気づいたら手のひらサイズになってたけど頑張って人理修復したいと思います!! ( ルシア)
しおりを挟む

プロローグ

リメイクしました


 

「あれ?ここ、どこ?」

 

気がつくと俺はどこかの施設のような場所にいた。

あ、確か俺は車に轢かれそうになった子供を助けて死んで神様ってやつから転生してもらったんだった。にしても、ほんとここどこ?

なんかやたらとでかい施設だな…俺は壁をペシペシと叩いた。その時…

 

ズシーン!!

 

「うおっ⁉︎」

 

突然、地響きが起き俺の体は少し宙に浮いた。そして、着地に失敗し尻餅をついてしまった。

 

「痛って〜なんだよ…いきなり…」

 

「あれ?マシュ。今声聞こえなかった?」

 

「はい。私も聞こえました」

 

頭上から声が聞こえたので俺は顔を上げるとそこには…

 

「うわぁぁぁぁああ!!」

 

赤髪をサイドテールにした女の子と紫がかった綺麗な銀髪で眼鏡をかけている女の子がおり、銀髪の子の片方の目はその銀髪に隠されている。だが、俺が驚いたのはそこではない。デカイのだ…とてつもなく…すると、俺の声が聞こえてたのか2人は俺の方を見た。そして、目が合う。

 

「「えっ…」」

 

「ど、どうも…」

 

2人は目を見開き驚いている。いや、驚きたいのはこっちなんですが…なんで2人そんなに大きいの?まるで俺が小人になったとでも言うみたいじゃん?ん?小人?まさか………

 

「なぁ、君」

 

「は、はい…なんですか?」

 

俺は赤髪の女の子に声を掛けた。女の子は戸惑いながらも返してくれた。

 

「俺を手に乗せてそこの窓に立ってくれないか?」

 

「えっ?は、はい。分かりました」

 

俺は赤髪の女の子の手のひらに乗り、近くの窓の前に立った。

 

「お、おいおい…マジかよ…」

 

そこには恐らく10センチにも満たないであろう俺の姿が写っていた。

 

「はぁ〜これからどうすればいいんだよ〜」

 

俺は女の子の手の上で膝をついた。正直泣きたいです…そして、この体にした神が心底憎い。

 

「あ、あの…大丈夫ですか?」

 

「あ、あぁまぁ大丈夫です。それよりここはどこなんだ?」

 

「ここは人理継続保障機関カルデア。時計塔の天体科を牛耳るマリスビリー・アニムスフィアが創立した未来を保障するための機関で擬似地球環境モデル・カルデアスと、近未来観測レンズ・シバを使い、100年後までの未来を観測し、人類の存続を保障することを任務としているところです」

 

眼鏡を掛けた少女が説明してくれた。

 

「へぇ〜結構凄いところなんだな…ここって…あ、自己紹介が遅れたな。俺は如月 優也。君の名前は?」

 

「私は藤丸 立香。で、こっちが…」

 

「マシュ・キリエライトです。よろしくお願いします」

 

「おう。よろしくな」

 

俺は小さな手で立香さんとマシュさんの人差し指と握手をした。でかいな…色々と…

 

「フォーウ!!」

 

うおっ⁉︎なんだこのリスなのか犬なのかよくわからない毛がモフモフしてる生物は⁉︎

 

「あ、フォウさん!紹介しますね。こちらのリスっぽい生物はフォウ。カルデアを特に法則性もなく自由に散歩する特権生物です。私以外にはあまり近づきませんがどうやら優也さんは気に入られたみたいですね」

 

「良かったね。優也さん」

 

そう言って、立香さんはフォウと呼ばれる生物の元まで俺を運んだ。俺は立香さんの手からフォウの背中に飛び乗った。やばい…むっちゃモフモフ…気持ちいい〜

 

「あ、先輩すみません!私は管制室へ行かなければならないのでここで。フォウさんは先輩を部屋まで連れて行ってあげて下さいね。それでは先輩、優也さん。私はこれで。運が良ければまた会えると思います」

 

「うん!行ってらっしゃ〜い」

 

「またな」

 

俺達がそう言うと、マシュは少し笑い行ってしまった。

 

「じゃあ、フォウくん。私の部屋に連れて行って!優也さんも行くでしょ?」

 

「えっ?俺も?」

 

「だって、行く宛ないでしょ?」

 

「あ、はい。じゃあ、フォウ君お願いします」

 

「フォウ!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「あの〜…」

 

「はーい入ってま……………って、うわああああ!?誰だ君は⁉︎」

 

「いや…こっちのセリフです…」

 

話を聞くと、このゆるふわな男の名前はロマ二・アーキマンといい、みんなからはロマンと呼ばれているらしい。カルデア医療部門のトップらしい。だけど、本人曰くよくサボっているらしい。いや、トップがサボっちゃ駄目だろ…

 

「で…なんで私の部屋にいるんですか?」

 

「いやーごめんごめん。隣の僕専用のサボり部屋と間違えたみたいだ。透明なアクリルボードとかやたら繋がれた機械とか、開発職員の部屋ってどこも似たような部屋だしね。あ、君今暇?」

 

「暇ですよ?優也さんは?」

 

「俺も暇だよ」

 

「えぇ⁉︎君誰⁉︎小さっ!」

 

「ねぇ…立香さん。俺、泣いていいかな?」

 

「うん…ハンカチ貸してあげる」

 

「ありがとう…」

 

そう言って、俺は立香さんのハンカチで顔を覆った。

 

「わぁー!!ごめんごめん!小人なんて伝説上の生き物だと思ってたから驚いただけなんだ。そうだ!気晴らしに雑談でもしてようよ!お茶も出すからさ!だから、泣かないでー!!」

 

「…だって、優也さん」

 

「じゃあ、お言葉に甘えて」

 

そうして、俺達とロマンは雑談を始めた。しばらくすると、ロマンの携帯端末の音がなった。

 

『ロマ二、あと少しでレイシフトだ。念のためこちらへきてくれないか。』

 

「分かった。すぐ向かうよ。」ピッ

 

「あの…レイシフトってなんですか?」

 

「ん?あぁ…レイシフトっていうのはね、人間を擬似霊子化させて異なる時間軸、異なる位相に送り込むことだよ。言うなれば、タイムトラベルと平行世界移動のミックスだね」

 

「ほぇ〜そんな事が今から始まるんすか」

 

「あぁ…もう始まるらしい。そろそろ行かないとね」

 

「レイシフトか…俺も試してみたいな」

 

「ハハッ…その体じゃ無理なんじゃないかな?でも、もしかしたら上手くいくかもしれないね」

 

「ハハハ…いや、仰るとおりこの体じゃ無理ですよ…」

 

そんな事を話していると突然、部屋の明かりが消えた。

 

「なんだ?明かりが消えるなんて一体何が…?」

 

『緊急事態、緊急事態。管制室で火災が発生しました。職員は速やかに避難を……』

 

いきなりどこからか爆発音が聞こえ、アナウンスが鳴り響く。

 

「なんだ?!今のは爆発音か!?モニター、管制室を映してくれ!みんなは無事なのか!?」

 

モニターに管制室が映し出される。管制室は炎と大きな瓦礫に覆われ崩壊していた。

 

「なんだこれは…!?立香ちゃん、優也君、君達だけでも逃げるんだ。僕は管制室に行ってくる!」

 

ロマンは部屋を飛び出し、管制室の方向へ全速力で走って行った。

 

管制室って……確かマシュが!

 

「マシュ!」

 

立香さんが気づいたのか、部屋を出て行った

 

「フォウ君!俺も管制室まで連れて行ってくれ!」

 

「フォウ!」

 

俺はフォウ君に飛び乗り管制室へ向かった。なんとかは到着したはが、どう見ても事態は手遅れだった。

 

「なんだよ…これ…そうだ!マシュ!マシューー!!」

 

俺は必死にマシュを探した。しかし炎の勢いが強いため、捜索には困難な状況だった。

 

『システム レイシフト最終段階に移行します。座標 西暦2004年……………』

 

「くそっ!何処だ!何処にいるんだ!あっ!?」

 

「あ……」

 

「優也さん!」

 

マシュは血だらけで倒れていた。足は瓦礫に潰されており、どう見ても手遅れだ。立香さんは瓦礫をどうにかして動かそうとしている。

 

「遅かったか…」

 

「はい、理解が早くて助かります。だから…先輩を連れてはやく逃げてください…」

 

『レイシフト適合者検索中…発見。藤丸 立夏と登録外の人物をマスターとして登録、設定します』

 

「ふざけんな!まだ諦めんじゃねぇ!今助けてやる!」

 

俺は、マシュの足を潰している瓦礫を掴み持ち上げようとする。しかし、この体だ…動かすはおろか持ち上がるわけがない。

 

「くそ…くそっ!くそっ!」

 

「動いて…お願い」

 

「先輩、優也さん…もういいです…」

 

「良いわけねぇだろ!くそっ!動け!」

 

「そうだよ!諦めないで!マシュ」

 

「先輩、優也さん…」

 

「うぅ…くそっ!なんで…なんでなんだよ…」

 

余りの自分の無力さに涙が零れる。

 

「先輩、優也さん…。お願いなんですが…こっちに来て…手を、握ってもらえますか?」

 

『レイシフト開始まであと3』

 

「……………うん。分かった」

 

「手?それぐらいなら…」

 

「ありがとうございます。さぁ、こっちへ…」

 

『2』

 

俺達はマシュの元へ向かい立香さんが左手を俺が右手を握る。

 

「ありがとうございます…先輩、優也さん…」

 

「ごめん…これぐらいの事しか出来なくて…」

 

俺はマシュの手を握りながら涙を流す。だが、その涙をマシュの大きな指が拭ってくれた。顔を上げると、にっこりと笑うマシュの顔があった。

 

「いいえ…十分すぎますよ…優也さん。本当にありがとうございます…」

 

「うぅ…あぁ…良いんだ…それより俺なんか疲れて来ちまった…ちょっと寝るわ…」

 

「あ、私も…」

 

「ふふ…実は私もです…」

 

「そっか…じゃあ、一緒に寝るか…」

 

「はい…」

 

そうして、俺達は目を閉じた。

 

『1。全行程クリア。ファーストオーダー 実証を 開始 します。』

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

特異点F 炎上汚染都市 冬木 第1話 冬木

すいません!間違えて1話ではなく、2話を先に出してしまうというミスをしてしまいました!


「フォウ!フォーウ!!」

 

「ん……あれ?フォウ君?」

 

目を覚ますと、俺の顔の前にフォウ君の顔があり、俺はどこかわからない街にいた。

 

「ここどこだよ…なんか無茶苦茶街燃えてんだけど…」

 

「あっ!優也さん、起きたんだね!よかった」

 

気づくと、俺は立香さんの膝の上にいた。そして、前を向くと俺は目を見開いた。さっきまでおとなしめな服を着ていたマシュが露出度の高い鎧を身にまとい、自身の体格よりも大きい盾を片手に構えていたのだから。

 

「マシュ…なにその格好…コスプレ?マシュってコスプレの趣味があったの?」

 

「その説明は後にさせてください!それよりも今は!」

 

「今は?ん?はぁ⁉︎」

 

マシュの向いた方向を見ると、数体の骸骨が剣やら弓を構えていた。

 

「立香さん、マシュ!何あれ!骸骨⁉︎」

 

「魔力で自律行動するエネミーのようです…。切り抜けます!」

 

マシュはそう言うと、骸骨達に向かって走り出した。弓を持った骸骨達は矢をマシュに向かって放つがマシュはそれを盾で防ぎながら骸骨達に近づいた。そして、骸骨達との距離が短くなると盾を使い、骸骨達を薙ぎ払った。薙ぎ払われた骸骨達は灰のように消滅してしまった。

 

「す…すげぇ…」

 

「なんとか切り抜けましたね」

 

そう言って、マシュはこちらに近づいてくる。にしても、その格好…うん…

 

「エロいな…」

 

「分かる」

 

「えっ⁉︎」

 

おっと、どうやら心の声が漏れてしまったらしい。でも、しょうがないじゃん…エロいんだから。俺だって健全な男の子よ?すると…

 

『ああ!やっと繋がった!もしもし、こちらカルデア管制室だ、聞こえるかい!?』

 

電子音とともにロマンの大きな声が流れた。

 

「こちらマシュ・キリエライトです。特異点Fにシフト完了しました。心身ともに問題ありません」

 

「私も無事です」

 

「俺も無事で〜す」

 

『その声は立香ちゃんに優也君⁉︎あぁ…やっぱり君達もレイシフトに巻き込まれていたか。でも三人とも無事で良かった。だけどマシュ…君の身体能力、魔力回路、全てが向上している。そしてその格好…』

 

「はい、カルデアの実験の1つ…《デミ・サーヴァント》のようです。ですが私は自身が何の英霊と融合したのかも分かっていません…。彼は私に宝具と力を託して消滅してしまいました…」

 

『やっぱりデミ・サーヴァントだったか。でもそれなら心強い!ということは立香ちゃんと優也君が《マスター》ということでいいのかな?』

 

マスター?デミ・サーヴァント?何それ?

ふと俺は右手に違和感を覚え見てみると右手の甲に赤い紋様が刻まれていた。

 

『立香ちゃんはともかく優也君、マスターやサーヴァントについて知っているかい?』

 

「いや?全然?全く」

 

と、胸を張って言った。

 

「優也さん…」

 

「フォウ…」

 

立香さんとマシュとフォウ君がなんか残念そうな目でこちらを見てくる。だってしょうがないじゃん!こちとら転生して来たばっかで全然分かんない事だらけなんだから!

 

『ハハ…じゃあ、説明するね。《サーヴァント》っていうのは、英雄が死後、人々に祀り上げられ英霊化したものを魔術師が聖杯の莫大な魔力によって使い魔として現世に召喚したもので、それを使役する人の事を《マスター》と呼ぶんだよ』

 

「英雄?英雄ってあの有名なアーサー王とかジャンヌ・ダルクとか?」

 

『まぁ、その認識で合ってるよ』

 

「ほぇ〜すげぇな…あ、じゃあデミ・サーヴァント…だっけ?それはサーヴァントとは違うのか?」

 

「その説明は私が…デミ・サーヴァントというのは簡単にいうと人間がサーヴァントと憑依融合した存在のことです」

 

「なるほど…だからそんなエロい格好になってんだな」

 

「だからエロいって言わないで下さい!」

 

マシュが顔を真っ赤にして怒ってくる。だが怖いというよりはむしろ…

 

「可愛い」

 

「分かる」

 

「可愛い⁉︎」

 

おっと、また心の声が漏れてしまった。反省反省。テヘペロ

 

『アハハ…仲が良いね。微笑ましいよ。おっと…通信が切れそうだ。じゃあそこから少し先に霊脈があるから向かってくれ。そこなら通信も安定するだろう。それじゃあ健闘をいの…』

 

「あ、切れた。とりあえず言われた通り霊脈に向かうか。おい、マシュ。お〜い」

 

マシュに呼びかけてみたが、マシュは顔を真っ赤にしてショートしていた。俺は溜め息をつくと、フォウ君に頼んでマシュの肩にまで連れて行ってもらいマシュの顔を軽く叩いた。

 

「マシュ、マシュ〜」

 

「は、はい!」

 

「うおっ⁉︎」

 

マシュはびっくりしたのか肩を震わせた為、俺はバランスを崩し、マシュの肩から落ちてしまった。あ、やばい…下は地面…しかもこの体にこの高さ。あ、これは死ぬわ…

 

「優也さん!」

 

だが、立香さんが落ちそうになった俺を間一髪左手で受け止めてくれた。

 

「危ねぇ〜後ちょっとで死ぬところだった」

 

「す、すいません…私のせいで…」

 

「ん?いや、俺がからかい過ぎたのが悪いんだ。気にすんな。それよりロマンに言われた通り霊脈に向かおうぜ」

 

「はい!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「確かこの辺りのはずなんですが…」

 

「マシュ、分かるの?」

 

「はい。なんとなくですが…」

 

「きゃぁぁぁぁああ!!」

 

「「!!」」

 

霊脈を探していた俺達の耳に女の人の悲鳴が聞こえた。

 

「先輩!今のは」

 

「うん!急ごうマシュ!」

 

「はい!」

 

俺達は声のした方へ急いだ。すると、そこには先程の骸骨達に追われている白髪の女性の姿があった。

 

「所長!」

 

「マシュ!その姿、もしかしてデミ・サーヴァント⁉︎」

 

「説明はこれが終わった後に!先輩と優也さんはフォウさんと一緒に所長の側にいて下さい!」

 

「分かった。フォウ君!」

 

「フォウ!」

 

俺はフォウ君の背中に飛び乗り、立香さんと一緒に白髪の女性の元へ向かった。

 

「なんなのよ、もう…」

 

「所長!」

 

「大丈夫すか?」

 

「えっ?何処から声が⁉︎」

 

「あ〜所長。下見てください、下」

 

俺がそう言うと、女性はゆっくりと顔を下げた。そして、見上げていた俺と目があった。

 

「えっ?えっ?」

 

「あ〜大丈夫すよ。俺は味方です。もっと言うならマシュのマスター?です」

 

「あ、私もですよ!所長」

 

「藤丸はともかく…あ、あなたみたいな小さな人間がマスター?嘘…よね…?」

 

「えーと…俺の右手に刻まれてるこれって証明なりますか?」

 

俺は右手に刻まれている紋様を女性に見せる。すると、俺の紋様を見た女性は目を見開いた。あ、これで分かってもらえたんじゃね?

 

「《令呪》があるのなら仕方ありませんね。あなたを信じましょう」

 

「ありがとうございます!あ、俺の名前は如月 優也っていいます!」

 

「私は人理継続保障機関カルデアの所長オルガマリー・アニムスフィアです」

 

そう言って、俺はオルガマリーと名乗った女性と握手を交わした。少しして骸骨達を全滅させたマシュが戻ってきたので俺達はオルガマリーにこれまでの経緯を説明し、霊脈での召喚サークルの確立とロマンとの通信の確認を済ませた。どうやら聖晶石っていう媒体?があればサーヴァントを呼べるらしいんだけど今はないから出来ないんだと。とりあえずこの事態の原因を探ることとなった。聞くところによるとこの都市は冬木と呼ばれるところで《聖杯戦争》というものが行われていたらしい。うん…名前聞くだけで凄いってのが分かる。

 

「冬木という都市、ということだけでも事態は聖杯の影響と考えて間違い無いと思うわ」

 

「聖杯…ですか?」

 

「聖杯ってあれだろ?確かアーサー王伝説にに出てくる…」

 

「えぇ、あの聖杯よ。詳しいのね?」

 

「俺、偉人とか英雄の話とか大好きなんですよ」

 

「そう。あ、話を戻すわね。冬木の魔術師たちはその聖杯を起動するために七騎の英霊を召喚した。7人のマスターがそれぞれの英霊をサーヴァントとして使役して競い合い、最後に残った1人が聖杯を手にする、それが冬木の聖杯戦争。そのデータを元にカルデアの召喚式は開発されたのよ」

 

「なら、聖杯を破壊、もしくは回収できればこの特異点は…」

 

「えぇ、修正できるでしょうね。」

 

「敵性反応だ!ものすごいスピードでこちらへ向かってきている!この反応は…サーヴァント!?」

 

「所長達は下がってて下さい!迎え撃ちます!」

 

そう言って、再びマシュは盾を構えた。すると、頭上から槍が降ってきた。

 

「なっ⁉︎」

 

「ほぅ…防ぎましたか…なかなかの反応速度ですね…」

 

頭上から声が聞こえ、見上げるとそこにはボディコン風の服をきた女性が降りてきた。

 

「その槍はあなたの物ですね…槍を使うところを見るに…クラスはランサーですね…」

 

「クラス?ランサー?なにそれ?所長教えて!」

 

「クラスというのは、サーヴァントに割り当てられる役割のようなものよ。剣の英霊ならセイバー、弓の英霊ならアーチャー、あいつみたいに槍を使うならランサーといった感じよ。まぁ、他にも色々ありますけどね。とりあえずはこれくらいでいいでしょ?」

 

「はい。ありがとうございます!」

 

そう言って、笑顔でお礼を言うと何故か所長は頰を赤く染めてそっぽを向き、小声で「いいのよ」と言った。可愛い…

 

「くっ!うぁ!」

 

「おやおや…その程度ですか?もっと楽しませて下さいよ!」

 

「マシュ!」

 

見ると、そこにはランサーに防戦一方なマシュの姿があった。どうする…このままじゃマシュが…考えろ…考えろ考えろ考えろ!何か今の俺に出来ること…はっ!そうだ!

 

「フォウ君!俺をあいつの元まで飛ばせるか?」

 

「フォウ⁉︎」

 

「優也さん⁉︎」

 

「ちょっとあなた本気なの⁉︎」

 

立香さん達が驚きの声を上げた。

 

「頼む!フォウ君!」

 

フォウ君は少し躊躇う素振りを見せたが、覚悟を決めたのか俺の体を咥えマシュ達の元へ走り出した。そして、距離が縮まると…

 

「今だ!フォウ君!

 

「フォーーウ!!」

 

俺をランサーに向かって投げた。そして、ランサーの顔のところまで来るとランサーの目に向かって…

 

「ライダーキック!!」

 

「ぐわぁぁぁぁああ!!目がぁぁぁぁああ!!」

 

「よし!今だ、マシュ!」

 

「は、はい!やぁ!」

 

「ぐはっ!」

 

目に蹴りを入れたランサーは目を押さえ悲痛な声を上げた。その隙に、マシュはランサーに盾で体当たりし吹き飛ばされたランサーは瓦礫に叩きつけられ消滅した。そう、これが今の俺に出来ること。言うところの『目潰し』だ。よし…後は…

 

「フォウ君!」

 

「フォウ!」

 

俺の落下地点を分かっていたのか、俺が落ちている場所にはフォウ君が待っていてくれた。そして、俺はフォウ君の背中に着地しみんなの元まで戻った。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「で、何か弁明はありますか?」

 

「えーと…その〜…」

 

「「優也さん?」」

 

「うっ…」

 

戦いを終えて戻ってきた俺は、何故か正座させられていた。前には腕を組んで険しい顔をして仁王立ちしている所長達がいた。いや、だってしょうがないじゃん…これしか考えつかなかったんだから…そして、皆さんそのままでいられると…ほら…見えちゃいます…

あ、見えた…眼福眼福…

 

「「「聞いてるんですか⁉︎」」」

 

「は、はい〜!!」

 

どうやら、いつのまにか現実逃避をしていたらしい。しょうがないよね…だって怖いんだもん…

 

「良いですか?あなたは例えそんな体でも人類最後の希望なんです!そこのところをもう少し自覚して行動なさい!」

 

おぉ…所長がむっちゃ怒ってらっしゃる…これはそろそろ謝った方がいいかもな…

 

「その…すいませんでした…」

 

「まぁまぁ、所長…優也さんも反省してるみたいですし許してあげて下さい」

 

「全く…次は気をつけなさい…」

 

そう言って、所長は歩いて行ってしまった。

 

「優也さん、大丈夫ですか?」

 

立香さんが屈んで未だに正座している俺に聞いてくる。

 

「うぅ…怖かった…超怖かったよ〜」

 

俺は、立香の足に泣きついた。立香さんはそんな俺の頭を指で優しく撫でてくれ、後ろからはフォウ君がぽんぽんと背中を優しく叩いてくれた。まるで「大変だったな…」とでも言っているかのように…そんな事をしている時だった…

 

「よう…お前さん、その体でなかなか度胸あるじゃねぇか」

 

振り向くと、そこには青い長髪で背丈ほどの杖を持っている男性がいた。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話 新たな仲間

「貴方は…」

 

「俺か?俺は見ての通りサーヴァントだ。クラスはキャスター。まぁ、呼ぶときはキャスターでいい。よろしくな」

 

キャスターはそう言うと、にっこりと笑った。とりあえず、フォウ君に所長を呼んできてもらいキャスターと話をした。すると、キャスターはここで起こった異常について色々教えてくれた。

 

1つ目は、聖杯戦争の最中に突然異常が起こってサーヴァント以外の存在が冬木からいなくなったこと。

 

2つ目は、サーヴァントの中で異常の影響を最も強く受けたセイバーの手によってキャスター以外の全てのサーヴァントが倒され、シャドウサーヴァントにされてしまった事。

 

そして3つ目、現在セイバーは聖杯戦争の中核である《大聖杯》の前に陣取っていてその大聖杯こそがこの異常の原因…つまり、俺達の目的である特異点であること。

 

「なるほど…そんな事が…」

 

「そこでだ、あんたら。俺と一緒にセイバーを倒さないか?」

 

「と、言ってますけどどうします?所長」

 

立香さんが、キャスターの提案を所長に聞いた。所長は考える素振りをし、少ししてその提案を承諾した。そして、キャスターの申し出もあり立香さんはキャスターと仮契約を結んだ。

 

「さて、それじゃあ大聖杯に向かおうと思うがその前に…」

 

すると、キャスターは杖を構え前を向いた。キャスターの向いている方を見ると、そこには右腕だけが異常に長い異形の者と背中に大量の武器を背負ったおっさんがいた。

 

「キャスター…あいつらもサーヴァントか…」

 

「あぁ…そうだ。下がってな…嬢ちゃん!悪いが片方任していいか?」

 

「えっ?は、はい!」

 

えっ⁉︎何⁉︎ヤダ、キャスターカッコいい!よーし!俺も頑張っちゃうもんね〜!!

 

「あんたはこっちに来なさい!」

 

「あれ〜〜〜〜?」

 

マシュ達と一緒に戦おうとしたら、所長に摘まれて肩に乗せられました。

 

「優也さん…」

 

「はは…なかなか面白いにいちゃんだな…って、来るぞ!」

 

「排除スル!」

 

「いざ、参る!」

 

異形は身軽な動きでキャスターに近づいていく。キャスターはいくつもの火の玉を出現させ、それを異形に向かって放つ。だが、異形はその攻撃を難なく躱していた。マシュの方を見ると両手に薙刀を持ったおっさんの攻撃を盾で必死に防いでいた。

 

「くそっ!すばっしっこい奴め!」

 

「フハハ!ソノ程度カ!」

 

「所長所長!あいつの動き止められたりできません?」

 

「えっ?で、出来るけど?」

 

「なら、お願いします!あいつを動きを封じてください!」

 

「わ、分かったわ!でも、その前に…」

 

「えっ?うわ!」

 

所長は肩に乗っていた俺を服の胸ポケットに入れた。

 

「肩にいたら落としそうだから、そこにいなさい!」

 

所長はそう言うと、異形に人差し指の指先を向けた。

 

「………………………今!ガンド!」

 

所長の指先から青黒い光弾が打ち出され、異形に見事命中した。

 

「ナッ⁉︎体ガ動カン⁉︎」

 

「今だ!キャスター!」

 

「おう!燃えな!」

 

キャスターは再び火の玉を出現させ、動けないでいる異形に向かって放った。

 

「クッ!オノレ!オノレェェェェエ!!」

 

異形はキャスターの火球を喰らい消滅した。

 

「やったね!キャスター」

 

「おう!後は、嬢ちゃんだな」

 

キャスターの視線の先にはおっさんの攻撃を必死に防いでいるマシュの姿があった。

 

「ぐっ!」

 

「マシュ!」

 

「だから、じっとしてなさい!」

 

「ぐえっ!」

 

所長のポケットから飛び出そうとした俺は、所長の手によって押さえつけれた。あ〜背中になんか柔らかいものを感じる〜ってそんな事言ってる場合じゃねえ!

 

「離してくれ所長!マシュがピンチなんだ!」

 

「自分のサーヴァントを信じないでどうすんのよ!あなたもマシュのマスターなんでしょ!」

 

所長の言葉に俺は落ち着きを取り戻した。そうだ…俺もマシュのマスターなんだ…

 

「すいません…所長…」

 

「ったく、分かればいいのよ。分かれば」

 

所長に頭を撫でられた後、俺はポケットに潜り、中で出来ることを考えた。いや、考えるまでも無かったのかもしれない…

 

「マシュー!!頑張れーー!!」

 

今の俺が、マスターとしてマシュにしてやれる事。それは応援だ。誰だって応援してもらえれば元気が出るからな。

 

「優也さん…よーし!私だって!マシュー!!頑張れー!!」

 

「先輩、優也さん……はぁぁぁぁああ!!」

 

「な、なぬっ⁉︎」

 

マシュはおっさんの攻撃を弾き、がら空きになった腹目掛けて盾で体当たりした。

 

「やぁ!」

 

「かはっ!」

 

体当たりされ吹き飛ばされたおっさんは紫色の粒子になり消えていった。

 

「はぁ…はぁ…やりました…先輩、優也さん」

 

「うん…お疲れ様マシュ。キャスターも」

 

「お疲れさん」

 

「おう(はい)」

 

俺達は、戦いを終えた2人に労いの言葉をかけた。そして、近くにあった廃ビルの中で休息を取ることにした。

 

「よーし、じゃあ立香さんにマシュにフォウ君それに所長は休んでください!キャスターは悪いけど、俺と見張りをしてもらいたいんだけど…」

 

「別にいいぜ。けど…なんかマスターと盾の嬢ちゃんが言いたそうだぞ?」

 

「ん?どうした?2人とも」

 

「優也さんは休まないの(ですか)?」

 

「いや、だって俺何もしてないから…」

 

「いいえ!ランサーとの戦いは優也さんの手助けあっての勝利でした。それにさっきの戦いも先輩や優也さんの応援がなかったら勝てなかったかもしれません!だから…」

 

「優也さんも休んでよ」

 

「だってよ、言うこと聞いといた方がいいんじゃねえか?にいちゃん」

 

「はぁ〜分かったよ。俺も休むよ。じゃあ、キャスター悪いけど、見張り頼む」

 

「おう!まかせろ!」

 

そうして、キャスターに見張りを任せ俺達はそれぞれ休息をとった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話 大聖杯は目前!

「フォウ!フォーウ!」

 

「ん……どうした?フォウ君、もう出発か?」

 

いきなりフォウ君に起こされた俺は、瞼を擦りながら起き上がった。

 

「フォウ!」

 

「うぉ⁉︎」

 

突然、俺はフォウ君に乗せられあるところに連れていかれた。

 

「何してんだあの2人?」

 

着いた場所で俺が見たのはマシュとキャスターが戦っている最中だった。

 

「やっと、起きたのね…遅いわよ…」

 

「あ、優也さん。おはよう!」

 

「すいません…所長。後、おはよう。立香さん。で、あの2人は何で戦ってるんですか?」

 

「キャスター曰く、特訓らしいわよ。マシュが宝具を使えるようにって」

 

「なるほど…」

 

今俺の目には、キャスターが放った迫り来る無数の火球を必死に防ぐマシュの姿が写っていた。

 

「ぐっ!くっ!」

 

「うわ〜むっちゃ火の玉打つじゃんあの人…」

 

「おっ!にいちゃんやっと起きたか!んじゃ…」

 

俺に気づいたキャスターは、俺と立香さんに向かって火球を放った……………って、え?

 

「先輩!優也さん!」

 

だが、マシュが俺達の前に立ち火球を防いでくれた。

 

「2人とも、無事ですか?」

 

「うん。大丈夫」

 

「あぁ…でも、なんでキャスターは俺達に向かって撃ってきたんだ?」

 

「それは分かりません。………来ます!」

 

「主もろとも燃え尽きな!焼き尽くせ、木々の巨人!『灼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)』!」

 

細木の枝で作られた巨人が現れ、炎を纏いマシュへと向かっていく。これがキャスターの宝具か…

 

「所長とフォウ君は下がるんだ!」

 

「あなた達も下がった方がいいのでは⁉︎」

 

「先輩達も下がってください!このままでは、危険です!」

 

「ううん、私達はここにいる。マシュなら絶対やってくれるって信じてるから!」

 

「先輩、優也さん………あ、あぁぁぁぁああ!!!」

 

すると、マシュの盾から眩い光が溢れ出し巨大な光の壁が現れ、巨人とぶつかると強い衝撃と風圧が俺達を襲った。

 

「くっ…うわぁぁぁぁああ!!飛ばされる〜〜!!」

 

「おっと!…大丈夫?」

 

「あ、ありがとう。立香さん」

 

立香さんの手に包まれた俺はなんとか無事だった。前を見ると、巨人と光の壁が消えマシュが肩で息をしながら盾を支えにして立っていた。

 

「ほう、なんとか一命だけは取り留めると思ったんだが、まさかマスターともども無傷とはね。褒めてやれよ、マスター。あんた達のマシュは、間違いなく一線級の英霊だぜ」

 

「はぁ…はぁ…先輩...優也さん…わたし…今...!」

 

「うん、頑張ったね!マシュ!」

 

「やったな!」

 

「はい!」

 

「よし!マシュも宝具を使えるようになったし、そろそろ殴り込むか…敵陣に…」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

キャスターの案内で俺達はある洞窟に到着した。

 

「大聖杯はこの奥だ。ちぃとばかり入り組んでいるんで、はぐれないようにな」

 

キャスターが丁寧に教えてくれた。この奥に大聖杯とそれを守るセイバーがいるのか…まぁ…俺は何も出来ないと思うけど…

 

「なぁ?キャスター。これから会うセイバーって人はどんな人なんだ?」

 

「ん?どんなって?」

 

「名前とか、どんな宝具を使うのかとか…」

 

「マスター達も知ってると思うぜ。奴が使うのは王を選定する剣。お前さん達の時代においてもっとも有名な聖剣、その名は……」

 

そこまで言ってキャスターは表情を変えた。

 

「『約束された勝利の剣』。騎士の王と誉れの高い、アーサー王の持つ剣だ」

 

その時、前方に人影が現れた。お出ましか…

 

「! アーチャーのサーヴァント………!」

 

 マシュが声を上げた。アーチャーって事は、弓を使うのか…

 

「おう、言ってるそばから信奉者の登場だ。相変わらず聖剣使いを護ってんのか、テメェは…」

 

キャスターがアーチャーに向かって好戦的に言った。

 

「ふん、信奉者になった覚えはないがね。つまらん来客を追い返す程度の仕事はするさ…」

 

「ようは門番じゃねぇか。何からセイバーを守ってるのか知らねぇが、ここらで決着をつけようや」

 

そして、アーチャーとの戦闘が始まった。マシュとキャスター、それに所長のガンドの手助けもありなんとか勝つことできた。そうして、俺達は再びキャスターの元洞窟の奥にへと進んでいった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

キャスターの案内のお陰で俺達は洞窟を抜け出すことができた。洞窟を抜けるとそこは地の底とは思えないほど、広く視界の開けた場所だった。確か、ここにセイバーがいるらしいんだけど…

 

「あ…」

 

見つけた…この特異点の要である“大聖杯”が鎮座する祭壇…そしてその“大聖杯”への行く手を阻むように立っている黒き鎧に身を包んだ金髪の剣士の姿。

 

「あれが…アーサー王…」

 

たしかに街で遭遇したサーヴァント達とはレベルが違う…ってか、女だったんですね…

 

「来たか」

 

黒き王が口を開く。

 

「ふむ、面白いサーヴァントがいるな」

 

「へぇ…喋れたのかお前」

 

「黙っていろ、アイルランドの光の御子よ。私は今、そこの盾の娘にしか興味は無い」

 

「私…?」

 

マシュに?何故だ…マシュとアーサー王が知り合いなわけがない…まぁ、マシュと憑依融合した英霊がアーサー王に仕えたといわれる円卓の騎士の誰かなら話は別だけど…

 

「貴様の盾と私の聖剣。どちらが上か、今此処で試してやろう」

 

セイバーの持つ剣に、邪悪な光が集まってゆく。

 

「ちっ!来るぞ!」

 

「「マシュ!」」

 

「はい!」

 

そして、2人の宝具が同時に展開された。

 

「卑王鉄槌。極光は反転する。光を呑めー」

 

「真名、偽装登録。宝具、展開ーー」

 

「『約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)』!!」

 

「『仮想宝具 疑似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)』!!」

 

2つの波動が打ち消さんと激しくぶつかる。

 

「くっ!うっ!」

 

「「マシュ!」」

 

少しずつだが、マシュの体が少しずつ後ろへ押されている。

 

「くそっ!どうすれば…」

 

考えろ…今俺がマシュにしてやれる事…俺はふと自分の右手にある紋様《令呪》を見た。

確か、所長はこの令呪を使えばサーヴァントになんでも命令する事が出来るって言ってたな…あ、なら!

 

「フォウ君!」

 

「フォウ?」

 

「俺をマシュの肩にまで運んでくれ!」

 

「フォウ⁉︎」

 

「優也さん⁉︎」

 

「ちょっと⁉︎あなた、また!」

 

「お願いします!所長!これが今俺に出来ることなんです!」

 

俺が必死にお願いすると、所長は折れたのか行くことを許可してくれた。許可を貰った俺はフォウ君の背中に乗り、マシュの元へ向かった。そして、マシュの肩で降ろしてもらうとフォウ君にお礼を言い、マシュの手に向かって走った。

 

「優也さん⁉︎」

 

「よぉ!大丈夫か?」

 

「どうして来たんですか⁉︎」

 

「そりぁ、俺だってマシュのマスターだからな。自分のサーヴァントを助けるのは当たり前だ。それに来たのは俺だけじゃないぜ」

 

「マシュ!」

 

「先輩!」

 

立香さんがマシュの後ろから走って来た。そして俺は、マシュの大きな手に自分の両手を重ね、立香さんはマシュの背中を支え左手をマシュの手に重ねた。そして…

 

「「令呪をもって命ずる!マシュ、絶対に防ぎきるぞ(よ)!」」

 

「…………はい!うぁぁぁぁああ!!」

 

すると、光の壁はより一層光を放ちついにセイバーの宝具を防ぎきった。

 

「やった…やりました!先輩、優也さん!」

 

「うん!やったね!マシュ!流石、私達のサーヴァント!」

 

「いいえ!先輩達がいなければ防げなかったかもしれません。本当にありがとうございました!」

 

そう言って、マシュは俺達に笑顔でお礼を言った。あぁ…守りたい、この笑顔……宝具を防がれたセイバーは力を消耗したのか肩で息をしていた。やるなら、今だな…

 

「「キャスター!」」

 

「おう!」

 

俺達が合図を出すと、キャスターが前に出た。ってか、俺と立香さんの息ぴったりだな。

 

「焼き尽くせ、木々の巨人!『灼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)』!!」

 

 

キャスターの宝具が黒き騎士王に襲いかかる。宝具をもろに受けたアーサー王は悲痛な叫びを上げた。

 

「はは…聖杯を守り通す気でいたが、己が執着に傾いた挙句、敗北してしまった。結局、運命がどう変わろうと、私一人では同じ末路を迎えるということか」

 

「あ?どういう意味だそりゃ。テメェ、何を知っていやがる」

 

「いずれあなたも知る、アイルランドの光の御子よ。グランドオーダー、聖杯を巡る戦争はまだ始まったばかりだという事を」

 

それだけ言うと、セイバーは消えてしまいその場所には、何か水晶のようなものが残してあった。

 

「終わった…の…」

 

「らしいな」

 

「あぁ、お疲れさん」

 

地面に倒れている俺と立香さんに向かってキャスターは労いの言葉をかけた。いや〜なんか令呪使った後の疲労感半端ないんですわ…なんでやろ…ってか…

 

「キャスターなんで光ってるん?」

 

「ん?あぁ、セイバーのヤツがいなくなって聖杯戦争は終わったからか…。はあ、結果から見りゃあ全然活躍できてねえなオレは…。 マスター、にいちゃん。短い間だったが結構楽しめたぜ。 次に呼ぶときにゃあランサーで呼んでくれや 」

 

「セイバーにとどめ刺した人が何言ってんだか…まぁ、私も結構楽しかったよ…ランサーで呼べるか分かんないけど、その時はまた力貸してね…」

 

「へへっ…分かったよ…」

 

そう言って、キャスターは消えていった。

 

「ほんと…ありがとな」

 

すると、急に眠気が襲って来た。

 

「すまん…急に眠気が…後は頼む…」

 

「はい、お疲れ様です。優也さん」

 

「後は、私達に任せて」

 

「おう。頼むわ」

 

そうして、俺は意識を手放した。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4話 まだまだこれから

目を覚ますと、俺はカルデアの医務室のベッドにいた。

 

「あ、起きたかい?」

 

「ロマン…」

 

声のした方を向くと、ロマンが立っていた。どうやら、戻ってこれたみたいだな…

 

「みんなは…」

 

「安心して…戻ってきてるよ。今、呼んでこよう」

 

「すいません…お願いします」

 

そう言って、ロマンは医務室を出ていった。そして、少ししてロマンが立香さん、マシュ、フォウ君を連れて戻ってきた。あれ?所長は?まぁ…ここの所長だしなんかやらないといけない事があるんだろう…

 

「おはようございます優也さん。無事でなによりです」

 

「おはよう。優也さん」

 

「フォウ!」

 

「あぁ、みんな無事でよかった」

 

「よし、これで全員だね。まずはみんな、生還おめでとう。君たちの誰が欠けてもこのミッションは達成できなかっただろう。所長は残念だったけど…今は弔うだけの余裕がない。悼むことぐらいしかできない…」

 

「待て…ロマン、今なんて?」

 

すると、ロマンは何かに気づいたのか慌ててる口を塞いだ。だが、もう手遅れだと思ったのか口を開いた。そこで俺が聞かされたのは、カルデアの職員であるはずのレフ・ライノールというやつが敵であったということ。正直それはどうでも良かった…俺は会ったことが無いからな…だが…所長が死んだというのはどういう事だ?詳しく話を聞くと、所長の肉体はとっくに死んでいて、カルデアに設置されている装置のうちの一つ、電子演算装置『トリスメギストス』が、肉体が死んで残留思念だけになった所長のことをこの特異点に送ったということらしい。だが、俺が眠っている間に所長はカルデアスに呑み込まれ消滅…つまり、死んだ。そして、万が一カルデアに戻れたとしても死んでしまった体に戻るだけで生き返ることはないと……

 

「なんだよ……それ…」

 

じゃあ、所長はどっちにしても死ぬ運命しかなかったって事なのかよ…

 

「辛いと思うが…受け止めてくれ…」

 

「わかり…ました」

 

「優也さん…」

 

「ありがとう…いいかい?僕たちは所長に代わって人類を守る。それが彼女への手向けになる…人類のターニングポイント、特異点。君は7つの特異点へレイシフトし、歴史を正しいカタチに戻す。そこで立香ちゃん、優也君、君達が人類を救いたいのなら…君達はこの7つの人類史と戦わなければならない。君達にカルデアの運命を背負う覚悟はあるか?」

 

「それが…今の俺に…出来ることなら」

 

「私も…」

 

「ありがとう…その一言で僕たちの運命は決定した。これよりカルデアは前所長オルガマリー・アニムスフィアが予定した通り、人理継続の尊名を全うする。目的は人類史の保護、及び奪還。探索対象は各年代と聖杯・聖遺物。これはカルデア最後にして原初の使命。人理守護指定・グランドオーダー。魔術世界における最高位の使命を以って、我々は未来を取り戻す!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「はぁ…」

 

「優也さん…」

 

俺は立香さんの部屋のベッドで仰向けで寝そべっていた。立香さんが部屋がない俺の事を思ってか、自分の部屋を一緒に使おうと言ってくれたのだ。もちろん、最初は俺も反対したさ…だけど立香さんがなかなか折れなくて結局俺が折れて今の状態である。

 

「フォウ…」

 

フォウ君が心配そうにこちらを見てくる。俺は少し笑ってフォウ君を撫でた。

 

「心配すんな…大丈夫だから…」

 

「フォウ…」

 

そうは言ったが、内心結構参ってる…でも、ここで落ち込んでてもしょうがない…これから7つの特異点を修復しないといけないんだ…でも……すると、誰かがドアをノックした。

 

「先輩?優也さん入りますね…」

 

マシュが部屋に入ってきた。

 

「ん?どうしたの?マシュ」

 

俺は、平然を装ってマシュに聞いた。

 

「いえ…優也さんが心配で…」

 

「全く…お前もかよ!大丈夫だって!心配すんな!俺はこの通り…」

 

「「優也さん!」」

 

「うおっ⁉︎」

 

すると、2人が大きな声を出した。

 

「ちょっ⁉︎2人とも⁉︎どした⁉︎」

 

「優也さん、辛いなら泣いてもいいんですよ?」

 

「……………」

 

なんでだよ…なんでそんな事言うんだよ…そんな事言われたら…もう…

 

「立香さん、マシュ…俺は自分が許せない…そんな事になってたのに…俺は何も知らずに、ただ眠ってたんだから…何もしてないくせに…」

 

「いいえ…優也さんは頑張りました。シャドウ・サーヴァント達との戦い…アーサー王との戦い…優也さんの行動に私は沢山救われました」

 

「私も…優也さんのお陰で勇気をだせた」

 

「違う!あれは俺1人じゃ絶対に出来なかった!フォウ君に所長、キャスター…そして、立香さんとマシュがいたから…」

 

「「それでも!」」

 

顔を上げると、目に涙を溜めて笑っている立香さんとマシュの顔があった。

 

「私が…私達が…優也さんに救われたのは変わらないよ。だから、優也さん…何もしてないなんて言わないで…」

 

「…………………」

 

「後、これは所長から優也さんへ最後の伝言です」

 

「なんだ?」

 

俺が聞くと、マシュはにっこりと笑った。

 

「『みんなのこと…お願いね?』」

 

それを聞いた瞬間、俺は泣いた。溢れる涙を抑える事が出来なかった。二人はそんな俺を何も言わず子供をあやすかのように優しく撫でていてくれた。

 

 

 

 

 

 

「落ち着いた?」

 

「あぁ…ごめん2人とも…かっこ悪いところ見せちまって。それに…ありがとう…こんなマスターだけどこれからもよろしく」

 

「「うん(はい)!こちらこそ!」」

 

そう言って2人はにっこり笑った。

 

「あ、それでね優也さん」

 

「ん?どうした?」

 

「その…私達さん付け辞めない?」

 

「えっ⁉︎どうして?」

 

「ほら、私達これから一緒に戦う仲間でしょ?それなのに他人行儀なのはちょっと嫌だな〜って」

 

「そ、そうか…じゃあこれからよろしくな。り、立香…」

 

「うん!よろしく!優也!」

 

えぇ…俺は勇気を出して呼んだのにこの子普通に呼んじゃったよ。結構サバサバ系だったりするのかな?だけど、まぁ…悪くはないな…そうして、俺と立香は握手をした。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第一特異点 百年邪竜戦争 オルレアン 第5話 フランス

ブリーフィングの時間。俺、立香、マシュ、フォウの三人+一匹はロマンに会議室に集められていた。

 

「集まったね…じゃあ……………まずは、そうだね。君たちにやってもらいたいことを説明しようか」

 

そう言って、ロマンはホワイトボードに文字を書き始めた。

 

「まず一つ目、特異点の調査及び修正。さもなければ、人類に2017年は訪れない、これは分かるね?」

 

その確認に俺達は頷いた。

 

「そして二つ目、聖杯の調査だ。これは推測だけど、特異点の発生には聖杯が関わっている。聖杯とは願いを叶える魔導器の一種だけど、おそらくレフはそれを何らかの形で手に入れ、悪用したんじゃないかな…なので、特異点を調査する過程で必ず聖杯に関する情報も見つけられるはずだ。歴史を正しく戻したところで、聖杯が時代に残ってるのでは元の木阿弥だ。なので、君達は聖杯を手に入れるか破壊しなければならない。以上の二点が作戦の主な目的だ。ここまでは良いかな?」

 

その質問にも俺達は頷いた

 

「うん、よろしい。さて、任務の他にもう一つやってほしい事がある。霊脈を探し出し、召喚サークルを作って欲しいんだ。冬木でもやっただろう?そうすれば、補給物資も送れるしサーヴァントも自由に召喚出来るようになる。それと、最後に一つ」

 

ロマンがそう言うと、変な杖を持った綺麗な女性が部屋に入ってきた。

 

「紹介するよ。我がカルデアが誇る技術部のトップ、レオナルドだ」

 

「はい正解~♪私こそ、ルネサンスに誉れ高い万能の発明家、レオナルド・ダ・ウィンチその人だ。はい気軽にダ・ヴィンチちゃんと呼ぶように」

 

 レオナルド・ダ・ヴィンチ⁉︎あの万物の天才と呼ばれたあの⁉︎女性だったの⁉︎いや…よく考えたら、あのアーサー王も女性だったんだからそこまで驚く事じゃないか…

 

「私はこれから主に支援物資の提供、開発、英霊契約の更新などで君達をバックアップする。よろしく頼むよ」

 

「さて、話を戻そうか。さっそく、レイシフトの準備をする。みんなは準備は良いかい?」

 

「あ、ちょっと待ってくれ!ロマン」

 

すると、ダ・ヴィンチちゃんが俺の元に歩いてきた。

 

「やぁ、君が優也君だね。ロマンから話は聞いてるよ。にしても、本当に小さいね〜」

 

そう言って、ダ・ヴィンチちゃんは指で俺の顔をつついた。

 

「わっ!やめてくださいよ〜!」

 

「アハハ!ごめんごめん。小人なんて初めて見たからからつい…にしても、君…」

 

ダ・ヴィンチちゃんがじっと俺を見つめてきた。

 

「な、なんですか…」

 

「ふーん…いや、なんでもないよ。それじゃあ、任務頑張ってね」

 

「えっ⁉︎は、はい…」

 

「話は済んだね。じゃあ、今度こそレイシフトしようか」

 

そして、俺達はレイシフト用のコフィンの中に入った。

 

『レイシフト開始まであと3…2…1……全工程 完了。グランドオーダー実証を開始します』

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

気がつくと、俺達はどこか分からない平原にいた。

 

「え〜と…ここどこ?マシュ分かる?」

 

「あ、はい。えっと…現在1431年。百年戦争の真っ最中ですね。ただ、この時期はちょうど戦争の休止期間のはずです」

 

「うん。ありがとう」

 

百年戦争って事は、確かあのジャンヌ・ダルクとかがいた時代だな…

 

「ん?あれ何?」

 

「先輩、どうかしたのですか?」

 

「あれ見て」

 

そう言って、立香は空を指差す。そしてマシュ達も空を見上げた。

 

『よし、回線がつながった。画質は粗いけど、映像も通るようになったぞ!…って、なんでみんな空を見てるんだ?』

 

「ドクター、映像を送ります。あれはなんですか?」

 

マシュがそう聞くと、ドクターも驚いてるのか息を呑む声が聞こえた。そりぁ当たり前だ。だって…空に光の輪のようなものがあるんだから。

 

『あれは、衛星軌道上に展開した何かしらの魔術式か?何にせよ、とんでもないサイズだ。間違いなく、未来消失の理由の一端だろう。アレはこちらで解析するしかないな。君達は現場の調査に専念してくれていい』

 

「ありがとうロマン。助かる。じゃあ、俺達はまず街に行って聞き込みするか」

 

そうして、俺達は歩き出した。しばらく歩くと、武装した男達が数人いるのが見えた。

 

「マシュ…あの人たちは?」

 

「どうやらフランスの斥候部隊のようです」

 

なるほど…何か知ってるかもしれないから聞きに行きたいんだけど、マシュの格好だと

敵だと思われそうだから、俺と立香で行くか。別に立香だけでも良いんだけど、俺も話聞きたいし。

 

「立香」

 

「うん。私も同じ事考えてた」

 

「なら、話は早いな。マシュ、俺を立香の首の後ろに運んでくれ。俺の体が見られたら絶対混乱が起きるからな」

 

「はい。分かりました」

 

そうして、俺は立香の首の後ろに運んでもらった。

 

「じゃあ、行ってくるね

 

「はい。気をつけてくださいね2人とも」

 

俺達はマシュの言葉に頷いて男達の元へ向かった。

 

「あの…すみません」

 

「な、何者だ!」

 

「実は、私遠くから旅してる者なんですが、この辺りで泊まれる場所はありませんか?」

 

「旅?こんな所をか?」

 

「はい」

 

「そうか、悪い事は言わないからやめておけ。この辺りは戦争中だ」

 

「休止中なのではないんですか?」

 

「休止中?何処からその情報を聞いたのか知らないが、シャルル王が竜の魔女に焼かれ、休戦条約は無くなった」

 

「………竜の魔女?」

 

「お前知らないのか?竜の魔女はアレだよ。ジャンヌ・ダルク」

 

は?ジャンヌ・ダルクが竜の魔女?どういう事だ?彼女はフランスを救った英雄じゃなかったのか?男の話はまだ続く

 

「アイツはな、死から蘇ったんだよ。それも悪魔と契約し、本物の魔女としてだ。その証拠にあの女は異形の怪物達を従えてフランス全土を焼き尽くそうとしてやがる。既にイングランドは撤退し、シャルル王も殺された。もう国中大騒ぎだ。何しろ俺たち兵士が束になってかかっても、怪物どもはうじゃうじゃ湧いて出やがる。もうどうする事もできないんだ」

 

たしかにシャルル王に見捨てられたジャンヌ・ダルクは火刑に処され、命を落としたと言われている。だから…この人が言っているように、もし本当に死から蘇ったのだとしたら…彼女はサーヴァントになったって事になるのか。すると…

 

「ワイバーンだ!! ワイバーンが来たぞ!」

 

突然、そんな叫び声が聞こえたかと思うと、男達の後ろで倒れていた兵士達が次々と起き上がり始めた。空を見上げれば、翼の生えた竜が何体も飛翔している。明らかに人間よりデカい。これはまずい…彼らはもうボロボロだ。あの体であいつらと戦ったら…

 

「先輩!優也さん!」

 

俺の後ろから声が聞こえ、振り返るとマシュが走ってきた。どうやら、俺達より早くワイバーンを発見して来てくれたらしい。

 

「マシュ、彼らの援護を頼める?」

 

「はい!分かりました!

 

立香がマシュに指示を出しマシュはフランス兵達の援護に向かったわだが、本当にマシュとフランス兵達だけでワイバーン共を攻略できるのか…明らかに固そうな鱗してるし、空も飛んでいる。マシュはどっちかというと近接戦闘向きだ。なら、まずは奴らを地上に撃ち落とさないといけない…だけどこの砦には指揮官と呼ばれる人間がいないようで兵士達の動きはバラバラだ。どうすれば…

 

「兵たちよ、水を被りなさい! 彼らの攻撃を一瞬ですが防げます! これより、あなた方の指揮は私が執ります。総員、我に続け!」

 

突然、女の人の声が聞こえ声のした方を向くと、そこにはとても美しい、金髪の女性の姿があった。槍のように長い旗を持ち、紫の服の上から、腕や腹部などに銀色の甲冑を纏っている。

 

「そこの盾の貴女、もしやサーヴァントでは?」

 

マシュに気付いた女性がこちらに近付いてくる。この人サーヴァントを知っている…って事は、この人もサーヴァントなのか

 

「お願いします、盾の少女。私と共に戦ってください!」

 

「は、はい!もちろん!」

 

そうして、いきなり現れた金髪の女性の指揮のお陰でなんとかワイバーン達を撃退することができた。

 

「ありがとうございました。共に戦ってくれた事感謝いたします。私はルーラーのサーヴァント。真名は『ジャンヌ・ダルク』と申します」

 

「!!」

 

名前を聞いた瞬間、立香が身構えた。

 

「立香、待って」

 

「えっ?でも…」

 

立香が少し戸惑った顔をする。まぁ、気持ちはわかる。兵士達が言っていたあの竜の魔女が目の前にいるのだから。だけど…じゃあなんで配下のワイバーンと戦う必要があるんだ?これは何か訳がありそうだな…

 

「大丈夫…少なくともこの人は敵じゃないと思う」

 

俺がそう言うと、立香は引き下がった。ってか、ジャンヌさん…俺に気づいてなくね?

 

「彼らの前でする話でもありません。場所を変えましょう」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

俺達は場所を変え、近くの森に来ていた。ここなら人目につく事は無いだろう。

 

「では、改めて。私はジャンヌと申します。あなた方の名前をお聞きしても?」

 

「私はマシュ・キリエライト。デミ・サーヴァントです。そして、こちらが私のマスター 藤丸 立香と如月 優也です」

 

「藤丸 立香です!よろしくお願いします!」

 

「あの…マスターが1人しかいないみたいですが…」

 

あーやっぱ気づいて無いわ…しょうがない…

 

「ジャンヌさんジャンヌさん!足元見てみ?」

 

「えっ⁉︎どこから声が……………って、えぇぇぇぇええ!!」

 

ジャンヌさんが大声を上げて驚いた顔をする。そりぁ、そうだよな…

 

「ひ、人がこんなに小さい…どうして…」

 

「まぁまぁ、いいんじゃないですか。そんな事。よろしくお願いしますジャンヌさん」

 

「え、えぇ、こちらこそ。しかし、この聖杯戦争にもマスターがいるのですね」

 

「いえ、我々は聖杯戦争とは関係ありません。その、話せば長くなるのですが……」

 

「なるほど…あなた方にも複雑な事情があるようですね。よければ聞かせて頂いてもよろしいですか? 私も、あなた方に話したい事があります」

 

「はい。構いません。我々もこの特異点に関する情報が必要なので…」

 

そうして、俺たちはお互いの情報を交換した。ついでに、俺が何故小さいかという理由も

 

「…なるほど、よくわかりました。まさか、世界そのものが焼却されているとは。事態は私が思っているよりも深刻なようですね」

 

「そうなんですよ〜もう大変で」

 

ジャンヌさんの話によると、竜の魔女というのはこのフランスに召喚されたもう一人のジャンヌの事らしくそいつが聖杯を所有しているらしい。ってか、立香もうジャンヌさんと打ち解けてんじゃねぇか…コミュ力高いのかな?

 

「聖杯は敵の手中か…ちなみにジャンヌさんはこれからどうするつもりで?」

 

「決まっています。オルレアンに向かい、都市を奪還する。そのために、障害であるジャンヌ・ダルクを排除する。その手段は分かりませんが、ここで目を背けるわけにはいきませんから」

 

俺の問いにジャンヌさんは躊躇いもなく答えた。

 

「そうですか…」

 

「あの、先輩?」

 

「ん?どうしたの?マシュ」

 

「私達とジャンヌさんの目的は一致しています。今後の方針ですが、彼女に協力する、というのはどうでしょう?」

 

「お〜なるほど!どうですか?ジャンヌさん。私達と手を組みませんか?」

 

「い、良いのですか?」

 

「ああ、俺達ももう一人のジャンヌを倒さないと任務クリア出来ないわけですし。それに戦力が増えるのは凄くありがたい」

 

「分かりました。では、よろしくお願いします」

 

そう言って、ジャンヌさんは頭を下げた。

 

「それで、これからどうしましょう?」

 

「敵の情報を集めるのと戦力の増加、これは最優先事項だな。そのために、まずはジャンヌさんについても知りたいんだけど、ジャンヌさんは何が出来るんですか?」

 

俺が聞くと、ジャンヌさんは下を向いた。

 

「申し訳有りません。ほとんど何も…」

 

「そうですか…」

 

「はい…ルーラーが持っているサーヴァントの探知機能も私には不能です」

 

「「えっ?今なんて言いました?」」

 

サーヴァントの探知機能…もし、それがあっちのジャンヌも持っているとしたら…これはまずい…それはつまり、俺達の居場所も戦力も全部向こうにバレると可能性があるということだ。どうすれば…

 

「フォ〜ウ」

 

すると、フォウ君は大きく欠伸をした。

 

「アハハ、フォウ君眠いのか。なら、今日はもう寝よう」

 

「そうですね」

 

「うん」

 

「よし、じゃあ女性陣は寝ろ!俺は見張りをやるから」

 

「いえ、優也さんも寝て下さい。サーヴァントは睡眠の必要はありませんから」

 

「いーや、今回まだ俺何もしてない。だからせめて、せめて見張りはさせてくれ頼む!」

 

そう言って、俺はマシュたちの前で土下座した。

 

「じゃあ、私も見張りやるよ。優也その体だから心配だし」

 

「えっ?立香、良いのか?」

 

「優也は知らないと思うけど私、冬木から帰って来た後マシュとトレーニングして体鍛えてたんだよ?魔術も少しは使えるようになったし」

 

「そ、そうか。じゃあ悪いけど頼めるか?」

 

「うん。いいよ。…という事だからマシュ達は休んでていいよ」

 

「…………はぁ、分かりました。くれぐれも気をつけてくださいね2人とも」

 

「おう…ありがとな。マシュ」

 

俺は、マシュにお礼を立香と一緒に見張りを開始した。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6話 もう一人のジャンヌ

翌日。俺達はオルレアン周辺の街で地道に聞き込みをすることにした。ジャンヌさんの案内でラ・シャリテとかいう街に行くことになった。すると、ロマンから通信が入った。

 

『ちょっと待って。ラ・シャリテからサーヴァントの反応がある』

 

「マジ?数は?」

 

『五騎だ。あれ、でも遠ざかっていくぞ?……あ、ダメだ!ロストした!速すぎる!』

 

速すぎる⁉︎あ、そっか敵なら竜を使えるんだ。それを使ってるのかもしれない。

 

「フォア、フォーウ!」

 

すると、フォウ君がマシュの頭の上で何かを見つけたのか声を上げた。そっちを見ると、煙が上がっていた。

 

「街が…燃えている⁉︎」

 

「急ぎましょう!」

 

俺達は急いで街に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ⁉︎」

 

「えっ⁉︎」

 

「ん?あら、あなた達は?」

 

街に来た俺たちが見たもの…それは、ジャンヌさんに瓜二つの顔の持つ少女。恐らく、こいつこそが兵士達の言って竜の魔女なのだろう。竜の魔女は、なかなかの数の魔物とサーヴァントらしき存在を四騎も引き連れて来ていた。

 

「なんてこと。まさか、まさかこんな事が起こるだなんて。ねえ、お願い。だれか私に水をかけてちょうだい。まずいの。やばいの。本気でおかしくなりそうなの。だってそれぐらいしないと、あんまりにも滑稽で笑い死んでしまいそう! ほら、見てよジル!あの哀れな小娘を!なに、あれ羽虫?ネズミ?ミミズ?どうあれ同じことね!ちっぽけすぎて同情すら浮かばない!ああ、本当こんな小娘にすがるしかなかった国とか、ネズミの国にも劣っていたのね!ねえジル、貴方もそう…ってそっか。ジルは連れてきていなかったわ」

 

え〜何あっちのジャンヌさん…こっちのジャンヌさんと性格真反対じゃないすか…

 

「貴女が、“竜の魔女”……。 ならば答えなさい。貴女は、なぜこの国を襲うのですか?」

 

「あら? 随分と間抜けな事を聞くのね、もう一人の“私”は。そんなの決まっているじゃない。滅ぼすためよ。私、サーヴァントですもの。政治的に、経済的に、なんて回りくどいわ。物理的に全部潰すほうが確実で簡潔でしょう?」

 

「バカなことを……!」

 

「バカなこと? 愚かなのは私たちでしょう、“ジャンヌ・ダルク”。何故、こんな国を救おうと思ったのです? 何故、こんな愚者たちを救おうと思ったのです? 裏切り、唾を吐いた人間だと知りながら!」

 

「それは!」

 

「私はもう騙されない。もう裏切りを許さない。そもそも、主の声も聞こえない。主の声が聞こえないという事は、主はこの国に愛想をつかした、という事です。だから滅ぼします。人類が存在するかぎり、この憎悪は収まらない。このフランスを物言わぬ死者の国に作り替える。それこそが、私の新たな救国方法です。いつまでも聖人気取りな貴女には理解できないでしょうね。憎しみも喜びも見ないフリをして、人間的成長をまったくしなくなったお綺麗な聖処女さまにはね!」

 

「まぁ、国を救う為に戦ったのにその国に裏切られたら復讐したくもなるわな」

 

「は?誰よ。今喋ったの」

 

「優也!」

 

やべ…心の声ダダ漏れだった…はぁ、しょうがない…

 

「ここだよ…」

 

俺は黒ジャンヌに向かって言った。黒ジャンヌはしばらく辺りを見回した後、ようやく俺に気づいた。俺に気づいた黒ジャンヌは笑いを堪える素振りをしたが、我慢できなかったのか笑いだした。

 

「アハハハハハハ!!ねぇ、お願い!誰か本当に水をかけてくれない?本当に笑い死にそうなの!だって、見なさいよ!あんなに小さいのよ!」

 

腹を抱えて笑う黒ジャンヌに続き、周りのサーヴァント達もクスクスも笑っている。気づくと、マシュ達が戦闘態勢に入っていた。

 

「みんな抑えろ…」

 

「優也…だけど…」

 

「いいんだ…もう慣れた」

 

少しして落ち着いたのか黒ジャンヌは笑うのをやめ、俺達の元に向き直った。

 

「はぁ…もういいわ。バーサーク・ランサー、バーサーク・アサシン。マスターもろとも、そこの田舎娘を始末しなさい」

 

命令を受け、彼女の後ろに控えていた黒コートのおじさんと仮面の女性が頷く。

 

「よろしい。では我は血を戴こう」

 

「いけませんわ。王様。私は血と肉、そして臓を戴きたいんですもの」

 

「強欲だな。ふむ…では私は魂を戴こうか」

 

「ええ。魂なんてものに興味はないわ…それでは」

 

そして、二騎のサーヴァントが俺達に襲いかかって来た。

 

「先輩!」

 

「うん!全員戦闘態勢!」

 

マシュ達は戦闘態勢に入り、俺は立香の肩に乗った。

 

「はぁ!」

 

「無駄なことだ」

 

マシュが先制して盾を勢いよく振り下ろす。ランサーはそれを難なく手にした槍で防ぎ、押し返した。よろけたマシュに追撃を加えようとするが、マシュはすぐにバランスを整えランサーの追撃を防ぐ。追撃を防がれたランサーは一度後方へ下がった。それを見たマシュは盾でランサーに突進した。だが、マシュの突進を受けたランサーに大きなダメージは無いようだった。

 

「あの盾の突進を喰らって平気とは…見た目に反してタフだな。あのおっさん」

 

「ふん、まだまだ若い者には負けはせんわ」

 

そう言って、睨み合うランサーとマシュ。俺は少し視線を逸らすと、アサシンと戦うジャンヌさんの姿が見えた。

 

「はぁ!」

 

「くっ!なかなかやるわね!」

 

アサシンの攻撃をジャンヌが防ぎ、隙をつくり、その隙を逃さず追撃に入っていた。

 

「なに手間取っているのですか!なら、バーサーク・セイバー、バーサーク・アーチャーあなた達はそこのマスターをやりなさい!」

 

そう言って、黒ジャンヌは俺が隠れている瓦礫を指差した!黒ジャンヌから指示を受けた二人のサーヴァントは俺達の元へ向かってくる。

 

「先輩!優也さん!」

 

マシュとジャンヌさんが俺達の方へ向かおうとしたが、ランサーとアサシンがそれを許さない。やばい…このままじゃ…

 

「優雅ではありません」

 

その時、俺の横をガラスの薔薇が通り俺に向かっていた二人のサーヴァントへ飛んでいく。二人のサーヴァントはそれを防ぎ黒ジャンヌの元まで戻った。そして、その後1人の少女が俺達の横に現れた。

 

「あの方は!」

 

バーサーク・セイバー、男装のサーヴァントが驚きの声を上げた。どうやらこの少女の事を知っているようだな。俺達の横に現れた少女は赤いドレス。頭には大きな帽子。そしてとても可憐な容姿をした、華奢な体つきだった。

 

「まあ、私の名をご存知なのね。知り合いかしら?素敵な女騎士さん?」

 

「セイバー答えなさい、彼女は何者ですか?」

 

「この殺戮の熱に浮かされた精神でも分かる。彼女の美しさは、私の目に焼きついていますからね。ヴェルサイユの華と謳われた少女。彼女の真名は『マリー・アントワネット』」

 

マリー・アントワネットだって⁉︎マリー・アントワネットってあれだろ?パンが無いならお菓子を食べなさいって言った鬼畜じゃん!

 

「はい! ありがとう、わたしの名前を呼んでくれて! その名前があるかぎり、どんなに愚かだろうとわたしはわたしの役割を演じます」

 

そう言って、マリーさんはふっと可愛らしく微笑んだ。訂正…多分この人あんな事言ってない…

 

「私の愛しの国を荒らす竜の魔女さん。無駄でしょうけど質問をしてあげる。貴女はこのわたしの前で、まだ狼藉を働くほど邪悪なのですか?」

 

赤いドレスの少女マリー・アントワネットが、竜の魔女と向かい合う。竜の魔女は突然現れた彼女へ煩わしそうに視線を向け、キッと睨んだ。

 

「おとなしく去りなさい、マリー・アントワネット。貴女如きがこの戦いに関わる権利はありません」

 

「あら、どうして?」

 

「宮殿で蝶よ花よと愛でられ、何もわからぬままに首を断ち切られた王妃に、私の憎しみが理解できると?」

 

「そうね。それはわからないわ……。だから余計に知りたいの、竜の魔女さん。わからないことはわかるようにする。それがわたしの流儀です。ああ、ジャンヌ・ダルク。憧れの聖女!今のわたしにわかるのは、貴女はただ八つ当たりをしているだけということ。理由は不明。真意も不明。そんな貴女に向ける礼はありません! よってわたしはそこの、何もかもわかりやすいジャンヌ・ダルクと共に貴女を倒します」

 

「なっ⁉︎」

 

やべー!!マリーさん超かっこいい!惚れそう!今まで鬼畜だと思っていた俺を全力で殴りたい!

 

「本当によろしいのですか? いえ、私たちにとっては大変心強いのですが…でも…」

 

「あら、もしかしてわたしは信用ならない? 出会ったばかりですもの当然ね。では、わたしはなにをしたら、貴女たちの仲間に入れて貰えるのかしら?」

 

「そんな! 条件なんてありません。私としても、とても嬉しい申し出です。歓迎します、マリー・アントワネット。あ、ですがカルデアの皆さんにも了承を得なくては…」

 

チラッとこちらに視線を向けるジャンヌ。そんな不安そうに見なくても答えはもう決まっている。仲間は多い方がいいからな。俺達はジャンヌさんに笑顔で頷いた。

 

「はい。了承が取れました」

 

「よかったわ。だそうですよ、貴方も出てきたらアマデウス?」

 

「いやはやマリア。君の行動力には毎度驚かされるよ…」

 

マリーさんの言葉と共に突然面白い格好をした男が姿を現した。

 

「アマデウス…それってまさか!?」

 

「知ってるの?マシュ」

 

「はい。あまりにも有名な方です。『ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト』。バッハ、ベートーヴェンと並んで世界三大作曲家の一人として知られています。日本でも有名な方なので先輩や優也さんもご存知では?」

 

おぉ…これまた有名な作曲家じゃないか…本名なんかかっこいいな…

 

「ご名答。自分が英雄だなんていう自覚も無いただの野良サーヴァントだが、マリア共々よろしく頼むよ」

 

「うん!」

 

「おう!こちらこそよろしく!」

 

「まぁ!アマデウス見てみて!こんなに小さい小人さんがいるわよ!」

 

「ほんとだ。ふむ、小人なんて初めてだね」

 

そう言って、2人は立香の肩に乗っている俺を見る。おぉ…この人達俺を見てもあまり驚かないな…驚くというより興味が湧いてらっしゃる…

 

「いつまでそうやってお喋りしてるつもり!ランサー、アサシン、セイバー、アーチャー早く奴らを始末しなさい!」

 

あ、そういやまだ戦いの途中だった。あまりにもマリーとアマデウスのキャラが強すぎて忘れてたわ。ごめんね?ジャンヌ…

 

「まずは謝るわ。竜の魔女さん。ごめんなさい。あんなことを言っておいてだけど、今は貴女達と戦うことは難しい。そのかわり、アマデウス!」

 

アマデウス「あぁ!『死神のための葬送曲(レクイエム・フォー・デス)』!」

 

マリーの後ろに控えていたアマデウスが宝具を発動した。すると、ジャンヌ達は動けない状態になった。

 

「それじゃあ、みなさんさようなら。オ・ルヴォワール!」

 

その隙にマリーに続き、俺達はその場を逃れた。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7話 逃走

黒ジャンヌとの戦いを離脱した俺達は森の拠点まで戻ってきた。そしたらマリーさんの提案でなんか自己紹介タイムになった。まずは言い出しっぺのマリーさんから。

 

「私の真名はマリー・アントワネット。クラスはライダー。どんな人間なのかは、どうか皆さんの目と耳でじっくり吟味していただければ幸いです。それと、召喚された理由は残念ながら不明なのです。だって、マスターがいないのですから」

 

「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。僕も、彼女と右に同じ。何故自分が呼ばれたのか、そもそも英霊なのか、まるで実感がない。確かに僕は偉大だが、しかし、それでも数多くあった芸術家の一人に過ぎないんだが……」

 

続いてこちらの自己紹介。まずはマシュが立ち上がった。

 

「私はマシュ・キリエライト。デミ・サーヴァントで真名は分かっていません。こちらは藤丸 立香と如月 優也。私のマスターです」

 

「藤丸立香です!よろしくね!」

 

「如月 優也です。こんな体だけど一応マスターです。よろしく!」

 

「こちらこそよろしくね。立香さん、小人さん」

 

やっばい…マリーさんマジ可愛い…

 

「で、あなたがジャンヌ・ダルクですね?フランスを救国すべく立ち上がった聖女。生前からお会いしたかった方の一人です」

 

「私は、聖女などではありません」

 

「いいえ。あなたの生き方は少なくとも真実でした。その結果を私達は知っています。だから、皆はあなたを讃え、憧れ、忘れないのです」

 

「まぁ、その結果が火刑であり、あの竜の魔女なわけだが。良い所しか見ないのはマリー、君の欠点だ。いいかい、マリー。君はいつも他人をその気にさせ過ぎる。たまには相手を叱り、否定する事も大切だよ」

 

「そんなこと、アマデウスに言われなくても分かっています!こうすれば良いのでしょう⁉︎この音楽バカ!人間のクズ!」

 

あぁ…俺もマリーさんに罵られたいです………立香さんなんでそんな冷たい目で見るんですか?

 

「ああ、そうだ。そんな感じだ。そんな感じでジャンヌにもかましてあげなさい」

 

「それは無理よアマデウス。ジャンヌには欠点がないんだもの」

 

「本気か…これは重症だ。君はそこまで好きだったんだな。ジャンヌ・ダルクが」

 

「好き、というより信仰ね。あとはちょっとの後ろめたさ。小さじ一杯分くらいのごめんなさい。愚かな王族が抱く、聖女への当然の罪悪感」

 

「マリー・アントワネット。あなたの言葉は嬉しい。でも、だからこそ告白します。生前の私は聖女などというものではなかった。私はただ、自分の信じたもののために旗を振るい、そして己の手を血で汚した。その先で、どれほどの犠牲が出るのか想像すらしなかった。後悔はしなかったけど、畏怖する事もしなかった。それが私の罪です。そんな小娘を聖女と呼ぶのは…」

 

「そんな事はないと思うぜ?」

 

「えっ?」

 

全員の視線が俺に集まる。

 

「ジャンヌさん…あなたは自分の夢のために戦っていたはずです。それが悪いことだなんて事は絶対にないと思います」

 

「そうです!自身持ってください!」

 

「優也さん、立香さん…しかし、私はとても聖女などと呼ばれるには…」

 

「なら、あなたは聖女ではないのですよね?」

 

「え、ええ。少なくとも、私自らそう名乗ることはできません」

 

「なら、ジャンヌと呼ばせてもらっても良い?」

 

「え、ええ。勿論です。そう呼んでいただけると、なんだか懐かしい感じがします」

 

「良かった。それなら、貴女も私をマリーと呼んで?あなたが聖人じゃないただのジャンヌなら、私も王妃ではない、ただのマリーになりたいわ」

 

なんかアイドルみたいな事言いだしたな。でも、マリーさんの容姿ならアイドルぐらい普通になれちゃうと思う。

 

「ね、お願いジャンヌ。私をマリーと呼んでみて?」

 

「は、はい。では遠慮なく。ありがとう、マリー」

 

「こちらこそ嬉しいわ、ジャンヌ!」

 

そうして、二人が微笑み合う。うわ〜ゆるゆりだな〜その後、マリーとアマデウスに現状を説明した。黒ジャンヌ様の事やカルデアの事も。

 

「成る程…現在はそうなっているのですね」

 

「そう。で、とりあえず奴らに対して足りないのは数だ。だから、これからサーヴァントを探しに行こうと思う」

 

「探しに?どういうことですか?」

 

ジャンヌさんが聞いてきた。

 

「さっきマリーさんとアマデウスさんが言ってただろ?自分達は野良サーヴァントだって。なら、他にも野良サーヴァントがいる可能性だってありそうじゃないか?」

 

「確かに」

 

そう説明した直後、マリーさんが手を打った。

 

「なるほど!それらを探し、味方に引き入れれば!」

 

「そんなに単純な話じゃないよ、マリー。そいつが敵になる可能性だってある」

 

「ああ。向こうは探知性能を持つルーラーがいるんだ、俺達よりも早くサーヴァントを見つけることができるし、最悪俺達が仲間を見つける度に戦闘になる…」

 

「まぁ、今日はもう暗いし休んだ方がいいんじゃないかい? 僕たちサーヴァントに睡眠は必要ないが、そこのマスター2人は普通の人間なんだろう? ならちゃんと休んでおかないと身が持たないよ?」

 

アマデウスが俺達に言った。

 

「いや、俺は大丈夫だよ」

 

「私も」

 

「いえ、2人とも今日は休んでください。我々が交代で付近の見回りを行いましょう」

 

「休むのは貴女もですよ、マシュさん。デミ・サーヴァントとはいえ、中身は普通の少女なのですから。肉体だけでなく、心にも休息は必要です」

 

「ジャンヌさん、ですが…」

 

「ご安心なさって、マシュ。わたしたちがしっかりと見張っていますから」

 

「ありがとうございます、マリーさん。ではお二人のお言葉に甘えて、私も休息を取る事にします」

 

結局、俺達もマシュ達から休めと言われ休む事になった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「ん…」

 

深夜。誰に起こされるでもなく自然と俺は目が覚めた。左ではマシュが、右では立香が寝息を立てて眠っている。俺は寝ているマシュに近づき、おでこの辺りに手を伸ばし撫でた。

 

「いつも、ありがとな…」

 

「ん…あれ?優也?」

 

すると、俺の右で寝ていた立香が目を覚ました。

 

「あ、悪い。起こしちまったか?」

 

「ううん。目が覚めただけ。寝れないの?」

 

「いや、おれも目が覚めちゃってな。少し散歩しようかなって」

 

「じゃあ、私も行く」

 

そうして、俺は立香の手に乗り散歩を開始した。少し歩くと見回りから戻ってきたジャンヌさんが座れるぐらい大きな石に座っていた。

 

「おや、こんな夜更けにどうしたのですか?立香さん、優也さん。眠れないのですか?」

 

「いや、ちょっと目が覚めちゃってね…隣いい?」

 

「えぇ…もちろん」

 

ジャンヌさんの了承を得て、立香はジャンヌさんの隣に、俺は立香の膝の上に座った。会った時から思ってたけどジャンヌさんって本当に綺麗だな…

 

「?どうしました?優也さん。私の顔になにか?」

 

「えっ?あ、あぁ…ごめん。なんでもない」

 

やっべ、思い切り見惚れてたわ。でも、しょうがないよね?綺麗なジャンヌさんが悪い。それと、立香はこっち見てニヤニヤすんな…

 

「ねぇ、ジャンヌさん」

 

「はい、なんでしょう」

 

「怖い?自分と戦うのは」

 

「……………正直、怖いです。ですが、フランスを救う為に私は彼女を倒さなければならない。その覚悟は出来ています」

 

「そうか…なら、俺達も最後まであなた一緒に戦う事を約束しましょう!」

 

俺はそう言って、立香の膝の上から立ち上がった。おっ!今のなんか騎士ぽかった。ジャンヌさんと立香はその言葉を聞いて笑った。

 

「ありがとうございます…優也さん。では、私はまた見回りを…」

 

「どうしました?ジャンヌさん?」

 

「こんばんは、寂しい夜ね。聖女様」

 

ジャンヌさんが向いた方向から露出度の高い修道服と、籠手を身につけた女性が現れた。

 

「こんばんは…で、あなたは?」

 

「私は聖女たらんと己を戒めていたのに、今では壊れた聖女の使いっ走りとなった者、そうね…名乗るならバーサーク・ライダーってところかしら」

 

バーサーク・ライダーって事は、敵か!

 

「2人とも!私の後ろに!」

 

俺達はジャンヌさんの後ろに下がった。そして、ジャンヌさんは旗を構えた。

 

「貴方達を監視する事が私の役割だったけど、最後に残った理性が貴方達を試すべきだと囁いている。貴方達の前に立ちはだかるのは“竜の魔女”。究極の竜種を従えた者。私を乗り越えられなければ、彼女を倒す事は出来ない。私を倒してみなさい。私の真名はマルタ!」

 

バーサーク・ライダーの真名はマルタ。確か悪竜タラスクを鎮めた、聖女だったはず…おれがそんな事を思っているとジャンヌさんとマルタの聖女対決が始まった。最初に仕掛けて来たのはマルタからだった。槍のように長い十字架の杖を掲げて祈ることにより、十字架を輝かせて爆発させる。何が起きるのか考えるよりも先に、ジャンヌさんはその場から飛び退いてマルタの攻撃を躱した。それを繰り返しながらジャンヌさんはマルタとの間合いを詰めていく。それをさせまいとマルタは十字架を掲げて攻撃を続けていると、突如としてジャンヌさんは旗を丸めて槍の形にして地面に突き刺した。棒高跳びの要領で跳び上がり、上半身を捻りながら自然落下の勢いを上乗せし、ジャンヌさんは旗をマルタに向けて振り下ろす。

 

「やぁ!」

 

「くっ!やるじゃない、でもね! 甘いわよ!」

 

「なっ!?」

 

ジャンヌさんの攻撃を十字架で受け止めたマルタだったが、突然十字架を手放し、その場から飛び退いた。そして、上半身を振り被って強烈な右拳をジャンヌに叩き込んだ。腹部に鋭く、重い一撃を受けたジャンヌさんの動きが止まる中、見逃さないと言わんばかりにマルタの攻撃が繰り出された。

 

「頑張れ!負けるな、ジャンヌさん!」

 

マルタの攻撃を受け、崩れ落ちながらも旗を支えに立ち上がろうとしているジャンヌさん。とどめを刺そうと駆け出してくるマルタに対し、ジャンヌさんも駆け出す。右腕が襲い掛かる中、両手に握る旗を突き出した。交差する右拳と旗。その時間は一瞬。決着は刹那の間に付いた。

 

「ここまでのようね……」

 

「マルタさん…」

 

「手を抜いていないわ、馬鹿。これで良かったのよ。全く、聖女に虐殺させるんじゃないってぇの」

 

勝ったのはジャンヌさん。突き出された旗の先端が胸部に突き刺さっていた。マルタの右拳はジャンヌさんの顔の目の前で止まっていた。

 

「消える前に教えてあげる。竜の魔女が操る竜に、貴方達は勝てない。あの竜を倒す答えを見つけたければ、リヨンに行きなさい。かつて都市だった所よ」

 

「かつて都市だった所?まさか!」

 

「えぇ、貴方の考えていた通りよ。昔から竜を倒すのは聖騎士でもなければ、聖女でもない。竜を倒すのは“竜殺し”だから」

 

マルタが伝えたかった事。竜の魔女が使役する竜に勝つには、竜殺しが必要だという事。なるほど、これは有り難い情報だ…

 

「それと、そこの小さなあなた」

 

「えっ?俺?」

 

「えぇ………気をつけなさいよ」

 

「それはどういう…あ、待って!」

 

俺が聞く前に彼女は微笑みを浮かべながら消滅していった。

 

「本来なら会話が出来ない筈ですが、彼女は自らの意志で話し掛けた。私達の目的地は決まりましたね。リヨンに行き、竜殺しの情報を集める」

 

「よし!朝になったらみんなにこの事を話そう!」

 

俺達のやる事は決まった。リヨンに向かい、マルタさんが伝えた竜殺しを探す事。俺達は翌日みんなにこの事を伝えジャンヌさん達の案内を受けてリヨンに向かった。にしても、最後にマルタさんが言った気をつけろって何にだ?

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8話 リヨン

リヨンに着いた俺達は周りを見渡した。そこはマルタさんの言う通りほ建物が崩壊し、ところどころから炎と煙が上がっていた。

 

「とりあえず、全員で捜索だな。マシュは立香と俺と一緒に来て。フォウ君も」

 

「うん」

 

「わかりました」

 

「フォウ!」

 

そうして、俺達は分かれて捜索を開始した。

 

「にしても、酷い有り様だな…」

 

「えぇ…本当に…」

 

崩れた建物を見ながら俺はそんな事を話した。すると、後ろから視線を感じ振り向くとそこには顔を半分包帯で隠してる男性がいた。男性は俺と目が合うと、ニヤリと笑いこちらへ向かってきた。

 

「やばい!マシュ!」

 

「はい!」

 

マシュが俺達の前に立ち男の攻撃を盾で防いだ。攻撃を防がれた男は後方へ下った。

 

「大丈夫ですか!皆さん!」

 

先程の戦闘音を聞きつけたのかジャンヌさん達が駆けつけてくれた。そして、包帯男の周りを囲んだ。

 

「何者ですか?私のお友達に手を出すということは、敵である事には間違いないと思いますが」

 

「然様。人は私を、オペラ座の怪人と呼ぶ。竜の魔女の命により、この街は私の絶対的支配下に。さぁさぁさぁ、ここは死者達が蘇る地獄の只中に。君達はどうする?」

 

こんなところで時間を潰してる場合じゃねぇのに…なら…

 

「マシュと立香、フォウ君は俺と一緒に捜索。戦闘はジャンヌさん、マリーさん、アマデウスさん、任せてもいいか?」

 

俺がそう言うと、全員頷いてくれた。全く、心強い仲間達だぜ…そうして、ジャンヌさん達はオペラ座の怪人…ファントム・オブ・ジ・オペラとの戦闘に入り、その隙に俺達は竜殺しの捜索を再開した。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

俺達はロマンが示してくれた建物の地下へ向かった。すると暗がりの中で、胸元を大きく広げた白銀の甲冑に身を覆う男が腰を下ろしていた。

 

「ぐ…敵か…」

 

男は深手を負っていた。恐らくあの黒ジャンヌ達複数のサーヴァントを相手取ったのだろう。サーヴァントは警戒心を露わにし、傷ついた体で立ち上がろうとする。

 

「待ってください!私たちは敵ではありません」

 

「………確かに奴らと違って邪悪な気配は感じないが…」

 

「私達に力を貸して欲しいの。話を聞いてくれない?」

 

「……いいだろう」

 

俺達はサーヴァントに事情を説明した。

 

「なるほど…道理でワイバーンがあんなにも湧いていた訳だ。俺が狙われたのもそのためか」

 

「協力してくれるか?」

 

「ああ、いいだろう」

 

「ありがとう」

 

「ひとまず外に出ましょう。あまり長居していては危険です」

 

そして、立香がセイバーに肩を貸し、地上へと出た。しかし、通信の受信音が突然鳴り響く。

 

『4つのサーヴァント反応だ!こっちへまっすぐ向かってきているから恐らくは黒いジャンヌだと思われる!』

 

ロマンが撤退を促すが、こちらには傷だらけのセイバーがいる。とても急速に迫るサーヴァントから逃げ切れるとは思えない。とりあえず俺達はジャンヌさんの元まで戻ることにした。戻るとファントムは倒されていた。よし、これで用事は済んだ。急いで撤退しよう。そうして、撤退しようとした時だ。ようやくロマンから連絡がきた。

 

『みんな、早くそこから逃げるんだ!サーヴァントを上回る超極大の生命反応だ。猛烈な速度でそちらにやって来るぞ!』

 

サーヴァントを上回る?竜の魔女が操るドラゴンって奴か…

 

「「迎え討とう!」」

 

『正気か⁉︎』

 

「大丈夫だって。こっちには竜殺し様だっているんだ…えっと、名前は?」

 

「ジークフリートだが…」

 

はい、きた!ジークフリードといえば悪竜ファブニールを倒したといわれる伝説の英雄だ。

 

「ジークフリードさん。俺が合図したらデッカいドラゴン目掛けて宝具を打ってくれませんか?」

 

「ああ、分かった…」

 

『来たぞ!』

 

直後、巨大な黒いドラゴンが降りて来た。

その大きいドラゴンの上にいるのは、もちろん黒ジャンヌ。

 

「また会いましたね」

 

「竜の魔女…お前が乗っているドラゴンは…」

 

「えぇ…邪竜ファブニール。この竜であなた達を蹴散らしてあげるわ!」

 

「へっ、そいつはどうかな?ジークフリードさん!」

 

俺が言うと、ジークフリードさんが前へ出た。

 

「久しぶりだなファヴニール。二度蘇ったのなら、二度滅ぼすまでだ!」

 

「ファブニールが怯えている⁉︎ジークフリードって…まさか!」

 

「蒼天の空に聞け! 我が真名はジークフリート! お前をかつて打ち倒した者だ!」

 

ジークフリートは凄まじい魔力が発せられる大剣を上に掲げ、ファブニールに向けて振り下ろす。

 

「行くぞ!『幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)』!」

 

「くっ!ファブニール、躱しなさい!」

 

その大剣から放たれたのは半円状に拡散する黄昏の剣。ファブニールはそれを上空に跳び上がる事で躱した。宝具を打ったジークフリートさんはその場に膝をついた

 

「済まない…これが限界だ。奴が戻って来ない間に逃げてくれ」

 

「今の内に撤退しましょう、皆さん!」

 

膝をついているジークフリードさんに立香が肩を貸し、俺達は撤退しようした。しかし、俺はファブニールを退けた安心感のせいか気づいていなかった……俺の後ろから迫っていた巨大な手が迫っている事に…

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ん…ここは…」

 

確か、ファブニールを退けて撤収しようとしたら目の前が真っ暗になってそれで…

 

「目が覚めたかしら?」

 

声のした方を振り返ると、そこには赤いベッドに座っている黒ジャンヌの姿があった。周りを見ると俺は鳥籠の中にいた。要するに俺は捕まってしまったわけだ。もしかして、これがマルタさんの言っていた言葉の意味か。

 

「おい、竜の魔女。俺を捕まえてどうするつもりだ。殺すつもりか?」

 

「最初はそうするつもりだったけど、簡単に殺したらつまらないわ。どうせ殺すならアイツらのまえで殺した方が面白そうじゃない?それまであなたは大事な人質。そして、わたしの玩具になるのよ」

 

…………………ん?今なんか、不吉な言葉が聞こえたぞ?すると、黒ジャンヌは鳥籠の中に手を入れてきた。くそっ!このまま捕まってたまるか!俺は、鳥籠の中を走り回った。だが、この鳥籠思っていたほど広くはなくとうとう捕まってしまった。

 

「やっと、捕まえた。さぁ、楽しい時間の始まりよ」

 

「くそっ!離せ、離せー!!」

 

みんな…無事でいてくれよ。それと、早く助けに来てくれ…このままだと俺が肉体的にも精神的にも死んじまう…

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第9話 最終決戦

「はぁ…はぁ…やばい…しんどい」

 

黒ジャンヌの玩具にされた俺は、今鳥籠の中で上半身裸で倒れていた。やべぇ…あいつ本当にやべぇよ…捕まってもう2日だから体がそろそろやばい…シャワー浴びたい…

 

「では、また後できますからね」

 

そういうと黒ジャンヌは部屋を出て行った。

やった…やっと休憩ができる。今マシュ達はどこにいるんだろう…あーこういう時に通信機がないのがな〜戻ったら、ダ・ヴィンチちゃんに作ってもらおうかな…まぁ、戻れたらの話だけど…

 

「どうですかな…その籠の中は…」

 

すると、気味の悪い格好をした男が入ってきた。

 

「あんたは?」

 

「私はジル・ド・レェ。ジャンヌの側近とでも思っていて下さい。それにしても、昨日もなかなか大変でしたね」

 

「大変ってもんじゃねぇよ。ってか、あんた昨日部屋に入ってきてむっちゃ気まずそうな顔して戻っていったじゃねぇか」

 

「それに対しては謝ります。ですが、あれを見たら気まずくもなるでしょう」

 

「まぁ…確かにな。それで、今立香達は…」

 

「彼女らですか?彼女らは新たに仲間を増やし我々のサーヴァント達を倒しながらこちらに向かっていますよ。まぁ、今頃ジャンヌがファブニールで彼女らを蹴散らしてると思いますがね」

 

「なぁ…ジル・ド・レェ。聞いていいか?」

 

「なんですか?」

 

「あのジャンヌは何者だ…」

 

俺がそう聞くと、ジル・ド・レェは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに冷静な顔になり口を開いた。そこで、俺は衝撃を事実を知らされた。

 

 

 

 

 

しばらくしてドタドタと誰かがこちらへ走ってくる音が聞こえてきた。

 

「ジル!」

 

「ジャンヌ⁉︎どうしました⁉︎」

 

黒ジャンヌが慌てた顔で部屋のドアを開けた。

 

「ファブニールがやられました!これから新たなサーヴァント召喚の準備をします!そこのマスターを連れて王の間に来なさい!」

 

「なんと⁉︎承知致しました!」

 

そして、ジル・ド・レェは俺が入っている鳥籠を持ち、王の間と呼ばれる場所に向かった。

 

 

 

「急ぎましょう!ジャンヌ!」

 

「えぇ!当たり前よ!」

 

王の間に着いたジル・ド・レェは聖杯を持って魔法陣の前に立った。その時、王の間の扉が勢いよく開いた。

 

「優也!」

 

声のした方を向くと、立香、マシュ、ジャンヌさんが立っていた。

 

「みんな!」

 

「よかった…無事だった」

 

俺を見た立香は安堵の息を吐く。にしても、早かったな来るの…まぁ、ジル・ド・レェが仲間が増えたって言ってたしな。

 

「そんな⁉︎まさか、こんなに早いなんて!私のサーヴァント達はどうしたのよ⁉︎」

 

「残念ながらみんな倒したよ」

 

「くっ!ジャンヌ!サーヴァントの召喚は任せます!私は奴らを!」

 

「分かったわ」

 

ジル・ド・レェは本を持ち、マシュ達の前に立ちはだかる。

 

「彼の相手は私がやります!先輩とジャンヌさんは優也さんを!」

 

「「分かった(分かりました)!」」

 

そうして、ジル・ド・レェをマシュが、黒ジャンヌをジャンヌさんが相手することとなった。

 

「くっ!」

 

「もう1人の私。貴女に1つ伺いたい事があります。極めて単純な問い掛けです。貴女は、自分の家族を覚えていますか?」

 

ジャンヌさんと黒ジャンヌ。2人の聖女が相対すると、最初にジャンヌさんが口を開いた。

 

「例え戦場の記憶がどんなに強烈であろうと、私はただの田舎娘としての記憶の方が、遥かに多いのです。例え貴女が私の闇の側面だったとしても、あの牧歌的な生活を忘れられる筈がありません。いえ、忘れられないからこそ裏切りや憎悪に絶望し、嘆いて憤怒したはず」

 

「私は…」

 

「記憶がないのですね……」

 

「それがどうしたっていうのよ! 例え記憶がなかろうが、私がジャンヌ・ダルクである事に変わりはない!」

 

「確かにその通りです。記憶があろうがなかろうが、それは関係ないです。でもこれで決めました。私は哀れみを以て貴女を倒します!」

 

ジャンヌさんはそう言うと旗を構え、黒ジャンヌは左腰の剣を以て戦った。しかしその勝負は一瞬で決着が付くこととなった。勝者はジャンヌさん。マルタさんとの戦いと同じく彼女の旗の先端が黒ジャンヌの胸を貫いていた。

 

「ジャンヌ!」

 

「よそ見してる場合ですか!」

 

「何⁉︎……ぐはっ!」

 

よそ見をしたジル・ド・レェの隙をつき、マシュが盾で体当たりした。体当たりをもろに受けたジル・ド・レェは「ジャンヌゥゥゥゥウ!!」と叫びながら消滅した。

 

「ジル!そんな馬鹿な…有り得ない……嘘だ……だって私は聖杯を所有していて…」

 

自分の負けを受け入れられない黒ジャンヌ。俺はそんな黒ジャンヌに向かって口を開いた。あの時ジル・ド・レェから聞いた真実を告げるために。

 

「だから負けないってか?ジル・ド・レェから全て聞いたよ。お前は本来存在しない筈の英霊だってな」

 

黒ジャンヌの正体。それは聖杯を使いジル・ド・レェが造り出した存在。

 

「あいつはジャンヌさんを蘇らせようと心の底から願った。だけど、それを聖杯は拒絶した。だから信じる聖女を、焦がれた聖女を造ったんだとよ」

 

「そうだったのね…」

 

「だから…」

 

俺は消滅しかけている黒ジャンヌに笑顔で言った。

 

「今度は俺達のところに来い。俺達はお前を絶対裏切らない。お前と最後まで一緒に戦ってやる。まぁ、お前が英霊になれたらの話だけどな…」

 

「ふふっ…変なやつね…」

 

「おっ?それは褒め言葉と受け取っていいのかい?」

 

「褒めてないわよ…バカ…」

 

黒ジャンヌはそう言うと、消滅した。

 

「またな…………さぁて、んじゃ聖杯回収して帰るか!立香、この鳥籠開けて」

 

「はいはい」

 

俺は立香から鳥籠を開けてもらい、立香の肩に乗った。そして、マシュが聖杯を回収した。

 

『聖杯の回収は完了したね!これから時代の修正が始まる。レイシフト準備は整っているから、直ぐにでも帰還してくれ!』

 

丁度良いタイミングでロマニからの通信が入った。聖杯の回収を把握した事で、時代が元通りに復元されていく。もう行かなきゃな…俺達にはまだまだやるべき事があるから…

 

「もう行かれるのですね…」

 

「うん…いつか絶対召喚するからその時まで待ってて」

 

寂しそうな顔をするジャンヌさんを安心させるように立香は笑うとジャンヌさんも笑いそして、消滅した。短いようで長かった第一特異点での戦いは終わった。そして歴史が正しい姿へと修復され、特異点の1つが修復された。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

カルデアに帰還した俺達。光が収まり、意識がはっきりとしてきた。ゆっくりと目を開けてみると、自分達がコフィンの中にいる事を実感する。そして左右を見回し、自分達は無事にカルデアに戻って来た事を確認した。視界に広がるのはカルデアの管制室の天井。

コフィンを出た俺達を待っていたのはロマンとダ・ヴィンチちゃん。

 

「お帰り。そしてお疲れ様」

 

「だいぶ疲れているようだから休んでね?最新の記録では無事に修復は完了しているからね」

 

「そうか……なら、まずはシャワーだ!フォウ君!シャワー浴びいこうぜ!」

 

「フォウ!」

 

そうして、カルデアに戻ってきた俺はフォウ君と共にシャワーを浴びに行った。

 

「私達も浴びに行こうか」

 

「そうですね」

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ〜さっぱりしたな〜フォウ君!」

 

「フォウ!」

 

シャワーを浴びた俺は、フォウ君と一緒にロマンの元まで向かった。着くと、ロマンとダ・ヴィンチの他に俺達より早くシャワーを浴び終わっていた立香とマシュもいた

 

「おっ!来たね!それじゃあ、今から2人には次の任務に備え戦力を増やすために召喚をやってもらうよ。立香ちゃんと優也くん一回ずつね」

 

一回か…そういえば、冬木の時は召喚一回もしてなかったな…そして、まずは立香が召喚に挑戦した。

 

「サーヴァント・アーチャー。召喚に応じ参上した」

 

浅黒い肌に赤い外套を纏った白髪の男が立っていた。

 

「わぁー!!かっこいい!イケメン!」

 

アーチャーを呼んだ立香は興奮してその場でジャンプを何回もやっていた。そして、少しして落ち着いた立香はアーチャーに自己紹介をした。そして、俺達も…俺を見た時のアーチャーすっごい驚いていたな…まぁ、当たり前か…

 

「まぁ、これからよろしく頼むマスター、優也」

 

「うん。こちらこそ。ちなみに真名聞いてもいい?」

 

「あぁ、俺の真名はエミヤだ」

 

エミヤ?そんなやつ聞いたことないな…後から調べてみるか…

 

「よーし、じゃあ、次は優也の番!」

 

そうして、俺も召喚に挑んだ。

 

「サーヴァント、アヴェンジャー。召喚に応じ参上しました。……どうしました。その顔は。さ、契約書で……………えっ…」

 

現れたのは金色の瞳を持ち黒い服の上から、腕や腹部などに黒色の甲冑を纏った少女。間違いない。彼女はオルレアンで俺達と戦った黒ジャンヌだ。いや、嘘だろ…こんなに再会が早いなんてお兄さんびっくりです…しかも、反応を見るにもしかしてオルレアンでの記憶が…

 

「な、なぁ…ジャンヌ。もしかして、記憶が残ってるのか?」

 

「……………えぇ」

 

マジかよ…

 

「ねぇ…ダ・ヴィンチちゃん。なんでジャンヌ、記憶が残ってるの?」

 

「うーん…これは私の予想なんだが、このジャンヌが元々存在しない特別な英霊だからなのか、それとも君とジャンヌとの間に記憶が残るぐらいの強く印象に残る事があったからじゃないかと…」

 

「「……………」」

 

俺とジャンヌは顔を赤くし黙り込んだ。どうしよう…無茶苦茶心当たりがある…

 

「優也?」

 

「ん⁉︎な、なんだ⁉︎」

 

「いや、さっきから黙り込んでたから」

 

「そ、そうか⁉︎ま、まぁせっかく来てくれたんだ。これからよろしくな!ジャンヌ」

 

俺は、ジャンヌに向かって手を伸ばした。だが、ジャンヌは何も言わず俺達の横を通り過ぎていった。あれ?もしかして嫌われた?

 

 

 

 

 

「あ〜やっちまったかな〜俺」

 

俺はベッドの上でぼやいた。

 

「どうしよう…これから歓迎会やるのにジャンヌにどうやって声かけよう。立香達は先に行ってるって言ってたし」

 

そう…実はこれからエミヤとジャンヌの歓迎会をする事となっている。立香達からジャンヌを誘えという今の俺にとっては高難度なミッションを与えられ、俺は頭を抱えていた。すると、誰かが部屋のドアをノックした。まぁ、立香だろうな。きっと前みたい俺を心配して来てくれたんだろうな…優しいな…

 

「どうぞ」

 

俺がそう言うと、ドアが開いた。そこにいたのは…

 

「ジャ、ジャンヌ⁉︎」

 

頰を赤く染めて立っているジャンヌがいた。ジャンヌはもじもじしながらも俺のところへ歩いてくる。

 

「ど、どうしたんだ?ジャンヌ。何か俺に用か?」

 

「えぇ…そ、その…隣いい?」

 

「へっ?も、もちろん」

 

俺がそう言うと、ジャンヌは俺の隣に座った。

 

「その…あの時は……ごめん…」

 

「ん?あーもう終わった事だし気にすんな」

 

俺は明るい声でジャンヌに言った。すると、ジャンヌは少し笑ったがすぐ暗い顔に戻った。

 

「ねぇ」

 

「ん?」

 

「信じていいの?あの言葉…」

 

ジャンヌがいうあの言葉とは恐らく、ジャンヌが消える際に俺が言ったことだろう。俺はジャンヌの手に自分の手を置いて答えた。

 

「おう!当たり前だ!俺は絶対にお前を裏切らない!それでもし、俺が裏切ったらその時は遠慮せず殺してくれて構わないぜ?」

 

「いいの?」

 

「あぁ!約束だ!だから、これからよろしくな!ジャンヌ!」

 

そう言って、俺は小指をジャンヌに向ける。いうところの指切りというやつだ。子供っぽい?うるせぇ!

 

「し、仕方ありませんね!しょうがないから力を貸してあげます!」

 

そうして、俺達は指切りをした。

 

「よし!それじゃあ、今からジャンヌとエミヤの歓迎会だ!行こうぜ、ジャンヌ!」

 

「私は別に行かなくてもいいんですけど…まぁ、貴方がそこまで言うなら行ってあげてもいいです」

 

「素直じゃねえな」

 

「うるさい!燃やしますよ?」

 

「はいはい」

 

俺はジャンヌの手に乗り、歓迎会のため食堂へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………………ありがとう、優也」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二特異点 永続狂気帝国 セプテム 第10話 ローマ

「ん………」

 

起きた俺は寝惚け眼でベッドをぺたぺた叩いていると何か柔らかいものに手が当たった。あれ?ここのベッドってこんなに柔かったっけ?めっちゃプニプニしてて気持ちいいな…その触り心地に負けてそれをムニムニ触っていると…

 

「んっ……あっ……」

 

「………」

 

ちょっと待て…今何か変な声聞こえなかったか?てか、女の人の声だったよな?恐る恐る目をよく見開くとそこには…

 

「………………………は?」

 

ジャンヌが俺を抱きしめて眠っていた。いや待て待て!昨日俺ちゃんと立香の部屋で寝たよな?それがなんでいつのまにかジャンヌの部屋にいるんだよ!やばいよ!命の危機だよ!とりあえずまずは抜け出そう…そうして、俺はジャンヌの手から抜け出そうした。

 

「んっ…」

 

「うおっ⁉︎」

 

だが、ジャンヌが手で俺を胸に押さえつけた。やめてぇぇぇぇ!!ジャンヌ!息が出来なくなる。でも、むっちゃいい匂い!でも、離してぇぇぇぇ!!俺はジャンヌの胸の中で暴れた。すると、ようやくジャンヌが目を覚ました。そして、胸の中にいる俺と目が合う。あ、死んだわ…

 

「えっ?……………えっ⁉︎」

 

「お、おはようございます…」

 

「なんで…優也が………えっ…えぇぇぇぇええ!!」

 

そうして、俺はパニクるジャンヌを落ち着かせるのにしばらくかかった。それは俺が聞きたいよ。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ジャンヌを宥めた俺は準備をし、会議室にいた。

 

「よし。全員揃ったね。今回、レイシフトする先は1世紀ヨーロッパだ。より具体的に言うと古代ローマ。イタリア半島から始まり、地中海を制した大帝国だ。存在するはずの聖杯の正確な所在は不明、歴史に対してどういった変化が起こったかもだ。どちらも判明していない。済まないね」

 

「大丈夫。それは俺達が探すから」

 

「ありがとう。作戦は前回と同じ、特異点の調査と修正。聖杯の捜索並びにその入手、破壊だ。人類の未来は君達に掛かっている。頼んだよ」

 

ロマンの言葉に俺達は頷いた。

 

「レイシフトする前に優也君。頼まれてたやつ出来てるよ」

 

そう言って、ダ・ヴィンチちゃんがとても小さな腕時計のようなものを渡してきた。実はこれ、俺専用に作ってもらった通信機。オルレアンの時、通信出来なくて大変だったからダ・ヴィンチちゃんに無理を承知で頼んだらこれよ。流石天才。恐らく、立香達の目からじゃ虫眼鏡ぐらい使わないとちゃんと見えないだろうな。だが、俺が作ってもらったのは通信機だけではない…

 

「ダ・ヴィンチちゃん。あれも出来てたりする?」

 

俺が聞くと、ダ・ヴィンチちゃんはニコリと笑い、スーツのようなものを渡してきた。ダ・ヴィンチちゃん曰く、《魔術礼装》と呼ばれるこれはマスターがサーヴァントを支援できる魔術を行使できるようにするものらしい。ただし、俺のこれは少し違う。なんと、俺の中にある魔力を使えば身体能力を上げてくれるというおまけ付きだ。勿論、このスーツ専用の魔術だって組み込まれている。実は、オルレアンから帰って来て歓迎会をした後、ダ・ヴィンチちゃんの身体検査を受けた俺は自分の体の中に魔力がある事を知った。

まぁ…多分神様の仕業なんだろうな…

俺はスーツに着替え、その上にカルデアの制服を着た。ちなみに立香の分も作ってもらい、立香も時計とスーツを受け取った。

 

「よし!準備OKだぜ!ロマン」

 

「私も!」

 

「分かった。じゃあ、みんなコフィンの中に入ってね」

 

そうして、俺達はレイシフト用のコフィンの中に入った。

 

『レイシフト開始まで 3、2、1…全工程完了 グランドオーダー 実証を 開始します』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着いた〜」

 

「はい。レイシフト完了です。先輩」

 

周りを見ると鮮やかな緑が広がる丘陵地帯が映った。しかし、すぐに穏やかな雰囲気とは似つかわしくない激しい剣戟と人々の叫び声が聞こえた。

 

『さ、早速だがサーヴァント反応だ!そこからすぐ東南の方向!』

 

俺達はロマンの示した方向に行くと、特徴的な形をした赤い剣を振るう少女が小部隊を率いて女性の剣を素手で受け流す男性率いる大部隊と戦っていた。ってか、なにあの人の格好、むっちゃ派手なんだけど⁉︎

 

『サーヴァントは男の方だ!しかしそれと渡り合っている彼女は一体? 』

 

サーヴァントが男の方なら、あの少女は生身の人間って事になるのか…流石に普通の人間にサーヴァント相手は危なすぎる。なら…

 

「みんな!彼女の方に加勢するぞ!」

 

『了解!』

 

そうして、俺達は赤剣の少女の元へ向かった。

 

「おお!加勢か!よいぞ、余と肩を並べて戦うことを許そう!至上の光栄に浴すが良い!」

 

「うおおおお!!!」

 

「はあっ!」

 

男の攻撃をマシュが盾で防ぎ、その頭上から赤剣の少女がサーヴァントに向かって剣を振り下ろす。男はその剣をまた素手で受け止め、少女の腹に蹴りを入れようとする。だが、それをエミヤが剣で防いで弾き、隙を作る。その隙をジャンヌが剣で斬りかかる。だが、男はその攻撃を後転して躱し距離をとった。

 

「あ、あ…我が愛しき…妹の子…。なぜ、捧げぬ。なぜ、捧げられぬ。美しい…我が…我が…我が…」

 

すると、男の姿が消えた。

 

「消えた…?叔父上…」

 

『霊体化して撤退したようだ。見たところバーサーカーみたいだったけど…』

 

「……………さて」

 

赤剣の少女が振り返る。振り返った少女の服を見て俺は衝撃を受けた。この人、パンツ見えてますやん!

 

「加勢、感謝するぞ。改めて褒めてつかわす!…氏素性を尋ねる前に、余からだ。余こそ!ローマ帝国第五代皇帝、ネロ・クラウディウスである!」

 

ネロだって⁉︎ネロってあの暴君の⁉︎この子が⁉︎

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

自己紹介を終え、ネロの案内で首都ローマにやってきた俺達。賑やかな喧騒が街を包み、人々の顔には笑顔が溢れていた。

 

「活気付いてるなぁ」

 

「そうであろう、そうであろう!それ、優也。リンゴはどうだ?」

 

ネロはそう言って、リンゴをマシュの肩に乗っている俺に差し出してくる。俺はその自分の体よりも大きいリンゴを一口齧った。

 

「!…甘っ!!」

 

「そうであろう…ほれ、立香達にもやるぞ!」

 

ネロは立香達にもリンゴを渡し、リンゴを受け取った立香達もリンゴを一口齧りその甘さに驚いていた。街の様子を見終えた後、俺達はネロの館へと招かれた。そこでネロはローマの現状を教えてくれた。ローマはいま《連合ローマ帝国》…突如として現れた《皇帝》を名乗る複数の者たちの手によって、本来のローマの半分を奪わているのだという。その皇帝を名乗る敵将のなかには先程のバーサーカー、ネロの伯父でもあるカリギュラがいたという。

 

『なるほど…その連合ローマ帝国が今回の特異点の原因…敵将の誰かが聖杯を所持しているとみて間違いないだろう』

 

「悔しくはあるが…最早余一人の手では事態の突破は難しい。故に頼もう!余の客将となるがよい!ならば聖杯とやらを入手するその目的、余とローマは後援しよう!」

 

「本当⁉︎なら、ありがたく協力させて!」

 

立香の答えに満足そうにネロがうなづく。

 

「うむ、決まりだな!では寝床を用意するから今夜はゆっくりと…」

 

そこへ甲冑を着た兵士が飛び込むように部屋へ押し入ってきた。

 

「何事だ!」

 

「はっ!お、恐れながら申し上げます!首都外壁の東門前にて連合隊が襲来!強力な兵士がおり…我々では抑えきれず!」

 

強力な兵士…まさかサーヴァント…

 

「むぅ…仕方あるまい。優也、立香出向いてくれ。今一度そなたらの力を余に見せるがよい!」

 

『はい!』

 

そうして、俺達は連合隊を迎え撃つため外壁の東門に向かった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第11話 ガリア遠征

 

東門前にやってきた俺達。そこには先程撤退したカリギュラの姿があった。俺と立香は自分のサーヴァント達に指示を出しカリギュラの部隊を迎え撃った。戦闘はそこまで苦戦せずに終わり、カリギュラも撤退した。そうして、戦闘を終えた俺達はネロの館に戻った。

 

「あぁ〜疲れた〜」

 

ジャンヌの肩に乗った俺はひとり溜め息をついてぼやいた。

 

「疲れた〜ってあんた何もしてないでしょうが」

 

「んなこたねぇよ!俺の方にも敵来てたし、対処するの大変だったし!」

 

本当大変だったからね…兵士の何人かが俺を仕留めに来たから、逃げながらガンド撃つの…

 

「はいはい」

 

ジャンヌが素っ気なく返す。

 

「うわ〜少しは褒めてもくれてもよくね?結果的に俺のガンドのお陰で仕留めやすくなったんだから」

 

「それは確かに!優也、凄く上手に当ててたもんね!」

 

「あぁ。よくその体で出来たものだ。褒めてやってもいいんじゃないか?アヴェンジャー」

 

立香とエミヤが褒めてくれた。

 

「わ、分かったわよ!が、頑張ったわね…」

 

ジャンヌはそう言って、指で俺の頭を撫でた。

 

「ご苦労であった。疲れたであろう?寝床の準備は出来ておる。今夜はゆっくり休むと良い」

 

そうして、俺達はそれぞれの部屋に案内された。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「いや、なんでさ……」

 

なんで…なんで俺の部屋はジャンヌと一緒なんだよ…いや、別にジャンヌと一緒に寝たくないとかそう意味じゃないんだよ?ただ、俺もいい歳の男だからこういうのにちょっと抵抗あるというか…

 

「何?私と寝るの嫌なの?」

 

「滅相もございません!」

 

俺はジャンヌの肩から柔らかいベッドに移動し、毛布に入った。

 

「……………………ねぇ、言っといてなんだけど本当にいいの?私と一緒で」

 

「ん?正直少し恥ずかしいけど別にいいぞ。潰さないよう気をつけてくれればそれでいいし、それより早く寝ようぜ?今日は疲れたろ?」

 

「わ、分かったわよ!」

 

そして、ジャンヌは頰を少し染めて毛布に入った。

 

「んじゃ、おやすみ〜」

 

そう言って俺は眠りにつこうとしたがこれがなかなか寝れない。だって、横に美少女が寝てるんだぜ?ドキドキが止まらねぇよ!

 

「ねぇ、優也…寝た?」

 

「……………………なんだ、起きてたのか」

 

「しょ、しょうがないでしょ!こういうの慣れてないんだから!」

 

「なら、なんで俺と寝ようとしてんだよ。エミヤと部屋変えれば良かったんじゃないのか?」

 

「だ、だって…優也と一緒に寝たかったから…」

 

ジャンヌが小声でぼそぼそと何か言ったが、俺には分からなかった。すると、ジャンヌは俺に手を差し出してきた。

 

「手、握ってくれない?」

 

「えっ?別にいいけど…」

 

そして、俺はジャンヌの手に自分の小さな手を乗せた。ジャンヌは意外にも俺の手を優しく握ってくれた。

 

「手、やっぱり小さいわね…」

 

「うるせぇ…言うな」

 

「でも、なんか安心する…」

 

すると、ジャンヌが俺の方に近づいてきた。

 

「あの〜ジャンヌさん?そんなに近いとですね…その…色々まずいのですが…主に俺が」

 

「ふふっ」

 

ジャンヌは慌てる俺を見て少し笑い、俺の体に手を置いた。あ、ジャンヌの手あったかい…

 

「あぁ…そっか…やっぱり…私は……」

 

また、小声でぼそぼそ何かと言ってジャンヌは笑った。あ…もう俺死んでいいです…

 

「さっ、もう寝ましょ」

 

「えっ⁉︎お、おう。そうだな」

 

そうして、俺達は眠りについた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

翌日、起床し、朝食を終えた俺達はネロと今後の計画を考える事になった。

 

「で、これからどうします?なんか考えてるんですか?」

 

「うむ。ガリアへ向かおうと考えている」

 

「ガリア?」

 

「うむ。連合との戦争における最前線の一つだ。そこに共に来てはもらえないだろうか?」

 

どうするか…敵にどの程度の英霊がいるのか分からないしな〜

 

「良いんじゃない?行っても」

 

立香が口を開いた。

 

「最前線なんでしょ?戦力は整えた方が良いと思うけど」

 

まぁ、立香の言うことも最もだな…

 

「ちなみにネロさん、ガリアまでどのくらい掛かるんですか?」

 

「む?まぁ、それなりだが」

 

「移動手段は?」

 

「馬か歩きだ」

 

「「うわ〜〜」」

 

立香と俺は項垂れる。いや、分かってたけど分かってたけども…まぁ…この時代に車とかないもんね。しょうがないよね…そうして、俺達は準備をしてガリアに向けて出発した。

 

「うへぇ〜」

 

「ちょっと、大丈夫?」

 

今俺達は馬を使って移動していた。だが、これがまた凄く揺れる。ジャンヌの肩に捕まってるけどそれでも揺れが伝わってくる。まぁ、今のところ敵はいないみたいだな。しばらくすると、目的のガリアに到着した。ガリアに着いた直後、ネロは皇帝として兵士たちに言葉を送って鼓舞し始めた。

 

「戦いはまだまだ続く!だが、我等がいる限りこの戦いに勝てるチャンスがあるぞ!」

 

ネロの言葉は兵士たちの士気を高めていた。

 

「さすが皇帝だな…」

 

俺がそう言った後、赤い髪をした綺麗な女性とも灰色の屈強で大きな肉体を持つ男性がやって来た。

 

「えーと…あなた達はサーヴァントですか?」

 

「えぇ。私はブーディカ。ガリア遠征軍の将軍を努めているわ。で、こっちのでっかいのがスパルタクス」

 

「戦場に招かれた勇猛な闘士よ。圧政者の集う巨大な悪逆が迫っている。叛逆の時だ。共に戦おう」

 

な、何言ってるか全然分からない…周りを見ると立香達もポカンとしていた。だが、すぐに切り替え自己紹介を始めた。

 

「私はマシュ・キリエライトです。で、こちらが私のマスター藤丸 立香と如月 優也です」

 

「藤丸 立香で〜す!よろしくお願いします!」

 

「如月 優也です。こんな体ですがよろしく」

 

「うわっ⁉︎小さっ!これが人⁉︎」

 

そう言って、ブーティカさんは俺は指でつついた。

 

「ちょ⁉︎やめてくださいよ!」

 

「ふふ、ごめんごめん。まぁ、よろしくね」

 

そうして、他のみんなも自己紹介をし、少し雑談した。にしても、ブーティカって確かブリタニアの女王だったよな?

 

「あの、ブーティカさん?少し聞いていいですか?」

 

「ん?何?私が答えられることならいいよ」

 

「ありがとうございます。ブーティカさん。あなたは確かブリタニアの元女王でしたよね?ブリタニアはネロによって滅ぼされたと聞いています。そのブリタニアの元女王であるあなたがなぜネロの味方を?」

 

「確かに、皇帝ネロとローマをあたしは絶対に許さない。でも、そんなあたしが現界した。まさか、自分が死んだ直後の世界にね。復讐の機会かなーなんて思ったんだけどね。でも、連合にやられているローマを見てたら体が勝手に動いちゃって。ネロのためじゃない、そこに生きる人のために私は戦うって決めたの」

 

「なるほど…」

 

すると、ブーディカが手を小さく叩いた。

 

「さ、それよりお風呂にしましょう?みんな疲れたでしょう?」

 

なっ⁉︎風呂……だと……

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第12話 優也とジャンヌの休息

 

夜。俺とエミヤは夕食の準備をしていた。立香達はブーティカと共に風呂に入っている。

 

「なぁ…エミヤ」

 

「ん?どうした?優也」

 

俺はスープを作っているエミヤに話しかけた。

 

「女風呂覗きに行きたい」

 

「やめとけ。殺されるぞ。特にアヴェンジャー辺りから」

 

「ですよね〜」

 

いや、でも女風呂だよ?これを覗かずに何が男か。でもな〜確かにジャンヌとかマジで殺しに来そうだな…

 

「あ〜覗き行きてぇな〜」

 

「は?」

 

「…………………」

 

あれ?おかしいな〜聞き覚えのある声が後ろから聞こえたぞ〜?で、エミヤはなんでそんな顔引きつりながらかき混ぜてるん?あぁ…なるほど…

 

「ねぇ…エミヤ。後ろ振り返っていい?」

 

「やめろ…優也。黙って俺と一緒にスープを作っていろ」

 

「そうだな!あ、火弱くなってるな。薪足すよ」

 

そうして、俺は薪を足そうとした時だった…

 

「なら、私がやってあげましょう」

 

すると、鍋の火が勢いよく燃え上がった。

 

「うわぁぁぁぁああ!!スープが!!」

 

「誰かぁぁぁぁああ!!水持ってきて!水〜!!」

 

そして、兵士が持ってきた水を火にぶっかけなんとかスープは無駄にならずに済んだ。

 

「ふぅ〜危なかった〜全く、気をつけろよ!ジャンヌ!…………………あっ」

 

振り返ると、そこには腕を組んで立っているジャンヌがいた。やっべぇ……無茶苦茶怒ってらっしゃる…

 

「やぁ、ジャンヌ…風呂は気持ちよかったかい?」

 

俺はなるべく平然を装ってジャンヌに話す。

 

「えぇ、とても。アーチャー。優也を借りていきます。いいですね?」

 

「えっ?いや、優也には俺の手伝いを…」

 

「いいですね?」

 

「は、はい…」

 

「ありがとうございます…さぁ行きますよ?」

 

「嫌だぁぁぁぁああ!!死にたくない!」

 

俺はジャンヌに掴まれ、何処かへ連れていかれた。エミヤは苦笑いを浮かべながら手を振っていた。

 

「で、何か言うことは?」

 

ジャンヌの部屋に連れてこられた俺は、正座させられていた。ジャンヌはベッドに座って俺を見ている。ん?なんか、前もこんな事あったぞ…

 

「いや、別に見てないから謝る必要はないんじゃないかと…」

 

「は?」

 

「ごめんなさい…」

 

怖っ…何?どっからそんな声出してんの?

 

「全く…まぁ、そういう年頃だから気持ちは分かりますが…」

 

そう言って、ジャンヌは溜め息をついた。

 

「そ、その見たい?私の体…」

 

「……………………は?」

 

待て…こいつは今なんて言った?いや、多分俺の心が汚いからそんな風に聞こえたんだ。そうだ、そうに違いない。だってジャンヌがそんな事言うはずがないもん。まぁ、一応の為もう一度聞いてみよう。

 

「ジャンヌ、今なんて?」

 

「だから…私の体が見たい?って聞いたの!」

 

はい!アウト!やっぱり聞き間違いじゃありませんでした!

 

「ま、まぁ…正直見たいって気持ちも無いわけじゃないけど…」

 

「そう…」

 

そう言うと、ジャンヌは自分の服に手をかけた。こいつ……まさか⁉︎俺は急いでジャンヌの太腿に乗り、上げられそうになっている服を掴んだ。

 

「優也?」

 

「悪い!俺が悪かった!なんでもお願い聞くからそれはやめよう!な?」

 

すると、ジャンヌは服から手を離し俺を手のひらに乗せた。

 

「優也の意気地なし…ヘタレ…」

 

「アハハ…悪いな。俺こういう時本当ヘタレになっちまうんだ。まぁ、許してくれよ。なんでもお願い聞いてやるからさ?」

 

「もう……じゃあ、今日も一緒に…寝てほしい…」

 

「はいはい…お安い御用さ」

 

俺は、そう言ってジャンヌの頰を撫でた。

 

「じゃあ、もう夕飯も出来上がってる頃だと思うし、行こうぜ」

 

「えぇ」

 

そうして、俺達はエミヤ達の元へ向かった。

 

「おっ、優也にアヴェンジャー。来たか。食事の用意は出来てるぞ。さっ、冷めないうちに…」

 

エミヤはそう言って、ジャンヌにスープを渡した。よく見ると、立香達はすでに食事を開始していた。

 

「あっ!ジャンヌ!おーい、こっちで一緒に食べようよー!!」

 

ジャンヌに気づいた立香は、手を振ってジャンヌを呼ぶ。

 

「呼ばれてるぞジャンヌ。行ってこいよ」

 

「え、えぇ」

 

ジャンヌは頰を赤くして立香達の方へ行った。

 

「なぁ、エミヤ」

 

「ん?どうした?」

 

「うちのジャンヌが可愛すぎてやばい」

 

「なんだ、自慢か?」

 

そう言って、エミヤは溜め息をついた。その後エミヤ達と雑談をしながら夕食を取った。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ふぅ〜食った食った。美味かったな、フォウ君!」

 

「フォウ!」

 

夕食を済ませた俺とフォウ君は今体を洗うため、シャワー室に向かっていた。シャワー室に行くと、エミヤがいたので丁度いいと思い洗ってもらった。いや〜野営地でも体洗えるなんて最高だね。体を洗い終えた俺はフォウ君にジャンヌの部屋まで送ってもらい、俺を降ろしたフォウ君はどこかへ行ってしまった。まぁ、立香達のところだろうな…

 

「ジャンヌ〜?入るぞ〜?」

 

俺は、そう言ってジャンヌの部屋に入るとジャンヌはすでに毛布に入っていた。

 

「遅かったじゃない」

 

「シャワー浴びてたんだよ。汗臭い体で一緒に寝てほしくないだろ?」

 

「まぁ、それもそうね。じゃあ、早く寝ましょ。明日も早いし」

 

「そうだな」

 

そうして、俺はジャンヌにベッドに乗せてもらい毛布に入った。

 

「なぁ…ジャンヌ」

 

「ん?」

 

「立香達と楽しそうだったな。どんな話をしたんだ?」

 

「ふぇ⁉︎え、えーと…恋バナとか…」

 

「ぶっ!」

 

俺は思わず吹き出してしまった。恐らく立香のだろうな。そういう話切り出すの。まぁ、女の子だしそういうのも気になるお年頃だよな…

 

「わ、笑わないで!」

 

「ハハ!悪い悪い、そっか〜恋バナか〜ちなみに、ジャンヌは好きな人とかいたりするのか?」

 

「……………………」

 

「おい、なんでそこで無言になる⁉︎」

 

俺がそう言うと、ジャンヌは呆れたと言わんばかりの顔をし、長い溜め息をついた。いや、なんでだよ…

 

「もう、寝ましょ。疲れた」

 

「おい!なんだよ!教えろよ〜!!」

 

俺は、ジャンヌの背中を何回も叩いたが反応がなかったため、諦めて毛布に入り目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………………全く、鈍感過ぎるわよ。バカ……」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第13話 ガリアを取り戻せ!

 

翌日、ネロの指揮の元、ガリアを取り戻す戦いが開始されようとしていた。だが、その前に…

 

「仲間を増やしたいと思う」

 

みんなの視線がジャンヌの肩に乗っている俺に集まる。

 

「どうして?」

 

「敵がどれくらいいるか分かんないし、仲間は多い方が心強い。それにみんなの負担を少しでも軽くしたいからな」

 

「なるほど…」

 

「それじゃあマシュ、準備を頼む」

 

「はい!」

 

そうして、俺達は召喚の準備をした。

 

「よし!行くぜ!」

 

俺は召喚に挑んだ。さぁて、今回はどんなサーヴァントが来てくれるかな〜

 

「シャルルマーニュ十二勇士が一人、白羽の騎士ブラダマンテ。ランサーとして召喚されました。シャルルマーニュ大王に成り代わり、正義を為します!」

 

服装はカラフルなレオタード。肩と胸元を大胆に露出した金髪ツインテの少女が現れた。ブラダマンテといえば、シャルルマーニュ、歴史の方ならカール大帝の名前の方が有名か…その王様に仕えた騎士様が来てくれたのは有り難い。でも、服装は…

 

「うん。エロいな」

 

「えっ⁉︎………………って、どこから声が…」

 

ブラダマンテさんはそう言って、辺りを見回す。あ、いつも通りだ…

 

「ちょっと、そこのツインテ!あんたのマスターならここにいるわよ」

 

ジャンヌが俺を指差して言った。すると、ブラダマンテさんは俺に気づき、目を見開くと黙って俺に近づいてきた。

 

「…………………いい……」

 

「ん?」

 

「可愛い!」

 

「ふぎゅ!」

 

ブラダマンテさんがジャンヌの肩に乗っていた俺を胸に抱き寄せた。やばい…苦しい……でも、凄く柔らかくて気持ちいい…

 

「優也⁉︎ちょっとあんた優也を離しなさいよ!」

 

「え〜良いじゃないですか!私のマスターなんだし〜」

 

「私のマスターでもあるのよ!……全く、優也大丈……なんで、そんな嬉しそうな顔してるのよ…」

 

「は、はぁ⁉︎してねぇし!別にジャンヌより大きいな〜なんて思ってねぇし!」

 

「はぁ?」

 

「ぎゃあぁぁぁぁああ!!ごめんなさい!謝るから握りつぶさないでぇぇぇぇ!!」

 

俺はジャンヌの手の中で暴れ、それを見ていた立香達と兵士達は笑っていた。

 

「騒がしいと思ってきてみたら、何をしておるのだ?お前達。…おっ?そこにいる奴は誰だ?敵か?」

 

そう言って、ネロさんは剣を抜く。

 

「あ、待って!ネロさん!ブラダマンテさんは敵じゃない!味方だから!」

 

俺はネロさんに事情を説明した。事情を理解したネロさんは事情を聞かず剣に抜いた事を謝罪し、ブラダマンテさんにもこの戦いに協力してくれないかと頼んだ。

 

「なるほど…事情は分かりました。私で良ければ是非協力させてください!」

 

「よし!」

 

俺は思わずガッツポーズをした。それを見てジャンヌも少し笑った。

 

「よし!では、戦いに向かうぞ!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「怯むな!余に続けー!!」

 

敵陣の中を縦横無尽に駆け抜けるネロ。いや、大将が前に出たら駄目でしょう…俺はブラダマンテに頼みネロを半ば無理矢理後衛に下げてもらった。そして、今俺達は地面から突然現れた岩で出来た人型の怪物《ゴーレム》と戦っていた。

 

「やぁ!」

 

「はぁ!」

 

ブラダマンテが盾でゴーレムの攻撃を防ぎ、空いた横腹にブラダマンテの後ろいたジャンヌが斬りかかる。初めて一緒に戦ったのに良い連携だな…やっぱ、出身がどちらもフランスだからか…そうして、ゴーレム達を倒していると味方の兵士達が吹っ飛ばされた。その方向を見るとかなり太った男が立っていた。

 

「………来たか。待ちくたびれたぞ。一体、いつまで待たせるつもりか」

 

「ジャンヌ、ブラダマンテ。こいつおそらくサーヴァントだ…」

 

「でしょうね…なら、優也はここに…」

 

ジャンヌは俺を近くにあった岩に下ろし、ブラダマンテの共に武器を構えた。

 

「ほぉ…どうやら私が退屈するだけの価値はあったようだな…まさか美女2人が相手してくれるとは…顔つきといい、体つきといい実に私好みだ」

 

「「うわぁ…」」

 

「さては、女好きだな?オメー」

 

「小さき人よ、それは違う。私はただ美しい女性が好きなだけだ」

 

「それを女好きって言うんだよ!ガンド!」

 

俺は男に向かってガンドを放った。男は俺のガンドを剣で防ぎ、俺を睨みつける。

 

「ほぉ…貴様、魔術師か…」

 

「は?違いますけど?通りすがりの仮面ライダーですけど〜?」

 

「見え見えな嘘ついてんじゃないわよ」

 

「マスター…緊張感…」

 

「ごめんなさい………で、あなたの名前は?」

 

「私はガイウス・ユリウス・カエサルである!」

 

ガイウス・ユリウス・カエサルだって⁉︎初代皇帝以前の支配者じゃねぇか!あのデブが⁉︎うわぁ〜歴史って当てにならねぇ〜

 

「では…そろそろ始めるか!」

 

カエサルは剣を構え、こちらへ向かってきた。それをジャンヌは剣で、ブラダマンテは槍で迎え撃つ。2人の攻撃をカエサルは剣で受け止め弾き、横振りで2人を斬ろうとする。だが、ブラダマンテが盾で受け止めジャンヌは再び斬りかかったが、カエサルはあの体型では想像出来ないような速さで後ろに下がってそれを躱す。

 

「ふぅ…流石に2人を相手に取るのはきついな…なら…」

 

カエサルはそう言って、俺の方へ向かってきた。……えっ?俺?

 

「ふん!」

 

「うわぁ!」

 

カエサルは俺に剣を振り下ろし、俺は岩から飛び降りてそれを躱した。なんとか着地するとズバァッと音が聞こえ、さっきまで俺の乗っていた岩を見ると真っ二つに割られていた。

 

「貴様を倒した方が手っ取り早いのかもな…」

 

こいつ…俺を殺せば、俺と契約している2人が現界出来なくなる事を狙ってきやがったな…

 

「「優也(マスター)!」」

 

「そうはさせんよ…」

 

2人が俺の元へ駆けつけようとしたが、地中から数体の黒いゴーレムが現れ2人の行く手を阻む。仕方ない…

 

「ジャンヌ、ブラダマンテは自分の戦いに集中!こっちは俺がなんとかする!」

 

「優也、だけど!」

 

ジャンヌが不安そうな顔で俺を見てくる。

 

「大丈夫だ!俺はお前らのマスターだぜ?そう簡単に死ぬかよ!だから、お前らは安心して自分が今やるべき事に集中しろ!いいな?」

 

「了解!」

 

「優也…………死んだら、許さないから!」

 

そうして、2人は自分の戦いに入った。さてと…

 

「言いたいことは済んだか?ならば、死んでもらおう」

 

「へっ!こちとらこれも合わせて、後6つの特異点を修復しなきゃいけないんだ!ここで死ぬわけにはいかねぇんだよ!ガンド!」

 

「ふん!」

 

俺は、カエサルにガンドを放ったが剣で防がれた。やっぱ、そう簡単に当たってはくれないか…なら、足に魔力を集中させて…

 

「はぁ!」

 

俺は魔力で脚力を強化し、走り出した。

 

「ほぉ…自分の身体能力を強化する魔術か…なかなか面白い…だが、いつまで持つかな…」

 

カエサルは俺に剣を振り下ろしてくる。俺はその攻撃を強化した脚力で躱し続ける。だけど、確かにこのままだとジャンヌ達がくるより俺の魔力が先に尽きる。そうなったら、終わりだ。けど…

 

「やるしかねぇだろ!」

 

俺はカエサルの攻撃を躱し続けながら走る。カルデアでも結構鍛えてたから体力はついてるはずなんだが、魔力を使ってる事もあってもの凄くきつい。でも、止まっちゃ駄目だ!止まったらやられる!逃げろ!逃げて、逃げて、逃げまくれ!止まるんじゃねぇぞ、俺!

 

「あっ⁉︎」

 

走ってる最中、俺は躓いてしまい地面を転がった。やべぇ!早く立ちあがんねぇと!俺はそう思い、足に力を入れたが上手く力が入らず立ち上がる事が出来ない。

 

「どうやら、ここまでのようだな…」

 

「くそっ……………なぁ?最後に1ついいか?」

 

「良かろう。せめてもの情けだ。聞いてやる」

 

「ありがとよ……………後ろ注意な?」

 

「何?………ガハッ!」

 

後ろからカエサルの胸は剣と槍に貫かれた。カエサルはぎこちない動きで後ろを見るとジャンヌとブラダマンテがいた。

 

「貴様ら……」

 

「あの程度の敵で私達を食い止められると思ってたの?」

 

「あなたが仕向けたゴーレムは全て倒しました。私達の勝ちです」

 

ジャンヌ達の後ろを見ると、黒いゴーレム達は倒れていた。

 

「ふっ…私の負けか……良かろう、私を討ち取った褒美に1つだけ質問を聞いてやる」

 

「本当か⁉︎なら、聖杯の場所を教えてくれ!」

 

「良かろう。聖杯なるものは我が連合帝国首都の城に在る。正確には宮廷魔術師を務める男が所有している」

 

よし!これで聖杯の居場所は分かった!

 

「ありがとうございます…カエサルさん」

 

「よせ…敵に礼を言われても嬉しくない。だが……自分よりも巨大な敵に1人で立ち向かうお前の勇気は賞賛に値する。誇るがいい、優也よ」

 

「貴方程の人にそう言って頂けるとは、光栄です」

 

そう言って、俺は深く頭を下げた。そして、カエサルはフンと鼻を鳴らし、消滅した。

 

「「優也(マスター)!」」

 

2人が俺の元へ駆け寄ってくる。

 

「おぉ…2人とも…お…疲れ…さん…」

 

俺は、2人に向かって手を上げたところで俺の視界は真っ暗になり、意識を失った。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第14話 女神を探せ!

「ん………あれ、ここって…」

 

目を覚ますと、俺は野営地のテントの中にいた。確か、カエサルとの戦いが終わった後、気を失ったんだっけ…

 

「あ、優也起きた?」

 

声のした方を向くと立香がおり、俺の横にはジャンヌが眠っていた。

 

「おはよう、立香」

 

「おはよう…って言っても、もう夜だけどね…」

 

「そっか…で、俺どうして寝てたの?」

 

「ロマン曰く、体力と魔力の使いすぎだって。全然目覚まさなくて、ジャンヌ心配してたよ」

 

俺は横で寝息を立てているジャンヌを見る。

 

「そうか……あ、戦いはどうなった?」

 

「私達の勝ちだよ」

 

「良かった…」

 

「じゃあ、私行くね!向こうでマシュ達がガールズトークやってるから参加しないと」

 

「えっ?なにそれ?俺も行きたい」

 

「あんたにはジャンヌがいるでしょうが!」

 

そう言って、立香はテントを出て行った。

 

「ん………優也?」

 

すると、ジャンヌが目を覚ました。やばい…寝起きのジャンヌマジで可愛い…

 

「おはよう。よく眠…「優也!」うぉ⁉︎」

 

突然、俺はジャンヌに抱きしめられた。

 

「優也!優也!」

 

「どうしたんだよ⁉︎ジャンヌ!なんで泣いて………泣いてる⁉︎」

 

ジャンヌの顔を見ると、ジャンヌの目から涙が流れていた。

 

「…………………た」

 

「ん?」

 

「良かった〜!!」

 

「ぎゃぁぁぁぁああ!!ジャンヌ、押さえつけるな!窒息する〜!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「落ち着いたか?」

 

「うん……ごめん」

 

「気にすんな。で、なんで泣いたんだ?」

 

「……優也が目覚まさなくて心配だったから…」

 

「ハハ…ありがとな心配してくれて。もう大丈夫だからな」

 

俺はジャンヌの顔を見て笑顔で言った。

 

「うん…」

 

「ほら、元気だせって!あ、マシュ達が今ガールズトークやってるって立香が言ってたぞ?行ってこいよ」

 

すると、ジャンヌは首を横に振った。

 

「今日は…いい…」

 

「そっか…あ、風呂にはもう入ったのか?」

 

「ううん、なんで?」

 

「今日はカエサルとの戦いで汗かいたろ?だから服から少し汗の匂いが…」

 

俺がそう言うと、ジャンヌはベッドから飛び起きた。顔を見ると真っ赤になっていた。

 

「お風呂入ってくる!」

 

「あ、じゃあ俺も男湯に連れて行ってくれ!俺も体洗いたい!」

 

俺はジャンヌに肩に乗せてくれるよう頼むと、ジャンヌは何を思ったのか俺の服を摘み、俺は肩ではなくジャンヌの顔の方へ持っていかれる。そして、ジャンヌは鼻に俺の服を近づけスンスンと服の匂いを嗅いだ。

 

(ジャンヌの顔がこんなに近くに…)

 

俺はなるべくジャンヌと目を合わせないようにそっぽを向いた。

 

「確かに少し臭いますね……って、なんで顔を赤くしてるんですか?もしかして、恥ずかしいんですか?」

 

そう言って、ジャンヌはニヤニヤと笑みを浮かべる。こいつ、わざとやったな…まぁ可愛いから許す!そうして、俺達はテントを出て、風呂場に向かった。途中エミヤに会ったので、俺はエミヤに頼んで風呂に連れて行ってもらい、洗ってもらった。

 

「ふぅ〜気持ちよかった〜」

 

「フォウ!」

 

風呂から上がると、フォウ君がなにやら慌てた様子でやってきた。

 

「ん?どうしたんだ?フォウく…「フォウ!」うぉ⁉︎」

 

いきなりフォウ君の背中に乗せられ、俺は何処かへ連れていかれた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「…………………えーと、何してるんですか?ネロさん」

 

広場に連れてこられた俺が見たもの。それは地面に正座させられているネロさんの姿だった。

 

「ん?お〜優也か!いや、実はな…」

 

「この皇帝が風呂で私達の胸を揉んできたのよ!」

 

「うむ!なかなか揉み応えがあった!余は大満足だぞ!」

 

「殺す!」

 

「待って!ジャンヌ!ダメだって!ネロさん殺したら敵が増えちゃう!」

 

ネロさんに向かって剣を抜いたジャンヌを立香が押さえる。確かにここでネロさん殺したら連合だけじゃなくてここの兵達とも戦わなくちゃいけない事になる。それだけは絶対に避けねば!

 

「そうだぞジャンヌ落ち着け。そして、ネロさん!後から具体的にどんな感じだったのか教えて下さい!」

 

「いや、優也も優也でそれはおかしいから!」

 

そうして、カルデアの女性陣に怒られたネロはしょんぼりしながら自分の部屋に戻っていった。

 

「はぁ〜大変だった〜。そういえばさ、優也」

 

「ん?どうした?」

 

「ネロさんからね、なんか『ある島に古き神が現れた』って話を聞いたんだけど、どうする?」

 

「う〜ん…ネロさんはなんて言ってる?まぁ、聞かなくても分かるけど…」

 

あの皇帝がこんな話が出て、行きたくないなんて言うはずがない。とりあえず、ジャンヌ達にも確認取るか。

 

「ジャンヌ、ブラダマンテ。お前達は…「行く(行きます)!」わかった。じゃあ、行くよ」

 

そうして、明日その島に行くことになり俺達は各々の自分の部屋に戻った。

 

「じゃあ、寝るか。明日も忙しくなりそうだし」

 

「寝れるの?」

 

「…………………………」

 

そうだった…俺戦いが終わってからずっと寝てたんだった…

 

「まぁ、横になっとけばそのうち寝るだろ!じゃあ、おやすみ!」

 

俺はとりあえず毛布に入った。すると、何故かジャンヌも入ってきた。

 

「…………………………」

 

「…………………………」

 

「えーと…なんでジャンヌも入ってきてるん?」

 

「悪い?寒いし、あんたが寝るまで一緒に起きててあげようと思ったのよ」

 

「えっ?やだ!ジャンヌ優しい!もう、大好き!」

 

「はぁ⁉︎」

 

ジャンヌが顔を真っ赤にしてベッドから飛び起きた。

 

「ん?ジャンヌどうした?」

 

「あんた、今なんて…」

 

「ん?大好きって言ったけど、それが何か?」

 

「そ、それはどういう意味で言ったのよ⁉︎」

 

「Loveの意味でだけど?」

 

「そ、それって……告は…うあぁぁぁぁぁああ!!優也のバカぁぁぁぁああ!!」

 

そんな事を叫びながら、ジャンヌはテントから出て行った。どうしたんだ?あいつ。俺はただ正直に自分の気持ちを言っただけなんだけどな…

 

「はぁ…寝るか」

 

そう言って、俺は毛布に入った。

 

 

 

 

 

「ふぁぁ〜〜朝か…」

 

俺は大きく欠伸をした。結局寝れなかった…

やっぱり寝すぎるのも考えものだな…みんなはもう起きてるのかな?

 

「フォウ!」

 

「おっ!フォウ君起こしに来てくれた…「フォウ!」えっ⁉︎またこのパターン⁉︎」

 

フォウ君の背中に乗せられ、俺はネロさん達のとこまで連れてかれた。ネロさん達の元に行くとすでに船が用意されていた。

 

「来たか、優也。お前で最後だぞ」

 

「すいません!ネロさん」

 

「まぁ、良い。それでは船に乗るか」

 

そうして、俺達は全員船に乗り込んだ。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「うぇぇ…」

 

「気持ち悪い…」

 

「だ、大丈夫ですか?2人とも…」

 

ネロの運転のせいで酔った俺達を心配してマシュが駆け寄ってくる。何?あの運転…速すぎるしドリフトするしジャンプするしやばすぎるだろ…そりぁ気持ち悪くもなるって

 

「とりあえずマシュは俺達の護衛。残りは女神の探索お願い」

 

『了解』

 

そうして、マシュを除いた他のメンバーは女神の探索を始めようとした時、紫色の髪で白い服を着た少女がこちらへ歩いてきた。

 

「ごきげんよう、勇者の皆様。当代に於ける私のささやかな仮住まい、形ある島へ。私は女神ステンノ。ゴルゴンの三姉妹が一柱。古き神と呼ばれるのはあまり好きではないのだけれど…でも、それでも構わなくてよ。確かに、あなた達からすれば過去の神なのだろうしどうか好きにお呼びになってくださいな、皆さま」

 

「ロマン…この子は…」

 

『あぁ…サーヴァント…いいや、違うな。これは正常なそれとは違う。これは、なんだ?』

 

「ええ、そうよ?だって私、神霊だもの」

 

神霊?あ、神様だから神霊なのか…

 

「今日はよくいらしゃいました。皆様の為に洞窟の奥に財宝を用意しております。どうぞお持ちくださいな」

 

「「えっ⁉︎財宝⁉︎」」

 

「きゃあ!急に元気にならないでください!2人とも!」

 

「だって、マシュ!財宝だよ!財宝!これがじっとしていられますか!早く行こう!」

 

そう言って、立香は洞窟の方へ行ってしまった。遅れてその後をマシュ、ネロ、エミヤ、ジャンヌ、ブラダマンテの順に追う。俺もフォウ君に乗って後を追う事にした。

 

「あ、小さなマスターさんは残って私のお相手をして下さらない?」

 

「えっ?でも…」

 

「お願い?」

 

「喜んでお相手させて頂きます!ステンノ様!」

 

「ありがとう」

 

何故か素直に言う事を聞いてしまった俺はステンノ様の元へ向かった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第15話 告白

しばらくすると、立香達が洞窟から戻ってきた。だけどなんか疲れてるな…なんか洞窟であったのか?

 

「お帰り、みんな。財宝はどうだった?」

 

「あ、優也!聞いてよ〜洞窟行ったらね…」

 

立香の話によると洞窟の中に入って少しして骸骨の群れに囲まれなんとか撃退し、奥に行ったらそこには財宝はなく代わりに獅子、羊、蛇を掛け合わせた獣《キメラ》がいたという。

 

「ってか、なんで優也来なかったの⁉︎」

 

「それは私が彼に魅了をかけて相手してもらってたからよ」

 

「あ、ステンノ!」

 

「ふふっ、ごめんなさいね?暇だったから少し悪戯しちゃった」

 

そう言って、ステンノはウィンクをして舌をペロリと出した。あざと可愛い…

 

「はぁ…まぁ無事帰ってこれたしいいか。あ、それよりも優也ちょっと2人きりで話さない?」

 

「えっ?なに?告白?」

 

「ぶっ飛ばすよ?」

 

「はい…すいません…」

 

俺は立香の手に乗り、マシュ達から少し離れた場所に移動した。

 

「ねぇ、優也」

 

「ん?」

 

「ジャンヌから聞いたよ?告白したんだって?」

 

「えっ?」

 

「大好きって言ったんでしょ?ジャンヌの事」

 

「…………………言ったね。でも、あれは半ば勢いで言ったようなものだから告白ってわけじゃ…」

 

「でも、正直好きなんじゃないの?」

 

「そりぁ………好きだよ。仲間としてとかじゃなくて1人の女として…」

 

すると、立香はフフッと笑い俺の頭を優しく撫でた。

 

「なら、ふざけないでちゃんと自分の気持ちを伝えて。ジャンヌ言ってたよ?優也に好きって言われて嬉しかったって。でも、もう少しふざけないで言って欲しかったって。ジャンヌ少し泣いてたからね?」

 

あいつがそんな事を…こりぁ、悪い事しちまったな…

 

「分かった……俺ちゃんとあいつに気持ち伝えるよ」

 

「よし…じゃあみんなのところに戻ろう……………って、なんか戦闘始まってる⁉︎」

 

見ると、マシュ達が戦闘を開始していた。相手は………カリギュラか……

 

「立香急いで戻るぞ!」

 

「うん!」

 

そうして、俺達は急いでみんなの元へ走った。到着すると、敵の兵士をジャンヌ、エミヤ、ブラダマンテそれとプラスで赤髪で角の生えた少女と獣耳でエプロンをした少女が相手していた。そして、カリギュラをマシュとネロが相手している。

 

「ネロ!ネロォォォォオオ!!」

 

「くっ!」

 

ネロを狙ってくるカリギュラの攻撃をマシュが盾で防いでいた。ネロはカリギュラの攻撃を受けたのか剣を支えにして立っている。

 

「「ガンド!」」

 

「グォ⁉︎」

 

俺と立香はカリギュラにガンドを撃ち、動きを封じた。二重のガンドだ、しばらくは動けまい。その間に俺はネロの元に行き、立香はマシュの元へ行った。立香はマシュに回復の魔術をかけた。

 

「大丈夫ですか!ネロさん!」

 

「優也、それに立香!話はもう終わったのか?」

 

「えぇ、まぁ。それより苦戦してますね。ジャンヌかブラダマンテのどっちかこっちに回しましょうか?」

 

「よい。叔父上は余がやる!」

 

「そうですか…なら、ジャンヌ!」

 

俺はジャンヌを呼び、それを聞いたジャンヌはこっちにくる。

 

「何?」

 

「とりあえずまずは肩に乗せてくれ」

 

そう言って、俺はジャンヌの肩に乗った。

 

「どうだ?楽勝か?」

 

「当たり前でしょ!私が苦戦するわけが…「意地はんなよ」………」

 

「肩で息してるし、服も所々破けてるし楽勝なわけがないだろう?……まぁ、それがジャンヌらしいんだけどな」

 

「ま、またあんたはそんな事言って…」

 

「だから……俺も一緒に戦う!ブラダマンテ!こっちに来てくれ!」

 

「!分かりました!マスター!」

 

ブラダマンテはジャンヌの元まで来て背中を合わせる。そして、俺はジャンヌの耳元で小さく囁いた。

 

「これが終わったら、2人きりで話したい事がある。だから今は戦いに集中してくれ」

 

「…………………分かった」

 

「よし…それじゃあ、行くぞ!」

 

「「えぇ(はい)!」」

 

そうして、ジャンヌ達は周りを囲む兵士達に向かって行く。俺は2人に強化魔術を使い、2人の身体能力を強化しジャンヌの肩に掴まる。ジャンヌの後ろから迫ってくる敵は俺がガンドや強化魔術を使って攻撃し、ジャンヌは目の前の兵士達に剣を振るう。だが、しばらくしてやはり俺の魔力が少なくなってきたのかカエサルの時のように疲労感に襲われる。

 

「すまん、ジャンヌ。後は頼む。もう魔力が……」

 

「全く…もう少し考えて使いなさいよ!あんたの魔力そこまで多くないんだから。まぁ、いいわ。あんたのお陰でだいぶ減ったしこれなら私一人でも余裕だわ。少し休んでなさい。フォウ!」

 

「フォウ!」

 

ジャンヌは肩にいる俺をフォウ君の方へ投げた。フォウ君は俺の体を咥えて安全な岩場まで移動した。そこで俺は意識は途絶えた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ん……ここは…」

 

「やっと起きたわね?バカ優也」

 

声のした方を向くと、ジャンヌの顔があり俺が寝ている場所はジャンヌの手だった。

 

「ジャンヌ……ここは?」

 

「皇帝の城よ。あの後、あのカリギュラってやつを皇帝が倒して兵達が退散したから戻ってきたのよ。今下で宴があってて立香が料理を取りに行ってくれてるわ」

 

「そうか…」

 

「で、話って?」

 

「あーえっと…その…」

 

俺はジャンヌの手の上で土下座した。

 

「すいませんでした」

 

「ちょ、ちょっと!なんで謝まんのよ⁉︎」

 

「立香から全部聞いた。昨日は悪かった」

 

「…………………本当なの?」

 

「へっ?」

 

「私の事、好きっていうの」

 

「…………………あぁ、あの時はちょっとふざけて言っちまったけど今回はちゃんと言う!ジャンヌ、俺は!お前の事が好きだ!大好きだ!」

 

「……………………私も」

 

「えっ?」

 

「私も………好き。優也の事」

 

俺は自分の顔がだんだん熱くなっていくのを感じた。そうか……つまり、

 

「俺達はいうところの両想いだったって事だな」

 

「ま、まぁ……そうね…」

 

「優也〜ジャンヌ〜ご飯持ってきたよ〜」

 

ドアが開き、立香が料理を持ってやってきた。

 

「おっ!サンキュー、立香!」

 

「……………ありがと」

 

「ううん、しっかり食べて体力つけてね!」

 

そう言って、立香は持ってきた料理をテーブルに置いて部屋を出て行った。

 

「…………………食うか」

 

「そうね」

 

そうして、俺達はしばらく食事に専念した。食事を終えた後、ジャンヌがグラスと1つの瓶をテーブルに置きその瓶の蓋を開け、中に入っている桃色の液体をグラスに注いだ。あれ?この匂い、もしかして……

 

「ジャンヌ、それって…」

 

「ん?お酒だけど?………ん〜美味しい」

 

ジャンヌはグラスに入っている液体を一口飲む。なんか俺も飲みたくなってきたな…

 

「そんな顔しなくても飲ませてあげるわよ。ほら!」

 

どうやら、顔に出ていたらしい。ジャンヌは自分の口のつけたグラスを俺に向けてきた。

 

「いや、せめて口つけてないところで飲ませて欲しいんですけど…」

 

「こんな事でなに照れてんのよ…気持ち悪い…いいから飲みなさいよ」

 

「んぐっ⁉︎」

 

ジャンヌは自分が口をつけたグラスの淵を俺に押し付けてきた。俺は仕方なく中に入っている液体を少し飲む。だが、恥ずかし過ぎて味がよくわからなかった。それに俺実は、18歳で未成年なんだよな〜……そういえば、ジャンヌって確か19か20ぐらいの体なんだよな…やだ、俺より年上じゃん…….

 

「飲んだわね?じゃあ、残りは私が…」

 

そう言って、ジャンヌは瓶に残っている酒を全て飲み干してしまった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

食事を終えた、俺はベッドに入って眠ろうしていた。だが、一向に眠れない。なぜなら……

 

「ねぇ〜優也〜」

 

酔っ払ったジャンヌが俺の睡眠を邪魔してくるから。

 

「………なんだよ、早く寝ないと明日に響くぞ。ほら、寝ようぜ」

 

「ねぇ〜キスしましょうよ〜せっかく両想いって分かったんだし〜」

 

「はいはい、カルデアに戻ったらな〜」

 

俺はジャンヌに背中を向け、眠ろうとした時……

 

「ふ〜んじゃあ、いいわよ!」

 

「えっ⁉︎」

 

ジャンヌが俺を仰向けの状態にし、その上に四つん這いになった。

 

「優也がしてくれないなら私が無理矢理にでもやってやる!」

 

「こ、この野郎!やめろ!離せー!!」

 

「ふふっ、逃げられないでしょ〜?じゃあ、いくわよ〜」

 

ジャンヌの顔がゆっくりと俺の元へ降りてくる。ジャンヌの巨大で柔らかそうな唇が迫ってくる。あぁ…もういいや…覚悟を決めた俺は目を閉じた。そして……

 

ドスン!

 

「ぐえっ⁉︎」

 

俺の体に何か重たいものがのしかかった。目を開けると、俺の体にはジャンヌの腕が乗っかっており、横には寝息をたててい眠っているジャンヌの顔があった。

 

「なんだ…寝ちまったのか…」

 

俺はジャンヌの腕から抜け出してジャンヌの頭を撫で毛布をかぶせ、自分も毛布をかぶり眠りについた。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

番外編 ハッピーバレンタイン!

まだ早いですが、バレンタイン回です!

※この作品の番外編は人理修復後の話です。なのでサーヴァントがかなり増えています。


 

ピピピッ!ピピピッ!

 

「ん〜」

 

俺の腕時計型通信機のアラームが鳴り、俺はそれを寝ぼけ眼で止める。横では、ジャンヌがスゥースゥーと寝息を立てて眠っている。俺はジャンヌを起こさないよう毛布から出る。すると、部屋のドアが開いた。

 

「優也〜おはよう〜」

 

立香が小さな声で俺を呼んだ。そして俺は立香の肩に乗り食堂へ向かった。食堂に着くと、エミヤとブーティカがいた。とりあえずエミヤに朝食をお願いし、その間に今回貸してもらった冷蔵庫をブーティカに開けてもらった。冷蔵庫の中にはハートや星など色々な形に整えた『あるもの』がトレイの上に綺麗に並べられている。これらは俺達がカルデアの職員やサーヴァントの皆にプレゼントしようと考えて作ったものだ。何を隠そう今日は『バレンタインデー』。気持ちを伝え感謝する日だ。

 

「流石に疲れたよね〜全員分作るの」

 

「うん。まさか夜遅くまでかかるなんて思わなかったよな〜見回りにきた頼光さんやエルキドゥに見つからないようにするの大変だった…」

 

「私、これ作り終えて部屋に戻ったら清姫がいて追い出すの超大変だった」

 

「うわ…お疲れさん…」

 

そんな話をしていると、エミヤが朝食を持ってきたので俺達をそれを早々に食べ終えカルデア職員と自分のサーヴァント達の為に作ったチョコを配りに回った。ちなみに俺は、この日のためにダ・ヴィンチちゃんに無理言って作ってもらった小型の馬ロボットに乗ってチョコを配っている。フォウ君でも良かったのだか何せこの量だ。フォウ君が可哀想……まぁ、みんな凄く喜んでくれたから作った甲斐あったな〜それにみんなからのチョコ、ちゃんと俺の体の事考えて一口サイズで作ってくれていてほんと嬉しかったな〜黒髭がくれたフィギュアはともかく……さて、次はっと……

 

「あら、マスター」

 

声のした方を向くと、そこには輝くような金髪、二つの白いリボンをつけ赤いドレスに身を包んだ少女エレシュキガルがいた。

 

「おっ!エレちゃん!今日はいつもと格好が違うんだな」

 

「え、えぇ。こういう日ぐらいは別のを着てみようと思って……ど、どうかしら?」

 

そう言って、頰を赤く染めてモジモジと俺を見つめるエレちゃん。

 

「すっごい似合ってるよ!可愛い!」

 

「か、可愛い⁉︎も、もう!あなたはいつもそうやって恥ずかしげもなくそんな事言うんだから!」

 

「だって、事実なんだもん」

 

「もうっ!ずるい!ずるいのだわ!」

 

顔を真っ赤にして言ってくるエレちゃんを宥めて、俺はエレちゃんにチョコを右の箱から取り出し渡した。

 

「はい!エレちゃん!ハッピーバレンタイン!」

 

「えっ?マスターこれって…」

 

「見ての通りチョコだよ。日頃のお礼に」

 

「あ、ありがとうなのだわ……実は、私も…」

 

そう言って、エレちゃんは俺に一口サイズのチョコを差し出してきた。

 

「うわっ!エレちゃんのチョコ⁉︎ありがとう!大事に食べるよ!」

 

「え、えぇ…そうしなさい」

 

俺はエレちゃんから受け取ったチョコを左の箱に入れた。実はこの箱はチョコが溶けないように冷蔵庫の役割を果たしてくれている。

 

「じゃあ、俺まだ配らないといけないから!じゃあ、また!」

 

「えぇ、また」

 

俺はエレちゃんに手を振りチョコ配りを再開した。

 

「マスターの手作りチョコ……ふふ、イシュタルに自慢できるのだわ」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「うへぇ〜疲れる〜」

 

エレちゃんと別れた後チョコ配りを再開していた俺。それはもう大変だった。英雄王のとこ行ったら、なんか無茶苦茶文句言われた挙句もらったチョコはデカイから運ぶの大変だわ、頼光さんのとこ行ったら「お返しは母です!」とか言って襲われそうになるわ、三蔵ちゃんのとこ行ったらなんか修行させられるわで本当肉体的にも精神的にも疲れた。そして、やっと最後の一個。相手はこの部屋の中にいる………と思う。

 

「あいついるかな〜」

 

そうして、俺は部屋に入った。

 

「ただいま〜ジャ…「優也!」うぉ⁉︎」

 

部屋に入った瞬間、ジャンヌに掴まれた。

 

「もう!帰ってくるのが遅いわよ!」

 

「ごめんごめん!みんなに配ってたから時間かかっちゃって…ってか、少し力弱めてくれない?疲労してる体に響く…」

 

「ご、ごめん…」

 

そう言って、ジャンヌは俺をベッドに下ろし、俺の横に座る。

 

「ごめんな?ジャンヌ…帰りが遅れて」

 

俺はジャンヌの手に自分の手を置いた。ジャンヌは少し頰を赤く染めたがじっと俺を見ている。

 

「い、いいわよ。別に。それより私に渡すものがあるんじゃないの?」

 

「お見通しか」

 

「当たり前よ。っていうか、サーヴァントの何人かはあんた達が私達に隠れてチョコ作ってるの知ってたしね」

 

「えっ?それマジ?」

 

「マジよ。でも、あんた達が一生懸命作ってたから知らないフリしとこうって話になったのよ」

 

「じゃあ、もしかして…ジャンヌ見てた?」

 

「少しね。でも、邪魔しちゃいけないと思ってすぐに部屋に戻ったわ」

 

「ハハ…ありがとな。じゃあ、その右の箱開けてみ?」

 

「わかった」

 

そう言って、ジャンヌは右の箱を開けた。中にはジャンヌの為に作ったチョコが入っている。

 

「ハッピーバレンタイン!ジャンヌ!」

 

「ハ、ハッピーバレンタイン…優也。その…私も優也に渡したいものがあるの…」

 

「渡したいもの?」

 

俺がそう聞くと、ジャンヌはゆっくり頷き綺麗にラッピングされたなにやら四角いものを出した。

 

「これは?」

 

「私が作ったチョコ。普通サイズになってしまったけど、受け取ってくれる?」

 

「あぁ…勿論!」

 

俺はジャンヌからチョコを受け取りジャンヌの了承を得て袋を開けた。そこには…

 

「ジャンヌの……顔?」

 

「ふふ…あはははははは!!どう?多少単純化されてるけど立派にそう見えるわよね?」

 

「うん」

 

「で、あれば。私をかたどったチョコなんて食べたくもないのが当然でしょう?チョコは美味しいのに私の顔になってるせいで台無し!……そうならないかしら?」

 

なるほど…つまりちょっとした嫌がらせなのか。でもな…

 

「人がわざわざ自分の為に作ってくれたものを食べたくない訳がないだろう?」

 

「優也…」

 

「って事で、いただきます!」

 

俺は口を開けて、チョコにかぶりついた。

 

「うん。美味しい!」

 

「美味しい⁉︎私のこと美味しいって言ったの⁉︎」

 

「いや、ジャンヌじゃなくてチョコね?なに?ジャンヌ、俺に食べられたいの?それなら遠慮なくいただいちゃうけど?」

 

「はぁ⁉︎」

 

ジャンヌは顔を真っ赤にし、ベッドから立ち上がった。いや、冗談なんですけど…すこししてジャンヌは何を思ったのかベッドに横になり、下着姿になった。…………………は?

 

「おまっ、なんで下着姿になってんだよ⁉︎」

 

「優也が食べたいって言ったから…」

 

「いや、あれは冗だ…「冗談だったら燃やすわよ?」滅相もございません!有り難くいただきます!」

 

「そう…」

 

そう言って、ジャンヌは俺を手に乗せ顔のとこまで持っていく。俺はジャンヌの顎の辺りで降り、ジャンヌの唇まで歩いていく。

 

「や、優しくしなさいよ」

 

「いや、この体じゃ限界があるわ」

 

「それでもいいから」

 

「はい」

 

ジャンヌは目を閉じ、俺が唇を重ねるのを静かに待っている。今俺の目には大きくて艶のあるジャンヌの唇が写っている。やっちまうのか…本当に……でも、ここまできたらやるしかない!決めるぜ!覚悟!優也いっきまーす!俺はジャンヌの唇にゆっくりと自分の唇を近づけ……………ずにジャンヌの唇を飛び越え鼻にキスをした。

 

「…………………は?」

 

「さぁ、逃げますか…」

 

「はぁ⁉︎」

 

俺はジャンヌの顔から急いでおり、チョコ配りに使ったロボットに乗り、部屋を出た。やっぱり僕には無理だったよ…パトラッシュ…

 

「ま、ま、待ちなさいよ!このヘタレ優也ぁぁぁぁああ!!」

 

「いやぁぁぁぁああ!!」

 

俺はジャンヌから必死に逃げた。だけど、途中普通にチョコを渡しにきた頼光さんに捕まり事情を聞かれ説教を受け、立香やマシュ、他の女性サーヴァント達からガチトーンで最低やらヘタレと言われメンタルがボロボロになった俺はその日エミヤの部屋でエミヤに慰めてもらった。くそっ!バレンタインなんてクソくらえだ!

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。