インフィニット・ストラトス 亡霊達の戦記 (薄影 (黒ウサギ党))
しおりを挟む
第1話 亡霊
内容は小説2巻の終わりからのifストーリーです。
ある雨の降る戦場で少年は立っていた。少年の右腕は無惨にも肩から腕にかけて無くなり左手には刀が握られていた。そして少年の周りには、この世界ではどんな兵器でも勝てることができないIS(インフィニット・ストラトス)を装着した女性兵士達が倒れていた。少年の名前は桜庭悠綺(サクラバ・ユウキ)彼は傭兵・亡霊(ゴースト)の隊員だった。おそらく生身の人間でISに勝てる集団でこの名を知らぬ者はいないだろう。しかしそんな最強の傭兵は、この一件を経て解散した。理由は当時の亡霊の隊長が戦死したことである。亡霊だったメンバーは各々、自分達の傭兵団を作りある者は政治に乗り出し、またある者は己の私利私欲を満たすために戦争や紛争などを行う。
それから月日は流れ、現在日本のとある学校。
キーンコーンカーンコーン
『委員長、号令!』
『起立!礼!』
昼のチャイムが鳴り生徒達が弁当を持って友達同士で机を付けたり校庭に行ったりなど普通の学校にある景色が広がる。
『お~い!ユウキ!』
そう俺の名前を呼ぶ男が廊下に立っていた。
『あぁ悪ぃ直ぐ行く』
俺は弁当を持ってそいつの元に行った。こいつの名は葛木龍哉(クズキ・リュウヤ)俺の幼馴染だ。そして我が新生亡霊の狙撃兵である。
『もう皆集まってるぞ』
『何?俺が最後かよ…』
俺は手を顔に当てて龍哉と喋りながら、いつもの集合場所である屋上に向かった。そしてそこには俺が最も信頼出来る4人が集まっていた。この4人についても紹介しよう。
『おっ、ようやく来たか』
最初に俺達を見つけたのが、清劉胤(シン・リュウイン)中国で出会った傭兵で兵科は強襲兵(アサルト)である。
『もう遅いよ!』
この文句を言っている女は、羨道楓(センドウ・カエデ)龍哉と同じで俺の幼馴染で、兵科は衛生兵。
『これで飯が食えるな』
この男はジェイク・ジュール、フランスで出会った傭兵で、ある要人のボディーガードをやっていた所をスカウトした。
『ふぁ~~~』
このあくびをしている女は、シャーリィ・オルランド、アメリカのとある猟兵に属していたところをスカウトした。兵科は工作兵。
『わりぃわりぃ、前の授業の先生の話が長くてな』
『古典の山崎だろ?あいつ本当に話が長くてマジで勘弁してほしいわ』
俺達は、なにげもない会話をしながら俺は、周りに他の生徒が居ないことを確認して5人に向かって話し始めた。
『みんなに話がある』
『どうした?改まって?』
『次の仕事なんだが………俺抜きでやってくれないか?』
『『『『『はぁ?』』』』』
5人が同時にそう言うと、龍哉、ジェイク、清、楓の順で
『いきなり何言い出すんだよ?』
『そうだぜ!悠綺無しで依頼をやれって言うのかよ?』
『まぁ確かにお前がいなくても何とかやれるが…』
『まずは理由を聞かせてくれないと私達も納得できないよ』
そう4人の言葉を聞いて俺は
『少し重要な案件が俺個人に依頼が来た』
『重要な案件?どんな内容?』
シャーリィがそう尋ねると、俺は話を続けた。
『あぁ、IS学園に行ってくる!』
そう俺が言うと、みんなは、口を開けて数秒黙った。
そして、
『『『『『はぁ?IS学園!?』』』』』
まぁみんなが驚くのも無理はない。IS学園とは、ISの操縦者の育成を目的とした教育機関であり、どの国にも軍隊にも所属しない独立した機関であり、その学園にいる生徒は全員が女性である。まぁISが男には扱えないことから女しかいないのだが、今年、あるニュースが世界を震撼させた。【初の男性IS操縦者】の登場である。
『もしかして、IS学園の男性操縦者ってやつと関係があるの?』
シャーリィがそう尋ねると、龍哉が続けて
『あぁ、なんだっけ?えーと、お、織…斑……一……』
必死に思い出そうとしている龍哉の隣で
『織斑一夏だよ!』
楓がフルネームを言うと龍哉が思い出したように『そうそれだ!』っと言った。
俺はその会話を聞いた後に
『それもあるんだけど、別に理由があるんだよなぁ』
そう俺が言うと、清が質問してきた。
『その依頼内容は置いといて、依頼してきたのは誰なんだ?』
その問いに俺は
『織斑千冬さんだよ』
『『『『『えっ?』』』』』
みんなが驚いた顔をしているが、俺は気にしないで話を続けた。
『まぁ簡単に言うと、今年は1年生のIS専用機持ち操縦者が例年の倍はいるそうなんだと、それでそいつ等がどれだけ強いか、そして織斑一夏の強化が俺に回ってきた依頼の内容だ』
一通りみんなに説明し終えて、黙々と弁当食べていると、ジェイクが
『いやちょっと待てよ!悠綺が行くなら俺達も行くのが普通じゃないのか?』
ジェイクがそう言うのは当然だった。この世界の傭兵達は本当の家族のように暮らしてきているからだ、隊長がこの道を行くと決まったら、それについて行くのが仲間なのだ。だが今回、俺が受ける依頼は俺個人の依頼だ。だからなるべくメンバーには一緒に来て欲しくなかった。
『今回はあくまで、IS操縦者の強さを確かめに行くだけだから、お前らの力を借りる訳にはいかないんだ』
そう俺が説明すると、龍哉が
『だけど、もしIS操縦者達がお前の基準をクリアしなかったら俺達を呼ぶ気なんだろ?』
『あぁ、その時は亡霊として根性を叩き直す!』
そして龍哉が続けて
『わかった、こっちの依頼は俺達5人で引き受ける、だからお前はIS学園での依頼を優先してこい!』
正直言って龍哉がこう言ってくるのは少し驚いている。
『良いのか?』
『あのなぁ、どれだけお前の背中を守ってきたと思っているんだぁそんなことは少し考えればわかるさ』
『ありがとう、龍哉』
『いいってことよ!』
俺と龍哉はグータッチをした所で、昼の予鈴が鳴った。
キーンコーンカーンコーン
『おっと!予鈴だ、戻ろうぜ』
俺が他のメンバーにそう言うと
『『『『『了解!!』』』』』
そして俺は今、IS学園の正門の前に立っている。
……To be continued
薄影です
今回は読んでいただきありがとうございました。
2話は頭では構成が出来てるんですけど、文字に起こして書くっていう行為が苦手なので、気長に待ってください。ではまた会いましょう。
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
第2話 蒼雫
『寒っ!なんでこんな所にいんだかなぁ…』
俺がいる場所は、今は閉鎖されたウクライナのチェルノブイリ原子力発電所だ。その地下に俺に会いたい人物が居る。
『えっと?確かこの番号だったよな…』
古く錆びたエレベーターの横に付いてる電子キーを押し始めた、すると動くはずのないエレベーターが動き始めた。
『しかし、追われる身なのはわかるが、わざわざここを選ばなくても良いんじゃないか?』
エレベーターの中で俺はは疑問に思いながらも『まぁ仕方がないか…』っと心で思っていた。
そしてエレベーターが最下層に着き扉が開くとそこには明らかに原発があった頃には無かった電子機器が揃っていた。その奥に椅子に座ってモニターを観ながら作業している男が居た。
『おーい、兄貴!来たぞー!!!』
俺はその男のことを兄と呼んだ。
『ん?』
その声に気づいて作業を中断して俺の方を向き立って俺の方へ歩きながら
『おぉー来たか悠!悪いな忙しいのに来てもらちゃって』
この男の名前は桜庭絢斗(サクラバ・アヤト)俺の実の兄でISとは別のパワードスーツであるMS(モビルスーツ)の第一人者だ。
まぁMSについての説明は今度しよう。
『別にいいけどよ。俺これからIS学園に行かなきゃ行けないんだけど』
『あぁ知ってるよ、だからこれが必要になると思ってな』
すると兄貴は引き出しから少し大き目のスーツケースを出して俺に渡してきた。
『なんでそんなこと知ってんだか…で?なにこれ?』
俺がスーツケースを指さすと兄貴は
『あ?これか?お前の義手の整備道具とテストしてもらいたいMSの試作品だよ』
『なんでまた、試作品なんかを俺に?』
『いやまぁ俺って今追われる身じゃん?だからテストが出来なくてさぁ、はっはっはっはっはっ』
兄貴は笑いながら説明してきた、なぜ?兄貴が追われることになっているのか説明しておこう。
兄貴の作るMSはISとは違い戦闘向けに作られているのがほとんどだ。それらは軍隊や亡霊の傘下の傭兵に配っている。ただ政府としてはそれが気に食わない連中がいるらしい、そんなこんなで兄貴は現在、指名手配になっている訳だ。
『了解だ。で?俺のMSは?』
『あぁ……それなんだが』
『?』
『前の戦闘の傷が酷くてな、まだ治りそうに無いんだよ』
『マジで言ってんの?』
『あぁ外殻装甲は治したんだがレギュレターがイカれててさぁ』
『無理させすぎたか…』
MSにもISと同じで専用機が存在する。俺の専用機は第1世代のMSで2年前の戦闘で激しく損傷してしまっていたから兄貴に修理を頼んでいたが、まさか治るのにこんなに時間がかかるとは思ってなかった。
『わかった、治ったら連絡して、じゃあ俺はIS学園に行く準備しないと』
『あぁ悪かったなわざわざ来てもらっちゃって』
『良いって俺達兄弟だろ?困った時は助け合わないと、じゃあな兄貴!』
俺は兄貴とグータッチをしてチェルノブイリを後にした。
そして、俺は兄貴から渡されたスーツケース2つと自分の荷物を持ってIS学園に出発した。
俺がIS学園に着いたのは昨日の夜だった。IS学園は全寮制だから、消灯時間位に着くように来たため生徒達は寮の自分の部屋にいるんだろう静かだった。
俺はIS学園に着いてまず千冬さんに連絡をした。
プルルプルル…………ガチャ
『もしもし』
『あっもしもし千冬さんですか?桜庭です。今着きました』
『あーそうか、なら今から言う場所に行ってくれ』
ガチャ……ツーツーツー
電話が切れると俺は荷物を持って千冬さんに言われた場所へ向かった。そして、着いた場所はIS学園の職員用入口だった。そこには2人の女性が待っていた。
『やっと来たか、意外と時間がかかったな』
『すみませんね、意外と広いんですねこの学園……それでこちらの方は?』
俺は千冬さんに謝りながら隣の女性の方に目線を向けた。
『あぁ紹介しよう、こちらは山田先生、私のクラスの副担任を務めている。山田先生、自己紹介を』
そう言われると隣の女性は自己紹介し始めた。
『あっ!はい!ご紹介に預かりました。私は、山田真耶です。織斑先生と同じ1年1組の副担任をしています。これからよろしくお願いします』
『こちらこそよろしくお願いします。俺は桜庭悠綺です。聞いてると思いますけど、亡霊の2代目隊長を務めています』
そしてお互いに自己紹介が終わると千冬さんが
『さてお前の部屋だが、まだ用意が出来ていないから、別の部屋になるが良いか?』
『俺は寝れるスペースがあればそれで良いんですが』
そう答えると、続いて山田先生が
『駄目ですよ!ちゃんとした場所で寝ないと!』
俺はこの時、山田先生が真面目ということがよくわかったっと心で思った。
そのやり取りが終わると千冬さんと山田先生は俺に代わりの部屋へと案内してくれた。そして千冬さんが別れ際にこう言った。
『明日はHRでお前を紹介する、だから遅れるなよ』
そう言うと千冬さんは山田先生と一緒に廊下の奥へと消えていった。俺はそれを見送ると右腕の義手を外してベットに倒れ込んでそのまま眠った。
―次の日の朝―
俺は今IS学園の廊下を歩いていた。
『えーと?確か1年1組だったよな。千冬さんのクラスは?』
俺は言われた通りに1年1組の教室に向かっていた。そして教室の扉の前に着いた時タイミングが良かったのか中から千冬さんの声がした。
―同時刻、1年1組の教室―
山田先生が教室でHRを行っていた。そして伝えることを伝えると。
『えーそれでは今回皆さんにご紹介したい人が来ています、織斑先生お願いします』
そして山田先生は千冬さんにそうお願いすると。千冬さんは話を続けた。
『今回、IS専用機持ちに対して特別教師に来てもらっている、心するように』
そう千冬さんが説明すると、クラスの女子生徒達が『えー』『誰だろう?』と騒ぎ始めた。
『ええい貴様ら!静かにしろ!』
そう千冬さんが一喝するとさっきまで騒いでいた女子生徒達が一瞬で静かになった。
『よし、入ってこい!』
― 1年1組の教室前―
『入ってこい!』
教室の扉の前で待っていると、教室から千冬さんが俺の事を呼んできた。
『失礼します!』
俺は扉を開けて、千冬さんが立っている場所に向かって歩いた。
『自己紹介しろ』
俺は千冬さんに言われて自己紹介をし始めた。
『今日から皆さんに授業を教えます、桜庭悠綺と言います。よろしくお願いします』
自己紹介が終わると目の前に懐かしい人物が目に入った。織斑一夏、男で初めてISを動かした人物。そして俺の幼なじみである。俺は一夏に小さく手を上げると、久しぶりと小さく呟いた。
そして周りがまた騒ぎ出すと千冬さんが『静かにしろ!』するとみんな沈黙する。更に山田先生が続けて口を開けた。
『桜庭くんはえっと……喋っても良いんでしょうか?』
山田先生は俺と千冬さんの両方を見ながら聞いてきた。
『別に構わないと思うが私は』
と言う千冬さん
『俺も別に構いませんよ。なんだったら自分の口から会いましょうか?』
俺は山田先生に提案した。
『良いんですか?』
『別にいいですよ』
『なら、桜庭に任せよう。山田先生』
俺、山田先生、千冬さんの順で話そして俺は生徒達の方を向いて
『俺は傭兵・亡霊の2代目隊長を務めている。今回は織斑先生に依頼を受けてここにいる。主に専用機持ちの強化訓練が目的だ』
俺は自分の身分とIS学園に来た目的を生徒達に伝えた。そしてまた騒ぎだす生徒達、それを正す千冬さんにそれを宥める山田先生を見て俺は心の中で(これから楽しくなりそうだな)そう思った。
『さてと』
パンッパンッ
俺が手を叩くとさっきまで騒いでいた生徒達が俺の方に目線を向けてきた。
『この後の授業ですが講義室でMS工学について皆さんに教えていきたいと思っています、それでは今ここで質問がある人は受け付けましょう』
すると一斉に女子達が手を挙げ始めた。しかし、それらを遮る声がクラスに響いた。
『お待ちになって!』
その声は綺麗で透き通ったような声だった。俺は声の方へと目線を向けた。そこには、綺麗なブロンドヘアの白人女性が立っていた。
『なぜ?私達が時代遅れで野蛮な人から教えを受けなければいけないのですか?』
『時代遅れとは酷いなーセシリア・オルコットさん?』
『まぁ私の名前はご存知のようですわね』
『えぇよく存じてますよ。名門オルコット家の一人娘、誕生日は12月24日、身長は156cm、血液型はO型、部活はテニス部、使っているISは第三世代遠距離狙撃型ISのブルーティアーズで武装はレーザーライフル・スターライトMk-IIIに誘導兵器であるブルーティアーズのビットタイプが4つミサイルタイプが2つ、近接武器はインターセプトと言ったところかな』
『なっ!』
まぁ驚くのは目に見えていた。俺はここに来るまでの間に頭に叩き込んだ全ての情報を開示した。
『それで?オルコットさんはどうしたいのですかな?』
『え?えぇこの私セシリア・オルコットと決闘ですわ!』
周りからは、おぉーと言った声が聞こえきた。そしてそれを見ていた千冬さんが
『勝手に決めるな!オルコットわかっているのか?相手はあの亡霊だぞ』
『わかっています。織斑先生!ですが私は、男性の方から教鞭を頂くのは些か抵抗があります!ですから!』
『わかったわかった、そこまで言うのなら、桜庭!良いな?』
そしてセシリアの話を聞いた千冬さんが俺の方に向き直って聞いてきた。
『まぁ俺は一向に構いませんよ織斑先生』
『いいだろう。では全員ホームルーム終了後第3アリーナに集合!』
それらを横で聞いていたがまるで1つの軍隊のようだった。
『織斑!後で桜庭をアリーナの更衣室まで案内してやれ』
『あっ!はい!』
千冬さんは、一夏に更衣室までの道案内をお願いしていた。
『じゃあ行こうぜ悠綺!』
『案内頼んだぜ!一夏!』
俺と一夏は第3アリーナの更衣室に向かって歩き出した。
『しかし、驚いたよ。まさか悠綺がこの学園に来たのはそれに傭兵だなんて』
『それはこっちのセリフだ!まさかお前がIS動かしてIS学園に入学しちまうなんて思わなかったぜ』
『あはは俺もだよ……』
『でも大丈夫なのか?』
『何が?』
『いや相手はISたぞ、それも代表候補生なんだぞ?』
『それがどうした?良いか?セシリアだっけ?ああいうプライドが高そうな奴は、いざと言う時に致命的なミスをするんだよ!そんな奴に負けてたら亡霊隊長の、名折れだよ!』
一夏が心配を他所に俺は何故こんなにも余裕なのかを説明していた。
そして俺達は更衣室前まで来ていた。
『じゃあ俺は千冬姉のとこに行ってくるよ』
『案内ありがとな!俺の戦い方ちゃんと見とけよ?』
そして俺と一夏は更衣室前で別れた。
俺は更衣室のロッカーの前で武器を装備していた。
『相手は遠距離が得意なISだからな…さて?どうするか?』
そう考えて、選んだ装備は、S&W PC356を両腰に2丁、背中には、M1887ショットガンとスコーピオンMカスタム、後ろの腰にパイソンマグナムを装備し、弾の確認をしてからISの出撃ハッチに行った。
『さてと、レディを待たせるのは紳士のすることじゃないな、行きますか』
案の定セシリアは自分の専用機ブルーティアーズを装備して待っていた。
『すまない、待たせてしまったかな?』
『いいえ、しかしよく逃げなかったと褒めて差し上げますわ』
『そいつは光栄だ』
そんなお互いに冗談を交えた会話をしているとセシリアがある疑問に引っかかった。
『あなた!なぜ? MSを展開しないの?』
『あ?これか?気にしないでもらおうか、ただのハンデだから』
『なっ!ハンデですって』
セシリアはハンデと聞いて
『ふざけないでくださる!IS相手にまさか生身でやろうと言うやけではありませんよね!?』
『あのね、俺を誰だとお待ってるの?俺は亡霊だよ。いろんな戦場で戦ってISとだって戦ってきてるんだこちとら!そんなん事でビビってて国が守れるのか?あぁ!専用機持ち様よ!』
『言いましたわね……もう容赦はしませんわ!』
『イイねぇそう来なくちゃ面白くねぇ!』
そしてアリーナのアナウンスで山田先生の声が両者の耳元から聞こえてきた。
『それでは、試合を始めます!両者、戦闘準備してください』
そして始まる。学園初、IS専用機持ちVS傭兵の戦いの幕が切って降ろされた。
……To be continued
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
第3話 亡霊の戦い方
IS学園第3アリーナ、そこには、蒼いISと武装した少年がお互い向き合っていた。
『さぁはじめましょう。あなたが無様に私に負ける姿をクラスの皆さんに見せて差し上げますわ!』
『おぉそいつは嫌だねぇ』
『ふふ、今ならまだ許して差し上げてもよろしくてよ』
一方第3アリーナの通信室、そこには千冬さんと山田先生それに箒と一夏がいた。
『オルコットさん余裕ですね』
『あぁだが油断しすぎだあいつは』
そんな会話が進むと一夏が、疑問に思った。
『でもよ千冬姉?悠綺はどうやって空を飛ぶISと戦うんだよ。明らかに悠綺の方が不利じゃないか?』
『織斑先生だ。あぁ確かに他から見れば桜庭が圧倒的に不利に見えるだろう、しかしオルコットは桜庭の事を知っているか?』
『あっ!』
『そうだ知らないのさ。しかし桜庭は違う事前に戦う相手の癖、仕草、どんな戦い方かを全て頭に叩き込んでいるんだからな』
『ではオルコットさんは』
『あぁ負けるな、それも桜庭にダメージを当てることは出来ないだろう』
そして戦闘の開始の合図である、ブザーがなり始めた。
『行きますわよ!』
瞬間ブルーティアーズは、空高く舞い上がり持っていたライフルを構え射撃の体勢に入った。
俺は右腕の義手の動きを確かめてから、空中に浮くブルーティアーズを見上げた。
『はぁー以外と高く上がるんだな…』
『あなたにチャンスを上げましょう』
『あぁ?チャンスだ?』
『えぇ、今このままこの学園から出て行くというのなら、先程までの無礼を許してさしあげます』
『はっはっはっ、そういうのはチャンスとは言わないんだよ。オルコットさん?逆にこちらもチャンスを上げましょう』
『何を言ってますの?』
『なぁに簡単だよ、俺は1分間、オルコットさんあなたに攻撃を仕掛けないという事だよ』
『なっ!ふざけてますの!』
『いや、至って真面目に言ってるんだけど』
『その言葉、後で後悔しても遅いですわよ!』
『上等だよ!早くかかってきな!』
その瞬間セシリアはブルーティアーズの持っていたライフルを構え射撃を始めた。
キュインッ!その音は甲高い耳鳴りのような音と共に銃口から蒼い閃光が発射された。
その閃光は真っ直ぐ俺の体を貫いたかのように見えたが、しかしそれは空振りに終わり地面に当たり地面から砂煙が上がっていた。
『どうです?私のブルーティアーズの一撃は?』
そうセシリアが言うと砂煙から、悠綺が現れた。その体には、傷一つ付いてなかった。その足元は穴が空いていた。
『どうした?こんな物なのか?』
俺は、左手首にある時計を見て
『さぁ、あと30秒だぞ?』
『っ!ならこれでどうです!』
そしてセシリアはブルーティアーズのビットを射出し悠綺の周りを包囲し始めた。
『やっと出てきたか!』
そう悠綺が言うと同時に包囲していたビットから蒼い閃光が放たれた。だが悠綺はそれを巧みに回避していた。
その光景を見たアリーナにいた1組の生徒やモニターで見ていた山田先生、それに一夏と箒は驚きを隠せなかった。それもそうだISと生身で戦うことが出来る人間などこの世界を探しても普通はいないのだから。
そしてその時は訪れた。悠綺の示した1分が来たのだから。
『さてと、反撃開始だ!』
悠綺は左手首にある時計を見て、腰に付けたホルスターから拳銃を2丁取り出した瞬間周りにいたビットは一瞬にして空中で撃墜されていた。そして悠綺は手に持っていた拳銃に新しいマガジンを込めていた。
『なっ!そんな……一瞬で……』
『どうした?こんな物なのか?代表候補生ってのは?』
『なっ……何をしましたの!』
当然といえば当然である。悠綺の周りを囲んでいたビットが突然撃墜されたのだから、アリーナにいた生徒達も同様な反応を示した。しかし1人だけそれらを見ていた者がいた織斑千冬である。
『織斑先生一体何が起きたのでしょう?』
山田先生が聞いてきた。それに千冬は
『山田先生、今奴は腰から拳銃を抜いた瞬間全方位にあるビットに向かってありったけの弾を撃ち込んだんだ。それも目に見えないほどの速さでな』
千冬の見立ては当たっていた。悠綺は銃を抜いた瞬間まるで西部劇のガンマンの様に周りにいたビット目掛けて早撃ちをしたのだから。
『何って?普通に銃を抜いて撃っただけだが?』
『そんな事が……出来るはずがありません!』
『あのさぁ、お前は誰を相手にしてるわけ?聖人とでも言いたいわけ?御生憎様、俺は傭兵だ!さぁ構えなお嬢さん、ここからは本気を出してやる!』
そう言うと悠綺は手に持っていた拳銃をセシリアの方向に向けた。
『望むところですわ!』
お互いが武器を構えそして相対しようとした時それは現れた。
『!?、セシリア!後ろだ!!』
『えっ?』
いち早く気づいたのは悠綺だった、しかし気づくいた時は既に遅かった。
『ッ!!』
セシリアの腹部から透明な刃物が飛び出した。それはセシリアの血を浴びて先端からは血の水滴が滴っていた。
『ちぃ!持つか!俺の足!』
そう言った悠綺は自分の足に力を入れセシリアとその後ろにいる何かに向かって飛んだ。
『どーけー!』バァンッ!
悠綺は背中に背負っていたショットガンを取り出すとセシリアの後ろに向けて発砲した、そしてその何かは散弾を諸に受けて後ろに飛ばされた。そしてセシリアは気を失い落ち始めていた。ブルーティアーズは解除されいた、悠綺は空中でセシリアを抱くとそのまま両足で着地した。
一方通信室では千冬と山田先生が事態の処理に追われていた。
『桜庭、オルコットを回収できるか?』
『難しいですね、相手がステルスを張っている以上背中を見せるのは得策ではないですね』
悠綺はセシリアの傷の具合を確かめつつ周りに気を配っていた。
『織斑先生、1つ提案が』
『なんだ?言ってみろ』
『一夏をこちらにこさせてください』
『何?どういうことだ?』
『一夏の瞬時加速ならセシリアを連れてそちらに戻ることも可能なのでは?』
『しかしそれでは桜庭くんが……』
『わかった、お前の案を採用しよう織斑!』
『はいっ!』
『織斑先生!』
『わかっている山田先生!しかしこれしか方法はない!』
『わかりました……』
『織斑!お前はオルコットを救助後、瞬時加速でここに戻ってこい。良いなあくまでも桜庭の援護なんか考えるなよ!』
『あっはい!』
そして一夏がセシリアの側まで来た時、それは動いた。
『ッ!!』
『しまった!』
まさに一夏がやられるその瞬間、悠綺が間に割って入っていた。
『同じ手が通用するかよ!一夏!今だ!』
『うぉぉぉぉぉぉ!』
その瞬間、一夏のIS白式が目に止まらぬ速さでISの射出口に戻った。
そしてアリーナに残っているのはステルスを張っている未確認機と世界最強の傭兵の総隊長だった。
『さてと、けが人もいなくなったことだし、いっちょ暴れるか!』
ガチャッ!カシャン!
悠綺は付けていた装備を全て外し始めた。そして右腕の義手の腕の部分を開き中からチップを取り出した。
『これをやるのは3年ぶりだな』
そして腰のポーチから別のチップを取り出した。そこには「EXAM」と書かれていた。それを腕の中に入れた。
「EXAMシステムスタンバイ」
『ぐっ!う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛』
チップを入れた瞬間悠綺は獣のような雄叫びをあげ始め目に見えない相手に向かって動き始めた。
『俺にはわかるぞ…お前の位置が!』
そして拳を振り上げ相手に向かって伸ばすとガンッ!と何かに当たった音が響いた。そして吹き飛ばされた相手の姿が徐々に見えてきた。今の衝撃でステルスが解除されたのだ。
その外見は右手部分が巨大なブレードが一体化していて明らかにバランスが偏っていた。
『なるほどな……資料にあった無人機と似てるな……』
ステルスが剥がれた相手の姿を見て悠綺は確信した。
(しかしどこの無人機だ?OZかそれとも連邦か?)
悠綺は思い当たる無人機を制作している軍や企業を考えていた。
『まぁいいや、壊しちまえば同じことだ!』
そう言うと、悠綺は左手首の時計のタイマーをセットした。
『持って2分半か……さぁ行くぜ!』
タイマーをスタートさせて悠綺は無人機に向かって走り始めた。
無人機のブレードと悠綺の義手がぶつかる度にカキンッ!キンッ!といった音がアリーナに響いた。
その戦いを通信室から見ていた千冬と山田先生は目を疑っていた。
『これは……』
『明らかに人間を超越しているな』
その戦いは恐らく誰も見たことの無い光景だった。人口AIを搭載した無人機と世界最強の傭兵の戦いは明らかに人類を超越している物だった。
『これで!』
ガンッ!悠綺の右ストレートが相手の懐に入った、そしてそのまま追撃を行った。
『右腕貰った!』
悠綺は無人機の右腕に関節技を決め右腕のブレードをもぎ取った。そしてそのブレードを担ぐと吹っ飛ばした無人機に向かって歩き出した。
『ハァハァ…………これで……トドメだ……』
悠綺はそう言うとブレードを無人機に突き刺した。
『………………!?』
そして無人機は全ての機能を停止した。
『ハァハァハァハァ……終わったか………』
悠綺は自分の装備を取りに戻ろうとした時、後ろから停止したはずの無人機が悠綺に向かってブレードが斬りかかろうとした。そして悠綺が後ろを振り向いた瞬間ブレードを上から振り下ろすが悠綺はそれを右手で受け止めた
『惜しかったな、それとお前にトドメを指すのは俺じゃないんでな』
そう言うと無人機の後ろ側から白い機影が姿を表した。織斑一夏の白式だった。
『うぉぉぉぉぉぉ!』
白式の雪片弐型の攻撃が見事に命中するとそのまま上に向かって斬り裂いた。そして今度こそ無人機は完全に停止した。
『いやぁ流石だよ一夏!よくわかったな、俺の合図?』
『いや最初は分からなかったよ。あの合図』
『まぁやったのは小学生の頃だったからな!』
『!?、そんなことより目から血が!』
たわいない会話をしていた一夏が悠綺の顔を見て驚いた。彼の目から血の涙が流れていた。
『あ?』
悠綺は一夏に言われて腕で顔を擦ると腕に血が付きその腕に着いていた腕時計を確認していた。
『クソ!30秒もオーバーだ!』
そう言って腕時計のタイマーを切ると右腕に入れたチップを取り出した。
『大丈夫なのか?』
『あ?あぁ大丈夫大丈夫!ちょっと力の使いすぎただけだから、問題ないって昔は血反吐を吐いたこともあるからこれくらいは平気だよ!』
そう言うと悠綺は何事も無かった様に自分の装備を手に取って
『あっ!そういえばオルコットさんは大丈夫だったか?』
『あぁ悠綺が応急処置をしてくれたおかげで大丈夫だって』
『そうかそれなら良かった。さぁ戻ろうぜ!』
そう言うと千冬の待つ通信室に向かって歩き出した。
こうして、IS学園初の亡霊対代表候補生との戦いは予期せぬ襲撃も会ったが無事に終わりを迎えた。
……To be continued
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
第4話 亡霊集結
俺がIS学園に来てからもう3週間経つ、生徒達もやっと俺の授業について来れるようになってきた。ただ1人を除いてだが…
『一夏!何回教えれば良いんだ?ここ昨日も教えたぞ!』
『すいません……』
一夏だけが俺の授業を理解できてなかった。俺の授業はMS工学と亡霊の成り立ちや傭兵の歴史を説明してるもので初心者でも分かるように説明してるはずなんだが……
『仕方ない、もっとわかりやすく資料でも作ってやるか!』
俺は部屋で一夏用に新たな資料を作り始めながら、この3週間で専用機持ちと戦闘した時の報告書を改めて読み返した。
『やっぱりアイツらを呼んだ方が良いなこれは…』
そして俺は携帯を取ると龍哉に電話をした。
プルルルプルルルガチャッ!
『もしもし』
『おぉ龍か?悠綺だけど』
『あ?悠綺、どした?』
『俺がこっちに行く前に話した事覚えてるか?』
『あぁ俺達が必要になったら呼ぶっていうあれだろ?もしかして…』
『そうだ。その通りお前らが必要になった、すぐにでも来てくれ』
『OK!みんなには俺から伝えといてやる』
『あぁ頼む』
ツーツーツー
俺は携帯を置くと作りかけの資料作りに取り掛かった。
―――――――――――――――――――――――――
そして翌日一夏の部屋の前に俺は来ていた。
コンコン
『一夏!俺だ!お前に渡したい物があるんだが、まだ寝てるのか?』
『悠綺!ちょっと待ってくれ!』
『?開けるぞ!』
そしてドアを開けるとラウラが一夏の腕に関節技を決めている姿が目に映った。
『なにやってんだ?お前ら……』
『いや、悠綺これはラウラが勝手にやったことでやましいことは……』
『まぁお前らが何やってたかなんてどうでもいいんだけど、あぁこれ机に置いとくから、それと今日の授業2組と合同だから遅れるなよ。あぁ後60秒で専用機持ち達が乗り込んでくるから、じゃあ!』
『えっ?ちょっ助けてくれないのかよー!』
そして俺は一夏の部屋をあとにしグラウンドに向かった。
そして1時限目のチャイムがなる頃にはグラウンドに1組と2組の生徒が整列していた。
『さて、今回から専用機持ちの講師を増やします。察しの通りこれから来る連中は俺と同じ亡霊ですのでまぁ気楽にしていてください』
『で?そのお仲間は一体どこにいるのよ?』
そう聞いてくるのは2組の凰鈴音だった。
『それでは皆さん上にご注目』
そう言うと全員が上を向いた。その時IS学園の上を米軍のC ー17輸送機が通った。そして後部ハッチから5つの影が飛び降りてきた。
『はぁ!?』
1部の生徒と専用機持ちがそう声に出すと輸送機から飛び降りた影が地上に降りたった。その5人はMSを装着していた。
『紹介しましょう。こいつらが俺の仲間達です』
そう言い終わると5人はMSを待機状態に戻し顔に付けてたマスクを外し始めた。
『お前ら自己紹介を』
『了解、俺は葛木龍哉、亡霊の副隊長を務めている。兵科は狙撃手をやっている。よろしくな』
『じゃあ次あたし!私は羨道楓、兵科は衛生兵やってまーす後、龍哉の観測士やってることもあんるでよろしくー!』
『俺は清劉胤、兵科は強襲兵をやってる。よろしく』
『俺はジェイク・ジュール兵科は清と同じ強襲兵だ』
『私はシャーリー・オルランド兵科は工作兵、よろしくね』
一通りの挨拶が終わると千冬が本題に入った。
『今日から専用機持ちの強化教師として亡霊のメンバーを1人ずつ付けることにした。もちろん他の生徒にも付いてもらうが、本格的な訓練は亡霊が受け持つ!良いな!』
『はい!』
そう生徒達が言うと
『ではこれから専用機持ちに付くメンバーを言っていくので呼ばれた代表候補生は前に出てきてください。まずセシリア・オルコット!』
『はい!』
セシリアが呼ばれるとみんなの前に立った。
『オルコットさんには葛木龍哉中尉が担当です。彼は自己紹介で言ってた通り狙撃手なので是非参考にするように』
『よろしくねオルコットさん』
『えぇよろしくお願いたしますわ』
『それじゃ行こうか』
そう言うと龍哉はセシリアを連れて他のアリーナに移動して行った。
『次!凰鈴音!』
『はい!』
次に呼ばれたのは鈴だった。
『凰さんには清劉胤少尉が担当です。彼の機体には凰さんと同じ兵器が積まれているので戦い方を参考にしてください。』
『よろしくな鈴』
『こっちこそ手加減するんじゃないわよ』
そう言いながら清と鈴はまた別のアリーナに向かった。
『次!シャルロット・デュノア!』
『はい!』
次に呼ばれたのはシャルロット。
『デュノアさんにはジェイク・ジュール三等軍曹が担当です。彼はデュノア社MS工房のテストパイロットだった経験があるので参考にしてください』
『久しぶりだなシャルロット』
『うん……ジェイクも』
そう言うと他のアリーナに歩いて行った。
『次!ラウラ・ボーデヴィッヒ!』
『はっ!』
そしてラウラが呼ばれた。
『ボーデヴィッヒさんには、羨道楓大尉が担当です。彼女の武装にはレールキャノンが搭載されているので、良い練習相手になるでしょう』
『よろしくね、ラウラちゃん』
『ちゃん!?う……まぁよろしくお願いします』
楓がラウラの背中を押してアリーナに向かって行った。
そして残ったシャーリーが
『あたしの相手はこの子?』
『いや今回お前は他の生徒を頼む、一夏は俺が担当する』
『えー!この人数をあたしが相手にすんの?』
『まぁ頑張れ、それじゃあ今回は代表候補生のいるアリーナに行って戦いを見学してください。どこでも好きなところに言ってもらって結構です』
そう言うと生徒達は他のアリーナに行く者だったりここに残る者に別れ残った生徒はだいたい1クラス程度だった。
『それじゃ一夏、始めようか!』
『おっおう!』
一夏が白式を展開し、俺は自分の愛機であるMS村正を展開した。
『ん?初めて見るMSだな悠綺?』
『あぁこいつは村正、俺の愛機でね。兄貴に修理を頼んでたんだけど、終わったからアイツらと一緒に持ってきてもらった。モデルは打鉄みたいだが、逆にこの村正をモデルに打鉄が作られたと言っても良いくらいだ』
村正、最初に作られたMSの1つであり、亡霊の桜庭悠綺の専用機である。武装は刀2本だけとシンプルな武装だった。
『それじゃ、始めるか一夏?』
『お手柔らかに頼むよ悠綺』
お互い武器を出し構え始め、そしてそれぞれのアリーナで亡霊対代表候補生の模擬戦闘が始まった。
――――――――――数時間後――――――――――
『疲れたー!』
地面に倒れ込む一夏
『お疲れさん、よくついて来れたな一夏?』
一夏に近づき腰に付けていたホルスターからドリンクを取り投げて渡した。
『おっと、サンキュー悠綺!』
投げ渡されたスポーツドリンクを受け取ると、一夏は蓋を開けて飲み始めた。
『しかし勉強の方はイマイチだってのに、IS操縦は上手くなってきたよな、俺の訓練に着いてこれるようになってきたんだから』
『いや、まだ着いていくのでやっとだよ』
『まぁでも筋はいい方だから、きっとすぐに俺を越せるはずだよ』
『どうだろう?まだまだ本気出してないんじゃないかって思うんだけど?』
『え?わかっちゃったw』
『ひでぇな悠綺!』
オレンジ色に染まっているアリーナに男子2人の笑い声が響いていた。
その後、俺たちはアリーナの更衣室に向かって歩き出した。
『そういえばMSの待機状態ってそんな感じなんだな』
『ん?ああ元々MSは軍隊に配備されてたからな、使う人物の身分証明のためにiDタグの形になってたが、最近は色んな形があるからな』
iDタグには名前、血液型、出身地、所属分隊、階級、使用MSが刻まれている。
『ちなみにMSによってタグの色が違う使用になっているんだ』
『へーそれってなんか意味あるのか?』
『まぁな、量産機はシルバーで専用機はそれぞれ色が異なるんだよな、ちなみに俺のタグは黒をベースにしたシルバーだ』
そうこう話している内に更衣室の前にたどり着くとちょうど反対側から他のアリーナで専用機持ち達を相手にしていたメンバーがやってきた。
『おつかれさん』
『よっ、お前らも終わったとこか?』
『おうよ!結構楽しめたぜ』
『そいつは良かった』
その時俺は1人足りないことに気がついて
『あれ?楓は?』
という質問をした。
『あぁ楓なら女子更衣室に走って行ったぞ』
『あぁ凄い勢いで向かってたな』
『相変わらずだなあいつは』
俺たちは更衣室に入って着替えを始めた。その頃、女子更衣室で楓が専用機持ち達にセクハラしている事を心に思いながら。
……To be continued
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
第5話 傭兵の仕事
6月某日、俺達はIS学園の任務とは別の任務でロシア南西部のウクライナ国境付近に来ていた。
今この場所では紛争が起きていた。ウクライナの反政府軍「北方解放戦線」がロシア領に進行、国境警備をしていたロシア軍公認の傭兵団「デラーズ・フリート」と交戦に入り、そしてそれを救援に来たのが亡霊だった。
『後1時間でデラーズ・フリートの航空支援が来るぞ!どうすんだよ隊長!』
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
時間を遡ること数日前の6月初旬、櫻庭悠綺はIS学園にある自分の自室でレポートを作っていた。その周りには銃の整備をしている亡霊のメンバーである葛木龍也が居た。
現在の任務はIS学園にいるIS専用機持ちの戦闘訓練を請け負っている。
『龍也?そっちはどんな感じよ?』
『あぁ?そうだな、オルコット嬢は射撃の腕はまぁまぁある方だけど課題点はまだまだあるな』
そう言いながら龍也は、狙撃ライフルを分解していた。
『そうか、ほかの連中も問題があるって言ってたからなぁ』
『最近戦場に行ってないもんなぁ暇でしょうがないな』
そうこうしている間に俺はレポートを作り終え、龍也はライフルの整備を終わらせた。
♪Союз нерушимый республик свободных
Сплотила навеки Великая Русь.♪︎
その時、携帯の着信音が鳴った。
『ん?こいつは珍しいやつからかかってきたな』
俺は画面を見て少しニヤけた。
『久しぶりだな少佐、元気にやってるか?』
俺は何気もない会話をしながら電話の相手と話し続けた。
『何?それはつまり親友としてか、それとも仕事として受ければいいのか?』
電話の内容は仕事の依頼だった。
『あぁわかった。こっちのクライアントと話が済んだらこっちから出向く、じゃあな』
俺は電話を切ると龍也がこっちを見て
『なぁ?何で着信がソ連の国歌なんだ?』
『ん?別にたいした理由はないけど、大体の相手の着信はそれぞれの国の国歌にしてるだけだか?それにデラーズ・フリートは周りから第3ソビエト連邦軍なんて呼ばれてるから国歌にしたんだよ』
俺は龍也の質問に答えながら、作ったレポートをまとめた。
『じゃあ俺今から千冬さんとこにこのレポート提出してくるは、あと今来た依頼についての説明もしてくるわ。』
俺が龍也にそう言うと龍也は
『わかった。みんなにはそう言っておく』
『頼んだわ』
―――――――――――――――――――――――――
俺はIS学園の教員用の寮に向かって歩いていると前から、ちょうど千冬さんの姿が見えた。
『ん?薄影かどうしたんだ?』
『千冬さん、ちょうど良かったです。これ今までの専用機持ちのレポートです。後 少しだけ話をしても良いですか?』
俺は千冬さんに先程、電話の内容を説明した。そして千冬さんは
『うむ、内容は理解した。しばらくお前達はこの学園を離れるという事か?』
『まぁそうなりますね。もし契約を守れと言うなら俺以外の奴らなら置いていってもいいですよ』
『それでもいいのか?』
千冬は疑問を口にした
『まぁ今回は俺個人に来た依頼ですからね、アイツらを巻き込む訳にはいかないというのが本音ですね』
『わかった。その依頼は亡霊全員で当たることを許可しよう。ただし少し条件がある』
『条件とは?』
意外だった、まさか千冬さんが一時的に契約解除を承認するとは思いもよらなかった。
そして千冬さんが出した条件と言うのが
[IS専用機持ちを戦地に同行させるという事だった]
『いやいや待てよ悠綺!ラウラや鈴ならまだしも専用機持ち全員っていうのは流石にまずいんじゃないか?』
清の言い分はわかっている。確かに鈴やラウラなど元々軍隊に属している奴は戦場でも生き残る可能性は高い、それにセシリアやシャルロットの様に一通りの軍事訓練経験者も大丈夫だろう、だが問題は1人民間人が居るという事だ。
織斑一夏、男にしてISを動かした人間だ。だが第1彼はただの民間人だ。軍に属しているわけでも一通りの軍事訓練も受けてる訳ではない。
『問題は一夏の処遇についてだが…』
『ISを使えるが普通の一般人だからなぁ』
(亡霊の一時的な新人教育という名目なら大丈夫だと思うが……)
『まぁ一夏については追追決めるということで、今はデラーズ・フリートの1件についてミーティングをしようかジェイク!』
『まず今回の問題が起きたのは北方解放戦線がロシア領にちょっかいを出したことから始まった。北方解放戦線はヨーロッパ各地に居る傭兵崩れやテロリスト集団で構成された準危険集団に属してる。そして奴らの目的はその名の通りで北側に囚われている民族解放が目的と言っているが、その実態は殺しや身代金要求のための誘拐なんかを繰り返している』
『ありがとうジェイク、今より北方解放戦線の事を略称して北放とする。こいつらがもしロシア領に侵入したら多くの人命が失われることになる。俺たちの目的は北放の進行を阻止し、デラーズ・フリートを援護することにあり、明日明朝にロシアに進行しデラーズ・フリート本隊と合流する。全員装備を整え、作戦に備えよ!』
『『『『『了解!』』』』』
―――――――――――――――――――――――――
そして朝5時頃、日は完全に昇り辺りを照らし始めていた頃、亡霊のメンバー5人と亡霊の軍服に身を包んだIS専用機持ち達がヘリポートに集合していた。
『諸君これより我々はこのオスプレイでロシアに向かう!全員搭乗!』
そう号令すると亡霊メンバーが搭乗を開始し、その後に専用機持ち達が続いて搭乗した。
そしてオスプレイはIS学園を後にし戦場と化したロシアに向けて出発した。
―――――――――――――――――――――――――
IS学園を飛び出して10時間が経ちオスプレイはロシアのモスクワにあるクレムリンに降り立った。
そしてクレムリンから1人の軍人がオスプレイに向かってやってきた。その人物は銀色の髪を後ろに編んでいてその姿勢は軍人の鏡と言えるほど背筋を真っ直ぐに伸ばしていた。
彼の名はアナベル・ガトー、階級は少佐、初代亡霊では俺と同じ部隊で敵軍から呼ばれた異名はソロモンの悪夢と呼ばれた。
『よく来てくれた!悠綺!待っていたぞ!』
『久しぶりだなガトー!実に会うのは2年ぶりか?』
俺とガトーはお互いに握手を交わし腕を組んだ。
『早速で悪いが今からデラーズ閣下に会ってもらう、それより後ろの連中は?新生亡霊は確かに君を含めた6人じゃなかったか?』
『ん?あぁアイツらは俺が預かった新兵たちだ。今回の作戦に連れていくつもりだ』
『なるほどな、だが悠綺、君1人で閣下の所に来てくれないか?』
『あぁわかってる。閣下も元亡霊だからな警戒しているんだろう。お前らちょっと行ってくるからくれぐれも迷惑かけるなよ!』
そして俺とガトーはクレムリン内部に向かって歩いっていった。
クレムリンの一室で軍関係者達が作戦会議を議論していた。
コンコンとガトーがドアを叩くと扉が開き中に招き入れられた。
『閣下!亡霊隊長 薄影悠綺大佐をお連れしました!』
議論している軍関係者達の真ん中に立っている人物の名はエギーユ・デラーズ、このデラーズ・フリートの創設者にして元亡霊3番隊参謀を務めていた人物だ。
『おぉよく来てくれた悠綺。本当に久しぶりだな』
『閣下も元気そうでなにより、早速本題に入りたいのですがよろしいでしょうか?』
『うむ、今現在ウクライナとロシアの国境での戦闘が激化しているのは聞いているな?』
デラーズは今起きている戦況を俺に伝え始めた。
『現在前線を指揮しているの誰でしょうか?』
『前線を指揮しているのは、ノイエン・ビッター大尉だ』
『ビッター大尉ですか……あの人なら確かに戦線の指揮にはたけていますし、援軍に駆けつける時間は稼いでくれるでしょう』
『そうだ、お前達、亡霊にはビッター大尉の援軍に向かい3時間後に来るデラーズ・フリート本隊の為の安全の確保を依頼したい』
『確保と言うと空挺降下作戦ということですね?』
『その通りだ話が早くて助かる。だがそのためには敵重砲をどうにかしてもらう必要がある』
『わかりました。その依頼 亡霊が受けたまりましょう』
俺はデラーズ閣下に敬礼をするとその場をあとにした。そして広場で退屈そうに待っていた。仲間の元に行くとオスプレイに搭乗し国境まで飛行した。
だが予想以上に敵の空中放火が激しくオスプレイが撃墜され厄介な事にシャーリーと専用機持ち達と空中ではぐれるという事になり、俺と龍也、清、ジェイク、楓の5人は敵のど真ん中に落ちて敵の集中攻撃を受けていた。
シャーリー達は敵対空砲の近くに落ちたがほとんど素人の専用機持ち達を連れているため、迂闊に近づけずにいた。
そして現在に至る。
―――――――――――――――――――――――――
『どうする!もう時間がないぞ!』
『仕方ない!シャーリー聞こえるか?』
『何さ、今新兵たちと一緒に居て動けないんだけど』
『時間がない!ISの使用を許可1列隊形で敵対空砲の破壊に専念しろ』
『いいんだね?』
『あぁ責任は俺が持つ、やってくれ!』
『了解!よーし!聞け新兵共!これから私達は敵対空砲に向かって突貫する!陣形は1列隊形!遅れたら死ぬと思えよ!行くよ!』
『よし!テメェら俺が盾役を務める派手にやってやろうぜ!』
『『『『フーラー!!』』』』
全員がMSを展開し、専用機持ち達もISを展開し残り時間30分と言った所で対空砲の破壊に成功、そして敵中央戦力の撃破しそこでデラーズ・フリートの空挺降下が開始された。
『やれやれ、疲れたな』
『帰りどうする。オスプレイ撃墜されたけど』
『まぁデラーズ・フリートに送ってもらうさ』
こうして、IS専用機持ちを伴ったロシア南西部攻防戦通称:北役攻防戦と呼ばれた戦いが集結し亡霊達は、元の任務に戻るのだった。
……To be continued
目次 感想へのリンク しおりを挟む