高度育成高等学校にボクシング部があると思って入学したらボクシング部は去年廃部していました。 (乗客に声を掛けている)
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1話 バスの中での出来事

東京都高度育成高等学校。日本政府が作り上げた未来を支えて行く若者の育成を目的とした学校だ。就職率・進学率共に応える。国指導の徹底した指導により希望する未来に全力で応えるという。そんな高度育成高等学校は勉学だけでは無く部活動でも入賞している程盛んだ。ここで幾つか学校にあり何度も大会で入賞している部活を紹介しよう。

 

一つ目はサッカー部。創部して十年の間に六年連続全国大会優勝という成績を上げている。

二つ目は野球部。創部して十三年の間に甲子園出場十回その内二回はベスト8を記録し、六回はベスト4を記録し、三回は優勝という記録を残している。

三つ目はバスケ部。創部して十二年の間にインターハイ出場六回その内三回はベスト4を記録し、三回は優勝という記録を残している。

最後に四つ目はボクシング部。創部して二十年の間に新人ボクシング大会ライト級,フライ級,ミドル級にて十三回連続優勝。ライト級では十人の部員がオリンピック選手となった。残るフライ級,ミドル級ではそれぞれ三人の部員がオリンピック選手となった。

 

冒頭で説明した通り高度育成高等学校は就職率・進学率共に100%の為それを狙いほとんどの生徒が入学して来る。だがほんのひと握りだけの生徒は高度育成高等学校が代表する部活に入部したい為に入学して来るのだ。

 

 

〜バスの中〜

 

「席を譲ってあげようと思わないの?そこの君お婆さんが困ってるの見えないの!?」

「実にクレイジーな質問だねレディー、何故この私が老婆に席を譲らなければならないんだい?どこにも理由はないが」

「君が座っている席は優先席よ、お年寄りに譲るのは当然でしょう?」

「理解できないねぇ」

 

とあるバスの中では一人のOLと高度育成高等学校の制服を身にまとっている金髪の少年が口論をしていた。二人が口論になった理由はバスに一人の老婆が乗ってきたからである。

 

バスに乗ってきた老婆は杖を着きヨロヨロと歩きたっているのが辛そうだった。そんな老婆を見てOLが優先席に座っている金髪の少年に席を譲るように言ったが金髪の少年それを拒否した。

 

こうしてバスの中ではOLと金髪の少年の口論が続いているのだ。

 

「私は健全な若者だ、確かに立つことに然程の不自由は感じはしない、しかし座っている時よりも体力を消耗することは明らかだ、意味もなく無益なことをするつもりはなれないねぇ」

「そ、それが目上の人に対する態度!?」

「目上?君や老婆が私よりも長い人生を送っていることは一目瞭然だ。だが、目上とは立場上の人間を指して言うのだよ。歳の差があるとしても生意気極まりない実にふてぶてしい態度ではないかい?」

「なっ・・・・・・!!あなた高校生でしょ!?大人の言うことを聞きなさい!!」

 

数十分続いた二人の口論も終わりに近づいてきた。金髪の少年の正論すぎる言い分にOLは苦し紛れに「目上に対する態度」と言う言葉を使ったが金髪の少年は焦りもせず「目上に対する態度」の意味を改めてOLに言った。OLはムキになり先程まで冷静な口調は何処に行ったのやら激しい口調で金髪の少年に注意した。

 

「も、もういいですから・・・」

「どうやら君よりも老婆の方が物わかりが良いようだ、まだまだ日本社会も捨てたものじゃないね、残りの余生を存分に謳歌したまえ」

 

二人の口論を見ていた老婆はこれ以上は大騒ぎになると思いOLを手ぶりで宥めた。金髪の少年はそんな老婆に対して明らかに上から目線の口調で老婆に言うとそのままヘッドホンをし音楽を聴き始めた。

 

「すみません・・・」

「あの、あの・・・私もお姉さんの言う通りだと思うな」

 

OLは必死に涙を耐えながら老婆に謝罪をし席に戻ろうとした時一人の少女がOLの意見に賛同した。

 

「お婆さんさっきからずっと辛そうにしているみたいなの席を譲ってもらえないかな?その余計なお世話かもしれないけど、社会貢献になると思うの」

「社会貢献か、面白い意見だ。お年寄りに席を譲るのは社会貢献の一環かも知れない。しかし私は社会貢献には興味がないんだ。私は自分が満足できればそれでいいと思っている。それともう一つ、このような混雑した車内で優先席に座っている私をやり玉にあげているが他にも我関せずと居座り黙り込んでいる者達は放っておいていいのかい?お年寄りを大切に思う心があるのならそこには優先席、優先席でないなど些細な問題でしかないと思うのだかね」

 

少女の言葉は金髪の少年には届かず逆に金髪の少年は長々と少女やOLに正論をぶつけた。この発言に少女やOLや老婆更にこのバスに乗っている乗客誰もが反論出来なかった。

 

「皆さん、少しだけ私の話を聞いて下さい。どなたかお婆さんに席を譲ってあげて貰えないでしょうか?誰でもいいんですお願いします」

「あっ、俺いいですよ」

 

だが少女は挫けることなく金髪の少年の説得を諦め他の乗客に達に老婆の為に席を譲って欲しいと頭を下げお願いをした。だが誰一人少女のお願いに応える者は居なかったと思えたが奥の席の方で一人の黒髪の少年が手を挙げた。

 

「い・・・いいんですか?」

「あ、はい大丈夫です、それにもうすぐ目的地に着きますし、たっていた方がトレーニングにもなりますしね」

「そうですか、ありがとうございます!」

 

老婆は手を挙げた黒髪の少年に本当に座っていいのか聞いた。黒髪の少年は大丈夫ですと言い席を立った。老婆は黒髪の少年に一言お礼を言い席を座った。

 

「あ・・・あの、ありがとうね席をお婆さんに譲ってくれて」

「あぁ、別にもうすぐ目的地に着くからそろそろ席を立とうかなって思ってたし、それより君もあんな空気でアイツに意見に言うなって大したものだよ尊敬するよ」

「そ・・・そんな、当たり前の事をしただけだよ」

 

黒髪の少年は老婆に席を譲り前の方に移動してきた。すると少女が黒髪の少年に近づき老婆に席を譲ってくれた事に対してお礼を言った。黒髪の少年は自分よりあの空気で金髪の少年に意見した少女を褒めた。褒められた少女は少し照れながら当たり前の事をしただけと答えた。

 

『高度育成高等学校前に到着しました』

「おっ、もう着いたのかじゃ俺は降りるから、あっ、あとアンタさもう少しあの性格と態度直した方がいいよ、あんな態度とってると友達無くすよ」

 

しばらく少女と黒髪の少年が話していると運転手のアナウンスが流れた。それを聞いた黒髪の少年は開いた入り口に向かう前に金髪の少年に一言言ってからバスから降りたのだった。

 

 

〜高度育成高等学校校門前〜

 

「ふぅ〜、ここがボクシングで有名な高度育成高等学校か、ボクシング部に入るのが楽しみだな!!」

 

高度育成高等学校校門前では先程バスから降りた黒髪の少年黒川遼太郎が立っていた。遼太郎は何故かボクシング部に入るのが楽しみだと言いそのまま校門をくぐって行った。



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2話 1年D組

高度育成高等学校の体育館では新入生を歓迎する式入学式を行っていた。体育館には四クラス二十五人計百人の生徒が校長や生徒会長の話を立ったまま聞いていた。入学式に参加している生徒達は各自色々な心情を抱いていた。例えばこれからの学校生活の事を考え緊張している生徒や長い入学式に飽きている生徒などが居る。

 

『これにて第○○回入学式を終わります、各クラスはそれぞれのクラスに向かってください』

 

壇上に上がった一年生の学年主任の指示に従い各クラスはそれぞれ三年間生活するクラスに向かって行った。

 

 

~教室内~

 

「ねぇ、君名前教えてよ」

「うん?俺?」

「あぁ、そうだけど」

「何で、俺の名前なんか聞くんだ?」

「いや、後ろの席だから一応名前を聞いた方がいいかなって思って」

 

入学式が終わりD組の生徒達はそれぞれ教室に行きそれぞれスマホを弄ったり近くの生徒達と雑談していた。そんな中遼太郎は自分の後ろに座っている男子生徒に自己紹介を求めた。

 

「まぁ、これから絡む可能性もあるしここは自己紹介をしたほうがいいよな、ってことで俺の名前は綾小路清隆だよろしくな」

「おぉ、よろしくな綾小路!俺は黒川遼太郎、中学はボクシングをやってた」

 

男子生徒綾小路清隆は席の都合上これから遼太郎と絡む可能性があると言い進んで自己紹介をした。綾小路の自己紹介が終わり遼太郎も自己紹介をした。

 

「なぁ、黒川ボクシングの階級は何処なんだ?」

「俺は平均体重が六十キロだからライト級だ」

「へぇ~、じゃライト級にはどんな相手がいるんだ?」

「う~ん、プロだと青木勝さんや間柴了さんがいて高校だと高村信二や神崎徹とかがいるかな」

「結構色んな選手がいるんだな」

 

綾小路は遼太郎にボクシングの階級はどれかと聞いた。遼太郎は素直にライト級と答えた。綾小路は次にライト級の選手の事を聞いた。遼太郎はプロで有名な選手と高校で有名な選手の名前を上げた。

 

 

「皆、少し話を聞いて貰ってもいいかな?」

「「ん??」」

 

綾小路と遼太郎がしばらくボクシングの話題を話していると一人の男子生徒が立ち上がり生徒達に呼び掛けた。

 

「僕らは今日から同じクラスで過ごすことになる。だから今から自己紹介を行って、一日も早く皆が友達になれたらと思うんだ。さいわい先生もまだ来てないし、どうかな?」

男子生徒は担任の教師が来る前に一度自己紹介をしようと提案した。

 

「賛成!!私達まだ皆の名前とか、全然わかんないし」

「確かに、今のうちに自己紹介しておいた方がいいよね〜」

 

男子生徒の提案に一人が賛成するとまた一人また一人と男子生徒の提案に賛成を表明した。

 

「じゃまず、言い出しっぺの僕から、僕の名前は平田洋介。中学では普通に洋介って呼ばれることが多かったから、気軽に下の名前で呼んで欲しい。趣味はスポーツ全般だけど、特にサッカーが好きで、この学校でも、サッカーをするつもりなんだ。よろしく」

 

クラスのほとんどが賛成した所で自己紹介を提案した男子生徒平田洋介が自己紹介した。平田はイケメンな為自己紹介が終わると数人の女子生徒が平田に擦り寄って行った。

 

「じゃ、もし良ければ、端から自己紹介を始めて貰いたいんだけど・・・いいかな?」

 

平田はあくまで自然にそれとなく確認を取った。端に座っている女子生徒は最初は少し戸惑っていたがすぐに意を決して立ち上がった。

 

「わ、私は、井の頭、こ、こ───つ」

自己紹介をしようとして言葉がつまった井の頭と名乗った女子生徒は頭が真っ白になったのかはたまた考えがまとまっていなかったのかその後言葉が一切出なかった。

 

「がんばれ〜」

「慌てなくても大丈夫だよ〜」

 

そんな井の頭を見てクラスメイト達からの優しさが飛んだ。だかそれは彼女によってプレッシャーになってしまった。

立ちすくんだまま動けなくなる井の頭を見て一部の女子生徒から小さな失笑が出始めた。

そんな中一人の女子生徒がこんな言葉を投げかけた

 

「ゆっくりでいいよ、慌てないで」

 

この言葉は頑張れや大丈夫とは同じようた言葉に見えて持つ意味は全く違う。緊張している相手に頑張れや大丈夫という言葉は励みとある同時に周囲に合わせるよう強いられている言葉にも取れる。

 

対してゆっくりでいいよ、慌てないで、と言う言葉は相手に合わせる意味を持つ。

 

その言葉に落ち着きを取り戻したのか小さく呼吸を整えた。

 

「私は、井の頭・・・・・・心と言います。えと、趣味は裁縫とか、編み物が得意です。よ・・・よろしくお願いします」

 

すらりと自分の言いたいことを言えた井の頭はホットしたよう、嬉しそうな、恥ずかしそうな仕草を見せて椅子に腰を下ろした。

 

「俺は山内春樹。小学校の時は卓球で全国に、中学時代は野球部でエースで背番号は4番だった。けどインターハイで怪我をして今リハビリ中だ。よろしく」

 

井の頭の自己紹介が終わり無事に自己紹介が続いた。次に自己紹介した山内春樹と名乗った男子生徒の自己紹介の内容はツッコミどころ満載だった。

 

まず野球部でインターハイに出場したと言うのは明らかに嘘だ。何故ならインターハイは高校生の大会で中学生は絶対に出れないからだ。

二つ目は背番号4番という言葉だ。山内は背番号4番=打順4番目と思いこんでいるみたいが打順の順番に背番号は一切関係が無い。

 

その為クラスメイト達は全員山内が言った自己紹介のほとんどは嘘で山内はウケ狙いのジョークで言ったのだと解釈しているだろう。

 

「じゃあ、次は私だね」

 

次に元気よく立ち上がったのは井の頭にゆっくりでいいよと声を掛けた女子生徒だった。そして今朝のバスの中で老婆を手助けした女子生徒だった。

 

「私は櫛田桔梗と言います、中学からの友達は一人もこの学校に進学していないので一人ぼっちです。だから早く顔と名前を覚え友達になりたいって思います」

 

大体の生徒が一言で挨拶を終えていく中櫛田は言葉を続けた。

 

「私の最初の目標として、ここにいる全員と仲良くなりたいです。皆の自己紹介が終わったら、是非私と連絡先を交換してください。それから放課後や休日は色んな人と沢山遊んで、沢山思い出を作りたいので、どんどん誘ってください。ちょっと長くなりましたが、以上で自己紹介を終わります」

 

長く続いた櫛田の自己紹介が終わると今日一番の拍手が起きた。人間は長い話を聞くと必ず飽きるものだが櫛田の長い自己紹介を聞いているクラスメイト達は飽きもせず逆に聞くことに集中していた。

 

(う〜ん?そろそろ俺の自己紹介番だし何を言おうかな・・・・・・?)

平田,井の頭,山内,櫛田と言う四人の生徒の自己紹介を聞いた遼太郎はそろそろ自分の番だなと思い自分の自己紹介の内容を考えていた。

 

「じゃあ次────」

 

促するように次の生徒に視線を送る平田だが、次の生徒は強烈な睨みを平田に向けた。睨みを向けた生徒は髪を真っ赤に染め上げたいかにも不良と言う言葉がピッタリな生徒だった。

 

「俺らはガキかよ。自己紹介なんて必要ねえよ、やりたい奴だけでやれ」

赤髪の男子生徒は平田に睨みつけた。まさき平田に今にも食って掛かりそうな勢いだ。

 

「僕に強制することは出来ない。でも、クラスで仲良くしていこうとすることは悪いことじゃないと思うんだ。不愉快な思いをさせたのなら、謝りたい」

 

真っ直ぐに見つけ頭を下げた平田の姿を見て女子の一部が赤髪の男子生徒に睨みつけた。

 

「自己紹介くらいいいじゃないの」

「そうよそうよ」

 

自己紹介で一躍人気者になった平田はあっという間に女子生徒の大半を味方に引き込んでいた。しかしその反面赤髪の男子生徒をはじめ男子生徒からは半分嫉妬に似た怒りを買っていた。

 

「うっせぇ。こっちは別に仲良しごっこするためにココに入ったんじゃねえよ」

 

赤髪の男子生徒はそう怒鳴り机を蹴りそのまま黙ってしまった。

 

「取り敢えず、自己紹介をやりたくない人は言って欲しい、そうすれば僕も無理矢理自己紹介をさせないから」

 

赤髪の男子生徒の意見?を聞き平田は自己紹介をやりたくない人に呼び掛けた。

 

「俺は池寛治。好きな物は女の子で、嫌いな物はイケメンだ。彼女は随時募集中なんで、よろしくっ!もちろん可愛い子か美人を期待!」

 

山内同様ウケを狙ったのか、本気で言ったのか分からないが池寛治と言う男子生徒は少なくとも女子生徒の反感を買った。

 

「すごーい、池くんカッコイイー」

「マジマジ?や、俺も自分で悪くないとは思ってたんだけどさ、へへっ」

 

女子生徒の一人が100%嘘だと分かる無感情な声で言った。だか池はそれを真に受けてしまいちょっと恥ずかしそうに頬をかいた。

 

池の自己紹介が終わると次は今朝バスで問題行動を見せていた男子生徒高円寺の順番がやって来た。高円寺は長めの前髪を手鏡で確認しながら、クシを使い無駄に整えていた。

 

「あの、自己紹介をお願いできるかな?駄目ならいいんだけど───」

「フッ。いいだろう」

 

高円寺は貴公子のように微笑んで長い足をゆっくりと上げ誰もが立ち上がるのだと思ったが高円寺は両足を机に乗せその体勢で自己紹介を始めた。

 

「私の名前は高円寺六助。高円寺コンツェルンの一人息子にして、いずれはこの日本社会を背負って立つ人間となる男だ。以後お見知りおきを、小さなレディーたち」

 

高円寺の自己紹介はクラスメイト達と言うより異性に向けた自己紹介だった。ボンボンな高円寺に女子生徒達が目を輝かせると思いきやただ変人見る目で高円寺を見ていた。

 

「それから私が不愉快と感じる行為を行った者には、容赦なく制裁を加えていくことになるだろう。その点には十分配慮したまえ」

「えぇっと、高円寺君。不愉快と感じる行為って?」

 

制裁と言う言葉に不安を感じた平田は恐る恐る高円寺に聞き返した。

 

「言葉通りの意味だよ。しかし一つ例外を出すなら私は醜いものが嫌いだ。そのようなものを目にしたら、果たしてどうなってしまうやれ」

「あ、ありがとう。気を付けるようにするよ」

 

高円寺は前髪をファサッとかき上げ一つ例外を平田に話した。平田は苦笑いしながらお礼を言った。

 

「えーっと、次の人───そこの君、お願いできるかな?」

「え?」

高円寺の次に平田に指名されたのは遼太郎と話していた綾小路だった。綾小路は急に指名され動揺を隠せなかった。

 

「おい、綾小路お前の番だぞ」

「あぁ・・・」

 

立ち上がらない綾小路に遼太郎が話し掛けた。綾小路は遼太郎の言葉を聞き立ち上がり自己紹介を始めた。

 

「えー・・・・・・えっと、綾小路清隆です。そのえ・・・・・・得意なことは特にありませんが、みんなと仲良くなれるよう頑張りますので、えー、よろしくお願いします」

 

綾小路は自己紹介が終わるとそそくさ席に座った。急に指名され遼太郎に急かされた綾小路は人の自己紹介の事を考えていたり遼太郎と話していたり自分の自己紹介の事を何一切考えていなかった。その為綾小路の自己紹介はグダグダに終わってしまった。

 

「よろしくね、綾小路君。仲良くなりたいのは僕らも同じだ、一緒に頑張ろう」

平田が爽やかな笑顔で綾小路にそう言った。平田の言葉に続くようにパラパラと拍手が起きた。それは綾小路の失敗を見抜いてのフォローだった。

 

「じゃ、次は───」

 

綾小路の自己紹介が終わり平田は次に自己紹介してもらう生徒を選んでいた。この時誰もが綾小路の後に自己紹介をしたくないと思っていた。綾小路の自己紹介の前はワイワイ明るい空気だったがグダグダの自己紹介を聞き冷めた空気になってしまった。そんな空気の中自己紹介をしたいと思う人は絶対に居ないと思う。

 

「綾小路くんの前の君お願いできるかな?」

「えっ・・・俺?」

「クククッ、頑張れ」

「うっせ」

 

平田は悩んだ末綾小路の前の席つまり遼太郎を指名した。遼太郎は自分が指名されるとは考えていなかったのか綾小路と同じ反応をした。そんな遼太郎に仕返しをするかとごとく綾小路が笑いながら一言頑張れと言った。綾小路にうっせと言い立ち上がり自己紹介を始めた。

 

「俺は黒川遼太郎。趣味は筋トレとスポーツ。特技はボクシングで階級はライト級。尊敬するボクサーは階級が違うけど幕之内一歩選手と鷹村守選手木村選手。同じライト級だと青木選手と間柴選手かな。因みに部活はボクシング部に入る予定です。これから三年間よろしくお願いします」

 

先程の動揺は何処に行ったのやら遼太郎とボクシングをやっているなど尊敬するボクシングの選手などを入れ一切緊張せず自己紹介を終えた。

 

「じゃ次は───」

 

遼太郎の自己紹介が終わり次の生徒を指名しようとした時教室のドアがガラッと開いた。

 

「お前達何騒いでいる。席に着けDクラスの担任となった茶柱佐枝だ。」

 

入ってきた女性はヒールの音を立てながら教卓に向かいそこに紙束を置き茶柱佐枝と名乗った。




本当は茶柱先生の学校を説明を入れたかったのですが長くなると思い次回に回しました。

あと一日だけですがたった1話しかないこの小説がルーキ日間加点式のランキング16位になりました。ありがとうございます!!

これからも頑張っていきたいと思います!!


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