バカとお酒とダイビング (群武)
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1杯目

バカとテストと召喚獣とぐらんぶるのクロスオーバー作品です
明久たちが伊織達と同じ伊豆大学に進学したらという題材で考えています


桜の舞う中僕は文月学園への最後の登校をしていた。

高校3年間でたくさんの思い出が出来たこの高校にも今日でおしまいだ

「何言ってんだ明久、お前は来年も3年生をするだろ?」

そんな見当違いなことを言ってきたのは

「失敬な雄二!僕もちゃんと卒業出来るよ!」

180cm強の巨漢で精悍な顔立ちの悪友の坂本雄二だ

「なんと明久、お主卒業出来たのか」

「秀吉まで!?僕そんなに馬鹿じゃないよ!」

次に言ってきたのは超絶美少女なのに古風なジジ言葉が特徴の木下秀吉だ

「「「ダウト」」」

「何を根拠に言ってるのさ!」

「結局3年も明久1人Fクラスだったじゃないか」

「あれは名前を書き間違えただけじゃないか!」

「高校3年になっても自分の名前を間違える奴は正真正銘バカだろ、しかも自分の1番得意科目で間違えるとかありえないだろ」

「・・・明久バカを認めるべき」

「くっ!ムッツリーニだってギリギリEクラスだったじゃないか!」

こちらは寡黙なる性識者ことムッツリーニだ

ムッツリーニには在学中とてもお世話になった関係だ

「・・・EとFには越えられない壁がある」

そんなことを話していたら

「ちょっとアキ遅いじゃない」

「そうですよ明久くん遅刻ですよ」

校門の前で待っていたのはポニーテールとすらっとした細身の美波こと島田美波とピンクのふわっとした髪と美波には無いものが特徴の姫路さんこと姫路瑞希の2人だった。

「今失礼なこと考えたでしょ」

「そんなことないよ、ちょっと2人をひかk」

ゴキ

体から鳴ってはいけない音がしたが気にしない

「もうアキには関節技が効かないわ」

「明久の柔軟性はアスリートレベルなのじゃ」

「島田の関節技の完成度もアスリートレベルだがな」

そんなことをしていると体育館の方から1人の先生が歩いてきた。

「またお前達か 卒業式の日くらい静かに過ごせんのか」

そう言ってきたのは鉄人こと西村先生だ

本当にこの先生にはお世話になった

「そろそろ体育館に行くか」

そう雄二が言うと全員で体育館へと向かった

 

 

長い卒業式が終わり僕は桜の木の下に居た

「明久くんお待たせしました」

「大丈夫だよ姫路さん そんなに待ってないし」

「それで明久くん大切なお話ってなんでしょうか?」

「姫路さん僕とおつk」

「「「「異端者発見!」」」」

「ごめん!姫路さん!」ダッ

FFF団に見つかった僕は校舎の裏へ走って逃げた

 

 

「くそう!こんな日まで活動していたなんて」

FFF団から逃げていた僕は女子トイレの個室に逃げ込んでいた

「その声明久か!」

隣から聞こえてきた声は雄二だった

2人共トイレの扉を開けた

「雄二も逃げてるの?」

「そうだ、卒業式終わった直後に翔子が婚姻届けを出しに行くって

言い出したらあいつらが動き出しやがった」

「チェストー!」

「あぶねえな」

「(こいつ!余裕で僕のストレートを受け止めやがった)」

「今はこんなことしている場合じゃないだろ明久」

「そうだね まずは逃げ切ることを優先しなくちゃ」

「どうせお前は告白しなくても結果は見えているがな」ポチ

「雄二こそ 霧島さんとの結婚は決まっているじゃないか」ポチ

「明久「雄二何しやがった!」」

雄二の携帯を取り上げて見てみると

TO須川

2階女子トイレ明久

「裏切るなんて最低だ!」

「お前も裏切ってるじゃねーか!」

裏切ったなんて人聞きの悪い、ただ雄二を生贄に助けてもらおうと思っただけだ!

「よ〜お二人さん」

この声は須川くん!

てか来るの早過ぎない!?

「・・・雄二早く役所に」

「お前!翔子に連絡したのか!」

「さらば!」

僕は雄二の背中を蹴りトイレの窓から飛び降りた

 

 

「はぁはぁはぁ」

僕は何とかFFF団から逃げ切り家へ帰った

姫路さんに告白したかったけど今日するのは得策じゃないので後日に回すことにした

「お帰りなさいあきくん」

そう言って出迎えてくれたのは実の姉の吉井玲だ

「ただいま姉さん」

「ご飯にする?お風呂にする?それともわ・た・し?」

「ご飯で」

いつものことなのでスルーをし家の中へ入った

ご飯とお風呂を終えた僕は進学する伊豆大学のパンフレットを見ていたら疲れてしまっていたのかすぐに寝てしまった。

夢の中で男達に追われる夢を見た

「(これはFFF団に追われたせいだと思いたい)」

 

それからは引越しの準備が忙しく新居で生活ができるようになったのは最初の授業がある前日だ

 

「あきくんそろそろ着きますよ」

そういって姉さんに起こして貰った僕は外の景色を見ると

「おー!綺麗な海!」

「私とどちらが綺麗ですか?」

「断然海!」

「もう堪能しましたね 帰りますか」

「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ 冗談だから!」

こう言っておかないと本気で帰りかねない

「あそこに見える店がグランブルーですよ」

「お母さんが海外で出来た友達が経営するダイビングショップだっけ?」

「そうですよあきくん よく覚えていましたね ご褒美にキスをしてあげましょう」

そういって姉さんがこっちに顔を寄せてきた

「ちょっと待ってよ!姉さん!前見て!」

「そうですね、よそ見運転はいけませんね」

危なかった、あの目はマジだ

そしてグランブルーをよく見ると1人の男の人がドアの前に立っていた

「(入るのを躊躇っているのかな?)」

そして両開きのドアを開けた

・・・そして閉じた

「何してるんだろう?」

「どうしましたかあきくん?」

「あそこにいる男の人が店の中になかなか入らないんだ」

「店でも間違えたのでしょうか?」

「そうかも」

そんなことを話していると

もう一度ドアを開けて

・・・崩れ落ちた

「一体あの店で何が起きてるの!?」

「あきくんいきなり大声でどうしたんですか?」

どうやら姉さんは見ていなかったようだ

崩れ落ちた男の人は店の中に入っていった

 

そしてグランブルーの前を通り過ぎる直前さきほど入っていった男の人が走って出ていった

そして僕は見てしまった鉄人にも負けないであろう肉体の男性達が裸だったことに

「姉さん!あの店おかしいよ!店の中の人がみんな全裸だったよ!」

「???あきくん何を言っているのですか?ダイビングショップなのだから店内で着替えていてもおかしくないでしょう」

「そう言えばそうだね 何もおかしくないよね」

グランブルーを過ぎてすぐの所に僕が暮らす新しい家に着いた

「ここが新しい家ですよ」

「結構古そうだね」

そういって見た建物は木造二階建てのアパートだった

「防音性は低いらしいので秘蔵ビデオは見ない方がいいらしいですよ」

「(なんだと!?せっかくの一人暮らしなのに音が筒抜けだなんて姫路さんを家に呼べないじゃないか!)」

「それとあきくん 一人暮らしだからといって女の子を家に呼ぶなんていけませんからね もし出入りした事が発覚した場合私も一緒に住むことにしますから」

その一言で僕の夢だった姫路さんを家に呼ぶということが出来なくなってしまった。

 

部屋に入るとダンボール箱が積まれていた

「あきくん 女の子が部屋に入ってしまったので今日から私もここに住みますね」

「?何を言ってるの姉さん?ここに女の子なんていないよ?」

「そうですか 気付いてないなら気づかせてあげなければいけませんね」

そう言って姉さんは自分の顔を僕の顔に近づけてきた

「ストップ!ストーップ!」

「止めません」

その瞬間僕は部屋の奥に逃げ込んだ

「流石にそこまで逃げられると傷つきます」

「ごめん姉さん でも姉弟でキスはダメだと思うんだ」

「そうですね そんな中途半端な事せずに一線を超えてしまいましょう」

「アウトー!」

そう叫んだ瞬間

「うっせーな」

そういって隣の部屋のドアが開いた

「(しまった そう言えばここは音が漏れるんだった それにしても今の声どこかで聞いたことがあるような)」

「こっちは二日酔いなんだよ バカ騒ぎするなよ」

「あれ?雄二なんでここに居るの?」

「あー?なんだ明久か お前もここに住むのか?」

「こんにちは 坂本くん これからもあきくんをよろしくお願いします」

「こんにちは 玲さん」

「それでなんで雄二はここに居るの?」

「お前は少し考えろ 同じ大学に行くんだ同じアパートでもおかしくないだろ」

「えー!雄二同じ大学だったの!?てっきり地元の大学に行ってるんだと思ってた」

「俺もその予定だったんだがな 翔子の奴がほかの大学は女子が多いからとか言いやがって勝手に合格していた大学を蹴りやがった」

「霧島さんも心配性だね そんなことしなくたって雄二はモテないのに」

「うるせー 1発くらい殴りたいが二日酔いが酷くてなにも出来ねー」

「そろそろ私はあちらに顔を出したら帰りますね」

「姉さんバイバイ」

「玲さん さようなら」

「では失礼します 寂しくなったらいつでも連絡を下さいね」

そう言って姉さんは帰って行った

「じゃー俺ももう一度寝るわ 大きな音出すんじゃねーぞ」

「それは気をつけるよ」

そう言うと雄二は死にそうな足取りで部屋の中に入っていった

「(そろそろ僕も荷解きしておこうかな)」




取り敢えず明久と雄二は出てこれましたが肝心の伊織達を出すことが出来ませんでした
次の話で出す予定です


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2杯目

「あー疲れた」

雄二と別れて部屋に戻った僕は荷解きをしていた

「結構時間かかっちゃったな」

スマホで時間を確認すると18時を回っていた

そろそろ晩御飯の時間だが食材がないので来る前に買っておいた弁当で済ますことにした

晩御飯とお風呂を終えると19時を回っていた

「寝るには少し早いかな 少し散歩でも行こ」

そう思うとすぐに外靴に履き替えて外に出た

「思ったより寒い」

流石に4月の夜で海沿いだと肌寒い

「やっぱりランニングにしようかな」

お風呂に入ってしまっていたが後で入り直したらいいか

ランニングウエアに着替え直すと来る時通った道を少し走った

走っている時これからお世話になるグランブルーの前を通ったので挨拶だけでもして行こうかと思ったがドア越しにもバカ騒ぎが聞こえてきたので後日に回すことにした

走り出して少しするとショートカットの美少女とすれ違った

文月学園にはいなかったタイプの子だったので少し目を奪われてしまった

「(ダメダメ 僕には姫路さんがいるんだから)」

そう思い直すとまた走り出した

 

「疲れたー」

流石に1時間近くしっかり走るとかなり疲れる

元々は30分くらいで戻る予定だったのが道に迷って帰ってくるのが遅くなってしまった

部屋に戻ると早速シャワーを浴びてテレビを見ているといつの間にか23時になっていた

「そろそろ寝ようかな」

布団を用意して寝る準備を終えて寝付こうとして違和感を感じた

「なんでこんなに静かなんだろう?」

その静かな原因を探すとあることに気づいた

「雄二の部屋から何も音がしない?」

防音性の低いアパートなのに隣から物音ひとつしないのはおかしい

「もしかしてまだ寝てるのかな?」

そんなことを考えていると段々眠たくなってきたので考えることをやめ寝ることにした

 

 

ジリリリリリリリリリリ

目覚まし時計が大きな音で僕の眠りを遮った

7時を指している目覚まし時計を止めた

初日のガイダンスから遅刻する訳にはいかないので早めに設定していたのだ

時間に余裕がある上に学校まで徒歩15分程で着くためゆっくりと準備をすることにした

「(流石に高校の初日みたいにセーラー服を間違って着ていかないようにしないと)」

仕度が整い時計を見ると8時30分になっていたので家を出た

学校までの道のりに不安があるので隣の部屋に居るはずの雄二に連れて行って貰うことにした

ピンポーン

部屋のチャイムを鳴らすが反応がない

もしかしたら寝ている可能性があるので待って遅刻したくないので先に出ることにした

 

特に道に迷うことなく大学に着くことが出来たので予定通りのガイダンスが始まる15分前だ

ガヤガヤガヤ

「(どうしたんだろう?)」

講堂の前に人集りが出来ていた

近づいて見ようと思ったけど僕の直感が警報を鳴らしているためスルーすることにした

 

少し道に迷ってしまったが何とか講堂に入ることが出来た

とりあえず席の指定はなかったので後ろの方の席に座ることにした

すると直ぐに後ろから声をかけられた

「よう明久 迷わずこれたか」

「(この声は雄二かな?)」

ちょっとしんどそうな声だが多分雄二だろうと思い後ろを振り返った

「おはよう 雄二!?」

なんと後ろに立っていたのは筋肉質で180センチを越える雄二がパンツ一丁で立っていた

「なんで雄二は原始人に退化しているの!?」

「さっきまで寝ててな 急いできたんだ」

「流石の僕でも服を間違えることはあっても着るのを忘れたことは無いよ!?」

「大きな声を出すなバカ 頭に響く」

「今の雄二にバカとは言われたくないよ!あれ?まだ二日酔い続いてるの?」

「いや また二日酔いになっているだけだ」

そうしんどそうに雄二は言う

「(2日連続二日酔いって雄二は一体どんな生活を送っているんだろう?)」

そんな疑問を思いつくと新しく声をかけられた

「お主らは大学生になってもかわらんな」

「・・・少しは成長するべき」

「(あれ?この声は)」

その声の人物はよく見覚えのある2人だった

「秀吉とムッツリーニ!なんで2人共ここに居るの?もしかして秀吉に会いたい僕の願いがかなったの?」

「何をバカな事を言っておるのじゃ ワシらも伊豆大学生じゃ」

「そうだったの!?なんで教えてくれなかったの!?」

「その顔を見たいために黙っておったのじゃ」

秀吉はとてもいい笑顔でそう言った

うん やっぱり秀吉は可愛いね!

「・・・海の近くだと商売が儲かる」

「ムッツリーニは相変わらずだね」

「・・・商会をよろしく」

「よろしく!」

2人で熱い握手をしていると後ろからかなりの美形が歩いてきた

髪の長さは昨日ランニングの時に見た美少女と同じくらいでこちらは金髪だ

見た目はかなりのイケメンだがキャラクターの描かれたTシャツにどうしても気になる

そのイケメンは僕達の横を通り過ぎると真ん中の方の席に座った

隣の列に裸の男性が寝ていることに気づかずに

「なんでこの部屋に変態がいるんだ!」

「この部屋に姿鏡なんてあったか?」

「僕のことを言っているんじゃない!まず雄二は自分の姿がどうなっているか確認するべきだ!」

「明久よ 訳の分からないことを言ってるでない」

「僕がおかしいの!?もしかしてパンツ一丁が今の流行りなの!?若者の考えがわからない!」

「・・・明久うるさい」

「(なぜだ!僕がおかしいのか?それとも皆にはこいつらは服を着ているように見えるのか!?)」

周りを見てみるとみんな笑っている

「(これ絶対僕の感覚があっているはずだ!一体何が彼らを変えてしまったのだろう)」

雄二はともかく秀吉は僕と同じ常識人になってほしい

そんなことを考えているとガイダンスが終わった

今日はガイダンスだけなのでこれで終わりだ

「そういえば明久はサークルに入らないのか?」

「サークルかー何も考えてないかな」

「そうか」

雄二はそういうと何か考え出した

秀吉とムッツリーニは後ろで僕を憐れむような目線で見てくる

その目線に気がつけたら僕の大学人生は壊れなかっただろう




明久と伊織の出会いは次話する予定です


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3杯目

今回は3人の視点で書いてみました


「3人ともこれからどこか行く?」

僕は高校からの悪友の3人雄二、秀吉、ムッツリーニに問いかけた

「俺達はこれからサークルの方に顔を出す予定だ」

「あれ?3人とももうどのサークルに入るか決めたの?」

「決めたというか決まったというか」

どうにも歯切れの悪い返事が帰ってくる

「何のサークルに入るの?」

「ダイビングサークルだ」

「雄二とムッツリーニは分かるけど秀吉も入るの?」

「あーそうじゃ 演技の幅を広げる為にも海の男を知っておきたくての」

秀吉には珍しく少し引きつった笑顔でそう答えた

「秀吉何か僕に隠し事してない?」

「な、何もしておらぬぞ」

どうにも怪しい

「秀吉 正直に言ってくれないと秀吉が女の子だって言いふらすよ?」

「そんなこと誰も信じぬと思うぞ?」

「卒業式に男子高校生と近所の男の子の合計5人から告白されていてよくそう思えるね」

「あ、あれは何かの間違いじゃ そう!姉上と間違えたのじゃ!」

「しっかり秀吉の名前言ってたよね?」

「なぜそこまで知っておるのじゃ!?」

なぜって?愚問だね僕がFFF団として監視していたからに決まっているじゃないか

「偶然聞いただけだよ」

「絶対嘘じゃ!」

僕と秀吉が話してる中雄二とムッツリーニが割って入ってきた

「そろそろ移動しないか?」

「・・・先輩達が待ってる」

「そうじゃな!」

そういうと3人ともサークルが勧誘していると所に歩いて行ってしまった

「ごめん 僕トイレ行ってから行くよ」

「先行ってるぞー」

そう言って僕は途中から3人とは別の方へと歩き出した

 

すると前の方に2人の学生が歩いていた

1人は茶髪のショートカットの女性だろう

もう1人はパンツ一丁のあの男だ

少し歩くと女性の方が教員に話しかけパンツ一丁の変態を指さし何か言っていると男の方が叫んで何か言っている

「(少し遠くて聞き取れないな もうちょっと近づこうかな)」

そう思い携帯を触るふりをしてゆっくり歩いた

2人の様子を伺っているといきなり女性が泣き出した

その瞬間僕は走り出した

そして変態の後頭部をぶっ叩き女性の手を取り走って逃げた

「(やばい!変態が追いかけてきた!)」

後頭部を殴られた変態は必死に追いかけてきた

「待てゴラァ!」

「(こいつかなり足が速い)」

そのためには

「警備員さん!変態が追ってきてます!」

警備員さんに任せるのがいいよね!

 

ー伊織サイドー

俺は北原伊織・・・

男子高校を卒業しこの春から晴れてこの伊豆大学に入学した

親元を離れて暮らす海辺の街

希望に満ちた新たな出会いと新たな生活

ー入学と同時に灰色に染まり上げられていた

同じ1回で昨日から知り合った坂本、木下、土屋の3人は俺が起きた時にはもう居らず先に講堂に行ったようだ

講堂に入ると3人はもう1人知らない男性と一緒に座っていた

1人で座っていると隣の列に1人座ってきた

「(へえー結構美形ー・・・!?)」

座った男は美形だがそれ以上に来ているシャツが美少女がプリントされたシャツに目を奪われてしまった

じっと見ていたせいか男の方も俺に気づいたようだ

そこで俺は直感した

「(こいつとだけは関わるまい)」

「ー説明は以上です 選択科目の希望は7日までに提出して下さい」

「(サークル見学かぁ 行ってみたい事は行ってみたいが・・・一人で行くのは危険だよな どんな連中がいるかわからんし)」

「あのさ千紗お前ってサークル見学には行かないのか?」

「・・・」

「あ おい 」

ショートカットで健康的な四肢が魅力的な女性で俺のいとこの古手川千紗に声をかけたが無視をされた

「なぁ千紗」

「そんな格好で話しかけてこないで」

「あ」

そう俺の今の格好はパンツ一丁なのだ

「(さすがにこの格好はまずい 1度家に帰って服を着たいところだが)」

そう思いグランブルーまでの道のりを思い出そうと思ったが先輩達に運ばれたため

「(帰り道がわからん)」

「じゃあ私は帰るから」

「よしそうしようか」

「・・・」

千紗が俯いてい黙っている

「・・・どうして付いてくるのよ」

「道がわからんから案内して貰おうと思って」

「絶対に嫌」

力強く拒否られた

「どうして!?」

「言わなきゃわからないの?」

「いやなんとなくわかる」

「できればハッキリわかって欲しいところだけど・・・」

そう言って俺の格好を見た

「わかったならいいでしょ?私は帰るから」

「ああ お前が一緒に帰りたくないのはよくわかった でも俺も困っているんだ」

俺は今の格好で帰ることは出来ない

「だから お前の着ている物をくれないか?そうしたらお互い幸せにー」

「すみません 半裸の変態が着ている物をよこせと迫ってきて」

「待ったぁーーッ!!!」

千紗のやろういきなり教員に言いやがった!

「イトコだよな俺たち!?俺の困り事はお前の困り事!お前の服は俺の服!そういう助け合い関係だろ!?」

「ちょっちょっとやめて あんまりそういう事を大声で言わないで」

「そういう事?」

「その・・・イトコとかそういうの」

「・・・」

ふむいいことを思いついた

「ふむ・・・なるほどそれじゃあ」

俺は1つ提案をすることにした

「シャツをくれなかったら俺とお前が一緒に暮らしているという事を言いふらす」

「・・・」

提案した瞬間千紗は歯を食いしばり拳を握り震えていた

「わかった 脱ぐ・・・脱ぐから・・・お願いします 家の事は言いふらさないで下さい」

そう千紗は涙を流しながら言ってきた

「ちょい待った そのセリフって傍から見るとすっげえ犯罪sy」

バチコン

いきなり後ろから殴られた

「ぐは!」

誰だ!いきなり殴ってきたのは!

殴ってきた男は千紗の手を取り走り出した

「(しまった!帰り道と服が!)」

追いかけなくては

「待てゴラァ!」

こいつ足が速い!

少し走ると

「警備員さん!変態が追ってきてます!」

こいつ警備員を呼びやがった

「(ここで警備員に捕まったらやばい!)」

 

ー耕平サイドー

俺は今村耕平

今年から伊豆大学に通うことになった

知り合いのいない大学に1人で通うのはとても緊張する

「(さっさと講堂に入るか)」

講堂に入ると後ろに男2人に女の子が1人パンツ一丁の男が1人という異色の組み合わせの4人組がいた

「(パンツ一丁だと!?この大学には変態がいるのか!?関わらずにさっさと座るべきだな)」

さっきの4人組に驚き真ん中の方のに取り敢えず座った

視線を感じたのでふと隣を見ると

パンツ一丁の男がこちらを見ていた

なぜここにはパンツ一丁の男がこんなにいるんだ?

そこで俺はこう誓った

「(こいつとだけは関わるまい)」

そう心に誓った俺は教員の話が終わったので

「(そろそろ目的の場所を探すか)」




今回は明久と伊織と耕平の3人からの視点で書いてみました
次は深く関わらせられるようにしてみます


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4杯目

4杯目どうぞ


僕はパンツ一丁の変態を警備員さんに任せた後取り敢えず雄二達と合流するために歩いていた

「えーっとまず何から話したらいいんだろ?」

あの時は咄嗟に動いてしまって後の事を考えていなかった

まずは名前を聞くところから始めないと

「先程は助けて頂いてありがとうございました」

「あっどういたしまして」

「私は古手川千紗 伊豆大学の1回生です」

「同じ1回生だったんですね 僕は吉井明久です 所でさっきの変態は知り合いですか?」

「あっえーっと」

古手川さんが言いにくそうに俯いてしまった

これは聞いてはダメな事聞いたかな?

「ごめんなさい 言いたくなかったら大丈夫です!」

言いたくないことを無理やり聞くのはダメだよね

「これから古手川さんはどこに行くの?」

「もう家に帰ろうかと」

古手川さんはそういうと携帯がなり

「やっぱりサークルの方に行こうかな」

どうやらサークルに用でも出来たみたいだ

「どこのサークルに行くの?」

「ダイビングサークル」

「そうなんだ! 僕も友達がダイビングサークルの方に行ってるみたいだから一緒に行ってもいいかな?」

「いいよ」

了承を貰えたので一緒にサークル勧誘の所へ行くことにした

 

ー伊織サイドー

警備員から逃げた俺は茂みの裏に隠れていた

「すみません この辺りに半裸の怪しい男が来ませんでしたか?」

「えー知らなーい」

そんな会話が聞こえてきた

「フーッフーッ(なぜだ・・・俺が一体何をしたって言うんだ・・・)」

「・・・お前何やってんだ?」

「うおぅ!!?」

いきなり声をかけられて変な声が出てしまった

「・・・って なんだお前か ・・・色々と事情があるんだ」

「ふぅん?ことと次第よっては助けてやらんでもないが」

「え?マジで?」

この美形オタク良い奴なのか!?

「お前実は良いヤツだったんだな!」

「今村耕平だ ・・・で何があったんだ?」

「聞いてくれ耕平!千紗のヤツ俺を家まで連れて行ってくれない上に服すら脱いでくれないんだ!」

俺はさっきあったことを簡潔に伝えた

「警備員さーん」

「ワンモアチャンスプリーズ!!」

伝えきれなかったようだ

「バカ言うなストーカーに強制わいせつ もう話を聞く余地なんかないだろ」

「だからそれには事情があるんだよ!」

「ならその事情ってヤツを留置所で話すこった じゃあな」

「待った!」

こいつの助けはもう無理か なら

「話はもういい その代わりー」

「な なんだよ」

耕平の肩を掴み

「着ている物を脱いでくれ」

俺は唯一の願い事を耕平に伝えた

 

「フゥーーッフゥーーッ」

「どこ行った?」

「くそ!」

「(やばい・・・増えやがった・・・)」

さっきまで1人だった警備員が今では5人に増えていた

「(あの野郎人の事を殴り飛ばした挙げ句警備員まで呼びやがるとは・・・)」

この格好(パンツ一丁)では逃げられない

「(とは言え服をなんとかしないとな・・・)」

助けを呼ぶにも

「(他に知り合いと言えば・・・)」

筋肉マッチョの2人を思い出す

「(もう関わりたくないが背に腹は代えられないか・・・)」

 

ー明久サイドー

サークル勧誘をしている方に歩いていると

「ダイビングに興味ありませんかー」

そんな声が聞こえてきた

「あっ古手川さん ダイビングサークルあったよ!」

「ありがとう吉井くん そういえば吉井くんは何かサークル入るの?」

「いやー僕はまだあんまり考えてないかなー」

「もしダイビングに興味あったら入ってみない?私でよかったら教えるよ?」

「ダイビングかー他のサークルも見てから決めようかな」

「そっか」

そういうと古手川さんは少し残念そうな顔をしてしまった

うー凄い罪悪感だ

「そういえば吉井くん友達はいいの?」

「あっすっかり忘れてた」

でも雄二達もダイビングサークルに入ったみたいなのでここら辺を探せば見つかるはず

目を凝らすと奥の方に雄二の姿を見かけた

「僕の友達も向こうの方にいたよ」

「そっか これからもよろしくね」

「こちらこそよろしく」

僕はそういうと雄二達の方へと歩き出した

 

「やっとみつけたよ」

「なんだ明久やけに遅かったな」

「何かやっておったのか?」

「・・・ナンパ?」

「違うよ!トイレ探してたらパンツ一丁の変態が女の子に絡んでいたから助けたんだよ」

「大学にパンツ一丁とか変態だろ」

「雄二はまず自分の格好を見直してからその発言をするべきだ!」

なんと雄二は今だにパンツ一丁なのだ

これではさっきの変態と変わらない

「明久入りたいサークルは見つかったか?」

「こっちに来る時いろいろ見てたんだけどめぼしいサークルはないね 強いて言うならテニスサークルかな」

「テニサーは止めとけ」

「なんでさ?」

「あそこはイケメンが多いからな」

「それじゃ僕にピッタリじゃないか」

「明久1つ言っておいてやる ブサイクがイケメンの中に混じると余計ブサイクが際立つぞ」

「うるさいな雄二!365度どっから見ても美少年じゃないか!」

「5度余計だ バカ」

「・・・5度多い」

「実質5度じゃな」

しまった!昔間違って覚えていたんだった

「今日のところはこっちにいとけ」

「そうじゃ明久 今日は新入生歓迎コンパがあるからお酒も飲めるぞ」

「お酒って 僕達未成年だよ秀吉」

「そうじゃったな」

なんだろう今の返事?




明久と千紗の会話どうでしたか?
違和感あればコメントお願いします


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5杯目

時が少し戻ります
伊織と先輩達との出会いを書いていきます
会話や展開は原作通りですが若干変化があります
読まなくても原作を知ってる人は飛ばしてもらっても大丈夫です


明久が伊豆に来た時と同じ頃

 

 

四月伊豆

俺は電車から降り改札を抜けると

「お 来たか伊織」

そういってこっちに手を振っている男性が居た

「おじさん」

この人は俺がこれからお世話になるグランブルーのオーナーで俺の叔父に当たる人物で古手川登志夫さんだ

さっそく俺は叔父さんの車に乗せてもらいこれからお世話になる叔父さんの店に連れて行って貰うことになった

海岸沿いを走り店に向かっている途中

「大きくなった 10年ぶりか?」

「それくらいになりますね」

「伊織これからは家族だ 敬語なんてよせやい」

「あ・・・・・・はい わかりました」

「わかってねえよ!」

そういっておじさんは大きな手で俺の頭をぐしゃぐしゃに撫でた

その後会話が途切れたので俺は窓を開け外の景色を見てふと

「海の近くの大学か―――」

そう小声で漏らしたがエンジン音と海の音に消されてしまった

 

「おじさんこれって」

「おう 俺の自慢の店diving shop"Grand Blue"だ」

とおじさんは胸を張って言った

「ダイビングショップ・・・」

「立派なモンだろ 俺は車を置いてくるからそこらでも見て待っててくれや」

「あ はい」

そう言われたので俺は店の周りを少し見て回ることにした

店の裏側には海に直行出来るように階段もついている

そこから海を見ていると

ビュオッ

「わっ」

いきなりの突風に驚き目が閉じてしまう

風が止んだので改めて海を見てみる

先程は見逃していたのだろうかウエットスーツの女性が歩いていた

彼女は髪の毛が腰ぐらいまでありとても綺麗に手入れされている。顔もとても整っており優しいお姉さんという雰囲気だ。そしてなによりおっぱいが大きい。ウエットスーツを着ているせいか胸の大きさがかなり強調されている。

そんな彼女に見蕩れているとこちらの視線に気づいたのかこちらを見た

「ドキッ」

目が合ったらだけで俺は緊張してしまった

「にこっ」

「っ!?」

なんと!彼女は俺と目が合うとニッコリと微笑みを返してくれたのだ!

「あ・・・あのっ!」

俺は勇気を振り絞り声をかけようと思ったが

「おーい伊織どこ行ったー!?」

おじさんが戻ってきたようだ

「あっはい!」

「先に中に入ってるぞー」

「今行きまーす!」

そう答えた

「(さっきの人・・・なんか・・・見覚えがあるような?綺麗な・・・人だったな)」

大学進学を機に引っ越してきた海沿いの町

聞こえてくる潮騒と照りつける陽射し

今までとは全く違う環境で

俺はどんな出会いをするのだろう―――

そう期待に胸をふくらませてドアを

ガチャ

「「「「ドドドドド わああああ ウキーーーーッ」」」」

「「アウトォ!!セーフッ!!よよいのッ」」

パタン

開けて異世界に繋がっていたようなのでそっと閉じた

「・・・・・・」

1度間を置き

「すぅーっはぁーっ」

深呼吸をしもう一度ドアに手をかけ

今までとは

全く違う環境で

俺はどんな出会いを―――

ガチャ

「「よよいのよいっ!!!」」

屈強な肉体をした男性達が野球挙をしていた

ガターンッ

「違う!俺が望んだ新生活とこの光景は180度真逆なんだよ!」

俺はそう言い膝から崩れ落ちた

「伊織 改めてようこそ 俺の自慢の店へ」

おじさんは平然とそう言ってきた

「おじさん!なんで平然としているんですか!?絶対におかしいでしょう!?」

「うん?ああ よく言われるんだよ」

やはり他の人からも苦情は来ているようだ

「俺にこのエプロンは似合ってないって」

「俺が言いたいのはそういう事じゃない!」

「なんだ?服装の事じゃないのか?」

「服装です!服装ですけど似合う似合わないの次元じゃないんです!」

俺はそう言って後ろの光景を指さした

「あーあ」

後ろの金髪の男性がパンツを脱いだ

「ギャー!!」

「いつもの光景だが?」

その言葉を聞いた瞬間俺は外に走り出した

「実家に帰らせて頂きます―――っ!!」

バタンッ

 

ー???サイドー

「ふむ ホームシックか・・・」

ここの店長の古手川さんがそう零した

「店長 今のは誰ですか?」

「叫び声が聞こえましたけど」

俺達が尋ねると

「伊豆大に入る甥を連れてきたんだがどこかへ言ってしまった」

「え?店長の甥っ子って伊豆大生なんスか?」

「この四月からな」

その言葉を聞いた俺達は顔を見合わせた

「って事は時田」

「ああ そうだな寿」

「「((新人ゲットのチャンスだな))」」

 

ー伊織サイドー

「なんだったんだアレ・・・」

俺は店が走って逃げ少ししてふと思った

「なんで店の中に裸の連中が・・・!?」

声に出してみると

「いやでもダイビングショップってそういうもんか・・・?店の中で着替えるとか・・・」

よく考えるとウエットスーツに着替えるのだから当たり前である

「だとしたら店の中に全裸の人がいるのも普通かもしれない―――」

そう思いふと後ろを向くとこちらに向かって2人の男が走ってくる

―――全裸で

「待てや新入生〜〜ッ!!」

角刈りで筋骨隆々の男が言った

「新入生確保ぉーーつ!!!」

隣の男ほどではないがかなり筋骨隆々で金髪の男が言った

「店の外だと完全にアウトだー!!」

俺は全力で走って逃げる

しかし距離はだんだんと近づいてくる

そしてかなり距離が詰まってくると角刈りの男が

「待て新人!なぜ逃げる!!」

そう問いかけてくる

「逃げるに決まってるでしょう!?なんなんですか貴方がたは!?」

「さてはお前人見知りのシャイボーイだな!!」

次は金髪の男が阿呆なことを言ってきた

「自分の今の格好分かってます!?」

俺は逆に問いかける

「そんな事はどうでもいい!!」

「良くないよ!?すごく大事ですそこは!」

「とにかく俺たちの話を聞くんだ!!」

「嫌だああああーーっ!!」

 

ガチャ

俺は角刈りの男の脇に抱えられグランブルーに戻ってきた

俺は体力には自信があったがこの2人の体力は尋常ではない

「おかえり伊織 ホームシックは治ったか?」

「まあ 男はいずれ親元を離れるもんだ すぐに慣れるさ」

「困った事があれば何でも相談してくれ」

「待って下さい どうして俺に原因があるかのような話になっているんですか」

俺はまず間違いを訂正する

「違うのか?」

「違いますよ!店に入ったらいきなり全裸の人たちがいたから驚いて逃げたんです!」

逃げた理由を説明すると

「なんだ後輩 お前は俺たちが好きでこんな格好をしていると思っているのか?」

金髪が言ってきた

「違うんですか?」

「否定はしない」

角刈りは断言した

「変態だ・・・」

俺は頭を抱えた

「まあ聞け後輩 この格好には理由があるんだ」

「そりゃ理由もなく全裸になっていたら文明レベルは原始時代まで遡りますよ」

「温故知新というヤツだな」

「ツッコミませんからね」

俺はあえてボケには突っ込まず

「それで 全裸だった理由は何なんですか?」

最大の疑問を投げかけた

「うむ 実はだな タンク準備のジャンケンをやっていたんだ」

金髪はそう答えた

「タンク準備?」

「ダイビングに使う空気の準備だ 外に置いてあっただろう?」

「ああ アレの事ですか」

店に入る前に見かけたヤツだ

「それをお客さんが使う場所まで運ぶ係をジャンケンで決めていたってワケだ」

「はあ・・・それで?」

確かに物事を決めるのにジャンケンはよく使う

「それでとは?」

「いや タンク準備はわかりましたけどそれが全裸と何の関係が?」

先程の説明では全裸になる必要が無い

「何を言っている野球挙をしていたら全裸になるのが常識だろう?」

「貴方がたは野球挙以外のジャンケンを知らないんですか!?」

「いや聞くんだ後輩 誤解しないで欲しい 俺は服を脱ぐつもりはなかったんだ」

「はあ・・・」

金髪が変なことを言い出した

「ただ自然と脱げていた 俺の言っている事わかるよな?」

「いいえ微塵も」

その説明で俺が納得するとでも?

「くだらない事を話していないで そろそろタンクを運んでくれ」

「「ういーす」」

「ちょうどいい機会だ 伊織も一緒に行ってみるか?」

「どこへです?」

「海だよ 海」




続きます


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6杯目

前回同様ほとんど原作と同じです
ほんの少し会話が変わってるところもあります


「へぇ・・・これがダイビングの機材か・・・」

俺は店の裏側に行き先程はあまり意識して見ていなかった機材を改めて見ていた

「ほいほいちょっとどいてくれ」

店内で全裸だった金髪の男が台車を持ってきた

「・・・・・・」

「ん?なんだ?」

「いや きちんと服を着るんだなって思って」

「おかしな事を言うヤツだな 全裸で人前に出たら変態だろう?」

この人は先程自分のとった行動を覚えていないのだろうか?

「・・・・・・残念です 初対面の先輩でなかったらブッ飛ばしていたのですが」

俺は心底残念そうにそう言い先輩の手伝いをしようと思った

「その台車にタンクを乗せたらいいんですね?」

「手伝ってくれるのか?すまないな」

「いえ これくらい別に」

俺はそう言って機材を台車に乗せた

「今更だが自己紹介な」

そして金髪は自己紹介を始めた

「俺は寿 竜次郎 伊豆大機械工の2年だ」

もうすぐ三年だがと付け加えた

「あ 同じ学科なんですね」

「そうなのか?」

「はい」

「それで 名前は?」

「北原伊織です 機械工学科に入学する事になりました」

「そうか サークルに同じ学科の後輩がもう1人入るのは嬉しいもんだな」

「入るとは一言も言っていませんけどね」

「そんなもの 目を見ればスグにわかるさ」

「そうですか」チッ

俺は今までで1番嫌そうな顔をしながら舌打ちをした

「・・・・・・!」

「・・・・・・!!」

無理やり入部届けに拇印を押させられそうになったが何とか堪えた

 

それから少し歩き

「ダイビングに興味は?」

寿先輩が尋ねてきた

「興味はありますよ」

「おお そうなのか」

先輩は嬉しそうに反応した

「はい なんだか 大人の趣味って感じだし お洒落っぽいし」

「リア充ってヤツだな」

「でも やる気はありません」

俺はそう答えた

「? なんでだ?やってみたくはないのか?」

「いや やってみたいとは思わなくてもないですけど・・・」

俺は少し顔を赤らめて

「俺泳げませんから」

そう告げた

「ははは!お前さては国語が苦手だろ!」

「いっ」

先輩は笑いながら俺の背中を叩いた

「な なんですか急に?」

「いやいやだってなあ」

「"やりたい"か"やりたくない"かを聞いているのに"できる""できない"で返事をするなんて文法がおかしいだろ」

「いや!でも海に潜るのに泳げないなんで・・・」

「ほんなもんは後からどうにでもなる事じゃないか」

「どうにでもってそんな簡単に・・・・・・」

「最初から自分ができるものだけ選んでいたら何も始まらない 大事なのはお前が興味を抱いているかどうかだろ」

「・・・・・・」

この先輩はただの変態な訳では無いようだ

「店長の甥って事はよくこの店に来るのか?」

「来るというか 大学に通っている間はおじさんの家でお世話になる予定です」

「そうか それならそのうち一緒に潜る機会もあるだろ」

先輩は笑顔でそう言った

「・・・どうでしょうね」

この人は本気でそう思っているようだ

「おっと上がってきたみたいだな」

先輩がそう言い海の方を見た

「あ・・・!」

なんとそこに居たのは地獄を見る前に見たウエットスーツの美人な女性だ

「下見お疲れ様です どうでした?」

「うん あの透明度ならナイトダイブも大丈夫そう」

「じゃ 予定通りタンク置いてきます」

「ありがとう 宜しくね」

「ウス!」

先輩と女性が親しげに話しているのを俺は少し離れたところからみていた

「あ」

どうやら俺に気づいたみたいだ

「いらっしゃい 伊織君」

そう言って近づいてきた

「は はいっ!初めまして!」

「初めまして?」

女性は不思議そうな顔をした

「あはは 私の事忘れちゃった?」

「へ?」

「イトコの顔を忘れるなんて伊織君ってば冷たいなぁ」

 

ジャバジャバ

俺はイトコのお姉さんと一緒にウエットスーツを洗っている

「すみません 気が付かなくて」

「十年ぶりだもんね 気付かなくてもしょつがないよ」

「なんて言うか・・・奈々華さん綺麗になっていたから」

俺は照れながらそう言うと

「ふふっありがとう」

奈々華さんは嬉しそうに笑った

「でも千紗ちゃんに会ったらもっとびっくりしちゃうわよ」

「そうなんですか?」

「姉の私が言うのもなんだけど千紗ちゃんったらとびっきり可愛くなったんだから」

「へえ・・・それはちょっと会うのが楽しみなような緊張するような」

「それで伊織君は時田君たちのサークルに入るの?」

「いえ その予定はありません」

「そうなの?ダイビングは嫌い?せっかく他にも新入生入ったのに」

「多分・・・嫌いじゃないと思います」

俺以外に新入生が入っていることに驚きだ

「じゃあ なんで入らないの?」

「せっかく 男子校を卒業したので距離を取りたいんですよ」

「距離を取るって何から?」

「決まってるじゃないですか」

俺はそう言いながらドアを開けた

ガチャ

「いいぞ寿!負けんな!」

「「「「おおおおおおお」」」」

「「「「ワーッワーッワーッ」」」」

「こういう男子校のノリってやつからですよ!」

「お 戻ってきたな後輩」

「片付けお疲れさん」

時田と呼ばれる角刈りの男がご立派様をぶら下げながら近寄ってきた

「とりあえず服を着て下さい」

「じゃあ私は伝票整理してるから伊織君の事よろしくね」

そう言って奈々華さんは仕事へ戻ってしまった

「あああああ」

「「うーす」」

俺は時田先輩に抱えられていった

「さあ今日はお前の歓迎会だ」

「いやー2日連続で新入生確保できるなんて最高だな!」

「本当だな!これでサークルも安泰だな!」

と先輩達が盛り上がっている

「そういえばその新入生って言うのはどこにいるんですか?」

「あー今は罰ゲームでお酒の買い出しに行っているんだ」

「まー戻ってくるまで乾杯でもしようぜ」

「思いっきり飲んでくれ」

そう言われて飲み物を見ると全てアルコールではないか

「待って下さい」

まずは訂正しないと

「俺はサークルに入る気ないですしそもそも未」

「それ以上言うな 後輩」

「へ?」

「俺はお前の年齢を聞いていない お前も自分の年齢を言っていない」

この人は何を言っているんだ?

「それで 皆が幸せになれる わかるな?」

「わかりませんよ!いいですか?俺はまだm」

「言わせるものか!」

がごおっ

ゴボォッ

いきなり時田先輩が俺に向かってビール瓶を投げてきた

そのビール瓶は見事に俺の口の中に入ってしまった

「ゲホゲホ 何するんですか!思いっきり飲んじゃいましたよ!?」

「いいか後輩 いや 伊織」

「なんですかっ」

「聞いているとお前は食わず嫌いが多いように思える アレは俺には合わない アレは俺の領分じゃない」

「べ 別にそんな事・・・」

思っていない

「あるだろう?やった事がないのに文句を言っているんだから」

「それは良くないな後輩 やった事もないのに全裸で公道を走るのは良くないなどと――」

「それはこっちが正しくないですか!?」

俺が間違っているのか!?

「とりあえずコレを飲んで野球挙から始めてみるべきだろう」

「そうだな何事も経験だ」

「必要のない経験を押し付けられてますよね!?」

未成年の飲酒と野球挙は絶対にいらない経験だ!

「バカを言うな 世の中に無駄な経験なんてものは存在しない」

「騙されたと思ってやってみようぜ・・・な?」

「断固拒否します!」

俺はキッパリと断る

「そこをなんとか」

「減るもんじゃなし」

「いいえ やりません!」

俺は絶対に流されないことを心に決め断言する

「俺は先輩がたみたいなノリには絶対に染まりませんから!」




続きます


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7杯目

伊織と雄二達との出会いです
あまり会話はありませんが


「俺は先輩がたみたいなノリには絶対に染まりませんから!」

俺は心に誓った言葉を口に出して宣言した

ガチャ

タイミングよくドアが開いた

「先輩たち買ってきましたよ」

「いくらなんでもこの量は買いすぎではないかの?」

「・・・適量」

入ってきたのはこれまでの先輩たちとは少し違った雰囲気の3人だ

「おーいいところに帰ってきたな」

「ちょうど今新入部員が増えたところだ」

「ちょっと先輩がた 俺はまだ」

「この後輩がここの店長の甥で北原伊織だ」

「先輩俺の話を」

「おいおい何を言っているんだ お前はもう俺たちと杯を交わしただろ?」

「あれを杯を交わしたと呼んだらダメでしょ!」

「とりあえず俺たちの自己紹介もしてもいいか?」

そう言ってきたのは180cm強の巨漢で精悍な顔立ちを持つ不良少年のような男だ

「俺は坂本雄二 昨日からここに入ることになった よろしく」

「では次はワシじゃな」

次は隣に立っている女性のようだ

「ワシは木下秀吉 高校の時は演劇部に所属しておった ワシも昨日から入ることになっての よろしくじゃ」

女性なのに秀吉って凄いギャップだ

しかも喋り方が少し爺言葉だがそれ以上に可愛いので気にならない

「あとワシはれっきとした男じゃ」

「へ?」

この子は何を言っているんだ?

こんな可愛いのに男なはずないだろ?

「仕方ないか」

「北原よ 少しこっちに来てもらっても良いかの?」

俺は言われるがまま木下さんに近づいた

「ていっ」

ぺたっ

「・・・・・・・・・へぇ?」

なんと木下さんが俺の手を取り、自分の胸へと導いていた。

なになになに!?何が起きてるの!?どういう状況!?

「・・・・・・・・・・・・っ!!(パシャパシャパシャ)」

そしてその横でこの光景をプロが持っているようなカメラを構えて撮影する奴が1人

一体何が起きてるの?

「どうじゃ 北原よ。これでワシが男じゃとわかったかの?」

「き、木下さん・・・」

「うん?」

「大学生なんだし、せめてブラくらいはつけた方が・・・」

「お主ワシの話を微塵も聞いておらんな!?」

俺は顔を真っ赤にして木下さんの胸元から手を離す

「この反応初めて明久と話した時を思い出すの」

「あーそういや秀吉 あの時も同じやり方してたな」

「・・・同じ反応」

「ムッツリーニよ お主も同じ事をしておるぞ?」

「・・・あの時の俺は未熟だった」

「あの時でも充分だっただろ!?」

俺は今の状況が整理出来ていなかった

「えっと本当に男なの?」

「だからそう言っておるだろ」

「その割には先輩達が驚いてるみたいだけど?」

「先輩達には昨日説明したじゃろ!」

「いや、あれはてっきり冗談かと」

「だから歓迎会でもあまり飲ませれなかったんだ」

「それでワシはソフトドリンクだったのかの!?」

「「「そういうことだ」」」

「ぐっ」

木下さんは悔しそうだがどこか心当たりがあるような顔をしていた

「・・・そろそろいいか?」

そう言ってきたのは先程物凄いカメラを持っていた少年だ

パッと見はとても物静かそうなのにさっきの動きは達人級だろう

「・・・土屋康太。趣味は!盗さ――何もない」

「・・・特技は、盗ちょ――特にない」

そういっている土屋のポケットからは、レコーダーが見え隠れしている

ツッコミどころが多すぎる

そしてなぜに誰も突っ込まない

「えっと趣味は盗撮、特技は盗聴でいいのかな?」

「・・・・・・(ブンブンブンブンブンブン)」

凄い勢いで否定している

でもこれ以上は追求擦るのは野暮だと思い聞くのをやめた

「では新入生4人が集まったということでもう一度乾杯をしようか」

「そうだな」

そう言って俺達4人の前にお酒が用意された

「だから俺」

「"杯を乾す"と書いて!」

「"乾杯"と読む!」

「「「「うぉぉおおおお!!!」」」」

 

ー千紗サイドー

トットッ

バイト帰りに夜道を歩いているとふと今朝お姉ちゃんが言っていたことを思い出す

『今日から伊織君も住むからよろしくね』

伊織の大学が決まった時から言われていた

「今日からは伊織がいるんだっけ」

色恋沙汰に疎い自分でも今は18歳だ

「いくらイトコだからって年の近い男と一緒に暮らすなんて・・・・・・」

流石にダメな気がする

「・・・・・・」

タッタッタッタッ

1人の男性がランニングをしているみたいだ

暗くてよく見えなかったがあまり見ない顔な気がする

「もしかして最近引っ越してした人かも」

昨日から伊豆大のダイビングサークルにも新入部員が3人入った

昨日からアパートに引越しのトラックがあったからその人だったりして

「・・・・・・十年ぶりか・・・」

そんな事を思いながら歩いているとグランブルーに着いた

ドアも開けていないのに外までバカ騒ぎが聞こえてくる

流石に伊織はあの先輩たちみたいに頭の悪い人ではないことを祈りながらドアを開けた

 

ー伊織サイドー

「だっしゃあーっナンボのもんじゃい!」

ガチャ

俺は先輩達と早飲みの勝負をしていた

「ヒューッ!やるじゃねえか伊織!」

「三人抜きたぁ 恐れ入ったぜ!」

俺はまず最初に木下さん、次に土屋、3人目に坂本を負かした

木下さんと土屋はまだ大丈夫だったが坂本はやはりかなり飲みなれているが何とか勝ちをもぎ取る

「早く負けて俺のご立派様をお披露目したいです!」

「よく言うぜ!どうせ爪楊枝だろ」

「・・・・・・」

「負かして確認してやろうじゃねえか!」

「いいでしょう!何人かかってこようとも俺のパンツは――」

そう言って振り返ったら

「あ 千紗ちゃんおかえりなさい」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ただいま」

先程までいなかった美少女が居た

「・・・・・・」

やばい

「・・・・・・(ギロり)」

「よ よう 久しぶりだな千紗 俺のコト覚えているか?これから同じ学校の仲間になるわけだし仲良く――」

そう言いながら千紗の肩に手を置いた瞬間

パシッ

払いのけられた

「・・・・・・」

千紗は少し考えてから

「お姉ちゃん これもう捨てないとダメみたい」

そう言って着ていた上着を奈々華さんに渡した

「汚れてないよ!?お前が思うほど俺はまだ汚れてないんだよ!?」

俺は必死に訴える

「・・・・・・伊織がこんな頭悪い人間になっているとは思わなかった」

ゴミを見るような目で見てくる

「違うんだ!俺のこの姿は本意ではない!」

「じゃ さようなら ゴミク・・・虫けら」

「話を!話を聞いてくれ!」

千紗は部屋の奥に入っていってしまった

「うああああ・・・なんでこんな事に・・・・・・・・・」

俺は辛さに涙が出てくる

「そうか伊織は 千紗ちゃんとも知り合いなんだよな 奈々華さんともイトコなわけだし」

「贅沢者だな 親元を離れて 海の見える部屋に引っ越し 同じ家には美人のイトコ 最高のシチュエーションじゃないか」

この人は何を言っているんだ

「たった今汚物のように扱われたばかりですけどね」

だが俺にはまだ光が

「でもいいんです 同じ家に奈々華さんがいるんですから それだけで俺は満足です」

「ああ それは諦めろ 彼女は絶対にお前にはなびかない」

時田先輩・・・この人はなんて失礼なんだ

「む・・・どういう意味ですか?」

「いやな・・・」

どうにも歯切れが悪い

「奈々華さんは隠してるつもりだろうし 実際 当事者にだけはバレちゃいないんだが――」

時田先輩が奈々華さんを見たので俺も奈々華さんを見ると

「・・・・・・」

奈々華さんが千紗の着ていた上着に顔を埋めて

ぶはああああ

めっちゃ幸せそうな顔をしていた

もしかして奈々華さん

「あの人 重度のシスコンなんだ」

「この十年であの人に何があったんだ!!?」

衝撃的事実に俺は頭を抱えた

「あんまりだ・・・今日会った人の中で数少ない癒しが・・・」

 




続きます


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8杯目

伊織の初登校まで進みます


俺は奈々華さんの衝撃的事実(重度のシスコン)に頭を抱えて少しして切り替えることにした

伊織「まあ確かにそうですね 家の中にドラマなんて求めちゃいけませんよね」

俺はそう言いながらユラーリと立ち上がった

時田「そうそう」

伊織「それならその分大学生活で頑張ります!可愛い女の子と知り合って恋愛したり仲の良い友達と青春したり!」

時田「おお燃えてるな」

伊織「勿論です!憧れの大学生になったんですから!俺は絶対にドラマのような最高のキャンパスライフを送るんです!」

俺は大学生活の目標を明言した

時田「そうか まあ戯言はいいから飲め飲め」

そう言いながらビールを渡してきた

伊織「アンタ 今俺の宿願を戯言っていいませんでしたか?」

寿「ん〜~~?楽な授業を教えて欲しいって?」

伊織「宜しくお願いします先輩」シュタッ

俺は頼み込む時の基本体勢(土下座)で頼んだ

寿「うむ 分かり易くて良いな お前は」

 

店が閉店作業をし始めたため俺達は宴会の片付けを終えていた

お酒と片付けのために動いたから体温は高いが流石にこの時期にパンツ一丁だと寒い

時田「さて 片付けも終わったし改めてどこかに行って飲むか」

寿「んだな」

まじか!さっきまでかなり飲んでたのにまだ飲み足りないだと!?

先輩1「俺は帰るわ 明日のバイト朝早いし」

先輩2「俺も終電」

どうやらもう解散するようなので

伊織「んじゃ俺も――」バッ

寿「おいおい伊織 お前は終電とか関係ないだろう?」ガシッ

時田「お前の家はグランブルーだもんなぁ?」

伊織「いやいやいや!俺も明日が初日のガイダンスですから!朝九時の講堂に間に合わないと困りますから!」

俺は必死に訴えて帰ろうとするが羽交い締めにされて逃げられない

時田「なに大丈夫だ 任せておけ」

寿「絶対に遅刻しないようにしてやる」

先輩達は笑いながらそう言った

伊織「は?はぁ・・・」

俺はもう逃げることを諦めた

 

伊織「ぅう・・・飲み過ぎた・・・」

クスクス

隣で肩までかかるくらいの黒髪がとても似合っている美少女が笑っていた

美少女「キミ 初日から二日酔いって凄いね」

伊織「ああ 色々あってさ」

俺は昨日のことを思い出しながらそう言うと

美少女「飲み会とかいかにも大学生って感じでいいよね 楽しそう」

伊織「楽しいかどうかは相手によるだろ」

美少女「そうかもね」クスクス

美少女は可愛らしく笑っている

美少女「じゃあさ・・・」

美少女「良かったら私と楽しい飲み会ってやってみない?」

伊織「へ?」

美少女「大学生活の友達第一号記念ってコトで どう?」

美少女がそんなことを言うとその隣に座っていた元気そうな金髪のショートカットの子と少しチャラそうな男が混じってきた

金髪娘「あ いいなー私も飲み会行きたい」

チャラ男「お?面白そうだな 俺もいいか?」

伊織「そ そうだな!じゃあ皆で行こうぜ!」

少し人は増えたが楽しそうでいいか

美少女「えー私は二人で行こうと思ったのに 邪魔しないでよねー」

美少女は不貞腐れながらそう言った

伊織「え?それって?」

美少女「あはは冗談冗談」

美少女は照れながら否定したがその表情もとても可愛かった

金髪娘「あははは」

これから楽しい大学生活が待っているんだ!

俺の心が踊り出すと同時に暗転して行った

 

伊織「・・・う・・・ん?」

ズキッ

伊織「いっ」

くそ!さっきの夢のような生活は夢だったのか!それにしても

伊織「くっそ頭が痛い・・・あんな飲み会に付き合ったせいだ・・・・・・」

俺は頭が痛むが朝日が登っていることに気づいた

伊織「えっと・・・今何時だ・・・?」

俺はスマホを見ると

8:48

伊織「げえっ!遅刻寸前じゃんか!何が絶対遅刻しないだよ――」

グランブルーから学校まで歩いて15分ほどかかるため走らないと間に合わないが今の状態だと走ることも出来ない

そこで今まで気づかなかった後ろからのざわめきに気づいた

後ろをむくと

ザワザワザワザワザワザ

ピローン ピローン

後ろでたくさんの人だかりが出来ていた

伊織「・・・・・・」

俺はそこから後ろをむくと

俺がこれから通う伊豆大の講堂が建っていた

寿「な?これなら絶対に遅刻しないだろ?」

伊織「アンタはバカかあああーーっ!!!」

時田「なぜだ むしろ柔軟な発想力だろう」

何故この人は当然のような顔をしているんだ!?

伊織「どこがですか!よりにもよって初日にこんな・・・」

寿「伊織 そんな事言ってると遅刻するぞ?」

時田「俺たちの心遣いを無駄にするつもりか?」

伊織「ああああ!チクショー!!」

俺は講堂に向かって走り出した

伊織「この恨み忘れませんからね!!」

俺は昨日一緒に飲んでいた坂本の存在も忘れて教室へ向かった

 

なんとか時間内に間に合った俺は後ろの方が埋まっていたため真ん中の方の席に座った

男子学生A「おい アイツ凄い猛者らしいぞ」ヒソヒソ

男子学生B「ああ 初日の朝から講堂前で酒盛りしてたらしいな」ヒソヒソ

男子学生C「すげえな・・・・・・」ヒソヒソ

男子学生D「酒くせえ・・・・・・」ヒソヒソ

少し後ろの学生達の声が聞こえてきた

伊織「(シバく・・・あの先輩ども絶対にシバき倒す!!)」

 

千紗「何やってんだか・・・」ボソッ

 




伊織「流石に裸でガイダンスに出ると教師に何か言われそうだな」
秀吉「(北原よ あの格好で学校に来たのかの)」
雄二「(流石にあれは注意されるだろな)」

ガラガラ
メガネのオールバックが特徴の教員が入ってきた

教員「ではガイダンスを始めるぞー」

教室一同「「「「「スルーした!?」」」」」


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9杯目

ー明久サイドー

明久「それにしてもあの人すごい美人だね」

雄二「あー奈々華さんか 確かに優しいし面倒見良いが・・・玲さんとある意味同じ人種だぞ」

明久「姉さんと同じって・・・もしかして、常識がないのか!?」

雄二「そういう訳では無いが、まーいずれわかるだろう」

なんだろう この先は知ってはダメなような気がする

明久「隣の金髪の人もサークルの人?」

僕の目線の先には鉄人ほどではないにしろかなり鍛えられた金髪の男性がビラを配っていた

・・・・・・・・・・・・股間の部分にアヒルが着いている全身タイツを着て

明久「どうしてこの学校には変態が多いんだ!!!」

僕は衝撃的な光景に崩れ落ちた

雄二「何かおかしな所はあったか?」

秀吉「いや、みんなしっかり衣服も着ておるし大丈夫じゃろ」

ムッツリーニ「・・・平和な景色」

明久「おかしな所だらけだよ!それに全身タイツは衣服に含まれないよ秀吉!あれは異様な景色だよ!」

もしかして僕の見ている世界と3人が見ている世界は違うのではないかとさえ思えてくる

しかしそんな確認も出来ないことを悩んでも仕方がない

明久「そういえば雄二達はいつからこっちに来てたの?」

雄二「俺は明久が来る2日前だ」

秀吉「わしは一週間前くらいにはこっちに来ておったぞ」

ムッツリーニ「・・・俺も雄二と同じくらい」

明久「みんなそのくらいなんだね それにしても雄二はこっちにいる間ほとんど二日酔いなんじゃない?」

雄二「それは否定しない」

雄二にしては意外と素直だ

雄二「そうだ明久 これを腕に貼ってくれ」

そう言って雄二は僕に絆創膏のようなものを渡してきた

明久「これって」

雄二「流石の明久でも知ってるだろ」

勿論知ってるよ パッドテストだよね

雄二「アルコールパッチテストだ って明久いきなり恥ずかしそうに赤面しているんだ!?」

明久「(いくらなんでもこれは恥ずかしい!)」

とりあえず僕の恥ずかしさが収まったらパッチテストをすることにした

それから少しすると

「「うぇぇーるかぁぁーむ!!」」

「謀ったな貴様ぁーーーーーッ!?」

遠くから悲鳴が聞こえてきた

 

ー伊織サイドー

寿「よくわからんがもう大丈夫だぞ 伊織」

俺は不本意ながらも寿先輩に助けて貰っていた

伊織「ふぅ・・・・・・助かりました」

寿「まったく・・・通報されるなんて何をやっているんだ」

伊織「それ 先輩にだけは言われたくないです」

先輩は呆れたように言ってきた

伊織「というかその格好は何ですか?」

寿「ウエットスーツの代用品だ なにせうちはダイビングサークルだからな」

伊織「・・・・・・」

そう言う先輩の格好は全身タイツだ

しかも股間の部分にアヒルがついているタイプ

伊織「ま いいか それよりちょっと頼みがあるんですけど」

寿「ん?なんだ?」

伊織「何か服を貸して貰えませんか」

寿「おいおい いきなり変な事を言い出すヤツだな」

伊織「いや変じゃないですよ 俺こんなん格好なんですから」

俺はパンツ一丁の状態なため何か衣服がほしい

寿「しかし この後飲みに行くなら二度手間になるだけだろう?」

伊織「あれ?今俺が酒を飲む上に服まで脱ぐ事を前提として話を進めてませんか?」

寿「今日は新入生歓迎コンパだ 俺たちの奢りだぞ?」

伊織「奢りというのは魅力的ですがとりあえず服をなんとかしないと・・・」

寿「貸してやりたいところだが俺もTシャツ一枚だけになってしまうからな」

伊織「昨日公道を裸で走っていた人が今更何を・・・?」

この人の羞恥心はどうなっているんだ

寿「じゃあこうするか 誰か新人を一人でも引っ張ってきたら服を貸してやる どうだ?」

伊織「そうですね・・・」

寿「飲み会も奢りだ」

伊織「それは元々でしょ」

俺は考える

伊織「先輩がたならグランブルーの場所も教えてくれるだろうし悪くないかな・・・」

考えがまとまったので

伊織「よし 乗った!」

寿「交渉成立だな ところでアテはあるのか?」

伊織「ええ 任せて下さい」

俺は思い当たる人物を思い浮かべて答えた

 

耕平「くそ・・・っ!どうしてだよ・・・っ!」ドゴッ

耕平「どうして 俺を中心にした女子高生美少女ハーレムサークルがないんだよ・・・・・・!!」

耕平「どうして・・・どうしてっ」

ポンッ

耕平「!」

耕平「お前?」

伊織「なぁ耕平諦めるなよ」

俺は悟ったように言う

伊織「諦めなければ夢は叶う 世の中ってのはそういうもんだろ?」

耕平「・・・だが 現実は冷たいんだ」

こいつもしかして

耕平「どいつもこいつも やれ「寝惚けるな」だの「大学に女子高生がいるか」だの「漫研に行け」だのと わけのわからない事ばかり・・・・・・!!」

間違いなく馬鹿だ

こいつ本気で悔しがってやがる

耕平「大学に来たら 新世界が広がって夢のような生活が待っていると思っていたのに・・・」

伊織「あるさ」

耕平「・・・え・・・?」

伊織「あるに決まってる 新世界も夢の生活も ただ お前はその入口に気付いてないだけなんだ」

耕平「そう・・・なのか・・・?」

伊織「ああ どうだ?一緒に――夢の入口に踏み込んでみないか?」

俺はそう言って耕平に手を伸ばした

 

寿・時田「「うぇぇーるかぁぁーむ!!」」

耕平「謀ったな貴様ぁーーーーーッ!?」

伊織「ふぅ・・・服は人類の叡智の一つだなぁ・・・」

それは衣服の有難みを全身で味わっていた

耕平が何か言っているが気にするまい

 

ー明久サイドー

時田「新入生はこっちに集まってくれ」

角刈りの先輩が集合をかけた

時田「さて それでは新入生諸君 ダイビングサークル『Peek a Boo』へようこそ!」

寿「早速だが席を決めるので皆さっきテープを貼った腕を出して並んでくれ!」

指示された通り新入生と思われる人達は金髪と角刈りの先輩の前に並んだ

時田「よし Cテーブルに行ってくれ」

寿「お前は 向こうのBテーブルだ」

そして前に並んでいた雄二の番だ

時田「おーしっかり来たな雄二 お前達は安心してAテーブルに行ってこい」

Cテーブル・・・ソフトドリンク アルコール度数0%

Bテーブル・・・ビール、サワー類 アルコール度数3~8%

Aテーブル・・・ウイスキー、ウオッカ類 アルコール度数20%~

雄二「おかしくねーか!先輩!」

先輩A「おー坂本こっちこいよ」

先輩B「木下も土屋もこっちこい」

秀吉「いやじゃー!向こうがいいんじゃー!」

ムッツリーニ「・・・・・・・・・・・・」(フルフルフルフル)

秀吉が叫ぶなんてお化け屋敷以来じゃないだろうか?

ムッツリーニはいつも否定してるよりも首振りが激しい気がする

明久「(これやばいんじゃないか?捕まる前に逃げてしまおう)」

雄二「よー明久 なに逃げようとしてんだ?」

先輩A「なんだ 坂本の友達か?ならこっちで一緒に飲もうじゃないか」

明久「嫌だー!」

必死に逃げようとしていると隣でも

先輩C「お!昨日の新人か!こっちだこっち!」

先輩B「今日も楽しく飲もうじゃないか」

先輩D「よーし今日の野球挙は負けねぇぞ」

伊織「チェンジ!Bテーブルにチェンジで!!」

なんとさっきまでパンツ一丁の変態がTシャツを着て僕と同じ状況になっていた




明久&伊織(強制)入部おめでとう


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10杯目

新入生歓迎会始まります


ー明久サイドー

明久「(くそ!こんな度数の高い飲み物しかないテーブルなんて嫌だ!)」

伊織「(どうやって逃げ出してやろう?)」

隣に居る男性(元変態)も同じことを考えている顔をしている

明久「ねーキミ 一緒に逃げない?」

僕は小声で逃亡案を出してみた

伊織「いいな 流石に1人で逃げるのは難しいから協力者が欲しいと思ってたんだ」

どうやらこの男性も同じことを考えていたようだ

伊織「自己紹介がまだだったな 俺は北原伊織だ よろしく それで逃げるのはいいが何かいい案でもあるのか?」

明久「僕は吉井明久 こちらこそよろしく まずは状況を整理しよう」

簡単に名前だけの自己紹介をする

伊織「そうだな 今いる敵は5人」

明久「雄二と先輩達4人だね」

伊織「なんだ?雄二のこと知っているのか?」

明久「高校が同じだったんだ 秀吉とムッツリーニも同じ学校だよ」

伊織「そうなのか なら協力してもらうことは出来ないか?」

明久「うーん ちょっときついかな」

雄二の事だ 多分策を練っているだろう

秀吉とムッツリーニは雄二と一緒にいるため説得が出来ない

伊織「なら俺らで逃げるしかないか」

明久「そうだね タイミング良く逃げたら何とかなるかもしれないからね」

伊織「なら 乾杯のタイミングとかどうだ?」

確かに乾杯の時ならみんな話してる人の方向いているしいいかもしれない

明久「いいね そのタイミングで逃げよう」

 

時田「えー今日は集まってくれてありがとう」

どうやら乾杯の音頭は角刈りの先輩が取るようだ

時田「しっかり楽しんでいってくれ では乾杯!」

「「「「「「乾杯!!!!」」」」」」

明久・伊織「「((今だ!))」」

完璧なタイミングで走り出そうとした瞬間

ガシッ

ガシッ

僕の肩に雄二の手が、北原君の肩に金髪の人の手によって捕まってしまった

明久・伊織「「なんだと!?」」

雄二「俺がお前の考えを読めないと思うか?」

流石は元神童、僕の考えを読めるなんて!

雄二「まータイミングなんて誰でも読めるがな」

しかし甘いな 今の僕には仲間が居るんだ!

明久「きt」

名前を呼ぼうとした瞬間

伊織「吉井!この場は任せた!」ドン

そう言って北原は先輩の手を振りほどいて僕を押して逃げ出していた

伊織「悪いな 吉井!」

明久「貴様ああああああああぁぁぁ!」

あの野郎裏切りやがったな!

周りには雄二と金髪の先輩を含めた4人に囲まれた

雄二「まー明久 そう逃げるなよ」

雄二の笑顔がめちゃくちゃ怖かった

明久「北原の方追いかけなくていいの!?」

雄二「バカか明久?俺が何も策を考えていないわけないだろ?」

そう言って直ぐに

伊織「ぐあああああああああああ」

明久「え?」

振り返るとムッツリーニと秀吉が2人で北原を抱えて帰ってきた

ムッツリーニの手にはスタンガンが握られていた

雄二「明久用が役に立ったな」

明久「あれ僕用だったんだ」

TITAN-GB8って書いてある

確か国内最強のスタンガンじゃなかったっけ?

 

雄二「さー落ち着いたことだし飲み物でも飲もうか」

僕らの逃走劇から少しして北原が起きたので飲み会が開催してしまった

明久「ならウーロン茶を貰おうかな」

ウーロン茶なら多少お酒が入ってもウーロンハイ位で済むだろう

伊織「あっ なら俺にも同じのを」

どうやら北原も同じ考えのようでウーロン茶を頼んだ

雄二「先輩方ウーロン茶2つお願いします」

先輩D「よし わかった」トクトクトク

ウオッカ・・・9

ウイスキー・・・1

先輩D「ほい ウーロン茶」

明久・伊織「「これは俺の知っているウーロン茶じゃない!」」ドン

雄二「何言ってんだお前ら?ウーロン茶と同じ色をしているだろ?」

明久「見た目が同じでも中身が全然違うじゃないか!」

先輩C「そうだぞ新人 しかも色だけじゃなくて火までつけられるんだぞ?」

伊織「火がつく時点でそれはもう大部分がアルコールだ!」

そんなやり取りをしていると角刈り先輩と金髪先輩がこっちやってきた

時田「おいおい お前らあんまり新人を苛めるなよ」

寿「ほら二人とも水だ」

明久・伊織「「ありがとうございます」」

僕は貰った水を飲む

明久「ブハッ!」

なんなんだこれは!?

僕が吹き出したのを見た伊織は貰った水?に火を近づけた

シュボッ

ボウッ

着火してしまった

伊織「・・・どうしてこの水 火がつくんですかね」

時田「可燃性なんだろ」

寿「色はきちんと水なんだ 気にするな」

伊織「貴方がたは飲み物を色でしか識別出来ないんですか!?」

明久「(一体どんな生活をしたら飲み物を色で識別するようになるんだ?)」

先輩達の異様さを実感しながら周りを見渡すと

CテーブルとBテーブルでは合コンのような所から女子会のような華のある飲み会が開かれていた

その風景を神速の如きスピードで撮影するムッツリーニ

そして自分の居るAテーブルを見直すと

時田「"杯を乾す"と書いて!」

寿「"乾杯"と読む!」

先輩一同「「「「「せーのーかんぱーい!!」」」」」

 

飲み会が始まって1時間ほどしてから

僕はその雰囲気が遠ざかるように茂みの方へと逃げた

すると近くで北原と古手川さんが話していた

伊織「なー千紗 さっき俺をシバいた奴知らないか?」

千紗「知らない」

そんな会話が聞こえてきた

後ろからシバいたやつを探してるみたいだ

明久「(よかった 顔は見られてないみたいだな)」

安心した僕は2人に近づき

明久「2人ともここで何してるの?」

伊織「あー俺はあの人らと距離を起きたくてな 吉井もだろ?」

明久「僕もそんな所かな 所で何か大切な話でもしてたの?」

伊織「いやーガイダンス終わって千紗と歩いていたらシバかれたんだよ そいつすぐ走って逃げていったからどんな奴か分からなくて 吉井何か知らないか?」

明久「さー知らないなー」

ここはシラを切っておいた方が良さそうかな

明久「それにしてもいきなり後ろからシバくなんて最低だね」

伊織「ホントそうだよな」

明久・伊織「「ハハハハハ」」

ガシッ

いきなり伊織が僕の手首を握ってきた

明久「どうしたの?」

伊織「いやー 俺の勘違いだったら悪いんだけど俺いきなり後ろからシバかれたなんて言ったっけ?」

明久「言ってたよー」

僕は笑いながら嘘をつく

冷や汗で背中はびっしょりだ

伊織「俺言ってないよな?」

やばい 多分これ僕って気づいてる

手を振りほどこうにもこいつめっちゃ握力強い

こうなったら

明久「チェストー!」

狙うは急所の喉!

右手が封じられていたので左腕で喉を狙うが

伊織「な!」

北原は咄嗟に体を右側に倒し避けたが僕の右手も離してしまった

伊織「しまった!」

走って逃げるのもいいが北原はかなり足が速いため逃げ切れるかは五分五分だ

そんな時

雄二「お前ら何してんだ?」

酒瓶を両手に持ち雄二がこちらに歩いてきた

明久「助けて雄二!いきなり北原が襲ってくるんだ!」

伊織「何言ってやがる!元はと言えばお前が殴ってきたのが原因だろうが!」

雄二「まーまー落ち着け2人とも こういう時は勝負で決めたらいいんじゃないか?」

伊織「ほう」

明久「勝負?」

雄二「丁度今酒があるから早飲みでいいんじゃないか?」

そう言って雄二は酒瓶を見せてきた

明久「それはいいね」

伊織「やってやろうじゃねーか」

そう言って雄二から酒瓶を貰い構えた

雄二「準備出来たか?じゃーよーいドン」

明久・伊織「「ゴクゴクゴク」」

明久「(これやばい!思ったより量が多い!)」

伊織「(このくらいなら昨日散々飲み散らかしたわ!)」

10秒後

伊織「ぷはー!」

雄二「伊織の勝ちだな」

明久「ちょっと待ってよ!誰も一本勝負なんて言ってないよ?」

伊織「往生際の悪いヤツめ」

雄二「まー明久は今日が初めてだ 昨日飲んでた伊織よりも条件が悪かったのは確かだな」

そう言って雄二は少し考える

雄二「じゃー3本先取ならどうだ?」

明久「(勝つには少なくとも3回飲まなくちゃいけないのか)」

僕が考えていると

伊織「俺はいいぜ まー吉井がやめて欲しいって言うなら辞めてやるがな」

明久「何を言っているんだい やるに決まっているじゃないか!」

雄二「ちょっと待っとけよ 酒を持ってきてやるよ」

そう言って雄二は酒瓶を取りに行ってしまった

明久「(缶ビールとジョッキでも良かったんじゃ?)」

 

明久「しゃー!これで2勝目!」

あの後3回飲み2勝2敗まで繋げることが出来た

伊織「くそ こいつ段々早くなってきてやがる」

追いついたはいいが正直もう飲めない

多分これは北原も同じだろう

雄二「じゃー5本目いくか」

明久「ちょっと待ってよ 雄二 流石にお腹が」

伊織「なんだ吉井?ギブアップか?」

明久「なんだと!?やってやろうじゃねーか!」

僕が北原の挑発に乗った直後

寿「なんだお前ら?こんな所で飲んでたのか?」

集団の中から先輩がこちらに歩いてきた

雄二「実は」

雄二が先輩に事情を説明をしている

寿「なんだそんな事か それでビール瓶を何本も持って行ってたんだな」

雄二「そういうことです」

寿「しかし 喧嘩は良くないな せっかく勝負しているんだ これで勝負したらいいじゃないか」

そう言って先輩は持っていた酒瓶を渡してきた

テキーラ・・・40度

明久「馬鹿じゃないですか!?」

伊織「なんですかこれは!」

雄二「まーとりあえずこれで決着を付けたらいいんじゃないか?」

明久「ぐっ やってやる」

伊織「やってやろうじゃねーか」

雄二「なら早く準備をしろよ」

ゆっくり時間をかけながら準備をする

雄二「じゃースタートするぞ よーいドン」

僕達はテキーラを飲みだした

その目の前で金髪オタクの今村が変顔をしていた

明久・伊織「「ブハッ!」」

伊織「耕平何やってやがる!」

明久「そうだよ!せっかくの勝負が!」

耕平「いやなに 面白そうなことをしていたからな」

雄二「あーあ せっかくのテキーラが これじゃ飲み直しだな」

寿「テキーラが嫌なら俺のとっておきを持ってきてやる」

そう言いながら寿先輩が酒を取りに行った

明久「(流石にこれ以上テキーラはヤバい)」

伊織「(いくらなんでもこれ以上は飲めない)」

勝負を有耶無耶にする策を必死に考える

明久「(くそ!アルコールのせいで頭が回らない!)」

必死に考えようとするも

寿「酒あったぞ~」

そう言って先輩が戻ってきた

明久「(これは諦めるしかないのか)」

伊織「(腹を括るしか・・・)」

寿「ほれ」

そして先輩が渡してきたのはテキーラ

ではなくスピリタスだった

スピリタス・・・アルコール度数96%

明久・伊織「「((これはダメだ!))」」

瞬時に伊織にアイコンタクトを送る

伊織は頷いたので意思が通じたのだと思う

明久「いや~先輩!実は」

伊織「俺達もう仲直りしたんですよ!よし・・・明久!」

明久「めっちゃ仲良くなったんですよ!きたは・・・伊織!」

寿「なんだ 仲直り出来たのか?」

明久・伊織「「((危なかったー!))」」

何とかスピリタスを飲むのは避けられそうだ

寿「じゃー仲直りの印に乾杯だな!」

明久・伊織「「え!?」」

僕の今日の記憶はここで途切れてしまった




耕平「誰かを潰して逃げようと思ったがバカ2人のおかげで逃げられそうだな」
雄二「なんだお前?せっかく来たんだから飲んでいけよ」
耕平「うっ ま、まーしゃないか」ゴクゴクゴク

耕平「ウオッカァァああああ――!!」

雄二「良い飲みっぷりだったな」
耕平「貴様!騙したな!」
雄二「悪い悪い ほら これはウオッカじゃないぞ」
耕平「初対面でいきなりウオッカなんて飲ませるなよ」ゴク
雄二が耕平の手を固定し強引に中身を口に入れる
耕平「おま!何しやがる」グラ
雄二「すまんな 2人入会させたらテーブルを交代できてな」
雄二は悪びれもなくテーブルを移動して行った


ー講堂ー
ガヤガヤガヤガヤ
僕は何とか授業に出席が出来た
隣に伊織、耕平も座っている
3人ともパンツ一丁で

教員「では授業を始めるぞー」

《やはりスルーする教員》


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11杯目

今回少々暴力的シーンが含まれます
流血、暴力が苦手な方はぐらんぶるもしくはバカとテストと召喚獣の原作を読んで耐性を付けてから読むことをオススメします(そこまで大それた内容ではありません)


ー奈々華サイドー

奈々華「伊織君は玲の弟君と一緒にサークル入ってくれるみたい」

私はパソコンを打ちながらダイビングショップ"Grand Blue"の店長で私の父(古手川登志夫)に伝えた

店長「おっ そりゃ良かった ダイビングに興味を持ってくれるのは嬉しいもんだな」

奈々華「そうね~でも・・・」

伊織君とはこの前から来ている私や千紗ちゃんのイトコで今年から伊豆大学の1回生

大学生になってハメを外してしまっているのが気になってしまう

奈々華「伊織君は二晩連続外泊なんて 今度注意しなくちゃ」

 

ー明久サイドー

明久「流石にあんなにお酒を飲んだら頭が痛いよ」

僕はフラフラした足取りで家に帰っている中隣で歩いている悪友の雄二に話しかけた

雄二「バカみたいにお酒を飲むからだぞ」

明久「あんな勝負を提案した張本人がよく言うよ」

この二日酔いの原因は雄二も関係している

明久「そう言えば雄二はあんまりお酒飲まされなかったの?」

雄二「あー俺はBテーブルで飲んでたからな」

明久「あれ?一緒にAテーブルで飲んでなかったっけ?」

雄二「先輩と賭けをしていてな 2人入会させたらテーブルを移動してもいいって言われたんだ」

明久「それで僕を売ったと それでもあと1人足りないよね?」

雄二「もう1人アニメのTシャツを着ていた金髪を(無理矢理)入会させてな」

明久「僕達が倒れている間にそんなことしてたんだ」

それでこいつは1人楽しくお酒を飲んでいたということか

・・・・・・女の子と楽しく

明久「死ねー!」

僕は二日酔いのせいで頭が痛むがそれを無視して雄二に右フックを放つ

雄二「ふん」

雄二は余裕そうにそれを避け僕の顎に右のアッパーを叩き込んだ

明久「グハ!」

僕はアッパーで体が少し浮いてしまった所を雄二の左のストレートが襲う

僕は防御出来ずに雄二の拳をモロに受けてしまった

頭の痛みより顎と鳩尾の痛みに悶えながら体をくの字に曲げ地面に横たわった

雄二「俺が女性のいる所で飲んでるわけあるか」

そう言い残し雄二は歩いていってしまった

明久「この怨みいつか必ず返してやる!」

僕の声は雄二に届かないほど小さな声しか出なかった

そして

明久「(あいつ僕を放置して行きやがった)」

薄情にも雄二は僕を置いて帰ってしまった

僕は痛みが治まるまで動けそうになかったためその場に横たわっていると

伊織「おーい明久 そんな所で寝てると風邪ひくぞー」

昨日一日で飽きるほど聞いた声が聞こえてきた

明久「(この声は伊織か)」

僕は視線だけを動かし声のする方を見た

すると伊織と古手川さんが一緒に歩いていた

伊織「こんな所で何やってんだ?」

明久「いやー雄二に殴られてダウンしてたんだ」

千紗「一体何をしたら倒れるような力で殴られるのよ」

古手川さんはハァとため息を吐きながらそう言った

明久「2人は一緒に帰っているの?」

伊織「千紗に家まで送って貰っているんだ」

明久「伊織、いくらモテないからってストーカーはダメだよ?」

伊織「お前俺の話聞いてないだろ!?」

明久「でもなんで自分の家の場所が分からなくなるの?」

伊織「実はな」

そう言って伊織は先輩達との出会いから衝撃的な初登校までの流れを話してくれた

伊織「てなことがあったんだ」

明久「なかなか凄い1日だったんだね」

僕の高校生活と遜色ない位の1日を過ごした伊織を労ってからここまで隠していたことを伝える

明久「でもそれならいいの?古手川さんもう走って帰っちゃったよ?」

古手川さんは伊織と僕が話しいてる間に逃げるように走っていってしまった

古手川さんとは歓迎会が始まる前までは普通に話していたのに今日起きたらバカを見るような目で見てくるような気がする

伊織「あいつ逃げやがった!」

伊織はそういうもどこへ逃げられたか分からない古手川さんを追うことは出来ずにいた

伊織「これで帰る方法が無くなっちまった」

伊織は崩れ落ちている

流石にこのまま放置する訳には行かないが伊織が家の場所を覚えていないんじゃ送り届けることも出来ない

明久「何か目印になる物とかないの?」

伊織「目印になる物というか住まわせてもらっている所がダイビングショップなんだ」

明久「ダイビングショップって言ってもそこそこあるよね」

僕らがいる所の近くには海があるためダイビングショップはかなり揃っている

そこから伊織の家を探して当てるのは至難の業だろう

行先が決まらないまま時間が過ぎていく

明久「どうしよっか」

何も案が出ずに30分が経つと伊織の携帯に着信が入った

伊織は携帯を見ると返信に困っていた

明久「そんなに難しい内容だったの?」

僕が尋ねると伊織はメールの内容を見せてきた

To奈々華さん

伊織君まだ帰ってこれなさそう?

明久「チェストー!」

僕は頭の痛さを忘れ伊織に殴りかかった

顎の先を殴り脳を揺らしたあと頸動脈を抑えて意識を刈り取った

3年に進級してから鉄人と雄二を倒すために鍛えた技がこんな所で役に立つとは

伊織「・・・・・・」グッタリ

僕は伊織の意識がない間にやることを済ませているうちに伊織が起きた

伊織「ぐっ 一体何が?あ、明久!?いきなり何しやがる!?しかもその衣装は何だ!?」

僕は今お馴染みのFFF団の格好をしている

ムッツリーニ「・・・明久」

いつの間にか来ていたムッツリーニが声をかけてきた

明久「拷問器具の用意は?」

ムッツリーニ「・・・用意できる分は持ってきた」

そういってムッツリーニはサンタクロース顔負けの袋に多種多様の拷問器具を詰め込んできたようだ

流石ムッツリーニだ 女性絡みになると行動力は教師をも凌駕する

伊織「ちょ、ちょっと待ってくれ!一体何が起きてるんだ!?」

明久「異端者に発言権はない」

伊織「ひど!せめて弁明を!」

明久「ムッツリーニ、ペンチを」

伊織「ちょっと待て明久!俺の体を爪要らずの体にするつもりか!?」

明久「両手の爪?生無温い、両手の爪を剥いだ後舌を抜いてから弁明を聞いてやろう」

伊織「お前は悪魔か!?あと舌を抜いたら話せないだろ!!」

明久「女性に手も口も出せないようにしてやる」

伊織「俺はDV彼氏か!?流石にやりすぎだろ!」

ムッツリーニ「・・・女性と同棲しているだけでも万死に値する」

伊織「何を言ってるんだ!?」

明久「今のメールの内容は家で待ってる彼女からだろ?」

伊織「そういうことか!明久1つ誤解を解きたい!」

明久「? 仕方がない 聞いてやろう」

伊織「あれは千紗のお姉さんだ」

明久「古手川さんの?」

伊織「そうだ」

ムッツリーニ「・・・奈々華さん」

さっきのメールの名前と同じだ

伊織「そうだ さっきまだ帰ってこないのかというメールが入っただけなんだ」

明久「なんだ そういう事だったのか」

少し落ち着いてきた

ムッツリーニ「・・・・・・」スッ

ムッツリーニが鼻血を大量に出しながら写真を見せてきた

写真には1人の女性が水着姿で写っていた

明久「何これ?そしてこの巨乳でめっちゃ美人な人は誰?」ポタポタポタ

やばい!鼻血が止まらない!

ムッツリーニ「・・・・・・奈々華さん」ブシャッ

バタン

ムッツリーニは最後の力を振り絞りそう言うと血を出し切り倒れてしまった

明久「こ、これが な、奈々華さん、だと?」

僕は衝撃的事実に驚きながらもとりあえず今やることは決まった

明久「伊織、遺言は?」

僕は後ろで縛られて横になっている異端者を処分することにする

伊織「や、やめろーー!!!」

伊織の言葉に耳を貸すことなく僕は伊織に過去最高レベルの拷問を気が済むまで行った

処刑を終わらせるとムッツリーニに輸血を済ませた後写真を回収し家に向かって歩き出した




秀吉「伊織よ 大丈夫かの?」
ワシはつい最近仲良くなった友人が横たわっていたので声をかけてみる
伊織「あー秀吉か 逆にこれが大丈夫に見えるか?」
そういう伊織の体はボロボロになっておるし
伊織が倒れている少し隣には血の池も出来ておる
秀吉「一体何があったのじゃ?」
伊織「実はな・・・・・・・・・・・・ということがあったんだ」
秀吉「それは災難じゃったな」
伊織「あんなに豹変するなんて明久の過去に何があったんだ?」
秀吉「それは本人の口から聞くのが一番じゃろ」
伊織「確かにそうしたいが体が動かねーから帰れそうにないな」
秀吉「ほれ肩を貸してやるのじゃ グランブルーまででいいかの?」
伊織「すまねー 助かる」


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12杯目

今回は原作とほとんど同じ内容になってます


ー伊織サイドー

伊織「た、ただいま、戻りました」

俺は明久にやられてボロボロになっていた所を秀吉に助けてもらいなんとかグランブルーまで戻ってくることが出来た

秀吉「ただいま戻ったのじゃ」

寿・時田・店長「「「おう おかえり二人とも」」」

出迎えてくれたのは大学とサークルの先輩の寿先輩と時田先輩、それとここの店主の古手川登志夫さんだった

寿「伊織大丈夫か!?」

時田「そのケガどうしたんだ!?」

店長「一体何があったんだ?」

三人は心配そうに駆け寄ってきてくれた

・・・・・・裸エプロンで

伊織「おぶっ!?」

俺はその原子的な格好に体中の痛みを忘れて吐きそうになる

まさか人生初の裸エプロンをこんなマッチョな男三人で経験してしまうなんて

伊織「なんて格好してるんですか!?」

三人は互いを見合ってから笑いだした

寿「ああ この格好か」

時田「この後潜るからその準備をしていたもんでな」

店長「この下にはきちんと水着を着ているから安心しろ」

伊織「なんだそうだったんですか」

俺はそれを聞いてほっと一安心した

奈々華「お父さん ちょっと来て~」

店長「ん?」

店長は奈々華さんに呼ばれたので店の奥へと入っていった

伊織「ちゃんと水着を履いていたんですね」

寿「それよりも伊織そのケガはどうしたんだ?」

伊織「あ、このケガですか?」

俺はさっきまでやられていた事を説明するが

時田「ハッハッハ そんなすぐに拷問器具を手に入れれるわけないだろ?」

寿「そうだぞ 伊織 変な冗談はよせ」

時田「二日酔いで転んだってところだろ」

伊織「本当のことなんですが」

なかなか信じてもらえない

俺自身身に起きたことを理解出来ていないため少し自信が無いからこの反応は仕方がないのかもしれない

俺の説明を聞いていた秀吉は心当たりがあるみたいで苦笑いをしていた

ピロリン

そんな時秀吉の携帯にメールが入った

秀吉は携帯を見た途端みるみる顔が青くなってきた

伊織「秀吉大丈夫か!?」

秀吉「だ、大丈夫なのじゃ しかし急用が入ってしまっての ワシはここで失礼しようかの」

寿「そうなのか それは仕方がないな 気をつけて帰れよ」

時田「くれぐれも不審なやつにはついて行くなよ」

伊織「それを先輩が言いますか」

秀吉「それではお先に失礼するかの 伊織よ また明日なのじゃ」

秀吉は優しい笑顔でそう言って店から出ていった

伊織「・・・・・・」ポケー

俺が秀吉の笑顔に見蕩れていると

寿「伊織大丈夫か?」

寿先輩が顔を覗き込んできた

寿「人の顔を見るなり口を抑えて蹲るなんて酷いやつだな 本来は粗相としてお酒を飲ませたいところだがこれからやる事があるから勘弁してやろう」

寿先輩がそんなことを言っていると

奈々華「寿君と時田君もちょっといい?」

奥で作業をしていた奈々華さんが呼んでいる

寿・時田「「ん?」」

二人とも奈々華さんに呼ばれた方を向くと

伊織「おぶっ!?」

二人ともエプロンの下は全裸だった

伊織「嘘つきぃぃぃぃぃぃーっ!!」

この人達さっき水着着てるって言ってなかったか!?

伊織「やっぱり裸じゃないですか!!」

寿「お?」

時田「おお 気付かなかった」

伊織「気付かないほど全裸に馴染んでいるなんて・・・」

奈々華「今日のお客さんなんだけど――あっ」

そう言って奥の部屋から奈々華さんが出てきた

奈々華「おかえりなs 伊織君!大丈夫なの!?」

本当に心配そうに声をかけてくれる

伊織「所々痛いですが大丈夫です」

伊織「(それにしてもこんなに心配してくれるなんてやっぱり奈々華さんは天使だ、シスコンだけど)」

俺は心底心配してくれた奈々華さんに対してとても嬉しく思った。がその直後奈々華さんの格好を見て落ち込んだ

伊織「ああ・・・奈々華さんだけは普通なんですね・・・」

奈々華さんは先輩達とは違い普通に服を着てスカートを履いていた

奈々華「?」

奈々華さんは俺が何を言っているのか分からないといった顔をしている

店長「んで お客さんがどうかした?」

奈々華「急病の人が出たみたいで来週に延期して欲しいって」

店長「なんだ そりゃ残念だな」

時田「って事は今日のダイビングは中止か」

店長と時田先輩は残念そうに言う

寿・時田「「仕方ない たまには服でも着るか」」

伊織「普通は常に着ているもんですけどね」

先輩達は仕方がないといった表情で服を着だした

店長「それにしても腹が減ったな」

奈々華「そうだね そろそろお昼ご飯食べよっか」

そう言うと奈々華さんは直ぐに昼食を用意してくれた

奈々華「はい それじゃあ」

伊織・千紗・寿・時田・店長・奈々華「「「「「「いただきます!」」」」」」

昼食は焼きそばでその上に目玉焼きが乗っているシンプルなメニューだ

伊織「先輩方ってよくここで昼飯を食ってるんですか?」

時田「そうだな 手伝いに来ている事が多いからな」

寿「雑用とかアシスタントとかでな」

それでよく店にいるのか

店長「折角来て貰ったのに中止でスマン」

寿「急病じゃ仕方ないですよ」

時田「さーて夜の飲み会まで空いちまったな」

寿「ああ そうだな」

寿・時田「「伊織夜までどうする?」」

二人は俺の方を振り向く

伊織「なぜ そこで俺に振るんですか」

時田「? じゃあ現地集合したいって事か?」

伊織「今日は飲み会に参加しないって言ってるんです!!そもそも今日飲み会があるってのが初耳だよ!!」

すると時田先輩がとても険しい顔をして

時田「飲み会に参加しないなんてお前は一体何のサークルに入ったつもりなんだ!!」

伊織「え!?ダイビングじゃないの!?」

ここダイビングサークルだよな!?

奈々華「・・・伊織君」

伊織「はい?」ビクッ

いつもと違う奈々華さんからの声に少し驚く

奈々華「今日も夜遊びなんて許しませんからね」

あれ?これもしかして怒ってる?

伊織「あの・・・奈々華さん・・・・・・?」

奈々華「伊織君ウチに来て三日目だけど知ってる?」

伊織「えっと・・・何をでしょうか?」

奈々華「自分の部屋がどこにあるのかを」

伊織「ハッ!」

俺はこっちに来てからの生活を思い返す

伊織「・・・・・・俺こっちに来てからろくな寝方してねえ」

1日目は講堂前

2日目は大学内で寝ている

寿「?授業にきちんと出ていれば睡眠は充分なはずだろう」

この人はなんて事を言うんだ!?

伊織「学費を出してくれている親御さんに謝れ!!」

一体学費にいくらかかっていると思っているんだ!

伊織「言われてみれば俺自分の部屋にまだ一歩も入ってなかったです・・・」

奈々華「でしょう?大学生になってはしゃぐ気持ちもわかるけど来てから三日連続で夜遊びなんてダメよ 今日は家でちゃんと寝て貰うからね」

奈々華さんは勘違いをしている

伊織「俺自ら望んで夜遊びをしていたわけじゃないんどすが・・・」

しかしこの言い分は使えそうだな

伊織「奈々華さんの言う通りです 今日はおとなしくココにいる事にします」

俺は振り返り先輩達に言った

伊織「という事で今晩は不参加です いいですよね?」

時田「まあ 仕方ない」

寿「伊織は不参加か」

伊織「・・・」ニヤリ

店長「お客さんが来ないから用意した道具をしまっておいて貰えるか?」

寿「ああ そうですね」

時田「わかりました」

伊織「いやーホントすみませんね 今日の飲み会は参加出来なくて」ニヤリ

俺は今世紀最大に勝ち誇った顔で言うと

時田「なにいいさ そういう事なら仕方ない」

寿「今日の飲み会は青海女子大学との交流会だしな 伊織が来れなくても雄二や明久、耕平とかもいるし人数は足りるだろ」

え?

伊織「・・・・・・女子大・・・だと?」




誤字脱字ありましたら報告してもらえると嬉しいです


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13杯目

キャラ紹介とかってやった方がいいのか悩みながら書いていました
もしあった方が良いならご意見下さい


ー明久サイドー

明久「チッ伊織のやつ古手川さんだけでなくあんな美人な人とも同棲していたとは」

僕は伊織の拷問を終えた後その事を雄二に連絡を入れておく

ピロリン

メールを送ったあと直ぐに着信が入った

明久「誰からだろう?」

メールは伊織以外の新入生に一斉送信されていた

送信者はサークルの先輩だ

 

To時田

今夜青海女子大学との交流会

 

完結にして最高な言葉が書いてあった

明久「合同コンパだと!?」

しかも相手は美少女ぞろいの青海女子大学!

これは期待出来る!

僕は二日酔いの頭の痛みを忘れて走って帰った

しかし僕はやらなくてはいけないことを思い出したので再び携帯を取り出した

 

ー雄二サイドー

俺は明久をノックアウトした後部屋に戻りくつろいでいると明久からメールが入っていたが無視をしていると

ピロン ピロン

俺の携帯に新たにメールが入った

一応確認のためにメールを見てみると一通目はサークルの先輩だ

 

To時田

今夜青海女子大学との交流会

 

ほほう交流があるらしい青女とか

雄二「ん?もう一通メールがきてる」

もう一通のメールをを見た瞬間俺は携帯を落とした

 

To翔子

浮気は許さない

 

ー明久サイドー

僕は家に帰ると最初に血がついてしまった服の洗濯をしてから返り血を洗い流すためにシャワーを浴びていた

明久「そう言えばグランブルーに挨拶行かなくっちゃ」

こっちにに来てから色々あって挨拶に行けてないのでこの後行くことにしよう

僕はシャワーを浴び終え昼食を取ってからグランブルーへ向かうことにした

 

ガチャ

明久「すみまs」

僕はグランブルーの扉を開けると

・・・・・・・・・パンツ一丁で土下座をしている男性と慌てる美人

というカオスな光景が広がっていた

伊織「ここまでしても許して貰えませんか!」

土下座をしている男の声をにどこか聞き覚えがある

明久「えーっとお取り込み中ですか?」

奈々華「あっごめんなさいね ほら伊織君顔を上げて」

やっぱり伊織か

伊織「なっ!明久!何でここにいる!?」

明久「なんでって近くに引っ越してきたから挨拶しに来たんだけど 何してるの?」

伊織「何って見てわからないのか?頼み込んでるんだよ」

明久「ごめん 何言ってるかわならないよ」

この僕ですら全裸で土下座なんてほとんど経験ないのに

それにしてもこの女性とても美人だ

でもどこかで見たことあるような気がするんだよね

奈々華「明久ってもしかして玲の弟くん?」

明久「あっは、はい!そうです」

そこで違和感を覚えた

明久「なんで姉さんのこと知ってるんですか?」

奈々華「玲は高校の時から友達なのよ」

明久「え!そうなんですか!?」

でも確かによく見ると同じ歳くらいかな

奈々華「だから明久君のことも色々聞いてるわよ、それにしても話に聞いてた通りね」

明久「ちなみになんて言ってました?」

かっこよくて凛々しいとか?頼れる存在とか?

奈々華「とても可愛いって」

明久「ちょっと待ってください」

僕の聞き間違えかな?

明久「もう一度聞いてもいいですか?」

奈々華「ええ?良いわよ とっても可愛いって」

明久「聞き間違いじゃなかった!」

僕は斜め上の回答に驚きを隠せずにいた

伊織「確かにお前女装とか似合いそうだな」

明久「何を言ってるのさ伊織 君の方が似合うさ」

煽ってくる伊織に対して僕も対抗する

明久・伊織「「ハッハッハ」」

ガシッ

スカッ

お互いに胸ぐらを掴もうとするが僕の腕は空を切った

明久「なんで服きてないんだよ!」

僕は遅まきながら伊織の異常さに突っ込んだ

伊織「実はこれには深い理由があってな」

そう言うと伊織は胸ぐらを離した

明久「(意外とすんなり離してくれるんだ)」

高校では胸ぐらを掴んだらそのまま殴り合いになることが多かったため直ぐに離されるとは思ってもいなかった

伊織「実はな」

伊織は深刻そうな顔で切り出した

伊織「部屋を片付けないと合コンに行けないんだ」

明久「バカがいる」

伊織「なんだとゴラァ」

明久「いや 流石にそれは無理じゃない?」

あそこまでしても許可が出ないなら諦めた方が懸命だろう

伊織「ですから奈々華さん お願いします 」

伊織は振り返り再び土下座をしていた

明久「(奈々華さんって・・・写真の人か!それにしても実際見るとかなり美人だし胸もでかい!こんな羨ましい人と同棲なんて)コロシテヤル」

寿「おー明久じゃないか どうした?」

時田「なんで明久がいるんだ?」

明久「あ 先輩方 近くに越してきたので挨拶に来たんですよ」

僕が闇堕ちしきる前に声をかけてきたのはダイビングサークルの先輩二人だ

どうやら僕の独り言は聞かれなかったようだ

時田「それで伊織何があった?」

伊織「俺・・・思い出しました 自分が何のサークルに入ったのかを!」

明久「え?ダイビングじゃないの?」

伊織「そんなもんに入った覚えはない!」

明久「えぇぇ!?」

寿「すばらしい掌返しだな」

時田「手首がねじ切れんばかりだな」

伊織「だからお願いします奈々華さん!今日の飲み会に行かせて下さい!!」

奈々華「え えっとね・・・とりあえず顔を上げて服を着よう?」オロオロ

奈々華さんは伊織の土下座に圧倒されているみたいだ

千紗「だいたいどうして服を脱ぐのよ」

伊織「裏表のない誠意を表明する為!!!」

明久「凄い!そんな表現の仕方があるなんて」

僕は伊織の誠意の表し方に感銘を受けていると

千紗「そこは呆れるところよ」

と古手川さんが呆れたように呟いた

時田「確かに赤裸々な意思表示ではあるな」

寿「やっぱり伊織と明久の考え方はうちのサークル向きだな」

奈々華「う~ん」

奈々華さんは迷いながらも

奈々華「あのね伊織君 大学生になって遊びたい気持ちはわかるけどこういう生活はダメだと思うの」

明久「伊織は一体どんな生活を送ってるんですか?」

僕は隣にいる先輩に聞いてみる

寿「そんな変な生活はしてないぞ」

時田「そうだな 俺達は常に一緒にいたから保証できる」

明久「多分原因の9割は先輩達のせいだと思いますよ」

寿「ハッハッハ そんなわけないだろ 俺達は伊織に今までした事の無い経験をさせてやっただけだからな」

明久「例えば?」

時田「野球挙」

明久「1つ目に出るのがおかしすぎるでしょ!」

寿「ちゃんと配慮もしてやってたしな」

明久「例えば?」

寿「遅刻しないように講堂の前で飲み会をしてやったりな」

明久「昨日の人集りは先輩達のせいか!!」

これで雄二と伊織が裸で登校してきた意味がわかった

明久「いや、これ絶対原因先輩達で確定ですよ」

寿・時田「「?」」

この人ら自分らが何をやらかしたか気づいていないのか!?

伊織「明久と先輩方協力してください」

どうやら奈々華さんとの話し合いは終わったようだ




ぐらんぶるのキャラは基本だそうと思いますがバカテスのキャラで出して欲しいというキャラがいましたらTwitterアカウント『群武@小説家になろう』でDMを送って貰えたら頑張って出そうと思います
※作者の能力はそこまで高くないので出せる範囲はそこまで広くありません


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14杯目

伊織の部屋作り回になります


ー明久サイドー

伊織「明久と先輩方協力してください」

伊織は真剣な眼差しで僕達に頼んできた

明久・時田・寿「「「何を?」」」

僕達は話の流れについていけなかった為聞き直す

伊織「奈々華さんの説得です」

寿「流石に無理じゃないか?」

時田「無理だな」

伊織「やってみないとわからないですよ!」

そう言って僕達4人で奈々華さんの説得を試みた

伊織「お願いします御大将・・・!!」

奈々華「ダメです。ご両親からお預かりしている伊織君にそんな荒んだ生活をさせるわけにないきません」

伊織「そこをなんとか!」

奈々華「ダメなものはダメ!」

明久「奈々華さん、今日だけは許してあげられないでしょうか?」

奈々華「明久君も玲から頼まれてるから今日は飲みに行ったらダメですからね!」

明久「えー!?僕も行ったらダメなんですか!?」

奈々華「当たり前です、伊織君から聞きましたが昨日は家に帰らずに飲み潰れてたみたいですから、今日は家でゆっくりしてもらいます!」

明久「そ、そんな」

僕は予想していなかった反撃にあい落ち込む

てか伊織チクリやがったな

 

僕達は奈々華さんの説得に失敗したため、とりあえず伊織の部屋で作戦会議をすることにした

明久・伊織「「どうしたら許可が出ると思いますか?」」

時田「いや、あそこまで言われたら諦めろよ」

伊織「諦めません」

明久「ここまで来て諦める訳にはいきません」

寿「いったい何がお前達をそこまで突き動かしてるんだ」

伊織・明久「「恥ずかしながら性欲です」」

時田・寿「「本当に恥ずかしいな」」

明久「何か奈々華さんを説得する方法ありませんか?」

時田・寿「「うーーん」」

寿「とりあえず荷解きをすませるべきじゃないか?」

時田「そうだな」

明久「伊織、まだ荷解き出来てなかったの?」

伊織「まず部屋に入ったのが初めてだ。そういう明久は終わったのか?」

明久「当たり前じゃないか。引っ越してきた当日にやったよ」

伊織「なんだと!?」

寿「意外と早めに終えてるんだな」

明久「伊織とは違うからね」ドヤ

僕達が話していると

奈々華「時田君と寿君ちょっと来てくれない?」

1階から奈々華さんが呼んでるみたいだ

寿「うん?」

時田「どうしたんだろ?」

2人は部屋から出ていってしまった

伊織「やばいな、人手が足りないな」

明久「なら雄二とか呼ぶ?」

伊織「あいつめんどくさがり屋っぽいけど来てくれるのか?」

明久「親友の僕が言ったら一飛びさ」

僕は得意げにそう言って雄二にメールを送った

 

~10分後~

ガチャ

雄二「・・・・・・」ハァハァハァ

雄二にしては珍しく肩で息をしながら部屋に入ってきた

明久「ね?来たでしょ?」

伊織「スゲー、本当に明久のメールで駆けつけてきやがった」

雄二「す~~~は~~~、明久、このメールはなんだ?」

雄二は大きく深呼吸をして息を整えると携帯の画面を見せてきた

明久「何って、ただのお願い事だよ?」

雄二「これのどこがお願いだよ!完璧に脅迫じゃねーか!」

伊織「明久は一体なんて書いたんだ?」

伊織は雄二の携帯の画面を見た

 

from:明久

今すぐグランブルーに来い

さもないと霧島さんに昨日女子と飲んでいたことをバラす

 

伊織「この霧島さんって誰だ?」

明久「霧島さんって言うのは雄二の婚約者なんだ」

伊織「困厄者?」

雄二「そう困厄者だ」

明久「何言ってるんだよ雄二、霧島さんは雄二のお嫁さんだよ」

伊織「マジかよ!雄二結婚してたのか!?」

雄二「してるわk」

明久「それ以上言わせん!」クペ

雄二「・・・・・・」バタバタ・・・グッタリ

とりあえず頸動脈を押さえて雄二を黙らせておいた

伊織「明久、せっかくの助っ人を殺すんじゃない」

明久「あっごめんごめん」ボコ

雄二「・・・・・・グハ!」

僕は雄二の鳩尾に衝撃を与えて意識を戻す

雄二「・・・明久何しやがる。てか伊織、明久の言うことなんか信じてんじゃねー!」

伊織「やっぱり流石に違うよな」

雄二「それで俺はなんで呼ばれたんだ?」

伊織「この部屋を見て何か分からないか?」

雄二「は〜手伝ってやるからさっさと荷解き終わらせるぞ」

雄二はめんどくさがり屋ではあるが意外と面倒見が良かったりする

伊織「それは助かる!」

雄二「さっき奈々華さんに今日は伊織を部屋から出すなって言われたけど何があったんだ?」

伊織「あーそれは」

~説明中~

伊織「ってなことがあってな」

雄二「なんだ、そんな事か」

明久「そんな事かって何かいい案でもあるの?」

雄二「そんなの簡単だ。伊織が自立した1人の男だとアピールできる部屋を作ればいい」

伊織「んな事言われても・・・」

雄二「それに関しては俺に案がある、明久も手伝え」

明久「仕方がないね」

それから僕達3人はすぐに荷解きを始めた

荷解きが終盤に差し掛かるくらいになると

雄二「最後は俺たちでやるから伊織は奈々華さんを呼んでこい」

伊織「へーい」

ガチャ

バタン

早速、伊織は奈々華さんの元へと行ってしまった

明久「それにしても雄二、何か良いものでもあるの?」

どうにも雄二が何か企んでいるように感じる

雄二「あー、さっき先輩達と会ってな」

そう言って雄二はムッツリーニが拷問器具を入れていた袋と同じくらいの袋を廊下から持ってきた

雄二「早速準備をするか」

 

奈々華「え、もう荷解きが終わったの?」

伊織「はい、パパッとやっちゃいました」

奈々華「流石は男の子、力があるのね」

伊織「俺だってもう自立した大人ですから」

バンッ

・・・・・・・・・床にはエロ本、机の上にはエロDVD、壁一面にAV女優のポスターがギッチリ貼ってある

伊織・奈々華「「・・・」」

伊織「ち・・・違うんです奈々華さん!これは・・・・・・!」

奈々華「――あ――い」カー

奈々華さんは顔を真っ赤にして

奈々華「伊織君も・・・男の子・・・だもんね」

パタン

部屋から出ていってしまった

ガチャ

雄二「どうだ伊織?」

明久「いい部屋でしょ?」

伊織「このド畜生どもがあーッ!!!」

雄二「なんだ失敗だったのか?」

伊織「むしろどうしてこの部屋を見て成功すると思えるんだよ!」

雄二「エロ本を見つけた母親はよく『大人になったわね』という反応をするだろう?」

伊織「それは意味が全然違うんだよ!!!」

明久「(雄二のやつ、こうなることが分かっててやったな)」

伊織が少し可哀想だったが反応が面白いのでこのままにしておこうかな

明久「伊織は文句が多いね」

雄二「どうして欲しいんだ?」

伊織「普通でいいんだよ!初めて一人暮らしする大学1年生な作るような普通の部屋で!!」

雄二「なんだ、それだけでいいのか?」

明久「それだけでいいなら先にそう言ってよ」

伊織「たとえ俺の指示がなくてもこんな部屋にはならんだろ、てかこの本とかはどっから持ってきたんだ?」

雄二「あーこれは先輩達からのプレゼントらしい」

明久「え?そうなの?」

雄二「言ってなかったか?何か入学祝いとして1本くれるらしい」

伊織「・・・・・・ほう?」

 

ー千紗サイドー

千紗「(なんか騒がしいけど伊織のバカはちゃんと荷解きしてるのかな?)」

さっき伊織が土下座をしている時に吉井が来たので賑やかになるのは仕方がないのかもしれない

部屋の片付けをしていた私はいらなくなったカラーボックスを伊織にあげようと思っていた

ガチャ

千紗「伊織、これ捨てるヤツなんだけど使うのなら――」

金髪外国美人「Oh!Yes!Oh!Yes!Yes!!」

伊織はAV鑑賞をしている最中だった

伊織「ふむ・・・なかなか良いな 78点」

雄二「なんだ、これでも満点じゃないのか」

明久「悪くは無いチョイスだと思ったんだけどね」

バカ2人に坂本が増えてバカトリオになっていた

千紗「・・・・・・」

明久「あっ、古手川さん」

伊織「なんだ千紗?お前も」

伊織の言葉を聞いた私は振り上げた手を全力で振り下ろしてた

 

ー明久サイドー

伊織「おかげで酷い誤解を受けたよまったく」

伊織は頭からカラーボックスを強制的に被らされながら訴えかけてきた

明久「誤解でもなかったよね?」

雄二「流石にあの場で『お前も一緒に観るか』とか言わないだろ」

そう伊織は古手川さんが入って来た時に一緒に観ないかと勧めたのである

そしたら古手川さんは怒って持っていたカラーボックスを伊織の頭目掛けて振り下ろしたのである

まー荷解きしてると思ったらAV鑑賞してて、しかも一緒に観ようとか言ったら怒るよね

伊織「とにかく部屋作りだ」バキバキ ズボオオ

伊織は強引にカラーボックスを引き抜きながらそう言った

伊織「この汚れきった部屋を綺麗にするから早く帰ってくれ」

明久「ちょっと待ってよ伊織」

雄二「このままだと部屋作りを手伝っていた俺の沽券に関わる」

伊織「その気持ちはどこまでも迷惑になるから本当に帰ってくれ」

雄二「もう一本どうだ?」スッ

雄二は『君島さち』と書かれたDVDを手渡した

伊織「仕方がねーな、お前達をもう一度信じるぞ」パシッ

明久「(あれ?このえろグッズって雄二のじゃないよね?)」

雄二「こっちは完璧な部屋を作っておくからお前は店の手伝いでもして点数を稼いでおいてくれ」グッ

雄二は親指を立てる

伊織「本当に頼むぞ」グッ

伊織も同じポーズをして部屋から出ていった

明久「それで雄二、今度はどんな部屋にするの?」

僕は雄二の方を見ると立てられていた親指が下を向いていた




明久「ところで雄二」
雄二「どうした明久?」
明久「次は何をするつもりなの?」
雄二「次の策はもう考えてある」
ガチャ
2人の男が入ってきた
??「・・・この部屋は」ブシャー
??「・・・この部屋を俺流にしたらいいんだな?」


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15杯目

明久「まだ部屋作り終わらないの?僕早く合コン行きたいよ」
伊織「普通の部屋を作るだけならこんな時間はかからないのに」
雄二「作者曰く今回でも終わりきらないみたいだぞ」
伊織「嘘だろ、まだこの話続ける気かよ」
明久「早く次の話に行きたいよね」
伊織「合コン行く為にもさっさと始めるか」
明久「そうだね」


ー伊織サイドー

店長「なあ伊織、さっき千紗がやけに怒ってたが何かあったのか?」

俺は奈々華さんのご機嫌を取るために店の手伝いをしていると店長に話しかけられていた

伊織「俺だけ引越し祝いを貰っていたのが良くなかったようで」

店長「それで怒るとはアイツもまだまだ子供だな」

伊織「良かったら一緒にと誘ってはみたんですけどね」

俺と店長が話していると奈々華さんが戻ってきた

奈々華「あ、伊織君」

伊織「奈々華さん、さっきの説明をさせて下さい」

俺はすぐ様先程の誤解を解くために弁明を図ろうとする

奈々華「ううん大丈夫、私は気にしてないから」

伊織「いえ、そういう問題ではなく」

奈々華「それにさっき色んなお友達に電話で聞いたら伊織君くらいの男の子なら普通の事だって」

伊織「え?それ俺の不名誉が拡散されてません?」

俺はとても不安になったが、まずは奈々華さんの誤解を解かなくては

伊織「とにかくさっきの部屋は手違いなんです」

奈々華「手違い?」

伊織「さっきのアレは明久と雄二のジョークだったんですよ」

奈々華「あ、そうなんだ」

伊織「はい、今はもうバッチリ普通の部屋に・・・」

耕平「店長テープありがとうございました」

店長「おう」

バタン

は?何で耕平がここにいるんだ?

俺は慌てて部屋に戻る

ガチャ

耕平「おう」

明久「あっ伊織おかえり」

雄二「ちゃんと奈々華さんのご機嫌は取れたか?」

ムッツリーニ「・・・お邪魔している」

いつの間にか土屋と耕平が増えている

そして美少女キャラクターがプリントされたポスターやフィギュアが部屋一面に飾られていた

耕平「どうだ?北原伊織、俺プロデュースの快適部屋は・・・」

伊織「・・・」スタスタスタ

俺は耕平をスルーして1枚のポスターに手をかけた

耕平・明久・ムッツリーニ「「「?」」」

伊織「なぜお前がここにいるんだぁーーっ!!」ビリィィィィッ

耕平「ノオオーゥッ!?」

俺はポスターを思いっきり破った

耕平「キサマよくもこの俺自慢の一人暮らしスターターセットを!!」

伊織「黙れ耕平!人の部屋を勝手に自分色に染め上げやがって!!ぶち殺すぞ!!」

耕平「人が丹精込めてコピーしてきたポスターを破り捨てやがって・・・末代まで呪ってやる・・・!」

伊織「コピー破っただけで呪われる俺の子孫が不憫すぎるだろ・・・」

明久「(流石にそれは可哀想すぎるね)」

耕平は破られたポスターを悔しそうにかき集めていた

雄二「・・・・・・」ククク

その隣で雄二が腹を抱えて笑っていた

伊織「雄二!お前の仕業か!」

雄二「新入生らしい新しい世界の部屋だっただろ?」

伊織「世界どころか次元が変わってんじゃねーか!」

耕平「この部屋の良さが分からないなんてありえないだろ!」

明久「(僕はあんまりアニメを見ないから良さは分からないな)」

寿「まだ部屋は出来ないのか?」

時田「なんだ、エラい人が増えているな」

そう言って先輩達が部屋に戻ってきた

明久「先輩達はもう良いんですか?」

寿「あー俺達の仕事はもう終わりみたいだ」

時田「所でコイツらは何をこんなに盛り上がってるんだ?」

明久「あーそれはですね・・・」

~説明中~

明久「ということがありまして」

寿「お前達は部屋作り一つでもこんなに盛り上がれるなんて凄いな」

明久「盛り上がってるのはあの二人だけですけどね」

そういって僕は今にも取っ組み合いが始まりそうな2人を見る

伊織「もっとマシな部屋に出来なかったのか!?」

耕平「じゃあ、どんな部屋なら良かったと言うんだ!?」

伊織「これとは正反対の部屋だよ!!」

耕平・ムッツリーニ・寿・時田・雄二「「「「「・・・・・・」」」」」

時田「なんだ、そうなのか」

寿「それならそうと先に言えばいいじゃないか」

伊織「言わないと分からないもんなんですかね?」

耕平「わかった、今すぐそういう部屋にしてやる」

伊織「いやもう自分でやるから帰ってくれ」

耕平「俺をお兄ちゃんと慕う女子中学生たちとの飲み会を目前に帰れるか!!」

伊織「お前どんな餌でここに呼び出されたんだよ・・・てかコイツ呼んだの誰だよ」

まったく、めんどくさいやつが来てしまったな

伊織「ここからは本気でやるぞ、俺の指示通りにやってくれ」

時田「そう言えばさっき店長が呼んでたぞ」

伊織「えー」

時田「居候なんだから手伝いは大事だぞ」

寿「確か雄二と明久も一緒に呼ばれてたぞ」

明久「あっそうなんですか?」

雄二「俺もか」

耕平「部屋は俺達に任せて3人は行ってこい」

伊織「不安だが仕方ない」

明久「僕達も行こっか」

雄二「あーそうだな、それにしても嫌な予感がするぞ」

 

30分後

伊織「思ったより時間を食ってしまった」

明久「どんな部屋になってるのかな」

雄二「十中八九まともじゃ無いだろうな」

3人で話しながら部屋の前まで来た

伊織「(さて、部屋はどうなってるやら)」

明久「(どんや部屋になってるかな?)」

雄二「(あの弁解だと・・・)」

ガチャッ

伊織が部屋の中を見ると立ち尽くしてしまっていた

明久「どうしたの伊織?」

僕は伊織の後ろから部屋を覗き込んだ

そこから見えてきた部屋は

・・・・・・・・・・・・一面BLで染まっていた

・・・・・・・・・・・・しかも中には僕と雄二が抱き合っているポスター、僕の顔がプリントされている抱き枕、上半身裸の雄二に押し倒されている伊織のポスター、雄二と伊織に前後から抱かれている僕のポスターなどありとあらゆるシチュエーションのポスターが貼ってあった

伊織・明久「「オエーーー!!」」

雄二「お前らいきなり部屋のm」オエェェェ

僕達3人は部屋の中の状況を理解した瞬間吐いてしまった

時田「しかし・・・伊織以外にも明久と雄二にもこんな趣味があるとは」

寿「なあ耕平、本当にこれで大丈夫なのか?」

耕平「ええ俺と正反対と言う事はこれで間違いありません」

時田「まさか、明久と雄二が付き合っていたとはな」

ムッツリーニ「・・・高校の時、ほとんどの生徒は知っていた」

耕平「これからは三つ巴になるのか」

明久・雄二・伊織「「「・・・」」」スタスタスタ

僕達の3人は無言で耕平の元へと歩く

耕平「ん?どうした3人とも・・・」

ゴキッ

ドゴッ

グキャッ

ベキ

耕平「さてはお前ら俺に乱暴・・・っ!」

ボキ

グキ

バチーン

伊織「次はお前だ」

明久「次はムッツリーニだね」

ガラガラ

ムッツリーニ「・・・」スタッ

雄二「あいつ窓から逃げやがった!」ダッ

明久「逃がすか!」ダッ

伊織「なんて運動神経してやがる」

ムッツリーニは自分に危機が迫ることを探知した瞬間窓から逃げてしまった

逃がさないために僕と雄二も窓から追いかける

時田「一瞬の躊躇いもなく窓から飛び降りるなんて凄いやつらだな」

寿「しかもこのポスターといい土屋は底知れないやつだな」

伊織「というかさっきよりも酷くなってるじゃないですか!」

俺は悪化した部屋について怒鳴るが

寿「ちなみにこのDVDとボイスレコーダーは何なんだ?」

時田「再生してみるか」

伊織「人の話を聞いてください!!」

俺の叫びは2人に届かない

伊織「とにかく早く片付けないとこんな部屋見られたらあらぬ誤解を・・・」

コンコン

奈々華「伊織君ー?」

ヤバい!奈々華さんが来てしまった!

伊織「ひぃいいー!!?」

ガチャ

バターーンッ

俺は中が見られないようにすぐに部屋を出た

奈々華「あ」

伊織「どどど、どうかしましたか奈々華さん?」

奈々華「片付けが終わってないなら手伝おうと思って」

伊織「いや!今、本当に部屋の中見せられない状況なんで!」

奈々華「さっきの事?まだ気にしてるの?大丈夫だよ。ああいうHなのって健全な男の子だって証拠なんだし・・・・・・」

明久ボイス《お尻を見せて欲しい》

イケメンボイスA(男性)「俺はお前が男でも構わない」

優男ボイス「そうか、実は俺もお前の事が!」

部屋の中からそんなカオスなセリフが聞こえてきた

伊織「(なぜ明久の声が!?あのボイスレコーダーか!この流れはヤバい!!!)」

伊織「・・・・・・」

奈々華「・・・・・・」

伊織「・・・あの、奈々華さん、今のはですね・・・」

奈々華「え、えっと、ごめんね。私ちょっと友達に電話してこないと」ギッギッギッギッ

壊れたロボットのように歩いていってしまう奈々華さん

伊織「絶対に最高の部屋を作って合コンいくぞオラァッ!!!」

時田「お、おう そうだな」

寿「協力してやるから少し落ち着けな?」

耕平「俺が寝ている間に一体何が・・・・・・?」




時田「それにしてもあのボイスレコーダーは何だったんだ?」
寿「しかもあんなカミングアウトするとはな」
耕平「何があったんですか?」
時田「おう、起きたか耕平」
寿「いやさっきボイスレコーダーを拾ってな、再生したら」
明久ボイス《お尻を見せて欲しい》
時田「こんなのが入ってた」
耕平「これは黒ですね」
伊織「これからは気をつけないとな」
耕平「お前とお似合いじゃないか」
伊織「ぶっ殺すぞ」


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16杯目

群武=作者
群武「エログッズだらけの部屋、オタク部屋、BL部屋と様々な部屋を見られた伊織は無事合コンに行くことは出来るのか!?」
雄二「いきなり出てきたな」
群武「やっぱり作者たるもの自分の作品に出たいと思うのは当たり前だろ?」
雄二「それは人それぞれだろ、それで本編にはでてこないのか?」
群武「世界観を壊さないために出ません」
雄二「まーお前にオリ主を書く実力はないからな」
群武「言ってくれるじゃないか」カキカキ
雄二「何を書いているんだ?」
群武「お前のバットエンドだ!」
雄二「辞めやがれ!」


ー伊織サイドー

伊織「とにかくもう後がありません」

合コンまで時間もないため奈々華さんに1発OK貰う為には少し趣向を変えなくてはならない

伊織「なんとかして奈々華さんの気に入る部屋を作る必要があります」

時田「奈々華さんの気に入る部屋なぁ・・・」

寿「そう簡単に作れたら苦労しないんだが」

実際普通の部屋すら作れていない状況である

しかし

伊織「できるできないじゃなくてやるんです!!」

時田「社会員か、お前は」

寿「その考え方は嫌じゃないがな」

耕平「んで、何か考えはあるのか?」

伊織「ああ、勿論だとも」

これだけはやりたくなかったがもう背に腹は変えられない

伊織「いいか?奈々華さんは妹の千紗を溺愛している」

耕平「そ、そうなのか・・・・・・」

時田「千紗ちゃんの前ではそんな素振りを見せてないけどな」

伊織「つまり、奈々華さんが気に入る部屋ってのは単純なもんだ」

つまり部屋一面を千紗で埋め尽せばいい!

 

ー30分後ー

俺達は部屋にあるグッズの顔を全て千紗に変えていた

寿「なぁ伊織、これはさすがに違うと思うぞ?」

伊織「無駄口を叩いてないで手を動かしてください!」

時田「これもう完全にストーカーの部屋じゃねぇか」

寿「まさか1日に2回も知り合いの顔写真を貼った抱き枕カバーを作らされるとは・・・」

ガチャ

明久「ただいま戻りました」ハァハァハァ

雄二「戻りました」ハァハァハァ

土屋を追いかけていた2人が帰ってきた

かなり全力で帰ってきたみたいで2人とも扉を開けたのはいいものの両手を膝について息を整えていた

寿「おう、おかえり」

伊織「いい所に戻ってきた!お前達も手伝え!」

俺はすぐ様2人に協力を要請する

雄二「は?ってなんじゃこの部屋!」

明久「ん?うわ!ストーカーじゃないか!」

雄二「BL部屋の次はストーカー部屋かよ!」

明久「霧島さんといい勝負だね」

雄二「待て明久、その話詳しく聞かせろ」

明久「一体僕達がいない間に何があったの?」

明久は雄二の問いかけを無視してこちらに話を振る

伊織「とりあえず奈々華さんの気に入る部屋を作っているんだ」

明久「どういうこと?」

雄二「おい、話を」

時田「奈々華さんはシスコンなんだ」

明久「嘘でしょ!?」

明久は崩れ落ちた

伊織「いいから早く手伝ってくれ」

雄二「その前に俺のはな」

明久「流石にストーカー部屋は手伝えないよ」

伊織「チッ」

耕平「ところで先輩、そろそろ例の飲み会の時間では?」

時田「ん?ああ、そういえば言い忘れていたな」

伊織「何かあったんですか?」

時田「おう、例の飲み会だがな」

伊織・明久・雄二・耕平「「「「?」」」」

時田「向こうの都合で延期にして欲しいとさっき連絡があった」

明久「え」

雄二「そうだったのか」

耕平「ちきしょー!」

伊織「―――は?」

俺の顔から表情が消える

伊織「延期?」

時田「延期」

伊織「今日じゃない?」

時田「今日じゃない」

伊織「ちょ・・・ちょっと待って下さい」

ガチャ

伊織「という事は今俺がやっていることは何の意味も」

千紗「伊織お茶・・・」

明久「あっ」

雄二「・・・」

千紗「・・・・・・」

 

寿「良かったな伊織」

時田「念願の自立した生活ができる部屋じゃないか」

明久「僕達のアパートより広いね」

雄二「あーそうだな」

伊織「こんな結末望んでねえ ーーッ!!」

寿「まあ飲めよ、独立祝いだ」

俺は取り壊し予定の離れに隔離されてしまった

この日のお酒は少ししょっぱかった

 

ー明久サイドー

ジリリリリリリリリリリ

目覚まし時計が朝の8時30分を指していた

僕は昨日伊織の新しい部屋で酒盛りをした後、奈々華さんの注意もあり部屋で寝ることが出来た

明久「布団で寝れるって幸せだね」

布団で寝れる幸せを噛み締めながら起床した僕は朝食を作ろうと思い冷蔵庫を開けるとある事に気づいた

明久「そう言えば食材何にもないや」

こっちに来てから部屋で過ごす時間が少なかったせいもあり冷蔵庫の中身が無いことを忘れていた

明久「買い物でも行こうかな」

僕は買い物に行くと決めたらすぐに着替えた

ガチャ

僕がドアを開けると同じタイミングで隣の部屋のドアも開いた

明久「あっ雄二、おはよー」

雄二「おう明久か、どこか行くのか?」

明久「食材を買いに行くんだ、雄二は?」

雄二「俺も同じだ、初日に買った食材が尽きちまった」

明久「雄二も行くなら連れてってよ」

雄二「仕方ねーな、少し待ってろ」

そう言うと雄二はガレージから車を持ってきた

雄二「ほら行くぞ」

明久「ありがとう雄二」

 

明久「それにしてもいつの間に免許なんて取ったの?」

僕は雄二の車の助手席に乗り運転している雄二に質問をした

雄二「自主登校期間に取っといたんだ」

明久「僕が真面目に勉強している間に教習所行ってたなんて」

雄二「お前はどうせ勉強してなかっただろ」

明久「ちゃんとやってたよ!」

雄二「古典の点数は?」

明久「15点」

雄二「科学」

明久「29点」

雄二「成長してねーじゃねーか」

明久「雄二はああ言えばこう言うね」

雄二「降ろすぞ?」

明久「すみませんでした!」

雄二「車に乗せてやったんだ、朝食くらい作ってくれるよな」

明久「仕方ないね」

雄二「勿論、食材は明久持ちでな」

明久「ぐっ、僕の所持金が少ない事を知っている癖に」

高校の時と比べたら少しお金は増えたがそれでもかなり節約しないと生活出来ない

雄二「大学生になったんだ、バイトくらいしたらいいじゃねーか」

明久「考えてはいるんだけどね」

雄二「今通り過ぎた所、オープニングスタッフ募集してたぞ」

明久「ほんとに?帰りちょっと寄ってよ」

雄二「俺もバイトを探してたところだ、ちょっと寄ってみるか」

 

アルバイト・スタッフ募集!

キッチン又はホールできる方歓迎

時給900円

※店長の要望に応えれる方は時給アップします

 

買い物を終えた帰り道例の店の前に着くとこんな内容の紙が店舗に貼ってあった

明久「ここら辺だと時給いい方なんじゃない?」

雄二「そうだな、しかもキッチンだとお前の数少ない長所を活かせるしな」

明久「雄二はどっちに応募するの?」

雄二「俺もキッチンだな」

明久「雄二の顔でホールしたらお客さんが逃げちゃうもんね」

雄二「うっせー、殴るぞ」ボコ

明久「もう殴ってるよ!」

雄二「せっかくだしあの二人にも声掛けとくか」

明久「そうだね」

雄二「それにしても店長の要望ってなんだ」

明久「難しい料理とかかな?」

雄二「それくらいならいいんだがな」




今日から就活が解禁ですね
作者も就活生なので頑張って企業に媚を売ってきます


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17杯目

群武「今回は顔合わせ回となってます」
伊織「この内容ってまだ1巻だよな?」
明久「17話まで来たのにまだ2巻まで到達してないんだね」
群武「お前達が馬鹿やってなかなか話を進めてくれないからな」
伊織「こいつ自分の力の無さを俺達のせいにしやがった」
明久「ほんと失礼だね!馬鹿やってたのは伊織だよ!」
伊織「は?お前何俺を売ってんだよ!」
群武「バカとバカが絡み合い出したのでそろそろ本編どうぞ」


ー明久サイドー

僕と雄二は朝食を終えると一緒にグランブルーへ向かっていた

明久「ミーティングって何をするのかな」

雄二「今顔合わせらしいぞ」

先に教えて貰っていたのか雄二はすぐに教えてくれた

ガチャ

僕達はグランブルーのドアを開くと美人なインストラクターが迎えてくれた

奈々華「明久君と雄二君いらっしゃい」

明久・雄二「「おじゃまします」」

店の中には奈々華さんと古手川さん、それに店の店長の3人がいた

明久「みんなはまだ来てないんですか?」

奈々華「もうすぐこっちに来るはずよ」

明久「ミーティングってここでしてるんじゃないんですね」

奈々華「今はみんな伊織君の部屋に行ってるのよ」

明久「そうだったんですね」

そんなことを話していると

ガチャ

秀吉「おじゃまするのじゃ」

ムッツリーニ「・・・おじゃまします」

いつもお馴染みの2人秀吉とムッツリーニが着いたようだ

明久「おはよームッツリーニと秀吉、秀吉は今日も可愛いね」

秀吉「お主よ、他の女性には出会い頭にいきなりそんな事を言うでないぞ」

秀吉は少し顔を赤面させながらそう言った

雄二「(そんな反応をするから女と間違われるんだぞ)」

ムッツリーニ「・・・・・・」カシャカシャカシャ

4人で少し話していると伊織や耕平、先輩達がやってきた

寿「おう4人共もう来てたのか」

明久「おはようございます、今日は珍しく服を着ているんですね」

時田「お前はおかしな事を言うな、服は普段から着るものだろ?」

明久「僕の記憶には先輩達が服を着てる時間と脱いでいる時間は同じくらいだと思うのですが」

寿「そんなことはどうでもいいじゃないか、それよりも今日の活動を説明するぞ」

明久「どうでも良くはないと思いますが、顔合わせとは具体的に何をするんですか?」

時田「なんだ明久、雄二から聞いていたのか」

寿「なら話は早いな、最初は自己紹介をしてから新入生と俺達で何かやる予定だ」

明久「今居る人で全員ですか?」

パッと見た感じ8人くらい居るようだ

寿「いや、他にもいるが予定が合わなくて欠席だ」

明久「そうなんですか」

奈々華「新入生って今年は何人入ったの?」

僕達が話してると奈々華さんが会話に入ってきた

寿「7人です」

明久「(7人って事は僕達4人と伊織、耕平、古手川さんの3人かな)」

伊織「7人ってこの面子かよ」

明久「なんか変わり映えしない面子だね」

雄二「何だかんだずっと一緒にいる面子だしな」

明久「それにしても耕平は真面目に出席するんだね」

伊織「確かにな、てっきり来ないかと思ってたが」

耕平「会長から緊急招集が届いたからな」

そう言って耕平は携帯の画面を見せた

 

差出人:時田 信治

今日はNoonに声優の水樹カヤちゃんがくるぞ。

10時に店集合

 

こんな内容だった

明久「水樹カヤってかなり有名人だよね?」

雄二「紅白にも出場してるくらいだしな」

伊織「んなモン嘘に決まってるだろ」

耕平「Really!?」

時田「うむ嘘だ」

耕平「・・・・・・」

耕平は肩をガックリ落として落ち込んでいる

伊織「おいおい、いくらなんでもこんな嘘に騙されるなよ」

そう言って伊織は耕平の肩に手を置く

耕平「・・・・・・・・・・・・!」ポタポタポタ

伊織「え!?マジ泣き!?この歳で!?」

どうやら耕平は相当ショックだったみたいで涙を流していた

明久「どんだけ好きなの?」

耕平「生声を聞いたら心停止するくらいだな」

明久・伊織「「そんな大袈裟なー」」

僕達は耕平の例えを笑って流す

流石に生声を聞いただけで心停止する人はいないよね

店長「カヤちゃん最近特に忙しくて当分は来れないらしい」

伊織「その言い方だと前はよく来ていたような――」

奈々華「ええ、来てたわよ」

明久「嘘!?」

ムッツリーニ「・・・・・・」ポタポタポタ

雄二「ムッツリーニが水樹カヤのダイビング姿を想像して鼻血吹いてやがる!」

耕平「Really!?」

奈々華「うん、Really」

店長「声優さんとか芸能人もよく来るぞ」

ここってそんなに凄かったんだ

耕平「いや、ウソだ。そう言ってまた騙す気に違いない」

耕平はさっき騙されたのが相当キてるみたいでなかなか信じない

奈々華「あはは、嘘なんて言わないよ」

耕平「証拠がなければ信じられません」

店長「彼女のウエットスーツなら向こうにあるぞ」

耕平「ふむ・・・ウエットスーツですか」

耕平は少し考えてから

耕平「ではテイスティング宜しいか?」

明久・秀吉・ムッツリーニ「「「?」」」

僕達3人は耕平がなんて言ったのか理解が出来なかった

けっしてテイスティングの意味を知らない訳じゃないよ!ほんとだよ!

雄二「なに!?」

理解が出来たのか雄二はかなり驚いてる

伊織「すげえ・・・躊躇のない変態宣言だ」

時田「まずは味から入るとは予想外のリアクションだな」

寿「今年の新人は逸材揃いだ」

今時田先輩味って言わなかった?

明久「ねー雄二、テイスティングって何?」

雄二「お前はそんな意味も知らないのか?味見とかそんな感じと思っといたらいい」

明久「へー味見か・・・・・・!?味見ってどういうこと!?」

意味を理解出来た僕はみんなからワンテンポ遅れてリアクションをとる

耕平「?」

耕平は僕を見て不思議そうな顔をする

耕平「普通だろ?」

明久「普通じゃないよ!」

耕平「心配するな、一般人としての普通のテイスティングだ」

明久「一般人は味見しないよ!」

伊織「広いな、お前の中の一般人カテゴリ」

雄二「良かったな明久」

明久「何が?」

雄二「耕平の中ならお前も一般人の分類になりそうだ」

明久「ぶち殺すよ?」

寿「お前らそろそろ自己紹介してもいいか?」

そうだった、耕平の変態発言のせいで当初の目的を忘れる所だった

寿「先に俺らから自己紹介しとこうか」

時田「そうだな、最初は俺からいくか。俺は時田信治だ。Pabの会長をしている。好きなことはダイビング、好きな飲み物はスピリタス、エバークリア、ノッキーン・ポチーン、ウイスキー、ウォッカ、テキーラだ。」

寿「次は俺だな、名前は寿竜次郎。好きな事と飲み物は時田と同じだ」

まずはサークルでも中心となっている2人が自己紹介を終えた

伊織「2人とも好きな飲み物が全部アルコール度数40パーセント超えてるじゃないですか!」

明久「先輩達の肝臓はどうなっているんですか!?」

雄二「人間離れしてやがる」

2人ともお酒が好きなのは分かるが何であんなに度数の高い飲み物を飲めるのかがわからない

秀吉「やはり漢として見られるためにはあのくらい豪快にならんといけんのかの」

しかも秀吉が何か不吉なことを言っている

それから他の先輩達の自己紹介も進んでいくが全員共通してお酒好きのダイバーと言うことがわかった

明久「類は友を呼ぶとはこの事ですね」

雄二「それを言うとお前もあの人らと同じ分類になるがな」

明久「あんな化け物達と同じにしないで!」

寿「そろそろ新入生に自己紹介してもらうか」

時田「そうだな、端の伊織から頼む」

今の僕達の並びは伊織、耕平、秀吉、ムッツリーニ、雄二、僕の順番で並んでいる

伊織「分かりました、名前は北原伊織と言います。ダイビングには興味ありましたが入る気は無かったのに先輩達に無理やり入会させられました」

寿「そう褒めるな」

時田「みんなの前で褒められると照れるじゃないか」

伊織「全く褒めてませんよ!高校では一時期テニス部に所属していてスポーツは結構得意です」

明久「どこの高校だったの?」

伊織「そこまで有名な高校じゃない地元の男子校だ」

時田「あーなるほど」

寿「そういうことだったか」

伊織「待って下さい、一体何に納得をしたんですか?」

寿「お前の好きな性別」

伊織「ちょっと待ってください!それは誤解ですから!」

時田「自己紹介を進めてくれないか?」

伊織「とにかくあれは誤解です!水泳だけは出来ないのでダイビングもあまり参加出来ないと思いますがよろしくお願いします」

時田「そこはあんまり気にしなくていいぞ」

伊織「え?」

時田「泳げないダイバーも多いからな」

伊織「意外ですね」

寿「その辺の説明も後でする予定だ、とりあえず今は自己紹介を進めていこう」

伊織「そうですね、じゃー次は耕平だな」

耕平「お、俺か」

耕平は少し緊張しながらも自己紹介を始めた

耕平「名前は今村耕平、趣味はアニメとゲームです」

寿「それだけか?」

耕平「足りないか」

時田「そうだな、もう少し何か言ってほしいな」

耕平「そうですね、実は昔オタクでした」

伊織・明久・雄二「「「え!?」」」

僕達3人は同時に耕平の方を向く

耕平「衝撃の告白に驚きを隠せないようだな」

雄二「そりゃ驚くだろ」

明久「本当だよ」

伊織「その事実を隠しきれてると思ってることにな」

もしかしてだけど耕平ってムッツリーニと似てるのかも

耕平「俺の自己紹介はこれで終わりです」

秀吉「では次はワシかの、ワシの名前は木下秀吉じゃ。よろしく頼む。高校では演劇部に所属しておっての声帯模写が得意じゃ」

明久「確かに秀吉の声帯模写って凄いよね」

雄二「鉄人のモノマネをされた時は流石に驚いたな」

秀吉「そんなこともあったの」

耕平「お前ら同じ高校なのか?」

雄二「あー、そうだぞ。ムッツリーニも一緒だ」

耕平「同じ高校から4人も一緒に来るなんて仲がいいんだな」

秀吉「ずっと一緒に居たからの」

明久・雄二「「コイツは仲良くないけどね(な)」」

伊織「お前らの関係がよく分からねーよ」

明久・雄二「「宿敵以上友達未満」」

伊織「どういうこと!?」

僕達はある事がきっかけで仲良くなったものの卒業までずっと利用する関係だ

秀吉「次はムッツリーニじゃの」

ムッツリーニ「・・・土屋康太・・・趣味は、盗さ――何も無い。特技は、盗ちょ――特にない」

伊織「お前は初対面の時も同じ自己紹介してなかったか?」

ムッツリーニ「・・・気のせい」

耕平「こいつポケットからボイスレコーダーが見え隠れしてるのに否定してやがる」

寿「そう言えば土屋、昨日伊織の部屋にこんなものがあったんだがお前のか?」

そう言って寿先輩は1つのボイスレコーダーを取り出した

ムッツリーニ「・・・!・・・・・・ありがとう」

どうやらムッツリーニので合ってたみたいだ

明久「ムッツリーニそれには何が録音されてるのかな?」

ムッツリーニ「・・・知らない方がいい」

伊織「あー昨日のボイスレコーダーか」

明久「もしかして伊織は聴いたの?」

伊織「き、聴いたぞ」

伊織が何か気まずそうに応える

明久「どんな内容だった?」

伊織・耕平・ムッツリーニ「「「・・・」」」スッ

3人とも顔を背ける

明久「一体何が録音されてるの!?」




次回は雄二と明久の自己紹介になります
ちゃんとした自己紹介は別にキャラ紹介という形でやりたいと思います


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18杯目

明久「やっと僕達の自己紹介だね」
雄二「ここまでくるのに時間かかりすぎだろ」
伊織「未だにダイビングしてないならな」
明久・雄二「「?」」
明久「何言ってるの伊織?」
雄二「この作品はダイビングじゃないだろ?」
伊織「お前らこそ何言ってんだ!ダイビングじゃなかったらなんのサークルなんだ!」
明久・雄二「「酒飲みサークル」」
伊織「否定出来ねー」


ー明久サイドー

ムッツリーニ「・・・次は雄二」

ムッツリーニはそう言ってボイスレコーダーをポケットにしまってしまった

雄二「名前は坂本雄二。大切なものは平穏な日常」

秀吉《雄二ボイス》「と霧島翔子」

雄二「嫌いなものは・・・・・・っておい秀吉!何アテレコしてんだ!」

秀吉「明久がこう言った方が良いと言うのでな」

秀吉は少し楽しそうに言う

雄二は隣に立っている僕の方を向いて耳元で囁いた

雄二「明久、後でぶち殺す」

ガチトーンなのがめっちゃ怖い

先輩達は秀吉がアテレコしたことに気づかなかったので何が起きたのか理解していないようだ

時田「何かあったのか?」

明久「何にもないですよ」

時田「そうか、何も無かったなら雄二も自己紹介を進めてくれ」

雄二「納得いかないが・・・では改めて、嫌いなものは明久の幸せ。願うことは明久の不幸、将来の夢は明久をぶち殺すこと」

明久「待って雄二!それだと僕の明るい未来が閉ざされてるよ!」

雄二「何を慌ててるんだ?」

明久「ぐっ・・・そんな純真無垢な笑顔を向けられるなんて」

雄二「お前は何か勘違いしてないか?」

明久「へ?」

雄二「俺が手を下すまでもなくお前の未来は閉ざされてる」

明久「一体僕の未来に何が起きるの!?」

雄二「あと運動と料理は結構得意です」

明久「無視をしないで!」

伊織「へー意外と料理出来るんだ」

雄二「訳あってな」

明久「雄二はこの見た目の割に結構上手なんだよ」

僕と雄二は高校3年になってから料理勝負をするようになってから今のところ勝率は五分五分である

ちなみにこの中に姫路さんが入ると姫路さんの一人勝ちになる(物理的な意味で)

雄二「苦手なものは頭蓋骨を握りつぶせる握力を持っている人間、とある人物の家に用意されている部屋、犬小屋」

明久・秀吉・ムッツリーニ「「「・・・・・・・・・・・・」」」

高校からの付き合いの僕達3人は雄二が霧島さんにアイアンクローをされている所を思い浮かべる

寿「よくわからんものが怖いんだな」

時田「犬ではなく犬小屋が苦手とは不思議な事だな」

イマイチ理解出来ない先輩達

耕平「さっきはスルーしたけど霧島翔子って誰なんだ?」

明久「雄二の婚約者だよ」

雄二「明久、お前は黙ってろ」

伊織「雄二の婚約者らしい」

雄二「お前もか!」

耕平「写真とかないのか?」

明久「ムッツリーニ」

ムッツリーニ「・・・・・・・・・」スッ

ムッツリーニは1枚の写真を見せた

伊織・耕平「・・・・・・」

雄二「や、やめろ!お前ら!」

伊織と耕平は無言で雄二をボコボコにする

明久「どんな写真を見せたの?」

ムッツリーニ「・・・これ」

明久「どれどれ?」

秀吉「おーこれは」

写真には文月学園の校門の前で仲良く腕を組んで(関節技を決められて)いる2人が写っていた

何があったのか分からないが霧島さんの表情が今まで見た中で1位2位を争うくらいいい笑顔をしていた

明久「雄二」

僕はボコボコにされている雄二に歩み寄った

雄二「助けてくれ明久!」

明久「オマエヲコロス」

雄二「や、やめろ」バタ

僕達3人に処刑をされた雄二はその場で力尽きたようだ

明久「雄二はもう喋れる体じゃなくなったので僕の自己紹介をしてもいいですか?」

寿「おー」

時田「いいぞ」

明久「僕の名前は吉井明久です。好きな事はゲームと雄二の処刑、苦手なものは人を殺せる料理、あと家事全般得意です。よろしくお願いします」

伊織「人を殺せる料理ってなんだ?」

やっぱりそこ気になるよね

明久・秀吉・ムッツリーニ「「「サイエンスクッキング」」」

伊織「なんで秀吉と土屋も応えるんだ?」

僕達は高校3年間を思い出すと足が震えてくる

伊織「お前ら大丈夫か!?」

明久「だ、大丈夫だよ。」

秀吉「少し昔のことを思い出しただけじゃ」

耕平「お前らは雄二の処刑については何も感じないのか?」

明久「何かおかしなこと言ったかな?」

秀吉「いつもの事じゃ」

ムッツリーニ「・・・日常生活」

伊織「お互い様なんじゃないか?」

耕平「そんなものか」

明久「そんなもんだよ。これで僕の自己紹介は終わりですね」

寿「そうだな」

時田「まだ1人自己紹介してない人がいるだろ」

明久「???」

誰かいたっけ?

伊織「あー、おーい千紗お前の番だぞ」

そう言って伊織が古手川さんに声をかけた

千紗「・・・・・・」ハァ

古手川さんは見つかったと言う表情をした後溜息を吐いた

千紗「古手川千紗です。好きなものはダイビング、嫌いなものは汚れてる人、よろしくお願いします」

汚れてる人の所で古手川さんが伊織を見る

寿「伊織、少しは行動を改めろよ」ポン

ムッツリーニ「・・・どんまい」ポン

明久「どんまい伊織」ポン

伊織「俺はそんなに汚れてねー!」

伊織の虚しい叫びはみんなの笑い声にかき消されてしまった

雄二「ぐっ、一体何があったんだ?」

処刑から目覚めた雄二は何が起きたのか理解することが出来なかった

 

伊織「そう言えばお前ら4人はどこの高校から来たんだ?」

伊織は思い出したかのように問いかけてきた

明久「僕達は文月学園っていう所から来たんだ」

耕平「あの有名な文月学園か?」

明久「そんなに有名なの?」

雄二「試験召喚システムや試召戦争があるからな」

そう言えば他の高校にはないシステムなんだよね

3年間も過ごすとあれが普通と勘違いしてしまう

伊織「それもあるが色んな噂を聞いたことがある」

耕平「俺も色々聞いたな」

明久「どんな噂だったの?」

伊織「確か入学式にセーラー服で登校した男子生徒と悪鬼羅刹と呼ばれた不良が全校生徒に喧嘩を売ったとか」

耕平「一学年全男子生徒が覗き騒ぎで停学とか」

伊織「校舎を花火で爆発するとか」

時田「高校生なのに結婚してるって噂もあるな」

寿「確か緊急放送を使って告白するとか」

伊織「男子同士で子供を作ったやつもいるらしいな」

耕平「この噂は本当なのか?」

明久「まさか〜そんなことしてたら停学じゃなくて退学になるよ」

雄二「そんな事があったとしても俺達は健全な高校生活を送ってたから関わったことないな」

僕と雄二は白を切る

秀吉「今の噂の全てがこの2人が主犯じゃ」

明久・雄二「「秀吉!?」」

まさかの秀吉の裏切りに僕達は動揺する

伊織「お前らよく退学にならなかったな」

耕平「やはりお前らデキてるんだな」

雄二「あれは誤解だ!」

明久「どれも深い事情があったんだよ!」

伊織「だからお前らずっと一緒にいるんだな」

明久「間違った情報に確信を得ないで!」

耕平「悪い噂だけじゃないぞ」

明久「そうなの?」

伊織「そうそう、文月学園はかなりの美人揃いらしいな」

明久「確かにそうだね」

僕の知り合いだけでも姫路さん、美波、秀吉、霧島さん、工藤さん、秀吉のお姉さん、後1つ上の先輩の小暮先輩とかかなりレベルが高い

伊織「確か美少女メイド・アキちゃんって言うのが俺の高校でも噂になってたな」

明久「!?」

ま、まさか!

伊織「どうした明久?凄い汗だぞ?」

明久「だ、だいじょ、大丈夫だよ」

耕平「めっちゃ動揺してるな」

伊織「こんな子なんだが知らないか?」

そう言って1枚の画像を見せられた

ムッツリーニ「・・・至高の1枚」

ムッツリーニは誇らしく胸を張る

その画像は学園祭の時に撮られたメイド姿の僕だった

雄二「それは明久だ」

秀吉「流石明久じゃの、よく似合っとる」

明久「いやー!見ないでー!」

僕は知られたくなった過去を見られて頭を抱える

伊織「お前だったのか」ガク

そんな隣で伊織が膝から崩れている

耕平「どうした北原?」

伊織「少しほっといてくれ」

耕平「?」




耕平「なんでお前あんな画像持ってたんだ?」
伊織「俺の友達が文月学園に通っててな」
耕平「それで入手したと」
伊織「そういう事だ」
耕平「それにしてもなんであんなに絶望的な顔をしていたんだ?」
伊織「あんな可愛い子が実は男でバカで彼氏持ちとか衝撃的すぎるだろ!」
耕平「確かにそれはそうだな」
伊織「しかも色んな女子生徒の写真を買ってその中の1位がアキちゃんだったんだよ」
耕平「あいつは女の子として生まれた方が幸せだったんじゃないか?」


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キャラ紹介

本編の自己紹介が終わったのでキャラ紹介をしたいと思います


雄二「えー今回はキャラ紹介をしていくぞ」

明久「やっとキャラ紹介だね」

伊織「でもいいのか?」

雄二「何がだ?」

伊織「まだ出てないキャラがいるのに先にやってしまって」

雄二「それは大丈夫だ、後から出てきたキャラはまた次回に回すことになってる」

伊織「そういうことか、なら早速始めていこうぜ」

明久「初めは誰の紹介から始める?」

雄二「妥当に考えたら最初は原作の主人公からじゃないか?」

明久「なら最初は僕だね」

伊織「いや、俺だろ」

明久「何を言ってるのさ!この作品の原作は『バカとテストと召喚獣』なんだよ!だったら原作の主人公が最初だよね?」

伊織「確かに原作のは『バカとテストと召喚獣』だが俺や明久が住んでる所は『ぐらんぶる』に出てくる場所だぜ?」

雄二「どっちでもいいから早く始めるぞ」

伊織「こんな馬鹿に先頭を任せれるわけないだろ!」

明久「伊織には言われたくないね!」

雄二「話が進まねーからジャンケンでさっさと決めろ」

明久「それはいいね」

伊織「ただのジャンケンだとつまらねーから心理戦アリでやろうぜ」

明久「いいよ、なら僕は最初にパーを出す」

伊織「俺はあえてグーを出す」

明久「えっ?いいの?」

伊織「一応今作の主人公を最初に紹介したいしな」

明久「ありがとう伊織」

伊織「良いってことよ」

雄二「茶番はいいからさっさとやってくれ」

明久・伊織「「最初はグー、じゃんけんぽん!」」

伊織・・・チョキ

明久・・・パー

伊織「よっしゃー!」

明久「貴様!嘘をついたな!」

伊織「俺は1つも嘘をついてないぞ」

明久「そんなの嘘だ!」

伊織「俺は最初にグーを出したし今作の主人公は俺だから最初に紹介したいだろ?」

明久「こんなの勝負じゃない!雄二認めないよね!?」

雄二「じゃーここからはインタビュー方式でやっていくぞ」

明久「雄二!?」

伊織「ドンと来い!」

雄二「本作クズ第1号、名前は?」

伊織「前振りおかしいだろ!あと名前は北原伊織だ」

明久「以上」

伊織「早くない!?」

明久「誰も伊織のことなんて知りたくないだろうし」

伊織「ぶち殺すぞ!」

雄二「明久、流石に自己紹介がクズだと可哀想だろ」

伊織「俺名前言っよな!?しかもクズ呼ばわりしたのはお前だろ!」

雄二「アホはほっといて次の質問だ」

伊織「待て!この流れだとアホは俺か!?」

雄二「Pabへの入会経緯は?」

伊織「スルーかよ、それは気づいたら入部届けに名前と拇印が押されていたな」

明久「なんか僕も同じだったような気がする」

雄二「明久のは俺がやっといた」

明久「貴様ァー!」

雄二「バカはほっといて次だな、得意な事は?」

伊織「スポーツは全般得意だな」

明久「あれ?でも原作では泳げないよね?」

伊織「ぐっ!水泳というか水が苦手なんだ」

明久「僕も海はトラウマがあって苦手なんだよね」

雄二「俺もだな、あの時の悪夢を思い出すんだよな」

伊織「お前達の過去に何があったんだ?」

明久「それは原作またはアニメで確認お願いします」

耕平「こいつら女と海に来たのに他の女をナンパして三途の川まで連れていたれたらしい」

明久「うわ!いつのまに来てたの」

耕平「いやなに、アニメの話が聞こえたのでな」

雄二「こいつはムッツリーニのオタク版って感じだな」

耕平「俺は昔、オタクだったからな」

明久「確かに明らかに今もオタクなのに過去形にしてる所が似てるよね」

伊織「あのー今俺の自己紹介なんですけど」

耕平「おうそうだったな、俺からの質問だ、家族構成を教えてくれ」

伊織「両親と妹が」

雄二「まて伊織」

伊織「ん?」

雄二「お前正直に言ったら死ぬぞ?」

耕平「・・・・・・」ゴゴゴゴゴ

伊織「何か邪悪なオーラを感じるんだが」

雄二「あと伊織の家族構成の下りは本編でやりたいからここではナシだ」

耕平「チッまぁ今回は許してやる」

伊織「危ねー」

明久「最後の質問、尻派?胸派?」

伊織「勿論胸派!と言いたいが尻のラインも捨て難い」

明久「どっちかと言うなら?」

伊織「胸派!」

雄二「以上が伊織の自己紹介だ」

伊織「ここで分かったのって名前と家族構成と胸派くらいじゃないか?」

明久「そんなに重要な人物じゃないからいいんじゃない?」

伊織「一応今作の主人公なんだけど!?」

雄二「バカとアホはほっといて次は誰がいくんだ?」

明久「そんなの僕に決まっているじゃないか」

雄二「稀代のバカ。その愚かさは最早救いようがなく、この世に生まれてきたこと自体が間違いだったと言わざるを得ない。」

明久「表に出やがれ!」

耕平「次は雄二が行くか?」

明久「え?待って!僕の紹介これで終わり!?」

雄二「そうだな」

伊織「雄二の紹介は明久に聞いてみるか」

明久「最近日本で確認された新種の妖怪。醜い容姿と汚い性格で美人の幼馴染を騙す。」

雄二「上等だ!その喧嘩買ってやる!」

バタン

耕平「どうする?北原」

伊織「あの二人出てっちまったしな」

耕平「次回に回すか?」

伊織「そうだな。でも今終わると短すぎるし耕平がいるんだ、お前の自己紹介でもしたらいいんじゃないか?」

耕平「それじゃあ、人が少ないうちに終わらせとくか。名前は今村耕平、特技はミックスボイス、趣味はアニメとゲーム、座右の銘は『耕平お兄ちゃん結婚して♡』だ」

伊織「よくわからん特技と座右の銘のせいで内容が入ってこんわ。そういやお前はなんで入会したんだ?」

耕平「お前に連れてこられた後、雄二に酒を飲まされて気づいたら拇印を押した入部届けが出来上がっていた」

伊織「本人の意思で入会したやつが1人もいねー」

耕平「先輩があれだしな」

伊織「確かにな、何かアピールポイントでもあるか?」

耕平「そうだな、料理が出来るくらいだ」

伊織「原作でも弁当作ってきてたな、あとミックスボイスってなんなんだ?」

耕平「そんなことも知らないのか、発声技法の1つで女声を地声のように出す技法だ」

伊織「お前ってよく分からない特技あるよな」

耕平「そう褒めるでない」

伊織「褒めてねーよ」

耕平「そうそう、お前に確認しておきたいことがあるんだ」

伊織「なんだ?」

耕平「妹がいるのか?」

伊織「・・・」ダッ

耕平「逃がさん」ダッ




群武「後書きでちゃんとキャラ紹介したいと思います。今回は『ぐらんぶる』に登場する2人を紹介していきます。ネタバレになる内容はあまり書きません」

北原伊織
『ぐらんぶる』の主人公
超ド級のバカ、人を陥れることに全力を注ぐ外道、明久と同じくらい鈍感、残念系イケメン
物事を察する能力は皆無だがゲスを感知する機能が備わっている
自分の好きな事に一生懸命な人が好きで、それを侮辱する人に対しては誰であろうと怒る
その為、人の好きな事は否定しない。その事に気づいた人には好かれるが鈍感な為気付くことはほとんどない
ギターが弾け、スポーツが得意、料理もできパッと見高スペックなのにそれを台無しにするくらいのバカ

今村耕平
『ぐらんぶる』伊織の相棒的存在
見た目は金髪のイケメン、妄想癖のある真性のオタク、そして変態
三次元への興味は薄いが妹や水樹カヤにかかわる内容には目がない
運動神経はあまり良くないがダイビングの飲み込みは良い、伊織達を陥れる時は一時的に運動神経が良くなる
女声を地声の様に出す「ミックスボイス」という特技がある。ただし、秀吉のように咄嗟に声を変えることは出来ない

群武
『バカとお酒とダイビング』の作者
小学生の時から野球を続ける野球好きだがそれ以上にアニメ、漫画、ゲームが大好きなインドア派スポーツマン
球技全般好きだが球技以外はあまり得意ではない
アイドル、BL、ロボット、癖のある絵の作品(ジョジョなど)は嫌いではないがあまり見ない
好きなキャラのタイプはショートカット
1番はリゼロのレム
2位はりゅうおうのおしごとの空銀子
3位はとあるシリーズの御坂美琴

群武「これからも『バカとお酒とダイビング』をよろしくお願いします」


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19杯目

群武「な、なんと!とうとうダイビングの話が始まります!」
明久「本当にダイビングの話だったの!?」
伊織「その話前回にもしてなかったか?」


ー明久サイドー

時田「えー色々あった自己紹介も終わったのでダイビングの説明をしたいと思う」

千紗「それは私も参加しないといけませんか?」

そう言って古手川さんは手を挙げた

確かに今日の講習は初心者用なため経験者の古手川さんには時間の無駄になる可能性が高い

時田「ん〜・・・経験者の千紗ちゃんには必要ないなあ」

千紗「それなら私は不参加で」

そう言って部屋に戻ろうとする古手川さん

店長「待て」

千紗「何?」

それを止めたのは以外にも店長だった

店長「折角だ、千紗も参加しなさい」

千紗「・・・・・・」

古手川さんはいかにも嫌そうな顔をする

店長「インストラクターを目指すなら初心者の挙動を勉強するのは大事だぞ」

千紗「そこまで言うなら」

嫌な顔をしたが参加が決まった

伊織「俺は見学でいいですか?」

今度は伊織が不参加を表明した

明久「どうしたの伊織?」

時田「なんだ、体調不良か?」

伊織「いえ、さっきも言った通り俺泳げないので」

すっかり忘れてたけどそういえばさっき言ってたね

伊織「なので俺のことはほっといて」

時田「そんな事は気にするな」

伊織「いや気にしますって!」

寿「泳げないダイバーだって結構いるんだぞ?」

未経験者一同「え?」

僕達未経験組は寿先輩の言葉に唖然とした

伊織「海に潜るのに?」

耕平「それ大丈夫なんですか?」

明久「泳げないと溺れますよ?」

時田「泳げるに越したことはないが」

寿「それほど大きな問題は無いな」

僕達は先輩が何を言ってるのかよく理解できないでいた

時田「じゃたその辺の説明から始めるか」

寿「そうすっか」

そうして僕は入会して初めてダイビングの話を聞くことが出来た

 

僕達は説明のためにダイビング機材が置いてあるバルコニーに集まった

伊織「なんで海に入るのに泳げなくても問題ないんですか?」

時田「それはだな、水泳とは状況が全く異なるからだ」

そういって時田先輩はタンクを1つ持ってきた

時田「ダイビングをする時に担ぐタンクだ。持ってみろ」

耕平「はあ・・・」

耕平は差し出されたタンクを持ってみると

耕平「おっ・・・結構重い・・・」

寿「10キロ以上あるからな」

時田「水中では浮力が働くから重さは気にならないが、背中に担ぐとかなり動きづらいぞ」

雄二「タンクなんけ背負ってクロールなんか無理だな」

明久「腕は回しにくそうだね」

寿「そもそも泳げない人の大部分が苦手なのは息継ぎだ」

時田「息継ぎをしなくていいダイビングは勝手が違う」

耕平「なるほど、水泳の技術は殆ど関係ないですね」

時田「まあ、何らかのトラブルが原因でタンクを外して水面を泳ぐ状況も有り得なくはないが」

寿「そういう時は下手に動かず口でBCDに空気を入れておとなしく救助を待つべきだ」

雄二「明久、BCDが何か聞いておかなくていいか?」

明久「ムッ失礼な、それくらい僕でもわかるよ」

雄二「じゃー行ってみろ」

明久「愛のABCDでしょ?」

雄二「それは恋のABCだし、今はダイビングの話をしてるからそれは関係ない」

ムッツリーニ「・・・実はABC以外にDEFも存在している。Dは」

秀吉「ちょっと待つのじゃムッツリーニ、いきなり語り出したからみんな驚いておるぞ」

ムッツリーニ「・・・申し訳ない」

寿「話が少し脱線したな。明久以外も分からないことがあったら直ぐに聞いてくれていいぞ」

明久「すみません、話を遮るのはダメだと思って」

時田「話を遮るよりも知らないことがある状態で海に入るほうが危険だから、みんなもそうだが分からないことがあったら直ぐに聞いてくれ」

明久「わかりました、それでBCDってなんですか?」

寿「これはダイバーが装着する浮力調整装置のことだ」

時田「また使い方は海に出た時にレクチャーするか」

明久「ありがとうございます」

それにしてもダイビングになるといきなり真面目になるな

寿「だから泳げなくても遠慮することはないぞ」

伊織「いや、でも・・・」

時田「やってみる前からそこまで否定するな」

寿「勿体ないぞ」

伊織「そういう事ならちょっと参加してみます」

こうして新入生のレクリエーションには全員参加することが決まった

 

時田「今日はレクリエーションも兼ねた水泳の練習を行う」

僕達はみんなで近くにある市営プールに来ていた

伊織「えっさっき泳げなくてもいいって言ってたのに?」

時田「泳ぎの技術自体はさして重要じゃない、水に慣れておくのが重要なんだ」

寿「そう言った意味では水泳は大事だな」

明久・伊織・耕平「「「???」」」

明久「どういうこと雄二?」

雄二「だから、水に慣れることで恐怖心を薄くしたり水に浸かるのになれる必要があるってことだ」

明久「そういうことね」

時田「んじゃ、さっさと水着になるぞ」

そういって僕と雄二、ムッツリーニ、伊織、耕平は時田先輩に更衣室まで連れていってもらう

秀吉「待って欲しいのじゃ!ワシも連れて行って欲しいのじゃ!」

そんな中に入ろうとする秀吉

明久「流石に秀吉と一緒に着替えるのはダメだよ」

秀吉「待つのじゃ!ワシは男と言っておるだろ!」

明久「ちゃんと古手川さんと一緒に女子更衣室に行くんだよ」

秀吉「お主、話を聞いておらんな?」

雄二「確かにここには秀吉用の更衣室はないからな」

耕平「お前らの地元にはそんなのがあったのか?」

ムッツリーニ「・・・世界共通」

ちなみに学力強化合宿や地元の温泉には秀吉用のお風呂が用意されていた

千紗「えっと、一緒に行く?」

秀吉「古手川よ、流石に異性と一緒に着替えるのは倫理的にダメなのじゃ」

明久「僕も同じ事を言いたかったんだ」

秀吉「お主とは同性といっとるじゃろ」

千紗「私の後に着替えたらいいんじゃない?」

雄二「このまま平行線だと時間の無駄だしな。秀吉、ここは折れてくれないか?」

秀吉「納得は行かぬが、仕方あるまい」

そういって秀吉は渋々といった感じで古手川さんについて行った

秀吉と古手川さんと分けれてから僕は忘れ物に気づいた

明久「僕水着持ってきてないんですがどうしたらいいですか?」

寿「あーそれならレンタル出来るから心配しなくてもいいぞ」

明久「そうなんですか、それなら良かったです」

僕は安心してレンタルをしに行くことにした

 

ー千紗サイドー

私は一見女の子にしか見えないが実は男の子らしい秀吉くんと一緒に更衣室へ向かっていた

千紗「えっと秀吉くん?は水着持ってきたの?」

秀吉「うむ、それが忘れてしまったのでここで借りることにしたのじゃ」

ここは競泳用の水着から可愛い水着まで種類が多いらしい

私は家から持ってきたのでレンタルすることはないが噂ではそう聞いたことがある

千紗「そうなんだ」

千紗「(レンタルってことはもしかしたら・・・・・・)」

私は少し不安になりながらも中身の確認は出来なかった




群武「私はダイビング未経験者なのでダイビングの知識は全くなくネットに頼っている状況なのでもし豆知識などありましたら教えて貰えると嬉しいです」


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20杯目

祝UA数1万超
皆様の協力もありとうとうUA数が1万を超えました
ありがとうございます!



ー明久サイドー

僕は水着を忘れたのでレンタルする為に受付の所まで来ていた

レンタル水着1着100円

タオル1枚100円

ゴーグル1つ200円

拷問器具1つ500円

看板にレンタル出来るものと値段が書いてあった

僕はレンタルするものを決めて受付のお兄さんの所へ行く

明久「えっと、水着とタオルを1つずつレンタルお願いします」

受付「水着とタオルが1つずつと拷問器具が2つですね?」

明久「ちょっと待ってください!僕は拷問器具は頼んでませんし、そもそもプールに拷問器具があるのはおかしくないですか!?」

僕は見間違いと思いスルーしていた事にツッコミを入れる

受付「冗談ですよ」

明久「もービックリさせないでくださいよ」

受付「ノリが良さそうだったので少しからかってしまいました」

受付のお兄さんはそういって僕が頼んだレンタル品を入れた水着袋を持ってきてくれた

受付「はいどうぞ」ガチャ

ん?何か硬いものがぶつかるような音が聞こえたが無視をする

明久「ありがとうございます」ガチャ

やっぱり何かおかしな物が入ってる

そう思った僕は中身を確認する

中から出てきたのは

水着

タオル

手錠

足枷

明久「アウトー!」

僕は頼んでもいない物が入っていたことよりも公共の場に拷問器具があることに対してツッコミを入れた

受付「では水着とタオルと拷問器具2つで合計1200円頂戴いたします」

そのツッコミをスルーして拷問器具も合わせた値段を回収しようとする受付のお兄さん

どうやら手錠と足枷はセットらしい

明久「これ僕は頼んでませんよ!」

そういって僕は拷問器具を返そうとする

受付「すみません。こちらの手違いで入ってしまったようですね。お詫びと言うわけではありませんが、本日は拷問器具2つは無料レンタルとさせていただきます」

明久「その無料は全く嬉しくないんですけど」

僕はその場に居たくなかったのでレンタル代の200円を渡して直ぐに更衣室に向かった

 

ー伊織サイドー

明久がレンタルをしに行っている間に俺達は先に着替えることにした

寿「・・・まあ要するにだ」

時田「泳げないヤツは水に恐怖心を抱いてるだろう?」

寿「ダイビングでそれはまずい事なんだ」

いつもの先輩達からはイメージ出来ないほど真剣に話しているのだが

伊織「話が頭に入らないんで下を穿いてもらえませんか」

全裸のまま話し出したのだ

最後水着を穿くまで我慢できなかったのだろうか?

伊織「それは水の中を楽しめないからですか?」

時田「いや、もっと直接的な話だ」

耕平「と言うと?」

寿「水中のトラブルに対してパニックに陥りやすい」

時田「マスクが外れた時なんかが顕著だな」

確かにマスクがないと何も見えないからな

寿「それと恐怖心で効率の良い呼吸を保てず酸素の消費量が多くなるんだ」

耕平「効率の良い呼吸っていうのは何です?」

時田「ゆっくりと大きく深く呼吸する事だ。これが一番効率が良く、浅く小さい呼吸は効率が悪い」

寿「怖がると呼吸は浅く小さくなるからな」

時田「水中では平常心を保つ事が大事だ」

雄二「ムッツリーニ、お前無理じゃないか?」

ムッツリーニ「・・・・・・余裕」

雄二「これからダイビングするってことは菜々華さんや古手川の水着も見るんだぞ?」

ムッツリーニ「・・・・・・」タラー

雄二「妄想だけで鼻血が出てるじゃねーか」

俺が見てない間に土屋の足元に血の池が出来上がっていた

伊織「何があったんだ!?」

雄二「ムッツリーニが妄想で鼻血を出しやがった」

伊織「マジかよ」

妄想だけでここまで鼻血が出るとは流石ムッツリだな

これからは俺もムッツリーニって呼ぼう

寿「そろそろお前も着替えたらどうだ?」

伊織「えっ!?・・・あ」

周りを見ると着替えてないのは俺だけだった

その後入ってきた明久と一緒に俺は着替えて先輩達と合流することが出来た

 

ー明久サイドー

僕が更衣室に戻るとムッツリーニは血の池作ってるし伊織はまだ着替えてないし、一体僕がいない間に何があったんだろ?

僕と伊織は着替えて直ぐに先輩達と合流をした

寿「よし、始めるか」

寿先輩は伊織と1対1で指導するみたいで残りのメンバーは時田先輩の元に集まった

時田「じゃー俺達も始めるか」

耕平「こっちは何をするんですか?」

明久「確かに僕達は伊織ほど恐怖心があるわけじゃないですし」

ムッツリーニ「・・・液には慣れてる」

それは同じ液体でも血液では?

時田「なら俺達は水中で少し遊ぶか」

明久「何して遊ぶんですか?」

時田「相手の身につけている物を奪うというのはどうだ?」

明久「身につけている物ですか」

時田「まーとりあえずやってみろ。スタートだ」

僕達は時田先輩の合図と共に潜った

身につけているものと言えばゴーグルか

明久「(なら最初の狙いは・・・・・・雄二!お前だ!)」

僕は雄二目掛けて壁を蹴り蹴伸びの容量で真っ直ぐ雄二へ突っ込んだ

雄二「(やっぱり最初は俺の方へ来やがったな明久!)」

雄二は突っ込んでくる僕に対して顔面を狙って蹴り上げる

しかし水中では大したスピードも出ないため簡単に避けることが出来る

明久「(この隙にもう片方の足を掴めば)」

片足立ち状態の雄二に僕は両手を伸ばして掴みに行く

明久「(捕った!)」

そう思った瞬間後頭部に衝撃が走った

明久「(グハッ)」ボコボコ

どうやら雄二は蹴り上げた足をそのまま振り下ろしたみたいだ

僕は予想していなかった衝撃に耐えられず空気を吐いてしまう

明久「(やばい!酸素が)」

酸素が足りなくなった僕は息継ぎのために地面を蹴って上に上がる

雄二「(かかったな!)」

雄二の手が僕の水着を掴んでいるのに気づかずに

明久「ぷはー!」

僕は何とか呼吸が出来た

どうやら最初の脱落者は僕だったみたいだ

寿「どうだ?水中の景色は良いモンだろ?」

少し離れた所から寿先輩の声が聞こえた

伊織「・・・俺・・・もう一生水の中ダメかもしれません・・・」

一体この一瞬で伊織に何があったの!?

 

ー千紗サイドー

千紗「秀吉くん?そろそろ着替えれた?」

私は不本意ながらも水着に着替えて次に着替えている秀吉くんを待っていた

秀吉「準備OKじゃ」

どうやら着替えれたみたいで秀吉くんが出てきた

ビーチバレー選手が着用するような水着を着て

ビーチバレーの水着はかなり体に密着しており下の方は結構布面積が小さかったりする

そしてなんと言ってもめちゃくちゃ似合ってる

千紗「やっぱり女の子だったの?」

秀吉「やっぱりとはどういうことじゃ!?」

千紗「だってそれ、女性用じゃない?」

秀吉「やはりそうじゃったか、何で上まであるのが不思議に思っておったのじゃ」

そこは普通女性用って気づくもんじゃない?

やっぱりあれの友達なのね

私は常識人が増えたと思っていた分少し残念に思う

千紗「多分始まってるし行こっか」

秀吉「うむ、着替えたいがこれ以上待たす訳には行かぬからの」

秀吉くんはそういって諦めてプールへ向かった

逆に女性用の水着の下だけ穿いて上を脱いだら斬新なファッションになるような気がする

 

ー明久サイドー

僕達は時田先輩に先程やった遊びの目的の説明を受けていると

秀吉「待たせたの」

着替え終わった秀吉がやってきた

明久「あっ秀吉、やっときたね」タラー

おっと鼻血が出てきた

ムッツリーニ「・・・・・・我が生涯に一片の悔い無し!!」ドババババ

ムッツリーニは秀吉と古手川さんの刺激的な姿に我慢出来なかったようで物凄い勢いで鼻血を出す

伊織「うわ!いきなり赤くなってきた」

雄二「伊織!耕平!ムッツリーニの救護を頼む!」

雄二の掛け声によりムッツリーニは一命を取り留めた

しかし、そのせいでプールが使えなくなった

そのあとは受付のお兄さんにこっぴどく怒られ、拷問された後プール掃除をしてグランブルーに帰ることになった




群武「ちなみに25mプールの水替え1回で27万程するらしい」
明久「この費用って誰が払うの?」
群武「もちろん登場キャラ達」
明久「僕の食費がー!」


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21杯目

群武「初の4000字超えです。後半は原作通りに進んでいます。やっぱり水族館のシーンは抜けないですよね」


ー明久サイドー

僕達はプールで起きた騒動(ムッツリーニの鼻血)の後片付けを終えて家に向かって帰っている途中だった

現地解散になったので今いるメンバーは僕と雄二、伊織、古手川さんの4人だけだ

明久「それにしても疲れたね」

雄二「流石にあれだけ動いた後に説教と掃除だったからな」

伊織「ムッツリーニはいつもあんな感じなのか?」

明久「いつも通りだよ」

雄二「昔も同じことをしてな。あの時は学校のプールを真っ赤に染めてたぞ」

確かあの時は僕が誤って秀吉の水着を取っちゃったんだよね

伊織「あいつ、海に入れなくないか?」

明久「流石に入れるんじゃない?」

伊織「いや、海であの量の鼻血出したらサメが来るだろ」

サメってすごく嗅覚が良いんだっけ

明久「それじゃ一緒に潜れないね」

流石にサメと一緒に泳ぐのは無理だもんね

伊織「何か解決方法はないか?」

僕は考えるが何も案が出ない

雄二「ムッツリーニの体質はどうにかするしかないか」

明久「何かいい作戦あるの?」

雄二「まー俺に任せろ」

こう見えて雄二は神童と呼ばれたことがあるくらい頭の回転は早い

そんな雄二が任せろと言うなら心配ないだろう

明久「伊織はどうだった?」

僕達とは別で練習をしていた伊織に聞いてみる

伊織「あまり水の中に楽しみは見つからなかったな」

どうやら練習の効果はなかったようだ

伊織「というか興味が無くなってきたな」

千紗「・・・・・・」

伊織「どうした?」

千紗「・・・別に」

伊織「?」

雄二「まーまだ海に入ってすらいないんだ、海の中を見たら少しは興味が湧くかもな」

伊織「まず水の中で目が開けれないけどな」

伊織は少し寂しそうに笑った

 

明久「それじゃ、また明日」

雄二「じゃーな」

伊織「また明日だな」

千紗「また明日」

グランブルーに着いたので僕と雄二は伊織と古手川さんと分かれた

明久「ねー雄二」

雄二「どうした?」

明久「伊織は大丈夫かな?」

雄二「さーどうかな」

雄二は少し投げやりに応える

明久「もう少し真剣に考えてよ」

雄二「そう言われてもな、海の良さを知らない俺達じゃ何も出来ないだろ」

明久「どういうこと?」

雄二「俺達はまだ海の中を見たことないだろ?」

明久「確かに、でもそれだと秀吉もムッツリーニも耕平も無理だよ?」

雄二「お前は忘れたのか?ここには海の素晴らしさを知っている人物がいるだろ」

雄二は改めてグランブルーの方を向いた

 

ー伊織サイドー

俺は明久達と分かれた後店の中でぐったりしていた

菜々華「どう伊織君?水の中は楽しめそう?」

さっきまで千紗と話していた菜々華さんが話しかけてくる

伊織「いいえ、全く」

俺はさっきプールの中で見た景色を思い出してブルーな気持ちになる

菜々華「じゃあ、私とちょっとお出かけしてみない?」

伊織「・・・・・・?」

 

伊織「おおーー!!」

俺は視界いっぱいに広がる景色に興奮していた

菜々華「ふふっ、夜の水族館って素敵でしょ?」

隣を歩いている菜々華さんが少し誇らしげに言う

伊織「何か神秘的な感じですね」

俺は素直に思ったことを言う

次に行く所を手元のパンフレットで確認していると営業時間の欄に目がいく

営業時間は10:00〜17:30と書いてある

伊織「閉館時間過ぎてるのにどうして入れてもらえたんです?」

今の時刻は夕方6時を少し過ぎるくらいでもうとっくに閉館しているはずである

菜々華「千紗ちゃんがたまにお手伝いに来るよしみでね」

伊織「手伝い?」

菜々華「ああいうの」

そう言って菜々華さんは水槽の少し上の方を指をさす

そこには魚達に餌をあげているダイバーがいた

伊織「へぇ・・・千紗こういうのやってるんだ」

俺は少し感心する

菜々華「病欠の人が出た時とかに臨時でね」

伊織「(あの千紗が・・・)」

俺はダイバーを眺めているとその視線に気づいたのかダイバーがこちらに手を振ってくれる

俺は千紗が同じことをしている所をイメージしてみるが

伊織「イメージと全然違うな・・・」

どうやっても笑顔で手を振る千紗はイメージ出来ない

菜々華「あら、伊織君ってば意外と女の子を見る目はないのね」

伊織「は?」

菜々華「千紗ちゃん凄い人気者なんだから、お客さんからお手紙貰った事もあるのよ」

伊織「う〜む・・・」

俺は今まで千紗が見せてきた表情を思い返す

汚物を見る目、バカを見る目、呆れた表情、憤怒の表情、変質者を見る目

結果は決まってるよな

伊織「まあ、M趣味の人って結構多いらしいですからね」

菜々華「そういう事じゃないんだけど・・・」

菜々華さんは少し困った表情をする

菜々華「千紗ちゃんは良い子よ、ちょっと素直じゃなくて不器用だけど、海が大好きで凄く詳しいし、可愛いし、優しいし、柔らかいし、いい匂がするし」

菜々華さんはとても優しい表情で千紗のいい所を上げていく

確かに前半の方は分からなくもない

しかし、俺は千紗の笑顔を見たことも優しくされたこともない

しかも最後の2つは俺が言ったら殺されるだろう

伊織「俺の知らないところばかりです」

菜々華「こんな短時間で全部わかってたら私もびっくりだよ」

確かに俺は千紗と再開してからまだ数日しか経ってないしな

 

それから俺は菜々華さんの解説も聴きながら水族館の中を歩いていた

菜々華「あれはヒトデヤドリエビ」

菜々華さんはそう言ってとても小さなエビをさした

菜々華「あんなに小っちゃいのによく見るとちゃんと爪がついてるのよ」

俺はよく観察してみるが爪を見つけることは出来なかった

菜々華「あっちの寝そべってるのはネムリブカ」

次は底の方でゆっくり泳いでいる魚みたいだ

菜々華「サメだけど凄く温厚よ、岩場の陰でのんびり寝てたりして可愛いの」

確かに映画出みるようなサメとは違う感じがする

菜々華「あっちは映画とかで有名になったクマノミ」

あれは俺でも知ってる魚だ

菜々華「イソギンチャクとセットでいるのが愛らしいのよね」

イソギンチャクの中から少し顔を出していたりするのはとても可愛らしい

伊織「さすがプロ、詳しいですね」

菜々華「あはは、どうもありがとう」

菜々華さんの説明はとてもわかりやすく面白い

伊織「俺も少し魚の種類でも勉強してみようかな」

菜々華「気に入ったの?」

菜々華さんは嬉しそうに聞いてくる

伊織「いえ、俺も泳げるようになって魚に詳しくなれば水の中が楽しいものになるのかと」

菜々華「あ、そういう事。う〜ん・・・」

菜々華さんは少し考える

菜々華「伊織君は難しく考えすぎだと私は思うよ」

俺は菜々華さんが何を言っているのか理解出来なかった

伊織「そうでしょうか」

菜々華「うん、そんなの私も千紗ちゃんも考えた事ないもの」

伊織「それは二人とも泳げて魚に詳しいからで・・・」

菜々華「違うよ伊織君」

菜々華さんは俺の少し前を歩いているため表情がわからない

菜々華「誰だって最初は泳げないし魚にも詳しくないもの。だからまずは単純に感じ取って欲しいな」

伊織「感じ取る?何を?」

菜々華「な〜〜んにも難しい事なんて考えないで頭を空っぽにして」

暗いトンネルを抜ける直前

菜々華「――こういう、水の中の世界を」

その瞬間、暗いトンネルを抜ける

抜けた先はドーム状になっていて前も後ろも頭の上まで水の中に入っているような世界だった

伊織「ぅお・・・!」

菜々華「凄いでしょ」

俺は圧倒的な景色に声が漏れる

菜々華「横だけじゃなくて頭の上にも水の世界が広がってるなんて幻想的だと思わない?」

伊織「これが水の中の世界」

菜々華「ううん、違うわ伊織君」

伊織「?」

菜々華「これでもまだ『水の中に近い世界』なのよ」

俺は見上げたまま動かない

菜々華「世界にはここよりもっと凄い景色を全身で感じられる場所があるんだから」

伊織「ここより、もっと」

俺はそんな世界を感じてみたいと心底思った

菜々華「実はね、ここに伊織君を連れて行くよう言い出したのは千紗ちゃんなの」

俺はここで思ってもいなかった人物の名前が出て驚く

伊織「え?千紗が?どうして?」

菜々華「伊織君にダイビングを好きになって貰いたいからじゃない?」

伊織「?なんでそんな事を?」

菜々華「それは知って貰いたいから。伊織君が苦手な水の中にはこんなにも綺麗な世界があるんだって。千紗ちゃんだけじゃなくて時田君も寿君もそう。だから、あんなに一生懸命ダイビングを勧めているの」

――そうか

誰だって自分が好きなものは他の日に否定されたくない

感動を共有したいと思う

面白かった映画の感想を語り合うように

楽しかった野球の試合を振り返るように

ダイバーは海から上がって仲間たちと水の中の話をするのだろう

そういう仲間は一人でも多い方がいい

自分も楽しい

相手も楽しい

菜々華「私も伊織君に水は怖いものだけどそれだけじゃないってわかって欲しいな」

伊織「・・・そうですね」

俺は今までの考えを改める

伊織「少し興味が湧いてきました」

菜々華「そっか、それは私も嬉しいな」

菜々華さんはとても優しい笑顔で笑いかけてくれた

 

伊織「千紗!」

俺は菜々華さんと水族館から帰ってきて真っ先に千紗の元へ行く

千紗「何?」

伊織「はい、これお土産」

俺は水族館で買ったタコのキーホルダーを渡す

千紗「私がどれだけあの水族館に通ってきたと思ってるのよ」

伊織「まあ、感謝の気持ちだよ」

千紗「・・・感謝?」

伊織「おう、俺をあそこに連れて行くよう菜々華さんに頼んでくれたんだろ?」

千紗「・・・・・・ダイビングをバカにされたままなのも癪だから」

伊織「そっか、とにかくやるよ」

千紗「・・・・・・」

千紗は無言で受け取ってくれる

伊織「じゃ」

千紗「ちょっと待って」

俺は部屋に戻ろうと思うと千紗に呼び止められる

伊織「ん?」

千紗「・・・でどうだったの?」

伊織「何が?」

千紗「水の中」

伊織「うーんそうだな、苦手意識は変わらないけど」

俺はさっき起きた心境の変化を素直に伝える

伊織「次はもっと近くで見てみたいかな」

千紗「・・・・・・あっそ」

千紗は少し驚いたような表情をしたが直ぐに戻る

伊織「だからそれプレゼント」

千紗「・・・・・・」

明らかに可愛くないといった表情になる

伊織「ありがとうな千紗」

俺は感謝の気持ちを伝えると部屋から出ていく

 

ー千紗サイドー

千紗「あ・・・ちょっと」

私は呼び止めようとするが出ていった伊織には届かなかった

千紗「それならもっと可愛いのを寄越しなさいってのよ」

私は伊織から貰ったタコのキーホルダーを改めて見る

千紗「バカ」

ちなみにこの後私はこのタコをカギにつけるかケータイにつけるかで軽く二時間悩んだのは秘密




群武「祝!1巻終了!」
伊織「長かったな」
明久「20話使ってまだ1巻って」
伊織「いつまで続くのやら」
群武「読んでくれる方がいるなら限界まで続けます」
明久・伊織「「こいつ就活から逃げやがった」」


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22杯目

群武「前書きが全然思いつかなかったので、祝!2巻突入!以上です」


ー明久サイドー

ムッツリーニの騒動が起きてから約3週間が経とうとしていた今日、僕は珍しく1人で帰宅していた

いつもはみんなも居るんだけど帰る時間が少しズレて1人だけになっていた

明久「久々にゆっくり帰れる」

いつも雄二や伊織と本気の追いかけ合いをしているため歩いて帰る機会は滅多にない

歩いて帰っていると見覚えのある後ろ姿が視界に入った

明久「ん?あの後ろ姿」

僕は前を歩いているスタイルがいいショートカットの女性に声をかけた

明久「古手川さんも今帰り?」

千紗「あっ吉井」

この女性は僕がお世話になっているグランブルーの店長の娘さんで伊織のいとこの古手川 千紗さんだ

明久「古手川さんは学校生活には慣れた?」

千紗「ボチボチかな、後苗字だとお父さんもお姉ちゃんもいるから下の名前でいいよ」

明久「そうしたいんだけど、あんまり女性を下の名前で呼びなれてないからちょっと恥ずかしいかも」

千紗「そっか、別に無理して呼ぶ必要はないもんね」

明久「また慣れてきたらそう呼ばしてもらおうかな」

今まで下の名前で読んだことがあるのは小学校の頃の姫路さんと美波、後は美波の妹で今年から中学生になった葉月ちゃんだけだ

ちなみに葉月ちゃんは小学六年生になってからかなりの告白をされているらしい

葉月ちゃんは可愛いし元気もあるから好きになる気持ちは分からなくもないけど

元クラスメイトが告白し出した時は本気で殺しにかかった

文化祭の時の発言は冗談じゃなかったのか!

千紗「吉井は学校には慣れた?」

明久「学校生活には慣れたんだけど勉強がね」

千紗「そっか、教えてあげれたらよかったんだけど」

明久「流石に違うコースだとキツイよね」

僕と雄二、秀吉、ムッツリーニは同じコースで、古手川さんと伊織、耕平が同じコースと言う感じに分かれている

いくつかは同じ授業は取ってるけどほとんど違うため勉強を教えて貰うことはあんまり出来ないんだよね

明久「そう言えば伊織の特訓は順調?」

千紗「それがあんまり芳しくないかな」

明久「・・・そっか」

伊織はあの日以来、時間のある日は1人でプールに行って水に慣れる練習をしているらしい

成長はしてないみたいだけど

千紗「まだ水の中で目が開けれないみたい」

明久「そっか、途中で諦めないか心配だね」

正直ここまで進歩がないと諦めてしまうのではないかと心配してしまう

千紗「それは大丈夫」

以外にも古手川さんは心配していないみたいだ

明久「その心は?」

千紗「水の中に興味があるから」

明久「? どういうこと?」

千紗「伊織は海の中を見て興味持ったから、その世界を見るまでは諦めないと思う」

明久「そんなに凄いの?」

千紗「控えめに言っても最高」

明久「古手川さんがそこまで言うなら本当なんだね」

千紗「ダイビングだと水族館よりも近くで魚とか見れるから迫力が凄いよ」

それから古手川さんは海の良さについて熱く語ってくれる

そんな古手川さんはいつものクールな表情と違いとても楽しそうに話していた

千紗「どうしたの?」

どうやら僕は楽しそうに話している古手川さんに見惚れていたみたいだ

明久「海の話になると古手川さんってイキイキするよね」

僕は思ったことを素直に伝える

千紗「変?」

明久「ううん、楽しそうに話してる方が可愛いなって」

千紗「・・・・・・・・・」

古手川さんは顔を赤くし俯いてしまった

明久「(僕何か悪いこと言っちゃったかな?)」

僕は何で黙ってしまったのか分からないまま帰ることになってしまった

古手川さんが黙ってしまい無言のまま帰っているとグランブルーに着いてしまった

 

ガチャ

明久「お邪魔します」

千紗「ただいま」

僕と古手川さんは店の中に入る

寿・時田「「おかえり」」

先輩2人が迎えてくれる

そこで僕と古手川さんは女子高生の制服を持ってブツブツ言っている伊織と耕平が目に入る

明久・千紗「「・・・・・・変態」」

伊織「違うぞ!?」

耕平「これはダイビングに使うと渡されて!」

こいつらは何を言っているんだ?

ダイビングに女子高生の制服を使うなんてありえないでしょ

千紗「ダイビング・・・・・・?」

ほらやっぱり!

古手川さんでも頭にハテナを浮かべているじゃないか!

千紗「ああ、そういう事」

なのに何故か納得してしまう古手川さん

明久「どういうこと!?」

伊織「それを俺達も今考えていたんだ」

明久「ちなみにどんな案が出たの?」

耕平「これだ」

そう言って耕平は女子高生の制服を着せた抱き枕を渡してきた

僕がプリントされた抱き枕を

明久「何やってんだこんちくしょー!」ブン

耕平「ゴフ!」

僕は渡された抱き枕を思いっきりフルスイングし耕平の顔をジャストミートする

フルスイングした勢いを殺さずに一回転しそのまま伊織を目掛けて投げる

伊織「やめろ明久!」ボフ

抱き枕は伊織の顔面を直撃し床に落ちる

明久「それで変態2人はその抱き枕で何をしようとしてたの?」

抱き枕なのでダメージが少なかった2人は直ぐに立ち上がる

耕平「あーそれはだな、サメ除けになるんじゃないかと思ってな」

明久「君達はバカかい!」

伊織「明久にバカ呼ばわりされるなんて心外だ!」

耕平「そーだそーだ!」

明久「僕がプリントされた抱き枕に制服を着させたくらいでサメが逃げるか!するなら雄二だろ!」

伊織・耕平「「!?」」

伊織と耕平はその考えはなかったと言いたげな表情になる

寿「突っ込むのはそっちじゃないだろ」

時田「少し俺らと思考回路が違うみたいだな」

何か失礼なことを言われているような気がするが無視をする

明久「だから早くカバーを雄二に変えるんだ!」

雄二「バカはお前だ明久」ゴス

するといつの間にか来ていた雄二に後ろから殴られる

明久「何をするのさ雄二!」

雄二「壊れた頭を叩いて直してやろうとしただけだろ」

明久「ドラム缶テレビじゃないんだから治るわけないよ!」

雄二「そうだったな、お前のバカは壊れてるんじゃなくて常にそれだもんな」

その瞬間僕は雄二に飛びかかろうとするが

寿「そろそろ説明してもいいか?」

寿先輩に止められる

伊織「他のメンツには声かけなくていいんですか?」

ここに居ないメンツとは秀吉とムッツリーニの事だろう

時田「あの2人は急用で休みだ」

寿「だから今日は4人に説明するぞ」

そう言って先輩達は何やら準備をしだした

寿「ダイビングで使う器材は大体こんな感じなんだが」

テーブルにいくつかの器材が置かれる

フィン&マスク&シュノーケル

スーツ

ウェイト

レギュレーター

BCD

ダイビングコンピューターetc…

もちろん制服はどこにも見当たらない

明久「制服ないじゃないですか!」

伊織「制服は必要ないじゃないですか!」

耕平「やっぱり嘘か!!」

寿「黙って聞け」

異議を申し立てる僕達を黙らせて説明を続ける

寿「これらを揃え空気の入ったタンクを借りてようやく始められるんだ」

時田「レンタルもあるから買う必要はないがな」

明久「・・・?」

伊織「はあ・・・」

耕平「それで?」

何が言いたいかわからない僕達3人

寿「つまり、ダイビングというのはな」

時田「割と金がかかるんだよ」

そんなにお金がかかるんだろうか?

伊織「ああ、それは少し予想してました」

耕平「見るからにそんな感じだもんな」

明久「全部レンタルしたらどのくらいかかるんですか?」

千紗「お店にもよるけどだいたいこのくらい」

そう言って古手川さんはグランブルーのメニュー表を見せてくれた

僕達は器材を1つも持っていないのでフルレンタルの欄を見る

フルレンタル+ビーチダイブ2本(ガイド料・タンク代込み)=11,000円

僕はその値段を見た瞬間携帯を取り出しあるサイトを閲覧する

明久「肝臓なら200万で売れるか」

千紗「バカなこと考えてない?」

隣に来ていた古手川さんに釘を刺される

明久「ぞ、臓器を売ろうなんてしてないよ?」

千紗「はぁ〜、普通バイトを探すところでしょ」

明久「そうか、その手があった!」

千紗「最初に出て欲しいわ」

古手川さんがため息を吐く

伊織「それにしても結構高い・・・」

耕平「社会人ならともかく俺達には」

確かに1回潜るのに1万円かかるとなると学生には結構きつい

時田「とまあ、ここまで話せばもうわかるだろう?」

時田先輩は何が言いたいのだろう?

伊織「へ?何が?」

どうやら伊織も分かってないみたいだ

時田「そいつの使い道だ」

明久・伊織・耕平「「「ふむ」」」

耕平「(まずは学生服を着て渋谷を歩く。そして芸能プロダクションのスカウトの目に止まる。歌手デビューを果たし大金を手にすると)」ムフフ

伊織「(まずは男の娘ヘルスに伊織ちゃん(大学生)B76/W61/H80AAカップで登録。そっちの趣味の人に指名してもらいホテルへ。そしてやる所までやってお金を貰う)」ズーン

明久「(制服が男女共にあるってことはレンタル彼氏・彼女の両方に登録したらいいんじゃないか!?そうすれば指名の確率は2倍!しかも給料も2倍でいい事尽くめじゃないか!いや、でも待てよ。もし客に須川くんや横溝くんに指名されたら僕の社会的信用がなくなってしまう。それに姉さんにバレたら両方で指名されて下手したらホテルまで連れ込まれてしまう!そんな事が周りにバレたら僕は女装趣味があっただけでなく同性愛な上にシスコンという取り返しのつかない事になってしまうじゃないか!)」ガクブル

雄二「(こいつら一体何考えやがんだ?耕平はニヤニヤしてるし、伊織は両手で顔を隠してる、明久は最初名案を思いついた様な顔をしたと思ったら次は地獄でも見たような顔になってやがる)」

千紗「なんだか凄い想像をしてるみたい」

時田「たくましい想像力だな」

寿「本当に面白い奴らだ」

先輩達はお金があるからそんな余裕なんだ!

僕らは必死にお金を稼ぐ方法を考えていると

時田「お前ら"伊豆春祭"って知ってるか?」

そんなことを言い出した




伊織「やっと2巻か」
明久「原作の2巻ってどんな内容なの?」
伊織「伊豆春祭と新キャラの登場がメインだな」
明久「まだキャラ増えるんだ」
群武「この作品の予定では新キャラ以外にもあのキャラ達も出てくる予定だぞ」
明久「どのキャラ?」
群武「それは出てからのお楽しみ」


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23杯目

群武「いろんな作品が一気にアニメ化、映画化したことにより生きる糧が出来ましたね(バカテスとぐらんぶるのアニメはまだなのか!?)」


ー明久サイドー

時田「お前ら"伊豆春祭"って知ってるか?」

伊織「はい?」

耕平「知りませんけど」

明久「何ですかそれは?」

雄二「もうそんな時期か」

僕達は初めて聞く単語に対してハテナを浮かべているが雄二の反応は違った

明久「雄二は知ってるの?」

雄二「パンフレットで見ただけだがな」

明久「そうなんだ」

雄二「お前は自分が行く大丈夫のパンフレットくらい見ろよ」

雄二はため息を吐きながら言う

雄二「パンフレットでも結構大きく取り上げられていたぞ」

時田「結構な規模でやってるからな」

明久「そうなんですか、それで伊豆春祭ってなんですか?」

寿「5月にやるウチの大学祭の事だ」

伊織「はぁ・・・」

耕平「それが何か?」

明久「今それ関係ありますか?」

さっきまで制服を使ってお金を稼ぐ方法を考えていたため話の繋がりが見えない

雄二「そういうことか」

雄二は何かに気づいたみたいだ

明久「どういうこと?」

僕は雄二に聞いてみる

雄二「伊豆春祭にはいくつかのイベントがあってな。その中に"サークル対抗ミスターコンテスト"ってのがあるんだよ」

明久「へー、大学祭ってそんなこともするんだ」

寿「そのイベントの殆どはサークル対抗でな、優勝サークルには賞金が出るんだよ」

明久・伊織・耕平「「「ふーん、そうですか」」」

僕達がそう答えると先輩達が改めて制服を渡してくる

明久・伊織・耕平「「「・・・・・・・・・・・・」」」

その行動に僕達は少し考える

明久・伊織・耕平「「「まさか、それに出ろと?」」」

寿・時田「「正解」」

先輩二人は親指を立てて応える

明久・伊織・耕平「「「嫌じゃあああっ!!!」」」

僕達3人は声を揃えて拒否をする

時田「我儘を言うな」

寿「これも立派なサークル活動だ」

伊織「裸で酒を飲んだり女装してミスターコンテストに出るのが活動だと!?」

耕平「ホントにここは何のサークルなんだ」

明久「そうですよ!まだ1回もダイビングしてないじゃないですか!」

僕達は抗議の声を上げるが先輩達には聞こえないフリをする

寿「ちなみにこのイベントは男子コンテストとも呼ばれていてな」

時田「俺達は"男コン"と略している」

伊織「最低だ」

耕平「最低の略称だ!!」

明久「?」

その略称を聞いて2人は何か言っているが僕は何が最低なのか理解出来なかった

明久「そう言えばさっきの古手川さんの反応、もしかして知ってた?」

伊織「ハッそうなのか千紗!?」

千紗「一応去年とかも見てたから」

古手川さんは関わりたくないといった表情で応える

耕平「俺は御免です。そんな服を着て笑い物になるなんて冗談じゃない」

耕平はいつの間にかアニメキャラがプリントされた抱き枕に制服を着させてそんな事を言う

伊織・千紗「「・・・・・・・・・・・・」」

伊織と古手川さんは無言で耕平のシャツを見る

僕達からすると女装するのもアニメキャラがプリントされたTシャツを来てるのも変わりない気がする

時田「なぁ耕平」

耕平「なんですか」

時田「お前は美形だ」

時田先輩は耕平の肩に手を置き真剣な表情で言う

耕平「な、何を・・・」

耕平は少し照れくさそうに聞き返す

時田「お前が出ればきっと勝てる」

寿「サークルの為にお前の魅力を貸してくれないか?」

耕平「そ、そう言われても」

時田「俺達にはお前の力が必要なんだ」

寿「無理を承知で頼む」

先輩達の懇願により耕平はコンテストに出場しそうだ

明久「なら僕は大丈夫ですね」

伊織「じゃあ俺は必要ないですよね?」

どうやら伊織も同じ考えのようだ

寿「なぜだ?」

明久「いや、だって」

伊織「耕平が出るんでしょ?」

時田「なぁ伊織と明久」

雄二「分かってねーな、二人とも」

伊織「何が言いたいんですか?」

明久「どういうこと雄二?」

時田・雄二「「お前らはネタ枠だ」」

時田先輩と雄二の発言に対して

伊織「ブチ殺しますよ」

伊織は本気の目で返す

明久「ブチ殺す」

伊織は行動に移さなかったが、僕は右ストレートを雄二の顎を目掛けて放つ

雄二「甘いわ」

僕の攻撃を読んでいたかのように雄二は軽く右方向に躱す

明久「狙いはこっちだ!」

僕は躱された右手を開き雄二の左肩を掴む、そして僕は右腕を引く

雄二「うお!」

予想外の行動に雄二はバランスを崩すが咄嗟に左足を出して転倒を避けようとする

ここで転けないのは流石の運動神経と言ったところだろう

明久「かかった!」

しかし転けないことは想定内!僕はその踏み出された左足を自分の右足の内側で刈り取る。柔道の出足払いの様な形になるが

明久「なに!?」

本来ならば刈り取っているはずの雄二の左足が地面に着いてしまう

雄二「危ねぇ!」

確かに足を刈り取ったはずなのに!

雄二「くらえや!」

僕は左側からきていた雄二の右フックを横腹にモロに食らう

明久「ぐは!」

体が少しくの字に曲がってしまう

体勢が崩れてしまった僕は立て直そうと距離を取ろうとするが

雄二「させるか」

雄二も踏み込んできて距離が取れない

ならば!

明久「フッ!」

牽制の為に右ストレートを放つ

その瞬間雄二は獰猛な笑みを浮かべる

明久「(これはヤバイ!)」

直感的にこの攻撃が悪手だったことに気づく

直ぐに手を引こうとするがスピードの出てしまった拳は止まらない

雄二は僕の右手首を両手で掴む。雄二の握力はかなり強く僕は片手で振りほどくことは出来ない

僕の手を捕まえた雄二は体を回転させ僕の方に背を向ける

明久「へ?」

その瞬間、雄二は僕を担ぐような体勢から思いっきり投げた

大相撲の一本背負いの様な形である

僕は咄嗟のことで受身を取る事が出来ずに背中から落ちる

ぼふ!

明久「うっ!」

僕は強い衝撃を覚悟したが、実際は思ったよりも衝撃は弱かった

弱いと言っても一瞬体が動かないほどの衝撃ではあったのだが

雄二「俺に勝つには100年早い。それと抱き枕に感謝するんだな」

明久「へ?」

雄二が何を言いたいのか分からなかった

とりあえず僕は体を何とか起こした

明久「そういうことか」

体を起こし僕が投げられた所を改めて見ると抱き枕が下敷きになっているのが見えた

明久「もしかして狙って投げたの?」

雄二からの解答はなかった

僕の痺れが取れるまで少し雑談をしていると

時田「んじゃ、そいつを着てみてくれ」

いきなりそんな事を言い出した

明久「制服は着ないですよ!?」

伊織「絶対着ないぞ!」

寿「?何を言ってるんだ」

時田「制服じゃなくてスーツの方だ」

明久・伊織「「へ?」」

寿「今日は実際に装備をつけて海に出てみるぞ」

なんと!先輩達がダイビングサークルのような事を言い出した

伊織「ちゃんとここってダイビングサークルだったんですね」

寿「何を言ってるんだ」

時田「ダイビングサークルに決まってるだろ」

ダイビングの事なんて全くしてなかったんだから疑われても仕方ないと思う

〜着替え中〜

時田「サイズはどうだ?」

耕平「ちょっと苦しい程度ですね」

確かに普通の服とは違いぴっちりしてるため少し苦しい

時田「隙間が出来てなければOKだ」

寿「じゃあ行くぞ」

明久・雄二・耕平「「「うーす」」」

明久「(少し心配だな)」

緊張しながら海に向かって歩き出した

 

ー伊織サイドー

明久達と先輩らは海に行ってしまったが俺はまだ店の中にいた

伊織「・・・・・・ふー・・・」

俺は緊張をほぐすために深呼吸をする

伊織「海か・・・」

千紗「伊織」

なかなか緊張がほぐれずにいる俺に千紗が声をかける

伊織「?」

千紗「あんだけ頑張ったんだから大丈夫」

俺はその言葉を聞いて少し楽になる

千紗は言うだけ言うと手元の雑誌に目を落とした

伊織「千紗は行かないのか?」

千紗「店番」

伊織「そっか、じゃ行ってくる」

俺はそう言って歩きだそうとすると

千紗「あのさ伊織」

伊織「うん?」

千紗「大学生活が始まる時ワクワクした?」

伊織「へ?」

千紗「どう?」

伊織「ん〜〜〜そう言えばし・・・」

俺は約1か月前、この店のドアを初めて開ける時を思い返す

その後の先輩達の野球挙もついでに思い出す

伊織「・・・てたなぁ・・・・・・」

千紗「・・・・・・」

俺は少しテンションを下げながら言う

千紗「それならきっと、楽しめると思う」

伊織「?」

俺は千紗が何を伝えたかったのか分からないまま海に向かうことにした




群武「初投稿から2ヶ月経ったな」
明久「何とか続けてこれたね」
群武「読んでくれてる人に満足して貰えてるか微妙な所だけどな」
明久「コメントが少ないもんね」
伊織「評価も少ないからな」
群武「それは言わないでくれ。てか逆に酷評なんてされてみろ、心が折れるぞ」
明久「良い作品を作ればいいだけじゃないか」
群武「(こいつ簡単に言いやがる)」
伊織「明久、お前は国語で表彰されたことあるか?」
明久「もちろん(ない)!」
伊織「だろ?こいつが良い作品作るなんて明久が表彰されるのと同じレベルで無理なんだよ」
群武・明久「「おい!」」
群武「流石作曲経験がある奴は言うことが違うな」
伊織「な!それは言うな!」
明久「2人はほっといて、これからも『バカとお酒とダイビング』をよろしくお願いします」


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24杯目

群武「とうとう4月1日だな」
明久「新年号が決まるのって今日だっけ?」
群武「そうだぞ、ついさっき発表があった」
明久「何になったの?」
群武「お前だよ」
明久「へ?」
群武「新年号は明久になった」
明久「ほんとに!?」
群武「嘘だ」
明久「本当はなんなの!?」
群武「令和らしい」
明久「ふーん」
群武「(こいつ興味なかったな)」


ー明久サイドー

明久「意外と冷たくないんですね」

僕は初めてダイビング用のスーツを着て海に入っていた

雄二「確かにな、もっと冷えるもんだと思ってたな」

隣ではサイズの違うスーツを着た雄二も海に入っている

時田「ドライスーツを着てるからな」

明久「ドライスーツですか?」

伊織「おお・・・寒くない」

少し遅れて伊織も入ってきた

明久「古手川さんと何話してたの?」

伊織「ちょっとな」

明久「何か怪しいね」

伊織「特別なことは話してねーよ」

明久「てっきり古手川さんにエールを送って貰ってたのかと思ったよ」

伊織「お前、俺と千紗が仲良くないの知ってるだろ?」

明久「そうなの?」

伊織「いつものやり取りを見ていて疑問を持てるのか」

明久「伊織が思ってるほど仲が悪いとは思わないんだけどなー」

確かにいつも伊織は古手川さんに軽蔑の視線を送られているが普段は仲が悪い所か息ピッタリだと思うんだけど

時田「そろそろ始めてもいいか?」

明久・伊織「「お願いします」」

時田「今お前達に着てもらっているのはドライスーツという中に温かい空気が入っている」

伊織「あっ、それで寒くないんですね」

寿「そういうことだ。ウエットスーツにもいくつか種類があってな。長袖や半袖、生地が違ったりするんだ」

明久「シーズン毎に変えるんですか?」

寿「その場合もあれば、フルスーツっていう1年を通じて使えるスーツもあるぞ」

明久「へー、それは有難いですね」

僕の資金的に買ったとしてもフルスーツになりそうだ

寿「今着てるスーツも長袖、長ズボンだから手と足と頭以外は濡れないから寒くならないんだ」

耕平「なるほど」

それからスーツの説明を受けた後、少しだけ奥に進み水がへその辺りまでくる

明久「班分けはどうしますか?」

時田「そうだな」

先輩達が少し話し合い班は決まったようだ

時田「明久と雄二と耕平は俺とだ」

明久「はーい」

雄二「うす」

耕平「わかりました」

ということは伊織は寿先輩とマンツーマンのようだ

明久「最初は何をするんですか?」

僕は初めてのダイビングに少しテンションが上がってしまう

時田「それは今から説明するぞ。と言ってもやる事はシンプルだ。水の中で呼吸をしてもらう」

明久「呼吸ですか?」

時田「そうだ、まずはレギュを咥えてみろ」

僕はまずレギュレーターを探す

明久「レギュレーターってどれでしたっけ?」

僕はどれがどれか分からず探しまくる

雄二「右手の隣にあるだろ」

雄二はレギュレーターを手に持って教えてくれる

明久「あ、ありがと」

時田「まずはレギュを使って息を吸ってみろ」

僕達は言われた通りレギュレーターを咥えて息を吸う

すーーすーー

明久「ごほごほごほ」

僕は思った以上に空気が入ってきてむせてしまう

時田「どうした?」

明久「すみません、吸いすぎました」

時田「吸うと空気が一気に入ってくるからな」

僕はもう一度試してみる

明久「・・・・・・」

空気が入ってこない

時田「吸えたか?」

明久「吸えませんでした」

時田「多分吸うのが弱すぎるんだな。慣れるまでは少し強めに息を吸うことだな」

僕は3回目に成功することが出来た

時田「雄二と耕平は大丈夫そうか?」

耕平「大丈夫です」

雄二「余裕ですね」

雄二はそう言って伊織の方をチラッと見る

時田「じゃー次は実際に潜って吸ってみろ」

僕達は指示通りに潜る

トプンッ

僕は何回か呼吸をしてから浮上する

時田「どうだ?」

明久「前が見えないです」

僕はマスクを曇らせながら応える

時田「もしかして鼻で息を吐いたか?」

明久「いつも通り鼻で吐きましたね。ダメなんですか?」

時田「ダイビングでの呼吸は基本口でやるんだ。鼻を使うとさっきみたいにマスクが曇ってしまうからな」

明久「そうだったんですか」

僕はマスクを外し海水を入れて曇りを取る

そしてもう一度潜ろうとした瞬間

伊織「うおー!」

少し離れた所から伊織の雄叫びが聞こえる

明久「!?」

僕はその雄叫びに驚く

寿「しっかり見れたか?」

伊織「はい!めっちゃ綺麗でした!」

何を言っているか聞こえないが伊織は興奮しているみたいだ

明久「どうしたの伊織?」

僕は伊織に声をかけたがテンションが上がっていて聞こえていないみたいだ

明久「何があったんですか?」

伊織には理由が聞けないと思った僕は寿先輩に聞く

寿「俺にもさっぱりわからんが、もしかしたら海の中を見れたのかもな」

明久「?」

少し目を離した瞬間伊織は店の方に走っていった

 

ー伊織サイドー

やべー!まさか海の中がここまで綺麗だとは思ってなかった!

俺は初めて海の中の世界を見て興奮していた

あの景色を見て興奮しないやつはいないと断言出来るほどだった

最初はマスクの中に水が入るのが怖くて目を瞑っていた。それから息が出来るか自信はなかったが先輩を信じて少し強めに息を吸う。すると一気に空気が入ってくる。入ってきた空気をゆっくりと吐く。苦しくない。それから何回か呼吸を繰り返してみる。苦しくない。慣れない口呼吸の為少し息はしにくいが問題にならないくらいだ。少し落ち着いてから水が入ってくる感覚がなかった為目を開ける。少し俯いていたため視界には自分の体と岩場しか映らない。そこから視線を上げる。そこには海の世界が広がっていた。

海の中には日差しが入ってきており薄明光線のようになっていた

揺れる海面に日光が当たり海中に入ってくるが屈折した光は1本の柱になり地面を照らす

その地面は海面により不規則になった光が照らすため動いてないのに動いてるかのような錯覚に陥る

先程見た景色を思い出しながら俺はグランブルーに向かって走っていた

バンッ

俺は勢いよくドアを開けるとその勢いのまま雑誌を読んでいた千紗の元へと行く

勢いよく近ずいて来る俺に千紗は驚く

千紗「!?」

伊織「千紗っ!」

俺は興奮が冷めていないテンションで千紗の手を握る

千紗「伊織・・・?」

伊織「わかったよ。お前が言ってた事!」ブンブンブン

俺は握った千紗の手を勢いよく振る

千紗「???」

伊織「海の中で息ができるって凄いな!」

千紗は未だ状況が掴めていないようだが関係なしに続ける

伊織「頭の天辺まで水でも苦しくないんだぜ!俺、全然泳げないのに!」

千紗「そ、そう・・・」

伊織「これが――」

俺は今一度さっきみた景色を思い出しながら言う

伊織「新しい世界に触れるって事なんだな!」

千紗の読んでいた雑誌と千紗自身を濡らしてしまったことに気づかずに

千紗「・・・・・・伊織、わかったからとりあえず着替えて――」

千紗が何言ってるか耳に入ってこない俺は話し続ける

伊織「これってアレか!宇宙に行って無重力を体験するような感覚なのか!」

千紗「・・・・・・」

伊織「やっぱり本格的に潜ると浮遊感とかそういうのと同じような――」

千紗は諦めたような顔をしながら話を聞いてくれた

菜々華さんはとても嬉しそうに微笑みながら見守っていた

 

ー明久サイドー

僕と雄二と耕平は伊織を探しながら店の近くまで来ていた

明久「伊織はどこに行ったんだろ?」

耕平「あいつよくタンクを背負いながら走れるな」

明久「結構重たいのにね」

雄二「おい、居たぞ」

先に見つけた雄二は店の窓を指す

店の中では伊織が古手川さんの手を握りながらとても嬉しそうな顔をして話している

明久「何を話してるんだろ?」

耕平「さー」

とても幸せそうな伊織を見る

明久「それにしても何に喜んでるんだろ?」

雄二「それはあれだろ」

耕平「どれだ?」

雄二「出来ないことが出来るようになる喜びってヤツだ」

僕らは雄二の言葉を最後にその場を離れてスーツを洗いに行く

あそこまで嬉しそうな表情を見ると少し羨ましく思う

 

一同「かんぱーい!」

明久「うお!」

伊織「くはぁーっ!」

雄二「予想以上にうめーな!」

耕平「う・・・うまいっ!」

僕達4人は初めて海上がりのビールを飲んでいた

寿「染みるだろ」

時田「塩水で口の中が塩辛くなっていたから特にクるよな」

疲れた体と塩辛い口内にとてもマッチする

こんな生活をしていたらお酒好きになるのも納得だ

時田「おー、これ美味いな」

寿「誰が造ったんだ?」

そう言って先輩達は竜田揚げを頬張る

明久「竜田揚げは僕です」

耕平「お前料理出来たのか」

明久「一時期一人暮らししてたからね」

僕は姉さんが戻ってくるまで一人暮らしをしていたため、料理の腕は結構自信ある

まー姉さんが帰ってきてからも料理は僕がやってたんだけどね(姉さんに料理をさせないためだけど)

伊織「これも美味いぞ!」

ずっとテンションの高い伊織が食べたのはお刺身を使ったユッケだ

雄二「それは俺だ」

明久「ぐっ、相変わらず美味しいね」

雄二もとある事情で料理をしていたため、僕と同等レベルの腕をしている

伊織「それにしてもビールによく合うな!」

耕平「そうだな、おかげでビールが止まらんぞ」

伊織と耕平はかなりのハイペースでお酒を飲む

明久「そう言ってくれると嬉しいよ」

雄二「あー作ったかいがあるな」

料理した側としては美味そうに食べてくれるのはとても嬉しい

明久「でも良かったね伊織」

伊織「ん?」

明久「苦手を克服できて」

伊織「まー、克服って程ではないけどな」

雄二「新しい世界に踏み込む楽しさを知ることが出来て良かったな」

伊織「おう」

伊織はとても嬉しそうにしている

伊織「ありがとうございました」

先輩達にお礼を言って頭を下げた

耕平「あの伊織が頭を下げただと!?」

明久「やばいんじゃない!?」

伊織「お前らは俺の事をなんだと思ってんだ。普通に感謝したらお礼は言うだろ」

時田「随分と素直だな」

伊織「今回ばかりは本当に感謝してますから」

少しハニカミながら応える

寿「いやいや、礼には及ばんさ」ゴソゴソ

時田「そうだとも、これで――」ゴソゴソ

明久「ほんと良かったよ」ゴソゴソ

雄二「あーそうだな」ゴソゴソ

寿先輩が女子高生の制服(ブレザー)

時田先輩が女子高生の制服(スカート)

僕がカッターシャツとリボン

雄二がカツラを取り出す

明久・雄二・時田・寿「「「「こっちの新世界を断る理由もなくなったわけだしな」」」」

伊織「嫌ですよ!そんなもん着ませんし男コンにも出ませんからね」

寿「ええい!我儘を言うな!」

時田「出ると言うまで飲ませてくれる!」

伊織「嫌じゃああああー!!」

伊織の叫び声が谺響する

耕平「お前ら鬼だな」

他人事の様に楽しみながらお酒を飲む耕平

明久「この為にわざわざビールに合う味付けにしたからね」

雄二「わざわざ疲れてる体に鞭打って作ったんだからな」

明久「これで伊織も出場決定だね」

雄二「お前も他人事じゃねーぞ?」

明久「へ?」

そういって雄二は新たにもう1着制服(女子高校生用)を取り出す

明久「嫌じゃああああー!!」

今度は僕の叫び声が谺響した




エイプリルフールにルールがないことを初めて知った群武です
とうとう学生生活最終年になりました
というか1年後卒業し就職出来てますように


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25杯目

群武「特に前書きが思いつかなかったので好きな漫画について語ろうと思う」
伊織「いきなり!?」
群武「最近はサッカー漫画が面白くて、DAYSやBE BLUES!、マイぼーる!、アオアシ、ANGEL VOICEがオススメだな」
伊織「勝手にオススメ言い出した!?」
群武「特にマイぼーる!が最高だな」
伊織「どこがいいの?」
群武「女の子が可愛い」
伊織「そこ!?」
群武「闘う女の子なのに女性特有の柔らかさを表現しながらも力強さも両立してるなんてなかなかないよ!」
伊織「今までで1番イキイキしてやがる。これ以上続けると本編より長くなりそうなのでマイぼーる!の良さはその目で確認してくれ」
群武「あれ!?もう前書き終わり!?」


ー明久サイドー

「すー・・・すー・・・」

誰のか分からない寝息が周りから聞こえてくる

確か昨日は伊織の初ダイビングを祝って伊織の部屋で1日お酒を飲んでたはず

「ううん・・・・・・」

微かに声が聞こえる

僕は閉じていた目を開けると

明久「ん〜・・・・・・んなっ!?」

そこには秀吉の寝顔が目の前にあった

いつも優しく微笑んでいる瞳が今は閉じられている

なんて綺麗な寝顔なんだろう

どこかで聞いたことのあるようなフレーズを思い出す

そんな秀吉の寝顔に見惚れていると、秀吉が小さく動く

「ん・・・・・・」

口が小さく開いて吐息が洩れる

僕と秀吉の距離は数センチ

この距離なら事故を装ってイケる!

明久(悪)「やっちゃえよ。あの時出来なかった続きを今しなくていつするんだ?」

貴様は僕の中の悪魔!久々の登場じゃないか!

明久(悪)「久しぶりだな明久!」

僕の中の悪魔が最後に出てきたのは高校の時だから数ヶ月ぶりだ

明久(悪)「おい明久!同じ布団で寝ているのに何もしないなんて異性に失礼だぞ?」

悪魔が囁く、それを止めようと天使が・・・・・・出てこない!?

僕の中の天使はどこに行った!?

少し待っても出てくる気配がない

その間も秀吉は寝たまま何かを懇願するような寝顔をしている

漢明久!ここは腹を括るしかないのか

ここで僕が何もしなかったら秀吉に魅力がないみたいじゃないか!もし何もしなかった事に秀吉が気づいたら心に傷を負ってしまう!その傷を癒すためによく分からない相手やもしかしたら常夏コンビのモヒカンの元へ行ってしまうかもしれない!そんな事になれば僕はどんな手段を選んでもその相手を殺らなければならなくなる!殺ってしまったら警察も動くだろう。捕まっても逃げても、もう秀吉とは会えなくなる。永遠に会えないなら今、この一瞬くらい夢を見てもいいんじゃないか?

明久(悪)「そろそろ覚悟は決めたか?」

ああ!決めたよ!やってやる!

僕は秀吉にも聞こえそうなくらい高鳴っている心臓を無視して顔を近づける

身体中からは汗が出ている

唇が触れるまであと少し・・・・・・

 

と、いうところで目が覚めた

 

明久「デジャブ!?」

僕はまたしても夢オチでガッカリする

おい悪魔!起こしてから囁いてくれよ!

明久(悪)「おい待て、今回はちゃんと相手がいるみたいだぞ」

なんと!?

僕は目を見開ける

僕の視界に入ってきたのは太い眉毛を伴うガラの悪い目が今は閉じられている

なんてブサイクなんだろう

そこに居たのは秀吉ではなく、真逆の存在の雄二だった

というか昨日の飲み会に秀吉は参加してないのでここに居るはずがない

明久「またお前か!」

僕は右肩を下にした状態から左拳をフックの要領で雄二の体に打ち込む

雄二「ぐふぁっ!」

雄二は一瞬目を覚ましたが直ぐに意識がなくなる

「う・・・ん・・・」

明久(悪)「おい、まだ誰かいるみたいだぞ」

まだ居たのかい君は

もうそんな言葉には騙されないよ

でも万が一後ろが秀吉だったら大変だ

ここは一応確認をしておかないといけない

僕はそう決心すると寝返りをうつ

そこには見慣れない艶やかな黒髪があった

明久「ん?」

僕は視線を下に下げていく

視界には華奢な肩、ちょっとダボっているノースリーブ、くびれたウエスト、結構キワキワなショートパンツ、とても魅力的な太もも

総括・・・・・・最高

じゃなくて!誰!?

 

僕はそれからみんな(雄二以外)が起きてくるまで多分女性の後ろ姿を眺めていた

伊織「この人は一体・・・?」

明久「あっ伊織、起きたんだね」

僕は起きてきた伊織に声をかける

伊織「おー明久、この人知ってるか?」

どうやら伊織も初対面らしい

明久「僕は知らないよ」

伊織「だよな、てか春だからって薄着過ぎじゃないか?」

明久「確かにそうだよね」

いくら部屋の中と言ってもまだ4月だ

朝は少し肌寒い

僕は改めて寝ている女性を見る

明久「それにしても」

伊織「あー、凄いな」

僕達は寝ている女性のとある一部を凝視する

それは菜々華さんや姫路さんにも匹敵するモノである

それが何かとは言わないが

僕らは色々話し合ったが結果は出なかった

その為、取り敢えず隣で意識を失っている雄二を起こす

ボコ

雄二「うっ・・・」

よし起きたみたいだ

明久「ねー雄二、この人知ってる?」

僕は起きたばかりの雄二に聞いてみる

雄二「あー?知らねーな。それにしてもやたらと体が痛むぞ」

明久「そっか、雄二でも知らないんだね」

僕は雄二の後半の言葉をスルーする

雄二でも知らないなら先輩の可能性が高い

雄二「ここはインカレサークルだから他大学の先輩かもな」

ここで聞き慣れない言葉が出てくる

明久「インカレサークル?」

雄二「複数の大学の学生が所属するサークルのことだ」

明久「へーそうなんだ」

時田「ああ、お前らは初対面か」

僕達が話している間に先輩達が起きたようだ

寿「うちがインカレサークルだってことは知ってるよな?」

伊織「はい」

明久「やっぱり他大学の人なんですか?」

時田「こいつは青海女子大の」

雄二「・・・」ピク

時田「浜岡梓って女でな」

寿「学年は俺たちと同じ三年だ」

耕平「で、その人がなんで寝てるんです?」

いつの間にか起きていた耕平が話に入ってくる

時田「部室に布団があったからじゃないか?」

明久「え!?そんな理由で男の隣で寝ます?」

時田「眠たかったら寝る。そんなやつだ」

寿「いかにも徹夜明けでここに来たって感じだしな」

伊織「その布団、先に俺が寝ていたんですが・・・待て明久!これは不可抗力だ!」

転がっていた酒瓶を持って殴りかかろうとする僕から距離を取る伊織

チッ!殺り損ねたか!

雄二「でもそれって女性としてどうなんだ?」

確かにそれって女を捨ててる様なものなんじゃ?

時田「そういう事を気にする女じゃない」

明久「それはそれでどうなんですか?」

時田「むしろ伊織が蹴り出されてなくて不思議なくらいだ。見ろ」

そういって時田先輩は浜岡さんの足元の方を指す

そこには脱ぎ捨てられたズボンと上着があった

伊織「躊躇なく服を脱いで布団に入ってますね・・・」

耕平「裸の男がいる部屋で服脱いで寝るか?」

伊織と耕平は引きながら言う

雄二「俺のところで寝てなくて良かった」

心の底から安心する雄二

明久「・・・・・・」ダラダラダラ

僕は無言で冷や汗を流す

ヤバイヤバイヤバイ

この事が姉さんにバレたらヤバイ!

雄二「・・・・・・」ニヤ~

雄二は僕の方を見て何かを感じ取ったようだ

しかも絶対よからぬ事を考えている

だってヤバいほどの笑顔なんだもん

雄二「な〜明久」

明久「それ以上言ったら霧島さんに雄二が浜岡さんと一緒に寝たって言うよ?」

雄二「俺が全面的に悪かった」ペコ

雄二は素直に頭を下げる

もしかしてこれ、今でも結構使えるんじゃ?

霧島さんを使った脅迫は高3の頃(雄二と霧島さんが同じクラスになって常に一緒にいた為)は少し効力が弱くなっていたけど大学に入ってからまた強くなったのかもしれない

最近は雄二の速報だけ送っているが霧島さんが特に何も行動を起こさないのでてっきり雄二は振られたのかと思っていた

明久「あれ?服着るんですか?」

伊織「珍しいですね」

本当に珍しく服を着る先輩達

寿「今日は外でやる事があるからな」

時田「その為に梓を呼んだんだ」

そっか、それで今日浜岡さんが来たんだ

伊織「じゃあ、起こしましょうか」

そういって起こそうとする伊織

時田「いや、それは少し待て」

それを何故か時田先輩が止める

伊織「なぜ?」

寿「先にお前らに話しておく事がある」

時田「伊豆春祭に関する大事な話だ」

明久・伊織・雄二・耕平「「「「???」」」」

何か嫌な予感がする




群武「だからマイぼーる!がいいんだよ!」
伊織「もしかしてまだ続いてるのか?」
群武「当たり前じゃないか。もっと続けるぞ?」
伊織「いらねーよ!もっと話すべきことあるだろ!?」
群武「そんなものない!」
伊織「嘘だろ!?」
群武「語れないならもう終わりだな。また次回でお会いしましょう」


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26杯目

大変お待たせしてすみません
内定率が50%を超える中未だに就活は一進一退の攻防を繰り返している状態です
お祈りされ過ぎて神様にでもなった気がします
久々の投稿で誤字脱字や変な文になってる可能性があるので見つけたら報告してもらえるとありがたいです


ー明久サイドー

僕達は今お店の裏でソースの香ばしい匂いに包まれながら梓さんを眺めていた

その梓さんは手際良く具材を混ぜる

ジュージュー

ジャッジャ

パラパラ

梓「ほい、完成」

そう言って僕らの前に梓さん手製のお好み焼きが出てくる

伊織・耕平「「おおー」」

明久「美味しそうですね!」

雄二「これはなかなか」

各々感想が漏れる

千紗「相変わらず上手ですね」

梓「それほどでも♪」

古手川さんの感想にピースサインで返す梓さん

僕はその間に割り箸でお好み焼きを一口サイズに切り皿に移す

それを口の近くに持ってくる。するとソースのいい香りが食欲をそそる。口に入れると焼き加減も絶妙でふわっふわに仕上がっている

明久「美味しい・・・」

僕は素直に味の感想を伝える

雄二「確かに、美味いな」

隣でも同じように雄二が食べたようだ

明久「これくらい美味しかったらお店で出せそうですね」

寿「つまりそういうことだ」

明久「どういうことですか?」

僕には先輩の言いたいことがわからない

雄二「そういうことか」

明久「どういうこと雄二?」

雄二「春祭に出店するってことだよ」

明久「あー、なるほど」

僕はその一言で理解する

寿「その売り上げをサークル予算の足しにするからな。今年は人数も多いから合宿の費用もかかるしな」

時田「だからしっかり教えて貰って美味いのを作れるようになってくれよ」

伊織・耕平「「うーす」」

雄二「へーい」

明久「頑張ります」

千紗「わかりました」

各々返事を返す

梓「トッキーとブッキーは一緒に教えないの?」

確かにあの言い方だと教えてくれるのは梓さん1人みたいだ

時田「ああ、俺たちは・・・」

すると店の方から店長が歩いてくる

店長「そろそろ行くぞー」

時田「機材の準備に行ってくる」

どうやら先輩達は別行動らしい

店長「すまんが、もう1人一緒に来てくれないか?欠員がでてしまってな」

どうやら準備係で1人欠員が出たらしい

伊織「それだと俺らから1人行く必要があるな」

となると女性組の梓さんと古手川さん以外の僕達4人の内誰かだろう

明久「誰にする?」

耕平「1番力があるやつでいいんじゃないか?」

その言葉で僕らは雄二を見る

雄二「なら俺が行ってくるか」

面倒くさがり屋の雄二が意外にも引き受ける

雄二は僕を少し見てから先輩達の方へと歩いていった

確かに雄二なら力もあって料理も直ぐにマスター出来そうだし大丈夫かな

梓「じゃー始めよっか」

千紗「はい」

明久・伊織・耕平「「「・・・・・・」」」

梓さんと古手川さんの後ろ姿を見ながら僕らはアイコンタクトを送る

明久「(やるよ!二人とも!!)」

伊織「(チッあの場で詰めきっとけば)」

耕平「(ミスったら吉井を出場させてやる)」

なぜ、僕達(僕)がこんなにもやる気に満ち溢れているかと言うと今朝梓さんが起きる前まで遡る

 

 

僕達は部屋にいる梓さん以外のメンバーで円形に座りミーティングをしていた

雄二「伊豆春祭の大事な話?」

明久「絶対いい話じゃないですよね」

伊織「まさか、男コンの事じゃないでしょうね」

耕平「何度言われても嫌ですからね」

明久「僕も絶対嫌ですよ(伊織と耕平と雄二はどんな手段を使ってでも出場してもらうけど)」

男コンとはもうすぐある伊豆春祭のイベントで"サークル対抗ミスターコンテスト"と呼ばれる男子コンテストのことである

時田「まさにそれ絡みなんだが」

寿「お前らには千紗ちゃんの説得を頼みたい」

明久「古手川さんの?」

耕平「古手川の?」

伊織「どういう事です?」

何で女性の古手川さんの説得なのだろうか?

もしや!僕は1つの仮説を建てる

明久「先輩!それはいくらなんでも古手川さんが可哀想じゃないですか!!」

寿「しかし、明久よ。千紗ちゃんが出場してくれないとサークルの予算がきついんだ」

時田「そうだぞ明久。今年は新入生が多かったから活動の予算がギリギリなんだ」

寿「お金はあるに越したことはないからな」

なんてことだ!この先輩達はサークル予算のために古手川さんを男装させて男コンで優勝を狙うなんて!確かに古手川さんは胸は大きくないし手足もスラッとしてて、顔も整ってるから男装させたら優勝を狙えるかもしれない!でも、そんなの彼女の沽券に関わるじゃないか!

明久「僕は反対です!どんな手段を使ってでも止めてみせます!」

寿「そこまでいうなら仕方がない」

時田「あー、そうだな」

あっさりと引き下がる先輩達

どうやら僕の熱意が伝わったようだ

明久「分かってもらえて良かったです」

時田「まさか明久がここまで覚悟を決めていたなんてな」

寿「俺はお前を少し見誤ってたみたいだな」

そしていつの間にか僕の評価が上がる

時田「ならミスコンには明久が参加ということで」

明久「へ?」

寿「しかし明久の女装で優勝を狙えるのか?」

この人達は何を言っているんだ?

雄二「それは大丈夫ですよ先輩。こいつは高校時代にメイドのアキちゃんとしてクラスの売上トップを取ってますから」

耕平「確かにあの写真レベルなら優勝も有り得るな」

伊織「素材は悪くないしな」

明久「一体何の話をしてるの!?」

時田「おー、それなら大丈夫だな」

僕の声は誰にも届いてないらしい

寿「明久が出場してくれるなら千紗ちゃんの説得はしなくていいからな」

明久「待ってください先輩!話が噛み合ってません!」

この人達は古手川さんを男装させて男コンに出場させようとしてたんじゃないのか!?

寿・時田「「???」」

先輩達は何故か?を浮かべる

寿「千紗ちゃんがミスコンに出場しない代わりに明久が出場するって話だろ?」

明久「???」

今度は僕が?を浮かべる

この人達は一体何を言ってるんだ?

僕はさっきまでの会話を思い返す

古手川さんにミスコンに出場してもらうように説得する→それを拒否する僕→どんな手段を使ってでも出場を止める僕→古手川さんの代わりに僕が出場する

そこまで考えた瞬間、僕は冷や汗をかく

明久「今の会話は誤解です!」

雄二「誤解の余地もないくらいの男気を見せたじゃないか」

明久「雄二は黙ってて!」

伊織「明久は一体どんな勘違いをしたんだ?」

明久「.........」

僕は恥ずかしさと罪悪感で押し黙る

雄二「こいつは古手川を男コンに出場させると思ったんだろ」

雄二は見事に僕の間違いを的中させる

耕平「吉井、最低だな」

伊織「流石の俺でもそんなことは思わないぞ」

寿「お前そんなこと考えたのか」

時田「本人にバレたら一大事だぞ」

4人の視線が痛い

時田「そろそろ話を戻してもいいか?」

明久「...はい」

寿「それでミスコンにも賞金がでるから説得をして欲しいんだ」

伊織「殺されますよ!」

耕平「絶対無理ですよ!」

時田「やる前から諦めるんじゃない」

寿「失敗してもいい。やるだけやってみてくれ」

そう言われても

雄二「絶対無理だと思いますよ?」

明久「僕もそう思います」

僕達は誰も古手川さんが笑顔でステージにいるイメージがわかない

時田「だが、これで彼女が優勝でもしてくれたら・・・」

伊織「ん?」

耕平「優勝したら、なんです?」

明久「僕は出場しなくていいですね」

雄二「それは関係ないだろ」

古手川さんが優勝することで何が変わるのだろうか?

時田「お前らは男コンに出る必要がなくなるな」

その言葉を聞いた瞬間、僕達に雷が落ちる

明久・伊織・耕平「「「男コン出場の免除!?」」」

雄二「でもミスコン1つの賞金だけで大丈夫なんですか?」

寿「ミスコンの方が賞金が高いからな」

時田「男コンは初日の夜にやって結果まででるからな」

寿「それに比べミスコンは初日にやって翌日に結果発表だから力の入れようが違うんだ」

伊織「男コンは夜のテンションで最後まで行く感じですか」

時田「まー、そういうことだ。だから最悪男コンは出場しなくてもミスコンさえ優勝すればいいってことだ」

耕平「しゃー!」

伊織「やってやるぜえー!!」

寿「その意気だ」

時田「頑張ってくれ。失敗したら明久を出場させるだけだしな」

明久「絶対説得してみせます!」

寿「さっきの男気はどこに行ったんだ?」

男気?何それ?食えんの?




明久「そういえば無理に古手川さんを説得しなくても秀吉に頼んだら良かったんじゃ?」
雄二「それは無理だぞ」
明久「どうして!?」
雄二「男コンとミスコンの詳細を見なかったのか?」
明久「もちろん(見てない)!」
雄二「男コン、ミスコン共に秀吉の参加は認められてない」
明久「何だって!?秀吉はこの短期間で第3の性【秀吉】と認知されたの!?」
雄二「まーそういうことだ」
※一応本編でも秀吉の参加は出来ないとしていますがストーリー上もしかしたら変更する可能性があります


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27杯目

群武「お久しぶりです。皆様お忘れかもしれませんが『 バカとお酒とダイビング』の作者の群武です。2ヶ月半ぶりに投稿する事が出来ました。何とか就活も終わりやっと話をかけると思い夏休みを過ごしていたのですが、今度は卒論に追われています。少しは投稿頻度を上げれるように頑張りたいと思います。」


ー明久サイドー

僕達は今伊豆春祭で出店する為にお好み焼きを作る練習をしていた

ジュージュー

梓「2人ともいい感じに出来てきたね」

明久「ありがとうございます」

伊織「そろそろ慣れて来ました」

僕と伊織は現在3枚目のお好み焼きを作っている

1枚目と2枚目は梓さんほどの出来ではなかったのでやり直しになってしまった

はたから見たらお好み焼きを作るのに集中しているかに見える僕達だが頭の中では全く別のことを考えていた

明久「(どうやって古手川さんにミスコンに出て貰えるかな?)」

相手が雄二や伊織なら騙したり実力行使で強引に参加させればいいんだけど古手川さんにそのような手段は出来ない

僕1人の思考ではいい案が出ないので2人にアイコンタクトを送る

明久⦅どうやって古手川さんに参加してもらう?⦆

するとすぐに2人から返事が来る

伊織⦅普通なら千紗は絶対にミスコン出場なんて承諾はしないだろう⦆

明久⦅やっぱり、そうだよね⦆

耕平⦅ならば、普通じゃない状態にしてやればいいだけの事⦆

一体耕平は何を言っているんだ?もしここで実力行使をするようなら流石に止めなくてはならない

明久⦅一体どんな方法を使うの?⦆

伊織・耕平⦅千紗を酔わせて判断力を奪いミスコン参加の言質を取る!!⦆

明久「なんてゲスなんだ!」

僕は思わず声に出して突っ込んでしまう

千紗「!?」

梓「いきなりどうしたの?」

しまった!つい2人のゲスすぎる発言に声を出してしまった!

明久「(何か言い訳を考えないと…)」

僕は言い訳に使えそうな材料を探す

明久「!!!」

これなら言い訳に使える!

僕は調理台の上に置いてあった食材を持ちながら

明久「いやー、立派なゲソだなーと思って」

そう言いながら僕は手に持ったタコを見せる

伊織「それはゲソじゃないだろ」

耕平「ゲソはイカの足だ」

僕の間違いに2人のツッコミが入る

千紗・梓「「・・・・・・・・・」」プルプル

僕達のやり取りに古手川さんと梓さんは声を殺しながら笑っている

明久「い、いや、これは違くて」

間違えた事の言い訳をしようとするものの何も思いつかない

それにしても2人とも笑いすぎじゃない?

梓さんなんか笑いすぎて涙が出てるよ

そんな2人を見ていると伊織の方からアイコンタクトが送られてくる

伊織⦅今から飲み物を持ってくるから2人の注意を逸らしてくれ⦆

確かに鉄板を使っているせいか結構暑い

注意を逸らす必要はない気がするが、もしかすると機嫌を取ってミスコンに出てもらう作戦なのかもしれない

明久⦅了解⦆

僕はそれだけをアイコンタクトで送る

梓「いやー、それにしても明久クンは聞いてた以上に面白い子だね」

すると笑いが収まったのか梓さんは目に浮かんでいた涙を拭いながら話しかけてきた

明久「一体梓さんは何を聞かされたんですか?」

僕は恐ろしくも聞くことにする

梓「明久クンは玲と坂本クンと伊織クンと男性が大好き」

明久「ちょっと待ってください」

思いもよらない事を聞かされたため少し情報を整理する

梓さんの話によると僕はお姉ちゃんが大好きで雄二と伊織と男性と大好きと

明久「その話、誰から聞きましたか?」

梓「玲と奈々華とブッキー達からだよ」

明久「そうですか」

奈々華さんからなぜこのような誤情報が出たのかはさておき、先輩たちは後で話し合いの場を設けなくてはダメな気がする。それに玲って

明久「梓さんは僕のお姉ちゃんの事知ってるんですか?」

梓「知ってるよー。奈々華の紹介で知り合ったんだ」

明久「そうだったんですか」

世間とは案外狭いものらしい。そんなことを考えていたがまずやらなくては行けないことがある

明久「ちょっといいですか?」

それは間違った情報の訂正である

梓「いやー、それにしても今年の新入生は色んな考え方の子がいて面白いね」

しかし、梓さんは楽しそうに話し出してしまった

明久「なんのことですか?」

梓「実は私も両刀(バイ)なんだ」

明久「えっ!?」

衝撃的な告白に思考が停止する

梓「今まで私しか居なかったから今度みんなで語り明かそうよ」

梓さんは楽しそうに言う

明久「え、あ、ちょ、」

僕は間違った情報を訂正しようと思ったが

伊織「梓さーん、飲み物用意しましたー!」

梓さんは少し離れたところから聞こえてきた伊織の声に反応する

梓「気が利くね〜♪」

そう言って梓さんは小走りで伊織の方に行ってしまった

明久「僕は女の子が好きなのに」

僕の声は誰にも聞こえることなく海の音にかき消されてしまった

 

梓さんが伊織達の方に向かってから少しした後、僕も合流する事にした

クーラーボックスが置いてある横で2つの人影が見える

そこには伊織の胸ぐらを掴む耕平がいた

明久「ちょっと!何やってるのさ2人とも!」

協力していたはずの2人の間に割って入る

一体僕がいない間に何があったのだろう?

伊織「いや、実はな」

それから伊織は僕がいない間に何があったのか説明をする

伊織の説明曰く、最初に耕平が作った特製ウーロン茶が何かの手違いで伊織が飲むことになったらしい。次に伊織が特製ウーロン茶を作っている所を古手川さんに見つかり仕方がなく耕平の所に持っていくことになったらしい

明久「それは事故だから仕方がないよね」

千紗「というか匂いや味でお酒だって気づかないの?」

いつの間にか近くに来ていた古手川さんからごもっともの意見を貰う

確かに最近はお酒を飲む機会が増えて昔ほど区別がつかなくなってきてるかもしれない

伊織「いや、全然」

耕平「むしろ最近は何を飲んでも酒の味と匂いがするくらいだ」

どうやら2人ともかなりお酒に適応してるらしい

千紗「・・・二人ともちゃんと生活を改めた方がいいと思う」

古手川さんは呆れながらいう

明久「そうだよ2人とも、取り敢えず水でも飲んで落ち着きなよ」

僕はそう言って近くにあるボトルをコップに注ぎ2人に渡す

伊織「おっ、サンキュー」

耕平「水はありがたい」

明久「いえいえ、古手川さんもいる?」

古手川さんも暑そうにしていたので尋ねてみる

千紗「・・・少なくともそれはいらない。だって」

古手川さんは冷たくいう

千紗「それウォッカだし」

その言葉の直後後ろで水(と同じ色をした液体)の入ったコップを地面に叩きつけていた

伊織「おい、明久。なに飲ませてくれてんだ!」

耕平「普通に飲んじまったじゃねーか!」

一体この2人は何を言っているんだ?

明久「何言ってるのさ2人とも!ちゃんと水と同じ色をしてるじゃないか!」

僕は言い返せない最もな正論をぶつける

千紗「・・・・・・吉井は色でしか飲み物を判別出来ないの?」

古手川さんの呆れた声は耳に入らない

伊織「見た目が同じでも中身が違うじゃねーか!」

耕平「なんでウォッカを渡すんだ!」

どうやら伊織と耕平の味覚はどうかしてしまって、水とお酒の区別もつかないらしい

このままだと僕が水とお酒を判別出来ない人間だと思われかねない。しっかりと水だという証拠を見せる必要がありそうだ

証拠を見せるために僕は手に持ったボトルを2人に見せる

明久「どっからどう見ても水じゃないか!」

手に持ったボトルにはVODKAと書いてある

伊織「ウォッカじゃねーか!」

耕平「バッチリ書いんじゃねーか!」

そんな!まさか!

僕は改めて自分の持っているボトルを見てみる

明久「あっ」

そこにはVODKA 37.5と書いてあった




雄二「それにしてもお前ら全く上手くいってねーな」
明久「いきなり戦線離脱した雄二に言われたくないね!」
雄二「今回俺がいたらすぐに説得出来てつまらなくなるからな」
明久「ちなみに雄二はなんて言って説得するつもりだったの?」
雄二「明久が『 ダイコン』を買ってくれるって」
明久「大根?それなら僕でも買えるね。でも古手川さんはそんなに大根が好きなの?」
雄二「あのダイビングオタクの事だから嫌いでは無いだろ」
明久「そうなんだ。それなら今度買っていってあげよかな」
雄二「そうしてやれ」
明久「そうするよ。あっそろそろ時間らしい」
雄二「もうそんな時間か」
明久「意外と早かったね。それじゃバイバーイ」

雄二「破産しやがれ」


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28杯目

群武「シンフォギアにハマり1日1期ペースで見ている群武です。1ヵ月ぶりの投稿になりましたが見てもらえると幸いです。ずっと行っているアンケートで常に先生方が1位になっているので本編に出せるように頑張ります。(いつ出すとは言ってない)」


ー明久サイドー

照りつけるような太陽

雲ひとつない青空

心地良い浜風

穏やかな波音

これ程ダイビング日和な日はこちらに来て初めてかもしれない

そんな日のお昼すぎ

明久・伊織・耕平「「「お願いします!!」」」

僕達はそんな素晴らしい景色に目もくれず太陽の熱をたっぷりと吸収したアスファルトの上で土下座をしていた

千紗「嫌」

一糸まとわぬ姿で灼熱のアスファルトの上で土下座をしても断られるなんて!

なぜ、僕達が全裸で土下座をしているかと言うと古手川さんにミスコンに出てもらう為であった

やっぱり頼み事をする時は土下座だよね!

元々は僕達の完璧な作戦(古手川さんを酔わせる)があったのだが、この2人(伊織と耕平)が失敗をし続けて梓さんに看破されてしまいこうして単刀直入に頼んでいる

伊織「コイツらが全裸で土下寝するから頼む!」

なっ!伊織のやつ自分だけ助かろうとするなんて!卑怯な!

千紗「埋めればいいの?」

待って、その回答はおかしくない?

耕平「せめて「出る」「出ない」で返事を!!」

同じことを思った様で耕平もつっこむ

千紗「絶対嫌」

古手川さんの意思は固く出てくれそうにない

伊織「こんなに頼んでるのに何で出てくれないんだ!出たくない理由を教えてくれ!」

確かにここまで頼んでいるのに断るという事は何か理由があるのかもしれない

その理由さえクリア出来れば出場してくれる可能性もある

千紗「あんな恥ずかしい舞台に出るわけないじゃない」

古手川さんは少し恥ずかしそうに言う

確かに僕もミスコンに参加した事あるけど1人でステージに経つのって凄い緊張するんだよね

明久「僕もその気持ちすごく分かるよ」

千紗「でしょ?だから…」

明久「1人が恥ずかしいならミスコンには伊織も付けるから!」

耕平「グッドアイディアだぞ吉井!」

僕は交渉の条件に伊織を出す

千紗「…はぁ〜、そういう事じゃない」

古手川さんは何か裏切られたような顔をして頭を抱える

伊織「ふざけんな明久!それならテメーが出やがれ!友達を売るんじゃねー!」

明久「嫌だよ!先に売ったのは伊織じゃないか!」

それに僕は文月学園で大切なことを学んだんだ

明久「友達は売るためにある!」

伊織「ぶっ殺してやる!」

そんなやり取り(殴り合い)を見ていた梓さんが止めに入る

梓「ダメだよ3人とも。人に頼み事するのにそんなんじゃ」

明久・伊織・耕平「「「え?」」」

梓さんの声に反応して僕の拳が止まる。が、伊織の拳は止まらず僕の顎を撃ち抜く

伊織「あっ…」

明久「(ガク)……」ドサ

不意打ちに近い形で顎をやられた為全身の力が抜け倒れる

 

ー伊織サイドー

伊織「所でどうやって頼み事をしたらいいのでしょうか」

俺は下に転がっているゴミ(明久)を無視して話を再開する

梓「いや、その前に明久クンは大丈夫なの?」

梓さんは目の前で倒れている明久を心配している

伊織「この前雄二に聞いたんですが、明久は前世の無念を唱えてない限りは大丈夫らしいですよ」

梓「それって三途の川渡ってない?」

千紗「それは大丈夫じゃないでしょ」

耕平「なんでも高校生活の間に100回以上臨死体験してたらしい」

梓「それはもはや高校じゃなくて戦場なんじゃ?」

確かに梓さんの意見は最もだが今は関係ない

伊織「そんなことよりも頼み事のやり方を教えてください」

俺はそれた話の軌道修正をする

梓「大丈夫なら話を進めるけど。頼む理由をちゃんと言わないとね」

伊織・耕平「「……」」

俺達はその助言に対し黙ってしまう

梓「あれ…理由ないの?」

俺達の沈黙に少し焦る梓さん

伊織「いや、まあ、千紗が出たら優勝賞金ゲットできるじゃないですか」

耕平「そうすると俺らが男コンに出ないで済むんですよ」

俺と耕平は気まずそうに本音を言う

梓「……」ニマー

梓さんは楽しそうな表情を浮かべながらニヤニヤする

梓「そっかーなるほどね。どう?ちーちゃん」

千紗「絶対に嫌です」

やはり理由を言っても心変わりはなさそうだ

耕平「うぬぅ…」

伊織「予想してはいたが…」

千紗「じゃあ、最初から聞かないで」

これで俺達の男コンの出場は決まりだ

 

ー明久サイドー

伊織の部屋で目を覚ました僕は伊織を見つけるなり胸ぐらを掴んでいた

明久「よくもやってくれたなキサマ!」

伊織「まぁ落ち着け明久。あれは事故だ」

悪びれる様子もなく言う伊織に僕は食ってかかる

明久「事故で人の顎を撃ち抜けるわけないだろ!」

伊織「2割は事故だ」

明久「それはほとんど故意だよ!」

耕平「落ち着け吉井」

そんなやり取りを耕平が中断する

明久「あっ耕平、古手川さんは出場してくれそうだった?」

耕平と伊織から僕の意識が無くなっている間の出来事を説明してもらう

明久「やっぱりダメかー」

予想していた通り残念な結果に僕達は肩を落とす

雄二「起きたか明久」

明久「雄二も戻って来てたんだ」

先輩達の手伝いに行っていた雄二も合流する

雄二「ついさっきな。それでどんな断られ方をしたんだ?」

どうやら雄二は僕達の表情から結果はわかったらしい

取り敢えず僕はさっき伊織らから説明してもらった事を雄二に話す

雄二「そこまで頼んで無理なら仕方ないだろ。もう飯の準備も始まってるし男コンの英気でも養っとけ」

そう言って雄二は部屋から出ていってしまった

僕達も雄二について行くように部屋をあとにした

 

時田「なんだ、ダメだったのか」

僕達は雄二に説明した内容と同じ事を寿先輩と時田先輩に話した

伊織「取り付く島もないって感じで…」

耕平「これで俺らは男コン出場確定か…」

明久「古手川さんが出てくれたら優勝間違いなしだったのにね」

僕達は机に潰れながら言う

寿「まあ、仕方ないな」

先輩は他人事のように呟く

雄二「そういや先輩達が出るって選択肢はないんすか?」

明久「そうですよ、寿先輩ならいい所狙えるんじゃないですか?」

別に男コンに出場条件は決められてないので先輩達が出ても問題ないはず

時田「いや、これは新入生が出場するっていうPaBのルールだからな」

明久「ルールなら仕方がないですね。でも先輩たちの時は誰が出たんですか?」

寿「俺たちの代か?」

時田「ミスコンなら梓が出たな」

そう言いながら少し離れた所で談笑をしている梓さんを見る

伊織・耕平「「ふーん…」」

明久「ですよね」

雄二「妥当だな」

伊織「確かに美人ですもんね」

明久「スタイルも良くて愛想もいいですよね」

今日初めて会ったけど美人でスタイル良くて料理が出来るのだから完璧だよね

時田「予選落ちだったけどな」

明久「え!?」

優勝候補だと思っていただけに予選落ちという結果に驚きを隠せない

明久「何かあったんですか?」

時田「水着を忘れて下着で出て失格になったんだ」

その言葉を聞いて僕達4人は飲んでいたビールを吐き出してしまう

前言撤回、人として大切な感情が欠落しているらしい

なんで僕の周りには常識が欠落している人が多いのだろうか

それにしてもミスコンの審査に水着があるなんて!

明久「水着審査があるなら是非とも古手川さんに出場してもらわないと!」

以前古手川さんが水着を着てくれた時はムッツリーニの後始末でそれどころではなかったからね

時田「残念だがあれ以降ミスコンには水着審査がなくなってしまってな」

明久「そんな…」

僕は目の前の希望が消えてしまい肩を落とす

寿「過去に同じ事をした人がいてな」

確かに2度目となれば運営側も対応しなくてはならないか

伊織「へー、そうなんですか」

耕平「その人も羞恥心のない人だったんですね」

明久「そんな人が身内にいたら恥ずかしくて外を歩けないですよ」ハハハ

雄二「そうだな」ハハハ

僕達は過去の事故を笑って流す

寿「なんだ明久はこの事知らなかったのか?」

明久「???」

寿先輩が何を言いたいのか分からない

時田「確か最初に下着で出た人の名前は」

時田先輩から初代下着出場者の写真を見せてもらう

名前を言おうとした時田先輩の声は僕に届かない

なぜなら、僕は写真を見た瞬間お店から走り出していたからである

 

ー伊織サイドー

伊織「明久はどうしたんだ?」

耕平「さー」

俺らは明久の後ろ姿を見送ったあと改めて写真を見せてもらう

そこに映っているのは容姿端麗でスタイル抜群、下着姿なのに堂々とした姿勢のショートカットの女性が映っていた

伊織「美人なのに勿体ないな」

耕平「同意だな」

梓さんや奈々華さんとはまた違ったベクトルの美人なだけに勿体ない

雄二「そういうことか」

雄二は何か納得したような表情をしていた

伊織「どういうことだ雄二?」

雄二「あー、その人は吉井玲。明久のお姉さんだ」

俺は衝撃的事実に驚きながらも美人なお姉さんが居ることに明久の処刑を決定する

 

ー明久サイドー

咄嗟に店を飛び出してしまった僕は少しして羞恥による顔の火照りが取れたので店に戻る

ガチャ

明久「ただいま戻りました」

そう言って店の中に入ると

伊織「お待たせしました」

と決めポーズを決めながら全裸で立っている伊織が待ち構えていた

明久「あの変態は何かキメてるの?」

取り敢えず雄二の所へ戻り何があったのか聞いてみる

雄二「おう、戻ったか。あー、あれはな」

雄二の説明曰く、野球挙で梓さんと勝負するために他の先輩と勝負した結果があの格好らしい

明久「あれは全裸じゃないの?」

雄二「どうやら伊織の中ではヘアピンも服の1種らしい」

明久「バカがいる」

そんなやり取りをしているうちに伊織は梓さんに瞬殺されてしまった

でも野球挙という事は梓さんも脱ぐということ。あのグラマーな人を生まれた時の姿に変えることが出来るなら僕も勝負しない訳が無い

明久「梓さん!僕とも勝負して下さい!」

野球挙なら僕にも勝機があるはず

雄二「まて明久」

明久「どうしたの雄二?勝負の邪魔をするなら先に雄二から倒すよ?」

雄二「少し落ち着け、お前にこれを預けて置くから着ている物がなくなったら身につけるんだ」

そう言って雄二に小包を渡される

明久「わかったよ雄二」

僕はそれを受け取ると改めて梓さんに勝負を挑む

梓「うーん、いいんだけど野球挙じゃなくて早飲みにしない?もちろん負けたら脱ぐルールで」

意外な提案に僕は一瞬惚けてしまう

明久「へ?僕はいいですけど梓さんは大丈夫なんですか?」

PaBに入ってから1ヶ月

毎日お酒を飲んでかなり耐性が着いてるので常人と比べたらかなり強くなってるはず

梓「大丈夫だよー。私こう見えてお酒に強いんだ〜」

この勝負意外と勝てるんじゃないか?

僕は梓さんの服の下に隠された秘宝が見れるという期待に胸を膨らませて勝負に挑む

 

先輩一同「(明久、死んだな)」

 

先輩達がそんなこと考えているなんて気づかずに僕はTシャツ、ズボン、パンツ、靴下×2を脱ぎ捨てて5連敗

いや!梓さん強すぎじゃない!?しかもまだまだ元気だし

梓「残念だったね〜」

梓さんはお酒をおかわりしながら言う

明久「勝ったと思うにはまだ早いですよ。僕にはまだ秘密兵器がありますから」

梓「???」

僕はさっき雄二から渡された小包の中から取り出した物を身につける

明久「さあ!もう一勝負です!」

全裸に女性用リボンをつけて言う

明久「ちょっと待って雄二!」

梓「…っ!…っ!」バンバン

梓さんは腹を抱えながら地面を叩く

梓「トッキー、ブッキーこの子達最高っ!」

時田「気に入ったようで何よりだ」

寿「すげー逸材だろ」

明久「勝負です!」

 

ー梓サイドー

梓「あー面白かった」

特に今年の新入生2人。ちーちゃんと奈々華のいとこの伊織クン、玲の弟の明久クン

自分の欲望に忠実で尚且つおバカな所が愛おしいとすら感じる

奈々華「良い子たちでしょ?」

梓「うん」

今日会っただけでも良い子だということが伝わってくる

千紗「あれのどこが良い子なんだか…」

確かにちーちゃんはバカ騒ぎするタイプじゃないから苦手かもしれないね

梓「私は気に入ったけどね」

酔いつぶれた子達を見ながらお酒を飲む

そこでお昼の出来事を思い出す

梓「ねぇちーちゃん」

千紗「はい」

梓「ミスコンくらい出てあげれば?」

千紗「嫌です」

多分あの子らは自分の気持ちに素直なのだろう

下手な嘘は付けないタイプなので発言に信用が持てる

そこで思い出すのがお昼の2人の発言とさっきチラッと聞こえた明久クンの発言『いや、まあ、千紗が出たら優勝賞金ゲットできるじゃないですか 』『 そうすると俺らが男コンに出ないで済むんですよ』『古手川さんが出てくれたら優勝間違いなしだったのにね 』である

梓「女冥利に尽きると思うけどねぇ」

千紗「どこがですか」

梓「んーだってほら」

ちーちゃんは気づいてなさそうなので教えてあげるとしようかな

梓「あの子たち、ちーちゃんの優勝信じて疑ってなかったでしょ?それってちーちゃんが1番可愛いと思ってるからじゃない」

千紗「……」

どうやらお昼の発言でも思い出したのかな?

少し頬を染めて目を伏せる

梓「そもそも、お客さんなわけだし賞金はこの店の売上になるんだから」

正攻法で攻略出来ないならダイビングを絡めてみる

梓「それにインストラクターやるなら人前に出るのは日常茶飯事だよ」

奈々華「それはそうねぇ」

ほろ酔い状態の奈々華も応える

千紗「…別に」ボソ

梓「ん?」

千紗「何が何でも絶対に嫌ってわけじゃないですけど」ボソ

そこまで言ってからちーちゃんは珍しく缶ビールを一気に飲み干す

千紗「ただ、私にだけ恥ずかしい思いをさせようっていう考え方が気に入らないんです」

私はちーちゃんの主張が予想外だったので少し反応が遅れてしまう

梓「ぷっあははは」

千紗「なんですか」

梓「そりゃそうよね。確かに男らしくないわ」

千紗「……」

確かに明久クンの案で伊織クンを出すっていうのもアリだけどそれだとね〜

梓「それならこうしようよ」

千紗「?」

私はちーちゃんにとっておきの案を授ける

 

ー明久サイドー

僕達は翌日ミーティングのために伊織の部屋に集まっていた

時田「伊織と耕平そして明久のおかげで無事千紗ちゃんがミスコンに出る事になった」

明久・伊織・耕平「「「えっ!!?」」」

昨日まではずっと断り続けていたのにいつの間に心変わりを!?

明久「これで出場免除!」

伊織「マジですか!?」

耕平「一晩で心変わり!?」

僕達は泣きながら抱き合って喜びを分かち合う

寿「ひいては3人に俺たちから渡す物がある」

さぁ受け取ってくれと1つずつ渡される

伊織「説得のご褒美か?」

耕平「何かのダイビング用品だったり――」

明久「僕はそれより栄養がほしいな」

袋の中からでてきたのは

伊織…女性用制服

耕平…男性用制服

僕…メイド服

明久・伊織・耕平「「「なんでだっ!?」」」

僕らは袋の中から出てきた物に驚く

時田「千紗ちゃんからミスコン参加にあたって条件を出されてな」

寿「それが伊織と耕平の男コン参加と明久はその格好で売り子をする事だそうだ」

伊織「それじゃあ!俺たちは何の為にアイツを!!?」

耕平「無駄な行動じゃねえか!!」

明久「なぜメイド服!?」

なぜ2人は学生服で僕だけメイド服なの!?

時田「あー、それはこの前の写真を千紗ちゃんに見せたら実際に見てみたいって言われたからな」

寿「千紗ちゃんきっての頼みだからな」

明久「そ、そんな」

僕は絶望に打ちのめされて膝をつく

雄二「これで客寄せはバッチリだな」

僕の耳には雄二の呟きは届かなかった




明久「そういえば最近ムッツリーニと秀吉見てないね」
雄二「あーあの二人か。秀吉は何も聞いてないがムッツリーニは出家した」
明久「出家!?」
雄二「なんでもこのままでは海に入れないからと体質改善のために悟りを開きに行ったぞ」
明久「そんな簡単に体質改善も悟りは開けないと思うけど」
雄二「まーどんな結果が出るかわからんが帰ってくるまで待ってやるか」
明久「そうだね」


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29杯目

群武「お久しぶりです。卒論の合間(現実逃避)に進めていた話がやっと投稿出来るまでになりました。今回の話は原作には無い話なので会話を考えるのが難しかったです。それでは本編をどうぞ」


新入生が入学してからもうすぐ1ヶ月が経ち学生たちも新しい生活環境に慣れてきた頃だろう。そんなある日の昼下がりとある学園の一室で老女がパソコンの画面を見ながら頭を抱えていた

「は〜、あのクソジャリどもは歳をとるとバカになる病気にでもかかってるのかね」

誰もいない部屋で老女はパソコンの画面を見ながら呟く

 

コンコンコン

 

頭を抱えていると誰かが扉をノックする音が聞こえた

去年の卒業生のごく一部は扉をノックするという文化を忘れた連中も居たが今年はそこまでの無礼者は居なくなったので少し治安は良くなったはずである。そんな事を考えていると

「失礼します」

と言って1人の男性が入ってきた。糊のきいたスーツを身にまとった男性は女性の太腿くらいありそうな腕、190センチ近い身長で趣味がトライアスロンという教育者と言うよりもスポーツマンを彷彿するような男性である

「急に呼んで悪かったね」

「いえ、丁度採点が終わったところでしたので」

そう言って男性は部屋の中に入ってくる

「先生は今週の土曜日空いてるかい?」

「はぁ?特に予定はありませんが」

男性には今回話す内容を伝えずに呼び出したのでいきなり予定を聞かれて頭にハテナを浮かべている

「もし良かったらここの学園祭に行ってきて欲しいんだがね」

そう言って老女が男性に1枚のプリントを手渡す

「これってもしかして」

「理解が早くて助かるね。クソジャリ共の進学先さね」

男性はクソジャリと聞き4人の学生を思い浮かべる。学園初の観察処分者とその相棒の元神童で元悪鬼羅刹の問題児、尻尾は掴むことが出来なかったが校内で何やら密売をしていた保健体育のスペシャリスト、演劇に力を入れすぎて学業が疎かになった学生

そんな4人が進学した先の大学祭

「何か問題でも起こしましたか?」

男性は厄介な事に巻き込まれたと言いたげな表情をしながら応える

「これを見て欲しいさね」

老女がパソコンの画面を男性に見せる

そこに映っていたのは慣れた2人の学生が校内と思われる場所を走り回っているものであった

「全くあの馬鹿どもは」

男性は額に手を当ててため息がこぼれる

晴れて卒業した学生が全裸で映っていたら頭が痛くなるのは当然だろう

「真偽と原因を確かめ次第教育的指導をしてきます」

あまり乗り気はしないが放っておけないのが教育者の性なのだろう

「そうしてくれるとありがたいね」

老女は少しほっとした表情をする

この男性以外にあのクソジャリ共を止めることの出来る教員はこの学園には存在しない

「しかし、アイツらの運動神経は侮っては行けません。いくら私でも見知らぬ土地では限界があります。なのでもう1人くらい体力のある人を付けて貰えませんか」

男性は自他ともに認める運動神経と体力の持ち主である。そんな彼でも1人では限界があるとは思ってもいなかった為、ほかの先生には声をかけていない

出来れば体育の先生。それが出来なくてもせめて男性教員の手助けが欲しいと男性は付け足した

「ほかの先生にも声をかけてみるさね」

「よろしくお願いします」

そう言い残して男性は部屋を後にした

「さて、どうしたものかね〜」

今度は画面ではなくグランドの方を除く。そこには下校中の学生や部活に勤しんでいる学生が目に映る

そんな中1人スーツを着た教員が目に入った

「いいのがいるじゃないか」

そう零すとすぐさまパソコンからメールを送った

 

 

ー明久サイドー

明久「まだ朝早いのに人多いね」

今日は伊豆春祭当日ということもあってか朝の8時過ぎなのに結構な人数の学生が準備に取り掛かっている

雄二「まー文化祭当日だからな」

ふぁと大きな欠伸をしながら応えるのは悪友の雄二だった

雄二の欠伸が移ったのか僕も欠伸をしてしまう

秀吉「朝から大きな欠伸がじゃのう明久に雄二よ」

すると後ろから久しく聞いていなかった声が聞こえてくる

明久「え!?」

僕は声の方を向くために振り向くと

明久「秀吉!」

声の主は爺言葉を使っているが正真正銘美少女の秀吉だった

秀吉「久しぶりじゃのう2人とも」

雄二「おう久しぶりだな秀吉」

明久「ほんとに久しぶりだよ!」

いつも一緒に行動していた秀吉がなぜがここ数日サークルに顔を出さなくなってしまっていたし、連絡も取れなくなっていたのでかなり心配していた

今まで雄二やムッツリーニと連絡が途絶えた事は多々あったけど秀吉が携帯を買ってから連絡が取れなくなったのは今回が初めてだった

明久「最近サークルに顔出してなかったけど何かあったの?」

秀吉は無断で休むタイプじゃないので何か理由があったに違いない

秀吉「うむ、実は姉上と少々あっての」

明久「そうだったんだ」

なんでだろう?この話はこれ以上しては行けない気がする。でも秀吉のお姉ちゃんと言えば木下優子さん。見た目は秀吉と瓜二つで文月学園のAクラスでもトップクラスの成績を誇る優等生で歌も上手で非の打ち所のない人なんだよね。僕の姉さんと交換してほしいくらいだよ

雄二「(あの姉の事だ。秀吉の生活が荒れたことに怒って折檻でもしたか)」

秀吉「ワシのことよりも準備を手伝わせて欲しいのじゃ」

秀吉は今まで準備を手伝えなかった分を取り戻したいのかやる気に満ち溢れた目をしている。しかし、意外と雄二も手伝ってくれてほとんど終わってしまっている

明久「と言っても結構準備進んでるんだよね」

秀吉「うむ、それは残念じゃ」

雄二「という訳だから時間までゆっくりしといてくれ」

そういうと雄二はいつの間にか屋台の奥に簡易ベットを作って寝てしまった

確かに伊豆春祭が始まるまで1時間近くある

こいつ寝る為に手伝ってたのか

確かにもう一方の組だと寝ることは出来なさそうだもんね

秀吉「他の人達はどこに行ったのじゃ?」

屋台の周りをキョロキョロ見回す

明久「みんなは買い出しと打ち上げ会場の準備をしにいってるよ」

秀吉「会場の準備は気が早いと思うのじゃ」

秀吉は少し呆れながらも楽しそうに言う

それからは秀吉と他愛もない話をする

30分ほど雑談をしているとふとある事を思い出す

明久「そう言えばムッツリーニについて何か知ってる?」

サークルに顔を出していなかったのは秀吉以外にもう1人ムッツリーニも来ていなかったのである

そのムッツリーニはプールでの鼻血騒動以来学校にすら来ていない

大量出血で入院したとも聞いてないので生きてはいると思うけど

秀吉「ワシは何も聞いておらぬぞ」

明久「そっか」

どうやら秀吉も知らないらしい

ムッツリーニの事だから写真を撮る旅にでも出てるのかな。などと考えていると

ムッツリーニ「……生きてる」パシャパシャ

いきなり真後ろから呟くような声とシャッター音が聞こえる

明久・秀吉「「!?」」

そこに居たのはプロのカメラマンが使うような大きなカメラを覗き込んでいるムッツリーニだった

突然の出現に驚く僕と秀吉を他所にムッツリーニは写真を撮り続けている

僕は神出鬼没の友人に問いかける

明久「今までどこに行ってたの?」

ムッツリーニ「……出家」パシャパシャ

カメラから視線を外さずに応える

明久「しゅっけ?」

僕は聞きなれない言葉についオウム返しをしてしまう

ムッツリーニ「……お寺で修行していた」パシャパシャ

なぜお寺に?

煩悩の塊であるムッツリーニとお寺とでは全く結びつかない

なのでなんの為に出家をしたのか聞こうと思ったが

伊織「おーっす」

寿「準備ご苦労」

時田「おっ秀吉とムッツリーニも参加出来たんだな」

タイミング悪く会場準備兼買い出し組が帰ってきた

秀吉「おかえりなのじゃ」

明久「おかえり」

ムッツリーニ「……」ペコ

雄二「……」ヒラヒラ

雄二は片手を上げて応じると直ぐに寝直してしまった

 

先輩達が帰ってきてから程なくして校内マイクのスイッチが入る音がする

その瞬間楽しそうに話していた周りに少し緊張の色が見える

明久「そろそろ始まるかな?」

僕の予想は当たり実行委員の声がマイクに入る

実行委員A「アーアーマイクパス……マイクテス」

マイクパス?

実行委員A「マイクパス!!」

ボォン

実行委員B「本当にパスすんなっ」

どうやら言い間違えた勢いのままもう一人いた男性の方へ投げたらしい。そのせいでマイクがボォンという音を拾う。

実行委員A「すまん。勢い余って投げてしもうた」

その瞬間今まで少し緊張していた周りからはドっと笑い声が聞こえる

実行委員B「まーそれはいいとしてそろそろ開会の挨拶たのむわ」

実行委員A「了解。まもなく伊豆春祭の会場時間です。徹夜明けの人もそうでない方も……準備は万端か!?」

その掛け声と共にみんなが一斉にオー!と拳を上げる

実行委員A「心の準備も出来たみたいやししっかり楽しんでちょうだい。これより伊豆春祭スタートです」

その言葉を皮切りにみんなは一斉に動き出した

そして僕達にとって初めての伊豆春祭が幕を開けたのであった




明久「なんか文月学園で何やら動きがありそうだね」
雄二「あー、ババ長が何かしてやがるな」
秀吉「どうやら鉄人がお仕置をしにくるらしいの」
明久「なんだって!?雄二が校内を走るから鉄人が来ちゃうじゃないか!」
雄二「あ?走ってたのはお互い様だろうが!」
秀吉「いや、学園長が呆れていたのはそこじゃないと思うのじゃ」
雄二「走る以外に何かあったか?」
明久「何も無かったと思うよ」
秀吉「裸でいることがデフォになっておるのじゃ」


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30杯目

お久しぶりです
東京に就職をしたのですがまさかのコロナで休業
リストラはないと信じていますが日々恐怖(無人島開拓と大乱闘)しています


ー明久サイドー

寿・時田「っしゃお前らー!」

放送が終わった直後金髪マッチョの寿先輩と角刈りマッチョの時田先輩の声が木霊する

寿・時田「伊豆春祭じゃー!」

その雄叫びに対して残りのメンバーが応える

一同「イエーッ!!」

 

明久「って盛り上がったけど僕達は宣伝係なのね」

僕のテンションは先程の盛り上がりから一転してかなり低くなっていた。その原因は

雄二「そんなこと言うなアキちゃん。最初の売上は看板娘のお前と秀吉の頑張りにかかってるんだからな」

そう僕の今の格好はメイド服にハチマキというよく分からない組み合わせにデカデカと「Peek a Boo特性お好み焼き」と書かれたプラカードを持っているからである

雄二「今になってグチグチ言わずに財布達に媚びを売ってこい」

そう言って雄二は僕の背中を押し目の前にいる4人組の男子学生にぶつかってしまう

明久「何するのさ雄二!あっ、ごめんなさい」

僕は雄二に一言文句を言うよりも先にぶつかった相手に意識を向け少し声を高くして謝る

学生A「おっおう。君こそ大丈夫?」

と見るからに童貞と分かる風体の学生

学生B「大丈夫か?」

こちらは体格がいいという認識しか残りそうにないモブ

学生C「仕方がないさ。俺の後ろ姿に見蕩れちまったんさ」

とそこまでイケメンではないメガネを掛けた勘違い野郎

学生D「それにしても君可愛いね〜。連絡先交換しない?」

こちらはパッと見整った顔立ちだが僕のクズセンサーが反応しているチャラ男

チャラ男の発言から残りの3人が各々にアピールを始める

学生C「大丈夫ですかマドマーゼル?私は野島 元、貴方の王子様です」

野島という勘違い野郎は痛い発言の最後にウインクをする

こいつ根本くんレベルで気持ち悪い

学生B「俺はふじわ」

学生A「この俺、山本 真一郎に会いに来てくれたんだね天使ちゃん」

モブマッチョに被せるように童貞王の山本が気持ち悪い発言をする

こいつは根本くん以上に気持ち悪い

明久「それはないです。童貞王」

山本「俺童貞なんて一言も言ってねーぞ!?」

僕の言葉を必死に否定する

おっと思ってることが口から出てしまった

学生B「俺はふj」

学生D「俺御手洗優って言うんだけど、君可愛い格好してるけど何処かの売り子さん?」

またもやモブマッチョの自己紹介は遮られる

学生B「俺はf」

明久「私Peek a Booって言うところでお好み焼き売ってるの」

山本「そうなんだ〜。何時頃売り子終わるの?」

学生B「俺h」

野島「売り子終わったら俺と一緒に学園祭回らないか?」

御手洗「暇になったらここに連絡くれない?」

前者2人は女性慣れして無さそうだがチャラ男の御手洗は慣れた手つきでメモ帳に連絡先を書いて渡してくるが、流石に面倒くさくなって来たので少し離れたところで眺めていた雄二にアイコンタクトで助けを求める

明久(そろそろ助けてくれない?)

雄二(こいつらは金を落とす鴨だ。上手いこと店の方に誘導しろ)

どうやら手助けはしてくれないらしい。それならそれで自分で対処するだけ

明久「それなら〜早く仕事終わるために〜いっぱい買って欲しいな〜」

僕は分かりやすいほどの媚びを売りながら童貞王の山本を見つめる

山本「分かった!買ってくるよ!」

野島「おい童貞!」

御手洗「ちょっ!待て!」

学生B「お」

山本は他の3人を連れて屋台の方へ走っていく

結局あのモブマッチョの名前はなんて言うんだろう?

あんまり気にならないし大丈夫か

そして4人の姿が見えなくなるタイミングで雄二が近付いてきた

雄二「流石メイドのアキちゃんだ」

と愉快そうに笑う

明久「いきなり面倒臭いお客さん送っちゃったかな」

雄二「あっちには古手川が居るからな」

明久「戻った方がいいかな?」

雄二「まー伊織と耕平もいるし大丈夫だろ」

明久「それもそうだね」

 

ー伊織サイドー

伊織「なんだったんださっきの奴ら?」

俺はさっき来たおかしな4人組を思い出しながらお好み焼きのタネを作っていると一瞬だけ席を外していた千紗と梓さんが戻ってきた

千紗「凄い量買って行ったね」

梓「まさかあんなに買うとは思わなかったよ」

呆れた表情の千紗と若干引き気味の梓さん

そのおかしな男子4人組とは来店して直ぐにお好み焼きを10枚注文し出来るのを待ってる間に千紗をナンパ。千紗がナンパ避けに「プラスで10枚買ったら考える」と言うとすぐさまプラスで10枚追加、それが出来るのを待ってる間に梓さんがブラジャー姿で登場したのを見ると直ぐに童貞であろう不細工が梓さんにもナンパを仕掛けた。そして梓さんは「今の注文の倍頼めば考える」と言うと直ぐにその量を注文すると言うアホみたいな買い方をしていった。しかも出来上がる前に千紗と梓さんは姿を消していたので4人組の内1人がガチ泣きしながら帰っていった

耕平「それにしてもさっきの奴らのせいか一気に暇になったな」

伊織「まー店前でガチ泣きされたら近寄ろうと思わんしな」

今はお客さんは居るもののそこまで忙しくはない

寿「おつかれさん。調子はどうだ?」

そう言いながら寿先輩はキンキンに冷えたビールを開けて渡してくれる

伊織「あ、どうも」

耕平「すみません」

俺と耕平はビールを貰うと千紗と梓さんに屋台を任せ少しだけ席を外す

伊織「売り上げ的にはさっき40枚売れてそこそこ伸びたんですが全体的にはそこまで売れてないですね」

スタート時は結構お客さんがいたのに段々減ってきて今では店番は2人でも十分なくらいのお客さんしか来ない

寿「40枚?そんなに一気に売れたのに伸びてないのか?」

てっきりクチコミが広がり人気が出たと思っていた寿先輩は驚いた表情になる

耕平「商売敵がいるみたいで」

と耕平は女性が集まっている屋台の方を見つめる

寿「ああ、ティンカーベルか。あそこも毎年お好み焼きだからなぁ」

伊織「ティンカーベルって?」

寿「男が美形揃いで男女比率NO.1のテニサーだ」

伊織「へぇ〜なるほど」

耕平「道理で客に女子が多いわけだ」

俺らはこちらに女性の客が全然来ない事に納得する

寿「しかし、ちょっとまずいな」

伊織「どうしたんですか?」

寿先輩が少し険しい顔をする

寿「いや、さっきティンベルの会長から勝負を持ちかけられたんだが、勝負内容がサークルの売り上げでな」

伊織「それはちょっとキツイですね」

耕平「確かに現状良くないな」

列の出来てない屋台に対して女性客が集まっている屋台。現時点でも結構差が生まれている可能性が高い。この差を埋めるにはインパクトのある事をしないとダメか

隣を見ると真剣な表情をしている耕平の口が動く

耕平「生ゴミがいいか?」

伊織「豚の血だろ」

生ゴミより洗いにくい豚の血の方が効果的だろう

千紗「真顔で何を投げ込むか話し合うのやめて」

千紗の冷静なツッコミと同時に携帯が鳴る。そこには明久の名前が表示されており、特に忙しくないので直ぐに電話に出る

伊織「どうした明久?」

明久「叩き潰したい所があるんだけど協力してくれない?」

明久の口からいきなり出てきた突拍子もない言葉に対し即答する

伊織「いいぜ。あと明久イケメン集団にやるなら何がいい?」

俺の問いに対して明久は電話の向こうで雄二と少し話す声が聞こえる

明久・雄二「「イケメンには死を」」

それでこそあの2人だ

俺は心の中で2人のクズを思い浮かべる

千紗「あんたら最低」

千紗の独り言は誰の耳にも届くことは無かった

 

ー明久サイドー

あの変な4人組と別れてから宣伝を再開してからは人が集まっている所を点々としているとどこからか不愉快な声が聞こえてくる。その声は高校の時、特に2年しかし、高2の時の様な事にならない為に僕達はその場から離れようとするが

??「ここのお好み焼き不味すぎだろ!」

??「よく祭りでこんなん売れるな!」

??「しかも作ってるやつがバカ丸出しの奴とヲタクだからな!」

聞こえた瞬間足が止まる

お好み焼き?バカ丸出し?ヲタク?

その条件が揃っている屋台が一つだけ思いつく

そして僕と雄二は何も言わずに声のする方へと歩き出した

 

明久・雄二「「おまえらは!!!」」

人垣をかき分けて現れたのは今どき珍しい髪型の3人組だった




野島「それにしてもあの子のサークル女子のレベル高くね?」

御手洗「どの子も捨てがたいな」

山本「てかあの調理してた男の1人って入学早々裸で酒飲みしてたやつじゃないか?」

学生B「お」

野島「美人のサークルに参加してる男に」

野島・御手洗・山本「「「死を」」」

学生B「


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31杯目

お久しぶりです。
お忘れの方も居られると思いますが群武です。

ぐらんぶるの実写映画を観て制作意欲が掻き立てられたので書きました。
小説の書きたかを教えてくれる優しいお姉さん居ないかな…


ー明久サイドー

明久・雄二「「お前らは!!!」」

目の前に現れたのはソフトモヒカンがモヒカンへ、坊主頭がスキンヘッドへ進化した常夏コンビと前髪だけでなく全体の長さが切りそろえられたおカッパヘアーに変化した根本くんだった

常村・夏川「「げっ!吉井に坂本!」」

僕らの声に反応し最悪だと言いたげな表情になった常夏コンビと無言で逃げ出そうとする根本くん

雄二「抑えろ明久」

明久「了解!」

逃げようとする根本くんとの距離を一瞬で詰め手に持っていた看板で後頭部をぶっ叩く

根本「ぐへっ」

後ろから殴られた根本くんは顔面から地面にダイブする。その上から逆エビ固めで身動きが取れないように拘束する

雄二「よう先輩ら。ちょっくら面を貸してもらおうか。明久はここでその変態を拘束しといてくれ」

雄二は腕組みをして2人に睨みを利かし校舎裏に連れていく

それに対してあっさりついて行く常夏コンビ

明久「あっちょっと待ってよ」

雄二は校舎の方に歩いて行ってしまったけど僕はどうしよう?

僕は少し考えてから大きな声を出す

明久「この人変態です!!!」

結構僕の女声も様になってきたんじゃない?

 

ー雄二サイドー

校舎裏に来るまでに明久が変な事言っていたが今はどうでもいい。それより今はこっちの方が問題だ

雄二「あんたら2年前と同じ方法で何やってんだ?」

2年前と同じ方法とは、俺らのクラスである2年Fクラスの評判を落とす為に翔子のクラスであるAクラスで悪評を吹聴するって言う手口の事だ。そして今回も同じ手口でおそらく俺らの屋台を蹴落とそうとしている

夏川「は?お前には関係ねーだろ!」

常村「そうだぜ!今回は無関係だ!」

雄二「そんなケチな事言うなよ先輩。同じ高校の交じゃねーか」

夏川「お前らとはこれ以上関わりたくねーんだ。行くぞ常村」

常村「そうだな。夏川」

俺は今の反応を見てこいつらが屋台の邪魔をしている事に確信を持つ

雄二「今度はどこの屋台の邪魔を企んでんだ?」

常村「それをお前に教える義理はねーんだよ」

夏川「そんなに教えて欲しけりゃそれなりの態度があるんじゃねーか?」

雄二(ちっ、こいつら意地でも教える気は無さそうだな)

雄二「そんなに言いたくねーなら無理には聞かねーよ」

俺はそう言いながら右手を上げる

常村「だったら聞くんじゃねーよ」

夏川「さっさと行こうぜ常村」

常夏コンビは来た道を戻る為に踵を返そうとした時

 

シュッ

 

1本の矢文が常夏コンビの間に突き刺さる

夏川「うわ!」

常村「あぶねぇ!」

夏川「おい!坂本!」

常村「てめぇ危ねーじゃねーか!」

雄二「おいおい先輩方。勘違いするなよ。それを撃ったのは俺じゃねぇ」

夏川・常村「「あぁん?」」

常夏コンビが怪訝な顔をしているともう1本の矢が俺の横に突き刺さる

そこにはさっきと違いボイスレコーダーがついていた

雄二(相変わらずの手際の良さだな)

俺はそのボイスレコーダーを取り再生ボタンを押す

そこから聞こえて来たのは目の前にいる常夏コンビと聞き覚えのない男性の声だった

 

??「夏川と常村ちょっといいか?」

夏川「どうしたんすか工藤会長?」

工藤「実はPeek a Booの連中と売上勝負をする事になってな。奴らの妨害をして欲しいんだ」

雄二「(Peek a Booっていったら俺らの所属してるサークルじゃねーか)」

どうやら俺らの知らないところで売上勝負が決まったらしい。

常村「別に妨害しなくても先輩らなら売り上げトップ取れるんじゃないっすか?」

工藤「確かに学園祭に来た女共を使えば負けないとは思うが、奴らには浜岡 梓っていうかなりいい女がいてな。それに加え噂では可愛い1回生が入ったらしい。元々男性比率が多いこの学校だと油断すれば負ける可能性があるんだ」

常村「分かりました。その代わり勝った暁には合コンのセッティング頼みますよ」

工藤「そのくらい朝飯前さ。じゃぁよろしく頼むわ。後念の為に悪知恵の働きそうな1年も呼んどいた」

夏川・常村「「了解っす」」

 

そこにはPeek a Booの邪魔をする決定的な証拠が残されていた

夏川「これがどうした?それにお前には関係ねーだろ!」

スキンヘッドを輝かせながら夏川がキレ気味に食いついてくる

雄二「それが関係があるんだよ」

常村「あぁん?どういう事だ?」

雄二「あんたらが邪魔をしてるPeek a Booに俺も所属してんだよ」

夏川「嘘だろ…」

常村「チッめんどくせぇ事になりやがった」

雄二「お互い過去の事は水に流して手を引かねぇか?」

俺の提案に常夏コンビの警戒が強くなる

常村「坂本てめぇにしてはエラい温いこと言うじゃねーか」

夏川「何か考えてんじゃねぇのか?」

雄二「何言ってるんすか先輩方。俺はただ初めての大学祭を楽しみたいだけですよ」

夏川「はっ!白々しい」

常村「絶対何か企んでるだろ」

雄二「ただ売り上げで豪華な打ち上げをしたいだけさ」

俺はここで餌をまく

常村「ほぉ〜」

常村の目が怪しく光る

常村「夏川ちょっと耳を貸してくれ」

夏川「おっおう」

そう言うと2人は俺に聞こえないように内緒話を始める

俺の予想通り2人は見事に餌に食いつく

少しすると話が終わったのか2人は俺の正面に立ち直る

常村「おい坂本」

夏川「俺らと勝負をしねぇか?」

先程までとは違いやけに自信満々な表情になる2人。

俺は敢えて分かりやすく警戒する

雄二「あぁ?」

常村「勝った方が負けた方に何でも命令出来るって言うのはどうだ?」

雄二「別に良いが勝負内容はこっちが決めても文句はないだろ?」

夏川「別に問題ないぜ。流石に頭の悪さで勝負されたら勝ち目はねーけどな!」

常村「そんな勝負したら吉井と坂本に勝てるやつなんて地球上に存在しねーよ!」

相変わらず2人は馬鹿みたいに笑う

雄二「そんなつまらねぇ勝負なんてする訳ねぇだろ。それとも何か?そんな勝負でしか勝てる自信がねぇってか?」

夏川「そんな訳ねーだろ!何でもいいから早く内容を決めやがれ!」

相変わらず短気な性格の夏川が顔を赤くする

雄二「そうかっかするなよ先輩。禿げちまうぜ。勝負の内容は今夜行われるミスコンと男コンでよりいい結果を出した方の勝ちっていうのはどうだ?」

伊豆春祭中に行える勝負となればそこまで多くはないだろう

それにこの2人が所属するようなサークルに古手川に勝てるやつが居るとも考えずらい

俺の提案に対し常夏コンビは獲物が罠にかかったと言いたげな表情をする

常村「勝負内容はそれで構わねぇが例えば男コンとミスコンが互いに受賞した時はどうすんだ?」

笑いを隠しきれない表情で常村は最終確認をする

雄二「その時はドローということで痛み分けだ」

夏川「万に一つもお前らが受賞出来るとは思わねーがな」

常村「あー、こっちには工藤会長が居るから負けることは絶対にないしな」

ニヤニヤと気色の悪い笑みを浮かべる2人

雄二「なら勝負の内容はこれで大丈夫か?」

常村「問題ない」

夏川「負けた時ように土下座の準備でもしておくんだな!」

そう言い残し常夏コンビはグランドの方に歩いていく

2人の姿が見えなってから俺は明久に電話をして根本を解放するように指示をし、こちらに来るように伝える

 

ー明久サイドー

雄二「って事になった」

僕は雄二の方で何があったのか説明を受けてから少し疑問を感じる

明久「そんな勝負を仕掛けるってことは何か勝算でもあるの?」

雄二は勝算の無い勝負は仕掛けるような性格では無いので何か策があるはずだ

雄二「単純にやれば耕平はともかく古手川は優勝出来るだろ」

明久「それは確かにそうだね。それに常夏コンビが入るようなサークルに優勝できる人がいるとも思えないよね」

古手川さんに勝てる子なんて美波や姫路さんレベルでも連れて来ないと無理だもんね

雄二「いや、アイツらの自信からしてかなりの美形がいるだろうな」

明久「それじゃ勝てないじゃないか!」

常夏コンビがいるようなサークルの事だからてっきりむさっ苦しい人ばっかりが所属してる様な所だと思ってた

雄二「まーそう焦るな明久。ミスコンはともかく男コンに関しては何も美形だけが優勝する訳じゃない」

明久「え?そうなの?」

僕達も何回かコンテストには(強制)出場したことあるけど毎回可愛さやかっこよさを競ってきた

雄二「伊豆春祭の男コンでは過去にネタ枠が優勝したこともある」

明久「へーそうなんだ」

確かに僕達が参加したコンテストでも雄二の女装がどストライクの変態が居たっけ

明久「はっ!?もしかして!あの変態が審査員なんじゃ!?」

もし、そうだったら今すぐ雄二の首をへし折り女装させ、秀吉に雄二の声を真似てもらい告白すれば優勝は確実!

明久「そうとなれば、まずは注意を逸らす所から始めないと」ブツブツブツ

僕はいかにして雄二を落とすか策を練る

雄二「まずは今回の審査員はあいつじゃないから俺に変な殺気を向けんな。取り敢えずアイツらに協力してもらうか」

明久「秀吉とムッツリーニ?」

僕はパッと出てきた悪友2人の名前を出す

雄二「あの2人には俺から連絡入れておくから、クズ2人に連絡頼む」

明久「了解」

クズと聞いて思い浮かんだ片方へと電話をかける

丁度お昼時なので電話には出られないと思ったけど意外と早く繋がり、電話の向こうから能天気な声が聞こえてくる

伊織「どうした明久?」

明久(この事をどうやって説明しよう?)

常夏コンビの事、勝負の事、賭けの事とどうやって説明したらいいか分からないので簡潔に聞くことにする

明久「叩き潰したい所があるんだけど協力してくれない?」

伊織「いいぜ。あと明久イケメン集団にやるなら何がいい?」

流石伊織。即答で返事が来る

明久「ねー雄二。伊織からイケメン集団には何をやるか?だって」

雄二「あ?そんなの1つに決まってるじゃねーか」

明久「だよね」

後ろで連絡を取っていた雄二に問いかけるが反応した時の目で何が言いたいかを感じ取る

僕の隣に来た雄二と声を揃えて言う

明久・雄二「「イケメンには死を」」

こうして僕達と常夏コンビとの勝負が1年ぶりに始まったのだった




???「それにしてもアキ達はどこに居るのかしら?」

???「本当ですね。明久くんなら直ぐに見つけられると思ったのに…」

???「・・・焦らない。・・・まだ時間はある」

???「そうだね〜。折角来たのに吉井君達を探すだけじゃ勿体ないよ。伊豆春祭も楽しまなきゃ!」

???「わ、私はも、も、元々そのつもりだったし!」


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32杯目

あけましておめでとうございます。
今年もちまちま投稿するので良ければ読んで行って下さい。


ー明久サイドー

雄二「取り敢えず現状を整理するぞ」

雄二の掛け声に対して僕、雄二、秀吉、ムッツリーニ、耕平、伊織の順番で円形に座る。

僕達は現状常夏コンビとティンカーベルの2つと勝負をする事になってしまっている。

雄二は勝利条件をノートに描き並べてから戦力差を比較する。

雄二「と言っても常夏コンビの所属しているサークルが何処か分からない以上先にティンカーベルの視察と昼飯調達でも行くか」

明久「そうだね。お昼も過ぎたからお腹減っちゃったよ」

伊織「もうそんな時間か」

耕平「この後に男コンが無ければ楽だったんだがな」

秀吉「任せるのじゃ耕平よ。ワシがしっかりと優勝させてやるからの」

ムッツリーニ「・・・撮影は任せろ」

僕たちが各々に話していると屋台の方から梓さんがこちらに手招きをする。珍しく雄二をご指名だったらしく雄二が屋台の方へと行く。

それから少し話した後雄二が僕、伊織、耕平の3人を哀れみの目で見てくる。

向こうではどんな話が繰り広げられているのか知りたいような知りたくないような。

それから直ぐに雄二が合流する。

明久「梓さんが雄二を呼ぶなんて珍しいね。何の話してたの?」

雄二「あー、お前と伊織、耕平の三角関係について色々とな」

そう言えばそんな誤解もされてたっけ。

明久「もちろん誤解は解いておいてくれたよね?」

雄二「当たり前だろ?明久にはちゃんと本命が別に居るって伝えておいてやったぞ」

雄二にしては珍しく気の利いた対応に感動と同時に脳内で腰まで伸びたピンクの髪、女性としてとても魅力的な胸、優しい表情を思い浮かべ少し恥ずかしくなる。

雄二「明久には久保利光っていう遠距離の恋人が居るってな」

明久「貴様ー!誤解の回答に嘘をつくんじゃない!」

僕が感じた1%の感動を返せ!

雄二「本当の事を言ってよかったのか?」

明久「当たり前じゃないか!」

雄二「姫路×伊織×耕平×Peek a Boo=?」

明久「くっ!」

僕は殴りかかろうと振り上げた拳を止める。

確かにこの学校であんなに可愛い恋人(保留中)が居るなんてバレたらFFF団を相手にするくらい危険になる。

雄二「そんな事はどうでもいい。話を戻すぞ」

こいつ僕の恋愛事情をそんな事って言いやがった。

雄二「班わけは俺、秀吉、ムッツリーニの3人で昼飯の買い出し。残り3人でティンカーベルの視察を頼む」

耕平「了解」

伊織「刺殺してくるわ」

明久「くっ!戻るまでケツを洗って待ってろ!」

首だったっけ?

雄二「(この馬鹿!浜岡先輩がすごい勢いでこっち向いたじゃねーか!)さっさと行ってこいこの馬鹿!」

秀吉「伊織の漢字が違った気がするのじゃが…」

ムッツリーニ「・・・気のせい」

雄二「まー視察が刺殺になってもいいしな」

 

僕は雄二達と離れて途中までルート通りに行っていたが途中からティンカーベルの屋台とは別の方へと歩き出す。

それにしても、さっき一瞬寒気がしたのはメイド姿のせいかな?

耕平「ん?吉井?ティンカーベルの屋台はあっちだぞ?」

伊織「もしかして、明久。お前カタカタも読めないんじゃ…?」

いきなりルートを変えたせいで2人は止めようとする。

一応僕も理由があってルートを変えたのにその言いようはないんじゃないか!?

明久「カタカタ位僕でも読めるよ!ってそうじゃなくて、あーいう外ズラのいい連中は裏でゲスい事をしてるもんだよ」

耕平「お前のイケメンへの偏見は偏りすぎてないか?」

多分僕のイケメンへの見方は高城先輩のせいだと思う。

あの畜生は僕達の悲願を邪魔し、あろう事か姫路さんにキスしようとした大罪人である。

多少憎しみがあると思うがそこまで酷くはないだろう。

伊織「一理ある」

ほら、伊織も同意してくれた。

耕平「確かにららこたんに出てくるイケメン(敵キャラ)も酷いやつだったか」

耕平のはちょっと違うと思うけど、認識に違いはあまりなさそうかな。

伊織「所で明久。どこに向かってんだ?」

明久「あーそれはね」

僕が応えようとしたら目的地に着いてしまった。

明久「あそこだよ」

僕が指した方にはティンカーベル用と書かれた立て看板の奥でテニスウェアに身を包んだ男女が大勢で騒いでいた。

耕平「ティンカーベルの休憩所か」

伊織「そういう事か明久」

特に何も言っていないが伊織は何かを感じ取ったらしい。

耕平「どういう事だ?」

僕も聞きたい。伊織は一体何を感じ取ったの?

伊織「アイツらを出場不可能になる様に殺るんだろ?」

予想以上に物騒な言葉が出てくる。

さっき刺殺してくるって言い間違いじゃなくて本気だったらしい。

明久「それもアリだけど」

耕平「アリなのか」

明久「2人は知ってる?物理的な死よりも怖い事」

伊織「ん?新生活初っ端に講堂前で全裸になることか?」

耕平「推しが死んだ時に決まってるだろ」

さっきから微妙に耕平がとんちんかんな事を言ってるが気にせずに進める。

明久「うん、伊織が近いかな」

特にこれは今までチヤホヤされてきた人間には効果的だろう。

耕平「それで物理的な死よりも怖いことってなんだ?」

明久「あーそれはね。社会的な死だよ」

伊織「確かにそれは一理あるな。特に明久が言えば重みが違うな」

耕平「吉井が言うと尚更だな」

ん?どういう事かな?

伊織「それにしてもどうやってアイツらを殺すんだ?」

明久「取り敢えずネタを見つけないとね」

そう言って僕は物陰からティンカーベルが集まっている所を覗く。

伊織「今の所は酒を飲んで騒いでるだけだな」

耕平「違和感があるとすれば服を着ている事くらいか」

明久「そうだね」

僕達は3人で覗きながらネタを探すが余りいい物は見つからない。

すると

ティンベルA「こんなに可愛いアイちゃんが!!」

ティンベルB「ちょっと酔うとこ見てみたい!」

所謂コールと呼ばれる物が1人の人物に投げかけられる。

少し遠い為顔までは見えないがそのアイちゃんと呼ばれた人物はビールジョッキを片手に持ち一気に飲み干す。

耕平「どこにでもお前らみたいなヤツいるんだな」

伊織「なんだそりゃ?」

明久「どういうこと?」

イマイチ耕平が何を言いたいか分からない。

耕平「乗せられやすいって意味だ」

伊織は兎も角僕も乗せられやすいなんてとんだ誤解だ!

それに

明久・伊織「「耕平(お前)には言われたくない」」

乗せられやすいと言えば多分僕達よりも耕平の方が乗せられやすいと思う。

明久「取り敢えずここでも余りいいネタは手に入らなさそうだね」

伊織「そうだな。ずっとここにいる訳にもいかないし移動するか」

明久「そうだね。(それにしてもさっきの飲み会盛り上がってる用に見えるけど何か引っかかるな)」

耕平「そうだな。次は屋台の方でも行ってみるか」

そう言って僕達が移動しようとした瞬間

??「ちょーーっと待ったぁー!!」

聞いた事のない声にいきなり呼び止められる。

明久・伊織・耕平「「「?」」」

僕達は呼ばれた方を向き直すとそこには・・・

めちゃくちゃゲバ…個性的な化粧を身にまとった女性が立っていた。

どれくらい個性的かと言うと2年対3年の肝試し勝負の時に化けた坊主先輩といい勝負出来るくらい個性的かな。

それにしても2人の目が死んで干からびた魚の様になっている。

??「へぇ〜ほうほう……」

いきなり現れたケバい女性は耕平をまじまじ見つめる

耕平「な?なんだ」

耕平はいきなり距離を詰められた事もあり半歩後ろに下がる。

伊織「知り合いか?」

伊織は後ろに下がろうとする耕平を後ろから突き出すように押し返す。

突き出される耕平を改めて見直しケバコさんはにまぁ〜と笑う。

その笑顔を見た僕達は悪寒がする。

ケバコ「ねぇキミ〜」

耕平「お…俺か?」

ケバコさんは甘ったるい口調で耕平を見つめる。

それに対して耕平は何時でも逃げれる様半身になりながら応える

ケバコ「あのさ、今からヒマ?」

伊織「ヒマなのか?」

ケバコさんの問に返事をしなかった為、伊織が再度問いかける。

耕平「ケバい」

うん。その返しをしたい気持ちは分かるけど直接言われた本人は結構傷つくと思う。

ケバコ「ケバい!!?」

ほらやっぱり、かなりダメージ受けてる。

でもそんなにビックリすることかな?

田舎から出てきて大学で浮かないために大学デビューしたけど似合ってないって言われたくらいの驚き様だけど。

伊織「すげえ返事だな」

伊織も予想外の回答に驚いてるじゃないか。

ケバコさんはコホンと咳払いをしてから目の前で化粧を治す。

ケバコ「私と飲んでくれる人探してるんだけどさ〜」

そう言いながらテニスウェアの裾を触りながら体をくねくねさせる。

伊織「そうか」

耕平「それはケバいな」

全く興味がなさそうな表情と言うより興味が無い反応を示す伊織と全く会話になっていない返答を返す耕平。

ケバコ「・・・私の話聞いてる?」

流石に可哀想になる位の反応をされているがめげずに再度誘ってくる。

伊織「どうするんだ耕平?」

明久「そうだよ。(耕平1人の犠牲でティンカーベルの弱みを握れるなら)少しくらい飲んであげたら?」

耕平「とてもケバい」

ケバコ「その返事やめてくれない!?」

出会ってからずっと「ケバい」としか返答がなかったら流石に心が折れるよね。

ケバコ「これくらいの化粧大学生なら普通でしょうが!!」

それはないと思う

明久「それはないと思う」

ケバコ「・・・」キッ

伊織「流石に真正面から否定するのは可哀想だろ」

耕平「そうだぞ。いくらうちの看板娘だからって」

おっと、どうやら思ったことを言ってしまってたみたい。

ケバコ「さてはあんた!こっちのイケメンと付き合ってるんでしょ!?」

どういう思考をしたのか僕と耕平が付き合ってると勘違いしたらしい。

明久「な、何を言ってるのさ!僕が付き合ってるのはこっちじゃないよ!」

僕は少し慌ててしまったがしっかりと勘違いを否定する。

ケバコ「あ!そういうこと」

どうやら僕の言葉が通じたのか納得してくれたらしい。

全く困ったもんだよ。

僕が付き合っている(仮)のは姫路さんなんだから。

それからケバコさんは無言で僕と伊織を交互に見てからこちらを背にして少し考え事をする。

30秒ほどしてから意を決したケバコさんは提案をしながらこちらを向き直す。

ケバコ「せっかくだし、2対2で飲みに・・・ってどこ行ったのよ!」

視線が戻ってきた時にはもう僕達は逃げ去っていた。




誤字脱字あったら報告お願いします。


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33杯目

お久しぶりです?
現実世界で色々騒がしいのでこちらの世界に逃げてきました。


ー明久サイドー

ケバコ「ちょっと〜どこ行ったのよも〜!信じらんない!」

 

そう言いながら多種多様な化粧品で素顔を隠した女性が通り過ぎていく。

それを確認出来るまで伊織と耕平はスーパーボールすくいを、僕はヨーヨー釣りをして時間を潰す。

明久「せっかくの誘いを断っても良かったの?」

 

伊織「そうだぜ耕平。お前がリアルの女性に相手されるなんて奇跡だぜ?」

 

伊織の言い草は酷いがフォローする言葉が見つからない。

 

耕平「ああいう輩は苦手なんだ」

 

確かに耕平は女性全般苦手だよね。

最近やっと古手川さん姉妹と目を合わせて話せるようになってきたくらいだもんね。

それに見た目はかなりの美形である耕平は中身がヲタクで3次元の女性に幻滅してるみたいだし。

 

伊織「取り敢えず奴はどっか行ったから戻るとするか」

 

明久「そうだね。脅しに使えるようなネタは無かったけどティンカーベルにも面白い人が居ることは知れたもんね」

 

耕平「今のうちに平和な文化祭を楽しまないとな」

 

確かに入学してから授業以外の時間のほとんどが先輩たちと一緒に行動していた為、お酒・野球挙・お酒・ウォッカ・ウィスキー・スピリタスの割合でお酒を飲んでいたので服を着て素面で居れる今は平和と言って過言ではないよね。

 

伊織「たまにはこういう日もいいな」

 

伊織は先程すくったスーパーボールを10個ほどジャグリングして、耕平はららこたんのスーパーボールを覗いて癒されていた。

 

明久「まさか、お祭りでまともな格好して出歩けるとは思ってなかったよね」

 

耕平「お前のその格好はまともなのか?」

 

伊織「言ってやるな耕平。明久にとってはメイド姿が正装なんだから」

 

しまった!馴染みすぎていて忘れていたけど僕はずっとメイド姿なんだった!

いつになったら僕はまともな服を着れる日が来るのだろうか…

 

明久「それにしてもせんぱ…」

 

僕は言葉の途中で嫌な気配を感じた瞬間咄嗟に走り出す。

 

伊織「どうした明ひ…」

 

耕平「いきなり走り…」

 

2人の声を無視して僕は迫り来る絶望から逃げる。

 

時田「伊織に耕平じゃないか」

 

寿「いいところに来たな」

 

時田先輩と寿先輩の声が伊織達の所で止まる。

どうやら2人は逃げきれずに捕まったらしい。

僕は2人のおと…尊い犠牲を無駄にしない為に走り続ける。

友を犠牲に逃げるのは2年生の時に行った学力強化合宿依頼かな?

あの時は相手が鉄人を含めた先生達だったので最後に呼び出されたけど今回は逃げ切れるはず!

 

伊織「明久があっちに逃げました!」

 

耕平「奴は今メイド姿です!」

 

な!?

2人は自分達が逃げ出せないことを感じとるや否や僕が逃げ出した方向と姿を知らせ捕まえさせようとする。

しかし、この人混みの中これだけ距離を取れば逃げ切れる!

僕が文月学園で命を削って身につけた逃走術。

その経験と自信が一瞬の油断を招いてしまう。

視界の隅から僕の脚を狩るように肉の塊が飛んでくる。

僕は咄嗟に手を肉塊の背に着き飛び越える。

 

明久「何!?」

 

僕は飛んできた肉塊を確認するために振り返ろうとする。しかし、背筋が凍るような殺気を感じ取り着地の勢いを殺さずに右方向へ方向転換する。

その直後、僕がさっきまで立っていた場所にスーパーボールが着弾する。

先程の肉塊の中にスーパーボールが飛んでくると流石に逃げきれない。

僕は逃げ切れる方法を探す為に周囲へ視線を向けた瞬間驚愕する。

何故かと言うと、四方八方から先輩達に負けず劣らずの肉体を持った集団に囲まれていたからである。

 

明久「(伊織のスーパーボールはここへ誘き出す布石だったのか!)」

 

僕が伊織の作戦にまんまと嵌められた事に気づいた時には筋骨隆々でスキンヘッドの暑苦しそうな男性に羽交い締めにされていた。

その筋骨隆々のスキンヘッドに近づいてくる時田先輩。

 

時田「どうだ。うちの1年は?」

 

スキンヘッド「活きのいい奴らじゃねーか。ラグビー部に欲しいくらいだぜ」

 

どうやらこの筋骨隆々の方達はラグビー部で先輩の知り合いらしい。

どうりでさっきのタックルといい、いつの間にか囲まれていた連携といい納得が行く。

 

明久「って!納得出来ませんよ!一体僕になんの恨みがあってタックルされなきゃ行けないんですか!?」

 

スキンヘッド「?特に恨みはないが?」

 

何故この人は、僕にタックルを食らわしながら一切の罪悪感を感じていないんだ!?

しかもあんな事をしておきながら純新無垢な少年のような瞳で僕を見れるんだ?

 

伊織「まぁ、そんな怒るなよ明久」

 

耕平「そうだぞ。はい吉井」

 

明久「あっ、ありがとう」

 

時田先輩の後ろから近づいてきていた伊織と耕平からジョッキを手渡される。

ジョッキは丁寧に冷やされていた為かキンキンに冷えているが無駄な水分が着いていない。

準備段階からかなり気を使ってたのかな?

って!伊織と耕平は今の状況に馴染んでるの!?

僕が状況に混乱している間に先程まで何も入ってなかったジョッキには黄金比である液と泡が7:3で注がれている。

 

明久「って!何注いでるの!?」

 

伊織「見たら分かるだろ?ビールだよ」

 

さも当然と言いたげな表情で返す伊織。

 

明久「僕が聞きたいのはそういう事じゃなくて!」

 

伊織「せっかくのビールが温くなるぜ」

 

明久「あっ、そうだね」

 

僕は伊織に言われるがまま手に持ったジョッキを一瞬で空にする。

うーん!やっぱり運動後のビールは格別だね!

 

スキンヘッド「ほぅ、いい飲みっぷりじゃないか」

 

明久「ありがとうございます」

 

僕は痛いくらいの力で肩を叩いてくるスキンヘッド先輩に会釈をする。

 

スキンヘッド「その飲みっぷりを見た感じ結構いける口か?」

 

スキンヘッド先輩は嬉しそうな表情で僕と伊織の肩に手を置く。

やけに手に力が入ってる気がするけど気のせいかな?

 

伊織「そりゃ、あの先輩達と毎日飲み明かしてますからね」

 

明久「先輩達にだって負けませんよ」

 

未だに肩に置かれた手は気になるが、あえて無視をしながら話を続ける。

僕達は入学してから約1ヶ月間毎日先輩達と飲み明かしているのでそこいらの人には負ける気はしない。

それにしてもさっきからずっと気になってたんだよね。

それに対して同じ事を思ったのか僕が聞くよりも先に耕平が口を開く。

 

耕平「所でその樽は?」

 

スキンヘッド「ん?ああ、これは販売用にレンタルしたんだが手違いで少し数がズレてしまってな」

 

先輩の後ろには20Lは入ってそうな樽が10個並んでいた。

発注し過ぎたにも限度があるのでは?

僕はそう言いかけたが誰にでも間違いはあると思い口には出さなかった。

 

伊織「実際はどれくらい頼む予定だったんですか?」

 

スキンヘッド「ん?あー、20Lを クシュン じゅっ個発注する予定だったんだがな」

 

くしゃみで本当の数を聞きそびれてしまったがろくな数では無い事が分かったので僕は敢えて聞き直すことはしない。

 

伊織「それで先輩達は俺達を捕まえてどうしようと?」

 

そう僕達が本来聞きたかったのはこのことである。

一体どういう要件があって僕はタックルをされなくてはいけなかったのか。

納得のいく説明を貰わないと気が済まない。

 

スキンヘッド「発注し直した分が後で来るからこれは今のうちに飲んでおこうと思ってな」

 

明久・伊織・耕平「「解散!」」

 

納得のいく説明?そんなの僕達の平和に比べれば不純物でしかない!

僕と伊織は肩に手を置かれた状況から脱する為にお互いが交差する様に走り、拘束を外す。

その勢いのまま3人とも別方向へ逃げる。

 

時田・寿・スキンヘッド「「逃がさん!」」

 

僕達は幸せなを守るために決死の逃走劇を始めると同時に平和の終わりが刻一刻と近付いている事から目を逸らす。




最後まで読んで頂きありがとうございます。
ついでにコメントとかしてくれるとめっちゃ喜びます。
基本的に話が出来たら直ぐに投稿してるので矛盾があったりするかもしれないのでその時は報告して貰えると有難いです。


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キャラ紹介

明久「キャラ紹介って久々だね」

 

雄二「あぁ。投稿間隔があきすぎてタイミングを逃したらしい」

 

明久「この作品の作者らしいね。所で今回は誰の紹介をしていくの?」

 

雄二「取り敢えずムッツリーニと秀吉だな」

 

明久「妥当な所だね」

 

雄二「じゃあ、今回もインタビュー形式でやってくぞ。まずは秀吉からだな」

 

秀吉「うむ。何を聞いてもらっても大丈夫じゃ」

 

明久「まずは僕からいくね。スリーサイズは?」

 

秀吉「明久よ。男のスリーサイズを聞く意味は無かろうに」

 

明久「いやいやいや、これはとっても重要だよ!秀吉が『バカとテストと召喚獣』からどれだけ成長したのか皆さんに知ってもらわなきゃ!」

 

ムッツリーニ「・・・・・・」コクコクコク

 

明久「それに高校の時でも秀吉の胸は成長してるって噂があったよ?」

 

秀吉「そ、それは事実無根じゃ!男のワシの胸は成長しないんじゃ!」

 

雄二「戯言はそれくらいにしておけ。ムッツリーニが鼻血を出しながら首を振ったせいで周りが悲惨なことになってる」

 

秀吉「男の胸の話で興奮されても困るのじゃが…。まぁ良い他に質問はあるかの?」

 

耕平「では俺から」

 

明久「うわ!いつの間に来てたの!?」

 

耕平「いや、木下が何でも応えてくれると聞いてな」

 

秀吉「何でもは言い過ぎじゃが出来る範囲では答えるぞ」

 

耕平「木下は演技が抜群に上手いと聞いたのだが」

 

秀吉「抜群に上手いかどうかは聞き手にもよるが、ワシの数少ない取り柄ではあるの」

 

耕平「その技術を見込んで頼みがある。ここに書かれている言葉を出来るだけ幼い声で頼む」

 

秀吉「ふむ、演技の実力を見せたらいいのじゃな」

 

明久「あれには何が書いてあるの?」

 

耕平「ん?そんなの決まってるだろ。ららこたん第1シリーズの最終話!Bパートで言い放ったあの名言!」

 

明久「ららこたんって何?」

 

雄二「知らん」

 

耕平「お、お前ら…ららこたんを知らないだと!?今からららこたんの魅力について語ってやるからそこに正座しろ!」

 

明久「何!?いつの間に僕は正座を!?しかも手と足を後ろで縛らないで!」

 

雄二「なんで俺まで!そういうのは明久だけで充分だ!」

 

耕平「ららこたんの魅力について語るのを邪魔する口はこれか?」

 

明久「待って!どこからそんなもn…」

 

雄二「明久が犠牲…囮になっている間に秀吉は俺を解放してくれ!」

 

明久「待って秀吉!先に僕を助け…やめて!耕平!人の口はホッチキスで止めちゃダメだよ!」

 

耕平「安心しろ吉井。ホッチキスで口内をズタズタにして喋れなくするだけだ。」

明久「そんなことされたらビールが口に染みるじゃないか!」

 

雄二「お前が気にするのはそこなのか!?」

 

秀吉「そろそろいいかの?」

 

ムッツリーニ「……」グッ

 

秀吉「お主はマイクなんか向けて何をする気じゃ?」

 

ムッツリーニ「……ボイス販売」

 

秀吉「まだワシでお金を稼ぐ気なのかの!?高校の時でも十分稼いだじゃろ!」

 

ムッツリーニ「……」ブンブンブン

 

秀吉「まぁいいかの。演技とは観て聴かれてこそじゃからの。では…」ゴホン

 

明久「ほら耕平。秀吉がセリフを…ってもう正座でスタンバイしてる!?」

 

耕平「うるさいぞ吉井。一言でも聴き逃したらお前の口を焼き塞ぐぞ」

 

明久「(あの目はガチだ。FFF団が僕たちを処刑する時と同じ目をしてる)」

 

秀吉(ららこたんボイス)「耕平お兄ちゃん何て大っ嫌い!」

 

耕平「グハ」

 

伊織「五月蝿いのは片付いたか?」

 

雄二「あぁ、正直助かったぜ」

 

明久「本当に助かったよ。久々に命の危険を感じたよ」

 

伊織「本来命の危険は何回も感じるものじゃないんだがな」

 

明久「所で伊織はいつの間に来てたの?」

 

伊織「ん?明久が正座させられた時くらいだな」

 

明久「ってことはずっと隠れて見ていたと?」

 

伊織「そういうこt…あっぶね!いきなり正拳突きしてくるんじゃねぇ!」

 

明久「チッ外したか。いやぁ助かっ…手がネジ切れるように痛い!」

 

雄二「そろそろ馬鹿な事はやめて秀吉の紹介の続きをやるぞ」

 

秀吉「そうじゃな。お主らはワシなこと知っておるから伊織よ。何か質問はないかの?」

 

伊織「そうだな〜。ここは無難に家族構成だな」

 

秀吉「やっと普通の質問がきたの。父上と母上、それに双子の姉上がおるぞ」

 

伊織「双子ってことはやっぱり秀吉に似ているのか?」

 

明久「凄く似ているんだけど木下さんは秀吉をかっこよくした感じだね」

 

秀吉「概ねその説明で間違いはないかの。男のワシとしては姉上に男らしさで負けてしまうのは不本意ではあるがの…」

 

伊織「秀吉をかっこよくか、それは是非1度見てみたいな」

 

秀吉「まぁ、いずれ会う機会はあるじゃろ」

 

雄二「そろそろムッツリーニの紹介に入ってもいいか?」

 

伊織「確かに番外編でダラダラ話す必要もないしな」

 

秀吉「そんなメタなこと言わんでも…」

 

伊織「でもムッツリーニの自己紹介っていってもムッツリで趣味は盗撮、特技は盗聴で完結してないか?」

 

ムッツリーニ「……」ブンブンブン

 

明久「そうなんだよね。後はムッツリ商会を営んでるくらいだよね」

 

伊織「あぁ、それは知ってる。随分お世話になってるしな」

 

明久「そうなの?」

 

ムッツリーニ「……お得意様」

 

明久「伊織は何を買ったの?」

 

伊織「こんな感じだな」

 

明久「ほほぅ。梓さんや奈々華さんの水着写真…こ、これは!なかなかいい買い物をしたんだね」

 

伊織「それを買う為に食費を限界まで削ったからな」

 

雄二「1枚落としたぞ」

 

伊織「………ありがとう」

 

雄二「(伊織の奴は何であんな写真持ってるんだ?もしかして…)」

 

伊織「(雄二のあの表情…。絶対誤解してやがる!)」

 

明久「どうしたの雄二?そんな僕と伊織を見比べてニヤニヤして?」

 

雄二「ん?気にするなアキちゃん」

 

伊織「雄二テメェはここで始末する!」

 

明久「一体雄二は何を見たんだろ?もしかして伊織の好きな人の写真だったりして!」

 

秀吉「明久は知らない方がいいと思うのじゃ」

 

ムッツリーニ「……」コクコク

 

明久「そうとなればあの写真の内容を確認しなくては!」

 

秀吉「待つのじゃ明久!……明久も行ってしまったのじゃ」

 

ムッツリーニ「……終了」

 

秀吉「そうじゃの。そう言えばムッツリーニよ。陽向嬢は息災かの?」

 

ムッツリーニ「……友達も出来て楽しそう」

 

秀吉「それは良かったのじゃ。文月学園は色んなことが起こるからの」

 

ムッツリーニ「……波乱万丈」

 

耕平「陽向とは誰のことだ?」

 

秀吉「耕平よ起きたかの。陽向とはムッツリーニのいもうt…」

 

ムッツリーニ「……秀よs」

 

耕平「ほほぅ…」

 

ムッツリーニ「……さらば!」

 

耕平「少し話そうぜ…お・に・い・ち・ゃ・ん?」

 

秀吉「あの二人も行ってしまったのじゃ。今回はここまでにしておこうかの」




細かい設定は原作通り(言葉遣いの完全再現は無理でしたが)となっています。もし、その内容も書いておいて欲しいっていう意見があれば書き直します。


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