Aqours!麻雀大会!! (moyurun)
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プロローグ

 

 

旅館 十千万

 

 

千歌「ふぁ~いい湯だったねぇ~」

 

梨子「千歌ちゃんはいつでも入れるでしょ?」

 

千歌「まぁそうだけどさー やっぱAqoursのみんなでなにかするっていいなぁーっておもってさ!」

 

曜「ははは!確かにそうだね!」

 

ダイヤ「でもよかったのですか?ラブライブ優勝のお祝いとはいえ、9人全員でお泊りするなど……」

 

ルビィ「しかもいつもの千歌ちゃんの部屋じゃなくて、客間でお泊りだもんね。少し気が引けちゃうよ」

 

花丸「お茶請けもおいしかったし、お風呂上がりのコーヒー牛乳もいただけちゃって……未来ずらぁ」

 

善子「あんたはただくつろいでるだけじゃない」

 

果南「まぁまぁ、千歌のお母さんもいいって言ってたし、いいんじゃない?」

 

鞠莉「そうデース! ダイヤもこっちきてそのおかたーい頭をマッサージチェアでほぐすといいデース!」

 

千歌「そうそう! たまにはゆっくりしよ! ラブライブも終わったし、ダイヤちゃんたちの卒業式も終わったことだし!」

 

梨子「そうね! 最後の思い出作り……なんて考えると少し寂しいけど」

 

ダイヤ「まぁ……千歌さんがそういうなら……」

 

千歌(私達はラブライブで優勝した。でもそれを祝う暇もなく、卒業式があって、浦ノ星女学院のとお別れもしてきた)

 

千歌(いままでライブが終わったあとは、次のライブのことばかり考えていたんだけど)

 

千歌(もう次はないから……たまには、この9人でゆっくりしてもいいよね?)

 

 

*****************************************

 

 

ルビィ「ねぇ見て! 遊戯室がある!」

 

善子「フッ……この人界も、堕天使ヨハネにとっては遊戯室のようなもの……」

 

花丸「遊ばれてるのは大抵善子ちゃんずら」

 

善子「なによそれ! てかヨハネ!」

 

ダイヤ「結構大きな遊戯室なんですのね」

 

千歌「まぁうちもそこそこ古い旅館だからねー 昔は結構ここで遊ぶ人も多かったんだけど」

 

果南「昔はよくここで遊んだなぁー」

 

曜「確かに! 雨の日とかずーっとここにいたりもしたっけ」

 

鞠莉「結構色んな種類があるのね。ウチのホテルに負けないくらいかも」

 

梨子「確かに色々ある! ダーツにビリヤード、あとこれは……」

 

善子「麻雀?」

 

千歌「うわー懐かしいなぁ。……一局打ってく?」

 

曜「いいかも! でも、みんな打てるのかな?」

 

ダイヤ「わたくしとルビィは打てますわ」

 

ルビィ「うゆ!」

 

花丸「マルも打てるよ」

 

果南「鞠莉も打てるよね?」

 

鞠莉「もちろんデース! 昔散々果南とダイヤと打ったから、体が覚えているわ!」

 

梨子「善子ちゃんも打てるの?」

 

善子「ヨハネ! ネトマしかやったことないけど、打てるっちゃ打てるわ」

 

千歌「じゃぁみんなで麻雀大会といきますか!」

 

曜花ル果「さんせーい!」

 

ダイヤ「でも待ってください。Aqoursの9人だと、2卓でやるにしても、一人余ってしまいますわよ?」

 

千歌「あーたしかにそっかー」

 

果南「一人だけ仲間外れは、ちょっと寂しいかもね」

 

梨子「あのー……」

 

曜「どうしたの、梨子ちゃん」

 

梨子「私、麻雀やったことなくて、ルールも分からないのよね……」

 

鞠莉「あら、そうだったの」

 

梨子「だから、私は見ていることにするね。皆でやってていいよ」

 

花丸「でもそれじゃ、仲間はずれなのは変わんないずら……」

 

梨子「ありがとう花丸ちゃん。でもいいの、私は皆と一緒にいられるだけでとても楽しいから」

 

ルビィ「梨子ちゃ……」

 

千歌「じゃぁー梨子ちゃんには申し訳ないけど、麻雀大会しますか?」

 

鞠莉「オーケー! 梨子には私からルールを説明してあげるわ! その方が見てても楽しいでしょう!」

 

梨子「ありがとう! 鞠莉ちゃん!」

 

千歌「うん! それがいい! じゃあAqours麻雀大会の開催だーっ!」

 

全員「おーっ!」

 

 

 




梨子ちゃんにはしばらくの間語り部的なポジションについてもらいます。


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千歌「ルール説明!」梨子「麻雀ってどうやるの?」

 

 

千歌「皆卓についたねー。それではルール説明しまーす!」

 

果南「なんで千歌が仕切ってるの(笑)」

 

千歌「いいじゃん別に! 言いだしっぺだし。Aqoursと一緒!」

 

曜「まぁまぁ。それで千歌ちゃん、ルールは?」

 

千歌「えーっとね。普通に赤4のアリアリでいこうと思う。」

 

千歌「それで今ついてる卓で半荘やって、上位ふたりが決勝卓に進めるってことで!」

 

千歌「それで決勝卓で半荘やって1位だった人には豪華景品が!」

 

善子「景品? それってリリーが参加出来ないの不公平じゃない?」

 

千歌「だいじょーぶ! なぜならその景品とは……?」

 

曜「景品とは……?」

 

ダイヤ「またろくでもないものじゃないでしょうね」

 

ルビィ「ごくり」

 

千歌「Aqoursの皆に一つだけ願い事をかなえてもらえまーす!」

 

全員「えぇ~~!!!」

 

千歌「もちろん現実的な範囲内でね! いちおくえんちょうだいとかは無しだよ!」

 

鞠莉「一億円……今銀行にいくらあったかしら……」

 

果南「こら、真に受けるな」

 

千歌「だから梨子ちゃんは、このお願い事をかなえてあげなくてもいい!ってことにします!」

 

梨子「簡単なやつならやってもいいけど……例えばどんなお願い事ならいいの?」

 

千歌「そうだね~ 明日1日みーんな千歌のこと様づけで呼ぶとか……」

 

曜「千歌ちゃんらしいね……」

 

善子「はっ! これで全員をリトルデーモンに

 

花丸「ならないずら」

 

善子「つっこみはや!!!」

 

千歌「まぁそんなわけで、そんな重いものじゃないから、気楽にやろーう!」

 

全員「はーい!」

 

千歌「じゃ早速、スタート!」

 

 

*****************************************

 

 

梨子(千歌ちゃんが開始の号令をかけると、皆慣れた手つきで麻雀卓をいじり始めた)

 

梨子(千歌ちゃんの旅館においてあるものは全自動麻雀卓というものらしく、自分たちで牌を積まなくてもいいからすごく楽なんだそうだ)

 

梨子(それにイカサマもほとんどできなくなるから麻雀勝負にはもってこいのものだ)

 

梨子(……って、私は今鞠莉ちゃんに教えてもらって知ったのだけれど)

 

鞠莉「じゃ梨子、私が教えながら打つから、一通りルールは覚えておいてね。これからも打つかもしれないでしょ?」

 

梨子「は、はい……頑張ります」

 

鞠莉「そんな難しくないから大丈夫よ!まぁ、点数計算まで覚えると大変だけどね」

 

鞠莉「じゃまず親を決めるわ。真ん中のサイコロを回してっと……」

 

 

コロコロコロ……

 

 

ルビィ「あ、ルビィが親だね!」

 

曜「ちぇー起家が良かったなー」

 

果南「曜は起家好きだよね。私は別に何番でもいいかな」

 

梨子「鞠莉ちゃん、親とか起家っていうのは?」

 

鞠莉「親ってのは一番最初に手番を行う人のことよ。麻雀は一人づつ順番にplayをしていくものなの」

 

梨子(鞠莉ちゃんがそういっている間にも、ルビィちゃんと曜ちゃんは積んである牌を一つ取って、真ん中の方に牌を一つ置いていく)

 

鞠莉「自分の手番でやることは基本的には二つ」

 

鞠莉「一つは山から牌を取ってくること。これをツモと呼ぶわ。山っていうのはこの真ん中を囲むように積まれた牌のことね」

 

鞠莉「ツモをしたら、自分の手牌に加えるわ。手牌というのはこの14枚の自分が中身を見ることのできる牌のことね」

 

鞠莉「その後、手牌から一つ牌を取って、真ん中の方に皆に見えるように置くわ。これを牌を捨てる、という言い方をするわね」

 

鞠莉「牌を捨て終わったら、次の人の番。果南、いいわよ」

 

果南「はーい」

 

梨子「鞠莉ちゃん、よくわからないけど、手牌の数が変わってないと思うんだけどいいの?」

 

鞠莉「ノープログレム! 最終的に、この自分の番の14枚を『決まった形』にすることでこのゲームに勝つことが出来るわ」

 

鞠莉「逆に言えば、多かったり少なかったりしては絶対にダメよ」

 

梨子「そうなんだ。『決まった形』っていうのは?」

 

鞠莉「簡単に言ってしまえば、3、3、3、3、2の数で牌のグループを作れればオーケーよ」

 

鞠莉「3つグループは面子と呼ぶんだけど、これは同じ絵柄の牌を3つか同じ種類で数字が3つつながっていれば成り立つわ」

 

鞠莉「例外もあるけど、基本はこのグループ作りが重要よ」

 

梨子「なるほど……じゃあ鞠莉ちゃんの手牌のここは、一つ面子が出来てるってこと?」

 

②③④

 

鞠莉「そうね! 正解よ! 正解なんだけど……」

 

果南「へぇ~鞠莉は一つ面子が出来てるんだ~」

 

鞠莉「……このゲームでの情報はかなり重いものだから、次からは耳打ちしてくれると助かるわ」

 

梨子「ご、ごめんなさい!」

 

鞠莉「いいわ、どうせ今回は私上がれそうにないし」

 

ルビィ「リーチ!」

 

梨子(ルビィちゃんはそう言うと、青い棒を卓の真ん中に置いた)

 

曜「うわ、ルビィちゃん、速いなぁ。まだ降りるには早い気もするけど……」

 

梨子(曜ちゃんはルビィちゃんが捨てた牌と同じ牌を捨てた)

 

梨子「鞠莉ちゃん」

 

鞠莉「順を追って説明するわね。」

 

鞠莉「まず、14枚で『決まった形』を作る時、他の人が捨てた牌をその一つとしてもいいの」

 

鞠莉「特に最後の一枚を他の人の捨てた牌にした場合、その捨てた人一人から点数をもらうことが出来るわ。逆に最後の一枚が自分で引いてきたものだったら、皆から点数をもらうことができる」

 

鞠莉「最後の一枚以外を自分の手牌にすることもできるけど……それはあとで説明するわ」

 

鞠莉「そしてリーチは、私の手牌は『決まった形』になるまであと一枚ですよ、って他の人に宣言することね」

 

梨子「え、自分がもう上がれそうなことを、他の人に言っちゃうんですか?」

 

梨子「他の人の捨てた牌で上がれるなら、言わない方が捨ててくれそうですけど……」

 

鞠莉「That's right! それはその通りね。でもリーチにはきちんとメリットがあるわ」

 

鞠莉「一つは単純に点数が上がるわ。宣告して難易度を上げた分、上がれたらご褒美!ってわけね」

 

鞠莉「あともう一つは、他の人の牽制になる。自分の捨て牌で上がられるかもしれないって思うと、無闇に捨てれなくなるわよね?」

 

梨子「確かにそうかも……」

 

鞠莉「そしてこのリーチは、役の一つということも重要なメリットね」

 

梨子「役って?」

 

鞠莉「『決まった形』を作れば上がることが出来るんだけど、役が無いと上がることができないのよ」

 

鞠莉「役っていうのは、『決まった形』の中でさらに『決まった形』があった場合に付くボーナスみたいなものね」

 

鞠莉「麻雀では、役がないと上がることはできないわ」

 

梨子「え? 役がないと上がれないの? それってすごく大変じゃない」

 

鞠莉「そんなことも無いわ。特定の牌を3つ集めるだけでもいいし、ツモで上がれればそれだけで役になるわ。ルビィのリーチも役の一つだしね」

 

梨子「そうなんだ……」

 

果南「役にはいろんな種類があるから、皆がどんな役を狙っているのか見てみるのも、面白いかもしれないね」

 

鞠莉「そうね!」

 

梨子「うん!わかった見てみるね!」

 

ルビィ「あ!ルビィ上がったよ!リーチツモ場風ドラ3で6000オール!」

 

曜「たっか……」

 

果南「しかも5巡目だしね……」

 

鞠莉「これは……手を打たないといけないかもデース」

 

梨子(そう言って曜ちゃん果南ちゃん鞠莉ちゃんは、卓の手前から棒を取り出してルビィちゃんに渡していく)

 

梨子「その棒は何?」

 

鞠莉「これは点棒って言って、点数を具現化した物よ」

 

鞠莉「麻雀は最初にそれぞれ25000点もって始まるわ。この点はさっきのルビィみたいに上がることが出来た場合にもらうことが出来るの」

 

鞠莉「それで、点数の移動があった場合は、こうやって棒をやり取りするって訳ね」

 

梨子「へぇ……」

 

梨子(なんで棒なんだろ……)

 

ルビィ「じゃあルビィは親だから、一本場だよ!」

 

曜「はーい」

 

 

 

鞠莉「じゃあ梨子? 次は『鳴き』について教えるわ」

 

梨子「泣き? 悲しいことでもあったんですか?」

 

鞠莉「その泣きじゃないわ……まぁ見てて」

 

梨子(そうして鞠莉ちゃんは普通にプレイし始めた。そうして2巡した頃だった)

 

 

鞠莉「はい」

 

曜「お、ポンであります!」

 

梨子(そう言うと曜ちゃんは鞠莉ちゃんの捨てた牌を取ってしまった)

 

梨子(そして自分の手牌から2枚を表向きにして、鞠莉ちゃんの牌と一緒にして手牌の横に置いた)

 

梨子「え? 他の人が捨てた牌をもらっちゃってもいいの?」

 

鞠莉「ええ。勿論条件はあるけどね。これが『鳴き』と呼ばれるものよ、梨子」

 

梨子(そう言うと鞠莉ちゃんはさも自分の番かのように山に手をかける)

 

梨子「あれ?次は果南ちゃんの番じゃなかったですか?」

 

果南「曜がポンをしたから、鞠莉から曜まで手番が飛んじゃうんだよ。そんで曜はポンした鞠莉の牌を貰って、普通にツモった時と同じように手牌から一枚捨てる」

 

果南「そうすればほら、いつもと同じでしょ?」

 

梨子「た、確かに」

 

ルビィ「いつもと同じじゃないよ! ルビィがツモれなかったもん!」

 

鞠莉「そうよ! いつも通り私が解説しようと思ったのに!」

 

果南「いいじゃん~私も説明とかしてみたかったの~」

 

梨子「ははは……」

 

 

梨子(そのあと、曜ちゃんは果南ちゃんからもポンをして、5500点を果南ちゃんから上がった)

 

梨子(鳴きをすると、普通より速く手が作れるみたい。それが曜ちゃんは得意みたい)

 

梨子(基本的にはこのくらいかしらね、と鞠莉ちゃんは言っていた。)

 

梨子(麻雀はものすごく難しいと思っていたけれど、そこまで難しくないのかも?と思ったけど……どうなんだろう)

 

 

鞠莉卓 東一局終了時点

東:ルビィ 43000点

南:曜   24500点

西:鞠莉  19000点

北:果南  13500点

 

 

 




麻雀のルールの説明ってむずかしい……


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千歌「予選、開始!」梨子「もうやってるけど」

千歌「あぁ、よし、これでどうだ! 動いた?」

 

 

ガララララ

 

 

花丸「動いたずら~」

 

善子「まったく、いざやろうと思ったら、壊れてるなんて……これも堕天使ヨハネの運命……」

 

千歌「ごめんねー!最近雀卓使うお客さんも少なかったからさー」

 

ダイヤ「仕方ありませんわ。普段の業務だけでも大変なのに、あまり使われない物のメンテナンスまで時間をかけるわけにはいかないものね」

 

千歌「まぁ、千歌は普段のお手伝いもそんなにやってないけど……」

 

 

ロン! アチャーフリコンジャッタカー

 

 

千歌「あーっ!もう曜ちゃんも上がってる!私達も早くやろう!」

 

ダイヤ「そうですわね」

 

花丸「ずら!」

 

善子「御意!」

 

 

千歌卓,東一局開始時点

東:千歌  25000

南:花丸  25000

西:善子  25000

北:ダイヤ 25000

 

 

千歌「私が起家だね!」

 

善子「これが本物の牌……意外と小さいのね」

 

ダイヤ「あら、善子さんは牌を触るのは初めてなのですか?」

 

善子「ネトマしかやったことないのよ……親も打てるのかわかんないし」

 

花丸「でも親って大体打てるイメージあるずら。うちはお母さんもおばあちゃんも打てたずらよ」

 

ダイヤ「昔は結構流行っていたみたいですからね。私の家でも打てる人は多いですわ」

 

千歌「うちは雀卓あるくらいだからねー。皆打てるよ。昔はよく家族麻雀とか言ってお小遣いを毟られたっけ……」

 

ダイヤ「私も同じような経験が……」

 

花丸「ダイヤちゃんもお小遣い毟られたずら?」

 

ダイヤ「いえ、お小遣いは賭けませんでしたが……とにかく酷く負けましてね……ほら、わたくし負けず嫌いでしょう?」

 

善子「筋金入りの、ね」

 

ダイヤ「そういわれると否定したくもなりますが……」

 

千歌「でもその気持ちわかるなー。麻雀って、なんか他の勝負事より負けた時の悔しさが大きい気がするんだよねー」

 

千歌「あ!花丸ちゃん、それロン!5800!」

 

花丸「そんなに悔しいかな?って思ったところだけど、悔しいずらね、これは」

 

善子「ずら丸もそんな顔するのね。聖歌隊に入っているとは思えないわ」

 

花丸「聖歌隊は別に聖人の集まりって訳じゃないけど……」

 

ダイヤ「でも、それ以上に今は楽しい。花丸さんもそうじゃありません?」

 

花丸「うん!もちろん!」

 

善子「そうね!」

 

千歌(麻雀大会はまだ始まったばかりだけど、皆楽しめてるみたいでよかった!)

 

 

********************************

 

 

 

花丸「善子ちゃん、それロンずらー! 5200の一本場は5500!」

 

善子「マジ?」

 

千歌「善子ちゃん、それはさすがに当たるでしょー」

 

善子「聴牌しちゃったからつい欲張ってしまったわ」

 

千歌「あーそれは難しいところだね」

 

ダイヤ「難しいがゆえに、麻雀の醍醐味とも言えますわね」

 

花丸「そうずらね。じゃあ、マルの親ずら!」

 

 

千歌(そう言って花丸ちゃんは一つ牌を取り、手牌から一つ牌を捨てる)

 

千歌(初手から中張牌切り……ちょっと警戒しなきゃね)

 

千歌(善子ちゃんとダイヤちゃんは、普通にオタ風から切ってきたね)

 

千歌(千歌は手牌あんま良くないし……普通にピンフを目指しつつ降りれるようにもしてく感じかなー)

 

 

ダイヤ「そういえば、新しい学校にはもう行きましたの?」

 

千歌「いやーまだ行ってないよ。早いうちに見ておきたいねとは、皆と話してるんだけど」

 

花丸「ぶっちゃけ、閉校祭もあったしそれどころじゃなかったずら」

 

ダイヤ「そうなんですのね」

 

善子「新しい学校……憂鬱だわ……」

 

千歌「どうしてー? 善子ちゃんは学校までの距離近くなるよね?」

 

善子「まぁそれはそうなんだけどね、前も言ったけど、中学時代の友達が……」

 

花丸「黒歴史ずら?」

 

善子「うっさいわい!」

 

ダイヤ「善子さん、中学の時からそんなでしたのね……」

 

千歌「そんなの気にしなくてもいいと思うけどなー。浦の星でも最初やらかしちゃったみたいだけど、今ではなんともないでしょ?」

 

善子「まぁ、それはそうだけど」

 

千歌「スクールアイドルとしてだって、善子ちゃんのファンもちゃんといるじゃん!」

 

ダイヤ「というかむしろ、人気な方ですわよね。何回かやった選挙でも、上位のことが多いですし」

 

花丸「気にしすぎずら」

 

善子「そう……かもしれないけど……」

 

善子「それでも、過去の傷は簡単には癒えてくれないのよ」

 

千歌「そういうもんかぁ」

 

善子「まぁ今はずら丸もルビィもいるし、不登校にはならないと思うわ。その点は心配しないで」

 

善子「あとずら丸、それロン」

 

花丸「ずらっ?」

 

善子「タンヤオピンフドラドラ……7700?」

 

ダイヤ「7700で合ってますわよ。点数計算は大丈夫なの?」

 

善子「ちょっと微妙ね。ネトマってほら、勝手に点数計算してくれるでしょ? どうも覚える必要性がなくて」

 

ダイヤ「それはそうかもしれませんわね。間違っていたら教えてあげますから、安心していいですわよ」

 

善子「助かるわ」

 

花丸「うぅ……マルの跳満がぁ」

 

千歌(花丸ちゃんはやっぱり高めを狙ってきてた。意外と大胆に打ってくるタイプなのかも)

 

千歌「親っぱねツモられたら痛かったなー。善子ちゃんナイス!」

 

善子「ヨハネよ!」

 

 

千歌卓,東二局終了時点

北:千歌  28900

東:花丸  18900

南:善子  27200

西:ダイヤ 25000

 

 

*****************************************

 

 

梨子(千歌ちゃんたちも楽しそうに打ってるな……麻雀って面白いのかも)

 

梨子(世間だと、賭け事やタバコのイメージが強くてあんまりいいイメージはないけれど……)

 

梨子(こうして仲間内で打ってる分には、ただのゲームなのよね)

 

梨子(普通にトランプとかするのと何ら変わりないように思える)

 

梨子(私も麻雀、ちゃんと覚えようかな)

 

鞠莉「ツゥモデース!!! 1000、2000please!!!」

 

ルビィ「あーまた上がられちゃったぁ」

 

果南「むぅ、これからだからね! 鞠莉!」

 

曜「では南入であります!」

 

 

鞠莉卓,東四局終了時点

南:ルビィ 36800

西:曜   24800

北:鞠莉  28200

東:果南  10200

 

 




こうやって雑談しながら麻雀するのが楽しいんですよね~


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梨子「オカルトなんてあるはずない」

鞠莉卓,東四局終了時点

南:ルビィ 36800

西:曜   24800

北:鞠莉  28200

東:果南  10200

 

 

梨子(まだ5回しか皆が上がったところをみてないけど、なんとなくわかったことがある)

 

梨子(それぞれ、捨てる牌や上がり方に特徴があるみたい)

 

梨子(まず曜ちゃんは、とにかく鳴きが多い。鳴いてはやめの上がりを目指すスタイルなのかな)

 

梨子(鞠莉ちゃんは、曜ちゃんが鳴きそうな牌を優先して捨てている気がする。そんなこと狙ってできるのかはわからないけど……曜ちゃんの鳴きの大半は鞠莉ちゃんからのものだ)

 

梨子(果南ちゃんはまだ上がりはないけど、緑の牌を優先的に捨てているように見える)

 

梨子(出来ている面子でもそれが緑だったら捨てちゃったりもするし、なぜなんだろう?)

 

梨子(ルビィちゃんは、いつも上がりの一歩手前まではいっているみたいだけど、曜ちゃんの鳴きのせいであまりツモが出来ていないから進みが遅い)

 

梨子(でも今回は、曜ちゃんの鳴きがないから出来そうだね)

 

 

ルビィ「リーチ!」

 

曜「リーチかぁ、私まだ全然できてないのにー」

 

梨子(南一局が始まってまだ6巡目。普通に考えたら、まだ出来ないのが普通なような気がする)

 

梨子(ルビィちゃんも速攻型なのかな?)

 

鞠莉「ルビィはほんとはやいわねー」

 

果南「そうだねー……あっ、ツモ」

 

曜「えっ!?」

 

果南「3000、6000かなー」

 

梨子(その手は全てが青の牌だった。清一色という役らしい)

 

 

ルビィ「その手でなんでリーチしないんですか?倍満届くのに」

 

果南「確かにそうかも。ミスだったなー」

 

鞠莉「果南は点数計算がテキトーなんだから」

 

果南「うるさいなぁ。跳満上がれれば十分でしょー」

 

鞠莉「まだ3位なのに?」

 

曜「ははは……でもこれで私が4位になっちゃったよ」

 

鞠莉「オォーゥ! 曜、ファイトデース!」

 

梨子(順位が明確につくっていいうのは、良くも悪くもって感じなのかな……)

 

曜「よぉーし、今度は頑張るぞー!」

 

 

 

*****************************************

 

 

 

曜「ロン! 8000だよ!」

 

果南「あちゃー!」

 

梨子(果南ちゃんが上がってから、曜ちゃんは二回連続で上がった)

 

梨子(また鳴きを駆使した速攻だ。この戦法って麻雀で強いのかもしれない)

 

ルビィ「曜ちゃん強いね!」

 

曜「いやー鞠莉ちゃんが進めてくれるからかなぁ~」

 

ルビィ「鞠莉ちゃん……」

 

鞠莉「面目ないデース……」

 

果南「もう2本場だもんねー。鞠莉、責任取ってよね」

 

鞠莉「t、tryはしてみマース」

 

ルビィ「ははは……ルビィも頑張ってみるよ」

 

曜「曜ちゃんの勢いは止められないよー! ヨーソロー!」

 

梨子「でも曜ちゃん、2回連続で上がるなんて、すごいね!」

 

曜「えへへ~ でも梨子ちゃん、実はそこまですごいことでもないんだよ」

 

梨子「そうなの?」

 

曜「さっきも言った通り、今回は鞠莉ちゃんの捨て牌が私の手牌に合致してたから速く上がれたってのが大きいよ」

 

曜「それに、基本的に麻雀は運が入り込むゲームだから、『運がいい』の一言でまとめられちゃうんだよね」

 

曜「将棋とかオセロとかなら、運の要素がないから、強い人は単純にその人の技量だよね」

 

梨子「あれよね、なんだっけ、有限ゼロ……」

 

鞠莉「二人零和有限確定完全情報ゲームね。理論上は完全な先読みが可能なゲームのことよ」

 

曜「そうそう。そういうゲームに比べて、運ゲーと片付けられちゃう部分はあるんだよね」

 

梨子「そうなんだ……」

 

果南「やってみたら、全然そんなことないのにね」

 

ルビィ「だよね! 色んな戦い方や駆け引きがあって、すっごく面白いよ!」

 

曜「今度梨子ちゃんもやってみようよ!」

 

梨子「ええ、そうね。やってみようかな」

 

鞠莉「やってみるといいわ~奥が深いわよ☆」

 

梨子「はい!」

 

鞠莉「あっ、ツモデース! 300、500の2本場は500、700!」

 

 

 

鞠莉卓,南二局終了時点

北:ルビィ 29300

東:曜   32000

南:鞠莉  24000

西:果南  14700

 

 

 

曜「あ~あ、連荘途切れちゃった」

 

果南「いいでしょ2回も上がったんだから」

 

鞠莉「まぁ、連荘阻止したのゴミ手だけどね~」

 

ルビィ「上がれるだけすごいよ……ルビィ全然上がれないもん」

 

果南「ルビィちゃんは東1に大きいの上がったでしょ」

 

ルビィ「そうだけど」

 

曜「まぁまぁ、まだ南三局だし、全然チャンスはあるよ! 頑張ろう!」

 

ルビィ「うゆ!」

 

梨子(と言いつつも、ルビィちゃんは半ばあきらめの様子だ)

 

梨子(このゲームは南四局で終わりみたいだから、あと2回はチャンスがあると思うけど)

 

梨子(点数的にも、負けてるってわけでもないし)

 

梨子(ルビィちゃんって、そんなに諦めるの早い子じゃなかったはず……)

 

梨子(なんか別の理由があるのかな……私にはわからないけれど)

 

 

果南「あ、それチーね」

 

鞠莉「やっぱり果南はピンズ好きねぇ~昔から変わらないんだから」

 

果南「いいでしょ別に! この打ち方しかできないんだもん」

 

梨子「青い牌を集めるっていう打ち方ですか?」

 

果南「あーっと、そうなんだけど、うーん、参ったなぁ」

 

ルビィ「ピンズが集まるのには、条件があるんですよね?」

 

曜「えっ、ルビィちゃんすごい、果南ちゃんと一回やっただけでわかるなんて」

 

梨子「どういうこと?」

 

果南「まぁ、もう隠してても仕方ないかぁ」

 

鞠莉「そうデース! おとなしく白状するデース!」

 

果南「鞠莉は知ってるでしょ…… えっとね、私はね、南場でピンズが来やすくなるんだよ」

 

果南「でもそれにはルビィちゃんの言った通り、条件がある」

 

果南「それは、東場でソーズを捨てておくこと。この緑の牌ね」

 

梨子(果南ちゃんはそう言って捨て牌の緑の牌を指さす)

 

果南「だから南一局であがった清一色も、私にとっては当然というか、見慣れた光景だったんだ」

 

梨子「え、それって……偶然とかじゃなくってことですか?」

 

曜「やっぱ普通はそう思うよね」

 

梨子「そんなオカルトみたいなこと、あり得ないと思うんですけど……」

 

鞠莉「梨子、この世界にはね、何か得体のしれないものがいたりするものなのよ」

 

鞠莉「そしてその得体のしれないものは、麻雀の卓上で姿を現すこともある」

 

果南「なんかその言い方だと私が化け物みたいじゃん」

 

鞠莉「現にそうでしょう? 子供のころ、南場に4回連続倍満上がられたの、まだトラウマなんだから」

 

ルビィ「ルビィ、そんな人と打ってたんですか……」

 

果南「いやいや怖がらないで!? この半荘は大したことないからさ!」

 

曜「ほんとかな……」

 

果南「まぁみてなって。あ、ツモ! 3000、6000!」

 

梨子(そういって果南ちゃんは手牌を倒す。その手は解説通り、青い牌のみだった)

 

梨子(どういうことだろう。前半に緑を捨てたら後半に青が手牌に入ってくる?)

 

梨子(全自動麻雀卓よね? わざとそういう風に積むとかでもしない限り、そんな偶然の偏りあるはず……)

 

鞠莉「不思議そうな顔をしているわね。まぁ無理も無いわー私も最初疑ったもの」

 

鞠莉「でも、もっとあり得ないことされたのもあって、果南のはまだマシくらいには思えるようになったわ」

 

梨子「え、他にも果南ちゃんみたいな人がいるんですか!?」

 

曜「私の知ってるうちじゃそんな人他にいないけどなぁ」

 

梨子(じゃあ、もしかしてダイヤちゃん……?)

 

鞠莉「まぁこっちの卓は先に終わりそうだから、後で向こうの卓を見に行ってみるといいわ」

 

梨子「はい……」

 

梨子(なんだか妙な胸騒ぎがする、千歌ちゃん達大丈夫かな?)

 

 

南三局終了時点

西:ルビィ 26300

北:曜   29000

東:鞠莉  18000

南:果南  26700

 

 

曜「さぁて!私達はオーラスだね!」

 

ルビィ「うん! オーラスなのに、点数が平らだよぉ」

 

果南「鞠莉がちょっと沈んでるけどね」

 

鞠莉「ノープログレム! このくらいのハンデ、ひっくり返してやりマース!」

 

梨子「皆オーラス、頑張ってください!」

 

 

 

*****************************************

 

 

 

梨子(南四局は至って静かだった)

 

梨子(いつも鳴きを入れていた曜ちゃんも、今回は何もしなかった)

 

梨子(正確には、出来なかったという方が正しい気もするけど)

 

梨子(果南ちゃんも、さっきみたいに手牌のすべてがピンズになることはないみたいだった。それでも他の人よりは多い気がするけど)

 

梨子(ルビィちゃんだけ、手は出来ているように見えるんだけど……聴牌になるたび、聴牌を崩すような牌を切っている)

 

梨子(これは一体何をしているんだろう)

 

鞠莉「じゃあ、リーチ! いっきマース!」

 

果南「ついにきたか……」

 

ルビィ「そんなぁ。ルビィ、もうダメみたいだよ……」

 

曜「くっそー、何もできない!」

 

梨子(鞠莉ちゃんのリーチ後、三人は鞠莉ちゃんの捨て牌にあるものと同じ牌を捨てていった)

 

梨子(絶対に振り込まない牌、ベタオリというらしい)

 

鞠莉「カモォォォォォン! ツモ!」

 

鞠莉「リーチ一発ツモピンフタンヤオドラ1! 3000、6000!」

 

梨子(リーチしてから1巡でツモ上がると、一発って役になるんだ……)

 

梨子(そんなのただの運よね? まさか鞠莉ちゃん、狙ってやったとか……)

 

鞠莉「これで終局ね! 点数計算しましょ!」

 

 

 

南四局終了時点

南:ルビィ 23300

西:曜   26000

北:鞠莉  30000

東:果南  20700

 

 

 

梨子「鞠莉ちゃんが一位で曜ちゃんが二位……」

 

曜「おぉ! 滑り込みセーフで決勝いけた!」

 

ルビィ「あーぁ、負けちゃったよぉ」

 

果南「まぁ、仕方ないね。鞠莉、私の分も頑張ってよね」

 

鞠莉「もちろんデース! あいつのドヤ顔崩してやらないとね!」

 

梨子(そうして鞠莉ちゃん達の麻雀は終わった)

 

梨子(皆が片づけを終え立ち上がろうとした時、千歌ちゃんの大きな声が聞こえてきた)

 

 

 

千歌「こんなの絶対おかしいよ! おかしい! あり得ない!」

 

 




そんなオカルト、あり得ません(キリッ

を言わせようと思ったけど、さすがにキャラ的に無理でした。

ここからオカルト具合が加速します。
ちなみにAqoursで唯一『牌に愛された子』なのはルビィです。



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千歌「あり得ないよ、ダイヤちゃん!」

千歌「こんなの絶対おかしいよ! おかしい! あり得ない!」

 

 

梨子「千歌ちゃん、どうしたの?」

 

千歌「梨子ちゃん! あ、向こうの卓はもう終わったんだね!」

 

梨子「あ、うん。鞠莉ちゃんと曜ちゃんが決勝進出だったよ」

 

梨子「それで? どうしたの? そんな大きな声出して」

 

千歌「いやおかしいんだよ。ダイヤさんの点数が減らないの!」

 

ダイヤ「いや、この状況ではそんなおかしいことではありませんわ。まだ南二局ですのよ?」

 

花丸「まぁ、長く麻雀をやっていれば、そういうこともあるかもしれないずらね」

 

善子「ただダイヤが手堅いってだけじゃないの?」

 

千歌「いーや! おかしいね! 東場と南一局含めて全部ロン上がりだけでダイヤちゃんは振ってないなんて、おかしい!」

 

梨子「そ、そんなにおかしいことなの……? 鞠莉ちゃんはどう思う?」

 

鞠莉「まぁ、そこまでおかしいことではないわね。ちょっと違和感を覚えるくらいかな」

 

鞠莉「ちかっち、一回本気でダイヤの点数を減らすように打ってみたら? 案外減らせるかもしれないわよ?」

 

千歌「もう何回もやってるけど……鞠莉ちゃんが言うなら……」

 

ダイヤ「そう言われると、こちらとしては減らしたくなくなりますわね」

 

千歌「いいよ! ツモでもなんでもして、絶対減らしてあげるから!」

 

花丸「じゃあ、南二局いくずら~!」

 

 

 

千歌卓,南二局開始時点

北:千歌  35200

東:花丸  18000

南:善子  21800

西:ダイヤ 25000

 

 

 

梨子(千歌ちゃん、ダイヤちゃんの点数を減らすって、具体的にはどうするつもりなんだろう……)

 

果南(まぁ、普通に考えたらダイヤにロンするか、自分でツモ上がりするかの2択だろうね)

 

ルビィ(流局も一応点数減らせる可能性はあるけど……お姉ちゃんが聴牌してたら意味ないしね)

 

果南(あとはチョンボによる罰符とかだけど……そんなの、ダイヤが一番やりそうにないね)

 

曜(千歌ちゃん……どうするんだろう)

 

鞠莉(お手並み拝見ってところね)

 

梨子(今千歌ちゃんの手牌は……)

 

 

千歌:西西5678六七八④⑤⑥⑧

 

※常用数字が索子 漢数字が萬子 〇囲み数字が筒子です。

 

 

鞠莉(良い手牌ね。萬子か筒子の三面張が狙えるかもしれないから、普通にツモ上がりも行けるんじゃない?)

 

梨子(三面張って上がり牌が3つあることですよね。普通に良さそうですけど)

 

 

花丸「千歌ちゃん、マルは普通に打っていいずら?」

 

善子「私も、別に勝てればダイヤの点数が減ってなかろうとどうでもいいんだけど」

 

千歌「いいよ。これは、私の戦いみたいなものだから」

 

千歌「……」

 

千歌:西西5678六七八④⑤⑥⑧ ツモ③

 

 

梨子(三面張の素材をツモってきた!)

 

梨子(やっぱり、ツモ上がりするのかな)

 

曜(いや、どうかな……)

 

千歌 打⇒③

 

梨子(ツモ切り……!)

 

鞠莉(うーん、花丸と善子の捨て牌が筒子多めだから、筒子に的を絞ったってとこかしら……)

 

千歌 ツモ:3 打⇒⑤

 

果南(そうだね、傍からみれば、染め手を作っているようにも見えなくもない)

 

曜(そして聴牌は……)

 

千歌「……」ツモ:4 打⇒④

 

鞠莉(筋ひっかけ……!)

 

梨子(筋ひっかけって?)

 

鞠莉(リーチ者が両面待ちだったとして、④が当たる待ちってどうなると思う?)

 

梨子(えっと……②③とか、⑤⑥? あっ)

 

鞠莉(そういうこと。④が大丈夫なら、①と⑦も大丈夫だろうと考えるのが『筋』って考え方よ)

 

曜(でも⑦は千歌ちゃんの当たり牌だからね)

 

ルビィ(あ、お姉ちゃんの手牌で⑦が余ってる……!)

 

果南(これは私だったら出しちゃいそうだなぁ)

 

 

善子「リーチ」打⇒①

 

花丸「えぇ~安パイないずら~」

 

鞠莉(①が捨てられた……しかも善子の捨て牌には⑦がすでに捨てられている……)

 

梨子(すごく出そうな状況なのに)

 

ダイヤ「……」打⇒⑧

 

千歌「……っ」

 

梨子(ダイヤちゃんは余った⑦を出さない!)

 

花丸「もう知らないずら!」打⇒②

 

花丸「……ふぅ」

 

 

 

梨子(それから6巡が経った。未だにダイヤちゃんの手牌には浮いた⑦が残っている)

 

梨子(筒子もどんどん切られているのに、⑦だけは出ない……!)

 

花丸「……」打⇒⑦

 

千歌「!!!」

 

鞠莉(出た!)

 

果南(でもこれで上がったら……)

 

梨子(ダイヤちゃんの点数は減らせない……!)

 

曜(これを見逃したら、あとはツモるしかない!)

 

梨子(花丸ちゃんが⑦を切った瞬間、ダイヤちゃんは手牌を手前に倒した)

 

ダイヤ「……あら、それで上がらないんですの?」

 

善子「私は違うわよ」

 

ダイヤ「いえ、千歌さん」

 

梨子(その目は一度たりとも善子ちゃんの方を向いてはいなかった。まるで⑦で待っているのはあなたと言わんばかりに)

 

 

千歌「……ロン。三色ドラ2、7700」

 

花丸「えぇ! 筋ひっかけなんて性格悪いずらぁ~!」

 

ルビィ「花丸ちゃん、ドンマイだよ!」

 

善子「それは仕方ないんじゃない? さすがに」

 

鞠莉「相変わらずの硬さねーダイヤは。もっとflexibleに打てばいいのにー」

 

ダイヤ「いいでしょう? これが私のスタイルなのですから」

 

果南「昔から変わらないなー」

 

梨子「お二人とも、ダイヤさんが振り込まないの知ってたんですか?」

 

果南「まぁねー。でもこれはダイヤが気を付けてるってだけで、おかしなことではないんだよ」

 

果南「これだけならね」

 

梨子「それって、まだ何かあるってことですよね」

 

鞠莉「まぁ、見てればそのうち分かると思うわ」

 

千歌「あぁもう! 絶対いけると思ったのに!」

 

曜「千歌ちゃん、ダイヤちゃんの点数減らすの、やめる?」

 

千歌「やめない! 次こそは減らしてあげるから!」

 

 

 

*****************************************

 

 

 

梨子(南三局、今までの局と比べて……静かだ)

 

梨子(千歌ちゃんは、ダイヤちゃんの点数を減らす作戦を考えているのか、手牌を食い入るようにみつめている)

 

梨子(一方ダイヤちゃんは、いつも通りって感じかな)

 

梨子(でも、その手つきはダイヤちゃんの雰囲気とも相まって、荘厳さすら感じさせる)

 

 

花丸「千歌ちゃん、ダイヤちゃんの点数をマルが減らしてもいいずら?」

 

千歌「え? 別にいいけど……できるの?」

 

花丸「まぁみてるずら!」

 

 

花丸「善子ちゃん、それカンずら!」

 

善子「カン!? あんたまさか!」

 

梨子(鞠莉ちゃん、カンって何?)

 

鞠莉(槓っていうのは鳴きの一種ね。ポンみたいなものって思ってもらっていいわ)

 

鞠莉(ただ、ポンは同種の3枚目をもらうのに対して、槓は4枚目を貰ってその4枚で1面子とするわ)

 

梨子(それじゃあ手牌の枚数が減っちゃうんじゃないの?)

 

鞠莉(That's right! だからそのために牌を補充するんだけど、その場所が……)

 

鞠莉(嶺上牌。ドラ表示の先にある、山の一番深いところよ)

 

鞠莉(そしてその牌で上がった場合、特別な役が付くわ)

 

 

花丸「険しい山の頂上、嶺の先にも花は咲く……」

 

花丸「ツモ! 嶺上開花ドラドラで1300、2600ずら!」

 

梨子(花丸ちゃんが嶺上牌からツモってきたのは青の1……確かに上がってる)

 

ルビィ「花丸ちゃんすごーい! 嶺上開花なんてルビィ初めて見たよぉ!」

 

曜「私も初めてかも!」

 

 

果南「でもこれって、ダイヤの支払いあるの?」

 

花丸「えっ」

 

鞠莉「大明槓の責任払いってやつね」

 

ダイヤ「そこまで細かくは決めてませんでしたね。わたくしの家では、責任払いでやってましたが……」

 

千歌「うちも責任払いだったかなぁ」

 

善子「責任払いって……じゃあ私の振り込み扱いってこと!? 勘弁してよ!」

 

花丸「……マルはどっちでもいいずら。ダイヤちゃんの点数を減らせないのは残念だけど」

 

鞠莉「まぁローカルルールだし、多数決で決めましょうか?」

 

千歌「そうだね!」

 

 

梨子(多数決の結果、責任払いが採用され、善子ちゃんが全額支払うことになった)

 

梨子(結局、ダイヤちゃんの点数は減らないままだ)

 

 

南四局開始時点

南:千歌  42900

西:花丸  15500

北:善子  16600

東:ダイヤ 25000

 

 

*****************************************

 

 

ダイヤ「そういえば、ローカルルールで思い出したんですけど、焼き鳥はあるんですの?」

 

千歌「あー焼き鳥かぁ。それも考えてなかったなぁ」

 

梨子「……」

 

鞠莉「半荘中一度も上がれなかったらペナルティをつけるルールのことよ」

 

梨子「ありがとう」

 

 

ダイヤ「わたくしの家では大体焼き鳥ありでやってましたわね」

 

千歌「うちはあったりなかったりかなー。お小遣い賭ける時とかはあったけど、普通に打つ分には無しでやってたかも」

 

果南「ダイヤが上がれば問題ないんじゃない?」

 

曜「そういう問題でもない気がするけど」

 

ダイヤ「それもそうですわね」

 

ダイヤ「折角ですから、上がって一位を取ると致しましょうか」

 

千歌「!!!!?!?」

 

 

梨子(ダイヤちゃんが一位奪取宣言をすると、何人かの顔色が変わった)

 

梨子(ルビィちゃんなんて今にも泣きだしそうだし、鞠莉ちゃん果南ちゃんは眉間にしわを寄せている)

 

善子「簡単に言うわね……」

 

花丸「ダイヤちゃんらしいずら」

 

千歌「やれるもんならやってみるといいよ! 負けないから!」

 

 

 

ダイヤ「ツモ。4000オール」

 

梨子(ダイヤちゃんは冷静に点数を告げる。まだ5巡程しかたっていない)

 

千歌「……はい」

 

 

ダイヤ「まだ一位には届いていませんわね。では一本場、行きますわよ」

 

梨子(当然のように点棒を置くダイヤちゃん。千歌ちゃん達はまだ何が起きたのか分かっていないようだった)

 

梨子(上がるのがすごい速かったから……? いや、違う)

 

梨子(千歌ちゃんの手……配牌から進んでない……?)

 

梨子(序盤は結構手が進むイメージがあるけど、これはおかしなことなんだろうか……)

 

 

梨子(ダイヤちゃんはその次の一本場も上がってしまった)

 

梨子(前と同じように、4000オールの手だ)

 

梨子(その上りは、まるで今までの千歌ちゃんの努力を嘲笑うかのように、華麗で美しく、卓に座っていた三人以外でさえ、ただただ見ていることしかできなかった)

 

梨子(こうして、異様な雰囲気の中、Aqoursの麻雀大会予選は終わりを迎えた)

 

 

南四局終了時点

南:千歌  34800

西:花丸  7400

北:善子  8500

東:ダイヤ 49300

 

 

 

 




リアル麻雀だったら、ダイヤの硬さは見習いたいなぁ~

ちなみに花丸は咲のようなトンデモ能力ではなく、カンをするとイーピンを持ってくるというだけの能力です。
そもそもカン自体が狙ってできるようなものでもないので、そこまで強力じゃないですね。



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千歌「立ちはだかる壁」

梨子(予選が終わってから、千歌ちゃん達の空気が重い)

 

梨子(特に千歌ちゃんは、決勝に行けたとはいえ、ダイヤちゃんの点数を結局減らすことが出来なかったせいか、落ち込んでいるようにも思える)

 

梨子「千歌ちゃん、だいじょう……」

 

千歌「あー! くっそー! このままじゃ決勝勝てる気しないなー! どうしよー!」

 

梨子「びっくりした……」

 

千歌「あ! 梨子ちゃん、どうしたの?」

 

梨子「千歌ちゃん、ダイヤちゃんに負けて、落ち込んでるんじゃないかと思って……」

 

千歌「落ち込む? そんな訳ないじゃん! ゲームだよ? 悔しいとは思うけど、落ち込みはしないよ!」

 

曜「ははは! 千歌ちゃんらしいね。決勝、私も負けないからね~!」

 

千歌「うん! 曜ちゃんにも負けないよ~!」

 

鞠莉「Oh! その意気デース! 皆でexcitingしましょ!」

 

ダイヤ「じゃあそろそろ始めましょうか?」

 

千歌「うん!」

 

 

梨子(決勝進出の四人は、予め決めておいた席に着いた。決勝戦の始まりだ)

 

梨子(因みに予選で敗れてしまった四人と私は、麻雀や他のゲームをしててもいいと言われたけど、なんだかんだで皆観戦に来ている)

 

梨子(やっぱり大会と銘打っているだけあって、皆結果が気になるみたい)

 

花丸「ダイヤちゃんが起家ずらか」

 

善子「さっきの最後みたいに満貫上がられ続けたら、それだけで終わっちゃうんじゃないの?」

 

曜「まさか! さすがのダイヤさんでも、そんなこと出来ないでしょ!」

 

ダイヤ「……」

 

曜「……出来ないよね?」

 

ダイヤ「今調子がいいですからもしかしたら……どうでしょうね」

 

果南「ダイヤは調子っていうよりやる気の問題なんじゃないの?」

 

ダイヤ「失礼な! わたくしはいつだって全力で打っていますわ」

 

鞠莉「どーだかね~」

 

千歌「いいよ全力で! そのうえで……勝つ!」

 

梨子(Aqours麻雀大会決勝戦の幕が切って落とされた)

 

 

 

*****************************************

 

 

東一局開始時点

東:ダイヤ 25000

南:曜   25000

西:千歌  25000

北:鞠莉  25000

 

 

千歌(起家はダイヤさん……啖呵を切ってはみたものの、予選のオーラスみたいな上がりをされ続けたらかなりきつい)

 

千歌(ここはやっぱり速攻で親を流すしかないか)

 

千歌(でも千歌、鳴き麻雀苦手なんだよなぁ~! どうしよう!)

 

千歌(配牌は……四向聴。予選の時はここから一歩も進めなかった……)

 

千歌(さて、どうしたもんかね)

 

 

 

ダイヤ「リーチ、ですわ」

 

千歌(ダイヤさんのリーチ! 6巡目……)

 

千歌(千歌はまだ三向聴。さすがにここは降りるしかない)

 

 

ダイヤ「皆さん、警戒しなくても問題ありませんわよ。わたくしはツモりますので」

 

花丸「ダイヤちゃん、すごい自信ずら……」

 

善子「なんなの? 予知能力者なの?」

 

果南「予知してるかは知らないけど、昔からダイヤはツモ上がりしかしないね」

 

果南「フリテンになってても、結局ツモで上がるから見逃す……ってこともしてたっけ」

 

花丸「バケモンずら」

 

ルビィ「え? でもルビィ、お姉ちゃんに結構ロンされるよ?」

 

果南鞠莉「えっ」

 

善子「なんだ、やっぱりツモが確実にできるってわけでもないのね」

 

花丸「ダイヤちゃん、そうずら?」

 

ダイヤ「麻雀というゲームの性質上、確実にツモれるなんてことはないですわ。ただ、その確率を目一杯引き上げることは可能です。ですから……」

 

ダイヤ「ツモ。リーチツモピンフタンヤオドラ1、4000オール」

 

 

千歌(たった6巡でツモれる可能性の高い待ちを毎回作るなんて、出来るはずない)

 

千歌(やっぱりダイヤちゃんも、お母さんみたいな『常識の外に居る』人なのかなぁ)

 

 

花丸「結局ツモったずら……」

 

善子「でもルビィにはロンもするわけ?」

 

ダイヤ「ルビィが相手だと、そうも言ってられませんからね」

 

曜「え、ルビィちゃんってダイヤちゃんより強かったの!?」

 

ダイヤ「あれ? 言いませんでしたっけ」

 

千歌「じゃあ子供の頃負け続けたっていうのは……」

 

ダイヤ「ルビィに、ですわ」

 

ルビィ「えへへ~運が良かっただけだよぉ~」

 

 

千歌(おかしい。ダイヤちゃんより強いのに、この決勝卓に座れてない……?)

 

千歌(半荘一回くらいじゃ分からない強さなのか、それとも調子が悪かった……)

 

千歌(いや、誰かに負けた。そう考えるのが普通だよね)

 

千歌(お世辞にも、曜ちゃんはそんなに麻雀強くない。それは子供の頃よく打った千歌が一番わかってる)

 

千歌(それなら……)

 

 

鞠莉「マイナスからスタートなんてー憂鬱デース!」

 

千歌(鞠莉ちゃん……いったい何者なんだろう……)

 

 

 

千歌(その後、ダイヤちゃんはもう一度満貫を上がった)

 

千歌(まずい……これ以上点差を広げられると逆転が難しくなる)

 

千歌(まずはダイヤちゃんをどうにかしないと!)

 

 

東一局一本場終了時点

東:ダイヤ 49300

南:曜   16900

西:千歌  16900

北:鞠莉  16900

 

 

 

*****************************************

 

 

 

千歌(どうにかするとは言っても、具体的にどうするかってなると……うーん)

 

千歌(手は相変わらず進み悪いし、千歌が上がるころにはダイヤちゃんが2回くらい上がってそう)

 

千歌(千歌一人だけじゃどうしようもないなぁ)

 

 

千歌「……」

 

曜「……」チラッ

 

千歌「!!」

 

曜「……」ウインク

 

千歌(そっか、一人じゃなければ、行ける……!?)

 

千歌(幸いにも、曜ちゃんは鳴きが得意。そして手番はダイヤちゃん、曜ちゃん、千歌の順)

 

千歌(上手く千歌から曜ちゃんに鳴かせることが出来れば……)

 

 

千歌(生牌の東……これなら?)

 

曜「ポン!」

 

ダイヤ「……」

 

千歌(よし! おかげで千歌も手を進めることが出来た!)

 

千歌(でもまだ間に合わない。もう一回は鳴かせないと)

 

 

曜「……」打⇒五

 

千歌(この浅い巡目で手出しの五萬……これは曜ちゃんからのサイン!)

 

千歌「……」打⇒四

 

曜「ポン!」

 

千歌(よし! これで曜ちゃんは聴牌までいってるはず!)

 

千歌(あとは曜ちゃんに差し込みするだけだ)

 

 

 

千歌(くっそ! なぜか当たらない! そこはうまくいく流れだろぉこれぇ!)

 

千歌(うかうかしてるとダイヤちゃんに上がられちゃうよ~)

 

千歌「……」

 

 

千歌(曜ちゃんとは子供のころからずっと一緒だった)

 

千歌(一緒に色んな遊びをした。海で遊んだり、山で遊んだり、そして麻雀をしたり)

 

千歌(今! 曜ちゃんとの絆を発揮する時だよ!千歌!)

 

千歌(想いよひとつになれ!)

 

 

千歌「……」タン

 

曜「!! ロン! 2000の二本場は2600点であります!」

 

千歌「ふぅ……」

 

 

曜「やったね! ダイヤちゃんの上がりを阻止できたよ!」

 

千歌「うん! 曜ちゃんのおかげだよ!」

 

ダイヤ「さすがですわね、お二人の絆は。この局ばかりは上がれる気はしませんでしたわ」

 

鞠莉「そうねぇ~マリーも全然だったから、助かっちゃったわ~」

 

 

千歌(振り込んで『良かった』と思ったことなんて、これが初めてかもしれない)

 

千歌(本当に、良かった)

 

千歌(でも本番はここからだ。なにせまだ東一局が終わっただけ)

 

千歌(次は取りに行くぞ!)

 

 

 

千歌(さっきのでわかったことがある)

 

千歌(ダイヤちゃんは、鳴きが入ると目に見えて速度が下がる)

 

千歌(それまでは5~7巡で上がってたのが、さっきは曜ちゃんに10巡目で上がられていた)

 

千歌(もちろんそう判断するには乏しい材料だけど、今はそうも言ってられない)

 

千歌「よーし! 次は上がるぞー!」

 

ルビィ「頑張ルビィ!」

 

花丸「千歌ちゃん、ファイトずら!」

 

善子「ヨハネから堕天使的声援を送ります!」

 

 

千歌(とはいったものの……曜ちゃんが鳴きそうな牌を捨てつつ、自分も進めるのは至難の業だ)

 

千歌(千歌の手は思った以上に進まず、どんどん安くなっていく)

 

ダイヤ「リーチ、ですわ」

 

曜「うわぁ! どれも捨てれないよ~」

 

千歌「……」

 

鞠莉「あらぁダイヤ、調子乗りすぎなんじゃないの?」

 

ダイヤ「調子も何も……上がれるものは上がった方がいいに決まっていますでしょう?」

 

鞠莉「ノー、そういう意味じゃないわ」

 

鞠莉「私がいるのを忘れてない? ってことよ」

 

千歌「え? どういうこと?」

 

鞠莉「さっきは可愛い後輩に頑張らせちゃったから、今度はマリーお姉さんが頑張っちゃおうかなってこと♪」

 

鞠莉「リーチデース!」

 

千歌(鞠莉ちゃんのリーチ……! ルビィちゃんを倒した鞠莉ちゃんが動いた!)

 

ダイヤ「……はぁ、そういえば、そういう人でしたわね」

 

千歌(ダイヤちゃんはツモした牌を見ると、諦めの表情を浮かべてその牌を捨てた)

 

鞠莉「ロン。リーチ一発メンホン發、12000」

 

曜「すごい……」

 

花丸「あれだけ振り込まなかったダイヤちゃんから」

 

善子「直撃を取ったずら!?」

 

ルビィ「善子ちゃん、花丸ちゃんになってるよ」

 

善子「ヨハネ!」

 

 

千歌(ダイヤちゃんがリーチをして身動きが取れないところに跳満直撃……)

 

千歌(そんな針の穴を通すような芸当、普通の人は出来ない)

 

千歌(まさか鞠莉ちゃんも!? この卓やばい卓じゃん!)

 

千歌(このままじゃ一位どころか、二位にもなれないかも……?)

 

 

東二局終了時点

北:ダイヤ 36300

東:曜   19500

南:千歌  14300

西:鞠莉  29900

 

 

千歌(東三局……千歌の親だ)

 

千歌(できればここで連荘して、東場前半に削られた分を取り戻したい)

 

千歌(それなのに……)

 

鞠莉「リーチデース!」

 

果南「鞠莉、調子いいね」

 

鞠莉「さっきはダイヤにこっぴどくやられちゃったからねぇ」

 

鞠莉「私も後輩にいい所見せたいじゃない?」

 

花丸「いいところというか……正直……」

 

善子「ダイヤから直撃取った時点で皆若干引いてるわよ。さっきダイヤとやった私と花丸は特に、ね」

 

ルビィ「うゆ……」

 

曜「ははは……」

 

鞠莉「そんなぁ~! ヒドイデース!」

 

 

千歌(お茶らけて見せてはいるけど、捨て牌には全く隙がない)

 

千歌(気を抜いたら飛ばされる……そんな予感しかしないよ)

 

千歌(果南ちゃんもあの強さだし、三年生って、すごいな)

 

鞠莉「来ました! ツモ! 3000、6000please!」

 

曜「また跳満!?」

 

ダイヤ「はぁ……あなたはたまにわたくしや果南さんのことをバケモノ呼ばわりしますが、あなたも大概ですわよね」

 

鞠莉「いやいや、マリーはあなたたちのようなpowerはありませんから!」

 

果南「powerっていってもなぁ。普通に打ってるだけなのに」

 

梨子「普通に打ったらあぁはならないと思うんですけど……」

 

花丸「やっぱり三年生は凄いずらね」

 

 

千歌(確かに……三年生の三人はすごい。それは麻雀に限った話じゃない)

 

 

千歌(Aqoursの練習だって、なんだかんだしっかりとした内容にしてくれたのは三年生の力が大きい)

 

千歌(ライブでのパフォーマンスも、三人の動きを基軸にして皆動いているところもある)

 

 

千歌(果南ちゃん達は一年生の時、三人だけで東京のイベントに呼ばれた)

 

千歌(でも千歌達はその時は六人だった)

 

千歌(それに結果は……)

 

梨子「千歌ちゃん……?」

 

曜「……」

 

 

千歌(そんな千歌達より一回りも二回りも上手な三年生が、卒業していなくなる……?)

 

千歌(そんな状態じゃあ、千歌達は……)

 

 

 




鞠莉は特別な力は持っていない設定です。

しかし単純な技量がずば抜けて高いです。

幼少期にバケモノ二人と打ち続けた結果でしょうか。


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曜「未来の僕らは知ってるよ」

キリのいいところで切ったら、他の話よりかなり短くなってしまいました。
なんでもするので許してください(なんでもするとは言ってない)


 

 

 

曜(千歌ちゃんの親が、鞠莉ちゃんの跳満ツモで終わった)

 

曜(鞠莉ちゃんといいダイヤちゃんといい、なんであんなに高打点でポンポン上がれるんだか……私なんて鳴いて速度を上げないと皆に追いつくこともできない)

 

曜(千歌ちゃんは昔から結構色んな打ち方ができる人だったから、追いつけないとかではないと思うけど……)

 

千歌「……」

 

曜(千歌ちゃんの顔が曇っている。これ以上ないほどに)

 

曜(たかが子供の麻雀くらいで、そう笑う人がいるかもしれない)

 

曜(でも違うと思う。それ以上のものを千歌ちゃんはこの麻雀を通して感じている。絶対そう、私にはわかる)

 

曜(いや……分かるというよりは、そうであって欲しいのかもしれない)

 

曜(なんてったって、私がそう感じているのだから)

 

 

鞠莉「このまま、ダイヤみたいに上がりまくって終わらせてしまおうかしら?」

 

ダイヤ「あら鞠莉さん、わたくしのことをお忘れでは? そうはさせませんわよ」

 

果南「二人とも、何事もやりすぎはよくないんじゃないかな……」

 

ダイヤ「あなたがそれを言いますの? 昔南場でされた事を忘れたとは言わせませんわよ」

 

鞠莉「そうデース! あの時は三日三晩ご飯も喉を通りませんでした!」

 

果南「そんな訳ないでしょ……まぁ、あの時はやりすぎたとは思うけどさ」

 

 

曜(三年生……この三人は本当に強い)

 

曜(でもこの強さに違和感はない……いつも感じていたことだから)

 

曜(三年生は、私達Aqoursをしっかりと支えてくれていた)

 

曜(この頼れる強さを、麻雀を通して相対することで、感じてしまったんだ)

 

 

曜(三年生が卒業した後は、この支えが無くなる……?)

 

 

曜(千歌ちゃんもきっと、このことを感じているんだろう)

 

曜(いや、千歌ちゃんだけじゃない。梨子ちゃんや一年生三人もきっと同じだ)

 

曜(だからこそ今、自然と三年生対一、二年生みたいな構図が出来上がりつつある)

 

曜(私達は、早速敗北しそうになってるわけだけど……)

 

 

花丸「……」

 

善子「……」

 

ルビィ「……」

 

梨子「……」

 

 

千歌「…………」

 

 

曜(あぁ! もう! こういうのイヤ!)

 

曜(遊んでる感じがしない! Aqoursらしくない! なにより!)

 

曜(千歌ちゃんらしくない!)

 

曜(いつもみたいに、やめる? で千歌ちゃんを煽ってもいいけど……)

 

曜(さすがにこの状態じゃ、火に油かなぁ)

 

曜(ここは……)

 

 

曜(私が上がって、千歌ちゃんのやる気を出させる)

 

 

曜(千歌ちゃんは私と違って、この場を打ち砕く強さがある)

 

曜(この場で私がやるべきは、その火付け役だ。いや)

 

曜(それは私にしか出来ないことだ!!!)

 

曜「チー!!!」

 

ダイヤ「っ!」

 

 

花丸「そういえば、ダイヤちゃんからの鳴きも、今までなかったずらね」

 

善子「確かに。でも千歌が鳴かなかっただけじゃないの?」

 

花丸「あれだけダイヤちゃんの点数減らそうとしてたのに、鳴きは封印してたずら?」

 

善子「まぁ……それもそうね」

 

 

曜(なんかよくわかんないけど、ダイヤちゃんからの初鳴きゲットだよ!)

 

曜(一度でも私が上がって、千歌ちゃんに火をつけるまでは安心できない!)

 

 

 

*****************************************

 

 

 

鞠莉「リーチ!」

 

 

曜(来た……鞠莉ちゃんのリーチ!)

 

曜(私みたいな凡人が、三年生に付け入る隙があるとしたら、リーチ後の無防備な捨て牌しかない)

 

曜(ここで引かずに攻める!)

 

曜「ポン!」

 

鞠莉「あらぁ~ 一発消されちゃったわ」

 

ダイヤ「そう何度も一発ツモされてはたまりませんわ」

 

千歌「曜ちゃん……?」

 

 

 

曜「鞠莉ちゃん、ロンだよ! 2600!」

 

 

鞠莉「わお! 曜もやるわね」

 

曜「鞠莉ちゃんほどの打点じゃないけど、さっきのダイヤちゃんの振り込みを参考にしてみたよ!」

 

曜「うまくいって良かったぁ~」

 

千歌「はー 曜ちゃんすごいなぁ。鞠莉ちゃんからも出あがり出来るなんて」

 

花丸「鳴き麻雀の天才ずら!」

 

 

曜「それは違うよ、千歌ちゃん」

 

千歌「……え?」

 

 

曜「私が上がれたのは、きっと最後まで諦めなかったから」

 

曜「未来はきっと輝いてるって信じていたから」

 

曜「だからこそ、今の私があって、今のAqoursがある」

 

曜「それは千歌ちゃんが一番よく知っていることのはずだよ」

 

千歌「でも……」

 

 

曜「確かにその途中では、色んな壁が立ちはだかってくるかもしれない」

 

曜「以前と比べて力不足を感じたり、寂しさを感じるかもしれないよ」

 

花丸「……」

 

善子「……」

 

ルビィ「……」

 

曜「でもそれでも前を向いて走ってきた。それが私達じゃん」

 

梨子「……」

 

 

ダイヤ「曜さん、あなた何の話をして……」

 

鞠莉「ダイヤ、shut up」

 

果南「……」

 

 

曜「……それでも、私は千歌ちゃんがそれでいいというのなら止めはしないよ」

 

曜「……千歌ちゃん」

 

 

曜「やめる?」

 

 

 

曜(千歌ちゃんはしばらく手牌を見つめている)

 

曜(……私にできるのはここまでだ。この後は本当に、千歌ちゃんの心次第)

 

曜(麻雀も、……Aqoursも)

 

 

 

千歌「……ない」

 

 

千歌「やめない。やめないよ! こんなところで、負けてやるわけにはいかない!」

 

千歌「それにまだ東場が終わっただけだからね! 親もまだ一回残ってるし、まだ全然逆転のチャンスはある!」

 

千歌「ダイヤちゃん、鞠莉ちゃんに勝って、三年生がいなくても大丈夫ってところ、見せてやるんだ!」

 

梨子「……そうね」

 

ルビィ「うん!」

 

 

鞠莉「あらぁ、なんだか随分敵視されちゃってるみたいだけど、どうする? ダイヤ」

 

ダイヤ「決まっていますわ。受けて立って差し上げましょう。格の違いを思い知らせてあげますわ。でしょう? 果南さん」

 

果南「え? 私? 私は予選落ちしてるから何とも言えないけど……どちらかと言えば鞠莉とダイヤに勝ってほしいかな」

 

 

曜(なんだかとても大ごとになってしまった感は否めないけど……千歌ちゃんを復活させることには成功した)

 

曜(半荘はまだ折り返し地点、南入するところだ)

 

曜(全然チャンスはあるよ! 千歌ちゃん!)

 

 

東四局終了時点

南:ダイヤ 33300

西:曜   20100

北:千歌  8300

東:鞠莉  38300

 

 

 





実際には、こんな重い気持ちを背負って麻雀する人なんていないでしょうね……




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梨子「懸ける想い、輝きを求めて」

 

 

 

梨子(東場が終わり、決勝戦は南場に突入した)

 

 

梨子(千歌ちゃんはダイヤちゃんと鞠莉ちゃんに圧倒されて途中気力を失いかけてたみたいだけど、曜ちゃんの上がる姿を見て気力を取り戻したみたい)

 

梨子(そうはいっても、千歌ちゃんの点数はかなり低い……)

 

梨子(ここから逆転できるのだろうか)

 

 

鞠莉「リーチ」

 

 

果南(鞠莉……容赦ないね。完全に勝ちに来てるよ)

 

梨子(ここから千歌ちゃんの逆襲が始まると思ったけど……)

 

梨子(鞠莉ちゃんの勢いはまだ止まらない!)

 

千歌「……」

 

花丸(千歌ちゃん……これ以上削られて大丈夫ずら?)

 

善子(普通に考えたら、絶望的でしょうね……)

 

ルビィ(でも千歌ちゃんのあの気迫、まだ諦めた訳じゃないみたい!)

 

ルビィ(まだわからないよ!)

 

 

鞠莉「……ツモ。2000、4000」

 

鞠莉「……?」

 

ダイヤ「鞠莉さん、どうしたんですの?」

 

鞠莉「いえ……」

 

果南(おそらく、鞠莉はまた跳満を上がるつもりだった)

 

果南(でも、上がれなかった……?)

 

 

鞠莉(この南場、何か起きそうですね……)

 

 

南一局終了時点

東:ダイヤ 29300

南:曜   18100

西:千歌  6300

北:鞠莉  46300

 

 

 

*****************************************

 

 

 

ダイヤ(南二局、千歌さんと鞠莉さんの点差は40000点)

 

ダイヤ(普通に考えたら、逆転はほぼあり得ない)

 

ダイヤ(ですが、なんですの? この胸騒ぎは……)

 

 

千歌「……」

 

 

曜(……千歌ちゃんが来る、間違いない)

 

曜(昔から千歌ちゃんはそうだった)

 

曜(相手が強大であればあるほど、千歌ちゃんの勝ちたいという気持ちが強ければ強いほど、千歌ちゃんは強くなる)

 

曜(スクールアイドルだってそうだ。普通、μ'sみたいなすごいスクールアイドルを見たら、誰だって『この子達は特別だから』と思ってしまう)

 

曜(でも千歌ちゃんは違う。『私もこんな風になりたい!』そう、思うんだ)

 

曜(強大なものに物怖じせず、立ち向かっていくその胆力……)

 

曜(私は、それが千歌ちゃんの一番の魅力だと思う)

 

曜(そしてそれは、麻雀であっても変わらない!)

 

 

梨子(千歌ちゃん……すごい集中力)

 

梨子(手牌だけじゃなく、相手の捨て牌、手牌、山まですべてに意識を向かわせている様だ)

 

梨子(まったく……歌詞を書く時もこのくらい集中してくれればいいのに……)

 

 

千歌「……」

 

 

梨子(いえ、それは違うわね)

 

梨子(千歌ちゃんは書きたいと思ったテーマを見つけられれば、簡単に詩を完成させてくれた)

 

梨子(集中力がないんじゃない。心の底から取り組めるきっかけが足りないだけ)

 

梨子(そのきっかけさえあれば、千歌ちゃんはいつだって輝ける!)

 

 

千歌「ツモ」

 

千歌「800、1600です」

 

鞠莉「ワーオ……」

 

ダイヤ「……はい」

 

曜「はい!」

 

 

果南(千歌の静かな上がり……これはもう、止められない、か)

 

 

 

*****************************************

 

 

 

曜(千歌ちゃんが上がった……しかも、それまでダイヤちゃんの前では一度でも上がれなかったツモ上がりでだ)

 

曜(これは、いうなれば肩慣らしだ、次にくる高い波のための)

 

曜(千歌ちゃん……!)

 

 

 

ダイヤ「ツモ。300、500ですわ」

 

千歌「……!」

 

曜「え」

 

鞠莉「あらぁダイヤ、ゴミ手なんてらしくないんじゃないの?」

 

果南「そうだね、いつもは『3ハン以下の手なんてこの黒澤ダイヤには相応しくありませんわ!』とか言ってるくせに」

 

ダイヤ「そうでしたっけ? 上がれる手は上がった方がよろしいと思いまして」

 

ダイヤ「それに……」

 

鞠莉「ん?」

 

ダイヤ「なんでもありませんわ」

 

 

曜(次は千歌ちゃんが上がると思ったんだけど……どうしたんだろう)

 

曜(まさかこれで千歌ちゃんの勢いが……!)

 

 

千歌「……」

 

 

曜(…大丈夫だ、まだ千歌ちゃんは集中してる!)

 

曜(千歌ちゃんの親が流されちゃったのは痛いけど、これならまだ!)

 

曜(頑張れ! 千歌ちゃん!)

 

 

 

*****************************************

 

 

 

梨子(この麻雀大会も、遂にオーラス)

 

梨子(遊戯室はこれまで以上に静まり返っている)

 

梨子(千歌ちゃんの異常なほどの集中力に皆も圧倒されている……)

 

花丸「……」

 

善子「……」

 

ルビィ「……」

 

果南「……」

 

 

ダイヤ「……」

 

鞠莉「……」

 

曜「……」

 

 

梨子(麻雀って、こんな空気になるものなの……?)

 

梨子(まるで、ラブライブ決勝の控室のような緊張感……)

 

梨子(いや、あれはAqours9人で臨んだものだし、比較にはならないかも)

 

梨子(それにあの時、私達はラブライブを心から楽しんでいた)

 

梨子(もちろん負けたくない気持ちもあったけど……それは今のこの雰囲気とはまた違う物だったような気がする)

 

 

千歌「……」タン

 

 

梨子(心なしか、千歌ちゃんの打牌が力強く感じる)

 

梨子(それほど、この局への気持ちは強いものなんだろう)

 

 

ルビィ「……頑張って。」

 

ルビィ「千歌ちゃん、頑張って!」

 

曜(ルビィちゃんが静寂を切り裂き、声援を発した。それにつられてか、一年生と梨子ちゃんは口々に声援を送る)

 

 

花丸「まだ諦められないずら!」

 

善子「そうよ! ここで勝って、三年生たちをギャフンと言わせてやりましょうよ!」

 

 

ダイヤ「まったく、どうしてわたくし達は敵役になってますの?」

 

果南「まぁ、あんだけ好き放題暴れたら仕方ないよね」

 

鞠莉「いいじゃない。卒業前に、先輩の偉大さを存分に味わわせてあげまショウ」

 

果南「……それもそうかもね」

 

 

梨子(果南ちゃん達も、すっかり敵役として受けて立ってしまっている)

 

梨子(……三年生を倒してほしいという気持ちは私にはあまりない)

 

梨子(麻雀のことはよくわからないし、三年生のことは大好きだ)

 

梨子(……でも)

 

梨子(今は千歌ちゃんに勝ってほしい!)

 

 

梨子「千歌ちゃん、頑張って」

 

 

 

千歌「……梨子ちゃん」

 

千歌「うん。私、頑張るよ」

 

 

 

 

千歌(とはいったものの……)

 

千歌(この手牌、ほんとに勝てるの!?)

 

 

ドラ表示:八

 

一一四八九47②白白中發西

 

 

 





次回決着です。


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千歌「私達の軌跡、私達の奇跡」

 

 

梨子(Aqours麻雀大会はついにオーラス)

 

梨子(このまま鞠莉ちゃんが一位になって終わってしまうのか、それとも……)

 

 

 

千歌(配牌はそこまでよくない……でも諦めるわけにはいかない!)

 

千歌(ここで三年生を倒して、これからもやっていけるってところを見せつけるんだ!)

 

千歌「……!」ツモ:一

 

千歌(山はまだ千歌に味方してくれてる。やるよー!)

 

 

 

ダイヤ(今思えばこの高校生活、本当に色んな事がありましたわね)

 

ダイヤ(わたくし達はAqoursを結成して、東京のイベントに呼ばれた)

 

ダイヤ(そこで鞠莉さんをかばった果南さんは、『歌わない』という選択を取った)

 

ダイヤ(そこから、わたくし達は一度スクールアイドル活動を辞めてしまった……)

 

 

ダイヤ(でも、千歌さん達が新たにAqoursとして活動を始めたおかげで、わたくし達三年生も再びスクールアイドルとして活動することができた)

 

ダイヤ(この9人で乗り越えた艱難辛苦、練習で培った絆やライブを通じて得た喜びは、本当にかけがえのないもの)

 

ダイヤ(一二年生には感謝してもしきれないですわね)

 

ダイヤ(でもだからこそ、例え麻雀というゲームであっても負けるわけにはいかない)

 

ダイヤ(有終の美を飾って、卒業を迎えたいものですわ)

 

ダイヤ(おそらく、それは鞠莉さんも果南さんも同じのはず……)

 

ダイヤ「……」チラッ

 

 

鞠莉「……」

 

鞠莉(ええそうね、ダイヤ)

 

鞠莉(ちかっち達には本当に感謝してる。ちかっち達がいなければ、私達は未だに仲たがいをし続けていたかもしれない)

 

鞠莉(それを解決してくれただけでなく、一緒にスクールアイドルをやってくれた)

 

鞠莉(しかも私達は優勝した! No.1のスクールアイドルになったのよ!)

 

鞠莉(それはきっと、ダイヤと果南と三人だけじゃ成しえなかったもの)

 

鞠莉(この9人だからこそ、達成できたものなのよ!)

 

鞠莉(でも、この9人でいられるのはもうおしまい。私たちは、それぞれ別の道だけどnext stepへ旅立つ)

 

鞠莉(そんな私達に、最後に一泡吹かせたいというのは、ちょっと酷なんじゃないかしら?)

 

鞠莉(……いや、きっと私たちがちかっち達の立場でも、同じように思うでしょうね……)

 

鞠莉(だからこそ、全力でやるわ。たとえそれが麻雀だったとしても)

 

鞠莉(そうでしょう? 果南)

 

 

果南「……」

 

果南(ふふふ、ダイヤと鞠莉らしいね)

 

果南(私はどっちかっていうと、勝ち負けにはあまりこだわらない性格なんだけどね。実を言うと)

 

果南(でも、この9人で臨んだラブライブは、本当に勝ちたかった)

 

果南(二年前の悔しさもあるし、なんといってもこの9人で過ごした時間は、それほど私にとって輝いていて、楽しかった)

 

果南(だからこそ、その集大成としてのラブライブ決勝は本当に勝ちたかったよ)

 

果南(そしてその気持ちは……いまでも消えていない)

 

果南(まぁそんなこと言っても、この麻雀の卓には座れてないわけだけど……)

 

果南(だから、ダイヤと鞠莉には勝ってほしいね!)

 

 

 

*****************************************

 

 

 

千歌(だめだ……このままじゃ)

 

千歌(高い手どころか、上がることすらこのままじゃできなそう……)

 

手牌:一一一九九45白白中發西西

 

千歌(このままだと、また鞠莉ちゃんあたりに上がられる)

 

千歌(鞠莉ちゃんもダイヤちゃんも、もう浮き牌の処理は済んだみたいだし、どちらかが上がるのはもう時間の問題)

 

千歌(やっぱり、千歌一人の力じゃ……)

 

 

千歌「……!」

 

 

ルビィ(千歌ちゃん、ルビィ達がいるよ)

 

 

千歌 ツモ:中

 

 

花丸(今までだって、そしてこれからも、マルたちは仲間ずら)

 

 

千歌 ツモ:中

 

 

善子(困ったときはお互い様。そうでしょ?)

 

 

千歌 ツモ:白

 

 

千歌(みんな……!)

 

千歌(そうだ、千歌はもう一人じゃない。一年生の皆がいて、そして梨子ちゃんもいる!)

 

梨子(……)ウナヅキ

 

 

千歌(そして……)

 

 

曜「……」打⇒西

 

曜(千歌ちゃんにすべてを託すよ!)

 

 

千歌「ポン!」

 

 

千歌(……皆の気持ちは今、一つになった)

 

千歌(もう後には下がれない……これが今の私達の全力!)

 

千歌(今、全力で輝こう!)

 

 

千歌「ツモ!」

 

千歌「対々三暗刻混一混老頭白中ドラドラ」

 

 

千歌「6000、12000です!」

 

 

 

 

*****************************************

 

 

 

 

梨子(オーラスが終わった)

 

梨子(最後は千歌ちゃんが渾身の三倍満ツモを上がった)

 

 

花丸「点数! 点数は!? 順位はどうなったずら!?」

 

鞠莉「Wait! いま点棒移動してるから」

 

善子「早くしなさいよもう!」

 

ルビィ「善子ちゃん、珍しく気になるんだね」

 

善子「ヨハネ! 当たり前でしょ!」

 

 

果南「結果は……!?」

 

曜「……」

 

ダイヤ「……」

 

 

 

千歌「……まだ、追いつけない……」

 

 

 

南四局終了時点

南:ダイヤ 26600

西:曜   10200

北:千歌  33000

東:鞠莉  33200

 

 

 

梨子「200点だけ……足りない……!」

 

曜「千歌ちゃん……」

 

花丸「そんなぁ、あんなにいい手だったのに~」

 

善子「役満じゃないと届かなかったって訳ね……」

 

 

ルビィ「200点差…… あっ! もしかして……」

 

曜「……そう……だよ。」

 

梨子「どうかしたの?」

 

曜「千歌ちゃんの三倍満の前、どういう上がりだったか覚えてる?梨子ちゃん」

 

梨子「えーっと確か、ダイヤさんがツモ上がりをして」

 

梨子「点数は300点と500点……」

 

梨子「……えっ! まさか!」

 

 

果南「そうだよ。親被りで千歌がマイナス200点。このダイヤのゴミ手がなければ、点数は同点だった」

 

果南「そして同点の場合は、上家取り……すなわち、千歌の勝ちだった」

 

梨子「そんなことが……」

 

 

鞠莉「もうダイヤったら、余計なことしなくていいのに」

 

ダイヤ「いいでしょう? わたくしだって勝ってほしかったんです。それに、そんなことを言うなら一人で安全なところまで稼いでください」

 

鞠莉「てへぺろ☆」

 

 

千歌「……」

 

曜「千歌ちゃん……」

 

千歌「みんなの想いを乗せた、渾身の一撃だったんだけどなぁ……届かないかぁ……」

 

千歌「やっぱり、三年生はすごいなぁ……」

 

 

梨子「でも、役満だったらまくられてましたよね?」

 

ダイヤ「もちろんそうですわね。でもそれならそれでいいですわ」

 

梨子「??」

 

ダイヤ「役満を上がれるくらい一二年生の気持ちが強ければ、わたくし達が敗北を認めるに相応しいと言えるでしょう」

 

ダイヤ「この麻雀は言わば……わたくし達三年生からの最後の挑戦状だった、というところでしょうかね」

 

果南「麻雀で挑戦状って、なんか変だけどね」

 

鞠莉「何でも同じことデース!」

 

 

 

梨子(こうして、麻雀大会は幕を閉じた)

 

梨子(同時に、私達一二年生は、三年生に負けたのだった)

 

 

 

 

 





一言だけ、言わせてください。

雑になってすみません……


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エピローグ

鞠莉「それじゃあ今回の麻雀大会はマリーがtopってことで♪」

 

千歌「そうだね……悔しいけど、私の負けだよ」

 

花丸「鞠莉ちゃん、おめでとうずら!」

 

曜「鞠莉ちゃん、おめでとう!」

 

鞠莉「Thanks! じゃあそういう訳で、景品頂いてもよろしいかしら?」

 

善子「景品? そんなのあったっけ?」

 

ルビィ「あれだよ、願いを叶えるっていう……」

 

善子「あー……たしかにそんなこと千歌が言ってたわね」

 

 

千歌「そんなこととは何さ! 善子ちゃんも『Aqoursをリトルデーモンにする』ってはしゃいでたくせに!」

 

善子「はしゃいでない! てかヨハネ!」

 

曜「ははは……まぁ正直、私は景品の存在とか忘れてたけどね」

 

ルビィ「ルビィも。久々に麻雀打てて楽しかったから、景品のことなんて忘れちゃってたよ」

 

花丸「そうだね! それに卒業していっちゃう鞠莉ちゃんのお願いなら、喜んで叶えてあげるずら!」

 

梨子「そうだね! 私、麻雀参加してないからあれだけど……出来ることならやるからね!」

 

 

鞠莉「じゃあ、願い事を言わせて貰おうかしら?」

 

曜「ドンと来い!」

 

鞠莉「その前に、一つだけこのお願いの範囲を変えさせて?」

 

千歌「範囲? どういうこと?」

 

 

鞠莉「私一人のお願いじゃなくて、三年生からのお願いにしてほしいの」

 

 

梨子「三年生からのお願い事かぁ。三人分叶えるとなると、結構大変そうじゃない?」

 

曜「そうだね~ まぁ内容にもよると思うけど」

 

ルビィ「千歌ちゃんはどう思う?」

 

千歌「うーん。いいんじゃないかな! そんな無理なお願いじゃないっぽいし」

 

千歌「卒業祝いってことで!」

 

善子「そうね」

 

花丸「卒業祝いのプレゼントずら!」

 

果南「ありがとう、みんな」

 

ダイヤ「ありがとうございます」

 

千歌「それで? 三人の願い事は?」

 

 

ダイヤ「……本当にいいんですの? 鞠莉さん。こんなタイミングで」

 

果南「たしかに、今言うことでもない気がするけど」

 

鞠莉「いいじゃない。遅かれ早かれ言うことにはなるんだし」

 

果南「うーん……まぁ、いいか」

 

 

曜「何? なんかとてつもないことのような予感……」

 

梨子「え、そんな大変なことなら、私はやらないわよ。麻雀やってないし」

 

果南「ううん、そんな大変なことじゃないよ」

 

ダイヤ「ある意味、大変かもしれませんがね」

 

千歌「もう! 何なの? 早く言ってよ!」

 

 

鞠莉「じゃあ……いうわね」

 

 

 

 

 

 

 

「私達が卒業しても、Aqoursは続けてほしい」

 

 

 

 

 

 

 

千歌(こうして、Aqoursでの麻雀大会は終わった)

 

千歌(三年生のお願いである『Aqours』を続けことについては、また後日話し合った)

 

千歌(それをめぐって言い合ったり、イタリアに行くことになるのは、また別のお話)

 

 

 

fin





本編はこれにて終了です。ありがとうございました。

今後は不定期で番外編を書こうと思います。


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