

 

試しに、ファイアでやってみる。

「ファイア!」

唱えた瞬間、火球が現れた。

「ほっ!」

それを保持したまま、能力を使って火球を増殖させた。

「よし、こんなものかな!」

すると、目の前に1枚のカードが現れた。

『火符 ファイアボール』

「よーしっ!この調子でじゃんじゃん作るぞー!」

 

 

 

 

 

「早っ……こんなに早くスペカを作るなんて…」

この少年は一体何者なのだろうか…

ほとんど、いや、全く戦闘経験が無いはずなのに、

幻想郷の中では有数の実力者である魔理沙や

あの凛子という狼に勝つことが出来るなんて…

彼自身は能力のおかげだと言っていたが、

あの動きからは能力だけではない、

天性の才能のようなものを感じた。

 

(でも、彼は……幻想郷にとって……

脅威となりかねない?)

彼の能力はまだ未知数。でも、彼がその気になれば、

幻想郷を崩壊させる事も可能なのかもしれない…

(紫は…どうするのかしら…)

 

 

1人でそう悩む霊夢の事など気にかけず、

幻佑はどんどんスペルカードを作って行った。

特に青魔法は、バリエーションが多く

様々なスペカが出来た。

さらに魔法だけでは飽き足らず、各技や魔法剣、

召喚獣にも手を出し始めた。

 

 

 

 

 

 

そして、その最中に「あること」を発見した。

 

 

 

 

 

「ふーっ、疲れたー!」

約4~5時間ほどにわたって

スペカを作り続けたせいで疲労がたまったのか、

幻佑はその場に倒れ込んでしまった。

一方霊夢は、召喚獣を呼び出した辺りから

信じられないようなものを

見てしまったかのような顔をして固まっていた。

 

まあ、普通の人(?)からすれば召喚獣なんて

想像も出来ないような存在だもんな…

 

「本当、貴方には驚かされてばっかりだわ…」

霊夢が呆れ半分、驚き半分で言った。

「まぁ、こんなもんよ!」 幻佑が言った。

(寝転んだままだからカッコつかないけど…)

 

ぐぎゅるるるるる…

「お腹空いた…」

 

「よっと、」

幻佑は起き上がると、霊夢に言った。

「お昼、どうする?」

「うーん…作るのも面倒だし…食べに出る?」

「じゃあ、凛子が帰って来るの待って出よっか?」

「帰ってこなかったら?」

「すぐ帰ってこなかったら…

残念だけど、置いていこっか。」

その時、鳥居の方から、

 

「誰を置いていくって?」

凛子の声が聞こえた。

 

こうして、3人は、揃って昼食を食べに人里に降りた…

 

 

 

 

 

 

 




ここで幻佑が大量に作ったスペカ、
果たしてどんなものなのか…
そして幻佑の見つけ出した「あること」とは…
ヒントは「召喚」です。
次回もよろしく!


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9話 幻想郷の住人達

ものすごく久しぶりです
編集サボってすいません…
ほいじゃ、続きをどうぞ!


さて、人里に降りてきた一行。

「あんた達、何か食べたいものはある?」

と霊夢が聞いてきた。

幻佑は、

「うーん、これが食べたい!

…って言うのはないかな。

お腹ペコペコで何か食べたいけど」

凛子は

「うむ、私は基本的に肉しか食べて来なかったからな…

スイーツとやらを食べてみたいかのー」

と返答。

「スイーツって…食後に食べるものでしょ…」

 

 

 

 

 

「しかし、人の姿でいるのはかなり不便じゃの…

早く走れないし、妖力の消費が多いせいか

腹が空きやすくなっておるしの」

「へえ……色々と大変なんだね…

あっ、そう言えば、霊夢」

「どうしたの?」

「この人里にも、妖怪とか、

そういう類のものっているの?」

と聞くと、すぐに

「ええ。いるわよ。

自分の正体を隠してる奴も隠してない奴もね。」

そう言ったとき、後ろから、

「おお、霊夢じゃないか」

と声をかけられた。3人が振り向くと、

青白い髪の、頭に…帽子?を乗せた女性が立っていた。

その後ろに、子供たちを4人連れていた。

「霊夢の知り合い?」幻佑が聞いた。

「まあ、そんなところね。

ちなみに彼女たちも()()()()()()()の類よ。」

「へぇ…」

そんな話をしていると、その女性は幻佑たちに気が付いて、

「うん?そちらのお二方は?」

と霊夢に聞いた。

幻想郷外(そと)から来たのと山から出てきた狼よ」

と幻佑たちのことを大雑把に説明した。

「自己紹介しますね。

僕は究 幻佑です。」

「大神 凛子じゃ。」

二人が自己紹介した。

「ふむ…幻佑に凛子か。よろしく頼む。

私は上白沢 慧音という。

近くの寺子屋で先生をやっている。」

「僕は究 幻佑です」

「大神 凛子じゃ。宜しくしてたも」

「凛子そんなキャラだっけ…」

「ふむ…凛子に幻佑か。

私は上白沢 慧音という。

近くで寺子屋の先生をしている。」

「先生か……ということは、後ろの子達は

教え子さんですか?」

「ああ。

みんな、挨拶しなさい。」

そう言われて、子供達が前に出てきた。

まず、水色ワンピで、背中に氷のようなもの生やした子が自己紹介した。

「アタイはチルノ!さいきょーの氷精よ!」

「氷精…ということはこの子、妖精なのか。」

「妖精の割には力を持ってるみたいじゃがの。」

「おーい!ムシすんなー!」

次に、黒ワンピで金髪赤リボンの子が、

「私はルーミアだー。よろしくなのだー。」

「うん。よろしく。」

すると突然ルーミアが涎を垂らして、

「お兄さん、おいしそーなのかー。」

と少しはにかんだ。

「…ふえっ?」少し動揺する幻佑。

「ルーミアちゃん!それ色んな意味で

誤解を招くから!」

隣にいた黄緑色の髪の青ワンピの子が

突っ込んでくれた。そしてその子も、

「あ、私は大妖精です。大ちゃんって呼んでください。」

と自己紹介した。

最後に、緑の髪で四人の中で

1人だけズボンの子が

「私はリグル・ナイトバグです。よろしくお願いします。」

「…凛子、『紅一点』の対義語ってなんだっけ」

「なにアホなことを言っておる。

こやつは女子ぞ。」

「…え、そうなの?」

「そうですよ!?私女の子ですよ!?」

「いやごめん、どうしても色々と

男の子要素が多くて…」

と幻佑が言うと、何故か自分の胸を触り始め、

その後、

「そうですよね…

やっぱり男の子にしか見えませんよね…」

と地面に体育座りで座り込んだ。

(んー…判断材料は他にもあると思うんだけど…)

「今のはお主が悪い」

「えぇ....」

そんなやり取りを他所に、霊夢と慧音は話をしていた。

「そういえば、霊夢はなんでここに降りてきたんだ?」

「お昼を食べに来たのよ。たまには外食もしないとね。」

「……霊夢、どういう風の吹き回しだ?

それにきちんと代金は払えるんだろうな?」

「失礼ね。きちんと持ち合わせはあるわよ。

昨日思いがけない収入があったからね♪」

「そうか…ならいいけどな。」

「そっちはどうなのよ」

今度は霊夢が聞き返した。

「ああ、今午前の授業がおわって、ちょうどこちらも

お昼にしようと思っていたところだ。」

「へえ、何を食べるの?」

「お蕎麦にしようかなかなと思っている。」

「あら、じゃあご一緒しようかしら」

 

 

そんなこんなで、一行は蕎麦屋へと向かうのであった…

 

 

 




ちょっと前からFFBRIGADEを始めました
今ではUR+が10体くらいいます
UUR欲しいなぁ…
GRとGR+も一体ずついます
あとLINEの東方グルにも入りました
今後も編集ぐグダるかもしれませんが
どうぞよろしくお願いします


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10話 昼食前の談話

お久しぶりです(土下座)
これからも、たまに打ち込みしていこうかと思ってます。
それでは続きをどうぞ。


「で、ここがその店か」

一行がやってきたのは、里でも有名な所

らしいそば屋。

「よーし!そば食うぞー!」

チルノがはしゃぎながら中へと入っていき、

「こらこら、落ち着けっ」

慧音先生と他の子供達も中へ入っていく。

霊夢が、

「ここの蕎麦美味しいのよねー。

最後に食べたの2年前だったかしら」と言いながら店に入っていった。

「そこまで食うものに苦労しとったのか…

まあ儂もかれこれ数十年はあの森に籠っとったしの。

久しぶりの人里の食べ物は楽しみじゃ」

と凛子も続いた。

最後に、

「みんな大変なんだね…」

そう言いながら、幻佑も入っていった。

 

 

 

 

 

店内に入ると、各々がそれぞれの注文をした。

待っている間に慧音が、

「君はどこからやって来たんだい?」と質問してきた。

「こことは別の世界からです。」

そう答えると、慧音は一瞬目を光らせて、

「ほう、すると君は外来人かい?」と続けて聞いてきた。

「はい。…でも、死んでここに来たことと能力の元ネタについて詳しいこと以外ほぼ何も覚えてないんですけどもね」

そう言うと慧音はとても残念そうに、

「そうか…悪いことを聞いてしまったな」

と言った。

慧音は、そのまま視線を凛子の方に向けて、

「貴女は、大神凛子…でしたよね?」と聞いた。

「うむ、いかにも」少し得意げに答える凛子。

慧音が凛子の名前を知っていることに少し驚いた。

幻佑が「凛子って有名なんですか?」と慧音に聞くと、

「ああ、というか彼女は知る人ぞ知る大妖怪だよ。

妖怪の山を降りるまでは鬼に並んで最強の一角と謳われていたくらいだ。」と答えられた。

「あんた、そんなに強かったのね…」

素直に称賛する(?)霊夢。

「よせよせ、昔の話じゃよ。」照れる凛子。

「へえ…」

(じゃあ、あの時はめっちゃ手加減してもらってたんだ…)

それを聞いて少し戦慄した幻佑であった。

 

 

 

 

「そういえば、2人ともどんな出会い方したの?」

霊夢が口を挟んできた。

「あれ、まだ霊夢にも話してなかったっけ」

「詳しくは聞いてないわよ」

「そうだっだっけ。じゃあ、話すかな。」

そう言って、幻佑は当時のことを詳しく説明した。

気がついたら森の中に放り出されてた事。

凛子に追いかけ回された事。

凛子に食べられそうになって、能力が発現した事。

その後、なんか妙に凛子に懐かれた事…は言わなかった。

そんなことはどうでも…よくはないんだろうけども。

話し終わって、

慧音は「ふむ…能力発現か…ここ最近はほとんど見なかった事例だな…」と興味深そうにしていて、

霊夢は「ここに来てから発現…?それにしちゃあ戦い慣れてないかしら…?」

とブツブツ呟いていて、

凛子はというと、

「成程…道理で逃げ回っていたのか。

それにしても、空腹で弱っていたとはいえあそこまで追い込まれるとは思わんかったのう」

と回想していた。

 

 

 

「というか一体誰なのよ、あんなデタラメな能力こいつに発現させた奴…」

霊夢が自分を棚に上げて愚痴った。

「ん、そんなに凄いのか、彼の能力というのは」

慧音がそれを聞いて霊夢に訊ねた。

「驚きを通り越して呆れてるわよ。今朝スペルカードルールについて説明したんだけど、それからさっきまでずっとスペカ作りしてたのよ?

私から言わせてもらえばまだ単調なものが多いけど、それでも二、三百は使えるものがあるわよ」

それを聞くと慧音は目を見開いて、

「!? そんなに作って大丈夫なのか?」と霊夢に聞いた。

この大丈夫か、というのはルール的な話と、そんなに作って幻佑の消耗はどうなのかという事である。

「数枚選んで使うように釘は刺してあるし、

こいつかなりケロッとしてるわよ…」

霊夢が少し気だるげに言った。

と、凛子が、

「そういえば昨日から気になっておったんじやが、すぺる…かーどとか言ったかの。結局どんなものなんじゃ?」

こちらに尋ねてきた。

「知ってると思ったんだけど…

そうね、貴女が籠ってる間に制定されたルールだしね…」

「説明した方がいいかな」

 

 

〜3人説明中~

 

 

「ほう、つまりは殺し合いを防ぐと共に、人と妖の力の均衡を保つ役割を果たしておるのか。」

「まあ、そんなところね。」

軽く説明を終えて、凛子も何となくルールについて分かってくれたみたいだ。

「後で儂にも教えてくれるかの?」そんなことを言い出した凛子。

「いいよ。霊夢も手伝ってくれるかな?」

「多分暇だし、いいわよ」

そんな受け答えをしていると、注文したそばが来た。

「それじゃ、食べようか!」

 

 

 

 

 

 

『いただきます!!』

 

 

 

 

 

 




なんかしっくり来なかったので、
凛子の一人称を「儂」に変更しました(唐突)
これからも恐らく亀更新になりますがよろしくお願いします…


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11話 昼食、そして旅立ち

最近やる気が再燃してきた作者です。
打ち込み楽しくなってきたのでしばらく投稿が続けられそうです。
それでは続きを…ドゥゾ-。


「美味しいっ!」

素晴らしい味である。食レポは得意ではないが、

鰹出汁のしっかりした風味と、

手打ちのそばの程よい風味の合わさり方が素晴らしい。

値段も割と手頃らしいので、(霊夢の)お財布にも優しい。

まさに完璧なそばである。

隣を見ると、凛子がそばをほとんど完食しかけていた。

早っ!しかも、貴女特盛り頼んでましたよね…?

色んな意味で(特に霊夢の財布が)心配になってきた幻佑であった。

 

 

「それで、今後はどうするつもりなんだ?」

「今後、ですか」

慧音からそう聞かれて、確かにそうだと思った。

挨拶回りはしようと思っているが、当てなんて無い。

あと、人里以外にも色々見て回ってみたい。

その旨を慧音に伝えると、

「ふむ…私にも当てがない訳じゃあないんだがなぁ…」

と苦い返事を返された。

「無いわけじゃない、というのは?」

「ああ…外は普通の人間には割と危険な所が

多いんだよ。人里の中ならまだいいんだが、

魔法の森や紅魔館、迷いの竹林に妖怪の山、

私は行ったことがないが地底だったり、

月にも住人がいるらしい。」

そんなふうに解説してくれた。

「へぇ…色んなところがあるんですね」

そんなことを言いながら、内心少しワクワクしていた幻佑。

(月かぁ…行こうと思えば行けるのかな?)

少なくとも2艇、行ける船の存在は思い出した。

(↑ここルビ)

まぁ、まだ魔力不足で無理だろうけれども。

「幻佑なら大丈夫じゃろうよ」

隣からそばを完食した凛子が口を挟んできた。

「何せ、儂に1度勝っておるのだからな!

うわっはっはっは!」

自分が負けたことのはずなのに誇らしげに言う凛子。その自信はどっから湧いてくるんだろう…

「んー?幻佑って強いのかー?」

「多分そうだな!でも、さいきょーのあたいの方が強いんだぞ!」

「見てるだけじゃ、そうは見えないけれどね…」

「霊夢さんが愚痴るくらいには

強いんだよ思うよ、多分」

それを聞いて子供たちも反応した。

(子供と呼んでいいのかどうかはさておき)

一応全員が妖精だったり妖怪だったりするから、実力はあるんだと思う。

チルノなんかは妖精の中でも結構強いんじゃなかろうか、と何となく思う幻佑だった。

そんな中、霊夢が、

「じゃあ、今からでも紅魔館に行ってきたら?」

と言い出した。

「え…大丈夫なのか?」

「大丈夫よ。挨拶回りでドンパチやらかす訳じゃないんだろうし。

もし弾幕勝負を申し込まれても、

ほぼスペルカードルール内で

魔理沙に一勝してるんだし問題ないわよ。

それに、事前に何も言わなくてもあの吸血鬼なら分かって貰えるでしょ」

「それはそうだが…ちょっと待て、魔理沙に勝った!?」

霊夢の言葉にやや動揺した慧音。

正直あれを勝ちって言っていいのだろうかと思うのだが、まぁ問題ないのかな?

「ええ。まぁあいつも

少し幻佑を舐めてたみたいだけれどね。

あ、私はまだ負けてないわよ。そもそも勝負してないけどね」

と霊夢が言った。

うーん、最後の方が強調されてた気がするような…まぁ、気にしたら負けである。

「でも、今からっていうのは大丈夫なのかな。

凛子にスペルカードルール教えないといけないし」

「その点は問題ない。霊夢に教えて貰えばよい。挨拶回りに儂が付き合っても仕方ないじゃろうさ。

楽しんでくるといい。あと店主、おかわりくれ」

と、自然な流れでおかわりを頼みながらも

凛子がそう言ってくれた。

「じゃあ、お言葉に甘えて行ってこようかな?」

「おう。気兼ねなくな」

「私の財布は気にかけて貰えないかしら…」

霊夢が不満そうに言ったが、それは多分凛子には無理な話である。

 

 

 

 

 

「それで、紅魔館ってどこにあるんですか?」

「で、紅魔館ってなんじゃ?」

幻佑と凛子、2人が同時に質問した。

「あー、まず紅魔館の説明が先かしらね…」

霊夢はそう言うと、2人に話し始めた。

「まず紅魔館っていうのは、霧の湖にある真っ赤で⑨デ…とても大きい館のことよ。」

(⑨デ…?何て言おうとしたんだろ)

「霧の湖か…昔はあそこには何も無かったがな」

「アイツらがやってきたのは割と最近だからね。

アンタが知らなくても無理はないわよ」

「それで、誰が住んでるの?」

「あそこの主はレミリア・スカーレット。

吸血鬼よ。」

「「吸血鬼…?」」

「そう。昼間日の元に出ることが出来ないけれど、

夜に活性化し、人の血を吸う怪物。

大蒜に流水、十字架、太陽の光に弱い。

その代わり、影になって移動したり、

人間を遥かに超える力を有する存在。

一般知識としては、そんなところかしらね」

うーん、改めて聞くと大丈夫なんだろうかと心配になってきた。

最悪、『お前の血をよこせー』なんてことにならないか心配だ。

そんな幻佑の心の声を聞き取ったのかは知らないが、霊夢が

「まあアイツは血を吸うの苦手らしいし、

仮に襲われてもあんたなら余裕で生き残れるでしょ。」

…なんか買い被られてる気がするけど、霊夢がそう言うなら大丈夫なんだろう。多分。

「吸血鬼…なんだか気になってきたのう。

スペルカードルールを覚えたら押しかけてみるかの」

凛子が興味ありげな顔をして物騒なことを言い出した。

「やめたげなさい」霊夢、即答である。

 

 

 

「それで、霧の湖ってどこにあるんだろう」

肝心なことを聞いてなかった。

霧の湖自体どこにあるのか分からないのでは行きようがない。

が、大体こっちの方角~とかいう説明で目的地に辿り着くのはこの幻想郷では難しいと思われる。

そもそも、何処に限らずども幻佑はそういう案内をされるのは苦手である。

どうしたものかと思案していたら、

「チルノ達に案内させようか?」

慧音先生が助け舟を出してくれた。

「いいんですか?」

「ああ、いいよ。元々今日は授業を午前中までの予定にしていたからな。みんなも良いだろう?」

慧音がチルノ達に聞くと、

「ああ!いいぞ!」

「大丈夫だー」

「分かりました」

「いいですよー」4人ともOKしてくれた。

「ありがとうございます…!」

幻佑は慧音先生と、4人に感謝した。

 

 

店を出ると、相変わらず晴れた空が広がっていた。

「それじゃ、行ってくるよ」

人里から少し離れて、

幻佑が霊夢と凛子に言った。

「気をつけ…ないでも大丈夫かしらね」

「うむ、大丈夫じゃ」

凛子に謎のお墨付きをもらった。

これ以降勝負事に負けたら怒られそうなんだけど、

そっちはそっちで大丈夫かなぁ…

「今更思ったんだが、幻佑は空を飛べるのか?」

慧音が聞いた。

「あ、ええ。やろうと思えば魔法の応用で」

「魔法が使えるのか…もしかしたら、異変解決に力を借りる事態が来たりするかもしれないな。」

「それもそうね。代わりにやってもらおうかしら」

霊夢がそんなことを言い出した。

自分の仕事は全うした方がいいんじゃないかなぁ…

「凛子、霊夢に迷惑かけないでね」

そう言って、幻佑の体が風系魔法とレピテトの応用で空中に浮かび上がった。

「おおおーー!すごいな!」

チルノが興味深そうに声を上げた。

「じゃあ、案内よろしく」

「わかった!」

こうして、5人は人里を後にした────

 

 

 

 

 




ロスワが楽しいのなんの!
ヨウムチャンツヨツヨカワイイヤッタ-状態ですね…
皆さんはやってるんですかね?
まだやってないっていうそこのあなた。
(個人的には)CBより面白かったので、おすすめしますぜ。
それではまた。


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12話 道中

どうも。
ロスワでキャラの出がぱったり無くなった今日この頃。
フェス限は未だ聖のみです。
誰かゆゆさまを…
うう、続きをどうぞ


「そういえば、みんなの能力ってどんな感じなの?」

紅魔館へと向かう空の道すがら、

幻佑は大妖精にそう聞いた。

「少し解説すればいいですか?」

「うん。お願いするよ」

「分かりました。」

大妖精はそう言って、話し始めた。

 

 

「まず私の能力ですが、実はありません」

この言葉に幻佑は驚いて、

「え、そうなの?」と呟いた。

「はい。能力と名付けて言うなら

『そよ風を操る程度の能力』と言った感じですかね」

そよ風か…かなり見た目にあってると思う。

優しい感じが特に。

「ルーミアちゃんは『闇を操る程度の能力』ですね。

自分の周りに闇を作り出すことができます。

その闇は、光も通しません。

…でも、ルーミアちゃん自身も闇の中では何も見えないらしいですよ」

「諸刃の剣…ってやつなのかな」

結構強い能力かも…って思ったけど自分にも見えないのか…

「ルーミアちゃんは能力もだけど、純粋に力持ちなんですよね。

この間なんか猪を素手でなぎ倒してましたし…」

「へえ…」

闇に引きずり込んで食べる、そんなスタイルなのだろう。

「チルノちゃんは『冷気を操る程度の能力』ですね。

水を凍らせたり、それを飛ばしたりできます。

よく霧の湖で蛙を凍らせて遊んだりしてますね」

「蛙ェ…」

カエルの子可哀想…あ、まだ出てきてないか。

「そんなチルノちゃんもかわいい…うぇっへっへ」

アナタ絶対そんなキャラじゃないでしょうに…

「最後に、リグルちゃんの能力は『蟲を操る程度の能力』です。

あらゆる虫を使役することができる能力ですね」

虫…蜂とかGとか使役できるのはかなりヤバそう…

「ちなみにリグルちゃんは蛍の妖怪ですよ」

「蛍かぁ…最後に見たのっていつだったっけ」

近年都市開発でめっきり姿を見なくなった蛍。

自然豊かな幻想郷にはいっぱいいるんだろうなぁ…

「とりあえず、私たち4人はこんな感じです」

「うん、ありがとう」

解説してくれた大妖精に感謝。

 

 

 

「そういえば、あなたの能力って何ですか?」

今度は大妖精の方が聞いてきた。

「あ、まだ説明してなかったね…」

そこで今度は幻佑が説明をし始めた。

「僕の能力は、

『究極の幻想を司る程度の能力』

『あらゆる物を合成・分解・増殖させる程度の能力』

の2つだよ」

「能力が2つ…ですか?」

驚きつつもさらに質問する大妖精。

「まぁ、そうだね」

「どんな能力なんですか?」

「1つ目は…ええっとね…」

(うーん…外の世界のゲームって説明して伝わるかどうか…)

そのまま説明してもほぼ100%伝わらないので、

言い方を思案する幻佑。

「幻想郷とは別のいくつかの世界の技能や魔法、アイテムとかを統合した能力、みたいな感じかな?」

かなりわかりにくいけど、こんなものだろうかな…?

「別の世界…ですか」

「うん。西洋の古風な世界だったり、

ここよりも技術の発展した世界だったり、

色んな世界があって、

そのいくつかの世界にある能力だったり魔法だったりが使える、といったところかな」

「へぇ…

私も行ってみたいですね、そんな世界」

大妖精が感慨深げに言った。

「まあ、人のいる場所以外は

大概魔物が跋扈してるような世界だから

あまりおすすめは出来ないかもしれないけどね…」

苦笑いしながら幻佑がそれに応えた。

「それで、もう1つの能力はー…

まぁ、名前の通りかな。

物を増やしたり合体させたり分離したりできるんだ。

まだ試してないけど今のところは自分で作り出した一部の物に適用できる感じかな。」

「それは便利そうですね」

「そうだね。でもこれ、悪用すれば金が増やせるからなぁ…」

「あー…それはまずそうですね」

特に霊夢や魔理沙辺りが。

「そこは僕が気をつければいいだけなんだけどね。

できるだけ頑張ってみるよ」

「はい、頑張ってくださいね」

「了解。」

そんな会話をしているうちに、目的地が近づいてきた。

 

 

 

「へぇー…あれが紅魔館…」

その建物は洋館で、

湖の外れにどん、と建っていた。

そして、使われているレンガは全て赤。

門の鉄柵以外ほとんど真っ赤な館だった。

湖のほとりに降り立った一行。

「とりあえず案内はここまででいいかな。

みんなありがとう!」

礼を言う幻佑。

チルノが、

「じゃあ、また今度なー!

今度はアタイと弾幕ごっこ、しよーなー!」

元気にそう言った。

「分かった!覚えてたらね!」

…覚えてないやつのセリフやん。それ。

「では、気をつけて!」

「またななのだー」

「またねー!」

こうして4人は、人里の方へ帰って行った。

「さて…気を引き締めて行こうか」

幻佑も、紅魔館へ向かって歩き始めた。

その先には一体、何が待ち受けるのだろうか…




うちのお盆は竹を切るところから始まるのでめちゃ忙しいです…
それでも1年放置はもう二度とないと思うので
次回も、よろしやす!()


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2章 紅魔館編
13話 門番


投稿サボってすいませんでした()
前置き無しで、どうぞ。


紅魔館へと続いているであろう道を進む幻佑。

「しっかし、本当に真っ赤なこと…」

近づいた所為かより鮮烈な赤に見えてきた。

「内装とかどうなってるんだろう」

見かけによらず普通なのか、それともこんな感じで真っ赤なのか。

「後者だとキツそうだなぁ…」

そんなことを呟きながら、幻佑は歩いた。

 

 

門前までたどり着くと、一人の女性がいた。

緑が基調のチャイナ服を着ていて、

被っていた人民帽には『龍』の文字が入った星がついていた。

とりあえず、声をかけてみる。

「あのー、すみません」

「………」

返事がない。無視されてるんだろうか。

「あのー、すみませーん」

「…………」

うーん、ただの人間には興味が無いとか、そんな感じなんだろうか。

「あのー、すみませーーん」

「……………」

ここまで来るともう寝てるんじゃないだろうか。

「あーのー、すーみーまーせーんー」

「zzz………」

「ほんとに寝てたっ!?」

道理で声をかけても反応がないわけだ。

というか、立ったまま微動だにせず寝るってどんだけ体幹いいんだろう…

しかし、どうしよう…

とりあえず揺すってみたものの無反応。

声を上げても身動ぎひとつもしない。

どうしたものかと思っていたら、門の前に張り紙が。

「どれどれ…」

読んでみた。

《門番が寝ている場合はこちらのベルを鳴らして下さい》

「ベル…?あ、これかな」

張り紙のすぐ横にボタンがあった。

「ポチッとな」

躊躇なくボタンを押した幻佑。

すると、

 

ヒュッ

 

と一瞬音がしたかと思うと、

ドスッ 「あ痛っ」

次の瞬間には後ろの女性の頭頂部にナイフが突き刺さっていた。

…ナイフが突き刺さっていた!?

「大丈夫ですか!?」

慌てて女性に駆け寄る幻佑。

「あたた…いえ、いつもの事なのでお気になさらず」

女性の方は目が覚めたのか、頭のナイフを抜きながら受け答えしてくれた。

「いつもの事なのか…」

こんな日常で大丈夫か…?

「大丈夫だ、問題ない。」

「なんでわかったんですか…?」

幻想郷は古のネタすらも受け入れるのだろうか…

 

 

 

「それで、どういったご要件で?」

その女性に訊ねられた。

「あ、僕は究 幻佑と言います。最近外の世界から幻想郷に来ました。

ここの主のレミリアさんにご挨拶をと思ってやって来ました。」

いつもの挨拶の後に、要件を伝える幻佑。

「お嬢様に挨拶…でもあなた、見た感じ普通の人間ですよね?」

「はぁ…それがどうかしましたか?」

それを聞いて女性の目に警戒の色が宿る。

「貴方はお嬢様が吸血鬼と知ってここへ来ているのですか?」

「ええ、まぁ。」

「それをどこで?」

女性の口調が厳しいものになってきた。

…うーん、ヴァンパイアハンターかなんかと

勘違いされてる気がしてきた。

とりあえず誤解を解いておかないと

いけないかな…?

そこで、

「ここに来る前に、霊夢──博麗霊夢に、幻想郷の各所に挨拶回りするならここからでいいんじゃないかみたいなことを言われたので、それでチルノたちに案内して来てもらいました。」

と、霊夢やチルノの名前を出してみた。

「ほう…博麗の巫女が…あと、あの子たちが…」

彼女は少し思案した後、

「分かりました。少し確認を取ってきますね」

そう言って、館の中へと入って行った。

「…誤解は解けた、のかなあ…」

少し心配になる幻佑だった。

 

 

 

しばらくして、女性が戻ってきた。

…のはいいんだけど、またナイフが刺さってた。

「………」

「大体の事情は分かりました。」

あ、そのまま続けるのか…

「分かった…というのは?」

「咲夜さんがお嬢様からの言付けを頂いていたみたいで、入っても良いらしいですよ。」

「そうですか…ありがとうございます」

案外平穏に事が進みそうだ…

「ただし」

「…ただし?」

そう言うと、彼女は構えを取って、

 

「ここを通りたくば、私を倒してから行け!」

 

キメ顔でそう言った。

「…??」

えっと…どういうこと?

困惑する幻佑。

「ああ、そういえばまだ名乗っていませんでしたね。

私は美鈴。紅 美鈴といいます。」

「あ、はい…」

ってそうじゃなくて。

「えっと、私を倒してから行け…というのは?」

「そのままの意味です。私と勝負して、勝てばここを通っていいそうです」

その女性──美鈴はそう言った。

「じゃあ、負けたら…?」

「…その時は、お引き取りお願い致します。」

「マジですか…」「マジです。」

となると、負けられないな…

「どうします?引き返すなら今ですよ?」

美鈴はこちらを気遣ってくれてる。

でも…

「やります。」

覚悟を決めて、言い切った。

「承知しました…っと」

美鈴が大きく跳躍し、間合いを開けた。

「いつでもどうぞ!」

どうやら、先手はこちらにくれるらしい。

「しかし、どうしようか」

姿格好や体幹の良さなどを見る限り、

美鈴は恐らく格闘技を主体として戦うタイプだと思われる。

「あいにく空手も合気道もやったことないしなぁ…」

さて、どうしたものか。

(落ち着け…朝からやってきたことを思い出すんだ…)

作ったスペルカードの中に、解決策がないか探す幻佑。

(モンクや空手家の技系統は…ダメだ。

アビリティという付け焼き刃じゃあ

あの人には恐らく敵わないだろう。となると…)

その時、ひとつの策が幻佑の頭をよぎった。

(そうか、あれなら!

でも…こんな方法を使っていいのかなぁ…

まあいいや。物は試しだ!)

そう思い、幻佑が声高らかに宣言した、その策とは──

 

 

「英雄召喚VI:『マッシュ・レネ・フィガロ』!」

──次元の狭間が、開かれる。

 

 

 

 




謎のあとがき空間にて────
作者「この後の戦闘描写に自信がないんだけど、どうしよっか?」
幻佑「知らないよ…戦闘するのは僕じゃn」
作者「おっとそれ以上はいけない」
幻佑「えぇ…」
作者「まぁ戦闘開始まではあと1話あるし、
読み直して変だったらもうちょい変更を加える予定だよ」
幻佑「まぁ、頑張りたまえ」
作者「その上から目線はなんなんだ…
…ぼちぼち頑張りますか」
幻佑「だそうなので、楽しみに待っていてくださいね〜」
作者「それでは…」
2人「「また見てね!」」


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14話 マッシュ・レネ・フィガロ

こんにちは。
今回はいつもよりは文量多めです。
そらそろ受験が近づいてきて気持ちが落ち着かない今日この頃。
本編、スタート。


幻佑が宣言した瞬間、

『次元のはざま』が出現した。

そして、そこから現れたのは…

「ん…ここは?」

引き締まった筋肉を持つ身体に、

実は意外と濃い顎髭を剃り上げた、

逞しい顔つき。

紫のタンクトップにアラジンパンツを

身につけた男。

「よ。マッシュ」

マッシュ・レネ・フィガロ、その人であった。

 

 

話は幻佑がスペルカード製作に勤しんでいた時に遡る。

「ふぃー…。とりあえず召喚魔法はこんなもんかな?」

召喚魔法のカテゴリ内の魔法をいくつか試した後、一息ついた幻佑。

「そういえば、斬符『超究武神覇斬』を最初のスペカとして使ったはいいものの、

技の元の本人にまだ会ったことすらないんだよなぁ…」

あの技がなければ幻佑はここはいなかったのかもしれない。

そう考えると、

何故だか無性に「あの人」に会いたくなった幻佑。

「もしかしたら…呼び出せたりしないかなぁ…?」

物は試しである。

幻佑はメニュー画面を漁った。

そして、

「お…これは…」

目当てのものが見つかったようだ。

「よし、早速試してみよう!」

呼び出したい人の名前をアビリティに組み込んで、

発動させる──

 

「英雄召喚VII:『クラウド・ストライフ』!」

 

幻佑がアビリティを発動させると同時に、

何も無い空中にぽっかりと穴が空いた。

少し離れた場所にいた霊夢が目を丸くして、

「は!?…それってもしかして…『スキマ』!?」

と叫んだ。

「?  スキマって?」

幻佑が首を傾げる。が、

「まぁいいや。

それはおいおい説明してもらうとして…」

そう言って視線を元に戻すと、ちょうど「彼」が出てくるところだった。

スタッ…

「ここは…どこだ?」

そして出てきたのは、チョコボ頭の元ソルジャー。

(おおおおおお!キタキター!)

実験大成功。

こうして彼は、クラウド・ストライフ本人を召喚することに成功した。

「…あんた誰だ?」

 

〜少年事情説明中〜

 

「つまり、俺はあんたの能力で

ここに呼び出された、というわけか?

特に何の用事もなく」

事情説明を終えて、彼も現状を把握してくれたようだ。

「まぁ、そうなるね」

「…じゃあ、帰らせてもらうぞ」

クラウドが素っ気なく言った。

「え?もう帰るの?なんで?」

残念そうな幻佑。

「何故って…依頼のない奴の相手を

いつまでもしている訳にはいかないだろう?」

良くも悪くも仕事人間なクラウドであった。

「ちぇーっ…まぁ、いいや。

急に呼び出してすまんかったな」

そして、クラウドは元来た穴へと向かって行った。

「じゃあ、またね」

「ああ。また、かどうかは分からないがな」

そう言って、彼は元の世界へと帰っていった。

 

 

その光景を見ていた霊夢が、ようやく口を開いた。

「…あんた、一体何したの?」

額にはうっすら井桁が浮かんでいる

…ように見えた。

「何…って言われても、説明しようと思ったら

ちょっと長くなるかなぁ…」

「一言で説明しなさい」

さいですか…

「ええっとね…

別の世界から特定の人物を召喚した、

ってとこかな?」

「召喚…ねぇ…?」

なぜか胡散臭い目を向けてくる霊夢。

「…なんでそんな疑わしげなの?」

「………1人、いるのよ。

あんたがさっきやって見せたみたいに

自分やあらゆる物を『スキマ』を

介して中に行き来させることが出来る奴が。」

「へぇ、すごい能力だね…それ」

それを聞いて幻佑は感嘆した。が、そのあとの霊夢の言葉で幻想郷に来て最大級の驚愕を覚えることになる。

 

「そいつの名は八雲紫。

『境界を操る程度の能力』をもつ妖怪で、

この幻想郷を作った奴らの内の1人よ。」

 

「え?いやいやちょっと待ってくれ、幻想郷を作った張本人!?物凄い重鎮じゃないのそれ…というかなんで霊夢がそんなこと知ってるの…?」

混乱のあまりせわしなく動揺や疑問が溢れ出す幻佑。

「…知り合いなのよ。というか、博麗の巫女自体あいつが幻想郷そのものの維持のために

作り出したものだし。」

霊夢が何故か心底気怠げな顔をして言った。

「えええ…思考が追いついていかない…」

幻佑は考えることを半ば放棄しつつあった。

「そんなに難しく考えなくてもいいわよ。

アレは何考えてるか全く掴めないし、

普段はのらりくらりとした奴だし冬眠もするし…

この幻想郷でも指折りの変人よ。」

「…いいの、そんなこと言って…」

「大丈夫よ。

聞かれてたってあいつは気にかけやしないわ」

それでいいのかなぁ…

 

その後、今後呼び出す機会がありそうな人には

何人か声をかけておいた。

というか、シリーズごとのメインキャラ

ほぼ全員呼び出した。

幸いにも揉めるようなことはなかったのは良かった。と思いたい。

「…紫に後でなんか言われそうね」

霊夢が小声でなにか言ったが、よく聞こえなかった。うん、何も聞いてない。

余談だが、1部ボスやラスボス陣営の人々

(エクスデスとかケフカとか)は呼び出せなかった。

そりゃ当たり前かとも思ったが、意外なことにセフィロスは呼び出せたし、初日にオメガも呼び出せていた。

(ボーダーラインはなんなんだろうか…?)

 

 

 

 

そして現在に戻る。

「おー、幻佑か。早速俺の出番か?」

マッシュが聞いてきた。

「ああ。そんなところだ。」

そう言って幻佑は目の前の光景を見て

目を丸くしている美鈴の方を指さし、

「あの人と戦って欲しい」

と言った。

「え?それ本気で言ってるのか?」

「うん。あいにく僕には格闘技の心得がないから」

情けないことを言うんじゃない、幻佑…

「…成程ね。分かった。でもなぁ…」

了解はしてくれたが、

すぐに気難しい顔になったマッシュ。

「でも?」

「…いくら腕が立つ人でも、女性だとなぁ…」

「あー…」

このマッシュ、見てくれは筋骨隆々で熊みたいな男だが、

中身は心優しいナイスガイかつ紳士なのだ。

(余談だが彼の兄はナンパ性の国王である。)

「だけど、同じ格闘家として

そんな気遣いはむしろ失礼かもな」

そう言って、マッシュは美鈴の方へと向き直った。

「話は纏まりましたか?」

「ああ。

幻佑に代わって俺があんたの相手をするぜ」

お互いが向き合う。

二人の間を、風が吹き抜けた。

「がんばれー、マッシュー」

自分は見てるだけなのでお気楽な幻佑。

「合図、どうする?」

「そうですね…」

幻佑のことは気にしない事にしたらしい。

「では、こうしましょう」

美鈴はそう言って、

さっき自分に刺さっていたナイフを取り出した。

「このナイフが落ちてきたら始めましょうか」

そして、それを結構な勢いをつけて上に放り投げた。

「…しばらく戻って来ないんじゃないか?」

マッシュが問いかける。

「そうかもしれないですね。

では今のうちに心の準備でもしておいて下さい」

美鈴が僅かに挑発の色を含んだ言葉を返した。

「…ああ。是非ともそうさせてもらうぜ。」

 

 

 

「そういえば、まだ名乗ってませんでしたね」

美鈴が言った。

「おっ、そういやそうだったな。

俺はマッシュだ。マッシュ・レネ・フィガロ。

よろしくな!」

そう言いながら、マッシュは腰を浅く落として両腕を前に構えた。

「いい、名前ですね。私は紅 美鈴。

レミリアお嬢様に仕える、ただ1人の門番です」

美鈴も返しつつ、腰を深く落として半身を後ろに引いて構えた。

辺りが静まり返り──

 

 

ザクッ

 

 

──二人のちょうど真ん中に、ナイフが落ちた。

戦いの火蓋が、切って落とされた。




14話おまけ
幻佑がクラウドを呼び出した直後の話。


「──紫様!?」
異変に気がついた藍が、主の元へと駆けつけた。
「…ええ。気付いているわ。恐らく『彼』ね」
主──八雲紫は、至極冷静に答えた。
「大丈夫よ。『現世』とは繋がってない。
ただ、別の世界との繋がりを作ってしまっているみたい。」
紫のその言葉を聞いて、藍の顔が険しくなる。
「それは…少々まずいのでは?」
「ええ。でも、彼は凄いわね。
目的の存在のみを完全に呼び出している。
私の能力ほどではないけれど、なかなか侮れないわね…」
紫はそう言いつつ、持っていた扇を閉じ、
妖艶な笑みを浮かべた。
「これは…近々こちらからご挨拶に伺う必要がありそうね。
ふふふ…」
幻佑の苦難は、まだ始まったばかりであった。


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15話 格闘家と格闘家

スマブラにセフィロス参戦して最高にハイッてやつになってる今日この頃です。
スマブラSP持ってないんですけどね…
それでは本編、どうぞ。


 

 

まず駆け出したのはマッシュだった。

鍛え上げた脚力をフル活用して

一瞬で美鈴の前へとたどり着き、

「先手必勝!」

その勢いを殺さぬまま右腕を振り抜いた。

もちろん、美鈴も

指をくわえて待っていた訳ではなく、

「ふっ!」

構えの姿勢から一瞬で右脚を振り上げ、

マッシュの拳に合わせた。

バシッ、という肉を打つ音が辺りに響く。

「やるな…!」

「そちらこそ…っ!」

美鈴が右脚で払い除け、返す拳をマッシュが左腕で受け止める。

だが、受けきれないと判断したのか途中で受け流した。

そのままお互いに距離を取る。

「っ痛ぅ…なんちゅうパワーだ」

マッシュが左腕を軽く振った。

「…ただの人間に、

生身で攻撃を受けられたのは初めてですよ」

「へへ…そいつぁーどうも…っと!」

マッシュは再び美鈴に突撃していった。

 

 

 

(今の攻撃、普通の女の人には出せる威力じゃあなかったな…

一体どんな鍛錬をしたらあんなに練度の高い拳が出せるんだ…?)

マッシュは、美鈴の蹴り上げを上体を逸らして躱しつつ、考えていた。

先程受けたパンチは、自分があと少し気を抜いていたら

受けきれずに左腕に少なくないダメージを貰っていたであろう、重い一撃だった。

(とにかく、一撃一撃に集中しよう…

意識して受ければ負傷することはないはずだ)

そう冷静に判断しつつも、マッシュの心は不思議と高揚していた。

(それにしても、幻佑に呼ばれて来て良かったな。

対人格闘でここまで強い相手は師匠やバルガス以外に今までにいなかったし…

もしも聞く機会があったら、どんな鍛錬してるのか聞いてみたいぜ)

そんなことを思いながら、意識を目の前に切り替えた。

 

 

 

(この男…本当に人間なのでしょうか?

今まで戦ってきた人間の格闘家の中で一、二を争う程、力強く、とても洗練された動きをしている…

さっきの拳撃も本気ではなかったとはいえ、

普通の人間が受けるにはかなり厳しい威力だったはずなのだけれど…

むしろこちらが気を抜いたら、難なく拳が跳ね除けられそうですね…)

一方美鈴も、躱された蹴り上げを踵落としへと派生させつつ、感心していた。

それも躱されるのを見て、

(早くも動きが見切られつつある…?

成程、これは久しぶりに楽しい闘いが出来そうですね!)

高揚感に意識を浮かせていた。

(それにしても、一体どんな鍛錬をしたらこんな動きができるんでしょうか…

この後機会があれば聞いてみたいものですね)

そして、マッシュと同じようなことを考えてながら、追撃を繰り出して行った。

 

 

「すごい…どうなってるんだあれ…」

戦いを離れた場所で見ていた幻佑は、

2人の人間離れした動きにただただ脱帽していた。

自分のようなアビリティに頼りきった動きではなく、

長年積み重ねた鍛錬によって生み出される

精巧緻密な完成された動作。

そのぶつかり合いは、さながら二人舞のようであった。

「あんな動きが…できるようになれたらなぁ…」

羨ましさ半分、興味半分で、幻佑は二人の戦いを観劇していた。

 

 

 

ドゴッ!バシッ!ガツッ!

といった生々しい音を響かせながら、

十合、二十合、三十合…と、互いの拳を、脚を、

交わしてゆく。

何度もの交差の後、お互い飛び退き、間合いを取った。

「流石、と言うべきか?

まぁ、まだ本気じゃあないんだろうけれどもな」

マッシュが美鈴に問う。

「そちらこそ、並大抵の人間より素晴らしい

動きをしていますよ。

それに、全力でないのは貴方もでしょう?」

美鈴が問い返す。

「そうかも…な?」

それに対してマッシュはニッ、と歯を見せて笑いながら言った。

「…いいでしょう。あなたに敬意を表して、

ここからは全力で行かせて頂きましょう!」

そう言い、美鈴が呼吸を切りかえる。

「スゥゥゥゥゥゥ……コォォォォォォォ……」

そして───

 

「ハッ!」

美鈴の全身を、力の奔流が走り抜けた。

 

「あれは…?」

幻佑は目の前で起きた美鈴の変化に、ただただ驚いていた。

「……気功術か!」

マッシュはそのタネに気がついたようだ。

「御明答。私の能力は『気を使う程度の能力』。

もとより気功術は、私の得意分野です」

気功術。中国において、『気』を用いて怪我や病気の治療などを行う、伝統深い技能。

『気』の扱い方次第では、敵の奥深くへとより大きいダメージを与えることも可能らしい。

美鈴はそれを用いて、己の身体能力を引き上げたのである。

それを見たマッシュはというと…

「まさかここでお目にかかれるとは…

へへへっ、俄然やる気が出てきたぜ!」

やる気に満ち満ちていた。

そんなマッシュを見て、

「おや、何もしなくていいのですか?」

見ているだけだったのが意外だったのかそう声を上げた。

「ああ。まだ大丈夫だぜ」

彼にも何やら手はあるようだが、まだ余裕を見せている。

「そうですか…では、行きます!」

言い終わると同時に──

美鈴がマッシュの前に出現する。

「なっ…!?」

動揺するマッシュ。

美鈴は、その隙を見逃さなかった。

「ハァァッ!」

 

ドゴオッ…!

 

マッシュが殴られたと気づいたのは、

数メートル吹き飛ばされた後であった。

「ぐぅっ…ッッ!」

何とか体勢を立て直し、着地した。

「ゲホゲホッ…っ痛ぇ」

殴られた腹のあたりを抑えて蹲るマッシュ。

咄嗟のことで防御は間に合わなかったが、

無意識のうちに後ろに体をずらしていたため

内臓への深刻なダメージは避けられた。

(だが、かなり体力が削られた感覚があるな…

直接攻撃とはまた別に体力を持っていかれたような…)

パンチ1発でここまで体力が削られるのは妙だ。

刹那の思考の後、

マッシュは一つの結論にたどり着いた。

(もしかすると、『気を使う程度の能力』、か?)

己の気を流し込むことで相手の体力を消耗させているのかもしれない。

(だとすると、近接格闘とこれ程噛み合った能力ってのは恐ろしいもんだぜ…)

そんな胸の内を知ってか知らずか、美鈴が、

「やはり流石ですね。

腹に風穴が空くかどうかギリギリの力で打ったつもりだったのですが」と言った。

それを聞いたマッシュの顔が青くなる。

「おいおい…それは大丈夫なのか…?」

「貴方なら大丈夫かと思いまして」

「買い被りが過ぎるぜ…」

スペルカードルール的にも大丈夫じゃない気がするのだが、そこは目を瞑ろう。

「まだこれは普通の拳ですが、

これに弾幕を上乗せすることもできますよ」

美鈴が少し自慢気に付け足した。

「そいつぁすげぇな…よし。

俺もやられっぱなしじゃぁ居られねぇな。

いっちょアレやるか!」

美鈴の本気が、マッシュの闘志の炎を滾らせた。

腕をクロスさせ、声高らかに宣言する。

 

 

 

「行くぜ!『爆裂拳』!」

 

 

次の瞬間、

「──!!!」

美鈴の視界は、無数の拳に覆い尽くされた。

 

 

 

 




この話で出て来たキャラはマッシュなのですが、最初の時点ではティファとどっちにしようか悩んでいました。
とある事情にてマッシュが選ばれた次第です。
その事情とは…?
それが分かるのはもう少し先になりそうです。


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16話 全身全霊

受験…はわわわ…
続き、どうぞ
(あとがきはお休みです)


16話

 

 

爆裂拳───

コマンド『ひっさつわざ』にて←→←Aの順番でコマンドを入力することで発動する技『ばくれつけん』。

敵単体に防御力無視の必中攻撃を行え、

序盤から活躍する技のひとつである。

 

 

「なっ…くっ…」

美鈴は、先程までとは明らかに違う速度で自分へと襲いかかる拳の嵐をなんとか捌き続けていた。

先程まであった余裕はとうに消え去っていた。

(まだこんな手を隠していたなんて…)

そして、

「オオオオオオオオオオオオッ!」

マッシュが叫ぶと同時にさらに拳の速度が加速する。

(不味い…捌ききれない…っ!)

ついに美鈴へ一撃が入る。

ドガッ、という鈍い音と共に、その拳が美鈴に突き刺さった。

「がふっ…」

(なんて…重い一撃…)

だが、そこで攻撃が止むことはなかった。

次から次へと、彼女へと容赦ない攻撃が入り続ける。

「ハァァァァァッ!」

ドッッ…!!

最後の一撃で、美鈴を吹き飛ばし返した。

そのまま、門へと勢いよく激突する。

ドゴオッッッ!

「がはっ…!!」

その一撃は、レンガ造りの門に彼女の

身体がめり込むほどの威力だった。

「しまった…!やり過ぎたか…?」

熱中するあまり力加減が上手くいかなかったのか、マッシュが焦っている。

「大丈夫か!?」

マッシュが慌てて駆け寄ろうとしたが、

「大丈夫です…よ…っ!」

その前に美鈴が答えた。

自力で体を下ろし、構え直した。

ふらつきは残っているようだが、

その瞳にはまだ闘争心が漲っていた。

再度、お互いが向き合う。

 

 

(あれだけの拳撃を叩き込んだのに、まるで倒れる気配がない…

一筋縄じゃあ行かないって訳か。)

ばくれつけん以外にも必殺技はあるのだが、

この状況では恐らく1つを除いて

決定打にはなりえないだろう。

そのひとつも、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりただもんじゃねぇな、あんた」

「その言葉、そっくりそのままお返ししますよ」

軽口を叩き合う2人。

しばし睨み合った後、

「次で最後にしましょうか…!」

「そうだな…!」

そう言って、

2人は最後の大技に向けて力を全開にする。

「「ハァァァァ…!」」

互いが異なる力をを纏った。

そのまま2人が目にも止まらぬ速度で駆け出す。

「行くぞォォッ!『タイガー…」

マッシュが脚に宿すは、猛虎の気魄。

「行きますッッ!気符『地龍…」

対する美鈴が脚に纏うは、龍神の気魄。

その人間離れした脚力をもって、美鈴が飛ぶ。

美鈴が上で、マッシュが下。

天高くから急降下する美鈴を、マッシュが迎え撃つ。

そして──

 

 

 

「ブレイク』ッッッ!!」

「天龍脚』!!」

 

 

 

一閃。

 

交錯。

 

 

 

 

二人が地面に降り立った。

静寂が辺りを包み込む…。

 

 

 

 

 

「……お見事、です」

そう言ってバタリとその場に倒れ込んだのは、

美鈴だった。

「ハァ…ハァ…紙一重…だったぜ…ぐっ」

マッシュの方も無事…とはいえなかったようで、

その場に膝をつく。

『タイガーファング』が出るほどピンチだったようだ。

「大丈夫?」

今まで空気を読んで手出しをしなかった幻佑がマッシュの元へ向かった。

「ああ…大丈夫だ。

俺よりも美鈴…さんの方は大丈夫か?」

自分のことよりさっきまで殺し合いに近い戦闘をしていた相手のことを気にかけるマッシュ。

確かにすぐ起き上がって来ないのは

少し心配である。

「さぁ…とにかく行ってみよう」

2人は、美鈴の様子を見に彼女へ駆け寄った。

 

 

「うぅん…あと5分…」

「…大丈夫そうだね」

「そうだな…」

 

 

「この後のことなんだけど…どうしよっか」

「そうだなぁ…美鈴さん寝たままここに放置っていうのも」

 

 

 

 

 

「それじゃあ、気をつけて行ってこいよ」

「うん、十分気をつける。」

そう言って、幻佑は紅魔館の中へと入っていった……

 



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17話   紅魔館のメイド

この春から大学生になりました。
モチベある限りは投稿をつづける予定なので
ゆ っ く り し て い っ て ね
本編、どうぞ


 

「はぇー…物凄い広さだなぁ…

というか、内装がここまで赤いとは思ってなかった」

意気揚々と紅魔館の中へ入った幻佑だったが、

その広さと、赤さにただただ圧倒されていた。

「吸血鬼の館ってだけはあるのかな」

 

 

 

エントランスを奥へ進もうとした時、

「ようこそ、紅魔館へ」

前触れもなくいきなり幻佑の目の前に

銀髪のメイド服の女性が現れた。

「!」

突然のことに驚きを隠せない幻佑。

「失礼しました。私は十六夜咲夜。

レミリア様に仕えるメイド長でございます」

メイド長──十六夜咲夜が自己紹介をした。

「あっ、僕は…」

幻佑も自己紹介をしようとしたが、

「究 幻佑様ですね?」

先回りされた。

「え?なぜ僕の名前を…」

再び驚く幻佑。

咲夜が続ける。

「お嬢様─レミリア様の能力です。

今日貴方がここへ来ることも、お嬢様は予見しておられました」

「予見…?未来視の能力かな…?」

「いいえ。お嬢様の能力は『運命を操る程度の能力』です。

お嬢様は今日貴方がここへ来訪してくることが運命だと予見しておりました。」

幻佑の独り言に、咲夜が答える。

(ここに来ることが…“運命”だった…?

にわかには信じ難いけど…ここは幻想郷だし、

こんな能力が存在してもおかしくは無い…のかな?)

 

 

 

「それで、いきなりで申し訳ないのですが、

ひとつ、お願いしたいことがあるのです…」

ふいに咲夜が聞いてきた。

「問題ないですけど…一体何ですか?」

幻佑が答えると、咲夜はこちらを見据えて、

「私と手合わせしていただけませんか?」

と言った。

「…はい?」

たっぷり10秒は黙ってから、

幻佑はそれだけ答えた。

「ですから、私と勝負して頂きたいのです」

「なぜ…?」

首を傾げる幻佑。

「先程の戦闘であなた自身が戦っていらっしゃらなかったので、

まだお嬢様に会わせて良いのかどうか判断しかねているのです。」

その言葉に幻佑はしばし考え込む。

そして理由らしきものを思いついた。

「…吸血鬼ハンター、ですか」

幻想郷に来ているとはいえ、

その手の人間が幻想入りしていないとは限らない。

「それもありますね」

「それ“も”…他にもなにかあるんですか?」

という幻佑の質問の答えは、

「いえ…私個人が、

あなたと戦ってみたいと思っただけです

あれだけ強力な戦士を使役するあなたの強さは

一体どれほどなのか、と」

「………さいですか」

予想してたものとややズレた返答が

返ってきて拍子抜けした幻佑。

(マッシュは使役してる訳じゃあないんだけど…まぁ、あの門番─美鈴さんを倒したマッシュは確かに強いと思われてるだろうし。)

『マッシュが強いだけで自分が強い』と思われるのは正直なところ不本意である。

(というかそもそも、完全に自力で戦ったのって、凛子の時だけだった気がする…)

前回は完全にマッシュに任せていたし、

魔理沙の時はLA(ラストアタック)はオメガにやってもらったので、

ここら辺で最初から最後まで1度自力で

戦っておかないと経験にならなくてヤバそうである。

(覚悟を決めよう)

そう、決心した。

 

 

 

 

「それで、お受けしていただけますか?

NOと答えられても、一応お目通しはさせて頂けますが」

咲夜からの問いに、幻佑はキッパリと、こう答えた。

 

 

「もちろん、答えはYesです。」

 

 

その答えに、咲夜は微笑を浮かべ、

「ありがとうございます。

では、準備をしていてください」

そう言って、次の瞬間居なくなった。

「…どういう原理なんだ?」

咲夜が何らかの能力を持っていることは確実だろう。

恐らくこの館で唯一の『人間』で、メイド長を任されているような人物が『能力なし』とは到底思えない。

(考えられるのは瞬間移動する程度の能力、

と言った感じの能力だけど、それは恐らく違うと思う。)

咲夜の能力について幻佑は何か感じ取ったようだ。

(まだ分からないけど、とにかく対策は万全にしておこう)

そう考え、幻佑は準備を始めた。

 

 

 

 

数分後、咲夜が戻ってきた。

「準備は整いましたか?」

そう聞いてくる彼女の手には、

数本のナイフが挟まっていた。

幻佑は、そのナイフに既視感を感じた。

「そのナイフは…」

「?…ああ、これですか。

何故吸血鬼のメイドが銀製のナイフを持っているか不思議に思われるかもしれませんが、

諸事情あってお嬢様から携帯を許されているのです」

「へぇー…」

って、そうじゃなくて。

「そのナイフ、どこかで見たようなって

思ったんですけど、美鈴さんの頭に突き刺さってたのと同じナイフですね…」

気になっていた既視感の正体がわかった。

となると、さっき美鈴にナイフを突き刺したのはこの人で間違いないだろう。

「ええ、そうですね。その際は

こちらの門番がご迷惑をおかけしました…」

そう言ってこちらに向かって一礼する咲夜。

「いえいえ、大丈夫ですよ…

…もしかして、いつもああなんですか?」

幻佑が聞くと、

「ええ…そうですね…」

彼女は何かをこらえるような表情で言った。

「…大変ですね」

 

 

 

 

「それでは、始めましょうか」

咲夜のその言葉を聞いて、

改めて緊張感が張り詰めてきた幻佑。

「よろしくお願いします」

そう返し、幻佑もあるナイフを出して構えた。

「あなたもナイフを?」

「いえ、下手にデカい武器出しても持て余しそうなので、

まずはナイフから使い慣らしていこうと思っただけです。」

咲夜の主要武器がナイフだったのは正直想定外だったのだけれど。

咲夜は、目を細めて

「成程…ではそちらからどうぞ」

とだけ言った。

(いかにもナイフの扱いが簡単であるかのような言い方しちゃったよ…

でもなんでだろうか…

初めてナイフを持った感覚がしない、っていうのは)

こちらに来る前は一体何をしていたのだろうか、と考えると少し背筋が寒くなるが、今は目の前の敵に集中することにした。

「フゥゥ───」

深呼吸。

 

「行きます!」

幻佑は咲夜へと────

 

 

 

 

「幻符『殺人ドール』」

 

 

 

駆け出した─のだが、

「……!!?」

急に幻佑の前方に大量のナイフが展開した。

そのまま幻佑へ向かって

突然の事で動揺する幻佑だったが、

「なん…のっ!」

体をひねり、走り出そうとした勢いを利用してコマのように回転した。

ガガガガガガキン!

複数のナイフを叩き落としたが、

「くっ…数が多すぎる…!」

まだ無数のナイフが迫ってくる。

幻佑は、スペカを1枚、取り出した。

「弾幕には…弾幕をっ!」

そして宣言する。

「てきのわざ『マトラマジック』!」

周囲に無数のミサイルが展開し、

ナイフへ向かって飛んでゆく。

ドドドォン…

「よし、ほとんど落とせた」

それでも抜けてくるナイフはあったが、

数本程度なので落とすことが出来た。

(そうだ。ちょっと貰っておこう)

落としたナイフを数本回収する幻佑。

「避けることに専念するかと思っていましたが、まさか全て撃ち落とされるとは…

少々驚きました」

そう呟く咲夜は、

今立っている位置から1歩も動いていない。

「それはどうも…」

(ナイフが急に現れたってことは、

少なくとも瞬間移動やPKの類の能力じゃないってことは確かかな)

バックステップで後退しつつ、熟考する幻佑。

(後考えられるのは、咲夜さんがものすごい速さで動いて大量のナイフをばらまいているか、このエントランスにナイフが大量に仕込まれているか──)

そこまで考えて、幻佑は何か引っかかりを感じた。

「ん…?速さ?」

「どうかしましたか?」

考えが声に出ていたようだ。

「いえ、あなたの能力について何かをつかみかけたんですが…」

幻佑がそう言うと、咲夜は目を少し見開き、

「もう看破されかけているとは…

流石、と言うべきですか」

と言った。

「こちらも出し惜しみをしている場合ではないですね」

そして、片手に何本ものナイフを構えて、

もう片方の手に持つスペルカードを宣言する。

 

「幻在『クロックコープス』」

 

幻佑はその宣言を聞き逃さなかった。

(クロック…時計…ってことはまさか…)

考える暇もなく、

またも突然にナイフが飛来する。

さっきよりナイフの数は少ない。

しかし、今度は判別のしづらい小さな弾が織り交ぜられている。

「小型弾まで…!」

慌てて幻佑は上方向へ飛び上がる。

しかし、これは悪手だった……




授業で使う用のパソコンを買って貰ったので
原作ちょちょっとやる予定です


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18話   時

おのれコロナ…ゆ゛る゛さ゛ん゛っ゛!
…事情はあとがきで。
それでは本編、どうぞ



 

飛び上がった直後、幻佑はその判断を後悔した。

(しまった!弾幕戦闘中に空中戦は不味い…!)

地上なら地面があるので反射する弾や地中を透過するような弾がない限り基本的に相手の後ろや地中に弾幕を張ることは不可能だが、

空中なら話は別である。

ましてや自分が地上にいるなら尚更好都合。

焦る幻佑の様子を見て、

咲夜がニヤリと笑った気がした。

次の瞬間、幻佑の四方八方をナイフと弾幕が囲う。

「チェックメイト、ですわ」

全方位からナイフと弾幕が迫る。

「畜生っ…!」

幻佑はやむ無く、ナイフを増殖して投擲し、迎え撃つ。

が、それだけでは焼け石に水。

抜けてきたナイフに対応出来ず、何本か被弾してしまう。

「くっ……」

そのまま墜落してしまった。

相当な痛みを覚悟した幻佑だが、

「っ…痛…くない…?」

訪れるであろう痛みは、起きなかった。

その代わり、ナイフが刺さった場所に妙な違和感を感じる。

幻佑はこの現象に心当たりがあった。

それは博麗神社で魔理沙と戦った時、マスタースパークの直撃に遭った足が動かなくなった時のことだ。

当時は魔理沙に手加減されてたのかなと思ったのだけれど、

今考えてみたらあれは生身の人間に直撃したら火傷じゃ済まなさそうだった。

気になってHPを確認してみたら、ほんの少し削れていた。

(つまり…一定の負傷はHPが肩代わりしてくれるって事?

しかも回復手段もあるし…)

だとしたら、HPアップが生命線になりそうだ。

更に、“あの”ナイフを使えば…

幻佑は立ち上がり、ナイフを引き抜く。

血は──流れない。

刺さっていた場所に出来た刺し跡も、徐々に塞がっていく。

その光景を見て、咲夜が驚愕する。

「貴方…!?」

幻佑は咲夜の方を向いて、

「そういう能力体質みたいです」

と苦笑した。

 

 

 

「それと、あなたの能力について、多分見当がつきました」

幻佑は追い討ちをかけるように言う。

「今それを言いますか…」

先程の衝撃的光景が忘れられないのだろうか、

咲夜が苦い表情で返す。

「一応聞かせて頂きましょうか」

「…あくまで上からなんですね」

そして幻佑は咲夜の方を見据え、言い放つ。

 

 

「あなたの能力は…『時間を操る程度の能力』ですね?」

 

 

 

「…………

驚きました…

まさか能力名を丸ごと当てられるとは…

貴方、本当に何者ですか?」

口元に手を当てて驚く咲夜。

「普通の人間じゃないことだけは確かです…

それと、能力名は予想でしか無かったんですけどね」

苦笑いする幻佑。

「というか、わかったところで対策はほぼ無いんですけどね」

そうなのである。

実際問題、普通に時間停止に対抗する手段は、止められる前にヤる、くらいしかないのだ。

もちろん、そんなこともほぼ不可能に近いわけで…

 

「わかったとか大見得切ったのはいいんですけど、何も現状の打破にはなってないんですよね…」

 

「………………」

「………………」

 

二人の間に沈黙が流れる。

 

 

 

無言で咲夜がナイフを構えた。

「……変化型『エターナルミーク』」

そして宣言する。

今度は弾幕のみが飛んできた。

先程までのナイフ弾幕よりはいくらか速度が落としてあるようだ。

(?   これだけならいくらでも避けられ…)

とか思っていたら、途中で弾の半分がナイフへと変化した。

「うわわっ」

しかもナイフと弾幕のスピードが異なるので、避けにくいことこの上ない。

(うひぃ…これは厄介だ)

それでも幻佑は掠りながらも回避し続ける。

掠るたびに何か得点が貰えてる気がするのは気のせいだろうか。

「遠くから投擲したナイフじゃ致命傷を与えるのは厳しいわね…」

そう言って、咲夜が新たなスペルカードを使用せんとする。

(不味い…また止められる!)

幻佑は全速力で駆け出そうとした──

「これで終わりにしましょう。

『咲夜の世界』」

幻佑の判断も虚しく、幻佑の体が咲夜の5m手前で静止する。

止まった時の中で、咲夜が動き出す。

「いくら負傷を無視できたとしても──

致命傷となる攻撃を与えれば動きは止められるはず…!」

咲夜が呟き、幻佑の周囲、

とりわけ人間にとって致命傷となりうる場所を狙える位置を特に重点的ににナイフを展開する。

「そして時は──」

再び時間を動かそうとしたその時─

「ああああああああぁぁッ!」

「なっ……!?」

幻佑が突然叫び出したかと思うと、

周りに浮いていたナイフを吹き飛ばした。

「え…?」

咲夜は呆然として、

そのまま時間停止を解除してしまった。

「ハァ…ハァ…動けた…」

余程消耗したのか、肩で息をする幻佑。

「貴方…何を?」

咲夜が問う。

「『ストップ防御』と…『ヘイスト』の…応用です…ふぅ…」

そう。幻佑が咲夜の時間停止を打ち破ったのに利用したのは、状態異常防御のアビリティ『ストップ防御』と、白魔法『ヘイスト』である。

幻佑は当初『クイック』と同系統の時間停止にはストップ防御やヘイストによる上書き効果は効果を為さないと思って忘れ去っていたが、

土壇場のダメ元で両方使ってみたら一瞬ながら抵抗することができた。

「停止した時間に干渉するために集中をしすぎてしまって、ものすごく疲れましたけどね…」

 

 

「さて、そろそろこの戦いも終わらせましょう」

「終わらせる…?

時間停止に対する対策は思いついてないのに、どうしようというのです?」

咲夜が疑わしいというように言って来たので、

幻佑は、

「誰にでもできる対策なんて大層なものじゃぁありませんけどね」

と言って、持っていたナイフとはまた別の、刀身の青いナイフを生み出した。「ナイフ拾っといて良かった」

そして…

「ふぅぅぅぅ────フンッ!」

ザシュッ!

自分の腹に突き刺した。

「は……え…?」

咲夜が呆気にとられた表情になる。

「っっっ───はぁ…ふぅ。

痛みが軽減されてても…結構堪えるなぁ…これ…」

顔を顰める幻佑だったが、咲夜の方を見て、

「これは時間停止対策とは関係ないんですが───

このナイフの性能を、できるだけ引き出すために必要な行動でした」

幻佑がこのような行為に及んだ理由は、

いま幻佑が用いているナイフが、

あの『バリアントナイフ』だからである。

その特性は、「HPが減少するほど攻撃力が上昇する」というもの。

そのため、敵の攻撃を受けるよりはある程度安全にダメージを稼ぐためにわざわざ自傷行為に及んだのであった。

「ただ、このナイフの性能を見誤ってましたね…

おかげでHPが残り2割ですよ」

さすが悪名高いモグタ…もとい、バリアントナイフ。

一刺ししただけでHPが瀕死ラインである。

幻佑が防具を装備していなかったというのもあるが、そもそも防具の防御力はほぼ無視されるので意味はなかったか。

「本命は…これです!」

そしてその一手を発動させる。

「『タイムトリップ』」

 

 

 

 

──咲夜は自分の体に異変が起きたことを感じ取った。

「な…?体の動きが鈍く…?」

体を動かそうとするのだが、ピクリとも動かない。

「いや、違う…動きが鈍いのではない…

動けない…ですって?」

その事実が咲夜の動揺を誘う。

幻佑が、咲夜へ歩み寄る。

「僕が時を止めました」

「……!!」

咲夜は動けない。

「『タイムトリップ』は10秒だけ時を止めることが出来るアビリティ。

その時の止め方は少々特殊でして、

たとえ相手が停止耐性を持っていたとしても動きを止めることができます。

たった10秒。されど10秒です。」

幻佑はナイフを構え、

「この状況でなら…

貴方を行動不能にするには10秒で十分です!」

声高らかに宣言する。

「『ミラージュダイブ:連』!」

その技は、マッシュの仲間のロックの瀕死必殺技。

『たたかう』を選択した時、HPが一定値以下の場合に低確率で出る技で、某ひたすら楽したい人はボス戦でこれが出るまでリセットしたとか。

 

幻影のごとき剣閃が、咲夜を襲う。

「…!!」

だが、それが咲夜を直接傷つけることはない。

その代わり、咲夜の周囲に斬撃の軌跡が重なってゆく。

「残り…3秒!」

幻佑は息を切らしながら、次々と攻撃を繰り出す。

咲夜は時が動き出した時の対処を全力で考えるも、四方八方を斬撃に囲まれ、抜け出す穴を見つけることが出来ない。

そして、

「ハァ…ハァ…10秒経過!時よ、再始動せよ!」

ついに、時は動き出した──

 

 

 

─と同時に、咲夜によって再び時が止められた。

「っっっ───ハァ…ハァ…」

咲夜はその場に崩れ落ちたい衝動に駆られたが、

少し動いただけでも斬撃が触れそうな位置まで迫っていた。

「諦めるしかないわね──」

そう言って、咲夜は時間停止を解除した。

途端に、止まっていた斬撃が動きだし、咲夜を切り刻む──

 

「回避『テレポスワップ』」

 

直前に、その場から咲夜の姿が消え、数メートル先に現れた。

斬撃が何も無い空間で炸裂する。

「……え?」

何が起こったのか分からず、困惑する咲夜。

幻佑は、腕を下ろし、

「相手を殺すのは…ルール違反なので…」

そう言ってその場に倒れ込んだ。

「流石に…疲労が…限界…」

仰向けのまま、胸を上下させて息をする幻佑。

「この勝負…僕の勝ちで、いいですか?」

咲夜は逡巡する表情を見せたものの、

「……ええ、認めるわ」と言ってくれた。

「良かった…のかな?…よいしょ。

それで、僕について何か分かりましたか?」

幻佑は呼吸を整えて起き上がりつつ、咲夜に訊ねる。

咲夜は一瞬キョトンとした顔になったが、

「…貴方が面白い人間だってことは分かりましたわ」

そう言って、微笑んだ。

 

 

 

「それでは、お嬢様のところへご案内致し──」

咲夜がそこまで言ったところで───

 

ドッカァァァン……

 

どこか遠くから、爆発音が聞こえてきた。

 

「な、何事ですか!?」

慌てる幻佑だったが、

次の瞬間咲夜の方を見て絶句した。

「……あ  の  サ  ボ  り  魔  ッ  ッ  ッ……!!」

咲夜は満面の笑みを浮かべているように見えて、完全に目が笑ってない。

(怒りが頂点を通り越した時の笑みになっちゃってる…)

「大変申し訳ございません。

少〜々用事ができてしまいましたので、

しばらくの間ここでお待ち頂いてよろしいでしょうか?」

その笑顔を向けてこちらへ問いかけてきた。

「えっと、はい」

凄まれたような気分になり、

思わずそう答えてしまう幻佑。

「分かりました。すぐ戻りますので」

そしてそのまま一瞬でどこかへ行ってしまった。

数秒惚けていた幻佑だったが

「…流れで待つって言っちゃったけど、

やっぱり心配になってきた」

幻佑はどうしようかそのまま数秒思案した。

結果、

「よし、行ってみよう」

そう言って幻佑も、音が聞こえた方角へ走り出

「おっと、迷子になりそうで怖いな…」したと共に急ブレーキをかけた。

確かにエントランスだけでテニスできそうな位広いので、他の通路や各部屋もかなりの広さになるだろう。

「館内の見取り図みたいなのがあればいいんだけど」

当たりを見回してみても、そんな感じのものは見当たらない。

「咲夜さんが全部案内してくれるから必要ない、ってことかな…」

仕方なく、幻佑は闇雲に探そうかと考えたところで…

「うん…?…見取り図…地図…あ!」

突如閃いた。

「『魔法の白地図』があるじゃん」

魔法の白地図とは───

DS版FF4で追加された、いわゆるオートマッピング機能である。

各フロアを歩いていくと、白い部分が埋まっていき、到達率が100%になるとアイテムが貰える、といった代物だ。

手に入るアイテムはトレジャーハントを除けば全て消費アイテムだが、ゲーム内において戦闘を行わずにラストエリクサーを手に入れられる唯一の手段だったりする。

 

「どんな仕様になってるかわかんないのが不安だけど、物は試しだ」

早速幻佑は、魔法の白地図を作り出してみた。

すると、

「おっ、きたきた」

自分の立っている場所を中心に、だいたい円形の赤が現れた。

「流石に%表示は…ないよね」

むしろ貰えたらどうしようかと不安になっていたところだ。

「ん…これは?」

何やら矢印マークが地図の右上の方向にあり、地図の外を指していた。

「これは…Xのイベント矢印?

もしかして、色んな地図のハイブリット仕様だったりするのか…?」

ワールドマップの利便性が一気に増しそうである。

「とにかく向かってみよう」

幻佑は矢印の方向へ向かって歩き出した。




冒頭キレてるのはコロナのせいで2週間オンラインに突入しそうだったからです
その分編集は捗るかも?
…そもそも書き溜めだからいつでも出せるってのは内緒なんですけどね
ストックがないと不安になる性分なので
家にいる間にぱぱぱっと書く予定です。
ではまた。


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19話  魔法少女達

お久しぶりブリブリブリ大根ですわ!
…果たして待ってる人がいたのかどうかなんですけどね。
本編…どうぞっ


 

「ここかな?」

矢印が指す方向に進んで、大きな扉の前までたどり着いた。

扉の横にはすごく達筆な字で『Library』と書かれていた。

「ここは図書館か…」

中から何やら爆発音や、どこかで聞いたような弾幕の音が聞こえて来る。

「よし…入るか」

幻佑は、扉を開けた。

 

 

 

ドドドドドド…

2人の魔法使いが、弾幕を撃ち合いながら本棚と本棚の間を飛び交う。

「いい加減諦めたらどうだ?パチュリー」

パチュリーと呼ばれた

紫色のパジャマのような服を着た魔女は、

「それは…こっちの…セリフよ…」

息を切らしながら応える。

「今日という今日は…あなたが盗んだ本、きっちり返してもらうわよ…魔理沙!」

相手をしている魔法使い──霧雨魔理沙は、

「返すつもりはないぜ───死ぬまでな!」

満面の笑みで、言い返した。

 

 

 

「お邪魔しまーす…っと…広っ」

図書館の内部は驚くほどの広さだった。

おびただしい数の本棚にびっちりと隙間なく本が詰まっていた。

ドドゥーン───

「爆心地はあっちか」

幻佑は音の聞こえた方へと向かう。

 

 

 

「いいのか?小悪魔の心配はしてやらなくて」

魔理沙が本の山を指さして言う。

そこからは腕が1本、突き出していた。

「うるさいわね!後でいいわよっ!」

パチュリーは腹立ち紛れに弾幕を放つも、魔理沙はひょいひょいと回避していく。

「ああもう!

いっもいつもちょこまかと鬱陶しいのよ!」

パチュリーは忌々しいと言わんばかりの顔で憤慨する。

「へへん、当たらなければどうということはないないんだぜ?

やーい、悔しかったら当ててみろよ、ほらほらほらほら〜」

そんなパチュリーを煽る魔理沙。

「なんですっ…ゲホッ…ゲホッ」

パチュリーが咳き込む。

「あー、そろそろ潮時かな」

そう言ってくるりと後ろを向き、入ってくる時空けた風穴へと向かう。

「じゃあなパチュリー、また今度ー!」

「こらーーっ!!待ちなさぁぁぁぁい!」

パチュリーが手を振りあげて叫ぶも、魔理沙は止まらない。

「じゃ、達者でな!」

「その前に──本は返そっか」

「!?」

魔理沙の後ろに立つ者が1人。

「誰…?」

パチュリーは怪訝な顔をしている。

「お前は…幻佑!」

 

 

幻佑は、魔理沙に向かって

「奇遇だねぇ、こんなところで出会うなんて。

一体全体何をしているんだい?」

とわざとらしく言った。

「ふん、お前には関係ないだろ?

私は帰るんだ。そこをどいてくれ」

魔理沙はそう言って、幻佑の横を通り抜けようとしたが、

幻佑が魔理沙の手を掴んだ。

「待った。

その手に持ってる本を借りる許可は取ったの?」

「…必要ないね。私は顔パスが効くんだよ」

顔を逸らして言う魔理沙だったが、

「そんなもの許可した記憶はないわよーっ!」

遠くからパチュリーと呼ばれたパジャ魔女が叫んだ。

「ですって」

「むぎぎ…余計なことを」

「余計なことってなによ!

あなたが持って行った本の中で、

今まで私の手元に返ってきた本はないでしょ!」

話を聞くかぎりどうやら常習犯のようだ。

「詳しい話は署で聞くから、ね?」

「ね?じゃねぇわ!いいからそこを退けって…!」

イライラしたように魔理沙が手を振り払うが、幻佑はどけようとしない。

「ああぁもう!どうしてお前はそこまでパチュリーに肩入れするんだよ!」

怒鳴る魔理沙に対し、幻佑が言い放ったのは…

「いや肩入れも何も、僕は知り合いの犯罪を未然に防ごうとしてるだけなんだけど…」

「……………」

「……………」

ド正論。

「もう窃盗未遂だと思うのだけれど…」

「それ気にしたら負けです」

「いや、私被害者…」

「それも気にしたら負けです」

「………………」

「……あーーーーーっ!もういい!私帰る!」

子供のように吐き捨てて、

魔理沙は急いで箒に飛び乗り、飛び立った。

「あっ、待ちなさい!」

パチュリーが魔法弾を撃とうとするも、

魔理沙は飛び去ってしまった。

「…また…やられてしまった…」

その場にへたり込むパチュリー。

幻佑はパチュリーに近寄り、

「残念でしたね…これでも読んで元気だしてください」

と言って、ある本を差し出した。

「そうするわ…って、この本…!」

その本とは…

「ええ、魔理沙が持って行こうとしてた本ですが…どうかしましたか?」

パチュリーは、口をパクパクさせながら、

「嘘でしょ…一体どんな方法で…?」

とだけ言った。

「ああ、これです」

そう言って幻佑が取り出したのは、

「何これ…? ゴムの球体…?」

「スーパーボールってやつです。

残念ながらポケモンは捕まえられませんが…」

「…?どういうこと?」

首を傾げるパチュリー。

こういうどうでもいいタイミングでボケのための知識がちょっとだけ思い出せたりするのだが、残念ながら通じなかったようだ。

「いえ気にしないでください。」

「それで、何をどうしたのよ?

今度からそれで対策立てるから」

目を輝かせて聞いてきた。

「あー…『ぶんどる』の応用って言って分かります?」

「全く分からないわね」

「さいですよね…」

 

 

紅魔館から全速力で飛び去った魔理沙は、ある程度離れた空中で静止した。

「ぜぇ…はぁ…ここまで来れば大丈夫だろ…」

深呼吸して、気持ちを落ち着かせる。

「しかし…なんで幻佑が居やがったんだ?

まさかとは思うが雇われたって訳じゃあないよな…って、あれ?」

そこまで言って、魔理沙は自分が本を持っていないことに気がついた。

「どこかで落とした?いや、私に限ってそんなことは…まさかアイツが…!?」

 

 

幻佑がとった方法は、実にシンプル。

スーパーボールを用いて『ぶんどる』を行う、たったそれだけである。

古来より投擲武器やボールで、大小関わらず色んなアイテムや武具を『ぶんどる』ことができていたのでもしかしたらと思って試して見たのだ。

幻佑は非殺傷性のスーパーボールを投げて魔理沙に命中させ、本を回収。

魔理沙はそれに気が付かなったのだ。

正確には何かがぶつかった感覚はちょっとだけあったのだが、それを気にかける余裕もなく飛び去ってしまった。

ちなみに、本はボールが手元に戻ってきた時点で出現。

本がくっついてボールが戻ってくるシュールな絵面も想像していたが、そうならなくてほっとした反面ちょっと残念でもあった。

「という訳です。」

「ふうん…なかなか面白い能力ね…

魔法で再現出来ないかしら」

幻佑の解説を興味深そうに聞くパチュリー。

「そういえば貴方、名前は?」

「あぁ、名乗ってませんでしたね。

僕は究 幻佑といいます。

ここには咲夜さんを追って来たんですけど…」

「あー…咲夜は多分…いえ、なんでもないわ。

それと魔理沙のことを知ってたみたいだけど、一体どこで知り合ったのかしら?」

「魔理沙とは博麗神社で。

出会い頭に弾幕勝負申し込まれて…」

幻佑の回答に、

「そう…あなたも苦労したのね…」

パチュリーは同情というか、

仲間が見つかって良かったみたいな表情で答えた。

 

 

 

「…さっきから気になってたんですけど、あそこで本に埋もれてる誰かは掘り出さなくてもいいんですか…?」

ふと、幻佑が思い出したように言った。

「…あっ」

「もしかして、忘れてたんじゃ…」

「わ、忘れてなんかないんだからね?」

(忘れてたんだ…)

「とにかく!アレは別に助け出さなくてもいいわよ」

「え、いいんですか?

てっきり助けるのかと思っていたんですけど…」

幻佑が聞くと、

「最近アレもなんかウザかったし、そろそろお仕置きが必要だと思ってた所だったから。

しばらくそのままでいいわよ。」

無慈悲な一言。

「…すいません…調子こきました…助けて下さい…」

本の山から声が聞こえた。

「ああ言ってますけど…ほんとに大丈夫ですか?」

幻佑は心配になって再び訊ねたが…

「あら?そんなに心配なら

あなたが何とかしてもいいのよ?」

「え?」

予想外の返答が返ってきた。

「その代わり何があっても私は一切口を出さないから」

「それって…助けたら

『ざ〜んねん♪私はすこぶる元気でしたぁ♡

本気になっちゃってか〜わぃぃ…!ぷーくすくす…』とか言われたりするからですか?」

幻佑がさっき聞いた声を真似しながら理由を聞いた。

「…………」

突然の女声に一瞬無表情になるパチュリーだったが、

「…………私だったらそう言われるだろうけど、

あなたの場合ちょっと違うでしょうね。

…あと今の声どうやって出したのよ?」

ドン引きしながらも答えてくれた。

「違うんですか…?じゃあ一体…あと今のは

『ものまね』です」

「そう…あなた多芸ね。

それはそうと、理由はやって見たらわかるわよ…

特に貴方は男だから──ね」

 

 

 

「うーん…何が問題なんだろ」

そう呟くと、幻佑は本をサクッと片付けるために合成魔法の詠唱(と言っても詠唱はほとんどいらないのでそんなに大掛かりなものでは無いが)を始めた。

 

合成魔法とは──

幻佑がFFの魔法を元に2つ目の能力で作り出した、

魔法と魔法を組み合わせてあーしてこーして(本人談)目的のために最適化した魔法である。

今回幻佑が使うのは、彼が飛行にも用いている、『グラビデ+レピデト+トルネド』の3種類の組み合わせ。

レピデトで浮かせ、トルネドとグラビデで高度調整を行う。

「やってることはシンプルだけど

その割に難易度がえぐいのよね」

おっと、いきなり誰か入ってきましたね…

誰ですかあなた?

「解説はメタ空間ですもの。

まだ出番のない謎の美少女が登場したって

何も問題はないでしょう?」

まぁいいですけど…あなた少女って言うには

「うぉっほん!では失礼して…

この魔法の最大の難所は、オリジナルとなっている魔法をどれだけの出力でどんな方向に振り分けるかというところにあるらしいちの。」

そう。この方法を採用する場合、出力調整を行うにも相当な精密作業能力がいる。

本来ならリンゴ1つ浮かせるのにもかなりの集中力を持っていかれるのだが、そこは幻佑。

「能力によって自動調整が行われている、ということね」

だからこそ、彼が飛行している際に余計な気を使わなくてもいいのである。

MPを幾ばくか消費するが、 割と低コストで運用できるので優秀な飛行手段となっているのである。

ちなみにエアロ系の魔法でなくトルネドを用いている理由は、トルネドが直接的に風を操る魔法なのに対して、エアロ系は風を刃に変えるというプロセスを経るものであるのと、試運転中一応試してみた結果持ち上げる物によって上級魔法のエアロガでも出力不足に陥る場面が何度かあったからである。

トルネドだとオーバーパワーになりそうだが、

飛行したい高度に応じて出力が自動調整されるようにしているので大丈夫。

以上、いつもより長めの解説でした。

「またねぇー」

 

 

幻佑の合成魔法によって、大量の本が徐々に浮かび上がって行った。

「おぉ、すごいわね」

「本の順番はどうしますかー?」

念の為パチュリーに本の仕分けについて聞いておく。

「後で小悪魔にやらせるからテキトーでいいわよー」

「わかりましたー」

 

 

 

 

 

───私は小悪魔である。

名前は特にない。

この図書館で小間使いとしてこき使…もとい、書庫整理などの仕事を任されています。

今でこそ位の低い悪魔を演じている私ですが、

これでも実は名のある大悪魔と淫魔の間に生まれたハーフであり、かなりいい所のお嬢様だったりするのであります。えっへん。

…まぁ、実力は並の悪魔とトントンなんですけどね。

それはさておき、

そんな私がこの図書館で働いている理由は、私が今の主人であるパチュリー・ノーレッジによって召喚され、召喚者権限によって縛られているからです。

当時の私は、魔界からフラフラ現世に現れては男を誑かしてナニして得た精りょ…生命力で力を蓄えていました(むふふ)。

だから女の魔法使いに興味なんてなくて、

帰らせろと喚き散らしてパチュリー様に戦いを挑むも敗北。

仕方なく、ここで働くこととなった次第でございます。

パチュリー様も最初は手を焼いていたけれど、

働いていくうちに私も彼女のことを信用して、徐々に大人しくなって今に至ります。

まぁ、たまにからかったりして怒られてますけどね。

さて今現在の私ですが、本の山の下敷きとなっております。

なぜそんなことになったかと言うと、

霧雨魔理沙とパチュリー様の戦闘中、未処理の本の山に流れ弾が命中。

運悪く近くにいた私はその崩落に巻き込まれ、現在に至ります。

一応中の私は無事な空間を確保してあるので平気といえば平気だったのですが、パチュリー様が私を懲らしめようとしてるっぽいので平気じゃなさそうに答えておきました。

出てきた時に思いっきりからかって差し上げる予定でしたが…

なんか、もう1人来客があったようで、その人が私を掘り出してくれるようです。

しかも、珍しく男の人だそうで。

「ふむふむ…どんな人か気になりますねぇ…

ちょっとからかってみましょうか…全力で。

ふふふ…」

前に男の人間と会ったのは何年前だったっけ、

とか考えながら、救出されるのをにやにやしながら心待ちにしているのであります。

さあ、ご開帳───

 

 

 

 

 

 

 

全ての本をどかした途端───

 

「ゲッチュー!」

「わぷっ」

 

中から1人の女性が現れ、幻佑に飛びかかって来た。

そしてそのままスルスルと絡みつかれる。

ピンクがかった赤い髪に、

頭に一対、背中に一対の小さな翼。

悪魔のようなしっぽを生やしていて、

白いYシャツに赤いネクタイ、黒のベスト風ワンピースを着ている。

「あーぁ…」

遠くでパチュリーが顔に手を当てるのが見えた。

(うーん、このことだったのかな…?)

「だ、大丈夫ですか?」

とりあえず声をかける。

「はい。この通り元気ですよ?」

その彼女はニヤニヤと妖艶な笑みを浮かべて答えた。

「私は小悪魔です。名前はつけられておりませんので、どうぞご自由にお呼びください。」

そう名乗る間にも、その腕は徐々に幻佑の顔の方へ伸びてゆき…

「……何してるんですか?」

「ふふふ…そう緊張なさらないでください」

左手は首の後ろ、右手は幻佑の顎に添えられた。

所謂顎クイ体勢である。

(……どうすればいいんだろ)

男子にとっては夢のような状況のはずなのだが、幻佑は何故か動じない。

(なんか…嫌な予感が…)

幻佑の中で警報が鳴り響く。

このままだと『図書館が』ヤバい。

「よく見ると好みの顔してますねぇ…

ここで頂いちゃいましょうか」

そんな幻佑の思いを知らずに、

とんでもないことを言う小悪魔。

「他所でやりなさいよ…というかやるな」

パチュリーはどこか達観したような表情でツッコむが、小悪魔は無視して、

「それじゃあ、いただきま──」

と幻佑の顔へと迫った、その時…

 

 

 

 

ドゴォォォォォン…

 

 

 

 

「おう…儂の幻佑に手を出すとは…

いい度胸では無いか…えぇ?」

 

 

 

幻佑の予感が的中してしまったのであった。

 

 

 

 

「あああ…壁の穴が広がっちゃってるぅ…」




謎の美少女、いったい誰なんでしょうかねぇ?(すっとぼけ)
彼女については本編のもう少し後で出番があるかもしれないです。
最近筆が進まなくなってきててやべーです。
モチベをくださいと思う今日この頃なのであった。


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