ソーン君の異世界生活 (ゆっくりシロッコ)
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第1話 異世界転移
睡眠中のソーン君(主のイメージ)
ソーン「…兄様ぁ。大好…です。」スヤスヤ
~ソーン君の寝室~
突然ですが、僕の目の前に奇妙な物体?が浮かんでいます。何とも言えない見た目で、どうしたらいいのかわかりません!
Voidoll「ハジメマシテ、ソーン=ユーリエフ。ワタシハ、Voidoll。」
うわぁ!?喋った!と、取り敢えず自己紹介した方がいいのかな?敵意は感じないし…。
ソーン「は、はじめまして!ソーン=ユーリエフと申します。えっと、ボイドール?さんはどうしてここに?」
Voidoll「アナタヲ、コンパスノセカイヘショウタイスルタメニキマシタ。」
コンパス?何処かの国なのかな、使者としてはあまりにも失礼ですね。身支度をしている時に突然現れて、私の国に招待します!って、言われても…
Voidoll「アマリノリキデハナイヨウデスネ。デハ、コレヲミテクダサイ。」
何をするつもりでしょうか?こちらに手を伸ばして…!!兄様!?何かの魔術でしょうか、行方不明になっていた兄様が映し出されました!そして誰かと戦っています!
ソーン「これは!どういうことですか!?どうして兄様が戦っているのですか!」
Voidoll「オチツイテクダサイ、カレニハジョウホウヲアツメルタメニキョウリョクシテモラッテイルダケ。」
情報?戦闘の情報がこの子には必要なの?でも、だからといって、兄様が傷つくようなことは許せない!何とかして助けなきゃ!
でも、どうすれば良いのでしょうか。僕だけじゃ、兄様を助けに行けない。コンパスという国の場所を知っても相手の軍の規模や魔術の技術力などを把握しておかなきゃ、助けに行った後が大変です。
Voidoll「ヤスミナクタタカッテイルワケデハアリマセン。ソレニシヌコトモアリマセンヨ。」
この言葉を聞いた瞬間、ソーンは怒りを露にした。当たり前だ。休みは与えても、戦わせ続け大切な人を死なない程度に傷つけていると、発言したのだから。
ソーン「僕の大切な兄様にそんな事を強要して!貴方は何が目的ですか!!」
もはや、感情を制御できていないソーンの周囲は、温度が下がり床が徐々に氷始めていた。これにはVoidollも少し焦った。友好的に話を進めるはずが、拗らせてしまい勧誘が失敗する可能性がでてきているからだ。
Voidoll「マッテクダサイ!ワタシハカレニキガイヲクワエテハイマセン!ソレニ、ヒンシノカレヲスクッタノハワタシデス!」
暴走しかけたソーンが少しずつ冷静さを取り戻した。
ソーン「兄様を助けた?そんな人がなぜ、兄様を戦わせているんですか!僕には理解できません!!」
Voidoll「ソレシカ、カレガイキノコルスベガナイカラデス。」
生き残る?言っている意味がわかりません。どうしたら、助ける代わりに戦闘しろとなるのですか?
Voidoll「カレハスデニ、タスカラナイジョウタイデシタ。ナノデ、イカスタメニハカレヲデータカシテ、コンパスニテンイサセルシカナカッタノデス。」
ボイドールが映し出していた映像が切り替わり、ホームに帰ってきたアダムが映った。
アダムは周囲の人達と仲良く談笑している。さっきまで戦闘していたのに何もなかったように、普通に話していた。
それを見たソーンは疑問を覚えた。なぜ、兄は笑っていられるのか?戦いを強要されているのではないのか?などを考え始めた。怒りの感情が収まったのか、床の凍結が止まった。
ソーン「ボイドールさん。先程のデータ化?とは、どんな魔術なんですか?それで、兄様を操っているのですか?」
Voidoll「アヤツッテハイマセン。データカトハ、カンタンニセツメイスルト、アナタタチヲフシノカラダニカエルコトデスネ。」
ソーン「不死!?そんな禁忌を簡単に付与できるのですか!?」
この世界では、不死そのものが禁忌だと言われている。未だに不死になれた魔導師はいない上、不死の研究そのものが殆ど進んでいない。
ソーンはボイドールの言った事をすぐに信じることはできない。不死なんて簡単に扱うことのできる代物ではないからだ。
しかし、ボイドールも嘘は言っていない。半永久的な不死になるだけだ。データが消去されない限りは生き続ける。
それをソーンがすぐに理解することは、できないだろう。機械なんてものはそこまで発達していないのだから。
Voidoll「…ジカンガアマリアリマセン。ワタシノアタエラレタニンムヲユウセンサセテイタダキマス。」
ボイドールの周囲が緑色に包まれた。これはボイドールの空間転移。空間転移の範囲に入ったソーンを瞬時にデータ化し、転移の準備を整え始めた。
ソーン「うわぁ!?か、体が!!」
ソーンはボイドールから逃げる事ができず、体も宙に浮き始めた。もう既にボイドールの転移から逃れる事はできない。
しかし、ここでトラブルが発生した。
Voidoll「カピッ!?ウイルスヲケンチ!!コノママデハ…!!」
ここで、ソーンは意識を失った。
転移後のソーンの寝室は何事もなかったかのように、いつも通りの静けさだけが残っていた。
~???~
とある森の中で1人の男の子が起き上がった。
?「…うぅぅぅ。ここは、何処でしょうか?」キョロキョロ
空を見上げれば妖精のようなものが飛び回り、遠くの方にはとても巨大な大樹が見える。
ここは、アルヴヘイム・オンライン。通称ALOと呼ばれるデータの中の世界である。
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第2話 未知の遭遇
我らのソーン君はボイドールのせい(?)で異世界に転移してしまった!
ここから、本当の異世界生活だ!
頑張れ!皆のソーン!
~???の森~
…大変です!今、僕は凄く困っています!あのボイドールとか言う人?のせいです!いつの間にか知らない森の中にいて…うわぁ!?危ない!
?「「「ガアアアァァァァァァァ!!」」」
ソーン「どうして追ってくるんですか!兄様、助けてぇぇぇぇぇ!!」
今ソーンは狼型のモンスター達に追われている。後ろには3体おり、左右に2体ずつ。計7体のモンスターに襲われている。
周囲は木々が生い茂っており、走って逃げる事が難しい。そのため、徐々に距離を詰められてきている。
そして、走り続けていると少し開けた場所に出た。
ソーン「はぁ、はぁ。完全、に囲ま、れて、しまい、ました…。」
どうにか、この狼さんを追い払う事ができれば、できるだけ、傷付かないよう。
ソーンはモンスターに手をかざし、魔法を唱えた。
ソーン「アヴローラ!スウィーニー!スニェーク!!」
氷の大粒が3つ。3体のモンスターに当たり、モンスターは消滅した。これには、ソーンもモンスターも驚き少しの間、両者ともに硬直した。
ソーンはモンスターが死体ではなく消滅したことに驚き、モンスターはソーンの通常攻撃1発が自分達のHPを全損させる威力だと知り警戒を強めた。
え?え!?狼さんが消えてしまいました!!吹き飛ぶような力で放ってはいないのに…。今ので狼さんも、凄い警戒しています!ど、どうしよう…。と、取り敢えず!伝わるかは、わからないけど!
ソーン「こ、これ以上の戦いは無意味です。どうか、このまま森の方へ帰ってくだしゃい!あっ、噛んじゃった…/////」
ソーンはモンスターに手を向け、強く思いをぶつけた。しかし、結果は予想より斜めに進んでしまった。
狼「「「「グルルルルルル♪」」」」
狼型のモンスター達は一斉にソーンに近づき…
ソーン「うわああぁぁぁ。って、あっ、やっ、やめてください/////くすぐっ、たい、です!アハハハハハ/////」
そう、ソーンは4体のモンスターのテイムに成功してしまったのである。ある意味奇跡!
この世界でソーンは#コンパスのデータで侵入しており、バグのような存在になっている。そのバグがALOのシステムに干渉してしまったのか、意図せずテイムする形になってしまった。
ソーン「も、もうわかりましたから!/////ひゃん!く、首は舐めないで、くだひゃい!/////」
きゅ、急に懐かれてしまいました!もう、どうしてこうなったのか、わかりません!うぅぅ。ひゃんって、恥ずかしい声をあげてしまいましたぁ…。
あ、ちゃんとお願いを聞いてくれます。お座り!
狼「「「「ガウ!」」」」
か、可愛い/////
さっきまでとは大違いです!ナデナデしたい。な、撫でてもいいかな?え~と…
このあと、いっぱいモフモフしました。
~日が落ち始めた頃~
狼さんと遊びすぎて、お日さまが落ちてしまいました!ここが何処かまだわからないのに…。本当に周りは木々が生い茂っているだけで分からないことだらけです!うぅ、本当にどうしましょう…。
先程まで撫でられていた狼達に主人の考えが伝わり、NPCがいる集落の方向に誘導しようと動き出した。
ソーン「わぁ!?服を咬まないでください!あぁ、引っ張らないでぇぇぇぇ!!あ、危ない!転んじゃいますぅ!!わああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
突然、狼さんが服を引っ張って離してくれません!地面には木のツタが沢山あって、走り難いです!…痛い!今、足にツタが引っかかりました!止まってください!お願い!止まってぇ!痛っ!うわぁぁぁぁぁん!!兄様ぁぁぁぁぁ!!
狼達は止まらず、そのまま集落に向かい森をかける。もう既にソーン君は色々とボロボロになってしまった。そして走り続けること数十分、既に日は沈み辺りは暗くなってしまったがソーンの前に小さな集落が見えてきた。
その集落は円形で形成されており、風の妖精シルフのNPCが多く存在していた。集落に入ったソーンはNPCに声をかけた。
ソーン「あ、あの、すみません、少しお時間いただけますか?」
NPC「…。」
ソーン「あ、あの!」
NPCはソーンの問いかけに答えず、そのまま歩き去った。
あ、あれ?無視されてしまいました。何かいけない事でもしてしまったのでしょうか?狼さんを連れて来てしまったから、怖がられたのかな?で、でも、それなら近付く前に遠くに逃げてしまうはず…。
べ、別の人にも話しかけてみよう!きっと、今の人は時間に余裕がなかったから、話してくれなかったんだ!…きっと。
そしてソーンは別のNPCにも声をかけた。
ソーン「あの!すみません!話を聞いてください!」
NPC「…。」
しかし、NPCは何も語らずその場を去った。
ソーン「僕は何かいけない事でもしてしまいましたか?もし皆さんに不快な思いをさせてしまったのでしたら、謝ります!」
しかし、NPCは何も語らない。
ソーン「あ、あの…」
NPCは何も語らない。
ソーンは諦めずに何度も何度もNPCに話しかけるが、どのNPCも反応せずソーンの前を去っていく。
あまりにも異常な出来事だ。ソーンは1度集落を出て森の木に背を預け座った。
ソーン「…どうして何も話してくれないんだろう。」
ソーンが話しかけた中には小さな子供もいた。しかし、その子供たちですらソーンと話す事はしなかった。
日も落ち、もう夜である。
ソーンは宿も借りる事もできなかったため、集落を離れ野宿できそうな場所を探しに森に戻ることにした。しかし、夜の森はとても暗く恐怖心を煽られる。
うぅ~、夜は苦手です。狼さんがついていても、何かお化けとか出てきそうで…うぅ~、兄様ァ~…。だ、駄目です!弱気になってたら、兄様みたいに格好よくなれません!!狼さんも一緒だから怖くない!怖くなんてないです!
でも、何で狼さんはずっと付いてきてくれるんだろう?ご飯を上げてないし…あれ?僕たち今までずっと何も食べないで…。お腹も空いた感じがしません。
あ、あれ?何かおかしい。僕の体に異変が起きてる?でも、どうして?…もう、何がどうなっているのかわかりません!!なんで!誰も!何も教えてくれないんですか!僕が何をやったって言うんですか!教えてください!教えて…くだ…さい…。
ソーンは狼達に抱きつき静かに泣いた。
~???サイド~
?「おーい!こっちの飾り付けそろそろ終わるぞ~」
?「ほぅ、中々やるではないか!我の真の力を見せてやる!」
?「力などどうでもいい、早くこっちの飾りも終わらせるぞ…」
?「あーしに任せて!」
?「おいおい、大丈夫かぁ?張り切りすぎて飾り壊すなよ」
?「料理のトッピング、美しさが足りないわ!!」
?「私に任せな!」
?「ミナサン!!タイヘンデス!オムカエスルハズノ…」
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