スーパーロボット大戦N (黒百合蜂)
しおりを挟む

設定

スパロボNの設定です!!
後々に追加もします!!


〈キャラクター〉

瀧城 辰也(たきしろ たつや)

(CV.谷山紀章)

主人公。菱見高校に通う一年生。情に熱く真っ直ぐな性格で、オレンジ色のスパイキーヘアにそれが表れている。

マジンガーZとグレートマジンガー、鋼鉄ジーグ、ガオガイガー、勇者特急隊の熱狂的なファン。

ガンダムファイトの途中に現れた鬼から逃げる最中、謎のロボット「イールソウル」と出会い、パイロットとなる。

立花虎之助と山下サトルは親友であり、特に虎之助とは中学からの仲。

趣味はガンダムファイトの観戦で、好きなモビルファイターはゴッドガンダム。

ゲキ・ガンガーも好き。

 

立花 虎之助(たちばな とらのすけ)

(CV.小野賢章)

辰也の友人。物静かで理知的であり、熱血漢な辰也とは正反対の性格だが、お互い気が合っている。

中分けの黒髪で、眼鏡をかけている。

ガンダムファイトの途中に現れた鬼から逃げる際に行方知れずとなった。

軍事・政治に興味を持っており、ミリオタでゲキ・ガンガーが大好き。

 

・ジゼラ・ジェノ

(CV.佐倉綾音)

謎の少女。辰也がイールソウルを見つけた際、コックピットの中にいた。その時に辰也やJUDAの面々などと出会い、以後、彼らと行動を共にする。

腰が低く、それでいてはっきりと物を言う性格。また、活動的な一面も覗かせる。

城崎を始めとする早瀬軍団メンバーと仲がいい。

髪は白く、後ろで縛っている。赤い瞳が特徴的。

辰也の力になりたいと、「イールソウル」のサブパイロットになる。

名前以外の記憶を失っており、自分が何故ここにいたのか、イールソウルとの関係などは不明である。

 

・ジョット・ライ

(イメージCV.野津山幸宏)

エレミタのメンバー。赤目白髪でモヒカン頭であり、左目下部、舌、両耳にピアスを空けている。

粗暴、野蛮を体現した存在だが、仲間思いでかつ切り替えの早い一面も見せる。

速さに強い拘りを持ち、どのくらい速く、どれだけ敵を落とせるかを目的としている。

 

〈メカニック〉

・イールソウル

スタジアムに現れた謎のロボット。オレンジと黒のカラーリングをしており、たてがみのような飾りが特徴。

背中から鳥のような翼を展開でき、空を飛べる。

装備は背負っている大剣、腰についているビーム・バズーカ、両腕についているカッター、バルカンである。また、翼も武器、盾として使用できる。

名前の由来は「太陽」

 

武装

・キャノーニア・マキナ(バルカン)

・ドゥエ・フレイザー(カッター)

・アルア・タリアーリ(翼)

・ぶん投げスパーダ(大剣投げつけ)

・グランデ・スパーダ(大剣)

・グランデ・スパーダ滅多切り(大剣滅多切り)

・ファッシオ・ランチャライジ(バズーカ)

 

・ロスクリータ

エレミタの量産機。イールソウルと瓜二つのロボットだが、紫と黒のカラーリングで、頭に装飾がなく、蝙蝠のような翼といった差異がある。

武装はバルカン、二刀、拳銃。

名前の由来は「闇」

 

武装

・キャノーニア・マキナ(バルカン)

・アルア・タリアーリ(翼)

・ピストーラ(拳銃)

・ドゥエ・コレツェーリ(二刀)

 

・フェルミニ

ジョットの専用機。素早さと攻撃力に重点を置いている為、装甲は薄いがその分速く、一撃が重い。その速さを利用して残像を作り出す事も出来る。

主に鉈のような刀を武器としているが、ビームソードやナイフなどの近接武器も使っている。また、手から電撃を放てる。

カラーリングは黄と黒。額からギザギザとした一本のツノが生えている。

背中からはジェット機のような翼が生えている。

名前の由来は「稲妻」

 

武装

・コルティリオ(ナイフ)

・アリック・パッサーノ(翼)

・アルミダ・ランツィオ(武器投擲)

・ラルゴ・スパーダ(鉈のような刀)

・ファッシオ・スパーダ(ビームソード)

・ラフォルザーレ・ファッシオ・スパーダ(出力増強ビームソード)

・ライラメンテ・タリアート(二刀で滅多切り)

・パルマ・スコッセ・エレトリカ(掌からの電撃)

 

<組織>

・エレミタ

謎の組織。世界の裏で暗躍しており、加藤機関などと協力関係を築いている。かつてはマリーメイア軍とも癒着していた。

この世界の様々なテクノロジー、エネルギーについてを知っており、目的が不明である。

名前の由来は「隠者」

 

 

参戦作品BGM(何か入れて欲しいのがあったら書いて下さい!)

〈新ゲッターロボ〉

・DRAGON

・DEEP RED

・WARRIOR

・SAGA

・吠えろ!!

 

〈マジンガーZ/INFINITY〉

・マジンガーZ(INFINITY version)

 

〈マジンカイザーSKL〉

・The ELEMENTAL SOLDIERS

・LEGEND of KAISER

・Juggernaut

 

〈鋼鉄神ジーグ〉

・STORMBRINGER

・Dead or Alive

 

〈クロスアンジュ 天使と竜の輪舞〉

・禁断のレジスタンス

・真実の黙示録

・ヴィルキス覚醒

・永遠語り~El Ragna~

・永遠語り~光の歌~

・永遠語り~風の歌~

 

〈鉄のラインバレル〉

・鬼帝の剣

・Linebarrel

・PROUD

・雨が降る

 

〈機神咆哮デモンベイン〉

・人、神、機-Man God Machine-

・機神咆哮ー交錯する刃金と刃金

・破神昇華ー渇かず飢えず無に還れ

 

〈機神咆哮デモンベイン(ゲーム版)〉

・機神咆哮ッ!デモンベイン!

・Evil shine

・天才と何とかは紙一重というかむしろ完全に向こう岸

 

〈機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ〉

・Raise your flag

・Surviver

・RAGE OF DUST

・Fighter

・Iron Broaded Orphans(挿入歌)

・STEELー鉄血の絆ー

 

〈機動武闘伝Gガンダム〉

・FLYING IN THE SKY

・Trust You Forever

・勝利者達の挽歌

・最強の証~キング・オブ・ハート

・我が心明鏡止水~されどその拳は烈火のごとく~

 

〈新機動戦記ガンダムW Endless Waltz〉

・LAST IMPRESSION

・WHITE REFLECTION

 

〈機動戦士Vガンダム〉

・STAND UP TO THE VICTORY

・DON'T STOP CARRY ON

・WINNERS FOREVER~勝利者よ~

・もう一度TENDERNESS

 

〈機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト〉

・クロスボーン・ガンダム

・スカルハート見参

・鋼鉄の七人

 

〈∀ガンダム〉

・ターンAターン

・CENTURY COLOR

・黒歴史

・月の繭

 

〈絶対無敵ライジンオー〉

・ドリーム・シフト

・ライジンオー見参!

・ゴッド・ライジンオー超無敵合体&必殺技

 

〈元気爆発ガンバルガー〉

・元気爆発ガンバルガー

・ガンバルガー・ミラクル合体&必殺技

・グレートガンバルガー・必殺技

 

〈熱血最強ゴウザウラー〉

・KEEP ON DREAMING

・READY GO! 熱血最強キングゴウザウラー

・ザウラーマグマフィニッシュ!

・超熱血合体!キングゴウザウラー

 

〈完全勝利ダイテイオー〉

・完全勝利ダイテイオー見参!

・必殺!カイザー・ダイダン・エンド!

 

〈黄金勇者ゴルドラン〉

・僕らの冒険(アドベンチャー)

・タイムマシンはないけれど

・気楽にいこう!

 

〈勇者特急マイトガイン〉

・嵐の勇者(ヒーロー)

・レッツ・マイトガイン!!

・グレート・ダッシュ!!

 

〈勇者王ガオガイガー〉

・勇者王誕生!

・最強勇者ロボ軍団

・美しき光の翼

・発進!

・ファイナルフュージョン

・ディバイディングドライバー

・ヘルアンドヘブン

・ゴルディオンハンマー

 

〈勇者王ガオガイガーFINAL〉

・勇者王誕生!ー集大成神話ヴァージョン

・ジェネシック・ヘルアンドヘブン

・ゴルディオンクラッシャー

 

〈ラーゼフォン〉

・ヘミソフィア

・the Chariot

・quantum corridor

・the second sorrow

 

〈ダーリン・イン・ザ・フランキス〉

・KISS OF DEATH

・トリカゴ

 

〈OVERMAN キングゲイナー〉

・キングゲイナー・オーバー

・Can you feel my soul

・デビルズ・アイシング

・ガウリ隊の隊列

・ミイヤの祭り

 

〈ブレンパワード〉

・IN MY DREAM

・Ground Zero

・Ephemera

 

〈THE ビッグオー〉

・SURE PROMISE

・THE GREAT

・STONING

 

〈機動戦艦ナデシコ〉

・You get to burning

・Go!エステバリス

・なぜなにナデシコ

 

〈劇場版機動戦艦ナデシコ The prince of darkness〉

・ブラックサレナIII

 

〈ガン×ソード〉

・GUN×SWORD

・虹の彼方

・El Dorado V

・Dann of THURSDAY



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

本編
第一話 太陽の機械兵器


今回からスパロボの小説も書きます!
未熟者ですが、よろしくお願いします!!


~空~

青く澄み渡り、太陽が照り輝く空。その中で一本の白い線を描きながら、人型の機械が駆けてゆく。

 

???1「ハァ……ハァ……」

 

ここまで来れば……誰も……

 

白髪の少女が駆るオレンジ色のロボットが、上空を飛んでいる。

 

???2「ヒャハハ! 逃がすかよぉ!」

 

その後ろを、黄色の機体が追う。不規則ながら荒々しく速いそれは、青空を背景にして飛ぶ橙色の、目と鼻の先まで迫っていた。

 

???1「!?」

 

嘘でしょ……もう追いついて来たの!?

 

???2「てめえは唯一の成功例なんだ! ぶち殺せねえのは癪だがしょうがねえ! 生け捕らせてもらうぜ!」

 

黄色の機体が鉈のような刀を取り出し、オレンジ色の機体を斬りつけた。

 

???1「うう……っ!」

 

衝撃でコックピット内も揺れ、少女がよろめく。

 

???1(せっかく逃げ出して来たのに……こんな所でやられる位だったら……!)

 

何とか追手を引き離し、振り向きざまに、少女は機体の腰回りにある武器を展開した。

バズーカの様なそれは、敵の方向へビームを放つ。

 

???2「なあっ!?」

 

太いビームが真横を掠める。ジュウウ……と蒸発する音が聞こえた。

 

???2「ちいっ!」

 

機体がよろめく……が、すぐに体勢を立て直した。

 

???2(掠ったとはいえ、やっぱとんでもねえ威力だ……! それに、あのドS女譲りの狙撃……成功例ってのは伊達じゃねえ……ってか!)

???2「だがなぁ!」

 

男の乗る機械が一気に加速し、少女の眼前に迫った。

 

???1「!!」

 

???2「俺のスピードに追いつくなんざ、100年早え!」

 

刀を振り下ろされ、機体に傷がつく。衝撃がコックピット内部の少女を襲った。

 

???1「くうッ!」

 

コントロールを失った機体は落下し、そのまま地上へと消えていった。

 

???2「あ~あ、落ちたか。これじゃ、ぶっ殺してても変わんねえな」

 

広がる大地を見下ろしながら、男がぼやく。と……

 

???3『……ちょっとアンタ! 何逃がしてんのよ!』

 

ジジ……と音が鳴り、通信が入る。苛立ちを隠そうともしない、甲高い女の声がコックピット内に響く。

 

???3『聞いてなかったの!? あいつは生け捕りにしなさいって命令だったでしょ! しかもみすみす取り逃すなんて……!』

 

???2「ああ〜……悪い、つい夢中になっちまってな。それはそれとして、さっきの攻撃で思うようにスピードが出ねえ……このままじゃ戻れねえから、手え貸してくれや」

 

???3「……ったく、世話の焼ける奴! 助け呼んでやるから、そこでじっとしてなさいよ!」

 

???2「へいへい、りょーかい」

 

通信が切れる。黄色の機体は青空に留まり、地平線を眺めていた。

 

 

 

第一話 太陽の機械兵器

 

 

 

~1時間前・某所~

山下「え~っと、ココで待ってたハズなんだケド……」

 

キョロキョロと辺りを見回しているのは、中性的な見た目をした少年……山下サトル。

 

???1「サトル~、こっちこっち!」

 

???2「やれやれ、やっと来ましたか」

 

彼の元に、2人の少年の声が聞こえてきた。

 

山下「あっ、瀧城! 立花!」

 

山下は彼らに対して返事をする。オレンジかがった茶色のツンツン頭で、活発そうな少年は瀧城辰也。もう一人の、眼鏡をかけた中分けで黒髪の少年は立花虎之助だ。

 

辰也「ったく……遅えぞ。どこで道草食ってたんだ?」

 

山下「いや~……ちょっと用事があって……」

 

虎之助「まあ何でもいいですが……せっかく合流できたんだ、早く行きましょう」

 

辰也「おう!」

 

そして彼ら3人は、目的地であるスタジアムへと足を運んだ。

 

~スタジアム~

審判「今日は来場()てくれて有難うッ!! 今月のガンダムファイト・エキシビションマッチ、開催(スタート)だッ!!!」

 

審判の熱気を感じる掛け声がスタジアム内に、そしてその外側にも響いた。

 

審判「それでは対戦カードの発表ッ!! 青龍の門……あの悪魔の機体、デビルガンダムから世界を救った男、ドモン・カッシュとゴッドガンダムだッ!!!」

 

辰也「おおっ! ゴッドガンダムにドモン・カッシュじゃねえか!!」

 

辰也が興奮のあまり叫びだした。

 

山下「瀧城はゴッドガンダムがお気に入りだね」

 

呆れたように言う山下。

 

辰也「当たりめえだ! あのガンダムとドモンさんは、熱くてかっこいいんだよ! 特にデビルガンダム事件の時のあの告白! 心に来たぜ!!」

 

熱く語る辰也に対し、少し照れくさそうに顔を逸らすドモン。観客はヒートアップする少年に追従するよう、歓声をあげている。

 

ドモン(聞こえているぞ少年よ……だが、礼を言おう。君のお陰で俺の心は燃えているッ!!)

 

ドモンの紹介が終わり、続いては相手……

 

審判「白虎の門……同じくデビルガンダム事件で活躍した、アレンビー・ビアズリーとノーベルガンダムだッ!!!」

 

虎之助「アレンビー・ビアズリー……かつて軍人としてガンダムファイターの訓練を受けていた少女……」

虎之助「デビルガンダムに取り込まれ暴走するも助かり、ガンダム連合の先鋒として戦った……そんな彼女とドモン・カッシュとの対決、これは見物ですね」

 

静かに語る虎之助、冷静な態度とは裏腹に、その声には熱が籠もっているように感じる。

 

アレンビー(これはエキシビションマッチ……だけど、全力でやるわよ、ドモン!!)

 

審判「……それでは!」

 

アレンビー「ガンダムファイト!」

 

ドモン「レディィィィ……!」

 

 

 

 

 

「「「ゴオォォォーッッッ!!!!!!」」」

 

 

 

 

 

両者の熱き戦い、機体と機体のぶつかり合いに、歓声をあげる者、固唾を飲んで見守る者……

 

ドモン「行くぞ! 流派東方不敗!」

 

俺のこの手が真っ赤に燃える! 勝利を掴めと轟き叫ぶぅ!

 

アレンビー「来るっ!」

 

ドモン「ばあぁぁぁくねつっ! ゴッド!! フィンガアァァァァーーーッ!!!」

 

アレンビー「ふっ!」

 

ゴッドフィンガーを繰り出すドモン。それを間一髪で避けるアレンビー。

 

ドモン「……流石だな、アレンビー」

 

アレンビー「……ええ」

 

辰也「くうぅぅっ! あと少しだったのに!」

 

虎之助「彼女もまた実力者……シャッフル同盟だけが、強いという訳ではないのですよ」

 

辰也「うおぉ! 負けるなドモン!」

 

虎之助「そうですね……辰也がドモンを応援するなら、僕はアレンビーを応援させてもらいますよ」

 

辰也「な、何い~!? ……そ、そうだ! サトルはどっちを応援するんだ!?」

 

山下「え、え~っと……どっちも?」

 

辰也「そりゃねえだろ!」

 

虎之助「ふふ……」

 

……と、話している間に、試合は佳境に入っていた。

 

アレンビー「くっ……」

 

膝をつくノーベルガンダム。その正面には、とどめを刺そうと構えるゴッドガンダムの姿が。

 

ドモン「これで、終わりだぁぁぁーっ!」

 

ドモンが、ゴッドガンダムが拳を握り締め、ノーベルガンダムを殴りつける瞬間───

 

 

 

 

 

「「「ガアァァァァァァァッッ!!!!!」」」

 

 

 

 

 

───謎の叫び声が聞こえたと同時に、得体の知れない化け物が現れた。

 

ドモン「なっ……」

 

アレンビー「何……こいつら……!」

 

辰也「鬼……!?」

 

鬼としか形容出来ないその化け物は、スタジアムを荒らしていく。

 

アナウンス「観客の皆さんは今すぐ避難を! 繰り返します! 観客の皆さんは今すぐ避難を!」

 

うわあああああっ!

 

一体何だ!

 

た、助けてくれえ!

 

観客は悲鳴をあげ、逃げ惑う。

 

辰也「どうなってんだよ、これ……!」

 

虎之助「いいから逃げますよ!」

 

辰也「お、おう!」

 

辰也と山下、虎之助は走る。鬼から、この訳の分からない状況から逃げるために。

 

~スタジアム・出口付近~

辰也「あと少しだ! 走れ!」

 

全速力で走る3人。鬼の襲撃からしばらく経ち、何とかモビルファイター運搬用の通路を見つけ、そこから脱出を試みていた。

 

虎之助「!」

 

がくり、と虎之助の体が前へと倒れる。

 

辰也「虎之助!」

 

虎之助「問題ありません。少しつまづいただけです」

 

辰也「何だよ……驚かせやがって……」

 

待ってろよ、すぐ行くからな……!

 

虎之助に近寄り、手を伸ばす。が───

 

 

 

 

 

───がらり、という音と同時に天井が、辰也と虎之助の目の前に崩れ落ちた。

 

辰也「……え?」

 

突然の事に、絶句する辰也。状況を受け入れられないままに、瓦礫へと足を急かす。

 

辰也「おい、虎之助! おい!」

 

瓦礫を無理やりどかそうとするも、うまくいかない。

 

山下「ちょっ、瀧城! 何やってんだよ!」

 

辰也「助けるんだ! 虎之助を!」

 

山下「気持ちはわかるケド、まずは通れそうな所を探して……」

 

そう言いながらふと、山下が上を向く。瓦礫は向こうの天井が見えないくらいに積み上がっていた。

登ろうと思えば登れるかもしれないが、見る限りでは通れそうな穴もない。

 

山下「……ダメだ」

 

打つ手なしの状況で、山下は落胆の表情を見せる。

 

辰也「ボーッとしてんなよ、サトル! 何とかあいつを助けねえと……!」

 

山下「……助けを待つ余裕はない、みたいだね……分かった、ボクも手伝うよ!」

 

辰也「よし……せーのっ!」

 

とりあえず近くにあった瓦礫をどかそうとする。しかし、2人だとしても所詮は高校生、そう簡単には動かない。

 

山下(『アレ』さえ使えば瓦礫は壊せる……ケド、そんなコトをしたら瀧城に……)

 

……と、考えている山下を尻目に、辰也が声をかける。

 

辰也「……サトル、お前は先に行け。俺はここでやれるだけやってみる」

 

山下「! で、でも……」

 

辰也「俺は友達を失いたくない……だからお前だけでも!」

 

山下「なっ、何言ってんだよ! ボクだって友達を失うのは嫌だ! 瀧城も立花も、どっちも大切なんだ!!」

山下「ソレに、あんまりボクを舐めるなよ! 友達を見捨てて逃げられるほど薄情でもないし、お前に気遣われるほど弱くないっての!!」

 

その言葉にハッとする辰也。

 

辰也「……悪かった、お前の気持ちを考えてなくて……」

 

山下「謝るヒマがあったら、手を動かす!」

 

辰也「はは……じゃあ、限界まで粘るぞ!!」

 

山下「うん!!」

 

~スタジアム内~

ドモン「……どうやら、ガンダムファイトは中止のようだな」

 

アレンビー「ええ」

 

膝をついたままのノーベルガンダムに、手を差し伸べるゴッドガンダム。

 

ドモン「やれるか、アレンビー」

 

アレンビー「当たり前じゃない……伊達にガンダムファイターやってないのよ!」

 

伸ばされた手を掴み、立ち上がる。

 

ドモン「ならば……行くぞ!!」

 

ドモンの声と共に、2機のガンダムは鬼の元へ駆け出した。

 

~戦闘開始~

ドモン(初戦闘時)

ドモン「鬼とはまた、謎の多い奴らだな……だが何であろうと、勝負の邪魔をした事を後悔させてやる!」

ドモン「行くぞ! 流派東方不敗!」

 

 

アレンビー(初戦闘時)

アレンビー「せっかく地球が平和になってガンダムファイトが本当に楽しめるようになったのに……」

アレンビー「何より、ドモンとの勝負の邪魔をした事は許さない! 行くわよ、ノーベルガンダム!」

 

 

~~~

ドモン「ハァ……これで、最後だっ!!」

 

鬼「ギャアァァァァァッ……!!」

 

ゴッドガンダムの放った拳が鬼を吹き飛ばした。

 

アレンビー「どうにか……やれたみたい……」

 

鬼を殲滅し、疲れ気味の2人。だが───

 

???1「回収したか?」

 

???2「ああ、だがこいつは男だ。上からは女だと聞かされていたが……」

 

???3「余計な事は考えるな。とっとと例の機体も見つけ、任務を遂行しなくては」

 

2人の目の前に、紫色の機体が現れた。

 

ドモン「何だ……あいつらは……」

 

アレンビー「鬼……じゃない……?」

 

唐突な乱入者に、困惑する2人。

 

???2「まあいい……ところで、あそこの2機はどうする?」

 

???1「うむ、我々の姿を見たからには……消えてもらおう!」

 

紫の機械は、モビルファイターを認識するとすぐに、銃を放った。

 

ドモン「!」

 

アレンビー「こんな状況で争う事になるなんて……」

 

ドモン「だが、向かってくるならば容赦はしないッ!!」

 

新たに現れた機体に、2人のガンダムファイターは拳を向けた。

 

~同時刻・スタジアム・出口付近~

辰也「くそっ! 虎之助……!」

 

あれから何分経っただろうか、小さな瓦礫はどけられても、巨大な塊にはなす術もない。

向こう側への岩戸は開かず、襲いかかるは焦燥感。

 

辰也(俺は友達を……虎之助を助けられないのか……)

 

山下「……」

 

不条理と無力感、悔しさに襲われる辰也。そんな彼を尻目に、山下は決意を固める。

 

山下「……瀧城、離れてて」

 

ココまでやってもダメなら……やるしかない!

 

辰也「サトル……何言って……」

 

山下「おいで───」

 

山下が言葉を口にしかけた瞬間───

 

 

 

 

 

───ドォォォン……と、背後から衝撃が走った。

 

辰也「うおっ!?」

 

山下「えっ!?」

 

あまりの衝撃に、吹き飛ばされてしまう2人。

 

辰也「つっ……な、何だ!!?」

 

山下(まだ呼んでないのに……! いや、違う!)

 

起き上がってから音の主の所まで行くと、頭にたてがみのような飾りがついた、オレンジ色の機体が地面に横たわっていた。

 

辰也「これは……モビルファイター……じゃない? どっちかと言うと、マジンガーZやガオガイガーみたいな感じ……」

 

そうだ! これに乗って瓦礫をどかせば!

 

山下「無茶だよ瀧城! このロボット、大きな傷があるし……そもそもお前、ロボット動かせるの!?」

 

辰也「駄目で元々だ! それに、ロボットの動かし方ならイメトレしてっからよ!」

 

と、目の前の機体に乗り込もうとし、コックピットを開けると───

 

 

 

 

 

???「……」

 

 

 

 

 

───少女が頭から血を流して気絶していた。

 

辰也「女の……子? って、怪我してんぞこいつ!」

 

どうにかしなくては……と思い、辰也が少女を助けるためにコックピットに入る。

少女を持ち上げようとした際、何かに触れたのか、急に目の前の画面が起動した。

 

モニター『……パイロットの生体反応を確認、イールソウルを起動します』

 

辰也「えっ……うわっ!」

 

音声と共に、ハッチが閉じる。少女ごと閉じ込められてしまった辰也。

 

山下「瀧城!」

 

ハッチの前で山下が叫ぶ。その様子を尻目に、辰也は少女を膝上に乗せてシートベルトを締める。

その際に、出血している少女の頭を、持っていたタオルで巻いた。

 

辰也「これで少しはマシになんだろ……んで、この後どうすっかな……」

 

ま、とりあえず適当に……

 

合図を出して山下を下がらせ、そこらにあるレバーやボタンをいじっていると、その機体は滅茶苦茶な動きをした。

 

辰也「うおあ!!」

 

山下「何やってんだよ! 危ないじゃないか!」

 

辰也「わ、悪い!」

 

膝上の少女を気遣いつつ、機体の体勢を整える辰也。

 

危なかった……まあでも、動かし方は何となく分かった!

 

通路内に戻り、パンチで瓦礫を破壊する。

 

辰也「あ……勢いでついやっちまったけど、虎之助の安全確認が……」

 

あいつ……生きてるよな……?

 

辰也「おーい! 虎之助ー!!」

 

ハッチを開け、思い切り叫ぶ。

 

いるんだったら返事をしてくれ!!

 

声が虚しく反響する。辰也の思いとは裏腹に、そこには静寂しか残らなかった。

 

山下「ダメだ! 声が返ってこない!」

 

辰也「……あいつは頭がいいから、別の道から抜け出したんだ、きっと……」

 

山下「瀧城……」

 

そう言いながらも、辰也は震えていた。

 

辰也「……立ち止まってる暇はない! とりあえずこれで、鬼を倒しに行くぞ!」

 

山下「ま、待って!」

 

辰也「ああ!?」

 

ごくり、と唾を飲み込む山下。息を吐き出し、目を見開く。そして叫んだ。

 

山下「おいで───ハインド!」

 

辰也「なっ!?」

 

衝撃が走る。突風が吹く。

謎の機体が落ちていた場所には、彼のマキナ……『ハインド・カインド』がそびえ立っていた。

 

辰也「サトル! 何だこいつは!!」

 

山下「話はまた後で! まずは行くよ!」

 

辰也「……ああ!」

 

決意を固め、スタジアム内部へと足を進めた。

 

~~~

ドモン「くっ……!」

 

アレンビー「これが……限界……!」

 

ボロボロになった2人の機体。

 

アレンビー「もっと……もっと動けるはずよ、ノーベルガンダム!」

 

ドモン「ハァ……ハァ……」

 

俺は……まだ……!

 

アレンビー「諦める訳にもいかない!」

 

???1「まだ立ち上がるか!」

 

???2「ええい面倒だ! とどめを刺してやる!」

 

銃を構え、引き金を引こうとする。が、寸前でその指は止まった。

 

辰也「うおぁぁぁぁぁっ!」

 

山下「助けに来たっス!」

 

2つの機体が、突然現れたために。

 

???1「な、何だ!」

 

???2「! あの機体は!」

 

乱入者に驚く謎の兵士。

 

ドモン「あれは……何だ? それに乗っているのは……」

 

アレンビー「もしかして、敵の増援……?」

 

辰也「……って、鬼は一体どこに……?」

 

辺りを見回す。そこには、2機のガンダムと複数の紫色の機体がいるばかりだった。

 

ドモン「君は……あの少年か!」

 

辰也「ど……ドモンさん!」

 

アレンビー「どうやら味方のようね……ねえ! 突然で悪いけど、手を貸してくれない?」

 

アレンビーの声かけに、叫ぶように答える。

 

辰也「はい! 大体の状況は分かりました! 瀧城辰也、お二方の手助けに参ります!」

 

アレンビー「ふふ、頼もしいわね」

 

その時、スタジアムの外からモビルファイターが近づいて来た。

 

辰也「あれは、シャイニングガンダム……」

 

って事は……!

 

ドモン「レインか!!」

 

レイン「そうよ! ドモン、アレンビー! 援護に来たわ!」

 

シャイニングガンダムが、ゴッドガンダム達の後ろへと立つ。

 

ドモン「ありがとう、レイン! では、気を取り直して行くぞ!」

 

辰也「はい!」

 

5機のロボット達は、謎の機体群へと体を向け、戦闘態勢へと入った。

 

~戦闘開始~

辰也(初戦闘時)

辰也「ドモンさんたちと一緒に戦えるなんて……!」

辰也「……って、感動してる場合じゃない! 虎之助やサトル、この子の事、そして今の状況、色々あるんだ!」

辰也「けど、まずは目の前の事に集中する! 行くぞ!」

 

 

辰也(対???)

???「あの機体は……それじゃあ転送したさっきのガキは……」

 

辰也「この機体……そんなに気になるのか? こいつが何なのか、あんたは知ってんのか!?」

 

???「何も知らない子供が……っ!? その女は!」

 

辰也「この女の子についても……なあ、こいつらは何なんだよ!? 知ってんなら教え……」

 

???「貴様のようなガキに、易々と教えられる物ではない! 早急にその女と機体を取り戻し、貴様を殺す!!」

 

辰也「話を聞いてくれねえし、物騒な事言いやがる……どうやら、何を言っても無駄みてえだな! じゃあ仕方ねえ……出来るかどうかは分からねえけど、まずはあんたらを倒す!!」

 

 

山下(初戦闘時)

山下「瀧城にバレた……マキナは機密事項なのに……」

山下「ケド、そんなコトは後で考える! 今はこっちに集中だ!」

山下「ボクに力を貸して、ハインド!」

 

 

山下(対???)

???「まさか、マキナまでここに現れるとは……!」

 

山下「こいつら、マキナのコトも知ってるんスか!?」

 

???「……だが、乗っている奴は貧弱そうなガキ……ファクターだろうと、大した事はないな!」

 

山下「ヘェ……どうやらナメられてるみたいっスね……アンタらが誰だか知らないケド、ファクターは人殺しの因子……僕に喧嘩を売ったコト、後悔させてやるよ!!」

 

 

ドモン(初戦闘時)

ドモン「さっきの少年……試合の時といい、またもや助けられたな……」

ドモン「ならば次はこちらが助ける番だ! 行くぞ、ゴッドガンダム!」

 

 

ドモン(対???)

???「ガンダム……様々な戦争に現れては、歴史に名を残してきた機体……競技用といえど、油断は禁物だ!」

 

ドモン(こいつらから感じるモノ……禍々しいという他にないが、一体何者だ!?)

 

???「『神』の名を持つガンダムよ! 我々の下に、その首を捧げてもらう!」

 

ドモン「話の通じる相手ではないな……ならばやる事はただ1つ、この拳で叩き潰すだけだっ!!」

 

 

アレンビー(初戦闘時)

アレンビー「さっきは流れで頼んじゃったけど、あの子達って何者なのよ?」

アレンビー「それにこいつらは確か……いや、今はこの場を切り抜ける事に集中する!」

 

 

レイン(初戦闘時)

レイン「何とか間に合ったわ……これでドモンの助けになれる!」

レイン「行くわよ、シャイニングガンダム!」

 

 

~~~

辰也「うおりゃあぁぁぁっ!」

 

???1「ぐはあっ!」

 

辰也の機体に装備されていた大剣で敵を切り裂いた。

 

ドモン「よし、片付いたな」

 

敵を全滅させ、残るは満身創痍の1機のみ。

 

辰也「んじゃ、この機体について答えてもらうぞ!」

 

大剣を突きつけ、問いかける。

 

???1「……その機体は『イールソウル』……『太陽』の名を持つ兵器だ……」

 

イールソウル……?

 

先程、コックピットの中で聞いた言葉だった。

 

???1「ああ……俺達では力は引き出せない……その女が唯一扱えた成功例だ……」

 

その女? 成功例? 何言ってんだ……?

 

意味の分からない言葉を並べられ、混乱する辰也。

 

辰也「どういう事なんだ! 答えろよ!」

 

???1「これ以上は……フッ、悪く思うな!」

 

パイロットが何かのボタンを押す……と、機体からサイレンがけたたましく鳴り、光が漏れる。

 

ドモン「まずいっ! 離れろ!!」

 

辰也「!」

 

辰也の機体がすぐさまその場を離れる。瞬間、紫色の機体は跡形もなく爆発した。

後に残ったのは、黒煙と爆発の影響で歪に窪んだ地面のみ。

 

辰也「くそっ……訳が分からねえ……」

 

レイン「……とにかく、一旦降りた方がいいわね」

 

レインの提案を聞き入れ、辰也達は機体を降りた……。

 

~~~

辰也「一体、どうなってんだよ……」

 

様々な疑問が残るが、少女を背負ってひとまずコックピットから出る辰也。

虎之助が消えた事、謎の機体、サトルの事……今日の彼はそれらで頭がいっぱいだった。

 

ドモン「君達のおかげで何とか切り抜けられた。礼を言おう」

 

辰也「いえ……それほどでも……」

 

レイン「いきなりだけど、その女の子は?」

 

辰也「ああ……こいつに……イールソウルに乗っていたんすよ……」

 

自分のコックピットにいた少女について答える。

 

レイン「どうやら怪我をしてるみたいね……でも、止血はされてるし、命に別状はないわ。後は病院で診てもらうだけだけど……」

 

森次「心配はいらない、その少女は我々が保護しよう」

 

山下「! 森次さん!」

 

スーツを着た眼鏡の男……森次玲二が現れた。

 

レイン「あなたは?」

 

森次「私は森次玲二。とある企業のイチ社員です」

 

山下「どうしてココに?」

 

森次「任務の帰りに社長から連絡が入った……お前たちの戦闘を見ていたようだが、そこの機体と少年に興味を持たれたらしく、早急に連れてこいとのコトだ」

 

森次の視線は、例の機体……イールソウルと辰也に向けられていた。

 

辰也「俺と……こいつが?」

 

森次「ああ、そしてその少女もだ……ともかく、詳しい話は場所を変えてからにしよう。君と……そこのガンダムファイターの3名も、ご同行願います」

 

ドモン「俺達もか」

 

レイン「どうするの、ドモン?」

 

ちらり、と山下を一瞥する。

 

ドモン「……この男は俺達と共に戦った少年の関係者だ、不審な者ではないと言える。ひとまずは彼について行くとしよう」

 

森次「ご協力に感謝する。では、行こうか」

 

森次に促され、辰也達はスタジアムを後にした……。




中断メッセージ(辰也のメッセージ)
辰也「おう、もう終わりか? んーと……楽しんでくれてありがとよ!! 今日は休んで、また俺達と一緒に戦おうぜ!!」
辰也「そんじゃ……またな!!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二話 JUDAと隠者

スパロボN、第二話です!
本物の暴力を教えてやろう……やっぱり森次さんはカッコいい!!
ではどうぞ!!


~JUDA社長室~

森次「失礼します」

 

社長室の扉が開く。

 

辰也(ああ……すげえ緊張するな……)

 

つい先程、スタジアムで謎の敵と戦った辰也達。全てが終わった後、森次に『JUDAコーポレーション』へと連れられ、今に至る。

 

にしても社長ってどんな人なんだろ……森次って人があんなんだし、きっと堅物の怖い人じゃ……

 

パァン! パン! パン!

 

辰也「うおっ!」

 

音の破裂が耳に届く。虚を突かれて緊張の糸がほぐれた。

 

石神「やあ、山下クンがお世話になったね! はじめまして、私がJUDAコーポレーション社長の石神邦生だ!」

 

想像とは一転、フランクな雰囲気を醸し出している中年男性がクラッカーを手に、こちらに話しかけてきた。

 

社長……? えっ……こんな人が?

 

あまりにも失礼極まりない事を考える辰也。

 

石神「ん~? キミぃ……『まさか、この変なオジサンが社長なのか? とてもそうには見えないケド』……って考えてそうだねェ」

 

辰也「!? いやいやいや! そんな事は微塵も思ってませんよ!?」

 

自分の心を見透かされたような質問に対して焦る。

 

緒川「まあ……こんな歓迎の仕方じゃ、そう感じてもおかしくないわよねェ」

 

社長の隣に立つ秘書……緒川結衣が、辰也にそう語りかける。

 

山下「……そういえばそこにいる女の人は誰なんスか? 見かけない顔っスけど……」

 

山下が見知らぬ女の方を見る。スーツではなく軍服をきっちりと着こなしており、他とは違う雰囲気を醸し出している。

 

由木「! わ、私ですか……?」

 

石神「ああ、彼女は由木翼クンだ。WSOからウチに派遣されてきたのさ」

 

由木翼、という女は姿勢を正し、辰也達に向かって敬礼をした。

 

由木「ご挨拶させていただきます。WSOから派遣された由木翼です。以後、お見知り置きを」

 

辰也「WSO? どっかで聞いた事あるような……」

 

由木「あ、WSOというのは国際機関でして……国内外問わず様々な場所で活動する軍隊と言えばいいでしょうか。要は日本の自衛隊みたいなものと考えてもらえればいいかと」

 

辰也「はえ〜そうなんですね……」

 

虎之助なら分かっていたのか……と思う辰也。しかし、彼はもういない。

 

森次「少し前の奇械島での一件……重力炉停止作戦は大変であったと聞きます」

 

由木「はい……スカーレット大尉や部隊の仲間が殉職し、残ったのは私を含む3人でした。しかしその2人は重力炉を停止させるために……」

 

森次「……辛いコトを思い出させて申し訳ありません」

 

由木「いえ、今ではもう終わった事です。それに、いつまでも引きずっていたら大尉や仲間達、そしてあの2人に怒られますよ」

 

辰也「!」

 

確かに……いつまでも引きずる訳にもいかねえな。虎之助がどうなったか分かんねえけど、だからこそしっかりしねえと!

 

由木の言葉を聞いた辰也は、心の中でそう決意する。

 

ドモン「……さて、そろそろ本題に入りたい。何故俺達がここに呼ばれたのか、それについて話してもらえないでしょうか」

 

石神「そうだねェ……」

 

それまでの柔和で軽快な雰囲気から、一瞬で真剣になる石神。

 

石神「協力して欲しいんだ。僕たちがやっているコトにね」

 

辰也「やっている……事?」

 

石神「そう。我々JUDAは、表向きは民間の医療機器メーカーだ。ケド裏では、政府と協力してマキナと呼ばれる機械の回収を行っている」

 

辰也「あの……そのマキナって言うのは……」

 

石神「えっとね……未知の技術によって造られた機械で、それを操縦できる特別な存在がファクターだ。さっきの戦いでキミも見ただろう?」

 

さっきの……って事は!

 

石神「そう。簡単に言うと、山下クンがファクターで、彼が乗っていたのがマキナだ」

 

辰也「そうですか……」

 

山下「……」

 

不安そうにする両名。特に山下の方は、それが顕著だった。

 

石神「まァ、彼の他にもファクターはいるケドね。とにかくそんなワケで、キミたちに協力してもらいたい!」

 

不安をかき消すかのように話を締める石神。その時、辰也は考えていた。

 

……俺は、どうすればいい? こんな訳の分からない状況で……でも、俺はあれに……『イールソウル』に乗ったんだ……だったら考える必要なんてねえ!

 

俺の答えは───

 

 

 

 

 

辰也「───俺、やります!」

 

勢いよく声を上げ、辰也が答えた。

 

石神「おお! 協力してくれるかい!」

 

辰也「はい、俺は『イールソウル』に乗って、その力を使いました……それなら、考える必要はない。この力を、人助けのために……」

 

それに、と辰也は言葉を続ける。

 

石神「それに……何だい?」

 

辰也「それに、俺はもう友達を……大切な人をなくしたくない! 俺はこの力で、皆を守るんだ!!」

 

石神「イイじゃないの! ソレでこそ私が目をつけた男だ! ではキミを、JUDA特務室のメンバー……というよりは協力者として歓迎しよう!」

 

辰也「ありがとうございます! つー訳で、改めてよろしくな、サトル!」

 

拳を握り締め、ガッツポーズをする辰也。その顔は山下の方へと向けられていた。

 

山下「あ、うん……」

 

ドモン「少年に先を越されたか」

 

レイン「このままでは私達の立場がないわね」

 

アレンビー「なら、答えは一つじゃない!」

 

石神「というコトは……」

 

ドモン「無論、俺たちも協力させてもらう」

 

石神「おお! ガンダムファイターが3人も入ってくれるとは! ソレでは今日をもって、新生JUDAの誕生だ!」

 

周りからは拍手が上がる。

 

石神「改めてもう一度自己紹介をしよう。私は社長の石神邦生だ」

 

緒川「アタシは社長秘書の緒川結衣よ」

 

森次「特務室室長の森次玲二だ」

 

山下「山下サトルっス……」

 

由木「WSOの由木翼です」

 

ドモン「俺はドモン・カッシュだ、ガンダムファイターだから知っている人もいるだろう」

 

レイン「ドモンの妻のレイン・カッシュです」

 

アレンビー「アレンビー・ビアズリーだよ! よろしくね!」

 

辰也「瀧城辰也です! よろしくお願いします!」

 

それぞれの自己紹介が終わる。

 

石神「本当はまだメンバーはいるんだケドね、まあソレはまた今度。それじゃあ、解散!」

 

石神の掛け声で、メンバーは散り散りになった。

 

~JUDA廊下~

辰也「いや〜まさか、サトルがここで働いてたなんてな〜」

 

山下「……」

 

楽しそうな口調で話す辰也。それとは対照的に、暗い表情で廊下を歩く山下。

 

辰也「……にしても、お前がマキナってのに乗ってたなんて、思いもしなかったぜ」

 

山下「……あのさ」

 

山下が立ち止まり、口を開く。

 

辰也「あん?」

 

山下「……瀧城は嫌じゃないの……?」

 

辰也「何が……だよ?」

 

山下「その……ボクがファクターだからさ……ファクターは人殺しの因子……要は化け物みたいなヤツと今まで友達だったんだよ?」

 

震えた声でそう話す山下の顔には、不安と絶望が浮かんでいる。今までの関係が崩れるのではないか、そう思っていた。

 

辰也「……何言ってんだ?」

 

山下「え……」

 

辰也「俺はお前が今まで人を殺した所なんて一度も見た事ねえぞ?」

 

山下「いやそうじゃなくて……」

 

辰也「それにお前に人を殺せる度胸があるとは思えねえしな」

 

山下「あの……そういうコトでも……」

 

辰也「つーかよ、ファクターとかマキナとか、そんなのよく分かんねえけど、サトルは俺の友達だ。それはこれからも変わんねえよ」

 

山下「!」

 

辰也「それに、さっきは一緒に戦ったじゃねえか。お前が本当にひでえ奴なら、そんな事しねえだろ?」

 

山下「……瀧城……!」

 

本当にありがとう……瀧城……!!

 

辰也の言葉で救われた。その事が、今の彼には十分だった。

 

辰也「あと、虎之助もいなくなっちまったからな……だからこそ、なおさら俺達が頑張らねえと……」

 

 

 

 

 

ヴ~~~ッ! ヴ~~~ッ!! ヴ~~~ッ!!!

 

 

 

 

 

辰也「!?」

 

その時、突然警報が鳴った。

 

森次「敵襲だ。特務室は出撃準備を」

 

森次によるアナウンスがかかる。

 

山下「一体何が……」

 

辰也「んなのは見なきゃ分かんねえ! 行くぞ!」

 

山下「う、うん!」

 

辰也と山下が、外へと走って行った……。

 

 

 

第二話 JUDAと隠者たち

 

 

 

~JUDA外~

出撃すると、鬼が本社を囲っていた。

 

ドモン「鬼……だと……!?」

 

山下「なんで……」

 

鬼「ギャアアアアアアアッ!」

 

叫びながら、周辺を攻撃している。

 

辰也「くそっ、周りの人はお構いなしか! それに、このままだとJUDAも……!」

 

森次「問題は無い、周辺の住人は既に避難している……ソレにJUDAの防衛機能は万全だ。仮にここの要所が直接狙われるようなコトがあれば、『ジュダ』の防衛本能が一瞬のうちに敵を消滅させる……と社長は仰っていた」

 

辰也「何か物騒ですけど、なら良かった……」

 

ドモン「安心している暇は無い! まずはこいつらを片付けるぞ!」

 

森次「やれるな、瀧城、山下」

 

辰也「はい!」

 

山下「大丈夫っス!」

 

森次「フ……ならば行くぞ!」

 

武器を構え、ヴァーダントが、イールソウルが敵へと駆ける。戦いの火蓋が切られた。

 

~戦闘開始~

辰也(初戦闘時)

辰也(ごめんな虎之助、お前を助けられなくて……そしてサトル、一緒に戦おうぜ! JUDAのために、色んな人のために!)

辰也「……っし! イールソウル! 皆を守るために、あいつらをぶっ倒すぞ!!」

 

 

森次(初戦闘時)

森次「鬼か……山下たちを連れ帰る前に出会った少年を思い出す……」

森次「……彼はJUDAにとって必要な存在だ。また会う為にもこいつらを片付ける。行くぞ、ヴァーダント!」

 

 

山下(初戦闘時)

山下(瀧城……さっきはありがとう……ボクはそれだけで、それだけで嬉しいよ!!)

山下「……さて、まずは目の前の敵をやっつける!! 行こう、ハインド!!」

 

 

ドモン(初戦闘時)

ドモン「また会ったな、鬼共! 貴様らが何故俺たちを襲うのかは分からんが、容赦はしないッ!!」

ドモン「行くぞ、流派東方不敗!!」

 

 

レイン(初戦闘時)

レイン「さっきも鬼が来たけど、今度もあいつらは来るのかしら……」

レイン「いいえ、まずはこいつらを片付けるわ! 行くわよ、シャイニングガンダム!」

 

 

アレンビー(初戦闘時)

アレンビー「また鬼……本当にしつこいんだから!」

アレンビー「こっちは勝負の邪魔された事、根に持ってるからね! 容赦しないよ!!」

 

 

由木(初戦闘時)

由木「鬼……見てたらあの2人を思い出す……いや、あの人たちは鬼よりも凶悪……って何を言ってるの!」

由木「まずは、あの化け物たちを倒す!!」

 

 

~~~

山下「瀧城!」

 

辰也「おう!」

 

ハインドのバレットアームが鬼を貫く。そこをすかさず、イールソウルが大剣で斬り裂いた。

 

ドモン「あの2人……先程も思ったが、中々息が合っているな」

 

アレンビー「辰也が言うには、高校の親友同士なんだってね」

 

ドモン「道理で……フッ、俺達も負けてはいられないな」

 

2人のコンビネーションに、感心する現役ファイター。

 

森次「本物の暴力を教えてやろう」

 

ヴァーダントもバインダーから抜いた刀を、周囲の鬼に寸分の狂いなく突き刺し、切り裂く。

断末魔を上げる事すらなく、鬼は全滅した。

 

辰也「すげえ……」

 

う……何だろう、心なしか体が重い……

 

森次とヴァーダントの強さに見とれる裏で、辰也は謎の重さを感じていた。

 

森次「気を抜いている暇は無い」

 

ドモン「ああ……この感覚は……奴らだ!」

 

直後、あの紫色の機体が出てきた。

 

辰也「さっきの……来やがったか!」

 

由木「あいつら……もしかして……!」

 

由木が何かを感づいた。

 

石神『───奴らは……「エレミタ」だ』

 

石神から通信が入る。

 

辰也「エレミタ?」

 

アレンビー「やっぱり……そうだったのね」

 

辰也は何も分からず困惑している一方、アレンビーは合点したようだった。

 

由木「軍人であれば誰でも耳にする名前……世界の裏で暗躍しているとされる組織ね……!」

 

アレンビー「だけど、何でそんな奴らがJUDAに……」

 

ドモン「そんな事は後でも考える事が出来る……今は、奴らを倒す事に集中するのみだ!!」

 

辰也「はい!」

 

アレンビー「……そうね!」

 

唐突なアクシデント……それを跳ね除けるかのように、彼らは前を向いて武器を構えた。

 

~戦闘再開~

辰也(対エレミタ)

辰也「エレミタ……さっきも会ったよな……」

辰也「何が目的かは知らねえけど、襲ってくんならぶっ倒してやるぜ!」

 

 

森次(対エレミタ)

森次(エレミタ……か。企業が政府と協力して活動しているんだ、恨みを買うコトもあるだろう。だが、どんな理由でこいつらはここに?)

森次「どちらにせよ、我々に敵対したコトを後悔させてやる……その覚悟はできているな!」

 

 

アレンビー(対エレミタ)

アレンビー(軍の噂でしか聞いた事がなかったけど、エレミタが本当にいたなんてね……!)

アレンビー「目的も何も分からないけど、さっきの勢いで返り討ちにしてやるわ!」

 

 

由木(対エレミタ)

由木(エレミタ……名前だけは聞いた事はあるけど、まさかこの目で見る事になるなんてね……)

由木「何のためにここに来たかは分からない……けど、害をなそうとするのなら、容赦はしない!」

 

 

~~~

辰也「くっ……」

 

駄目だ……気のせいじゃねえ……! マジで体が重い!

 

膝をつくイールソウル。

 

森次「どうした、瀧城!」

 

辰也「体が……っ……重いんすよ……!」

 

ドモン「しっかりしろ! 戦えないなら下がっていても構わん!」

 

辰也「いえ……俺は……JUDAの一員として……やらなきゃ……いけない……!」

 

体に負担がかかるが、無理をしてでも立ち上がろうとする辰也。

 

エレミタ兵士1「やはり、だな。その機体は貴様のようなガキには動かせん!」

 

辰也「黙れよ……雑魚が……!」

 

エレミタ兵士1「……貴様ァ……死にたいかぁっ!!」

 

刀を持ち、切りかかる敵。避けようとするが動きが硬い。

そのまま攻撃を食らってしまう。

 

辰也「ぐはぁっ!」

 

山下「瀧城!」

 

攻撃によって仰向けに倒れてしまうイールソウル。

 

エレミタ兵士1「くくく……これでとどめだ!」

 

刀を逆手に持ち、コックピットを貫こうとする。

万事休す……この運命を受け入れるしかない……

そう思っていた───

 

エレミタ兵士2「ま、待て!」

 

~JUDA医務室~

???「ん……」

 

少女の目が覚める。

 

???「ここは……?」

 

……!

 

何かを察した少女はベッドから立ち上がり、社長室に向かっていった。

 

~JUDA社長室~

石神「困ったモノだねェ……鬼を倒したと思ったら、次は隠者か……」

 

緒川「どうします? 社長……」

 

石神「ふむ……瀧城クンに脱出するよう伝えといてね。この状況から判断すると、連中の目的は彼の機体だろう。イールソウルとやらも大事だケド、まずは人命だ」

 

緒川「了解しました」

 

回線を開こうとした瞬間、社長室のドアが開く。そして、先程の少女が入ってきた。

 

石神「! キミは……」

 

???「……」

 

少女は、窓の前に立った。

その目線はイールソウルに向かっている。

 

~JUDA外~

エレミタ兵士2「ま、待て!」

 

エレミタ兵士1「何だ!」

 

攻撃の手が止まる。

兵士の向いている方を見ると、あの少女がいた。

 

エレミタ兵士2「あの女だ! あの女がいるぞ!」

 

エレミタ兵士1「何だと!? ならば早急にそいつを……!」

 

あいつら……でも、今がチャンスだ!!

 

辰也「……余所見……してんじゃねえよ!」

 

イールソウルのバルカンで攻撃する。

 

エレミタ兵士1「くっ……貴様!」

 

あれ……何か軽くなったな……

 

辰也「よし! 今だ!」

 

体が突然軽く感じた辰也。チャンスとばかりに勢いよく立ち上がり、イールソウルの翼を展開する。

 

辰也「食らいやがれえぇぇぇぇぇっ!」

 

エレミタ兵士1「なあっ!?」

 

翼で敵を切り裂いた。もう動けない。

 

辰也「てめえもだあっ!」

 

エレミタ兵士2「ぐおっ!」

 

もう1人の敵も振り向きざま、腕に付いていたブレードで切る。

 

よし……やったぞ……!

 

何とか敵を倒したが、満身創痍だ。

 

エレミタ兵士1「くっ……撤退だ!」

 

エレミタ兵士2「仕方がない!」

 

エレミタ兵士は撤退した。

 

森次「敵部隊の撤退を確認。では、帰還するぞ」

 

森次の命令で、辰也達は帰還した。

 

~JUDA社長室~

石神「いや~みんな、お疲れ様!」

 

石神がねぎらいの言葉をかける。

 

石神「みんなのためにちらし寿司を作ったよ! さあ、食べて食べて!」

 

社長室の真ん中には、ちらし寿司が用意されたテーブルが置かれている。

 

辰也「はい……いただきます……」

 

アレンビー「んっ、うまいっ!」

 

由木「これは……いいですね!」

 

ドモン「戦いの後の食事というものは格別だ」

 

レイン「そうね」

 

森次「さすがは社長……相変わらずの腕前ですね」

 

山下「やっぱり……社長のちらし寿司は美味しいっス!」

 

皆が口を揃えて賛辞の言葉を贈る。

 

???「……美味しい」

 

辰也「あれ? いつの間に……」

 

不思議に思いながら、目の前にいる少女に注目する。

 

石神「ああ、瀧城クンたちが戦ってる最中に目覚めたんだ」

 

辰也「そうですか……ところでお前、名前は?」

 

ジゼラ「じ……ジゼラ・ジェノ……」

 

ちらし寿司を飲み込み、少女が答えた。

 

辰也「ジゼラ……いい名前じゃねえか!」

 

ジゼラ「! あ、ありがとう……」

 

名前を褒められて嬉しいのか、顔を紅くさせる。

 

辰也「俺は瀧城辰也だ。よろしく!」

 

ジゼラ「う、うん……」

 

初対面で仲良くなる2人、それを複雑な目で見る者が1人いた。

 

山下「……いい雰囲気だねー」

 

辰也「? どういう事なんだ?」

 

山下「気づかないなら別に?」

 

石神「あ、もしかして山下クン、嫉妬してる?」

 

山下「! そ、そんなワケ……!」

 

由木「ふふ……」

 

辰也「っくく……」

 

山下「ちょ、おい! 笑うなよ!」

 

ジゼラ「ふふ……」

 

社長室は笑いに包まれた。

 

~???~

???1「……それで、ノコノコと戻ってきたって訳か、ああ?」

 

撤退した兵士の前に、1組の男女……モヒカン頭で左目下と両耳にピアス、上裸にジャケットを羽織っている男と、ツインテールでゴスロリ服を身につけた女が座っていた。

 

エレミタ兵士1「もっ、申し訳ございません!」

 

エレミタ兵士2「し、しかし……イールソウルはもちろん、あのガキが中々の強さで……!」

 

???2「そんな事はどうだっていいのよ! こっちは何で戻って来たのかを聞いてんの!」

 

エレミタ兵士1「そ、それは……」

 

うるさいわね、と呟き、女が持っていたピストルを構える。男も背中に掛けていた鉈のような剣を抜き、兵士に向けた。

 

エレミタ兵士1「ッ……!」

 

静寂が続く。しばらくして、男が剣を収めた。

 

???1「……ま、いいぜ。次に期待してっからよ」

 

エレミタ兵士1「へ……」

 

???1「その代わり……次ヘマったら即殺す! 分かったらとっとと行け!!」

 

エレミタ兵士2「ひ……ひぃッ!!」

 

慌ただしい素振りを見せ、兵士は2人の前から去っていく。

 

???2「……いいの? 任務に失敗したんだから殺せばよかったのに」

 

???1「お前は殺したいっつーか、いたぶりたいだけだろ……それに、失敗は誰にでもあるモンだ。いくら量産可能の兵士だからって、いちいち殺してたらキリがねえ」

???1「……第一、任務失敗で殺すんだったら、俺はとっくに死んでるぜ」

 

???2「別に殺してもよかったのよ」

 

???1「シャレになんねえからやめろ」

 

冗談とも本気ともつかぬ男への物言いに、思わず突っ込みを入れる。

 

???2「はいはい……ま、あいつの場所は分かったから、そろそろ私たちの出番じゃないの?」

???2「ああ……戦場……いいわぁ……!蹂躙される兵士の喚き……絶望する人の顔……最高じゃない……!」

 

恍惚を浮かべた顔を紅潮させて、体を震わせる女。

 

このドS女が……

 

???1「……俺は1人を限界まで痛めつけるより、大量の相手をバッサバッサと、最速かつ最短で殺すのが好きだけどな」

 

???2「何よ、あんた分かってないわね! いい? 戦場って言うのは……」

 

???3「五月蝿いぞ。ジョット、グリセルダ」

 

2人が喧嘩している最中、暗闇から一人の男が現れた。

 

???3「全く……呑気な物だな。こちらはまだまだ調整中だと言うのに」

 

ジョット「ああ!? スカしてんじゃねえぞ、コルネーリオ!」

 

グリセルダ「そうよ! 横から割り込んで来て!」

 

コルネーリオと呼ばれたその男は、2人から罵倒されても動じる事なく、話を続ける。

 

コルネーリオ「お前達の話には興味が無い。ので、用件を手短に伝える……まず、お前達の出番はまだ先だ。あの人間の調整が終わるまで待て」

 

グリセルダ「はぁ~~~!? 何よそれ! つまんない! ただの人違いをいじくり回しても意味ないわよ!!」

 

コルネーリオ「そういきり立つな。手違いとはいえ、あれも中々使えるのだ。それに素質もある……戦力には充分だ」

 

ジョット「そうかよ……ま、いいぜ。昔っからお前に従っときゃ、上手くいきやすいからな」

 

グリセルダ「……そうね。何だかんだ言って、あなたは頭がいいもの」

 

コルネーリオ「ふ……こんなにも早く落ち着いてくれるとはな……」

コルネーリオ「では、我々も『エレミタ』として、これからも世界の裏で暗躍するとしようではないか」

 

ジョット「へいへい……そんじゃな」

 

グリセルダ「ま、調整頑張りなさいよ~」

 

ジョットとグリセルダは暗闇の中へ消えていく。

 

コルネーリオ「……それにしても、瀧城辰也か……面白い男だ」

 

クク……あの人間の相手にはうってつけだな

 

その場で独り、ほくそ笑むコルネーリオであった……。




中断メッセージ(森次の精神コマンド講座)
森次「もう終わりか……では、スパロボをプレイするにあたっていい事を教えてやろう……」
森次「スパロボには『精神コマンド』というものがある……今日は『必中』と『ひらめき』についてだ」
森次「『必中』はその名の通り、命中率が100%になる。『ひらめき』は回避率が100%になる効果を持っている……」
森次「他にも、命中率と回避率を少し上げる『集中』や、必中とひらめきの両方の効果がある『直感』などがある」
森次「これらに気を付けて、快適なスパロボライフを行って欲しい……では、以上だ」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三話 クロガネと少年

鉄のラインバレル完全版、発売中です!!
ラインバレルを知ってる方もそうでない方も、ぜひ手にとって読んで下さい!!
では本編スタートです!!


~JUDA社長室~

石神「……というワケで、キミも今日からJUDA特務室……の協力者の一員だ」

 

ジゼラ「あ……ありがとうございます」

 

正式にJUDAの一員……正確には協力者だが……となったジゼラ。ぎこちないながらも、嬉しそうな笑顔を浮かべている。

 

辰也「おめでとう、ジゼラ!」

 

ジゼラ「あ……ありがとう、瀧城……さん」

 

辰也「別に遠慮すんなって! 辰也でいいぜ」

 

ジゼラ「は、はい……」

 

石神「……えーっと、次……いいかな?」

 

辰也「あっ、すみません……」

 

コホン、と咳払いをし、声を掛ける石神。

申し訳なく縮こまる辰也。

 

石神「瀧城クンとジゼラ君の体の方を調べさせてもらったケド、体調面においては今のところ、どこにも問題はなかったよ。ただ……ジゼラ君はどうやら記憶喪失で、色々よく分かってないみたいなんだ」

 

ジゼラ「……」

 

辰也「そうなんすか……」

 

先程までとは一転、ジゼラの表情が曇る。

 

辰也「……ま、一度失ったモンでも取り戻せるんなら取り戻しゃあいいんだ。だからそう心配すんな! 俺も一緒に、やれる事はやるからよ!」

 

そんなジゼラを、辰也が励ます。依然として表情は曇っているが、心なしか少し晴れたようだった。

 

石神「……で、ジゼラ君には早速、仕事をしてもらおう。内容はある人物の調査なんだケド、詳しいコトはこの部屋に行って、そこにいる人に聞いてね」

 

社内の地図を渡し、指示を出す。

 

ジゼラ「分かりました」

 

指示を受けた後、立ち去ろうとするジゼラ。辰也もそれに釣られ、出て行こうとする。

 

石神「あっ、その前に話したいコトがあるんだ。ちょっと待っててね」

 

ジゼラ「?」

 

そんな2人を呼び止める石神。

 

石神「それじゃあ瀧城クン、何故キミをJUDAに誘ったのかを話そう。何しろ僕が言ったんだよ、森次クンにキミらとコンタクトを取れってね」

 

辰也「……そういや、森次さんはそんな事を言ってましたね。どういう事なんですか?」

 

石神「山下クン越しにスタジアムでの戦いを見ていて、気になったからだよ。あのロボット……イールソウルとソレを動かしていたキミにね」

石神「当初我々はあの機体をマキナだと思っていた……でも調べた結果、キミはいたって普通の高校生で、逆にあの機体には未知の部分が多い。つまりキミたちは、マキナとファクターというカテゴリーには当てはまらない」

石神「そもそも、キミがあの機体を発見した時には、コックピットにはジゼラ君がいたんだろう?」

 

こくり、とうなずく辰也。

 

石神「本来、1人のファクターにつき1つのマキナが必要だ。ケド、ファクターが2人存在するマキナは今まで報告されていない……つまり、そういうコトさ」

 

辰也「なるほど……そういえばさっき、社長はその2つについて説明してましたけど……もっと詳しく教えてくれませんか? マキナ、そしてファクターについて」

 

石神「ふむ……」

 

石神が口を開く。

 

石神「未知の技術によって造られた機械で、それを操縦できる特別な存在がファクターだ……というコトは話したよね?」

 

辰也「はい」

 

石神「ソレじゃあ、どうやってファクターが生まれるのかを説明しよう。そもそも、本来マキナは人に危害を加えてはいけないように造られている。ケド、不慮の事故で人を殺してしまった場合、マキナはその人にナノマシンを送り込んで蘇生させるんだ」

石神「そしてその蘇生した人間はファクターとなり、マキナを動かすコトが出来る」

 

辰也「! じゃあ……!」

 

山下を思い浮かべる辰也。話の通りなら、山下は一度死んでいるはずだ。

 

石神「いや、山下クンは死んではいない。彼は元々重い病気にかかっていてね……その時にマキナが『生命の危機を感知』し、山下クンを死なせないようにナノマシンを送り込んだんだ」

 

辰也「何だ、そっか……」

 

死んではいない事が分かり、安堵する辰也。尤も、仮に死んでいたとしても、2人の関係は変わらなかったであろう。

 

石神「……さてと、ここまでの説明で分からない所はあるかい?」

 

辰也「いえ、大体分かりました」

 

マキナやファクターについて改めて理解する辰也。しかし、自身がファクターでなく、そしてイールソウルがマキナでないとすると───

 

石神「じゃあアレは何なのか、って話なんだよねェ……」

 

辰也「……」

 

石神「まあ、今分からないコトを考えてもしょうがない。分からないなら調べればいいだけの話さ! ってコトで今日は解散、ジゼラ君はさっきの通りにね!」

 

辰也&ジゼラ「「了解しました」」

 

社長室から2人が出て行く。

 

石神「……」

 

……まァ、そのジゼラ君とイールソウルがどこから来たのか、が問題なんだケドね。先程の襲撃を考えると、もしかしたらエレミタが関わっているのかな?

 

……と、誰もいない社長室で、石神は考えていた。

 

~JUDA・とある一室~

ジゼラ「失礼します」

 

JUDAのとある一室に入るジゼラ。ドアを開けると、黒髪で自分と同じような背丈の少女……城崎絵美がいた。

 

城崎「あなたは……」

 

ジゼラ「は、初めまして。この度JUDAの協力者となりました、ジゼラ・ジェノです……色々至らない点があると思いますが、よろしくお願いします」

 

城崎「ジゼラ・ジェノさんですね……社長から話は聞いています。私は城崎絵美と言います、こちらこそよろしくお願いします」

 

お互いに挨拶を交わし、話をする。

 

ジゼラ「それで、社長から言われた例の調査って……」

 

城崎「そうですね……私たちの任務は、とある中学校に潜入するコトです」

 

ジゼラ「潜入……?」

 

城崎「はい、その中学校にはファクターが在籍しています。その人の監視のためにです」

 

ジゼラ「なるほど……ちなみにそのファクターとは?」

 

城崎「……早瀬……早瀬浩一です」

 

城崎の提示した資料には、そのファクターの情報と、茶髪の少年の写真が貼られていた。

 

 

 

第三話 クロガネと少年

 

 

 

~翌日・御崎中学校~

浩一「……」

 

窓際の席で頬杖をつき、外を眺めているのは例の少年……早瀬浩一だった。

 

矢島(浩一……)

 

友達である矢島英明は、そんな彼を心配していた。

浩一は無気力になっていた。昨日のヴァーダントの一戦で、力の差というモノを見せつけられたのだ。

 

オレは……打ちのめされたんだ……昨日のあの時……

畜生……強くなれたと思ったのに……!

 

浩一の心は、悔しさと怒りと怨嗟で混沌としている。

 

理沙子「……ねぇ矢島、浩一の奴どうしちゃったの?」

 

もう1人の友人……新山理沙子も、浩一を心配している。

 

矢島「……言うな」

 

理沙子「……」

 

いつもと違う、静かだが同時に怒気を孕んだ矢島の剣幕に対して何も言えなくなる理沙子。

 

先生「みんな、席に着いたな。それでは授業を始める……前に突然だが、転校生を紹介する。しかも、2人いるぞ」

 

ざわつく教室。転校生、それも2人いるのだ。中学生にとって心が躍らない訳は無い。

 

先生「それでは、自己紹介をしてもらおう」

 

がらり……とドアが開き、2人の美少女が入ってくる。

 

城崎「今日からこの学校に転校してきました、城崎絵美です」

 

ジゼラ「お、同じく転校してきました、ジゼラ・ジェノです……」

 

浩一「……!」

 

おいおいマジかよ……!

 

しかも女子って……!

 

どっちも可愛くね!?

 

沸き上がる歓声。

 

先生「はいじゃあ静かに! 自己紹介も済んだコトだし、授業を始めるぞー」

 

先生の言葉のすぐ後に、授業開始の鐘が鳴った。

 

~数日後・JUDA社長室~

森次「失礼します」

 

辰也「社長から呼び出しなんて、何かあったんですか?」

 

森次と辰也が入ってきた。

 

石神「よく来てくれたね」

 

森次「どういう用件でしょうか」

 

石神「森次クン、前回キミが戦ったラインバレルだケド、やっぱり回収しちゃってくんない?」

 

ライン……バレル……?

 

聞き慣れない言葉に戸惑う辰也。

 

辰也「それも……マキナなんですか?」

 

石神「そう。森次クンがキミ達に会う前に相手をしていたんだよ……で、マキナだからもちろんファクターがいるんだケド……彼、全然行動しないんだ」

石神「ここ数日間、城崎クンやジゼラ君からの報告にも変化は見られないし……というワケで、二度手間取らせるようで悪いんだけどさ、よろしく頼むよ」

 

森次「わかりました」

 

辰也「あの……それって俺もですか?」

 

辰也が口を開く。

 

石神「その通り。後はドモン君たちガンダムファイターと……由木クンと山下クンにも頼むからね」

 

辰也「了解です!」

 

~夜・公園~

浩一「ハァ……ハァ……」

 

クソッ……何だよ、この感じ……オレはこいつに勝ちたかったんじゃなかったのか!? オレはこいつより強くなりたかったんじゃなかったのか?

なのに……なのに……!

 

浩一(なのに……なんで殴るたびに……嫌な気分になっていくんだよ!?)

 

矢島「……」

 

雨の降る中、浩一と矢島は殴り合いを始めた。しかし、ファクターとただの人間では力の差が大きい。そのため、一方的に矢島を殴る浩一。

だが、彼の心は今、不快な気分に満ちていた。

 

ジゼラ(何でこんな事に……2人共、昔は仲が良かったって言ってたはず……というか城崎さん、なんで先に帰ったんですか……)

 

ジゼラは監視の名目で、彼らを隠れて見ている。ここにいない城崎に、心の中で愚痴を吐きながら。

 

浩一「もうやめろ! 無駄だって言ってるのがわからないのかよ!!」

 

矢島「……この前お前に言われて気付いたんだ……俺の中にある汚いモノに……」

 

浩一「え……」

 

その言葉を聞いて、攻撃の手を止める。

 

矢島「俺は誰かに褒められたくて……誰かの気を引こうとしてお前を守ってただけなんだよ……お前の想いも気付かずにな」

 

浩一「……」

 

矢島の独白を静かに聞き入る浩一。言葉を聞くたびに、戦意が喪失していく。

 

矢島「俺はただの偽善者だよ……だからさ、結局理沙子は俺に振り向いちゃくれなかったよ」

 

浩一「……なんでいまさらそんなコト言うんだよ。オレはずっとお前が……」

 

矢島「正義の味方とでも思ってたか? だから俺が目障りで仕方なかったのか? ……安心しろ浩一、俺はそんなモノじゃない。好きな女の前でイイ格好したかっただけの、どこにでもいるただのガキだ」

 

浩一「矢島、お前……」

 

矢島「悪かった、浩一……」

 

ジゼラ(良かった……仲直り出来そうだね……)

 

降りしきる雨の中、握手を求める矢島。浩一もそれに答えるように、手を差しだそうとした瞬間───

 

 

 

 

 

ドォォォン……と突如、爆音が響いた。

 

矢島「!!?」

 

ジゼラ「なっ!?」

 

あまりにも突飛な出来事に、思わず驚いてしまう。

 

城崎「どうやら、ラインバレルが動き出したコトで、他のマキナも動き出したみたいですね」

 

ジゼラ「え……」

 

そんなジゼラの元に通信が入る。

 

城崎「目的は彼とラインバレルで間違いないでしょう。あちら側から集まってくれる分には、こちらとしてもマキナを探す手間が省けて助かる……というのが社長の見解です」

城崎「そしてジゼラさん……もしもの時は、アナタもイールソウルに乗ってください」

 

ジゼラ「……? 分かりました……」

 

~~~

浩一「また新しい、マキナ……!?」

 

ハグレマキナ「ラインバレルの破壊、ファクターの排除。ラインバレルの破壊、ファクターの排除」

 

右手に銃を装着した灰色のマキナが、無機質な音声で同じ言葉を繰り返す。その無機質な一つ目は、浩一を見下ろしていた。

 

浩一「もう……関わらないって決めたのに……どうしてこうなるんだよ!!? チクショウ!! どうすればいいんだよ、オレは!!!」

 

怒りと混乱で我を忘れ、取り乱す浩一。

 

矢島「浩一……」

 

浩一「! 矢島……どこだ!?」

 

どこからか、矢島の声が聞こえる。

 

矢島「いいか、浩一……大切なのは『どうすればいいか』じゃない」

 

浩一「矢……」

 

矢島「お前が『どうしたいか』だ」

 

矢島の体は、先程の衝撃で吹き飛んだ鉄筋コンクリートに貫かれていた。

 

……矢島?

 

浩一の頭は真っ白になり、足が震えだした。

 

矢島「が……はぁっっ……!」

 

浩一「矢島ァ!! ウソだろォ、矢島ァ!!!」

 

吐血する矢島。

 

ハグレマキナ「ファクターの排除!!! ファクターの排除!!!」

 

ハグレマキナが浩一の後ろで叫び、右手の銃を稼働させる。

 

矢島「せっかく……手に入れた力なんだろう? なら……正しいコトに使ってくれ……あの日、お前が俺に言ったコト……思い出してくれよ」

 

そう言いながら、浩一を押し出す。ハグレマキナが撃った弾が、矢島へ近づく。

 

浩一「矢島!?」

 

矢島「……気にするな───

 

 

 

 

 

───昔からそうだっただろ?」

 

そう言い残すと、ハグレマキナの弾で矢島の体は爆散した。

浩一の元へ、彼の右腕が飛ぶ。

 

ハグレマキナ「ファクター排除失敗。ファクター排除失敗」

 

いまさら謝んなよ……いまさらあんなコト言うなよ……いまさら……

 

浩一の脳裏に、昔の思い出が蘇る。

 

~~~

矢島「将来の夢かぁ……俺ん家は母ちゃんと妹しかいないから、金持ちになって家建ててやりたいなァ。んで、お前は?」

 

浩一「えっと……ボクは……矢島クンみたいに強くなりたい」

 

矢島「へ? 強くなってどうすんだよ?」

 

浩一「……矢島クンや理沙子ちゃんがボクにしてくれるように、ボクも弱い人や困ってる人を助けたいんだ」

 

矢島「それがお前の将来の夢? 何か正義の味方みたいだな」

 

浩一「……やっぱり小学四年でそんなの幼稚だよね」

 

矢島「いや! 浩一らしくていいと思うぞ」

 

浩一「ホントに?」

 

矢島「うん」

 

~~~

なあ、矢島……

 

それでもオレ、お前みたいになりたかったんだよ

 

 

 

 

 

浩一が叫ぶ。友の右腕を抱えて。

天から光が落ちる。刀を持ったソレは、ハグレマキナの左腕を切り裂いた。

 

辰也「うおっ!?」

 

ほぼ同時に辰也たちが到着した。

 

山下「なんだよ!? まだ浩一も乗ってないのに、なんで攻撃出来るんだよォ!!?」

 

森次「……」

 

 

 

 

 

大切なのは「どうすればいいか」じゃない

 

 

 

 

 

お前が「どうしたいか」だ

 

 

 

 

 

……矢島の言葉が、浩一の脳裏で響く。

 

浩一「オレは……オレはアイツを……殺したい!!」

 

明確な殺意。彼の瞳……ファクターアイは、友の仇を捉えていた。

 

……殺してやる……お前だけは絶対に……殺してやる!!

 

~~~

ドモン「森次、マキナは人間に危害を加えられないように造られている……だからお前たちファクターが必要、だと言っていたな」

 

森次「そうだ」

 

ドモン「ならば何故、ラインバレルはファクターの搭乗前に攻撃したのだ?」

 

森次「ラインバレルが正常で、あのハグレマキナにファクターが搭乗していないという可能性もある」

 

レイン「なるほど……いずれにしてもあの2体のどちらかが異常って事ね……」

 

辰也「というか、話してる場合じゃありませんよ! まずはあいつを止めましょう!」

 

森次「もちろんだ……む?」

 

由木「! レーダーに謎の反応が!」

 

由木が叫んだ直後、マキナに似た機械が現れた。その内の1体は、赤と黒のカラーリングで、剛健な外見をしている。

 

森次「アレはアルマ……というコトは、加藤機関か!」

 

辰也「アルマ? 加藤機関?」

 

森次「ああ。アルマは量産型のマキナのコピー……そして加藤機関は、この世界の裏で暗躍する秘密結社だ。だが、何故ここに……」

 

???「ラインバレルの捕獲……それが俺達に与えられた任務だ。ま、それ以上の事は知らんがな」

 

アルマの集団の先頭に立っている、派手な色の機体から通信が入る。

 

ドモン「貴様は何者だ?」

 

ジョー「名乗る程の名は持っていないが……そうだな、『エースのジョー』とでも言っておこう。今は加藤機関に雇われている身だが……っと、少し喋りすぎたな」

 

浩一「チッ……邪魔者か……! ケド関係ねぇ、オレはあのマキナをぶっ殺すんだ!」

 

新たな敵に殺気立たせる浩一。だが、彼の標的はあくまでも友人を殺したマキナである。

 

森次「……話している暇は無いな……各機、ラインバレルとハグレマキナ、そして加藤機関への攻撃にあたれ!」

 

山下「んじゃまあ、行きますか!」

 

辰也「ああ!」

 

~戦闘開始~

辰也(初戦闘時)

辰也「ラインバレルにハグレマキナ、加藤機関なんて……ただでさえ訳が分かんねえのに、更に分かんねえ事になっちまいやがった!」

辰也「でも、んな事で立ち止まってられねえよ! って訳で行くぞ、イールソウル!」

 

 

辰也(対ジョー)

辰也「あの機体……敵だけど何かカッコいいな……」

 

ジョー「この飛龍相手に隙が多すぎるな。見とれるのもいいが、その瞬間にお前の命は無いぞ」

 

辰也「へっ、あんたに心配されなくても、大丈夫だっての! せっかくだし、こいつも捕獲して……なんてな! よし、行くぜ!」

 

 

ドモン(対ジョー)

ジョー「なかなかの殺気……さすがはガンダムファイターだな」

 

ドモン「そちらも、よほどの実力者だと見える……訳の分からん組織に属するにはもったいないな」

 

ジョー「ありがとうよ……さて、無駄話はもうよそう。あんたにとっては口よりも拳の方がやりやすいだろうからな」

 

ドモン「そうだな……では行くぞ!」

 

 

森次(対ジョー)

森次「自らをエースと名乗るとは、なかなかの実力者なのか、それともただの思い上がった愚か者か……」

 

ジョー「あまり俺を舐めていると痛い目を見るぞ。それに、あの中でもお前は強い……そんな奴と戦えるとは、俺も誇らしいな」

 

森次「そうか……だがとりあえず、エースの看板は今日で下げてもらおう……覚悟は出来ているな?」

 

ジョー「上等だ、行くぞ!」

 

 

由木(対ジョー)

由木「! あなたは昔、WSOにいた……!」

 

ジョー「ほう……技官の端くれだったお前が、スカーレットと例の2人が死んだあの島からよく帰ってこれたな」

 

由木「WSOのエースパイロットも落ちぶれたわね……そんなテロ組織に雇われて、一緒に破壊活動なんて!」

 

ジョー「俺が誰に与しようが、お前には関係がない……っと、話している場合ではないな。やられてもらうぞ、由木翼!」

 

由木「こっちだってただでやられる訳にはいかないわ! やれるものならやってみろ!」

 

 

浩一(対ジョー)

浩一「加藤機関か何だか知らねえが、オレの邪魔をするんじゃねえ!」

 

ジョー「……今のお前は俺に似ているな」

 

浩一「何を言ってやがる! オレとアンタが似てるなんて、ワケの分からねえコト言ってんじゃねえよ!!」

 

ジョー「ま、分からんでもいいさ……っと、無駄口を叩いている暇はないな。任務のために捕獲されてもらうぞ、ラインバレル!!」

 

浩一「そうかよ……来やがれ! エースだか何だか知らねえケド、調子に乗るんじゃねえ!!」

 

 

~~~

浩一「オレの……オレの敵討ちの邪魔をすんじゃねえよ!!」

 

加藤機関のアルマを徹底的に薙ぎ払う浩一。

 

ジョー(こいつの攻撃……動きは素人だが、破壊力が桁違いだ……!)

 

ジョーの乗る機体……飛龍も、ラインバレルによる深いダメージを負ってしまう。

 

ジョー「チッ……どうやら戦力に差があるようだな。また会おう、JUDA、ラインバレル!」

 

ジョーの合図で撤退する加藤機関。

 

由木(雷張ジョー……WSOから抜けて傭兵になったとは聞いたけれど……どうして加藤機関なんかに……でも、今は!)

 

アレンビー「加藤機関は逃げた……後はラインバレルとハグレマキナだけ……!」

 

ドモン「ああ……だがあの殺気……恐ろしいな……」

 

レイン「怖くなった? ドモン」

 

ドモン「……まだまだ!」

 

拳を固く握りしめ、ラインバレルへと向かった。

 

~戦闘再開~

辰也(対浩一)

辰也「くぅっ……こいつがラインバレルか……! 中々の……圧力だぜ……っ!!」

 

浩一「アンタが何モンか知らねえケド、俺の邪魔をすんじゃねぇよ!!」

 

辰也「お前の気持ちは痛え程分かる……けど、そいつは出来ねえ相談だ! 俺たちの任務はお前の捕獲だからな! もしどうしてもって言うんなら、俺を倒してから行け!!」

 

浩一「上等だ! この際アンタもぶっ殺してやるよ!!!」

 

 

辰也(対ハグレマキナ)

辰也「こいつがハグレマキナか……何つーか、禍々しい感じがするな……!」

 

ハグレマキナ「ラインバレルの破壊ィィ……ファクターの排除ォォ……!!」

 

辰也「ラインバレルをご所望の所悪いが、てめえの相手は俺とイールソウルだ!」

 

 

森次(対浩一)

浩一「あんた森次とか言ってたなァ……なんでオレの邪魔をするんだよ!?」

 

森次「フッ……私から見れば、君も立派に我々の邪魔をしているのだが?」

森次(……ファクターとして覚醒したとはいえ、前回と太刀筋が違い過ぎる……これでは……まるで別人だ……!)

 

浩一「何をボーッとしてんだよ!! とにかく、邪魔すんならやられてもらうぞ!!」

 

森次「……だが、まだまだ単なる力押しだな。ソレでは私には永遠に勝てないコトを、直接体に教え込むとしよう!」

 

 

森次(対ハグレマキナ)

ハグレマキナ「ラインバレルの破壊ィィ……! ファクターの排除ォォ……!」

 

森次「ハグレマキナ……大人しくしていてもらおう」

森次(山下によれば、中にはファクターがいるとのコトだ……できる限り生かしておきたいが、万が一の時は私が背負わせてもらう!)

 

 

山下(対浩一)

浩一「くそっ……どきやがれ!! そいつは……そいつだけは、オレが殺さなきゃいけないんだ!!」

 

山下「何回言えばいいんスか! この分からず屋には!」

山下「まずは大人しく捕獲されてもらうっスよ、ラインバレル!!」

 

 

山下(対ハグレマキナ)

ハグレマキナ「ラインバレルの破壊ィィ……! ファクターの排除ォォ……!」

 

山下「ヨソ見してんなっつーの! オマエの相手はボクなんだよ!!」

山下(あのハグレマキナにはファクターがいる……出来るだけその人を傷つけないように無力化しなきゃ……絶対にやってみせる!)

 

 

ドモン(対浩一)

浩一「ガンダムファイター! アンタも俺の敵になるのかよ!!」

 

ドモン(この少年は友を失い自暴自棄になった、と聞いている……大切な人を失う辛さは分からんでもない)

ドモン「だが、いかなる理由があろうとも、これ以上被害を広げる訳にはいかない!」

ドモン「来い、少年! このゴッドガンダムが相手になるぞ!」

 

 

レイン(対浩一orハグレマキナ)

レイン「あの暴走状態……デビルガンダムの時と同じ……!」

レイン「また同じ事の繰り返しにならないように、あの2つを止めてみせる!」

 

 

アレンビー(対浩一orハグレマキナ)

アレンビー「ラインバレルにハグレマキナ……どっちもあの時の……暴走した時の私に似てるわ!」

アレンビー「ハグレマキナはともかく、あの子には私のようになって欲しくない! だから行くよ、ノーベルガンダム!」

 

由木(対浩一orハグレマキナ)

由木「見境なく暴れている対象の鎮圧……あの2人で慣れてるつもりだけど……!」

由木「とにかく、これ以上の被害は出させないわ! 何としてでも任務を遂行する!」

 

 

浩一(対ハグレマキナ)

ハグレ「ラインバレルの破壊! ファクターの排除!」

 

浩一「許さねえ……お前だけは……矢島の仇であるお前だけは……絶対に許さない!!」

浩一「行くぞ、ラインバレルッ!!!」

 

 

~~~

辰也「うおぉぉぉぉあぁぁぁッ!!!」

 

浩一「があッ!」

 

イールソウルが大剣を振りかぶり、ラインバレルを斬りつける。

 

山下「いいぞ瀧城! さて、ハグレマキナ! オマエの相手はボクなんだよ!」

 

ハグレマキナ「グガガ……!」

 

ハインドから発射されたミサイルが、ハグレマキナに当たる。

 

浩一「! 何やってんだよ! そいつは……矢島の仇なんだぞ!!」

 

辰也「んなこた分かってる! お前が友達の仇を取りてえって事は! ただなぁ……お前が後先考えずに戦ってたら、町が滅茶苦茶になっちまうだろうが!」

 

浩一「知ったコトか!! オレはそいつを……そのマキナを殺せればどうだっていいんだよ!!!」

 

こいつ……っ!!

 

山下「てめェ……いい加減にしろよ!!」

 

山下の攻撃がラインバレルに命中する。

 

浩一「ぐっ……!!」

 

森次「山下、ラインバレルは後回しだ。あのハグレマキナを優先しろ」

 

山下「は、ハイ! それじゃ、連携で行きますよ!」

 

森次「ああ!」

 

ハインドとヴァーダントがハグレマキナの下へ向かった。

 

山下「くらえェェッ! バレットアーム!!」

 

ハインドの拳が、ハグレマキナを打ち上げる。

 

ハグレマキナ「グギギ……!」

 

よくやったぞ、山下……

 

森次「さて、後は私だ!」

 

ヴァーダントが刀を抜く。

 

森次「本物の暴力を教えてやろう」

 

上空へと飛び上がり、ハグレマキナを滅多刺しにした。

 

ハグレマキナ「ラインバレルの破壊ィィ……ファクターの排除ォォ……!!」

 

何本もの刀を刺され、地面に激突してもなお、動きを止めないハグレマキナ。

 

森次「まだ止まらないか……!!」

 

ならばやむを得ない……!! これで……とどめだ!

 

最後の一太刀をコックピットに刺すと、ハグレマキナは断末魔を上げ、動きを止めた。

 

ハグレマキナ「ギ……」

 

浩一「!!」

 

ドモン「終わったか……」

 

レイン「ええ、後はラインバレルだけ……」

 

由木「そうみたいですね……」

 

辰也「……ここまでの苦労を思い出したら、何か体がどっと重くなってきました……」

 

森次「気を抜くのはまだ早い。では、これよりラインバレルを……」

 

浩一「……てんだ……」

 

ん?

 

浩一「……何してくれてんだ……そいつは矢島の……オレの敵だったんだぞ!!! ……せめて、せめて敵ぐらいは討ってやりたかった……のに……それを、よくも……!」

 

……ヤバい!

 

浩一「邪魔しやがってえぇェェェ!!!」

 

浩一の雄叫びとともに、ラインバレルの形状が変化する。

 

浩一「許さない……お前らは矢島の敵同然だ……叩き潰してやる!!」

 

そこに立つのは、殺意を隠そうともしない鬼。怒気と殺気を纏わせた鬼が、目の前へと立ち塞がった。

 

~~~

辰也「くっ……こいつはどうすりゃ……!」

 

ラインバレルから発される禍々しさに、圧倒される辰也。

 

ジゼラ「……やさん、辰也さん!!」

 

ふと声のする方を見下ろすと、ジゼラがイールソウルの前に駆け寄っていた。

 

!? じ、ジゼラ!? 

 

辰也「何でこんな所に……」

 

ジゼラ「城崎さんが、『もしもの時は、イールソウルに乗れ』って……」

 

辰也「城崎……あいつか! よく分かんねえけど、それなら乗れ!」

 

ジゼラ「でも、どうやって……」

 

辰也「とりあえずイールソウルの手を出す! それに乗ってくれ!」

 

ジゼラ「わ、分かりました!」

 

イールソウルの掌に乗り、コックピットまで運ばれるジゼラ。

 

ジゼラ「失礼します……」

 

ちょうど座席の後ろにスペースがあったので、そこに入る。

 

辰也「ああ……んじゃまずは、あのラインバレルを何とかしようぜ!」

 

辰也のレバーを握る手に、力が入った。

 

~~~

何だ、この反応は……

 

森次「ヴァーダントが怯えているのか?」

 

山下「森次さんっっ、ハインドの様子もおかしくなってるっス!!」

 

ドモン「動きが鈍い……俺自身が奴を恐れていると言うのか……!」

 

レイン「シャイニングも……正直、彼が怖いわね……!」

 

アレンビー「どうやら、ラインバレルのせいで、皆の機体がおかしくなってるみたいね……」

 

由木「一体どうすれば……」

 

それぞれの機体の動きが、ラインバレルによって鈍くなった。

 

浩一「うおぉぉぉぉぉ!!!!」

 

浩一の雄叫びと共に、ラインバレルの背中から「何か」が飛び出す。

「それ」はエネルギーを溜め、剣の形へと変化する。

 

辰也「ビーム……か?」

 

ジゼラ「そうみたい……ですね……」

 

辰也「……なあジゼラ、イールソウルにもそういうの付いてないのか?」

 

え……そんな事を急に言われても……って!

 

ジゼラ「……そういえば!」

 

辰也「どうした!?」

 

ジゼラ「……思い出しました……辰也さん、そこのボタンを押して貰えますか?」

 

辰也「ここか?」

 

言われた通りにボタンを押すと、イールソウルの腰から銃火器のような物が飛び出した。

 

辰也「うおっ!? 何だこいつ!?」

 

ジゼラ「それは……イールソウルのビーム兵器です……ラインバレルのあの武器と同じ位の威力は保証できると思います」

 

辰也「そうか……で、俺が握ってるレバーのボタンを押せばいいんだろ?」

 

ジゼラ「! そ、そうです! でも何で……」

 

辰也「大抵ロボットってのは、そんなモンだからな……っと、話してる場合じゃねえ! あいつを止めねえと!」

 

重圧に抑えられ、ぎこちないながらも、イールソウルは上空でエネルギーを溜めているラインバレルの方を向いた。

 

浩一「くらえェェェェ!!!!」

 

浩一の叫び声と同時に、ラインバレルが剣を振り下ろし───

 

 

 

 

 

辰也「させるかよおぉぉぉぉっ!!!!」

 

 

 

 

 

───その寸前、イールソウルから放たれたビームがラインバレルの剣を弾く。

ぶつかり合ったエネルギーが、レインボーブリッジの真上で爆発した。

 

アレンビー「何……今のは……」

 

レイン「どうやら、イールソウルから発射されたみたいね……」

 

何だよ……これ……とんでもねえパワーだ……

 

辰也「う゛ッ!」

 

山下「瀧城!?」

 

一気にエネルギーをぶっ放した影響か、イールソウルは膝をついた。

 

辰也「動かねえ……」

 

ドモン「大丈夫か辰也! これ以上は無理に戦う必要はない!」

 

辰也「くっ……はい……そうさせていただきます……」

 

山下「それにしても……あの爆発の威力……イールソウルもラインバレルも、どっちも危険っス……!」

 

森次「ああ、もしもあのままであれば、レインボーブリッジが真っ二つになっていた所だ……まともに喰らえばひとたまりもないぞ……!」

 

話している間に、ラインバレルは次の攻撃の準備に入る。

 

森次「……これ以上被害を拡大させるワケにはいかない、何としてでも止めるぞ!」

 

山下「でも、どうするんです森次さん? イールソウルもさっきの奴は出来そうにない、機体性能も低下したこの状況じゃ、あの高さまで近づくのは無理ですよ!」

 

そうだ……だから私には考えがある。

 

森次「……山下、私の合図でバレットアームを使え。手段を選んでいる時間はない!」

 

山下「はいっっ!」

 

ラインバレルのエネルギーが溜まり、巨大な剣が完成した。

 

浩一「さっきは邪魔が入った……ケド、次ははずさない!!!」

 

両手で剣を構える。その間にヴァーダントが走り、ラインバレルの方向へ飛ぶ。

 

森次「山下ァ!!」

 

山下「とどけェェェ!!!!」

 

ハインドがバレットアームを発射し、ヴァーダントがそれを掴む。

 

浩一「!!」

 

ラインバレルが剣を振り、バレットアームを切り落とすも、既にヴァーダントはラインバレルの上にいた。

 

森次「間に合えぇぇぇぇぇっ!!!!」

 

浩一「うあああああああああ!!!!」

 

───寸前、ラインバレルのエネルギーが切れ、活動を停止する。

直後、ヴァーダントが刀を振り下ろし、ラインバレルを海に叩き落とした。

 

ドモン「終わった……のか?」

 

森次「……何とかな。では、これより帰還する」

 

森次の合図と共に、各機は帰還した。

 

~JUDA・社長室~

石神(ラインバレル……実に素晴らしいじゃないか。それに、イールソウルもあんなモノを隠し持っていたとはねェ……そして、どうやら俺の予想は当たっていたようだ)

石神(とはいえ、どちらも制御できていない……ラインバレルの方はファクターの精神状態、イールソウルには改修が必要だな……)

 

一連の戦いを見物していた石神は、心の中でそう呟いた。

 

~???~

マサキ「ラインバレルの破壊は失敗、アルマ隊も壊滅し、こちらのマキナも奪われた形になりましたが?」

 

加藤「あれだけの情報を得られれば十分だ。それに比べれば、イカレたマキナを奪われたぐらい、どうというコトはない」

 

広い室内、そこには椅子に座っている男……加藤久嵩とその前に立っている男……菅原マサキ、そして雷張ジョーと他2名がいた。

 

ジョー「……」

 

沢渡「そうヘコむなよ、ジョー。久嵩だってお前を責めてるワケじゃねえからな」

 

ジョー「沢渡……」

 

2人の内の1人……沢渡拓郎はジョーを励ます。

 

陸「キヒヒ…沢渡さんも甘いですねェ。せっかく腕利きのエースパイロットを雇ったというのにあの体たらく……やはりここは司令に信頼されている僕が行くべきでしたよォ」

 

加藤「陸か……」

 

もう1人の男……王政陸は反対に、ジョーを嘲笑している。

 

陸「雷張さん、次は見せてあげますよ……僕のやり方をねェ……」

 

ジョー「……」

 

信頼、か……陸よ、お前は本当に『信頼』されてるのかな?

 

加藤「まあいい……お前は十分やってくれたよ、ジョー。だが次の任務は沢渡と陸に任せている……お前はユリアンヌやジャック達と休暇を満喫してるといい」

 

ジョー「そいつはありがたいが、俺はお前達に雇われている身だ……馴れ合うつもりはない」

 

沢渡「ケッ、無愛想なヤツよ」

 

加藤「……それよりせっかくココまで来たんだ。ウチの連中にも見せてやろう……浮上!」

 

加藤の合図と共に、巨大な戦艦が海の中から現れた。先頭には、大量のアルマが乗っている。

 

加藤「諸君、よく見ておくがいい。あれがJUDA……我々の『敵』だ」

 

加藤が言ったと同時に、一体一体のアルマがJUDAの方向へ顔を向ける。戦艦はやがて、夜の闇へと消えた……。




中断メッセージ(辰也とジゼラ)
ジゼラ「もう終わり……ですか? ……少し寂しいです……」

辰也「おいおいジゼラ、人には都合があるんだ、無理を言うのはよくねえぞ」

ジゼラ「すみません……ですが、もう会えなくなるんじゃないかと心配で……」

辰也「な~に、大丈夫だよ。根拠はないけどまた会える……そう思うんだ。そうでしょ、そこの人?」

ジゼラ「……分かりました……あの、また戻って来て下さいね! 約束ですよ!!」

辰也「そんじゃ、またな~!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四話 疾走する正義と嵐の勇者(ヒーロー)

偉大な勇者と嵐の勇者……そう言えばマイトガインはスパロボ3回連続参戦なんですよね!
では本編どうぞ!!


スパロボN 第四話 疾走する正義と嵐の勇者

~???~

何もない場所、ひとり浩一は座っていた。

 

浩一「……」

 

矢島「どうした、浩一」

 

浩一「矢島!」

 

お前……生きて……!

 

浩一の眼前に、死んだはずの矢島が立っていた。

 

矢島「なんだァ? 暗い顔して」

 

浩一「あの……オレ……お前に……」

 

言葉に詰まる浩一。そうこうしている間にも、矢島が近づく。

 

矢島「そんなトコ座り込んでないで……ホラ!」

 

手を差し伸べる矢島。浩一が震える手で掴もうとする。が───

 

 

 

───ぽたり……と矢島の体から、血が滴り落ちる。

 

浩一「!」

 

瞬間、浩一の目の前で爆発が起こり、ごろ……と矢島の生首が転がる。

 

浩一「あ……ああ……」

 

目の前に、倒されたはずのハグレマキナが現れた。

 

浩一「矢島アアアア!!」

 

 

 

 

 

───そこで、意識は途切れた。

 

~JUDA医務室~

浩一「ハァ……ハァ……」

 

目が覚めた。矢島も、ハグレマキナもいない。

 

浩一「何だよ……どこだよ……ここ……?」

 

呆然とする浩一。途端、光が差した。

 

緒川「あ、やっと気が付いたみた……い……」

 

緒川の目線は、浩一の下半身へと吸い寄せられる。

 

緒川「ご……ごめんね……」

 

浩一も下を向き、自らが今、どのような状況であるかを確認した。

浩一は今、服を着ていない。全裸である。つまり……

 

浩一「ほわあああ゛あ゛あ゛あ゛……!!!」

 

浩一の叫びが、JUDAを駆け巡った。

 

~JUDA社員寮・辰也の部屋~

辰也「!?」

 

浩一の叫び声で、辰也が飛び起きる。

 

辰也「な、何だ今の……ま、いいか……せっかく社長が寝床を下さってるんだ、少しは我慢するか!」

 

さて、せっかく起きたんだし何しようかな……そう思いながら、部屋のドアを開ける。

 

???1「あ、あの……初めまして、瀧城さん!!」

 

辰也の前に、おかっぱ頭の2人組が立っていた。

 

辰也「……誰だお前ら?」

 

???2「初対面の相手にお前って……アンタ相当躾がなっとらんのやな」

 

おかっぱ頭の女の方は、辰也に悪態をつく。

 

辰也「……あ? そりゃひどくねえか? 言われてみりゃ確かに、俺にも悪い所はあったけどよ」

 

非があるとはいえ突然挑発されたので、辰也も思わず苛立ちを浮かべる。

 

???1「そうだよ姉さん! しかも瀧城さんは僕達の一コ上なんだよ!?」

 

???2「歳なんて関係あらへんわ。ウチは当たり前のコトを言っただけやろ? ま、分かっとるならええ。とりあえず社長がお呼びなんやから、早よいくで」

 

辰也「お、おう……」

 

強気な物言いに押され、辰也の心も怒りから困惑に変わる。

 

何なんだよ、本当に……

 

そんな事をぼやきながらも、2人に連れられて部屋を後にした。

 

~JUDA社長室~

浩一「……つまり、オレは3年前に一度死んで、その時にラインバレルのファクターってのになった……ってコトですか……」

 

石神「その通りだ。なかなか飲み込みが早いじゃないか」

 

あの後、浩一は社長室に呼び出され、説明を受けた。

 

浩一「受け入れるには時間が必要ですケドね……それより、何でアンタらはあんなモン造ったんですか……? マキナって何なんですか……!?」

 

浩一が段々と声を荒げる。

 

石神「そんなコト知らないよォ、誰が造ったかも分からないしさァ」

 

浩一「え?」

 

石神「ラインバレルと同じで、マキナ達は突然現れたんだよ。誰が何のために造り、どんな目的でこの世界に現れたのか……だから、それらを知るために我が社は政府と協力して、現存する11体のマキナの全回収を主目的にしてるワケ」

 

浩一「あんなのが11体もいるのかよ……」

 

石神「……まぁとにかくだ、早瀬浩一クン……単刀直入に言おう。我々の計画に協力してほしい」

 

一転、雰囲気を変える石神。

 

浩一「マキナを集めるのを手伝えってコトですか……!?」

 

石神「何もタダで協力しろなんて言わないよ。確かキミは森次クンとやり合った時に『正義の味方になる』とか言ってたよねェ」

石神「でも正義っていうのはさぁ、『悪』や倒すべき『敵』が存在して初めて成り立つモノ……例えば、マジンガーZに対するDr.ヘル、ガオガイガーに対するゾンダーとかね」

石神「だからさ、キミが我々に協力してくれるなら……」

 

そう言い、石神は手元のキーボードを操作する。

途端、浩一の周りに画面が現れた。

 

浩一「!!」

 

石神「我々はキミに、『敵』を与えてあげよう」

 

浩一「コレは……一体……?」

 

石神「彼らは日本最古の秘密結社『加藤機関』……我々と同様にマキナを持ち、よからぬコトを企てているタチの悪い連中さ。そして何より、キミとラインバレルを狙い、キミの友人を殺した張本人達だ」

 

こいつらが……!

 

怒りに満ち溢れる浩一。固く握った拳が震える。

 

そんな中、コンコン……と扉がノックされる。

 

浩一「?」

 

石神「森次クン達かい?」

 

もっ……森次だって!?

 

森次「失礼します」

 

扉が開き、森次、山下、辰也、ジゼラ、由木、アレンビー、そして、例の双子が現れた。

 

石神「よォ~~~し、全員……とは言わないケド、揃ったなァ」

 

浩一「……」

 

石神「紹介しよう、彼らもキミと同じファクターだ……内4人は違うけどね。で、彼が森次玲二クン」

 

森次「生身で会うのは初めてだな。改めてよろしく」

 

石神「そして彼が山下サトル君だ」

 

山下「ど~~~も」

 

浩一「……」

 

由木「WSO所属の由木翼です」

 

アレンビー「アレンビー・ビアズリーだよ! ガンダムファイターだから知ってると思うけどね!」

 

辰也「で、俺が瀧城辰也だ! 先に言っとくけど、ファクターじゃねえぞ」

 

ジゼラ「ジゼラ・ジェノです……って、早瀬さんはもう知ってますよね……?」

 

浩一「……何でジゼラがいるんだよ……」

 

石神「まあ今はいいじゃないの! あと、ジゼラ君もファクターじゃないからね」

 

浩一「そうじゃなくて……」

 

???1「あっ、あの……」

 

石神「お?」

 

彼らの後ろから、おずおずと1人の少年が現れる。

 

イズナ「はじめましてっっ! 僕、遠藤イズナです! 今日早瀬さんに会えるの、すごく楽しみにしてました!!」

 

例の双子の片割れが自己紹介する。

 

イズナ「……え、えっと……それでこちらが僕の姉の……」

 

双子のもう一人が、浩一に近づく。

 

シズナ「はじめまして、姉の遠藤シズナです」

 

優しい笑顔で寄ってくるので、浩一は警戒を解いた……いや、解いてしまった。

 

浩一「ど……どうも゛っ!?」

 

言い終わらない内に、浩一の股間にシズナの蹴りがズンッ、とめり込む。

 

浩一「痛゛っってえぇぇぇぇぇっ!!!」

 

辰也(ひゃ~痛そ……)

 

浩一の受けた痛みを想像し、思わず顔をしかめる辰也。

 

浩一「いきなり何すんだ……」

 

シズナ「あんた!! 舐めんのも大概にしときや!!!」

 

は……?

 

シズナ「友達の敵討ちかなんか知らんが散々暴れよって迷惑千万や!! ウチらは遊びでファクターやってるんやない!! プロとしてやっとるんや!!!」

 

悶絶する浩一、そんな事はお構いなしに色々とぶちまけるシズナ。

 

浩一「んだとぉ!!?」

 

シズナ「完全にファクターの面汚しや! あんた、もっぺん死んどくかぁ!?」

 

イズナ「ちょっと姉さんやめなって! ……早瀬さん、ホントにごめんなさい」

 

シズナ「こらっイズナ! 何でこんなヘタレに謝ってんねや!?」

 

イズナ「だってヒドいよぉ~!」

 

双子の間で言い合いが始まる。

 

石神「なぁシズナぁ~~~、そのエネルギーはこれからのためにとっときなよォ~~~」

 

山下「これからって……シズナ達出動するんスか?」

 

イズナ「はい、青戸付近にマキナの反応があったんです」

 

辰也(青戸……? そういや青戸って言ったら……!)

 

シズナ「んで、どっかのアホが森次さん達のマキナをボロボロにしたさかい、ウチらだけで回収に向かうワケや!」

 

ため息をつきつつ、浩一の方をチラチラと見る。

 

浩一「……」

 

森次「そうか……だが青戸は日本有数の工業地帯……用心しつつ、周辺に被害を与えないようにしろよ」

 

シズナ「心配あらへんよ、森次さんっ」

 

ちっち……と指を振り言う。

 

シズナ「ウチらの『ディスィーブ』なら、安全かつ迅速に一網打尽や!!! ソレに、戦いは常に美しくスマートやないと……」

 

何だコイツ……

 

オホホ……と高笑いし浩一を見下すシズナ。当の浩一はイラつきながらも困惑している。

 

石神「よ~しよし、無事顔合わせも済んだコトだし、早瀬クン……キミ、今日のところはもう帰りなさい。緒川クン、送ってあげて」

 

浩一「いいですよ、1人で帰れますから」

 

石神「そう……じゃあ、良い返事期待してるよ」

 

浩一「……約束なんて、してませんから」

 

1人静かに去っていく浩一。

 

辰也(あいつ……)

 

石神「あと……由木クンとアレンビー君の機体は何とか直せそうだから、その後にシズナ達と出動してね」

 

由木「了解です」

 

アレンビー「分かったよ!」

 

 

 

第四話 疾走する正義と嵐の勇者(ヒーロー)

 

 

 

~青戸~

シズナ「反応からして、随分と陸に近いトコにおるんやなァ」

 

アレンビー「今まで見つからなかったのが奇跡ね」

 

ディスィーブとノーベルガンダム、ウィングルで青戸に面している海を捜索している。

 

イズナ「……あ、姉さん! 反応が近くなってきたよ」

 

シズナ「よっしゃ、この辺やな……」

 

反応のする場所へディスィーブが近づいた瞬間───

 

 

 

 

 

ズズ……と水面に影が写る。

 

由木「! 危ない!」

 

シズナ「!?」

 

ビュオ、と空気を裂いて、槍が飛び出した……のを、間一髪で避けるディスィーブ。

 

シズナ「危なかった……」

 

由木「油断するのはまだ早いわ!」

 

???1「その通りですよ」

 

上空から、そして海面から、2体のアルマ……ヤオロヨズとイダテンが出現する。

 

アレンビー「こいつら……昨日会ったのに似てるわ!」

 

イズナ「姉さん、こいつらマキナじゃなくて……!」

 

由木「こいつらはアルマ……じゃあ……!」

 

シズナ「ウチらを誘き出すワナってコトやん!?」

 

陸「ええ……僕は加藤機関八番隊隊長、王政陸です」

 

沢渡「そしてオレは加藤機関四番隊隊長、沢渡拓郎!」

 

加藤機関の2人は自ら名乗る。

 

アレンビー「やっぱり加藤機関だ!」

 

イズナ「どうしよう、姉さん……」

 

シズナ「心配せんでええよイズナ……相手はたかが2機……こっちは3機もおるんやで」

 

よほど自信があるのだろう、加藤機関の隊長2人に対して大口を叩くシズナ。

 

沢渡「ククク……何が2機だってェ!?」

 

シズナ「!?」

 

その瞬間、水面から大量のアルマが飛び出した。

 

由木「なっ……昨日よりも数が……!」

 

沢渡「作戦目標───お前達をブッ殺す!!」

 

シズナ「……ブッ殺すやと? 上等や!!!」

 

睨み返すシズナ。

 

シズナ「アンタらこそ、体中バラバラにしたるわ!!!」

 

陸「キヒヒ……いいんですかぁ?」

 

イズナ「え……」

 

陸「実はですねェ……青戸の町全てに爆弾を仕掛けたんですよ……僕たちを傷つけた瞬間、ドカン! です」

 

由木「なっ……!」

 

沢渡「ちなみに、そこらにいるアルマはブッ壊してもいいぜ! あくまでも俺と陸に攻撃を当てんな、ってこった!」

 

アレンビー「……汚いよ、お前たち!」

 

陸「キヒヒ……これも想像出来なかったアナタたちの愚かさにあるんですよ! さあ、早くかかって来て下さい!」

 

シズナ「くっ……」

 

由木「仕方ない…みんなは周りのアルマを攻撃して! あの2人は後回しよ!」

 

歯噛みしながらも、4人は敵へと顔を向けた。

 

~戦闘開始~

シズナ(初戦闘時)

シズナ「イズナ……この状況でどれだけやれるか分からへんケド、あいつらめっちゃムカつくさかい……エライえげつない内容の打ち込んだってやぁ!」

 

イズナ「うん……いいよ、姉さん!」

 

 

シズナ(対陸)

陸「悔しいですよねェ……目の前に敵がいるのに攻撃出来ないなんて! まあ、これもアナタ達の想像力の無さが原因ですよ……キヒヒ……!」

 

シズナ「こいつ……後で覚えときや!」

 

 

シズナ(対沢渡)

沢渡「ホラホラどうした!? かかって来いよォ!」

 

シズナ「くそっ……人質さえいなきゃやれるのに……」

 

イズナ「反撃のチャンスは回ってくるハズ! 今は耐えよう、姉さん!」

 

 

由木(初戦闘時)

由木「今回は雷張はいないわね……もし彼がいたら、この状況をどう思うかしら……」

由木「でも、今はこっちに集中する!」

 

 

由木(対陸)

陸「キヒヒ……こうなったのもアナタ達の想像力が足りなかったからですよォ!」

 

由木「他人の痛みも分からない人間が、想像を語るな!」

 

 

由木(対沢渡)

沢渡「てめえのコトはジョーから聞いたぜ! 変な正義感を持ったクソ真面目な野郎だってなァ!」

 

由木「そう……それじゃ彼にも伝えてあげなさい……あなたのやっている事は、そこらの犯罪者と変わらないって事をね!」

 

 

アレンビー(初戦闘時)

アレンビー「ドモンとレインは2人の時間を過ごしてる……あの2人に心配かけないためにも、私達が!」

 

 

アレンビー(対陸)

陸「ガンダムファイター! キヒヒ……ガンダムには昔世話になったんですよ!」

 

アレンビー「そう……どうりでガンダムに乗ってそうだと思ったわ!」

アレンビー「倒せないのはシャクだけど、待ってなさいよ!」

 

 

アレンビー(対沢渡)

沢渡「ガンダムファイター……さぞかし骨のある相手だろうが、こうなっちまえば形なしだなァ!」

 

アレンビー「卑怯な手を使ってくれたわね……でも、アタシを怒らせた事、後で後悔させてやるわ!」

 

 

~~~

シズナ「喰らいや!! ナーブクラック!!!」

 

ディスィーブから発射された触手のようなそれは、アルマの体を貫いた。

 

加藤機関兵1「なんだ? コレは……」

 

イズナ(……引き裂かれる腕)

 

裂け目から無理矢理裂いたかのように、腕が引き裂かれる。

 

加藤機関兵1「!?」

 

イズナ(切り開かれる腹部)

 

ナイフで切ったかのように、腹部が切り開かれる。

 

加藤機関兵2「うわ……」

 

イズナ(溢れ出る血液……)

 

傷口から、これでもかという程に血が流れていく。

 

うわあああああ!!

 

ぎゃあぁああぁぁ!

 

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!

 

痛ェエええええ!!

 

加藤機関の兵士達は、これ以上ないほどの痛みに悶絶している。しかし、目立った外傷は見られない。

 

沢渡「なるほどな……どういう仕掛けか知らんが、幻覚で戦闘不能にさせるってワケか」

 

シズナ「機体の伝達神経にクラックし、捏造した嘘情報を直接パイロットに伝えてまう……つまり、機体から降りひん限り逃げられへんってコトや!」

 

陸「ヘェ……しかし、アナタ方は我々に危害を加えられないワケだ! だったら、どうというコトはありませんよ!」

 

沢渡「そういうワケだ! んじゃ行くぜ!!」

 

2機のアルマが攻撃を仕掛ける。

 

シズナ「イズナ!!」

 

イズナ「っ!」

 

それを、ナーブクラックで紡いだ巨大な腕で防いだ。

 

シズナ「ナーブクラックにはこういう使い方もあんねや!! 対処法もバッチリやろ!?」

 

沢渡「ほう……大したもんだ……でもなァ」

 

シズナ「!!!」

 

一瞬の内に、ディスィーブはアルマに囲まれてしまう。

 

沢渡「多勢に無勢の対処法はまだまだだな」

 

アルマ達は、ディスィーブに向かって銃を撃つ。

 

シズナ「ぐうッ!」

 

アレンビー「イズナ! シズナ!」

 

陸「おっとォ! 君たちの相手は僕ですよォ~ッ!!」

 

由木「くっ……!」

 

絶体絶命。泥沼の状況で、彼らはただもがくしかなかった。

 

~JUDA社長室~

辰也「おい……こいつはヤベえぞ!!」

 

その状況を、リアルタイムで見ていた辰也達。

 

森次「しかし、今の我々にはまだ何も出来ない」

 

山下「ハインドやヴァーダント、イールソウルとかの修理はもう少し……ケド、待ってる間にも……」

 

辰也「くそっ……」

 

目の前で困ってる奴らがいるのに……何も出来ねえのかよ……!!

 

ジゼラ「辰也さん……」

 

拳を握りしめ震える辰也を、ジゼラは心配そうに見る事しかできなかった。

 

石神「……仕方がない、正義の味方さんに頼んでみますか」

 

受話器をとろうとする石神。その前に、辰也が声をあげる。

 

辰也「じゃあ、俺があいつの所に行ってきます!」

 

石神「おいおい、場所も分からないのにどうするつもりだい?」

 

辰也「それは……まあ、町中探してみれば何とか見つかるかもって事で……!」

 

石神「ふむ……分かったよ。じゃ、彼はキミに任せた」

 

辰也「ありがとうございます!」

 

勢いよく社長室を出て行く辰也。

 

石神「さて、後は修理の完了と浩一クン次第だケド……もしダメだったら城崎クン、頼んだよ」

 

城崎「……」

 

石神(まあそう不安になるコトはない……)

 

何てったって、青戸には「勇者」がいるからねェ……

 

~~~

ドモン「何か嫌な予感がするな……」

 

JUDA周辺の町を、ドモンとレインの2人が散策していた……が、謎の悪寒を感じ取ったのか、ドモンはそう呟く。

 

レイン「ドモン?」

 

ドモン「とりあえずJUDAの方に戻るとしよう。面倒に付き合わせて悪いな、レイン」

 

レイン「気にする事じゃないわ、それじゃあ行きましょう」

 

ドモンとレインはJUDAへ急ぐ。

 

浩一「うおッ!!」

 

だが、角を曲がった先で浩一にぶつかってしまう。

 

ドモン「おっと! すまない、急いでいたものでな……」

 

レイン「あら、この子……」

 

浩一「アンタら……昨日の……!」

 

その時、辰也が近づいてきた。

 

辰也「あ、浩一! ……に、ドモンさんとレインさんも!」

 

ドモン「む? 辰也じゃないか」

 

浩一「! 辰也だって!?」

 

辰也「今、JUDAが大変なんですよ!」

 

ドモン「やはりか……一体どういう事だ?」

 

ドモンが辰也に問いかける。

 

辰也「実は……」

 

そうして辰也は、現在の状況を話し始めた。

青戸での任務でシズナ達が加藤機関と戦闘している事、しかし敵の卑劣な作戦と多勢に無勢の状態で一方的にやられている事、そして今、助けが必要な事を。

 

ドモン「状況は理解した。俺達も急がなくてはな」

 

辰也「はい! ……お前も来いよ、浩一!」

 

浩一「な、何でオレが……」

 

辰也「何でって……そりゃあお前がファクターで、ラインバレルに乗れるからだろうが!」

 

浩一「そんなの……オレじゃなくてもいいだろ! そっちにはオレより強い奴とか、ドモン・カッシュだっているじゃねェか!」

 

ドモン「……」

 

浩一「だから……」

 

ドモン「早瀬浩一、お前はそれでいいのか?」

 

浩一「え……」

 

慟哭する浩一とは対照的に、ドモンは静かに語りかける。

 

ドモン「お前は自らの無力さを痛感し、その上友を失った……辛い現実に、目を瞑りたくもなるだろう」

ドモン「だが……このままだとお前は、友の思いを踏みにじり、自分のできる事から逃げた臆病者になるぞ。それがお前の望みなのか? お前の友も、それを望んでいたのか?」

 

浩一「……ッ! アンタに何が分かるんだよ! ガンダムファイトも優勝して、おまけに世界を救ったアンタに、矢島の復讐も何も出来なかった……オレの気持ちが分かるのかよ……!」

 

ドモン「……分かるさ。俺もかつては、何もできなかった無力な人間だからな」

 

言いながらドモンは、浩一に真っ直ぐな目を向ける。

 

浩一「……!」

 

その目を、浩一は逸らせずにいた。

 

ドモン「さあ、どうする早瀬浩一! お前が本当に望む物は何だ! お前は一体、何になりたいんだ!」

 

浩一「オレは……」

 

そうだ……オレはなるんだよ……! オレは……!

 

浩一「……正義の味方に、なるんだァァァーッ!!」

 

そう叫ぶと、浩一は上空を見上げる。そして、またも咆哮した。

 

浩一「来いっっ! ラインバレル!!!」

 

正義の味方の叫びに応えるように、天から光が落ちる。

目の前には、鉄の巨人が立っていた。

 

ドモン「俺達も行くぞ!」

 

レイン「ええ!」

 

そう言うと、ドモンは指を鳴らした。パチンと弾かれた音が、静かに響く。そして……

 

ドモン「出ろおぉぉぉーっ!!」

 

レイン「ガンダアァァァームッ!!」

 

2人が叫ぶと、地面からいつ用意したのか分からない2機のガンダムが出現する。

 

JUDAの人達が仕込んだのか? てか、いくら何でもこれはトンデモ過ぎじゃあ……

 

辰也「……って、俺は?」

 

戸惑う辰也の前に、空からイールソウルが現れた。

 

ジゼラ「辰也さん! 早く乗ってください!」

 

辰也「ジゼラ!?」

 

ジゼラ「技術開発部の人がイールソウルを複座式にしてくれたんです! 私がアシストを担当するので、辰也さんにはメインをお願いします!」

 

辰也「ああ! もちろんだ! にしてもよ……」

 

絶好のタイミングだぜ!!

 

~~~

イズナ「うあっっ!」

 

シズナ「くっ……」

 

アルマの猛攻を喰らい、あわや戦闘不能になるディスィーブ。

 

アレンビー「助けに行きたい……けど……!」

 

陸「キヒヒ……どうしましたかァ!?」

 

由木「こんな奴に……負けるなんて……!」

 

アレンビーと由木の前には、下卑た笑みを浮かべる王政陸。

 

イズナ「ダメだ姉さん! これじゃ動けないよ!!」

 

シズナ「クソッ……ウチらはプロなんや……それがこないなトコで……!」

 

沢渡「よく分かんねェなァ、プロって何のプロだよ?」

 

シズナ「お前らみたいなマキナ使ってしょうもないコトするヤツを……ぶっ潰すプロや!!」

 

???「プロ……」

 

沢渡「ほう……なるほどなァ」

 

そう言うと、近くの工場に槍を向けた。

 

シズナ「!!? なっっ……何してんねや!! お前らの目的はウチらやろ!!?」

 

みしり……と槍が食い込む。

 

イズナ「卑怯ですよ!! こっちが動けない状態なのに……」

 

沢渡「どうした?オレをぶっ潰すんじゃなかったのか? 早くしないと、この工場の奴ら全員死んじまうぞ」

 

シズナ「やめろ……頼むさかい……やめて……」

 

シズナが声を絞り出す。涙が、彼女の目から溢れ落ちそうになる。

 

沢渡「残念だが……それは聞けねえなァ!!」

 

そんな懇願もどこ吹く風、勢いよく槍を突き刺そうとした───

 

 

 

 

 

???「そうはさせないッ!!」

 

 

 

 

 

───その瞬間、どこからともなく拳が飛び、イダテンに命中する。

 

沢渡「ぬおッ!?」

 

そのまま海の上に倒れた。

 

シズナ「何や……一体……」

 

???「プロ……か、気に入ったぞ!」

 

沢渡「クソッ……誰だてめえは!!?」

 

由木(あれは……!!)

 

鉄也「悪党に名乗る名前はねえが教えてやる……偉大な勇者グレートマジンガーと、剣鉄也だ!」

 

イズナ「グレート……マジンガー……!?」

 

アレンビー「10年前のミケーネとの戦いで活躍した、あの……」

 

そびえ立つのは偉大な勇者、グレートマジンガー。かつて地球支配を試みたミケーネ帝国を打ち倒した英雄である。

 

鉄也「それにしても、随分と派手にやってくれたじゃねえか!」

 

由木「剣大佐……! 剣大佐ですね!!」

 

鉄也「ああ、久しぶりだな由木中……いや、今は大尉だったな! あの問題児共の分、よくやってるじゃねえか!」

 

由木「ありがとうございます!」

 

突然の再会に驚きつつも喜ぶ由木。イズナとアレンビーはグレートに羨望の眼差しを向けている。

 

沢渡「おい……オレ達を差し置いて……ベラベラと喋ってんじゃねぇよ……!!」

 

由木「! そういえば……!」

 

陸「そう! 沢渡さんに攻撃してしまいましたねェ! キヒヒ……もうこの町は終わりですよ!!」

 

シズナ「あ……ああ……」

 

鉄也「……」

 

一同は顔に絶望を浮かべる……しかし、ただ1人、剣鉄也だけは動じていない。

 

沢渡「……おい陸、何も起きてねえぞ」

 

陸「あれ……おかしいですねェ……」

 

陸は起爆スイッチを押したはずだった。しかし、何も起こらない。何度押しても、それは変わらなかった。

 

鉄也「全く……日本最古の組織が聞いて呆れるな」

 

陸「何ですってェ!?」

 

鉄也「想像力が足りねえぞ、加藤機関! お前らが戦ってる間に、爆弾なんてとっくに解除されてるさ……なぁ、舞人!」

 

そう言うと、先ほどの工場から3体のロボットと1機の戦闘機が現れた。

 

舞人「もちろんですよ、鉄也さん!!」

 

ガードダイバー「あなた方の爆弾なら、旋風寺コンツェルンの皆さんが総出で解除しました!!」

 

バトルボンバー「てめえらの下らない悪事もここまでだぜ、加藤機関!!」

 

緑色のロボット……バトルボンバーと赤色のロボット……ガードダイバー、そして青色のロボット……ガインと舞人の乗る戦闘機……マイトウイングが、加藤機関のアルマの方へ顔を向けた。

 

陸「チイッ……しかし雑魚が増えた所でェ!!」

 

ガイン「残念だが、こちらにはまだ切り札がある!!」

 

工場からさらに1機の列車が出現した。

 

沢渡「何だよ……ありゃ……!」

 

舞人「ロコモライザー、準備よし!」

 

ガイン「行くぞ舞人!」

 

舞人「ああ! レェェェーッツ! マァァーイトォォーガイィィィーン!!」

 

舞人が叫ぶと、ガイン、マイトウイング、ロコモライザーが宙を舞い、合体した。

 

マイトガイン「銀の翼に望みを乗せて! 灯せ平和の青信号!!」

 

舞人「勇者特急マイトガイン! 定刻通りにただ今到着!!」

 

合体を終え、ビシッとポーズを決める。

 

アレンビー「何あれ……カッコいい!!」

 

イズナ「うん!」

 

マイトガインの勇姿に見とれる2人。

 

陸「余計な邪魔が入りましたねェ……!」

 

沢渡「その見かけ倒しをブッ壊してやるぜ!」

 

舞人「やってみろ! 出来るものならな!」

 

マイトガイン「私と舞人、そして勇者特急隊が合わされば、お前たちのような悪党など一網打尽だ!!」

 

如何にも正義の味方らしい名乗り口上である。

 

???1「そして、オレ達もいれば!」

 

???2「てめえら全員、スクラップだぜ!!」

 

シズナ「な、何や!?」

 

上空から声が響く。声の主はヤオロヨズとイダテンを斬りつけながら地面へと降り立った。

 

陸「ヒイッ!?」

 

沢渡「ぐっ……はは……」

 

やっぱり来たなァ……二本角ォ!!

 

白き鉄の巨人、ラインバレルと、太陽の如き機械兵器、イールソウルが降り立つ。

 

ドモン「何とか間に合ったようだな……!」

 

遅れてゴッドガンダム、シャイニングガンダム、ヴァーダント、ハインド・カインドが現れた。

 

山下「ええ……修理が間に合って良かったっスよ!」

 

イズナ「早瀬さん! 皆さんも来てくれたんですね!」

 

辰也「おう! にしても何か増えて……って、ありゃグレートマジンガーじゃねえか! それに……やっぱりだけど、勇者特急隊までいるぞ!!」

 

ジゼラ「知ってるんですか?」

 

辰也「ああ! グレートマジンガーはかつてミケーネの魔の手から地球を救った偉大な勇者だぜ!!」

辰也「それに勇者特急隊は、この町を代表する、日本を守る正義のロボット軍団!! その顔役があのマイトガインだ!!」

 

ジゼラ「そ、そうなの……」

 

ジゼラが引くほど、辰也は興奮している。

 

鉄也「フッ……そう褒めても何も出ないぞ」

 

由木「そう言って……本当は嬉しいんじゃないですか?」

 

ガードダイバー「すっかり有名人ですね、私達は」

 

バトルボンバー「ああ! にしても舞人とガインには嫉妬しちまうぜ!」

 

マイトガイン「おいよせ、照れるじゃないか」

 

舞人「フッ……そうだな、ガイン」

 

浩一「……って、んなコト言ってる場合じゃないだろ!! お前ら、無事か!?」

 

シズナ「森次さん達はともかく……早瀬!!何しに来たんやこのヘタレが!! また敵討ちにこだわって、ウチらの邪魔しに来たんか!?」

 

浩一「そうじゃない!!!」

 

シズナ「え……」

 

責め句を浴びせるシズナに、声を荒げる浩一。

 

浩一「ドモンさんに説得されて決めたんだよ……オレはもう、逃げないようにしようって……その一歩を踏み出すためにオレは、お前達を助けなきゃって思ったんだ……だから……」

浩一「だからお前達も答えろ!!! お前達は、オレにどうして欲しい!?」

 

シズナ「はんっ! 要はアンタの成長のために、ウチらに踏み台になれってコトか!」

 

イズナ「ね、姉さん!」

 

浩一「……」

 

強い口調……の中から、抑えきれない涙声が漏れる。

 

シズナ「……あいつ……関係無い人まで殺そうとしたんや……それに、このままじゃウチらも……」

 

イズナ「姉さん……」

 

シズナ「……だから……頼む、早瀬……あいつらをやっつけて、ウチらを助けてくれ……」

 

シズナの頼みに応えるように、ラインバレルの眼が光る。

 

浩一「改めてハッキリした……オレがどうしたいのか、何をすべきなのか……」

 

ラインバレルが刀を抜き、構える。

 

浩一「オレはお前達を助けるため、連中を叩き潰す! 後はオレに任せろ!!」

 

辰也「おっと、俺もいる事を忘れんなよ!!」

 

イールソウルも同じように、大剣を構えた。

 

沢渡「チッ……ガキ共が調子に乗るんじゃねェ!!」

 

浩一「上等だ、かかって来い!!」

 

辰也「覚悟しやがれ、チンピラ共!!」

 

2機の巨人が、悪党へと足を向けた。

 

~戦闘開始~

辰也(初戦闘時)

辰也「あのグレートマジンガーと勇者特急隊と肩を並べて戦える日が来るなんて……」

 

ジゼラ「そんなに嬉しいんですね」

 

辰也「おうよ! そしてジゼラ、お前に言いたい事がある」

 

ジゼラ「何でしょうか?」

 

辰也「一緒に戦ってくれるのはありがてえけど、無理はすんじゃねえぞ」

 

ジゼラ「! は、はい! というか、辰也さんこそ……」

 

辰也「そんな事分かってるぜ! まあ何にせよ、お前と一緒なら大丈夫だ!」

 

 

浩一(初戦闘時)

浩一(まさか、グレートマジンガーがいるなんてな……それに、あのマイトガインってのも聞いたコトがある……)

浩一(オレとは違う……本物の正義の味方……いやいや、何考えてんだよ! その正義の味方になる為に、オレはラインバレルに乗ったんだ!!)

浩一「よし……かかって来いよ、悪党共! 今のオレは、誰にも負ける気がしない!!」

 

 

JUDA組(初戦闘時)

森次「大丈夫か、イズナ、シズナ」

 

イズナ「は、はい! 大丈夫です!!」

 

シズナ「森次さんがいれば、あいつらなんてもう敵じゃないわ! さっきの借り、何倍にもして返してやるで!!」

 

山下「ボクもいるケドね……」

 

森次「3人共、くれぐれも油断はするな……では、行くぞ!!」

 

シズナ「了解や!!」

 

 

ガンダムファイター(初戦闘時)

アレンビー「来てくれたんだね、ドモン、レイン! でも、せっかくの2人の時間が……」

 

ドモン「苦しんでいるお前を放っておく事は出来ないさ。しかし大丈夫か? 機体の損傷も激しい、下がっていても構わんが……」

 

アレンビー「これくらいへっちゃらだよ! 2人も、気をつけて戦って!」

 

レイン「ええ、分かったわ」

 

ドモン「ならば、行くぞ!!」

 

 

WSO(初戦闘時)

由木「まさか大佐が来て下さるなんて……」

 

鉄也「たまたま青戸に用があってな……しかし、お前がいるとは予想外だったぜ!」

 

由木「こちらもJUDAでの任務中だったので……」

 

鉄也「どうやら任務の方は順調みたいだな……やれるか?」

 

由木「私を見くびらないで下さいよ、剣大佐!」

 

鉄也「フッ、言うまでもないか……んじゃあ行くぞ! スクランブル・ダァッシュ!!」

 

 

勇者特急隊(初戦闘時)

舞人「この町の平和を乱す奴は、俺と勇者特急隊が許さない!」

 

マイトガイン「ああ、そうだな舞人!」

 

バトルボンバー「俺達の力、見せつけてやろうぜ!」

 

ガードダイバー「町の平和は私達が守る!」

 

舞人「ありがとう皆……では行くぞ! 勇者特急隊、出動!!」

 

マイトガイン「おう!!」

 

 

~~~

鉄也「サンダァァァー……ブレェェェークッッ!!!!」

 

マイトガイン「シグナルビィィームッッ!!!!」

 

加藤機関兵1「ぐわぁぁぁーっ!!」

 

加藤機関兵2「俺も……想像力が足りなかったのか……!」

 

辰也達に加え、グレートマジンガーとマイトガインの攻撃によって加藤機関のアルマは全滅した。

 

浩一「す、すげェ……!」

 

辰也「流石はグレートマジンガーとマイトガインだ!!」

 

陸「ヒィィ……どうするのです、沢渡さん!」

 

沢渡「慌てんじゃねぇぞ陸! ……てめェらなんざ、俺達2人だけでも十分だ!!」

 

イダテンとヤオヨロズが構える。同時に、イールソウルとラインバレルも2機を見据える。

 

浩一「グレートマジンガーとマイトガインだけじゃねぇ! オレたちもいるコト、忘れんなよ!!」

 

辰也「って訳で……鉄クズにしてやるぜ、アルマ共!!」

 

~戦闘再開~

辰也(対陸)

辰也「……思ったんだけどさ、さっきから想像がどうのって言ってるお前が一番想像力ねえんじゃねえか?」

 

陸「へェ……僕をバカにするつもりですか?」

 

辰也「いや、馬鹿にはしてねぇけど……」

 

ジゼラ「辰也さん! こういうのははっきり言いましょう! ええっと……王政陸! あなたは自己中心的な人間です! おまけに町の人を人質に取るなんて……!」

ジゼラ「あなたみたいな人を『最低』って言うんです! 城崎さんが言ってました!」

 

辰也「いやあのジゼラ……それ言い過ぎじゃ……」

 

陸「……よくも……よくも僕をバカにしたなァァァ!!! キヒヒ……許しませんよ!! そうだ、あなたの機体を粉々にしてやりましょう! 電子レンジに入れたダイナマイトのようにねェ!!!」

 

辰也「例えが訳分かんねえよ……ああもう、こうなりゃやってやるぞ! 覚悟しろよデブ野郎!!」

 

 

辰也(対沢渡)

沢渡「戦場に女連れて来るたぁなかなかやるじゃねェか! 見せつけてんのか、このスカし野郎が!!」

 

ジゼラ「な、何言ってるのこの人……」

 

辰也「きっと嫉妬してんだろ……じゃなくて! 俺とジゼラはそんなんじゃねえ!! 一緒に戦う仲間だ!!」

 

ジゼラ「そ、そうです! 馬鹿も休み休み言って下さい!!」

 

沢渡「ヘッ、何でもイイけどよォ……俺はてめェみてえなガキが嫌いなんだ!! ブッ殺してやるぜェ!!」

 

辰也「上等だ! 来やがれドチンピラ!!」

 

 

浩一(対陸)

浩一「どうした? 焦ってるみたいだなァ……まさかこういう展開になるなんて想像してなかったってさ」

 

陸「何……ですってェ!!?」

 

浩一「ハッ、何だよ! お前も十分、想像力が足りないじゃないか!!」

 

陸「うるさい! うるさい! う゛る゛ざい゛!! ゴミが! カスが! クソが! クズがぁ!!! 僕の想像力が足りないだとォオォオ!!?」

 

浩一「その通りだ! オレ達が来るなんて想像してなかったクセになァ!!」

 

陸「調子に乗るなぁあぁああーッ!!!」

 

浩一「そうやって暴れてる今がチャンスだ!! 行くぞ、ラインバレル!!」

 

 

浩一(対沢渡)

沢渡「昨日まで素人だったガキが努力もしねェで力を手に入れそれを行使できるたァ、つくづくムカツク存在だぜ……ファクターって奴はよォ!!!」

 

浩一「言いたいコトはそれだけかよ、加藤機関の悪党!!」

 

沢渡「ほざきやがれ! だったら遠慮なくブッ殺してやる!! 気張んなよ、ガキが!!」

 

浩一「ああ、かかって来いよ! 今のオレは誰にも負ける気がしない!!」

 

 

JUDA組(対陸)

森次「さんざん私の部下をいたぶってくれたな……今からその礼をしてやろう」

 

陸「ヒィィ……ひ、卑怯ですよ! 大勢で僕をよってたかってイジメるだなんて……」

 

シズナ「町の人達を人質にしたヤツが何言ってんのや!!」

 

イズナ「想像想像って言ってたケド、想像力がないのはあなたの方でしたね!!」

 

山下「とにかく、お前みたいなゲス野郎はボコボコにしてやるっスよ!!」

 

陸「キ……キヒヒ……ヒ……!!」

 

森次「反論の余地はないみたいだな……だが我々は話をしに来た訳ではない……」

森次「お前を『倒し』に来たんだよ。覚悟はいいか? 我々は出来ている」

 

シズナ「ウン十倍にして返してやるから、覚悟しいや!!」

 

 

JUDA組(対沢渡)

森次「私の部下を痛めつけた礼をしてやる……覚悟はいいな?」

 

沢渡「ヘッ……1人じゃ勝ち目がねェからって、仲間を呼びやがったか!!」

 

シズナ「んなワケあるかぁ!! 森次さん達がいなくても、ウチらだけで十分や!!」

 

イズナ「それはどうかと思うケド……それより、町を盾に僕達を痛めつけた人が言えるコトですか!?」

 

沢渡「クッ……!!」

 

山下「痛い所を突かれたみたいッスね……」

 

シズナ「そんじゃ、さっきの恨みを返してやるで!!」

 

 

ガンダムファイター(対陸)

ドモン「よくもやってくれたな……加藤機関ッ!!」

 

陸「が……ガンダムがこんなにも!! ヒィィ……やめて下さい!!」

 

アレンビー「町の人達と私達を苦しめておいて、虫が良すぎるわ!!」

 

レイン「そんな人にやめろと言われても、私達がやめると思う?」

 

陸「う……うわあ゛ぁあ゛ぁ゛ああぁぁ!!」

 

ドモン「さて……覚悟は出来たか!! 俺達は……お前を倒すッ!!!」

 

アレンビー「さっきの恨み……何倍にでもして返してやるから!!」

 

 

ガンダムファイター(対沢渡)

沢渡「来やがったぜェ……骨のある相手がよォ!!」

 

ドモン「お前と遊んでいる暇はない!! とっとと片付けるだけだ!!!」

 

レイン「アレンビーが受けた痛み……自分の体で味わいなさい!!」

 

アレンビー「さっきの恨みは恐ろしいよ!! 覚悟しな!!」

 

沢渡「へッ……口だけじゃなんとでも言えるぜ!! 御託はいいからかかって来やがれ!!」

 

ドモン「その意気や良し……ならば、覚悟してもらおうッ!!」

 

 

WSO(対陸)

陸「キヒィ……いくらグレートマジンガーと言えど、このヤオヨロズを倒すのは不可能に近いですよ!!」

 

鉄也「グレートも俺も舐められたものだな……お前ごときにやられる俺達じゃないぜ!」

 

由木「私も忘れてもらっちゃ困るわね!」

 

陸「そんなコトはどうだってイイんだよォ!! こうなったらまとめて破壊してやるぅう゛う゛ぅうぅ!!」

 

由木「まるで駄々をこねる子供みたいね……こんなのに苦戦してたなんて、恥ずかしいわ……」

 

鉄也「デスカプリーズの2人の方がまだ大人だぜ……それに、苦戦した事は取り返せばいいさ! それじゃあ行くぞ!!」

 

 

WSO(対沢渡)

沢渡「あのグレートマジンガーと戦えるなんてなァ……楽しみでしょうがねェ!!」

 

鉄也「そうか……だが俺達は、お前達と遊んでいる暇などない」

 

由木「さっきの事……絶対に許せないわ……! そこでガタガタ震えて待ってろ、外道!!」

 

沢渡「手も足も出なかった女がデカい口叩きやがって……! 上等だ!! ブッ殺してやるぜェ!!」

 

由木「ええ……かかってこい、加藤機関!!」

 

鉄也「俺もサポートしてやる……思い切りやるぞ!!」

 

 

勇者特急隊(対陸)

バトルボンバー「いくら装甲を纏っていても、その程度だったら俺がブチ抜いてやるぜ!!」

 

陸「想像力が足りないんじゃあありませんか!? あなた程度の火力で、このヤオヨロズの装甲が貫けるとでも……」

 

ガードダイバー「想像力のない方にそんな事を言われても説得力がありませんね!」

 

マイトガイン「勇者特急隊を舐めるなよ! お前ごとき小悪党なんてのは、今まで何回も相手して来たさ!!」

 

舞人「その通り! それに、仮にお前が強くとも、この町を脅かす奴は絶対に倒す!!」

 

陸「キヒイ……ポンコツ電車共が生意気なんだよォ!! こうなったら……全員スクラップにしてやる!!!」

 

舞人「……お前は言ってはいけない事を言ったな! 勇者特急隊を……俺の仲間を馬鹿にする事は絶対に許さない!! 行くぞガイン!!」

 

マイトガイン「ああ!! 覚悟しろ、小悪党!!」

 

 

勇者特急隊(対沢渡)

沢渡「勇者特急隊ってのは、ガキが率いてやがんのか……」

 

舞人「その通りだ! だが、俺を子供だと思って舐めるなよ!!」

 

マイトガイン「舞人は正義の心でこの町を守っている!! お前如き悪党など、我々で一捻りだ!!」

 

バトルボンバー「その薄っぺらな装甲をブチ抜いてやる!!」

 

ガードダイバー「覚悟しなさい、加藤機関!!」

 

沢渡「ヘッ、わらわらとうるせェ奴らだ!! てめェら全員スクラップにしてやるぜェ!!!」

 

舞人「悪党に出来るものか!! 行くぞガイン!!」

 

 

~~~

バトルボンバー「ボンバァァァーガントレット!!」

 

バトルボンバーの必殺技、ボンバーガントレットでヤオヨロズの装甲を貫く。

 

舞人「でかしたぞ、バトルボンバー!!」

 

陸「キヒヒ……ですが、この程度では……」

 

シズナ「逃がさんでぇ!! ナーブクラック!!!」

 

ナーブクラックでヤオヨロズを捕らえた。

 

陸「こんなモノでェ……!!」

 

シズナ「えげつないのブチ込んでも構わないけどなァ……今回はそういう使い方やないんや!!」

 

イズナ「巻き取れ、ディスィーブ!!」

 

陸「なあッ!?」

 

ディスィーブがナーブクラックを巻き取り、ヤオヨロズを近づける。

 

マイトガイン「今がチャンスだ!! 動輪剣を使うぞ、舞人!!」

 

舞人「ああ! 動輪けぇぇぇぇん!!!」

 

マイトガインから動輪剣が飛び出す。

 

陸「ヒイイ……」

 

マイトガイン「はぁぁぁぁぁっっ……!!」

 

舞人「縦! 一文字斬りぃぃぃぃぃっ!!!」

 

陸「うわぁあぁああぁぁぁっっっ!!!!」

 

真っ直ぐな斬撃で、真っ二つにされたヤオヨロズ。

 

陸「ひ……ヒイイ……撤退です!!!」

 

脱出ハッチを開き、陸は撤退した。

 

沢渡「陸!!」

 

浩一「おっと、お前の相手はオレだ!!」

 

ラインバレルの刀で、陸の撤退に気を取られたイダテンに傷を付ける。

 

沢渡「くっ!! ……へッ、この程度かよ!!」

 

イダテンに反撃されるも、間一髪で避けるラインバレル。

 

浩一「遅いんだよ、アンタの攻撃は!!」

 

そのまま攻撃を続けるラインバレル。沢渡はその中で、ある違和感を感じていた。

 

……コイツ……さっきからデカくなってねェか……!?

 

彼の感覚では、ラインバレルのサイズが最初より大きくなっていた。

 

沢渡「いや……そんなコトあるワケ……」

 

呟いている最中、ラインバレルに殴られる。

 

沢渡「!!!」

 

ゾクッ、と彼の背中に悪寒が走る。

 

沢渡「……なんなんだ……コイツは!!?」

 

彼の目の前にいたラインバレル……それを形容するとしたら───

 

 

 

 

 

───紛れもなく、鬼だった。

 

沢渡「こ……ここ……これがヤツの本当の姿なのか……!?」

 

クソッ……震えががががが止まらあ……あ゛あ゛あ゛あ゛……!!!

 

沢渡は怯えている。目の前の化け物に、鬼と化したラインバレルに───

 

沢渡「!」

 

ふと背後を見ると、ディスィーブのナーブクラックが一本背中に刺さっていた。

 

沢渡「クソッ! あのガキ共だなァァアア!!」

 

イズナ「……隙を見てなんとか一本だけ刺せたね……」

 

シズナ「これでアイツはその機体から降りひん限り、ラインバレルの恐怖から逃れられんってワケや」

 

シズナが得意気に説明している。

 

沢渡「はぁっ……はぁっ……こんなモノ……リンクシステムさえ引き抜きゃあ問題ねェ!!!」

 

うおおおおおおお、と雄叫びをあげ、無理矢理リンクを引き抜く沢渡。

解除された事により、コックピット内にサイレンが鳴り響く。

 

そして、幻覚は消え去った。

 

沢渡「こざかしいマネしやがってェ……だが!」

 

加藤『……退け、沢渡。マニュアル操作ではオリジナルのマキナには勝てん』

 

沢渡の元に、加藤から通信が来た。

 

沢渡「ふざけんな!! あんなガキ共、マニュアルでもやれる!! クソが!!!」

 

イダテンが装備している銃を構える。

 

沢渡「オレを……舐めん───」

 

話している間に、ラインバレルが近づく。

 

浩一「お前こそ、オレのラインバレルを……舐めるな!!」

 

───一閃……ラインバレルが振り下ろした刀がイダテンを切り裂いた。

 

沢渡「チッ……チクショオオオオオオオ!!!!!!」

 

真っ二つに裂かれたイダテンから、沢渡も撤退した。

 

浩一「逃げた……ってコトは、勝った……のか?」

 

森次「……まったく、ラインバレルの能力に依存した無茶苦茶な戦い方だ」

 

由木「ですが、全く考え無しの行動でもないでしょうね」

 

毒づく森次に対して、浩一をフォローする由木。

 

森次「……例のビーム兵器を使用しなかったコトですか?」

 

ドモン「それに加えて相手のコックピットを外した戦い方……立派な進歩じゃないか。鍛えれば、ガンダムファイトにも出場する資格は持てるだろう」

 

辰也「あのー……ラインバレルはガンダムじゃないでしょう……」

 

ドモン「まあそれはそうだが……ともかく今は、彼の勝利を喜ぼうじゃないか」

 

シズナ「ウチらもいるケドな……」

 

森次「……では、我々も戻るとしよう」

 

森次の一声で、全員は帰還した。

 

~JUDA社内~

廊下で、浩一と辰也、ジゼラと山下が歩いている。

 

浩一「……なんでこんなモノ着なきゃいけないんだよ?」

 

山下「ウチの会社はスーツ着用が決まりなんだよ。まあ……瀧城とジゼラは協力者ってコトで、別に義務はないんだケド」

 

辰也「浩一が羨ましいぜ、なぁ!」

 

浩一「じゃあオレは入社確定で、ここの仲間ってコトなのかよ……」

 

ジゼラ「でもそのスーツ、早瀬さんにすごく似合ってますよ!」

 

浩一「なんか嫌だなァ……」

 

スーツの堅苦しさと自分の扱いに不満を漏らす浩一。

 

辰也「ったく、素直じゃねえなぁ……緒川さんから聞いたけど、それ特注で何十万もすんだってよ」

 

ジゼラ「それより本当にこのまま帰るんですか? せっかく社長が早瀬さんの初勝利のお祝いするって言ってたのに……」

 

浩一「オレだって受験や何やらで忙しいんだよ」

 

フンッ、とそっぽを向く浩一。辰也は辰也で、流しソーメンでパーティーってのはいいよな~、と脳天気な事を言っている。

 

辰也「……なあ浩一、確かにお前は最初、その手に入れた力を無責任に使っちまって、友達を失った……でも、今のお前は間違いなく大勢の命を守ったんだ」

 

山下「だから早瀬、もうそろそろいいんじゃないの?」

 

浩一「え……?」

 

山下達の方へと振り返る。

 

辰也「友達と向き合って、線香の一本でも上げてこいよ」

 

浩一「……」

 

辰也「……こんな事言うのは失礼だと思うけどよ、墓参り行けるだけでも幸せモンだからな……」

 

山下「瀧城……」

 

しみじみと、辰也は虎之助の事を考える。

 

辰也(俺は、生きてるって信じてるけどよ……)

 

話していると、物陰から声が聞こえてきた。

 

イズナ「姉さん、今さら隠れてどうするんだよ」

 

シズナ「う……うるさいなァ……」

 

2つの影……イズナとシズナが姿を現す。

 

イズナ「ほらっ、姉さんっ」

 

シズナ「ちょっ、ちょっと……って早瀬……」

 

イズナは笑顔を浮かべているが、シズナは困惑気味だ。

 

浩一「なんだァ!? また股間蹴っ飛ばすつもりかよ!!」

 

そうはさせん、と言わんばかりに足で股間をガードする。周囲の人は呆れ気味だ。

 

シズナ「その……今日はありがとう……」

 

そっぽを向きながら、照れくさそうに言う。意外な返答に、あれ? と浩一は思わず口に出してしまった。

 

浩一「あ、ああ……いや、その、なんだ……そ、そういやお前ら本当にそっくりだよなぁ」

 

シズナ「……双子だから当たり前や!」

 

アホか! と声を荒げるシズナ。

 

浩一「だったらシズナは女なんだし、弟と区別するくらいの努力しなきゃ」

 

シズナ「え……」

 

そう言うと浩一は着けていたネクタイピンを取り、シズナ……ではなくイズナの肩に手を乗せた。

 

イズナ「あの……僕、イズナですけど……」

 

困惑するイズナ。その横ではシズナがカクンッ、とすっころんでしまった。

 

シズナ「早瀬ェ!! お前ワザと間違って……」

 

怒っているシズナの髪に、浩一がネクタイピンを着ける。

 

シズナ「え……?」

 

浩一「ほら、これで少しはシズナって判りやすくなっただろ?」

 

山下「カッコつけちゃって~~~、そのネクタイピンも特注なんだよ~~~」

 

ジゼラ「シズナさん、可愛くなりましたね!!」

 

シズナ「よ……よよ……余計なお世話やーーーっっ!!」

 

あまりの恥ずかしさに駆け出すシズナ。

 

イズナ「ね、姉さん!?」

 

山下「パンツ見えちゃうッスよ~~~」

 

……と、浩一達がこのようなやり取りをしている一方で、社長は舞人と話していた。

 

石神「……では、舞人クンも我々に協力してくれる……ってコトかな?」

 

舞人「はい! 勇者特急隊は悪から皆を守るための組織……その加藤機関という奴らが平和を脅かすのならば、我々勇者特急隊の敵です!!」

 

石神「頼もしいねェ……それに、その歳で社長なんだろう? 今をときめく高校生社長……ロートルの僕とは大違いだ」

 

舞人「そんな、石神社長も素晴らしい方じゃないですか。それに俺はただ、父さんと母さんの代わりとしてやっているだけです」

 

緒川「でも、舞人クンが旋風寺コンツェルンの社長になってからは前年に比べて業績が200%といううなぎ登り……決してお飾りの社長ではないと言えるわね」

 

舞人「お褒めにあずかり光栄です」

 

そう言うと、石神に向かって一礼をした。

 

浩一(アレが……本物の正義の味方……いわゆるヒーローってヤツか……)

 

その光景を、感慨深く眺める浩一。

 

イズナ「早瀬さん、どうしました?」

 

浩一「いや、オレもああいう人になりたいなって……」

 

舞人「俺がどうかしたのかい?」

 

舞人の話をしている浩一とイズナ、そこへ当の本人がやって来た。

 

浩一「あ、いや……」

 

イズナ「あのっっ!! 僕、遠藤イズナって言います!! それでこちらは早瀬浩一さんです!! 僕達、どうすれば舞人さんみたいになれるか話してて……」

 

浩一「お、おいイズナ! 急にそんなコト……」

 

舞人「俺みたいに……? はは、簡単な事さ、日頃から正しいと思う事をやればいい……そうじゃないかな?」

 

イズナ「ありがとうございます!! ……ですって、早瀬さん!!」

 

浩一「……正しいと思う……コト……か。要はさ、『大切なのは何をすればいいかじゃない、自分がどうしたいか』ってコトか?」

 

かつて友に言われた言葉を言う浩一。

 

舞人「そうでもあるかな……それを分かってるなら、君は十分、正義の味方だ!!」

 

舞人が浩一を賞賛する。フッ……と微笑みながら、浩一は言葉を続けた。

 

浩一「……ケド、オレはまだまだだ。だから、オレはアンタにも負けない正義の味方になる!!」

 

大声で自分の決意を表明する。

 

舞人「そうか。なら、俺も負けないぞ!!」

 

浩一「ああ! お互いに頑張ろう!!」

 

そう言うと、2人はがっちりと固い握手をした。

 

由木「大佐はどうしますか?」

 

その横では、鉄也と由木が話している。

 

鉄也「ああ……しばらくしたらテキサスプラントでの勤務がある……が、それまでは長いからな、お前達について行こうと思う」

 

由木「ありがとうございます!」

 

鉄也「それに、お前ももっと鍛えなきゃな。大尉」

 

由木「はい! 稚拙な部分もありますが、ご指導よろしくお願いします!! ……ところで、炎中尉とはどうなんですか?」

 

鉄也「ああ……ジュンとは上手くやってるぜ……それに、あいつの腹も大きくなって来やがった」

 

由木「それって……!」

 

鉄也「俺ももう、一児の父親さ。これから産まれてくる子供のためにも、頑張らないとな」

 

そう言うと、ニカッと歯をむき出して笑った。由木も思わず笑顔になる。

 

辰也「……全く、今日はいい日だぜ!!」

 

ジゼラ「辰也さん?」

 

辰也「鉄也さんや勇者特急隊には会えたし、浩一も少しだけどここに馴染んだ……そして、お前と一緒に戦えた」

 

ジゼラ「!」

 

辰也「本当にありがとよ! ジゼラがいなかったら、俺は皆を守れなかった……お前のおかげだぜ!!」

 

ジゼラ「は、はい!! あの……これからもよろしくお願いします!!」

 

辰也「おうよ! こっちこそ、よろしく頼むぜ!!」

 

そう言うと、お互いに笑顔で向き合い握手をした。

 

~数時間後・公園跡地~

あの場所に来た。矢島が死んだあの場所に……

 

浩一「少し前……のコトなんだよな……」

 

献花されている場所を見下ろす浩一。その表情は神妙そうだ。

 

紗季「浩一……クン?」

 

声のする方を見ると、矢島の妹……紗季がいた。

 

浩一「……紗季ちゃん……そっか、じゃああれからよくここに来てるんだね」

 

紗季「時間があるとつい……ね。でも浩一クンが来てくれて安心した……心配だったんだぁ、お通夜にも来てなかったし……それに、中学入ってからお兄ちゃんとギクシャクしてるみたいだったから」

 

浩一「……それは、オレがいけないんだ……オレがバカだったから……」

 

そう語る浩一の表情は、悲しみでいっぱいだ。

 

浩一「矢島の言ってたコトはいつも正しかったのに、オレはそれを聞こうとしなかった。最後まで信じてくれてたのに、オレはそれに応えようとしなかった……今さらこんなコト言ったって遅いコトはわかってる……でも、オレは今、矢島に応えたくて仕方ないんだ」

 

そう言うと、浩一は俯いた。

 

紗季「……全然遅くないと思うよ」

 

浩一「え……」

 

紗季の言葉を聞いて、不意に顔を上げる浩一。

 

紗季「浩一クンが今そうしたいって思うなら、それはきっと正しい事だと私も思うし……それに、一番大切なのは、今浩一クンが『どうしたいか』なんだから」

 

そう言って微笑む。紗季の姿に矢島の姿が重なったように見えた。

 

紗季「きっとお兄ちゃんだったらこう言ってたと思う……『今さらじゃなくて、今からでいいって』」

 

浩一の目から、大粒の涙が流れ出る。

 

浩一「……うん、ありがとう」

 

地平線から、朝日が昇ってきた……。




中断メッセージ(勇者特急隊からの伝言)
舞人「もうおしまいかい? なら、俺達勇者特急隊からのメッセージがあるんだ。よかったら聞いてくれ」

ガイン「ここまで読んでくれて、ありがとう!!」

ライオボンバー「でも、早く戻ってこいよ!!」

ダイノボンバー「俺達の活躍を見て欲しいからな!!」

バードボンバー「だが、無理はしなくていいぞ!!」

ホーンボンバー「体に気をつけてくれ!!」

ファイアダイバー「しかしまあ、急がなくてもいいんですよ」

ポリスダイバー「しっかり体を休めてくれ」

ジェットダイバー「その代わり休んだら、また見て下さい!」

ドリルダイバー「私達は、いつでも待ってますよ……」

舞人「……以上だ。また見てくれよな!!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五話 勇者王見参!

めっちゃ遅れた……
今回も駄文ですが、楽しんで読んで下さいね!!
それにしても勇者王ってかっこいいですよね!! Tにも参戦するので、楽しみです!!!


~レインボーブリッジ付近~

隅田川のよく見える場所、そこのベンチで石神と現総理大臣の児玉が話していた。

 

児玉「レインボーブリッジの破壊未遂に加え、先日の青戸の件ではかなりの被害が出ている……石神、これ以上は誤魔化せんぞ」

 

石神「だろうね」

 

児玉「各所からマキナの情報開示を求める声が上がり始めている。すでに防衛省ルートで、キリヤマ重工に対マキナ用機の生産ラインを造る話も出ているしな……それにJUDAでなくとも、地球連邦やギャラルホルンなどに任せればいいのではという意見も出た」

 

石神「……随分と気の早い話だな、それにその意見は聞けないね。奴さんらは宇宙やらサイド2やらで忙しいし、何より技術を悪用する可能性もある……まあ、WSOやGGGとかは例外だけどね」

 

児玉「だからお前に任せている。だが石神……早いタイミングでこちらから公表しなければ我々が不利になる……相手はこの世界の歴史の陰を暗躍してきた連中だ。先手を取られれば……」

 

石神「もともとJUDA(ウチ)は政府の管理下で計画を進めてきたんだ、情報開示は当然のコトだよ。後はお前んトコの判断で世間に公表するなり何なり、好きにしてもらって構わない……ただしは、今後も予定通りに計画を進める」

 

石神の話を聞き終わり、ふぅ……とため息をつく児玉。

 

石神「それで暫く様子を見ましょうよ、総理」

 

児玉「ああ、そうだな」

 

ベンチから立ち上がる。

 

児玉「……そういえば、例のファクターの少年ともうひとり……」

 

石神「ああ、早瀬浩一クンに瀧城辰也クンね」

 

児玉「どうなんだ?」

 

一呼吸置いて、石神が答える。

 

石神「彼らか……彼らはすごく面白いよ」

 

~河川敷~

ジゼラ「迎えが来るまでここで待ってましょう!」

 

そう言うと、ジゼラと城崎はベンチに腰掛けた。

 

城崎「それにしても、今日は驚いたなぁ……まさか早瀬浩一の方から接触してくるなんて」

 

ジゼラ「でも、あの言い方はさすがにないんじゃないでしょうか……いくらしつこいとは言っても……」

 

ジゼラは先程の事を思い出す……花壇で城崎と話していた時の事だ。

自分達の姿を見ていたのだろう、浩一が馴れ馴れしく話しかけてきた。

くどくどと長い自分語りが聞くに耐えなかったのだろう、言下に浩一を睨み、城崎はこう言った。

 

城崎「私、あなたみたいな粗暴な人とは、話したくないんです!」

 

……と。

 

城崎「それは……でも、確かに今思えばそうね……まあ、私達が潜入してる必要もなくなったし、どうせ学校去るのも時間の問題だもんね」

 

ジゼラ「えっ!? 学校からいなくなるんですか!?」

 

突然の宣告に、思わず飛び上がるジゼラ。

 

城崎「しっ! 声が大きいですよ!」

 

ジゼラ「ごめんなさい……でも、学校を去るってどういう事なんですか?」

 

城崎「文字通りです。我々は彼を監視する必要がなくなった……というコトですよ」

 

ジゼラ「そんな……せっかくクラスに馴染めたと思ったのに……」

 

ハァ……とため息をつくジゼラ。

 

浩一「お~い! 城崎ーーーっっ!!」

 

その時、浩一がこちらに向かって走ってきた。

 

ジゼラ「は、早瀬さん!?」

 

城崎(な、なんなのよ……)

 

浩一「あのさ……やっぱり納得いかなくて」

 

城崎「……」

 

何を言い出すのか……そう思い、身構える。

 

浩一「オレのコト、何も知らないクセにいきなり粗暴呼ばわりはないんじゃない?」

 

城崎「……え?」

 

……わざわざそんなコトを言うために……と、城崎はつい口にしてしまった。

 

浩一「そう! だから訂正してよ!! 確かに城崎とは前に会った気がする的なコト言ったけど、だからって……」

 

浩一がそう言いかけた瞬間───

 

 

 

 

 

───ドガァ!! と勢いよく音を立て、何者かが急に襲ってきた。

 

浩一「!」

 

ジゼラ「え……」

 

城崎「きゃ……」

 

咄嗟に2人を抱きかかえ、避ける浩一。

 

???「ヘェ~~~、俺の拳をかわすなんてたいしたもんだよ」

 

現れたのは、金髪の不良中学生。

 

浩一「お前は確か……道明寺!!」

 

道明寺「あ、覚えててくれたんだぁ。まぁ、俺はお前のコト全然知らないんだケドね」

 

そう言うと道明寺は、ニッと不敵な笑みを浮かべた。

 

城崎「……随分、いろんな人から恨まれてるみたいですね」

 

浩一「オレも一応知ってるケド面識ないって……だってあいつ、2年に進級してすぐに傷害事件起こして施設に入れられたんだから……」

 

道明寺「先週出てきたんだよ。で、お前さ、俺がいない間に随分と派手にやってくれたみたいじゃない」

 

浩一「はぁ? なんだよ派手って」

 

道明寺「降矢から聞いたぜ~~~? お前のせいで、あいつが酷い目に遭わされたってな」

 

ジゼラ(でもあれ確か……降矢さん達から先に仕掛けて来たんじゃ……)

 

道明寺「あいつには前に一度世話になっててな……ま、要はそういうコトだ」

 

道明寺の語りに、チッと舌打ちをする浩一。

 

浩一「……面倒クサイ奴だなぁ……」

 

まぁ相当強いとは聞いてたケド……こいつも所詮は普通の人間だし……ここはさっさと終わらせた方がよさそうだな……

 

浩一「城崎、ジゼラ。危ないから離れててよ」

 

城崎「……」

 

ジゼラ「あ、はい……」

 

得意な顔でカッコつける浩一に、2人は引き気味の様子だった。

 

浩一「施設に入ってて知らないだろうけどさァ、オレは無茶苦茶強いぞ」

 

道明寺「上等」

 

2人は向かい合い、喧嘩を始めた。

 

タイダー「……あれま、こんな所で喧嘩してる奴らがいるダ~」

 

紫色のモヒカンに、ヒゲとサングラスが特徴的な小太りの男……タイダーはその様子を遠目で見ていた。

 

タイダー「この辺に飛び散ったアークダーマがあるはずダ~、でもどこを探しても見当たらないダ~……」

 

タイダーはがっくりと肩を落としている。

 

タイダー「このままじゃベルゼブ様に怒られてしまうダ~……でも、落ち込んでいても仕方ないダ~!」

 

とりあえず、あそこの喧嘩でも観戦しておくダ~!!

 

そう言うと、大声でコールを始めた。

 

タイダー「いけ! そこの金髪の男!! 茶髪の奴も負けるなダ~~~!!!」

 

……と、本来の目的を忘れたかのように、熱中している。

 

道明寺「誰だか知らねえケド、応援ありがとね~」

 

タイダー「こっちに返事をして来たダ!」

 

道明寺「……ま、それはそうとして……と、もう終わりか? 『自称』最強クン」

 

道明寺の視線の先には、倒れている浩一。

 

どういう……コトなんだ……!?

 

浩一には理解出来なかった。ファクターであるはずの自分が、ただの一般人にのされているのだから。

 

道明寺「お前さぁ、スピードもパワーもあるみたいだけど、戦い方にセンスが無いんだよ」

 

浩一「んだと……!? 一発も当たってねえからって、調子に乗るなよ……!!」

 

道明寺「そんな体勢でカッコつけられてもねェ……ま、ダラダラやんのも俺の性に合わないからさぁ、ちゃっちゃと終わらせ───」

 

辰也「やぁ〜っと見つけたぞジゼラ! こんな所にいたのかよ!!」

 

突然、辰也がやってきた。

 

道明寺「誰だぁ? って……」

 

ジゼラ「ど、どうしたんですか?」

 

辰也「森次さんがさ、お前らを連れて帰れって連絡して来たんだよ。んで、今何やって……」

 

話しながら道明寺の方を向く。辰也と道明寺の間に一瞬、沈黙が入った。

 

道明寺「あんた……辰也さんか?」

 

先に声をかけたのは道明寺。

 

辰也「誠じゃねえか!! 久しぶりだなぁ!!」

 

ジゼラ「久しぶり……って、辰也さん……」

 

城崎「知り合い……なんですか?」

 

辰也「ああそうだぜ、誠は俺の後輩なんだよ」

 

浩一「は……えええぇええぇぇっ!!!?」

 

唐突な発言に対して、驚きを隠せない浩一。

 

辰也「そんなに驚く事でもねえだろ……にしてももう出てきたのか! んで、何やってたんだ?」

 

道明寺「実はかくかくしかじかで……」

 

事の経緯を説明する道明寺。それに対し、呆れ気味に答える辰也。

 

辰也「……要は浩一がお前の友達をボコボコにしたからその報復って事か。だとしてもな~、その辺の不良とかヤクザみたいで『迷惑』じゃねえか?」

 

辰也が知らずの内に発した『迷惑』という言葉……これが一大事の引き金になるとは、まだ誰も思っていなかった───

 

 

 

 

 

───辰也達から少し離れた場所で、タイダーは足元に落ちていた黒い物を拾った。

 

タイダー「ひょええ、やっと見つけたアークダーマが反応してるダ!!」

 

メイワク……メイワク……と、黒い稲妻を発しながら呟く謎の物体。

 

???「あの人間の『迷惑』という言葉に反応したか」

 

近くの隙間から、謎の男が現れる。

 

タイダー「あっ、ベルゼブ様!!」

 

タイダーは突然現れた男……ベルゼブに驚く。

 

ベルゼブ「とにかく、アークダーマが見つかったのだ。早速始めるとしよう」

 

そう言うと、ベルゼブが胸元を開け、中から妖精のような存在……ファルゼブが現れた。

 

ベルゼブ&ファルゼブ「「ジャークパワー照射!!」」

 

そう叫んだ途端、恐ろしい形相に変わったファルゼブから黒い稲妻が走り、アークダーマへと伝わった。

 

そして巨大化したそれは、辰也達の元へと飛んで行った───

 

 

 

 

 

辰也「……しかもここで喧嘩してたら、周りの人が危ねえだろ?」

 

道明寺「まあ確かに変なオッサンいましたケド……ってアレ? いない?」

 

道明寺は先ほどまで人がいた場所を見る。しかし、そこには誰もいなかった。

 

辰也「というかお前……出てきたばっかなのに、問題起こしたらまた戻っちまうじゃねえかよ!」

 

道明寺「ああ~……はい、まあほどほどにやりますよ」

 

浩一「とりあえず、道明寺が瀧城……さんの後輩だってコトはいいから、とっとと続きやろうぜ」

 

道明寺「俺に一方的にやられてたくせにか?」

 

浩一「うっ……」

 

道明寺「ま、いいぜ。こんな面倒ゴト、ちゃっちゃと終わらせちまうかなぁ!」

 

そう叫び、道明寺は両手を上げる。

瞬間───

 

 

 

 

 

───黒いもやが道明寺の背後に現れ、怪物を造りだした。

 

浩一「!? な……何だよ……アイツらは!!」

 

城崎「まさか……加藤機関の……!?」

 

辰也「お前……!」

 

怪物との関係に疑いを持たれる道明寺。しかし、当の本人は……

 

道明寺「……なんだコイツ?」

 

と、何も知らないといった風に、あっけらかんとしていた。

 

浩一「ええええ!? お前が呼んだんじゃねえのかよ!!?」

 

道明寺「いやお前、こんな化け物どうやって呼び出すんだ!?」

 

……と言い争っている所に、その化け物が攻撃を仕掛けてきた。

 

邪悪獣「グゥゥゥッ!!」

 

道明寺「うおっ! こいつら俺達を狙ってんのか!?」

 

辰也「話してる場合じゃねえ! とりあえずお前ら、逃げるぞ!!」

 

辰也達は逃げ出した……が、浩一はそこで立ち止まり、怪物の方を向いている。

 

浩一「……土壇場でナイスな展開だよ。こんなん相手じゃ、道明寺は何もできないもんなァ」

 

辰也「あいつ……もしかして!!」

 

浩一は空に腕を向け、叫んだ。

 

浩一「来いっっ!! ラインバレル!!!」

 

浩一の背後に降り立ち、そびえるは白い巨人、ラインバレル。

 

道明寺「うお~~~! こりゃあ驚いたな……!!」

 

城崎(よ……呼んじゃった……!? 民間人が目の前にいるのに関係ないの!?)

 

無邪気に喜んでいる道明寺とは対照的に、驚きと不安を隠せない城崎。

 

城崎(しかも……)

 

浩一の方を見ると、彼は得意気に笑っていた。

 

城崎(笑ってる……こっち振り返って笑ってるわ……!!)

 

辰也「……あいつ、やっちまったか……なら仕方ねえ。誠、城崎を連れて逃げろ」

 

道明寺「逃げろ……って、辰也さんはどうすんすか?」

 

道明寺の問いかけに、辰也は挑戦的な笑みを浮かべて答える。

 

辰也「決まってるだろ? 俺のやるべき事をやるんだよ!!」

 

そう言うと、腕につけている時計のような物が反応した。

 

時計?「パイロットの意志を確認。イールソウルを呼びますか?」

 

そんなの、当たり前だ!!

 

辰也「来やがれ、イールソウル!!!」

 

辰也が叫ぶと、上空からイールソウルが飛来し、背後に着地した。

 

ジゼラ「た、辰也さん! 今のそれは……」

 

辰也「説明してる暇はねえ! 行くぞ、ジゼラ!!」

 

ジゼラ「は、はい!!」

 

辰也とジゼラは、イールソウルに乗った。

 

城崎「た……瀧城さんまで!」

 

辰也「悪い! けど、しょうがねえだろ! 浩一がもう行っちまったし、それに……どの道こうなる事は、避けられなかっただろうからよ!」

 

ジゼラ「城崎さんは早く逃げて!!」

 

道明寺「スッゲー!! いやぁ、スゲー奴見てるよ今!! ロボットだよロボット! ね!!」

 

城崎「……」

 

やっぱり……最ッ低だわ……と、心の中で毒づく城崎。

 

道明寺「というか俺ら逃げろって言われたし、何なら送ってくけど?」

 

城崎「え?」

 

道明寺「いいからいいから!!」

 

道明寺と城崎はどこかへ消えていった。

 

辰也「……っし、これで心置きなく戦えるぜ!!」

 

ジゼラ「ここで戦ったら周りの人が危ないんじゃないんでしたっけ?」

 

辰也「……普通はな。でも、これはチンピラの喧嘩じゃねえ!! 町を、みんなを守るための戦いなんだ!!」

 

浩一「確かに……ってアンタ、遠回しにオレをチンピラ扱いかよ!!」

 

辰也「たとえ話だろ? いいからやるぞ!!」

 

浩一「あ、ああ……とりあえず行くぞ、ラインバレル!!」

 

辰也達は戦闘を開始した。

 

~戦闘開始~

辰也(初戦闘時)

辰也「にしてもこいつら何なんだ? 加藤機関のアルマにしては寸胴だし、現れ方も違うし……」

 

ジゼラ「色々気にはなりますが、それは後回しです! まずはあれを片付けましょう!!」

 

辰也「ま、それもそうだな……よし、行くぞ!!」

 

 

浩一(初戦闘時)

浩一「んだよ……せっかくカッコいいところを城崎に見せられると思ったのに……でも、今はそんなコトを言ってる場合じゃない!!」

浩一「あいつをとっとと片づけるぞ、ラインバレル!!」

 

 

~~~

辰也「ドゥエ・フレイザァァァーッ!!」

 

浩一「オレも行くぜ!!」

 

イールソウルの両腕に付いている刃……ドゥエ・フレイザーと、ラインバレルの太刀攻撃で、邪悪獣にダメージを与えた。

 

邪悪獣「グゴォォォォ!!」

 

辰也「ぐっ!!」

 

浩一「ああっ!?」

 

しかし、邪悪獣はそれを意に返さないかのように、イールソウルとラインバレルに反撃した。

 

辰也「こいつ……意外と硬え……」

 

浩一「何なんだよ、こいつらは!! 前に戦ったアルマよりも強えぞ!!」

 

ジゼラ「それが3体もいるなんて……」

 

苦戦している2機。それを遠い場合からベルゼブ達は見ていた。

 

ベルゼブ「随分と押しているようだな」

 

不敵な笑みを浮かべるベルゼブ。発された言葉からはどこか得意げな響きを感じる。

 

タイダー「でもベルゼブ様、ライジンオーが来たらどうするんですダ~?」

 

ベルゼブ「心配はいらんぞタイダー、あの辺りにはアークダーマが散らばって……」

 

待てよ……あそこにアークダーマがあるにも関わらず、1つしか見つけられなかった、という事は……

 

ベルゼブ「……タイダー、お前はあの一帯を探さなかったのか?」

 

タイダー「え? ああえっと……あそこでは中学生がケンカをしててダな……」

 

ファルゼブ「喧嘩? 五次元人がたかが三次元人の、それも中学生の喧嘩に怯えるなど、恥ずかしいと思わんのか?」

 

タイダー「怯えてたわけではありませんダ〜! ただ、ちょっと面白そうだったんで、観戦をダなと……」

 

ベルゼブ「この馬鹿者が!! 五次元の侵略をほっぽり出し、喧嘩の観戦にうつつを抜かすなど……恥を知れ恥を!!」

 

あまりにも怠惰な言い訳に憤慨するベルゼブ。しかしすぐに平静を取り戻した。

 

ベルゼブ「……まあいい、我々が優勢だという事に変わりはない。あのアークダーマを利用し、一気に片をつける!」

 

そう言うと、またもや禍々しいエネルギーを溜め出した。

 

ベルゼブ&ファルゼブ「「ジャークパワー照射!!」」

 

稲妻が、辰也達の元へと走る。そしてそれは多くの邪悪獣を作り出した。

 

ベルゼブ「さあ行け、ヤクザードにエキゾーストよ!! あのロボット達を破壊するのだ!!!」

 

~~~

辰也「……どんだけ倒してもきりがねえ……!!」

 

どのくらい時間が経っただろうか、邪悪獣を倒し続けている2機。しかし、増え続ける邪悪獣になす術もなく、彼らは疲弊していた。

 

浩一「さっきからいちいち増えやがって……!」

 

あまりの苦難に、浩一も苛立ちを感じている。

 

浩一「正義の味方を……なめるな!!」

 

ラインバレルが刀を持ち、怒りに任せて斬りかかる。

 

邪悪獣「グオォォォォ!!」

 

浩一「なっ!?」

 

……遅い太刀筋。当然のごとく受け止められ、投げ飛ばされてしまうラインバレル。

 

浩一「がはっ!!?」

 

辰也「浩一!!」

 

ナノマシンによる自己再生機能があるとはいえ、ラインバレルの装甲は傷ついている。

それは、イールソウルも同じだった。

 

邪悪獣「ガアァァァァァッ!!!」

 

辰也「今度は……俺か……!」

 

邪悪獣はイールソウルへと攻撃を仕掛ける。

その寸前───

 

 

 

 

 

???「させるか!!」

 

 

 

 

 

───どこからともなく、白いロボットが攻撃をした。

 

邪悪獣「ゴバッ!?」

 

辰也「!! あれは……」

 

凱「何か分からんが、お前達の相手はこの獅子王凱だ!!」

 

辰也「獅子王凱……!! って事はあれはガイガーか!!」

 

ジゼラ「その反応……もしかして知ってるんですか?」

 

辰也「当たり前だろ!! ゾンダーから地球を守ったって噂の、GGGの勇者なんだからよ!!」

 

以前と同じで、辰也は興奮している。

 

凱「君達は一体……」

 

浩一「! 後ろだ!!」

 

ガイガーの後ろから、邪悪獣が襲おうとしてくるまさにその時───

 

 

 

 

 

???1「剣王ブレード!!」

 

 

 

 

 

───と、ガイガーと同じくらいの大きさのロボットが剣で相手をなぎ払い、攻撃を防いだ。

 

???1「邪悪獣が出たって知らせでやって来たけど……」

 

???2「もう戦いは始まってるみたいだな」

 

???3「というかこんなにいるなんて……僕達大丈夫なの~!?」

 

???1「しっかりしろ、吼児! 相手がうじゃうじゃいんなら、アレしかねえだろ!!」

 

吼児「う、うん!」

 

???2「分かったぞ、仁!」

 

鳥型のロボットとライオン型のロボットに乗っている子供……月城飛鳥と星山吼児が腕にはめているブレスレットに触れた。

その途端、付いていたメダルが日向仁のコックピットへ転送された。

 

仁「ライジンオー、無敵合体!!」

 

仁がそう叫び、残りの穴にメダルを入れると、3機のロボット……剣王、獣王、空王が変形し、合体した。

 

凱「ならば俺も行くぜ!! ファイナルフュージョン!!!」

 

凱も叫び、ガイガーの周りに竜巻が出来上がる。その中に、ステルス機……ステルスガオーと新幹線……ライナーガオー、重機……ドリルガオーが突っ込んで来た。

 

ジゼラ「何が起こってるんですか!?」

 

辰也「まあ見てろって!!」

 

そして───

 

 

 

 

 

仁「絶対無敵! ラァァァイジィィィンオォォォーッ!!」

 

凱「ガオッガイッガァァァァァーッ!!」

 

 

 

 

 

───ライジンオーとガオガイガーが、邪悪獣の目の前にそびえ立つ。

 

辰也「かっけぇ……」

 

浩一「見とれてる場合かよ!?」

 

そして、ヴァーダント、ハインド・カインド、ディスィーブ、グレートマジンガー、ウィングル、マイトガイン、バトルボンバー、ガードダイバー、ゴッドガンダム、シャイニングガンダム、ノーベルガンダムも現れた。

 

辰也「森次さん達だ!!」

 

舞人「助けに来たぞ、辰也さん、浩一! ……って、そこにいるのはガオガイガー……という事は!!」

 

凱「マイトガイン……その声は舞人か!!」

 

舞人「はい! お久しぶりです、凱さん!!」

 

ドモン「……」

 

どうやら知り合いだった舞人と凱。再会した喜びを分かち合っている一方で、ドモンは困惑していた。

 

レイン「どうしたの? ドモン」

 

ドモン「『その声は』と言ったが、俺にはどっちがどっちだか分からん……」

 

アレンビー「私も……」

 

ガードダイバー「私達の超AIならば、判別可能です」

 

由木「便利ね……超AIって……」

 

鉄也「お前達、今はそんな話をしている場合じゃないだろう」

 

森次「城崎さんと他1名はこちらで保護している。それより瀧城、早瀬……先程まで見ていたが、その様はなんだ? イールソウルとラインバレルの能力に依存した闇雲な戦い方では、いずれ死ぬぞ」

 

浩一「なんだと……?」

 

辰也「了解っす……」

 

森次に指摘され、イラつく浩一と萎縮する辰也。

 

山下「まあ……今はそれどころじゃないっスケドね」

 

鉄也「ああ、まずは目の前の相手を倒す事が重要だ」

 

森次「そうだな……ガオガイガーとそこのロボット」

 

ガオガイガーとライジンオーに通信をする森次。

 

飛鳥「何でしょうか?」

 

森次「こちらはJUDA特務室だ。あの得体の知れない敵を倒すのに協力してくれないか?」

 

凱「JUDA……だって? ああ、別に俺は構いません」

 

仁「敵って……邪悪獣か? 言っておくけどなぁ、アレは元々俺たちの敵だぜ!」

 

飛鳥「こら仁! ……分かりました。あなた方へ協力します!!」

 

協力の意思を見せる2機。彼らと共に、森次達も敵を見据える。

 

森次「……礼を言おう。ではこれより、邪悪獣を殲滅する!!」

 

辰也「了解!!」

 

威勢よく辰也が叫び、刃を構えた。

 

~戦闘開始~

辰也(初戦闘時)

辰也「いや〜それにしてもいい機会だぜ! 何せ、ガオガイガーとあのカッコいいロボットと一緒に戦えるなんてな!!」

 

ジゼラ「嬉しいのは分かりますが、さっき言われた事も考えて戦って下さいね」

 

辰也「分かってるよ! 俺だって何も考えてない訳じゃねえからな!! そんじゃ行くぜ!!」

 

 

辰也(対邪悪獣)

辰也「そういやあいつら、急に現れたよな? 何が原因で出て来たんだ?」

 

ジゼラ「それは分かりませんが、とりあえず今は、敵を倒しましょう!!」

 

辰也「……だよな! 考えてても仕方ねえ! まずはこいつらを片付けてやるぜ!!」

 

 

浩一(初戦闘時)

浩一「戦い方がどうのって……うるさいんだよどいつもこいつも……」

浩一「ああもう! 思い出したら腹が立ってきた! こうなったらこの状況を切り抜けて、森次の野郎を見返してやるよ!!」

 

 

浩一(対邪悪獣)

浩一「数が増えても、俺は絶対に諦めない! 邪悪だか何だか知らねえケド、さっきやられた分はきっちり返させてもらうぜ!!」

 

 

舞人(初戦闘時)

舞人「まさかこんな所で凱さんと会えるなんてな……」

 

マイトガイン「最近はGGGが立て込んでいたからな、私も彼に再会できて嬉しいぞ」

 

舞人「フッ、そうだな。それじゃあガイン、凱さんに会えなかった分、強くなった俺達の力を見せるぞ!!」

 

マイトガイン「了解だ、舞人!!」

 

 

凱(初戦闘時)

凱「舞人と顔を合わせるのも久しぶりだな……そういやJUDAと言えば、政府と協力してマキナを集めてる組織だったか。素性を隠してるのは宇宙開発公団……GGGも同じだな」

凱「……まあいい、まずは目の前の敵を片付ける!! 行くぜ!!」

 

 

凱(対邪悪獣)

凱「邪悪獣……ゾンダーとは違うみたいだが、いくつか類似点も見られるな……」

凱「こいつを倒せば、何かの手がかりが得られる可能性がある……だから、大人しくやられてもらうぞ!!」

 

 

仁(初戦闘時)

仁「ったく、あの森次って人、急に割り込んで来やがって……!」

 

飛鳥「でも、あれだけの数を僕達だけで倒すってのも、少々難しいと思うぞ」

 

吼児「それに、あの人達も悪そうな人じゃないし、いいんじゃないの?」

 

仁「ああもう! お前らうるせえぞ! こうなりゃ、俺たちもやってやる!!」

 

 

仁(対邪悪獣)

仁「邪悪獣め……お前たちの相手は俺たちだ!!」

 

飛鳥「あれだけの数だ、無理はするなよ仁!」

 

吼児「僕達もサポートするよ! だから頑張ろう、仁君!」

 

仁「言われなくったってやってやるさ! 地球防衛組の力、見せてやるぜ!!」

 

 

~~~

凱「ブロウクンッッッ! マグナムッッッ!!!」

 

仁「ライジィィィン! フラァァァッシュ!!!!」

 

ガオガイガーとライジンオーの攻撃で、邪悪獣は残り1体となった。

 

辰也「どうやら、もう復活はしないみてえだな」

 

仁「じゃあ、こいつで最後か! こうなったら……」

 

ライジンオーはシールドを敵の背後へ投げた。シールドから重力波が放たれ、敵の動きが止まる。

 

凱「ならば俺も行くぜ!! ヘル! アンドヘヴン!!」

 

ガオガイガーは両手を光り輝かせ、掌を合わせる。

 

凱「ゲル・ギム・ガン・ゴー・グフォー……はあぁぁぁぁぁっ!!!」

 

仁「ゴッドサンダァァァクラァァァァァーッシュ!!!」

 

凱「ウィィィィィィータァァァァァーッ!!!」

 

ライジンオーが敵を斬り、ガオガイガーが心臓部をえぐり取る。

ガオガイガーの手には、赤い目玉のついた真っ黒な物体……アークダーマが握られていた。

そして、真っ二つにされアークダーマをえぐり取られた邪悪獣は、爆散した。

 

辰也「やっぱり……かっけえよ!!!」

 

ジゼラ「そうですね……」

 

辰也「おっ、ジゼラも分かるようになったか!!」

 

ジゼラ「えっいや……そういう事では……」

 

そうこうしている間にも、森次達は帰還の準備を進めていた。

 

森次「では、戻るとしよう。ガオガイガーとそこのロボットも来てもらいたいのだが、よろしいだろうか?」

 

凱「大丈夫です。大河長官の許可も得ました」

 

仁「俺たちも行くのか?」

 

飛鳥「ここはついて行った方がいいと思うぞ」

 

仁「しょうがねえなぁ~……マリアには後で連絡しとくか」

 

森次「では、これより帰還する」

 

辰也達はJUDAへ戻る……その様子を、ベルゼブ達は遠くから見ていた。

 

ベルゼブ「アークダーマを奪われてしまったのは別にいい……三次元人にはアレの謎は理解出来まいからな。それよりもだ、あれほどの数の邪悪獣でも勝てぬとは……」

 

タイダー「ライジンオーの他にも、ガオガイガーなんて奴も来ましたダ~。そもそも最初に戦ったのは、白とオレンジの変なロボット……あんなのがいるなんて聞いてなかったダ~……」

 

ベルゼブ「だが、この町……ひいてはこの世界にはまだアークダーマがある……それを利用すればいいだけの事だ」

 

タイダー「……そういえばあいつら、仲間で戦ってたダ~。なら、ワシ達も同じ目的の奴らと組めばいいダ~!」

 

ベルゼブ「何を……いや、お前の考えも一理あるな……タイダーにしてはいい事を言うじゃないか」

 

タイダーの意見を素直に認めるベルゼブ。普段は能天気だが、たまには鋭い事を言うのか……と感心している。

 

タイダー「ぐへへ、ありがとうございますダ~!! ベルゼブ様がワシを褒めて下さるなんて……」

 

ベルゼブ「調子に乗るな! ……では、我々も帰るぞ」

 

タイダー「はいダ~!」

 

そして、その辺にある隙間から、2人は消えて行った……。

 

~JUDA社長室~

社長の机では、石神が大河長官と通信で話をしている。

 

大河「……事情は聞いたよ石神君。我々も君達に協力しよう」

 

石神「いやあどうも……こちらも、あの勇者王がついてくれるなら士気も上がるし一石二鳥だよ」

 

大河「全く、調子のいい事を……」

 

石神「でもいいのかい? ボク達に付き合わせちゃって。何より凱クンを借りる事になったら、そっちも困るんじゃないな?」

 

大河「心配無用だ。こちらにはガオガイガー以外にも、立派な勇者はいるのだからな」

 

石神「それは頼もしいねェ……また困ったコトになったら、彼らにも手を貸してもらうとするよ」

 

大河「ああ……その時は君達にもよろしく頼むぞ」

 

そう言って通信を切る。

 

石神「……さてと、あっちの話はついた。君達はどうするんだい?」

 

今度は別のモニターに目を向ける。そこには、ちょうど小学校くらいの女の子……白鳥マリアが映っていた。

 

マリア「はい! 私達地球防衛組も、あなた方に協力させてもらいます!!」

 

石神「フフ、元気でいいねェ……そう言えば、前に防衛隊……特自からの誘いがあったらしいケド、断ったそうじゃないか」

 

マリア「それは……あの人達はライジンオーを自分達の物にしようとしたからです。でも、あなた方は違って、協力しようって言ってくれた……だから、信用してみようと思ったんです」

 

石神「それは嬉しいねェ……まあ、JUDAでも戦ってるのは大人だけじゃない、君達よりは年上だケド子供もいる……おっと、難しいコトはなしだ!! それじゃあ有事には呼び出させてもらうよ」

 

マリア「分かりました!」

 

マリアも通信を切る。

 

石神「……っと、そういうワケだから、これからよろしくね!!」

 

凱「はい! よろしくお願いします!!」

 

仁「ま、せっかくだしやらせてもらうぜ!!」

 

飛鳥「こら仁、礼儀がなってないぞ」

 

仁「ちぇ~……」

 

飛鳥に指摘され、ふてくされる仁。

 

舞人「また凱さんと一緒に戦えるなんて、光栄ですよ!」

 

凱「こっちこそ頼りにしてるぜ、舞人!!」

 

辰也「そういえば2人は知り合いなんですか?」

 

凱「ああそうさ。俺達GGGと旋風寺コンツェルンは協力関係になってるんだ」

 

舞人「超AIも、GGGと俺達で共同開発して生み出された物なんです。だから、ガインやあちらの勇者ロボは、言わば兄弟みたいな物ですね」

 

辰也「知らなかった……声が似てるだけじゃないんですね」

 

ジゼラ「辰也さん……まあ確かに、言いたい事は分かりますが……」

 

凱「ははは、まあそれ以外にも共通点はあるさ」

 

辰也「それは……?」

 

凱「勇者としての心構え、かな?」

 

辰也「……っ! やっぱり凱さんはカッコいいぜ!!」

 

凱「そう言われると、ちょっと恥ずかしいな……」

 

興奮する辰也と、恥ずかしさで顔を赤らめる凱。

一方その近くでは、地球防衛組と何人かが会話していた。

 

シズナ「ソレにしても、こんなちんちくりんがあのロボットを操縦してたんか」

 

仁「誰がちんちくりんだ!! お前だって同じじゃねえか!!」

 

シズナ「なっ!? お前って……! アンタしつけがなっとらんとちゃうんか!!? ウチはこう見えても中学3年生やで!!」

 

仁「それで中学3年生かよ!? ったく、小学5年生に大人げねえぞ~!」

 

シズナ「んだとこのガキ!? ケツの穴に腕突っ込んで奥歯ガタガタ言わせたろか!?」

 

イズナ「も~、やめなよ姉さん……」

 

山下「落ち着けよシズナ~」

 

仁「あっ! チビがこんなところにも!!」

 

山下「こいつ……子供だからって調子に乗るなよ!」

 

イズナ「山下さんまで……」

 

ギャーギャーと喧嘩をしていると、鉄也と森次がやって来た。

 

鉄也「全く……ここはガキの遊び場じゃねえんだぞ!!」

 

森次「これ以上騒ぐのなら、我々が一から礼儀と言う物をたたき込んでやるが……覚悟はいいか?」

 

鉄也は分かりやすく怒っているが、森次はあくまでも冷静で、しかしそこから怒りが読みとれるほどの表情をしている。

 

仁「ひえっ!? す、すみませんでした!!」

 

山下「森次さん……ごめんなさい……」

 

シズナ「ウチも言いすぎたさかい、おイタは堪忍してください!!」

 

それぞれ、口を揃えて謝罪する。

 

石神「まあいいじゃないの! 賑やかな方が楽しいし、何より反省してるんだからさ~!」

 

鉄也「フッ……今回は社長に免じて許してやるとするか。ま、そもそも冗談だがな」

 

森次「だが、次に騒いだら容赦はしない……分かったな?」

 

仁「はい……もうしません……」

 

飛鳥「あの仁がこんなになるなんて……」

 

吼児「森次さんと鉄也さん……相当怖いコンビだね……」

 

流石のガキ大将も、これには萎縮してしまう。

 

ジゼラ「あれ……?」

 

辰也「どうした?」

 

ふと、何かに気づくジゼラ。

 

ジゼラ「早瀬さんはどこへ行ったんですか? 姿が見えないんですけど……」

 

辰也「そういやそうだよな……社長、何か知ってますか?」

 

石神「ああ、彼には部屋のキーを渡しておいたんだよ。瀧城クンに渡したのと同じようなのをね。今頃部屋の中じゃないのかな?」

 

にやぁ……と、笑みを浮かべている石神。

 

辰也「……何か嫌な予感がすんだけど……」

 

石神「いやね、そろそろ劇的な展開ってヤツをさ……彼に与えてあげようと思ってねェ」

 

~JUDA社員寮通路~

浩一「707……707……あ、ここだ」

 

部屋番とカードの数字が一致しているのを確認して、ロックを解除する。

 

浩一(伝えなきゃいけない大切なコトがこの部屋に行けば分かるって言ってたケド……)

 

なぁにが大事なコトだよ、あほらし……と心の中でぼやく。

 

浩一「シャワーだけ借りてさっさと帰……」

 

ドアを開けると、そこには───

 

 

 

 

 

───着替え途中の城崎がいた。

 

浩一「!!? な……が……あ゛き……おっぱ……ちがっっ!!」

 

全力で否定しようとする浩一に、怒り心頭の城崎の鉄拳が襲いかかった。

 

城崎「やっぱりあなたは、最低です!!!」

 

バン、と力まかせにドアを閉じた。

 

浩一「……今の、城崎……だよな? なんでJUDAに……!?」

 

城崎の裸を見てしまったという興奮と、何故こんな所に城崎がいるのかという疑問、そして、殴られた痛みで混乱している浩一だった……。

 

~九州・阿蘇~

阿蘇山の火口深く、そこに平安貴族のような格好をした男が佇んでいた。

 

???「かつての戦いでこの九州の地に張り巡らされたゾーン……これが広がるのも時間の問題……と言いたい所だが、あの女共がこれを防いでいるのだ……」

 

そう言いながら、マグマ溜まりをのぞき込んでいる。

 

???「だが、どうという事はない……邪魔大王国と女王妃魅禍の復活も目前……それに比べればゾーンなどと些細な事よ……そして!!」

 

手に持っていた水晶玉を握り潰した。破片が刺さり、血がどくどくと流れているのも気にせず、話し続ける。

 

???「待っているがよい!! 全てを喰らい尽くす忌々しい存在……ゲッターよ!!!」

 

フヒハハハハハハハハハハと、下品な笑い声が、阿蘇山の火口にこだました……。




中断メッセージ(地球防衛組のスパロボ)
仁「ここでこうして……よし、これで攻撃だ!! ……って、なんで避けられるんだよ!!」

飛鳥「馬鹿だなあ仁は。相手の回避率が30%なんだ、当たるわけないじゃないか」

仁「でも自分の回避率がこんな感じの時に限って、相手の攻撃は当たるんだよな~……おかしいんじゃねえのか?」

吼児「仁くん……確かに僕もそう思うけど……」

飛鳥「そういう時は、『必中』や『閃き』を使えばいいんじゃないか? 攻撃も当たるし、相手の攻撃も避けられるぞ」

仁「そうか……ありがとよ、飛鳥!!」

飛鳥「ふっ……まあこんなのは当然さ。プレイヤーの皆さんも、困った時は精神コマンドを使ってみてね!!」

吼児「じゃあ、またね~!!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六話 鋼鉄が行く

スパロボT発売! 皆さんは買いましたか? 自分は買いました!
ゲッターも真ゲッタードラゴンというのが出ましたが、新ゲッターロボも出て欲しいです…


~飛行機内~

辰也「うおぉぉ~~~見ろよ見ろよ!! 絶景だぜ!!!」

 

ジゼラ「辰也さん、分かりましたから落ち着いて下さい……」

 

飛行機の中で、辰也ははしゃいでいる。空の上から見える景色を見るのが楽しいようだ。

 

辰也「しっかし、空からは色々見れるよな~。菱見高校はもちろん、JUDAや光子力プラント、東京湾のTOKYO JUPITERに宇宙開発公団まで……」

 

山下「全く……遊びに行くわけじゃないんだから、もっと緊張感持てって」

 

前の席から、山下が話しかける。

 

辰也「分かってる分かってる! でも、緊張しっぱなしだと、せっかくの任務も遂行出来なくなるかもしんねえからな!」

 

山下「やれやれ……」

 

呆れながらも笑みを浮かべる山下。一方、辰也とジゼラの隣の座席では、浩一と城崎が話している。

 

浩一「言ってるコトは正しいケド……瀧城さん、年は上なのに子供みたいだよなァ」

 

城崎「そう……ですね……」

 

浩一「しっかし驚いたよ……まさか城崎がJUDAにいたなんて……あ、昨日はゴメン。その、あれは不可抗力というか……いや、そもそも社長が……」

 

城崎「分かっています。あの後、秘書の緒川さんから事情は聞きました」

 

そう言い、顛末を語る城崎。

 

浩一「そっか、良かったァ。じゃあ、これでおあいこってとこかな」

 

城崎「おあいこ?」

 

城崎が首を傾げる。

 

浩一「だって城崎はオレを監視するために学校に来たんだろ? 城崎が中途半端な時期に転校してきたコトや、JUDAに転校生のジゼラがいたコト、そしてお前らがJUDAの人間だってコトを考えれば……そうなんだろうなって」

 

城崎「だとしたら……あなたは怒りますか?」

 

シートベルトをぎゅっと握り締める城崎。その手と声は震えていた。

 

浩一「怒らないよ」

 

意外な返答に、え、と首を傾げる城崎。

 

浩一「そりゃあ監視されてたなんて正直気分悪いケド、でもそれは城崎の意志でじゃないんだろ? だからお互い、今回の件で怒るんなら相手はあの社長だよ」

 

城崎「……そうかも……知れませんね」

 

浩一の言葉で、お互いに安心した表情になる。

 

鉄也「そういや、舞人や凱、地球防衛組の奴らはどこにいるんだ?」

 

由木「旋風寺君とガインは旋風寺コンツェルン、獅子王さんはGGGで、地球防衛組の皆は陽昇小学校で待機している……との事です」

 

鉄也「そうか。ところで森次、俺達は飛行機に乗れとしか言われていないが、一体どんな任務を行うんだ?」

 

鉄也が森次に話しかける。分かった、と一言森次が返事をし、皆の方へ話し始めた。

 

森次「では、我々の任務を伝えよう。まず、この飛行機は下関へ向かっている」

 

シズナ「下関ぃ? そらまた妙なところやケド……そこで何するんです?」

 

森次「下関にはビルドベースという組織がある。そこで彼らと合流し、ゾーンの調査を行うコト……ソレが今回の我々の任務だ」

 

ジゼラ「ビルド……ベース? ゾーン?」

 

聞き慣れない言葉に、ジゼラが困惑する。 

 

辰也「えっとな……ビルドベースってのは、かつて邪魔大王国と戦った研究所なんだよ。で、ゾーンはその戦いの影響で出来た竜巻みてえな奴だ。そんでこっからがワクワクする話なんだけどよ……その戦いの中心になったのが、あの鋼鉄ジーグだ!!」

 

ジゼラ「ああ……はい……」

 

いつものように興奮する辰也に、呆れ気味のジゼラだった。

 

浩一「ゾーンに鋼鉄ジーグか……社会の授業でちょっとだけやったっけ」

 

レイン「昔は一大ニュースになってたらしいけど、今となってはもう日常の一コマね」

 

ドモン「しかし辰也よ、まさかとは思うが……お前はジーグを見た事があるのか?」

 

辰也「本で読んだだけですけどね。そもそも50年前の戦いなんですし、本物を見てた人がいるとしても、石神社長くらいっすよ」

 

でも社長は見た事あんのかな? と思う辰也。

 

森次「……説明は以上だ。全員、気を引き締めてかかれ」

 

辰也「はい!!」

 

飛行機のアナウンスが着陸を告げる。様々な事を考えつつ、辰也は着陸に備えて準備をした。

 

~ビルドベース~

辰也達はビルドベースへ着いた。

 

辰也「はえ~すっごい……ここがあのビルドベースか……」

 

ビルドベースを間近で見る……どころか入っているので、興奮しすぎて息を飲む辰也。

 

???「あなた達がJUDA特務室の方々ね。ようこそビルドベースへ……まあ、ここの人間ではない私が言うのは変な感じがするけれど」

 

白衣を着たクールな雰囲気の女の人が、特務室一行の元へと来る。

 

森次「あなたは?」

 

ミチル「私は早乙女ミチルよ。本当は浅間山の新早乙女研究所に籍を置いているけど、父に言われてここにね」

 

森次「早乙女ミチルさん……ですか。よろしくお願いします」

 

お互いに握手を交わす。

 

???「……いや~すみません! 夜通し研究してたもんで、つい寝過ごしちまって……」

 

そこへ、スーツとモノクルを身に着けている、特徴的な髪型の男が来た。

 

辰也(あの人……もしかして!!)

 

ミチル「……遅いわよ、兜博士」

 

兜……って!

 

突然の出来事に、辰也の心臓は高鳴っている。

 

甲児「おっと! お見苦しい所を見せてしまい、申し訳ありません。俺は兜甲児です! まあ、皆さんも名前は聞いた事があると思いますが……」

 

辰也「やっぱり、あの兜甲児だ!!!」

 

ジゼラ「ちょ、ちょっと……」

 

あの兜甲児と会えた……その事に感動と興奮を覚える辰也。

 

甲児「お……おお? まあ、とりあえず落ち着きなって……」

 

辰也「何言ってんですか!! あの兜甲児ですよ!!? Dr.ヘルから地球を守った英雄!! くろがねの城ことマジンガーZのパイロット!! それが俺の目の前にいて、どうして落ち着いてられますか!! ってああすみません、俺は瀧城辰也って言います!!」

 

鉄也「全く……そこまでにしとけ、辰也」

 

興奮している辰也を下がらせる鉄也。すまねえな、と鉄也が言う。首を横に振り、大丈夫だと答える甲児。

 

鉄也「まさか、お前がビルドベースにいるなんてな……さやかの機嫌でも損ねたか?」

 

甲児「ははっ、面白え冗談だな……共同研究の一環で、俺が派遣されただけだ。お前こそ、今頃はもうアメリカなんじゃないかと思ってたぜ」

 

鉄也「そっちの任務にはまだ時間があるからな。それに可愛い部下の付き添いもある……ま、色々と楽しい所だぜ」

 

甲児「そうか……お前が楽しそうならそれに越した事はないけどな」

 

ミチル「話してる暇はないわ。今回はゾーンの調査で来てもらった……のだけど、今しがたこの下関に鬼の反応があったのよ」

 

辰也「鬼?」

 

ドモン「もしやそいつらは、以前スタジアムやJUDAを襲った……」

 

ミチル「鬼を見た事があるの? こんな時じゃなかったら色々聞けたのに……まあいいわ、既に別の部隊には出てもらったけど……特務室の方々にも出動して欲しいの」

 

森次「分かりました……では、任務開始だ。旋風寺コンツェルン、及びGGGや地球防衛組にも連絡を取れ」

 

山下「了解っス!!」

 

 

 

第六話 鋼鉄が行く

 

 

 

~下関~

舗装された山道、そこを1台のバイクが走っていた。

 

剣児「畜生、何なんだよこいつらは!! いくら走っても振り切れないぞ!!」

 

バイクに乗っている少年……草薙剣児は、追ってくる鬼に対して文句を垂れる。

その鬼の後ろからは、6機の戦闘機が飛んでいた。

 

柳生「ちっ、鬼の数が多いとは……面倒だな」

 

竜馬「ゲッターに変形すりゃちょちょいのちょいなのによ……まどろっこしいぜ!!」

 

身堂「確かにそうだが、目的はあの少年を囲い込む事だ」

 

隼人「その目的に適しているのは、ゲットマシンの状態のみだからな」

 

門子「面倒くせえなぁ、とっとと終わらせて反撃しようぜ!!」

 

弁慶「ああ、全くだ!!」

 

6機の戦闘機……ビルドエンジェルとゲットマシンが鬼を蹴散らしていく。

そこへ、1機のロボットと戦闘機が現れた。

 

シロー「皆さんお待たせしました! WSO参番隊隊長兜シロー、これより戦線へと加わります!!」

 

柳生「遅いぞ、シロー!!」

 

竜馬「もうちょっと早く来やがれってんだ!!」

 

シロー「いや~申し訳ない、こいつらを先導していたもんで……」

 

シローの駆る機体……イチナナ式の後ろには、ビッグシューターと呼ばれる戦闘機が付随していた。

 

つばき「すみません皆さん!」

 

鏡「遅れて何だが、謝罪は後にしよう。つばき、あれを頼むぞ」

 

つばき「了解! ジーグパーツ、シュゥゥゥーーート!!」

 

そう叫びながら、レバーを押し出す。すると、ビッグシューターから巨大な人のパーツが飛び出した。

 

剣児「うわぁぁぁ!? 手が! 足が!!」

 

逃げ続ける剣児。

 

つばき「剣児! 剣児、逃げないで!! それは敵じゃない、あなたの力よ!!」

 

そんな剣児の元に、つばきから通信が入る。

 

剣児「つ、つばき!? つばきなのか!?」

 

つばき「ジーグパーツが雷鋼馬の相違磁場フィールドに到達したら、ビルドアップサインが出るわ!!」

 

剣児「び……び?」

 

つばき「両手の拳と拳を合わせて!」

 

剣児「うぇ……拳?」

 

つばき「いいから早く!!」

 

剣児「は、はい……」

 

剣児が拳をぶつけた瞬間、彼の周りに電流が流れた。

 

剣児「うおわ、何じゃこりゃ!?」

 

剣児のバイクは浮き上がり、巨大な頭部へと変わった。

そこから下へ下へと、どんどんパーツがくっついていく。

 

 

 

 

 

───そしてそれは、1つの巨大な人形(ひとがた)となった。

 

つばき「剣児が……剣児がジーグになれた!!」

 

剣児「何がどうなってやがんだ……?」

 

ジーグとなった剣児は、今の状態に首を傾げている。

 

つばき「説明したいけど……それは後よ!! まずはあの鬼を倒して!!」

 

剣児「お……おお!?」

 

竜馬「おいおい、とんでもねえモンが出てきやがったな! んで隼人、もうあのガキを追い込まなくてもいいんだろ? って事はよ……」

 

隼人「ああ……合体だ、竜馬!」

 

弁慶「やっとか……この時を待っていたぞ!」

 

竜馬「よっしゃ! 行くぜ!!」

 

竜馬もレバーを引き、叫ぶ。

 

竜馬「チェェェーンジゲッタァァァーワンッ!!!」

 

 

 

 

 

───すると、ゲットマシンが1つに合わさり、こちらも人型のロボットになった。

 

身堂「ジーグに……ゲッターロボか……」

 

柳生「ビルドアップ、およびゲッターチェンジを確認した」

 

門子「お、おい! 俺たちのビルドエンジェルにもああいうのはねえのか!?」

 

柳生「早乙女、残念だがビルドエンジェルに変形機構はない」

 

門子「だよなぁ……」

 

がっくりと肩を落とす門子。

 

身堂「まあいいじゃないか。合体出来なくとも、私達は強いという事を思い知らせてやればな!!」

 

門子「お、おう!!」

 

柳生「身堂、早乙女、お前達は私の下につけ」

 

2人「「了解!!」」

 

シロー「俺も行きますよ、柳生さん!!」

 

柳生「ああ、では行くぞ!!」

 

ジーグとゲッターが揃い、ついに彼らの反撃の狼煙が上がった。

 

~戦闘開始~

剣児(初戦闘時)

剣児「片づけるって言ったって、何がどうなってるか分かんねえよ!!」

 

鏡「とにかく戦え、剣児! お前のその力で、あの鬼を倒すんだ!!」

 

つばき「その為のアシストはするわ。だから思いっきりやっちゃって!!」

 

剣児「鏡までいやがるのか!? それに戦えって……! まあいいや……何だか知らねえが、この俺をボコれると思うなよ、鬼共!!」

 

 

鏡(初戦闘時)

鏡「ひとまずの目的は果たした……後は奴らを蹴散らすのみ!」

 

つばき「ええ……ビルドベースを鬼に襲わせる訳にはいかないわ!」

 

 

柳生(初戦闘時)

柳生「あの少年がジーグとなった……か」

 

身堂「ひとまず、問題点は解決したか。後はあいつが、どこまでやれるか……だがな」

 

門子「だが今は、こいつらを蹴散らすだけだ!!」

 

柳生「……ああ、ごちゃごちゃと考えていても仕方がない! 今は奴らを片付けるぞ!!」

 

 

竜馬(初戦闘時)

竜馬「あれが鋼鉄ジーグか……しっかし、こんなへんぴな場所にも鬼の野郎は出てくんだな」

 

隼人「ああ……この地に何かがあるのか……それともジーグとゲッターに引き寄せられたのか……あるいはその両方か……」

 

弁慶「あまり難しい事を言うな!! 眠くなっちまうぞ!!」

 

竜馬「弁慶の言う通り、ごちゃごちゃ考えんのも面倒くせえ! 一気に片づけてやるぜ、鬼共!!」

 

 

シロー(初戦闘時)

シロー「鋼鉄ジーグにゲッターロボ……噂以上にすごそうな奴だぜ……」

シロー「だがよ、俺のイチナナ式も負けてねえ!! やい聞け鬼共! こいつで鬼退治と洒落込んでやるから、首を洗って待ってやがれ!!」

 

 

~~~

竜馬「ゲッタァァァーーートマホォォォーーークッ!!!」

 

剣児「えっと……こいつでどうだ!!」

 

ゲッタートマホークとナックルボンバーで、最後の鬼は全滅した。

 

竜馬「へっ、どんなもんよ!!」

 

隼人「まだ油断はするな」

 

隼人の言葉通り、双方共に疲弊しつつあった。

 

つばき「! レーダーに反応が!?」

 

柳生「こいつは……もしや!!」

 

すると、ジーグ達を取り囲むように鬼達が現れた。

 

竜馬「まだ来やがるか!!」

 

柳生「! 待て!! あそこにいるのは……」

 

柳生の見ている方向には、岩の塊のような物体があった。

そしてそいつはジーグの方を向き───

 

 

 

 

 

───黒色のビームを放った。

 

剣児「うおわっ!?」

 

間一髪で避けるジーグ。当たった場所は抉られたように消し飛んでいた。

 

剣児「と……とんでもねえ威力だぜ……」

 

つばき「そうね……もしあのままだったら、ジーグは……!」

 

柳生「そうだな……そして奴はおそらく、ハニワ幻神!!」

 

隼人「ハニワ幻神……かつて先代の鋼鉄ジーグと戦った邪魔大王国の連中か」

 

シロー「けど、何でそんな大昔の奴らが今更ここに出てきたんだ!?」

 

竜馬「考えてる場合かよ!! 相手が向かってくんなら、こっちもやってやるぜ!!」

 

身堂「! 迂闊に近づくな!!」

 

ゲッターロボがハニワ幻神……魔愚羅に近づくと、そいつは火炎弾を放った。

 

竜馬「のわっ!? 回避が間に合わねえ……こうなりゃ!!」

 

火炎弾が当たる寸前、オープンゲットと竜馬が叫ぶ。すると、ゲッターロボがゲットマシンに分離した。

 

隼人「間一髪だったな……だから迂闊に近づくなと……」

 

竜馬「うっせえぞ隼人! 第一てめえは何も言ってなかっただろうが!!」

 

門子「ごちゃごちゃやってんじゃないよ! 早く逃げろってんだ!!」

 

門子の怒号ですぐさま戻るゲットマシン。魔愚羅の射程から抜けるとすぐに、ゲッターロボに再変形した。

 

弁慶「さて、どうするか……接近しても離れても危険だ……」

 

つばき「! レーダーに反応が! ビルドベースの方向からです!!」

 

柳生「……来たか!」

 

すると、その地点にロボットの軍団が現れた。

 

凱「何とか間に合ったようだが……」

 

ドモン「あの鬼共……やはりJUDAを襲った奴らか!!」

 

辰也「そうみたいです……ん?」

 

ジゼラ「どうしまし……あっ……」

 

ジゼラが辰也の方を見た時、彼女は察した。辰也はかつての英雄、鋼鉄ジーグの方を見ていたのだから。

 

辰也「あれ……マジかよ……ジーグじゃねえか!!!」

 

ジゼラ「はぁ……また始まった……」

 

辰也「邪魔大王国と戦った九州の防人! マグネパワーでハニワ幻人を全滅させた伝説の巨人!! まさか間近で見られるなんて……」

 

山下「いや、全滅させてたとしたらあそこにいるのは何なんだよ……」

 

山下の冷静なツッコミも、辰也の耳には入らなかった。

 

辰也「でも、本で見たやつとは結構違うな……あんなにトゲトゲしてねえし……」

 

鉄也「辰也、そこまでにしろ。今はその邪魔大王国がいるみてえだからな」

 

辰也「あ、はい。すみません……」

 

ジゼラ「もうちょっと時と場合を考えましょうね」

 

鉄也に注意され、ジゼラにたしなめられる辰也。

 

シロー「相変わらず手厳しいですね、鉄也さん」

 

鉄也「その声……シローか!」

 

シロー「ええ、任務で兄貴の付き添いに……っと、詳しい話は後でも出来ますね」

 

鉄也「そうだな」

 

柳生「由木に鉄也……久しぶりの奴もいるが、思い出話をしている暇はないな」

 

そう言うと、柳生はレーダーにラインを引き、各ロボット、戦闘機へ送った。

 

柳生「このデータの通り、あのハニワ幻神と鬼共をビルドベースに近づけるな! 我々の協力者……JUDA特務室の後ろのラインまで下がらせたら負けだと思え!!」

 

森次「だそうだ。今我々が立っている後ろに奴らを入れされるなよ」

 

辰也「はい!!」

 

~戦闘再開~

辰也(初戦闘時)

辰也「あの鋼鉄ジーグと戦えるなんてな……しかもイチナナ式や赤くてカッコいいロボまで……」

 

ジゼラ「辰也さん?」

 

辰也「あっスマンスマン! 今はそう言ってる場合じゃねえよな!! とりあえずまずは、アイツらを片付ける!!」

 

 

辰也(対魔愚羅)

辰也「あの岩みてえなのが……ハニワ幻神か……」

 

ジゼラ「あれ……見ただけでも強いって分かります!!」

 

辰也「だとしても俺達は負けねえ!! 諦めたらそこで、ビルドベースは壊滅するからな!!」

 

ジゼラ「はい!!」

 

 

浩一(初戦闘時)

浩一「鬼……よく見ればラインバレルも鬼みたいな格好だよな……」

浩一「まあ、今はそんなコトを考えてる暇がねえ!! 奴らを倒すぞ、ラインバレル!!」

 

 

浩一(対魔愚羅)

浩一「岩の化けモンが……オレ達の邪魔してんじゃねえ!!」

浩一「昔の妖怪は、大人しく引っ込んでろよ!!」

 

 

JUDA(初戦闘時)

森次「鬼……JUDAを襲ったのと同一個体だが……それと関係があるのか?」

 

シズナ「考え事しとる暇はあらへんよ、森次さん!!」

 

イズナ「今はアイツらを近づけないコトに専念しましょう!!」

 

山下「皆でビルドベースを守り抜くッスよ!!」

 

森次「……そうだな。奴らをビルドベースに近づけるな! 徹底的に迎撃しろ!!」

 

 

ガンダムファイター(初戦闘時)

ドモン「スタジアムやJUDAを襲った鬼……目覚めた理由は分からん……だが!!」

 

レイン「あれを撃ち漏らしたら、ビルドベースだけじゃなくてこの下関も壊滅するわ!!」

 

アレンビー「絶対にアイツらを倒す!!」

 

ドモン「考えている暇はない!! ここで奴らを蹴散らしてやるっ!!」

 

 

ドモン(対魔愚羅)

ドモン「岩の集合体……いや、もっと別の何かか……?」

ドモン「だが、今はどちらでもいい! まずは、貴様をここで食い止める!!」

 

 

WSO(初戦闘時)

鉄也「久しぶりだな、シロー。積もる話は色々あるが……」

 

由木「今はそれどころじゃないわ。あの鬼とハニワ幻神を倒すわよ!!」

 

シロー「鉄也さんに由木大尉……了解!! 兜シロー、標的を殲滅します!!」

 

鉄也「立派になったな……俺達も行くぞ!!」

 

 

シロー(対魔愚羅)

シロー(鉄也さんや由木大尉も来てくれた……けど、俺にも参番隊隊長としての意地がある!!)

シロー「ハニワ幻神!! こっから先は一歩も通さねえぜ!!」

 

 

舞人(初戦闘時)

マイトガイン「知性のない怪物か……」

 

舞人「町を襲うというのならば、俺達勇者特急隊が止める! 行くぞガイン! ビルドベースを、町を守る為に俺達は戦うんだ!!」

 

 

舞人(対魔愚羅)

舞人「岩の怪物……あれがハニワ幻神か……」

 

マイトガイン「気をつけろよ舞人! 奴のパワーは未知数だ!!」

 

舞人「分かった! だが俺達も引き下がる訳にはいかない! あのハニワ幻神に、俺達の力を見せてやるぞ!!」

 

 

凱(初戦闘時)

凱(ハニワ幻神と邪魔大王国……かつて九州を恐怖に陥れた怪物……!)

凱「そんな奴が何故復活したかは今はいい! 俺はお前達を倒すっ!!」

 

 

凱(対魔愚羅)

凱「岩の化け物が! お前をビルドベースにたどり着かせる訳にはいかない!」

凱「ここでお前を食い止める! 行くぞ、ガオガイガー!!」

 

 

仁(初戦闘時)

仁「邪悪獣じゃねえけど、何かヤバそうだ!!」

 

飛鳥「気をつけろよ仁……いくらライジンオーでも、あれだけの数に囲まれたら……!」

 

吼児「うう……怖いけど……やるしかないよ!!」

 

仁「ああ! あの化け物どもに、絶対無敵のパワーを見せてやるぜ!!」

 

 

仁(対魔愚羅)

仁「やいやい、石ころ野郎!! お前なんか怖くねえよ~だ!!」

 

飛鳥「馬鹿! 何言ってんだお前は!!」

 

吼児「こっちに向かって来るよ~!!」

 

仁「よし、これでビルドベースには向かねえ……ハニワ野郎! ライジンオーのパワーを受けてみやがれ!!」

 

 

剣児(初戦闘時)

剣児「何かだんだん分かって来たぞ……頭じゃなくて体で、ジーグの事が!!」

剣児「急に来た奴らにばっか頼れねえ!! 俺は俺で、アイツらを倒す!!」

 

 

剣児(対魔愚羅)

剣児「こいつがハニワ幻神……ジーグの……人類の敵か……!」

剣児「上等だ!! 全滅させてやるぜ、ハニワ幻神!!」

 

 

柳生(初戦闘時)

柳生「鉄也に由木……立派になったもんだ……」

 

身堂「感傷に浸ってる暇があるなら、少しでも奴らを倒すぞ」

 

門子「ビルドエンジェル隊は現役だってのを、若いのに教えてやるぜ!!」

 

柳生「……そうだな。では行くぞ!!」

 

 

柳生(対魔愚羅)

柳生(鬼の出現は、やはり邪魔大王国の復活の予兆だったか……!)

柳生「身堂、早乙女、奴を片付けるぞ!! 一歩もビルドベースに近づける訳にはいかない!!」

 

身堂&門子「「了解!!」」

 

 

竜馬(初戦闘時)

竜馬「どいつもこいつもジーグかよ……ま、注目されねえ分、逆にやりやすいけどな」

 

隼人「1人で勝手にやってろ……と言いたいが、ゲッターは3人いないと力を発揮しないからな」

 

弁慶「お前の馬鹿騒ぎにも付き合ってやるぞ、竜馬!!」

 

竜馬「おうよ! 隼人、弁慶、あいつらにゲッターの恐ろしさを味わわせてやろうぜ!!」

 

 

竜馬(対魔愚羅)

隼人(こいつがハニワ幻神……鬼が出現したのはこのせいか……?)

 

竜馬「おい隼人! ぼーっとしてんなよ!!」

 

弁慶「力比べなら俺がやるぞ、竜馬!!」

 

竜馬「馬鹿言ってんじゃねえ! あんな奴の相手なんざ、ゲッター1で十分だ!!」

 

 

~~~

竜馬「ゲッタァァァァァーーービィィィィィーーームッ!!!」

 

剣児「ダイナマイトキィィィィィック!!!」

 

シロー「兄貴ゆずりの戦い方、受けてみやがれ!!!」

 

鬼「グガァァァァァッッッ!!!」

 

ゲッターロボ、鋼鉄ジーグ、イチナナ式の攻撃により、鬼は全滅した。

魔愚羅も相当のダメージを負っている。

 

辰也「あとはあのハニワ幻神だけだ!!」

 

剣児「おうよ! 任せな!!」

 

鏡「剣児、スピンストームだ!! 強力な磁場マグネ砲で、奴を倒すぞ!!」

 

剣児「スピンストーム……こいつか!?」

 

剣児がレバーを引くと、ジーグがポーズを決め、腹にエネルギーを溜めた。

 

鏡「それだ! それを撃て、剣児!!」

 

剣児「ああ! これで決着だぜ……スピンストォォォォォーーーム!!!!!」

 

そして、ジーグがスピンストームを放った。

 

魔愚羅「グウゥ……!!」

 

ハニワ幻神……魔愚羅はバラバラになり、消滅した。

 

剣児「終わった……のか?」

 

鏡「そうだな」

 

柳生「では、これより帰還する」

 

森次「我々も行くぞ」

 

柳生と森次の指示によって、全員はビルドベースへと帰還した。

 

~ビルドベース~

剣児「ここが……あのビルドベースなのか……?」

 

ビルドベースへと帰還した剣児。ジーグに乗って戦ったのは初めてで、その負荷によって全身に怪我を負ったため、体中に包帯を巻いている。

 

つばき「あっ剣児! 大丈夫だった?」

 

剣児「つばきか! いやこの通り、けがはしてるけど動けるぜ!!」

 

つばき「そうなの……ごめん! ちゃんと説明してからジーグのパイロットになってもらう計画だったのに……」

 

鏡「ま、順序は入れ替わったが、概ね予定通りと言った所だ」

 

剣児「お、おう……っておい! どういう事なんだ!?」

 

つばきと鏡の説明に、声を荒げる剣児。

 

鏡「説明は後だ。今は顔合わせの時間だからな」

 

剣児「ああ!? 訳分かんねえ状況で顔合わせだぁ!? そんなもん納得出来ねえよ!!」

 

辰也「まあ落ち着けよ。俺だってハニワ幻神が復活したってのには驚いたけどな……ま、それはそれ、これはこれだ。ってか、あのジーグを操ってたのか? どうだったんだ!? あれを操った感想は!?」

 

剣児「おまっ……急に何だよ!!」

 

辰也「ああ悪い悪い、色々とすげえもんが見れたからつい興奮しちまって……俺は瀧城辰也だ。よろしくな!!」

 

ジゼラ「辰也さん……あの、私はジゼラ・ジェノです」

 

浩一「オレは早瀬浩一……」

 

城崎「私は……」

 

山下「僕……」

 

剣児「お、俺は……」

 

……と、同年代でそれぞれの自己紹介が終わった。

 

甲児「へぇ〜、こいつらが例のゲッターチームですか」

 

その一方では、甲児の元に竜馬達が顔を合わせていた。

 

ミチル「チームとは名ばかりのゴロツキ集団よ、規律もへったくれもありゃしないわ」

 

竜馬「言いてえ事言ってくれんじゃねえか、鬼娘さんよ」

 

ミチル「チーム結成初日から喧嘩ばかりの男がよく言うわね」

 

相変わらずのゲッターチームに呆れ気味のミチル。

 

甲児「……はは、賑やかで楽しそうですね」

 

ミチル「そう思えるのも今のうちよ。何ならあなたも早乙女研究所に移るかしら?」

 

甲児「いやぁ、ありがたく遠慮させてもらいますよ……そういや、鉄也も同じ事を言ってましたねぇ……部下の2人が喧嘩ばっかで飽きないのかって」

 

そんな時、神妙な顔をして舞人が現れた。視線の先にいるのは神隼人。

 

舞人「……」

 

隼人「どうした、俺に何か用か?」

 

舞人「いえ……」

舞人(テロリストの神隼人……俺の知っている犯罪者達とも手を結んでいたという情報があるが……)

 

竜馬「ま、乗りかかった船だ。仲良くしようぜ、坊主!」

 

疑念を抱える舞人の肩を叩く竜馬。

 

舞人「え、ええ……」

 

そしてその近くでは、鉄也達が話をしている。

 

柳生「久しぶりだな。鉄也」

 

シロー「お久しぶりですね、鉄也さん!」

 

鉄也「お久しぶりです、柳生大佐……いえ、今はもうWSOをお辞めになっていましたね。シローも久しぶりだな」

 

鉄也に対し、気にするなと声をかける柳生。

 

由木「お久しぶりです、柳生大……さん。兜隊長も久しぶりね」

 

柳生「由木じゃないか。ふふっ、スカーレットの所の技官が、もうこんな立派になってな……」

 

由木「あ、ありがとうございます!!」

 

冷静な態度に努めていたが、かつての上官に褒められて思わず嬉しくなる。

 

鉄也「WSOのビルドエンジェル隊……3名という少人数だが、グレンファルコン隊やデスカプリーズ隊に並ぶ程の戦果を上げていた……WSOを辞めてからの所在は掴めませんでしたが、まさかここにいたとは……」

 

柳生「あの2人が配属されてから、ゾーンとやらに興味を持ってな……二足のわらじでしばらく続けていたが、思い切って辞めたよ。そっちの方が、集中して奴らと戦えるからな」

 

シロー「奴ら……さっきの鬼やハニワ幻神か……」

 

鉄也「そしてそれらを使役している集団……邪魔大王国ですね」

 

柳生「その通りだ。分かっていると思うが、覚悟して戦いに挑め」

 

鉄也「了解しました」

 

決意を胸に、凛とした顔を向ける鉄也達。かつての部下のその顔に、つい笑みがこぼれる柳生だった……。

 

~九州・阿蘇~

阿蘇山の奥深くのマグマ溜まり、その中から塔のような何かが突出していた。

 

……その塔の先端部から、禍々しい瘴気を孕んだ巨大な女が現れた。

 

???1「殺してやる……忌々しい人間共……皆殺しじゃあぁぁぁーっ!!!」

 

女の雄叫びと共に、マグマから竜が飛ぶ。その竜が女の体に巻き付いた。

 

???2「ようやくこの地へと復活を遂げましたか……女王妃魅禍よ」

 

平安貴族のような男が、女王妃魅禍へと声をかける。

 

妃魅禍「晴明か……この程度の封印なぞ、妾にとってはうたた寝に過ぎん。故に貴様がおらぬとも封印は解けた。過ぎた真似をしおって……」

 

晴明「それはとんだ粗相を……しかし私の力によって、妃魅禍様はより早くお目覚めになられた……お気に障るようでしたらご容赦の程を」

 

妃魅禍「……まあよい。これより他の者の封印を解く。壬魔使! 阿魔疎! 壱鬼馬!」

 

妃魅禍が叫ぶと、マグマの中から壬魔使が、結晶の中から阿魔疎が、そして、巨大な像の中から壱鬼馬が現れた。

 

壱鬼馬「邪魔大王国を統べる麗しの女王妃魅禍様……今ここに忠実なる僕……壱鬼馬!」

 

壬魔使「壬魔使!」

 

阿魔疎「阿魔疎!」

 

晴明「そして、この安倍晴明……」

 

4人「「「「参上致しました!!」」」」

 

口を揃え、邪魔大王国の重鎮達が妃魅禍に隷属の構えをとる。

 

妃魅禍「人間共がまだこの大地に蔓延っておるようじゃ」

 

阿魔疎「皆殺しに……ヒヒ……するゥゥ~!!」

 

壬魔使「何なりと御命令を!!」

 

妃魅禍「妾は感じた。目覚める瞬間……銅鐸の鼓動とゲッターの意思……そして、隠者の恒星をな!!」

 

その言葉を聞いた途端、壱鬼馬、壬魔使、阿魔疎の目にギョロリと瞳が現れる。

晴明は、開いている目をぐわりと更に開けた。

 

壱鬼馬「我らの望みを叶えし銅鐸……!!」

 

晴明「そして……憎きゲッター!!」

 

壬魔使「隠者の……恒星!!」

 

妃魅禍「此度こそ、人間共から銅鐸を奪い返し、ゲッターを始末するのじゃ!!」

 

4人「「「「仰せのままに!!」」」」

 

そして、彼らは闇の中へと消えていった……。




中断メッセージ(ビルドエンジェル隊のプレイ)
門子「よし、こいつで終わりだ!!」

身堂「待て早乙女、ちゃんと『努力』と『幸運』はかけたか?」

門子「ああ? そんなもんかけてねえぞ!」

身堂「……『努力』は自分の取得する経験値が2倍になるんだ。『幸運』は相手を撃墜した際に得られる資金が2倍になる……」

柳生「この2つを活用すれば、効率よく機体やキャラクターを育てる事が出来る。また、ない場合は『応援』と『祝福』をかけるんだ」

門子「なるほどな……んじゃ、気を取り直してやるとするか!」

柳生「プレイヤーの皆も、これら精神コマンドを活用して、快適なスパロボライフを送りましょうね♡」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

分岐1

分岐ルートです。
作中でも明記していますが、結構偏った編成になっています…


~ビルドベース~

甲児「……と、以上がビルドベースと鋼鉄ジーグ、ゲッターロボ、そして邪魔大王国の説明でした」

 

スクリーンをバックに立っている甲児。パチパチと、周りからまばらに拍手の音が聞こえる。音の主は早乙女ミチルともう1人……司馬遷次郎だ。

 

司馬「中々の物じゃな……流石は剣造の息子なだけある」

 

甲児「そう言わないで下さい。父にはまだ敵いませんから」

 

ミチル「何を言っているの。かつてDr.ヘルの手から地球を救い、ミケーネとの戦いでも剣鉄也と協力して戦ったあの兜甲児が……武蔵坊君、眠ってないで早く起きなさい」

 

弁慶「んお……これは申し訳ない……」

 

つばき「ほら剣児、起きて!」

 

剣児「ぐご……んあ?」

 

ミチルとつばきが、寝ている両名を起こす。目をこすりながら、2人は起き上がった。

 

竜馬「あの2人はそんな退屈な説明なんざ聞いてられねえってな。ま、俺も同じだけどよ」

 

ミチル「あなたねぇ……!」

 

司馬「放っておけ。馬鹿に何を聞かせても無駄じゃ。そんな奴らにはせいぜいハニワ幻神や鬼の餌がふさわしいわ」

 

竜馬「てめえ……!」

 

剣児「このクソジジイ……!」

 

隼人「フン……見苦しいぞ竜馬」

 

鏡「全く……馬鹿かお前は」

 

竜馬「んだと隼人! てめえはあのジジイの肩を持つのかよ!!」

 

剣児「鏡! てめえもあっち側かよ!!」

 

隼人「事実を述べたまでだ。それよりいいのか?」

 

鏡「こんな状態じゃあ、司馬博士の言った通りになるぞ」

 

竜馬「この……!」

 

剣児「野郎……!!」

 

門子「いい加減にしな! 会議に集中出来ねえだろうが!! それとも何だ、ここで俺に殺されとくか!?」

 

場を弁えず怒り散らす竜馬と剣児に対して、腹を立てる門子。

 

竜馬「チッ……ゴリラ風情が人間様の住処でギャーギャー言いやがって……」

 

剣児「モーモーとうっせえんだよ、牛姉ちゃん!!」

 

門子「んだと!?」

 

身堂「やめな早乙女。みっともない」

 

鉄也「そうですよ。仮にも元WSOのエースパイロット……ここで暴れては、後輩達に示しがつかないじゃないですか」

 

門子「チッ……後で覚えてろよ!」

 

同期と後輩に諫められ、一旦は身を引く門子。しかし、その顔は怒りで真っ赤になっている。

 

飛鳥(僕達とあの2人……どっちが子供か分かんないよ……)

 

吼児(そ、そうだね……)

 

仁(あの剣児って人はまだ高校生みてえだけどな)

 

飛鳥(高校生なら高校生で、手本を見せて欲しいけど)

 

……と、蚊帳の外でヒソヒソと話している地球防衛組。普段は活発な仁も、この中では落ち着いていた。

 

森次「では、私からも説明……いや、頼みがあります。これからビルドベースと早乙女研究所の面々には、我々JUDA特務室に協力して欲しいのです」

 

司馬「む……?」

 

ミチル「協力……? あなた方に?」

 

森次「その通りです。この日本……いや世界には邪魔大王国と鬼だけではない……最近現れた邪悪獣や加藤機関、そしてエレミタ……その他にもいますが、奴らと戦う為にも、戦力を増やす必要があります」

 

司馬「じゃが、ジーグを失ったビルドベースはどうなる?」

 

森次「それについてはおそらく心配はないでしょう。兜博士が仰っていたように、ジーグは銅鐸と呼ばれる物を動力源とし、ゲッターロボもまたゲッター線という未知のエネルギーを使用している……邪魔大王国はこの2つを狙っていると考えられます」

 

隼人「銅鐸とゲッター線を狙い、奴らは侵攻する……つまり、これらを離せば離すほど、ビルドベースは安全という訳か……皮肉な話だな」

 

森次「その通りです」

 

辰也「でも森次さん、邪魔大王国はともかく、鬼はスタジアムやJUDAにも現れていました。銅鐸やゲッター線を使用しているロボットはいないのに、何で奴らは来たんですか?」

 

辰也が疑問を投げかける。

 

森次「そうだな、考えられる可能性としてだが……瀧城、それはお前のイールソウルにあるだろう」

 

辰也「イールソウルが……ですか?」

 

森次「ああ。イールソウルは未解明な部分が多い。その動力源に、奴らをおびき寄せる何かが使われていると見て間違いないだろう。分かっているコトがあるとすれば、ジゼラが近くにいる、もしくは乗っている場合なら瀧城は負担を感じずに、イールソウルを操れるというコトだな」

 

辰也「体が軽くなったのは、それが理由だったのか……」

 

ジゼラ「私も知りませんでした……」

 

少しだけ驚きの事実に、はっとする2人。まだその理由までは分からないがな、と森次が付け加えた。

 

森次「そして、イールソウルに付属していたAIを解析し、いつでも呼び出せる道具を造った。瀧城には既に渡しているので、これはジゼラに渡しておこう」

 

ジゼラ「ありがとうございます」

 

森次から受け渡された品を、ジゼラが受け取る。

 

森次「……と、脱線しましたが要はそういうコトです。協力していただけますか?」

 

司馬「うむ……」

 

美和「いいでしょう。我々はあなた方に協力します」

 

扉から、ビルドベースの司令官……珠城美和が現れた。

 

剣児「つばきのおばあちゃんじゃねえか!!」

 

司馬「珠城司令官じゃ!!」

 

遷次郎の杖が剣児の頭へと直撃する。いて~、と剣児は頭を抑えている。

 

森次「いいのですか?」

 

美和「ええ……これはビルドベースの問題ではありません、日本の……いや、世界の問題です。世界を守る要……そして敵を攻める要として、ジーグとビルドエンジェル隊は戦力になるでしょう」

 

森次「ご協力ありがとうございます」

 

竜馬「おい、俺たちはどうすんだよ?」

 

ミチル「そうね……私の一存では決められないけど、あの人なら許可するんじゃないかしら」

 

隼人「ゲッター線の解明の為ならどんな事もやってのける……こいつらと手を組む事も……それがあの早乙女という男なのだろう。最も、組んだ所でゲッターの何が分かるのかだがな」

 

森次「では、あなた方も協力して下さると?」

 

ミチル「少なくとも私は構わないわ。後で父の方には連絡をしておくけど」

 

森次「ありがとうございます」

 

すると、スクリーンに石神の顔が映った。

 

石神「……え~っと、繋がったかな……」

 

竜馬「なっ!? おい、何だこいつは!!」

 

剣児「急に驚かしてくんじゃねえぞ!!」

 

森次「石神邦生。我々JUDAの社長だ……どうしました?」

 

石神「ああ森次クン、いやぁ皆の顔が見たくてね……というのもあるケド、これから色々忙しくなるからさァ」

 

森次「どういうコトです?」

 

石神「実はね、アメリカにマキナに似た存在があるらしいんだ。その調査をしてほしいケド、日本も邪魔大王国やら何やらで忙しいじゃない。だから、任務によってチームを分けようと思ってね」

 

森次「そうですか……では、どのように分けますか?」

 

石神「そうだねェ……色々考えたんだケド、日本に残るのはJUDA特務室、勇者特急隊、獅子王凱クンことGGG、地球防衛組の皆、そしてそこのビルドベースのメンバーにゲッターチーム……対してアメリカ行きはドモン君達ガンダムファイター、鉄也クンを始めとするWSOのメンバーと言った所かな」

 

シズナ「何か……メンバーが偏ってへんか?」

 

石神「少人数の方がスムーズに行動できるかな~と思ったんだけど……大丈夫かい?」

 

ドモン「問題はない」

 

鉄也「丁度テキサスプラントでの任務が控えてるのでありがたいぜ。それに由木やシローをじっくりとしごき上げるチャンスだからな」

 

シロー「お、お手柔らかに……」

 

辰也「あれ?」

 

辰也が首を傾げる。

 

辰也「俺はどうすんですか?」

 

石神「ああ、ソレは辰也クンで決めて欲しいんだ」

 

辰也「あっはい、分かりました」

 

確か……日本は特務室と勇者特急隊、凱さんもといガオガイガーに地球防衛組、そしてジーグとビルドエンジェル隊にゲッターチーム……

 

対してアメリカではガンダムファイターにWSO……

 

辰也「それじゃあ俺は……」

 

 

 

~日本へ残る~

辰也「……俺は日本に残ります。こっちには、色々と守りたい物があるので」

 

石神「分かったよ。じゃあ、そういう編成にしておこう」

 

辰也「ありがとうございます」

 

舞人「辰也さんがいるなら、こっちは百人力ですよ! ああもちろん、俺達勇者特急隊も負けていませんからね」

 

山下「ま、頑張ろうね、瀧城」

 

辰也「おう! 任せときな!!」

 

石神「じゃあ僕からは以上だ。それじゃあ……」

 

美和「皆さん、ここで解散とします。それぞれの出発は明日……それまで体を休めて下さい」

 

美和の一声で、全体は解散した……。

 

 

[この部隊に以下の機体が編成されました]

・ラインバレル/早瀬浩一

・ヴァーダント/森次玲二

・ハインド・カインド/山下サトル

・ディスィーブ/遠藤シズナ

・ガオガイガー/獅子王凱

・マイトガイン/旋風寺舞人

・ガードダイバー/ガードダイバー

・バトルボンバー/バトルボンバー

・鋼鉄ジーグ/草薙剣児

・ビッグシューター/美角鏡

・ビルドエンジェル/柳生充子

・ゲッター1/流竜馬

・イールソウル/瀧城辰也

 

 

 

~アメリカへ行く~

辰也「……俺はアメリカに行きます。強くなるためにも外で経験を積みたいので」

 

石神「分かったよ。じゃあ、そういう編成にしておこう」

 

辰也「ありがとうございます」

 

ドモン「フ……ならば俺も鍛え上げてやろう」

 

鉄也「俺達の指導は厳しいからな、覚悟しておけよ」

 

辰也「はい! 絶対負けませんよ!!」

 

石神「じゃあ僕からは以上だ。それじゃあ……」

 

美和「皆さん、ここで解散とします。それぞれの出発は明日……それまで体を休めて下さい」

 

美和の一声で、全体は解散した……。

 

 

[この部隊に以下の機体が編成されました]

・ゴッドガンダム/ドモン・カッシュ

・シャイニングガンダム/レイン・カッシュ

・ノーベルガンダム/アレンビー・ビアズリー

・グレートマジンガー/剣鉄也

・イチナナ式/兜シロー

・ウィングル/由木翼

・イールソウル/瀧城辰也




エーストーク(の前の会話)
辰也「そういや、牧さんが言ってたんだけど、イールソウルのAIは色々学習すんだってよ」

ジゼラ「学習……例えば強敵を倒した時などですか?」

辰也「ん~、まあそんな感じかな。それでその経験値が貯まると何か色々な部品と交換出来るんだとよ」

ジゼラ「すごいですね……それなら頑張っちゃいますよ!! ……で、私にも何か出来る事はありませんかね?」

辰也「お前が? 何で?」

ジゼラ「いやその……もっと皆さんの役に立ちたいので……」

辰也「う~ん、お前は充分役に立ってると思うけどな……じゃあ、エースパイロットへのインタビューなんてのはどうだ?」

ジゼラ「エースパイロット……ですか?」

辰也「ああ、エースになった人から色々聞けば、いい経験になると思うからな……んで、どんくらい撃墜すればいいかっつーと……60機くらいかな?」

ジゼラ「なるほど……ありがとうございます!!」

辰也「いいっていいって! そんじゃ、お互い頑張ろうぜ!!」

ジゼラ「はい!!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

日本ルート
第七話A 爆発! 最強! 黄金勇者!


平成最後に投稿できてよかった…
今回はガバガバでまとめきれなかった感じがします(多分いつもそんな気がする……)が、何卒よろしくお願いします……

そしてこれからも、スーパーロボット大戦Nをよろしくお願いします!!


~青空町~

のどかで平和な町、青空町。そこに、何かから逃げている小学生……霧隠虎太郎がいた。

 

虎太郎「冗談じゃねえぜ! こっちは学校帰りで自由なんだ! 忍者の修行になんて付き合ってられるかよ!!」

 

藤兵衛「待てい虎太郎! 我が霧隠流忍術の修行を抜け出しおって!! 今日という今日は許さんぞ!!」

 

虎太郎「ま~いいじゃん! 今日は力哉と鷹介とダイ兄ちゃんと一緒に野球の練習に行くんだからさ!!」

 

藤兵衛「忍者の修行より玉遊びの方が大切だと言うのか!?」

 

虎太郎「そうだよ! じゃあね~!!」

 

そう言いながら、たまたま歩いていた辰也達の横を通り抜けた。

 

剣児「……何なんだよ今のは……」

 

つばき「東京にはああいう人達もいるのね……」

 

浩一「いや、あんな人はいないよ……そう信じたいケド……」

 

2人に驚く剣児とつばき、そしてこの状況自体を呆れた風に見つつも、内心驚いている浩一だった。

 

辰也「忍者か……俺の知ってる忍者はGGGのボルフォッグだけだけどな~」

 

ジゼラ「あ、あはは……そうですね……」

 

……相変わらずの辰也のロボオタク発言に、もはや呆れているジゼラもいた。

 

山下「ソレにしても元気だよね~。ボク達なんて下関から帰ってすぐ学校だったってのに」

 

辰也「小学生なんてそんなもんだろ? んじゃ、行こうぜ」

 

そう言い、東京見学を続けた。

 

~青空町・山~

虎太郎「しっしっし、ここまで来れば大丈夫だ!」

 

何とか逃げ切った虎太郎。たまたま力哉達との集合場所に着いたので、そのまま野球をする。

 

鷹介「虎太郎くんが来たよ! お~い!」

 

力哉「よし、さっさと始めるぞ!」

 

ダイ「まずはウォーミングアップとして、キャッチボールから行こうか」

 

虎太郎「合点承知! そんじゃ早速……」

 

……と、キャッチボールをしている4人から少し離れた場所で、原島拓矢と峯崎拳一、時村和樹、立花浩美と朝岡しのぶ、そして道明寺が穴を掘っていた。

 

タクヤ「んしょ……んしょ……と……」

 

拳一「ひゃ~疲れるぜ~。こんな所を掘って、お宝なんて見つかるのか?」

 

タクヤ「あるかも知れねえだろ? 恐竜の化石か宝石か、もしかしたらモビルスーツが出てきたりしてな!」

 

カズキ「お前なぁ……モビルスーツが埋まってると思ってるのか? 百歩譲って化石か宝石なら分かるけど……」

 

道明寺「ま、火星には何機か埋まってたらしいぜ。それを使って戦ってた奴らがいたからな」

 

しのぶ「確かその人達って、鉄華団ですよね? ほとんどが子供なのに、2年で大きな会社を立ち上げたなんてすごいわよね~」

 

拳一「そうだな……ってか、何も出てこねえぞ!」

 

カズキ「ほらな、お宝なんて早々見つからないもんなんだよ」

 

タクヤ「まあ、もうちょっと気長に……おぉ?」

 

タクヤが素っ頓狂な声をあげる。何かがスコップにぶつかったみたいだ。

わっせわっせと掘り出してみると、そこには赤く輝く宝石があった。

 

タクヤ「おっほ~、もうけもうけ! ほら見ろ、お宝あったじゃねえか!!」

 

カズキ「ああ。それにしても綺麗な宝石だな~……何でこんな所に埋まってたんだ?」

 

道明寺「神様の祀ってある大岩の前だから……きっと貢ぎ物として捧げられてたモノだと思うぜ」

 

拳一「そうなのか? ……ってお前ら! あっち見ろ!!」

 

拳一がいきなり叫び声をあげる。何だ何だと指した方を見ると───

 

 

 

 

 

───光輝く円盤が、こちらへと近づいていた。

 

道明寺「お前ら、伏せろ!!」

 

言うと同時に、小学生達に被さる道明寺。その直後、大岩目掛けてロケットのような物がぶつかった。

その瞬間、残骸から黒い物が漏れだし、道明寺達の上部分を覆った。

 

ゴクアーク「我が名は暗黒魔王……ゴクアーク! 遂に我が封印は解かれた。人間界を闇に包み、地上を大魔界に変えてくれる!!」

 

ゴクアークと名乗ったその影は、遠くの惑星を引き寄せ、握り潰した。

 

しのぶ「な、何よあれ……」

 

道明寺「マジかよ……神様は神様でも、邪神だったみたいだな……!」

 

拳一「呑気に解説してる場合かよ!!」

 

歯車王「大魔界だと? 愚か者め、地球を征服するのは我々機械化帝国だ!」

 

近くでは、姿を変えた円盤……歯車王が立っていた。

 

ギーグ「歯車王様! この近くには人間共の故障した機械はありませんです、ドカーン!」

 

そして、大岩にぶつかったロケット……ギーグも姿を変えていた。

 

タクヤ「宝石を見つけたと思ったら、黒いのに歯車にロケットに……こりゃどうなってんだよ~!!」

 

カズキ「落ち着けタクヤ! 今は取りあえず、この事態を切り抜けるぞ!!」

 

拳一「どうやって切り抜けるんだ! そんなのおちおち考えられるかよ!!」

 

しのぶ「静かにしてなさい、拳一! 争ってる場合じゃないわ!!」

 

ギャーギャーと言い争いを始めたタクヤ達。その様子を、歯車王が煩わしそうに見ている。

 

歯車王「これが人間か……弱そうだな。そのくせこんなにも煩いとは……機械化する前に口を閉じていてもらおう!!」

 

そう言うと、左手の歯車をギリギリと回し始めた。

 

 

 

 

 

───しかし、歯車王はその動きを止めた。白い光が自らを通り過ぎ、ゴクアークを襲ったのだから。

 

ゴクアーク「ぬおおっ!?」

 

ゴクアークの姿が縮小され、惑星も元通りになった。

そしてその白い光は、人型へと変化した。

 

ゴクアーク「貴様は……エルドラン!」

 

歯車王「エルドランだと!?」

 

エルドラン(やはり機械化帝国も侵略に来ていたか……だが、まずは!!)

エルドラン「魔王ゴクアークよ……この私がいる限り、地球を好きにはさせん! 大人しく闇の世界に戻るのだ!!」

 

エルドランと呼ばれたその人型は、ゴクアークの元へと突撃した。

 

エルドラン「私が……お前を封印する!」

 

そう言うと、白い光を輝かせ、ゴクアークを押し戻した。

 

ゴクアーク「ぬぉわぁぁぁぁぁぁっ……!!」

 

そして、惑星や大岩も元に戻った。

 

道明寺「何だか分からねえケド、とっとと逃げるぞ!!」

 

道明寺の合図で、小学生達は逃げていった。

 

歯車王「邪魔者は消えたか……ならばギーグよ、原子王の用意した機械化獣を呼び出せ! そして人間をこの地球から消し去るのだ!!」

 

ギーグ「了解しましたです。機械化帝国の力、人間共にたっぷり味わわせてやりますです」

 

そう言うと、周りに何体もの機械化獣を呼び出した。

 

歯車王「はっはっはっは! さあ行くがいい! 全宇宙に鋼鉄の秩序を!!」

 

機械化獣が木々をなぎ倒し、暴れまわるのを確認すると、2つの機械は消えていった。

 

エルドラン(頼んだぞ……ガンバルガー……ゴウザウラー……そして、地球の子供達よ……)

 

封印を終え、力が尽きそうなエルドランは、心の中でそう呟いた……。

 

 

 

 

第七話 爆発! 最強! 黄金勇者!

 

 

 

 

 

~青空町・山~

拳一「何なんだよ、あの変な機械は!!」

 

タクヤ「とにかく逃げるぞ!!」

 

無我夢中で走っていると、藪から須賀沼大が飛び出した。

 

タクヤ「だ、ダイ!?」

 

ダイ「タクヤ! それにカズキや拳一達も!!」

 

カズキ「お前、何で山を登ってんだ? 今は機械の化け物が出てきて危険なんだぞ!?」

 

ダイ「それは分かってるんだけど、虎太郎君達が行っちゃったんだよ!!」

 

カズキ「何だって!?」

 

突然の事で驚くカズキ達。

 

道明寺「クソッ……お前らは先に逃げとけ! 俺が探しに行く!」

 

ダイ「わ、分かりました! ありがとうございます!!」

 

道明寺「礼は後だ! 今は逃げろ!!」

 

道明寺は山へと駆け出した。

 

~~~

力哉「何だこりゃ……」

 

虎太郎「地底人のロボットだ!!」

 

3人の前では、獣の姿をしたロボットが埋もれていた。

 

鷹介「見とれてる場合じゃないよ! 早く逃げないと、あの変な機械が襲って来る……え?」

 

虎太郎「どうしたんだ、鷹介?」

 

鷹介「何か……頭の中で響いて来た……」

 

力哉「お、俺もだ……」

 

虎太郎「そうか? 俺には何にも……」

 

首を傾げる虎太郎。すると彼にも、何かが聞こえてきた。

 

エルドラン(私はエルドラン……色々話があるが、詳しい事はあれに乗ってからだ……)

 

虎太郎「え、エルドラン!?」

 

力哉「あれに乗れって……」

 

鷹介「きっとあのロボットに乗るんだよ!」

 

鷹介の言った通りに、3機のロボットに乗る。

乗った瞬間に画面が点灯し、白い人型が現れた。

 

エルドラン「私は太古の昔より地球を守ってきた戦士、エルドラン」

 

力哉「は……はい……!」

 

エルドラン「私は今……暗黒魔王との戦いで動く事が出来ない……子供達よ……君達が私の代わりに、大魔界を始めとする侵略者の魔の手から地球を守って欲しい……」

 

鷹介「大魔界……?」

 

エルドラン「そう……大魔界の魔の手から、地球を守るのだ……! 頼んだぞ……地球の子供達よ……」

 

エルドランのメッセージが終わると、画面が暗転し、ブレスレットが飛び出して来た。

それが勝手に虎太郎達の腕に巻き付くと、突然光を放った。

 

鷹介「うわっ……あっ……ああーっ!!」

 

力哉「な、何だ!?」

 

虎太郎「うおわ……あぁぁぁぁっ!!」

 

突然の出来事に思わず叫び声をあげる3人。

目を開けると、虎太郎達は変身していた。

 

レッドガンバー「わあぁぁぁぁっ! ど、どうなってんだ!?」

 

ブルーガンバー「変身しちゃったぁ!!」

 

イエローガンバー「な、何だこりゃあ!?」

 

あまりにも唐突な展開に、混乱する3人。

彼らの目の前には、あの機械化獣が迫っていた。

 

イエローガンバー「ど、どうすんだよ!?」

 

ブルーガンバー「ええっと今調べて……って、合体!?」

 

そう言った瞬間、虎太郎……もといイエローガンバーのコックピットの前の赤いボタンが点灯した。

 

レッドガンバー「これを……押すのか?」

 

ボタンを押すと、何かが出てきた。

 

ブルーガンバー「それにカードを入れて、虎太郎君!」

 

イエローガンバー「分かったぜ!!」

 

イエローガンバーがカードを入れると、画面が点灯した。そしてボタンを押すと、3機のロボットが宙を舞い───

 

 

 

 

 

───合体して、1機の人型ロボットとなった。

 

イエローガンバー「ガンバルガー……?」

 

イエローガンバーが画面に表示されている文字を見て、首を傾げている。

 

レッドガンバー「おい、あっちにもロボットがいるぞ!!」

 

レッドガンバーが指した方向には、同じく人型のロボットがいた。

 

拳一「な、何だよあのロボットは!」

 

浩美「僕達もこの状況がよく分かってないけど……そっちのロボットに乗ってる人、聞こえますか!」

 

浩美がガンバルガーに通信を入れる。

 

虎太郎「うおっと!?」

 

しのぶ「覆面で顔を隠してる……けど、こんな状況でそんな事はどうでもいいわよね」

 

拳一「俺達、このゴウザウラーってのに乗ってるんだ! そっちのロボットは何て名前なんだ?」

 

ブルーガンバー「が、ガンバルガーです!」

 

拳一「ガンバルガーか! それじゃあ、一緒にあのネジ野郎を倒すぞ!!」

 

イエローガンバー「お、おう!!」

 

拳一の呼びかけに、勢いよく応えるイエローガンバー。

 

イエローガンバー「そんじゃ……」

 

拳一「やってやらぁ!!」

 

かけ声と共に、2機は戦闘を開始した。

 

~戦闘開始~

イエローガンバー(初戦闘時)

ブルーガンバー「こうなったら……もうやるしかないよね!」

 

レッドガンバー「ああ! まだ実感が湧かないけど、俺達はエルドランってのから託されたんだ!」

 

イエローガンバー「地球を守る方法なんて分からないけど、心にファイヤー燃やして行くぞ!!」

 

 

拳一(初戦闘時)

浩美「機械化帝国……それがあいつらの名前……」

 

しのぶ「エルドランは奴らから地球を守るために……!」

 

拳一「だったらうかうかしてられねえ! 俺達の地球をあんな奴らに奪われてたまるかよ! 行くぜ!!」

 

 

~~~

イエローガンバー「ガンバースラッガァァァーッ!!」

 

拳一「ザウラーバンカァァァーッ!!!」

 

ガンバルガーとゴウザウラーの攻撃で、機械化獣を撃退した。

 

ブルーガンバー「やったね、虎太郎君!」

 

しのぶ「すごいじゃない、拳一!」

 

イエローガンバー「へっ、どんなもんよ!」

 

拳一「これくらい、ちょちょいのちょいだぜ!」

 

子供達が歓喜している一方、そう遠くない場所では黒い人型が立っていた。

 

ヤミノリウス「おのれエルドラン……ゴクアーク様を封印しおって……! だがこの大魔界一の魔導士、ヤミノリウスIII世の存在には気がつかなかったようだな!」

 

ヤミノリウスはそう言うと、呪文を唱え始めた。

 

ヤミノリウス「ゾイワコノイワコ、マカイヤゾイワコ……暗く果てない魔界の地より、今こそ出でよ我が前に……ハズラムサライヤ~!!」

 

空間に魔法陣が描かれ、そこから化け物が現れた。

 

ヤミノリウス「我が魔界獣達よ、憎きエルドランのロボを倒すがよい!!」

 

サイデンガナァァァァー!! と、大勢の魔界獣……ヨロイデルが雄叫びを上げ、ガンバルガー達の方へと向かった。

 

ブルーガンバー「虎太郎君! また新しい敵だよ!!」

 

イエローガンバー「げえっ!? あんなにいやがる!!」

 

レッドガンバー「あいつらが魔界獣なのか……!?」

 

更に、機械化獣もまた出現した。

 

拳一「あいつら、復活しやがった!!」

 

浩美「また戦わなくちゃいけないの……!?」

 

しのぶ「こうなったらやるしかないわよ!!」

 

……と言っていると、どこからか砲撃が来た。見境ない攻撃により、魔界獣、機械化獣が何体か殲滅された。

 

しのぶ「きゃあ!!」

 

ブルーガンバー「うわぁ!!」

 

ガンバルガーやゴウザウラーも、その砲撃に巻き込まれる。

 

レッドガンバー「何なんだ一体!?」

 

砲撃された方向を見ると、巨大な蠍のような戦艦がいた。

 

???「はて、この場所にパワーストーンがある筈だが……一体どこにあるのだ?」

 

イエローガンバー「やいやいこの野郎、危ねえだろうが!!」

 

拳一「急に撃ってきやがって、巻き込まれる所だったぞ!!」

 

???「む? あれは……?」

 

虎太郎と拳一が騒いでいる方向を向く戦艦。

 

虎太郎「お前……誰なんだよ!!」

 

???「フフフフフ……名乗る程の者だが、訳あって名乗らぬ」

 

拳一「訳分かんねえ事言ってんじゃねえ!!」

 

???「ともかくだ! パワーストーンのありかを言え!!」

 

パワーストーンという言葉に、首を傾げるザウラーズ。

 

拳一「パワーストーンって、あの宝石か?」

 

浩美「それしかないような……」

 

しのぶ「でもあれは、確かタクヤ達が持ってるはずよね?」

 

???「何っ!? パワーストーンのありかを知っているというのか!? ならば教えてもらうぞ!!」

 

蠍の戦艦は、ゴウザウラーの足元に向かって発砲した。

 

拳一「うわぁっ!!」

 

爆風に巻き込まれ、体制を崩すゴウザウラー。

 

???「発砲したばかりで何だが、手荒な真似はしたくない……さあ、言ってもらおうか!!」

 

~~~

タクヤ「パワーストーン……だって?」

 

カズキ「これがそうなのか?」

 

ダイ「よく分からないけど……きっとそうだよ!」

 

山を下りた先では、タクヤ達が話している。

 

カズキ「これをどうすればいいんだ……」

 

ダイ「もう渡しちゃおうよぉぉ~!!」

 

タクヤ「何円かで買い取ってもらうってのは……」

 

カズキ「ふざけた事言ってる場合じゃ……ん?」

 

やいのやいのと言い争っているタクヤ達の脳内に、何かが響いた。

 

タクヤ「えっ、何だってぇ!?」

 

ダイ「レジェンドラの勇者……って聞こえたよ」

 

タクヤ「オイラも聞こえた……それから……」

 

カズキ「復活の呪文を唱えよ……って」

 

ダイ「でも……復活の呪文なんて知らないし……」

 

そうこう言っていると、また脳内に声が響く。

 

???「聞こえるか……地球の子供達よ……」

 

タクヤ「今度は違う声だ!」

 

エルドラン「私はエルドラン……今は暗黒魔王との戦いで手一杯なのでロボットは託せない……だが、君達には戦う力がある……」

 

カズキ「エルドラン……戦う力……」

 

エルドラン「そう、そのパワーストーンが、君達の戦う力だ……その中には、レジェンドラの勇者が封印されている……」

 

タクヤ「レジェンドラの勇者……」

 

エルドラン「そしてそれを復活させる呪文は……『黄金の力守りし勇者よ、今こそ蘇り我が前に現れ出でよ』だ……」

 

エルドランがパワーストーンについてを説明する。

 

エルドラン「頼んだぞ……地球の子供達よ……」

 

タクヤ「分かったぜ、エル何とか!」

 

カズキ「エルドランだ! それじゃあタクヤ、呪文を唱えてくれ」

 

タクヤ「おう! 黄金の……後何だっけ?」

 

タクヤの物忘れにズデッとすっ転ぶカズキとダイ。

 

ダイ「タクヤ君……」

 

カズキ「安心しろ、俺が覚えている」

 

ダイ「流石カズキ君!」

 

カズキ「よしタクヤ、俺の後に続け。『黄金の力守りし勇者よ』」

 

タクヤ「黄金の力守りし勇者よ!」

 

カズキ「『今こそ蘇り、我が前に現れ出でよ』」

 

タクヤ「今こそ蘇り、我が前に現れ出でよ!!」

 

タクヤが呪文を唱え、パワーストーンを掲げた瞬間───

 

 

 

 

 

───パワーストーンが赤く光り、宙へと飛んだ。

 

タクヤ「パワーストーンが!」

 

そしてパワーストーンが車になったかと思うと、すぐに人型へと変形した。

 

ドラン「黄金剣士、ドラン! 見参!!」

 

タクヤ「どっひゃ~……」

 

ダイ「宝石が……ロボットになっちゃった……」

 

~~~

拳一「あれは……」

 

???「レジェンドラの勇者なのか……?」

 

虎太郎「とんでもねえぞ……!」

 

三者三様、ドランに驚いていた。

 

ドラン「我が名は黄金剣士ドラン、レジェンドラの勇者だ……我が主よ」

 

タクヤ「主ってオイラ達の事?」

 

ドラン「いかにも! 私を目覚めさせてくれた君はすなわち、我が主!」

 

タクヤ「じゃあ何でも言う事聞いちゃう訳!?」

 

ドラン「主に忠義を尽くす……それが勇者の務め……何なりと命ずるがよい」

 

厳格に、そして優しい口調で、タクヤに語りかける。

 

タクヤ「それじゃあ命令する! あいつらやっつけちゃって!!」

 

指を指した方向には、魔界獣と機械化獣、そして蠍型戦艦がいた。

 

ドラン「心得た! では行くぞ、ゴルゴォォォォーン!!!」

 

ドランが叫んだ瞬間、地面が割れ、黄金の怪獣が現れた。

 

ドラン「ゴルゴン! 黄金合体だ!!」

 

その途端───

 

 

 

 

 

───ゴルゴンとドランが変形、そして合体した。

 

ゴルドラン「黄金合体! ゴルドラァァァァーン!!!」

 

そこには、黄金を纏いし巨大な勇者……ゴルドランが立っていた。

 

???「これが……ゴルドラン……」

 

タクヤ「かっちょい~いっ!!」

 

力哉「すげえぞ……ありゃあ!!」

 

浩美「うん……かっこいいよ!!」

 

ゴルドラン「エルドランに託されしロボットよ、私が助太刀いたす!!」

 

そう言うと、ガンバルガーとゴウザウラーに並んだ。

 

ワルター「ええい……なればこそこの私、ワルター・ワルザックも出撃する! カーネルよ、ザゾリガンは任せたぞ!!」

 

カーネル「わ、若!」

 

カーネルの制止を振り切り、ワルターが数機のカスタムギアと共に出撃した。

 

カーネル「仕方ない……後は頼みましたぞ、若!!」

 

蠍型戦艦ことザゾリガンは撤退した。

 

虎太郎「どうやら、あっちもやる気になったみてえだな!!」

 

鷹介「! 皆! また何かが来るよ!!」

 

すると、イールソウル、ラインバレル、ヴァーダント、ハインド・カインド、ディスィーブ、ライジンオー、マイトガイン、ガードダイバー、バトルボンバー、ガオガイガー、ゲッターロボ、鋼鉄ジーグ、ビックシューター、ビルドエンジェルが現れた。

 

浩一「ロボットに化け物に……一体どんな状況なんだよ……」

 

剣児「そんなん知るかよ! ハニワ幻神とは違え化け物までいるし、何がなんだか分かんねえぜ!!」

 

竜馬「ったく面倒くせえ! 要するに全員ぶっ倒せばいいんだろ!?」

 

森次「いや、少なくともあのロボット達とはコミュニケーションが取れるみたいだ。なので通信を行う……こちらはJUDAの特務室だ、我々の話を聞いてもらおう」

 

ロボット達に通信を入れる森次。

 

ワルター「仕方がない……あえて名を明かしてやろう。こちらはワルザック共和帝国第一王子、ワルター・ワルザックだ。そちらの事情は理解したが、我々もパワーストーンを得る為にわざわざここまで来たのだ! そう簡単に引き下がれはしない!」

 

森次「ではあなた方はあくまでも敵であると……そういうコトか」

 

ワルター「その通りだ! 撃てい!!」

 

ワルター達カスタムギアは、魔界獣や機械化獣ごと自軍へと攻撃をした。

 

ブルーガンバー「あの人達は敵じゃないみたいだよ!!」

 

しのぶ「こ、こちらはザウラーズとガンバーチームです! 私達はあなた方と戦う意思はありません!」

 

ゴルドラン「私もだ!」

 

はっきりと交戦の意思はない事を伝える3機。

 

森次「……どうやら、あの3機は我々に牙を向けないようだな」

 

山下「だったら……!」

 

辰也「それ以外の奴らは敵だ!!」

 

凱「ならば遠慮はいらない! 叩き潰す!!」

 

マイトガイン「どうやらワルザック共和帝国は、あの化け物とも戦うらしい!」

 

飛鳥「だけど、漁夫の利を狙うなんてまどろっこしい真似は面倒だ! こっちから行くぞ!!」

 

辰也「おうよ!!」

 

そして、戦闘を再開した。

 

~戦闘再開~

虎太郎(初戦闘時)

虎太郎「間一髪、助かったぜ!」

 

力哉「ああ! 気を取り直して、2ゲーム目だ!」

 

鷹介「町をメチャクチャにする奴らは、僕達が許さない!」

 

虎太郎「そんじゃ、行くぞ皆!!」

 

 

虎太郎(対魔界獣or機械化獣)

虎太郎「魔界獣に機械化獣……!」

 

力哉「俺達はお前達なんかに負けねえぞ!」

 

鷹介「力を合わせて行くよ!」

 

虎太郎「おう! 魔界が何だ! 機械が何だ! 俺達の敵じゃねえぜ!!」

 

 

虎太郎(対ワルター)

ワルター「その姿……さしずめ君達はミステリアスな覆面のヒーローと言った所か!」

 

力哉「そういや、ずっとこれ被ってたな……」

 

鷹介「一応そのままの方がいいんじゃない? そう思うんだけど……」

 

虎太郎「まあ今そんなのはどうでもいいぜ! やいやい、そこのワルターって人、覚悟してもらうぞ!!」

 

ワルター「その挑戦、受けて立とう!!」

 

 

拳一(初戦闘時)

拳一「ふう……何とかなったぜ!」

 

浩美「でも、戦いはここからだよ!」

 

しのぶ「この状態を何とか切り抜けるわ!」

 

拳一「当たり前だ! 行くぜ!!」

 

 

拳一(対魔界獣or機械化獣)

拳一「新しく現れた魔界獣に、復活しやがった機械化獣かよ!」

 

浩美「何とかして倒さなくちゃ!」

 

しのぶ「分かってるわよね、拳一!」

 

拳一「おうよ! 俺達は熱血最強だ!!」

 

 

拳一(対ワルター)

拳一「さっき撃たれた恨み、ここで晴らしてやる!」

 

ワルター「大人しくパワーストーンのありかを教えていれば、撃たれなかったものを!」

 

浩美「な、なんて理不尽な!」

 

しのぶ「第一王子ともあろうお方が、横暴じゃない!」

 

拳一「ええい面倒くせえ! とにかくブッ飛ばしてやるぜ、ワルターっての!」

 

 

ゴルドラン(初戦闘時)

ゴルドラン(エルドランに託されしロボットが3機……それにカインの遺産までいるとは……!)

 

タクヤ「やっちゃって、ゴルドラン!」

 

カズキ「あいつらを倒してくれ!」

 

ダイ「お願いだ!」

 

ゴルドラン「……心得た! では行くぞ!!」

 

 

ゴルドラン(対魔界獣or機械化獣)

ゴルドラン「この化物達は……エルドランの敵か!!」

ゴルドラン「エルドランの敵であるお前達は、すなわち我々の敵だ!!」

 

 

ゴルドラン(対ワルター)

ワルター「ええい! 私に従わぬ勇者など不要だ!」

 

タクヤ「やっちゃえ、ゴルドラン!」

 

カズキ「あんな変な奴にやられるなよ!」

 

ダイ「僕達が色々サポートするから、頑張って!」

 

ゴルドラン「心得た! パワーストーンを狙う者よ、私はお前を倒す!!」

 

 

ワルター(対魔界獣or機械化獣)

ワルター「パワーストーンが……伝説の勇者が目の前にいるのだ、こんな所で化物共にやられてなるものか!」

ワルター「さあ来い、化物共! お前達を倒し、私はパワーストーンを手に入れるのだ!!」

 

 

辰也(初戦闘時)

辰也「せっかく東京に戻って来たってのに、また戦いかよ!!」

 

ジゼラ「でも、戦わなきゃ町が大変な事になります!」

 

辰也「ああ! だから俺達で、この町を守るぞ!!」

 

 

辰也(対魔界獣or機械化獣)

辰也「機械に動物……変な化物だぜ!」

 

ジゼラ「油断大敵です、もしかしたらとても強いかも知れませんよ!!」

 

辰也「だとしても俺達は負けねえぞ! 来い、化物!!」

 

 

辰也(対ワルター)

辰也「この人、何か憎めねえんだよな……」

 

ジゼラ「ですね……でも油断をしたら、こっちがやられますよ!」

 

ワルター「その通り、私は君達の敵だ! よって君達を倒す必要がある!!」

 

辰也「しょうがねえ……こうなったらやってやるぞ!!」

 

 

浩一(初戦闘時)

浩一「全く……こっちは下関行ってて疲れてんだぞ……もっと考えろよ……」

浩一「……なんて言ってられねえな! お前らが町を襲うってんなら、この正義の味方が止めてやる!!」

 

 

仁(初戦闘時)

仁「ったく、こっちは疲れてんだぞ!」

 

飛鳥「しょうがないだろ、敵が出て来たんだから」

 

吼児「そ、そうだよ! 休むなら敵を倒してから休もう!」

 

仁「しゃあねえな、それじゃやるぞ!!」

 

 

仁(対魔界獣or機械化獣)

飛鳥「こいつらって、邪悪獣みたいな感じなのか?」

 

吼児「よ、よく分かんないよ! でも、機械と動物がモチーフなのかな……?」

 

仁「うだうだ考えてる場合じゃねえぞ! 何とかしてこいつらを倒すんだ!!」

 

 

舞人(初戦闘時)

舞人「平和を乱す敵は、俺達勇者特急隊が許さない!」

 

マイトガイン「急ぐぞ舞人! 奴らを野放しにしていたら、この町の人が悲しむ!!」

 

舞人「ああ! だからこそ俺達が戦うんだ!!」

 

 

舞人(対ワルター)

ワルター「あのロボット……旋風寺コンツェルン所有のマイトガインか!」

 

舞人「ワルザックの駐日大使……正体はまさかの宝石泥棒だったとはな!」

 

マイトガイン「これは大変だ、明日の朝刊の一面に載るぞ!」

 

ワルター「ぬぅ……迂闊な事をしてしまった……! だが、あの場では名を名乗らなければ失礼に値するのだ! し、仕方のない事なのだ!」

 

舞人「……変な所で礼儀正しいな……」

 

マイトガイン「だが、その行動は悪党である事は間違いない! たとえ駐日大使だろうと、悪行は止めさせてもらう!!」

 

 

凱(初戦闘時)

凱「こんなにも敵が多いとはな……日本は、いや世界はどうなろうとしているんだ!?」

凱「これ以上悪化させる訳にはいかない! 勇気とそこから産まれる力で、出来る事をやってみせる!!」

 

 

凱(対ワルター)

ワルター「レジェンドラに伝わるカインの遺産……ガオガイガーか!」

 

凱「ワルター・ワルザック……色々言いたい事はあるが、仮にも駐日大使である貴方が、正体を公表するのは如何なものか!」

 

ワルター「私だってこの後の展開に響くと考えていたが、あの場では名を名乗らなければ失礼だろう! 正直な所、やってしまったと後悔はしているがな……!」

 

凱「何を訳の分からん事を! とはいえ、ワルザック共和帝国は強大な軍事国家……下手に手は出せないな……」

凱「だが、敵になると言うのならば戦うしかない! 駐日大使と言えど、容赦はしないぞ!!」

 

 

剣児or鏡(初戦闘時)

剣児「やっぱし……どこへ行っても戦いしかねえのかよ!」

 

つばき「ええ……でも戦わなければ誰かが犠牲になる!」

 

鏡「だからこそ、俺達が戦わなくてはならないのだ!」

 

剣児「分かったぜ! 日本を守る防人として、俺は戦う!!」

 

 

柳生(初戦闘時)

柳生「やはり、どこへ行っても戦いばかりか……」

柳生「ならば、少しでも障害を減らすしかない! やるぞ!!」

 

 

竜馬(初戦闘時)

竜馬「ケッ、わらわらと雑魚ばっか湧きやがって……!」

 

隼人「しらみ潰しに倒すしかないようだな」

 

弁慶「ビルドベースから戻ったばかりだが、俺達はまだまだやれる事を教えてやるぞ!」

 

竜馬「おおよ! 俺達の力、味わわせてやるぜ!!」

 

 

~~~

虎太郎「ガンバーフレアァァァーッ!!!」

 

拳一「ザウラーボンバァァァァーッ!!!」

 

ゴルドラン「スーパー竜牙剣だ!!!」

 

3機の攻撃で、ワルター専用カスタムギアを残し、敵を全滅させた。

 

ワルター「な、何と恐ろしい……」

 

凱「残りは奴だけだ!!」

 

虎太郎「よし、俺達に任せろ!!」

 

ガンバルガーがガンバーシールドから光輪を放出し、カスタムギアを拘束する。そして地面を割り、巨大な剣……ガンバーソードを取り出した。

 

拳一「俺達も行くぞ!!」

 

ゴウザウラーがザウラーブレードをカスタムギアに向け、道を作る。そして、敵に向かって突進した。

 

ゴルドラン「私も共に行こう!!」

 

ゴルドランがスーパー竜牙剣を構え、カスタムギアへと向かう。

 

虎太郎「ガンバーファイナルアタァァァァーック!!!」

 

拳一「ザウラーマグマフィニィィィィーッシュ!!!」

 

ゴルドラン「スーパー竜牙剣! 一刀両断斬りぃぃぃぃーっ!!!」

 

それぞれの攻撃で、カスタムギアを斬り裂いた。

 

虎太郎「元気爆発! ガンバルガァァァァーッ!!!」

 

拳一「熱血最強! ゴウザウラァァァァーッ!!!」

 

ゴルドラン「黄金勇者! ゴルドラァァァァーンッ!!!」

 

勝ち名乗りを上げる3機。そして、カスタムギアは爆散した。

 

ワルター「くそぅ、ゴルドランとその他諸々め! 覚えておれ!!」

 

捨て台詞を吐きながら、ワルターは撤退した。

 

タクヤ「ナイスバトルだぜ、ゴルドラン!」

 

ゴルドラン「礼には及ばん。主達に忠義を尽くすのは当然の事」

 

タクヤ「オイラ達が主か! 何かカッチョイイじゃん!!」

 

カズキ「……なんて浮かれてていいのか?」

 

ダイ「もしかしたら僕達、とんでもない事に巻き込まれたんじゃない?」

 

これからの事について、不安がる3人。

 

ゴルドラン「まあ、詳しい話は彼らについて行ってから話そう」

 

カズキ「そうだな……っておい! あれ見ろお前ら!!」

 

カズキの指した方向には、ヤミノリウスが立っていた。

 

ヤミノリウス「おのれ……魔界獣をいともたやすく倒すとは……奴ら、何という力……!」

 

タクヤ「何だあのオッサン!?」

 

……と話していると、ヤミノリウスへと向かう人影があった。

 

藤兵衛「覚悟せい、妖術使い!!」

 

道明寺「おいおい、とばし過ぎだぜ藤兵衛さん!」

 

藤兵衛がヤミノリウスへ斬りかかるも、間一髪で避けられてしまう。

 

鷹介「あっ! おじさんが誰かと戦ってる! 行こう!!」

 

鷹介の合図と共に、ガンバルガーから降りる虎太郎と力哉。

 

虎太郎「お~い! 父ちゃ〜ん!」

 

藤兵衛「ぬっ!? その声は虎太郎か!」

 

虎太郎の声に反応した藤兵衛。その一瞬を突き、ヤミノリウスが数珠を投げた。

 

ヤミノリウス「リーザ・カービック!!」

 

藤兵衛がそれを刀で受ける。しかしそれは意味なく、藤兵衛は犬になってしまった。

 

道明寺「マジかよ、藤兵衛さんが……!」

 

虎太郎「犬になっちゃった!!」

 

ヤミノリウス「お前達にも呪いをかけてくれる! そ~れ!!」

 

ガンバーチームにも呪いをかける。

 

ガンバーチーム「「「うわあぁぁぁぁあああぁ!!?!?」」」

 

……しかし、犬にはならなかった。

 

ヤミノリウス「何故犬にならん!? しかし呪いはかかったのだ、貴様らの正体が誰かにバレた時には、我が呪いの力によって必ずや犬になるのだ! 覚えておけ~い!!」

 

そう言うと、ヤミノリウスは消えていった。

 

道明寺「……いやいや、何がどうなってんだよ……」

 

森次「……取り敢えず、彼らを連れて戻るぞ」

 

隼人「あ、ああ……」

 

つばき「了解しました……」

 

森次の合図で、全員が戻って行った。

 

~JUDA地下神殿~

石神「いやぁ、小学生に覆面のヒーローにロボット……また特務室が賑やかになるじゃないの!!」

 

陽気に語る石神の前には、いつもの特務室メンバーに加えて、道明寺、ガンバーチーム、ザウラーズ、タクヤ達3人とドランがいた。

 

道明寺「ま……乗りかかった船ってコトで、アンタらに協力するよ」

 

シズナ「アンタ……これから世話になる人達にそんな口利いてええんか!?」

 

道明寺「ゴメンゴメン、まあそう怒んないでよオカッパちゃん。せっかくの美人が台無しだぜ〜?」

 

シズナ「そ、そらおおきに……って、見ず知らずの人間に褒められても嬉しくないわ! 大体、誰がオカッパちゃんやねん!?」

 

辰也「誠は相変わらずだなぁ」

 

ジゼラ「ふふ……楽しい方ですね」

 

辰也達の隣では、地球防衛組とガンバーチーム、ザウラーズが話していた。

 

仁「で、お前らも一緒に戦うのか?」

 

虎太郎「そうだせ! これからよろしくな!!」

 

拳一「ま、俺達のゴウザウラーがいりゃあ、百人力だぜ!!」

 

仁「言ったな! 俺達のライジンオーも負けてねえぞ!!」

 

拳一「へへっ、そうだな!」

 

仁「おう! お互い頑張ろうぜ!!」

 

飛鳥「……何とかまとまって良かったよ……」

 

しのぶ「喧嘩になるんじゃないかと思ったけど、大丈夫そうね」

 

吼児「それで、ガンバーチームはその覆面を取らないの? 暑そうだけど……」

 

虎太郎「お、俺達は平気だぜ!」

 

力哉「お、おう! こういうのには慣れてるんだ!」

 

鷹介「そ、そうそう! 大丈夫だよ!」

 

浩美「だったらいいんだけど……」

 

虎太郎(何とか正体がバレないようにしないとな……)

 

力哉(おう……もしバレたら犬になっちまうからな……)

 

鷹介(虎太郎君のお父さんみたいにね……)

 

3人でヒソヒソと話している横では、犬になった藤兵衛……もといゴンザレスがぐるぐる回っていた。

 

ゴン「ワン!(やれやれ……参ったなどーも)」

 

そんなゴンザレスに、タクヤ達が近づく。

 

タクヤ「はい、お手!」

 

ゴン「ワン!」

 

カズキ「おすわり!」

 

ゴン「ワオン!」

 

ダイ「2人共そこまでにしたら……」

 

そう言いつつ、ダイもゴンザレスの頭を撫でている。

 

ドラン「主達よ……何をしておられるのか……」

 

凱「楽しそうでいいじゃないか」

 

ガイン「我々もよろしくな、ドラン」

 

ドラン「ええ……しかし驚いたな。まさか勇者特急隊のロボットが、何体も合体して出来ていたとは……」

 

ライオボンバー「はっはっは! そうだろうそうだろう!」

 

ダイノボンバー「俺達は3機で……いや、4機でひとつだ!」

 

バードボンバー「そう簡単に悪党共には負けねえぜ!」

 

ホーンボンバー「俺達の活躍、見といてくれよな!」

 

ドラン「う、うむ……」

 

ファイアダイバー「こらこら、落ち着きなさい」

 

ポリスダイバー「勢いが強くて、ドランも困ってるぞ」

 

ジェットダイバー「うちのボンバーズが申し訳ない」

 

ドリルダイバー「ともかく、これからよろしくな」

 

ドラン「心得た。私は新参者だが、先輩方に恥じぬ働きをしよう」

 

舞人「その言葉を受けたなら、俺達も黙ってられないな」

 

凱「ああ、俺達も勇者として、一層励まなくてはな!!」

 

ドランを加え、改めて一致団結する勇者達だった……。




中断メッセージ(第四の壁を破りかけるメケメケ団)
タクヤ「もう終わりかよ!? オイラはまだまだ足りないぞ~!!」

ドラン「主よ、無理を言ってはいけない。戦う者にとって、休息は必要な物だ。それは彼らプレイヤーや読者、そして我々勇者も同じだ」

カズキ「……ドランの言葉で思ったんだけど、この小説はゲームっていう体で書いてるのか、純粋な小説としてなのか、よく分からないな」

ダイ「か、カズキ君! 何か言っちゃいけない事言ってない!?」

カズキ「だってドランが『プレイヤーや読者』って言うから……」

ドラン「と、とにかく! 休む事は大切な事だ! それを分かって欲しかったのだ!」

タクヤ「何かはぐらかされた気がするけど……まあいいや! また次回、オイラ達の活躍を見てくれよな!!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八話A 雪原に立つ護符

本当すみません!投稿が大幅に遅れてしまいました…
そして、今回は結構長めです!!


~新幹線内~

辰也「いや~、やっぱ速いよな、新幹線は!!」

 

飛行機に乗った時のように、新幹線の中で辰也ははしゃいでいる。

 

舞人「お褒めにあずかり光栄です。この新幹線も路線も、旋風寺コンツェルンの所有物なんですよ」

 

そんな辰也に対して、キャビンアテンダントのようにかしこまって返す舞人。

 

シズナ「金持ちはスゴいなぁ……」

 

浩一「というか……何でオレ達がわざわざ岩手まで、新たなマキナを確認しに行かなきゃいけないんだよ?」

 

ぶ~ぶ~と文句を垂れる浩一。それに山下達が返答する。

 

山下「えっと、森次さんは会社の取引だとかでいないし……」

 

つばき「地球防衛組やガンバーチーム、ザウラーズは学校……特にザウラーズはゴウザウラーについての説明会があるって話だったわね」

 

鏡「ゴウザウラーは3人に加え、彼らの所属しているクラスの全員が乗ると出力が上がる、との事だったな」

 

イズナ「学校の中に司令室があるライジンオーとは違って、機体の中に司令室がある……そういう造りですからね」

 

ジゼラ「後は……ドランさんと3人の小学生ですが、何処かへ行ってしまったみたいですし……」

 

剣児「柳生さん達は訓練だってな!」

 

浩一「みんな忙しいんだなぁ……」

 

深いため息をつく。

 

城崎「もう1つの理由としては、実際にマキナが存在した場合、起こりうる状況も想定してだと思います」

 

浩一「……それって、戦闘になるってコト?」

 

城崎「はい。まあ、他の人達も用事が済めば来れると思うので、私達は切り込み役という事ですね」

 

切り込み役……か、何かかっこいいじゃねえかよ!!

 

浩一や剣児、辰也がその単語を聞いて浮かれている。それを見てアホらし……と零すシズナ。

 

シズナ「それより、ウチにはもっと気がかりなコトがあんねんケド……」

 

溜め息をつきながら、その気がかりなコトの理由に目を向ける。

 

 

 

 

 

道明寺「全く、旋風寺コンツェルン様々だぜ! ジュースも飲み放題だなんてな!!」

 

その先には、缶ジュースを両手にご満悦の道明寺がいた。

 

城崎「一応、社長曰く『保護者担当』らしいんですが……」

 

あはは……と呆れたように笑う城崎。

 

舞人「喜んでくれて嬉しいよ。でも、飲み過ぎたらお腹を壊すから注意してくれ」

 

道明寺「いや~、爽やかな注意だね社長さん! 流石は嵐を呼ぶナイスガイだ!!」

 

……と喋りながら、道明寺が浩一の隣に座る。

 

浩一「というか、何で同い年の道明寺が保護者なんだよ……」

 

道明寺「そりゃ、あれだな。社長が一目で俺の器に気付いたってコトだな、うん」

 

シズナ「器なァ……ウチには底ヌケのアホにしか見えへんケドなァ」

 

誇らしげな顔で言い切る道明寺に対し、コソリと影でぼやくシズナ。

 

辰也(とはいえ、誠は意外と面倒見がいいんだよなぁ。だから心配はねえんだけど……)

 

……問題は「あそこ」の人達なんだよ……

 

缶をグリグリと押し付ける道明寺、押し付けられるシズナという光景をよそに、辰也が不安を隠そうともしていない表情で斜め後ろを向いた。

そこには……

 

 

 

 

 

竜馬「っかあ~!! 新幹線の中で平日の朝っぱらから呑む酒はうめえぜ!!」

 

酒を呑んで上機嫌な竜馬と

 

隼人「これから任務だというのに呑気な事を……雪山で凍死して足を引っ張るなよ」

 

その竜馬に文句を言う隼人と

 

弁慶「ぬごぉ……ぬごぉ……」

 

鼻提灯を膨らませながら眠っている弁慶が座っていた……。

 

凱「任務の前の休息だ、張り詰め過ぎると体に毒だぜ、隼人」

 

その3人の中に、平然と座っている凱。

 

隼人「だが、こいつらは気を抜き過ぎだ」

 

凱「それは確かにそうだな……」

 

竜馬「ま、いいじゃねえかよ。それよりお前らも飲め。な、隼人、凱」

 

隼人「いらん」

 

凱「俺も遠慮するよ」

 

その光景を、近くで見ている辰也達。

 

辰也「……凱さんを抜いたあの人達に比べりゃ、誠なんてまとも過ぎる位だぜ……」

 

シズナ「確かにおっかない人達の集まりやな……目ぇ合わせんとこ」

 

ジゼラ「……はいはい、もう切り替えましょう! で、その岩手県の山村ですが、何故そこにマキナがあると分かったのでしょうか?」

 

少々強引に話を切り替えるジゼラ。

 

城崎「……ええ、その村は役場の記録では50年前に廃村になったみたいなんですが……どうやら、まだ住んでいる人がいるらしくて……」

 

隼人「そいつはもしかすると……ネットでも目にする『阿戸呂村』という奴か」

 

唐突に、凱とゲッターチームが話に入ってきた。

 

辰也「うおびっくりしたぁ!!」

 

シズナ「何でこないなタイミングで……」

 

隼人「どうした、何をそんなに怯えている」

 

シズナ「な、何でもあらへんわ……」

 

竜馬「おいおい、ビビり過ぎだろシズナ! 俺たちゃ鬼じゃねえんだ、別に取って食おうなんて思ってねえよ! ……ま、こっちには女を食う鬼みてえな野郎がいるから気をつけな」

 

弁慶「な……おい竜馬! 誰の事を言っておる!!」

 

竜馬「てめえに決まってんだろ、生臭坊主!」

 

弁慶「貴様!」

 

隼人「黙ってろ、馬鹿共!」

 

凱「すまない、続けてくれ」

 

突然喧嘩を始めた2人を止める隼人と凱。他の皆は周りに飛び火するんじゃないかと恐れていたが、そんな事はなく安堵した。

 

城崎「は、はい……えっと、その阿戸呂村は、1人の若者によって───

 

 

 

 

 

───村人が全員惨殺された、という噂の村です」

 

物騒な単語が飛び出し、しん……と静まり返る車内。沈黙を破ったのは道明寺だった。

 

道明寺「確か一説によると、そこは鬼を信仰していた村で、その鬼に取り憑かれて殺った……なんて話だったな」

 

浩一「そんな話、信じるワケないだろうが」

 

竜馬「第一、俺達が今まで戦って来た鬼共は知性のねえ獣みてえな奴らばっかだったぜ!」

 

鏡「いや、そうとは言い切れないのではないだろうか」

 

浩一と竜馬の意見に、反論する鏡。

 

浩一「……なんでだよ」

 

道明寺「だってマキナって『鬼』をモデルに造られてんだろ? 特にお前のラインバレルなんか、二本角で牙があって、三つ巴背負ってるワケだし……ありゃあどう見ても『鬼』だぞ」

 

鏡「それに俺達が戦って来た鬼も、確かに知性の欠片もない奴らばかりだったが……もしかすると、それらを統べる鬼がいるのかも知れないからな」

 

凱「かつて日本を混乱に陥れたゾンダーも、その上にいたのはゾンダリアンという知能の高いゾンダー……正確に言えば、ゾンダーに取り込まれた異星人だった。だから鏡の想像も間違ってはないさ」

 

浩一「……そう言われればそうかもしれないケドさ……」

 

隼人「一概にまとめられるとは思わんが、その線もあるな」

 

浩一「だとしたら、その村人を惨殺したのは、マキナとファクターってコトか!?」

 

城崎「いえ調査の結果、村人は1人も殺されてはいません。それにその阿戸呂村も普通に残っています」

 

浩一「ほらな! 所詮ウワサ話なんて、そんなモンなんだよ!!」

 

平然と答える城崎。それを聞いて安堵したのか、浩一が声を大にして言った。

 

城崎「ですが外部との交流を避けている事や『鬼』を信仰しているのも事実みたいです」

 

道明寺「そりゃあ岩手って名称自体、その昔人々を苦しめていた鬼が退治されて、二度と悪さをしないよう岩に確約の手形を取らせたコトが由来だからな。鬼を信仰している村があってもそれほどおかしな話じゃないだろう」

 

辰也「やっぱお前……色々詳しいな!」

 

道明寺の解説に、感嘆の声を上げる辰也。

 

道明寺「そんな褒められるコトでもないですよ」

 

シズナ「そんでまぁ、特務室の人間が調査してる最中にオモロい話聞いてん」

 

剣児「そりゃなんだ?」

 

城崎「村から一番近い町で聞いた話みたいなんですが、『阿戸呂村には人に化けた鬼がいて……その証拠に、その人間は年を取らない』という噂を」

 

浩一「……ちょ、ちょっと待ってくれ、それだけの情報で断定するなんて……」

 

山下「前々からJUDAでは各地に伝わる民間伝承や都市伝説も、マキナ捜索の対象に入れてるんだよ。」

 

浩一「……だからってさァ」

 

城崎「もちろん、その情報だけなら私達が動く必要はありませんが……」

 

辰也「が?」

 

城崎「その阿戸呂村を調査していた特務室の人間と、3日前から連絡が途絶えたままで……」

 

話している最中、車内に到着のアナウンスが流れた。

 

舞人「そろそろ着くみたいだ。続きは歩きながらにするとしよう」

 

自分達の荷物をまとめて、辰也達は新幹線を降りた。

 

~岩手・山道~

駅に着いてからはバスを経由し、阿戸呂村へ比較的近い場所へとたどり着いた。

 

つばき「歩いてから2時間くらい経つけど……まだ着かないのかしら?」

 

ジゼラ「そうみたいですね……それにしても凱さんや弁慶さん達は平気なんですか?」

 

凱「俺はサイボーグだから、この程度の寒さはへっちゃらさ」

 

弁慶「寺にいた頃、こんな修行は何回もしたからな……今更どうという事はないわい!」

 

剣児「俺は平気だぜ、何てったって日頃から鍛えてるからな!」

 

鏡「お前の場合、馬鹿は風邪をひかないから……じゃないか?」

 

辰也「そもそも、皆防寒はしてんだし、大丈夫だと思うぜ?」

 

シズナ「せやな。あのアホ共を除いたらやケド」

 

そう話してる後ろでは、道明寺と竜馬が凍えながら歩いていた。

 

道明寺「なあ早瀬……寒さでだんだん体の感覚が無くなってきたんだが……」

 

竜馬「ちっとばかし飲み過ぎたみてえだな……何か出そうだぜ……」

 

そんな2人に一言、知るか、と言い放つ浩一と隼人。

 

城崎「山道から外れてないし、方角的にも間違ってないハズなんですが……」

 

隼人「土地勘も何もない人間が冬の山に入るのが、そもそもの間違いという事だな」

 

イズナ「そうですね……」

 

道明寺「なあ早瀬……体の感覚が……」

 

竜馬「お、俺いい事考えたぜ! 辰也とファクターのガキ共がイールソウルとマキナを呼んで行きゃあいいじゃねえかよ!」

 

舞人「外部との接触を極端に避けてる村ですよ。それを刺激してどうするんですか……」

 

呆れたように言い放つ舞人。

 

辰也「……じゃあ、この跡は何なんだ?」

 

辰也の視線の先には、この雪の中を強引に通ったような物体とタイヤの跡があった。

 

ジゼラ「確かにそうですね……こんな山奥にしては不自然な……」

 

浩一「もしかしたら、こいつをたどって行けば着くんじゃないか?」

 

シズナ「そんな都合のいい話があるワケ……」

 

そう言いかけた瞬間、浩一が何かに気づき、上を見る。

 

浩一「いや、どうやら間違ってないみたいだよ」

 

城崎「え?」

 

そう言い、城崎達も見上げると───

 

 

 

 

 

───そこには、巨大な鬼が、いや……

 

浩一「マキナ……?」

 

マキナが立っていた。

そいつは、跡が続いている方向へと消えていく。

 

浩一「!!」

 

辰也「どうした、浩一!!」

 

突然駆け出した浩一を追いかける辰也達。

そこには、小さな村があった。

 

凱「もしかすると今のマキナは、道案内してくれたという事か?」

 

隼人「だとしたら、俺達が来るのを知っていたという事か……」

 

舞人「とにかく、先に進みましょう」

 

その声と共に、先へと進んでいった。

 

~阿戸呂村~

日が沈む位の長い時間と距離を何とか歩いていった辰也達。

 

城崎「間違いありませんね。ここが阿戸呂村です」

 

道明寺「なぁ、そういえば今日どこに泊まるつもりなのよ?」

 

浩一「あっ……」

 

イズナ「今来た道をまた引き返すのも一苦労ですし……」

 

剣児「この時間じゃ、もうバスもねえよなぁ……」

 

などと話しながら、ふとジゼラとシズナが暗闇の方を向く。

 

ジゼラ「! た、辰也さん……」

 

シズナ「早瀬ぇ……」

 

辰也「ジゼラ?」

 

浩一「何だよ、シズナ……っ!」

 

辰也達もそこを向くと───

 

 

 

 

 

───鬼の面を被った人間が、鍬を持ち立っていた。

 

浩一「ど、どうも……」

 

浩一が顔を引きつらせながら挨拶をしようとすると、同じ様な姿をした人達に囲まれてしまった。

 

浩一「ちょっ……いきなりなんなんですか!?」

 

竜馬「ほう……どうやら、やるしかねえみてえだな!」

 

剣児「上等だぜ、数が多いからって調子に乗んなよ!」

 

戦闘態勢に入る武闘派2名。

 

つばき「待って!」

 

剣児「ああ?」

 

そしてそれを静止するつばき。どうやら、彼らに攻撃の意志はないようだった。

 

隼人「奴らからは殺気は感じられん……殺すつもりはないようだな」

 

凱「ああ。それにこの数だ、下手に刺激すれば返り討ちにされるだろう」

 

つばき「竜馬さんや凱さん、剣児みたいな手練れがいても、絵美やジゼラ達に危害が及ぶかもしれないわ」

 

辰也「じゃあ、今は大人しくしといた方がいいな……」

 

そして辰也達は、囲まれながらどこかへ連れて行かれた……。

 

~阿戸呂村・工房~

前述の場面から、工房に押し込まれた辰也達。

 

道明寺「随分とまあ乱暴だな」

 

城崎「……」

 

苛立ちを隠さず呟く道明寺をよそに、ある一つの場所を見つめる城崎。

 

城崎「青沼さんっっ!! それに……」

 

そこには、柱に縛り付けられているJUDA特務室の青沼次郎と───

 

 

 

 

 

タクヤ「あっ、辰也の兄ちゃん達! オイラ達を助けて!!」

 

カズキ「こら、あんまり騒ぐな!! 下手したら俺達の命がなくなるかもしれないんだぞ!?」

 

ダイ「でも、あの人達は危害を加えてこないし、大丈夫じゃないの?」

 

───同じく縛られているタクヤ達がいた。

 

凱「タクヤ! カズキ! ダイ!」

 

舞人「何で君達がここにいるんだ!?」

 

???「それはこちらで説明します。ひとまずは上がって暖まって下さい」

 

柱からそう離れていない暖炉、その近くにいる男が話しかける。

 

ジゼラ「その……これはどういう事なんですか!?」

 

城崎「青沼さんを解放して下さい!!」

 

凱「タクヤ達もだ!!」

 

城崎と凱にそう言われると、男は彫っていた人形を地面に置き、ゆっくりと立ち上がった。

 

???「待っていたんですよ。あなた達がそうなんですね?」

 

浩一「待っていたって……あなたは?」

 

宗美「僕は中島宗美。あなた達が探しているマキナのファクターです」

 

中島宗美と名乗った男は、辰也達の方へと体を向けている。

 

つばき「……じゃあさっき、私達が見たのが……あなたのマキナなんですか?」

 

宗美「ええ。大方慣れない山道に迷っているのではないかと思いまして、道案内にと。しかし、あの子供達の乗ってきた車の跡がありましたから、少々お節介でしたかね」

 

辰也「いえいえそんな事は……ってそうじゃなくて!」

 

宗美「しかし驚きましたよ。大体のコトは彼らから聞きましたが……まさかあのJUDAが一連の巨大ロボット騒動に関わっていたとは。ところで、そちらのファクター……もといパイロットはどなたでしょう?」

 

辰也「ここにいるほぼ全員……ですね」

 

宗美「……そうですか。あなた方が───

 

 

 

 

 

───僕のマキナ『タリスマン』を破壊しに来た方々ですね」

 

浩一「! 破壊ってなんですか!? オレ達はあなたに協力を求めに……」

 

宗美「嘘だ!!」

 

宗美の喝と共に、バッと農具を構える村人達。

 

辰也「何なんだ……この訳分かんねえ展開は……」

 

宗美「タリスマンが教えてくれました。いずれ自分達を破壊するマキナが現れると」

 

城崎「マキナがあなたに何を教えたのかは知りません……ですが、我々はあなたもあなたのマキナにも危害を加えるつもりはありません! ただ我が社に協力して……」

 

宗美「協力する気は毛頭ありません。無論、黙って破壊される気もありませんが」

 

浩一と宗美の間で睨み合いが続く。その時、突然ガラッと引き戸が開いた。

 

宗美「!! 薫さん!」

 

そこには、薫と呼ばれた老婆が立っていた。

 

宗美「出歩いたらダメじゃないですか! ちゃんと寝てないと……」

 

薫「宗ちゃんが帰ってこないし外も騒がしかったから心配で……多恵ちゃんに聞いたらみんな工房にいるって……あら?」

 

こちらへと気づく。

 

薫「まぁまぁ、随分お若い方達だコト。宗ちゃんのお客様かしら?」

 

宗美「え? あ、えーっと、まぁ……」

 

薫「まぁ大変! それなら急いでお夕飯の用意しなくちゃ」

 

この一連の光景を見て、ポカーンとする辰也達だった……。

 

 

 

 

 

───それからというもの、辰也達は薫さんの夕飯を召し上がり、更に温泉にまでも入れさせてもらった。

 

そこでは、薫がこの村ではなく、東京の出身である事や、病気で無理に動けない体になっている事、また阿戸呂村には宗美以外の若者はいないという事が分かった。

 

ただ、宗美が抱いている誤解については、うやむやにされてしまった。

 

……そして今現在、辰也達は工房に用意してもらった布団にくるまっていた。

 

辰也「というかよ、俺達だけで宗美さんをJUDAに協力してくれるよう説得出来んのか?」

 

山下「最悪、森次さん達に来てもらうって方法もあるよ」

 

道明寺「まぁ、まずはこの村にまつわる噂の元を暴かなきゃいけないんですケドね」

 

浩一「なんだよ? 大体噂って言っても……惨殺事件とかはデマだろ?」

 

ジゼラ「でも、そんな噂が流れるという事は……この村に何かあるって証拠なんでしょうね」

 

つばき「何か……って鬼を信仰してるとか、宗美さんがファクターだって事以外に?」

 

議論の尽きぬ寝室。そしてそれを他所に、道明寺は1人思案していた。

 

道明寺「……老人ばかりの閉鎖された村、鬼を信仰する村民、『阿戸呂村には人に化けた鬼がいて、その証拠にその人間は歳を取らない』らしい。そして、この村の出身でない薫さんの存在と、その薫さんの世話をする村で唯一の若者……中島宗美」

 

浩一「何1人でブツブツ言ってるんだよ」

 

道明寺「やっぱり呪われてるってコトなんだろうなァ」

 

辰也「呪われてるって、この村の事か?」

 

道明寺「ええ。きっとそれは、自分達ではどうにもならない程の呪いなんでしょうねェ」

 

剣児「……ま、難しい話はまた明日にすっぞ! もう遅えんだし、寝ようぜ!」

 

つばき「剣児! 今は真面目な話を……」

 

山下「まぁ、疲れも溜まってるしね」

 

タクヤ「オイラ達も疲れたよ~」

 

凱「それじゃあ、もう寝るとしよう。だが、くれぐれも油断はしないようにな」

 

辰也「分かってますって。では皆さん、おやすみなさい……」

 

こうして彼らはそれぞれ、布団を被って眠りについた……。

 

 

 

 

 

第八話 雪原に立つ護符

 

 

 

 

 

~翌日・阿戸呂村~

浩一「ん……」

 

朝日が照らされた工房で、浩一達は目を覚ました。

 

浩一「!」

 

入り口の前には、道明寺と凱、ゲッターチームが立っていた。

 

辰也「どうしました?」

 

隼人「静かにしていろ」

 

凱「俺達は今、包囲されている」

 

竜馬「ったく、元気なジジイ共だ。早起きな上によくやりやがるぜ」

 

辰也「何ですって!?」

 

布団から出た全員の頭にビックリマークが浮かぶ……と同時に、工房の扉がバン! と開かれた。

そこに立っていたのは、村人達を引き連れた中島宗美だった。

 

浩一「宗美さん……!!」

 

宗美「……僕はファクターとして、否───

 

 

 

 

 

───信仰される鬼として、この村を守らなくてはいけないんです!!」

 

雪景色の中で、銀色のマキナ……タリスマンが、轟音を立てて宗美の後ろに降り立った。

 

浩一「……」

 

道明寺「宗美さんが『信仰される鬼』か……なるほど、読めてきたぞ」

 

隼人「浩一、閉鎖された空間に長居していた連中に正攻法は通じないだろう」

 

弁慶「だが、ああいうのはすがる物をなくせば弱いものよ!」

 

辰也「だから話を聞かせる為にも、お前があの『鬼』を叩き潰してやれ!」

 

ジゼラ「辰也さん達は行かないんですか?」

 

辰也「宗美さんの実力が未知数とはいえ、流石に多対一ってのは卑怯だからな。それに、目には目を、マキナにはマキナって奴だ!!」

 

浩一「クソッ……結局はこうなるのかよ! だったら、来い! ラインバレル!!」

 

浩一はラインバレルを呼び出す。

そして、ラインバレルとタリスマン、2体の鬼が対峙する。

 

道明寺「こりゃまた、今までのとは随分と違う意匠のマキナだな……そんじゃ、今のウチに仕事片づけるか!」

 

カズキ「じゃあ、オレ達も連れて行って下さい!」

 

ダイ「ドランが僕達をここに連れてきたのも、理由があるんです!」

 

道明寺「分かったぜ。ついて来な!」

 

タクヤ「ドランは使わないの?」

 

道明寺「ドランは何かあった時のために置いておく。それにあいつも俺も、目的地はおそらく一緒だからな。じゃ、行くぞ!!」

 

道明寺とタクヤ達がどこかへ行く。その間に、浩一は戦闘を開始した。

 

~戦闘開始~

浩一(初戦闘時)

浩一「面倒なコトになりやがった……まずは動きを止めて、宗美さんを説得する!!」

 

 

浩一(対宗美)

宗美「なるほど、タリスマンより鬼らしいマキナですね……実に禍々しい」

 

浩一「悪いケド、宗美さんがそういう態度ならオレも容赦しませんよ! 力ずくで分からせてやる!!」

 

 

~~~

ラインバレルとタリスマン、両者とも手を緩める事無く剣戟を行っている。

 

宗美「意外と動きが雑ですね……それで僕達を倒すのは難しいですよ」

 

浩一「あなただって、そんな攻撃でオレ達を倒せるとでも!?」

 

宗美「では!!」

 

タリスマンが槍で突くも、それを避けるラインバレル。

だがその槍は、突然展開した。

 

浩一「!?」

 

その瞬間、槍は電撃を放った。

 

浩一「うあっっ!!」

 

電撃をモロに食らうラインバレル。その体は雪原へと倒れた。

 

浩一「一瞬で動きが……なんだ今の!?」

 

宗美「マキナの人工筋肉のみを焼きました。自己修復機能があるとはいえ、しばらくは動け……!!」

 

宗美の話が終わらない内に、立ち上がり刀を振るうラインバレル。

 

浩一「ラインバレルは、そんじょそこらのマキナとは違うんですよ!!」

 

宗美「尋常ではない自己修復力、やはりタリスマンの情報は正しかったようです。しかし!!」

 

そう言うと、何度も電撃を放ち続けた。

 

浩一「……さすがにこう連続で喰らうと……修復が間に合わない!!!」

 

城崎「早瀬クン!!」

 

ジゼラ「このままじゃ、早瀬さんが……!」

 

辰也(浩一はそんなヤワじゃねえ。だけど万が一って事もある、いつでも出撃出来る用意はしておくか……!)

 

電撃を食らい、倒れるラインバレルを見下ろすタリスマン。

 

宗美「どうしますか? おとなしく帰って頂けるのなら、これ以上の危害は加えません」

 

ラインバレルのコックピットの先には、タリスマンの槍。

 

浩一「……わざわざ岩手まで来て『はいそうですか』じゃ、帰れないんですよ!!」

 

宗美「そうですか……できればこんなコトは───したくありませんでしたが!!!」

 

その槍が今にも突き刺されようとされる……が、それは寸前で止められた。

 

浩一「……?」

 

見ると、そこにはタリスマンの槍を長刀で防ぐアルマの姿があった。

 

???「はじめまして、早瀬浩一クン」

 

ラインバレルの方を向き、ご丁寧にも挨拶をするアルマ。正確に言えば、その中のパイロットが、だが。

 

浩一「アンタ……誰だよ!?」

 

ユリアンヌ「アタシは加藤機関七番隊隊長、ユリアンヌ・フェイスフル。故あって、助太刀してあげるわ」

 

ワルター「そして、私はワルザック共和帝国第一王子ワルター・ワルザック。目的の為、彼らに協力している」

 

ユリアンヌのアルマ『ツバキヒメ』の後ろから、後続のアルマやカスタムギアが現れた。

 

辰也「ったく、何でこう次から次へと訳分かんねえ事になんだよ!」

 

ジゼラ「それより何で加藤機関やワルザック共和帝国が、私達の助けに入るんですか!?」

 

ユリアンヌ「アラ、アタシ達はアナタ達を助けるんじゃなくて、ラインバレルを助けに来たのよ。こんな所で壊されちゃ困るもの」

 

舞人「お前達も、宗美さんのマキナを奪いに来たのか!?」

 

ユリアンヌ「奪う? 勘違いしないで。アタシ達はマキナを集めてなんていないわ」

 

ワルター「そのマキナとやらには興味があるが、我々はそれを求めていない」

 

浩一「え!?」

 

ユリアンヌとワルターの発言に、一瞬気が動転する浩一達。

 

ユリアンヌ「アタシ達は、現存する全マキナを破壊したいだけよ」

 

山下「全てのマキナの……破壊!?」

 

ワルター「彼らはそうだが、我々は───」

 

ユリアンヌ「そうそう安心して、ラインバレルだけは特別よ。だから破壊対象には含まれてないわ」

 

ワルター「こらぁ! 私が話してる最中だろう!」

 

ユリアンヌ「うっさいわねェ、誰もアンタの話に興味ないのよ。王子様なんだから黙ってドンと構えてなさい」

 

ワルター「うう、ヒドい女だ……」

 

しくしくと泣き崩れるワルター。そんな事などお構いなしに、話は進み続ける。

 

浩一「待てって!! 特別ってどういうコトだよ!?」

 

その問いかけには答えず、ツバキヒメは長刀をタリスマンに構える。

 

ユリアンヌ「さて、そこのファクターさん。そういうワケだから悪いケド、壊させてもらうわ」

 

宗美「……今話を聞いている限り、どうやら本当に早瀬クン達のお仲間ではないようですね。ですが……僕達の敵であるコトに変わりないのなら!!」

 

タリスマンは槍を向け、突進する。その前方にいるアルマ隊も、長刀で切りかかろうとした。

 

 

 

 

 

───しかし、次の瞬間、宗美の目の前にいたアルマは消え、代わりに橙色の巨人が立っていた。

 

宗美「! あなた達は……」

 

辰也「悪いですね宗美さん。横入りしちまって」

 

山下「ケド、流石に見てられないよ。多勢に無勢、宗美さんがいくら強いとはいえ、瀧城もボク達も卑怯なのは嫌いだからさ」

 

シズナ「せや。それにマキナの全破壊なんて、要は最悪ウチらもやられるってワケやろ?」

 

凱「だからここでお前達を倒す! それだけだ!!」

 

ゴルドラン「それに、ワルザックがここに来た目的は分かっている。だからこそ、お前達の思い通りにはさせない!!」

 

アルマ達の前に、イールソウル、ハインド・カインド、ディスィーブ、ガオガイガー、ゴルドランが立ちふさがった。

 

ワルター「我々の助けがいらんと言うのか!?」

 

凱「悪党なぞに借りる手はない!!」

 

ジゼラ「城崎さん達は村の人達をお願いします!!」

 

城崎「はい!」

 

舞人「こっちは任せておいてくれ!」

 

そういうと、舞人達は室内へと戻っていった。

 

ユリアンヌ「面倒なコトになったわねェ……」

 

ワルター「だが、向かって来るならば相手をしよう」

 

辰也「上等! 返り討ちにしてやるぜ!!」

 

浩一「宗美さん……アンタはまだオレ達を信用出来てないハズだ。ケド、ここは共通の敵を倒すために協力して下さい!!」

 

宗美「……分かりました。ここは一時、手を組みましょう!!」

 

ラインバレルとタリスマンが、白銀世界に並び立つ。

 

ユリアンヌ「アタシ達の助けは求めないくせに、さっきまで戦ってた人とは手を組むのねェ」

 

辰也「少なくとも宗美さんは、お前らより信用出来るんだよ! そんじゃ行くぜ!!」

 

さて……戦闘再開っ!!

 

~戦闘再開~

宗美(初戦闘時)

宗美「まさか、早瀬クン達と一緒に戦うコトになるとは思いませんでしたよ……」

宗美「……行こう、タリスマン! 村を守る『鬼』として、敵を倒すんだ!!」

 

 

宗美(対ユリアンヌ)

ユリアンヌ「アナタの戦い方、マキナの過去の戦闘データによるフィードバックってヤツね。でも、それってアナタの実力ではないのよねェ」

 

宗美「それが何か問題でも?」

 

ユリアンヌ「さあね。とりあえず、そのマキナを破壊させてもらうわ!!」

 

宗美「そんなコトは、決してさせません!!」

 

 

宗美(対ワルター)

宗美「おとなしくこの村から手を引いてください!」

 

ワルター「それはできん。ここには我々の求める宝があるのだからな!!」

 

宗美「だったら、力ずくで手を引かせます!!」

 

 

浩一(対ユリアンヌ)

ユリアンヌ「せっかく助けてあげようと思ったのに……正義の味方は融通が利かないのねェ」

 

浩一「悪いケド、アンタらに助けてもらう筋合いなんてねぇからな! 行くぞ、ラインバレル!!」

 

ユリアンヌ「そう……それじゃあ、おとなしく捕まりなさい!!」

 

 

浩一(対ワルター)

浩一「アンタがこの村に来たのも、ドランと関係があるのかよ!?」

 

ワルター「その通りだ。この地には勇者が眠っている……だから、私が直々に封印を解こうというのだよ!!」

 

浩一「そうかよ……この村には色々あるんだな……ケド、とりあえずアンタらには出て行ってもらう!!」

 

 

山下(対ユリアンヌorワルター)

山下「ワルザックとかいうのと組んだら余裕で勝てると思ったんスか? 加藤機関のオバさん」

 

ユリアンヌ「……」

 

ワルター「ファクターのお子よ! 女性に向かってそのような呼び方は失礼ではないか!?」

 

山下「だってオバさんじゃん……って言うか、そうなるとそっちはオッさんになるんスかね? まぁ……いいコンビだとは思うっスよ」

 

ワルター「な、何ぃ!? このワルター・ワルザックを……お、お、オッさんだとぉぉっ!? どうやら貴様には全身全霊をもって、私とワルザック共和帝国の恐ろしさを思い知らせてやるしかないようだな!!」

 

ユリアンヌ「アタシとしても、レディに向かってオバさん呼ばわりしたコト、高く付かせてやるわ!!」

 

 

凱(対ユリアンヌ)

ユリアンヌ「アナタ、暑苦しいのよ。アタシはそういうの好きじゃないわ」

 

凱「だからどうした! 貴様のくだらん好き嫌いに振り回されるほど、俺は優柔不断ではない!!」

 

ユリアンヌ「そう……面倒くさい性格してるわね!!」

 

 

凱(対ワルター)

凱「ワルター・ワルザック! 貴様が加藤機関と組むとはな……見損なったぞ!!」

 

ワルター「ワルザック共和帝国は利用できる物は何であろうと利用する……たとえそれが悪の組織であろうとな!」

 

凱「だが……駐日大使が犯罪組織と組んでいる事を大っぴらに話すのはどうなんだ?」

 

ワルター「あっ……ま、まあいい! この美しき銀世界に、貴様らごとその事実を沈めてしまえばいいのだからな!!」

 

凱「ならば俺は貴様達の野望を、この雪原に沈めてやるぜ!!」

 

 

ゴルドラン(対ユリアンヌ)

ユリアンヌ「喋るロボット、ねェ……面白いから連れて帰りたいくらいだわ」

 

ゴルドラン「私は主に従うのみ。貴様ら悪党の言葉に耳など貸さない!!」

 

 

ゴルドラン(対ワルター)

ゴルドラン「ワルター・ワルザックよ! この地に眠る勇者の封印、お前に解かせる訳にはいかん!!」

 

ワルター「レジェンドラを守護する黄金の勇者よ! ここに眠る勇者共々、我々の物になってもらおう!!」

 

ゴルドラン「お前の好きにはさせん! この地から立ち去るがいい!!」

 

 

辰也(初戦闘時)

辰也「何とか宗美さんと一緒に戦ってもらえるようにはなったぜ……」

 

ジゼラ「はい、後はあの人に信用してもらうだけです!」

 

辰也「だな。だから、この村を守るために一生懸命戦うぞ!!」

 

 

辰也(対ユリアンヌ)

ユリアンヌ「アナタ、面白い機体に乗ってるわねェ。ラインバレルの次に特別だから、ここで捕獲しといてあげるわ」

 

辰也「悪いけど、あんたみたいなおばさんに、やられるつもりはねえよ!!」

 

ジゼラ「ちょ……おばさんって! 敵とはいえ女性に失礼ですよ!!」

 

辰也「あっ、すみません! つい口に出ちゃって……」

 

ユリアンヌ「……別にいいわよ。その失礼な口を塞ぐコトに決めたからねェ!!!」

 

 

辰也(対ワルター)

辰也「加藤機関と組んで何するつもりだ、この面白王子!!」

 

ワルター「面白王子だと!? この私を愚弄するか、太陽の乗り手!!」

 

辰也「しょうがねえだろ、あんたを見て真っ先に思った事が『面白い』なんだからな!!」

 

ジゼラ「訳の分からない話をしてないで、行きますよ!!」

 

 

~~~

タリスマン達の攻撃で、みるみるうちにアルマやカスタムギアが減っていく。

 

浩一「すげェ……」

 

辰也「流石だな、宗美さん……」

 

宗美「さあ、どうします? まだ続けますか!?」

 

ユリアンヌ「あら、このぐらいでアタシ達が───」

 

道明寺「ちょっと待ったァ!」

 

なおも攻め続けようとするユリアンヌ。だが、突然横槍が入った。

 

浩一「道明寺!!」

 

道明寺「えー、加藤機関の皆さんもちょっと待っててもらえますかねェ?」

 

雪が溶けそうなほど熱気のこもった戦いを停止させると、道明寺は話を始める。

 

辰也「あいつ……何するつもりだ?」

 

道明寺「なァ、宗美さん。自分は信仰対象の鬼としてこの村を守るとか言ってたが───ありゃあ嘘ですね」

 

宗美「……」

 

道明寺の言葉に、顔をこわばらせる宗美。

 

ユリアンヌ「……なんなのよ、あのコは?」

 

道明寺「それに薫さん。彼女はあなたの祖母でも親戚の叔母でもない。彼女は宗美さん───

 

 

 

───あなたの奥さんだ」

 

 

 

浩一「ええ!!?」

 

ジゼラ「嘘でしょう!? でも、宗美さんは……」

 

道明寺「そう、その宗美さん自身も本当は、70過ぎの爺さんだ」

 

辰也「おいおいマジかよ!? でもそれってどういう───」

 

言い終わる前にタリスマンのハッチが開き、中から宗美が出てきた。

 

~~~

タクヤ「薫ばあちゃん!!」

 

青沼「一体どうしたんだ!?」

 

中島家に、タクヤ達が飛び込むように入ってくる。

 

城崎「さっき突然咳き込んで倒れてしまったんです」

 

そこには、布団で弱々しく横になっている薫と、それを見守っている城崎達がいた。

 

薫「……宗ちゃんの秘密、知られちゃったみたいねェ」

 

つばき「……」

 

青沼「はい」

 

薫「……でも、これで宗ちゃんもやっと、解放されるのね」

 

剣児「バアちゃん……」

 

薫「本当に長かったわ……もう50年以上前のコトだものねェ」

 

その言葉を皮切りに、薫は語り始めた。

 

薫「宗ちゃんはね、この村の先代の村長さんの一人息子で、ご両親からも村の人達からも、それはそれは大事に育てられたみたいなの。でもある時、自分が他の子供達と違うコトに気づいたのよ」

 

青沼「宗美さんだけは、村から出るコトを許されなかった」

 

薫「そう。だから学校にも行けなくてねェ……お父様にも何度もお願いしたケド、最後まで許してもらえなくて───17歳の時、宗ちゃんは村を飛び出しちゃったのよ」

 

隼人「その際、家から持ち出した金で上京……」

 

舞人「高度成長の勢いに乗った東京に魅力を感じたんでしょうね」

 

薫「……そこから色々あって、私と宗ちゃんは出会ったのよ。私が惹かれちゃったのよね」

 

青沼「それで2人は恋に落ちたんですね」

 

薫「そう。それから結婚して、それなりに幸せな日々を過ごしていたわ。でもね、ある日宗ちゃんが事故に遭ったの。それは酷い事故で、助からないだろうと言われたのよ」

 

青沼「……だが、瀕死だった宗美さんは数日で回復してしまった」

 

城崎「!」

 

薫「それから宗ちゃんの体が普通じゃないって気付いたの。私が30歳になる頃、宗ちゃんは29歳……でもね、彼は出会った時のまま……17歳の時とほとんど変わってなかったわ」

 

城崎「まさか……!」

 

~~~

道明寺「老いるコトもなく、どんな病気やケガでもすぐ完治してしまう。昔は噂が流れるのも早いから、さぞ周りから気持ち悪がられたでしょう」

道明寺「そんな環境にいられなくなったあなたは結局、薫さんを連れてこの村に帰ってきた。それからのコトはここに書いてありましたよ」

 

そう言うと、あの祠から見つけて来たであろう本を道明寺が掲げる。

 

浩一「おい道明寺! さっきから話が見えないぞ!!」

 

道明寺「いいか早瀬、そして皆。宗美さんは先代村長の実の息子じゃないんだよ」

 

浩一「え……」

 

宗美「……彼の話した通りです。30年前に父である先代の村長が亡くなる前、僕は真実を告げられました」

 

昔を振り返りながら、淡々と語る宗美。

 

宗美「『お前は自分の本当の子ではない、霊山に眠る大鬼様から授かった子供だ』とね。そしてその言葉通り、大鬼様……タリスマンの眠っていた霊山へと向かいました」

宗美「……あの日、あの瞬間から僕は信仰されるモノになりました。それまで信仰していた大鬼の中から現れた僕はいわば神様の様なモノ……自分達がすがる存在として都合良かったんのでしょう」

 

吹雪の音が一面に響く。そんな中でも、宗美の声はよく耳に入った。

 

宗美「結局、今も昔も、僕はただ利用されているだけなんですよ。この村を維持していくための象徴として、僕は必要とされていた……それでも、僕は感謝しているんです……話から察するに、おそらく僕はこことは違う別の世界から来た人間なのでしょう」

宗美「ですが、そんな素性も分からない僕を、この村の人達は受け入れ、育て、必要とさえしてくれたんです……ならば、たとえ自由を奪われ、この村に縛り付けられたとしても、その役目を果たすコトが自分の成すべきコト!!」

宗美「だから僕は、この村を守っていかなければいけないんです!!」

 

宗美の悲痛な叫びが木霊する。

 

道明寺「それはアンタの勝手な見解だろうがよ」

 

……しかし、道明寺はそれを切り捨てるかのように、冷ややかに反論した。

 

道明寺「宗美さんが物心付く前から、この村の人達は、あなたが普通の人間とは違うコトぐらい、とっくに気付いていた───だから彼らはこう判断したんですよ」

 

この子は村から出て、生きては行けないだろう

 

だから自分たちが守ってやらねば

 

道明寺「……とね」

 

宗美「!!」

 

その事実に対し、衝撃を受ける宗美。

 

宗美「……そんな……馬鹿なコト……」

 

道明寺「要するに宗美さんを信仰対象にした本当の理由は、ファクターであるあなたを守るために村で編み出した苦肉の策ってワケです。つまりあなたは何も守っちゃいない───あなたがずっと守られていたんですよ」

 

宗美「……」

 

道明寺「それにあなた、自由を奪われ縛り付けられたと言ったが───薫さんや他の人達の自由を奪い、村に縛り付けていたのは……あなたの方ですよ」

 

突きつけられた現実……自分が守られ、そして周りを縛っていた存在だと知った宗美は愕然としている。

 

ユリアンヌ「ヘェ~、あの子言うじゃない」

 

宗美「……そんな、どうしてそこまでして僕のコトを……」

 

微かに声を絞り出し、問いかける。それに1人の村人が答えた。

 

村人「……だってそりゃあ……同じ村の人間として、当たり前のコトだと思ったから……」

 

宗美「……っ!」

 

宗美の目に、涙が浮かぶ。

 

タクヤ「お~い、みんな! 大変だよ~!!」

 

……そんな中、唐突につばきとタクヤ達が走ってきた。

 

つばき「薫さんが……!!」

 

それを聞いて一転、顔色を変える宗美。と同時に、家に向かって駆けだした。

 

道明寺「クソッ! あの社長め……面倒なコトに首突っ込ませやがって……こういうのは全然面白くないって……」

 

カズキ「道明寺さん……」

 

ワルター「くぅ……何という泣ける話……これを聞いたらもはやパワーストーンなど……って、そうは問屋が卸さんぞ!!」

 

ユリアンヌ「お涙頂戴の茶番劇はもう終わりかしら? こっちもそろそろ行かせてもらうわね!!」

 

瞬間、カスタムギアとアルマの増援が襲来した。

 

辰也「更に来やがったか!!」

 

凱「多勢に無勢か……だが、やるしかない!!」

 

~~~

宗美「薫さんっっ!!」

 

息を切らして、宗美が飛び込むように家に入る。

 

薫「……宗ちゃん……全部……バレちゃったわね」

 

宗美「……」

 

薫「宗ちゃん……私、不自由なんて感じなかったわ、本当に幸せでしたよ」

 

宗美が薫の手を握る。それに応えるかのように、薫も手を握り返す。

 

薫「だって……好きな人とずっと一緒にいれたんだもの……それでね、これ以上宗ちゃんを独り占めにしてたらバチが当たると思うの……だから、もう───宗ちゃんを自由にしてあげる」

 

宗美「……そんな……っ!!」

 

薫「こんなお婆ちゃんになるまで一緒にいてくれて、本当にありがとうね」

 

薫の握る手の力が、弱まっていく。

 

薫「これからは……宗ちゃんを本当に必要としてくれる人達のために……生きて……守って……あげて……」

 

宗美の両手に添えられていた手が離れる。

 

舞人「薫……さん……」

 

弁慶「……南無阿弥陀仏……」

 

宗美の目には先程とは比べ物にならないほどの涙が浮かび、溢れていた。

 

宗美「……違う……違うよ薫さん……」

 

微かに温もりのある薫の手を、強く握る宗美。

 

宗美「僕の方がキミの自由を奪っていたんだ……いや、薫さんだけじゃない……父さんやこの村の人達、みんなの自由を僕が奪っていたんだ……僕を守るために……僕が普通の人間と違うから……」

 

宗美の手に、大粒の雫が何度も滴り落ちる。

 

宗美「……でも……僕は……僕はこんなコト望んじゃいなかった!!

 

 

 

僕はただ……キミと一緒に、歳を取りたかっただけなんだ……」

 

 

 

……静寂が訪れる。城崎やつばきは静かに泣き、それ以外もただ黙っていた……。

 

竜馬「……行くぞ、てめえら。俺達にも、できる事があんだろ」

 

隼人「……ああ」

 

宗美「……」

 

~~~

浩一「クソッ! なかなか減らねえ!!」

 

シズナ「面倒やな、コイツら!!」

 

タクヤ達が家から出ると、浩一達が激しい戦いを繰り広げていた。

 

ダイ「タクヤ君、カズキ君! このままじゃ皆がやられちゃうよ!!」

 

カズキ「ああ……だから行け、タクヤ!!」

 

タクヤ「うん、分かってるよ!!」

 

その瞬間、タクヤが天に向かって青い宝石を掲げた。

 

ワルター「! あれは!!」

 

タクヤ「黄金の力守りし勇者よ!! 今こそ蘇り、我が前に現れ出でよ!!」

 

そして、パワーストーンが青く輝き───

 

 

 

───中からSL機関車が飛び出し、人型に変形した。

 

 

 

アドベンジャー「鋼鉄武装!! アドベンジャァァァーッ!!!」

 

 

 

───新たな黄金勇者の復活である。

 

ゴルドラン「おお、アドベンジャー!!」

 

カズキ「あれが2番目の勇者か!」

 

タクヤ「ちょ~かっちょいいじゃん!!」

 

ワルター「あのお子共……また勇者を! しかし、パワーストーン捜索隊を秘密裏に派遣していた筈だが……」

 

カズキ「ああ、あれ全部道明寺さんと青沼さんが倒しちゃったんだ」

 

ダイ「道明寺さんはともかく、青沼さんがあんなに活躍するなんて思わなかったよ」

 

ワルター「どしえぇぇぇーっ!?」

 

そして、ヴァーダント、エルドランロボ、ビルドエンジェル隊、勇者特急隊が現れた。

 

山下「森次さん!!」

 

森次「すまない、遅くなってしまった」

 

マイトガイン「遅延してしまったが、大丈夫だったか、舞人!!」

 

舞人「……ああ、大丈夫だ!」

 

バトルボンバー「舞人……」

 

ガードダイバー「何かがあったのですね……」

 

柳生「剣児、つばき、鏡! ビッグシューターを用意したぞ!!」

 

つばき「はい……」

 

鏡「……」

 

門子「何だいてめえら、辛気臭い面だなぁ!!」

 

剣児「……誰が辛気臭い面だ、牛姉ちゃん!! 行くぞ、つばき、鏡! 今は俺達のやるべき事をやるんだ!!」

 

つばき「……分かったよ、剣児!」

 

鏡「いつまでも引きずる訳にもいかん……か!」

 

仁「ゲットマシン持って来たぜ、ゲッターチームの兄ちゃん達!!」

 

竜馬「……おうよ、今行くぜ!!」

 

隼人「竜馬……」

 

弁慶「あいつも悲しんでいる……」 

 

飛鳥「竜馬さん達、泣いてるのか……?」

 

吼児「うん……多分だけど……」

 

竜馬「へっ、ガキがいっちょまえに人の心配すんじゃねえ! 隼人、弁慶! あいつらにぶちかましてやろうぜ!!」

 

隼人&弁慶「「……ああ!!」」

 

イエローガンバー「あれ、新しいマキナか?」

 

レッドガンバー「そう見えるけどな」

 

宗美「……」

 

ブルーガンバー「あの人、なんか悲しそう……」

 

宗美(薫さん……だったら、僕はあなたの遺言通りに……!)

 

拳一「ゴウザウラーの出力はバッチリだぜ!!」

 

五郎「僕達がついてる、だから安心して戦ってくれ!!」

 

教授「私達で拳一君達をサポートします!!思いっきりやって下さい!!」

 

しのぶ「ありがとう、教授!!」

 

辰也「……全員、揃ったみてえだな!!」

 

ジゼラ「ええ! ここから反撃開始です!!」

 

浩一「やってやるよ、悪党共!!」

 

そして、戦闘を再開した。

 

~戦闘再開~

宗美(初戦闘時)

宗美(僕を本当に必要としてくれる人達のために……分かりましたよ、薫さん)

宗美「今まで僕は薫さんの言う事を聞いてあげられなかった!! だから……せめて最期のお願いだけは、全身全霊で全うします!!」

 

 

宗美(対ユリアンヌ)

ユリアンヌ「別れの挨拶は済んだかしら、お爺ちゃん?」

 

宗美「ええ……後はあなた達を倒して、早瀬クン達と共に行くだけです!!」

 

 

アドベンジャー(初戦闘時)

ゴルドラン「久し振りだな、アドベンジャー!!」

 

アドベンジャー「その声はゴルドラン! 先に目覚めていたか!」

 

ゴルドラン「その通りだ、起きたばかりですまないが、主達の為に戦ってくれ!!」

 

アドベンジャー「元よりそのつもりだ! 行くぞ!!」

 

 

アドベンジャー(対ワルター)

ワルター「おのれ……またあのお子達に先を越されてしまったか!! ならば……迎え撃つのみ!!」

 

タクヤ「よ~し、アドベンジャー! あいつらコテンパンにやっつけろぉ!!」

 

アドベンジャー「了解! さて、行くぞ!!」

 

 

森次(初戦闘時)

森次(彼らとの取り引き、もとい情報提供もなかなか骨が折れるな……だが、これも大切なコトだ)

森次「では、早急に終わらせてもらうぞ」

 

 

森次(対ユリアンヌ)

ユリアンヌ「森次ちゃんじゃないの。社長さんがお世話になっているわねェ」

 

森次「話の意図がよく見えんな。何を言っている?」

 

ユリアンヌ「それはまた今度分かるわよ。ただ……今は敵同士ね!!」

 

森次「……そういうコトか。だが、今は遠慮なくやらせてもらう!!」

 

 

舞人(初戦闘時)

マイトガイン「舞人……あまり無理はするなよ」

 

舞人「大丈夫さ! 俺は嵐を呼ぶ勇者なんだ、こんな所で立ち止まっている訳にはいかない!!」

 

マイトガイン「……ああ、それでは行くぞ! 我々の力を奴らに思い知らせるんだ!!」

 

 

舞人(対ワルター)

ワルター「勇者特急隊……その力も黄金勇者に引けはとらん! 我々の力とさせてもらうぞ!!」

 

マイトガイン「生憎だが、悪の味方をするAIは搭載されてないのでな!!」

 

舞人「勇者特急隊を貴様らの手先になどさせない! ワルザック共和帝国よ、これ以上悪を突き通すのならば、容赦はしないぞ!!」 

 

ワルター「であれば、叩き潰すのみだ!!」

 

 

仁(初戦闘時)

仁「こんな朝っぱらから来やがって……こっちはまだ眠いんだぞ!!」

 

飛鳥「全くだね。だから早く蹴散らすぞ、仁!!」

 

吼児「戦いを終わらせて、ゆっくり寝よう!!」

 

仁「ああ! 眠いけど頑張るぞ、ライジンオー!!」

 

 

イエローガンバー(初戦闘時)

イエローガンバー「今日が休みだからいいものの、眠くて眠くてしょうがねえな~!!」

 

レッドガンバー「今日は野球をしたかったけど、お前達の相手をしてやるぞ!!」

 

ブルーガンバー「早く終われば寝れるし遊べるよ! だから頑張ろう!!」

 

イエローガンバー「よぅし! 行くぜ!!」

 

 

拳一(初戦闘時)

五郎「お前達には戦闘経験があるとはいえ、油断するなよ!!」

 

拳一「そんなん分かってるぜ!!」

 

しのぶ「そっちも、初めてで大変だろうけどサポートをお願い!!」

 

浩美「それじゃあ行くよ、拳一君!!」

 

拳一「おっしゃあ! ザウラーズ全員揃っての初陣、熱血最強で行くぜ!!」

 

 

エルドランロボ(対ワルター)

ワルター「前は気付かなかったが……貴様らはエルドランに託されたロボット!! その力、我々ワルザック共和帝国の物とさせてもらおう!!」

 

仁「やだね~、誰がお前なんかに渡すもんか!!」

 

イエローガンバー「これはエルドランが俺達に託したロボットだ! 悪の手先になんてさせない!!」

 

拳一「そうだそうだ! それでも奪おうってんなら、容赦しねえぞ!!」

 

ワルター「何と恐ろしいお子達だ! しかし、私は負けんぞぉ!!」

 

 

竜馬(初戦闘時)

竜馬「さてと……借りを返してやるぜ、悪党共!!」

 

弁慶「ああ、薫さんを弔うためにも、こいつらを叩き潰してやるぞ!!」

 

隼人「平穏な村に貴様らの存在は似合わん……消え去れ!!」

 

竜馬「おうよ! てめえら全員……ぶっ飛ばす!!」

 

 

剣児(初戦闘時)

剣児「薫のバアちゃん……あんたの優しさ、俺は忘れねえ……」

剣児「……さてと、あのバアちゃんがゆっくり眠るためにも、悪党共は俺が打ち砕いてやるぜ!!」

 

 

鏡(初戦闘時)

つばき「薫さん……本当にありがとうございました……!」

 

鏡「……弔いの邪魔をするなよ、悪党共! お前達を蹴散らし、この村に平穏無事を取り戻す!!」

 

 

柳生(初戦闘時)

身堂「あいつら……顔つきが変わったな……」

 

門子「そうか? でも、確かに前よりはまともになったよな!!」

 

柳生「面構えを変える何かがあったんだな……我々も負けてられん、行くぞ!!」

 

 

~~~

宗美「行かせてもらいます!!」

 

アドベンジャー「うおおおっ!!」

 

タリスマンやアドベンジャー、その他の攻撃で、アルマやカスタムギアを殲滅していく。

 

アドベンジャー「さて、とどめだ!!」

 

そう言うと、アドベンジャーの体から大量の火器が出現した。

 

アドベンジャー「ギャラクティカ……バスタァァァーッ!!!!」

 

それは、ワルターのカスタムギアへと放たれる。数多の銃撃を受け、カスタムギアは爆散した。

 

アドベンジャー「鋼鉄武装、アドベンジャァァァーッ!!!」

 

雪原をバックに、ポーズを決めるアドベンジャー。

 

ワルター「おのれ~……一度ならず二度までも!! 覚えておれぇ~!!」

 

捨て台詞を吐きながら、ワルターは撤退した。

 

浩一「さて、残すはあなただけですよ」

 

ラインバレルがツバキヒメに刀を向ける。

 

ユリアンヌ「はぁ~全く……面倒臭いわねェ……」

 

浩一「だったら、終わらせてやるよ!!」

 

ラインバレルが刀で斬りつける。しかし、ツバキヒメには当たらなかった。

 

浩一「……消えた!?」

 

辰也「上だ、浩一!!」

 

ラインバレルの前から消えたと思ったツバキヒメが、コックピットを狙い上から攻める。

 

ユリアンヌ「覚えておきなさい、アタシの『ツバキヒメ』は機動性だけならマキナさえも凌駕しているのよ」

 

両手に装備したチェーンソーでコックピットを無理矢理斬り裂こうとする───

 

 

 

 

 

───が、それは奇襲して来たタリスマンによって防がれた。

そして、槍による攻撃を顔面に食らうツバキヒメ。

 

ユリアンヌ「チッ、同時にマキナ2体の相手は分が悪すぎるわね……脱出出来る者は直ちに実行!! 撤退するわよ!!」

 

ツバキヒメや倒されたマキナからコックピットが飛び出し、空へ消えていく。

 

浩一「ふぅ~、助かったぁ~」

 

目の前の危機が去り、安堵する浩一。それを横目に、ぽつりと宗美が口を開いた。

 

宗美「……僕にも……」

 

浩一「!」

 

宗美「……こんな僕にも本当に……『何か』が守れるんでしょうか?」

 

そう話す宗美の目からは、涙が流れていた。

 

浩一「……何言ってるんですか、宗美さん。今、オレを守ってくれたじゃないですか」

 

優しく諭すような浩一の言葉に、宗美はまた静かに涙を流す。

 

辰也「……で、もう敵は来ねえみたいだな」

 

森次「ああ。では我々も落ち着くとしよう」

 

森次の指示でそれぞれが機体から降りた。

 

~~~

タクヤ「いや~、アドベンジャーはかっちょよかったぜ!!」

 

カズキ「悪太のカスタムギアをぶっ飛ばすなんてな」

 

ダイ「新しい勇者の誕生だね!」

 

アドベンジャー「ありがとう、私もこれからは主達の為に戦うとしよう」

 

ドラン「ああ、お前のパワーがあれば百人力だ。頼むぞ、アドベンジャー」

 

そう言うと、ドランとアドベンジャーが握手をする……が体格差があるのでドランが引っ張られるような形になった。

 

ガイン「あまり無理するなよ、ドラン」

 

凱「こう見ると親子に見えるな、ドランとアドベンジャーは」

 

ドラン「我々にそのような差はない。皆同じ志を持つ仲間だ」

 

凱「フッ、そうだな」

 

その近くでは、春風小学校6年2組の面々を新たに加えたザウラーズ達が話していた。

 

舞人「しかし、ゴウザウラーも強くなったな」

 

しのぶ「6年2組の皆が一緒に戦ってくれたので、前よりも強くなれました!」

 

教授「ゴウザウラーを内部からサポートする役は、我々が引き受けます」

 

五郎「皆さんの迷惑にならないよう、ザウラーズ一同で頑張らせていただきます!!」

 

仁「まぁ、学年は下でもエルドランに選ばれた小学生としては俺達が先輩だから、何でも聞いてくれたまえ」

 

拳一「あんま調子に乗るなよ、仁!!」

 

お互い軽く喧嘩をする仁と拳一。

 

飛鳥「全く、仁は……」

 

金太「楽しそうだな、拳一のやつ」

 

洋二「なんかとんでもない事に巻き込まれたような気がするけど……」

 

エリー「とにかく、頑張りましょう!!」

 

そしてその近くでは……

 

辰也「そうか……結局薫さんは……」

 

薫の訃報を聞き、悲しくなる辰也達。

 

つばき「ええ……でも、最後はとても幸せそうだったわ」

 

ジゼラ「あの、宗美さん……私達で薫さんのお葬式を開いてもいいですか? 少しの間ですが、お世話になりましたし……」

 

シズナ「確かにいい考えやな。しかもこっちにはお坊さんもおるし」

 

弁慶「お、おお……」

 

ちら……と目を向けられ、半ば困惑する弁慶。

 

宗美「いえ、お気遣いはありがたいのですが、我々だけで開きたいと思います。ですが、皆さんの気持ちだけで薫さんも喜びますよ」

 

鏡「確かに、俺達がいるとかえって大変だろうしな」

 

道明寺「分かりました。それじゃ俺達はここで帰りますね」

 

青沼「僕はまだやるコトがあるから2~3日したら宗美さんを連れて帰るよ」 

 

山下「フラフラしてないで早く帰って来て下さいね」

 

青沼「はいはい」

 

浩一「……そういやさぁ……宗美さんが歳取らない理由って分かったの?」

 

それを聞いてぎくりとする城崎。

 

城崎「そ、そうですね! 帰ったらそれも含めて宗美さんに聞きましょう!」

 

ジゼラ「城崎さん、どうしました?」

 

つばき「な、何でもないわよ! ね、絵美!!」

 

門子「お前ら変だぞ?」

 

身堂「あまり突っ込んでやるな、早乙女」

 

浩一「……まあいいや。それにしても今回は道明寺が役に立つなんてな」

 

少し不審がるも、深追いしない浩一。

 

青沼「そうだね。本当に感謝するよ」

 

道明寺「次郎さんが見つけて来た宗美さんの親父さんの日記があったからですよ。ていうかアレ、どこで見つけたんです?」

 

青沼「あ~あれね……あの洞窟内にあったお父さんの墓の中」

 

浩一「ええぇーっっ!?」

 

墓荒らしのような行動……というか墓荒らしをした青沼に、驚きと侮蔑の念を向ける浩一。

 

青沼「いや荒らしてないよ……その、ちょっと掘ったら見つかったんだよ」

 

道明寺「……世間ではそれを荒らすっていうんですよ、次郎さん」

 

カズキ「でも、それがなかったらアドベンジャーは見つからなかったからなぁ……」

 

皮肉な話だ、と呟くカズキ。

 

森次「……では、我々はそろそろ去ろう。青沼さん、後は頼みました」

 

アドベンジャー「帰るのならば、私が引率するぞ!」

 

そう言い、列車に変形するアドベンジャー。

 

舞人「宗美さん、ありがとうございました」

 

宗美「こちらこそありがとうございました。しばらくしてからそちらへ行くので、その時はよろしくお願いします」

 

そして、全員を乗せたアドベンジャーは、雪原を駆けていった……。




中断メッセージ(宗美さんとゲーム)
宗美「はい、今日のゲームはこれでおしまい。ありがとうございました……えっ、どうしてそんなにスパロボが上手なのかって?」
宗美「……それはもちろん、タリスマンが教えてくれたからですよ。色々物知りですよね、タリスマンは」
宗美「そのうち、僕と声が似ていて、なおかつゲームが上手い人と会えるかも知れません……その時が楽しみですね!」
宗美「……おっと、話しすぎました。皆さんとまた会う日を楽しみにしてますよ!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第九話A 戯れの陰たち

やっと投稿完了!今回で分岐ルート(日本)は終わりです!
次回はアメリカルート!
遅い更新ですが、待ってて下さい…


~軍艦島~

戦時中、炭鉱業で栄えていたこの島に、雷張ジョーと5人の人間が訪れていた。

 

ジョー「……さて、全員集まったみたいだな」

 

ウォルフガング「こんな所に呼び出して、どういうつもりじゃ?」

 

ビトン「古臭い場所ね……ゲホゲホ! しかも埃っぽいわ~……」

 

ホイ・コウ・ロウ「つまらん話は、とっとと終わらせるネ!」

 

ミフネ「うむ。こちらも色々忙しいのだ」

 

文句を言う4人に頭を抱えるジョー。

 

ジョー「……なら手短に伝えてやる。俺とお前達は加藤機関の特別部隊に任命された」

 

それを聞いて、脳に雷が落ちたような衝撃を受ける4人。

 

ウォルフガング「加藤機関……じゃと……?」

 

ホイ・コウ・ロウ「あの日本最古の秘密結社か!?」

 

ビトン「でも何で私達を?」

 

ジョー「加藤久嵩から俺、俺の元々の雇い主であるウォルフガングを伝ってお前達に繋がった。おそらく、日本を荒らし回る犯罪者達が選ばれたのだろうな」

 

ビトン「なるほどね……それはいいとして、この部隊の指揮は誰が執るのよ?」

 

ジョー「ああ、それは俺だ。加藤久嵩から直接任命されたからな」

 

その発言に対して、怒りを露わにする者がいた。

 

ホイ・コウ・ロウ「貴様、アジアマフィアの首領を差し置いて何を言うかネ!?」

 

ミフネ「将軍に対して何たる狼藉! 腹を切って詫びるがいい!!」

 

ウォルフガング「……抗議したいのは山々じゃが、相手はあの秘密結社……仕方ないわい」

 

ビトン「その分の見返りは頂くわよ!!」

 

不服そうだが、渋々従う者もいた。

 

ミフネ「ぬう……」

 

ホイ・コウ・ロウ「ヘマしたらすぐにリーダー交代ネ!」

 

2人も、仕方なさそうに従う。

 

ウォルフガング「しかしジョー、決まったはいいがこれからどうするんじゃ?」

 

ジョー「上からの指示だが、俺達の最初の作戦は……JUDAコーポレーションの壊滅、及びラインバレルの捕獲だ」

 

ビトン「あのJUDAをねぇ……」

 

ホイ・コウ・ロウ「奴らの防衛力はとてつもないが……やれん事はないネ!」

 

ジョー「ああ。だが、くれぐれも油断はするな……それで、お前はどうなんだ?」

 

視線の先には、1人の男。

 

ジョー「俺達に協力を持ちかけたのは、機関や久嵩との繋がりもあるだろうが、1番の理由はJUDAに何かがあるから……だろう? 大方ラインバレルか……もしくは例の『太陽』と言った所か」

 

???「お前の言うとおりだぜ、エースのジョー」

 

ケケケ……と不気味な含み笑いをしながら、男が語り出す。

 

???「俺達は……『イールソウル』と、ある女の確保が目的だぜ。そっちとこっちの利害が一致してんだ、仲良くしようや、犯罪者さんよぉ」

 

その男の表情、姿が、夜の闇へと消えていった……。

 

~JUDA・武道場~

竜馬「おおりゃおりゃおりゃおりゃああぁぁーっ!!!」

 

門子「くっ……なかなかやるじゃねえか!!」

 

竜馬と門子が、格闘訓練を行っている。

 

鏡「あの流竜馬という男、大したものだ」

 

柳生「ああ。まさか早乙女と互角に戦うなんてね」

 

剣児「そりゃそうよ。流竜馬っていやぁ、昇段試験で相手を半殺しにして、空手界から永久処分にされた男だぜ? 強いのは当然、ただ……危なっかしいんだよ、あの人は」

 

道明寺「ヘェ~、あのチンピラまがいの人がねェ……」

 

辰也「俺、竜馬さんとドモンさんの戦いも見てみたいぜ!!」

 

ジゼラ「恐ろしい事考えつきますね……」

 

山下「いやまあ、面白そうだケドさ……」

 

その場面……竜馬とドモンが戦っているのを想像し胸が高鳴っている辰也、それに対して身震いしている山下とジゼラ。

 

宗美「これが……早瀬クンや瀧城クン達の日常……ですか」

 

この場にはもちろん、宗美もいた。あの時と比べると、表情も一段と柔らかくなり、更に優しい印象を思い浮かばせる。

 

ジゼラ「日常だなんてそんな大層な……でも、大体こんな感じですね」

 

山下「色々な所から集まった人達がいるから、ゴチャゴチャになるんスよね~」

 

宗美「ふふ……いい所ですね」

 

笑みを浮かべる宗美。

 

竜馬「……さてと、他にやりてえ奴はいるか? もったいぶらなくてもいいんだぜ?」

 

森次「ならば私が相手をしよう。狂犬の扱いには慣れているのでな」

 

凱「俺も他の勇者達を引っ張っていく義務がある……そのために自分を高めるいい機会だ!!」

 

重い腰を上げる室長と勇者。

 

竜馬「そうかよ。なら、2人まとめてかかって来な!!」

 

辰也「じゃあ、俺達もやらせてもらいますよ!!」

 

剣児「流竜馬と戦えるチャンスなんて、そうそうないからな!!」

 

辰也と剣児が、軽い準備運動をしながら畳の上へ立つ。

 

門子「待ちな! まだこいつとの決着はついてねえんだ! 勝手に色々決めんじゃねえよ!!」

 

辰也「じゃあ、こういうのはどうです? 俺と剣児、森次さんと凱さん、竜馬さんと早乙女さんでタッグを組んで、2対2対2で戦うっていうのは」

 

森次「ふむ……確かにこれからは共同作業を行うコトが多くなる……そうするのはいいな」

 

凱「そうだな。仲間を信じて戦うというのは大切な事だ」

 

辰也「決まりですね。では早速行きますよ!!」

 

剣児「っしゃあ! ぶちかますぜ!!」

 

竜馬「せいぜい足引っ張んなよ、ゴリラ女!!」

 

門子「生意気な口叩きやがって! これが終わったら次はてめえだからな!!」

 

そして、戦闘訓練を始める6人。それを見学しつつも、不安げな顔をしている城崎とつばき。

 

ジゼラ「どうしたんですか?」

 

城崎「いえ……」

 

そう言う城崎の脳裏には、阿戸呂村での一件が浮かんでいた。

 

宗美「多分、ファクターの事についてですね?」

 

城崎「!」

 

核心を突かれ、思わずビクリとする城崎。

 

ジゼラ「どういう事ですか?」

 

城崎「……ここでは話しづらいので、場所を変えましょう」

 

つばき「そうね……」

 

そして、4人は別室へと去った。

 

~JUDA・とある一室~

ジゼラ「……それじゃあ、話してくれませんか?」

 

城崎「はい、実はあの後聞かされたのですが、ファクターは一定の年齢に達すると、そこで成長を止めてしまうんです」

 

ジゼラ「!!」

 

衝撃の事実を聞き、思わず口元に手を当てるジゼラ。

 

宗美「とても、他のファクターに話せる内容ではありませんね……」

 

城崎「ええ。そしてその情報はまだ誰にも聞かされていません。しかも……」

 

ジゼラ「早瀬さんに聞かせると特に強いショックを受けるかも知れない、と……」

 

つばき「そうなのよ。だから、どのタイミングで話せばいいか困ってるの」

 

ジゼラ「……それって、私と同じですね」

 

城崎「え?」

 

ジゼラ「あの……私も記憶喪失で、実は色々不安で……だからその、結構衝撃的な事を言われると怖くなるというか何というか……」

 

つばき「ジゼラ……」

 

ジゼラ「言ってる事、よく分かんないと思いますけどね」

 

へへ……と照れ笑いを浮かべるジゼラ。

 

城崎「いえ、分かります」

 

ジゼラ「えっ?」

 

城崎「そういうコトって、言うのも聞くのも覚悟がいると思います。こんな気持ちで早瀬クンに言うのはやはりよくありません。やっぱりまた、時期を置いてから……」

 

道明寺「おっ、城崎ちゃん! もしかして早瀬に告白でもすんのか?」

 

城崎「ぶふっ!!? ゲホッゲホッ!!」

 

突然介入した道明寺の思わぬ発言に、咳き込んだ城崎。

 

辰也「いやお前……そんないきなりなぁ……」

 

それを呆れたようにツッコむ辰也。

 

つばき「何で辰也がここに?」

 

辰也「訓練の休憩中に、誠が何か怪しい動きをしてたから捕まえて一緒に行ったんだよ」

 

ジゼラ「そうですか……ってそれより道明寺さん! 今は大切な話を……」

 

道明寺「いや~悪いね。城崎ちゃん達がどっか行っちゃったから、後をつけてたんだよ。やっぱり辛いコトがあったら、誰かに相談すんのが一番だな。ね、宗美さん」

 

宗美「えっ!? は、はい。そうですね」

 

辰也「それに心配なんてしなくてもいいぜ。もし不安だとしても、俺や浩一達が守るからな!」

 

ジゼラ「辰也さん……」

 

辰也の言葉を聞いて、口元に安堵の笑みを浮かべるジゼラ。嬉しさで胸がいっぱいになったようだ。

 

辰也「ま、そんな単純な問題でもないんだろうけどな……」

 

つばき「いいのよ。とにかく、心配してくれてありがとうね」

 

浩一「何の話してんだ?」

 

噂をすれば何とやら……話の中心となっていた男がやって来た。

 

道明寺「ほら! 本人来ちゃったぜ!」

 

城崎「な、何でもありません! あっち行ってて下さい!!」

 

つばき「女の子同士の大切なお話に、男子が首突っ込むのは野暮ってものよ」

 

浩一「お、おお……」

 

城崎の恥ずかしさから来る剣幕とつばきの冷静なツッコミに困惑する浩一。

 

ジゼラ(男子が……って言ってますけど、もう既に辰也さんに宗美さんや道明寺さんがいますよね……)

 

浩一「……まあいいや。じゃ、また後でな!」

 

城崎「は、はい……」

 

道明寺「俺も行くぜ。そんじゃな!」

 

……と、そんな時に警報が鳴った。

 

剣児「お~いつばき~! どこいんだよ~!」

 

鏡「敵の襲撃だ、すぐに出るぞ」

 

つばき「ええ、早く行きましょう!」

 

辰也「敵か……早速返り討ちにしてやろうぜ、ジゼラ!!」

 

ジゼラ「はい!」

 

そして、出撃準備へと入っていった。

 

 

 

第九話 戯れの陰たち

 

 

 

~~~

外には、加藤機関のアルマや、見かけないロボット達がいた。

 

森次「敵は加藤機関か」

 

シズナ「でも、見かけない顔もあるで!」

 

舞人「あれは犯罪者のロボットですよ」

 

舞人が答える。

 

辰也「犯罪者のなのに妙にカッコよく見えるなぁ……」

 

ジゼラ「懲りないですね、この人は……」

 

山下「あんだけ言われてコレだからなァ……多分もう一生治らないよ、コイツのクセはさ」

 

いつもの辰也に対して、もはや呆れる2人。

 

マイトガイン「ウォルフガング、カトリーヌ・ビトン、ショーグン・ミフネ、ホイ・コウ・ロウ……どれも日本に悪名を轟かせる連中だ」

 

隼人「聞いた事のある名前ばかりだ。一時期俺に協力を持ちかけていた奴もいるな」

 

竜馬「へぇ……昔の情にほだされて裏切んじゃねえぞ」

 

隼人「当たり前だ。既に奴らとは縁を切っている」

 

凱「しかし、そいつらが加藤機関につくとは……」

 

仁「だけど、やる事は変わらねえぜ!!」

 

拳一「ああ! 悪者に容赦なんてしねえぞ!!」

 

辰也「ぶちかましてやるぜ、俺達の力をな!!」

 

ジョー「どうやら、あちらもやる気になったようだな」

 

ウォルフガング「ふむ、ワシの新兵器のお披露目に最適じゃあ!!」

 

ビトン「JUDAといえば医療メーカーで有名……という事は、美容効果のある物もあるかもしれないわ!!」

 

ホイ・コウ・ロウ「政府と密接な関係にあるJUDA……崩壊させれば我々アジアマフィアが日本を手に入れられるかもしれないネ!!」

 

ミフネ「古き良き日本のために、このような横文字英語の企業は潰すのみ!!」

 

浩一「な……何言ってんだアイツら……」

 

シズナ「犯罪者の言ってるコトはわからんなぁ……」

 

頓珍漢な犯罪者達の発言に困惑する浩一達。その様子を見て、ジョーが頭を抱える……がすぐに気を取り直し、相手の方へと向いた。

 

ジョー「……俺達の目的はラインバレルだ、では行くぞ!!」

 

浩一「ラインバレルが狙いだって? 上等だよ、返り討ちにしてやるぜ!!」

 

舞人「来い、ジョー! 俺達はお前達には負けない!!」

 

マイトガイン「何故なら……この世に悪は栄えないからだ!!」

 

そして、戦闘を開始した。

 

~戦闘台詞~

浩一(初戦闘時)

浩一「岩手の女とかキタねえデブとかあのチンピラじゃなくて、有名な犯罪者が来るなんてな……ま、あんまり正義の味方を舐めんじゃねえぞ!!」

 

 

宗美(初戦闘時)

宗美(薫さん……とっても勝手なんですが、天国から僕を見守っていてください……!)

宗美「……では行きますよ、タリスマン! この場所を……皆を守るために!!」

 

 

舞人(初戦闘時)

舞人「犯罪者がさらに強大な犯罪集団に入るとは……」

 

マイトガイン「だが、相手がどんなに大きくとも、平和を脅かす悪ならば絶対に倒す!!」

 

舞人「そうだ! 正義は……俺達は負けない!! 灯すぞ、平和の青信号を!!」

 

 

剣児(初戦闘時)

剣児「さっきの訓練じゃあ不完全燃焼なんだ! 悪いがテメェらにぶつけてやるよ!!」

剣児「テメェらはこの俺、草薙剣児と鋼鉄ジーグがじきじきにブチのめす! 覚悟しやがれ!!」

 

 

竜馬(初戦闘時)

竜馬「さっきので体が温まってやがる、悪いが今日の俺は、とても手加減できそうにねえぜ!!」

 

隼人「オーバーヒートしてぶっ倒れたらかなわん、疲れたらいつでも変わっていいぞ」

 

弁慶「俺も退屈でしょうがねえ! こっちにも変われよ!!」

 

竜馬「へいへい、そんじゃ行くぜ!!」

 

 

仁(初戦闘時)

吼児「テレビでも有名な犯罪者があんなに……僕たちで勝てるの~!?」

 

飛鳥「しっかりしろ! 今まで色々な敵と戦ってきたじゃないか!!」

 

仁「そうだぜ! 俺たちとライジンオーを……絶対無敵を信じるんだ!!」

 

 

イエローガンバー(初戦闘時)

ブルーガンバー「本当は怖いけど、僕達がやらなかったらJUDAも日本も終わりだ!!」

 

レッドガンバー「そうだ! だから俺たちであいつらを倒すんだ!!」

 

イエローガンバー「よ~し、元気爆発フルスロットルで行くぜ!」

 

 

拳一(初戦闘時)

五郎「こちらでもサポートはするけど、お前達3人が頼みの綱だ。頼むぞ、拳一、しのぶ、浩美!」

 

教授「私達がいる事で、ゴウザウラーの出力もアップしてます! 思いっきりやっちゃつて下さい!!」

 

しのぶ「ありがとう、みんな!!」

 

浩美「僕達は皆で戦ってるんだ! 絶対に負けられない!!」

 

拳一「おお! 6年2組ザウラーズ、熱血最強で行くぜぇ!!」

 

 

ゴルドラン(初戦闘時)

タクヤ「なんか、悪太みたいなのが多いね~」

 

カズキ「油断するなよ、確かに間抜けそうだけど、アイツらは悪名高い犯罪者達だ!」

 

ダイ「カズキ君もなかなかヒドい事言うよね……」

 

ゴルドラン「ふむ……では主よ、ご命令を」

 

タクヤ「よぉ~し、じゃあ、アイツらやっつけちゃって!!」

 

ゴルドラン「心得た!!」

 

 

アドベンジャー(初戦闘時)

アドベンジャー「封印から覚めてしばらく経ったが、外の世界は非常に素晴らしいな!」

 

カズキ「その素晴らしい世界が今、とんでもない奴らに脅かされそうなんだよ!」

 

ダイ「だからお願い、アドベンジャー!」

 

タクヤ「アイツら、ふっ飛ばしちゃって!!」

 

アドベンジャー「了解! 発射準備は万端だ!!」

 

 

凱(初戦闘時)

凱「さっきの訓練のせいか、体が熱くてしょうがねえ!!」

凱「覚悟しろよ、犯罪者共! この獅子王凱とガオガイガーがいる限り、貴様らの好きにはさせないぜ!!」

 

 

辰也(初戦闘時)

辰也「さっきの訓練が中断しちまったから、俺はまだまだ不完全燃焼だぜ!!」

 

ジゼラ「完全燃焼して真っ白になるのはやめて下さいね」

ジゼラ(何でだろう……嫌な予感がする……!)

 

辰也「そうなんねえように気をつけるよ。ところでジゼラ」

 

ジゼラ「は、はい!」

 

辰也「そう不安そうな顔すんなって! さっきも言ったろ? 何かあっても、俺が守るってよ!」

 

ジゼラ「……」

 

辰也「さてと、どんどん燃えて行くぜぇっ!!」

 

ジゼラ「……はい! それでは行きましょう!!」

 

 

~~~

辰也「おらおらおらぁ! 行くぜぇ!!」

 

剣児「ジーグのパワーをブチかますぜ!」

 

浩一「正義の味方を、ナメんなよ!!」

 

竜馬「くたばりやがれぇっ!!」

 

舞人「こちらも負けてられるか!!」

 

凱「はあああああああっ!!!」

 

辰也達の猛攻で、敵のロボット群は蹴散らされていく。

 

ウォルフガング「ワシのロボット達が!!」

 

ジョー「ちいっ……だが、まだ任務遂行の可能性はある!」

 

仁「いい加減に諦めろっての!!」

 

拳一「待ってろよ、すぐにぶっ飛ばしてやるからな!!」

 

そして、戦闘を再開した。

 

~戦闘再開~

舞人(対犯罪者集団)

舞人「まさかお前達が加藤機関に入るとはな!」

 

ウォルフガング「奴らは強大じゃ……逆らったらこの身が保たんわい!」

 

ビトン「それに資金提供もしてくれるってね! この私の美貌に磨きがかかるわ~」

 

ミフネ「本来であれば将軍である拙者が力に屈するなどありえんが……」

 

ホイ・コウ・ロウ「それもこれも、機関で力を付けるため! そして加藤機関も日本も、世界も牛耳ってやるネ!!」

 

マイトガイン「ふむ……要はある程度の力と欲望と単純さが買われたみたいだな……」

 

舞人「お前達の下らない我が儘に付き合ってられるか! 一気に終わらせるぞ、ガイン!!」

 

 

舞人(対ジョー)

ジョー「旋風寺舞人……相も変わらず正義を口にしているそうだな……!!」

 

舞人「そうだ! それがどうした!!」

 

ジョー「正義だ何だとを語るお前が気に入らん! 俺の手で殺してやる!!」

 

舞人「そうか……だが、こちらもやられる訳にはいかない!!」

 

マイトガイン「奴に話は通じない……通じさせる方法はただ一つ、お前の力をぶつけるんだ、舞人!」

 

舞人「ああ……! お前がどう思っていようと、俺は自分の正義を絶対に曲げはしない!!」

 

 

浩一(対ウォルフガング)

ウォルフガング「そのラインバレルというロボット、やはり素晴らしいな! 捕獲したら徹底的に研究して、改造してやりたいわい!!」

 

浩一「そんなコトさせるかよ! アンタに渡したら、なんかダサくなりそうだからな!!」

 

ウォルフガング「何じゃと!? 手始めにドリルを付けてやろうと……そういやお前さん、ドリルが似合う声しとるのぉ……」

 

浩一「何言ってんだ!? 大体ドリルが似合うのは森次さんの機体とか……って、こんな話してる場合じゃねえ! 変にいじくられないためにも、アイツを倒すぞ、ラインバレル!!」

 

 

浩一(対ジョー)

ジョー「ラインバレルのファクター……前に会った時より変わったな」

 

浩一「そうだな、もうあん時とは違う……オレは正真正銘の『正義の味方』になるって決めたからな!!」

 

ジョー「正義……その言葉を聞くと虫酸が走る……!! ラインバレルは捕獲しろという命令だが、思わず破壊してしまいそうだ!!」

 

浩一「だったら、遠慮なく返り討ちにしてやるよ!!」

 

 

森次(対ミフネ)

森次「侍かぶれが相手とはな……異国の文化に憧れるのはいいが、ほどほどにしておけ」

 

ミフネ「な、なんと! 拙者は正真正銘の将軍!! 将軍に向かってそのような無礼を申すとは、腹を切って詫びるがよい!!」

 

森次「……全く、面倒な相手だ。ならばその将軍の首、私の手柄とさせてもらおう……首を置いていけ、将軍!!」

 

ミフネ「こ、この男から放たれる殺気……まさに侍……! だがこちらも将軍の意地にかけて、絶対に負けぬ!!」

 

 

山下(対ビトン)

山下「加藤機関に入って、これだけのロボットを集めれば勝てると思ったんスか? 犯罪者のオバさん」

 

ビトン「んま! 失礼で生意気な子供ね!! 私は永遠の29歳よ!!」

 

山下「そお? どう見ても29歳には見えない……っていうか、29歳だったらオバさんじゃん」

 

オードリー「女性に対するこのような暴言……許す訳にはいきませんね」

 

ビトン「そうね、このガキには私を怒らせた事を後悔させてあげる! 泣いて謝ってももう許さないわ!!」

 

 

宗美(対ビトン)

ビトン「JUDAには、いつまで経っても若々しいカラダを得る事ができる技術があると聞いたわ! その秘密を得て、永遠の若さと美貌を、私のものにするのよ!」

 

宗美「永遠の若さ……ですか。愛する人と共に老いるコトができず、先立たれる気持ちが分からない方には、魅力的なモノに思えてしまうんでしょうね……」

 

ビトン「何を訳の分からない事を言って! 永遠の若さは私だけのもの、私さえよければ、他はどうでもいいのよ!!」

 

宗美「……自分勝手な方ですね。そんなアナタに言っても無駄だと思いますが……永遠の若さなんて、自分だけが取り残される孤独と比べれば……大したモノではないんですよ!!」

 

 

シズナ(対ホイ・コウ・ロウ)

ホイ・コウ・ロウ「あのロボット、ワシらの製造してる奴と似ているネ!」

 

チンジャ「ええ、主に触手の部分が……」

 

シズナ「触手……確かにそう見えるなァ……」

 

イズナ「感心してる場合じゃないよ、姉さん!」

 

ホイ・コウ・ロウ「新兵器の研究材料として、大人しく我々に捕まるネ!」

 

シズナ「余裕ぶっこけるのもそこまでや! ウチらとディスィーブを甘く見たコト、後悔させてやるわ!!」

 

 

剣児(対ウォルフガング)

ウォルフガング「そ、その機体は鋼鉄ジーグ!」

 

剣児「んあ? じいさん、ジーグの事を知ってんのか?」

 

ウォルフガング「当たり前じゃろう! 鋼鉄ジーグはあの司馬遷次郎の開発したマグネロボットじゃからな! 思えば先代のジーグが活躍していた頃、ワシもあの男と肩を並べたいと……」

ウォルフガング「ともかくじゃ! ジーグといえば強力なマグネパワー! 秘密を知り、奴に近づくためにも、その力を解析させてもらうぞ!!」

 

剣児「よ、よく分かんねえけど、ジジイに体を見られる趣味はねえんだよ! ぶっ飛ばしてやるぜ!!」

 

 

剣児(対ジョー)

ジョー「大ざっぱで粗削り……素人の戦い方だな」

 

剣児「んだとこの野郎!? 自分がちょっぴり腕が立つからって、調子に乗ってんじゃねえぞ!!」

 

ジョー「だが、成長性だけは認めてやる……成熟した時が見られないのは残念だがな!!」

 

剣児「おんもしれえ! 返り討ちにしてやるぜ、スカし野郎!!」

 

 

柳生(対ジョー)

柳生「久しぶりね、雷張ジョー」

 

ジョー「あんたは……ビルドエンジェル隊の柳生充子か」

 

身堂「おっと、私達もいる事を忘れるなよ」

 

門子「WSOを抜け出しただけじゃなく、加藤機関なんざに加担しやがる裏切りモンが! 俺達の手でブッ殺してやるからな!!」

 

ジョー「生憎だが、俺もみすみす殺される訳にもいかない……少なくとも、あんた達と肩を並べられる位には強くなった事を教えてやる!!」

 

柳生「少々自惚れが過ぎるんじゃないかしら? けど、そこまで言うならやってみなさいな!!」

 

 

竜馬or隼人(対ウォルフガング)

ウォルフガング「ゲッターロボ……3機の飛行マシンが1つになり、100万の力を出すと言われている機体だが、まさか早乙女が完成させておったとは……」

 

隼人「どこでゲッターの情報を知ったかは分からんが、ロボに対するその姿勢は変わらないな、ウォルフガング」

 

ウォルフガング「お、お前さんは神隼人!」

 

竜馬「隼人の知り合いって……このジジイなのかよ?」

 

隼人「昔の話だ。俺がかつてテロ組織を率いていた時に、様々な兵器を提供して貰っていたが……」

 

ウォルフガング「そんなお前さんが、まさかこんな奴らと組んだとはのう……」

 

隼人「俺だって好きでこんな奴らと組んでる訳じゃない……だが、昔よりはマシな気分だ」

 

竜馬「昔話はそこまでにしときな。今はこいつらを片付けなきゃいけねえんだからよ!!」

 

 

竜馬or隼人(対ホイ・コウ・ロウ)

隼人「相変わらず、くだらんマフィア稼業に手を染めているようだな、ホイ・コウ・ロウ」

 

ホイ・コウ・ロウ「お、お前は神隼人! まさか、お前のような奴がJUDAにいるとはネ!」

 

弁慶「誰だ? この腹が減る名前の老人は?」

 

隼人「アジアマフィアの首領、ホイ・コウ・ロウだ。昔の話だが、俺はこいつに世話になっててな……お前が法外な値段で武器を売ろうとした時の事を覚えているか?」

 

ホイ・コウ・ロウ「そ、そ、それは……」

 

チンジャ「ホイ様を除いた、あの場にいた我々全員が、あの男に半殺しにされた事ですね……それを思い出すだけで、私は震えが止まりません……!!」

 

竜馬「隼人……お前、やっぱとんでもねえ野郎だな」

 

隼人「価格に見合わねえ武器を売りつけようとした報いだ。そして今度は……加藤機関と結託し、ここを襲撃した報いを味わわせてやる!!」

 

 

竜馬(対ジョー)

ジョー「三位一体の合体戦闘機ロボット……ゲッターロボか!」

 

隼人「当然だが、ゲッターロボについての情報もあるようだな」

 

竜馬「だったら話が早え……ぶっ潰すだけだぜ!!」

 

弁慶「おうともよ! 行け竜馬ぁ!!」

 

ジョー「乗っている奴らは素人だが、適性や根性はあるようだ……油断せずに行くぞ!!」

 

 

エルドランロボ(対ウォルフガング)

ウォルフガング「ふむ……このロボット、既存の技術では造り出せない物と見た! 回収して、是非ともワシの手で改造してやりたいわい!」

 

仁「ふざけてんじゃねえぞ、爺さん! ライジンオーをてめえなんかに渡してたまるかよ!」

 

イエローガンバー「俺たちはエルドランから地球を守るために、ガンバルガーを任されたんだ!」

 

拳一「ゴウザウラーは絶対に渡せねえ! 分かったら、とっととぶっ飛ばされちまえ!」

 

 

仁(対ミフネ)

ミフネ「そのロボット、拙者は気に入った! 古き良き日本のため、我が物となるがよい!!」

 

吼児「あの人、何言ってるの!?」

 

飛鳥「要はライジンオーをよこせって言ってるんだ……そんな事は絶対にさせないけどな!!」

 

ミフネ「子供には手が余る代物……だが安心するのだ。我が物となった暁には、拙者の手でからくり雷神王として使ってやろう!!」

 

仁「ふざけんな! ライジンオーは地球を守るための力だ! お前なんかに渡してたまるかよーっ!!」

 

 

エルドランロボ(対ジョー)

ジョー「ガキの相手をしている暇はない、大人しく家に帰るんだな」

 

仁「んだと!? 子供だからってバカにすんじゃねえぞ!!」

 

イエローガンバー「俺たちだって地球を守るために戦ってるんだ! お前なんかの言葉でやめるわけねえだろ!!」

 

拳一「そうだ! それに俺たちは、お前なんかに負けねえぞ!!」

 

ジョー「チッ、うるさいな……だからガキは嫌いなんだ!!」

 

 

ゴルドラン(対ウォルフガング)

ウォルフガング「宝石から現れしロボット……地球の技術では再現不可能と言ってもいいじゃろう……その技術も含め、ワシの手にさせてもらうぞ!」

 

カズキ「あのなあ爺さん……ゴルドランは大切な俺達の仲間なんだ、それをみすみす渡してたまるかよ!」

 

ダイ「そうだね……悪いけど、お爺さんの頼みは聞けないよ!」

 

タクヤ「って訳でゴルドラン! あいつ、コテンパンにやっつけちゃって!」

 

ゴルドラン「心得た! 私としても、主の元を離れる訳にはいかないからな!!」

 

 

ゴルドラン(対ミフネ)

ミフネ「なんと、侍の如き意匠のロボットか……! であればやる事は1つ! 男は黙ってぇ〜、強奪!」

 

カズキ「犯罪者とはいえ、それが男のやる事かよ!」

 

ダイ「とても侍とは思えないね……外見だけ真似ても、本物とは程遠いよ!」

 

タクヤ「何より、ゴルドランは絶対に奪わせない! ゴルドラン、あいつを成敗しちゃって!」

 

ゴルドラン「心得た! こちらも、外見だけの男に負けるつもりはない!!」

 

 

ゴルドラン(対ジョー)

ジョー「ガキ共に使われるロボットか……子供とロボットの友情ゴッコなど、ここで終わりにしてやる!!」

 

タクヤ「オイラ達の絆が友情ゴッコだって!?」

 

カズキ「きっと友達がいなかったんだよ。だからああいうひねくれた見方しか出来ないんだ」

 

ダイ「カズキくん、それはちょっとひどいんじゃない……? でも、少なくとも友情ゴッコなんて言った事は、許せないけどね!!」

 

ジョー「チッ……調子が狂うガキ共だ……この俺をコケにした事を後悔させてやるぞ!!」

 

ゴルドラン「こちらも、主との関係をけなした事を後悔させてやる!!」

 

 

凱(対ウォルフガング)

凱「貴方は……ウォルフガング博士! かつては世界十大頭脳にも数えられたほどの貴方が、なぜこんな悪事に手を染めているのだ!」

 

ウォルフガング「ワシとてこのような事はしたくはないが……これも生きるためじゃ! それに、加藤機関は強大な犯罪組織……逆らってしまえばこの身が保たんからの!」

 

凱「そうか……だが、事情はどうあれ悪事に加担するのなら、俺は貴方を倒す!」

 

 

凱(対ジョー)

ジョー「獅子王凱……勇気や正義などという物では、俺を倒す事など出来はしない!!」

 

凱「確かにな……勇気や正義はただ振りかざすだけでは無意味だ。だが、それを貫き通す信念と、皆の支えがあれば、絶対に負けない力になる!!」

 

ジョー「ふざけた事を……そう真っ直ぐに言い切るのが、お前や旋風寺舞人の憎い所だ!! だから、もう二度とその減らず口を叩けないようにしてやる!!」

 

凱「俺は……何と言われようとも、この信念を曲げるつもりはない!! お前がそうまで否定するならば、俺は真っ向からお前を倒す!!」

 

 

辰也(対犯罪者集団)

辰也「犯罪者のロボットだってのは分かってるけどよ……なかなかセンスのある奴ばっかじゃねえか!」

 

ジゼラ「……」

 

ウォルフガング「ほう! JUDAには審美眼を持っている者がいるようじゃな!」

 

ビトン「それに免じて、あんたのロボットをタダで奪わせてもらうわ! 悪く思わないでね!」

 

ミフネ「男は黙ってぇ〜、略奪! その太陽の如き機体も、天照大御神と名を変えさせてもらおうか!」

 

ホイ・コウ・ロウ「嫌だと言ってもやめないネ! むしろ、アジアマフィアの恐ろしさを思い知らせてやるいい機会ネ!」

 

ジゼラ「辰也さんが変な事言うから、調子に乗っちゃってるじゃないですか!」

 

辰也「ああ、悪かったな……そんじゃあ俺が蒔いた種だ、こいつらは俺が倒させてもらうぜ!!」

 

 

辰也(対ジョー)

ジョー「お前達とその機体はどうやら、奴らにとって重要らしいな」

 

辰也「そんなの、知った事じゃねえよ! 俺はこいつで皆を守るために戦うって、そう決めたからな!!」

 

ジョー「お前も正義などという下らない物を掲げる人間か! ならば、俺がこの手で殺す!!」

 

ジゼラ「正義のために、皆を守るために戦う事の何が下らないんですか! 第一、世界征服を目論むような人達に従うあなたに、辰也さんの、私達の行動を否定させはしません!!」

 

辰也「ジゼラ……ありがとな! そうだぜ、こいつの言う通り、あんたに俺の戦う理由をどうこう言われる筋合いはねえ! どうしてもってんなら、俺がこの手でぶっ飛ばしてやるよ!!」

 

~~~

辰也や舞人達の攻撃により、犯罪者達のロボット軍団は壊滅した。

 

ジョー「くっ……ここまでか……!」

 

イエローガンバー「へへっ、どんなもんだい!!」

 

凱「大人しく帰ってもらうぞ、加藤機関ッ!!」

 

ジョー(ここまでか……仕方ないが後始末は奴らに任せるとしよう)

ジョー「……覚えておけよ、次に会った時がお前達の命日だ。特に旋風寺舞人、早瀬浩一、獅子王凱……その時が来ればお前達から真っ先に殺す!!」

 

ウォルフガング「色々なロボットのデータが手に入ったから、ワシとしては大満足じゃ!」

 

ビトン「せっかくJUDAの医療品が手に入ると思ったのに……まあいいわ、次は絶対奪ってやるんだから!」

 

ホイ・コウ・ロウ「このワシがやられるなどと……ええい、覚えておくネ!!」

 

ミフネ「負け戦になるとは……ならば、男は黙ってぇ~、退却!」

 

そう言いながら、ジョー達は消えていった。

 

辰也「ふぅ……何とかなったな」

 

山下「それに、大した被害も出てないね」

 

浩一「ケド、やっかいなのに目ェ付けられちまったよ……」

 

舞人「だが、奴が向かってくるならば、俺達は全力で迎え撃つしかない」

 

剣児「終わった終わった~! でもよぉ、どうせならもっと戦いてえぜ!」

 

竜馬「だったら、俺が相手してやるよ」

 

辰也「とりあえず、とっとと戻り……」

 

山下「!! 待って!」

 

山下が突然声を荒げる。

 

辰也「どうしたんだよ、サトル?」

 

山下「何かの反応が高速で近づいて来てるんだ!!」

 

レーダーの方には確かに、こちらへと向かってくるエネルギー反応があった。

 

辰也「何だ……ぐおっ!!?」

 

宗美「危ないっ!!」

 

そしてその何かが、イールソウルへとぶつかりそうになる。が、その寸前でタリスマンがシールドを展開した。

 

辰也「危ねえ……大丈夫ですか、宗美さん!!」

 

宗美「ええ……それよりも、瀧城クンが無事でよかったです……」

 

???「流石は護符の名を持つマキナ……俺の攻撃に耐えるなんてやるじゃねえか!!」

 

土埃の舞う中から現れたのは───

 

 

 

 

 

───謎の黄色い機体だった。

 

辰也「何だ……お前はよ!!」

 

ジョット「俺はジョット・ライ! 『エレミタ』だ!!」

 

浩一「エレミタだって!?」

 

凱「まさか、奴らも一枚噛んでいたか!!」

 

ジョット「ほお~、よーく知ってんじゃねえか! ま、どのみち俺にブッ殺されんだから、覚えてなくてもよかったんだけどなぁ!!」

 

竜馬「言ってくれんじゃねえかよ、エレ何とか!!」

 

つばき「! 竜馬さんに他の皆さんも気を付けて下さい! 敵はあれだけじゃありません!!」

 

つばきの言葉と共に、周りから紫色の機体が現れた。

 

森次「前に戦った機体か……!」

 

仁「いくら数を出しても、俺達の敵じゃねえぞ!!」

 

凱「早まるな! ……そもそも、貴様らの目的は何だ!?」

 

ジョット「そうだな……教える義理もねえが教えてやるよ。俺達の狙いはあのイールソウルだ!」

 

森次「エレミタの人間だからか……やはりイールソウルについて知っているみたいだな」

 

ジョット「そりゃあそうだ。だってアレは元々俺達のモンだからな……だろ? ジゼラ・ジェノさんよぉ!!」

 

ジゼラ「え……?」

 

それを聞いて、ジゼラがショックを受ける。

 

ジョット「お前がエレミタから逃げ出したあん時……すぐ捕まえられると思ったが、かすったとはいえ傷をつけられちまった……ったく、手こずらせやがって……」

 

辰也「そうか……イールソウルだけじゃなく、ジゼラまでエレミタの人間だったなんてな……」

 

思い返せばそうだ。最初にエレミタと戦った後に兵士が言っていた「成功例」という言葉。そしてラインバレルが暴走した時も、イールソウルにビーム兵器があったのを「思い出した」とジゼラが言っていた事も。

 

辰也(そうだったよな……思い当たる事、結構あんじゃねえかよ)

 

色々な事を思い出し、考える辰也。

 

森次(薄々は感じていた……ジゼラはそちら側の……エレミタの人間ではないかとな……)

 

柳生(だが、私達がそう考えている事は敵も分かっているはずだ……なら、その上での奴らの狙いは!)

 

その横で、ジゼラは混乱していた。

 

ジゼラ(私が……エレミタの……? でも、何も思い出せ……う゛っ!?)

 

辰也「ジゼラ!?」

 

ジゼラが頭を抱え、えずく。彼女の脳内に様々な記憶が流れ込んで来た。

 

ジョット「おっ、思い出したか! いや~よかったぜ! まだ忘れてたら意味ねえもんな!!」

 

つばき「そうか……ジゼラに揺さぶりをかけて、行動不能に陥らせる事が目的だったのね!!」

 

辰也「なっ!? おい、ジゼラ! 大丈夫か!!」

 

辰也が慌てて問いかける。が、ジゼラはブツブツと何かを言っており、話もまともに聞けない状況に至っていた。

 

ジョット「つーか……こうならねえように、正直に話してやりゃあよかったのによ……ま、取りあえずそいつを返してもらうぜ!!」

 

辰也「何だと? それで……どうするつもりだよ?」

 

ジョット「決まってんだろ? 徹底的に使い潰すんだよ! そいつは唯一イールソウルを扱えんだ!! エレミタのために利用させてもらうぜ!!」

 

ジゼラ「……」

 

辰也「そうか……だったら答えは1つだな……」

 

ジョット「そうだよなぁ、やっぱ元の持ち主の元に返……」

 

 

 

 

 

辰也「───何言ってんだよ、返す訳ねえだろうが!!」

 

ジョットのふざけたような物言いに、怒りを込めて言い放つ辰也。同時に、相手の機体に剣を向ける。

 

辰也「元々イールソウルとジゼラがエレミタ側だとしても、てめえらに返すとロクな事に使わねえだろうが!」

辰也「何より、ジゼラがこんなに苦しんでんだ! その原因を作ったてめえらには尚更、絶対に渡さねえよ!!」

 

ジゼラ「!!」

 

ジョット「じゃあよ……無理矢理にでも連れて行くぜぇっ!!!」

 

辰也「望む所だ! 返り討ちにしてやらあ!!!」

 

そして、戦闘を開始した。

 

~戦闘再開~

辰也(初戦闘時)

辰也「ジゼラ、無理すんなよ。戦えねえなら何もしなくて大丈夫だ」

 

ジゼラ「いえ、平気です。あの……」

 

辰也「どうした?」

 

ジゼラ「ありがとうございます……あんな風に言ってくれて……少しだけ、気持ちが楽になりました

 

辰也「気にすんな、さっきも言ったように、仲間を守るのは当然の事たぜ!」

 

ジゼラ「仲間……」

 

辰也「ああそうだぜ。それがどうしたんだ?」

 

ジゼラ「……いえ、何でもないです。それよりも目の前の敵に集中して下さい!!」

 

辰也「お、おうよ! そんじゃ行くぜ!!」

 

 

辰也(対ジョット)

ジョット「ったく、この分からず屋がよ……大人しく従っとけば、命は助かったのになぁ!」

 

辰也「悪いな、俺は仲間を差し出して助かるような卑怯な行動は嫌いだし、何より、この力で守りてえもんを守るんだ!」

 

ジゼラ「そして仮にそっちに戻ったとしても、私は絶対に従いません!!」

 

辰也「よく言ったぜ、ジゼラ! あの腐れチンピラに一泡ふかせるぞ!!」

 

ジョット「言ってくれるじゃねえか! 俺とフェルミニのスピードについて来れねえ雑魚の癖によお!!」

 

辰也「そいつは、やってみなきゃ分かんねえだろうが!!」

 

 

浩一(対ジョット)

ジョット「ラインバレル……マキナ殺しが相手たぁ不足はねえ! ファクターを引きずり出してブチ殺してやるぜ!!」

 

浩一「悪いケド、俺にはまだやるべきコトがあるんだ! それに、正義の味方は絶対に死なないんだよ!!」

 

ジョット「正義の味方……ねぇ。じゃあそんなガキの思い込みもブッ壊してやるか!!」

 

浩一「上等だ! 来やがれ!!」

 

 

剣児(対ジョット)

ジョット「鋼鉄ジーグ……ずいぶん見た目が変わったじゃねえか! こりゃ楽しめそうだな!!」

 

剣児「何かよく分かんねえけど、てめえらはろくでもねえ奴らだって事はよ~く分かるぜ!!」

 

ジョット「だったらどうするってんだ? まさか、俺を倒すってんじゃねえだろうな!!」

 

剣児「当たりめえだ! てめえのその機体がどんだけ強かろうが、俺は負けねえんだよ!!」

 

 

竜馬(対ジョット)

ジョット「ゲッター線を動力にして戦うロボットか……やっぱとんでもねえな!!」

 

隼人「どうやら奴の機体は、速さを重きに置いているようだ。スピード勝負なら俺に変われ!!」

 

竜馬「悪いが、俺はあの野郎をぶちのめさねえと気が済まねえんでな! だから、まずは俺にやらせろ!!」

 

弁慶「やらせてやれ、隼人。その代わり、俺にも戦わせろよ!!」

 

ジョット「ゴチャゴチャと話して、やられる順番でも決めてんのか? だが安心しな、てめえらを機体ごと綺麗に三等分にしてやるからよ!!」

 

竜馬「だったら俺は、てめえをなます切りにしてやるぜ!!」

 

 

仁orイエローガンバーor拳一(対ジョット)

ジョット「ガキが相手たぁ調子狂うぜ……まぁ、どのみち戦場にいるから殺すけどな!!」

 

仁「俺たちは、そう簡単にやられねえぞ!!」

 

イエローガンバー「確かに怖いけど、まだやりたい事があるのに殺されるのは嫌だ!!」

 

拳一「そうだ! 俺たちには戦う理由がある!! だから、こんなところでやられてたまるかってんだ!!」

 

ジョット「嫌いじゃねえぜ~、そういうのはよ! さて、エルドランのロボット共を鉄クズに変えてやるか!!」

 

 

ゴルドラン(対ジョット)

ジョット「レジェンドラの黄金勇者……相手としちゃあ不足はねえな!!」

 

ダイ「あのロボット……ヤバいよ!!」

 

カズキ「そうだな……それに、他の奴よりも速い!!」

 

タクヤ「だけど、何とか頼んだよ、ゴルドラン! あいつ、やっつけちゃって!!」

 

ゴルドラン「心得ている……奴の動きに注意して戦うぞ!!」

 

 

舞人(対ジョット)

ジョット「『特急』だろうが、俺のスピードにはついてけねえよなぁ!?」

 

マイトガイン「確かに、奴は速い……だが、それにこだわるあまり、ガードや装甲が甘いな!!」

 

舞人「簡単ではないが、そこを突けば倒せるチャンスはある!!」

 

ジョット「やれるもんならやってみやがれ、金持ちのボンボンがよぉ!!」

 

舞人「俺だって、親の七光りだけでここまでやってきた訳じゃない! 旋風寺コンツェルン社長であり、勇者特急隊隊長でもある俺の力を見せてやる!!」

 

 

凱(対ジョット)

ジョット「緑の星のカインの遺産……いいねぇ、ブッ壊しがいがありそうだ!!」

 

凱「ガオガイガーと俺の勇気は、そう簡単に壊れはしない!! 貴様らが何者だろうと、俺達は勝つ!!」

 

ジョット「暑苦しい野郎だな……だが、嫌いじゃねえ! その勇気の強度がどんなもんか、試させてもらうぜ!!」

 

凱「やってみろ! 貴様がどれだけ強かろうと、俺は絶対に負けない!!」

 

 

~~~

辰也「ここはファッシォ・ランチャライジだ!!」

 

ジゼラ「はい!」

 

舞人「動輪剣! 縦、一文字斬りぃぃぃーーーっ!!!」

 

剣児「スピンストォォォーーームッ!!!」

 

浩一「俺達もやるぞ!!」

 

仁「分かってるって!!」

 

イエローガンバー「ガンバーファイナルアタックだ!!」

 

拳一「ゴウザウラーだって負けてねえぞ!!」

 

それぞれの機体の必殺技で、敵を殲滅していく。

 

竜馬「くたばりやがれ!!」

 

凱「ゲル・ギム・ガン・ゴー・グフォー……はあぁぁぁっ!!!」

 

ゴルドラン「スーパー龍牙剣だ!!!」

 

残りの敵も全滅した。

 

ジョット「あの数のロスクリータが全滅かよ……中々すげえじゃねえか!!」

 

辰也「余裕こいてる場合かよ!! 次はてめえだぜ!!」

 

イールソウルが攻撃を当てようとする。しかしジョットの機体……フェルミニにはかすりもしなかった。

 

ジョット「おらおら、どこを狙ってやがる!」

 

辰也「くそっ……中々当たらねえ……!」

 

山下「あいつの機体……装甲がない分、スピードが強化されてる!!」

 

鉄也「あのスピードも、ゲッター2と同等……いや、それ以上だ!!」

 

ジョット「ヒャア! 今度はこっちの番だぜぇぇぇっ!!」

 

フェルミニの振り下ろした刀が、イールソウルに当たる。

 

辰也「ぐはっっ!!?」

 

ジゼラ「うっ……こ、このままじゃあ……!」

 

ジョット「大人しく捕獲されちまえ……イールソウル!!」

 

なおも攻撃を続ける。

 

辰也「……このままやられっ放しでいられるかよ!!」

 

苦し紛れか、イールソウルが大剣を投げつける。

 

ジョット「見え見えの攻撃が当たるか!!」

 

しかし、やはり難なく回避された。

 

ジョット「てめえは俺の足下にも───」

 

 

 

 

 

辰也「───かかったな、スピード馬鹿!!」

 

言うが早いか、フェルミニの回避方向にファッシォ・ランチャライジをブチ込んだ。

 

辰也「てめえは俺の剣だけに気を取られてやがったんだ、その隙をつかせてもらったぜ!!」

 

ジゼラ「回避方向さえ分かれば、後は攻撃を当てるだけです!!」

 

……と、爆煙に向かって言い放った。

その中から勢いよく、フェルミニが飛び出す。

 

辰也「っ!」

 

ジョット「中々やるじゃねえか! 悪かったな、お前を甘く見てよぉ!!」

 

所々パーツが吹き飛び、中身が見える程ボロボロになりながらも、イールソウルに剣を振り下ろそうとする……が、直前でぴたりとその動きが止まった。

 

辰也「……?」

 

辰也が困惑する一方、フェルミニのコックピット内では、ジョットが何者かと会話をしている。

 

???『……早急に戻れ。今のお前ではイールソウルの奪還は不可能だ』

 

ジョット「あぁ? 馬鹿も休み休み言えっての! 俺はまだまだ……」

 

???『周りを見てみろ、ジョット。そして自分自身もな』

 

そう言われたジョットは周囲を見渡した。エレミタの機体は全滅し、残っているのは自らに刃を向けるマキナやスーパーロボット軍団。

 

森次「まだ……戦うつもりか?」

 

凱「もしそうならば……こちらはまだ、諦めるつもりはない!!」

 

竜馬「エレミタだか何だか知らねえが、まだやるってんなら相手してやるぜ!!」

 

鬼気迫る彼らを見、また自らの状況を把握したジョットは冷静さを取り戻した。

 

ジョット「熱も冷めたし帰らせてもらうぜ……けどよ、次は絶対に奪い返してやるからな!!」

 

そう言うと、フェルミニは撤退した。

 

辰也「何とか倒せたな……とにかくギリギリの戦いだったぜ……」

 

仁「それじゃあ、俺たちもそろそろ戻ろうぜ! もうあいつらも来ねえだろ!」

 

つばき「そうね……新しい反応も見えないし、帰りましょうか」

 

かくして、辰也達は撤退した。

 

~JUDA社長室~

石神「お疲れさん。他の人たちは先に休息をとらせたよ、だから君たちもすぐに休むといい……そうそう、ちょうどアメリカに行かせてたドモン君たちからも連絡が来てたんだケド……まァ、続きは彼らと合流してからにしようか」

 

社長室には、石神と森次、柳生がいた。

 

森次「そうですね。そして今回の戦闘で、エレミタに関する情報を得られる可能性が高まりました」

 

柳生「ジゼラ・ジェノがエレミタ側の人間であった事が確定した今、そこから情報を引き出すのね……でも、そう無理はさせられないわ」

 

森次「ああ、それは分かっている。だから今は休ませて、落ち着いてからにしよう」

 

石神「ジゼラ君は瀧城クンたちに看てもらってるから、ひとまずは大丈夫……だといいんだケドねェ……」

 

これからが心配だ……と思う石神だった。

 

~JUDA医務室~

辰也達はベッドの上で横になっているジゼラを看ていた。

 

ジゼラ「すみません……ここまでさせて貰って……」

 

辰也「何言ってんだ、こっちはお前の安全が第一なんだよ。だから、そのまま寝てても構わねえって! そういや、どっか痛い所はねえか?」

 

ジゼラ「はい……まあ少しだけですけど、まだ頭痛がしますね……」

 

頭を押さえる。

 

道明寺「しかし、さっきの辰也さんはカッコよかったですねェ」

 

辰也「よせよ、俺は当然だと思ったから言ったまでだ」

 

舞人「でも、そういう事は簡単には言えないし、しにくい事です」

 

凱「だから、胸を張っていいぞ! お前は立派な勇者だ!!」

 

辰也「い、いやぁ~、勇者として活躍してるお二方に言われるとちょっと……」

 

顔を赤くし、頭を掻く辰也。

 

飛鳥「けど、ジゼラさんはこの後どうなるんでしょうか?」

 

隼人「そうだな。エレミタの人間であると判明したんだ、事情聴取を受ける事にはなるだろうが……まあ、あの社長の事だ、今は様子見という所だろうな」

 

ジゼラ「……」

 

深刻そうな顔をし、俯くジゼラ。

 

辰也「……俺、正直言って不安だったんだ」

 

ジゼラ「え……」

 

辰也「あの野郎がお前の正体をバラして、お前が苦しむ所を見たら、怖くなっちまった。この先、お前を守れるのか、ずっと一緒にいられるのかって。ああやって強がってたけどな」

 

ジゼラ「……」

 

でも、と言葉を続ける辰也。

 

辰也「でも、俺は言った事は絶対に曲げない! お前は俺の仲間だし、イールソウルは皆を守るために使う! だから信じてくれ! 俺は絶対に、お前を守るってよ!!」

 

ジゼラ「辰也さん……」

 

力強く言い放つ辰也に、驚きつつも嬉しそうな表情を見せるジゼラ。

 

仁「俺たちだって、ジゼラの姉ちゃんを信じるぜ!」

 

つばき「あなたと一緒に過ごしてたけど、敵だなんて絶対に思えないわよ」

 

山下「このロボットバカをよ~く知ってて、しかも抑えられるのはボクとジゼラしかいないんだから、まぁ自信もちなよ」

 

ジゼラ「皆さん……!」

 

宗美「……さて、もうそろそろ行きますよ。ジェノさんも休みたいでしょうしね」

 

辰也「そうですね。ま、何かあったらすぐ呼ぶんだぞ~」

 

ジゼラ「分かりました!」

 

辰也達が帰ってから、ジゼラは一人考えていた。

 

ジゼラ(……私、これからどうなるんだろ……それに、辰也さんの事を考えてると、何だか胸が変になってくる……)

 

悶々としながら、ベッドの上で臥せっていた……。




中断メッセージ(ナイスで最低なヤツら)
浩一「スーパーロボット大戦は最高だよ! いろんな機体やパイロットがいるし、ムービーも綺麗だしさァ!!」

道明寺「ストーリーもいい感じに練られてるしな……でも、一番はやっぱアレだろ?」

浩一「あ、アレって……?」

道明寺「そりゃあもちろん、女パイロットのカットインで揺れるアレさ!」

浩一「!? た、確かにわかるケドさ!! そうなんだよ! それがあるから、どんな長いムービーも飛ばせない!! まったく、ナイスな映像だぜ!!」

城崎「……」

道明寺「やべェ……聞かれてたみたいだぜ」

浩一「きっ城崎!? い、いや……これは違うんだ!!」

城崎「道明寺さんも早瀬クンも……あなた達、どっちも最低です!!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

アメリカルート
第七話B 集結! シャッフル同盟


アメリカルート突入!
どんな作品が出るのか…楽しみに読んで下さい!!


~???~

暗闇の中で、2人の男が話している。

 

???1「そんじゃ、今回の任務はアレか?」

 

???2「ああ。その細胞を使い、奴らを倒す……とは言っても、これで全滅とはいかないだろうな」

 

???1「んで、油断した所を俺がブチ殺すって訳かよ。いいじゃねえか!」

 

???2「そうだ。では行ってこい、ジョット。だがあくまでも最優先は『イールソウル』と『ジゼラ・ジェノ』の確保だ」

 

ジョット「おうよ、行ってくるぜ!!」

 

そして、ジョットは勢いよく飛び出していった。

 

???2(そろそろ我々『エレミタ』も本格的に始動するか……あの実験体も頃合いだからな……)

 

闇の中で、ククク……ともう1人の男が笑った……。

 

~ギアナ空港~

下関からのフライトを経て、辰也達はギアナへと着いた。

 

ドモン「着いたぞ」

 

辰也「ここは……ギアナ空港? 何でこんな所に?」

 

この場所に来た事に疑問がある辰也。今回の任務先は北アメリカに位置しているのに、何故南アメリカの方へ行っているのか不思議だった。

 

ドモン「辰也、ビルドベースで言ったはずだ。お前を鍛え上げるとな」

 

辰也「そういえばそうでしたね」

 

レイン「ここはドモンが自分を鍛え上げた場所があるのよ。だから、修行にはうってつけだと思ったの」

 

辰也「例のギアナ高地ですね……!」

 

すんなりと納得する辰也。自分も強くなれるのだと思うと、自然に表情も変化する。

 

シロー「顔つきが変わったな。ま、一緒に頑張ろうぜ!」

 

辰也「はい!!」

 

由木「話してる所悪いけど、もう行くみたいよ」

 

アレンビー「それじゃあ行こっか!」

 

辰也達は空港を出て行った。

 

~ギアナ高地~

ほの暗い森の中、そこで2つの影……サイ・サイシーと張五飛がぶつかり合っていた。

 

サイ・サイシー「はっ!」

 

五飛「てやっ!」

 

サイ・サイシー「そらよっ!」

 

五飛「遅いっ!」

 

サイ・サイシー「まだまだぁ!!」

 

五飛「くっ!!」

 

お互いに殴る蹴る受けるの繰り返しだが、それに乱れがなく、まるで一種の芸術品のようだった。

 

五飛「……腕を上げたな、サイ・サイシー」

 

サイ・サイシー「五飛こそ、なかなかやるじゃねえか。お互い鈍ってねえって事だな」

 

五飛「そうだな」

 

チボデー「おいおい、次は俺だぜ? 張五飛さんよぉ」

 

五飛「ああ、では行くぞ!」

 

サイ・サイシーに続きチボデーとの戦いを始める五飛。その様子を、トロワ・バートンとジョルジュ・ド・サンド、アルゴ・ガルスキーが見ていた。

 

ジョルジュ「あちらもまだやるつもりですね」

 

トロワ「ああ」

 

ジョルジュ「では、私も始めさせて頂きます!」

 

トロワ「来い、ジョルジュ」

 

お互いにレイピアとナイフを構え、ぶつかり合った。トロワの投げるナイフをジョルジュがレイピアで払う。

 

ジョルジュ「その程度ですか、トロワ・バートン!!」

 

トロワ「甘いな」

 

そう言うとジョルジュの眼前から、トロワの姿が消えた。

 

ジョルジュ「どこだ……どこに消えた……?」

 

キョロキョロと辺りを見回す。がさり、と茂みから音がし、バッとそこを向くジョルジュ。

 

ジョルジュ「そこかっ!!」

 

瞬時にレイピアの先をそこに向けようとするも、一瞬静止し、自らの背後にそれを向けた。

 

トロワ「……当たりだ」

 

背後には、ジョルジュの首もとにナイフを突き立てているトロワが立っていた。自らの首もとには、レイピアが今にも突き刺さろうとしている。

 

トロワ「茂みで音を立て注意を引きつけ、その隙に仕掛けたが……バレていたようだな」

 

ジョルジュ「ガンダムファイターたる者、気配を察知しなければ……という物ですね」

 

トロワ「フッ……」

 

お互い懐に、レイピアとナイフをしまった。

 

アルゴ(こいつのスピードとしなやかさ……対応出来れば俺のパワーも活かせるだろう)

アルゴ「次は俺だ」

 

トロワ「いいだろう」

 

こちらでも、アルゴとトロワの戦いに持ち込まれた。

 

~~~

レイン「……で、ドモンがデビルガンダムを倒したのよ」

 

辰也「くうぅっ……いつ聞いてもスゲー話ですね!!」

 

ギアナ高地を歩きながら、レインが今までの話をする。それを辰也は興奮しながら聞いていた。

 

ドモン「やはり、今聞いても恥ずかしいな……」

 

鉄也「石破ラブラブ天驚拳だろ? いやはや、俺も間近で見た時はふざけているのかと思ったよ」

 

シロー「でも、アレは本気だったんだよなぁ……だからこそ、カッコ良くて痺れるんだよ」

 

ドモン「……」

 

遂にドモンが黙ってしまう。心なしか顔が赤い。

 

ジゼラ「……私も、自分の事について知りたいなぁ……」

 

アレンビー「どういう事?」

 

ジゼラ「あっ……まあ皆さんはもう分かっていると思いますけど、私にはあの時から記憶がなくって……だから、その前にはどんな事をしていたのかを知りたいんです。少し……いえ、とても怖いですけどね」

 

由木「怖い?」

 

ジゼラ「はい……少しでも失われた記憶が戻ったら嬉しいですけど、それでぶわっと何かが溢れて……自分が壊れてしまいそうで……言ってる事、よく分かんないかも知れませんが……」

 

鉄也「……そうだな。人ってのは時として、その何か……感情を押さえ切れなくなっちまう……俺もそれで、取り返しのつかねえ事をしちまったからな」

 

シロー「鉄也さん……」

 

昔にあった出来事……甲児とのわだかまりと、それにより父親代わりの大切な人を失った事を思い出す鉄也。今はそれほどでもないが、その後悔はやはり胸に残っている。

 

ドモン「だが心配するな。お前には信頼出来る仲間がいる」

 

辰也「いざとなったら俺が……いや、俺達が守るさ。ですよね、皆さん?」

 

ジゼラ「……」

 

その言葉を聞いて、嬉しさで胸がいっぱいになるジゼラ。口元には安堵の笑みを浮かべている。

 

ドモン「……止まれ。どうやらもう、話をしている暇はなさそうだ」

 

レイン「ドモン……?」

 

ドモンの見ている先には深い闇……まるで何かが出てきそうな雰囲気が漂っていた……。

 

~~~

がさり、と茂みから音がする。

トロワが立てた音とは違う、不気味な響き。

 

ジョルジュ「!」

 

振り向いた時にはもう遅かった。目と鼻の先には───

 

 

 

 

 

───かつて倒したはずのゾンビ兵がいたのだから。

 

トロワ「避けろ、ジョルジュ!」

 

すんでの所でトロワがナイフを命中させる。がたり、と倒れるゾンビ兵。

 

ジョルジュ「助かりましたよ、トロワ」

 

トロワ「ああ。しかし、何故こいつらが……」

 

アルゴ「デビルガンダムは俺達で全滅させたはずだ……それが今になって復活するとは……」

 

すると、向こうから五飛達が来た。

 

五飛「大丈夫か、お前達!」

 

サイ・サイシー「あいつらが復活してきやがった!」

 

チボデー「どうなってるか分かんねえよ! だが、こうなりゃアレしかねえ!!」

 

アルゴ「そうだな……!」

 

ジョルジュ「では……行きますか!!」

 

そう言うと、天に向かって叫んだ。

 

サイ・サイシー「出ろぉぉぉぉぉっ!!!!」

 

チボデー「ガンダァァァムッ!!!!!!」

 

その瞬間、地面からドラゴンガンダム、ガンダムマックスター、ガンダムローズ、ボルトガンダムが出現した。

 

ジョルジュ「では、行きますよ!!」

 

アルゴ「おお!!」

 

 

 

第七話 集結! シャッフル同盟

 

 

 

~~~

4人がガンダムに搭乗する。周りを見渡すと、大勢のデスアーミーに囲まれていた。

 

ジョルジュ「既に囲まれていたようですね……」

 

チボデー「だがよ、うかうかしてるとやられちまうぞ!」

 

アルゴ「ならば方法はひとつだ……!」

 

サイ・サイシー「こいつら全員ぶっ倒して、この窮地を切り抜けてやるぜ!!」

 

そう言うと、戦闘を開始した。

 

~戦闘開始~

サイ・サイシー(初戦闘時)

サイ・サイシー「何でDG細胞が今更になって使われてんだ!!」

サイ・サイシー「俺達の修行の邪魔をしたんだから、どっちみち倒すけどな!!」

 

 

ジョルジュ(初戦闘時)

ジョルジュ「DG細胞の技術……今現在悪用する人間がいてもおかしくありませんが……」

ジョルジュ「今になって蘇って来た事を後悔させてあげますよ!!」

 

 

チボデー(初戦闘時)

チボデー「ったく……今更になって蘇ってくんじゃねえよ!!」

チボデー「こっちだってあの時から強くなってんだ、てめえらなんぞに遅れは取んねえよ!!」

 

 

アルゴ(初戦闘時)

アルゴ「DG細胞の技術……使う人間がいるとしたら、どこかの軍隊か……」

アルゴ「だが、どうという事はない! 蘇ったのなら、粉砕してやるぞ!!」

 

 

~~~

サイ・サイシー「ハイハイハイハイィッ!!」

 

チボデー「バァァーニングパンチだ!!」

 

ジョルジュ「この剣が見切られますか!!」

 

アルゴ「食らえぇぇぇぃ!!」

 

それぞれの攻撃で、デスアーミー達を撃退していく。

だが、DG細胞の再生&増殖機能が働き復活してしまった。

 

チボデー「なんてしぶとい野郎共だ……!」

 

ジョルジュ「ええ……しかし、弱音を吐いている暇はありません!」

 

アルゴ「ああ……復活出来なくなるまで叩き潰せばいいだけだ!」

 

サイ・サイシー「こうなりゃとことんやるぞ!」

 

???「なら、俺達にもやらせてもらう」

 

不意に何者かの声がした。

その瞬間、どこからか銃弾が飛び、デスアーミー達を撃退していく。

 

ジョルジュ「この銃弾は……」

 

銃弾の方向からは、ガンダムヘビーアームズ改とアルトロンガンダムが姿を現した。

 

トロワ「待たせたな」

 

五飛「俺達も戦うぞ!」

 

サイ・サイシー「トロワ! 五飛!」

 

ジョルジュ「心強い味方が来ましたか!」

 

アルゴ「よし、では行くぞ!」

 

チボデー「反撃のゴングは、もう鳴ってんだよ!」

 

そして、戦闘を再開した。

 

~戦闘再開~

トロワ(初戦闘時)

トロワ「マリーメイア軍は壊滅し、世界は平和になっていた……だが、今も地球を脅かす者達はいるという訳か……」

トロワ「いいだろう、俺達が相手になってやる」

 

 

五飛(初戦闘時)

五飛「戦争は完全に終わった訳ではない……現に行き場を失った兵士や争いを生み出す軍隊が、宇宙にはごまんといる……」

五飛「ならば、俺がその思いを受け止めてやる! 恨みを持つ者共よ、来い!!」

 

 

~~~

トロワ「排除する」

 

五飛「力のない者がウロウロするなぁっ!!」

 

ヘビーアームズとアルトロンの攻撃で、デスアーミーを撃退する。

 

ジョルジュ「何とか片付きましたね……」

 

サイ・サイシー「ありがとな、トロワに五飛!」

 

トロワ「大した事ではない」

 

五飛「それじゃあ、戻るとするか」

 

チボデー「ああ! 修行の続きだ!」

 

こうして、コックピットから降りようとした。

 

アルゴ「! 危ない!!」

 

……が、アルゴが何かに気づき、仲間の盾となるように防御する。

 

???「流石はシャッフル同盟……俺の攻撃を防ぐなんて、大した奴じゃねえか!」

 

土埃の舞う中から現れたのは───

 

 

 

 

 

───謎の黄色い機体だった。

 

アルゴ「……何者だ、お前は」

 

ジョット「俺はジョット・ライ! 『エレミタ』だ!!」

 

五飛「エレミタだと!?」

 

ジョルジュ「世界を裏で操っている組織……噂程度には聞いていましたが、まさか実在していたとは……!」

 

トロワ「マリーメイア軍を裏で支援していた奴らか……!」

 

ジョット「ちなみに覚えておく必要はねえぜ、どうせてめえらは俺にブッ殺されんだからな!!」

 

チボデー「何だと!?」

 

サイ・サイシー「聞き捨てなんねえな、その言葉は!!」

 

ジョルジュ「! 気をつけて下さい! 敵は彼1人ではありません!!」

 

ジョルジュの言葉と共に、周りから紫色の機体とデスアーミーが現れた。

 

五飛「数が多いが……やれん事はない!!」

 

トロワ「それに、援軍も来たからな」

 

すると、イールソウル、ゴッドガンダム、シャイニングガンダム、ノーベルガンダム、グレートマジンガー、イチナナ式、ウィングルが現れた。

 

ドモン「嫌な予感がして来てみれば……」

 

由木「JUDAを襲ったエレミタの機体ね」

 

アレンビー「デスアーミーも……やっぱり、あのゾンビ兵達は気のせいじゃなかったんだ!!」

 

サイ・サイシー「ドモンのアニキ!」

 

トロワ「鉄也もいるな」

 

ドモン「サイ・サイシー、そして他のメンバーもいるのか……!」

 

鉄也「トロワに五飛……マリーメイア戦役では苦労したぜ」

 

五飛「俺は俺の正義に従ったまでだ」

 

鉄也「フッ、そうだな……だが今は、思い出に浸ってる場合じゃねえぜ!」

 

辰也「本当は感動でいっぱいだけど、まずはあいつらを倒す! それからです!!」

 

辰也達が、紫色の機体の方へ向く。

 

ジョット「……会いたかったぜ……イールソウル!!」

 

ドモン「エレミタの人間か……やはりイールソウルについて知っているみたいだな」

 

ジョット「そりゃあそうだ。だってアレは元々俺達のモンだからなぁ……だろ? ジゼラ・ジェノさんよぉ!!」

 

ジゼラ「え……?」

 

それを聞いて、ジゼラがショックを受ける。

 

ジョット「お前がエレミタから逃げ出したあん時……すぐ捕まえられると思ったが、かすったとはいえ傷をつけられちまった……ったく、手こずらせやがって……」

 

辰也「そうか……イールソウルだけじゃなく、ジゼラまでエレミタ側だったなんてな……」

 

思い返せばそうだ。最初にエレミタと戦った後に兵士が言っていた「成功例」という言葉。そしてラインバレルが暴走した時も、イールソウルにビーム兵器があったのを「思い出した」とジゼラが言っていた事も。

 

辰也(そうだったよな……思い当たる事、結構あんじゃねえかよ)

 

色々な事を思い出し、考える辰也。

 

鉄也(薄々は感じていた……ジゼラはあちら側……エレミタの人間ではないかとな……)

 

ドモン(だが、俺達がそう考えている事は敵も分かっているはずだ……なら、その上での奴らの狙いは!)

 

その横で、ジゼラは混乱していた。

 

ジゼラ(私が……エレミタの……? でも、何も思い出せ……う゛っ!!)

 

辰也「ジゼラ!?」

 

ジゼラが頭を抱え、えずく。彼女の脳内に様々な記憶が流れ込んで来た。

 

ジョット「おっ、思い出したか! いや~よかったぜ! まだ忘れてたら意味ねえもんな!!」

 

由木「やっぱり、ジェノに揺さぶりをかけて、行動不能に陥らせる事が目的だったのね!!」

 

辰也「なっ!? おい、ジゼラ! 大丈夫か!!」

 

辰也が慌てて問いかける。が、ジゼラはブツブツと何かを言っており、話もまともに聞けない状況に至っていた。

 

ジョット「つーか……こうなんねえように、正直に話してやりゃあよかったのによ……ま、取りあえずそいつを返してもらうぜ!!」

 

辰也「何だと? それで……どうするつもりだよ?」

 

ジョット「決まってんだろ? 徹底的に使い潰すんだよ! そいつは唯一イールソウルを扱えんだ!! エレミタのために利用させてもらうぜ!!」

 

ジゼラ「……」

 

辰也「そうか……だったら答えは1つだな……」

 

ジョット「そうだよなぁ、やっぱ元の持ち主の元に返……」

 

 

 

 

 

辰也「───何言ってんだよ、返す訳ねえだろうが!!」

 

ジョットのふざけたような物言いに、怒りを込めて言い放つ辰也。同時に、相手の機体に剣を向ける。

 

辰也「元々イールソウルとジゼラがエレミタ側にいたとしても、てめえらに返すとロクな事にならねえだろうが!」

辰也「何より、ジゼラがこんなに苦しんでんだ! その原因を作ったてめえらには尚更、絶対に渡さねえよ!!」

 

ジゼラ「!!」

 

ジョット「じゃあよ……無理矢理にでも連れて行くぜぇっ!!!」

 

辰也「望む所だ! 返り討ちにしてやらあ!!!」

 

そして、戦闘を開始した。

 

~戦闘開始~

辰也(初戦闘時)

辰也「ジゼラ、無理すんなよ。戦えねえなら何もしなくて大丈夫だ」

 

ジゼラ「いえ、平気です。あの……」

 

辰也「どうした?」

 

ジゼラ「ありがとうございます……あんな風に言ってくれて……少しだけ、気持ちが楽になりました

 

辰也「気にすんな、さっきも言ったように、仲間を守るのは当然の事だぜ!」

 

ジゼラ「仲間……」

 

辰也「ああそうだぜ。それがどうしたんだ?」

 

ジゼラ「……いえ、何でもないです。それよりも目の前の敵に集中して下さい!!」

 

辰也「お、おうよ! そんじゃ行くぜ!!」

 

 

辰也(対デスアーミー)

辰也「さっきの奴らといい、こいつらはドモンさん達が倒したんじゃないのかよ!!」

 

ジゼラ「おそらく、エレミタが復活させたのではないでしょうか……!」

 

辰也「そうか……だったらもっかい倒してやるぜ、デビルガンダムの下っ端共!!」

 

 

辰也(対ジョット)

ジョット「ったく、この分からず屋がよ……大人しく従っとけば、命は助かったのになぁ!」

 

辰也「悪いな、俺は仲間を差し出して助かるような卑怯な行動は嫌いだし、何より、この力で守りてえもんを守るんだ!」

 

ジゼラ「そして仮にそっちに行ったとしても、私は絶対に従いません!!」

 

辰也「よく言ったぜ、ジゼラ! あの腐れチンピラに一泡ふかせるぞ!!」

 

ジョット「言ってくれるじゃねえか! 俺とフェルミニのスピードについて来れねえ雑魚の癖によお!!」

 

辰也「そいつは、やってみなきゃ分かんねえだろうが!!」

 

 

ドモン(初戦闘時)

ドモン(シャッフル同盟が全員いるとは……どうやら俺と考えてる事は一緒のようだな)

ドモン「ならば、貴様らにはここで俺のウォーミングアップに付き合ってもらう! 覚悟しろ!!」

 

 

ドモン(対デスアーミー)

ドモン「DG細胞……俺達の運命を狂わせた悪魔……!」

ドモン「あの惨劇を繰り返す訳にはいかない! 全て残らず焼き尽くしてやるぅっ!!」

 

 

ドモン(対ジョット)

ジョット「てめえがあのガンダム・ザ・ガンダムか! 一度戦いたかったんだよ、てめえとは!!」

 

ドモン「そうか……確かにお前は他の奴と比べても何かが違う……だが、それで怖じ気づく俺ではない!!」

 

ジョット「そうかよ、だったら勝負しようぜ!! 『ゴッド』のガンダムには色々思う所があるからなぁ!!」

 

ドモン「望む所だ! 来い!!」

 

 

レイン(対デスアーミー)

レイン(DG細胞……父さんが悪用した悪魔の力……)

レイン「もう二度と、同じ過ちは繰り返させない! DG細胞は、私達で止める!!」

 

 

アレンビー(対デスアーミー)

アレンビー(ドモンとレインの……皆の運命を狂わせたDG細胞……!)

アレンビー「あの2人に同じ思いはさせない! そして、これ以上運命を狂わせられる人が出ないように、私達が!!」

 

 

シャッフル同盟(対ジョット)

ジョット「シャッフル同盟か……俺のスピードについて来れなかった奴がご大層なモン名乗ってるじゃねえか!」

 

ジョルジュ「……それについて、我々は言い訳をするつもりはありません」

 

チボデー「けどよ、言われっぱなしってのもシャクなんでな!」

 

アルゴ「次は俺達の番だ!」

 

サイ・サイシー「あの時から更に強くなった俺達の力、見せてやるぜぇ!!」

 

ジョット「いいぜいいぜそういうの! そんじゃ、かかって来いよ!!」

 

 

鉄也(対ジョット)

ジョット「ミケーネをブッ倒した英雄、グレートマジンガーと剣鉄也か! 俺の相手にとっちゃ、十分だぜ!!」

 

鉄也「よく知っているじゃないか……だが、知っているだけな事と実際に戦うという事は違う……それを教えてやるぜ」

 

ジョット「面白え……後で負け惜しみなんて言うんじゃねえぞ!!」

 

鉄也「そうか……なら俺は、負け惜しみすらも言えないように、お前を叩きのめす!!」

 

 

トロワor五飛(対ジョット)

ジョット「マリーメイア戦役の戦士か! 生憎だが、そっちにいた奴らの戦い方なら分かってんだよ!!」

 

トロワ「分かっていないな……俺達もあの時から変わっている事を!!」

 

五飛「影で暗躍しているだけの奴らに、俺達は負けん! 相手をしてやるぞ、隠者!!」

 

ジョット「いい覚悟だ! そんじゃ行くぜぇ!!」

 

 

~~~

辰也「ここはファッシォ・ランチャライジだ!!」

 

ジゼラ「はい!」

 

ドモン「ばぁぁぁぁくねつっ!! ゴッドフィンガァァァァーッ!!!」

 

鉄也「必殺パワー! サンダァァァーブレェェェェクッ!!!」

 

サイ・サイシー「俺達も負けてられねえ!!」

 

チボデー「おうよ!!」

 

ジョルジュ「ローゼススクリーマーで行きますよ!!」

 

アルゴ「砕け散れ!!」

 

トロワ「殲滅する」

 

五飛「俺の前から消えろ!!」

 

それぞれの機体の必殺技で、敵を殲滅していく。

 

レイン「シャイニングフィンガーで!!」

 

アレンビー「ゴッドフィンガーで行くよ!!」

 

シロー「鉄也さん達だけじゃねえぜ!!」

 

由木「やるわよ、ウィングル!!」

 

残りの敵も全滅した。

 

ジョット「あの数のロスクリータが全滅かよ……中々すげえじゃねえか!!」

 

辰也「余裕こいてる場合かよ!! 次はてめえだぜ!!」

 

イールソウルが攻撃を当てようとする。しかしジョットの機体……フェルミニにはかすりもしなかった。

 

ジョット「おらおら、どこを狙ってやがる!」

 

辰也「くそっ……中々当たらねえ……!」

 

ドモン「奴の機体……装甲がない分、スピードを磨いているのか!」

 

鉄也「あのスピード……グレートを上回っていやがる……!」

 

ジョット「ヒャア! 今度はこっちの番だぜぇぇぇっ!!」

 

フェルミニの振り下ろした刀が、イールソウルに当たる。

 

辰也「ぐはっっ!!?」

 

ジゼラ「このままじゃあ……!」

 

ジョット「大人しく捕獲されちまえ……イールソウル!!」

 

なおも攻撃を続ける。

 

辰也「……このままやられっ放しでいられるかよ!!」

 

苦し紛れか、イールソウルが大剣を投げつける。

 

ジョット「見え見えの攻撃が当たるか!!」

 

しかし、やはり難なく回避された。

 

ジョット「てめえは俺の足下にも───」

 

 

 

 

 

辰也「───かかったな、スピード馬鹿!!」

 

言うが早いか、フェルミニの回避方向にファッシォ・ランチャライジをブチ込んだ。

 

辰也「てめえは俺の剣だけに気を取られてやがったんだ、その隙をつかせてもらったぜ!!」

 

ジゼラ「回避方向さえ分かれば、後は攻撃を当てるだけです!!」

 

……と、爆煙に向かって言い放った。

その中から勢いよく、フェルミニが飛び出す。

 

辰也「っ!」

 

ジョット「中々やるじゃねえか! 悪かったな、お前を甘く見てよぉ!!」

 

所々パーツが吹き飛び、中身が見える程ボロボロになりながらも、イールソウルに剣を振り下ろそうとする……が、直前でぴたりとその動きが止まった。

 

辰也「……?」

 

辰也が困惑する一方、フェルミニのコックピット内では、ジョットが何者かと会話をしている。

 

???『……早急に戻れ。今のお前ではイールソウルの奪還は不可能だ』

 

ジョット「あぁ? 馬鹿も休み休み言えっての! 俺はまだまだ……」

 

???『周りを見てみろ、ジョット。そして自分自身もな』

 

そう言われたジョットは周囲を見渡した。エレミタの機体は全滅し、残っているのは自らに刃を向けるガンダムやスーパーロボット軍団。

 

由木「まだ……やるつもりかしら?」

 

ドモン「もしそうならば……俺達は容赦はしない!!」

 

鉄也「相手がエレミタだろうが、俺達のやる事は変わらない! まだ戦い足りないのなら、全力で迎え撃つだけだ!!」

 

鬼気迫る彼らを見、また自らの状況を把握したジョットは冷静さを取り戻した。

 

ジョット「熱も冷めたし帰らせてもらうぜ……けどよ、次は絶対に奪い返してやるからな!!」

 

そう言うと、フェルミニは撤退した。

 

辰也「何とか倒せたな……とにかくギリギリの戦いだったぜ……」

 

シロー「それじゃ、俺達も撤退すっかな。もう来ねえだろうし」

 

由木「それがいいわね」

 

かくして、辰也達は撤退した。

 

~~~

ドモン「久しぶりだな、お前達」

 

ジョルジュ「ええ、お久しぶりです」

 

アルゴ「お前の活躍は、俺達の耳にも入っていたぞ」

 

チボデー「第13回ガンダムファイト優勝者にして、色んな大会に出場してる最強ファイターだってな」

 

サイ・サイシー「もちろんオイラ達だって、アニキを超えるためにこうして修行してるんだ!」

 

ドモン「そうか……」

 

和気藹々と話しているシャッフル同盟。

 

ジゼラ「ドモンさん、楽しそうですね」

 

レイン「久しぶりに会えたんだもの、そうなるわ」

 

アレンビー「……で、ここで悶えてるのはどうすんの?」

 

アレンビーの指している方向には、小刻みに震えながら倒れている辰也がいた。

 

辰也「いやだって……シャッフル同盟が……シャッフル同盟が勢揃いだぜ!!? こりゃこうなんのが普通だろうが!!」

 

ジゼラ「いやでも……普通そうまでなりますか……?」

 

アレンビー「こいつがアレなだけだよ。ほっとこう」

 

……その隣では、鉄也達WSOのメンバー、そしてトロワと五飛が話していた。

 

鉄也「まさかお前達がここにいるとはな」

 

トロワ「ああ。マリーメイア戦役の後、俺達はプリベンターに入った」

 

五飛「そして暇を貰っていたんだが、あの4人から誘いが来た。鈍った体を鍛えるにはいい運動だった訳だ」

 

シロー「そうなのか。しっかしお前ら、相変わらず無愛想だな~!」

 

トロワ「そうだな」

 

五飛「まだヒイロよりはマシだと思うがな」

 

由木「……そう言えばそのユイ君はどこに? マックスウェル君にウィナー君も……」

 

五飛「デュオとカトルは今でも連絡を取り合っている……だが、ヒイロは分からん」

 

鉄也「そうか……」

 

トロワ「あいつの事だ、ふらりと現れるだろう」

 

シロー「ああ、そうだな」

 

かつてマリーメイア戦役と呼ばれる戦争で戦った5人。その時の立場を越えて、再会を懐かしんでいる。

 

ドモン「……では、今日はもう休むとしよう。修行は明日から行う、気を引き締めておけ」

 

辰也「はい!!」

 

その声は、澄み切った青空に届くようだった……。




中断メッセージ(シャッフルの教え)
ドモン「ゲームを中断するか……いい心がけだ。戦士たる者、時として休息は必要だからな……」

ジョルジュ「では、私達がいい事を教えましょう」

サイ・サイシー「実はこの先で、ドモンのアニキにゆかりのある奴が出てくるんだ!」

アルゴ「そいつらと俺達を戦わせれば、何かが起こる……」

チボデー「他にもやんなきゃいけねえ事があんだけどな!」

ドモン「意外な者が道を切り開く事がある……では、さらばだ!!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八話B 『勝利のV』と『鉄の華』

皆さん、明けましておめでとうございます!
そして更新遅れてすみませんでした…本当はこれ去年の内に投稿したかったです…
今回クソ長くて読むの疲れると思いますがご容赦願います…

…今回、皆さんに大切なお知らせがあります。詳しくはこちらのURLへ→https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=230252&uid=247000


~ギアナ高地~

ごつごつとした岩場を、ドモン達が歩いている。

 

ドモン「本当は立ち止まってじっくりと鍛錬を積むべきなのだが、俺達には時間がない……だからこうして、歩きながらでも可能なトレーニングを行っているが……大丈夫か?」

 

辰也「ええ……大丈夫……です……よ……」

 

シロー「ドモンさんも鉄也さんも厳しいぜ……こんな山道で重りを背負って歩けなんてな……」

 

辰也の背中には「12kg」、シローには「15kg」と書かれた重りが乗っている。

更に辰也の方には、ジゼラも負ぶさっていた。

 

ジゼラ「あの、辰也さん……やっぱり私、自分で歩きますよ……?」

 

辰也「何言ってんだよ……レインさんから……言われただろ……しばらく安静にしてろって……それに……いいトレーニングになんだからさ……」

 

シロー「女の子にそういう事言うのは失礼だと思うぜ……辰也……」

 

ジゼラ「あ~……私は別に気にしてはいませんけど……」

 

話の意図を理解したが、特になんともない素振りを見せるジゼラ。

 

由木「2人共、あまり無理しないでね」

 

辰也「そう言いながら……由木さん……歩けてるじゃないですか……」

 

由木「それでも、瀧城くんと兜くんよりは軽いけど……」

 

シロー「10kg背負って平然としてる大尉が……よくそんな事言えますね……」

 

鉄也「無駄口を叩いてる暇があったら、足を動かすんだな」

 

辰也「はい……」

 

シロー「鉄也さんは怖いぜ……まるで化け物だよ……」

 

鉄也の背中には「30kg」と書かれた重りが乗っている。

 

鉄也「ほら、さっさと行くぞ。これから行くのは北アメリカの南部『アーカムシティ』なんだからな」

 

辰也「はーい……」

 

何であんな重いの乗っけてサクサク歩けるんだよ……やっぱ鉄也さんはすげえな……

 

その後ろを歩くシャッフル同盟やトロワ達。彼らもまた、「30kg」の重りを背負いながら、この山道を歩いている。

 

サイ・サイシー「しかし、こいつらも大変だよな~」

 

チボデー「デカい岩を砕いて袋に詰めて、それを背負って歩くとは……考えたもんだぜ」

 

五飛「だが、砕くのもいい鍛錬になった。昔を思い出したな」

 

アルゴ「そう言えばこの山を下った先にあるのは……」

 

ジョルジュ「ええ……かつて一年戦争で使われた巨大基地……」

 

トロワ「ジャブローだ」

 

~ジャブロー~

激しい山道を下り、辰也達はジャブローへとたどり着いた。

 

辰也「駄目だ……もう歩けねえ……」

 

シロー「しんどいぜ全く……」

 

ドモン「そうだな、ここいらで休憩としよう」

 

レイン「皆お疲れ様。飲み物持ってきたから、遠慮せず飲んでね」

 

そう言うと、取り出したペットボトルから飲み物を注ぐレイン。辰也達がコップを手に取り飲み干す。

 

辰也「ありがとうございます……」

 

シロー「ぷは~……生き返ったぜ……」

 

ジゼラ「お疲れ様です、辰也さん」

 

大の字になって寝転がる辰也に、ジゼラが近づく。

 

辰也「おお、ジゼラか……お前のおかげで、いい運動になったぜ……」

 

ジゼラ「私は特に何も……」

 

辰也「いや、お前がいてくれるから、俺も頑張れるんだ」

 

ジゼラ「……」

 

辰也「それに俺、正直言って不安だったんだよ」

 

ジゼラ「え……」

 

辰也「エレミタのあの野郎……ジョットって奴だったか? あいつがお前の正体をバラして、お前が苦しむ所を見たら、怖くなっちまった。この先、お前を守れるのか、ずっと一緒にいられるのかって。ああやって強がってたけどな」

 

ジゼラ「……」

 

でも、と言葉を続ける辰也。

 

辰也「でも、俺は言った事は絶対に曲げない! お前は俺の仲間だし、イールソウルは皆を守るために使う! だから信じてくれ! 俺は絶対に、お前を守るってよ!!」

 

ジゼラ「辰也さん……」

 

力強く言い放つ辰也に、驚きつつも嬉しそうな表情を見せるジゼラ。

 

鉄也「辰也の言葉に嘘はねえ……現に俺達の課す辛い特訓について来てんだからな」

 

シロー「そうそう。それにあん時のお前、かっこよかったぜ~?」

 

辰也「そ、そんな……それに俺はただ、当然の事をしたまでで……」

 

鉄也「案外そういう事をするのは難しいんだ。だから誇っていいぞ、お前は十分、戦士としてやれてるってな」

 

辰也「あ、ありがとうございます……本職の方にそう言ってもらえると照れますね……」

 

顔を赤くし、頭を掻く辰也。

 

鉄也「ジゼラも色々不安だと思うが、安心してくれ」

 

シロー「あの野郎はああ言ってたが、俺達はお前が敵だなんて思えないな」

 

ジゼラ「皆さん……」

 

シロー「ま、束の間の休息だ、ゆっくり休もうぜ。にしてもこのジャブローって所、色々すげえな……」

 

アレンビー「水の中にモビルスーツがたくさん入ってるね」

 

アレンビーが湖の中をのぞき込む。そこには、大量に廃棄されたモビルスーツがあった。

 

トロワ「かつての戦争の遺産だ」

 

鉄也「ああ。俺達や連邦はこいつらの処理に困ってんだが、下手な事をすりゃあ大規模な爆発が起こっちまう……だから片付けようと思っても出来ねえ」

 

辰也「はえ~……でも、こんなにカッコいいし、歴史的な価値もあるのに処分なんてのももったいないよなぁ……」

 

ジゼラ「……」

 

そう話している最中、パイロットスーツに身を包んだ女性が歩いてきた。

 

???1「こんな所でピクニックだなんて、随分お気楽な人もいるものね」

 

ドモン「……誰だ」

 

突然現れた女を警戒するドモン。

 

???2「急に喧嘩をふっかけないの」

 

???3「そうですよ、ヘレンさん!」

 

……と、緊張した空気の中で、もう1人の女性と子供が現れた。

 

ジゼラ「子供……?」

 

ヘレン「冗談よ姉さん、坊や。別にこんな所で争おうなんて思っちゃいないわ」

 

ウッソ「ならいいんですけど……」

 

ジュンコ「ごめんなさいね、私のツレが……ってあれ? WSOの隊服?」

 

姉さん、と呼ばれた女性……ジュンコが、由木の服を見てそう呟く。

 

由木「え?」

 

ヘレン「そうだわ! 他の奴らもガンダムファイターや剣鉄也、プリベンターのトロワ・バートンに張五飛じゃない!」

 

鉄也「……よく見りゃあこいつら……『リガ・ミリティア』の『シュラク隊』か」

 

辰也「リガ・ミリティアって言ったら、ザンスカール帝国に対抗してる組織か! 虎之助が話してたな……」

 

ジュンコ「そうよ。でも、何でこんな豪勢な顔ぶれがジャブローに?」

 

鉄也「俺達の目的は、ここからずっと離れた町……『アーカムシティ』だ。ここはたまたま休憩地点にしてただけさ」

 

五飛「そう言うお前達は、何が目的でここにいる?」

 

五飛が問いかける。が、ジュンコは渋るように口に出す。

 

ジュンコ「……ごめんなさい、あまり多くは言えないわ。あなた達が軍属だとしてもね」

 

トロワ「何……?」

 

シロー「俺達は言ったのに、そっちは答えねえってのかよ?」

 

チボデー「落ち着けよ、シロー」

 

苛立つシローを、チボデーが宥める。

 

ジョルジュ「機密事項……という訳ですか」

 

ウッソ「その……すみません」

 

レイン「いいのよ、君が謝る事じゃないわ」

 

ジュンコ「でも1つだけ言える事があるの……」

 

アルゴ「それは?」

 

ジュンコ「ここで戦争が起こるわ」

 

ジュンコがそう言った瞬間───

 

 

 

 

 

───どこからともなく、ミサイルが降りかかって来た。

 

辰也「うおっ!?」

 

ウッソ「この攻撃……来たの? ザンスカールがっ!?」

 

シロー「どうやら違うみてえだぜ!」

 

何とかミサイルから逃れられた辰也達。彼らの目線の先には、小型の虫のような機体がわらわらと集っていた。

 

鉄也「こいつらは……木星蜥蜴のバッタか!!」

 

ウッソ「木星蜥蜴ですって!? 聞いてないですよ!!」

 

ジュンコ「慌てないの! ……とりあえず出撃よ。ヘレン、ウッソ、出れるわね!」

 

ヘレン「ええ! 他のメンバーにも連絡するわ!」

 

ウッソ「僕も大丈夫です!」

 

ドモン「ならば俺達も……!」

 

辰也「行きますよ!!」

 

その場の全員が、出撃準備をした……。

 

 

 

第八話 『勝利のV』と『鉄の華』

 

 

 

~~~

辰也達が出撃すると、おびただしい数のバッタが湧いていた。

 

シロー「木星蜥蜴……こんな所にも侵攻しやがるのか……!」

 

由木「ええ。奴らを始めとして、色々な組織が地球を狙っているわ……」

 

辰也「けど、そう好き勝手はさせねえぜ!!」

 

サイ・サイシー「おうよ! オイラ達と戦おうとした事、後悔させてやる!!」

 

すると、後方からモビルスーツが出現した。

 

ジュンコ「私達も戦うわ!」

 

ヘレン「シュラク隊に喧嘩を売った事、後悔させてやるんだから!」

 

ペギー「突っ走りすぎやしないでね」

 

ケイト「分かってるって!」

 

ジョルジュ「先程の方々ですか……」

 

コニー「……」

 

マヘリア「ウッソもやれるわよね!」

 

ウッソ「はい!」

 

シロー「ガンイージ6機にVガンダムが2機……」

 

トロワ「リガ・ミリティアの量産機だな」

 

そう話している最中に、先頭のVガンダムがこちら側へと通信をする。

 

オリファー「私はリガ・ミリティア所属、シュラク隊のオリファー・イノエだ。会ったばかりで何だが、救援を頼みたい」

 

鉄也「JUDA特務室の剣鉄也だ。貴官への救援を了承する」

 

オリファー「有り難い! それでは共に害虫駆除を始めるか!!」

 

鉄也「勿論だ!!」

 

そして、戦闘を開始した。

 

~戦闘開始~

ウッソ(初戦闘時)

ウッソ(カサレリアから出てきても、未だに戦争は続いてる……)

ウッソ「だったら、何が何でも生き延びてやる!!」

 

 

ウッソ(対木星蜥蜴)

ウッソ「木星蜥蜴が相手なんて……こっちはザンスカールとも戦わなくちゃいけないのに!」

ウッソ「このぉ! バッタの目かトンボの目なんて!!」

 

 

シュラク隊(初戦闘時)

オリファー「ガンダムファイターにWSOに未知の兵器……味方としては心強い、豪華な面子だ!」

 

マヘリア「まあでも、あいつらばかりに頼ってる訳にもいかないわよね!」

 

ジュンコ「その通りよ! シュラク隊の力がどんな物か、この戦場にいる奴全てに教えてやろうじゃない!!」

 

 

シュラク隊(対木星蜥蜴)

オリファー「木星蜥蜴の無人兵器……何が隠されてるか分からん、慎重に行くんだ!」

 

ジュンコ「そうね……このトカゲ達に教えてやろうかしら、シュラク隊の恐ろしさを!」

 

ヘレン「シュラク隊は、大空を羽ばたくモズだ! トカゲやバッタが、モズに勝てるものかよぉっ!!」

 

 

鉄也(初戦闘時)

鉄也「リガ・ミリティア……ここに用があるらしいが、一体何なんだ……?」

鉄也「まあいい、ひとまずはこいつらを片付けてからだ!!」

 

 

鉄也(対木星蜥蜴)

鉄也「木星蜥蜴……こいつらの侵攻も盛んになって来やがるか……」

鉄也「地球をてめえらの好き勝手にはさせねえぞ、トカゲ野郎共!!」

 

 

シロー(初戦闘時)

シロー「しっかし、リガ・ミリティアも美人さん揃いじゃねえかよ……この戦いが終わったら、ちょっとお茶でも……」

シロー「って、こんな事言ってたら鉄也さんにどやされちまう! と、とりあえずやるぞ!!」

 

 

シロー(対木星蜥蜴)

シロー「木星蜥蜴か……何が目的で地球を狙うんだよ……!」

シロー「ま、ごちゃごちゃ考えるのはやめだ! 地球侵略なんかさせねえぞ!!」

 

 

由木(初戦闘時)

由木「リガ・ミリティアがこんな所にまで出張ってくるとはね……」

由木「それだけ地球連邦や私達が頼りないって事なのかしら? だったらその汚名は返上してやるわ!!」

 

 

由木(対木星蜥蜴)

由木「木星蜥蜴……それだけじゃない、地球を狙う奴らは他にもいる……」

由木「だったら、そいつらから地球を守らないと! 色々大変だけど、やるしかないわ!!」

 

 

ドモン(初戦闘時)

ドモン「代理戦争としてのガンダムファイトは機能してはいる……だが、強行的な手段で地球を手に入れようとする奴らもいる……か」

ドモン「ならば、そいつらの好きにはさせないっ! 地球の環境や平和のためにも、侵略者は叩き潰す!!」

 

 

ドモン(対木星蜥蜴)

ドモン「木星からの侵略者……世間では異星人扱いされているが、過去の例を見る限り、おそらくは宇宙移民……」

ドモン「だが、地球に何かを訴えたいのならば、戦争をけしかけるな! そのための方法は、今の時代にはいくらでもあるだろうっ!!」

 

 

レイン(初戦闘時)

レイン「人類の歴史から、戦争は切っても切り離せない存在……だけど、それを変えるために戦ってきた人達がいる!」

レイン「その人達の想いを無駄にしないために、私達は戦うわ!!」

 

 

アレンビー(初戦闘時)

アレンビー「平和だって思ってたけど、戦争は続いてたんだね……」

アレンビー「でも、それならまた止めてやる! 私みたいな人を、これ以上増やさないためにも!!」

 

 

シャッフル同盟(初戦闘時)

チボデー「せっかく俺達が地球を平和にしたと思ったのに、またドンパチやらかしやがって……」

 

サイ・サイシー「じゃあ、また止めてやればいいじゃねえかよ!」

 

ジョルジュ「そう単純な問題でもありませんが……それしかないでしょう!」

 

アルゴ「ならば行くぞ! 俺達とて、あの日から無駄に過ごしてはいない……それを見せる時だ!!」

 

 

トロワ(初戦闘時)

トロワ「民兵組織が極秘任務とはな……何か裏があると考えていいだろう」

トロワ「ひとまずは、この窮地を切り抜ける!!」

 

 

トロワ(対木星蜥蜴)

トロワ「木星蜥蜴……噂では木星の難民だと聞くが、ならば何故戦争を起こす?」

トロワ「……こいつらに言っても仕方がないか……ならば、目の前の虫を殲滅するのみだ!!」

 

 

五飛(初戦闘時)

五飛「やはり、行き場のない兵士が溢れ、戦争の繰り返しか……俺達のやった事は無意味になるのか……?」

五飛「いや違うっ! 意味のある物にするために、俺はプリベンターに入ったんだ! だから、そのためにもこの宇宙から戦争を根絶する!!」

 

 

五飛(対木星蜥蜴)

五飛「木星蜥蜴……何が目的かは分からんが、そうまで戦争がしたいか……!」

五飛「ならば、俺がその相手をしてやる! 来い、トカゲ共!!」

 

 

辰也(初戦闘時)

辰也「モビルスーツか……ああいうのも俺大好きなんだよ……」

 

ジゼラ「はぁ……この人はどこへ行ってもこれですね……一生治らないんでしょうか……」

 

辰也「そう言うなって! ところでジゼラ、勢いで乗っちまってたけど大丈夫か?」

 

ジゼラ「皆さんが戦ってる中で休んでる訳にも行きません、それに私の役目は辰也さんのサポートですので!」

 

辰也「そうか、なら行くぞ!!」

 

 

辰也(対木星蜥蜴)

辰也「虫型ロボット……ああいう人型じゃないのもいいんだけど……今はそんな事言ってる場合じゃねえ!」

 

ジゼラ「はい! 今はあの虫達を倒す事に集中しましょう!」

 

辰也「当たり前だ! こいつら倒した後で、残骸からじっくりと鑑賞してやるぜ!!」

 

ジゼラ「あ、そこはブレないんですね……」

 

 

~~~

ウッソ「このおっ!!」

 

ジュンコ「ウッソに続くわよ!!」

 

マヘリア「任せなさいって!」

 

ヘレン「はあっ!」

 

オリファー「いいぞ! どんどん撃ち落とすんだ!」

 

Vガンダムとガンイージのビームライフル弾幕によって、バッタは全滅した。

 

シロー「リガ・ミリティア……とんでもねえ奴らだな」

 

鉄也「ああ……連邦からの流れ者共もいるとはいえ、大半は民間人の集まり……だが、腕のいい奴ばっかだぜ」

 

サイ・サイシー「あのウッソって奴も、子供なのに中々戦えてるじゃねえか!」

 

ウッソ「あ、ありがとうございます……」

 

アルゴ「お前も子供だろう」

 

サイ・サイシー「そういうのは今いいじゃんかよ!?」

 

しかし、木星蜥蜴の兵器は増えていく。

 

辰也「くそっ! まだ来やがんのかよ!!」

 

ジョルジュ「木星蜥蜴はチューリップと呼ばれるテレポート手段を持っています……おそらくはそこから現れているのでしょう……!」

 

辰也「なら、そこを潰すってのは……」

 

ウッソ「確かにそれが手っ取り早いんでしょうけど、大きくて時間がかかる上に、数の暴力でこっちがやられます!」

 

アルゴ「それに、あれには未知のテクノロジーが使われている……無闇に破壊は出来ない……!」

 

辰也「くっ……!」

 

辰也が唇を噛む。

 

オリファー「厄介な害虫共だ……おまけに他の奴も相手にしなけりゃならないなんてな……」

 

オリファーの物言いに引っかかりを覚える鉄也。それをつい、口に出してしまった。

 

鉄也「……他の奴、か。何か気になるぜ。そういや、戦争が起こると言っていたが……どういう事なんだ?」

 

ジュンコ「それは……」

 

オリファー「……機密事項だったが、友軍には話す義務があるだろう……それはな───」

 

オリファーが説明しようとしたその瞬間───

 

 

 

 

 

───空から、そいつらは現れた。

巨大なタイヤに乗った機体群と、それに対抗する、緑の機体と帽子を被ったような機体。

 

ドモン「奴ら……まさかザンスカールか!?」

 

オリファー「その通りだ……理解が早くて助かる!」

 

ウッソ「でも、イエロージャケットとは何かが違う? それよりも、あの緑色と帽子のはっ!?」

 

ジュンコ「よく分からないわね……こっちに攻撃しないならしないで、面倒事は減るんだけど……」

 

すると、トロワが機体についての情報を言い当てた。

 

トロワ「奴ら……サーカスの機体だな」

 

サイ・サイシー「サーカス?」

 

チボデー「お、おい……サーカスっつったら、ピエロが出てくるアレだろ!?」

 

チボデーが身震いする。

 

トロワ「それではない。『サウザンド・カスタム』……略して『サーカス』だ」

 

鉄也「話には聞いた事がある……木星の傭兵部隊とその機体……だが、そんなのが俺達に協力するとは思えんが……」

 

ヘレン「ともかく、様子を見るしかないわね」

 

由木「そうね……」

 

とりあえず、その2機の様子を見る事にした……。

 

~~~

フォント(この地点に来たのはおれとジャックの2人……カーティスさん達は別ルートでエリン・シュナイダーを追っている……)

 

ジャック「ちっ、しつけえんだよ、ザンスカール!!」

 

緑色の機体……ファントムと帽子の機体……デスフィズが、ザンスカール帝国側のモビルスーツ……グレイズやロディ、トムリアットを蹴散らしていく。

 

フォント「ビームの通らない奴もいるからな……助かるぞ、ジャック!」

 

ジャック「はい! ……っと、ボス! リガ・ミリティアですぜ!!」

 

フォント「ああ! 気をつけて行動しないとこっちも落とされる! でも、何で木星蜥蜴やガンダムファイターもいるんだ?」

 

ハロロ『う~ん、よく分かりませんが……』

 

ジャック「ごちゃごちゃ迷ってる暇はありませんぜ! こうなりゃ腹くくりましょうや!」

 

そうだな……一か八か、話の通じそうなリガ・ミリティアと連携する!

 

フォント「あの、すみません! こちらは蛇の足のフォント・ボーです!」

 

ファントムに乗る少年……フォント・ボーが通信をする。

 

オリファー「蛇の足……聞いた事がないが……ともかく、君達は敵ではないというのかな?」

 

話が通じた!

 

フォント「は、はい! おれ達の目的はザンスカール帝国です! あなた達の迷惑にはなりません!!」

 

オリファー「そうか……」

 

ジュンコ「信じるのかい?」

 

オリファー「この状況で自ら名前と所属を明かしたのだ、信用出来ん訳がなかろう? それと、フォント君と言ったな……私はリガ・ミリティア所属、シュラク隊隊長オリファー・イノエだ。詳しい話は後にするが、我々と共に戦ってくれ!」

 

フォント「はい! それではフォント・ボー、シュラク隊の皆さんの援護をします!」

 

ジャック「おれもいますぜ!」

 

辰也「あんなすごいのが2機も仲間になるなんてな……!」

 

五飛「だが、依然として状況はよくない……」

 

ドモン「ならば、蹴散らすのみ! 木星蜥蜴もザンスカール帝国も、俺達が打ち砕ぁく!!」

 

辰也「はい!!」

 

~戦闘再開~

フォント(初戦闘時)

フォント(しかし……もののみごとに、戦局がこんがらがってないか? ザンスカールはともかくとして、リガ・ミリティアがなんでこんな所に?)

フォント「でも……考えるのは後でもできる! 今はこの状況を切り抜けるしかない!!」

 

 

フォント(対木星蜥蜴)

フォント(カーティスさんたちも木星出身だから聞いた事がある……クラックス・ドゥガチの思想に恭順した者たちの生き残り……それが木星蜥蜴……木連だって!)

フォント「あなた達は木星帝国があった頃から何も変わってないのか!? 何で戦争しようだなんて考えが出てくるんだ!」

 

 

フォント(対ザンスカール帝国)

フォント(ザンスカール帝国……さっきもサーカスと戦闘を始めてたけど、リガ・ミリティアとも戦ってたのか……?)

フォント「お前たちに構ってるひまはない! とっとと倒して、エリン・シュナイダーを確保するんだ!!」

 

 

ジャック(初戦闘時)

ジャック「いろんな奴らがいやがるが、やる事はたった一つ、いたってシンプル……!」

ジャック「それは、向かってくる奴を叩きのめす事だぁぁっ!!」

 

 

ジャック(対木星蜥蜴)

ジャック「おれ達サーカスとはまたちげえ木星の組織、木連……」

ジャック「あんたらとも何回か組んだことはあるが、今回は敵だ! 悪く思うなよ!!」

 

 

ジャック(対ザンスカール帝国)

ジャック「ザンスカール……今更になって裏切っちまった事が引っかかりやがるなんてな……」

ジャック「だが、もう後戻りはできねえぜ! あいつらや団長にゃあ悪いが、今はあんたらを倒してやる!!」

 

 

ウッソ(対ザンスカール帝国)

ウッソ「ザンスカールだけどベスパじゃないなら、何なの、こいつら!?」

ウッソ「いや、誰が相手でも戦うしかない! 僕は……僕はまだ死にたくないんだぁぁっ!!」

 

 

シュラク隊(対ザンスカール帝国)

オリファー「ウッソの言っていた通り、奴らはベスパではない……だが、ザンスカールの中でも、ベスパに匹敵する部隊だ!」

 

ジュンコ「要するに、とんでもない奴らって事ね!」

 

ケイト「でも、どんな奴でも負けてられないわよ! こんな奴らに、地球を好き勝手させないわ!!」

 

 

鉄也(対ザンスカール帝国)

鉄也「ザンスカールの侵攻も、見逃せねえレベルにまで達してやがる……!」

鉄也「俺達が力不足だってのは分かるが、地球をお前達に荒らされる訳にもいかねえ! ここで叩き潰してやるぜ!!」

 

 

ドモン(対ザンスカール帝国)

ドモン「いくら地球連邦が不甲斐ないとはいえ、それが貴様らが戦争を起こしていい理由にはならない!」

ドモン「昔とは違い、今は正当に話し合う場がある! それに出ずに自らの意見を通そうなど、そんな我が儘が通用すると思うなぁっ!!」

 

 

トロワ(対ザンスカール帝国)

トロワ「ザンスカール……噂では地球を浄化しようと目論んでいるらしいが……お前達のやり方では、地球は余計に汚れる……そうじゃないのか?」

トロワ「……聞いても無駄だな……ならば、落とすだけだ」

 

 

五飛(対ザンスカール帝国)

五飛「行き場を失った兵士……今の地球に対し何を思っている……?」

五飛「不満があるから戦う……その気持ちも分からなくはないが、それでは永遠に平和な世が来ない……! 俺はそれを教えられた……だから、俺もお前達に、身を持って教えてやる!!」

 

 

辰也(対ザンスカール帝国)

辰也「ザンスカールや木星蜥蜴の攻撃ってのは、日に日に盛んになってるって聞いてたけど、目の当たりにするとよく分かるぜ……!」

 

ジゼラ「日本だけでも平和を脅かす存在が多いのに、更に世界や宇宙にも……!」

 

辰也「だけど、それらを放ったらかしにしてたら、地球がブッ壊れちまう! だから、目の前の奴らだけでも止めてやるぜ!!」

 

ジゼラ「そうですね! 行きますよ、辰也さん!!」

 

 

~~~

フォント「合わせるぞ、ジャック!」

 

ジャック「分かりましたぜ、ボス!」

 

デスフィズが先陣を切り、ファントムが後方から支援を行う。

 

フォント(デスフィズの突撃に、相手は相当驚くはずだ……それで倒せなくとも、おれが後ろから撃てば……!)

 

ザンスカールのモビルスーツと、バッタの数がどんどん減っていく。

 

ウッソ「すごい……!」

 

トロワ「流石は一騎当千機といった所だな」

 

オリファー「そうだな……おぼつかない所もあるが、ほぼほぼうまく戦えている」

 

ジョルジュ「おまけに、うまくコックピットを避けていますね。中々の腕です」

 

辰也「それに、カッコいいしな! 特に……」

 

ジゼラ「そういう説明は後でも大丈夫ですよ」

 

それぞれが感嘆の声を漏らす。すると、どこかからビームが放たれた。

 

フォント「うおっ!?」

 

───が、間一髪で避けるファントム。放たれた方向にあるのは、川。と、そこに立っているモビルスーツ。

 

ドモン「水の中からの攻撃だと!?」

 

鉄也「ああ……だが、不安定な水中で、正確に当ててきやがった……緑色のがもう少し遅けりゃあ、やられちまってたかもな……!」

 

オリファー「奴もザンスカールのかね?」

 

ジャック「いえ! 奴はサーカスの機体です!」

 

フォント「他にはあと2機、1機はおれ達の仲間と交戦中ですが、もう1機はどこにいるか……」

 

ジャック「! 危ねえ、ボスッ!!」

 

そう話しているフォントの機体に、ビームが当たる……が、寸前でデスフィズが爪を回し、弾いた。

 

フォント「た、助かった……ありがとう、ジャック!」

 

ジャック「礼ならいいですぜ!」

 

ハロロ『今の攻撃……川の中からではありません!』

 

由木「あそこね!」

 

ウィングルの見ている方向には、六門ものビーム砲を備え付けた、両側が輪っかになっているモビルスーツが浮いていた。

 

ディーヴァ「ご名答だ……海賊とそれに手を貸す者共よ」

 

ウッソ「あの輪っかの機体かっ!」

 

ディーヴァ「私はディーヴァ・ダッダ。そのファントムの本来のパイロットだ……が、そんな事はどうでもいい……我々の雇い主を追わせぬためにも、貴様らにはここで死んでもらう!!」

 

ディーヴァのモビルスーツ……エスピラルが砲門を向ける。そこへ、ガンイージが突撃した。

 

ヘレン「さっきからべらべらとやかましいわね! そのヘンテコなモビルスーツ、落とさせてもらうわよっ!!」

 

ウッソ「あっ、ヘレンさん!?」

 

オリファー「よせ! 危険だぞ!?」

 

ヘレンのガンイージは、ビームライフルを連発する。しかし、エスピラルにはかすりもしなかった。

 

ヘレン「当たらないっ!?」

 

ディーヴァ「遅いな……その程度の機動力では、このエスピラルを捉えられもできん!!」

 

フォント(ファントムと同等の? 機動力、それに高い射撃性能を両立させている? じゃあ……このままじゃあの人は!!)

 

フォントの悪い予感……それは的中する事になる。

 

ディーヴァ「鬱陶しい小鳥め、ここで落ちろ!!」

 

ビームが放たれる……それが、ガンイージに当たり───

 

 

 

 

 

───何故か、分散した。

と、同時にエスピラルがよろめく。

 

ディーヴァ「ぬっ!? かすったか!」

 

ウッソ「ヘレンさん! ……あれ?」

 

ヘレン「生きてる……何で!?」

 

ヘレンの視界の先には、白いガンダム……だが、Vガンダムとはまた違った、悪魔のように禍々しい機体が立っていた。

 

ディーヴァ「こいつか……このわたしに攻撃を当てたのは……!」

 

???「間に合ってよかった。けがはない? シュラク隊の人」

 

ヘレン「え、ええ……」

 

ディーヴァ「! そうか……きさまは……!」

 

???「俺? 俺は───

 

 

 

 

 

───三日月・オーガス……だけど?」

 

三日月と名乗った少年の駆るモビルスーツが、ヘレンのガンイージを掴み、地面へと降りた。

 

ディーヴァ「三日月……やはり、きさまは鉄華団の人間か!」

 

三日月「だから? それよりもさ、気を付けて、シュラク隊の人」

 

ディーヴァの問いを聞き流しつつ、慎重にかつ迅速にヘレン機を降ろすバルバトス。

 

ヘレン「た、助かったわ……ありがとうね」

 

三日月「別に。あんた達は死なせないでって、オルガに言われてるから」

 

すると、バルバトスの来た方向から、三機目のVガンダムと茶色のモビルスーツ、赤い戦艦が現れた。

 

フォント「バルバトスにイサリビ……鉄華団の皆さんですね!」

 

オルガ「ああ……すまねえな、遅れちまって」

 

フォント「いえ、助かりました!!」

 

オリファー「いい所に来てくれたな、オルガ君!」

 

ウッソ「マーベットさんも!」

 

マーベット「ええ……遅れてごめんなさい、オリファー、ウッソ」

 

赤い戦艦……イサリビから、オルガが通信する。

 

鉄也「鉄華団……だと?」

 

オルガ「ああ。俺は鉄華団団長、オルガ・イツカだ!」

 

三日月「俺は三日月。三日月・オーガス。で、こいつはバルバトス」

 

昭弘「昭弘・アルトランドだ。こいつはガンダム・グシオンリベイグ」

 

口々に自己紹介する鉄華団のメンバー。

 

ジャック「久しぶりじゃねえか、昭弘!」

 

昭弘「ジャックか……昌弘の時は、その……ありがとな」

 

ジャック「気にすんなよ! おれは目の前でヒナ鳥が殺されんのが嫌だっただけなんでな!」

 

三日月「トロワと五飛と……あと、ファイターの人たちもいるね」

 

アルゴ「三日月に鉄華団……デビルガンダム事件の時は世話になったな」

 

トロワ「マリーメイア戦役の時も助かったぞ」

 

五飛「俺にとっては厄介な相手だったがな」

 

オルガ「ま、話してえ事も山々なんだが……そいつは後だ。俺達はカーティスさんと兄貴と……あと、ある人物の頼みで蛇の足、リガ・ミリティアとも協力させてもらってる」

 

三日月「で、あんた達ザンスカールは俺たちの敵だから……」

 

昭弘「遠慮なく、潰させてもらう!!」

 

バルバトスやファントム、Vガンダム達が、エスピラルやザンスカールの機体へと向く。

 

オリファー「それでは頼むぞ」

 

ジュンコ「待って! レーダーから変な反応よ!!」

 

戦闘体制へと入ろうとした瞬間、ジュンコが声を荒げる。レーダーには、巨大な熱源反応。

 

コニー「ここって確か、チューリップがある場所じゃ……!」

 

鉄也「だったら、木星蜥蜴の増援か!?」

 

アルゴ「そこまでは分からん……だが、警戒するんだ!!」

 

……一方で、ディーヴァの元にも通信が届く。川の中にいたモビルスーツ……カルメロからだった。

 

マーメイド「大変だよ! チューリップの方から、変な反応が出てる!!」

 

ディーヴァ「こちらでも確認した……木星連合の無人機共と考えるには少々異常だな」

 

マーメイド「! もうすぐだ! 何か出てくる!!」

 

ディーヴァ「来るか……!」

 

エスピラル、そしてVガンダムやファントム、イールソウルなどがチューリップの方へと向く。

 

ジョルジュ「来ますよ!」

 

チューリップが眩しく光り、そこから出てきたのは───

 

 

 

 

 

???1「皆さん、視界が晴れました」

 

???2「ここ……地球なの? ルリちゃん、分かる?」

 

 

 

 

 

───巨大な戦艦と、それに追随する4機のロボットだった。

 

オルガ「ありゃあ……ナデシコじゃねえか?」

 

三日月「ホントだ。火星で見たね」

 

昭弘「だが、アイツらを見たのは何ヶ月か前……それもあの後に行方知れずになってたが……」

 

オルガ「……ま、詳しい話は後だ。おい、ナデシコさんよ」

 

オルガが通信をする。

 

メグミ「通信が入りました! あの赤い船……イサリビからです!」

 

ルリ「鉄華団さんですね。艦長、どうぞ」

 

ユリカ「は~い! もしもし、鉄華団さん!」

 

オルガ「こちらイサリビ。突然で悪いんですが、手ぇ貸しちゃあもらえませんかね? とりあえず、話は後回しで」

 

ルリ「……と言っていますが、どうしますか?」

 

イネス「そうね……彼らには私の仲間を助けて貰った恩があるわ。でも、最後に決めるのは艦長さんよ」

 

ユリカ「そうですねぇ……それでは、恩返しと、義によって助太刀いたす! って感じで行きましょう!」

 

アキト「いいのかよそんなんで……」

 

ヒカル「でも、あっち側にはリガ・ミリティアやガンダムファイターがいるし、信用出来るよ?」

 

リョーコ「よく分かんねえけど、しみったれた気分をぶっ飛ばすにはいい相手共だぜ!」

 

イズミ「しみったれ……タレが垂れて染みついて……ぷふっ」

 

ルリ「……とまあ、色々あるとは思いますが、皆さん遠慮なくやっちゃって下さい。リガ・ミリティアさんもいいですか?」

 

オリファー「うむ……承知した。しかし、こんなに仲間が増えるとはな……」

 

鉄也「心強いったらありゃしねえぜ」

 

三日月「まあ何でもいいけどさ……やるよ」

 

辰也「おおよ! さっき追い込まれた分、やってやるぜ!!」

 

それぞれが構える。

 

ディーヴァ「ちっ……面倒な事になった……!」

 

マーメイド「木星連合とザンスカールはあたいたちを狙ってこない……じゃあ、目標は海賊とリガ・ミリティアと……他の奴らだ!!」

 

ディーヴァ「無論だ! 奴らを排除し、エリン・シュナイダーを守るとしよう!!」

 

お互いが、戦闘体勢に入った。

 

~戦闘再開~

アキト(初戦闘時)

アキト(ガイも死んで、ナデシコも危険に晒されて、おまけに提督が俺の親を見殺しにした張本人で……! クソッ、何だってこんな事になるんだよ!!)

アキト「ああもう! いいさ! そうやって運命が俺を苦しめるなら、いっそ死ぬまで戦ってやる!!」

 

 

アキト(対木星蜥蜴)

アキト「お前たちは……まだ俺を苦しめるのか!」

アキト「人類を恐怖に陥れるのもいい加減にしろよ! 木星から……宇宙から出て行けってんだ!!」

 

 

アキト(対ザンスカール帝国)

アキト「何で同じ人間同士で争わなきゃいけないんだ! お前たちは、家族や大切な物を失う悲しみが理解できないのかよ!」

アキト「……そりゃそうか……戦争なんてやるくらいだもんな……だったら、その悲しみの何分の一かでも、味わわせてやる!!」

 

 

アキト(対ディーヴァ)

ディーヴァ「きさま……心に迷いがあるな」

 

アキト「!」

 

ディーヴァ「そんな人間が戦場にいたところで、目障りな上に早死にするだけだ! それとも、ここでわたしに撃たれて死ぬか!?」

 

アキト「俺は……少なくともまだ死ぬ訳にはいかない! それに、やたらめったら戦争を起こすような奴が、偉そうに説教すんじゃねえよ!!」

 

 

アキト(対マーメイド)

アキト「くっ……相手の射程が長くて、下手に動けない!」

 

マーメイド「バリアがうざったいね……けど、無理やりにでも撃ち抜いてやる!」

 

アキト「無理矢理にでも……か。だったら俺も、全力でぶん殴りに行ってやる!!」

 

 

リョーコorヒカルorイズミ(初戦闘時)

リョーコ「うっし! もうぐじぐじ悩むのはやめだ! ここにいる奴ら全員ぶっ飛ばしてやる!」

 

ヒカル「その意気だよ、頑張って!」

 

イズミ「頑張れ、頑張れ……ガンバ、ガンバ……尻尾を立てろ……」

 

リョーコ「な、何言ってるか分かんねえけど……とにかくやってやるぜ!!」

 

 

リョーコorヒカルorイズミ(対木星蜥蜴)

ヒカル「わ~、バッタがいっぱいいるね~」

 

イズミ「バッタとバッタリ会ってバタンキュー……なんて事にならないでね……」

 

リョーコ「そんな事になるかよ! 今までどれだけ木星蜥蜴の奴らを倒して来たと思ってんだ! 行くぞ!!」

 

 

リョーコorヒカルorイズミ(対ザンスカール帝国)

リョーコ「こいつらも厄介なんだよな……ったく、木星蜥蜴といいお前らといい、土足で地球に入ってきやがって……!」

 

イズミ「ザンスカールはイヤミな金持ち……ザンス……ザンス……しえぇ~……ってね」

 

ヒカル「軍隊だから確かにお金持ちだし、イヤミというか嫌な奴よね~」

 

リョーコ「まあとにかく、これ以上地球を荒らさせてたまるかよ! 全員地球から出て行けってんだ!!」

 

 

ユリカ(初戦闘時)

ルリ「そういえば、何でチューリップから出て無事なんですかね、私たち……」

 

メグミ「確かにそうですね……普通、生物は入ったら潰されて死んじゃうはずなんですけど……」

 

ユリカ「まあ、細かい事は気にしない! 生きてる事に感謝しなくちゃ!」

 

ルリ「バカ……でも、そういう考えも大切ですね」

 

ユリカ「そうそう! それじゃあ行くよ~!!」

 

 

ユリカ(対木星蜥蜴)

ユリカ「も~、しつこいよ木星蜥蜴も! こっちが地球に着いてもまだ追ってくるんだから!」

 

ルリ「より正確に言えば、私たちが木星蜥蜴のいる所に来た……って事なんですけどね」

 

ユリカ「そ、そうだったの? まあでも、しつこい事には変わりないし、どんどんやっちゃおう!!」

 

ルリ「そうですね。それが一番です」

 

 

ユリカ(対ザンスカール帝国)

ユリカ「木星蜥蜴だけじゃなくて、ザンスカール帝国も侵略してきてるね……」

 

ルリ「はい。ですが私たちは、やる気のない地球連邦の皆さんの代わりに彼らを倒すために集められました。だから、負ける訳にはいきません」

 

ユリカ「そうだね……よしみんな! ザンスカールなんかに負けないように頑張ろう!!」

 

 

三日月(初戦闘時)

三日月「いつもみたいにオルガについて来たけど、色んなのがいるね……」

三日月「何か……楽しめそうだ。バルバトスもそう思うでしょ? それじゃあ……行くよ!!」

 

 

三日月(対木星蜥蜴)

三日月「こいつら……俺たちのいる火星にも来てうざいんだよね……しかも来るのは人の乗ってない小さいの……」

三日月「ねぇ、何なの? 自分が傷つきたくないんだったらさ……最初から戦いなんてすんなよ……!!」

 

 

三日月(対ザンスカール帝国)

三日月「えっと……エンジェル・コールってのを色んな奴らが狙ってるから……先にそれを手に入れるのが俺たちの仕事なんだっけ」

三日月「……で、あんた達もそれ、狙ってるの? もしそうなら潰すし……そうじゃなくても敵だから遠慮なく潰すよ……!!」

 

 

三日月(対ディーヴァ)

ディーヴァ「さっきはよくもこのエスピラルの攻撃を防いでくれたな。それがナノラミネート装甲とやらか」

 

三日月「ぷかぷか浮いてて変なモビルスーツだね……こっちの攻撃、当たるかな」

 

ディーヴァ「だが、きさまとてエスピラルの速さには追えんだろう! ファントムと同等、いやそれ以上の機動力を誇るこのエスピラルに、旧世代のモビルスーツがついて来れるか!」

 

三日月「ごちゃごちゃうるさいな……バルバトスに攻撃が通らなかったくせに偉そうに……! それに、ついて来れないなら無理やりついてくだけだから!!」

 

 

昭弘(初戦闘時)

昭弘「重要な仕事ってんで、オルガ達に着いてきたが……火星やアーブラウにいる奴らは……昌弘やアストン達は大丈夫か……?」

昭弘「……いや、ビスケットやチャドがついてる上に、あいつらももう一人でやってけるか……だったら心配はいらねえな! 今一番やるべきなのは、目の前の問題を片付ける事だ!!」

 

 

昭弘(対木星蜥蜴)

昭弘「こいつらがいつもいつも商売の邪魔だって、ラフタが言ってたな……」

昭弘「確かに、最近は火星にも湧いてきやがるからな……邪魔すんなら、遠慮なく潰していいんだよな!!」

 

 

昭弘(対ザンスカール帝国)

昭弘「こいつら……ギャラルホルンのモビルスーツを使ってやがる……何でザンスカールの奴が……?」

昭弘「……まあ、考えててもしょうがねえ。相手が何だろうと、敵なら全員叩き潰すからな!!」

 

 

昭弘(対マーメイド)

昭弘「お前……俺と同じ、ヒューマンデブリか」

 

マーメイド「それが何だってんだ!? ここは戦場なんだ、そこにいる以上、人もデブリもないよ!!」

 

昭弘「……ああ、そうだな。デブリだろうが何だろうが、俺たちの目の前に立ちふさがるなら、倒すだけだ!!」

 

 

オルガ(初戦闘時)

オルガ「しっかし……カーティスさんもとんでもねえ仕事を持ってきたな……宇宙細菌ってブツを見せられた時は正直ヒヤヒヤしたぜ……」

オルガ(それよりも……アイツがそれを知ってた上に、リガ・ミリティアと組めなんて言ってたが……まさかな)

オルガ「……なんてゴチャゴチャ考えんのはやめだ! 今俺達がやるべきなのは、目の前の問題を片づける事だからな!!」

 

 

オルガ(対木星蜥蜴)

オルガ「俺達は火星ネズミ……対してあちらさんは木星蜥蜴、か。まぁ、地球じゃあどっちもよく分かんねえ奴らだし、そう呼びたくもなるわな……」

オルガ「……へっ、面白えじゃねえか! よしお前ら! 木星蜥蜴の……木連の連中に見せてやろうぜ、俺達火星ネズミの意地をな!!」

 

 

オルガ(対ザンスカール帝国)

オルガ「地球連邦がやる気ねえからこんな奴らが湧くんだろうな……俺達もギャラルホルンの腐敗を見てきたから分かるぜ……」

オルガ「けどよ、それで無関係な人間をギロチンにかけるのは筋が通らねえんじゃねえのか? なあ、サイド2の帝国さんよぉ!!」

 

 

フォント(対ディーヴァ)

ディーヴァ「さて……見せてもらうぞ……私の物になるはずだったファントムの……その力をね!」

 

フォント「こいつ……この機動力……どう戦う? どうやって……あいつを落とす!?」

 

ディーヴァ「どうした? あまりの速さに肝を抜かしたか? それなら……こちらから行くぞっ!」

 

フォント「こっちの機動力も相手と同等のはずだ! なら……無理にでもついて行くしかないっ!!」

 

 

フォント(対マーメイド)

フォント「空中からだとあの射撃で狙われる……かといって水中へ潜るのはリスクが高い!」

 

マーメイド「何かを……考えてるひまがあるのかい? その間にはもう……あんたはあたいに穴だらけにされてるんだよ!」

 

フォント「なら、何とかファントムの機動力で回避、そしてIフィールドで防ぎつつ、接近して攻撃を叩き込むしかない! ひとまずこれでやるぞっ!!」

 

 

ジャック(対ディーヴァ)

ディーヴァ「久しぶりだな、海賊に懐いた裏切り者め!」

 

ジャック「ディーヴァか……悪いな、団長やあいつらによろしく言っといてくれや! にしてもこいつは厄介だぜ……」

 

ディーヴァ「ふん……それよりも、だ。きさまのデスフィズは確かに殲滅力もあり、素早く動ける……だが! それでもこのエスピラルの速度には追いつけん! その上、こちらはきさまから離れていても攻撃できる! どちらが上かは、一目瞭然だ!!」

 

ジャック「へ……へへっ! そいつあ……やってみなくちゃ……わかんねえだろうがよ!!」

 

 

ジャック(対マーメイド)

ジャック「久し振りだな、『人魚(マーメイド)』。地球に降りると聞いた時から、もしかすると出くわすかもしれねえとは思っていたが……」

 

マーメイド「わかっているなら何故やって来たっ……!」

 

ジャック「へっへっへ、逃げやしねえよ! どのみち決着は付けにゃならねえ! ……だろ? 何しろお前は……ゴードンの妹で、おれの『恋人』ってえやつだったんだからな」

 

マーメイド「……殺す前に一度だけ聞く! 何故兄ちゃんを殺した! どうしてあたい達を裏切ったっ!」

 

ジャック「話したら……納得するってものかよ!?」

 

 

ウッソ(対ディーヴァ)

ディーヴァ「ヴィクトリータイプ……リガ・ミリティアが量産、運用している機体か!」

 

ウッソ「は、速い! どう対処すればいいの!?」

 

ディーヴァ「ふむ……この子供、どうやら相当な訓練を積んでいたみたいだな! だとしても、このエスピラルの速度にはついて来れないか!」

 

ウッソ「こいつ……馬鹿にして! こうなったら意地でも追いついて、倒してやる!!」

 

 

ウッソ(対マーメイド)

ウッソ「あんな射程の奴、どうやって攻略すればいいの!?」

 

マーメイド「相手が迷っている間に……撃ち抜く! いくらリガ・ミリティアのシンボル機でも、ひとたまりもないよ!」

 

ウッソ「とりあえず、考えつつ動くんだ! じゃないと、こっちが落とされるっ!!」

 

 

シュラク隊(対ディーヴァ)

ディーヴァ「ヴィクトリータイプの出来損ない共など、何機かかろうが同じことよ!」

 

オリファー「確かにガンイージは、Vガンダムの量産型だ……扱いやすくした分、威力は落ちてしまっただろう」

 

ジュンコ「けどね、大切なのはパイロットの腕なんだよ! いくらいい機体を貰ったところで、乗ってる奴が大した事なけりゃ宝の持ち腐れってもんさ!」

 

ヘレン「そうそう! それに、さっきはよくもやってくれたわね! その恨み、晴らさせて貰うわよ!!」

 

ディーヴァ「フン! 小鳥どもがピーチクと……きさまらごときモズの集まりなど、逆にはやにえにしてやるわ!!」

 

 

シュラク隊(対マーメイド)

オリファー「奴の射撃に気をつけろ! どこからでも狙ってくるぞ!」

 

マーメイド「6機いようと何機いようと、全部撃ち抜いてやる!」

 

マヘリア「それは無理があるんじゃない?」

 

ペギー「シュラク隊で積み重ねて来たチームワークを甘く見てもらっちゃあ困るわね!」

 

ジュンコ「そういう事よ。覚悟しなさいなお嬢さん! 私達に勝ちたかったら、もっと経験を積みなさい!!」

 

 

マーベット(初戦闘時)

マーベット「私がいない間に、戦局はずいぶん変わっていたみたいね……」

マーメイド「でも、とんでもない事態だからこそ、臨機応変に対応するのが軍人ってものよ! それを教えてあげるわ!!」

 

 

マーベット(対木星蜥蜴)

マーベット「ザンスカールだけじゃなくて、木星蜥蜴も心配なのよね……」

マーベット「どっちの問題もあるけど、今は目の前の問題よ! とっとと片付けなくっちゃ!!」

 

 

マーベット(対ザンスカール帝国)

マーベット「ザンスカール……あなた達が地球を侵略しようとしなければ、こんな事にはならなかったのに!」

マーベット「……なんて、今更嘆いても無駄ね……だったら、もうやるしかないわ!!」

 

 

ドモン(対ディーヴァ)

ディーヴァ「ガンダム・ザ・ガンダム……いくらきさまでも、このスピードを見切る事は不可能だ!」

 

ドモン「それはどうかな? お前の行動を読み、先手を打てば話は別だ」

 

ディーヴァ「なかなか面白い事を言うな……いいだろう! やってみせろ! 出来るものならな!!」

 

ドモン「ならば受けてみろ! 鍛錬を積み、戦いの中で磨いてきた俺の技を!!」

 

 

ドモン(対マーメイド)

マーメイド「見たところ、接近しないと戦えない機体か……なら、遠くから撃ち放題だね!」

 

ドモン「確かにな……この機体にはせいぜい遠距離攻撃はバルカンしかない……だが、お前の射撃を突破し、拳を叩き込む方法なぞいくらでもある!」

 

マーメイド「なら来てみな! 近づいたら最後、あんたの機体は穴だらけだ!」

 

ドモン「思い上がるなよ、未熟者が!!」

 

 

トロワ(対ディーヴァ)

トロワ「サーカス……意味は違うが、あの頃を思い出すな……」

 

ディーヴァ「どうした? 動きが止まっているぞ! それでは私を倒すなど不可能だ! いや……そもそもこの速さにすらついていけないだろうな!」

 

トロワ「……あまり俺を舐めるなよ、これでも機動力には自信があるからな」

トロワ(待っていろ、キャスリン……この戦いが終わったら必ず戻る……だから……!)

 

 

五飛(対マーメイド)

五飛「女が戦場に出てくるとは……ここは貴様のような者がいていい場所じゃない!」

 

マーメイド「ふざけるな! 女だからって舐めてかかってると、痛い目見るよ!!」

 

五飛「そんな事は痛いほど知っている……だが、女子供は本来この戦場に立つべきではない! そんな世界を変える……そのために、俺はお前を倒す!!」

 

 

鉄也(対ディーヴァ)

鉄也「何てスピードだ……だが、俺とグレートならこの程度、屁でもねえぜ!」

 

ディーヴァ「減らず口を! そんな見かけ倒しの機体に何が出来る!?」

 

鉄也「見かけ倒しだと……? なら、てめぇの目で見てみやがれ! 偉大な勇者の……その勇士をな!!」

 

 

鉄也(対マーメイド)

鉄也「とんでもねえ射撃だな……だとしても、グレートの装甲で防いでやるぜ!」

 

マーメイド「いくら装甲が堅くても、何発も撃てば貫かれる! そうなればあんたはおしまいだ!」

 

鉄也「そうなる前に……ケリをつければいいだけだ! 行くぞ、グレート!!」

 

 

辰也(対ディーヴァ)

ディーヴァ「見かけない機体だな……だが、だとしてもこのエスピラルにはついて来れまい!」

 

辰也「そうかよ……悪いけどな、俺はお前より速い奴を何人か知ってんだぜ? それに比べりゃお前なんて、ハエが止まって見えるレベルなんだよ!」

 

ディーヴァ「ふ、ふふ……? ほう! 面白い! このわたしをここまでコケにする者がいたとは! いいだろう……ならば何をされたか分からぬ間に死ね!!」

 

ジゼラ「私も辰也さんも、こんな所で死ぬ訳にはいきません!」

 

辰也「ああそうだ! 逆にお前をブッ倒してやるぜ!!」

 

 

辰也(対マーメイド)

辰也「くそっ……この距離だと厳しいぜ……」

 

マーメイド「見たところとんでもなく堅くて強そうだけど、そんなのは関係ない! どんどん撃ち抜いて、蜂の巣にするだけだ!」

 

ジゼラ「そう簡単に貫かれる訳にもいきません! こういう時、辰也さんならどうします!?」

 

辰也「決まってんだろ……俺の攻撃が届く距離まで近づいて、とびっきりの奴を叩き込むんだよ!!」

 

 

~~~

三日月「よし、これで5機目……」

 

アキト「くっそぉ! これでもくらえ!!」

 

リョーコ「あのバカ……おい! 俺達もやるぞ!」

 

ヒカル「まっかせて!」

 

イズミ「バッタをバッタバッタとなぎ倒す……ククッ」

 

鉄華団やナデシコ部隊により、蹴散らされる敵軍。

 

オルガ「いいぞ、ミカ! おら、弾幕もっと張れ!! 俺達も援護するぞ!!」

 

ユージン「おうよ!!」

 

ユリカ「すごいすごい! アキトもみんなも頑張れ~!!」

 

ルリ「私達も後方支援を行います」

 

さっきまで立っていた機体が鉄くずとなり、動かなくなる。しかし……

 

ディーヴァ「厄介だな……だが、それでもこの速さにはついて来れまい!!」

 

ジョルジュ「ローゼススクリーマーがことごとく外されるとは!」

 

トロワ「ヘビーアームズの弾幕でも、奴を捉えられんか……!」

 

エスピラルへの攻撃が、今ひとつ届かない。

 

鉄也「だが、素早い相手には慣れている!」

 

フォント「ファントムの機動力で!!」

 

構わず攻撃するが、それでもなお、攻撃を避け続ける。

 

フォント「くっ……!」

 

三日月「ヒュンヒュン避けて、イラつくね……!」

 

ディーヴァ「……腹立たしいな。その程度なのか? その機体が『ファントム』や『バルバトス』でなければ、貴様らは私にすでに二度撃墜されている……まるで機動力を引き出せていない! 話にならん! 未熟だっ!!」

 

苛立ちを抑えられず、声を荒げるディーヴァ。

 

ディーヴァ「『光の翼』を持つそれはね、木星の希望で切り札で……手にした者は英雄と呼ばれるはずだった。このディーヴァ・ダッダが、それに相応しき者になるために、どれほどの修練をつんだかわからぬ者が! その力を偶然手にした上に腐らせているとは!! 許しがたい……ゴミだな!!」

 

フォント「確かに、おれはファントムを偶然手に入れた……でも、生半可な気持ちでここまで戦ってきたわけじゃないっ!!」

 

ファントムから、紫色の炎……ファントムライトが燃え上がる。

 

マーベット「何なの、あの光は!」

 

オリファー「光の翼……だな。しかし、もう実用化されていたとは……」

 

フォント「はあぁぁぁっ!!」

 

攻撃スピードが、先ほどよりも格段に速くなった。

 

三日月「俺たちだって必死でここまでやってきたんだ、それを否定する権利は、お前にないんだよ……!!」

 

バルバトスも飛び上がり、メイスを振り上げる。

 

ディーヴァ「それでいい……そうこなくてはな! 私の物になるはずだったファントム……それに、厄祭戦の悪魔……本気を出してもらわなくてはな……そして私の手で落とし、戦功を上げ、気晴らしをさせてもらう!!」

 

……一方、川底での戦闘では……

 

ジャック「動き……づれえっ……なんなんだよ! この水中ってのはよ!?」

 

昭弘「少しばかり動きが鈍るな……!」

 

五飛「そして、その上に……!」

 

水中という不慣れなフィールドでもたつくデスフィズとグシオン、アルトロン。目の前では、カルメロが長い脚を伸ばして立っている。そしてその脚から、水が激しく流動する。

 

ジャック「うおぉっ!?」

 

昭弘「ぐっ!!」

 

五飛「慌てるな! 無闇に動けば、敵の思う壺だぞ!」

 

マーメイド「足掻いても無駄! 移動用の水流ジェットを、フル出力で回転させているんだ! おまえ達は翻弄される! でも、あたいは揺るがない! 接地しているからね、立っているだけだからね!」

 

五飛「あの長い脚で、自分だけはバランスを取っている……水中からも地上からも隙のない機体か……!」

 

昭弘「水の流れが急で、なかなか安定出来ねえ! 何か手はあるか、ジャック!」

 

ジャック「だったらデスフィズに捕まりな、昭弘、五飛!」

 

そう言われ、グシオンとアルトロンがデスフィズの足を掴む。

そして、カルメロの側面へと回り込んだ。

 

ジャック「へ! 残念だったな……おれは……その機体の構造を知っている! そいつの水面の死角が側面だってこともな!」

 

マーメイド「何故だ! 何故だ! ジャック・フライデイ……! あたい達は仲間で、最高のチームだったんじゃないのかっ!?」

 

マーメイドが慟哭する。

 

ジャック「ああ……確かにな……おれ達は似たような暮らしの中で寄り添ったクズの集まりだ。人を傷付け盗みを働き生きていくしかねえ奴ら……だからこそおれ達の間にゃあ確かに、何よりも強い絆があった。ほかの奴らにゃわかりゃしない」

 

かつての暮らしを思い出しながら語るジャック。

 

ジャック「だがよ、もしおれ達がそうなっちまった理由が、大人の勝手な都合に振り回されたからだってんなら……ギロチンで首を切られるヒナどもだって、人情も糞もねえ海賊にゴミみてえに使われるヒナどもだって、それはおれ達と同じなんじゃないのかい?」

 

マーメイド「知るかーっ! そんなことォ!!」

 

マーメイドの叫びと共に、カルメロが蹴りを繰り出す。

 

昭弘「遠心力を利用した蹴り……まともに食らっちまったら……!」

 

五飛「任せろ、ここは俺が引き受けるっ!」

 

ぶつかる寸前、アルトロンのドラゴンハングがカルメロの脚に巻き付く。

 

マーメイド「なっ!?」

 

五飛「容易に解けると思うな!」

 

昭弘「すげえな……よし五飛、俺がお前を支える!」

 

四本の腕でがっしりとアルトロンの脚を持つグシオン。その後ろからデスフィズが飛び出す。

……刹那、ジャックは考えていた。

 

ジャック(へ……おれは頭が良くねえからな……戦ってみりゃあわかるかと思ったんだけどな……おまえを傷付けたいなんて、まして命をうばいたいなんて、これっぱかしも思っちゃいねえ……けどよ、やっぱりおれもまだ死にたかあねえんだよ。だから……)

 

ギュウウウウ……と音を立て、デスフィズが爪を回す。カルメロもそれに対抗し、銃を構える。

そして、一気に距離を詰めた。

 

ジャック「試してみるかっ!」

 

まあ、これで二人とも死んじまったら……それはそれで、しかたねえってことで

 

そして、ぶつかるその寸前───

 

 

 

 

 

フォント『だ・め・だーっ!! よせーっ!! ジャァァーーーックッ!!!』

 

 

 

 

 

───コックピット内に、声が響く。

 

ジャック「!? どうして? 突然小僧の……ボスの声が!?」

 

耳をつんざく大声で、我に返るジャック。

 

ああ、そうだな。これは……

 

 

 

やっちゃあいけねえことだっ……!

 

狙いをコックピットから右肩へと向け、貫き、破壊する。

その衝撃で、マーメイドは外へと飛び出した。

 

昭弘「パイロットが飛び出たぞ!」

 

ジャック「おっと、いけねえっ!」

 

マーメイドをキャッチし、陸へと上がるデスフィズ。他の2機もそれに追随する。

 

五飛「その女は大丈夫なのか?」

 

ジャック「問題ねえ、気絶してるだけだ。けど、この場は危ねえし……とりあえずここに置いとくか」

 

さてと、後はボスの方だな……

 

砂浜の、敵が来ないような岩陰にマーメイドを置き、そう呟きながらファントム達が戦っている戦場へと向かった……。

 

~~~

辰也「き、急に叫んでどうしたんだよ、あいつ……」

 

辰也達は、なおエスピラルの猛攻に翻弄されていた。

 

三日月「戦ってる最中だよ、死にたいの?」

 

鉄也「仲間が心配なのも分かるが、今は目の前の敵に集中しろ!」

 

フォント「確かに……けど、俺はっ……!」

 

三日月「……まあいいや。そんな事よりあいつだよ……!」

 

ビームの雨が降り注ぐ。

 

ディーヴァ「遅い! ファントムといえど、きさま如きではこの程度か……! ゴミめ!!」

 

間一髪で避け、Iフィールドで防ぎ続けている……が、このままでは直撃も時間の問題だ。

 

リョーコ「ディストーションフィールドで何とか耐えてるけどよ……」

 

アキト「くそっ、どうすればいいんだ!」

 

ルリ「速く動く相手と戦うのに、広い場所だと不利ですね」

 

その言葉に、何かを閃いたフォント。

 

フォント「! そうか……広い所ではこちらが不利……なら!!」

 

ファントムがジャブローの大穴へと潜る。

他の機体も、何かを察したのか、それに続いた。

 

ディーヴァ「逃がすかよ」

 

そして、それにエスピラルもついて行く。

 

~ジャブロー内部~

ジャブローの空洞内に入ったファントム。エスピラルが侵入したのを確認すると、ビームライフルを天井に向け乱射する。

 

シロー「狙いをつけずに無駄撃ちか!?」

 

ウッソ「いえ! あれはおそらく、落石による妨害です!」

 

ウッソの推測通り、銃撃によって破壊された岩がエスピラルへと落ちる……が、それは難なく避けられた。

 

ディーヴァ「無駄だ! まったくの無駄だ!!」

 

由木「あの岩の雨を避けているなんて……!」

 

マーベット「何て奴っ!!」

 

トロワ「俺達も援護するぞ!」

 

ジョルジュ「任せて下さい!」

 

オリファー「とにかく撃ち続けるんだ!」

 

ミサイルやローゼススクリーマー、ビームライフルを撃ちまくる。しかし、それらは悉く避けられてしまった。

 

ディーヴァ「バカめ! バカものどもめ! 何故私がこのエスピラルを任されたと思う? ファントムと同等……いや! それ以上の機動力を持ち、それを私が使いこなせるからだよ!!」

 

ザザザ……と虫のように這い、ファントムへと近づく。

 

ハロロ『御主人様! 御主人様っ! 敵の機体の分析が終わりました!!』

 

コックピット内に、ハロロのアナウンスが響く。

 

ハロロ『あれは「ミノフスキークラフト」で浮いているんです』

 

フォント「なんだって?」

 

ハロロ『一年戦争時からある古い技術です。ただ、ご存じのように、これは空中にぷかぷか浮かぶだけで推進力はありません』

 

ルリ「そこへ、推進システムとビーム砲を内蔵したほぼ同型のアーム6本をリング上に配置……これを高速で移動させる事で速さと射撃性能を両立させています」

 

……同じ頃、ルリもエスピラルのメカニズムについて説明していた。

 

ジゼラ「つまり、新しい技術を使ってるんじゃなくて……」

 

辰也「組み合わせて今まで以上のモンを作ってるって事か!!」

 

オルガ「だが、動くためのシステムには何を使ってんだ?」

 

ハロロ『空気を圧縮して噴射するジェットです!』

 

フォント(……なるほど! それでこいつは地球侵攻用なんだ! 確かに良くできたシステムだが……これを宇宙で使おうと思ったら推進剤不足と加熱問題が必ず起こる……欲張りすぎている!)

 

考えを巡らすフォント。

 

フォント(ジェット推進と空冷を併用しなければ、運用できなかったんだ!)

フォント「ええい! 落ち着けフォント! 今はそんな細かいことはどうでもいいんだっ!」

 

今は……ここを切り抜ける……どう生き抜くかだ!!

 

コックピット内に熱が籠もる。暑い。ファントムの限界が近づいている。

 

ウッソ「あいつのビーム……一本だけならあのIフィールドって奴で防げるかもしれません……でも、数本が一点に集中したらどうなるか……」

 

ルリ「ディストーションフィールドも同じ事が言えます……が、ナノラミネート装甲であれば話は別……どんなビームでも防ぐ事が可能だと考えられます」

 

ウッソ「! だったら……!」

 

ウッソが何かに閃いたその一方で、フォントもまた───

 

フォント「狙いを集中させないためには動き続けるしかない! 活動限界が近いのに? こちらの攻撃はかわされてしまうのに?」

 

機動力は向こうの方が上───そう結論づけようとした瞬間、フォントの脳裏に電流が走った。

 

本当にそうか?

 

ファントムの機動力は本当にそんなものか?

 

フォント(いや、そうじゃない? たぶん……きっと……)

 

フォントもまた閃いた。と同時に全員に向かって通信を開いた。

 

フォント「皆さん! 作戦がありますっ! 特に三日月やナデシコ隊の人は聞いて下さい!」

 

~~~

ディーヴァ「むう!」

 

突然驚いたかのような声を上げるディーヴァ。それもそのはず、目の前にはファントムが……いや、それだけではない。バルバトスや4機のエステバリスが留まっていたからだ。

 

ディーヴァ「一度に6機も……もうオーバーヒートしたか? それとも勝負を捨てたか!? ならば……遠慮なくゆくぞっ!!」

 

バチュウウ……と音を立て、ビームが放たれる。それを様々な方法で防ぐ6機。

 

ディーヴァ「ちいっ! Iフィールドにナノラミネート装甲、おまけにディストーションフィールドか……!」

 

なおも負けじとビームを放ち続け、フォント達はそれを防ぎ続ける。

 

フォント(そうだ! 撃たせるんだ! おれは考え違いをしていた! 奴が本気を出すまで……それまで……堪えるんだ、ファントム!)

 

三日月「……あのさ、こういう時に聞くのもなんだけど……さっき『だめだ』って叫んでたじゃん。あれ、どういう意味なの?」

 

フォント「!」

 

不意に三日月が尋ねる。

 

リョーコ「お前、こんな時に何聞いてんだ!?」

 

アキト「でも、俺も聞いてみたいな。何でそう言ったのか」

 

フォント「ど、どういうって! どうもこうもないでしょう? 恋人同士だった人達に、殺し合いなんかさせちゃだめでしょう! それは止めなきゃだめでしょう! それが普通でしょう!!」

 

ヒカル「おお~痺れるね~! まるで漫画の主人公みたい!」

 

三日月「普通……って言ったね。アンタの中ではそうなんだろうけど、俺の……俺たちの中じゃ違う。でも……」

 

イズミ「確かに、させるもんじゃないかもしれないね。恋人とは普通に死に別れたって、いつまでも……辛いもんだからさ……」

 

リョーコ「イズミ……」

 

アキト「恋人じゃなくたって同じだよ。友達でも……ただ一言二言だけ、言葉を交わした相手でも……死なれるのは辛いんだ……」

 

フォント「イズミさん……アキトさん……」

 

三日月「! 来るよ!!」

 

三日月の声を合図に、前を向く5機。

 

ディーヴァ「ふ……ふ……Iフィールド……ナノラミネート……ディストーションフィールド! そんな……たまさか手に入れたような力で! いいだろう! ならば……その自慢の防壁を! このエスピラルで、叩き割ってくれるわーっ!!」

 

エスピラルが全ての砲門を向ける。その瞬間を、見逃しはしなかった。

 

フォント「い・ま・だぁぁーーーっ!!!」

 

そうだ! それがおまえの弱点だ!!

 

ビームが着弾する……と同時に、6機は別の方向へと散る。

 

ディーヴァ「何っ!?」

 

ビームとジェットにより、勢いよく吹き飛ぶエスピラル。

 

フォント(奴はビーム砲と推進システムが同一のアームに収まっている。だから攻撃を集中する瞬間に、推力も偏向する……機動力がわずかに低下するんだ!)

 

三日月「その時に俺たちが!」

 

アキト「最大出力で動ければ!!」

 

バラバラに散った6機が、エスピラルの元へと集まる。

 

ディーヴァ「う・お!?」

 

反撃のため、エスピラルが振り向こうとする───

 

 

 

 

 

───が、その直前、ファントムのビームライフルによって貫かれた。

 

同時にバルバトスもメイスを振り下ろし、エステバリス達がフィールドによる体当たりを繰り出した。

 

そして、エスピラルは爆発……跡形もなく消し飛んだ。

 

三日月「はあ……はあ……!」

 

アキト「やった……のか?」

 

ルリ「はい。敵モビルスーツは消滅、他敵機も確認できません」

 

ユリカ「やったよアキト! 頑張ったね!!」

 

アキト「う、うん……」

 

リョーコ「お前の作戦のおかげだぜ! ……ってあれ?」

 

ファントムの方へ目を向けると、ぐったりとした姿勢で機体が倒れていた。

 

アキト「おい! 大丈夫か!?」

 

三日月「……気絶してるだけだね、特に問題ないよ」

 

アキト「よかった……」

 

オリファー「ともかく、速やかにここを離れるんだ」

 

鉄也「ああ。増援が来る前にな」

 

オルガ「そうっすね。んじゃ、早く乗ってください」

 

ユリカ「ナデシコも大歓迎で~す!」

 

ドモン「それと、あの緑色の機体を運ぶ為に、誰か手を貸してもらうぞ」

 

そして、その場にいた機体はイサリビ及びナデシコに回収された……。

 

~イサリビ・医務室~

フォント「……はっ!」

 

ベッドの上でフォントが目覚める。辺りをキョロキョロと見回し、状況を整理していると、目の前のドアが開いた。

 

ジャック「ボス! もう目が覚めましたか!」

 

辰也「お前を運ぶのにすっげえ苦労したからな~……ま、何ともなくてよかったよ」

 

ドアが開き出てきたのは、ジャックと辰也、それにオルガの姿もあった。

 

オルガ「フォント、目覚めたばっかで何だが、カーティスさんからの伝言だ」

 

フォント「は、はい!」

 

オルガ「えっとな……まず、エリン・シュナイダーの行方については分からねえそうだ。どうやら俺たちが戦ってる間、どっかに雲隠れしたみてえだな」

 

フォント「何ですって?」

 

突然の事に驚くフォント。それじゃあ自分の、自分たちのやってきた事は……と不安になる。

 

ジャック「けど、問題はないですぜ! 何しろ、奴の捜索にはタービンズが協力してくれるんですからね!」

 

オルガ「地球支部の奴らにも、影ながら協力する……いや、させてもらうぜ」

 

フォント「そうですか……ありがとうございます」

 

その旨を聞き、胸をなで下ろすフォント。しかし、どことなく腑に落ちない物を感じていた。

 

オルガ「それと、今後の行動についてなんだが……フォント、ジャックの両名および鉄華団はナデシコ隊、リガ・ミリティア、そしてJUDA特務室と行動を共にするように……だそうだ」

 

フォント「えっ?」

 

辰也「……という訳なんで、これからよろしくな! えっと……」

 

フォント「お、おれはフォント・ボーって言いますっ!」

 

辰也の勢いに押されながらも、自己紹介をするフォント。

 

ジャック「そんじゃあ、ボスはしばらく休んでて下さい! おれ達は他の奴らと会ってくるんで!」

 

フォント「いや、大丈夫だ。おれも行くよ」

 

辰也「あんま無理すんなよ? 何しろ、お前がそうなったのは、スピードを出し過ぎた衝撃で意識が飛んだからだってレインさんが言ってたからな」

 

辰也が心配する。

 

フォント「まあ、無理しない程度に動くよ」

 

辰也「分かった、そんじゃ行くぞ!」

 

そして、4人は医務室から出て行った。

 

~イサリビ・ブリッジ~

辰也達が医務室にいた頃、ナデシコ、イサリビ両艦の間でミーティングが行われていた。

 

鉄也「……こんな所で、俺達の素性は分かってもらえたか?」

 

ルリ「はい。というよりは、あまりにも有名な方が多いので普通に信用出来ますね」

 

ドモン「そうか……」

 

オリファー「あの少年……フォント・ボー君と蛇の足についても分かったな」

 

ジュンコ「蛇の足は木星の隠密部隊だって言ってたし、あまり多くは語らなかったみたいだけど、一応信用は出来るみたいね」

 

マヘリア「言えない事情ってのは、誰にでもあるものよ」

 

マーベット「それよりも、連絡をよこしたあのカーティス・ロスコという男……何かで見た事があるのよね……」

 

ナデシコ「……では、我々からも自己紹介させていただきますが、数が多いのでちょっとだけです……まず、このナデシコの艦長さんはあの脳天気なお姉さん……」

 

ユリカ「は~い! 私が艦長のミスマル・ユリカで~す!」

 

何ともお気楽な返事である。

 

ルリ「それで、こちらがエステバリスのパイロットの……」

 

アキト「テンカワ・アキトです……」

 

リョーコ「俺はスバル・リョーコだ!」

 

ヒカル「アマノ・ヒカルで~す!」

 

イズミ「マキ・イズミ……事故が起きたら問い合わせ……これがホントの事故照会……」

 

コニー「……」

 

ジョルジュ「……」

 

ジゼラ「……」

 

三日月「え、何?」

 

周りが静まる中、三日月が聞き返す。

 

ウッソ「あの、三日月さん……それは失礼ですよ……」

 

ジゼラ「確か、ダジャレとかそういうのは、ネタを聞き返すと余計つまらなくなるとか何とか……」

 

三日月「だって意味分かんないじゃん。ねぇ幽霊の人、どういう意味?」

 

三日月のその一言に、ついジゼラの口元が緩む。

 

ジゼラ「……ふふっ」

 

ジュンコ「ゆ、幽霊の人って……」

 

ヘレン「ちょ、ちょっと面白い事言うじゃないの……」

 

イズミ「笑って貰えて何より……」

 

リョーコ「お、お前のダジャレで笑ったんじゃねえからな……」

 

ヒカル「でも、中々面白いあだ名だね~!」

 

アキト「そ、そうですね……」

 

笑いに包まれる両艦。その光景を見て……

 

ルリ「……こんなので笑うなんて、バカばっか」

 

ルリは、いつもの口癖をこぼすのであった……。




中断メッセージ(シャクティの語り)
シャクティ「新たな仲間を得たウッソは、自分も負けじと奮闘します。ですが、敵はザンスカール帝国だけではありません……他の組織や我々の理解の及ばない敵……心と体はボロボロになりながら、それでも、ウッソと仲間たちは戦います。勝つために……平和のために……」
シャクティ「……次回、スーパーロボット大戦……『重なる苦戦、そして』……見て下さい!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。