その者蒼き衣を纏いて金色の野に降りたつべし。 (サイトさん)
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その者蒼き衣を纏いて金色の野に降りたつべし。
ある日ナザリックの自室で支配者ロールの練習をしていたアインズにメッセージが飛んできた。
「アインズ様、お忙しいところ失礼いたします。重要な報告があるのですが宜しいでしょうか」
最近はナザリックの運営も安定しており油断していたアインズだったが、アルベドからの緊急の報告ということで支配者ロールを作って返事をする。
「分かった、重要な報告というなら守護者達とも情報を共有したほうが良いだろう。守護者全員を玉座の間に召集してくれ、私もすぐに向かう」
玉座に座るアインズの前に守護者達が控えている。昔はこの光景にも慣れなかったものだが、今では威風堂々とした態度で構えることができる。
「アインズ様、守護者各員の召集が済みましたので報告を始めてもよろしいでしょうか」
「うむ、報告を始めてくれ」
「はっ!カッツェ平野近郊にて巨大な甲殻類型のモンスターを発見したと帝国のジルクニフより報告がありました。それを姉さんに確認してもらった所、そのモンスターは体長100mもあり、周囲には二回りほど小さい同種を数体引き連れているということです。その時の映像がこちらです」
(巨大なモンスターか…もしかしてザイトルクワエのときみたいにユグドラシルのレイドボスだったりするのか?)
トブの大森林で戦った巨大樹を思い出したアインズはアルベドが用意した映像を見て衝撃を覚えたが、彼より先に玉座の間に控える守護者の一人である悪魔が反応した。
「まさかこれは…
「まさかあなたはこのモンスターが何か知っているのかしら、デミウルゴス」
「そうだよ、モンスターテイマーである私が知らないのになんでデミウルゴスが知ってるわけ?」
「そうですね、これはブルー・プラネット様がタブラ・スマラグディナ様と話していたときのことなのですが『その者青き衣をまといて金色の野に降りたつべし失われた大地との絆をむすばん』という一節と共にかのモンスターについて教授して頂きました。その名は
デミウルゴスは当時の光景を思い出しながら恍惚とした笑みで語る。
(確かにブルー・プラネットさんは風の谷○ナウシカとか好きそうだよなぁ…タブラさんも終末論とか好きだろうし)
その映像に映った姿はまるで100年前には地球の至るところの地面に生息していたダンゴムシに14個の目をつけ、体長を数万倍に大きくしたような姿をしていた。
「妾も知っているでありんす、ジブリのヒロインはメイが一番だとおっしゃっていんした」
(
アインズは親友の性癖を思い出して激憤していたが、サツキは10歳なので正直大差ない。
「ハイハイはいはーい、ぶくぶく茶釜様はサツキが一番だって仰ってました」
「たっち・みー様はもののけ姫のアシタカが好きだと仰っていました」
「ブジンタケミヅチサマハ リトル・マーメイドノ アリエル ガスキダト オッシャッテイタ」
(ぶくぶく茶釜さんはやっぱり姉派なんだろうなあ、たっち・みーさんも人助けをするキャラが好きってのもらしいよなあ。コキュートスに至ってはもはやジ○リ関係なくなってるけど…)
「申し訳ありません、守護者統括である私はじぶり?なるものを知りません。不敬ではありますがこれはナザリックの防衛にも関わってくる大事、アインズ様のお知恵を授けて頂いてもよろしいでしょうか」
守護者各員の知識を出し終わってからアルベドが悔恨した様子でアインズに教えを請うた。
「ああいいだろう、皆もある程度知っているようだがあのモンスターはジブリなる世界からユグドラシルにやってきたレアモンスターでな…大型の
「な!?私達と同格の存在ということですか、それてはルベドやガルガンチュアの起動も視野に入れてナザリック最強の布陣を揃えて…」
「まあ待てアルベド、確かにまともに戦えば強大な存在だがあのモンスターには決定的な弱点がある」
「弱点?それはいったいどのような」
アインズは徐ろにアイテムボックスから青いワンピースのようなものを取り出しながら不敵に笑う。
「ふふふ、これはジブリコラボガチャで五万円…ゲフンゲフン。私が多大な労力を使って手に入れた遺産級アイテム『風の谷の蒼き衣』だ、このアイテムを装備して
「無条件ですか、それは凄まじい。アインズ様は今回を予期してアイテムを所持していらしたのでしょう流石です」
何時もどおり至高の存在を称賛するメガネを掛けた悪魔と、アンデッドなのに冷や汗をかきそうになるアインズ。
(確かに能力自体はレベル80〜100のモンスターを無条件に仲間に出来る凄いものだけど、その対象になる
「まあそんな所だ、これをテイマーであるアウラに授ける。これを使えば戦闘は起こらないはずだから一人で向かってもらっても良いのだが、こちらの世界に渡った影響でアイテムの効果が変わってる可能性もあるからな、全員で向かうぞ」
「「「はっ!!」」」
何も無い荒野、満天の青空が広がる地にどこまでも吸い込まれそうな漆黒の穴が生まれ、そこからアインズと守護者達が現れた。
「霧が晴れているようだな、これも
「えへへ//アインズ様ありがとうございます」
後ろに振り返ったアインズは蒼き衣を纏った少女アウラを褒めながら頭を撫でた。喜び頬を染めるアウラ、羨ましそにそれを見ている守護者一同。
「どうやら来たようだな。アウラ用意をしろ」
アインズがアウラの頭を撫でるのを辞めると同時にドドドドと地鳴りのようなものが響いてきた。地平線彼方に見える物体を認識して守護者達は身構えた。砂煙を上げながら尋常でない速度で近づいてくる巨大な生物。甲殻を纏った巨大な外殻、14個の巨大な赤い目、口から湧き出す触手、5体の
「使え」
アインズの命令を受けた蒼き衣の少女アウラは
「
この先は お前の世界ではないのよ
ねえ いい子だから」
アインズはナウシカ派だったから台詞はちゃんと覚えているのだ。蒼き衣の少女の前で停止した
「チビ助が食われる!!」
アウラを心配したシャルティアだったが全てを知っているアインズはそれを抑えた。守護者達も固唾を飲んで見守っている。そして触手の上に立ち上がりこちらにピースサインを送っているアウラがみえた。
「おお…『その者青き衣をまといて金色の野に降り立つべし』タブラ・スマラグディナ様の言葉通りです」
仲間にした
お わ り
小説書くのって難しいんですね、ホントはD.Gray-manとのクロスオーバーで連載小説を書いてみたかったんですけど、まずは短編だと思って書いてみました。まさか5000文字すら行かないなんて…
10万文字以上書いてる人達はホントに尊敬します。
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