貴女の為に (桃音@まゆすきp)
しおりを挟む

「あたしと生きる意味」(大風呂敷投稿作品)

最初に言っておくとこれは、とあるプロダクションに所属する「佐久間まゆ」っていうアイドルと彼女をプロデュースしている「あたし」のお話。

もしかしたら、あたし達はもう既に出会っていてはじめましてじゃないかもしれないし、まだ出会っていなくてはじめましてなのかもしれない。

 

まぁ、そんな事なんてどうでもいいか。

 

今からあたしが話すのは支離滅裂でわけわかんないお話なのかもしれないし、共感してもらえるお話なのかもしれない。

だからさ、少しだけ付き合ってよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かちゃんと鍵をかけて、洗面室に閉じこもる。

顔なんか洗いに来たわけじゃない。

 

 

あたしはいつもここで○○○をするの。

 

 

カチカチと音を立てて出てくる鈍い銀色の刃。

おもむろに手首に宛てがって、すっと引くのがあたしの癖。

引くときに力を少し入れると綺麗な赤い線が出来る。

 

それが346プロの新人プロデューサーであるあたし。

 

「痛い…。」

 

スーツの袖がほんのり紅く染まる。

すぐさまに蛇口から溢れ出る水で袖口を洗う。

 

いつもならば、誰も来ないはずの洗面室。鍵がかかるはずだから。

 

かちゃりと音がして、ドアが開く。

 

 

 

 

 

 

「プロデューサーさん♪まゆですよぉ♪」

 

 

 

 

 

後ろからあたしの担当アイドルの佐久間まゆに抱きつかれる。

やばい。

この血を見られたら。

この怪我を見られたら。

この傷口を見られたら。

 

きっと彼女は驚いて逃げてしまうだろう。

 

 

「あら?プロデューサーさん…その…」

「なんでもないっ…なんでもないから…。」

 

案の定、彼女は気付いた。

 

「プロデューサーさん…?」

 

彼女からどんな顔で見られているのか?

彼女からどう思われてしまっているのか?

嫌われたくない。

そう思うと怖くなってその場から逃げ出した。

 

 

 

 

 

「…この染み、絶対取れないだろうなぁ。」

 

なんとか、まゆを避けつつ仕事を終わらせて、帰宅した。

それからブラウスの赤黒く染まった袖口を見てため息を吐く。

 

「我ながらアホらしいというか…なんで事務所でしちゃうかなぁ…。」

 

頭をぐしゃぐしゃと掻き毟る。

 

佐久間まゆはあたしのあんな姿を見てどう思っただろうか…?

 

「明日、仕事行きたくない…。

1日くらい休んでもいいかなぁ…。」

 

事務員のちひろさんにメールを送る。

内容は体調が悪いから明日休む事。

すぐに返事は帰ってきた。

【わかりました。お大事に。

今日のプロデューサーさんは少し体調が悪そうでしたもんね。

ゆっくり休んでください。

 

PS まゆちゃんがとても心配していましたよ。出来れば連絡をしてあげてくださいね!】

 

嘘を吐いた罪悪感と、まゆを避けてしまった事の罪悪感と心配をさせてしまっている事の罪悪感と…あー…なんて連絡しろと…。

 

ぴんぽんと玄関のチャイムが鳴る。

 

「どちら様ですか…っと…。」

 

何にも確認しないままドアを開けると

 

そこには

 

「まゆですよぉ♪」

 

 

そっと扉を閉めた。

すぐさまぴんぽんぴんぽんぴんぽんと呼び鈴が立て続けに鳴り響く。

 

 

 

 

 

 

「なに…。」

 

結局呼び鈴うるさいし、女の子を部屋の外で立たせてるのも申し訳ないから中に入れる。

手に持っている針金みたいなものが少し気になるんだけど…。

 

「プロデューサーさんのお見舞いです♪」

 

りんごに〜、ネギに〜、卵に〜、と歌いながら食材を次々と取り出す彼女に問いかける。

 

「君はさ、本気であたしが体調悪いんだと思ってるの?」

「プロデューサーさんがそうちひろさんに言ったから、ですよぉ。」

 

お米もちゃんと持ってきましたよぉと朗らかに微笑んで、かしゃかしゃと卵を溶きほぐす。

どうやら、彼女はおかゆを作るらしい。

 

「随分、手際がいいんだね。」

「まゆ、お料理は好きですから♪」

 

ふふっと笑って、ネギを切り始める。

とんとんとーんとリズミカルにネギが切れていく。

 

「美味しく作りますからねぇ。」

 

 

 

眩しい笑顔でこちらを見てくる彼女。

 

 

 

 

「ねぇ…プロデューサーさん。」

 

そんな彼女が、包丁を動かす手を止めてあたしに話しかけたのはいつ頃だったっけ。

 

「プロデューサーさんは……どうしてあの時、まゆを避けたんですか…?」

 

少し潤んだ瞳、赤く染めた頬。

 

「まゆは…プロデューサーさんが見られたくないところを見ちゃったのかもしれません…。

でも…まゆはプロデューサーさんに避けられたくないです…。

隠していて欲しいならずぅっとまゆの心の中だけに留めます。」

 

一気にまくし立てるように彼女は話す。

 

「まゆはプロデューサーさんのそばに居られる為なら、なんでもします。

だって…まゆとプロデューサーさんがずっと一緒にいるのはもう決まってる運命…なんですよ?

まゆがずっとそばにいますから…。」

 

 

もう自分を傷付けないで…。

 

最後に囁くように祈るように彼女…いや、まゆは言った。

 

 

 

 

 

この日からあたしは、何をするにもまゆと一緒にいるようになった。

これはそんなあたしとまゆの成長物語。

 

ねぇ、くどいかもしれないけど、

あたし達はどこかで出会っているかもしれないし、まだ出会っていないのかもしれない。

 

でも、どうかあたしに気付かないで。

あたしは、まゆをトップにする為のお手伝いをしているだけなの。

 

 

そう、佐久間まゆをトップアイドルに…シンデレラにする。

 

それがあたしの生きる意味。

 

 

 

 

 

 

 

 

今度は止めることが出来ましたね。

 

 

「まゆの生きる意味…?

 

それはプロデューサーさんが生きて、まゆと一緒にいてくれる事です。

 

まゆにはプロデューサーさんしかいませんから。」

 

 

まゆは、プロデューサーさんさえ居れば何もいらない。

貴女が望むのなら、どんなまゆにでもなります。

 

まゆは、プロデューサーさんが…貴女が好きです。好きなんです。

 

 

ねぇ、だから…まゆを置いて死んじゃおうなんてもう二度と思わないでくださいね?

 

 

 

 

 

「ずっとずーっとこの絆は永遠なんです。

 

まゆとプロデューサーさんを繋ぐ赤い糸を断ち切るものなんて、そんなの要らないでしょう?」

 

 

その為ならばまゆはなんだって出来るんです。

出来ちゃうんです。

 

「こうやって、貴女にスカウトしてもらうのは何回めでしょうか。」

 

 

貴女に出会って、スカウトしてもらって、目の前で貴女が居なくなってしまう度にまゆは壊れてしまいそうになります。

 

時間を巻き戻せる機械を晶葉ちゃんに作ってもらえた時は嬉しかったです。

 

 

貴女が居なくなってしまわないために少しずつ未来を変える。

 

 

まゆにしかきっと出来ない事。

 

 

ねぇ、そうでしょ?

 

 

 

 

 

 

これは私…佐久間まゆが、プロデューサーさんの為にタイムリープする話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はじめまして、おはよう、こんにちは、こんばんは
どれか言っておけばとりあえずヒットするでしょ。

いつも作品の中でまゆを幸せに出来てないももねです!
ほんっとごめん。
ただこういうの大好きなんだ…。

「死にたがり〜」から追いかけてくれてる方はご存知のようにタイムリープが大好きなんです。
死にたがりの女の子も好きです…。

まだ、続くから応援くださいな!


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。