須賀京太郎は勇者である (ブラックブラック)
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須賀京太郎は勇者である
それはとても平和な日常で・・・
これは遠い昔の話となりますが、あるところに勇者がいました。その勇者は皆を困らせていた
「やっとここまで来たぞ魔王!もうみんなを困らせることはやめるんだ」
「我らを迫害しこの地に追いやったのはそちら側だろう。…それに私は魔王ではない!」
そういって俺は一度台詞を切って後ろを振り向き次のセリフを言おうとした時、ふと幼馴染と目があった。
(なぁ和。本当に言わないといけないのか…?正直高校生になってこんな台詞恥ずかしいぞ)
(そんなオカルトありえませんよ京太郎君。あなたはどんな台詞を言ってもかっこいいですから大丈夫です!さぁ!穏乃が目の前で京太郎君の台詞をまっています!さぁ早く!!)
(…なんか若干興奮してないか和?)
(気のせいですよ京太郎君!さぁ早く!)
(京太郎!はよ次のセリフ言いや!目の前の穏乃が台詞言わんから困惑しとるで)
…時間も押しているので恥ずかしいが言うしかない。幸い格好が格好なので大丈夫だろう。後で和とはお話しよう、うんそうしよう
目の前にいるシズを見る。現在のシズの格好は某歌いながら戦う主人公の格好をしている。…この衣装といいシズの衣装といいどうやって準備したのだろうか。衣装のサイズもちょうどいいのでこのことも和に問い詰めなければ…
「勇者よ、我らを恐れ、求めるがいい。そう、我らの本当の名は、黒の騎士団!!そして我が名はゼロ、世界を壊し、世界を創造する男だ。」
今更だが現在俺たちは部活動の一環で幼稚園へとやってきている。部長曰く「ここは何事も人のために行う部活や!やれることは全部やっていくでー!」と胸を張ってそう豪語していたからである。
…これでおもちがあれば完璧なのになぁと思うがなにも言うまい…
…なぜかステージの脇にいた部長ににらまれた。読心術でも持ちあわせているのか?
…今更だが自己紹介をしよう。現在進行形で黒いマスクをつけて中二病感満載なことを言っている須賀京太郎だ。
今回魔王役として劇に参加している一部員であるが最初はこうなるものではなかったのにどうしてこうなったのだろうか。
普段であれば部長‥愛宕洋榎先輩が考えた人形劇を行うはずだった。しかし、後ろにいる幼馴染によってステージにあがる劇に変更になったのだ。内容は人形劇の時とあまり変わらないが魔王サイドに人数を追加して恋愛要素を追加したものとなった。…というかこれでいいのかみんな…。
「世界を壊すなんてだめ!話し合えばわかりあえるよ!」
そうだ、劇の途中だった…。早く次の台詞を言わなければ
「君たちを悪者になんてしないよ!」「話し合いでは分かり合えん!」
「「あっ…」」
「やばい…台詞言う順番間違えて台詞が被ったか…。これどうしよっかシズ…シズ?」
なんだろうシズが俯いた。なぜだ、嫌な予感がする。
「‥…~っ。勇者き--く!!!」
「ちょ!? おいシズ!いきなり蹴りを入れてくるな!つーか話し合うって言って蹴りはダメだろ!」
「だ、だって…。この空気、どうしていいか分からなくなって…」
「それでいいのか勇者!?」
しかし、この空気は確かにまずい。こんな時はどうするか‥‥
side 和
ゼr…京太郎君と穏乃が困ってますね… すこし部長たちに手助けしてもらいましょう。
部長と目が合った今ならそれも可能です。このままでは京太郎君のかっこいい姿と穏乃の可愛らしい姿を拝むことができません!…まぁ今みたいに言い合っている姿もとても良いものですけどね
(部長、この空気を変えるためにあの曲を流してください。)
(あの曲って…あれか?魔王のテーマとしていれた奴や?)
(そうです。そうすれば話は進み私は京太郎君と…フフフ)
(あー、それはええけど暴走するのは堪忍な。絹!あの曲流したれ!)
(お姉ちゃん任せて!)
これで大丈夫なはずです。さぁ早く(劇の中ですが)私との愛を育みましょう京太郎君…
side 京太郎
ん…?曲が流れ始めたけどこれ魔王サイドのテーマじゃ!?この状況を変えるためとはいえよりによって流すのこっち側の曲!?
「ちょ!ちょっと待ってよ。これ魔王のテーマじゃないですか絹恵先輩!」
目の前で言い合ってたシズが狼狽えている。いきなりアドリブでこの曲が流れて困惑しているのだろう。
絹恵先輩のほうを見るとものすごいいい笑顔で早く進ませーやと言ってる感じだった。
(場面を変えるにはここしかない!)
「そう、間違っていたのは俺じゃない。世界の方だ!」
「あ~!魔王がノリノリになっている!」
「勇者よ、ここがお前の死地となるのだ!」
「そうです、ここでゼロと私の愛の生贄になりなさい!」
「なんか魔王が急にラブコメし始めた!? というか和急にどうしたの!?」
「私は和ではありません。ゼロを愛するものカレンです。」
「どうしてこうなってんのー!!」
(あー、やっぱ和は暴走したか…。しゃーないなぁ)
(お、お姉ちゃんどうするん?さっきより悪化しとるよ)
(まぁウチにまかしとき)
「おう、子供たち、このまま勇者が負けるとこ見たかないやろ!みんなでエールを送るんや!うちに合わせて勇者にエールおくってやりぃ!」
(部長!流石です!)
実際京太郎にとってこの部長の一言はとてもありがたかった、このままダラダラ続くよりはるかにマシにも思えていたからだ。
先ほどの部長の一声で子供たちがエールを送り始めてからは状況が勇者側有利に変わっていた。
「ば、馬鹿な!?周りの声援で勇者の力が上がるだと!?」
「響きあうみんなの声援がくれたこのシン〇ォギアで決める!」
(あのーシズ?なんかガチな威力の攻撃しようとしてない?)
(大丈夫だよ京太郎!京太郎なら受け止められるよ!)
こうなった穏乃は大体やばい‥ 冷や汗が出始めるが時すでに遅し目の前の穏乃は拳をすでに振り上げていた
(仕方ないか… 来いよシズ!)
「いくよ!勇者パーンチ!!」
「ゴハァ!?」
(きょ、京太郎君!?)
いてて…やっぱりシズの一発はきくなぁ。ただこれでフィナーレをしっかりと迎えられそうだ‥
「これで二人ともわかってくれたよね。」
「私たちの…負けだな」
「と、いうわけでこうして魔王は改心し平和が訪れました。めでたしめでたし。」
劇が終了し俺はそっと息を吹く。子供たちが喜ぶ様子を見ていた俺にシズが声をかけてきた。
「京太郎、最後大丈夫だった?ごめんね加減できなくて…」
そう言って少し落ち込むシズ。まぁああなったのは仕方のないことだし俺自身気にしてない。落ち込むシズの頭に手を置きそっとなでる。今は劇をするためかいつものポニーテールではなく髪を下ろしている状態だがそれもいつもと違ってすごく新鮮に感じる。
「…ありがとね京太郎」
「俺まだなにも言ってないぞ」
「京太郎のことは大体わかるよ。私のために色々やってくれたし」
「…相変わらずだな、シズは…」
なでる手を止めて周りを見る。前で見ていた子供たちはともかく周りの部員もすこしはしゃいでいる様子だったがこの空気も心地よく感じる自分がいる。この部に入りまだ短いが居心地の良さはとてもよく青春を謳歌しているのが自分でもよくわかった。
現在この部活麻雀部(兼勇者部)は5人の部員で活動している。
俺の幼馴染の一人で後ろで魔王側のヒロイン(?)をしていたのが原村和 美少女であることは間違いないがたまに暴走することがある。…まぁそんなところも可愛らしいものだ 現在わけあって車椅子で生活しているがみんなと仲良く学校生活を送っている。
もう一人の幼馴染で今回は勇者を演じていた高鴨穏乃、幼馴染二人とも同級生で家もお隣さん、中学生のころから仲良くなりこの度同じ高校に進学した中でもある。
後二人の部員は部長で三年生の愛宕洋榎先輩、この部活を創設した方でノリのいい先輩であると共にみんなが認めるしっかり者。
もう一人は部長の妹で2年生の愛宕絹恵先輩、姉とは違い(どことは言わないが)大きいものをおもちの先輩。
前はサッカーをやっていたとのことでよくスポーツの話をしたりと気の合う先輩だ。
これはみなのために勇んで実施する部活、俺たち清澄高校麻雀部(兼勇者部)の平和で楽しい日常である。
次回もよろしくお願いします
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キャラ紹介
登場人物紹介
須賀京太郎
清澄高校1年生で麻雀部唯一の男子。原村和と高鴨穏乃とは幼なじみで、中学時代に原村和と同時期に引っ越してきてから現在に至るまでのクラスメイトでもあり、とても仲が良い。実は中学校以前の記憶がなくその詳細もよくわかっていない(なお、本人は特に気にしていない模様)
また、この世界でもペットのカピバラを飼っており中学時代はハンドボールで県大会上位まですすんだ実力者。
友達思いな部分が強く他人をほっとくことができない性格。コミュ力も高く見た目とは裏腹にチャラ男や不良とはかけ離れた好青年である。
使用武装
■■■剣
????
黒を基調とした和服姿で戦う近距離型。ただし、隠された武装がまだあるそうだ。
高鴨穏乃
清澄高校一年生にして須賀京太郎の幼馴染の一人。山登りが趣味で、頭を使うより体を動かす方が得意なスポーツ少女。(京太郎曰く俺よりも元気とのこと)
いかなる時も前向きでメンタルが強く、部内のムードメーカ的存在でもある。
服装は裸ジャージが大半。場合によってはちゃんと制服を着る。(というか幼馴染から普通に服を着ろと言われてやっと着るようになった。)
使用武装
????
全体的に白とピンクを基準とした格闘物理型。基本的に拳で戦うスタイルであるが一応武器を持って戦うことも可能ではある。
原村和
清澄高校一年生で須賀京太郎の幼馴染の一人。穏乃と京太郎ラブのすこし危ない人。
中学入学前に交通事故に遭ったらしくその後遺症で半身不随で車椅子生活を送っている上記憶にも曖昧な部分がある。
中学校の最初は事故の影響でふさぎ込みがちだったが、二人との出会いによって乗り越える事が出来た。
現在はそうした暗い過去を感じさせないほど穏やかな性格(まれに暴走することはあるが)をしており、博識でパソコンでよくネト麻をしておりその強さから(のどっち)と呼ばれているとかなんとか…
おばけなどオカルト要素が苦手で基本的にそのような話は切り捨てているほど苦手である
使用武装
????
????
愛宕洋榎
三年生で部活の部長。ピンクがかった赤髪のポニーテールとタレ目が特徴的だが妹とはあまり似ていない。(姉妹の中は良好ではある)
妹の絹恵や一年生三人の成長を見守りつつ部を引っ張って行く様は部長としてやっている証となっており後輩からの信頼も高い。
関西の血が入っているからか粉物が大好物。そしてよく食べる。
ノリが良く穏乃と同様にムードメーカだが悩む時はとことんひとりで悩みを抱え込んでしまうタイプ。
使用武装
大剣
????
赤を基調とした勇者姿で戦い、武器は豪快な一撃を放つことのできる大剣を使う。大剣は伸縮自在なため近距離から中距離までバランスよく戦うことができる。
愛宕絹恵
二年生で部長の妹。姉よりかは母親に似ている部分が多い。中学生時代はサッカー部に所属しており、ポジションはゴールキーパーで京太郎とよくスポーツの話題を話すことが多い。
姉の洋榎に対して強い憧れを持っている。
ここぞという時にはかなりのメンタルの強さを発揮しており、芯の強さはおそらく部活内でも一番だといわれている。
使用武装
ワイヤー
????
水色を基調とした勇者姿であり武器は右手首に装着した飾りからワイヤーを飛ばし戦う中距離型。敵を締め付けることや包み込んで相手の攻撃をいなすなど使い勝手が豊富。
登場人物紹介でした。使用武装や今後の人物については話が進むにつれて追加していきます
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とある日の部活動
勇者部では京太郎、穏乃、絹恵の三人が主に屋外スポーツの助っ人として活動をしているし車椅子の和、洋榎が文科系の助っ人にいくことになっている。部長が文科系なのは正直意外でもある。
その様子を傍から見ていると中学からの友人で同じクラスの高久田が声をかけてきた。
「なぁ京太郎。今度の週末に助っ人としてまた参加してくれ!ちなみに言っておくがこっちの部長の許可はとってあるからな。なんなら勧誘してこいとも言われてる。」
「お前またか…。先週も助っ人でいったがそれでいいのかよ。てか俺麻雀部なんだけど。」
「頼む!元々お前バリバリのスポーツマンだったじゃねぇか。頼む、高鴨さんと原村さんも京太郎に言ってやってくれ。」
いつの間にかシズと和がこちらに来ていた。クラスメイトと話し終わってこっちに来たのだろう。高久田が助けを求めているが二人はなんというのだろうか…
「えー京太郎ハンドボールやらないの?私は京太郎がハンドボールやってる姿すきだよ?」
「いや、確かに勇者部として助っ人に行くのはいいけど俺らは麻雀部だぞ。それでいいのかと思ってな…。」
「そこをどうにか…。それに勇者部は人々のためになることを勇んで実施する部だろ。」
そう言われると痛いなぁ…。確かに勇者部はそうだがいかんせんそれでいいのかと疑問に思う。というか今は気分的にも麻雀をやりたいし週末も雀荘に行く予定をたてようとしていたのだが…
「和も見たいよね。京太郎のかっこいいところ!」
「‥‥京太郎君・・」
まずい、和の目が笑ってない。若干ではあるが暴走しかけそうな感じではある。これではもう選択肢はもう一つしかのこされていない。さらば雀荘、またの機会に…
「京太郎君は・・「わかった週末参加するよ。それでいいだろ高久田。」・・むぅ。」
和がジト目で見てくるが気にしてはいけない。ここは素直になっておくのが得策だろう、長年の経験が生きていると実感できる。
「本当か!?いやー助かるぜ。」
「そう思うならなにかおごってくれよ。」
「わかってるって。いやー、それにしても流石は幼馴染だな。京太郎の説得をあっさりしてしまうとは。」
「幼馴染違います嫁さんです。」
‥‥あの、和さん?ここ教室ですけど…
若干教室の空気が静かになったのですが…
「?京太郎とは
‥‥シズ?問題点はそこじゃないからな…あとまだってなんだよまだって
流石にこの空気に耐えることができなくなったのか京太郎は部室に行くための準備をする。無論逃げるためではない、戦略的撤退である。どちらもあまり変わらない気がするがこの場でそれを言う人はだれもいなかったことが彼にとっては救いだっただろう。和が何かを言おうとした瞬間には教室の外に出ていたのだから
「どうせなら「お、俺先に部室に行くわ!」あっ…」
「京太郎先に行っちゃったね。」
「…ところで原村さんはなんて言おうとしたんだい?」
「え?どうせなら穏乃と三人で暮らしましょうと言おうとしただけですよ。」
「和…?」
「‥‥原村さんは相変わらずだね。」
二人がそう話しているが高久田がよく見ると穏乃のほうもまんざらではなさそうな感じだ。高久田は京太郎に対して問い詰めることとリア充爆発しろと彼に言うことを心に決めたのであった。
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一方先に部室へと着いた(逃げたでもあるが…)京太郎はノックをせず部室に入った。部室に入って冷静になりたかったのであろう。少し落ち着けばどうにかなると思っていたからである。部室にはすでに先輩方二人が麻雀をする準備をしていたが逆に京太郎はホッとした。これから直ぐに麻雀を打つことができると考えていたからだ。もっとも現実逃避に近い感じもするが気のせいだろう。
「お!京太郎やん。どないしたんそんな急いで。」
「部長、絹恵先輩!麻雀やりましょう!」
「そらええけど二人はどうしたん?」
「置いてきました。和が暴走しかけたので…」
「それでええの京太郎君?」
「…絹恵先輩。時にはこういうことも必要ですよ。」
「そんな遠い目せーへんでも…とりあえずお茶入れたから飲みぃや」
「ありがとうございます。絹恵先輩。」
色々とあるんですよ…というか気持ちを落ち着かせて冷静になるためにもお茶を飲もう。幸いまだ二人は来ないだろうし。
京太郎には二つの誤算があった。一つはもう部室の近くに二人が迫っていたこと。実は高久田と話していた二人は即部室へと向かっており身体能力の高い穏乃が最短で真っすぐに一直線に和と共に向かっていたのだ。そしてもう一つの誤算はというと…
「高鴨穏乃と原村和!入ります!」
「さぁ京太郎君先ほどの話の続きをしましょう!」
「!?」
吹き出しそうになるのを堪えてむせる。危うく噴き出すところだった京太郎を横目に幼馴染が入室してくる。そうもう一つの誤算は京太郎自身が心の準備ができていなかったのだ。冷静になるどころか逆に焦りを生んでいた。さらに(いい意味で)ノリのいい部長に聞かれてしまっては追い込まれてしまう。ある意味今救ってくれそうなのは愛宕絹恵ただ一人となってしまっている。
「お疲れさん二人とも。なんやなんか面白い話でもするんか?」
「部長!聞いてください。京太郎君が~」
三人の会話を尻目に京太郎はうなだれる。結果的に先延ばしした結果がこれだ。頭が沸騰しそうになるがもう後の祭りだ。そんな中心配をしてか絹恵先輩が声をかけてくれた。
「なぁ、大丈夫か京太郎君?」
「心配してくれるのは絹恵先輩だけですよ…」
今は絹恵先輩のやさしさが身に染みる。どうしてこうなったのだろうか。
「いやー、おもろい話やったな!まぁ全員そろったし部活開始するで!」
少しばかり落ち込んでうなだれていると、むこうも話し終わったらしくやっと麻雀することができるとホッとする。これ以上つっこまれたらまた逃走するとこだった。
「つっても今は五人おるから一人抜けんといかんな。」
「それでしたら部長、私が抜けるので先に四人で打ってください。その間に私が広報の記事をパソコンで書いておきますよ」
「そうか?ほんなら終わったら入りぃ。打つ時間はいっぱいあるからな。」
「えぇ、任せてください。」
そう言うと和はパソコンの前に移動していく。後は部長、絹恵先輩、シズと俺の四人。和が抜ける形になったのでこの四人で打つこととなった。…部長は言わずとも強いことはわかるし、その部長と長年打っていた絹恵先輩も強い、シズもできる方であるのだから普通に考えれば初心者にとってはきつい場になるのかもしれない。しかし、京太郎本人はそうは思わない。これも一つの糧となるものだ。彼は非常にポジティブであった。
(さぁ、今日はとことん打つぞ!)
-------ーーーーーーーーーーーーー
夕方…部活が終われば生徒は帰っていく。そこからは更に自由の時間だ。あまりにも遅くなるのはご法度だがそれなりにこの高校では許されている。須賀京太郎含む部員の五人は仲良く蕎麦屋に来ていた。麻雀で多く打っていたのだから腹が皆減っていたことから部長の提案で行くこととなったのだ。もちろん時間制限はあるが今後の部活のことで話すこともでき、腹を満たせるようにと全員が賛成し行くこととなった。行くのは構わないが問題はその食べている量だ。男でもある京太郎はともかくなぜか張り合おうとする洋榎と面白そうという理由で食べまくる穏乃に唖然としていた。しかし、食べるのにずっと夢中だったわけでもなくしっかりと今後についてはなしていたようだ…。
「‥‥というわけや。これはみんなの宿題っつーことでよろしくな。」
「「「了解です。」」」
「わかったよお姉ちゃん。」
「しっかし今日の京太郎、麻雀よかったやん。」
「‥‥結果的にラスでしたけどね。最後に一矢報いましたけども。」
「あれにはびっくりしたわ。ようやったな」
「なんというか
「いやー、あれはすごかったで。ウチの出した牌をカンして嶺上開花決めたのには驚かされたわ。なんつーか…」
そう言い洋榎は考え込む。あの時の京太郎は
(…まぁこのことはまた今度や。時間もそろそろ切れるやろ。)
「…あの、部長?」
「!?。な、なんや京太郎?」
「いえ、途中で言葉が止まったので…」
「あー、すまんなちと考え事してたんや。さぁ時間も遅くなってきたしそろそろ帰るでー!」
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side 洋榎
三人を見送り妹と共に帰宅する。この後のご飯のことを考えてるとポケットに入れていた携帯が震えた。メールが来たらしく確認する。送り主は■■から。思わず歩みを止めてしまう。隣を歩く妹が声をかけてくるが心配されるわけにはいかない。なんでもないと言い返し歩みを再開する。
「なぁ絹。」
「どうしたのお姉ちゃん?」
「‥‥ウチがもし隠し事してたらどうするん?」
「どうしたん急に?…お姉ちゃんがなにを言っとるのかようわからんけどどんなことがあっても着いていくよ。だって家族なんやもん。」
絹の言葉に言葉を失ってしまう。それと同時に責任感が重くのしかかる。妹の絹恵もそうだが今年部員になってくれた三人も正直に言えば巻き込みたくはない。それは部長として、何より仲間のため。最悪の事態もありえる、その時には必ず守ると心の中で誓いながらその歩みを進めていった。
知ってるか。これ、アニメで言うとまだAパートしか進んでないんだぜ。
はよ戦闘描写書きたいわ。
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終わりと始まり
書いてて思ったこと
文才がただ単にほしいと思った今日この頃
その日の京太郎は朝から不運なことが起きていた。朝は目覚まし時計がならずに時間ギリギリに起きる。その際の時刻は朝の八時、朝食をとる暇もなく家を出ることとなる。それを皮切りに通学中に靴紐が千切れる、犬の糞を踏むなどして結果的に時間には間に合わず教師に怒られる。挙句の果てに家に昼食用の弁当を忘れると踏んだり蹴ったりな状態だ。現在はというと机に顔を突っ伏してうなだれている状態である。
「あー、不幸だ…」
「アハハ…今日は大変だったみたいだね京太郎」
隣の席の穏乃が苦笑いを浮かべる。聞けば聞くほどマイナスな出来事が連鎖しているのだから当然の反応ともいえる。結果的に幼馴染二人の弁当を少しもらい事なきをえたがそれでも今日はまだ負の連鎖が続くようにしか京太郎は思えなかった。
「ありがとな二人とも。今度叶えられる範囲でなんかお願いきくよ。」
「ホント!?じゃあ今度時間あるときに山に登ろうよ!京太郎とは最近山登りしてないからさ」
「和はなんかお願いあるか?」
「そうですね‥‥今度の休みの日でいいので買い物に付き合ってもらいませんか?」
「おう、荷物持ちならまかせとけって。」
(‥‥二人で行くのにデートとは思わないんですね‥。)
(こういう時は二人っきりなのにね)
(穏乃。私の予定の日と山登りの日は別々でお願いしますね。)
(まかせて!和)
この二人、実際は一日午前と午後で別々に集まる予定にすることは可能であったが共に過ごす時間は長い方がいいと感じている。もちろん三人で過ごすことが大半ではあるがたまには二人で過ごしたいという気持ちが強かった。いうなれば不可侵条約を結んでいる状態である。互いに一日二人っきりで過ごせる日があってもいいじゃないかという考えだった。
「さぁ午後の授業も始まりますので席に戻りましょうか。」
「おう、またあとでな和。」
そう言って自分の席に着く。もうすぐで教師も教室に入ってくるだろうし準備しなきゃなと思いつつ机から教材を取り出した。
------------
♬~♬
…どうやら授業中に寝てしまったらしい。携帯電話のメロディで目を覚ます。隣の席のシズを見ると立たされていることからシズの携帯からメロディが流れて教師に注意されたのだろう。マナーモードにしてなっかたのかよと心の中でツッコムが後ろからも同じようなメロディが流れている。和の携帯からもか…。ただ、こんな携帯メロディは聞いたこともない。和の携帯は基本的にデフォルトのままの設定のはずだが…。
疑問に思っているとポケットに入れていた自分の携帯が震え始めた。着信メロディは流れているものと一緒。このような設定は行っていない。おそるおそる携帯を確認する。ここで見ない方が正解だったのかもしれない。なぜなら…
「…なんだよ、この画面。」
朝からの不幸はどうやらまだ続いていたらしい。なぜなら画面に映されたものは今までに見たこともない画面だったのだから…
------------
必死に頭を回転させる。画面に映し出された文字、樹海化警報。そして止まったと思えば止まったのはメロディだけじゃない。周りのクラスメイトも動かなくなっていた。席を立ち窓に近づき外を見る。落ち葉が宙に浮いて止まっている。あり得ないことが現実に起こっている。止まっていたのは教室内だけでなく外も、いや世界すら止まっていた。
教室を見渡してみると穏乃、そして和の二人だけは動くことができていた。あの時に携帯にメロディが流れたこの三人だけが時間の止まった世界で動けていたのだから。
同時刻、三年生の教室。勢いよく扉を開け、階段を降りる一人の生徒がいた。麻雀部部長の愛宕洋榎だ。彼女の内情はよい状態とは決して言えない。なにせ、誓った次の日に自分自身が想定していた最悪の事態になってしまったからだ。この止まった世界で動いているであろう部員全員のところへ行こうにも時間が少なすぎる。なので、同じクラスメイト同士である一年生は後に合流したほうがよいと考え、まずは地自身の妹の教室へダッシュで向かっていた。
(嘘やろ…最悪や。よりによって今日、もう当たっても-たんか!)
あまりにも早すぎる展開に焦りが生じる。
必死に走って妹の教室へ向かう。幸い廊下に出ていたらしくすぐに合流することができた。
「お姉ちゃん!これどうなってん!?周りのみんなが…」
「絹…。落ち着いて聞きぃ‥。ウチらが当たったんや…。当たってしもたんや!」
(ウチが一番年上や…。落ち着かなアカン。)
頭を冷静にしよう。まずは妹とも合流はできた。なら次は一年生三人組のところへ早く合流しなければならない。そう考えた洋榎は妹の手を引っ張りながら説明し、後輩たちと合流することが今の洋榎が第一に行わなければならないことだった。
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「なんだよ…あれ?」
教室の外を窓から見ていた京太郎は目を疑った。目の前の山の向こう、そこの空間が切れ始め得体の知れない何かが侵食し始めていた。それは色鮮やかなもので普通であればきれいに見えるものだが、現在の状況が状況なためそうも思えない。現実逃避したい考えを振りほどき周りをみる。
(今のところこの中で動いているのはシズと和、そして俺を含めて三人。他の人は動く気配もない感じか…。)
「和、京太郎!? どうなってるのこれ?」
「わかんねえよ!ただ、言えることは現実的じゃない何かがおこっていることだよ!」
シズは狼狽えながらも話せてはいる状態だ。まだ話は通じる。問題があるとするならば…
「きょ、京太郎君…穏乃‥‥」
いつもとは違い明らかに声のトーンが小さい和だ。明らかにこの異様な光景におびえている。まるでこの光景が
「なにこれ、地震なの!?」
「シズ!今は和の手を握ってやれ。明らかに動揺してるし気持ちを落ち着かせてやってくれ!」
「京太郎はどうするの!?」
「‥‥俺は二人の後ろで盾になる。なにかあると悪いからさ…」
「‥‥死なないでよ京太郎。」
「勝手に殺すなよ。…幼馴染を置いて死ぬわけないだろ」
教室に光が差し込んでくる。あまりの眩しさに目が眩む。手を前に出しガードする形をとる…。
目が見えるようになって周りを見たらもとに戻っていることを願いながら…
(そうか…所詮俺の願望だったか‥)
眩しさがなくなり、周りを見渡す。そこに見えた景色は森や山のように深く、現実ではあり得ないような色をした植物的なものが生い茂る変わり果てたもの。だれがどう見ても先ほどいた教室とは思えない光景であった。
俺たちの日常は終わりを、そして非日常の始まりを告げていた…。
次回はきっと戦闘パートに入る(多分)
あと文も多くなると思う。(きっと)
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初陣
まぁ3月末には退職するので時間できるから執筆時間増えるんじゃないかな(白目)
見渡せど見渡せど自分が知らない場所…。先ほどまでは自分達は学校で授業を受けていたはずだったのだが今はそうでもない。普通このような状態になれば冷静を失い焦る気持ちが強くなっていくものだ。しかし、彼の内情は意外にも冷静であり穏やかであった。あまりの出来事で頭の回転が追い付いていないことも実際にはあるがそうではないようだ。それよりもむしろ彼からしたらこの場所は…
(なぜかはわからないがこの場所…
彼は過去の記憶を一部失っている。もしかしたらその時に経験があるのかもしれない。ただ、それを確定させられることは現状無理と判断した京太郎は後ろにいた幼馴染二人のもとに駆け寄り様子を伺う。この後のことを考えると三人で動くことを考えなければならない。
まぁこの状態で一人で行動するのは見当違いでもあり、なにより二人をほっとくことなどまず彼にはできないのだ。
和も先ほど震えがものすごく冷静でなかったし穏乃も和ほどではないにしろ戸惑っている感じである。この二人を置いて出口を探すことはとてつもない難易度になるだろう。
(和は動けなさそうだな… そうだ、さっき変に鳴っていた携帯にもしかしたら…)
そう思いつつ携帯を確認する。やはりというか画面はいつもの三人で撮った待ち受け画面とは異なり、この場所にいる人物名が表示されていた。よくよく見れば近くに同じ部員でもある愛宕洋榎と妹の絹恵の名前も確認することができた。少し安堵の表情を浮かべるがまだまだ問題は山積みである。今は和とシズを宥めつつ、二人がこちらにくるまで待つことにした。
side洋榎
(こっちのほうやな。)
アプリで場所を確認しつつ、妹と二人で後輩の所へ向かい始める。正直なところこの世界に京太郎が入ってることに最初は驚きを隠せなかったが今は合流することが大事であると判断していたのでそん考えは頭の隅っこのほうへおいやる。これに関しては元の世界に戻った後に大赦に聞けば問題ないと感じたからだ。曲がりくねった道を抜けていくと少し広めの場所にでることができた。その先に一年生三人組が見えたことでアプリが正常に稼働していることに安心したがまだ油断はできない。これから戦いが始まるのだから…
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「見つけたで三人とも。」
振り返れば手をつないで二人でこっちに来たであろう愛宕姉妹がこちらを見ていた。シズが駆け寄って抱き着いているが、このよくわからない場所で知ってる人間がいることに素直に喜んでいる感じだ。和もすこし落ち着きを取り戻しつつあった。
「みんな携帯今もっとるやろ?説明するから近くにきいや。」
そういうと京太郎を含めた四人に携帯の中にいつの間にか入っていたアプリについて説明を部長がしてくれた。
「このアプリにこんな隠された機能があったんですね部長。」
「せやで穏。非常事態になったときにな、アラームが鳴ると同時にアプリが起動するんや。」
「このアプリ…部長が部に入ったときにダウンロードしとけっていったものですよね?」
「…そうや。万が一の時を考えてな。」
…この感じだと部長はなにか知っているのか?そう考えた京太郎は質問しようとするが…
「部長は何か知っているのですか?」
どうやら和も同じことを思っていたらしい。京太郎が質問をする前に先に聞きにいっていた。
「‥‥もし知っているのならば、いったいここはどこなんですか?」
沈黙が場を支配する。部長は今言うべきか悩んでいる感じだ。目を瞑り考えていたがやがてその閉じた目を開いた。その目は何かを決心した目をしていた。
「‥‥あんたら落ち着いてよーく聞きいや。…うちはな、大赦から派遣されたもんや。」
「部長、大赦って神樹様を祭っている場所でしたよね。学校での挨拶の時にも礼をする…」
「それであっとる。」
部長は歳が一番上の人ではあるがまだ高校生である。逆にいえば高校生でありながら派遣されるというものはとんでもないことである。その理由は直接部長から聞かないとわからない。
「ちなみに絹恵先輩。先輩はこのことは知っていたのですが?‥‥絹恵先輩?」
「‥知らんかった。お姉ちゃん、それホンマなん?」
気になったので絹恵先輩に聞いてみたがどうやら本当に知らなかったみたいだ。自分の姉に聞こうとするその口の動きはとてもぎこちないものであった。
「すまんな絹。うちらが当たらなければ言うつもりなかったんや。」
「部長、当たりって…どういう意味ですか?」
ここからは部長が知っていることを包み隠さずに説明してくれた。部員集めも大赦の命令で行っていた部分があったこと、今いる場所が神樹様が作り出した結界の中であること。そして、神樹様が作ったこの結界の中で現れるという敵を倒さなければならないということを‥‥。
「当たりってことは他にも候補の人が俺らのようにいたってことですか?」
「せや、うちらは神樹様に選ばれてしもうたんや。」
「…そんなオカルトありえません!?」
「和!?」
「そんな…そんなことを急に言われても…」
和はいまだに信じられる状態ではなく声を荒げて叫ぶように言葉を放つ。いきなり時が止まったと思えば教室からこの場所に飛ばされたのだから無理はない。彼女は先ほどより冷静であったがそれでも納得はできてはいなかった。
ふと、携帯を見ていた穏乃が事を知っている部長に質問をする。
「あの‥‥この点はなんです?」
‥‥シズに言われるまでは気づかなかったが真ん中に映し出された五人の点の他にこちらに向かってきている大きな点があった。乙女型と書かれたその存在は事情を知っている洋榎以外にとっては不気味な存在としか思えなかった。
「‥‥来たんやな。」
そう言って部長は大きな点が示しているであろう方向を指さす。その先を見れば動きは遅いものの確かに巨大な生命体がこちらに向かってきていた。その姿は正に異端。彼らが生活していた世界の日常では絶対に存在してはいないであろうものが存在していた。
「な、なんですかあれ?浮いていますし…」
「あれが今回の敵ってことや。動きがトロイ奴で助かったわ。あれがバーテックス言うてな。世界を滅ぼすために攻めてくる…人類の敵や!」
「世界を滅ぼすって…そんなものがこの世にいるんですか!?」
「‥‥和。言いたいことはわかるで。現実逃避したくなることも…。けどな、今起きていることは現実なんや。」
「そんな…。」
「バーテックスの目的はな、この世界の恵みでもある神樹様にたどり着くことや。」
「つまり、あの敵を神樹様にたどり着く前にどうにかすることが私たちのやるべきことなんですか?」
「簡単に言えばそうや。これ以上は敵を見過ごせないから軽い説明をしていくで」
…簡単に言ってしまえばあいつが目的地に着く前にとっとと片付ければいいってことか。
(ハヤク、ハヤクアイツヲ‥‥)
(ワレハ■■ヲ■■リシモノ、ワレラニ■■■■ナンジヲ‥‥)
「
「ここにはうちらしかいないんや。アプリに対して戦う意思を示し、詠唱することでアプリが解除されて神樹様の勇者となれるんや。こうすれば、あのバーテックスとも戦えるように…って京太郎!?」
「きょ、京太郎君!?」
(ホロボス!)
気づいた時にはもう俺はアプリを開いて変身していた。黒を基調とした和服姿。これが神樹様の力を得た俺の勇者の姿らしい。この格好になるのはどうも慣れているみたいだ。彼の中では目の前にいる敵をただ滅ぼすことだけしか考えていない。後ろで皆の声がするが止まることはできない。自身の武器である剣を持ちひたすらに前に進んでいた。
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side 洋榎
(京太郎の奴、急にどないしたんや。いきなり変身したのにも驚いたがそれより…)
アプリで戦う意思を示したら戦えるようになると説明していた途中で変身したことにも驚いたがなによりも…
(あの殺気、なにかあったんやろか。)
京太郎から出ていた尋常でない殺気に一同は驚いていた。幼馴染二人に至っては軽い恐怖を感じている。
(それにあの詠唱…なんかで聞いたきがするなぁ。)
大赦のほうからは基本的に勇者になるのは基本的に神樹様に選ばれた人のみでそのほとんどが女性であると知らされていた。しかし、今目の前にいた男子の後輩でもある彼は自分が説明する前に変身し、敵へと向かっている。彼の過去になにがあったかはわからない。ただ、こうなってしまった以上調べねばならない。
(‥‥今は考えてる場合やないな。説明してはよあのアホの助けに行かんとな。)
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体が軽い。実際に今須賀京太郎は空を跳んでいる。飛ぶではなく跳んでいるのだ。変身直後に狂ったかのように乙女型バーテックスに向かう京太郎は未だ冷静に慣れてなかった。まさに荒れ狂う暴風の如く…敵である乙女型はその存在に気づき下腹部から小型の爆弾を京太郎に発射するがそれでも京太郎は止まらない。複数の爆弾を発射しても京太郎がもつその剣によって真っ二つに切りそがれてしまう。バーテックスは途中標的を変えたのかシズや和へ小型爆弾を放とうとするものの、その時にはすでに間合いに京太郎が迫ってきていた。
「よそ見している場合かよ!」
一発、二発と全体に攻撃を当てていくもののその場所はすぐに再生されていく。焦りからかはたまた見えてなかったのかその京太郎にバーテックスの触手による攻撃が迫ろうとしていた。
「しまっ!?」
当たればただでは済まない一撃が京太郎にあたろうとしたその時…
「勇者…パーンチ!!」
先ほどまで後ろにいたであろう高鴨穏乃がその攻撃を読んでカウンターで反撃したのだ。その姿は全体的に白とピンクを基準とした格闘物理型。ある意味山が好きで活発的に動く穏乃らしい勇者の姿であった。
いつの間にかこちらに来ていたことに京太郎は驚いたがすぐに反撃に移ろうとしていた。
「京太郎君!一旦下がりぃ!」
「このアホ!一人で突撃する奴がおるか!しかも説明しているのに…アンタまでけがしたらどないするっちゅうねん!」
穏乃だけでなく先輩でもある愛宕姉妹も応援に駆けつけていた。絹恵先輩は水色を基調とした勇者姿であり武器は前にサッカーでGKをしていた時を思い出させるかのようなワイヤーを軸にバーテックスの小型爆弾を包み込んでは相手に投げ返している。いうなればその使いようは慣れ親しんだ様子である。一方の姉である部長の洋榎先輩は赤を基調とした勇者姿でその武器は豪快な一撃を放つことのできる大剣であり部長の強気な性格に相応しいものだ。先ほど京太郎が突撃をしたあとすぐにここへ駆けつけたのであった。
「す、すいません部長。俺…」
「反省するのは後や。アンタは一回頭冷やすために下がっとき!まだ後ろには和もおるからな。」
彼女なりの気遣いだろう。実際さっきので頭は十分に冷えてはいたが現状和は一人で身を潜めている状態だ。ここでカン違いしてほしくはないが京太郎を助けに行く際に和が変身できなかったことでだれを残すか話をしていたのだが和が断ったのである。三人は流石にそれを却下したが和は自分が今回の戦いで足を引っ張ていると感じていたため危険にさらされている京太郎の増援に行ってほしいと言ったのだ。結局妥協案として三人で速攻で京太郎の救援に行き一度三人と京太郎を入れ替える形にすることで落ち着いた結果が今の状態である。
「‥‥すいません。一旦この場お願いします。」
「後で反省会ついでに飯でも行こうや。まだまだ話すことはいっぱいあるからな。」
「ハハッ。その時は俺が場所を設置しますよ。」
「あ、後、みんなにしっかりと謝っとき。穏は怒っとたし、和も泣いていたで。」
「…まぁ当然ですよね。」
後を頼みますと言ってその場を京太郎は去っていく。これ以上は話す余裕もなくなっていくであろう、二人の援護にも向かわなくてはならないのだから。言いたいことは山ほどあるがそんなのは後ででも問題はない、今は目の前で奮闘を続けている二人と共に日常を取り戻すのに剣を振るうだけだ。
------------
「和!」
「京太郎君!。いきなり飛び出して怪我でもしたらどうするのですか。私…心配で。」
京太郎が和の元へ向かったが彼女は半泣きの状態であった。友人が死ぬかもしれない恐怖と自分自身が変身出来ず何も出来ていないことへの悔しさと彼女の感情はぐちゃぐちゃになっていた。京太郎は自分の行動に後悔するも今すべきことをするために和を安全な所へ避難させなければならない。和を車椅子から下ろして抱きかかえ安全な場所に連れていく。後ろの方でいくつもの光が天に昇っていくのが見えた。どうやら無事に三人で倒したみたいだ。今回は初陣とはいえ、同じ部員に迷惑をかけたこと、そして幼馴染を泣かせてしまったこと。このことを考えると京太郎の初陣はとてもよろしいものとはいえない。しかし、今回のことで京太郎自身も反省をするだろう。
「‥‥なぁ和。」
「なんですか京太郎君。」
「俺、次はもっとしっかりするよ。今回みたいにみんなに迷惑をかけたし…次は勇者としてあきらめずにがんばるよ。」
「‥‥約束ですよ京太郎君。」
「約束するよ和。」
こうして清澄高校勇者部の初陣は危なげなくも勝利という形で幕をとじたのである。
やっとかけたよ戦闘シーン。話的にまだ原作2話の途中というスローペースという事実。
まぁ今回の京太郎暴走の理由はちゃんとありますよ。ここで書くとネタバレになるので書きませんが…
次回は反省会兼説明。あと少しだけ日常いれられればいいなと思う。
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決意
引っ越し作業に書類の提出、職探しと時間がやっととれたので投稿します。
決してバンドリにはまってたわけではないよ‥‥
どうも、皆さんこんにちは須賀京太郎です。現在和の家に来ております。来てるというよりも連行されたが正解な気もするが今はそんなことはどうでもいいので・・・
(・・・・・・誰か助けてくれませんか?)
現在の状況を簡単に説明すると京太郎は正座させられている状態である。その前には幼馴染みの二人。ただし私は怒っていますと言わんばかりの態度である。正直威圧感がものすごいので京太郎自身としては藁にもすがる勢いで助けを求めたい感じだが現実は非情である、そんな人はいないし仮にいたとしてもこの二人を宥めることの出来る人間はいないのである。
「・・・ねぇ京太郎。私がなんで怒っているかわかる?」
「はい・・・」
「私はさ、京太郎が中学の時からのことしか知らないからその前の過去についてはわからないよ。だけどさ、急に飛び出してあんなことになって・・・もしも死んじゃったらどうするつもりだったの?」
「‥‥返す言葉もございません。」
「京太郎が死ぬなんて、私絶対に嫌だからね。」
そう言って涙目で腕に抱き着いてくる穏乃だったがこいつが泣きそうになっている所を見るのは2回目だ。元々めったなことでは落ち込まず常にポジティブな彼女だがこの姿を見ると尚更自分がしてしまった行為に腹が立ってくる。
「ごめんな穏乃。次はしっかりとする。今ここにいる二人の前で誓うよ。」
「‥‥本当?部活でも言ってるよね。勇者部五箇条、悩んだら相談だよ。」
「そうだな。ごめんな二人とも。」
抱き着いている穏乃の背中に手を廻し慰める。一方の和はそれを静観していた。彼女にも思うところがあるのだろう。京太郎が二人の前で決意をし、穏乃を抱きしめている間にも考えているそぶりをしている。
やがて和はなにか決心をしたのか二人に対して口を開いた。
「二人とも、そろそろよろしいでしょうか?」
「‥‥うん、もう大丈夫だよ和。京太郎もごめんね。」
「いや、俺こそ悪かった。」
そう言って穏乃は俺から離れて床に座り始めた。先ほどの和の目を見てなんとなく察しがついたのだろう。京太郎のほうではなく今度は自分自身のベットに座っている和の方を向いていた。
「今回の件で私も覚悟を決めました。次、あの敵が来た際には私も戦います。」
「和!?」
思わず穏乃が声を荒げる。先ほどの初陣では体の震えが止まらずに戦いに参加できなかった和から急に出たのだからいきなりの言葉に驚いてしまうのも無理はない。
「もちろん戦うことにまだ恐怖はあると思います。ですが京太郎君が危なかったところを見て思ったんです。このまま何もしなかったら私は京太郎君だけではなく穏乃や部長、絹恵先輩というかけがえのない友人や先輩達を失ってしまいます。私にはそんなことは耐えれないです。…だから私も戦います。」
和の決意は固かった。何よりもかけがえのない仲間を失いたくはないという願いをもって決意をしていた。
「…わかったよ和。一緒にがんばろ!」
「はい。改めてよろしくお願いします。穏乃、京太郎君。」
「俺も頑張るからさ、改めてよろしくなシズ、和。」
------------
ふと和の部屋にあった時計を確認する。時間は六時を回ったところであった。時間的に夕飯時であり現在一人暮らしをしている京太郎はその準備をしなくてはならない。なによりも家にはペットのカピバラ、通称カピーがお腹を空かせているだろう。そろそろ戻らなければならない。
「もうこんな時間だな。二人はこれからどうするんだ?」
「え?このまま和の部屋でお泊り会するよ。京太郎もするでしょ?」
「‥‥まじで言ってるのかシズ。」
確かに中学の時は和の両親が忙しかったこともあり、よくシズと共に夕飯を食べて共に寝たりもしていた。しかし、高校生にもなったら話は変わる。…まぁ思春期なので京太郎も恥ずかしいのだろう。
だが京太郎とは違い二人は特に気にする様子もない。むしろ積極的に誘ってくる。悩みに悩んでた京太郎だが結局二人の上目遣いで折れてしまった。かわいいは正義である。
「わかったわかった。ただ準備するから一回家に戻るからな。」
この言葉を聞いた二人は笑顔になりながらハイタッチをしている。それほどにまで一緒にいたいのだろう、感情が良く浮き出でいる。
それを見た京太郎は一度部屋を出る。なんだかんだ言いつつも彼も楽しみだったのは二人には秘密だ。
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「悪いなカピー。留守番頼むぞ。」
京太郎のその一言にキューと鳴き返事をするカピー。愛くるしい
「‥‥で、やっぱりこうなるのか。」
「どうしたの京太郎?」
「いや、なんで同じベットで三人川の字になっているんだろうなと思ってな。あとくっつき過ぎじゃないか?」
「気のせいですよ京太郎君。」
いや、気のせいじゃないですよ和さん。背中に当たってるんですが…。シズ?抱き着かないで、色々と危ないから。男は獣っていうのにこの二人は相変わらずだからなぁ(白目)
「そういえば明日は部長が説明すると言っていましたね。」
「そういえばそうだったな。二人にも今回のこと謝らないと…。」
「大丈夫だよ京太郎!きっと許してくれるよ!」
「そうですよ京太郎君。先輩方もわかってくれますから。」
「‥‥ありがとな二人とも。」
どうやら今日の出来事で疲れたらしい、すでに眠気が限界になっていた。二人にお休みと言うとすぐに寝てしまった。
明日への決意を心に秘めて…。
チマチマ書いてる時にリッツのHP更新あったので見てきました。
どうしてああなったんですかねぇ‥‥。
次回から月一で更新出来たらいいなぁ(願望)
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夢の中で・・・
今回はタイトル通りの内容ですがまぁ色々とおきます。
あと一応まだ平和です。この物語は平和な回が多いと思うよ(多分だけど)
気がついたらそこは白い空間だった。昨夜は和とシズの二人に挟まれて寝ていたのだがどうやらいないらしい。まぁ夢だから当たり前かと京太郎は思いつつなにもない空間を歩き出す。
なぜこれが夢と確信できたかはわからないがなにもない空間の奥の方をよくみていると細長い木のようなものが見えてきた。近くによれば昨日見たものによく似ていた。
(これは・・・神樹様か?)
そう。昨日、暴走したとはいえよく覚えている。部長からの説明で遠くから見たそれににているものだった。なぜこの夢の中に出てくるのか考える。京太郎自身これを間近に見るのは初めてだったと思う。なのにこの場に出てくるのは京太郎自身としても不思議なことだった。
(俺はここに・・・神樹様に呼ばれたってことなのか?)
「へぇ・・・昨日とは違う感じになったんだな」
「!?」
京太郎が考え込んでいると不意に後ろから声をかけられた。この白い世界の中、気配もなく後ろから現れるのは普通ではあり得ない。京太郎は意を決して振り替える。
「急に話しかけてきて、あんたは誰な・・・!?」
振り替えれば驚きを隠せなかった。なぜなら・・・
「お、俺か?」
そう、そこにいたのは自分とは瓜二つ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(今俺の前にいる俺は結局誰なんだ?)
京太郎としては先ほどの考えていたことよりも目の前の事実に動揺を隠しきれなかった。夢と考えていたとはいえ流石にこれは予想できるものではなかった。
「あぁ・・・、
もう一人の自分が一人で納得するように呟く。言葉の意味はよく分からないが今はよく分からないこいつに警戒しつつ質問してみることにした。
「なぁ、あんたはいったい誰なんだ?」
「お前、いきなりそれ聞いてくるのかぁ」
目の前にいた俺は頭をかきながら気だるそうに聞いてきた。見た目は俺と変わらないが中身はまるっきり違いすぎる。ある意味自分とは違うことが実感できて少しほっとする。
「今は教えられねーよ。そのうちな、そのうち。」
「何でだよ?・・・何か言えない理由でもあるのかよ?」
自分自身が相手なのだから言葉使いには遠慮はしない。京太郎は最初のことでいきなりはぐらかされたので更に聞くために続けて聞いた。
「・・・まぁお前が知るにはまだ覚悟が足らないからなぁ。もう少ししたらちゃんと言ってやるよ。」
なにかしらの事情があるらしい。ただあまり嘘をついている感じには見えなかったので違うことを聞き始める。
「そうだ。あと質問できるのは一回だけだからな。これ以上は時間切れだ。」
どうやら、色々と聞こうとしたのは向こうにはバレていたらしい。なら今知りたいことを聞くことにしよう。
「じゃあこれで最後になるな。・・・なんで俺はここに呼ばれたんだ?」
「そりゃあ簡単さ。お前が色々と神樹様と関わりがあるからさ。」
(関わりがある?)
先ほども思ったが始めてくるのに関わりも糞もない。京太郎自身が知らないところで、記憶が無いときのことであるかもしれない。京太郎としは凄く知りたいと思うことであった。
「なぁ、あんたは」
「ストップ。今回はここまでだ。また別の日にしようじゃないか。」
先ほどの通りこれ以上は聞けないようだ。若干不満にも思いつつ渋々諦める。
「あぁ、そうだ。」
向こうの姿が透けて消えようとしたとき、こちらを向き話し始めた。
「一ついい情報をやるよ。お前の携帯の端末にある勇者アプリの右下にあるボタンを押してみな。面白いものがみれるぜ。」
最後に頑張れよといい、姿は完全に消えてしまった。それと同時にこの場所全体が光に包まれていく。目が覚めようとしているのかこれ以上はこの場にはいることはできないようだ。
(今回はよくわからなかったが・・・次は話を聞かせてもらうぜ、もう一人の俺。)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
意識が戻り目を覚ます。起き上がろうとしたが両腕には和とシズ、二人が離さないといわんばかりの力で抱きついていた。ずっと抱きついていたのかと思いつつも現実に戻ってきたという事実に安堵する。
(そういえば・・・。アプリのボタンを押すと面白いものがみれるとか言ってたな)
先ほどの夢の中で最後に言っていた言葉を思い出す。正直話していてもあめり情報が手に入らなかったため確かめてみる価値は一応ありそうだ。
隣にいる二人を起こさないようにうまいこと腕を外すことができた。まぁ外したら外したらで体に抱きついてきたので動けないが腕は動かせるので特には気にしない。
携帯を起動しアプリを開く、確かに右下側に一つだけボタンがあるのは確認できた。京太郎は躊躇することなくボタンを押す。だが携帯からはとくに反応はなくなにも起きない。
・・・どうやらからかうための嘘だったらしいな。次に会えるのも嘘かもしれないと思い始めた。
「キュー」
と京太郎が思った時携帯を見ていた京太郎の頭の上の方から何かの鳴き声がした。どこかで聞いたことのある鳴き声ではあったがここは和の家、昨日のうちに自分の家にペットのカピーには留守番を頼んでいる。ましてや自分が寝ながら操作しているとはいえそこにカピーがいるとは思えなかった。
(いや、まさかとは思うが・・・)
視点をずらし上の方を見上げる。大きさは京太郎の顔と同じくらいであろうカピバラがそこには存在していた。ついでに言えば空を飛んでいるということも・・・
この後あまりのことに悲鳴をあげてしまい二人を起こしてしまい怒られてしまったのは言うまでもない。
次は7月の中旬に更新できたらなと思います。
あとは少しネタバレですがあと数回で新キャラ出します。誰かはまぁあの棒スレみてた人は多分分かると思いますよ。
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説明会 前編
言い訳すると8月くらいから転職したのはいいもののストレスでの体調悪化やなれない暮らしで書く時間がなかったです。
なのでリハビリに書いてみましたが違和感があるかもしれないです。
次話は落ち着いたし早めに投稿したいなぁ
あの後二人に説教された京太郎含め三人は朝食を食べ、学校へ行く準備をし、学校へと向かっていた。今日の部活動では昨日のことを含め、部長から説明があるらしい。
「まったく、朝からあんな叫び声は駄目だよ京太郎。」
「そうですね。流石にあれはちょっと・・・」
シズと和からそう言われるが返す言葉もない。あのあと事の事情を説明し納得していただいたが二人に迷惑をかけたことには変わりない。なので二人は寝起きから不機嫌な状態であった。なおカピバラを見て戯れてからは機嫌は元には戻っている。
「悪かったよ二人とも。」
京太郎は今一度謝罪する。自分がされたら間違いなく不機嫌になっていただろうし嫌になるのも分かっていたからだ。
「でもあのカピーはなんだったんだろうね?」
「そうですね。確かに空を飛んでいましたし・・・」
和やシズが言う通り見た目は飼っているペットのカピバラ、カピーにそっくりではあるが、羽も無く飛んでいるところや携帯の中に戻っていった事を考えると摩訶不思議ではある。まぁ昨日の出来事が起きているのである程度は気にならなくなりそうではあるが・・・
「カピーについては後で部長に聞いてみようと思う。あの人なら何か知っているかもしれないし。」
「京太郎君。その前にあの時の事はどのようにして謝るのですか?」
「部長は気にしないとは言ってたけどね。」
京太郎の言葉に和、シズの順に続く。
そうなのだ。前回最初の戦いとはいえ、自分勝手な行動で色々と迷惑かけたことについてまだ話が進んでいなかったのだ。部長でもある愛宕洋恵は気にしない素振りは見せていたが京太郎自身は謝れていないことに納得はいってない。どのようにするのか登校中に2人と話し合っていたのだ。
「その事で思いついたんだよ。ちゃんと放課後に実行するさ。」
「でもどうするの京太郎?」
「見とけよシズ。日本人といえばあれしかないだろ。」
2人は頭にはてなマークが出ているが京太郎は気にしない。それが解るのは放課後になってからである。
ーーーーーーーーーーーー
side絹恵
初めましての方は初めましてや、愛宕絹恵です。現在放課後で部室におるんやがお姉ちゃんと私しかおらへん。今日後輩達を含めた皆に説明をするとおねーちゃんは豪語しとったんやけどさっきから麻雀卓をグルグル回っていて落ち着きがないんや。
普段から落ち着きがないのは知っとるんやけどいつも以上や。滅多に見れへんけど流石に気になるわー。
「なぁおねーちゃん。さっきからなにしてん?」
「ん?あぁ、昨日説明するとは言ったやん?せやけどあいつら来なかったらどうしようかと思うとな、ちと怖いんや。」
そういや、おねーちゃんって意外と繊細な所があるからなぁ。心配せんでもええと思うんやけど・・・。
「心配せんでも3人とも来ると思うで。そのために集まるやん。」
「嫌でもなぁ・・・」
そんなこんなで話をしていると突然部室の扉が開いた。そこに目をやると1年生の3人がいた。ほらやっぱちゃんと来てくれ・・
「すいませんでした部長!!」
突如京太郎君がジャンピング土下座していた。うわ、膝打ってめっちゃ痛そう。おねーちゃんなんか顔が固まっとるし。
「凄いよ京太郎!完璧なジャンピング土下座だよ!」
あの・・・穏乃ちゃん。反応する場所そこなん?
「えぇ、カメラ持っておいて良かったです。京太郎君の勇姿が
和ちゃん?いつの間にカメラで撮影してたんや?というかまたってなんやねん。そもそも土下座は勇姿とは言わへんやろ・・・
静まり返る部室内、おねーちゃんの反応がないんやが・・・
「えぇ・・・」
ツッコミを入れるどころか困惑しかしとらんやんけ!
ーーーーーーーーーーーー
あの後京太郎は土下座を解除し、各々席に座って話を始めた。部長は昨日黙っていたことについて言われると思っていたが1年生3人は既に先日決意を決めていただけにすんなりと話は進んだ。部長は少しほっとしていたが直ぐにいつも通りに戻って話を進めようとしていた。
「昨日の事は紛れもない事実や。それでもウチの話を聞いてくれるか?」
洋榎が皆に聞く。ここまでならまだ何も聞かずに立ち去れば危険は少なくなる。これから先のことはほぼ安全になるだろう。しかし、1歩踏み出してしまえばそこはもう危険地帯。先程決意を聞いてはいたが確認のためもう一度聞いたのだろう。若干だが顔が強ばっている。
「部長、さっきも言った通り覚悟は出来ています。だからこそ教えてください!」
京太郎の言葉に皆頷く。3人組はそうだが絹恵も元々姉について行くと決めていたのだからこれには即座に頷いた。
「おねーちゃん。昨日も言ったんやけど着いていくよ。どんなことがあっても・・・」
その言葉に少し驚いた洋榎であったが直ぐに元に戻し
「・・・そうか、ならウチからはこれ以上は言わんで!説明したるから耳の穴かっぽじってよう聞きや!」
お願いします!と元気に言葉を返す4人。本日の部活、勇者システムの説明会が始まった。
カピーはまぁあれです。ネタバレになるので言えませんが一応ストーリーに関係はあります。
あと出すって言ってた新キャラ全然出せないですねー。
後3~4話後になりそう・・・
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