デュエル・ア・ライブ (デュエル大好き!)
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第一話

始まり~デュエル~


私は、抗う。『あの子』が幸せな結末に至れるのだとしても……この結末(エンディング)幸せな結末(トゥルーエンディング)とは認めない。

そして、奴等(・・)も認めない。あんな世界を壊すだけのガン細胞みたいな奴等を……

 

だから、作ろう。私の端末を。だから、送ろう、私の意思を。

 

だから、どうか……彼ら(・・)を宜しくね……私のお人形(・・・)さん。

 

…………………………

 

ビビビビビビビ!

「あーうーおー……」

私『鳶一(とびいち)折鶴(おりづる)』の朝は、交互に早い。お姉ちゃんと決めた朝の当番が交互に来るからだ。

 

「ううー……もう朝か~」

私はパジャマを脱いで制服姿になると、エプロンを装着し朝御飯の準備をする。

え~と……今日はスタンダードにトーストとベーコンエッグにするかな。

 

私はメニューを組み立て、手早く料理を作ってお皿に盛ると、そのままお姉ちゃんの部屋に向かう。

 

「お姉ちゃ~ん、朝だよ~」

私がそう言いながら部屋の扉を開けると……

 

「士道士道士道士道士道士道士道士道士道士道士道士道士道士道士道士道士道士道士道士道士道士道士道士道……」

そこには盗撮した親友の兄の写真をプリントした抱き枕を抱き締めて何やら妄想する変態(あね)が部屋の中にいた。

 

「…………」

私は部屋の扉をそっと閉めると、深呼吸をしてもう一度部屋の外から扉を叩く。

 

「お姉ちゃん! 朝! 五河先輩グッズで妄想するのを止めて出てこい!」

私がそう言うと、お姉ちゃん……『鳶一折紙(おりがみ)』が制服姿で出てきて食卓の椅子に座る。

 

「おはよう、折鶴。今日も良い天気」

「うん、そうだね。とりあえずさ、何時も言ってるよね? 『五河先輩グッズで妄想するなら私がいないときにして』って……お陰で時々実の姉にどん引くはめになるんだけど……」

「折鶴も士道の事を好きなんだから受けいれるべき」

「ごめん、お姉ちゃん程変態方面に吹っ切れないから……『(こと)ちゃん』への遠慮もあるし」

「……士道の妹さんの事?」

「うん。琴ちゃんって『お兄ちゃん大好き!』オーラ出しまくってるからねえ……つい、遠慮しちゃうんだよね」

「親友なら取り合っても良いべき。その時は私も相手になる」

「うん、まあ善処はするかなぁ……」

私達は朝食を食べながら、話をする。おっと、今日の天気予報は……っと。

 

『本日の未明、小規模な『空間震(くうかんしん)』が……』

「また? 最近、多いね」

「……そうね」

私が最近多くなった現象……『空間震』について触れるとお姉ちゃんが急激に口が重くなる。

……どうしたんだろう?

 

「あ、登校しないと不味いね……ご馳走さま」

「ご馳走さま、今日も美味しかった」

「お粗末様……あ、今日は進級して初日だし夜ご飯は外食にしようよ」

「わかった」

私はお姉ちゃんにお弁当を手渡しながら言うと、お姉ちゃんは頷きながら家を出ていった。

 

「さてと……私も行かなきゃ」

私は去年の誕生日に琴ちゃんから貰ったブレスレットを身に付けた後、忘れ物がないかどうかを確認してから家に鍵を掛けて歩き出した……

 

…………………………

 

「おっはよー! 鶴ちゃん!」

「おはよう、琴ちゃん」

入学式が終わって教室に着くと、私の親友である琴ちゃんこと『五河(いつか)琴理(ことり)』が手を振りながら私に挨拶してきた。

 

「鶴ちゃん、鶴ちゃん! 今日は新しいデッキを組んだんだけど、後で試運転の相手をしてくんない?」

「うん、良いよ。私も新しいデッキを組んだところだから、試運転の相手が欲しかったんだよね」

「やったー! じゃあ、何時もの……」

「よお、琴理!」

「げ!?」

私が琴ちゃんと約束をしていると、横から銀髪オッドアイの厨二病真っ盛りの男子が話しかけてきた。

 

「……琴ちゃん? こいつが嫌いなのはわかるけど、私を盾にするのは止めてくれる?」

「ご、ごめん、鶴ちゃん……でも、やっぱり無理……」

まあ、痛々しいからねえ……

因みにこいつの名前は『覇皇(はこう)L(ルシファー)S(スルト)王者(キング)』。

名前も完全無欠な厨二病なんだよね……因みに何故か初対面から琴ちゃんを名前呼びだし、ベタベタしてくるし、何より琴ちゃんを見る眼が欲望丸出しだから琴ちゃんからは思いっきり嫌われている。

 

「おいおい、恥ずかしがるなよ……それよりも、何時になったら俺とデートしてくれるんだ?」

「……前に言ったでしょ、鶴ちゃんとの決闘(デュエル)に勝ったらするって」

「……しょうがないな。鳶一さん、俺と決闘してくれないかな?」

「……はいはい(デッキは……久しぶりにこれかな?)」

私は溜め息を吐きながらDEM社製の『デュエルディスク』の最新モデルである『D(デュエル)・リアライザ』を起動する。

 

「「デッキ、セット! 『決闘顕現(デュエルリアライザ)』、起動!」」

私たちはデュエルディスクにデッキをセットすると、キーワードを言って私達の周辺にソリッドヴィジョンが展開される。

 

「……う~ん、基本の『草原A』か。ま、何処でも良いんだけどね」

「お、今日も覇皇が鳶一に挑むのか」

「何回負けたら懲りるのかねぇ……」

「以前なんて禁止制限を無視した全盛期の『征竜』を使ったのにボロ負けしたもんね……」

「しかも『征竜の回し方を知らなかった』ていうオチも付いたしな……」

「鳶一も鳶一で覇皇が捨てたデッキを次の日に使って、お手本を見せるかのようにぶん回してボッコボコにしたからな……」

私が周りを見渡すと、私達がデュエルを始めたのに気付いたのかクラスメイト達が集まってきた。

あ、みんなの言葉に覇皇のこめかみがピクピクしてる。

 

「「……決闘!」」

覇皇:LP4000

私:LP4000

私達が闘いの合図を言うと、私はデッキからカードを5枚引いて確認する。

 

……うん、次のターンに行けるね。

 

「先攻は俺だ! 俺は『召喚師のスキル』を発動! 『クリフォート・ツール』を手札に加える! 俺はクリフォート・ツールと『クリフォート・アセンブラ』をペンデュラムスケールにセッティング! ツールの効果で2体目のアセンブラをサーチして、そのままペンデュラム召喚! 『クリフォート・アーカイブ』2体とアセンブラを特殊召喚! アーカイブをリリースしてで『クリフォート・ディスク』をアドバンス召喚! ディスクの効果で『クリフォート・ゲノム』2体を特殊召喚! これで俺はターンエンド! エンド時にアセンブラの効果で二枚ドロー、ゲノムは自壊してエクストラデッキに行く!」

覇皇:LP4000→3200

クリフォート・ディスク ATK2800

クリフォート・アセンブラ ATK2400

 

おおう、初っぱなから飛ばすねぇ……

 

覇皇:LP3200

手札:2枚

フィールド:クリフォート・ディスク(攻)、クリフォート・アセンブラ(攻)

ペンデュラム:クリフォート・ツール、クリフォート・アセンブラ

魔法・罠:無し

 

「ま、蹂躙するんだけどね。私のターン、ドロー!」

あ~……うん、引いても引かなくても勝ってたから……折角だし、使うかな。

 

「手札から『ヒーローアライブ』を発動! ライフを半分払って、デッキから『E・HERO(エレメンタルヒーロー)シャドー・ミスト』を攻撃表示で特殊召喚!」

私:LP4000→2000

E・HEROシャドー・ミスト ATK1000

 

「そのまま効果で『フォーム・チェンジ』を手札に加える! そして『E・HEROブレイズマン』を召喚して、効果を発動して『融合』を手札に加えるよ! そして融合を発動! ブレイズマンと手札の『E・HEROエアーマン』を融合して『E・HEROノヴァマスター』を特殊召喚!」

E・HEROノヴァマスター ATK2600

 

「『一族の結束』を発動! 墓地には戦士族しかいないから戦士族のシャドー・ミストとノヴァマスターの攻撃力は800アップ! そのままバトルフェイズ! ノヴァマスターでクリフォート・ディスクに攻撃! 『ヒートオブノヴァ』!」

シャドー・ミスト ATK1000→1800

ノヴァマスター ATK2600→3400

 

ノヴァマスターVSクリフォート・ディスク

   ATK3400VSATK2800

 

覇皇:LP3200→2600

 

「ノヴァマスターの効果で一枚ドロー」

「ぐ……だ、だがシャドー・ミストの攻撃力でアセンブラは……」

「アセンブラにシャドー・ミストで攻撃! ダメステで『E・HEROオネスティ・ネオス』の効果を発動! このカードを捨ててシャドー・ミストの攻撃力を2500アップさせるよ! 『オネスティ・ミストスラッシュ』!」

「何だと!?」

シャドー・ミストVSクリフォート・アセンブラ

 ATK1800→4300VSATK2400

 

覇皇:LP2600→700

 

「ぐはぁ!? だ、だが……次のターンで……」

「次のターンは、無い! 私は速攻魔法、フォーム・チェンジを発動! ノヴァマスターをエクストラデッキに戻して『M・HERO(マスクドヒーロー)光牙(こうが)』を特殊召喚してダイレクトアタック!」

M・HERO光牙 ATK2500→3300

 

「ば、バカな……うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

覇皇:LP700→-2600

 

「連勝記録更新……っと」

「鶴ちゃん、惚れ惚れするようなワンターンキルだったね……残りの手札はなんだったの?」

「ん? 初期の手札はオネスティ、エアーマン、ブレイズマン、結束、『融合解除』だよ? 因みにノヴァマスターの効果でドローしたのは『奈落の落とし穴』だった」

「手札に『速攻のかかし』とかがあっても負ける運命だったんだね……」

「まあね」

それにしても……なんで覇皇って、こんなに引きが悪い……

 

警報が鳴り響く。

 

『空間震警報が発令されました! みなさんは急いでシェルターに避難をしてください! 繰り返します……』

「え……うそ!?」

「空間震!? マジで!?」

「うそ、どうなって……」

「……そう、来たのね」

「(くくく……漸くこの時が来たか……!)」

私が慌てていると、琴ちゃんから何時もの天真爛漫さが嘘かの様な冷静な言葉が紡がれる。

 

「みなさん、急いでシェルターに避難してください!」

私が先生の指示に従ってシェルターに避難しようとすると……琴ちゃんが避難するみんなの間を縫って何処かに行こうとするのが視界の端に入った。

 

「琴ちゃん!? すいません、琴ちゃ……じゃなかった! 五河さんが違う場所に行ってるので連れ戻してきます!」

私は先生に一言言うと、慌てて人の波を掻き分けながら琴ちゃんの後を追った……

 

 




次回予告

折鶴「琴ちゃんは見つからないし、変な刀を握ったら服装が恥ずかしい物になるしでもう散々! あれ、五河先輩? それにあの人は……え!? 刀が急に……!?」

折鶴「デュエル・ア・ライブ、次回『起動~エンゲージ~』!」
???「お前は、一体……?」


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