ハゲ時々タツマキ注意報 (はか)
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1話

サイタマはA市にあるA級ヒーロー専用のアパートに引っ越してきたばかりだ

 

元々住んでいた家はZ市でおこったヒーロー協会と怪人協会とのいざこざにより、

サイタマの住んでいた家が消滅したのはつい最近の出来事である

 

壊した犯人に弁償させることは出来なかったが

 

「来たわよ」

 

その犯人がいきなり新居にやってきた。

 

 

 

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「いや、呼んでないんだけど」

 

うるさくチャイムを鳴らす来訪者の応対をするため玄関を開けると予想外の人物

 

彼女の名はタツマキ、S級2位のヒーローで強力な超能力を使いヒーロー協会屈指の実力者

 

目の前にいるタツマキが何故自分のいるアパートに来ているのかサイタマにはわからなかった。

タツマキとの面識は本部にS級が集結した時と妹のフブキとのはた迷惑な姉妹喧嘩が起きたときに少し話した程度で頻繁に家に来ていたただの知り合いのフブキよりも更に面識が薄い

 

「何か用?」

 

とりあえずそうきいてみるサイタマに対して、声を荒げ「はあ!?」っと急に怒りだしたタツマキにますます何なのかわからなくなる

 

「アンタが私の体調悪いからまた今度って言ったんじゃないの!!」

 

最初何を言ってるか分からなかったが

フブキとの姉妹喧嘩に仲裁に入り、

落ち着くまで攻撃を受け続けるつもりだったが体調が悪そうな彼女に仕切り直しをサイタマが提案したのを朧気ながら思い出した。

 

「あー…」ハゲ!ツルピカ!ナマタマゴ!

 

忘れていたサイタマに対し罵倒を言いまくる

正直どうでもいいことだったのですっかり忘れていた自分も悪いと思ったが、あんな少ないワードで察しろという横暴なタツマキも悪いと思う

そもそもタツマキは自分の家を壊した張本人でむしろ言いたいことがあるのはこっちの方である

 

「今ので察しろってのが無理だろ…

つーか人の家壊しやがってよ。

弁償しろよ」

 

「は?何自分に分が悪いからって言い掛かりつけようとしてんのよ?」

 

「言い掛かりじゃねーよ!!

お前の超能力で俺ん家が崩れたんだよ!」

 

「いつ!?

どこで!?

私がなんのために!?

アンタの家なんか壊さなきゃならないのよ!!

壊したっていうなら証拠だしなさいよ!!証拠!!」

 

タツマキは怪人協会戦にて地下のアジトごと地盤を掘りおこした

Z市には基本的に住民がいないため被害は考えずに思いっきり戦ったがそれにサイタマの住居が巻き添えを食ったことはタツマキが知るはずもない

 

「証拠はないけど…でもフブキと喧嘩した時の超能力のやつのせいだって絶対!」

 

「はあ?だったら超能力者全員が怪しいじゃないのよ。

何で私がやったって決めつけるのよ?」

 

「そう言われると…そうだけどさ…」

 

家を壊した原因である犯人はタツマキであるがサイタマが彼女を犯人だと思う理由は姉妹喧嘩の時の現象が地盤をひっくり返した時の状況に似ていたからという印象だけで確証にたるものは何もなく、

元々弁が立つ方でもないため言葉に詰まり始める

 

「はあ…本当に心の寂しいハゲね。

そんなんだから友達どころか髪の毛も離れて行くのよ。このハゲ!!」

 

「髪は関係ねえだろ!」

 

そういい放った後は更に3倍は反発するように罵声を浴びせるタツマキにプルプル体を震わせながら怒りを耐えて耐えて耐え続けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10分程マウントを取り続け言いたい放題言いまくったタツマキも言動がようやく落ち着いてくる

 

後半適当な相づちをうっていたサイタマは正直怪人を相手するよりも疲労感を感じ、ストレスも半端なかったがタツマキもあれだけまくし立てて多少はスッキリした様子だった

 

「うんうん、本当ごめんな。

気を付けるわ。それじゃあまたな!」

 

話のキリがよいところで一刻も速くに話を終わらせたくてドアを閉めようとするが、

引いた手がスッポ抜ける感覚を感じ手のひらをみるともげたドアノブがあり扉をみると緑色のオーラのような物を纏っている

 

「何閉めようとしてるのよ?

この前の続きやるわよ」

 

「やらねえよぉ!!」

 

タツマキの罵倒と壊れたドアにより今まで耐えていたサイタマも流石に声を荒げた

 

サイタマの今日の苦難はまだ続きそうだった



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2話

A市は少し前に宇宙人の襲来により壊滅的ダメージを受けた。

 

その後、メタルナイトにより持てる技術を駆使し僅か一週間で新しいA市を造り上げた

 

他の市とは比べ物にならない最高峰の耐震性能、最高峰の防衛性能を誇り造り出したメタルナイトの名声を轟かせヒーロー協会にその技術力を更に信頼させる結果になった

 

その偉業を一瞬でゴミクズにしたのが

 

 

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「言っとくけど前の私と同じだと思わないほうがいいわよ?」

 

 

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「そうか」

 

この二人である

 

S級2位戦慄のタツマキに街ごと揺らされヒビを入れられ、A市に帰って来たハゲに90億相当の防衛ロボットをたくさん破壊され耐震、防衛技術双方にケチをつけられたメタルナイトは今ヒーロー協会に支援金の減額を検討されている。メタルナイト可哀想

 

話はかわるが結局面倒臭がっていたサイタマが折れたため、場所を移しA市の外に来ていた。A市の都市から離れたこの場所は宇宙船の砲撃により未だにクレーターが残り生々しい爪痕が残され今では誰も住んでいない暴れるには絶好の場所だ

 

「何その態度?怪我のことがなければアンタ何て余裕なんだから、

今のうちに謝っといた方がいいわよ?」

 

「いや、もうそう言うのいいから」

 

「本当に頭にくるハゲね。まあアンタの頭には何も無いんだけどね」

 

自分のことを中傷してくるタツマキに対し自分と過去に何かあったのでは?と本気でサイタマは考え始める。

そのくらいタツマキからの悪口が酷く道中も止まらなかった

 

「まあいいわ。それじゃあとっとと掛かってきなさいよ」

 

先程とは変わり真剣身を増した目でサイタマを見つめた。

お先にどうぞっと言わんばかりの態度、自分の力への絶対的な信頼による余裕

自分が負けるなんて微塵も考えてない。

実際に怪人協会戦で不覚は取ったものの正面から戦えば災害レベル竜複数を相手取れ、慢心できるほどの実力がタツマキにはあった

 

「おい、俺からやる気はないぞ」

 

タツマキにはサイタマの言ってる意味がわからなかった、じゃあどうするのか

 

「この前の続きなんだろ?だったら前と一緒だ。お前が暴れ疲れるまで俺が相手する。

それで気がすんだらすぐ帰れよ」

 

心底どうでもいいようにサイタマはタツマキにそう言う

 

言われたことがタツマキの脳内に反復され、その言葉をリピートするたびに凄まじい怒りが込み上げ思考がグチャグチャになっていく

 

何なのコイツ

私を誰だと思ってるの

私は強い

ふざけんじゃないわよ

私のこと見くびりすぎ

絶対許さない

どっちが上かわからせてやる

頭眩しい

おっぱいパーカーダサすぎ

 

「頭来た…こんなに頭に来たのは始めてよ。

わざわざそんなパーカーにまで着替えてどこまで馬鹿にすれば気がすむのよ!!

最初から全力でやってやるわ!死んでも文句言うんじゃないわよ!!」

 

 

 

 

 

 

「いやこれ普通の外出用の服だから!」

 

着替えたおっぱいパーカーを貶されてサイタマは誠に遺憾であった



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3話

『いいかい…今後キミのために一つだけ教えておくよ』

 

『いざというときに誰かが助けてくれると思ってはいけない』

 

ブラストにこう言われなければ私はまだ大人を信用できてたかもしれない

でも思い当たるふしがあって大人たちは私の超能力に利用価値があったから利用してただけで実際研究所の大人たちは私を助けてはくれなかった。

 

そのことをブラストの言葉で考えさせられそれを理解した時に思ったことがある

 

大事なものは自分で守るしかない

 

必ずしもブラストが助けてくれるわけじゃないから

自分自身とフブキのことを自分の力で守ろうって子供ながらにそう思った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

タツマキがサイタマに攻撃を始めてからしばらくたつ

 

さっきまで何もない更地だった場所が今では変わり果てていた

 

ある場所では大きく地面が割れ、ある場所では底が見えないほどに地面が陥没し、ある場所では溶岩が地面から勢いよく沸き上がり小さな池をつくっていた

 

浮遊しながら自身のやった地面の惨状を眺めていたが急に眉をひそめてみせる

 

「服が燃えたじゃねえか」

 

溶岩を浴びて服を全焼させたハゲが何事もなく佇んでいたからだ

 

(どんだけ頑丈なのよコイツ)

 

瓦礫をぶつけ

体を叩きつけ

直接体に超能力をかけ

重力で押し潰し

溶岩を浴びせ

 

自分の思い付く限りの攻撃を試してみたが全部効果がなかった

 

フブキとの一件で交戦し確かにサイタマが強いのは認識してはいた

 

少なくとも複数都市を壊滅させられるそこらの災害レベル竜よりも強いとタツマキにしては珍しく高く評価していたのだ

 

だがその時の自分は病み上がりで全快ならば自分が勝つとそう思っていた

 

だが実際はどうだ

 

全快全力の自分の攻撃をたえ、ダメージを受けた様子もない。

 

(ふざけるんじゃないわよ。どうしてこんな…)

 

タツマキは負けたことがなかった。苦戦した経験すらもない、天性の超能力の運用と才能と出力を持っており超能力が通じなかったことは一度もない。

窮地に陥ったのは怪人協会との戦闘の時でタツマキにとって始めての経験だった。

 

(そう言えばあいつらも…)

 

怪人協会と戦ったときに自分の超能力に抵抗してみせた名前と存在事態が猥褻な怪人と怪人を自称したガロウのことを思い出す

 

(あいつらにも効かなかった)

 

ここ最近になって自分の超能力が効かないものたちが現れ始めた

そいつらも自分が全快なら勝てるとそう思っていたがそう思って戦ったサイタマを目の前にすると正体不明のモヤモヤした感情が込み上げてくる

 

 

こんなことで本当にフブキを守れるの?

 

 

「おい、黙ってるけどどうした?終わりにすんのか?」

 

声をかけられ意識をサイタマに戻す、

自分の絶対的自信が揺らぎ始めて久しぶりに抱いた不安

 

そんな時ブラストの言葉を思い出した

 

「…いざというときに誰かが助けてくれると思ってはいけない」

 

そう誰も助けてくれない。

だから自分が守れるようにならないといけない。

自分自身とフブキのことを

 

タツマキの頭の中で何かがキレる音がした

 

タツマキの全身が淡く緑色に発光し再び超能力を行使し始める

 

「お?」

 

サイタマは間の抜けた声をだし周りの異常に気付く

 

広い範囲で円をかくように淡く緑色が地面から遥か上空まで壁のように伸び始めサイタマを隔離するように周囲を円柱形の壁に覆われた

 

(おっ流れ星)

 

そんな状況をボーッと他人事のように眺めて沢山あるなあなどとタツマキのことよりも流れ星の方が気になり始めた。

今まで自分がみたことのある流れ星よりも鮮明で沢山あり大きい

そしてどんどん更に大きくなっていき頭上まで迫り

 

「マジか…」

 

そのままサイタマに直撃した。

ピンポイントでサイタマのいた場所に複数の隕石が落下し凄まじい轟音と衝撃波が発生する

 

タツマキは隕石を落下させた後あらかじめ張っていた円柱形のバリアに蓋をするように上面にバリアをはり最小限の被害に止めようとする

 

隕石の威力を抑えるというかなりの無茶苦茶に全身に超能力による負荷がかかり肉体が悲鳴をあげる

 

爆発も収まりようやくバリアを解いた

 

自分も地面におり一息つく、体調が悪い超能力の使い過ぎで頭痛がする

呼吸ができない多分鼻血がでてる

咳も酷い、口の中が血の味がする

 

サイタマの立っていた方向に目を向けた

明らかにやり過ぎだった。今後も自分の超能力が通じない相手が出てくるかもしれないと考えると頭が真っ白になりやってしまった

 

生きていて欲しいと思う反面生きてるわけがないと思う

 

朦朧とした意識でもうもうと立ち込める煙を眺め続けると煙の先で砂利の音が聞こえ一気に意識が覚醒する

 

煙が徐々に晴れていき、今日何度もみたハゲ頭が姿を表す

 

当然のように悠々と歩く姿

 

信じられないそれをみてタツマキも手をかざし超能力を使うと全身に激痛が走る

 

サイタマの動きを止めるためにかけた超能力は弱々しくまるで勢いを止められない

 

悔しい

 

自分の全身全霊もまるで通じないなんて悔しくて仕方ない

 

サイタマを止めることも出来ないのに自分が消耗するだけなのに自分の敗けが認められなくて悪あがきで超能力を使い続ける

 

疲労で顔があげられなくなりうつ向くと再び意識が霞んでいき視界がどんどん暗くなり聞こえる音も遠く体が寒くて仕方ない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凍えそうな全身から不意に腕に温かい感触が伝わり、体を動かせる程度にタツマキの意識が戻った

温かさの正体を探るために顔をあげると腕を掴んでいるサイタマと目が合う

 

「もうやめろって」

 

「…何よ。ま…終わっ…いわよ」

 

「滅茶苦茶血がでてんだろ…つーかまだ治ってなかったんだろ?」

 

どうやらタツマキが血を流してるのはまだ傷が完治してないからとサイタマは解釈したようだった

 

「いやよ…私…負けたくない」

 

「じゃあもうお前の勝ちでいいよ」

 

「舐めてんじゃないわよこのハゲ!!」ゲホッゴホッガハッ!?

 

面倒臭えと思いながら目の前の頑固者をどうにか病院に連れていこうと考えてみるが

 

(ああもうダメだ。わかんねえ!)

 

「…もう疲れたし引き分けってことにしない?」

 

「…アンタ疲れてるの?」

 

少し予想外の反応で面食らう

 

「…ああ。俺も疲れたしお前は病み上がりがまだ治ってないみたいだし、今日無理してやることはないと思うんだ。

だからお互い体調が万全な時にやり直した方がいいと俺は思う」

 

(やべえ…自分で言いてえことよくわかんねえわ)

 

「…わかったわよ。じゃあ今度にする」

 

内心心底ホッとする。後はタツマキを病院に連れていけばいいだけだ

 

「よし、じゃあ病院にいくとするか。動けそうか?」ミーンミーン

 

「それよりアンタそのまま全裸で病院いくつもり?」ミーンミーンミーン

 

「あ」ミーンミーン

 

タツマキの攻撃で服が全焼したのをすっかり忘れていた。

 

やべえどうしよう…て言うかミーンミーンってうるせえな何の声だ?

さっきから蝉の鳴き声のようなものが気になり辺りを見回してみると

空から何かが地上に降りて来た。着物を着て、針のような鋭く長い口に4本の腕に刀をもち2本足で全身虫のようなフォルムの怪人

 

「ミーン、ミーン俺は蝉の姿から新しい剣術を生み出そうとしたら蝉になってしまった怪人真剣蝉だあ!!その力災害レベル竜を優に越えるっ!でかい音がするから見に来てみればS級2位のタツマキが血を流して弱ってるではないか!ここでタツマキを八つ裂きにしゆくゆくはこの俺が世界を

「おっ?服見っけ」ぐぎゃあああああ!?」

 

真剣蝉推定災害レベル狼死亡

 

「よし、歩けるか?」

 

血塗れの着物を着てA市に戻る準備を整えタツマキの方を窺う

 

「馬鹿じゃないの?歩けるに決まってるじゃない。余裕よ」

 

そう言うと全身をガクガク震わせながら歩くタツマキ

 

亀のような遅さでノロノロと歩き始める姿をみてサイタマは深くため息をつくとタツマキの目の前まで来て背を向けた

 

「何よ?ちょっ!?」

 

姿勢を低くしてからタツマキの体を掴んでおんぶする

 

「無理すんなって、ほらいくぞ」

 

ギャーギャーと暴れていたが背中の温かさに気付くと静かになる。

考えてみるとおんぶなんて記憶にない。昔はされてたのかもしれないが物心つく頃はしてもらってなかった。

自分が小柄なのもあるが全身に暖かさを感じる、そう言えば正面からこの男に抱っこされたときも暖かかったのを思いだした

 

「悪くなかったわよ」

 

「何か言ったか?」

 

「頭眩しいっていったのよ」

 

「もう歩いてくれない?」

 

そう言ったサイタマの頭をペチペチと叩き始めた

 

 

 

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血塗れのタツマキを背負い協会関係の病院まで俺はたどり着いた。道中静かになったと思ったらタツマキはどうやら眠っていたらしくどうやら俺が代わりに白衣を着た医者や協会関係者の黒服に説明しなければならないようだった

「A市に近辺に隕石が落ちたとの報告がありタツマキさんを探していたんですが…一体何があったんですか!?」

ちょっと待てよ?このまま正直に説明するとタツマキの怪我は俺の責任にならないか?
とすると俺は黒服と医者に色々と説明しなきゃならなくわけだ。うわー面倒臭そう。

「ええと…タツマキは」

「タツマキさんは?」

「蝉の怪人と戦って…」

その後協会に協会災害レベル判定竜、真剣蝉が隕石を落下させタツマキを苦戦させた怪人として正式に登録された


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4話

「俺のいない間にそんな事があったんですか」

 

「いや本当大変だったわ」

 

ヒーローアパートに帰るとすでに同居人のジェノスが帰っており今日タツマキとあったことをサイタマは話し始めた。

ドアを壊したこと服が燃えたことタツマキの傷が開き勝負は結局有耶無耶になって仕切り直すことにしたこと

 

「それにしても先生の貴重な時間を奪ったあげく器物損壊、金銭面によるダメージまで与えていくとはあの糞ガ…タツマキの奴は許しがたいですね」

 

「いまいち何処で怒りだすか分かりづらいからな。本当カルシウムとった方がいいと思うぞあいつ」

 

そう言ってため息をつくサイタマに本当に疲労しているのを感じる

 

「所で仕切り直すのならまたタツマキが来るかもしれませんね」

 

「あいつS級だしそんな暇ないだろ。俺との勝負何てそのうち忘れるって」

 

「もし来たら今度は俺が追い払いますよ。あっサイタマ先生ドアノブ今直りました」

 

「サンキュー」

 

サイタマの言ったとおりS級ヒーローは怪人被害があれば引っ張り凧でS級2位ともなれば他S級と比べてもまわされる仕事は多くなるだろう。

ましてや怪我をしてる現在は療養して回復に努めなければならない。

タツマキが今後来る可能性はかなり低いだろうというのがジェノスの予想だ

 

 

 

 

 

 

 

 

2日後

 

 

 

 

 

 

「何でアンタがここにいるのよ?鬼サイボーグ」

 

僅か2日でサイタマ宅に再びやって来た

チャイムをならしふてぶてしい態度で玄関に立っているタツマキを見てジェノスは様々な思考がめぐったがまず最初に出た言葉は

 

「帰れ」という言葉だった

 

「は?何で部外者のアンタにそんな事言われなきゃならないのよ。さっさとあのハゲだしなさいよ」

 

「俺は部外者じゃない。同居人だ」

 

「男二人で同居?変なの!宇宙人の時も仲良さそうだったし何か気持ち悪いわよアンタ達」

 

何を勘繰ったのかタツマキは眉を寄せそういい放つ

 

「俺と先生との関係はそれこそ部外者のお前には関係ないことだ」

「いやいやいや、その切り返しはおかしいから。俺とこいつは何もないから!」

 

部屋の奥で静観していたサイタマが若干食い気味に反論する

このままではあらぬ疑いをかけられかねないからだ

 

「あっいた」

 

「先生ここは俺に任せて下がっていてください」

 

「いやいや、今下がってたら俺にそっちの趣味があるみたいなレッテルはられてたろ絶対」

 

ジェノスは融通が利かないときがあり任せきりにすると話しが変な方向にいくときがある

普段は雑学に詳しかったり結構頼りになるんだが…

 

「てゆうかいるじゃないの!どう言うつもりよ鬼サイボーグ!」

 

「先生は今忙しいんだ、日を改めろ」

 

「つーかさ、何しに来たんだ?」

 

何となく予想はつくがサイタマは一応タツマキに確認してみる

 

「何いってんの?この前の続きに決まってんでしょ?」ヤッパリカ

 

「いやいや怪我治してからこいって言ったろ」

 

「治ったわよ」

 

「嘘をつくなタツマキ、本当なら診断書をみせてみろ」

 

「は?何で嘘つきのアンタにそんなもの見せなきゃならないのよ?

って言うか不愉快、消えて!」

 

タツマキの自分勝手な主張にどんどん無機質な表情になっていくジェノス、内心激怒しているようだった

 

サイタマはサイタマで前に病院連れていこうとした時の面倒臭さを体験しているため言っても聞かないのは分かってる

 

どうしたらいいのかとサイタマが思うと名案が思い付く

 

「…わかった。なら場所移すか」

 

「へえ、アンタ聞き分けがいいじゃないの。それじゃあ行きましょうか」

 

「待った。その代わり前みたいに血だされたら困るからさ、体調悪そうにしたり血でたらすぐ終わりな」

 

自分も速く帰れるし完治してないであろうタツマキも無理せずにやめられる

どうやっても勝負しなければ帰らないだろうとサイタマ為りにタツマキの性格を考えた妥協案だったがこれでも烈火の如く怒りだすことも考えられるが

 

「…わかったわよ。それでいいわ」

 

タツマキは思ったより素直に受け入れた。性格からしてちょっとくらいの文句言うだろうと思っていたがサイタマにとっては拍子抜けだった

 

話が纏まり部屋を出ようとするサイタマの前にジェノスが割って入りタツマキと再び対峙する

 

「待ってください先生。サイタマ先生が行く必要はありません。

おい、タツマキさっきから話を聞いてればおこがましいぞ。相手なら俺がしてやる」

 

「は?何よ鬼サイボーグ。

アンタが私に勝てるわけないじゃないの?」

 

「フンいい気になるなよタツマキ、宇宙人襲来の時は不覚をとったがクセーノ博士のお陰であの頃の俺とは比べ物にならないくらいバージョンアップされサイタマ先生からも【…お前のさっきのピカピカ光って動く奴…アレ…すげーまぶしかった。

強くなったかどうかはともかく…とりあえずすげーまぶしかったぜ】とお言葉を頂戴している。

今では俺は災害レベル竜の怪人とも戦えるほどの力を持った。

今のコンディションの悪い貴様では勝ち目はないぞ。

サイタマ先生に比べレベルの低い環境に身を置いてきたがタツマキ、お前とは立ち位置をしっかりと決めなければならない。

お前は身の程知らずにもサイタマ先生の時間を拘束し物を破壊し私生活に支障をきたさせた。

貴様のワガママで再びサイタマ先生にご迷惑をかけさせないためにも多忙なサイタマ先生が伸び伸びと生活できる環境を守るためにもサイタマ先生の弟子であるこの俺が二度とこの家に踏み入れないよう俺の力を貴様に思い知らせてやる」

 

「話が長い!コイツ何急に語り始めてんのよ」

 

「言いたいことは二十字以内に簡潔にまとめてな」

 

 

 

「困ってる先生のために貴様を排除してやる」

 

二十字以内に簡潔に言いたいことを伝えた後ジェノスはタツマキをまえに構えた

 

構えをとるジェノスに対してタツマキは構えらしい構えは取らない

ジェノスを侮ってるのか元からの戦闘スタイルなのかはジェノスはわからなかったがやることは変わらない

 

【雷光核!!】

 

ジェノスの胸元が急激に発光し周囲の風景を強い光により真っ白に染め上げた

 

「眩しい」

 

「いやめっちゃ近所迷惑だから」

 

光によりサイタマとタツマキの視界が遮られ

目を閉じたタツマキに向かいジェノスが先制パンチを振るう

 

この距離の上視覚を奪われた人間に取れる対処法は多くない。対処できたとしてもタツマキの動きを知るという面では戦闘で自分に有利に働くはずだ

自分は強くなりタツマキは現在弱ってるとはいえこの一発で決着がつくなどとジェノスも考えてはいない

 

パンチの後は距離をとりタツマキの出方を窺おう、自身の放った拳をどう受けるかもしくは攻撃がとおったのならダメージ具合で相手のおおよその実力の検討がつけられるはずだ

 

さっきはああは言ったが相手はS級2位の実力者慎重すぎる立ち回りで丁度いいだろう

 

タツマキに拳を突き出す刹那の時間で後の戦闘の行動と長期的な組み立てを思考しいつでも行動に移れるように意識を向ける

 

この拳が振りきってからが本当の戦いが始ま…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鬱陶しい!!」らなかった

 

タツマキの全身も緑色に発光し、ジェノスの雷光核により視界を潰されたタツマキも超能力を使い始めた

 

ジェノスはどうせ近くにいるだろうと自身の周囲に作用するように力を使い重力を急激に上げる。

そもそも超能力による高感知能力で建物の内部や生物の場所を正確に把握できるタツマキにとって今さら目潰しなど問題にならなかった

 

ジェノスは中途半端に拳を突き出した姿勢のまま床に引っ張られる重圧により床に叩きつけられた

下の階にまで抜けないように超能力で床をコーティングしジェノスのいる場所に超重力による圧力でサンドイッチにする

 

タツマキの目が見え始めた頃にようやく超能力をとき床に転がってるジェノスと近くにしゃがみこんでいるサイタマに視線を向ける

 

「おい、大丈夫か。ジェノスー?」

 

ピクリとも動かない

とりあえず鍋を囲った時に教えてもらったクセーノの電話番号に連絡しにサイタマは家の中に入ろうとするとタツマキに呼び止められる。

睨むような目でサイタマをしばらく見つめるとやっと口を開いた

 

「ねえ…急に光だすのやめなさいよね」

 

「俺じゃねえから!?」

 

どうやら俺がやったのだと勘違いしてるらしかった

 

何でだ?ハゲてるからか?

 

誠に遺憾である

 

連絡をしたあとは二人で広いスペースを求めタツマキと一緒に街の外にあるいていった



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5話

現在ハゲは浮遊していた

 

ゆっくりと空高く上昇して行き流れる雲に青い空に眩しいほどの日光が照り、こんなに空の景色を眺めるのは初めてかも知れない。

 

全身が太陽の光で温まり心地いい気分になり眠くなってくる

 

「ふぁあ…」このまま昼寝でもしたい気分だがそうもいかないだろう

 

何故なら

 

「ぐぐぎぎぎ…ッ!重ッ重ィィィィ!!」

 

現在も鼻を膨らましながら地上で頑張っているタツマキの相手をしないといけないからだ

 

今何故こんなことになっているかというと

前回の戦いの影響でA市周辺を協会関係者が調査しているのが関係している

前回タツマキといた場所に行くと大人数で調査中の協会関係者からそう聞かされ、派手なことをすると間違いなく面倒ごとになりそうだった

 

事情も事情だしお開きにすることをタツマキに提案するサイタマだったが「は?やるに決まってんでしょ。馬鹿なの?」と一蹴された。

 

人気のない場所を探し

 

「ようは派手に暴れなければいいんでしょ?」

 

「そうだけどお前無理じゃん」

 

「失礼ね。アンタ人を狂犬みたいに…ようは周りに迷惑かけずに静かにアンタが負けを認めるようにすればいいってことね」

 

「何で俺が負けるってのしかないんだよ」

 

「私が勝つに決まってんだからそんなの考えなくていいのよ」

 

言い返すのも面倒臭くなって大きなため息をつくサイタマにタツマキは勝負の説明をし始めた

 

「これからアンタを宇宙まで飛ばしてあげる。流石のアンタも宇宙までいったら戻ってこれないでしょ?

アンタがギブアップしたら私の勝ちってのはどう?これなら周りに迷惑かけないでしょ?」

 

「いや帰れたけど」

 

「ふん。そういう強がりはいいわよ。

泣いて負けを認めるなら速くしといた方がいいわよ?

そしたらすぐに地上におろしてあげる…さあ始めるわよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぬぬぬ…うぎぃぃぃ!!」

 

そんなこんなで始まったが既に15分はたっている、宇宙まではまだまだ遠そうだ

 

サイタマは元々超能力がかかりずらい体質のため空にあげるのも一苦労だ

フブキとの一件でも同様のことを試みてみたが重くて厳しかった。

時間を掛ければ行けると思っていたが自身の見積りが相当に甘かったのを思い知らされた

 

(でも…でもぉちょっとずつ慣れて来たわよ!)

 

時間を掛けたことで段々サイタマへの超能力のかけ方が分かってきて浮かせる距離が伸びてきた

 

だが宇宙が遠い遠すぎる

(この調子!…この調子でハゲを星にするの!空で輝かせんのよ!!)

 

この調子で行けば何時間も掛かるとかは考えない。

一切考えない

 

段々頭が痛くなってきたが気にしない、今やってることに集中するがサイタマの方をみてボケぇっとした顔を見るとイライラして集中力が乱れる

 

(ムカつく!!あのハゲ危機感無さ過ぎ!ちょっとは焦ったりしなさいよ!)

 

本気過ぎて汗がでてくる。具合も悪くなってきた。

限界が近づいてるのを感じる。

先ほどよりはかなり高くあげることが出来たが宇宙まではまだ遠そうだった

 

後何メートル?いや何キロだろうか?

 

「なあちょっと恥ずかしい話なんだけどさあ」

 

米粒ほどのサイタマからようやく声がかかった

 

「ギブ!?ギブアップ!?そうよね!

そうに決まってるわよね!!はっはやくいいなさいよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トイレいきたいんだけど…」

 

「死ねえぇぇぇ!!!!」

 

絶叫しサイタマを地上に叩きつけた

 

「アアアぁぁぁぁ!!」

 

怒りに任せてついやってしまったことに後悔したがもう遅い、今までの頑張りがパアになり大分ショックを受ける

 

サイタマが立ち上がったのを見て怒鳴り散らしてやろうと口を開こうとするが

 

「お前鼻血でてんぞ」

 

そう言われて口を閉じた。手で拭ってみると確かに血がつく大分無理をしたようだった

 

「それで…」

 

「家で言ったろもう終わりだ。でっまあ…」

 

今タツマキは思ったより大人しいが、俺の勝ちと言えば確実に噛みついてくるだろうしお前の勝ちでいいと言うとプライドの高いタツマキは噛みついてくるだろうし

 

「仕切り直しってことで…」一番無難な答えをすることにした

 

「…わかったわ」

 

納得してくれたことでホッとした。会って数度だが少しあつかいかたが分かってきた気がする。

 

「じゃあ帰るから」

 

トイレにも行きたいしそそくさと帰ろうとする。そんなサイタマをタツマキが呼び止めた

 

「待ちなさいよ。アンタ、ヒーロー狩りの時にいたんだってね?」

 

「あ?うんそうだけど」

 

話が唐突過ぎて何のことかわからなかったがガロウのことを思い出してそう答えた

 

S級ヒーローのタツマキ、バング、ジェノス、アトミック侍、豚神、ゾンビマン、閃光のフラッシュ、クロビカリ、ぷりぷりプリズナー、童帝、キングが怪人協会本部に乗り込み壊滅させガロウを撃退したとヒーロー協会で記録されている。

 

誰にも聞かなかったがずっと違和感を持っていることがある

 

「ヒーロー狩りはアンタが倒したの?」

 

「そうだけど何で?」

 

何でもないようにそういったがタツマキは唇を噛み締めた。

 

そんなアッサリ流せるような相手では断じてなかったからだ

 

「私以外のあの場にいたS級でヒーロー狩りに勝てる奴なんていないもの…キングは子供の避難してたみたいだしね」

 

ガロウは次元が違う

 

自分を含めあの場のS級の誰もが思ったであろう。

圧倒的なスピードに破壊力、タフネスを兼ね備え相手の技を見切り技術を吸収し急激に進化していく

今まで相手してきたどんな怪人だろうが赤子に見えてしまうほどの圧倒的な強さを持っていた

 

「ヒーロー狩りは強かった?」

 

「強かった。俺武術ってのがいまいちよくわかんなかったんだけど…あいつのは感動したな」

 

サイタマは戦いらしい戦いになるのは非常に稀で殴れば一撃でけりがつく、ここ最近ではそれが当たり前だった。

実力を引き出すために様子見で殴ったり殴らせたりはあったが当てるつもりで振るった拳を避けられる経験は本当に久しぶりだった。

こっちの攻撃は当たらず相手の攻撃は当たる

当たり前に起こりえることが最近までのサイタマには縁がなかったのだ

 

素人主観で武術がよくわからなかったサイタマでもこれが武術なのだとはっきりと違いがわかるほどガロウの武術は群を抜いていたのだ

 

タツマキからこんな話されるとは思っていなかったので不思議そうな顔で見つめる

 

「アンタその時のこと報告してないんでしょ?S級ヒーローの何人かはアンタの話を協会にしてたみたいよ。

最もヒーロー狩りを倒せたのは私達が弱らせたからって思ってるみたいだけど

アンタ前にも弱った怪人を後から倒した前科があるんだってね?」

 

深海王がシェルターを襲撃した際にヒーロー達が奮戦、そのあとにサイタマが来て怪人を倒した時のことをいってるのだろう

 

「何で直接協会に報告しないのよ?アンタ実力隠してるわけじゃないっていってなかった?」

 

合理的にいけば報告するのが筋だろう。

ヒーロー狩りの一件でS級の目も十分あるのだ。タツマキはサイタマの言葉を待つが出てきた言葉は

 

「…面倒だし」

 

「はあ?」

 

拍子抜けもいいところだがちょっとだけ共感はできる確かに面倒ではある。

しかしそれで低いランクにいるこの男は馬鹿なんじゃないだろうか…

 

「いやまあ、それもあるんだけどうーん…」

 

「なによ」

 

「自分のやったこといちいち報告するのって何かヒーローらしくないじゃん」

 

「はあ?」

 

言ってる意味がよく分からないがようは格好つけのためということだろうか?

 

「何それ格好つけてるつもり?馬鹿じゃないの?」

 

「いや格好つけっていうか俺は俺の思い描いたヒーローやってるだけだから」

 

「変なの!意味わかんないわよ。大体アンタなんでヒーローになったのよ!」

 

「俺は…」

 

どうせ下らない理由だろうと期待せずにまってやる

 

「俺は…『趣味』でヒーローやってんだ」

 

「………」

 

「ん?どうした?」

 

思い出してた

 

ヒーローを趣味でやってるなんて変なのって思ったのを思い出していた。

 

『私はブラスト…ヒーロー活動をしているものだ。』

 

『まあヒーローと言っても普段はちゃんと働いていて…これは趣味なんだがね』

 

私がヒーローになるきっかけになった人の言葉

 

私の中の価値観を変えてくれた人の言葉

 

「ぜっ…!!」

 

「ぜ?」

 

「全っ然似てないんだからこのハゲッ!!

大体アンタと違って髪の毛だってあるし!!就職だってしてんだから!!

一緒じゃないんだから真似してんじゃないわよこのハゲ!!

パクりよパクり!このパクりゆで卵!!」

 

「…なんなの?」

 

サイタマと少しでもブラストの姿が重なったことに無性に腹が立ち罵声を浴びせた

 

サイタマは急にキレだしたタツマキに苛立ちつつ落ち着くまで便意を我慢しながら罵倒を聞かされつづけた

 

 

 

 

 

 

 



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6話前編

最近サイタマは疲れていた。何でかと聞かれれば一つしかないタツマキのことである。

姉妹喧嘩の仲裁をした縁から始まり、勝負を挑まれたあの日から度々タツマキはサイタマの家を訪ねるようになった、引き分けになってる戦いの勝敗をつけるために

 

最初の反省を生かし周りに被害があまりでないようにするため前と同じ勝負方法で行っている。

 

【サイタマを宇宙に持ち上げれたら勝ち、タツマキに出血や体調不良があったらその時点で勝負は仕切り直し】

 

月から帰還したサイタマにとってそれで何故勝ちになるのかはわからなかったがとりあえず今はこの形で勝敗を決めている

 

タツマキの体調で勝負は取り止めというのはサイタマが考えたことである、最初は面倒ですぐ終わらせたいがために考えた一文だったが

 

タツマキは高すぎるプライドのため自分からは負けを認めようとしない

限界を越えて何とか目的を果たそうとし超能力による身体の負荷により吐血、鼻血

サイタマが見とがめ勝負を仕切り直す

 

という妙なサイクルが出来上がりもう今月そんなんで五回目になる

肉体的なのはともかくとしてタツマキの相手はサイタマにとって精神的に疲れることだった

 

サイタマにとっては割と真剣な悩みをゲーム中にさらっと話したわけだが

 

「その人女の人?えっ?何それエロゲ?」

 

「いや、ちがうから」

 

話した相手がキングだったからかそんな事を言われた

 

【キング】激しい歴戦の戦いを思わせる目に三本の傷が入った金髪のオールバックの男。

地上最強の男と言われS級内でも最強クラスの実力者とされている…が実際はゲーム好きの一般人である。

たまたま怪人がやっつけられる現場に何度も居合わせ、それを評価されS級という地位まで登り詰めてしまった男。

 

サイタマとは過去に怪人から救ってもらいキングの嘘を知る唯一の存在であり現在では友人といっても過言ではない仲である

 

「冗談だよ、でも全然接点なかったのに急に定期的に会いに来る何て面白いね」

 

「俺は全然面白くないんだけどな…

あのさあ今ガードしたのに俺のキャラ攻撃食らってんの可笑しくね?」

 

「俺がガー不しただけだから可笑しくないよ。

超能力者ってもしかしてヒーロー?」

 

「チートじゃねえか。

キングと同じヒーローだな」

 

「マスケット銃は走って殴ればいいんだからチートじゃないよ、

ヒーローかあ…でもさもしかしたらサイタマ氏に気があるんじゃないのその子?」

 

「いや絶対ないから、

後パイナップルみたいな爆弾投げんのやめろ」

 

「このキャラの持ち味なので

…そうかな?

本当に嫌いなら会いに来ないと思うけど」

 

「プライド高いみたいだし自分が勝つまでやる気なんだろ

…そのショットガンみたいなのやめろ!ガードの上からすげえ削れるんだけど!!」

 

KO

 

「だああぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

頭をかきむしって絶叫するサイタマを横目で見ながら少し疲れたので一旦コントローラを置いてジュースを飲んで一息ついた

 

「何だよキング、ゲームは終わりか?」

 

「ちょっと休憩しよ。そう言えばさジェノス氏はさっき出てったけと何処行ったの?」

 

「ああ、あいつ博士んとこに行くっていってたな。何か超能力を無効化する機械の実験とかいってた」

 

ふーんと返事をしたキングであったが不意にチャイムの音が鳴った

 

「マジかあ…今日もかよ」

 

「え?もしかしてさっき話してた子?」

 

間が悪いなと思いつつも最近サイタマに付きまとっているという女の子が気になる

 

「そういえばその子のヒーローネームは何て言うの?」

 

「ヒーローネームとか覚えてねえわ」

 

ズボラなサイタマにとって珍しくもないことなのはキングも短い付き合いながらわかっていたが本当に興味ないんだなといつも通り過ぎるサイタマにキングは少し安心した

 

「じゃあランクは?」

 

「S級」

 

「…………ん?」

 

あれおかしいな?聞き間違いかな?

 

S級の女性っていったら一人しか思い付かない

ていうかS級の女性って一人しかいない

 

「S級のタツマキ」

 

「嘘おぉ!?サイタマ氏ぃ~そう言うのは早く言ってよぉ!!」

 

(タツマキちゃんかもしれないのかよぉ~

嫌だなあの子苦手なんだよなあ)

 

キングはタツマキからは一目置かれている存在だったがキングにとってのタツマキは常に高圧的で頻繁に周りに食って掛かる苦手な存在だった。厳つい表情をしながら内心ビビりまくってるキングをよそにサイタマは玄関に行きため息をつきながらドアを開けた

 

「久しぶりねサイタマ」

 

「あれ?フブキか?」

 

エスパー姉妹の妹の方が来た、B級1位ヒーローネーム地獄のフブキ。

 

B級派閥フブキ組の長でありタツマキの妹である

 

「何かよう?」そう言ったサイタマに黙って手に持っていた袋を突き出し

 

「タツマキとの喧嘩で世話になったから…お詫びよ」

 

前の姉妹喧嘩のことを言っているのか、渡された袋を見ると肉が入っていた。

サイタマですら知っているブランド物の高級肉

マジマジとそれを見てようやくサイタマは言葉を開いた

 

「これでフブキ組に勧誘とか考えてねえだろうな?」

 

「え?ち!?違うわよそんな訳ないじゃない!」

 

内心しまったと考えていたりする、前にクセーノが持ってきた高級肉であっさりと釣れそうだったサイタマを見てそう言う打算的なところもあったため少し焦って返してしまった。

自分で否定したため今更そう言う話はしづらい雰囲気だが、最初に感謝の気持ちだと伝えているのにそれでも尚疑いにかかるこの男の態度も中々腹立しかった

 

「いらないなら持って帰るけど」「いや、いる!いるから!ありがとなフブキ」

 

袋を持っていこうとするフブキに少し食いぎみで感謝をのべるサイタマ

思いもがけず今日の食事は豪華なものになり何の料理にするかを考え始めていたがフブキが中々帰る様子を見せないことに疑問をもった

 

「帰んねえの?まだ他にようがあるのか?」

 

「あなたそれ一人で食べるつもりなの?」

 

「はっ?お前まさか食ってく気なのかよ?」

 

「私が買ってきたんだから私にも食べる権利があるでしょ?その肉本当に…ホントッに高かったんだから!」

 

えぇ…と渋るサイタマだったが肉をもらった手前断りづらく部屋に上げることにした

 

玄関から上がり部屋に入るとキングがいたのでフブキが驚いていたが何度か見た光景なのですぐに冷静さを取り戻した。

前々から思っていたがキングとサイタマは随分仲が良さそうだ友人と言えるほどに

 

そう考えていると前にフブキのことを友人ではないとはっきり言い【ただの知り合い】と言い切ったサイタマのことを思い出す

そりゃ友人かと言われれば違ったろうがあれだけ目の前ではっきり言われてかなりフブキはショックを受けていた。

過去の苦い記憶を思いだしたと同時に腹立出しい気分になったフブキ

 

だが次にキングから発せられた言葉に今度は血の気が引いた

 

「あれ?タツマキちゃんじゃなくてフブキ氏だったの?」

 

……ん?

 

何故お姉ちゃんの名前がでてくるのかがいまいちわからないフブキ

 

「違ったわ」と応対して軽く流そうとする二人だったがフブキにとって気になり過ぎるワードだったためその事を聞いてみた

 

「何でタツマキの名前が出てくるの?まるでくるみたいに」

 

「タツマキちゃんサイタマ氏の部屋に最近結構な頻度でくるみたいなんだって」

 

何で???という疑問が沸いてくるがサイタマの家にタツマキがくるようになったということだけはわかった

 

「サイタマ!!何でそう言うこと先に言わないのよ!!」

 

(フブキ氏も俺と同じようなこと言ってる…)

 

大問題である。タツマキが来るかもしれない何てわかっていたらサイタマの家にお邪魔しようなんて思わなかったのに

 

「お姉ちゃんが来るかもしれないならこんなところにいてられないわ!サイタマ私帰るから」

 

早歩きでさっき通ったばかりの玄関に再び向かう。靴を履き後はドアを開けて出るだけになって…

 

 

 

 

ピンポーン

 

後は出るだけというところで呼び鈴が鳴った

 

冷や汗がブワッと流れだし息を飲む、いやまだだまだ姉だと決まった訳じゃない。

違うかもという淡い期待を抱いているフブキだったが

 

ピンポンピンポンピンポンピンポン

 

呼び鈴の鳴らし方でモロに性格が表れておりお姉ちゃんならやりそうとしつこく鳴らしまくっている呼び鈴とフブキのイメージのタツマキがぴったりと重なっていた。

恐る恐る超能力でドアの向こうの人物を調べてみようと試みる…

 

(あっ…これお姉ちゃんだ)

 

調べた結果100%間違いようのない現実

 

つまり【ドアの向こうにタツマキがいる】という

 

「うわあ…今度はマジでお前の姉ちゃんっぽいな」

 

どうしよう…と途方にくれてるフブキのことなど気にせず扉を開けようとするサイタマを正気に戻ったフブキが止めようとする

 

今自分がサイタマの部屋にいることが知られると絶対ややこしいことになると

 

だが無駄な努力である

 

「…何でフブキがアンタの部屋にいるのよ」

 

メキメキとドアの軋む音の後に勢いよく扉が引き剥がされる

 

無くなった扉の向こうには予想通りタツマキが立っておりその表情は一見すると無表情に見えるが声色で腹の底から怒ってるのが感じられた

 

「おっお姉ちゃん何でわかったの!?」

 

「俺ん家のドアが!?」

 

「こんな近くで超能力使って気付かない訳ないでしょ。前の時も妙に仲が良さそうにみえたけどアンタ達前あった時はただの知り合いとかいってなかったっけ?

それがこそこそ人の妹を連れ込んで…私に嘘ついてたわけ?」

 

「いや連れ込んでねーから!!お前の妹の方からきてんだよ!

つーかそんなことより何でドア壊した?

絶対弁償させるからな」

 

「【そんなこと】?それにフブキの方から来てる?

フブキが男の家に軽々しくあがるような子だって言いたいわけ?

嘘つくのも大概にしなさいよこのハゲ!!」

 

(ごめんお姉ちゃんわりとお邪魔してる)

 

最初の勧誘や怪人協会への今後の対策を練るためや鍋を囲んだりと割と頻繁に来ていたがそれを言うと矛先が自分に向き変に拗れそうだったので言わないでおいた。

 

タツマキはフブキに対して過保護で束縛しようとする所があった。

姉の立場として良かれと思ってやるが妹であるフブキの考えは一切考慮しないためフブキにとって生き辛くてしょうがない。

 

そのためフブキに反発心をもたれつい最近になって姉妹喧嘩にまで発展しサイタマが間に入ることになった

その1件から今タツマキがサイタマに関わる原因となることになる。

 

タツマキがサイタマに関わるのは一言で言うと【不安】だったからだ

 

タツマキは自分は強いという絶対的な自信とそれを裏打ちする実力をもっていた。

幼少の頃周りの大人が自分を助けてくれなかったという現実に直面した時のショックとブラストの言葉で今のタツマキの人格が形成されている

 

周りが助けてくれるとおもってはいけない。

だから自分のことは自分で助けるしかない。

 

周りが助けてくれると思ってはいけない。

じゃあ妹は自分が助けてあげなければ

 

物ごとをなんでも自分が何とかするようになりそれを成してしまえそうな強大な力も持っていた。

 

だが最近になり自身の超能力に抵抗してみせた【黄金精子】や自身の超能力を受けても圧倒的な戦闘力を見せつけた【ガロウ】

 

そして自分の超能力が一切通じなかった目の前の【サイタマ】

 

これらが現れたことで絶対的なタツマキの自信に見過ごせない不安を抱いてしまったためだ

 

だが今は関係ないタツマキは妹が関わるといつもより苛烈なのだ

 

サイタマの住んでるヒーローマンション全体が揺れはじめる。地震ではなくタツマキの超能力によって

 

「アンタが変な影響をフブキに与えたんでしょ?

昔はお姉ちゃんの言うことよく聞く子だったのに…

まさかアンタ達付き合ってんじゃないでしょうね?」

「ねーよ」「それはないから」

 

 

2人は即答した

 

 

「そうやってすぐに否定するあたりが更に怪しいわね…

まあいいわ、元からアンタとはいつか決着つけるつもりだったけど今日捻り潰してあげる」

 

一際大きく建物が揺れ初めた。

 

ドッドッドッドッ

 

「おいやめろっ!?まだ引っ越したばっかなんだぞ!」

 

住居の心配をし一切自分の心配はしないサイタマ

 

ドッドッドッドッ

 

タツマキの激怒っぷりにどうすればいいのかオロオロし初めるフブキ

 

そしてもう1人

 

 

いつ攻撃してもおかしくないタツマキだったが急に冷静になった

 

聞き覚えのある

 

でもそんなはずない

 

居るはずない

 

音の発生しているサイタマの部屋の奥を見てみる

 

ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッ

【挿絵表示】

 

 

「…キング!?」

 

奥のドアの隙間から覗きこむ縦に3本入った目の傷、鳴り響くキングエンジン

 

見間違いようがない

 

タツマキが認める数少ない実力者地上最強キングであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(やべぇ目あっちゃったよ…)

 

「キング…アンタ何でハゲの部屋にいるのよ」

 

ドッドッドッドッ

【挿絵表示】

 

 

「アンタ…ハゲの仲間なの?」

 

ドッドドッドッドドッドッドドッドッ

【挿絵表示】

 

 

「なっ何よ!何キングエンジン鳴らしてるのよ!?止めなさいよ!!」

 

(無理ぃ!?タツマキちゃんそれは俺に死ねっていってるのかな?)

 

キングエンジンとはキングが戦闘態勢入ったときに鳴らされる音でこれを聞いた怪人で生き残ったものがいないとされている…

 

が実際は馬鹿でかい心音である

 

キングエンジンのエンジン音はキングの心臓から発せられている心音つまり

 

止める=死 である

 

タツマキは顔色が悪くなりキングエンジンで臨戦態勢に入っているキングとサイタマを何度も交互に見初める

 

「キング…アンタ私と殺る気?地上最強だか何だか知らないけど私に勝てると思ってんじゃないわよ!!

アンタがその気なら容赦しないわよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

【挿絵表示】

 

 

「じょっ!?上等よおおおおおおぉぉぉぉ

ハゲと2人まとめて相手してやるわよおおおおおぉぉぉ!!」

 

「いや、やらねえからな」

 

急加速したキングエンジンによりパニックになったタツマキを相手に冷静さを取り戻したフブキが説明しこの場は収まった

 

因みに加速したキングエンジンを鳴らしていたキングの思考は

 

【サイタマ氏はやくたすけて】であった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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6話中編

怪人協会突入の流れは村パンマンの手順でやらせてもらってます

S級、A級、B級、C級連合が怪人協会突入

因みにオロチ、ニャーンはいない前提で進めてく予定です


玄関先でゴタゴタがあったがフブキのお陰でタツマキは落ち着きを取り戻した

 

それ自体は暴れられ新居を破壊されることを最も恐れていたサイタマにとって喜ばしいことではあったのだが

 

「お客様にお茶だしなさいよハゲ」

 

我が家のようにサイタマの部屋で当然のようにお茶をねだるタツマキ

 

その説明をするために家にあげる流れになってしまったのが唯一の不満であった

 

現在はテーブルにつきサイタマの隣にフブキ、その対面にタツマキが座ってる状態だ

キングは完全に背を向け我関せずといった風にテレビゲームを初めている

 

フブキはB級に成り立てで勢いのあるサイタマをフブキ組に勧誘しようとしたことを説明、なんやかんやで現在でも繋がりをあることを伝える

 

「フブキ。お姉ちゃんまず言いたいことがあるんだけど、自分より弱い奴に勧誘されてその下につくわけないでしょ」

 

諭すように言うタツマキに対しフブキは言葉を返そうとするが、

普段ぶっとんだ言動をする癖に珍しくまともすぎる正論に返答出来ない

 

フブキは話を反らすためにタツマキに逆に気になったことを聞いてみることにした

 

「…お姉ちゃんはサイタマと何で会うようになったの?」

 

「フブキと喧嘩した時にハゲもいたでしょ?

あの時有耶無耶になっちゃったから決着つけようとしただけよ」

 

「え?でも何度も会ってるんでしょ?」

 

会った理由はそれで説明になるが何度も会う理由にはならない

 

「負けたからサイタマが何度も挑んでるってこと?」

 

「いや負けてないから、それに俺そんな暇じゃないし」

 

「は?アンタ私が暇だっていいたいの?」

 

「そんな事言ってねえだろ」(オモッタケド)

 

今の話から姉の方から会っているのがわかる。

その前にキングからも言われていたがやっぱり信じられない

 

(まさかお姉ちゃんが負けたの!?)

 

何事にもやる気を感じられないサイタマが負けて勝負を挑むより、負けた姉がサイタマに勝負を挑む方が性格的に辻褄が合う

 

だがサイタマがいくら強くても姉が負けるのは想像できなかった。

前回サイタマと姉が戦ってた時、サイタマが食い下がっていたがそれでも本調子なら姉の方が上だと思っていたからだ

 

「…じゃあお姉ちゃんが負けたの?」

 

恐る恐る聞いてみる。姉が負けたかもしれないと思うとフブキなりにショックは大きい

 

姉は絶対的強者であり自分に頻繁に干渉してきて生きづらい思いさせられてきたがそれ以外のことでそれほど嫌っていたわけではない。

強いお姉ちゃんでいてほしいという気持ちは内心で持っていた

 

「…ハゲに聞けば?」

 

「は?何で急に俺なんだよ」

 

フブキから視線を反らしボソッとそれだけいう

タツマキの視線の先に別段興味を引きそうなものはなかったがしばらく待っても視線を戻そうとしない

フブキはサイタマの方に今度は視線を向けるとサイタマはため息をつきながら答えた

 

「…引き分けだな。一応…」

 

「…ふん」

 

答えたサイタマにタツマキは視線を向け鼻を鳴らす。

お互い複雑そうな顔だが、要はなかなか決着がつかないらしい

 

それはそれで驚きなのだが、それだけの関係のハズがタツマキとサイタマが妙に仲良さそうにみえた(フブキの主観)

 

というか何なのだろうかこの空気は

 

特に姉に違和感を感じる。

あんな顔をする姉など見たことがないし、いつもの姉なら私の話など聞かずに玄関で暴れまわってたのではないだろうか…

 

(えっ!?まさかお姉ちゃんとサイタマが…始まっちゃった!?)

 

まさかと思うがそういう関係なのだろうか

 

姉に限ってまさかと思いつつ一度気になると聞かずにはいられない

 

「何か二人とも随分仲良さそうに見えるけど…」

 

一旦言葉を切って言い淀むが勇気をだして聞いてみる

 

「付き合っ…たりはしてな「ないわよ」「ねーよ」あ…はい…。」

 

フブキとサイタマが同じ質問された以上に即答だった

 

「あのねフブキ…どうしたら私とハゲがそうなるとか思えるのあなた本当に大丈夫?」

 

(お姉ちゃんだって私に同じこといったじゃない!!)

 

自分も似たような質問をしたくせに本気で心配してくるタツマキに怒りが湧いてくる

 

でも安心した本当に何もなさそうだ

 

だがそうなるとこの姉の違和感は何なのだろうか

 

(もしかして友達になったとか!?)

 

大したことないようなことに思えるがこと姉に友達が出来たとなると大問題である

フブキの友達すら不要といい無理矢理切り捨てさせようとした姉である。

そんな姉に友達などいるわけがなかった

姉に友達が出来たとなれば心情に多大な変化が会っても可笑しくない

 

(散々私のことただの知り合いって言っててお姉ちゃんは友達だっての!?)

 

未だにあのときサイタマに【ただの知り合い】と言われたことをフブキは根に持っていた

 

いつものボケぇとした顔をしフブキが睨んでるのに気づいてるのか気付いてないのか、

とにかく気にもとめないサイタマ

 

「私は大丈夫よお姉ちゃん、それに本当に仲が良さそうに見えたから…

恋人じゃないならお友達になったとか?」

 

「別にハゲと仲良くも友達でもないわよ」

 

「うん、友達とかねーわ」

 

二人がそう答えてくれてホッとする。

先に関わったフブキよりも姉の方が先に友人関係になるとかフブキのプライドが傷つく。

姉の違和感の原因はわからないがフブキは安心した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は?」

 

「え?」「え?」

 

と思ったら短く発せられたタツマキの怒り混じりの声色にフブキもサイタマも困惑した

 

流石に普段他人の機敏に疎いサイタマですらタツマキが怒ってるのが分かったからだ

 

「…アンタの方はちょっとはそう思ってたりしたっていいんじゃないの?」

 

「え?」

 

そういうとフブキの方をみて(こいつ何いってんだ?)と言わんばかりの表情をするがそんなものフブキが聞きたい

 

顎に手を当て珍しく真剣な表情をするサイタマ

しばらく考え数分後にゆっくり顔をあげてタツマキの方に向き合った

 

「いやねーよ。絶対ねえから、あれで友情が芽生えるとかひと欠片もないから」

 

「はあああああぁぁぁぁぁ!?」

 

そこからタツマキからサイタマに烈火の如く罵倒の嵐が飛んで来る

 

「???」とタツマキが何故怒ってるのか全然わからないサイタマ、フブキも捲し立てる姉に混乱していた

 

止まない罵倒にいい加減うんざりしてきたサイタマが口を開く

 

「ちょっと待て」

 

「…何よ」

 

肩で息をつきながらタツマキは聞き返した

 

「お前さ俺のこと友達だと思ってるの?」

 

「そんな訳ないでしょハゲ!!ナルシストでハゲとか死になさいよ!!」

 

イラァと顔面がひくつくがグッとこらえる

 

「…だよな。そして俺もお前のこと友達だと思ってない。

俺もお前も両方思ってないんだから何も問題ないよな?」

 

「ふざけんじゃないわよこのハゲ!!」

 

「フブキ…お前マジで大変だったんだな」

 

「…でしょ?」

 

発言が矛盾しまくりのタツマキに訳がわからないよといった感じに途方にくれるサイタマ。タツマキの罵倒はまだまだ続くが流石に付き合いきれなくなったサイタマも言いたいことを言い更にヒートアップしていった

 

 

 

 

 

 

 

 

ドッドッドッドッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『タツマキちゃんはサイタマ氏に友達だって思ってほしいんだよ。

自分でそれを認めたくないから自分は違うっていうけど、ちょっとしたツンデレ心だよ』

 

等とヒステリックに喚くタツマキにビビりキングエンジンを鳴らしながら思っていたキングだったが言えばタツマキに死ぬほど怨まれそうなのであえて黙っていることにした

 

「大体なあ、お前勝手なことばかり言うし人の話聞かないし人ん家の扉は壊すしハゲハゲって人の頭のこというしよぉ」ドッドッドッドッ

 

「扉は…弁償するわよ。後あんたハゲじゃないのよ」ドッドッドッドッ

 

「…俺のことハゲって呼ぶ奴とは仲良くなれないから」ドッドッドッドッ

 

「…何よそれ、頭だけじゃなく心まで淋しい奴ね。抜けるのは髪の毛だけにしなさいよ。

そんなんだから友達いないのよ」ドッドッドッドッ

 

「お前が言うな」ドッドッドッドッ

 

サイタマ、タツマキ共に言いたいことを粗方いい終えたのかタツマキが息をついた

 

「ふぅ…そう言えば言いたいことがあるんだったわ」

 

「今度は何だよ?」

 

「うっさい、アンタじゃないわよ」

 

「私?」

 

フブキが答えるが違うと首を振った

 

「アンタよキング。アンタがフブキを怪人協会のアジトに連れ出したんだってね?

人の妹を危険な場所に連れだしてどういうつもりかしら?」

 

色々ありすぎて忘れかけてたが鳴り響いたキングエンジンにより次に会ったら絶対キングに問い詰めてやろうと思っていたことがあったことを思い出す

 

自分が参加メンバーから外させたフブキを密かに連れていきS級ヒーロー達と合流せずに個人行動をとったキングに今度は先程並みかそれ以上の怒りの矛先が向けられた

 

 

 

 




評価赤くなっててびっくり嬉しいです。

ちょっとweb板ネタが多くてわかりずらいかも知れませんが村パンマンしか見てない人もweb板の方も読んでくれると嬉しいなあ


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6話下編

ある侍に聞けばこう答えるだろう

 

「キングか…

俺も数多くの斬り口を見てきたが奴のリンゴは別格だ。

内臓や血管の隙間に刃を通すことは俺にもできるが…

細胞の隙間を通す神業など聞いたことも見たこともない

あのリンゴは自分が斬られてることにすら気づいてなかった。切断面が元通りピッタリと接合されていたんだ。

奴は剣術は素人とか言っていたが…

俺にすら見えない太刀筋、神業を堂々と見せつけやがった。

今は弟子達と一緒に1から己自身を鍛え直してる所だ。

俺が奴を試すつもりだったのに逆に俺の未熟さを思い知らされるとはな…大したやつだ」

 

本人が聞けば斬れていないリンゴをみて何故そこまで話を肥大化させてしまうのかと驚愕するであろう

 

ある道場主に聞いたらこう答えるであろう

 

「キングか?あやつは強さにどこまでも貪欲な男じゃ。まさかワシに教えをこいてくるとは思わんかった。

ワシも昔はたった1人で悪を討ち滅ぼしてやるといきまいとった…自分が最強になってな。

だが強い柱が一本では平和を維持出来んのじゃ…ガロウも似たような思想をもち崩れ落ちてしまった。

だからこそワシは強者が更なる力を得ることより弱い立場の人に力を与えてやることの方が重要だと考えた…あやつにもそう言ったのじゃが決意は変わらんようじゃった。

あやつも思い詰めてるようじゃったからな

実物以上に完璧超人ともてはやすあやつのファンが多い。

その重すぎる期待に応えようとあやつは足掻いてるのじゃろう。

むしろキングから弱音を聞けてようやく人間らしさが見えてワシは嬉しかったわい。

あんな男がいればワシがいなくともヒーロー協会は大丈夫じゃろ

 

 

 

あっ最後に流水岩砕拳門下生いつでも募集中。よろしこ~」

 

本人が聞けば勇気をもち自分の弱さを伝えたのにどうあがいても信じてもらえない自分自身の肥大化しまくったイメージにあらためて戦慄するだろう

 

ある小学生に聞けばこう答えるだろう

 

「キングさん?

うん何て言うか勝手な人だよね。

作戦立てた僕の言うこと何て聞かないし、勝手に個人で怪人協会に入っていっちゃうしさ。

まあそのお陰で僕たちが助かったのは結果論よかったけどね。

S級は皆ワガママで疲れるよあの人達皆僕より年上なのにね。

…キングさんの話だっけ?あの人

いなくなったりしたと思ったらずっとふんぞりかえってたりよく分からないよ。

またいつの間にかいなくなってるし

多分自分が戦うにたる相手を探してたんじゃない?

キングさんが出たらすぐ終わっちゃうから僕たちにやらせて高見の見物でもしてたんでしょ?

まあ僕達が戦ってる最中に【煉獄夢想爆熱波動砲】を出されたら怪人もろとも僕達も消し炭になっちゃうからしょうがないけど

とにかく強いけど冷たい人だよ」

 

本人が聞けばどうしたの!?と勝手でワガママなS級の大人達に振り回され、誰かに頼ることをやめて荒みきってしまった小学生に心配の声をあげただろう

 

だがしかし今の三人の話でわかるようにキングとはすごい男であり地上最強の男に思われており

 

S級内でも重要な位置付けをされている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「知らないんですが?」ドッドッドッドッ

 

「この後に及んでしらをきってんじゃないわよ。

アンタも会議に参加してたでしょ。童帝から何も聞いてない何てそんなことあるわけないでしょ。

次しらをきるつもりなら覚悟してもらうわよ」ドッドッドッドッ

 

「お姉ちゃんそれは…」

 

「フブキ、アンタは黙ってなさい。今キングと話してるの」

 

「…」ドッドッドッドッドッドッドッドッ

 

 

 

 

(何をいってるんだか全然わからねえ…

えっ?何?フブキ氏連れてっちゃダメだったの?

いやいやそんな話聞いてないんですけどー!!

大体タツマキちゃん俺が知ってる前提で話してるけど…

 

俺が会議に来たのって途中からだからね?

そん時には話終わってたってこと?

ちょっとヒーロー協会の人ちゃんと教えてよ!

フブキ氏つれてっちゃダメって言われてたら俺連れてかなかったからね?

大体乗り気だったのフブキ氏だし!!)

 

「俺来たのって途中から何だけど…」ドッドッドッドッドッドッドッドッ

 

「だから?アンタほどの男が会議で決まったこと聞かされてないわけないでしょ?」ドッドッドッドッ

 

(聞かされてないんだよなあ)

 

「アンタがZ市の怪人を大量に倒してて遅れたのはしってるけどそれでかしら?

勝手なことしてもいいって思っちゃったわけ?

私が言ったことなのにそれでもフブキを連れ出すなんて随分舐めてくれるわね」ドッドッドッドッ

 

流石キングねと改めてキングの実力に恐れ入るフブキと

 

「えマジで?お前そんなことしてたのか」

 

(サイタマ氏は俺が弱いの知ってるでしょ)

 

(ていうかZ市だし多分サイタマ氏だと思うんですけど)名推理

 

実際見てもいないのに勝手に怪人を倒しまくっていたという思い込みをしたヒーロー協会職員のたくましい妄想と怪人協会に入会しようとした大量の怪人をゴミだしのついでに始末したサイタマの行動が完全に合致しまたいつのまにかキングの伝説が増えていた

 

(完全に俺が知ってる体で話してるよ。

ていうか知らないって逃げ道完全に塞がれてんじゃん。

タツマキちゃんそう言うのよくないとおもうんだけど、

どうしようフブキ氏連れてったの何て何となくだし…

つかこれそれっぽい理由言わなきゃタツマキちゃんに攻撃されんじゃね?

ハハッ!やべぇ終わったな俺)

 

「で?」ドッドッドッドッ

 

そう聞かれるとおもむろにゲームのコントローラを置いて立ち上がった

 

「…フブキ氏ちょっと席変わってくれない」

 

ドッドッドッドッドッドッドッドッ

 

そう言うとフブキをテーブルからどいてもらいサイタマの隣タツマキの正面に座った。

キングエンジンの威嚇音が正面のタツマキに響き渡る

 

(ムカつく…わざわざ私の正面に座るなんて、自信過剰が過ぎるわよ。

答え次第じゃただじゃおかないから)

 

(…いざとなったらサイタマ氏に助けてもらおう)

 

やる気満々と捉えたタツマキ

 

隣のサイタマに助けてもらう気満々のキング

 

お互いの考えはズレまくってた

 

 

 

 

 

 

「…フブキ氏なら大丈夫って思ったからだよ」

 

タツマキもフブキも意外な言葉に動揺した

フブキなら大丈夫とはどういう意味だろうか?

 

「言ってる意味がわからないんだけど?

フブキが役に立つわけないでしょ」

 

それを聞いてフブキは俯いた。

 

タツマキとて悪意があってこんな言い方してるわけではない。

妹は常に守る対象としてみてるからこその発言だった

 

「フブキ氏は道中でバングさん達が苦戦してた大きな犬の攻撃からジェノス氏を守ったりしてたよ。

協会内でも強い位置にいる怪人だってバングさんは評価してた」

 

「はあ?」

 

まあキングは実際みてないがそう言うことがあったらしいことは聞いていた

 

「怪人協会のサイコスっていう司令塔をフブキ氏が1人で倒してたよ。

災害レベル竜を複数抱えてる組織だし位置付け的に災害レベル竜は固いね。ていうかそんぐらい実力なければ他の構成員の災害レベル竜が誰も言うこと聞かないだろうしほぼ間違いないかな」

 

「…」

 

「タツマキちゃんはさ、フブキ氏のこと弱いっておもってるのかもしれないけど本当に弱かったらこんなこと出来ないよ?」

 

「…何知った風な口聞いてんの?」

 

「タツマキちゃんこの前フブキ氏と喧嘩したんだよね何か思うことなかった?」

 

「…なにがよ」

 

「成長したなとかさ?」

 

瞳孔が開いたかのようにタツマキは大きく目を見開いた

 

「思ったんだよね?」

 

「フブキ氏はさタツマキちゃんがそんなに気にかけなくてもちゃんとやれるよ。

あんまり過度に助けようとするとさフブキ氏の方が自信なくしちゃうし成長の妨げになると思う。

今回連れていったのはフブキ氏に自分もやれるって自信をもってほしかったのと今後の成長に+になると思ったから連れていったんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(俺何いっちゃってんの?

やべぇ!自分でもよく分からない適当なこといった!!

だからフブキ氏はそんなキラキラした目で俺を見ないでね。心が痛むから、

でもドルゼナブリング反応とかいって誤魔化そうとしたアトミック侍の時よりはそれっぽいこと言えたし何とかなる?)

 

「…ねえキング」

 

しばらくお互いに沈黙すると震えた声でタツマキが言葉を発してきた

 

「アンタさあ」

 

一見機嫌の良さそうな

 

「アンタ」

 

激怒してるような

 

「アンタ私がフブキの成長の妨げになってるっていいたいわけ?」

 

(あっやば)

 

ガチギレだった

 

タツマキの超能力で再びアパートが揺れ始める

 

「構えなさいよ」ドッドッドッドッドッドッドッドッ

 

「タツマキちゃんやめよう…今の状況でお互い死人は出したくないだろ?」ドッドッドッドッドッドッドッドッ

 

「私を殺せる自信があるって訳?気にしなくていいわよ私があんたを殺すしね」ドッドッドッドッドッドッドッドッ

(違うぅ!!そうじゃないよ!)

 

何とか戦いを回避するため周囲と一般人にも被害が出るとタツマキの心情に訴えて思いとどまってもらおうと思ったが

まったく別の捉え方をされてしまったようだった。

 

「…タツマキちゃん今日は火曜日だということを忘れていないか?」

 

「は?火曜日?なに?」

 

「ドルゼナブリング反応と聞けばタツマキちゃんなら察しが「うるさい。そんなの知らないわよ。いいから立て」

 

アトミック侍に通じた逃げ口上も通用せずもうどうしようもない状況でキングは内心怯えきってきた。

 

必死に止めようとするフブキの声などまるで無視して、キングに手をかざした

 

伸ばした手は緑色に発光する、タツマキが超能力を使う兆候

 

(終わったぁぁぁ!!!!助けて!助けてえぇぇ)

 

キングが内心で助けを呼ぶなかその願いは届いた

 

「…何よ?」

 

タツマキがきいたのは自身の手を掴んだサイタマだった

 

(サイタマ氏いぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!)

 

キングは、やっぱり助けてくれたサイタマに心の中で何度もお礼を言いまくった

 

「…手を離して、アンタに関係ないでしょ?」

 

「関係あんだろここ俺ん家だぞ」

 

相変わらず微妙にズレてることを言ってるサイタマを相変わらずに思いながらホッした

 

「じゃあ外でやればいいんでしょ」

 

「うん」

 

(うん!…うん?)

 

そう言うと立ち上がり玄関に向かうタツマキ

 

(これって…あんまり状況は変わってないのでは?)

 

「何にしてんのよキング?はやくしなさいよ」ドッドッドッドッ

 

(えっサイタマ氏助けてくれないの?)ドッドッドッドッ

 

自分の家を気にするだけで助けてくれる訳ではないようだ。

どうして!?という感情が沸き上がりサイタマの顔を見るがいつも通りの表情で考えが読めない

 

(いやでもそうだよな…俺は本当はサイタマ氏に恨まれることしてるし。)ドッドッドッドッ

 

キングのS級入りは怪人を倒した功績によって判断されたものだが、実際にそれは自己申告していないサイタマが倒したものだった。

本来サイタマが得るであろう名声を否定しなかった自分が霞めとってしまったものだ

 

サイタマが自分の弱さを知って怒らなかったから、一緒に遊んでくれるからついつい気にしなくなっていたが本来キングはサイタマに恨まれても仕方ないことをしていたのだ

 

サイタマが助けてくれないのはそう言うことなのかもしれない。

内心のショックは極大だったがそれも仕方ないこと、自分を救ってくれたヒーローの功績を掠めとり恩を仇で返していたのだ

 

サイタマはヒーローとして怪人から平等に守ってくれていたがヒーロー同士のいざこざにまで首を突っ込む義理はない。

サイタマの優しさに胡座をかいて地上最強のキングを演じてきた嘘のツケが回ってきたのだ

 

「いつまで座ってんのよ?無理矢理立たされたいの?」ドッドッドッドッ

 

再びサイタマの方を見るが相変わらず何を考えてるのかわからない

止めてくれそうな気配はない

 

(覚悟決めよう…)

 

決意を抱きキングは立ち上がった

 

ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッ

 

キングエンジンをフルスロットル急加速させゆっくり玄関に向かっていくキング

 

タツマキを見下すように(身長差)

みてキングエンジンでタツマキを威圧し牽制する

 

「…やる気十分のようね。

いい目だわ覚悟を決めた顔…アンタが何してくるのか楽しみだわ」

 

若干怖じけマジりの強気の発言であるが最近サイタマに植え付けられた不安を少しでも取り払うためにも負けるつもりは欠片もない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(靴を舐めよう…

なるべくみっともなく見えるよう命乞いをしよう。

俺が弱いってことを説明する…

それしか生き延びる道はない)

 

プライドを完全に捨て去る覚悟をしタツマキの想像の遥か下の行動をしようとするキング

 

しゃがみこみ靴を履こうとするが手が震えて中々はけない。

 

「アンタ何やってるのよ?」

 

それを見かねてか声をかけてくるタツマキ

 

それを聞き急ごうとするが今度は焦って靴を落としてしまった。

 

こんな自分をタツマキはどんな風にみてるのか?

恐る恐るキングはタツマキの方をみる、

眉をひそめ不愉快そうな眼差し、だがそれは自分の方には向いてなかった

 

「何って俺も行くんだよ」

 

すぐ後ろにいたサイタマにだった

 

自分の家が被害を被るのが嫌なだけでキングを助ける気はあるようだ

 

自分が見捨てられたのではないと知り安堵すると同時にサイタマに何度も心の中で感謝した

 

「余計なことするなら容赦しないわよ」

 

「お前の行動によるな」

 

「大体何で関わってくるのよ?

関係ないでしょ」

 

このまま外にいけば戦いは避けられないだろうがそれはキングとタツマキの問題だ

タツマキにはそれで何故サイタマがこんなに関わってくるのかがわからない。

タツマキは思い知らせなければならないのだキングに、知った風な口をきき妹の間に入ろうとする不遜で自分が強いと勘違いしている男に

 

大体タツマキはキングのことを内心の自覚してないような奥底で恐れてはいたがキングが実際に戦ってる姿を見ている訳ではない。

イメージばかり先行してるだけで自分よりも強い保証もないし強いわけがないではないか。

この機会に妹にもう近づかないように自分とキングとに明確な差があることを思い知らさないといけない

 

タツマキは決意したのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さっさとおわらせてほしいだけだ。

それにお前が無茶苦茶やったら俺がキングと勝負出来なくなるだろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…は?」

 

「休憩してただけでお前らが来たから出来なかったけど俺らまだやるつもりだったから」

 

何をいってるかわからない

 

「サイタマ氏ぃ…いまそんな話してる場合じゃないんだけど」

 

「今日のためにたくさん必殺技覚えたのによ。

お前ら来たからキングに見せれねえじゃねえかこれ以上時間とらせんな」[ゲーム]

 

私…こいつの必殺技しらないんだけど

 

「サイタマ氏さあ1ついっておくけど…」

 

「必殺技出せるようになった程度でさあ、俺に勝てるとか思わない方がいいよ?」[ゲーム]

 

「!?」

 

「お前さあ…この手の話すると本当腹立つな…」

 

「感情薄れてきたんでしょ?ちょうどいいじゃん?」

 

「キング」

 

タツマキに急に話しかけられしまった!?となるキング。

ついついいつものノリでサイタマと話してしまったがキングの危機的状況はまだつづいている

恐る恐るタツマキを見るとうつむき若干顔が青くみえた

 

「キングとあいつどっちが強いの…」

 

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれタツマキちゃんもゲームやるのかな?

 

「俺の全勝ですが?」

 

「!?!?!?!?!?」

 

混乱混乱大混乱

 

「ちょっとアンタ!?」

 

「え?俺?何だよ急に」

 

「今の話本当なの!!」

 

「…腹立つけどあいつマジ強くてなあ」

 

足元に浮遊感を感じる今にも崩れ落ちそうだ。

キングがサイタマより強いという事実にタツマキは眩暈がした

 

「ワタシハダイジョウブワタシハツヨイワタシナラカテル」

 

ぶつぶつと半ば自己暗示のように呟くタツマキにキングとサイタマは気味の悪さを感じた

 

「大丈夫かあいつ?」

 

「うーんどうだろう。サイタマ氏の時みたいにまた後日ってことにならないかな?」

 

キングは正直もう限界いっぱいいっぱいだった

 

「つーかさあ前から思ってたんだが…」

 

「何?」

 

「タツマキとフブキって超能力にそんな違いあるのか?」

 

「え?」

 

「え?」

 

「は?」

 

キングとタツマキ、そして完全に空気と化していたフブキが反応した

 

「…アンタ私がフブキと大差ないっていいたいの?」

 

「ぶっちゃけそう」

 

いやそんなはずはない。フブキは勿論だが一般人のキングにすらそのさは明確である。

サイタマが一方的にズレてるだけだった。

フブキは今のサイタマの発言を真に受けて姉に近づいてると喜んでいるが絶望的な差が間違いなくある

 

前にもサイタマはタツマキにフブキと大差ないといった。

だがそれはタツマキも手加減していたからそう思われてるのだとおもっていた。

 

だから気にしていなかった現状全力でぶつかったサイタマの評価は当然変わってるものだと

 

だがこの男タツマキの全力を受けて本気でこの評価なのだとタツマキは気づいた

 

気づかされてしまった

 

「キング…」

 

「えと…何?」

 

「アンタは最後」

 

「え?」

 

「まずこいつからやる。絶対叩き潰す!!

私がどれだけ怖いか思い知らせてやるわよぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

そしてそれはタツマキのプライドをいちじるしく傷付けた

 

「えぇ…」

 

結局最終的にキングvsタツマキはなくサイタマvsタツマキはタツマキが謎の体調不良で全身から血を吹き病院に運んだことにより

 

【また】仕切り直しになった

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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7話

キングの方がサイタマより強いんだから当たり前だよね(白目)


「俺は恋人が浮気相手との情事にふけってるところをたまたま目撃し超能力に覚醒した怪人サイコネトリーだ!!

この世に蔓延る夫婦やアベックどもをこの俺のサイコキネシスと更にやつらのベッドに残された残留思念を読み取るサイコメトリーで物理的にも社会的にも殺し尽くしてくれ「死ねっ変態ぃ!!」るわぎゃああぁぁぁぁ」

 

気持ち悪いことを抜かす怪人サイコネトリーを即殺しタツマキは一息ついたがまだ怒りは収まらない。

疲労により眠ってたところを、怪人を知らせる協会からの連絡で急に起こされ朝食もまだ食べてなくて空腹なのも理由ではあるが怒りの根幹は別にあった

 

怒りの原因は2日前サイタマの家にお邪魔したのが原因だ。

姉の自分より妹をわかってる風な口を聞くキングに

自分とフブキの力の違いがわからないサイタマ

 

改めて思い出しても腹立たしいだが今一番腹が立つのは

 

「何であいつ私に必殺技使わないのよ…」

 

キングとの話によるとサイタマには必殺技があるらしい

前回はそれを出させるのに躍起になり自分が押さえられなくなり結果病院に運ばれた

 

前回結局使わせることはできずに勝負は仕切り直しになってしまったのがしこりになっているのだ

 

(何よそれ…それじゃ私が弱…)

 

途中まで考えた認めたくない現実に首をふって否定する

 

自分が負けるわけない

 

絶対にそこだけは認められないし認めたくない

 

タツマキが落ち着くまで大きく深呼吸をしてると不意に「げっ…」という最近聞きなれた声を聞きそちらの方に目を向けた

 

「へえ…アンタも来たんだ」

 

めんつゆロゴ入りのクソダサTシャツと半ズボン。太陽に反射するハゲた頭の男サイタマがそこにいた

 

「…いや怪人でたっつーから「げって何よ?随分失礼じゃない?

アンタ何様のつもりなの?

相変わらずムカつく奴ね。

まあちょうどいいわ、この前の決着つけるわよ」

 

最速の難癖から自分のやりたいように話を進めようとするタツマキにサイタマは慌てて返答した

 

「いやまてまて、お前病院連れてったばっかだろうが」

 

「もう治った「嘘つけ」

 

「お前病み上がりだし今日は止めとけって」

 

「治ったっていってんの!ムカつくわね私の心配して余裕のつもり?生意気。」

 

「いやいやそうじゃなくて…

大体お前そういって毎回鼻血だしてんじゃねーか」

 

「鼻血なんて出してないわよ!!

とにかくやるわよ、今日絶対やるから!

アンタから必殺技とやらを出させてやるんだから!!」

 

「お前、前回から必殺技必殺技ってそればっかいってんな」

 

やる気満々のタツマキになだめようとするサイタマ

いつものやり取りだが毎回サイタマが引いて受けてくれるのはタツマキも最近の付き合いでわかってるため引くつもりは欠片もなかったが今日のサイタマはいつもよりも粘っていた。

 

いつもとは違う違和感

 

サイタマの言葉からはどうにかして今回勝負を回避しようとしてるのがタツマキには感じる

 

「何よ!?いつもアンタなんやかんやで受けるじゃないのよ!

何で今日はそんなに嫌がるわけ!?」

 

「何で?っていっつも俺は嫌がってるからな。

つーか毎回こっちの都合も考えず好き勝手言いやがってよお」

 

「は?何で私がアンタの都合なんて考えなきゃならないのよ?アンタ馬鹿じゃないの?

もういい…やらないなら好きにすれば?

元々勝負中もアンタは動かないんだし私が勝手にやってるから」

 

「いやいやまじで今日はやめてくれって今日だけは無理だから!」

 

「だからなんでダメなのよ?理由をいいなさいよ。言わないなら勝手に始めるから」

 

そういうとサイタマは深くため息をつきながら

 

「これからバーゲンセールなんだよ…」

 

とボソッと話た

言われた言葉に対して理解するのに時間がたったがはかれた言葉を理解するとふつふつと怒りが込み上げてくる

 

「…あんた私よりバーゲンが大事なわけ?」

 

「いやっだから言いたくなかったんだよお前怒るかなー?って思ったから!

でも今日は本当に勘弁してくれ。絶対行くって決めてたやつなんだよ今回のは」

 

「…」

 

無気力ないつもと違って必死にタツマキに訴え続けるサイタマに対してタツマキはらしくなく黙って話を聞いていた。

逆上してガン無視で自分の意見を通そうとするんではないかと予想していたサイタマにとってもこれは意外で逆にタツマキがなに考えてるのかわからない

 

とにかく自分がバーゲンに行きたいのだという主張をし続けたが元々長文が嫌いなサイタマが長く訴えることも上手く文章をまとめることもできるわけもなく、サイタマもすぐに喋ることがなくなりお互いに沈黙

 

珍しく緊張しながらタツマキの言葉をまつサイタマだったが普段の様子を考えて無理だろうなと内心あきらめてたが

 

「…わかったわよ」と予想外の返答が帰ってきて驚き喜んでしまうが

 

「その代わり…」と何やら別の面倒ごとをさせられるようでそんな上手い話はないかと落胆した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご注文は何でしょうか?」

 

「スパゲッティ、食後であとパフェ」

 

「お連れの方は?」

 

「あっ水で」

 

かしこまりましたとタツマキに笑顔を向けた後にサイタマには何とも言えない表情を向けて店員は去っていった

 

あのあとバーゲンセールを無事に終わらせたサイタマだったが【バーゲンはわかったからご飯を奢れ】とのタツマキに言われ奢るハメになってしまった

そもそもタツマキの理不尽に付き合わされてるのは俺じゃん?と内心不満に思ってたが言えば勝負をするハメになるのは目に見えてたため仕方ない、だがタツマキがいていいこともあった

 

いつも買い物にいくと言えばジェノスもついてくるが今日クセーノ博士のところにいっていていないためサイタマ1人分しか買えない

仮にいたとしてもジェノスにはファンが多く頻繁に声をかけられ買い物するとき結構面倒だったりした

 

今回はバーゲンにS級ヒーローのタツマキが来ていたことで周りに騒がれてはいたが、タツマキ自身が言動や態度などで近寄りがたいのもあり遠目でタツマキの話はするものはいても直接話かけるものがいなかったのもよかった。

 

タツマキは列に並んで待ってる間はイライラしていたがバーゲン中は意外にも静かにしていてくれたし、ジェノスはいなかったがタツマキがいたためサイタマと二人分の物品購入もできて1人できたサイタマにとって少しお得に買えた

あと袋を持つと持ち方や量によってたまに穴が空くこともあってゆっくり歩いていたが、急かすタツマキが意外にも超能力で袋を持ち上げ今いるファミレスに走っていけた、袋が破けないか心配だったが原理はわからんが超能力で保護してて破れたりはしないらしい

 

「超能力って便利だよな」

 

率直で素直な感想、ただの独り言だったがいつの間にか出されていたスパゲッティを頬張っていたタツマキが眉をひそめ呑み込んだ後に返答をする

 

「はあ?嫌味でいってんのそれ?」

 

「いや、お前空飛べたりさ袋破らないでもてたり普通に便利じゃん」

 

「そんなん出来なくったって強いんだしアンタに必要ないでしょ?私ほどじゃないけどね」

 

「そうか?でもそんなん出来たら楽しいと思うぞ?」

 

「…別に楽しくないわよ」

 

「お前に空に持ち上げられた時とか結構風が気持ちよかったし、後空飛んでったら道に迷わなくね?

俺も結構巡回してっけどやっぱちょい道に迷うからな。

て言うか超能力って人いる場所とかわかんだろ?

この前俺の部屋にフブキいるのもわかってたみたいだし滅茶苦茶便利じゃん?」

 

「空飛べたり、人の場所がわかるから何だってのよ」

 

「迷わないで行けるってことは怪人とこにすぐ行けるってことだろ?

空飛べりゃ車とか壁とか気にしないですむしな。

俺がいくときは大概間に合ってないこと多いし」

 

「ちょっ!何なのよ急に!」

 

いつもなら怒りがわいてきそうだが今回はなんというか…あまり感じたことのないむず痒い感覚になっていた

 

目の前の男がなんとなく本気で羨ましがってるようにタツマキには感じる

 

こいつ私より■■■癖に

 

頭を振り思考を散らす、また嫌なことを考えてしまった。

 

そんなはずないのに

 

「どうした?」

 

「何でもない…」

 

そういうと黙ってスパゲッティを再び食べ始めるタツマキ。

サイタマもそれを見て話しかけて来なくなった。

 

パフェも食べファミレスでの食事を終えて二人で歩き始める、急いでないため自分で荷物を持とうとするがタツマキが超能力で荷物を持ってくれた。

だが珍しいくらいにタツマキが沈黙してるため普段他人に疎いサイタマでも気になる、結局サイタマのマンション近くまでタツマキが黙っていたため声をかけた

 

「そう言えばこれからどうするんだ?」

 

「どうって何よ?」

 

「え?勝負するとか言ってなかったか」

 

取り敢えず家に荷物を置いてからと考えてたサイタマだったが、2日ですぐにタツマキとはやりたくないというのが正直な考えだった。

毎回血を噴かれるなんて堪ったもんではない、しっかりと治してからにしてほしいが

 

ただ自分と勝負をするために来てると思っていたため今日もこれからやるもんだと思っていた

 

「もういいわよ今日は、何か気分じゃなくなったから」

 

「…お前本当に大丈夫か?」

 

らしくなさすぎる。別に友達ではないがあからさまにいつもと違うのはわかる

 

聞いても「何でもない」というタツマキ

 

そんなタツマキを疑問に思っていたがサイタマの部屋の前に着いた。

超能力で運んでいた荷物をドアの前に置き

 

「私帰るから」といい背を向け本当に帰るつもりらしい

 

「ちょっと待て」そんなタツマキをサイタマは呼び止めた

 

「何よ?何か用でもあんの?」

 

若干苛立ち混じりの声で返答する。

タツマキを呼び止める理由何てそんなにないがいつもと何か違うし

 

「お茶でも飲んでかねーか?」

 

「…何でアンタのところで茶なんて飲まなきゃいけないのよ?」

 

「まあなんつーか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はバーゲン行きたいって俺の都合聞いてくれたしジェノスいない分のいいもん買えたし、あーお礼みたいなもんだ」

 

タツマキが今日は変すぎてこのまま帰していいもんなのかと思い引き留めたが理由を考えても自分ではわからないため、ジェノスやキングに見てもらい意見を聞けたらと思っての提案だった

 

「お礼?アンタ感謝してるってこと?私に?」

 

「え?あーそうかも」

 

適当に考えて言った言葉だったが意外にも食いついてきた

 

「でどうする?帰るのか?」

 

しばらく考える素振りを見せた後に

 

「…高いお茶出してよね」と視線をそらしながらボソッと言ってくれやがったのでサイタマはため息をついて了承した

 

 

 

 

 




「遅いよーサイタマ氏ぃ~昼前には帰るって言っ……」ドッドッドッドッ

サイタマとタツマキが二人で入ってきたことにキングエンジンを鳴らせるキング

キングはタツマキから怒りを買っていることを認識していた。
サイタマの家に上がりこむのはしばらくやめよーか考えていたが、タツマキはサイタマの家を特定し家まで押し掛ける行動力がありそのためキングの家を特定して同様にやってくる可能性があったため家にいるのは危険なのでは?と考えていた。
サイタマの家ならサイタマが守ってくれる可能性があるためむしろそっちのほうが安全な気がして逆にサイタマの家にお邪魔するようにしていたわけだが、まだタツマキと会う心の準備は出来てなかった

「ジェノスはまだ帰ってないんだな」と言って台所のほうにむかいお茶葉を探すサイタマ

「…キング」苛立ち雑じりの声で睨み付けながら近づいてくるタツマキ

「アンタのこと許さないから…決着は着けるわよ」

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

(やべえ…俺終わってる)

ビビり過ぎて加速するキングエンジン、タツマキに狙われているという絶望感に心臓が張り裂けそうだった





















「…あいつと決着ついた後にね」

(…あっこれしばらくは大丈夫かも)

とサイタマが負けないことを祈るキングであった


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