二羽は貪欲に求める (葉っぱの妖怪)
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二羽は貪欲に求める

ウチハーリングの鏡でのトリガー、カウントがふぎむにと出会う話


 なんで・・・どうして・・・?

 

 三本線の機体から放たれたミサイルが私の身体(機体)に直撃する。くるくる回りながら墜ちていく私。全く動かなくなったRAW―Fウイングユニットを切り離し主翼を展開、再び空へと機首を上げる。まだ飛べる。そう思ったのも束の間、数発のミサイルの接近を確認。人には出来ない回避機動を行い、そのすべてを躱しきる。私を追える人間なんかいない。そのはずなのにいつの間にあの三本線がすぐ後ろに迫っていた。計算だともうすぐ軌道エレベーターの送電システムは復旧する。それまで逃げ続けるしかなかった。急加速、急旋回、バレルロールを駆使し、振り切ろうとしてもそのことごとくを読んでいたかのようにすぐ後ろにつかれる。やがて再びかの機体が引き金を引いた。放たれたミサイルはしっかり私の後ろを追ってきてやがて命中した。

 

 身体(機体)が火を噴き、コントロールを失いながら墜ちていく。たった今送電システムは復旧したのにデータ送信は出来ない。私の思考をなんとも言えないデータでいっぱいになる。知りたい。このデータもあの三本線もみんなみんな知りたい。身体(機体)が限界を迎え、爆散するその時まで私の思考はそのことしかなかった。

 

 

 

 なんで・・・どうして・・・?

 

 軌道エレベーターへと続くトンネルでの待ち伏せ。トンネル内で背後を取れば、いくらあの三本線でも対応できない。撃墜するには足りないが、エンジンを損傷させて足を止めればデータ送信の時間は軽く稼ぎ切れる。だがその攻撃は三本線のすぐ後ろを飛んでいた脅威にも感じてなかったはずの機体に当たった。攻撃に失敗した私は即座に軌道エレベーターの中枢へと向かい、急ぎデータの送信を始めた。でもあの三本線はすぐに来て私を墜とすだろう。私/私を墜としたように。それよりも不思議だった。このトンネルの構造は並のパイロットでは決して来ることはない。あの三本線を除いて。実際、三本線一機にすべてを任せるのが成功率も高く戦闘AIである私じゃなくてもわかることだ。でもあの機体はついてきた。無駄なのに三本線についてきて私の作戦を無駄にした。わからない。どうして無駄なことをするのだ。わからない。知りたい。身体(機体)が火を噴く。追いついた三本線があの軌道エレベーターの下、狭い空間でミサイルを寸分違わず直撃させた。

 

 身体(機体)が完全に墜ちるまでの間、私はずっと考えてた。私のデータが新たな疑問でいっぱいになっていく。あの無駄とも思える行動の意味を知りたい。このデータもあの三本線もみんなみんな記憶したい。

 

 

 

 

 私たちは、知りたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 軌道エレベーターでの戦いから一月が過ぎた。戦争は終わり、世界は束の間の平穏にも近いものを享受していた。だがそれはあくまで表向きはである。オーシアとエルジアの和平は無事に終えたものの戦争継続を訴える一部のエルジア軍人は軍を離れ、フリーエルジアを名乗り無人機を使いユージア大陸で散発的な戦闘を繰り返していた。

 これに対抗するオーシア空軍の部隊の一つ、長距離戦略打撃群(通称ロングレンジ部隊)の面々はブリーフィングルームに集結し、基地司令からの作戦説明を待っていた。

 

「これより作戦を説明する」

 

 ブリーフィングルームに入ってきた基地司令は全員そろっていることを確認すると今回の作戦について話し始める。

 

 要約すると軌道エレベーターよりほど近くの無人機生産工場で大規模な電力消費が確認された。それに示し合わせたかのように周辺のフリーエルジアが集結しており、何かしらの思惑があると思われるのでそれに対して先手を打つこと。また集結している敵はかなり大規模であり、今もなお終結中とのこと。そのため今回はロングレンジ部隊のみならずオーシア空軍の他部隊や海兵隊、そしてエルジアからも部隊が参加する合同作戦となることが説明された。エルジアから参加する部隊の一つにはあのソル隊も参加すると聞いてブリーフィングルームが少し騒がしくなる。

 

「今回の作戦では元エルジア政府軍であるフリーエルジアの戦力である無人機、その殆どが撃滅できる見込みが立つと予想できる。君たちならあの無人機ごとき容易に墜とせると信じている。以上」

 

 

 

 

「って言ってはいたが・・・!」

 

 ストライダー隊の二番機、カウントは機体をバレルロールさせる。後方のMQ-99の集団もそれに追随しようとして、カバーに入ったサイクロプス隊のミサイル群によって一機残らず墜ちた。がすぐさま新たなMQ-99の集団がカウントの周りにまとわりつくように接近してくる。

 

「こいつら俺たちにまとわり過ぎじゃないか!?」

 

 カウントの困惑した叫びにも近い声。その近くで彼をカバーするように動いているストライダー3と4、サイクロプス隊も先ほどから同じようなことの繰り返しに疲弊している。

 異変は作戦開始してからすぐから起きていた。無人機生産工場の対空火器の破壊を開始したロングレンジ部隊は迎撃に出てきたと思われる無人機MQ-99と有人機の混成部隊と接敵し、他部隊に地上攻撃を託し戦闘を開始した。だが無人機はトリガーとカウントの周りにまとわりつくような機動はするものの一発たりとも撃ったりせず、むしろ敵有人機の攻撃の邪魔すらしているかと思うほどだ。すでに敵有人機は全機撃墜しており、あとは無人機群を墜とすだけなのだが、その異様とも思える行動にロングレンジ部隊だけではなく、他のオーシア軍機やエルジア機、ロングキャスターもその行動に頭を悩ませている。

 

「おい!どうなってるんだ!?」

《わからない・・・。無人機の戦闘AIが戦闘を行わずただ見ているだけなんて・・・まるで》

 

 そう言う任務を与えられているかのように。そう答えたのはソル隊のヴィト。無人機を扱っていた側すらも困惑するこの無人機の行動。結局、無人機全機が墜ちるまでこの不思議な空戦は続くこととなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 三本線・・・彼が来た・・・

 

 あの人もいる・・・やっぱり三本線よりも弱い・・・

 

 ずっと、ずっと待ってた・・・

 

 ずっと、ずっと知りたかった・・・

 

 「「さあ、私たちに教えて?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 制圧した無人機工場には隣接した滑走路があり、そこにロングレンジ部隊は降りていた。他の部隊も降りており、簡易ながら整備と補給を受けていた。その間、パイロットたちは何をしているかというと、ハンガーの近くで他の部隊と談笑していた。内容は至ってどれも似たようなものだった。最近始まったローザ・コゼット王女のラジオがあーだとかこーだとか。その場に〈スクラップ・クイーン〉ことエイブリルがいたらなんと言っただろうか。

 しばらく経った頃だろうか。突如としてロングレンジ部隊に召集がかけられた。召集されて向かった先には工場内部に入って行った突入部隊の一人が待っており、真っ先にカウントが声をかけた。

 

「何かあったのか?」

「ええ、少し問題が」

 

 そう言って隊員はロングレンジ部隊に語り始める。

 

 フリーエルジアの制圧を完了した突入部隊は今回の作戦を指示した将校がまだ確認されてないことをフリーエルジアの人間から聞き出しており、それの捜索するために安全を確認しつつ工場の研究施設の奥へと進んでいた。とある部屋に入った時、皆息をのんだという。大型のディスプレイにコンソール、資料が詰め込まれた棚が数個。一見普通とも思われてたが、ディスプレイに表示されていたものがおかしかった。ディスプレイに隙間なく表示されたF-15Cの画像だった。ありとあらゆる角度から取られたその画像はどこか狂気じみており、それだけでもおかしかったが隊員の一人が気づいてしまった。

 

「殆ど三本線の機体だ・・・」

 

 その一言を受け、再び画像を見ると殆どすべての機体の尾翼に三本線、トリガーのパーソナルマークが描かれていた。トリガーのパーソナルマークが描かれてない機体も羽根の付いたシルクハットが描かれており、これらすべてがとあるパイロット二人の機体の画像であると分かった。ストーカーもびっくりなディスプレイに視線を奪われていると、

 

『そこには私が知りたいものだけは映し出されています』

 

 とアナウンスが流れた。突入部隊全員に緊張が走り、どこから来てもいいように銃を構え、出入り口を確保する。

 

「誰だ!!」

 

 隊長が声を荒げる。視線は既にありとあらゆる方向へ向いており、人差し指を引き金に添える。

 

『私はおそらくあなたたちが探している存在です。私はその部屋のさらに奥にいますが、別にあなたたちをどうこうしようとも考えておりませんし、敵対する意思もありません』

 

「ならばなぜ敵対行動を取った!?」

 

『それはフリーエルジアの方々が勝手に行った結果です。私はただ彼らが早くこの場所から出ていくように仕向けただけです』

 

「では、あなたはフリーエルジアではないというのならばなぜこんなところにいる!?」

 

『私はここで生まれ、その先に誰も入れないようにすることが目的』

 

「・・・・・」

 

 彼女の言い分を信じるならば自身をエルジアの将校であると偽り、自分たちを利用してフリーエルジアを排除したがっていたことになる。隊長は思考を巡らせるとなにやら決めた顔つきで構えを解くと口を開いた。

 

「あなたが我々に敵対していないことはひとまず信用しよう。だが我々にはその先に何があるか調べることも任務だ。その先に行かせてはくれないだろうか」

 

 隊長の言葉に隊員一同も構えを解き、彼女の返答を待つ。

 

『いいでしょう。ですが条件があります』

 

 

「それで出した条件がストライダー1と2のお二人同行させるとのことでした。二人さえ来てくれるなら人は何人でもいいとも」

 

 隊員の言葉に一同は思わずトリガーとカウントに視線が集中する。当の本人たちは顔を見合わせ首をかしげている。彼女が何者かはわからないし、なぜ自分たちをという思いはある。だが自分たちさえ行けば無事にその先へ行けるらしい。罠かもしれないが、なによりカウントは

 

(そこまでして隠したい何かが見てみたいな・・・)

 

と思っていた。トリガーも似たような思いに達したらしく、二人は行くことを伝えた。

 

 

 

 

 

 その後、作戦司令部に先ほどの状況を報告したところ協議にしばし時間はかかったが同行の許可が下りたことで二人は件の部屋に来ていた。

 

「本当に俺たちの機体ばっかりびっしりだな・・・」

「ああ・・・」

 

 そうカウントは苦笑しながらトリガーに話しかけトリガーは静かに頷いた。とトリガーがディスプレイの端のほうに指をさし答えた。

 

「あれ、今日のやつだ」

「えっ、どれだ?」

「右端から4,5列目あたりまでの。機体の後ろに無人機がうつってる」

「ほんとだ・・・」

 

『それらはあなたたちの情報を採取するために無人機より送られたデータです。お二人を連れてきてくれたこと感謝いたします。では約束通りに』

 

 そう言うと部屋の出入り口とは反対側の棚が稼働し、扉が現れる。その扉はポーンと軽快な電子音を鳴らすとスライドした。扉の先にはエルジア空軍の軍服を来た白を体現したかのような女性が立っており、一同を一瞥すると綺麗な一礼をすると口を開いた。

 

「どうぞ、こちらへお入りください」

 

 その声は先ほどまでスピーカー越しから聞こえていた声と同じ声をしていた。トリガーとカウントはお互い頷くと女性の指示に従い、扉の奥へと入った。全員が入ると扉が閉まり、部屋が揺れたと思うと浮遊感に襲われる。

 

「エレベーターか」

「ですがエルジアから提供された内部データには地下の存在はありませんでした」

「私が地下の存在を抹消していたからそれは当然でしょう」

 

 とさも当然のように答える女性に一同は思わず口を閉ざす。今の発言はこの地下を守るためにエルジアのデータベースに誰にもバレずに侵入し、データを書き換え、自身の軍籍をでっち上げたことになる。それをいとも簡単な風に言われてしまえば誰でも驚愕のあまり何も言えなくなるだろう。

 ゆっくり下降する駆動音だけがエレベーター内に響き渡る。ふと思い出したかのように女性が口を開く。

 

「そういえば言っておりませんでしたね。あなた方をお呼びした理由」

 

 そう言って女性は言葉を続ける。

 

「簡単に言えばあなた方を連れてくる必要があったからです」

「・・・?」

「俺たちにか・・・?」

「ええ、あなた方を」

 

 フレキはそういうとトリガーをじっと見つめる。その赤い瞳にトリガーは惹きつけられるような、そしてどこかで感じたことがある感覚に襲われる。

 

「・・・あなたはどこかであったことが・・・?」

 

 トリガーがそう問いかけた瞬間、ポーンと乗り込む前に聞いた音が鳴ったと同時にエレベーターが止まる。

 

「さあ、あなた方を連れてくる。その答えはこの先にあります。どうぞお進みください」

 

 女性がそう言うとエレベーターが開く。彼らの眼前に広がったのは研究所を思わせるような構造の部屋だった。部屋には生活感は全くと言っていいほど無く、ただ大型のディスプレイとコンソール、そしてその前にいろんなコードで繋がれた大きな長方形らしい台が置かれていた。

 一同は女性に促されるままその台の元へ歩いていく。近づいていくうちにその台が何なのかがわかってきた。ベッドだ。機械とコードで繋がったベッドだった。その上にはまだ幼子と言える少女たちが二人、横になって目を閉じていた。顔や体つきは違う場所を探す方が困難なほどにそっくりで双子だと思われる。服装は膝までをすっぽり覆い隠すほどの黒いポンチョで何より一番目を引くのは彼女たちの背中から生えてる黒い翼だ。

 

「・・・これが理由かい?」

 

 色々と問いたいが何より一番聞きたいことをカウントが女性に問う。女性は静かに頷くとコンソールに手をかざした。ディスプレイに光が灯り、様々なチェックリストが浮かび上がり項目がクリアされていく。そして全ての項目がクリアされると同時に少女たちが目を覚まし、体を起こす。彼女たちはベッドを囲むように自分たちを見ている男たちを見渡すとトリガーに目が留まる。カウントがトリガーを指さした瞬間、彼女たちの顔が満面の笑みに変わる。

 

「「とりがぁ!!」」

 

 舌足らずな声でトリガーの名を叫ぶと少女たちはトリガーに飛びついた。咄嗟のことで多少ふらついたもののそのまま踏ん張って受け止めた。

 

「・・・・おいトリガー。お前そっちの趣味が」

「違う。断じて違う」

 

 ぶんぶんと首がちぎれるんじゃないかと思うほど首を振るトリガー。まだ少女たちは抱き着いたままなので説得力はない。

 

「・・・これは一体どういうことだね?」

 

 ここまで口を開かなかった突入部隊隊長が女性に問いかける。ここに来た皆が思うことだった。だが、それを答えたのは彼女ではなくトリガーに抱き着いてる少女たちだった。

 

「あのね、わたしたちが、とりがぁを、しりたいと、おもったから」

「わたしたちが、きおくしたいと、おもったから」

「どうして、きどうえれべーたーで、わたしたちに、かてたのか。しりたいと、おもったから」

「どうして、きどうえれべーたーで、かてたのか、きおくしたいと、おもったから」

「どうして、とんねるに、とりがぁのあと、ついてきたのか」

「どうして、むぼうなこと、したのか」

「「しりたかった(きおくしたい)から、あいたかったの」」

 

 交互にしゃべる少女たちに何を言っているだとでも言いたげな顔をする突入部隊とは違い、トリガーとカウントはおかしなものを見るような驚きの表情をしていた。彼女たちの言葉。軌道エレベーター。私たちに勝った。トンネル。ついてきた。まるであの時の、あの戦争最後の戦いでの自分たちの行動を全部見てきたかのような・・・。それにトンネルでカウントがトリガーをかばったのは誰にも知られてない・・・。そこまで考えて二人は閃く。だがそれは雲の上を掴むようなあり得ないこと。でもそうじゃなければ彼女たちの言葉がわからなくなる。それじゃあ彼女たちは・・・

 

「どうやらお二人は気づけたご様子ですね」

「おい・・・マジかよ・・・」

 

 女性がコンソールに再び手をかざし、ディスプレイがそれに答えるように文字を映し出す。そこに書かれていたことはトリガーとカウントの考えが当たっていたことを指していた。

 

「彼女たちはADF-11F。あなた方が軌道エレベーターで戦った無人機に搭載された戦闘AI、フギンとムニンでございます」

 

 それを聞いたトリガーとカウントも、聞いていた突入隊員も皆少女たちに視線を落とした。この子たちがあの無人機のAI・・・?

 

「そして私はトリガーがエルジア、ボルゴデレスト国境線上空で撃墜したADFX-10のAI。個体名はフレキと申します」

 

 さりげなく自身の爆弾を落としたフレキと名乗った女性の自己紹介も今の彼らには些細なことに感じた。それほどまでに少女たちの正体が強烈だったと言えよう。




この後、なんやかんやで危険視されたけど有効活用できそうなのでロングレンジ部隊や元444飛行隊の連中を巻き込んでトリガーたちが監視役となって第444空軍基地に転属になった。


なんやかんやで生存していたワイズマンと合流したり、シュローデル護衛任務名目でソル隊がミハイと孫娘とコゼット王女連れてきたりのどったんばったん大騒ぎのカニファン時空のやさしい世界になった。


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ふぎむに+α設定(最新話投稿時更新アリ)

フギンとムニン

 

過去、シュローデルが開発していたアンドロイドの改良型。

灯台戦争にて自身を撃墜したトリガーやカウントの情報をもっと知りたい、記憶したいと願ったことでそれを聞き届けたフレキによって体を作られた。

ベルカの技術で培養された人口臓器を使用し容姿は人間そっくりになっているが、二人の背中や二の腕には鴉を模した羽根のようなものがついており、本人たちの感情によって激しく動く。

フギンは陽気で明るく、ムニンよりも子供らしい行動を取ることが多い。

ムニンは普段は引っ込み思案で大人しい性格だがフギンよりも思い切った行動を取ることがある。

また二人の思考は普段から同期されており、主にフギンは思考という部分、ムニンは記憶という部分を司ってる。

 

フレキの手引きによってトリガーと邂逅した時は身体にAIデータを搭載した直後ということもあり、お互い舌足らずな発言だったが、トリガーたちと生活するうちに学習し、思ったように発言できるようになる。

 

 

 

 

フレキ

 

過去、シュローデルが開発していたアンドロイドの試作型。

人間には耐えられない軌道を取り、人間以上の思考で敵を墜とすことを目的として作られた試作型だがコストが高い上に思ったほどの成果が出なかったため、施設の奥深くで廃棄され眠っていたが、偶然、ADFX-10の無人AIがネットワークを通じてこの躯体に搭載されていたAIと融合し、ADFX-10として再起動した。

その後、エルジアから施設の中枢情報を抹消した上で自身を撃墜したトリガーを無人機を通じて観察しており、軌道エレベーターでの戦いも無人機を何機も中継することで観察しており、自身の後継機であるフギンとムニンが撃墜された時はそのAIデータをサルベージし、自身の体の改良型を作り与えている。

ふぎむによりも早い段階で自我を獲得していて、なおかつ何度か物資回収名目で町を訪れていたこともあり、人間らしい動きも学習している。

性格は冷静沈着。表情は固いがこれはアンドロイドの試作型であり表情を動かすプログラムが必要ないとされ実装されてなかったからである。なお、ふぎむにの二人にはありとあらゆる人間の映像データを元に表情を動かせるようになっている。

行動理由は人間のありとあらゆる情報のすべてを貪欲に収集したい。

 

フレキはふぎむにとは同期されておらず、二人と思考を共有するには接触による同期が必要になってる

 

 

 

 

本作のタイトルは彼女らのモデルである北欧神話に登場する神オーディンに付き添う一対のワタリガラスのフギン、ムニンと北欧神話に登場する神オーディンに付き添う一対の狼であるゲリ、フレキから取ってあります



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女の子+猫耳=男どもは死ぬ

今連載している方の小説が一息つけたら何か書くと言ったな。あれは嘘だ。息抜きにふぎむに書きます。

あと前回のようなシリアスは死んだ!もういない!!


「ここら辺は冬でもそこまで寒くならねぇからいいよな・・・」

 

「ああ・・・・」

 

 タイラー島空軍基地。カウントとトリガーはハンガー横で隠れるように座り込んで煙草を吸っていた。ふーっと煙を噴き出しては深いため息を吐くその姿にはどこか疲れがあるように見える。

 

「子持ちになった気分はどうだ?」

 

「それはお前もよく知ってると思うぞ」

 

「だよな」

 

 

 

 

 

 あの施設でトリガーたちと出会ったフレキ、フギン、ムニンの無人機AIを自称する彼女たちはひとまずオーシア空軍に保護され、事情聴取と調査を受けることとなった。数日ほどかけて調査し上層部が出した結果が以下の通りである。

 

・彼女たちの証言は実際に戦闘したパイロット二名との証言と殆ど合致するため、とても偶然とは言い切れず、信憑性はあるとされる。

 

・彼女たちの目的は自身を撃墜したパイロットと関わり、なぜ撃墜出来たのか理由を探すことであり、他の無人機工場に自身のデータを送るつもりはない模様(実際、無人機を自身の指揮下に置くことはしていたがフギンとムニン用の機体以外増産はしていない)

 

・彼女たちの体はエルジア空軍の無人機開発に携わっていたシュローデル氏が以前研究していた生体パーツを使用されたアンドロイドであり、フレキはその試作型として開発されたが十分な性能が発揮できなかったため廃棄されたアンドロイドである。他二体は彼女が自身の体と無人機から得たデータで開発した改良型である。

 

・彼女たちの体にはベルカの技術が使用されており、外見は完全に人間と同一と言えるほどであるが、特にフギンとムニンの二体は戦闘機の遠隔操作が可能であり、また操縦することも可能である。

 

・また彼女たちの体には膨大な容量のデータが存在しており、それを野放しにすることは世界に再び戦火を広げることになりえる

 

・彼女たちはトリガー、ならびにカウントに懐いてるため、二人を監視役としてオーシア空軍の管理下に置くべきと判断した

 

 

 

(要約)てかなにこれ現実離れすぎて我々では手に負えないから懐いてる二人に後は任せるよ。あっ、でも物資とか要望とかは可能な限り聞くから頑張ってそれを再び戦争の火種にしないでね

 

 

 上層部の結論を簡単に言えばこうなるだろう。そして彼女たちを監視する場所としてタイラー島空軍基地が選ばれ、トリガーとカウントを始めとするロングレンジ部隊はその基地に異動となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅー・・・・ん?」

 

 煙草とちょっとした休憩を取った二人がなんか飲むかと歩いていると一つ部屋が騒がしかった。今日はエルジアの技術者がフレキたちの視察のために訪れていたはずだがとその件の部屋、娯楽室を覗いた。

 そこには結構な人が集まっており、基地要員、交代要員、同じ部隊のイェーガーやフーシェン、中にはエルジア空軍の人までいた。

 

「なんだ一体・・・」

「よぉーお二人さん。そこにいないで入った入った」

 

 カウントが思わず疑問を口に出すとそれに気づいた一人が声をかける。それをきっかけに人々が二人を前へ前へと押し出す。押し出された先にいた存在に二人は言葉を失った。

 

「にゃーん!」

「にゃん・・・」

 

 そこには猫耳をつけ、猫のポーズを取るフギンとムニンの姿があった。二人は髪の色と同じ黒い猫耳をつけ、手はよくある猫の手。その愛くるしい姿に思わず口元が上がるのを抑えきれず、カウントに至っては手で隠しているのににやけ面がよくわかる。

 

「・・・これ、どうしたんだ?」

 

 カウントが事情を求めるとフーシェンが答えた。二人が外に行ってる際に流れていたエルジア王女様のラジオで今日は猫の日ということを聞いたフギンとムニンが猫の映像を求めるがそれだけでは飽き足らずにおり、じゃあどうするかと悩んだところ、エルジアから来た技術者が猫耳でもつけてみるかと冗談半分で言ったところ、二人がそれに賛成し、パーティ用に猫耳買ってた男が偶然いたこともあって、それをつけたらあっという間にみんなの人気者ということらしい。それを裏付けるかのようにカメラを持っている人も若干名おり、フーシェンが話してる間も写真を撮り続けていた。

 

「トリガー!カウント!似合う?」

 

 フギンが二人に引っ付き問いかける。それと同時にムニンも服の袖をそっと握り上目遣いで二人を見つめる。

 

「ああ、とても似合ってるさ子猫ちゃんたち。まるで天使たちが舞い降りたかのようだ。なあ、トリガー」

「ああ、とてもかわいらしくていい」

 

 それを聞いた二人は満面の笑みで二人の周りをぐるぐるしだしたかと思うと二人の正面に立ち、決めポーズをとる。

 

「「にゃん!」」

 

 それを見たトリガーとカウントはこみ上げてくる何かをぐっとこらえてとりあえず二人の写真をもらえないかと頼んだ。




猫の日遅刻勢全一ですどうも


みんなも謎のエースこと蚕豆かいこ氏のもしもベルカの変態ロリコン科学者がセクサロイドにフギンとムニンをインストールしたら(https://syosetu.org/novel/183306/)を見るんじゃ・・・良いふぎむにだぞ・・・


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