ロナルド・ウィーズリーは天使達を助けたい (ドゥナシオン)
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転生先はよく知らねえ

よろしくお願いします。


「お主は死んだ。」

はい?

「まあ人間一度は死ぬのじゃ・・ただ・・」

ただなんだ?

「儂の手違いで殺してしもうたのはちょっとしたミスじゃ。」

はい⁉いやいや待て!ちょっとしたミスで殺された俺はたまったもんじゃねえ!!

清く正しくは口が裂けても言えんが!!親無し施設でいじめられて育っても、喧嘩三昧はしても不良にならなかった18年の歳月何だと思ってやがる!!!返せやこら!責任者出せやこら!!!

 

「お主相当口が悪いの~・・儂の見込んだ通りか。」

んだと爺!!見込んだって事はこれ事故じゃなくて手前の作為的なもんか!!

「ほう鋭いの、あまりまともな教育を受けておらなくても地頭は良いか。ますます良い。」

何がいいんだ手前!!その長い白髭と髪ぶち抜いて絞めるぞ!!

「その意気やよし!!」

人の話聞け!絞める発言聞いて何にこやかにしてやがるんだくそ爺!!

「元気があって良いの~、それならば―向こう―でも元気に生きて儂を楽しませてくれそうじゃの。」

・・駄目だこの爺、人の話を聞きやがらねえ。耳遠いのか呆けてるのかどっちかか?

 

俺はいつものようにバイトを終えて安アパートに帰る途中だった。

進学をせずに働くことになったので施設はおん出て楽しい一人暮らしを満喫していた、はずなのに!

車にひかれて痛みを感じるまもなく、意識なくしてブラックアウトして、気が付いたら白髭・白髭の爺に絡まれている。

どうやら俺は死んだらしい、そこは認めよう。腕を上げてみても透き通ってるのは幽霊状態かと。

あの車ブレーキ踏まずに俺に突っ込んできやがって、幽霊になったから祟ってやろう。

「お主はこれから―ハリーポッター―の世界行きじゃ、祟っている暇はないぞ。」

今、なんつったこの爺。ハリーポッターだー?生まれた時代と生まれた家柄では死亡フラグ満載の!あの主要キャラでもポイ捨ての如く死んでいく超やばいで有名なイギリスの悪名だかき著書ハリーポッターかい!!

俺あんたとは初対面だろ!何の恨みがあって殺してそんなやばいとこ行かなきゃいけねんだよ!!

 

「だって儂退屈だったんじゃもん。」

俺に何の関係がある!!知るか呆け!!退屈ならお前がこの世去れ、どう見ても老害爺!!!

「・・それが出来たらとっくにしておる。じゃが後継者不足での、次代がいないと死ねんのよ。」

あっそ!!

「ちっとも同情してくれんの、まあいい。

暇つぶしに他世界にこっちの者を送ればどう変化をするのか高みの見物じゃ。」

分かった!お前邪神の類だろ!!

「何とでも言え、向こうの神にも話は通して居る。向こうも儂と同じじゃ。」

マジか、神様信じてた俺ってバカだった。

宗教信じてなくとも風や木漏れ日、大空や海、自然には神がいて手助けをしてくれなくとも

何時も見守っていると思っていたのが、実物はとんだ邪神野郎でこれから行くところも同じ奴って……

俺の中の清い思いは何だったんだろ、俺の中の神は今死んだ。

 

「ほれほれ、感傷はほどほどにの~じゃあ行ってこい。」

えっちょ・・くそ爺死ねー!滅べ!!!

「・・望むところじゃよ・・」

 

 

 

 

ほんぎゃ~ほんぎゃ~

あ~最後にあの爺に悪態ついたらなんか言ってやがったがもうどうでもいいわ。

口から勝手に産声発してやがる、生まれちまったのか俺は。

 

「モリー!元気な赤ちゃんをありがとう!!ほらパーシー、ビル、チャーリ、フレッド、ジョージ、元気な・・」

「父さん!!それよりも産湯につけて清潔にして!!」

「ビルの言う通り!その後産議着を着せて赤ん坊の体温下げない!!」

「・・パパ・・弟寒そう。」

「あ・・うむ。」

ナイス!寒いぞ赤毛のおっさん!!ん?赤毛って!!!

ここってもしかしなくともあのウィーズリー一家か?

今確かこの赤毛のおっさんは五人のガキたちの名前言ったって事は・・しかも俺男だ。

俺はロナルド・ウィーズリーかい!!主人公の次に死亡フラグ満載すぎだろこんチクショオー!!!

 

俺がどんだけ叫んでも・・元気な産声にしかならず、周りはほのぼのしてやがる・・

ハリーポッターなんてほとんど知らねえぞ俺、・・詰んでる~。

 




不良ではありませんが、現代には珍しく雑草食べても生きていけそうな逞しい主人公でした
神様の気まぐれで殺されて以来偉そうな白髪白髪の老人を嫌いまくります。
げんさくが壊れていきますのでよろしくお願いします。


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神は死んでも天使はいたぜ!!

タイトル通りのロンにとっての天使降臨です。


俺が―ロナルド・ウィーズリ-として生まれた早三年。

サクッとウィーズリー家の問題児二人を掌握してやった。

 

いやだって齢近いジョー・フレのいたずらがマジ悪質過ぎって、イラっときちまったんだもん。

俺の中の―いたずら―ってのは受けた奴はちょっとびっくりさせて、あっと言わせて笑かすもんだが信念だ。

教室の中の金魚を校庭の池の鯉にかえてクラスの奴驚かせたり、消しゴムがチョコにかわっていたり。

まあそんな感じな陽気なもんだ。

 

なのにあの二人は何が楽しいのか、俺の大好きな妹のくまちゃんぬいぐるみに蜘蛛の足生えさせやがった!!

ぶっ飛ばす!!妹のジニーはあれ以来ぬいぐるみを怖がるようになっちまったんだぞ!

しかもあれはモリ―母さんの手作りぬいぐるみ、家族を怯えさせて泣かせるいたずらなんぞしやがって!決定、焼きいれる。

 

そこからはもう少し上のパーシーに字を教わった。

日本語はきちんと覚えてっけど、まさかイギリスの三歳児が日本語を書いちゃまずいのは馬鹿な俺でも分かる。

簡単な絵本で教わったが、難しいもんじゃなくていい。単語の羅列で書けばいい。

何の為かってっとあの二人のいたずらした日にちと何を壊したかの閻魔帳づくりだ。

・・本来ならボコった上でマジ説教してやりたいが。・・いかんせん俺は三歳児で相手はずっといる家族だ。

学校でのダチとは違って面と向かってボコれないのが辛い。

 

仕方がないのでからめ手だ。まあ俺の親友の一人にこういったからめ手大好き野郎がいて、

俺がムカついた奴が俺にやられる前に、生活指導の先公や、凄いときにはおまわりに捕まっていた。

どう考えても俺にボコられた方が、体に傷がついても―人生―ってやつには傷が無くて済んだだろって―教授―に何度言ったか。

 

「君が相手にするような奴じゃないよ。かすはかすらしい制裁がお似合いだ。」

 

閻魔帳作りの上手いあいつのあだ名を―教授―って呼んで、高校時代はよくつるんでた。

俺よりも怒らせるとやばい奴だった。あいつの真似するために死に物狂いで勉強したら、一週間で簡単な読み書きが出来た俺も閻魔帳づくりに勤しんで一月で終了。

だってネタが満載になったから。

 

 

「おい、ジョー・フレ。」

「お兄ちゃんて呼べって言っているだろうロニー坊や。」

「もしくはお兄様でも可だ。」

 

何がお兄様だ、頭の中身がお花畑のクソガキどもが。

「いい加減にいたずらの仕方変えないと、俺本気で怒るぞ。」

 

僕も幼稚園児言葉も、俺は一切使った事は無い。

だからと言って家族全員にこんなぞんざいな口はきいていない。

父さんは大所帯切り盛りの為に必死に働き、母さんは毎日大所帯の家事を頑張ってる。

上のビル・チャーリー・パーシーもそんな父さん母さんを尊敬して手を焼かせない様にして

ほんとマジ尊敬もんだわ。

 

なのにこの双子と来たら……「いいぞ、お前達が態度改めないなら。」-パラリ-

 

1月○○日

フレッドが父さんのガレージのマグル製の車のエンジンの中に石を入れて、父さんがエンジンを入れると壊れてしまった。

父さんは古いガレージの中で小石が入ったと思ったが実はフレッドの仕業。

 

1月○○日

ジョージが母さんのシャンプーにいたずらグッズの色の変わるシャンプー液を入れたら

色は変わらず母さんの頭皮がかぶれて大惨事。

母さんはシャンプーが古い物を買ってしまったと思ったが実はジョージの仕業。

 

 

よくもまあこんな悪質ないたずらしたもんだって、聞いてる二人が何か、

 

「そこまで酷い事になると思ってなかったんだよ!!」

はぁ⁉

「母さんの髪の色変えるだけだったんだ!!」

もしかしてこの二人、「やってどうなるか考えたのよりも酷くなっちまったのか?」

「そうだよ!エンジンが吹っ飛ぶなんて!!」

「母さんのかゆみとれるまで半月もかかっちまって!」

何でかわんわん泣き始めやがった。

 

マジかい、意図しての悪意じゃなくて単なる馬鹿か。

まあこんな子供がシャンプーにいたずらグッズ入れたら化学反応だか何だかを引き起こして劇薬になるなんて考えねえか。

ジョー・フレの双子、マジで泣き始めやがった。

 

「分かった泣くな!父さん達には言わねえ、その代わり家の中で、大きないたずらすんな。

特にジニーの周りですんなよ。ちなみにだな、何でクマのぬいぐるみに蜘蛛の足なんて生やしたんだ。

お陰でジニーはぬいぐるみ嫌いになりかけてるぞ。」

 

「あ、あれはクマの毛を伸ばそうとしたら・・・」

「呪文間違えて・・」

はあ~子供の親切心が大惨事かい。

 

 

まあそこから先は口だけの説教に切り替えた。

自分の手に負えないいたずらはしない事。

俺のいたずらの信念を伝授してやった。

 

「そっか・・いたずらってみんなを笑わせるのか・・」

「俺達のはみんな怒ってばっかだった。」

 

当たり前だ、あんないたずらに笑うやつがいたらそいつは悪党の部類で碌なもんじゃねえ。

つまるところ俺の周りの人達が真っ当と分かって良かったよ、あんの邪神野郎は笑ってそうだがまあいいか。

 

 

その日を境に二人のいたずらと言えば、ミルクが飲むヨーグルトになったとか、母さんの無地のシャツに花の絵が描かれたとか可愛いもんになった。

勉強し過ぎのパーシーの羽ペンを食べられるものにして気が付いてもらえずインクを付けて勉強してたパーシーには笑わせてもらった。

爆発のない、母さんの怒声が響かない日が増えたのが一番いい事だ。

 

だが俺は一か月お菓子を食べないことにした。

証拠集めとはいえ、二人のやった事を意図して見逃して大惨事の発端を作ったんだから罰は受けるべきだ。

二人には両親には言わないといった手前、言って罰を受ける事が出来ないので自主的に。

ほんと、父さん母さん御免なさい。

 

 

 

 

 

 

「君はうまくやっているね。」

ああ、あんたか律儀だな。月に一度は必ずくんのな。

「・・先輩のせいで君に迷惑かけてるからね。」

あんな、それあんたのせいじゃねえだろ。

「・・ごめんね。」

ああまったく、このお人好しは仕方ねえな。

こっちの神様は邪神野郎の後輩神様らしい。

先輩の要請を断れなくて俺の事受け入れても罪悪感から俺の事を心配してくれるいい奴だった。

くたびれた中年オジンでぼさぼさの前髪で表情分かりづれえけど声で詫びてるのがよく分かる。こいつも邪神野郎の被害者だ、初っ端からゆるしてやった。

 

「ねえ、本当に何にもいらないの?」

しつけえな、幸せ大家族持ってる以上になんか必要あんのかよ?

 

この神様、しょっちゅう俺に-神様特典-寄越そうとしやがる。

 

神様特典ってなんだよって聞いたら、望むことを二つ叶えるプレゼントだった。

まあ所謂チート能力を貰ってくれってしつこいよ。

前の俺はこんな温かい家族なんて夢にも思っていなかった、なのに今は毎日が幸せだ。

両親は尊敬できる大人で兄貴二人はカッコいいと思えて、パーシーは頑ななところがあっても面倒見が良くて、ジョー・フレも根はいい奴だ。

そんで俺の一つ下の妹のジニーはマジ可愛い!!

「お・にい・・ちゃん。」

たどたどしく可愛い声でお兄ちゃんって言ってくれる!!

神は死んじまったが天使はいてくれた!!

この可愛い妹泣かす奴は地獄に落とす!!!

 

 

 

「・・分かった、-今-はいらないんだね。」

今もこれからもいらねえよ、この家族に入れてくれたことでもう十分だ。

「君って欲が無いの?全呪文習得とか、金持ちになるとか・・」

そんな自分で手に入れられないもの貰っちまったら、俺は腐る気しかしねえ。

手前の人生くらい自力で生きてなんぼだ。

「そう、でも欲しいものが浮かんだらいつでも言って。待ってるよ。」

 

そう言ってお人好しの神様は俺の夢から出ていった。

特典に頼らねえって言ってんのに。

 

その考えは-二人目の天使-に出会って変わった。

 




主人公は三歳児が字を習ってわずか一週間で死に物狂いで覚えたと思っていますが、
これはお人好し神様からのギフトですが、主人公は全く気が付いていません。

ロナルド・ウィーズリーはラブラブシスコンになりました。
次回はダイゴアン横丁で-二人目の天使-に出会います。


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天使を守るが俺の使命!!

ダイアゴン横丁で二人目の天使発見。
よろしくお願いします。


今日で俺の五歳の誕生日。

天気も良く、ジョー・フレも最近は大きないたずらをしていないので、パーシー・ジニーも入れて父さんと一緒に六人でダイアゴン横丁に初出掛けとなった。

天気は本当によく、初めての煙突移動も面白く気分爽快の筈が、何でか今俺は必死に逃走中!それもブロンドの天使ボーイを背中に引っ担いで。

 

事の発端は人ごみの多さで家族とはぐれた事。ジニーは父さんと手を繋いでいたが、俺は初めて見る魔法使いの市場の凄さに興奮して、キョロキョロ周りを見回して歩いて気が付いたらボッチになっていたという間抜けさだ。

 

まあ何とかなるだろうと一旦人ごみから出て、細い裏路地で対策を練ろうと通路に入ったら、

奥の方に杖を振り上げている中年男と、その先に蹲っているブロンドの子供が見えた。

どう見ても尋常じゃない、子供は見るからに震えて男は殺気丸出し!男が悪党確定だ!!

 

杖持ちの大人相手に怒鳴って止めようとしても、逆上してどんなやばい呪文ぶっ放すかの危険有り、なので「これでもくらえ!!」-ガス!!-声でこっちに振りかえらせて、顔面に落ちてたレンガの欠片をぶつけて眉間にストライク!!

「がああ!!」

レンガの角がドストライクをした男が顔を抑えてのたうち回る今がチャンス!!

「逃げるぞ!!」

蹲っているブロンドの子を立たせれば・・綺麗な顔をした天使だった!!

プラチナブロンドの髪に綺麗な水色の瞳、元気いっぱいのジニーとは違う儚げな天使・・こんな天使襲ったのかおっさん!!

 

ムカつき越してぶっ殺すを思ったが、いかんせん俺まだ5歳児で力も魔法も使えねえ、悔しいが撤退だ。

幸いブロンドの天使は俺を味方だと分かってくれて、一緒に逃げてくれたが足が遅かった。

見たとこ身なりの良さでいいとこの子供、体力無いのか、雑踏苦手か。

 

「・・もういい・・僕を・・置いて・・」

後ろからさっきの悪党が奇声を上げて追ってくる、足手まといだからと天使がトンデモ発言をしてきやがった。

「馬鹿野郎!!置いてく位なら端から助けてねえ、ちと失礼・・おし、とばすぞ!!!」

天使ボーイは俺よりも華奢だったので背負って逃走再開!!

つうかあんなやばい奴誰か捕まえろよ!警察に通報するとかしやがれ!!唖然として見ているだけの周りの大人はマジ馬鹿か!!

取り押さえる魔法位あんだろう!!!!

 

 

周りの無能大人を内心で罵倒しつつも前方に頼りになる大人発見!!

 

「助けて父さん!!!」

「ロン!どこ・・麻痺せよ!!」

 

ナイス父さん!!俺の叫びで振り返った父さんが、後ろのやばい通り魔と俺のSOSの叫びで状況一発で分かってくれて杖素早く出して助けてくれた。

 

もう駄目、俺は走るどころか立ってらんねえ。

「おいロン!!」

「しっかりしろ!ロニー坊や!!」

「大丈夫かロン!・・君は・・」

「お兄ちゃん!!」

 

伸びたカエルの如く潰れた俺の側に兄妹皆が駆けつけてくれる。

天使背負って後ろに倒れたら大惨事なのでみっともない格好になったが、ブロンドの天使助けられたしまあいいか。

ちなみに父さんはやばい奴を取り押さえている。その顔は髪の色よりも赤黒なってる、子供の俺を襲った奴に激怒してくれて言うマジかっけえ。

 

「君・・大丈夫・・」

「おう、少ししたら回復する。お前は怪我してねえか?」

「うん、君のお陰で。・・僕の名はマルフォイ、ドラコ・マルフォイ。助けてくれてありがとう・・本当に・・ありがとう・・」

「ああ泣くなよ、父さんがあいつやつけたからもう大丈夫だ。へたばった格好で悪いけど俺は

ロナルド・ウィーズリー、家族や親しい奴はロンて呼んでる。

悪いけど起こしてくれないかパース。」

「ごめん!そっと・・少し座ってろ!!」

「お兄ちゃん!!」

「こらジニー、疲れてるロンに・・」

「いいよフレッド、おいでジニー。」

「・・お兄ちゃん・・」

 

悪党に俺が追いかけられてみんな心配してくれる、家族の温かさが心地いい。

助けたドラコも何度もありがとうって言ってくれる、どうして原作であんな小悪党になっちまったのか分かんねえ天使っぷりだな。

 

 

子供達が一段落してホッとしつつも、この悪党をどう始末しようか物騒な算段をアーサー・ウィーズリーは心の中でつけていた。

自分は妻はもちろんながら子供たち皆を愛している、それこそ今はたいしたいたずらをしなくなったが悪質ないたずらをしていた頃のジョージ・フレッドの事もだ。

その大切な子供の一人を襲いかけたこいつはアズカバンに送る前にぎったんぎったんにしてやりたい父親心がメラメラだ!

 

「・ど・・して・・」

「・・なんだ・・」

「どうしてその餓鬼を助ける!あんたアーサー・ウィーズリーだろう!!ダンブルドアの

不死鳥の騎士団で何度も見かけたぞ!

光の陣営の者が、何で屑の闇陣営のマルフォイ家の餓鬼を助けるんだ!!」

「成る程、あの子供の方がお前の目的か・・」

「そうだ!あの赤毛の子があんたの子って知らなかったんだ!!俺は死喰い人の奴等に家族を殺されたんだ!!報いに屑のマルフォイ家の餓鬼を殺そうとして何が悪い!!報いを受けろ!呪われたマルフォイの餓鬼が!!!」

-どか!!-

「・・うっせえよ悪党の分際で・・」

 

男が身勝手な言い分を言い始め、名指しでドラコの事を言ったらドラコの体が恐怖でびくついた。

おまけに周りの遠巻きに見ているだけのの目つきが、男には同情的で被害者であるはずのドラコに嫌な目つきをし始めて益々ドラコが怯えていく。

ふざけんな!確かにこいつの親父は悪党仲間かもしんねえが、だからといってこんな小さな子供になんの非があるってんだ!こいつも先の戦いの犠牲者なのは分かる、家族を襲われたら俺も即やった相手を見つけてぶっ殺す。

それでもこれは許していいもんじゃねえ!!

 

「おいおっさん、とりあえずドラコに謝れ。」

男の身勝手な言い分止めるために肩口蹴飛ばして黙らせた

「いいか、あんたのやった事は最低だ。家族殺されたら俺だって許さねえ、やった奴は地獄の底まで追いかける。

けどな、何の抵抗もできねえ小さな子供狙ってんじゃね!!もしもあいつの父親が犯人だってんならそいつに堂々とやりゃいいだろう!なのに子供に復讐するなんてお門違いもいいとこだ!!

報いだなんだ偉そう言っても結局あんたは大人にできねえから弱い奴を狙ったんだろう。

第一あんたの家族を殺したのがあいつの父親だって証拠あんのか、あったら裁判所でもマスコミにでも訴えろ!弱い奴狙った時点であんたは闇陣営ってやつらと変わらねえ悪党になっちまったんだよ。」

 

 

見るからに子供の筈のロンの言い分に、周りの野次馬どころか父親も凍り付く。

言っている時のロンは初めは怒って顔を真っ赤にしていたまでは子供の正義感だと見ていたが、後半からは徐々に冷たくなり罪を断罪する判事の如くで、犯人の男の顔も蒼白になっている。

 

 

まったくもって馬鹿な男だ。

「大丈夫だドラコ、俺が守ってやる。」

馬鹿な男と周りの奴等のせいで怯えて泣いたドラコの方を振り向いて宣言してやる。

親がどうでも今のドラコは天使だ、全力で守ってやる。




超男前の兄貴肌のロンでした、この兄貴分に周りは少しずつ変化していきます。


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家族よりも大切なものはない

ルシウス・マルフォイの登場です。



あの後俺とドラコはすぐに友達になった。親友と言ってもいいだろう。

そんで何故かドラコの家族とも仲良くなれた・・何でだ?

 

遡ったダイアゴン横丁

 

男は父さんに任せて俺は只今天使達に癒されてる。

 

守るぞ宣言したらドラコが喜んで、おずおずと俺の服を掴んで泣いた顔がはにかんだ顔を向けてくれたら、ジニーがヤキモチ焼いた

「私のお兄ちゃんだよ。」

可愛い事言ってしがみついてくれてる。

「あのなジニーいつも言ってるだろ、お前の事も家族の事も俺が守るって。こいつはその中に入った、皆と同じ大切な奴だ仲良くしろよ。」

「うん・・分かった。私ジニー。」

「僕は・・ドラコ・マルフォイ‥ドラコでいい。」

「ドラコ・・よろしくね。」

「よろしくジニー。」

 

ああ~天使同士が挨拶交わして超可愛い!!俺もう何でもしちゃる!!

 

ジニーは4歳にして自他ともに認めるブラコンと化している。

時折両親や他の兄達の言う事を聞かなくてもロンの言う事にはすべて従う。

「いいかジニー、お前は俺の天使だ。何があっても俺が守ってやる。」

超が付くほど優しくて、でも時折怒られる。

「悪い事は悪いんだ、お前の事が大好きでも悪さをすれば俺は怒る。」

反対にモリ―母さんのお手伝いをすれば、母さん以上に褒めてくれるお兄ちゃん。

そんなお兄ちゃんを渡さないと言ったら怒られた、お兄ちゃんには怒られたくない。

それにこの男の子は自分と同じ位に小さいし泣いている。いじめちゃいけない、仲良くなろう。

 

 

上三人の兄たちもロンの非常識なほどの怖さに慣れているので、いつも通りにまたロンが凄い事したくらいにしか思っていないのでジニーの次に挨拶を交わす。

パーシーもマルフォイ家の事はもう耳に入っているが、ロンの言う通りドラコが悪いわけではないと子供らしい柔軟な考えで受け入れた。

 

「ドラコ!そこにいたのか!!」

「ああドラコ!ようやく見つけましたわ!!!」

なんかすんごく身なりの良い美男美女のご夫婦がこっちに爆走してくる。

顔がいいだけにすんごい形相が際立って周りがモーゼの魔法みたいに割れていく、あれがドラコの両親か。

顔は母親で髪は父親似か、ドラコ将来美人さんだな。

ドラコの将来にほくほくしてたら親父さんたちが目の前に来た。

 

「ドラコ!何があった、無事か!!」

「けがはしていない⁉」

ドラコを心配して手を伸ばしてきたけど「ちょっと待ってもらおうか。」

二人から距離取って、両親の元に行こうとしたドラコを背に庇う。

「・・君は?悪いが息子を渡してもらえないかね。」

 

うわ綺麗な顔が起こると迫力あるな、でもこっちもめんちぎりで負けてらんねんだわ。

「こいつ今そこに倒れてる男に襲われたばっかでな。」

「・・ふむ、君たちに-お礼-をせねば息子は渡さんというのかね、ウィーズリーの子供。」

何かお礼のくだりは悪意か侮蔑込めて言ってきやがった。父さん見て言ったって事は、大家族のアーサー・ウィーズリー一家と分かって、金でもたかるのかと言ってきたのかこのおっさん。

 

「全くもって見当違いだよMr.あんた等がそこの男の仲間で、ドラコの両親に化けてるんじゃないのかを疑ってんだよ。」

何せ魔法界には他人に変化できるポリジュリース薬だとかあったし、他にも変化呪文があるのかもしれね。

「俺があんた達にドラコをホイホイ渡して、次の日にこいつの死体に泣きつくのは御免だからな。

こいつの為にも用心させてもらうぞ。」

「・・君は・・一体・・」

「たんに天使を守りたいお節介。俺の事よりもドラコの両親だっていう証明をしてくれ、でないといつまでたっても渡せねえ。」

「何を以てして証明しろと?君は私の事もドラコの事も何も知らないだろう。君に証明のしようがない。」

「・・そうだな、貴方はさっきちらりと父を見た。もしかしたらホグワーツで学年が近かったかもしれない。

父さんルシウス・マルフォイさんの事は?」

「・・知っている・・まあそれなりに。」

「だったら学校時代で二人にしか分からない事何かない?」

 

暴漢はようやく来た魔法省の刑事みたいな奴に引っ立てられて行って、父さんがこっちに来たので尋ねてみた。

 

 

確かにロンの言う通りだとアーサー・ウィーズリーもロンの言い分に納得をした。

かつて闇の陣営の者達がロンの言っていた手口を散々使っていたので近しい者達は合言葉で常に確認をい合っていたからだ。

ロンのこの用心深さがどうして培われたのかは後で追及するとして、ドラコを両親のもとに返すべく確認をする。

「久しぶりだな、ルシウス・マルフォイ。」

「ああ、息子の事は感謝しよう。アーサー・ウィーズリー。」

 

二人はバチバチに睨み合う。両陣営の事もさることながら、この二人は学校時代から仲が悪い。

グリフィンドールとスリザリンに分かれていたこともあるが、「私が初対面の君を激怒させた理由は?」

アーサーがしてしまった事が決定的な理由で、その事を質問することにした。

「・・私を女性と間違えた事だ・・」

ルシウスは当時の屈辱を思い出し、苦虫を嚙み潰したような顔をして答える。

 

そう、これこが二人が犬猿の仲になった理由。

アーサーはルシウスを一目見て初恋に落ちてしまった。当時からルシウスはプラチナブロンドを長く伸ばし、リボンで品よく後ろで結わえていた様は妖精の如くで。

そして男と知らないまま女性にするような言葉をかけて「私は男だ、間違えるなんて不愉快だ。その目は節穴か。」

冷たく思いっきり撥ね退けられた。

初恋は無残にぎったんぎったんに砕け散り、ルシウスも間違われて嫌いになった上に寮も

グリフィンドールとスリザリンとあっては二人の間の結末は想像に難くない。

 

「ロン、間違いなくルシウス・マルフォイその人だ。隣は奥方のナルシッサ・マルフォイで間違いないだろう。

ドラコ君を渡しなさい。」

・・マジか、父さんこのナイスガイを女の子と間違えたのか、そりゃ嫌われるわな。

「失礼しましたMr.マルフォイ、Mrs.マルフォイ。息子さんをお返しします。

悪かったなドラコ。」

「ううん・・僕を守ろうとしてくれたんだろ?」

「・・お前マジ可愛い、ほら早く行ってやれよ。」

「うん!父上!母上!!」

「ドラコ!」

「御免なさい、私が手を放してしまったばっかりに。」

そうか、ドラコも親とはぐれてそこを狙われたか。

 

二人はドラコを抱きしめながら一家にきちんとお礼を述べた。あのマルフォイ家の当主がウィーズリー家に帽子をとってお辞儀をして。

「家族を守ってくれて感謝する。」

短い言葉であってもだ。

闇陣営として名高く、それが無くてもブラック家が没落をした後の純潔の一族で今はトップに入っているマルフォイ家の当主が、最大の謝辞を現したのだから周りは暴漢騒動以上のどよめきが奔るのは当たり前である。

妻のナルシッサと息子のドラコもルシウスにならった。

 

「良かったなドラコ、もう親とはぐれんなよドラコ。」

「気をつけて帰りなよ。」

「またな。」

「またねドラコ。」

子供達はそんなことお構いなしに仲良くきゃいきゃいとしている。

(ふむ、これは使わせてもらおう。)

 

「アーサー・ウィーズリー、良ければお礼として貴殿のご家族を我が家にご招待したいのだろうがよろしいか?」

ルシウスはこの状況を利用する算段を素早くつけた。

確かに以前は闇陣営に与したが、過剰な純血主義を信望していた父や旗頭のヴォルデモートもいなくなって久しい。

家族を守る為にも光の陣営で有名なダンブルドアの子飼いともいわれたアーサー・ウィーズリーとの仲を良くしておいても損はない。

こうしておけば闇陣営が報復を強化してきても、世間の手前あの狸爺のアルバス・ダンブルドアも何かしらの手を貸そうとしてくれるだろうとも算段する。

 

それにアーサー・ウィーズリーは初対面で嫌いだが、ロンと呼ばれている息子を守ってくれた子供は素直に好感が持てる。

渡さないと言った時のこの子供の瞳は真剣だった、ドラコを守らんとして。

 

妻のナルシッサを愛してる、息子のドラコも同じくらいに。

今の自分に家族以上に守りたいものは何もない、マルフォイ家は完全に闇陣営と手を切ろう。

家族を失うその前に。

 

「・・分かった、モリ―と相談をしてみる。」

アーサーもルシウスの家族を思う気持ちを感じ取り拒絶をせずに受け取る。

子供達の為に、よりよい世界を作りたい。ドラコと仲良くしている我が子等を見て、アーサーも過去を水に流すことにして、マルフォイ家がやりなおせる機会を作った瞬間だった。

 

大人のやり取り分からんが、十日後ドラコの家に上の兄はホグワーツに行って不在なので

行けなかったが、モリ―母さんも入れてお呼ばれされた。

すんげえ家だったけどまあいいや、ドラコとジニーが仲良くおしゃべりしている以外はたいしたことない。

家族っていいもんだ、皆で仲良く楽しくやろう。

 

 

 

後日談

「ロン、ちょっといいか?」

「なに父さん。」

「お前はどうしてあの時ご両親が偽物かどうか疑ったんだ?」

「あああれ、よくジョージ・フレッドが母さんにいたずらしてるからだよ。」

あの二人の場合はジョージなのにフレッドの振りをしているとか、その反対の事をよくして

遊んでる。

「そうか、それでか。」

「うん。あ、ドラコに土産考えないと。」

「そうだな仲良くしなさい。」

「無論だよ父さん。」




こうしてマルフォイ家は完全に闇陣営とヴォルデモートと決別をしました。
両陣営から恨まれてるマルフォイですので、ルシウスさんは莫大な財力と人脈で家族を守ろうと奮闘します。


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・・あれ?

原作崩壊の回です。
よろしくお願いします。


俺は8歳になった。

 

大きめのふっかっふっかの大きなソファーの横に生けるプラチナブロンドの天使のドラコが優雅に紅茶を飲んでいる。窓からの日の光も相まって後光がさしてる。

俺の方はマグルの飲み物コカ・コーラ。

 

ここって俺ん家じゃなくてマルフォイ邸なんだけどコーラなんて出していいのか?

確か俺の目の前で息子と同じように紅茶飲んでるイケメンパパ・ルシウスさんてバリバリのマグル嫌いじゃなかったっけ。

 

この一家とお付き合いを始めて早五年、当初は親同士は当たらず触らずの仲が子供の俺達の仲の良さから今はまあそこそこになってる。

それも何でかルシウスさんは俺個人がえらく気に入ってくれたのかドラコと同じ位の魔法使いとしての教育をしてくれる。

俺ん家も魔法使い一家だけどマルフォイ家の知識力半端ねえ、目から鱗もんだわ。

しかも純血の一族とマグルとの関わり方の考え方も教えてくれた。

きっかけは7歳の時の俺の疑問。

 

「マルフォイ家ってマグルが大嫌いじゃないのか?」

父さんがそう言っていたけど、マルフォイ邸のそれも本当のプライベートの家に呼ばれてお邪魔している時が付いたことがあるからだ。

まずはルシウスさんの筆記用具が魔法界の定番の羽ペンじゃなくて万年筆、それも普通のじゃない摺りガラス製の綺麗な代物。

キャップのふちが金細工、藤の花が全体に施されているのはもしかして日本製か!

 

他にも日刊予言新聞以外の新聞のロンドンタイムズだったかな、他にも数社のマグル世界のニュースが載った新聞があった。

これを見たら俺の疑問は当然だろう。

かつての闇の陣営のトップ・ヴォルデモートを信望していた人物がマグルに関心があるっておかしくね?

 

「私はマグルが嫌いじゃない、どうでもいいとは思ってるがね。」

「・・どうでもいい?」

マルフォイ家の次代のドラコが隣にいてそれ言っていいのか?マグル排除の考えを植え付ける気ないのか。ま、あっても俺がそんなバカげた考えで天使の清らかな心を汚させるのは絶対阻止すっからいいけど、でも

「どうでもいいってのはどういう意味だ?」

「言葉の通りだ、いいかねロン君魔法族の存続にはマグルとマグル生まれの魔法使いは必須だ。今いるだけの魔法族だけで閉じこもっていてはいつかは滅びる。」

「・・なんで?」

「単純な話で血が濃くなりすぎては結婚が出来なくなる。」

「えっと・・それって兄妹が結婚できないみたいな?」

「その通り、血の近過ぎるものが子を作ると奇形になりやすく下手をしたら産めなくなる。」

「それって駄目じゃないか・・その考えって・・」

「君は本当に聡い、この考えは聖28一族の半数以上が持たざる考えだ。」

「・・マジかい・・もしかしなくとも闇の陣営の奴等も・・」

「その考えはない、少しでも知っていれば純血の魔法使い以外を魔法界から排除しようとは言わないだろう。」

 

ちょっと整理してみよう、つまり魔法界にとっては新しい血を入れてくるマグル生まれや

片親がマグルの半純血ってやつが必要不可欠。

「なら何でルシウスさんはマグルを嫌ってるって・・」

「何度も言うがマグル自体が嫌いなんじゃない、彼らは今の古い魔法使いの一族よりも数が多い。

その数にものを言わせて-我々-が営々と守り継いできた伝統や古いしきたりの意味と所以を知ろうともせずに土足で踏みにじりながら平然と-新しい事柄を拒む古いカビの生えた者達だ-と振る舞う厚顔無恥どもが死ぬほど嫌いなだけだ。

付け加えるならばそんな者達の肩を持って正義を声高に叫ぶ伝統を捨てた馬鹿な魔法族もしかりだ。」

それってどう聞いても俺の家じゃね?

「・・ドラコはルシウスさんから・・」

「うん?もうとっくに教わってるよ。」

マジかい、天使の彼は幼いころから英才教育を受けてんのかい。

ええっとつまりルシウスさんの考えってのは、古い本当に伝統と格式を守ってきた純貴族は成金達はいてもらってもいいけど度を超えた馬鹿が嫌いって事か。

「ルシウスさんの考え方ってすんごく納得いく。」

「おや・・アーサーの子には少々毒性のある話だと思ったが?」

「いんや、俺だって隣に引っ越してきた奴がいきなり人の家の仕来たりや約束事や大切な家訓をああこう言ってきて馬鹿にしてきたら即座にぶっ飛ばす。」

「・・君は・・なんと言うか・・君の父というよりは本家のウィーズリー家のもののようだ。」

「・・それってうちの父さん馬鹿にしてんの?」

「あっ!いや・・すまない・・ロン君、君さえよければこういった話をドラコと勉強しないかね?

この子は一人っ子で君の家の様な兄妹がいない。ドラコの張り合いにもなるしどうだろう?」

 

どうすっかな、あわよくば俺を子飼いにするとか目論んでんのか。

まあいいや、それは俺が気を付ければいいだけの話で、ドラコと居れる時間が増えて万々歳だ。 

二つ返事ではないけど都合がついたらという話で手打ちになった。

 

 

 

あの子供、ロナルド・ウィーズリーは本当にアーサーの子供らしくない。

あの子供の考え方はウィーズリー本家の考え方に近い。

アーサーは本家の次男だが、長男がマグル生まれの魔法使いの女性と結婚をして当主の勘気に触れてお鉢はアーサーに行くと思われていた。

ところがどっこいそのアーサー自身は親・マグルを謳いだし、当主の父親は長男の時よりも激怒をしてアーサーは有無を言わさず勘当されて、結局長男が跡を継ぐ事を許された。

長男も本当は父親が嫌いで勘当でもいいと考えていたが、伝統ある家を自分の思い一つで潰すのは忍びないと継いでいる。

 

確か現当主とアーサーは未だに疎遠の筈だ、老いたとはいえ前当主が存命の内は会えないというのがウィーズリー家の内幕を知っている者達の一致した意見だ。

ではあのロナルド・ウィーズリーの考え方はどこから来たのか、アーサー・ウィーズリーでは

断じてない。

 

アーサー・ウィーズリーは親・マグルを謳いながらも無意識にマグルたちを低く見てマグルたちの本当のところを碌に見てはおらず―保護が必要な者達-と勝手に思っている。

マグルたちの科学技術や洗練されていく日常の物品をきちんと理解せずにだ。

だがあの子供ならば理解しよう、真の純血主義の意味と意義とマグル達の本当の姿を。そのようなものが息子の側にいてくれるのは何かと好都合だ。

息子の側には最良の者がふさわしい。私自ら磨きをかけてやろう、磨きがいのあるあの子供を。

 

 

 

 

 

そんなこんなで家族を大切にしつつ時折英才教育のおこぼれを受けるようになった。

今日はルシウスさんと-子供の家-がいつ開設するかの話を聞かせてもらってる。

名前からしたら孤児院ぽいだろうけど全然違う。

-魔法族の家の未就学児は誰でも遊びに行ける児童館-って感じだ。

きっかけはこれまたおれのひとこと。

 

「家族やドラコといるのは楽しいけどもっと多くの同い年の子達と遊びたい。」だ

 

魔法族の家同士って子供たちが気軽に集まって遊べる場が本当に無えんだは。

純血貴族達や、裕福同士のパーティーや夜会とか洒落たもんに縁のない家ってのは遊び相手が限られすぎだろ。

俺の前の人生は家族はいなくて、施設では他の奴らとは合わずに嫌われてたが、公園に行けば名前は知らなくともすぐに遊ぶ仲間が出来たもんだ。相手の親が俺を施設の子と知ると大半は遊び仲間連れてっちまったけどそこは別にいい、いいったらいい。

俺が言いたいのは-公園-が無いと言いたかったわけだ。

「ふむ、大勢の家の子か・・」

勉強が終わった後に言った俺の一言にルシウスさんは真剣な顔をしはじめた、マジかい。

 

言っちゃなんだが中身ともかく見た目は金を稼いだことも無い世間知らずそうなこんなガキの言う事を真に受けて真剣に考えてるって、ルシウスさんて器がでかいのかちと変わり者かどっちだろ。

 

そのどちらでもなく、ルシウスはロンの-大勢の魔法使いの子供達-の方に反応を示した。

大人の社交場はいくらでもあるが、子供は確かに限られており特権階級の者達で占められている。

-光の陣営-の子供や、どちらにも属さなかった一般魔法族の子供達が-ルシウス・マルフォイ―によって作られた場で安全かつ穏やかに楽しく過ごせればマルフォイ家への悪しきイメージは大幅に払拭をされよう。

 

ウィーズリー家と長く付き合っていてもダブルスパイの嫌疑をかけられ、時折家宅捜索をされるのにはうんざりとする。

自分は本当に闇陣営とは手を切った‥とは言えないが。

今でも家の利益の為に水面下で付き合っているノット家やクラッブ・ゴイル家や他にもこまごまとあるのは否定しない。

本当に不味い物は海外の別荘に隠しているのもまた然り、旧家には人前には決して出せない闇やそれに相当する物があるのは当然だ。

なのに魔法界にとっての新参者が多い魔法省はその辺が全く分かっていない馬鹿者揃いで出来ているから大目に見よう。

無知蒙昧の輩に本気で腹を立てるのは大人げなく品性が落ちる。

 

だがその魔法省の鼻を明かしてやるのは面白かろう。ロナルド・ウィーズリーのアイデアではあるが作って見せよう、子供達の夢の遊び場所を。

最初は相手にはせずに世間へのご機嫌取りだというだろうが、作り手の中に―ウィーズリー家-の者が入っている事も大々的に披露すれば様々ない意味で宣伝となる。

アーサー・ウィーズリーでは無いが、光の陣営のウィーズリー家の者が関わってるとなれば狸爺ことアルバス・ダンブルドアも唖然としよう、闇陣営のルシウス・マルフォイと共同者になるのだから。

あの正義面をした老害が驚くさまを思い浮かべるだけでも溜飲が下がる、その上で我が家に理が出ることは試す。将来ドラコが悪しざまに言われずに過ごせる将来の為に。

「ドラコの悪口言った奴ぶっ飛ばす!!」

不意にロンがドラコを悪しざまに言った者に火が吹くがごとく怒った様が浮び可笑しくも頼もしくも思ってしまった。

あの少年は本当に役に立つ、我が家とドラコの双方にとって。

 

かくして少年の純粋な願いと大人の汚れた考えがどうしてか合致をしてあり得ない化学変化を起こして-子供の家-建設着手となった。

 

 

「風船が沢山あったらいいな・・あ!魔法で風船の柔らかさはそのままで、割れない奴ってできる⁉」

「おままごとやお人形さん遊びしたいな。」

「僕としては本も置くべきだと考えます。幼児の児童書から、少し大人びたもの本です。

魔法族の物だけではなくマグルの児童書もどうですか?父がくれたアンデルセンのは・・」

「外遊びもしたい!鬼ごっこやおもちゃの箒で思いっきり!!」

「ゴブストーンも!」

「父上、チェスなどのテーブルゲームもいかがですか?」

「俺は畑が欲しい。」

 

「「「「「はあ⁉」」」」」

 

「花壇じゃないの?」

「違うぞジニー、それも作ってもらえればいいけど畑欲しい。」

「・・なんで畑?」

「いい質問だドラコ!いいか、自分達で野菜を作って収穫をして自分達で調理をして食べる!!これぞ教育だ!!!

慣れないながらも遊びに来た奴等全員で協力をして美味しいもんが食えたら知らない奴ら同士でもぜってえ仲良くなれるって。

ほらよくあるだろう、仲の悪い奴等がスポーツで勝利を一緒に目指すうちに親友となり一生涯の友になるってやつ!!あれを目指すんだよ!!!」

 

・・・この子供の発想はどこかぶっ飛んでいる。

遊び場づくりの参考としてウィーズリー家の子供達をご招待をして意見を聞いた見れば、

例によって例の如くロンが真面目に熱い意見を言ってきた。

趣旨は分からんでもないが、子供が畑仕事で友情はぐくむとは聞いたことがない。

良いとこクィディッチが出るものではないのかとルシウスは少し疑問に思ったが、そこはルシウス・マルフォイである。

彼も周囲者から見れば相当マイペースな道徳の思考を持ったものと評価を本人の知らない所で付けている。

つまるところロンとルシウスは変わり者同士で似ているのだ、現にウィーズリー家の意見と息子の意見は全て取り入れることにした-畑-も含めてだ。

 

 

着手から一年後、-子供の家-は完成をした。当初は遊ぶ子はウィーズリー家の子とドラコとクラッブ・ゴイル家の子供達のみだったが。

しかし子供達はさして気にしない、広い遊び場を独占しているのと、

「こんにちはおばあちゃん、おじいちゃん!」

「おおロン君、ドラコ君達も元気だね~」

「おばあちゃん、一緒におままごとしましょう。」

「はいはいジニーちゃん、今度本当のお料理を教えてあげようかね~」

常に子供の家にいるおじいちゃん、おばあちゃん達の交流も楽しみだったりする。

これもロンの前世のアイデアで、「家で退屈しているじいちゃんばあちゃんも来れるようにできない?共働きで忙しくて子供の面倒見る親がこれな子がいてもしっかりとした保護者役がいれば来やすくなる気がする。」シルバー人材センターの発想で言ったみた。

 

 

確かに仕事や現場を引退しても矍鑠とした魔法使いや魔女は結構いたりする。

そういう者達を小遣い稼ぎ程度で雇えばこれまたマルフォイ家の株が上がるかと算段したルシウスはいっそのこととそれはアーサーにそっち方面担当してもらうことにした。

全面的にマルフォイ家とウィーズリー家の共同だと宣伝するために。

「私はそういった事が苦手だ!」

「ご子息が出した折角の良きアイデアをつぶす気かアーサー・ウィーズリー。」

「しかし・・」

「言いたくはないがこの家の子供達は両家の祖父母には恵まれているとはいえなかろう、折角の先達との交流の縁の機会を切るか?」

「・・それは・・」

そこを突かれるとアーサーとしても痛い。モリ―の両親はわりに早く亡くなっており、自分の両親は生きてはいるが会える確率はゼロだ・・

「・・お前がすればいいだろうルシウス・マルフォイ。」

「それは本気で言っているのかね?」

「・・無理か・・」

ルシウス・マルフォイがしっかりした人材の面接をしようものならば、面接を受けた者達は今まで知られなかった闇の陣営の者で、ルシウスの庇護を受けたとの悪意ある思いの的になる公算が高い。

子供達の折角の場が下らない大人たちの誤解によって壊されてはたまらない。

アーサー・ウィーズリーは子供達の為に泣く泣く受けた。

なんだかんだと言っても浅くとは言え、長い間付き合ってきたマルフォイ家に情が湧いたことも手伝って。 

 

 

子供の家が出来て一年、俺9歳

 

初めの頃はがらんとしてた家が今やガキの笑い声で溢れてる。

兄貴三人はホグワーツでいないがジニー・ドラコ、ビンセント・グレゴリーそれにセオドールとネビルがいるから楽しいから気にならん!

遊び方見てるとそいつの中身が分かんのな。

ビンセント・グレゴリーは肉体系の遊びで脳筋族だ。ドラコとセオドールはチェスして知性派か・・セオドールはいざとなった実力行使も辞さないやばい光が時折瞳をよぎってる。

 

俺と同じでドラコべったり、詳しくは知らんがセオドールの家も聖・・何とかの一族の子で父親がドラコの親父さんと一緒でやもめの父子家庭だそうだ。

ドラコ取り合って本気の喧嘩でぶつかり合って引き分けた後本人がポツポツと話してくれた事だ。闇の時代は良かったと繰り言しか言わない親父が嫌いで、マルフォイ家に媚びるさまも嫌いで、でもいろんな意味で綺麗なドラコは大好きだと、大切なセオドールの心の中身を教えてくれて、以来俺はセオドールを親友の一人だと思っている。

向こうはあれ以来取り澄ましてよく分からんが、それでも俺がセオと呼んでも返事してくれるからまんざらでもないんだろう。

 

んでネビルだが、「ロン見て、パンジーの芽が出たよ。」

ほっこりと笑って鉢植えにちょっこりと出てる芽を見せてくれる。

少々ぽっちゃりとした、このテディベアみたいなネビルが俺は大好きだ!!もう何この可愛さ!!!

最初こいつのばあちゃんと来た時はオドオドしていた様は小動物の如くで「可愛い!!」とつい絶叫して怯えさせちまった。

以来俺はネビルと接するときはなるたけ優しくそっと話しかけるのを心掛けて半月掛けて仲良くなれた内気な俺にとっての-三人目の天使-だ。

ネビルは何をするにもゆっくりとしているスローペース型だ。

それをからかったり馬鹿にするやつがいるが俺はいつもこう返すことにしてる。

「ネビルにはネビルの動く時間がある。それを分からずに何もできない奴っていうのは節穴の目の持ち主だな。」。

本当はぎったんぎったんにしてやりたいけどネビルの前で喧嘩騒動は起こしたくない、ネビルを怖がらせちまう。

ネビルの良さは俺の周りの奴等はみんな知ってる、誰も馬鹿にしておらずネビルの事を大事にしているしそれで良しとしよう。

ホグワーツに行く前に親友・友人がたくさんできて満足してたある日、俺にとっての異変が起きた。

 

何時ものように母さんからサンドイッチと水筒を貰ってジニーと子供の家に煙突移動をした。

そこには早めに来ているじいちゃん・ばあちゃんいて・・ルシウスさんと・・イケメン黒髪の一目でこいつ貴族でだろうと分かる長身の男がいた。

顔はいいが酷く痩せてる、そのくせ目には力強い光がともってる。こいつどんだけの修羅場くっぐってきたんだと元・喧嘩三昧の俺にはピンとくるもんがある奴にあったのは初めてだ。

向こうも俺に何かを感じたのかまじまじとと真剣に探るような目で見始めた。

品定めをされるってのは不愉快だ、癪に障る!

「おはようございますルシウスさん。」

天使ジニーがきちんとルシウスさんに挨拶をしたので場が破れて男は視線を下に向けてそらした。

「おはようございます、ルシウスさん。」

俺もきちんと挨拶しなきゃだ。

 

「坊主、名前は?」

「・・は?」

「はじゃねえ、名前だよ名前!なんだとろくさい奴・・」

「うっせえぞおじさん・・」

・・とろくさいだ?人に名乗りもしないで挨拶もしない奴が・・

「・・んだとこの!!」

「人に名前聞きたきゃ手前から名乗るのが筋ってもんだろ!!手前が一番の礼儀知らずしといてとろくさいだ⁉まともに挨拶もできねえような奴に!父さん・母さんが大事に付けてくれた名前教えてやる謂れはねえ!!分かった礼儀知らずのおじん!!!」

 

近頃怒らなかったお兄ちゃんが怒った!このおじさん悪い奴だ!!

 

兄をトロイと言った男に自分が怒る前に兄自身の怒声を久々に聞いたジニーはそう判断を下した。

近頃の兄は他の子供達の面倒を何くれとなく見て、そんな兄を一緒に手伝って褒めてもらう事は多々あったが、ここまでの怒りを見たの本当に数年ぶりだった。

 

「・・・・っすまねえ・・・」

「・・・」

「久しぶりの-外-で本当に礼儀忘れてた・・」

「・・それで?」

「悪かった坊主、もっぺんやり直させてくれるか?」

何だこのおっさん、根っからの礼儀知らずじゃねえようだし「いいぞ。」許可してやる。

「すまない・・」

 

黒髪の男は少年の言った事を加味して落ち着いて考えてみれば、少年の言った通り礼儀知らずだ。

子供のころ、自分だって偉そうな大人たちが嫌いで、そんな大人達の嫌った-グリフィンドール-入ったのに、苛ついていたとはいえ-嫌いな大人-をした自分を消し去りたくてやり直しを求めればすんなり許してくれた少年に敬意を表するために、右手を胸に当てて一礼を少年にした。

-家-を飛び出してからは一度もしなかった・・それこそ尊敬しているアルバス・ダンブルドアにもしなかった最高の礼を。

この少年はそれに値するはずだと信じて。

 

「俺の名はブラック、シリウス・ブラックだ。君の名を教えてはくれまいか少年。」

 

 

 

・・あれ?・・シリウスブラックってこの時期はアズカバンにぶち込まれてるはずのハリー・ポッターの名付け親かい⁉

 

「俺はロナルド・ウィーズリー、家族と親しい奴はロンって呼ばれてる。」

「では俺も君の事をロンと呼んでいいか?」

「構いませんミス・・」

「シリウスだ。」

「・・・は?」

「君は俺の事をシリウスと呼んでくれ、さんもつけるな。喋り方も先程の威勢のいい方が素だろう。そっちにしてくれた方が俺は嬉しいぞロン。」

 

 

・・なんかやたらとフレンドリー、でもって色々と面倒くさい奴きたー!!

何がどうしてこうなった!!!誰か説明してくれコンチクショウ!!!!!

原作崩壊じゃねえかよ!!!!!!!!




何がどうしてこうなったかと言えば全てはやはりぶっ飛んだ考えをうっかりとルシウスさんの前で言ってしまったロンのせいです。
次回は真相解明のお時間です。


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王族の帰還

某指輪物語風の題名ですがよろしくお願いします。



ロナルド・ウィーズリーはシリウス・ブラックと出会って思考回路がぶっ飛んだ。

原作では現時点でアズカバンにぶち込まれている男が目の前にいたらそれは当然の考えで、それを面に出さなかったロンは偉いと褒められてもい程原作と違い過ぎる。

 

邪神野郎の差し金か?この世界引っ掻き回して俺を困らせて愉しむ類か?

それとも世間様の誰かがシリウスの無実を訴えて通ったのか・・ありえね~マジ何でだ。

 

ロンの考えはどちらも外れている。この現象の理由ははた迷惑な邪神でも、シリウス無罪の訴えでもなく、全てはロナルド・ウィーズリー自身の仕業であったりする。

だからと言って彼に全く非はなく、子供の家創設の時と同じく思った事をポツリとルシウス・マルフォイに言ったのが原因で、その内容というのが子供の家のきっかけよりもぶっ飛んでいた。

 

   「何でマグルには忘却呪文平気で使うのに魔法族には使わないんだ?」

 

「・・ロン君・・何を言ってるのかね?」

「いやさ、魔法族がマグルの前で魔法使った場合って使った奴は、魔法省の役人に捕まるんでしょう。」

「その通りだ。」

「そんで目撃したマグルの記憶は消すんでしょう。」

「それも合っているがつまり君は何が言いたいのかね?」

 

ドラコと一緒にルシウスによる魔法界の仕組みを教わっている時のロンの発言だった。

内容が少々複雑で三日に分けて教えていた最終日に、ロンがへんてこな疑問をルシウスに投げかけてルシウスは困惑をするしかない。

ちなみに一緒に勉強しているドラコは、ロンが何か面白い事を言ってくれるのかと完全に見物モードで観戦している。父親を助ける気は皆無だ。

 

「ええと・・何が言いたいかっていうと、忘却呪文使って今アズカバンにとっ捕まってる囚人に対して使えないかな~って。」

「・・何だと・・」

「ああ~分かった、魔法族は基本マグルには厳しく同族には甘いんだな。」

ルシウスさんの反応で分かった、忘却呪文をマグルで使っても魔法族にあまり使われない理由が。

「いやな、何も問答無用で使えって言ってるんじゃなくてさ、魔法界には真実薬って便利道具があるんだよね。」

「・・確かにある。」

「その薬の効能で白状した事って証拠になる?」

「・・余程の大悪事で証拠がないときやむなく使う。」

「そこが甘いと思うんだよ、犯罪者全員に使わなくてもせめてヴォルデモートに与したってやつらに使って、完全黒で更生の余地なしの奴等だったら記憶消して再教育した方が世間様の役に立つんじゃねかな。」

「君は・・一体何を言っているのか分かっているのかね・・」

 

何時もロンの話を面白く、時には有益だと聞いているルシウスの背筋に冷たいものが走った。

ロンの言っている事は魔法族の常識の範疇を逸脱し過ぎている。マグルに忘却呪文を使うのは魔法族の秘密保持の為と、ひいては魔法界をマグルから守る為だ。

それは中世ヨーロッパの魔女狩りから端を発し、マグルの理不尽な嫉妬・悪意・害意から魔法界を守る為に連綿と続けられている。

それは魔法法律評議会の法律に定められ、魔法省には専用の部署がある公的な決め事だ。

対して魔法族が同族に使った場合は問答無用で犯罪者となりアズカバンに送られる重罪である。

許されざる呪文ほどでなくとも重犯罪と定められている。

それを使って犯罪者の更生をしようなぞと考えたものは誰もいない!それこそ正義面したあのアルバス・ダンブルドアとても考えつかないと断言できるほどの事を、目の前の子供は口にしている。

魔法族が同族の記憶を消すという、闇の考えに類することをだ。

 

しかしだ、この考えはきちんと考える価値はある!

「すまないが-今の私-では答えかねる。」

「そっか、変な事聞いて悪かったです。勉強の続きお願いします。」

 

ロンにとっては新しく習っている勉強の中で発生したことの一つに過ぎないが、ルシウスにとっては今後のマルフォイ家を守る重要案件と化した。

 

ルシウスは常に怯えている。ヴォルデモートが完全に滅んだとは信じていない。一部の闇の信望者たちが彼の復活を信じ待ち望んでいる。自分もあのかつての主が復活をすると考えている。

アルバス・ダンブルドアをもってしても倒せなかった者が、赤ん坊によって倒されたと考えている大勢の魔法使いの認識の甘さには心底呆れ果てた。

-何か-があって弱っているがいつかは戻ってくる方の公算が高い。

だからといって待ち望んではいない、むしろ戻ってくんなだ!

 

だがその何時かをくい止められないのであれば、今できる対策をこれでもかというほどとっていく。

光の陣営のウィーズリー家と付き合っているのもその一つだが、もっと決定的な対策をとりたいと常々考えていたが、またもやロナルド・ウィーズリーの一言から天啓を得た!

あの発想は柔軟な子供にしかできない、やってみる価値はある。

アズカバンが難攻不落で脱走者が今までいないとされてきたが、今後もそうとは限らない。

ヴォルデモートが復活を果たし、闇陣営に陥落をされて戦力強化なぞ考えただけでもぞっとする・・とくにあの-ベラトリックス・レストレンジ-が野放しになぞなったらと考えると洒落にもならない・・なぜ我が愛妻のナルシッサとあの烈女とが血がつながっているのか摩訶不思議だ。

確かに同じブラック家で世間の女性とは一線を画した美しさは両名ともにある。

だが中身が全く違う!ナルシッサは白百合の如く清く嫋やかで、たいしてベラトリックスは毒の花。

学生時代は大輪の赤いバラの如くで気性が強かったが今ほどではなかった。ヴォルデモートを知り心酔をし始めてから毒性を強め、ついには狂信者になった。夫のロドルファスも似た者同士で二人の脱獄なぞ想像もしたくはない!マルフォイ家と妻と息子の敵となるものは芽のうちに潰す!!

 

速やかにルシウスは行動を開始し、その案をいきなり魔法省トップのコーネリウス・ファッジに話をもっていった。

 

危険な者を排除すれば今の地位は脅かされることなく長く居続けられると甘言も弄して。

「私は貴殿を高く評価している。世にはあのダンブルドアをという者がいるが、それは彼の老人のかつての栄光に目が眩んだ愚か者達だ。

今の時代は貴殿の様な柔軟な発想と新しき事をする英断を下せる人物こそがふさわしい。

どうだろうか、共に私と魔法界の為にやっていく気はあるだろうか?」

 

それは蛇の甘言で、魔法大臣になりたてのファッジの心をがっちりと掴んだ。

彼は今でこそ魔法大臣と呼ばれているが、就任前と今もダンブルドアこそがふさわしいとうるさく言われている。自分なぞお呼びではない、彼が就任を断ってそのおこぼれに預かったハイエナとまで言われている事も知っている。

その自分に、聖28一族の現筆頭とも呼んでも過言ではないマルフォイ家の当主が認めてくれている。コーネリウス・ファッジこそが今の時代の魔法大臣にふさわしいと、そして共にとも言ってくれた。

この案を成功させられたとしても公にはできずに自分の手柄には決してならないとは分かっている。反対に知られれば辞職ものだとも、マルフォイ家は闇陣営のトップで裏切り者なのも知っていても囁かれた言葉はとてつもなく甘美でファッジはまんまとからめとられた。

 

そこからは早かった。ファッジは闇の魔法使いを憎み厳罰を下したいと願う-年老いたライオン-こと、ルーファス・スクリムジョールに相談をした。

ルーファスはファッジの案を天才的だと褒め上げてさっそくチーム作りを開始する。

闇払いの中に少数精鋭の秘密を絶対保持できる者を選抜をして。

真実薬を作るのも忘却の呪文を行使する者も、日頃から目を掛けていた子飼いの中から選りすぐりの者達を集めた。

何故ならこれからやろうとしている事は-現法-からすれば犯罪であり、魔法族にとってはタブーとされてきたことをしようとしているのだから無理はない。

あの少々愚直なファッジがよくこんな凄い案を出したなと正直驚いたいたが、そこは知らぬがなんとやらで発案者がルシウスだと聞いた時点でルーファスは話も聞かなかっただろう。

ファッジもその辺りはきちん心得ているので自分が懸命に考えて出した案だと言い続け、スクリムジョールもやってみたいので深くは聞かずに、発案から半年後に実行となった。

 

チームはスクリムジョールを入れた五人のみ。一人は薬作りで残りは聴取と忘却呪文の担当で、細かい規則も作っている。

 

ー、このチームはヴォルデモートの陣営のみに行使力が発生をする

ー、闇の魔法使いとなった経緯を知り、闇に染まった時期から半月前の記憶から消すこと

ー、秘密厳守、背いた時は忘却呪文を掛アズカバン送りとする

ー、無実の者が見つかった場合は徹底して調べる事、もしも隠蔽をした時は上記と同様

 

徹底した秘密主義のチームが誕生をした。行使者第一号はルシウスが怖れていたレストレンジ夫妻。この二人は闇払いのロングボトム夫妻を襲い廃人にした許しがたい者達だが出自の高さでデイメンデターのキスを免除された許せない奴等として。

真実薬はアズカバンで弱った囚人にはよく効いて通常の半分で効果が出た。

朝の配る水に混ぜ、飲んだのを監修が見届けチームの者が尋問をする。

彼らは知られていない犯罪者よりも、何時頃から闇の魔法に傾倒をして信望するようになったのかを重視し、それよりも半月前からの記憶を刈り取った。

夫妻はホグワーツの六年生で記憶を消された。

 

そして同じような作業をチームは淡々とこなして終わるのに半年と掛からなかった。

記憶を消されたものは-更生施設-に運ばれて再教育を受ける。

彼らは記憶を消され気を失った間に身綺麗にされ、一様に「悪の魔法使い達が君達に服従の呪文を掛けて悪の手先としていたのを我々が保護をした」と聞かされた。

「君達の他にも何人も同じような被害者達がいる、そこでまとめて保護させてもらう」と説明をされて。

 

当然闇の記憶の亡くなった彼等は善の心を取り戻し、家族の元に帰りたがった。

それも想定済みで「君達の所業は犯罪として認定されてしまっている。服従の呪文を掛けられたとしてもだ。」それぞれの罪を残酷にも善の心を取り戻した彼等にはあまりにも酷な事だった。

一部の本物の闇の者達を除いた大半の者達はヴォルデモートに心酔をし、-我が君-の為になると信じて善の心を麻痺させたからこそできた所業であり、正気に戻った彼等には耐えられるものではなかった。

ベラトリックスとロドルファスとてもヴォルデモートを忘れ去った今となっては罪の意識に打ちひしがれ、家族との再会を望まなくなり、中には耐えきれず詫びの遺書を残して自殺する者も出たが、チームもスクリムジョールも報告を受けたファッジも同情せず関心を寄せなかった。

彼等の所業を考えれば当然であり、それでも更生の機会を与えたのをふいにしたのは己自身だと。 

 

 

かくして子供の純粋な疑問と大人達の穢れた独善的・利己的な考えが合わさりとんでもない化学変化がおこり、後世に語られる事は無い魔法省の闇のページが更新をされた。

 

恐ろしい事は子供の純粋な疑問を振りまいた本人ことロナルド・ウィーズリーが一連の出来事を聞いたら「自業自得だろ」と容赦なく冷たい声でバッサリと斬って捨てるところだが、当人は知らず、関わった大人の一人ルシウスは知らせる気は全くなく、ロンの恐ろしい一面を知らずに済むこととなった。

 

 

さてチームの四つ目の決まりに-無実の者-の項目があったが、これは百万が一にいた場合でまさか本当に居るとは想定されずに作ったおかざりのはずが・・本当に居てしまった。

それも最悪な事に-魔法界の王族-と名高い一族の嫡子であるシリウス・ブラックその人だった!!

最悪だ!ブラック家だから闇陣営の筆頭と目された者が、真実薬の力で無罪が証明をされてしまった!!

彼は闇の魔法使いどころか、アルバス・ダンブルドアに心酔をし、ポッター夫妻を心の底から愛していたのだ。

夫妻の-秘密の守り人-も彼ではなく、ピーター・ペティグリューだと判明もした。

事がことだけに、真実薬だけではなく本人の了承を得て記憶を取り出し記憶の篩にかけて

慎重に検証をして、彼の無実は証明をされた。

 

事態を重く・・というよりは手に余ったファッジはルシウスにすべてを話して解決策を委ねてきた。

 

「成る程、ならばこうしよう。」

シリウス・ブラックはアズカバン送りとされたが学校時代にのジェームス・ポッターとの間柄を考えて引き続き捜査をしていたのだと。

そして現魔法大臣が己の職責を賭してシリウス・ブラックの無罪を信じて今回の出来事が起き、見事無罪が証明されたのだと。

何とも欺瞞と嘘に満ち溢れた話だがシリウスをこちら側はに引き込むためだ、身元引受人はマルフォイ家が責任をもってすると申し出た。

同じ聖28一族で従弟であると。

 

「・・彼が受け入れますかな・・」

ファッジとしては無実の証明話はいいとしても、シリウスが身元引受人をマルフォイ家がするのを許すとは思えなかった。ダンブルドアか、それに近しい者指名するだろうと。

「なに、私にも考えがある。」

 

そしてルシウスは単身アズカバンに赴きシリウスに面会をしてファッジにした説明を繰り返しは・・しなかった。

ルシウスは独房に防音呪文を掛けて-全て-を話した、すなわちファッジすら知らないこの一連の発端から経緯全てを、自分の思惑も腹蔵なく。

「私は家族を守りたいのだよ。」魔法界の王族のブラックを利用すると堂々と結んで。

 

 

全てを聞いたシリウスは様々な思いに煮えくり返った。ふざけるな・・親友は死んだのにこいつは家族とのうのうと生きて・・守りたいとほざいて・・殺してやりたくなる!!!

「・・一つ聞く・・」

煮えくり返った思いを抑えてシリウスは唸るようにルシウスに初めて話しかけた。

「ハリーはどうなった、最後に会った時はハグリットに預けたが・・」

「生きているはずだ、ダンブルドアが匿っているという話だが。」

「・・そうか・・そう・・か・・守られて・・」

聞いたシリウスはボロボロと泣き始める。

自分の浅はかな計略で親友達を死に追いやってしまった・・せめて名づけ子はと願ってアズカバンで生き続けた。

目の前の男は確かに殺してやりたい位だが、この男がいなければ自分の無実は永遠に晴らされなかったのは事実だ。

「・・身元引受人になるのを許してやる・・」受けた恩はそれでちゃらだ。

「せいぜいブラック家の威光を使うんだな」精一杯の皮肉を込めて。

 

 

シリウス・ブラックの様な男にはやはり正面突破が有効だった。頭の回転は速く、磨かれた処世術や当主として受けた教育が、言われたことが本当か嘘かを瞬時に見破ってしまう。

ばれると分かっている嘘なぞに価値はなく、腹蔵のない思いこそがシリウスの様なものにはきちんと届く。彼ならば分かるはずだ、自分はもう家族を守る以外の関心はない事を、自分が動くときは全てその為だと。そこに善悪はなく、情によってしか動かない今の自分の状態を。

 

ルシウスの思惑は当たり、かつて親友の為ならば命なぞ惜しくはないと思っていた自分と重なり、ルシウスの事を心底憎めなくなってしまった。

 

 

 

「・・発端の子供って奴に会いたい、会わせろ。」

「よろしいでしょう、彼の名は・・」

「いい自分で聞く。」

「分かりました、ご随意に。」

マルフォイ家の当主であっても、ブラックの嫡男の方が格が上。幼き頃から植え付けられた思想は簡単には消えずに、ルシウスは自然と年下で身元を引き受けたシリウスに対して敬語を使って話をする。

受けたシリウスも傅かれて接せられるのには自然と慣れているので、何の疑問もなく受け入れた。

 

 

かくして諸々の手続きと用意が整いアズカバンを出たその足で、シリウスは真っ先に発端の少年に会いに行った。

魔法界の王族の帰還に、ロナルド・ウィーズリーは立ち会ったのだった。

 




以上が原作崩壊理由でした。
次回は更に崩壊します。


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俺の平穏日常どこ行った!!!

ロンが色々と巻き込まれま。


「癒してくれネビル!!!」

「でもロン、シリウスさんにとってはいい事なんじゃ・・」

「-俺-にとっては最悪だ!!そのほっぺフニフニさせてくれよ~ネビル・・」

 

最悪だ!シリウス・ブラックが無罪証明されてからの俺の生活は激変した!!ほぼ全てあのおじさんが悪い!!!

 

アズカバンを出てから、何故か毎日子供の家に居やがるようになった。

「何でいんだよおっさん、ルシウスさんも貴族の偉い人でも働いてるぞ。毎日プラついてて恥ずかしくねえのかよ。」

フリーターどころか現在プータローのシリウスに苛ついてガチで説教してやったら、

 

「働いたことねえ。」超あり得ねえ事ほざきやがったこのおじさん!!

今までどうやって生きてきやがった!ホグワーツ卒業後何して生計たててやがった!!どうやって生活費稼いでいやがった?まさか知られていない悪事か、よもやのイケメンなのを利用したヒモ野郎かこのおジンは!!

 

「・・俺ん家どこだと思ってる。ルシウスがグリンコッツに代理で金降ろしてきてくれたから心配はないぞ?

今暇だしルシウスがまだ世間には俺の事知らせるなっていうから、きちんと理由を知っているのはお前達だけだ。よってお前達で遊ぶことにした。」

「・・ようはあんた親のすねかじりの寄生虫野郎か・・」

「・・お前マジ今いくつだ?本当に9歳か?」

「うっせえぞこの穀潰し!!やる事ねえんだったら家業継いで、まっとうに生きろこの穀潰しが!!」

 

 

俺は16歳から手前で生活費は稼いでたもんだが、この顔だけがいい極潰しは腹が立つ!!ぶん殴りたいほどに!!

 

 

「嫌だね。」

「・・は⁉」

「あんな腐った家継ぐんなら死んじまったほうがましだ!!!」

-血-だの生まれだの後生大事に生きていて、意にそわない者は家族の系図から平然と消すあんな冷たい家なんぞどぶに捨てても・・

 

「じゃあ今すぐブラック家の名前捨てて、好きに生きて野垂れ死ね。」

 

-家-の事を悪しざまに言ったシリウスに、ロンは容赦する気を捨て去った。

-家族-を何よりも愛し守るロンの地雷を、シリウスは見事に踏み抜いた。

 

「恩恵受けて好き勝手生きてきた阿呆が。食うに困らなくて生活費で悩んだことがない-家-に守られてぬくぬくと生きてきたお坊ちゃんが、無名で生きてけるほど世の中甘かねえんだよ。

世間の厳しさ何にも知らない極潰しが食わせてもらってる恩も感じずに、偉そう抜かすなよクソガキが。」

こいつはあれか、年だけくったバカガキ決定だ。何が魔法界の王族の嫡子様だか、ちゃんちゃらおかしくて笑えるな。

 

激おこのロンは本当に恐ろしく、言われた当人も聞いていた親友達も一瞬でフリーズを起こして

「・・お兄ちゃん怖い・・」兄大好きっこのジニーをもドン引きさせた。

 

当然シリウスのも固まった。自分は闇の勢力と戦って修羅場をくぐり抜けてきて一人前の大人になっているつもりだった。

しかしだ、ロンの言う通り生活で困った事はアズカバンは例外として他は一度もない。

子供の頃から高価なものに囲まれて育ち、着るもの食べ物は全て一流の物ばかり。

嫌って飛び出したはずのブラック家に養ってもらっている自分は果たして大人だろうかと、ショックを受けたシリウスは本気で悩んだ。

 

だからといって家は継ぎたくない!スリザリンではなくグリフィンドールに入ったというだけで、俺を見捨てた家なんぞ誰が継ぐか!!

純血主義の-例のあの野郎-に与した家なんぞ惜しくもない!!

 

 

「・・お前本当に馬鹿な。」

家を継ぎたくない理由を聞いてやったが、最早あんた呼びもやめた。まさか魔法界の王族の嫡子様が、-純血主義-の本当の意味知らなかったなんて思わなかったぞ。

俺と同い年のドラコだって知ってんのに、おジンが知らないってどういう事だよ。

 

「あんなおっさん、これってルシウスさんから教わった事なんだがな・・」

 

子供達の遊びの邪魔にならない場所にルシウスとドラコを引っ張って、ルシウスさんから教わった事をそのままシリウスに話してやった。細かい捕捉はドラコに任せて。

 

「・・連綿と続くものをきちんと後世に・・」

「俺はそう受け取った。分かりやすいのが純血の一族の-血-の扱い方だな。」

話を聞いても納得しないシリウスに俺なりの-純血主義-の解釈をしてやる。

 

「俺こないだドラコの家で遊んでて、鼻ぶつけて鼻血を出したんだよ。紙で拭いてごみ箱に捨てたらドラコにえらく怒られた。」あの超かわいいドラコの激おこはちと怖かった。

「・・どうやって捨てた?」

「そのまま紙を丸めてポイ。」

「それって無謀すぎるだろう、マルフォイ家が闇の陣営の者だったらお前呪い殺されてんぞ?

お前の親はそんなことも教えなかったのか?」

-古い純血の一族の血-は血そのものに力がある場合が多い。

一般の魔法族よりも魔力が濃かったり、その家の身に受け継がれる独自の魔法を使える力だったりと様々にある。

中には-グリーングランス家-の様な呪いが血に掛けられているのもある。

グリーングランスの一族は全て短命で30代で必ず死ぬ残酷な家系だ。

それは何時の時代かは分からないが、当主の一家が敵対勢力に-血-を抜き取られ呪いを掛けられたことから端を発する。

血とは恩恵を授けるのみならず、呪いの媒介としての効果が十二分に発揮をされる。

その恐ろしさは親から子へと受け継がれるはずだ。少なくとも一般魔法族ではなく、端っことはいえ聖28一族に名を連ねるウィーズリー家の子供ならば。

 

「ああ~詳しい事は知らんけど、父さんと本家が断絶してて俺ん家メッチャ忙しくて生活してくので一杯一杯で教えてる余裕が無えんだと思う。

俺ん家はいいとしても、一般の魔法族はそんなこと教わらないんだろ?名家が口伝してるか学ばない限りはさ。」

「・・そうかもしれないな。」

シリウスは学生時代の友人達を思い出す。ジェームスは同じ名家だったから知っていても、ルーピンはそこそこで、ピーターは-魔法使いの常識-を全く知らなかった。

教えてくれる知識を持ったものが身近にいなかったから。

 

「要は魔法ってのは今まで先達たちが積み上げてきたもんだろ?その良さも、便利だけど生じる害もよく知っていて、対処方法をきちんと生み出して次世代に継ぐのが聖28一族の本来の役割だと俺は思ってる。」

「役割?」

「そ、まあわかりやすく言えば先生や教授みたいな役割かな。魔法の知識を蓄え知らない奴に教えて、いざ問題が起きれば真っ先に先頭に立って弱い奴を守るんだ。

俺はそんな魔法使いを目指してる。俺の大切なものたち全員を守れる奴に、その為にドラコと勉強してるんだよ。」

 

「僕はロンの考えは-高貴なる者の務め-に相当すると考えています。」

ロンの考えを聞いて押し黙ったシリウスに、ドラコが自分から話しかけた。

ドラコはわりと人見知りで挨拶以外に話をする相手は限られている。シリウスに対してもそうだったが、ロンがシリウスを受け入れる方針の様なのでギリ話し相手にしてもいいと思ったので解禁したのだ。

 

「確かにロンの家も名前だけであれば聖28一族に数えられていますがご存知の通り分家の、しかも本家とは断絶状態で裕福とは程遠いです。

しかしアーサーさんの家は皆がロンと似たり寄ったりの考えを自然と持ち合わせています。

お金があるだけ権力があるだけの腐った家や新参者達は到底持たない、いえ持ち得ない考えを自然体得しているのは本物の純血主義の家で育ったアーサー・ウィーズリー氏の影響だと思います。

僕はロンと違って聖28一族の本来の仕事は魔法界の門番で守護者であるべきだと考えています。

入ってきた者を教え導き敵から守り抜く存在であるべきだと、己が何を求められるのかを忘れないために古き家訓と教えを受け継ぎ守るのが純血主義であると。」

 

まあ親のアーサー・ウィーズリーは端々でその考えが出ているだけで、当人は親・マグルを謳っているあまり尊敬すべき人物ではないとは内心でつぶやくドラコであった。

なぜあの親からロンの様に素晴らしい子が生まれて育ったのか摩訶不思議で、他の兄妹達もまた然りだ。

 

ドラコは中々に腹黒くマルフォイ家の嫡子にふさわしい育ち方をしているのだったがそれは今は別にいい。

二人の壮大な純血主義の解釈を聞いてシリウスは完全に壊れてしまった。

 

「・・親父に会いてえ・・」とか抜かすほどに。

シリウスの父は最早死んでいる。両親祖父母弟も全て死んでこの世にはいない、死者に会えないのが世の常と言いたいところだがどっこいここは魔法界。

絵にその人物の人格をコピーする疑似絵がある!!

 

 

「ルシウス!!今すぐ俺をブラック家の本宅に連れてけ!!!」

子供二人に論破されて矜持も何もかもが崩壊をしたシリウスは帰宅早々ルシウスに泣きついてグリルモアにあるブラック家の本宅へと付いてきてもらって

「これはシリウスぼ・・」

「挨拶はいいクリーチャー!!親父の絵をもってくから邪魔すんなよ!!!」

「何とご無体な!!長年お帰りにならずにご帰宅早々にそのような暴挙を!!!!」

「うるせぇ!俺は親父にどうしても聞かなきゃならねえことがあるんだ!!・・今更だけどどうしても聞かなきゃなんねえ・・」

 

ブラック家の本宅では今でも屋敷しもべ妖精のクリーチャーが家を守り続けていた。

クリーチャーは先代の夫妻も、しもべ妖精の自分に親切にしてくれたレギュラスも大好きだがシリウスは嫌っている。クリーチャーの好きな者達を困らせ泣かせて散々迷惑を掛けた輩だからだ。

今もいきなり帰ってきては当主の間に飾られている先代のオリオン・ブラックの絵を外部に持ち出そうという暴挙をしようとしている!!許すわけにはいかない!そう思ったがシリウスの様子がおかしい、何時もの傲慢さが見られない。それどころか打ちひしがれているように見える。

 

「・・何にお使いになるおつもりですか?」

「・・親父に教わり損ねたかもしれない事があるかを聞きたい、それだけだ・・」

「ならばオリオン様の絵のみを外してこの家でお聞きになればいいでしょう。その間邪魔が入らない様にクリーチャーめがお守りしましょうシリウス様。」

腐ってもこの男も自分が仕えるべき一族の長子に変わりはない。持ち出されない為の妥協案をきちんと提案してやる。

 

クリーチャーの言葉を聞き入れたシリウスは、絵の父親をもってかつての自室へと入り、クリーチャーは防音呪文と侵入者防止の呪文を部屋に施した後、主が連れてきたルシウスにようやく挨拶をして紅茶を勧めて下がった。

 

「・・奥様、そうご立腹なされずに。」

「クリーチャー!あの者は!!」

「はい、奥方様のお怒りはごもっともですがあのお方は少し変わったように見受けられます。」

「・・シリウスが・・」

「はい、少なくともあの傲慢さは見られませんでした。」

「・・そう・・シリウスといい、良い子だったレギュラスも・・私達はどこで間違えたのか・・」

シリウスの母親ヴァルブルガは涙を流す。

長子は純血主義の意味を理解しようとせず、もう一人の我が子も-間違った純血主義-に走り、自分の代でこの家を守り切れなかった当主の妻の責務として、一人の母として我が子等をよき方向に導けなかった後悔の涙を。

 

 

シリウスと肖像画のオリオンの話し合いは明け方まで続き、終わった後「・・帰るぞ。」

部屋から出てくるなりルシウスに命じた。

「クリーチャー、主不在のブラック家を守り抜いてくれたことに感謝する。

俺は近日この家に-戻って-くる。」

「!もしやそれは!!」

「その通りだクリーチャー、俺はこの家を継ぐ。ブラック家の当主の務めを果たす・・今まで本当にすまなかった。」

「・・いいえ・・いいえ・・勿体ないシリウス坊ちゃま・・」

「泣くなよクリーチャー、今まで本当に悪かったな。そんなわけでルシウス、俺家継ぐわ。」

「かしこまりました、ならばマルフォイ家の力を持って万全の準備を整えましょう。」

 

一晩を掛け何を話し合ったかは一切を言わず、ただ決めたことを一方的に命じる。

良くも悪くもこの男は-王-なのだ、正真正銘の。

 

ルシウスはシリウスの望みを叶えるべく動き出す。

アズカバンから-正式-に出すべく各方面に交渉をし続け3か月後には成果を上げて、翌日の日刊予言紙を賑わせた。

 

 

    -シリウス・ブラックは無実⁉ルシウス・マルフォイが証言!!-

 

そのニュースは魔法界に激震を走らせた!!アズカバンでの出来事を知っている者・ルシウスと交渉をした者以外の魔法省の役人は言うに及ばず、ブラックの名を本当の意味で知る全ての魔法族に。

 

 

「・・だからってなんで俺相手に愚痴るんだよシリウス。」

当然俺も知った、父さんと母さんはぶったまげてたけど俺は半年前から会っちゃってるし実物のこいつは駄犬なのも知ってるからもういいやで割とどうでもいい。

 

「皆が皆お前みたいだったら楽だ・・-あいつら-マジでうぜえんだよ!!」

「・・掌返してくる馬鹿か・・無視だ無視!!徹底的に!!!」

「きちんと家継ぐって決めたんだよ!親父みたいな当主に!!・・大人はそうもいかねえんだよ・・」

 

そんで俺はルシウスさんから全てを聞かされ巻き込まれて、毎日-駄犬-の愚痴相手になっちまった・・何が悲しくておっさんの愚痴聞かなきゃならんのだ!!!天使たちとの触れ合いが出来んだろ!!!!

 

もうヤダ・・誰かこの駄犬を躾てくれ、マジ捨ててえ・・ 

 

「・・あんたはあんたの道を行けばいいだろ、どうせ良い子の仮面なんて数日も持たねえだろ。あんたの理想じゃなくてあんたのしたい事をしろよシリウス。

間違ってたらルシウスさんが止めんだろ。」

こいつに放っておいてほしくて適当言ったら「・・そうだよ!!俺には親父のような事は無理だ!!俺は俺のやり方でやりゃいいんだよ!!!」

 

シリウスも-大人の対応―には心底うんざりとしていた、俺は俺の王道行ってやる!!

 

子供のうざいという思いと、お子様な大人の閃きが化学反応を起こして、ブラック家開闢以来の超俺様な王の誕生と相成った瞬間だった。

 

「なあ他に意見は・・」

「だから何でおれに聞くんだよ!!ルシウスさんに聞け!!!

ジニーたちとの時間邪魔すんな!!」超うぜえんだよ!!滅びろチクショウー!!!




物語りの核作りの為に、主人公周りの話が続きました。
次回もそんな感じです。本編に戻るまで少々お待ちください。


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新しい風

色々と変わる魔法界です


俺が10歳の時に駄犬ことシリウス・ブラックが家継いだ。その日の一週間前から紙面をにぎわしていたが興味ねえ、だって中身が子供の駄犬だし・・スルーしてたらなんじゃこりゃ!!

 

 

   「何でこの場にアーサー・ウィーズリー一家がいやがらねえ!!!」

 

 

シリウスが家継ぎましたがトップで、二面の掲載がシリウスが言ったとんでも言葉!!!

 

「あのおじん!!人様の家を巻き込むんじゃねえよ!!!!マジ殺す!!!!!」

新聞見た俺は家族がそろう食卓で言っちまったが悔いは無え!!

こんな発言したらあの駄犬のおこぼれ預かりたい奴らがわんさか来るじゃねえのか!!

 

「・・今日は戴冠式で明日は国葬出させてやる・・」

 

一面トップでちやほやされて人生満足だろう。今日中にサクッとやりに行こう、パーティー酒で酔っ払ったところ見計らって。

 

「・・ロン・・シリウス・ブラックはこういう奴だ、悪気があるわけじゃ無いから許してあげなさい。」

「そうよロン、仲良くして上げなさいね。」

「ちぃ!命拾いしやがった・・」-ボン!!!-

 

「いたロン!!失礼するぞアーサー・ウィーズリー!!おはようモリー、ジニー・・」

「デパルソ-退け!!-帰れ駄犬!!何朝っぱらから人様の煙突勝手に使って出てきやがった?朝食の邪魔だ!!!」

 

朝の早くから煙突ネットワークを使ってきた侵入者を吹っ飛ばして説教してやった、昨日家を継いだご当主様が何の用だか「挨拶回りに忙殺されてこっちくんな。」

 

吹っ飛ばし呪文掛けたのは俺だ、半年前にガリオンくじを俺が3等当をてて50ガリオンの臨時収入有ったので杖買ってもらった。

セコイアの木にドラゴンの心臓の琴線28センチ 硬くてもしなやかで力強い呪文に最適と言われたのでルシウスさんに教わった。

 

「俺守りたい者がたくさんいるんで攻撃と防御呪文教えてください。」

「良かろう、ドラコも丁度呪文の授業を始めている。一緒に学びなさい。」

そんで今のとプロテゴをマスターした、大概の危険からは守れんだろうが・・かけた相手第一号が駄犬てなんだかな~。

ちなみにジョージ・フレッド・パーシーも後日買って貰って大喜びしてた。ジニーは10歳になったら買う約束をしてもらって我慢の子となった。

 

 

 

「そんなロン!俺は寂しかったんだぞ!!子供の家にも行けないくらい忙しくてお前達に会えなくて!!」

「大人がきもい事言うんじゃねえ!!ジニーの教育に悪いわ!!」-トントン

 

「はいはい・・あらルシウス。」

「おはようモリ―、すまないが・・」

「駄犬ここです、おはようございますルシウスさん。」

「あ!手前!!ロン・・」

「お騒がせをして申し訳ないアーサー、行きましょうシリウス。」

「え・・俺もう・・」

「シリウス」

「・・ハイ・・行きます・・」

「では失礼した。」-パタン-

 

駄犬の現在の飼い主が迎えに来たので速攻引き取ってもらった。

「ロン・・少しは・・」

「だってうざいんだもん父さん。」

「でもシリウスはどうしてあそこまで我が家に構うのかしら?」

モリ―母さん不思議そう・・なんであそこまで俺達に懐いたあの駄犬。

 

 

「シリウス、昨日の発言でアーサーのウィーズリー家が面倒ごとに巻き込まれますよ。」

「う・・だってロン達に来てほしかったんだ・・」

「貴方を助けたのは表向きはマルフォイ家となっています。なのにウィーズリー家・本家の挨拶を無視してあんな事を。」

「だってよ、ウィーズリー家って名乗られたからてっきり・・」

「アーサー達だと。」

「・・うん。」

「全く仕方ない方だ、もう各方面には-釘-を刺しておきましたから騒ぎには巻き込まれないでしょう。」

「すまねえ。」

 

ルシウスのナイスフォローにより、ブラックにたかろうとする輩がアーサー一家に近づく事は無かった。そして妬み嫉みや本家から-シリウス・ブラック-とはどういった関係だの尋問も受けずに済んだのだった。

 

「シリウス、何故あの子供達に・・もしや貴方の名付け子と同い年だからですかな?」

「・・それも少しあるけどそれだけじゃねえよ、あいつ等は俺をシリウスとしか見てない。だから楽しい。」

「そうですか、ちなみに名付け子とは・・」

「・・ダンブルドアが会わしてくんなかった。」

 

ルシウスが言った事を当然シリウスもしようとして日刊予言に自分勝訴の生地が出た次の日に早速ホグワーツの校長室に突撃をした。

 

「ハリーに会わせろダンブルドア!!!!」

 

挨拶もへったくれも無く開口一番の言葉がこれだった。

ちなみに侵入経路はホグズミードまで姿現しをして、学生時代に散々使った抜け穴から忍び込んだ。万全な守りの筈のホグワーツは意外とちょろかったりする。

 

「久しぶりじゃのシリウスや、すまぬがその願いは叶えられん。」

シリウスの突然の襲来にも慌てふためかず、ダンブルドアの好々爺としての笑みは崩れずにのほほんと迎えて要望をさらりと断った。

 

「何でだよ!!俺は・・」

「いや分かっておる、お主の無罪は信じておる。しかしハリーは今-血の守り-によって保護されておる。

あれ程安全な場所はブラック家の守りでも無理じゃろう。来年はホグワーツに来る。

再会はその時でも遅くはなかろう。」

「・・分かった・・仕方ねえ、帰る。」

「おやおやせっかちじゃの~、お茶でも・・」

「悪いなダンブルドア、ル・・・マルフォイ待たしてんだ。もう行くわ。」

「そうか、何時でも来るとよい。できれば正規のルートでの。」

「・・分かった、じゃあな。」

 

 

突然やって来て、唐突に帰るのが俺様シリウスだったりする。

「ふむ・・マルフォイとの~。」

 

ダンブルドアはシリウスの無罪を知っていたが、英雄の名付け親は邪魔なのでアズカバン送りを黙ってみていた。

ブラックの嫡子ならば殺されまいと、生き残った子供には逞しく育ってもらうために甘やかす要因は切ったのだが、今回の件は大誤算で計算が狂った・・自分の計画の計算が。

 

 

 

「子供の家の遊具増やす・・」

「却下だ!子供は限られた遊具で遊んでこそ譲り合いの精神や、どう新しく遊ぶかの創造性をはぐくむんだ!!駄目子供育てようとするな駄犬!!」

「お前ついに心の中どころか本人に言うようになったか⁉」

「うっせえ!!他にも仕事一杯あるだろう!子供の家に入り浸るな駄目大人!!!」

 

「駄犬がうるさいのはさておいて、君もうるさいと-我輩-は思うのだがね?」

「そこはマジすいません-教授-」

「うるせえぞス二・・」

「それ以上言ったら縁切るぞ駄犬・・」

「はいご免なさい。」

 

まったくうぜえぞシリウス。今日は子供の家は特別講義があって、ルシウスさんの後輩のセブルス・スネイプさんが来てくれた。

 

「・・何故自分が未就学児を・・」

「そう言ってくれるなセブルス。ここの子供達はホグワーツの子よりも礼儀正しい子が多く、学ぶ意欲もある。」

「・・期待せずにやらせてもらいましょう・・」

 

先輩・後輩の縦社会は万国共通、それこそマグル界・魔法界問わずに。

息子の個人家庭教師の延長線で引っ張り出してきた。

 

「・・報酬はいただきますぞ。」

 

セブルスもちゃっかりとしていて高価な薬品材料を要求しているのでどっこいどっこいであったりする。

 

子供の家に大蝙蝠が一匹、絵面的にはそんな感じだが、予めホグワーツの薬学の教師が来るのを告知されて、応募した子供達の貸し切りなので皆行儀よく学ぶ姿勢を崩さなかった。

 

たとえ見た目が大蝙蝠の髪の毛が油ギッシュであってもだ。

 

「なんでスニべルスがここに居やがる!!」・・例外一人・・魔法界の王様がよりにもよって来たが、二人の間に殺し合いが勃発する前に「俺後で教わるから、先に授業始めててください-教授-」ロンがシリウスを隅に引っ張っていて相手することになって今に至る。

 

シリウスは焦っていた。まさかセブルスが来て子供達の先生するなんて、自分も子供達の役に立つアピールしようとしてロンに撃沈されて膝を抱えて黙りこくった・・愛しの子供達とられたくねえ。

 

「さて、諸君は何か学びたい物はないかな?」

 

挨拶を終えたセブルスは早速要望を拾ってみることにした。幼い子はたいてい割れずらいシャボン液や、髪の色が変わる薬を望むかと用意はしてきたが果たして。

 

「はい。」

「・・君は?」

「初めまして先生、ジニー・ウィーズリーといいます。

作りたい物はその・・私のお小遣いでも作れる手荒れ用のクリームです・・母さんに贈りたいんです。」薬作りは未経験で材料費もいくらかかるか分からない・・足りなかったらどうしようと思いつつもジニーは思い切って要望を出した。

「安心しなさいミス・ウィーズリー、手頃な物がある。今日はそれを教えてしんぜよう。

生憎今日は材料が揃っていない、今日はレシピのみで次回作る時間としよう。」

「・・ありがとうございます先生!!」

 

・・何だこの天使は?ここに居る子供達の爪の垢を現ホグワーツ生徒の半数以上に飲ませたい!!機会があれば何度でも来たい、ここは天国か!!!

 

ジニーの健気さに心を撃ち抜かれたセブルスも、時間の許す限り子供の家に来ることを誓ったのだった。

 

後日シリウスはセブルス以外の他の講師達を招いた。遊具は却下されたがこれならどうだ!

 

「・・いっそここ幼稚園にしちまうか?」

ロンのポツリ発言にシリウスは何だそれと詳しく聞いて、お約束通り子供の純粋な思い付きと愛すべき子供達と、まだ見ぬ名付け子に会った時おじさんてすごいと言ってもらたいという下心満載の思いが化学反応が起きてあれよあれよと幼稚園が出来上がったりする。

 

 

ただし本当に子供達が通えるようになるには2・3年を要するが。当然教師と場所と通わせ方とか色々と決めることが山積みで、無償か有料化、無償ならどう費用を出すか、有料ならいくらとるかと大人の話が満載だからだ。

 

それでもロンのつぶやきは確かに閉鎖的であるイギリス魔法界に新しい風を送り込んだことに間違いない。




天使達を愛するのはロンだけではありませんでした。


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あと一年

ロン君10歳です


兄貴達が夏季休暇で家に帰って来た。

ビルとチャーリーは仕事が忙しいらしくて家族勢ぞろいとはいかなくても家の中は大賑わい。

 

母さん一人じゃ忙しかろうと料理以外の家の仕事は皆でお手伝い、パーシーは言うに及ばずでジョージ・フレッドも服の干し物を担当してる。

俺たち皆は父さん母さん大好きで、母さんの飯が大好物で、我が家以上に幸せなところはないと断言しよう。

 

折角ホグワーツ現役生徒がいるので子供の家に引っ張って行ってみれば、三人共あれよあれよの人だかり。主に俺と同い年の奴等はホグワーツの生情報が欲しいのだ。

来年から俺も一年生、けど別に俺はホグワーツの情報はいらん。未知の場所で冒険したいのであえて聞かずにゴーだ。

 

「君らしいと言えば君らしいが、情報は持っていても損はないぞ?」

「やだよ、あらかじめ知っていたら楽しさ半減じゃないかドラコ。」

「ロンの言う通り、未知なるものへの挑戦の方が楽しそうだ。俺は俺の目で見て感じたことを評価するよ。」

「話が分かるな~セオは。来年嫌でも分かるんだしよ。」

 

-生き残った男の子-との同学年はどれほど大変なのかな。

 

平和は今の内満喫しないと来年から大忙しだし、ヴォルデモートをどうすっか、出たとこ勝負になるけど別にいい。

今じたばたしてもどうしようもないもんな。

 

来年から起こる事を大雑把ながらも知っていても、ロナルド・ウィーズリーの日常は今日も平常運転だ。

 

「ロン!ジョージ・フレッドの兄貴達がクィディッチ教えてくれるって!!」

「・・マジか・・」

ビンセント・グレゴリーコンビがお目目キラキラしながらなんかトンデモごとを言ってる。

 

「ジョージ・フレッド!ここは魔法はご法度だぞ!」

子供の家は魔法使いのじいちゃんばあちゃんが常駐していても基本はNG,使っていいのは講師の先生が来てレクチャーした内容の物だけで、子供の杖の持ち込みも、じいちゃんばあちゃんに借りるのもアウトで、やった奴は一回であっても子供の家出禁だ。

 

「つまらない事を言ってはいかんぞ弟よ!」

「そうとも!冒険をして一つ大人の階段をだな・・」

「・・俺の天使たち唆す馬鹿は身内であっても天国の階段強制的に登らすぞこら・・」

「「・・ごめんなさいロン!!皆ご免!ルシウスさんかシリウスさんの許可出たらやろうね!!」」

 

 

ホグワーツのいたずら仕掛け人とて命は惜しい!!!

久々の弟の激おこはマジで怖い!フィルチや他の教師の罰則がマジ可愛く思えるほど弟の天使達への愛情は怖いのだ。

 

ジョージ・フレッドを久しぶりにガクブルさせたけど「中庭でやっていいかどうか許可貰うぞ。」

なんやかんやで男の子・・ドラコとセオがやりたい!!って顔してるし、きちんと大人に見てもらうか。

「流石は我が弟!!」

「早速ルシウスさんにゴーだ!!!」

双子のテンションもマックスで、子供に激甘のルシウスさんとシリウスが動いてあれよあれよと三日後にはクィディッチ練習、一週間後は紅白戦することになった・・なんだかな~「・・平和だな~」

 

「あら、ロン君は随分とおじいちゃんな事を言うのですね。」

「いや~晴れた日に皆でクィディッチ、出場してる奴の家族も弁当持って観戦に来て応援合戦していいな~って思っただけですよナルシッサさん。」

「貴方は出ないのロン?」

「俺は楽しんでる皆を見るのが楽しいんだよ母さん。」

「だったらネビル君やパーシー達とドラコ君たちの応援を・・」

「子供の家の奴等はみんな大切な奴等だ。どっちかの応援はできないよ。」

 

本日子供の家は大開放、皆クィディッチで盛り上がっているけど俺とナルシッサさんとモリ―母さんは少し離れたところでまったりとお茶会。

俺がまったりとしてるのはさっき言った理由だけど、ナルシッサさんはドラコが危ない事をしているようで応援どころか止めそうなので、ドラコの楽しさに水を差さない様にとあえてみないらしい。

 

「モリ―母さんはいいの?ジョージとフレッドが出てるのに。」

 

紅白チームの両キーパーはジョージ・フレッドで手加減する約束でいざ危なくなったらお助けにも入る。

 

今回のクィディッチにスニッチはなく、クァッフルも子供用の柔らかい素材で速度も公式の速さの半分。それでも子供達は夢中で試合をし、箒に乗れない子も日頃から仲の良い子を応援して大盛り上がりだ。確か終わった後はお疲れさん会でちょっとしたパーティーがあって、夕食も食べて終わるんだっけ。

 

「私の分までパーシーとジニーが応援してくれているからいいのよ。それよりもナルシッサ。」

「何かしらモリ―?」

 

うちとマルフォイ家が付き合いだしてもう5年が経って、今では母親同士が名前呼びしてる仲だ。

初めは誰が見ても犬猿の仲だったのが変われば変わるもんだ。

 

でもいい事だ、ナルシッサさんはおっとりとしたママさんで、モリ―母さんは肝っ玉母さん、案外馬があって仲良くなるんじゃねえかな~の見積もりが当たって俺は嬉しい。

時間があればジニーも入れた三人で刺繍や編み物してるし、ネビル入れた四人でお花の話してるし。

 

ネビルはそんじょそこらの女より女子力が高く、こと園芸の話になると輝いて超可愛い。

なのでシリウスに話して温室作っってもらったら他の女子たちも食いついてきてネビルを中心に可愛い花々を育ててる。

今日の優勝チームにはその温室で栽培された花の束が贈呈される予定だ。

束作りもネビルが率先して作ってな。

一時は魔法が使えないスクイブかもしれないと泣きながら話してくれたことが嘘のように。

 

「僕がスクイブだったらばあちゃんガッカリしちゃう・・」

泣いてた理由が自分の事よりもばあちゃんの心情を思いやって泣いてるってどんだけ天使なんだよネビルは。

 

「ネビル、この本やる。」-綺麗な魔法-

「この本には花を咲かせる魔法がある。」

「でも・・僕・・」

「いいから、やってみようぜ。」

 

落ち込んで自信喪失のネビルを隠れ穴の俺ん家にこっそりと連れ込んで裏庭に連れてった。

他の奴等には話さなかった事を俺だけに話してくれたのだから、何とか力になってやりたくて。

「これ俺の杖だけど、忠誠心はあんまりないらしい。気に入った奴には力貸すってオリバンダ-さんが言ってた。」

「・・僕みたいな・・」

「いいかネビル、俺はお前の事が好きだ、大好きだ。お前は俺の天使だ!心の綺麗な優しい真っ直ぐないい奴だ。自信持て、俺が保証する!お前は魔法使いだネビル・ロングボトム!!」

 

僕が・・ロンにとっての天使?もっと凄いドラコやセオドール、可愛い妹のジニーもいるのに・・僕なんかがロンの・・「ふうっく・・ひっぐ・・」

「泣くなよネビル、力抜いて、花が咲いたら嬉しいだろ?満開のお花畑をイメージして・・」

 

嬉しくて泣いて・・呆っとした頭にロンの優しい声が浸み込んできた。その言葉のみに従ってみれば、いつの間にか周りの芝生にお花が沢山咲いてた。

呪文を唱えた覚えはない、ただ綺麗な花をロンと見たいと思ったら「・・咲いてる。」

 

「ああ、俺の詠唱の後に一語一句間違えずに唱えて杖が反応してた。これはお前が咲かせたんだよネビル。」

「嬉しい・・嬉しいよ・・ありがとうロン!!」

「わっと・・おめでとうネビル、今日が魔法使いのネビルの誕生日だ。」

「魔法使いの・・ふふ、うれしい。」

 

それは俺達が9歳のハロウィンの寒い日の出来事だった。

大喜びをしながら俺に抱き着いてきたネビルの体はお日様のいい匂いがして一生守ってやりたい気持ちが大幅UPした。ぐしゃぐしゃに泣いても可愛いので黙って抱きしめて。

泣いて喜んだネビルはその晩早速ばあちゃんのオーガスタさんと叔父さんのアルジーさんに披露して大喜びをされたと、オーガスタさんと共に隠れ穴に来てお礼がてら教えてくれた。

 

そのときにオーガスタさんが俺と二人きりで話がしたいというので、庭のテーブルで話をした。

それは今のネビルの両親の話だった。

 

今二人は聖マンゴにいる事だった。理由も話してくれた、死喰い人によって心を壊されて今も治らない事、そんな両親を週に一度ネビルが欠かさずにお見舞いに行っている事も全て・・泣きそうになりながらも。

 

「・・オーガスタさん、俺にとってはネビルは天使で絶対に守りたい人達の一人です。

だからどんなことからも守るよ、あいつを虐めようとする奴から、あいつの悲しい心からも守ってやる。絶対一人になんてしない。ドラコもセオも、ビンセントもグレゴリーも俺の家族皆ネビルの事が大好きだ。」

「そう・・そうですか・・孫を・・これからも・・・」

 

不覚にも涙が出て止まらない・・孫と同い年の子を相手に・・それでも話せてよかった、

老い先短い自分が死んでしまっては、残されたネビルがどうなるかと心配でつい厳しくしつけようとした。

それが裏目に出てしまったが、子供の家に行ってからは少しづつ変わっていった。

 

最初はあのマルフォイ家が作ったものと信用しなかったが、アーサー一家が携わっているというのを聞いて、ウィーズリー家の子供がいる時に連れて行ってみればネビルは自分の後ろに隠れてしまった。

 

これでは友達が出来ないと嘆きそうになった矢先「超可愛い!!」

叫んだ男の子が今目の前にいるロナルド・ウィーズリーだった。

 

「俺はロナルド・ウィーズリー、家族と親しい奴はロンて呼ぶ。君の名前は?」

 

優しく辛抱強く、後ろに隠れてしまったネビルを急かすことなく聞いてくれた。

 

「僕・・ネビル・・ネビル・ロングボトム・・」

「そうか、ネビルって呼んでいいか?」

「・・うん・・いいよ・・」

 

か細い返事にでも嬉しそうに話してくれた少年に助けられて沢山の友達が出来て、今では誰とでものんびりとした話し方ではあるが話せるようになってくれた。

 

俺とオーガスタさんのお話は一生内緒だ。ネビルだけには両親の事を聞いたことを伝えた。

「辛かったら俺のところにいつでも来いよ。」

あいつの心の避難所になれたらと願って。

泣き笑いしたあいつは、本当に可愛い。

 

 

 

 

こんな風に誰かと繋がって、たくさんのダチを作っていって、楽しい学園生活送りたいもんだ。

「・・それ難しいよ?」

分かってるよお人好しの神様、ヴォルデモートが邪魔すんだろ?

「僕はそこは助けてあげられないよ。」

そこも分かってる、でも一つだけ欲しいものが出来た。

「お!ようやく?なんだい!!チート級の魔法?伝説の武具?」

それくれちまっていいのかよ、そうじゃなくて俺が欲しいのは「・・・・・・」だ。

「・・それ君が考えた?それとも先輩の入れ知恵?」

俺んだよ、あの邪神だったらもっとえげつねえもん頼むと思うぞ?

「・・魔法族が聞いたら君の事危険視すると思うよ?まあいいか、-対象者は一人-これが絶対条件だ。」

分かってる、使用対象者は一人だけだ。

俺の-スキャバーズ-は別の方法をとる。

-ネズミのペット-として一生を終えさせること。

「お前が俺の側を離れなけらば一生守ってやる。」と飼い殺しの方法を。

お人好しの神様がおっかない顔するほどの物を手に入れた。

形は素焼きの小瓶でポケットに入るサイズの物で出してくれた、これで持ち歩きも便利だ。

 

 

 

来年のホグワーツが楽しみだと思ってたらもう11歳、6月のドラコの誕生日に合わせて教科書や必要な物を皆で買いに行った・・なんとまたしても俺が買ったガリオンくじが当たって50ガリオン入ってきた。

流石におかしい!神様の奴の不正行為かと抗議したら「それ本当に君の強運だよ。」と保証された。

邪神野郎と違ってあの人嘘つかんし、気兼ねなくダイアゴン横丁を満喫してアイスクリーム屋で皆でワイワイ食べたのはいい思い出だ。

来年は子供達だけで来よう、パーシー辺りを保護者役にして。

 

 

 

 

 

俺はすっかりと忘れていた。この世界の-本当の主人公の-の境遇を・・悲しい生い立ちを。




次回ようやく原作開始です。


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水底の蛇・炎の獅子

原作完全ぶっ壊れます。
よろしくお願いします。


ホグワーツの大広間は熱気に包まれていた。

新入生を迎える喜びと-戸惑い―の為に。

 

今年の新入生は-例のあの人-を倒したとされている英雄が入るともちきりだったのが、-P-の名前を副校長のマクゴナガルが読み上げても出ては来ない。

 

職員、在学生、新入生が捜そうとしてもそれらしき子が見つからない。

 

そしてもう一人新入生の一人が行方不明なのをドラコ・マルフォイはじめ、-子供の家-の-彼-の友人達及び彼の兄弟たちはとても案じている。

 

ホグワーツへの列車で会うのをとても楽しみにしていた、誰が同じコンパートメントにいて皆で出入りをしようと楽しみにしていたのに見つからずにガッカリとした。

 

彼の兄達のコンパートメントに居るのかと思って訪ねてもおらず、むしろ彼らに-弟-はどこにいると尋ねられる有様だった。

 

子供の家の彼の友人にとっては英雄よりも彼の方が優先するべきで、様々な想いで組み分け最中の大広間は熱気に包まれている。

 

(アルバス、どうしましょう?)

 

ミネルバは校長にして尊敬をしているアルバス・ダンブルドアに助けを求めるように見やった。

 

今日が入学式である事を伝える事、その為の準備をするのを森番のルビウス・ハグリッドに任せたのはやはり失敗だったのだろうか。

 

良い人間ではあるが粗野で細かい事が苦手なうっかり屋の彼に・・人選を失敗したのはダンブルドアだが・・職員席を見ればセブルスもいないような・・

 

 

             バッガーン!!!!!!

 

 

ミネルバの戸惑いや今気が付いたこと、他の者達の様々な困惑・思い・心配などの思いは大広間の扉が吹き飛んだことで一瞬で扉諸共に吹き飛んだ。

 

 

扉を-足蹴-にして吹き飛ばした人物はしっかりと顔を上げて悪びれることなく真っ直ぐと中央を目指して悠然と歩を進めて入ってきた。

 

燃えるような赤毛にがっしりとした長身にの割には、そばかすで少し幼く見える少年、

ロナルド・ウィーズリーが入ってきたのだ。

 

彼の兄弟と友人たちは見当たらなくて心配をしたのだと、彼を知らない他の者達はその所業を咎めようとしたが、誰も何も言えずに彼の歩みを止められなかった。

 

ホグワーツで様々な厄介な生徒たちを見続けあしらってきた百戦錬磨の教師たちどころか、世紀の闇の大魔法使いゲラート・グリンデルバルド及びヴォルデモートが唯一怖れたと評されたアルバス・ダンブルドアすらもがロナルド・ウィーズリーの何かに圧倒されて気圧された。

それ程までに彼は怒りを覚えている。現魔法界に・全ての魔法族に・そして己自身の認識の甘さに、全てに対して怒りを発している。

 

この世界の事を大雑把であっても知っているのであれば取れる方法はあった、少なくとも-彼女-の-名付け親-と自分は友人であるのに!!許せない!!!全てが、自分自身が!!!

 

 

「そこで止まりなさい!!無礼でしょう!!名と所属寮を言いなさい!!!

何故ネクタイをしていないのです!!」

 

ロンが大広間の中央で差し掛かったところでミネルバはようやく我に返り問いただした。

ネクタイをしていない彼を新入生だとは全く考えずに。それ程までにロンの態度は落ち着き払い、大広間に入るのは慣れているとばかりに堂々としていたからだ。

 

「・・騒がせたことは申し訳ない、俺の名前はロナルド・ウィーズリー。所属寮はまだない。」

「・・ウィーズリー家の子供ですか・・遅刻をした上になぜこのような無礼を!!」

「・・俺は名乗ったがあんたは誰だMrs.。」

 

ミネルバはの激昂と、広場のざわめきを全て無視してロンはいっそ穏やかと言えるほどの静かな声で誰何する。

名乗り返さなかったミネルバ・マクゴナガルに対して。

 

「・・失礼しましたMr.ウィーズリー、私はホグワーツの現副校長をしているミネルバ・マクゴナガルです。もう一度問いましょうMr.ウィーズリー、この神聖ともいえるホグワーツ入学式にしてまた新入生達の未来が決まると言っても過言ではない寮の組み分けの場をこれほどまでに騒がせた理由を述べなさい。」

 

戸惑いから一変をして理性を取り戻したミネルバは流石であると言えるが、いかんせん相手が悪かった。

 

彼女が相手にしているのは未知の相手。彼が一度怒れば可愛がっている妹だろうが親友だろうが、はては魔法界の王族だろうが手加減なし容赦なしのロナルド・ウィーズリーなのがミネルバの不幸だった。

 

「この場を騒がせた詫びはします、マクゴナガル先生。」

 

彼は悪い事はきちんと謝る良識を持っているがそれだけではない。

ロナルド・ウィーズリーの謝罪に応えようとしたミネルバに、

「謝罪の前に一つ尋ねる。」

更に言葉を続ける。

 

「貴方の教師としての矜持と誇りと、貴女の中にある善なる心に誓って答えてもらいたい事がある!!」

 

「何を聞きたいのですかMr.ウィーズリー。」

 

仰々しく、不遜な物言いだが、答えないといけない雰囲気をロンからは感じる。

瞳は真剣で真っ直ぐと自分を見る少年の質問に答えないといけない気が・・

 

 

「貴女はヴォルデモートを倒したという赤子を、ある一家に預けられたのは知っているか?それは貴女は関わり又は預けるように指示したものを知っているか否かをどちらかの言葉のみで答えてもらおう!!ホグワーツ副校長・ミネルバ・マクゴナガル女史!!!」

 

 

 

その発言は様々な意味で英雄が現れなかった時の比でなく、大広間は沸騰をした。

 

大半の教師・生徒たちはロナルド・ウィーズリーが例のあの人の名をはっきりと言いきった事によるショックだが、一部の大人は英雄の所在の責任を言った事に対して。

 

「・・あなたは、何故それを知りたいのですか?」

当然ミネルバは後者の方、英雄を預ける先の環境の事を調べ反対をし、結局は預けたものの一人だからだ。

 

「・・俺は知っているか知らないかのどちらかで答えるように聞いたんだが、その耳は飾りか、それともこんな簡単な質問すら理解できないのか副校長が。」

 

赤毛の少年は相手の立場を知っても・・知ったからこそ質問から逃げるようにした彼女の態度がなおさら許せなかった。

 

「副校長様になんて口を聞くんだひよっこが!!」

 

彼女を庇ったのは、「俺はハグリッド!!このホグワーツの森番だ!!!そんで-あの子-を預けなきゃならんかった一人だ!!!」

 

真っ黒なチリチリの髪の大男ルビウス・ハグリッドだった。

 

「副校長様はあの子を預ける時に涙した・・そんでもアルバス・ダンブルドアのお考えに間違いはねえと預けたんだ!!!」

 

人が良くても浅慮で短気な森番が答えてしまった。

 

「そうか・・現校長で偉大と呼ばれたアルバスダンブルドアがそう決めてか・・」

 

 

ふざけんな・・ふざけんな・・赤ん坊を身一つで・・放り出したのかこいつらは⁉

あの好々爺ぜんとして収まりかえっているあいつがか・・・

 

      「無責任なことしてんじゃねえぞくそじじいー!!!!」 

 

ロンはこの世界に生まれて以来のぶちぎり方をした。勝手言う馬鹿や迷惑駄犬に対しても怒ったが、その怒りはあの邪神野郎に対しての怒り方だった。

 

 

「手前かくそ爺!!あんな子供を放り出したのは!!!あいつがどんな目に会ってるのか分かっていたか⁉ボロボロになった雑巾みてえな下着の中はがりがりに痩せた骨のような体に沢山の傷に打撲跡があったんだぞ!!その事をあんたたちは知っていたのかよ!!!!」

 

ロンの無礼なくそ爺発言は、今の言葉で非難の言葉は発されなかた。

 

「何が英雄だ!!何が-生き残った女の子-だ!!!今日会ったあいつは死にかけた虐待に晒された奴だぞ!!!あいつのお陰で今の魔法界は平和を楽しんで、俺を含めた全魔法族は暢気ぶっこいてた時にあいつが一番の不幸だったのは何でだ!!!一番保護されて感謝されて幸せであるべき奴がどうしてあんな目にあわなきゃなんなかった!!何の権利があって-ハリエット・ポッター-をあんな目にあわせる可能性のあった家に置き去りにしやがったのか答えろアルバス・ダンブルドア!!!!」

 

 

 

・・本当に・・あいつは・・ハリエット・ポッターはそんなひどい目にあっちまった・・

 

 

 

 

 

俺はホグワーツの列車に乗る前に父さん母さんとジニーと挨拶をして、フクロウ便を毎日書くことを約束してから乗り込んだ。

 

コンパートメントは空きが一つでそこに入ったら-女の子-が列車の椅子に突っ伏していて驚いた。

気分が悪いのかとそっと抱え起こした体は軽くて・・ごつごつと骨ばっていた。

頬もこけていて明らかな栄養失調で何処のどいつがこんな子供をここまでにしたと怒りが湧いた。ジニーよりも小柄な女の子の髪は伸びきっていて長い黒髪もパサパサで・・額には-雷の傷跡-があった。

 

これがこの女の子が元気で普通に名乗りあっていたら-ハリー・ポッター-が何で女の子と驚いただろうが今はそんなことはどうでもよかった!!

 

「エリー、仕事だ。ホグワーツの教授の元に行ってくれ。」

 

俺はスキャバーズではなく鷲ミミズクのエリーを連れてきた。あいつには「ジニーと仲良くしてろ、逃げたら殺す。」と念入りにに脅しをかけて「良い子にしてたら守ってやる。」とも約束して、あいつは死ぬ程怯えてたから大丈夫だろう行く当てねえだろうし。

 

エリーには「額に雷の傷跡がある少女を保護」と、少女の現状を余すことなく書いて教授に飛ばして知らせた。

彼は俺の知る限りで一番のポーションマスターだ、この少女の助けに必ずなってくれる。

 

このコンパートメントでは誰か訪ねてくる、俺の兄貴達や親友が必ず来てしまう。

列車の最後尾の貨物室に隠れることにした。この少女の事で騒がれては今は不味い。

弱っている体に騒音は毒だ。俺のロープを敷物にして膝枕してたら震え始めたので、ポケットに入れていたチョコレートを割って口にそっと押し入れた。

「噛まなくていい、ゆっくりと口に含んでろ。」

横ではのどに詰まったら困るからロープを少女の体に巻き付けて、横抱きにして背中をゆっくりと撫ぜてやる。保温の呪文覚えときゃよかったよ。

 

列車が止まって全員が下りていなくなったのを見計らってそっと少女を抱えて降りた先には

教授が待っていた。

 

 

「この子供がそうなのかねロン。」

いつもの顔色よりも更に血の気の引いた顔をして、震えた声をして。

 

「それよりも・・」

「分かっている!!・・ついてこいロン・・その前に・・」

歩き出す前に教授が小瓶を取り出して少女に何かを飲ませれば、こけた頬に赤みが増した。回復薬かなんかか。

 

「教授、姿現しをするのか?」

「いや、それはこの子供には酷だ。馬車を待たせている。」

 

そっからは早かった、一気にホグワーツの教授の地下部屋に行って薬を飲ませつつ着替えをさせた。

男二人がと言っている場合ではなかったからだ。馬車の前に飲んだ薬を嘔吐してしまったから上半身だけを脱がせれば酷い有様だった。

 

痩せてるなんてもんじゃない、骨と皮だけで・・下着は雑巾の方がましに思えた・・骨折の跡・打撲の跡・蚯蚓腫れに斬られた跡・・これは一体なんだ?

 

「・・教授・・この子の額には傷跡があった・・それって・・あの子供以外にいんのか?」

「・・いない・・この子供が-ハリエット・ポッター-。闇の帝王を倒したものに・・」

 

-ガン!!!-確認をした後はよく覚えてねえ、道々ゴースト達に大広間の場所を聞いてひたすら歩いたのはかすかだが、-どうして英雄と呼ばれた子があんな惨い目に合っている-という他は・・誰があの女の子を放り出したのかを聞くこと以外は。

 

 

「・・ウィーズリー家の子よ・・今ハリエットはどこに・・」

「・・答える気がねえのか・・もういい。」

 

 

質問を質問で返す馬鹿は放っておく、森番がぶちぎれようが知るかボケ。

・・あれが-組み分け帽子-か。

 

「帽子、俺はロナルド・ウィーズリーだ。」

「ほう、現ホグワーツの教職員全てを敵に回したものがこんな私に挨拶かね。」

「あんたには頼みがある、あんたにしかできない事が。叶えてくれれば俺は入学禁止でもいい。」

 

「「「ロン⁉」」」

 

あ~兄貴達やドラコ達の悲鳴が耳に痛えけど「ハリエット・ポッターをスリザリンの子にしてくれ。」

こっちの方がはるかに大事だ。

 

「・・スリザリンて・・」

「闇の帝王討った子が!!」

「ふざけんな!!!!」

「お前に何の権利があって!!!!」

 

             「静まれー!!!!!」

 

 

今度こそ大爆発を起こした大広間を静めたのはアルバス・ダンブルドア・・ではなく・・なんと組み分け帽子だった。

 

「ウィーズリー家の子よ、ハリエット・ポッターの現状は今私も聞いた。その上で聞くが、何故彼女をスリザリンに入れたい。」

「寮の特性は兄貴達から聞いている。今のあの子には揺ぎ無い愛情が必要なんだ。

レイブンクローは機知と叡智をさらに磨く場で、弱ったあの子には今は勉学を磨く体力はない。

ハッフルパフは忍耐強い子がいくならばあの子の体が治ってからと考えてくれるだろうが出入り口の場所が今のあの子には不向きだ。治るまで別室で一人何て言うのは論外だ。

グリフィンドールの団結力の騎士道精神は所属した者には強さを以てして育てさせる厳しさがあってやはり現状無理だろう。

全てが治り癒えるまで-他寮に排他的であっても身内には底なしに甘く、狡猾ともいえる手段を以てしても身内の敵を滅ぼす-スリザリンの-蛇の愛情-が必要なんだ!!」

 

俺はずっとスリザリンの事をそう評していた。溺れるほどの情の深さを持った蛇の住まう場所と。それはマルフォイ家や他のスリザリン生徒の一家を見てきたから。

グリフィンドールのうちの逞しい愛情とは違うもっと細やかな甘い愛情だと、今のハリエットには必要な甘さだ。

 

あの子の傷は体だけであるはずがない、心の中は・・それを考えると許せねえ!!暢気ぶっこいてた俺自身が。

 

「・・その子供の幸せを願って-蛇-の愛情を欲するか。」

「そうだよ・・あいつを助けてやってくれ!!だって・・ホグワーツはその為にこそ出来たんだろ⁉単に勉強するためじゃねえ!友達作りだけじゃねえ!!将来の為だけじゃなく!!!罪なき魔法族の者達を助けるために作られたんじゃねえのかよ⁉

俺は守る!!ハリエット・ポッターを!!どんな敵やあいつを英雄として利用しようとする奴等から、全部から!!!俺の持てるすべてを使って!!」

 

ロンはぼろ泣きしながらも力強く帽子に訴え続けた。赤子以来、どんな事やどんな目にあっても泣かなかったロナルド・ウィーズリーが、魔法界を救った英雄とはいえ赤の他人のハリエットの為に。

そして己自身もハリエット・ポッターを守ると咆え上げる。

 

 「・・分かった少年・・ハリエット・ポッター!!スリザリン!!!!!!!」

 

 

 

帽子の宣言に、大広間は静寂をした。ホグワーツ開闢以来、帽子を被らずに所属寮が決定した事は無く前代未聞な事もさることながら、闇の帝王を倒した子が同じ寮に決まった方が衝撃度合いが大きかった。

 

帽子の宣言は魔法の契約であり、どのような者・・現校長のダンブルドアでも翻せない拘束力があり無効にはできず、ハリエット・ポッターを英雄視した者、これから英雄に仕立てようとした者は歯噛みをして見ているしかなかった。

 

これでいい・・行かないと・・

 

「こら少年、何処に行く。」

「ん?あいつ、ハリエットのとこに・・」

「せっかちじゃな、君自身の寮は決まっておらんじゃろう。」

「・・適当に・・」

「・・先ほど全寮の特性と長所と短所を言いおったお主がそれを言うのかね?」

「俺だったらどこでも生きてく自信がある・・俺の取り柄はそんなもんだよ。」

「いいから私を被れ、頼むから」

 

帽子の頼みって、被ってみたら・・

 

「ありがとう!!若き勇敢な子よ!!!」

「真の愛情を知る子よ!!」

「このホグワーツ誕生の意義を学んだ子よ!!」

「あなたを歓迎します心優しき子よ!!」

 

・・なんかイケメン二人と美人なお姉さんが二人、誰あんた等?

 

「私はグリフィンドール。」

「我はスリザリン」

「私はレイブンクロー」

「私はハッフルパフ」

「「「「ホグワーツを創りし者だ」」」」

 

「嬉しいぞ、真の騎士精神を持ってくれて。」

「そなたの寮は決まっている。」

「満場一致ですね。」

「貴方が行く先は。」

 

              

          「グリフィンドール!!!!!!!!」

 

 

 

四大始祖たちはこのところのホグワーツの在り方に、魔法の現状にうんざりとしていた。

彼等の目指した理想の場が汚されていくのが、マグルからの迫害から同族を守る為にと始めたものが、いつしか同族同士でたかが寮や家柄なぞでくだらない争いを起こし、大人になって卒業後もその考えが抜けずに魔法界がいさかい出したのを。

 

だがしかし・・希望が見えた・・見知らぬ他人の為に咆え上げた少年の様は、炎の獅子のようだった。

この子供に今一度託してみよう、かつて自分達が目指した理想の場を再び見せてくれるかを、少年自身が言ったように厳しく騎士道精神を鍛える獅子の寮にてやっていけるのかを。

敵視する子や大人は少なくあるまいが、意外に味方もいるようだ。

それぞれの寮に、少年を案じる優しい目がある。

大丈夫かもしれない、この子供ならば。

 

 

かくして生き残った女の子は蛇の寮に、生き残った女の子を守ると決めた少年は獅子の寮へと分かたれた。

四大始祖と、帽子以外に様々な衝撃をあたえて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・体が・・痛い・・っ・・ここはどこだくそったれ・・」




生き残った男の子は生き残った女の子となりました。

原作開始から本格的に原作ブレークに動き出します。


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傷だらけの赤ん坊

シリアス時々ギャグです。



一体ここはどこなんだ?何で-俺-はここに居る。

柔らかい感触はベッドってやつか?くそったれのダーズリーの家では物置の部屋に毛布一枚で硬い床でしか寝た事無いのに。ここって天国ってやつか?俺は死んだ・・わりには体中が痛いし腹は酷く減って喉はカラカラで、目も開けられないほど乾いてる。辛くて死んじまったほうがましだ。

 

少女は現状が全くつかめずに慣れない考え事をする。物心ついた時からダーズリー家ではどうやって夫妻とその息子の機嫌を取って生きてくしか考えたことがない。

 

 

日々-あまり殴られずにひどい目にあう回数を減らし、ご飯が貰えるか―以外に深く考えたことが無かった。

生きていくことが精いっぱいだったから、余計な事は考えずにひたすらに生きる事のみを。

 

「・・が・・・いた・・・」なんか知らねえ男の声が聞こえる。

バーノンのだみ声じゃねえ、ダドリーの豚声でもない沁みるような深い声「・・だ・・れ・・」

 

薄目を開けら目の前に青白い顔の油ギッシュな髪の男・・知らない顔で-ローブ-とかいうバカげた服着てるって事は-魔法使い-か。ダーズリー達に負けず劣らずの-クソッタレ―どもの一人か。-トントン-「あの子の目は覚めた・・起きたか!!」

 

 

・・なんかうるさい子供の声だ・・赤毛?なんか覚えが「何はともあれ飯だ飯!かぼちゃジュース持ってきた。ちょっと待ってろ。」

 

飯!食える!!寄越せ!!!「た・・る」ちぃ!!喉がかすれて声も出ねえ。

あの家でもそこそこ飯はまともにもらえてた。俺が死んじまったらまともな家じゃなくなるからの理由で、俺の心配は一ミリも無くても別によかった。そんな期待はごみ箱の底にもない、考えるだけでも無駄だ。そんなことで腹は膨れねえ。

 

俺が飯を食えなくなったのは全部-クソッタレの魔法使いども-のせいだ!!

フクロウが手紙届けて来て、あの馬鹿どもを苛つかせた挙句ハグリットって奴がやらかしてくれたせいだ!!!あれさえなければ俺はイートン校で今までの生活ができたのにぶっ壊しやがった!

 

お陰で一月前からパン一個に水のみの生活が始まって、ここに来る二日前からは水のみになっちまった。

駅に送り届けたバーノンの面には「野たれ死ね」って書いてあったな。魔法界で死んだらあいつらの責任はないからなって・・-ギシリ-赤毛の野郎が俺の側に来やがった!!

 

「俺の名前ロナルド・ウィーズリー、今は名前よりもかぼちゃジュースの方が先だ。ゆっくり飲んでくれ。」

 

そうだ飯だめしって・・「ゆ・・・び・・」こいつ手前の指にかぼちゃジュースってやつつけて俺の口に持ってきやがった!!!きしょい!!!!

 

「お前乾きすぎて普通に飲もうとしても飲めないぞ。死にたくなかったらこれで飲め。」

 

・・偉そうに!!人の事を赤ん坊みたいに横抱きにしやがって!!!・・でも欲しい・・

 

-チュ-ゆっくりと、ハリエットはロンの人差し指を口の中にくわえてかぼちゃジュースを嘗めた。(うめえ!!なんだこりゃ!!!)これに比べれば今までの飯が豚の餌だ!!

 

チュウチュウと、ロンが少しずつ与えてくれるかぼちゃジュースをハリエットは夢中で舐め尽くす。

母乳を貰う赤子の様に無心になって。

 

 

(これがハリエット・ポッター・・あの憎いジェームスにも愛しいリリーにも似ていない。)

 

ロンがハリエットの面倒を見ているのをセブルスはじっと黙って見守る。少女は部屋に来てからはピクリと動かず、呼吸音から目が覚めたのが分かったが暫くは眼が開けられないようでじっとしていたが、開いた眼の色は綺麗なエメラルドグリーン・・リリーと同じもの。

だが似ていたのはそれだけで、後は何もかもが両親とは違う憐れな少女だった。

声は喉がかすれてひび割れた声、弱々しい様は傲慢で憎らしいジェームスの面影は無論のこと、快活で明るいリリーの姿も彷彿させるものはない・・本当に憐れな少女だ。

 

「・・すう~・・く~・・」

「・・ねむったか。」

「ああ、かぼちゃジュース半分で満腹ってなんだよそれ・・・」

 

静かに怒るか、ロナルド・ウィーズリーは。「・・その子供の寮はいつ決まる?」

明日帽子をダンブルドアかミネルバが持ってきて決めるのだろう。

 

「あんたの寮だよ教授。」

「・この子供は被ってはいないぞ。何故決まった。」

 

「俺が帽子に頼み込んだら聞いてくれた。-あいつ等-はいい奴等だった。どうしようもねえのはダンブルドアっていうくそ爺だ。あいつは本当に嫌いだ。」

「・・お前が・・分かったこの子供の面倒は-私-が見よう。」

「助かる、こいつ・・ハリエットには蛇の愛情が必要だ。とことん皆で甘やかしてくれ。」

 

ロンがそうしたというのならばすべて本当だ。この少年には世の常識なぞ通じない。

持ち前の地頭と強運が合致をして常識をぶち破ってきた。

 

それはルシウス・マルフォイから全て聞いて知っている。

 

以来この少年の動向を観察している。見ていて飽きが来ないがぶっ飛ぶ事ばかり。

今回もその内の一つだと早々に割り切って受け入れる。

 

「皆という事はドラコ達も承知か。」

「ああ、子供の家の奴等は全員がハリエットの味方になるって言ってくれたよ。」

 

俺の寮が決まったら兄貴達がすっ飛んできてハグされて歓迎受けたが「俺行くところあるから。」大広間を去ろうとしたら「ハリエット・ポッターの所に行くのかロン。」

 

ドラコとセオ、グレゴリーとビンセントがきた。

「えっと・・お前達は・・」

「僕等はスリザリンだ。ダフネもアルミナも。他はレイブンクローとハッフルパフでグリフィンドールは今のところ君だけだロン。」

「そっか、まあいいや、たかだか寮が違うだけ。ハリエットの所に行くけどそっち行ったらよろしく頼むわ。」

「・・君もスリザリンに来てしまえば守るのは楽だったろうに・・君らしいからまあ良しとしよう。」

「サンキュードラコ、頼むぞ皆~。」

 

いつものダチとの何気ない会話は心底今の俺の心を救ってくれる。もう俺の心の中は嵐でボロボロ・・死んじまいたいのを天使達が癒してくれる。

 

「その子を僕も守るよロン、マルフォイ家の次期当主として。」

「・・ガキに・・しかも女に手をあげる奴なんてマジで死ね。」

「俺のお菓子分けてやる・・」

「俺の非常食も・・」

「女子寮は私達がいるから。」

「任せなさいよロン。」

 

スリザリンだけじゃねえ、

「私はレイブンクローだけど任せなさいよ!可愛いクマのぬいぐるみ作ってあげる。」

金の髪を三つ編みに結ったフローラが、「俺はハッフルパフだけど可愛い装飾品を一生その子に贈ってやる。」

ブルネットを短く刈った将来ナイスガイ決定のバート二ーが、

「よく眠れるポプリはいるかいロン?」ネビルが、

「僕にできることは何かあるかロン。」「「頼ってくれよロニー坊や」」

兄貴達もハリエット・ポッターを守ると言ってくれている。

 

本当にこいつ等は天使達だ、こいつ等の優しい思いがハリエット・ポッターを癒してくれる、そう断言できる!!俺の天使たちは無敵だ!!!どんな事もお悩み解決だ!!!!

 

          「愛してるぞお前達!!!!!!」

 

もうホグワーツの大広間の中心で天使達への愛を叫ぶ!!!!

 

「僕もだ!!」

「・・知ってる・・」

「「分かってる」」

「私達も」「愛してるわよロン」

「早く行ってあげて。」

「ポプリ持ってって。」

「行ってらしゃい。」

 

天使達に送られてかぼちゃジュース持ってきたら目が覚めてたので-あの手-で飲ませようとしたら嫌がった・・そりゃそうだ、今のこいつは現状が分かったいない、弱った子供で警戒心むき出しの野生児・・というよりは捨てられた子猫ぐらいの人間不信持ってて当然のやつだ。

 

説明したら理解力はきちんとしているようで飲んでくれて、半分で眠っちまった。

「少しずつゆっくりとな・・」

 

こいつを狙ってるヴォルデモートは俺が何とかする。お人好しの神様から貰った道具を使って。

 

後はあのくそ爺だ!!いけすかねえ!!!ハリエット・ポッターの現状を聞いても顔色を変えててなかった、ミネルバ副校長は受けていたのに・・つまり大体知っていて放っておいた?何のためにかは知んねえけどどうせ碌な事じゃねえ。あいつの発してた雰囲気は邪神野郎に似ていた。

 

俺の喧嘩師としての嗅覚は間違った事がない。あいつは手前が正しいと思ったこと以外は悪だと決めつける野郎で、-正義-の為なら何をしてもいいと思う輩だ。

ヴォルデモートとあいつがハリエット・ポッターの敵と決めておこう。

 

「そんじゃ教授、明日の朝一番にまた来るよ。」

「・・寮に入るには合言葉がいるが聞いたのかね?」

「・・教授は知ってるか?」

「・・私の部屋この部屋にハリエット・ポッター共々泊まりたまえ、うっかり屋のロナルド・ウィーズリー。」

「面目ねえ。先生ここに泊まんだろ?」

「一応君とハリエット・ポッター・・」

「長えからハリエットでいいじゃん。」

「・・ポッターは異性だから監督役が必須だ。」

「正直じゃねえな~、まあいいや。お休み教授。」

「ポッターを潰すなよ、ロン。」

「はいはい・・ふぁ~・・ん~ん・・」

 

眠ったか、11歳離れしたロンとても疲れるだろう。

大蝙蝠はその姿に似合わず、優しい手つきでベットに眠る二人の子供に毛布を掛けて蝋燭の灯りを消し去る。夜の優しい闇が・・誰にでも平等に訪れる静寂が、苦難待ち受ける子供達を癒すのを願って。

 

 

 

・・ここは一体なんなんだ・・この赤毛は何で俺の世話をしてくれる。

 

朝起きたら目の前に赤毛のやつが一緒に寝てた・・そんでまたかぼちゃジュース持ってきてくれて同じ飲み方でくれた。今度は全部飲めたけど眠い。

「寝ちまえ、」偉そうに・・でも・・寝る・・のもいいか。

 

 

 

「俺は大広間行くよ教授。」

「私もこの子の面倒を見てくれる屋敷しもべを見つけたら授業に行く。」

 

 

ぐっすりと眠ったハリエットを置いていくのは気が引けるが「おはようございます!!」

 

ホグワーツの大広間へ朝の挨拶乗り込みだ。

あちこちからおはようの合唱あ~あ気持ちいい朝だな~。

 

空いてる席発見!!しかもそこは「空けておいたぞロン。」

プラチナブロンドのマイ天使ドラコ―!!「君の好きな物も揃えておいた。」

ポークドチョップにポテトサラダにカリカリのベーコン!!「いただきます!!!」

昨夜の分も食ってやる!!!

 

昨日のあの騎士道精神に溢れていた奴はどこいた⁉兄達やドラコ達以外の全ホグワーツの教職員及び生徒たちは本気でぶっ飛んだ!!

これぞロナルド・ウィーズリーだと受け入れるのには多大な時間を要する羽目になる。

あの偉大なる魔法使いとても例外にはなれない程にロンはぶっ飛んだ奴なのだ。

 

 

 

ロンの-被害者第一号-は本気で首を捻って頭を痛める。

「なんで-針-がかぎ針になっているの!貴方は私の事をからかってるの⁉マグル生まれなの馬鹿にして!!」

「違う!!マジで違う!!!だからさっき言ったろう、俺は敵吹っ飛ばすか守るかの呪文は得意でも繊細系はからっきしだって!!見捨てないでくれハーマイオニー!!!」

・・ほんと何なのこの子?

ハーマイオニー・グレンジャーは心の中と現実世界でそっとため息を吐く。

まさか自分が「ニ十世紀の魔術師」トップに乗っているアルバス・ダンブルドアに喧嘩を売った男の子と関わるとは思っていなかった。

 

昨日はこの少年のせいで組み分けが終わった後の新入生歓迎会は葬式の通夜と言っても過言ではなかった。

けれどもロナルド・ウィーズリーという子は正しい、言葉遣いこそ悪かったが少なくとも言い分も思いも正しいと自分は感じた。

偉大なるダンブルドアならば生き残った女の子、ハリエット・ポッターを助けることなぞ造作も無かったろうに、放置していたのはおかしいと。

 

でも一夜明けた少年は、正義に燃える子ではなく、その辺にいるごく普通の男の子であった。友人達と話して朝食をがっついていた辺りまでは・・

 

    -バッガーン!!-「ロンー!!!ハリー・・ハリエットのー!!!」

 

「プロテゴ(守れ)!!・・シリウスてんめえ!!」-ドゴン!!!!-

「呪文で扉吹っ飛ばす馬鹿どこにいる!!間違って俺の天使達に当たったらどう落とし前付ける気だこの駄犬!!あの世行って詫びるかこのボケ!!!!」

 

シリウスって・・今世紀最大の魔法使いどころか現魔法界の王様を呪文で吹っ飛ばした!!

プロテゴと上級生の最難易度の盾呪文まで使って、吹き飛んだ大広間の扉から生徒を守り、デパルソで駄犬を壁に叩きつけたロンは相当おこだった。

ロンの激おこ初体験の者達はありあとらゆる意味で氷漬けになった。氷河期の到来もかくやだ。

 

 

「だって・・ハリエットが・・俺の名付け子が・・」

「気持ちは分かる、俺だって俺の天使たち傷つけた奴は地獄に落とす。だから分かってるよな、あやうくフローラにかすりかけたぞ。」

「・・マジご免なさい。」

 

「ロン、私は平気。おはようございますシリウス小父さん。」

「朝っぱらからやらかしたなシリウスさん。」

「許してやれよロン、ヤッホーシリウスさん。」

「ロンやりすぎ、おはようございますシリウスさん。朝ごはんご一緒に・・」

 

「お前等マジで神様かなんかか⁉愛してるぞお前達!!!」

「「俺達・私達もですよ~」」

 

朝からホグワーツの大広間は子供の家関係者一同にジャックされた。

寮の関係性だの、魔法界の王との対面などという世間一般の考えは最早彼等の脳内には一ミリたりとも存在しない。

何故ならみんなロナルド・ウィーズリーに右に倣えだから。

 

その後シリウスはアルバス・ダンブルドアにハリエットの事で猛抗議しに校長室に突っ込んだが深い謝罪と例の説明でいなされ玉砕をし、ハリエットの状態が落ち着かないといわれて、迎えに来てくれたルシウスとすごすごと帰った。

 

「・・ドラコ・・ルシウスさんに・・」

「当然父上にはハリエットの全てを伝えた。彼女の立場もそうだし、未成年の魔女が死ぬ程の目にあっても保護されなかったのは大問題だろう?」

「・・お前この頃腹黒くなってね?」

「失望したかいロナルド・ウィーズリー。」

「まさか!その狡猾さで皆を守ってくれ。お前の事は俺が守るよドラコ・マルフォイ、マイ天使。」

 

 

 

 

 

 

そんな凄い少年が、なんで自分に教えを乞うているのか理解不能な変身授業の時間だった。

このクラスで成功者は自分一人と、ミネルバ・マクゴナガル先生から点を貰って喜んでいた時に、「お前凄いな!!」褒めてくれた子がいると気をよくして声の方を見れば・・赤毛の少年!!

「悪い驚かせた。俺は・・・・」

「知ってる、ロナルド・ウィーズリーでしょう?昨日広間でみたわ。」

知っているといえば、何故かムッとした顔をされた。

「・・どうかしたの?」

時折どうしてか自分は話している相手を怒らせてしまう。原因が全く分からないがなにが彼を。

 

「俺はまだ名乗っていない、挨拶の途中を遮るのは礼儀違反だろお嬢ちゃん。」

ロンははっきりと少女を叱ることにした。どう見てもコミュ障の女の子を。

「お互いにきちんと名乗りあって挨拶をし合ってから初めて-知っている者-になるんじゃないのか?それとも君の家では君の態度が普通なのか?それで親に怒られないのか?」

 

 

ロンの説教を受けたハーマイオニーは頬が赤くなるのが分かった。

恥ずかしい・・自分の行いをきちんと客観的に言われて自分でも振り返ったらこの男の子の言う通り礼儀知らずのお嬢ちゃんだ・・

 

「分かってくれたらそれでいい、やり直させてもらっていいか?」

「・・どうぞ・・」

「俺はロナルド・ウィーズリー、家族と親しい奴等はロンって呼ぶ。よろしくな。」

「私はハーマイオニー・グレンジャー、ロンて呼んでも?」

「構わないよ。」

「貴方って優しいのねロン。」

「・・そうか?」

 

ロンの昨日からの一連の行動からハーマイオニーが陥落した。

 

そんなハーマイオニーにロンは頼みごとをした。

将来はアニメ―ガスで大きなフワモフの動物になってハリエットを包んでやりたいので変身呪文は必須だが、苦手だから教えてくれと。

 

その日はどんなにハーマイオニーが教えても針にはならなかった。辛うじて一番極細のかぎ針にはなれた・・なんでだろ?

 

 

 

ハリエットが大広間の朝食に来るのに入学から五日を要した。

その間に彼女は大体の事が分かった、毎日世話をしてくれる屋敷しもべや同級生という女子達が教えてくれた。

自分はロナルド・ウィーズリーという奴の望みでスリザリンに入った事も-誰―が偉く、自分にとって最良になる相手かを。

 

たしかスリザリンは屑の闇な奴等の行くところって粗野なハグリッドがしたり顔で言っていた。

でもロナルド・ウィーズリーという奴は別の考えで選んだらしいがどうでもいい。

お人好しのようだからせいぜい良い子のふりして利用してやる。

 

そんな考えでふろに入れてくれたダフネや同室のアミルと接した。

 

ダフネはいいとこのお嬢様のようで、アミルは半純血という奴らしい。俺と同じだって言いやがったが違う・・アミルって奴は愛されて生きてきた・・俺とは違う!!!

 

 

 

二日目でスリザリンの女子寮に入ったハリエットは、誰につけばいいのかずっと考えた。幸い覚えはないが自分は魔法界の英雄らしい。それに今の境遇に同情されているようだ。

利用しない手はない、俺の心は真っ黒だ!!ロナルド・ウィーズリーという奴のいう愛情が必要じゃなくて、クソッタレのハグリッドの言った闇の心でスリザリンがふさわしい!!

 

かつて世を呪い愛を知らずに育ち、遂には闇の帝王となった者と同じ考えをハリエットは持ち始める。

 

 

 

そしてハリエットは大広間での初デビューとなった。

 

入った途端に一斉に大広間の目がハリエットに降り注ぐ。

スリザリンン女子に守られるように入ってきたのだから嫌でも目立つ。

 

「ようやく大広間に来られたようだね、初めましてミスポッター。僕はドラコ・マルフォイ。

君とは同僚だが女子達が君が大広間に来れるまでは男子に会わせないって言っていたからずっと待っていたよ。」

 

なんだ⁉この王子さまは!!・・魔法界ってパねえ・・

でも負けるか!!

 

「・・初めまして・・ハリエット・ポッターと言います・・どうぞハリエットと・・」

 

どうよ!この健気な俺!!皆これにコロッと行く!!さあ!おまえもって・・

「・・君は・・」

 

なんかかわいそうなやつ見る目で見られた!!なんでだ?

 

 

「ハリエットー!!!!」-ガシ-

「だから突撃するな駄犬!!!!!」

「ぐえ!!くび・・しま・・」

 

今度はあの赤毛と無駄に元気な超イケメンが来た・・まあいい!!

 

「えっと・・今までありがとう・・ロナルド・ウィーズリーさん・・あのロンて呼んでも」

 

今度は潤めはにかみ笑いだ!!これで・・

 

          「何だその顔、気持ち悪いぞへたくそ」

 

・・・・・・・・今なんつったこの赤毛野郎!!!!!⁉

 

気持ち悪い?へたくそって言ったか、この野郎は!!俺のとっておきのスマイルを!!

 

「薄気味悪い、変だ、甘ったるい頭の悪い奴の顔してる。」・・こいつ・・

「薄っぺらい考えのバカのすることだ」・・この野郎・・

「なんで・・そんな・・」

「猿芝居見飽きたぞ、薄っぺらい顔でへらへらしてるなんて馬鹿のすることだ。」・・この・・野郎・・何を知った風な・・

「本当に分からないのか?お前のしてる事がいかに馬鹿げた・・」

 

 

        「バカバカうるせえぞこのくそ野郎!!!!!!」

 

こんなにガタイのいい、育ちのよさそうな餓鬼が!!

「手前が-俺-の何を知ってやがる!!育ちのいいおぼっちゃん風情が!!!」

「・・・・」

「お前に分かるか?すきっ腹の辛さを!!飢えない為にはいけすかねえ奴にぺこぺこして、適当に殴られたら飽きて放っておいてもらう時が、幸せだって思うのを!!!

近所の奴等にばれたら捨てるって言われたから痛くてもへらへらしてなきゃいけねんだよ

俺にとっては生きてくってのはそういうもんだ!!文句あるのか馬鹿野郎が!!!!」

 

「・・それが-今の本当のお前-か。」

「ああ・そうだよ・・失望したか?捨てるか?正義面した偽善野郎!!」

 

 

 

 

「いいや、ようやく本当のお前を知れて嬉しいぞ俺は。」

 

 

あらゆる意味で静寂をした大広間に、穏やかながらもはっきりとしたロンの声が響いた。

 

「・・お前何言って・・」

「そうか、そうだよ、じゃないとおかしいんだよ。」

「や・・くんな・・くんな!!気持ち悪いくんな!!!」

 

ロンは何が嬉しいのか微笑んで独り言を言いながらハリエットに近づき、そんなロンをハリエットは本気で拒絶する。

ロンの事が全く分からなくて・・

 

-グッ―「本当のお前に会えてよかったよ。改めて初めましてだ、俺はロナルド・ウィーズリー。家族と親しい奴は俺の事をロンと呼んでる。君の名前は?」

 

大柄なロンは同い年の小柄なハリエットをすっぽりと覆いかぶさるように包み込む。

 

 

「はなせ・・俺の事知ってるだろう!!」「・・知らない。」

「離せよ!!おかしいぞ!!お前狂ってんのか⁉おれは生き残った女の子だろ!!有名なんだろう!!!魔法界の英雄なんだろう!!」

「俺はお前を知らない、あの列車で助けたやせっぽっちの女の子の名前なんて知らない。

-お前-からお前の名前を聞いていない・・だから知らない。君の名前は?」

「・・はなせよちきしょうー!!」-ガブ!!-

 

「・・ロ・・」(止めんなドラコ!!!)

 

ロンの腕から抜け出そうとハリエットは暴れた。爪で引っ掛き、足で蹴飛ばし胸をどんどん叩きながら罵倒してもてこでも動かないロンに本気でブチ切れ、かがんでいるロンの首筋に噛みつき、さしもの事態にドラコ達が止めに入ろうとした。

 

ロンの意図はドラコのも分かる。ドラコもハリエットには違和感のオンパレードだった。

それを暴いて素の彼女を面に出させるつもりだろうが・・しかしロンに止めるなと目で言われてはどうしようもない。

ロンの兄達も見守る姿勢を崩さない、あのシリウスとても静観しているのだから他の友人達に目配せをして見守ることにした。

 

 

 

「・・じゃない・・」

「うん・・」

「ふぇいゆう・・なんかじゃ・・ない・・」

「ほれは・・そんなんしらねえ!!英雄なんていう奴なんてみんなくたばればいいんだ!!」

 

ロンに噛みついていたハリエットはロンとの我慢比べに耐えきれなくなり遂に心の闇をぶちまけた。

 

「あいつ等おかしい!!俺の事何にも知らねえくせによってたかって人の名前連呼して馬鹿みてえにお礼言って!!そのくせ―今の俺-がどうなっているかなんて聞いてきた奴は一人もいなかった!!痩せてる俺を見て、ボサガミの俺を見てもだぞ!!!!ふざけんな

ふざけんな!!!あいつ等は俺の今までの時間をぜんぶ無視して否定しやがったんだ!!!!」

 

 

ダーズリー達にされたよりもなお酷い、悪意のない無知どもの所業は、今現在のハリエット・ポッターを殺したのだ!

お前の価値は過去にしかなく、お前の未来なぞどうでもいいと・・言われたようで・・

 

「おれは・・知らねえ・・生き残った女の子じゃねえ。」

 

いつしか床に座っていた。赤毛の野郎にしがみつきながら。

「俺は英雄なんて名前じゃねえ。」自分を見て。

「ジェームスとリリーの子って名前でもねえ。」今生きている自分を・・

 

「俺は・・ハリエット・ポッターなんだよ、ロナルド・ウィーズリー」憐れみでもいいから

 

「そうか、なら俺はお前をハリエットと呼ぶ。お前も俺をロンと呼べ。

お前の事は俺が守る。ようこそ魔法界へ、歓迎するぞハリエット・ポッター。」

 

俺が守る?こいつが・・こんな汚い俺を・・撫ぜてくれてる・・包んでくれて・・

 

「うう・・う・・あああああ!!うわあああああ!!!!!!」

 

ハリエット・ポッターは泣いた。同情を誘うではなく、悲しいわけでなく、言葉にならない混ざった思いを出すように力強く・・この世に生まれた赤子が産声を上げるように。

 

 

ロナルド・ウィーズリーによって、ハリエット・ポッターはまさに生まれ直したのかもしれない。

呪い続けた自分の闇の人生から、温かい日の当たる道を歩める世界へと。

 

傷だらけの赤ん坊を守るように、ロンはしっかりとハリエットを包み込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺様はあの小娘をどうするべきだ?」




ギャグ時々と書きましたがシリアスばかりで辛いです。
長文で誤字脱字には気を付けましたが、見つけたらご報告をくだされば幸いです。
すぐに直すのでお力お貸しください。

原作ぶっ壊したので次回からはギャク度を増したいと思います。・・書けなくて作者が辛いのです・・


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ー俺様ーの葛藤ー・-俺の決意ー

前回でお悩みで終わった俺様視点と、ロンの織り成すお話です。



参った、まさか小娘・・いやハリエット・ポッターがあんな悲惨な目にあっているとは俺様も

想定外だった。

 

両親は殺され、保護者のない英雄殿はてっきり腹黒狸のアルバス・ダンブルドアに囲い込まれて、

チヤホヤされつつも、英才教育という名の洗脳を受けて、正義面した腹黒狸の手駒になっていると考えていたのだが、とんだ思い違いだった。

 

見るからに栄養失調のガリガリのちびで、女子だと言われないと見分けがつかない性別不明の者がハリエット・ポッターとはこれ如何に。

 

俺様も幼少期は大概だったが、その上を行く不幸者が魔法界の英雄と呼ばれるとはどうなっているんだ?あの狸は何を考えている。俺様の時はうっとおしい程監視してきて、俺様が何かをするたびに含みを持たせた言い回しをして褒めているつもりで貶してきたお門違い狸は、歳をくって耄碌爺に成り下がったか。

 

 

 

「俺様はあの小娘をどうするべきだ?クィリナス・クィレル。」

 

「・・その・それはご主人様の思う通りに・・」

「・・そこを悩んでるからお前に思い切って言ってみたのだぞ。キリキリと考えろ。」

「・・私めが思いますに・・あの娘は今の段階ではご主人様の敵どころか、邪魔にすらなりません。放っておいても構わないかと。」

 

この臆病で引っ込み思案者のクィレルにここまで言われるほどハリエット・ポッターは本当にどうしようもない奴だ。

どうやって赤子の頃に俺様を-倒したか―さっぱり分からん。

 

大広間で泣き喚いた騒ぎから次の日には、ウィーズリー家の息子にべったりだ。

 

「ロン!もう飯いらねえ!!かぼちゃジュースくれ。」

「駄目だ、せめてもう一口鳥のハーブ焼き食べてからだ。」

「ケチ野郎!!お腹いっぱいだ!!!」

「ならかぼちゃジュースも入らないだろう、どうなんだハリエット。」

「う~意地悪・・えい!!・・ふぐ・・むぐ・・これでいいんだろ?」

「よく食べた、ほらゆっくりと・・」

「コップで飲みたくねえ!!あれしろ、あれ!!!」

「・・分かった、ほれ。」

 

-チュ・チュウ-

 

 

ハリエット・ポッターは胃袋が小さい。それを赤毛の小僧が少しずつ食べさせて健康体を取り戻させようとしているのは分かる。

食べた褒美にかぼちゃジュースを与えるのもいい手だが・・何故ハリエットはコップから飲まずに赤毛の小僧の人差し指に付けさせて嘗め飲みをしている!!おかしいだろうあれは!!

 

しかも食事は普通に一人で座って食べていたのにかぼちゃジュースを貰う時は赤毛の小僧の膝に横座りしてる・・何のプレイだあれは?

 

しかもだ・・「美味しいかハリエット。沢山飲めよ。」

なんか赤毛の小僧は普通に与えているし、餌付けなのだろうかあれは?

 

更に不可解なのはルシウス・マルフォイの子もノット家、クラブ家・ゴイル家などの俺様のかつての部下の子供達も優しい目で見守っている・・解せん。

 

「ご主人様、弱った小動物を無下にする者は少ないかと。それ程までにハリエット・ポッターはあわれなのでしょう。」

 

ふむ、確かにクィレルの言う通りかもしれん。

 

俺様の予定では、復活を遂げた暁には腹黒狸のダンブルドアの目の前で、ハリエット・ポッターにあらゆる苦しみを与えてのたうち回らせてから殺してやろうと考えていた。

 

磔の呪文でクルーシオでのたうち回らせ、服従の呪文でダンブルドアに向かって罵詈雑言を吐かせてみれば面白かろうと画策していたら、俺様がしなくともどこぞの奴等がハリエットに地獄を味合わせていた。

 

無垢で純粋な子供には最適な計画でも、今のハリエットにはまたかとしか思われんだろう。

味わってきた地獄の二番煎じだと、それでは俺様のプライドが許さん。

 

 

憐れな小娘を苦しめるのもなんだかな~。

 

「あの・・それではご主人様・・いったいハリエット・ポッターをどうするお積りで?」

うむ、俺様は珍しく慈悲を与えてやろうと考えている。

「なんと!!」

そうだ、あの憐れな子を助けてやろう。俺様が復活した暁には!!

「・・ハリエット・ポッターを・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           「アバダでサクッと殺してやろう。」

 

 

 

 

 

「何とお優しいご主人様!!」

 

「ふっふっふ、褒め過ぎだぞクィレルよ。ヴォルデモートは慈悲深い。受けた恨みは忘れて、あの娘を苦しませずに逝かせてやろう。両親の元へと。」

「ああ~なんと・・何という広い御心か・・」

 

昔のご主人さまからは考えられないお優しさにむせび泣くクィレルと照れるヴォルデモートであった。

例え後頭部にとりついた寄生野郎であっても、クィレルはヴォルデモートを心の底から慕っている。

弱い自分を認めてくれるご主人様を。

そんなクィレルを利用しつつも可愛い奴とヴォルデモートも思っており、案外両想いな主従であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかしそんな二人の悪だくみは端から露見していた、よりのもよって-天使達の守護者―に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・何が優しくて慈悲深いんだか変態コンビが・・」

「チュウ~(流石に俺もどんびく・・)」

「まあいいか、これからも-俺の目-になれよ-スキャバーズ。ほれ、ステーキ肉貰ってきた。温かいうちに食え。」

「チュウ!!(いただきます!!)」

 

あいつ等俺のハリエットに何とんでもない事企んでんだか・・地獄に落とそう。

 

 

一昨日エリーを家に送ってジニーに頼みごとをした。

スキャバーズをエリーに運ばせてくれと。頭のいい我が妹は早速小箱に入れてプレゼント風に送ってくれた。

 

「ようスキャバーズ元気してたか?」

「・・チュウ・・」

「ジニーと分かれたのが不満か・・でもな、本来のお前の飼い主は俺なのを忘れるな。早速仕事しろ。」

 

お人好しの神様から貰ったチートアイテムをスキャバーズに使った。

小瓶の中身は目薬で、差された者の視覚は俺の目と共有をする。

 

早い話がお前の目は俺のものだ。対象者は一人だけと約束をしている。倫理的に考えたら当然だ。あらゆる奴等に無制限でやったらプライバシーもへったくれも無く、機密情報は取り放題で俺が悪用するようになったらいくらお人好しの神様だってぶちぎれんだろ。

 

この目薬の利便性は俺が-見たい-と任意で見るか-見る必要がある事-を設定して、スキャバーズがその案件に出くわした時に自動的に俺の視覚と繋がるっていう使い分けが出来る事だ。

俺だって四六時中こいつと繋がってるのは嫌だ。疲れるし天使達の顔が見れないのは死んだほうがましだ。

 

目薬差して、効能伝えたらスキャバーズの奴ガクブルしてたな。

「今から探って欲しい奴を見せてやる。」

ポケットにスキャバーズ入れて闇の防衛術の授業に出てクィレルの顔を覚えさせた。

 

「あれが、見張る奴だ。」

「チュウ!(ちょろいぜあんなどもり野郎!)」

「見た目はあれでも後頭部にはヴォルデモート飼ってる変態だ。」

「チュウー⁉(何ですと⁉)」

「だから見張れ、スキャバーズ。」

「チュウ~(俺死んだ・・)」

「心配するな、今のお前はどこにでもいるドブネズミにしか見えねえよ。安心しろ、俺がお前の事を守ってやる、全部から。俺に飼われてる限りお前の安全は俺のポケットにある。」

「チュチュウ~(確かにそこ安全・・シリウスぶっ飛ばすやばい奴ご主人に持っちまった)」

 

それが身の不運とスキャバーズことピーター・ペティグリューはあきらめてロンの言葉にしたがった。

 

どうせポッター一家を裏切ってからは碌な死に方はしないと思ってた、悪魔に魂を売ったのだからと。

 

 

 

・・やってみたら案外うまくいった。屋敷しもべに出くわした時は退治されるかと怖かったが、

「小指無し、お前はロナルド・ウィーズリーのネズミか?」

 

「チュウ!!(そうそう)!!」

 

妖精の問いにもう首がちぎれても悔いなしとばかりに縦に振ってやった。

 

「ふむ、お前はあの方ハリエット・ポッター様のあらゆる恩人のネズミだ。ホグワーツの全ての屋敷しもべはお前には手を出さん。安心してうろつくがいい。ただし我等の他の種族に出くわしても助けないからそのつもりでいろ。」

 

なんかロンの奴は屋敷しもべに俺の事を通達してて通ってるらしい・・まあいいか、あいつだし。

超俺様系の今や本物の王様になったシリウスに言う事聞かして大人しくさせられるやつだし、この位は朝飯前だろ。いこいこ。

 

ロンと長くい過ぎたピーターは身も心もスキャバーズになる事を誓ってスパイ活動に勤しむことにして、ロンのチートとも言える種族問わずの影響力をさらりと考えてスルーした。

 

だってロンのすることだし。すべてはこの一言に尽きる。

 

 

それにスキャバーズは知らないが、屋敷しもべはヴォルデモート時代は惨く扱われていた。その元凶を倒したハリエット・ポッターの境遇と、助けたロナルド・ウィーズリーの話はホグワーツに住まう、全生物の知るところとなっている。

 

彼女に恩を感じるものは須らく彼女の恩人を助けるのは当然だと考えている。

 

スキャバーズはロンの言いつけを果たし、腹ごしらえをしてロンのポケットに入って爆睡をする。

ロンの-ネズミ-として一生を送る事を心に定めて。

 

 

「さて、あいつらどう地獄に送るか?」

俺の天使に手を出したからにはぎったんぎったんにしてやる、お人好しの神様が押し付けてきてくれた-もう一つのチートアイテム―使って天使達を守る!!!!

例え外道となってもだ!!




ギャク度増そうと思ったらシリアスに・・

俺様の・正体見たり・ヴォル様か の回でした。


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カオスなお茶会

・・もうギャグが書きたいんです!!
どんな誹りを受けようとも書かせていただきます。

どうカオスかはお読みくだされば分かります。

キャプションスタート!!


最高だ!このホグワーツは天国だ!!腐れたダーズリー家には二度と戻んねえぞ!!!!

 

飯はうまい、スリザリンの奴等は優しい、他の寮の奴等もちらほらと、大蝙蝠は無口だけどいい奴だ。そんでも一番はあいつだ!!

 

「ロン、かぼちゃジュース!!」

「・・そろそろ乳離れしろ、せめて木の匙で飲め。」

「それでくれんならいい。」

「・・は~少しは進歩したか。ほれ。」

「ん・・ふん~うめえ~。」

「無駄に鼻声出すな。寝た後-二校時目-でろよ。今日は魔法薬学だぞ。」

「あの大蝙蝠とお前と一緒のやつ?出る!!・・ふぁ~」

 

 

ハリエット・ポッターはホグワーツ生活を謳歌している。

 

ハリエット・ポッターの境遇と、魂の叫びともいえるあの悲痛な言葉を聞いて虐める奴は死んじまえが今のスリザリンの合言葉。

 

 

ようはハリエット・ポッター親衛隊が設立をされたのだ。筆頭は言うまでもなくロナルド・ウィーズリーであり、主要メンバーはドラコをはじめとした子供の家の関係者一同で、この件とロン達のせいで今季ホグワーツでの寮のいざこざが激減の一途をたどった。

 

ホグワーツの心ある一同はハリエット・ポッターを-子育て中-で忙しい。他のバカげたことにかまけていられないという空気に、先輩達が引きずられた結果である。

 

まずはハリエットを健康にすること、言葉遣いなぞ後でどうとでもなる。

 

ハリエットの一人称が俺な事や、口の汚さに文句を言おうもんならば「だったらお前はハリエットが味わった地獄を満喫してえんだな。一月やってやる、それでもお綺麗な口が利けたら謝ってやるよ。」

 

ロンの地獄からの使者もかくやな怒りの言葉に全て吹き飛ばされている。

言われた者は恐怖から魂もプライドも粉々にされて土下座までして謝った。ロナルド・ウィーズリーは怒らせてはいけないがホグワーツの常識化している。

 

 

 

精神も肉体もボロボロの者に高尚な事を求める奴は馬鹿である。人としての文化面なぞ双方に余裕がないと成立しないというのがロンの持論で、今はハリエットを赤子とみなしている。

 

赤子は泣いて物事を要求し、腹が立てば癇癪を起こしながら少しずついい事悪い事我慢などを覚えて成長をするものだ。

 

大広間の件から一月が経った今はハリエットに多少肉がついてきた。

一時限目は食べたものを血肉にするために眠りを必要とするため免除されている。

 

出るのは二限目からと取り決められていて、どこからも文句は出ていない。

生徒はおろか、教職員全てからも贔屓が過ぎるとは口が裂けても出ないだろう。

何せ今のハリエットの悲惨な元凶は現校長様がやらかした事であり、大本はヴォルデモートだろうと言いたいが倒されたことになっているので矢面に立たされるのは必然的にダンブルドアとなる。

 

ロンから言わせれば自業自得、ざま見ろだ。

 

ホグワーツは平穏な日常で毎日が始まる。例えば「ハリエット!!おは・・」

-ゴン!!-「いきなりハリエットに抱き着くなシリウス。」

 

「・・プロテゴ・・無言でって・・俺名付け親・・」

「ハリエット、シリウスにハグされたいか?」

「・・わりいシリウス、まだ気持ち悪い。」

「そんな!!だったらナデナデは⁉」

「・・少しなら・・」

「・・・俺今死んでも悔いはねえ!!!愛してるぞハリエット!!!!!」

 

朝の大広間はロンとハリエットを中心に騒ぎが起きる。主に駄犬が理由で。

 

ハリエットはロンからシリウスの事を全て聞いた。名付け親とその役割も。

だったらなんで自分を放っておいたと呪いかけたのを止めたのもやはりロンだった。

 

無実の罪で9年間もムショ暮らしを強いられたのを。

 

「・・俺・・あんたの事よく知らねえ。でも嫌いじゃねえ・・」

 

ハリエットにその言葉を掛けられたシリウスは本気で男泣きをした。拒絶をされなかったのが嬉しくて。

 

以来ホグワーツに日参をしている。流石にブラック家の当主としての仕事もあるので朝だけだがほとんど欠かさないので、三人の事は日常だと周りから受け入れられている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルバス・ダンブルドアは本気で悩んでいる。元親友のグリンデルバルトや、教え子のヴォルデモートことトム・リドルを倒すと心に決めた時以来の・・それ以上の悩みを頭痛と共に感じている。

 

原因はクィレルにとりついているヴォルデモートではない。あれは弱った寄生虫でまだ完全復活は程遠い。

 

問題はロナルド・ウィーズリーだ!!彼のせいで-予言-に支障をきたしかねない!!!

 

ヴォルデモートを倒しうる希望の子がなぜあんなとんでもない子供の手元に居るのか!

今のロナルド・ウィーズリーの位置にいるのは自分だったはずだ!!

 

マグル界で迫害をされ、弱っているハリエットを助けて導くはずがどこで道筋が狂ったか。

 

それはシリウス・ブラックがアズカバンから出てきたよりももっと前にあるはずだ。マルフォイ家がアーサー・ウィーズリー家と交友を始めた時から違和感があった。

 

-誰-が両家の縁を繋いだか、探ってみても出なかった。偶発的な事件の出会いとしか分からなかった。

 

そこからか?少しずつ自分の考えていた未来と、魔法界の現状が変わってきたのが。

 

シリウスはアズカバンから出てきた。そのアズカバンの囚人も、闇の勢力だったものは更生をしていた。ルシウス・マルフォイは本当に魔法界の為に力を尽くしている。

アズカバンの件の発案者は彼だとファッジからオフレコで聞かされた。

 

彼と周りの子供達も従来の純血主義ではなく、マグル生まれも平然と友としている。

 

その一つ一つの重要な役割を果たす者の側には必ずあのロナルド・ウィーズリーがいる。

 

シリウス・ブラックを平然と叱り、迎えに来るルシウス・マルフォイと仲が良く、今季台風の目とかしている-子供の家-出身の一年生たちは揃ってロナルド・ウィーズリーを尊敬し慕い、そして頼りにしている。それこそ教職員よりもだ。

 

分からない事はロンに聞けが彼等の標語のようだ。

 

ホグワーツの広さに迷子になると聞けば監督生の兄に先輩の同行を頼み、ピーブスのいたずらを知ればどうやってかは知らないが双子の兄達と組んで百倍にして返して「ロンて怖い・・」とあのポルターガイストを泣かし、フィルチの猫を可愛がったことで教師にすら心開かなかった偏屈者と普通にお茶を飲んでいる冗談が具現化したような輩だあれは。

 

11歳の子供らしからぬ言動も怪しさ満載だ・・特に三日前の出来事が決定的だった。

 

「シリウスから聞いたんだけど、ハリエットん家の財産全部何であんたが好き勝手してるんだ?」

 

いつものようにハリエットの食事の面倒を見た後、ロナルド・ウィーズリーは面と向かってあんた呼ばわりしてきたが、内容を聞いてあんたなぞどうでもよくなった。

 

「はて?儂がハリエットの・・」

「ポッターだろう校長。あんたはこいつのファーストネーム呼べるほどハリエットの信頼を得て無いのが分かんねえ?」

「・・失礼したの~。ミスポッターの財産がどうとはどういった意味かの?」

 

内心ではこの小僧がと言いたいが、大人の良識で許してやるからとっとと言いたい事を言え。

 

「文字通りだ、何であんたがこいつの家の銀行のカギ杖を持っていた?シリウスは名付け親でも無実でアズカバンにいたから無理なのは分かる。こいつの親族がマグルだから無理だ。だったら魔法省が保管していてもおかしくないんじゃないのか?ヴォルデモートを倒した英雄の財産管理はきっちりしてくれそうなもんなのに。

あんたこいつの親族ってわけでもないのにおかしくね?」

 

・・たかだか11歳の子供に痛いところを図星をされた!!

そこは当時の魔法省からも言われたが、これまでの実績を盾にごり押しをした!全ては将来を考えてだ!!

 

「こいつの名付け親のシリウスに渡さねえのか?あいつなら管理する権限あるだろ。寧ろあんたがもってるほうがおかしいと俺は思うね。」

 

 

ロンはわざわざ生徒や教職員のいる前で演説をぶちかました。一対一だったら腹黒狸に言い抜けされる自信しかないからだ!

 

だが魔法界の常識をきちんと心得ている者達が大勢いる場では?

今やアルバス・ダンブルドアのカリスマ性は、ハリエットの件で陰りを見せ始めている。

偉大なダンブルドアに任せていればいいという感じは薄れてきている。そこを狙ったのだロンは。

 

「ポッター家の所蔵品を全部渡してくれるなダンブルドア。」

 

ロンとのやり取りを黙って見ていたシリウスは一言だけをはっきりと言い、一週間後にはポッター家全ての所蔵品がアルバス・ダンブルドアからシリウス・ブラックの管理下へと移譲された。

紛い物ではない-ペベレル三兄弟の死の秘宝-の一つの透明マントとても。

 

 

 

 

「ロナルド・ウィーズリーは今どうしておる?」

 

シリウスの造反ともとれる行動から半月が経ったある日の夕方に、ダンブルドアはセブルスにロンの行動を尋ねる。

 

一応セブルスは立場上ダンブルドアのスパイ、心の中ではとっくに見限っていてもだ。

 

リリーを守ってくれる約定と、その子供も守れない耄碌爺なぞくたばっても惜しくはないのだが、今現在尋ねられた人物と、愛しい女性の子供のピンチなので教えることにした。すなわち

 

  

「クィレルとハリエットの件のお尋ねの者の三人でお茶会をしています。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           「なんじゃと~!!!!!!」

 

 

 

ホグワーツの校長室に爆音が鳴り響いた。何でよりによってハリエットがヴォルデモート付きのクィレルとお茶をしている!!矢張り何も知らない無知な小僧にはハリエットは任せておけん!!!

「行くぞセブルス!!!」英雄となるべき子を助けて導くために!!!!

 

セブルスも今回のロンの行動は不味いと思い、耄碌じいさまのお供をする。

 

 

 

 

 

 

 

「あの髭じじはいけすかん!見た目と違った腹黒狸の策士だから誑かされるな若人たちよ!!」

「・・苦労したんだな-先生-」

「・・俺も元々あいつ嫌いだ。人の事あんな奴等に預けてほったらかしにした馬鹿野郎だし。」

「その通りだ!!-俺様-も何度煮え湯を飲まされたことか!あの偽善的で正義面した顔を何度ぶっ飛ばす夢を見た事か!!」

「・・ロン、-クィレル先生-って周りに人がいないと過激なのな?でも分かるぞ!!俺もいつかあの爺をぶっ飛ばす!!!!」

「はあ~・・ハリエットも-先生-も酒弱すぎ。ボンボン三つくってもう酔っぱらって管巻いて。」

 

 

なんでかな~、俺はクィレルの本当の姿を知ってヴォルデモート共々ぶっ殺すか、半殺しで済ますかを考えようと少しずつ近づいた。

 

話してて分かった、こいつは小悪党のさびしがり屋だと。凄い奴だと言ってくれたヴォルデモートを好きなだけのそれだけの奴だと。

 

 

10日掛けてお茶会にこぎつけたら「俺もお茶会したい!!いいだろうロン、クィレル先生!!」

 

ハリエットの乱入・・きちんと教師に先生を付けたご褒美に入れてやる。いざとなったら-アレ-使えばいいし。

 

当然クィレルはハリエットの乱入にぶっ飛んだ。何でご主人様の宿敵がいるんだ⁉ロナルド・ウィーズリーの腕にぶら下がるようにべったりとしてはなれそうにない。

 

 

面白そうだから入れてやれ。

分かりましたご主人様。

 

脳内で主従会話をしたクィレルは二人を自室に引き入れた。

 

「綺麗な部屋だな~、なんか落ち着く。」

 

意外とハリエットに気に入ってもらえた。

「き・・教材が・・ち・・散らばっている部屋だが・・」

 

「でもなんかいい。・・ここ来てもいいかクィレル先生?」

 

何でかいたく気に入られた・・「き・・教師が・・生徒・・ひ・・贔屓は良くないが・・お茶位なら・・」

「ありがとう!!ロン!来ていいって!!」

「良かったなハリエット、ありがとうクィレル先生。」

 

何でかハリエットがクィレルの部屋気に入った。まあいいや、俺も同行すればいいし。

 

 

そして土産のボンボン出してハリエットは一個目で酔っ払い、クィレルは三つ目を食べてしばらくしたらどもりがなくなって、一人称が-私-から-俺様-になりやがった。

 

やばいかな~とは俺も思った。こいつの今の表人格はクィレルじゃなくてヴォルデモートだ。

 

ハリエットが気が付かないうちに逃げようとタイミング図ってたらいつの間にか二人で

アルバス・ダンブルドアの悪口大会で大盛り上がりをして意気投合。

 

「あいつの笑顔には裏がある!猫なで声で名前を呼んできたら注意しろ!!碌な目にあわんと思え!!!」

「マジでか・・もっと教えてくれクィレル先生!!!」

 

・・・・闇の帝王様もあのくそ爺には相当ストレスたまってんな~。ハリエットも活き活きと話してるし、しばらく見ていよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下手な真似したら-アレ-使って地獄見せてやる。

 

 

何があってもいいように、油断せずに紅茶を味わうロンの瞳は燦然と輝いている。




-アレ-が何なのかはもうしばらく秘密です。

今作中ではダンブルドアはまっとうな正義の人ではありません。



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舞台装置は邪魔だ邪魔

ホグワーツ一年生の原作壊します。



いや~、クィレルとヴォルデモートとハリエットのお茶会最高だった。

意外とヴォルデモートがくそ爺の餌食だったのか。

 

もしかしなくてもあれか?ダンブルドアが監視だのなんだのしてなかったら、トムはヴォルデモートになって無くねとか思っても仕方がない。

俺は「たら・れば」の話は苦手だ。

今ある現実で動く方が大好きなのでそっち頑張る。

 

とりあえずはお茶会に鬼の形相で乱入してきた爺と教授は適当にごまかした。

スキャバーズを廊下で見張らせていた。誰かがクィレルの所に来そうになったら知らせろと。

 

スキャバーズのご注進で二人が後500メートル辺りでハリエットとヴォル付きクィレルの口に強制的にボンボン突っ込んで酔っ払って寝かせた。

 

-バン!!-「ク・・これは一体・・」

「どうも礼儀知らずの校長。あんた部屋に入る前のノックて知らねえのか?」

「いや・・失礼したの・・」

 

余程余裕なくすっ飛んできたのか例の胡散臭い好々爺の顔が引きつってやがる。

 

「ロナルド・ウィーズリー、説明したまえ。何故ハリエット・ポッターとクィレルは眠っている。」

「ボンボン五つで酔っ払って眠ったんですよ教授。できれば二日酔いの薬出してくれると助かる。それで、ホグワーツのお偉い先生方が血相変えてきたけどなんか用か?」

 

嘘は全くついていないロンは、二人がすっ飛んできた理由は大体察しているがしれっと問うダンブルドアは答えられなくて適当言って去るだろうから。

 

「いや・・クィレルに用があったが、またにするかの~。セブルス、ハリエットを寮の自室に送ってやるとよい。」

「・・かしこまりました校長。」

 

案の定、内心はロンの事をこの小僧がと思いつつもしらばっくれて去っていった。

 

 

「ウ~頭が割れそう~・・」

「当たり前よ!なれないボンボン五つも食べるなんて!!」

「あー!痛い!!響く!!・・心配かけて悪かったよアミル、ダフネ・・」

 

酔いから醒めたハリエットは寮の自室でアミルとダフネに檄おこされてる。

女の子がボンボンとはいえ酔って寝るなんてと。

 

ハリエットはロンが一番。でも何くれとなく面倒を見てくれるこの二人にはもはや頭が上がらない。

 

「君はもっと世の常識を身に着けたまえロン。」

「・・悪かったよドラコ。」

 

スリザリンの談話室ではロンも絶賛怒られ中。世の常識を齢11歳で体得をしたドラコによって。

 

どうもロンは常識がなさすぎる。良識は山ほどあるのになぜなのか不思議でたまらない。

 

かくしてお茶会でやらかした二人は蛇寮にて説教をされた。獅子寮のロンがいても誰も文句はいはない。

何故ならば現魔法界のツートップのうちの一人であるマルフォイ家のご子息が味方だからだ。

それだけではなく、ハチャメチャでぶっ飛んだロンのキャラクターもあり、何処の寮もフリーパスだったりしている。

 

一方、もう-二人の酔っ払い-も地獄を見ていた。

 

「・・クィレル、お前は酒が弱すぎだ・・俺様まで管を巻く羽目に・・」

「もうし・・うっぷ・・訳ありません・・ご主人様。」

 

クィレルにとりついているヴォルデモートはダイレクトにクィレルの体調変化を諸共に受けてしまう。

本来の自分は酒豪だが、宿主のクィレルは下戸に近いようで自分も酔っ払ってしまった。

ハリエットと思わず話し込んでしまったのは朧げに覚えてはいるが・・昨日何を言ったのか・・言ってしまったのかは考えたくもない・・自分が一生・・それこそ墓まで持っていくつもりだった自分の本音を話したなぞとは・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人はなんだかんだと学園生活を満喫している。

寮のいざこざはなく、たまにウィーズリー家の双子が愉快ないたずらをして生徒達を楽しませている。

時にはダンブルドアの飲み物に細工をして、飲んだダンブルドアの髭と髪の色が白から桃色になった時はハリエットは爆笑し過ぎて疲れ果てて半日寝る騒動があった。

 

今期の双子はとにかくハリエットに笑いの日々を過ごしてほしいと狙いを定めているので、隙あらば様々な愉快ないたずらをしまくっており、ダンブルドアがその犠牲者とあいなった。

 

余談だがヴォル付きクィレルは唖然としたが、次第に素でクスクス笑いをして周囲の同僚に珍しがられ、ターバンの中のヴォルデモートは声を堪えて大爆笑したのであった。

 

 

 

 

「ロン!!箒って~!!!た~のしいな~。」

「気を付けろよハリエット!!!」

「だ~いじょうぶだって~」

 

入学してからもう二月、ハリエットの奴元気になったな。体力もついてきたので今日は箒の授業初参加でもうビュンビュン飛ばしまくってる。

 

俺と同じで変身呪文や浮遊呪文は苦手でも、大雑把感覚系はとくいらしい。

 

一発で箒を上げてお空の散歩・・もとい授業を楽しんでやがる。

 

「きっもち~!!!」

 

最高だ!!箒は俺が思った通りに全部飛んでくれる。おかげで横回転や縦回転、はては地面急降下からのフルブレーキしてもへっちゃらだ!!!周りから悲鳴聞こえたがこんなのどってことねえ!!遊園地のジェットコースターってのよりもはるかにたのしい。

 

俺は行ったことないけどダドリーが豚声で自慢していたがこれに比べればどってことないだろう。

 

ハリエットは完全に箒の虜になった。スリル満点で受ける風が気持ちい。どこにだって行けそうなこの箒が、狭かった世界から連れ出して様々な事を味合わせてくれるロンのようで。

 

楽しそうで何よりだが・・おっと?

「あ~!!」

あ~あ、手に汗かいて滑ったか。「よっと!!」-パシ-

「気い付けろよハリエット。」

「へへへ~ご免ロン。」

「全く、君たち二人は周りを騒がせすぎだ。」

 

楽しみ過ぎて滑り落ちそうになったハリエットを助けたロンも込みで、スリザリンの良心ドラコが物申す。

 

ハリエットの初の飛行授業を、スリザリン・グリフィンドール双方はあらゆる意味でハラハラして見守っていたのだ。

 

「だって楽しいぞドラコ。ネビル!!そんなところいないで上がって来いよ!!!」

「え!!僕・・」

「いいから!!下見ないで遠く見ながら上がって来いよ!!!セオドール!介添えしてやれ

よ!

他の奴等もだ!!」

 

ハリエットはロンの腕の中から全員に上がった来るように促す。

中には箒が苦手な者もいるのも承知でだ。

 

「皆来いよ。」

ハリエットの言葉にロンも続く。

 

その言葉にネビルが真っ先に反応をしてゆっくりと上がり始める。ロンの言う事は必ず意味があるのを知っているから。

周りを見ながら上がってみれば「・・綺麗だ・・」

 

ホグワーツの湖が、森が、山々が広がっている。今は夕方近くで、それらを綺麗な夕日が赤く染め上げて幻想的な光景がネビルの目に飛び込んできた。

 

「な!!綺麗だろう!!!いいだろう!世界ってのは広くて綺麗なんだな、俺初めて知ったんだよ!!」

 

ハリエットの無邪気な喜びはネビルの心を撃ち抜いた。世界は広い、自分は・・自分達はまだその大きさを本当の意味では知ってはいなかった・・訳もなく泣きたくなってきた。この胸に生じた思いは何だろうかは分からないが、「皆も来て!!見に来て!!!」

今この場にいる全員とこの素晴らしさを共有したくて、ネビルは生まれて初めて自分の意志で大声を出した。

 

普段のんびりとして少々臆病なところがあるネビルの呼びかけに苦手な者達もおっかなびっくりしながら上がり始め、そしてネビルとハリエットの思いを共有をした。

自分達の知っている事よりも、世界ははるかに美しく出来ているのだと。

 

この飛行授業を境にスリザリンとグリフィンドールの中はグッッと縮まった。

元々今期は仲が悪くは無かったが、活発に交流をするようになり食事時でもテーブルを行ったり来たりをして双方の寮で分かれて食べることがなくなるという、ホグワーツ始まって以来の交流が生まれたのだ。

 

「俺絶対クィディッチやるぞ!!」

「その意気だポッター!!我がチームは何時でも大歓迎だ!!!そんな訳でスネイプ先生、サクッとポッターを今季のシーカーにー!!」

 

「・・どんなわけだね、マーカス・フリント。ミスポッター、来年まで待ちたまえ。」

「えー!!セブ先生のどケチ!!いいじゃねえかよ!やりたい!!」

「そうですよ!スネイプ先生!!彼女超うまいんですよ!!!」

 

課外授業で外にいたフリントは、ハリエットの飛行技術をバッチリと見て惚れ込んで早速スカウトをした。

クィディッチの試合は見たことないが、フリントの説明は分かりやすくて楽しさがビシビシと伝わって来て、速攻受けてスネイプ先生におねだり中。

 

「許可はせん。」どこぞのクィディッチ狂の副校長ならばともかく、自分は特例は認めん!!

 

 

二人はあえなく撃沈をし、「来年待っているぞポッター!!」

「ハリエットって呼んでくれキャプテン!!俺は必ず行くぞ!待っていてくれ!!!」

 

今生の分かれもかくやな二人はハグを交わし、熱い友情で結ばれたのだった。

 

 

 

「・・あのキャプテン、殺菌しようかな?」

「・・ロン、殺気が駄々洩れて皆凍っているぞ。落ち着け。」

 

ハリエットの世界が広がるのは喜ばしいのだが、虫がつくのはまだ早いと考えているロンは怖ろしく、暴走を食い止めるドラコは苦労人であった。

 

ちなみに次の日の朝いつもの如く日参してきたシリウスが、ハリエットの話を聞いて「まってろ!いい箒買ってやるぞ!!!」とのたまって、「一年生は箒は持ってはいけない規則を忘れたのかねシリウス・ブラック。」セブルスの嫌みのような止で撃沈したが、

「そんならホグワーツの備品箒を全部そうとっかえだ!!」

ぼろくて安全性の低い箒になんて乗せたくね~と、ブラック家の金と権力にものを言わせて速攻で有言実行をしてハリエットを喜ばせるのに成功をして、むこう数週間は頬が緩みっぱなしになったシリウスである。

 

余談だが、後日マクゴナガルからも副校長として「ありがとうございます、シリウス・ブラック。生徒達に変わりお礼をさせていただきます。」

手厚く礼を言われた。

 

このころにはダンブルドアには不信感しかないシリウスだが、公平で以外に情に厚いマクゴナガルの事は信用しているので「どってことねえよ。」と大いに照れ笑いをして、

二人は旧交を温めるきっかけになり、昔のような気兼ねのない寮監と元生徒の懐かしい関係へと戻れたのだった。

 

 

 

 

 

 

それから二日後、ロンとハリエットはハグリッドの家にお宅訪問をした。

「・・なんか用かウィーズリー。」

本来ならばグリフィンドールの生徒は歓迎するが、尊敬するダンブルドアに喧嘩売った奴なぞお断りしたい。しかしハリエットの件は考えるのが苦手な自分でもちっとはロンって奴の言い分もあるのが分かる・・ほんとにちっとだが。

 

 

「初めまして、俺はロナルド・ウィーズリー。

ハリエットが魔法界の生物知りたいらしくて、ジョージ・フレッドがあんたを紹介してくれた。」

「・・俺はハグリッドだ。こいつは相棒のファング。」

「・・ハグリッドは俺がダーズリー家でどんな目にあってたのか・・」

「そこは本当にすまなかった。・・今更だがお前さんを助けて・・」

「・・わかった・・とりあえず不思議動物教えてくれ。」

「ああ、二人とも中に入ってくれ、なんちゅうても俺はドラゴンが・・」

 

ハリエットの世界を広げるべく、ロンは各方面にハリエットを連れまわしている。

 

昨日は自分の変身呪文の師であるハーマイオニーと引き合わせたらとんだ騒動になってしまった。

 

「こんな女のどこがいいんだよ!!」

 

ハーマイオニーを褒めるロンが嫌で、ハーマイオニーにロンを取られたくなくて

「俺だったらお前に-抱かれても-いい!!そいつの相手なんて・・」

「ハリエット!!!」-ビク!!-「・・自分が何言ってるのかきちんと理解してるか?」

 

ハリエットに極甘のロンの怒声はハリエットを含めた大広間一同をフリーズさせた。

 

「・・俺の周りの奴が言ってた・・俺の相手をする奴なんて-体-目当てしかいないって、抱き目的しかいないって・・でも、よく分かんなかった、お前が怒るほど悪い言葉なのか?」

 

「・・・・・お前は悪くない、怒鳴って悪かったハリエット・・とりあえず土下座してハリエットに詫びろやくそ爺!!!!」

 

ハリエットが発した言葉への怒りは、極悪環境にハリエットを放り込んで放置しやがった腹黒狸へとなった。

 

さしものダンブルドアもハリエットには悪い事をしてしまった罪の意識は持っているので、土下座こそしなかったがハリエットの手を取りきちんと謝罪をする。

そして後日、きちんとした性についての教育をマダムポンフリーにしてもらえるように手配したのだった。

 

ダンブルドアは悪人ではない、ただ人よりも自己顕示欲が強く英雄視されるのを望み過ぎた老人であった。

だからこそ自分の欲望のままに行動をしたかつての友人と教え子が許せなかった。

己ではできない事をする彼らがうらやましく嫉妬をしたのだ!

自分には様々な良心の枷があり、望まれることをついしてしまう。巨悪を討てと望まれる役割を。

すれば名声は上がり、世間の注目は自分に集中をした。グリンデルバルトやヴォルデモートよりもはるかに。

 

その思いは増上し、遂には英雄を育てた大英雄の名を欲し今に至ってしまったが、今のハリエットの境遇を思い、今までの自分の行いは真に正しかったのかをほんの少しだけ振り返えらせられているのであった。 

 

そして悪口を言われたハーマイオニーは泣きながらハリエットをぎゅっとして「つらい時は言ってちょうだい!!勉強でも何でも教えてあげる!私にできることは何でもよ!!」

「・・あ・うん、その・・何で泣いてんだ?俺言い過ぎ・・」

「ロンの言う通り貴女は悪くないの!!いい!貴女はまだ小さな子なの、間違ってたらその都度教えてあげる。だから言いたい事を言っていいの。」

「うん・・分かった。」

 

こうしてハリエットはホグワーツの-三人目-のお母さんをゲットしたのだった。

 

次の日に訪れたハグリッドの家もファングも好きになり、意外とハグリッドもいい奴なのでまた来ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ほんの少しずつハリエットの世界は広がっていく。

だったらとっとと、-アレ-を早々に壊すか。今季最大の目玉イベントなんてする気はねえ。

今は一年の半分だが関係ない、ハリエットの為の舞台だとか言って準備した奴嫌いだし、その思惑にも反吐がでる。

在りかも、-手に入れる方法-も分かっている。本格的に動くとしますか。




ダンブルドアの扱いが少しずつ固まってきました。

次回は一年生の目玉イベント壊します。



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-ロナルド・ウィーズリーーと賢者の石

べたなネーミングですがよろしくお願いします。


お散歩・お散歩楽しいな~、夜にはピーブズに会えちゃうよ~。

 

「こんばんは、ピーブズ。」

「・・お前こんな夜中に何してるの?」

「散歩だよ。ここ数日ずっとしてたの気が付かなかったか?」

「・・お前とは関わりあいたくないから・・」

 

あ~あ、百倍返しが効き目抜群か。でも別にいい、こいつとは分かり合えなくても気にしない。

 

「俺がフィルチに知らせるとは思わないのか?」

 

自分と会っても、落ち着き払っているロンが憎らしくなる。

 

「別にいい、好きにしろ。罰則は受けるつもりだ、逃げも隠れもしないよ。」

 

 

・・本当に憎らしい。怯えない奴に構っても、面白くないので放っておくことにした。

 

行ったか。さて今日こそは当たりの部屋に行けるといいんだが、その前に「こんばんはフィルチさん、ミセス・ノリス。」

 

今日はよく人に会う。

 

「・・残念だが、お前さんを寮監に引き渡せねばならん。」

「分かってるよ、それが仕事だもんな。」

 

フィルチは本当に残念そうな顔をした。他の生徒だったら喜んで仕事をするのに、よりにもよってただ一人の若い友人を捕まえなければならないなんて。

 

「俺は逃げも隠れもしない、その代わり少しだけ付き合ってほしい。一緒に来てくれ。」

「・・それによって罰則が重くなってもか?」

「やらなければならない事があるんだよ。」

 

どうやらロンは本気のようだ。

 

「いいだろう、おいでミセス・ノリス。」

「ニャー」

「抱っこしてやろうか?」

「ミセス・ノリスは一人でも・・」

 

フィルチとミセス・ノリスの三人で入った部屋には、中央に-鏡-が置いてある部屋だった。

 

「これは・・この鏡は!!見てみろミセス・ノリス!儂が魔法を使っている!!あ~なんと素晴らしい・・」

 

フィルチさん・・泣きながら鏡の虜になっちまった。間違いなくこいつはみぞの鏡だ。

人の心の奥にある-絶対に叶わない望み-を映す、腐った嫌な鏡だ。

 

俺の望みはただ一つ、賢者の石を-見つけたい-だ。使いたいと望むものは得られず、見つけたい者だけが手に入るって、考えたダンブルドアは重篤な中二病か?

 

みぞの鏡の中の俺が、にっこりと笑って右ポケットに-石-を入れた。

望むものが得られたのか、教授に見てもらわないといけないか・・言い訳どうしよ~?

 

 

鏡からフィルチさんを引っぺがして、俺は自分からマクゴナガル先生に自首をした。

 

「・・残念です。Mr.ウィーズリー、グリフィンドールは五点減点です。以後は他の罰則も追加をします。部屋にお戻りなさい。」

「はい、おやすみなさいマクゴナガル先生。」

 

 

目的の物は手に入り、俺は一人部屋に帰った。ハブられた感はあるが自由に出来てこれはこれで便利だ。

 

 

起きて朝一で教授を訪ねて、件の石を見せたら盛大なため息をついてきた。

 

「・・これをどうして・・どうやって手に入れたのかね?」

 

いかにロンが規格外であってもこの件はそれでは収まりがつかない。きちんと聞かないといけない重要案件だ!

 

「いや・・夜の散歩で入った部屋に鏡があって、見てたら金持ちになってハリエットに何でも買っている俺が映ったんだよ。」

「・・それで?」

「お金もいいけど、売ったら大金得られるもの欲しいな~って思ったんだよ。例えばドラゴンの心臓とか、ユニコーンの角とか、ペゾアールの石とか、賢者の石とか、大量のマンドゴラとか、バジリスクの鱗・・」

 

「ストップだ!ロン、今何が欲しいと・・」

「えっと・・ドラゴンの・・」

「いやもういい・・そうか、使うではなく-売るために-に欲したか。」

 

なんか教授がブツブツと言って、考えこんじまった。賢者の石を売るリストの真ん中に入れる事によって、賢者の石は自分にとってはお金になるものの一つで、それ以上の意味はないという誤魔化しだ。

実際手に入れても使ってみたいとは全く思わん。人間は寿命まで精一杯生きてなんぼだ。

 

「それで教授、これなんだ?」

「・・君が売ったら大金が手に入ると言っていた賢者の石だ。」

「なんでそんな物がホグワーツにあるんだ?しかも俺でもホイホイと手に入っていいのか

?」

 

「君はこの石の価値については?」

「・・質問を質問で返すって失礼だろう。カエルチョコのオマケに、ニコラス・フラメルが出て賢者の石って載ってた。気になってパーシーと調べた事がある。その石の力で長生きすんだろ?」

「欲しくはないのかね?」

「不老不死なんて下らねえよ。時間が欲しい研究者ならともかく、俺には無用の長物だ。」

「・・これをどうするのかね?」

「持ち主はニコラスさんなんだろ?どうするか本人に聞くのが一番だけど、今どこにいるんだ?」

「私に心当たりがある。任せてくれまいか?」

「・・石は?」

「それも私が預かろう。」

「分かった、任せるよ教授。」

 

 

素直に賢者の石を置いて、ロンはあっさりと出ていった。

 

この石はヴォルデモートを誘き寄せる物として、フラメルに自分がダンブルドアの使いとして借り受けたもの。

撒き餌をまいて、ハリエットとヴォルデモートを退治させるダンブルドアの計画は、ロナルド・ウィーズリーによって潰えたか。それでも別にいい、今の自分はハリエット達を守ることが第一だ。

最早アルバス・ダンブルドアの計画には手を貸す気はない。

 

「フラメル氏からの返事はあの石は・・・・・・・・。」

 

 

「あ~そう。分かった。」

 

フラメルからの返事を聞いたロンは、にんまりと笑った。

 

明日の朝には決着だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遅い!ロンはどうした⁉

 

朝の遅い時間になってもロンは大広間に現れなかった。

セブルスをはじめ、ロンが大好きな者達一同は何かあったのか不安そうな顔をして待っている。彼に限って体調不良は考えにくく、何かのトラブルを引き寄せたのかと。

 

 

しかし心配するだけ損だった。ハリエットが捜しに行こうとした矢先に「おはようございます!!遅くなりました~。」

 

能天気な声と笑顔で大広間に入ってきた。

 

「遅いぞロン!!どこ・・」

 

「悪いハリエット、後にしてくれ。・・アルバス・ダンブルドア校長に聞きたい事がある!!!」

 

ソノ-ラスを使ったようなロンの大音声に、大広間の喧騒は消え失せた。

 

「・・今回は何かの~Mr.ウィーズリー。」

 

この子供はいつも厄介事でしか自分に話しかけては来ない。今回は一体何であろう。

 

「-この石-を知ってるか?」

 

ロンは黄みがかった琥珀色の石を教職員全員に見えるように差し出した。

 

 

 

「・・それは賢者の石でねえか!!ロン!!!そいつどこ・・」

「・・そうか、あんたはこれが賢者の石だって知ってたのかハグリッド。マクゴナガル先生もその顔だと知っていた。それであんたはどうなんだ校長先生。」

「・・知っておる。フラメルが闇の勢力に取られんようにと儂に相談をしてきたので預かった。」

「・・偶然だけれども俺が手に入れた。何の石か分からなかったから教授に調べてもらって、持ち主の人にどうするべきか聞いたよ。彼はこうしてくれってな!!」-ガッシャーン!!-

 

「あ・・何と言う事を!!!ロナルド・ウィーズリー!!その石は・・」

 

「こいつは今の人間にとっては扱いきれないもんだ。確かにこの石の力は凄い、死せるものとても命を長らえさせる代物だ。でもそれはこの石を浸した水を飲んでる限りの話で、

石もいつかは効力が切れる時が訪れる。その時にはやはり死んでしまう、命を一時永らえさせる不完全な不老不死の石。完璧を作りたかったがもういいというのが、フラメルが送って来た手紙に書いてあった。石は存外脆くて、魔法を使わずとも床に叩きつければ壊せるともな。この結末はフラメル夫妻の望みだ。本来の持ち主の望んだことを、あんたが怒る筋合い無いだろう。」

 

 

 

ロンの言い分は正しい。その一言でしか言い表すことが出来ないほどに。

 

石の持ち主の望みを叶えだけなのだから。

 

「騒がせました、片付けて朝飯食べます。」

 

カチャカチャと壊れて飛び散った石の破片を集め飛び散っ、「インセンディオ―炎よ-」ボン!!

 

中の液体諸共すべて焼き尽くした。何者も二度と悪用できない様に。

 

 

 

 

 

こうしてロナルド・ウィーズリーの奇想天外な行動ページに新たに追加が加わった。

 

魔法界の秘宝の一つである賢者の石をためらいもなく破壊をしたと。

 

 

 

 

 

 

 

「俺の大事な天使達よりも大切なものなんて存在しないんだよ。」

 

惜しくはなかったのかと聞かれる度に、ロンは事もなげに答えた。家族と天使達を愛するロンらしい答えだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご主人様・・・」

「よい、泣くなクィレル。」

「・・ですが~・・」

「ロナルド・ウィーズリーの言う通り、あれに頼ったところで不完全な復活しかできなかっただろう。何かに依存をするなぞ俺様らしくはなかった。・・どうやら焦っていたのだな俺様は。」

「・・今後はどうなさいますか?」

「賢者の石は無くなったがホグワーツに残れ。ハリエット・ポッターの動向をみる。どうやって死の呪文から生き延びたのかを知っておきたい・・ロナルド・ウィーズリーには感謝せねばなるまいか・・俺様の目を覚まさせてくれたのだからな。」

 

賢者の石を壊されたことでダンブルドアは増々ロンを警戒し、ヴォルデモートとクィレルは今後の相談をして来年も教員でいることを決めた。

 

「それからクィレル、ユニコーンの血を飲む計画の止めだ。あれは呪いが強すぎる、お前が死んでは次を見つけるのが面倒くさい。」

「では・・」

「・・前回お前に引きずられて酔って分かったが、お前が今の倍の食事をすればいいのだ。そうすれば俺様にも栄養がきちんと行き渡る、今しばらくはそれでいい。その間に完璧な復活方法を探せばよい。」

「かしこまりました我が君。」

 

こうして賢者の石を巡った事件は、表面化されずにちょっとした騒ぎで幕を閉じた。

 

石を守った英雄が現れることなく。




こうしてクィレルはヴォルデモート共々にホグワーツに残る事となりました。

次回は番外編で、ロン達の出演はありません。


この場をお借りして、誤字脱字の多い筆者を見捨てずにお助けくださっている大勢の方達に感謝を述べさせていただきます。

推敲を重ねても見逃してしまうと思いますが、努力していきたいと思います。


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番外編 意志ある悪意

主人公と子供達は出てきません。


「なんで今日はホグワーツに行っちゃ駄目なんだよ!!!!ロンのバカ―――!!!」

 

はぁ~・・世間的にも実質的にも-大人-であるべき男が、今この場にいないとはいえ子供に対してあの発言はどうなのであろう・・・。

 

「シリウス、今日一日だと言われただけでしょう。明日行けばよろしいでしょう。」

「そうですよシリウス、私だとて愛しのドラコに会いたいのを、毎日届くフクロウ便と、クリスマス休暇の帰省まで待っているのに、貴方達は毎日日参しているですよ?一日くらい我慢なさい。」

 

「う~ルシウス、シシー・・分かった、今日だけ我慢する。そしたら例の件の報告くれ。

・・つうか!!俺何でもかんでもハブられ過ぎてね⁉蚊帳の外過ぎてねえか!!!」

「・・貴方があらゆる意味できちんとした大人でしたら、蚊帳の外には出しませんよ。」

 

ルシウスはシリウスの抗議を聞いても紅茶を飲みながらしれっと応える。

激おこのロンで慣れている・・黒歴史ではあるが、ヴォルデモートの癇癪にもだ・・。

 

 

今日シリウスの日参を止めたのはロンだ。

 

「賢者の石をホグワーツで見つけました。教授にも確認をしてもらい、本物の石です。

  持ち主のニコラス・フラメル氏より壊してほしいと言われたので、明日の朝に大広間の

  大勢の前で壊します。

  明日はシリウスに来ないように言っておいて下さい。理由はルシウスさんにお任せします。」

 

ロンとしては、シリウス・ブラックとルシウス・マルフォイの力を借りて好き勝手していると、ダンブルドアとその周りに邪推されるのを疎ましく思っていた。

近頃はダンブルドアを崇拝している者達から似たような事を言われて喧嘩を売られ、あわや杖での戦いに発展をしかけた。

 

賢者の石を壊すと決め、壊しても二人の権力者に守られるからやったのだと思われるのは嫌だ!

自分の守りたい者は自分の力で守っていきたい。大人にしかできない事は確かにあるが、己の気持ちだけは曲げたくない、天使を守るのが自分の使命だと。

 

 

 

ロンからのフクロウ便が届いたときは内容に驚愕をした。

何故伝説の石がホグワーツにあったのか。

何故そのような物が、子供・・と言っていいのか微妙なところなロンではあるが、簡単に手に入るような措置で保管されているのか。

 

ダンブルドアは何を考えている?あの石の効力を、ヴォルデモートが見逃すはずがないのは分かっているだろうに。

どうにも気になる事ばかりだ。ダンブルドアの動向には目を光らせる必要有りと、ロンからの警告だと受け取った。

そしてもう一つのメッセージも。今回は己の力で成し遂げると、子供らしい考えを邪魔しないでおこう。

 

 

 

シリウスが言ったもう一つの報告の方は、ルシウス・マルフォイ自らがハリエット・ポッターの現在の-保護者の家-に出向き、ある取り決めをするために。

 

 

それは、ハリエット・ポッターの親権について。血の守りの結界を守る為に、一日だけダーズリー家に滞在をし、次の日には別の場所に行く。

その一日だけの食事も持たせるので、ハリエット・ポッターをいない者として放っておいて欲しいという取り決めは・・拍子抜けするほど成立をした。

 

 

「もう・・・・あの子を・・傷つけなくて済む・・」

 

 

帰り際に言った、バーノン・ダーズリーの言葉も気になる。

 

マグルの事情に合わせて予め-郵便-による手紙を送り、都合を聞いて菓子折りをもって訪れた。

 

夫妻は貴族ぜんとし、まともな常識で自分達に接触をしてきたルシウスには反感を持たずにすんなりと通した。

 

夫妻はどこか疲れ切っているというのがルシウスの第一印象だった。ハリエット・ポッターの事を穏やかな声で話、虐待理由はあえて問わずに、これまでの養育に掛かった費用の全額と、感謝の気持ちを込めるためにその倍の金額を提示し、その上で取り決めの件を切り出した。

 

 

「・・分かった、金の事はいい。もうあの子には関わり合いたくはない。好きにしてくれ・・」

「分かりました、今後はそのように。」

 

関わり合いたくない・・それ程までに魔法族を嫌っているようには見えなかった。

 

ダンブルドアといい、この夫婦の一致しない言動といい・・いったい何がおころうとしている。

 

「そうかよ・・-お礼-しに行ったら・・」

「シリウス。」

「・・分かった、我慢するよ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あったったじゃな~、もう少しは混沌とすると思ったのだがの~。」

「・・先輩の目論見は潰えました。諦めてください。」

 

 

ハリエット・ポッターの不幸はロンが邪神と呼んでいる神の仕業だった。

夫妻の魔法族嫌いを増幅させて、とことんハリエット・ポッターを追い詰めた。

彼女の心を黒く染め、ロナルド・ウィーズリーを困らせるという一つの目的のために。

 

邪神はロナルド・ウィーズリーに言ってある、退屈は嫌だと。

 

原作をなぞる様なものは予想の範囲内、それをひっくり返すようなことが起きるようにと。

 

だが失敗をした、ハリエット・ポッターの心はロナルド・ウィーズリーとその周りの者達の優しさによって救われてしまった・・だがそれもいい、自分の予測をひっくり返してくれたのだから。

 

そして楽しい、自分を楽しませてくれた誤算がもう一つ、ダーズリー夫妻だ。

本当は列車に乗る日に、ハリエット・ポッターの顔に硫酸を浴びせるように暗示をかけた。

 

ハリエット・ポッターの心をぐちゃぐちゃに踏みつぶし、決定的な闇の心を持つにいたるようにと目論んで。

世を呪い、他者を敵としか認識しない孤独で不幸な子供の誕生を見るために。

 

だがバーノン・ダーズリーはそれを己の意思で堪えた。ポケットの硫酸を出さない様に、勝手に動こうとする手を必死に止めて。

 

ハリエット・ポッターが、送り時のバーノンには悪意があったと言っていたが、本当はハリエットを守る為の顔だったのだ。

 

夫妻はどこまでいっても-まとも-だった・・・見物に値するほどに!!

 

「さて、次は何をしようかの~。」

久し振りのお愉しみ、わくわくとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この人を止める力は残念ながら自分にはない・・この世界は誕生をしてまだ日が浅い。

他世界の力ある神々の干渉を防ぐ力が・・

 

「頑張ってください、ロナルド・ウィーズリー・・」

たった一人の子供に託さねばならない程に・・




以上、邪神の目論見話でした。


そしてお人好しの神様の苦悩と、ロン達の苦労は続きます。


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ホグワーツのお茶会

カオスのお茶会とは別物です。


・・どこだよ・・呼んでるのに・・なんでいないんだよ!-あいつ-は!!!

 

 

 

ここ最近のホグワーツの朝の大広間は、何しかしらの理由で静かな朝なぞあったためしがない。

理由はロナルド・ウィーズリーが起点で、ハリエット・ポッターとシリウスの朝の挨拶だったり、ハリエット・ポッターを甘やかすお母さん達の賑やかさだったり、ハリエット・ポッターを貶した奴が地獄に落ちる阿鼻叫喚だったりと、騒がしい。

 

ちなみにハリエットを貶した奴を地獄に落とすのは、物理的な意味ではロンとセオドールで、精神的にはスリザリンの女子達とハーマイオニーによる悪魔のコラボ。味わった奴は以後、ハリエットを見かけただけで逃げ出す目にあった。

 

それはともかく今朝の大広間を騒がせた、というよりは沸かせたのはハリエット・ポッターをお姫様抱っこして登場とした、白馬の王子さまもかくやなセドリック・ディゴリーだった。

 

セドリックの腕の中にいるハリエットは、何故か大きめのローブにくるまれていて絶えずきょろきょろとしている。

 

近頃のハリエットは少しばかりふっくらとしてきて、年頃の女の子らしく可愛くなってきた。

少し癖ッ毛の黒髪はフワフワしてきて、エメラルドグリーンの釣り目気味の瞳も相まって、仔猫のようだ。

 

懐いた者にはとことん懐き、そうで無い者にはつんと冷たくする所が尚更仔猫で、近頃では

-スリザリンの仔猫-というあだ名がついたりする。

 

その仔猫がロン以外の男、それも-ハッフルパフの王子-と名高いセドリックの腕に居るので、恋愛大好きの女子や、密かにハリエットを愛でていた野郎一同が湧きたったのは無理もない。

 

 

そんな外野の騒ぎをハリエットは丸無視しているが、セドリックとしては少々心地悪く感じる。

 

周りが考えているような色恋には、発展させる気は全くない。どちらかと言うと迷子の猫を保護したのだ。

一刻も早くハリエットを保護者達に会わせて、ハリエットを安心させてあげたいだけだ。

 

 

セドリックの朝は早い。早朝からの自主的なクィディッチの練習を終えた後、寮に戻って着替えて大広間に行く途中に、廊下の隅の柱の側に蹲っていた黒髪の女の子を見つけた。

 

体は小さいようで、一年生の迷子の子だとすぐに分かった。この学校は動く階段やら、おかしな廊下や扉が多すぎると常に考えている。

 

毎年迷子になって疲れ切る子も多い。「君、大丈夫かい。」

 

とりあえず近くによって、かがんで目線を合わせてみれば、柱で衣服が見えなかったが女の子の服は寝間着のままだった。

 

 

「えっと・・君は・・」

「・・ロン・・どこ・・いんだよ・・なんで・・どうして・・」

 

話しかけたが女の子は自分の事を全く見ておらず、それどころか目の焦点があっていない。

 

ロン、ロナルド・ウィーズリーを探しているのかこの子は。

 

セドリックは女の子が誰だか顔を一目見て分かったので、ロンの居そうなところに連れて行くことにした。

寝間着のままでは寒いだろうと、自分のローブをさりげなくかけ、自然体にハリエット・ポッターをお姫様抱っこをして大広間へと歩き始めた。

途中でもいろんな意味できゃあきゃあ言われた気もするのだが、気にせず行った。

 

 

 

あいつは・・「あれ?ハリエット、ダフネたちが捜してた・・」

「ロン!!!」いた!居やがった!!

 

「どこにいたんだよバカロン!!!!!」

 

ロンも今日は早めの大広間入りをした。ハリエットの同室であるダフネとアミルに、ハリエットが朝から姿が見えないと泣きつかれて。

ハリエットはいつも寝起きが悪く、早朝散歩なぞとは無縁の子!そもそもホグワーツの中を一人で歩いたことも無い子がどこかに行ってしまったと二人とも取り乱し、スリザリン生の大半もハリエットを探してホグワーツ中に散っているとも。

 

「・・そろそろ大広間に一人でいけるようにはなっているだろう。心配し過ぎだろう。」

 

この城にはゴーストも屋敷しもべも大勢いる。ハリエットが本当に危なくなったら助けるだろうと、ロンは算段している。

可愛がっても過保護にはしない、という方針もある。

ハリエットがきちんと独り立ちできるようにと。

 

女子二人に冷血人間扱いされて、少々ショックを受けたが目も覚めたので大広間に行くことにした。

その際スキャバーズにハリエット探しを命じて。なんだかんだで自分も甘いな~と思いながら大広間に来たらセドリックに抱きかかえられたハリエットを発見。

 

そしたらハリエットが俺めがけてまっしぐらしてきて、俺が怒られた。なんで?

 

 

セドリックの腕から飛び出し、黒いローブが落ちて白い寝間着姿でロンに抱き着いたハリエットは本当に仔猫のようで、本当に可愛いと大広間一同が和むも、ハリエット自身の心は大荒れだった。

 

「俺・・何度もお前の事を呼んだんだぞ!!暗くて、・・誰もいなくて・・呼んでも叫んでも返事なくて!!!」

 

ロンを押し倒すように抱き着いて、尻もちをついたロンの上から降りずにハリエットは怒っている。

 

「どうして来てくれなかったんだよ!!!俺の事・・いらなくなったのかよ・・」

ひぐひぐと泣きながらしがみつき、ロンに文句を言い続ける。

 

 

あの子、ハリエットは何を言っているのか運んできたセドリックと大広間一同は?だが、

 

「そうか、俺はそんなに酷い事したのか。お前が呼んでくれたのに悪い事をしたな。」

 

訳の分からない文句を言われているロン自身はゆったりと笑ってハリエットを包み込む。

 

「ダメだよな~、今度はきちんとお前の側に行く。どんなに遠くてもだ、約束だ。」

「・・ホントか・・」

「ああ、本当だ。」

「・・破ったら・・」

「また叱ってくれ、嘘つきはいけないって。」

「うん・・怒る・・呼んだら・・きてくれ・・よ・・ロ・・・ン・・・」スゥ~スゥ~

 

「・・寝たか、ありがとうセドリック・ディゴリー。こいつをここに連れて来てくれて。」

「・・彼女は・・」

「ああ、きっと悪い夢を見ちまって、寝ぼけてウロウロしたんだろう。」

「そうか、夢の話か。」

 

おかしいと思った。ハリエットの側には授業以外は常にロナルド・ウィーズリーがいる。

それこそスリザリンの寮にも出入りしている事は有名だ。

そのロンが、ハリエットの呼びかけを無視するなぞあり得ないとは思ったが、夢の事ならば合点がいく。

 

「君は優しいな、ロナルド・ウィーズリー。」

夢でのことを怒られても、文句を言うことなく、優しく受け止めるナイスガイだロンは。

 

「ハッフルパフの王子に言われるなんて光栄だ。ああ血みどろ男爵、いいところに。」

 

スリザリンのゴーストが来たので、「今スリザリンの生徒たちが、血眼になってハリエットを探しに城のあちこちに行ったんだ。他のゴースト達にも声を掛けて、ハリエットが大広間で見つかったって伝えてほしい。」

 

「承知した、若き炎の獅子の子よ。」

・・最近ゴースト達から変なあだ名で呼ばれてる・・俺はそれで喜ぶ趣味ねえぞ。

 

まあいいや、「肖像画の人達や・・屋敷しもべにも頼めるかな?」

「可能だ、ハリエット・ポッターとそなたの頼みを断る不届き者はこの城にはおらん。

そなたが間違えない限り、我等は常にそなたたちの味方ぞ。では行ってこよう。」

 

えっと、ハリエットはともかくなんで俺も込み?

はぁ~・・今のやり取りでなんか腹黒狸の視線ビンビンに感じんぞ・・朝からうっとおしい。

 

 

          「「「「ハリエット――!!!!!」」」

 

 

・・王蟲の群れ・・じゃなくてスリザリンの生徒の大暴走ってすげえな・・・。

 

本当に必死になってこいつ捜してくれてたんだな。

ダフネとアミル、ドラコ達が先頭きって大広間に雪崩れ込んできた様は圧巻だ。

 

「お前は愛されてんぞ、ハリエット。」

 

愛すべき天使達の、愛おしい光景に、ロンはほっこりと笑うのだった。

 

 

「なあ~・・俺にもハリエット触らせ・・」

「五月蠅いですわよシリウス小父さん!!ハリエット、今度嫌な夢見たら私達のお布団に入るのよ?」

「もう勝手にいなくならないでね?はい、糖蜜ヌガーどうぞ。」

 

「・・甘やかしすぎてねお母さんたち・・」

「仕方ないでしょロン、ハリエットが心配なのは私も一緒よ。悪夢を見て可哀そうに・・」

「また僕のポプリを贈ろうかな?」

「それはいいねネビル。僕らは温度によって色が変わる毛糸を作る事に成功をした!!」

「ジョージの言う通り!それで黄色い猫のぬいぐるみを贈って、次の日見てみれば。」

「「あら不思議!オレンジの仔猫がいたよ作戦だ。」」

 

スリザリンの生徒のみならず、グリフィンドールもハリエット馬鹿では負けてはいなかったりする。

 

大広間は今日も騒がしく始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜ、あの子供ばかりが・・ああも注目をされている!!校長である儂をさしおいて!なぜゴースト達のみならず屋敷しもべがあの子供の言う事を聞くのだ!!!

 

ダンブルドアは苛立っていた。理由はもちろんロナルド・ウィーズリーの事でだ。

 

折角ハリエット・ポッターを英雄にする道筋を作るべく用意をした全ての事が、偶然にも石を手に入れてしまったロンの手によって全てが壊された!文字通りに!!

石も舞台も全てが一瞬に・・自分が綿密に立てた計画を、よりにもよって子供の手によって!闇の魔法使いでも、まして大人でもない小僧にだ!!

 

あの小僧は何も分かってはいない!このままではいずれ復活をするヴォルデモートを倒す者がいなくなり、闇の勢力が魔法界を覆いつくすのが!!

 

今ならまだ間に合う。ハリエットを早く己の陣営で-保護-せねば・・「ハリエット・・」

 

 

 

なんと思索に耽るために来た湖の畔に、ハリエットが一人で居た!!これぞ神のご加護か!!!

 

「おっほん!!」早速声掛けじゃ!!!

 

ん・・なんか大きな咳が・・「あ~・・こんにちは・・校長・・」

初めて一人で散歩してみた。皆が俺の事を心配してくれるのは嬉しいけど、俺も大体は道順を覚えた。

 

「少しだけいいか?」

朝の一件があるからダフネたちの許可は得た。あの二人に心配かけたくない。

朝なんで俺が部屋出たのか話したら泣いちまった。

 

「でも・・俺はロン以外も呼んだんだ。ドラコやダフネ、アミル、セオ、ビンセント、グレゴリー、ハーマイオニーにネビルも。」

 

それを言ったら泣きながら笑ってくれた。呼んでくれて嬉しいって、皆が。

 

 

 

「それにさ・・セブ先生も呼んだんだよ・・クィレル先生だって・・」-ブホッ!!!-

-ブゥウー!!-

 

・・覚えてる事言ったら・・あっちこっちから咳や噴き出す音がして・・「クィレル先生!!しっかり!!!!」

「大変だ!!喉に食べ物がひっかかっちまった!!」

 

・・先生達も騒がしくなった・・何でだろ?

 

 

実はダンブルドアの今日の苛立ちはそこにもあった。

 

セブルスが呼ばれた理由は分かる!寮監であり、ハリエットを陰日向と守っている保護者だから、シリウス同様であろうと。

 

だが・・何故にヴォルデモート付きのクィレルなのだ!!!!両親を殺した張本人とは知らずとも、どもりで臆病なクィレルが呼ばれて何故自分は呼ばれる中に入っていないのか!!!

 

 

 

ロンが聞いたら完璧逆恨みだと言いそうな理不尽な苛立ちだが、一旦わきに置いておいて「ハリエット・ポッター、珍しく一人じゃのう。良ければこの爺の話し相手をしてくれんかの?」

友好関係構築じゃ!!

 

 

-あいつが猫撫で声で名前を呼んできた時は碌な事がない!!油断するなよ!!!-

 

って、クィレル先生言ってた・・「いい、一人で居たい。」

 

「そのような寂しい事を、何か悩んでおるならば言ってみんかな?

 -何を思い悩む、ハリエット-」

 

ダンブルドアは青い瞳を煌めかせながら、ハリエットに問い質す。心の中を知れば、対策がしやすかろうと。

 

「・・俺・・俺は・・」

 

 

             「ハリエット!!!!」

 

 

・・あれ?俺・・あの声は・・「こ・・ここに・・いましたか・・ハ・ハリエット・・」

 

「・・クィレル先生、俺の事捜してたのか?」

「き・・君の・好きそうな紅茶が手に・・入った・・」

「そっか!!そしたらお茶のみに行っていいか⁉・・朝はなんか驚かせてご免・・」

 

いきなり名前を出されて先生驚かせてと、ハリエットはダンブルドアの事はそっちのけで、クィレルと話し込みだした。

 

 

 

ああ驚いたぞ・驚きましたとも!!何で仲のいい友人知人の中に、俺様・私が入ってた!!!

 

ヴォル付きクィレルは、双方ともにハリエットの発言に本気でびっくりして食べ物をのどに引っ掛けて、あわや昇天をしかけた。ハグリットの馬鹿力がなければ今頃は冥途に言っていたと断言できよう!!!

 

度々お茶する仲にはなっても、復活時にはアバダで両親の元に送ってやるつもりの少女に、

なんであんなに懐かれた⁉

 

もうわけ分らん、くさくさ主従が気晴らし散歩してたら、腹黒狸がハリエットに開心術を使っているところを発見!!

 

 

 

 

・・クィレル!!!

イエス!マイロード!!!

 

 

二人は何も考えず、しかし息ぴったりに同じ事を瞬時に考え実行をした。ハリエット・ポッターを腹黒狸から守るべく!!!

 

 

お・・のれ―――!!!!!ヴォル付きクィレルの分際で!!

 

 

「いかんの~、クィレル。教師が一生徒をお茶に誘っては、ハリエットが贔屓をしているように見られてしまうと、儂は思うのじゃが?」

 

内心を押し殺し、ダンブルドアは建前をスラスラと口にする。

 

 

 

・・子供に開心術を平然と使う貴様のどの口が言っている!!!

 

ヴォルデモートは完全に臨戦態勢に入った。

 

だからこの爺は嫌いなんだ!!正義の皮を被った悪党だこいつは!生徒時代から、ここへの就職も、全て横やりを入れてきた因業爺が!!

・・ハリエットをどうするつもりだ!!こいつは俺様の獲物だ!!!

 

「・・クィレル先生・・」はっ!!

「どうしたんだよ・・おっかない顔して・・」

 

しまった!腹黒狸に気を取られてハリエットがいるのを忘れていた・・どうすれば・・

 

「いたいたハリエット!!クィレル先生も丁度いい。俺ん家からクッキーが届いた。お茶会しようぜ。」

 

 

 

緊張を孕んだ空気は、ロンのまったり声で霧散をした。

 

 

・・ぶねぇ~・・俺が止めなかったらヴォル付きクィレルがくそ爺に消されかけたわ。

 

またもやスキャバーズにハリエットの動向を見張らせていたロンは、あわやハリエットの取り合いで、殺し合いに発展しかけた二人を見つけて、近くにいた屋敷しもべに、湖まで姿現しをしてもらって間一髪で間に合った。

 

屋敷しもべの魔法は人のそれとは違い、ホグワーツの結界には干渉をされないために、姿現しは可能なのを、シリウスから教わっておいてよかったと心底思った。

 

「チュチュ~(役目果たしたぜ!)」

「・・後で肉たっぷりとやる・・」

「チュウ!!(マジか!やったぜ!!!)」

スキャバーズにも大感謝だ。

 

クィレル先生が今目の前で爺に倒されてたら、ハリエットの心が傷つく。防げてよかったよ。

 

爺が教師と生徒の茶会は贔屓云々とうざったいので「いや~、この紅茶美味いっすね教授。」

「・・・・・・・・」

「・・ロン、先生怒ってるぞ。」

「私・・こんなに怒ってる先生初めてかも・・」

「あら、グリフィンドールにはこんな感じだってジョージ・フレッドが。」

「そうなの?以外ね。」

「菓子美味い。」

「茶も美味い、お代わり。」

「ここってマジ落ち着くな~。」

 

クィレル先生の部屋には教授とドラコ、ダフネ、アミル、ビンセント、グレゴリーとハリエットのスリザリン生と、ハーマイオニーと俺が一緒に大所帯で!!!!お邪魔してる。

 

 

 

ご主人様!!菓子皿はいいとして茶器が!!!!

屋敷しもべにもってこさせればいい!それよりもクィレル、あの爺に一泡吹かせるべく!お茶会を成功させるのだ!!!

 

裏切り者のセブルス・スネイプはこの際放っておいて、ロンがくれたこのチャンスを逃すか!!

いつも収まりかえっているあのアルバス・ダンブルドアが、ロンの提案を聞いた時の唖然茫然の顔は実に愉快だった。

成功させてもっと心を乱すがいい!!くたばれくそ爺!!!!

 

 

ああ~、ご主人様が喜ばれている・・何としても成功させねば!!

「み・・皆さん・・お代わりは?」

「いる!けど、一緒に食べようぜクィレル先生。」

「そ・・そうですね・・では・・おいしい・・」

「だろ!!母さんの作るものはなんだって美味い!!」

「今度は僕の母が送ってくださるもので、お茶会を・・」

 

 

 

・・何を考えているヴォルデモートとクィレルは?

 

とんでもお茶会に巻き込まれたセブルスは、頭痛を感じながらも「・・本当に美味だ・・」

紅茶に舌鼓をうっている。

 

実は紅茶に目がなく、ルシウスから息子よろしくと、最高級の茶葉を贈ってもらう程に紅茶好きで、クィレルが淹れた紅茶は、毒の事を疑ったが本当に美味しかった。

 

 

いい時間だ・・生徒と教師のまったり時間。相手がヴォル付きクィレルなのは少々不味いが・・そうだ!!!いい事思いついた!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             「お茶会しようぜ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴォル付きクィレルのお茶会から半月後の日曜日、朝の大広間はいつもと全く違った!

長テーブルが無く、代わりに大小さまざまな丸テーブルがあり、お茶会の準備がされていた。

 

「マクゴナガル先生―――!!!!」

 

ヴォル付きクィレルとのお茶会後、ロンはマクゴナガル先生の部屋に押し掛けた。

 

教師と生徒がもっと親密になり、生徒の学ぶ意欲と教師の教える意欲を上げるためにも、何かイベントをしないかと。

 

話を聞いたマクゴナガルは初めは話を聞く気はなかったが、クィレルと生徒たちのやり取りを聞いて興味がわいた。

 

あの少々臆病なクィレルが、きちんと生徒と話が出来て、ハーマイオニーの闇の防衛呪文の質問にごく普通に答えていたという事に。

 

それが本当ならば、ロナルド・ウィーズリーの言う事をしてみてもいいのかもしれない。

副校長の職務は、ホグワーツの未来をより良くするためのもの。それは生徒も教師も須らく。

 

マクゴナガルはセブルスと違い、クィレルがヴォル付きクィレルとは知らず、クィレルがうっかりと素を出したことを知らずに良い方にばかり考えた。

 

結果、子供の面白そうだからという考えと、大人の崇高なる考えが混ざり合って化学変化を起こして、前代未聞のホグワーツ上げてのお茶会の開催となった。

 

ダンブルドアとしては発案者がロンなのを知って反対したかったが、マクゴナガルの手前好々爺の笑みで許可を出し、懐の広い校長を演出をした。

 

 

テーブルにはそれぞれの教師のブースがあり、それぞれ特色がある。

 

薬草学のスプラウトは体にいいハーブティーと、美味しい健康クッキーを。

 

呪文学のフリットウィクは生徒たちに「音楽の」とか?出る茶器が踊りながら紅茶が淹れられる。

 

セブルスも来る者達の大半がスリザリンの生徒なので、笑顔ではないが優しく自慢の紅茶と、胃や内臓に優しい薬草入りのケーキなどを振る舞っている。

 

 

 

「・・き・君は向こうに行かないのかね、ハリエット・・」

「ん~、俺はクィレル先生の茶が好きだよ。」

「本当だ~優しい味がする。」

「そ・・そうかね・・」

 

生徒たちはそれぞれの好きな教師の下に自由に行き、クィレルのブースは客の入りが悪いが、おかげでハリエットとネビルはのんびりとお茶を楽しめている。

 

 

「本当・・ホグワーツっていいな~。」

 

ハリエットとは満ち足りた顔でぽつりと漏らし、聞いたクィレルとヴォルデモートの胸の中に、言いしれない-ナニカ-が生まれた瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの子は本当にうまくやってくれている。」

「そうだなゴドリック。見てみろ、生徒達の楽しそうな顔が。」

「サラザールの言う通りです。我等の学び舎が理想に近づいています。」

「ヘルガ、あの子供達は誠に希望ですね。我等が目指した魔法界の。」

 

 

 

 

ホグワーツの四大創設者達は、お茶会を喜んで見ていた。

 

ロナルド・ウィーズリーの発案で、素晴らしき大人たちの手によってよきものが生まれる。

 

ロン一人では無しえないが、ロンがいなければなしえない・・不思議な少年だ彼は。

 

これからもその道を違えることなく歩いてほしいと願う程に。




久々の化学反応が出た回でした。
四大創設者達の言う通り、ロナルド・ウィーズリーだけでは決してできない事だらけです。
知識・経験・実行できる資本と権力があって初めて可能になるのです。
これからもロンにはいろいろ呟いてもらい、化学反応を起こしてもらいます。

ゴースト達と屋敷しもべの事は二年生へのフラグです。
上手く回収できるように頑張ります。


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俺は俺だ

ロナルド・ウィーズリーになる前のお話です。


夢を見た、ホグワーツのお茶会のその日の夜に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は少し大きくなって、-中坊-の学ランを着ていた。屋上で寝転がり空を眺めていたら、急に視界が暗くなった。

折角の青空を見ていたが「お前か-教授-。」-親友-だったら別に気にしない。

 

「君ね~、喧嘩の仕方もっと考えなよ。正面突破だけじゃ~駄目だよ?」

「いいんだよ、先公の罰則何てたかが知れてんだからさ。三日の停学か。」

「うん、そして相手は一人残らず退学だ。」

 

・・こいつは・・「また-閻魔帳-を使ったのか。」

「そう嫌そうな顔で言わないでよ。言っただろう?カスにはカスの末路があるって。今回は君が動くことないって。」

 

今回の喧嘩相手はナイフやカッターで弱い奴をカツアゲしていた馬鹿どもだ。

そいつらは別に金に困っていない、寧ろ小金持ちの奴等だ。スリルとやらを求めた馬鹿げた事に、巻き込まれた奴等こそいい迷惑だ。

 

目撃をして適当に殴って追い払って教授に愚痴ったら、教授は深刻そうな面をした。

どうやらそいつらはPTAの会長の息子とか、町の名士とかの子供のようだ。

 

俺には関係ねえっていっても、教授はそいつらの閻魔帳を作るから、俺には大人しくしろって言ってきた。

 

でも無理、だってそいつらの方からお礼参りに来たから。それも年上の兄だか何だか引き連れて、8対1やったが俺の勝ち。喧嘩の場数が違うんだよ。

暢気にぬくぬく育ってきた奴らと、施設でいびられて育った俺とは勝負にもならん。

 

場所が悪かった。自校の裏庭で、お礼参りの奴等は簡単に俺をぶちのめしてはい終わり、

その後気絶した俺をいたぶるつもりが、怒声混じりの大喧嘩になって、大事になって、

捕まった俺達は施設育ちの俺に全てを押し付けて終わらせようとした。

 

相手の奴の親や教師全員がだ。

俺の事を罵倒し、名士とやらはしたり顔で偽善を吐き、俺がボコった奴等は弱い振りをして逃げようとした。

内心で笑っている顔が透けて見えるだけに吐き気すらした。

 

俺の退学が検討されかけたその時、教授が職員室に入ってきた。

後ろには見慣れない、この学校の生徒達を引き連れて。

 

そいつらは皆、カツアゲの被害者だった。証拠は被害者の一人が怖いながらもスマートフォンに脅しの言葉を全て録音をしていた。

 

大勢の生徒の証言、録音された生々しい脅しの言葉、警察に鑑定を依頼することを検討しているという教授の発言に、大人達が青くなって必死に止めようとして、結果俺は停学3日、奴等は兄貴達も含めて退学処分。

 

自業自得ではあるが、喧嘩に水を差されたようですっきりしない。

 

「余計な事をしたかな?」

「・・助けられたのは本当だ。けど、」

「分かってる。他人の力を使って、ずるした気になるかい?」

「・・・・・・」

「君は真っ直ぐすぎる。でもだからこそ、僕は君を助けたいと思う。

僕はね、ずっと他人に興味なんてなかった。困ろうが野垂れ死にしようがどうでもよかった。

弱い奴なんて強い奴等食われて当然。君が助けなかったら放っておいた、嫌なら足掻いて強くなれってね。」

 

あいつ等を説得するのは骨が折れたと教授はぼやく。

録音という切り札を持ちながら、助けた者が窮地に落ちても愚図愚図していた奴等だったと。

 

「皆が皆強いわけじゃねえよ、教授。」

「分かっている、そして皆が皆君みたいに綺麗じゃない。」

「・・・はあ⁉お前頭打ったか?俺が綺麗って。」

「いいのいいの、君は分からなくて。君は-僕-みたいなのには眩しい位なんだよ。

でも嫌な眩しさじゃない、温かい炎のようだ。ずっと温まっていたいほどの。」

「・・やっぱ頭打ったか。いきなりポエム言っちまってる。」

 

さらりとした黒い髪を、背中まで伸ばして結わいている変わった奴。

この町の町長の息子が、何を好き好んで施設育ちの俺にくっついて面倒を見てくれるんだか。

容姿はほっそりとした色白の美少年。入学早々絡まれてたあいつを助けたのが縁だ。

 

お礼と名前を聞いて、大した事してないと立ち去ろうといしたら、驚かれた。

 

そいつの苗字は変わっていて、町長の一家しかない名だから一発で家族だと分かられるらしい。

そして知った奴はたいてい町長の息子として見てくるか、何かしらのリアクションが来るのが当たり前と化していたのに、何も反応を返さなかった俺が珍しいらしい。

 

「だってお前はお前だろ?町長の息子って名じゃねえんだろ。」

 

ごく当たり前の事を言ったつもりなのに、そいつは大笑いをしてきた。

ムカッとしたが、笑いながら泣き始めたので黙って見てることにした。

 

暫く笑った後、「僕は君の友達になりたい。」なんて言ってきた。

 

ダチはなりたいとかでなるんじゃねえ、お互いが好きで信頼をして楽しく過ごす奴の事をダチだって言ったら、今度は妙に大人びた顔で笑いやがった。

 

「君は面白い。」

 

以来俺の周りをうろちょろとして、助けたり助けられたりとしていつの間にか-親友-といってもいい奴になった。

 

 

三年生になると、教授に進路を聞かれた。

 

「俺は働いて自活する。」

「君らしいね、そしたら僕は父の地盤を継いで偉くなる。将来君の働きの場を与えられるように、土方で働く気だろ?」

「まあ・・中坊卒が働くったらそれくらいか?」

「だろう?この辺て何にもない、せいぜい温泉があるくらいだ。もっと温泉の施設を強化したい。でも今親父が贔屓している奴等じゃ駄目だ、利益が出ても自分達の懐に入れてる。町の発展の邪魔だ。」

「・・お得意の閻魔帳づくりしないのか?」

「今はまだ僕は子供だ。」

「・・分かった、お前の夢を一緒に叶えるくらいの力を持つよう努力する。現場のたたき上げの社長にでもなりゃいいのか?」

「君は本当に話が早い、相変わらず頭がきれる。」

「・・・お前は学年一位でも、俺はせいぜい真ん中だぞ。そのお前に言われてもな・・」

 

他の奴が言ったら嫌味かと喧嘩しそうなこと言われてもな~。

 

「勉強は詰め込めば何とかなる。僕が言っているのは、君は柔軟な思考で状況判断が早く、持ち前の地頭の良さを使って何者にも臆さずどんどん前に進む。真っ直ぐに突っ走る君が、僕は大好きなんだよ。」

 

          

 

 

            だから走り続けてほしい、君のままで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・目が覚めた・・そうか・・俺は教授とあんな約束してたのか・・約束は守れなかった

 

邪神野郎のせいで。

 

あいつは、教授は俺の死に泣いただろうか、それとも怒っただろうか。嘘つきと言って。

 

「・・俺はこの地でも、お前との約束を守るよ教授。」

 

俺以外に興味はないと言いつつ、カツアゲにあった後、助けた事になった俺と親しくなった奴等にも気を配っていた不器用な優しい奴。

 

どこかセブルス・スネイプに似ていた。

 

俺以外には少々ぶっきらぼうだった教授と、初めて会った俺達に余所余所しくも、端々で優しさを見せたセブルス・スネイプが似ていたので、俺はセブルスを教授と呼ぶことにした。

 

 

俺は何で色々と考えて動こうとするのかと、周りの奴等によく聞かれる。

ホグワーツのお茶会の発案時にはマクゴナガル先生に。

 

子供の家の時はルシウスさん達に。

 

いろんな奴等に聞かれた。

 

だって皆が楽しい方がいいだろう、そうとしか答えられなかった。

 

でも夢で思い出して分かった、俺は忘れていても心の奥底で教授との約束を覚えていたんだ。

 

大人になって、町を発展させようと。

 

 

「・・ごめんな教授。。」-お前-との約束は守れなかった。

 

でももう一つの約束は死んでも守る。沢山の事を考えて、俺らしくまっすぐ走り続ける。

 

だから、どうか、俺の事で悲しんでいたら笑ってほしい。

 

どこにいても、俺は俺らしく生き続ける。

 

 

馬鹿みたいに前しか突っ走らない俺を思い出してくれ。こけて怪我していた痛いを見ても、懲りなかった俺はここでも変わらずに生きているのだから。




ロナルド・ウィーズリーの過去夢でした。

他の教師はダンブルドアであっても先生ですが、セブルスだけ教授な理由を書きたくなりました。

ドラコの様に容姿が天使でしたたかな強さで、中身は大蝙蝠さんの様な不器用な優しさを持った、前人生の親友が元ネタです。


ロナルド・ウィーズリーの根っこを書ききれていればいいな~と思います。

次回は一年生の終わりです。


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一年生の終わり

いつもと違います。


ハリエット・ポッターの一年目は-何事もなく-終わりを迎えた。

 

賢者の石はロナルド・ウィーズリーが破壊をしたために、三頭犬の出番はなく、大冒険は無し。

スリザリンの生徒となったために、ドラコ・マルフォイイベントは一つもなく、クィディッチのシーカ―にという話も出ない。

 

始まりこそ、11年の不幸の諸々で騒ぎはあれど、物語にには欠かせないハイライトシーンは一つもなく、実に-イベント-のない平和な終えたと言えよう。

 

しかしそれは-物語り-としての事であって、-個人-と捉える場合はその限りではない。

今回はその-個人-にスポットをあててみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10月31日のハロウィーンは特筆すべき事は余り無い。

 

強いて上げればハロウィーンのいたずらで、ウィーズリー家の双子の標的が徹底的にダンブルドアに向かった事である。

 

双子は今期のいたずら理由は、ハリエット・ポッターを笑わせる事のみを目指した。

結果、ダンブルドアにいたずらをすればハリエット・ポッターは大笑いをする。

 

内容は髭の色が変わる、服がローブからワンピースに代わる、ブーブークッションを仕掛けておくなど、無害で他愛のないものであっても、ハリエットをは大笑いをした。

 

それ程までに、笑いやジョークとは程遠い、無縁であると言っても過言ではない環境にいたことが、周りには悲しい事であっても、笑いで吹き飛ばしてやると双子は誓ったのだ。

 

賢者の石がないために、クィリナス・クィレルが騒ぎを起こす事はなく、ハーマイオニーもロナルド・ウィーズリーのお陰でコミ障は和らぎ、程の良い交友関係を構築をし、騒ぎは何事もなく、楽しい愉快なハロウィーンパーティーで一日が終わった。

 

 

アルバス・ダンブルドアとしては叱るべきか、ハリエットの笑いに寄与出来たことを共に笑うべきかを、本気で悩んだ。

 

ハリエットの不幸の一端は自分にあるからだ。

 

英雄とチヤホヤされて駄目な子となっては、いずれ復活するヴォルデモートは倒せないからと、魔法界から隔離したつもりが別の意味で駄目な事を自分がしてしまったから。

 

 

 

 

 

11月末はクィディッチの最終決勝戦。

 

対決カードはスリザリン対グリフィンドール。

 

両者は互角、双方天才シーカーはおらず80対80で試合は夕方にまで長引いた。

 

グリフィンドールのシーカーはアルフ・ビータ。マグル出身者だが3年生の中では跳びぬけた飛行技術の持ち主で、今期から参加をしてぜひチームを初優勝に導きたいと燃えている。

 

だが燃えている度合いではスリザリンチームも負けていない。

 

なぜなら「いっけ――――!!!頑張れスリザリーン!!!」

 

 

応援席ではハリエット・ポッターが喉も裂けてもいいとばかりに大音声で応援をしてくれている!!

ハリエットもクィディッチが大好きだ!!来年は自分もチーム入りしてピッチに立つ!!

 

今期のスリザリン寮は-スリザリンの仔猫-を大切にしている。

ガリガリに痩せた女の子が、自分達の元で穏やかに過ごしふくふくとしていく過程を見守っていた彼等は最早親の気分!!愛娘の願いはどんなことをしても絶対に叶えてやる!!!

 

身内に底なしに甘いスリザリンは狡猾ともいえる作戦を展開し、最後はスリザリンのビーターがブラッジャーをキーパーのオリバー・ウッドにブチ当てて、ゴールをして終わった。

 

スニッチは取れずでも時間一杯でスリザリンに軍配が上がり、優勝をかっさらっていった。

 

両者ともボロボロでも心の中は天国と地獄ほどに違った。

グリフィンドールはことクィディッチでは宿敵のスリザリンにまたもや敗れて優勝杯を手にできず、寮監のマクゴナガルも大泣きをしつつチームの者達の健闘を称え、来期こそはと全員で誓った。

 

一方のスリザリンは沸き立った。

ハリエットは嬉しさのあまりにキャプテンのマーカス・フリントに抱き着き、マーカスもハグを仕返した後小さなハリエットを右肩に座らせて優勝杯を持たせ、そのままピッチから全スリザリン生徒を引き連れ自寮まで凱旋を果たした。

 

 

 

 

 

12月は言わずと知れたクリスマス。

 

ドラコ・マルフォイ達スリザリンの大半の生徒はハリエットを残して帰省するのを躊躇いつつも、

「俺はロンがいるから大丈夫。」本人の説得で全員が帰省をした。

ハリエットにクリスマスプレゼントを贈る事を約束をして。

 

24日のハリエットの部屋は凄い事になっった。プレゼントの山にうっかり埋もれかけた。

「ロン持ってきたぞ。」

その全ては空けずにロンとセブルスの元に持って行った。

 

プレゼントの中に悪意のあるものがないかとセブルスがチェックをするために。

 

生き残った女の子に悪意があるものは残念ながらホグワーツの生徒にもいてしまう。

 

妬みや嫉み、ハリエットと個人的に喧嘩をした者などがプレゼントに呪いをかけていないかを危惧したセブルスの発案で。

 

案の定三分の一のプレゼントは軽度から中度の呪いがあった。

中には分析結果に愛の妙薬が入っており、ロンとセブルスを殺気立たせた。

 

近頃のハリエットはふっくらとして愛らしい。それを狙う輩は地獄に落ちろ!!!

 

「へへ、ロンのお母さんの手作りセーターあったけえ。」

 

男二人の怒りを全く知らずに、安全と認定されたプレゼントを開けて、モスグリーンのセーターを着てご満悦なハリエットであった。

寮生からのプレゼントからハグリッド等教職員からもあり、休暇中のハリエットは全員にお礼の手紙を書いて過ごした。

 

 

ハリエットもプレゼントを贈った。ホグワーツの台所を借りてクッキーを大量に作り、送りたい人達に2枚ずつと手紙を添えて。

 

スノーマンやトナカイ、サンタやツリーをかたどった可愛いクッキーを貰った者達はほっこりと笑って受け取った・・例外一人はいるが。

 

 

ヴォル付きクィレルは本気で悩んだ。

 

クィリナス・クィレルの元にはハリエットの他に、何とネビル・ロングボトムからもプレゼントが届いた。

 

彼もハリエットと同じで有名だ。-選ばれなかった男の子-として。

 

ヴォルデモート亡きあとに、かの予言は世間に公表をされた。

 

7月の最後の日に生まれた子供がヴォルデモートを倒す、故にハリエットが闇の帝王を倒したのは予言が成就されたのだと。

 

魔法界は狭く、有名一家の子供の誕生日は割と知られている。

 

ハリエットの他に予言の子になりえた者の名も当然知られ、口さがない無責任な大人達は、帝王の死で浮かれ騒ぎ、ネビルの事も笑いのネタに俎上をしにて以来本人にはどうする事もできないあだ名を付けられネビルを悲しませた。

 

クィレルもよく知っている、他者から笑われる口惜しさとその痛みを。

 

学生時代の彼は少し神経質でどもりがちで、生徒たちに馬鹿にされて孤独でみじめな学生生活を送った。

魔法の腕が並み以上であっても、認められることなく。

 

中身を見ずに外側のどうしようもない事でいわれるつらさを。

 

二人の入学時期は分かっていた。ネビルは自分と同じでおどおどとした子になっていると思って大広間で待っていたら、優し気でのんびりとした彼には暗い影は一つもなかった。

 

自分とは違うと少々ガッカリとした。同類をヴォルデモート陣営に引き込めないかと目論んでいたから。

 

生き残った女の子と、選ばれなかった男の子双方からプレゼントが何故自分に届いたのか分からない。

自分は彼等に何かを説く別にした覚えはない、せいぜい紅茶を振る舞った程度だ。

 

なのに-先生へ、いつもありがとう。これ食べてくれ、お茶会にはもっと持っていく-

 

-先生へ、いつもお世話になっています。この紅茶をどうぞー

 

温かいメッセージ付きで。

 

ヴォルデモートも本気で悩んだ。

 

自分が手を下した少女と、自分の配下達がやった少年からプレゼントが届いたことに。

 

 

「・・クィレル、俺様が復活をしたらハリエットはいうに及ばず、聖マンゴにいるネビルの両親とネビルを・・」

「はい、アバダで一瞬で終わらせて差し上げるのでしょう?」

「・・うむ・・」

 

自分の復活の暁には闇陣営は間違いなくハリエットを血祭りにあげよう。憎き怨敵として、ありとあらゆる苦痛の拷問の果てに。

 

そうならないように慈悲を与えてやる、ネビルの両親も心が壊れて廃人であるならば、償いとして子供諸共に楽にしてやろうと。

 

ヴォルデモートは愛を知らない、それでも己なりの精一杯の優しさを発揮しようとしている。

 

例え方法がとんでもなく間違っていたとしてもだ。

 

 

 

 

冬は優しさで終わり、春が過ぎて6月は地獄の季節到来。学年末試験だ。

 

スリザリンは寮を上げての勉強会を、グリフィンドールは勉強大好きハーマイオニーを中心に、ロンが音頭を取って一年生はまとまって勉強会をした。

 

レイブンクローとハッフルパフは個人個人が自主的に猛勉強をして、今期は何とどの寮からも追試者は出ずに終えられた。

 

 

 

7月は待ちに待った寮杯の発表日。

 

なんとグリフィンドールとスリザリンが同点優勝をした、賢者の石事件がなくともだ。

 

スリザリンもグリフィンドールも双方納得をして。

 

理由はハーマイオニー・グレンジャーが勉強で大量に稼いだこと、ロンやその周りがいい事をしまくったので点が沢山稼げたことだった。

 

彼等は好きだからした事で点が入ったのは不思議だったが、イベントが盛り上がって良かったなと楽しむ事にした。

 

 

 

 

「明日迎えに行く。」

 

ホグワーツ列車の帰りのコンパートメントでロンはハリエットに約束をした。

 

ルシウス・マルフォイがバーノン・ダーズリーとの取り決めをした事をきちんと話して。

 

ハリエットは本当はそのままロンの家に行きたかった。

ロンの家族とはフクロウ便をやり取りする仲で、モリ―もジニーも優しい言葉を沢山くれたいい人達だったから。

 

だがダーズリー家に帰らなければならない理由も知っている。シリウスがきちんと話してくれたから。

母の残してくれた愛の魔法の為ゆえにと。

 

両親の深き愛を知ったからこそ、一日だけ頑張ると。

 

ロン達はそんなハリエットを増々愛おしいむ、帰省となった。

 

沢山の約束をした、-外-で遊ぼうと、マグル生まれや半純血の子達と。

 

 

 

 

 

そして、皆が平和に家路につきました。ハリエットも邪神の呪いとけしバーノンに荷物を持ってもらったのに驚いたが、何も言わずに黙って車に乗って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが特筆すべきはそれらではない、ルシウス・マルフォイのとった行動である。

 

何と彼は闇の帝王の預かり品-日記-を燃やしたのだ。

 

クリスマス休暇で帰って来た息子から、ハリエットと今のホグワーツの現状を聞いて。

 

「ロン君らしいことだ。」

 

全ての大きな出来事には必ず彼は関わっている。

 

この分ならば魔法界が闇の陣営に屈する事は無い。帝王の預かり品を燃やして、真の意味で決別をしようと。

 

しかし簡単にはいかなかった。ルシウスは知らないが、日記はヴォルデモートの魂付き。

余程の呪文か特別なアイテムがないと無理である。なので、余程の呪文、-悪霊の火-を使用した。

 

 

家族が寝静まるのを確認し、屋敷の地下の厳重な部屋で一人で燃やし上げた。

 

 

 

かくして-二年生-の重要アイテムはあっさりとあっさりと消失をした。

 

二年生の時はどうしようか、まさかルシウスさんにに帝王の日記どうしましたかとは聞けないと、ロナルド・ウィーズリーの葛藤を無視して。

 

さてさて、二年生はどうなるのであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・君らしく走り続けるか・・元気で何よりだよ・・」




いつもと毛色の違う作品をお届けしました。


ご指摘がありましたが、クィディッチの決着のつき方ですが、スニィッチを取らずとも本編ではタイムアウト制とさせていただきます。


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出掛けよう!

ロンとダーズリー家の初対面です。


まだかな・・遅くねえか・・   -ピンポーン-

 

やっと来たか!!

 

「・・ハリエット、出なさい。」

「お・・はい!」

 

呼び鈴がやっと鳴った、昨日この家に入ってからずっと待っていいた。

 

 

ハリエットは昨日この家、つまりダーズリー家に帰って来た。

 

また虐められんのか面倒臭え~、なんて考えてながらキングズ・クロス駅について俺を待っていたのはバーノンだけ。

 

一応は迎えに来たか、荷物重たえと思ってたらバーノンの奴がいきなり俺の荷物を持った!!

・・ありえね・・何がどうなってんだ?俺なんて死んじまってもいいと思ている奴が、荷物持ってくれるなんて。

 

車の中は無言だった、つまり罵りもなかった・・何がどうなってんだかさっぱりだ。

 

「お風呂に入りなさい。」

 

戻ってきた俺に言ったペニチュアの一言もおかしい。いつだって最後で、ほったらかしで入っていたのに声を掛けてくるなんて。

 

夕食もそう、ダドリーが俺に何もしてこない。サンドバックにも、悪口を言う相手にもしない。

 

・・不気味な俺に構いたくないのかと思えばそうでもないらしい。「ご飯よ。」なんんて言われた時は流石に「・・はあ~⁉」なんて言っちまった。

 

夕食は持たせてもらったと言っても、それごとでいいから来るように言われた。

 

静かな食卓、ホグワーツの賑やかさはない。でも・・今までと全く違う。

 

俺の食事場所は物置で、いつも作らされてから一人で食べるのが習慣だった。

お陰で飯づくりには自信があるが、この家のダイニングで食べたのは今日が初めてだ。

 

なんでだろう?

 

 

 

 

「バーノン・・私達は・・あの子に・・何と惨い事を・・」

「ペニチュア・・探そう・・あの子供を受け入れる方法を・・そしていつか詫びよう、ハリエットに。」

 

 

ハリエットがホグワーツに行ったその日、邪神の干渉の無くなった二人は今までの自分達の仕打ちに恥じ入り打ちのめされた。

-まとも-な事を望む二人は、自分達がしてきたことは倫理的に、社会的に、道義的、全てのことから見ても、最低な行いをしてきた。

 

何故かはわからないが、魔法族のハリエットを無視するだけではなく、惨い仕打ちをしたい衝動にかられたまま行ってしまった数々の仕打ち。

酷くまともではなかった、息子も親のしている事を見て真似をして、無垢な心を汚させた。

 

眠る時は-これではいけない、明日は無視するだけにしよう-と夫婦とも思っても、朝起きてハリエットを見入るとまた繰り返し・・ホグワーツに呼ばれた時はホッとした。

これでもうあの子供に酷い事をしなくて済むと。

 

 

そしてルシウス・マルフォイがやって来て提案して来た事を受け入れた。

自分達とハリエットの為に。

 

帰って来たハリエットを見ても、惨い事をしようとは思わなかったことに、バーノンは驚いた。

小さな体に荷物は重いだろうと-まとも-な考えが働いたので、荷物をもってやったらハリエットが目を丸くした。

 

こんな些細な事に驚かれるほどに自分達は、酷い事をしてきたのだと罪悪感が増す。

それでもこの罪から逃げないと、妻と誓った。もう二度とハリエットを意図的に傷つけないと。

 

翌日に迎えが来るのも知っている、-手紙-が届いたから。

フクロウなどという馬鹿げた代物ではなく、郵便で。

 

差し出し人はルシウス・マルフォイではなく、アーサー・ウィーズリーとあった。

 

きちんと正規の切手が貼られ、中身は常識的な挨拶で始まり、休暇の次の日にハリエットを迎えに行ってもいいかという、まともな内容だった。

 

ハリエットが話の通りに魔法界とやらの英雄であるならば、虐待をしていた自分達を攻めなじるのではないかと覚悟をしていたのに。

 

迎えの時刻と、アーサーとその奥方と、ハリエットの同級生の息子を連れて、案内にルシウス・マルフォイも一緒だと書かれていた。

 

返書先の住所に、許可を出す内容の手紙を送り、そん返書が届いてはまた返すという、一種の文通めいたやり取りをした。

 

お陰で迎えに来るものの人となりもしれてよかったと、両家の夫妻は互いにホッとした。

何せお互い、マグルの夫妻、魔法界の夫妻は初対面だから。

 

バーノン達は、ダドリーにある事を約束をさせた。決してハリエットを虐めない事、その方がいいのだという理由も包み隠さずに。

自分達の間違いを息子にきちんと話したのだ。

 

「・・分かった・・無視する。」

 

ダドリーの返事だが、今はそれだけでいいと思った。いじめないことが肝要だと。

 

 

 

そして迎えが来た。

 

 

「おはようハリエット、お邪魔をします。」

扉を開ければロンがいた!

「おはよう!!ルシウスさんも・・えっと・・初めまして・・」

 

ロンの後ろにはルシウスさんと、知らないおじさん達発見。

 

「ああ、初めましてハリエット・ポッター。私はアーサー・ウィーズリー、こっちは妻のモリ―だ。よろしく。」

「初めましてね、ようやく会えた。クッキーをありがとう。素敵なメッセージもね。」

「おはようハリエット、お久しぶりですバーノンさん、ペニチュアさん。」

 

 

一通りの話を居間で大人達がしている時、子供は子供同士で「おれはロナルド・ウィーズリー、家族や親しい奴はロンて呼ぶ。」

「・・俺はダドリー・・お前達って箒に乗ってくると思った。」

「それマ・・人前でやったらアウトだ、色々と法律があって、魔法を使わない奴の前ではめったに使わないんだよ。それよりもお前ラグビーかボクシングやれば?ウェイトがあって向いていると思う。非力な女子をどうこうするよりもはるかに有意義だ。」

 

階段に座って話し込んでいる。ダドリーの部屋ではなく。

 

「・・お前は何にも言わないのか?」自分達がハリエットにした事を。

「それを言っていいのはハリエット本人だけだと俺は思ってる、どうなんだハリエット。」

「・・・・正直もうどうでもいい、俺今幸せだし・・俺を引き取らなきゃならなかった時の経緯聞いたら、腹黒狸ぶっ殺したくなったけど。」

「・・腹黒狸?」

「・・俺をこの家に預けるって言った奴・・金もなんも払わねえ、音沙汰もねえ、感謝の言葉もねえなんて最低な事をした奴だ。」

「・・・それでもさ・・」

「いいんだよ、本当のところ、お前達の事がどうでもいいから何の怒りも湧かねえんだからさ。」

 

詫びようとするダドリーのに、ハリエットは本心を語る。

 

興味のない者に関わりたくないと。

 

「・・・分かった・・父さん達の話し合いが終わったみたいだぞ。」

「おう、じゃあなダドリー。」

 

「・・ハリエットを・・」

「頼みます・・」

「・・じゃあな・・」

 

一家は揃ってハリエットたちを見送り、まともな見送りをするダーズリー家を見て、ルシウスとウィーズリー夫妻は、あの一家がなぜハリエットをあそこまで惨く扱ったのか分からずに疑問だらけになった。

 

そんな大人達を尻目に、迎えに来た車に早々に乗り込むと「明日からどこ行こう。」

「最初はドラコの家か。」

「ハーマイオニーとは何時?」

「シェーンと、トーマスの日程が・・」

 

出掛けて遊びに行く話に夢中になる。

 

ハリエットは本当に楽しみにしていた、出掛ける事を、ロン達と夏休みを過ごせることを。

 

 

さあお出掛けだ!!

 

 

 

 



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綺麗な奴と会ったんだ!!そいつは・・

夏季休暇での出来事は駆け足です。
三年生編でゆっくりと書きますのでご容赦を。


なんてこった!!俺の、人生初のマイ天使が・・どうしてこうなった!!

 

俺はあまりの絶望に膝をつき大泣きをしたくなった。何故・・どうして・・

 

「ロン!最早どうしようもない事だ!!」

「そうとも、しかしそれでも俺達はジニーを愛し続けることには変わりはない!!」

「・・ジョージ・・・フレッド・・俺はどうすれば・・」

「お前らしくないぞロン!君は言ったじゃないか、どんな事があっても家族と愛する者達を愛し抜くと!!」

「パーシー・・それでも俺は・・」

 

ロンは兄達の言葉でも顔が上げられなかった。その顔は悲しみが濃く、打ちひしがれていった。

 

ああ・・なんで・・どうしてと、魂を引き裂かれたが如くに呻きながらとうとう叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     

    「なんでジニーがスリザリンの子になったんだよ―――!!!!!!」

 

「五月蠅いですよ、ウィーズリーの男子全員!!見なさい、妹さんも呆れていますよ!!」流石にマクゴナガルが厳重注意をした。

 

「・・お兄ちゃん達・・今の姿私好きじゃない・・」

 

ガ―――ン!!・・妹が・・愛天使が~!!

 

「だってジニー!!お前がスリザリンに行くって想定外なんだぞ!!」

「でもお兄ちゃん、ドラコもハリエットもスリザリンで、セブルス先生も・・」

 

大広間の組み分け最中で、ホグワーツの在校生と及び教職員全員が、今のロンに疑問を覚えた。

彼はスリザリンや他寮を差別しなのをよく知っている。

ではなぜこうなったのか。

 

「だって・・」

「・・うん・・」

 

「・・・・お前の髪を俺が毎日結ってやろうと思っていたんだあ!!!!!」

 

 

「「「・・・・はい~⁉」」」

 

「毎日毎朝違う髪を結ってやれるように雑誌で勉強して、毛糸で練習もしたんだぞ!!

それなのに出来ないなんて・・兄ちゃん悲しい・・」

 

 

・・・そんなしょうもない理由でこの世の終わりの様な有様をしたのか、ロナルド・ウィーズリーは!!!!

 

 

「あっはっはっは!!!もうだめ・・ひっひっひ・・腹痛え・・」

「笑い過ぎだぞハリエット!!」

「いやだってロン・・見ろよ、ジニーが真っ赤になっちまって。」

 

如何にブラコンのジニーでも、大広間の組み分け真っ最中に兄からあんな事を言われたら、お恥ずかしいお年頃である。

 

 

それでも「ありがとうお兄ちゃん、大好きだよ。」兄大好きはぶれない所がジニーらしい。

 

ウィーズリー家は総じてグリフィンドールが多いが、ジニーは帽子にお願い事をした。

 

「ハリエットを近くで守ってあげたいの。お願い帽子さん、私をスリザリンに入れて?」

 

ジニーの可愛さと健気さに帽子は叫んだ「ジネブラル・ウィーズリー、スリザリーンー!!」

 

 

そして大広間の騒動は起こった。

 

ジニーはハリエットが好きだ。生き残った女の子としてではなく、ちょっと口が悪くとも寂しがり屋で、ひょっとしたら自分よりも幼い感じのする女の子として。

 

夏休みの次の日にハリエットが家にやってきた。兄達の手紙よりも健康そうで、笑った顔が可愛かったが、身長は自分と同じくらいでとにかく細すぎる子だった。

 

兄達とハリエットであちこちに行った。子供の家を大層気に入り、小さい子たちに交じって遊んで楽しそうだった。

 

シリウス小父さんとも仲が良く、マルフォイ邸に行ったときは「金持ち・・」って呆気に取られて、探検ごっこをした。

 

でも知っている、夜中に時折うなされて目を覚ますことを。

兄の名を呼んで震えている様は見ていて痛々しかった。

 

「大丈夫、大丈夫だよ。」

同じ部屋で寝ていた自分が、ハリエットを抱きしめて守った。悪い夢から、嫌な記憶から。

 

ハリエットを守りたい、その為に寮も一緒がいい。そう考えて望んだことだ。

 

 

 

「うう~・・ジニーをよろしくな皆~。」

 

「心配するなロン、ジニーは僕等にとっても妹のような子だ。」

「・・気が向いたら守ってやる。」

「ほら、ご飯食べろ。」

「デザートだ。」

「よろしくなジニー!歓迎するぜ!!」

 

 

チックショー!!帽子の奴めえ!!!!!!

 

 

「ほらロン、ここでお別れ・・」

「別れとかいうなハーマイオニー!愛してるぞジニー!!」

 

寮に行くだけでこの有様・・大丈夫かこいつはと、在学生一同が不安な目をロンに向けたのだった。

 

 

 

 

 

 

ああ~・・マイ天使の妹が・・翌朝二人っきりで理由を聞いたら応援するしかなくなる。

ちなみにパーシーが早速父さん達に組み分け結果を伝えても、お叱りは届かなかった。

 

 

マルフォイ一家が闇陣営で無くなったのと、うちの父さんとルシウスさんの仲がいいので-ドビー騒動-ルートはなんもなし。

 

クィレル先生いるから-ギルデロイ・ロックハート-もなし。

 

先生が残った事で、闇の防衛魔術の呪いはデマかと噂になったけど、掛けた本人が付いてるから大丈夫とは言えないか。

 

まあ、あんな馬鹿男に付き合わずに、馬鹿みたいな本を高額で買わずに済んでよかったけど。

 

 

つらつら考えながら、俺は今禁じられた森の境界線ギリギリで人?待ちをしている。

 

一年生の頃から通って、-一人-しかお誘いにのってくれないけど・・来た。

 

「やあ、ウィーズリー家の子よ。今年もよろしく。」

「お久しぶりです、フィレンツェ。元気そうだけど・・」

「・・我等ケンタウロスに何の用だ。」

 

やっと来てくれた。

「初めまして、森の賢者殿。俺はロナルド・ウィーズリー。家族と親しい者達にはロンって呼ばれている。」

 

 

「ほう、我等に対しての礼儀はなっているか・・珍しい-仔馬-だ。

私はロナンだ。再び問うぞ、ロナルド・ウィーズリー、我等に何用だ。」

 

一年前からこの赤毛の少年は自分達に会いたいと呼びかけてきた。

 

人との距離が近過ぎるフィレンツェはすぐに反応をしたので、少年の用向きを聞いてみることにした。

本来ならば人間なぞどうでもいいのだが、「禁じられた森の守護者である、ケンタウロス達にご挨拶をしたく!!」

口上が気に入ったのだ。その通り、我等はこの森の秩序を守っている自負がある。

フィレンツェに用向きを聞かせたが「他のケンタウロスも来てくれた時に言わせてもらう。」

 

以来足繁く通ってきた。決して森の境界線を越えることなく。

 

「用向きは一つ、俺にこの森に入る許可をしてほしい。」

「・・入りたければ好きにすればよかろう。人は今まで勝手に入ってきたぞ。」

 

それこそ自分達と多少仲がいいハグリッドとても。

 

「言ったろう、俺は森の守護者の許可をきちんと取っておきたいんだ。」

「・・・本当に変わった子だお前は・・」

「よく言われる。」

「・・好きにせよ、我等は森の守護者なれど、番人ではない。森を行くも行かぬもその者の自由。

例え-どのような目-にあおうともだ。」

「分かってる、そこは自己責任だよな・・なあ、一つだけ頼みがある。これを聞いてくれたら、あんたたちの頼みも何でも聞く。」

「ほう、我等が人間に何を頼むと?」

「・・一角獣やユニコーンの密猟者が押し寄せて来た時とか?」

「・・本気か?」

「本気だ。」

 

この子供は面白そうだ、我等に対しての礼儀はある。聞くだけ聞いてみよう。

 

「何を我等に頼みたい」

 

何かを他者に預けるようには見えない。我等の背に乗りたいなぞという愚かな事を言う子にも。

 

「ホグワーツ全体の危機が、万が一森から襲い掛かろうとしてきた時は知らせてほしい。

人族の事だからと放っておかないで欲しい。一度でいいから。」

 

「・・・この城には人族の強力な結界が施されているが?」

「分かってる、でも・・もしヴォルデモートが復活をしたら持つとは思えない。抜け道も圧倒的に森からのが多いのも、兄達から聞いている。俺はハリエット・ポッターを守りたい。家族も、大切な人達も。」

「そうか・・かのポッター家の子の為に。お前は闇の帝王が滅んだとは思っていないのか?」

「・・遺体は出て来ていない。」

「ふむ、それは道理でそして違うともいえる。亡骸が残らない呪文ならばいくらでもあるだろう。」

「それでも、俺は万が一を考えてる。例えそんな事は起きない杞憂であっても、俺は万全の守りを敷いておきたいんだ。」

 

 

この子供はどうやら本気のようだ。天の運行も、かの闇の帝王の死を指し示してはいなかった。

あの予言の子の誕生の日の星々は、帝王の衰退を告げこそすれ滅びてはいないと。

 

人族には決して明かさない事だが、この子供は何かを感じているようだ。

 

「分かった、一度だけだ。」

「ありがとう、ロナン、フィレンツェも森であったらよろしくな。」

「ああ、待っているぞロン。もう日が暮れる、早くお帰り。」

「じゃあまた!!」

 

赤毛の少年は仔馬の如く疾走をして立ち去った。

 

「・・ロナン・・先程の・・」

「案ずるなフィレンツェ、約束は守る。あの子供が守る限りは。」

「・・我等があの子供に望むことなぞ・・それにベインは・・」

「私が説得をしよう。」

 

フィレンツェの心配は分かる。ベインはケンタウロスの掟を絶対視する傾向にあり、頑なすぎるところがある。

 

我等はハリエット・ポッターには恩義がある。かの帝王のせいで、魔法生物がどれほど殺されたか・・あのような事は二度とは起きてほしくはない。その為にも・・

 

フィレンツェとロランは音もなく、森へと帰っていった。

 

 

 

 

いや~話の分かるケンタウロス達で良かった。

 

「あれロン、何かいい事があったのか?」

「うん?まあちょっと、それよりも今年のクィディッチの選抜受けるのかハリエット。」

「も・・」

「もちろんだともロナルド・ウィーズリー!!彼女は我がスリザリンの星だ!!!期待の新人シーカーだ!!!」

「・・・・選抜試験はまだだよな・・」

「五月蠅いぞオリバー・ウッド!今年も我がスリザリンが優勝だ!!今年は自身の力で優勝杯を手にしろ、ハリエット!!」

「もちろんだキャプテン!!俺はやるぞー!!!」

 

 

・・元気なのはいい事だ・・

 

「今年は我がグリフィンドールの勝ちは決定だぞ、マーカス・フリント!!!」

「・・ほう、あのシーカーは確か親の仕事の都合でイタリアの魔法学校に行ったはずだが?」

「はん!!それがどうした!我等に秘策あり、頼んだぞロナルド・ウィーズリー!!!」

 

ブゥウー!!がっはっ・・がっは・・今・・なんつうた?

 

「しっかりお兄ちゃん!!」

「・・サ・・ンキュウ・・ジニー・・・・人様巻き込むなオリバー・ウッド!!!!!」

「何を言う!!お前の兄達は、現クィディッチの・・」

「兄達は兄達!俺はするといった覚えは一度もねえ!!」

-ガタン-「・・そんな・・Mr.ウィーズリー・・」

 

って・・なんでそこでマクゴナガル先生がショック受けた顔してんだよ!このクィディッチ狂副校長が!!

 

「ほっほっほ、何事もチャレンジじゃの~。Mr.ウィーズリー。」

 

・・この腹黒狸め!対岸の火事見物しやがって!!適当言って楽しむんじゃあねえ!!!

 

 

            「俺はやらねえぞ!!!!」

 

 

 

あーあもう!!あの後大広間の全員から説得をされかけて、敵前逃亡しちまった。

皆して人をおもちゃにしやがって!折角の嬉しい気持ちが台無しだ。

 

でもいいか、ケンタウロスの約束は取り付けられた。この学校って本当に抜け道多すぎ。

全部はカバーリングできなくても、せめて一部・・でも・・駄目だ眠い・・寝よう。

 

 

 

 

 

 

「ふんふふっふん~」

「お兄ちゃん楽しそう。」

「ああ、大広間で結うなんてちょっとはしたないけど、お前の髪を結えて嬉しい。」

「私もお兄ちゃんに結ってもらえて嬉しい。」

 

 

このシスコン・ブラコン兄妹に何を言っても無駄なんだろうな~というのが、一夜にしてホグワーツの常識の一つに加わったので、はしたないとは誰も口に出して指摘しない。

あの厳格なマクゴナガルも、兄妹愛の美しさに目をつむることにした。

 

これぞロナルド・ウィーズリーマジックである。他の同級生も兄達も邪魔をしない。

・・したら怖い事になりそうだから。ロンは基本的に優しいが、怖い時はとことん怖いのもよーっく知っているから。

 

 

そのロンもひっくり返る出来事がこれから起きるのだが・・

 

 

 

 

 

 

 

「そうか!!そうなんだ!待っててくれ!-お前の事-みんなに教えてくる。」

「・・しかしハリエット・・」

「大丈夫だ!!さっき言ったロンや他の奴等ならお前のこと分かってくれる!!」

「分かった・・我はここで-目をつむって-待とう。」

「なるたけ早くに戻ってくる!!」

 

 

 

ハリエットは暗い地下の一角から飛び出し、大広間へと急いだ。

 

 

どこ・・「いたー!!ロン!みんな!!!!」

 

「・・おはようハリエット・・どうした息せき切って。まだ早い時間だぞ?」

「おはようハリエット、寮にいないからみんな心配してたよ?」

「悪いジニー、朝-呼ばれて-そいつの所に行ったんだ。アミルとダフネに謝んねえとか。ドラコ達にも・・それよりロン!!俺が-誰-にあったと思う?すんげえ綺麗な奴に会ったんだ!ヒヤリとしたすべすべの肌の持ち主でさ。」

「・・・新入生か?呼ばれてもホイホイと行くなって、確か教えたよな。」

「うっ・・でもいい奴だった!ずっと一人で居て寂しいって!!・・お前なら分かってくれるだろう、ロン?」

 

・・ハリエットの奴、潤る目攻撃ってずるくねえ?可愛くて全部許しちゃる、たとえ世間様が許さなくとも俺は許してやる!!

 

「分かった、それでそいつは誰なんだ?」

 

「分かってくれてありがとうロン!!」

「わっと!!危ないだろう、いきなり抱き着いて・・」

「へへ、でも嬉しいんだ。」

「はあ~、それで、お前を呼んだ奴は誰だ。俺も会っておきたい。」

やばい奴なら速攻で消す「そいつは-蛇-なんだよロン」・・かって今何て?

 

「えっとハリエット、今誰って・・」

 

「蛇なんだよ、でっかくてとっても綺麗で・・」

 

・・・ちょっと待て・・でかい蛇って・・

 

「そいつが名前教えてくれた。」

 

まさかとは思うけど・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          

 

 

 

 

            「バジリスクって言ってた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・ガシャーン!!ドッシャーン!!!ドンガラガッシヤアーン!!!!!

 

 

大広間はハリエットの言った者の名を聞いて一瞬静寂をし、その後瞬く間に物が落ちる音が響いたのちに、また静寂をした。

 

 

「・・皆どうしたんだ?」

 

ハリエットの不思議そうな声が焼けに響くほど。

 

 

 

・・なんでバジリスクの名前がここで出るんだ―――!!!!!!!

やばい奴どころかラスボスじゃんかよ!!!!




以上ロンの叫びでいったん終わりです。


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秘密の部屋の秘密って

無駄に壮大で変な話です。
結界の作用はオリジナルです。


魔法界の最速の配達便は何か。梟よりも両面鏡がいいと言われても、あれは高価なアイテムなので隼や鷹が上がった。

 

しかし長距離を正確に届けるのはやはり梟しかなかった。

 

だが魔法界最速の鳥類魔法生物が、魔法省の闇払い室に飛び込んできた・・それも窓ガラスをぶち破って。

 

 

「何だ一体!どこの手先だ!!」

「闇払い局に喧嘩売るとはいいど・・って!これ不死鳥じゃねえかよ!!」

「・・腹黒校長様のフォークスさんかよ・・足に手紙筒ついてんぞ。」

 

 

魔法省とホグワーツは基本仲が悪い。何故ならホグワーツで事件が起ころうとも、自由自治権を盾に取られて介入が出来ない

 

かてて加えて現校長様と現魔法省大臣との仲が超が付くほど仲が悪い。

表立っては何もないが、会う度に絶対零度の空気でもろバレだ。リーター・スキーターにすっぱ抜かれてからは魔法界全体の常識である。

 

闇払い局も基本あのじいさまが苦手である、嫌いではなく。

何を言うにも勿体ぶった言い方が特にだ。

 

そのじいさまが手紙、それも不死鳥のフォークスがもってきた。

いったい何かと、キングズリー・シャックルボルトが開いて・・・目が点になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     

 

      

 

 

 

 

       ホグワーツにバジリスクが出たのじゃが、どうしたもんかの~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ・・・あのじじい!!とうとう耄碌したか!!!どうしたもんかじゃねえだろうが!!!」

 

普段は温和でマグル生まれだろうが純血だろうが、はてはマグルにも公平で優しいで有名な彼が怒鳴って同僚一同ビビこいた。

 

「・・あの~・・キングズリー?」

「ホグワーツにバジリスクが現れた!!」

 

 

「・・・・」

 

                はいい――――⁉!!!!!!

 

 

なんじゃそりゃ!!あれは危険指定生物の中でもXXXXXものの超が付く危険生物だぞ!!

なんで未成年の学び舎のホグワーツに現れた⁉

ホグワーツご自慢の鉄壁の守りはどうした!!

 

 

「五月蠅いぞお前達!!この際そんなことはどうでもいい!!!!至急闇払い局の全職員をかき集めろ!!!非番も呼んで来い!!!!」

 

闇払い局フロアーの大パニックを、キングズリーは怒声でとめて、テキパキと指示を出す。事態は一刻を争うのだから。

 

 

 

 

 

   「その通りだお前達!!!とっととバジリスクぶっ殺しに行くぞ!!!!」

 

 

 

 

 

「・・何であんたが指示だしするんだ!シリウス・ブラック!!!!」

 

なんで魔法界の暴君・・もとい王様が魔法省の闇払い局に居て、口出ししてくる!!!

 

 

「うるせぇ!グダスカ抜かすな!!!あそこには俺の天使達がいんだよ!!!速攻ぶっ殺す!」

「・・シリウス、かの生物は余程の事がないと保護対象です。殺されては困ります、せいぜい目を潰して牙をもぎ取り無力化して飼い殺しにするのが最善かと。」

 

・・シリウスに続いて、現魔法界のナンバー2まで一緒だった。

 

シリウス・ブラックが炎の王ならルシウス・マルフォイは氷の帝王と称されている。

 

・・どちらかというと怒鳴るシリウスよりも、淡々と凄い事を言うルシウスの方が怖ろしかった・・・そうだった、今期のホグワーツにはこの二人の名付け子と愛息子様が揃ってお通いあそばしてた・・

 

 

 

シリウスとルシウスは-とある用事で-魔法局にやってきた。

 

例によって例の如く赤毛の少年よりの神託である。

 

 

「魔法を発露したら、その時点で両親がマグルでも魔法使いの子がいるってわかるんだろ?

分かった時点でホグワーツに入学するまでほったらかさないで、役人が説明をしに行った方がいいんじゃね?」

 

 

 

世の中ハーマイオニーやディーン達の親の様に、魔法を受け入れる者達だけではない。

化け物と虐待をする者もいるはずだ。それを防止するために、保護目的で説明をするべき部署が何故ないのかと、夏季休暇中のロンが、ルシウスに話したのだ。

 

説明で納得をせず虐待を止めない者もいるだろうが、それはそれでその子供保護をするべきではないのかと。

 

 

「・・・そしたらあいつはあそこまでになんなかったと思う。」

 

ロンがぽつりと言ったあいつとは、ハリエットの事だとすぐに分かった。

 

確かにその通りだ。息子のドラコから毎日楽しい話と同じくらいに、ハリエットの事も必ず書かれていた。

 

魔法界の英雄の末路を・・読んでいて胸が潰れる思いがした、息子がこんな目にあったら自分は耐えられまい・・たとえ死した身としても。

 

かくして友を思う子供の思いと、親としての思いが合致をして化学反応が起き、あれよあれよと未就学児保護法案の草案が作られた。

 

ポッター夫妻が命懸けで守った女の子の事を思い、二度と悲劇が起きない為にと、シリウスと駆けずり回り、賛同署名をかき集めた。

 

話を聞いた者達はほとんど賛同をしてくれた。まあ、死喰い人の家は避けたので、結果的には満場一致で。

 

その話をしに魔法省に来たらとんでもない話が二人の耳に飛び込んできた!!

 

 

 

 

「行くぞ野郎ども!!!狸爺はともかく!!俺の天使達助けに!!!!」

 

最早シリウスはダンブルドアを尊敬してはいない、寧ろ警戒をしている。

二度とハリエットの人生を振り回させないために。

 

闇払いが20人集まってからホグズミードに姿現しをした。

 

本当はさっさとルシウスと二人で行きたかったが、「今あなたに何かあられては困ります。」

 

ルシウスの冷静突っ込みで待ったがかかった。

 

魔法界の幼稚園づくり、これからの魔法族未就学児の保護法案を通すにはブラック家の威光が欠かせない。

 

よりよい未来の為の事でも、大人の事情が絡めば色々とあるのだ。

 

 

 

 

 

 

-バチン!!-ホグズミードに姿現しをした先には、屋敷しもべが十数人いた。

 

「・・これはシリウス様!ルシウス様も!!・・後ろの方々は魔法省の・・」

「そうだリジー!!ホグワーツは・・ハリエット達はどうしてる!!無事か⁉」

「何故ホグワーツの屋敷しもべがホグズミードにいる?」

 

先頭の屋敷しもべはシリウス達がいる事に、シリウス達は顔見知りの屋敷しもべがいる事に驚いた。

 

「落ち着いてください御二方、私共がいるのは僭越ながらホグワーツまで姿現しのエスコートをさせていただきます。」

 

「・・・・出来んの?」

「私共の魔法は結界に作用されません。」

「では早速!」

「落ち着いてくださいルシウス様、ロナルド・ウィーズリー様の・・」

「リジー!!!」

 

リジーの言葉を、年嵩の屋敷しもべが止めに入った。

 

「お初にお目にかかりますシリウス・ブラック様、ルシウス・マルフォイ様、私はカルーナと申します。

セブルス・スネイプ様よりのご伝言です。現段階ではバジリスクは脅威ではない、穏やかにハリエット・ポッター様がお話を伺っているとの事です。

我々はホグズミードに姿現しをする魔法省の方達をエスコート事と、このご伝言を託されてきたのです。

バジリスクをいきなり攻撃されない様にと。」

 

「ちょっと待ちたまえ!!バジリスクと・・ハリエット・ポッターが話しているといったか⁉」

「申しました。かの方はパーセルタングのようで、ダンブルドア校達の立会いの下、穏やかにお話が進んでいるようです。」

「・・・あの生き残った・・」

「狸爺はどうでもいい!!その場にはロンが居るのか?」

 

 

キングズリーと他の闇払いの驚きを蹴っ飛ばし、今自分が一番信頼を寄せている者の名をシリウスは確認をした。

ロンがいれば何でも大丈夫だと。

 

 

・・この御方は・・せっかく自分がロナルド・ウィーズリーを魔法省から隠そうとしたのに、ぶち壊しやがった!!!

 

「どうせお前達を寄越しやっがたのロンだろう。」魔法族の考えそうにない事は全部あいつだ。

 

しかも折角セブルス・スネイプで言ったのに!!!

リジーが馬鹿正直にロナルド・ウィーズリーの名前を出したから自分が止めたのに!

 

後ろの魔法省の木っ端役人どもがこそこそロナルド・ウィーズリー様の名を口にしている!・・あの方を面倒ごとから遠ざけたかったのに・・・。

 

「・・・・おられます、ご安心を。」

 

屋敷しもべがの悲しい性、ホグワーツに重要な者に聞かれたことを偽れない。

 

「ならば結構、行きましょうシリウス。エスコートを」

「かしこまりましたルシウス様。」

「・・・後でシリウスには私から言っておく、そなたの心配りを台無しにして申し訳ない。」

「・・このようなしもべに、勿体なきお言葉を。そのお言葉のみで十分です。」

 

 

シリウスとルシウスは普通に、魔法省の者達は様々な疑問を持ってホグワーツへと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分は孤独だった、静かで何もない部屋で自分は-約束-を守り続けるために。

 

ホグワーツにいつ現れるとも分からない敵から、この城を守るために。

 

だが、時折自分も外に出た。パーセルダンクが来ると気配で分かる、その気配をたどって配管を通って。

 

しかし千年は自分にとっても長すぎた、話だけではなく触れあいたくなった。

 

「それが俺か・・・お前・・・・寂しかったな、もう大丈夫だ!!なっ!ロン、セブ先生!!」

 

 

ホグワーツの地下ではバジリスクとハリエット達がお話をしていた。

その話にハリエットは共感を覚え、ロンはどうすっかな~と頭を悩まされている。

 

大広間でハリエットがどうやってバジリスクに呼ばれ、どうして無事だったのかを聞いたので、

校長と副校長と、攻撃・防御呪文が得意な教師を揃えて「ロンがいかないなら案内しねえ!!」のハリエットの一言でロンも巻き込まれてお話となった。

当然ながら本日は休暇である。

 

 

 

-バチン!!-「ハリエット!!ロン!!!無事か⁉」

 

「・・これがバジリスク・・」

「ダンブルドア校長、あの文章はどうかと・・」

「でっか!!!」

 

シリウスとルシウスさんが何でいんだよ~・・

 

むっ!!「今俺の事余計ものみたいに考えただろうロン!」

「いや、何でいんのかと思った。」

「俺の天使達のピンチに駆けつけるのは当然だろう。」

「あのさシリウス、バジがうるさいって・・」

「無事かハリエット。バジって?」

「バジリスクじゃ長いし可愛くない。俺はバジって呼ぶことにした。」

 

ハリエット、ネーミングセンスが残念な子だった。

 

「ちょっといいかね、お嬢さん。私の名はキングズリー・シャックルボルト、魔法省の闇払い局の者だ。

君がハリエット・ポッターでいいのかな?」

「ああ、俺がハリエットだ。」

「君は蛇語を・・」

「さっき知った、蛇語を話す奴がパーセルタングだってのも。おかげでこんなきれいな奴と会えた。」

「綺麗とは、このバジリスクの事かね?」

「そうだよ!!何が言いてえんだよおっさん!!!」

「いや・・バジリスクは危険・・」

「こいつは違う!危険だってんなら俺達とっくにくたばってる!こいつは危害加えないようにってずっと目をつぶっていてくれてる、優しい奴なんだよ。本当だからな!」

 

ハリエットは切々とバジリスクの心情を語ったが、今回はシリウス達も頷けなかった。

バジリスクの危険度と、どう見てもそんじょそこらのバジリスクとは桁が違う大きさを見て、早々に安全ですとは言えないからだ。

 

「・・とにかく、一度小さくして魔法省で預からせていただく。よろしいでしょうかダンブルドア?」

「生徒の安全第一じゃて、バジリスクも良いか聞いてくれるかの、ハリエットや。」

 

「・・・・・仕方ないって・・・こいつ人の言葉も分かるからすぐに返事くれた。」

シュウシュウとしか聞こえない言葉でも、ハリエットには分かる。

 

「でも、効かないかもしれないから驚かないで欲しいってさ。」

 

 

 

ハリエット・ポッターは何を言っているのだと、キングズリーは縮む呪文をバジリスクに掛けたが・・効かなかった。

「・・馬鹿な・・数人で!!」

 

5人でやっても無駄だった。

 

『無駄ぞ、そのようにサラが仕組んだと、サラ自身が言っていた。』

「・・サラって誰だ?」

『サラザール・スリザリンだ。我がこの学校に仇なさぬ限り、我には回復以外の呪文は一切聞かぬようにしたらしい。」

 

「・・ちょおっと待て?サラザールって!ホグワーツの!!」

『その通りだ、我はサラザールとゴドリック、ロウエナ、ヘルガによってこの地に連れてこられた。

もしもこのような事態になった時の為にと、サラザールから預かりものがある。』

 

バジリスクは胃から筒を出した。筒はバジリスクの胃液でも溶けないから、保管場所はそこにしろと言われた。

 

出された筒は確かに溶けていないが、胃液が付いてる。一旦軽く凍らせて胃液を取り払い、出てきたのは歳経た羊皮紙。内容は・・

 

 

 

 

 

これを読む者達へ。これを読んでいるという事は、我等が死して随分経っているはずだ。そして近くには蛇語を話す者もいるはずだ。

このバジリスクはホグワーツの守護者として我、サラザール・スリザリンが置きし者である事を、我が名に誓おう。

一概にバジリスクだからと討伐なり捕獲などをしようとしても無駄だ、バジリスクがこのホグワーツを意図的に傷つけようとしない限り、呪文の能力が発揮しないように結界に組み込んである。

また分からず屋の校長がバジリスクの守り結界を組み替えようとした場合、ホグワーツの城が崩壊するように細工をしてある。

これはゴドリック、ヘルガ、ロウエナは知らず、我一人でなした事。

バジリスクがホグワーツに牙をむいた時は結界は作用されない。安心するがいい。

そのバジリスクは気のいい奴だ、時が経ち、部屋の鍵が緩んで表に出てしまった時は友人としてホグワーツに置いてやって欲しい。

 

追記  私が蛇好きだからバジリスクを置いたわけでは決してない!!

ゴドリックの奴は変態的に蛇好きだと私の事を言っていたが!断じて私心ではない!!!

後のホグワーツの事を思っているから誤解をするなよ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・これってどう見ても読んでもサラザール・スリザリンのもろ趣味じゃねえかよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サラザール・スリザリンっていい奴だな~」

「そうだなロン!俺も好きになった。」

 

 

お子様二人は暢気ぶっこいても、大人達はサラザールの手紙を読んで一層頭を抱える羽目になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サラザール!!きっさまー!!!!」

「落ち着いてください、ゴドリック。」

「落ち着けるかヘルガ!!この蛇馬鹿が!!!!何とんでもない細工を結界と城に施しやがった!!」

「ふん!!貴様こそ組み分け帽子に-真のグリフィンドール生なら抜ける剣がある-とか恥ずかしい細工をしただろう!」

「うるせぇ!!それとこれとでは規模が違う!!!殴らせろロウエナ!!!」

 

 

結界は現職校長が自身の魔力で維持をするが、守りの中身までは知らされていなかったのをいい事に、サラザールは好き勝手したのだ。

 

ゴーストであっても喧嘩をする二人は仲がいいのか悪いのか。

 

全ては愛すべきホグワーツと・・バジリスクを守るために。

 

蛇馬鹿なスリザリンは他にもいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行かせろクィレル!!バジちゃんに会いに行くのだ!!!」

「なりませんご主人様!あそこには校長が・・しかも闇払いが多数いるのです!!!」

「それでも俺様は会いたいのだ!!バジちゃんの元へ!!!!!」

「バジリスクもいずれは部屋に戻りましょう、その時に会いに行きましょうご主人様。」

「・・分かった、ゆっくりと再会を楽しめるようにしよう。」

 

なんとヴォルデモートもサラザールと同じくらい蛇馬鹿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・この情報は知りたくなかった~」

「チュウ(俺も・・)」

「・・後で甘いもん沢山食えよ、スキャバーズ。」

「チュチュ(ありがたく)」

 

この騒ぎにヴォル付きクィレルが暗躍しないようにスキャバーズを行かせてみれば、とんでもヴォルデモートを見てロンもスキャバーズも疲れた。

 

なんだか見れば見るほどヴォルデモートって闇の帝王らしくなくなっていくと、がっくりとする。

 

 

もしかして秘密の部屋の秘密って、サラザールのもろ趣味を隠すための部屋ではないかと考えてしまったロンであった。

 

 

 

 

 



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忍び寄る悪意

次作のプロローグです


          -ホグワーツにてバジリスク発見-

 

 

翌日の日刊予言紙は全面その事で賑わせた。

 

下手に世間に隠しても、子供達の梟便で親にばれて理事会やら世間から非難されるよりも、自分が情報を発信して情報操作をした方がいいという、なんとも腹黒狸のダンブルドアが速攻で日刊予言に暴露された。

 

 

ダンブルドアと魔法省の迅速なる対応により、怪我人は一人もおらず!

 

何と魔法省にシリウス・ブラックとルシウス・マルフォイ両名が居合わせており、バジリスク事件を迅速に終わらせる対応に力添えをした

 

-ホグワーツ関係者-にパーセルダンクがおり、バジリスクの鎮圧に寄与をした

 

今後は魔法省とホグワーツの教職員達で、バジリスクをホグワーツにて管理することが決定をした。

 

 

「何かありそうなときには処分をします。それが大前提です。」

 

 

コメント欄にはファッジが公式発表を述べている。

 

 

 

 

「へえ~、魔法使いの新聞って面白いのな。写真が動いてる。」

「・・それよりもハリエット、食事中はバジを連れてくるな。」

「いいだろロン、こいつ寂しがり屋だし、-縮めて-連れてきたんだからさ。

 

バジリスク自身が呪文に掛かることを望めば、結界は作用されずに聞くというので、一緒にいたいというハリエットの望みを聞いたセブルスが呪文を施し、1メートルの大きさにした。

 

これで何処でも一緒である。

 

 

 

 

「・・・・おのれ!!俺様もバジちゃんと戯れたい!!」

「ご主人様、今度ハリエットがお茶会に来た時私は蛇大好きという事で。」

「うむ!!頼んだぞクィレル!」

 

 

 

日刊予言にはハリエットがパーセルダンクなのも、魔法省をホグワーツに迅速にこれるようにした者の名は一切出なかった。

 

大広間でダンブルドアと魔法省のキングズリーが一件の経緯を話し、現時点の安全は保障されたと

太鼓判を押した。

本当はキングズリーは不安だらけだったが、子供達の心を安心させるために。

 

その際当然ハリエットがパーセルダンクだとも話された。

朝の時点でバジリスクと話をしたと自分で言っていたので、有耶無耶にせずにきちんと説明をし、サラザールの手紙も公表したことで、一応は生徒達の心は落ち着いた。

 

 

「皆に頼みたい事がある。」

 

大人二人の説明の後にロンがその場全員に頼みごとをした。

 

「パーセルダンクがハリエットだって事は皆の内緒にしてほしい。」

 

親や兄妹、親しい友人にもだと、頭を下げた。

 

理由も説明をされた。

 

生き残った女の子が活躍したと一時は世間はチヤホヤしても、すぐにやっかみで掌を返すものや、パーセルダンクが悪だ闇だと決めつける者、英雄視を増してハリエットを担ぎ出して何かをもくろむものが出てくる可能性がある事を。

 

「記者たちの餌食にも、馬鹿な世間の奴等からも守ってやりてえんだ。

皆だってそんな目にあいたかないだろう?」

 

ハリエットが骨の髄までしゃぶりつくそうなんて奴等はいくらでもいるのだからと。

 

 

 

 

ロンの説明が超具体的過ぎて、聞いた一同は想像がついてぞっとした!!

自分達がそんな目にもみくちゃにされたらと思うと嫌だ!!

 

 

「分かった!世間からハリエット守んぞ!!」

「安心してハリエット、貴女がどんな事が出来ても良い子だって知っているから。」

「バジちゃんのお世話は私達も手伝う!」

 

ハリエットとロン大好きな子達は素直に

 

「分かった!世間の奴等にハリエットを渡さんぞ!!こいつを虐めていいのは俺達だけだ!!」

「調子に乗ったハリエットをどうこうしていいのは私達だけよ!!」

 

・・・なんかとっても屈折をした思いで賛同する者達も続いた。

 

ホグワーツにはハリエット・ポッターを助けようというのが半数以上、残りはやっかみ妬みで虐めてやろうがいたりする。

 

初期の頃はロン達が徹底をしてハリエットを守っていたが、近頃は様子見でハリエットの対処法を見極めている。

過保護にはしないと。

 

子供達はロンを中心に、ハリエットを世間から守ることにした。

 

 

 

「成る程、彼が-ロナルド・ウィーズリー-ですか。」

「・・・・言っとくけどな!あいつを何かに利用しようとしたらブラック家とマルフォイ家を敵に回すと思えよ!!!」

「シリウス落ち着いて、だが彼の言った事は本当だ。この件に-子供達-の名が漏れないように細心の注意を払っていただこう。」

「・・了解した。」

「シリウス、私はあちこちを少し回ります。校長殿が各社に報道要請をすると思いますので、校長が言った事以外の内容を探りに来ないように-釘-を刺してきます。」

「具体的には?」

「やろうとした記者がいた時点で、その社の広告を全て引き上げると。」

「おっかね、マルフォイ家だけじゃなくブラック家も同様だと言っとけ。」

「かしこまりました、、では。」

 

 

 

かくして子供の約束と、大人の密約が合致して化学反応が起こり、ハリエットの達が表に出る事は無かった。

 

 

あのリーター・スキーターですら諦めた。現魔法界にて、ツ-トップの両家を敵に回そうなどという馬鹿はいないのである。

今回は記者魂・名声よりも、保身に回ったのだ。

 

 

 

 

 

 

バジリスク騒動から半月経ったが、ホグワーツはいつも通りに勉学に励んでいる。

 

親からの苦情も、世間からのバッシングも。

偉大なるダンブルドアと魔法省、ブラック家とマルフォイ家が大丈夫といえば大丈夫だと、

危機管理の薄い魔法界であった。

 

これでいいのかとロンは悩むが、ハリエットの嬉しそうな顔を見てまあいいかと思うことにした。

 

ダンブルドアも自分の評判が世間では鰻登りに上がりご満悦で、セブルスは研究対象が出来たと喜び、ハグリッドを筆頭にバジちゃん愛でようの会が発足をし、こっそりヴォル付きクィレルも入会をして平和だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このままでは二年目は平和に終わる。

 

それがかの邪神が許すだろうか?答えは否である。

 

確かにバジリスク騒動は面白かったが、すぐに落ち着いてしまった。

もっと大騒動が起きてほしい。

 

 

邪神は大きな干渉は出来ないが、少しの事は出来る。

 

例えば弱い人間の心を操るとか、今回は生物を-一匹-殺すことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バジリスク騒動から一月後、禁じられた森の一角に住んでいる-一匹の蜘蛛-が死んだ




今回はプロローグの為短めです。


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戦場・ホグワーツ 前編

長く、暗くシリアスなので前後編にさせていただきました。

そうでないと作者が持ちません・・・


「ロナンは一体何を考えている。」

「人間の仔馬と約束なぞ。」

「我等ケンタウロスの誇りは何処に行った。」

 

禁じられた森の奥深くにて、若きケンタウロス達はロナンの取り決めに不服を言いながら森を見回っている。

 

昨夜星が不自然に瞬き、異常な力の干渉が森に掛かったのをケンタウロス達は感じ取った。

その調査を、ベナンと他数名のケンタウロス達に命じられた。

 

(赤毛の少年との取り決めなぞ、この森のどこに危険が来るというのだ。)-がさ!!-

 

「・・・待て・・・何か来る!!!」-バササァ!!-キィー・ピィー!!!

 

 

物音に止まったベナン達の横を、大量の鳥や獣が一目散に通り抜けた。

中にはユニコーン・一角獣・少しだけ住んでいる小鬼すらもが、何かに急き立てられるように

逃げだしている!

 

「・・・一体何が・・・」

 

もしや!!ベナンはある事を思い立った。この森の奥には奴等のコロニーがある!!

数は数百と数え切れずに・・今までは-外-に出てこなかったものを!!

 

 

「至急森中のケンタウロス達に知らせろ!!・・・それと、ロナンに一番に知らせろ!」

 

他のケンタウロスが取り交わしたものであっても、約定は約定だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今朝はまったりだ。大広間で妹の髪を整え、仲の良い奴等と朝食を食べられて、今年はいい年になりそうだ。

バジリスクはホグワーツの人気マスコットキャラと化し、日記の行方が気になるところだがルシウスさんなら悪用しまい。

 

近頃起きた-穢れた血-なぞとハーマイオニーに言ったバカは、もれなく俺とドラコのコンボで粉砕してやった。

純血とは魔法族同士の親のみならず、マグル同士の両親から生まれた魔法族も指すことを。

 

これは魔法省の法律の大前提の部分にある事も全部だ。

 

ちなみに行き過ぎた純血主義と、本来の純血主義の意味も教えてトリプルコンボで撃破して、スリザリンは言うに及ばず、他の寮生たちも驚き論議の的化した。

 

「・・・こんなことも教えねえのか-学校-のくせに。」

 

半数以上が驚いていたのに俺の方がビックリで、思わずくそ爺に嫌味言ってやった。

その内マクゴナガル先生たち巻き込んで、専門の外部講師招いてもらって狭い世界をぶっ壊してほしい。

 

 

年に一度のホグワーツのお茶会も無事に終わった。去年のお茶会は年間行事に組み込まれ

て、今年は校長も出店してきた。

お菓子好きな事もあって、フワフワぱちぱちの綿あめキャンディーやクッキーの数々、ケーキも多数。

でもハリエットとネビルはテイクアウトしてクィレル先生のブースに行った。閑散としているが、二人ははまったりと紅茶を楽しんでいたな~。クィレル先生はまたかって戸惑っていて、腹黒狸は嫉妬丸出しの顔でクィレル先生睨んでて面白かった。

 

 

 

 

 

今外で、薬学草の郊外授業中。たまには青空の元勉学したいと要望を出して入れられた。

教授は本当に優しい、見回せば俺の天使達はみんな楽しそうだ。

セオはドラコにべったりしながら、ネビルはのんびりと、他の奴等もニコニコとして明るく笑っている。

 

晴れた日に天使達の笑顔これが幸せ・・「ロナルド・ウィーズリー!!!!」

 

・・・・なんだ⁉って・・「そこで止まれケンタウロス!!吾輩の生徒に何用だ!!」

 

ここは森の側で、いきなりロナンが現れた!・・しかも何か焦ってる・・

 

 

人の長の一人か・・ええい!面倒な!!

 

ロナンはロンの考えた通り焦っている!!一刻も早く-敵の襲来-を告げねば。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「多数のアクロマンチュラが森の奥より現われ出でた!数は数百!!あと10分で到達をする!!」

 

 

今・・・・アクロマンチュラって言ったか!!

 

「教授!今すぐここに居る生徒全員構内に逃がすぞ!!ロナン!城のどこかに屋敷しもべがいる!!彼等に伝言を頼む!多数のアクロマンチュラが城めがけて押し寄せる、全屋敷しもべの今の作業全て中断して生徒及び戦えない教職員たちを大広間に避難させてほしいと、ロナルド・ウィーズリーが言っていたといえばすぐに通るはずだ。城の外側にいる奴等から順番に!!」

 

・・嘘だろ・・俺の想定は-闇の勢力-が大挙してくる方だったのに!選りにもよって、-魔法使い殺し-の異名を馳せる、バジリスクよりも危険度の高いアクロマンチュラって!!

 

 

・・なんて言ってる暇わねえ!敵が押し寄せてきた時の想定はいくつもパターン化して、そのどれも天使達を逃がす算段は一緒!!さっき言った、屋敷しもべたちに助けてもらう。

 

「ハーマイオニー!ドラコ・セオ!!みんなをまとめて城に逃げろ!!!ハーマイオニーはその際教師に会ったら、ケンタウロスの知らせだと伝えていってくれ。

時間はまだある、急げ――――!!!!!」

 

 

ハーマイオニー達はすぐさまにロンの言った事を実行した。同僚の子供達を束ね、城へと走っていく。誰もロナンとロンの言った事に疑問をさしはさまずに。

 

何故ならロンの表情がとても真剣だった、あの顔の時のロンの言う事は絶対だと全員が肝に銘じている。

 

「ケンタウロスよ、吾輩からも要請がある。屋敷しもべの一人をここに来るように伝えてほしい、頼む。」

 

セブルスも二人のやり取りに異論を挟まずに見守り、ロナンに頭を下げて頼みごとをする。

 

「・・分かった、行ってくる!!」

 

ロナンは疾走し、ホグワーツへと向かった。

 

「さてロン、君も逃げろ。後は私達の仕事だ。」

「・・・仲のいい奴と居る時だけ私っていうのな・・吾輩って絶対に似合ってねえよな~。」

「・・・ロン。」

「心配そうな面するなよ教授。俺は自分の面倒は自分で見れるよ。」

 

「・・ロ・・」-バチン!-

 

「ロナルド・ウィーズリー様!セブルス様!!お呼びにより、リジーまかり越しました!!」

「・・状況は?」

「はい!ロン様のお言葉通り、ホグワーツの全ての屋敷しもべたちは全員が救出活動に入りましてございます!!

その際ロザンの指示で、ゴースト及び絵画達の皆様にお力をお借りし、取りこぼしが無いようにチームを組みましてございます!!」

 

若いリジーは使命感に燃えあがっていた。自分達を救ってくれたハリエット・ポッター様と、不憫なかの方を助けるロナルド・ウィーズリー様の役に立ちたいと。

 

「我等の見落としがないかを彼らにチェックをしてもらいつつ、全生徒に避難警告を発していただいております。我等の元に居合わせた血みどろ男爵は、一番にダンブルドア校長様の元に行かれました。」

 

「・・そうか、校長の耳にはもう入るか。リジー、すまないがロンを・」

「リジー、教授を大広間に連れていけ。すぐに戻ってきてほしい。」

「なっ!!」

「かしこまりました!」-バチン!!-   -バチン-

 

「行ってまいりました。」

「ありがとう、リジー。これから校医室に行って、マダム・ポンフリーも大広間に。出来る限りの治療薬を持ってから頼む。薬がきれたら都度皆で校医室に行けるように交代で大広間に待機を。教授に伝言を頼む。ポーション・マスターの役割を大広間で果たしてほしい。

怪我人が押し寄せるはずだと、その時も薬がいる。教授の地下室は・・」

「ロン様、我等屋敷しもべに存ぜぬことなぞございませ。」

「分かった、頼む。」

「かしこまりました!!」-バチン!!-

 

 

「さて、出て来いよピーブズ。」

「・・・お前は逃げないのか?こっからでも見える、蜘蛛が押し寄せてくる。ケンタウロスの必死の弓矢も足どめにもなって無い。」

「でも、時間稼ぎにはなってるか・・お前に頼みがある。」

「・・・こんな時に俺にか?」

「ああ、お前はゴーストじゃない、ポルターガイストだ。そんなお前だからこそ頼みたい。」

「・・何をさ・・」

「逃げ遅れた奴等を助けてほしい。物を落として蜘蛛の足を止めるなり、空中に逃がすなりしてほしい。

ゴーストではない、お前だからこそ可能な事だ!力を貸してくれ、ピーブズ!!」

 

 

・・こいつ一体何言っちゃってるの?俺はホグワーツの鼻つまみ者なのに・・

たんにいたずらをしようとしに来たのに、とんだことに巻き込まれた・・助けてほしい?

このロンが?俺に?

 

「・・・・・気が向いたらな・・・」

「それでもいい、頼んだ!!」

 

ピーブズの投げやりな返事でも、ロンは満足をして城へと駆け出した。ピーブズを信じて。

 

 

「城にはまだ蜘蛛たちは来てない!!落ち着いて大広間へ!!!」

ロンは疾走をしながら、逃げ惑う子供達を励ましながら走り続ける。

 

あちこちで姿現しの音が鳴り響く・・間に合ってくれ!!!

 

「ドラコ!手を貸せ!!」

 

大広間に辿り着いたロンは大音声でドラコを呼ばう。

 

「何をすればいい。」

「屋敷しもべの姿現しで魔法省に行ってくれ、誰か魔法省に言った事のある屋敷しもべはいるか⁉」

 

ドラコもロンも無駄話はせずに話を進めていく、お互いの役割を当たり前のように。

シリウスとルシウスの様に、互いの長所短所を補う。

 

ロンは行動的だが説明下手で、ドラコは体力がないが調整役に富んでいる。

マルフォイ家の家名も有利に働こう、ルシウスが愛息子の危機を黙って見ているものを許すはずはない、報復が怖ければさっさと動けと尻叩きになる。

 

 

すぐに魔法省へと跳べる屋敷しもべが見つかった。何でいけるのかは深く聞いている暇はないのですぐに跳んだ。

 

 

「ロン!!」

「教授、さっきの伝言通りに頼む。」

「・・お前は?」

「俺の底なし魔力知ってるだろう。プロテゴの威力もな。」

 

そう、ロナルド・ウィーズリーは決して無敵ではない。出来ない魔法の方がまだ多く、薬品魔法もど下手だが、こと魔力量の多さとプロテゴと数種の攻撃魔法は大人以上だ。

 

 

「行ってくる!!大広間ん事頼んだぞ皆!薬が作れる奴は教授を・・」

「分かってるわ、全部手伝う!でもロン!!貴方も・・」

「皆を守りたいんだ、行ってくる!!」

 

大勢の制止が入る前に、ロンは大広間を脱兎のごとく飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

腹が減った・・今までもずっと。飢えても-外-に大規模な狩りに行く事を-長-が止めていた。

そこそこの獲物に餓死した兄弟達が餌だった。そんな状況でも長は外に出る事を極力するなと言っていた。

-ハグリッドと約束をしたのだ-と、繰り返して。

いい加減にくたばってくれとずっと思っていたら、とうとう昨日くたばった。

長の-アラゴク-の死骸は、群れの全員で食い尽くしてやった。母なる-モサグ-もうるさかったので諸共に。

人間から付けられた名を嬉々として使っていた、恥知らずたちはもういない。

外に狩りに行こう。

 

煩わしい長を失くしたアクロマンチュラ達は、その本能の赴くままに禁じられた森を縦横無尽に駆け回った。

 

しかし意外に獲物が捕まらない、森の広さに対して獲物の量が少ないようだ。

加えて邪魔をする者達もいる、亡き長同様鬱陶しい!!

 

『全て食い殺せ!!』

 

今までの憤懣と食欲の赴くままに、アクロマンチュラは蹂躙の行進を始めた。

アクロマンチュラの狂行軍の始まりである。

 

 

「ピエルトータム・ロコモーター!!(全ての石の兵よ動け!!)」

「攻撃系!防御系の得意な教師陣は外へ!!少しでも不安のあるものは救出活動に従事です!!

生徒達をだれ一人死なせてはなりません!!!」

 

知らせを受けたダンブルドアは、すぐさま動いた。

校長権限で動かせるホグワーツの石の兵達を稼働し、副校長としてマクゴナガルもすぐに教職員達をまとめ上げて向かった。各々の戦場へと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「プロテゴ!!マキシマム!!!」-バン!!-

「コンフリンゴ!!」-バッチャーン!!-

 

・・・・ひでえ・・地獄だここは・・

 

「・・逃げろ・・人の・・こう・・」

「逃げるのは貴方だ、大広間に頼む!」

「お任せを、代わりをすぐに寄越します!!」-バチン!!- -バチン-

「お待たせしまいた。」

「ああ、行くぞ!!」

 

ホグワーツの外は地獄絵図だ、必死に食い止めようとするケンタウロス達は、生きながらに食われていくもの、手足を千切られた者・・・食っている蜘蛛どもを爆発四散させても、次から次へと湧いて出やがる。

 

少し前にバジリスクが蜘蛛達を殺しに行ったって言われたけど、正直に言うと数が多すぎる!!

如何にバジリスクが蜘蛛達の天敵で、見たものを殺せるといっても、圧倒的に数が多すぎる。

 

ロンの予感は的中し、バジリスクをすり抜け、迂回をして城に近づく蜘蛛達が続出をした。

見張りのゴースト達の知らせで教師たちや石の兵が呪文で吹き飛ばし、切り殺しても蜘蛛達は止まらずにとうとう城の中に入り込まれた!!!

 

 

 

 

 

城へと入った蜘蛛たちは獲物を求めて狂行軍を続ける。

途中で食い殺したケンタウロス達の手足を咀嚼しながら血と肉を唾液をまき散らしながら。

見つけては手当たり次第に肉を食いちぎりつつ走るのを止めない。

何故ならこの中から大量の獲物の匂いがする!少量の獲物なぞ目ではない!!

・・・いた・・小さいが-数匹-の獲物が・・

 

口から血肉を滴らせるアクロマンチュラは、上級生の生徒にとっても地獄の使者に映った。

無機質な目で自分達を見ながら向かって来る蜘蛛に、恐慌をきたした。

 

 

「いや・・いやだぁ―――!!」

「いや来ないで!!」

「デパルソ(退け!!)」

怯えて蹲り、一人が果敢に魔法を放つも、魔法を使えても彼らは子供であまりにも無力であった。

呪文も蜘蛛達にはさほど効かずに、牙が迫りあわやのところを、

 

-バチン-「さあお早く!!」

「こちらです!!」

「行きます!!!」

「退け蜘蛛ども!!」

 

屋敷しもべたちが間に合い、間一髪のところを逃がすが、屋敷しもべの魔力も無限ではない。

魔力が切れ、蜘蛛に攻撃も、姿現しもできなくなった屋敷しもべは「こっちよ蜘達!!」

 

自らを囮にする者達が続出をした。

 

「今です!!行きなさい!!!」

 

己の身を差し出し蜘蛛達が自分を咀嚼をしている間に、他の屋敷しもべが生徒達を大広間へと連れて行く。

主の為に命を使い果たす。屋敷しもべの誇りとし、死にゆく彼等は満足をし、他の屋敷しもべ達も当然とばかりに同僚の死を嘆くことはせずに、己の職務を全うしていく。

ホグワーツの為に。

 

 

 

 

 

 

おのれ蜘蛛達め!『煩わしい!!』おのれの背を這いずり回る無礼な蜘蛛達を振り落とし、かみ殺しても湧いて出る蜘蛛にバジリスクは苛立つ。

 

蜘蛛の気配を察して出て来てみれば、数の多さに驚いた。しかしホグワーツは守る!

サラ達との約束の為に!!ハリエットとロンと・・・トムの為に・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一体・・あとどのくらい・・

「目えつむれ!マクゴナガル女史!!プロテゴ!!ルーモス・マキシマム!!!」

・・この声は!!「コンフリンゴ!!レダクト!!!」

 

「・・Mr.ウィーズリー・・」

「ぼけっとするな!死にてえのか!!戦いはまだ続いてる!蜘蛛達皆殺しにするまで動け!!出来なければ大広間に行け!!」

 

「・・・私は・・」

「マクゴナガル先生。」

「・・・フリットウィク先生・・」

「Mr.ウィーズリーは正しい。屋敷しもべよ!この方を大広間へ!!」-バチン!!-

 

「助かったぞMr.ウィーズリー。」

 

防衛線を張っている教師人の中でも、マクゴナガルは高齢で女性だ。疲れも男性よりも早く訪れ、小さな蜘蛛の動きに反応出来ず、食いつかれそうなところをロンに助けられた。

 

盾を張り、最大級の光で目くらましをし、一瞬で蜘蛛を殺したところもさることながら、咆え上げるさまは屋敷しもべ達の言う通り、若き獅子王だ。

 

 

自分もこの少年に恥じ入らないような戦いをせねば!!

フリットウィクも疲れていたが、かつて闇の者達との熾烈な戦いに身を投じて買った自負があると、ロンの闘志に引きずられるように己を奮い立たせる。

 

ゴースト達も必死に生徒を探し続ける。自分達では助けられない無力感に苛まれながらも、屋敷しもべ達の力に、ひいては生徒たちの為にと。

 

「油でも食え!!そんで燃えちゃえ!!!」ピーブズまた戦っていた。

台所から油を樽ごと持ち出し、火種を投げつけて蜘蛛達の足止めをし、数人であっても生徒たちの命を守ったのだ。

 

 

 

 

 

 

アクロマンチュラ達が半数となったが、さしものダンブルドアも息が上がってきていた。

グリンデルバルトやヴォルデモートの戦いは人間が相手で、多少傷を付ければ戦意を失くしてくれたが、いかんせん相手は蜘蛛達で戦意喪失の気配は微塵もなく、手足を吹き飛ばそうが向かってくる。

 

 

ほっほ、生徒達を守れれば本望じゃて。

 

老骨の身ゆえに生徒の盾とならんと、ダンブルドアは守りの薄い場所へ一人赴き蜘蛛達を殺しまくった。

先程ともに戦ってくれていたケンタウロスは蜘蛛の餌食となった。

 

「・・敵を殺せ!!人の長よ!!!」

 

若いケンタウロスもまた、屋敷しもべ達同様に自分を食べている間に殺せとダンブルドアに叫び上げ、ダンブルドアも助けられない事を苦渋に思いつつも敵を屠り続けた。

じきに・・先程のケンタウロスと会えるかの~・・

自分の魔力もそろそろ底をつく、死のベールの向こうに行く頃かと思ったその時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     「死んで英霊になろうとすんじゃねえ!!ボケ爺!!!!!」

 

 

 

 

 

 

恐ろしく元気で口の悪い言葉が飛んできた!!

 

「「「コンフリンゴ!!」」」

「レダクト!」

「エクスパルソ!!(爆破!!)」

 

もの凄い量の攻撃呪文と共に。

 

「無事かダンブルドア!!」

「一帯の制圧確認!!次に行きます!!」

「ツーマンセルを崩すな!相手は魔法使い殺しの奴等だ!!油断をするな!!!」

 

 

とうとう魔法省のお出ましだ。

 

「ロン!!」

「って!ドラコ!!何でここに居んの⁉大広間に戻るように・・」

「ああ、屋敷しもべの子はそうしようとしたさ。でも僕が止めた。」

「・・・マジかい・・」

「遅くなって済まないロン。」

「お前のせいじゃねえだろドラコ。」

 

 

ロンに言ってもらえたが、内心では忸怩たる思いだ。もっと早く来たかった。

 

 

「アクロマンチュラが数百の大群で禁じられた森からホグワーツに向かっている!!

助けてほしい!!」

魔法省に姿現しをしたドラコは、すぐに自分の身分と用向きを話した。

 

自分とロンの目論見通り、すぐに魔法省闇払いの元へと連れて行ってもらえた。

バジリスクの時に来たキングズリーが運よくおり、アクロマンチュラがホグワーツを襲ってくることを伝えれば、青い顔しながらもすぐに動いてくれた。

 

 

冗談じゃねえ!!どうなってんだあの学校は!!!

 

キングズリーは内心で怒りながらも、アクロマンチュラの対策をしながら現場へと急いだ。

自分もかつて通っていたが、化け物の巣窟かあそこはと罵りながら。

 

装備に手間取り到着が遅れたが、前回と同じくホグズミードから屋敷しもべ達の助けを借りてホグワーツへと跳び、瞬く間に蜘蛛達を殺していった。

 

 

 

アクロマンチュラが攻めて来てから殲滅まで時間は一時間とは掛かっていなかった。

ホグワーツだけの攻防がせいぜい数十分で、残りは駆けつけてきた魔法省に受け渡した。

全員が疲労困憊であり、屋敷しもべ達の姿現しで連れて行ってもらった。

 

 

 

 

もっと早く来いよな・・

 

ロンは内心で魔法省の対応の遅さに苛立つが、相手が相手だと思うことにした。

魔法使い殺しの蜘蛛を、装備なしで来いとは誰も言えないと。

 

 

「ロン!!」

「お兄ちゃん!!」

「ドラコ!!」

 

・・大広間に来たら早速取り囲まれた。

 

「御免・・心配・・」

「違うのロン!!えっと・・心配もしてたけどそうじゃないの!!」

 

いつも冷静なハーマイオニーらしくない。

「どうした?」

いやな予感がする。

 

 

「・・・ハリエットがいないの・・どこにも見つからないの!!!」

 

・・・・・・なんだって―――――⁉!!!!!




後編に続きます。


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戦場・ホグワーツ 後編

続きです。


アクロマンチュラの襲撃はホグワーツの教職員と、駆けつけた魔法省の闇払いたちを中心とした、攻撃・防御系に長けた全ての職員が総動員をした大規模チームの奮戦により、生徒達は奇跡的に死者はなく、逃げ惑う時に負った傷や姿現しで酔った者達しかいなかった。

 

 

 

そんな中、安全な大広間では怒声が響き渡る。

 

 

「放せ!!ハリエットを探しに行くんだ!!!」

「落ち着けロン!!まだどこに蜘蛛達が・・・」

「だからこそ俺が捜しに行くんだろうがよ!放せドラコ!!」

 

 

普段はマイ天使とドラコを優しく呼んでいるロンが、初めて怒声を上げている。

 

ロンが大広間に生徒達を逃がす事とその方法をセブルス達に伝え、大広間ではセブルスとマダム・ポンフリーを筆頭に万全の回復の用意がなされた。

 

薬を準備した直後、次々に-怪我人-が運び込まれた。

主にアクロマンチュラと最初に激突をしたケンタウロス達であった。

彼等は四肢のどこかを食いちぎられ夥しい量の出血をし、中には姿現しで絶命をした者もいた。

それでも屋敷しもべ達は彼等を助けようと必死に連れてきた。同じホグワーツを守っている同族と認識をしているから・・見殺しにはしたくないと。

 

「命に何の違いがあります!!全て助けますよセブルス!!!」

死神さえも叱り飛ばしそうな看護の女神の下、逃げてきた生徒達も手伝いを申し出た。

中には屋敷しもべ達がその身を犠牲にして助けられた者達もおり、マダム・ポンフリーの言葉が身に染みる・・せめて・・ケンタウロス達だけでも助けたい!犠牲になった者達の恩に報いるためにも。

 

 

少しして運び込まれる者の中に、魔力切れや負傷をした屋敷しもべ達も混じりはじめ、

小さな子達も包帯巻きなど、自分達にできる事を必死に手伝い、運び込まれる怪我人の数が減ったところに、ロンの騒ぎが起きた。

 

 

負傷者を他の者達が手当てをしている中、ドラコやハーマイオニー達が各寮の監督生達を探し出し、いない者はいないかの点呼を呼び掛けた。

 

結果他の寮の数名の子とハリエットがいない事に気が付き、生徒達の安全を考えたセブルスが、ゴースト達に頼んで捜させているところにロン大広間に戻ってきた。

 

 

 

チクショウ!!ハリエットに何かあってみろ・・この件の関係者ぶっ殺しにしてやる!!!!

 

ロナルド・ウィーズリーは知っている。このアクロマンチュラの騒動の元を。

うろ覚えとはいえ、-ハグリッド-がアクロマンチュラを禁じられた森で飼っていたのは覚えていた。-原作の自分-が食われかけていたのは強烈だったから。

アクロマンチュラは言うに及ばず、飼っていたハグリッド、見過ごしていたダンブルドアを・・許すものか!!!!!

 

ロンから漏れ出る魔力と殺気に、マグル生まれのハーマイオニーと純血であっても戦いに不向きなネビル・ダフネ・ジニーが気を失いかけた。

拘束力が弱まり、最後までしがみついているドラコ達を引き離そうとした矢先に、闇払いの一人が少女を羽交い締めにしながら大広間に飛び込んできた。

 

「放せ!!あの蜘蛛どもをみんな殺してやる!!!!」

 

それは怒りに打ち震え、魔力で髪の毛を逆立てたハリエット・ポッターだった。

 

「ハリエット!!」

「無事・・」

「君達この子に近づくな!!怪我人を連れてきた!手当てを頼む!!!!」

 

ハリエットを連れてきた男は、近寄ろうとするロン達を止めて、もう一人の同僚が抱えている怪我人をマダム・ポンフリーの元へと連れて行くように指示を出す。

 

「・・・・クィレル先生・・・」

 

それはわき腹から血を流しているクィレルであった。

 

「あいつ等・・クィレル先生を!!ぶっ殺してやる!!!!」

 

怒りと、大好きになった先生を傷付けられたことが悲しくて悔しくて、ハリエットの目は赤くなっていた。

 

「ハリエット!」

 

闇払いの男からひったくるように自分の胸元に抱きしめて、ハリエットを落ち着かせようとする。

「放せロン!!あいつ等を!!!」

 

怒りに我を忘れたハリエットの魔力は暴走を始め、抱きしめているロンを傷つけ始めた。

 

・・・許さねえ・・絶対に!!!

 

 

 

 

 

 

 

アクロマンチュラが森を移動したのは授業が二校時目の時であった。

ハリエットは今学期も、食べた朝食を血肉にすべく一校時目は眠って過ごす。

二校時目の薬学草が郊外だと知らされていたが、見事に迷った。

さてどうしようかと考えているところに偶々クィレルが通りかかった。

ハリエットは信頼をしている数少ない大人の内の一人を見つけてホッとして、助けを乞うた。

 

当然ヴォル付きクィレルはどうしようか本気で悩んだ。

何故ハリエットはここまで自分に懐いたのか。自分にヴォルデモートが付いている事を知らないのを差し引いても、一年目はわざとどもり・臆病者の駄目教師を演じていたのに。

どうせダンブルドアとセブルスが自分の正体を知っていて、その上で二年目を黙って見ているからもういいやと、演じるのを少しずつやめて今ではそこそこの教師をしている。

少しずつ食事量を増やして健康的な生活を送るようになったのが、そこそこの教師になれたのだと見せかけて。

 

ハリエットの周りは凄い大人達だらけだ。その気になればダンブルドアのお気に入りにもなれように、時折表に出てくる主と意気投合している変わった少女。

主が目当てかと思えば「先生の側って落ち着く。俺の事英雄とか、可哀そうな子とかそういった余計な気配感じねえんだもん。」

 

・・・それはそうだろう。

主の仇を英雄視するはずもなく、現在幸せな彼女に可哀そうなぞという気は毛頭起きない。

ただそれだけの事なのに、勝手に勘違いをしている馬鹿な子だと・・何故か思えない。

来たから淹れてやるだけの紅茶を、美味しいとほんのりと笑うハリエットを見ていると落ち着かなくなる。

それは近頃主も同じようだ。

同化をしてもう一年が経つ。主の心が自分に流れてくる量が増え、ハリエットへの戸惑いも流れ込んでくる。

共に本当の愛を知らない主従は、ハリエットへの思いを持て余している。

それはハリエットと同じくらいに懐いているネビルにも。

 

 

一応教師の職務として、持て余しの片割れをセブルスの元へと送るべく、森の境界線近くを通ったのが不運だった。

 

 

何かが来る!!

クィレルの中のヴォルデモートはいち早く察したが、いかんせん相手が悪かった!!

気が付いた時にはもうアクロマンチュラ数匹に囲まれた!

 

・・小癪な!!俺様を食おうというのか!虫けらの分際で!!!

蹴散らしてやれクィレル!!

 

 

「コンフリンゴ!エクスパルソ―!!」

 

 

主の逆鱗に触れた蜘蛛達を殺すべく、糸を吐かれて取り囲まれる前に蜘蛛達を四散させる。

クィレルにとっては造作もない事だった。

 

「・・・先生すげえ・・」

 

一瞬の出来事に、ハリエットは魅入られ・・・油断をしてしまった。

 

-ギッシャ――――!!!-

 

新たな蜘蛛が近づいているのに気が付けなかった。

 

「あ・・・」

「ハリエットー!!!!」

 

飛び掛かってくる大蜘蛛に反応出来ずに、呆然と立っているハリエットを・・クィレルが割って入った。

腹を爪で引き裂かれ激痛が押し寄せる中、クィレルの思考は平常に働き、吹き飛ばされながらも考えた。

 

 

          何故自分がハリエット・ポッターを助けたのか

 

 

 

主の仇・俺を殺した者を、何故おのが身を挺して助けてしまったのか!!

 

「がはっ!!」

地面に転がり、血を吐きながらハリエットの方を見ると、蜘蛛が自分の方へと向きを変えた。

動けない自分を狙うか・・杖と魔力はまだある・・こんな蜘蛛如きに・・

 

「や―――め―――ろ――――!!!!!!!!!」

 

 

ハリエットの叫びと共に、凄まじい魔力が吹き上げた。

怒りに我を忘れたハリエットが暴走を始めた。

「死んじまえ―――!!!」

杖を持ち、呪文ではなく敵の死を叫び上げれば蜘蛛が体内爆発を起こした。

魔法とは呪文の詠唱よりも、実はイメージの方が大事だ。詠唱の方はたんにその呪文自体をイメージをしやすくする為の触媒。そうでなければ無言呪文は出来るはずがない。

 

ハリエットは意識せずに無言呪文に近い事をしている。

大好きなクィレルを傷つけた蜘蛛を殺すために!!!

 

闇払いの助けが来るまでハリエットはクィレルの側を離れることなく、十数匹の蜘蛛を殺した。

 

髪は逆立ち、瞳は赤黒く染まり、助けに来た闇払いたちの言葉を聞かずに蜘蛛を殺すと叫び上げる。

許さねえ・許さねえ・・殺す!殺す!殺す!!全部殺す!!!!ぶっ殺してやる!!!!!

 

心の中までも瞳の色と同じく、赤い殺意で染め上げて。

 

 

そんな状態のハリエットを、ロンは抱きしめる。ハリエットの魔力で皮膚が破けて血が噴き出すのも構わずに「ハリエット、もう大丈夫だ。」

何度も何度も同じ言葉を繰り返す。傷が増えても変わらずに優しい声で、ハリエットの心の中に届くまで何度でも。

「う・・う・・ああ・あいつ等・・」

「うん、皆で殺した。全部の蜘蛛を殺した。ホグワーツにはもうあいつ等はいない。」

ロンの言葉がようやくと届いたのか、ハリエットが反応を返し、ロンも返事を優しく返す。

時間的に考えて、来た援軍の人数も考えれば当然蜘蛛達は全滅をしただろう。

ゴースト達が生徒を助けた方法で、今度は蜘蛛達を倒す手助けをした事により、一匹も逃さずに短時間で殲滅をする事が出来た。

 

「蜘蛛はもういない、クィレル先生も教授とマダム・ポンフリーが助けてくれる。頑張ったな

ハリエット。もう大丈夫だ。」

「だい・・じょうぶ・・」

 

そうか・・蜘蛛はロン達が殺してくれた・・なら・・もういいいんだ・・だいじょうぶ・・なんだ・・

 

ロンの言う通り蜘蛛達は全て死に果て、騒動はひとまず決着を見る。

 

夥しい人族外の死と、大勢の者達が心の傷を負い、一人の少女が気を失い静かに幕を閉じた。




書いていて辛かったです。

クィレルはハリエットを庇った事で、自分のハリエットへの思いが何であったのかを知り、真の愛を知りながらここで死なせようかどうか迷いましたが、生かすことにしました。


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後悔と戸惑い

戦の後の城内です。


かくして大規模な戦は終わりを告げた。

人族を助けたケンタウロス達・屋敷しもべ達の犠牲を無にしない為にも、生きている自分達は前を見て歩くことを決意するのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんて、どこぞの三文小説ファンタジーじゃあるまいし、戦の終わりの方が酷いだろこれ。

大広間はケンタウロス達と屋敷しもべ達の血の匂いと、呻き声で溢れてる。

 

低学年の奴等は怯えてる、かといって各寮と部屋も全て点検をして安全が確保されない限りは大広間待機だ。

蜘蛛に生きたまま食われるのに比べればどうってことはないと、俺は思うんだがな。

「呻いているってのはいい事だ、。そいつが生きている証拠だし、体が生きたいからここ治してくれって痛みで教えているから、そいつは痛みで呻くんだから。」

 

呻き声に怯えていた子の一人に、ロンは持論を展開をした。

呻くのは生きている証だと、生きたいという強い意志の表れだと。

「そうか・・そうなんですね!!そうです!彼等は生きようと頑張っているんですよね!!」

ロンと同じグリフィンドールの一年生は目を輝かせて、素晴らしい事を教えてくれた先輩を尊敬のまなざしを向けて見上げる。

 

 

 

あんなとんでも暴論を受け入れて感動したのかあの子供は!!

大広間の冷静な大人達一同は、ロンのぶっ飛んだ持論に溜息をつき、痛くて呻いている当人達も、

痛いもんは痛いんだから、いい感じの話にしないで欲しいと心底思った。

例え人族とは違う自分達を助けてくれている者の言い分でも、あれはどうかと思う。

 

 

「僕、コリン・クリービーと言います!よろしければ落ち着いたら写真を一枚とらせてください!!憧れの先輩の一枚として。」

「俺じゃなくて友達と撮れよ。もしくはグリフィンドール寮の集合写真とか。」

「いいえ!貴方の一枚でいいんです!!」

「あの・・僕も・・お守りに一枚・・」

「私も!!」

コリンのみならず、他の一年生達もこぞってやってきた、それこそ寮を問わずに。ロンの暴論であっても力強い言葉は彼等に安心感を覚えさせたのだ。

彼の写真を持っていれば、何が来ても守ってくれそうな気がする。

「写真なんかなくても、俺はお前達を守るよ。ホグワーツはもう一つの俺の家みたいなもんなんだからな。」

 

 

「それよりも自分を大切にしたまえ、エピスキー(癒えよ)。

どこか痛いところはないかねロナルド・ウィーズリー?」

 

やっべ!!教授の奴本気で怒ってる!!!

「・・あのさ教授、その・・悪かったよ。」

一応謝ってみれば「はて、何故吾輩に謝るのですかな?いったい何を悪い事をしたというのですかな。」

教授の絶対零度来た―――!寒い、寒すぎて心が凍って凍死しちまう。

「・・一人でハリエット捜しに行こうとしたり、教授に無断で大広間に送って俺一人で突っ走ったり、いろいろやらかした事です。」

「・・・・分かっていてしたのだろう君は。」

「うっ・・でもご免・・心配を掛けた。」

「全くだ。」

 

 

ロンの指示で屋敷しもべが自分を大広間に連れて来た時、心臓が止まるかと思った。

自分がいなくなった次の瞬間に、ロンが蜘蛛達に襲われ無残にも食われてしまうのではないかと!

自分はかつて最愛の女性を守り切れずに死なせてしまった。忠誠を誓った闇の王に、殺さないで欲しいと頼んでも一蹴され、闇の王から守って欲しい、その代わりにダブルスパイをするといってそれを条件に女性を守るといった者も、結局は彼女を死なせた。

 

ヴォルデモートとダンブルドアと自分が彼女を殺した、最愛のリリーを。

二度と人を愛する者か、リリーの子を守って死んでいくのが自分の残りの人生の意味だと思っていた。

だが出会ってしまった。リリーとは違う意味であっても、おのが身を賭してでも守りたい-最愛の者達-に。

ロナルド・ウィーズリーを中心とした愛しい子供達を愛してしまった、こんな罪深い自分がだ。

ならば憎きジェームスの子を虐めてその子供に嫌われる事で贖おうとしたが、ハリエットは保護が必要な虐待を受けた子供だった。かつての自分・・いや!それ以上に酷い有様だった。

英雄の傲慢さはなく、弱々しく死に掛けた子供を虐めようなぞという考えは吹き飛んで、気が付けばシリウス同様ハリエットの保護者役の一人と化していた。

弱った体を治す薬を日に三度飲ませ、ボサ髪を梳かしてやり、近頃は体力が少ないのに一人で散歩をしていてへたばっているハリエットを抱きかかえて寮に送るのはしょっちゅうだ。

 

「セブ先生は優しい。」お日様の匂いを出し始め、頬がふっくらとしてきたハリエットは自分の冷たくガサガサとした頬に押し当てて来てそんな事を言う。どうして無下にできよう、純粋に自分を慕う子を。自分のせいで両親が殺されたとも知らずに、自分を好きだというなんて・・知られたくはない、おのが罪を。

この愛しい子供達を身を賭して、今度こそは守り抜くから許してほしいと、死んだリリーに許しを請う程に子供達を愛している。

なのにだ!守るべき子に助けられて無茶をされて!!

 

「ありがとう、大好きだよセブルス・スネイプ先生。」

「・・君は本当に質が悪い。」

セブルスの思いを全てではないにしろ、自分を案じてくれている優しい教授の名を呼び、ロンは黒いローブに手を回し、抱き着いてお礼をする。それではもう怒れないと、セブルスは諦めた。

愛しい子供の優しさには勝てないと。

 

 

 

その日は大広間泊まりだ。クィレル先生はマダム・ポンフリーの部屋の安全が確保されたのでベッドで寝かしてもらえている。

ハリエットが付き添いたがっていたけど、ハリエットも休ませないといけないので大広間で寝る事になった。

あちこちで生徒同士でくっついて丸まって寝てたり、中にはケンタウロス達に寄り添って眠ってる奴もいる。

寮なぞ関係なく、まして種族も関係なく寄り添って眠る姿を、今ではなく日常のホグワーツで見たかった。

こんな悲惨な戦場後などではなく、ごくありふれた日常の中で。

兄貴達も近くでうなされていた子達を躊躇うことなくローブの中に入れて抱きしめて眠ってる。

夕食代わりのスープに入れた教授の特性睡眠薬がいい仕事をしてくれたようだ。

 

無傷の俺達と、傷のない屋敷しもべ達の協力で昼食に出すはずだったスープを完成させてホグワーツの関係者だけじゃなく、駆けつけた魔法省の人達にも出した。

屋敷しもべ達は自分達だけでやる、手伝ってもらうなぞ恐れ多いといってきたけど、ビンセントとグレゴリーのお腹の音を聞いて降参してくれた。

お腹を空かせた子供の為に。

 

「・・どうして俺は腹が減るんだ?」

「こんな時なのに・・情けない・・」

緊張感がなさすぎると二人は自分に嘆いたけど「それは俺達が生きているから腹が減るんだ。生きるのはに食べる事が欠かせない。どんなときにも食って、元気出して、前を向いて歩いていくんだ。」

「そうよ、食べましょう皆!」

ロンとハーマイオニーの言葉を受け、大広間の子供達はマグの中のスープを全て飲みくだしてほどなくして子供達は-ほぼ全員-寝入った。

疲れを取るために、眠らせるのが一番だとセブルスが屋敷しもべ達に要請をして成功をした・・たった一人を除いては。

「何故お前は起きているんだロン!!」

「いや、ビンセントが一杯じゃ足りねえって。」

「・・・君も寝たまえ・・」

「いや、お見舞いに行ってくる。」

-ピクン―「誰のだ。」

「声と顔がおっかねえぞ教授、クィレル先生のところだ。屋敷しもべに頼んで校医室に姿現ししてもらう。」

 

ヴォル付きクィレルにはあんまり近づいてほしくなさそうだ。目で俺の事を射殺せそうだよ、本当におっかない。

「私も・・」

「いい、30分しても帰って来なかったら迎えに来てくれ。」

「・・分かった、行ってこい。」

どうせ何を言っても止められないならば、さっさと済ませて来てもらった方が早い。クィレルは今は怪我人で、杖も取り上げてある。

ロンの脅威にはなるまい。

「行ってくる。」

「行ってきます。」-バチン-

 

「・・行ってしもうたの~。」

「・・・分かっていて行くまで隠れていたあなたが何を言う。」

ロンが行った直後、目くらましを解いたダンブルドアに向かってセブルスは吐き捨てる。

クィレルにヴォルデモートがついているというのは、この場には自分達しかいない。

止める気のなかった腹黒狸に腹が立つ。

「・・・知りたいのじゃよ。」

「何をです。」

「-あれ-とクィレルが、何故ハリエットを身を挺して助けたのかを。あの子供ならば聞き出せよう。」

「そして聞いたことを言葉巧みに聞き出そうと?」

「まさか、あの子供にはその手が通じると思うかの~。」

ダンブルドアは髭をゆったりと撫ぜながらセブルスに問う。ロンが-子供だまし-が通じる相手かどうかを。

「無理ですな、つまるところ-吾輩-に聞き出せと?」

 

セブルスはダンブルに決して-私-の一人称を使わない。ロン達の様に、心を通わせたことなぞ一度としてないからだ。

「やってくれるかの?」

「お断りします。」

ダンブルドアの頼みなぞ聞きたくもないと一蹴する。その時にダンブルドアの表情が悲し気に揺れてもだ。

 

 

「では何かあったら私を呼ぶのですよ、Mr.ウィーズリー。」

「無茶な頼みを聞いててありがとう、マダム・ポンフリー。」

マダム・ポンフリーが退出をした後、眠っているクィレルに早速声を掛ける。

「目は覚めてんだろうクィレル先生。」

「・・気が付いていたか。」

「ありゃ―先生-の方か。まあいいや、具合はどうだ?何か飲むか?」

「いらん・・あの後どうなった、ロナルド・ウィーズリー。」

「ロンって呼んでくれよ先生、ハリエットは無傷で無事だ。あんたのお陰だよ先生。」

「・・ハリエットは暴走したようだが?」

「魔力で自分の体が傷つく前に正気に戻って暫く寝てすぐに起きたよ。あんたの側に行くって聞かなかったな。安全が保障されたのはついさっきだ、可哀そうだけどハリエットには我慢してもらった。」

「言っておくが、俺様はハリエットを助けたいと思ったから助けた訳ではないぞ。」

 

今クィレルの意識はヴォルデモートが全面的に表に出ている。だからこそロンはクィレル先生を先生と言い直した。ヴォルデモートが表に出てきている時は先生と呼ぶ事に決めて。

「奇妙に思わんのか?」自分が表に出るのはごくたまにで、それもロンとハリエットの二人だけで来た時や、ロンのみの時だけ。

回数は少なくとも、自分を私と呼ぶものが、俺様と言いだしクィレルとは似ても似つかない言葉遣いをしているのに、ハリエットもロンも普通に自分と接している。

ハリエットは世間知らずだと言われれば納得するが、ロンは違いが分かって然るべきだろうにと、一度だけロンに聞いてみた。

「別にどうでもいい、二重人格みたいなもんだろ?クィレル先生も先生もどっちも気に入ってるからいいよ。」

 

そう変な事を自分に言ってきたロンに、ヴォルデモートは苦々しく言い放つ。助けてくれてありがとうなぞ聞きたくもないと。

「分かってる。何でか体が動いたんだろう?」

「つぅ!!」

「それでもいい。あいつが助かった事には変わりはないんだよ。」

ロンは体を起こしたクィレルの側に行き、ベッドのふちに腰を掛け「ありがとう」

たった一言を言ってヴォルデモートごと抱きしめる。

「・・・放せ・・」

「俺はさ、守れると思っていたんだ。」

「・・何を・・」

「俺の力で-皆-を守り切れるって。」

「・・ずいぶん傲慢な考えだな。」

「そうだよ、傲慢で・・そして無力だった・・」

「・・マダム・ポンフリーが言っていたぞ。お前のお陰で大勢の生徒が無傷で済んだと。」

屋敷しもべに姿現しを、ゴースト達と肖像画達を使って連携で生徒達を助ける案を出したのはロンだと。

「それでも・・俺は・・屋敷しもべ達に死んでほしくはなかった・・ケンタウロス達にも助かって欲しかった・・俺は・・・守れなかったんだよ・・」

 

賢しい子供の浅知恵だった。屋敷しもべ達の姿現しで皆が助かると。-皆-は助かった、ホグワーツの人族全ては。

だが代償も大きかった。まさか魔力がきれた屋敷しもべが最後には囮になるとは思わなかった。彼らの忠誠を、優しさを見誤った結果がこれだった。

ケンタウロス達は森を守るためにホグワーツの子とは関係なくアクロマンチュラと戦っていただろうが・・・それでも死んでほしくなかった。

 

 

「うっ・・う・・・ひ・・・う・・」

 

ロンはお礼を言いに来たのではない、泣きに来たのだ。この男ならば自分が泣こうがわめこうが慰めの言葉なぞ金輪際掛けないのを見込んで。

周りの者達ならば、それはロンのせいではないと言って慰めようとしてくれてしまう。

それでも自分の罪は自分が知っている。自分は禁じられた森に、大規模なアクロマンチュラのコロニーがあるのを知っていたのに放っておいた。

-原作-ではアクロマンチュラのアラゴグが、ハグリッドとの約定をってコロニーから滅多に出なかったから、勝手に大丈夫だと思いこんで、大惨事の火種を見過ごしたのだ。

この件の関係者は、ハグリッド・ダンブルドアだけではない、知っていた自分も入るべきだと、罪悪感に討ちひしがれ、敵になるであろう男の元で泣きに来た。

一人で泣くには心が冷たくて嫌で、でも慰めは聞きたくなくて、ただ黙って熱だけを与えてくれるであろう-クィレル―の元へと。

ロンの考えた通り、クィレルもヴォルデモートも何も言わず、抱き返しもせずにただロンの好きにさせた。

ただ少しだけ、そっと頭を撫ぜてみた。傲慢で愚かで馬鹿な子供を・・慰めでは無いが少しだけ。

その手つきは不器用で、それでもしっかりとした手つきで撫ぜてやる。

ハリエットを咄嗟に庇った時と同じく、打算なぞではなく何故だか分からない戸惑いを感じながらも。




それぞれの複雑な思いが絡んだ回でした。


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知った事か

ロナルド・ウィーズリーがダークです。


クィレル先生に泣きついた俺は、気が付いたら校医室で寝こけてた。

起きてみた光景は地獄だった。・・だってこめかみ引くつかせて檄おこしてる教授の仁王立ちってマジで怖かった!!心臓止まって召されるかと思ったわ。

しかもだ、「おはようロナルド・ウィーズリー。」なんて絶対零度ボイスの挨拶って嫌だよもう・・。

まあ教授からすればヴォル付きクィレルの元で寝こけた俺に怒っているのは分かるので、平謝りに謝って許してもらったけど、何でかクィレル先生が校医室に残って俺達の事をくすくす笑いで見てたのは解せん。

 

ロンが寝こけている時に校医室はあわや戦場と化しかけた。

「貴様!!ロンに何をした!!!」

30分経っても戻ってこないので迎えに行ってみれば、泣いた後の残るロンを不器用に抱えているクィレルを見て、セブルスは即座に杖を抜き放ち、左手でロンをかっさらいつつ怒声を上げて質した。

元主だろうが何だろうが、大切なものを泣かせた時点で抹殺対象だ!

「ふん!!偉くなったものだなセブルス・スネイプ。かつては俺様に付き従った者が、子供一人の事で俺様と対峙するか。」

「いまさら貴様に払う敬意なぞない、望むならば-器-ごと滅して差し上げるが?」

ヴォルデモートの言葉にもセブルスは何の感慨もなく、出来るならば言った通りにしたいと本気の殺意を湧かして言い放つ。何故ダンブルドアがヴォル付きクィレル付きクィレルを見逃しているのかさっぱり謎だ、手元で監視した方が手っ取り早いからだろうか。

 

「何をしているのです二人共!!!」

 

二人の対峙は怒れる癒しの女神の出現で終わりを告げた。校医室においてはマダム・ポンフリーは絶対だった。あのダンブルドアも本気で逆らえないくらい、怒らすとやばいのを二人は身に染みて知っている。

セブルスは叩き出され、クィレルとロンはそのままお泊りになったのだ。

 

 

 

 

大広間に行く道すがら、一緒に歩いている大人二人がほんとに怖い・・教授と先生が俺を間に挟んで、人の頭の上でバチバチに睨み合ってる気配がして、頭皮がひりひりするってどんなんだよ。

「あのさ教授さ、今回の騒動はもう生徒達の親には伝えたの?」

「昨日校長殿が徹夜をして、先程全生徒分の手紙を書き終えた。今頃は梟便で英国の空が埋め尽くされよう。」

「・・・まじかい、せめてマグルの生活圏は郵便にしろよ。ほんと非常識な爺さんだ。」

「そうだ、あの爺は基本自分の都合で世界が動くとか思ってる老害だ!」

「・・・・そこは吾輩も認めよう。」

「苦労してんな先生達。なんかあったら言ってくれ、兄貴達と共同戦線張っていたずらしてやる。」

髭の色変えるだけじゃなく、着てるローブをウェディングドレスにしたり、ちょっとの間禿げ頭にしたり、声を甲高くしたりetc.してやる。

「中々面白そうだ、俺様もアイディアを出してやろう。」

「ほう、一教師がそのような事を。余程ホグワーツを追放されたいらしいですな。クビになって路頭に迷うとよろしい。」

「調子に乗るなよセブルス!!」

「決闘ならばいつでも受けて立つぞ!」

この二人仲がいいのか悪いのか、なんて軽い関係じゃないのは知ってる。それでも何でだろう?

俺は何でヴォル付きクィレルと居るとどこかホッとしてる・・変だ。

 

ダンブルドアへの鬱積話と、セブルスとヴォルデモートが噛みつきあいながら大広間に近づいた。

 

 

 

         「出てけよ!!このくそばばあ!!!!」

 

 

ロンが扉に手を掛けた瞬間、ハリエットの怒声が響き渡った。

「まあなんです、女の子がはしたない。そんな事ではいいまほうつかいにはなれませんことよ?」

ハリエットの怒声に怯んだ様子のない女の声も聞こえてきた。声音は甘く・・でもどこか品がない。

今扉を開けたものかどうかロンは悩んだ。近頃のハリエットは自分達の前で口汚い言葉を極力使わないように心掛けているのを知っている。

本人の努力を無に帰す事をしたものかどうか、取っ手に手を掛けたまま思案をする。

「私の元に来れば、礼儀作法をきちんと教えて差し上げますよハリエット。」

「うるせえ!お前に名前を呼ばれるいわれはねえ!!とっとと出ていけ!!!」

「そうだ出ていけ!ハリエットはお前に教わることなぞ何もない!!」

「出ていきなさいよ!!」

何でか、ドラコとジニー・・よく聞けば他の奴等もどせいをあげてる。何があった?

 

「・・仕方がない子達ですね。やはり薄汚れたマグルの中で生活をするとそうなってしまうのでしょうか?その影響で、純血の子供達にも悪影響が及ぶなぞあってはならない事です。」-ピクン―

「それに先ほども言ったでしょう?こんな-半人間-達に近づきすぎてはいけませんよ。あなた方もいつまで人の城に居座るお積り?怪我の手当てを終えたのならば出て・・」

 

              -トントン ギィー―

 

「ハリエット、皆おはよう。」

 

ロンは女の声を遮るように、ノックをして大広間へと入った。今までで一番の爽やかな笑みを浮かべて。

 

「ロン!」「お兄ちゃん!!」「「ロニー坊や!」」

 

周りの呼び掛けに応える様に、ロンは広間の中に向かう。いつもの足早ではなく、ゆっくりとした足取りで。コツンコツンと靴音がいやに大広間に響き渡り、一歩ずつハリエットの音に向かっている。途中で知らない女のわきを通っても挨拶もせずに。

 

「おはようハリエット。」

「・・・おはようロン・・」

なんか、ロンがおかしい。笑ってるはずなのに見ていてもポカポカしない。ロンの笑顔はいつだって自分の胸を温めてくれるのに。

その前に言わないといけない事がある!あの目の前のくそばばの事を!!

「ロ・・」

「シィー、良くお聞きハリエット。」

 

ロンはハリエットが何かを言おうとするのを止めた。自分の人差し指をハリエットの唇に当てて、今までハリエットが聞いたことがない言葉で。

驚いてハリエットは目を見開きロンを見上げ、女に対する怒りをいったん仕舞い、言葉を止めて耳を傾けることにした。

大広間のロンをよく知る者達も常のロンと違うと分かり、誰一人としてその行為を茶化す者はいなかった、。一体ロンは何を言うつもりだ。

 

 

            

 

 

 

 

 

 

 

      「あれと言葉を交わすな、ハリエットの口が穢れる。」

 

 

 

 

 

 

・・・・は?

「あれの言葉にも耳を傾けるな、耳が穢れる。」

・・・なにを・・

「あれの言葉を理解しようとするな、ハリエットの魂が穢れる。」

・・・・あの・・赤毛の少年は何を!!!

「あれは穢れた薄汚い-人間の皮-を被った醜い生き物だ。ハリエットが関わらなくていいものだ。あれが何を言おうとも相手にする必要はない、内容のない馬鹿げた-鳴き声-を相手にしても無意味だ。分かったかハリエット?二度とあれに関わるな。鳴き声を掛けて来ても相手にするな。」

 

 

「何を言っているのですか貴方は!!!」

大広間にいる者達はロンの苛烈な侮辱に寒気が走った。表情は笑っているのに、声音は冷たく、それでいて刃の様に鋭く斬られる思いがした。

ロンは静かに怒っていた。いや、怒りなぞという生易しいものではない感情が身内を焼き尽くす。

途中からでもハリエットを筆頭にしたこの場の者達が、怒っていた理由が理解できた。

自分の考えが正しければ、それは憎悪と言ってもいい程の感情を起こすものだった。

 

ロンは初めて意識的に他者を侮蔑し、された者は当然怒りに駆られてロンを詰問する。

「大人に対してなんという言い草を!名乗りなさい!!」

女は-いつも-のように、居丈高しく誰何をする。自分の身分を聞けば、たいていの物は媚びへつらってきた。たかだか子供に侮辱をされるなぞ屈辱だ!

大人の怖ろしさを、体に刻み付けよう。後ろにはホグワーツの教師達がいるが、今回の騒動で魔法省には頭が上がるまいと、素早く保身も算段をして、安全圏の中から咆え上げた。

 

しかし女は不幸だった。今目の前にいるのは-子供の皮-を被った炎の獅子と評されるロナルド・ウィーズリーであった事が。

「さて皆、腹は減ってないか?そろそろ朝食にしよう。ケンタウロス達と屋敷しもべ達も食べられるなら食べてくれ。その後診察受けるといい。」

 

ロンは女の言った事に応える素振りは全くなかった。ハリエットに言った通りに鳴き声に反応を返してやる謂れが全く無い。

「・・おい・・ロン・・」

「ん?どうしたハリエット。」

「いや、どうしたって、」

流石にあの言葉は不味いのではないのかと、ハリエット達は思ってしまう。いかにあの女、

ドローレス・アンブリッジと名乗った女が初対面で嫌いになったとしてもだ。

 

 

遡った少し前

 

 

「まあまあまあ!!何という酷い有様でしょう!由緒正しきホグワーツの大広間に半人間達が居座るなぞ!

貴方達、もう大丈夫ですよ。私、ドローレス・アンブリッジが来たからには何もかもが正しく元通りになりますよ。」

増援のヒーラーを引き連れて、先頭に立っている-アマガエル-のような女がいきなり不愉快な事を言ってきた!

ホグワーツの者達を命を懸けて守ってくれたケンタウロス達と屋敷しもべ達になんてことを!!

「こいつ等の事を悪くいうな!!」

一番に飛び出たのは、ロンの次にホグワーツで喧嘩っ早いハリエットだった。

「こいつ等は、皆を守ってくれて大怪我をしたんだ!何も知らない奴がごちゃごちゃいうな!!」

 

ハリエットの言葉は大広間の人間の心を代弁し、聞いていたケンタウロス達と屋敷しもべ達の心を晴らしてくれた。

入ってきていきなりな事を言う人族の女に殺意を湧かせたケンタウロスもいたが、自分達の為に怒ってくれた仔馬に免じて見逃してやる事にした。

しかしアンブリッジはハリエットの言葉を聞いてはいなかった。ハリエットの額にくぎ付けとなった。

飛び出したことにより髪が乱れ、前髪も跳ね上がりハリエットの額の雷の傷が出てしまった。

 

「まあまあまあ!!これは!ハリエット・ポッター!!私は貴女にお会いしたかったのよ。

会えて嬉しいわハリエット!!」

アンブリッジは興奮に打ち震え、ハリエットに馴れ馴れしくし始めた。甘ったるい声でハリエットの名を呼び、闇の帝王を倒した英雄だ何だと持ち上げ、「私とお友達になりましょう。優しさも結構ですけれど、こんな半人間を庇うなんて馬鹿げた事ですよ。私が常識と良識を貴女に教えてあげましょう。」

完全に上から目線で。闇の帝王を倒した少女が自分の友人だと言えば、世間は自分に注目をする。

ハリエットを完全に自分を目立たせるためのアクセサリーとしかみなさなかった。

功績はともかく、まだ12歳の世間知らずな小娘は、自分のような素敵な大人の女性言葉にホイホイと飛びつくと思って。

だがハリエットはアンブリッジの思惑を敏感に、正しく理解した。ハグリッドに連れられて、

初めて踏み入った魔法界で出会った-大嫌いな奴等-と同じだ!

今の自分を見ず、-過去-のハリエット・ポッターしか見ていない不愉快な奴等と同じ気配がする!!

ドラコ達もアンブリッジの嫌な気配を感じてハリエット共々、大広間から追い出そうとした矢先にロンと先生達が来て、ロンが苛烈な侮蔑の言葉を言ったのだ。

それもアンブリッジの存在なぞ認識していない様に話をしていた。

 

今もそう、アンブリッジが怒りで喚いても何か酷い事を言っても耳に入っていないようで、後輩や親しきもの達、兄妹たちに笑顔で話しかけていく。

それはいつものロンの怒りよりも、なお怖ろしく感じた。

 

こっっの餓鬼が!!!

アンブリッジは偽りの品性を全てかなぐり捨て、「調子に乗るなガキの分際で!!」

口汚く、ロンを罵り始めた。

「ああ、ようやく化けの皮はいで-本性-を現したか。」

くるりと体を回し、ようやくロンがアンブリッジの方に冷めた目を向けた。

「俺の名はロナルド・ウィーズリー。家族と親しい奴等はロンと呼ぶ。もっともあんたには金輪際呼ばれたくはないがな。」挨拶もどこか投げやりで。

ロンは一目で女の本性に気が付いた。原作で覚えていたからではない、寧ろこんな奴いたかくらいに忘れてる。

声音は甘ったるく、媚びへつらう気配が気持ち悪い。ドラコをはじめとした-本物の貴族達-

と付き合ってきたロンにとっては、アンブリッジの品性なぞ薄っぺらく感じた。

平気で嘘を吐き、保身と虚栄心の塊の-醜い生き物-だと即座に認識をし、そんなものと関わると天使達が穢れると注意を飛ばせば、案の定醜い生き物はすぐに本性を現した。

「・・あの血を裏切ったアーサー・ウィーズリーの子ですか。流石に品のない子が生まれたのですね?」

相手が自分よりも魔法省において役職の下の者のこと分かった途端、アンブリッジは冷静を取り戻した。

「私はドロレース・アンブリッジです。魔法大臣付き上級次官ですの。」

魔法大臣付き権限を出せば、この愚かな子供も怖れ慄きながら詫びてくる。何をしてもらおうかと内心でほくそ笑む。

 

しかしだ「つまりあんたは魔法大臣の腰巾着か。」本当に相手が悪かった。

相手はあのシリウス・ブラックすらも叱り飛ばす、とんでもない者なのを知らないアンブリッジは運がなかったとしか言いようがない。

まさか魔法大臣付きの身分を腰巾着扱いされようとは思わなかった!

「貴方はこの役職の権限と効力を知らないのですか!今の貴方を侮辱罪でアズカバン送りにもできるのですよ!!」

激昂したアンブリッジの言葉にも動じず「あんた馬鹿か?未成年は余程の事がなければアズカバン行きになるわけがないだろう。脅してんのか?それとも本当に知らずに言っている馬鹿か?そんな事でよく魔法大臣付きとか言えるな。」

アンブリッジのはったりの脅しにも動揺することなく、淡々と反論をしながらアンブリッジを見下げはてて行く。

大広間の者達も、セブルスとクィレル達も、ロンの知識力の幅の凄さを知っているので驚かずに見守っている。

いざとなれば割って入る気満々だが。

「魔法大臣付きを侮辱することは、魔法大臣ひいては魔法省に対する侮辱罪になります!!

私は貴方をアズカバン送りに出来るのですよ!!」

 

アンブリッジは長年自分の言る地位に酔ってとんでもない暴論を言い出した。

学生時代はスリザリンにて-半純血-と馬鹿にされ無視をされ、大人になってもさしたる才はなく、事務職で魔法省に入れてもらい、そこでも無視をされた。

そんな者達を見返すべく、アンブリッジは偉い者達に徹底的に媚びへつらった。

おべんちゃらを言い、同僚や下の者達のミスを告げ口をし、権力におもねり遂に今の地位を手に入れた。魔法省のトップの近くについたのだ。

今まで自分を馬鹿にしてきた者達を反対に見下し、適当な罪を着せていびったりと、楽しくやってきた。

それをこんな餓鬼に侮辱をされたのが許せるはずがない!今までの者達同様に泣いて許しを乞うて来ても、嬲り者にする!!

だがそんなアンブリッジを見てもロンの瞳は冷めており、

 

「知った事かそんなもの。」

 

返答も吐き捨てるように言い放つ。

 

「いい加減に!!」

「するのはあんただよ。」

 

その瞬間、ロンの気配が変わった。ピリッとした空気が、大広間を覆いつくす。

「あんたは魔法大臣付きの次官か。だったらお偉いあんたには出来んのか、子供達を守るためにその身を差し出して、身を挺して守る事が。」

逃がす為に、我が身を犠牲にした屋敷しもべ達

「あんたには出来んのか、敵から逃げればいいのに森と城に住まう命を守るために、見知らない赤の他人の為に命懸けで戦う事が。」

禁じられた森からアクロマンチュラの群れが出た時点で、放っておく事もできたのに戦ってくれたケンタウロス達

「肩書だけの何も出来ない奴がこの人達を侮辱する権利はない。この大広間にいる資格すらもない。今すぐ立ち去れ、醜い生き物。」

 

殺気にも近い程のロンの怒りに満ちた魔力は、ミシミシとアンブリッジを蝕み始める。言葉を言うごとに近寄ってくる赤毛の少年が・・「ス・・ステュ―ピファイ!!!!!」

化け物の如くにアンブリッジの目には映り、咄嗟に攻撃呪文を放ってしまった!

「ロ!!」

「プロテゴ・ホリビリス」

他の者達が危ないと言う前に、ロンはプロテゴの中でも上級の魔法を弾く盾をいとも簡単に張って、つまらない者を見る目でアンブリッジを見据えながら「インカ―セラス(縛れ)」

アンブリッジに捕えの呪文を掛けて引きずり倒す。

 

「何攻撃呪文使ってるんだよ。間違って俺の天使達に当たったらどう落とし前を付ける気だ?」

無様に倒れたアンブリッジを見下ろして吐き捨てる。

「もう一度だけ通告してやる、今すぐここから出ていけ。今立場が悪いのはあんただ。

未成年で杖を持っていなかった俺に対して攻撃呪文をしようとしたんだからな。」

「ひ・・・ひっひい―――!!!」

ロンの怖ろしい気配に、アンブリッジは最早人の言葉が出ずに、ロンの言った鳴き声を上げる事しかできなかった。

「お前が何なのかなんて知った事か。どこで生きようが、野垂れ死にしようがどうでもいいが、

二度と俺と俺の周りにいる人達に近づくな。やったら今度はこんなもんじゃ済まさない。」




これもロナルド・ウィーズリーの内面の一部です。


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作るぞ!ホグワーツ攻略マップ

魔法界族達の様々な思惑と、ストーリーの都合と、やっぱりアンブリッジが大嫌いな作者の都合でアンブリッジにはサクッと捨て石になってもらいました。

皆のおもちゃ、いじられキャラは引き続きダンブルドアが担当をします。

では本編をどうぞ。


          「アンブリッジめ!!余計な事を!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホグワーツがアクロマンチュラに襲われて二日が経った朝に、魔法所の魔法大臣室から怒声と紙を引きちぎる音がした。

中身はともかく、普段は温厚で通しているファッジの怒声は扉の前を通った職員達を驚かせ、慌てふためかせた。

おそらく大臣が怒声を出して言った、アンブリッジとは-ヒキガエルのアンブリッジ-であろう。

怒りに駆られやすい大臣は、怒鳴らなければ大臣はそこそこいい人なのにと、驚いた職員は次いで溜息をついて残念に思いつつ、こちらもアクロマンチュラ騒動で色々と大変なので自分達の仕事場へと向かった。

自分達もアンブリッジが大嫌いなので、大臣にこっぴどく怒られればいいと思いつつ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コーネリウス・ファッジは幸せな気分で、魔法大臣の職務室にてモーニングティーを飲んでいた。

ホグワーツがアクロマンチュラに襲われてから二日が経った。

昨日の夕方に、日刊予言にホグワーツでの事件を報じる記者会見を開こうとした矢先、ダンブルドアから親書が送られてきた。

 

内容は、大規模チームで救援に駆けつけてくれたことへの礼を手厚く述べてきた。

あのじいさまも今回の件では相当弱ったようだ。

何せ絶対安全を謳っていたホグワーツでの立て続けの事件は相当なものだったのだから。

それを読んで気をよくしたファッジは、うっかりと会見を開く事を忘れて、明日にするかとルンルン気分で帰途についた。

 

 

バジリスクでの件は誰一人傷つくことがなく、あの校長のせいでもないのでお咎めはなし。

だが今回は違う!!禁じられた森はホグワーツの管轄!管理不行き届きでなにかしらのペナルティーを科せられるはずだ!!

子供達を危機にさらされたと、今回こそは保護者達が騒ぐはず!魔法界のお偉い方で出来ている理事会も招集されよう!!

自分の後ろ盾だと言ってくれたルシウス・マルフォイを筆頭に、ハリエット・ポッターの名付け親であるシリウス・ブラックも一緒になってくれればなお結構。

そろそろ日刊予言辺りに情報を開示しようかと考えながら飲む紅茶は美味しい。

如何に魔法省が活躍をして騒動を鎮圧し、生徒達を守ったか。

如何にダンブルドアが最早過去の遺物の耄碌爺であるか暴露するかの算段をしながら、本日の日刊予言を見てみれば・・・

 

 

 

 

      -魔法大臣付き上級次官 ホグワーツにおいて生徒を襲撃-

 

一昨日の朝に、なんと禁じられた森より多数のアクロマンチュラが襲来!

幸いにも教職員の奮闘と、なんと森の賢者・ケンタウロス達の援護と、アクロマンチュラの天敵であるバジリスクの奮戦が功を奏し、ホグワーツの屋敷しもべ達の姿現しで逃げられたことで、

生徒達に甚大なる被害はなく、軽傷にて済んだ。

 

人族以外の者達はその身を賭して人間の子ども達を守り抜き、多数が犠牲となり、重傷者がホグワーツの大広間で手厚い保護を受けている時に、件の魔法大臣付き上級次官が大広間に姿をあらわし、勇敢なる彼等を穢れた半人間と侮蔑をし、反論をした生徒に何と攻撃呪文を放つ。

幸いにも攻撃を受けた生徒の防御呪文に優れていたことにより事なきを得たが、アクロマンチュラの襲撃という精神的にも傷ついた子供に向けて放った言葉と呪文は、かの生徒と周りの生徒達の心を如何ばかりに傷つけた事か。

本誌の掴んだ情報によれば、傷ついたケンタウロス達を擁護した生徒に向かって、上級次官は、

逆らう者はアズカバン行きになる、上級次官に反論する者は魔法大臣・ひいては魔法省に逆らう事と同義であると、未成年者生徒に向かって脅したことも判明。

その脅しにも屈さずに、反論をする生徒に制裁という名目の暴力の攻撃呪文に至ったとも本誌の取材にて判明をする。

 

なおその上級次官は、ホグワーツ襲撃の鎮圧に駆けつけていた闇払いのキングズリー・シャックルボルトによって取り押さえられ、連衡をされる。

 

上級次官はドロレース・アンブリッジといい、本誌の熱心な取材力にて、過去の薄暗い経歴も明らかに・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

報じられた記事と内容と、一面にて醜く喚きたてている醜いヒキガエルの様なアンブリッジの写真を見て、ファッジは怒り狂った。

 

この記事を日刊予言に掲載するように裏で手を引いたのは十中八九あのくそ爺の仕業だ!!

自分の責任を追及される前に自ら不始末を認めて全面的に詫びてきたうえで、反撃をしてくる。

そして自分は最小限のダメージで終わり、有利に立っていたはずの相手の方が敗れ去っている!!

昨日の手紙もそうか!自分をいい気分にしておいて油断をさせたうえでやりやがった!!!

半日のタイムラグで最大の攻撃を仕掛けられ、これでは世間は魔法省を非難するではないか!

非はあれど、傷つき血を流した彼等に対しての魔法省の仕打ちを。ホグワーツの者達に同情が起ころう!!

アンブリッジはもう駄目だ、裁判で有罪が出たら左遷とかくびではなく、きっちりとアズカバンに入れて世間の非難をかわすか。

本当の魔法省は公明正大にして悪事を許さぬ、クリーンな組織なのだとアピールが必要だ。

 

アンブリッジにも腹が立つが、やはり一番は今回のこの日刊予言の記事の首謀者である、

「おのれ!ダンブルドアめ!!図ったな!!!!」

偽善者の老害・アルバス・ダンブルドアに怒りが向いた。

「冥土に旅だてあの腹黒狸爺っ!!!!!!!」

 

始末をする方法はないか、ルシウス・マルフォイに相談をしようかと本気で考えた。

しかし自分は曲がりなりにも魔法大臣!自分力のみであの爺を棺桶に叩き込むと決意をして、今後起こるであろう諸々の対策を練り始めた。

 

 

ちなみにルシウス・マルフォイの相談をしていた場合、ルシウスは赤毛の少年にどうすべきかを尋ね、尋ねられた少年はこともなげに「狸鍋にして食っちまえば?」とのたまい、

「あ、でももう古狸すぎて不味いか。食あたりしてもまずいから、死ぬまで放っておけば?」とのたまう愉快な場面が見られたであろうが、見られず残念であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんのじじい!!ロンを手前の保身材料に使いやがって!!俺が棺桶の中に叩き込んでやる!!!」

「落ち着いてください、あの老害じじいは必ず抹殺しますから。」

「・・・あのさ、そういうのって、ホグワーツの外でしてくんない?超迷惑だから。」

「ロン!!お前は悔しくはないのか!あのじじいにいいように使われて!!」

「全くない。」

 

日刊予言を読んだシリウス達が、未明から人の寮部屋に突撃してきやがった。

寝ぼ眼でどしたのいきなりと聞いたら、日刊予言を見せられて、二人が怒ってる理由が分かって納得をした。

 

顛末を知っている大人達からすれば、これほど馬鹿げた茶番はない!

アンブリッジがロンに攻撃をしてしまった経緯いは、セブルスからの情報で知っている。

あのロンの本気の深深度の怒りを買ったかと、ルシウスは理解した。

ロンはよく怒るが、滅多に心からの怒りを見せない子だ。

自分が知る限りそれはたった一度でドラコを暴漢から守ってくれた時に、ドラコを襲った

暴漢に対してだ。

自分の目では見てはいないが、息子が大きくなった時に、どのように助けられたのかを改めて聞いてみた。

ロンという少年は、面白く興味が尽きる事がない。自分達では考えつかない新案を次から次へと生み出してくれる子は、小さい頃はどのような子だったのかを、息子から聞いてみたくなって、

聞いた時は、それは本当に5歳児の台詞かと慄然をした。彼は幼少期より他者とは違う、

まさしく梟が不死鳥を生んだが如くだ!

 

だが自分の知るロンは冷たい怒りを見せずに、いつも口汚く怒鳴って怒っている。

主にシリウス相手だが・・あれは親愛の情で懐かれているのに照れていたのかと思うに、

ドロレース・アンブリッジへの侮蔑はすさまじいものだった。

 

その言葉と、ロンの凄まじい気配に怯えた末の錯乱状態であったとも。

 

昨日の朝にはシリウス共々ホグワーツに乗り込んだがアンブリッジのその場での逮捕と、

校長自らが現場で手当てをしていたので、明日には理事会を招集して腹黒狸を駆逐しよう作戦を水面下で練るはずが、今日のこの記事でご破算となった。

 

記事で泣いたのはファッジだけではない、打倒ダンブルドアを虎視眈々と狙っていた者達は一斉に肩を落とし、今回の一番の被害者であるはずのロンの部屋で盛大に愚痴っり、この人達って大人げねえな~とロンに内心で思われてしまうのであった。

 

 

ロンの中ではアクロマンチュラの件と、アンブリッジの件はもうかたづいた過去でありどうでもいい。たとえそれが三日も経っていない事であってもだ。

アンブリッジは自分に呪文で引きずり倒されたあと、屋敷しもべ達が連れてきたキングズリーの手で逮捕された。

 

 

「とんだ目にあってしもうたのう、Mr.ウィーズリー。」

「別に、呪文受けなかったし即逮捕で魔法省くびか、左遷されて終わりだろう。」

ああいった輩は、振りかざしていた権力がなくなった途端にかつての恨みの仕返しを受けて碌な末路にはならんだろ。

「キングズリーさんが本気で謝ってくれたからもういいよ。それよりも頼みがある。」

「ほ!こんな無能老人に君が頼みごとをするのかね?」

「・・・・あんた、今回の件は本気でこたえたようだな。」

おどけているようでいて、本心から己を無能と言っているのがありありと分かる・・分かってしまう。

こいつは本気で今回の一件を悔いている。瞳には常の煌めきはなく、どことなく憔悴をしている。ハリエット・ポッターが悲惨な虐待にあっていると知った時でも、心を揺らさなかったこいつが。

「・・あんたの目の前で-誰-が犠牲になった。」-ビクリ―

 

「・・・聞かないでおく。そいつを含めた者達の弔いを今すぐにしてほしい。」

「今すぐにか・・」

「そうだ。教授からあんたが各家庭に今回の一件の顛末を書いた手紙を送ったのは知っている。

今日の昼か、明日にはわんさかと保護者自身か、大量の抗議文と下手したら咆えメールでホグワーツの中が騒がしくなる。

何も知らずに騒ぐ者達が来る前に、俺達だけで葬儀を上げるべきだと思う。」

「・・場所はどこを?」

「森の近くの湖に沈めてほしいとロナンが言ってた。そこからなら死しても禁じられた森とホグワーツ両方が見られるからって。」

ケンタウロス達も、人間とは関わらないと言いつつも、ホグワーツを愛してくれているようだ。

 

「ケンタウロス達の意向か。良かろう、屋敷しもべ達にもそこでよいか聞いてみよう。」「そうだな、彼等はもしかしたら城近くの静かなところに眠ることを希望するかもしれない。」

一時間後、ホグワーツの教職員と生徒達、ケンタウロス達と屋敷しもべ達による葬儀が行われた。

シリウス達もいたけれど、静かに何も言わずに参列をしてくれた、なんと魔法省の人達も。

彼等にとっても生徒達を共に守った戦友という思いがある。その辺の機微をダンブルドアが拾い、

葬儀への呼び掛けをして参列を果たした。

 

死したケンタウロス達は、同胞の手によって湖の中にそっと入れられ、生徒達は思い思いに花を投げ入れた。感謝と悲しみと哀悼の意を込めて。

ケンタウロス達も哀悼の意を示す弓矢を放ち、しばらくしてからロナンがダンブルドアの側により、

「屋敷しもべ達の弔いにも我等は参列をする。」

そう言って、屋敷しもべ達の葬儀を促した。

 

亡骸は城の裏手に小高い丘があり、そこに埋葬をすることになった。

呪文ではなく、生徒が自ら穴を掘るとかって出て、一人一人が交代をしてすぐに深い埋葬穴が掘られた。

亡骸も浮遊呪文を使うことなく、数十の屋敷しもべ達が埋葬をされた。

土を掛ける時には教職員と、ケンタウロス達も手を貸した。

この時にもケンタウロス達は哀悼の弓を放ち、彼等の為に涙を流す者もいた。

種族こそ違えど、共に同じ敵を倒し、同じもの達を守り抜いた彼等に心からの感銘を覚えて、小さき彼等に敬意を表する。

暫くは城内は鳴き声で溢れかえった。

犠牲になった者達への悲しみが、遣る瀬無さが、ホグワーツを支配しつくす。

 

 

昼近く、泣いている者達も落ち着きを取り戻したのを見計らい、終了を告げた。

 

 

「彼等に救われた命を、大切にしようぞ。」

 

それはアルバス・ダンブルドアの本心であり、老魔法使いの万感の意が込められていた。

聞いた者達はその声の力の強さに、悲しみの中から立ち直る為の力を得た思いがした。

 

あのじいさんは本物のカリスマだ、良くも悪くもと、ロンは内心で苦笑をした。

 

シリウス達やヴォル付きクィレルはうんざりとする。

なんでこのじじいはこうなんだ、だから嫌いなんだとうんざりとする。

良くも悪くも力強いお言葉に振り回されまくった人生を送ってきたからだ。

 

 

「我等は赤毛の少年との約定により、この地を守る!さらばだ!!」

 

ロナンはケンタウロス達をまとめ上げ、去り際にそう言って去っていった。

赤毛の少年とぼかしたつもりなんだろうが、ロンをガン見していたからもろバレだ。

本当は後ろで目立たずに見送ろうと思っていたのに、屋敷しもべ達に見つかって、最前列に姿現しで連れてこられてしまった。

 

これでまたダンブルドアの嫉妬買うかな~と思っていたら、ダンブルドアは静かだった。

今回の件は本当にこたえたらしい、少しだけそっとして、明日に吊し上げ会開催しようとシリウス達は手はず整えに帰途につき、翌日の日刊予言を朝一で読んでぶちぎれロンの部屋にゴーをしたのだ。

ちなみに手引きをしたのはホグワーツの屋敷しもべのリジーちゃん。

彼女は役に立つと、ルシウスはリジーに両面鏡を渡して使い方を教え、早速次の日に役に立った。

-ホグズミードで待機をして、我等をロンの部屋に入れてほしい-と。

 

 

・・それってある意味違法侵入の犯罪じゃんと、眠いロンはうんざり度が増してしまった。

 

 

しかし転んでもただでは起きんじじいだ。朝食の前にちょっと行ってこよう。

「リジー、校長室に行きたい。俺一人で。」

昨日は生徒の親どころか、咆えメールもなかった。安否を問う大量の梟便は届いたけど。

ほんと、魔法界って危機感薄すぎ。日本でこんなことあったら、即日の内に一斉下校、臨時の説明会と記者会見でてんやわんやだろうに。

じじいが元気なうちに行ってくるか。

「かしこまりました!お着替えを手伝います!!」

「頼むわ。それとスキャバーズがまだタンスの俺のローブの中で寝てるはずだ。

もう少ししたら起きると思うから、肉やってくれるか?」

シリウス来たからもう起きてガクブルしてんだろうな~、「タンスの中が好きだからそこで上げてくれ、あいつ食い意地張ってるから食べこぼさないから。」

シリウスに合わせない様にしてやろう。なんだかんだと俺が赤ん坊のころから知っているし、情だって湧いても変じゃねえよな、うん。

 

着替えをして校長室に入ったら、昨日帰ったはずのキングズリーさんと他の闇払いたちがいて、ハグリッドもいた。

 

「えっと・・お邪魔・・」

「ロン――――!!!」

「んだよハグリッド!!」

巨体がのしかかんな!重い!!圧死する!!!

「俺んせいなんだよ!!」-ピクン―

「俺が!!アクロマンチュラを森で飼ってたんだ!!!アラゴクっていう可愛い奴と、ミモザっていう別嬪を番にして・・・良い子達だったのに・・・」

「・・・・・・・」

「・・う・・・ひ・・ロン・・・」

「・・・・・・・それを俺に言ってどうして欲しいいんだ、ハグリッド。」

「わかんねえ・・でも、森の奴等がお前さんに最大の敬意を払ってた。きっとお前さんは俺なんかよりもずっとあいつ等と深く関わっていたんだろ?

あいつ等の仲間を死なせちまって・・おれは・・何ちゅうことを・・」

 

 

そうか、とうとうハグリッドも見境が付いて、後悔を覚えたか。

これまでは何度も危険生物を飼ったらどれほど危険かを言っても、「あいつ等はちっとばかし元気が良すぎるだけだ。」と笑っていたが、危険を通り越して大惨事を産んだらそりゃ後悔するか。

むしろしなかったら俺がボコって埋めてたけどね。

「つまりこれってハグリッドが自首したの?」

「その通りだよ、ロン君。葬儀の後にダンブルドア校長に告白をして、最善の道を選んでくれたようだ・・我々としてはこうなる前に最善の道を取って欲しかったがな。」

 

 

・・いまさら言ってもしゃあない事を・・でもだ「ハグリッドを連れて行くのはちょっと待ってほしい。」

「・・いくら君の言葉でも・・」

「見逃してほしいんじゃない、ハグリッドにしかできない事をやって欲しいんだ。」

「・・・彼だけにできる事?」

「そう、その為に残って欲しい。」

長年森番をしていた彼にしか分からない道もある。

「このホグワーツの全見取り図を皆で作成して欲しいんだ!!」

「なるほど・・そうだ!その通りだ!!この城は謎に満ちすぎている!!神秘的を通り越して馬鹿馬鹿しい程に!

生徒を脅かしかねないバジリスクを置いておいた秘密の部屋の他にも脅威があるかもしれない!」

「やろうぜ!キングズリーさん!!手を貸せハグリッド!いいよな校長!!」

 

ホグワーツの見取り図があれば、敵が侵入してこられないようにできる!!今度こそ皆を守るんだ!

 

かくして子供の守りたいという願いと、大人たちの様々な思惑がまたもや合致をして化学反応を起こし、

ホグワーツ攻略マップ作成とあいなった。




転んでもただでは起きないダン爺様でした。

天使達が出なくて筆者もロンも辛いです。
次回からは天使達が普通に出られる通常に戻します。

何気にリジーは作者のお気に入りで、準レギュラーになってます。

突っ込まれる前に一つだけ。-忍びの地図-がもうあるじゃんと
思う方もおられましょうが、次回その話が出ますのでこうご期待。


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地図作りの道は一歩から

やっと天使達が書けました。


「昨日のロンがマジ怖かった・・」

「ハリエット、あれもロンの一部だ。僕らにあの怒りが向くことはない。

外敵駆除用だ。」

「貴方が一番ロンと付き合いが長いのよねドラコ。」

「お兄ちゃんと付き合いが長いのは私よ!ハーマイオニー!!」

「あいつ遅いな、飯食っちまうか。」

「もうちょっと待とうよ~。」

 

朝の大広間ではロンの天使達が会合を開いている。

四つの寮に分かれた友人達一同が、同じテーブルについて昨日のロンの事で話し合っている。

ハリエットとネビルにとっては昨日のロンはショックだった。いつだって優しく、怒る時も熱を発するロンの、氷の如くの怒りが。

「あいつは俺達の為ならばいざって時人殺しもためらわないぞ。」

ロンの心の在り様を正しく理解しているセオドールははっきりとハリエット達に告げた。

ロンは甘いだけではない、いざとなれば天使達の為ならば血にまみれる事も厭わないものだと。

それは自分も同じだからだ。色んな意味で綺麗なドラコと、大切な友人達を守るためならばどんな汚い手段も厭わない。

死喰い人のあの屑父親がとち狂って、帝王の仇とかハリエットに手を出して来たら躊躇わずにぶっ殺す。

「それであいつが嫌ならさっさと離れろ、あいつとお前達の為にもな。」

相変わらずドラコにくっつきつつ、セオドールは冷たく言い放つ。

自分にはロンほどの優しさや寛容さはない。それでも手段問わずなところは一緒だと自負している。

ロンが怖いならばさっさと去れと、天使達に言い放つ。中途半端にロンをしたって、無自覚にロンの心を傷つけられたらたまらない。

 

 

「お前達が離れたら俺泣いちゃうぞ?」

「「「ロン!」」」

「先走るなよセオ、でもありがとな。」

「・・・・うっせえ・・」

 

話に夢中になり過ぎて、ロンの接近に全く気が付かなかった。

 

「ロン!!俺はお前の事大好きだぞ!中身本当は真っ黒野郎でも俺は大好きなんだぞ!!」

真っ先にハリエットがロンにしがみつくように抱き着き、妹のジニーもすり寄り、朝からイチャコラなスタートを切ったのだった。

 

「ホグワーツの見取り図か。」

「今までなかったのが不思議だよな。」

「ってかここを作った奴等の神経疑う。動く階段だの消える扉だの馬鹿じゃね?」

「趣味性を疑うね。」

「秘密の部屋なんて超あぶねえじゃん。」

「ハリエット、バジどうした?」

「あいつも疲れたって、元の姿のまま部屋でグースか寝っぱなし。もう2・3日はねてたいって。」

「サラさんのもろ趣味部屋でか。」

 

 

もう子供達はホグワーツの創始者たちをくそみそに言っている。

我が子こんなんだったかと、聞いていたルシウスのこめかみが引くりとひきつる。

ロンの影響だよな~と、見ていたシリウスは思ったが言わんでおいた。

ちなみに聞いていた四大創設者達が、穴があったら入りたいと心底思う程にけっちょんけっちょんに言われまくった。

 

一通り言い終えた後にシリウスが突然立ち上がった。

今回の見取り図政策には秘策あり!!俺の株がハリエットを筆頭に天使達のお株は急上昇間違いなし!!

ロンだって俺の事を尊敬のまなざしで見る事うけおいだ!

「みんな、聞いてくれ。」

はやる思いを抑え込みえ、冷静に話し出す。ここではしゃいではカッコいい大人のイメージ台無しだ。

子供達はシリウスが何を言うのか注目をする。普段はハリエットにデレデレで、ロンに怒られては子供達に慰められている愉快なおじさんが何を言うのかと。

その後ロン達とどのようなドタバタ喜劇を繰り広げてくれるのかと、超失礼なことを期待して。

それ程までにシリウス劇場はホグワーツの日常化をしているのだ。

そんな残念な思いで見られているとはつゆ知らず、シリウスは注目に気を気をよくして胸をそらし、

重大発表をする。すなわち、

「俺とハリエットの親父を中心に、ホグワーツの見取り図を学生時代に作ってある!

忍びの地図と言って、この城の隠し部屋・抜け道はもちろん、登録していたホグワーツの関係者がどこにいるのか一目でわかる代物だ!!」

 

無論子供のする事だから全ての隠し部屋・抜け道・行った事のないスリザリン寮は無理だったが、

作業効率はグッと上がり、なにより学生がそんな凄いものを作ったと尊敬の念がバンバン来るだろう!

カモーン褒め言葉の嵐よ!!!

「「ご免なさい!!!!」」・・・なぜに謝罪の言葉来た⁉

「あの凄いものはシリウスさん達が作ったんですね!」

「代々のグリフィンドール生の元気者達が愛用していました!!」

「「無論僕たちもです」」

「そうか、今代はお前達が使ってくれたのかフレッド・ジョージ。」

「そうなんですが・・」

「ある日紛失してしまったんです!!!」

「・・・・なんだと――――!!・・アクシオ!忍びの地図!!!」

呪文唱えて待ってみたが、10分経っても来やがらねぇ~・・もうないという事になる。

仮にあっても呪文の通じない秘密部屋を探すのも困難だ。

「「本当にご免なさい!!!」」

・・・なんてこったい・・ヒーローになれるチャンスが・・ロン達に尊敬される機会がフイになっちまった・・・・・チクショウ―――!!!!!

あまりのガッカリ具合のシリウスを、ハリエットを筆頭に子供達が慰めまくり、ネビルたちによしよしをされるのだった。

 

 

 

悪いなシリウス、忍びの地図は俺が燃やした。

あれがあるとスキャバーズが困るから、今年の学年末試験のてんやわんや時に兄貴達のお部屋にお邪魔してちょろまかして燃やしました。

これで-ピーター・ペティグリュー-がホグワーツにいるって知られる心配は減った。

ハリエットには親の仇を取らせられないが、ネズミとして飼い殺しにするから許してほしい。

人間の幸せはもう味わえないのだから。

今もタンスでシリウス達が帰るのを待っているはずだ。最近はポケットにあいつがいないと落ちつかない。

早く帰って仕事しろやと少々邪険になっちまう。

 

結局地図作成配は一から作る事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあ君達こんにちは!!!!」

 

 

 

スキャバーズを脅かす、俺が珍しく苦手になる奴も交じって。




シリウスおつの回でした。


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何だこいつは・・

タイトルを変えました。

初めてロナルド・ウィーズリーが逃げます。


いい天気だ。晴れた空に白い雲、風は冷たいけれども快適なホグワーツ城内では気にもならない。

「昔のまんまでね、ここは。」

「相変わらず暢気者だな。今日は仕事で来たんだぞ。しゃんとしないと子供達に笑われるぞ。」

「・・・君をここまで変えた子供達か。会うのが楽しみだよ。」

「ハリエットにいきなり抱き着くなよ?」

「君じゃないんだから。」

 

シリウスは珍しく昼のホグワーツを訪れた。一人の男を伴って。

「これはシリウス様!お言いつけ下されば、リジーめがホグズミードにお出迎えをしましたのに。」

「ようリジー、いいんだよ。こいつと懐かしい学生気分を味わっていたんだ。」

「左様ですか。出過ぎたことを申しました。」

「気にすんな、仕事に戻ってくれ。」

「では、失礼をさせていただきます。」 -バチン-

「・・・・君が屋敷しもべにあんなに慕われているとは驚きだ。」ついでに言えば、あんなに温和な態度で屋敷しもべに接していたのも驚きだ。

「俺にも色々とあったんだだよ。・・・いつまでも子供でいたら-あいつ-に怒られちまう。」

「ふ~ん。あ、大広間につくよ。」シリウスを変えた-あいつ-はいるかな~。

 

 

「やあ、君達こんにちわ~!」何事も挨拶から始めないとね。

 

 

 

昼食を摂っていた生徒は、入ってきていきなり元気で爽やか挨拶かましてきた男に驚いて食べる手を止めて男に注目をした。

(やっぱり挨拶は大切だ。きちんと注目をされた~。)

男の目論見は当たり、昼食ン手を止めてこちらに振り向いてくれた生徒達に満足だ。

さて、一番に会いたい子は~、いたいた!

「君が-大きくなった-ハリエットだね~。」

スリザリン寮のネクタイをした、長い癖ッ毛の黒髪のハリエットを見つけた~。

両親ともにグリフィンドールなのに、スリザリン寮に入った変わった子だね~。

 

「初めましてではないけれども、こんにちは。」

「え?・・・あ・・おう・・」

「僕はリーマス・ルーピン。君のお父さんお母さんの友人で、君が生まれた時と1歳の誕生日に会ってるんだよ。

そうはいっても覚えてはいないだろうから、初めましてかな。」

「あ・・父さん達の・・そしたら・・」

「そう、そこにいるシリウスとも古い付き合いなんだよ。今回ホグワーツの見取り図を作るのに駆り出されてね。

君は知らないかい?僕のあだ名は-ムーニー-だ。」

「「ムーニーだって!!!」」

 

 

リーマスと名乗った男はいきなりハリエットに急速接近をし、ハリエットは少々警戒をしていた。

また自分を英雄云々いう奴かと思ったら、フランクで父さん達とシリウスの友達で、ムーニーって言ってきた。

何それと思ったら、ジョージ・フレッドの方が反応をしてきた。

「貴方が忍びの地図を作ったお一人ですか!」

「悪戯仕掛け人のお一人ですか!!」

あ~そっちか、「ご免、俺あんたのこと覚えてないし、仕掛け人てのも知らないんだ。俺はハリエット・ポッターだ、よろしくな。」

「そうだね、今日から知ってくれればいいさ。ハリエットと呼んでも?」

「もちろんだ。」

シリウスと同い年には見えない、鳶色の髪に白髪が混じった大人の人だ。・・この場合、シリウスが子供すぎるのか?

セブ先生も、クィリル先生も30代で落ち着いた大人の人で、ルシウスさんもロンのお父さんも皆感じのいい大人だ。

でも、子供っぽいシリウスも好きだしまあいいか。

 

シリウスが聞いたら嘆いて落ち込んで、最後には大喜びをしてハリエットにデレデレする様な事を瞬時に考えながら、リーマスと握手を交わした。

大きな手はごつごつとして、シリウス達よりも固い労働者の手をしてる。

人懐こい笑みもよく似合うリーマスを、ハリエットは瞬時に好きになった。

 

おやおや、苦労してきた割には無防備な子だ。こんなに簡単に初対面の僕を信用するなんてね。

「早速仲良くなったか。ハリエット、こいつは俺とジェームスのいたずらを陰で指揮していた黒幕だ。

見た目に騙されるとおっかないぞ~。」

「へっ?そうなの。」

「こらこらシリウス、ハリエットと握手したくらいでやきもち焼いてとんでもない事を吹き込まないでよ。

僕は-暫く-ホグワーツにいるんだから。君達もよろしくね。」

周りの子供たちんもきちんと挨拶しないとね。

「初めましてMr.ルーピン、僕はドラコ・マルフォイと言います。」

「・・ルシウスの子か。お顔立ちはお母さんに似たんだね。よろしくえっと・・」

「マルフォイでもドラコでも結構です。Mr.・・」

「そしたら君達もリーマスと呼んでくれ。僕は偉い大人じゃないからね。」

「では、リーマスさんはいかかでしょうか?私はダフネ・グリーングラスと申します。」

「これは愛らしいレディーだ。」

「僕はネビル・ロングボトムです。」

「君がオーガスタの・・君のご家族には大変世話になった。ネビルと呼んでも?」

「はい!・・父さん達の事を・・」

「知ってるよ。優しい強いご両親だ。」

「はい!・・はい・・ありがとうございます。」

 

リーマスは天性の話術で次々と子供達と仲良くなっていった。子供達との会話のどこかに褒め言葉や、肉親の話を入れる事で親近感を持たせ、あの警戒心が一番強いはずのセオドールですら握手を交わしたほどだった。親しみやすい笑みにつられてしまって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遅くなった。スキャバーズの奴、何で大広間に行くのあんなに嫌がったんだ?いつもなら食い意地張った奴なのに。

あいつのせいで昼食に遅くなったって、いつもよりも大広間が賑やかだ。なんかあったか?

「そうか、君たちは今代の悪戯仕掛けになるわけだ。」

「そうです!僕達と、このリー・ジョーダンを入れて」

「日夜皆を笑わせる悪戯を研究し!」

「日々ホグワーツに笑いを振りまくことに励んでます。」

なんか、兄貴達とリーさんが知らない男と笑顔で話し込んでる。

鳶色に白髪の混じった・・なんか・・変わった人だ。

どこがと言われればきちんと言えないが、どこか変だ。何でかそう感じる。

「おや・・・おや!!」げっ!!こっち向きやがった!何だあいつは⁉

 

 

 

この匂いは、間違えようはずもない!!-懐かしき友―の匂いがする!!

振り返ってみれば、扉付近には赤毛の子供しかいない。

背は高くがっしりとしてそうだが線の細さを感じさせ、顔にはそばかすがあり、まだあどけなさが残った少年だ。

しかしその少年から匂いがするのは間違いない!!

「君はローブのポケットに何を入れているんだい?」

「・・・は?」

「隠さないでいいんだよ?おじさんに教えてくれないかな。僕の名前はリーマス・ルーピンといって、そこにいるシリウスの友人だ。」

「え・・シリウスいたの?」

「君の名前は?」

「・・わりい・・俺の名前はロナルド・ウィーズリーだ。」

「そうかそうか!君がロン君か~。」

 

・・・何だこのおっさん・・何でじりじりと人に寄ってくる!!そんな笑みを浮かべて近づいて来るな!!!

気持ちが悪くて、吐き気がする・・こいつには近づきたくない!

「捕まえた~、よろしくねロン君?」

「俺は・・」

「さて、何をポケットに隠しているのかな~?」

双子たちの会話を切り上げ、ロンにゆっくりと近づいたリーマスは逃げようとする気配を漂わせたロンの両肩をやんわりと捕まえた。

傍から見れが大人に照れているロンと遊ぶ少々変わった大人と映ろうが、半人狼のリーマスは野生の狼の勘ですぐに分かった。

ロンは本気で自分から逃げようとしていると。どうやら相当-勘-のいい子供のようだ。

それよりもだ!おや・・いない・・「ポケットの中身はどこにいる?」

「う・・・うるせぇ!!デパル・・」

「おっとご免、いきなりでぶしつけだったね。君から懐かしい匂いがしてね、学生時代を思い出してついはしゃいでしまったよ。悪かったねロ・・」

「黙れ!!俺は名前を呼んでいいなんて言った覚えは無え!!」

「おやおや、気を悪くさせてしまったようだね。お詫びにチョコレートでも・・」

「結構だ!もう行く!!」

「あ!ロン!!・・行っちまった・・」

「ルーピンさん、ロンに何か?」

ロンのらしからぬ態度にハリエット達は驚き、リーマスに何事かを問うた。

まるで逃げ出すかのようなロンを見て心配になる。

「君達もすまないね。嫌われてしまったようだシリウス。」

「お前は-人懐こすぎる-んだよ、リーマス。ロンは自分はずかずか人の心の中に入って来る癖に、自分がされるのはあまり好きじゃないんだよ。落ち着いたらもっぺん謝っておけ、あいつは優しいからすぐに打ち解けるさ。」

「そうか~。」そうだといいね、シリウス。でも残念、あの子は聡過ぎるようだ。-彼-が警戒をしている訳がようやく納得をした。

たかだか二年生の少年に固執し、ハリエットよりも優先事項のお達しをしてきた訳が。

あれは面白い子だ「ホグワーツは退屈をしない、いい所だ。」

「そうだろう、よろしくなリーマス・ムーニー。」

「ああ、よろしくねシリウス・パッドフッド。」




リーマス・ルーピンの回でした。
読んだ人はお気づきになられたかと思いますが、-まともな性格-のルーピン先生ではありません。
ロナルド・ウィーズリーが逃げだすほどに。


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ロナルド・ウィーズリーとは

リーマス・ルーピン視点です。


          僕は一体-誰-の話を聞いているんだろう。

 

 

大広間ではロナルド・ウィーズリーに逃げられてしまった、残念だ。人目が全く無い二人きりならば、僕はあの子の両肩を掴んだまま跪き、あの子の隠しごとの匂いをたっぷりと嗅ぎまわしたのに。

こんなおじさんに鼻をこすりつけられたらあの子はもっと僕を嫌悪して、いい顔してくれただろうに、出来なかったのが残念。

次の機会にするかと思ったら、-邪魔-が入った。

ロナルド・ウィーズリーが去って少したらあら不思議日の光指す大広間に似つかわしくない、

大蝙蝠と-寄生している蛇男-が扉を乱雑に開けて押し入ってきた。

「・・・貴様か、リーマス・ルーピン。」セブルス眉間のしわ寄りすぎ、目から殺気出しすぎ。

「・・-あれ-か・・成る程、あいつが嫌がった訳が分かる。」何を一人で納得しているのかな蛇男は?

「やあ!久しぶりだね、セブルス!!」一応-旧交-は温めよう。

僕はジェームズ達と違って彼を嫌いになった事は一度としてない。

「・・貴様に名前呼びをされる筋合いわない。」あ~、こめかみに青筋引くつかせてまた振られた。

「そういわれたの今日で二度目、僕悲しいよ?ん皆で仲良く・・」

「はっきりと忠告をしておこう。」おや、人の話を遮って悪い子だなセブルスは。

「何だい、スネイプ先生?」これなら満足だろう。

「・・二度とロナルド・ウィーズリーに近づくな。」・・おや以外。

「彼が僕の事で君たちに相談をしたのかい?」人に泣きつくとは意気地のない子だ。見込み違いかな?

「違う、大広間の戻り道で吾輩たちと行きあい、様子がおかしいら問い詰めた。頑固だからレジリメンスを使う事を告げたら端的に-変な奴に会った-と言っただけだ。」

「・・ちょっと待って!その変な奴の名前言ってないの?」

「あれは告げ口なぞ本来はせん。脅したから渋々一端を言ったにすぎん。」

「それで・・なんですぐに僕が犯人扱いされるの?確かに気分を害させたのは謝るよ。

でも僕でない可能性も・・」

「あれは聡い」・・その通りだけど・・

「貴様の中身を本能で悟って厭うた・・そういえば貴様でも察しが付くだろう。」

僕が半人狼だって事が原因だって言いたいのかな?

「手前!スネイプ!!いい加減にしろ!何でお前がこの件に口をさしはさむ、ロンとリーマスの

個人ごとだろう!!」

「・・相変わらず貴様は周りを見ていないなシリウス・ブラック。では問おう、かつてロンが何かから逃げるような素振りを、一度でも吾輩たちの前で晒した事があったか。」

「逃げたって・・怒って立ち去っただけだろう?」

「あれの怒りを散々浴びてきたお前がそれを言うのか。では駄犬にも分かるようにご説明しよう。

ロナルド・ウィーズリーの怒りは炎が発するが如くか、先日の様なドロレース・アンブリッジの様なものを指す。

対して今回のあれは、傍から見ても分かるほど青白い顔をして足早に大広間から遠ざかろうとしていた。それを逃げると言って何の差支えがある。」

「・・悪い事したね。後で謝らないと。」成る程本当に聡い子だ。僕の半人狼をどうしてか察したのか、それとも僕の-本性-に気が付いたのかどちらなんだろう。

 

この隣で僕の為にセブルスに怒ってくれた親友殿も、聡明と評された今は死んでいないジェームズだって、僕の本性を知らなかったのに。

知っているのは数少ない。今回僕にロナルド・ウィーズリーを調べるように言ってきた彼と、僕を噛んだフェンリルグレイバックと、今目の前にいるこの男セブルスだけだった。新たに彼も加わるか・・いや、蛇男もか。黙ってるけど、さっきから僕への視線が痛いんだけど。

体がミシミシ言いそうなほど圧を掛けてくる。

それも僕しか感じていないようで、隣にいるシリウスもハリエットも変わった様子はない。なんて芸術的ともいえる精緻で素敵な圧の掛け方だろう。

初見で分かった、こいつはヴォルデモート付きの男だと。-彼-からそんな情報は貰っていなかった、こんな愉快で物騒なのがホグワーツにいるなんて。相も変わらず酷い御人だ。

後で楽しくいびってやる。彼の困り顔も大好きだから楽しみだ。

ヴォルデモートの匂いは嗅いだことがあるから分かる。僕は匂いを記憶してしまっておける、絶対に間違えるはずもない。

「もういい、この男には何を言っても通じまい。放っておくぞ。」

「貴様が吾輩に指図をするな!」

「・・・不毛な事よりも、建設的な事をしろと指摘をして何が悪い。」

「・・・・お前の言う事を聞くのではないぞ。」

「好きにしろ。」

僕の事を無視して立ち去ろうなんてつれないなあの蛇男。

「初めまして、僕はリーマス・ルーピン。」

「・・・クィリナス・クィレル・・見知り置くつもりはない。」

「本当に悲しい、せめてロ・・」-ギロリ!-

「・・ウィーズリー君への謝罪の機会を与えてくれないかな。」おお怖い怖い、二人揃って睨んでくる。

「「断る」」しかも断り方までお揃いで、素晴らしいハーモニーを奏でてる。

二人にここまで守られている子供なんて、この僕が放っておくはずもないのに。

逃げれば逃げるほどに駆り立てたくなる、狼の本能かな?この二人の狩人に守られている赤毛の少年・・まるでマグルの世界の赤ずきんちゃんだ。

子供達からすれば大人びた友人に映っても、大人の僕からすればまだまだ可愛い子供だ。

-彼-は本当にいい子供を寄越してくれた、どんな子供か調べるのが本当に楽しみだ。

 

二人が立ち去った大広間には微妙な空気が流れた。

シリウスは気にしなくていい、彼は謝れば許してくれると慰めてくれているけど、子供達は先ほどのフレンドリーな気配が薄らいだ。

あの二人はどうやら子供達に信頼をされている教師のようで、発言力も強いらしい。

セブルスの寮の子は、あからさまではないにしろほんの少しだけ僕に対しての警戒心が芽生えたらしい。

あの少年の兄妹なんて完全に警戒のまなざしを向けている。さっきまでは僕の事を悪戯の師として尊敬をしてくれていたのに、ロナルド・ウィーズリーが掛かるとこうなるか。

大なり小なり警戒された・・やり辛いなこれは。シリウスは僕の事を買い被ってくれているから

情報はそっちからとるか。ハリエットは僕をどう評価するかで戸惑っているってところかな?

仕方がない、子供達からの情報収集は完全に手を引こう。この状況で探り程度であっても、完全にロナルド・ウィーズリーの敵扱いをされかねない。引き際は肝心だ。

適当に笑い話と世間話をして、-地図作成-の仕事に行くことにして、大広間を後にした。

 

それにしても凄いなロナルド・ウィーズリーは。セブルスの庇護を引き出して、闇の帝王まで手懐けちゃうなんて。

それに屋敷しもべ達もか。

「ロナルド・ウィーズリー君に会いたいんだけど、どこにいるのか知らないかい?」

屋敷しもべ達は基本人間に忠実だ、知っていれば素直に教えてくれて、知らなけらば捜そうとしてくれる・・筈なんだけど「あの御方に何か御用でしょうか。」

質問を質問で返す屋敷しもべって初めて見た。

「僕は彼の友人だ。ちょっと用があってね。」適当を言ってみたら、

「ならば必要と思えばロナルド・ウィーズリー様が直接あなたを尋ねるでしょう。」

・・彼なんで屋敷しもべから様付けされちゃってるの?

「悪かった、嘘を言った。僕は彼を怒らせてしまってね。仲直りをしたいんだよ、だからね」

「ならば尚更です。その事を許すか許さないかをお決めになられるのはあの御方自身です。

卑しき我が身が橋渡しなぞ出来ようはずもありません。」・・これはまた・・

「えらく彼を評価しているんだね。それって君だけ、それとも屋敷しもべ全員の総意かい?」

「・・貴女はご存知か、我等がが今こうして日の下で暮していられる訳を。」

「知ってるよ、闇の帝王時代は君達の扱いは特に惨かった。」知ってても助ける気零だったけど。

弱い奴は奪われ、侵され、殺されていった時代の話だ。弱い奴のことなぞ気に留めてやる必要性が分からない。

「その帝王を倒したハリエット・ポッター様もまた、あの時代の我等と同じく惨い目にあわれながら成長をされてしまった。」

「・・シリウスから聞いている。そしたら君達が忠誠を誓うべきは闇の帝王を倒したハリエットの方なんじゃないかな?」

「確かに、その通りです。我等を救ってくだされたのがハリエット・ポッター様であるならば、

そのハリエット・ポッター様をお救いしたのがロナルド・ウィーズリー様なのです。」

「・・どう言う事?」

「はい、ハリエット・ポッター様は酷い状態でこのホグワーツにお越しになられた。

ハリエット・ポッター様を癒すべく、ロナルド・ウィーズリー様はかの方の寮をスリザリンに、どこよりも愛情深き-蛇の寮-に入れて欲しいと、組み分け帽子様に泣きながら願ったのです。

己ご自身でもハリエット・ポッター様を守ると力強く誓いながら。」

「そうか、そんな事が。」

「はい、それのみならずロナルド・ウィーズリー様はハリエット・ポッター様の御心を真の意味でお救い下さいました。」

「どういう意味かな。」

「・・お目覚めになられたハリエット・ポッター様の御心はあれており、自暴自棄の様になっていたとお見受けをしました。」

「それは無理ないでしょう。状態をシリウスに聞いたけど、よくぐれなかったと思うよ?」僕なら世界全て呪っちゃうよ。

「それを見抜かれたロナルド・ウィーズリー様は、厳しい御言葉をあえてハリエット・ポッター様に浴びせられ、かの方の心に渦巻いていた怒りや憎しみの念を表に出させる事に成功をされたのです。

それをしてハリエット・ポッター様は憎しみにまみれた御心を捨て去る事が出来、まさしく無垢なる赤子となる事が出来たのでございます。

偽りの笑みを張ることなく、分からないことを素直におっしゃり、今も手探りでこの世界をロナルド・ウィーズリー様とその御友人達と歩まれているのです。

故にこそ我等屋敷しもべ全員は決めたのです。

我等はホグワーツと現校長に従う事を定められていても、我等を救ってくだされたハリエット・ポッター様と、その御方を救ってくだされたロナルド・ウィーズリー様に忠誠を誓う事を。」

誰に命じられたわけではない、正真正銘屋敷しもべ全員で考えて決めた事だ。

「分かった、無理を言って済まなかった。」ここも撤退しないとか。

この様子だとゴースト達からの情報収集もやめておこう。

 

 

他の大人から話を聞いた。

 

ミネルバ・マクゴナガルに彼を怒らせてしまってと、同情誘おうとしたら怒られた。

彼女曰く、彼ほどグリフィンドールらしいグリフィンドール生はかつて見た事がない。

どの様な事にも毅然とした態度で立ち向かい、大切な者達が危機に陥れば口悪くとも真っ先に敵に立ち向かう勇敢さを持ち、誰よりも慈悲の心を持った少年だと。

近くにいたフリットウィクもアクロマンチュラ騒動での彼の活躍から、あのドロレース・アンブリッジを逮捕に至らせたことも話してくれた。

そうか、彼があのカエル女を失脚をさせてくれたのか。

あいつの書いた半人狼なんて馬鹿げた物のせいで迷惑かけられた・・いつかフェンリルをけしかけて、あいつ自身が言っている-醜い半人間-にしてやろうかな~と楽しく目論んでいたのにご破算になった。

アズカバンまで行くリスクを冒すほどの相手でもないのでやめたけど、カエル女を出汁にして、

ロナルド・ウィーズリーに近づくか。

カエル女の掲げた半人狼法のせいで苦労したとかなんとかお礼を言って。

 

ミネルバにロンの事で説教されてもそんな考えを巡らせる。内容はどうせ素晴らしい彼を怒らせて云々っていうのが容易に想像が出来て、ありきたりで詰まらないから。

 

ハグリッドに聞けば、「ロンはいい奴だ!!あいつにはもう俺は・・俺にできる事を何でもしてやる!」

おやまあ~、ダンブルドアにしか忠誠を誓うことなぞついぞなかったこの男の心まで手に入れて。

まだ僕の事を知らない子供達に聞いてみれば、おっかない時もあるけれども優しい先輩、頼もしく毅然とした後輩。いつも愉快な事をしてくれる、他者を心の底から笑わせてくれる温かい人。

そうかと思えば、アクロマンチュラ達を次々に屠った凄腕で冷徹なところもある子供。

ゴースト達に至っては-若き炎の獅子王-何て呼ばれちゃってる。

・・・僕は先程実際のロナルド・ウィーズリーに会った。

僕から逃げだした弱い子の筈なのに、出てくる話を聞いて纏めてみたら、一体どこの英雄譚の英雄様か、もしくは聖人君子様かになっちゃった。

彼って確か12歳の子供だよね?。

 

 

ホント、僕は一体-誰-の話を聞かされたんだか。ロナルド・ウィーズリーの事を聞いたはずなのに。




とんでも野郎に目を付けられてしまったロン君でした。


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誰が相手でも負けるか!!

負けっぱなしで終わるロナルド・ウィーズリーではありません。



「彼は一体何なんですか?」

「・・それをお主に調べて欲しいから呼び寄せたのじゃが?」

「でも僕の-用向き-はシリウスからの依頼ですよ?ホグワーツの見取り図を作るから手を貸せって。

彼には借りがありますからね~。半人狼の僕なんかを、彼の持っている店の一つの店長にしてくれた借りが。

ああ、貴方にも借りがあるのは自覚していますよ。-将来人狼のスパイ-が欲しいから、半人狼の僕を特例で入学させてくれた借りが。」

リーマスは-校長室-の机に腰を掛け今回の依頼主の長い白髭を弄びながら、依頼主の心も弄りながらにこやかに告げる。

ホグワーツはいれた理由はずっと前から知っている、それこそ学生時代から。

自分をホグワーツに入れてくれた彼をずっと見続けているうちに。

これがミネルバの様な善意の塊の様なものだったら、そんなことは考えなかっただろうが、彼はどこか打算を感じさせる。つまるところ将来の自分に恩を売るための行動で、自分を子飼いにしたいのかと察しはついていた。

でも別にいい。この人は自分の本性を知っても逃げなかった数少ない人だ、大事にしてあげないといけないな~。

この人は本当は寂しがり屋で、グリンデルバルトやヴォルデモート並に本当の愛を知らないおバカさんで、寂しいから虚栄心と名誉欲で満たされたくて、顔も知らない大勢から名前を呼んで欲しがる愚かな人だ。

足元を疎かにして、本当に自分の事を思ってくれている人たちに気が付かずに、孤独だとか思っちゃっている愉快なおじいちゃん。

 

そして実は小心者で嫉妬深い。

現にロナルド・ウィーズリーのこれまでの-功績-報告したら顔色変わった。

曰く今魔法界の間で有名な-子供の家-のアイディアを出したのは彼だった。

今や子を持つ魔法族の間では子供の家は大人気。共働き世帯と一人っ子や兄妹が減ってきた中同世代か身近な子供が少ないので、子供の世界を広げてあげたいという親たちが増えている。

子供の家ならば簡単な昼食と大きめの水筒を持たせれば半日はお任せだ。

出資しているのがあのブラック家とマルフォイ家を筆頭に、名の通った名家たちが運営をしているからセキュリティーは万全に敷かれているうえに、自分達の親と同い年の魔法族達が子供達を室内で見守りつつ、古い魔法やしきたりをきちんと教えてくれる。

更には月に一度は外部から講師が呼ばれ、あの魔法生物の第一人者のニュート・スキャマンダーが招かれた時には-親も見に行っていいですか!-の問い合わせが殺到したほどの人気を博した。

その子供の家の発展で、後1・2年で-魔法幼稚園-なるものが出来るという。

6・7歳のからホグワーツ入学する前の間に通えるミニホグワーツで、寮生ではなく通いで実施をするという。

上流者の空いている古城を改装をして、通いたい者達の家とポートキーと煙突ネットワークを繋げて安心をして通える仕組みで、教師はホグワーツの教師枠には入れなくとも、教師をしたいという熱心な者達を面接をし、合格をした選りすぐりの者達だ。

無論強制ではなく、ホグワーツへの予備準備としてはどうかというお手軽な物。

寮制と違ってホグワーツよりもかかる費用が少なく、将来性はあるが貧しい家の子供は早いうちから融資を持ち掛けるという福利厚生もしっかりとしている。

未就学児を探すのは魔法省と連携を図り、マグル生まれの子も対象視野に入れている。

両親が双方マグルなのは魔法使いの子にとっては辛い事が多い。ある日普通だった我が子が、突然浮いたり泣いただけで物が壊れたらホラーだが、未成年魔法の感知を受けた時点で

魔法省の役人がきちんと説明に行き、その時点で魔法を正しく教えるところがある事を知れば、

マグルの両親も安心をし、マグルの両親から虐待を受けてしまう子供も救済できるかもしれない素晴らしいシステムだ。

 

これが成功を収めれば、魔法界にとっては革新的な出来事だ。

無論説明をされたからと言って全ての親たちが納得するわけでないのも知っている。半純血の子供も捨てられるほどだ。

マグルの両親だって分かったからこそ捨てるかもしれない。

その為のシステム案ももう出ている。子をいらないと言った親から子を引き取り、手厚く接して子供の心が癒えた時に、子が欲しくてもできない魔法族の両親に養子縁組をするシステムだ。

聖28一族でない限りは血筋だのなんだの言ってくるものは少ない。子が欲しい魔法族の夫婦と、親を欲する幼い魔法族の子供の縁持ちを、子供の家が仲介をする案だ。

法的手続きは魔法省が、縁組の適正調べとその後の経過見守りを一手に子供の家がと役割分担の土台も出来ている。

子供の家がそれらを可能にしているのは、きちんとしたマンパワーがあるからだ。

今より5年前に、魔法省が秘密裏に行った闇陣営の者達の強制的な校正プログラムが終わり、100近い魔法族が子供の家のスタッフとして日夜働いており、ローテーションでは週に1日・2日とあぶれ気味なのと、スクイブであっても魔法界との縁を切りたくないという、アーガス・フィルチの様なもの達を雇う算段をしている。

 

 

 

この国家規模ともいえる一大プロジェクトの立役者がなんとあのロナルド・ウィーズリーだという。

シリウスから聞かされた時は、こいつ何を寝言を言っているんだという生暖かい目で見てしまい、

俺の言う事疑うのかと喧嘩になりかけた。

だって仕方ないじゃないか、たった7歳の子がそんな凄い事の発端を作りましたなんて言われたら、普通そういう反応になっちゃうよ。

でも調べていれば全部本当だと分かった。全くもって冗談みたいだが。

「彼その内に魔法省から勲一等マーリン賞を貰えるかもしれませんね。あなたとお揃いで。」

-ピクン―

「ふふ、妬いてますか?でも彼が積み上げた功績総合するとそうなりますよ。魔法省も貴方に対抗できる者がいないかを鵜の目鷹の目で捜しています。

幸いあの子は貴方が大嫌いで、貴方の庇護を受けていない中流階級の六男坊。魔法省、特に現魔法大臣にとっては操りやすい取り込みやすい子に映るでしょうから、自分の懐が痛まない賞なんていくらでもばら撒くと思いますよ?

彼にはアクロマンチュラでの功績もある。諸々を含めればシリウスやルシウス・マルフォイ、ホグワーツの教職員、それに貴方のお気に入りのマクゴナガル先生だって彼の勲章授与を検討されていると知れば推薦されるでしょうね~。

このホグワーツをも変える一端を作った奇跡の子供として。」それこそヴォルデモートを倒したと言われているハリエット・ポッターの如く。

世間とは新しい物好きだ。古い功績よりも、リアルタイムのものを好む。それもまだまだ成長をして、物語を紡ぐ様に昨日と違う物を作ってくれる者が。

そこの子供を応援することで自分も凄い事をしている気になる馬鹿たちの、なんと多き事か。

「貴方はそんなことが許せるのですか?」

「・・・リーマス・・儂は・・」ふふふ、本当に困り果てて悩んでいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       「貴方は本当にかわいらしい御方だダンブルドア先生」

 

 

 

自分の醜い心からずっと逃げ回ってている可愛い老魔法使い。今だってロナルド・ウィーズリーを羨んでいるのに自分の立場と見栄からそれを受け入れられずに今にも泣きそうだ。

「僕はずっと側にいますよ。」可愛いあなたの破滅を見られるその日まで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・あいつ・・あのじじいの手先だったのか・・きっしょ!!何あいつ!真性の変態か!!!!

あのじじいを手玉に取ってるとかあいつすんげえやばい奴だ・・関わり合いたくねえぇ~

 

「スキャ、もいいから逃げて来い。」

「ちちゅ~!(合点!!もう限界!!!)」

目薬の魔法が聞いてるときは、半径10キロは俺とあいつは脳内通信が可能だ。

と言っても俺の思念があいつに伝わっても、俺にはあいつの鳴き声しか届かないから何を言っているのか不明なところが難点だ。

でもあいつ本当に抜けてんのな、普通魔法族に飼われているからって、ただのネズミが人語を解するなんておかしいと思われるとか考えてないだろう。

でもいいか、あいつはもう俺のだし。-バチン-無事に俺のポケットに逃げ込めたか。

「ご苦労スキャ、ありがとなリジー。後で・・」

「はい!スキャバーズさんに特上のお肉を!!」

「うん、頼む。本当にありがとう。」

 

俺は完璧にリーマス・ルーピンを敵と認識をした。

大広間での一件は、あいつにとっては単なる前座にもなって無かった。

初めて他人が気持ち悪いと思った。大広間から無様に逃げ出して、偶々会った教授と、後から来たクィレル先生に何があったって聞かれるほどの有様だったらしい。

脅されたので端的に白状をした。頭ン中覗かれるなんて気色悪いから。

白状した俺を、教授は屋敷しもべに言ってクィレル先生の自室に姿現しをさせた。

何で教授のところじゃないんだって思ったけど、眠くなってクィレル先生のベッドで眠っちまった。

目が覚めたら二人がいた。「今夜はここに・・」

「・・お前の部屋が・・」

「吾輩の部屋は知られている。癪だが現段階ではあいつよりは貴様の方が多少はましだ。」

「・・・俺様がこの小僧を・・」

「今手に掛けるメリットがどこにある?不完全な今の貴様が・・あの腹黒狸の思うつぼになりたいと?」

「・・・・・それはもっと嫌だ!あいつなんぞさっさと滅びろ!!元凶が!!!!」

「・・・激しく賛成だよ先生。でもうるさい。」

「「ロン!!!」」

「えっと・・あの後どうなったの?今何時だ。」

 

目を覚ましていた俺に気が付かずに、あんな際どい会話するなんてどうかと思うぞ。

クィレル先生は一応普通の教師なんだから、あんな会話したら超怪しい人認定だ。俺はもう正体知ってるからいいけどさ。

 

 

今はもう夜で、俺は気分が悪いから寮にいる事になっているらしい。俺の部屋が一人部屋なのが幸いをした。

そっとしておくのが一番だと教授が皆に言ってくれて、俺の居場所はあいつにも知られずに済んだ。

「今夜はこの部屋に泊まれ。」

「・・あいつだって、俺の部屋まで来ないだろう・・」

「まだまだ甘いな。いいかねロン、あの男はお前が感じた通りの男だ。自分の楽しみの為ならば規則も倫理も平気で無視をするような輩だ。」

学生時代にリーマスに気に入られてしまい、ある日寮の自室にて待ち伏せを受けた。

-君と仲良くなりたいんだよ-嗤っていた、おもちゃを見る無邪気な子供の目で。

「・・教授ってスリザリンじゃ・・」

「どうやって入り込んだのかは今をもって謎だ。当時の屋敷しもべ達は、今の様に生徒に対して姿現しのエスコートなぞしなかった。もっと言えばいないものとして存在をしていた。

今の様に協力をしてくれることの方が稀なのだよ。」

・・本当に気持ちが悪い奴だ!!あいつ何⁉ストーカーの類なの?とっ捕まえてボコっていいの⁉やっちゃうよ俺?

「・・気持ちは分かるがあれは質が悪い。あいつの本性を知っている人間なぞ片手にいるかいないかだ。

この件では駄犬を頼ろうなぞとは思わない事だ。あいつの事を心の底から親友だと思っているんだからな。」

「・・教授はどうしてあいつの本性を?」

「・・・私はいい家庭環境に恵まれてはいなかった。故に不味い者に対して敏感でな。」

お陰で初対面で一発で分かってしまい、握手の手を嫌悪感丸出しではたいてしまったのが運の尽き。

あいつはびっくりとした後に嗤った。口と両目が三日月の様になったゾッとする笑みを浮かべて。

その顔と同じく、心根の歪んだ男だった。

自分を気に入った癖に、ジェームズとシリウスの質の悪い悪戯を黙って見ていた。それでいて学生の間、ずっと自分と友達になりたいと言い続けて付きまとってきた奴だ。

「お前の部屋にも押し入ってこよう、私が見張っている。」あいつはそれすらも見越して

それでも侵入してくるだろうがな。

 

 

 

そんな馬鹿なと思ったら、翌朝に教授からうんざりとする報告が入ってきた。

教授が俺の部屋に行った時にはもうリーマス・ルーピンがいたと、しかも酒瓶もってゴブレットを二つと、酒の肴を沢山持って・・俺の部屋なんだと思ってるんだよあの変態・・

教授がぶちぎれて追い出して、リーマス・ルーピン用の守りの結界を張ってくれたって言ってくれて一安心だ。

スキャの奴は俺がクィレル先生の部屋で寝ている間に、俺の事を探して見つけてポケットの中に入っていたから見つからずにセーフだった。

スキャはあいつの事を怖がっていたのか。多分あいつがホグワーツの敷地内に入ってきたのを感じて怯えて、大広間に行きたがらなかったんだ。

教授が行って、クィレル先生も中座した時にスキャをポケットから取り出した。

遠くにいるのにあいつに怯えているのかブルブルと震えている。ヴォル付きクィレル先生にだってここまで怯えていないのに。シリウスの時だって。

「大丈夫だよスキャ。」そっと両手で握りしめて、温まるように吐息を掛けてやる。

「お前は俺のものだ、どんなことをしても守ってやる。その為には協力をしてくれ。絶対にお前を守れるように、あいつの情報が欲しい。」

屋敷しもべ達やケンタウロス達のようにはしない、俺のものは絶対守る。

スキャの震えが止まって、寝息が聞こえる。

「いたくそのネズミにご執心だなロナルド・ウィーズリー。」

「こいつは俺のものだよ先生。後ロンって呼んでくれよ。」

「お前はそのネズミが-ただのネズミ-だと思っているのか?」

「・・お願い丸無視かい。でもスキャ・・スキャバーズがネズミだろうが何だろうがどうだっていい。」

「ほう、お前とお前の天使達とやらの害になるかもしれんぞ?」

スキャが?ああでもその時には「俺の手できっちりと殺すって決めてるんだ。」

こいつもその事を知っている。裏切ればどうなるか、その末路はきちんと話している。

「もう寝るわ、お休み先生。」

「・・・・」

 

 

不思議な餓鬼だ、慈悲深いようでいて酷く冷酷で。

ヒキガエルもどきを追い詰めていたあいつは、見ていて胸が高鳴った。久方ぶりに高揚をした。

ロンから発せられたあのどす黒いあの憎悪は心地よく感じた。そうだ、そんな醜きものなぞ蹂躙してしまえと。

なのにあっさりと放り捨てた。興味がないからもう気にしないと、徹底破壊をしなかった。

「・・お前が俺様の下に堕ちて来い。」

そうすればハリエット・ポッターも、周りの者達もついて来るかもしれない。

 

ご主人様はそれを望まれるのですか?

お前は不満かクィレルよ。

いいえ、全てはご主人様がお決めになられる事。あなた様がそれを望むのならば、私をいかようにもお使いください。

 

初めてヴォルデモートは他者を殺したくないと望んだ。自分の下へと闇に堕ち、共にいて欲しいと願った。

ロナルド・ウィーズリーが来れば、ハリエット・ポッターもネビル・ロングボトムも共に来よう。

配下になった者達は殺す必要はない、だから殺さなくていい。

 

あの者達を配下とは思わなくとも、他の死喰い人達の手前そう言うが何故だろう?

何故自分はこれ程までに子供達に対して思い悩むのか、ヴォルデモートは椅子に座ったまま一晩ぼんやりと思い、クィレルもまたそんなヴォルデモートを見守り続け、一夜を明かした。

 

そんな二人の事はつゆ知らず、ロンは早速行動を開始した。一晩ぐっすりの後は頭が冴える!

ちょっと行ってきます!!

クィレルの部屋から厨房は近く、早速リジーを探してスキャバーズを校長室の100メートル

先に姿現しをさせて、戻ってきたスキャバーズを俺のポケットの中に姿現しをしてほしいと。

魔法族の姿現しは特定の場所のみだが、屋敷しもべ達のはそういった細かい事も可能だと教わっていてよかった。

俺の野生の勘が告げている、あのやばい奴は絶対にじじいが絡んでいると・・違っても疑うだけなら実害がないし試すことにした。

もし本当にじじいのスパイだったら、スキャバーズがあいつの嗅覚で見つかってアウトって思うだろうが、どっこいこっちには秘策あり。

兄貴達が開発をした新薬に、匂いが完全に消せる魔法薬がある。需要は結構あって、主に体臭を気にするお年頃の子供達に大人気らしい。

近頃は悪戯よりももっと人の役に立つものを作って店を出すって言ってたっけ。

試供品で俺にもくれたのをスキャにもつけた。これはつけて1日保つらしい。

魔法薬の説明をして、目薬を塗って、それでもやばそうになったら逃げて来いと言って送り出したら案の定だった。

 

待って5分後にあいつは校長室に現れて、俺の事をじじいに言っていた・・・って・・ちょっと待て、あれってホントに俺の事報告してんの?

子供の家も、幼稚園も、保護案も養子縁組も全部シリウスとルシウスさんを中心にした大人たちのした事だぞ?

それを俺が全部したみたいに言って、挙句勲一等ってなんじゃそりゃ?

・・・もしかして俺とあのじじいを潰し合わせて高みの見物する気かあの野郎は⁉

冗談じゃねえ!!俺はおまえのおもちゃじゃねえ!!!

「・・あいつが何か仕掛けてきたら潰すぞスキャ。」誰が相手でも敵はぶっ潰す!!!




今までのロナルド・ウィーズリーとその周りの者達が引き起こしてきた化学反応をまとめたみたいな回になりました。
リーマス・ルーピンの外道っぷりが書けていれば幸いです。
でも作者はこのリーマス・ルーピンもロナルド・ウィーズリーに何とかしてもらいます。
彼に丸投げしました。

ヴォルデモートもクィレルも、少しずつですが愛を知りかけてまいりました。
ダンブルドアの弱さもちらほらと出して行ければと思います。


スキャバーズはスキャと呼ばれるほど、ロンに愛されるようになりました。


なお屋敷しもべの姿現しの特徴は筆者オリジナルです。


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帰って来たぜ俺の日常

ようやくロナルド・ウィーズリーの日常です。


ホグワーツの朝の大広間は普段よりも活気に満ちていた。

昨日の昼食と夕食はとある一部の人達がお通夜並みになって、本日はその分とばかりに賑やかだ。

 

「ロン!かぼちゃジュース飲む!!」

「・・そろそろ一人で飲めハリエット。」

「一人で飲んでるぞ!ん、美味しい。」

「昨日の分まで甘えたいんだよ、ハリエットは。」

「・・よく分かっているなドラコ。」

「もっと甘えていいのよ、ハリエット。」

「こいつを甘やかすなよ、ダフネお母さん、アミルもハーマイオニーも最近甘すぎんぞ。」

「ねえ、今日僕の温室の花を見に来ないかい?」

「それいいな、今年はフリージアが綺麗なんだって?」

「ネビルの花は・・」

ロンとその天使達は幸せそうに仲良く朝食をとる。寮が全く別だろうが何だろうが関係なく、はては学年も違う子供達もちらほらいて、その中心のロンの膝の上で横座りをしてハリエットはご満悦でかぼちゃジュースをゆっくりと飲む。

ロンの側にいられればそれだけで幸せだと、今のハリエットは断言できる・・出来るが・・

 

「皆おはよう!」・・出た・・爽やか面した中身真性変態野郎が・・。

「おはよう皆、お!ロンもいたか!!なあ、リーマスがお前に昨日の事を謝りたいって言ってるんだ。

逃げずに聞いてやってくれないか?」

・・シリウスの奴、完全にその変態狼に騙されてやがる。ま、別にいいけど。

「リーマス・ルーピンって言ったな。昨日の深夜に俺の部屋にあんたが居たって教授が言ってたけど、超迷惑だ。

謝罪はいらんから二度とするな。変態はお断りだ、俺が許容できるのはせいぜい狸爺までだ。

今度やったらそっちの筋に訴える、で?返事は。」

 

ロンは腹芸だの、裏でこそこそして陥れるのだの類は大の苦手だ。やるのならば正面突破の喧嘩に限る。

知った情報を馬鹿ッ正直に言ってしまうところがロンである。

だがロンの方法はある意味正しい。

そんな事を他の子供が言っても、リーマス・ルーピンに騙されている大半の者達はこいつ何を言っているんだと白い目で見られようが、ロナルド・ウィーズリーが言った事に意味がある。

ロナルド・ウィーズリーのこれまでなしてきたことを皆が知っている。そんなロンが嘘を言うはずがないのも。

「リーマス・ルーピン、どういうことか説明をなさい。」

近頃はロナルド・ウィーズリーフリーカ化しているマクゴナガルが、鷹のような目でリーマスを

射貫くように見て問いただす。

リーマスが教員席の方を見てみれば、フリットウィク・ハグリッド、なんとあの偏屈フィルチさえもが怒っているように見える。

 

これは失敗したかな~、ごめんねダンブルドア先生ちょっと面倒おこしたかも。

ダンブルドア先生の顔がとっても渋い顔してる、だってロナルド・ウィーズリーが可愛いのがいけないんだもん。

もっとクンカクンカして押し倒して舐めずり回したい子なのがいけないんだもん。

 

脳内では超変態事を可愛く呟きながら、リーマスは悲し気な顔をしてロンに近づこうとして阻まれた。

「僕等のロニー坊やに近づかないでもらおうか。」

「僕等はロニー坊やが大好きだ。」

「「僕等の悪戯は他人を喜ばせるものだけれども、家族を困らせる奴は別だ。」」

「この二人の言う通り、僕等の弟に近寄るのはご遠慮願おう、Mr.ルーピン。」

「お兄ちゃんに近づいたら駄目!!」

仲良し大家族、ウィーズリー一家が出張ってきた。

ロンならば一人で対処しようが、家族を守らなくていい理由にはならない。

ジョージ・フレッドを皮切りに、パーシーとジニーもリーマスの前に立ちふさがる。

大好きなロンの事を守る為に。

「・・駄目かな・・・」

可愛くうる眼をされても知った事ではない。ないのだが・・シリウスが辛そうの顔をしているのがちょっと辛い。

シリウスの古い友人はもう彼しかいないのを聞いている。唯一の友人を攻撃しないで欲しいと顔で訴えてくる。

なんだかんだともう付き合って三年近くたつ。可愛いワンコロに絆されているウィーズリー一家としてはかなり来るものがある。

 

「もういいよ兄貴達、ジニーもありがとう。」

ハリエットを膝から降ろしたロンは兄妹達の前に立ち、しっかりとリーマスの目を見る。

「あんたが二度としないならこの件はもういい、それだけだ。」

駆け引きもなくはっきりと告げる。

「分かったよ、二度としない。君と仲良くなりたかったんだよ。」

懐の深いロンを相手に、無様な事をすればもう金輪際ホグワーツの敷居を跨げなくなりそうなので、リーマスはあっさりと-心からの謝罪―をしてみせる。

悲し気な顔と声に、大半は騙されてくれるのだが、「分かった、俺は今のところあんたと仲良くなる気はない。

だからってお前達は俺の真似をしなくていいんだぞ。」

ロンはリーマスの告白をあっさりと振って、後ろを見て言う。

昨日リーマスと仲良くなった子達にきちんと声を掛ける。自分がリーマスと仲が悪くとも、

それはそれ、これはこれだと。

朝食の大広間は微妙な空気になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝食の大広間は微妙な空気になったが、お昼のグラウンドは熱気に包まれた。

 

 

 

         「みんな――!クィディッチやろうぜ!!!」

 

 

 

何やらどこぞのジャパンアニメのパクリの様なフレーズで、スリザリンのクィディッチキャプテン・マーカス・フリントが叫び上げる。

ようやくクィディッチの選抜試験が出来る!!本来ならばとっくに終わって練習をして本番をしているはずなのに、やれバジリスクだ、アクロマンチュラだのせいで伸びに伸びてしまった!!

これはもう犯罪だ犯罪!クィディッチ邪魔する奴は死すべし慈悲なぞない!!みんな滅んでしまえ!!

そう呪った相手の片方のアクロマンチュラ達は殲滅をされたのは溜飲が下がる思いがした。

ロンの懸念と裏腹に、魔法界はまたもや危機管理が薄かった。魔法使い殺しのアクロマンチュラが襲ってきたと言っても殲滅をし、-人-には甚大な被害が出なかったことが決定打となった。

彼等からすれば会ったことも無い、ケンタウロス達や屋敷しもべ達の犠牲なぞどうでもよい事で、今後魔法省と組んで更なる安全の確保を目指すと言われればそれでいいのだ。

ロンが聞けば間違いなくぶちぎれて怒りそうだが、魔法界の常識とはそんなもので、半純血の親たちも似たり寄ったり、両親がマグルであっても事件が完全解決をしたのならばもう大丈夫だろうという理由で抗議文は来なかった。

だからこそホグワーツはいつも通りで、いつも通りならばクィディッチをやりたいという生徒達の要望を背負い、マクゴナガルはダンブルドアに直訴をして許しをもぎ取った。

 

だって許可しなかったら呪い殺しそうな眼をしてたんじゃもん、というダンブルドアをガクブルさせる程にマクゴナガルはクィディッチ狂であったりする。

クィディッチの為ならば命は惜しくはない!邪魔をする奴はちり芥だを標語にできそうなほどクィディッチを愛しちゃっていたりする。

普段真面目な人ほど怖えな~と思いつつ、ロンは観客席からピッチを見ている。

「頑張れよ、ハリエット・ドラコ・セオ~。」

なんでかスリザリンの選抜試験を。だってロンだし、ハリエットとマイ天使たちの応援をしに来たのが容易に分かってしまい、さしものマーカスも追い出すのを諦めた。

怒らせたら本人よりもハリエットと周りが怖い!特にハリエットにそっぽを向かれたくない!!

彼女こそはスリザリンの若きホープだ!

今から育てて残りの学生時代をスリザリンの優勝に導いてほしい!

 

選抜はとんとん拍子で終わった。

シーカー候補はハリエットしかいなかったので、スニッチを取って見せてあっさり終わり。

熾烈を極めたのはビーターで、枠は一人しかないのを大勢の奴等が争っい制したのはドラコだった。

「ロン、ハリエットは僕が守る。敵からのブラッジャーや飛んできた物全てからだ。」

選抜前にドラコの奴そんな事言ってたっけ。超男前の顔をして、カッコよくなったなマイ天使は。

男臭くなっても俺は大好きだぞドラコ。

負けた奴等は地団太ふんでるなって・・セオが何か言ってる。

「俺と勝負してもらえませんかね~せ・ん・ぱ・い」・・はあ~⁉

セオの奴、ビーターなりたさに先輩に喧嘩吹っ掛けやがった・・大方ドラコの相方やるの自分だって言いてえんだろうな~。

ぶちぎれた先輩とセオの一騎打ち・・結果セオの勝ち。空中でブラッジャーの打ち合いして、数合で先輩の方が泣いて降りてきた。

「あんな鬼っ子の相手できるか!!!死にたくね~!!!!」

・・気持ち分かる・・ドラコと側にいる為ならば、親父でも殺すと言っていたセオが先輩相手に容赦するいないだろうとは予想してたけど。

 

夕食の席も大盛り上がり、祝・ドラコ・セオドール・ハリエットクィディッチ選手!!

何やら大弾幕を張っちゃってる、やったのは無論ロンだったりする。

「何故敵を応援しているのだロナルド・ウィーズリー!!」

「うるせえ!文句あんのかオリバー・ウッド!!」

「今からでも遅くはありません!!シーカーにおなりなさい!ロナルド・ウィーズリー!!」

「俺はやらねえって言っただろうがマクゴナガル先生!!!」

お祭り騒ぎとドタバタ劇で大賑わいだ。

「ほっほっほ、やってみてはどうじゃMr.ウィーズリー。」

「対岸の火事見物してるなくそ爺!!年末に狸汁にして食っちまうぞ!太って食われろ枯れ木じじい!!」

「ロン・・怒っているのは分かるがダンブルドア校長様に向かってあんまりじゃねえか?」

「そう思うなら俺の変わりに空を飛べハグリッド!!」

「いや・・俺元グリフィンドールでも今生徒じゃねえし・・」

「そんなところで常識使うんじゃね――!!」

襲ってくる理不尽を相手にしつつ、ハリエットたちを愛でつつ、ロンはようやくいつもの日常をまったりと送るのだった。

翌朝にはまたとんでもない事件に巻き込まれるとも知らずに・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大臣!!あの子はまだ未成年で!!!」

「だからこそ今世紀最大の功績ではないかね?-彼-だって喜んで受けてくれよう。」

「・・あの子はそんな子では・・」

「親が思う程に子はというが、もう決定事項だ。明日の朝には日刊予言新聞の一面の見出しは-彼-なのだよ。」

 

 

コーネリウス・ファッジは久方ぶりに微笑んでいる。

ホグワーツとは反対に、魔法省は今てんてこ舞いだ。未成年の生徒にあろうことか魔法大臣付き次官が攻撃魔法を放って裁判中であり、マスコミにも世間にも叩かれまくっている!!

その起死回生のための秘策を今日の夕刻に放ってある!咆えずらを掻くがいいダンブルドア!!

明日の日刊予言を呼んでもだえ苦しみ憤死するがいい!!




え~・・大臣の呪いでここまでです。

ビーターの先輩はモブなので名無しのまま終わりました。
何のジャパンアニメのパクリか分かった方がいたらネタを仕込んだ筆者は嬉しく思います。

リーマスは相変わらず変態でした。


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功績の行方は・・

大人の諍いに巻き込まれました。


昨日の夕食のホグワーツは、各寮のクィディッチ選手選抜で賑やかだった。

しかし今朝の大広間はもっと賑やか・・いや異様だった。

 

「ちょっとフローラ!貴女は彼とは親しいんでしょ?私達を紹介して頂戴よ。」

「・・紹介って・・自分から話しかければ・・」

「何言ってるのよ!彼の周りにはいつもハリエット・ポッターと聖28一族の人達がいるのよ?

私みたいな一般人がおいそれとは近づけないわよ。」

「彼はそんな人じゃないわ。現にハーマイオニー・グレンジャーだって、コリン・クリービーだってマグル出身でしょ?

私だって一般の魔法族よ。」

「キャルちょっと変わって。いいフローラ、貴女が上げた二人は彼と同僚でしょう?ハリエット・ポッター達がいない所で仲良くなれるチャンスはあっても、私達レイブンクローよ。

彼との接点がないわよ。貴女は子供の家関係者だからいいけど。」

「ほんと、うちのパパが彼とは仲良くしておけって梟便が朝一で届いたのよ。」

「・・ちょっと待って⁉それで彼と急に仲良くなりたいの?」

「あら、彼って魅力的でしょう。それに-あんな事-があるのよ?将来は有望よ。」

「ミランダの言う通りよ。お近づきになってもいいじゃない、もったいぶっていないで紹介して頂戴よフローラ。」

 

彼は確かに魅力的だが、打算的な者を何よりも嫌う。この二人もいい友人なのだが、今回の一件で近づけば媚びを見抜かれ大火傷は必至だ。

レイブンクローの席のみならず、ハッフルパフでも同様の事で、彼と仲がいいセドリック・ディゴリーとバート・クラウンも迫られている。

あるものは日刊予言新聞を朝一で読んだもの、親から仲良くしておけと言われた者達が騒いでいる。

 

 

 

「・・皆一体どうしたんんだ?」

「君は気にせず朝食を取りたまえハリエット。梟たちが押し寄せる前に。」

「食ってさっさと寮に戻ろう。今日は日曜日だ、遊びまくるぞ。」

「糖蜜ヌガーも食え。」

「ちょっとビンセント!お野菜は美容にいいのよハリエット。」

「鳥の胸肉のグリルもね。」

・・聞いた事に答えてくんない・・ドラコとセオの顔が怖い・・早く来てくれよロン・・

 

常の大広間と違い過ぎて、ハリエットはすっかり怯えてロンを探すがまだいない。

ドラコ達としてはこんな中にロンには来てほしくはない。寝坊しているのならば今日一日寝ててくれ!

 

 

 

 

だが彼が、自分の天使達をほったらかすことは絶対ない!

「おはよう皆!!遅くなっちま・・た・・って・・どした?」

何だ一体、俺は確かにいつもより遅くなったから大きめの挨拶したけど、なんでみんな黙りこくって俺の事を凝視してんだ?

「ロン!!」・・ハリエットはいつも通りに俺にしがみついてきたけど。

「ハリエット、皆どうしたんだ?シリウスはまだ来てないのか?」

「シリウスはまだ、俺もみんながどうしたのか分かんねえ・・今日もうヤダ!外で食べよう、

ドラコ達も外に行こう!!」

ああ~ハリエットの奴粉の雰囲気で食欲失せたか、俺も外がいいかな?

 

「そうしたまえ、ロニー坊や!」

「僕等もそうしようパーシー、ジニー!」

「二人に賛成だ。」

「皆でお外行こう。コリンも来るでしょう?」

「お供する!君の荷物は僕が持つねジニー。」

兄貴達も勝って、コリンの奴ジニーに惚れたか?誘われてウキウキしてやがる。あいつはいい奴だから許してやろう。

「ドラコ・・」

「ちょっと待って!」「ん?」

フローラの隣の子が真っ赤な顔して止めてきた。

「俺に何か用か?」

「えっと・・私・・キャロライン・モント-て言います!私も一緒に・・」

「あ!抜け掛けずるいわよ!!私だって!」

「ちょっと!!」

「引っ込んでなさいよ一般魔法族!私は貴方と違って聖28一族ではないけれど中流の・・」

 

           「や――か――ま――し――!!!!!!」

 

何だこの馬鹿げた騒ぎは⁉近頃では寮の垣根も血筋だのなんだののバカ騒ぎは見られなくなったのに!何で戻ってやがる!!

「ドラコ説明してくれ、このバカ騒ぎの原因何なんだ?」

「僕が知っていると?」

「お前の耳は誰よりもよくて情報が早い。」

「君からの高評価に応えるべきだな。原因は-これ-だ。」

ドラコの奴、新聞寄越してきやがった。日付は今日か・・えっと・・・・・・・・・・・

「何だこれは――――⁉」

 

 

 

 

        -魔法大臣コーネリウス・ファッジの英断-

 

昨日の夕刻、魔法省より緊急発表。なんとホグワーツの生徒に対して勲一等・マーリン賞授与を検討しているとの事。

この賞はご存知あの-偉大なダンブルドア-が、ゲラート・グリンデルバルドを一騎打ちにて倒した時に送られた現魔法界最高位の栄誉である。

にもかかわらず、何故ホグワーツに通う未成年者に送られようとしているのか。

昨日の大臣のコメントによれば、彼はアクロマンチュラ騒動の折に、生徒及び教職員たち全員をほぼ無傷で逃がした立役者であった。

「彼なのですよ、生徒達を逃がすときに屋敷しもべ達に姿現しを使わせてはどうかと提案をしたのは。」

それのみならず、ゴーストや絵画の人物を使ってあの広大な城に取り残された者・逃げ遅れた者がいないか探すようにとも提案をしたと。

「この功績は確かにその生徒だけの者ではなく、提案を受け入れた教師達・実行をした者達の力だが、その生徒の提案が無ければ不幸にも命を失われた者達は大勢いたはずです。

その不幸な未来を回避してくれた彼に、この賞を贈る事を躊躇う必要があるでしょうか?

考えてもみてください、この賞の持ち主であるアルバス・ダンブルドアは大勢の命を救ったからこそ授与された。

ならば彼にも授与の検討の機会があって然るべきでしょう。」

魔法大臣は既存の考えだけではなく、賞に値をすれば未成年というだけの理由で・・

 

 

 

 

「なんでこんな事になった!!」

ふざけるな・・ふざけるな!!

俺がこんな賞に値するわけがねえ!!大勢のケンタウロス達や屋敷しもべ達を殺してしまった俺が!!こんな称賛を貰っていいはずがねぇ!!!

ロンは無言で新聞を燃やし、激昂をする。

自分の罪を知っているから、この様な賞賛を貰う権利がないのを一番知っているから。

「賞を貰うとしたら俺なんかじゃなく!!-あの人達-だろうが!!」

命を擲って皆を助けてくれた彼等にこそふさわしい!

 

「君は欲しくないのかい?この最高の栄誉が。」

新聞にすっかりと気を取られていたロンは、嫌いなリーマスに背後を取られた。

「これを授与されたのは君達の校長先生だけなんよ?あの有名な・・何て言ったかそうだ!

冒険かで作家のギルデロイ・ロックハート氏だって勲三等で止まっているのに、君はいきなり勲一等なんだよ。名誉な事じゃないか。」

ロンが振りほどかないのをいい事に、まつわりついたまま耳元で囁く。

邪心を吹き込むように、お綺麗な少年の心に名誉欲という染みを付けるべく。

「君達だって嬉しいでしょう?友人が世間から正当評価を受けるのは。彼の功績を考えれば貰えるよね、ドラコ君。」

ロンにひっついて顔を撫でまわしながらドラコに尋ねる。彼ならばロナルド・ウィーズリーの

功績を全部知っているはずだと踏んで。

案の定苦い顔をしても否定しない。

 

 

 

「その通りだ!君にはぜひ受け取って欲しい!!」

 

大広間の沈黙を破ったのは他ならぬ魔法大臣コーネリウス・ファッジその人であった!

・・なんかふくよかなおじさんが来やがった。

「彼が魔法大臣様だよロン。」知らない事は手取り足取り全部僕が教えてあげるよと、すっかりリーマスはロンのマネージャー気取りだ。

「・・いい加減に放してくんないか・・情報どうも。」

「どういたしまして。」邪険にしつつもお礼をしてくれる良い子だな~食べちゃいたい。

 

なんか今背筋ゾゾっとしたけど放っておこう・・どうせあの変態狼だ。

こいつが今回の騒ぎの原因か、あんまし関わり合いたくねえが

「俺の名前はロナルド・ウィーズリー。父がいつもお世話になっています。」

一応父さんの上司にはきちんと挨拶はしないとだな。

「なんて良い子なんだ。私は魔法大臣をしているコーネリウス・ファッジだ。

気楽にファッジ小父さんとでも呼んでくれ。」もの凄くフレンドリーアピ-ルされてもな~

あ、「おはようございますキングズリーさん。」後ろで困り顔のキングズリーさん発見。

「いや・・おはようロン君。」

「・・・もしかしなくてもこの件のファッジさんのニュースソースって・・」

「私だ、今回の一件を報告をしたのは・・」

「そしたらあの人達の功績も・・」

「えへん!!」・・邪魔された・・

「まずはロン君、君のお詫びをしなけらばならない。」

「・・なんすか一体。」

「アンブリッジの一件だ。」

「ああいいですそっちなら、あの人くびでしょ.路頭に迷うの決定な人に興味ないんで。」

「やっぱり君って最高!あんな女は放っておいて、今は君の未来について語ろうね~♪」

「・・俺の未来って・・」

「賞を貰う?貰わない?もっと言えば欲しいのかどうかだよ~。」

またこいつ俺にまとわりついてきたよ~、シリウス本当にこいつのどこ見て親友って言ってるんだ?

「俺が欲しそうに見えるのかよじじい。」

更にはくそ爺の眼が鬱陶しい。

 

「俺はそんなものいらない、明日の朝一で撤回掲載文出してくれ。」

痛くもない腹さぐられてたまるか。

「・・・何故だね⁉魔法界最高の栄誉だぞ。」

「見苦しいですぞ大臣!!」・・誰が来たかと思えば・・父さん来た~!!

「もしもロンが辞退をした時にはその意を汲んでくれるお約束ですぞ!!」

「えっと、父さんおはよう。朝からどしたの?」

「昨日大臣からお前の事で打診をされたんだよ。」

「・・父さんは俺のこの賞貰ってほしいか?」

「何を言っている。こんな賞なぞなくとも、うちの子達が素晴らしいのは私もモリ―母さんもよく知っている。

お前達が元気であればそれでいいんだよ。」

「父さん・・」

「「父さん大好き!!」」

「パパ愛してる!」

「はは!お前達までどうした?父さんも母さんもお前達を愛しているぞ。」

 

これぞアーサー・ウィーズリー一家。どこであろうと誰がいようとも、家族愛全開である。

ロン達が伸び伸びと育ち、幸せなのはこのおおらかな両親のお陰であり・・ロンの弱点であったりもする。

ファッジもその辺をよーく知っている。

断られた時の秘策も我にあり!!

「おっほん!!」

「・・何ですか大臣、俺いらないって・・」

「まあ話は最後まで聞き給え。勲一等には副賞として1000ガリオンが贈られるのだよ。」

 

・・・・1000ガリオン!!・・・マジかい・・それって超欲しい!!!

それがあれば当分モリ―母さんが家計で悩まなくて済む!それどころか母さんに新しい服を、父さんにも新品の仕事着を・・俺が賞貰えばいいのか?

「おやおや、賞はともかく賞金は欲しいか~。何か欲しいの?それとも」

リーマスは一旦言葉を切り、アーサーを見る。

袖は擦り切れ、ネクタイもアイロンは掛かっているが色褪せている。そんな父をロンが尊敬をしているとすれば「ご家族楽になるね~。」良い子だ本当に。

 

しまった!!「ロン!私たちの為に身売りなぞ考えるな!!!」

そうだ!この子は口こそ悪いが家族思いの良い子だ!いつもおやつは半分をジニーに上げたり、困っていれば子供の家でアルバイトをしたりと我が家の火の車の家計をいつも考えてくれる子だった!!!

大臣め!我が家の台所事情とロンの良い子さを突いてきおって!!

 

勝った!!これで私はダンブルドアを超えうる逸材を手に入れた!

このやり取りでロナルド・ウィーズリーとダンブルドアの仲が悪い事もよっく分かった!!

この子は私にとって理想の子だ!何悪いようにはせん、君の将来を輝かせてひいてはあの因業狸を引きずり下ろすための手伝いをしてくれればそれでいいのだ!!

 

 

ロン父は家族思いのロンに何とか反意をさせようと試みるがロンの硬い意思に阻まれ不発に終わり、内心では悪代官化したファッジがロンの手を取ろうとしたまさにその時・・

      

 

 

          「「ちょっと待った――――!!!!」」

 

 

超渋い男前の声がハーモニー化してちょっと待ったコールを掛けてきた!

「早まるなロン!!俺達がいる限りお前に身売りなんぞさせるか!!」

「我がマルフォイ家は断じてそのような事を認めるものか!!自分を大切にしたまえ!」

・・身売り・身売りって連呼すんなよ・・賞貰うのに身売りって・・俺はドナドナされる仔牛かなにかかい。

「・・あのさ、二人の家がいくら金持ってても俺が貰う理由ないからな。」

賞の1000ガリオンは百歩譲ってもらう理由があっても、二人から貰うのは施しだろ。そんなん受け取るか。

「分かっている、だが安心しろロン。」

「我等が提示をするお金はきちんと君の物だ。」・・・俺何かしたっけ?

「大臣、こいつは今魔法界で話題になっている魔法幼稚園の立案者だ。」

「我がマルフォイ家の財務会計が試算したところ、黒字の予定でね。その内の数%を彼に渡す書類を持ってきた。」

「・・何ですと⁉」

ファッジはルシウスが掲げた書類をひったくり、穴が開くほど見つめてからがっくりとした。

そこには魔法幼稚園の希望者と、それらが生む利益と、その内の数%の額が書かれていた。

「マグル界にはアイディアを出すだけでも支払いが発生をするシステムがあってね。これはきちんとした報酬だ。受け取ってもらわねば魔法幼稚園を開くつもりはない。

貰ってくれるねロン君。」

「貰うよな~ロン、ちなみにこれは毎年更新だ。その年の黒字によって上がったり下がったりする。」

「ロンってすげえ!その年でもう働いてんのか。」ハリエットを筆頭に、皆がロンを尊敬のまなざしで見つめた。

 

これって・・マジかい・・「アイディアの使用料なんて話にも出てなかったような・・」

「大臣がこんな阿保ごと持ってこなかったら、幼稚園の開校前に話すつもりだったんだ。」

「我々もこの記事には驚いたが、君の反応と大臣の傾向と対策を速攻で練ってきたのだよ。

さあ、これにサインしてくれたまえ。」

・・藤の花のあしらわれたすりガラスの万年筆をルシウスさんが渡してきた。

「俺・・これ・・」

「正当評価だ。」

「その通り、大臣この子供を巻き込んでもらっては困る。ハリエット・ポッター同様に、この子供へのお手出しをご遠慮願いたい。」

「そんな・・君は・・」

「大臣ご免、俺はこの賞には値しないんだ。賞金に目が眩んじまったけれどもさ・・」

 

ファッジのもの凄い落ち込み様に、ロンは優しく声を掛ける。

「でもありがとな、こんなガキの俺に凄い賞をくれようとしてくれて。あのさ、アクロマンチュラ騒動の件は俺の力じゃないんだ。・・俺はさ・・勝手にドタバタしただけだよ。」

「君は・・」

「だからさ、俺なんかよりももっと目を向けて欲しい人達がいるんだ。このホグワーツで眠っているケンタウロス達や屋敷しもべ達に・・彼等をもっと正当評価して欲しい。」

あの人達はきっとそんな事を望んでいないかもしれない。それでも思ってしまう、敬われるべきは彼等だと・・

「あんたにはそれを世間に知らせられる力があるんだろ?その力を正しく使ってほしい。」

「・・・・・分かった。君の気持ちに敬意を表して今回は引こう。」

ファッジはロンの手を取り諦め宣言をしたが「腹黒狸や因業狸や真っ黒狸に愛想が尽きたらいつでも私に言ってくれたまえ!魔法省を上げて全力で狸退治を決行する!!」

なんかトンデモ決意を表明してきた!!それってどう聞いてもうちの狸校長の事じゃないか!

何神聖な学び舎でそこの校長抹殺します宣言してくれてんだおっさん!!

「嫌いな者同士勝手に喧嘩してろ―――――!!!」

分かってしまった・・ようは狸校長とこの大臣様は犬猿の仲で、今回の騒動は俺を巻き込んでのプチ戦争かい!!

「ふぉっふぉっふぉ、振られて残念じゃの~大臣殿。お帰りはあちらじゃ。」

「・・いつか後悔をするがいい真っ黒狸め!!!」

「やかましい!!!!子供達の前で何してくれてるんだ!デパルソ!!」

天使達の耳を汚した二人を吹っ飛ばした俺は悪くないと思う。

たとえ父さんとシリウス達が真っ青な顔をしても知るもんか・・変態狼は大爆笑して、マクゴナガル先生達が泡食っても知らないったら知らない、もう今日は寝よう。

 

 

ロンがふて寝をしている夕刻、日刊予言新聞夕方の部ではまたもや賑やかだった。

 

         -ホグワーツの生徒、勲一等授与を固辞する-

 

今朝発表された、ホグワーツの生徒への勲一等・マーリン賞授与の件を大臣自らが会いに行き打診したところ、自分は賞に値しないという理由で事態をする。

その生徒の謙虚さに大臣は感銘を受け、その生徒の要望を聞き入れ賞の見送りを決定。

なおその生徒は心優しく、次の様な事を述べた。

「アクロマンチュラ騒動で生徒達が無傷だったのは僕の力ではありません。彼等を本当に救ったのは森の守護者ケンタウロス達の力と、心優し屋敷しもべ達のお陰です。

彼等の犠牲を僕たちは忘れません。」

その言葉を受けた魔法省は緊急会議を開催し、近々人族以外の種族の地位向上を話し合う席を用意する・・

 

 

 

ファッジも大臣を務めてかなり経つ。無論断られた時のシナリオもキチンと用意をしていた。

これで世間は新たな英雄の期待を一層膨らませるだろう。

名前も公にはせずにホグワーツの生徒としか言ってはいないが、世間は英雄を探そうと躍起になり増々ダンブルドアの事なぞ古臭い者として扱うはずだ。

ハリエット・ポッターを手懐けようかと目論んだが、腹黒狸よりも怖いシリウス・ブラックに止められたので代わりの者はいないかと捜していたが「君のお陰かな、リーマス・ルーピン。」

大臣室には椅子に座ってウィスキー入りのグラスを傾けているファッジと、扉にもたれて腕を組んで立っているリーマスの姿があった。

「君の予想通り、彼等が介入してきたか。ハリエット・ポッター同様に。」

「ですが絶対にアルバス・ダンブルドアの手先にならない子でもありますね。」

「・・・君はダンブルドアの・・」

「違いますよ。僕は面白いものが見られればそれでいいんです。」あなた方二人がロンに吹き飛ばされたのは最高に笑えました。

「・・君は厄介な存在だ。」

「でも野放しにはしたくはないでしょう?」僕って出来る子ですから。

今回のファッジへの入れ知恵はルシウスではなく、リーマス・ルーピンだった。

ダンブルドア嫌いの面白い子がいますよ~。彼をダンブルドアの対抗馬に育ててみてはと、ロンをファッジに売りつけた。

うまく逃げられたが、今度は何をして遊ぼうかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあロン、何で勲一等ってやつ貰わなかったんだ?」

「・・君達はいい加減に帰りたまえ・・私もそう思うが。」

「あのなハリエット、それと教授も。そんなの決まってるだろう、貰う権利は俺にはないんだよ、それにさ・・」

今日は散々な目にあったせいか教授に夕食後ハリエットと二人でお茶に誘われた。

賞を貰わないって言った後も騒ぎになっていい迷惑だった。

「あんな風になって、天使達との時間を邪魔されたらたまんねえよ。」

鬱陶しくってデパルソかけまくるわ。

「・・俺もよくわかる・・俺の事知りもしない奴等が好き勝手いって来た時嫌だった。」

「ハリエット・・」

「だからさ、そんなもん受け取らなかったロンが好きだよ。」

ハリエットの奴、嬉しい事言ってくれて甘えてくれて。

「俺も大好きだぞ。」どんなことをしても守ってやる、俺のマイ天使。




リーマス・ルーピンはジョーカー役決定です。
彼には甘くなりがちなこの物語のスパイス役になってもらう事にしました。




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番外編ーネズミの独り言ー

久しぶりの番外編です


僕はいつから-こう-何だろう?

何でこうなったんだろう?

何もかもから逃げだして、親友達を裏切って、自分一人が助かろうとした・・僕は助かったのだろうか?

―人間-を止めてもうどのくらいたったか忘れてしまった僕は、果たして助かったと言えるのだろうか?

安全な・・ある意味ホグワーツのダンブルドアの下よりも安全な奴の寝顔を見ながら思う。

どうして・・僕はこいつの側にいるんだろう?

こいつは滅茶苦茶やばい奴だ。滅茶苦茶な事をしても周りに愛されている奴だ。

僕なんて友人にもいつも顔色を窺っていたのに、こいつは全く頓着してない。なのに許されているなんてずるいじゃないか、僕はどうしてこうなったんだろう?どうしてこんなことになったんだろう・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・ター・・ピー・・ター・・誰だ?僕を呼ぶのは・・

「ピーター!!起きろよ!次はマクゴナガルの変身授業だぞ!!遅れたらどやされる!」

ああ、変わらずに元気だなシリウスは・・「ほら、行こうピーター。」

リーマスは優しい、僕が彼にとって無害でどうでもいいから優しい。

ジェームズとシリウスは知らない。リーマスに本当の意味で気に入られた者は本性をむき出しで追いかけまわされる。僕の知る限りその被害者は今のところセブルス・スネイプただ一人だ。

可哀想に、この間スリザリンの自室に押し入ったけど振られたって、リーマスは笑ってたっけ・・彼が逃げ切れるように・・なんてことを僕には出来ない。

リーマスの本性を知っても取り込まれてしまった僕は、傍から見たらリーマスと仲良く見えているんだろう。

「スニベルス発見!あ―――!!あいつ僕の愛しのリリーと居る!!!」

「よし、後でスコージファイしてやろうぜ。そしたら少しは見てくれが良くなる。」

「僕等はいい事をしているな~。」

・・何がいい事なんだろう?人に対してしたら、その人の口から泡が吹いて大惨事なのに。

会ってもう二年経つのに、この二人はセブルス・スネイプに飽きる事無く、次第にエスカレートする悪戯をしている・・ここまで来たら悪戯じゃない気もする・。

なんで先生たちは他の子の様にこの二人を罰しないんだろう?

あの厳格なマクゴナガル先生も・・シリウスが魔法界の王族ブラックの出で、ジェームズが

あの有名なポッター家の出だからだろうか?

それだったらグリフィンドールもスリザリンと変わらないじゃないか。

名家の出で、力のある親に守られているこの二人が、スリザリンの奴等とどう違うんだろう?

よっぽど一人で戦いつつも、勉学を頑張っているセブルス・スネイプの方が立派じゃないか。

 

「それを二人に言ってはいけないよ、ピーター・ペティグリュー。」

モヤモヤしてたらリーマスに抱き着かれた。こいつはいつだってそう、僕が二人に対してもやもやしたのを察知すると嬉しそうに僕に興味を持つ。

「・・言わないよ・・言えないのを君がよく知っているじゃないか・・」

「その通り、でも君の考えは正しい。あの二人はあの傲慢さでいつか必ず身を亡ぼす。」

酷い事を笑って言っている君はどうなんだろう。

「僕はいつどうなってもいいんだよ。だってこれ以上呪われようがない、いつか誰かにこの人狼って言われながら、お伽噺の-銀の弾丸-を喰らって死ぬのが関の山だよ。」

そんな事を・・どうして笑顔で言えるんだろう。

「泣いているの?僕の為にかい、泣き虫ピーター。」

僕は知っている、リーマスの秘密を。何故か僕にだけひっそりと教えてくれたから・・

 

 

「リーマスには絶対秘密がある!!毎月一回必ずいなくなるなんておかしいよ!」

ジェームズが何か張り切ってる。リリーの事ではなく、ましてセブルス・スネイプの事でもない。

張り切って、その日の夜に真っ青になって帰って来た「彼は・・人狼だ・・」満月が綺麗な夜だった。

「アニメ―ガスを習得しよう!!」

翌朝リーマスが帰って来る前になんかとんでもない事を言ってきた。

人狼になったリーマスに近づくにはそれしかないって結論がそれらしい。

 

「おし!俺もやるぞ!!リーマスが秘密を持ってんなら-俺達-も秘密の特訓だ!!」

やる気満々のジェームズとシリウスに、何でか僕も巻き込まれた。あんな本性でもやばい奴の、狼変身の側になんて行きたくないけど仕方がない・・基本二人には逆らわない、だって僕の価値はもうこの二人の側にいるだけでしか示せない。

入学早々の頃ならば、グリフィンドールでもそこそこの僕位の人達と友達になっていれば、目立たずにひっそりと卒業できても今や無理だ。

シリウスがブラック家からグリフィンドールに入った事を咎められる咆えメールが来た時に思わずその五月蠅さに僕がぶちぎれてしまった。

普段の僕は臆病でも、何の力が働いてか時折やらかしてしまう。ブラック家が寮の事くらいでがたがた言うなって・・思わず叫んでしまったのが運の尽きだ。

「お前・・いい奴だ!!俺はシリウス・ブラックだ!!お前は⁉」

「・・・・・ピーター・・ペティグリュー・・」

「ピーターか!そういえば同室だったよな?昨日はばたんきゅうで寝ちまって挨拶してなかったな。」

「シリウスの為に怒ってくれてありがとう。僕はジェームズ・ポッターだ。」

・・入学二日目で僕の運命は決まったも同然だった。

リーマスが楽しそうに笑った時はぞっとした、絶対碌な学生生活は望めないなと諦めた。

僕は何の取り柄もないけれども、何でか人の本性を嗅ぎ分けられてしまう。

会って早々のリーマスに怯え、シリウスとジェームズは力は凄くともあこがれを持てないなと距離を取ろうとして、ジェームズ達に虐められているセブルス・スネイプの方がカッコよく感じたんだ。

ちなみにリリー。エバンズには何の魅力も感じなかった。独善的で人の話を聞かない、セブルス・スネイプを庇いたいんなら教職員に本気で相談するとか手はあるだろうにやめなさいの一点張りで、まるでジェームズ達がセブルスに突っかかってくるのを待っているみたいに見えた。

だって、彼女はセブルス以外のスリザリンとは仲良くなんてしない、他の寮の子とも。

他寮の子と仲良くして何が悪いと言っているのに、グリフィンドール以外に正義はないとかも言っちゃっていた・・セブルス・スネイプが聞いたらどう思うんだろう?

「彼女もただの-女-だって事さ、お子様ピーター。」

割に本気でぶつけた疑問ですらリーマスに笑われた。流石の僕もムッとする。

「彼女はジェームズに構ってもらうのが本当は嬉しいのさ。でも幼馴染を守るヒロインの立場も捨てたくない。」

・・それって穢い・・

「そうさ、人間なんて一皮むけば欲望まみれの嘘つきさ。君みたいな臆病者はその事をよく知っているじゃないか?」

 

その通りだ・・こんな僕が誰かを非難できる立場じゃない。ジェームズとシリウスがセブルス・スネイプに酷い事をしても、リリーが折角助けたのに-穢れた血-と呼ばれたからとセブルス・スネイプを捨てた時も、僕は何もしなかった。

ジェームズとシリウスを止める事も、リリーに向かって、君たちの友情はたった一言で終わるほど軽かったのかと詰る事も・・言った後に傷ついた彼を助けようともしなかった僕は単なる臆病者だ。

 

 

何でそんな臆病者の僕にこんな話を持ってきたんだ、シリウスは?

「ポッター夫妻の秘密の守り人をしてくれ。」

それってどう考えても君の役どころだろうシリウス。

「俺じゃあありきたりですぐに闇の帝王にばれちまう。あいつの裏をかくんだ!

出し抜いて二人で守ろうぜ、ピーター。」

何を勝手に僕に夢を抱いているんだか・・僕はダンブルドアの不死鳥の騎士団には入らなかった。

闇の帝王の本部に出入りしているのがばれていないのが不思議だ。

だって僕にとってはあそこは居心地がいい。自分の弱さを自然に出しても臆病者とグリフィンドールの様に誹るものはいない。

皆なにかしら傷を抱えている。社会に適応できなかったもの、自分の思想をつまはじきにされた者、リーマスのように-人-の中から弾かれた人狼や半巨人、はては鬼婆や吸血鬼達もいる。

何故か僕はその人達が怖くなかった。怖がらせようと脅されても、何でかその人達は泣いているように見えたから。

リーマスよりも、よっぽど人間らしく人臭い彼等に愛着が湧いたのが不思議だったけど、

「何故貴様がここに居る⁉ポッターやブラックの側になぜいない!!!」

物凄くセブルス・スネイプに驚かれたけど、「こっちの方が僕には楽だから。」

なんの含みも無くそう言ったら、汚物を見るような目で見られて放っておかれた。

彼はやっぱり闇を抱く人じゃない、ジェームズとシリウスも光に相応しい人だった。

自分の確信が当たってくれてとても嬉しかった。ベラトリクスやドロホフ達に小間使い役をさせられていてもどってことはなかった。

たとえ外でどのような惨劇が繰り広げられ、大勢の人達が死んでも帰ってきた彼等を迎え入れて、必ずお帰りなさいを言ってあげた。

最初は怪訝な顔をされて馬鹿にされたけど、いつしかただいまと言う人たちが増えていた。

なんだ、皆ただ居場所が欲しいだけじゃないかと嬉しくなったんだ。

 

そんな僕に秘密の守り人を依頼してきたシリウスって本当に馬鹿だ。

年に一・二度しか会わない僕の何を知って頼んできたんだろう?

-例の予言-から狂ってきた。

七月の終わりに生まれた子供が闇の帝王を倒すって。

闇の帝王にそれを告げたセブルス・スネイプを見た時はびっくりした。

だって、有名な魔法族の子でその年の七月の終わりに生まれた子ってロングボトム夫妻かポッター夫妻しかいないのは周知の事なのに。

セブルス・スネイプはリリーを捨てたのだろうか?いや違う

「我が君、彼女だけは・・どうか・・命だけは・・」

泣いてヴォルデモートに懇願をしていた・・跪いて、右手に口づけをして・・あの誇り高いセブルス・スネイプが闇の帝王に。

「善処しよう。」

ヴォルデモートは約束をしなかったのに、セブルス・スネイプはそれを信じた。

愛とは人を愚かにする、生への執着もまた然り。そんな予言なんて放っておいて、さっさと魔法省を落としてダンブルドアを殺せば少なくともイギリス魔法界は掌握出来たのに、

ヴォルデモートは予言を怖れて行動をいったん縮小した。

そんなところに守り人の依頼が来た。

いつかリーマスの言った通り、ヴォルデモートを出し抜けるなんて考えたシリウスの傲慢が彼等を殺した。

責任の大半は僕にあっても、仕方がないじゃないか。だって守り人になった早々姿を消したジェームズの居場所を隠してい守り人は僕だってすぐにヴォルデモートにばれたんだから。

レジリメンスに対抗できるすべのない僕は呆気なく情報を盗られてしまった。

 

そしてジェームズ達は殺され、ハリエットは一人残され、ヴォルデモートはその日を境に消息不明。

みんな何があったのか動揺しても、僕には確信があった。予言を怖れるあまりに予言を重視し過ぎて、結局は予言の通りになってしまったのだと。

ヴォルデモートも可哀そうな人だった、僕にとっては彼も他の闇を抱えた人達と変わらない、

ずっと泣いていた人にしか見えなかった。たとえ僕の目の前で男だろうが女だろうが老いも若きも拷問していても、嗤って見ていても泣き顔にしか見えなかった。

本当はもっとやりたい事があって、これは違うんだと言っている気の弱いいじめっ子にしか見えなかったんだ。

僕の様に力が無ければよかったのに。そうしたら・・彼はもっと自由に生きていけた気がする。

力があって、頭が良くて、闇を持って理解してしまったから彼等の保護者役をしていたように見えたのは多分僕だけだろう。

僕の頭はすっかりといかれてしまった。大量殺人鬼の首領をそう評するなんて僕だけだろう。

でもいつか酔ったヴォルデモートが珍しく言っていた「ダンブルドアさえいなければ・・」ぽつりと言って眠ってしまった。

気になったから調べてみた。そしたら出てくる出てくる、ダンブルドアがヴォルデモートになる前のトム君を意図的に誹って貶めて職探しの妨害をしていた事が。

シリウスを酔っ払わせてダンブルドアの事を聞いてみれば「あの人は凄い人だ!闇の帝王が学生時代から、いつかこういう事になるんじゃないかって危惧していたんだ!!」

だからこそ不死鳥の騎士団をすぐに組織で来たんだって自慢していたんだけど、僕は心底ダンブルドアの事を軽蔑した。

誰にも分からない将来の事よりも、闇を抱えた目の前の子供を救うのが教師だろうと。

あの人は教師には向いていない、情が無く政治家か軍の対象が似合う人だ。決して子供を預けるには値しない人だと。

リーマスもいつか言っていた、ダンブルドアは可愛い愚か者だと。

可愛いはともかく愚かだ。学生時代にトム君を助けられている場今日この時のような戦争は起きなかっただろうに。

でも行ってみても始まらない、何もかもが終わった。-僕の家族-も大半が捕まった。

僕にもシリウスが報いを受けさせようとしたけれども逃げ切った。

 

 

ネズミの姿でアーサー・ウィーズリーの家に潜り込んだ。大家族でネズミの一匹がいてもバレないだろうと思ったら甘かった。

モリ―に捕まった、退治されるかと思ったが奇跡的にペットにされた。

初めはチャーリー、次にパーシー、ジョージ・フレッドは僕には興味がなかったのか、弟に譲られたら・・・なんだこいつは⁉

やることなす事ハチャメチャだ!!3歳の子が何で兄貴達を説教している?5歳の子が何復讐者に冷たい説得力のある説教をしている!!

何でルシウス・マルフォイに気に入られた⁉・・挙句同族に忘却呪文掛けて闇勢力を更生をぶち上げてんだ・・お陰でアズカバンに放り込まれていたシリウスの無罪がばれて出てきてこいつに会いに来やがった・・ポケットの中の-俺-はガクブルして、その日の夜に逃げようとしたらこいつに捕まった。

「お前が普通のネズミじゃないのは知っていた。」9歳児とは思えない冷たい言葉であっさりと言われた。

逃げようとしたら俺を魔法省に連れて行くと「10年も生きてるネズミなんて不自然だろう?」なんでみんな気が付かないのか不思議だと頭を掻いて面倒臭そうに言ってきた。

ここの家族はみんなお人好し・・というかいい人達だから、疑う事を知らないんじゃないかと俺でも思ってしまう程なので、内心では賛成をした。

「お前が逃げなければそれでいい。シリウスの事をずいぶん怖がっていたが、お前が逃げなきゃ俺が守ってやる。」

・・俺の事なんて何にも知らないガキの分際で、そう思ったら「お前はきっと碌でもない事をして人間を捨てざるおえなかったんだろう。けど、そのままネズミのまま一生を終えるんだったら俺が守ってやる。

光からも、闇からも。」

・・知らないくせに、俺の欲しい言葉をこいつはくれた。

そして俺はこいつの共犯になった。

ハリエットを守っているくせに、ハリエットの最大の敵のヴォルデモート付きの男と一緒にお茶してるってなんじゃそりゃ?

セブルス・スネイプがダンブルドアを引き連れて突っ込んできた時には一緒になって突っ込みたくなった。

ダンブルドアをくそ爺呼ばわりするは、相変わらずシリウスの事を駄犬と呼んで力強く生きているのに、こいつも時々泣くんだ。

特にアクロマンチュラ騒動の後は、ヴォルデモート付きの男・・いや・・ヴォルデモートだと知って縋りついて泣いたんだ。

こいつも・・弱さがある。光が鬱陶しくなる時が。誰だって朝や昼だけの世界を望まないのと一緒で、闇の中で泣くことを切望したんだ。

以外なのはこいつがヴォルデモートの胸で泣いた事じゃない、ヴォルデモートがこいつを撫でた事に驚いた。

こいつはヴォルデモート付きの男を何となしに慕っているのは知っている。なんせこいつの周りにはまともな大人の男が少なすぎる。

大人の常識はヴォルデモートは持っていたのをよく知っている。

マグルの車を違法改造して飛ばそうとしたり、勝手に人様の暖炉をお邪魔して一家だんらんの邪魔したり、次はいいアイデアないかと子供にたかる事もしないのだから。

それに張るのはセブルス・スネイプくらいだろうが、こいつにとってはその時はヴォルデモートが良かったんだろう。

思わず俺も眠ったこいつの頬に体を擦り付けた、ヴォルデモートが見ていても。

どうせこの方にはとっくに俺の事はバレている。鈍いシリウスや俺を見つけようともしないセブルス・スネイプとは違って。

ばれても殺されるのが関の山、最近は死ぬのが怖くなくなった。

こいつがいなくなることの方がはるかに怖い、そう目で告げたらヴォルデモートは不思議そうに目をぱちくりとして俺の事を見逃した。

 

そいつらよりも怖いリーマスがホグワーツの敷地内に入った時はすぐに分かった!!

死ぬのは怖くない・・でも・・あいつは確実に俺をおもちゃにする!!!あいつに自分の所業を知られるのは死ぬよりも嫌だ!

大広間には行かずにあいつの部屋に隠れて、しばらくしてあいつのことを捜していたら屋敷しもべ達があいつのところに連れて行ってくれた。

あいつは屋敷しもべ達にも大人気だから、ペットの俺も特別待遇してれて、行った先にはヴォルデモート付きの男とセブルス・スネイプがリーマスの事を話して対策を練ってくれて俺もこいつも助かった。

「怖がるなよスキャ。言ったろう、俺がお前を守ってやるって。」

リーマスに怯えた俺を慰めてくれた、熱い吐息で温めてくれながら。

俺はこいつの側にいたい・・ここはもう俺のいるべき場所・・今度はこの場所を守りたい。

・・ちっぽけなネズミの俺を、本当の意味で温かくしてくれるこいつを守りたい・・

  




ネズミの独り言、あるいはネズミの夢です


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お年頃?

本編です


雨の中、箒で飛ぶのは最高だ!それも-獲物-を狩り立てながら飛ぶんだから、テンションマックス!!

「俺に捕まれ!!スニッチ!!!!」

 

今日はとうとうハリエット・ポッターのクィディッチデビュー。

今期のスリザリンはシーカーとビーター二人が新人であっても、キャプテンマーカス・フリントは

勝利を微塵も疑わなかった。だって三人共鬼の子もしくは鬼本人かい!!というくらいにクィディッチが強かった!まさに箒にのってクィディッチをするために生まれてきたような子だこいつ等は!!

練習の時から頭角をめきめきと現し、すればするほどハリエットはスニッチを取るタイムが早くなり、ビーター二人のドラコとセオドールはえげつない程ブラッジャーを打ち返して、必ず仮敵の的に百発百中でブチ当てる!!これで優勝できなきゃ俺は首をくくって詫びてやる!!!

「そんなわけだから絶対にお前はクィディッチをやるなよ!!ロナルド・ウィーズリー!!!」

「・・何がそんな訳なんだか、きちんと説明をしてくれよな先輩。」

「ハリエットに勝つ可能性が一番高いのはお前だからだ!ロナルド・ウィーズリー!!」

「その通り!」

「・・出たな!!オリバー・ウッド!!」

「人様の寮の子を誑かすなマーカス・フリント!!君はぜひ箒にまたがりクィディッチをやるべきだロン!!」

 

このクィディッチ馬鹿どもがとロンとしては怒鳴りたいところだが、そのクィディッチ好きに

ハリエットが入ったので罵倒は止めにした。

ハリエットも罵倒するようでなんかヤダ。

「いいか!ロナルド・ウィーズリー!!お前がクィディッチを始めて、万が一にもハリエットに勝ってみろ、泣いてしまうかもしれんぞ!!」

「・・・あんた芯まで狡猾なスリザリンなのな・・」人様の弱点ついてきやがったよこいつ。

「・・おのれぇ―――!!!汚いぞマーカス・フリント!!!!」

「何とでもいうがいいオリバー・ウッド!!俺は、否!!俺達スリザリンは今期必ず優勝をすると誓ったんだ!!」ハリエット・ポッターに勝利の美酒を飲ませて上げるべく!!

スリザリンはにだってアンチポッターがいないわけじゃ無い。寧ろ家格を気にしていた、

聖28一族の下の方の分家たちが、筆頭格のマルフォイ家やグリーングランス家と仲がいい事に嫉妬をしている。

そんな彼等もハリエット・ポッターの境遇には同情はしている。人生の大半をどん底を舐め回した彼女に、勝利の美酒の一度や二度は味わってもらってもばちは当たらんだろと。

特訓にも手を貸した、もっと効率のいい動きを研究した、作戦会議もスリザリン生徒全員で臨んだ、後はグリフィンドールのロナルド・ウィーズリーがしゃしゃり出てこなければ完璧だ!

「だから・・俺はやらねえって言ってるだろうが先輩・・」

「それは確実にか!!」

「何ならホグワーツ在学中やりませんて一筆書くぞ?」

「よし!書き給え!!ロン!」

「・・お前まで馬鹿になっちまったかドラコ・・俺はちびッと悲しい・・」

「サッサと書けよなロン。」

「分かったよ・・書くから頭の上から顎退かせよセオよ。」

「血判も押してくださるわよね?」

「・・本気で怖えよ・・ダフネ・・アミルもにっこりと笑って小刀持ってるなよな・・」

「あら、切り裂き呪文の方が良かったかしら?」

この分だとビンセントとグレゴリーもなんか言ってきそうなので一筆書いても血判は押さなかった。

血を悪用される怖さはルシウスさんに散々教わってる・・だからダフネが舌打ちしたのは俺の気のせいだ・・きっとそうだ、うん。

 

そしてハリエット達の初試合。相手はレイブンクローで勝敗は決まっている気がするのは気のせいか?

「やってまいりましたクィディッチの開幕試合!!今回のカードは何とグリフィンドール対

スリザリンではなく、まさかのレイブンクロー!!哀れフクロウは蛇の毒牙から逃げる事が出来るのか⁉」

実況中継のリー・ジョーダンからしてレイブンクローが不利だとのっけから言ってるって、

レイブンクローに対して失礼じゃね?

やってみたらいい試合をしてるじゃん、クァッフルの得点で60対50で何だかんだでレイブンクローが勝ってるぞ。

それでも一発逆転出来るのがクィディッチの怖ろしいところだ。

シーカーがスニッチを取ったら150点って馬鹿げてると思うのは俺一人だけだろうか?

レイブンクローのシーカーは右往左往とスニッチを捜しているが、ハリエットはピッチの上空のど真ん中で微動だにしてない。

ブラッジャーが飛んできてもドラコ・セオコンビにお任せ状態、二人を信頼しているからこそ

スニッチ探しに一点集中をしているんだな。

 

どこだ・・スニッチはまだ出てないか・・。

曇天で始まった試合は大雨に見舞われたが、ハリエットは全く気にせずスニッチをひたすらに探した。

大好きな奴等もいけ好かない奴等も全員が一丸となってクィディッチ優勝を目指してる!!

その心意気に答えない奴はシーカーじゃねえ!!今期の優勝を逃したら俺は一生クィディッチはやらねえ!!・・光った・・ピッチの一番隅の・・

光を見つけたハリエットは「おお――――っと!!何とハリエット選手!いきなり落下を始めた!!不慮の事故か!はたまた箒の反乱か⁉」どっちでもねえ!!

解説者の言葉を胸の内で罵倒しつつ、ハリエットは箒に送る魔力を停止させて自ら落下を始めた。

魔力を送ればその粒子がほんの少しのブレーキになってしまうのを自分で発見したハリエットは、

魔力なしを試して成功をさせている。

「俺に捕まれ!!スニッチ!!!!」

凶悪なまでに叫び上げながら高速で獲物に近づき、怯えて逃げ始めたスニッチを見た瞬間に魔力を箒に送り込んでフルブレーキを掛けて直覚的な動きでスニッチを捕えた!

「・・・俺達の勝ちだ――――!!!!!」

その瞬間、ハリエットは雄叫びを上げ、割れんばかりの拍手と歓声がスリザリンから沸き起こった。

ずぶ濡れの中、ハリエットはマーカス・フリントに抱き着き、他の選手たちともハグを交わしてその日の大広間はスリザリンの宴で夜を閉じた。

 

 

 

 

 

朝に手紙がハリエットに届いた。白い封書にハリエット・ポッター様宛と書かれて。

部屋ん扉の前に置かれており、発見をしたダフネは真っ先に寮監であるセブルスに持っていった。

なんとなればハリエット・ポッターは闇の帝王を倒したとされる者。このホグワーツは実は外部からの侵入に弱いところもある事実も発見されており、まだ侵入可能な経路の全貌は明らかにはなっていない。

彼女を全ての悪意から守るのが使命とばかりにダフネは手紙を調べてもらうべく、朝一でセブルスの下にやってきた。

「・・ダフネ、私の見る限りこの手紙には呪いも悪意もない。」

「そうですか、セブ小父様がそうおっしゃるなら大丈夫でしょう。」

「ダフネ・・」

「分かっておりますわ。ここでは生徒と教師であるとおっしゃりたいのですよね。」

「ドラコにもそう伝えなさい。ホグワーツでは・・」

「でも、他の生徒達がいない時くらいよろしいと思いますわよ?ロンや子供の家の関係者の時のみお許しをしてくださいませんか?」

「・・考えておこう。手紙をハリエット・ポッターに渡してあげたまえ。」

「素直にハリエットと呼んであげればよろしいのに。」

「・・行きたまえ。」

「失礼しますわ、セブルス先生。」

セブルスをからかいつつ、ダフネはハリエットとアミルが待っているスリザリンの自室に戻った。

「・・・俺、手紙って初めてもらった・・」ホグワーツからの案内書もあるが、あれはきちんとした手紙にカウントしなくていい気がする。だって超迷惑被ったんだから。

一人で読みたいと言って、日曜なので食事の後バジの部屋に入った。

「バジ!俺初めて手紙を貰ったんだよ!!」

「-よかったではないかハリエット。我に構わずゆっくりと読みなさい。-」

「うん、後で遊ぼうなバジ。」えっと・・

 

-拝啓 ハリエット・ポッター様-

 

貴女をこのホグワーツでお見掛けしてから一年半もの日が経ちます。

僕は遠回しないい方は苦手なので率直に伝えする事にしました。

貴女の事を好きになりました。

返事をぜひお聞かせください。           アリアン・ロッディオ-

 

 

・・こ・・・・これって・・まさか・・・「ラブレター貰ったのか俺は――――⁉」

元・秘密の部屋に大絶叫が響き渡ったのであった。            




ドキッ!!人生初のラブレターなハリエットちゃんでした。
次回は保護者達の大暴走と恋の行方の顛末です。


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恋の顛末

ラブレターを出した相手の生死は如何に!!


-拝啓父上様、突然ですがロッディオなる姓名の家を大至急お調べください。

 これにはハリエット・ポッターの未来がかかっているのです。

 僕は彼女をとても大切な、友人よりも可愛い妹と思っているのです。

 その妹に関することなので今日中に願います。分かり次第両面鏡でお知らせ下しい。  

                                ドラコ -

 

「ふむ・・ナルシッサ、ドラコからのこの手紙をどう読む?」

「まあまあ、あの子ったら慌てて書いたのね。手紙を雑に書くなんてあの子らしくありませんわね。」

日曜日の昼食のさなかに梟便の手紙が飛んできて、驚いて中身を見てみればなんとも変わった内容だった。

異変があればもっと緊急を知らせる両面鏡を使うはずだが、手紙で来たとはこれ如何に?

「旦那様、梟便のお手紙がまた届きましてございます。」

「そこに置いておきなさいドビー。」

「畏まりました。・・あの・・坊ちゃまは・・」

「うん?つつがなくやっている。クリスマス休暇には帰って来るそうだ。」

「左様ですか!あっ・・ドビーめは仕事に戻りますです!!」-バチン-

相変わらずドビーは他の屋敷しもべと変わっている。

普通の屋敷しもべは自ら主人に対して何かを質問をする事は無い。それも主人の事ではなくその子供の近況を尋ねる事なぞ論外の筈だが、ロナルド・ウィーズリーに会って以来、常識を覆らされる目に何度もあっていると、ドビーくらい何とも思わなくなって罰する気すら起きなくなった。

そのせいだか、ロナルド・ウィーズリーとあって以降のドビーはマルフォイ家にきちんと忠誠を誓うようになり、特にドラコに強い思いを抱くようになった。

坊ちゃまを守りたいと。ドラコもロンの影響か、屋敷しもべに時折お礼をするようになったのがきっかけなのかもしれない。

何かをしてもらえるのが当たり前になったら腐った人間の出来上がりだと言っていた五歳児の子供の・・そのロンからも手紙が届いた。

 

-前置きが無くて済まないがルシウスさん。

 きっとドラコがロッディオっていう人を調べてくれ的な手紙が少し前に届いたと思うんだけど、

 悪いが無視してくれ。

 詳しい事は明日リジーの両面鏡で知らせる事を約束する。

                         ロナルド・ウィーズリー -

 

「あらあら、ドラコといいロン君といい、つれない手紙ばかり。今年のクリスマス休暇には

是非ハリエットちゃんにも来て欲しいわ。」

「ドラコとロン君に手紙を書こう。シシ―が待っているとな。」

「あら、貴方は楽しみでは無いのですか?」

我が子とその友人からの手紙は一旦わきに置かれて二人はイチャコラし始める。

何年たってもこの夫婦は新婚さん同然であったりする。

ドラコからの手紙は気になるが、ロナルド・ウィーズリーが解決するだろうとルシウスは読んでいるので、安心をして妻といちゃつけるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

どこぞの夫婦が平和にイチャコラしている時、ホグワーツでは大騒ぎになっている。

まず騒いだのはラブレターを貰ったハリエットがパニくった。

「どうしよバジ!!俺どうすりゃいいんだ!!!」

「-・・・ハリエット・・我に聞いてどうする?-」

「だってバジは何百年も生けてんだろ⁉知恵を貸してくれよ!!」

「-確かに我は長生きはしているが、そなたたち人間に関しての知恵は蓄えていないぞ。

我はこの地下にてずっとサラとの約束でホグワーツを守っていたのみだ。

それもそなたのような蛇語が出来る者が現れた時のみ覚醒をする。」

「・・そうか・・じゃあどうしよう!!俺・・こんなこと初めてで・・」

「-外の同族に聞くがいい、行ってこいハリエット-」

「あっ!!そうだよ!バジの言う通りだ!言ってきます」

・・やれやれ騒がしい子だ・・蛇たる自分に聞いてどうするんだか。よっぽど焦ったのだろうが、ロナルド・ウィーズリーが何とかしよう。

バジもロンに丸投げをして、一人になったので眠ることにした。

 

「クィリ先生―――!!」困った時は先生だ!!

秘密の部屋から一番近い先生の部屋に突撃をし、「先生!ラブレター貰ったらどうしたらいい⁉」とんでもない事をぶっこんだ!

「・・・ハリエット、何故俺様に聞く?」

あまりの唐突なハリエットの出現と質問内容に本来の主人格のクィレルがフリーズを起こしてポンコツ化したので、仕方なくヴォルデモートが表に出てきて対応をした。

「俺・・こんなもの貰ったの初めてで・・好きって書いてあるけどあれか?恋人になりたいって事でいいのか?恋人って何をするもんなんだ・・」

勢いよく聞いてきたハリエットは、最後はしりすぼみの声になってしょげ始める。

12年も生きて来て、そんな事も知らないのかと呆れられるかもしれない事に思い至ったようだ。

・・・・そんな超難問を俺様に聞くのかハリエットよ・・

もう内心ため息しか出ない。愛だのなんだのなんてものにトンと無縁な自分とクィレルに聞くのがそもそもの間違いだろう。

策略や篭絡の為の偽の愛ならば教えてやれるが・・そもそも自分が復活をしたら、慈悲を掛けてさくっとアバダするつもりなのを知らないって幸せだな~と、少々現実逃避をしつつ、

「セブルスにでも聞け。」と、ダブルスパイをしているセブルスに嫌がらせをしてやるところがヴォルデモートであったりする。

「そっか!ありがとうクィリ先生!!」

バタバタと言ってしまった。ハリエットは懐いた相手の名前を短く呼ぶ癖がある。

セブルスはセブ先生、ハグリッドはハグ・・・何故か自分も懐かれてクィリ先生になってしまった。

・・・あいつに恋文なぞだしたのは誰だ?

聞いておけばよかったとヴォルデモートは臍を嚙む。知ったらアバダではなくクルーシオでもかけてやりたい気分になったのはなぜだろう?

 

「セブ先生!!ラブレター貰ったらどうしたらいい!!」-ブウー!!・・ゴ・・ホゴホ・・

飲んでいた紅茶をむせたではないか!!ノックをせずにいきなり扉を開けてきたうえに、何をとんでもない事を聞いてくるのだこの子供は!!

突発的な事をしでかすのは、やはりあの馬鹿ジェームズといっしょか。

しかし本当に困り果てた顔をしている・・頼むからそのリリー譲りのエメラルドグリーンの瞳を潤ませて見つめないで欲しい・・でないとうっかり絆される・・

「藪から棒にどうした、こういう事はロナルド・ウィーズリーにでも訪ねてはどうかね?」

こんな薄暗い地下で幸せいっぱい甘酸っぱさいっぱいの話を相談されてはたまらない。

「そうか・・そうだよ!ロンだよ!!クィリ先生の言う通り、セブ先生のとこ来てよかった!!じゃあ行ってくる。」

「ちょ!!・・行ってしまった・・クィリ先生がだと・・」

あの死にぞこないの闇の帝王め!!何を人様に厄介事の中心にぶっこもうとした⁉

今すぐクィレル諸共アバダされたいのかあいつは!!

闇の帝王への忠誠と怖れなぞ、リリーが死んだ時点で諸共に死んだ。

サッサとあいつを葬る策を練ろう、腹黒狸校長と・・・ハリエットに恋文を送ったという者も入れておくか?差出人を聞くのを忘れたのが痛かったか・・後でハリエットに聞いてみるか。

 

ロンは・・ここか⁉

「あのさ!!あ!ジョージ・フレッド!」

「「おや、スリザリンの仔猫のハリエット。ロニー坊やに会いに来たのかい?」」

「そうなんだ、あいつは・・」

「とにかく入りたまえ。」

「君なら許可されるぞハリエット。」

「「グリフィンドール寮にようこそハリエット!!」」

双子はグリフィンドール寮の前にいたハリエットを寮の中に招き入れた。

ロンも同じようにスリザリンの寮に出入りしていると言うし、無断で忍び込まない限りは即の規則も無いのだからとホイホイ招き入れる。

「それでロンは・・」

「ロニー坊やになんの用だい?」

「僕等じゃ駄目かな?ハリエット。」

・・ロンの兄貴達でもいいかな?

「ラブレターを貰ったんだよ。」「「へっ⁉」」

「貰ったらどうし・・・」-バッリーン!!- -ガッシャ――ン!!-

ハリエットの一言で、グリフィンドール寮内に地獄のふたが開いた、開いて出てきたのはシリウス・ブラックだった!!!

シリウスは今日は地図作成の為にという名目で来校し、-ついで-にハリエットとロン達に会いたいな~とルンルンできて、OB特権でグリフィンドール寮でロンを探そうとしたら、

とんでもない事が耳に飛び込んできた!!

「ハリエット、手紙を見せてみなさい。」常にない丁寧な言葉が返って怖い!!

ハリエットがラブレター貰ったのを聞いただけで魔力を暴走させて花瓶にマグカップ類を壊した後では余計だ!!

怖いもの知らずのハリエットと双子もどんびいてガクブルしたくなる程に怖い!!

こっちに来るな死神!!!

目線だけでも何人も殺せそうな顔をこっちに向けないでほしい!!

「大至急ロナルド・ウィーズリーを探し出せ!!」

「超俺様大王を止めさせろ!!!」

グリフィンドール寮はエマージェンシーに陥った!こんな怖ろしいものはロナルド・ウィーズリーでなけらば止められない!!

上級生たちの迅速な判断と、下級生たちの俊敏な動きでロンはほどなく中庭で見つかり一緒にいた者達と共に寮に戻った。

「で・・この騒ぎの発端はなんだ、ハリエット。」

とりあえずいつもの如く駄犬をしばいて地面に転がしたロンは事態の説明を求めた。

「・・・俺がラブレター貰って・・どうしたらいいかをロンに相談をしようとしたらシリウスが急におっかなくなった。」

「・・・この駄犬が・・って・・お前達も何怖い顔してんだ?」

一緒に中庭にいて付いてきたのは、ドラコとダフネだった。

二人共日頃はおっとりとしているのにハリエットがかかると暴走気味になって来てる。

「ハリエット、誰から貰った?」

「え・・ロッディオっていう奴・・」

「そう、貴女あての手紙を検品しなかった私の落ち度ね。」

「ダフネ・・なんか怖い・・」

 

そしてドラコはルシウスに梟便を出し、速攻でロンも打消し内容をルシウスに送り、ダフネは

「きちんと相手を見極めて上げますからね。」世にも怖ろしくも優しい声でハリエットに話をしつつ、ハリエットの頭をなぜてハグをする。

まだこの子には早すぎる、過保護なお母さんは今回の一件を看過しませんよ?

超絶怖いおっかさん化している。

「そうだ!!ハリエットにはまだはや・・むぎゅん!!」

「いいからあんたは口を出すな馬鹿名付け親、ダフネも今回の件は手を出すなよ。」

余計な事を言いそうな駄犬の頭を地面に蹴り倒しつつ、ロンは全員にお手出し厳禁を出す。

「いいかハリエット、お前に向けられた好意だ。お前自身が答えを出せ、振っても付きまとわれた時には俺達に相談をしろ。」

「・・分かった・・考えてみる。」初めての事だけど頑張るぞ!!

 

 

「ロンの馬鹿野郎!!ハリエットが早々にお嫁に行っちまったらどうすんだよ!!」

「シリウス・・ハリエットはまだ子供だよ?」

「暢気な事を言うなリーマス!!結婚はなくても婚約があんだろうが!!!」

この駄犬ちょっとうざいと思いつつ、いつも通りに適当に慰めるリーマスだった。

 

夕食の大広間の一角は沸騰寸前している!ハリエットが来るのが遅すぎる!!

「皆お待たせ~。」

「遅いぞハリエット!!」

「わりかった、ドラコ。ダフネも皆も心配かけたな。」

ハリエットが来ないのはラブレターの相手と揉め事かと皆がやきもきをしていたのだ。

「それで・・どうしたの?」

「ん?ああ、断った。俺まだそういうの分かんないから無理だって。そしたらお友達から始めようって言われたんだ。」

ずっとダーズリー家で程い目にあってきた。その事はロン達のお陰でどうでもよくなったが、

分からない事が増えた。

特に愛ってなんだろう?ロンは大好きだ。ドラコ達もクィリ先生達も好きだ。でも愛ってなんなのかよく分からないままだ。

愛がポカポカ胸を温かくするだけじゃないらしい。よく分からないのに好きだって言われても、

言ってくれた相手に悪い気がしたからすぐに返事をした。

相手は同じスリザリンの一つ上の先輩で、談話室で下級生に勉強を教えているのをよく見かける人だった。

自分が御免なさいをすれば「こちらこそすまなかった、少し急ぎ過ぎたようだね。君はまだようやく世界を知り始めたばかりなのに。」却って謝られて、それでも綺麗になっていく君を独占したかったんだと言われた。

ホグワーツに来た当時はガリ細だったのが、スリザリンの皆やロンのお陰でふっくらと愛らしくなり、日々の何気ない事でも喜び、毎日キラキラとして楽しんでいるハリエットに惚れたのだと。

「諦めないよ。」そう言われたのは内緒だ。

ハリエットが速攻で返事をしたので一応は皆落ち着きを取り戻し、平穏無事なホグワーツに戻った。

ちなみにセブ先生とクィリ先生も何故かホッとしたのは二人の内緒だ。

 

「ロン、貴方は今回何もしなかったわね?」

「毎回何かすると思うなよハーマイオニー。」

俺はトラブル解決係じゃねえぞ・・とは言えない。

「スキャ、ハリエットに虫が付いたらしい。」

「チュ~(まあそろそろお年頃っしょ。)」

「暢気を言うなよ、もしも手紙が偽でハリエットの心を傷つけようとする輩の策略だったらどうするんだよ?」

「チ・・チュウ(可能性は・・あるか?)」

「だろう?だからロッディオっていう奴がスリザリンにいるか、スリザリン寮付きの屋敷しもべに

聞いてくれ。」

「チュウ!(合点承知の助!!)」

近頃ネズミ語を覚えたんだか、スキャバーズだからか、ロンはスキャバーズと普通に会話をしている。

そのスキャバーズに頼んで速攻で調べさせ「チュウ?(ロッディオっていう奴いるか?)」

屋敷しもべに確認をして、いる事を知った後は様子も見に行ったらそわそわして、そうこうしている間にハリエットが訪ねてきたのが見えたのでスキャバーズに帰るように命じて引き揚げさせた。

覗き厳禁であり、その後は本当に知らなかった。

なんだかんだ言ってもロンもハリエットと天使達が絡むとぶっ壊れるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあバジ、この学校を作った奴等はラブレター貰ったのかな?」

「-ゴドリックは手紙は貰わずに自分から女性を口説いていたな。サラは魔法全般の研究一筋でこもっていたし、ロウエナは才女で名高く自分で夫を見つけて、ヘルガは・・」

後学のための勉強と、バジに四大創設者の恋の遍歴を聞くハリエットであった。

聞けば聞くほど愛とは複雑で分かりにくい・・分かる日が来るんだろうかと少々不安になってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうかそうか・・その身の程知らずは・・」

「やったらルシウスさんと絶交するっぞ。」

「・・分かった・・引くと仕様-今回-は。」

「あのな・・」

リジーの両面鏡を借りて事の顛末を話したらルシウスさんも駄犬と同じって・・マジ勘弁してほしいと思ったロンであった。




知識がついても中身が3・4歳児のハリエットちゃんが、保護者役の面々を暴走させかけ振り回した回でした。
そろそろハリエットの事もスポットライトを当てていきたいと思います。


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パジャマパーティーinホグワーツ

暢気な女子達です


「キャッ!アミル!!これ本当に飲み物なの?」

「ちゃんとした飲み物よ、パンジー。」

「私これ知ってる!マグルの飲み物でコ-ラっていうのよ・・ダフネには少し刺激が強すぎると思うけど。」

「ジニーの言う通り、ちょっと無理そう。オレンジジュースにしておく。」

「俺はこれ好きなんだけどな~。アミル、お代わりほしい。」

 

 

今日のスリザリン寮の夜は仲の良い女子が集まってマグルの-パジャマパーティー-が開催をされた。

とはいっても寮内であっても夜は基本である禁止だある。たまに眠れなくて談話室で過ごすくらいは認められてはいるが、大勢の子供達が一つの部屋でパーティーをしていいとはなっていない。

規則にこそ記されてはいないが、グレーゾーンではある。

基本ダフネは貴族の子女として規則に則っての生活を好む。規則を破るものにお説教をする方なのだが、

「たまには皆でワイワイしながら寝てみたい。」

可愛い娘ことハリエットのお願いならば規則厳守にはお出掛けを願い、この日の為に実家にお菓子を多めに欲しいと梟便を送って準備万端に整えた。

今日の初パジャマパーティーのメンバーはハリエット達の部屋を開催場所にして、ジニーとパンジー・パーキンソンをご招待。

パンジーは大量のチョコレートを、ジニーは手作りのマフィンを持ち寄ってキャッキャウフフの

パーティーの開催とあいなった。

 

「コーラ何てよく梟便で届いたな?」

「箱の中に藁を敷き詰めてもらって、しばらく台所で預かってもらったのよ。」

「炭酸ていうの初めて飲んだわ。これ結構おいしいからダフネも飲んでみなさいよ。」

「私は遠慮しておくわ。ジニーこのマフィン美味しいわね、これならいつでもお嫁さんになれるわよ。」

「ホントだ!ロンはいつもこんないいもの食べてたのか~。」

「それくらいならいつでも作るわよハリエット。沢山食べてね?」

「でも寝る前に食べたら太るんじゃない?」

「あらパンジー、貴女もハリエットももう少しふっくらした方がいい位よ。」

「キャ!このカエル動いた。」

「あら、魔法界二年目なのにカエルチョコは初めてだった?」

「・・母さんが魔法界のお菓子は刺激強いからってあまりくれなかったの。」

アミルは母親が魔女で父はロンドンの銀行で働いている裕福な家で育ち、ホグワーツ入学許可書が届くまで生活の拠点はマグル界の方だった。

魔法の事は父も知っており、物心ついた時には母からある程度の魔法の知識を教わって育った。

お陰で暴走事故もなく、違和感なくホグワーツ生活に入り込めた。

母の親戚は母がマグルと結婚をしたのが許せないらしく、疎遠なのでダイアゴン横丁に行くまで魔法界に入った事は無いので、魔法界の生活水準が現代社会よりも遅れているなと感じたのは初めの頃で、今はそれがかえって楽しい。

汽車での移動は遅い分、友達と長く楽しく遊べる。エレベーターがないから自然運動になっている。

鉛筆ではないから消すのが大変なのできちんと考えてから書く習慣も身についた。

便利が=幸せとは限らないようだと学んだ。だってホグワーツ生活は少々不便でも楽しいから。

「ねえ、今年はハリエットはクリスマス休暇はどうするの?」

去年はスリザリン寮で唯一の居残りとなってしまったのを、ダフネ達は気に病んでいる。

マグルの家に帰りたくないならば、自分達の家に来ればいいと誘うつもりだ。

「俺さ・・手紙書いたんだ。」ここで書いて、ルシウスさんにマグルの郵便投函をお願いした。

「帰ってもいいかって。」今はその返事待ちだ。

10年間、あんなに酷い目にあったのに、ダーズリー家に歩み寄ってみようかと考えて。

きっかけは今年の夏季休暇の帰省時だ。何故かダーズリー家は自分に対して優しくなっていた。

きっかけはマグルに対しても根気強く接してくれたルシウスさんとアーサー小父さんとモリ―おばさんのお陰かもしれない。

彼等はダーズリー家の前で魔法を振りかざすことなく、きちんとマグルの常識で接したと言っていた。

ダーズリー家は、たんに自分が怖かったのかもしれない。-魔法-なぞという未知で訳の分からないものがいつか自分達に悪意をもって向けられるのではないかと。

ペニチュア叔母さんの姉であった母はどんな接し方をペニチュアにしていたのかは分からないが、少なくともトラウマレベルになっているのは確かだ。

魔法界の不思議と怖さを知り始めたハリエットはそう考えるようになり、それならば気味の悪い子供を10年間も家から放り出さなかったのは奇跡に近い気がしてきた。

その環境が過酷で劣悪であっても、養育費だって馬鹿にならないのにきちんと学校にだって通わせてもらっていたのだ。

お陰で読み書き計算に困った事は無い。

バーノン・ダーズリーが社長をしていても、ダーズリー家に金銭面の負担を強いてしまったとシリウスは言っていた。

あの子供がそのまま大きくなったシリウスが気にするほどの事をダンブルドアは平然と敢行したのだから恐れ入る。

いつか絶対に取り澄ましたあの髭親狸の顔面をぶっ飛ばすのが最近の密かな目標だ。やった暁にはぜひダーズリー家にも知らせようと思っている。

 

「今は返事待ちなんだ。ルシウスさん経由で届くはずだ。」

ダーズリー家は魔法界の接点を持つことによって、きちんと魔法の説明受ける事で自分に対しての接し方が和らいだのかもしれない。

「そう・・頑張ったわねハリエット。」

「良い子ねハリエット。」

お母さんダフネとアミル二人に両方からハグをされ、お腹もいっぱいになったのもあってハリエットはそのままスヤスヤと寝息を立て始めた。

 

「あらあら、歯も磨かないで。」

「一日くらいいいじゃない、ダフネお母さん。」

「見逃して上げようよ。」

「でも私達はもうお開きね、歯を磨きましょう。」

「私はハリエットと寝たい。」

「ジニーはそっちで、そしたらパンジーは私とね。」

「アミルは寝相いい方?」

恋話などはまだまだなく、起きていられる時間もまだわずかなお子様パーティではあっても、

ダフネ達は楽しみ、次はいつ開催して規模はどうするかの相談をしながら眠りについた。

クリスマス休暇には何をしようかも。

 




クリスマス休暇のフラグの回でした。


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クリスマス休暇の始まり

クリスマス休暇を二部に分けます。


まだかまだかと、ハリエットはここ数日そわそわとしている。

お陰で大好きなセブ先生の授業であわや減点を喰らうところだった。

魔法薬を作る時間は大好きだ。寮監のセブルスもだが、何か料理を作っているのと同じ気がして

ホグワーツの授業で最初に馴染んだものだから。

教科書や先生の言う通りに切ったり砕いたり煮込んだり、タイミングはドラコ達が教えてくれて、

今では自分でも何となく分かり始めた。

 

「魔法薬作りって楽しい!俺もっといろんな薬を作れるようになりたい!!」-夢―という者を初めて持てたのもこの授業のおかげだ。

薬を作って困った人を笑顔にしたい、ロンの様にとセブ先生に言ったらものすごく驚いた顔をされた。

俺なんかじゃ無理なのかなと落ち込みかけたら、ポンと頭に手を置かれてそっと撫でられた。

大きくて少しごつごつしてて、見上げてみれば先生はいつもと全然違う顔をしていた。

泣きそうな、それでも精いっぱい笑おうとしている顔で、見てた俺の方がぼろぼろと泣いた。

以来先生は人前ではハリエット・ポッターって呼ぶけれど、二人きりの時にはハリエットって呼んでくれるようになったのに・・その先生の授業をしくじりかけるほど落ち着かない。

だって!明日からクリスマス休暇なのに!!ダーズリー家からの返事が全く来ない!!!

駄目ならだめって返事くれ!!

 

「ほらハリエット、百面相してないでご飯はきちんと食べろ。」

「う~ロン~。」

「ダフネ達から理由聞いて知ってるから、それはそれ、これはこれできちんと食べろ。」

こいつもちゃんと成長してる。自分からダーズリー家に歩み寄ろうだなんて凄い事だ。

普通は虐めた奴は許さないになるんだが、もっとひどい虐待を受けても憎んだままじゃなく、

何でどうしてを自分なりに考えたなんて・・ガキ大将のままの駄犬や、人を疑って駒にしか扱わない腹黒狸はハリエットの爪の垢を煎じて飲むべきだと思うぞ、マジで。

 

―バサリ―

 

「ああ、来たか。僕は寮に戻って荷物の整理をするよ。」

「ドラコは本当に梟便の群れが嫌いだな。」

「フクロウは好きだけれども、彼等の羽やそのほかの物が落ちてくる中で食事をしたくないだけだよ。」

ドラコって本当にお貴族様だな~って、白のメンフクロウは・・・いた!!

「スノー!!こっちこっち!!」

今年の進級祝いだってシリウスがくれた白い梟がやっと来た!メスで俺の事を子供に思っているのか時折翼で俺の事を撫でてくれて常に側に寄り添ってくれてるいい奴だ。

そのスノーが手紙を持ってる!!

えっと・・これって・・「やった――――――!!!!!!!」

 

手紙には一言帰って来ていいとしか書かれていなかったけれども超嬉しい!!

「ロン!帰って来ていいって!!クリスマス休暇も帰って来ていいって!!」

嬉しい!本当に嬉しい!!

 

ソノ-ラスを掛けたような大声であっても、誰もハリエットを咎めようとは思わなかった。

みんな知っている、ハリエットがその一家から受けた仕打ちを。なのに歩み寄ろうとして

家に帰れると喜ぶ彼女を咎める奴がいたら寮なぞ関係なく総出で吊し上げる気満々だ。

「次の日は皆で僕の家に来たまえ、大勢泊まれるから家族連れでもいい。

ロンはどうするんだ?」

「何となくハリエットの方が許可が下りる気がしてたから、今年は帰るって兄貴達と決めて父さん達の了承もとってある。」

「それなら一家揃って来給えよ。父上もお許しくださる。」

「おう頼む。その代わりに夏休みは俺のところにも泊まりに来いよな。」

「分かった。楽しみにせているよ。」

「ねえ、夏休みは親が許してくれたら交代で泊まり合いをしない?」

「それはいいな、でもみんな無理のない範囲でしような。」

「俺のとこは・・」

「だからさ、無理のない範囲だってセオ。ハリエットもハーマイオニーもだぞ。」

一つの手紙が、来年のお楽しみも生んだ。

教職員の席ではマクゴナガルをはじめとした教師陣が温かい目でその光景を見守っている。

「いざとなったら子供の家でキャンプできるように、ルシウスさん達に掛け合うか?」

「それはいい。それならばハンナたちも気兼ねなく泊まれるし・・」

ロンの何気ない言葉から楽しい事が次から次へと生まれてくる素敵な光景を。

 

それからはあっという間にクリスマス休暇になった。

汽車の中で明日の打ち合わせをした。それをバーノン達にうまく言えるか不安だが、その前にきちんと言わないといけない事がある!!

汽車を降りて、一旦お別れの挨拶をしたハリエットは、心臓が破れそうなほど不安でドキドキしながら人を探した。

今日のロンドンは大雪が降っている、もしかしたら来てないかもしれない・・そう思ったがいた!

今回は小さな荷物だけどやっぱり持ってくれた。無言であって・・言わないと・・言わないと!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                     

                     ....

         「ただいいま!!バーノン叔父さん!!!!!」

 

 

ハリエットはありったけの勇気を込めて全身で叫び上げた。バーノン叔父さんと。

受けた仕打ちは今でも忘れられない憎しみもゼロになったわけじゃ無い。それでもこの人は俺の

事を10年間無償で育ててくれた。妻の姉の子供なんほぼ他人で、手紙一枚で押し付けられた俺の事を、だからこう呼ぶことにしたんだ。

拒絶されるかもしれなくとも・・

 

しばらく沈黙が下りた。ハリエットの大きな声で注目を集めても、バーノンはまともではないと叱らなかった。

不意に、本当に何の前触れもなくバーノンの目から涙がこぼれ始めた。

酷い事をした自分を叔父さんと、ハリエットが言ってくれた。

胸の中では沢山の言葉が詰まっている。今の言葉に対する感謝の気持ちも、今までの罪悪感も、これからはどうやって家族になって行こうかとも沢山の言葉と思いがあるのに!!

「・・家に帰るぞハリエット。」言えた言葉がこのたった一言だとは情けない思いだが、

「うん!!帰ろう!俺達の家に帰ろう!!バーノン叔父さん!」その言葉を聞いたハリエットはとびきりの笑顔で返事をしてくれた。

まるで宝物を貰ったように。

「ただいいま!!ペニチュア叔母さん!!!」家で出迎えたペニチュアにも叔母さんと言ってくれた。

来年の夏休みには夫婦二人で出迎えに行こう。




クリスマスの贈り物でした。
ハリエットにとっては叔父さんと呼ぶにはとてつもない勇気のいる事でした。

―家に帰る―というのはハリエットにとって、まさしく宝物なのです。


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クリスマス休暇の終わり

後編です


ダーズリー家のキッチンでクリスマスの用意をしている、ペニチュア叔母さんと一緒に。

帰って来た時ペニチュア叔母さんにも叔母さんて言ったら叔母さんに泣かれた。

泣かれながらもハグをされて、今は一緒にクリスマスの用意をしている。

居間ではバーノン叔父さんとダドリーがクリスマスツリーを飾っていて、-普通-のクリスマスの準備をしている。

ダドリーはカッコよくなってた、帰ってきた俺に真っ先にお帰りって言ってくれて、荷物を-二階―の部屋に運んでくれた。

以前はダドリーのおもちゃ部屋だったのに、「俺ももうガキじゃねえんだ。」とか言って、

部屋を譲ってくれた。

中身もだが見た目も変わってた。「今はボクシングで鍛えているんだ。」その内に世界チャンピオンでも目指すかって、照れ臭そうに言ってた。

ロンの言った事が聞いたのかな?ラグビーかボクシングに向いてるって。

ロンが言ったことはたいていいい方に実現される、あいつは凄い奴だ。

明日話そう、今日あったいい事の全部を。

 

クリスマスケーキをオーブンに入れて、横を向けばエプロンをしめた叔母さんがローストビーフを盛り付けてる。

俺の横にいるのが当たり前の様に、クリスマスを祝えるのを喜んだ顔をして。

なんだろ、なんで心がチクチクするんだろ?鼻がツンとするのは「・・ハリエット!どうしたの?」わっかんねよ叔母さん!俺だって、でも悲しいんじゃねえのは分かるんだ。

「叔母さん・・ありがと・・ずっと置いててくれて・・」ひぐひぐ泣きながら、叔母さんに抱き着いた。

叔母さんは無言でも俺の事を拒まなかった、それがも嬉しい。

料理が出来て、皆でリビングでクリスマスの料理を食べた。静かでも、嫌な沈黙じゃなくて

お互いに何を話していいのか分からない。

でも別にいい、おじさんたちの顔は照れくさそうなのを隠している時のセブ先生の顔に似てるから、嫌じゃないんだって分かる。

おやすみなさいを言って、部屋に入った。

 

起きたらツリーの下には俺へのプレゼントが-三つ―置かれていた。

おそるおそる開けてみた。一つ目は大きめで、綺麗なドレスだった。

全体がエメラルドグリーンで、繊細な白のレースで覆われている。

袖はすっとした七分で、腰の部分がサッシュベルトで止められるようになっている。

箱の中にはさらに小物類が入っていた。モスグリーンのチョーカーと、綺麗な細工の髪留め、

ドレスと同じ色のパンプスにシルクの白手袋。

「・・今日はお友達の家にパーティーに呼ばれているのでしょう?」

叔母さんが、小さな声で言った。つまりこれは叔母さんからだ!!

「叔母さん!!」嬉しくて、こんなき綺麗なドレスを用意してくれた叔母さんの優しさがすっごく

嬉しい!!そのまま抱き着いたら、「ハリエット、俺達の分も開けてくれ。」

ダドリーに催促をされて開けてみた。

小さな包みからは可愛いリボンだ、これならホグワーツでも毎日使える。

もう一つの方はブローチで、ドレスと合いそうな可愛いデザインをしている。

嬉しい、去年皆から貰ったプレゼントも嬉しかったけれどこれも嬉しい。

幸せだ、こんなに幸せで怖い位だ。

 

 

「ずっとこの幸せが続くといい。」

「そうだなハリエット。」

ハリエットを迎えに行ったらダーズリー家の人達がハリエットとの別れを惜しんでいたので、

昨日何があったのかを聞いてみたら、幸福が詰まったとてもいい話が聞けて嬉しくなる。

ペニチュアさんから贈られたドレスを身に纏っているハリエットは本当に綺麗だ。

髪はアップをされて髪留めで留められている。うっすらと口紅をひいたのはナルシッサさんだ。

「娘が生まれたらこんな感じかしら?」ドラコは可愛いけれどもドレスを着せたら泣いてしまうかしら?

天然的にサラッと怖い事を言って、聞いてた野郎一同は戦慄をした!

「・・母上が僕の事を時折じっと見ていたのはそんな企みをなさっていたのか・・」

「安心しろ。シシ―にはしない様に釘を刺しておいてある。」

「止めなかったらされていたのかドラコは・・」

ちょっと見てみたいと思ったのは内緒っだ。

今日はマルフォイ邸は大賑わい。俺の家族はビルもチャーリもいて本当に一家総出できても、

ルシウスさん達はニコニコ顔で迎えてくれてた。

シリウスもいてなんと教授もいる。

ハリエットはルシウスさんが車で迎えに行ってやって来て、ネビルもハーマイオニーもほどなく来て、

煙突ネットワークでセオとビンセントとグレゴリーが来て、空飛ぶ馬車とかすんげえものでダフネとパンジーが来た時は、ドラコ以外はぶっ飛んだ。

魔法界の金持ちってやる事が半端ねえよ。

 

 

昨日はマルフォイ家主催の上流階級や魔法省のお偉方や他の繋がりの人達を招待をしたパーティーで、

今日が-親しい者達-だけのプライベートなパーティーのようだ。

「君やハリエットを欲まみれの大人たちに晒すはずがないだろう?」妙にシニカルな笑みが板について来てしまったドラコが教えてくれた。

でも―身内思いの良い子-だドラコは。どんなに権謀術数を覚えて駆使しても、その原動が身内を守る事に終始している。

俺のマイ天使は変わらず天使の心を持っている。

兄貴達もワイワイとして、父さん達は互いにお酒を注ぎ合って、母さんは子供達をそれとなく見守りつつ、ナルシッサさんととめどない話をしている。

俺のポケットでは御馳走の分け前をたらふく食べてたスキャが、満腹になって眠っている。

ハリエットの言う通り、この幸せがずっと続くように俺が守ってやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜-狼-が夢を見た。

自分の-才能-を認めてくれて、好きにする事を許してくれた―主―が生きている夢を!!

そうだ、あの主が早々に死ぬはずがなかった!!仲間は大半捕まったが、まだ生きて-外-

にいる奴も大勢いる!

主を探し出そう!もう一度あの時代を甦らせ、今度こそは俺達が勝つ!!俺達をつまはじきにした奴等の喉笛を再び噛み千切る為にも!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先輩!!一体何してくれたんですか⁉あんな奴に情報を与えるなんて!!!」

「見ていられない程にありきたりの幸せになって儂は退屈になったんじゃよ。」

「・・・・アクロマンチュラ騒動を引き起こしておいてそれを言うのですか・・」

あれは多くの命が無駄に散った!折角ルシウス・マルフォイが闇日記を燃やし尽くして、

ロン達は平和な一年を過ごせそうだったのを邪魔をして!

「あれは本当に愉快じゃった。でも甘ったるい話はもう飽きたのじゃよ。」

・・この人は・・「いつか誰かに殺されますよ?」

「望むところじゃよ。」そうなればいいと、いつも思っているのになかなか訪れてはくれないの~。




幸せを望むロン達と、己の幸せのみを願う邪神のお話でした。


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番外編ーマルフォイ邸のパーティー-

ドラコ以外は子供達の登場人物は出ません。


ハリエットがダーズリー家でバーノン達と平和なクリスマスを祝い、ロン達ウィーズリー家が

賑やかにクリスマスパーティーを開いている時、マルフォイ邸は聖28一族の上流階級と、多方面の実力者達が集まったパーティーが開かれていた。

「今年も呼んでくださりありがとう、Mr.マルフォイ。」

「ご子息もすっかり大きくなられて・・」

「マルフォイ家の将来も安泰ですな。」

「利発そうなところがお父上に・・」

 

バカバカしい、言っている奴等の底が透けて見えるおべんちゃらにはもううんざりだ。

「父上、申し訳ありませんが飲み物を取って来てもよろしいでしょうか?」

「行ってきなさいドラコ。もう少ししたら休むように。」

「かしこまりました父上。」

僕の心を察してくれた父上がこの場から逃がしてくれた。

ここに集った者は皆なにかしら父上とマルフォイ家の恩恵を受けている者達ばかりだ。

彼等が僕を褒めるのは父上へのご機嫌取りだと丸分かりでうんざりとする。

 

綺麗に着飾ったご婦人たちも、母上の生来の美しさには勝てまい。綺麗なプラチナブロンドに

湖水を思わせる美しいブルーの瞳。僕という子供がいるようには見えないいつまでも若々しく

愛らしい母上。

紳士を気取った者達がどれほど偉ぶっても、本物の威厳を持つ父上には敵うまい。

僕なんかよりも父上と母上を褒めるべき点が多々あるだろうに。

 

バルコニーに出て中でのわずらわしさを、冷たい風で洗い流す。

この場に赤毛の一家が来れば、あらゆる意味で見ものだ。

彼等の赤毛はくすんではおらず、皆一様に真っ赤に燃えた炎のようだ。中身も髪の色と同じで様々な炎を内に秘めている。

この場にいる大人達なぞ瞬時に焼き尽くしてくれるはずだ。

 

「ドラコ坊ちゃま!このような所にいてはお風邪をお召しになってしまいます!!」

「・・ドビーか・・そろそろ寝室に帰ってもいい時刻になっているか?」

「はい、もう坊ちゃまの就寝時間となっております。安心をしてお部屋にお戻りくださいませ。」

「分かった、教えてくれてありがとうドビー。」

「・・坊ちゃま・・勿体なきお言葉!!ドビーめはどのような事をしても坊ちゃまをお守りいたします。」

大袈裟だな、でも言葉には熱を感じてドビーの心からの言葉だと分かる。

「ありがとうドビー、送って・・」

「はい!お送りいたしますです!!」-バチン-

この姿現しは本当に便利だ、将来絶対に覚えよう。

母上も先程話を楽しまれていた、父上もそのまま下がっていいと言っていた。

たまには当主の息子の立場をサボタージュしよう、明日父上と母上に詫びればいいか。

「坊ちゃま、何か温かい御飲み物は?」

「いい、父上達が僕の事を聞いたら疲れたから寝ていると伝えてほしい。」

「かしこまりました。おやすみなさいませ坊ちゃま。」

良い夢を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どの家庭も子供達が眠る頃、マルフォイ邸のパーティー会場に防音呪文が毎年施される。

中ではどのような悪事・密談・権謀術数が渦巻いているのか聞いてみよう。

 

 

 

「あの古狸が!!あいつみたいな腐れ教師が何で校長職についているんだ!!」

「その通り!我等がスリザリンというだけで目の敵にしてくる贔屓爺が!!!」

「この前のホグワーツのアクロマンチュラ騒動ではもう少しで吊し上げ大会を開催できるところまで漕ぎ付けたというのに!」

連れの妻たちを寝かせた男達はとある爺を標的に盛大に気炎を吐きだし始める。

「申し訳ない・・もう少しでホグワーツの校長職を解任できたというのに・・私の配下が余計な事をしでかしたせいでご破算にしてしまって・・」

「ああ~あのカエル女か。だから言ったろうファッジ大臣、あの女はさっさと切れって。」

「どっかに捨てて来いって言ったのに、おべんちゃらに負けてんじゃねえぞ!」

さっきまでドラコや奥方達に紳士を気取っていたとは思えないほどの変わりような口の利き方だ。

「その通りだ!!あの真っ黒狸の退治方法を皆で考えるぞ!!」ここで闖入者が乱入!!

 

「げ!!シリウス・ブラック⁉何を光の不死鳥の騎士団に入っていた奴が抜かすか!」

「Mr.マルフォイと付き合っているからと言って、毎年毎年うっとおしい!!!来るんじゃない!!」

「うるせえ!おれは今年こそ決めたんだ!!あの腹黒狸を退治しなくちゃ大切なものは守れねえって分かったんだ!そうだろ野郎ども!!」

 

そう、このパーティの半分は毎年の顔つなぎの場であり、もう半分は-腹黒爺吊し上げの会-

であったりする。

あの校長は碌でもない奴だ。グリフィンドール生が少しでも困ればさっさと助ける癖に、

他寮の、それもスリザリン生が虐められていても放っておく最低野郎だ!!

分かりやすい例がジェームズ・ポッター達がセブルス・スネイプを虐めてもやり過ぎて殺しかけても退学にはしないという甘い事を平気でする屑狸野郎だ!!

 

この十年、闇の帝王倒れて以来、その校長様は増々調子に乗りやがって発言権を増しているという

気に食わない事態に、いつしかマルフォイ邸でのパーティの趣旨が半分様変わりをした。

当初はウィーズリー家と付き合いつつも、闇の勢力と関係を完全には断っていない家とも

ビジネス関係で繋がる為の情報交換の場だったのが、子供達が寝静まり妻たちも寝た後に昔からのダンブルドアへの恨みつらみを吐き捨て、シリウス・ブラックの言う通り、常にどうやってダンブルドアを引きずり下ろすかを目論んでいる。

ここ数年はルシウスと行動を共にするようになったシリウスも、この爺吊し上げの会に出席をするようになった。

毎回お互いに悪口合戦を繰り広げつつも、何だかんだと狸退治の話をヒートアップで話し合い、

狸に隙あらばいつでもどんな事をしてでも食っちまえと言うのが合言葉化している。

 

先日のアクロマンチュラ騒動は格好の的となっただろうに、カエル女が邪魔をした!

今頃はアズカバンで一人寂しいクリスマスを送っている事だろうが、自業自得だと誰も同情はしない。

千載一遇のチャンスを不意にしたきっかけになったのだから。

 

「だからごめんよ!セブルス!!スニベルス何って酷い事を言っちまって!!!」

「・・うるさいぞ駄犬・・もう子供の頃の事なぞどうでもいいから、あの耄碌爺を葬る考えを

出せ。」

酔いも手伝って、シリウスは毎年セブルスに懺悔をし、大人になった大蝙蝠は駄犬の愚かさを寛大にも許してやる。

そんな事よりも、-大切な子供達-が狸に誑かされないうちにさっさと葬りたい。

「俺が棺桶に叩き込むのはどうよ!!」物理的に本当の意味で!

「・・・またアズカバンに逆戻りしたいのかね?」今度は本当に有罪で救いようがない。

「ハリエット達が泣いて、ロン君にお説教をされたいのですかシリウス?」

「・・駄目か・・だったら過去の方の調べはどうなってる?」

「ゲラート・グリンデルバルトと個人的な繋がりがあったという証言がありますが、それも曖昧な者しか出てこない・・」

「それを討ち果たしたのもダンブルドアか・・そんな曖昧なもんじゃ駄目だろな・・」

隙が少なさすぎるんだよ!!尻尾をサッサと出しやがれ!!!

 

今年も狸退治の決定打が出なかったと野郎一同は嘆いたが、クリスマスの翌日のダンブルドアも

世を呪いたくなった。

毎年自分を慕う者から沢山のプレゼントを貰う反面、とんだもない物も贈られるからだ。

呪いのグッズであったり、不幸の手紙なぞ数知れずで、毒入りのお菓子は山のように届いて、

今年は更にものすごいものが届いた

 

 

      「ハリエットの幸せを邪魔したら地獄に叩き込むぞ爺!!!!」

 

 

クリスマスの朝一を咆えメールで叩き起こされた・・咆えメールは燃え尽きてしまうので誰の仕業か分からずに報復は不可能・・もう儂嫌じゃ、今年はふて寝しようと引きこもったダンブルドアであった。




前半でいつもの通りの幸せいっぱいのお話と思いきや、狸退治のお話でした。

闇の皇子様、とうとう頂いたネタを書く事が出来ました!
腹黒狸に翻弄されて、恨みつらみを吐き出しながらも虎視眈々と狸の首を狙う者の話と、
その狸の嘆きの話でした。

この場をお借りして、お気に入りが700名様となり、嬉しい限りです。
駄文で誤字脱字が相変わらずに多い筆者を見捨てることなく読み続けてくれる皆様にも感謝の言葉を述べさせていただきたいと思います。

闇の皇子様の様に、何か面白そうな話のネタがございましたら、頂ければ幸いです。


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アズカバンフラグは叩き折ったはずだけど・・

いきなり三年生編です。


クリスマス休暇が終わってから夏季休暇まではあっという間だった。

クィディッチは激戦の末にスリザリンが制して今季もカップは向こうの物。

マクゴナガルがグリフィンドール生一同で地団太ふんで、心なしかセブルスが微笑んで見えたのは気のせいじゃない気がする。

クィディッチカップは向こうでも、今年の寮杯はグリフィンドールが貰った。

ハーマイオニーが授業で稼ぎまくり、何故かアクロマンチュラ騒動での出来事が俺に150点の加算をされたのでギリこっちが勝った。おれが加算を辞退しようとしたら、兄貴達にインカ―セラス掛けられて止められた。

ついでにハーマイオニーからも鬼のような形相で止められたので首を縦に振り続けてお受けした。ハーマイオニーってマジで怖えよ。

今年も全寮から追試者なしで、今年もみんなでお出掛けだ!!

 

「今年は何処に行く?」

「去年はマグル動物園に行って、今年は巨大水族館はどうだろう?」

「クリスタルパレスの植物園は?」

「海行ってみたいな~。」

「誰の家にお泊り会する?」

「父上が子供の家のキャンプを許可してくださった。マグル製の花火も買ってくださるそうで、三日の工程でどうだろう?」

大半は遊ぶ事しか考えちゃいない、夏休みの宿題を明後日の方に持っていこうとした矢先に、

「前半で夏休みの宿題を終わらせて、中盤から徹底的に遊ぶわよ!」

鬼軍曹化したハーマイオニの一言で、前半は地獄へのご招待化しちまった。

まあいい分は正しいし、後が楽になって遊び放題なので文句は出なかった。

お勉強会in子供の家だ。分からない所は周りのボランティアしてくれているおじいちゃんおばあちゃんに聞けばいいんだし。

 

「また明日~。」

「煙突ネットワーク気を付けてね。」

「あ!バーノン叔父さんとペニチュア叔母さんもいる!!」

夫妻揃って魔法使いがごったがえしの中でハリエットの出迎えに来てくれた。

「おかえりなさい、ハリエット・・お友達かしら?こんにちはロナルドさん。」

「こんにちはペニチュアさん、気軽にロンでいいです。どうしますか?数日はそちらで過ごしますか?」

「・・ハリエットが決めればいい、帰るぞハリエット。」

ぶっきらぼうながらも、魔法族の俺に返事をしてくれるなんてバーノンさんにとっては大変な

事だろうに。

「バーノンさん、よろしければこちらを。」

「・・何だこの鏡は?」

「両面鏡と言いまして、人が使うテレビ電話と同じものです。俺と繋がりますのでいつでもお使いください。

使い方はハリエットにもう教えてあります。」

「テレビ電話か・・」

「はい、魔力というのは要は人にとっての電気や電池・燃料と考えてくれれば手っ取り早いです。

魔法もそのエネルギーの理論があって、何でもかんでも出来るわけではありません。

魔法族が個人で自家発電している中で遣り繰りをしているんです。」

「そうか、だがテレビ電話と同じならば高価な代物のではないのか?」

「それはハリエットの名付け親が代々持っていたもので、元手はかかっていません。

これまでのお礼にはてんで足りないと言って、もっと高価な物を送ろうとしたのを却下しましたので安心してください。」

「その・・名付け親は儂らの事を・・」

「当初は怒っていましたが、非はあのくそ・・ダンブルドアにあると分かって以降はいつかきちんとお礼をしたいそうです。」

「・・・・考えさせてくれ、この鏡はお借りする。」

貰うと言わない所に好意が持てるな~、そんじょそこらの奴ならば当然そうな顔をして懐に入れそうな高価なものを、返すの前提っていい人だ。

これで少しは魔法族は得体のしれないものだという考えを薄めてくれたら嬉しい。

これは人に置き換えると・というのが受け入れてもらいやすいかなとプレゼンってのしてみて今回は成功か。

 

「今日の夜に両面鏡を使うから!またなロン!!さようなら皆!!!」

元気いっぱいでよろしい、さて今年は何の憂いもなく!ホグワーツ生活は平和に送れるぜ!!

何せアズカバンの・・忘れたけど騒動の元のシリウス・ブラックはこっちにもういるし!!

ピーターは一生ネズミで過ごす気満々のようだし・・・って!!あいつこの間他のネズミと仲良くしてたぞ!

去年の夏休みに家に帰って早々に屋根裏がうるさいから行ってみれば、スキャを中心に他のネズミたちが集まって、何やら話をしていてその日うちの大半のネズミは出て行った。

残りはごみ箱の物しか手を付けないお行儀を発揮、しかも!スキャと他のネズミが頬を摺り寄せていた時は本気でびっくりした!!・・あいつ本気で人間捨てたか・・

ネズミの家族でも作る気なら数を増やしすぎないように言った方がいいのかね?

「帰って速攻屋根裏部屋に行かれた・・」

「お兄ちゃん本当にスキャバースが好きなのね。いっつもポケットに入れてるし。」

「長生きしても、そろそろ寿命が来ると思うぞ。その時は優しく送って寄るんだぞ?」

「パーシー、あいつはきっとみんながビックリするくらい長生きすると思うぞ。」

「「賢者の石でも作ったのかい、ロニー坊や。」」

「そろそろその坊やは卒業してくんないかね、ジョージ・フレッド。」

「まあ君に、」「ガールフレンドが出来たら考えよう。」さいですか、ガールフレンドって

興味がまだないな~。

 

楽しい我が家にハリエットから両面鏡通信がやってきた。

我が家にはそんな高価なものがないので父さんも母さんも一緒にガン見してる。

「ロン・・夏休み・・そっちに行けなくなっちまった!!」

ハリエットの半泣きって・・「何があったハリエット?」

「うえ・・顔と声が怖えよロン。バーノン叔父さんたちじゃねえ。魔法省のキングズリーさんが・・あ変わってくれって。」

「ロン君こんばんわ。突然で済まなが、ハリエットは今年は魔法省の闇払い局を挙げての保護対象に

なってしまってね。

すまないが、ホグワーツに行くまで会えないと思っていてくれ。」

・・・・・はい⁉

「ちょっと待った!キングズリー、どういうこ事だ?」

「やあ、アーサー。すまないね、ご子息の楽しみを奪ってしまって。」

「何か緊急の案件ならば仕方がない、しかしそんな緊急の案件が発生しているとは私は聞いていないのだが?」

そうだ、父さんも所属は違っても魔法省の役人だ。その父さんはそんな事があるって一言も言ってなかった。

「・・これはまだ我々しか掴んでない機密情報だが、ロン君に免じて教えよう。」

「・・・・そんな緊急機密案を子供に教えるってどうかと思う。」

「君ならば構わんよ。」だから、その信頼どっから来るんだよ・・

「どのみちホグワーツで知られる事だ。遅かれ早かれだよ。

だが心して聞いてくれ。実は闇の帝王は生きていて、その行方を捜している者がいるようなんだ。

過去の闇の勢力に与していた者達が幾人かが襲撃を受けて分かった事だ。

-帝王は今どこにいる-と聞かれて、答えられない者達は骨や内臓をボロボロにされて辛うじて助かったが、とにかく闇の帝王を信望している者ならば、いずれはハリエットにも牙をむいてくる可能性があるからね。

守りの堅いシリウス・ブラックの家で夏休みは外出はなしだよ。

守りやすいように人の出入りも極力制限をするので君たちの招待もできない。」

 

闇の帝王を捜している人物?誰だそれ、ヴォルデモートはホグワーツで教師やってるけど

まさか言う訳にはいかないよな、この話だけでも父さん母さんどころか俺以外の全員が真っ青になってるし。

「ハリエットと仲の良い君も十分に気を付けてくれ。どこに牙が向くか分からないからな。」

「了解、俺も外出はあんましない方がいいらしい。煙突ネットワークで行ける所だけにしておく。」

それでも子供の家とドラコの家とか行ける所は結構多いからいいけどね。

それにしても誰なんだ?今更ヴォルデモートを探す奴なんて。

 

夏休みはあっという間に終わった。

あちこちは出掛けられなかったけれども子供の家でキャンプファイヤーしたり、ドラコの家と俺の家で交換お泊りしたり。

両面鏡のお陰でハリエットとシリウスと連絡取り放題でハリエットに寂しい思いをさせずに済んだ。

バーノンさんにも新しく上げたから毎日連絡を取り合っているようだ。

ハリエットに危険が迫っているの、ペニチュアにさんが取り乱したのを見てシリウスが連絡手段を築いてくれて毎晩話が出来るって喜んでたな。

そんなこんなであっという間の夏休み、コンパートメントに着くまでハリエットの側に闇払いの人達がくっついていた。当然シリウスも周りに睨みを利かせている。

「ロン、今年からは日参を週一にしようと思っていたがやめた。毎日行く。」

「・・・・来る気には変わりなかったんかい・・」

「本当はホグワーツにずっといたいの!!それを我慢してんだぞ⁉」

「働け駄犬!!ホグワーツの教授は今足りてるだろう!!!」

「あ!外部講師制が・・」

「何を教えるんだ?ああっ!!」

「・・ないですご免なさい。」

列車も点検をされて、一応という事で各車両に一人ずつ見張りが立つ物々しさ。

まあ去年のバジリスクとアクロマンチュラ騒動がきいて、危機管理意識が高まっていいんだろうな。

お陰で俺達のコンパートメントはハリエットとキングズリーさんの部下の人で埋められて、

皆挨拶に来て入れてやれなかった、来年までに部屋拡大の呪文覚えとこ。できれば便利だ。

流石にこの警戒態勢なら-アレ-の出番はないはずだ!!

 

 

 

 

 

「今年はちと物々しい警備が付く。吸魂鬼がホグワーツの警備に着くから皆十分気を付けるのじゃよ。」

 

組み分け後に爺さんサラッととんでもない事言ってくれた!!!マジかい!!!!

周り、特に吸魂鬼の怖ろしさを習っている上級生は真っ青だ!俺の平和なホグワーツライフの

計画が狂った!!「助けてくれ教授!!!」守護霊呪文を習わねば!!!!!




アズカバン編突入です。
ロナルド・ウィーズリーの楽観は見事に叩き折られました。
ちなみにウィーズリー家のネズミが出て行ったシーンです。

ス「いいか!ここの住人はやべえ奴だ!!敵と認識されたら命はない!!」
ネ「マジか・・」「命惜しい・・」
ス「行く当てのない奴はごみ箱の物で我慢してくれ。」

そんなやり取りがありました。


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俺の守護霊は・・

天使達を守るのに余念のないロナルド・ウィーズリーです。


その夜速攻で教授に泣きついた。

「頼むよ教授!守護霊呪文教えてくれ!!」

「・・何故私に?」

「使えるってドラコが教えてくれた。」

「あの子は・・よろしい、吸魂鬼対策に教えておこう。」

やった!これで大丈夫!!あれは確か幸せいっぱいを思い浮かべればいいんだよな。

「落ち着いた気持ちで幸福を思い浮かべながら呪文を唱える。」

「おう・・エクスペクト・パトローナム!!」なんか杖の先から銀色の光が力強く出てきた。

「驚いたな、後は自分で修練すればものになるだろう。」一発合格が貰えたぜ。

「俺は教授も含めて、皆に会えて幸せだからな。」幸福の思いは底なしだ。

「シリウスはまた毎日様子を見に来るって言ってたな。」

「・・・あの駄犬か・・リーマス・ルーピンとはどうした?」

「・・・・今のところ大丈夫だよ・・」

あいつとシリウスが親友なのがちょっと辛い。でもあいつの本質が変態だって分かればもういいや。

そういう奴もいるの括りで後はその時ごとに対処しよう。

出来れば引っ掻き回してほしくない。

ホグワーツのマップが出来上がってあいつは一旦本来の仕事に帰って、なんとハグリッドはそのままホグワーツに居残りとなった。

本人も心底反省をしており、なによりも魔法省が定期的に監査するという事で、あのアクロマンチュラ騒動は決着を見た。

一応はホグワーツの自治権は認められても、今までの様に全部学校にお任せではなくなった。

何か異変があればすぐに魔法省への通報の義務が生じたのはいい事だ。

今までが秘密すぎるんだよこの学校は!

とはいえ抜け道は全部は見つかっていいないので、闇の帝王を信望しているものがホグワーツに

忍び込まないとも限らない。

人だけでは手が足りないので吸魂鬼に頼らざるを得なくなったのが痛いようで、校長も軽いノリで言ったつもりのようでも、忸怩たる思いがちらりと覗いていたのは気の毒だった。

魔法省の奴等マジ呪われろ、これを決定した奴はボコりたいぞ、うん。

 

占い学で紅茶のカップを見ながらつらつら思う。

カップの底の図柄でうんちゃらかんチャラって言われても訳わからん。

ハーマイオニーにストップ掛けておいてよかったよ、こういう非論理的な事嫌いそうだし。

「数占いにしておけよ、あとマグル育ちの君が今更マグル学で何を教わるんだ?」

そう言ったらほっとされた。どうやらストップがかからなければ全部取るつもりだったて

正気の沙汰じゃない。

何の為に学ぶのか、学ぶことの意義を考えようよハーマイオニー、頭の良い馬鹿になってはいかんぞ、うん。

シビル・トレロニー先生が他の生徒を脅かしてるけど、とうとう俺のところに来やがった。

基本悪い人じゃないんだろうけど、自分を認めてほしいオーラが半端じゃない。

「あら・・あらあら!!Mr.ウィーズリー!貴方は今年大切な、最も身近な身内を失くしますよ!!!」はぁ⁉

言われるとものすごく不愉快だな、そうならない様に色々とこっちはしてんのに。

「気を付けるよ、忠告どうも。」外れる占い聞いて損した。

俺は-天使達-守るのに忙しいんだよ。だから可哀そうな者を見る目を向けないでほしい、鬱陶しい。

 

 

「さあ!やってまいりました!!今年も波瀾万丈なホグワーツの幕開けですが、それにもめげずにクィディッチの開催です!!!今年はどうなるでしょうねマクゴナガル女史。」

「きっとグリフィンドールが優勝をします!!」実況者があれ言っていいのかね?

「来年こそは入りなさい!ロナルド・ウィーズリー!!!」実況者がそれ言ったらアウトだろ!!

誰かレッドカード出してあのクィディッチ狂を退場にしてくれ、マジ勘弁してほしい。

「マクゴナガル先生は諦めていないのねロン。」

「いい加減に諦めてほしいぞ、来年入るかハーマイオニー。」

「あら、それって私の飛行技術に喧嘩を売ったのかしら?」

「・・マジすんません・・頑張れハリエット!!!」

今日の相手はスリザリン対ハッフルパフ、相手のシーカはあのハッフルパフの王子様・セドリック・ディゴリーだ!

「クィディッチでは手加減しないよハリエット。」

「こっちこそ容赦なくやるぞセドリック!」

ピッチ上でもうバチバチに火花散らしてる。でも二人共瞳を煌めかせて楽しんでいる。

ハッフルパフは守りを固めつつも確実な点を、スリザリンは動き回ってブラッジャーも駆使して点を入れて行く。

曇り空が雨に変わったころ、「シーカー二人が一目散に上空を目指して飛び始めた!!どうやら

揃ってスニッチを見つけたか!!!」

セドリックもハリエットも箒を直角にして空高く飛んでいく。

「頑張れ!!ハリ・・」何だ・・急に寒く・・・嫌な気持ちになってきた!!

「・・い・や・・やあ!!」

「ハーマイオニー!!」まさか!!

周りを見れば大半の生徒が蹲って泣いたり呻いたりしている!上空には・・あいつ等か!!

大量の黒い布の群れが、クィディッチのピッチ上に集まってきやがった・・上空にはハリエットが

いるんだぞ!!!

 

 

 

            「エクスペクト・パトローナム!!!」

 

 

 

ロナルド・ウィーズリーの杖からは、煌々と銀色に輝く―ネズミ-が飛び出て、ものすごい勢いで吸魂鬼を蹴散らしていく。

のみならず、ロンの守護霊に触れた吸魂鬼達は塵の様に霧散をした!

俺の天使達に手を出すんじゃねえ!!薄汚い布切れどもが!!!!

ロンの怒りはすさまじく、守護霊はその意を受け取ったように通常の魔法使いの倍以上の能力を発揮したのだ!

「ハリエット!!・・アクシオ!箒!!」間に合ってくれ!!

落下してきたハリエットをセドリックが一人で支えようとしているが、そのセドリックも

吸魂鬼の影響で持ちそうにない、ピッチにあった箒にのったロンは素早く飛んでハリエットを掴み、箒から手を離した。

「何をしているんだ!ロ・・」

「ウィンガーディアム・レビオ―サー!!」

セドリックが驚くのを尻目に、左手の空いた方の手で杖を持ちながら浮遊呪文を力の限り自分とハリエットとに掛けて、浮びこそしないがフルブレーキを掛けている。

察したセドリックも二人に浮遊呪文を掛けてブレーキの助けをし、ピッチ上で受けた影響が軽かったドラコ達も回復もそこそこにロンとハリエットを支えて事なきを得た。

上空にはもう吸魂鬼の群れは去ったようで、晴れ間がのぞいている。

 

「ハリエット。」

ロンがそっと呼ぶが返事がない、体も冷たく早く温かい格好に着替えさせないといけない。

「マダム・ポンフリーのところに連れて行く。リジー!」-バチン-

「お任せください、ロン様!!」

「マダム・ポンフリーにハリエットが吸魂鬼の影響を強く受けたと伝えてくれ。

その後あそこにいるダフネをハリエットの服を取りに行かせてマダム・ポンフリーのところに飛んでほしい。」

「かしこまりました、お先にハリエット様を!」-バチン- -バチン-

「さあ、グリーングランス様。」

「ええ、ハリエットの事は任せて頂戴!!」 -バチン-

行ったか。

 

「さて、どうなっているのか説明してくれるんだろうなくそじじい!!!」

「すまぬ・・明らかに儂の過失じゃよ・・吸魂鬼達はこの場の良きエネルギーに抗う事が出来なかったようじゃ。」

「要はあいつ等は好き勝手にホグワーツの敷地内に入ってこられるのか。人間の言う事なんて丸無視をして。」

「魔法省に送り返す!!」じじいの奴目が据わってる。てことは本気か。

明日にはいなくなっていてほしいもんだ。

 

じじいの言質を取ってさっさとハリエットのお見舞いに行った。両シーカー共スニッチは取っていないが当然試合は流れた。

ベットで眠っているハリエットはすやすと眠っている、うなされた様子は微塵もなく。

良かった、夢までうなされたら可哀そうだ、服も取り換えられている。

「サンキューなダフネ。」

「いいのよロン、ハリエットの為だもの・・吸魂鬼は・・」

「校長が魔法省に送り返すって。」

「そう、さっさとしてほしいはね。明日もいたら、父さんに手紙を書くわ。」

「いや、今頃ドラコがルシウスさんに連絡を取っているんじゃね?」

「・・・あり得るわね・・」

 

俺の予想通りにその日のうちにドラコから連絡を貰ったルシウスさんが、単身鬼の形相で魔法省に殴り込みをかけ、ファッジ大臣に氷の如く脅しをかけて、その日のうちに吸魂鬼達はアズカバンに戻された。

それを知ったダンブルドアは肩透かしを食った気分だが、元々吸魂鬼達をホグワーツ守護に入れるのは業腹だったので清々とした。

その代わりに魔法省のオーラや闇払いが増えたが、吸魂鬼に比べればましである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか、あの御方は今はホグワーツか!!」

ルーマニアの森に潜伏をし、その後ホグワーツの教師が来て以来目撃証言はふっつりと糸が切れた。

ならばその教師にとりつかれたか、さぞ弱っているだろうに。

俺の手でお救いし、共に闇の時代を再び!!

 




ロンの守護霊はネズミに決まりました。

吸魂鬼は早々にいなくなりましたが、悪意は確実にホグワーツに向かっています。


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楽しきホグズミード

嵐の前のひと時です。


前日は大雪だったのが、今日は真っ青な空がのぞいている。悪天候があったのが嘘のように。

「ホグズミードか、俺楽しみにしてたんだよ。」ハリエットの奴はニコニコだ。

吸魂鬼に襲われかけて気絶をした時にはひやひやした。

実際に二・三日は一人で眠れなくて、ダフネかアミルにひっついて寝ていたらしい。

俺としては二・三日で済んで良かったとホッとする。今はともかく、ハリエットはそれほどまでに過酷な環境で生きて来て、吸魂鬼にその過去を見せられたのだから

数週間はトラウマになりはしないか皆で心配をしていたのが、短くて良かったよ。

まあ、一週間はまた俺の膝の上でかぼちゃジュース飲んでいたけど、シリウス筆頭にもっとハリエットを甘やかせと俺に厳命が下ったので否やはない。ないが教授にまでもが、もっとハリエットの事を守れだの甘やかせだのって、あんたがそれをしてやれよって言ったら「私は教師だ」

とか訳わからん事を言って顔を真っ赤にして一行っちまった。育ち過ぎの大蝙蝠は素直でなくていかんな。

 

他にもお見舞いの品やら元気を出してのメッセージやらを貰ったのが功を奏したらしい。

今回は全ホグワーツの生徒が吸魂鬼による被害を受けたので、日頃ハリエットにちょっかいを

掛けてくる奴等もこの件ではからかってこない。

それ程までに吸魂鬼の影響は凄まじかった・・らしい。

らしいというのは俺には全く影響がなかったかっらだ。確かに寒くて嫌な気持ちにはなったが、

トラウマが蘇るだの、不幸な出来事がちらついただのの影響は全くなく、それを教授に言ったら「お前ならさもありなん。」なんて一瞥されて言われた時には、俺に対しての周りの認識ってどうなってんだって突っ込みたくなった。

 

でもいいか、万が一あいつ等が襲ってきた時に俺が動ければあいつ等消せるし。

そう言ったら教授に溜息吐かれたのは解せん。

 

その一件以来平和だ。闇の帝王を信望しているって奴の手がかりはふっつりと消えたとシリウスが悔しそうに言っていたこと以外は、ホグワーツで真面目にお勉強をしている。

リーマス・ルーピンもいないから、スキャの奴ものびのびとしていていい事だ。

あんな変態お断りだ!そう思った矢先に来やがった!それも二人でホグズミードで待ち伏せして!!!

「やあ諸君、久しぶりだね。」なんて爽やかに挨拶してきやがった!!

何でもホグズミード時の護衛らしい。

「・・・闇払い達がいんだろ・・」シリウスだけ残って変態狼は帰りやがれ!

「ロン!こいつは頼りになるぞ!!・・俺の親友を信用してくれよ。」

シリウスは信頼しているけれど、いまいち人を見る目がな~。一時はダンブルドア信者だったし、痛い目見るまで信用した者はとことんらしい。

まあ俺も人の事言えないか。

なんせ相変わらずヴォル付きクィレル先生と皆でお茶会をしてんだから。

クィレル先生も慣れたもので、それぞれの好みのお茶をサーブしてくれるようになったけど、一つだけおかしな点がある。俺だけかハリエットの二人連れの時には割と出ていた-先生-が

全く出てこない。

数回に一回の割合でじじいの事でハリエットと悪口大会をして楽しんでいたのに。

「あの狸に気に入られた者は手駒にされて、気が付かないうちにとんだ目にあうぞ。」

「・・あいつってなんで教師で校長なんてやってんだ?」

「その通り俺様もそう思う!!あいつは教師・校長失格だ!!!」そもそもあんたの存在がアウトだって突っ込みたくなる程ハリエットと盛り上がっていたのが。

「先生はどうしたんだ、クィレル先生。」二人きりの時にさっくりと聞いた時には苦笑をされた。

「君は相変わらずに真っ直ぐすぎるね、Mr.ウィーズリー。」

「それが俺だ。それで?」もう一度聞いた時にはほんのりと笑われてかわされた。

何かをやり遂げた時のような満足気な顔をして、まさかヴォルデモートを復活させたのか?賢者の石以外を使って?そういえばいつからかターバンからにんにくの匂いが消えて、生徒達から人気が上がり始めた。

オドオドとせず、どもりもなく、アクロマンチュラ騒動では大蜘蛛を倒したのも知れ渡り、DADA教授として凄い人だと。

-闇の魔法を払うには闇の魔法自体を知らならなければならない-そう言ってジョージ・フレッドの学年からきちんと教えて防衛も教えているようだ。

「クィレル先生マジでクールになったぜ!」

「あれこそDADAの授業だ!!」

「もっと早くやって欲しかった。」クィレル先生は本気でホグワーツの教師をやる気になったのか、何かを企んでいるのかスキャに探らせても謎なまま。

 

そんな時に来た護衛がこの変態狼ってのは本気でどうかと思う。

今だって不意打ちできたのでポケットの中にはスキャがいる、可哀そうなほどブルブルしている。

「大丈夫だよロン君、僕は-ネズミ-には興味ないから安心してね?」

薄っすらと笑っていってきやがった。

 

去年の夏休みに俺とこいつは取引をした。

もう少しで地図が完成をしてリーマス・ルーピンも居なくなって良かったねを教授と祝おうとしたら「今月の脱狼薬だ。」ノックもせずに教授の部屋の扉を開けた俺も悪かったけれど、

そんな超が付く人様の秘密のお薬の名前をがっつりと言いながら渡す教授も悪かったと思う。

 

どうせリーマス・ルーピンに対する嫌味を込めたんだろうけど、聞いてしまった俺にどうしろってんだよ状態。まあどうもしないけどさ。

「あんた半人狼か。明後日満月だと今日あたりから大変だな。」確か満月の数日前から具合が悪くなるのは本で習ったから知っていて、他に言いようがないからそれで済ませようと思ったら・・・気が付いたらリーマス・ルーピンに引っ攫われて、見たこともない部屋に二人きりで、壁に押し付けられてる状況になっていた。

右手で俺の口を覆い、顔を近づけながら瞳はやばい位に爛々と光っていた。心なしか瞳孔が縦になってまさに狼の瞳をぎらつかせて。

「君はさ、どこまで僕の事を知っているんだい?」声がものすごく冷たく、酷薄とはこういう者かと身をもって知るほどの冷たさを孕んだ声で聞かれた。

「へえ・はなへ・・」口を覆われて喋れるか阿呆。

「おっと失礼、話しても逃げようなんて考えないでね?ここは-あったりなかったり部屋-って

言ってね、今は君の質問をきちんと聞くまで扉は開かないように設定がしてある。

僕がもういいよって言うまで開けられないよ、セブルスも助けには来られないし、君の-お友達-の姿現しの助けもないからきちんと答えてね。」今回はマジで来やがったか。

普段の飄々とした仮面は外して本性をむき出しで来てるのか。

というよりは「あんた一体何をそんなに怒ってるんだ?」

本性というよりはものすごく怒っている気がする。

 

 

怒ってるだって?この坊やは本気で僕に噛み殺されたいのかな?

生きてきた大半の日々は、半人狼の身によって翻弄をされつくした。

まず両親に疎遠にされた。父親がフェンリルを捕まえようとしたときに人狼を侮蔑する発言をして怒らせて、その報復で僕はあいつに噛まれたのに、なのに父は自分を心の中で見捨てた。

ホグワーツに入っても、いつ秘密がばれて迫害をされるかなんて常に考えながら表面は楽しい学生生活を楽しんでいる振りをした。

実際に-二人-のおもちゃを見つけたから楽しったからいいんだけど。

卒業したら案の定ダンブルドアの手先をやらされた。退屈しなさそうだからこれもいいんだけど、

闇の連中に近づいて甘い言葉で篭絡をして、少し体を交わせれば簡単に情報が手に入って愉快だった。

人生なんてこんなもの、人とは大半が愚かでおもちゃにしか見えない。人狼とか吸血鬼達闇の生物は汚らわしいと言っている大半の人間も僕にとっては大差ない。

無かった筈が、何なんだこの坊やは!!

ヴォルデモートが付いているとは知らなくとも、怪しい教師と平然とお茶してるは、十年も生けているあり得ないネズミを可愛がっているは、やっている事自体も尋常じゃない!!

極めつけにぼくが半人狼と知っても平然としてるって!何だよそれは!!呪われた僕の事を軽く見ているのかと頭に来る!!!

「君は僕の事が怖くないのかい?」僕の事を知っても平然としていたのは側にセブルスがいるせいだろうかと考えてこの部屋に連れ込んだけど、二人きりの密室なのに全く怯えた様子がない。

「・・・あんたが半人狼だから怖がれってか?阿保らしい。」へえ~言ってくれるね。

「もっと怖いのが世の中にはあるだろう。」

「何だいそれは?」是非聞きたいね。

「人の心の闇だ。」闇・・ね・・

「妬みや嫉み・差別意識・無意識の悪意・人を陥れる事に喜びを見出す者・命を持ったものを

駒として扱う奴等・人の弱みを握って操ろうとする奴等・正義を振りかざして声高に叫べば何をしてもいいと思っている奴等の方が俺には何よりも怖ろしいね。」

・・・・前半は僕が思っている愚者達で、最後の方はもろにダンブルドアの事じゃないか。

「成る程ね~、君の天使達に悪さをしそうなもの達が怖いと。」

「そうだ、少なくともあんたはあいつ等にはちょっかいを掛けないだろう。」その通り、興味ないもん。

はっきりと言えばハリエットもかわいい子くらいにしか見えないからね。

ふっふっふ、本当にこの子は面白い!こんなに愉快な気分になったのはいつ以来だろ!!

-人間の持つ醜悪な感情-を怖いだなんて、たった13歳の子供の言う事とはとても思えないよ。

一体どんな人生を送ってきたのか気になって調べてみたけれど、アーサー・ウィーズリーとモリ―の下で幸せに暮らしている少年としか出てこなかった。

ではあの凄いアイデアの知識はどこから来た?なぜマグルの情報に通じているのか謎が深まっただけ。

魔力の量が凄いのは純血には時たまみられるし、魔法は修練をすれば身に着くと言われれば納得をするが、この坊やの考え方や発想の仕方はどこから来るのか謎のまま。実にいい!!

「取引しようかロン君。」

「・・・名前で呼ぶな変態。」

「つれないな~、簡単な事だよ。ぼくが半人狼だというのを黙っていてほしい。」

「・・もともと言いふらす気はなかったぞ?」

「でもその言葉の担保が欲しい。言ったら僕は-君のネズミの秘密-をばらす。」-ピクン―

「怒るかい?やっぱり知っていたんだね、あのネズミが普通のネズミじゃないって。」この辺は分かりやす子だ、怒ればすぐに顔に出る。

「知ってる、きっとアニメ―ガスだ。十年も生きてるネズミなんていやしない、それでもあいつは俺のスキャだ。手えだした瞬間、あんたがシリウスの親友であってもコンフリンゴでバラバラに吹っ飛ばす。」おお怖い怖い。

「あのネズミの正体を知っているのかい?」親友二人を死に追いやった張本人、もっと言えば可愛がっているハリエットの両親を死なせた奴だと知ったらどう思だろうか?

そう考えるとゾクゾクとする!気が昂って仕方がない・・この坊やが少女だったら今すぐ食い散らかすのに、生憎僕にショタコンの趣味はないのが残念だ。

「分かったよ。手は出さない、口も出さない、-君の周りの者達-には絶対に秘密だ。

これでどう?」大盤振る舞いだ。いつか君に話して、驚愕をして苦悩する君を見られる代価としては悪くはないだろう?

 

 

こいつ絶対に碌な事を考えていないあろうと分かっても、スキャの為だ仕方がない。

秘密の約束を結んでようやく解放された後「あの狼はズタボロにする!!何なら皮を剥ぐ!!」

超絶怒って殺気にまみれた教授をなだめるのに半日かかった。

教授としては、生徒を埒る奴なんて敵でしかないと分かって、心配をしてくれたことにお礼を言ったら、珍しくハグされて寮まで送ってくれてた。

スキャにリーマス・ルーピンとの取引の事を伝えたら、申し訳なさそうにしていた。

「お前は俺のスキャだぞ?俺が守るのは当然だ。」

 

その日からリーマス・ルーピンがいてもスキャをポケットに入れて連れ歩いたけれども!いきなり現れたらスキャの心の準備が出来てないだろボケ!!!

「ロン!皆でホグズミード探検しようぜ~。」ああ・・天使達の純真さが痛い日が来ようとは。

にっこりと笑って言ってくるハリエットに負けて、結局はいつもの団体様で行動だ。

 

「あの歯磨き糸楊枝型ミント菓子は気に入ってくれるかしら?」

「ハーマイオニーは自分の分は買わなかったの?」

「ジニーにかったフィフィ・フィズビー気に入ってくれるかな?」

「「それよりもスキャバースにハエ型ヌガー買い過ぎだ」」

「いいだろう?こいつの好物なんだから。」

リーマス・ルーピンに怯えてるんだからさ、甘やかしてやんないと。

「君はとことんスキャバースが好きだね。」

「いいだろドラコ。」

「悪くはないが、守護霊までスキャバースなのもどうなんだい?」もっと君に相応しい獅子とか狼とかあるだろうに。

「溜息をつきながらいうなよドラコ。要は吸魂鬼達を消せればいいんだから。」大きさは関係なく、

中身で勝負だ!うん!!

「あん時は本当に助かったよロン。」上空でいきなり暗い気持ちになり、誰か知らない女の人が、

必死に俺を殺さないでと言いながら緑の閃光に包まれて倒れ伏し、その後はダーズリー家であった、

二度とは思いだしたくない記憶が溢れて、気が付いたら落下していた。

ハリエット・・「ハリエットはバタービールってのは飲んだことはあるか?」

「・・バターで、ビール?」

「その様子だと知らないか。俺もホグズミードのが一番美味しいってビルから聞かされて以来

三本箒で飲むまで我慢したんだ。」

「そこは本当にうまいぞ!お前達!!今日は俺のおごりだ、ガンガン飲んでくれ。リーマス、お前もだぞ。」

「御馳走になるよ、シリウス・パッドフッド。」

「なによりだ、リーマス・ムーニー」

 

二人が互いの名前と何かのあだ名を言った時、微かにスキャが身震いをした。きっとリーマス・ルーピンのスキャに対する嫌がらせ。-ピーター-に聞かせるための、こいつの罪悪感を弄ぶための。

つくづくこいつは嫌いだが、それでも三本箒で皆で飲んだバタービールは本当に美味しく、ビンセント・グレゴリーは五杯飲み、男子は三杯、女子達も二杯も飲んで、その度に乾杯をした。

祝・初ホグズミードだの、吸血鬼達サヨナラだの、今の楽しさを祝って。

「・・・我々は勤務中なのだが。」

「固い事言うなよ。アルコールは入ってないし、ファッジ大臣には俺から言っておくよ。

こんな楽しい場所に来て乾杯をしないのは勿体ないだろう?」

シリウスは闇払いの人達にもバタービールを奢って楽しんだ。

現魔法界の王様のおごりを断る奴はいないだろうし、なによりもこの人達だって学生時代にここに

来て、バタービールの美味しさを知っているんだから放って置くのも酷か。

「へへ、いつも俺・・俺達の事を守ってくれてありがとう。」ハリエット達は夏休みからずっと一緒にいる。

そのお礼を照れ臭そうに言いながら乾杯をしてる。微笑ましい光景だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ルーマニアを訪れた教師の名は、クィリナス・クィレルか・・」

「そうだ、近頃は盛んにあちこちに出かけている。」

「今日来たあの忌々しいハリエット・ポッターがあいつに土産を買うと言っていたぞ。」

「待て!あの御方の仇がクィリナス・クィレルに・・」

・・・今夜は随分と物騒な客が来たもんだ。

この店には前科者・ミイラ男・はては吸血鬼達も来るが、人狼は初めてだ。それもかなり

血臭い。

「・・あれに言うべきか、アリアナ。」カウンターの奥にいるアリアナの肖像に尋ねてみるが、途端に嫌な顔をされた。

「そうだな、あいつは何でもかんでも一人で出来るか。放って置こう。」

ホグワーツの校長はあいつだ、教師の一人・生徒の一人くらいあいつが守るだろう。

お得意の正義を振りかざして。

 

 




楽しい時間と、それを壊そうとする時間の回でした。


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ホグワーツ突貫大工事!

地図が出来たら次は工事です!


「室長!!地図が完成をしました―――!!出来立てほやほやの全マップ!これであの馬鹿馬鹿しい城も丸裸にしてやれます!!!」

「・・そうか・・」長かった、ほんとに長かった!!!

去年のバジリスクからアクロマンチュラ騒動が起きて以来、10ヶ月にも及ぶホグワーツの大冒険は遂に幕を下ろしせるのか・・何なのだこの城は!!

あったりなかったり部屋だの、消える扉だの、像の後ろに抜け道があるだのよくぞこんな怪奇的な城で青春時代を過ごせたものだと自分でもびっくりだ!若くて無知であったればこそか、若いって怖いな~とあらためて思う、ホグワーツ攻略マップ部室長を臨時拝命をさせられたキングズリーは遠い目をしながらマップの完成を素直に喜ぶという器用な事をした。

もうヤダ、あの城は調べれば調べるほどに、学校ではなく実はマグルの言うホーンテッドキャンパスでも作りたっかったのではないかと、四大創設者達の趣味をがっつりと疑った。

楽しいと思った事が、歳をとって大人になったら危険だと気が付いてしまうとはほろ苦い思いがする。

しかしそんな事は言ってはいられない!マップ作りの初期時にはいなかった不逞の闇の輩がホグワーツを目指している!!

いつ何時侵入をしてくるか分かったものではない!とっとと危険で管理の出来ない所は埋めるに限る!

 

「そんな訳で手伝ってくれたまえ、ロナルド・ウィーズリー君!!」

「・・だからどんな訳だよ、キングズリーさん。」朝一で闇払い局の総勢のお出ましで大広間はビビこいたが、俺を一目散にめがけて来て訳わからん事を言われても困る。

「校長様、マップが完成されたってよ。」子供の俺じゃなくてあっちに投げる案件だろ。

「ふむ、ならば攻撃が出来る全生徒で実践も兼ねた手伝いをするかの。手伝いの間は授業に参加をしているという事で、単位には影響が出んようにするのはどうじゃ?」マジですかい。

「ああ!いいなロン、俺魔法薬作の好きだけど、-あれ以降-攻撃系が駄目なんだよ。」

ハリエットの奴気楽に言ってくれる、一体どんだけの抜け道を、どの位の範囲で埋めんだか分からないってのに。

ハリエットはアクロマンチュラを殺すほどの攻撃魔法を使ったが、それは無意識であって暴走までした。

その暴走の余波で俺を傷つけたことを悔やんで、攻撃系統が苦手になった。

でも別にいい、防御呪文はきちんとでき始めている。ハリエットは自分と仲間の身を守ってくれればそれでいい。

攻撃は俺や兄貴達がボコボコにしたやるから安心をしてほしい。

 

名付けるところの突貫大工事。五年生の猛者に交じって仕事を開始、つまりジョージ・フレッドが一緒だ。

「疲れたら言うんだぞロニー坊や」

「無理はいけないぞ、弟よ。」

「いい加減に坊やは止めてくれ。二人よりも働けるぞ。」

「「可愛くな~、でもそこが可愛いんだぞロニー坊や!!」」この二人は時折訳わからん。でも俺の事を大切な弟だって愛してくれている。

それは家族全員がお互いが大好きなのと一緒で、俺も皆が大好きだ。

 

一~つぶっ壊してはハリエットの為~「コンフリンゴ!!」

二~つぶっ壊しては天使達の為~「レダクト!!」

三~つぶっ壊しては皆の為~「も一つコンフリンゴ!!」

弟が鼻歌謳いながら次から次へと抜け道を爆破させ、天井を粉々にしながら埋めて行く様はちょっと怖い。

弟の敵に回った奴は、歌の通りにハリエット筆頭に天使達を守る為に破壊するんだと双子は確信をした。

「皆~次行くぞ次」ノンストップ・休憩なしで意気揚々と攻撃呪文を使っているのはホグワーツ生ではロンのみで、辛うじてついていけてるのが現役の闇払いしかいないとはこれ如何に?

 

「ロナンさ~ん、そっちの状況は?」

「まさか我等の森にあれ程の数の抜け道があったとは。」だよね~、圧倒的に多いのが禁じられた森だもんね。

「ケンタウロス達にも協力仰いどかないか?」言った瞬間にキングズリーさんにがっつりと手を握られて、ぜひ頼むとか言われてお願いしてみたらすんなりとしてくれた。

他の若いケンタウロス達も「我等の森を訳の分からん輩の通り道にされるのは不愉快だからだ。」とか言ってくれて。

魔法は使えないけれども、持ち前の腕力で大石を集めて一メートルくらい埋めてくれた。

これで通ろうとすれば、大規模な爆発音で侵入がもろバレだからこれはこれで警報装置の役目になるか。

 

「暴れ柳の場所はいいのか?」

「四階の隻眼の魔女の裏の抜け道は?」

「あそこはとっておく。全てを埋めてしまっては、-いざという時-の逃げ道がなくなる。」

 

キングズリーは今回の騒動で学んだ。ホグワーツは絶対的に安全ではない、いつ闇の勢力が勢いを取り戻して仕掛けてくるか分からない。

その芽が出ている現状では逃げ道の一つも用意しておくべきだ。

「管理できる抜け道には安全の結界を。」意図した悪意・闇に染まりしものに反応を示す結界を念入りに施す。

万が一通られたとしても、魔法省とホグワーツの教職員に知らされるアラーム機能も付けた上で

抜け道を残した。

「バジリスクの住んでいるあそこはどうしますか?」

「・・ホグワーツの中にしか繋がっていないのならば問題ないだろう。」ハリエット・ポッター

に頼んで、侵入者を殺してくれとバジリスクに依頼をするか?

「・・いや無理か・・」

今会のバジリスクはほぼハリエットのペット化をして、ハリエットの腕に巻き付いて行動をしている。

規則では授業中はペット禁止であっても、バジリスクが相手では文句も言えない。

いざとなればハリエット達を守る為に邪眼を開いて敵を確実に仕留めてくれるであろうから、そんじょそこらの魔法使いよりも、最強のボディーガードと言えよう。

 

 

こうして三日三晩以上は掛かったけど、抜け道はほぼ封鎖。

「生徒達が通っても分かる結界の機能を追加して欲しい。」教授をはじめとした副校長マクゴナガルの要望で追加をされて、二代目悪戯仕掛け人達は本気で泣いたのであった。




いい事とはやんちゃな者達をも泣かせることであった、おつ。


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日常に忍び寄る影

お待たせいたしました。


近頃何か落ち着かない。

何処に行っても視線を感じる、それは特に夜に感じる。

大広間からスリザリンの寮に戻る時、何かにじっと見られているようなひりついた視線を感じるんだ。

先日バジの奴も感じたのか素早く視線を感じた方に飛び出すように行ってくれたけど、誰も居なかったって言っていた。

でも気になることは他にもある、ゴースト達が見知らないものを見かけたって言ってた。

そいつは素早くて、人なのか獣なのか分からなかったって困惑をしていた。

中には500年以上もホグワーツに住み続けえているゴースト達をも困惑させられる奴ってどんな奴だ?

ピーブズもその件に関しては相当カリカリして苛立って、悪戯が悪辣化をしてロンに檄おこされてやっと沈静化をしたほどだ。

先日ホグズミードに行ったら「ハリエットちゃんとクィレル先生の事を聞かれたわ。」って、

三本箒のマダムが言っていた。

 

「俺とクィリ先生の事を調べてる奴なんているのかな?」

「・・・ハリエット、そういう事はロナルド・ウィーズリーに相談をしたらどうかね?」

「だって・・あいつはすぐに大事にしちまう・・」

俺のハリエットに危機が迫ってる!

ロンがそう言おうものならば、ほとんどの生徒達は犯人探しに付いていくだろう。

俺のと言ってくれるのは嬉しいのだが、近頃は少し・・ほんの少しだけ恥ずかしい。

「成る程、君に自我が芽生えてきてなによりだよ。」

「先生なんだか嬉しそうだ。」

「嬉しいさ、赤ん坊が子供に育ったのだからね。」

ハリエットの恥ずかしいは、子供の事に何でもかんでも親がしゃしゃり出てくるのが恥ずかしいと思う、お年頃になったという事だ。

現にこうして自分に対してのお悩み相談を、ロン抜きできて紅茶を飲んでいる。

 

「嬉しいんだよ?でも・・やっぱり恥ずかしい。」

言葉遣いも少しづつ女の子らしくなってきている。

以前ならば嬉しいんだよを、嬉しいんだぞとかどうしても荒っぽくなっていたのが成長をしたものだ。

しかしだ、「私と君の事を調べている輩か。」そちらの方が問題だ。

こそこそと嗅ぎまわっているところから、闇の陣営の物に間違いないだろうが、問題はなぜ今頃なのか。

ヴォルデモート卿の安否確認の為ならば遅すぎる、ハリエットに対して復讐をするにもまた然り。

一体何の目的で今更そんな輩が居るのか皆目見当がつかない。

 

今自分がしている事が漏れるはずもない・・・訳でもないか。

夏の日刊予言新聞を少々騒がせてしまった。

 

 

            -グリンコッツに再び侵入者⁉-

 

昨夜未明にグリンコッツの侵入者除けの魔法が発動!

だがしかし、誰の金庫が狙われて何か盗まれたかどうかも不明であるという不可解な事態が発生。

「グリンコッツは安全でございます、何も盗られてはおりません。」

自動通報を受けた魔法省に対して、グリンコッツの見解は変わることなく主張をされた。

 

 

 

 

まあ確かに盗んではいない、ヴォルデモート卿の持ち物を返してもらっただけだ。

一昨年の夏に賢者の石を盗み出そうとしたときよりも騒ぎにはならなっかった。

当然と言えば当然か。今あの金庫の持ち主は魔法省の監視の下で働いていて、金庫など資産は凍結をされているからグリンコッツっとしては気合を入れて守ろうとはしていないだろう。

案の定警備はざるに近かったし、目的の物は手に入ったので良しとしよう。

 

だがこの-微妙な時期-に、招かれざる客にはご遠慮を願いたいものだ。

「一人で行動をしない事をお勧めするよ、ハリエット。」

「うん・・それが一番か。抜け道封鎖されても油断しないようにする。」なんだかんだ言っても自分は世間的にはヴォルデモートを倒したことになっている奴だし。

「君が素直なのが助かる。」大人の忠告を無視するような鼻持ちならない子ならばとっくの昔に見捨ててる。

 

なんだかんだ言っても、やはりこの子供が可愛くなったのは何故か以外ではない。

世間の情報に疎いせいか、生きるだけに必死だったせいか、まるで生まれたての赤ん坊に懐かれた経験は嫌では無かった。

それは主とても。近頃の主はこのハリエットとロナルド・ウィーズリーを殺したくないと言っている。

自分は純血主義の旗頭・ヴォルデモート卿が好きなのではない。

何者にも屈しない、強き主が好きなのだ。

あの方が愛に目覚められ、罪を償いつつ、光の道を行くと言えば万難を排するためにこのみを使いきるのも厭わない。

だがしかしそれは主が決める事、自分はどこまでもあの御方の行く道を歩きやすくするのみだ。

 

その為にも邪魔になりそうなものであれば、主の築きし闇の陣営の者であろうとも容赦はしない。

いや、もしかしたら-それ-を使うのもありか。今主を捜しているのだとすれば相当な忠誠心の高さを持つものだ、利用できるのであれば利用しよう。利用後に使えない奴ならば消せばいい。

ハリエットを寮に返したクィレルは、様々な案を頭の中で練りつくす。

いまだにダンブルドアたちに監視をされているので、案をうっかりとメモにもかけずに苦労をする。

それもじきに終わるか・・




物語りを急加速させるエピソードなので短めです。
クィリナス・クィレルの本質が書けていればいいなと思います。
感想お待ちしています。


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月下の惨劇

すみません、しばらく暗くてシリアスです。
苦手な方、こんなの愉快なロン君じゃないと思われる方はバックをお願いいたします。


くそ!何でこんなことになった!!

「ロン・・起きてくれよロン・・」

あいつがいな今の内に、小声で隣に縛られて寝かせられているロンに声を掛ける。

さっきから小さな声だけど、耳元で言っているのに目を覚まさない。

息遣いは眠っている時と同じだから大丈夫だけれども、頭の怪我から血が流れてる。

ロンさえ起きてくれれば、いつもの様に颯爽とこの場を解決する案を出してくれるだろうに。

ここには誰も来ない。荒れ果てた部屋は無駄に広くて、壁や床には切り裂かれた後と物をぶつけて空いた穴があちこちにある。

窓はあっても-あいつ-が表にいるから出ればすぐにばれる、そもそも俺がロンを抱えて逃げられる訳がない。浮遊呪文をもっと練習しておけば・・「う・・・」ロン?

「あ・・あ・・ハリ・・エット・・」ああ!ロン!!

「お・・きた・・」良かった、目を覚ましてくれて本当に良かった!!

「ああ~泣くなよハリエット。状況は?」

「俺達捕まって、そんなに時間たっていないみたいだ。」

「あいつは?」

「外でクィリ先生が来るかもしれないからって待ってるって。」

「つまり屋敷の外で陣取ってるってわけだ。」

「・・うん・・あいつの耳と鼻は誤魔化せそうか?」

「・・・無理だな、今日は満月だ。あいつ等にとっては今日は絶好調の日だ。」

 

「そ・・」

「その通りだ坊主、俺達の事をよく知ってるじゃねえか。」

ギシリと床板を鳴らして巨躯の暴漢が部屋に入ってきやがった、耳がいいせいで俺が目を覚ましたのがばれたか。

「・・坊主じゃねえ、俺の名前はロナルド・ウィーズリーだ。」

「はん!捕まって転がされている割には威勢がいいじゃねえかよ!そういう元気のある奴は俺は好きだぜ?

どうだ、あの御方に取りなしてやるからお前もこっちに来ないか?」

「・・あいつって、誰の事だよ?」

「偉大な御方だ。」

「・・まさかうちの腹黒狸校長様の事じゃねえだろうな。」

偉大と言われるとどうしてもあの髭じじがちらついちまう、慣れかな??

「ひっひっひ!はぁ~ははははは!!冗談もうまいじゃねえか?お前は偉大と言われればなんでもダンブルドアだと思っているのかよ?」

「まあ世間的にはそうなっているだろうし、じゃあほかに居るのかよ。」間違ってはいない筈だ、うん。

「世間様、世間様ね~。」あ、こいつ人の事馬鹿にしてやがる。俺だって本心あいつを偉大な馬鹿じじとは思っちゃいるけど、外の奴に言われるとムカッと来るのはなぜだろう?

「俺が言っているのは、真に偉大な闇の帝王様の事だ!!!」あ、こいつうっかりと的に情報話すタイプだ、本当の馬鹿発見。

ダンブルドアだったら今この瞬間に邪魔な敵を屠るくらいはしてんだろうに、こいつはわきが甘い奴だ。

お陰で俺とハリエットは生かされてんだろうな~、本当にどうしてこうなった?ザビニの奴は生きてるかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君と二人だけで話がしたいんだ。いいかなハリエット・ポッター?」

「・・こんな夜にか?」満月が綺麗に見えてるくらいの時間なのに、スリザリン寮に入る前に話しかけられた。

「いつも君は誰かといる。二人だけと言っても昼だといつも護衛が付いているだろう?」

「護衛じゃない、俺の友達だ。」失礼な事を言うな!

「ああ、また君を怒らせてしまった。どうも僕は話が下手すぎる、君に今までのお詫びがしたいのに。」

「・・・お詫び?」俺とこいつは仲が良くない、というかこいつが一方的に喧嘩を売ってくる。

ちょっとした俺の失敗を喜んだり、ドラコの父親は蝙蝠の臆病者といったり、ダフネ達を取り巻きにして英雄殿はご満悦かとか、人を嫌な気持ちにさせてくる嫌な奴だ。

会った時からそうだっだ。

顔は綺麗なのに心は汚い、そうロンが言ってた。こいつはロンの前には決して姿を現さない。

ロンの事を怖れ、シリウスの前でもルシウスさんの前でも良い子のふりをしている。

ブレ-ズ・ザビニは嫌な奴だ、でも詫びがしたいって言ってる。

俺は、酷い事をした奴等と最近仲良くなってきた。バーノン叔父さん・ペニチュア叔母・ダドリーと・・

酷い奴とだって、きちんと話せばわかるのかもしれない。

確かにザビニの言う通り、昼や夕方に俺の近くに来たらダフネやドラコ達に追い返されてしまう。

近頃はフリントキャプテンやクィディッチのチームメイトの人達も。去年はセオが殺気浮かべて追い払ってくれた。

皆いい奴だけど、「いいぜ、少しだけ話そう。」いがみ合うのは正直好きじゃない。

 

 

 

 

上手くいった、近頃のハリエットは入学前とは比べ物にならない程に丸くなっている。

ガリガリに痩せていた頃はロナルド・ウィーズリー以外はほとんど信用をせずに、同室のダフネ・グリーングランスかアミル・サフィニアも辛うじて近寄れたくらいなのが、今はどうだ?

ちょっと優しい事を言ったらころりと騙されてしまうお人好しになっている。

僕はこいつが嫌いだ。覚えてもいない事でちやほやとされ、ちょっとした不幸で同情を貰って皆に構ってもらっている。

入学前は僕こそが一番だったのに。

だって僕は綺麗だし、上流階級のお坊ちゃん達に負けない品の良さに、魔法力だって強い方だ。

なのに僕の事はこいつの存在ですっかりとかすんで・・いや、正確にはこいつじゃない。

こいつを庇護しているロナルド・ウィーズリーのせいだ。

あいつはどうなっているんだ?現魔法界の王族・シリウス・ブラックを足蹴にしても、ホグワーツ校長・偉大なダンブルドアを悪しざまに言っても罪にも問われずに好き勝手している奴だ。

口は悪くて品はなくがさつで粗野な野蛮人、なのに圧倒的な人気を誇っているのはおかしいだろう!

そいつに可愛がられているハリエットも本人は大した事が無いのに、頭に来る。

だからあの人の悪しき計画に乗ることにした。

ホグズミードの裏路地で誘われた時には驚いたけど、

「殺すつもりはない、世間的に抹消するだけだ。」それは母さんよりも酷くはないか。

僕のかあさんは7回も結婚をして、-死別-をされてすっかりとお金持ちになった。

もういいわねと、7人目の父さんの葬儀の後にぽつりと言って分かった、母さんが父さん達を殺してお金を手に入れたんだって。

それに比べれば、世間的に殺されても命はあるんだから良しとしてもらおう。

 

綺麗な満月だ、一体どうやってハリエットを辱しめるのかゾクゾク・・「こんな所で何してんだ。」

この声は!「ハリエット、今は無闇に外に出るなってシリウスと教授とルシウスさんに言われたんじゃないのか?クィレル先生とも約束したんだろ?」邪魔な奴が!

「ロン・・こいつが今までの事を詫びたいって・・」

 

狙われているって言われている本人が、ホイホイと外に出るのもどうなんだ?それも日頃から仲の悪い奴と夜のお庭で一緒って、詫びってのは本当かどうか怪しいもんだ。

「だったら中でも静かな場所があるだろうそっちに・・」なんだ、空気がピリピリとする・・

「ザビニ・・何の目的でハリエットを連れ出した?」この空気・・マジでやばい!!

「なにって・・本当に・・・」-ヒュッ―「ザビニ!!」

「あ・・・」-どさ-

一瞬だった、黒いものが目の前を横切って、ザビニの腹を引き裂いた!

裂かれたザビニも痛みが来ないのか茫然としながらゆっくりと膝から崩れ落ちていき、横たわったまま動かない・・「は・・があっ!!」

ハリエットに逃げるように言う前に頭を強く殴られたのか、気が付いたらボロボロの部屋の中にハリエット共々転がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、俺達はどうなんだ?何で俺達攫ったんだ。」闇の帝王を出してくんなら見せしめでホグワーツのど真ん中で派手にバラバラに殺した方が効果的だろうに。

「・・・・・お前えぐい事をさらさらと言ってくれるな・・一体いくつだよお前・・」

「ロン・・俺そうなるのは嫌だよ・・」あ!いけない・・思った事をついついと言ってしまった。

捉えた奴どころかハリエットにまでどん引かれてしまった。「げふん!げふん!!・・悪い事はいかんぞ!!うん!!!」

「・・フォローしてるつもりかそれで?」

「ロン・・・いろいろとアウトだよ・・」ああ、違う意味でハリエットが泣いちまった!!

 

・・・俺は確かホグワーツの餓鬼を攫ってきたはずなんだが、この坊主本当に餓鬼か?

中身が闇陣営のえぐい奴等と変わらないガキってどうなんだよと、俺でも突っ込みたくなるって変な奴。

あのブレーズ・ザビニって奴は小悪党のようで、ハリエットが嫌いだと前回ホグズミードに来た時に取り巻きどもに言っていたから誘って役目を終えたからポイ捨てにしたが、妙な餓鬼まで持ってきたか。

「まあいい、お前達は撒き餌だ。」今頃はザビニの事と、この餓鬼達がいない事でホグワーツの中は大騒ぎになっている頃合いだ。

「あの御方の従者にはもうメッセージを送った!俺達死喰い人にしか分からない伝わらない!あの御方にいまだに忠誠心を抱いていなければ伝わらないメッセージをな!!」

ホグワーツにはなんとセブルス・スネイプがいた!あの御方の寵愛を受けていた奴が裏切り者になって教師をしてやがった!!

引き裂いてやりたいがあの御方をを救うまでの我慢だ!秘密の通信はあいつ等みたいな紛い物には伝わらない闇の魔術を使った。

セブルス・スネイプにはせいぜい闇の魔術の痕跡しか分かるまい。

真の闇の帝王の従者に伝わればそれでいい!

「・・満月であんたの魔力が上がったか・・」そんなに複雑な魔法を使えそうにないが。

「それもリーマス・ルーピンから教わったのか?-人狼-が魔力を一番得るのがこの日だと。」

「あんたはあいつを知っているのか。」いやに親し気に名前を呼んで。

「当然だ、あいつを半人狼にしたのは俺だ。」

「・・あんたが?」

「名乗っていなかったな。俺はフェンリール・グレイバックだ。あの世に俺の名前を持っていきな。」そろそろこいつ等を食い殺すか。ロナルド・ウィーズリーは殺して、ハリエット・ポッターはリーマス・ルーピン同様に半人狼にして解き放なってやる。

あの御方を殺した罰は、世間から迫害をされながら怯えて暮らせばいい!!

「リーマス・ルーピンが・・半人狼って・・お前がしたって!!」

「何だ知らなかったのか?あいつは餓鬼の頃から半人狼だよ。今頃は満月に怯えながら体を丸めて震えているだろうよ。」

「そんな・・だって!ずっと一緒だったシリウスはそんな事!!」知らなかったのか、あの男の本性を。

この様子だと人狼の事どころか、あいつのド変態ぶりも知らないか。

「いいかいお嬢ちゃん、あいつは・・」-ガサリ-

「っと・・どうやらお客さんのようだな。」まちびときたれり!

「どうやら時間切れだ。おい坊主、しゃんと立て。お嬢ちゃんが手伝ってやりな。」

従者が来たという事はあの御方も!二人の前でい共にこの餓鬼どもを!!

 

「ハリエット・・言われたとおりにしろ・・」

「ロン・・あいつが言ってた・・」

「・・・今は生き延びる事を考えろ・・」

「うん・・うん!」そうだ、良い子だ。

部屋を出て廊下を通って出た先は・・ここは叫びの屋敷だったんだ。

外に出てようやく分かった。

「叫んでも無駄だぞ、マフリアートを掛けているんだからな。」本当に満月の人狼は厄介だ。

それに・・「なんで・・どうして!!」

ハリエットが取り乱しながら叫びの屋敷の外であった人物に問いかける。

そりゃそうだ、今までずっと大好きで遂にはあだ名をつけて呼ぶほど慕った先生がこのタイミングで一人で、それも警戒もしていないどころか、軽く微笑んだ様子で立っていたら普通はこうなる。

「こんばんは、クィレル先生。」でも俺にとっては以外でもなんでもない。

こいつの目当てはヴォルデモートだと散々言っていた。狙いは俺でもハリエットでもなく、本命はクィレル先生とヴォルデモートか。

「無茶をしない、一人で出歩かない約束を破りましたねハリエット。」

「え・・俺・・だって・・・先生何で・・」

「こいつは無茶はしていない。優しい心を利用されただけだよ、クィレル先生。あんたこそ何でここに居る?」

「君は薄々気が付いたいたのではないかい?-先生-がらみでこの男に呼び出されてね。怪我は?」

「それよりもザビニは?」

「さて、生き延びる見込みは低かろうが、セブルス・スネイプがむざと死なせはしないだろう。」

「確かに教授とマダム・・」

「もういいだろう!!闇の帝王の従者が何を光の陣営のアーサー・ウィーズリーの餓鬼とくっちゃべってる!こいつを殺すところを是非とも闇の帝王にご覧いただきたい!!

ハリエット・ポッターは半人狼にするのはどうだ。」嬉々として事を言ってるんだこいつは。

 

 

「はあ~・・」あれ?クィレル先生なんか疲れた溜息ついてる。

「何故あの御方の御心を考えずに誰もかれもが手前勝手な考えをあの御方に押し付けるのか理解不能だ。」

「あんた・・何言って・・」

「いつあの御方がそこの子供と達を攫えと言った?いつハリエット・ポッターを半人狼にしろと?」なんか怒ってる?

「何言ってやがる!一時とはいえあの御方に屈辱を与えた小娘だぞ⁉そうなって・・」

「もういい、お前は使えない。」

「何だと・・」

「せいぜいあの御方の血肉の一端になるのが関の山か・・」声が・・冷たい・・

「ロン・・クィリ先生・・・どうしちまったんだよ・・」

「・・泣くなハリエット・・今の内に逃げるぞ・・」-パラリ-「良くやったスキャ。」

ずっと喋りながら時間を稼いでいた。ポケットに居たスキャが出てきて縄を噛み切ってくれるのを待っていた。幸いハリエットは杖を取られただけで・・俺のもとられたが逃げるだけなら!

どうやらクィレル先生は俺達を殺すつもりはないようだ。なら・・見逃して・・「チックショウが!!」

って!人狼野郎がきれた!!

「どいつもこいつも!!あの御方を裏切るのかよ!もういい!!!」・・あいつ・・

「俺だけでも殺ってやる!!!」しまった!!

「っつ!!アバダ・・」-チュウ!!!-「ギィヤア!!」

「スキャ!!」

「こっのくそネズミが!!!」

 

クィレル先生の言葉に切れたフェンリールー・グレイバックが俺の方に突進をしてきて、先生が死の呪文で止めようとする前にスキャの奴がグレイバックの右目にかじりついて、激痛で転ばせやがった!!

・・臆病で、それ故にネズミに身を落としたあいつが・・「邪魔だ!虫けらが!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-バチュン!-細くて小さなあいつの体がゆっくりと孤を描いて宙を舞う・・赤い血を撒きながら

 

 

 

 




今宵はここまで


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死さえ蹴り飛ばし・・

これぞロナルド・ウィーズリーです!!


瀕死のネズミはうっすらと周りの音を聞く。

「・・や・・だ・・!死ぬなよスキャバース!!」俺の為に、ハリエット・ポッターが泣いている。

俺のせいで両親が死んだのを知らないから「お前が死んだらロンが!!」あいつは泣いてくれるか・・・

 

・・スキャバース!!死なないいでくれよ!!

俺達を庇って、こんなに小さな身で敵に立ち向かった勇敢なネズミを!

グレイバックに吹き飛ばされたスキャバースをハリエットが地面に激突をする前に受け止めた。

スニッチよりも大切なスキャバースを落とすはずはない。-今のロン-には受け止められないから、俺が受け止めないと!!

「スキャバース・・」心臓は動いて、でもひくひくと痙攣をしている!

「ハリエット、ネズミを見せなさい。」優しい声・・でも!!

「あんたは敵なんだろ!闇の魔術が分かる!!ヴォルデモートの・・」

「そのネズミが死んだら彼は悲しみに堕ちてしまう。」敵なのに・・なんで・・

「私はフェンリール・グレイバックに与しない。寧ろ捕えたい。」

「じゃあ・・先生は・・」

「今はそれよりもこの子を助けよう。両手でそっと持ってあげて、そうエピスキー!」

優しい緑の光がスキャバースを包み込む。触れた自分も温かくしてくれる。

スキャバースの息遣いが少しだけ落ち着いた。

「今は何とも言えない、助かるのは五分と五分だ。」とても真剣な様子でスキャバースを見てくれる。

そうか「先生はあいつを騙したんだ!味方のふりをして油断をさせて!!」

「ハリエット・・」

そうだよ!優しいクィリ先生が酷い事をするはずがない!!スキャバースも助かるはずだ!!

だから「そんなやつぶっ倒しちまえロン!!!」-獅獅子-になったロンを精一杯応援をするのが今の俺の出来る事だ!

 

スキャバースが血を撒きながら宙を舞った瞬間に、ハリエットの横を深紅の鬣の獅子が、

フェンリール・グレイバックに襲いかかった。

-ロンだ-あの獅子はロンだ、ロンが怒ってあいつをやつけてくれる。だったら俺がスキャバースを受け止める!!

何の疑いもなく獅子をロンと認識をし、己のやるべきことを果たして力の限りロンに声を掛け続ける。

「スキャバースはクィリ先生が助けてくれた!!やっちまえロン!!!」

 

こいつはハリエットを襲った!!ザビニを殺そうとした、しかもスキャを傷つけやがった!!!

宙を舞うスキャを見た瞬間頭が真っ白になって、気が付いたらこいつに襲いかかっていた。

全身から力がみなぎり、頭の中ではずっと声が響く、噛み殺してしまえと!!!!

 

ロンは一年生の頃からずっとマクゴナガルに師事をして訓練をしていた。

柔らかい毛でハリエットをモフモフと甘やかすべく、アニメ―ガスを目指して。

だがなかなか成れなかった。うまく何になるのかのイメージが付かないのが要因で、そもそも低学年には難しいものだとマクゴナガルが慰めてくれた。

しかし今その努力は実った。甘やかす優しいものではなく、群れの敵を噛み殺す強き獅子となり、

ロンは存分に力を振るった!

鉤爪でスキャバースが付けたグレイバックの右目の傷をさらに抉り出しながら胸部も引き裂き、振り下ろされる爪を避けつつ後ろに回り込み右足のふくらはぎに喰らいついた!!

「ギー・・ヤァアアアア!!!」

 

なんだこいつは・・さっきまではとぼけたところのある単なる餓鬼が!!-グゥルルー-

倒れた自分の背中に、自分以上の力を感じる獣の声が耳元でする・・

「こんな・・クソガキが!!!」

完全なる人狼と化し、背筋に力を入れて両手で力の限り地面を押し、上体を起こして背に乗った獅子を振り落とし、素早く態勢を整え対峙する!

-グゥルル――ッ―深紅の鬣の獅子はいつでも飛び掛かる態勢で自分を油断なく見つめている。

その眼光は鋭く、殺気に満ちている!

こんな・・たかだかホグワーツの餓鬼に!!俺はあの方と共に歩むものだ!!!

人狼の自分の強さを何の含みもなく受け入れてくれたのはあの御方だけ。

ヴォルデモート卿は強いから、自分を利用しようとしなかった。だから反対に力を貸した。

ヴォルデモート卿の邪魔になる者全て消す為に!

なのにあの御方は消えてしまった!ただの赤ん坊に倒されたと・・ふざけるな!!

そんな事は無い!いつかあの御方は復活をする、そう信じて・・そして夢を見た。

赤ん坊に不可思議な力で吹き飛ばされ、弱ってしまったあの御方がルーマニアの森に居た事を。

そして男に助けられて、今はその男にとりついて生きながらえている事を。

助ける!その為にヴォルデモート卿を迎えに来たのに!!「虫けら如きが!!!」邪魔をするな!

 

 

 

 

虫けら・・こいつはスキャの事をそう呼びやがった!!虫けらは手前の事だ!!!!

 

           

          -グウォ――――――――――――!!!!!-

 

 

 

マフリートの中の空気を震わせる程の雄叫びを上げながら獅子は突進をする、獲物を殺す為に!!

「死ね―――!」グレイバックも右手を地面すれすれにしながら疾走をし、獅子を迎え撃つが、

-ヴォオオオ―――!!!!-獅子の咆哮に怯んだ。その一瞬の隙を獅子見逃すはずもなく、

            

               -グシャリ!!-

 

フェンリール・グレイバックの喉笛をかみちぎり、-ドシャ-叫びの屋敷の屋敷の壁に叩きつける。

生きているのか死んだのかなぞ最早興味はなく、口から血を滴らせながらゆっくりとハリエットとクィリナス・クィレルの元へと歩いていく。

「ロ・・」

「止まりたまえ。」

出迎えようとしたハリエットをクィレルは背に庇い、杖をロンに向ける。

「今の君に、ロナルド・ウィーズリーの心はあるか?」

いきなりのアニメ―ガスの変身は、下手をしたら心までその動物と同じになってしまう。

たとえ変身をしたきっかけがハリエットとスキャバースを救いたいと願い敵を倒すためのものであっても、今もその心が残っているかは定かではない!

じっと獅子の目を見つめる。その瞳は・・「君か・・」いつもの温かいロナルド・ウィーズリーのものだった。

確認をし、ロンである獅子をハリエットとスキャバースに引き合わせる。

もしかしたらスキャバースはもう・・-グゥオオオオ――――――――――――!!!-

なんだ⁉先程よりも凄い咆哮をスキャバースに向かって!!まさか死・・「チュウ!!!」

って死んでない⁉スキャバースが跳ね起きた!!!・・さっきまで確かに瀕死の重傷だったのに!

「スキャバース!!・・生きてる・・ロン!生きてる!!!」

ハリエットは単純に喜んで、獅子は血塗れの下でスキャバースを慈しむように舐めている・・

死にそうっだったのに・・ロナルド・ウィーズリーが生きろと励ましたのか?

 

 

 

 

実際にスキャバースことピーター・ペティグリューは死にかけて、死のベールを半分くぐりかけた。

ロナルド・ウィーズリーとハリエット・ポッターを助けられた。後は獅子になったあいつが、

人狼を倒す。

ぼんやりとした目でかすみながらも見えていた。ロンの雄姿を。自分と違い、真に勇気のあるグリフィンドール生の姿を見ながら死ねる。

ネズミに堕ちた自分には勿体ない冥途の土産を貰ったと満足をしながら、ひらひらと見える輝くベールが死のベールだと本能で分かった。

くぐれば地獄に落ちるだろう、その前にジェームズとリリーに詫びたいな。

そう思いつつベールを半分行ったところで

 

 

 

     

     「今死んだら地獄の底まで食い殺しに行くぞスキャバース!!!!」

 

 

 

 

なんかとんでもなく怖くて物騒な事を言われた!!死んだら許さないだとか、逝かないでくれとかの優しさや労わりは微塵もなく!食い殺しに行くってどういう事⁉

しかもあいつなら本当に来そうで怖えよ!!

嫌だ、死んでまであいつに食い殺されるのは「チュウ!!!!-嫌だ―――!!!!-」

思わず跳ね起きれた!・・死にたくない、死んだらこいつが怖えよ!!その一心で起きたのだ。

 

-もしもし・・- なんか黒いぼろきれのフワフワした奴が鎌を持って俺の横に浮いてる。

-わたくしは死神です-さいですか。

-今は貴方にしか見えません-そうか、ハリエットもロンもこいつが横に居ても慌てない訳だ。

-死のベールをくぐりかけた貴方にだけ見えます-それで?

-それでって・・貴方確かに死にましたよ⁉心臓も止まって魂も出かけて!!-それで?

-だからきちんと死んでくださらないと困ります!!-知らん

-知らんって・・-いいか死神、この世には手を出したらいけない奴がいる!!

-はぁ⁉それとあなたの死とどのような関係が・・-俺が死んだらこの獅子になっている奴が間違いなく俺を食い殺そうと冥界にまで押しかけてきて地獄をしっちゃかめっちゃかにするぞ!!

-地獄って・・この獅子は人間でしょうが・・-ふん、甘いな

この死神は死神の癖に甘すぎる!何にも分かってはいない!!

ロナルド・ウィーズリーに不可能はない!!やると言ったら、絶対に無茶な事でも人知を超えた事でもやってしまう怖ろしい奴だ!!!

-・・・マジですか・・-

まだ死神になりたての若き死神は本気でネズミの言い分に悩んでしまった。

確かに時たま死さえ蹴とばすおっかないのがいるって先輩死神が言ってた・・触らぬ神に祟りなし。潔く撤退する!!

-また死にかけたら今度は見逃しません!!-スキャバースのロナルド・ウィーズリーへ怖れと、それを真に受けた未熟死神の恐怖が化学反応を引き起こし、絶対である-死-が敗北を喫した歴史的瞬間であった!惜しむらくはその事実は死神が見えているスキャバースと、引き上げた死神しか知らない事である。

行ったか、死神の癖に捨て台詞を吐きやがる。この事は墓まで俺の胸の中にしまっておこう。

 

 

スキャバースの中のロナルド・ウィーズリーの認識は本気でそうなっている。

誰が相手でも意外な方法で逃れつつ勝ち、出来ない事は-今-できなくとも-いつか-必ず実現させてしまう怖ろしくも頼もしい奴。

故にロンが地獄まで追っかけてくると言えば来てしまう、方法は分からないが必ずに。

死んでまで食い殺されるのは嫌だし、それに・・ロンのような天国が似合う奴が自分のせいで地獄に来てしまうのは嫌だ。ロンの魂が穢れてしまう。

スキャバースの中のロナルド・ウィーズリーは死神さえも蹴とばす凄い奴であった。

かくして死の定めにあったネズミは、辛くも生き永らえる事が出来たのであった。




はあ・・スキャバースは最後まで生かすか殺すかでとんでもなく悩みました。
筆者の中では八割がたはロン達を庇い、ネズミからピーターに戻り罪を懺悔しつつ死なせるつもりでしたが、それではこの物語の何かが損なわれてしまう気がしたので生きてもらいました。
レッドアイズさんもピーターの事を悲しんでくださり心配をおかけしましたが、スキャバースは死のベールを引き返しました。


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獅子寮の獅子

韻をふんだようなタイトルです。


どこでどじったか、ロナルド・ウィーズリーがフェンリール・グレイバックを倒した後に自分はグレイバックの体の一部を持ち去って、すたこらと逃亡の旅にゴーしようと算段をしていたはずなのだが。

「クィリ先生が来てくれなかったら俺もロンもスキャバースも死んでたんだよセブ先生!!」

ハリエットの説明に、こめかみに青筋をひくつかせながら鬼の形相をしている同僚の顔を見ながらつらつらと考える。

セブルス・スネイプの考える通り、ハリエットの言っている事は荒唐無稽であり得ない。

自分は二人は助けられたらいいな、グレイバックの肉体の一部を回収するついでに位にしか考えては・・いなかったか。

あの時点ではグレイバックの事が3・二人の救出が7の割合であったのは否定しない。

否定はしないがハリエットの言うような善人では無いのだが、否定も肯定もしない。

変に言って言質を取られるようなへまをするのは面白くはない。

 

あの後、スキャバースを脅した咆哮には魔力がたっぷりと詰まっており、グレイバックの張ったマフリートが破れてホグズミードの魔法族達が集まって来てしまった。

まあそうなる前にスキャバースの生還を喜んでいる二人に気が付かれない様にグレイバックの右腕は切り落として中を拡大した収納袋に入れて懐に回収する事が出来たのは幸いだったか。

その後にコンフリンゴでバラバラにした、二人には二度と蘇れない様にとか適当を言って。

実際の人狼は生命力が強すぎる。この位しないと安心できないのも本音だ。

血肉が自分達に掛からない様にプロテゴを張ったのでローブも汚れはなく、確認をした後さあ行こうと姿現しをする前に、ハリエットにローブをしっかりと持たれしまい、振りほどく前にホグズヘッドの主アバ―フォース・ダンブルドアが来てしまった。

杖を構えて、こちらが少しでも魔力を発露させようものならば瞬時に攻撃する気満々の顔をしてる。

 

「そのライオンはなんだ!先程の爆発音も!!一体何があった!」

相当動揺しているようだな。無理もない、闇との戦争から早13年が経つ。

このダンブルドアの弟も平和ボケしていて当たり前か。

一応逃亡前なのでホグワーツの教員である事を名乗り、自分の事は一切言わずに経緯を話した。

時折同意を求めるようにハリエットの方をちらちらと見て、ハリエットも無言ではあるが私のローブを掴んだまま頷き、そうこうしている間にここを嗅ぎ付けた大蝙蝠殿とマクゴナガル女史とフリットウィクが屋敷しもべと共に姿現しをしてきた。

校内はゴースト・しもべ達を総動員しても見つからなかった。

外ならば暴れ柳の下の抜け道をを通ったと、遅まきながら気が付いたようだ。

アルバス・ダンブルドアも余程動顛をしていたか、あれはご主人様を貶める嫌な奴だが生徒を気に掛けているのは癪だが認めてやる。

 

「聞いているのか!クィリナス・クィレル!!」

「・・ああ・・すまない、なにを・・」

「心ここにあらずのようだな!」

セブルスは本当に短気だ。

「なぜ侵入者を粉々にした!」

「先程ハリエット達にも言ったが相手は人狼だ。その位しないと安心はできない。」

私の説明に何も知らないマクゴナガル女史とフリットウィクも同意をしてた。

「セブルス、二人を早くホグワーツのマダム・ポンフリーの下へ。」

「事後処理は後程するとして、クィレル先生も一言私どもに言って欲しかったですぞ。」

「申し訳ない、フリットウィク先生。確信のない事に人数を引き裂きたくはなかったのです。」

「そうであってもせめて屋敷しもべくらいは連れて行くべきでしたぞ。」そうすれば敵か攫われた二人が見つかった時に連絡要員として安全性が増せたのに。

「・・以後気を付けます。」本当はグレイバックにアバダして唖然とする二人を置いてホグワーツからおさらばする気だったのに、安全性もへったくれもない。

セブルスは私の言う事なぞ微塵も信じていないようだが仕方がない、一度ホグワーツに戻らねばなるまい。

幸いにもまだご主人様はホグワーツの部屋に隠れられている。

「さて、ロン君。いい加減に人の姿に戻りたまえ・・ああマクゴナガル女史とハリエットがいて恥ずかしいか。」

獅子になった瞬間衣装は全て破れたから、今元に戻ったら全裸か。それは恥ずかしいお年頃だろう。

「ロン、吾輩のローブを貸してやる。今すぐに戻れ。」・・大蝙蝠は本当に短気だ。

 

だがこれで全裸の心配も無くなり、ロナルド・ウィーズリーが人間の姿に戻ると誰もが思い、

大蝙蝠がローブを羽織らせてやろうと待機をしたが、待てど暮らせど獅子は少年に戻らない。

それどころかウロウロとして首をかしげながら困惑をしているように見える。

「・・ひょっとしてロン、戻り方が分からないのか?」

ハリエットのぽつりとした一言に、大人達は内心でため息を吐いた。

アニメ―ガスになれるものが戻り方が分からないってない。

そう思ったのだが、獅子はハリエットの前に来てこくりと首を縦に振った!

 

 

        「「「「えええええええ―――――!!!!!」」」」

 

 

 

「冗談は大概にしろロン!今回はお前が無茶をしたわけではないのだから叱らないでやる!!

だから早々に人に戻れ!!」

「Mr.ウィーズリー!アニメ―ガス登録後に獅子の姿にはまたなればよろしいのですよ!」

「皆が死ぬ程心配をしている!早く元に戻って元気な姿を!!」

「ロン君、その冗談は笑えないよ?」

「いつものロンの方がいい!」

やんややんやと言われても、戻れないいったら戻れない。

 

10分ほど説得をしたが、獅子・ロンはうなだれてしまって本当に元に戻れなくて困っているのが分かった。

仕方がない、一度ホグワーツにそのまま戻るしかなくなった。

 

 

「ハリエット!!って・・このライオン何⁉」

「無事・・じゃないの⁉なんでライオンが!!

「ハリエット!ロンは?一緒じゃ・・」

「先生!うちのロニー坊やがいなくて何でライオンを連れてきたんですか!!」

「理由いかんによっては明日の朝日拝めないと思ってください!」

「お兄ちゃんどこ⁉」

 

 

ザビニが死にかけましたの方よりも、ロンがおらずにライオンがいましたの件の方が大広間で二人を待ちわびていた生徒達は取り乱した・・・もっとザビニを心配してやれと、ロンが口をきけたら突っ込みそうなほどの大騒ぎ。

「これロンだよ。」もみくちゃされた後、ダフネにひっしりと抱え込まれたハリエットは、胸の中で窒息をしない様にしながらロンがアニメ―ガスだと話した。

 

「マジか、かっけええ。」セオドールは怖れげもなく獅子に近寄った。だって中身は親友のロンだから。

「・・・お兄ちゃん?」おそるおそるとジニーが近づくと、獅子は優しくジニーの頬に鼻先をこすりつける。

まるで安心するよう宥めるように。

兄達も仲間も獅子に近寄り、労わるように思い思いに撫ぜ始める。ザビニが瀕死の重態をとなり、

ザビニに呼び出されたハリエットと、それを聞いて追いかけたロンの姿が見えなくなった時、アクロマンチュラ騒動以来の大騒動になった。

特にロンの兄達を筆頭としたグリフィンドールとドラコを筆頭にしたスリザリンの両生徒たちが夜の暗い中を構わずに捜索隊の編成が瞬時に組まれたのだ。

ダンブルドアも瞬時に指示を飛ばした。全ホグワーツに関わる者達に二人の捜索をさせ、生徒達はいかなる理由があっても大広間で待機をする事を。

侵入者は一人とは限らない、城の安全の為に瞬時に両面鏡で闇払い局長・ルーファス・スクリムジョールと連絡を取り合い、すぐさまキングズリーと数名の部下たちが駆けつけて

夜のホグワーツはひるのよな喧噪のるつぼと化しかけたが二人の・・一応無事を目の当たりにしてホッとした。

 

「先生、弟はいつ元に戻れるのですか?」

獅子の喉笛をさすってやりながらパーシーはマクゴナガルにもっともな質問をする。

無事で生きていてくれたのは嬉しいが、このままだったら父さん達が驚いてしまう。

「・・きっと、魔力が尽きれば自然に戻ります。」

そうか、だったら明日くらいには・・

 

 

 

 

 

 

「甘いぞお前達、ロンの魔力はほぼ底なしだ。短くとも10日は見積もっておけ。」

日参をして、今回の騒動をひとしきり聞いて顛末も分かったシリウスは甘い見積もりをバッサリとぶった斬った。

あいつの魔力量は純血なのを鑑みても尋常じゃない。

「そんな~・・ロン!!俺お前の膝に乗りたい!そこでかぼちゃジュース飲みたい!!」

如何にかわいいハリエットの頼みでもできないものは出来ないと獅子は悲し気な顔で応じるしかできない。

「気長に待ってやれ、フェンリール・グレイバック相手にしてその程度で済んだのははっきりと言えば幸運だぞ。」もっと言えば奇跡に近い。

「お前達を助けに来てくれたクィリナス・クィレルにも礼を言っておく。落ち込むなよロン。」

自分の親友は、奴に噛まれて一生を半人狼で過ごさなければならない。それに比べれば、アニメ―ガスなぞ一時の事だ。

 

シリウスの予言通りにロンは一週間以上も獅子のまま。最初は驚き戸惑っていた生徒達だったが、次第に慣れてマスコット並みの扱いを受ける事になった。

お風呂に入らずに川で済まそうとすればディーンとシェーマスに捕獲をされて、ネビルに優しく洗われた。気持ちがいいのか大あくびをしながらなすが儘になった。

話は理解できるようなので授業は全部そのまま出た。ハーマイオニー達がロンの分も書き、

筆記試験や実践呪文は出来なかったがどの教科の教師たちも追試はしないと明言をした。

この状態になったのは、ひとえに大人達が不甲斐ないせいでロンが動かざる得なかったからだ。

その恩もそうだし、そもそもアニメ―ガスになれる魔法族自体が少ない程で三年生のロンが超高度な魔術を行使し続けている時点で、五年生のO・W・Lどころか、六年生のI・M・E試験を満点で突破したに等しい。

なので小テストは見逃すことにし、ロンであるがゆえにホグワーツの生徒から非難の声は上がらなかった。何故ならば彼はロナルド・ウィーズリーだからだ。

どこに行っても大人気、下級生は背中に乗せてやり上級生にも黙って撫でられ、ご飯は毎日レアのステーキだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、君は来期もこのホグワーツに留まると?」

「何か問題がありますかな?」

生徒達が平和にしている間に、校長室では狐と狸の化かし合いをしていた。

ダンブルドアしてはそろそろクィリナス・クィレルの危険性をセブルス以外の教師に伝えるべきかどうかを悩んでいるところに、残るとクィレルに言われてしまった。

彼にヴォルデモートが付いているのは間違いのない情報だが、如何せんきちんと確認をした事はない!ならば!!

「そのターバンを外す勇気があれば残留を認めよう、クィリナス・クィレル。」

これで断れば怪しきものとして取り押さえられる。外してもヴォルデモートが確認を出来る。

どちらに転んでも損はない・・はずが「いいですよ。」クィレルはあっさりと返事をし・・そして・・「なんと・・・・」ターバンの下は-なにも-なかった!

 

「どうかしましたかな、ダンブルドア校長。」黒髪を短髪にしたすっきりとした端正な男が立っているだけ・・「認めよう・・クィリナス・クィレル・・先生・・」

「では失礼します。ターバンはもう飽きましたので差し上げましょうダンブル校長。」

クィレルは一礼をして校長室を後にした。ターバンを残して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先輩、あの二人は無傷で助かり狼が死んだだけのようですよ。」

邪神の目論見はある意味潰えたといえよう。

ロン自身もハリエットも、ロンが大切にしているスキャバースも生き残り、ついでにザビニは助かったが退校をして別の国の魔法学校に編入したらしい。

ある意味ハリエットの敵が一人減って終わったと言えよう。

「ふぉふぉふぉ~楽しみはこれからじゃて。」さて、あの従者は今後どうするのか、ロナルド・ウィーズリーよりも楽しめそうじゃて。




案外うっかり屋のロンでした。


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突然始まる獅子日記

獅子になったロン君の心の日記です。


獅子になったぜ一日目、とりあえず俺のハリエットとスキャに手を出した駄狼は退治した。

そのついでに俺は獅子になっちまった。不便はないし、元の戻れと俺達を迎えに来た先生たちにやいやい言われてもいつか元に戻れるくらいにしか考えていないから別に気にしない。

それよりもクィレル先生がすんなりホグワーツに戻った方が驚きだ。

正体ばれておさらばするかな~とか考えてたのに。

おっと、そんなこと考えてたら兄貴達とジニーが悲しそうな顔してる。どんなになっても俺はジニーの兄ちゃんだ。

人間後は喋れないので鼻をこすりつけて慰める。俺のマイ天使に悲しい面は似合わないぜ。

 

疲れたから部屋に戻ろうとしたが問題発生、俺は今合言葉言えないじゃん。あの肖像画の裏の階段上れ無くね?百歩譲って階段は身体能力にものを言わせてひらりとか出来ても、合言葉がネックだ。

「屋敷しもべさんに頼んで送り迎えしてもらいなよ~。」俺の非言語の困惑お悩みを、なんとネビルが察してくれた上に解決策もくれた!ネビルすげ!!

「何となく眠そうで歩き出そうとして、急に動きが止まったからもしかしたらッて思ったんだよ~。」

本当にネビルってすげえ。普段はマイペースなのに、見てるところはきっちり見ていて何かとんでもない失敗をしたのを見た事がない。

ありがとうネビル~俺の天使よ。

「くすぐったいよ~ロン。」嬉しくなって鼻をこすりつけまくった。

早速リジーに頼んだ。「お任せくださいロン様!!」めっちゃ嬉しそうに送ってくれた。

「朝晩の送り迎えは全てリジーがいたしますです。お食事はライオンに合わせた方が?」

正直分からん。首を捻れば察してくれて、明日検討しようとなった。

もう駄目だ、スキャは様子見で教授に預けて、俺はベッドの側に蹲ってグースか寝た。

一人部屋で良かったよ。

 

獅子のまま二日目、起きたら元に戻ってるって考えたのは甘かった。

くぁ~と欠伸しながらまあいいやと思いながら、リジーに大広間に送ってもらったら誰もいなかった。

なしてだ?すぐに分かった、今昼近くだった。俺は相当寝てたらしい。

でもいいか、獅子のままの食事風景は見せたらいかんだろう。

猫が可愛くない方向で大きくなってがっついているのを想像したら納得してくれるだろう。

リジーが張り切って食事を持ってきてくれたけど、食欲が湧かん。

鳥のハーブで鼻が痛い、糖蜜ヌガーの匂いが甘ったるい、他の調理された食事も以下同文

料理ってあれか、人間の好みに作られていて野生の動物にはきついのか。

なのでリジー一同で俺の好みは肉で生に近いもの、ステーキのレアとあいなった。

 

今日はまったりと洒落こもうとした、昨日の活躍のご褒美は今日のリフレッシュで。

そう思ったのに~マクゴナガル先生に捕獲された。

「どうやら人の言葉は分かる様なので授業は大丈夫そうですね。」大丈夫じゃねえ!

昨日のあんな目にあって、翌日普通に授業っておかしいだろう!!

いい加減誰か抗議の咆えメールをホグワーツの古狸あてに遅れやチクショウが!!!

そんな呪いをしたら俺宛に来た――――!!

 

「ロン!!貴方は去年といい今年といい!!どうして危険な事に首を突っ込むの!!!

お母さんもお父さんも英雄の子はいりません!!!!無茶をしないで!!!!!!」

心配たっぷりの咆えメール、心の底まで届きましたとも。

去年のアクロマンチュラ騒動と、今年の今回の件も全部パーシーが父さん達に連絡済み

だ。

俺が無茶をし過ぎないようにと願ってくれて。

とはいえ夕食の大広間が凍っちまった。

他所さんの事情なんて知らされる方が迷惑だよな~。

明日は大人しく授業に出よう。

 

まだ獅子だぜ三日目だ。戻る気配がちっともない。

「ようロン、昨日は爆睡してたようだな。」シリウス発見、しかもリーマス・ルーピンもいた。

スキャはまだ教授の部屋にいるからいいか。「カッコいいね。君らしいよロン君。」そりゃどうも。

「ちょっとお借りするね~。」なんか話があるらしい、また必要の部屋に埒られた。

「どうしてもお礼が言いたくてね。君には僕の人生の影二つをぶっ潰してくれたから。」

なんじゃそりゃ?分からんと首を捻れば苦笑された。

「一人目はアンブリッジ。あれは-反人狼法-を作られて、おかげで僕達は碌な仕事に着けなくて超迷惑な奴だった。」今そいつはアズカバンで精神的に干からびてるだろう。

「二人目はフェンリール・グレイバック。あいつのせいで僕は半人狼になってね。」

そちらは文字通りこの世界から滅せられた、いい気味だ。

 

そんな訳でお礼を心の底から言われた。とても明るくて邪気のない、いい笑顔で。

そうか、こいつは屈折をしなければ、今のようないい笑顔が絶えない大人になったんだろうな~。

-ペロリ-何となくこいつの頬を舐める、常の変態にではなく透き通った笑顔のリーマス少年をだ。

 

「・・君って奴は・・」驚かれて何故か首を両手でハグされた。「君って・・奴は・・」

なんでかリーマスに泣かれてる、俺の鬣に顔を埋めて。

もしかしてこいつは孤独で寂しくてこうなったのか?

自分は寂しくない、人生を楽しんでいると自分を誤魔化そうとして。

疲れる人生送って来てるな~泣くくらいいいか。

結局昼近くまで二人きりで、昨日と同じく授業に出る。

授業から授業に行く移動で、俺は合流したハリエットを背中に乗せてゆっくりと歩く。

次は教授の合同授業、俺の膝に乗せてはやれないが、背中には乗せてやれる。

女の子なのでちゃんと横座りさせてるぞ。

「何かこれ楽しい~。」ハリエットが楽しんでくれてなによりだって、アミルから熱い視線が!

はあ~-くぃくぃ-アミルのローブを引っ張り背中に首を振ってやる。「え!でも・・」いいから。

乗りたいのがまるわかりなんだから素直に乗りなさいって、女の子二人くらい軽いから。

俺が二人をのっけて、周りもほんわか気分で授業にゴーだ。

「・・・君は戻る気があるのかね?」教授にめっちゃ呆れられた。ちなみに帰りはネビルとダフネというのんびりコンビだ。

「私も乗りたい!」妹よ、ちと情報早くね、誰リークした?

「「ロニー坊やは大人気だね~」」ジョージ・フレッドか、元に戻ったらお仕置き決定だ。

大広間の夕食後移動はジニーとコリンをのっけた。その時の写真はリー先輩がバッチリとコリンのカメラで記念撮影をしてくれた。

 

戻れないぜ獅子四日目に、朝の梟便でホグワーツはプチパニック。

流石にブレーズ・ザビニにが瀕死のけがを負ったのだから抗議文なら遅すぎね?

「甘いぞロン、あの腹黒狸が自分に不利益なことをしっぱなしにすると思うか?」

何となく俺の考えを読んだシリウスが教えてくれた。

事件の捜査も一通り終わり、情報統制が解除された昨日の日刊予言新聞の夕刻版で、今回の一連の事件の顛末載せたそうだ。

被害は少なめに、フェンリール・グレイバックの死は大々的にか、でも今回はそれの方がいいか。

その方が利用されて殺されかけたブレーズ・ザビニも迫られなくて済む。今回も俺とハリエットの名前は伏せられ、ホグワーツの生徒でぼかされたらしい。

誰かは分からない、しかしフェンリール・グレイバックの被害者達は本当に多く、その名も知らない生徒に向けて、大量にお礼の手紙がホグワーツの宙を舞った朝だった。

 

俺は何となく釈然としない感じでクィレル先生の自室を尋ねた、御礼の手紙を一枚咥えて。

「ロン君、これは君に来た手紙だろう?」でも止めを刺したのはあんただクィレル先生。

「義理堅い子だ君は、紅茶が出せないのが残念だよ。」今の俺は猫舌だしカップから飲めないし。

食事も大広間で皆ととってるが、端の方でさっさと食べて後は好きな奴等の側でくつろいで終わるのを待っている。

しかし俺の周りの奴等って本当に凄い。一日目のネビル、さっきのシリウス、そして手紙一枚で俺の言いたい事を察してくれたクィレル先生。

「早く元に戻ってくれたまえ。そうでないとお茶が飲めないよ。」そうだよな~。

 

 

獅子になって四日目、流石に風呂に入らなくとも体を清潔に保つべきだと俺は禁じられた森に入った。

どっか水浴びできるところはないかロナンに聞くことにして。

「君は・・まあいい、川は流れが早すぎて危険だ。少し浅い湖がある、リャマに案内をさせよう。」俺の言葉が分かってくれて嬉しいけど、なんか教授に飽きられた時と同じ雰囲気を感じたのは何でだろ?

蜂蜜色の巻き毛の若いケンタウロスに案内をしてもらって着いた先には、他のケンタウロス達もいた。

「ここには僕等しか来ない、君は特別だよロナルド・ウィーズリー。」ニコニコしながらリャマが教えてくれた。

何となく森の一員になれたようで照れ臭いけど嬉しいぜ。これだけ大勢のケンタウロスがいたら

獅子がいてもどってことはない。水を浴びて体を振って水をきり、ホグワーツの城に戻ったら、

ハーマイオニー達に囲まれた。「ロン!貴方お風呂に入って無いでしょう!!」いや今水浴びを、

「問答無用!!!」体についていた水でアピ-ルしたが無駄だった。

男風呂でネビルに丸洗いされた「ロン、痒いところない?」優しくでも程よい力で気持ちがいいな~極楽・極楽。

「いいな~俺もロンの事洗いたいな~」いやハリエット、それはいろいろと駄目だろう。

この件に関しては自室でダフネお母さんとアミル母さんのお説教を受けろ。お前は女の子で、

獅子であっても俺は男だぞ。

 

やっとスキャが帰ってきた。教授の退院許可が下りたのだ。

俺今アニメ―ガスになれるてるんだしスキャと話せんじゃね⁉スキャはもうピーターに戻る気なさそうだしさ、普通に話せるチャンスだ!そう思ったのに-チュウチュウ~-無情にも聞こえてくるのはネズミの可愛い泣き声。

まあいいか、近頃こいつと普通に意思の疎通が出来てるし、問題ない。

今もお礼言われたかな?スキャを頭の上にのっけて今日もぐっすりだ。

 

 

もう慣れたぜ獅子状態五日目は日曜日。

ハリエットを背に乗せ久しぶりのハグリッドの小屋にやってきた。

「おうロン!ハリエットも!!かっこええぞロン!!!」流石ドラゴンだのアクロマンチュラ等が好きなハグリッド、俺の事で大興奮だ。

いつもの元気なハグリッドに癒される。ハリエットもロックケーキと紅茶を楽しんでいる間に、

俺は裏庭にいるヒッポグリフに会いに行った。

今年も魔法生物学の先生は変わらずで、ハグリッドがなるという事は起きなかった。

なのでヒッポグリフは初見だ。綺麗な生き物だ、力強さと誇り高さが伺える。

 

「お!ロンはそいつが気に入ったか?ヒッポグリフのバックビークってんだ、良い子だぞ。」

ハリエットも連れてヒッポグリフの事を教えてくれた。

「俺はライオンのロンの方が好きだ。」バックビークよりも俺を選んでくれてハグしてくれるるハリエットはマジ天使だぜ。

俺はこのままでもいいんじゃね?あの後皆で湖に行ってピクニックをした俺は、スキャと二人だけの寝床で本気で思った。

-チュウ~・・-なんかスキャに呆れられた。まあこのままじゃ不味いかやっぱり。

 

まだまだ獅子だぜ六日目突入、流石に周りも焦りが見え始めた。

「いいかロン!!アニメ―ガスはこうなって!!!」駄犬が真っ黒犬に一瞬でなって、

「こう戻る!!」これまた一瞬で人間に戻った。

どうやらお手本を見せてくれた気でいるらしいが、「シリウス・ブラック!!!!」

シリウスの変身時間同様、一瞬でマクゴナガル先生の説教と本人がすっ飛んっで来て、シリウスの両耳たぶを思いっきりと引っ張った。

普段は可愛いおばあちゃん顔で笑顔が素敵なのに、今は鬼の形相でシリウスに対して怒ってる。

長身のシリウスの耳たぶを引っ張るの大変そうなので、シリウスの膝を鼻でカックンして

マクゴナガル先生がしやすいようにしてやった。「あ!ロンてっめえ!!」

駄犬が人の事を売るのかときゃんきゃん言ってきたが、こんな珍しい怒り方をするマクゴナガル先生の方に正義があると思うぞ。

マクゴナガル先生が怒りを静めてしてくれた説明を聞いた瞬間に再認識した。

どうやらシリウスはアニメ―ガス未登録らしい。

法律破ったらそりゃ怒られるか。でもそんな事もすかんと忘れるくらい俺の事を心配してくれるシリウスも大好きだぞ。

とはいえそれはそれ、これはこれでリジーの両面鏡でルシウスさんを呼んで早速シリウスのアニメ―ガス登録をしてもらうことにした。

「ふむ、ドラコから毎日君の事を心配した手紙が届くが中々カッコいいではないか。」

ルシウスさん、あんたマイペース過ぎねえか?「しかし私は孔雀の方が好きだがね。」

それって俺に孔雀になれって事か?聞いた瞬間あんたの息子があちゃ~って顔して右手で額を覆ってんぞ。

ついでにルシウスさんの事をよく知っている一同も残念物を見る目で見てんぞ。

ありとあらゆる意味でマイペースなお二人にお引き取り願っていつも通りに授業に出てぐっすりと寝て・・起きたら人間に戻ってた。

 

人間に戻って一日目、俺は寮内でも廊下でも大広間でももみくちゃにされた。

兄貴達からは手厚いハグをされて、セオにはどつかれジニーに抱き着かれて、ハリエットは無言で

俺を椅子まで引っ張て座らせて、膝に乗って食事を始めた。

皆には相当心配を掛けたようだな。もうこんな心配はかけない、絶対にだ。



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何がどうしてああなった⁉

久し振りのぶっ飛びロンを書けました。


いいな~いいな~、人間っていいな~ってうたが確か日本にはあったな~。

クマの仔狸の仔が出てきても獅子はいなかった。でも飯は断然人間の方が上手い!!

「だからと言ってがっつくのははしたないぞロン。」

「ふぁってふうっと・・」

「・・・・口の中の物を飲み込んでから言いたまえ。」

「ごっくん、だってずっとレアステーキばっかりで、こうして料理を食べられるなんて幸せじゃないか。」

「もうアニメ―ガスにはならないの?」

「少なくとも未登録のままなのはいけないって、マクゴナガル先生が言ってたもんね。」

「俺はまたロンの背中に乗りてえな~。」

「今も乗ってるでしょう?膝だけど。」

「あら、パンジーも乗りたいの?」

「そんな訳ないでしょうダフネ!」いいな~皆とワイワイと騒げて楽しいぞ。

 

「生ける屍の水薬完成したぞ教授。」講義だけじゃなくて実際の事もできるし、ゴブストーンをセオとやって、五分五分で終わった。

違う世界のロナルド・ウィーズリーは確かチェスの名手だったけど俺には無理、からっきし向いてね~。

大体チェスゴマが使い手に文句言うっておかしいだろそれ?なじめなかったからパスだパス。

ジニーの手作りクッキー食べて幸せ満喫中だ・・・・スキャは今大忙しだけど。

だってあのクィレル先生がターバン脱いだんだぞ⁉後頭部に先生ことヴォルデモートを飼っていたはずなのに、大広間ではそれを見た教授も目ん玉ひん剥いてたな。教授はクィリ先生の事を狸校長から聞かされてたんだろうからそりゃ俺と同じくビックリだろ。

 

少しこけた頬に影のある憂いを秘めた瞳がいいと、一部の女子から人気がじわじわと来てるのにもびっくりだけど。

先日女子から何かプレゼントを貰ってたクィレル先生は素の顔で赤くなってもごもごとお礼を言ったのがまた萌え~なポイントらしくて、一月後のヴァレンタインは贈り物がどっさりとくるだろう。

 

そうだよ・・今もう一月だよ!フェンリール・グレイバックのせいでクィディッチは解決するまで禁止!クリスマス休暇は家出して!!プレゼントのやり取りをする余裕もなくて!!!寂しいクリスマス休暇もどきになっちまった!

お陰でナルシッサさんとモリ―母さんの連名で、嘆きの咆えメール第二弾が来た時は本気で泣きたくなった・・俺のせいじゃないのになぜに俺のところにクリスマス休暇に帰って来られないのかの問い合わせがくんだよ。

シリウスなんて毎日来てんぞ!ついでにマルフォイ一家も母さんも来ちまえ!

・・そう言ったら本当に来そうだから黙っておいた。

そこそこのクリスマスのご馳走に、何故か今年も狸校長が欠席というクリスマスの朝だった。

去年といい、今年といい何があったんだ。

 

 

 

儂が一体何をした?また今年も嫌がらせの咆えメール三通に、咆えた後に糞爆弾がまき散らされてしもうた・・スコージファイを吸えば問題は無いのだが・・儂は今年もふて寝じゃ!!

「アルバス!また今年もですか?」いかにミネルバがお説教に来ようとも知るものかじゃ!

また今年もマルフォイ邸にて狸校長撲滅委員会が動いて嫌がらせのプレゼントを贈られたのをロンも子供達も知らないのであった。

 

 

 

 

まあそれはいいとして、問題はクィレル先生についていたヴォルデモートがどうなったかを知りたいので今俺は、秘密の部屋の真上の配管にいる!!

何でこんなジメジメとした場所にいるかというと遂にクィレル先生が動き出した。

今日は日曜日で天気もいいのに、クィレル先生がこそこそと秘密の部屋に降りて行った。

しかも先生の部屋から直接に。後を追っていたスキャを通じて分かったんだが、先生はどうやら部屋の配管をぶち抜いて直通トンネル作った後すぐに配管を直したからばれなかったようだ。

成る程、バジをバジちゃんと呼ぶほどバジリスクを愛していたヴォルデモートの為か。

・・・そうするとバジはずっとヴォルデモートがホグワーツにいる事を知ったいた事になる。

50年前はトムと散歩をしようとして、出た時うっかりとマートルを見てしまって死なせてしまい、落ち込んで引きこもったって聞いた時にはダンブルドアも頭抱えていたほどの天然だろ二人共。

何はともあれスキャに深入りさせないようにして、俺の到着を待たせた。

「様子はどうだスキャ。」

「ちゅう~ちい~(見ての通り部屋の真ん中で鍋をぐつぐつと煮てる。)」

「他に変わった事は?」

「ちちゅちちゅ(なんもない)」

「そうか、様子見だな。」

子供の俺だからこそとれる配管が部屋の上部に取り付けられてて良かったぜ。

とはいえクィレル先生は鍋を煮るのに必死で俺には気が付いていないけど、側で見守ってるバジリスクちらりとがこちらを見上げてきたからにはあいつは気が付いてるか。

ハリエットがフェンリール・グレイバックに攫われた時はあいつは半冬眠状態で暖炉の側を離れなれなかったから仕方がないってハリエット自身に言われて慰めれて、以来ハリエットの腕にべったりなのに、ここに居るって事はやっぱヴォルデモート絡みか。

先生が何かブツブツ言いながら骨だの人の腕だの入れてる。

「・・ち・・骨・・・じゅ・・腕・・仇の血・・・」

それに何かのカップや髪飾りやロケットと・・指輪も鍋行きだ。

入れるたんびに煙が上がってこれぞ魔女の大鍋です状態になってすげえと、思わず映画鑑賞の気分で見入っちまった。

「・・ちゅ~う~(あのな~楽しんでる場合か?)」いかん、スキャに呆れられた。

あれだけ大掛かりな魔術はきっととんでもない・・「ちょっと待った――――!!!!」

 

-バッガーン!!-配管をコンフリンゴで爆破して、衝撃と余波はプロテゴで、落下は自分に浮遊呪文掛けて落下阻止!でもそんなことはどうでもいい!!

「何赤ん坊を鍋行きにしようとしてるんだ!クィレル先生!!お前も止めろバジ!」

怪しげどころかとんでもない事をしようとする奴は誰であっても絶対に阻止もんだ!!

「おや、やっと降りてきましたねロン君。あんな狭い配管でご苦労様でした。」あれ・・ばれてた。

「そっちはいい!何を怪しい事してんだクィレル先生、その赤ん坊をどうするつもりだ?」

・・言っててなんだがクィレル先生の腕にいるのって赤ん坊だよな?それにしてはなんか可愛気を感じねえのが不思議だ。

「この赤ん坊は、君の言うところの先生だ。君も薄々気が付いていたのだろう?私の後頭部に・・」

「でっかいいぼのような寄生物が付いていたか?」

「・・いぼとは・・まあいい。私にとりついていた御方の肉体復活の目処が立って、今ようやく目的が達せられる。」先生の奴、優しい顔をしていってる。

「・・そいつの事が好きなんだな・・」

「そうとも、なによりも誰よりも愛しているよ。この身を擂り潰されようとも、死ぬその瞬間まで仕えていた御方だ。」

「・・ハリエットやネビルよりもか・・」

「痛い事を言ってくれる。私はずっと愛を知らなかった、近頃ようやく分かりかけている。

それでもこの御方の方が大切なのだよ。」ハリエット・ネビルを見ていると胸の底が温かくなり、

もっとお茶を注いでお菓子を出して優しくしたくなるのが愛だと言われればそうなのかもしれないと思う程に、あの二人を愛しているのかもしれない。

それでも、この身と心はご主人様のに捧げる気持ちは揺るがない。

 

「だからね・・」-ポチャリ-「この御方を復活させる。」

しまった!!クィレル先生の奴!何のためらいもなく赤ん坊・・いや!!ヴォルデモートを鍋行きにしやがった!! -ボン!-  -ボン・ボン!!-

鍋が沸騰をして-ガッシャーン!!-割れやがった・・

 

      

 

     「ふっはっはっはははっはは―――――!!俺様の復活ら~!!!」

 

 

 

水蒸気で何も見えねえ!!甲高い子供の声が・・・・・あれ?甲高い子供の声で・・・なんか語尾も舌足らずに聞こえたような・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご主人様⁉」水蒸気が晴れ始めるとクィレル先生の素っ頓狂な声が響いた・・水蒸気が晴れると、そこにいたのは全裸の2・3歳児が立っていた。

・・・え⁉クィレル先生ってヴォルデモートを復活させようとしたんじゃねえの⁉

何がどうなってああなった⁉




ヴォルデモートの復活劇でした。


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闇の帝王の復活?

甘いかもしれませんが、これが本作です。


※都合によりタイトルを変えました。


「何でこうなってしまったのですか!ご主人様~!!!!」

「俺様が聞きちゃいぞクィ・・リ・・言いずらいからクィにする!!」

「ああ―――なんという光栄!ご主人様から渾名をつけて呼ばれるとは!一生・・いえ!!

死してもゴーストとなりてお守りいたします!!」

「まちぇ!何でお前が死ぬ前提⁉」

「今はご主人様の方がうんとお若いです。ならば私の方が先に逝くでしょう?」

「・・・・100以上生きろ、命令じゃ・・」

「何とお優しい!!」

「・・・・・・・・その優しさを是非ともわしにも分けてほしいのじゃが・・」胃が痛い、

動機がする、目眩がする、頭も痛いこの状況に優しさが一番の良薬じゃ・・

「黙れ!ご主人様の闇落ちを救えなかった無駄に権謀術数駆使して生きている老害が!!」

「何とい言う事を!!今この場でヴォルデモートを捕えず、しかも魔法省に通報されないアルバスの慈悲を・・」

「ふん!どうしぇ俺しゃまをどうすべきか分からずにポンコツ化しただけだろう。

お前もじゃろう、マクゴナガル女史よ。」

 

ヴォルデモート復活からまだ10分しか経っていないのに、ヴォルデモートとクィレルは校長室に連行をされている。

なぜに子供化で復活とパニくっている二人をロンが屋敷しもべを呼び寄せてさっさと連行をした。

「復活したヴォルデモートと復活させた張本人クィレル先生連れてきた。」

 

いきなり姿現しで人が現れた上に何をとんでもない爆弾を落とすのじゃこの子供は!!!

毎度毎度のことながら、今回はアバダされた気分じゃぞ!!・・精神的に死にたくなった・・

事実数分呼吸困難に陥り、何かの用で来てくれたミネルバに介抱されて召されずに済んだが、

今回は秘密もへったくれもなしじゃ!!こんなこと一人で抱え込みたくはない!急いでセブルスも呼び寄せて状況を説明したら、された二人の目も死んだ。

 

 

-バタン!-「校長・・奴はまだ見つかりません。」

「なんとの~・・屋敷しもべ達に要請は?」

「一斉拒否をされました。ちなみにゴースト・絵画達もピーブズにも速攻で。」

「ふん、あいつは人気者だ。ハィエットでもちゅかえばホイホイと出てくるじゃろ。」

ロン出て来てくれよ!と泣き落とし作戦だ。

「流石はご主人様、しかしそうなるとご主人様の事は・・」流石にハリエットには不味い気が・・

「む・・・それは嫌じゃ。」・・・ハリエットには知られたくはない。ロンと違ってハリエットの仇は自分なのだから。

ああ!ご主人様が悲しんでおられる!!!

「言いませんとも!ハリエットとネビルには、程の良い訳を考えて貴方様をご紹介いたします。」

「うむ・・・くりょうを掛けるぞクィよ・・」

「何と勿体ない!!」

 

こいつ本当ヴォルデモートなのか?

ハリエットとに知られると言われれば、湖水色の瞳から大粒の涙をぽろぽろと流し、それを見たクィレルがすかさず抱き上げあやされてるって・・絶対に無い!!

「・・・すまぬがクィレルよ・・その者は誠に・・」

「疑うのか老害よ!この方は誠に我が主・・しまった!!」

ダンブルドアの質問に憤慨をしたクィレルが説明をしようとして何か不味いと叫びだす!

ほれ見ろ!何かの手違いでヴォルデモート以外の何かが復活させてし・・「ご主人様!名のなんと?」

「・・・はい?」

「今のご主人様の御名でございます。この者らがヴォルデモート卿と呼ばれても、ハリエット達に紹介をするときの為の名でございます!」トム・マールボロ・リドルが嫌で、厨二病全開のアナグラム式ヴォルデモート卿になったくらいだ。

トムは嫌だろうと、クィレルが真剣にぶち上げる。

「分からん、お前がちゅけろクィ。」トムは嫌だ、でもヴォルデモート卿はハリエットの側にはいられない・・きっと嫌われる・・胸のぽかぽかが消えて、また冷たい世界に戻ってしまうのは嫌だ!

「誠心誠意付けさせていただきますご主人様!!!」威厳よりも、幸多き名前を考えねば!

そっちか・・名前かい!!闇の帝王の復活!すわ魔法界に暗黒の時代再到来かと深刻に考えていたダンブルドアとミネルバはがっくりとした。

「ちなみにどうやって復活をさせた。」普通でないぶっ飛んだロンと接しているセブルスには、

この手の事は態勢が出来ておりサクサクと聞いていく。純粋に研究者のはしくれとして。

 

「む・・ご主人様の父親の墓を暴いて骨を取ってきて、ご主人様の魂を預けたゴーント家の墓場からゴーントの指輪と、必要の部屋からレイブンクローの髪飾りと、グリンコッツのベラトリックスの金庫にあったハッフルパフのカップ。

それと勘違いではあるがご主人様に対して忠実だと思い込んでいた馬鹿な人狼の右手と、

以前けがの治療をした時に採っていたハリエットの血を少々だ。」

 

・・何つう物騒なレシピだ!!あわよくばリリー復活できないかな~とか考えていたセブルスは、

即座にその考えを放棄した。

そこまでのレシピで撫ぜに完全復活が出来なかった謎である。

「・・・愛じゃな・・」はあ⁉耄碌じいさまが何か言い始めた。

「ヴォルデモート・・いや、嫌じゃろうがトムよ、今のお主にアバダケダブラは使えるかの?」もっと言えば使う気があるかじゃ。

ハリエットたちに知られたくはないと泣いている。それはかつてのトムならば策謀でそう考えようが、今は好きな者に嫌われたくはないと泣く愛を知った者にしか流せない涙に見える。

これもロナルド・ウィーズリーのお陰だろうか?この数十年、ついに自分にできなかったことをたったの数年で成し遂げた者を思う。すなわち闇に堕ちてしまった者に愛を教えて光の道へと戻すことを。

「・・嫌じゃ・・使ったらきっと・・嫌じゃ・・」ロン達に嫌われてしまうではないか!!

「ああ!!何をご主人様を泣かすのだくそ爺!!!」

 

 

 

 

 

 

「ヘッキュション!!・・誰か噂してるのか?」

どうも、ヴォルデモートとクィレル先生を狸校長に押し付けて逃亡中のロンです。

前回に懲りず、また獅子の姿に変身をしてだい逃亡中で匿ってもらってます。

「ロナルド・ウィーズリー、ホグワーツでは君を探しているようだ。」

だからロナンさん達の群れに紛れてる。どうせヴォルデモートとクィレル先生をどうしようか、

共に考えようとかしちめんどい事を狸校長辺りが言ってきそうなので、部屋がパニック中にすたこら逃亡生活に入った。

向こうが俺を諦めて自分達だけで考えようとか思うまでは一週間でも二週間逃げ切ってやる。

辛いところはマイ天使達に連絡が取れない所だ。する手段はあっても、あいつ等がじじいの開心術の餌食になったら嫌だからだ。

知らない秘密は話せない、せいぜい無事のメッセージをコッソリと送るのが関の山。

そう思ったのに「見つけたぞロン。」絶対零度ヴォイスの教授様の登場だ。

何でばれた?「君の思考はある程度読めるようになった。」さいですか、超迷惑。

「元には?」戻れるように練習をした。

逃亡生活はたったの15分で終わりを告げて、校長室に埒られた。

 

 

「ではギルフォードはいかがでしょう?」

「うむ・・・堅苦しい・・」

「では太陽神のアポロンはどうじゃ?」

「それもしっくりとは・・」

「ではサラはどうですか?スリザリンの創設者であり、様々な事で魔法界に貢献をして・・」

「最後にはホグワーツおん出されたぞ?」

何やってるんだこの大人達?校長室はパニック化をして、ヴォルデモートとクィレル先生を許すか否か、今滅ぼすかどうかの血で血を洗う修羅場を想像してたら・・何か名前の出し合い大会化してる。

「教授説明・・」

「・・・・ヴォルデモートの名前を決めてるらしいな。」ハイ⁉

詳しい説明聞いたらもっと訳わからんになった、この人本当にヴォルデモートか?

でも、-先生-だった時も天然な奴だった、ハリエット達に嫌われたくない、自分の名を呼んでほしいって必死に考えている姿は本当に可愛くて・・・・守りたいと思っっちまったんだ。




色々と絆された人達でした。


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三年目の終わり

一応無事?に三年生は終わりです。


決定!ヴォルデモートことトム・マールボロ・リドルの名前が大決定!!

 

             ネフライト・アイオライト

 

「名前には安定と平穏・慈悲の意を、名字には初めての愛という意味を付けさせていただきました。

いかがですかご主人様?」

一日半悩んで悩みまくってようやくご主人様に良い名を考えられたと校長室で大喜びをして報告をした。

「んむ・・クィ・・もすこしねる・・」待ちくたびれてヴォルデモートは寝てしまい、まだ眠いとコロンとソファーに丸まり、「・・・・もうそれでいいんじゃね?」

振り回されたロンも撃沈したままで、さしものダンブルドア達もそれでお終いにしろと心の中で突っ込んだ。

名前一つで一日半も付き合わされた身にもなって欲しい。

 

「それで、先生の事はどうすんだ?」幼児になっても中身はヴォルデモートで記憶もばっちりとあるわけで、どうすんだ一体?

「うむ・・儂としては償う機会があってもよいかと思うのじゃ。」

もしかしたら、トムが歪んでヴォルデモートになったのは自分が猜疑の目で見過ぎたのが原因かもしれん。ならばその元凶の儂がのうのうと光の道を歩いているのに、トムだけが駄目なのは

どうかと思う。

確かにヴォルデモートのせいで大勢が死んだ。それでもかつての闇陣営の者達も-改心-をして

今も生きている。

ならば、「今度こそ光の道を歩いていってほしい。」甘い戯言、都合のいい話、犠牲者に顔向けできない所業かもしれないが、それでもを願ってしまう。

 

 

それでいいんじゃね?俺は心の中でそっとじじいの言葉を肯定した。

だって俺のポッケには今でもスキャがいる。元人間のピーター・ペティグリューの時に親友夫妻を

死なせてしまい、友人を嵌めてアズカバン送りにした大罪を犯したこいつを俺は守ると誓った。

なのにヴォルデモートだけは駄目って言えるわけがない。つまるところハリエット達にヴォルデモートの事を知らせなければ・・「校長、シリウスとルシウスさんにはどうすんだ?」

いくら何でも二人にまで黙っているのか?

「うむ・・・・・シリウスにはやめておこうかの~」知った瞬間にクィレルと本気で殺し合いしそうだし、ルシウス・マルフォイの方がまだ話は分かってくれよう。

 

 

「なのでおはようございますからいきなりのご報告でしたルシウスさん。」

早速リジー呼んで、両面鏡でルシウスさんを呼び出して報告したら白目むかれた。

「・・・・・・・っは!!今すぐそちらに行く!!リジ-用意を!!!」

「かしこまりましたルシウス様!」-バチン-   -バチン-

「む・・・姿現しか・・ふあ~。」湖の瞳を眠たげにこすって可愛いなコンチクショウ。

「ルシウスさんがこれから来るぞ。」

「あ~あいつは俺様をうりゃぎったが、別にいい。」元々途中から闇陣営辞めたがってたし。

「そうなのか?」

「ああ、純血主義と純血を守るとは似て非なる者と言っていたしな。」

当時の自分は分からなかったが、ハーマイオニーが二年生の時にスリザリン生徒から-穢れた血-

と侮辱された時に、ロンとドラコが純血の定義を言って、侮辱した者を撃退していた時に知った。

両親が魔法族同士だけではなく、マグル同士の両親から生まれた者もまた純血なのだと。

他にも色々と思うところのあったルシウスを間近で見ていたから、裏切られたという気はあまりしない。

「だからそうありゃたまるなルシウス。」いつの間にかリジーとルシウスさんが居た。

「我が君・・色々と変わられましたな。」ルシウスさんもびっくりか。

「ふん、こんなちび助に我が君も何もないだろうが。それでどうする?」

幼児が偉そう言っても普通は威厳ない筈なんだが、中身が先生と分かっていると感じるのだろうか?とても様になっている。

「貴方様が今やりたいと思っている事に寄りけりですな。」返答いかんによってはアズカバン行きになってもアバダケダブラで確実に討ち取る!!

今の自分には明確に守りたい者達がいるのだ、危険な者は芽のうちに摘む!!

「そう構えるな。今の俺はやりたい事はひとちゅしかない。またハリエット達とお茶が飲めればそれでいい。」今度は実態を持った自分と一緒に。多くは望まない、それが果たされるのならば住む所はどこであってもいい。それこそアズカバンに住めと言われればそうしよう。

「本気のようですな。」信じられないがヴォルデモート卿の時のあの闇は、この幼子からは全くと言っていいほど感じられない。

自分だとて人殺しの手伝いをしていたのに、今は素晴らしい者達と日々を楽しんでいるではないか。

「住む所は手配いたしましょう。場所はホグズミードで監視の魔法を常時掛けさせていただく。」

「そんな事でいいのか?」もっとこう・・重い罰とか拘束とかないのだろうか?

「もしもお主が再び悪事を働きそうになった時はそうじゃの~、ハリエット達に一切合切を言うというのはどうじゃろう?」そちらの方が効果的な気もする。

「っつう!!せぬ!!俺様はもうせぬ!!!いやじゃ!いやじゃ!!」

「だからご主人様を泣かせるな!!皮を剥いで狸鍋の材料にするぞ老害が!!!」

「ふぉふぉふぉ~良きかな良きかな。」・・幼児えぐえぐ泣かせて何が良きかななんだくそじじは。

 

 

 

ヴァレンタインは華やかに終わって、クィレル先生達が心配なのでイースター休暇も残り、

地獄の学年末試験を終えた俺達は燃え尽きた。

「・・・今年こそ遊ぶぞ野郎ども・淑女ども。」

「課題終えてからね。」

「今年こそはクリスタルパレスの植物園を満喫・・」

「いや・・今年はクィディッチワールドカップが・・」

「人の多いところは厄介事しか無くね?」

「・・セオに一票。」

「俺も今年は皆とのんびりとしたい。特別はいいから。」

「・・お前達はもっと若わさしく話せんのかね?」

後ろの机で無言で採点をカリカリとしていた教授に変な注意を飛ばされた。

「無理です、俺達の若さはその羊皮紙に込めてしまいました。」

「ここに居るのは最早燃えカスです。」

「抜け殻です。」

「夏休み来ないと満タンになりませんわ。」

近頃は教授の部屋を集会所にしている。だってここって夏はひんやり、冬はそこそこ温かの

快適地下室なんだもん。

各自でお茶とお菓子を持ってきて、各寮に散った奴等が一堂に会して夏季休暇の遊ぶ約束をする。

「今年の新学期にはホグワーツのお茶会してほしいな~。」

「そうだね~、僕もクィレル先生のブースでまたのんびりとお茶したい。」

そうなのだ、今年は警備事情からお茶会が出来なくって、在校生徒達から嘆かれた。

たったの二回しかやっていないのに、大評判だったのには驚いたが俺も新学期にはやって欲しい。

 

 

そんなこんなでようやく夏季休暇、俺は隠れ穴の自室でぼんやりと思う。

今年はもしかしたらハリエットは迎えに行かずに、本拠地はダーズリー家で短めのお泊りでいいんじゃないかと。

駅のホームにはダーズリー一家一が勢揃いをしてハリエットを出迎えていた。

大きくなって筋肉の付いたダドリーがハリエットの荷物を持って、ハリエットも嬉しそうに

バーノンさん達に嬉しそうに笑顔を向けていた。

「良かったなハリエット。」四年目は何事もないようにしてやる。事件も事故も何もない年を。

 




短めでなんとも甘いご都合主義な話となりたが、それでも筆者も思うのです。
心から悔いた者には一度の償いはあってもいいのではないかと。
ロナルド・ウィーズリーが思うように、ダンブルドアが願ったように。

お気付きかもしれませんが、四年目のクィディッチワールドカップのフラグは叩き折りました。


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番外編ーホグワーツの生徒による定例会議-

ギャグ100%が書きたかったんです!


ここは魔法族未成年たちが通うホグワーツ。

ここでは素晴らしい魔法使いとなるべく、日夜少年少女達が魔法の腕を磨き、知識を蓄えて切磋琢磨をする場である。

 

今は六月の年末試験が終わり、晴れて進級が決まった次の日。

勉学は夏季休暇中の課題のみで、庭で遊び・湖水でピクニックをし・箒で遊んで思い思いに過ごせるその日なのに、ホグワーツで一番奥まり-彼等-が使うまでは埃がたまっていた一室で

今まさに-定例会議-が始まろうとしている。

何度この会議を行ったか数知れず。議題はいつもきまってはいるが、毎回決定打が出ずにずるずると-案件-を野放しにしてしまった忸怩たる思いがある!

少年達は深いため息を吐き、少女達には焦りが見え始めている。

今日を逃せばこの一同が会するのは来学期になってしまう、それでは遅いのだ!!

去年も来学期になれば今案件の解決ないし進展の見込みを期待をしたのだが、やれ闇の帝王の信望者だの、吸魂鬼達による迷惑行為だのでいつも通りの波乱万丈学園ライフを送ってしまい、

忙しくて不安な事だらけで案件の進展なぞ望めなかった。

しかしだ!最早そんな事を言っている時ではない!!本案件を一層厄介にすべき事態が一昨年には

起きてしまっている。

手をこまねいている時期はとうに過ぎ、最早自分達の行動あるのみだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よってロナルド・ウィーズリーとハリエット・ポッターを恋人と自覚させる方法を考えるのが急務である!!」

円卓の会議で中央とおぼしき席からずかりと立ち上がったプラチナブロンドの貴公子こと

ドラコ・マルフォイは真剣な様子で出席者たちを見回す。

「つってもなドラコ。あんだけイチャイチャしている奴等に、どう言ったら恋人の自覚を持たせる事が出来んだ?」

セオドール・ノットの言葉に一同もうんうんと頷く。

終始膝に乗せるは甘やかし方は他の者達と違うは、何かあったら自分力プラスαで凄い事しでかすロナルド・ウィーズリーと、他者には絶対に許さない行い(かぼちゃジュースの指の嘗め飲み)他者には絶対にしない事(膝に乗ってのお食事)を平然としているのに男女の関係を全く意識していないハリエット・ポッターに、どう言ったらお前達は恋人だと気が付いてくれるんだ?

 

「ドラコ、最近私ロンを見てて気が付いた事があるの。」

セオの発言で思い悩んだ一同の中で、凛とした声でハーマイオニーが発言をする。

「続けたまえハーマイオニー。」セオの意見で席に座って思い悩んでいたドラコは、ロンが見たら

-あ!碇ゲンドウポーズだ-とか、ジャパニーズアニメーションの名前が出た来そうなポージングでハーマイオニーの発言を促す。

彼女はグリフィンドールきっての才女。彼の寮にはロナルド・ウィーズリーというジョークが具現化したようなでたらめ人間が生息しているために、彼女の価値が埋没しかけているが、

見る人間が見れば分かる。

知識の才ならば圧倒的に彼女の方が上なのだと。ロンはその応用が上手く、場面場面で上手く使うから目立つが、その安定性は彼女の方が上なのだと。

その彼女の貴重な意見は、時間が迫っている本会議の貴重な時間を割くに値するはずだと誰もが信じて。

「ロンて、実は思考がかなりのお子様じゃないのかしら?」・・・・・は?

「もっと言えば年相応よりも、こと恋愛とかになるとからっきしでほらあの・・鈍感ガキ大将みたいな?」・・・ホワット⁉

「ハーマイオニー・・それは本当にロンの事を言っているのか?」ドラコは目を点にしながらも果敢に質問をした。

だってあのロンだぞ⁉幾多の素晴らしいアイディアを出して魔法界に新風を吹かせるあの

ロナルド・ウィーズリーの思考がお子様っだったら、今までロンのようなアイディアを出せなかった大人たちの立場は崩壊するぞ⁉

 

 

会議室は混乱を極めた。何故ならば出席一同は大なり小なりロンに助けられている。

ドラコアはロンのお陰で一家事闇の道から出る助けのきっかけになってもらった。

ビンセントとグレゴリーは、ロンという仲介人がいなければドラコの友人ではなく、ドラコの取り巻きとして一歩引いてドラコの事を見ていただろう。

ダフネやパンジーもロンがいなければマグル生まれを馬鹿にし、侮辱をしていたかもしれない。

それは半純血やマグル生まれの者達も、ロンとい仲介人があったればこそこの場に集う事が出来ている。

でなければ他寮の生まれも育ちもバラバラの彼等が仲良くなることなぞあり得ないからだ。

それ程の事を平然とやってのけるロンを、お子様呼ばわりされては納得がいかない。

「あのね、私思うの。生まれも育ちも何も考えずに、ロンはただ仲良くなった子と遊びたいだけの無邪気な子供なんじゃないかって。」

いつも気に入った初対面の人間にはきらきらとした眩しい位の笑みを浮かべて挨拶をする。

まるで遊びに誘う子供の様に。

「・・・・そうかもしれない。」ドラコがぽつりと漏らす。

考えてみればこうやって生まれも育ちも関係なく集えるようになれたのは、子供の家があったればこそだ。

確かあれを作るきっかけになったのはロンだが、理由は「大勢の子供達と遊びてえ。」だった。

その子供の家で雇用が生まれたのは「子供だけで心配なら、家にいるじいちゃんばあちゃんに送り迎えをしてもらって、何なら一緒に遊べばいいんじゃねえの?」というロンの発言を、

父上が拾って発展をさせた結果だ。

来期に竣工となった魔法幼稚園だとて、シリウスが外部から凄くて面白い魔法使い達を呼んだのを見て「マグルの幼稚園みたいにしちまえば?そうしたらもっと小さい子達も来やすくなる。

弟・妹沢山出来るみたいで楽しそうだ。」とか言っていたのをこれまた父上達が拾って発展をさせた。

つまるところロンの発言は、楽しそう・面白そうが所以であって、本人は壮大な事を言っているつもりは毛頭なく、単に周りが深読みをして凄い事が出来そうだとアイディアを転がして今にいたり、結果ロンが凄い奴というレッテルが張られてしまっただけなのか⁉

 

「でもロンが凄い事には間違いはないと思うの。」ハーマイオニーは更に言葉を続ける。

高い魔法能力・危機管理とその対策・主運時に下す判断力は一級品なのには違いない。

問題は中身である。「彼ってそもそも初恋をした事があるのジニー?」

ここは彼をもっとも間近で見て育ったジニーに聞くことにした。

「・・ないと思う。お兄ちゃんんて、よく女の子には優しくとか、重いものを持たせるなとか紳士的だけど、初恋はないと思うの。」だから安心をして兄にべったりとしていられた。

友達が増えても、特別な異性が出来なかったから。

「・・マジかい・・」

「問題はハリエットだけじゃないのかよ。」

「・・お子様二人・・」

「どうすべき・・」

自他ともに認めるブラコンのジニーが言うからには間違いない。おそらくそっちセンサーに引っかかった女の子も皆無だろう。

その言葉に一同溜息をつくしかなかった。

 

同様に情緒はお子様でまだ思春期にすら入っていないのか。

これはとてつもなく厄介である。

あの天然二人を放っておいても進展は見込めない。

だが!自分達は諦めない!!

「私、義姉さんはハリエットがいい・・」ジニーがぽつりと言う。

自分もハリエットが大好きで、兄同様側で守りたいと思ってスリザリンを選んだ。

そんなハリエットと兄が夫婦になって幸せになって欲しい。

「私も、彼以外は今のところ納得をしませんの。」

「私もね。」

「ロン以外にハリエットの何もかもを任せられる男っていないものね。」

ハリエットのお母さん達こと、ダフネ・グリーングランス、アミル・エレイン、ハーマイオニー・グレンジャーも同意見と真剣な顔をする。

「僕も二人の幸せはそれがいいと思っている。それはこの会議に出席をしている皆がな。

意見はあるか、フローラ、バート。」二人はレイブンクロー、ハッフルパフと寮が違い、そうそう定例会議には出られない。

 

一体この定例会議は何度目か。きっかけはハリエットのラブレター事件だった。

まさかロンの膝からハリエットをかすめ取ろうとする猛者がホグワーツにいるとは思わなかった。

それまではあの二人はゆくゆくは恋人・夫婦に位の話題でしかなかった。

それがハリエットがモテ始めていると知った二人を応援する一同は焦った!

のんびりと見守っている場合ではない!なんとか恋人くらいの自覚を持ってもらわねば!!

あの手この手をした。スリザリン寮でハリエットが着替え中の部屋にロンを突っ込むという蛮行を敢行して、自分のことを俺と言っいても、ハリエットがまごうことなき少女なのだと自覚させようとした。

流石にシャツを着て、後はスカートを履くという最後のところだが、女子の着替えを見てしまった、男子に見られたとお互いの事をそっちで意識してもらおうと思い、お母さん達が泣く泣く決行をしたというのに!あの鈍感男は!!「ついでに髪も結っておいたぞ。」なんて平然とのたまって、ハリエットといつも通りに笑って大広間に行きやがった!!!

あの無自覚鈍感バカは!!

しかしだ、ここで二人を見捨ててはいけない!二人にはお互いが必要なのだ、生涯を通した伴侶として。諦めたはいけない!!「「「「全ては二人の幸せの為に!!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあネビル、皆はどこ行っちまったんだよ?」

「僕だけじゃ駄目かなハリエット。」

「いいけど、ロンもいないし。」近頃ロンは忙しそうだ、その上夏休みの計画を皆と立てたいのに、その皆もいないのは何でだろう?

「まあまあもう一杯紅茶をどうぞ。セブ先生は?」

「・・ネビル、君までか。」

「ハリエットが言っているのが良いな~と思いまして。それよりも紅茶は?」

「いい、そこの薬草・ハーブ入りクッキーたのむ。」こんなに愛らしい子供達からニコニコと迫られてはヴォルデモート卿もクィレルも陥落をするわけだ。

ドラコ達が定例会議をしている間はいつもネビルがハリエットとお茶をする。

割合的にはクィレル先生のところが多く、頻繁に天使達に来られて絆されたのだとセブルスは二人の変化のきっかけを理解したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マイ天使達がわちゃわちゃとしている時に、天使達の守護者はぐったりとしていた。

「これで、先生の行動は自由か。外出の際には俺がいればいいんだな。」

晴れてではない無いが、監視魔法の継続のみで許されたヴォルデモートことネフライトの保護者はクィレルで、監視者はルシウスとダンブルドアとロンとなった。

その内の一人が同伴であれば外出を許可し、万一があればキーワードを唱えれば瞬時に対象者を滅する事が出来る。

また解呪をしようとするか、監視者の誰かが襲われればその情報は残りの者に伝えられ、すぐに対処される。

「・・何で俺なんだよ・・」普通は大人の仕事だろう?

「しゅまぬ・・おれ・・我がきぼうしたのじゃ。」ロンが自分を見張っていてくれると思えば、

再び闇に堕ちようとは思わない。彼のいる光の道の端にでも置いてほしいと思えるから。

「・・分かったよ、その代わりハリエットに気が付かれない様に俺様は禁止だ。」

ハリエットの前で何度も使っているのだから、初対面であるはずの幼児が使っているのは何でだろう、誰かに似ていると勘ずかれては大変困る。

そもそもだ「いい年した奴が俺様って恥ずくないか?」ずっと思っていたことを面と向かって

ネフライトに告げた。

告げられたネフライトはそんな―――――!!と絶叫をして崩れ落ちた。

「私もそう思います。」

「・・すまぬのトム・・お主を大人にしてやれなくて・・」副校長と校長にまで言われた!!

髭爺に至っては哀れんだ眼をしてやがる!!

「ご主人様!しっかり!!」

「ええい!あわちぇるなクィよ!決めたぞ!!これからは俺様を卒業して大人になる!!」

小さな体を必死にそらしてネフライトが宣言をする!!「我と言う事にしよう!!」

・・俺様とどっこいどっこいだけどまあいいか。

「夕飯食ってくる。」

 

 

 

「あらもうこんな時間に、夕食に行かなくては。」

 

 

「ネビル、大広間で夕飯だ。」

 

各自図ったように大広間に夕食を取りに行き、扉の前でばったりと会えた。

 

「そんで夏休み~。」

「課題が・・」

「どこかの家に始めに泊まりっこ・・」

 

それぞれの思惑、隠し事を胸に秘めつつも、いつも通りの日常が流れるのであった。




ようやくロナルド・ウィーズリーの内面が書けました。
ハーマイオニーの言う通り、ロン君は幼稚園児のガキ大将と、情緒面は育っていません。

これを発展させるか、別々の恋を描くか筆者も悩みどころです。


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幸せな日々

幸福いっぱいなお話です。


今年の夏休みはハリエットに護衛が付くような事態は全く無く、俺の予想通りにハリエット自身がダーズリー家を拠点に動きたいと言ってきた。

「今年は-四人-でロンドンのホテルでディナーするって。皆の事も招けるホームパーティーをしないかって言ってくれたんだ。」

課題を皆でするために、バーノンさん達はなんと家の暖炉を子供の家限定ではあるが煙突ネットワークに登録をしてくれて、毎日の様にハリエットの幸せそうなとろける笑顔を見ながら、

皆で知恵を出し合って、課題をすぐに終えた。

 

ホームパーティーは七月の半ばに行われた。

それぞれマグルの庭先に相応しい格好をするために、前日に子供の家に集合をしてファッションショーの開催となった。

男子はそれぞれ色は違うが無難なところでパーカー系を主に、女子はスカートにブラウスや

ワンピースと華やかになった。

 

「お姉さまたち素敵です~。」

ダフネの三つ下のアストリアがうっとりとファッションショーに感想をくれて、

その日の子供の家はマグル界のファッションで盛り上がった。

こうやって純血の子供達がマグル界に興味を持ってくれるのはいい事だ。

その内に子供の家に来る子をマグル界散策に出してはどうかとの案を、ルシウスさんにしてみよう。

 

 

ハリエットの家にはルシウスさんが車と運転手を手配してくれて「ダーズリー家の皆さんによろしく伝えてくれたまえ」と言付かった。

今回は子供達だけの方がいいと、あのシリウスが自ら行かないと言ってきた。

「来年にお邪魔をさせていただきたいと伝えてくれ。」ともう一つ伝言を貰って。

お土産も程よく持っていった。女子達は手作りのお茶菓子を、男子達は花束や紅茶のフレーバーを。

ネビルは自作のポプリを持って行った。予めハリエットからバーノンさん達の好みの香りを聞いておいたので喜ばれた。

誰も魔法を使わない穏やかなホームパーティーとなった。

山ほどのご馳走をビンセント・グレゴリーコンビが食べ尽くしてペニチュアさんを喜ばせ、

ドラコはチェスでバーノンさんの好敵手となり、セオはマグルのボクシングの話を興味津々にダドリーから聞いていた。

女子達はハリエットとお料理の話や今度皆で手編みの何かを作らないかと盛り上がり、途中で

ペニチュアさんがアドバイスをしていた。

 

 

父さんやルシウスさん、当然シリウスからもクィディッチ・ワールドカップのご招待が来た。

でも断った。理由は不特定多数のところにハリエットとを連れて行きたくないと皆で話し合い済みだ。

「それよりもマグルのクリスタルパレスの植物園に行きたいんです。」ネビルがのんびりと笑って、

「知らない大人達に騒がれるのは御免だ、ドラコの家で遊んでたい。」セオはドラコにひっついて

「課題がもう少しで終わりそうなんです。お出掛けはその後です。」ハーマイオニーはさらりと

「クィディッチは見るよりもやるもんだ。」お出掛け注意の本人ハリエットは力強くお断りをした。

俺もファッジ大臣にまた言い寄られるのも嫌なのではっきりと言ったら、父さん達が納得をしてくれた。

色々と察してくれて大変助かる。ジニーと俺以外がお出掛けになり、その間俺達はドビーたちが切り盛りをしているマルフォイ宅のお世話になって、皆も集まった。

ハリエットは予定通りにバーノンさん達とディナーなので来れなかったが、クィディッチ・ワールドカップの次の日の日刊予言新聞をみて、魔法界に関わらなくて良かったと全員で思った。

 

 

         -クィディッチ・ワールドカップでの暴動-

 

 

昨夜栄えあるクィディッチ・ワールドカップの行われた会場にて、突如として暴動が起きた。

試合がすべて終わり表彰式を終えて後夜祭が行われているところに仮面をつけた集団が現れ、

マグル出身の者達を中心として、卑劣なる手段で襲いかかった。

幸いにも重傷者が出る前に、その場に居合わせたシリウス・ブラック氏・ルシウス・マルフォイ氏とアーサー・ウィーズリー氏を中心にした者達がすぐに駆けつけ暴動を鎮圧をして事なきを得た。

ワールドカップに出席をしていたファッジ大臣も今回の事態を重く見て、闇の魔法使い達への監視強化及び注意喚起をつよめることを・・・-

 

楽しい祭典が載るはずが、こんなのが一面トップとは嫌になる。

それでも父さん達の活躍で大事にならずに済んで良かった。

朝食前にマルフォイ邸に出かけていた皆がマルフォイ邸の煙突から出現をして俺達を驚かせた。

父さん達も兄貴達も無事のようだ。

「本当は昨日の夜のうちに帰って来たかったのだが・・」残党はいないか、移動をして大丈夫かと確認をするために朝まで待ったのだと父さんが説明をしてくれた。

「心配を掛けたな。」父さんに頭を撫でられ、母さん達からハグをされ、ルシウスさん達も

ドラコにハグをする。

新聞の一面を見てから俺達は安否確認が出来なかった。マグルよけの結界をマックスにしたために、両面鏡が使えなかったからだ。

無事を祈っていた矢先に全員の無事な姿を見られてよかった。

シリウスがあいつら全員アズカバンにぶち込むと言っていたのには俺達も激しく賛成をした。

 

 

「おまえちゃちは、いちゅもそういうくりょうをするのか?」その話を聞いたネフライトがしみじみと言ってきた。

確かに父さん達とホイホイ行っていたら、俺達ももれなく巻き込まれていたよな~。

「ご主人様、そうなってもロン君ならばあっという間に敵を蹴散らして、ご友人達を守っていましたでしょう。」

「む、そうじゃな。ロンじゃしな。」何だそりゃ?二人とも俺の事なんだと思ってる?

ホグズミードの少し小さめの家に、にクィレル先生と二人暮らしをしているネフライトの下へはまだ俺一人しか訪れていない。

新学期が始まってから、クィレル先生が預かっている天涯孤独の子として紹介をするつもりだ。

来年の4歳には魔法幼稚園に通わせることも伝えて。

ネフライトは確かに中身は大人で知識もある。だけれども-普通の子供-が味わう幸せは経験をしていない。

見知らぬ子どもと喧嘩をしながらも仲良くなる、嬉しい事を周りと共有をする、苦しい事もだ。

それをきちんと知って欲しいとじじいが言ってたので、ルシウスさんが来年行けるように調整を

してくれることになった。

クィレル先生が淹れてくれた紅茶をのんびりと飲みながら四方山話で日が暮れて帰るのが後半の日課になった。

 

後はいつも通りに子供の家の子たちと遊び、新学期を迎える子達のサポートをしたりと楽しい忙しさであっという間に新学期の日が来た。

今年は駅のホームにはダーズリー一家が勢揃いでハリエットを見送りに来ていた。

こんな何気ない日常の幸せに、皆は涙ぐむ。

今年はこの何気ない幸せを大切にしよう、絶対にだ。




ロナルド・ウィーズリーと筆者の総意-幸せは何気なく送れられる日常の中にこそある-
の回でした。


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穏やかな新学期の始まり

今季こそは幸せ一杯が合言葉です


ホグワーツ特急では特筆すべきことは何もなかった。

今年はハリエットの護衛はおらず、ドラコが覚えたての拡大呪文でコンパートメントを広げてくれたので、いつものメンバー+でダフネの妹アストリアがちんまりと座っている。

ダフネもだが妹さんも西洋人形に命を吹き込んだような美しさがある。

おっとりでも、しっかりとしたお母さん気質のダフネと違って、アストリアは物静かな子だった。

考えてみれば妹さんの話は聞いた事があっても、実際にあったのは今年の夏休みで子供の家でしか

会ったことがない。

そう言えばグリーングラス家には血に掛けられた呪いがあると、「それとは違うのよ。」

心配になった俺の顔を見てダフネは早々に否定をした。

どうやら血の呪いではなくて、心臓が弱いらしい。

「マグルの医者行け、アメリカの方が進んでるぞ。」がっくりとした俺は早期手術はないにしても、

さっさと治せと言ってやった。

確かに魔法薬は凄いが、こと内蔵系統の検査やら治療やら、最悪移植が必要ならマグルの方が優れている。

だがそうもいかないのが純血の家系・聖28一族の第三番目の難しいところだと言われた。

マグル共存は呑むにしても、そのマグル式の治療を受けるのは家の恥と言いたいらしい。

阿保らしいというには家の歴史が許してくれんのだろうが、「いつか私が当主になったらアストを

マグルの医者に見せるの。」ダフネが凛とした顔で宣言をしてきた。

そんときは応援と協力は惜しまないと皆で誓った。

マグルの医療も日進月歩。確か2000年代の方がいい治療法がバンバン生まれていた気がする。

アストの体に負担が少ない治療法が確立されている事を祈ろう。

 

当然アストには激しい運動は無しだ。魔法の運用も細心の注意の元で教師が側についてやる事。

飛行術授業はその日の体調を鑑みてやるなど制約は沢山あり、そんなアストの寮は当然の如く

「スリザリン!大事にしてやれ蛇の愛で!!」・・・帽子が個人を応援してはいかんのではないのかと誰もが思ったが、破顔一笑のダフネを見て誰も何も言わなかった。

 

「さて新入生の諸君、および在校生の諸君に告げる!かっこめい!!」

校長お得意の挨拶で始まった。

この時ばかりは各寮に分かれて新入生たちを歓迎するのだが、早々にアストが挨拶に来た。

「よろしくお願いいたします、ロナルドお兄様。」またまた他人行儀な挨拶を。

「ネビルお兄様も、ウィーズリー家の皆様もよろしくお願いします。」優雅な挨拶に、グリフィンドール寮一同和みました~。

ハッフルパフやレイブンクローにいる知り合いにもあいさつ回りをして律儀な子だけど、

「アストリア、いい加減にしないと疲れるぞ。ダフネを見てみろ、ハラハラしながら見てるぞ。」

抱っこをして強制的にスリザリンに帰した。「だって、ご挨拶を・・」

顔を真っ赤にしながら小さい声で礼儀を守りたいというのは可愛いが、「いいかアスト、お前はこれから七年もホグワーツに通うんだ。時間はある、ゆっくりでいい。」

教授がいればアストの体調管理は万全で、マダム・ポンフリーもいる。万一の時にはシリウス呼んで、有無を言わさずにアストをマグルの医者のその道の権威に見せる算段はしている。

ま、本人とグリーングラス家には内緒だけど心配はさせない。

「ロン、アストをありがとう。」

「いいさ、初めての事ばかりで嬉しいんだろう。大丈夫だから怖い顔をするなよセオ。」

「・・・アスト、無茶すんじゃねえ。」どうもセオは初対面からアストリアを気に入っている、

それこそドラコ並みに構って優しくして気遣って・・ってこれってアストに惚れたのかセオよ。

セオドールはいい奴だ。つんけんしながらも、何だかんだと身内の面倒をよく見てくれる、

頼もしい俺の親友だ。

体の弱いアストリアにとってはいい恋人になるかもしれない。

甘酸っぱい青春でいい事だ。皆いつか好きな相手が出来て結婚して家庭を持って家族が出来るのは。

 

ロンがほのぼの未来を予想してアストを優しく見ているのを、ハリエットは顔をへの字にして

面白くなさそうだ。

なんだか面白くない。そんなに優しい顔を自分以外に見せるのは妹のジニーだけにしてほしい。

でもアストは良い子で、体の弱い守る子だ。自分がスリザリンの蛇の愛に守られたように、

今度は自分がアストを守ろうと思うのだが、なんで胸がもやもやするんだろう?分からない。

 

 

 

 

もう駄目だ、腹がいっぱいで動けね。そんな俺達の様子を教授やクィレル先生がにこやかな顔で見ていてくれる。

今季は訳わからん事件での幕開けはなく、穏やかに始まったんだから無理もないか。

よく見ればマクゴナガル先生やハグリッドも、他の先生たちも同じような顔をしている。

 

「さて、諸君の腹は満ちたと思うがどうじゃろう?」

「異議なし!」

「デザートもかっ込みました~。」

「もうステーキも入りません。」

「糖蜜ヌガーも無理っす。」

「明日の朝までもう入りませんよ。」

校長の言葉に元気いっぱいに在校生達は答える。

「よろしい、では今年はいくつかのイベントがある。

去年は残念ながら-ホグワーツのお茶会-は出来ずにガッカリとさせてしもうたが、今年はもっと-大規模-で開催をすることにした。

手はずはもう整っておる。

来週の日曜日に開くのでそのつもりでいるように。」

「大々的な規模とは?」

「勿体ぶらずに教えてください校長!!」

 

ホグワーツのムードメーカーこと、ウィーズリー家の双子のジョージ・フレッドが元気よく好調に質問をする。

ダンブルドアの言う通り、去年はガッカリとしたのだ。その埋め合わせとなる様な大々的なお茶会とはどのような事になるのか知りたい!

「ふぉふぉふぉ~、来週は嫌でも分かるので内緒じゃ。事前準備も真夜中にするので、見ようと寮を出た瞬間に見張りのゴーストにあう手筈にもなっておる。

ペナルティーは次の日のお茶会の出席を禁ずる事じゃ。」

それはかなり厳しめで、やろうとする者はいないだろう。

それ程の綿密に立てられるお茶会が楽しみだ!!

いつものようにそれぞれ勝手な音楽でホグワーツの校歌を歌い、それぞれの寮へと引き上げる。

思い思いの楽しさと期待を胸にしまって。




今季の筆者の合言葉、幸せ一杯青春一杯が目標です。


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ホグワーツ城のお茶会にご招待

ホグワーツ校始まって以来の一大イベントです。


一週間、俺達はじりじりと狸校長の言ったお茶会が来る日を待ちに待った。

あのじいさまは悪い奴じゃなくなった分、茶目っ気たっぷりの企みを嬉しそうにしていたのには、

こいつやっぱり狸校長に決定だ。

でもやっぱり気になる!でも今は勉強が一番だ!!だって来年はOWLの年だぞ!いいOを沢山とって父さん母さんを喜ばしたい。

俺は実技得意でも、筆記はからっきしだ。今からハーマイオニーに勉強を見てもらおう。

 

それでもどんなお茶会になるのか楽しみにして寝て起きてみれば・・外が滅茶苦茶騒がしいぞ!

まさか今年も何か騒動が起きたのか!!もしやの闇の勢力の特攻か⁉

ローブを着たまま談話室を出て外を見てみれば、信じられない光景が広がっていた。

 

なんと大勢の人達で城が埋め尽くされていた。ローブをを来た親子とおぼしき者達、マグルの家族と一目でわかる人達。

誰かの両親や兄弟といった人たちが一堂に会している。

何だこれは、どっからこんな人たちが湧いて出た⁉ホグワーツの守りはどこ行った!人避け呪文があったんじゃないのかい!!

「あ!あなた!!ロンがいましたよ!!!」

「おおロン!もう兄さん達とは会えたぞ。惚けていないで着替えてきなさい、待っている。」

父さん達もいた、よく見ればオーガスタさんがこっちに来ようとして、ディーンの父さんもお母さんもいて、それぞれの家族がいるようだ。・・・一体どうなってんだ?

 

 

「それではこれより、ホグワーツ城の家族お茶会を開催することを宣言する!!」

ひと段落した後に、ダンブルドアは来客・在校生達を一旦大庭に出してソノ-ラスを掛けて宣言をした。

落ち着くのに一時間近くかかった。それも当然だ、魔法族の人達はここ出身で勝手を知ってるが、ハーマイオニーの様に両親マグルの人達は、自分の子の寮を探すのも大変だろう。

それを防ぐために案内の屋敷しもべがいても、その容姿で怖がられて遠慮されるのが普通だろう。

もっと道筋の矢印やらなんやらしてやれよ。それでもここに出席した家族たちと子供たちがきちんと会えたのが凄い。

マルフォイ一家、グリーングラス家・ロングボトム家にビンセント・グレゴリーの家族もいた。

「初めましてロナルド・ウィーズリー君。いつもダフネ達が世話になっている。」

「これからも娘たちをよろしくお願いしますわ。」

グリーングラス家に会うのははじめましてなので、俺もきちんと挨拶をした。

側にハーマイオニーの両親がいても、ダフネの両親は礼儀正しかった。

「ロン!叔父さんや叔母さんとダドリーも来てくれた!!!」

挨拶をそこかしこでしていたら、ハリエットが超嬉しそうな顔で走って・・もとい爆走をして、

突っ込んできやがった。

「分かった、分かった、二週間ぶりですダーズリーさん。」

「おおロン君・・ここはその・・騒がしいな。」

「いつも以上なのは確かです。それでもこの学校はかなり安全になっていますよ。よく見れば

魔法省の警備の人と、子供の家でボランティアをしていてくれている人達も臨時で来ているようです。」周りを見ればキングズリーさんの部下の人達がちらほら見える。

クィディッチ・ワールドカップでの騒ぎが今回起きたら洒落にもなんねえからな。髭校長も、

その辺抜かりないようだ。

だったら俺達がする事はたった一つ!今日は徹底的に楽しもう!!!

ブースはいつも通りだが、配り手には屋敷しもべたちの手と子供の家のボランティアさんたちも手伝ってくれて回転率はよく、待たされることなく楽しめる。

中には持っているカップの中に、飛んできた茶器から注がれるなど面白い方法もあり、ゼリー類や壊れずらいお菓子類はその手が使われて、マグルの人達も楽しませていた。

今回はお茶会だけでは無かった。

なんとホグワーツ出身の親達がボランティアで、マグルの親達をホグワーツ観光と銘打って案内をする企画もあった。

自分達の子の寮を見学し、地下室の教授の魔法薬学作りを見学し、禁じられた森の側まで来て、

ケンタウロスのフィレンツェの挨拶を受けてハグリッドのバックビークを見たりと企画力満載のものだった。

マクゴナガル先生は大広間の中央で、大きなツリーをグリフィンドールの獅子の巨大オブジェに代えて、フリットウィク先生はくりぬいてジャック・オー・ランタンにしたカボチャの中に蝋燭を入れて、薄暗くした会場の中でタップダンスをさせた。

その他にも食べている間に数センチ浮くフィフィ・フィズビーが子供達に人気であったり、

バタービールは作った端から品切れていき、メイン・イベントは各寮のクィディッチ選手が全員召集をされて、準備が出来次第城で一番広い御お庭に出た。

そこはいつもは何もない草原でホグワーツ城の半分はあるのに、大きなコロッセオ型の会場が出来ていた。

ゆうに一万は楽に入りそうで、昨日の夜のうちに作ったって魔法界半端ねえ!!

外から来た家族よりも在学生たちの方がビックリだが!しかしクィディッチが始まればそんなのは関係はない!!

クジで対戦相手は決まり、まず始めはスリザリン対レイブンクローで始まった。

「いけえ!ドラコ・セオ!!頑張れハリエット!!!」

「箒から落ちるんじゃないぞ!」

「あ―――!!ハリエット!!!」ダーズリー家の皆は力の限りハリエットとスリザリンチームを応援している。

今回は危険なブラッジャーは無しで、クァッフルとスニッチのみだがそれでも初めて見る人達からすればスリル満点で、ダドリーは楽しそうに、バーノンさん達はハラハラとしながらも応援をしている。

・・誰が予見しただろう、コチコチマグルと言われていた彼等がハリエットと俺達と魔法を受け入れてくれただけではなく、彼等の言うまともが一切通じない未知の場所にまで来て、ハリエットのクィディッチを応援する日が来るだなんて。

 

彼等は勇気ある人だ。もし万が一魔法界の英雄を虐げていたことが暴露されればただでは済まないのは彼等だって分かっているのに、ハリエットとハリエットが大切にしているもう一つの世界をきちんと知りたいと来てくれたのだから。

魔法族もそうあるべきだ!自分達だけを理解させるのではなく!!マグルの世界に飛び込ませることを!・・いかん、小難しい事は後にしよう。

今年のスリザリンチームのキーパーは何と我が愛しの妹ジニーだ!無駄のない綺麗な動きでゴールを死守し、互いにクァッフルでの得点は入らずに最後はハリエットとレイブンクローのシーカー

チョウ・チャンとのチェイスの末に、指一本差でハリエットとが掴んで勝敗が決した。

父さん達とバーノンさん達が抱き合うようにして大喜びをしてる。

向かいを見てみれば、シリウスとリーマスが辺りを警戒しながら試合を見ていた。

俺の視線に気が付いたのかすぐに隣に来た。

「ようロン、お前は今年もクィディッチはやらないのか?」

「生憎在学中はやらないって一筆を書いているんでな。」

「勿体ないなロン君上手いのに。お久しぶりです、アーサー、モリー。

ダーズリー家の皆さんとお見受けします、初めましてですね。

僕はリーマス・ルーピンと言います。いつもハリエットと仲良くさせていただいています。」

ニコニコしながら父さん達の次にバーノンさん達にさらりと挨拶しやがったよ。

近頃は変態度合いは低くなったが、やたらべたべたしてくる。おかげでポッケの中のスキャが落ち着かなくて迷惑だよチクショウが。

でもこれでシリウスも挨拶をしやすくなったかな。

「・・・・・初めまして、俺はシリウス・ブラックだ。本当ならもっと早くにあんたたちに挨拶をしないといけなかったが、遅くなって申し訳ない。」

 

シリウス・ブラックがどう見てもマグルの一家にきちんと頭を下げた事でプチ騒動になったが無視だ無視。

バーノンさん達は本気で恐縮をして、魔法族が大勢いる中で自分達の罪を懺悔しようとしたのを、

ルシウスさんが本気で爆走してきてバーノンさん達を他室に埒って事なきを・・得てねえか。

何せこれぞ貴族を絵にかいたようなお人が、遠目から状況を察して鬼の形相で爆走をしてきて、これまた焦った声でリジーを呼んで、何の説明もなく複数の屋敷しもべも連れてシリウス・ブラックとマグル一家を埒ったんだから、明日の日刊予言新聞に載んなきゃいいが。ルシウス・マルフォイご乱心とか。

一応マスコミ関係は弾いているらしいが、大丈夫だろうか?

 

 

俺と父さん達は様々な心配をしながらもグリフィンドール対ハッフルパフを観戦し、俺達の応援届かずに、120対130でハッフルパフが辛くも勝利をした。

「去年の続きをしようセドリック・ディゴリー!」

「負ける気はしないよハリエット・ポッター!!」

両雄が上空で咆え合い、蛇対穴熊の試合は始まった。-バチン!!!-

「・・間に・・あった・・頑張りなさいドラコ!!待たせてすまなかったシシ―。」

「っ頑張れハリエット!!!優男に負けんな!!!」

「怪我すんなよ!!」

「負けるなハリエット!!」

「勝つのよハリエット――!!」

試合開始と同時に姿くらましが爆裂音を発して数名が姿を現し、誰も姿現し酔いをせずにすぐさまにハリエット達応援するって、バーノンさん達凄くね?魔法族でも酔う人いるのにタフだな~。

ルシウスさんなんて応援+ナルシッサさんとすかさずにイチャコラするってすごくね?

でも今回は俺もハリエット達の方を全力応援だ!

それでもセドリック・ディゴリーの腕は一流で、テクニックと経験の差で惜しくもスリザリンは敗れたが、両チームはピッチの真ん中で高々と箒の柄を上げて互いのチームの健闘を讃え合い、その二チームに、グリフィンドールとレイブンクローも続き素晴らしい終わり方を迎えた。

 

 

 

 

「叔父さん達もう帰るのか?」丁度日も暮れたのでダンブルドアの挨拶でそれぞれ列車に乗ったり、ホグズミードまで出て煙突ネットワークで帰ったり、ポードキーで帰るものと様々だ。

「うむ、今年は何事もない年にするとシリウス・ブラックさんが言っていたな。

彼は素晴らしい名付け親だった。」

「叔父さん!!その・・シリウスと・・」

「ああ、ルシウスさんの計らいで静かな部屋できちんと話し合いが出来た。あの人は許してくれた・・それでも・・すまなかったハリエット・・儂らを嫌わないでくれて、ありがとう・・・本当に・・」

「・・俺だって今は叔父さんのこと好きだ!叔母さんもダドリーも!家族なんだ・・俺の家族なんだよ!!!」

初めてのバーノンの正面からの謝罪に、ハリエットは堰を切ったように心に仕舞っておいて、言えなかった言葉と己をバーノンの巨体にぶつけてしがみつく。

 

はじめは嫌いだった、いつか殺してやるとも思った。ロン達に助けられた後は無視をしようとも思った、でもできなかった!

魔法族の子が育つ時の魔力の暴発でのあらゆる危険を知り、そんな怖ろしい自分を魔法が全く使えない、まして押し付けられたほぼ赤の他人の自分を夫婦が長年育ててくれたのは奇跡なのだと思ったから。

少しずつ歩み寄った、何かをし合う度にお礼を言うところから始めた、手紙もルシウスさんを一度通してマグル式で送ったりもした。

そうしたら一昨年から距離は一気に詰まった、この人達と本物の家族になりたいと。

だから、面と向かって今までの痛かった事を、きちんと謝る勇気のある叔父さん達に押されるように、胸の中の言葉を表に、叔父さん達に伝えられた。

バーノンは無言でもハリエットを抱きしめ、涙を流して何度も頷き、ペニチュアとダドリーもハリエットを包み込む。

四人で本当の家族になろうと。

 

 

 

 

 

 

「いい一日だった。」素晴らしいと言っても過言じゃない程の良い一日だった。

来年もぜひやって欲しい。

「それにしてもパパ達ったら私に何にも言っていなかったのよ。」おかしいと思ったとハーマイオニーが少しふくれつらをしてる。

確かにとドラコ達も頷く、俺もだけど。

夏休み前に、去年のホグズミード許可書の様に、必ず保護者に見せるように、生徒は見てはいけないと封印魔法も一つ一つ掛けられていた。

その中身は今日知った、お茶会への家族招待状で、参加・不参加・通っている子の寮・参加人数と保護者か兄妹かを記せば、ホグワーツにセットをされていた羊皮紙にリストアップを自動的にされる仕組みだったようだ。

俺達を驚かせるための仕込みだったようで、なんとも壮大で、茶目っ気たっぷりで楽しい仕掛けだった。

来年は堂々とやると言っていた、それともう一つのイベントが発表されたがそっちはまだ先だからいいや。

ハリエットとバーノンさん達も良い事尽くめで、「今年は徹底的にハリエットたちの邪魔をしそうな奴等を見つけてボコるぞスキャ。」

「ち!っち!ちゅう!!(合点だロン!俺もあいつ等可愛い!!今年こそは穏やかな一年を!)」

相棒と共に、天使達の一年を守ろうと気炎を上げて眠りの底へと落ちてった、流石にくたくただ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゴドリック・・サラザール・・・ヘルガ・・・・とうとう・・」

「そうだロウエナ・・我等の夢が遂に適ったのだ・・」

「あの子供をきっかけに・・我等の見し夢が現実となってくれた。」

「何と素晴らしい事でしょう・・」

ホグワーツ四大始祖達はむせび泣きながらお茶会を見ていた。

ホグワーツを介して、魔法族と純粋なマグル達が同じ場で共に笑い合う・・1000年待った甲斐があった!何と素晴らしい光景だったろうか、また来年もこの素晴らしいお茶会をすると現校長が確約をしていた。

このお茶会のきっかけ「頑張ってくれたことを感謝しよう、若き炎の獅子の子よ。」

ロナルド・ウィーズリーに、そして彼の影響を受けて同じような素晴らしさ広めてくれる、

全ての者達に感謝してもし足りない四人だった。




バーノンさん達がようやく名付け親と和解が出来ました。

矛盾点報告マン様と学生食堂様からのご指摘でOWLの時期を訂正させていただきました。
ありがとうございました。



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ホグワーツ城のお茶会にご招待の舞台裏①

大お茶会を成功させた全ての人達に捧げる


いかん、時間がない!しかしそれは言い訳だ、この程度の煩雑さを知ったうえでこの仕事をやり遂げると誓ったではないか!

 

「ボス!ホグワーツからの要請です!!」

「今このタイミングでか⁉予想よりも人が多く来そうなのか、また何か事件が起こったのかどれだ!」

自分の入学時にはなかった事件や怪奇やとんでも事が、自分の末の弟とハリエット・ポッターが

入学してから起こり過ぎだろうという程に、次から次へと飽きもせずに起こるのは何故だろうか?

その-事件-のせいで、今魔法省はてんてこ舞いをしている、もっと言えば過労死寸前の者が続出をしている!

あるものはへらへらと笑いながらも警備システムのリストを作り、ある者は三十分ごとに様々な事にブチ切れながらも、魔法運輸部と煙突ネットワーク庁を駆けずり回り、ある者は魔法探知のグッズを検品しながらもブツブツと言っている者など、働いている奴等のキャパ超えてんだろう者ばかりだ。

 

 

今年はそうでなくとも8月のクィディッチ・ワールドカップで魔法省は人手を割かれているというのに、その上で上司達のトップ魔法大臣から、去年の12月にとんだ無茶ぶりを言われた!

 

「来年の新学期の一週間後に、ホグワーツ在校生及び新入生達の家族を招待をしたお茶会をするそうだ。

魔法界の安全と信頼を鉄壁とするためにも諸君、我等魔法省の出番である。」

 

それはハリエット・ポッターとロナルド・ウィーズリーが、フェンリール・グレイバックに埒られながらも、自分達で解決をしたというあのアクロマンチュラ騒動にも匹敵をする大事件の報告会議でファッジ大臣がとんでもない事をぶち上げてきた!!

「お言葉ですが大臣!!我等は魔法省であって断じてホグワーツの仕事引受人ではありません!

かの学校は今まで不可侵・自治権を盾に、様々な事が起きても介入を拒んできた学校が!お茶会したいからと手を貸せとはどういう事ですか!!」

 

「仕方がない・・この件はブラック家とマルフォイ家の肝いりだ。」

ファッジ大臣の疲れたその表情とため息混じりの言葉で分かってしまった、拒否権は自分達に無いと。

あの魔法界のツートップに家を敵に回したくはない!言っては何だが彼らの尽力のお陰で今日の魔法界は事件が少ない。

何故なら闇陣営が動こうものならば、彼等の密偵が魔法省にではなく両家に伝えて速攻で潰しにかかる。

潰された者達は毎回悲惨な目にあって、捕縛をしに来た魔法省の闇払いたちにしがみつくという。

「なんで最初からあんたたちが来てくれなかったんだよ~!!!」と泣かれながら。

いつも毎回シリウスとルシウスが最前線に立ち、シリウスとルシウスの暴虐コンボに犯行を企てた者達は精神的に殺されては、まっとうな役人たちに泣きつくのがお約束。

そのお陰かどうか分らんが、二人の活躍?が口の端に上れば上るほどに犯罪が激減の一途をたどった。

-自分達の愛しい子達の将来の邪魔になりそうな奴等は芽のうちにさっさと踏みつける-が合言葉。

そんな二人に魔法省のお偉方は複雑だ。片や本物の死喰い人なのに証拠不十分で起訴できず、片や魔法省の不祥事ともいえる案件で無罪の者を8年間もアズカバンにぶち込んでしまったこちらとしては罪悪感を持っている者達が、勝手に自警団紛いをしている。

それも自分達よりも検挙率が良いてどういう事⁉

魔法省としてはその二人にはしぶしぶながらも恩は感じている。

 

「・・・・あの腹黒狸に貸しを言い渡そう。」

「手を貸す代わりにこれでまた自治権の部分を削ると要求しよう。」

様々な見返り案をどんどこ出しながら「あの狸の頸の要求を!!!」暴走紛いまで出て会議は終わった。

 

 

「そんな訳で君はそちらの方に回ってくれたまえ-ウェザービー-君。」

どんな訳だこの上司は?今自分は入省当時から、来年のクィディッチ・ワールドカップの為の仕事を任されたはずなのだが。

「それは他の者に回すことにする、君はお茶会の準備をしてくれればいい。」

「お言葉ですが規模は?」魔法省が関わらないといけないお茶会とはなんだ?

「在校生徒と来学期の新入生達の家族を招くらしい。」・・・・は?

「魔法族どころかマグルの家族も全てだそうだ。」。・・・・・・はあ?

「それも日曜日にするらしく、両親どころか兄妹達も参加を許可するそうだ。」はい⁉

「だが我等にもクィディッチ・ワールドカップが控えている。あれにはイギリス魔法界と我が魔法省の威信がかかっているのだ、分かるねウェザービー君!!」

「ちょっとお待ちください!クラウチさん!!!」

確かにクィディッチ・ワールドカップにはクラウチの言う通りで、内外の観客及び迎えいれる選手団を含めて10万単位の規模を恙なく滞りなく不祥事なくせねばならずに、今期のワールドカップがイギリスに決まった時から動き出しているプロジェクトではあるが、ホグワーツの新入生を含めた全生徒及部その家族たちのお茶会の規模だとて、少なく見積もっても5千人規模は下らない!その上出席者がマグルも含まれているという事は、移動手段はどうするのだ!

魔法族と違って彼等にポードキーだの煙突ネットワークだのありはしない!

つまるところ必然ホグワーツ汽車しかないではないか!・・・車内に拡大魔法をかければギリ行けるか?

何だかんだと三分の二は両親が魔法族か、片親がマグルの半純血が多く、汽車を使う者達は2千人と見積もって、生徒汽車+あまり知られていない教師用を運用して、拡大魔法を使うか。

 

物凄い葛藤がせめぎ合ったが、何だかんだと自分もあのお茶会は気に入って居る。弟が考え出した素晴らしいあのお茶会を。

自分の名前も碌に覚える気のない上司の下よりも、弟・妹たちが喜ぶことをしよう。

弟の一人は友人と過ごす為にクィディッチ・ワールドカップにトンと興味がないと知って少しがっかりとした。

自分の携わっている仕事で家族全員で楽しんでほしかったから。

しかしこの仕事ならば、お茶会に父も母も出席をしよう!「引き受けさせてただきます。」

 

そう応えて自分はホグワーツの大規模お茶会のリーダーに任命をされた。

本当に魔法省は人手不足だ。ほとんどが若手か退職間近の職員達で揃えられたうえに、なんか

神秘部門にひっそりと生息をしていそうな怪しげな奴等もる!!げふん!いかん・いかん、彼等はこの無茶ぶりをされた被害者一同だ。

「このチームのリーダーは私です。なので言いたい事、やりたい事、改善するべきことから、

不平不満は全部私に言ってく下さい。」そうでないと不満が溜まって全員爆死しそうな予感しかしない。言われるだけタダだ!どんとこい!!

「何故お前さんのようなヒヨコがピーチク・パーチクと偉そうを言っておる⁉」・・まずそこからですか老魔法使いよ⁉

「・・今のホグワーツは貴方方が通っていた頃から全く違うのです。

スリザリンとグリフィンドールの溝は埋まり、自寮だ他寮だという者達は化石扱いをされて、それが原因で諍いを起こせば大量減点をされる時代になりました。」

つまるところ現状のホグワーツを知るものは今年卒業した者しか知らない。

弟とハリエット・ポッターが入学をしてすぐに卒業をした者達は無論のこと、去年の者達もリアルタイムの情報はほとんどない。

だが自分は弟と-その周りの者達-のお陰で現状のホグワーツを把握している。

何故こんなに唐突にもホグワーツが大規模なお茶会をしようとしたのかを。

悲惨な事件が2年も続き、今年はお茶会もできなかったことを。そんな在校生徒達を元気づけたいのだと、教職員達と理事会が手を携えてあのシリウス・ブラックも同意をした事を、この仕事を引き受けた事を言った時に全て聞かされた。

つまり全ての情報をリアルタイムでもらえる位置に自分はおり、かつ入省試験も満点で入ったという実力もしっかりと売り込んでリーダーにしてもらった。

「その様な訳でご不満はもっともながらこの度このチームのリーダーを任されました。

そうは言っても私はどう見ても若輩者です、皆様のお力が必要なのです。

ご存知でしょうが今季もホグワーツはまたもや悲惨な事件が起きてしまいました。

大事にこそなりませんでしたが確実に子供達の心は傷ついてしまったはずです!

その子供達を癒し、未来の魔法界を背負って立つ子等の安全を守る事も私達魔法省の仕事と言ってもいいはずです。」

今まで魔法省は全て後手に回っていた。本来ならば事件や事故が起きない様に未然に防ぐのが自分達の仕事だったはずが、不介入を盾のとられていたとはいえだ。

「ここに集った方達は-各部署-の方達です。

やる事は山済みですが、皆様のご尽力があれば省内で解決できない事は無いと考えています。」

 

必要な手続きはその部署から来た者達がやれば効率はいいし、ある意味では各部署からの少人数のチームだからこそ、面倒な縦の関係でギクシャクせずに、先輩は自然に敬えばいいし、同僚は励まし合えばいいし、纏まったいいチームにしたい。

 

「このチームの名前を一応付けました、名前はティー・パーティーでどうでしょう?」

お茶会とパーティー(一行)を引っ掛けててみたのだがどうだろう?

「良いお名前ですね。貴方が考えられたのです?」やった!褒められた!!ッと・・いけない。

「はい、僕の案ですがどうでしょう?」こんなヒヨコが付けた名は嫌だろうか?

「ふん!ヒヨコは儂らが助けてやるとしてやるか、名前なぞ便宜的にあればどうでもいい。

サッサと仕事の話をしろ!」

「そこの癇癪おじいちゃんに一票、この人はルード・バクマンとやって、ここに飛ばされたって聞いたよ。

僕は運輸部のラトビア・マイヤネス。両親ともマグルだから、魔法界に来る大変さは知ってるつもり、よろしくね。」

「お喋り小僧が!儂はあのいい加減な男が嫌いなだけじゃ!!儂はミレス・アンダーソンじゃ。

キリキリと働けよヒヨコ。」

「俺は煙突ネットワーク庁から来たモリソン・レンドだ。忙しくなりそうだからさっさと本題に入ろう。」

陽気なラトビアのお陰で話はサクサクと進み、自己紹介後にはすぐに仕事の話になれた。

 

「まず僕等の仕事はホグワーツに来場される方達の移動手段と、その安全性を完璧なものとするためですが、これは・・・」

「・・なっとらんの・・いいかヒヨコ!そんなまどろっこしい言い方をするな!!

やる事は一つ!要はクィディッチ・ワールドカップの規模を縮小した物じゃ。

中身は海外から来るか、マグル界から来るかの差でしかありゃせん。」

もっと細かく厳密な差異はあれど、大まかな所はそれと同じだ。ならばクィディッチ・ワールドカップの移動手段時の警備のやり方を、規模縮小と運用の当て羽目をすればいい。

「さて、他に議題はないのかヒヨコ!」さっさと次に進め。

「あ・・あります!マグルの方達の移動手段は・・」

ミレス老のお陰で移動場所と警備の仕方の目処が瞬時に立った・・そうだ、このチ-ムで何が何でも新しく考えなければいけない訳ではない!参考になりそうなものがクィディッチ・ワールドカップには多々あるではないか!

ミレスをはじめとした退職間近な先輩達のお陰で、本当に大まかな道筋が1週間で見え始めている!!

 

 

 

 

 

 

 

僕はやり抜くぞ!!そう決意をしたパーシー・ウィーズリーであったが、「ボス!!」

そう呼ばれる度に泣きたくなる。

あの呼ばれ方はトラブルの時だけで碌な事がないと相場は決まった。

汽車の人数が間に合いそうだとホッとすれば、魔法族の人達も懐かしさを偲んでとかの理由で申し込みが殺到したが、一人一人に丁寧なおわび状を出して諦めてもらった。

警備の人数はブラック家とマルフォイ家が民間委託(両家の子飼い)から出すと言ってくてたので一息付けそうだが、その両家に対抗意識を燃やした灰色の獅子こと、ルーファス・スクリムジョールが両家に-お前達はいらない-とか打診してしまったそうで火消しに苦労をした。

幸いにも二人は苦笑して許してくれたから助かった。

警備プランは幾重も作られ、マグルが迷子や魔法事故に巻き込まれた時の為のプランも立てられた。

7月の半ばごろには大まかな来客人数が分かり、当日の城のイベント形態と、城のどこまでを開放するのか、警備はどう配置し、どこからが教職員達と両家の子飼いが、どこからが魔法省でするかをミレスに付き添ってもらって1日に少なくとも5往復はした。

 

家に帰れば食べた記憶はなくてベッドに倒れこむように眠り、朝日が出る前に出掛けては夜中に帰り、後半は魔法省に泊まり込み、父さんが心配をして母さんの手作りお弁当を届けてくれた、それも三食も。

他のチームメイトにも差し入れがあり、励ましの声もちらほらと出てきてくれた。それだけ僕等の仕事は鬼気迫るものがあるようだ。-恋人-に逢えないのは辛いが、梟便はどんなになっても欠かさずに出して、返信を励みに頑張れる。

ちなみにミネルバ先生にも毎日弟妹の近況を聞いている、彼等を喜ばせるお茶会を成功させたい。

 

 

そんな中でまたもやボスと言われた、今度はなんだ?

「その・・ルビウス・ハグリッドからです!!」・・森番の?弟達が仲良くしてる?

「彼は確かマグルの人達にヒッポグリフを見せる予定だったな。」

「その通りですが・・あのですね、怒らないでくださいね?」

「いいから言ってくれたまえ。」話が進まない、要望窓口をしてくれている神秘部から来てくれたジェイク・マーリーは本当にオロオロとしている。

普段から気弱気な者が、もっとオロオロしているのを見ていると嫌な予感しかしない。

 

 

 

 

 

「その・・・ニュート・スキャマンダー氏のお力を借りて、バジリスクを一般公開してはどうかとの事です!!!!!」-カラン・・カラン-

 

ジェイクの報に、部屋は静まり誰かが落とした羽ペンが落ちる音が嫌に響く。

 

 

 

 

「・・・・・・・・・却下に決まっているだろうがそんな事!!!!!!」

 

 

 

とうとうパーシー・ウィーズリーがぶちぎれた!!

悪戯な双子の弟と、無茶をしながらぶっ飛んだことをしでかす弟を持った兄として、人の100倍は持っていると自負をしていた忍耐がとうとう切れた。

 

「常識的にバジリスクを一般公開するバカはいないだろう!!アクロマンチュラ騒動で少しは懲りないのかあの森番は!!!」

「そうじゃな、次にこの類を言ってきた時にはアズカバンに放り込むと言っておいた。」

「生温いです!!一生涯生物育成禁止令を!!」その方がよく効くはずだ!

 

仕事を引き受けてから早8か月が過ぎた夏の夜に、パーシー・ウィーズリーはミレスに慰められながら、初めてやけ酒を飲んだ残念な記念すべき日となってしまったのであった。




あの大規模なお茶会は沢山の人達の善意と苦労の上で成り立ちましたので、その功績を書かせていただきました。
次回は当日の様々な大人達のお話です。


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ホグワーツ城のお茶会にご招待の舞台裏➁

当日の来賓と舞台裏の苦労です。



「バーノン・・とうとうこの日が・・」

「うんむ、ウィーズリーさん達が付いている、向こうにはハリエットと・・」

「ロンもいるから大丈夫だよママ。今日はしっかりと休んで、明日は-煙突移動-をすんだろう。」

夏休み期間、ハリエットが出掛けている間に一家は会議をした。

新学期のホグワーツ城主催のお茶会に行くかどうか。

 

ダドリーのスメルティング校には日曜日に出掛ける許可をとればいいが、問題は自分達のしてきた所業だ。

ハリエット本人とマルフォイ家・ウィーズリー家とに許されたが、魔法界の英雄もさることながら、幼子にしてきた数々の事を思うと楽しんでいいのかと罪悪感が湧く。

 

「・・それを乗り越えようよパパ。ハリエットと本当の家族になりたいんだ・・」

一人息子のながった事を可能にする為にも、彼女の世界を知って受け入れるところから始めなければならない。

一家は当然ルシウスを頼った。

魔法界と彼等の扉を繋いでくれるのはルシウスとアーサーのみだ。

 

「厳しい事を言うようだが、シリウス・ブラックにきちんと会う覚悟が必要ですな。」

ホグワーツ城に行けば必然彼に会う。彼は名付け子と、ロン達を愛している。

今回の大規模お茶会は、闇の勢力たちがテロを起こすには格好の的に映ろう。

そこの警備にはがっつりと付く予定だ。

「構いません・・むしろ会うのが遅すぎたほどだ。」彼に会って、ハリエットの話をするのが。

「分かりました。では当日迎えに行き、我が家から煙突移動をしていただく。」あれはマグルでも可能だ。

 

かくして当日の段取りは決まり、マルフォイ家とダーズリー家は揃ってホグズミードの煙突に出現をした。

「・・・ここが魔法界・・あまり我々と違わない・・」-ヒュ~ン-

「魔法界にようこそ!歓迎しますぞマグルのご一家!!」

表に出たバーノン達を、老魔法使い達が箒に乗って横断幕を掲げて挨拶をしてきた

 

             -ようこそ魔法使いの世界へ-

 

 

「ボス!横断幕の歓迎は、今のところ好評のようです。」

「うん、マグルにとっての僕等のイメージは箒に乗っている事らしいからね。あまり羽目を外しすぎないように、無理に二人乗りを迫らない様に要注意だ・・バーノンさん達が来たか・・」

「何か言いましたかパーシー?」

「あ――何でもない。引き続き頼む。」 「了解!」

 

小さな挨拶会にもパーシーたちは目を光らせ、今回は魔法省の両面鏡をありったけかき集めて支給されている。

クィディッチ・ワールドカップで味わった屈辱は二度と味わいたくないという大臣のお達しである。

 

「怪しいものはひっくくれ、間違っていたら後日謝ればいい!」

ルーファウスに苛烈なお達しもばっちり出して、闇払いの精鋭たちが目を光らせている。

 

 

「・・これはたまげた・・」

「ハリエット達はどこに・・」

「ルシウスさんとはぐれない様に・・」

 

とにかく人人人のごった返し!ルシウスに連れられてスリザリン寮の出入り口でようやくハリエットに会えてホッとした。

「叔父さん!叔母さん!ダドリーも!!」ハリエットは飛びついて喜んで城の外でダンブルドア校長の挨拶で始まりとなった。

 

 

 

「裏口からこそこそとしていた死喰い人発見です!左腕にどくろマーク!!」

「ボコってアズカバン超特急な~-特別プログラム行き-だ。」

 

 

「エエ~皆さん、ここが動く階段でも一番大きな動きをする階段です。これに迷う生徒は・・」

 

 

「食料に薬入れようとした屑野郎・・いえ!怪しげな女を捕えました!!」

「それが捕まえたのがオーガスト・ロングボトム女史のようでして・・犯人は説教され過ぎていて精神的にさよならとなりました。」

「・・・一度聖マンゴでヒーラーに見てもらったのちに取り調べ・・ったくあのばあさんは・・」

 

 

 

 

「ご覧ください。魔法界にはあのような美しく雄々しい動物が多数いるのです。

あれはヒッポグリフと言って・・」

 

 

「大変です!どこで聞きつけたのか、ニュート・スキャマンダー氏が来校され!もっと素晴らしい魔法生物をマグルに広めると言いながら、グリフォン出させろと言ってきました!!」

「誰か彼の相棒をお呼びだてしろ!!あんのいつまでも頭の中が魔法生物だらけの老人が!!!」

「・・ドラゴンも呼びたいとハグリットが・・」

「アズカバンにぶち込まれたいなら許可してやると言っておけ!」

 

 

 

 

ホグワーツ城で優雅なお茶会をしている裏では、この様に凄まじいやり取りがなされていると知っているのはごく一部の教職員だけである。

 

闇の勢力としては、鉄壁の守りを誇るホグワーツ城に闇の印を打ち上げて恐怖のどん底に落とすべくあの手この手を仕掛けてくる。

そうは問屋が卸さない!魔法省とシリウス・ブラック・ルシウス・マルフォイが目を光らせ、子供の家のスタッフもやる気は十分!

さあどんとこいかと思ったら「こちらは通行禁止です。」

「隠し扉にマグルが迷い込みました!」 「えっと、地図によれば出口はあっちで保護をしろ。」

「ペロペロ酸アメをマグルが間違って・・」

「禁じられた森からはぐれゴブリンが!」もうしっちゃかめっちゃかのてんてこ舞いだ!

 

それでも楽しい、魔法界にマグルが多数入ってきて皆が笑いさざめいている。

自分達の時代では全く想像だにしなかった。

種族の違いどころか、同じ魔法族同士でも寮の違い、血筋の違い、光か闇かに分かたれ、狭い世界でも争っていた自分達が、魔法族の親になったマグル達を招待をしている。

ホグワーツの生徒達は寮の違いを気にしている風はなく、レイブンクローとハッフルパフどころか、グリフィンドールとスリザリンの生徒達がきゃいきゃい言いながらお菓子を食べている。

 

-貴方達のいたころと今のホグワーツは全く別物です-

 

ティー・パーティーのリーダー、パーシー・ウィーズリーの言った通りだと、ミレス・アンダーソンは戸惑いながら思い出す。

少しは争いが減ったくらいにしか考えていなかった。

自分達の頃は闇の力が深かった、モリソンの頃もヴォルデモートの全盛期で、スリザリンに対して疑心の目で見ては衝突をしていたのがつい昨日の事のように思い出されるが、ここではそんな諍いの気配すらない。

 

良き時代が来たのかと、老いた心でも信じたいとミレスは涙が出そうになりながら思った。

 

 

クィディッチもどきの試合は、スリザリンのハリエットが勝利をして終わった。

試合の間に珍奇な事が一つあった。

あの-これぞ貴族の鑑!-と謳われる、当代のジェントルマン・ルシウス・マルフォイが、会場内を鬼の形相で反対の席に爆走をして、屋敷しもべを駆使してシリウス・ブラックとマグルの一家を埒ったのだ!!

 

「どうしたんですかルシウス・マルフォイ!」キングズリーは滅茶苦茶焦る!

まさかルシウス・マルフォイがまた闇の陣営に・・「ハリエット・ポッター嬢の話はしたな。」

「はい、マグルの・・彼等が⁉」

「その通り、彼等は正直に自分達の罪を告白しようとしたのだ。」

「・・この場でですか?」信じられん!あの魔法界の英雄を虐待した者達と知られれば、あのマグルの家族は下手をしたらリンチにあうぞ!!

「・・貴方の判断は正しい。疑って申し訳ない。」

「分かってくれればいい、私もシリウス・ブラックに合流をする。」

 

様々な出来事を火種の内に消火できて、裏方隊は死ぬ程くたくただが満足だ。

特に「-情報通り-バーデミウス・クラウチ・-ジュニア-が来ましたので捕まえました。」

 

この収穫が一番だ。

クィディッチ・ワールドカップの直前辺りでバーデミウス・クラウチ・-シニア-の様子が明らかにおかしかった。

何か焦っているような焦燥感に駆られており、息子はどうとかブツブツと言いはじめ、ワールドカップの直後には「奴はホグワーツの・・もしかしたら茶会に・・」

怪しげな裏路地で、まともではなさそうな情報屋に見える男と話しているのを、非番のティー・パーティーの一人に見つかり、すぐさまパーシーに伝えられた。

「確か・・クラウチさんのご子息は・・」

「そうじゃヒヨッコ、奴の息子は死喰い人でも相当の地位におった。

今は-更生プログラム-とやらでまともになったらしいが、さて本当のところはどうじゃか・・」

ミレス老の言葉に、パーシーは?になった。

死喰い人の特別更生プログラムを教わって本当に驚いた。

 

死喰い人達に真の純血の意味を根気強く教えて、遂には闇の勢力と手をきらせるとはすばらしいと。

だが実態はもっと違い、その怖ろしい案を出したのが実の弟だと知らないのが、パーシーにとっては幸せなのかもしれない。

 

とにもかくにもそのプログラムをクラウチ・ジュニアが破り、ホグワーツに来ようとするのならば対抗策をとらねばならない。

ジュニアの似顔絵を警備全員に配布して、本当ならば入り口を通れば魔法の化けの皮を剥ぐグリンコッツのあれが欲しいところだが、彼等が貸してくれるとはとても思えない。

魔法生物の中には、アニメ―ガスやポリジュリース薬で化けた者の匂いに敏感な者がいる!

マグルには警察犬というのがいるらしい、ならばこちらは魔法省付き探知動物だ!

張ってみたら開始30分で引っ掛かかった者がいた!

 

「現れたバーデミウス・クラウチ・ジュニアを捕えました!!」

引っかかったジュニアを裏に連行しようとしたら、杖がなくても強かった!

殴るは蹴るはでこちらも歯が折れ、鼻が曲がって、すったもんだの予期せぬ大取物となってしまったが、「よりにもよって-マッドアイ・ムーディー-に化けるか?」

「あの偏屈マッドが来た時点で怪しいわ。」

「大方ダンブルドア校長にでも近づこうとしたんだろう。」

「本物どこだ?」

「あ~、クラウチ・ジュニアの持っていたトランクが地下牢になっていて寝こけてました。」

「水をかけて叩き起こして説教しました。」捕まったのを同情せずに、元であろうが闇払いやってた人間が何やってんだと。

「健康被害がなければ後は放って置け、お客人達が全員帰るまで気を緩めるなよ。」

 

後日息子の監督不行き届きとして、バーデミウス・クラウチ・シニアは閑職に回される。

 

 

ホグワーツの大お茶会はティー・パーティーメンバーを中心とした魔法省の職員と、私設警護団のお陰で無事に終わりを迎えた。

ノウハウを手に入れたので、-来年-はもっとスムーズにできるだろうと打ち上げ会でのたまうほどの楽しさだった。

 

 

そして彼等は知らない、自分達が-炎のゴブレット-の準ボスを未然に捕えて、一つのフラグを叩き折った事を。

 

 

 

とにもかくにも、ホグワーツの大お茶会は無事に終了をしたのであった。 




炎のゴブレットフラグを着々と折っています。

筆者の励みとなりますので、感想ください!お待ちしています


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いつか絶対狸汁!!

久し振りにロンの激おこです。


ああもうあの狸爺!!絶対に将来は狸汁にしちゃる!!

「いましたわ!そちらの方に!!」

「囲い込むわよ!!」

「誰か投網でも持っていないの⁉」

「ちぃい~!捕まってたまるか!!!」-ダン!-

階段の手摺りをガッと乗り超えつつ、ロンは内心で腹黒狸校長に切れつつ、大逃亡劇を繰り広げている。 

 

 

 

 

 

 

 

大お茶会から三日目、「これにて授業は終了・・」-ガタン- -ガッタン!-

「ロナルド・ウィーズリーさ・・」

「あ!またいない!!」

「そんな!今日の授業はもう無いのよ!!」

「大広間で・・」

女子達が物凄い勢いでロンが席に座っていた席を見てみれば・・・・何故か案山子が置かれていた!!

「まあ!Mr.ウィーズリーは初めから案山子に身代わりを・・・グリフィンドールに10点を差し上げますとお伝えなさい!!」授業をさぼった事よりも、変身魔法をいかんなく発揮したロンに感極まったマクゴナガルは、罰則どころか点数を上げる。

それ程までに案山子に戻るまでロンにそっくりだった。

今日はいやにおとなしいと思えば、案山子の身代わりならば納得だ。

入ってきた時はいつもと変わらずで、一体どこから案山子の身代わりだったのか是非知りたいとマクゴナガルは考えているが、身代わりを置いてドロンしたロンにそんな余裕はない。

 

大広間は止めにして、直接厨房からご飯を貰おうとしたロンの行動をいち早く見抜いた女子達は先回りをして、ロンを捕獲すべくなんとインカ―セラスが複数飛んできた!!

ロンはプロテゴを無言で使いつつダッシュで逃亡を開始した。

 

それもこれも全てダンブルドアが悪い!!

お茶会の後にとんでも発表をした狸校長のせいだ!

 

「今年は寮対抗戦のクィディッチは無しじゃ。」

夕食後の大広間で、ダンブルドアの宣言に大半の色めき立った。

 

「「御冗談でしょう!校長!!!」」

人間ブラッジャーのツインズ、ジョージ・フレッドが先頭に立って。

 

「今年は三大魔法学校の対抗戦を催す事になった。」・・ちょっと待て・・

まさかあの原作で-ハリー・ポッター-がどえらい目にあって!セドリック・ディゴリーが死んだあれか⁉

クィディッチがなくても別にいいだろうと、魔法族の裏切り者的な事をのんびりと考えていたロンはがばりと身を起こしてダンブルドアを睨みつけた。

冗談じゃねえ!!今年こそはハリエット達に平穏なホグワーツ生活を送らせるつもりだ!!

邪魔すんじゃねえ!!!

視線だけで射殺せそうな殺気に、さしものダンブルドアも身震いを起こす。

何やら生命の危機が・・「いやなに!本来ならば、三大魔法学校対抗試合を100年振りに復活をさせようとと思ったのじゃがの・・」大お茶会でもう魔法省を頼ってしまったので今年は頼れず大規模な事は出来ず、そもそも二校に打診をしたが即座に却下をされた。

遠く海の向こうのフランスのボーバントンとドイツのダームストラングにも、ホグワーツのやばさがバッチリと伝わっていたのが痛かった。

二校も魔法学校だが、バジリスクがいるだの、アクロマンチュラがコロニー作っているだの何てなかった。

どんだけやべえ所なんだよホグワーツは・・他校を比べてついついと思ってしまうが、二校が断ってくれてよかったが、どうやら-普通のクィディッチ-はしてくれるらしい。

 

 

「その際に、三大魔法学校対抗のイベントの-クリスマス・ダンスパーティー-をする事になったのじゃ。

今年は一年生のダンスパーティーも認める事を、各先生方と協議をして決定じゃ。

皆で楽しむのじゃぞ。」・・・マジですかい、まあお茶会に比べれば子供達の面倒はそこまでじゃねえか。

大規模催しのノウハウが出来て、先生たちも自信が出来たか。

 

「ちなみにダンスパーティーの出場条件はパートナーを伴った者のみじゃ。

出場は強制ではなく、明日各寮に配布をするので提出は来週までじゃ。

各ご家庭とよく話し合い提出をするように。」・・・ここまでは良かったんだが・・

「その際にはパートナーも決めておくように。」

この一言のせいで、俺の逃亡生活は余儀なくされた・・

 

 

次の日から来るわ来るわ、パートナーの申し込みが!!

中には一年生の子もいるってなんでだ?

「そのな・・まずは同学年のお友達を誘っておいで・・」優しく断るのも一苦労だったりする。

だからな!!「俺を犯罪者の目で見んじゃねえぞ!!」

友人達の目が冷たいのが理不尽だ!

俺はロリコンになった覚えはねえ!そもそもが俺は女と付き合った事もねえ!

「・・・だから余計に疑惑が湧くんだろう。」同年代にそっちの興味がなく、お友達なままっていうのもどうなんだとドラコが突っ込みを入れる。

「お前達は決まったのかよ?」

余裕な顔しちゃってまったく。

 

対岸の火事で見ている友人一同に聞いた結果

 

・ネビル・ロングボトムとダフネ・グリーングランス

・ドラコ・マルフォイとハーマイオニ・グレンジャー

・ビンセント・クラッブとパンジー・パーキンソン

・グレゴリー・ゴイルとフリージア・ナーサリー

・ジニーとコリン・クリービー

・ジョージとアンジェラ

・フレッドとアミル

 

の結果となっていた。

「俺は・・どうしよう・・」ハリエットはダンスパーティーかダーズリーさんの家かで悩んでいる。

ちなみにセオドールはアストリアを誘っているが色よい返事がもらえないらしい。

「私がパートナーではセオドールお兄様が楽しめませんわ。」

病弱な自分ではと、申し訳なさそうな顔をして言われたら無理強いは出来んだろう。

まあセオならパーティーそっちのけで、アストリアにべったりとしそうだからそれはそれでありだろう。

ネビル達はのんびり同士で気が合って、ドラコ達は勉強大好き、意外にパンジーがビンセントの面倒を見てくれて、グレゴリーはちょい悪男のワイルドっぽさで近頃じわじわと人気が出てきているのは知っていたから、この組み合わせは意外じゃない。

それにしても俺達の結束力って凄いな、他はまだパートナー決まって無いのが大半なのに、一夜にして速攻で決めるって仲良しで何よりだ。

 

 

さて俺はどうしたもんかなと暢気ぶっこいてたら女子達が本気で怖くなってきた!

日を追うごとに申し込みが増えてきて、普通に歩くのも容易じゃなくなってきて困ったなんてレベルも越えて辟易とする。

食べている時もお構いなし!俺の平穏な日常を木っ端みじんにした元凶狸は!!いつか必ず狸汁いきだ!!

 

 

 

・・・・何でだろ?ロンが他の女の子に追われているのを見ているとモヤモヤとしてむかむかとすんのわ。

 

パーティーを楽しんでらっしゃいとペニチュア叔母さんに言われたハリエットは、胸の中に生じた思いを持て余しつつ、苛々としている。

 

 




平和な中のお悩み事でした。

ロナルド・ウィーズリーのお相手は一体誰になるのでしょう。

ロ 「俺にも踊れってか!」
筆 「当然です。」
ロ 「なんでだよ!!」
筆 「主役何ですからきちんと出なさい!!」
ロ 「コンチクショウ!!!」

以上ロン君の叫びでした。


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フラグ初始動

今作品初のフラグ発動です。

べたです、捻りも壮大さも全くないべたべたなお話です。
ほんの少しヴォル様主従の近況も入っています。


「だから教えてくれよクィリ先生!俺何でこんなに苛々とするんだ?」

「その答えは君自身が分からないと意味が無いものだ。

私から言えることは特にはないよ。」

 

別にロンが誰と踊ろうといいではないか、普通に日常的に甘やかしをしてくれるし優しいし、何も問題が無いのに!ない筈なのに苛々とするのはなぜかとクィリ先生にお悩み相談に来たら、ニコニコとお茶を出されて終わりだった。

 

「先生~意地悪しないで・・」

「意地悪ではない。君の成長は喜ばしい事だ、その苛立ちも含めてね。」

「クィリ先生なんか変わった、前は何でもかんでも教えてくれたのに。」

「君が自分で分かると思ったからね。そろそろ大人の準備をする時期だ、雛が飛び立つのをあれこれ言って邪魔をするのはよくはない。」

「それって俺の為って事か?」

「さて、それも考えてみるといい。」

クィリ先生は本当に変わった。

最初に会った時にはおどおどとした喋り方でも強さを感じて、時折狸校長をぶっ飛ばすって一緒に言っていたのに、急に大人の頼れる・・そう、セブ先生の落ち着きにドラコの紳士さが付いたもの柔らかい大人になった。

俺としては-俺様-の先生も好きだったのに、でも時折校長を狸と呼んで鍋にするってにこやかに言ってる方が怖い気もするけど嫌いじゃない。

今も俺の事を一人前に扱おうとしてくれている。

何でもかんでも聞いて終わりの子供は卒業しないといけないと優しく教えてくれている。

「分かった!自分で考えてみる!!」

「その意気だハリエット。それでも分からない時はお友達に相談をしなさい。」

「はい!ありがとうございました!!」

 

元気な女の子になったな、しかし「注意力しゃんまんなままだな、我がいた事に全く気が付かずに行ってしまったじょ。」

「仕方がありません、あの年頃は自分の事で手いっぱいになるものでしょう。」

「そうじゃな、それにしてもお前はほんちょうに教師になちゃのだな~。」

「お褒めに預かり光栄ですが、ことハリエットとネビルは格別に愛おしいのです。」

あの二人のお陰で本当の愛とはを知る事が出来たのだから。

 

「ご主人様の目くらましは完璧でございましたね。」お陰で部屋に主が居てもバレなかった。

「うむ、体と話し方以外はもちょにもどりちゅちゅ・・えい!いつまじぇこの言葉!!」

幼いヴォルデモートは話をしていてだんだんと腹が立ち癇癪を起す。

魔法は完璧に戻りつつあるのに、体も言葉も幼児とはもどかしい!!

腹が立つ!己の非力さ無力さ・・おのれの精神の幼さを突き付けられているようで・・

「我が君・・」そんなヴォルでモードをクィレルはそっと包み込み抱き上げる。

「どうか焦らずに、私がお守りいたします。

どの様な貴方様でも付いて行きます-最期-まで。」

「クィ・・しゅまぬ・・もう泣き言は・・」

「いいえ、申してください。」本当の幼き日に言えなかった分までも。

癇癪を起しても受け止める、闇の魔術で発散をさせなくて済むように全身全霊を持って。

「どうか隠さないでください、我が君。」

「クィ・・しゅまぬ・・しゅまぬ・・」

クィレル一人ならば、いつでも光の道を堂々と歩けるほどの功績はある。

あのアクロマンチュラ騒動のおりの、蜘蛛殲滅とハリエット・ポッターを守りとおした事。

それがあれば・・それでも・・手放せない。

愛を知って弱くなったのだろうか?自分が誰かに縋りつこうとするなんて、昔の自分が知れば侮蔑の笑みで「くだらん」と吐き捨てているだろうに。

それはこの温もりを知らなかったから、この安らぎを・・自分は壊して奪ってばかりいたのに・・それでもこの温もりの中で泣くのをどうしても止められない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は何でロンにイライラするんだろう?

「そんでな、ずっと考えてようやく分かったんだ!

今からロンの所に行ってくる!!」

「ああ言ってきたまえハリエット!あの朴念仁にはガツンと言わないと伝わらないぞ!!」

「応援してますわよ!行ってらっしゃい!!」

「まって!このリボンつけて・・良し!可愛いわ!!」

「言って分からなかったら俺が実力行使だ・・」

「帰ってきたらお菓子パーティーで祝うか・・」

「とっておきのチップスも・・」

「大袈裟だな皆は、行ってくる。」

 

 

 

「ふっふっふっふ!!勝った!!!諸君!遂に我々の努力が実り、勝利した!!!」

ハリエットを見送ったスリザリン寮はドラコを筆頭にお祭り騒ぎ!!

「遂に我等のハリエットが恋心を自覚する程までに成長をした!!・・長かった・・本当に・・しかし諸君らの努力が遂に実ったのだ!!」

スリザリン寮一同は、ハリエットの恋人・夫はロナルド・ウィーズリーしかいないと定めて日夜ハリエットにロンの良さを吹き込み、それとなく恋人・奥さんにワードを散りばめて話をして刷り込んでいた。

だがいかんせん相手は奥手どころか恋愛のレの字も知らない赤ん坊相手、長かったが遂に・・その思いを代弁するように、ドラコはスリザリン寮で右手を高々と上げて大演説をしたが、

-あ、これって失敗フラグじゃん-どこぞのグリフィンドールの若獅子様が今の光景を見たら、のたまいそうな光景だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・失敗した・・」

「・・はい?」

「どうしよう!ロンを完全に怒らせた!!」

「「「「はいい⁉」」」」

 

寮を出る時は元気一杯のハリエットが、すごすごとしょぼくれて泣いて帰ってきて言った言葉に激震が走った!

あのロンが!ハリエット・ポッターに激アマなあのロナルド・ウィーズリーが⁉

「きっとそれはロンの偽物よ!」

「そうだ!ポリジュリース薬とか、魔法とか・・」

「・・違う・・あれはロンだ・・」

 

がっくりとしたハリエットは何があったのかを皆に話した。

 

「ロン!話がある!!」

「ああハリエットか、今ようやく逃げ切ったところだ。どうした?」

数~はあ~落ち着いて、言いたい事は目を見て!

 

 

    「ちゃんと女の子の気持ちを受け止めないで逃げてちゃ駄目だぞ!!」

 

-ピクン-

「あの子たちは真剣なんだろう?いつもロンが人の気持ちを軽んじたら駄目だって・・」

「ハリエット。」

「・・・何だよロン、おっかない顔して・・」

「今回の件には口を出すな。分からなかったら縁きりだ。」

「え?」

「二度と口を出すな。」

 

 

「・・それで怒ったロンが行ってしまったと。」

「うん!俺・・あいつが逃げてばっかりいるから嫌なんだと思って・・。ロンはそんな弱虫じゃないって、強い奴だって、そうしないから苛々して・・」

・・まじかい・・345度位ねじ曲がった解釈をして、ロンの地雷を見事踏んだと・・

 

「とにかく謝りましょう。ロンだって言ってほしくない事もあるのよ。」

「きちんと謝れば・・」

ハリエットが女子達に慰めれている間、ドラコは心の中で悶絶をする。

一体どこでどう間違えたんだ!!




失敗フラグがたち、回収をされた回でした。

赤ん坊から小学生くらいになったハリエットがやらかし初のロンの激おこよりも怖い本気の怒りに触れてしまいました。


次回は怒りのロン君から始まります。


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初喧嘩?

ロン君のモヤモヤです。


「ってなわけで教授、俺はどうしてこんなにも腹が立つんだ?」

 

ハリエットだって断られていた女子達を擁護して言ってきただけだろうに、何故かハリエットだけに言って欲しくはなかった。

ロンといつものように呼んできてこのタイミングならダンスパーティーの話かと思っていたら・・

「まあ確かにダンスパーティーの話ではあったけどさ・・」ハリエットは俺が誰と踊ってもいいと思っているのだろうか?

「・・・・・・・・・そんな話を私にして、私にどうしろと?」

セブルスはこめかみをひくつかせながらロンに絶対零度ヴォイスで聞き返す。

こんな薄暗い地下室で!甘酸っぱい青春話をどうしろと!!

 

「いや・・・なんで苛々するのか分からなくて・・」はあ~。

「一度ハリエット・ポッターの事をどう思っているのか真剣に考えてみたまえ。」自分が言えるのはここまでだ。

「分かった・・騒がせたな教授。今度鍋洗いを手伝うよ。」

「いらん、それよりもハリエット・ポッターに魔法薬学を教わりたまえ。

彼女の方が君よりも遥かに成績がいい。」

「はは・・俺実技が一番で細かいのてんでだもんな。」毎回赤点ギリギリだ。

「来年のOWLの為にもハリエット・ポッターかハーマイオニー・グレンジャーにでも師事をしておきたまえ。」

「ドラコでもいいだろう教授。」あいつは面倒見がとってもいい。

「その代わり実技は俺が教えてお相子だ。」

「・・そお言う発想はすぐに出る癖に・・」何故に-そっち方面-が全く育っていないのか謎だ。

 

「もう行きたまえ、夕食に遅れるぞ。私も片付けたらすぐに行く。」

「分かった。ありがとな教授、話を聞いてくれて。」

パタパタと行ってしまった。

ぶっ飛んだところは多々あり、発想も魔法界の常識が引っくり返る事ばかりの凄腕魔法使いが、

何故中身が子供のままなのかと頭が痛くなってくる。

きっとロンは・・いやハリエットもそうかもしれない。

「・・・似た者同士か・・」

お互いに凄い事が出来る子供のままの二人。

きっと今頃ドラコ達も自分と同じ理由で頭を痛めているだろう。

ロンに怒られたハリエットを慰めつつ。

 

 

様々事を考えつつ大広間に行ってみれば、大広間がピリピリと・・いや戸惑いの空気が流れている。

何事かと見回してすぐに分かった、ハリエットがスリザリン寮の者達に囲まれてグすぐすと泣きながら食べていて、そんな状況をロンが放って置いているという、ホグワーツの全生徒否!全在校生及び教職員及びゴースト達と屋敷しもべ達が驚くような光景だ。

 

あのハリエット・ポッターに激甘なロナルド・ウィーズリーが!この状況を放って置くだなんて!!

「お兄ちゃん!ハリエットが!!」

「ロナルドお兄様!!」

可愛い妹のジニーと、これまた可愛いアストリアが懇願をしてもなしのつぶて。

かくしてあり得なホグワーツ生活の幕開けとなってしまった。




二人の難しいお年頃のお話でした。


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ー外伝- 本編と入れ替わってしまいました

すみません!

本編が遅々として進んでいないのに外伝に手を出します!!
突然降ってわいた、原作のロンと無法者のうちのロンが入れ替わったら、原作の皆さんがどんなふうに振り回されるのか書きたくなってしまったのです。

多分にごり押し、ご都合主義発動しまくります。

許せる方のみどうぞ!!


おかしい、確か俺はホグワーツ城の自室で寝ていたはずなのに何で隠れ穴の自室なんだ?

 

目が覚めたらまあ知っている天井ではあったが、あり得ない天井だった。

昨日もハリエットの事を考えていて悶々として、スキャに鼻をこすられて慰められて寝たはずなんだがな。

起きたら自分っちってこれ如何に?

つねったら痛い、試しに自分に爆発呪文使おうとしたら母さんの起こす声が聞こえた。

つねっていたいなら夢じゃないらしいし、どうして俺が家に居るのか母さんに聞くか。

 

「おはよう母さん、何か持ってく?」

着替えて顔を洗って-いつもの様に手伝うことない?-と聞いたらえらく驚いた顔をされた。

「お兄ちゃんがてつだうの?」なんかマイ天使にまで怪訝な顔をって!

「ジニー!!学校どうした!何でお前まで・・」

「はぁ⁉馬鹿じゃないの?今は夏休みでしょう?寝ぼけてるの。」なんかすんごい塩対応。

いつもだったら俺がドジればくすくす笑いする妹が塩対応なのはきついぞ!

 

-ドッカーン!!-

 

って何の音だ!!

 

「全く!!あの二人ったら!!!」・・あの二人?まさかとは思うが・・今夏休み、ジニーの言っている事が本当なら、騒ぎを起こす二人って・・しかいないよな。

「・・いいよ母さん、俺がしめてくる。」久しぶりの説教フルコースもんだ!!

-ゴン!-「って!!!」

「ロン!!俺なんて言葉は止めなさい!!いつもは-僕-って言ってるでしょうに!!」

何でか俺が怒られ・・は⁉

俺が・・僕って・・言った事・・

 

「まあまあ母さん。」

「-ロン-も年頃なんだよ、今年から-五年生になる-んだからさ。」

・・屋根裏部屋から降りてきたジョージ・フレッドが何か変な事を言ってる。

ロニー坊や呼びしていない・・

 

「ロン!そんな言葉-ハリー-に移ったらどうするの!!」

「えっと母さん、あいつもまあ・・俺と・・」-ゴン!!-

「また言って!いい事!!今年はハリーは-例のあの人-のせいで命の危険があるんですからね!!

一昨年みたいに-車-で連れてこないようになさい!!」

「エ――――!!何で母さん-ヴォルデモート―復活知ってんの⁉」

あれはホグワーツ城でも狸校長と教授とマクゴナガル先生ととりつかれていたクィレル先生しか知らない筈の極・・あれ?

 

ちょっと待て、俺ハリエットを車で誘い出して何て・・それしたのって―原作-の事でって!!!まさか!

 

嫌な予感がした俺は家にある古新聞をダッシュで読めば・・・死にたくなった。

 

 

―セドリック・ディゴリー ハリー・ポッター、両名が三大魔法学校寮杯に出場-

から始まり、ハリーへのリーター・スキーターの捏造やら・・最後にはセドリック・ディゴリーの死で締めくくられていた。

 

不意に理解してしまった、方法は分からんが俺は-原作-の世界に来てしまったのだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エクスペクト・パトローナムス!!!」

 

・・・・本当にここはハリー・ポッターの世界なのかを確かめるべく、来慣れたプリペット通りに来てみたら、吸魂鬼に襲われている-ハリー・ポッター-と従弟君発見。

なので守護霊出して塵化させてやった。

 

「えっと・・ロン⁉何でここに居るの!え!!君って守護霊使えたっけ⁉どうしてここに居るの⁉」

俺がここに居るのが一番不思議らしく、守護霊の事よりもそっちを二度聞かれた。

「いや・・夏休み中のハリーの様子が気になって。ほらここって一度着た事あるから場所は覚えていて・・って。」-バサァ~-

 

しどろもどろ話してたら梟が来てなんか手紙渡された。

開けてみたら魔法省からで、未成年の魔法法に抵触をした事による呼び出し状だった。

・・・・呼び出し状が俺じゃなくってハリーってどう言う事だ?

 

 

 

呼び出された件と吸魂鬼が昼のマグル界のど真ん中に出てきた件を説明するために、俺はハリー・ポッターを家に拉致ってきた。

拉致ってきたたとは聞こえが悪いが、従弟君にハリーの命の危険を伝えて、ハリー・ポッターに荷造りさせてさせている間にペチュニアさんに丁寧に説明をして夏休みの間預かる旨とそのままホグワーツ城に向かう事を話して納得をしてもらって連れてきたのだが、半ば強引なので拉致ってきたと言われれば文句を言えない。

 

 

当然家族皆が唖然茫然だ。

まさか―ロン―がプリペット通りに一人で行ってしかも守護霊出したなんて、ハリーが証言してくれなかったら馬鹿言ってるで笑われて終わりな立ち位置にいるようだし。

こっちのロンは立場低くね?

 

ハリーもしどろもどろに説明してるところに、父さんから連絡貰った狸校長のお出ましだ。

 

「・・・・ふむ・・本当に君がしたのかね、Mr.ウィーズリー?」

青い瞳がキラキラって・・こいつ俺に開心術かけ中かい!!

腹立ったので無言で守護霊出して鼻に突撃させてやった。

 

「ロン!!お前はダンブルドアに・・」

「だって本当の事を言っている奴に開心術掛ける方が問題だろう父さん。」

無礼者には容赦せん。

「これで守護霊使えるって証明されたはず・・です。

今日はハリーも疲れていると思うので、魔法省への呼び出しは俺一人で?」

「ふむ。。ハリーじゃと思ってファッジ大臣と話し合って後日となったが、君じゃった事を伝えんといかんの。」

そうだな、あんたの手駒じゃなくてよかったなとは言わんでおくが、この爺内心でホッとしてんだろうな~。

火の粉がかかったのがお気に入りのハリーじゃなくて俺で。

 

サクサクと進める様は普段のロンではないとハリー達はものすごく驚愕をしたが、吸魂鬼に襲われたこともあり、一旦休むことにした。

明日ロンに色々と聞かねば!!

無言呪文で守護霊出せる実力をどこで手に入れたのかも含めて!!!

 

狸爺としてはハリーを不死鳥の騎士団の本部に引っ張っていきたかったようだが、ここでやらかしたのは俺なのでそこまでは手厚く保護する気ないようで強くは言われなかった。

そう言えば・・「・・何かの~Mr.ウィーズリー。」

狸の左手をとってまじまじと見れば、-まだ-綺麗だった。

 

原作うろでも所々は覚えてる、それも-ダンブルドア-の異変から死に関してはやけにはっきりと。

 

「・・・過ぎたものは戻らない、時間は前にしか進まない。タイム・ターナーも万能じゃない。」

「・・・・そうじゃの・・」

ダンブルドアはロナルド・ウィーズリーの突然の行動に戸惑う。

この子供はチェス以外は平凡な・・少々年よりも幼い子供の筈が、無言呪文で守護霊を出した事、的確な判断をした事で困惑をしているというのにその上何を。

 

「死者がよみがえる事は決してない、それはゴーストになっても蘇る事は決して無い。

死者は望んでゴーストになった者達以外はそっとしておくべきだと俺は思う。

たとえ-死者に会える-といわれる魔法道具があったとしても、使われずに灰にすべきだ。」

「っつ!!」

「後悔で身を滅ぼすことも愚かだと思っている。

そんな事よりも-今-を守り先の未来に進む道標をすべきだ。」

「それは・・」

「死はいつか誰に訪れるものにせよ、その死に方によって大勢の人々の心が傷つくのもまた然りだ。」-バッ!-

 

「・・・それは何かの予言かのMr.ウィーズリー?」

まるで、自分がこれからしようとしている何もかもを見透かしているように・・。

 

「いいや?予言なんてまやかしを俺は言わない。

あれは-害ある言葉-だ。

それが発せられなければ平凡でいられたかもしれない人生をしっちゃかめっちゃかにされる代物だ。」

 

予言なんぞ言われなければ少なくともハリーの両親は死なずに済んだかもしれない。

-愛の呪文-はきっと誰でも・・大切なものを持つ者達には使えるはずだ。

いつか誰かがヴォルデモートを弱らせていたかもしれない・・・・とは言えるかどうかわからんが、まあぶっちゃけ俺が予言嫌いなだけなんだよね。

 

 

ダンブルドアは奇妙な顔をしてそそくさと立ち去って、後には眠い俺とそんな俺を物凄い形相で見ているハリーと家族が残った。

 

 




・・書いてもうた・・

頑張って五・六話で終わらせますのでお許しください!!



ロ「また邪神野郎の仕業か!!」
筆「えっと・・」
ロ「ぜってえぶっ飛ばす!!」
・・ネタはそのへんにします・・


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-外伝ー とりあえずいつも通りにしよう

懲りずに二話目です。


スキャがいない、これはかなり深刻だ。

俺の横でいつもしている気配が無いのは辛いな。

確か豆フクロウを貰ったとかなんとかあったろうが、そいつはスキャじゃないしいいや。

どうやって帰れるんだ一体とか、悩まないよな俺って~。

来た時は突然だがら、帰る時もきっと突然だろう。きっと邪神野郎はともかく気のいい神様が拾って・・くれる。

 

 

「アーサー!一体ロンは!!」

「落ち着きなさいモリー、子供達が起きてしまう。」

「でもあなた!ロンがあんなことを・・あの子は子供っぽくって手が焼ける子で・・あんなことを一度も言った事もした事まない子だったのよ!!」

 

本人の落ち着きと裏腹に、両親は我が子?の事でパニック起こし中だったりする。

今まで親や他人の言葉をうのみにして軽挙妄動が目立っていただけに、魔法省からの呼び出しに対してもどこ吹く風何て!

今までのロンならば真っ青になってパニックなって、周りに縋りついていただろうに!

-今から行くなら夕食はどうすればいい?-

 

の一言のみで終わらせたのだ!

 

モリーがパニックを起こすのも無理はなく、内心でもアーサーとても戸惑い困惑をして、今すぐロンと話がしたい所だが、如何せん疲れがピークで結局朝一になった。

「・・・あの子は寝起きが・・」

 

そうモリーが心配をしていたのをまたもや我が子?にぶち壊された。

ロンは朝一で庭に出て眠っている庭小人を瞬時に駆除をしてから庭に座り込み、目をつむり始めた。

 

魔力は体内を巡るもの、ゆっくりと量を増減をして、循環をするイメージトレーニング。

実家でもホグワーツ城にても欠かさない日課だ。

「ロン、話がある。家の中に入りなさい。」

その魔力は一般魔法使いを遥かに凌駕しており側に近寄るのさえ難しく、アーサーが外から声を掛ける。

「・・・・ああ父さんおはよう。」

 

日課の後は少々けだるい、体がふわふわとして挨拶返すのがやっとだ。

「・・おはようロン、家に入りなさい。」

「分かった、その前に見回りしてきてもいい?何せハリーがいるんだし・・」

「それは大人の仕事だ、騎士団の何人かがもう何人か巡回をしていてくれているはずだ。」

「そっか・・そうだよな~。」あっちでこんなことが起こったらシリウスが早々に来て俺を引きずって悪党退治~とかやるんだろうけど、こっちのロンは入れられないか。

まあそれが子供に対する普通の対応であって、駄犬がおかしいのか?

・・って事はなるたけ大人にお任せがいいのか。

 

「さて守護霊を、それも無言呪文で何ていつ覚えた?そもそも誰に教わった。」

これちょっと不味い系だ。

「・・ロナルド・ウィーズリーだって頑張ればできるんだって言ってみてもいいと思う・・」

同情系で行こう!今まで目立たずに、ハーマイオニーとハリーの陰に隠れていた自分とはおさらばしたかった系で行こう!!うん!

 

「・・・そうか・・」

「そう!!」

「・・そうだな・・お前も・・そうか、母さんには父さんから話しておく。」

「うん、お願いね父さん。あ!ハリーおはよう!!」

「あ!ロン!!昨日は一体どうしたのさ!!!」

「まあロナルド・ウィーズリーがああいうことできて言えたら変かな?」

 

暗に親友を低く見ていて、いきなりレベルの高い事をされたら驚くのかという聞き方をしてみた。

 

「いや・・ご免・・・ロンも頑張っているんだよね・・きっとハーマイオニーも驚くよ。」

少しきつく言い過ぎたかな?

「気にするなよハリー、朝ごはん食ようぜ。モリー母さんの朝食は世界一だ。」

「そうだねロン!僕も毎日食べたい!!」

「そしたら夏休みはずっとここに・・」

 

父さん・母さん・ハリーは何とか切り抜けて、双子は懐柔することにした。

「ほら、部屋全体にプロテゴ張ってるんだから実験し放題だぞ。」

「・・でもロン・・」

「本当に・・」

・・信用なしか・・

「コンフリンゴ-爆破せよ-」-バン!!-

 

寝そべっていた長椅子から起きた弟がいきなり杖抜いて木材爆破って!!

しかもあんな・・あれ?

 

「凄い破裂音なのに。」

「誰も来ない?」

「言ったろう、部屋全体にプロテゴ掛けたって。マフリアートも追加してある。

新しい魔法道具作りたいんだろ?

こんなご時世なんだから明るく楽しく、出来れば人を軽くでも守れるやつも頼むよ。」

確か-去年-ハリーから賞金を全額貰ってるはずだしな。

金には困っていない筈だ。

 

「「ロン!」」

「君がこんなに話の分かる奴だったなんて!」

「今からでも僕等とチームを・・」

「悪いけど、俺は呼び出し対策をしたいんだ。」頭はそっちに使いつつプロテゴモはる事にして、双子の解呪は成功したんだがな~。

 

「・・・どうしたジニー?」マイ天使・・とは違うが妹がジト目してくる。

「・・何かロンらしくない!」・・・俺一応兄なんだが、こっちのロンが許してこうなっているのなら仕方がないか。

それでも「あのなジニー、ロナルド・ウィーズリーじゃなかったら何なんだ?」

「・・分からない、でもいつももっと・・」

「子供っぽい?」「・・うん・・」

「無能?」「・・そこまで言ったことない!」

「そのうち教えてやる、だから家族をこそこそと探るな。それは家族とは言わない。」

「・・・分かった、ちゃんと話してよね!!」

怒って行ってしまったが、何とかなんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてさて俺の呼び出しが決まったって、「なんでハリーも出頭なんだよ!!!」

やったのは俺だって狸校長のお墨付きだろう!!

「・・きっとファッジが証言者にハリーを選んだんだろう。」・・・ざけん、俺の・・とは違うがロナルド・ウィーズリーの友人に手を出してただで済ますか!!!

 

 

ファッジの命運は如何にとでも銘打たせたい。

 

 

 

 

8月12日

 

ウィゼンガモット法廷って・・俺重犯罪者かよ。

まあ俺相手に姑息な罠はなく、定刻通りに開廷になったけど!目の前にカエル女がじろじろ見てんな!!・・・うざいな・・「ひぃっ!!」

・・んだよ、魔力込めの一睨みでビビるなよカエル女。

-カンカン!-

 

「静粛に、これより当法廷はロナルド・ウィーズリーによる未成年者の魔法の使用を審査する。」

裁判長は魔法執行部長のアメリア・ボーンズ・・ではなく何と魔法大臣コーネリウス・ファッジ大臣って、大臣の仕事どうしたんだよ。

 

向こうの大臣とはそこそこの関係を築いている気がする。俺を挟んて狸校長との馬鹿試合をしようとして。

でもこっちの奴はロナルド・ウィーズリーに差して興味がなさそうで、めっちゃハリーとダンブルドアしか見てない。

 

「・・未成年が無言で守護霊を・・」

「そもそも吸魂鬼が・・」

 

ああうるさいな~-ダン!!-

「四の五の言ってないで誰か真実薬持ってくるか、篩の記憶見ませんかとか建設な事を言ったらどうだ?

どっちかか両方やれば一発だろうが。」

大人のくだらない言葉遊びにはうんざりとして思わず地面を踏みしめたらヒビはいっちまった。

弁償は出世払いで頼もう、ってあれ?

皆黙っちまったよ。

 

「ウォフォン!・・Mr.ウィーズリーちょっといいかの。流石に未成年の魔法使いにそこまでは誰もせんぞ?」

「本人が許可してんだから別にいいだろう?それに少なくともここに居る-二・三人-はそんなこと気にしちゃいないだろう。

何が聞きたいのかはっきりしない、時折被告であるものよりもハリー・ポッターを見てんだからやる気ゼロだろう。」

 

「かしこまりました、大臣この場より被告を連れ出して真実薬の準備をさせましょう。

私が全て取り計らいますわ。」

魔法法廷の場であっても、ショッキングピンクのフリルワンピ来た奴が何か言ってる。

「いいや、ここでこの場で飲む。もってきてもらえばいい話だろう。

それで真実が分かって終わりなら、持ってきてもらう手間を考えてもこの後の手間が皆はぶけるはずだ。」

「・・・よかろう、上級次官・ドローレス・アンブリッジに命じる。持ってこさせなさい。」

「・・かしこまりました大臣・・」

 

法廷がざわつき始めるか・・って、意外に早く来た。

 

「・・これは本当に真実薬か?」

「ええそうです、-破れぬ誓い-を結んでも構わない程の真実です。」

「ふ~ん・・・・大臣、結びをしても?」

 

 

何だと!!

馬鹿げている!!

結びはそうやすやすとは・・ -カンカン!!!!-

 

「静まりたまえ!どのような理由でそれを望むのだ?」

「簡単です、これが俺を操って-とある者達-が望むパペットにされたらたまったものじゃない。」

「我が魔法省を疑うか⁉」

「疑われ謂れがなければ結べるはずだ。」

 

・・・・このくそがきが!!!

 

「よかろう!ドローレス・アンブリッジに命じる!!!結べ!!」

 

短気なファッジは塵芥にも見ていなかったロナルド・ウィーズリーの物言いに腹立ち紛れでとんでもない事を言い、持ってきたアンブリッジも本物であるので、ダンブルドアを仲介人に立ってて結びをした。

 

その光景をハリーは真っ青な顔をして見ている。

ロンは一体何をするつもりなんだろう。ここに来る道すがら、何があっても黙っているように言われたが心配な事に変わりはない。

 

「結びましたわよ、さあ早く!!」

「ああ、飲んでもらおうか!!」-ダン!- -グビリ!!-

 

結びを終えたロンは、促すアンブリッジに足払いを掛け、手にしていた真実薬をアンブリッジの口に突っ込み飲ませた!!

 

「何を!!誰か・・」

「真実知りたきゃ騒ぐなおっさん!!!」

「なん!!」

「ドローレス・アンブリッジに問う!吸魂鬼をハリー・ポッターに送り込んだのはお前か?」

「そうです、私です。」

「目的は?ヴォルデモートに与したか?」

「まさか!私はヴォルデモートに与していませんわ。」

「ではハリー・ポッターに吸魂鬼を送り込んだ目的は何だったんだ。」

「・・そんなの・・」

 

 

 

             「邪魔だったからですわ。」

 

 

「だって私の事を高く買っているファッジが困ったら、私が困るじゃない。」

「別に-例のあの人-が復活していようといまいと私には関係ありませんわ。」

「目障りなポッターを消すか、運よく助かっても未成年の魔法使用者として落伍者の印を付けられればそれでよかったのに。」

「よく分からない貴方が邪魔をした!」

「私の邪魔をする者は死んでしまえばいいんですわ!!」

「無能な大臣を助けようとしたのですから感謝をされても・・・」

 

 

「もう結構だ!!!!!」はぁ・・はぁ・・

あまりの言葉に、ファッジは息荒くアンブリッジの言葉を遮った。

しかしそこで追撃の手を止めないのがロンである。

 

「大臣、これが今回の一件の真実だ。

さっきの結びでこれが真実薬だある事は立証されている、つまりこの女が言った事はみんな真実だ。

それでこの一件にあんたは・・」

「関わってない!!私は何も・・」

「ならあんたが無能な事の証拠だ。

秘書が未成年者にこんなとんでもない事を企んで実行するわ、実は闇の帝王が支配者でもいいわだなんて危険思想社を隣に侍らせていたんだからな。」

はっきり言えばこいつカエル女共々罷免だな。

 

ダンブルドアだけならばまだしも、中立的な魔法執行部長も他の裁判員も見ていたら隠しようがない。

 

「その通りですロナルド・ウィーズリー。貴方の一件はただいまの上級次官・ドローレス・アンブリッジの証言で正当性が認められました。

当法廷は貴方を無実であるとし、この一件を閉廷とします・・大臣達は残るように。」

「そんな!アメリア・・」

 

 

 

大臣が喚いているのを無視して、俺達はさっさと法廷の外に出た。

 

「・・・・君の思惑通りかのMr.ウィーズリー?」

「さて、東洋の人曰く-人を呪わば穴二つ-じゃね?」己の呪いで滅びればいい。




原作五年生の諸々のフラグを一気に叩き折りました。


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外伝ーマー髭!!-

一般的なロナルド・ウィズリーから始まります。


マー髭、それは驚きが強い時によく-僕-が使う口癖。

-ハリー-と親友になった時からよく使うようになった。

だってそうでしょう?

彼と出会うまで僕はごく普通の魔法使い一家の六男で、僕自身と生活は平凡な生活を送っていたのに、彼と一緒になってからは大冒険の日々だった。

 

トロールを倒し、例のあの人から賢者の石を守り、バジリスク胎児の一端を担ったり、裏切り者ピーターを取り逃がしはしたけれど、あのシリウス・ブラックを助けたんだ。

去年は僕はハリーの役には立てなかった、それでもすごい人生を歩んでると思ってたのに・・

 

「俺のロンを返せよ!!」女の子版のハリーに胸倉つかまれるは、

「君がロナルド・ウィズリーとはね。」人の事をファーストネームで呼んでくるマルフォイとかってあり得ない・・朝起きていったい何度マー髭を叫んだのかもうわかんないよ!

「僕がロナルド・ウィズリーでそんなにおかしいの⁉」

 

ホグワーツの朝の大広間はもはや大パニックだ。

朝から-ロナルド・ウィズリー-の様子がおかしいことから端を発して。

「どうして-僕-はホグワーツにいるの⁉」

大広間にパジャマ姿で降りてきたロンの第一声からしておかしかった。

あのロナルド・ウィズリーが自分を僕ってなんじゃそりゃ?

彼は口が凄絶に悪いので有名で、常に一人称は俺である。

そもそもパジャマで現れたこと自体がおかしいのだが。

 

「ロン、その恰好どうしたの?」

「あ!ハーマイオニー!!僕達昨日から夏季休暇に入ったのに何で君も僕もホグワーツにいるの⁉」

「はい?ちょっとロン、今は」冬ではないかとハーマイオニーはあきれながら指摘しようとした。

何を寝ぼけているのかと。

「ロン、寝ぼけていないで着替えてきたまえ。その恰好で食事なぞ君の品性が疑われる。」

ハーマイオニーが指摘する前に、ドラコ・マルフォイがロンの肩に手を置きながら優雅に笑って指摘をした。

親友も時折寝ぼけてそそっかしいことをするのかとほほえまし気に。

それはいつもの親友同士のやり取りで、セオドール・ヴィンセント・グレゴリー等のやんちゃ坊主一同もクスリと笑い、ネビルも微笑んでみている。

彼らのやりとりからするときっと、あ・・俺間違えた?とか愉快なやりとりになるはずだと。

 

-バシン!!-「マルフォイが僕に気軽に触るなよ!スリザリンの蛇野郎!!お前らも何がおかしい!!!!」

ロナルド・ウィズリーが楽しい雰囲気を打ち破った。

 

 

「インカ―セラス!!」-ズダン!!⁻

「何するんだ!放せよ!!ハーマイオニー!見てないで助けて・・」

「あなた誰なの⁉ロンをどこにやったの!!」

「何言って!!」

「正体を現したまえ、それとも・・その化けの皮をはがされたいか?」

「こいつ半殺しにしちまっていいすか、タヌキ校長?」

「これこれ、Mrノッドもっとスマートに魔法を剥がせばよかろう。」

 

ドラコは人生で初めて怒りに狂った。

親友で、彼のためならば命は惜しくないと思い定めているものと同じ声・同じ姿のものが、彼が一番嫌う言葉を使って自分を拒絶したのだ!!!

誰かは知らないが塵にしてやりたい!

「ロン!どうしたんだよ!!」

ああ~、彼をとても慕っている彼女が来てしまった。

ここ一週間何故か拒絶されているとはいえ、彼をだれよりも何よりも愛し慕っているハリエット・ポッターが。

 

ドラコはハリエットを止めて、これはロナルド・ウィズリーの偽者でありこれからセブルス先生が化けの皮が剝がすところだと説明をしようとしたのだが、「こ奴は化けてはいない・・ありえん。」

なんか先生がとんでもないこと言った!!

 

え――!!そんな―――――!!!!

 

「セブルス!!それは確かなのですか⁉」

「あなたも見ていたであろうミネルバ!吾輩は確かに解呪の呪文を唱えたのを!!」

「そしたらこいつは誰なんだよセブ先生!!」

「だから僕はロナルド・ウィズリーだよ!!!」

 

 

すったもんだの決着はぴしゃりとした一言で片付いた。

「さっさと真実薬を飲ませて質問しましょう。」

 

グリフィンドールどころか、近頃はホグワーツの才女の名をほしいままにしているハーマイオニー・グレンジャーの冷たい一言によって。

近頃の彼女はどこかロナルド・ウィズリー化している気がする。

彼の飛んでも発想が彼女の英知と合わさったらなんか怖いが、今回はその案は大広間の満場一致で受け入れられた。

騒ぎそうなロナルド・ウィズリー(仮)には、

「あなたもさっさと疑いを晴らしたいでしょう。」と冷たい一瞥付きでさらりと勧告。

どうやらハーマイオニーにとってもこのロンもどきが許せないようだ。

自分の知っているロンとおおよそかけ離れた未成熟なガキっぽいものがロナルド・ウィズリーを名乗るのが不愉快だと。

 

騒ぐ本人は丸っと無視して、セブルスは口に薬を突っ込んで飲ませた。

真実薬で言ったことはすべて真の事であり、仮にこのものが服従の呪文でこの大騒動を引き起こさせられたとしても、真実薬の効力で本当のことを話せるようになるのに、みすみす自分の無実証明を逃そうとしている馬鹿者にうんざりとしつつ。

本物の彼ならば、自ら飲んで騒ぎを沈めにかかっているだろうにと思いをはせて。

 

「信じられない・・」

「彼が本物だなんて!」

「「僕等のロニー坊やと似ても似つかないのに!!!!」」

 

 

五分後の大広間はお通夜の如くなった。

真実薬で聞いても彼の名前はロナルド・ウィズリーであり、-今は五年生-であるという。

では何か⁉彼は何かの拍子で未来から来たロナルド・ウィズリー出るのか?

一年後の彼は何かがあって馬鹿で未熟者になってしまうのか!!

その絶望感にあるものは怒り、あるものは悲嘆にくれて泣き出してしまい、それを慰めるもの、今から何とかしようと考える者様々であった。

当の本にをほったらかしにして。

 

「・・・なんだよ・・僕がロナルド・ウィズリーで悪いのかよ!!!」

「「「「「悪いに決まっている!!!」」」」

ロンの悲嘆にくれた抗議の声は、ものの見事に粉砕された。

ロナルド・ウィズリーがこんなものであっていいはずがないと、教職員席からも嘆きの声が上がっているのだ。

「・・待ち給え諸君、こ奴は先ほどからいくつか不可解なことを言っている。

質問の答えてもらおうウィズリー、先程-ハリー-はどこにいるとしきりに言っているが。」

「そうだよ!ハリー・ポッターだよ!!あんたが何でか嫌っている僕の親友だ!」

「・・・それは生き残った女の子の事かね?」

「は⁉あんたこそどうかしたのかよ!ハリーは生き残った-男の子-だろうが!!」

 

その言葉に今度こそ大広間一同が愕然としたが、

「成程、そういうことかね。」

「まったく、あれはいつもあり得んレベルで騒ぎを起こす・・」

「そうすると、あとはいつ戻ってくるかじゃのう~。」

「ええまあ、彼ならば戻ってくるでしょう。」どんなありえない手段を使ってでも。

 

何やら白髭大狸と、大蝙蝠が納得をして話を進めている。

-クイクイ-「セブ先生・・ロン・・どうしちまったんだよ・・」

 

話がさっぱりと見えない生徒一同代表で、ハリエットが泣きながらセブルスのローブを引っ張て尋ねる。

「はぁ~。」

ハリエットに極甘なセブルスは、四年生になっても小柄なままなハリエットを抱きかかえてあやすように導き出した結論を話し始めた。

「こ奴はおそらく-チェンジリング-だ。」

「それって、妖精の取り換え子ってやつか?」

「この場合は-異世界-のロナルド・ウィズリー同士が入れ替わったようだ。」

 

 

 

「「「「え――――――!!!」」」」」

「マー髭!!!!!!!!!」

 

ホグワーツの一同の声と、異世界人のロンの驚きの声はなんとためを張ったのであった。

 

 

今日は授業にならんじゃろうと、校長の鶴の一声で休校と相成った。

それからというものロナルド・ウィズリーはひっきりなしに質問攻めにあった。

話題は無論向こうでのことだ。

話聞けば聞くほど、向こうとこっちは果たしてどちらが平和なんだろうか?

しかしあちらのほうが平和だろう。

あっちはハリー・ポッターが集中攻撃を受けているのであって、こちらはホグワーツ総てが大変な事が多いいのだから。

しかしこのロナルド・ウィズリーはまったくもって頼りない。

何をこたえるのにも自信なさできょどきょどとして、すぐに赤くなって子供っぽい。

彼ならば、状況把握に努めていろいろと動いているだろうと思うと、ドラコとしては親友と同一人物だというやつに腹が立つ。

シリウス・ブラックを見ては驚き、ハリエットのことに驚き、何でもかんでもマー髭とうるさいことこの上ない。

今頃親友はどうしているだろう?これの話によれば、向こうの自分は酷く嫌な奴で寮も仲が悪いという。

向こうの事で困っていなければいいが。

 

 

 

そんな事をマイ天使に思ってもらっているとは露知らないロナルド・ウィズリーは元気に過ごしてたりする。

状況をさっさと理解した彼は、法廷劇後、不死鳥の騎士団の本部には行かずに行かず家で夏休みの宿題を終わらせた。

何度ハリーが誘っても「学生の本分は勉強だろう。」の正論一点張りで、ハリーを泣く泣く諦めさせた。

終わった後にようやくグリモールド・プレイス12番地にあるシリウス・ブラックの家であり、不死鳥の騎士団の本部にハリーとともに訪れた。

「遅いぞロン!宿題なんかほっておけ!!」

「そうもいかないけどロン、皆でやればいいのに・・」

出迎えてくれたシリウスとハーマイオニーのご機嫌斜めを宥めすかして、ロンはこの家の本当の主に挨拶に行った。

 

「初めてお目に掛る、Mrsブラック。俺の名前はロナルド・ウィズリーという。

この家に滞在する許可をいただきたい。」

右手を胸に当て、肖像画のヴァルガブルに礼を尽くす。

「・・・・お前何やってんの?」

玄関に永遠に飾られる羽目になった気狂いの肖像画相手に。

シリウス達はそんなロンに呆れた様子だが、ロンの方こそシリウス達に呆れた。

女主の肖像画に挨拶する礼儀もないのかと。

 

「・・こんな肖像画に頭を下げるのですか?」

ウィズリーは血を裏切る礼儀知らずぞろいのはずだがと、ヴァルガブルも訝しげに尋ねる。

「ここは貴女家でしょう、主に挨拶するのは当然だ。」

「・・・・分かりました、クリーチャー。このロナルド・ウィズリーには屋敷に滞在している間世話をして差し上げなさい。」

「・・・・・・・・・かしこまりました奥様・・・」

 

肖像画のヴァルガブルを一発で陥落させた後、後は平穏に過ごしている。

周りには肖像画の主のこと以外でもいちいち驚かれていた気もするが気のせいだろう。

今もちょっと騒がしいな、ホグワーツが始まったから来て、たかだが・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狸校長の片腕切り落としたくらいで騒ぐだなんて。




パソコンの調子が悪くようやく直って投稿できました。
外伝はあと1・2話で終わらせたいと思います。


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外伝ー平常運転ー

これぞうちのロナルド・ウィズリーです。


うるさいな、たかだが狸校長の-右腕-切り落としたくらいで広間が戦場のような大騒ぎだ。

こっちはプロテゴかけながら失血止めしてんのに。

ここに教授がいてくれたら一発でエピスキィーで血止めしてくれてんのに仕方がないな~。

 

「お前ら五月蠅いぞ!人を攻撃してくる暇があったらとっととじ・・・校長の傷治してやれ!!

マダムポンフリーかきょ・・セブルス・スネイプでもいいからやれ!!!

校長のプロテゴ外すから・・・そこのお前!その切り落とした腕に触るな!!呪いが移るぞ!」

「え・・・・ひぃい!!」

 

まったく、人様の忠告無視した馬鹿狸校長のせいでこっちは散々だ。

 

 

遡ったホグワーツ特急

 

「何が悲しくて監督生せなならんのじゃ。」

家に届いたホグワーツ新学期のお知らせと一緒に届いた所謂Pバッチ。

父さん母さん喜んでも俺的にはなんだかなだ、さっぱりとやる気が起きない。

「これって名誉なことなのよロン!」

もう一人の監督生に選ばれたハーマイオニーが張り切ってもそうなんだの世界。

名誉だ栄誉だなんて興味はミジンコ分もない。

 

「・・・あなたっ変わったわねロン・・」

なんだかハーマイオニーが悲しそうな顔してるな。

大方この世界のロナルド・ウィズリーならば大騒ぎをして驚いてしまいには大喜びをするタイプか?

監督生に選ばれなかったハリーも微妙な顔をしてみてるし、「責任がめんどくさい。」

そう言ってお茶を濁したけれども、いつのタイミングで俺がこの世界のロナルド・ウィズリーでないことを公表すべきか悩みどころだ。

それでも何とかなるだろう。

 

 

 

なんて気楽に考えていたのが甘かった・・だってマイ天使ドラコと同じ顔のやつが俺の事をすんごく敵視した顔してみてくるんだもん!憎々しげな瞳で見てくるんだもん!!

もう俺のライフゲージ一気に1まで減らされたよ!!!

「ふん!腰巾着の赤毛のウィズリーが監督生とは世も末だ・・・」

「ドラコ・マルフォイ!!!」-ガシッ!!-

「な!!いきなり何をする!!」

あんまりなドラコの言葉に思わず両肩つかんで止めちまったが!

「真の貴族がちっちゃなことでガタガタ言うな!品性が落ちるぞ!!

もっと自分を大事にして発言に気をつけろ!せっかくの美形が台無しだ!!」

「なん⁉」

 

されたことよりも言われたことに対してドラコ・マルフォイは固まってしまった。

品性だと⁉今まで自分に対してキャンキャンと吠えてきたやつが一体どうした!

それに・・聞き間違えでなければ・・・つぅ!!

「あ~赤くなって血色が良くなったか。

せっかくの美形も白を通り越して青白いのは勿体ないぞ、もっとたんぱく質を・・」

「うるさい!失礼する!!!」

 

ありゃ逃げられた。

せっかくホグワーツの汽車でドラコ・マルフォイに会えたのに、やっぱりあいつも別人か。

分かってるけれど地味に来るな~、この様子だとスリザリンに行ったら袋にされそうだ。

「次の車両の様子を見に行こうかハーマイオニー。」

 

今は監督生の初仕事、困っている新入生や、下級生はいないか、羽目を外して騒ぐバカはいないかを二人でチェック中なんだが・・「どうしたハーマイオニー?」

なんだかぼおっとしてる。

 

「・・・あなた本当に一体どうしちゃったのロン⁉」

「・・どうって・・」

「ドラコ・マルフォイ相手に美形って!品性って!!」ああそれか。

 

「まあ・・・ロナルド・ウィズリーも大人の階段を上ったってことで・・」

真っ赤な顔をして詰め寄るハーマイオニーにそういって見回りという逃亡生活が、汽車が止まるで続いた。

 

 

絶対におかしい!今のロンは私たちの知っているロンじゃない!!

何もかもがおかしい、最初はハリーと一緒に不死鳥の騎士団の本部に来なかったことだ。

いつもなら宿題なんてそっちのけで来るのに、その宿題を優先してきたのを皮切りに、ロンがしないことばかりをしている。

ハリーが言うにはロンが突然ハリーの家に来て守護霊を使ったところからロンに違和感があると言っていた。

でも彼がロナルド・ウィズリーでなければ、本当のロンはどこにいるというの?

分からないうちは大っぴらには動けない、ホグワーツについたらマクゴナガル先生かダンブルドアに相談をしないといけない。

もしかしたら、ロンを装った偽者が本物のロンをとらえているかもしれないから慎重に。

 

そう考えていたら!組み分けが終わったと同時にロンがあり得ないことをした!!

いつの間にか組み分け帽子を手に取って!剣が抜かれた。

あれは真のグリフィンドール生にしか抜けないって!あ!!!!

 

 

爺の右腕を見た俺は全部わかってすぐに行動をしようとしたがやめた。

組み分けの邪魔をしたら、入学式を邪魔してしまう。

気長に待って終わってようやくか。

組み分け帽子を手に取って俺は願った、-呪い事切り離す力があるものが欲しい!!-

それはグリフィンドールの剣を借り出し成功して、爺めがけて右腕の肘から少し上あたりから切り落としたら、周りが地獄絵図のように騒ぎ出してこうなった。

 

「まったく・・忠告を無視して・・」

ダンブルドアの切り取られた右腕を、グリフィンドールの先輩がうかつに触ろうとして叱っておいたが「インセディオ!!」-ボン!!-

呪いで黒ずんだ切り離した腕は塵も残さずに火で清め、焼けなかったゴドリックの谷からかっぱらわれてきたような指輪はバジリスクの呪いの血が付いたナイスな剣でぶっ壊した。

 

誰もかれもが自分をギロリと見てきて今にも攻撃してきそうな雰囲気だ、それでもこの爺には言いたいことがある!

 

「俺はあんたに忠告をしたぞ、死者はそっとしておくべきだと。」

幽霊でも会えるっていう指輪を嵌めるだなんて将来のこと考えような。

 




故ありてロナルド・ウィズリーがダンブルドアの死亡フラグラグを半分折ってみました。


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ー外伝ーただいま

お久しぶりです。
・・・終われるかな


冬は寒い、特にホグワーツの中は暖房器具が行き届いていないせいで寒さがしみる。

でも寒いのはそのせいだけじゃ絶対ない、なんで僕の部屋が一人用なのさ!

 

「ここがロンの使っている部屋だよ。夕食の時間とか日常の時間とはこっちとあっちじゃあまり差異はないみたいだから安心してね。

僕の部屋は君の部屋の右から二番目のところにあるから何か困った事があったらいつでも来てね。」

 

物凄くしっかりとしたネビルって違和感しかないよ。

いつでもおどおどとしてて僕達の後ろくっついていてドラコ・マルフォイに馬鹿にされているネビルが見たらきっと驚いて気絶しちゃうんじゃないかな。

 

でもそれよりも僕の方だよ!僕戻れるの、またハリーやハーマイオニーに会えるの?

父さんや母さん達に会いたいよ、フレッド・ジョージ、パーシーの五月蠅さにもう文句言わないから、僕の家族のところに会いたいよ。

 

目が覚めれば・・ホグワーツの天蓋付きのベッドだった・・・帰れないの。

とりあえず大広間の食堂に行かないと、お腹がすいていたらもっと悲しくなる。食べて気持ち落ち着きたい。

 

「よう!お前が向こうのロナルド・ウィズリーか。」

薄暗い廊下を歩いていたらいきなり声を掛けられるって酷くない?

どうせこっちの僕と違うって言いたい奴なんだろいるだけの「僕がロナルド・ウィズリーで何がおかしいんだよ!!」

もううんざりだ!こっちのロンはこう凄いとかどんなことでもできるとかおかしいだろ!

話だけ聞いてたらどこの英雄物語の主人公だよ!どうせ僕なんて・・・こっちでも一緒だ、ハリーとハーマイオニーの後をついているだけの何にもできないってドラコ・マルフォイ達に言われている向こうと。

声を掛けて来た奴の顔を見られなくて俯いて怒鳴って、こんな僕に呆れた声で何か言って早くどっか行ってほしい。

 

「いいや、お前はロナルド・ウィズリーなんだろう。だったらおかしなことはないだろ。」

へ?

「俺もロナルド・ウィズリーだよ。初めましてだな、向こうの世界のロナルド・ウィズリー。」

はぁ⁉

 

ロナルド・ウィズリーが帰ってきた!

もうそれだけの事でホグワーツ城内はお祭り騒ぎとなり、生徒たちはもちろん教職員どころか絵画・ゴースト・屋敷しもべ妖精たちに至るまで-ロナルド・ウィズリー-の帰還を一言でも祝おうと殺到して大広間は収拾がつかない大混乱の坩堝と化している。

今回の一件が城内だけの者しか知られていないのが幸いをした。

生徒、特にドラコを始めとした主だった生徒たちには箝口令を強行したのが幸いしてこの程度の騒ぎで済んで僥倖だとさえ腹黒校長ことダンブルドアはさめざめと泣いて喜んでいる。

外部に知られた日には、ロンの父親アーサー筆頭にルシウスどころか魔法省のキングズリー一団が大挙してきて大騒ぎになるのが目に浮かぶ。

ホグワーツの森の住人に知られた日にはロナンを筆頭にしたケンタロス達が押し寄せてきそうで怖い!

・・・死ぬ気で・・それこそシリウスにもがっつりとくぎを刺せてよかったぞい。

 

「どうして!どこ行ってたんだよ!!ロンの馬鹿!お前がいなくなっちまったら俺どうすりゃいいんだよ・・・」

ボロボロと泣くハリエットを膝に乗せてあやすのを皮切りに、親友・級友・友人たちが文句の言いっぱなしであってもロンは動じることなくもう大丈夫だと柔らかい言葉で対応をしているのをロナルド・ウィズリーはぼんやりと見ている。

 

こいつこんなにみんなに慕われているんだ。

 

ドラコ・マルフォイが言った通り、ロナルド・ウィズリーとドラコ・マルフォイは親友?なのか?

 

「ドラコ・マルフォイ!!!」

 

薄暗い廊下でいきなりこの世界のロナルド・ウィズリーに挨拶されて、驚いて固まったら手を引かれて大広間に来たら、いきなりロナルド・ウィズリーが大声でドラコ・マルフォイの名前を叫びながらすんごい勢いで抱き着いてた。

・・・マー髭って言ってもいいよね?

 

会いたかったぞ俺のマイ天使!!

「・・・ロン?君なのかい?」

「そうだぞ!俺はお前の事が大好きなロナルド・ウィズリーだ!」

ようやく帰って来れたんだ!抱き着いてプラチナブロンドの髪に頭擦り付けても罰当たらんはずだ・・当てた奴はぶっ飛ばす!

 

感動の親友同士の抱擁。いきなり抱き着かれたドラコはこの男が自分の大好きなロンだとすぐに感じ取り、静かに涙を流しながら力強く抱き返す。

「君は・・いつでも僕を・・・僕たちを心配させる・・」

物凄く心配したんだぞ。

 

ドラコ・マルフォイが泣きながら抱き返した、つまりあれは本物のロナルド・ウィズリー!

「ロン―――!!!」

 

その感動の対面を見ていないはずの大広間の外から大声でロンを呼ぶ女子の声が声が爆走しながら近づいてくる。

 

その女子はスリザリン寮を一歩出てから何かを感じ取り、パンジー達の制止を振り切って大広間まで爆走をして目当ての人物に頭から突撃を果たしてしがみつく。

「ロン!ロン!!・・・どこにも行っちゃやだよロン!!」

 

ハリエット・・こんなにボロボロ泣いて、仕方がないな。

「ほら女の子だろ?涙拭いて鼻かんで。」

 

そんなハリエットをなにくれと泣く面倒見ながら挨拶受けて三十分位したらようやく人が切れたところでみんなが来た。

「「ロニー坊や。」」

「君が悪い訳じゃないのは知っているけれど、」

「みんな心配をしたんだぞ。」

「「後でうんと僕達に遊ばれなよ!」」

うっへ~、ジョージ・フレッドが俺に激おこって初だわレアだわすんごい名・・はいごめんなさい。

ヘラヘラした気配出したらハリエット以外が怖えよ。

俺が悪い訳じゃ無いのに解せんぞ。

 

「ロン!!!帰ってきたか放蕩むす・・」ドゴーン!!!

 

馬鹿言いながら入ってきた駄犬にコンフリンゴ放った俺は悪くない、悪いのは馬鹿言いながら入ってきた駄犬と、横でクスクス笑いながら見ている変態狼のイラっとする気配が悪いはずだ。

 

「・・・君何しちゃってるのさ!シリウス大丈夫!!」

「ってってってって・・ああ大丈夫だ、いつもの挨拶みたいなもんだ。」

 

こっちのシリウス絶対変!なんで爆裂呪文くらってるのに痛いで済ませて怪我一つしてないのさ!してないのは良いことだけど絶対に変だろ!しかも気にしないって笑いながらロナルド・ウィズリーの頭撫でてるし!べしっとされても嬉しそうにしてるのって・・きもいよ。

 

「ロン君、どこか痛いところはないかい?」

「無い!無いからベタベタすんじゃねえ!見てないで助けてくれよ教授!!」

「ロン、今回ばかりは吾輩は助けんぞ。たとえその変態がお前に一日中べったりとしていても引きはがす気はないぞ。嫌ならば自力で何とかしたまえ。」

「それて超理不尽!今回は俺のせいじゃねえ!!」

「やった、セブルスのお墨付き!この後一緒にお風呂に入ろうよロン君~。お背中きれ~に丁寧に洗ってあげるよ?」

それこそ舌で嘗め回して隅々まで綺麗に洗ってあげるよ。

 

「いらん!いつまで人のお腹触ってるんだ⁉放せ!」

リーマス・ルーピンもロナルド・ウィズリーがチェンジリングしたのは堪えたらしく、帰還早々のロンにべったりとし、近頃はなりを潜ませていた変態っぷりを人知れずに遺憾なく発揮をしたが流石はロンで、リーマスの心の中の変態発言を敏感に感じ取り速攻で却下を言い渡し、引っぺがして自分とは違うロナルド・ウィズリーの方に向き直った。

ハリエットは膝に乗せたままなのは流石であるが。

 

「お前は明日には帰れる。」

何の確信があってかいやにはっきりとロンが宣言をする。

「それまではのんびりとしててくれ。」

優しいまなざしと声に、ロナルド・ウィズリーはただただ頷く。この数十分でロンの凄さが分かったから最早反論する気も起きない。

対応力の凄さ、交友関係の幅の広さ、どれ一つとして自分が適うことがない。

「向こうの世界大分変えたからその話をしよう。とりあえずヴォルデモートは黙らせておいたからもう向こうの問題は半分片付いたぞ。」

その凄い奴がなんか爆弾発言してきたんですけど!!一体何しちゃったのさこいつは!!

ヴォルデモート黙らせた!マー髭だよもう!!!!!!




次回で終わる!・・・はず!!


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-外伝ーこれにて幕だ幕

終わりです


マイ天使達に会えて、兄貴達にも揉みくちゃされてようやく俺の相棒に会えてようやく帰って来れた実感がひしひしとする。

 

「スキャ!元気してたか?きちんとご飯くったか、会いたくって寂しかったんだぞ。

「ちぃちゅう!ちゅう!-勝手どっか行って心配したんだぞ!もういなくなるな!-」

 

大広間でロナルド・ウィズリーに明日は帰れることを教えてやった後はライオンに変身をして速攻でスキャ探しをしてなんとクィレル先生のところで発見。

どうやら昨日の明け方から来てずっとこの部屋に籠りっきりだったらしい。

 

「彼と君が入れ替わった瞬間に来たようだね。」

 

クィレル先生が苦笑しながら教えてくれた。

そうか、俺じゃないと直ぐに分かってくれたのかスキャの奴!可愛い奴だ!!

 

一人の少年と一匹のネズミがお互いの頬を擦り合わせてラブラブなのはどうなんだろう、そしてそんなのを見せつけられてる僕はどうすればいいんだ?

 

「あのさ・・そいつって・・・」裏切り者のピーター・ペティグリューじゃ・・

 

言いかけた瞬間物凄い目でロナルド・ウィズリーに・・・ああややこしい!こいつでいいや。

こいつに睨まれたってどんだけスキャバースが好きなんだよ。

僕だってスキャバースが裏切り者だって知るまではそれなりに可愛がってたけど、ここまでじゃなかった。

適当に面倒を見てそれなりに可愛いとは思ってたけど。

こいつ中身知らないんだったら黙っとこ。

 

 

 

「俺のスキャになんか文句あんのかよ?」

「そんな言葉遣いしてママに怒られないの?僕がそんな言葉使ったらすぐに雷とゲンコツを落とされちゃうよ。」

「・・・・向こうでしょっちゅう怒られた・・」

「やっぱり?僕帰った時本当に大丈夫?」

「言ったろ?きちんと誤魔化してきたって。」

それっていい事なのかな?

 

「しかし、ベラトリックスをナンパしてヴォルデモートを封じるとはね~。」

「クィレル先生、そんなんじゃないって言ってんだろ。」

誤魔化す以前に・・・この状況もいいのかな?

クィレルって初めてのボスじゃないか!

しかも何でこの部屋に用事がいるの⁉

「お前は相変わらずぶっ飛んでいるの~。ナンパで敵を倒すとはお前しかできないじゃろうな~。」

・・・この子供本当の幼児なの?

 

スキャ探しの旅に出た時、ロンは同じロンを口に咥えてダッシュして、ロナルド・ウィズリーは放心状態でカオスな状況に放り込まれた。

行った先には元ボスがいたのにぶっ飛び、幼児が実はヴォルデモートだと知れば騙して飛ばしただろうが知らぬが何とやらだ。

 

裏切り者に初ボスに大人の言葉を話す謎の幼児ってどんな状況なんだろ。

それよりもベラトリックスにナンパって!それでヴォルデモート封じたってどうやったのさ!

ダンブルドアでも出来ないで、凄い大人たちだって束になっても勝てないってびくびくしてたのに。

 

ナンパ・ナンパって酷くないか皆して?

俺はただヴォルデモートの居るところに連れて行ってほしかっただけなのに。

向こうの狸校長ことダンブルドアの呪われた右腕をぶった切った後、色々とでっち上げて来たのは本当だけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

腕をぶった切った後は流石のハリーもハーマイオニーも目の前にいるのが自分達の知るロナルド・ウィズリーでは無い事に確信を得て杖を向け本物のロンをどこにやったと詰問をした。

 

もしも目の前の男がヴォルデモート配下の者でロナルド・ウィズリーを殺したと言ったら僕がこいつを殺してやる!

ハリーの目に殺気が宿り、じりじりと得体のしれないロンもどきに近づいていくのをハーマイオニーは杖を構えながらもハリーの前に立ちふさがりながらなんとか押しとどめる。

 

うん、これって全力できちんと誤魔化さないといけないやつだ。

 

ロンは持ち前の地頭をフル回転させてずっと考えていたでっち上げを披露した。

 

「俺は未来から来たロナルド・ウィズリーだ!」

 

別世界が通じるかどうかわからない、下手したら精神疾患疑われて病院送りにされるよりはタイムターナーの凄いのが未来で開発されて、逆行されてきたっていう方が通るだろう。

とにかくこのままの未来は悲惨しかないとでっち上げる。

ダンブルドアは亡くなり、ハリーは敗れ、希望の無くなった魔法界はヴォルデモートに蹂躙をされた。

英国の事なので他の国の魔法界はわが身可愛さに手助けはなく孤立無援となり、ヴォルデモートは暴君となりはてマグル・半純血のみならず、少しでも自分の意に沿わないもしくは気に入らない純血の者にも暴力振るい始め恐怖政治の日々。

レジスタンスとなった者達、のみならずヴォルデモートの恐怖政治により目が覚めた純血貴族たちもヴォルデモートの目をかいくぐりタイムターナーを改良して遂に完成をし!

 

「この時代のハリーの近くにいたのがロナルド・ウィズリーだから俺が来た。」

 

甘ったれで洟垂れだったロナルド・ウィズリーは、目の前で親友のハリーを無残に殺されたのをきっかけに今の自分になったのだと。

 

「俺は今度こそハリーの幸せを守りたいんだよ。」

 

この言葉に嘘はない、何故なら原作のハリーの終わり方は俺は大嫌いだからだ。

彼を支えた者、癒したもの、助けてくれた者達のほとんどが彼を庇って亡くなったのはハリーの心をどれ程傷つけたか。

俺の方のハリエットはそうならないだろう、でもこの世界のハリーは?

・・・助ける方向で行くかと夏休み中ずっと考えていた。

 

なので早速動く。

 

「そこのお姉さん、ヴォルデモート卿に会わせてもらえないですか?」

 

すぐさまベラトリックス・レストレンジを見つけて声かけた。

俺の話があまりにもリアルで、ダンブルドアに対しての忠告から鑑みられてそれなりに信用してもらえたので行動で示すことにしてちゃっちゃと行動。

やっぱり俺って動く方が性に合ってるは。

騎士団の監視の下、探してもらったベラトリックスに早速お声掛けして撒き餌中。

 

 

なんだいこの男は⁉あのお方の名前をこんな人前で平然と言うだなんて頭いかれてるのかい!

 

ヴォルデモート狂いで純血主義に命を捧げてるベラトリックスにまで呆れられたロンは、あまりのぶっ飛び思考を持て余したベラトリックスはロンの名前と居所を聞いて主にお伺いを立てにすぐさま走った。

当然ロンは偽名とうその居所を教え、尾行がついてきても無視してホテルに入りベッドでグースか居眠りを始める。

ベラトリックスに会う前に老け薬を飲んだので対策ばっちりで挑んだろうから何かしらの収穫あんだろう。

 

そしたら直ぐに返事来たよ、夕食のラウンジに何となく怪しいスーツの男居たからさっさか話にいってそのままヴォルデモートの所にご招待。

 

「お前は何故俺様に会いたかったのだ?」

 

「いや、ヴォルデモート卿ってどんなのかと思っただけ。」

やべえよこのおっさん、禿げてて目は蛇みたいでうちの先生とは大違い。

偉そうで尊大なのに全く偉大さが伝わってこないのってこいつ本当に凄いのか?

 

あっけらかんととんでもない事を言った目の前の男にすぐに殺意の渦が襲い掛かったが、そこはもうロナルド・ウィズリーで片づけてしまおう。

 

全方向から放たれたアバダケダブラもプロテゴ・ホビリタスを杖なしの無言呪文でやってのけて、はじき返されて周りが倒れ唖然としたヴォルデモートにズボンのポケットから取り出した-小瓶-を向け封じろと一言放つ。

 

これを使う時が来るだなんてな~。

邪神野郎の後輩で、俺の面倒をずっと見ていてくれる親切でお人好しの神様が無理やり俺に持たせてくれた一回限りのチートアイテム。

吸い込まれた魔法使いは「何故だ!何故魔法が発動せん!!」

もれなく魔法が使えなくなり、非魔法族・マグルと同じになる。

後は説明要らんだろう、脅威たるヴォルデモートがいなくなったのを突入の合図にして熾烈極まりない戦いを経て主だった幹部連中は捕まり、魔法省も今度こそ逃がさない厳重態勢の構築をダンブルドアと協議して内部では魔法が使用できない結界を施した建物を丸ごと作った牢にぶち込み終身刑。

 

下部組織も順調に壊滅しようと特赦出たシリウス・ブラックが張りきり始めたところで俺は連れ戻された。

目と鼻と口からありとあらゆるものを出したお人好しの神様に抱き着かれて有無言わさずに明け方のホグワーツ城内に。

 

俺そっくりの赤毛見つけたから声かけたらえらく卑屈なロナルド・ウィズリーで驚いたのは内緒にしておいてやろう。

 

向こうの説明を一通りしてやって、未来のロナルド・ウィズリーがしたことは何も知らない、気が付いたら月日がたったホグワーツ城内にいたことにしてもらう事にしてお開きにしたら、翌日にはいなくなっていた。

 

さて、向こうもそれなりに平和になるだろうし、めでたしめでたしでいいと思うぞうん。




強引に終わらせました。


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-私-

お久しぶりです。

ネタを纏めるのに時間かかりすぎのポンコツぶりですが、お見捨てなくよろしくお願いします。


冬のホグワーツの朝は矢張り寒い。

今年はイギリスにも大寒波が襲来をして今年は二割増しの大雪が降り、暖房器具のない中世時代の城そのままのホグワーツの外廊下は寒さ対策の呪文や炎を閉じ込めた携帯カイロを持っていない下級生達がバタバタと温かい大広間めがけて駆けていく。

 

大広間は相変わらずごった返して賑やかだ。

中でも一際賑やかなのはグリフィンドールのロナルド・ウィズリーの席辺りだ。

 

「ロン、もういらない。お前が食べてる間寝てていいか?」

「お前な、もう少し食べないと肉つかないぞ。。」

「そうよハリエット、もう少し食べないと大きくなれないわよ。」

「う~・・俺はロンの膝に居られればそれでいいよハーマイオニー。」

 

ただいまスリザリンのハリエットはグリフィンドールのロナルド・ウィズリーのお膝の上に出張中。

つい一昨日迄はロンがハリエットの事を構いつけなかったのが嘘のように、またハリエットを自分の膝の上に乗せて甘やかす日常に戻ってドラコ達はホッとした。

一昨日迄のハリエットは本当に見ていられない程にロンに構ってもらえないと悲しんでいた。

ハリエットはもう入学してきた時とは違い、友人・親友そしてなにくれとなく面倒を見てくれて愛情を注いでくれる三人のお母さんのような人達がいても、ロナルド・ウィズリーは別格なのだと思い知らされた。

もうこの二人を無理にくっつけようとするのは止めにしよう。下手な事で二人の関係にひびが入りかけて、今回は超イレギュラーな事で修復できたが次にそうなれるとは限らない。

修復できず、永劫の溝となった日にはおそらくハリエットが耐え切れずに心を壊しかねない。

それよりは今のままで温かく見守ろう、自然な成り行きが一番良いのだとハリエットを見守る者たち一同は昨日の深夜に規則を破っての緊急会議を称して出した結果を胸に刻み込む。

出席者は無論ドラコ筆頭に、なんと規則の鬼・規律の軍曹と呼ばれて久しいハーマイオニーもばっちりと入っている。

 

「大切なハリエットの事に、私が出なくてどうるのよ!」

 

グリフィンドールの才媛は獅子が吠えるが如くのたまい、サクサクと話をすすめさせた。

彼女はもう女ロナルド・ウィズリーと呼んでも良いよね。

 

「やっとハリエットが笑っているわねドラコ・・」

母その一のダフネは感極まった声で喜びながら目頭をそっと押さえる。ハリエットが笑っているのならばもうなんでもいいではないか。

「そうね。あの子はまだまだ子供なのねダフネ。私達の感覚であの子を急かそうとしたのが間違いだったのよ。恋愛も何もかもがまだ早かったのね。」

母その二のアミルもしみじみと言っている。

 

ハリエットは本当の心が育ち始めて漸く四年しか経っていないと言うのをつい失念してしまったとダイ反省をした一同を、ハリエットが驚かせた。

 

「あのさ・・あのさロン・・」

「うん?どうしたハリエット、何か食べたいのか?」

「違う!食べ物じゃない・・あのさ・・・そのさ・・」

 

言いたい事を上手く言えず真っ赤なグミのような顔をしているハリエットを、ロンはせっつく事無く食事の手を止めて黙って待つ。

何か余程重要な事を言いたいようだ。このまま一日でも二日でも待ってやる。

 

 

 

 

 

   「クリスマスのダンスパーティーに-私-と一緒に踊ってほちぃ!て!!」

 

 

噛んだ・・・重要な事なのに噛むって馬鹿か俺は!ほら見ろ!!なれない言葉なんて使ったから噛むし周りだって・・・周りはなんで静かなんだ。

 

 

今ハリエットは何と言った?

ダンスパーティーはどうでもいいですわ・・あの子自分の事・・

ハリエットが自分の事を・・

自身の事を

 

 

             

               私と言った!

 

 

上級生や教師陣の不意の沈黙に引きずられるように下級生達も黙り込んでしまい、喧騒響く朝食の席に沈黙が降りた。

一人称を変えたくらいで驚かれる。それ程までにハリエットは頑ななまでに自分の一人称を俺で通してきた。

一年目はハリエットの境遇ならば言葉遣いくらいはと見逃していたお母さん達も、二年目あたりからハリエットも女性なのだからと言葉遣いをゆっくりと教えようと頑張ってきた。

その甲斐あってか多少は乱暴だが言葉の端々に丸みを帯びて、男言葉も激減をして女の子らしくなってきたが、どうしても俺と言うのをやめさせることが出来なかった。

 

女だと弱いから

 

女は力がない、馬鹿にされる、男たちに虐められる

付け入る隙を与えない為に必死に生きてきた頃の心の傷がそうそう無くなる訳もなく、今でも自分を女だと受け入れるのを怖がっている節がある。

弱い者は踏みにじられると深層のどこかで怯えが残っているのならば、それこそ無理は禁物だとロンがそのままでいさせることにした。

 

同室のダフネもアミルも三年目の夏休み直前の出来事を目の当たりにしているのでロンの言う事に賛同をした。

三年目の夏に、ハリエットに月のものが来たのだ。

朝目を覚ましたハリエットはいつもと違う体のだるさを覚え、お腹が痛いと起き上がれずに、心配をしたダフネとアミルがマダム・ポンフリーの所に連れて行こうと着替えをさせている最中に、ハリエットの下着の血に気が付いた。

ハリエットは同年齢よりも痩せており月のものの血も極少量で見逃されそうになったが、ダフネ達が幸いにも気が付てすぐに対処が出来た。

新しい下着に交換をさせよとハリエットを促そうとした時、ハリエットの顔を見て愕然とした。

ハリエットの瞳には怯えと戸惑いがない混ざり、涙をぽろぽろと流しているではないか!

二人はハリエットが月のものに驚いたと思い急いで説明をしようとした。

ハリエットの周りにはきちんとした性教育をしてくれるしっかりとした身内の大人の女性はおらず、和解をしたダーズリー夫妻の叔母も、もしかしたらそこまで踏み込んで教えていないのかもしれないと危惧をしたのだが違った。

ハリエットはダンブルドアの手筈でマダム・ポンフリーからきちんと教わり、叔母からも対処となった時は必ず教えるようにと言われているという。

ならば何故泣くのか?

 

「だって・・俺・・弱い女になっちまう・・」

 

自分の身を守ることもできない女になってしまうと本気で怯えていたハリエットが、今ようやく自分を-私-と言って、異性であるロナルド・ウィズリーにダンスパーティーに誘いをかけている!これ程目出度いことがあるか?嫌ない!!

 

「ハリエット・・ハリエット・ポッター。謹んで受けさせていただく。

その日のダンスパーティーを人生最高のものにするとロナルド・ウィズリーの名に懸けて誓う。」

 

様々な思いの込められた-私-を受け取ったロンは、今までで一番の優しい微笑みをハリエットに向けて厳かに受け取ったのであった。




外伝パニックの余波がここで働きました。
いつもいる人がいつでも側に居るとは限らないとハリエットは思い知り、ロンに対する様々な自分の思いを考えた結果、自分はロンの側に居たい・ダンスパーティーもロンが他の人と踊るのは嫌だとようやく思い至っての告白でした。


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外伝-ロナルド・ウィズリー騒動後始末-

お久しぶりです


もう僕の口からはマー髭しか出ないけど赦して欲しい。

だってさ、あんなに僕とは違いすぎる、俺一人称の僕と会ったんだからしょうがないよね?

 

 

とある五年生の夏休み、僕等は普通にホグワーツ特急でそれぞれの家に帰っていった。

その前にあった三大魔法学校対抗試合のせいで、ハッフルパフのセドリック・ディゴリーが死んで、-例のあの人-が戻ってきた。

ハリーの言葉を僕は信じる。ハーマイオニーだってグリフィンドールの皆だって信じたのに、大人は半分以上は信じなかった。あの魔法大臣ですら怯えたようになって喚き散らして。

 

夏休み期間を少し過ごしたら、ダンブルドアの不死鳥騎士団の本部の行くって父さんが言ってたその日の夜に、僕はマー髭だらけな事になって・・・今とっても困ってる。

こっちのロナルド・ウィズリーが戻ってきて、僕は初めてスリザリン寮に招き入れられた。

一度入った事はあるけど、あれはポリジュース薬でゴイルに変身してなので、今回きちんと入ったの初めてだ・・・・そもそも他寮に入る事自体がおかしい気もするんだけど、そこは突っ込まないでおくほどの賢明さは流石に発揮した。

 

「俺と入れ替わって随分戸惑ったろ。俺もさ、向こうのドラコ・マルフォイに物凄く冷たくされた時死にたくなったわ。」

「僕なんて・・・ドラコ・マルフォイに物凄く親しげにされた時さ、あ~彼が悪いんじゃないのは分かるよ?でもさ、物凄くその・・」

「向こうの俺とドラコ・マルフォイは犬猿の仲だったな。俺だってそんな奴がいきなりフレンドリーかましてきてた吹っ飛ばすな。」

「其れって相手死んじゃわない?」

「お前は存外真面目で優しんだな~。」

 

僕が?ハーマイオニーからはハリーと同じで何でもかんでも規則を破りたがる癖がある撃て謂われている僕が真面目って・・「君が物騒過ぎるだけだよ。」

そう反論しても、こいつはそうかもなってヘラりと笑っておしまいだ。

「あのさ、向こうで色々とやらかしたんだろ?僕は戻った時どうすればいいのさ?」

「あ?どうって、普通にお前らしくすればいいんじゃねえの?争いの元はもういないし、ハリー・ポッターを目障りにしようとしてた魔法大臣とその周辺の屑共も掃除してきたから風通しは良くなってると思うぞ?お前の残りの学園生活普通に満喫すればいいんだよ。」

「それでいいのかな・・・」

 

こいつは大活躍してる中、僕は何がどうなっているのか分からないで騒いで終わり・・あまりにも惨めじゃないか。

僕はどこに行っても主役にはなれない。精々ハリーとハーマイオニーの後を追っていたに過ぎないのかと思うと嫌になって来た。

向こうに戻っても、こいつの功績を並び立てられて、将来の僕はそうなるのだから頑張れって的外れな葉っぱを周りからかけられうんざりとするんだろうな~。

 

ロンは向こうに戻った時の事を考えると嫌になり、いっそここに居させて欲しいとまで思ってしまった。

向こうに戻ればきっとそんな煩わしく、自分に出来たい事を要求されるのが嫌で。

そんなロンの厭世感を感じ取ったのは意外にもロンに侮辱され怒り心頭に発したドラコであった。

 

彼としては、この手合いにとっても慣れている。ロナルドウ・ウィズリーが動いた事によって敗北感を味わってきた人間を山ほど見て来たからだ。

例えばロンが子供の家を作った事で、シッターとしての職を失った者達が列をなしてマルフォイ家とブラック家に窮状を訴えて来た。

子供の家のせいで働き口が無くなった事、自分達の誇りある仕事が失われ自分達は不要なのかと嘆く者を見て。

 

やり方は違えど経験はあるので子供の家で働かせてくださいと言えばいいのにと、窮状を訴えおろつく者達を横目で見ていた。

しかし父達の対応は違っていた。まずは訴えを聞き、苦しかったろうと労わっていた。

話を聞き合いずつを打ち、合間合間に助言を入れて、何時の間にか窮状を訴えていた者達は父の話をきちんと聞き入れ、否定していた子供の家のスタッフになる事になっていた。

「これが大人の話し合いって奴だ。」とか、シリウス等は鼻高々に自慢してきたが、その通りになっているので一応は頷き、上に立つ者たるものこそ偉そうに物事を押し付けるものでは無いと学び、幾人か自分でも台頭させてもらった。

 

其の力が今役に立ち、自信喪失してしまったロナルド・ウィズリーの話を熱心に聞き出した。

聞いてみればなんとも卑屈の塊で、我らが親友殿と何という違いなものかと呆れ果てたが、貧乏子沢山の六男ともなればこんなものかとも納得する。ようはこちらの親友の方がおかしい・・ゲフンゲフン!前向きなのだと。

しかも親同士が過去の諍いを子供に吹き込み、光の陣営と闇の陣営があるとか・・ジャパニーズのヒーロー番組でもあるまいし、そんな明確な敵対組織を浮き彫りにしているのだから始末に負えない。

言われた方にそこまで明確な悪意が無くとも、追い詰められてその気になってしまった感が強すぎる・・・・僕はこの世界に生まれて幸せだ。

 

「其れならばこうしよう。」

「どうするの?」・・・・・人が話す前に応え奇行とするとはこの子供は物凄く幼すぎやしないか?

とは言え聞く気があるだけ良しとすべきか。

「向こうでロンは悲惨な未来から来たとでっち上げたと言っていただろう。」

「おう、大半は天下とっても満足しないヴォルデモートの癇癪に触れて殺されちまって、他の生き残りは闇陣営の愚かさ知って目が覚めて、超強力なタイムターナー作って、悲惨な未来を一つでも減らそうとしたってでっち上げて来た。」

「それを利用しよう。」

 

え?どういう事?

 

 

 

「・・・ン・・・ロン!!」

「わぁ!!・・・・ハリー⁉ハリー!!!」

「あぁロン!!君が戻ってきてくれたんだね!!!良かった!!本当に良かったよ!」

「・・・良かったって・・君僕が戻ってきて嬉しいのかい?」

「当たり前だろう!僕の親友は君じゃないか!!」

「え?だって-未来の僕-は凄かったんだろう?」

「ロン!こっちで何があったか知ってるの?」

「うん。未来で作られたタイムターナーは、入れ違う時に時間を少し止める効果があって・・・」

 

向こうのロナルド・ウィズリーとドラコ・マルフォイから入れ知恵されたロンは、そのまま教わった設定で話を進めた。

 

未来では誰も光の陣営だの闇の陣営だの口にせず、出来る者がタイムターナー作りに勤しみ、出来ない者はそれを詰られる事無く他の事をして食いつないでいけるように生き残った者達は兎に角団結していたと。

魔法使い達も、闇の陣営とはっきり目されるものがマグルを非道に扱おうとするのを裏で攻防戦をし、助け合って生きていたのだと。

 

それを見ていたら、ホグワーツという小さな城の中でさえ子供同士が偉そうに光だ闇だと本当の意味で知りもしない事をさも訳知り顔で言い合い、罵り合っているのが馬鹿らしくなって嫌になったと。

 

「・・・なんだか、未来のは悲惨でもここよりも皆仲がよさそうだ・・」

命の危険はあっても、少なくとも心がギスギスし合っている今の現状の方が悲惨だと、聞いていたハリーにも思えて来た。

「だからさハリー・・・・未来の僕みたいに凄いことは出来ないけどさ・・その・・」

「そうだね、少しずつ僕等自身から変わってみようか。」

何となくロンの言いたい事が分かる程付き合いの長いハリーは、しどろもどろなロンの言葉をきちんと拾い上げ理解し、その提案に賛同する。

賛同するが釘は刺さないといけないよだが。「僕が大好きで親友なのは今目の前にいるロン、君なんだよ。」

「ハリー、いいのかい?こんな頼りなくて焼きもち焼きだらけで、役に立たない・・」

「何度も僕を助けてくれた。去年は焼きもちのせいだけど、僕がおかしなことを言っても信じてくれた。一緒に冒険した君が僕の親友なんだよロン。」

「ハリー・・うん、うん・・」ハリーの言葉が嬉しくて、ロンはボロボロと泣きながらハリーに抱き着き、ハリーも邪険にせず受け止める。

「さぁ、ハーマイオニーに会いに行って、今決めた事を彼女にも伝えよう。こういうことはハーマイオニーの方が・・・・・まぁ屋敷しもべ妖精の件は兎も角さ・・」

「その事なんだけどさ、向こうの僕が止めさせたって聞いたけどどうやったの?」

ロンの質問に、ハリーはなんとも言えない顔をしながら教えてくれた。

 

彼女は去年から、何を考えたのか屋敷しもべ妖精の待遇改善を世の中に要求して、当の屋敷しもべ妖精の怒りまで勝ってもやめなかったというのに。

「丸一日彼女を何もない部屋に放り込んだんだよ。」

 

食事と水分補給できて簡易トイレがある部屋に、教科書も筆記用具も杖も全部取り上げて。

彼の言い分はこうだった。「屋敷しもべ妖精が、無償で働くのがおかしいんだろう?だったら俺は、体を壊す程に勉強しても何も要求しないハーマイオニーもおかしいと思って取り上げたんだ。ハーマイオニーが屋敷しもべ妖精の為を思って活動してんだから、俺もハーマイオニーの体の為を思って勉強をさせない。これで御相子だろう?」

 

勉強が出来ない事に大泣きしたハーマイオニーに告げた沙汰が、あまりにも理不尽で無茶苦茶で非論理的であったが、相手の言い分も思いも聞かずに、他者の思惑を理不尽な形で押し付けられた場合意の苦痛を、少なくともハーマイオニーは身をもって学ばされ、その足で屋敷しもべ妖精に、自分の行いがどうかと尋ねさせられ、彼等の不満を大いに聞いたハーマイオニーは、その活動をすぐさまやめたのだ。

少なくとも屋敷しもべ妖精本人には。

ようは本人が好きでやっている事を、他者の勝手な思いで嘴を突っ込まれる事の不快さがどれほど苦痛となるかを教えたかったらしい。

 

「やるんだったら劣悪な環境過ぎると思ったところにやるんだな。」

例えば人体実験紛いとか、体を欠損させるまで仕置きするところとか。「それを取り締まる地位につくまで少なくとも押し付けるような活動は単なる迷惑だぞ。魔法省の魔法生物譚とになって、禁止条項作れるようになってからやれ。」と、超具体的な案まで出されてぐうの音も出なかったのだとか。

 

・・・・ハーマイオニーも苦労したんだろうなと、ロンは本気で同情した。あのとんでもロナルド・ウィズリーに目を付けられたばっかりに。

とは言え、そんな目に遭ったハーマイオニーならば、程の良い改善案を作るのに手を貸してくれよう。

 

 

原作の方も、とんでもロナルド・ウィズリーに影響されたドラコ・マルフォイが、正統派ロナルド・ウィズリーに助言を与えた事で、とんでもロナルド・ウィズリーショックがまだ効いている内にホグワーツ城内の人同士の繋がりの関係改善策を実施した。

 

他愛無い挨拶から、困っている下級生を寮別なく助ける事から始まったそれは、意外にもスリザリンのドラコ・マルフォイも少しずつだが受け入れたのが功を奏し、予想よりも早く広まりを見せた。

 

彼もまた、とんでもロナルド・ウィズリーから言われた事が忘れられないのだ。

-真の貴族がちゃちな事でガタガタと言うな!品性が落ちるぞ!!-

-もっと自分を大事にして発言に気を付けろ!せっかくの美形が台無しだ!!-

 

本当に自分を案じていた声音に、否定してせせら笑おうと舌が出来ずに恥ずかしくって逃げ出したあの時の事が。

 

真の貴族・・・僕は聖二十八一族の・・・・違うか、彼が言ったのはそんな小さな事ではなく、連綿と続く家柄の事を言ったのだろうか?伝統ある家の者が小さな目先で争い、遂には悲惨な未来を招いたのであれば・・・僕も愚か者の儘でいいのか?

 

父に言われるままに何となくヴォルデモートを辛抱し、スリザリン至上主義で、よく分かりもしないマグルと混ざり者達を馬鹿にしてきたが・・・その先に地獄が待っていれば話は別だ。

 

彼は虚栄心と尊厳は高いが愚か者な馬鹿ではない。地獄が待っている世の中にすみたいという愚か者で決してなかった。ヴォルデモートが始末されたのもまた良い方向に働き、理不尽な力の前では陣営争いだのの愚かしさを父もまざまざと見せつけられ、目が冷めかけらるとか、母からのフクロウ便で知っている。

これをきっかけに彼もまた、積極的に受け入れないまでもマグル生まれとハーフの子達を少なくとも差別することは無く、すみわけはすれども溝を作らない道を模索し、後の世に、マグルとハーフと純血の者達の程良い距離を作った功労者として称えられることになる。

 

とんでもロナルド・ウィズリーの置き土産が、原作も程の良い未来へと導けたようだ。




他作品との兼ね合いと、今後どうしようかとプロットに躓き更新していませんでした。

外伝の方も終わりが片手落ちな気がしていたので、リハビリがてら原作の方もよい方向にして示させていただきました。
不定期更新となりますが、週に二度は更新できるように頑張ります。

目指せ本編の方も幸せエンドに( ´艸`)


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幸せな朝の一幕

お久しぶりです


俺の今学期の悩み、それはこの魔法学校・ホグワーツに入学して四年間での中でも一番の悩みが解決されて、久しぶりに朝の寝覚めがすっきりとしている!

うん、やはり人間は悩み続けるでけることはよくないな、俺にはもう怖いものなど何もないのだ。

さあ!さわやかな一日の始まりだ。一週間後はハロウィンで、確か三大魔法学校対抗試合で、魔法ではなくクイディッチを通して勝ち負けよりも、放っておけば疎遠になりがちな魔法学校同士の交流のために北欧からダームストラングが、西欧からボーバトンがくるんだったかな・・・多分。

駄目だな・・・・俺この辺うろ覚えもいいとこなんだよな。-ハリポタ-は三巻までは楽しく読んでて覚えてたけど、四巻から話多くなりすぎて続き気になるから流し読みで、興味あったところしか覚えてねぇし、原作の俺だったらダームストラングにいながらもクイディッチのプロで食べているビクトールってやつに熱狂するんだろうけど俺的にはぶっちゃけ興味ないしな・・

まぁそもそもが、四巻ラストで復活するはずだったヴォルデモートが復活(?)して、今は三歳児でになってネフライトと名乗って普通に生活(監視付き)している時点で原作の時間軸しっちゃかめっちゃかになってるからもう気にせんでいいのかな?

 

 

三巻から出るはずの駄犬ことシリウス・ブラックが初端からいて、そもそもがさっさかと良い人枠にルシウスさんが来た時点で原作ぶっ壊れてたんか・・・・まぁいいや。

この世界の最大のラスボスになる筈だったヴォルデモートはもう立派に改心してるみたいだし、狸校長も最近は本当の意味で好々爺を目指してネフライトのところでお茶会して、過去-トム・リドル-を救うことを端から諦めて、疑って監視して就職の邪魔をした果てにヴォルデモート卿を生み出してしまったかもしれない事を悔いてるみたいで、邪神野郎も近頃は大人しいと人の良い神様も言っているし、俺の最大の悩みも消えたし未来は明るいぜ!!

 

・・・などと一人部屋であり周囲の目を気にしなくてよい環境の中でロナルド・ウィーズリーはベッドの腕で無駄にガッツポーズを決めいたりする・・・・パジャマ姿で。

 

ロンは数週間ずっとあることで私生活を悩まされ続けていた。

それは一年生の時のハリエット騒動よりも、二年生の時の魔法生物の大蜘蛛による学校襲撃事件よりも、三年生の時のフェンリール・グレイバックによる一年近く続いた騒動の時を大きく上回ること、それは・・・・三大学校対抗試合の合間に入れられる予定のダンス大会のパートナーについてだ!!!

 

もう本当のその件に関しては辛かった!体力や肉体には何ら影響はなくとも、精神ががりがりと削られる体験なんてあれが初めてのことだった。

初めは俺よりも上級生か、同級生達のパートナーの申し込みだけだったのが、何かこの人とは違うなという軽い気分でお断りしていたら、何故か下級生の女の子にまでパートナーの申し込みをされてきた・・・・それも頬を染めて言ってくるもんだから、俺の事を実はロリコンなのではないかという全く身に覚えのない疑惑を向けられたのが超辛かった!!

待て!俺は真っ当だ!!前世も含めてあまり色恋してこなかったが、間違っても少女・幼女は保護対象で、恋愛感情はゼロだぞこら!!

向こうだって気のいい近所のお兄さんと踊れたらいいかなとくらいのはずだろう!

 

その上ダンスパートナーお断りしていることを何故か口出ししてきたハリエットにカチンと来てしまって冷たい態度とっちまったし・・・・もう嫌だ、これもそれも全部いきなりイベントぶち込んできた狸校長が悪いんだと落ち込んでどん底の時に-色々-とあって、そのおかけでハリエットと無事に仲直りできて、そしてあいつからダンスパーティーのパートナー申し込みをしてくれて、嬉しかった。

どんなに周りが言っても頑として自分の事を俺と言い続けていたハリエットが、-私と一緒にダンスを・・-と言ってくれたことが。

あいつは口が悪いだけで自分の事を俺と言い続けていたわけでは無く、自分が女の子であることをどこか嫌っていたのは気が付いていた。

それはどん底の中で、弱いことの象徴であることのように思えていたんだろう。自分が潰されない為に、壊れない為に必死に生きていく為に心に覆った鎧だったのかもしれない。

その鎧を、自ら取り払って自分の事を私と言って申し込んでくれたのだ。

すごい勇気だ、周りから助けてもらえるようになって優しくされ、遂にはダーズリー家と和解するに至ったとしても、長年自分を守るために付けていた鎧を、自らの心の力で脱いで見せてくれたんだ・・・あの勇気に応えたくて、俺はハリエットの、ハリエット・ポッター女史の申し出を全身全霊を以て受けさせてもらった。

これをきっかけに、-彼女-が一人の人間としても、女性としても優しくて暖かい幸福な一歩を歩める手助けをできるならと。

 

「なぁスキャ、女の子には何を贈ったら喜んでもらえると思う?今迄みたいに食いもんだけじゃダメな気がするんだよ。」

 

ロンの起床してのいきなりのガッツポーズにも呆れずに、ロンが寝ていた枕もとで優しく見守っていたスキャバースに、コロンとまた寝っ転がって論は真剣に相談し始める。

 

ふつう長年近くにいたペットとは言え、ただのネズミに何聞いているんだと頭の中身を疑われる事を平然と聞いている。

何故ならば

 

「チ・・チュウ・・-は・・花とか・・-」

「あ~それはもうネビルがあげてるんだわ。毎日でなくとも部屋に飾るようにって。」

「チウ!・・・チチチュウ?-なんと!・・・花のコサージュは?-」

「ん?なんだそれ、花を乾燥させて細工でもすんのか・・・ハリエットにばれないようにネビルか女性陣にこっそり聞いてみるか。

そうだ!あいつのドレスが決まってから用意しよう。そうだな、俺とお揃いになるようにすればパートナーらしいか!どうだスキャ?」

「チウ!!-それがいい!!-」

「そうか!賛成してくれるか!!いいアイデアありがとうなスキャ。」

「チチュウ-お安い御用-」

 

・・・・平然とこの一人と一匹は意思疎通が可能だからだ。

スキャことスキャバースは確かにただのネズミではない。とはいえ特別な魔法生物でもない。

中身はそろそろ四十代のくたびてた人間おっさんが魔法でネズミに化けたアニメ-ガスであり、世紀の大犯罪の一人と目されている、魔法界きっての裏切り者・ピーター・ペティグリューである。

なんの因果かネズミに化けてロンのいるウィーズリー家のペットとなっていたところをロンに偽ネズミとばれて、いつ正体を大勢の人の前で引っぺがされるのかと戦々恐々としていたのが噓のように、今では自他ともに認められるラブラブな二人である。

ロンとしてはこいつはもう一生スキャバースでいるんだから愛でる事に何の文句があると、ピーターも最早人間時代に未練はなく、ポッター夫妻を裏切ったことを悔いながらも、ロンの傍らで生きていく事を望み、今もベッドで寝転んでお互いの鼻先をこすりあってじゃれあっている。

ロンの一人部屋は南東に位置して朝日が早く入って部屋を照らす。

陽光の中、一人の男の子と一匹のネズミが仲良くじゃれあっている。

 

ハリエットと仲直りできてスキャとこうやっていつものようにいられる・・・邪神野郎も大きな手を打つ-駒-もなくなってるだろうし、いいことずくめだ。

 

ロンの考える駒とは、原作のヴォルデモートとその配下たち、各巻に出てきたクィリナス・クィレルやバジリスクなどの中ボス・ラスボスを差し、目ぼしい主要敵キャラはアズカバン行きになってたりこっちに来たりでいないはず。

 

「今年は・・・いや、俺が油断さえしなけりゃもう大事件も起きないだろうな・・」

 

そんな言葉がポツリとロンの言葉を、スキャバースもロンの言葉にこくりと首を縦に振って同意する。

何故ならばこちらはアルバス・ダンブルドアをはじめすごい大人揃いで、権力を持った人達が大勢味方をしてくれている。それこそこの学校から魔法省の闇払い室の一部門の総力、そして禁じられた森のケンタウロス達も、蜘蛛襲撃事件でともにこの学校の子供達をともに守っていらい、ある程度俺たちを気にかけてくれているようで、時折森の近くを散策して、迷子になった子を背に乗せなくても一緒に校舎近くまで付き添ってくれている程に友好関係が出来ている。

 

だからきっと大丈夫だというロンの言葉を、スキャバース何度も首を縦に振って頷くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ一言

 

「ハリエットに好きな奴が出来て、結婚する時のお祝いもお前に相談するわ。」

 

・・・・この言葉だけにはどうしても頷けないスキャバースであった。

 

ぶっちゃけとっととお前とハリエットはお互いは好きあってるんだと自覚しろと、心の中で突っ込んでるのも内緒である。




今宵ここまで


この物語のゴールは決まっていたのですが、過程をどうするか悩み不義理をしました。
そんな中、読み続けてくださった皆様、新たにお気に入りに登録していただいた皆様ありがとうございます。
気がつけば千人以上となり、筆者としては嬉しく励みなまりました。
過程も定まったのでまた更新させていただきます。


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憂鬱な朝の一幕

心配だ・・ああこれほどまでに心が重い日が続くのはいつ以来か・・

闇の帝王が存命で、イギリス全土を闇で席巻していたあの頃が懐かしい。

別に他の者たちと違ってヴォルデモート卿に心酔していたわけでは無い。

あの者の思想などよりも、闇の魔術の虜になってデスイーターになって思う存分に力を奮ったあの頃が懐かしい。

 

予言などというくだらないもののために人生のすべてを棒に振った愚か者などどうでもいいがのだが、まかり間違って復活謎されるのが恐ろし。

-アレ-はどのような外法を使ってでも、己の命を繋ぎとめようとするような執着心を時折見せていたのには背筋が凍る気がした。

己がダンブルドアを下し、己の思想を蔓延させる事こそが、すべての魔法族をやがては幸福に導くなどと‥‥馬鹿馬鹿しい。闇の魔法にどっぷりとつかり、大勢のマグルどころか同族達を蟻のように踏みつけて殺したものが考える事ではないだろうに。

そんな気狂いに付き合わされて自滅するのはごめんなので、アレが消えると同時にすぐにデスイーターたちに見切りをつけたのは賢い選択だった。

 

少なくともあと二十年・・三十年もすれば帝王の復活や生存説も消え果てる。

その時にこそイギリスの土をもう一度踏もうと思っていたのを、アルバス・ダンブルドアめ、余計なイベントをもち掛けてきたものだ。

未だにイギリスのどこかであれが生きているという噂が絶えない・・・・いやもうぶっちゃけると、闇の帝王生存説はそこまで自分にとってはどうでもはよくないがイギリス表敬に際しての憂鬱の種ではない・・・・・-噂-のホグワーツに、行かなければならないのが本当に嫌だ・・・・あの噂通りならば、おぞましい事件の数々を引き起こす場所などに連れて行って、うちの生徒達は無事に帰れるのだろうか?

誰一人かけることなく、心身ともに無事に帰れる保証はあるのだろうか・・・それを考えると・・・・・「今から断ったら駄目だろうか?」

 

北欧の魔法学校、ダームストラング専門学校の校長イゴール・カルカロフは、朝っぱらから暗い顔して溜息をつく。

闇の力の虜にとなり、ヴォルデモート勢力にどっぷりはまりながらも、闇の勢力にとっての力の根源ともいえるヴォルデモートが消えると同時に保身に奔り、バーテイ・クラウチ・ジュニアらを始めとした知られざるデスイーターの仲間を売って司法取引をし、結果今の地位にいる男の顔は翳が差していた。

アルバス・ダンブルドアが、ホグワーツ・ボーバトン、そして自分のダームストラングの三校でクィディッチで交流を図ろうと提案してきた時から拭えない翳が。

 

 

イギリスに行くのは別にいい。ヴォルデモートが消えて以来、自分の腕にある闇の印が一度としてして疼くことはなく、であれば北欧にまで届いてくる闇の帝王生存説は薄いのではないだろうか推察ができる。

あの御仁であれば、復活をするのならばそろそろしている頃合いだろうし、勢力を取り戻す為に秘っして復活したとしても、この印が反応しないわけがない。

しかしそれはこの十数年間一度としてそれはなかった。

この夏にイギリスで行われたクィディッチ・ワールドカップで起きた馬鹿な騒ぎの時でもだ。

闇の印が打ち上げられこそすれ集まるように指示されるあの印が腕を焦げる事は終ぞなかった。

であるならば、やはりアレは消えたのだろう。

ならば意気揚々とはいかないだろうが、堂々とホグワーツに行けばいいだろうと思えばいいのだろうがそうもいかない!

今イギリスの魔法省に忍び込ませている自分の手の者達から、あの学校は本当にやっばいところだととの報告がこの三年間に何度入ったか知れない。

ヴォルデモートがいつ復活しても分かるように、イギリス魔法省に手の者を潜り込ませるのは当然のこと・・・・なのに何故ヴォルデモートではなく、ホグワーツ恐ろしいの報告を受けねばならないんだ。

 

始まりはヴォルデモートを消し去った、-生き残った女の子-ハリエット・ポッターの入学をつかんだがその年は別段何事もなかった。

問題は次の年からだ!ホグワーツ城が丸ごと魔法生物アクロマンチュラにの群れに襲われましたとはなんだそれは?

その少し前にはあの学校の創設者の一人であるサラザール・スリザリンのペット(?)のバジリスクが見つかりましたの報告でもひっくり返りそうになったというのに、そんな大ごとが平時に起きるなんて信じられん!あそこの学校管理は一体どうなっているんだダンブルドア!!

そんな危険生物、見かけたら即排除だろう・・・・・それを禁じられた森番の男が万人の役割せずに自ら飼っていたなどと・・・眩暈しかしない。

その後の続報では、あの城の危険性に気が付いた魔法省・闇払い部門が率先して白の見取り図を作り、どうにかまともに管理できるようになったそうだが・・・生徒を連れていくには矢張り不安だ。

ホグワーツの内部事情を知る為に、手の者に闇払い局で誼を通じている者に話を聞くように指示だしすれば・・・出てくるのはぞっとしない話ばかり。

吹き溜まりには襲撃してきたアクロマンチュラが死ぬ寸前に産んだ卵が孵化しかけてい燃やし尽くしたが、本当に全滅させられたのか不安だの、あったりなかった理部屋に入ったら出てこられないかもしれないなど、良い情報がひとっつもなかったのだ。

そして次の年にはヴォルデモートが生きていて、自分が助けるのだと粋がったフェンリール・グレイバックの襲撃事件・・・・あの学校は、生き残ったハリエット・ポッターにでも呪われたのか?

それまではそれなりに平穏だったホグワーツに、そんな大事件が起こったのはそうとしか思えない。

そして今年、まだ大事件の知らせは届いていないが・・・・・もしも自分達が訪れている時に起こって巻き込まれでもしたらと思うと、胃も痛くなってくる・・・・せめてビクトール・クラムだけでも置いていくべきだろうか・・・いや、矢張り親善を目的とした交流試合であったとしても、ホグワーツとボーバトンに負けるのは癪だな。

起きてもいない事にびくついていても仕方がない。

たかだか一週間程の滞在だ。

 

「大したことは起きまい。」

 

 

様々な考えを張り巡らせ、出した結論を満足げに呟いたカルカロフは先ほどよりもすっきりとした顔を洗うべく、ベッドから降り立った。

 

ホグワーツ何するものぞ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに同じくホグワーツに招待されたボーバトンの校長マダム・マクシームは、招待状を送られてきたその日からえっらく張り切っていた。

 

「私の育てた子供達の雄姿が楽しみだわ!!!」

 

勝つのは優美さと賢さと強さを兼ね備えたうちの子供達だと、さながら社交界デビュー前で張り切る母親のように。

 

一週間後が待ち遠しい




やっと出せましたダームストラングとボーバトンの校長先生達でした。


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