女の子ばかりの職場で身体を求められる件 (通りすがりの魔術師)
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0話 主人公の設定とか人間関係の話


プロットとか書く前くらいにモヤッと考えてたのを文字に起こしました。見なくてもいいやつです。
13話終了時点での情報です。そのため、紅葉やツバメなどの一部未登場キャラは何も書かれていません。



本作のレギュレーション
・主人公(男)はオリ主の名無し(名前は必要になれば適当につけます)
・基本逆レイプor主人公からの接触はなし
・一方的な恋愛要素
・作者が好まないため、会話文での♡、///はなし
(地の文で♡を使うことはあるかもしれない)
・NEW GAMEヒロイン全員予定

追加部分
・現実的な観点から主にゴムあり
・たまにご都合主義
(大丈夫な日の採用、生膣内射精しても妊娠しないなど)







 

主人公→専門学校卒の24歳男性。

身長176cm、体重62kg。牡羊座のO型。

顔はイケメンではないが、不細工でもない普通より少し上みたいな感じ。ボキャブラリーと表情が豊かなので親しくなると上方修正が入るタイプ。

 

趣味は読書と筋トレ、アニメ、映画鑑賞など幅広いが基本家の中で済ませられるものにとどめている。ランニングは気が向いたら程度。

中高では運動部だったのでそっち系のノリも理解はしてる。

 

真面目で課せられた仕事はしっかりこなすタイプ。そのため周りからの信頼は厚い。

自分から話しかけるタイプではなく、話しかけられたら誰とでも話す。そのため喧嘩した時は相手から仲直りの相談をされないと出来ない。

 

 

 

 

 

 

 

他の社員への印象(好感度)というか現在の状況。(未登場キャラについてはプロット段階での設定)

 

 

涼風青葉→高卒の新人。中学生みたいな子。1度襲われてからは距離を置くつもりだったが、その話をしないという約束を守ってるため上司と後輩の距離間はとどめている。

 

 

 

滝本ひふみ→同期。実力はあるが引っ込み思案で自信が無いのを残念に思いつつも見守っている。青葉が来てから少しずつではあるが変化が起きて喜んでいたら襲われたのでショックを受けている。ひふみから話しかけない限り話さないので、あれ以降ほとんど会話はない。おっぱいに黒子があるのは好印象。

 

 

 

遠山りん→上司。怖い。八神さん大好きウーマン。社内で1番女の子らしいと思ってるが、それ故の嫉妬深さに恐怖してる。腰使いがエロい。1度性交してからは蟠りが解けてよく話す。

 

 

 

八神コウ→直接の上司。ことある事に性交をせがんでくるが、冗談だと思って一蹴している。下着姿を見せても平気だと思ってるコウをいろんな意味で心配している。胸はないがスタイルはいいと思っている。実ははじめちゃんより親交が深い。

 

 

 

飯島ゆん→関西弁後輩。家庭内でいつもお姉ちゃんをしてるからかストレス(鬱憤)が溜まってるのではないかと気にかけていた。それ故、性交や性交中のおねだりには可能な限り応えているがこれが正しいのか不安になっている。プライベートでの関係は少ないが社内では教育係を務めたため仲がいい。

 

 

 

篠田はじめ→チームは違うが席の関係と趣味で仲の良くなった後輩。ニチアサのスーパーヒーロータイムの話をしたり、その手の映画が公開されたら共に足を運んでいる。しかしそれ以上はした事がない。初めての性交で意識が飛ぶくらいに感度はいい模様。

 

 

 

 

阿波根うみこ→同期なのか歳上なのか本人も作者も不明(全員に敬語を使うため)

でも一個上位の認知で接している。常にモデルガンを携行しているため不容易な発言は避けている。給湯室や食堂で会えば話すくらいでプライベートでの関係は皆無。だが、互いにFPSの知識があり語り合える仲なので印象は悪くない。

 

 

 

葉月しずく→最強上司。ある意味社長より恐れている。入社時にいきなり「しずくちゃんと呼んでくれたまえ」という無理難題を押し付けられたため苦手意識がある。

時が経った今では薄れているが、絡まれると厄介だとは思っている。

 

 

 

望月紅葉→(今のところ特に考えてないため白紙)

 

 

 

 

鳴海ツバメ→(上に同じ。以下キャラも同文のため省略)

 

 

 

桜ねね→

 

 

 

星川ほたる→

 

 

 

大和・クリスティーナ→

 

 

 

 

 

 

逆にヒロイン達から見た主人公

 

 

 

涼風青葉→頼りになる先輩。女子校通いだったため、初めてまともに話した異性ということで心惹かれてしまう。優しくされて、みんなからも信頼も厚く、性格も悪くないため堕ちてしまった。酒の勢いとはいえ襲ったことには申し訳なく思っており、社内では必要最低限の会話にとどめている。が、気持ちを抑え込んでいるためいつ爆発するかわからない。

 

 

 

 

滝本ひふみ→初めは話しかけに来ないいい人レベル。それがミスを埋めてくれたり、他のチームの男に絡まれそうになった時に守ってくれたのがきっかけで好意を寄せる。

不器用なのでどうやって近づけば分からず、好きな同人誌にかいてあったことを試すも後々恥ずかしくなって距離を置いてた。が、りんやゆんと距離が近くなってるのを見てなんとかしなければと焦り始めた。

 

 

 

遠山りん→愛しのコウちゃんを奪おうとするケダモノ。と思っていたが3人の幸せを考えて今ではフレンドリーな関係を結んでいる。ゲーム制作時期のため、性交渉は控えているがマスターアップが終わればコウも引き連れて温泉でハメを外そうとしている。

 

 

 

八神コウ→からかいがいのある後輩だったが、実力を認め始めてからは付き合ってもいいかな…?くらいの気持ち。ただの男友達だと思ったら程よい筋肉と十分な家事スキルから、母に結婚相手を見つけなさいという発言を受けて意識し始める。何度か性交渉してるが悪ふざけだと思われており。二人きりになった際に本気だと持ちかけたら後日ということで持ち越されている。

 

 

 

飯島ゆん→教育係をしてくれたため信頼があり、長女のため世話焼きでお人好しのお兄ちゃん的な存在の主人公に好意を抱いた。ダイエットのために筋トレを教えてもらうがSEXの快楽の方が勝ってしまい、親や弟妹の目を盗んでは自慰をするようになった。

なお主人公との筋トレで体重は減ったが、それをSEXのおかげだと思っている模様。

 

 

 

 

篠田はじめ→特撮好きの話が合う先輩。チームは違うが親しくしてくれているため同性のような友情を感じつつも、異性としての甘い感情を持っている。友達が自分より先に処女を奪ってもらったことを察して、自分も奪ってもらおうとするなど嫉妬深いのかもしれない。

 

 

 

 

阿波根うみこ→社内でコウ以外にFPSの話が出来る人間のため印象はいい。今はその程度。

 

 

 

 

葉月しずく→面白そうだからという理由でグラフィッカーチームに放り込んだ人。休憩がてら覗き見した時は必ずからんでおり、その際の反応を楽しんでいる。

色々と面白いことになっているのにまだ気付いていない。

 

 

 

 






これを見たらこの作品がもっと面白くなる!的なものでは無いので気にしなくてもいいです。気になった点とか質問あればいつも通り感想か活動報告の方でお願いします。



以下おまけ

主人公の持ち物(基本的に会社でもプライベート共通)

スマホ→ゲームとお気に入りの絵を探すための端末。電話やメッセージ機能を使うのは稀。
イヤホン→耳栓も兼ねてるワイヤレスタイプ。お気に入り。
ハンカチ、ティッシュ→社会人の必需品。
財布→常に8000円は入ってるようにしている。ポイントカードがたくさん。クレジットカードなどは落とすと怖いから持ち歩いていない。また女子達に襲われるようになってからはコンドームも入れている。
目薬→疲れ目に効くやつ。
コンドーム(箱)→ないと社会的に死ぬか、一生のパートナーが出来てしまうため持ち歩くように。ドラッグストアなどで買い足すと金銭的にダメージがあるため、ネットで徳用やホテル用の業務用のものを購入した。
本→暇つぶし用。2日~5日で変わる。



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1話 新入社員に逆レされた話(前編)

こんにちは、この頃【NEW GAME!!】専門の二次創作家になりつつある通りすがりの魔術師です。この度は新たなる境地に踏み込むべくR18モノに挑戦させてもらいました。

レギュレーション(ルール)は以下の通り
・主人公(男)はオリ主の名無し(名前は必要になれば適当につけます)(付けた結果 富嶽 照慈 になりました)
・基本逆レイプ
・一方的な恋愛要素
・作者が好まないため、会話文での♡、///はなし
(地の文で♡を使うことはあるかもしれない)
・NEW GAMEヒロイン全員予定


となっております。
他に御注文、御質問があれば活動報告、または感想とともに送ってくれればお受けします。
御注文は活動報告のみ。また感想で質問する場合は必ず"感想"と共に質問お願いします。


長くなってしまいましたが、それでは本編どうぞ。




富嶽 照慈(ふがく しょうじ)

 

 

「は、入ったぁ……!」

 

 

 

ある日、俺は犯された。場所はとあるホテルのベッドの上。体勢は女性側が俺の上に乗る騎乗位と呼ばれる体位だ。

彼女も俺も初めてで、彼女は18歳という若さで純潔を破り、初めての痛みに涙を流しつつも交われたことを喜ぶように声を出す。

対して俺は、24年も守ってきた童貞を一瞬にして奪われ憤慨すると思っていたが今では上でゆっくりと腰を振る彼女の膣の虜となっていた。

 

 

「あっ、うっ……き、気持ちいい、ですか…?」

 

 

彼女の幼さの残った見た目に合った膣のキツさと、そこはかとなく感じる柔らかさにキュンキュンと俺の肉棒が締め付けられる。痛みに慣れたのか、無くなったのか、おそらく快楽が勝ったのであろう彼女は腰を振るスピードを徐々に上げて、その度にベッドは軋んでずっちゅ、ずっちゅと卑猥な音が鳴る。

 

 

「はぁはぁっ、んっ……!あふっ、あひっ!ひゃっ……」

 

 

てっきり、創作の類で雰囲気付けとしてなると思っていたその音をちゃんと自分の耳で聞くことになるとは。

激しく打ち付けられる彼女の尻が視界に入り、その度に「あひっ!」と悦の声を上げる彼女の声が耳に谺響する。

 

 

「せ、先輩! わ、私…っ! も、もう…!」

 

 

勝手に逆レイプ騎乗位しておいて勝手にイこうとしている後輩に呆れつつも、自分のムスコもそろそろ限界らしい。

ラストスパートをかけるために早く強くなるリズムに俺は後輩の尻を鷲掴みにして、自分もイく体勢に入る。

 

 

「で……出てる!…照慈先輩の…!」

 

 

ビュルビュルと勢いよく発射された精液はゴムを付けてるおかげで直接注がれることはなくとも、後輩にも刺激が伝わるくらいに出ている。後輩とほぼ同時に絶頂した俺は、息を荒くしながら未だに快楽に溺れて身体をビリビリと震わせている後輩を見る。

 

 

「こ、これ……し、しゅごい……」

 

 

一緒に会社にいた時には見れなかった顔に、呂律の回らない悦の入った表情。ゲーム制作会社のイーグルジャンプに勤める俺の後輩、涼風青葉は酒に酔った勢いで、俺というどうしようもない人間で処女を散らした。そして、俺も俺には勿体ないこんな可愛い子と身体を交えて童貞を卒業した。

 

 

「も、もう1回……出来ますよね?」

 

 

気を取り直したのなら終われよと思ったが、涼風は1度身体からペニスを抜いて、手際よくゴムを付け替えるとまた挿入する。そして、俺の体は正直で1度キスされて涼風の膣内で小さくなってたペニスはムクムクと大きくなる。これから第2ラウンド、前戯を入れたら3回目か、と俺は体勢を変えて涼風を後ろから突きながら数時間前のことを振り返っていた。

 

 

 

###

 

 

 

俺が涼風に襲われる前の話。俺の名前は富嶽 照慈(ふがく しょうじ)。変わった名前だとは思うが親から貰ったこの名前に不満はないし、この名前で別段いじめられたという経験もない。イーグルジャンプに専門学校を卒業してから入社した。インターンシップからの入社も可能だったが、専門で積める経験を積んでからいこうと2年間しっかりと履修し、21歳の時に入社した。

同期は何人かいたが同じ部門だったのは滝本ひふみという寡黙で恥ずかしがり屋の女性だけ。というか、先輩も他の部門も含めて俺以外全員女性だった。上の方に行けばチラホラいるが、新入社員でキャラクターデザイナーという役職では話すどころか、会うこともないだろう。

まぁ、男がいなくても仕事はできる。それに、このキャラデザ班の人間は俺を無視することも虐げることもしなかったので居心地は悪くない。上司ではあるが、気さくに声をかけてくれる八神さんや遠山さん、仕事の時はある程度リアクションを取ってくれる滝本に一昨年入った飯島も俺に不快感を持っている様子もなく、同じ時間を過ごしていた。

そして、今年に寿退職で抜けて空いたデスクに新しい社員がやってきた。男だったらいいなと少し期待してはみたが、予想通り回避不能なことにまた女の子だった。しかも、どういうことかまた可愛い。

高卒の18歳と言われてもパッと見、中学生にしか見えないその新入社員の名前は涼風青葉。青紫色のツインテールと童顔が特徴の真面目な女の子だ。

教育係は2年先輩の飯島に任せて、俺はなるべく会話しないように自分の仕事に打ち込んだ。

何がセクハラになってパワハラになるか分からない世の中、それなりの実績を残して、それなりの職場環境に身を置いているこの状況を崩したくない俺はなるべく涼風と関わらないようにした。

ほら、今時の子って何するかわかんないから。アレだぜ、俺の知らない人だけどノータッチだったのに痴漢呼ばわりされて会社辞めた人とかいるらしいから。ネットニュースで見た情報だが、ニュースになるくらいなのだから実在した出来事なのだろう。他にも声をかけただけなのに、LINEでスタンプを送っただけなのに、セクハラ扱いされたというニュースも見る。

なので、自己保身と危機管理能力に優れた俺はそういうことにならない為にも関わりを絶っていたのだが。

 

 

「あのーここどうしたらいいですか?」

 

 

そう聞かれたら普通に答えてしまっていた。いや、何も間違いじゃない。上司として正しい行動だ。しかし、前述したように涼風を避けるのならば、飯島や滝本にパスするべきだったのかもしれない。でも、俺の性根は基本的に善人。誰かに頼りにされて、その誰かの助けになれたら悦を得る人間に、答えがわかっている質問をされて他の人間に答えさせるなんてこと出来るだろうか。俺にはできなかったね。

 

 

「あ、そうだったんですね!ありがとうございます!」

 

 

分からないことが分かって礼を言う涼風に「どういたしまして」と社交辞令の言葉と表情で返す。こういう時の顔のポイントは下卑たおじさんのような顔でなく、無表情で興味のない顔でもなく、微笑をたたえるような穏やかな顔だ。例えるなら精神と時の部屋から出てきた悟空と悟飯のような。

そして、自分の作業に戻る。だが、涼風はまだ俺の横におり、俺の作業を見ている。雑魚エネミーの製作といえど、手を抜かない俺の姿勢に感銘でも受けてるのかな? と誇って気にしないようにしてるが、やはり気になる。手を止めてチロりと目線を向けると「あっ」と声を上げた。

 

 

「ご、ごめんなさい! 」

 

 

お礼のぺこりよりも深い謝罪のぺこり。高卒でもマナーはしっかりしてるね。偉い偉い。みんなもそうなってくれるといいんだけどね。入ったばかりの新入社員の礼儀正しさに賞賛していると、その新入社員が顔を上げる。

 

 

「えっと、その、失礼しました!」

 

 

そこまで距離はないけど走って戻る涼風に首を傾げる。まぁずっと横にいて見られてても俺はいいけど、周りがダメって言うからね。自分から戻ってくれるのはありがたい。

 

 

 

「照慈先輩なにかしたんですか?」

 

 

質問されたから答えただけなのにどうしてそんなジト目を向けられないといけないんですかね。あったことをそのまま伝えると、モーション班で場所の都合でこちらに来ているはじめちゃんが納得したように答えた。

 

 

「あー照慈さんって不器用そうなのに仕事が丁寧ですからね。それでじゃないですか?」

 

 

お、褒められてる。嬉しいねー。歳下に褒められて喜ぶ24歳社会人です。

 

 

「まぁ確かに、説明も丁寧でわかりやすいしな。ウチも新人の時は助けてもらったわ」

 

 

俺は先輩として当たり前のことをしただけで、褒められるようなことではない。でも、もっと褒めてくれてもいいんだよ?

 

 

「はい! あの、とってもわかりやすくて、キャラクターもみんな生き生きしてて!」

 

 

「ほんと反則だよね。モーションつける前からあの人のキャラクター生きてる感じするんだよ?」

 

 

「せやなぁ。八神さんとは別ベクトルの凄さやもんなぁ」

 

 

ふはは、そんなに褒めるなよ。でもな、俺は知ってるんだ。人が自分を褒めるのはさらなる高みに持ち上げることで足元を掬いやすくして高所からたたき落とす為だって。この子達にそんなつもりがないのは分かってても、注意するに越したことはない。調子に乗らないように、精進しようとせずに仕事に取り込もう。

 

 

「あの、みんな……お仕事…しよ…」

 

 

「はーい」

 

 

滝本の一声で俺への褒め殺しが終わって、各々作業に戻っていく。滝本は恥ずかしがり屋ではあるが、仕事に対する熱意はあるし努力してきて培った技術もある。俺は滝本の女の子キャラやNPCの住人キャラの可愛らしさ愛くるしさが大好きで、もうそれは心が踊る程に大好きだ。

前に俺との技術の差がどうとか言って打ち明けて来た時に言ってからは、もうそんなことは無く自分の仕事に自信を持って取り組んでいる。とてもいい事だ。

みんながみんな己を高めて、力を合わせて1つのことに熱中する。体育会系でも文化系でも存在するこの上昇的協調思考は学校でなくても、青春はできることを表しているのではないだろうか。

 

 

 

はたらくって青春だ。

 

 

 

───────しかし、青春になくてはならないもの。「恋」だとか「愛」と呼ばれるものはまだここに存在しなかった。

 

 

そう、あの日までは。




長くなったので前編と後編に切りました。
青葉ちゃんが酒に弱いという設定だったので、酔った勢いで好きな人にこれくらいするかな…と思いつつ、ヤッてしまいました。
同人誌とかもこのくらいめちゃくちゃな展開なので大丈夫ですね、はい。



ついでに、なんで逆レにしたかというと自然な流れでのエッチが思い浮かばなかったからです。その場で告白したり雰囲気で初体験を済ませるといった経験がないもので(自虐)



続きはすぐに出ます。


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2話 新入社員に逆レされた話(後編)

 

 

涼風が入社してしばらく経ってからのこと。

親しい連中で涼風の歓迎会をして終えた帰り、八神さんと遠山さんからバーでもう少し飲んでいかないかと誘いを受けた。明日は日曜日で会社は休みだし、たまにはいいだろうと了承した。

 

 

「青葉はどうする?」

 

 

からかうようにまだ未成年である涼風に聞いた八神さんに、涼風は少し考えた後「はい! ぜひ!」と了承した。マジかよと思う俺だったが、遠山さんは「あそこは炭酸水とジンジャーエールもあるし大丈夫じゃないかしら」と俺に持たれながら言ってくる。もう酔いまくりじゃないかしらこの人。

不安要素の多い2人を連れて八神さんと遠山さんが行きつけだというバーに入る。ここではないが、1人で何度か行ったことあるため雰囲気や頼み方に関しては何も動じないが、やはり誰かと一緒というのは初めてで心穏やかではない。それに男1人に女3人だ。嫌でも視線を集めてしまう。

 

 

「何頼む?」

 

 

そんな俺の心中を悟らず、顔馴染みの2人は早々にいつものと注文を済ませ、初めて来た俺と涼風にメニューを渡してくる八神さん。涼風は難しい顔をしながらメニューを眺めて、俺は軽めにフルーツ酒を注文した。

 

 

「わ、私はこれで!」

 

 

涼風が指さしたのを見ると、それは酒だった。しかも結構強いやつ。大人3人で未成年飲酒を阻止して、ジンジャーエールを頼んでしばし無言の時間を過ごす。

 

 

「あの、お酒って美味しいんですか?」

 

 

数分もしないうちに酔いつぶれた2人を尻目に見ながら尋ねてきた涼風。まぁこんな水のようにがぶ飲みしてたら美味しいかどうか気になるわな。水を頼んで酔いつぶれてる2人に飲むように促してから涼風には俺の持論を伝えた。

 

 

「酒も肉とか魚と同じく、美味いかどうかは人それぞれだ。俺だって酒は飲めるけど、そこの2人ほど飲まないし、王道と呼ばれてるビールより日本酒とかフルーツ酒の方が好きだ」

 

 

「へぇ…、あのフルーツ酒ってやっぱりりんごとかオレンジの味がするんですか?」

 

 

「そりゃね」

 

 

苦笑して答えると涼風は興味ありげに俺の飲んでるフルーツ酒を見る。流石に未成年だからあげられないよと自分で残ったのを飲み干すと涼風は残念そうな顔をする。

 

 

「20歳になったら好きなの飲めばいい」

 

 

程々に。酔わない程度に。人に迷惑かけない程度に。そこの2人のようにならないようにという意味を込めて2人をみながら言うと、比較的酒に強い八神さんが起き上がる。

 

 

「よし、じゃあ今のうちに慣れておこう!」

 

 

「そーだそーだ!」

 

 

それに普段は悪ノリしない遠山さんが起き上がって涼風の空いたグラスに少量、ほんの少しだけ酒を注ぐ。バーのマスターを見たら、他のお客さんの相手をしており気付いている様子はない。仕方なく、俺が止めるかと思った時には涼風は中の氷が全部口に降りてくるくらい豪快に飲み干していた。

 

 

「よっ!青葉すごい!」

 

 

「いい飲みっぷり〜」

 

 

ダメだこいつら早くなんとかしないと…と思ってると涼風がダンッとグラスを置いて「ぷはー!」と満足そうな声を出す。初めは量は少なかったし大丈夫だと思っていたが、見る見るうちに涼風の顔が赤くなっていく。

 

 

「よーし!もう一本いきますよ!」

 

 

「「いぇーい!!」」

 

 

早い早すぎる。え?アルコール度数は置いといて正月に飲む甘酒くらいの量だよ? それで酔うの? どんだけアルコールに耐性ないんだよ。大人のチョコレート食っても危ういんじゃと呆然としてる前に悪ノリ3人組を止める。

 

 

「なんで止めるんれすか!これからですよ!」

 

 

「諦めろもう試合終了だ!」

 

 

遠山さんのグラスの残りの酒を飲もうとする涼風を防いで、会計をして足早に店を出ようとする。その際に涼風が出たがらなかったり、残りの2人が青い顔してたりと大変だったが、なんとか出ることが出来た。

 

 

「おつかれ〜」

 

 

「またね〜…」

 

 

タクシーに無理矢理乗せたけど大丈夫かな。一応、エチケット袋も渡したし運転手さんにも気をつけるように伝えといたけど。まぁ遠山さんはともかく、八神さんは顔色は持ち直してたしなんとかなるだろ。てか、あの二人同じタクシーでよかったのか?

 

 

「しぇんぱい〜」

 

 

さてと次はこいつか。八神さんの家は2回くらい行ったことあるから知ってたけど、こいつの家は知らねぇんだよな。確か電車使って会社に来てるって言ってたからこの近くではないんだよな。

またタクシーを拾おうにもこいつ1人だと不安だな。

 

 

「涼風、お前の家どこだ」

 

 

 

「あそこれふ〜」

 

 

なんだ思ったより近いなと考えた俺がアホだった。涼風の指差す先にあるのは【HOTEL】の看板。しかもまっピンク。どう見てもラブホテルでお疲れ様でした。成人してて一人暮らしならあそこに放り込んでもいいけど、未成年な上に実家暮らしらしいから無理なんだよなぁ…。酒を飲ませた2人を先に返すんじゃなかったなと後悔してると、涼風にクイックイッと袖を引かれる。

 

 

「先輩、いきましょうよ〜」

 

 

ダメです。責任をもって家まで連れて帰ります。駄々をこねる涼風に住所と親御さんの電話番号を聞こうと尋ねるが涼風は一向に言う気配はない。

仕方なく俺は涼風の提案を条件付きで飲むことにした。

 

 

「…涼風さんホテルに行く前に親御さんに一応連絡しようか」

 

 

「は〜い!」

 

 

そう言うとゆったりとではあるが、涼風は母親に帰りの電車はあるけどホテルに泊まりたいと伝える。それアウトだろと思ったのだが、小言を少し言われただけで済んだらしく電話を切った涼風は俺の手をとる。

 

 

「では行きましょうー!」

 

 

親御さんの許可は一応?得たし、こうでもしないと俺が帰れないのでホテルまで涼風を送り届ける。何時間くらいいるか知らんから適当にフリータイム的なのを取っておいたが、払うの俺じゃないしいいか。

俺の肩に掴まる涼風をベッドに降ろすと、帰るからなと踵を返す。

 

 

「…待ってください」

 

 

しかし、それは起き上がって待ったをかけた涼風に阻まれた。止まって振り返ると涼風はスーツを脱いでシャツのボタンを取り始める。

 

 

「いやいや、何やってんの?」

 

 

困惑して思わず素が出てしまうくらいに涼風の行動は意味不明だった。聞いても涼風はやめることなく下着以外の服を脱衣すると、俺の背中に抱きつく。

 

 

「しましょ、先輩…」

 

 

「何を」

 

 

「……女の子に言わせるんですか」

 

 

いや、それ俺に言わせるのもアウトだからね。流石に童貞でもここまで来れば涼風の言っていることは理解出来る。つまりあれだろ。性交しようぜ、お前男な!ってことだろ?

恋人でもない人とそういうことはしないと決めてるし、なんなら相手は未成年。1歩間違えれば犯罪…いや、相手の同意があればOKなのか? 法学の知識がないため首を傾げる。だが、この涼風の言動は酒の酔いによるものだ。明日になって正常になれば己の過ちに気付くか、あるいは俺に八つ当たりとして通報しかねない。

 

 

「…先にシャワー、浴びてこいよ」

 

 

ここは一旦、頭を冷やしてもらって正気に戻ってもらおう。ほら、冷たい水を浴びればね酔った頭も覚めるってもんですよ。それに浴びてる間にこっそり帰っちゃえばミッション完了。あとはなかったことにすればお互いに恙無く会社に行けるだろう。

 

 

「私がシャワー浴びてる間に帰りませんか?」

 

 

どうやら見破られてたらしい。ここでイエスと答えれば冷静じゃない涼風と交わることになる。ならば、シャワーを浴びて少しは正常になった涼風と対話して家に返してもらう方が後腐れなくていい。よし、これだ完璧すぎる!

 

 

「わかったよ。待ってるからいってきな」

 

 

ここに残るよという意志を込めて涼風の抱擁から離れてベッドに腰を下ろして、上着を1枚脱ぐと涼風は怪しみながらもシャワールームへと入っていく。それを見送ってため息をついた俺はカーテンを閉めて、涼風の脱ぎっぱなしになっていた上着などをハンガーにかけるなどして時間を潰す。そして、10分くらい経って生まれたままの姿の涼風がシャワールームから出てくる。その顔は入る前と同じく赤いが、無邪気な顔ではなく恥じらいのある顔になってるあたり冷静になったのだろうか。

 

 

「じ、じゃあ…し、しましょうか……」

 

 

冷静だったならタオルくらい巻いてくるよなぁ…。自分の思考の浅さに頭を抱えていると、俺の前で膝をつけてズボンのチャックに手を伸ばす涼風が見える。

 

 

「…何をなされてるのですか涼風さん」

 

 

「え……先輩のを出した方がいいかなと」

 

 

とりあえず、酔いは覚めてるのかさっきよりも言葉遣いはしっかりしてるが行動がしっかりしてない。

 

 

「そうじゃなくて、酔いは覚めたでしょ?」

 

 

「あ、はい…」

 

 

恥じらったように顔を逸らす涼風だが全裸である。水分は拭き取ってあるがそんな格好してると室内でも風邪をひく。

立ち上がって、バスローブを持ってきて着せてやると涼風は「ありがとうございます…」と少し頬を綻ばせる。

 

 

「で、マジですんの?」

 

 

酔ってないならこの質問の意味がわかるだろう。冷静になってみてさっきの自分の発言振り返ってみて。それでおかしいなと思ったらやめようぜとそういう意味を込めた。一応、言葉の中に含まれたモノは理解したのか俯く涼風だったが、上目遣いで俺に問いかけてきた。

 

 

「先輩は、イヤですか…?」

 

 

「まぁ…な」

 

 

付き合ってもないし、知り合ってそこまで経ってない人間と俺の初めてを捧げるのは嫌だ。童貞のくせに面倒なと思われるかもしれないが、大切なものは1度失ってからでは取り戻せないのだ。負の勲章ではあるが、ここまでくると取っておきたいという気持ちが勝る。

 

 

「そう…ですか…」

 

 

涼風が何を思って俺に性交を申し込んできたのかは知らないが、どんな理由にせよNOである。

 

 

「てか、どうしたの大丈夫? 酒の勢いにしては唐突すぎるぞ」

 

 

対応に慣れているのはこれが初めてじゃないからだ。酒に酔って「SEXしようぜ!」と言ってきたのはこいつだけではなく、八神さんもいる。あの人の場合は突然脱ぎ始めて布団に入って俺を待つというものだったが、丁重にお断りして帰宅した。後日、特に気まずくなることもなく、その話題に触れることもなかったが「なんであの時布団に入らなかったの?」とシラフで聞かれてする気だったのかよと唖然とした。今回もそれと同じく丁重にお断りしたいのだが、涼風は引き下がる気がないのか俺の股間の正面に膝をついている。

 

 

「あのその…さっきは勢いだったんですけど……先輩とならいいかなーって」

 

 

「会って2ヶ月くらいだよね?」

 

 

威圧とかではなく確認のために聞く。コクリと頷いた涼風だが、直ぐに口を開く。

 

 

「でも、時間なんて関係ないと思うんです」

 

 

そんな愛に年の差は関係ないみたいに言われても…。てか、俺ら6歳差なんだよね。もっと差があるように感じるのは何故?それは紛れもなく涼風の顔が童顔で幼すぎるからなのだが。電気がついていないおらず、カーテンの隙間から差し込む月の光でうっすらと涼風のボディラインを目視するが、とても18歳には見えない体つきだ。華奢な肩に控えめな胸、細い腕にクビレはないが太くはない腹部。毛はよく見えないが、おそらく生えていないのではないだろうか。恥じらうような涼風の身体を観察しているとモジモジと身体を捩り出す。

 

 

「先輩は優しくて説明も丁寧でわかりやすくてそれに絵も上手で…」

 

 

まぁ先輩として尊敬されてるってのはわかったよ。でも、それでSEXしようぜにはならんでしよ。現実は小説より奇なりとはいうがこんな奇怪なことがあるだろうか。悩んで考え込んでいるあいだにも涼風の話は続いていた。

 

 

「いつの間にか目で追うようになってて、それでそのこういうのを好きって言うんだなって思って…それでお付き合いしてみたいなーって」

 

 

それでお付き合いの前にお突き合いしようとするのは違うでしょ…。逆だよ逆。でも、涼風にお付き合いしましょうと言われて承認する図が見えない。それは涼風も同じだから酒の効果と合わさってこういうことになったのだろうか。

 

 

「語感から察するに男の人を好きになるの初めてか?」

 

 

「は、はい!」

 

 

初めてでこの行動力…酒の力ってすごい。確かに初めて好きになる相手なら周りが見えなくなって自分の欲求を叶えるべく一直線になるのは分からなくもない。しかし、涼風の気持ちを後押しできても俺の気持ちは後押しできていない。涼風はOKでも俺はNOなのだ。

 

 

「だったらな、涼風、こういうのは余計に」

 

 

もっと慎重に考えるべきだと言う前に涼風は俺のズボンのチャックが降ろされる。

 

 

「話聞けよォーー!」

 

 

ツッコミながら立ち上がって涼風から距離を取ろうしたが、よくよく考えればベッドに腰掛けていてそこから立ち上がったのだ。だから、ポンと押されるだけでわりと簡単に俺は倒れる。おかげで涼風にマウントを取られてしまった。

 

 

「逃がしませんよ…」

 

 

小動物で可愛いリスくらいに思ってた後輩が繁殖期のクマみたいに見えるぜこんちくしょう。それだと怖いはずなんだけど、バスローブから見え隠れする柔肌が目に毒すぎる。顔を逸らしたら、そのうちにズボンとパンツを脱がされて俺のムスコがこんにちはする。

 

 

「わぁ……」

 

 

身体は俺の顔側に、それでいて顔では俺のイチモツを見て感嘆の声を上げる涼風は恐る恐るというふうに俺の肉棒に触れる。ここまで平静を保っていたが童貞には刺激の強い体験に亀頭は膨れ上がり、肉茎には幾本もの血管が浮かび上がっていた。

 

 

「お、おい…す、涼風…!」

 

 

どこで覚えたのか俺のペニスを上下に摩りだした涼風は堪えるような俺の顔を見ながら嗜虐的な表情を浮かべる。

 

 

「先輩、これ気持ちいいんですか?」

 

 

「よくない!よくないよ!だから、もうこんなことはやめよう!な!?」

 

 

大声を出して快感を忘れる作戦で涼風の気を散らして逃げ帰ろうという作戦だったが、加減を覚えたのか俺が全盛期に行っていた手淫の動きをする涼風に俺はまた顔を歪める。

 

 

「やっぱり気持ちいいんじゃないですか」

 

 

それを見て嬉しそうに笑う涼風を見て俺は確信した。こいつはドSだ。他人が苦しむのを見て楽しむタイプの小悪魔的な。

童顔で上気した顔に似つかわしい性格に思わずドキッとするがそれを抑えて涼風に言葉をなげかける。

 

 

「お前こういうの初めてなんじゃ…!」

 

 

「……その、同人誌とかで知識くらいは」

 

 

確かに今の世代の子で二次元好きならコンビニとかのエロ本より、そっちでの知識入手が主流だろう。フェアリーズストーリーにも同人誌は存在するし、涼風がそれで知った可能性は高い。一瞬恥ずかしそうにした涼風は手の力を強めて俺のペニスをさらにストロークする。そして、イく気はなくても身体は正直で白い液体が噴射される。ここのところご無沙汰だったからかなりの量だ。

 

 

「……ほんとに苦いんだ」

 

 

手についた精子をチロりと舐めた涼風はそんな感想を漏らして腰を上げる。なんだやっと怖気ついたのか。だったらさっさと帰ろうね。

 

 

「よいしょ」

 

 

ベッドの横の棚を2つくらい漁った涼風はお目当てのものを見つけて持ってくると袋を破って中身を取り出す。涼風の取り出したのは俗に言うコンドームで避妊具である。それを俺のペニスにつけるとまたマウントをとる。

 

 

「なんで逃げなかったんですか?」

 

 

「射精後は身体が言うこときかねぇんだよ」

 

 

多分動いたけどズボンを履き直してる間に捕まってたと思ったし、涼風が諦めてくれるのが一番いいと思ったからだ。それに逃げて叫ばれてレイプ魔と風評されると困る。だから、俺は涼風が離れたのをゴムを取りに行ったからとは思わなかったし思いたくなかった。

 

 

「てか、ガチじゃん」

 

 

「ガチですよ」

 

 

なんでコンドームの場所知ってるのって聞くと、同人誌を読み終わって気になって調べたら大抵2~3個くらいは棚に入っているものらしい。なんで調べた。まぁ生でしようという考えないだけマシかなと思ってると慣れない手つきでコンドームを亀頭から被せていく。ぴっちりと俺のペニスがピンク色のゴムに包まれ、涼風は手を離して腰を浮かせる。

 

 

「…じゃ入れますね」

 

 

「え?濡らさなくていいの?」

 

 

「え?」

 

 

いや、処女なんだったら膣内濡らしておかないと痛いんじゃない? ん? でも、濡れてても痛いのか? じゃいいのか? と俺が何度も首を傾げてると涼風は光悦な顔で俺を見ていた。

 

 

「やっぱり先輩は優しいんですね」

 

 

「まぁ……なっ!!?」

 

 

襲われてても歳下だから多少はね、と答えるよりも早く涼風は腰を下ろして、俺のペニスを飲み込んだ。ジュブッと肉先が蜜壷に侵入するようにペニスに快楽が押し寄せる。

 

 

「んあっ! あっ……ふあああっ!」

 

 

痛そうに食いしばりながらも俺の服を掴んで堪える涼風はゆっくりと己の性器で俺のペニスを咥え込む。膣口を押し開いてペニスが吸い込まれていく。

 

 

「は、入ったぁ……!」

 

 

痛みに顔を歪めつつも悦んだような声を出した涼風はゆっくりと腰を振り、慣れてくればそのスピードを早めて───────俺と共に絶頂した。

 

 

 

###

 

 

 

3回戦を終えてゴムをくくってゴミ箱に捨てるとベッドの上で疲れてスウスウて寝息を立てる涼風を見る。3回目は俺も初めての快楽、初めて触れる女性の肌やらに溺れてか、ピストンしながら涼風の乳首を触ったり、マウストゥーマウスでキスしたりしながら時間をかけて果てた。涼風は俺がイくまでに4回くらいイッていたと思うが初めての俺には大体としか言い様がない。

 

 

「しかし…どうしたもんかな…」

 

 

ズボンとパンツは精液と涼風の愛液でびちょ濡れ。上着も涼風が掴んでたせいでしわくちゃである。これはシャワー浴びて洗濯機に下着やら放り込まないといけないな。

時計は0時を回って翌日となっており、洗濯して乾燥機をかけるなら一睡できるであろう時間であった。というか、寝ないとこれは死ぬわ。そう思った俺はベッドから離れて洗濯機に服を全部入れて、ついでに涼風の下着も入れて洗濯機のスイッチをいれてシャワールームへと入って行った。

 

 

「これからどうなるんだろうな…」

 

 

一線を無理矢理超えてきた後輩と同じ職場で明日からどう過ごせばいいのかと考えると頭が痛くなる。

 

 

「まぁ…寝て起きてから考えよう…」

 

 

これまでもどうにかこうにかやってきたのだからどうにかなるだろうと安易な考えを持っていた俺は身体を拭いてバスローブを着るとソファの上に倒れ込む。そこから死んだように眠って、昨日の疲れを癒すのだった。

 

 

 




今から質問、御注文用の活動報告書きます。


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3話 同期に食事に誘われる話

【この通りすがりの魔術師にはッ!夢があるッ!R18での日刊ランキングのスターになるという夢がッ!!】


エッチ回のあとは後日談と次のヒロインへの布石。
エロ描写に定評がないので慣れるまでは内容重視でいこうかと…まぁ描き始めなのでまだまだ薄いですが。それに急ぎなので誤字脱字多スギィ!
気付いたらこちらでもしますが、読者様もお願いします。




 

 

衝撃的な初体験を終えた朝、あまり飲んでないはずの酒の余韻に苛まれて俺は目を覚ました。

起き上がってみれば朝日は既に登っており、カーテンの隙間から日光が射し込んでいる。これを実家のベッドの上で迎えられていたのなら休みの始まりとしては嬉しかったのだろうが、生憎そうはいかない。

寝てた場所も悪いのか身体は少し痛むし、気分はあまり良くない。唯一の救いは涼風がまだ起きていないということだろうか。

 

 

「…はぁ」

 

 

シちゃったのか…マジかァ…嘘じゃねぇんだよなぁ。まさか後輩に襲われて逆レされる日が来るなんて誰が思うよ。一部のマニアックな方々には嬉しいかもしれないが、される身としては全くもって嬉しくない。むしろ恐怖が勝る。

太陽に反して沈み込む気持ちをどうにか押し留めて立ち上がった俺は、もう乾いているであろう下着を取りに浴室へと向かう。その途中で穏やかに寝息を立てる涼風の姿が目に入る。昨日襲った方は気持ちよさそうに寝ており、3回目には俺もふっ切れて胸などを触った感触やキスのほんのりとした温かさが思い出される。

男ってのは残念なことに欲望には勝てないらしい。まぁお互いに気持ちよくなったんだし無かったことには出来なくとも、気にはしないでおこう。でも次はないと思えよ涼風。洗濯機から下着や上着を取り出して着込み、涼風のは畳んで机の上に置いておくなどして部屋から出る。涼風はもう明るいから1人で帰ってくれ。

 

 

「はぁ〜〜〜〜」

 

 

ホテルを出てクソでかいため息をついて、気持ちを切り替える。今日は休みだ。しっかりリフレッシュして明日からに備えよう。休日があれば仕事はやってくる。これは社会人の宿命であり、それは辞めない限り永遠にやってくる。

 

 

 

###

 

 

 

「なんで先に帰っちゃうんですか!?」

 

 

月曜日。会社に来た俺は玄関で待ち構えていた涼風に開口一番に怒鳴られた。一応場所は移動して屋上前の階段で言われたのだが、それでも近くに誰かいたら聞かれる場所である。出来れば電話とかLINEで言ってくれるとありがたかったんだけどな。

 

 

「気持ちよさそうに寝てたからな」

 

 

それに先に帰っている旨はLINEで通告してるし、下着とかの洗濯もしてる。怒られるよりも感謝されるべき行為だ。そう伝えると何か言いたげな涼風に俺は時計を見ながら口を開くのを待つ。大方、昨日の話の続きだろうか。順番は前後したが付き合ってください、辺りか?

 

 

「結婚してください」

 

 

「……はい?」

 

 

色々とすっとばしたね涼風さん。ヒットさんやディアボロさんもビックリだよ。普通は交際から始めるもんだけど、エッチから始まる結婚だなんて先行き不安で仕方ないわ。思いもよらない涼風の発言に手で顔をおおってしまう。

 

 

「理由聞いていい?」

 

 

「えっと、先輩やっぱり優しいですし、その、下着とか洗ってもらって…それにもうシちゃったし……」

 

 

恋人の下着を洗ったり、1回SEXしたら結婚する制度がもしあったら出生率はうなぎのぼりするのかなと考えを逸らして、涼風の言葉から逃げようとするがどう足掻いても逃げられん。

 

 

「悪いが無理だ」

 

 

まず、お互いのことをよく知らない。知ってても職場での様子や態度くらいでプライベートでの関わり合いは昨日が初めてだ(昨日の歓迎会も仕事終わりに行われたもので経費から出てるからある意味仕事ではある)それに初めて好きになった男だからと結婚を決めるのは早計だ。涼風のこれからはまだまだこれからなのだから、ゆっくりと選べばいい。そう伝えると涼風は首を振った。

 

 

「でも、先輩よりいい人がいなくて、先輩が他の人と結婚してたらどうしたらいいんですか」

 

 

「知らねぇよ…」

 

 

それは俺の責任じゃないだろ。てか、俺よりいい男なんて普通にいるから。多分。知らんけど。だが、この職場では男との出会いは難しいだろう。涼風の場合は高校も女子校と聞いたので男友達は少ないだろうし、高卒だから出会いがあるとすれば……ゲーム制作後のパーティくらいかな? まぁあそこに来る男といえばスポンサー側の偉いおじ様ばかりなのだが。

 

 

「…すみません。勝手な事ばかり言って」

 

 

自分がめちゃくちゃなことを言ってる自覚はあったのか反省の様子を見せる涼風にここしばらくよく出るため息を吐く。

 

 

「とりあえず、昨日の事はもう触れない。それに他の人には話さない。そうしてくれれば俺はいつも通り涼風と接するつもりだ」

 

 

これは脅しも兼ねた忠告だ。もし、他言することがあれば俺は涼風を敵とみなすし、昨日のことで関係を持つように求めてきても同じだ。

俺が求めるのはトラブルもない穏やかな暮らし……とまでは言わないが、程よい刺激に充ちた退屈しない毎日だ。しかし、恋とか性による快楽だとかはここには求めちゃいない。

 

 

「…分かりました」

 

 

「分かってくれたならいい。そろそろ戻ろうぜ」

 

 

納得はしてない様子だが、本当に俺のことが好きなら他言はしないだろうし、これをきっかけに俺に興味を失ってくれればラッキーだ。

流石に2人で出ると怪しまれるからと涼風を先に戻らせて俺は屋上に出て黄昏れる。風が心地よく俺の荒んだ心を癒してくれるようだ。そう風使いになりきってるとガチャりと後ろの扉が開かれる。顔だけ振り向いてみるとそこに居たのは滝本で、就業時間間近だから呼びに来たのかと思って手すりから手を離す。

 

 

「……青葉ちゃんと、何…話してたの?」

 

 

「昨日の飲み会の後のことでな」

 

 

滝本は直帰組に紛れてはいたが俺と涼風が八神さん達と二次会に行ったことは把握してる。が、その後のことは知らないだろう。

 

 

「…何かあったの?」

 

 

「あぁ、それがだな」

 

 

酒に酔った八神さんと遠山さんの悪ノリで酒を飲まされた涼風が酔っ払って、それで1人だと危ないからと送ったことでお礼を言われていたと、一応本当のことを話しておく。

すげー大変だったぜといつもの様に話すと滝本は目を細める。

 

 

「嘘」

 

 

「はい?」

 

 

「青葉ちゃんに何かしたの?」

 

 

なんだ今日の滝本、妙にハキハキしてるし怖いぞ。さっきまでのおどおどというか、可愛らしい滝本はどこに。いや、今の滝本も可愛いんだけども。あと、したんじゃなくてされたんです。とは他言するなと言った手前言えない。

 

 

「俺はしてねぇよ」

 

 

されたので何もしてない。3回目は知らん。ちょっと指先やら唇が涼風の肌や唇に吸い付いただけだ。ここだけ見るとクソ野郎だな。自分に辟易としていると俺の哀愁が伝わったのか憐れむような目で瀧本は俺を見つめる。

 

 

「……そう」

 

 

ようやく納得していつもの滝本に戻って間隔をあけて話す滝本は「そろそろ…戻らないと…」と俺と共に戻ることを提案する。まぁ呼びに来たのに一緒に来ないと違和感あるか。頷いた俺は滝本に続いて屋上の階段を下っていく。そして、キャラ班のブースの自分のデスクに着くと仕事を始める。時折、涼風が俺の言う通り気にはしないようにしてるようだが、無理があるのか視線を感じることがあるが、他のメンバーがそれに気づいてる様子はなく、俺はそれを確認すると滞りなく仕事をしていく。

午後になれば、涼風の視線も無くなり日常へと回帰する。定時までに仕事を終えて俺はカバンを手に持つと「お先に」とブースを出てエレベーターへと乗り込む。

 

 

「ま、待って…!」

 

 

扉が閉まる直前に飛び乗ろうと走ってきた滝本に驚き、開ボタンを押すと滝本は無事にエレベーターに乗り込み、1階へと降りていく。

余程急いでいたのか膝に手をついて息を整える滝本が心配になるが、屈んだ姿勢で正面から見える豊満な胸が直視出来ずに目を逸らす。

 

 

「なんだ急ぎ事か?」

 

 

「う、うん…」

 

 

1階につくまでには息を整え終わり、少し乱れた前髪もなおした滝本は背筋を伸ばす。それでもやはり大きいと分かる胸は見慣れていてもやっぱり凶器だと思い、滝本に話題を振る。

 

 

「滝本が急ぎの用って珍しいな」

 

 

ちなみにこの後に「デート?」と続けるとセクハラになるらしい。俺は聞かないが。聞いてわかることならいいが、滝本のプライベートの付き合いはあまり知らない。趣味をコスプレとしてるのは知ってるが、見たことは無いし、それ関連の仲間がいるとか友達がいるとかも聞いたことは無い。同期だからって互いが互いをちゃんと知ってるとは限らんのだ。

 

 

「あ、あの…!」

 

 

「んあ?」

 

 

エレベーターから降りてビルから出て、帰り道が違う滝本にお別れしようと思ったら滝本が急に声を出すもんだから素っ頓狂な声を出してしまう。夕暮れが地を照らしてその光で赤く見える滝本の顔を見据えると、滝本は目の焦点を色んなところに移しながら言葉を紡ぐ。

 

 

「ふ、2人で、ご飯でも……どう…で、ですか?」

 

 

滝本がご飯に誘うなんて珍しいこともあるもんだなと思いながら、時計を見る。時間は17時過ぎで少し早い気もするが、構わないだろう。それに滝本がただ食事に誘ったようにも思えない。何か悩み事だろうか。それならば人から頼られることを悦としてる俺が解決できるかは分からんが、話を聞くくらいするとしよう。俺は滝本の提案を快く承諾すると、滝本に連れられてレストランへと足を進めた。

 

 




ひふみちゃんは原作や他の二次創作のイメージで歳上の押しに弱いお姉さんなイメージだったり、同人誌ではおねショタが多いのでこういう同期で砕けた感じのひふみちゃんが見たかったという気持ちがあったりします。


さてさて、早速活動報告にて御質問頂きました。感想もくれた方でとても嬉しかったです。おかげで調子に乗って3話目を書いてしまいました。
それでは質問にお答えのコーナー。


①3pや複数プレイに伴う女同士の絡みなどはありますか?
A、ありますねぇ! コウ×リン ねね×青葉を想定してます。あくまで一応で多く書けるわけではありませんが、ありますねぇ!

②立場が逆転することはありますか?
A、男側からのレイプはないです。ナチュラルラブみたいなのでお互いの合意から、というのはあると思います。

③次は誰を書きますか?
A、この回見たらわかると思いますけどひふみちゃんです。


以上になります。ありがとね!
他にも質問あればどうぞー!






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4話 同期から悩み相談をされる話

滝本ひふみは俺と同い年で同期の同僚だ。話かけられたら話す程度の仲で、3年間プライベートでの付き合いはなかった。まず互いに他人のプライベートに干渉するタイプの人間でもないし、 されることを嫌うタイプだ。だから、今まで積極的な関わりを持つこともなかったし、これからもそんなことは無いだろうと思っていた。

 

 

「おいしい…」

 

 

だが、それも今日までの話。唐突に食事に誘われた俺は滝本と優雅なディナーを楽しんでいる。早めに来たこともあって予約を取らずとも座れた席で滝本は一口サイズに切った牛肉を口に運んで舌鼓を打つ。

滝本が気に入ってるというイタリア料理のレストランに来たはいいが、ここに来る前から黙々と歩いて着いても料理を食べるだけというのは味気ない気もする。

誰かと食事を共にするというのは、料理と共に会話を楽しむものだと思っている俺からすれば今回の食事は些か物足りない。時折、料理の感想を漏らしながら美味しそうに食べてる滝本は満足そうではあるが、俺はそうでも無い。

明日も仕事なのでそれを考えて美味そうな赤ワインでなく水を頼み、料理も昨日の予定外の出費で少なくなったお金のせいでビーフではなくチキンである。まぁ美味いからいいんだけど、やっぱり少し物足りない気がする。

 

 

「ごちそうさまでした」

 

 

満たされない腹に憤りを感じつつも作ってくれた人に対しての感謝を言葉にして手を合わせる。俺より少し遅れて滝本も食べ終わって手を合わせた。

 

 

「ど、どうだった…?」

 

おずおずと上目遣いで聞いてくる滝本。今日はいつもと雰囲気が違ったと思ったが勘違いだったのだろうか。ここに来るまで歩いてる滝本を見てると何やら今日の滝本には"何としてもやり遂げる"という覚悟のような目をしているように感じたのだが。なんだろう。俺にこの店のリピーターにでもなって欲しいのだろうか。

 

 

「あぁ、美味しかったよ。チキンの焼き具合といい、ソースとのマッチングが完璧だった」

 

 

「そっか…! よかった…」

 

 

嬉しそうに花を咲かせたような笑顔をしてるが、やはり自分の好きなお店が褒められるのは嬉しいのだろうか。分からないこともないから、つい笑顔が零れてしまいそれを見た滝本がバッと目を逸らす。

 

 

「?」

 

 

それに首を傾げるが滝本は顔を逸らしたまま、オレンジジュースの入ったコップを手に取りストローで吸い取って飲む。可愛らしい仕草に見えるが自然にでた笑顔の後にそういうことをされるとこちらとしては複雑だ。気持ち悪かったかなとか不安になってしまう。

 

 

「…食べ終わったし、あと少ししたら出るか」

 

 

時計を見れば会社を出てからちょうど1時間経ったくらいだ。多分この時間なら家に帰る頃には小腹がすいて、軽食を食べることになるだろうがさっきの料理が物足りなかった俺には嬉しいことだ。そういえば、卵とネギがあったから肉なしチャーハンで腹を満たそうと考えてると、「あ、あの…!」と滝本がやっと振り絞ったみたいな声を出す。

 

 

「その、相談…したいことが、あって…」

 

 

やはりそうか。美味しい料理だけで終わるというのも良かったが、人生にはこういうスパイスもあっていい。いやむしろ俺は求めている。

他人の悩み事というのは俺からしたら関係の無い話だが、他人でも親しい人なら知人なら構え方は変わる。親しい人間が嬉しそうなら俺も嬉しいし、悲しそうなら悲しくなるから助けてあげたくなる。

だから、俺は俄然、前のめりに滝本の話を聞く。

 

 

「その…最近…あの…」

 

 

どうやら言い難いことらしい。だとしたらここでは場所が悪いかもしれない。先程から仕事を終えてやってきたのであろうカップルや友達連れなどで空いてた席が埋まってきてる。このまま増えてピークを迎えれば食べ終えている俺達は退店を促されるだろう。

そうなる前に出て、カフェとかもう少しゆったり出来るとこに行こうと提案すると滝本は頷いて俺達は退店し、場所を移すことにした。

 

 

 

###

 

 

悩み相談を聞くに適した場所とはどこか。

 

 

誰にも聞かれたくないというのなら情報媒体の進化した今ならLINEなどのメッセージツールが筆頭となる。これに関しては会話のログを残すも消すも自由だし、電話や直接の会話と違って1人で考えて言葉を伝えられる。だが、欠点として相手の感情が分からないということだろう。相談相手に選んだ人間がどんなに信用出来ても、自分の相談に対して相手がどう思うかは別だ。快く聞いてくれてるように見えて実は嫌そうな顔して適当に返してるなんて分かればとても嫌なものだ。

次に電話。これも容易に場所を選べて人のいない場所でなら誰にも聞かれずに相談できるし直接会話するので相手の反応は窺いやすい。しかし、顔が見えない。人の中には表情と喜怒哀楽を切り離して会話できる者がいるので、相手が言葉や口調通りの感情を持ち合わせてるかは別なのだ。

まぁそれは直接会って会話する時も同じだが、どうやら人というのは直接会って相談する方が、した後のスッキリ感は上のようだ。

聞かされる方も親身になれるし、聞きたくないことなら「その話はやめよう。やめてくれ」と真摯に断ることも出来る。電話やLINEのように途切れることがないと考えるとやはり、直接会うほうが俺はいいと思う。

しかし、こちらの欠点とすれば場所に困ることだろう。周りに聞かれたらまずいことなら公共の場であるカフェやレストランは使えない。声量を抑えるにしても相手が聞こえなかったら意味が無い。

個室でなら声量を抑えずとも内密に相談できるが料金がかかる。

お金をかけずに簡単に話せる、となれば夜の公園などが挙がるがそこも人が必ずいないわけじゃないので難しい。

そうなると自然に出るのは、話し手と聞き手以外の人がおらず来ない場所で料金が発生しない場所となる。

 

 

「だからって家はどうなんだ…」

 

 

相談の内容を知らないままではあるが、周りの目があると話しにくいというので滝本が選んだのは滝本の自宅である。まぁ確かにここなら、滝本と俺以外でいるのはペットのハリネズミくらいで俺の出した条件を全てクリアしてる。それでも相談するがために男を連れ込むのはどうなんですかね。お前のご主人大丈夫か? とゲージに入ってるハリネズミに首を傾げるが俺に見向きもせずに餌を貪ってた。

 

 

「こら、宗次郎」

 

 

台所から紅茶をのせたお盆を持って滝本は自分のペットに注意する。ペットは怒られてるのを理解したのか藁の山の穴に隠れてしまう。飼い主に似てシャイなのかもしれない。そう思うとこいつも可愛く見えてきたな。

 

 

「はい、紅茶…」

 

 

「ん、ありがと」

 

 

出されたカップがキャラクターモノのマグカップなのは一人暮らしで友達を呼ぶことを想定してなかったからなのか、あるいはこれがお客さん用なのか。それはさておき、味はいい。でも俺は紅茶よりほうじ茶の方が好きだ。

 

 

「それで相談って?」

 

 

相談は聞いてやりたいがこの状況は不慣れなので早く帰りたい。女子の家なんて来たのは小学校以来だ。それも相手に呼ばれたのではなくて母親同士が仲が良くて集められたという感じである。しかもその頃は物心はあれど相手を異性として意識していない。

だが今は下心はなくとも意識してしまう。カーペットがピンクなのとか、家具も女の子らしい物で本当に女の子の部屋に来たんだなと思わされる。

それに相手が滝本なのも拍車をかけている。滝本は男目線で見れば十分に可愛い。恥ずかしがり屋なのは日本人にはよくいるし、会話が下手でメッセージツールを使った会話ではハイテンションというコミュ障で趣味がコスプレという点も一周まわって可愛く見えるものだ。

俺が質問を投げかけてもじもじとしてるのも中々に甲乙つけがたい可愛さがある。てか、そんなに言い難いことなの?俺に言って大丈夫?と心配になってきた。

 

 

「その、実は…最近…」

 

 

「うん」

 

 

「欲求…ふ、不満…なの…」

 

 

「なるほどな…………………ん?」

 

 

今こいつなんて言った。聞き返すのはセーフか?アウトか? いや、滝本の発言はアウトだよな。欲求不満? あれだろ3大欲求のいずれかあるいは全てが満たされない状態のことだろ? それなら俺もそうだな。俺も今腹が減ってる。食欲に不満を抱えていると、日本語に違和感がある気がするがそういうことになる。滝本もそういうことかもしれないので聞いてみるとしよう。

 

 

「ちなみに食欲?睡眠?」

 

 

「へっ!?………せ、せ、せ………せ………」

 

 

爆発したと思ったらカクカクと頭を震わせている。ちょっと怖いんだけど。それに「せ」で言い戸惑ってるのは何故だ。もしかしたら食欲か睡眠の英訳か何かなのかもしれない。俺日本人だからわかんないな!

 

 

「欲求不満なのは分かったがそれで俺になにかできるのか?」

 

 

まぁ性欲ならば出来ることはあるだろう。でもやだ。一昨日のトラウマと感触がまだ抜けてない。中途半端にやったら俺もフラストレーションが溜まってしまう。けど、滝本に限って性欲なんてことは無いだろう。ならば自然と導き出されるのは不眠だろうか。夜に眠れないということに関して不満があるということで話を進める。食欲はさっき満てたからな。

 

 

 

「そ、その…わ、私と……」

 

 

「うん、滝本と?」

 

 

「し……し………」

 

 

「し?」

 

 

「うううぅぅぅぅぅ!!!!」

 

 

肝心なところを言わずにうずくまってしまう滝本に俺は困惑するばかりだ。しかし、「し」か。なんだろう。子守唄か催眠術あたりだと思ったんだけど、「し」から始まる不眠治療あったかな。それとも死のうという永眠だろうか。まだ20代なんだから死ぬには早いでしょと首をふる。顎に手を置いて考えてると滝本が目を濡らした状態で顔を上げる。

 

 

「泣くほどなのか…」

 

 

「う……うん……」

 

 

確かに仕事終わりに寝れないと辛いもんな。俺もわかるよ。身体は疲れてるはずなのに眠って休めないんだからな。仕方ない、俺に出来ることは少ないだろうが、手伝うとしよう。

 

 

「分かった。俺に出来ることがあるなら手を貸すよ」

 

 

「ほ、ほんと…?」

 

 

「ほんとさ」

 

 

だから、そんな顔するなってとハンカチを渡して目を拭いてもらう。女の子の泣き顔なんて見て嬉しいもんじゃないからな。出そうになっていた涙を拭いた滝本はハンカチを置くと、用意をしてくると扉の閉まってる部屋に入っていく。寝巻きに着替えるのかと待ってるとシャワーの水が出る音が聞こえる。まぁ女の子だしシャワー浴びてから寝たいよねと1人でウンウンと頷く。でも、髪を乾かす時間も入れると結構待つよなとスマホをいじる。不眠解消法について調べておこうと色々とサイトや質問箱などを見て回る。

へぇ、深呼吸をすると身体のムダな力が抜けて眠りやすくなるのか。スーハー、スーハーと2回繰り返して脱力して、瞼を閉じてみる。これは確かに少しは効果あ………。

 

 

 

 

───────不本意にも、俺は調べてる間に浅い眠りに入ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 



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5話 寝てたら同期に襲われた話

滝本のためにと調べていた不眠解消法を実践していたら自分が寝てしまうという事態から目が覚めた俺は、とある事態に直面していた。

まず起きるきっかけとなったのが、股間に迸る快楽である。なんだか温めたスポンジに包まれてるかのような感触を感じで俺は意識朦朧ながらも瞼を開く。開眼すると、寝る前は明るかった部屋は電気が消えて暗くなっており、目がその暗さに慣れるまで状況が掴めずにいたが。

 

 

「ちゅっれろ……んちゅれろ……ちゅっろ……」

 

 

ただナニカが俺のペニスを舐めて卑猥な音を立てている。ゆっくりと吸うように上下に動かしながら、俺のムスコを喉奥に届いてるのではないかと思うくらい根本付近まで咥えこまれており、ぶっちゃけ気持ちいい。

 

 

「んっじゅ……ふじゅっ……んじゅっ……じゅぼっ……じゅる……んっじゅぼ……」

 

 

唇を窄めて張り詰めたペニスを口腔全体で扱き、擦るだけでなく口内で舌をくねらせて亀頭を舐め回されている。涼風にはフェラはされていないので未知の体験であるが、非常に気持ちいい。もし2本の足で仁王立ちの状態でされていたならガクガクになって砕けてしまうほどだ。

 

 

「じゅるるる……!ちゅっ!ずるる……じゅずるるるるぅっ」

 

 

さらに窄める力は強くなり、下品な音色を奏でるようにペニスが啜り上げられる。このままでは中のモノまで啜られて搾り取られてしまう。

限界体制の中、徐々にそのシルエットが鮮明になっていくが、そういえば手に持ってるスマホで照らして見れば早いのではと電源をつけて俺の前にいるであろう存在にあてる。

 

 

「何やってんだ滝本…」

 

 

「ひゃあふ!?ひょれわ……ひょの……」

 

 

「おい、バカ!?……くっ!!」

 

 

怒るでも驚くでもなく呆れたような声を出した俺に光を当てられ名前も呼ばれた滝本は動揺し俺のペニスを口に含んだまま誤魔化そうと喋ろうとする。それが限界に至っていたペニスに射精を促して、無意識的に滝本にペニスを突き出して彼女の中に流し込む。

 

 

「んっ!!!?……ん、ん…じゅっ……じゅずるるるるるぅっ」

 

 

口内いっぱいに精液を流し込まれて、目を見開き苦闘の顔をした滝本だったが、全てを絞ろうとペニスを啜る。やがて射精が終わり、咥えていたペニスを離した滝本は沈めていた顔を上げて口元についた精液を指で舐めとる。そして、顔を赤らめて申し訳なさそうに女の子座りをして俺を見る。

服装は仕事着でもパジャマでもなく、白いレースの同人誌とかSNSで美少女キャラが着るような下着だ。肩にかかった紐を起点に扇情的に滝本の身体のパーツの良さをさらけ出している。どうしてこんな格好をしてるのかはさておき、何故こんなことをと目で問いかける。

 

 

「えっと……これは……」

 

 

言う言葉が見つからないのだろう滝本は俺の股間と顔を何度も行き来して言葉を考えるがまたパンクして「うううううぅぅぅぅぅ!!!!!」と唸って蹲る。勝手に睡姦しようとしておいてなんなんだこの子は…。

俺も射精後だから強く怒る元気もなく、呆れるばかりである。

それにしても、残念なことに滝本の欲求不満というのが性欲のことだったと判明してしまった。まさか寝てる間に睡姦フェラをされるなんて誰が思うだろうか。しかも、する側は普通なら逆だと思う。

確かにそれなら解決できるのは俺……くらいなのか? 偏見ではあるが遠山さん辺りなら解決してくれそうだけど。

 

 

「う、う、う……ご、ごめ……ごめんなひゃい……!!」

 

 

一応、申し訳ないと思ってるのか泣いて謝り始める滝本に何故か罪悪感を感じてしまう。この俺が悪いわけではないのに悪く感じてしまう女の涙ってほんとに最高の武器だと思う。男からしたら至極迷惑なのだが。さて、どうしたものか。普通に聞いて答えてくれるようにも思わないし、このまま放置して帰るのもなんだかいたたまれない気持ちになる。相手が涼風なら説教して終わりで済むが、相手が相手なだけに困ってしまう。

 

 

「滝本、聞きたいんだが…どうしてこんなことを?」

 

 

少し触れてみれば俺の精液と滝本の唾液でヌルヌルのベトベトで近くにティッシュがないか探してしまう。

 

 

「欲求不満だからってお前がフェラしても満たされないだろ」

 

 

探しながら性欲欲求の満たし方に問題があると指摘する。辺りを見渡してると顔上げた滝本は俺が探し物をしてるのを察したのか、ティッシュケースらしいものを一瞥する。その目線を頼りにティッシュを取ろうと身体を動かそうとしたが。

 

 

「なっ!お、おいっ!な…何をっ!?」

 

 

まさかまた舐めてくるとは思っていなかった俺は驚きの声を出して涙を出しながらペニスを咥えるを見る。

 

 

「……お、お掃除……ドロドロだから……綺麗にしようと……だ、だから……」

 

 

大人しくしててとまた卑猥な音を立てて舐め始める滝本。そうしたのは滝本だから綺麗にする義務があるって主張は当然だ。わかるよ、ヒジョーにわかる。けど、俺の精液は拭えても滝本の唾液は残るだろうが!そんな心の叫びは滝本のディープストロークの前には掻き消えて「れろ……んっちゅ……ちゅれろっ……ぶちゅううっ!!!」と半勃ちだったペニスに血が通い、再び大きくなっていく。もう全盛期ではないから1日休んだくらいじゃ大きくならないと思ってたムスコにこんな元気があったとはと内心驚愕している。

いや、恐らくここまでの元気は俺にはなかっただろう。けど、元気を取り戻させたのは滝本のフェラチオだ。一度の射精だけでは満足できないように、濃厚に絡みついてくる口淫は亀頭やスジを入念に舐めまわし、喉奥でキスするようにストロークしてくる。それでもなんとか2回目は踏み留まろうと我慢する。そんな俺の姿勢が滝本に伝わったのか滝本は口唇を離して豊満な乳房を寄せる。

 

 

「んっ」

 

 

「なっ!?」

 

 

グニュッと滝本の胸の谷間に挟まれた俺のペニスはすっぽりと包まれる。

 

 

「なっ、これは! くっ!」

 

 

ペニスを乳房で挟んだまま上下に揺らすそれはパイズリと呼ばれるSEXの前戯におけるテクニック。口淫のような滑らかさはなくても、先程の行為での唾液が潤滑油になっており口淫と変わらないスピードで上下されていく。まるで電流でも流されたかのような衝撃に堪えていたチンポから我慢汁が垂れ出す。それを見て反応がよかったのに喜んだ滝本はさらに両胸を支える手の力を強くして肉槍を締め付けながら、上目遣いで尋ねてくる。

 

 

「ど、どう……?」

 

 

「どうって……!」

 

 

気持ちいいわ!手淫や口淫では味わえないマシュマロに包まれてるかのような幸福感に、乳圧で挟まれたペニスが射精をしたいと全神経に伝えてくる。それに月明かりが部屋を照らしてスマホの明かりなしで見える滝本の乳房にある黒子に、どこからか湧き上がってくる興奮感に身体が高まる。だがまだだ!まだ終わらんよ!こんなことで果てるほど俺のペニスは伊達じゃない!

 

 

「はむっ」

 

 

「くはっ!?」

 

 

このままでは俺を射精まで導けないと直感した滝本は手の力を強めるのに加えてさらにペニスに口吸いをしてくる。ソレが妙に心地よくて上ずった声を出してしまい、滝本はさらにパイズリをしながら亀頭を咥える。

 

 

「んっちゅ…!ちゅっ……じゅぽっ…!んちゅ…ふちゅ……んちゅうううっ」

 

 

ただ乳房で擦るだけではない。快感の上に快感を重ねるように、柔肉で幹を扱きながらら伸ばした舌で尿道口をなぞり亀頭をペロリと舐めてら押し付けた唇で肉先を啜る。胸と舌と唇の全てを使って射精を促そうと愛撫に愛撫を重ねてくる。肉先から溢れ出るカウパーに、滝本の出す唾液が淫蜜な音を立てる。さらに垂れたそれらの液体は滝本の巨峰に落ちて、乳房を艶めかせる。

 

 

「クッソ!!も、もう無理だ…!」

 

 

「うん!……出して……! んっじゅぼ……ちゅっ……じゅるる…!!」

 

 

肉先から白濁液を吸い取ろうとする滝本の口淫のラストスパートに俺は耐えられずに塞き止めるために使っていた力を解き放ってしまう。

 

 

「あっ…! くふっ! んっ……んっ……」

 

 

ペニスが震えてドクッドクッと脈打ちながら放たれた精液は2度目とは思えないほど勢いよく発射されて多量に溢れ出す。

それも今度は口内射精ではない。噴水のように溢れ出した精液が滝本の顔や胸にかかっていく。鼻が、頬が、乳頭が、俺の精液で汚れていく。

 

 

「わ、悪い……」

 

 

「ううん……す、すごい……」

 

 

謝罪する俺に滝本は気にする素振りはなく、むしろ興味深そうに─────どこか嬉しげについた精液に触れる。その顔はメスの顔そのもので不意に俺の心臓を高鳴らせる。これ以上見つめるのは危険だとガクついた身体を無理やり起こすとティッシュを取ってサッと拭き取る。2回出しても賢者モードには至れてない。涼風との性交で膣内の暴力的な快楽を知っている俺は滝本の顕になった臍から下に降りて股間を見る。

 

 

「……くっそ」

 

 

たった一度の行為で俺がSEXを求めてるなんて、まるで麻薬みたいだなと自嘲的に笑う。それを見ていた滝本に気づき、誤魔化すようにティッシュケースごと投げ渡すと、滝本は顔や胸について液体を拭き始める。

 

 

「悪いがここで終わりだ。ここから先は……」

 

 

「う、うん……ゴム……買ってなかったし……いいよ……」

 

 

避妊具があれば本番までいってたのか。こりゃ、ゴムがあったら即死だったな。運が良かったのか悪かったのかは分からないが、なんとか生きて帰れそうだ。そういえば悩み相談に乗っていたことを思い出して確認のため滝本に尋ねる。

 

 

「…欲求は満たせたか?」

 

 

「う、うん……ありがと…」

 

 

「そうか」

 

 

パンツとズボンを履き直して荷物をまとめた俺はリュックを背中に背負う。軽めの荷物のはずが重く感じるのはエネルギーを吸い取られたからだろうか。

 

 

「あの、また……頼んでもいい…かな…」

 

 

玄関に向かう前に背中越しにそう尋ねられて俺は立ち止まる。快楽を覚えたこの身体にそういうセリフは良くないんですよ滝本さん。知らなければこんな悩む必要もなかったのにと顔を歪める。

 

 

「……悪いが今日はもう帰らせてくれ」

 

 

了承するのは以ての外で、考えると言えばその気があると思われてしまう。それに直ぐに断れない自分がいることもあり、1日家で頭を冷やそうと思い俺はそう口にする。

 

 

「…分かった……じゃ…バイバイ」

 

 

「ん……!?」

 

 

バイバイと言ったから手を振ってるだろうと思い、見ずに帰るのは感じが悪いかと振り返れば至近距離まで迫っていた滝本に唇を奪われる。精液とか唾液のモワッとした空気が鼻腔を擽ったが、接吻の気持ちよさがその悪臭に勝ってまた少し俺のペニスが隆起しかける。舌を入れてキスしようとしてきた滝本から無理やり離れて俺は靴を履いてドアノブに手をかける。

 

 

「……また明日な」

 

 

 

「……うん、ありがとう………」

 

 

そのありがとうの意味に深く思考することなく俺はドアを開くと滝本の部屋から出ていく。はぁ、とため息を吐いた俺はすっかり暗くなった空に灯る満月を見つめる。そして、左右を見てここがマンションだったこと、隣にも住んでる人がいることを認識した俺はこう呟いた。

 

 

「最後までしなくて良かった…」

 

 

していたら恐らく隣には迷惑かけるわ、自分は家に帰ることなく共に熟睡して朝チュンを迎えることになるだろう。というか、フェラの音とかも聞こえてるかもしれない。まぁそれは滝本の問題だ。自業自得ということで本人がどうにかするだろう。

フラフラと下半身にあまり力が入らない状態で家に帰った俺は空腹など忘れて、チャーハンを作ることも風呂に入って着替えることも無かった。ただ今日の疲れを癒すために、睡眠欲求を満たすためにベッドの上にダイブする。自宅の布団と枕が1番の癒しだなと改めて思いながら、俺は深い眠りについた。

 

 

 

 

 




多分ひふみちゃんは同人誌とかで知識があるからこれくらいはやる。
でもどっかの戦闘民族と同じく戦う(ヤる)度に強くなるタイプ。しかも、潜在能力の高い孫悟飯のようなタイプなので最初からフェラだけでもやばかった。ちなみに主人公は知らないが寝てる間に手淫で1回射精してる。




今回は質問なかったのでここまで。本番ナシでフェラに絞りましたが、フェラとパイズリって前戯でいいんですよね?まだシてない扱いでいいんですよね。
あと、フェラの音とかアレでええんかな。わっかんね。俺童貞だからわっかんね。でも少し誇張して書いてやるかって感じなので見逃して。



ではまた次回。次は誰と何をさせようか。原作見てじっくり考えます。
なので明日の投稿はないです。ご了承ください。


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6話 上司が唐突に脱ぎ始める話

【バカなっ!!!お気に入り数があがっていく!!! お気に入り数804…!!! こいつ…!!お気に入り数を一点に集中させて 評価することができるのか…!!! (ピ─────) こ、こっちは評価点8.20(2月20日時点)……8.75(調整平均)……!!!し、信じられん!!!! まだ あがっている!!!!(あがれ)】




ありがとうございます。数日空いてもお気に入り数も評価数も上がっててスカウターの数値では測れない程でした。おかげで【】内のセリフを変えることになっちまったじゃねぇか…クソッタレ…!!
書いたのが水曜日の昼なのでお気に入り値が評価値がそちらに準じてるのはご了承ください。
今回はセリフ多めだからよォ、エッチはねぇぞ…悪ぃな。
あと八神さんアンチみたいなセリフあっけど決して違うことも分かっていてもらいたい。詳しくはあとがきで。






いついかなる時も人には穏やかな日がやってくる。後輩に襲われた人間にも、同期に襲われた人間にも。どっちも自分の事じゃねぇかよクソッタレ。

そんな冗談も言えるくらいには回復したメンタルで、今日も今日とて仕事である。こうして毎日真面目に来てると社畜精神旺盛だとか思われるんだろうが、俺は働くことに関しては苦に感じていない。むしろイーグルジャンプという会社が好きで働いているのだからそこに不満はない。自分の働きたいと言った仕事に対して文句を言ってる奴は、わがままか想像力の足りない馬鹿だ。

 

 

 

仕事に対する報酬はくれるし、ボーナスも社員旅行もある。週休2日は約束されてるし、有給だってちゃんと取れる。決してブラック企業にはないアドバンテージが備わっている。

ただ一つ文句があるとすれば、ピンクだ。ピンクすぎる。俺以外ほとんど女性なのがおかしい。確かに女性は男性に較べて色彩感覚が優れてると聞く。だから、キャラクターデザイナーや背景チームに女性が多いのはわかる。けど、それにしたって多すぎる。2フロアある会社の男女比が1:9なのはおかしくないだろうか。

 

 

 

そのうち男が上の上層部に固まってるのもおかしい。だけど、女性蔑視とかしてるわけでなく均等に給料は配られてるし、セクハラも起こっていない。何だこの会社。ただ噂では社長がオネェで男性社員を全部上に持って行っていると聞いたが俺はどうした。俺もれっきとした男なのに。

そんな文句を言っても、所詮専門学校卒業のキャラクターデザイナーには経理とかマネジメントの仕事は出来ないので下のフロアに留まるのが一番適してると思ってるので、一揆は起こさずに黙々と仕事をしている。

 

 

 

 

 

 

6月に入ってからようやく落ち着いた俺はダラりと脳内でモノローグを綴りながら仕事をこなしている。名無ノ権兵衛(偽名)24歳の会社員。会社から歩いて15分のアパート暮らし。結婚の予定なし。彼女もナシ。

人々は俺の事を行き遅れだとかろくでなしと嘲笑うだろう。だがこれでいい。恋愛は己の生活を彩るスパイスだと思う。けど、俺の生活にそんなものはいらない。俺が欲しいのはのどかで穏やかな暮らしと時々やってくる程よいトラブルだ。決して後輩に襲われて童貞を奪われるだとか、同期に襲われてフェラとパイズリをされることじゃあない。

 

 

 

 

 

悪魔の見せた淫夢のような体験から数日が経過して、俺はやっと平和で静かないつもの日常に回帰した。これまでにあったことを振り返るなら、はじめちゃんが初めての後輩にらしくないことをしてたこと。涼風と滝本と飯島が遅刻してきたこと。そして今年度初めての給料日を迎えたことだろうか。

どれも他人が聞けば取るに足らないことだが、俺からすればこれこそが素晴らしいのだ。

 

 

 

プライベートでも好きなヒーローが一緒だからと関わりのあるはじめちゃんが涼風に煽てられて可愛らしいキャラを演じてたのはわずかな時間だったが新鮮なものだった。

3人が遅刻してきたことは会社の玄関前で涼風が鞄の中のものを落としてしまったからで3人は間に合っていたこと。それに対して理由を聞かなかった八神さんが怒ってあとで恥ずかしそうにしていた。けど、3人の遅刻届を見て「反省して損したー!」と嘆いていたのも微笑ましい。

給料日の日は涼風が初給料の使い道に困って遠山さん達に聞いて回っていたな。そこで八神さんが遠山さんと日帰り温泉に行っていたことを忘れて怒られていたな。遠山さんホントに八神さんのこと好きだよな。

 

 

 

 

まぁそんな少しの刺激に満ちた生活に満足している俺は普段通り、深く関わろうとする話しかけられたら話すという人間関係を築いていた。敵を作らず、味方を増やさない。あまり褒められたものでは無いと自負してるが、貶されることでもないだろう。

自分の主義主張にケチをつけるならそれ相応の理論で証明して欲しいねホント。

 

 

 

 

 

「お疲れ様ですー」

 

 

 

 

「おつかれー。気をつけてねー」

 

 

 

「じゃあ送ってくださいよー」

 

 

 

 

「うーん無理かな」

 

 

 

 

週末の金曜日、飯島が仕事を終えて帰りの挨拶に返したらお互いに笑みが零れる。それじゃあ、と手を振って姿を消した飯島を見送って自分の仕事に戻る。

 

 

 

 

「あー終わんねぇな」

 

 

 

 

一つ作業終わらせても振ってくる仕事に辟易しちゃうぜ全く。β版納入前とはいえ俺の事を酷使しすぎですよこれ。明日が昼までだから残業しちゃってるけど、明日もフルタイムなら死んでるねこれは。

 

 

 

 

「おつかれーどうー?」

 

 

 

 

奥から眠そうに欠伸をしながら出てきた八神さんに進捗どうですかと聞かれて「全然っすねー」と答えると「どれどれ」と肩に手を乗せられ、画面覗き見てくる。

 

 

 

 

「なんだ結構できてるじゃん」

 

 

 

「そんなことないですよー」

 

 

 

 

ハハハと冗談めかして答える俺の頬に軽く肘が突き刺さり、八神さんが目を細める。

 

 

 

 

「まさか仕事を振られないために嘘をついたのか?」

 

 

 

 

「まっさかー」

 

 

 

 

まぁその通りなんですけどね。この仕事は好きだけど、流石に限度があるっていうか。1日1体ノルマをクリアした途端に1日2体、3体…と増えてくのはおかしいと思います。それを平気でこなす八神さんが1番おかしいんだけど。

 

 

 

 

「ま、ノルマはこなしてるしいいんだけど」

 

 

 

 

「だったらどいてくれません?」

 

 

 

 

大してないってわかっててもぶっちゃけ当たってるんですよ。そんなに近いと一応感触くらいは感じる。でも、涼風のよりは小さく感じる。あいつのは手にもにゅって感じしたけど、八神さんのはマジで壁に薄く砂を積もらせたような。関東平野くらいはあるかなってくらい?

 

 

 

 

「なんだよーノリが悪いなー」

 

 

 

 

「ノリとかそういうのじゃないでしょこれ」

 

 

 

 

遠山さんに見られたらめんどくさいから早く自分の仕事に戻ってと言えればいいんだが、そんなことしても「りんが? なんで?」と鈍感ムーブを見せられて遠山さんに呼び出される未来しか見えないので言わないでいる。

 

 

 

 

「まぁこの分だとなんとか間に合いそうかな。ありがとね」

 

 

 

 

「いえいえ別に」

 

 

 

 

β版納入までに残り2週間。涼風が村人キャラのモデリングが1日で1体出来るようになるまでは時間がかかる。そして、本来涼風が持つはずのキャラデザは八神さんと俺を含めたキャラデザ班に割り振られていている。その中でも操作キャラやボスキャラを担当する八神さんは少なめで、代わりに雑魚とか中ボス級担当の俺は多めである。

これも後輩が育つまでの辛抱とやっているが流石にここ1週間、自分のキャラそっちのけで進めてると疲れてくる。

 

 

 

 

「泊まるんだったら休憩したら? そのままだと明日の朝に終わっちゃうよ」

 

 

 

 

「あーそうっすね」

 

 

 

 

朝までに仕事が終わってしまうのは困る。俺の仕事は昼までであるのだし、片付けてしまうと新しい仕事がやってきてしまう。ここは八神さんの提案通り休むとしよう。

 

 

 

「じゃお先に」

 

 

 

「ちょっと待て」

 

 

 

 

「ん?」

 

 

 

 

なんでだよ。休ませてくれよ。こちとら朝から働き詰めでもう身体がボロボロなんだよ。八神さんにジト目を向けると、そんなものは見えませんと無視しておもむろにズボンを脱ぎ始める。

 

 

 

 

「おいちょっと待てや」

 

 

 

 

「え?」

 

 

 

 

就業時間中はちゃんと敬語で話すし、冗談とかを言うことはあっても失礼な態度は取らないようにしてる。けど、就業時間が終わった今となっては別だ。

俺と八神さんの年の差は1つだが、経歴の差は大きい。八神さんは高卒で入社してるから今年で6年目、大して俺は専門卒で3年。だから、敬意を表すようにはしてたのだが、プライベートの付き合いが出来てからはそうでもなくなった。それはあちらも堅苦しいのは嫌だからと了承してるので社外や就業時間外ではタメ口である。

 

 

 

 

「なんで脱いでんだよ」

 

 

 

 

「こうするとスッキリするから?」

 

 

 

 

「いや、知らねぇよ」

 

 

 

クイって首傾げんなよ、可愛く見えちゃうだろうが。しかも白のパンティってもっとこだわれよ。反応しづらいわ。

 

 

 

「でも初めてじゃないでしょ?」

 

 

 

 

そうだ八神さんの下着姿を見るのは初めてじゃないし、なんなら全裸も見てる。見たくて見たわけじゃないけど。

 

 

 

 

「そういう問題じゃなくて、ここ会社だぞ」

 

 

 

 

確かにこの人の家に呼ばれた時も、逆に呼んだ時も風呂上がり後はずっと下はパンツ姿だった。最初は戸惑ったが、段々と慣れていく自分がいてついには気にしなくなってたが、流石に会社の中だ。

 

 

 

 

「いいじゃん2人しかいないんだし」

 

 

 

 

「あ、そうなの?」

 

 

 

 

「うん」

 

 

 

 

いや、それでもアウトだろ。見られたらどうすんだよ。一応、辺りを見渡してみると残ってる人はいない。だからといっていいのかは分からない。

 

 

 

 

 

「で、俺もう行っていいっすか。ブランケットとか取りに行きたいんですけど」

 

 

 

 

「え? 一緒に寝ないの?」

 

 

 

 

寝ねぇよ。だからそんなキョトンとすんなって可愛く見えるだろ。

 

 

 

 

 

「何されるかわかんねぇし、見つかったら何言われるかわからないし」

 

 

 

 

主に遠山さんに。けど、最近誰かの近くで寝ることに抵抗があるのは間違いない。2ヶ月くらい前のことが起因する。語るつもりは無い。

 

 

 

 

「いいじゃん別に」

 

 

 

 

「だから良くねぇって」

 

 

 

 

八神さんがパンツ姿でいるのはいいと思うよ?(いや、良くないけども) でも、俺と八神さんが同じ場所、同じブランケットで寝るのは大問題なんですよね。不純異性交遊? とかになっちゃうし。

 

 

 

 

「大丈夫だよ」

 

 

 

 

 

「その根拠の無い自信はどこから来るんだよ」

 

 

 

 

「え、だって童貞に襲えるわけないでしょ」

 

 

 

 

「は?」

 

 

 

 

なんて言ったこの女。童貞? 俺が? そんなものとはとっくにさよならバイバイしたんだけど?俺の顔が気にいらないのか八神さんは怪訝そうに口を開く。

 

 

 

 

「だってこの前童貞って言ってたじゃん」

 

 

 

この前って何年前の話だよ。まぁたしかに遠山さんに「コウちゃんの匂いがする」って言われてからアンタの家言ってないし、会話もそこまでしてないよ。だからこそ、八神さんからすれば俺はまだ童貞だろう。

しかし、事実は違うのだ。でも、それを伝えるのは些かめんどくさい。前に迫られた件もある。ここは上手く誤魔化そうとした時、八神さんは顎に手を置いて何か考える所作を取っていた。これは珍しいと眺めていると「あ」と何か思い至ったのか八神さんはハッと顔を上げた。

 

 

 

 

 

「さては青葉とシたな?」

 

 

 

 

 

「してねぇよ」

 

 

 

 

 

あ、あ、あぶね〜!!平然を装って「何言ってんだこいつ」って顔をして乗り切る。でもまだ怪しまれてる。 なんでだよ、勘良すぎだろ。その感の良さ遠山さんの前でも使ってやれよ。

 

 

 

 

「いや、童貞じゃないんでしょ? だったらいつ捨てたのかなって考えたら青葉の歓迎会の日かなって」

 

 

 

「言ってない」

 

 

 

 

突然、推理を始めた八神さんに俺はまた童貞だよと主張するが聞く耳を持たれない。完全に仕事の時の自分の世界に入った八神さんだ。あれをなんとかするのは至難の業なので背を向けると八神さんは続けて言った。

 

 

 

「あの後りんも含めてバーに行って、アンタ以外酔っちゃってお開きになって、私とりんはタクシーで帰ったけど……」

 

 

 

そこで一旦言葉を切って1歩、また1歩と前に出て俺への距離狭める。急いで逃げようと思っても足は止まってしまい動かない。そして、八神さんの右手が肩に置かれる。

 

 

 

 

「青葉はアンタと帰ったよね?……その後どうした?」

 

 

 

 

「……そのまま涼風の家に連れて帰ったよ」

 

 

 

 

「あの悪酔いした青葉を?」

 

 

 

 

こいつべろべろに酔ってたくせにちゃんとそこの記憶がある。遠山さんよりはアルコールに対して耐性があるのは知ってたが、記憶を十分に保有してるのは予想外だ。それに冷静に俺を追い詰めてきてる。なんだこの人ホントに八神さんか?

 

 

 

「答えなよ」

 

 

 

言えない。悪酔いした涼風にホテルに行きたいと言われて連れていったら逆レイプされたなんて。言わないようにと言い含めたのが俺である以上、俺に真実を口にすることはできない。どうしようと嫌な汗を出して唾を飲む。

 

 

 

「まさか青葉を襲ったの? 最低だね」

 

 

 

 

「……違うんだ」

 

 

 

 

「何が違うの?」

 

 

 

 

耳元まで迫ってきた八神さんの圧に押されて俺は意を決した。悪いな涼風、襲ってきたのはお前で襲われたのは俺なんだ。俺は自分を守りたい。たとえ信じてくれなくても俺は自らの潔白を主張したい。

 

 

 

 

「俺が……襲われたんだ」

 

 

 

 

「…………はい?」

 

 

 

 

あ、うん。そりゃそうなるよね。けどね、ホントなんだ。俺が襲われたんだ。意味がわからないという顔をしてる八神さんにまず問いかけた。

 

 

 

 

「俺に後輩を襲う勇気があると思うか?」

 

 

 

 

「…言われてみたらないね」

 

 

 

 

証明終了。分かってもらえて何よりだが男としての尊厳を何か失った気がする。うんうんと何度か頷いた八神さんは「青葉やばいな…」と呟きながら俺を可哀想な目で見てくる。

 

 

 

 

「えっと、あの、そのゴメンな…」

 

 

 

 

「逆に心にくるんでそういうのはちょっと…」

 

 

 

 

同情するなら俺に童貞を返してくれ。無理か? 無理だな。いや、けども人間の細胞は何日か周期で入れ替わってるから、俺の童貞を失った時の細胞はとっくに死滅してるから今の俺は童貞だな。でも、事実上俺は後輩に襲われて童貞を奪われてるんだな。

 

 

 

 

「仕方がない」

 

 

 

よいしょと上の黒い長Tも脱ぎ始めた八神さんはパサッとそれを地面に脱ぎ捨てると俺の背中から手を回す。

 

 

 

 

 

 

「だったら教えてやるよ。本当の……セ、SEX…」

 

 

 

 

 

 

 

 

###

 

 

 

 

 

空は真っ暗、俺の心も真っ暗、瞼を閉じてさっさと寝たい。なんて思ってたら八神さんにちょっかいかけられてめんどうなことになってる。事の始まりは大したことない、八神さんが俺の進捗を確認しに来てそこから八神さんが脱ぎ始めて。

 

 

 

 

「だったら教えてやるよ。本当の……セ、SEX…」

 

 

 

よく分からないうちにこうなってた。どうしてこうなった。俺の落ち度といえば自衛のために涼風に襲われたことを吐露したことだろうか。いやそれだけでこうはならんだろ。なっとるやろがい!半ば自暴自棄になりながら上着も脱いで下着だけの姿となった八神さんに抱きつかれたまま、俺は手で顔を覆う。

 

 

 

 

 

「何言ってるのかわかんない」

 

 

 

 

「なんでわからないんだよ」

 

 

 

 

ちょっとキレ気味に言って八神さんは俺を抱きしめる力を強める。が、それでも俺には特にダメージもなく、伝わるのも1枚の布の感触とキメ細やかな肌くらいでとっくに経験済みの俺には動揺はない。

 

 

 

 

「マジで捨てたのか…!?」

 

 

 

 

「確認方法が酷い」

 

 

 

 

自分の身体に反応しないからって童貞って決めつけんなよ。それだと八神さんの裸体に見慣れた日から俺は非童貞になるだろ。

 

 

 

「てか、本当のSEXって…八神さん処女じゃないですか」

 

 

 

 

小中高女子校卒で高卒の人にいつ男とする機会があったのか是非とも知りたいものだ。イーグルジャンプに入ってからお偉いさんに身体を売ったというケースもあるが、本人が前に「実力実力〜」と言ってたしウチの会社の上の連中は皆ホモらしいしそれはないだろう。

 

 

 

「からかってるだけなら早めにやめといた方がいいですよ」

 

 

 

 

からかい上手の八神さんといえど本番になると困るだろう。それにここは会社だ。場所が悪すぎるし、俺は避妊具も持ち合わせていない。だからやめようぜと無言で八神さんの手を掴むと八神さんから自分で手を離す。分かってくれたかと安堵したのもつかの間、ズボンのチャックが降ろされていきズボンが脱がされる。

 

 

 

 

「…何してるんですかね」

 

 

 

 

「嫌なら抵抗しなよ」

 

 

 

 

呆れて動く気にもなれんわ。それに顔は見えないが若干声が上擦ってるのを聞く限り少しは羞恥心を持ち合わせてるらしい。多分今は勢いで頑張ってるだろうけど、俺のペニスを見たらそのやる気も吹き飛ぶだろう。

 

 

 

「おおっ……えぇ…なにコレ…」

 

 

 

勝手にパンツ下ろして見といてそのセリフはないだろ。驚いて困惑して聞いてんじゃねぇよ。俺のチンコだよ、チンコ。

 

 

 

 

「こんなに小さいの?」

 

 

 

 

「勃起してないからな」

 

 

 

 

俺のおいなりさんは悪くないので一応口を挟んでおく。そりゃ勃起してないのにデカイのは同人誌の世界かAV男優くらいだろ。知らないけども。

 

 

 

「ふーん、これが私のに入んの?」

 

 

 

「一応?」

 

 

 

 

八神さんは俺のチンコをまじまじとみながらそう聞いてくる。まぁこのサイズだと入るけど、多分その前に挿入できないと思う。挿入れるにはやっぱり勃起させないと。

 

 

 

「擦ったり舐めればいいんだっけ?」

 

 

 

 

「まぁ。おそらく?」

 

 

 

 

「なんで疑問形なの…」

 

 

 

 

いや、八神さんにされて勃起するとも思えないから…。別に八神さんのプロポーションが悪いとか言ってない。むしろいいとは思う。胸はないが肌は色白で綺麗だし、クビレがあってモデル体型に近いボディバランスをしている。足も長いしホントにスタイルは悪くない。金色の長い髪に大きな輝く瞳と向き合ってるとこちらがたまに気恥ずかしくなるので、整ってることは間違いない。

 

 

 

問題は中身だ。職場ではまだ片付いている方だが私生活はめちゃくちゃである。昨日の服はその辺に置きっぱだし、洗い物も俺か遠山さんが来るまで山積みに放置されている。部屋の掃除をするのも月に1回くらいだ。服装も可愛くてスタイルがいいくせに黒のシャツとスウェットかジーパンのどちらかで全く女の子らしさを感じない。

俺とSEXしたいなら遠山さんのファッションチェック受けるか来世からやり直してくれと言いたい。けど言えないんだな。

 

 

 

 

「これを…舐める…ムリだろ」

 

 

 

「じゃ仕舞わせろよ」

 

 

 

 

さっきから頑張って触ろうとしてるけど、そんなに不気味だと思うならやめろよ。「肌色のフルフルみたい」とか他社のモンスター名を口にすんじゃねぇ。

八神さんはそっと下げたパンツを上げてチンコを隠して立ち上がる。

 

 

 

 

「ズボンも履かせろや」

 

 

 

 

「いや、とりあえず勃起してもらおうと思って」

 

 

 

 

「聞けよ」

 

 

 

 

ホントに話聞かないなこの人は…と呆れてると八神さんは目を閉じて顎を前に出してくる。なにしてんのこの人。

 

 

 

 

「……ほら、キス……しなよ」

 

 

 

 

「なんでだよ」

 

 

 

さっきからなにやってんのこの人。コント? ねぇ、コントしたいの? 涼風とかみたく襲ってこないのは有難いけどこれはこれで疲れるわ。

 

 

 

 

「キスしたら多少は勃たない?」

 

 

 

 

「勃たねぇよ」

 

 

 

 

「試してみなきゃわかんないよ」

 

 

 

 

そんな教師が言うようなセリフまで言っちゃって……余程俺が勃起させたいらしい。仕方ない勃起するつもりは無いけど頑張ってさせて事なきを得よう。いや、させたら多分最後までさせられるな流石にここで本番するのはまずい。

 

 

 

 

「八神さんちょっといいかな?」

 

 

 

 

 

「なんだよ怖気ついたのか?」

 

 

 

 

 

それはあんただろと言いたい気持ちをググッと喉から足のつま先くらいまで押し込めてと。八神さんにここで本番まではできないと告げる。

理由は4つ。カーペットだから汚したら大変。換気ができない。シャワーが浴びれない。コンドームがない。

そう伝えると八神さんは納得したのか、ムムムと顔を顰めた。

 

 

 

「確かにそれは困るなぁ…」

 

 

 

 

「でしょ」

 

 

 

てことで今日はやめましょうとズボンを履いて、八神さんにはシャツを着てもらう。一応、納得したのか「じゃまた今度な。絶対するからな!」と念を押されて「はいはい」と答えておく。忘れることは無いだろうけどその時も適当に理由をでっち上げて逃げよう。

 

 

 

 

「これでやっと寝れる…」

 

 

 

 

八神さんの拘束から逃れた俺は伸びをしながら上の階にあるブランケットを取りに行く。寝泊まり残業なんて久しぶりだがどこにあったかなと探していると横から畳まれたブランケットが差し出される。

 

 

 

「これじゃない?」

 

 

 

 

「あ、どうも」

 

 

 

 

受け取って見ると確かに俺が半年前くらいに置いていったブランケットだ。持って帰ってなくて良かったと安堵して直ぐに「ん?」と首を傾げた。

 

 

 

「一体誰がこれを…」

 

 

 

おかしいな、俺と八神さん以外はもう帰ったはずなんだけどなと、寒気が走る。恐る恐ると差し出された方を見るとそこにはにこにこと満面の笑みを浮かべる遠山さんの姿が。

 

 

 

「ちょっと時間いいかしら?」

 

 

 

 

 

「あ、え、あ、はい…」

 

 

 

 

どうやら俺の夜はまだまだ続きそうだ。

 

 

 

 




八神さんだと思った!?残念!遠山さんでした!


とその前に俺が八神さんのことがどれくらい好きかというのを表さないと。
本文で述べた通り色白の肌と金髪の現実離れした容姿はもちろん、原作のイラストなどで見れるくびれたウエストや整ったフォルムは美しいの一言に尽きる。初めは「私は八神コウが大好きだ」とある有名なセリフのパロディで始めようと思ったが文字数が多くなるので辞退した。本編に勝るあとがきなどあとがきではない「後書きが本編」だなんてコメントがくれば喜べ良いのかわからなくなる。
おっと、話は逸れたが自分は八神さんが大好きだ。彼女はいつだって輝いてるが、最も輝く時は今ではない。仕事中か、完成後に行われるパーティか。いや、違う。そこに現れるのはいつもの八神コウだ。
では、いつ、どの八神コウが最高に可愛く存分に魅力を引き出されるか。それはまた後日書く予定の話を見てほしい。もしそれを見ても伝わらないようなら私の力不足であり、彼女は一切悪い訳では無い。そこを重々承知の上、改めて八神コウとのエッチを見てほしい。
最も私は濡れ場と戦闘モノとラブコメを書くのが大の苦手だ。そこも踏まえて待っていて欲しい。


ちなみに愛してるのはうみこさんだ。はよ書かせろ。





原作ストーリーは主人公のモノローグでだいたいこの辺の話ってことを記してるので気になる人は見といてください。
紅葉とツバメが出るのは当分先かな。俺はそれまで生きてられるのだろうか…。



本来この回はひふみとの後日談+はじめとのフラグ回でしたが、よく分からないうちにデータが全て吹き飛んで後のこの回を持ってきた次第。その回ではじめだけがちゃん呼びなのを説明すると共に、葉月さんやうみこさんも出てくる予定でした。それが全て消えた苦しみが分かるかな…。



来そうだと思った質問コーナー

Q、なんではじめだけちゃん呼び?
A、プライベートでも仲良くて主人公が呼んでいいか聞いたらいいって言ったから。ちなみに他に下の名前で呼ばれてるのは葉月さんとうみこさん。



Q、1回エッチした子とはもうエッチしないの?
A、するに決まってんだろ。ひふみんの膣内まだだろ。



他に質問あればどうぞ。
いつも通り1分後。ボキャ貧しんどい。






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7話 ADに脅迫されてエッチする話

【書きました…。書いたんですよ! 必死に! その結果がこれなんですよ!!FGOのイベントもやって、後期試験の対策をして、今はこうして二次創作を書いている! これ以上何をどうしろって言うんです!? 何と戦えって言うんですか!?】





まぁそんなわけでイベントも回りつつ勉強もしつつ、休憩がてら気乗りした時に書いてたら遅くなりました。ごめりんちょ。
八神さんかと思った人もごめん。遠山さんなんだ。八神さんは絶好のタイミングとシチュエーションが見つかったからそれまで待ってくれ。

ちなみに今作の遠山さんの八神さんに対する愛は1から10で言うと10だが、八神さんにハートを向けられてる主人公に対してはマイルド
(邪険に扱ってコウに嫌われるのも嫌だし、主人公がコウを取る気がないのもある)
それ以外は原作通り。コウりんは尊いと思う。広まれ。







 

6月のまだ時計は0時を回っていない頃。シンデレラの魔法が解けるまでにはもう少し時間があるものの、明日に備えるなら早めに寝るべきなのだが、帰ったと思っていた人に唐突な事情聴取を受けて俺は眠れない夜を過ごしていた。

 

 

 

まぁ事情聴取なんてしなくても、遠山さんは全て見ていた。文字通り、八神さんが俺の肩に手を置いて身体を寄せてるところから性交渉を持ちかけるところも。

目撃者曰く「出ていくタイミングがなかった」とのことだった。そりゃそうだろう。

 

 

 

 

「それで…その…嫉妬、しちゃったと?」

 

 

 

 

「……まぁね」

 

 

 

 

何故か男子の多機能トイレに連れ込まれた俺は蓋をした便座に座る遠山さんの独自に耳を傾けていた。

 

 

 

「私もあんな風に求められたい…」

 

 

 

 

切ない声でそう呟く遠山さんは非常に絵になるのだが、八神さんと性別が同じなのでそっちの趣味がある人のセリフとしか受け取れない。

まぁそっちの気はあると知ってたから驚かないのだが、直に声に出されると反応しづらい。

 

 

 

 

「別にレズビアンってわけじゃないの。でも、コウちゃんだけは別なの。なんだか、特別な感情が湧いてくるの」

 

 

 

 

俯いてため息と共に吐き出された言葉は儚く淡い夢を描く少女のようだった。だが、その憂いに満ちた目はすぐにキッと俺を睨みつける。

 

 

 

 

「キミに寝取られるなんて思わなかったわ…!」

 

 

 

 

「寝取ってない寝取ってない」

 

 

 

手首を振って全否定するが遠山さんの目は未だに俺を睨んでる。普通なら怖いと思うんだろうがほのかに濡れた瞳と上気した頬のせいで可愛く見えてしまう。

 

 

 

 

「コウちゃんがキミのことを気に入ってるのは知ってたわよ。押しかけ気味に行った私と違って自分から招いてたり、下着姿を平然と晒してさ…」

 

 

 

でもその事を言うと「めんどうな女」だと思われるから言わないようにしていたらしい。だが、言わなければ言わないほど俺と八神さんは距離を縮めてるように見えたらしい。

 

 

 

 

「だからコウちゃんじゃなくてキミに釘を刺したの」

 

 

 

「八神さんの匂いがする、でしたっけ」

 

 

 

 

言うと遠山さんは首肯した。言われたのは昨年の夏休み前だっただろうか。確かにあの辺は暑い日が続いていたので八神さんの家でシャワーを浴びさせて貰ったことはある。それが遠山さんに嗅ぎつけられたのだと思ったが、どうやらそれより以前から気付いていたらしい。

 

 

 

「それでやっと落ち着いたと思ったら、今度はえ、エッチを…」

 

 

 

クズ男のような言い訳みたいはことを言うなら、俺から求めた行為ではない。全部八神さんの方から誘ってきた。それでも俺は断り続けて自分の貞操と八神さんの純潔を守ってきたのだ。

 

 

 

 

「それに青葉ちゃんやひふみちゃんにまで…」

 

 

 

 

「ん?」

 

 

 

 

待て。今、遠山さんは何といった。

 

 

 

「遠山さん、涼風は襲われたんで分かりますけど、滝本は…」

 

 

 

「あれ? もうシたんじゃないの?」

 

 

 

 

涼風のことは八神さんの名推理で暴かれているからごまかせない。けど、滝本のことならまだ何とかなりそうだ。

 

 

 

「シてませんよ。第一、俺と滝本にそんなこと…」

 

 

 

 

「でも、この前ひふみちゃんと2人で帰ってたじゃない」

 

 

 

 

「え、なんで知ってるんですか」

 

 

 

聞くと遠山さんは「単純なことだよ」と指を振る。

 

 

 

「たまたま見たからよ!」

 

 

 

そんなカッコつけて言うセリフじゃないですねそれは…。まぁ見られてたなら言い訳はできない。普通に飯に誘われたからと答えると遠山さんは「ふーん」と目を細める。

 

 

 

 

「けど、変よね。最近、ひふみちゃんからキミに話しかけようとすることが増えたわ」

 

 

 

 

全部未遂だけどと滝本を案じるように優しい声でつけ加える。それは俺も知ってる。滝本の挙動不審な様子なんていつもの事だから誰も見てない、もしくは気にしてないと思ったが遠山さんには気付かれたらしい。

この人に隠し事をするのは今後のことを考えたら宜しくない。そう考えた俺は詳らかに全て話すことにした。

 

 

 

 

 

「……そうなんだ……ご、ごめんね、嫌な事聞いて」

 

 

 

「いや、その反応の方がキツいんで大丈夫っす」

 

 

 

 

はっきり言ってまだ「羨ましい」「死ね」だとか言われる方がまだ言い返せるし、ストレスが発散できるが、マジの同情はキツイ。

 

 

 

「それで2人とも最後までシたの?」

 

 

 

 

「グイグイ来ますね」

 

 

 

 

酒でも飲んでます?と首を傾げると「シラフよ」と笑って返された。何をしたか、ね。涼風は手淫とゴム有り本番2回。滝本がフェラとパイズリだ。誤解があってもいけないので特に隠すことなく話す。

 

 

 

「そうなの。2人ともウブそうなのに」

 

 

 

 

「人は見かけによらないってことですね」

 

 

 

 

何がおかしいのかクスクス笑う遠山さんに皮肉気味に返す。

 

 

 

「そうね、みんな外見と中身が伴ってるとは限らないわね」

 

 

 

 

見た目が可愛くても性格はドブスだったり、イケメンで爽やかそうなやつでも裏ではエグいことをしてるなんてことはよくある。俺だって人畜無害そうな見た目をしてるが、己の知らないところで誰かに有害だと思われてるかもしれない。というか、遠山さんからしたら俺は有害対象なのではないだろうか。

 

 

 

「よし」

 

 

 

 

自分に悪意がなくても遠山さんに悪いことをしてるのではと責任を感じてると座っていた何か呟くと遠山さんは立ち上がる。そして、着ていた服のボタンを外し始める。

 

 

 

 

「ちょちょちょ、何してんすか」

 

 

 

 

「ん?」

 

 

 

 

そんな「おかしい?」みたいな感じ出されても十分おかしいんですが。てか、ここ男子トイレですよ。それ分かってらっしゃる?ボタンを全て外し終えた遠山さんは服を簡単に畳んで便座の蓋の上に置くと俺に向き直る。

 

 

 

 

「多分、遅かれ早かれコウちゃんはキミに処女をあげるんだと思う」

 

 

 

いや、貰わないけど。もっと相手選んで欲しい。他社の有名キャラクターデザイナーとか、スポンサーのお偉いさんとか候補はいくらでもいるでしょ。でも、八神さんはそういう場では付き合い程度の会話しかしてないしいつものラフな格好だから、あまり男性諸君からの印象は薄い。祝賀会はそういう場ではないから普通のことなんだけどね。

 

 

 

 

「だったらね、私が先に貰ってもらおうと思って」

 

 

 

 

「はい?」

 

 

 

 

「私が先に試してコウちゃんでも大丈夫かなって思ったら、その時は何も言わないわ」

 

 

 

 

マジで何言ってんだこの人。八神さん世代大丈夫か。つまり、わかりやすくすると遠山さんが八神さんより先に俺とSEXして、それで気持ちよくなれたら八神さんとする時は手出ししない……って事だろうか。うん、なんだこれ。

 

 

 

「俺、別に八神さんとする気ないですし、遠山さんがそんなことする必要は…」

 

 

 

「コウちゃんに求められてるのにそれを袖にするなんて私が許さないわ!」

 

 

 

 

「えぇ……」

 

 

 

 

ホントに意味わかんねぇよこの人。俺の意思は? しないって言ってるのにすることが決定してるんだけど。

 

 

 

 

「ともかく、私を満足させないとここからは出れないわよ。もし出ても襲われたと言って犯罪者に仕立て上げるわ」

 

 

 

 

「なんて恐ろしいことを…!」

 

 

 

 

もはや脅迫じゃねえかそれ。いやだが、待てよ? ここから何もせずに出ると俺は犯罪者の濡れ衣を着せられるが、遠山さんとSEXして満足させなければ八神さんとはSEXしなくていいし、俺も何のしがらみも無くここから出られるということか。

別に遠山さんとする気は毛頭ないんだがこれも社会的地位を守るためだと思って、ズボンとパンツを下ろす。

 

 

 

 

「やっとその気になってくれたかしら」

 

 

 

 

「俺も路頭に迷うのは嫌なんで」

 

 

 

 

俺に近寄って上目遣いで見上げてくる遠山さんに嘆息して答える。ホントこの人は性格も気立ても女性らしさもあるんだから初めての男くらいちゃんと選べばいいのに。そんな投げやりで行き当たりばったりみたいな感じで将来後悔しないのだろうか。

 

 

 

「大丈夫よ。キミだから」

 

 

 

遠山さんの先行きを不安視していた俺に、彼女はまるで俺の心を読んだかのような言葉を紡ぎ、これの口を塞いだ。

 

 

 

「んっ」

 

 

 

繋がり合う唇と唇。伝わってくる口唇の柔らかさと温かさ。他の2人ともしたが何か違う。涼風のようにあどけなさを感じるようなキスではなく、滝本のように求めるようなキスではない。

とても心地が良い、身体だけでなく心まで満たされるようなキス。

 

 

 

「私も実はキミのこと好きなのよ?」

 

 

 

 

そう首を傾げて可愛く告白した遠山さんに俺は顔の温度が上がっていくのを感じた。恥ずかしくて目を背けたいが首に回された手がそれを許さない。

 

 

 

 

「コウちゃんと同じ人を好きになるなんてロマンチックじゃない?」

 

 

 

そう言って遠山さんは2度目の口付けをしてくる。それもただ唇同士を繋ぎ合わせるだけでなく舌を押し込むディープキスだ。

 

 

 

「!?……ちゅっ……ふっちゅ…ちゅっ……はっちゅ……」

 

 

 

それも遠山さんからでなく俺から仕掛けたもので、遠山さんの舌に俺の舌を絡みつける。おそらく最初のキスの感じからすると、遠山さんはこれがファーストキスだろう。やり方なんて知らない。ただ唇を付け合わせるだけだと思ってたいたら、舌を入れられて驚いているだろう。

 

 

 

「むちゅ……んちゅ……ちゅっちゅっ……ちゅずぶううっ」

 

 

 

だが、遠山さんが知らなくても遠山さんの本能は知っていた。口唇を甘噛みして歯の一本一本をなぞるように舌を蠢かせて俺の口内を蹂躙していく。頬を窄めて唾液を啜ったり、それとは逆に唾液を流し込まれたりした。互いの体液を交換するような濃厚で濃密な口付けに2人とも顔は真っ赤で息遣いも荒くなっていた。

 

 

 

 

 

 

「……次は何をすればいいかしら?」

 

 

 

 

経験としては俺の方が上だ。知識も高校の時に読み漁った同人誌の知識がある。けれど、ゴム無しでヤっても平気だというのは間違った知識で、膣内に出してしまうと子供が出来てしまう可能性は十分にある。

それを考えるとここから先には進めない。せいぜいフェラチオか、互いの身体を舐め回すことくらいだ。

 

 

 

「…互いにシャワー浴びれないことを考えると出来ることは少ないんですよ」

 

 

 

 

はははと珍しく乾いた笑いが出た。

 

 

 

「確かにお互いの唾液まみれで明日も仕事するのはね」

 

 

 

周りにも迷惑だし気になるかもと苦笑いして遠山さんは床を見る。しばしの沈黙。ここで終わるのがベストだと思う。先程のキスで俺のペニスはいきり立っているが、あとで自分で慰めてやればいい。今なら口を濯いで歯を磨いて寝れば何も無かったことになる。

 

 

 

 

「いいわ、じゃ身体と服が汚れないように上手くやりましょう」

 

 

 

けれど、スイッチが入っている遠山さんは最善の方向でエッチを楽しもうとパンツを脱ぐ。フリルのあしらわれた妖美なピンクの下着をポケットにしまった遠山さんは洗面器の鏡のある壁に手をついてお尻を俺の方に向ける。

 

 

 

 

「もしかして生でするんですか?」

 

 

 

恐る恐ると聞いた俺に遠山さんは俺に顔を向けないように「そ、そうよ」と上擦った声を出す。本人は見せたくなくて顔を逸らしてるのだろうが鏡のおかげで紅潮した頬が丸見えである。

 

 

 

しかし、遠山さんの要望を叶えるのは難しい。多分生理は来てないから挿入して動かすだけならまだ大丈夫だろう。その後に膣から出して射精すればいいのだが、そのまますると遠山さんの服にべったりとついてしまう。

幸い、目の前が洗面器と鏡だ。汚れてもティッシュで拭き取れば問題ないだろうか。しばし思考を巡らせて結論を出した俺は少し身をしゃがめる。

 

 

 

「…? 一体何を……ッ!!?」

 

 

 

 

処女なんだったらある程度濡らしておいた方がいいかと遠山さんの秘部に指を一本挿れる。グチュッという音色が響き、鏡越しに遠山さんの顔を窺う。

 

 

 

「……続けていいわ」

 

 

 

「じゃ…遠慮なく…」

 

 

 

秘部をなぞりあげて中指を再びゆっくりと挿れる。温かい肉壁と愛液が俺の中指を包み、入ったり出し入れしながら卑猥な音を奏でる。

 

 

 

 

「んっ! あっ! 嘘っ! あっあっ────んっ!!」

 

 

 

襲ってくる快感に腰を左右にくねらせ始めた遠山さんに追い打ちをかけるように挿れる指を増やしてさらに膣内をかき混ぜる。

 

 

 

「うんっ! んんっ! だめっ、そこっ!」

 

 

 

グジュッグジュッと個室トイレに響く淫猥な水音と遠山さんの喘ぎ声に興奮を覚えていく。

 

 

 

「どうですか?」

 

 

 

囁くように問いかけつつ、手は止めないという鬼畜ぶりに自分も大分雰囲気に酔ってるなと自覚する。

 

 

 

「あ……んっ! いいわっ! 自分で、するよりッ……んぁああ! これ……んっ! いい…ッ!」

 

 

 

やっぱり遠山さんでもオナニーするのかと言う感想よりも、俺の指の方が気持ちいいと言われたことに心が高鳴る。これが吊り橋効果というやつか。トロトロと垂れてきた愛液を視認してこれくらいでいいかと指を離すと、物足りなさそうに俺を見つめる遠山さんと目が合う。俺は足を伸ばして立ち上がり、ギンギンに勃起したペニスを濡れた秘部に押し当てる。

 

 

 

 

「ひゃっ」

 

 

 

 

「じゃいきますよ」

 

 

 

 

「う、うん……」

 

 

 

 

確認を取ってから腰を突き出してペニスが膣肉をかき分けて遠山さんの中に侵入する。

 

 

 

「あっは……んはっ!……な、なにこれ……!」

 

 

 

大きく膨れ上がった亀頭が膣壁を引っ掻くように入っていく。ゴム越しでは感じれなかった圧倒的な気持ちよさに俺も先走りそうになるが、それを堪えて少しずつゆっくりと入れていく。それと同時に遠山さんが苦しげな悲鳴を漏らす。

 

 

 

 

「大丈夫ですか?」

 

 

 

「大丈夫……だと、思ったんだけど……結構、痛いわね……でも、大丈夫……んっ……キミの…だから…!」

 

 

 

苦しそうに顔を歪めながらも俺のを受け入れようと遠山さんは身体の力を強めてその痛みに耐えようとしている。愛液と混じって太ももに垂れる血を見て俺はその痛みがどれほどなのか想像し、息を呑む。

 

 

 

ここで一旦やめようかと考えたが動いてくれと懇願するような遠山さんの目を見て行動中断は出来ないと遠山さんの腰を掴むと腰を振る。

 

 

 

「はふっ! んはぁああ! うご、いてる…!キミのが……私の、中でッ!……んんんっ! 動いてる…! 私の中で……叩いてる……、突いて、来て…る…!」

 

 

ズシュッズシュッと腰を振って、肉槍で蜜壷を掻き混ぜる。少しずつスピードを上げて何度も膨れ上がった亀頭部で膣内を叩く。

 

 

 

 

「届い……てる……! あっ…!……一番奥に……!………は、初めて……なのに、こ、こんな……んっ!……き、気持ち……いい……!!」

 

 

普段冷静な遠山さんがこんなに乱れている。自分から求めるようにアンアンと喘ぎ声を上げて顔が蕩けたように発情している。ペニスが遠山さんの膣内の奥、子宮らしきものをノックする度に膣肉はどんどん俺のペニスを絡めるようにきつくなっていく。

 

 

 

「キミの……! まだ、大きくなって……ない…?……いい、わよ……射精……するんで…しょ…! 私も……そろ…そろ……んっ! んんっ!………!」

 

 

 

確かにこのまま膣内にぶちまければどんなに気持ちいいのだろうか。想像しても分からない。分からないのなら知りたいと思うのが人間に与えられた欲求だと誰かが言っていた。それは正しいのだろうが、今この場でそれを実行するのには正しくない。しかしだ。

 

 

 

「くっ……遠山さんの膣中……どんどんキツくなってる。これ……すっげぇ…凄すぎる……これが生の……感触!……気持ちよすぎ……る!」

 

 

遠山さんの愉悦にシンクロするように俺に押し寄せてくる快感に我を忘れそうになるがそれに耐えながら腰を振る。正直そろそろ限界だと膣内でパンパンに腫れた亀頭が物語っている。

 

 

 

 

「いい……んっ!……キミの、なら!私は……あ……ッ!……出して……あっは……んんんんっ!……キミの精液……たくさん……射精して……!」

 

 

 

膣内射精なんてしてはいけない──────理性では思っていても本能的にはやはりいけない方を求めている。遠山さんも理性が効かなくなっているのかお互いに危険な行為を求めてくる。湧き上がる欲望を抑えつけて俺は掴んでいた腰から手を離して、ペニスを引き抜く。包んでいた肉壁が無くなり寂しさを感じるがそれでも腫れ上がった亀頭は中に溜まった精液を出す場所を求めていた。

 

 

 

「遠山さんッ!」

 

 

 

洗面器に出すからそこをどいてくれと言う前に、遠山さんは身体の向きを変えて俺のペニスを咥え込んだ。驚いた俺に対して、最初からそうするつもりであったかのように、何の躊躇いもなく口内で舌を使って亀頭やスジを舐めまわす遠山さん。膣内で動いていた時に蓄えられたエネルギーが新たに今フェラされて射精を促される。

 

 

「くっぅぅぅあ…! 遠山さん、で、出るッ!」

 

 

 

俺は男ながらも情けない声を出しながら白い液体を多量に遠山さんの口内に流し込む。約1ヶ月分溜まっていた精液の量は計り知れず、10秒程度経っても途切れ途切れに膣口から溢れ出す。それを遠山さんは口の中で全て受止めて飲み込んでいく。

 

 

 

「はぁはぁ……マジで初めてなんですか……遠山さん……」

 

 

 

「んっ、んっんっ…ゴクッ…! ……処女膜破っといて…よく言うわね」

 

 

 

 

半信半疑で聞くと全部の精液を飲み干した遠山さんがジト目を向けてくる。それちょっとゾクゾクしてまた勃起しそうなんでやめてください。

 

 

 

 

「……その、どうでした?」

 

 

 

 

本来の目的を忘れて遠山さんとのSEXを楽しんでいた気もするが、遠山さん的にはどうだったのだろうか。比較対象がないから難しいかもしれない。口を何度か濯いでハンカチで拭き取った遠山さんは秘部も拭いてパンツを履く。

 

 

 

「そうね」

 

 

 

 

カッターシャツを着直して袖を通し、ボタンを締めてこちらを見ることなく着替えをすませた遠山さんは俺の方を一瞥する。

 

 

 

 

「まぁ、痛いって聞いてたけどそこまでじゃなかったし……」

 

 

 

一旦言葉を切って、こちらに歩みよってきた遠山さんはつま先を立てて耳元で囁いた。

 

 

 

 

「合格、かしらね」

 

 

 

 

パチッとウインクして俺の横を通り過ぎた遠山さんはトイレの鍵を開けて外に出ていく。1人取り残された俺はポリポリと頬をかく。

 

 

 

 

「これは八神さんともさせられる……のかな?」

 

 

 

 

聞いても答えてくれる人はおらず、いるのは鏡に映る自分だけだ。あんな美人とSEX出来てさらに八神さんともするのは贅沢な気がしたが、望んでることじゃないしそれに未来の俺がどうにかするだろうと他人事のように首を振る。

 

 

 

時計を見ると既に深夜の1時を回っており、そろそろ寝ないと明日の体調に影響を及ぼしかねない。それにSEX1回分のエネルギーも消費しているし汗も多少はかいている。栄養ドリンクを飲んで汗ふきシートで軽く汗を拭ってから俺は自分のデスクの前で床に着いた。




遠山さんは最初経験豊富なドSで、反撃されたら弱体化するっていう俺の好みなシチュにしようとしたんですけど、こう……ピュアな遠山さんもいいかなって……思ったんですよね。
そしたら何だか主人公遠山さんLoveみたいになっちゃったよ。あくまでも吊り橋効果の一時的なもんだから。



ちなみに遠山さんの「好きよ」はLoveではなくlikeで主人公をやる気にさせるために言ってます。初期案の残り火を置いていくスタイル。嫌いじゃないわ!(自画自賛)


途中まで初期案というか原作での嫉妬全開で書いてたけど、キスと手コキのとこまで書いて「なんかちげーよな」ってなってやめました。なんか怖いしクレイジーサイコレズ丸出しだったので「これは魔改造すぎる」と自分でも引きました。それに当初は非処女。男を何人か貪ったテクのある女だったんですけど、遠山さんが男食ってて非処女なのは許せなくてやめました。(独断と偏見)




では、また次のはなしでお会いしましょう see you ~〜!!


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8話 関西弁後輩と約束する話

【一日だけ幸せでいたいならば、オナニーをしろ。

一週間だけ幸せでいたいなら、同人誌を買え

一ヶ月だけ幸せでいたいなら、オナホールを買え。

一年だけ幸せでいたいなら、風俗にいけ。

一生幸せでいたいなら、正直に生きることだ。】




ゆんちゃんの渾名が思いつかず適当につけてしまいました。そして、主人公の名前が欲しくなったこのごろ。自分の好きなキャラの名前切り貼りして現実世界にはいそうにない名前にしたいところです。

なお、今回で原作2巻目に入っています。







カーテンの隙間から差し込んでくる光が薄目に入り、寝返りを打つ。早く起きろよという太陽さんからのメッセージを無視した俺へと襲ってくる次の刺客は実家から持ってきた目覚まし時計くん。アラート機能もついていてボタンを押さない限りけたたましい音で「おはよー!起きてー!」と言わんばかりにギャンギャン鳴ってる。それを止めるため右手を伸ばす。

 

 

 

 

いつも通り設定した時間ぴったりに起きた俺は身体をググッと伸ばす。その間に肩のストレッチも行って、出勤後から蓄積される疲労を軽減できるようにしておく。

 

 

 

「いただきます」

 

 

 

起きたら朝ごはんがある幸せを忘れてから2年経ち、コンビニで買ったあんぱん(4個入り 100円)を食べながら朝のニュースを眺める。

芸能人の誰かが結婚とか犯罪を犯したとか、いじめ問題がどうたら、政治家がまた失言だとか、日本はこういうニュースが日々絶えないなと思いながら牛乳を飲み干す。

 

 

 

「帰りに買わねば」

 

 

 

中身のなくなった牛乳パックを洗って乾かしてから歯磨き、ヒゲ剃り、鼻毛のチェックをして顔を洗う。女の子ばかりの会社に務める男性社員としては身だしなみにめちゃくちゃ気を遣う。髭は多少であれば不潔感はでないが、鼻毛は出てて帰ってきて鏡を見て気づいた時に自己嫌悪に陥るので高校の時から鏡を見て抜くくせをつけている。

 

 

 

 

おかげで今のところ「鼻毛出てますよ」と言われたことは無い。日々の積み重ねって大事。

 

 

 

その後仕事着に着替える。スーツのような堅苦しい格好はあまり好まない俺は、イーグルジャンプの自由なスタイルを大変気に入っている。しかし、一つ問題があるとすれば着る服を選ぶのが面倒ということだろうか。タンスや掛かってるのから着ると毎日同じような服装になるので、曜日毎に着る服は決めている。流石にこの周期制に気づいてる人はいないようで俺のように着てる服で何曜日かを把握する人間はいない。

 

 

 

 

7月になっても梅雨のジメッとした空気は抜け切っていなくて、太陽もサンサン、元気サンサンって感じでサンシャイーン!と輝いている。

 

 

 

梅雨が終わってそろそろ台風の1つや2つやってくるだろう季節特有のムワッとした空気は会社内に入るとクーラーによって奪われて、快適で仕事のしやすい環境となる。

 

 

 

「おはよう」

 

 

 

「おはようございます」

 

 

 

エアコンの温度を見てると遠山さんが前からやってくる。いつものピンクのカッターシャツに茶色いベルトを巻いて、黒いスカートを履いている。仕事場での見本のような格好でも可愛く見えるのはやはり着てる人がいいからだろうか。

 

 

 

「今日も暑いわね」

 

 

 

「まぁもう7月ですしね」

 

 

 

どこにでもありふれてるような世間話。1度性交したとはいえ、遠山さんと俺との関係は依然変わらずである。が、あちらから話しかけてくることが増えたように思う。それにさりげなく自然と違和感なく。周りには特に変わったように思われなくても、毎日1回声をかけられている。

 

 

 

「そうね。来月には発表もあるし頑張りましょ」

 

 

 

 

肩に置かれた手をポンと置いた遠山さんは俺が頷くのを見て会議室の方へと歩いていく。これから打ち合わせか。ADってやっぱり忙しいんだなと小学生並の感想を抱きながら自分のデスクに座る。

 

 

 

新年度が始まってからそろそろ3ヶ月。小中高で告られた回数が片手で十分どころかお母さん指をスタンドアップさせることも出来なかった俺は、何故かよく分からないが3人の女の子と身体の関係を持ってしまっていた。1人、未遂及び予定がいることも含めて、過去の俺からすれば信じられないことだ。

 

 

 

確かに学生時代は恋人がいる生活に憧れたこともあった。しかしだ、周りのカップルを見て俺の恋人に対する価値観はどんどん下がっていった。思い出すだけでもあまりいい気分はしないので言わずにおくが、高校生の頃には俺は恋人はいらないと決め込んだ。

恋愛は人生を彩る絵の具のようなものだが、時に真っピンクになったり、どす黒い色で染まることも考えれば無い方がいいと思ったからだ。

 

 

 

だから、涼風の好意は勘違いだと言いくるめて、滝本は言われてはないが遠山さんから見れば俺に対する感情はlike以上の可能性が高いらしい。そして、そう見た本人は八神さんがいなかったらあるいは程度らしいが、性交は気持ちよかったそうで時折、夜に帰る時間が重なるとホテルに誘われることがある。

スケジュール管理や全体の進行の把握に上司との会議もあってストレスが溜まるのだろう。でも、それを発散するのに俺を使わないでもらいたい。

 

 

 

遠山さんとの一件から、仕方なく避妊具を鞄に忍ばせるようになったが今のところ特に使うことなく、箱の封は切られていない。ずっと開かなくていいのにな、と思うのはフラグにしかならない気がするが思わずにはいられない。

 

 

 

 

 

 

「今日もなんか暑いですね〜」

 

 

 

 

「そうだなー」

 

 

 

 

いつものゴスロリって感じの服に身を包んだ飯島がパタパタと手で風を仰ぎながら俺にそう話しかけてきたので適当に返す。俺で合ってるよな? 他の人に声をかけたわけじゃないよねとそれとなく後方確認すると、飯島が服の上から自分の二の腕を摘んでいた。

 

 

 

「はっ! いや、これは、そのっ!」

 

 

 

 

まぁ女の子だし気にするよね。それにこの仕事は動き回ることがないので自然と脂肪とか貯まるし。金も貯まれば万々歳なのにね。

見られて慌てた様子の飯島に言うことが見つからなくて苦笑する。正確には言うことはあっても言ったらセクハラになる可能性があるので言えない。

 

 

 

「うぅ…ええよなぁ、青葉ちゃんとかはじめは細くて…」

 

 

 

出勤時間前でまだ来てない2人のことを思い浮かべてるのであろう飯島は僻むような声を出す。涼風はまだ10代だし、はじめちゃんは自転車通勤だから身体のラインが強調させる服を着ても遜色ない。むしろ、こちらにとって目に毒になる。

 

 

 

「まぁ飯島も気にする程じゃないんじゃないか」

 

 

 

 

よく知らんけど。飯島の腕を凝視したことないからなぁ。というか、同僚の女の子に対してそんな目線を向けられない。

でも、一般的に見れば顔は幼く童顔で、ツーサイドアップの髪型や服装も女の子らしいと思う。ただちょっとゴスロリ系ばかりだったり、ホラー系に偏ってる気もするが。

 

 

 

「そ、そんなことないですよ…! ぬ、脱いだら、その……ぷよぷよですし…」

 

 

 

いいじゃんぷよぷよ。連鎖したら消えていって相手のところに行くんだぜ? つまり、飯島の脂肪も連続で消せば誰かのところに渡るってことだ。

 

 

 

 

「気になるなら、運動とかしてみたら?」

 

 

 

 

「私、運動苦手なんですよ…」

 

 

 

 

「あー…」

 

 

 

 

女の子でありがちな理由だな。けど、それを理由にしてたらいつまで経ってもそのままだぞ! だが、そういうわけにも行かずに頭を悩ませていると生肌を剥き出しにして腕を擦りながらこちらに来たはじめちゃんと学生服のような半袖のスーツ姿の涼風がやってくる。

 

 

 

「何の話してたんですか?」

 

 

 

朝の挨拶を交わすと涼風は鞄を置きながら俺と飯島に問いかけてくる。俺はそれとなく飯島に視線を向けると彼女はブンブンと首を振る。

 

 

 

「いや、今日も暑いなーって!」

 

 

 

「?……そうですね、でもゆんさんも先輩も長袖!」

 

 

 

「へ? そそそそうや!私はまだ大丈夫だやし!」

 

 

 

飯島がオーバーリアクションすぎて誤魔化せてはいるけど涼風が当惑してる。気にしないでおこうと思ったのか涼風ははじめちゃんの方に行くと、来るまでにダイエットの話でもしてたのか「歩くだけで痩せますかね」と声をかける。

 

 

 

「な、なんやダイエットの話〜?」

 

 

 

 

「そうなんですよ。腕の肉がちょっとぷよぷよしちゃって」

 

 

 

「うっ!」

 

 

 

自分から地雷踏みに行ってるよあの子…大丈夫かな。涼風の悪意のない言葉が飯島を襲ってる頃、はじめちゃんはソワソワと腕を摩る。

 

 

 

 

「もしかしてはじめちゃん、寒いの?」

 

 

 

「はい…長袖着てきたら良かったなって…」

 

 

 

空調いじっていいんですかね?と問いかけられて、俺はうーんと首を捻る。基本的には設定温度があるけど、八神さんが弄ってるからなぁ…いいとは思うんだけど、今の温度が快適な数字だから上げたりするのはなぁ…。

 

 

 

「はい」

 

 

 

「え?」

 

 

 

 

夏場はタブレットがやけに発熱することもあるし、温度を上げると八神さんがイライラするだろうから俺の上着を着せてやるとはじめちゃんは「いいんですか?」と尋ねてくる。

 

 

 

 

「いいよ別に。着ててもどうせ袖まくるし」

 

 

 

長袖を着るけど腕まくりしちゃうから、それなら寒がってる子に着せた方がいいだろう。こら涼風と滝本は羨ましそうに見ない。もう寒いアピールされても着せられないから。これ以上渡したら半裸だよ。

 

 

 

「ありがとうございます!洗って返しますね!」

 

 

 

「うん!流石に帰りには返して欲しいかな!」

 

 

 

まだ夏本番には程遠いし、この歳になるとTシャツ1枚で帰るのはね。ペコペコと謝罪と感謝の言葉を受け流して仕事に戻るといつもの2人からではない視線を感じる。

 

 

 

「あ」

 

 

 

視線の主の方を振り向いてみると、飯島は「仕事に戻ります」と慌てて自分のPC画面と見つめ合う。なんで見られてたのかしらと自分の服装に変なとこがないかと見回す。

火曜日だから赤い服にジーパンと至って普通の格好だ。服のデザインも特に凝ったようなものでなくシンプルに社名が入ってるだけだ。

もしかしたら専門学校の合格が決まってからバイトして稼いだお金でジムに通い、絞ったこの体に何か変なところが? 今はお腹も凹んで腹筋はうっすらとではあるが割れてるんだけど。

 

 

 

まぁ飯島の視線は逸れたし、気にすることではないかと思って俺も自分の作業に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

###

 

 

 

 

 

本日のノルマを終えて残業が確定して唸っている涼風を尻目に俺は立ち上がるといつもの如く「お先にー」と言ってエレベーターホールに行って下の階のボタンを押してしばし待つ。

 

 

 

SNSでは定時に終わって帰ることを咎めてくる上司がいるらしいが、うちは完全ノルマ制で自分の仕事は自分のもの、同僚の仕事は同僚のものなので自分が先に終わっても文句を言う者は誰もいない。それに涼風の分も何体か代行してるから、何か言われても言い返せる。八神さんと遠山さんに言われるとさすがに躊躇うが、それ以外なら俺は気にせず帰宅するだろう。

 

 

 

遠山さんの完璧なマネジメントのおかげで一日にどれくらい作ればいいかの目安があるので、とても仕事がしやすい。キャラ毎にどれくらい時間をかければ定時に帰れるかを前の日に計算して実行することが定時帰りの基本である。

 

 

 

「あ、お疲れさんです」

 

 

 

「ん、お疲れ」

 

 

 

飯島も今日の分を終えたのか俺の隣にやってくると、それと同時にエレベーターの扉が開く。

 

 

 

「そういえば、はじめに上着返して貰ったんですか?」

 

 

 

「うん、カバンの中に入れてるよ」

 

 

 

はじめちゃんはモーション班だから、キャラクターデザイナー班と動きは異なるがちゃんと一日のノルマが設定されている。でもそれは俺たちキャラ班が3Dモデルを製作してからモーション付けを行うので後になればなるほど仕事は多くなる。だから、定時よりちょっと早く帰れるのは今だけだろう。それに今日は好きなアニメの放送日と聞いたので、早く帰ったのだろう。

 

 

 

「……先輩の腕、筋肉すごいですね」

 

 

 

「ん? そう?」

 

 

 

言われて力こぶを作るように曲げてみせると「おおっ!」と驚いたように身を引く。そんなに大したことないと口にすると飯島は俯きがちに呟く。

 

 

 

「いや、すごいと思いますよ…私に比べたら…」

 

 

 

自分の腕を摘みながら唇を尖らせる飯島。脂肪のことになると飯島は卑屈になってしまうらしい。だから、そんなに太くないって多分。見てないからわかんないけどさ。でも、飯島個人としては自分の二の腕が太いと思えるのだろう。それが少し可愛く見えて、けれど本人は真剣に悩んでる様子だったので俺はある提案をしてみる。

 

 

 

「そんなに気になるなら筋トレ付き合ってやろうか?」

 

 

 

 

「え!ほんまですか!?」

 

 

 

 

頭をガシガシかきながら言った俺に食い入るように迫る飯島に俺は戸惑いながらも頷く。

 

 

 

「ほんまありがたいです!ほな、また連絡しますね!」

 

 

 

「お、おう…」

 

 

 

じゃ!と駅方面へと歩いて行った飯島を見送って肩の力を抜く。最近女の子関連でのToLOVEる以上のトラブルが起きてるけど、こういうのは全然OKだ。筋トレから性交に繋がることは無いし、恐らく外かジムでやることになるから人の目もある。だから絶対大丈夫と拳を握って、このスペクタクルな青春って感じのイベントに期待する。

滝本の時のように周りで誰かが聞いたり見てないかを確認して、燃えるような夕日の見える方向へと足を動かす。その足取りは少しだけ弾んでいた。






個人としては腕立て伏せと腹筋、スクワットをすれば【太っている】【デブ】のレッテルは貼られないんじゃないかと思います。腹筋は体幹でもいいとおもいますが、大事なのは痩せることではなく続けることなんですねこれが。


てことで、次はゆんちゃんになります。可愛いよねゆんちゃん。もうその気になってる二の腕を大丈夫だよって言いながらぺろぺろしてあげたい。
お前変態かよって? ふふっ、これを見てる時点で同類なのです。



さて今回はお気に入りに追加が多いしエッチ回を書き終わるまで時間がかかりそうなので先に前座を出しておこうというわけです。


ではまた次回、アリーヴェデルチ!



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9話 関西弁後輩と筋トレしてカラオケに行く話

【リア充は結婚前から逸話を残している……彼らの多くが話をこう結ぶ!!『考えるより先に体が動いていた』と!!】



童貞のまま学生生活を終えた通りすがりの魔術師です。知り合いに2人くらい高校で童貞を捨てたのを知ってますけど、多分俺が知らないだけでもっといるんだろうなって思います。







日曜日。それは一般的な社会人や学生にとっては休息の日。平日の5日間で疲れた体を癒して、新たに始まる月曜日に向けて気合いを入れる日─────なのだが人によってはサザエさん症候群と呼ばれる病に精神が犯されて安息どころかより陰鬱になるというのが専らの噂だ。

 

 

 

まぁ俺のように朝をスーパーヒーロータイムで迎えて行列で締め括る俺には関係の無いことだ。確かに昔はサザエさんを見れば「明日は学校か」くらいの心象は抱いたが別に苦ではなかった。月曜日は待ち望んではいなかったが水曜日の超次元サッカーアニメと小型ホビー用ロボット(大嘘)アニメは毎週楽しみにしていた。木曜日もスーパーマサラ人の奇妙な冒険に心奪われていた。そして金曜日には未来から来た青タヌキと嵐を呼ぶ幼稚園児を見て土日休みを迎えるというルーティンだった。

 

 

 

しかし、俺が歳をとるに連れてその番組は最終回へと向かって終わっていった。声優さんも歳なのかメインキャストの何人かは知らない名前になってたり時の流れを嫌でも感じざるを得なかった。

それに俺の目はいつしか深夜アニメの方に移っていった。社会人になった今となっては気になったのとか再放送だけを録画して見ている始末だ。

スーパーマサラ人のは今でも続いてるし、超次元サッカーも主人公が変わってるが一応やってる。ホビー用小型ロボットアニメに関してはプラモデルが再展開されたが新作アニメはないらしい。悲しい。

 

 

 

 

まぁそれでも、クリエイターの数だけ新しいアニメ、漫画、小説が生み出されているので退屈するということは無さそうだが、黄金期が素晴らしかっただけに俺は満足し足りない。たまに昔のDVDを見て気を和ませたり、番組放送時の2chを見返したりしてる。

それが俺の休日の過ごし方の6割で、残りは筋トレに注がれている。

 

 

 

やはりデスクワークが多いというか、それしかないのでどうしても運動不足になる。酒を飲み始めると中年太りにも繋がるし、何より中学の時にバカみたいに腹筋して得たシックスパックが忘れられない。

というわけで俺は週に4回程度、スポーツジムに通って自らの体を鍛え上げている。

 

 

 

おいおい休日なのに自分の身体を痛めつけてドMなの?っていう質問は最もだ。

しかし、運動には精神をリフレッシュする効果もある。もちろん、嫌々でやったりフォームが違うと逆効果だが、筋トレ後にやってくる達成感、翌日に襲ってくる筋肉痛、それを乗り越えた後に新たな筋肉が生まれているという幸福感。これらの快感は運動でしか得られない、

 

 

 

 

「……というわけで筋トレってのはダイエットにもいいし、精神的なリフレッシュもできる。まさに一石二鳥ってやつさ」

 

 

 

 

「なるほど…」

 

 

 

昼下がりの公園で夏用のスポーツウェアに身を包んだ俺は隣で顎に手を添えて話を聞く飯島に俺の休日の過ごし方をプレゼンしていた。

前半の過去の俺のルーティンは飯島には理解が出来ないかと省略してるが、筋トレの素晴らしさに関しては余すところ伝えている。

 

 

 

「週4ってよくそんなに通う暇ありますね」

 

 

 

 

「まぁ仕事帰りに行ってる時もあるからな」

 

 

 

 

週休2日だから4回も行こうと思うと仕事終わりに行くのは当然となってくる。火木土日の周期で、仕事終わりの時は肩、背中、下半身を中心に、土日は月曜日に影響が出ない程度に体全体に負荷をかけている。

 

 

 

「それを専門学校に入ってから続けてるからかなり筋肉がついてきた」

 

 

 

 

ムンッと力こぶを作り、腹筋に力を入れる。まぁ衣服の上からなので分かりにくいかもしれないが一応あるにはある。

 

 

 

「でもウチおとんとおかんが共働きで弟妹の面倒みないとあかんからジムに行くのは難しいですね…」

 

 

 

 

「それでも大丈夫だ。筋トレはジムにあるような道具を使わなくてもできる」

 

 

 

 

飯島の家庭環境は知ってる。23歳の長女に小学生になるかならないくらいの弟妹が2人いるのは最初聞いた時は再婚でもしたのかと思ったがそうでもないらしい。

まぁ両親共働きなので仕事終わりや休日の幼い弟妹の世話は飯島がほとんどだそうだ。今日のように暇が取れたのもたまたまらしく、母親が面倒を見てくれているそうだ。

 

 

 

「とりあえず準備体操から始めるか」

 

 

 

「はい」

 

 

 

 

腰掛けていたベンチから立ち上がって準備体操を始める。身体をよく動かす動的ストレッチを行い、関節などをよく動かしておき怪我をしないようにしておく。

 

 

 

「いたたた…!もうちょっと優しめに…お願いします」

 

 

 

 

「飯島、身体結構硬いんだな…」

 

 

 

 

女子はみんな柔らかいと思ってたんだが。変な意味じゃなくて関節の話ね。

柔軟も行ってストレッチが済んで靴紐の結びをチェックして俺は準備体操で既に息切れを起こしている飯島に声をかける。

 

 

 

「じゃあまずは1キロ走ってみようか」

 

 

 

 

「1キロ!?」

 

 

 

びっくり仰天と目を見開いた飯島に俺は頬をかきながら苦笑する。

 

 

 

 

「走ってから筋トレすると筋肉つきやすくなるし、下半身を鍛えるなら走るのが手っ取り早いから」

 

 

 

 

「うぅぅ…分かりました…」

 

 

 

これも痩せるためや!と顔を叩いた飯島は立ち上がると俺の横に並ぶ。

 

 

 

 

「じゃ行くか」

 

 

 

 

「はい……」

 

 

 

 

これから死地に赴くような目をした飯島は俺が走り出すと同時に動く。俺はなるべく飯島のスピードに合わせるようにして、走っていたのだが、やはり久しぶりに動く人間に1キロはキツかったのだろうか。

 

 

 

 

「はっ……はっ……はっ…も、もう無理ぃ…」

 

 

 

 

200メートルくらいで力尽きていた。早い早すぎる。俺よりも若いんだからと言いたくなるが、口振りからあまり運動してなかったみたいだし仕方ないか。

 

 

 

 

「OK、2分休憩したら家でもできる筋トレやっていこうか」

 

 

 

 

「は、はい……」

 

 

 

 

今にも死にそうなんだけど大丈夫なのかこいつ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばしの休憩を挟んだ後、一抹の不安を覚えながらもなんとか腕立て伏せ、上体起こし、背筋トレーニングを実行させた俺はある達成感に浸っていた。

 

 

 

「ふぅ、スガスガしい気分だ。歌でも1曲歌いたいようないい気分だ」

 

 

 

日曜日の親に見守られながら楽しむ子供たちのいる公園の芝生の上で共に汗を流す素晴らしさを噛み締める俺はハイになってそんなことを口走る。一方、飯島はもう動かない。あれは飯島ではなく生きる屍なのだ。

20回を3セットはさすがにやらせすぎたかな…? と少し心配しているとゆらりと飯島は立ち上がる。

 

 

 

「…歌いにいきましょう」

 

 

 

「はい?」

 

 

 

 

「だから……カラオケ、行きましょ…」

 

 

 

「え? なんで?」

 

 

 

 

当然の疑問だ。どうして筋トレの後にカラオケなのか。いや、確かに歌うことでカロリーは消費できるが筋トレほどではない。

 

 

 

 

「さっき歌いたい…言うてたやないですか…」

 

 

 

 

「あ、なるほど」

 

 

 

 

そういうことか。でも今のは比喩表現であって実際に歌いたいと思ったわけじゃない。飯島に筋トレをさせたという達成感から生まれた感情を言葉にしたにすぎない。

けど、外は暑いし、喉も乾いたし歌わずともカラオケには行ってもいいかもしれない。いや、別に家に帰れば全部済ませられるけども。

まぁ飯島は頑張って自らの筋肉を痛めつけたわけだしご褒美として連れていってやるか。

 

 

 

「よし、じゃ行くか」

 

 

 

 

そういうわけでカラオケに行くことが決定した。

 

 

 

 

###

 

 

 

 

カラオケ。日本人が初めて考えたと昔聴いた曲であったが本当かは知らない。まぁそんなこと関係なしにカラオケは楽しいところだ。

歌う以外にも大画面にコードをぶっ刺してゲームも出来るし、安価で個室ということもあってオフ会なんかにも使われてる。

 

 

 

1000円程度払うだけでフリータイム料金ならエアコンは使い放題、ドリンクも飲み放題の歌い放題。こんな素晴らしいことがあるだろうか。

受付を済ませてドリンクバーでジュースを入れて指定された部屋に入ってクーラーのスイッチを入れる。

 

 

 

「あー涼しい」

 

 

 

 

「ほんまですねぇ」

 

 

 

 

思わず漏れてしまった声に飯島は頷くと部屋のソファに座り込んでカラオケ用のリモコンを操作し始める。

 

 

 

「私から歌ってもいいですか?」

 

 

 

 

「いいよ〜」

 

 

 

暑くてスライムみたいに溶けた俺は飯島が歌うのをダラりと聴く。なんだよ結構歌えるじゃねぇか…筋トレでへばってると思ってたら元気じゃん。

 

 

 

 

「先輩も何か歌います?」

 

 

 

 

「あーうん、歌う歌う」

 

 

 

リモコンを受け取って手早くいつも声出しに使っている全部サビと言われてるアニソンを歌う。社会現象にもなったアニメの主題歌とあって飯島も知っていたのか俺が歌ってる時は手拍子をしてくれた。お礼に俺も飯島がノリノリの曲を歌う時は掛け声を入れたり手拍子したりして大いに盛り上げた。

 

 

 

「いや〜久しぶりやからちょっと張り切りすぎましたわ」

 

 

 

「俺も久しぶりに来たな」

 

 

 

飯島と交代で歌を歌うこと1時間、筋トレの後の疲れが出て一休みすることにした。飯島は歌ってる時に汗でもかいたのか上着をパタパタしながら服の中に篭もった熱を出そうとしており、俺がエアコンの温度を下げようかと打診すると首を振った。

 

 

 

 

「汗かいた方が体重減る言いますし、大丈夫ですよ」

 

 

 

 

「そうか?」

 

 

 

掴みかけてたエアコンのリモコンから手を離して、行き場のなくなった手を組んでテレビの方に注目する。漫画の宣伝や今やってるキャンペーンなどの動画が流れているのを見ていると「あ、あの…」と飯島に声をかけられた。

 

 

 

 

「どうした?」

 

 

 

 

「……えと、あの、その……質問なんですけど」

 

 

 

 

「うん」

 

 

 

 

「先輩って、その、初体験とか……したことあります? いや、いきなり何言うてるんて思いますよね!ごめんなさい!今のは、その、忘れてください……」

 

 

 

顔を赤らめてブンブン手を振ってシュンと忙しなく表情を変化させた飯島は身体をそむけつつも俺の反応をチラチラ窺うようにしている。

……確かにいきなり何言ってんだこいつとは思ったが、やっぱり飯島も年頃の女の子なのかそういうことには興味があるらしい。

 

 

 

 

まぁ答えはYESで会社の同僚とやっちゃったんだぜ!

 

 

 

とは到底言えるわけでもなく俺は瞬きをして困惑してる感を出してる。しかし、飯島がオロオロしてて可哀想だし、もしかするとそれ関連で悩みがあるのではないかと質問の意図を聞いてみることにした。

 

 

 

「いや、その、はじめとよう遊んでるって聞くし……もしかしたらなーって思って……」

 

 

 

すると、指を突き合わせてモジモジしながら尋ねてきたので俺は笑顔で返した。

 

 

 

「はじめちゃんとは映画見に行ったりするだけで男女の付き合いみたいなことはないな」

 

 

 

「そうなんですか…」

 

 

 

 

映画と言ってもラブロマンスとか青春ラブコメとかとは全く無縁のヒーローモノか魔法少女モノで20代の大人二人で何見てるんだろって思うけど面白いし楽しいから仕方ないね。

 

 

 

「あの、この歳にもなって今まで恋人なしって…どうなんですか?」

 

 

 

「それは俺に聞かないで」

 

 

 

俺も『恋人いない歴=年齢』の身だから。女性経験はあっても恋人はいた事ないっていう希少な人種だから。

 

 

 

「まぁ珍しくないんじゃないか? 涼風や滝本、八神さんもらしいし」

 

 

 

 

「そうなんですか?」

 

 

 

「うん、多分」

 

 

遠山さんは学生時代にいたとか聞いたことあるけど、長続きはしなかったらしい。

飯島が心配してるような1人だけ男性経験がない、ということはないと思う。てか、うちの会社にいる人間は軒並みそうなのではないだろうか。実際に2名ほど俺が初めてだったわけだし……他は知らんけど。少なくてもキャラクターデザイナーチームは全員処女ですね。うん、間違いない。

 

 

 

「多分て……」

 

 

 

表現を曖昧にすることで俺が彼女らに襲われたことを隠す。どうやら遠山さんのように鼻がいいというわけでなく、俺が涼風らと肉体関係を持ってることは知らないらしい。

知らないなら知らぬままでいてもらおうとカラオケを再開しようとすると、飯島の小さな変化に気付いた。

 

 

 

「飯島、暑いのか?」

 

 

 

 

「え?……あーいや、大丈夫です。ちょっと汗がベタついただけですから」

 

 

 

 

いつの間にか1枚上着を脱いでた飯島は手を振ると「歌わないんですか?」と聞いてきたので俺は無言で次の曲を入れるとマイクを手に取って立ち上がる。

 

 

 

まぁ飯島の席は冷房の空気が当たりにくいし暑いのかもしれないから気にすることではないが、何故か俺の心の奥で胸騒ぎがしているのだ。けど、この胸騒ぎの正体は飯島ではないはずだ。飯島は俺に対して害ある行為をする後輩ではない。そんな子悪魔みたいな後輩は涼風1人で十分だと思いながら、出だしが始まったので歌い始める。

 

 

 

その刹那、飯島が部屋のカーテンを閉める。このカラオケのガラスは外からも内からもボヤける仕様になってるが、外の視線が気になる人向けにカーテンを設置している。だが飯島は窓に背を向けていて通りすぎる人物と目が合うのは俺なのだ。

 

 

 

妙だなと感じた時には時すでに遅く、頬を上気し意を決したようにシャツのボタンを外している飯島に気付いた。

 

 

 

 

「飯島……?」

 

 

 

 

「あ、お気になさらず……」

 

 

 

いや、気にするだろ。ボタンが外されて桜色の下着が見え隠れし目を逸らす。あるかないか微妙だったが八神さんよりあって涼風よりはないくらいか。少ししか見てないのにバストサイズの大体を比較出来るようになってしまっている目に呆れてると隣に人の気配を感じた。まさかと、目を向ければ飯島が俺の隣に移動していた。

 

 

 

「…飯島?」

 

 

 

 

怪訝に尋ねると飯島は俺に向き直って頭を下げながらこう言った。

 

 

 

 

「私の初めて、もらってください」

 

 

 

 

 

その言葉を聞いた時、曲は3番のラスサビに突入していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




(性描写が皆無で)残念だったな!うわぁぁぁっ!


上のネタがわかる人はスマブラSPやりこんでる人くらいでしょうか。
さてさて、エッチシーンまでいくと長くなるかなと切りました。年下ゆんちゃんだと関西弁がないと青葉っぽくなるのが難点ですね。これは難しい。けど、書ききるぜ!ブォン!ブォン!ブーーーン!!!







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10話 関西弁後輩とお風呂でする話。

【自分の自慰について考えるのは自由だし否定はしねえ。だけどよ、その答えを他人に求めてどうするってんだよ。】



誰がわかるんだこれ。
とまぁくだらない話は置いておいて、やっとこさゆんちゃん本番まで書けました。
話が進めば進むほど、シチュが無くなると思いましたがそうでもありませんね。





 

 

カラオケ内でのSEXはご法度だ。カラオケ店員からすればカップルがいちゃついて汚したソファーや床などを掃除するのは苦痛でしかないだろうし、店舗によっては窓ガラスから見えたり、監視カメラで見られていたりする。

 

 

 

「私の初めて、もらってください」

 

 

 

 

だから、飯島の告白は正直言ってNOだ。場所のこともあるが、身の回りの男が俺だけだったからという消去的な理由なのが察せられたからだ。

 

 

 

一応これでもかなり衝撃的だったのだが、今までが今までなので動揺は少ない。寝込みを襲われるより上のことってなんなんだろうと思いながら、俺は飯島を見つめる。

 

 

 

 

男として『20歳を過ぎてるのに処女なのは嫌だから』という理由で女の子を犯すのはどうかと思うし、打診する相手も相手だと思う。けれど、飯島の目は真剣で上目遣いで俺の顔と足元を行き来する。

 

 

 

 

部屋にはカーテンがあるし外からこの部屋は見えない。監視カメラらしきものも確認できないし、危険視するとしたら液晶の上にある歌ってる姿を投稿するのに使うカメラだろうか。角度的に正面は写せても、左右の前側は死角になっている。

 

 

 

俺がどうしてここで済ませようと考えているかと聞かれれば、飯島が場所を変える気がないから。フリータイムの時間はまだ1時間弱残ってるし、俺もここで済ませられるなら済ましたいのだ。金欠だし、ホテルでするとやはりお金がかかるのだ。功を奏したのがスマホケースが手帳型でそこにコンドームを1つ忍ばせていることだ。まぁ財布にも2枚入ってるんだけど。

 

 

 

「なぁ、本当に…」

 

 

 

 

確認のため飯島にするのかと尋ねようとしたら甘い唇が目の前に迫っていた。

 

 

 

 

「んっ、んっ、んんっ……」

 

 

 

 

飯島は俺の背中に手を回して、何度も唇を重ねて少し休んではまた唇を押し付けてくる。

 

 

 

「んっ、んんっ……ふぁ……先輩……」

 

 

 

 

甘く蕩けるようなキスに抗うことなく唇を重ねられるがままの俺に、唇を離した飯島は首を傾げる。

 

 

 

「……抵抗しないんですね」

 

 

 

しても無駄って最近知っちゃったからとは言えずに俺は苦笑するしかなかった。女の覚悟というのは怖いもので、暗闇の荒野に進むべき道を切り開くどころか全く違う道まで切り開いてしまっている。その先にいたのが俺であり、俺を飛び越えてどこかへ行ったと思ったら後ろから回り込まれているという感じだ。

 

 

 

「……あの、ここまでしといてアレなんですけど…いいんですか?」

 

 

 

「本当に今更だな」

 

 

 

毒の入った声で返してみるが飯島は申し訳なさそうに笑うと頬にチュッと口付けをする。これは先程の不慣れなキスよりも心地よく、まるで母親が出かける子供にするような優しいものだった。きっと、弟や妹によくしてあげているのだろう。

 

 

 

「いいお姉ちゃんなんだな、飯島は」

 

 

 

俺がそう言うと飯島は動きを止めて、しおらしくしながらも俺の裾を握ると口を開く。

 

 

 

 

「あの、その要望はあかんって言ってましたけど…今だけ『ゆん』って言ってもらってもええですか?」

 

 

 

上目遣いで潤んだ瞳を向ける飯島に俺は肩を下ろす。それくらいから容易いことだし、いつもお姉ちゃんをしていて甘えられる存在が欲しかったのかと髪を撫でた。

 

 

 

「……あぁ、いいよ。ゆん」

 

 

 

「〜〜〜ッ!!!!」

 

 

 

呼んであげると嬉しいのか再び俺を抱きしめて唇を重ねてくる。それもただ重ねるだけでなく舌を入れてきた。

 

 

 

「し、処女なんだよな?」

 

 

 

俺を襲ってきた子にも言えることだけど、みんなうますぎない?気の所為なのだろうか。いや違うよね。怪しむような目を飯島に向けると、彼女は悪戯っぽく微笑んだ。

 

 

 

「先輩だから、ですよ」

 

 

 

 

ナチュラルに可愛さを発揮してくるゆんに男心を擽られる。でも、最近めちゃくちゃキスしてるな。なんてこの場にそぐわない思考ができるくらいには冷静さを保っている。

 

 

 

「ん、ふぁ……もう無理……」

 

 

 

「お、おい、ゆん……」

 

 

 

唇を離したゆんはズボンを下ろして、パンツから伸びる柔肌を露出させる。肉がついていると言っていたが、俺からすればほっそりしてる。それでも肉がついてると言うのなら、これは丁度いいくらいだ。

 

 

 

「めっちゃキスしておいて恥ずかしいんですけど……こっから先は、先輩がシてくれませんか…?」

 

 

 

胸元を開かせたシャツを見せつけるようにしてゆんは俺の前に跨ると小首を傾げてみせる。どこでそんなテクニックを……。

 

 

 

「じゃあ、触るぞ」

 

 

 

「は、はい……」

 

 

 

 

指先で衣服の上からムニッと柔らかい感触をつつく。その度にゆんは顔を赤くして声をこらえる。無抵抗だからまだこれは大丈夫なのかと、次に衣服の中に手を入れてブラの上から乳首辺りを刺激する。抑えていた声は漏れて「ん、ん…」とか細い喘ぎ声が聞こえる。

そして、ブラの中に手を入れて乳首をクリクリと摩ると耐えきれなくなったのか「はっ、あっ……だ、ダメ…!」と確かな悶絶が耳に届く。

 

 

 

「たくしあげてもいいか?」

 

 

 

 

無言で頷いたゆんは俺が服とブラジャーを上にずらして、その乳房をあらわにする。涼風も滝本も暗くてよく見えなかったし、遠山さんは見せてこなかったのでちゃんと見るのはこれが初かと感慨深い気持ちになる。

大きさはないが形が良くていいおっぱいだ。触れると指が沈む程度にはある。でも、涼風の方がまだ大きいかな。

 

 

 

「そんな、じっくり見られると……」

 

 

 

「あ、悪い」

 

 

 

色白肌にピンク色の乳首と乳輪とか作り話だとか空想だと思ってたから、じっくりと眺めてしまった。じっと見られてるのが嫌ならばと小さめの乳輪に舌を伸ばす。

 

 

 

「んっ、あっ……な、舐めるんですか……? ふあ、んっ、んん……!」

 

 

 

舌で乳首をヌリュヌリュと舐めまわし、ちゅうちゅうと音を立てて吸い上げる。

 

 

 

 

「はっ、あっ……そんな、赤ちゃん、みたいに……!」

 

 

 

言葉だけならドン引きしてるようにも思えるが、ゆんは顔を手で覆って見ないようにしつつもちらっと指の間から俺が乳首を舐める様子を見ている。

横に、縦に、くるりと、緩急をつけながら舐め回すとゆんは恍惚とした顔で吐息を漏らす。

 

 

 

「あっ、んんっ……!!」

 

 

 

 

これでも嫌がらないのかと今度は下の方に手を伸ばす。パンツの上から筋をなぞると指先に湿り気を感じる。一旦、手を離してゆんの顔を見上げると体をビクビクとさせていた。感度良好というか、ちっぱいの子は感度がいいって話も本当なのか?

 

 

 

「ゆんって感じやすいのか?」

 

 

 

 

「……わ、分かりませんよそんなこと! は、はじめてなんやから!!」

 

 

 

 

感度がいい=エロいと言われてるように聞こえたのか怒ったゆんに苦笑すると、ムスッと顔を逸らされた。

胸と秘部を触られたり舐められてもやめようと言わないあたり気持ちは本気らしい。普段の俺ならさっさと終わらせてあげるところだが、ゆんがあまりにも可愛く見えるので少しいじめたくなった。吊り橋効果って怖い。

 

 

 

「ひやっ! そこ、汗かいて……!」

 

 

 

 

脇を舐めて太ももに指先をツーっと走らせる。俺もここまで変態ではないのだが、興が乗ったというか、高校の頃にしてみたかったことを後輩にやってる時点で完全に変態でした。

 

 

 

「あっ、あああっ、あんっ、先輩っ…!」

 

 

 

唇を、胸を、脇を、乳首を、秘部を、太ももを。ほぼ全身を指先と舌で撫で回し終えた頃にはゆんは何度目になるか分からない絶頂を迎えていた。

あまりにも簡単にイってしまってるんで、壊れるんじゃないかと心配になったが痙攣していた身体が収まると俺の方に手を伸ばしてくる。

 

 

 

「せん、ぱい……」

 

 

 

甘えるような口調のゆんに再び愛撫を開始しようとするがそこで部屋の電話が鳴る。出てみると案の定、満室になったからと終了10分前の連絡だった。フリータイムなので延長することは出来ない。ここまでかと気乗りしてた高揚心はスっと冷えていく感覚に陥る。

 

 

 

「……あの」

 

 

 

「ん?」

 

 

 

振り返るとゆんが物欲しそうな顔でこちらを見ている。パンツしか衣類を着ていないその身体は火照ったようにピンク色で、股間分が僅かに濡れているのがわかる。

そう言えばこいつのお願いは処女を無くすことだったかと思い出して俺微笑むとゆんに脱衣した服を手渡す。

 

 

 

「続きはホテルでしようか」

 

 

 

「……ええんですか?」

 

 

 

ここまでしておいて最後はお預けというのもお互いにフラストレーションが溜まる。明日は普通に就業日なので顔合わせるのは必然。社内でお互いに嫌な空気、ましてや淫蕩な雰囲気になるのはあってはならない。

 

 

 

「いいよ、最後までしよう」

 

 

 

「…はいっ!」

 

 

 

笑顔を綻ばせたゆんはタオルで俺の舐めた跡を拭き取るとジュースを一口で飲んで服を着る。俺はエアコンの電源を切ってカーテンを開けるとゆんに確認を取ってから部屋を出た。

 

 

 

 

 

###

 

 

 

 

 

カラオケ屋から出て最寄りのホテルに入った俺達はベッドに行くまで待てずに用意された部屋の玄関で口吸いを交わした。それもディープなやつをだ。

涼風の時は俺に余裕がなかったからされるがままだったが、ある程度の経験を得た俺はゆんの腰に手を回して貪るように舌先をくねらせてゆんの口内をかき乱す。

 

 

 

「しぇん、ぱいぃ……」

 

 

 

トロトロに蕩けた表情をしたゆんの身体を支えてやりながらシャワールームへと運ぶ。そして、パネルを操作して湯船に入湯する。

 

 

 

「お互い汗もかいたしベトベトだから入っちゃおうぜ」

 

 

 

というのは建前で自分が体験してみたかっただけである。家の風呂では味わえない広々としたバスルームはお湯が入るのを眺めるだけでも心地よかった。若干の賢者タイムに入っていた俺だが、手早く脱衣して甘い吐息で今か今かと待っているゆんを見たらペニスは直立してた。怖い。

 

 

 

 

シャワーで軽く汗と身体についた唾液などを洗い落としてお湯に体を沈める。もっとも、湯を入れたばかりなので腰くらいまでしか浸かってないけど。

 

 

 

「先輩、当たってるんですけど…」

 

 

 

俺の前に背を向けて浸かっているゆんは自分の背中に当たっている俺のペニスを握る。仕方ないじゃないこの距離じゃ勃起してなくても当たるんだから。

 

 

 

「怖気ついたか?」

 

 

 

ほんのりと残った理性が言わせたのか、それとも自虐心から出た言葉なのかは俺にも分からない。けど、ゆんが首を振ったのを見て口角を吊り上げたということは後者なのだろう。

自分もかなりやばいなと思いながら、しばしの間湯船の中で心と体を休める。どうせここから出たらランニングくらい疲れるのだから。

 

 

 

 

「え、えっと……しないんですか?」

 

 

 

「ん?」

 

 

 

湯がやっと肩付近にきたあたりで口を開いたゆん。まだベッドにも行ってないが待ち遠しいのだろうか。

まぁここですれば後処理も楽かと俺は湯船から出てバスルームから出たところに置いておいたカバンから避妊具を出して装着する。

 

 

 

 

「うわぁ…おとんやれんのと全然違う…」

 

 

 

 

 

戻ってくれば、ゴムを付けてピンクに染った俺のペニスを見て感嘆の声が漏らされた。弟のは分かるけど、ゆんパパちんちん知ってるってどうなのよ。

 

 

 

「これを、私のに……」

 

 

 

湯船で正面から向かい合って俺のペニスをマジマジと見たゆんはゴクリと喉を鳴らす。愛撫は十分したし、ゴムの上からローションを垂らせば恐らくはすんなり入るだろう。そこから気持ちよくなれるかはゆん次第だが、身体の感度の良さから心配はないだろう。

 

 

 

「え、えっと、恥ずかしいんで……壁の方見ててええですか……」

 

 

 

 

「いいよ」

 

 

 

湯船から足を伸ばして立ち上がったゆんは俺に尻を向ける。カラオケでは拝めなかった美尻を前に撫でたい衝動に駆られる。雰囲気とはいえここまで流されるのはどうなんだろう。明日からは自制しようと心に誓ってゆんの可愛いお尻を掴み、ゆっくりとモノを押し当てて侵入させていく。ずぶぶ、とペニスが入り込んでいき、処女膜らしきものを貫く。

 

 

 

 

「あっ、痛っ、痛ぁ……あ、ああああ……」

 

 

 

声がよく響くバスルームの中でゆんは純潔を失う。喜べ少女、君の夢はようやく叶った。根元まで入っていないペニスを引き抜こうと腰を動かすと、後ろに引いた分だけゆんが後ろに下がってくる。

 

 

 

「ぬ、抜か、ないで……ひゃっ……あっ……」

 

 

 

ビクンと痙攣しながら、声を上擦らせたゆんは転倒しないように手を壁に置く。イってるのであろうゆんのヴァギナはぎゅうっと俺のペニスを締め付けてくる。

 

 

 

 

「処女を失くすことまでがお願いなんだろ」

 

 

 

 

「で、でもっ……んっ!……あっ…!」

 

 

 

 

さらに後ろに下がってペニスを奥へ奥へと侵入させようとするゆん。つうっと流れてる血が、彼女は本当に処女だったのだと物語っている。だがしかし、初めてでこんなに欲しがるのか? と不思議に思っているとゆんの動きが止まる。

 

 

 

「さ、最後まで……シて、ください……」

 

 

 

処女膜の破れた痛みが終わったのか、後ろをちらりと見ながら懇願するように言ったゆんに俺は離していた手を再びゆんの尻に添える。

奥へ奥へと、ゆんが入れようと、到達させようとしていた場所に腰のピストンを使って徐々に深く挿入する。

 

 

 

「先輩、先輩っ、せん、ぱい……あ、私のが、先輩のと、ずぶずぶって! 動かす度にお湯が、ぴちゃぴちゃって、いうて、あんっ!」

 

 

 

関西人は擬音語で感情表現とか、描写表現をするって話を聞いたことがあるが実際にされると少し気分が上がる。思わず「俺のペニスはゆんの膣内でどうなってる?」って聞いちゃうくらい。

 

 

 

「わから、わからへん! す、すごすぎて、あっ、あんっ!」

 

 

 

腰を振り続けて、それに応えるようにゆんの中はぎゅっと締まり、モノを絞り上げてくる。

 

 

 

「あかんっ……もうっ、ああっ……!」

 

 

 

湯船で乱れ合う俺達は次第に顔を向けあってキスをしながらパンパンと音が鳴るくらいに腰を振る。ちゅぱ、ねちょとそんな淫猥な音を出して快楽を貪る。

あとはもう、ゆんの甘い声と、2人の繋がった部分からお互いがぶつかり合う音だけが響いて─────文字通り、俺とゆんはドロドロに溶け合うようにして乱れ続けた。

 

 

 

 

 

 

「……あぁ死にたい」

 

 

 

「そんなこと言わんといてください」

 

 

 

 

「いやだってさ…」

 

 

 

 

ちょっと気分がノリノリだからって後輩に手を出してヤリまくったんだぜ? しかも、今回はレイプされるわけでもなく、脅迫されたわけでもなくただ純粋な気持ちでだ。

 

 

 

「何回したんだ俺たち……」

 

 

 

「何を持って数えるんか分かりませんけど……入れられた数なら5回ですかね……おねだりしてきた私もですけど、それに応えれる先輩もその……」

 

 

 

 

「すまない……」

 

 

 

俺のバルムンクってこんなに元気だったかなと、今はふにゃふにゃとなったちんこを想起する。

 

 

 

「でも、先輩は私のお願い聞いてくれただけですし、別に謝らんでも」

 

 

 

「いや、ヒートアップしすぎて色々と恥ずかしいことしちゃったから……」

 

 

 

女の子の肢体を舐めまわしたり指でなぞるとか何やってんだろ俺。賢者タイムを通り越して大反省タイムである。

昼の1時から集まって、全てを終えた時間が8時だ。カラオケでし始めたのが4時くらいだからだいたい4時間は乱れ合っていたことになる。

遠山さんとシてから間を開けてたとはいえ、そんなに溜まってたのかなぁ…。

 

 

 

「ええんですって、私もその、気持ちよかった……ですし」

 

 

 

 

「それならいいかとはならねぇよ……」

 

 

 

 

これからはカラオケ屋ではそんな事しない。女の子に頼まれても処女は奪わない。溜まったなと思ったら風俗に行く。そう決断し、ゆんの方をむく。

 

 

 

 

「まぁその、うん……」

 

 

 

 

なんて言えばいいんだろう。もうここまでしちゃったら付き合うか責任を取らないといけないのだろうか。ゆんは確か俺だからいいんだとか言ってたから、おそらく好きなんだろう。うん……どうしよ。

 

 

 

 

「あの先輩、そろそろ帰りません?お腹を減りましたし」

 

 

 

「あ、うん、そだね」

 

 

 

 

汗の引いたスポーツウェアを着てホテルから出ると、ゆんは「うっーー!」と気持ちよさそうに伸びをする。そして俺の方に身体を寄せる。

 

 

 

「今日はありがとうございました。ほんまに、先輩で良かったです」

 

 

 

「あ、うん、どういたしまして」

 

 

 

 

「? さっきからなんで敬語なんですか?」

 

 

 

理由?そうだね、ここまでしたら責任とった方がいいかと思ってるからかな。そう伝えるとゆんは呆然とし、顔を赤くすると全力で手を振った。

 

 

 

 

 

「いやいやいやいやいや、いいですって! 直接じゃないですし! 私から頼んだことですし! 先輩が負い目を感じる必要はないですよ!」

 

 

 

 

「そう……?」

 

 

 

「はい、そうですって! 」

 

 

 

ウンウンと頷いたゆんに俺はほっと胸を撫で下ろす。我ながらクズ男のような行為だが、ゆんの言う通り俺からせがんだことじゃないし、避妊もしたからいいのかと納得する。

 

 

 

「それに」

 

 

 

安心している俺を尻目にゆんは付け加えるように言葉を口にする。

 

 

 

 

「ちゃんと両思いじゃないと、嫌ですし」

 

 

 

 

恥ずかしそうに、そして寂しそうに微笑んだゆんは俺の頬に軽く口付けして一歩後ずさる。

 

 

 

「じゅあ、また明日」

 

 

 

 

「……また明日」

 

 

 

手を振って喧騒の多い駅の方へと消えていったゆんを立ち尽くしながら見つめる。キスマークの残らないように口付けされた頬を撫でると、踵を返す。ランニングと筋トレ、さらにSEXによる肉体運動と精神的疲労によって押し寄せてきた疲れを背負いながら家へと帰還した。




お姉ちゃんだって甘えたい!!!
そんな感じで書きました。ゆんの関西弁のアイデンティティを殺さずにかつ丁寧語という難題を形にするのに手間取りましたが、何とかなりました。今回は本番よりも前戯に重きを置いたのですが、どうだったでしょうか。
主人公がクズのように見えてきましたが、何も悪いことはしてないのでそうでも無いのかなと。


とりあえず今回からイチャイチャ解禁。ということで以前にシたメンバーともイチャイチャするかもです。タイトル詐欺?なんのことでしょうか。もちろん逆レも続けますから。



あとは今のところ八神さん、うみこさん、はじめちゃん、葉月さんでしょうか。ねねとほたる、インターン組はもう少しさきになるかもですね。



ではまたいつか。


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11話 仲のいい後輩に対して覚悟を決める話


【別に搾ってしまっても構わんのだろう?】
【惨たらしく射精しろ】



そろそろ前書きに書くとことが無くなってきた魔術師です。先に書いてた方よりコッチの方が筆が進むので投稿しときますね。
といってもいつもよりみじかいのですが。




 

 

 

子供の頃の夢はなんだったのか。

 

 

そう聞かれたら浮かんでくるモノは多い。卒園、卒業アルバムを見れば当時の自分と対面できる。幼稚園、小学校の俺はまだ純粋だったのだろう。野球選手、お笑い芸人と今では考えられない職業だ。

野球選手は小学校の頃に中継が延長されて見たい番組が潰れたり、父親が応援してるチームが負けたら機嫌を悪くしてたので嫌いになった。というか、クラブで野球をしてない奴がどうやって野球選手になれるのか聞いてみたいものだ。

 

 

 

お笑い芸人は小学校の頃の俺は明るいキャラで周りから面白いと言われていたのだ。だから、その時は有頂天になってそんなことを書いてしまった。M-1などで優勝するくらいの芸人になろうと思ったらピンでは難しいし、あの芸人人気ランキングで1位になったコンビも優勝するまでにかなりの時間をかけてるのだから、今考えると雲の上のそれまた宇宙に行って星を掴むような話だ。

 

 

 

中学生の時の夢はもう覚えていない。高校の頃はなんか誰かの記憶には残るだろうとふざけたことを書いた気がする。見返そうにもアルバムや文集は全て実家だ。それにそこまでして思い出したいとは思わない。夢は夢のまま、幼き淡い心の夢として捨て置いたらいい。

 

 

 

ただ夢とはまた違う【憧れていたモノ】なら生涯を通して覚えているものがある。それは正義の味方。絶望的状況をひっくり返してくれる、悪には決して負けない。炎で身を焼かれてもその中から無傷で出てくるような、味方も敵も驚かせるようなそんなヒーローに俺は強く憧れていた。

 

 

 

 

 

「昨日の仮面ラ〇ダー見ました!? いやー新フォームかっこよかったなー!」

 

 

 

 

「あぁ、そうだな」

 

 

 

だから、同じくヒーローに憧れるはじめちゃんとは気が合った。きっかけははじめちゃんが【資料】と言って机の上に起き始めたフィギュアや武器を見て俺がその固有名詞を口にしたからだろう。

 

 

 

 

「変身ベルト来週に出るらしいですよ! あー待ちきれないなぁ…!」

 

 

 

 

興奮するはじめちゃんに対して俺の気持ちは冷え切っている。確かに昨日新しくでてきた変身形態はかっこよかったし、デザインも秀抜で遊び心もあって良かったと思う。

だが、俺の財布はそれを買えるほどふっくらしてないし、もし買うなら真骨彫シリーズのフィギュアを買うだろう。早く初代を再生産してくれないかな…あれネットで買おうとしたら足元見てきてるのか高いんだよなぁ…。

 

 

 

「あ、そういえば…」

 

 

 

何か思い出したように呟いたはじめちゃんは周囲に目をこらす。まるで誰かに聞かれたら不味い話をこれからするように。

デジャヴを感じた俺は身の危険を案じつつも、周囲の警戒を終えて胸を撫で下ろすはじめちゃんを見る。

 

 

 

 

「どしたの」

 

 

 

 

「いや、最近なんだかゆんが可愛くなったっていうか、また女の子らしくなったっていうか…」

 

 

 

 

「え、もしかしてはじめちゃんってそっちの…」

 

 

 

 

「違いますよ!」

 

 

 

 

手を振って全力で否定するはじめちゃんに目を細めつつ上司が上司なら部下も部下なのかなと思案を巡らせる。いや、管轄は違うけど遠山さんは先輩だからそういうこともあると思うのよ。しかし憶測で物事を考えるのは良くないと改めてはじめちゃんの話に耳を傾ける。

 

 

 

「女の子らしくなったって、例えば?」

 

 

 

 

元から飯島は服装はゴスロリ気味であるがオシャレだし、元の顔がいいから化粧はナチュラルメイクというので済ましてる。香水の類もつけてないし、せいぜいしてるのはスキンケアくらいだろう。下着もそこまでこだわったものではなかったけれども、それでも女の子らしいものだった。

総評、飯島は最初から女の子らしい。それが同じ女性目線からだとどのように変わったのかは少しばかり気になったので尋ねてみた。

 

 

 

 

「う〜ん、なんて言ったらいいんですかね、なんか少し大人になった? みたいな」

 

 

 

 

「……へー」

 

 

 

「昨日も頼んでないのにお茶入れてくれたし、服装もなんか爽やかになったし……カバンのアクセサリーも変わってたかな」

 

 

 

まぁたしかに前よりも周りに気を遣うというか、配慮するようになったし服もゴスロリ系から森ガールっぽくなってきた気はするな。カバンのアクセサリーは知らないが、前つけてたのはドクロのチャームだったから変わってれば分かるだろう。

しかし、イマイチ判断に困る評価に眉を顰めて間延びた返事をしてしまったが、はじめちゃんは特に気にしてないのかそのまま会話を続けた。

 

 

 

 

「それになんだか2週間くらい前は妙に肌ツルツルしてたし…なにか知りませんか?」

 

 

 

 

「知らないかなぁ…」

 

 

 

 

2週間前って言うと俺が飯島の処女を奪った時くらいだろ? いやぁ、特に思い当たる節はないかなぁ…。と、心当たりが大アリなのに知らぬ存ぜぬな雰囲気を醸し出すとはじめちゃんは顎に手を添える。

 

 

 

 

「聞いてみたら『はじめにはまだ早いわ』って笑われて……何のことなんですかね?」

 

 

 

 

「さぁ、俺にはさっぱり」

 

 

 

 

飯島にはあの件に関しては箝口令を出したし、あの日以来下の名前では呼んでいない。あくまであの時だけの関係で今はきれいさっぱり……とはいかないが、なるべくいつも通り接していると思う。

 

 

 

 

「そうですか……うーん、また本人に聞いてみようかな…」

 

 

 

 

一人でブツブツと考え込むはじめちゃんはそっと放置して俺は食堂をあとにすると自分のブースへと戻る。涼風と飯島はまだ外で飯を食ってるのか戻ってきていないが、滝本はいつも通り動物の可愛い動画を見てほっこりしていた。こういう姿を見ると安心できるけど、以前のことで滝本のことがよく発情期のライオンに見えるようになったので病院に行くか転職するべきかもしれない。

 

 

 

同じブースの人間4人と肉体関係になってしまったことを知ってる人間は俺だけだが、もしかすると遠山さんは気づいてるかもしれない。さらにいつの日か八神さんにも襲われる可能性を考えると頭が痛くなる。

 

 

 

 

今純潔なのははじめちゃんだけなのだ。はじめちゃんとだけは関係を持たないようにしなければ。

 

 

 

 

俺は不在のはじめちゃんの席を見つめながらそう決心する。これは『覚悟』だ。はじめちゃんには襲わせないし、はじめちゃんに関係を求められても断るという俺なりの『覚悟』だ。

 

 

 

 

 

 

しかし、この覚悟は早くも翌日に破られることになるのだが、それはまた別の話だ。

 

 

 






ということではじめちゃんとの性交フラグが立ちました。
やったね主人公またSEXできるよ!



あ、大学受かりました。浪人は回避しましたが車の免許やバイト先、あとはなんだろ…まぁ他にもすることがあるのである程度落ち着いてからまた活動報告を出したいですね(なんとなく)


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12話 仲のいい後輩が察する話

【ハグが大好きで キスが大好きで 手コキが大好きで フェラチオが大好きで クンニが大好きで 手マンが大好きで 正常位が大好きで 騎乗位が大好きで SEXが、大好きだったから・・・】




我ながら最低最悪にして最善最高の改造文だ。別に元ネタが嫌いじゃない。むしろ好きだ。スタースカイ凛……すこです。
今回はまだエッチじゃないです


エッチ回に星マークとか付けようかなと思ったけど、こういう話もちゃんと見て欲しいからつけません。許してヒヤシンス。





 

「先輩ちょっといいですか?」

 

 

 

俺が『覚悟』を決めた翌日、会社を出る直前後ろからはじめちゃんに声をかけられ、振り向くとはじめちゃんの背後には飯島がいた。

2人が一緒にいるのはよくある事なのであまり違和感はないが、俺を呼び止めた理由がわからず俺は首を傾げる。

 

 

 

 

「何どしたの」

 

 

 

 

「あのこれからご飯食べに行くんですけど先輩も行きませんか?」

 

 

 

 

恐る恐るといった感じの誘いに俺はまたも首を傾げてしまう。これがいつものノリな感じで声をかけられていたなら悩むことは無かったが、はじめちゃんの様子がおかしい。飯島は特に変わりないように見えて、無機質なオーラを纏っている気がして、何故か俺の脳が警報を出している。

 

 

 

 

「誘いは嬉しいけど今日は帰るよ」

 

 

 

 

「そ、そうですか…分かりました。すみません、急に」

 

 

 

 

乾いた笑いを浮かべた俺にしおらしく頭を下げるはじめちゃん。少しばかり申し訳なくなったが、俺の直感が危ないと告げているため踵を返して歩みを進める。

 

 

 

 

「はじめはそれでいいん?」

 

 

 

 

「し、仕方ないじゃん!今日は帰るって言ってるんだから!」

 

 

 

 

「はぁ…いつもみたいにもっとハキハキしいや……」

 

 

 

 

「そ、そんなこと言われたって!!」

 

 

 

 

後ろから聞こえる会話を気にして遅歩きになってしまった。しかし、聞いてる限り普通の誘いなのだろうか。

 

 

 

 

「ほらやっぱり私帰るから。1人で先輩誘ってきいや」

 

 

 

 

「ええっ!?そんなの無理だよ!お願いゆん力貸してよ!」

 

 

 

 

「無理や無理。自分一人で頑張り」

 

 

 

 

「そ、そんなぁ!」

 

 

 

 

なんだかドラえもんに見捨てられるのび太みたいだな…。思わず立ち止まって2人の様子を見ていると見られてることに気づいた飯島ははじめちゃんの背中を押して、はじめちゃんがそれに抗っていた。何してんだあの二人。

彼女らの後ろから仕事を終えた社員達がぞろぞろと出てきて邪魔になっていたので、仕方なく急ぎ足で2人の元へと戻る。

 

 

 

 

「…あのさ、二人とも邪魔になってるから場所変えようか」

 

 

 

 

「は、はい…」「…はい」

 

 

 

若干涙目のはじめちゃんに、それに呆れた様子の飯島の返事を聞いてとりあえず会社から離れた。邪魔になるというのもあったが、下手すると涼風とか滝本も出てきて面倒なことになりかねないと思ったからだ。

2人の帰宅ルートから外れるように先導してある程度進んだところで2人の方につま先を向けた。

 

 

 

 

「で、何食べんの?」

 

 

 

「え?」

 

 

 

 

キョトンと目を開いたはじめちゃんはその後視線を彷徨わせた挙句に飯島に助けを求めていた。

 

 

 

「…安めのファミレスとかでええんちゃうか?」

 

 

 

 

「え、でも私ラーメン食べたい」

 

 

 

 

「じゃあ、自分で言えや!」

 

 

 

 

キレた飯島にごめんごめんと手を合わせるはじめちゃん。相変わらず仲がいいなとしみじみとしているとようやく結論が出たのかはじめちゃんがこちらを向く。

 

 

 

 

「じゃあ、そこのハンバーグ屋で」

 

 

 

短く返事して俺達は店内へと入って案内された席へとつく。平日の夜の時間帯ということで仕事終わりのサラリーマンや若いカップルに子供連れのお母さんとか多種多様な客がいた。こうして店内の様子を見渡して観察するのが癖になってるのを自覚してるのに止められないのは残念だと思い、やっとメニューに視点を合わせる。

 

 

 

「ゆんは何にするか決めた?」

 

 

 

 

「私は和風ハンバーグやな」

 

 

 

「私はサイコロステーキかなー」

 

 

 

 

「聞いてへんわ」

 

 

 

 

「ひどっ!?」

 

 

 

 

これ俺いらないんじゃないかな。そう思うくらいに俺が空気だ。いや、別に「先輩はどうするんです?」的なことを聞かれたい訳じゃないし、女の子同士の独特な空気感を眺めるのも悪くないんだけど。

 

 

 

 

「先輩は決まりました?」

 

 

 

 

「あ、うん、Bセットにするよ」

 

 

 

 

1000円でハンバーグにご飯とサラダ、ついでに選べるスープもついてくるんだったら申し分ないだろう。飲み物が水なのは全然いい。むしろ、ハンバーグにコーヒーとかコーラは合わないと勝手に思い込んでるから水が一番いいのだ。今回の主役はハンバーグ。そうハンバーグなのだ。

 

 

 

 

「はじめはハンバーグ屋なのにステーキやねんな」

 

 

 

 

「いいじゃん別に」

 

 

 

 

「ええけど、はじめならハンバーグ&サイコロステーキ頼む思ったから」

 

 

 

 

「大方高くて頼めないんだろ」

 

 

 

 

「ぐっ、それは……」

 

 

 

 

やっと会話に入り込む隙が出来てからかう様に言ってみると図星だったのかはじめちゃんが顔をしかめる。そりゃ新しい変身ベルトやアイテムが出る度に買ってたらお金はなくなるに決まってる。

 

 

 

 

「大丈夫なん?給料日まで半月もあるのに」

 

 

 

 

「それは大丈夫。スピードくじ引くために色々買った残りがあるから」

 

 

 

 

この子はコンビニのクジを引くためにスーパーとかならもっと安く買える商品を割高で売ってるコンビニで買ってるのか。そりゃ金は貯まらないよなぁと思いながら水をひと口飲む。

 

 

 

 

「ご注文はお決まりでしょうか?」

 

 

 

 

「Bセット1つ。スープは味噌汁で。あと和風ハンバーグにサイコロステーキを1つずつ」

 

 

 

「かしこまりましたー」

 

 

 

注文を繰り返して少々お待ちくださいと言って厨房へと消えていった店員さんの背中をみやりまた水をひと口。ご注文はお決まりですかって聞かれたらうさぎと答えたくなるのはもう病気かな。なんてくだらないことを考えていると突然、飯島がこちらに話を振ってくる。

 

 

 

「そういえば先輩って普段はお金何に使ってるんですか?」

 

 

 

 

話は社会人というかお金を稼ぐ身になれば、お金の使い道の話は必ずあることだ。職種によってはライトな学生がしそうなレベルだったり、銀行員や金融庁の役員とかになるとよりディープになるのかもしれないが、ゲーム会社に勤める人間の金の話なんて大したことない。受験を早めに終えてバイトを始めた専門学生がSNSで「バイトの給料でコレ買っちゃった。きゃはっ」くらいのレベルだ。

 

 

 

「主にサブカルチャー…マンガとか本かな」

 

 

 

実を言うと俺ははじめちゃんを嘲笑うことが出来ないくらいに趣味が多い。サブカルチャーでもまだ非ヲタでも買うであろう2つを述べてはいるが、具体的に言うと買っているものはかなり多い。アニメ見放題サイトの月額料金だったり、好きな作品の一番くじ、プラモデルにジグソーパズル、テレビゲームにスマホゲームの課金とか……まぁ世間的にヲタクと呼ばれる人種のお金の使い方の典型例だ。

 

 

 

俺は専門学生の間にバイトして貯めた蓄えと親や祖父祖母が高校出るまでに貯めてくれたお金やお祝い金があるから今のところは不自由してないが、これ以上さらに趣味が増えると毎日もやしを食べる生活まっしぐらなのだ。

 

 

 

「先輩ってそういうの好きそうですよね。この前のカラオケでもアニソン多かったですし」

 

 

 

「あ、そうなんだ。先輩とカラオケ……カラオケ!?」

 

 

 

 

はははと穏やかな笑みから一変して驚いた様子で俺と飯島を交互に見やるはじめちゃんにキョトンとして「何か気になることでもあったのか」と首を傾げる。

 

 

 

 

「いや、別にいいんですけど、あの、その先輩とゆんってカラオケとか行くんですね」

 

 

 

 

「行ったのは前が初めてだけどな」

 

 

 

 

「前っていうと?」

 

 

 

 

「2週間くらい前ちゃうか」

 

 

 

 

確認を取るように「ですよね?」と聞いてきた飯島に首肯する。特におかしなことは無いはずだ。会社の先輩と後輩がプライベートで出かける、というのはよくある話だろう。

はじめちゃんともよく映画とか行くし。特撮しか見ないけど。

 

 

 

「2週間前のおやすみ……?」

 

 

 

 

なにか引っかかったのか『2週間前の休日』という言葉を呟き始めるはじめちゃん。何がそんなに気になるのやらと思考を巡らせると昨日の昼休みの会話を思い出した。

 

 

 

 

『最近なんだかゆんが可愛くなったっていうか、また女の子らしくなったっていうか…』

 

 

 

 

 

『なんだか2週間くらい前は妙に肌ツルツルしてたし…なにか知りませんか?』

 

 

 

 

 

 

あ、これかぁ! 今の気分を伝えるなら動画のコメントでゲーム実況で流れた知ってるはずの曲を頑張って思い出して思い出せず、諦めて布団に入って瞼を閉じたら突然曲のタイトルが出てきて悩みが晴れた感じだ。

だが、俺が関係ない話であればプラスの感情で終わっていたがはじめちゃんが考えていたのは飯島が女の子らしくなった原因。そうなったのは2週間前の休みの日以降。つまり俺と飯島が結合した日である。

 

 

 

 

「お待たせしましたー」

 

 

 

 

はじめちゃんが答えに至りそうになる前にタイミングよくやってきた店員さんは手早く注文した物を机に置いて「お熱くなってるのでお気をつけください」と主語がなくて皿なのか汗ダラダラの俺の事かわからない注意を口にし「ごゆっくりどうぞ」と今すぐにでも帰りたい俺に皮肉なのかなと思う言葉を添えて消えていく。

 

 

 

「……じゃあ食べようか」

 

 

 

 

「そ、そうですね」

 

 

 

 

飯島もはじめちゃんが俺とのことを勘づくのではないかと危惧したのか、はじめちゃんの前にフォークとナイフを置いて食べるように促す。

 

 

 

 

「あ、うん、いただきます」

 

 

 

 

手を合わせてフォークとナイフを手に取ったはじめちゃんは黙々とご飯を食べ始める。とりあえず、俺と飯島のことから意識を反らせたことにホッコリし、俺も食事にありつく。

久しぶりの外食でのハンバーグに舌鼓を打ちながらパクパクモグモグと食べる。そういえば、外食は滝本以来だなと思いながら味噌汁を啜っていると、最後のステーキを口に入れようとしたはじめちゃんが制止した。

 

 

 

「あ」

 

 

 

 

「ん、どうしたんやはじめ?」

 

 

 

 

一番量が少なくて既に食べ終えていた飯島は1文字だけ声を発したはじめちゃんを不審に思い尋ねる。すると、はじめちゃんはゆっくりとステーキを皿に置いて俺を見つめた。

 

 

 

 

「もしかして先輩、ゆんのこと食べました?」

 

 

 

 

「!?………ゴホッ!オヘェッ!!ケホケホ…………へぇ!?」

 

 

 

 

飲んでいた味噌汁が器官に入ったのか噎せた俺は大きく咳き込んでから呼吸を整えてはじめちゃんを凝視した。

 

 

 

 

「え、違うんですか?」

 

 

 

 

どちらかと言うと俺が食べられた側なんだよな! 最近こういうこと多くてウンザリ!なんで女の子ってこう勘が鋭いの!? ニュータイプか何かなの?! なんで宇宙にも上がってないのに潜在能力解放してんだよ。もう意味わかんねぇーよ…。

 

 

 

 

「はじめが変な事言うから先輩ちょっと壊れてるやん」

 

 

 

 

彗星でも見てるかのような目をしてる俺を心配するように飯島ははじめちゃんを咎めるように言うと、言われた方は「だって」と口にする。

 

 

 

 

「それしか考えられないんだもん…」

 

 

 

 

 

当人曰く、2週間前の日曜日以降……つまり月曜日から飯島がいつもより女の子らしく見えて、さらにそうなったと思われる日に俺と遊んでいたこと。トドメに月曜日の飯島の肌がツヤツヤしてて腰を痛そうにしてたので思い至ったらしい。てか、最後のは初耳なんだけど。

 

 

 

「飯島、腰痛かったのか…」

 

 

 

「えぇ……まぁ…」

 

 

 

淑女みたいな言い方で照れたように顔を背けるのは可愛いからNGね。思わず下の名前で呼んでからかいたくなるから。

 

 

 

 

「で、どうなんですか?」

 

 

 

 

答えるかどうか迷って飯島の方を見る。今回、墓穴を掘ったのは飯島だし俺は悪くねぇで突き通したいんだけどそうもいかなさそうだ。

 

 

 

 

「というか、はじめちゃん……そういう知識あったのね」

 

 

 

 

「あーりーまーすぅー!!」

 

 

 

 

 

思わず漏れ出た言葉にはじめちゃんが頬を赤らめて声を荒らげる。結構大きかったのか他の席の人からも注目を集めてしまう。完食間近だしお客さんに迷惑をかけるとなれば出ていかないといけないだろう。それにここから紡がれる話は大人の世界……離れてるとはいえ子供の耳に入るのはまずい。主にその後の親の対応が。

 

 

 

 

「わかったわかったから、とりあえずご飯食べてお店出よう?」

 

 

 

 

「……分かりました。お店出たらキチンと話してくださいね」

 

 

 

 

嫌々ながらも頷いて反応するとはじめちゃんは最後のステーキを勢いよく口に入れて素早く咀嚼して水で流し込む。某ナメック星人が見てたらちゃんと噛めよって言われるだろうけど、ここに彼はいないしこのネタは伝わらないので2人に同意をとってから席を立って会計に向かう。

 

 

 

 

 

仕事が終わったから帰って黄金体験なアニメを見ながら晩飯を食って風呂はいって寝る予定だったが─────────どうやら今日はもう少し続きそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




多分次回3P……?(まだ書いてない)(エッチ回書いてないのに前話投稿してくスタイル)(明日からバイト)(死にそう)(祖母ボケすぎてやばい)(孫が欲しい→目の前におるがな)



投稿は早めにしたいですが無理せず、納得出来るクオリティにしたいので金曜日くらいかなと(書く暇あるのか俺)
活動報告も書けてないので寝ます。おやすみなさい。


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13話 後輩女の子2人に相手させられる話

【「初めてあった時のことからゲットした時のことや!!」 「一緒にデートをしたことや」 「一緒になって、ラブホテルで頑張ったことまで、そんな思い出の結晶がSEXなんだ!」 「それを寝取ろうだなんて」 「お前ら人間じゃねぇ!!」 】



出会い→カップル成立→デート→SEX!→寝取られるとかシリーズモノの同人誌か何か? ちなみに作者はNTRは好きではありませんが嫌いではありません。本作では一切ありませんのでご安心を。





 

 

ハンバーグ屋を出て真っ先に俺は頭を抱えた。今のこの状況が芳しくないからだ。はじめちゃんのことを純粋無垢なヒーロー大好き少年くらいの思考回路だと思っていたら、まさかの性的知識があったという事実。それに加えて俺と飯島がそういう行為に及んだと理解したことに驚きが隠せない。

 

 

 

 

「じゃあ、帰ろうか……って空気じゃないよな」

 

 

 

 

 

言った瞬間にはじめちゃんが頬を膨らませて睨んできたので顔を逸らす。飯島も先ほどよりはマシだが頬を朱に染めて苦笑いしている。

 

 

 

「はじめは除け者にされたと思うてんのかな」

 

 

 

 

「だってゆんだけずるいよ!私も先輩とカラオケ行きたいし、食べられたいよ!」

 

 

 

 

一応夜とはいえ、人が通る道でそういうこと言うのはやめてくれないかな。あと、何度も言うようだが俺は食ってない。最後の方はちょっと調子に乗ったけども。

 

 

 

「カラオケくらいなら映画の終わりとかに一緒に行くから。それでいいだろ」

 

 

 

 

「良くないですよ!」

 

 

 

ちょっと瞳を潤ませたはじめちゃんはビシッと飯島を指さす。

 

 

 

 

「それに私が処女なのにゆんだけ大人ってずるいじゃないですか!」

 

 

 

 

「意味わからん」

 

 

 

 

心の叫びのような声音に指差された方はジト目で呆れ混じりにため息をついていた。それにぐぬぬと怒りを露わにするはじめちゃんに俺は頭痛で頭が痛くなる。

 

 

 

 

「……要するに、はじめちゃんは俺に抱いて欲しいと?」

 

 

 

 

「いや、えっと、そういう訳じゃないんですけどっ」

 

 

 

 

「じゃあ、なんなんだよ…」

 

 

 

 

女心マジわかんねぇ。教科書とか会社のマニュアルにはこんなの載ってなかったぞ。

 

 

 

 

「でも、その、あの…やっぱりゆんが大人になったのに私だけ子供ってのはなんか嫌かなーって……」

 

 

 

 

「どっちやねん」

 

 

 

そんなセリフ確か飯島にも聞いた気がするなぁ。友達が処女喪失したのに自分が処女なのは嫌ってのは、この歳にもなって処女は嫌も似たようなもんだろ。だから、はじめちゃんを批判する権利は飯島にはないと思います!

 

 

 

「まぁええんちゃうか。週末にでも先輩と2人でホテル行ってヤッてきたらいいやん」

 

 

 

 

「飯島、平然と言ってるけど結構やばいこと言ってるぞ」

 

 

 

 

俺をヤリチンか何かと勘違いしてるか知らないが俺が童貞を失ってからまだ半年も経ってないんだぞ。

 

 

 

 

「そうなんだけどさ…」

 

 

 

 

「そうじゃないだろ」

 

 

 

 

鈴木雅之も否定してしまうようなこと言うんじゃないよ。それに俺ははじめちゃんとは健全で純粋でヒーロー映画を見に行くだけの関係でいたいんだ。

 

 

 

 

「はぁ、しゃーないなもう」

 

 

 

 

肩を落としてため息を吐いた飯島は空を見上げてしばしキョロキョロと辺りを見渡した後、俺とはじめちゃんの手を掴むと歩き出す。はじめちゃんがどこに行くのかと聞いても飯島は答える気がないのかどんどん進んでいく。俺の場合、この後の展開が読めてるの

で何も口出しはしない。

 

 

 

 

「ついたで」

 

 

 

 

夜のネオン街付近に聳えるピンク色の看板を立てている建物を見上げた俺は、見覚えがあるなと目眩がした。酔っ払った涼風に襲われたラブホテル、それが今回はじめちゃんの純血を散らすのに選ばれたらしい。

 

 

 

「ほへぇー、こんな所にあったんだ」

 

 

 

 

「ハンバーグ屋から見えとったで」

 

 

 

 

飯島の言う通り恥ずかしげもなく見えていたため、俺は飯島が向かう場所が分かっていたし行き帰りした道だ。忘れたくても忘れられない思い出があれば勝手に想起させられる。

2人に見つめられ、肩を竦めた俺は「1時間だけだぞ」と制限時間を設けることを条件にラブホテルへと足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 

###

 

 

 

 

 

薄着とはいえ、流石に夏場なので汗をかいたという2人はシャワーを浴びてバスローブに身を包んで出てくる。俺もシャワーを浴びようと思ったが、それでは時間が無くなると駄々を捏ねたはじめちゃんによって止められてしまった。

 

 

 

思ったより早く出てきたのは、時間が惜しいのか、早く俺とシたいのか。後者は思い込みが激しいのかもしれないが恍惚とした2人の顔を見てしまうとそんな考えが出てきてしまう。

 

 

 

「んっ、はっ、ちょっ……あぁっ……!」

 

 

 

今回借りた部屋は3人が乗っても広さ的に余裕のある大きなベッドで、その上で裸になったはじめちゃんがあられもない姿で普段は出さない淫らな声を上げている。

 

 

 

「やっ、ああっ、あんっ……んん……!」

 

 

 

バスローブで張りのある乳房と綺麗な桃色の乳首を隠していたが、濡らしてあげた方がいいと飯島に言われた俺は5分くらいはじめちゃんの乳首を弄り回していた。

 

 

 

「うわぁ、はじめってそんな声出せるんや…」

 

 

 

「ひゃっ、だ…だって…っ! こ、これぇ……あんっ…!」

 

 

 

 

自分の友達が女になっている姿に驚きを隠せない飯島に、はじめちゃんは乳首を責められ続けて甲高い声を上げて、びくびくと身体を震わせる。

これで絶頂したのは3回目くらいだろうか。15分くらいひたすら胸と乳首を責めたのだがこれでいいのかと不安になる。

 

 

 

「こんなでかいモンぶら下げて何もされへんと思ったんか」

 

 

 

 

「ひぐっ……そんなの、し、知らないよぉ……」

 

 

 

 

まぁ望んで手に入れた胸じゃないだろうからはじめちゃんの言い分は分かるが、望んでも手に入らなかった飯島は目を細める。

 

 

 

「そういうこと言うんか。やったら…」

 

 

 

「えっ、ゆ、ゆん……? ひゃっ、あっ、だ、ダメ……!」

 

 

 

そう言って今まで見てるだけだった飯島ははじめちゃんの乳首をペロリと舐める。口では拒絶しながらも気持ちよさに声を上ずらせるはじめちゃんに愉悦を感じたのか飯島は乳首にむしゃぶりつく。

 

 

 

「あぁっ、んんっ!…だ、ダメなんだって!ホントに…っ! ゆ、ゆんっ…んん!」

 

 

 

寝転んでいても重力に逆らってお椀型を維持しているはじめちゃんの胸は、俺にも吸われ飯島にも吸われてさっきまで陥没していた乳首は硬く尖って唾液で光っている。

右側の乳首を飯島が執拗に舐めまわしていたので俺は空いた左側の乳首を軽く噛んで、舌で軽くコロコロと転がしてから、全体をべろべろと舐め回す。

 

 

 

「ひゃうん! だ、だから、それ、ダメっ!……な、なんか……ああっ、んんっ!」

 

 

 

2人から同時に責められて4度目の絶頂を迎えたはじめちゃんは甘い吐息を荒くして恍惚とした表情で肩を上下する。もうそろそろいいんじゃないかと飯島に視線を送ると、はじめちゃんの胸にかぶりついたまま残念そうな顔をするとその口を離してコクリと頷く。

同性ですら虜にするはじめちゃんのおっぱいはやっぱり凶器なんじゃないかと思いながら、その凶器の持ち主の下腹部を見据える。

 

 

 

 

「多分何言っても聞こえてへんやろから、もう挿入れてええんちゃいます?」

 

 

 

 

はじめちゃんが落ち着くまで待とうとした俺に飯島がそう耳打ちされ、しばし考える。その間、飯島は器用にゴムを咥えながら俺のペニスに装着すると「できた」と満足そうな微笑みを浮かべる。

 

 

 

 

「……どこで覚えたのこれ」

 

 

 

 

「おとんのパソコンに入ってました」

 

 

 

飯島の親父さんは会ったことないから、どういう人か分からない。けど、娘に性癖を知られてそれを会社の上司にしてるとは思いもしないだろう。強く生きて欲しいと願いながら、飯島の頭を優しくなでて、未だに放心状態のはじめちゃんに目を向ける。

 

 

 

 

自転車通勤のおかげなのか、程よく引き締まったお腹にくびれたウエスト、健康的な太ももが俺の興奮度を湧き立てる。さらに股間はさらけ出され、涼風や遠山さん、飯島にはなかった陰毛が生えている。

生える生えてないの差は分からないのだが、ジャングルのように剛毛というわけではなく、初潮が始まって生え始めたという感じでもない。ちょうどいい感じに生えていると言えばいいのだろうか。

 

 

 

さすれば自分のと同じくジョリっと音を立てそうな毛の下には、女性器がある。仰向けに寝転んでいるはじめちゃんのそこに膨れ上がった亀頭を押し当てて──

 

 

 

 

「ひっ……ああっ……!」

 

 

 

 

正常位で一気に半分ほどペニスを押し込んで、ぶちぶちと処女膜を引き裂くようにして挿入すふ。

 

 

 

「だ、大丈夫か?」

 

 

 

 

「……あ、は、はい……思ってたよりは……い、痛く……ない……です……」

 

 

 

大粒の涙を浮かべながら言われても、嘘のようにしか聞こえない。一旦、引き抜こうとしたが膣内はたっぷり濡れており、はじめちゃんの引き締まった身体のように中も俺のペニスを離すまいと張り付いてくる。自分がまだ引き返せるところにいれば、引き抜いていたのだろうがここ数ヶ月で少しずつ変態になっているのか、ゆっくりとではあるが腰を動かす。

 

 

 

「んっ、はっ、ああっ、ああんっ、ゆ、ゆん…! み、見ないでっ!私の、処女、奪われた……とこっ!」

 

 

 

 

「見ないでってあんたが誘った……んむっ!?」

 

 

 

 

乱れるはじめちゃんに飯島は上から関係がないような素振りを見せたのでお仕置きに口付けをする。だが、飯島はそれを受け入れ舌を入れて俺と熱い口付けを交わす。

 

 

 

「ひゃっ、あっ……は、激しっ…!」

 

 

 

「んっ……んむ……あっ……!んんっ……」

 

 

 

 

正常位でガンガンと突きまくりながら、口の方は飯島の口内を掻き回す。さらに秘部に手を当てて手マンをしてやると飯島はビクリと肌を震わせる。

 

 

 

 

「私……んんっ……わたしも……あっ……んんっ……! ダメ…っ、先輩と……ゆんの前で……お、おかしくなるぅ……!」

 

 

 

 

体勢を背面位に変えてどちゅどちゅと響く淫音にシーツを強く握るはじめちゃん。

 

 

 

 

「あっひ……んひっ! あっは……ふはぁああ……」

 

 

 

俺の指の動きに合わせて、グチュッグチュッという粘液と肉が絡み合うような音を掻き立てながら飯島は声を抑えられずに淫らな声を漏らす。さらには蛇口から吹き出た水のように失禁しておもらしすると体を震わせて倒れ込む。こっちはしばらく放置してもいいかなと、入れていた手ではじめちゃんの腰を掴む。

 

 

 

 

「はじめちゃん…俺、もうっ……」

 

 

 

 

「えっ……!? な、なに…も、もしかしてっ……!」

 

 

 

自然と突き出された腰でペニスをはじめちゃんの膣内の奥へと、深くに、肉槍を叩きつけるようにして、絶頂を迎えるためのラストスパートをかける。

 

 

 

「はひいいっ!」

 

 

 

それにはじめちゃんは身体を震撼させて、俺は先にイッたはじめちゃんに追い討ちするように俺の尿道口から白い液体が発射される。ドクッドクッと肉棒を痙攣させながら濃厚すぎる牡汁を射出する。

 

 

 

 

「あっ……。で、出てる……ゴム越しなのに……で、出てるのがっ……わかって……な、何コレぇ…! き、気持ちよくて……」

 

 

 

もう何度目か分からない絶頂にはじめちゃんはお尻をビクビクビクッと激しく痙攣させた後、意識を失ったのか動かなくなる。俺はそれに焦って急いでペニスを膣から引き抜いてはじめちゃんの正面に回り込む。

 

 

 

 

「はじめちゃん、大丈……?」

 

 

 

 

心配して見てみればはじめちゃんはトロンと瞳を蕩かせ、口を開いて「す、すごいぃぃ……」と愉悦に塗れた嬌声を小さく漏らしていた。完全に雌の顔になったはじめちゃんは動きそうもなく、勝手にまた押し込んでもいいがそれは当初のはじめちゃんの処女を失わせるという目的から逸れているようにも思える。

 

 

 

「は、はじめはもうあかんみたいやし……つ、次は……」

 

 

 

 

そう言いながら俺の手を掴んで来たのは先ほどまで電流のようにやってきた快楽に酔いしれていた飯島で、さらにスイッチが入ったのかその瞳の奥にはハートマークのようなものが見えて俺を求めるようにして身体をヨがらせている。

 

 

 

 

「仕方ないな」

 

 

 

時計を見ると部屋の時間は数分程度。それで飯島を満足させられるかは微妙なところだが、何とかなるだろうと既に前戯で濡れて艶めいているマンコを見る。本能的に生で入れようとしてしまうが、直前でゴムをつけなければいけないと思い出して手早く装着し、すぐさま飯島の膣口へと押し付ける。

 

 

 

 

「あっは……んはぁああっ!」

 

 

 

膣口を拡張しながら蜜壷へと侵入したペニスは、ずっちゅんと一気に飯島の膣内の奥深くへと到達する。ペニスから身体全体へと心地良さが伝播し思わず歯噛みしていると、気持ちよさに震えて動かない俺にじれったさを感じたのか飯島から腰を動かし始めた。

 

 

 

「こ、これ、やっぱり、す、すごいっ!」

 

 

 

 

前回のSEXでも強請ってきた飯島は今回も積極的にカリ首を膣壁で引っ張るようにして俺を快楽の渦へと飲み込んでいく。

 

 

 

「せ、先輩っ! ま、また、ゆ、ゆんって! ゆんって呼んでっ!……あっ、うんっ!……んっ!」

 

 

 

パンパンと結合部が重なり合う音を響かせながら、俺の上に馬乗りになって名前を呼ぶように乞うてくる飯島の口を塞ぐ。行為中のキスである。もちろん唇を重ねるだけでなく舌を挿し込んで口腔を掻き混ぜる。そうすると、飯島の腰の動きが大人しくなったのでそれを機に俺は起き上がって飯島の尻を鷲掴みにする。

 

 

 

「あぁ、呼んでやるよ、ゆん」

 

 

 

 

「あっ、あっ…! は、激しっ! あ、あかんっ…これ、前にもっ!……して、貰ってな……やあっ……! あ、ほんまに……あかんねんって……!」

 

 

 

ゆんの尻を掴みながら腰を前後に振って俺のペニスを挿れたり抜いたりして互いの悦を得る。自分は求められているという快感からなのか、あるいは雄としての本能なのかは分からない。けど、どちらにしても俺は今最高の愉悦を得ようと腰を動かしてペニスに精液を充填していく。

 

 

 

「好きっ、先輩のっ……おちん、ちん……は、離れられなくっ…!な、なるぅっ……!!!」

 

 

 

 

 

言葉に出るほど肉体に迸る快楽を口にしたゆんは既に目覚めて俺との行為を視姦しているはじめちゃんに気付かずそんな恥ずかしいことを口走る。確かに俺もゆんにあのままされるがままなら人目も気にせずに身体に駆け抜ける快感を言葉にしていただろう。

 

 

 

 

「あっ、も、もうっ……!あかん、やばっ…! も、漏れるっ!……お、お姉ちゃんやのにっ……!おしっこ、漏らしちゃ……うぅぅぅぅ!!!!」

 

 

 

 

より激しく肉槍を打ち付けると絶頂に至ったゆんはプシャァァァと勢いよく尿を漏らすと舌を出しながら親や弟妹どころか他人にも見せられないアヘ顔で手を俺の首へと回し、足もガッチリと俺の体をホールドする。

 

 

 

「んんんんっ~~~~!!!!!」

 

 

 

 

そして、俺がゴム内に射精したのと同時に歯を食いしばりながら絶頂すると恍惚とした表情のまま吐息を漏らして「も、もうあかん……」と脱力する。

 

 

 

 

ちゅぽんとペニスを膣から引き抜いて精液の入ったコンドームを括り、立ち上がる。射精後の疲労感漂う状態でゴミ箱を探し出すと入れに行くのもめんどくさいのでシュートする。入った。やったぜ。

そうしてからベッドの方を見やると俺とゆんとのプレイを間近で見ていたはじめちゃんは自分の手で乳首と秘部を弄って自慰に耽り、ゆんはまだ息を切らして仰向けに寝転んでいる。

 

 

 

 

 

「……1時間延長すれば良かったかな」

 

 

 

 

 

時計を見ると退室時間まであと5分程度。俺はまだいいにしても歳若い女の子2人をあのまま出す訳にはいかないかと頭を掻く。けど、明日は平日。まだ仕事が残っている。とりあえず、2人を現実に引き戻す一言を放った俺は帰り支度を済まさせる。身体が汗臭かったり唾の匂いがするのは急いで風呂に入ればいいとフロントを出た後に言って、そこから瞬く間に解散となった。

 

 

 

───────それにしても初めて2人同時に相手したが

 

 

 

 

 

 

「もうちょいいけたかな……いや何言ってるんだ俺は」

 

 

 

 

 

 

変態共の相手をしてして染まりかけた精神を振り払うべく頭を振るう。少しおかしなことを言っていたかなとシャワーの温水を冷水に切り替えて頭を冷やす。

 

 

 

 

「俺はまだ童貞を失ってから半年も経ってないんだ…それなのに社内の女の子に襲われせがまれて……こんなはずじゃ……こんなはずじゃないのにーー!!!」

 

 

 

 

言い聞かせるように言うつもりが途中から愚痴へと変わりそれを叫ぶようにして口にする。その時に頭にかかっていた冷水が頭を上げたせいで胸にかかって「冷たっ!?」と気持ちが色んな意味で冷えたのは俺しか知らないことだ。

 

 





3P書いたけど俺はまだまだ満足しちゃいないぜ!
当初の予定では青葉ひふみんだったのに先にゆんはじめになっちった!これもなまえが「はじめ」のはじめちゃんが悪いんだ!!(暴論)
それに巨乳にパイ射はノルマなのにしてない!俺はもう人間を辞めるぞォッーーーー!ジョジョーーッ!!!



あ、そう言えば友達と好きなプレイについて話したら「スカルファックって狂気を感じるよな」って話になりました。終わり!閉廷!解散!!


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14話 童顔バイトがやってくる話


【入試、就職、結婚、みんなギャンブルみたいなみたいなもんだろ!人生すべて博打だぞ!】

あえて改変せずにそのまま。ほんとにこれは思います。人生全部博打ですよね。用意とか準備は出来ても結果は思った通りになるか結果が出るまでわからないんですから。
感想にて改行が多いとの指摘をいただきましたので少し減らしています。

地の文の改行
「以前」 「変更後」
2、3行開ける→間を開けずにそのまま
会話文
地の文から4行開ける→2行(会話文と会話文との間も同じ)

一応これで暫く様子を見ます。





 

 

新作ゲームの開発も順調に進み、その間に行われた健康診断も何事もなく終えることが出来た。その際、女性と男性で病院が違ったので助かったというべきだろう。もし、男性も混じってとなれば何されるか分かったもんじゃないからな。

いつもなら知り合いがいなくて肩身が狭いとか思ったんだが、こればかりは社長の方針に感謝するしかない。

その時に別チームの男性社員に話しかけられて会話することが出来たのもいい収穫だ。

そして、健康診断が終わればまた仕事である。世間様はそろそろ夏休みだが、ゲーム開発中のイーグルジャンプに夏休みなんてない。あっても「夏……?」と異議を唱えたくなるくらいに数日休みがあるくらいである。

それでも休みが貰えるだけありがたいと思って仕事をするべきなのだろう。

 

 

「これレアもの!!」

 

「ん?」

 

 

仕事をしながらモノローグに耽っていたら何やら聞きなれない声がして後ろを振り向く。すると、はじめちゃんの席に置いてあるフィギュアを目を輝かせて見ている少女がいた。淡いクリーム色の髪になんて言うんだあの髪型。ボブ・ディラン? まぁショートボブより少し長いくらいだろうか。それの毛先をゴムでくくっている。涼風くらいの童顔だが横から見るとちゃんと出る物は出てるので高校生とか中学生ってわけじゃなさそうだ。

 

 

「な、なるほどー!わかりましたー!」

 

 

奥のブースで八神さんから指示を仰いでいるであろう涼風のそんな声が聞こえたと思うと、その少女は身を出して涼風を見るとニヤリといたずらっぽい笑みを浮かべる。涼風の知り合いなのかと凝視していると背後に殺気を帯びた気配を感じた。

 

 

「桜さんこんなところでなにしてるんですか?」

 

 

「!?」

 

 

その殺気の正体はプログラムチームのリーダー格の阿波根うみこさん。俺と同い年か一個上くらいだと思うが、誰にでも敬語を使うためその年齢を絞れずにいる。女性に年齢を聞くのはデリカシーに欠けるというので、聞いていないのだが知りたいと思うのは人間の性であろう。

しかし、うみこさんがやってきたおかげであの少女がいる理由が理解できた。この時期はバイトでデバッグを雇うのだ。ゲームにおかしなところがないか、プラン通りちゃんとプレイ出来るかを調べるのがデバッグの仕事だ。プログラムチームの人間はバグの修正や上からの追加注文で手が空いてないのでバイトに任せるというわけだ。

 

 

「え、いや、あの……」

 

 

「やはりあなた企業スパイですね。ちょっと来なさい」

 

 

「あっ」

 

 

ガシッと趣味のサバゲーで鍛えた腕で少女の手を掴んだうみこさん。見る見るうちに瞳を潤ませ涙を浮かべた少女は「ふ、ふぇ…」と震えた声を出すと背後にいる涼風にSOSを求めた。

 

 

 

「あ"お"っ"ぢ"だ"す"げ"で"~~~!」

 

 

突然呼ばれた涼風は驚いて目を見開き、八神さんや遠山さんも何事かと怪訝な顔をする。この場ではほかのメンバーの気が散ると判断した遠山さんに引率されてブースの外に出ていった5人の会話に俺は耳を傾ける。

聞いていれば少女の名前は桜ねね、涼風の幼なじみという名の友達らしい。

 

 

「…なるほど、涼風さんのお友達でしたか」

 

 

「ごめんなさい…」

 

 

「私からもごめんなさい…」

 

 

桜がスパイではなくここで働いている涼風を探しに来たことを理解をしたうみこさんは落ち着いた声を漏らし、騒動の原因となった桜と涼風は謝罪をする。

 

 

「だいたいスパイなんているわけないじゃん」

 

 

「そうですか? 私も最初、スパイとして入社したんですよ」

 

 

「うそ!?」

 

 

「冗談です」

 

 

クスリとなるうみこさんのジョークに苦笑すると、その場は解散しそれぞれ自分の仕事場へと戻っていく。と思ったのだが、うみこさんの前を歩かされていた桜の視界に俺は入ったのか、凝視される。立ち止まった桜を不審に思ったのかうみこさんは眉を寄せる。

 

 

「どうしました?」

 

 

「あ、いや、ここ男の人もいるんだなって…」

 

 

「…えぇ、このフロアは数える程度しかいませんが上層部に行くと結構いますよ」

 

 

うみこさんの言葉にハッとした桜は口に手を添える。

 

 

「じゃああの人は偉くない…?」

 

 

いや、そうだけども。お前よりは偉いわなんて大人気ないことも言えないので聞こえないふりをした。そろそろうみこさんが連れてくだろうし、今消えればその言葉聞かなかったことにしてやるよ。

 

 

「そうですね、八方美人の引きこもりですからね」

 

 

「引きこもり…? 取り消せよ…!今の言葉ァ!」

 

 

誰が八方美人の引きこもりで敗北者だ。流石の俺もそこまで言われたら怒るぞ。第一俺のどこが引きこもりなんだ。出勤日には会社に来て、休みの日は本屋に行ったりビデオを借りに行ったりたまにランニングしてるんだぞ!だから八方美人はまだしも引きこもり呼ばわりされる言われはない。

 

 

「あぁ、聞こえてたんですか」

 

 

「この距離で聞こえないとか補聴器必須の生活だわ」

 

 

「いつも持ち歩いてるじゃないですか」

 

 

「あれはBluetoothイヤホンだよ」

 

 

むしろ外部からの音シャットアウトしてんだよ。俺とうみこさんのたわいのない言い争いを聞いていた桜はあわあわと視線を泳がせて「お、落ち着いて!」と声を荒らげる。

 

 

「落ち着くのは桜さんです。先に戻っててください」

 

 

「は、はいぃ……」

 

 

しょぼんと肩を落としながらプログラマーブースへと足を向けた桜の姿が見えなくなったところでうみこさんはため息を吐く。ため息を吐きたいのは俺だっつーの。そういう意味も込めたトゲのある声音で俺はうみこさんに尋ねた。

 

 

「なんで俺貶されたんですかね」

 

 

「サバゲーに誘っても来ないからではないですか」

 

 

「完全に私怨じゃねぇか」

 

 

「嫌なら来ればいいじゃないですか。休みの日もどうせ本を読むか見せる相手もいないのに筋トレするかなんでしょう?」

 

 

まぁそうですけど、他に言い方ないの? 筋トレは健康管理のためとか着れる服の幅を広げるためであって誰かに見せるためじゃないだろう。だ、だからぼっちとか独り身とか孤独ナルシストとか言うのはやめて。

てか、この人俺と八神さんに対して結構辛辣じゃない?それに俺の休みなのだ。俺がその時間をどう使おうと俺の勝手だろう。ここまで劣勢だったので一転攻勢をかけるべく俺は口を開く。

 

 

「というか友達居ないからって会社の人無闇矢鱈にサバゲーに誘うのどうなんですか?」

 

 

「別にいいでしょう。1度やって楽しくなかったなら無理強いはしませんし、楽しかったなら私も喜ばしいことです。win-winです」

 

 

おいおい俺の予想では「そ、それは…」と言い淀む反応を期待したのになんか開き直っちゃってるよ。聞き及んだ話では涼風も以前、うみこさんにサバゲーに誘われたらしい。ルールと武器の扱いさえ把握すれば誰でも楽しめるとかなんとか。でも、楽しいと感じるかはその人次第だから、うみこさんの言う通りやってみないと分からないのだろう。しばし考えて俺は冗談混じりの声を出す。

 

 

「じゃあ、次の休みお付き合いしましょうか?」

 

 

社交辞令と憐れみの気持ちを含めて俺がそう言うと、うみこさんはこちらに歩みよってきてがしりと手を掴む。

 

 

「本当ですか?」

 

 

「え、えぇ…」

 

 

近い近い近い。そんなグイグイ来なくてもいいから。涼風とか滝本とか飯島とかはじめちゃんとかすげー見てるから。見なくても視線を感じる程度には見られてるから。

 

 

「では、また連絡するのでちゃんと来てくださいね」

 

 

「わ、分かりました」

 

 

うみこさんも周りからの視線に気付いたのか手を離して咳払いをすると最終確認をしてからその場を去る。あんな嬉しそうにするなんて、本当に友達居ないんだなと他人事のような感想が漏れ出た。

 

 

「せ、先輩、サバゲーしたことあるんですか?」

 

 

「ほんの少しな」

 

 

専門学校の時ちょっとだけしたくらいだ。うみこさんほどガッツリではなく、身内ノリで楽しくワイワイといった感じだったので楽しかったが、就職してからはその仲間とは会うことも無くなったので全くしてない。というか学校を卒業しても会う友達とかほんとに希少だから。イリオモテヤマネコ探すようなもんだ。

だから涼風は桜みたいな幼なじみは大切にすべきだと思う。してるから今も仲いいんだろうけど。しみじみと友達の大切さを思っていると耳に乙女達の呟きが届く。

 

 

「先輩がするなら私もやってみようかな…」

 

 

「……軍服……作らないと」

 

 

「サバゲーって痩せるんかな」

 

 

「え、わかんないけど動かないとやっぱり無理じゃない?」

 

 

俺のサバゲー参加に対しての三者三様な反応を無視して目の前の仕事に打ち込む。俺はうみこさんと違って趣味は1人で思いっきり打ち込みたいタイプだから、一緒に付き合うとかは無理だ。筋トレ? それはまた別の話です。

 

 




桜とうみこさんを同時に出しときたかったので登場。ということで次はうみこさんとなります。やったね!まぁまだなんにも決めてないんだがな!

まぁ俺がうみこさんとエッチするならシャワーを浴びるのを待つ間にスクワットで下半身にエネルギーの伝達して準備を整えて、シャワーからでてきたうみこさんに一方的に貪られて力尽きたところで「この程度ですか…」と蔑まれたいです。


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15話 童顔バイトがやらかす話


【叶えるのが夢だけど叶わなくても夢は夢さ】
(歌詞の一節だからセーフ…なはず)


お前ら夕陽のカスカベボーイズを見ろ


 

 

 

うみこさんとサバゲーに行くという約束をしてからというもの、あいにく新作ゲームの開発が忙しい者同士で休みの日程が合うことはなかった。俺はなんとかなるにしても、プログラマーチームであるうみこさんはそうはいかない。

ベータ版という親会社に提出するサンプルで報告書に記した予定のところまでゲームがプレイ出来て、クオリティも目標値に達してるのか判断する……いわば、フェアリーズストーリー3を発売しても大丈夫かというテスト版である。これが親会社の連中に認められなければ発売出来なくなるのだが、そういうことは滅多にない。多分。

 

 

「ねぇ、コウちゃんのプリン知らない?」

 

 

「プリン?」

 

 

唐突にそう聞いてきたのは遠山さんで、八神さんが冷蔵庫に入れていたプリンがなくなっていたらしい。この忙しい時期にそんなどうでもいいことを…と悪態づきたくなるが遠山さんに蛇睨みされそうなのでやめておく。

 

 

「名前は書いてあったんですか?」

 

 

「らしいわよ」

 

 

ここの冷蔵庫は使用は自由で、自分の物に名前を書いていないと食べられるということも無い。そもそも使うのが会社が実家みたいな八神さんと旅行でのお土産を入れる時くらいだ。夏のこの時期は冷たい飲み物を入れる者もいるが凍らせて持ってくるのが大半で常に自分の手元に置いている人が多いし、スイーツやアイスとかは買ってその場で食べる。だから、自分の食べ物を他の誰かが食べるというケースは珍しいのだ。

 

 

「じゃあゴミ箱漁れば出てくるんじゃ?」

 

 

「嫌よそんなカラスみたいなこと」

 

 

蛇睨みはされなかったけど、畏怖するような目を向けられてしまった。想像して鳥肌でも立ったのか腕を摩った遠山さんは「知らないならいいわ」と手を翻して背を向ける。空調効いてるのにあんな背中の開いたワンピースで寒くないのかなぁと思いながらキーボードを叩いていると、ちょんちょんと肩をつつかれる。今度はなんだと顔だけ後方に向けると涙目の少女が突っ立っていた。

 

 

「助けてくだひゃい…」

 

 

「えぇ……?」

 

 

なんだよ藪からスティックに。まぁ初対面の時も突然だったけども。……涼風の幼なじみで親友の桜だったか。デバッグとしての働きはいいらしいがうみこさんの手をわずらわせてるらしい。サバゲーの日程を決める時に聞いた話ではあるが、初日には遅刻してくるは涼風を茶化しにきてスパイ扱いされてるのだ。ありえない話ではない。

フルネームを聞いた時は嵐を呼ぶ5歳児のお友達みたいな名前だと思ったが、幸い性格が急変したりうさぎのぬいぐるみを殴ったりすることは無いらしい。

 

 

「で、どしたの」

 

 

「実は……」

 

 

そう言うと後ろに数歩下がってブースを出て手招きしてくる。聞かれたくない話なのだろうか。やめてくれよ処女貫通してくださいとか。机に【トイレに行っています】という紙を置いて立ち上がると、いつの間にかエレベーター前まで移動していた桜のところへ行く。

 

 

「じ、実は…」

 

 

そこから語られたのは衝撃の事実。なんと八神さんのプリンを食べたのは桜だった。ご丁寧に中身の空になった【コウ】と書かれたプリンカップまで持ってきている。

 

 

「ど、どうしたら……」

 

 

大洪水1歩手前な目をした桜に俺はホッとため息を漏らす。涼風が処女を捨てたことを親友の桜につい口を滑らせて私もー!という展開ではなかったらしい。

 

 

「あ、呆れないでください!」

 

 

「え? …あぁ、ごめん」

 

 

俺のため息を呆れられたと勘違いした桜は剣幕になり唇を尖らせる。それに素直な謝罪を口にすると桜は再びどうしたらいいですかと聞いてくる。君も大学生なんだから人のもの勝手に食べたら素直にごめんなさいくらいしなよ、と言ってやりたいがアルバイトの身で涼風やうみこさん以外の人間との親交は浅いだろう。それでもしプリンを勝手に食べたとバレたらクビにされる、とか思ってそうだ。

 

 

「今回だけだぞ」

 

 

「ふぇ?」

 

 

プリンカップを取り上げてエレベーターホールから離れた俺は一旦自分の席に戻る。すると、社内メールで遠山さんから「八神コウのプリンが誰かに盗まれました。食べた方は怒らないので遠山のデスクまでお願いします」と社内全員にメールしていた。

 

 

「これは出ていきにくいわなぁ…」

 

 

「遠山さんのメールですか?」

 

 

思わず漏れ出た声に八神さんに自キャラのモデリングの報告に行くのか真横を通った涼風が反応する。

 

 

「そんなに大切なものだったんですかね?」

 

 

本人からするとそうなのかもしれんがコンビニにある100円くらいのやつだろ。たかが100円と侮ることなかれ、安定した美味しさと満足感を得るには十分なシロモノだ。それを楽しみに取ってた人からすると100円以上の価値があるだろう。まぁ今回は遠山さんが大事にしてるだけだろうけど。

 

 

「怒らないって言って怒らなかったやつ知らねぇなぁ…」

 

 

「ハハハ…じゃ八神さんのとこ行ってきます」

 

 

苦笑いする涼風と過去におもいあたることがあったのか頷く数名かが視界に入る。さてと奪ったはいいがこれをどうするかなと左手に持つプリンカップをチラ見する。桜の方は自分の所に戻ったかと通路を見てみると、メールを見て飛んできたのだろう。さっきより顔の水分が上昇してる気がする。

仕方ないなと頭をかいた俺はひっそりとグラフィッカーブースに隠れていた桜の手を引くと八神さんと遠山さんのところまで連行する。

 

 

「え、えっ、ちょっ、ちょっと」

 

 

困惑する桜の手を引く俺に滝本や飯島からの視線が集まるが気にせず歩いて涼風と話していた2人を前に立ち止まる。

 

 

「先輩に…ねねっち!?」

 

 

「ん?どうしたの?」

 

 

俺が桜の手を掴んでるのを見て驚く涼風に首を傾げる八神さん。遠山さんの方は俺の左手に持ってるプリンカップを見て目を細めると「君だったの?」と問いかけてくる。

 

 

「いえ、桜でした」

 

 

「キョエェェェェェ!!?ナンデイッチャウノ!?」

 

 

うるせぇと小声で黙らせると事の経緯を説明す。冷蔵庫にあるものは食べていいよと説明を受けた桜が誤って八神さんのプリンを食べたこと。それで八神さんがプリンを食べられたと騒いでたのを聞いてもしかしてとなったこと。そして遠山さんからのメールを見てグラフィッカーブースをウロウロしていたこと。ちょっと脚色したがみんなは信じて頷くと桜の方を見る。

 

 

「ご、ごめんなさい!」

 

 

「いや、いいよ。コンビニの100円くらいのだし」

 

 

深々と頭を下げる桜に八神さんは苦笑して手を振って気にしてないよと言う。それに桜は恐る恐る顔を上げる。

 

 

「ほ、ほんとですか…?」

 

 

「うん。りんが大事にしただけだから」

 

 

「あら、それじゃ私が悪者みたいじゃない」

 

 

遠山さんの一言に愉快な微笑みに包まれ、桜はぽかんと口を開いたままパクパクして俺の方を見上げる。

 

 

「こういうのはさっさと正直に言うに限るんだよ」

 

 

桜の頭をポンと叩いててから「じゃあ俺はこれで」と伸びをしながらその場を離れて自分の仕事へと回帰する。俺が思うに桜は何かしらの形で白状して八神さんに謝罪していたんじゃないかと思う。例えば俺のところにお願いに来ないでうろちょろしてるのを他所に移動することの多い遠山さんあたりが見つけてきただろう。そこで謝るか、もしくは別の形をとるのかもしれない。たらればの話をすればキリがないのでここまでにしておくが、きっと桜はどんな形であれ八神さんに謝罪していたはずだ。

これは俺の希望的観測でただの願望にしかすぎないが。

 

 

「…そう言えば、あいつなんで俺を頼ってきたんだ?」

 

 

会社からの帰り道、誰にも話しかけられないように足早に歩く途中でそんな疑問がふと頭をよぎった。





Q.エッチ回!エッチ回はまだか!?
A、普通に考えてマスターアップ終わらないと休みなくない?ってことで日常回を消化すると共にねねの好感度をあげる作戦だったんだけどだめですかね

Q.ねねはなんで主人公頼ったの?
A、青葉が「困ったことあったら先輩に頼るといいよ!」とか親友とは言え恋敵(になる可能性があるやつ)に塩を送ったからやで

Q、ねねは青葉が大人の階段登ったこと知ってるの?
A、(まだ知ら)ないです

あと感想欄にて【青葉の経験値がタワーマンションくらい】とありましたが、本作品ではりん>ひふみ=うみこ>ゆん=ねね>コウ=はじめ=青葉で性知識の量が違います。上から【普通からマニアックまで色んな知識がある(貞操帯、拘束、浣腸、ローター挿入しながら街を歩く、野姦、電マプレイなど)】【だいたい知ってる(軽度なSM、ローションプレイ、パイズリ、イラマチオなど)】【本番の前に前戯があるのを知ってる】【ちんちんをまんこにいれるのは知ってる】と同い歳とりんとコウでは知識にかなり差があります。
経験値という点では2回してるゆんと一応男性経験があるりんが1位、その他1度してる組とまだしてない組で別れますがどうせみんなするので一緒です。
ではまた次回(日常回かエッチ回かは不明)


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16話 沖縄美人と休日を過ごす話


【来たのか! (レーダー感知)遅せぇンだよ!(テレパシーで) 待ちわびたぞ少年!(愛)】

OO劇場版よかったです(今頃)


 

 

 

ベータ版が無事通ってゲームの制作が本格的にハードになってきた頃。セミは子孫を残そうと忙しなくメスを求愛して鳴き、そんなこと知らない子供たちは無慈悲に彼らを虫取り網の中に入れる。はしゃぐ子供たちはセミの大きさで競い合ったり、カナブンなどのほかの虫も捕まえたりして夏休みを謳歌していた。

俺の視界に入ってる子供たち以外にも夏休みを満喫している者は多いのだろう。幼稚園とか低学年の小学生だと虫を捕まえるのが夏休みの大イベントだが、高学年になると友達の家でゲームになる。大乱闘とか早めに大人の味を知りたい子は狩人になってるだろうか。

中学生、高校生になると夏休みは部活一色になる。大会目指してチームメイトと汗を流して週に一度ある休みでゲームしたり、友達と夏祭りに行ったり花火を見たりと…それに思春期だと恋人と過ごすことも増えるのではないだろうか。俺はなかったが。

しかし楽しい夏休みも社会人になると、良くて1週間、最悪の場合なしとなる。それは学生の間の努力次第なので、今を楽しむ彼らがこれからどうなるか楽しみである。

 

 

「未来の日本はどうなってるのかなぁ…」

 

 

「急に何を言ってるんですか」

 

 

新作ゲームのマスターアップまでもう少しという所で偶然重なった休日に俺はうみこさんと約束していたサバゲーに行っていた。久しぶりの戦場は心地よく知り合い達からブービートラップの魔王と謳われた実力を遺憾無く発揮した。けどそれも数時間前の話で、流石に俺と違って毎週のようにやっている皆さんには1時間くらいで攻略され八つ当たりとばかりに乱れ撃ちにされたり何も出来ないように拘束されたりと、帰りに精神的に参ってしまいタイムマシンで過去から来た仙人みたいなことを口走ってしまう始末だ。

 

 

「にしても味方ながら驚きました。よくもまぁあんな稚拙で陰湿なトラップばかり思いつきますね」

 

 

褒めてるのか貶してるのかホントに分からないが、あからさまなBB弾地雷を置いてそれを避ける道に別のトラップを作るのは基本じゃないかと思う。他にも専門学生時代に作ったワイヤートラップとかリモコン式BB弾爆弾は相手も驚いてたし、うみこさんもその完成度に舌を巻いたのか素直に賞賛されて俺も鼻が高くなってしまう。

 

 

「まぁ狙って撃つより罠にかかって驚く顔を見る方が好きなんで」

 

 

「ゲスですね」

 

 

「知能派と呼んでください」

 

 

戦場の破壊神のうみこさんと戦場の魔術師の俺がチームを組んだから百戦錬磨でしたねと笑ってみせる。

 

 

「自陣に潜り込まれてもあれだけのトラップがあれば安心できますからね」

 

 

嘲笑って一蹴されると思っていた言葉に予想外にも首肯して見せたうみこさんに驚きを隠せずいると、うみこさんは「どうしました?」と首を傾げてくる。

 

 

「いや、なんでもないですよ。それよりこれからどうします?」

 

 

互いに筋トレを日課としてる者同士、午前中に数時間バトってもまだ体力は有り余っており、午後からの出勤もないため完全にフリーとなっている。もう少しサバゲーを楽しんでもよかったのだが、折角の休みに一日中サバゲーというのは味気ないとうみこさんが切り出したのでそれに従ってサバゲーフィールドから離れて街の方へ来た。

 

 

「さて、どうしましょうか」

 

 

おっと、質問を質問で返すのはダメですよ。学校で先生に教わりませんでしたか? とまぁ、普段なら出てこない煽り文句が出てくるくらい今の俺は壊れてるらしい。

 

 

「とりあえず飯っすね」

 

 

時計を見れば12時はとっくに過ぎており、トラップを仕掛け回ったり逃げ惑ったりしたので腹は減っている。うみこさんもお腹が減ってるのだろう「そうですね」とお腹を摩る。

 

 

「何かリクエストがなければ私が食べたいもので構いませんか?」

 

 

「人間の食べれるものなら」

 

 

「私をなんだと思ってるんですか?」

 

 

「この前の意趣返しですよ」

 

 

熱心に働いてるのに引きこもり扱いされたからね。それに親からは家賃だけでそれ以外は自分で何とかしてるし…いや、家賃だけっていうけどかなりありがたいですありがとうございます。と、ここから離れた遠方で暮らす両親に頭を下げる。

 

 

「そうですか。では行きましょうか」

 

 

俺の仕返しに淡々と返したうみこさんは目的地へと歩き始める。それに追従する形で足を進めること数分。

 

 

「ここです」

 

 

「ここっすか…」

 

 

昼間からまぜそば専門店に来るのも驚きだが、女性にこういう場所に連れてこられるのも驚いた。はじめちゃんとはハンバーグレストランとかファミレスしか来たことないし、他に食事を共にした女性だと滝本だろうか。それでもイタリアンレストランだったし、女性らしさを感じるものだったが、まぜそばからは女性らしさが微塵も感じられない。まぜそば屋に見せかけたパスタ屋なら話は別だか店前に置かれたメニューを見る限りそれはなさそうだ。

 

 

「何にします?」

 

 

前屈みでメニューを凝視していたうみこさんはメニューを決定したのか俺の方を振り向く。ラーメンとかうどんはよく食べるけどまぜそばは初めてなんだよなぁ。大抵、はじめてくる店は当店の人気ナンバーワンみたいなポップがついてるのを選ぶのだが、残念ながらこの店にはそれがない。第2の選択肢だと同じのでになるのだが、うみこさんとの食事が初めてなので何を頼むかが分からない。そのため危険が付き物だし、食いきれないと店主に失礼に当たる。

 

 

「じゃあ…」

 

 

そう言って指さしたのは第3の判断基準となる1番大きく描かれたモノだ。こういうのは暗に「これが一番スタンダードなモノ」と示していて、これがこの店の看板メニューだということを無言ながら語りかけているのだ。

 

 

「なるほどそれですか。いいですね」

 

 

「うみこさんはどれにするんですか?」

 

 

「私はいつも食べてるこれですかね」

 

 

指差したのを見るとネギと辛子が多めのなんとも形容し難いモノだったが、うみこさんが食べるのなら納得できるかなというものだった。

へーと聞いといてアレな声を出してしまったがうみこさんは特に気にすることなく店の中に入ると券売機で注文を済ませる。俺もそれに倣ってお金を入れてボタンを押して出てきた券を店主と思わしきおじいさんに渡した。

 

 

「あれうみこちゃん、今日は彼氏連れかい?」

 

 

「いいえこれは違います」

 

 

「これ言うな」

 

 

俺がうみこさんの隣に座るなりそう声をかけてきた店主に、うみこさんは首を振る。これ呼ばわりされたことにツッコミを入れると店主は調子よく笑って、俺の前のカウンターにご飯と唐揚げを出す。

 

 

「1時間だけのサービスだ。好きなだけ食いな」

 

 

「え? あぁどうも」

 

 

こんなの頼んだかと思ったが、ラーメン屋でいうギョーザやキムチのサービスかなと思ってカウンターから自分の前まで持ってくると割り箸を割って手を合わせる。

 

 

「いただきます」

 

 

唐揚げをご飯の上に乗せて共に一口で咀嚼する。2時間ほどサバゲーで痛めつけられた身体に鶏肉の旨みと白米の豊潤さが体に染みていく。これもあたらしい筋肉の一部になるのだなと感動していると、隣で俺の食いっぷりを見ていたうみこさんがふふっと微笑んだ。

 

 

「なんすか」

 

 

「いえ、別に」

 

 

なんでもないように俺と同じく唐揚げとご飯を食べ始めるうみこさんに訝しげな目を送るが、以前の滝本と同じく自分の好きな店を気に入って貰えて嬉しいという感情かと考えると特にこれ以上言及する気は無くなった。

無心でおかわり自由なご飯と唐揚げを食うことしばらくしてメインディッシュであるまぜそばが出てくる。中華そばにその底に少しある程度の汁とトッピングされたネギ、温泉卵、七味唐辛子、メンマ、チャーシューとまるで汁がないラーメンみたいだとそんな感想を抱く。

しかし美味そうではあるし、食欲を唆られるものではあるが、果たしてこれのどこがまぜそばなのだろうかと疑問を抱く。だがその直後にその疑問は吹き飛ぶことになる。汁とトッピングと麺を絡めるように混ぜ合わせて麺を啜るうみこさんを見て「なるほど」と納得したからだ。見様見真似で俺も温泉卵を白身と黄味で分けてガッツリ混ぜて汁と七味が麺に融合されたところで麺を啜る。

 

 

「うめぇ」

 

 

自然とその言葉が出るくらいには美味かった。七味が入ってるから少し辛いかと思ったがそんなことは無い。むしろこれくらいの刺激がちょうどいいかと思えるくらい汁と絡み合っていい味を出している。これがまぜそばか…と時の涙が見えてる気がする。

 

 

「それはよかったです」

 

 

再びふふっと笑みを浮かべたうみこさんにお礼が言いたくなるくらいには美味で唐揚げとご飯が食い放題という太っ腹ぷりを見せる店長には感謝のしようがない。とりあえずまた今度来ようと地図アプリに登録して俺とうみこさんは店を出た。

 

 

###

 

 

「で、次はどうします?」

 

 

腹も脹れてもうお開きでいいんじゃないかと満足感に至っていた俺にそう問いかけてきたうみこさんに俺は顔を見合わせる。

 

 

「俺は特にもう行きたいとことかないんですけど」

 

 

暗喩にうみこさんがいきたいとこないなら帰りましょうと含んでみると、うみこさんは顎に手を置いた。知的な女性が考える所作をとるときによくやるポーズだ。もちろん今のは俺の偏見でしかない。

 

 

「そうですね、私も特にありませんね」

 

 

やりたい事をやって食べたいものを食べたからうみこさんは充足しており、特にこれからやることも思いついていないようだった。

 

 

「ですが、腹ごなしはしておきたいですね」

 

 

だが健康マニアというか、デスクワークばかりで身体を動かさないと知ってる人間故に、過度な食事を摂った後は運動がしたくなるらしい。

 

 

「腹ごなしって今からジムにでも行くんですか?」

 

 

「私は大丈夫ですが…そうなると別々になりますね」

 

 

一応確認でどこのジムに通ってるか聞いてみたが、うみこさんはジムなどには通っておらず家で出来る筋トレにとどめてるらしい。

 

 

「別に2人でしなくてもいいんじゃないですか」

 

 

柔軟とか組体操をするなら2人必要だが、筋トレは1人で出来る。確かに2人でやるとカウントとかタイムを測ってもらえるし、2人で出来る筋トレというのも存在するが社会人が休みの日にやることではないだろう。

 

 

「それはそうですが、貴重なサバゲー仲間なのでもう少し親交を深めておきたいです」

 

 

気付かないうちに仲間認定されていた。嫌じゃないんだけど複雑な気分だ。

 

 

「よし、では私の家に行きましょう」

 

 

「はい?」

 

 

突然の発言に思わず素っ頓狂な声が出てしまい、うみこさんに首を傾げられる。

 

 

「どうかしましたか?」

 

 

言えないな同期に家に連れてかれた挙句に搾り取られてそれ以降女性の家がトラウマになってるとか。

そもそも、最近の俺はおかしかったんだ。いくら歳下の女の子にモテてるからっていい気になって処女貫通なんてしちゃってさ。調子に乗ってあんなことやこんなことしてしまったり。自制が効かなくなったと言うべきか。

 

 

「意外だったんで」

 

 

うみこさんは多分俺のそういった事情を知らない。おそらく勘づいていても遠山さんくらいだろう。涼風は全くだろうし、滝本は涼風くらい、飯島とはじめちゃんは互いに1度共にしてるから知ってるだろう。だからほぼ全てを何故か把握してるのは遠山さんくらいだ。ほんとなんでなんだろ。

とりあえず、誤魔化すために出た言葉としては自然でうみこさんは「確かにそうですね」と頷いてみせる。

 

 

「イーグルジャンプに男性が少ないというのがありますが、家にお誘いしたのは貴方が初めてですね」

 

 

一昔前の俺ならドキッとしてた言い方だが、今となれば苦笑いを潰すための愛想笑いしか出て来ない。

 

 

「どうします?」

 

 

うみこさんなら断っても問題なさそうだが、この人の場合滝本のような他意はなさそうだし、筋の通らないことはしないタイプだ。俺から襲わない限り大丈夫だろう。

 

 

「じゃ少しだけ」

 

 

長居はするつもりなく夕方前に帰るか、もし夕食を馳走になるならなろうという心構えで承諾した。でも絶対に家には帰るそんな腹積もりで。そうしてやっとこさ足を動かした俺達は電車に乗ってうみこさんの家へと向かった。




そろそろ主人公の名前決めないとなと思いました。好きなキャラの名前くっつけて【仙道 ツカサ】とかでいいですかね。でも、割と居そうな名前だし「この名前でよかった」という羨ま死ねを回避するために改名しないといないように名前にします。
ではまた次回。


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17話 沖縄美人の家に上げてもらう話

【テーマパークに来たみたいだぜ〜〜ーテンション上がるな〜〜〜と、こ、ろ、で 私の爪 伸びているだろう?(以下略)】

うみこさん編が長くなってるのは作者がうみこさん好きだからって訳ではなく単にエッチに行くまでが遠すぎるだけです。


「ごちそうさまでした」

 

 

あまり長居する気はなかったのだが、腹ごなしと称してスポーツゲームをし、さらにFPSゲームに時間を費やすこと数時間。気づけば空は紅蓮色に染まり、そろそろいい子は晩御飯という頃合いだった。2人とも時間を忘れて童心のようにゲームを楽しんだためか、腹はクゥクゥ鳴り、顔を見合わせた。

 

 

「いえ、お粗末さまでした」

 

 

帰りますねと腰を上げた俺に待ったをかけたのはうみこさんで、昨日実家から届いた野菜を使ってカレーを作ったらしくそれが余っているので食べていかないかと提案された。もちろん断ろうと思ったのだが、1人で食べ切れる量ではないとか言われたら仕方ないとなるだろう。断じて最初から晩御飯も馳走になる気などなかった。

 

 

「美味しかったです。普段から自分で?」

 

 

「えぇ。レトルトやお弁当だと栄養バランスが偏るので」

 

 

目を閉じながら水を飲んだうみこさんを見てから壁にかけられた時計を見やる。もう7時か。満足の時間はとうに過ぎており、帰って寝ればまた仕事という生活が戻ってくる。仕事は嫌いではないが、やはり休みを楽しんだ後だと憂鬱に感じてため息がこぼれる。幸い、グラフィックチームは遠山さんがスケジュール管理してくれたおかげで特に遅れもなく予定通りに進んでいる。しかし、プログラマーチームはそうではなさそうで、「そちらはどうですか」と話を振るとうみこさんはげんなりした顔で愚痴を吐き始めた。

 

 

「そうですね、まぁバグはいつも通りのことなので仕方ないのですが、葉月さんがこの忙しい時期に追加発注を持ってきたりとか仕様変更したりとかで……よりよいゲームを作りたいというのは分かりますが、その皺寄せが全てこちらに来ているので……」

 

 

クールな人の沈鬱な顔は画になっておりサラリと落ちる前髪がより哀愁を漂わせている。

 

 

「でもこれを乗り越えたら夏休みじゃないですか」

 

 

「あってないようなものじゃないですかアレ」

 

 

うみこさん曰く、イーグルジャンプの夏休みは1週間程度であるだけマシだが、趣味のサバゲーに関しては共に勤しむ大学生達の夏休みが終わっており敷地はあっても過疎っているので今日のようには楽しめないらしい。

 

 

「だから今日はよかったです。本当にありがとうございました」

 

 

「いえいえこちらこそ」

 

 

久しぶりのサバゲーで楽しめたのは俺も同じだ。でもそれはうみこさんがいたからだし、俺1人ではサバゲーには絶対に行かなかっただろう。その事で改めてお礼を言うと、うみこさんは鳩が豆鉄砲を食らったように驚いた顔をしてから逸らす。

 

 

「まぁ、それは、よかったんじゃないですか」

 

 

真正面から礼を言われて照れてるのだろうか。表情は窺いしれないが、顔を見られたくないということはそういうことなのだろう。

 

 

「じゃ洗い物したら俺帰りますね」

 

 

「いいですよ私がしますから」

 

 

「いえいえ、家に上げてもらってご飯まで貰ったのに何もせずに帰るのは男としてダメな気がするんで」

 

 

「そう、ですか。では、お言葉に甘えて」

 

 

少し納得出来ないという様子だったが、フッと微笑むとうみこさんは俺に台所を譲り、ノートパソコンを机に置いて椅子に腰掛ける。そして俺はスポンジに洗剤を付けると汚れのついた皿を拭き始める。カレーなどの汚れは軽く水で濯ぐか、ティッシュや布などであらかじめ拭っておくと洗いやすくなる。おかげでスポンジをあまり汚さずに洗い物が可能となる。

 

 

「……チッ」

 

 

脳内に平成最後のアニソン歌手と謳われた男の新曲を流しながら洗い物をしているとリビングでパソコンと向かい合っていたうみこさんから舌打ちが漏れる。どうかしたのかと聞いてみようにも機嫌が悪そうで聞くに聞けない。ここは聞かずに静観していようと思ったら、うみこさんはどっと溜息をついて力強くパソコンを閉じる。

 

 

「…聞いてもらっていいですか」

 

 

そう尋ねられてNOと答えるほど失礼ではないし、仲のいい友達ノリで茶化しながら聞くことも出来ない。なので俺は洗い物を終えて濡れた手をハンカチで拭いて、うみこさんの前に置かれた椅子に座る。

 

 

「いいですよ」

 

 

先んじて洗い物ありがとうございますと礼をしてからうみこさんが舌打ちし溜息を吐き出した理由の説明が始まった。

 

 

「どうやら今日、また新しい仕様変更が決まったらしく。私は明日の午後から出勤なのですが、バグの修正よりも仕様変更の方をしてくれとメールで通達が来ました」

 

 

「…ちなみに誰から」

 

 

恐る恐る尋ねるとうみこさんは苛立ちを隠さない声音で「葉月さんです」と言う。予想通りの返答に苦笑するしかなかった俺は投げかける言葉を探す。俺が逆の立場なら同情はいらない。頑張ってなどの他人事のようなエールも不要だ。苛立ってる人間がこういう時欲しいのは無言かあるいはそれを達成したら得られる報酬だろう。どんなに嫌なことがあってもそれを乗り越えた先にいいことが待っていたら人は頑張れるものだ。

 

 

「しずくさんには困りましたね」

 

 

「えぇ、本当に」

 

 

ドスの効いた声が返ってきてビクッと心臓が跳ねそうになるのを抑えて、極力自然に俺は言葉を紡いだ。

 

 

「俺でよければ今回のゲームが終わったらまたストレス発散に付き合いますよ」

 

 

最初にあくまでもし良ければという仮定を示唆しておき、終わったあとにいくらでも愚痴は聞くし趣味にも付き合うよと言われれば少し心の闇は晴れるのではないか。そう思った俺は身を差し出す。どうせ俺の夏休みなど実家に帰省したあとはジムに通うか溜まったアニメやドラマを見て漫画や本を読んで終わるのがオチだ。そんな定番の終わり方をするよりは今日のようにうみこさんと楽しく過ごす方が心地よい。

 

 

「……」

 

 

この提案は思った通りうみこさんに考える時間を与えたのか、険しかった顔は幾分か穏やかになり片肘をついて考える所作を取っている。何度か俺の顔を見たあと、うみこさんはある質問をしてきた。

 

 

「明日の出勤は何時からですか?」

 

 

「うみこさんと同じで午後からじゃないですかね」

 

 

自分の予定なのに確証がないのはいつもの事だ。にしても、何故俺の予定を聞いたのかと疑問に思っているとうみこさんはおもむろに立ち上がると口を開いた。

 

 

「では、今からストレス発散に付き合って貰えますか?」

 

 

この時間から? と時計を2度見る。でもまぁ俺達は社会人だし、深夜の2時くらいに寝て朝8時に起きても仕事はやり遂げる責任感は持っている。何をするか分からないが、おそらく先ほどと同じようにFPSゲームとかをやるのだと思った俺は首を縦に動かした。

 

 

「ありがとうございます。では、服を脱いでください」

 

 

「……はい?」

 

 

唐突なうみこさんの申し出に俺はすっぽ抜けたような声を出してしまい、うみこさんは「おかしなことを言いましたか?」と首をかしげている。いや、明らかに言ったよ。

 

 

「いきなり服を脱げって言われたら誰でも驚きますよ」

 

 

「それはまぁ確かにそうですね」

 

 

そう言うとうみこさんは躊躇いもなく着ていたシャツのボタンをプチプチと外し始めた。

 

 

「ちょ、ちょっと何やってんすか」

 

 

「え? 私が脱いでいないのに貴方に先に脱げというのは失礼かと思いまして」

 

 

「失礼とかそういう問題じゃない気がする…」

 

 

男の前で躊躇いもなく服脱ぐのは良くないと思います!そんな主張も虚しく、上半身をシームレスタイプのブラだけにしたうみこさんは脱いだ服を椅子の上にかける。生まれつきか小麦色に焼けた肌と思っていたよりはある胸とその下にある程よく鍛えられた腹筋が否が応にも視界に入る。

 

 

「さぁ貴方も」

 

 

筋肉を見せ合えばストレス発散になるのかと逡巡しながらもシャツを脱いで脇に抱える。俺の身体を見たうみこさんは感嘆の声を上げると首の付け根から俺の下腹部にかけて眼球を動かす。

 

 

「見事ですね」

 

 

「どうも」

 

 

世の中には筋肉フェチというのが存在し、そういう嗜好を持つ人間はそれで心を癒したり幸福を得たりするらしい。俺の筋肉を褒めたということはうみこさんもその人間の類なのかと納得する。どこか満足気に頷いたうみこさんはズボンに手をかける。スルスルとズボンが降ろされ、紅色のレースの下着からはこれまた引き締まった太ももにふくらはぎが顕になり、目が引き付けられてしまう。

 

 

「あの、その、綺麗っすね」

 

 

「……そちらもどうぞ」

 

 

先ほど褒めてもらったのでお返しに思ったが筋肉ではなくうみこさんを褒めてしまい、それが気に入らなかったのか額に手を添えながら低い声音で俺にズボンを脱ぐように促す。すね毛とかあるから下半身は必要以上に見せたくないのだが、仕方ないと割り切ると一気に脱衣する。

 

 

「下は普通ですね」

 

 

「まぁ下半身は鍛えすぎるとズボン入らなくなるんで」

 

 

少し言い訳じみてしまったが事実なので仕方ない。上着も専門学生の頃に胸囲が増したせいで世紀末覇者みたく軽く裂けてしまったからな。

 

 

「さて」

 

 

そう呟いたうみこさんは俺の筋肉をよく見るためかずいっと寄ってくる。あと半歩進まれたら肌が触れ合うという距離まで近づいてきたうみこさんは俺な顔から足の先にかけてまでプリントに目を通すように観察すると指先を俺の腹筋につける。

 

 

「ちゃんと鍛えてるんですね」

 

 

「え、えぇ…まぁ」

 

 

危うく恥ずかしい声が出そうになるのを抑えてうみこさんの口述にしどろもどろながらも声を振り絞る。トントンと腹筋の硬さを確かめるように叩くうみこさんは堪能したのか、次に胸筋、上腕二頭筋などにも手を触れる。

 

 

「ふむ、上半身は無駄なく鍛えてるみたいですね」

 

 

ぺたぺたと触られて俺の心は穏やかではないが、これでうみこさんのストレスが和らぐならと足の指先に力を込めて我慢を決め込む。そして別のことを考えて意識を逸らす。女子が男子の筋肉に触れるのはいいのに、男子から女子の筋肉に触れるのはアウトなのどうしてなんだろうな。いや、まぁ男には下心があるからなんだろうけど。女の子は単に男の筋肉にきょうみがあるだけで、あわよくば胸に触れようだとかラッキースケベに及ぼうとしている男の子とは違うのだろう。中学生の頃からの問いに自ら終止符を打っていると下半身に1枚纏っていたはずの布が足首に移動している感覚がし、意識を戻して目を動かす。

 

 

「ここはそこそこ立派ですね」

 

 

「えっ!?ちょっ!何やってんの!?」

 

 

いつの間にか腰を落として眼前で俺のイチモツを眺望していたうみこさんから距離を取ってパンツを履き直す。正常すぎる俺の反応にうみこさんは申し訳なさそうに目を逸らした。

 

 

「すみません、許可なく勝手に」

 

 

これはそういう問題なのだろうか。おそらく許諾を申し込まれても見せなかっただろうし。いや俺もそういうことじゃない。あまりなことに脳が混乱しているらしい。下手するとわけも分からず自分に攻撃してしまう可能性がある。大きく深呼吸して心を落ち着かせる。

 

 

「あの、なんで俺のその…コレを見ようと思ったんですか?」

 

 

腹筋とか腕は鍛えれてもコレはどうしようもないから。実際にちゃんと調べた訳では無いから定かではないが炭酸水につけるとか、真空管に入れて血液を充満させる方法とか、サプリメントを飲んだりとかしてサイズアップをすることができるらしい。だが、俺はそれをするほど自信がないわけじゃないし、風俗にでもいかない限り他人に見せることは無いと思っていたからコレのトレーニングは行っていない。けど、立派だと言われて悪い気がしなかったのはやはり男としての本能なのだろうか。ひとまずそれらの思考を振り払ってうみこさんの回答を待つ。すると、うみこさんは固まったように目を丸くして瞬きを数度すると口を開く。

 

 

「え、ストレス発散に付き合ってくれるのでしょう?」

 

 

「それと俺のコレに何の関係が…?」

 

 

純粋な疑問をぶつけるとうみこさんはまた不思議そうに俺を見つめ、しばし沈黙した後何か察したのか納得したように「あぁ」と声を漏らす。

 

 

「ご存知ないと思いますが、私のストレス発散には2種類あります」

 

 

指を人差し指と中指を立ててそう説明を始めたうみこさんに俺はまだ疑問を感じつつも黙って話を聞くことにした。

 

 

「1つはサバゲー。これは好きな銃器に触れながら汗を流し、日頃のストレスを忘れられるからです」

 

 

昔、保険の教科書で運動することでストレスを発散出来ると書いてあったのでそれは分かる。俺も筋トレは身体を鍛えつつ、汗を流すことで読書などでは出し切れない鬱憤やらを吐き出している。では、2つ目は? そう聞く前にうみこさんは既に言い終えていた。

 

 

「2つ目は自慰…マスターベーションやオナニーと呼ばれるものです」

 

 

その言葉がはなたれた瞬間、何故か身の毛がよだつような感覚に襲われた。




疑問に思うことが多い系主人公。その名も富嶽 照慈(ふがく しょうじ)いなさそうな名前で個人的な感性でいいなと思ったのがこれでした。葛飾北斎の作品【富嶽三十六景】と誰でも1度は聞いたことあったり修学旅行や遠足で行ったことがありそうな【慈照寺銀閣寺】から取ってます。決定で他にいいのが見つからなかったらこれで行きます。

名前をつける意味→好きな人なら【先輩】とか【貴方】ではなく名前で呼ぶのでは?と常々思ってたので名前をつけたいと思いました。八神さんとか特に下の名前で呼びそうじゃないですか?ということで、苗字呼びしそうなうみこさん編を機に名前をつけようと思ったわけです。

追記 名前を慈照→照慈に変更(慈照より照慈の方がいいと思ったから)
2019年3月28日に1話〜5話のセリフや段落などを修正。6話以降も随時やっていきます。


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18話 沖縄美人に逆レされる話

18話 迫真レイプ!野獣と化した先輩!(何も間違ってない)

今回は三人称視点で書いてます。というか書きやすかったのでこれからも時々そうなると思います。


オナニーとは、身体に内包された性欲を体外に吐き出す行為のことを指す。男性なら陰茎を上下に摩ることで、女性なら陰部に指を入れて擦ったりバイブレーションなどで刺激を与えることで性的興奮を得ることが出来る。男女共に股間を弄ることで身体に溜まった性欲を発散でき、さらに全員がそうとは言えないが乳首やアナルでも興奮を得ることが出来る者もいる。本来なら男女のパートナーで共に性欲解消を図るのが望ましいが、誰しもがそのパートナーを持てる訳では無いので、自分自らで処理する。それをオナニーというのだ。他の呼び方として自慰、マスターベーションという。

自らのストレス解消法を語りだし、うみこから放たれた言葉にただただキョトンとして自慰行為がどういうものかについて深く思考した照慈は押し黙る。その反応を不思議に思ったうみこは首をかしげる。

 

 

「どうしました?」

 

 

「い、いえ、うみこさんもそういうのするんだなと」

 

 

「まぁそうですね。言ったのは貴方が初めてですが」

 

 

そりゃそうだろうと照慈は心で思う。自分が家でオナニーをしてると豪語するのは中高生の男子か、SNSで自分の性癖を暴露して快感を得ている者達だろう。

 

 

「富嶽さんだってしたことあるでしょう?」

 

 

「……まぁ」

 

 

目を逸らしながら嘘を言っても信用ならないと思って静かに頷いた照慈。しかし、最近したかと聞かれたらNoだが、今までと聞かれたらYESとしか言えない。中高生の頃は1日1回シても満足できなかった。毎日はしてないし、周りがどれくらいしていたのかは定かではないが、とりあえず男子高校生の平均くらいはしていたのではないだろうか。

 

 

「別に恥ずかしいことではないと思います。人間の3大欲求なのですから」

 

 

淡々と独自の見解を述べたうみこに照慈は力なく項垂れる。多少頭のネジが外れていてもうみこなら大丈夫だと思っていたのだが、彼女も人間だからやはり人間の持つ業からは逃れられないのだろう。

 

 

「それで俺に何をしろと」

 

 

過去の経験からひふみのように口淫やパイズリをするのだろうかと思案した照慈。それともオナニーをしろとでもいうのか。そういう見せ合いプレイがあるのは知ってるはいるが、正直お互いに見つめながら自慰行為をし合うというのは落ち着かないものだ。若干投げやりな感じでうみこに尋ねると、うみこは不敵に微笑んだ。

 

 

「男と女が2人きりになったらすることと言えば一つでしょう」

 

 

そう言うやいなや至近距離まで近づいてきたうみこはパンツ越しに照慈の陰茎に触れてくる。顔の距離が近く、うみこの髪からはシャンプーかトリートメントの芳醇な香りが照慈の鼻に届く。

 

 

「なっ……!」

 

 

挑発するような視線を向けながら手のひらで撫でるようにペニスを刺激するうみこに照慈は歯噛みし興奮を抑えるように努力する。それを見抜いたうみこは目を細める。

 

 

「我慢強いですね。普通男の人はこれくらいされると理性のタガが外れると思うんですが」

 

 

「…俺に襲えと?」

 

 

「いえ、それはそれで釈然としないのでいいです」

 

 

相変わらず複雑な女の子の気持ちを理解出来ないと照慈はうみこの手を退けようと身体を攀じる。そうするとペニスを撫でていた手が離れる。しかし、それは照慈が避けたからではなく、故意的にうみこが手を離して別のところに手をかけたからである。

 

 

「…手を離してください」

 

 

ガシッと照慈のパンツを掴んで降ろそうとするのを食い止めるべく、照慈は自分のパンツを全力で上に引く。うみこの腕力は普段サバゲーに興じてることもあって普通の女子よりは腕力が強い。それは普段筋トレをしている照慈も同じことだ。もし筋トレをせず非力なまま挑んでいたなら、直ぐに照慈のペニスは剥き出しにされていただろうと冷や汗を流しながら抵抗を続ける。

 

 

「うみこさん考え直しましょう。ほら、俺はこういうの苦手なんで」

 

 

「でも、布越しに分かるくらいには勃起してるみたいですが?」

 

 

「女の子が勃起とか言うんじゃありません!」

 

 

腕力でも、口述でも戦いを繰り広げる最中、パンツからビリッとどこか部位が避ける音がした。マズいと思った照慈は一瞬手の力を緩めてしまい、その0.1秒の隙がペニスを外界に解き放たされる。

 

 

「ぬぉおおおおお!!?」

 

 

「静かにしてください」

 

 

半勃起状態も見られ、完全勃起状態も見られてしまい一瞬羞恥の叫びを出した照慈だったが、よくよく考えればこれは初めてじゃないからさほどショックはないことに気づいた。しかし、それでも精神的ダメージはあるもので顔に熱が篭るのが分かった。

 

 

「そんな恥ずかしがるものでは無いと思いますよ」

 

 

何食わぬ顔でペニスを凝視しながらそう口にするうみこに照慈は精一杯睨みをきかせる。

 

 

「なんすか他のチンコも知ってるみたいな言い方」

 

 

「親戚のは何度か。でもこうやって性を意識してから見たのは初めてですよ」

 

 

どうしてこの人はそんな平常心でいられるんだろうと軽くうみこの精神力に戦慄する照慈。うみこはうみこで布越しに朝勃ちしているのは見たことはあったが完全に勃起したペニスを見るのは初めてで、その大きさに僅かながら驚いていた。これが女性器の中に入ると思うとゾッとするようで、未知の体験をしてみたいという好奇心にかられる。しかし、消極的な照慈を説得して互いの合意の上でそこまでいくのは難しいと判断したうみこは強行手段に出た。

 

 

「ふんっ!」

 

 

「なっ、あたっ!?」

 

 

小外刈りの要領で踵で照慈のバランスを崩し、尻もちをつかせる。痛いという反応をした照慈だが幸い、痛みはなく壁際にまで追い込まれてたこともあって壁が背もたれになってくれた。それでも状況は依然として変わらず、うみこは右手で包むように照慈の竿部分を握ると顔を上げて問いかける。

 

 

「いいですか?」

 

 

「何が?」

 

 

覚悟ですか? 襲われる? NOに決まってんだろそんなのといつも通り平常心を崩さないように脳内で返答した照慈。彼のポリシーは愛のあるSEXするのは結婚した相手だけで、逆レイプという形で童貞を失ったのは甚だ遺憾であった。それでも仕方ないと割り切ってきた。ひふみに襲われた件も、りんに味見されたのも、ゆんやはじめの処女を貫通したのも本人からすれば不可抗力でしかない。確かにその時は欲望に身を任せて舌や身体、腰を動かしたりしたが、そうしなければ相手は満足せず照慈の自由はなかったのだと結論づけれる。

だから彼は未だに、本当に好きになった相手と愛を育みそれが有頂天になったところで身体を重ねることを望んでいたロマンチストだったのだ。それでも、誰かを好きになろうとせず、後輩や同期に好意を持たれても無下にするのは、それは一時的な感情だと決めつけて自分を愛してくれる人間などいないという悲観的思考であり、空想の中でしかありえないというリアリスト的な考え方を持っているからであろう。

 

 

「そうですか」

 

 

成人済の男女がほぼ全裸で向かい合っているというこの状況であくまでしらを切る照慈にうみこは諦めのため息を吐いた。だがそれは行為を諦めるというものでなく、合意の上で行うのを諦めようというもので、うみこは口を開いて躊躇い無く照慈のペニスを咥えた。

 

 

「なっ!…な、何してん…すか…!」

 

 

「ふぇられふけど」

 

 

ぱくっと照慈のペニスを口に収めながらも冷静に今何してるかという質問にうみこは答える。形のいい唇が、柔らかな舌が、熱く湿った口腔が、敏感な亀頭を包み込んでいる。口内に亀頭を咥えながらだと喋りにくかったのか、一度口を離すと落ち着いた様子で理由を語る。

 

 

「このままいつまでもあなたの了承を待ってるのもじれったいので」

 

 

「だからって……あっ…っ!」

 

 

反論を許さず再びペニスを咥えこんだうみこはカリ裏を右往左往に舐めまわし照慈の思考を奪うと、次に粘膜で濡れた唇で竿の部分を口腔に含む。

 

 

「ちゅぷ、ちゅぷ、ちゅる…ちゅる……じゅぷっ、じゅぷっ、ちゅるちゅる……じゅぷっ!じゅぷっ!じゅぶ!じゅぶっ!じゅぷ!じゅるるるるるるるるる!!!」

 

 

チロチロと微細に舌を動かし軽く上下にストロークし亀頭を舐めまわし、次第にヘッドバンキングのように頭を激しく動かす。刺激は幾重にも足され、動く度に唾液が溢れて、フローリングへとぽたぽたと落ち、小さな水たまりのようになっていく。

 

 

「じゅぽっ!じゅぽっ!じゅぷっ、じゅぷっ!じゅぶ!じゅぶぶぶぶ!!!じゅるるるるるるッ!!」

 

 

女性が1人住む部屋に鳴り響く下品な音。部屋の明かりは消えておらず、淫猥な音色がなる度に茶色い綺麗な髪が照慈の眼前で揺れる。これまでにフェラをされた経験はあったがここまで激しかったものはそうない。的確に男の急所を攻めてきた滝本のと違い、動物の持つ本能を剥き出しにしたような獣のような口淫に我慢を決め込んでいた照慈も僅かにだが声を漏らしてしまう。

 

 

「じゅっぼっ!じゅっぶ!じゅっぼっ!じゅぷっ!じゅっぽ!じゅぷっ、じゅぷっ、じゅっぼッ!!」

 

 

「くっ…んっ、きっ……くぅっ……!」

 

 

小便や昼間のトレーニングで残尿や汗がこびりついてたであろうペニスはもはやうみこの舌で絡み取られ、少しずつ溢れてきた我慢汁と彼女の唾液で潤った艶めきを放っている。滞りなくやってくる射精感に歯噛みし、そろそろやばいと本能的に腰を突き出して射精しようとした所で温かな口腔が離れる。

突然行為を中断したうみこに思わず照慈は惜しそうな顔を向けると、彼女はどこか見定めるような瞳で見つめていた。

 

 

「どうしました?」

 

 

「……なんでやめたんすか」

 

 

「あなただけ気持ちよくなるのはフェアじゃないでしょう」

 

 

唾液が漏れて濡れた口元を拭い、うみこは立ち上がると閉じていた部屋の一室を開ける。目配せで立て、来いと指示された照慈は一度玄関の方に目を向ける。フェラであそこまで激しいのであれば、本番では喰らい尽くされるのではと危惧して裸であることを忘れて直感的に見てしまった。それを見逃さなかったうみこは壁にかかっていたモデルガンを手に持つとその銃口を照慈へと向ける。

 

 

「早く」

 

 

肌着を着ていれば当たっても小なりのダメージで済むが、全裸の今BB弾のスコールを受けるとシャレにならないと判断した照慈は大人しく従ってその部屋の中へと入る。そこは寝室のようで木製のアジアっぽいベッドに白いシーツがかかっている。他の家具はタンスとクローゼットと三面鏡のついたドレッサーがあり、出かける際の準備はここで済むようになってるようだ。

 

 

「何をそんなにジロジロ見てるんですか」

 

 

「サー!」

 

 

後ろから背中に銃口を突きつけられて反射的に手を挙げて返事をしてしまった照慈に「ぷっ」と吹き出しながらうみこは彼をベッドの方へと押す。顔からダイブした照慈だが、シーツを汚してはいけないかとペニスと顔が付く前に手をついて仰向けになる。

 

 

「…ッ!?」

 

 

そしてうみこもベッドに乗り続きが始まると唾を飲んだ照慈に予想外のことが起こる。またフェラをすると思いきや、刺激的な下着と茶色い肌が照慈の視界を遮る。布越しに伝わる温もりと少し湿った感触が鼻腔をまさぐり、照慈は困惑する。フェラでは照慈だけが多く快楽を得てしまう。なので今度は照慈が快楽を与える番とするため、うみこはクンニをさせるために彼の顔の上にお尻を乗せたのだ。

 

 

「……っ。は、早くしてください……」

 

 

「しろって言われても…」

 

 

荒く吹きかかる吐息を感じながらもうみこは平静を装って照慈に司令を下す。しかし、手マンの経験はあれどクンニの経験はない照慈は少し戸惑う。過去に得た知識通り舌を這いまわして膣内を舐めるのは問題なくできるだろう。でも、うみこが感じるほど上手くできる確信はないし、保証もない。これでうみこの機嫌を損ねたら何を要求されるかわからない。とりあえず通り一遍のことはしてみようと指先で下着をズラしてさらけ出された秘部を視認する。褐色の肌に似つかわしく生えている陰毛ははみ出ないように整えられているが、かなり剛毛でそれが逆に消極的だった照慈の性的興奮を誘う。

 

 

「んっ………」

 

 

ジョリジョリとした毛から秘部を探し当てるべく右手の指先を使って、股間部を上から下へとなぞる。その間にうみこから静かな吐息が漏れる。いつもはクールでそんなメスの声を出さない同僚に、照慈は一度落ち着きを見せたペニスを再び着火させる。

 

 

「あっ……」

 

 

目の前は扇情的な下着と茶色い肌に生えた毛しか見えない照慈だが、うみこが勃起したペニスを見て出した声だというのは容易に想像出来た。

 

 

「んっ、あっ……」

 

 

それがスイッチとなり照慈は両足の繋ぎ目の中心辺りに中指と薬指を当てて、にゅぷっと柔らかな肌が濡れた感触が届く。これはと狙いをつけた照慈はぷちゅぷちゅと指先を指先を入れて感触を確かめた後、舌を伸ばす。

 

 

「ひっ……うっ……あっ……」

 

 

ムワッと蒸気する汗と愛液の匂いが鼻につき、毛と毛の間を這うようにれろぉ〜と舌を滑らせる。そして指を添えた場所に到着すると、スジのようなモノに当たる。

 

 

「……っ!」

 

 

れろれろとそのスジに舌をくねらせるとうみこの身体がまた震える。4、5回同じ動きを繰り返した後、舌を細く剣のようにして膣肉の中に入る。

 

 

「んッ!……ンっ!」

 

またビクビクっと身体を強ばらせてうみこの手が照慈の太ももの横あたりに置かれる。見なくてもベッドの浮き沈みで大体わかり、押し寄せてきた感覚に驚いて手をついてしまったと解釈した照慈はその舌を緩めることなく、うみこのGスポットを見つけ出そうと膣肉を掻き回す。

 

 

「んっ、んっ、んッ!……ふっ……ンっ!」

 

 

その度に快楽の声を押し殺したようなうみこの吐息が漏れる。

 

 

「ちゅぷ、ちゅぴっ、じゅる、じゅるるるつ!」

 

 

「ひゃうっ…あっ……ん…っ……んん…っ」

 

 

先程のお返しと言わんばかりに音を立てて執拗に膣内を舐めまわしてストローでジュースを吸う如く吸引してくる照慈にうみこは苦悶の顔を露わにする。イカされそうになり漏れる声を抑えられなくなってきたことを自覚し始めたうみこはこのままではいけないと、謎の負けず嫌いを発揮して腰を曲げて口に照慈のペニスを近付ける。

 

 

「…ッ!?」

 

 

「ちゅぱっ、れろぉ……んんっ……ひょおですか?」

 

 

「な、ッ、なんの…っ、これくらいっ…!」

 

 

激しかった獣の如きフェラから一転、亀頭をゆっくりと舐め回すようなフェラに声が上擦って動きが止まった照慈だったが、挑発してくるうみこの口調に彼もまたその舌を触手のようにうねらせる。

 

 

「ぬぷぷぷ………ピチャ、ピチャ、ピチャ…ぬりゅ、ぬりゅん……ちゅる、ちゅる……」

 

 

「れうっ、ぴちゃ、ぺろっ、ちゅむっ……ぺろっ……ん…っ、ぢゅるるるっ……ぐぷっ、ぐぷっ……」

 

 

互いが互いに舐めあってシックスナインの形となり淫猥な音を響かせる。うみこのを舐めれば舐めるほど沸いてくる愛液、照慈のを舐めれば舐めるほど溢れてくるカウパー。普通に勃起した状態でも大きかったペニスはうみこのフェラでギンギンとなり、今にも暴発寸前となる。

 

 

「……れろ、れろっ……ピチャ、ピチャ……んむっ、ん、んッ!」

 

 

先に果てたのは照慈で、ビュルッビュルルッと勢いよく放たれた精子は亀頭を咥えていたうみこの口内へと注がれる。

 

 

「んっ、んっ、んっ、ん………ッッッ!」

 

 

入ってきた精子を僅かに口外に出し、出せなかった分を飲み下そうとすると照慈の舌がうみこの敏感な部分をコンコンと突いてくる。それに今までも絶頂寸前だったこともありうみこは大きく体を震わせた。

 

 

「はぁっ……はぁっ……!」

 

 

「……っ………っ」

 

 

イッて乱れた呼吸を整えるべく肩を上下させる2人の眼前には先程まで舐めていたモノがあり、さらに照慈が少し顔をあげればうみこの顔が見える。これで満足かと照慈が目で問いかければ、うみこはまたも不敵に微笑む。日頃、暇さえあればサバゲーで野原をかけまわる彼女がこの程度で疲れる訳もなく、照慈の視線を「こんなものか」という煽りと受け取ったうみこは身体の向きを変えて、照慈の上にのしかかる。

 

 

「ま、待ってゴムが……ァッ!!」

 

 

 

うみこの濡れた陰毛と陰部が亀頭に触れたところで、ペニスにピンク色の避妊具をつけてないことを思い出した照慈は止めの声を上げるが遅く、にゅぷんと剥き出しにされた亀頭がうみこの陰部に包まれる。その際にこれまで見慣れてきた破瓜がないことに気づいた照慈は自然とある言葉を口にしていた。

 

 

「……うみこさんって、処女じゃ、ないんですね……」

 

 

うみこは答えることなくゆっくりと腰を下ろしてペニスを膣の奥深くへと侵入させ、自分のお尻が照慈の太ももに触れると「ふぅーっ」と大きく息を吐いた。

 

 

「そう、見えますか?」

 

 

股間部ばかりを見ていて気づかなかったがうみこの瞳はうっすらと潤んでおり、何か痛みに耐えるかのような声だった。それにハッと目を丸くした照慈はこんな話を思い出した。スポーツをやっている女の子は、ある拍子に処女膜が破けて自然と破瓜することがあると。その考えに至って再びうみこの方を見ると、うみこは呆れたようにジト目を向けた。

 

 

「中学の時に自転車を漕いでいたら漏らしたわけでもないのに下着が濡れていたんですよ」

 

 

それが血で、家に帰ると下着が真っ赤に染っていたのだから当時のうみこは驚愕したし、後ほど処女膜が破けたと知るとそれはなんだと調べていくうちに性に興味を持ったのは今は関係ないだろう。とりあえず、うみこの処女は自転車のサドルか何かに奪われたのだと解釈した照慈はホッとすると同時に、目を見開いた。

 

 

「え、じ、じゃあ、こうしてせっくすするのって……」

 

 

「初めてですよ」

 

 

実家のある沖縄では女子校に通っていたし、上京して専門学校に入った時も学費やら生活やらでバイト三昧だったため男友達や彼氏という存在はいなかった。イーグルジャンプに入ってからも、プログラマーチームに男がいなかったのでそれは健在であった。しかし、自分が入社して1年後に照慈が入ってきて、性を意識してから初めて異性と交流を持つことになった。

 

 

「別に貴方のことは好きではありませんし、特別な感情はありません」

 

 

「じゃあ、なんでこんなこと」

 

 

「貴方が言ったんじゃないですか」

 

 

自分で良ければストレス発散に付き合うと。照慈本人からすれば、今日のようにサバゲーをしたりゲームをしたりすることだった。しかし、うみこはそれを後に置いて有耶無耶になったり、なかったことにされる可能性もあったので早めに行動を起こすことにした。それが以前から興味のあったSEXであり、自慰とどれくらい違うのか知りたいという欲求に火をつけたのだ。ここまでの行為でもオナニー以上の興奮を覚えており、実際にペニスを膣に入れたことで想像していたよりもエグい痛みを感じて怖気ついたがそれも照慈と会話してるうちに薄れてきた。

 

 

「まぁ、貴方は何もしなくていいのでせいぜい肉バイブにでもなっててください」

 

 

そう言い下したうみこは腰を上に引き上げると再び下ろす。その際ににゅぷんとペニスが膣肉と擦れる音が鳴る。

 

 

────ずにゅっ、じゅぶぶ……っ!ずにゅっ、じゅぶぶ……っ!

 

 

肉襞が脈打って照慈のペニスに絡みつく。りん以来の生の感触に悶えそうになるのを堪えてうみこにされるがままベッドのシーツを強く握る。

腰の動きに合わせて響く、ずっちゅ、ずっちゅという淫猥な音はもはや聞き慣れたものだったが、相手から一方的に蹂躙されるようなSEXに照慈は歯を噛み締める。

 

 

「んッ、んッ、んッ!……思ったより、疲れ、ますね…っ」

 

 

夜といっても夏なのでこんなに動けばそれなりに汗は出るもので、額や体表に汗を滲ませたうみこは荒く息を吐きながら腰を動かす。柔らかな淫肉の上下運動がペニスをひたらすら責め続け、照慈に射精感が迫る。その時、気持ちよさにかまけて失念していたことを思い出す。

 

 

「う、うみこさん! ダメだ! ゴムしてない! 抜いて!早く!」

 

 

生理でなくても直接膣内射精すれば精子が卵子と結びついてしまう可能性は十分に高い。大丈夫な日という眉唾物が存在しないことを知っている照慈はうみこに止めるように強く促すが、うみこは特に気に留めることなくパンッパンッと腰を打ち付ける。

 

 

「はげ、激しっ! だ、ダメだ!うみこさん、っ……ほんとにっ、それは! ま、まずい!」

 

 

する側からされる側へと、完全に逆レイプの形が完成しつつあることを認識しつつも照慈は力ずくでうみこをどかそうと身体に力を込めたが。

 

 

「はぐぅっ!?」

 

 

そうはさせまいとうみこの舌が照慈の乳首をひと舐めする。初めて感じた快感に照慈の思考は停止して起き上がらせようとした身体もまたベッドの上へと戻される。

 

 

「ぺろっ……ちろっ……んっ……どうでふかか?」

 

 

 

下も上も侵略されるような感覚に陥り、うみこの問いかけにも反応出来ず彼にできるのはせいぜい射精を我慢することのみだった。

 

 

「結構、強情、なんですね…っ!」

 

 

普段通りの平静を保ってるように見えるうみこだが、既に3回ほどイッておりそれを隠すために止まらず動き続けている。しかし、照慈はフェラ以降射精しておらず、うみこの膣内で挿入前よりも大きくなっていた。それを膣肉越しに感じていたうみこはそろそろかとギアを上げた。

 

 

「う……っ!?」

 

 

パンパンパンっと身体を上下させ、貪るように腰を打ちつけられ照慈は顔を歪める。幾度となく変わらない勢いで打ち付けられる腰にとうとう限界を迎えた照慈は叫びを押し殺しながら尿道から精液を溢れ出んばかりに射出した。

 

 

「〜〜〜〜〜〜ッ!!!」

 

 

 

ビュルッビュルッビュルルッ!とフェラの時よりも濃い精子がうみこの体内へと射出され、その刺激にうみこは方目を閉じながら愉悦に溺れる。射精中もうみこの膣は、うみこの意識とは別に搾り取るようにして亀頭を締め付ける。それに呼応するように射精を続ける照慈は意識を失いプツリと糸が切れたように瞳を閉じる。

ヌプンッ!とペニスを引き抜くとどろりと精子が竿に滴り、うみこの膣からも重力に従ってぽたぽたと愛液と混ざって精子が垂れてくる。

 

 

「……ふう」

 

 

サバゲーよりも動いたなと自らの運動量を褒めたうみこは荒い息を鎮めて、穏やな眠りへと入った照慈に布団をかけてやると互いの衣類を洗濯機に放り込んだ。そして自分は風呂場へと足を踏み入れ、シャワーの蛇口をひねる。

 

 

「……少し強引すぎたでしょうか」

 

 

頭に冷たい水を被りながら先程まで照慈のペニスが入っていたお腹を摩るとボソリとうみこは呟く。それはシャワーの水音で掻き消えるくらいの小声で、寝ているだろう彼には聞こえることは無い。股間に手を当てると膣内に注ぎ込まれた精子が付着する。

 

 

「癪ですが葉月さんのを使いますか……」

 

 

何故かこの前渡されたアフターピルを思い出しうみこは再び小声で呟くとシャンプーに手を伸ばして頭を洗い、身体を洗い始めた。特にイチモツを含んだ口と股間周りは。

シャワーから出て濡らしたタオルで寝ている照慈を起こさないように汗や唾液を拭いてやるとうみこは電気を消すのと同時に「おやすみなさい」と優しく微笑んだ。




原点回帰。おそらくりん以来(あれも逆レイプか微妙だけど)
うみこさん性欲強そうだよねってことで獣のようなSEXをしてもらいました。理想的なのは主人公が腰を振ることですがこの作品の趣旨に反するので。ディープスロートにシックスナインと逆レ騎乗位、乳首舐めと豪華内容だった気がしますが、頬がもこっとするフェラを忘れてたので作者辞めます(大嘘)

最近パイパンよりも毛がある方がいいなと思い始めた作者でございます。うみこさんのはハミ毛はないけど、脱ぐとむわぁってするくらい凄いみたいな。我那覇響とか神谷奈緒みたいな? まぁあの子ら生えてるイメージはあるけど、どれくらいかはわかんねぇな……。


次は「涼風青葉の逆襲」「滝本ひふみのリベンジ」を予定してましたが、まだ八神さん書いてないので純愛気味な八神さんとのSEXになると思います。またタイトル詐欺になってごめんね。
では次回。


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19話 上司が何故か可愛くなってる話。



【今の自分を苦しめているのは過去の自分で、未来の自分を苦しめるのは今の自分である】


これは名言。一生心に刻んでおきたい。セクサロイドいいよね。はよ販売して♡♡♡


 

 

薄いカーテンの向こうから、朝の光が透けている。鳥の詩でも聞こえればいい朝なんだろうがそうはいかないのが人生だ。知らない天井に、見知らぬベッド。いや、ベッドは知ってるな。夏場ということで薄めのタオルケットがかけられていたが途中で払ったのかベッドの下に落下していた。

 

 

「あー……あぁ……」

 

 

少しずつクリアになっていく思考に昨日の出来事が海馬から流れ出てくる。そう言えば昨日はお楽しみでしたねどころか、あまりの激しさに俺が耐えきれずに失神したのだったか。それなのにしっかり朝勃ちしてるのはちゃんと寝れていたという証拠なのだろう。ついでに膣にそのまま精子を注ぎ込んでしまったことも思い出し頭を抱えた。そんな時だった寝室の扉が開いたのは。

 

 

「おはようございます」

 

 

開口一番にそう言ったこのベッドの持ち主に俺はペコりと頭を下げる。

 

 

「朝ごはんにしますか、シャワーにしますか?」

 

 

「え?……あー」

 

 

スンスンと鼻を鳴らして自分の衣服や皮膚の匂いを嗅いでみる。少しばかり汗臭いというだけで精子や唾液のような鼻につく匂いはしない。もしかすると俺が寝ている間にうみこさんが軽く拭いてくれたのかもしれない。

 

 

「せっかくだから、朝ごはん、いただきます」

 

 

「分かりました」

 

 

襲った方も襲われた方も何事も無かったかのように接するのは異常とも取れる気がするが、過ぎたことなので仕方ないと割り切る。ここでむくれても意味が無いからな。トイレを借りて洗面所へと向かい手を洗ってうがいをし顔を洗う。鏡を見れば風呂に入ってないから髪に少し汗分を含んでいる。それ以外は概ねいつも通りというか、久しぶりによく寝たので顔色がいい気がする。

 

 

「どうぞ」

 

 

「どうも」

 

 

うみこさんから出されたのはご飯と味噌汁に鰆の煮付けでThe・和食といった感じの朝飯だ。味噌汁はさっき作ったらしいが鰆の煮付けは冷凍食品らしい。それでも朝ごはんがあるというのはありがたい。

 

 

「いただきます」

 

 

手を合わせてまずは鰆の煮付けを箸で一口分に分けて口に入れる。うん、普通で美味しい。冷凍食品って感じ。次にご飯を一口。これも普通で美味しい。やはり日本人ならお米食べなきゃって感じがする。そして最後に味噌汁を啜る。

 

 

「あ、美味い。うみこさん料理上手ですね」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

昨日のカレーといい、この味噌汁といいなんだか手間暇がかかっていそうな味というか、田舎のおばあちゃんが作ってくれたかのような安心感がある。沖縄特有の味付けなのだろうか。

 

 

「あの、食事中にアレなんですが、昨日はすみませんでした」

 

 

歯切れが悪く、本当に申し訳ないといった口調で言葉にするうみこさんに俺は固まる。ここで俺が「出来ることならする」と言ってしまったのが原因だからと言えばうみこさんも引き際にしやすいと思う。けど、捉え方を見誤ったのはうみこさんで俺の意識を刈り取るほどのハードセックスをする必要は無かった。どうしたらストレス解消でセックスとなるのか俺には分からない。

 

 

「こちらも不可抗力とはいえ生で出してすみませんでした…」

 

 

「それは大丈夫です」

 

 

うみこさんはそう言うと後ろのカウンターに置いてあった薬の箱を手に取ると俺に見せてきた。それは俗に言う避妊薬と呼ばれるもので、昨日が初めての経験だといううみこさんが持っているのはおかしな話だと思った。だが、訳アリなようだし俺もまだ覚悟を決めなくていいのだと思うと胸をなで下ろした。

 

 

「飲んだとは言ってませんが」

 

 

「あ、えと、あの、すみません…」

 

 

言われて今のは失礼だと思って直ぐに謝罪した。あるだけで飲んではいない。確か緊急用なら行為後から72時間以内に服用する必要があると、もしもの時のために調べた際に書いてあった気がする。副作用というか、人によっては嘔吐や頭痛を伴うのだとか。

 

 

「その、責任を取るべきなのでしょうか…」

 

 

うみこさんから襲ってきたとはいえ、快楽に抗えずに射精をしたのは俺だ。だから男として責任を負うべきなのだろう。たとえ受精していなかったとしても、1人の女の人の中に生膣内射精をかましてしまったのだから。俺が決意を固めてうみこさんの方を見るとキョトンとした顔で俺を見つめていた。

 

 

「飲んだので別にいいんですが」

 

 

「アイエーー!!?」

 

 

飲んだんかい!俺の決意はどこに…。ほっとしたような無念なような複雑な気持ちだ。俺の奇声にビクッと眉を上げたうみこさんを見て、とりあえずこれ以上冷めないようにと気を取り直して食事に戻った。

 

 

「それで次はいつします?」

 

 

「しません」

 

 

こういうのがズルズル続くとセフレというやつになるんだろう。悪いことではないと思うが、やはりそれだけのための関係というのは個人的には嫌悪を覚える。多分、SEX以外にも遊びに出かけたりご飯を共にしたりするのだろうがそれは全てSEXを楽しむための前戯だと考えるとどうしても俺としては顔を顰めるしかない。

 

 

「……そうですか。分かりました」

 

 

少し間が空いてうみこさんから返事が返ってくる。SEX自体は嫌いじゃないし、膣肉に肉棒が絡め取られるような感触は正直いって麻薬のようなものだ。前戯のフェラや愛撫もあの快感を知ってしまうと手放せなくなるようで歯がゆい気持ちになる。

麻薬は1度摂取すると断ち切るのが難しいがSEXは別だ。だったら早めに切れるところは切っておいた方がいい。どこか残念そうなうみこさんに手を合わせて「ごちそうさま」と言うと、俺は席を立って荷物をまとめて自分の家へと帰宅した。午後からの出社でまた顔を合わせることになるかもしれないが、その時はその時だ。未来の俺がなんとかしてくれるだろう。

 

 

###

 

 

さて、時は流れて1ヶ月。ゲーム発売までの仕事を終えて俺はつかの間の夏休みを手に入れていた。ディアボロさんもビックリな時飛ばしだがこれと言ったイベントがなかったのだ。いつもどおり、マスターアップ前の休日出勤。トーキョーゲーム展へのフェアリーズストーリー3の公式発表へは俺は行きませんでした、はい。企業日だから人は少ないんだが、その分会社の人手も少ないんだよね。

他には涼風が桜と喧嘩したらしいが、俺の気づかぬ間に終わっていた。あとは……まぁ特にないかな。朝の5時まで仕事するのはイーグルジャンプ入ってから2回目だし。名作ゲームの裏側もこんな感じなのかなと思うと頭が上がらない。

 

 

「それにしても有給暇だな…」

 

 

実家に帰ったり地元の友達と遊んだり飲んだりしたが、それも3日ほどで済んだのでかなり暇なのだ。社畜は仕事が終わり長い休みを与えられると何をすればいいかわからなくなるのはあるあるだと思う。

 

 

「かと言ってこいつらの誘いに乗るのはな…」

 

 

スマホに休日中に届いたメッセージを睨みながら俺はそう呟いた。一人暮らしだから話す相手がおらず、独り言が多すぎるのは仕方の無いことだ。メッセージというのは飯島やはじめちゃん、うみこさんから届いた遊びのお誘いなのだが…さすがにこれにホイホイついていくほど俺の足は軽くない。多分、遊ぶのは本当だろうがきっと最後の方に襲われる未来が見える。どうやら俺はエピタフも使えるらしい。

 

 

「……会社行くか」

 

 

前と同じなら攻略本に載せるキャラの画像のスクショとか設定画の校閲作業があるはずだ。給料出なくてもいいから暇つぶしにやろう。もしくは会社のデスク周りの掃除でもしよう。そう思って手早く仕事用の服に着替えて俺は家を出た。

 

 

###

 

 

会社に着けば思った通り有給消化のため人影は少ないが、電気がついているということは誰かいるのだろう。キョロキョロと辺りを見渡しても人の気配はない。上のフロアに行けばしずくさんくらいはいるだろう。そう思って引き返してエレベーターの方に向かうと紛うことなき美少女がいた。金色の美しい髪を靡かせ、鎖骨が露出したフリルの着いたワンピース。急いでいるのか下の階のボタンを連打している。

 

 

「あのー」

 

 

「ひやっ!?」

 

 

どちら様か尋ねようと声をかけたら女の子は声をうわずらせて驚いてこちらに振り向く。そして互いに顔を見合わせ「あ」と口にすると互いに指をさした。

 

 

「八神さん!?」

 

 

「なんでいるの!!?」

 

 

この美少女が八神さん!?うせやろと驚愕してると、そういえば『2』の攻略本用に遠山さんのコーディネートを受けて写真を撮ったと聞いたが、今回もなのか。攻略本とかネットで検索したらいくらでも出てくるから買わなかったし見なかったけど…。正確には見ようとしたら八神さんに「サンプルだから」と取り上げられたのだが。

 

 

「な、なに……」

 

 

じろじろと信じられないという目で八神さんを見てるとスカートの裾を掴んで俺に怒りを含んだ目を向けてくる。

 

 

「い、いや、可愛いなって」

 

 

「……ッ!!」

 

 

俺がそういうと八神さんは顔を赤くしてそっぽを向く。それと同時にエレベーターがやって来て扉が開かれる。俺は上に行きたいから乗らない意志を示していたのだが、八神さんがバツの悪そうな顔で唇をとがらせる。

 

 

「ちょ、ちょっと、付き合ってよ」

 

 

なぜだろう。いつもの八神さんとは桁違いの破壊力なんだが。ドラゴンボールの幼かったチチが大人になるとすごい美人で出てきた時のインパクトだ。……まぁ別に暇だし、どうしてそうなったのかも興味があるからと俺は八神さんと共にエレベーターに乗り込んだ。

 

 

「…今日、休みだよね」

 

 

「家にいても暇だったんで」

 

 

八神さんはどうしてそんなことにと聞き返すと予想通りの答えが返ってきた。

 

 

「インタビューの写真撮影で、りんと青葉に……その、着替えろって……」

 

 

それでインタビューと写真撮影が終わって今はしずくさんがしているらしく、俺はいっても骨折れ損になっていたわけだ。

 

 

「涼風と遠山さんは?」

 

 

「スマホでカシャカシャ撮ってきたから、トイレ行くって言って逃げてきた…」

 

 

疲れたという顔を見せる八神さんだがいつものぼさっとした髪を綺麗に梳き、薄くメイクしてることもあってそれがとても可愛く見える。いつもこの格好ならモテるだろうにとこめかみを抑えてると1階に到着し、ドアが開かれる。

 

 

「で、これからどうするんです」

 

 

「あー考えてなかったや…」

 

 

2人のカメラから逃れたい一心だったようだ。どうしようかと目を閉じて考えていた八神さんは「あっ」と何か思いついたのか腕をぽんと叩く。

 

 

「照慈の家に行こう」

 

 

「なんでさ」

 

 

「あそこなら私の着替えもあるし、それにゲームとかして遊べるでしょ」

 

 

「それはそうですけど…それ着て帰っていいんですか?」

 

 

持ってきたのは遠山さんのでしょそれと指さすと八神さんは「あー」と思い出したように頭を抱えた。

 

 

「でもりんのにしては胸がぴったしなんだよね……」

 

 

じゃあそれは八神さん用ですねと2人で納得してしまったが、遠山さんが八神さんの服のサイズを把握してることに少しばかり恐怖を覚えてしまった。

 

 

「とりあえずさ、早く行こうよ。この服恥ずかしいんだよ」

 

 

「普通に似合ってますよ。可愛いですし」

 

 

「……はぁ、お世辞はいいから」

 

 

「ほんとですよ」

 

 

俺は可愛いと思ったものしかそう言わないし、「これ可愛いよね?」と共感を求められた時も可愛くなかったら絶対首を縦に振らない。というか早くエレベーターから出ませんか?そう思っていたら、八神さんはどうやら自分のプロポーションに自信が無いらしく、ブツブツと自己批判を始めた。

 

 

「ほら、私胸はないし、りんみたいに女の子らしくないし、色気もないから男の子っぽい服の方がいいんだよ…」

 

 

本心なのだろう、その声は震えていて瞳は潤んでおり今にも決壊して涙が溢れそうになっていた。

 

 

「そんなことないですよ」

 

 

「え?」

 

 

そんな八神さんを見て自然と俺は手を取っていた。

 

 

「こんな綺麗な髪とくびれたウエストにきめ細かな肌を持ってて女の子らしくないなんて言わないでください。胸なんてなくてもいいですよ。あんなの飾りです。偉い人はそれがわからんのです」

 

 

そう八神コウはとても魅力的なのだ。現実離れした美しい長い金髪に、長いまつ毛にサファイアのように煌めいた瞳に、華奢でスレンダーな身体に、白く可憐な肌は見る者を魅力するだろう。ただそれらの魅力が普段のズボラさとかで隠れてるだけで実際はこんなにも女の子らしいのだ。それを遠山さんは引き出したに過ぎないのだ。

 

 

「だから、自信を持ってください」

 

 

言っていてプロポーズみたいだなと苦笑すると八神さんはプルプルと肩を震わせて俯いていた。気持ち悪かったかなと頬を引き攣らせると胸板に軽い衝撃が飛び込んでくる。

 

 

「…だったら、してよ…私と…」

 

 

「え?」

 

 

まさか結婚ですか。それはまだちょっと早いです。もっと段階を踏んでからゆっくり愛を育んで結婚指輪を渡したいのでごめんなさいと結婚を申し込まれたとき用に考えていたテンプレートを口にしようとすると、下から上目遣いで八神さんが覗き込んでくる。

 

 

 

「せ、SEX……しろよぉ……」

 

 

 

あまりに予想外で、そういえば前にする約束を思い出して俺は頭をかいた。こんな展開は聞いてないのだがと、目を背けると両頬に手を添えられ八神さんの唇が引き寄せられる。

 

 

 

「んむっ……んっ……ぷは……」

 

 

 

1秒にも満たない短いキスから唇を離した八神さんは頬を上気させ、頬に手を添えたまま恥ずかしそうに口を開いた。

 

 

「じゃないと、ここで、襲うぞ……」

 

 

結局するんじゃないかと心の中でつっこむ。今日は利用する人が少ないからと言ってエレベーターの中で行為に及ぶのは非常にまずい。どこのAVだよと悪態ついてると覚悟の決まらない俺を見かねて八神さんはまた唇に寄せてくる。さらに今度は頬に置いていた手を肩に回して逃れられないようにガッチリホールドされる。

 

 

「んっ、んっ……んむ……あんっ……」

 

 

狭い密室に妖美な声が響き、唇と唇が重なり合う。まだその気にならないのかと八神さんは俺の瞳を見ながらそう問いかけてくる。だが俺の理性は抵抗を続けるべく首を振った。そして、その時誰も乗ってこないでくれと思っていたエレベーターの扉が開かれた。





やっと八神さんです。どうやって襲わせるか悩みましたが八神さんならスイッチ入ったらグイグイいくかなと。でも純愛にしたかった…!したかったんや…!やっぱりヒロイン一人一人に男を当てるべきなんかなぁ……って。そうすると結構膨大になるのでしたくないのが本音ですが。
あと逆レ主流もキツいっすね。貞操観念逆転モノを読み漁ったせいで男からグイグイいくのも書いてみたいなと思っちゃいました。


ではまた次回。


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20話 上司に逆レされる話

大学が始まりバイトもあって、さらに大好きだったプラモデルの再販があり、なかなか書く時間が見つからずに遅くなってしまいました。やっとこさ八神さん編終わりです。
あとアンケートで一人称と三人称どちらがいいかで両者均衡を保ってるし「どちらでもいい」多いしで、日常回は一人称、エッチ回は三人称にしました。ご留意ください。


 

「あれ?八神さんに富嶽さんどうしたんですか?」

 

 

エレベーターの到着音と共にオリンピック選手もビックリな速さで体を引き離した2人は開いた扉を凝視する。開かれた扉の先にいたのはスーツをクリーニングに出しているためいつもとは違う服装をしている青葉だった。彼女を見て照慈は一瞬、何故いるのかと戸惑ったが自分達がしていたことに気づいていない様子だったので胸を撫で下ろす。

 

 

「もう探したんですからね!」

 

 

「…ご、ごめん」

 

 

インタビューが終わるなり逃げるように飛び出したコウを探していた青葉は頬を膨らませる。コウはそれに先程までキスをしていて火照った顔を見せる訳にはいかず俯きがちに返した。それに疑問を感じた青葉は視線を照慈にスライドした。

 

 

「富嶽さん、八神さんに何か言いました?」

 

 

言ったのではなくされたのだと照慈は思ったが首を振った。青葉はどうやらコウの様子がおかしいのを照慈が「キュートキューティキューティカル!!」「天使だ……」「おっふ」などの賛辞を送って辱めたのだと思っており、目を細める。アソコは大人になっても心はまだ子供らしい青葉に照慈はほっとしつつ、これが酒を飲むと性欲の化け物になるのかと恐怖した。

 

 

「あぁ、珍しかったからついな……ところで遠山さんは?」

 

 

この服、遠山さんから借りたんだろう?と照慈が尋ねると青葉は首肯し「こっちです」と案内する。照慈はこのまま今回のことは有耶無耶にしようと画策し、コウの方を振り向く。ぐっと太ももの裾を握り涙目で睨みつけてくるコウにたじろぎそうになった照慈はそれを堪えてコウを連れ出した。

 

 

「あら戻ってきたのコウちゃん」

 

りんはちょうどインタビューが終わり、コウと青葉の帰りを待っていた。いつもより女性らしくメイクアップして胸周りは白くて肩と腰から伸びたスカートは花柄で美しく、髪の毛もパーマに行って綺麗に整えられていた。

 

 

「……富嶽くんが捕まえてくれたのね。ありがと」

 

 

「たまたま下で会っただけですよ」

 

 

正確に言えば捕まえられたのは照慈なのだが本人は言葉を濁す。それでもりんはコウの口元と照慈の口元を見ると僅かに頬を吊り上げた。

 

 

「あら、そうなの」

 

 

彼らの口元とコウの様子を見て勘づいたりんは面白そうに頬を緩めた。それにゾクッと身震いした照慈は目を逸らす。

 

 

「あ、富嶽くんもインタビュー来てたわよ」

 

 

「え?俺にですか?」

 

 

思い出したかのように声を上げたりんに照慈は思わず聞き返してしまう。自分程度にインタビューが?と納得のいかない照慈だが、隣にいた青葉は「すごいじゃないですか!」とキラキラした視線を向けている。

 

 

「インタビューは出来たらって言ってたから掲載されるかは分からないけど確認してきてもらえる? 葉月さんのインタビューしてるはずだからまだいると思うわ」

 

 

とりあえず行ってみてくれないかと言われた照慈はしぶしぶといった様子でインタビューが行われてる部屋を聞いてから再びエレベーターに乗り込む。上の階へと行き、りんに言われた部屋に来たが。

 

 

「誰もいないじゃん…」

 

 

電気をつけてみたら機材も何も無く、照慈は入る部屋を間違えたのかと頭を掻く。もう一度りんに確認を取ろうかとスマホを取り出した時、パタンと扉が閉まる音がした。おかしい、確かに閉めたはずだと後ろを振り返るとその扉の前には金髪の美少女が佇んでいた。

 

 

「八神さ」

 

 

コウは顔を下げて照慈に表情を悟られないようにしており、それによって照慈が「どうしたんですか」と口を開く。しかし言い切るよりも早く、コウは照慈に歩み寄ると口を近づけて「ちゅっ」と音を立てて唇を重ねる。不慣れで少し強引なキスなのはエレベーターの時と変わらなかったが、それでもコウは好きな男へと全力で口をつける。

 

 

「……っ」

 

 

「んっ、ふーー…んちゅっ、ぬちゃれろっ…くちゅくちゅ」

 

 

コウは発情した吐息を出しながら無理やり照慈の唇をこじ開けると舌を入れて口内をかき乱し、そのまま照慈の体を後ろへ後ろへと追いやり、会議室へのデスクの上へと倒れさせる。

 

 

「はあ、れろっ、ふ…っ、ぬろ、くちゅ…あぅ…はぁ…」

 

 

ねとりと唇が離れてそこに2人の唾液が伸びる。口を離したコウは着ていたワンピースのボタンを外して華奢な肩を剥き出しにする。

 

 

「ちょ…っ!八神さん……!?」

 

 

「皆下にいるって、インタビューも、葉月さんも、りんも青葉も…戸締まりは私がやるって…」

 

 

「で、でも…!」

 

 

ここで行為に至れば誰かがやってくる。当然の危惧をする照慈。たとえ全員が下にいたとしても、青葉やしずくが上に上がってくる可能性もあるし、明かりがついていれば気づいた誰かが入ってくるかもしれないと逡巡する。

 

 

「大丈夫だよ。りんが誰もあがってこないように見張ってくれるから」

 

 

何も心配しなくていいと微笑みコウに、照慈は今回の顛末を手引きしたのがりんだと理解し、ハメられたと心の中で悪態づく。しかしそんな思考もズボンの上からでも分かるくらいに隆起したソレをさするコウに止められる。

 

 

「だから……しよ?」

 

 

魅惑的に誘ってくるコウに思わず手が伸びそうになるのを懸命に堪える。ここは会社。ここは会社。会議室。会議室。公の場でするなんて社会人としてどうかしてると理性を全力でフル回転させる照慈にコウは次なる行動に移る。

 

 

「照慈だってもうこんなに興奮して…」

 

 

ズボンのベルトを外し、ファスナーを下ろしたコウはドクッと脈打つペニスを見て目を細める。たどたどしくも亀頭から竿下を一指でなぞり、左手で根元を優しく握られ、血脈が、精子がそこへと集まっていくのは照慈では止められなかった。

 

 

「こ、こうやるんだよね……」

 

 

歯が当たったらごめんと前置きしてから横髪をたくしあげるとチロっと舌を出してペニスの亀頭を舐める。恐る恐る知らないものに触れるようなたどたどしさで亀頭をひと舐めすると「いけるかな」と大きく口を開いた。

 

 

「んっ……んっ……じゅー……」

 

 

歯が当たらないように気をつけながら口の中にペニスを咥え込むとコウは彼の方を見上げる。

 

 

「……ほぉ?」

 

 

「どうって……」

 

 

何の動きもなければフェラとはただ咥えられてるだけで温かいなという感想しか出てこない。だがそれでもどこかむず痒いのは相手がコウだからなのか、上の歯が触れてて新刺激を感じるからかと照慈は顔を逸らす。

 

 

「むぅ……」

 

 

照慈の反応が悪くてむくれたコウはペニスを咥えながら睨みをきかせてもう答えなくていいと言わんばかりに上下にストロークし始めた。

 

 

「あむっ……んっ、くぷっ、ぬぷっぬぷっぬぷっ!んんっ……ジュプッ!ジュプッ!ジュプッ!」

 

 

「はぁっ、はぁっ、く……っ」

 

 

ベロと口内の内壁でペニスを摩り、絡む粘液が照慈を抗い難い快感の奔流に飲み込んでいく。

 

 

「ふっ…!ぬろ、ぬろぬろ、くちゅっ、くちゅっ!」

 

 

「あっ…ぅあぁ!」

 

 

目の前の男の引き攣った顔を見て目を細めたコウは亀頭だけを口内に入れ舌で念入りに舐めまわす。尿道筋を数回なぞるように。カリ部分を飴を舐め転がすように。先っぽの敏感な部分を溶かすように。たった数分で男の急所を見つけ出したコウはさらにぐっと根元まで口に入れる。

 

 

「…っ!!あっ…ぐっ!」

 

 

喉奥へと触れた亀頭の感触に、照慈は前もって射精することを予告できないほどに限界に達していた。身体を強ばらせた彼から精液はビュルッビュルルルルッ!とコウの口内へと噴水のように飛び出す。

 

 

「んぐっ、んぐっ、んぐっ……じゅるるっ!」

 

 

コウの喉が震える音がし、照慈の精液を飲み下す。さらに引き抜く時にも残り汁を吸いとってきて、射精後に関わらず照慈のペニスはまだいきり立ったままだった。

 

 

「…けほっ、多すぎっ…こんなに出るものなの?」

 

 

「あ、いや…ここんとこ忙しかったんで」

 

 

ゲーム制作も佳境で誰も照慈を襲わなかったし、20を過ぎてから自ら自家発電をしなくなった照慈の中には精液がたっぷりと貯まっていた。それが口淫だけで出し尽くされるわけはなく、天へと向かって立つペニスは次の快感を求めてドクドクと血脈を震わせる。

 

 

「ほんと苦っ…AV女優ってよくこんなの飲めるよね…」

 

 

「全員が全員飲んでるわけじゃないでしょ」

 

 

一方、コウは初めてする行為だったが思いの外下半身が疼いていた。初めて男女が交じわう性交を目にした時、まるで目が惹き付けられるような錯覚に陥った。しかしそれもほんの少しで自慰をして気持ちを抑えてすぐさま自分の仕事に向かっていた。だがそれも好きな男が現れてからはより興味を持ち、ネットの無料サイトで閲覧しては男の名を呼びながら指を濡らしていた。

 

 

「よいしょ、と」

 

 

そして今日その男の唇を奪ったコウは親友の協力でさらに初体験しようとしていた。───もっとも相手の方はとっくに経験済みであるのはコウが知る由はない。

器用にもワンピースの中から下着だけを脱いだコウは机の上に仰向けになっている照慈の上に馬乗りになると腰を浮かせて片手でペニスを握る。

 

 

「じ、じゃあ、挿入れるね…?」

 

 

AVを見て予習してもアレはモザイクがかかっていたのでどのように入るのかは分からない。それでもペニスが自分の腟内に入ることは分かっているのでコウは不安そうにしながらも上目遣いで照慈に尋ねた。

ゴクリと唾を飲んだ照慈はワンピースを着崩して肩口がさらけ出し、綺麗に整えられた金色の美しい髪に、可愛らしい美白顔と相揃って現実離れして見えるコウに言葉が出なかった。

 

 

「あっ、んんっ……!」

 

 

そんな幻想的な風貌へと変わったコウは照慈の無言を肯定と取ると腰をそそり立つペニスへと下ろして、身体をビクリと震わせた。膣内に入ってくる固いマラにブチブチと破られる処女膜の痛みを噛み締める。こんな歳にもなってまだ処女であることを悟られないようにしていたコウだったが痛みをこらえるような顔で目尻に涙を浮かべていれば気付かれる。

 

 

「み、み、見るなぁ…!うっ……んっ…!」

 

 

心配そうにコウの顔を見る照慈は目線を下ろした。血が漏れているかは結合部がワンピースのフレアスカートによって隠され見えないが、コウの反応を見るに察することは容易かった。コウの痛みは当たり前で秘部への前戯もなしにいきなり挿入したのだ。オナホもローションなどである程度濡らさずに挿入するとチンコが引き裂かれそうになる。

 

 

「はぁっ……はぁ……っ……」

 

 

照慈の胸板に手を置いて大きく肩で息をするコウに彼は大丈夫かと声をかける。しかし返ってきたのは言葉ではなく上下に動かされる腰の動きだった。

 

 

「はぁ、あっ、はぁ、んっ!」

 

 

ヌヂッ、ヌヂッヌヂッと血液と愛液が混ざりあいコウの腟内で照慈のペニスが動く。

 

 

「はっふ!んっ!これ……やばっ……!あっ!うんっ!!」

 

 

しばらくしてゆっくりとした動きで慣れてきたコウはスピードアップして腰を振る。その度にコウと照慈の身体に肉悦が駆け巡る。会社だということを忘れて、あられもない喘ぎ声が会議室に反響する。もしこの階の廊下に誰かいたら聞かれてしまうのではないかという懸念は2人にはなく、思うがままに乱れあっていた。

 

 

「んんっ!は、き、キスっ……して…っ!」

 

 

コウは肉体に迸る快感には勝てず今まで溜め込んでいた照慈への気持ちを爆発させ顔を近づけて唇を重ねた。

 

 

「ちゅっ…んちゅ……はぁ……ふちゅっ、ぺちゃ、んっ…!」

 

 

さらに舌を挿し込んで絡ませる。さっきまで照慈のを咥えこんで精液も含んでいた口だが、そんなこと忘れて2人は舌で口内を蹂躙し合う。いつの間にかコウの腰に合わせて照慈も尻を浮かせていた。上下で繋がってなんとも言えない幸福感が2人の間に流れて、コウはその幸せを肌で感じながら目を閉じて腰を振り、舌を動かして、顔は頬どころか全体的に真っ赤に染まっていた。

 

 

「ど、どう…っ…?……き、気持ちいい…?」

 

 

照慈の身体に自分の身を預けて騎乗位で腰を揺らすコウは耳元で囁く。やり方は出来ていても相手を気持ちよくさせられてるかはコウにもわからない。自分だけが気持ちよくなるのはコウは嫌で、照慈にも感じて欲しかったのだ。しかし自分の顔の横にコウの顔があるためこれでは顔で返事も出来ないなと彼は体勢を変えて、逆にコウを仰向けにさせる。

 

 

「ち、ちょっ、照慈…?」

 

 

突然の照慈の行動に当惑するコウに気持ちを切り替えるべく照慈はスーッと息を吐いた。

 

 

「こっちからいきますよ」

 

 

「えっ………ッ!!?…んっ!!ダメっ!あっ!ダメ、だってぇ!!あっ」

 

 

ぶちゅっ、ぐちゅっという音が繰り返され、コウが綺麗な声で鳴く。叩きつけるように勢いよくペニスを膣内の奥へと挿しこみ、その度にコウは妖美な声を出す。それが照慈をより興奮させた。

 

 

「はぁ…あっ!待って!……はげしっ、すぎふっ……!!」

 

 

打ち付けるような激しいピストンにコウは肉悦を感じずにいられず、さらに後輩に求めらているという現実が彼女をより快感の奈落へと落とす。舌足らずになり、大きく股を開きながら喘ぐコウは無意識に照慈の腰をガッチリとホールドする。

 

 

「すんませんっ!!もっ……止められないッ!!」

 

 

「やっ、ダメっ!ダメ…っ!!」

 

 

ずぷっずぷっずぷっ、と口では拒むコウへとお構い無しにパンパンに膨れ上がった肉槍で蜜壷を掻き混ぜるように蹂躙する。亀頭で幾度となく子宮にキスをし、その勢いは身体が前後に激しく揺さぶられるほどであった。コウに揺れる胸があればブルンッブルンッと乳房が揺れていただろう。しかし彼女の胸は小ぶりでとても照慈には見せられないとワンピースで隠していたが。

 

 

「あっ!ちょっ……ひゃっあ!」

 

 

照慈はそんなコウの気持ちも知らずに勢いよくワンピースを下ろして乳房を顕にする。それにコウは羞恥に染まり手で胸を隠そうとしたが、照慈の舌が彼女のピンク色の乳輪へと伸ばされる。

 

 

「ひいっ!……あっ!そ、そこ…ッ!な、舐め…ひゃっ……んっ……な、なにっ…これ…っ!」

 

 

自分の乳首を舐め回され襲いかかってくる未知の快感にコウは眉間に皺を寄せ、瞳を潤ませ、歓喜の吐息を吐きながら激しく全身を痙攣させた。それと呼応するようにキュウウッと肉壺を収縮させてペニスを締め付ける。押し寄せてくる精子の濁流を感じた照慈は膣からペニスを引き抜こうと咄嗟に身を引こうとするが、コウに足を回されガッチリとホールドされておりそれは叶わず逆により密着するように腰を押さえつけられる。

 

 

「ダメっ!!だひて!私のココにっ!…照慈のっ!……だひてっ!!」

 

 

「〜〜〜〜射精る…ッッ!!」

 

 

ヴァギナの一番奥で照慈の亀頭から破裂するように白濁液が撃ち放たれるり肉壺に多量の牡汁を流し込む照慈は身体を逸らして一滴も残さずコウへと流し込み、流し込まれているコウは一滴も零すまいと照慈の腰に足を絡ませる。

 

 

「ンンンっ!!これ……!出てふっ!しょうじのっ!濃いのっ!しぇんぶでてりゅッ〜〜〜〜!!!」

 

 

 

下腹部に広がる熱気を感じコウは、一瞬で子宮が満たされたのではないかと錯覚する。それほどに照慈の射精量は多く、子宮口を通じて胎内に精液が染み込んでいく。

 

 

「ダメぇ……これっ……私……妊娠…しちゃうぅ……」

 

 

ビクンビクンと身体を震わせながら目を見開いたコウの口からそんな言葉が漏れる。絶頂を重ね身体に力が入らなくなったコウの足が緩み、照慈は肉棒をようやく引き抜く。するとそこからコポォと粘液と混ざりあった白濁液が漏れだし、会議室のデスクの上に零れ落ちる。

 

 

「……参ったなこりゃ」

 

 

瞳が開かれ、だらしなく口を開け舌を伸ばして───晒された表情はアヘ顔と言って差し支えないだろう。そんな顔をしながら「でひた…これ絶対でひた……」と呟くコウに照慈は頭を抱えた。突然のことに避妊具を付ける暇もなく、コウの姿に見蕩れてそんな発想すら出なかったことに目元を抑えた。

もしこれで子供が出来てコウが寿退社なんてことになれば、コウとしては幸せかもしれないがイーグルジャンプにとっては大打撃だろう。

 

 

「やべ…マジでどうしよ」

 

 

「もう終わったかな?」

 

 

考え込む照慈の思考を遮るようにドアを開いて声をかけてきたのは今横たわっているコウと下半身を丸出しにしている照慈の上司であるしずくだった。

 

 

「し、しずくさん!?いつからそこに!?……ってあのこれは!」

 

 

「あ、いいよ知ってるから」

 

 

手を振って慌てなくてもいいよといつも通りのマイペースっぷりを発揮するしずくに呆気に取られた照慈は口をポカンと開ける。

 

 

「にしても凄い匂いだね。これは拭き取りだけじゃなくて消臭も必要かな」

 

 

照慈とコウはもう既に慣れていて分からないが、性交で飛び出た汗や唾液、愛液の匂いはむわぁっと部屋中に広がっており、僅かばかりに照慈の精液の匂いも漂い始めている。

 

 

「あの、えっと…」

 

 

この状況を知っているかのような反応を見せるしずくに困惑した照慈は言葉が見つからず口ごもる。それにしずくは微笑んだ。

 

 

「後処理はやっておくから今日は帰っていいよ」

 

 

「え、でも…」

 

 

「いいから。その代わりに明日、改めて話すことがあるからこの時間に会社に来てね」

 

 

優しく投げかけられた言葉だったが最後の『改めて話すこと』というのに照慈は身を強ばらせる。やっぱりクビだろうかと少し萎えた気持ちでパンツとズボンを履いて部屋を出る。しずくはその暗雲の浮かんだような背中が見えなくなるとクスリと笑顔をほころばせた。

 

 

「にしても結構時間がかかったね」

 

 

照慈をキャラクター班に採用したのは他ならぬしずくだった。当時はりんのコウへ対する行為は友達レベルにとどまっていたので男をチームに入れても問題はなく、しずくは寿退社で抜けた穴を埋めるためにエントリーシートを出してきた照慈を採用した。しかし、彼が入社してから1年後にコウが照慈に対して何らかの好意を持ってることを察知し、りんがむくれていることもあってどうなるか楽しみにしていたのだが。

 

 

「まさか2人ともしちゃうなんてねぇ…やっぱり若いっていいなぁ」

 

 

コウの体表を拭きながら呟いたしずくは気持ちよさそうに眠るコウの顔を見て羨ましそうに呟いた。サッと着ていたワンピースを脱がせて元々着ていた黒のシャツにズボンを履かせる。そしてだらしなく開いてる口に薬を放り水で流し込んで無理やり飲ませると部屋の外へと放置する。そして1人になったしずくはまたも独り言を零した。

 

 

「涼風くんに滝本くん、それに飯島くんと篠田くんに遠山くん。多分うみこくんともシてるかな?まぁいいけども程々にして欲しいね」

 

 

そう言いながらも彼女らの行く末を見守っているのは上司だからか、それとも単なる悪趣味なのかは彼女のみが知ることだ。それでも葉月しずくは部下達の幸せを願いつつ、照慈が望まない妊娠をさせない為に目を配るのだ。

 

 

「今度は私もしてもらおうかな」

 

 

ポツリと言った言葉になんてねと鼻で笑うと、ふふーんと鼻歌を鳴らしながら彼女は白く濁った液体をウェットティッシュで拭き取りながら部屋中にスプレーを噴いて満足げに鼻を鳴らし、その部屋の扉を閉めるのだった。

 

 

 

───────余談だが、コウはその夜真っ暗な廊下で目を覚まして恐怖したのだとか。




部下の尻拭いをする上司の鏡。そこにシビれる憧れる。

最初は照慈がキャラクター班に放たれたのはコウ達の欲求不満を解消するためという設定にしようかと思ってたのですが、それだと逆レ要素が余りないかなと思って破却。代わりにしずくがそこまで意図せずともそうなれば面白いなという気持ちで投入したという設定にしました。照慈はクビになるかと不安になってましたがなりません。ご都合主義だと思いますがフィクションなので目を瞑ってください。
なお、この世界のピルはノーリスクノーリターン。1錠服用するだけで妊娠回避出来るという、リアリストの自分もどうかなと思うピルです。


Q、じゃあ主人公は妊娠の心配する必要なくね?
A、ないけどそのピルの存在を知ってるのがごく一部で照慈は知らない。だから避妊具つけてしてる。なお、イーグルジャンプ内で知ってるのはしずく、うみこ、りんの3人(コウは性交前に膣内射精されても大丈夫なことをりんに伝えられている)だから生で出来ました(りんは出されてないけど)


で、あとはねねとしずくと本番してないひふみだけですね!インターン組?涼風青葉の逆襲?ほたるん?大和さん?すまない……他に描きたいネタが出来たんだ……R18はいつもより時間がかかるのだ……。
とりあえずゆっくりとやっていきます。今回アンケートにて次回に誰とのエッチを書いて欲しいかやってるのでどうぞ。締切とかは特にないですが、アンケートが消えてたらもう書き始めてると思ってください。

あとストーリーいらないって言われたんですけど…どうですかね?ストーリーもよくて面白いみたいな意見貰ってますし、こちらとしてもあった方がテンポよく進めるので。ほら俺同人誌とかエロ漫画で導入部分に重きを置くタイプだからね…?ということでストーリーはありでいきます(鋼の意思)






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21話 同期から悩み相談をされる話 act2

令和初めての投稿がこれでいいのだろうか。
あともうタイトル変えた方がいい気がしてきた。


イーグルジャンプに勤めるキャラクターデザイナーの滝本ひふみ。長い髪をポニーテールにまとめたお淑やかさを感じさせる美少女だ。性格は引っ込み思案で恥ずかしがり屋。しかし、趣味はコスプレでその時は人の前に平気で立つ。ただ知り合いに見つかりそうになるとコスプレのキャラになりきっていても、いつもの恥ずかしがり屋が浮上する。

 

職場では静かに真面目に仕事をこなし、彼女の3Dモデリングには定評があり後輩からも慕われている。けれども、コミュニケーション能力に難があり面と向かっての会話は苦手である。電子メッセージ上であれば、それは嘘だと言わんばかりにハイテンションになる。

 

そんな彼女にはとある悩みがあった。それは同僚や友人、家族にすら言い難い悩みであった。最近太ったとか、新しいコスプレの衣装が上手いかない。なんてそんな幼稚なものでは無い。彼女の悩みは崇高で、他の誰にも想像出来ないようなビッグスケールなのだ。

 

 

「わ、私……ふ、不感症……なの……」

 

 

そんな感じの前フリをされて、一体どんな悩みなのかと照慈は眉間に皺を寄せたが飛び出しきたセリフに彼はその皺を解き唖然とした。

 

 

「え、そんだけ?」

 

 

「う、うん……」

 

 

ひふみにとってはかなりの大問題でも照慈からすれば些細なことに過ぎない。でも、寝込みを襲ってくるような同僚にそんな悩みがあったとはと照慈は同情にも似た憐れみの視線を向けた。

 

 

「それって、その自分では満足出来ないってこと?」

 

 

「う、うん……」

 

 

昔からアニメやマンガが好きだったひふみは中学時代に好きな作品の二次創作があると知り、全年齢向けのものを基軸に見始めた。当時の彼女は多感な乙女であり、推しの主人公とヒロインがイチャイチャする同人誌を求めていた。そういう類は全年齢に当然あるのだが、さらにそれが過激となり身体でも表現するようになったのが描かれたのがある。それが成年向けである。

 

そこで彼女は保健の授業で教師の言っていた子供の作り方の方法を知り、SEXが子孫を残すためだけでなく愛を育むものであることも知った。そこから自慰の存在も知り、学生時代に興味本位で右手を股間に伸ばした。

 

しかし、彼女は同人誌でヒロインの見せた劣情に満ちた表情は出来なかったのだ。やり方を間違えたのかと思い、インターネットで検索をしてブログや記事を見たり、配信動画を視聴したりして様々な方法を覚えた。

だがそれらを試しても彼女は気持ちよくなれなかった。高校生になってバイト代が入るようになってからは、自慰用の玩具も買ってみたがこれもあまり気持ちよくない。

 

これは何かの病気なのかと、恐る恐る彼女は「自慰 全く気持ちよくなれない」と検索をかけた。その結果出てきたのが『不感症』の3文字であった。

好きなキャラのように気持ちよくなりたかったわけではないが、自分の同級生やほとんどの同性が感じれている快感を自分は知らない。それが彼女をとても不安にさせた。

 

 

そしてしばらくして彼女に転機が訪れる。専門学校を卒業して入社したイーグルジャンプで同じチームの同い年の異性と出会う。それが照慈であることは言うまでもないが、彼と関わるにつれてひふみにある気持ちが芽生える。それは彼女が到底持つでないであろうと思った恋煩いで、照慈への恋を自覚した時彼女は顔から火が出るほどの羞恥に襲われた。

 

それ以降、照慈の見せる笑顔や仕草が愛おしく見え共に食事をしたり、2人で出かけてみたいという学生時代に持たなかった恋する女の子らしい欲求が出てきた。だがその後彼女は思った。照慈は男だ。もし、彼と付き合うことになったら成年向け同人誌のように、身体を重ねるように要求されるのではないかと。

 

ひふみの読んでいたのはほとんどが純愛で、レイプやNTRはなくいい雰囲気になったら口付けをし合ったり、男の方が少し強引に攻めるというものであった。

今まで見た同人誌を思い出し彼女にまたあの頃の不安が蘇った。照慈にしろ、これから愛を永遠に誓い合う男が現れた時、恋人が不感症だったら相手は楽しくないのではないかと。

SEXだけが愛の形でないにしろ、人間の3大欲求なのだから頻度はどうあれすることは避けられないと思ったひふみは荒療治に出ることにした。

 

それが今の好きな人、照慈との(一方的な)愛あるSEXである。ひふみは照慈に悩みがあると家に連れ込んで、シャワー上がりに勝負下着を見せて彼を誘惑して襲われるつもりだった。しかしどういうことか、ひふみがシャワーから出てくると照慈は寝ていた。

予想外のことに気の動転したひふみだったが、起きないかどうかと照慈に近づいた際に若干盛り上がった股間部に気づいた。紙に描かれた男性器は何度も目にしてるが、本物は父も含めて全く目にしていなかったひふみは彼を起さないようにズボンとパンツをズラした。

 

そこから口淫と胸で彼の欲情を煽り、起きたところでSEXまで持ち込もうとしたのだが、しばらく前に青葉と一夜を明かしてブルーになっていた照慈は思いとどまり、本番までは至らなかった。

 

 

「えっと、つまりこの前アレをしたのはその不感症を治すためってことか?」

 

 

「う、うん……」

 

 

長ったらしい前置きに照慈は頭を抱えつつ、最終的な結論を導き出した。照慈はこいつさっきから「うん」しか言わねぇなと目を細め、それにしては大胆すぎないかとひふみの行動力に恐れおののく。

 

 

(不感症を治すために男のチンコ舐めたり、乳で擦ったりはしねぇだろ……)

 

 

しかもそれは照慈が気持ちよくなるだけでひふみは気持ちよくならない。あといつも思うけど、どうして自分はいつもこんなに女子のモヤモヤをぶつけられなければいけないのかと困り顔になる。

 

 

「それで、その……今日は……」

 

 

チラッチラと照慈の顔色を窺うように目線を彷徨わせるひふみは照慈の方に詰め寄った。

 

 

「だから……私を……気持ちよく……して?」

 

 

身体と身体が触れ合うところまで接近し上目遣いでそう言われた照慈は思わず目を逸らした。今のひふみは大きなバスタオルに身を包んだだけで、それを剥がせば生まれたままの姿となる。どうしてこんなことになっているかは、この前のお詫びがしたいとレストランに連れていかれ「疲れたから休憩しよう(超省略)」とひふみに頼まれてホテルに入った照慈の落ち度である。

 

 

「ね……お、お願い……」

 

 

まさか恥ずかしがり屋の同僚が休憩を口実にラブホに連れ込むような鬼畜になってるとは思わず、さらには自分の不感症のためにSEXを申し込んでくると誰が予想できるだろうか。

 

 

(しかも何がタチが悪いってこの身体を前にすると抗えないんだよなぁ…)

 

 

贔屓目に見なくてもひふみの身体はコスプレのために美しいプロポーションに保たれており、そうしなくてもハリのある綺麗な胸にスラリと伸びて程よく肉のついたおしりや太ももがある。ポニーテールの上から垣間見えるうなじが男性の欲情を煽ると言うが、ここまでパーフェクトな身体と顔を持つ美女に誘惑されて耐えられない男などいるのだろうか。

 

 

「くっ……!」

 

 

「ひゃあっ!?」

 

 

覚悟を決めた照慈はひふみの身体を包んでいたバスタオルを剥がし、その勢いで彼女を後ろに倒してその豊満な胸が目の前に見えるようにして抱える。

 

 

(こんなすばらしいボディを俺がいじいじしてもいいのか…?)

 

 

触れるとたぷたぷっと音を立てて揺れる豊満な胸を下から鷲掴みにした照慈はひふみの反応を窺った。少し身体が震えたように見えたが、それは胸を触られた動揺だと判断し照慈は次の行動に移る。

 

 

「ひゃあっ!」

 

 

いつもならキスをするか、ひふみの大きな胸にむしゃぶりついて乳首を舐め回すところだが、今回はそうはしない。本当にひふみが不感症なのか、それを確かめるべく照慈は両手の人差し指でひふみの身体をところ構わず刺激する。

 

 

「やっ、あっ……ひぁ…んっ、ひっ…」

 

 

たったこれだけの事なのにひふみは喘ぎ声を上げる。

 

 

「ん……っ!」

 

 

さらに背中からおしりまで指を滑らせるとつやめいた声が彼女から漏れる。あの自分がまさか感じたのかと驚愕の表情を見せる。

ドクンドクンと跳ね上がる心臓の音にひふみは身体の昂りを感じ、本来なら不快に感じるであろう二の腕を這う指ですら快感に思えるようになる。

 

 

「どうだ?」

 

 

「……わ、わかん、ない……」

 

 

これが本当に快感なのか、自慰でイッたり身体を震わせたことがないひふみにはまだ分からず、照慈の質問に首を振る。

 

 

「そうか」

 

 

ならばと照慈はまた同じく人差し指だけを立てて、今度はひふみの乳輪をなぞるようにして指を動かす。

ひふみはこの動きに違和感を覚えた。彼女の目にした同人誌ならば、男は胸を舐めたり乳首に吸い付いているはずでこのようなじれったい前戯はなかった。

なのに、どうしてこんなにやらしくエッチな気分になるのかひふみには全く理解できなかった。

 

 

「っ……はぁ……んっ……」

 

 

乳輪をなぞっていた指は興奮し固くなった乳頭をカリッと擦り、乳首が完全に勃起すると手のひらを広げて指先全てで胸を揉み始める。

 

 

「これでも感じてないのか?」

 

 

「…はぁ……っ……んっ……わ、わかんない……っ……」

 

 

いや、もう既に身体は感じている。それを証拠にひふみの目は蕩けて、まだ触れられてもいない陰部からは愛液が垂れ始めている。出てくる吐息は熱っぽく皮膚には汗が滲み、照慈の指先が皮膚の上を這う度に声が上擦る。

 

 

「そらよ」

 

 

「ふぁあぁっ!!?」

 

 

強情なひふみに照慈は少しばかりお灸を据えてやろうと勃起した乳首を強く握った。普通ならば痛みを伴い、なんの悦にもならない行為であったがひふみから漏れたのは快楽の叫びだった。

 

 

「そろそろ素直になれよ」

 

 

「はぁっ……にゃ……そん、はぁっ、にゃ…こと……な、い……」

 

 

「ほんとかよ」

 

 

明らかに発情しているひふみだが、ある言葉を口にしてしまえば照慈の手が止まることを悟りあの言葉を口にしない。それに反して照慈は何としてでもあの言葉を口にさせようと、右手でグリグリと乳首をひねるようにして刺激し、左手で乳首をコリコリと刺激する。

 

 

「んっ……はぁっ……っ……」

 

 

「お前、そんなにいじっぱりだっけ…?」

 

 

本当に感じていないのかと不安になった照慈は乳首をいじっていた右手をひふみのお腹の下へと伸ばす。そして、くちゃと指先に付着した粘液をひふみの目の前に見せた。

 

 

「なんだよ感じてるじゃねぇか。触ってもないのにネチョネチョじゃん」

 

 

「あ…」

 

 

照慈に言われてひふみも自分の大事なところに手を当てて、そこから溢れ出す愛液を指につける。今まで出てこなかったソレを見たひふみは目尻に涙を浮かべた。

 

 

「う、そ……」

 

 

どうして自分では一滴も出なかったものが、照慈にされると洪水のように溢れてくるのか。ひふみは彼と同じように自分の胸に指を這わせ、濡れた指で乳首を刺激したりした。

 

 

(あぁ……いまはきもちいい。……でも、これって……)

 

 

何故今まで気持ちよくなかったのか。どうして指で撫でられるだけでこんなヌレヌレになるのか。彼女にとって答えはひとつだったから。

 

 

「あっ……んっ……ん……っ、ひゃっ……はぁっ……んっ!」

 

 

好きな人を、照慈のことを考えながら指で乳頭をコリコリと摘み、もう片方の手で指を2本アソコの中に入れる。ぐぷっぐぷっと卑猥な音を立て指を引き抜くと手のひらまで愛液が伝わる。もはや自分の手でも喘ぎ声が出てくるようになっていたひふみだったが。

だけど、まだ足りない。

 

 

「ね……照慈……くん……」

 

 

僅かに毛が生えて愛液がついたことでより淫猥に見える女性器が見えるようにおおきく股を開いたひふみは愛しの彼の名を呼んだ。

 

 

「……しよ?」

 

 

 

 

 




投稿が遅れた理由
○ゴールデンウィークでも問答無用にある大学
○お友達とヲタ活
○バイト
○一言評価などでの精神的ダメージ(やっぱり見る度に凹むには凹む)


などです。

Q、おい本番は!?本番はどうした!!?
A、明日も早いからここまでで我慢しろ。

Q、前の葉月さんのどうなった!?
A、君のような勘のいいガキは嫌いだよ(また今度ちゃんと書くから今回なこれでゆるちて♡)


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22話 同期と骨の髄まで溶け合う話。

逆レ要素少ないと思ったんでタイトル変えました。逆レ好きな人は申し訳ない……。


どれだけの時間が経ったか2人には分からなかった。普段の照慈であれば数時間ほどで燃え尽きて賢者モードへと陥っていただろう。また、彼を求めた滝本ひふみも裸を見られた時点で羞恥心に敗れ去ってこの場から逃げ出していただろう。

 

だが、今回の2人はそうはならなかった。それは何故か。はっきり言ってひふみのしぶとさで照慈が根負けしただけなのだ。

ひふみの気持ちには前々から気付いていたが度重なる刺客たちに翻弄された照慈はそれどころではなく、ひふみもまた自らの気持ちがハッキリし手元の仕事がなくなるまで耐えることにしたのだ。その間に愛しの人が後輩や他班の人間や上司に襲われていたのだが、そこまでは彼女も知らない。

 

 

そして、新作ゲームが無事発売してバグの修正や雑誌への寄稿イラストや追加アップデートのキャラの製作が落ち着いたところでひふみは意を決して照慈を食事に誘った。

前回のこともあり照慈は渋ったのだが、そこをひふみが何度も頭を下げることで照慈は仕方なくひふみの予約した高級レストランで食事を終え………。

 

 

「滝本……」

 

「んっ、照慈……くん…っ……んむっ……んちゅ……っ」

 

 

酒に酔っ払ってまともに歩けないというひふみにホテルに連れ込まれていつもの如く性行為に持ち込まれてしまった。

しかし、今度のは照慈に落ち度はないと言える。一糸まとわぬ滝本ひふみが可愛すぎたのだ。コスプレイヤーを続ける彼女の身体は常に理想体型を維持しており、肌は毎日のスキンケアでキメ細かく美しい。髪もシャンプーにリンスでしっかり整えて適度にドライヤーをあてることで靡くような綺麗な髪質を保っている。

そして、滝本ひふみはそれらをしなくても元のポテンシャルが高い。自分では鬱陶しく感じていた大きな胸も男の照慈にとっては自然と目を引き寄せられる。ハリと弾力があって少しだけ乳輪が大きく、さらにチャームポイントに添えられたホクロが照慈を興奮させる。

 

 

「れろっ、ちゅっ……んっ、ぷあっ……」

 

 

接吻はこの前も交わしていたが、今回は照慈側から押し付ける。ただのキスなのにクラっとしそうになるくらいにひふみの唇はとろりと溶けそうなほど柔らかい。

 

 

 

「んん……ふぁ……はぁっ……ん、凄い……あむっ……んん……」

 

 

されるがままのひふみは好きな人から求められているようで心を満たされ、うっとりとした目で照慈を見上げる。そこに普段の羞恥心はなく、今あるのは好きな人と触れられている心地良さと幸福感のみ。

 

 

「も、もっと……」

 

 

だが、それだけでは足りないと。数年間に溜め込んできた性欲と色欲を満たしたいひふみは荒い吐息を漏らしながら照慈に訴える。すると、照慈はそれに応えようと再び口を近づけ、舌を彼女の口内へと入れる。

 

 

「やっ、んっ……あっ、ひゃっ……んっ……!」

 

 

かつては自分が舌を入れてキスしようとして拒否され落ち込んだひふみであったが、今はあの照慈が自ら舌を入れて自分の口内を掻き乱してくれていることでさらに欲求が満たされていく。だが、それと同じくらいに彼と一つになりたいという気持ちも昂っていく。

 

 

「あっ、ひゃっ……んっ……やっ……」

 

 

激しいディープキスと共に先程の愛撫で敏感になった胸を揉みしだかれてひふみは愉悦の声をあげる。その声は普段の彼女を知る者が聞けば驚くこと間違いなく、実際出した本人でも「私ってこんな声出るんだ…」と内心で思っていた。

 

 

「はっ、あっ、んんっ……んんっ!! んっ……あっ、あああああ!」

 

 

掴むと手に吸い付くようなボリュームに滑らかな肌の感触を持つひふみの胸に照慈はしゃぶりつき、ぺろぺろといやらしい音を立ててピンクの突起に舌を這わせる。

やめてとも、嫌がる素振りを見せないひふみに照慈はお構い無しに彼女のおっぱいを堪能する。胸元に見えるキュートなホクロを見つめながらスーッと舌を動かして乳房を舐めまわす。

おっぱいを揉まれ、乳首を吸われ、舌で舐められて、ビクンビクンと身体を震わせると照慈へと抱きつく。

 

 

「んっ、んんっ!……あっ、んむっ、ん…んちゅ、ちゅっ……んん……」

 

 

2人は大きなベッドの上で激しく絡み合い、今度はひふみから唇を重ねる。何度も、何度も唇を重ねては甘い吐息を漏らして、照慈の背中に回した手に力を込める。

唇をさらに重ねて、舌をいやらしく絡め合い、胸を揉みしだき、弧を描くようにして乳輪を舐めまわし、音を立てて乳首を吸う。

ひたすらに、照慈はひふみの唇と胸を味わい尽くし、ひふみはされる度に身体を震わせて絶頂していた。

 

 

「はぁっ……っ……はぁ……っ」

 

 

思いのままにベッドの上で乱れ合った2人は、一旦身体を起こして座り込む。その際に互いの陰部を見つめ合った。照慈のはギンギンに亀頭が腫れ上がっており、ひふみのは愛液でぐしょぐしょになっている。

照慈の天へと反り上がったソレを見たひふみは身を乗り出して顔を股間部に寄せる。

 

 

「え、な、なに?」

 

 

「あの、その……えっと……」

 

 

前回は光の薄い中で朧気だったソレはかなり大きく恐る恐る手で触れてみるとガチガチに硬くなっている。

一瞬、フェラをしようかと逡巡したひふみだったが股間から愛液がどんどん溢れてき、早く照慈と身体を重ねることを優先した彼女は再び背中をベッドに預けると腕を大きく開いて身体を解放し照慈へと微笑んだ。

 

 

「…き、き……て……?」

 

 

こんな可愛らしい美女からの誘いに誰が断れるだろうか。照慈は迷うことなく自らの肉棒の先端を毛で隠れたひふみの狭い入り口に押し当てるとぐぐっとモノを押し込んだ。

 

 

「んっ……!?ううっ……あぁっ……」

 

 

照慈の亀頭が入ったところで強引にこじ開けるようにしてひふみの腟内へと侵入する。さらに腰を動かしてモノを進めていく。

 

 

「うっ……あっ………っっっ!!!い、いたぁ……んっ…!!」

 

 

玩具などを使って既に処女膜を失くしていたひふみの膣からは血は流れなかったものの、彼女はまだ処女で実際の男の竿が入る感触に歯を食いしばって痛みを口にする。

 

 

「だ、大丈夫か?」

 

 

「う……っ……ん……その、ココに……挿入れるの、ひ、ひさし…ぶり、だっ、た……から……」

 

 

心配かけまいと作ったような笑いを浮かべるひふみに照慈は1度引き抜こうと前に出していた腰を戻そうとするが、それを腰に足を絡めてきたひふみによって止められる。

 

 

「だい、じょうぶ……だから…っ……つ、続けて……?」

 

 

目尻に涙を浮かべながら照慈に頼むひふみ。照慈はそんな彼女の要望に応えるように再び腰を動かす。

 

 

「んっ、はっ……んっ……い、いい…っ……き、きもち……いい……っ」

 

 

ぐっぷぐっぷと結合部から淫猥な音が出て、照慈は荒い息を吐き、ひふみは初めての快感に喘ぎ声を抑えられず彼が突く度に悦の入った声を出す。

 

 

「あっ、あっ、お腹に、ひ、響いて……あっ、んっ!……んんっ…ちゅっ……んっ」

 

 

ギシギシとベッドが揺れ、2人は腰を振りながら唇を重ね合わせる。貪欲に愛を求め合うかのようなキスをしながらも腰の動きは止まることなく、さらにその激しさを増していく。

 

 

「ああっ…んっ、ひゃっ……んっ……」

 

 

今までに感じたことの無い幸福感にひふみは心地よい気持ちになる。照慈の背中に手を回し、腰には足を回して抱きしめる。もっと深いところまで来て欲しいと懇願するように強く強く抱きしめる。

 

 

「あっ、あん!あっ!やっ……!」

 

 

照慈が突けば突くほど、ひふみは無意識的に蜜壷を収縮させる。互いに絶頂が近くなり、さらなる快感を求めようとじゅっぷっじゅっぷっと音を立てながら欲望のままに腰を突き動かす。

 

 

「あっ、ああっ……んっ!ンンンンッッッッ!!!!」

 

 

先に絶頂に達したひふみは部屋中に響くくらいの声を上げた。キュンキュンと下腹部が蠢き、子宮が疼く。

 

 

「くっ…俺も……射精すぞっ!!!」

 

 

追い打ちをかけるようにして照慈は溜め込んだ白濁液をひふみの腟内へと注ぎ込もうとピストンの速度を上げてより深くに肉槍を叩きつける。亀頭で幾度も子宮口をノックし、その快感にまたひふみは震える。

 

 

「ふぁッ!……うっ……えっ……!はぁっ……!」

 

 

ビュルッビュルッビュルッビュルルッッッ!!!!

 

前戯からずっと発射していなかった精子はひふみの中へと大量に注がれた。下腹部に広がる熱気に子宮が燃え上がりそうなほどの錯覚を覚えたひふみだったが、そこに痛みはなくあったのは

 

 

「い"っ……くっ〜〜〜〜っ!!!!」

 

 

今日1番の絶頂を迎えたひふみは瞳から涙を流し、口からはヨダレがだらしなく垂れ、目はチカチカと焦点が合わなくなるほどで、それほどに身体には愉悦が迸っていた。

射精中も彼の肉棒を離してなるかときゅううと締め付けてきた蜜壷から照慈は勢いよく「ぽんっ」とペニスを引き抜いた。

そしてそれを仰向けになったひふみの双丘に突っ込むと残りカスを彼女の顔にぶちまけた。

 

 

「はぁっ……!はぁっ!……んっ……」

 

 

自分の顔が汚されたというのにひふみに負の感情はなく、むしろさらに満たされたという満足気な表情を浮かべる。

 

 

「…滝本、大丈夫?」

 

 

少しやりすぎたかと今更に心配になった照慈は馬乗りになっていたひふみの上から降りると隣に回ってそう声をかけた。尋ねられたひふみは肩で大きく息を吐き、自分のお腹を摩ると恍惚とした顔で照慈の顔を見た。

 

 

「ありがとう……」

 

 

頬を赤く染め、可愛らしい瞳に雫を照らして口にした言葉の意味を照慈は深く追及することなく穏やかな笑みで返す。ひふみは照慈の顔を見つめると彼の後頭部に手を伸ばすと小さく口を開いた。

 

 

 

「もっと……しよ……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────その日、都内のホテルには夜通しで男と女が混じり合い、愛し合う声が響いたという。肌を重ね合う2人は力尽きるまで互いを求め合った。

 

 

 

 

 

###

 

 

激しく性を貪ってから数時間。やりたい盛りの男女とはいえいずれ限界は訪れるもので崩れ落ちるように眠ってから時間が経ち、目を覚まして時計を見れば朝の10時。カーテンの隙間から差し込んでくる陽光に照慈は目を細め、上体を起こすと大きく伸びをした。体にだるさはあるものの不快なものではなく、どこか清々しいものであった。

それは身体の所々に照慈の乾いた精子をつけたひふみも同じであり、照慈と目が合うと彼女は逸らすことなく彼を見つめた。

 

 

「……アレだな、時間あるし風呂でも入るか」

 

 

「うん」

 

 

調子に乗って顔射、パイ射をかましてしまいさらにはほぼ全身を舐めまわしてしまった負い目から照慈はひふみに風呂に入るように提案すると布団から出た。

 

 

「先に滝本入れよ。俺はさっさと出るから」

 

 

ベッドの上に座りひふみに先に入るように促した照慈はスマホを見ようと自分のカバンに手を伸ばした。しかしその手はスマホに届く前にひふみに掴まれる。

 

 

「…一緒に入ろ?」

 

 

後ろから身を乗り出して肩口から顔を覗き込んでくるひふみに、照慈は自然に股間部に血液が集まるのを感じた。朝の寝起きの彼女のあどけない顔は、照慈に効果抜群であり咄嗟に顔を背ける程であった。

 

 

「…ま、2人で入った方が早いしな」

 

 

断る理由を探そうとしたが昨日今日のひふみには何も通じないことは理解出来ていたので、照慈はすぐさまOKを出すと腰掛けていたベッドから立ち上がってバスルームへと向かった。照慈はパンツをササッと脱ぐとバスルームに入りシャワーの蛇口をひねった。いきなりだったので吹き出てきた水は冷たく後ずさりしそうになったが、朝のボーッとした頭にはちょうどいいだろうと浴びることしばらく

 

 

「ぬおっ」

 

 

背中にふにゅっと柔らかな感触が伝わってくる。温かく心地よい肌触りを照慈は知っていた。

 

 

「滝本……?」

 

 

ぴったりと密着し、その豊満な胸を背中に押し当ててくる張本人に照慈はゆっくりと振り返る。

 

 

「ふふっ……」

 

 

まるで子供のような無邪気な顔でひふみはずり、ずり、と照慈の背中に自分のおっぱいを擦り付ける。ふわふわした感触に包まれながら、照慈はある一点に籠る熱を堪えるようにして口を開く。

 

 

「た、滝本さん……んっ!??」

 

 

朝から攻めすぎじゃないですかね、と続けようとしたが迫ってきた唇に塞がれる。ちゅっ、ちゅっと音を響かせて舌を絡めあい激しく唇を貪る。キスをしながらひふみは照慈のお腹に手を回し、ゆっくりと下へと下ろしていくと熱くなった肉棒に触れた。

 

 

「…もう、硬くなってる」

 

 

「そりゃなるわ」

 

 

「あんなに……したのに……?」

 

 

ひふみの問いかけに押し黙った照慈は押し黙ると、彼女が自分のを上下に摩るのを視認する。やる気満々かよと彼女の性欲の多さに呆れて顔を上げると、鏡越しに後ろにいる彼女の顔が見えた。もっとウキウキと性を貪るような顔をしてると思いきや、ひふみの顔は耳から首筋まで真っ赤になっていた。

 

 

「しょ……う……じ……く……ん……」

 

 

「……ん?」

 

 

「………好きだよ」

 

 

そう言ったひふみは照慈の唇に自分の唇を押し当てる。その間に照慈の身体の向きを自分と向かい合うようにする。ひふみの身体に彼の膨れ上がったペニスが当たる。

 

 

「お、おい、滝本…」

 

 

唇を離して光の糸が2人の口から伸びる。そして、ひふみは照慈から少し離れてそのまましゃがみ込むと唇を亀頭に寄せる。

 

 

「ぺろっ、ぬちゅっ…ぺちゅっ……ちゅぱっ……」

 

 

先端部分を僅かに口に含んだひふみは首を動かす。浴室に淫猥な音色が奏でられ、照慈は朝一番に作った精子をひふみの口内に解き放った。放出された白濁液をひふみは全て呑み込んだ。

 

 

「……んっ……んっ……ふぅ……気持ち、よかった?」

 

 

「え……あ、あぁ……」

 

 

風呂に入った目的が変わってるような、射精後にそう思った照慈だったが口に出さずに股下を濡らしたひふみの陰部に再び硬くなったペニスを突き出した。

やはり、人間の三大欲求には抗えのないだと実感しながら照慈はひふみを抱きしめて、身体を重ね合う。ひふみの滑らかですべすべな肌の感触と豊満で芸術品のような胸を味わいながら、照慈は浴室で3回射精した。

 

 

 

 








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23話 ディレクターに盛られる話。

お久しぶり!いきなりだけどフェラでいいかな?



富嶽 照慈は極めて凡人だった。一般家庭の次男として生まれ、両親や親戚からの愛をもらって育った。学生時代も恙無く平穏に過ごし、高校時代にデザイナーかゲームグラフィックに関わる仕事に就きたいという夢を持ち、専門学校へと入学した。そして、無事に学校を卒業した照慈はゲーム会社、イーグルジャンプへと入社し社会人となった。

 

 

噂通り、女性ばかりがオフィスで散見されたが、上層部は男ばかり。彼もプレゼンなどでメインデザイナーを務めれば重役になれるのではと思いを馳せたが、専門卒の彼にそれは無理な話。社長か現役の重役の娘と結婚しても難しいだろう。

 

 

それに彼は1人の天才を見た。描くデザインのどれもこれが高クオリティで、自分の描いた絵がちっぽけに感じられるくらいに。しかし、彼は自分の絵を否定することは無かった。ひたすら研鑽を続け、自分らしさを追求した。その過程で、短時間で常に一定のクオリティの絵を描けるようになったのは嬉しい誤算だった。

 

 

おかげで彼は1年目にしてグラフィックチームの主力となり、その天才に認められるほどのデザイナーへと成長した。

 

ここまではいい。周りが女性ばかりでも彼は持ち前の人当たりの良さと、面倒みの良さで上司や部下に信頼され慕われていった。それが仇になったのは涼風青葉という新入社員がやって来てからだろう。

 

学生時代を同性の幼なじみと高校の時に出来た親友と過ごした青葉には男性経験など乏しいどころか無いと言って差し支えがなかった。

そして初めてまともに交友を持ったのが、人当たりがよく社内でも評判の良い照慈である。顔はイケメンではないが、不細工というわけでもない。普通より少し上くらいかと言いたくなるような顔だが、前述した面倒見の良さ、人当たりの良さは青葉に恋心をもたらした。

 

 

その結果起こったのが酔いに任せた逆レイプである。照慈も20年近く生きてきたが女性と肌を重ねるのは初めてで、それがしかも歳下に襲われるという形で一時はトラウマに陥ったものの、持ち前の立ち直りの早さでなんとかした。

 

 

それも束の間、今度は照慈が青葉と関係を持ったのではと勘づいた同期の滝本ひふみにより相談という体で家に呼ばれ、照慈の不注意により搾精されてしまった。

 

 

そこからは川の堰が切れたように同僚達と肉体関係に陥った。天才との関係に嫉妬した上司や20歳を過ぎて未だに処女なことを引きずっている後輩。友達が処女を捨てたのに自分がまだなことに憤りを感じた後輩。さらにはストレス発散のために他部署の先輩に逆レイプされ、最近では暴走した天才と社内で派手に性交してしまう。

 

 

「……まぁ、みんな彼氏がいないし溜まるのはわかるんだけどね」

 

 

そして、それがついに照慈のチームの最高司令官にあたる上司に知られてしまい、今彼はその最高司令官と共に会議室で向かい合っていた。

休日にも関わらず呼び出された理由はもちろん、先日天才こと八神コウと社内でズッコンバッコンしたのがバレたからであり照慈は申し訳なさそうに肩を落として座っていた。

対して、照慈の目の前に座る葉月しずくの顔は怒りに満ちてるわけでもなく、呆れているわけでもない。ただ、女達の性の捌け口となった照慈を同情しているのだ。

 

 

「彼女たちは真面目だったから、きっと学生時代はひたむきに目の前のことだけをこなしていったんだろう」

 

 

とても良いことだと葉月は頷くと共に憂いに満ちた顔で紅茶の入ったカップを手に取った。

 

 

「そのおかげで、君という雄を見て発情するようになってしまったわけだが」

 

 

「…すみません」

 

 

別に自分は悪くないと思うのだが、こう言っておくほうが無難であろうと照慈は頭を下げる。しかしそれに眉を寄せたしずくは紅茶の無くなったカップをソーサーの上に置いた。

 

 

「君が謝る必要は無いだろう。どちらかと言えば君も被害者だ」

 

 

「え、あ、まぁ……」

 

 

しずくの言う通り、照慈はほとんど被害者だ。しかし、明確に拒絶せずに、調子に乗って自分の快楽のために腰を振ったりしたのでハッキリと「俺は悪くない」と言えないのが彼の辛いところであった。

 

 

「そういうわけで君が気負う必要は無い。だから安心したまえ」

 

 

性欲は人間が生まれ持った3大欲求の一つ。だから、仕方ないと寛大なしずくは胸を張る。照慈はそれにペコペコと頭を下げるしかすることがなかった。

 

 

「だがしかし……」

 

 

「ん?」

 

 

そこでしずくが不敵に笑ったのを照慈は見逃さなかった。

 

 

「彼女達が夢中になる照慈くんの良さを私も知ってみたい」

 

 

「えっ」

 

 

目を細めて妖美な雰囲気を醸し出すしずくに照慈は思わず椅子から腰を上げた。嫌な予感がすると、危険信号がビンビンに立っていた。と、同時に何故か自分のムスコも勃起していた。

 

 

「ぬァっ!?」

 

 

「ふふ、効いてきたかな?」

 

 

計画通りと言わんばかりに微笑んだしずくに照慈は目線でどういうことかと尋ねた。

 

 

「なに、君の飲んだ紅茶に一服盛っただけだよ」

 

 

俗に言う媚薬ってやつ。動揺する照慈に対して、椅子から立ち上がってにこやかに照慈の真横にやってきたしずくはズボンの上からでもあからさまにわかるくらいに隆起した部分に触れる。

 

 

「あぐっ…!?」

 

 

ぴとりとやらしい手つきで股間に手を添えられた照慈は表情を強ばらせる。何かがおかしいと。ただ触れられただけで身体が震えるのは初めてのこと。これが媚薬の力なら恐ろしいものだと照慈は飲み干して空になったカップを見つめた。

 

 

「さて、見せてもらおうかな。君のペニスを」

 

 

ジッパーを下ろすとパンツの中に苦しそうに膨れ上がったペニスが収まっている。それを鞘から出すようにパンツの穴から出してやる。

 

 

「おぉ、これは……」

 

 

日本人の平均男性よりも少し大きかった照慈のペニスだが、媚薬を飲んだせいなのかさらに大きさは増しており、それはいくらか男性経験のあるしずくでも目を見開くほどだった。

 

 

「君これで八神達を…?」

 

 

「いや、なんかいつもよりデカいんすよね…」

 

 

僅かに照慈へ向けていた同情が揺らいだしずくは彼の顔に目線をむけるが、彼もこのサイズのペニスを見るのは初めてであり非常に驚いていた。

 

 

「なるほど……」

 

 

初めて使ったけど媚薬って凄いんだなと内心感心したしずくは照慈のペニスを指でちょんちょんとつつく。膣内に入っているわけでもないのにそれだけで照慈は苦悶の表情になり声を上擦らせる。

そんな照慈の顔を見たしずくはウキウキした表情に変わった。彼女はSかMかで言えば、前者であり、指で触っただけでこの反応なら咥えたら一体どうなるのかという嗜虐心が彼女の心を支配した。

 

 

「では、味見といこうかな─んぷっ、んっ…こりぇは……」

 

 

照慈の膨れ上がったペニスに躊躇い無く、しずくは先端部を頬張った。

久しく男とそのような行為に及んだことの無い彼女は媚薬によって促進された牡の匂いに鼻腔を擽られる。

 

 

「ん、ちゅるっ……んっ……ぢゅぷっ、ぢゅるるっ……!」

 

 

「くあっ、ちょっ、しずくさん…!」

 

 

媚薬の効果で敏感になったペニスに舌のザラメの感触がダイレクトに伝わってくる。

今までにない愉悦に顔を顰める照慈に、しずくは下半身に熱が籠る。

 

 

「ふふっ、これでも八神や遠山くん達よりも長生きしてるからね……んっじゅ……じゅっる……ちゅっぱっ……んっ、じゅっぼ……じゅるるるっ……!」

 

 

しずくとコウやりんの年齢は確かに離れてはいるが微々たるもので、それにしずくは日々アンチエイジングに努めている。なので、実年齢を知らなければコウやりんと同じくらいに見られる。

だから、彼女の言う年期の差はあまり関係なく、経験差の話であった。それはしずくが過去の男性との付き合いで培ったもので照慈はもちろんコウもりんも知らぬことである。

 

 

「んっじゅ……ん、ちゅっ、じゅる……」

 

 

男根のどこを刺激すれば相手が反応するかを理解しているしずくは緩急をつけながら照慈のペニスを舐め回す。

淫らな旋律に釣られて照慈の身体はガクガクと震え上がる。しずくのフェラは濃厚かつ刺激的で、亀頭をチロチロと飴のように優しく舐めてきたかと思えば、喉元まで咥えこんでディープスロートをしてくる。

その喉に先端が触れる感触すら激しい愉悦に拍車をかけ、どすどすと当たる口内よりも窮屈な空間。締めあげるような圧迫感が摩擦を強めて官能度を高める。

 

 

「やべっ……も、もう……」

 

 

男ながら情けないと照慈は息を切らして背筋を戦慄かせる。尿道が膨らんで睾丸からぐぐっと熱感が流れ込む感覚。じゅぷじゅぷと泡立つ口内の奥で鈴口がヒクついて栓を開く。

 

 

「ん?──ッ!!?んんん"っ!?」

 

 

射精が近づくにつれて、照慈は無意識的に今まで行き場のなかった手でしずくの側頭部掴む。それに驚いたのはしずくだ。彼女は瞳を見開くと、その刹那に唾液溢れる唇に肉棒が押し込まれる。

 

これまでの経験でイラマチオをやってきた男はいたがそれは日本人の平均サイズのペニスを持つ男ばかり。媚薬によって強化され、ビキビキと血管が浮き出た照慈の巨根でのそれはしずくに未開の扉を開かせた。

 

 

──グボッッ!!クボッ!グュボッ!ズボッ!!

 

 

強い欲望に突き動かされた照慈はしずくの顔を前後に揺らし、自分のペニスを口の奥へ奥へと入れようとストロークさせる。それにしずくは抵抗出来ず呻き声を上げて、彼の亀頭を喉奥で受け止める。

深いところにペニスが入り、その狭さと熱気にペニスが蕩けそうなほどの快楽に照慈は身震いする。その瞬間激しく苛む快感の波がとうとう沸点を超えた。

 

 

「あがっ……!!」

 

 

「ん"ん"ん"ん"ッふううッ!!」

 

 

──ビュルルッビュルルッ!!!!!ドクッドクッドクッドクッ……!!!!

 

 

今までにないほどの鮮烈な射精感が尿道を駆け抜け、考えることを放棄した獣のように照慈は精液を放出した。

 

 

「ん"ッ、んぐっ、おぼッ……!あっ……んっ、んっ……」

 

 

頭を掴まれたままのしずくは放たれた白濁液を喉元で受け止める。直接射精されたために吐き出すことも出来ないため、必死に鼻で息をしながら流れ込む精液をごくごくと飲み下した。苦悶とも恍惚ともつかぬ表情でビクビクと肩を震わせた彼女は咥えていたペニスを口から離すと手で口元を拭う。

 

 

「けほっ、けほっ……全く君というやつは……」

 

 

目を細めて睨むように照慈を見上げたしずくに、彼は息を切らしながらも天井を仰いでいた。もう秋だというのに体から汗が吹き出しており、快楽に思考を奪われていた照慈は息を整えながらゆっくりと顔を下ろす。その先には自分を睨みつける上司とあれだけ射精したというのに萎えるどころかさらに巨大化しているペニスがあった。

 

 

「いやー若いってすごいね」

 

 

「…多分薬のせいだと思うんすけど…」

 

 

さすがに照慈でも射精した後はペニスは萎むし、何かしらの刺激を与えてもらえねば数秒で勃起はしない。それに今回も彼は乗り気ではなく、出来るならここでもう終わってしまいたかったのだが。

 

 

「……おさまらないだろうねそれ」

 

 

「はい……」

 

 

頑張ってムキムキマッチョのオッサンを想像して気持ちを萎えさせようとしても照慈のイチモツは勃起したままでおさまる気配はない。チラリと恨めしくしずくを見ると彼女は穏やかな笑みを浮かべて口を開いた。

 

 

「ここで終わるつもりはなかったし最後までしようか」

 

 

「………はい」

 

 

このままの状態で外に出るわけにもいかず、照慈は少し不本意ながらもしずくの提案を了承した。




続きはまた書きまーす。


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24話 ディレクターとサカった話。

媚薬って心因性とただの精力剤のパターンがありますが、しずくさんが用意したのはハチャメチャに強力すぎて飲んだ人の理性が吹っ飛ぶ精力剤です。


着ていたセーターを脱ぎ捨てインナー姿になり、はちきれんばかりの豊乳の谷間を覗かせたしずくに照慈は息を呑む。

本人にその気がなかったとしても、しずくのちょっとだけ肉のついた腰周りや包容力のある胸にどうしても目がいってしまう。

しずくは己の欲と戦う照慈を解き放とうと再び肉棒に舌を這わせる。射精時にこびり付いた精液を舐めとると照慈はビクッと身体を震わせる。

 

 

「んちっちゅ……ちゅれろろろろぉ……」

 

 

濡れて輝く薄朱色の唇の中にペニスが入っていき、上からぱっくりと頬張ったしずくは艶めかしい笑みを含みつつ、じっくりと硬い肉棒を舐めてしゃぶっていく。

 

 

「じゅるっ、くちゅ、んむっ」

 

 

舌で亀頭を入念に舐め回されてから、裏筋をゆっくり舐めて、唇で照慈のペニスをしごくしずくに照慈は声もなく息を乱すだけだった。

なんとも淫らな唇と舌遣いに照慈は2度目の射精を迎えそうになるがその前にしずくの口が自分から離れていく。

 

 

「続きはこっちさ」

 

 

そう言って残りの下着を下ろし柔らかな脂肪のついたお尻が顕となる。さらにインナーを脱いだしずくは照慈の前に立つとインナーに封じ込められたその豊満な胸を照慈の股間へと下ろした。

 

 

「あッ」

 

 

「滝本くんや篠田くんには及ばないかもしれないが……中々のモノだろう?」

 

 

上目遣いで尋ねたしずくは硬直状態に陥っている照慈の返答を聞くことなく、大きな胸で照慈の男根を包み込む。すると、そこに収まりきらなかった亀頭がしずくの胸の谷間から顔を覗かせる。

 

 

「ホントに大きいね…」

 

 

はじめなら全て包めたのだろうかと思案してみたしずくだったが、生の裸体を見たことがない彼女にはわからない話だ。それに今回の照慈は媚薬により長さがはじめとした時よりも桁違いになっている。

 

 

「気持ちいいかい?」

 

 

むにゅりとたぷたぷした胸の中で彼のペニスを転がすようにしながらしずくは竿を刺激していく。竿の先っぽから出てくる汁をチュッると啜ると照慈が嬌声をあげる。それにしずくは瞳を細める。くちゅくちゅと唾を生成したしずくは唾液を舌先から照慈の竿へと落とすと、それを潤滑剤にして胸でペニスを摩る。

 

 

─ぬちゃ、ぬちゃ、ぬちゃ、たぷったぷっ、ヌチュ!ヌチュ!ヌチュ!

 

 

摩る度に照慈は喘ぎ声を上げて腰を浮かせるほどに快楽を感じていた。顔を歪めながら射精感が募っていくのを感じながら、彼の視界は少しずつぼやけていく。

 

 

「喘ぎ声なんて上げて、よっぽど気持ちいいんだね」

 

 

では、オマケに…としずくは亀頭を舌で舐める。れろ、ちゅぷと唇も使って亀頭に悦楽を与えながら胸を動かすと肉棒に浮き上がった血管が破裂しそうなほどビクビクと震える。

 

 

─ヌッチュヌッチュ!ぬろ……ちゅぶっれろれろれろれろ……

 

 

しずくが思いつく限りの行為を照慈のペニスに加えてやると、照慈はペニスに熱が籠るのを実感し、それと共に歯を食いしばった。尿道口が大きく開き、先程出したにも関わらずドピュッ!!と飛び出した精液はしずくの目下まで飛散する。

 

 

─びゅるっびゅるるっびゅるるるっびゅるっ…!!!

 

 

しずくの胸元に滝が出来るほど射精した照慈はがくりと項垂れ、大量の精液を浴びたしずくは2度もこれだけの量を出して衰える様子のない照慈の男根を注視した。

照慈は大きく息を吸って吐くと霞んでいく意識の中、インナーを脱ぎ捨て精液を拭き取ると投げ捨てるしずくの姿が目に映る。

 

 

「ふふっどうかな?流石に滝本くんや涼風くんのようにピチピチではないが」

 

 

靴下以外の衣類を脱ぎ捨てて一糸まとわぬ姿になったしずくは自嘲するように照慈へと視線を向ける。それに照慈は朦朧とした意識の中、頑張って首を振った。

しずく本人が気にしている肉のついたお腹や尻周りは艶かしさといやらしさを醸し出しており、それを見た照慈のペニスはさらに反応し臍まで一気に反り返る。

 

 

「そ、そんなことないっすよ……しずくさんはその綺麗で美しくて……大人の女性っていうか……」

 

 

「……ありがとう」

 

 

照慈の言葉が本意であろうがなかろうが、褒められて喜ばないしずくではない。それに照慈の性格から彼が下手な嘘をつくことはないと知っているしずくは本心であるとわかっている。だから、余計に嬉しくなりしずくは前から照慈に抱きつく。

 

 

「おうふっ!?」

 

 

大きな膨らみが照慈の頭を挟み込みギュッと手での抱擁を感じる。窮屈なのに嫌ではないこの感覚。これがバブみなのかと、照慈はぼーっとした意識の中、自然としずくの胸を揉み始める。

 

 

「んっ、照慈くんもだい、たんだね」

 

 

平均よりもはるかに大きくてだらしない胸を両手で揉みしだき、その度にしずくが艶のある声で喘ぐ。

その瞬間、スイッチが切り替わったように照慈の意識は沈んでいく。だがそれでも身体は動こうとしていた。

揉むだけでは足りないと、今まで座っていた照慈が立ち上がると大きなチンポがしずくの下腹部に当たる。

 

 

「おいおい、もうするの──ッ!?」

 

 

いきり立ったペニスを当ててきたのを膣に挿入れたいというアピールと取ったしずくだったが照慈の真意はそうではなく、ただ快楽を欲しておりしずくの口の中に舌を乱暴に押し入れるとディープキスをし始めたのだ。

 

 

「はむく、ちゃっ、ちゅっ…あっ、舌、しゅ、すごっ……あっ……んっ……!」

 

 

普段の照慈なら求められなければここまでしないが媚薬の効果で既に冷静な思考が出来ず、牡としての快楽を貪るべくしずくの口内を掻き乱す。その中には自分が出した精子の味や自分の甘い粘液の味がし、照慈はそれを吸うように、さらに自分の唾液を流し込むようにして唇を重ねて舌をいれる。

 

 

「ちゅ、ちゅっ──はあぁ、こんな、キス、ひ、久しぶりで……んっ、あっ……んちゅ……んんっ……」

 

 

若い牡に求められて身体をビクビクと反応させ始めたしずくは下腹部に熱が籠るのを自覚せずにはいられず、立っているのもやっとの状態で照慈と接吻を交わし続ける。

 

 

「んっ!照慈、くん、そ、そこはっ、はぁんっ!!んっんんっ!!」

 

 

キスをしながら胸を揉んでいた手はさらにやらしい手つきへと変わり、乳輪をなぞって陥没している乳首を外に放とうと刺激を与えてくる。それにしずくは腰が砕けたように身を落としていくと、照慈がケモノのように彼女を床に押し倒す。

 

 

「はあっ!や、らめ、ち、乳首はっ…!」

 

 

「じゅるっちゅる……じゅるるるる!」

 

 

照慈は無言で乳首を重点的に啜りまくる。段々と突起は硬質になり、口に含まれたしずくはぴくぴくと快感に震える。乳輪ごと根元から膨らんで艶めかしさを放つしずくの胸を舐め回す度に「ひゃん」と鳴き声をあげる。

先程まで自分が優位に立っていると思っていたしずくは瞬く間に平静さを欠き純粋に肉欲を貪る獣となった照慈にされるがままとなっていた。

 

 

「はぁ、はぁ、こんなの、久しぶり……いや、は、初めてかな……っ!」

 

 

性交経験のあるしずくでもここまで執拗に胸を弄られたのは初めてで新しい世界の扉を開くところであった。実際?無垢に乳首を舐めてくる照慈に、しずくはきゅっと目を瞑って快感を堪えている。だが、彼女もわりと限界が近くイッてしまう直前であった。

 

 

「あっ」

 

 

しかし、堪えていたそれはグチュッと自分の秘部に肉先が当たる。照慈は未だ理性を失っており本能的にしずくの膣を求めているのだろう。

 

 

「ゴムはつけて欲しいんだが……まぁいいか」

 

 

今回のことを招いたのは自分のいたずらごころで照慈の性欲を爆発させているのだ。それになかったとしてもピルがある。

そう思うと濃いめの陰毛を掻き分けるように押し寄ってくる勃起棒を感じながら、諦めるように呟いたしずくは瞳を閉じた。

 

 

「あっく……んっ、ああああッッ!」

 

 

─ずぶぶぶぶぶっ!

 

 

十分な濡れ具合としずくが処女ではないこともあって、ペニスはスムーズにしずくの腟内へと入った。じゅぶっ、じゅぶぶぶぶぶっと肉棒を蜜壷全体で咥えこんだ。

 

 

「あっがっ……!?」

 

 

それも根元まで。あれだけの巨根が初撃で子宮口まで入り込んでくる。本来痛みが込み上げてくる可能性のある出来事に、しずくは顔を蕩かせた。

 

 

「はふうう……はぁ…はぁ……いいよ……これ……」

 

 

肉悦にヒクッヒクッと肢体を震わせて、舌を出しながらしずくはあられもない姿で呟く。無遠慮にいきなり押し込まれたペニスも今までにない太さと長さで、さらに前戯で興奮が高められたしずくの身体とはベストマッチしていた。これで手マンやクンニもされていたらしずくの方が意識を失っていたであろう快感に彼女は身悶える。

 

 

「んっ…っ!待て、照慈く、ん!、そのまま動かれっ!……あッ……!んんッ!」

 

 

媚薬とフェラによる快感で理性を失い本能で動くようになった照慈はしずくの腟内と子宮口の具合を確かめると肉棒を亀頭から下まで引き抜くと再び一気に挿入して子宮口にノックする。腰を振って前後に揺する度にぱちゅんぱちゅんっ!と肉と肉が弾けるような音が響く。

 

 

「あッあンダメっ、や、やめっ、あぁんッ、激しっ、当たって、当たってる!」

 

 

経験人数が10人に満たないにしてもしずくの中は照慈の巨根を迎え入れるには十分であり、むしろ彼女でなければ媚薬で強化された彼の男根に悲痛な叫びを上げていただろう。

それに程よくほぐれたしずくの膣肉のヒダは照慈の男根に的確に快感を与え、溢れ出る粘膜が柔軟に吸い付いてくる。

 

 

─ぢゅぶぢゅぶぢゅぶぢゅぶヂュブヂュブヂュブッ!!

 

 

「はああッ、んあッあはぁぁぁッッ!!」

 

 

本能の赴くままに子宮口を突く照慈にしずくも既に我を忘れており、びくびくと全身が痙攣して濡れた唇が大きく開き一際甲高い声をあげる。

腟内でなきゅううっ!と収縮し肉棒を食いしめ、子宮口でカリに密着し吸い付くようにキュウキュウと戦慄く。

わずか数分足らずでしずくは絶頂しており、それを証拠に目は蕩け口はだらしなく開き唾液を垂らし、上半身には先程の精液が張り付き、下半身も自ら滴る愛液でびしょびしょになっている。そして彼女は突かれては腰を浮かして官能の声をあげる。

 

 

「うあっ、ああああッ!……はううっ!はあッあぁぁぁんッ!!!」

 

 

今のしずくを彼女のビジネスパートナーが見ればどう思うだろうか。完全に牝としての快楽に取り憑かれてしまったしずくは牡としての本能を剥き出しにした照慈にされるがままになっている。

ズチュッ!ずちゅるるるっ!と引き抜かれたペニスを再度鋭く突き刺し、さらにプレスするように奥に押し込んではまた引き抜く。

刺激に太ももがピクリと震え、愛蜜がびちゃっと膣口から飛び散る。

もはや自分が何度イッたか記憶できなくなったしずくにトドメを刺さんと竿が派手に脈打って尿道から熱が駆け抜ける。

 

 

「あンあンッ、はああッ出てるっ!熱くて、濃いのが、私の腟内にッ、出てりゅ~~~ッ!!!!」

 

 

─びゅるるるるるっ!びゅる、びゅるっ!……びゅるるっ、びゅるるっ、びゅるっ!!

 

 

甲高い嬌声が響くと同時に大量の白濁液がしずくの腟内を蹂躙していく。

 

 

「あちゅい…あちゅいのが、奥に…奥にきてりゅ……ダメぇ……出されて…りゅ……」

 

 

睾丸に溜まっていた精子を全て吐き出したのでは無いかと言うくらい射精した照慈はペニスをちゅぽんと引き抜く。3度目に関わらず1度目と2度目を超える射精量をしずくの膣は全て受け入れることは出来ず、ドロドロと膣から外へと溢れ出ていく。

 

 

「部下とこんにゃの…ダメなのにぃ……気持ちよくて……はぁあぁ……だみぇ……」

 

 

照慈が絶頂したとの同じく、彼女とまた絶頂した。しかも派手に失禁し、床には彼女の膣から零れ落ちた愛液と照慈の精液で水たまりが出来ている。

仰向けに舌を出しながらアクメをキメた彼女はうっとりとした目で自分をこんな風にした元凶を見た。

 

 

「うしょ……まだ……勃ってりゅ……」

 

 

何度も押し寄せてきた悦楽のため舌足らずになってしまったしずくは未だに空へと伸びるように勃起している照慈のペニスに熱い視線を向ける。一方、照慈はしずくの顔など眼中に無く牡としての義務を果たすべく腰を下ろして再びしずくの膣へと入っていく。

 

 

「あんダメぇ、イッたばかりだかりゃ、私、あッあン感じちゃう!またスグイッちゃうううッ!!!」

 

 

普段クールビューティを装った奇人として生きている葉月しずくからは考えられない乱れっぷりを見れば、彼女を知る誰もが驚きの顔を浮かべるであろう。だが今の彼女は1人のオスに蹂躙されるだけのメス。アクメ続きで力の抜けた腕はだらんと垂れて、目元は見るも真っ赤に染まり口元は締まりなく緩んでいる。

 

 

「あッはああああくるううッッ!!」

 

 

予告無く、照慈は4度目の射精を行う。先ほどので既に白濁液で満ちた空間に同じものが勢いよく注がれていく。普段なら1ヶ月自慰をしていない照慈でも3度か4度が限界なのだが、しずくの与えた媚薬は与えた本人の予想を遥かに超えて照慈のペニスにパワーを与えていた。

一通り精液を吐き終えた照慈はその肉棒を引き抜くことなく、膣内で蠢きはじめる。

 

 

「あンっまた、うご……しゅご……ぅぁ……」

 

 

間を置かず続くさらなるピストンにしずくは蕩けきった声を漏らして沈みゆく意識の中で瞳を閉じる。自分がもっと若ければ最後まで彼とのSEXを続けられたのかと脳裏で考えながら、彼女が思考を停止する。

その刹那に腟内に灼熱の塊が駆け抜けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

###

 

 

 

「なんだこりゃ……」

 

 

謎の虚無感と脱力感に苛まれながら目を覚ました照慈は開口一番にそう放った。理由は自分の周りの状況がおかしすぎるからであろう。

大の字に寝転ぶしずく。その彼女の状態があまりにおかしい。全裸で自分の上司がヨダレを垂らして寝てるというのが霞むほどに、彼女の全身には乾いたと思われる白濁液が乗っている。

さらに自分と彼女の下には精液と愛液が混ざりあって出来た小さな水たまりがあり、それが部屋に充満する性の匂いと混ざって鼻腔に突き刺さる。

 

 

「……えっと、俺はしずくさんに媚薬を飲まされて」

 

 

パイズリをされた後からの記憶どころかフェラ辺りの記憶も怪しい照慈は頭を抱えた。自分は一体何をしたのだろうと。冷静になった彼は彼女と行為に至った場所に危機感を感じた。会社、それも会議室。

急いでスマホを取り出した照慈は日にちを確認するとほっと胸をなでおろした。会ったのが昼過ぎでそれからかなり時間が経っているものの深夜の1時。月曜日で他の人間が出社してくるにしてもまだ時間があった。

 

 

「しずくさん起きてください、しずくさん!」

 

 

「……むにゃ、んん……しょうじくんそれ以上はぁん……ん…」

 

 

しずくにカーディガンを被せながら彼女を起こそうと努めた照慈だったが、幸せそうな寝顔で呟かれた寝言に戦慄すると彼は距離をとった。どんな夢を見てるかは想像に容易かったが、彼女がことの元凶でも無理矢理起こすのははばかられたため、掃除用具箱に何故か置いてあったタオルやウェットティッシュ、さらには避妊薬で手早く事後処理を済ませていく。その際にしずくの身体を拭いた照慈だったが、ほぼ全てを出し尽くした上に賢者モードを超えた仏陀モードの照慈は無心でしずくの身体についた汗や精液の跡を拭き取る。そして彼女にある程度服を着せると一礼をして会社を出た。

 

 

「……女って怖い」

 

 

照慈はあまり力の入らな足で自転車をこぎながら自宅へ戻る道すがらそう呟いた。なお、しずくは照慈が帰ってからしばらくして起床し、朝日が昇る前に帰宅した。

 

 

 

 

 




強力アフターピルは照慈がしずくが寝てる間に流し込んだ模様。
なので妊娠エンドはないよ!やったね!

とまぁしずくさんがキャラ崩壊するくらいに犯させたんですがいかがだったでしょうか。媚薬、精力剤ネタは1度書いてみたかったので書けてよかったです。ちなみに照慈は13回射精してます。テクノブレイクにならなくてよかったな。

あとはねねとほたるんにインターン組が残ってるのですが、その子らも照慈に相手させるのはさすがに可哀想なので新主人公を投入しようと考えてるのですがいかがでしょうか。
新主人公を投入しても照慈は出るし、前述したメンバー以外とはまた身体を交えると思われます。なので心機一転ってことでどうでしょうか。

賛成反対はアンケートの方で取らせていただくのでよろしくお願いします。
では。


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25話 主人公が勃起不全になった話。

主人公の人気?っぷりに作者嫉妬。
そんなに新主人公嫌なのか…。竿役1人の方がみんな好きなんすかね~(前話アンケートを見ながら)


 

しずくさんに盛られサカられてからしばらく経った頃、俺にはある問題が起きていた。俺自身、あれだけ射精したのだから当然だろうと割り切り、特に気にすることなく日常を過ごしていた。

しかし、その言葉はある日唐突に告げられた。

 

 

「照慈くん、最近勃起してないわよね」

 

 

「は?」

 

 

休憩中、すれ違いざまに遠山さんが思い出したように呟いた一言は俺の耳を貫通することなく、鼓膜に留まり俺は足を止めた。

 

 

「なんですいきなり」

 

「え?違うの?」

 

 

確かにしずくさんとシて以降、俺は勃起不全に陥っている。違和感に気付いたのは三日後くらいで「そういえば最近朝勃ちしないな」と朝にトイレをしてる時だ。いつもなら誰かと性交した後でもそれなりに元気さを放ってる俺のムスコもここ暫くはしょんぼりしていた。

けれども、俺の生活に支障はなく勃起しないから死ぬわけでもないので病院にも行かずに放置している。それにむしろ勃起不全でいれば求められてもSEXしなくて済むしな。

だが、どうして遠山さんがそれに気づいたのか不思議で不思議でたまらん。どういう観察眼してるんだこの人。聞いてみると遠山さんは何故か恥ずかしそうに口ごもりながら

 

 

「えっ、昼過ぎになったらいつもしてたから……」

 

 

と「もう!言わせないでよ!」と顔を赤くしていた。こんなところでピュアさ出さなくていいから。ギャップ萌えで死んでしまうとかそういうんじゃないけど……ただ、これを前にして勃たないってのは問題なのだろうか。

いや、けど俺の身の保身は保たれるし特に何かする必要はないように思う。一応詳細は省きつつ仲の良かった後輩に相談してみたが「知らないですよ」と苦笑いで返された。そりゃそうだ。むしろ、飽きれずに苦手笑いしてくれただけでも嬉しかった。

 

 

「しかしどうしたもんかな…」

 

 

遠山さんには本当に勃起不全になったのか試しに1発してみないかと提案されたが断っておいた。あんな恍惚とした顔でシコシコジェスチャーを会社でするもんじゃないと思うよ。

 

 

「どうしたんですか?」

 

 

「あ、涼風か」

 

 

解決すべきか否か昼飯を目の前に悩んでいると隣からひょこっと涼風がやってくる。「隣いいですか?」と尋ねられ了承すると、涼風は手に持つお盆を机に置くと椅子に腰かける。

 

 

「何か悩み事ですか?」

 

 

「うん。けど、大したことないよ」

 

 

涼風が男なら相談できるんだが、そうじゃないからこの話は出来ない。他の友達に言おうにも、悩んでる理由を言わないと恐らく病院行けとかまともなことを返されるだろう。

食べかけだったハンバーグの部分を箸で切り分けると、それを口に運び咀嚼する。

 

 

「そうなんですか…」

 

 

そう言うと涼風は肩を落として食事を摂り始める。そして、俺が食べ終わる目前、涼風が半分ほど食べた辺りだろうか彼女は何か思い出したのか「あ」と声を上げるとこちらを振り向いた。

 

 

「あと1週間で社員旅行ですね!」

 

 

「あーそうだね」

 

 

イーグルジャンプには毎年冬の時期になると社員旅行に行く。場所は北海道。日本最北端の都道府県にスキーやら海の幸を楽しみに行くのだ。2泊3日と短いようで長い休暇は特に拘束されることなく、他人に迷惑をかけなければ基本的に自由である。男一人の俺は入社当時は八神さんと遠山さんとで海の幸や日本酒を食べて飲んで周り、2年目からは後輩ができたのでその子らに奢ったりして3日間を過ごした。

今年はどうしようか。旅館は毎年同じというわけではないから、今回の場所によってはSilverspoonのモデルになった高校やら牧場に行くのもいいなと思考してると隣から微笑みの混じった笑い声が聞こえる。

 

 

「あ、すみません。なんだか楽しみそうだったので」

 

 

「…涼風は楽しみじゃないのか?」

 

 

「そりゃもちろん!……でも、私運動苦手なのでスキーができるかどうか…」

 

 

「まぁ、スキー以外にもソリとか、あとは雪合戦したりしたし、きっと楽しめるとは思うよ」

 

 

「本当ですか!?」

 

 

俺がそう言うと涼風は落ち込んでいた瞳を輝かせる。ほんとにこの子社会人なの?やっぱり修学旅行前の高校生とかなんじゃないかな。いや、でもそういえば、俺はこの子に初めてを奪われたんだったな。それを思い出しちゃうとなんだか複雑な気持ちになるな。

 

 

「じゃ先輩、あっち行ったら滑り方とか美味しいお店教えてくださいね」

 

 

「え、あ、うん。考えとく」

 

 

「そこは分かったって言ってくださいよ」

 

 

ここで了承すると俺の自由時間が減りそうな気がしたからあえて有耶無耶にしたのだが、涼風には当然な反応をされてしまった。涼風のジト目を受けて苦笑しながら、俺は食堂をあとにした。

 

 

 

###

 

 

 

社員旅行前に済ませられる仕事は済ましておきたいという会社の意向で、夏のゲーム発売から数ヶ月経ち落ち着いて来た秋終り頃に前作の開発の感想を聞く面談がある。

あまり堅苦しいものでなく、ディレクターとプロデューサーの2人と3人であの時は大変だったねー、だからこうしようー。あそこは良かったねー、次も続けようー。みたいなそんな感じの緩いものだ。個人的でもチーム的なものでもいいと思ったところに反省、これからの目標などをシェアしていく。

それが次回のゲーム開発に貢献してるかと聞かれたら俺は知らない。

 

 

「目標ですか、そうですね現状維持ですかね」

 

 

「照慈くんらしいと言えばらしいね」

 

 

俺の面談だが、淡々としたものだった。今の俺に感情の起伏があまりないのもあるが、目標も反省もなく、良いところは遠山さんの管理スケジュールのおかげで残業が少なくて済んだというところだ。

それを伝えると他の人も言ったのか「じゃあ次も遠山くんにしてもらおうか」としずくさんがにこやかに言う。

 

 

「ところで照慈くん。キャラリーダーをやってみる気は無いかい?」

 

 

「八神さんがやるんじゃないんですか?」

 

 

「若いのも育てないと」

 

 

実力と年数で言うと、俺か滝本らしいのだが後者は伝えた時点でびっくりして目を開けたまま意識を失ったらしい。そんなに嫌なのだろうか。

 

 

「無理にとは言わないけど、どうかしら」

 

 

「……考えときます」

 

 

わりとどっちでもいいんだけど、ここは保留にしておこう。できるだろうけど、次の作品によっては涼風とか飯島にも出来るかもしれないし。ここでちょっと微妙そうな顔をして、やるかやらないか分からないようなラインを相手に伝えておけばOK。これで話は終わり、立ち上がって部屋から出ていく間際はしずくさんが口を開いた。

 

 

「今年の社員旅行は何をするか決めてるのかい?」

 

 

聞かれて立ち上がりかけた体勢のまま考える。今のところ涼風にスキーを教えてと頼まれ、滝本と美味い魚がある店に行かないかと誘われ、飯島と篠田に風呂上がりに卓球をしようと声をかけられている。どれも保留にしてるが。おそらく、八神さんとうみこさんにも何かしら誘われる未来が見えるので、1日と半日くらいは誰かと付き合って終わるだろう。

流石にあっちにまで行って性交を申し込んでくることはないだろうし、俺は現在進行形で出来ないし。

 

 

「特に決めてないっすね」

 

 

「あ、だったらコウちゃんと3人で温泉巡りでも行かない?」

 

 

おっとここで遠山さんが乱入。これは俺のエピタフでも見えなかった。遠山さんのことだから八神さんを独占しようと俺を近づけさせないようにすると思ったんだけど。

 

 

「いいね。けど、私は旅館の温泉でいいかな」

 

 

どうやらしずくさんは誘うつもりはないらしく、俺の好きにさせてくれるらしい。本当、他の女の子と達も見習って欲しいぜ。

 

 

「まぁ、考えときます」

 

 

では、と部屋から退出する。社員旅行、行きたい場所やら食べたいもの、やりたいことは誰にでもある。けど、やはり所詮俺は男一人。来年こそは新入社員に男を入れてくれと切に願いながら、手元にある仕事を片付けるべくキーボードとペンを動かし始めた。

 




なお、主人公のEDは媚薬の反動で社員旅行頃には治る模様(愉悦)

次回から社員旅行編です。女ばかりの会社で男一人で旅館に温泉!何も起こらないはずがなく……おっと話しすぎるところでした。
そんなわけでこれもここまで続いちゃったよってことでね、社員旅行編はちゃんとやりてぇな!と思ったわけですよ。
何をするか決めてないですけどね!とりあえず主人公を油断させるためのED。


ん?ねねっち?知りませんねそんな子…(嘘です)
書きたいけど、社員旅行編終わりでいいかなって…。それでも書くかは微妙だけど。


他にもこんなのして欲しいみたいなアンケート取ろうかと悩んだけど、それすると「あー書かなきゃなー」ってなっちゃうんでやめときます。けど、社員旅行編で主人公が取るべき(取って欲しい)行動をアンケートで取ります。なお、その行動を取ったからと言ってその子らとSEXとは限らないで悪しからず。


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26話 社員旅行で北海道に行く話。

ねねっち最高やんな(この話には出てこない模様)


どんどん近づいてくる年末前に我らがイーグルジャンプは社員旅行で北海道に来ていた。冬場ということで北海道は一面に広がる銀世界。アイスボーンな景色を旅館に向かうバスに乗りながら眺めていると自然と声が漏れる。

 

 

「うわーすげー北海道に来たみたいだぜ」

 

 

「北海道ですよここ」

 

 

「…うん」

 

 

「先輩大丈夫ですか?」

 

 

「昨年も来ましたよね?」

 

 

そんなつぶやきに口を挟んできたのは俺の隣に座る女の子4人組。何故かよく分からないが俺はバスの最後列の5人席に座らされている。誰がどこに座るかは自由なのではと困惑してる間に俺の手には余る美女達が俺の隣に陣取っていたのだ。この期に他の男性社員と親交を深めようと計画していた俺だったが、俺よりも上手だった涼風達に阻まれてしまったのだ。

まぁ、別に美少女達に周りを囲まれるのはとうの昔に慣れてるし、今更何か思う訳では無いが。ただ一つ問題があるとすれば、俺が彼女らと肉体関係を持ってしまってることだろうか。なんなら、前の方に座ってる上司とか別部署の人間とも持ってる。欠席しようかと悩んだが、来ないとうみこさんが車で迎えに来ると言い、遠山さんと八神さんが引きずってでも連れていくと脅されたのでやむなしである。

 

 

「先輩とひふみ先輩は来るの何回目なんですか?」

 

 

そんな憂鬱な俺の事なんぞ知らず、初めての社員旅行に浮き足立っている涼風は前のめりになって俺と滝本に質問を投げかけてくる。

 

 

「3回目くらいかな?」

 

 

「うん」

 

 

滝本と視線を合わせると、逸らされるものと思っていたが彼女は気恥しがる素振りを見せずに柔和に微笑んでみせる。こうして見ると、仕事もできて可愛らしい完璧美人なのだが、実際は自称不感症の性欲おばけだった訳だが。あと、口数は相変わらず少ない。全然完璧じゃなかった。

 

 

「ウチらは2回目やな」

 

 

「だねー!昨日は楽しみで眠れなかったよー!」

 

 

「遠足前の小学生かよ」

 

 

左隣で無邪気に笑いながら言うはじめちゃんに思わず鼻で笑ってしまう。笑われたはじめちゃんは「今、私を笑ったな…?」と目を細めているが真ん中と一番左端の席では蹴りは当てられまい。

 

 

「今日はついたら何するんですか?」

 

 

「いつも通りだと宿の人に挨拶。その後は晩飯まで自由だよ」

 

 

挨拶は宿を使わせてもらう側としての礼儀だと遠山さん主導で行っている。本来は社長とかしずくさんの仕事だと思うけど、社長は不在で後者は「私よりも遠山くんの方がいいだろう」というよく分からない意見でそうなっている。

 

 

「…でも、この天気じゃ」

 

 

「まぁ、うん」

 

 

自由時間があると言われても今の空には太陽が見えない。冬といえどもまだ昼過ぎだ。来る前の天気予報では曇りのち晴れであったが、どうも北海道は俺達を大雪で歓迎してくれるらしい。幸運だったのは、雪が本格的に降り出したのが旅館に着いてからだったことだろう。

 

 

「いやーすごい雪だね。初めてじゃない?」

 

 

「そうですね」

 

 

「照慈、旅行だからタメ口でもいいよ?」

 

 

「そうはいかないでしょう」

 

 

荷物を運びながら呑気そうに話しかけてきた八神さんに真顔で告げる。

 

 

「まぁ、無理にとは言わないけどさ」

 

ちょっと不満そうに頬を膨らませた八神さんはすたすたと廊下を歩いていく。男は3階、女は2階なので俺はこのまま階段を上がっていく。

 

 

「ねぇ、コウちゃんと何を話してたの?」

 

 

はずだったんだがその前に遠山さんに捕まってしまった。ガッデム。般若顔の上に笑顔を貼り付けた遠山さんの後ろには私は関係ないよとにこやかに笑う葉月さんに不機嫌な顔を浮かべるうみこさんがいた。

 

 

「いや、特には何も」

 

 

社員旅行中はタメ口でいいと言われたことは特に言うべきでないと判断したが、これが吉と出るか凶と出るか。遠山さんも深く追求するつもりはなかったのか「そう」と呟くと俺の前を通り過ぎていく。うみこさんとしずくさんもその後ろに続いて歩き出すと、俺の前で立ち止まったしずくさんが俺の肩に手を添えて耳元で囁く。

 

 

「ここでハメを外すのは自由だけど、旅館の人に迷惑をかけないようにね」

 

 

「流石にここではしませんよ」

 

 

耳が性感帯じゃなくて良かったと思いながらしずくさんにそう返すと「ホントかなぁ?」

と煽るように笑みを浮かべる。北海道に来てまでするわけないし、そもそも俺からはしたことないんだよなぁ。ついでに絶賛ED中の俺にSEXは出来ない。よって、北海道でピンク色の思い出ができることは無いだろう。

 

 

「そう言うしずくさんは?もう薬とか盛らないで下さいよ」

 

 

「あーうん、それを言われるとキツイかな…ははは」

 

 

勝気な笑顔を引き攣った顔に変えて逃げるように去ったしずくさんの姿が見えなくなる前に階段を上がった俺は自分の部屋へとたどり着く。角部屋の和室で俺一人には余りある広さのその部屋に俺は毎度の事ながらため息をつく。

 

 

「なんで俺だけ一人部屋なんだろ…」

 

 

男だからか。女の子に生まれて何不自由なくイーグルジャンプの社員旅行をしたかった。その場合は百合ルートに入るのだろうか。いや、そんなありもしないもしもの話を考えて時間を無駄にするのはやめよう。無駄無駄。

 

 

###

 

 

気づいたら畳に倒れ込んでいた。

 

 

「久しぶりに見たな…」

 

 

1年ぶりくらいの天井を見つめながら記憶を整理する。本日はイーグルジャンプのみんなと社員旅行!けれども俺は1人でどーすんの!?って感じだったかな。それで外は生憎の大雪で出掛けられずに、夕食まで涼風達とUNOして飯食って部屋に戻って、それで風呂に入る前に寝てしまったのか。飛行機とバスの中では隣のせいで寝れなかったから仕方ないな。

 

 

「風呂か…」

 

 

別に汗かいてないしいいかなって気がする。ここの風呂は夜2時から朝5時まで以外なら空いてるし、明日の朝に一番風呂という手もある。けれども、寝るなら布団引かないとダメだよなぁ。というか、ここの人はどうして畳の上で客が寝てるのに起こしてくれないの?プンスカプン!と1人で虚しく怒りながら布団を出そうと襖を開く。

手早く敷布団を敷いて、枕と羽毛ぶとんを置いて寝巻きに着替えてさっさと布団にダイブ。する前に寝込みを襲われた事例がかなり多いので念の為、家から持ってきた棒を置いて襖を開かないようにしておく。涼風や滝本対策はこれでよし。もし、女将さんとかなら入る前に一声かけるだろうし、その時は直ぐに外せば問題ない。

 

 

「よし、寝よう」

 

 

社員旅行1日目。大雪のため外出不能。

なので十分な睡眠をとることを選択。

2日目に続く。

 




久しぶりすぎて主人公のキャラが掴めなかった……オリ主でよかった。


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27話 夢の中でまで搾精される話。

次の読者のセリフは
夢オチなんてサイテー!……だっ!




日本の冬は寒い。それは日本人なら知っていることであり、日本でも最北端の都道府県である北海道であれば尚更である。

しかし冬のいいところは夏と違って衣服を着込む、布団を被るなどすれば対処出来る。エアコンやヒーターをつけなくとも室内であればそれくらいで凍えるようなことは無い。

だが、照慈は謎の、今まで冬にはかいたことのない暑さで目が覚めた。何か身体に籠るような病的な汗でもなく、夏の体温調節のために溢れ出てくる汗でもない。

これは……? と照慈はその違和感の正体を確かめるべく目を開けた。

 

 

「んんっ……んふうっっ……あっ、照慈、さんッ、お、起きッ、ましたッ?」

 

 

そして彼の網膜に現れたのはスリムな女体。浴衣をはだけさせ胸元を露出させた女性が自分の上に乗って腰を振っている。

 

 

「涼風ッ!?はぁっ!?」

 

 

「ちょっ、大きいっ、声っ、出さないでっ、くださいっ」

 

 

寝る前にカーテンを閉めなかったためにガラスから差し込んでくる月の光によって映し出されたシルエットで照慈は青葉が頬を上気させているのを視認した。

 

 

「んんッ、あッ、んッ!」

 

 

寝起きで後輩による2度目の逆レイプをされて混乱する照慈に、青葉は気にすることなくその肉幹を甘く蕩けた膣肉でしごいていく。

2度3度上下されたところで意識の覚醒した照慈は切っ先から多量の先走り汁が染み出してるのを感じる。さらには亀頭や竿部分に肉が密着しているような触覚がする。それで照慈は気付いた。

 

 

「涼風ッ!?まさかお前っ!」

 

 

────生でヤッてんじゃないだろうな!?

 

 

 

「はいっ!生で!照慈さんと!繋がってますッ!」

 

 

青葉の肉壺はプチュンと淫猥な水音が立ち、亀頭部全体を嵌めて、勢いでズブズブズブッと垂直に肉幹を咥え込んでいる。若く健康的な膣肉は勃起した陰茎を柔らかく締め付けながら奥へ奥へと受け入れていく。

結合したまま青葉はいやらしく舌を出し、ぱちゅんぱちゅんと卑猥な音を奏でる。冬の乾燥した空気も2人の発汗により寝室の空気が湿っていく。

ジメジメした空気の中で女は快楽を貪るように腰を動かし、男はあまりに突然の出来事にただ生気を吸われるのを見ているだけとなっている。

 

 

「ふぁぁ奥ッ!奥にッ!当たってるの気持ちいいッ!」

 

 

しかし照慈もとうとう自らの性に抗えず、ついに全力で腰を振り一心不乱に互いを貪った。自分だけしか居ないと知っているから何も考えずに快楽に身を委ね、粘膜同士を強く擦りつけ合い共に絶頂へと駆け上がっていく。それでも僅かに残った理性で青葉に問いかけた。

 

 

「社員旅行中だぞ!常識がないのか!?」

 

 

 

「……ないのは照慈さんの方ですよ」

 

 

声を荒らげてそう抗議した照慈に青葉は馬乗りの姿勢で彼に顔を近づける。

 

 

「……社員旅行中にこんな夢を見るなんて」

 

 

「……は?」

 

 

 

###

 

 

ガバッと飛び起きて部屋の中を見渡した俺は自分以外の誰もいないことを確かめると、次に自分のムスコの確認をした。久しぶりに感じるこの漲るパワー。下腹部へと血液が重点してるのがわかるほどに自らのペニスは勃起していた。

 

 

「非常識だったのは俺だった…?」

 

 

首を傾げるように呟くも答える人間は誰もいない。布団にはそのような行為に至ったような形跡はなく、着衣の乱れもない。多分、本当に夢だったんだろう。

 

 

「にしても、なんで涼風なんだ…?」

 

 

他の人間でも問題だろうが1度しか致しておらず、それも半年ほど前となる涼風の裸体を思い浮かべてしまうとはと自分に呆れてしまう。深層心理の中では性を拒んでいてもその実、受け入れたい、快楽に溺れたい、誰かに愛されたいという欲望があるのかもしれない。

 

 

「いや、違うな」

 

 

きっとこのところ勃起不全になっていた故に溜まったフラストレーションが原因なのだろう。誰でもよかったんだ、夢の中でする相手は。それが逆レイプという形で俺の童貞を奪ってきて、1番印象に残っている涼風ってだけなのだ。

 

 

「顔、合わせづらいなこれは…」

 

 

とりあえず俺はトイレで尿を出し、自分のイチモツが収まるのを待ってから涼風達の待つであろう食堂へと向かった。

吹雪は既に止んでおり雲の隙間からは太陽の光が見えている。これは絶好のスキー日和だと俺は確信した。しかし、そういえばと思い出した。涼風にスキーの滑り方を教えて欲しいと言われたような気がしたと。

 

 

「いつだっけ…」

 

 

いつ言われたんだっけ、全く覚えてない。でも何となく言われた気がする。もしかすると夢の中で言われたのを現実で言われたのかと思っているのかもしれないが……気の所為なら気の所為でいい事。だが、もし真実ならば……今、涼風と面を合わせるのはまずい。

 

 

「後輩の体を見て勃たさせるのは……」

 

 

「あ、照慈さん!」

 

 

「ッ!?」

 

 

ブツブツと独り言を呟いていたら、件の涼風が現れて思わず肩を震わせる。

 

 

「どうしたんですか?」

 

 

「いや…ちょっと考え事してた」

 

 

首を傾げてくる涼風に俺は苦笑して返す。そして後ろから俺と同じく食堂に行こうとする八神さん達の姿が見える。

 

 

「あら、照慈くんおはよう」

 

 

「おはようございます」

 

 

涼風や八神さん、はじめちゃんや飯島は浴衣を着ているが、寒気を感じるのか遠山さんと滝本だけはセーターを着ている。猛っているせいか妙にエロく見えるのは何故だ……胸の谷間で線ができてるなんてエロすぎるだろ……。本当にやばいな。スキーで滑る前に自慰をしてこの気持ちを抑えなければ。クソっ!なんで社員旅行に来てまでオナニーをしなきゃいけないんだ!これならEDの方が遥かに良かった。

 

 

「…どうしたの?」

 

 

「いやなんでもない。さっさと行こう」

 

 

尋ねてきた滝本に俺は素っ気なく返すと前を歩いている涼風達を追った。

 

 

###

 

 

「えー八神さんスキー行かないんですか?勿体ない」

 

 

「私スキー滑れないので…」

 

 

「私はまぁ気分」

 

 

食堂で朝ごはんを食べていると今日をどのように過ごすかという話になった。そこでスキーに行かないという八神さんにはじめちゃんは遠山さんに視線を向けた。

 

 

「遠山さんは?」

 

 

「私も…やめておくわ」

 

 

「りんは滑れるんだから行けばいいのに」

 

 

「…私はコウちゃんと違って忙しいの」

 

 

「ひど!」

 

 

そんな会話をしながら俺は白ご飯を咀嚼していく。テーブル席でホントに安心した。座敷とかじゃなくてよかった。じゃなきゃ起立したアレをみんなに見られてしまうところだった。社員旅行でみんなと乱交なんてシャレにならんし、この昂りを誰かと交えてまで抑えたいとは思わない。

和食メニューを美味し美味しと言いながら平然と食べているとパリンと地面でガラスが割れる音が耳に届き、それで俺は自分の思考を止めた。

 

 

「ちょっとコウちゃん!」

 

 

「すみません…」

 

 

すかさずにやってきた従業員さんが八神さんの落としたグラスの破片を集めていく。俺も八神さんが怪我をしていないかを確かめようと立ち上がろうとしたがそれも自らの身体に起きている異常のせいで阻まれる。

 

 

「…やっぱり少し熱がある」

 

 

「これくらいたいしたことないって」

 

 

「いつもそうでしょ? 今日は大人しく寝てよう。あと数日あるのに風邪で潰す気?」

 

 

「りんがそう言うなら……わかった」

 

 

うーん、なんだか暖かいものを見れている気がする。これが女の子だらけの職場で唯一の男性社員の特権なのかな。八神さんの看病は嫁さん……遠山さんがやってくれるだろう。

 

 

「青葉ごめん。うつすといけないから今日は別行動で」

 

 

「は、はい…」

 

 

申し訳なそうに謝罪した八神さんは遠山さんに引かれて食堂を離れる。八神さんを心配するような空気も遠山さんがいるから大丈夫だろうとみんなはまたこれからの予定について話し始めた。

 

 

「照慈さんはスキー行くんですよね?」

 

 

「え?あぁ…」

 

 

「じゃあ滑り方、教えて下さいね!」

 

 

「それは構わないが…」

 

 

少し時間が欲しいなと思った矢先、俺を見つめる視線が3つ。はじめちゃんに飯島に滝本が何故か俺を見ている。

 

 

「あ、ウチもいいですか?」

 

 

そういえば飯島も運動音痴だからスキー無理なんだったな。昨年は一緒に雪合戦したりとかソリに乗って滑走したりしたな。

 

 

「けど、はじめちゃんに教えてもらうんじゃないのか?」

 

 

「え?」

 

 

昨年もはじめちゃんに教えて貰って途中で投げ出して俺との遊びに興じたはずなんだが。

 

 

「いや、はじめの教え方はちょっとアレなんで…」

 

 

「えっ!?」

 

 

唐突にディスられるはじめちゃん。

 

 

「…わかったよ、じゃあ照慈さんの教えた方がどれくらい上手いか見せてもらうよ!」

 

 

「なんでちょっと上から目線なの?」

 

 

「あ、あの…!」

 

 

「ん?」

 

 

そして視線の持ち主である最後の一人、滝本ひふみはおずおずと手を挙げながら口を開く。

 

 

「ひ、1人じゃ大変だろうから……私も、手伝おう……かな」

 

 

「お、おう。助かる」

 

 

本日の俺の午後の予定、同期と後輩に囲まれてスキーを教える模様。

その前にトイレか自室で自分のを何とかしないと……そんな気持ちを抱えながら俺は冷めた味噌汁を飲み込んだ。




ねねっちスタンプ使い勝手良くてねねっちとのイチャラブSEX描きたくなった…見たい……見たくない?


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