スター・ウォーズ 敗北者たち (公家麻呂)
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01話 異世界に転生した。

「流石はハルプスブルク家の御令嬢ですな。両親に似て体から才能が溢れ出るようだ。」

「赤子だというのになんと美しい。両親に似て絶世の美貌を持つでしょうな」

 

両親と思われる人物の周りにいる人達が賞賛の言葉を並べている。

 

「女王陛下、御子の名前は?」

 

貴族風のドレスを来た中で特段偉そうな人が、私を抱きかかえる母に尋ねる。

この名前を付けるように促したのが私の父親だったのは後々知った。ちなみに我が父上は歴史からフェードアウトした。死んではいない辺境で余生を過ごしている。

 

 

「えぇ、そうね。・・・うーん、えぇっとナネット。ナネットと名付けましょう。」

 

愛らしい瞳は若干白目をむいていたように思う。

 

 気がついた時には歯も生えていない赤ん坊で「ばぶばぶ」言っていた。というより、それしか言えなかった。

 

喋れるようになるまでは、ボケーっとして過ごしていた。

別によくある転生者のように急に喋り出したり、本を読みだしたりはしていない。

俺SUGEEEEをやりたくなかった訳ではない。

 

寧ろやりたかったが、まぁ異世界なわけで前世では英語の成績は可、国語の成績は秀だったのは自慢だが言語が違う時点でどうしようもない。しかも、乳児時代はすぐ眠くなるので記憶飛びまくりだ。

 

何にもできない。

ご飯食べて、オムツ替えて寝る。

それの繰り返しだ。

 

ハイハイで子供部屋の外に出ることは無理だ。

ドアノブが高すぎる。

見た瞬間無理だと悟った。

なので、生誕より3年ばかしはウンコ製造機として過ごした。

よく転生者の赤ちゃん時代は泣かないなんてのがあるが、泣くに決まってるだろ赤ちゃんだもん。体は正直だ。

最初のころこそ、人としてのプライドで気落ちしたが慣れるもんで、時間が経てば糞尿まき散らして泣きわめくことに抵抗は感じなかったよ。

あと、人としてのプライドとか言ったけど現状私は人間ですらなかった。

ラットキンとか言うネズミの獣人だ。ちなみに前世は男だが今は女、むしろメスと言った方がいいのだろうか?平均寿命が何と人間より長い100~130だ。身長も120cm前後でイウォーク族より少し背が高く、ジャワ族の平均身長をわずかに上回る。

 

まぁ、それは置いといて私の前世と今の私について話そう。

私の前世享年は30代後半、年齢の1の位は忘れた。

現世での8年は前世を曖昧化させるには十分だった。

ついでに前世の知識で無双なんてのも出来なかった。

前世の知識に無双できそうな知識はなかったしね。

そして、ここがどこでどんなところかと言う事と補足的に私の現状だ。

 

私の住むこの国はハルプスブルク帝国、ハルプスブルク星系他の複数惑星を保有する中世風の文化を持つ国家である。

家名をそのまま国家名にしている。

ちなみに、私の立ち位置だがこの国の姫である。王位継承権第一位の尊い存在だ。面識の少ないもしくは面識のない妹や弟が大勢いるが周辺各国の王族や長期政権の首相やその親族と婚姻を交わしており嫁入りもしくは婿入りすることが決定しているので、継承権が脅かされることはないだろう。

なにせハルプスブルク帝国は男尊女尊の概念はあまりない。男と言う概念がかなり薄いのだ、この国の男は皆、男の娘だ。男のムスメではなく男のコだ。女尊男無だろうか?言葉として男と言うものがあるが、男の概念と言うのだろうか。男の漢らしさは無い。

 

乳幼児期は城からほぼ出ることなく。今日まで王都惑星ウニーンから出ることはなかった。

だから、この光景を見て顎が外れそうであった。

そりゃあ、8年も生きていればこの世界がSFな世界なのは解ってた。

でも、実物を見て頭がショートするのはおかしなことじゃ無いと思うたぶん。

 

「あー・・・・・。」

 

異世界転生より8年、未だに状況に頭が追い付かない。

石造りのお城のバルコニーから見える大型の宇宙船。

王城の前に広がる湖に着水する大型の宇宙船。

 

「ナネット、船に乗りなさい。」

(ほげー・・・・・・・。)

 

「大丈夫かしら?この子・・・。」

我が母上からの視線は冷たかったが、頭の中がショートしているのだから見逃して欲しい。

 

宇宙船に乗り込み大気圏を越え、ハイパースペースに突入する。

 

「母上、この度の遠出はどちらに行くのですか?」

「そういえば話して無かったわね。元老院の定例議会に出席するのよ。」

 

「元老院議会ですか?」

「まさか、この子ったら家庭教師の話を聞いてなかったのかしら。」

 

母上からの冷たい視線を受けて慌てて取り繕う私。

 

「い、いえ。解ってますよ!?はい!?元老院ですよね!!あぁえっと銀河中から代表議員が集まって各国の利害の調整や紛争の仲裁などを話し合う場ですよね!?」

 

母上の視線は冷たい目線から冷めた目線へと若干軟化したが、心が痛い。

はい、不出来な娘です。はい・・・すいません。

 

 

 

ハイパースペースに突入してしばらく、途中途中で宇宙空間を経由して目的地に到着する。

前世の倍以上の高さの構想建造物群や浮遊建造物、その間を行き交うスピーダーって言うんだっけ?車輪のない車が空間を埋め尽くしていた。

その惑星の名はコルサント・・・。

 

 

 

遂に始まる・・・遠い昔、はるか彼方の銀河系で…。

 




ワードで書いてるんだが、コピペすると段落が消える。


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02話 異世界改めて、スターウォーズに転生した。

元老院の定例会議を見学させてもらえることになりました。

議席が浮遊しています。スターウォーズの奴みたいです。

というか・・・。

 

スターウォーズの世界に転生してました!?

異世界転生8年目にて確信した現実!?

銀河共和国とか、どこかで見たことがあるロボットや宇宙船とか察せるものはありましたが、まさか本当にスターウォーズの世界に転生してたとは・・・。

びっくりですよね。はい、びっくりです!

本当にびっくりしましたので何度も言いました!びっくりです!

 

え、これってもしかしてジェダイとかマジでライトセイバー振り回すフォース的なあれなの!?え、ヨーダとかいるの?

キョロキョロする!キョロキョロします!

 

かなり小さくて、良く見えないけど。声は聞こえる。

ヨーダって元老院の議員じゃないけど。ジェダイ評議会の一番偉い人だから元老院の議題によっては出席して意見を述べることもあるらしい。

 

 

ナブーの議席にパドメ・アミダラがいると思ったんだけど、別人らしい。

ナブーの民族衣装って特徴的だよね。あの衣装着てたからアミダラ女王かと思ったんだけど。

 

元老院議会の内容はN〇Kの国会中継並みに詰まらないので、途中から寝ていましたけどね。まぁ、今回の議題はハルプスブルク帝国の権益に関わる内容の物は少なかったので、私達の議席で母上も眠たそうにする場面があったくらいだ。

 

定例議会終了後、私達は元老院ホールを後にした。

共和国行政府ビルでいくつかの公共事業関係の書類を提出してから惑星コルサント最大のホテル、グランド・ギャラクティカに宿泊することとなった。

 

グランド・ギャラクティカではハルプスブルク帝国女帝である母上マリアーヌ・ハルプスブルク主催で親交の深い共和国加盟国の代議員達や要人達との宴が催された。

 

ハルプスブルク帝国はコロニー界のウニーンを首都惑星とする共和国内でも5つの指に数えられる大国です。

 

首都惑星ウニーンの存在するコロニー界をラットキンとニモイディアンで二分し、インナー・リムの惑星で多くの支配者層の妻や夫に自身の長女である私以外の弟妹達や親族の子息子女と婚姻や婚約し、それらを影響下に置き、拡張領域においても少なくない数の惑星を植民地にしている共和国内の大国なのです。

コロニー界の本国星域もだが、拡張領域の植民地も豊富な資源採掘惑星であり、高い観光収入を望めるリゾート惑星でもあります。

その財力はニモイディアンと同等の規模を誇っております。

ニモイディアンの社会では、富と権力が外見上の装飾に反映され目が痛くなるほどの成金趣味にひた走った。ラットキン社会でも富と権力が外見上の装飾に反映されたのだが、ラットキンは金銀財宝と言った解りやすい成金思想に走らず。骨董品や美術品を中心とした伝統重視の思想が広まっており、内側こそキチンと最新化されているが建物の外装や衣服などは伝統重視の古めかしいもので、外見文化は10000年以上昔から全く変化していない。個人的には流行り物も持っていたいですね。

 

それは置いといて。

 

銀河中の金持ちが集まる宴会は、私の公式的なお披露目会でもあった。

 

「お初にお目にかかります。」

「姫殿下、ご機嫌麗しゅう。」

 

たくさんの人物とあいさつを交わし、途中からは機械的に・・・。

 

「よしなにお願いしますわ。」

 

とか言い続けた。

 

 

少し離れたところで、母上はザイゲリアンと話し合い中だった。ザイゲリアンとは先端が尖った耳と、赤毛の動物っぽい外見が特徴の種族だ。

 

「拡張領域の植民地に、労働者を送り出したいのですがザイゲリアからいかほど融通できる?」

「この即金提示額なら1万は用意できます。」

「ならば、これくらい増額すれば・・・?」

「でしたら、5000人追加できますな。」

「それで構いません。早急に送り出しなさい。」

 

奴隷制度はジェダイ評議会と対立しております。

ザイゲリアから来る人達は、出稼ぎ労働者です。断じて奴隷ではありません、間違いなく有志の自発的な出稼ぎ労働者ですね。はい、間違いありませんよ。

私は忖度することができる素晴らしい目と耳を持ってます。

 

「母上、疲れたのでもう部屋に戻っても良いでしょうか?」

 

母上とザイゲリアンの交渉担当者が話しているところに割り込んで、ホールから退出する許可を求める。

 

母上はホール中央に備え付けられた巨大な柱時計を確認してから。

 

「もうこんな時間だったのね。いいわよ戻って休みなさい。誰か、ナネットを寝室に連れて行って頂戴。」

 

「はい、ただいま。姫さまこちらです。」

 

母上の声に使用人が前に出て私の手を引く。

その手に引かれて、私はホールを後にした。

 

私は寝室のベットで眠りについたが、母上は大企業や各惑星の権力者たちとの宴席を続けた様でした。

 

 

 

その後も1週間ほど母上は要人との会合や交渉を繰り返していたようだが、私は使用人たちを連れてギャラクティカ・シティのお店でショッピングをしたり、観光をして過ごすことにした。

 

最初の4日はショッピングをしたが、それに飽きて観光をすることにした。

観光で一番行ってみたい場所と言えば、ジェダイ聖堂。スターウォーズのファンじゃなくてもジェダイがライトセイバーぶんぶんしてるところは見て見たいものである。更に言うと権力者の娘として、ちょっとくらいならライトセイバーを触らせてくれるかもしれないと淡い期待を持って、お上りさん丸出しで使用人達を連れてジェダイ聖堂へ向かう私でした。

 

 



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03話 コルサントにて

ついに来てしまいましたよ、ジェダイ聖堂。

聖堂内の見学はハルプスブルク帝国の姫君と言うこともあり、赤いトグルータ族のジェダイの人が案内してくれることになったよ。

さすがに、ヨーダやオビワンには会えなかったけどね。

 

その人の説明によると聖堂はジェダイたちのための大規模な訓練施設、官僚施設、宿舎の様な共同住居となっていた。尖塔の部分にはその中でも重要な施設が入っているらしいが、そこは非公開だった。扉の外側からこっそり覗かせてもらった。要人の娘って立場おいしいかも・・・。

 

そういえば、ジェダイの階級もマスターとパダワンだけじゃなくて、その間にナイトがあったりする。それにパダワンよりも前の段階の候補生、イニシエイトなんて言うのもあるんだね。

ライトセーバーを振り回す身振りを交えて、ジェダイ及びライトセーバーに対するあこがれを熱く語っていると、案内をしていたトグルータの人が特別に気を使ってくれました。

 

「よかったら、練習用の物で良かったら触ってみますか?」

 

 

お試しってことで、練習用の木剣で基本の型なんかを教えてもらいました。普通の剣術と考えて護身用に役に立つと思います。でも、ライトセイバーが良かった・・・。ブォンブォンやりたかった・・・。トゥットゥトゥルルとか言いながらモールと戦うごっことかしたかった。

 

練習用の木剣はもらえた。記念になると思います。

 

ちなみに、ジェダイの人はライトセーバーを基本的に人に触らせないらしい。戦士の誇りとかそういう奴なんだろうか?触ってみたいと駄々をこねた私に対して、彼女なりの好意だったんだろうか。

シャク・ティさん、本当にどうもありがとうございました。

 

 

 

 

その後も使用人たちを連れて、絶滅動物ホログラム動物園や銀河博物館やスカイドーム植物園などを観光して回りコンサルタント観光を楽しみました。

また、私がコンサルタントで観光をしている間、母上様はビジネス地区で財界の要人たちと会合に明け暮れていたようでした。

 

「母上様、ただいま戻りました。」

「あら、ナネット。帰って来ていたのですね。今、ヒーゴおじ様がいらしているのですよ。ご挨拶なさい。」

 

私は母上様が示す方向に向き直り、そこにいる老人が客間の椅子に腰かけていた。彼の名はヒーゴ・ダマスク、背が高く細身言う他に何の特徴もないヒューマノイド型エイリアンのムーニンリストであった。

 

「こんばんは、ヒーゴおじ様。」

「やぁ、ナネットちゃん。お邪魔している。」

 

ヒーゴおじ様はダマスク・ホールディングス社の会長さんで、母上の内縁の夫。

さらには、彼の亡くなられたお父様は、あのインターギャラクティブ銀行グループの前会長のカー・ダマスク氏なのです。

 

「おじ様が、いらっしゃると言うことは母上様はソジャーンの月に行かれるのですか?」

「えぇそうよ。おじ様が3日後にソジャーンの会合を開くらしいから、母はそれに参加するわ。ナネット、あなたは先に帰って王族として国を大臣たちと取り仕切りなさい。」

 

「はい、わかりました。母上様。」

 

ソジャーンの会合。政治家、様々な通商組織やカルテルの幹部たち、さらには悪党さえもが集まる秘密の年次イベントである。

それを取り仕切るおじ様は、この銀河の裏社会の支配者と言っても過言ではないのです。現インターギャラクティブ銀行グループの会長サン・ヒルもおじ様には逆らえません。

とにかくすごい人なのです。

 

「明日には、コルサントを発ちます。あなた達、急だと思うかもしれませんが支度なさい。」

 

母上が使用人達に命じると、使用人達は「かしこまりました。」と応じて、そそくさと支度を始めていた。

私も明日に備えて今日は早めに寝ることにしました。母上様は・・・お楽しみでしょう。

 

 

 

 

 

 

翌日、私達は宇宙港から飛び立ちソジャーンの月の付近で船団を私と母上で二つに分けてから母上様とヒーゴおじ様を下ろして、ハルプスブルク帝国首都惑星ウニーンへの帰路につきました。

 

 

 



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04話 わたし、結婚するんだそうですよ。

惑星コンサルタントでの元老院定例議会から暫く、ハルプスブルク帝国首都惑星ウニーン。

 

「インチョリの反乱でヴァローラム議長の地盤はだいぶ揺らいでいるな。マリアーヌこれでお前もやり易くなるだろう。」

「もう共和国の腐敗は止められないわ。あなた達の計画も時が来たと言う事かしら?」

 

「フィニーズ・ヴァローラム元老院議長は、今度の失態で失脚することは確実だ。すでに仕込みは弟子が済ませている。」

 

ハルプスブルク帝国女帝マリアーヌはベットの上で内縁関係にあるヒーゴ・ダマスクと同衾したまま、マリアーヌと彼が出会った時と比べ彼の皺が増えてきたその顔を弄びながら訊ねた。一方のヒーゴは嫌がる様子もなく、彼女の方を向いて丁寧に答えてやることにした。

先祖代々の姻戚関係を持って、銀河の主要な国々に対して圧倒的な影響力と外交力を持つ彼女の影響力は彼の計画には不可欠なものであった。

 

若い頃こそ、冷酷な性格でいた彼であったが年を追うごとに性格が丸くなり、このマリアーヌと言うラットキンの女を内縁の妻として自分のテリトリーに迎え入れた。

 

マリアーヌがベルを鳴らすと、宮殿の使用人達が扉を開けて入って来て二人の着替えの手伝いをし始める。

 

「ヒーゴ、今回はどれくらい滞在するのかしら?」

「今回は、少し長めに居させてもらう。弟子に仕事の大半を任せているので、儂はあまりやることがないのだよ。それに、もう一つの仕事は君に任せたじゃないか。」

 

彼の言葉にマリアーヌはドレスの紐が結べてないまま、彼に抱き着いた。

 

「大変だったのよ。経済外交的には良好とはいえない彼らの頭を縦に振らせるのは。」

「だからこうして、報いてやっておるではないか。」

 

二人はじゃれあいながら、ダイニングテラスに足を運ぶ。

朝食を二人で取っていると、一足先に済ませていたのかマリアーヌの娘であるナネットが挨拶にやってきた。

 

「おはようございます。母上様、ヒーゴおじ様。」

「おはよう。」

「おはよう。」

 

 

 

 

 

 

この人と母上はいつ籍を入れるのだろうか?

いつもはクールビューティーな母上がベタ惚れのムーニンリストの老人は、いずれ私の義理の父上になるのでしょうし、私自身は母上が誰と再婚しようが構わない。幸せになってくれればそれでいいのです。

 

「ナネット、今日のあなたの予定は?」

「たしか、惑星ローディアへの支援物資の提供とそこの元老院議員との会談です。」

 

「最近は精力的に動いているのね。この前はマンダロアやナブーにも行ってたし・・・。」

「はい、新マンダロア政府との協議でベイカー鉄の取引交渉も糸口がつかめそうですよ。」

 

久しぶりの、目に見える功績に母上もご満悦の様子の様ですね。

今後の死亡フラグ回避のために、主人公勢力と接触を持とうとコンサルタントから戻って来てからはジェダイ評議会の人たちや、ナブーにクローンウォーズでパドメ・アミダラ繋がりの縁があるオンダロアやローディアとも関係を持ったのだ。

反乱者の主人公たちとも接触しようとしたけど、よく考えたらまだ生まれてなかったよ。

 

「えらいわ。ナネット・・・惑星政府間での外交は任せてもいいくらいね。そろそろ、企業とも付き合いをさせてもいい頃かしらね。」

 

企業、企業ね。あんまり、良いイメージがないな。

 

「IBCとならおじ様との関係でお話したことがありますよ。それにダマスク・ホールディングス社ともですよ?」

 

これで、テクノ・ユニオンや通商連合なんて出てきたら独立星系連合ルートに入ってアヘ顔ダブルピース(piece)を披露することになってしまう。それだけは、それだけは避けなくては!?

 

「あ、解りました!スター・ツアーズ社ですね!ハルプスブルク帝国の観光地政策の強化ですね!」

 

あ、母上の視線が冷たい。

解ってますよ!解ってます!おじ様の会社がナブーの埋蔵プラズマで利益を得ていますのでね。あの企業とのお付き合いがあるのは知ってますよ!ちくしょー。

 

「つ、通商連合ですよね。」

「旅行会社とか馬鹿なことを言ってないで、解っていたなら素直にそう答えなさいな。本当にこの子は・・・。」

 

うわー!マジかよ!マジであいつらかよ!peaceな人生を求めてpieceな最期を迎えるフラグが見えてきちゃったよ!?

 

「うむ、ナネット姫も聡い姫君だ。マリアーヌ、流石は君の娘だな。それはそうと、そこまでわかっているのなら彼と引き合わせるのは早い方がいいな。」

 

おじ様までもが、奴らと蜜月になろうとしてる!?死亡フラグですよ!!おじ様!!

 

「そう言うと思って、彼にはウニーンへ来てもらっていますわ。通商連合総督ヌート・ガンレイには・・・。」

 

母上が使用人達に扉を開けるように合図する。白く塗り上げられた木製の両開き扉の向こうから現れる緑灰色の肌に暗赤色の眼、ニモイディアン達。

ヌート・ガンレイを先頭に恭しい態度をとって私たちの前、会話ができる距離まで歩み寄ってくる。

 

「マリアーヌ陛下、ダマスク氏。御声掛けいただき感謝いたします。こちらのお嬢様がナネット姫殿下であられますか?姫殿下、お初にお目にかかる。通商連合総督ヌート・ガンレイです。今後は宜しくお願い致します。」

 

かなり丁寧に、私に向かって挨拶をしてくる。

ん?立場的には私の方が上?なのかな?

 

ここで母上から衝撃の一言が!!

 

 

 

 

「ナネット、貴女。この人と結婚なさい。」

「ふぁ!?」

 

はぁああああああああ!?なんですとぉ!?

 

 



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05話 逃れられない運命みたいなやつです。

どうも、私です。ナネット・ハルプスブルクです。

いやー、まさか私の結婚相手があのガンレイ総督だったとは・・・。

通商連合総督にして、将来の独立星系連合の大幹部。

Pieceにされるフラグが建ってますよ。鉄のフラグに強化されてますよ。

いったいどうすればいいんだ。

 

「式は早い方がいいわ。通商連合と帝国の正式な提携を始めたいわ。」

「インターギャラクティブ銀行グループからも出資させるよう圧力を掛けておくとするか。」

 

この場での立場が一番下なガンレイは一言も発していないが、母上様とおじ様が勝手に式の日取りとかの予定を決めています。マジでやめて!死んじゃう!将来的に私死んじゃうから!

 

「こういうのは、ほら、もう少し時間をかけてね。・・・する感じですよね母上?」

 

せめて引き延ばさなくては、エピソードⅠのナブー封鎖まで!その頃には元老院での通商連合の発言力が落ちてるから、この結婚もご破算に!!

 

「ナネット、生娘みたいな事を言い出して・・・。王族が自由恋愛なんてできるわけないでしょ。」

 

母上ぇ!おじ様とはほぼ自由恋愛じゃないですか!?

内縁だから違うってか!?本命は内縁関係でうまくやれ?

そういう事じゃないんだよ!こいつが嫌なんだよ!こいつが!!

だって、虫だぞ!?こいつら!?表情わかんないよ!!

異種族間の表情の読み取りは慣れろと・・・。

いやだぁああああああああ!!

と、心の中で叫んでいましたが・・・伝わるわけないですよね。

 

 

しかし、私の消極的な反対意見を悉く潰していくんですよね。この二人は・・・。

はぁ・・・少し落ち着きました。前向きに考えましょう。難しいけど前向きに・・・。

ドロイド軍嫌いじゃないし、結構好きだよ?コミカルなドロイド君たちね。

バトル・ドロイド、カワイイヤッター・・・。

 

あ、すこし現実逃避していた。

あれ、待てよ?ちょっと待てよ。ハルプスブルク帝国の皇位継承権第一位の第一王女である私が、通商連合の総督と結婚するわけだ。国家と企業だったら国家>企業だよね?あれ、そもそも私が嫁入りするの?あいつが入り婿になるの?

 

「あの、母上?私の今後の立場はどうなるのです?帝国は私が継承するんですよね?」

「えぇ、そうね。」

 

「で、通商連合の総督はガンレイ氏のままなんですよね?」

「そうよ。」

 

「でしたら、帝国と通商連合の力関係は?」

「彼は入り婿よ。つまりは、ハルプスブルク家は指揮権を得ることもできるわね。」

 

そんなもんいらん!!奴以上の特大死亡フラグじゃねぇか!?

でも、ドロイドは少し欲しい・・・。

 

「では、私が通商連合を率いたりなんかしちゃうんですか?」

「それはないわ。指揮権は書面上、建前の話よ。通商連合の指揮はこれまで通りガンレイ総督が取り仕切るわ。」

 

「そのとおりです、姫君は御多忙の身。通商連合の雑多な物事は私にお任せを・・・。」

 

母上の言葉にガンレイも被せてくる。

 

「通商連合としてハルプスブルク帝国に望むのは?」

 

正直、この婚姻の意味が解らないんだけど?

ハルプスブルクの資源が欲しいなら普通に交易すればいい。

ぶっちゃけ、軍事力だって通商連合に頼るほど弱いわけじゃない。共和国加盟国の中では5つの指に入る軍事力だよ?ぶっちゃけハルプスブルクに利益ってあるの?

 

でも、そのことを母上やおじ様、ましてはガンレイなんかに聞けるわけがない。

恥ずかしい。最近は政務を取り仕切っているだけあって、バカキャラを続けることが許されなくなって来ている。

とりあえず、銀河屈指の豊富な資源と通商連合とその関係各所の生産力。そして双方の財力が結びつく事でハルプスブルク帝国は共和国加盟国の5本の指に数えられるに相応しい軍事力を手に入れる。

 

 

 

だが、そこまでして欲しい物なのだろうか?軍事力と言うものは?

 

資源国であり、観光産業国である我が国は平和そのもの。

 

なぜ、わざわざ軍事力を持つ必要が?

 

周囲の要所国家とは関係良好、何故にこの様に波風を立てるような真似を?

 

「随分と姫君は疑り深い。通商連合の悪いうわさは知っていますが、そこまで警戒されなくても・・・。」

 

私の頑なな消極的拒否に、ガンレイ含めた側近たちの解り辛いニモイディアンの顔でもわかる程度に困っているのが解る。

 

「総督達がお困りですよ。ナネット・・・通商連合とは2国間関税協定を結んで、恒久的に円滑な貿易を行うことが出来るわ。情報収集は結構ですが、その噂に流されるのは良くないわよ。」

「は、はい。」

 

確かに現状の通商連合は実力行使に出ることがないわけではないが、私が想像するような悪事の限りを尽くす勢力ではない。

 

もしかしたら、もしかしたらの話。仮に、仮にだよ!本当に仮にだからね!?

上手くやれば、それなりに穏便に流すことが出来るかもしれない。そうしたら、皇族だからセレブには違いないが銀河規模のセレブ、ギャラクティカセレブリティになれるかもしれない・・・。

 

コンサルタントにあるような無駄に高い高層ビルの上の階で、ジャグジー付きの泡風呂でシャンパン飲みながら「下界の民が~」的なことを言えるかもしれない。

中世風文化に永らく浸かっていたが、メトロポリタンな贅沢を目指しても・・・グフフフフ。

ッハ!?

 

自分に都合の良いように妄想してしまった。

 

私が妄想している間に、母上とおじ様はガンレイ他ニモイディアン達と式の日取りについて話し合っている。

 

選択肢1、王族としての立場を捨てて飛び立て!!銀河の果てへ!!

無理無理無理無理!!自活できないもん!!使用人の居ない生活なんて、もう我慢できる体じゃないのよ!?贅沢だ着ない生活なんて!?無理――――!!

 

選択肢2、何とかして、婚約を解消させる。

どうやって、婚約を解消させるの!?やり方が解らないから悩んでるんだよー!!クソが!!

 

選択肢3、ガンレイと結婚して、うまくやる。

逃げることも、婚約解消もできない。もう、これしかないじゃない!?うわああああん!?

 

婚約破棄は出来なかったよ…。

 



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06話 pieceなフラグ以外のフラグが立ちました。

前回の初顔合わせより多少の月日が経った。

あ、まだ結婚してないよ?非公式な婚約だけだよ。

 

皮張りの高級そうなソファーに身を横たえながら、テーブルに広げている書類に簡単に目を通しながら判を押し、もう片方の手でガラスの皿に盛りつけられた果物をつまんでいる私。

 

いやー、通商連合もしくは独立星系連合ルートに入ってしまいましたね。

もう、ちょっとね・・・投げ槍ですよね。

 

あーそういえば、ガンレイ総督からの貢ぎ物で貰ったメクノ=チェア。あれ、かなり使えるわ。ちなみにメクノ=チェアってのは裕福なニモイディアンが地位の証として使用する、移動能力を持った機械仕掛けの椅子。

 

「よっこらしょっと、チェア何か音楽流して。」

『ワカリマシタ。クラシックヲナガシマスネ。』

 

超高性能アレ〇サみたいな感じ、テレビとかも画像が浮かび上がって見れるからね。

通信機能もあるよ。主人公側との関係を何とか良好に維持したいのでナブーとかマンダロアとかの勢力と何度か通話しているよ。

 

それはひとまず置いておいて、ソファーからメクノ=チェアに乗り移る。

 

ただ、ニモイディアン達の使い方は運搬機の使い方だけど。私はちゃんと椅子として使っていますよ。乗り方がDBのフリーザ様ですけどね。連合ルートだから、爆発する敵艦なんかを見て「見てごらんなさい!綺麗な花火ですよ!」とか言ったりするのだろうか。

 

なんてことを考えながら過ごしていると・・・。

 

「姫様、女王陛下とダマスク氏がお呼びです。」

 

母上たちからお呼びが掛かった。

 

 

 

 

王城の一室、母上の執務室。

 

執務机の革張りチェアに座る母上とその横に控えるヒーゴおじ様、二人の視線は険しい。

解ってはいますよ?解っていますとも・・・。

 

「ナネット、我が国の方針は解っているはずよ。通商連合の方針を支持すること、これは決定事項よ。いつまでも未練がましく、ナブーやオルデランと連絡を取り合っているようね。愛娘といっても少しばかり目障りになってきたわ。」

 

母上の目が絶対零度のドライアイスの様だ。こ、殺される!?

体の震えが止まらない!?ひぃいいいい!?ガクブル。

 

そこに助け舟を出してくれたのはおじ様だ。

 

「この国の政治家としてどちらにも転べるようにすることは、本来なら間違いではない。マリアーヌ、こればっかりは私達が彼女に話していなかったのが原因だ。この子は出来た娘だ。本当の事を話せば、意に沿った行動をしてくれるはずだ。」

 

おじ様の言葉を受けた母上は、おじ様の顔をうかがってから話し始める。

 

「・・・ナネット。王立病院地下の医療研究施設に行くわよ、そこ方が説明しやすいわ。支度なさい。」

「は、はい・・・。」

 

母上の表情は底冷えする程であった。

 

 

私は慌てて部屋に戻り外行きの服に着替え、使用人達と共にランドスピーダーに乗り込み王立病院へ向かった。

 

王立病院の玄関で白いひげを蓄えた病院長の出迎えを受け、病院長より母上たちが先に地下研究施設に行ったことを知らされる。

病院の職員専用エリアに入り、エレベーターに乗り込む。

地下階に到着すると軍の兵士達が守りを固めている。その守りを固めている兵士たちとは母上の近衛兵達であった。

 

「姫殿下。ここより先は我々がご案内します、使用人の方々はここでお待ちください。」

 

私は使用人達を置いて病院長と近衛兵数名で扉の向こうへ進む。

私達の前に広がる光景は研究施設、血液の撹拌機や、チューブを血液が流れている。血液の入った試験管は冷凍保存されている。

白衣の研究員や医師たちが機器や器具を操作して何かしらの実験を行っているようだった。

 

 

この施設はいったい何の研究を?

 

「病院長、これは?」

「姫様、ミディ=クロリアンをご存知ですかな。」

「ジェダイ使うフォースにかかわりのある細胞だと聞いています。」

 

病院長は先に進みながら話し始める。

 

「我々は、さる偉大な御方の支援を受けてミディ=クロリアンを用いた人工のフォース・ユーザーを創造する研究を行っているのです。」

「ですが、フォース・ユーザーの人の手による創造は不可能だと聞いています。」

 

病院長は私の言葉に首を横に振り、話し始める。

 

「我々の偉大なる後援者であるお方は、フォース・ユーザーの創造に最も近いところにいらっしゃいます。あのお方はジェダイの治癒者や惑星ヴジャンのさらに先へ至っております。」

「そ、そんなことできるわけ・・・。」

 

馬鹿げているフォース・ユーザーの人工創造なんてできるわけが・・・。

 

「それができるのよ。」

 

母上の声が聞こえた。

私は後ろを振り返る。そこには母上と漆黒のローブを纏ったおじ様の姿が・・・。

 

あ、あぁ。

そ、そんな・・・。

こ、これはもう・・・、覚悟を決めないと・・・。

ハルプスブルク家はどっぷりとダークサイドに浸かっているよ。

あばばばばばばば!?きぃえええええ!?私達が黒幕側なら!!みんな死ぬしかないじゃない!?

そう言って銃を乱射できるほどの気概は私にはないんだなぁ・・・全く、これっぽっちも・・・。

 

母上は、氷の様な冷たさを感じさせる笑みを湛えて私に声をかける。

 

「さぁ、ナネット。改めておじ様にご挨拶なさい、いえ私の師に・・・。ダース・プレイガス様に・・・。」

 

あははー、pieceな最期を迎える可能性は減ったけど。碌な死に方をしないフラグが立っただけですやん。プラマイ0ですやん・・・、死にたいって言うか将来的に死にますね。あはは・・・はぁ・・・。

 



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07話 ダース・プレイガス

 

「さぁ、ナネット。改めておじ様にご挨拶なさい、いえ私の師に・・・。ダース・プレイガス様に・・・。」

 

「ナネット・・・我が義娘。」

 

母上・・・、おじ様・・・。

これが、シスの暗黒卿・・・。

二人からは普段感じる親しみや暖かさは無い。感じたものは冷たさと恐怖。

 

常人には耐えられそうにない圧を感じた。全身が恐怖からくる寒さに震え、膝を付き崩れ落ちる。地御這うようにして二人を見つめる。きっと私の目は恐怖に震え、もう一押しで理由なく命乞いを始めるだろう。

 

少し離れたところに立っている近衛兵達は立っているのがやっと、病院長他運の悪い研究員たちはその場にへたり込んでいた。

 

「ナネット・・・、プレイガス卿に忠誠を・・・。」

「は、はい。」

 

ハルプスブルク皇家はシスの手に落ちていたのだ。

私の生まれる以前から・・・。

 

 

「ナネット・・・、プレイガス卿の大いなる計画の一翼を担うのです。」

 

こうして、シスの計画に加わることとなったのです。

 

 

 

おじ様、シス卿ダース・プレイガスの傘下となった私は新参ではあったものの、ダース・プレイガスの実質的な妻、ハルプスブルク帝国女帝マリアーヌの娘であり、プレイガスの義理の娘と言う立場を持って組織内のナンバー3として扱われることとなった。

 

二人はシスの立場を示した後も、家族として接してくれた。

最初は怯えていた私も、時間と共に元の関係に戻ったのだ。

 

私は娘として、姫として、大いなる計画の協力者として過ごすこととなるのです。

 

しかし、この大いなる計画とシスオーダーは私の想像以上に複雑化していました。

 

プレイガス卿の正式なアプレンティスはダース・シディアスであることは間違いなかった。なので、私はすぐにでもシディアス卿とこの立場で引き合わされることとなると思っていた。

 

しかし、この時すでにダース・プレイガスとダース・シディアス。二人の間には亀裂が入っていたのである。

 

プレイガスとシディアスの関係は大いなる計画を実行するためにお互いを利用しあう関係となるまで時間をかけて冷えていたのです。

 

現在に至る年月の間に双方の考え方も変わり、2人の関係は見えないところで乖離していく。

当時、プレイガスは不老不死の研究に取り付かれていた。彼は母上の協力を得てシスの中でも禁じられた教えを探求し、死に瀕した者を救える、あるいは死んだ者を蘇らせることさえできる知識を手に入れようとハルプスブルク帝国内に秘密の研究施設を創設し結果を出し始めたていたのだ。

 

そして、プレイガスは無から新しい生命を作り出すという究極の秘術の研究に着手する。そしてついに、プレイガスはミディ=クロリアンに影響を与え、フォースそのものから直接生命を生み出す実験を行い、結果として人為的に選ばれし子を産みだしたのだ。

 

この生み出された子供が、アナキン・スカイウォーカーであった。

 

プレイガスの研究を知ったシディアスは即座にプレイガスの真意を疑った。彼の目的は新しい弟子を作ることであり、自分とその子供を置き換えるつもりであるとシディアスは考えたのだ。

ただし、この時のプレイガスに選ばれし子を弟子にする気は無かった。

プレイガスは晩年に差し掛かり、妻と継娘を得たことで彼の中シスアリのダース・ベインから始まったサイクル、さらには彼ら自身の目的をも破棄し一人の私人としての最期を願い始めていた。

そして、考え方が完全に乖離したシディアスに対しても、彼は弟子ダース・シディアスとの純粋な絆を持つことも考えており、プレイガスは紛れもないシス卿であった。その証拠に彼は今も神秘主義者にしてダークサイドの信奉者であったし、永遠の命と自然発生の概念に取りつかれた彼は、物質世界にまつわる問題に絶えず手段を問わず没頭していました。しかし、只人としてのぬるま湯に浸かってしまった彼は、シディアスを御する力を完全に失っていたのです。

 

 

大いなる計画はすでにシディアスが主導する形になっていたが、プレイガスの影響も無視できるものではなかった。しかし、プレイガスの存在をシスの暗黒卿傘下ヒーゴ・ダマスク以外の形で認知する幹部は母上と私以外には存在していなかったのだ。

逆にシディアスの方も私たちの事を、ヒーゴ・ダマスクの影響下にある配下としてしか認知していなかったのであった。

 

 

 

 

おじ様の身を案じていた母上は私に密命を下した。

 

「ナネット、シディアスは強力な軍勢を手にしようとしています。義父様のための軍勢を用意なさい。」

「はい、お任せください。」

 

プレイガスとしてのおじ様、確かに恐ろしいところが多々あった。でも、おじ様として接してくれる私人としてのおじ様はとても優しいおじ様のままでした。そういえば、おじ様はお母さまと結婚して義父様となったのでした。

これからは義父様と呼ばなくてはなりませんね。

この時点で原作とはだいぶ違う状況でした。もしかしたら、違う結果に繋げられるかも・・・。

 

そして、私とガンレイ総督の婚約は非公式ながらも事情通な者たちの知るところとなる。

私はハルプスブルク帝国皇女として、通商連合のドロイド生産を下請けする形で工場を誘致、その一方でドロイドのブラックボックスを解明し通商連合も共和国も把握していない地下秘匿工廠の建設を開始させたのです。

 

急ピッチで整えられた生産施設は数カ月で稼働段階を迎え、ハルプスブルク帝国にある通商連合の下請け工場と帝国地下秘匿工廠はドロイドの生産を開始し始める。

 

「母上、通商連合の下請け生産と国内純軍事力として生産させたバトル・ドロイドは合計2000体。帝国陸軍工廠においても戦闘車両や輸送車両の生産体制を強化しています。」

「流石ね。ナネット・・・通商連合出荷分を差し引いても十分な戦力となるわ。」

 

地下施設の窓から生産される兵器群を眺めつつ、母上に生産状況を報告する。

あれほどの数のドロイドの姿は壮観です。私もドロイドの私設部隊を作ろうかな?

 

側近の臣下が、母上に耳打ちする。

母上は、少しだけ唇を釣り上げて話しかける。

 

「ナネット、始まったわよ。」

 

そして、遂にヌート・ガンレイ率いる通商連合が動き出した。

惑星ナブー封鎖である。

 

といっても、まだ私は黒幕ち言うよりは後方のモブ・・・。

今なら、引き返せるしナブーと通商連合を取り持って保険を掛けることもできる。

少々の危険は覚悟して、動くべきなのでしょうか。

 

 

 



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08話 ナブー再包囲

 

ナブー封鎖よりしばらく、コンサルタントの元老院議会ではこの問題の解決に動き出した。

重い腰を上げ、鈍足に動き出した。

 

ハルプスブルク帝国は、皇女ナネットが通商連合総督ヌート・ガンレイと婚約関係にありながら、ナブーと交友関係を持つと言う双方の関係を取り持てる特異な立場にあった。

当然、元老院内ではハルプスブルク帝国に調停を依頼する声が上がっていたが、ハルプスブルク帝国の選出議員は首を縦に振ることなく沈黙を守っていた。

 

 

シディアスはプレイガスから学べるだけのことを学び、ダース・モールを弟子に迎えようと準備を始めていた。2人の掟を破ったシディアスに対して、プレイガスも内縁関係にあった忠実な妻である母上を新たな弟子に迎えるべく動き出した。

 

「マリアーヌ、シディアスは私を謀った。奴は私を裏切るかもしれん、関係の修復を図るがもはや叶わぬかもしれん。シスの継承の手段として私を殺すこと、あるやもしれん。」

「私がそのような真似させません。」

 

この二人はシスのマスターとアプレンティスと言う関係において、今までにない関係にあった。

 

「衰えたとはいえ、私はシスの暗黒卿だ。私の持つ技を教えよう・・・マリアーヌよ。私と共に来てくれるか。」

「はい、どこまでも。貴方の御傍に・・・。」

 

夫婦である間柄だからこそ生まれた感情・・・、それは愛であった。

しかし、シスの本質は負の側面にある。故にこの愛は狂愛となり銀河に大きな混乱をもたらすこととなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

母上とおじ様が、剣舞の訓練をしている。

おじ様が使っているのはシス卿としてオーソドックスな真っ赤なライトセイバーだ。

一方の母上は、おじ様からの手ほどきを受けあっという間に基礎を収め、自己流の戦闘スタイルを確立していた。母上の武器は、古い伝統重視のハルプスブルク帝国故と言ったところか、王室宝物庫の奥底に眠っていた古代のライトセイバーのダークセイバーであった。現在のライトセイバーに古代のダークセイバーは性能に劣る、しかしこのダークセイバーは通常の剣と違い刃の部分がワイヤーで繋がれつつ等間隔に分裂し、鞭のように変化する機構を備えた蛇腹剣であった。

母上の戦闘スタイルはトリッキーで手数の多さで敵を翻弄するスタイルであるとは、私付きの戦術ドロイドの言だ。

 

訓練後の母上に報告をしに向かう私達。軍部の首脳陣は軍の参謀たちと、改良を加えた戦術ドロイド数体を引き連れて、二人の訓練場に向かう。

 

訓練直後の汗の滴る艶めかしい姿をさらしている母上は、同じ女である私も思わずハッとしてしまう程だ。

 

「艦隊の出撃用意が完了しました。」

 

参謀長の言葉を受けて、母上は一瞬でキリッとした表情に戻る。

 

「よろしい。直ちにナブー星系へ進出しなさい。」

「っは!」

 

ハルプスブルク帝国は通商連合の側に立って参戦するというのでしょうか?

既に、ナブーではアミダラ女王とジェダイがグンガンの指導者ルーゴア・ナスと接触したとの情報が入っていた。

 

「は、母上。グンガンがナブー王国に付いたとすると・・・、元老院議会が・・・共和国が介入してくる可能性が高くなります。すでに、ジェダイが介入していますし共和国の介入がなくても、ジェダイが本格介入したら計画は頓挫しますよ。」

 

不安な気持ちを隠し切れない私に対して、母上は気にも留めた様子もなく私に言い返す。

 

「そのための、ハルプスブルク軍の介入よ。ガンレイが逮捕される前にこちらで確保するのよ。それと・・・ナネット。艦隊の司令官席には貴女が座りなさい。」

 

っは!?なんで!?最前線に行かなきゃならないだよ!!死んじゃうじゃないか!?

 

「・・・・・・・・・。」

唖然として静止していると・・・。

 

「「「姫様は我々がお守り致します!」」」

「「「ワレワレ モ ゼンリョクヲ ツクシマス!」」」

 

勇ましく母上に敬礼する軍参謀陣と戦術ドロイド陣。

なに格好つけちゃってるの!?お前らモブがいい格好するのは死亡フラグっていうんだよ!!

 

母上が私の耳元に口を寄せる。

「まさか、貴女。この状況で嫌とは言わないわよね。」

 

いえいえいえ!?とんでもございません事ですわよ!?

 

「私にお任せください母上・・・!」

 

逃げられない。母上様からは逃げられないのだ。

 

 

 

 

 

 

我が軍の宇宙戦艦アルザス・モルナヒ級バトルシップ1番艦アルザス・モルナヒ、これが私の乗っている船ね。銀英伝のブリュンヒルトっぽい見た目をしているよ。

無駄に内装も凝ってるところが正に銀英伝の帝国軍そっくりだよ。

 

銀英伝の帝国軍だったら勝利フラグばっかりで嬉しいけど、私の艦隊はこれから本作の御主人公様と御ヒロイン様に喧嘩売りに行くんですよ。中ボスレベルの悪役(ガンレイ)を助けるためにね。

死ねる!間違いなく死ねる!仮にうまくいっても割に合わない、中ボスの身の安全と引き換えに主人公勢に睨まれる!割に合わない!!全く割に合わないよ!!

やってられっかー!!酒飲んでやる!!ワインボトルごと持ってこいや!!

 

あびゃびゃびゃ!!酔わなきゃやってられないよー!?

何ぃ!?3本目だぁ!?知るか!!いいから持ってこいや!!あと、おつまみも持ってこい!!チーズは飽きた!!ナッツがいい!!うわうぇえええい!!

 

「ひ、姫様。な、ナブーに到着しました。すでに共和国の艦艇群がガンレイ総督の逮捕のために陣取っております。包囲を行いナブー政府に引き渡しを要求しましょう。」

 

ん?なんか言ったか?ホーイを行い?フォーイってなんだ?頭がくらくらする。飲みすぎたかな?フォーイ?フォーン?フォース?ん!?フォースを行ってる!?

ジェダイの攻撃か!?やべぇええ!?あのミラクルパワーで船ぶつけられて爆死しちゃう!!うわぁああああああああ!!やばいじゃないか!!

 

「何やってんだ!!お前ら!!反撃だ!!反撃しろ!!撃て!!ファイア!ファイエル!!ふぁいえるーん!?」

 

「え、撃つんですか!?本当に撃つんですか!!」

テんっぱってキョドる参謀たち。

 

「イカクシャゲキ ダ!! オドカシテヤレ!! ヒメサマ バンザイ!!」

「「「ヒメサマ バンザイ!!」」」

 

「なるほど!威嚇射撃か!本艦の主砲を共和国艦隊の中央を通過させるように撃つんだ!」

「「「帝国万歳!!」」」

 

私に忠実なドロイド達は私の命令を好都合にも好意的に意訳し、行動に移す!

そして、なぜか納得する参謀陣。

 

参謀長が号令を掛ける。

「主砲!狙え!撃て!」

 

ん、叫んでたら頭が痛くなってきた。少し酔いがさめ・・・て・・・来・・・た・・・ようなって!?

うぇえええええええええ!?何やってんの私!?

 

 



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09話 号泣会談

 

撃ってしまった。

撃ってしまったけど、何とかなりそうで良かったー。

 

いやー、向こうの艦の奴らがクローントルーパーだったら本格的な撃ち合いが始まってただろうけど。まだ、クローン兵はこの時代にはいないのであの艦にいるのは軍人だか役人だか解らないヘタレた共和国軍兵士だ。

 

共和国加盟国内でも五つの指にはいる国力の我が国と事を構える気概のある奴なんているわけないってことね!あはははははははは!!ふぅ・・・。

 

いやー、ジェダイとかケノービとか乗り込んでこないよね。幼きスカイウォーカーがなんとかウィングとかに乗って私の乗艦沈めに来たりしないよね?

 

目の前の共和国艦が引き下がっていく。

だ、大丈夫そうだね。

 

「警戒は厳にしてよ。」

「ラジャー、ラジャー。」

 

 

「姫様、通商連合の艦艇が後退してきます。」

「しかたないわね。本艦隊の後ろに隠れさせてあげて・・・。」

 

通商連合の艦艇の中には、先ほどのごたごたでナブーから脱出していたガンレイ達もいた。

逃げるのが上手いところとか・・・行動が、いちいち小悪党の中ボスっぽい。

 

『来てくれて助かったぞ。よくできた賢妻だ。』

「えぇ、まぁ・・・妻ですから。」

 

って言うか。自分の妻にまでゴマをするのか?この男・・・情けねえな。

これでも、このエピソードⅠでは主人公たちをかなり追い詰めたんだから驚きだよ。ギャップに・・・。私って今9歳なわけですよ。体格とか踏まえて言うとロリ巨乳ってやつなんですが、それは置いておいて9歳児に媚び諂うのか。

 

引くわ~って感情もあるけど、褒められるのが嫌ってわけじゃないしね。(ちょいツンデレ)

ん?結構マジで感謝してるって?

ルーン・ハーコさんが言ってるけどどういうこと?

・・・・・・・・・・・・・・マジかよ。これから私、パドメとオビワン相手にお話ししないといけない?

むしろ、後ろのドロイド君含めてO・HA・NA・SHIされてボッコボコにされそうな気もするんだけど・・・。

 

確かさ、今のオビワンって師匠のクワイ・ガン=ジンがモールに殺されてちょっとイライラしてたんじゃなかったけ。

ジェダイって基本平和主義だけど、やるときはやるからな。ボッコボコにされなくても引っ叩かれそうではあるんだよね。嫌だなー、話し合いしたくないなー、働きたくないなー、帰りたいなー。

 

「もしよろしければ、ご一緒しましょうか?」

 

参謀長―!!是非に来てくれ!!

 

「えぇ、お願いしますね。」

 

 

私は参謀長達や戦術ドロイド達を連れて共和国艦へ会談の為に乗り込んだ。

 

 

 

そして、それから時間が経って会談が進んだわけですね。

やべー、やべーよ・・・。

 

向こう、ガンレイ寄こせの一点張りだよ・・・。

話し合いで解決させようと、こっちが強硬な手段に出てないから大丈夫だけど。

あいつあんまり喋って来ないけどオビワン、すげー睨んでくる。怖い、怖すぎる。

交渉は基本アミダラ女王だけど・・・。

もう、泣きそうなんだけど。

 

「私、ほら・・・総督と結婚してるわけで・・・。夫なんですよ・・・こんなんでも・・・、このまま獄中で死刑になったら・・・会えなくなるわけじゃないですか・・・ね。」

 

視線が冷たい。でも、これ引き渡したらたぶん母上や義父様にめっちゃ怒られるじゃない?シス的なフォースグリップでグェーされるかもしれないじゃないですか?

もう、どうすればいいんですかね?これ!?

あっち側、何にも言ってこなくなっちゃたんだけど?これ、マジで切れちゃう5秒前。古い言い方でMK5なんじゃないのこれ!?

 

「もちろん、死者への哀悼の意ははらいますよ?復興支援もかなりの額をお出ししますしね。夫が死刑で死んじゃったら、私未亡人になっちゃうし・・・。やっぱり、悲しいじゃないですか?うん、夫だし・・・愛してないわけじゃないんですよ。あくどい事ばっかりやってますけどね・・・。あいつもほら、悪い奴だけど悪い奴じゃないんですよ?」

 

「ガンレイ氏の個人の資質の話ではなく。彼の率いる通商連合の引き起こした被害、それに共和国へやや直接的な敵対行為に関しても問題があるのですよ。」

 

「え、あ、はい・・・。」

 

アミダラ女王、手厳しすぎる・・・。どうすればいいんだ・・・。

なんだか自分でも何言ってんだか分んなくなってきた!?

どうすればいいのか?どうすりゃいんだ!?うわぁああああああ!!

私はここで混乱の末、発狂した。

 

「ガンレイの妻として、私としては、事実に基づいて……復興支援や賠償についてご提案させていただいているわけですけども、ハルプスブルク皇族という大きな立場から見れば、やはり今回の出来事は真摯に受け止めて、どこかで折り合いをつけなければ、お、お、大人じゃないと思うんですよ!で、ですから、私はその皇族という、本当にもう……妻として大好きで、本当に大好きなんで、ですから、もうナブーの人たちに申し訳なくて……。」

 

なんだよ!?9歳のロリにこんなことさせるんだよ!?ちくしょう・・・。うぅ・・・、中身あれだけど、9歳なんだよ!?

マジ泣きである・・・。

 

「こんな私で、アミダラ女王並びにジェダイの皆さま、私も死ぬ思いで、もう死ぬ思いでもう、あれですわ。一生懸命、努力に努力を重ねて、異種族のニモイディアンと結婚して、やっと両国の皆様に認められて結ばれた夫婦であるからこそォ、今回の夫の不始末で、こうやってナブーやジェダイの方々にご指摘を受けるのが、本当にツラくって、情けなくって、本当に申し訳ないですわ。」

 

ちなみに私は泣きそうになると饒舌で早口になるタイプ。

 

「ですから、……皆さんのご指摘を真摯に受け止めて、皇族という大きな、ク、カテゴリーに比べたらア、婚約破棄、コッンヤク破棄の、決断ノォォー、決断しテェエ、折り合いをつけるっていうー、ことで、もう一生懸命ほんとに、アウターリム課税問題、共和国の腐敗ハアアアァアーー!!非・亜人類差別問題はー! 共和国の一部のみウワッハッハーーン!!共和国全体のッハアーーーー!共和国の一部ノミナラズ!共和国のみんなの、銀河中の問題じゃないですか!!」

 

この辺りから記憶が飛び始める。

 

「そういう問題ッヒョオッホーーー!!解決ジダイガダメニ!私ハネェ!ブフッフンハアァア!!ウーハッフッハーン!!ッウーン!ずっと頑張ってきたんです!だけど!共和国が変わらないからーそれだったらワダヂが!共和コク加盟国第2位の国の皇位継承者とシテ、して!文字通り!アハハーンッ!命がけでイェーヒッフア゛ーー!!!……ッウ、ック。あなたたち!あなたたちには分からないでしょうけどね!この世の中を!ウグッブーン!!ゴノ、ゴノ世のブッヒィフエエエーーーーンン!!ヒィェーーッフウンン!!ウゥ……ウゥ……。ア゛ーーーーーア゛ッア゛ーー!!!!ア゛ーー世の中を!ゥ変エダイ! その一心でええ!!で、でもォーッハゥ。自分の夫にもォォオオオ!!い゛ぎでほじぐでえ゛たいして関係な゛い゛ッズビェエエ!!わ゛だじ達がァ、私がァアッあ来ったんですううー!!!ですからア゛ァッハアァーー!ッグ、ッグ、ア゛ーア゛ァアァアァ。殺さないで!殺さないで!!ください!!ふ、ッフーふモン、不問にしてください!ア゛ーア゛ーッハア゛ーーン!」

 

「す、すみません!ひ、姫様が取り乱してしまいまして!!と、とりあえず私が!!参謀長である私が引き継ぎます!!」

 

と、言ったようなことになっているらしい。

 

 

そして、帝国軍の艦艇で目を覚ますと・・・。

何故か、ガンレイはじめとする通商連合の人たちがいて・・・。

ガンレイが一言。

 

「すまないな。幼い身にこのような事をさせて・・・。」

 

なんか・・・デレてる。

 



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10話 プレイガスの死

 

通商連合のナブー封鎖、ハルプスブルク帝国軍による再封鎖。

ヌート・ガンレイ他通商連合の重鎮達の身柄は、ハルプスブルク帝国女帝マリアーヌの庇護下に置かれた。遥か昔より婚姻同盟によって勢力を拡大し縁による繋がりを最重要視するかの国はガンレイの引き渡しを拒否。

そのガンレイの影響下にあるニモイディアは共和国加盟国第二位の実力を持つ国家の後援を受け、共和国元老院のガンレイの処断には消極的であった。

 

「ガンレイ総督率いる通商連合のナブー包囲は、些か強硬な手段であったことは事実です。ですが、彼がこのような抗議を行ったのはフィニーズ・ヴァローラム議長が交易課税において初期の約定を反故にし課税額を釣り上げたことに原因があると、ハルプスブルク帝国は考えるものであります!」

 

この発言はハルプスブルク帝国の選出議員アルバート・ケッセルリンク。マリアーヌ・ハルプスブルクの妹婿エスペランザ・ルクシュタインの兄である。蛇足だがルクシュタイン家は植民地総督である。

アルバートはナブー他の選出議員と激論を交わし、一方でハルプスブルク帝国縁戚国の元老議員の取り込みを行い議論は平行線となり、フィニーズ・ヴァローラム議長の退陣に伴い一時棚上げとなった。

 

その間も一応被告不在の裁判は進行していたが、ガンレイの賄賂工作でうやむやになることとなる。

 

コルサントの元老院議会の大廊下ではニモイディアの選出議員ロット・ドットとアルバートが並んで歩きながら話していた。話題は一定の安全が確保できたガンレイ総督の身柄から、彼の私生活に変わっていた。

 

「いやはや、あのガンレイが女に入れ込むとはなぁ・・・。」

「いや全く。姫様は幼いながら陛下の血を引くだけあって、間違いなく美姫でありますから。」

 

二人の頭にはハルプスブルクの離宮で彼の貢いだ宝物の数々に囲まれて優雅に暮らすナネット・ハルプスブルクと、嫁の気を引こうとあれやこれやをするガンレイ総督の姿であった。

 

 

 

 

 

 

 

ヒャッハー!!!

カネだ!!マネーだぁ!!ジュエリーだ!!

 

前世小市民の自分が想像でき得る限りの贅沢をしてやってるぜ!!

酒!!金品!!女!!いい男!!

我が夫ガンレイも、しばらくは表に出れないし暇だからね!!

離宮のテラスにプール作って、トワイレックやトグルータとか色んな種族のカワイイチャンネーやチャンニーを囲って乱痴気騒ぎよ!!

 

そんなことやってると悪い奴らが寄ってくるって?

御客人の中にハット族の誰かがいるような気がするけど・・・細けぇこたぁいいんだよ!!

ふへへへへ、ドロイド達も天然物のオイルで酔っ払ってらぁ!!

 

「姫様、セレスティーナ・ルクシュタイン様がいらっしゃいました。」

「ん?パーティーに参加したいのかな?かな?」

 

悪酔い状態の私。

 

「お待ちください!セレスティーナ様!」

 

使用人の静止を振り切って入ってきた叔母様。

その表情はこの場に似つかわしくないほどに険しい。

あ、これは・・・マジなやつだ・・・。

 

顔は赤いが表情はキリッとさせる。

 

「セレス叔母様ご機嫌麗しゅう。いったい何があったんですの?」

 

「な、ナネット落ち着いて聞きなさい。貴方の義父様が、先ほどコルサントのペントハウスでお亡くなりになられたそうです。こんなところで馬鹿やってないで早くコルサントへ行きなさい!」

 

・・・・・・・・・・・・・・あぁ・・・やはり・・・なのだろうか。

義父様の死の運命は変わらなかったと言うことでしょうか。

 

私は私の側近と化した戦術ドロイド陣と軍参謀たちを率いて、母上が先行して向かったコルサントへと飛んだのでした。

 

義父様を殺したのは恐らく、シディアス卿。

全てを抑え込んでシスの計画に乗るか。ジェダイの側に付くかもう一度考えなくてはいけませんね。

 

 

 

数日前、銀河共和国の最高議長に選出されたパルパティーンは、ついに偉大なる計画を単独で続けるときがきたと判断したのであった。プレイガスから得られるものはすべて学んだため、もはやこの年老いたムーニンリストは彼にとって邪魔者以外の何者でもなくなったのだ。コルサントのカルダニ・スパイア・ビルにあるダマスクのペントハウスで、元老院で披露する予定の就任演説のリハーサルを行っていたとき、パルパティーンはマスターであるプレイガスにワインを注いだ。そしてプレイガスが酩酊状態に陥ったのを見たパルパティーンは、彼が眠りにつくまで辛抱強く待ち、彼に激しいフォース・ライトニングを浴びせたのである。彼はムーンの激しい苦痛を楽しみながら、ゆっくりとマスターに死の拷問を加えた。プレイガスは死に、その弟子がフォースにおける世代交代を成し遂げたのである。

 

 

シス・オーダーに関わる幹部ヒーゴ・ダマスク、そして極僅かの人間が知るシディアスの師プレイガスの死は、この後のクローン大戦と呼ばれる戦乱をさらに複雑させることとなる。

 

 

 

 

 

 

コルサントの病院で義父様の亡骸を引き取った母上と私達は、その日の内にコルサントを離れた。

 

ロイヤル・シップの私たちの部屋に義父様の亡骸は安置され、私と母上以外の者たちは下がらせた。

 

母上は義父様の亡骸にぴったりとくっ付いたまま、ぶつぶつとつぶやいていた。

側にいた私は、母上の言葉が聞こえた。だから、他の者たちを退出させ誰も入れないようにした。

これは、誰にも聞かせられない。

母上は泣き腫らした目元が切れ、血涙を流していた。

母上は義父様の亡骸に縋りついたまま声を上げる。

 

「あの人から多大な恩を受け…その報いがこれかぁ・・・許さぬぞ。決して許さぬぞ・・・シディアス卿ォォ・・・。」

 

 

 

 



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11話 一世一代の大勝負

 

 

身内で義父様の葬儀を済ませて、数日後母上が失踪した。

 

ハルプスブルク帝国内は大混乱に陥っている。

 

恐らくはシディアス卿を討つ為だろう。

義父様はシディアスの事を母上に話していた。転生者の私だけが知っている情報シディアス卿=パルパティーン新元老院議長であることは義父様は当然知っていただろうけど、それ以外で知っている人は私だけ・・・。

 

立場を利用して優雅に暮らせるならと、問題を先送りに見て見ぬふりをしていた。

実際、原作とは若干の差異もあった。例えば、我が夫ガンレイは公人としてはクズだけど私人の夫としては非常に好人物であったし、義父様の影響力が原作に比べて大きかった(今はシディアス卿に掻っ攫われた。)。

 

何とかなると、甘い考えがあった。

ちょっと、スターウォーズを生で見れるみたいに舐めた掛かっていたところもある。

私の考えが甘かった。

 

母上はシディアスの正体を知らない。だから、いてもたっても居られずに正体を探るために出て行ってしまったのだ。だが、逆にシディアスが義父様と母上の真の関係に気が付いていない保証はない。もしかしたら、人知れずシディアスに殺されてしまうかもしれない。

 

そんなのは嫌だ。私の母上・・・義父様を失った上に母上まで失いたくない。

 

だから、このスターウォーズの物語を根底から覆す私の切り札をここで切る!

シディアス卿=パルパティーン新元老院議長であることをジェダイにチクる!

この功績があれば夫ガンレイの件も晴れて無罪放免だし、銀河も平和が続く。

 

最良の結果を掴むのですよ!

 

私は、ヒーゴ・ダマスクとしての義父様と縁深いジェダイであるサイフォ・ディアス氏と接触することにした。他の候補としてヨーダやオビワンもいたがヨーダってジェダイの一番偉い人だし皇族とは言え伝手もなくすぐに会える気軽な存在じゃないし、オビワンも出会いが良くないので会い辛かった。

 

そうなると、やはり義父様と縁深く義父様の娘としての接点もあるサイフォ・ディアス氏と会うのがいいと思うんです。原作では出ていた記憶がないが、義父様と大事業を手掛けていたらしいし、ジェダイの大人物なのでしょう。それにナブーの件もあるゆえに他のジェダイとは話しずらい、それに比べサイフォ・ディアス氏なら不自然でもない。

 

「誰か、サイフォ・ディアス氏に火急の要件にて会いたいと連絡してください。」

 

使用人にサイフォ・ディアス氏あてに通信を入れるように命じた。

要件が用件だけに、直接会ってはすべき内容だ。

 

少数の護衛と共にロイヤル・シップを出航させ、サイフォ・ディアス氏との面会の場である宇宙ステーションへと向かった。

 

義父様と関係を持つ辺りで、ある程度ジェダイ評議会とも距離を置いていたようだが評議会メンバーであることは違いない。彼の口からヨーダやメイス・ウィンドゥに伝われば、銀河帝国は産声を上げることなく消滅する。

 

シディアスを何とかしてしまえばシス側の人材など烏合の衆だ。

それに、夫も私が説得して手を引かせれば衆ですらなくなる。すべてがうまくいく、すべてうまくいくのです。

 

「姫様、会合地点です。」

 

ダマスク・ホールディングス社所有の無人宇宙ステーションに艦を接舷する。

 

すでに、ステーションではサイフォ・ディアス氏が待っていた。

 

「お待たせしました。ハルプスブルク帝国臨時女王ナネット・ハルプスブルクです。一応は姫という肩書が有効ですが・・・。」

「久しぶりだな。ダマスク氏とお母上の結婚式以来か・・・。ダマスク氏の葬儀に出られなかったことは申し訳なかった。仕事が立て込んでいてな・・・。」

 

サイフォ・ディアス氏と世間話をしてから、本題に入る。

 

「マスター・ディアス、昨今の共和国の腐敗や不穏分子の力の強まり・・・。これは、大昔滅んだとされるシスの陰謀なのです。」

 

「何を馬鹿なことを…、たしかに昨今の情勢は不穏な物であったが・・・。」

 

私は、そっと義父のライトセイバーを出した。

そして、ライトセイバーから延びる赤い光を彼に見せた。

 

「なんと、まさか本当に・・・。こ、これは・・・私の想像以上に危機的な状況だったのではないか。」

 

私はサイフォ・ディアス氏に自分の知っている限りのことを話した。

義父がプレイガスで、母上はその弟子であると・・・そして、シディアス卿が今の計画を主導するシスであると・・・。パルパティーンがシディアス卿であることはまだ話さない。彼を通じて自身の身の保証と夫の身の安全も確保しなくてはならない重要な交渉材料だ。

 

ひとまず私の話をすべて聞き終わったサイフォ・ディアス氏はうんうん唸りながら頭の中を整理したのか改めて、私に話しかけてくる。

 

「ナネット姫殿下、よくぞお話しくださいました。今日話してくださることが十四な話であることはなんとなく分かっていました。まさか、シスの事とは思いませんでしたが・・・。」

 

サイフォ・ディアス氏は一拍置いてからさらに続けてくる。

 

「実はもう一人私の信頼するジェダイを連れてきていたのです。彼にも話していただけますでしょうか?きっと彼も力になってくれるはずです。」

 

「は、はい。」

 

サイフォ・ディアス氏は信じてくれた彼ほどの人物が信じてくれた。

そのもう一人のジェダイの二人にシディアスの正体を明かして助けてもらおう。

 

肩の荷が下りたみたいで少し顔がほころんだような気がする。

私は、もう一人のジェダイが入ってくるであろう扉に視線を向けた。

 

 



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12話 逃れられぬ運命か

 

開いた扉の先にいた人物を見て、思わず私は背筋が凍り付いた。

あまりの出来事に硬直してしまった。声を上げでもすれば、少しは状況も変わったのだろうか。

 

もしもの話など無意味、今起きたことが現実なのだ。

扉の先にいた人物は、一気にサイフォ・ディアスに近づいて立ち聞きする形をとる。

 

そう、私の目の前にいた人物はダース・ティラナス。ドゥークー伯爵その人であった。

 

アイエエエ!!ナンデ!ナンデ!!ドゥークー!?

数多くのジェダイの中からよりによってお前か!!

 

あまりの出来事に体が硬直して動けない。

これは緊張からくるフォースとか関係ない方だ。

 

「姫殿下は、共和国に巣食う腐敗の要因にかつて滅んだシスの姿を見たと言うことか。」

 

こいつ、黒幕の一歩手前みたいなポジションのくせに遠回しに言ってくる。

偉い人の中にはなぜか円卓の周りをグルグル回りながら話す奴がいるんだ?正にこいつだけど・・・。

 

私のボカした話を聞いてドゥークーは髭に手を置いて思案するような動きをする。

な、なんとかして誤魔化さなきゃ!?シスだよ!こいつはシスだ!服装が悪役の服装だもん!!でも、どうやって!?

 

「姫殿下、このドゥークーにも詳しく話を聞かせて・・・欲しい・・・もの・・・ん?そうか、なるほど・・・そういうことか。考えてみれば、当然か。」

 

ドゥークーは私が話し始めないことを勝手に納得し始める。

 

「ドゥークー?どういうことだ?」

そんなドゥークーにサイフォ・ディアスが説明を求める。

 

「あぁ、つまり・・・。」

 

ドゥークーはシスのセイバーを円卓から拾い上げサイフォ・ディアスの後ろへ回り・・・。

「こういうことだっ。」

 

セイバーをサイフォ・ディアスに突き刺した。

 

「っぐ・・・。ドゥークー、貴様っ。」

「サイフォ、お前にしては察しが悪かったな。」

「ぐふっ。」

 

椅子から崩れ落ちるサイフォ・ディアス氏、すでに事切れている様だ。

 

「サイフォ・ディアスに頼ったのは悪くなかった。だが、私が来るのは予想外でしたな。姫殿下?」

 

ドゥークーはゆっくりと私の方に歩み寄る。

 

「ひ、ひぃ!!」

 

私は転がる様に椅子から落ちて壁の隅の方へ身を寄せる。

 

「姫殿下、ハルプスブルク帝国はこちら側に付く約束だ。ダマスク氏から聞いていないとは言わせんぞ。」

 

「ご、ごめんなさい。ゆ、許して・・・、許してください。」

 

ドゥークーは私の前に立つ。

 

「我がマスターは姫殿下にご慈悲を賜るそうだ。」

 

と、とりあえず、死なずに済む!

 

「だが、罰は受けてもらう。」

「え、な、なにを?」

 

ボキリ

 

「いっ、ぎゃあああああああ!?痛い!?いたい!!あ、足が!?」

 

私の両足があらぬ方向にへし折られて、骨が飛び出してる!?

 

「出血していますな。」

 

シスのライトセイバーが光る。

 

「た、たすけて!い、いや!?やぁああああああああ!!」

 

スパッ

 

わ、私の足が切れて

 

バシャ

 

円卓に置かれていたデキャンタに入ったワインを、残った腿に注ぎかけられる。

 

「あ!・・・いっ・・・も、もう許して・・・・・・死にたくないの・・・。」

 

「我がマスターは、命までは要らぬとおっしゃった。次は無いぞ・・・。」

 

「は、はひっ。もう、じま゛ぜん、し、シスの暗黒卿に゛ちゅ、忠誠を・・・ち、ぢ誓いまず。」

 

鼻水と涙で床を汚しながら、床に置かれたドゥークーの靴を舐める。

 

「な、なんでもじま゛ず。だ、だがら゛殺ざな゛いでぇ・・・。」

 

ドゥークーはフォースで私を浮かせて部屋から連れ出す。

 

「あ、あぁ・・・お、お願い゛でず。だ、だずげでぐだざい・・・。うぅ・・・。」

 

 

 

 

ドゥークーが乗ってきたであろう船の接続口が開き、船の中に放り込まれる。

 

「あぐっ・・・あぁ。」

 

 

 

「貴様の嫁の不始末だ。ガンレイ総督。」

「も、申し訳ありませんでした!以後、このような事なきよう努めますゆえ!」

「出資金の増額、それさえ飲めばよい。」

 

まさか、ヘタレな我が夫がドゥークーやシディアスに頭を下げてまで助命嘆願をしていたなんて・・・。

今の私は、この人に捨てられたら終わりだ。義父様と母上がいなくなった私には彼しか寄る場がない。

 

「あ、あなた・・・ご、ごめんなさい。わ、わたし・・・」

「何も喋るな。先に医務室だ。」

 

もう、どうすればいいのかわからない・・・。

 

 



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