silence of this area collapses (風見 桃李)
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高遠遙一の転生

普通に緊張します。
後書きは作者の余韻が恒例となるかも。


 

目が覚めない暗闇、覚めても尚暗闇。

体の感覚は全くなく、意識のみ鮮明。

此処はそういう所でしょうか。

現実ではありえない、となると此処は死後、そう思いますか。

 

しかし死後となると私が死に際を覚えてないとは、少なくとも金田一君に長らく会えてなかった。

そうなると私は極刑にて死んだか、殺されたのでしょう。

私は、僕は特に未練は無いと、思うのですが…

あぁ、暗闇で動かずいるのに誰でしょうか?僕の名前を呼ぶのは。

 

この暗闇は実に心地好いというのに。

 

「よーいち!」

「…?」

「よーいち!しんじゃいやだ!いやだよ!」

 

死んじゃ、嫌だ?

クククッ、地獄の傀儡師に掛ける言葉ではありませんね。

しかし言葉に、声に耳を、いや、意識でしょうね、この場合は、傾けると微かに指のような感覚がっ!?

なんだ、痛覚が迫り来る!?あぁっ!

熱い、痛いイタイ、いたい痛いイタイ痛い痛い痛い痛い痛い痛い!痛い!

なんですかこの痛みは!あぁ、あぁああ!

「痛い!うっ、あ、あ゛っ!うっぁ、足が、お、折れてる?(しかも両方ですか!他にも背中が熱く痛い!擦った後ですか?!)」

「よーいち!」

「君、は…?」

 

目の前で泣いてるその子に手を伸ばしてみたら、僕の手は子供のように小さかった。

 

 

高遠遙一の転生(たかとうよういちのてんせい)

 

 

 

名前は、僕の、いえ私の名前は高遠遙一で、この子の名前は、名前は、名前はたしか…そう、高野遙、幼馴染で、泣き虫で、ドジ、それでいて私の奇術を魔法と言った子。

 

私は、輪廻転生を、したのか。

 

記憶をこんな時に思い出さなくても、いや、幼いままだったら痛みに耐えきれない、現状の把握もままならないでしょうね。

「…遙、何でこうなったのでしょう?」

 

前後が思い出せない、なら頼りになるのはこの子だけ、高野遙に掛けるしかない。

「あやしいおじさんが私たちをあの崖から落としたの!よーいちは私を守ってくれたの、守ってくれたからよーいちの、よーいちの足が折れちゃっだぁあぁあ!」

「泣かないでください、私は前後、あー、起きる前の記憶がわからないのです、どうして崖から突き落とされたのですか?遙、泣かず、落ち着いて話してくれますか?」

「う゛っう゛ん!あやしいおじさんに落とされる前にね、私たちは家の近くで遊んでいたんだけど裏のお家から大きな声が聞こえたの、真っ赤なおばさんと手にほーちょー持ったおじさんがいたの。それで、気付かれちゃって車に私たち入れられて近くの山に来て落とされたの」

 

殺す瞬間を殺人現場で見たという所でしょう、恐らく殺しもその男、そして近くの山、ですか。

遥だけなら行けそうですね。うん?

「遙?何で私をおぶろうとしてるのでっ!止めなさい!流石に痛いです!」

「やだやだ!よーいちもいっしょ!」

「君の身長では私の足がっ!止めなさい!」

「うー、うー…あっ!この前パソコンで見た持ち方する!」

 

パソコンで、見た持ち方?

待ちなさいそれはプロレス技の

「水車落とし、だと!?遙、これでは君、歩けないのでは」

「うーうん、歩けるよ!」

「…馬鹿力でしたか、君」

 

金田一君、私、もう一回死にそうです。

生きた心地がしない、とはこう言うことですね、ぐらぐら体が揺れてていつ落とされるか不安です。

それよりも小学生ぐらいの女の子にこの力は、何処から出ているのか、特異体質か元々か、ホントに馬鹿力か。

…女の子に肩に担がれる男の子、か。

「早く下ろして欲しいです」

 

 

無力とは良くない、実に良くないですね。

 

 

その後私と遙は無事山を降りた、大分下まで落とされたということですね。

それは足も折れますよ。

 

私達は警察に保護され犯人も捕まっていた。

特にトリックもない、そういう事件でしたから。

私も病院まで行き足の手術も成功、ただリハビリはかなり時間がかかるようだ。

そしてそんな中、遙は言った。

「よーいち!私お巡りさんになる!」

「…遙が?」

「うん!よーいちを守れるぐらいの強い人になって、よーいちが安心して魔法を使えるようにしてあげるの!」

「お巡りさん以外にもあると思いますよ?私を守る方法は」

「うーうん、お巡りさんが良いの!」

 

「そう、ですか。なら…地獄の傀儡師に、負けないようなお巡りさんになること、期待してますよ?」

 

「うー?うん!」

 

 

今は子供の戯れ言、覚えてない無いでしょう?

 

 

 

数年後、警視庁に刑事らしくない男がいた。

その男は、まるで一般人でも刑事でもない目をしていた。

まるでそう、狂気の手前に誘うような、そんな目を。

「本日付けでこの部署に配属されました。高遠遙一、警視です。目暮及び明智班に配属されます。それと今遅刻してる高野遙巡査部長は私の直属の部下のようなものです。よろしくお願いします。」

 

 

 

前世 高遠遙一

罪状及び怪人名及び性質

地獄の傀儡師、サイコキラー、殺人教唆、殺人他数十件

 

 

現世 高遠遙一

現在 警視庁捜査一課 警視及びピエロのおじさん

潜入捜査名 奇術師 スカーレット・ローゼス、フラワーアレンジメント 遠山遥治

 

 

彼の人生は始まったばかりである。

 





高野遙(Haruka Takano)

馬鹿力、未設定だらけ
少なくともこの子も転生者、金田一やコナンはかじりかじり知ってる。


高遠遙一(Youiti Takato)

転生高遠遙一、幼馴染によりまるくなりなんやかんや巻き込まれて警察になる。
頭は元より良いのでぐんぐん昇格、明智健悟に危険視されているがそれよりも休暇がほしい。
有給無休仕事頑張って関係無く事件が…己日本のヨハネスブルク 米花町、許さん。
ちなみに明智さんとは高校生か中学生の時出会う。
金田一は刑事になってから、金田一はコナンと同じく小学生か蘭と同じく高校生かで。
休日はピエロのおじさんとかしてる、副業ではないのでセーフ。

奇術師 スカーレット・ローゼスとして活動するときは対黒の組織、怪しさなら負けない。
裏世界では地獄の傀儡師とも?

フラワーアレンジメント 遠山遥治は対安室透、人当たりの良さなら負けない。(マネージャー時のようなキャラ)
マネージャー高遠遙一のようなキャラで正体知ってるコナンはすげぇ変わりようだと引いてる、けど待ってコナンくん、赤井秀一のことも思い出して?彼は今沖矢昴よ!


大学生 沖矢昴 VS フラワーアレンジメント遠山遥治 VS喫茶店店員及び探偵 安室透

FBI 赤井秀一 VS 警視庁 高遠遙一 VS 公安 降谷零

ファイ!ていうの面白そう

ってのを最初は考えてた。
マネージャーでコナンに今では会うのかすら謎です。


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今の高遠遙一には救えない

今回は高野遙の視点、後書きはてんこ盛り。


 

まだ小学生だった頃の話、裏のお宅で殺人事件があった。

今までに聞いたことのない悲鳴が聞こえた瞬間、私はそちらに行ってしまった。

「は、ハルちゃん、ダメだよぉ…そっち行っちゃあ…」

「け、けど遙一!何かあったら警察、お巡りさんに言わないと」

 

 

「誰だ!」

 

 

そこには血だらけの二人の人、一人は包丁を持っていた、もう一人は自らが生んだであろう血溜りに寝ていた。

「見たなクソガキ!」

「遙一!逃げて!」

「ダメ!ハルちゃんは僕が守ります!」

 

 

子供二人で何ができると思う?

何も出来やしない、私達は殴られ蹴られ、遙一は片方の足を折られた。

私は泣いた、すごく泣いた。

私のせいで、彼の足は折られた。

 

 

誰にも言ってない、誰にも知られてない、秘密がある。

それは私に前世の記憶があることだ。

私の知ってる高遠遙一は金田一少年の事件簿という作品の世界に存在する人間、初登場となった事件は魔術列車殺人事件、犯罪コーディネーターでマジシャン、あの世界のジェームズ・モリアーティになるであろう彼の足を、私の判断のせいで折られた。

まだ幼い彼は小学生の時からマジックが上手かった、きっとこれから、地獄の傀儡師になるのに。

いや、なってはいけないのだが、別の方向でマジシャンという道もあるかもしれないのに。

「ここまで来れば…あばよ、クソガキ!山から落ちて死ね!」

「ハル、ちゃんっ!」

 

遙一が私を掴んだ為、私達は二人同時に山から投げ落とされた。

遙一は私を頑張って抱え込みながら、私達は山の斜面を転がり落ちた、途中ゴギッと鈍い音も聞こえた。

彼の足はまた折れてしまいそんな足にもかかわらず、彼は背が斜面になった瞬間、足を広げ滑りを止めようとした。

止まるとき彼の背は擦れ、頭を打った。

私は焦り泣いた、彼が死んでしまう。

「嫌、嫌だ、嫌だ!死んじゃ嫌だ!遙一!死んじゃ嫌だよ!」

 

声を掛ける、何度も、何度も、何度も。

喉が痛い、体も痛い、それよりも遙一が痛いに決まってる。

それは終わらない、まだ、泣いてもいけない。

泣かないという私の前世からの防衛ライン、それに泣いたら声が出なくなりそうだから。

「っ!遙一!」

「…?」

「遙一!死んじゃ嫌だ!嫌だよ!」

 

起きたら痛くて遙一は泣くかもしれない、そう思った。

けど実際は違った。

「いたい!うっ、あ、あ゛っ!うっぁ、足が、お、折れてる?」

「遙一!」

 

生きてた!良かった!

そう思ったら涙が止まらなくなった。

それと同時に悲しくなった。

 

 

 

「君、は…?」

 

 

 

この世界の高遠遙一の記憶を押し退けて、あの世界の高遠遙一の記憶が浮上した。

おどおどして、ドジっ子で、たまに男らしくかっこよくて、へにゃりと笑う、ハルちゃんと呼んでくれる『高遠遙一』は、もういない。

 

 

記憶喪失じゃないなんてわかった、遙一はハルちゃんと呼ぶのに高遠は私のことを遙と呼んだからだ。

私は泣きながら高遠に一生懸命説明をした、やはり泣くと体に引っ張られる、普通に子供になってしまう。

そのあと痛がる高遠を肩に担いだ、我慢してほしい。

それとこれは火事場の馬鹿力だ。

 

下山すると警察がいた、どうやら犯人は目撃情報により場所が割れ、警察がそこを張り込みしていたみたいだ。

高遠はそのまま病院、私も多少怪我をしていたので病院行きが決定した。

その日、私は決意した。

私も高遠もまだ小学生、なら魔術列車殺人事件を起こさないように道を反らそう。

彼が安心して奇術、マジックを使えるように、笑えるように。

 

だって、彼は一流マジシャンの息子、そして彼自体も紛れもなく一流マジシャン 高遠遙一なのだから。

本当に、彼の奇術は魔法のように凄いのだから。

 

「遙一!私お巡りさんになる!」

「…遙が?」

「うん!遙一を守れるぐらいの強い人になって、遙一が安心してマジック出来るようにするの!」

「お巡りさん以外にもあると思いますよ?私を守る方法は」

「うーうん!お巡りさんを良いの!」

 

「そう、ですか。なら…地獄の傀儡師に、負けないようなお巡りさんになること、期待してますよ?」

 

「うー?うん!」

 

なんで私は犯罪者になりますよ宣言されたかは知らないけどする気はないぞ、それに私じゃ逮捕できない。

なんせ彼は凄いのだから。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

数年後、私達は受験シーズンの時、再びであった。

中学生になった彼は母の近宮玲子と共に世界を回ったからだ。

頭は元より良い、奇術の腕もピカ一、なのにどうして、私の家に彼は来たのだろうか。

「…遙」

「た、高遠、くん?」

「久しぶりですね、…ふぅ」

「ど、どうしたの?体調悪い?」

「こういうのは慣れてませんし私の性分ではないので簡潔に言いますね、遙」

「うー?うん」

「君はまだ、警察官になりたいですか?」

 

まさか、それを確認しにここに?!

高遠くん、まだ覚えていたんか!

ってか、絶対ここ高遠くんの人生分岐点だよね!?

彼が近宮さんと行ってマジシャンになるんだろうと思った、だから警官はもういいかなって思ってた。

 

この世界では、近宮玲子も美咲ジゼルも生きてる。

 

妹との仲は、まぁ、良くないらしいけど。

とにかく彼が地獄の傀儡師になる必要は今世はない。

なら、どうせなら、なってみよう、彼がマジシャンとして安心して出来るように。

「遙?」

 

「なりたい、私、警察官になる!」

 

「君のその頭で?」

「ぐぅっ!唐突にディスるな!」

「でぃする?よくわかりませんがなりたいんですね、その頭で警察官に」

「そ、そうだよ!」

「…わかりました、私もなります」

「は?」

「私も警察官になります」

「はぁ?!け、けど高遠くん、マジシャンは…」

「…なりたいですよ、けど…今世は君に合わしてもいいですね」

「けど…なんだって?」

「相変わらず重要な所は耳遠いですね、良いですか?貴女はおっちょこちょいですからすぐ死にます。ですので私も警察官になり、貴女の上司として働く予定です。良いですか?絶対に、私より死んではいけません」

 

 

 

私は分岐点を間違えたのかもしれない。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

私は、前世では無かった、近宮玲子と無かった時間を埋めた気がした。

それほどまでにこの二年半は充実して幸せだった。

小学校卒業してすぐ母に言った、私も連れってと、すぐに承諾は取れた。

日本で言う中学三年の夏までは近宮玲子と共にした。

お母さんは私に言った、今後の人生どうするの?と。

考えてなかった、だってお母さんとマジックをしてずっとマジシャンになると思っていたから。

前世なら、このままだった。

けどこれは今世だ、前世の私は死んだ、地獄の傀儡師 高遠遙一はどう足掻こうとこの世界には存在しない。

ここにいるのは、マジシャン見習いの高遠遙一、まだ未成年の高遠遙一、まだ経歴は正真正銘真っ白の高遠遙一。

 

 

 

私は、道を選べるんだと知った。

 

 

 

そうだ、日本に戻ろう。高野遙に会おう。

彼女は警察官になりたいと言った。なら私もなろう。

そんな彼女にはまだ言ってないが今度言おう、私は前世罪を犯したと、地獄の傀儡師と呼ばれた人間だと。

その上で彼女を欺こう、現役警察官が過去といえるかわからないが前世では殺人事件を起こしたことがあると。

 

僕は人を欺くのが好きだ、そのベクトルを少し変えるだけ。

それに高遠遙一として初めて見たのが彼女だ。

彼女には、僕のことを知って貰わなければ困る、そう思った。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

日本に着いたのは良かったけど私らしく無いなと思った。

プライベートで自分から人に会いに行くなんて金田一君ぐらいしか過去居なかった、ましてや女の子、いや、彼女は馬鹿力だった、女の子に失礼かもしれない。

そう思ってインターホンを押す、出てきたのは高野遙だった。

彼女は相変わらずだった。

「…遙」

「た、高遠、くん?」

「久しぶりですね、…ふぅ」

「ど、どうしたの?体調悪い?」

「こういうのは慣れてませんし私の性分ではないので簡潔に言いますね、遙」

「うー?うん」

「君はまだ、警察官になりたいですか?」

 

そこからが長かった、何がって間ですよ。

なりたいかなりたくないか聞いてるだけですよ?

なんで3分も固まるのか、もしかして忘れてたのですか?

いや、子供の戯言と過去自分でも言いましたがそれでもこれはちょっと…

それにその手に持ってる高校のパンフレット、今の君で行けるかどうか…

 

(たまに高野遙の母から成績聞いてて良かったですよ)

 

そして間が長いので痺れを切らした私は声をかけた。

「遙?」

 

「なりたい、私、警察官になる!」

 

「君のその頭で?」

「ぐぅっ!唐突にディスるな!」

「でぃする?よくわかりませんがなりたいんですね、その頭で警察官に」

「そ、そうだよ!」

「…わかりました、私もなります」

「は?」

「私も警察官になります」

「はぁ?!け、けど高遠くん、マジシャンは…」

「…なりたいですよ、けど…今世は君に合わしてもいいですね」

「けど…なんだって?」

「相変わらず重要な所は耳遠いですね、良いですか?貴女はおっちょこちょいですからすぐ死にます。ですので私も警察官になり、貴女の上司として働く予定です。良いですか?絶対に、私より死んではいけません」

 

 

 

私は高野遙を守るって決めた気がするから(僕はハルちゃんを守るって決めたから)

 

 

 





現実世界に生まれてきた人達

高野遙
×遥 ○遙(そして今後表記揺れするであろう)
175cm60kg、高遠さんと並ぶと太くみえる、高遠さんが細すぎる。
警察として使ってる銃はS&W M3913
馬鹿力、推理力ゼロ

スーツは基本的に黒か少し明るめのグレー、基本的にズボン
高遠さん守るためならボロボロになるのを高遠さんはやめてほしい、幾度死にかける。

人を助けるのなら命かけろよ、人を殺すなら殺される覚悟で殺せ!人の可能性を潰すんだ、その罪を一生背負っていけるのかor遊びじゃないんだよ!という心意気は前世から
しかし心は鋼鉄でいて柔らかく…
理解者はいないと思ってる、そして覚えてないけど遙一(思い出す前の高遠遙一)には前世の記憶があると言っている


前世 そこそこ普通の女性(オタクで夢女子腐女子、救いようのないスーパー雑食)
死因 刺殺
その後頭部は切り取られ、今尚見付かってない。
幸せになることすら許されない。
ちなみに犯人も捕まっていない、犯人は転生してます。


人間関係(予定)
高遠遙一→幼馴染で上司、美味しいご飯ありがとう。一緒に住んでる。
明智健悟→友達で上司、朝起きれない同盟、今後住むことが予定される。ここの明智さんの声子安さんじゃない。
赤井秀一→FBIの人、漫画でしか知らない、当り屋だっけ?それは諸星大。
沖矢昴→明智さんチック、助けてくれる人。何してんだよ手塚部長!
安室透→サンドイッチください、人は良いけどなんか引っ掛かる。アムロ行きますは言って欲しい。
金田一一→ほ、本物だぁ!けど現場に来るのは不味い
江戸川コナン→関わると不味い、やっぱり頭良いなぁ。


高遠遙一
約180cm50kg、すらりとしてるけど太らない体質、結構ガリガリ、骨浮き出てるけど筋肉あります、後に55kgまでになる。
季節の変わり目になると古傷で足が痛い。
警察として使ってる銃はベレッタ M92

手癖悪く常に手には何かもってる、服に沢山の仕込みの数々、前世マジシャンですからね。
スーツは相棒の神戸くんみたいな感じ、ホストかー!?

死にかける高野遙を見掛ける度に地獄の傀儡師になり掛ける、今すぐやめろ!高野!
財力あるので金田一くんに集られる、やめなさい金田一くん。

昇格するので明智さんに注意視される、此度は殺人してませんよ、仕事以外ではね。
今世親は(片親で母親だけだが)しっかりいるし妹もいるが前世の記憶はない。
親はマジシャンとして世界を飛び回る、妹には何故か嫌われている、妹も詩人として世界を飛び回る。
理解者は少な目で良いと思ってる、金田一くんと遥だけでいい。

記憶喪失編はやりたい、『高遠遙一』がいないと何も救われない。

奇術師 スカーレット・ローゼスだと
主力武器 ダーツ、薔薇、銃(ベレッタM950ジェットファイア)、そしてマジック
スカーレット・ローゼスと名乗りその本名は黒瓜鬼門としている、二重偽名。
外見は黒瓜鬼門とスカーレット・ローゼスを交互に使っている、どちらも仮面だけど。

フラワーアレンジメント 遠山遙治だと
主力武器 薔薇、体術
変装のため眼鏡を、喋り方雰囲気はマネージャーの時のようにしている。

他偽名
どこで使ったのか金田一一と名乗る
突然に東葉鷹一と名乗る(とうようたかいち)
前世赤尾一葉と名乗ったような
遠田は…ラジオ


前世 高遠遙一
死因 撲殺
多勢に無勢の所を撲殺、その後胸くそ悪い死体になる。
撲殺後、強姦され片眼くり貫かれ、右腕を切り取られる。
その後パーツは全て戻ってくる。
その死体は明智さんと金田一くんに見られてる、金田一くんは余りにも酷い死体を前に吐きそうになる。
高遠は死ぬ前後を記憶してなくて正解だったのかもしれない。


人間関係(予定)
高野遙→幼馴染で部下、無茶はしないでください。君といると疲れますがこういう人生もまぁ良いでしょう。一緒に住んでる。
明智健悟→同僚、頑張って起きなさい。一緒に住む可能性がある。
赤井秀一→遠目で見た人
沖矢昴→変わった大学生、御飯で遥を釣るのはやめなさい。貴方の声、京都府警で聞いたような…?
安室透→ポアロ店員で探偵、信用してません。
金田一一→私の平行線私の探偵くん、集りに来るのは良いですが勉強してますか?金田一くん
江戸川コナン→現場にいると邪魔です、一言言ってから動きなさい、無言は困る。
工藤新一→大人を頼らないから行方不明になるんですよ。
?→私のx、あったかもしれないあり得ないif、私は君が羨ましい。


明智健悟
みんな大好き明智さん(高遠安室以外)
前世も今世も警察官。
高遠が警察官で驚いた一方何を彼をそうさせたのか気になる、または何か企んでいるのかと思ってる。
明智は前世の高遠の死体を見ているので地獄の傀儡師でもなくただの高遠遙一で笑ってるのを見て何だか複雑、同僚としては自由にし過ぎているのでしっかりしてほしい。

前世 明智健悟
死因 老衰


コナン世界に生まれてきた人達

金田一一
同級生 工藤新一とともに謎を解く。
金田一の金と工藤の工で金工(きんこう)で均衡の探偵と言われる。犯人切り捨て工藤に犯人のことも考える金田一、バランスは保たれて…いる?

前世 金田一一
死因 過労死
仕事と謎を解くストレスにより



少年探偵団に巻き込まれる、前世持ちだがそれは特定の所だけ。その前世とは、とある所のマネージャーをしていた時の記憶。
高野遙を理解したい。


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番外 常しえの死因 金田一は高遠を覚えてる

R-15の理由の死因と工藤の誕生日の日に投稿したものです。


 

それはある日、突然やってきた。

俺の家に慌ただしく来た剣持警部は寝てた俺に早く着替えろと言った。

「ふぁ~、何を慌ただしくしてんだよ剣持のおっさん」

「高遠遙一が死体となって発見されたんだ!」

「高遠が!?」

「あぁ、それで明智警視が金田一を呼べと」

「なんで早く言ってくれなかったんだ!今着替える!」

 

 

高遠が、死んだ?あの高遠遙一が?

 

 

あいつは簡単に死ぬようなやつではない、何をどうすれば死ぬんだ!?

俺は急いで着替えて剣持警部のパトカーに乗った。

向かった先はビル街だった、その路地の奥の奥、高遠は何者からか撒こうとしていたんだ。

けど撒けなかった、突然の行き止まり、そして、明智さんから聞いた。

「近くで通報が合ったんですよ、近道で使った路地の向こうが騒がしくそれが異様だと。警察官が向かったところ少なくとも20人に対し一人が暴行を加えられていた、まだ半数しか捕まえられてませんがどうやら2グループがたまたま狙ってたのが同じ、だったらしいですよ。片方は高遠に恨みが、もう片方は知らずに狙ってた華奢な男女を狙っていた強姦グループ。ここまで言えばわかりますね、金田一くん。それでも、高遠遙一の死体を見ると?」

「…例え、あいつがどんな死に方で、どんなに悲惨な死体だろうとも、俺は見なきゃいけない。高遠遙一の最後を!」

「金田一くん…ならば目を、背けないでくださいね。彼の死体は君の見てきた死体の中で恐らく一番酷い。我々警察でも酷く直視するのが出来ない人も居ます、覚悟を決めてください。」

「あぁ、わかったよ、明智さん」

 

明智さんにつられて俺は高遠の死体がある現場に来た。

向かうにつれて酷い臭いが俺の鼻をつんつんしてくる、血と何かの臭いが混ざって外だと言うのに異臭が漂っていた。

ついに俺は死体のあるところに着いた、臭いの原因はわかった、高遠は、本当に強姦をされたのだ。

「うぐっ…!ふっ、うう…!」

「我慢してください、金田一くん、まだ現場検証が終わってません」

「はぁはぁ、あぁ、わかってるよ」

 

まず最初に目に入るのが高遠の右腕が肩から下に掛けて無い、それと右目も抉られて片眼は無い。

何のためにしたのかは知らないが右目は強姦グループがしたのだろうとわかる惨状だ。

次に来るのが死因であろう高遠の頭、左側は完璧に凹んでいる。

どのタイミングで、高遠遙一は死んだんだろうか。

高遠は普段からスーツだった、けどそれは今じゃ上半身はだらしがなく脱がされ体は噛み跡や沢山の内出血の跡。

下半身は完全に脱がされ行為の後だと思われる白い液体と赤い液体。

 

 

確かにその死体は俺が見てきた死体の中で一番酷かった。

 

 

死んでる筈の、事切れた高遠の片眼が俺を見てる気がする、その眼とあった瞬間、俺は高遠のことについて思い出していた。

それと同時に泣いた。

「高遠、お前なら逃げれた筈なのになんで逃げられなかったんだよ。いくらなんでも、いくらお前でもこの死に方は酷いだろう…!」

「…金田一くん、たった今高遠の片眼、片腕が発見されたようです。それと高遠に恨みがあったグループの供述の一つと所持品から考えるに、君を出しに使った見たいです」

「お、れ?」

「金田一くんは私の獲物です、手を出すなと、そう言ったその一瞬に、高遠を数人で捕まえ何度も頭を殴り殺した。それが供述です。流石の高遠も、多勢に無勢、と言うことだったのでしょう。…彼だって、人間ですから」

「…明智さん」

「はい」

「今回、俺が必要となる謎はない。俺は必要ないのになんで現場に呼んだんだ?」

「そうですね、集団暴行ですから。でも最後に、君の力が必要です、金田一くん。高遠は、高遠遙一はここで死にました、ここにて地獄の傀儡師による事件は終わりとなります、今後彼が現れることはない。彼の目を、君が閉じさせてください」

「…俺が?」

「彼を捕まえるのは確かに私達、警察の役目です。ですが捕まることなく、高遠遙一は死んだ。死体も今後君は見ないし、この先どうなるかも知ることはない。これが最後です、君と高遠は浅はからぬ因縁がある、…どうか最後は君の手で、彼の目を。」

 

闇と光の双子、俺の、平行線。

 

「高遠遙一、本日5月4日死亡を確認。地獄の傀儡師による連続殺人教唆及びそれらに関する事件は本日をもって収束する方向のものとする。死体を運び出せ、死体だろうとも油断をするな。その死体は、何度も我々の手の内から逃げ出した犯罪者 地獄の傀儡師 高遠遙一だ!」

 

俺の手によって瞳を閉じたまだ熱のあるその死体となった高遠遙一は奇しくも探偵シャーロック・ホームズとジェームズ・モリアーティ教授の死んだ日だった。

だが探偵は生きてきた、死にかけた彼は生きていた。

俺も高遠も狙われていた、けど死んだのは高遠遙一だけ。

この日は俺の中でずっと引き摺ることとなる。

過労で死んでも、生まれ変わっても。

 

「金田一?どうした?今日はずっとテンション低いな」

「いや、お前が産まれた日にな、俺の探してるやつが死んだんだ。そいつはお前の好きなシャーロック・ホームズのライバルのジェームズ・モリアーティみてぇなやつだったんだ。ほら、言ったろ?俺、前世の記憶あるんだって!平成のホームズ言われる工藤がこの日に産まれて、俺の近くにいる…なぁんかそいつ、すぐ近くに居そうでさ」

「へぇ、会ったら言ってくれよ、金田一。俺がそいつの解いてやる」

「残念だったな、工藤。あいつのは俺が解かないといけないんだ」

「なんでだよ」

「俺は、あいつの平行線だからだ。」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「そういや誕生日おめでとう工藤、誕生日プレゼント何がほしいんだ?」

 

「お前の解いてきた事件、教えろよ金田一」

「えぇ、事細かく覚えてねぇぞ?」

「そりゃ、金田一だからな」

「なんだそりゃ!じゃあ話は今度美雪と蘭ちゃんとお前が居るときにでもな、美雪もよく近くにいたんだ」

「じゃあ俺のも美雪と蘭が居るときな、たまーに蘭もいるからな」

「工藤も似たようなもんじゃねぇか」

「おめぇと一緒にすんな!そんなにスケベイベントねぇから!」

「そんなにスケベイベント…あったなぁ」

「ほら見ろ!だから金田一は進展しねぇんだよ!」

「工藤だって蘭ちゃんと進展してねぇだろ!」

「ら、蘭は良いんだよ!」

「あ~、蘭ちゃん可哀想だな~」

「卒業する前に言うから平気だ!」

「頑張れ工藤~、じゃあ俺帰るな、四人集まるときメールで教えろよ」

「あー、わかってるよ!また来週な金田一!」

 

 

 

「剣持のおっさんも、明智さんも…高遠も居ないが謎を解いてく世界、か。改めるとなんか、それはそれで寂しいな…あー、早く帰って美雪のメシ食べよー!待ってろよ美雪ー!」




現場に呼ぶ明智とか既にがばがばのがばですがそこは、目を細目で…


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高遠遙一と巻き込まれた明智くんの受難

高遠は昭和生まれ、高野は平成生まれ。
よしこさんは昭和ですよね?(たぶん)


高遠遙一の幼馴染 高野遙は無事受験を成功させ高校進学が出来た、だが高遠にとっては及第点と言うには微妙な所だったが。

高遠遙一は公立に行かせようとした、その思惑は予想以上に高野遙の勉強への意欲によって失敗した。

 

何を隠そう勉強が嫌いすぎた、その上記憶力が悪かった。得意科目は上がっても苦手科目は中々上がらず正直高遠は御手上げだった。

その結果入学した高校とは?

「まさか、私がこの高校に入学するとは…金田一くん、君が生まれ、ここに来ることを願うよ」

 

ここは私立不動高等学校、そう、金田一一が通っていた不動高校である。

高遠自身、年齢的に今の高校には金田一はいないと考えている。

そしてそろそろ金田一一が存在してても可笑しくはないと思っている。

だが入学式にてそれは間違いだったのかもしれないと考えるきっかけになった出会いが生まれる。

「高遠くんスピーチするんだっけ?」

「いや、断ったよ。入学試験で僕と同率一位がもう一人居たみたいだからね」

「へぇ、すっご…あれ、喋り方変えた?」

「あぁ、変えたよ、高校生活中は僕って言うから、それと少し柔らかい方がほら、人が寄ってくるでしょ?」

「高遠くんは格好良いから女の子沢山寄ってきそう、刺されないように気を付けてね」

「…格好良いですか?」

「うん、普通に格好いい」

 

高野がそう言うと高遠は少し空を見上げ思案する、がフッと真顔になると即決だった。

「…柔らかくするの止めますね」

「早っ」

「悪い方が多く寄ってきそうですから、友達なら遙だけでいい」

「友達かー」

「遙なら友達沢山居そうですね」

「えぇ、ゼロだよ」

「冗談はよしこさん、ってやつですね。さて、入学式行きましょうか」

 

 

「…本当なんだけどな」

 

 

その声は、風に掻き消されて高遠には届かなかった。

彼にはその声は届かなかったが誰が聞いたか友達と言うには腐れ縁に近い人がこのあと一人、増えることとなる。

(ちなみに高遠は友達か?と問われると幼馴染と答えるので微妙なライン)

 

 

 

本年度の不動高校の入学式は冷戦だった。

 

 

 

「入学生代表の言葉、明智健悟くん」

「はい」

 

高野遙は戦慄した、あまりにも今後の高校生活から人生まで、幸先不安になりそうと思い顔が青ざめた。

「(はぁ!?明智健悟!?なんで?うっそ、やっぱりここ金田一少年の事件簿の世界?!けどお前おかしいな?高遠遙一23歳童貞ならわかるけど明智健悟29歳か28歳ぞ?安室透29歳独身と同じやつぞ?そもそもここ不動高校もすでにおかしいよ?秀央のホームズどうしたの?!不動のホームズになるの?!なんで地獄の傀儡師 高遠遙一は私の隣にずっといるの!?私は、私は金田一少年の事件簿に巻き込まれて死ぬんだー!クローズドサークルはんたーい!)」

 

高遠遙一は嬉しさのあまり震えた、それと同時に纏う雰囲気が違うため失望で体は震えた。

「(明智健悟、とは。君もまた生まれていたとは!いや、私がそこに生まれたのか?つまり、逆行?私は時代を、時を逆行した?いや、それにしてはおかしい、ここは入学式、つまり年齢はほぼ同じことになる、彼とは確か年がだいぶ違う筈ですが。そもそも本来なら私も彼も不動ではなく秀央なのですが、私は遙にくっついてここを選びましたし…似て非なる世界、と言うことか?それはまさしく平行線の世界やパラレル、またはifの世界…もしかしたら金田一くんも、違う年齢でいるかもしれない、金田一くんに気付いてもらうには地獄の傀儡師の時のような…。いや、今の私には、芸術犯罪や殺人教唆をするメリットがない、むしろ今現在ではデメリットしか出ない。してしまえばそれ以上に面白い事が出来なくなる)」

 

スピーチはとっくに終わったが二人は立つまでずっと考えていた。

実際は金田一少年の事件簿の世界ではないし、逆行すらしてない。

ここは二人の世界に似て非なる世界、そこまで凶悪事件は起きない。

そこは二人のミスリードである、そして金田一くんもこの世界には存在しない。

いるのは高遠遙一、明智健悟、何処かにいる数名だけ。

 

話は進む、次はクラス発表だ。

これもまた運命かな、明智健悟、高野遙、高遠遙一の3名は同じクラスだった。

「初めまして、君が高遠遙一くんかな?」

「…えぇ、僕が高遠遙一です。明智、健悟くん、ですね?先程のスピーチの」

「覚えてくれて嬉しいよ、君とは入学試験は同率一位と聞いてね、早く話してみたかったんだ」

「ほぉ、そうなんですか。僕も君とは一度、話してみたかったんですよ」

「君はどうやら外見とは違い随分大人っぽいんだね」

「ははは、ありがとうございます」

 

乾いた高遠の笑い声が聞こえるまでの会話時間は僅か数秒、ブリザードの如く冷ややかな雰囲気が漂って周りは近付きづらかった。

美人が機嫌が悪いと怖いのだ。

そんなことは知ってか知らずか高遠の隣にいた高野は捨て身の行動をとった。

「二人とも会話したいの?じゃあ、このあと一人で帰るね!」

「遙、待ちなさい。そういうことじゃないです!」

「彼女は?」

 

当たり前だが失敗した。

高野は名乗りたくなかった、名乗るのは死亡フラグへ第一歩、それ以外もどれがフラグかわからない。

「高野遙、です。高遠くんとは…あー」

「大切な幼馴染です」

「聞いていたかもしれないけど私は明智健悟、よろしく遙さん」

「えっ、あぁ、よろしく明智くん」

「是非私と友達になってくれると嬉しいですね」

「明智くん、遙に馴れ馴れしくしないでください」

「馴れ馴れしくはないと思うけど、気に触ったなら謝るよ、高遠くん」

「…遙、すみませんが今日だけは一人で帰ってください。私は彼に用事ができました。」

「え?普通に良いけど」

「では明智くん、放課後また会いましょう」

「高遠くん、明智さんとは同じクラスだから別れないよ」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━

 

放課後、僕は遙を校門まで送ると人気の少ない駐輪場で明智健悟と二人っきりになった。

僕の知りたいのはただ一つ、明智健悟の前世の記憶の有無だ。

「それで、私に用事とはなんですか?高遠くん」

「明智くん、君に質問をしたくてね。金田一一、と言う人間をご存じですか?」

「金田一…一?金田一耕助なら知っていますが…」

「そうですか…では地獄の傀儡師は?」

「いえ、それも知りません」

「では最後に、明智くん、前世を信じますか?」

 

これがダメなら諦める、そして覚えているのなら、金田一くんの捜索に明智健悟を巻き込む。

彼も金田一くんを探したい筈、そう思いますから。

「前世、ですか?…実は誰にも言ってないのですか、やけにリアリティのある夢を最近見るのですよ」

「リアリティのある夢?」

「えぇ、声が聞こえる時と聞こえない時がありますが、私は警察官で位は警視、部下に剣持と言う男、あまりにリアリティのある夢なので、前世ならば…良いなと…」

 

彼は、前世を思い出すのではなく前世を夢で見る人間だった。

僕は前世を覚えているかいない、その二択しか考えてなかった。

彼は『明智健悟』の記憶を見ている、知っているという三択目の選択肢、この場合どうすれば良いのだろうか?

夢にどうやら僕はまだ出てないようだ、今後出るかもわからない。

それは本当に有ったことで前世で君とは会ったことがある、と言うのもなにか違う気がする。

 

私と彼はそのような関係ではない。

彼ともまた、追う者と追われる者の関係。

どうしようもなく彼は明智健悟なのに『明智健悟』じゃない。

彼を知ってる、けれど知らない人が僕の前にいた。

しかしそんなこととは彼は露知らず、僕に話しかけ問い詰める。

「高遠くん」

「ぁ…」

「君、前世の記憶があるんですね?」

「っ!」

「探したいのですね、金田一一を」

「それは!」

「信じましょう、今の君を。」

「何故、そんな、確証出来ない非科学的なことを!何故、無条件に信じるのです…?」

「君の話と夢の辻褄が、合ったので」

「辻褄?」

 

私はきっと、今世での明智健悟との出会いを忘れない、彼は本当に、きっとどこ行ってもこうなのだろう。

これだから明智健悟は!

「声は、有りませんでした。ですがあれはきっと君です。そして剣持くんと一緒に居た彼がきっと金田一一…くんでしょう。僕はあの音無き夢の中の、奇術と列車の事件をこう呼びます、魔術列車殺人事件、と」

「…ククク、明智くん」

「君が、地獄の傀儡師ですね、高遠遙一くん」

「前世は覚えてないのでは?」

「えぇ、覚えてませんよ?ただ小さい頃からここ最近まで、リアリティのある夢を見るのですよ。僕が刑事で、部下がいて、声が無い時は高校生が事件に巻き込まれて…それでいて時折奇術師が邪魔をするんですよ」

「…それ、昔から見るというのでは?あと邪魔じゃないです、可愛いイタズラじゃないですか」

「最近、も見ます。可愛くないですねぇ、死人が出てますよ」

「それより、辻褄はどこ合ったんですか?」

「前世、君の金田一一を聞くときの声、そして私の夢にて、剣持くんが金田一のやつ~!と叫んだことが夢で一回だけ。」

「ククク…全く似てないですね!」

「真似をしたわけではないですから」

 

私達の前世の関係にしては緩く、暖かい時間がそこには流れた。しかしこのまま終わらせる気はない。

そして今の彼は、今世の明智健悟は私と友好を持つ気です。

「…そこまで見て、思い出さないなんて、止めてくださいね、明智警視。そのような半端な君は今の私では荷が重い」

「楽観的ですが時が来ればきっと思い出すでしょう。思い出そうとして思い出せるものでも有りません。それと高遠くん、今の私は刑事ではないです。君も、犯罪者ではないでしょう?堅苦しいのは無しですよ。今回の人生では私たちは同級生、友達になりませんか?」

「…まぁ、良いでしょう。記憶を一部でも共有する人間はいた方がいい、私の為にも、君の為にも。…改めてよろしく、明智健悟くん」

「はい、よろしく、高遠くん。…今回は、人を殺めさせませんよ、高遠遙一。」

 

今回は警官になる予定なので殺人はしない予定(勿論必要とあれば仕事上殺しますよ、そう、射殺もやむ無し、ってね)なのですが、それはそれで教えなくても良いでしょう。

彼にも驚いてもらいましょう。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

あれから私と遙、そして明智くんとはなんやかんや三人で共にしていた。

しかしある日の前期末試験にバレてしまった。

何がって?遙の成績ですよ。いや、それ以外にもバレましたしバラしましたが。

「高遠、君がいながら遙さんのこの点数は…」

「彼女、物覚え悪いんです。勉強しかり、日常しかり」

「日常?」

「えぇ、日常です。遙、昨日の夕飯何食べたか覚えてます?」

「え?夕飯?…」

「…」

「…」

「…蕎麦?」

「昨日の夕飯は拉麺ですよ、塩拉麺。どんな変換したんですっ、今日がお蕎麦です」

「お米が良いー!」

 

「二人とも待ちなさい、なんで夕飯の話なんですか?まさか、あなた達一緒に住んでいるのですか?!」

 

気のせいか明智くんがそれを言った瞬間、教室が急に静かになった。何だか女子がこちらを見てますが何でしょう?男子まで見ている、何なんです。

「えぇ、大体一緒に住んでますが?」

「わ、若い男女が同じ家で…!」

「明智くん、むっつりー」

「失礼な!大丈夫ですか?高遠くんに何かされてませんか?」

「若いなぁ明智くん、無いよそんなの。家隣だし寝る時は流石の高遠くんも帰ってるよ」

「私の母は世界中飛び回っていて家には私一人なんですよ、それで遙さんの家で一緒に夕飯を」

「私の家族もこれから世界三周の旅とか当たって家に居なくなるしねぇ」

「遙、そんな話聞いてませんけど」

「今日言う予定だったし、昨日聞いたから」

 

私と遙のやり取りを見ていた明智くんは声を大にして言った。

「私も一緒にいます!」

「食費掛かるので却下ですね」

「食べる分減るからそれはちょっと…」

「食い意地張りすぎですよ?花より団子過ぎなのでは?遙、貴女一応女の子でしょう?」

「一応ってなに!?」

「全く、君達は隙がないですね、良い意味でも悪い意味でも…」

「はぁ、とりあえず二人とも、昼休み終わるし移動しない?次は選択授業でしょ?私、教室遠いからもう行かないと行けないんだけど」

「遙さんは日本史Ⅰでしたね、高遠くんはフランス語、私は中国語なので…」

「バラバラですね、またホームルームの時に会いましょう」

 

私は一人音楽室に向かうと同じクラスメイトだったか、女の子近付いてきた。

学校だと言うのに化粧や香水をしている、正直寄らないで欲しい。

「ねぇ高遠くん、私も一緒に教室行って良い?」

「嫌です」

「なっ!」

「それとここ、学校ですよ?規則違反ですねぇ。化粧、香水、あぁその爪も。生徒会の彼に話しておきますね」

「あ、明智くんに!?くっ、顔が良いからって、調子に乗らないでよね!」

「(三流の悪役ですか)…さて、今去った彼女は何て言いましたっけ。…どうでもいいか」

 

興味の無いことは朧気だ、今は家族とマジックと勉学と、遙と明智健悟があれば良いでしょう。

だがあの女の名前、覚えておけば良かったと後の僕は後悔する。

 

 

━━━━━━━━━

 

 

夏休みが終わり新学期が始まる。

その日、異変は起こった。

遙の机は酷い有り様でした。

「これ、は…」

「いじめかなぁ…」

 

濡れ雑巾にゴミ、その下は文字が書いてありました。

前世の時はこのようなことは聞いたことも見たこともない。いじめとは、見ると心に来ますね。

「学校来るな、かぁ…まだ一年も経ってないんだけど」

「なんで落ち着いてるんですっ?!片付けますよ!」

「あぁ、うん、先ゴミ片付けるね、高遠くん」

「では私はこの雑巾を洗ってその机を拭けるようにしてきます」

「え」

「何呆けてるんですか、手伝うのは当たり前でしょう。…遙?」

「あ、うん、ごめんね」

「そこは御礼を言うところですね」

「…ありがとう、遙一」

「…雑巾、洗ってきますね。明智くんがいたら問答無用で巻き込んでおいてください」

 

 

 

在り来たりな、それでいて陰湿ないじめ。

汚水にまみれた汚ない雑巾を手に持ち急いで水場へと僕は急いだ。

そういえば名前を呼ばれたのは小学校以来ですね、やはり長年居るのに名字は余所余所しいと流石の私も思う。

まぁ、私の家は高遠、近宮、美咲と同じ家で皆違う名字という複雑な家庭なので支障は無いのですが。

ですが、何故親しい呼び方から余所余所しい呼び方に変えたのか。

残念ながら地獄の傀儡師 高遠遙一の記憶が強すぎる為に高野遙の幼馴染 高遠遙一の記憶は朧気で、彼女に関する記憶や家族の記憶はあるのに対し、自分に関する記憶はわからなかった。

あの時の状況が状況なので記憶喪失とされた。(実際は違うが確かに頭も強く打った)

 

そういえば、私は彼女のことをなんて呼んでいたのだろうか?

「高遠くん、おはようございます。こんなのところで何を?」

「来るのが遅いですよ、明智くん」

「いつも通りの時間なんですが…」

「覚悟しなさい、恐らく今日からいじめが始まりますよ」

「いじめ!?まさかあなたがプランニングを「してません」ではいじめられるのですか?あなたが?」

「全て違います、剣持さん並みのノーコン推理ですね。…ターゲットは遙ですね。恐らく私か君、または僕らが彼女と近いせいか、遙に対する妬みでしょう。まぁ離れませんがね」

 

私の話を聞くと明智くんは少し考え込んだ。ハッとして顔を上げると深刻そうな声で私に言った。

「…高遠くん」

「はい?」

「証拠さえあれば立件できますよ、私の父、刑事なので」

「その前に校内で潰します、彼女が傷付いてからじゃ遅い」

 

私らしくない発言に明智くんは驚いた、私も人間です。転生してから早十年弱、変わりますし気付くこともあります。

前世と違う環境で、人間関係も違う、母も生きて、ジゼルもいて、記憶の共有できる明智健悟もいて、幼馴染の高野遙がいて、あまりにも微温湯な世界。

だが、金田一くん、平行線の君だけがいない。

ここはそんな微温湯で物足りない世界。

「転生してから気付きましたが、私は内に入れたものにはどうやら甘いようです。特に、高遠遙一(ぼく)地獄の傀儡師 高遠遙一(わたし)を思い出した時、側に居たのは彼女でした。その時色々ありましてね、私は傷だらけだったんですよ。そんな私に泣きながら死なないでと彼女は言った、地獄の傀儡師だと、何も知らない彼女が。…まさか、私は知って欲しいのか?いや、受けいれ拒絶してほしくない、のか?なんと無様な…地獄の傀儡師の私が…」

「高遠くん、貴方まさか遙さんに言ってないのですか?前世のこと」

「えぇ、今はまだ良いと思いましてね」

「…私は前世の記憶、と言うより前世の記憶を夢で見る、ですが知ってもらうのは楽ですよ。どんなに犬猿でも、その世界にて一人ではないと思えますから。特に親しい人になら尚更、打ち明け受けいれて貰えるのなら、例え前世、どんな悪行をした者でも、嬉しいに決まってます」

「…地獄の傀儡師でも?」

「地獄の傀儡師でも。それに私達の身体年齢は十代ですよ?フッ、まだ煌めきますよ」

 

明智くんはそういうと無駄にキラキラさせてきた。何故そうも急にキラキラしてくるのか。

それにしても眩しい。

 

勝手にキラキラしてきた明智くんを見て、何故私は高野遙に肩入れするのかを少し自分に納得させた、キラキラした明智くんを置いて私は教室に戻った。

 

教室に戻るとさらに机は汚れ、倒れ、チョークの粉まみれの遙がいた、知らずいじめが進行していた。

後ろの明智くんの声で私は我に返った。

「遙さん!?なんでこんなに真っ白に!誰ですか!こんなことをしたのは!」

「遙、誰にやられたのですか?」

 

正直に言いましょう、このような展開は好きではありません。

「大丈夫だよ、明智くん洗えば平気だから。高遠くんも大丈夫だから」

「誰に、やられたのです?」

「うぇっ…あ、あー…あはは…」

 

物凄く苦笑いしながら遙が指差した先には髪を巻いたり化粧をした女子のグループ。

一人、手が少し白い、スカートも少し色が変わっている。つまり彼女がしたわけですね。

それは明智くんにもわかったみたいで明智くんはその女子のグループに入っていった。

「君、砂城咲白さんですね」

「あ、明智くん私の名前知ってたんだ!嬉しい!」

「一年生の生徒会ですからね、とりあえず一年生全員は覚えてますよ。貴方の家もね」

「えっ?」

「砂城議員の娘ですね?清廉潔白と言われる砂城白蓮さんの。噂は予予聞いてます、その裏もね。」

「う、裏?明智くん裏ってなに?パパ何してるの!?」

「それはお父上に聞いた方が早いのでは?いや、明日の週刊誌の方が早いですかね?」

「や、やだ!私帰るわ!」

 

砂城咲白と呼ばれた女は鞄を持ち教室を飛び出していった。

明智くんはまだ出ていった女の方を向いている、男子も女子も言葉も動きも何もない。

女子のグループに至ってはかなり怯えている。

その中、明智くんはまだ眼鏡が無いのにも関わらず眼鏡を上げる動作をしてからよく通る声で言った。

 

「さて、いじめとはいけませんね。ねぇ、皆さん?」

 

「お、俺は見てただけだ!」

「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!高野さん

!」

「あいつやべぇよ!」

「明智くんすげぇ」

「生徒会ってなんだよ…」

「いじめはもうしませぇぇん!」

 

「誰より明智くんが怖いね」

「…まぁ、良いんじゃないんでしょうか?」

 

その日よりいじめは一年生全体で無くなった、何かあったら報告も生徒会に来るようになった。

そしてその日から明智くんの異名が不動のホームズと言われるようになった。

何でもいじめの予兆を感じとり遙の鞄に(内緒で)ボイスレコーダー、一年生全員のプロファイリングなどして仕度をしていたとか。

証拠さえあれば立件とはそう言うことでしたか。

学生からすればさながら探偵と言うことですね。

 

 

それより明智くん、ホームズというよりモリアーティ寄りなのでは?

 




・高野遙
不動高校一年生になった、帰宅部。
砂城咲白からは実は中学の時もいじめられていたので友達は本当に居なかった。
前世もいじめられていた経験があるが今世のいじめの方が酷い。
まぁそれが理由でそこそこ冷静だった。
高遠くん留学みたいな感じで近宮さんと海外にいたもんね。
初めての友達 明智健悟、金田一世界のハイスペックスパダリ大魔王は寝坊助。
初めての幼馴染 高遠遙一、金田一世界のハイスペックマジシャン地獄の傀儡師は美味しいご飯を作れる。
高校二年生は平和に、高3になり事件に巻き込まれる。

ちなみに前世のモデルはいる。

・高遠遙一
不動高校一年生になった、帰宅部。
身内に甘いタイプ、何だかんだ認めた相手には甘い。ですが金田一くん、君だけがいない。
高校二年生は平和になって良かった。
しかし高3、お前は駄目だ。
平和だった二年生時には文化祭でマジックを披露した、文化祭規模だと出来る範囲が決まっているがそこは元プロマジシャン、本気で生きたマリオネットをやった。
偽名 地獄の傀儡師、衣装 ピエロのおじさん
お次はマジックショーです、地獄の傀儡師さんどうぞ!とか言われたので明智くんは空を仰いだ。
「文化祭であろうと手は抜きませんよ?エンターテイナーですからね」

精神年齢おじさんとか言った人出てきなさい、今なら薔薇を投げるので手を打ちましょう。

・明智健悟
新規参戦。不動高校一年生。
中学一年と二年生にて事件解決したことのある中学生探偵だった。三年生の時は受験勉強し秀央に行く気だったが彼からしてはかなり偏差値の低い不動高校を選んだ。
「夢で見たこと有りますねぇ」それが理由。
前世の夢を見たと言うだけで精神的に年齢は若い、例え大人びていても大人ではない。
高校二年生は生徒会生活、高校三年生は二人にまた巻き込まれる、諦めてアケーチー。
ちなみに高校三年生にて生徒会長。

高遠遙一が犯罪者になったら多分射殺もやむ無しですね。

・砂城咲白(Sahaku Sajou)
名前の由来、鎖条鎖縛から。高遠に絡んできたのもこの子。
多分今後出ない。

個人的イメソン(長いので見ても見なくてもどちらでも)

前世内緒の幼馴染組(高遠遙一と高野遙)

比較的高遠目線な感じ。聞きながら書いてるので聞きながらか思いだしながら推奨。
脳内で映像化してるけど悲しすぎる、彼女はいつまでも幼馴染にすがってしまう。
前世の経験のせいで助けてと呼べなくて、人の信じ方もわからなくて、心の表現も不器用。

前世が終わるので時計は止まる、そんな二人は精神的に成長する差は激しい。
ちなみに二人とも齢二十代で死んでいる。
(約23歳と約25歳)

奇妙な晩餐=ちぐはぐな二人の邂逅、世界はゆっくりと静かに変わる
普通に高遠からすれば彼女は優しすぎる、元犯罪者だものね、生死かかるし。

失う時→幼馴染高遠遙一

なにも信じられない癖に=地獄の傀儡師 高遠遙一は信じない癖に地獄の傀儡師 高遠遙一に潰された 幼馴染高遠遙一を探してる、いないと知って矛盾しながらも総合して高遠遙一を信じようとしてる

体を寄せ会うだけでも→寄り掛かるだけでもいいから寄りかかって欲しい

優しいものは怖い、地獄の傀儡師と知ってるし優しい高遠くんは怖い、嫌みな人と知ってるし優しい明智くんも何もかも、なんで優しいのかわからないし怖い。
彼女の前世は9年間のいじめを受け、助けを求めても振り払われ、助けた相手に手のひら返され、泣くなと彼氏に言われ彼氏にお前には友達いないからなと言われ、DVを軽く受け、果てには人じゃないからな(そこは歪曲した思い込みの可能性)といわれた過去を持つ。
R18なこともされた。
それでも彼女は怒れなくて、嫌えなくて、精神的に、心も魂も傷付きながら人を、世界を愛そうとした。
「空が綺麗じゃないですか、ご飯美味しいじゃないですか、まだ見たいアニメゲーム聴きたい音楽がある、自殺なんて出来ませんよ。私が我慢すれば良いじゃないですか、命あっても元だね ですよ!」

軽く聖人の域、本質を見抜ける人には好かれるが底が知れないので近寄れない。
相談受けた見知らぬネットの人「復讐をしようともせず、いじめた相手の家庭環境も読みとり、それを知識欲と昇華させた。復讐の無意味さを知る貴女は尊い」
齢25歳、人生の締め括りは刺殺、その後首を切り落とされそこでフィナーレであった。
やはり、助けてと言えずに。助けてもらえるわけがないのだから。

不思議な焔→未だ前世の呪縛から解放されず。高遠遙一ですら解放されているのに…
一度でもいいから名前を呼んで助けてといって欲しい高遠

高遠は一人でその舞台で踊らないで私も舞台に入れてくれと思ってる

何せ前世高野遙を殺した犯人が転生してるので解放されるわけがない、彼はまた彼女を殺そうとしている
もう一度首が欲しい、体はおまけ程度で。
犯人の名前も決めないといけない。
ちなみに殺人鬼か警察、人食家、または遺体コレクター予定。

それにしても高遠遙一と高野遙はくっつくのか、恋愛要素があまりにもない。多分一生涯友人以上恋人未満のままなのでは?


不動トリオ(高遠、高野、明智)

不安定な前世組、高遠と明智は互いに打ち明け、高野は明智に打ち明け、高遠には言ってない。
やはり前世の所業のせい。(地獄の傀儡師)
個人的にコナンクロスオーバー済みの時間軸

囁く天使→高遠遙一の僅かな道徳心、高野遙の善性、明智健悟の悪性

ギルティーで三人とも銃を撃つと格好いい、射殺もやむ無し
高野は膝ついて両手撃ち、高遠は右手片手撃ち、アケーチーは左手威嚇(撃たないのか?)
あなたのいない体→幼馴染高遠遙一はいない体

鮮やかな永遠→明智さん的に永遠に見える、傀儡師いないから平和、ロスに比べたらね

私を愛して、離さないからってどちらが言うのですか!?両方なら俺得

金田一くんいない間は犯罪的思考が焼けつくように乾いてる
平和ボケも少しし始める高遠さん、けど実際は緋色に染まってるこの手。
元 地獄の傀儡師だからね、仕方ない。

記憶喪失篇 表に出たのはマネージャー 高遠遙一
けど地獄の傀儡師としての高遠遙一にも最後らへんは聞こえてる、彼女が呼ぶ遙一くんは彼
ハルちゃんと呼ぶと泣く彼女、その涙に息を潜めた、彼女が求めていたとは彼だったと、そのまま音も聞こえない空間に居たかった

血も匂わない→犯罪者として、しかし元公安、手を貸せと言われる。再び地獄の傀儡師となるのか!?黒の組織接触か?!まだ引き返せるのか!?

剥離したその硝子~→明智健悟、上司として飲み込む。友として、苦渋の決断。前世の関係として、やはり犯罪者となってしまうのかと。

コナンの半永久ループ世界、それは鮮やかな永遠に近い
それは警察組のような信頼関係で、それはバーボンとスコッチのような表面上のように見える関係で、それでいて東西探偵の絶対的信頼のようで。
なんやかんや高遠と明智さん仲良いじゃねぇかと金田一くん。
金田一くんはちょっと寂しい。

反応える本能とは、高遠遙一どちらに転ぶ!

「欠片になるまで愛して」

吐き出したその命とは前回の設定に書いた少年探偵団に巻き込まれた ? という存在

そして世界は動き出す、役者は揃った。

pixiv投稿時に書いていた曲名は消しました。


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高遠くんと明智くんの黒魔術殺人未遂事件

長いです、pixivだと一気にしてましたがこちらでは分割させていただきます。


走り出した静かな新幹線の中、明智健悟(あけちけんご)は一つの手紙を読んでいた。

『元気かい?健悟。俺は中学卒業後、お前のアドバイスで会社を起こしてなんとかやっている。独り暮らしも始めたんだ、今度一度来てくれよ。さて、こうしてお前に手紙を書いたのはきっと、お前なら真実を突き止めてくれると思ってのことだ。それは1週間前、事件は東京郊外で起こった。死んだのは俺が今、仕事をもらっているある企業のオーナー。事件は今のところ事故として処理されているが、俺は絶対にそうは思えない。何故ならこの事件には恐ろしい人形の姿が―――』

 

「明智くん、お弁当買ってきたよ」

「っ!なんだ、遙さんでしたか、ありがとうございます」

「お茶も買ってきましたよ、明智くん」

「あぁ、高遠くんも一緒に買いに行っていたんでしたっけ」

「そうですよ。明智くん、手紙に集中し過ぎですね」

「はは、すみません、友達からの久しぶりの手紙だったものでして。彼とは色々ありましたが、最近漸く落ち着いてきたようで。えぇ、本当に良かった…」

 

明智が思いを馳せるのを見て、高遠は少し考えた。実はこれから会う、その手紙の人物のことを高遠は詳しく知らなかった、そこで気になった高遠は明智に聞いた。

「明智くん、そういえば今回その彼に君は呼ばれたんですよね?彼の名前は?」

「それは会った時に、二度も紹介させるのは手間では?」

「…まぁ、そうですね。(何処か嫌な予感がしますが、外れてくれるのを祈りましょう)」

「遙さん」

 

明智は高野に笑いながら声をかけた、このタイミングで笑みを浮かべながら何を言うのかと身構えたがただの杞憂だった。明智はただ弁当と飲み物が欲しかった。

「シュウマイ弁当をください」

「…あ、うん…はい、弁当と箸」

「ありがとうございます。高遠くん、お茶くれますか?」

「麦茶ですよ。遙、私もシュウマイ弁当を」

「え、高遠くん海苔弁って言ってなかった?!」

「シュウマイ弁当が良いと言いました」

「うぅ、シュウマイ…」

「帰りにシュウマイ弁当買って食べましょうね」

「じゃあ飲み物に水を頂戴!高遠くんは麦茶ね!」

「君が麦茶…ふふ」

「明智くん、笑わないでもらえます?」

「いえ、高遠くんが麦茶ってイメージがあまり無いものでしてね。どちらかと言えば…薔薇、ですから紅茶とか洋風の、シュウマイ弁当でも面白いのに」

「そもそも私服もあるとはいえ二人ともスーツって所が私は面白いと思うよ?なんか老けてみえるし、明智くんに至っては大人っぽいからなんかサラリーマンというより刑事みたいな…」

「おや、あながち間違ってはいませんよ。私は将来警察官志望なので、これは光栄ですね」

「また刑事ですか…貴方も飽きませんね」

「ソムリエでも何でもなれますが、やはり私は刑事が良いですね。それに、最近眼鏡も掛けざるおえない。あの時の容姿に着実に近付いてるので、ならないとなんか違和感が…まぁ、あの時の私と今の私は別なので小さな抵抗として、体鍛え始めました」

「ほぉ、体を鍛える…それはなぜ?」

「小さな抵抗もそうですが、いつでも貴方を捕まえられるように、ね」

 

二人の間に冷ややかな空気が流れる前に高野の一言が明智を少し止めた、そして今度は変な空気が流れ始めた。

「高遠くん、刑事になる予定なのに何かやらかしたの?」

 

「遙っ、それは」「高遠が、刑事?」

 

「え?うん、そうだけど…」

「何を企んでいるんですか?」

「こうなるから今は言いたくなかったのですが…仕方無いですね。遙がお巡りさんになりたいと言ったので私もなることにしました」

「それだけですか?」

「えぇ、そうですよ」

「聞いてよ明智くん!高遠くんね!私の小さい時の話を覚えていて、それでいてマジシャンになれるにも関わらず日本に帰ってきてまだお巡りさんになる気はあるか?って言ってきたんだよ、なるって言ったら私もなるって高遠くん言ったんだよ!凄い技術を持ったマジシャンなのに!」

 

遙は興奮気味に過去を話しながら明智は段々近付いてくる高野に対し小さく手でバリアを作りながら宥めた。

それを見ていた高遠はマジシャンである部分を褒められ少し気分が良くなった。

転生して長らく、地獄の傀儡師としての活動はしていない、他に言われるとなるとそれしかないのだがやはり自分のマジックを褒められると良いものだと、彼は再度実感をした。

少し落ちつき高野が弁当を開けたところで二人も弁当を食べ始めた。

特に会話をすることもなく食べ終わりその数分後、三人は無事、軽井沢へと着いた。

軽井沢の駅に着くと明智の名前を呼んでいるピンクの髪の少年がいた。

「おーい!健悟!こっちこっち!」

「研太郎!」

「研太郎?(軽井沢、研太郎…まさか)」

「まったく、あの思わせ振りな手紙は何ですか?」

「はは、まあ詳しくは車の中でな。んでその二人が健悟の言った友だ…ちぃっ!?」

「高遠くん、遙さん、彼は私の中学の時の友達で井沢研太郎(いざわけんたろう)くんです。研太郎、彼は私の同級生で友達の高遠遙一(たかとおよういち)くん、彼女は高野遙(たかのはるか)さんです」

「高野遙です、井沢さんよろしくね」

「改めて高遠遙一です、よろしくお願いします。それと井沢くん、あとでお話が」

「…わかった、着いたらすぐに」

「二人は知り合いでしたか?」

「…明智くんなら喋っても良いでしょう。金田一くん関連ですよ、後で三人で」

 

高野は三人がどんどん喋り話が進むのを見て少し寂しく思うのと同時に不安だった。

彼女もまた、何となく察してきたのだ。

「ある意味死神の二人に実行犯一人…生きて帰れるかなぁ」

「遙!車に乗りますよ」

「ん?あ、はーい、今行くー!」

 

車内では井沢研太郎の会社のクライアント、火祀コーポレーションの話で会話は止まらなかった。

四人の会話を聞きながら高野はどうやって事件に巻き込まれないよう動こうか考えているとどうやら目的地に着いたようだ。

「ほら…見えてきたよ!健悟、高遠さん。あれがその火祀家の軽井沢の別荘 葡萄の館だ」

「ぶどう…なんのぶどう?果物?柔道とかの武道?」

「果物の方の葡萄でございます、高野様」

「へー、じゃあ葡萄の木がいっぱいなのかなぁ」

「最初はそうだったのでしょうね。しかし地元の人達はいつの間にか別の意味で葡萄の館、と呼ぶように…」

「別の意味、ね…(やはり、ここは黒魔術(ブードゥー)の館ですか)」

 

海崎達、五人は葡萄の館に入り少し話始めると何かの割れる音、次に大きな声が聞こえてきた、それは火祀家の長女 星子と次男 九曜の言い争うような声だった。

「健悟、ちょっと行ってくるよ!」

「気を付けてくださいね!」

 

井沢は声の方に向かうと星子と九曜、そしてハウスメイドの葉村いずみがそこにはいた。

「どうしたんですか!?九曜さん!星子さん!」

「井沢くん!見てくれ!星子のやつ、俺の紅茶にこんな妙な草入れて飲まそうとしたんだぜっ!」

「だから、それは」

「ハーブティーですわ!九曜さん!私が星子さんに頼まれて庭から採ってきたものですわ」

「いずみちゃん…!そうならそうと早く言ってよ~!ねぇっ!ん??誰?あんたら?あっ!例のビジネスパートナーってやつ?そりゃどうも!」

 

九曜は言いたいことを言うだけ言うとその場を足早に立ち去った。

井沢は星子に声をかけ、高野はボソッと「酷いなぁ」と言うと星子は落ち込むような、それでいて困ったように言った。

「仕方ないんです、この家の兄妹は元々は赤の他人ですから…」

「星子の言う通りですよ、私たち三人兄妹は独身で子供も居なかった 父 火祀青竜の養子です。血など繋がってません」

 

何処からともなく聞こえてきた声の方向を見るとそこには火祀コーポレーションの社長 火祀暁がそこには立っていた。

「暁社長!」

「社長の火祀暁です。あなたがたが井沢さんのビジネスパートナーですね。前社長の父もこの軽井沢の別荘が好きでね。ここから全ての指示を出せるシステムにしたいと考えているんです。井沢さんの力を借りて」

「山奥と言っても軽井沢ですからね、通信インフラは確保できる筈です。それに最新のテレビ会議システムを社長執務室に導入できればここを第二の本社にできますよ」

「ほほう、それは頼もしい!亡き父も喜ぶでしょう。おっと、ちょっとこれから打ち合わせがありましてね」

「仕事ですか?」

「ええ!我々の会社や一族にとっては欠かせない、月に一度の『行事』ですよ。ではまた後ほど!」

「月に一度の欠かせない行事ってなんだろう?」

 

遙が考え込み、事を知ってる高遠が答えようとしたがそれよりも早くに海崎と井沢の二人が答えた。

「黒魔術ですよ。到底大っぴらに出来ないおはずかしい話ではありますが、火祀コーポレーションがここまで大きくなった理由は黒魔術にある…と。青竜社長も暁社長も、そう思い込んでおられるのです」

「そう、つまりこの軽井沢の別荘は火祀家の魔術のサロンなんだ。そして、今日は新しい魔術師がやってくる。月に一度の満月のこの夜のために…。そんな話は噂になって地元の人達にも知られている、だから密かに彼らはこの葡萄の館をこう呼ぶんだ。呪われた屋敷――黒魔術(ブードゥー)の館とね…!」

 

「きゃーっ☆研太郎クーン!誰?誰?前話してたお友達!?」

 

海崎ら五人の怪しくも真剣な話は一人の女性、もとい一人の幼妻の声で一旦終止符を打った。

彼女の名前は火祀夏目、火祀暁の歴とした妻である。

「あ、どうも奥さ」「もーっやめてって言ってるでしょ!その言い方!!」

「他に何て呼べばいいんですか…」

「すみませんが、貴女は?」

「はじめまして!あたし火祀暁の幼妻♡火祀夏目でーす!」

「ほお、幼妻ですか(また結婚をしてるのですね、ホント、何処で会うのやら)」

「歳は私達と変わり無さそうですね」

「やだ!眼鏡のお兄さん!私まだ現役バリバリの17歳だよ!」

「…私も高遠くんも遙さんもまだ高校生です、夏目さん」

「うっそー!二人ともスーツ着てるから解らなかった!言われると若いかも!」

「幼妻…幼妻かぁ、歳の差が…」

「年なんて関係ないっ!暁さんとあたしはピュアラブよっ♡あなた、遙ちゃん?だって恋すればわかるんだから!」

「え、そう、かな?」

「おい夏目!そろそろ新しい先生がいらっしゃる」

「えー?マジマジ!!急いで着替えなくっちゃ♡」

 

暁に呼ばれた夏目は嵐のように去っていった、心なしか皆パワフルだなぁと心の中で思った。

「研太郎、君凄いところを相手にしてますね」

「まーね、でも結構お金持ってて、おかげでうちもドンと利益あるし、それにある意味、二回目だからやり易いしな」

 

井沢はそういうと高遠を見て言葉を区切る、目の合った高遠はそのある意味二回目という意味が伝わったようだ。これで高遠は確信した。

そう、井沢研太郎には前世の記憶があると。

だが高遠遙一はただの二回目ではないと気付いた。

「それと、俺が健悟を呼んでまで今回の事件を解明してほしいと思うのは、金だけの問題じゃないけどね」

「それは二回目が関係あるのですか?」

「それは」

「みなさんどうぞお座りになって!長旅でお疲れでしょう?摘んできた来たばかりのハーブティーとクッキーを召し上がってください!よく合いますよ~」

 

次に話を遮ったのは茶菓子を持ってきた星子だった、井沢はその話はまた黒魔術か食後の後でと小声で高遠に言うと星子の茶を運ぶ手伝いをしに行った。

ハーブティーを飲みながら高遠は窓の外を見る、それに釣られて高野も外を見る。

どうやらいつの間にか随分と日が暮れていたようだ、二人が窓を見てるのに気付いた井沢は高野に話し掛けた。

「軽井沢の夜は早いんですよ」

「そうみたいですね、井沢さん。驚きました。光が何も見えない」

「森の木々がうっそうと生い茂ってるせいだろうね、早くて、そしてぞっとするほど暗い…」

「…怖い、ですね」

 

高野がそういうと高遠は立ち井沢と明智を見て「食事前に話がありますので井沢くんと明智くん来てください」と言って星子と高野遙を置いて部屋を出た。

その歩みはいつもより少し早い、なにか焦っているかのようであったため明智は急いで高遠に声をかける。

「高遠くん!何を焦っている!」

「おや、明智くん、いつもと違い言葉にトゲがありますね、記憶が元に?」

「それはまだですよ、まぁ新しい場面をこの前見ましたが、今はその話ではありません」

「井沢くん、君の部屋で話しましょう、早くしないと黒瓜鬼門が来てしまう」

「黒瓜…あ、仮面の怪しい人か」

「そうです、前回の黒瓜鬼門は途中代役をしましたがほぼ私でした。そして、実行犯は君、井沢研太郎」

 

井沢は目を見開き、明智は驚愕した。

明らかに可笑しいところがあったからだ。

「「不確定要素がいる」」

「そうです、だから…井沢研太郎くん、君に問います」

「な、なんだ」

「貴方は、金田一くんに会いたいですか?」

 



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井沢研太郎の積年の想い

井沢君主役回


 

side井沢研太郎

 

「貴方は、金田一くんに会いたいですか?」

 

地獄の傀儡師、いや、今はその名を聞くことはない。

彼は、高遠遙一少年は、俺を試そうとしてしているに違いない。

金田一と友達だった俺が、金田一の名を聞けば止めると思っている。

「会わないって、言ったら?」

「無理矢理でも犯罪を止めます、殺しはしませんが拘束でもしましょうか?それに、折角正真正銘の白紙の経歴だというのに、変に傷を付けられても困るものでね」

「…っ!」

 

そういうと高遠遙一の目は、本気だった。

 

冷酷な犯罪者ではない高遠遙一、いや、確かに冷酷なのかもしれないが今は犯罪者ではない。変な手は使わない筈だ。

さらに俺と近い年齢というのはポイントだ、少しは俺の方が力が…いや、明智健悟がどちらについているかわからない。

特に俺は、明智健悟の実力を知っている。

金田一より強い力に、それに近い頭脳(学力は似ても似つかないけど)。

…本当は、金田一に会いたいさ。

けど俺は、俺は!

「研太郎、悩んでることがあるなら何で私に言ってくれないのです?家族との関係は良好なのでしょう?ならやはり仕事面ですか?」

「家族との関係は良好?明智くん、彼の家族は生きていると?」

「は?えぇ、生きてますよ。それがなにか?」

 

け、健悟~!高遠遙一にピースを埋めるような発言は止めてくれぇ!

高遠遙一はゆらりとこちらを見てきた、その目は完全に座ってる。

この時点で俺は、生きた心地はしなかった。

「井沢くん、もう一度問いたい。貴方は、金田一くんに会いたいですか?」

「…会いたいに決まってます」

「なにをそんなに震えているのですか?」

「高遠くん、顔ですよ、顔。般若みたいですよ」

「失礼な。まぁ、それはさておき。井沢くん、君、今回は殺す理由無いじゃないですか」

「前回、殺しきれなかったから殺そうかと…金田一居ないからバレないかと思ったし…」

 

「…まだ、憎いですか?」

 

「当たり前だ!俺が早くに記憶が無かったら、思い出すことが出来なかったら!やっぱりあいつらは俺の家族を殺そうとしてた…!俺たちのほうを見てたからな!俺は熱の中なんとか父さんが金の話をしないようになんども…何度も何度も話を反らさせた…なんであんなところであんな大金の話をするんだよ!母さんの言う通りだったよ!父さんより俺の方がしっかりしてるって!」

 

高遠遙一のその静かに響いた声は、俺の中の憎悪や苦労、誰にも話せなかった今までの気持ちを吐き出せた。

父さん、あのスキーの日はホントに大変だったよ。

そもそもそんなに持ち歩くなよ!子供の微熱は普通の熱と同じなんだ!次の日は動けなかったんだぞ!

俺が前日に思い出してなかったら…みんな死んでいた!

「(井沢くん、愚痴になってきてますね。まぁ、しかし)井沢くん、君はひとつの未来を掴み取った」

「ひとつの、未来?」

「ええ、君は家族を失わずに、綺麗な経歴のままその地位になった」

「それは、前世もあったからで!」

「それでも、君はそこに辿り着いた。それは誇るべきモノですよ。えぇ、私にもわかりますから、私も死なせたくない人がいるので。少なくとも、復讐という領域で君と私は共通している」

「復讐という領域…」

「…前世での、あなたと出会った最初の事件は、母のための復讐でしたね」

「えぇ、ですが今は近宮玲子は生きている」

「は?え、近宮玲子?あの世界的マジシャンの?た、高遠遙一の母が近宮玲子…?!」

 

そもそも近宮玲子って子供がいたのか!

あ、だけど言われればなんか似てるような…眉とか顔とか、特に雰囲気。

「そう、近宮玲子が生きている。易々と、あの人を死なせるわけにはいかない。…度々釘を打ってはいますが、この時期は中々安心できなくてね。そのせいもあって少々気が立っていたかも知れません、まあ私の話は良いんですよ」

「高遠くん…」

「井沢くん、綺麗な経歴のまま、金田一くんに会いませんか?会える確証は出来ません、ですが、必ず彼に会える。私はそう、信じています」

 

高遠遙一と言う男は、用意周到な筈だ。

それは俺が火祀家を殺すきっかけとなった井沢一家三人殺人事件のレポートでわかる、その男が確証は無いのに、俺を誘うとしてる。

綺麗な経歴のまま、という言葉。

例えこの真剣な目が演技だったとしても。

「…何を、するんだ?」

「この話、乗るんですね?」

「…乗るに決まってる!あの高遠がよくわからないのに信じてたり、同い年とか一般人とか、俺の家族が死んでないのに火祀家があるとか、前と同じような記憶があるとか、正直キャパオーバーだったんだよ!それに、今度は俺の番だ、金田一が本気で俺のことを考えてくれたんだ。今度は俺が、金田一について本気で考える番だよ」

「金田一くんが本気で井沢くんのことを…ほぉ、そっちの気が」

「え、いや、そういうことじゃないぞ!そういうことじゃない!そういうことじゃないからな高遠!」

 

そう言うと高遠遙一は少し、優しい目をした気がした。

もしかして、俺は気を使われた?あの高遠遙一に!?

「明智くん、君も金田一くんに会いたいですよね?」

「え?それは会ってみたいですよ」

「ククク、よろしい、ではこれより私たち三人は…金田一捜索組織です、すみませんが名前は後で。内容は、そうですね、当分金田一くんの捜索と金田一くん関連の事件化の阻止です。ですので井沢くんには犯行を止めてもらいますので、明智くんも良いですよね?」

「それは、いいのですが…」

 

なんで、高遠遙一は事件を防ぎたいんだろう?

それが聞こえたかのように彼は話した。

「私は人を欺くのが好きです。今回はその方向性を変えているだけの話ですよ。壊すのではなく、防ぐ方に。金田一くんが知ってる事件が何も起きてなかったら、彼は凄く驚くでしょうね!!!まぁ、やる側も楽ではないですが、こちら側も楽ではありませんね」

「少しは私の苦労がわかりましたか?高遠くん」

「その記憶を自分の物に出来てないのによく言いますね。さて、井沢くんが此方に来てくれたので井沢くんが犯罪をするのは無しになりましたが…次に気になる火祀星子と黒瓜鬼門ですが」

 

俺の部屋に扉からのノックが聞こえる。

声も聞こえた、どうやら火祀星子と高野遙のようだ。

大分時間が経っていた、そろそろ夕食の時間だ。

食後、奴が来る、誰かわからぬ黒瓜鬼門が!

「貴方達は火祀星子に注意しなさい、私は黒瓜鬼門を見ます」

 

そして、始まる、黒魔術の儀が!

 

side 井沢研太郎end

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

食後、火祀暁に声を掛けられ高遠等は離れに移動した。

離れに移動すると暁はこれからやることについて説明をし始めた。

「さて、ゆっくりされているところ失礼しました。ここにいらっしゃる大半の方は御存知のように、私ども火祀コーポレーションはこの5年の間に飛躍的な発展を遂げてまいりました。その隠された原動力、ともいうべきものが私どもが信奉している『黒魔術』の神秘的な力でございます。黒魔術と申しましても決して、悪魔崇拝を指すわけではございせん。むしろ、私どもの崇拝する黒魔術とはより高尚で貴族的ないわば哲学というべき思想なのです。資本主義とは競争であり―――」

 

火祀暁の演説のような話を高遠遙一は適当に聞き流していた。

彼は待っているのだ、黒瓜鬼門を。

本来なら『黒瓜鬼門』という男は存在しない、前世彼だったのは高遠遙一であり名も知らぬ役者風情だったからだ。

今回の犯人であった筈の井沢研太郎はもう犯行を及ばない、聞くことはまだあるがそれは確定で良いだろう。

そうなるとやはり注意をすべきなのは、来るとして前提を、存在しない筈なのに存在する可能性の前提をして動いた方がいい黒瓜鬼門。

もし、もしもその名で来たとしたら。

「ではご紹介しましょう、今回新しくお招きした黒魔術の先生―――」

 

(私は、一度約束したことは良くも悪くも守るのでね。警察官になると言ったからには私の前での事件は無しにしてもらいましょうか)

 

「黒瓜鬼門先生です」

 

(黒瓜鬼門、その挑戦、受けましょう)

 




次回で黒魔術回最後です


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彼らの対面 巡り合わせ 後日談

存在しない筈の存在する人物 黒瓜鬼門


その声は、何だか聞いたことある声だった。

「はじめまして、黒魔術師の黒瓜鬼門です」

 

黒瓜鬼門と名乗った髪が金髪の仮面の男は高野遙の方に目を合わせるとにこりと口だけ笑い、すぐに口を元に戻した。

「へ?(なんで私見て笑ったの?それとも後ろの高遠くん見て笑ったの?)」

「(…あの笑みはいったい…)」

「では黒瓜先生さっそく!」

「えぇ、わかりました」

 

そういうと黒瓜はゆっくりと高野の方に向かった。

「(ひぃぃぃ!こっちにくるー!もしや金田一ポジションだった!?)」

「失礼お嬢さん」

 

いつのまにか何も置いてないテーブルの上のテーブルクロスを黒瓜は勢いよく引っ張った。

その下からは魔方陣、この机こそが今回使う黒魔術の魔方陣そのものだった。

「(そうだ、ここに魔方陣あったんだ)」

「何も怖がることはありません、西洋で呪い(ブードゥー)をビジネスに用いることはごく一般的です。君達の考えているようなおどろおどろしいものではありません」

「あの、蝋燭とかは?前の先生は使われていましたが…」

「あぁ、この魔術灯があれば十分です」

「魔術灯?」

「この家の皆さんは御存知なかったようですがこのランプシェード、人間の皮膚が使われているんですよ。様式から見て、造られたのは19世紀のイギリスでしょう。産業革命での裏ではオカルティズムも盛んでしたので。さ、儀式を始めます、皆さま準備はよろしいですか?」

 

やけに明るい声で黒瓜は言うと火祀家の人々は座り直したり、着衣の乱れを直したり少し準備をした、そして黒魔術の儀式は始まった。

約三時間以上にわたって続いた黒魔術の儀式、血の繋がらない三兄弟はずっと呪文を唱えていた。

他人に聞かれたくない、知られたくない、そんな呪いの言葉を呟くように。

「お疲れ様でした、本日の儀式は終了しました。現在このサロンには精霊が降臨しています、呪いの効果を少しでも長く維持したいのであれば、そちらの魔術灯の灯りを決して、消されることないようにお願い申し上げます。それでは次は深夜12時丁度、ここではなく本館の居間にお集まりください」

 

儀式が終わり黒瓜がそう言うと部屋を出ていった、それと同時に皆立ち上がり解散していった。

最後にその場に残ったは高遠、明智、井沢の三人だった。

「初めてでしたが少し興味深かったですね」

「嘘だろ健悟…って思ったけど、お前は確かそう言うオカルトの類い好きだったな。俺はクライアントじゃなかったら願い下げだよ」

「オカルトの類いは専門外なので明智くん、あなたに任せますよ。念のために私はトリックの種を確認しなくては」

 

高遠は電灯の近くに向かうとコードを辿りカーペットを少し捲った。

どうやら前世の時と同じくコードは縫い付けられ、カーペットは切れていた。

扉も確認しようとすると葉村と海崎が戻ってきてたようで確認する前に葉村に止められた。

「あとは扉ですね…、やはりありましたか」

「いけません!高遠さん!そのカーペットはめくってはいけないと言われているんです」

「何故です?」

「明智様、そこは地下室の入り口なのです、先代の青竜社長がその地下室を大変気に入っておられました。この地下室があるからこそ、このサロンは黒魔術の儀式にふさわしいのだと。ご理解頂けましたか?本館に戻りましょう、もう夜も更けてきております」

 

海崎と葉村は仕事があるのかバラけてしまった、考えながら高遠たち三人はゆっくりと歩いていた。

「コードは縫い付けられ、カーペットもそのまま、地下室も健在と考えて良いでしょう。だがこの胸騒ぎは…」

「やっぱりイレギュラーになった黒瓜が怪しいんじゃないのか?」

「それはそうなのですが、問題はどうやってその証拠を手に入れるか…証拠を作り出すか、揺さぶるか…」

「そういえば声が高遠そっくりじゃなかったか?」

 

井沢はそう言って高遠の方を見るが高遠は首を振る。

「自分が出してる声と出した後の声は違うのですよ、震える空気の振動数が違うので私にはわからないのですよ井沢さん」

「へぇ、そうなんだ」

「えぇ、ですので私の声は自分ではわかりません。明智くん、黒瓜の声はそんなに似ていました?」

「確かに似てましたね、正直聞き間違えそうなほどに。おや、何だか騒がしくありませんか?」

「あぁ、そういえば前だと剣持さんが来るんでしたね」

「け、剣持くんが!?」

「本人が来るとは限りませんよ、金田一くんの件もありますし、何より剣持勇が存在していたとしても覚えているとは限りません。それは明智くん、君なら重々理解している筈」

「そう、でした、ね。」

 

彼はまだ『明智健悟』の記憶の全てを把握していない、故に高遠のその言葉は彼にしっかりと刺さった。

それの言葉を胸にしっかりと刻み明智はゆっくりと声の方向に向かった。

そこにはスーツ姿で若い男がいた。

「そう言う態度での対応は困るんですよ、私は東京からあなた達の親父さんの捜査をしに来たんだ!それに夜だから帰ってくれと言われても…」

「松田さん?」

「あっ、明智さんの息子!なんでこんなところに!」

「それはこちらの台詞ですよ、私達は友達の井沢研太郎のお手伝いで来てまして。研太郎、高遠くん、彼は父の知り合いの新人刑事の松田さんです」

 

そう紹介された天パ気味で少し撚れたスーツを着て、胸にグラサンを差した若い男は明智の近くまで行くと高遠たちを見て名乗った。

「新人言うな!松田だ、よろしくな」

「(なるほど、彼が剣持勇の代わりですか。随分と若い刑事だ。)」

「明智様の知り合いでしたか…しかしこの方は捜査一課の刑事ですが?」

「私の父が刑事でして、その縁です」

「そういうことでしたら…どうぞこちらへ」

 

松田刑事と明智たちは火祀暁に誘導され、部屋に入り各々椅子に座ったり、近くに立った。

そして松田刑事は手にメモ帳を持ち各々のアリバイを聞き始めた。

 

一方その頃、その場にはいない高野遙はとある部屋の一室で黒瓜鬼門と対峙していた。

黒瓜は椅子に座り優雅に足を組みニヤリと口を歪ませ、対する高野は彼の前に立ち、手は震えていた。

「単刀直入に言います、黒瓜鬼門さん」

「はい、何でしょうか?」

「あなた、私に会ったことありますよね」

「いえ、お嬢さんとは生きていて会ったことはありませんね」

「…あなたが、私を殺しましたからね」

「おや、物騒ですね。少なくとも私は貴女に会ったことはないですよ。それは本当だ。高野遙さん、でしたか?」

 

一度も彼の前では名乗ってもいないのにも関わらず名前を言われた高野は後退りをしようとした、だがそれは黒瓜に手を捕まれそれ以上は下がれなくなった。

彼の反対の手には表紙が白紙の紙の束が持たれていた。

「ここに来る前に火祀暁さんからここに来る人達のリストを貰いました、ですので名前は知っています。リストを見た時は驚きました、とある一部が私の知らない人たちで構成されていましたから」

「あなたの知ってる人達で全て構成される予定みたいな言い方ですね、黒瓜さん」

 

黒瓜はそう言われ表紙が白紙の紙の束、リストを手にそれを捲りながら名前を挙げていき手に持ったリストを軽く投げ高野に当てる。

高野に当たったリストは繋ぎが甘かったのかバラバラになり彼女の足下へ散らばった。

「明智健悟、高遠遙一、高野遙、この三人は本来この時期、ここには居ません。いや、高遠遙一はある意味います、ね。しかし彼等は年齢も違う、居るべき者がいなく居てならない者がいる。…本来なら、私もここにはいない」

「あなた、もし、かして…」

「一応愛読書のひとつでしたよ、金田一少年の事件簿」

「や、やっぱり前世の記憶、あるんですね!黒瓜鬼門さん!」

「前世、ですか。私からしてみれば体は違えぞ地続きですよ。…あまりにも、ここは希望に溢れていた。このような私には、あまりにも…なのに…何故…何故ェッ…!」

 

右手で仮面で隠された顔を覆った黒瓜のその声は、悲鳴のような祈る声に聞こえた。

高野の手はいつの間にか震えは消えていた、ゆっくり彼に向かって歩きその右手を手にとって彼の目を見た。

手を取られた彼は仮面越しでもわかるように目を見開いていた。

「私が、貴方の希望になれませんか?」

「何を、言ってるんですか?」

「希望に溢れていたんですよね、なら私を一つの希望にしてみませんか? 私、守りたい人がいて将来警察官になるんです、あなたも守ります。守りますから、私を希望にしてみませんか!」

「…残念ですが、それは出来ません。…なるほど、こういうときに、もっと早くに出会いたかったと思うのか…」

「黒瓜さん?」

「私はすでに人を殺しています、母を殺した人達に対する、復讐として。お嬢さんは警察官になるというならそれは不可能だ。」

「そ、そんなこと!」

「世の中、救えないモノもあることを知りなさい」

 

高野遙は絶句した、前世も含め少しでも救えると、そう、思ったから。

事実彼女に救われた人も居ただろう、彼女は助けられるなら助けたいと思い前世はそうしてきた。

偽善者、そう言われても良い、思われても良い、それでも助けたいと思い生きてきたのだから。

その結果、手を伸ばす者の手を掴み、寄り添い立ち上がらせ、礼はなく、それは当たり前とされ、立ち上がった者たちから見放され、最後には誰にも見向きもされず、名も知らぬ者に彼女は殺されたのだが。

黒瓜鬼門は絶句し、歯を食い縛り泣くのを我慢してる彼女に手を伸ばした。

「あまりにも愚かで甘い考えですが、私の周りにはない考えだ。きっと、お嬢さんのような人が身を削り、人を守り、落ち葉のようになりながら死ぬのでしょう」

「くろ…うり…」

「…私の名前は敷島青雅(シキシマセイガ)、黒瓜鬼門ではありません。わかると思いますが黒瓜鬼門は偽名です」

「黒瓜さん…なんで突然?」

「敷島青雅です。いえ、嫌な予感がするのでね、意外と当たるものなんですよ。残念ですが今回の黒魔術殺人事件は計画だけの未遂事件となりそうです。そうですね…黒魔術殺人未遂事件なんてどうでしょうか?」

 

そう言うと黒瓜鬼門こと敷島青雅はニヤリと笑った。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

時は少し松田刑事による火祀家のアリバイ確認が終わる直前にまで遡る。

社員から聞いた話も話し、それについて高遠が殺人の可能性もあると言ったところで御開きになりそうな所を松田刑事はハッと思い出した。

「あっ、待って待って!待ってください火祀さん!両方です!他にこの館に誰がいますか?」

「他にですか?黒魔術師の黒瓜さんと井沢くんの友人の女性の方が今のこの場に居ませんが来てるぐらいかと」

「その二人にも話し聞いても?」

「松田さん、何故二人にも話を?」

「前に先輩が言ってたんだ、関係無さそうな奴でも話を聞いとけ、自分一人で迷宮入りしそうなのはしっかり現場とアリバイと証拠を見とけ見つけとけ、あとは仮面の男は大抵怪しい…だったかな」

「松田さん、黒瓜鬼門は仮面を付けた男です」

 

明智は松田刑事にそう言うと火祀暁に黒瓜鬼門の部屋を聞いた、松田刑事と明智、高遠、井沢が急いで向かうと中からは話し声が聞こえた。

松田達は息を潜めて扉に耳をやった。

「きっと、お嬢さんのような…人を守り…落ち葉…死ぬのでしょう」

「くろ…うり…」

「遙…!」

「待て、まだ話してる、落ち着け」

「もう少し待ってください、高遠くん」

「敷島青雅です。いえ、嫌な予感…意外と当たるもの…残念ですが今回の…計画だけの未遂事件となりそうです。そうですね…黒魔術殺人未遂事件なんてどうでしょうか?」

 

中で話し声が終わると松田刑事はドアを開けた。松田刑事は敷島青雅という名前を聞いたことがあった。

「敷島青雅だな、やはり薔薇の騎士館殺人事件はお前が犯人だな!」

「おや、松田刑事ですか、あの時以来ですね」

「先輩が言ってたんだよ、仮面の男は大抵怪しいってな!その仮面、取って貰おうか」

「嫌ですね、醜い火傷の痕が見えてしまう。貴方は知っているでしょう?私の顔の左に醜い火傷の痕、背にも十字の火傷の痕、ほら、手だって」

「黒う…いや、敷島さんそっちの方だったの?!」

「そうなんですよ、ポジション的にはツクヨミで」

「和むな!今回の火祀青竜の件もお前だな!敷島青雅!そしてそこの女性をはなっ!」

 

松田刑事の言葉を遮り、敷島青雅は背の方にあった椅子を軽々しく片手で持ち、松田刑事の方に投げた。

松田刑事は上手く避けたが急に接近してきた敷島に鳩尾を殴られ倒れた、近くにいた井沢も足払いをされ倒れた頭を打ち動けなくなった。

急に接近してきた敷島から離れるように明智と高遠は交互に別れた、高遠は高野遙のもとに向かった。

扉の方には犯罪者に倒された松田刑事と井沢健太郎、この部屋からは出るに出られなくなった。

「流石と言うべき動きですね、ですが君達が一緒に行動している、と言うことは記憶がないということでしょう。アドバンテージは私にある。記憶も経験もない君達など簡単に倒せる」

「何を言ってるのかさっぱりわかりませんが、その嫌な仮面、取ってもらいましょうか?」

「フッ、出来るものならしてみては?」

「高遠くん!無茶は!」

「明智くんは遙をよろしく頼みます、そのまま警察の応援を。…金田一くんともしたことのない肉弾戦、ここでしてしまうとはね」

「記憶があるのか」

「金田一くんを知っているので?」

「金田一少年なら知ってますよ、金田一37歳も」

「…私より、長く生きたのですね。さて捕まってからゆっくりと、たくさん話してもらいましょうか。私の平行線について」

「犯罪芸術家、そして怪人 地獄の傀儡師と肉弾戦とはこれは光栄だ」

 

敷島はそう言うと片足を後ろに引き、重心を後ろに向け、手を少し上げた。

「(片足をただ後ろにしたわけではないですね、足の捻りが独特、恐らく合気道。イギリスではボクシングとアーチェリーしか今世ではしてないのですが…きっと平気でしょう、日本に戻って来てから通信教育の忍術を学んでます!)」

 

高遠はやけに謎の自信ある根拠に頼り、手を構えた。

高遠が先にジョブをすると相手との距離を測るためか敷島は高遠の攻撃を避ける。

時折ボディブローをして仕掛けるが受け流されてしまう。

互いが攻撃をしては避け、一撃を与えられずに攻防戦が続いていた。

「あ、明智くん、ど、どうしよう!」

「扉の方から二人が退いた瞬間に研太郎と松田さんを退かしましょう、ですので落ち着いて、遙さん」

「う、うん」

「…今です!」

 

明智の声を皮切りに明智は松田刑事、高野は井沢を引摺り部屋から出した、軽々と井沢を引摺る高野を見て明智は驚いた。

そこに少し隙があったのか高野は急いで部屋に戻りポケットから石を出し、振りかぶり投げた。

当たらなかった石は窓を突き抜け、窓が割れた。

「せぇい!」

「何を投げたんですか!お嬢さん!」

 

そして今度は敷島の投げた椅子を振りかぶり、殴った、のだが敷島は腕をクロスして耐えた。

隙を逃さない高遠は左ストレートで殴った。

「ぐっ!(力が強い!)あなたまさか、怪力ですか?」

「彼女は馬鹿力ですよ!」

「かふっ!」

 

高遠の拳は敷島の仮面をぶっ飛ばした、髪はカツラなのか地毛なのか不明のそれを除けば彼の顔の造型は高遠によく似ていた。

唯一違うとすればその目は血のように紅かった。

「顔を明かすつもりではなかったのですが…参りましたね、今回は逃げましょう」

「逃がすと思いで?」

 

割れた窓から敷島は逃げようとする所を高遠は何処からともなく薔薇を投げた。

高遠遙一の薔薇の性質を知っていたのか敷島は自らの髪を掴みそこから薔薇を弾いた、その髪を地毛ではなくカツラだったのだ。

そして月の光と共に露になったのは黒髪で顔に火傷のある青年の顔だった。

「その薔薇は悪いですが頂けません」

「その顔、あまり好ましくありませんね。分け目は違えぞ、いつぞやの私そっくりだ」

「なりたくてなった訳じゃない」

「しき、しまぁ…!」

「…松田刑事、だいぶ強く打ちましたので安静にしておいた方がいいですよ」

 

静かに風が吹く音が聞こえると敷島は全体を見た、高野遙と高遠遙一に目を合わせると静かに一言、そして上着から閃光弾を出した。

「グッドラック、未来ある君と因縁の者達、またどこかで会いましょう」

 

 

━━━━━━━━━━━━━

 

 

敷島青雅(シキシマセイガ)が立ち去った数時間後、明智健吾が呼んだ警察が到着し一時事態は騒然としたものの近辺には既に敷島はいなく呼ばれた警察と共に松田刑事も帰ってしまった。

その後特に事件も起こる事無く静かな夜となった。

そして井沢研太郎の部屋の一室に高遠、明智、高野、部屋の主の井沢がいた。

井沢は怪我のためベットに寝そべり、その回りに椅子に座り足下に高遠、その隣に高野、反対側に明智がいる。

「…なぁ、健吾や高野さんは良いとしてなんで高遠まで俺の部屋にいたた!蹴られた足を触るな!触らないでください!」

「今回は私の失態です、井沢くん、怪我をさせてすみませんでした」

「そう思うなら痛いところ触らないでったっい!頭はマズイ!」

「高遠くん、研太郎で遊ばないでくださいよ…」

「すみません、つい出来心が…」

「それに失態と言うならば今回のは私も悪かったです、前世の記憶があり、警察という身分でしたのにあのような動きしか出来ず、君たちを守れなかった。遙さん、怖かったでしょう?」

「え、あ、うん、殴りあいしてるのは怖かったけど…」

「それなら椅子を持って特攻を仕掛けるのは止めてください、驚きましたよ。君はただの火事場の馬鹿力が強いだけのそこそこか弱い女の子なんですから」

「高遠くん、女性にそれは」

「明智くんは黙っていてください。良いですか?今回の犯罪者が遙に危害を加える気が無かったにせよ、何をされるか、何をするかなんてわかったものではありません。彼等は一線を越えた人間です」

「一線…」

「それは犯罪者によって違うので一概に何それとは言えませんが、今の貴女にどうこう出来る人間ではないのは確かです。時には逃げることも大切だ、恥ではないのです。良いですか?君はただ、生きることを優先しなさい」

「…ごめんなさい」

「…怪我はないですか?遙」

 

高野は高遠の厳しい声で萎縮していたが最後、怪我を心配する声で高野はボロボロと泣き出した。だがその泣き方は声を我慢するような、泣くのを耐えるような泣き方で高遠、明智、井沢は痛々しく見えた。

特に昔、泣いた所を見たことのある高遠は彼女の泣き方の変化に困惑した。

(彼女は、声をあげて泣く人では、なかったか?高遠遙一(わたし)地獄の傀儡師(わたし)の記憶を持っての始まりの時は、もっと、もっと…)

 

「声を出して、泣いて良いんですよ」

 

高遠はそう言うとぎこちなく、高野を抱き締め、それもまたぎこちなく手をポン、ポンと優しく叩き宥め始めた。

(あの時、きっと今も私は泣けないだろう。私は表情も感情も豊かな方ではないのは自覚している。ただ、あの義父が今回は居なかった、あの近宮玲子が今回はずっと居た。我ながら私は、童心に返ってたと思う、近宮玲子と共に笑顔できっと、マジックをしていた。近宮玲子のマジックがあの幼い体では出来なくて、私なら出来る筈なのに悔しくて泣いたこともある。フッ、昔の私では、今の状況なんて面倒で、突き放したり放置していたでしょうね。あぁ、今回はどうやってでも、何をしてでも守らなければいけないものが増えてくる。私の原点でマジックの師匠 近宮玲子、まだ幼い義妹の美咲ジゼル、完全ではない明智健吾、そして今回の私の始まり 高野遙)

「泣いて良いんです。ここには、君が泣いていてそれを叱る人も、君をいじめる人もいない」

「う゛、う゛ぅぁぁ…」

「大丈夫ですよ、遙、大丈夫…大丈夫…」

「あ、あっ、あ゛ぁぁぁぁぁっ!うわあぁぁぁん!」

 

(あぁ、考えてみればあの時から可笑しかったじゃないですか、いじめられてるのにも関わらず薄いリアクション。それにいつのまにか全体的にリアクションも薄くなっていた。幼い頃は私のマジックや会話、何でも一喜一憂してきた彼女が…。彼女は私ではない、そんな薄いリアクションをする人間ではないのだから。彼女とは、会話を増やした方が良いですね。もう一度、もう一度だけ私のマジックで、笑って、もう一度私の奇術を魔法と)

「…高遠くん、遙さん寝てませんか?」

「えっ…この状況下、私の腕の中で寝るとは良い度胸してますねぇ…まぁ、今回はそれほど大事にはなりませんでしたので今回は許しましょう。明智くん、井沢くん、帰ったらやることが沢山ありますので肝に命じとくように」

 

そう言う高遠の顔はとても悪い顔をしていた、井沢の顔はひきつりつつ高遠に一言、自分がしてる仕事は?と聞いた。

「私の言うことは今のところは仕事に支障の無い程度に始めてくれて結構です」

「高遠くん、私も帰ったらやることができました」

「君にやること?」

「…『明智健吾』の記憶に、胡座をかいていたようです。記憶がなんだ、役に立たないじゃないか!…そう思いました。私は、もう一度、今度は自分がなりたいから警察になろうと思います。記憶だけでは、度胸も技術も何もかも身に付かない」

 

敷島の件は明智には非がない、彼はただの高校生なのだから、それでももっと何か出来た筈だと、前世の記憶があるのだからと彼は考えた。

彼は今、完全に覚悟を決めたのだ、自らの意思で警察官になることを。

その表情を見て高遠は微笑ましかった、彼はまた自分の知っている『明智健吾』に近付いて来た、そう思ったから。

「…良い顔ですね、少し私の知ってる明智くんに似てきましたよ」

「『明智警視』と私、明智健吾は別の存在ですよ。君だってそうです、確かに君は地獄の傀儡師だったのでしょう。けどそれは前の話、今の君は高遠遙一、今までの全てを経験したことがあるだけの私の友達です!」

「…健吾の友達なら、俺も友達で良いよな?高遠」

「(年を取りましたかね?何故か、少しだけ、目頭が熱い)」

「高遠くん?」「高遠?」

「フッ、友達を名乗るなら死なないでくださいよ?」

「そう簡単に、私は死にませんよ」

「まぁ、俺も死なないよ」

 

二人がそう言うと、少し間をおいて三人は声を出さず、静かに笑った。

夜明けが近付いている、彼等はまた、朝を迎える。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

後日談 帰宅後

高遠くんの様子がおかしい話

 

 

高遠くんは、軽井沢から帰ってきてからぼやっとしている。

窓の外を良く見ていますし、マジックする時の薔薇の色が固定されていません、何より今日なんか避けれる筈の体育のバレーボールが顔面に当たった。

そしてここは保健室、五時限目の授業開始と共に彼は倒れたのでまだ放課後ではない。

「高遠くん、起きましたか?」

「…明智くん、私は…」

「君、授業中にバレーボールが避けれなくて顔面に当たって倒れたんですよ」

「…情けない」

 

そう言うと彼はベッドの布団に身を潜めた、なんだか新しい一面を見た気がしたがそれよりも彼の様子である。

「軽井沢から帰ってきてから可笑しいですけどどうしました?」

「いえ、君、遙の前で前世がどうのこうの言いましたよね?」

「…あっ」

「私まだ言ってないんですよ、何から言えばいいんですか?それに気のせいか避けられてるんですよ私」

「すみません、ってそれまだ言ってなかったんですか?」

「まだそのタイミングでは…」

「今日言いましょう、不安なら健太郎呼びますから」

「いや井沢くんはいいです」

「じゃあ健太郎抜きで今日言いましょう!タイミングは見計らうものではない、作るものですよ!」

「…見計らうものだと思うんですがね」

 

放課後、私は高遠くんを餌に遙さんを呼び出して保健室に向かった、高遠くんはもう平気なのかベッドから立ち上がっていた。

「高遠くん平気?明智くんからバレーボールのボールが顔面にショットされたって…」

「どちらかと言えばアタックですけど…まぁ、そんな感じです。冷やしてれば平気ですよ、今日は明智君も連れてたまには私の家でお話しましょうか?」

「えっ、わ、私帰る…」

 

遙さんはそそくさと帰ろうとするが高遠くんは逃がさないように腕を掴んだ。

遙さんは驚いたような表情をしていた、軽井沢から帰ってきてから可笑しいのは遙さんもだった。

「話すことがあります、大事な、大事な話です。話を聞いてくれませんか、遙。最悪、私の話しか明智くんの話だけでもいいので」

「こ、ここじゃダメなの?高遠くん」

「聞かれると…不味い話なので」

「あ、うう…わ、わかった! 私、話聞く!私も、私も全部は言えないけど話したいことがあった!」

 

遙さんは珍しく真剣な表情をして言うと驚きと安心からか高遠くんは真顔になった、そして一言そうですかと言って私たちは学校を出ることにした。

 

 

 

そして場所は変わり、高遠くんの家、彼の家は遙さんの家の隣にありつい最近改築が終わったとか。

彼の部屋は随分と物が少なかった、あるのはマジックの道具、学校の物、本と倒れた写真立て。

部屋の主が飲み物を持ってくると話は始まった。

「さて、どちらから言いましょうか」

「高遠くんから…」

「…わかりました。今から話すのは、本当の話です。私は、恐らく一度死んでいます、前世の記憶があり、それは同姓同名にして私自身、こことは恐らく違う世界。…そして、私は犯罪者で人殺し、犯罪芸術家であり地獄の傀儡師、昔言いませんでしたか?地獄の傀儡師に負けないようなお巡りさんになってくださいと」

「…少し、覚えてる」

「最終的には私が警察になることを約束してしまったので、地獄の傀儡師としての仕事はしなさそうですが…まぁそれは置いときます。私は、君に期待をしたのです、地獄の傀儡師に負けない人になるのではないかと思って」

「高遠くん、頭良いから私は負けると思うけど…」

「推理だったらね。けどひとつ、私は負けてしまったと思うのがあるんです」

 

「え、いつ私勝ったの!?」

 

「私が記憶を思い出してから負けてますよ。小学校の時、記憶を思い出してから誰も寄ってこなかったのに君だけは来た、君は昔からずっとマジックを誉めてくれた、わからなくても話を聞いてくれた。高校生になる前もそう、突然の訪問にも関わらず真剣に話を考えてくれて答えてくれた。そして今も、こんな与太話を君は、信じてくれてる。フフッ、伊達にマジシャンと犯罪芸術家をしてませんからね、君の表情と声でわかりますよ。損得関係なく、君はずっと、地獄の傀儡師をしていた高遠遙一(わたし)に死なず側に居てくれる。…恐らく僕が、そちらに落ちないのは近宮玲子、母さんが生きていることもそうだけど、君がずっとそこにいるから」

 

私はこの場にいない方がいいのではと思うぐらいこの場は二人だけの世界だった。

そんな彼の表情は地獄の傀儡師とは真反対、あまりにも儚い笑み、高遠くんは気付くだろうか?

彼は、自然と表情を出す人ではないから。

「私、私そんな良い人じゃないよ?高遠くん。私ね、私もね、わたし、私も、わた、私も、あるの、私も前世の記憶があるの!!」

「遙さんにも、記憶が?」

「明智くんも、高遠くんも、玲子さんだって私は知ってるよ?明智警視に死骨ヶ原の高遠さん、板を踏み外して死んだ近宮玲子さんに、二人を繋ぐ金田一くんだって…私は知ってる…」

「…私が犯罪者だと知っていて、私の側にいたのですか?」

 

吃りなからも喋る遙さんは俯き、果てには高遠くんまで俯いた。

二人は前世の記憶があった、私と高遠くんを繋ぐものが金田一少年だとしても、やはり記憶ではなく私は夢なので、今考えると高野遙と高遠遙一には負けるだろう。

死んでも尚、続くその想いには負けてしまう。

「そうだよ、知っていて私はずっと高遠くんといた!私のエゴだよ、勝手に守ろうとしたんだよっ!高遠くんだって遙一だって地獄の傀儡師だって全部っ高遠遙一なんだから!ただひとりの幼なじみの高遠遙一(あなた)なんだから!私はあなたの魔法が好きだから!マジックが大好きだからっ!お巡りさんになってあなたを守るんだから!マジック出来なくなったって、生きてればなんとかなるんだからっ!死んでも高遠遙一を守るって勝手に決めたから!あなたを犯罪者にさせないから!近宮さんも守るから!あなたの大切なもの守るかっ!?」

 

高野遙さんは叫んだ、それはひとつの慟哭とも取れた、俯き言う彼女は顔は見えないがボロボロと雨を降らしていたから。

それを止めたのは高遠遙一くん、俯いていた彼は少し顔を上げ彼女の顔に手を伸ばし口を塞いだ。

驚いた彼女は顔を上げ二人の目線は交差した。

私は、このような激情を受けたことがない。恐らく、彼も。

あぁ、やはり隙を見て部屋を出るべきでしたね。

今この場では、明智健吾という存在はあまりにも異質だ。

そして高遠くんは、マネージャーの高遠遙一のようだけどそれとは少し違い、男らしい、でも頼りない顔で少し早口に喋り始めた。

「愚かだ…君はやはり思慮深さに欠ける、私が快楽殺人鬼になってたらどうするのですか?私が自暴自棄して地獄の傀儡師のようになってなかったらどうするのですか?私が貴女を殺してたらどうするというのですか?!私は冷酷で、残忍な、殺人鬼なんですよ!?何故自分の身を蔑ろにしてまで私を守ろうとする!?生きてればなんとかなる?犯罪者にさせないから!?…勝手にも、程がある…私の大切なものを守るなら、どうか死なず側にいて、守られて、私のマジックを誉めてくださいよ。この世界での私の始まりはあなたなんです。金田一くんではないのです、私を追うものはいないんです、平行線は、光と闇の双子はいないんです、いないんです!!いないんですよ、金田一くんが…。そんな世界で犯罪をしたってつまらない。美しくもない、楽しくもない、快感もない…そして何より知ってしまった、今は犯罪芸術よりも近宮玲子が出す奇術の課題をこなすのが美しいと、人を殺すより生かす方が難しく楽しいと、ふとしたとき君にマジックを誉めてくれるのが嬉しいと」

「たか、とお…」

 

彼は優しい声で、真顔に見えるが少し微笑んでいる表情で遙さんに言い聞かせるように話す。

「これから先、君に何回言えば良いんでしょうかね?遙、良いですか?絶対に、私より先に死んではいけません。約束しても良いですよ、地獄の傀儡師としてでも、高遠遙一としてでも。次は私が守りましょう、あぁ、気にしないでください、勝手に決めましたから」

「ぅふぇぇえぇぇん!」

「フフッ、なにそれ泣いてます?はぁ、なんか言ったらスッキリしました、次は明智くんです」

 

首をコキコキと鳴らしながらこちらを見て高遠くんは言った。私は「この状況で?」と聞いたらオウム返しのように「この状況で」と言われた。

きっと昔の私だったら銃を取り出すんでしょうねぇ、射殺もやむなしと。

その後私は前世を夢で見る人でそれを受け入れている人間、と言うことを言い数分後前世の話のことはお開きとなった。

まぁ、遙さんの体力的に無理だったみたいなのでお開きせざる終えないのですが。

「また寝てますね」

「泣くと眠くなるのかもしれませんね」

「泣くと疲れるというのでそれでしょう、しかし感心できませんね。いくら幼なじみと友達の前とはいえ女性がこのように無防備に寝てしまうのは」

 

私がそういうと彼は遙さんを持ち抱えベッドへ場所を移して布団をかけた。

少し手慣れているので驚いたがそれはあとの会話で何となく私は察した。

「…泣いて疲れたのもあるのでしょう、ですが一番疲れたのはきっと、言えないことを言ったからだと思いますよ。彼女は、少なくとも小学校の時から記憶があった、それを誰にも言わずに今の今までまで話さなかった。泣いて疲れて、感情的になり疲れて、…我慢して疲れて、私たちより随分と子供じゃないですか。明智くん、彼女はよく食べますしよく寝ますよ、よく動きますしホント、前世の記憶があると思えないほどナチュラルでそれなんです。私達より子供な彼女は、いつから我慢してたのでしょうね」

「…君は我慢してないんですか?」

「我慢…?あぁ、してますね。やはり一度殺すとたまに殺りたくなります」

「は?」

「まあまあ、話は最後まで聞いてくださいよ明智くん。刺したくなるだけなのでそれは料理やダーツとかに変換してますよ。今私の家も彼女の家も家族がいないので私が作っていてね、彼女は質より量なので丁度良い。犯罪のプランニングは反転して防犯に使ってますし、好きなマジックはやりたい放題。意外と今の人生も悪くないんですよ、近宮玲子が生きていますしね」

「…君、冷酷も反転してますね?」

 

彼は何だかんだ今の人生を楽しんでいた、そして彼は、遙さんを既に勝手に守っていた。

守ってる自覚は恐らく無いのでしょうね、気付くのはこれからなのでしょう。

…明智警視、高遠遙一が殺人の方じゃない犯罪の道に行かないよう私、見てますね。

彼の今後が少し不安ですし、何より、その手を染めないで生きていく彼を見たい。

光の方として生きる彼を。

 




毎回増える設定など
・高遠遙一
高校三年生、髪型は既に真ん中分け。休みの日は時折オールバック、新作マジックの練習のため。
黒魔術の件で高野遙より事件を優先したので普段は側にいる彼女がいないけど本来だったらいないから怪我することなく平気かと思ってた高遠くん。
それは彼女もイレギュラーを指していたのに黒瓜鬼門に気を取られて彼らしからぬ失態を犯してしまった。

やっと高野遙に前世 地獄の傀儡師であることを告白。
平行線は?彼は?金田一くんがいない、金田一くん、金田一くん…の結果が高野遙と近宮玲子にシフトチェンジ、そこにいずれ明智健吾と井沢健太郎が足される。
そして本人は少し覚悟を決め始めたのと同時に気になる組織ができた。非合法に捜査をする組織…気になりますね。

殺意などは料理に注ぎ込め、犯罪するなら防犯に、警官になるって言いましたから犯罪はなるべくしませんよ。
現在日本の家庭料理に凝ってる高遠、肉じゃがとかなめこの味噌汁、里芋の煮ころがしを作る。

敷島、いずれ捕まえるから待ってなさい。
と思ってるけど敷島って発音が霧島に似て…まさかぁ!!
霧島は金田一の側にいますのでここにはいない。


・明智健吾
高校三年生、既に眼鏡。
眼鏡キャラなのに本体は眼鏡ではない荒業を見せる男。
髪型はいつも通り。
作者一の暴走列車、如何に高遠と高野が消極的かわかった。
黒魔術の時は高野さんとあまり喋れなかったなぁと思っている、井沢健太郎優遇だった。
明智警視の記憶があり、何となく警官にならないと違和感があったが今回のでそれは記憶に釣られているからと気付き、自ら警官にならねばと決意した。
警視になる前に彼はきっと記憶を思い出す。

前世の件は高野遙にスッと受け入れられたなので驚いたがまぁ高野遙だからとか思った。
ちなみに剣持さんは金田一の側にいるので会えません。

・高野遙
高校三年生、そろそろ眼鏡かけそうかもしれない。
髪型はミディアムより少し短い、恐らくウルフカット。
ロングではないのは確か。
黒魔術の時は疎外感半端無いので勝手に動いていた、三人が行ったあとは火祀星子と喋っていた。その後も星子と地味に交友関係は続くため自然と暁の嫁の夏目とも話すようになる。
敷島青雅のことは(自分を殺した人と思ったけど)勘違いで良かったが、新たにやることが増えたなと思っている。
馬鹿力がそろそろ通常化し始める、通常時で片腕にパイプ椅子三三の合計六持てるので普通の女子よりまぁ力はあるのでは?

前世の件は戸惑った、知ってるとはいえ打ち明けられると思ってなかった。
高遠遙一のことはどんなやつになっても守ろうかなと思っていた、それは叱られる。
この件で完全に覚悟をし始めた、守るための行動をしよう。
いくら言われても命を大事にが中々できない人間。
まだ言ってないことは死因と前世の出来事、そして金田一くん達を知ってる理由。
ちなみに死因の元は同じ世界にいるのでエンカウントしないよう気を付けてください。

・井沢研太郎
ある意味新キャラ。
明智健吾と同い年のため高校三年生だが仕事もしてるので恐らく通信か夜間。
黒魔術の時は高遠や明智に記憶があるのにも驚いたが何より驚いたのが高遠の童顔具合。
顔変わってないな…?
これから扱き使われるのかぁと思うと暇な内に体鍛えたり体力付けようと井沢くんは思った。
事件巻き込まれるよな!?そうだろ金田一!?

ちなみに火祀青竜は殺していないが死んでいた。
小さい頃、視線と雰囲気であいつらだと気付き、成長してからは火祀コーポレーションの仕事で関わったために今度こそと思った。

・敷島青雅
新キャラ、年齢二十代前半、コナンクロスオーバー時三十代前半。名は全て薔薇から来ている。
白薔薇 和名 敷島(カイゼリン・アウグステ・ヴィクトリア)
青薔薇 青雅
髪型は高遠少年にそっくり、顔ももろ高遠、ドッペルゲンガー並みである。
しかし高遠が金の目に対し敷島は紅、簡易に言うと眼だけアルビノのようなものである。
普段は太陽光から眼を守るためグラサンをかけている。そのせいか夏場や冬などの太陽光が激しい季節はあまり犯行に及ばない。勿論海辺の殺人は以ての外。
あと違うのは彼の方が少し図体がいい。
火傷の位置のイメージは顔は左目に片手添える感じの範囲がひきつれている。背中の十字の火傷はジゼルと同じ感じ、左手はうっすらと十字の火傷、実は左腕も少し火傷の跡がある。

犯罪の種を巻くのではなくそこにある種を育てる人間。
怪人 薔薇騎士、ローゼンナイト
殺気よ、刃のように。
憎悪よ、炎のように。
復讐よ、美しい薔薇のように咲き誇れ。

生まれと事件の位置は月読ジゼルだが立ち位置は高遠遙一。
母がとても優しく前世ではあり得ないほど大切に育てられた、しかしそれは終わることとなる。
腹違いの弟がいるがそっちは生まれと事件の位置が高遠、しかし本質は月読ではなくどちらかと言えば霧島よりも酷く執着心の強い快楽殺人犯であり死体愛好家。
兄弟共に前世の記憶があり、前世は年が逆転していた。
つまり敷島は現在兄の前世弟である。
ちなみにその弟は魔術列車殺人事件の時に出る予定。

宿世の因縁は今ここに始まる。

黒魔術の時はなにか察した。弟とは雰囲気が似てるからもしや彼女は弟の被害者?と思っている。
今回ので金田一世界だったのかと勘違いしている。
火祀青竜を殺したのは彼でもない、計画はまぁまぁ立てていた。


・松田刑事
あの松田にしようか悩んでいるため未定


・火祀家
もしかしたら今後も出るかもしれない。
火祀青竜を今回殺した人がここにいる。


・その他
現在の身長は敷島、明智と井沢、高遠、高野、近宮玲子の順。

現在の身体能力は敷島、明智、高遠、近宮玲子、井沢、高野の順であるが高野の馬鹿力発動時は高遠の後ろに来る。

敷島青雅の母の名前は敷島鳴海、またもや薔薇の名前。
ピンクの薔薇 和名鳴海(マダム・アベル・シャトネイ)

そして未定だけど敷島の弟の名前は高宮幽一(タカミヤユウイチ)近野宵弐(コンノショウジ)


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