ガーリーエアフォース ~3本線の傭兵~ (Eagle3718)
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FLIGHT 1 ~異動命令~

最近ガーリーエアフォースの小説がいっぱい出てきているので私も便乗しました。


zzzz 「おーいそろそろ時間だよー」

 

zzzzz 「起きないと乗っかるぞー」

 

zzzzzz 「不味いよイーグル。爆睡型だから寝起きの機嫌かなり悪いんだよ?!」「大丈夫!大丈夫!ゴーストは心配性だなぁ」

 

zzzzzzz 「そうじゃなくて経験上の「えいっ」あっ!」

 

「どーん!」

 

「うがぁっ!」

 

下腹部に強い衝撃を受け目が覚める。腹の上には、山吹色の髪色を持ちまだ幼さを残した顔立ちの少女が乗っかり、左を見れば 紅色の髪色でクールビューティーという言葉が似合う顔立ちと体格を持った少女が誰かを止めようとした姿勢のまま固まっている。

 

「……何をしているイーグル」

 

「何ってトリガーを起こしに来たんだよ!もうすぐ時間なのに寝てるって聞いて起こしに来たんだ!」

 

ふんす、と胸を張りながら豪語する。

 

「……グレイゴーストも同じ理由か?」

 

むくり、と身体を起こしながら横目で見る。

 

「あ、あぁ。飛び込むのを止めようとはしたんだが…」

 

「……そうか」

 

ふう、と息を吐く。

「…で、イーグル」

 

「なにー?」

 

いまだに乗っかったままのイーグルの頭に両手をやりー

 

「降りろ」

 

ヘッドロック。

 

 

 

荷物をまとめ、格納庫の愛機の元へ向かう。

ADFX-02-ZCF Morgan 全長23m 全幅15m 翼構成はカナード、前進翼、内向き斜め双垂直尾翼で構成されるエンテ型。エンジンは双発で、比較的大型のタイプが機体後部にやや左右の間隔を空けて搭載されている。

最大の特徴は"EPCCM"を持つ"ZCF"であることだろう。

 

「機体の整備は終わってるぜ。オールコンディショングリーンだ」

 

「のようだな」

 

機体外部の点検を終え、荷物を座席後ろに放り込み、コクピットに収まる。うなじにAMS接続用ジャックを差し込みANSを立ち上げる。各種チェックを終えエンジンスタート。キャノピーを閉めると湾曲したディスプレイに包まれ、計器盤だけが光を放っている。ディスプレイの電源を入れると機外の様子を確認出来るようになる。各システムの警告灯が正常に点灯するかチェック。タキシー前チェックを終えてミサイルセーフティピンとチョークを外しててもらい、滑走路へとタキシングする。

タキシングしつつ、動翼のチェック計器の再チェックレーダーの起動を行う。

 

<<こちらSTRIDER1。管制塔、離陸許可を問う>>

 

<<こちら那覇管制塔。STRIDER1、離陸を許可する>>

 

<<ラジャー。STRIDER1クリアード フォー テイクオフ>>

 

フラップを下げフットブレーキを踏み込み、スロットルレバーをミリタリーへ入れる。大推力に対抗するため前脚のスラットが沈み込みニーリング姿勢を取る。回転計、油圧計、燃料流入計、ファンタービン入り口温度計をチェック。

フットブレーキから足を離し、加速する。わずか数秒で離陸速度に達し地面から離れる。

 

<<STRIDER1。高度制限を解除。貴機の幸運を、あっおい!>>

<<次の撃墜数勝負では負けないからなー!!>>

 

何事かと思えばイーグルの若干涙声な宣言がインカムから響く。強化人間のパワーでやられたのだから当たり前か

 

<<その時まで生きていればな。グッドラック>>

 

ぐいと機体を翻し小松基地へ飛ぶ。空には18年前から変わらず厄災のカケラが広がっていた。

 

 

 

18年前、星の降る夜を見た。それは、幼かった俺の目に酷いほど美しく焼き付いている。

1994XF04 ユリシーズと名付けられたそれは1994年10月に発見された。同年12月ユリシーズに小惑星ポリュペーモスが衝突、砕けた破片は小惑星群となった。

小惑星群は地球との衝突機動にあり、1999年7月3日午前3時30分地球に約1万個の隕石が降り注ぐと判明した。

小惑星と隕石を迎撃破壊する最後の手段として超巨大地対空レールガン施設ストーンヘンジが世界の6箇所に建造された。

そして1999年7月、小惑星群が飛来。

レールガン、弾道ミサイル、イージスシステム、あらゆる迎撃システム、防衛システムによる迎撃によって被害は最小限に抑えられるも各地に落下した隕石により多くの命が失われた。

"ユリシーズの厄災"そう呼ばれ人類史最大の災害として記録されている。

そして現在、ユリシーズとは違う新たな厄災が中国奥地にて現れた。ザイと呼ばれる正体不明勢力は2015年6月頃に現れ、わずか2年ほどで中国から人類は駆逐された。

だが、人類もただ負け続けていたわけじゃない。既存の機体を改造して作られたドーターとそれの制御装置であるアニマ。ザイに対抗するために作られた槍の一つである。

これから向かう小松基地にもドーターが配備されているが不調らしく、戦力として微妙なので傭兵である俺を戦力拡充のため派遣する、とのことだった。

 

(忙しくなりそうだな)

 

小松基地への進路を取りつつそんなことを考えていた。

 

Sideout

 

 

 

 

「新たな戦力…ですか?」

 

「ああ、グリペンのみでは対ザイ戦力として不安だってのが理由でな」

 

軍用シミュレータの体験という予期せぬ役得を得た後日。基地内部が少しザワザワしているような気がし、八代通に聞いたところそんな答えが返ってきた。

 

「新たなアニマか…」

 

ザイと戦うためには、アニマとドーターの組み合わせでなければまともに戦えれないのが当たり前。だからこそ八代通が放った言葉が信じられなかった。

 

「誰がアニマが来ると言った?」

 

「…えっ?」

 

「ふん。ついてこいその間に教えてやる」

 

八代通が身を翻し滑走路へ向かう。

 

「来るのはアニマじゃないってどういうことだ?」

 

「対ザイ戦がこなせるのはアニマだけじゃねぇってことだ。既存の戦闘機にZCFUを搭載しEPCCM能力を持たせたZCF。それが今日くる奴だ」

 

「ZCF?」

 

「ザイカウンターファイターまんま対ザイ用戦闘機の略だな。EPCCMは対電子・感覚対抗手段のことだ。…まぁ、人が乗れるドーターと理解してくれりゃあいい」

 

「けれど、HiMATにはどうやって対抗するんだ?」

 

「それに関しても問題ない。それに、ザイに限っても数十機落としている。Ace of Acesだ」

 

八代通の話しを聞く限り、そこまで言うのなら問題ないのだろうと思う。話しているうちにグリペンと合流し滑走路へ辿りつく。

 

「……来たな」

 

甲高いジェットエンジンの音が微かに聞こえてくる。音の聞こえてくる方を見上げれば、小さくその影を見ることができた。

それはすぐに大きな影となり、ふわりと滑走路へ降りる。双発の前進翼。真っ黒に彩られた機体の垂直尾翼には3本の爪跡と拳銃を咥えた狼のマークが入り、胴体にはI.A.F.Eの文字と六芒星を二つ組み合わせ青と白で塗りわけられたロゴマークがはいっている。

 

「I.A.F.Eってたしか国連直轄の傭兵企業ですよね?」

 

「そうだ。I.A.F.E通称プライベーティア、俗称の空賊部隊って呼び名の方が有名だな。呼び初めたのはマスコミだがユリシーズの厄災で各国家軍からドロップアウトさせられた退役軍人、食いっぱぐれたゴロツキなんかが集まってできた組織だから空賊部隊って名前はぴったりだと思うぜ」

 

「私がいるから問題ない」

 

「問題あるから奴を呼んだんだろう。そんなに嫌ならまともに飛びやがれこのポンコツ娘」

 

「うるさいケチハルカ」

 

「…前にも聞いたなこのやりとり」

 

グダグダと喋っているうちに目の前までタキシングを終えいたADFX-02モルガン(八代通とグリペンが口喧嘩をしている間にI.A.F.Eのホームページで調べた)のエンジン音が消え作業員がタラップを機体に取りつける。

キャノピーが開いてパイロットの姿が露わになり、コクピットから少し大きめのショルダーバッグを手に降りてくる。身長は180を超えるぐらいでがっしりとはいかないが引き締まった身体付きをしている。パイロットスーツは自衛隊のものとは違い藍色のものだ。

 

「…あんたが八代通 遥でいいんだな?」

 

「ああ、そうだ。一応自己紹介しとくか、自衛隊技術研究本部室長 八代通 遥だ。でこっちがJAS39-ANMグリペンで、民間協力者の鳴谷 慧だ」

 

「よろしく」

 

「ど、どうも」

 

「I.A.F.E所属STRIDER隊一番機。TACネームトリガー」

 

「…さて、自己紹介も終わったところで、報酬の額決めといこうか。ついて来てくれ案内する」

 

1分足らずの短いやりとりを終え2人が立ち去る。残ったのは数人のI.A.F.E所属の整備員と俺とグリペン、あと真っ黒に塗られたモルガンのみ。

 

「慧、この後どうするの?」

 

「ん、舟戸さんを探してシミュレーターでもやらせてもらおうかなって」

 

「私も行く」

 

「おう、いいぜ」

 

そんな事を話しながら俺達はその場を後にした。

 

 




感想とか評価をつけてくれると嬉しいです
ではまた次回(いつになるのやら)

5/26 修正(企業名おもっくそミスった上、統一されてなくて絶望した)


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FLIGHT 2 〜合言葉~

どうにかできました。あと、もう2月ですが明けましておめでとうございます。
遅れてさーせん。


6月20日火曜日。小松基地へ異動してから5日目を迎えた。

グリペン…いや、アニマがザイの部品から作られていると聞いた民間協力者である鳴谷 慧が来なくなって2日経つ。八代通は

 

「まあ、グリペンの手紙でも見てお涙頂戴で出てくるかも知れんな」

 

と、言っていた。何故そんなことが解るのか、気にはなったが聞く程の事でもないため詳しくは知らない。

今現在はザイの来襲に備えてアラート待機中である。アラート待機中にも報酬は支払われるため、おとなしく待機中である。今のところザイの来襲も無く平穏な日々が続いてる。

 

「あー、ザイに対抗するためにZCFが欲しいっス〜…」

 

「予算が〜とか言って配備はないだろう。…せめて対Gスーツの性能が上がってくれればなぁ」

 

「確かにな。そういえばI.A.F.Eにはかなり性能のいい対Gスーツがあるそうだがどんなもんなんだ?トリガー」

 

窓の向こうの空をぼんやりと見上げていたら、そう話を振られた。

 

「…俺が使っているモデルだと平均して約11Gまで耐えられる。その分購入費、メンテナンス費用が高い」

 

「そいつはすげぇが、費用が上がるってなるとさすがに無理か。他のモデルだとどうだ?」

 

「他のは…」

 

と、アラートが鳴り響く。続けてザイが接近中との報告が入った。

 

「クソッ、マジかよ!グリペンは!」

 

「明日に備えて調整中だそうっス!てか、トリガーさん走るのはえぇ!?」

 

「急ぐぞ!」

 

全力で走り、駐機中の向かう。たどり着けば既にタラップが取り付けられ、各種センサー用のカバーが外されている。

タラップを駆け登りシートに収まる。飛ばせる物は飛ばし機体チェックを行いつつヘルメットを被りマスクを着ける。エンジンスタート、ミサイルセーフティピンが外されているのを確認しタキシングをする。

 

<<こちら小松管制塔、民間機が一機上空で待機中だ。滑走路に入ったら即座に上がってくれ>>

 

<<こちらSTRIDER1了解した>>

 

管制塔から指示が入り、滑走路に進入。フラップDON。ブレーキをかけ、スロットルをMILへ。ブレーキリリース。2発のWWX-GD-401エンジンが雄叫びを上げ機体が加速する。離陸速度になったところで機首を上げ、離陸。ギアUP、フラップUP。機体を傾けて高度を取りつつ進路をザイのいる空域へ向ける。

 

<<こちら小松管制塔、迎撃に上がった各機へつぐ。方位320 高度5000小型の制空型のザイが一機。5分後に哨戒中のアルファ隊が交戦にはいる。各機急行せよ!>>

 

こちらが現在ザイのいる空域に着くまで約20分。だが、はあちらがその空域にとどまる道理もないため実際には10分ほどで交戦距離に入るだろう。現れたザイの数は一機と少ないが2分とかからず全滅するのはほぼ確実だからだ。

高度6000mで水平飛行に移りスーパークルーズで空域へ向かった。

 

<<こちらAWAXS、迎撃隊に告げる。アルファ隊は全滅した。生存者は現在確認出来ず>>

 

<<おいおい、1分とかかってないぞ!>>

 

<<それだけザイがやばいってことっスかね!?>>

 

<<そういうことだろうさ。各機警戒しろ!>>

 

早すぎる、とひとりごちる。自衛隊のパイロット練度で考えれば全滅は避けられずとも、ザイ一機相手なら2分はもつ。……一機では無いとしたら?ふと、そう考える。他の自衛隊機よりも突出している今ならば確認は容易か。

もう間もなく予想接敵ポイントに入る。レーダーを確認してみれば光点が一つ。

 

<<こちらSTRIDER1レーダーコンタクト。方位320。エネミーヘッドオン>>

 

スロットルをA/Bに入れ加速していく。直後、ロックオンされブザーが鳴り響く。数瞬後にミサイルアラート。完全なる真正面、回避機動を取らずまっすぐに突っ込む。

 

<<?!トリガーさん!なんで回避しないんっスか?!>>

 

<<気でも狂ったか?!>>

 

機銃を0.5秒だけ撃つ。直後に爆炎が目の前に広がり、それをバレルロールで回避。270°回転した所でザイとすれ違う。ハイGで反転するように見せかけて一瞬-Gを掛け僅かに軌道をずらす。すぐ横を下から機銃弾が跳んでゆき、もう一機のザイとすれ違う。

 

<<ザイがもう一機いたのか?!>>

 

<<なんで?レーダーには映ってなかったっスよ?!>>

 

<<恐らく海面ギリギリを飛んで来たんだろうよ!もう一機がこっちに来るぞ。全機攻撃せよ!FOX3! FOX3! >>

 

無線で最初にすれ違ったザイと自衛隊が交戦距離に入ったことを知る。俺が機首を下に向けると同時にロックオンアラートが鳴る。A/Bを焚きダイブ。後ろを見れば、ザイのミサイルが機体を離れ白い軌跡を描きながら迫ってきたところだった。

A/Bカット。エアブレーキを開き僅かに減速させ、機首上げ。海面ギリギリで機体が水平になったところで操縦桿を戻し一瞬水平飛行に移る。ミサイルはこちらを追いかけようとするも、曲がりきれず海面に突っ込む。ミサイルとともに追ってきたザイは前方上100mあたりで左旋回に入ろうとしていたところだった、が

 

<<インガンレンジ、ファイア>>

 

機首をあげザイのほんの少し先に機首を向け、トリガーを引く。機首のGiL30mm機関砲から鉛弾が吐き出されザイの機体を砕く。ガラス片のようなキラキラとした破片と黒々とした煙を吐き出しながら落ち、海面にオレンジの光と波紋をつくり沈黙する。

 

<<スプラッシュ1。これよりブラボー隊の援護に向かう>>

 

Side out

 

 

 

 

 

 

 

Side ブラボー隊隊長

 

<<かわされたか……>>

 

<<まったく、とんでもない機動性とEPCMっスねぇ>>

 

<<確かになぁ。どうする、隊長>>

 

我々が放ったミサイルはすべてザイの持つHiMATとEPCMによってかわされている。HiMATとEPCMを持つザイとの巴戦等の近接戦闘は御法度と言っていい。必然的に取れる戦法は一つしかない。

 

<<全機、一撃離脱を徹底しろ!編隊を崩さずミサイルに狙われたらチャフとフレアをありったけ使え!出し惜しみはするな!>>

 

<<了解っス!>>

 

<<まあ、そうだろうな。了解!>>

 

<<了解、ッ!ミサイルアラート!>>

 

<<全機ブレイク!ブレイク!>>

 

合図と共に全機がチャフとフレアを放出しブレイクする。が、ミサイルはそれらに惑わされることなく4番機へ吸い込まれていく。

 

<<振り切れぇぇ!!>>

 

<<うぉおおお!!>>ガッ

 

ぶつり。と無線が沈黙し空にオレンジ色の炎が生まれ、灰色の破片と黒煙を残した。

 

<<ッ!おい、応答しろ4番!おいっ!>>

 

<<この野郎ォォォ!!>>

 

パラシュートが確認出来ず、4番機からの応答が無いことから機体諸共バラバラになったであろうことを知る。頭に血が上ったのか3番機がザイへ突貫していく。ザイに接近しすぎるなという命令を忘れて。

 

<<バカヤロウ!ザイとの接近戦は法度だぞ!>>

 

<<ッ!しまっ!>>

 

近づきすぎたことを思い出したように反転しザイから離れようとするが、すでにザイは3番機の後ろについていた。3番機も落とされる。そう考えた時だった。

 

<<左にブレイクしろ>>

 

<<?!っ!>>

 

この緊迫した戦場に不似合いなほど冷静な声が無線から響く。3番機がそれに合わせて左へブレイクした直後、ほんの僅か後ろをザイから放たれた弾丸が通過していく。

 

<<なっ……!>>

 

<<えっ……?!>>

 

驚愕。それしかなかった。落とされると思った3番機が生きてる。それはトリガーの指示に従ったからか、それとも…。

 

<<FOX2>>

 

トリガーの機体から放たれたミサイルが3番機に張り付いていたザイを引き剥がす。ミサイルを振り切ろうとHiMATを使うが、待っていたと言わんばかりに機関砲弾が命中。機動が鈍った所で振り切ろうとしたミサイルがザイを砕き、戦闘が終わる。

 

<<…こちら小松管制塔、ザイの全機撃墜を確認した。三沢からファントムが上がってきていたが必要なかったようだな>>

 

<<その様だな>>

 

シミュレータでやった時もそうだった。トリガーがいない時はザイとの戦闘で全滅してばかりだったが、トリガーが参加した時は多数が生き残ったり、全機帰還出来る時もあった。そのときは所詮シミュレータ、実戦とは違うと思っていた。が、こうもまざまざと見せつけられてはあの噂も信じてしまう。

 

<<あの整備員達が話してた噂、本当みたいっスね…>>

 

<<あの噂?>>

 

<<ほら、トリガーさんの機体の整備をしてたI.A.F.Eの整備員の人達が言ってたヤツっスよ>>

 

<<あぁ"トリガーについて行けば生き残れる"ってヤツか>>

 

<<そっス。でも、トリガーさんについていくの苦労しそうっスね>>

 

<<しそうじゃなくて、する。間違いなくな>>

 

<<隊長…?>>

 

<<トリガー、最近美味いラーメン屋を見つけたんだ。後で食べに行かないか?お前たちも来い、俺の奢りだ>>

 

<<…了解した>>

 

<<まじっスか!やった!>>

 

<<出来ることなら4番機も一緒に行きたかったな…>>

 

<<……勝手…殺すん……ねぇ>>

 

<<んなっ!お前生きてたのか!どこだ!どこにー>>

 

<<あっ、いた!真下にいたっス!こちらブラボー3。管制塔、救援ヘリを要請するっス>>

 

<<こちら小松管制塔、こちらでもガイドビーコンの信号をキャッチした。あと30分ほどで救援ヘリが到着するはずだ。それまでもてるか?>>

 

<<…どーにか……急いでく…る…たす……>>

 

ホッとした、死んだかと思っていた部下が生きているその事実に。高度を落として、救命ボートの周りを旋回すれば、こちらに手を振る人影を見る。

 

<<管制塔、このまま周囲の警戒のために残ろうと思うが構わないか?>>

 

<<こちらこそそう頼もうとしていたところだ。ビーコンの信号が途切れ途切れにしか受信出来ないところからビーコン自体が損傷している可能性がある。このままだと見失う可能性が高いからな>>

 

<<了解、聞こえたな野郎共>>

 

<<了解です>>

 

<<了解っス>>

 

3機で編隊を組み、周回飛行を始める。もう一機は少し上方に位置し、同じ様に周回飛行をする。

救援のヘリが来るまでの長いようで短い30分ほどをスクランブル前に話していた話をしたり、俺が見つけたラーメン屋の話しをしたりして潰す。

 

<<トリガーについて行けば生き残れる…か…>>

 

きっとその通りで、その言葉も長く戦場に居たからこそ生まれたのだろう。トリガーが歩んだ半生。全く気にならないわけじゃないが、なんとなくトリガーが話す気になるまで待ってみようと思う。その方がこの無口なパイロットの強さの理由を知れる様な気がするから。




次はもうちょっと早く出せると思う。


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