叔母様が勝利するだけ (0302)
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叔母様が勝利するだけ

やぁメディア、調子はどうだい?・・・・・・なんだよぅ、人の顔を見るなりあの黒光りするおぞましい虫を見たような顔をして。あんまりだろー?「どうしたんですか」だって?いやお前、出会った姪っ子に挨拶くらいしてもいいだろうさ。ところで、今は暇かい?実はマスターに「映画に行こう」と誘われててね。なんでもレイシフトで現代の街まで行くとかなんとか。なんだっけ、ボヘミア、ボヘミアン・・・・・・まぁそんな感じの映画をね。ミュージカルらしいから音楽家でも誘えばいいのに、マスターってば私しか誘ってないらしい。全く、映画とかはみんなで見た方が面白いのに!だから今、一緒に行くサーヴァントを探しているのさ。そんなわけだからメディア、暇だったら来ないか?その後ショッピングしようとかも言ってたし、可愛らしい服なんか買えばいいんじゃないか。・・・・・・うん?どうしたんだ?私はそんな哀れまれるようなことを言った覚えはないけど・・・・・・「マスター・・・・・・」?マスターに何か用があったのかい?・・・・・・おい、メディア?「私は用事があるので」?そうか、じゃあ仕方ないな。他に暇そうなやつに心当たりはある?「二人きりでいったらどうですか」 馬鹿お前、そんなのマスターがつまんないに決まってるだろ?そりゃ私だってマスターと二人きりだなんて万々歳だけど、マスターだってみんなでわちゃわちゃしたい年頃だろうにさ。そうだ、あの作家たちなんてどうだと思う?私たちにはないプロからの視点で映画を見れると思うんだけど・・・・・・え?あの二人はやめとけ?絶対?ううん、お前がそこまで言うならそうしておくよ。それじゃあ、私は他のサーヴァントたちに声をかけてくるから。

 

 

 

 

 

「・・・・・・マスターもハッキリ言えばいいのに」

 

 

 

 

 

あ、マシュじゃないか。いい所に。今は暇かい?いや、実はマスターに映画に行こうと誘われていてね。もしも暇なら一緒に行かないかと・・・・・・え?二人きりで?はは、さっきメディアにも言われたよ。でも、マスターくらいの歳ならみんなでワイワイしたいだろう?・・・・・・なんだよ、マシュまでそんな微妙な顔してさ。私はなにかおかしなことを言っているかい?「・・・・・・先輩、ファイトです」?どうして今マスターが頑張るんだ?「と、とりあえず、私はこの後用事がありますので!」そうか、わかったよ。みんな忙しいんだなぁ。と、そろそろ時間だ。マスターには悪いけど、二人きりで行くしかないかな。まぁ、私としては嬉しいけどね、なーんて。それじゃ!

 

 

 

 

 

「・・・・・・本当に、頑張ってくださいね。先輩」

 

 

 

 

 

すまないね、マスター。メディアとマシュにも声をかけてみたんだが、用事があると断られてしまったよ。だから私と二人で映画を見に行くことになるね。なんなら日をずらしてもいいけど・・・・・・あぁ、君は今日しか空いていないんだね。それじゃあ目一杯楽しもうじゃないか!まずは映画を見るだろ?それから買い物をして・・・・・・ディナーも向こうで食べるのか?エミヤには伝えてあるよね?うんうん、ならいいんだ。ところで、お金は大丈夫なのかい?申し訳ないけど私は現代のお金を一銭も・・・・・・え?君の給与から?そ、そんな、悪いって。「こういう時は男が払うべき」?う、ううん、でもなぁ・・・・・・「むしろ払わせて欲しい」?「日頃のお礼」?そ、そこまで言われたら断れないじゃないか・・・・・・今度、キュケオーンを作ってあげるよ。

それじゃ、早速行こうか!楽しみだね、マスター!

 

 

 

 

 

 

 

 

すごくいい映画だったね、マスター。・・・・・・ご、ごめん、ちょっと涙が止まらなくて・・・・・・うう、良かったぁ・・・・・・。私はあぁいうのに弱いんだ・・・・・・。

・・・・・・と、ところでさ?上映中、君が飲んでたコーラって、もしかして・・・・・・い、いや?気づいてないならいいんだ、うん。・・・・・・あれ、絶対私の・・・・・・か、間接キス・・・・・・うぅ、同じの頼むんじゃなかった・・・・・・恥ずかしすぎる・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

え、えへへ。どうだい、マスター。似合ってるかな?そ、そうか!それは良かったよ。こんな可愛らしい服、私には似合わないと思うからね・・・・・・「そんなことない」「キルケーはすごく可愛い」て、照れるなぁ。お世辞でも嬉しいよ、マスター。「お世辞じゃない」「本当に一番可愛い」・・・・・・あ、あうあうあ・・・・・・や、やめてくれ、見ないで・・・・・・わ、私の顔がすごく赤いと思うから・・・・・・君はよくそんな恥ずかしいセリフを言えるね・・・・・・すごく嬉しいけどさ。と、ところでっ、君は何も買わないのかい?今なら私が選んであげるよ?「それじゃあ頼もうかな」はは、大船に乗った気持ちでいてよ!なんたって大魔女なんだからね!

 

 

 

 

 

 

 

 

ま、マママママスター!ほほ、本当にここで晩御飯を食べるのかい・・・・・・!?だだ、だってさ、こんな高級そうな三つ星ホテルみたいなところで!?大丈夫かな、私の格好変じゃないかな!?髪型は?顔は?「いつも通り可愛いよ」ぴゃあぁ!!ふ、不意打ちはやめてくれってば!

マスター、どうしてこんなに店が予約できたんだい!?言っちゃなんだが君みたいな一般人がとれるような店じゃないと思うぞ・・・・・・!?「古代王や巌窟王のおかげ」?これだから権力と財力の使い方がわかってるやつは!!一般人はいつも振り回される!「大丈夫?」だだ、だいしょうぶに決まってるだろ!大魔女だぞ!

 

 

 

 

 

 

 

 

ガチガチに固まりながら食事をする彼女を見て、俺の頬はすぐに緩んだ。俺だってこんな所は初めてで、正直すぐにでも逃げ出したい。だけど、今日はキルケーとの初デート。相手がデートと思ってくれてるかどうかは別だけれど・・・・・・それでも、俺にとっては記念すべき第一歩だ。何とかここまで来ることが出来て本当に良かった。助言をくれたエミヤとかメイヴには感謝しきれない。

「ねえマスター、どうしたんだい?」

「ううん、なんでもないよキルケー」

「・・・・・・ぇへ」

あぁ、可愛い。俺が名前を呼ぶ度に、彼女はふにゃりと笑う。慌てて繕って、隠してるつもりなのだろうか。そこもまた愛おしい。

「あ、ねえマスター!外を見てご覧よ!」

ドーン、と季節外れの花火が上がる。綺麗だね、とはしゃぐキルケーはとても楽しそうで。キルケーの方が綺麗だよ、なんて歯の浮くようなセリフがスラリと出てきた。

彼女は顔を真っ赤に染めて、からかわないでくれ、と俯いた。サラリとした髪の隙間から少しとがった耳が除く。耳まで真っ赤になるんだなぁ、とぼんやりとしたことを考えた。

からかってない、と否定したい。この気持ちは本物なのだと伝えたい。

だから、今しかないと思った。

「キルケー」

「うん?」

「これを、君に、あげたい」

俺は聖杯を取り出した。

ダ・ヴィンチちゃんから貰った、強化用の聖杯。「君の好きなサーヴァントに捧げればいい」なんて、見透かしたような笑みで。一緒に貰った指輪は、まだ渡す気にはならない。流石に早すぎるよ、と思う。

「・・・・・・ふぇ?」

「キルケー。俺と、これからもずっと、ずーっと一緒にいてください」

「・・・・・・へぁ」

熟れたトマトみたいな色になった彼女は、次第にポロポロと涙を零し始めた。慌ててハンカチを差し出せば、彼女は嗚咽混じりに話し出す。

「ほ、ほんとうに、わた、わたしにゃんかで、い、いいのかい?」

「君がいいんだ」

「だ、だって、わたし、は、いつも空回って、セイレムのとき、だって、君を、君を騙して、危険な、目に」

「だけど俺は助かった。それに、君にはいつも助けられてる」

「ほ、ほんとに?ほんとうにかい?とりけしはきかないんだぞ?」

「君が好きなんだよ、キルケー」

彼女は細い腕を伸ばして、俺から聖杯を受け取った。両手で、壊れ物のように優しく抱きしめている。

潤んだ瞳は宝石のようだ。エメラルドとはこんなものなのだろうか。前にイシュタルが眺めていたのを見たことがあるが、キルケーの瞳の方があれよりもキラキラと輝いている。

「私も」

「うん」

「私も、君が、大好きです」

花が咲くように、外の花火なんかより断然綺麗に、彼女は微笑んで。

 

「──もう、君を一人にはさせないよ。この魔女キルケーが着いているんだからね。ふふ」

 




あまり怪文書ぽくはない、かも?
おばさま可愛いよね。もっと勝利してもいいと思います。


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バレンタインでも叔母様が勝利(?)するだけ

あ、メディア!ちょうどいい所に!

・・・・・・なんだよ、そんな露骨に嫌そうな顔しなくてもいいだろ。お前ほんと最近隠さなくなったよなぁ・・・・・・。「最近の叔母様は惚気が鬱陶しいですから」そ、そんなに惚気けてないぞ!・・・・・・多分。というか、お前のリリィの方がヤバいだろ。マスターから聞いたぞ。イアソンのやつをちみっこくして「さっさと用件を言ってください!!」わ、わかったわかった。なんだよ、用事でもあるのか?・・・・・・うん?チョコの用意?マスターに?

そうそう、それだよ、私の相談!マスターにどんなチョコレートを作ればいいかと思ってね!はあ?「お好きなものを作られればいいんじゃないですか」?馬鹿、マスターの好みを把握しないといけないだろう!どんなフレーバーが好きなのか。甘さの加減は?甘いほうがいいかな。それともほろ苦いやつ?苦手な香料だってあるかもしれないだろう。そうだ、形は何がいいかな。いや、もちろんピグレットにするけれど、品種はどんなものが好きかと思ってね。知っているかい?ニホンにはトーキョー〇ックスっていう交配種がいるらしいんだ!トーキョーマッ〇スだぞ!浪漫があるよなぁ!

おい、そんな (´・ω・)シラネ みたいな顔してもダメだからな!お前だってフィギュアに関してはうるさいくせに・・・・・・。

「とりあえず作られては?叔母様がキュケオーン以外が作れるかもわかりませんので」

さてはお前怒ってるな?

 

 

 

 

 

 

 

 

ふぅ・・・・・・なんとか形になったな。ありがとう、メディア、ブーディカ。「いえ。私もどうせ作らねばなりませんから」「あはは、気にしなくていいよ。あの子も本命ちゃんからのチョコレートは嬉しいだろうし」

ほ、本命・・・・・・えへへ。改めて言われると照れてしまうね。・・・・・・喜んで、くれるかな。重いとか言われないかなぁ。「言わないよ、あの子なら。だって私達のマスターだからね」「言わせないので安心してください、叔母様。そもそも、そんな女性の好意を無碍に扱うような弟子を取った覚えはありませんから」

う、うん。そうだよな。マスターなら、きっと喜んでくれるよな。・・・・・・ふふ。そうだよなぁ。ふふふ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マ、マスター。今、大丈夫かい?う、うん。そうだ、私だよ。じ、実は、そのぅ・・・・・・君に、ばりぇんたいん・・・・・・失礼。ちょっと出直してくる。

は、離してくれ!もうやだ!なんでこんな所で噛むんだ!!頼む、お願いだ、リテイク取らせてくれ!!!

ううぅ・・・・・・本当は、もっとビシッとキメるつもりだったのに・・・・・・どうしてかな。君の前に出ると、どうしても緊張してしまうんだ。私はこんなにも君を愛しているのにね。

ん?どうしたんだ、そんなに顔を赤くして。嬉しいけど恥ずかしい?なにがだい?

「愛してるって、言ってくれて」

だって本当のことだからね。私は君が大好きだし、君のことを愛してるよ。・・・・・・君も、私を好きでいてくれるよね?私を愛してくれているよね?

「もちろん。俺はキルケーを愛してる」

・・・・・・ふふ。ふふふふ。あぁ、ダメだダメだ、にやけちゃうよ。どうしようマスター。君に愛されていることが、こんなにも嬉しいんだ。愛してるの一言が、たまらなく嬉しいんだ。

ねえ、君はどこにも行かないよね?私を置いて行ったりしないよね?ずっとずっと、そばにいてくれるよね?

「あぁ」

えへへ。良かったぁ。そうだよな。君は、私を置いて行ったりしない。私はこれからも君の隣で、君と一緒に冒険をしよう。何処までも、君とともに。絶対に離さない。離したくない。

おっとそうだ、目的を忘れるところだった。

はい、マスター。バレンタインのチョコレートだぞ。きっと君は他のサーヴァントからもたくさん貰うのだろうけど・・・・・・私のを一番美味しく食べて欲しい、なんて、傲慢なのかな。

「そんなことない。嬉しいよ、キルケー。ありがとう」

・・・・・・うん。うん。君に喜んでもらえて天にも登る心地さ。ふふ、それじゃあ失礼するよ。他の子たちの時間を奪うのもしのびないからね。

「俺はもっと君といたい」

ダメだよ、マスター。私だって同じ気持ちだけど、君はみんなのマスターだ。・・・・・・そりゃあ、特別扱いはして欲しいけれど。でも、マスターとしてはみんなのものだからね。・・・・・・だから、今日はこれで終わりにするよ。

「でも・・・・・・そうだ。今夜、空いてる?」

え、うん。特に用事はないけれど・・・・・・。え?夜なら誰も渡してこない?またマイルームに来て欲しい?みゃ、マ、マスター?夜に女性を誘うなんて、君は、なんて、えっ、「ダメかな?」だ、ダメなわけないだろ!・・・・・・でも、そういうことなのかな。うう、マスターだとどういう理由で呼んでるのか分からない・・・・・・。

「キルケー?」

な、なんでもない!!夜だね、わかったよ。・・・・・・メディア、相談に乗ってくれるかなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで逃げてきたと」

逃げたわけじゃないぞ!でも、あんな提案されたら誰だって驚くだろ。・・・・・・も、もしかしたらそういう理由かもしれないし。「あのマスターに限って無いとは思いますけど・・・・・・しかしまあ、夜に呼ぶなんて危機管理がなってませんね。なんでかしら。戦闘時には敏感なのに」知らないよぅ・・・・・・なぁメディア、どうしたらいいかなぁ。「とりあえず結界を張るべきですね。あの溶岩水泳部が忍び込んでるとも限りませんし」そ、そうか。そうだよな。あの三人に見つかると思うと・・・・・・うう、怖いなぁ。全員有利取れるとはいえ・・・・・・会話もろくにできないし・・・・・・近づいたら終わりだし・・・・・・。「そのための結界でしょう。それから、香水をして、下着も・・・・・・いえ、なんでもないです(元々してなかったわこの人)」こ、香水?マスター嫌がらないかな。ほら、香水がきつい女は嫌われるって言うだろ?「どれだけかけるつもりなんですか。少しでいいんですよ。相手に『特別に用意してきたんだな』って思わせるくらいで」な、なるほど。流石メディアだな。頼りになる。イアソンが実装されるよう願っておこうかい?「やめてください本当にやったら叔母様のこと絶対許しませんから一生ですよ二度と相談にも乗ってあげません」わ、わかったわかった!もう二度と言わない!だからもっと教えてくれよ、メディア。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・(キョロキョロ)

よし、誰もいないな。すー・・・・・・はー・・・・・・ん、んん。マスター。私だよ。いるかい?・・・・・・う、うん。邪魔するよ。

すごく甘い香りがするね。みんなから貰ったチョコレートの山か。流石マスターだ。でも、食べすぎるんじゃないぞ。体に悪いからね。もしお腹が痛くなったらキュケオーンを作ってあげよう。万能だからね、キュケオーンは。・・・・・・と、ところで、どうして私を呼んだんだい?

「? 君とバレンタインを過ごしたかったからだけど」

・・・・・・待って、見ないで。絶対変な顔になってるから・・・・・・き、君だって恥ずかしいこと言うじゃないか!

「おあいこだね」

そ、そうかなぁ・・・・・・なんか納得いかない。でも・・・・・・うん。私も君と、この日を過ごしたいよ。紅茶を持ってきたけれど飲むかい?うんうん、種類は何がいい?え、オススメ?・・・・・・やっぱり格好がつかないな。実は私、紅茶はてんでダメなんだ。メディアに言われたの持ってきただけだし・・・・・・え?私が淹れてくれたのならなんでもいい?・・・・・・そういうとこだぞ、君は・・・・・・少し待ってて。

・・・・・・・・・・・・よし、出来た。はいどうぞ。砂糖はどうする?ミルクは?えっ、君苦いほうが好きなのかい?失敗したなあ。チョコレート、甘かっただろう?

「キルケーのくれたものだから。甘いのが嫌いって訳でもないし」

それなら良かった。来年からは君の好みのものを作ろう。・・・・・・来年、か。・・・・・・ねえ、マスター。私達はいつまで一緒にいられるのかな。クリプター達を倒して、もう一度この世界を救って、それで・・・・・・それで、きっと、君と私は離れてしまうだろう。あの時のように。また。退去させられるんだろうな。嫌だなぁ。私は置いていかれたくないのに、私は君を置いて行ってしまうんだ。サーヴァント生であの時ほど嫌なものはなかったよ。

 

そうだ。いっそ、君をピグレットにしてしまおうか。

 

そうすれば、私の宝具になれば、ずっとずっと、ずーっと一緒だ。私が座に帰っても、ずっと。・・・・・・なんてね。冗談だよ。そもそもそんなことが出来るともわからないし。いくら大魔女だって、できない事の一つはあるのさ。幻滅したかい?・・・・・・ふふ。分かっていたけれど、君は優しいね。うん。二度と言わないよ。約束する。

ねえマスター。今日はここに泊まってもいいかい。・・・・・・うん。ありがとう。

 

この時が、いつまでも続けばいいのに──。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おはよう。マスター。そろそろ起きないと、マシュ達が来ちゃうぞ。マシュならいいけれど・・・・・・そろそろ結界も解けてしまうし。三人組が来たら厄介だな。いや、なんでもないよ。

あぁ、昨日のことは忘れてくれ。あんな憂いなんてなしに、これからも一緒に戦おう。君はあんなこと考えず、ただ前を向いて世界を救えばいい。辛くなったら私がいるさ。いつでも甘えてくれていいんだよ?

「先輩、おはようございます。・・・・・・おや、キルケーさんも。おはようございます。お邪魔してしまいましたか?」

おはよう、マシュ。そんなことは無いよ。私がここに邪魔していたのさ。

「・・・・・・? あ、そうです。先輩、キルケーさん。新設された図書館に向かいませんか?最近は皆さん読書ブームらしくて。どうやら古今東西の作品が集まっているみたいですよ」

「それは面白そうだ。行こう、キルケー」

そうしよう。何がいいと思う?海の冒険譚ならば、二人に読み聞かせてあげるのも吝かではないとも。ふふ。なにがあるのか、楽しみだね、マスター。




イベのキルケーと違うシナリオなのは許してください。ホワイトデーも書きますから(書くとは言ってない)
あと時系列違うのも許してください。メディアさん違うかもしれないのも許してください。怪文書っぽくないのも以下略。キャラ違うかもしれないのも略。
許して欲しいのが多すぎて困ります。
虞美人先輩のシナリオと礼装も困ります。可愛いかよ・・・・・・つら。
もちろんキルケーからももう一度もらいました。ボイスつくと余計笑えるのずるいと思います。愛してるって言われた嬉しい。


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ホワイトデーでも叔母様が勝利(?)するだけ

メディア、メディアぁ!大変だ、マスターが起きないんだ!「状況を説明してください」今しがたマスターの部屋へ寄ってきたところなんだけど、何回ノックしても反応が無いし、それで部屋に入ったらマスターがまだ眠っていたんだ。寝坊かなと思ったけれど、揺さぶっても起きる気配がないし・・・・・・とりあえずダ・ヴィンチには言ってきたんだけど、「いつもの事だね、分かったよ」って言われただけでさぁ・・・・・・あぁメディア、マスターは大丈夫かなぁ?少し前にSE.RA.PH?とかいう場所で無茶をしてきたばかりだろう?あの新入りめ・・・・・・ヒロイン面してたの知ってるんだからな。なにが白鳥だよ、こっちは鷹だぞ・・・・・・!こほん。ともかく、私より先に居たメディアなら何か知ってるんじゃないかと・・・・・・メディア?どうしたんだい、そんな頭が痛そうな顔をして。「頭痛が痛いだけです。ええと、はい、そうですね。それはマスターによくあることなので放っておいても平気かと」そうなのか?「ええ。きっとまた何かに巻き込まれているの(イベント)でしょう。一週間もすれば起きると思いますよ」そ、そんなにかかるのか!?その間のご飯とかは一体どうするんだ!「一応点滴を打っていますが、マスターもあちらで何か食べている様子。あまり気に病むこともありません。・・・・・・まぁ恐らく、マシュやあの三人組が張り付いていると思いますので、叔母様も参加してきては?」マスターの護衛って参加制なのかい!?知らなかった・・・・・・というか、そっかぁ。うん、そうだよなぁ・・・・・・。「なにか?」いや、ううん・・・・・・マスターの部屋に自由に入れるのは私とマシュくらいかなぁと思っていたから、あの三人組も入れるのかぁってね。いやぁ、自惚れだったかな。ありがとう、メディア。それじゃあ私はマスターが帰ってきた時のためにキュケオーンの練習でもしておくから。「・・・・・・最後に、一言だけ」うん?なんだい?「マシュでさえ、マスターの部屋の合鍵は持っていませんよ」・・・・・・そうなのか?本当に?でも、マシュは自由に部屋に・・・・・・「アレはマスターが内側から設定しているだけであって、マスターが本気で鍵をかけたのであれば恐らく叔母様しか入れません」・・・・・・そうか。そうかぁ。・・・・・・ふふ。

うん。何から何まで、ありがとう、メディア。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キルケー!」

おや、マスター。もう大丈夫なのかい?しばらく眠っていたようだけど。

「うん、もう平気。ちょっとね、色々あって」

そうか。怪我とかはしていない?うんうん、体を大事にね。そうだ、良ければ、キミが体験した事を聞かせておくれよ。・・・・・・キミの経験したこと、感じたこと、全てを知りたいな、なんてさ。あぁいや、無理にとは言わないし、嫌だったら話さなくていいんだからね?

「いや、聞いて欲しいよ。俺一人じゃ抱えきれないかもしれない」

そんな重要な案件なのか!?それ、本当に私で大丈夫かい?ダ・ヴィンチやマシュの方がいいんじゃ・・・・・・。

「そういう訳じゃなくて。俺の経験したこと、感じたことを全て知って欲しいだけだよ」

・・・・・・私に?

「他の誰でもない、君に」

・・・・・・えへへ。ふふ。ふふふふ。あぁ、ごめんね、マスター。でもでも、嗚呼、うふふ。キミにそんなふうに思われてるなんて・・・・・・にやけが止まらなくなる。

「・・・・・・そっか。そうだ、キルケーってお酒は飲める?」

うん?まぁ嗜み程度にはいけるけど・・・・・・もしかして、キミが酒を注いでくれるのかい?

「うん。少し教わったからね」

へぇ。そうなのか。うんうん、船乗りなんかに酒はつきものだしね。キミに注いでもらうなんて、嬉しいけど恥ずかしいなぁ。キミが飲める歳なら私が注いであげるのに。

「じゃあキルケーはキュケオーンを作ってよ。・・・・・・俺が寝てた間練習してくれてたやつ」

メ、メディアから聞いたのかい?恥ずかしいなぁ。・・・・・・うん、でも、任せてよ!キミが食べるに足りる、最高のキュケオーンを作ってみせるとも!

「楽しみにしてるよ、キルケー」

あぁ、マスター。私こそ。キミの冒険譚をいの一番に聞ける誉れ。とてつもなく、言葉に表せないくらい嬉しいさ。

「良かった。バレンタインのお返しになってる?」

────。

あぁ。もちろんだとも。

 

最高のホワイトデーだよ、マスター!

 




ホワイトデーとは一体(哲学)

よく考えたらマスター強制レイシフト


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