何でも屋アクロス (無課金系指揮官)
しおりを挟む

第一話:まぁこんな日常

グリズリーのセリフを聞いていたら、つい思いついてしまった。

見切り発車の亀更新です(評価感想←燃料)。

ss約1年ぶりに書くので誤字脱字等も多いと思いますが、良ければ見てって下さい!




この世界にコーラップスがまかれたり、第三次世界大戦が起きて核汚染やらが起きたり、蝶事件が起きて人形が襲ってきたりしたけど、人類は未だにしぶとく存続している。

 

そんな世界の人間が生きている町も随分と昔とは変わり果てたらしい。俺は物心ついたころには、もうこんな感じだったから、気にもしていないけど。

 

コンコン

 

久々に自身が置いている世界を思い返していると自室のドアからノックがした。

そして間入れずそのドアが開いた。

 

「そろそろ開店の時間だよ。少しは手伝ってよ店長」

 

ドアから入ってきた人物は左手を腰にあてそう言ってくる。

その凛とし落ち着いた声を聴きながら反射的に返事をする。

 

「えぇ~自分の仕事はしたからいいじゃないか」

「そう言う店長の仕事は、メンテナンスだけじゃん」

 

早く起きてと俺の掛け布団を引っぺがす。勿論抵抗しようとしたが、全然無意味であった。

急に襲ってくる部屋の冷たい温度に目が覚めた。

欠伸をしながら自室を見回す。まぁ自室は昨日寝たときのまま変わっていない。唯一違うのは自分のベットの前で先ほどまで自身が被っていた布団を畳んでいる、茶髪の女性だがいるという点かな。

 

「おはよう。グリ.....」

 

挨拶をしようとしたら彼女は一瞬の内に俺の近くに移動し、人差し指で封じた。

 

「店長?」

「あー、おはよう。リズ」

 

口元だけ笑っている(めっちゃコワイ)顔で睨まれた。申し訳なかったと言い直した。

 

「うん。おはよう。店長」

 

先程までのコワイ顔ではなくなった彼女はそう返して俺の部屋の出口へと向かう。

 

「じゃあ、手伝ってほしい事があるから、早く来てね」

 

返事を待たずに彼女は去っていった。

 

「う~ん。なんか俺が必要な事ってあったっけ?」

 

 

ーーーーーーーーー

 

準備をして部屋を出て、自身の仕事場に着いた。移動時間は、驚きの1分未満!楽だ。

 

 

「あいあい~来たよ」

 

プライベートエリアと仕事場のドアを開けながらそう言うと、リズの声が予想より遠くから聞こえてきた。

そちらの方に向かうと

 

「何してるん?」

「何って、見てわからない?」

 

そこには、荷並べをしている彼女がしゃがんで仕事をしていた。

 

「いや、その仕事はアイツの仕事じゃなかったっけ?」

 

俺の言葉を聞いた彼女はあからさまに呆れた顔をして

 

「今日彼女はオフにするって言ってたじゃん」

 

あーそう言えばそんな話を昨日した気がする。

 

「まぁ、そんな気がしたよ」

「悪かったよ」

 

彼女の隣に座り、荷並べを手伝う。

 

あれから荷並べを終わらせ、そのまま開店をした。今日の仕事は、確かご近所さんの運搬車のエンジンオイル交換だったかな?

 

「じゃあ、俺はお隣さんのお仕事してくるから、店番よろしくな~」

 

俺はエンジンオイルと、工具箱を持ってレジの近くで、本を読んでいるリズに一言掛けてから店を後にした。

店の外はまぁ、街はずれにある隠れ家風なので目立ちはしない。おっと、店前で立ち止まっているわけにはいかないな。

とっととお隣さんに会いに行こう。

 

 

「あんがとな!坊主!」

 

そう大きな声で感謝してくる自分よりガダイのイイおっさん事、俺のお隣さんである。

 

「いえいえ、毎度ありです」

「そうは言うが昨日の今日でやってくれるたぁありがたいこった!」

 

そう言いながら俺の背中をバシバシと叩くお隣さん。痛いっす。

 

「そう言えば、この運搬車も結構年ですねぇ」

「まぁな」

 

俺の呟きに対して彼は少し寂しい顔になった。

 

「だが俺の仕事の初めから使っている愛車だからギリギリまで使ってやりたいだよな」

「また、何かがあったら何時でも相談してくださいね」

「あんがとな」

 

彼はそう言ってそのまま、運搬車に乗って自身の仕事に向かっていった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

「ただいまー」

「お帰り店長」

 

仕事から、帰ってくると何やらホクホク顔になっているリズがいた。

 

「何かいい事でも良い事でもあったのか?」

「ん~そんな事ないよ?強いて言うなら今日は結構売上げれたよ」

 

お。それは俺にとってもいい話じゃないか。

 

「リズ、俺昼飯食ったから、昼休みがてら飯食って来ていいよ」

「そう?ならそうしてくるね」

 

リズはそう言って、プライベートエリアに入っていった。

 

「じゃあぼ~っとしてますかね」

 

そう呟き店内を見渡す。今回売れたのは、食器と調理器具かぁ~。明日にでも補充しておこう。それ以外は多分リズが補充しているから、見た感じだと分からないな。ちょっと端末で調べてみるか。

 

 

 

「あー今日は電池やら充電池系がよく売れてるなぁ~」フムフム

 

さて、結構見ていたような気がするけどどれくらい時間がたったかな?

そう思って、時計がある方を向くと目の前にリズが居た。

 

「うぉあ!?!?!?」

「ふふっ、店長ちゃん集中しすぎだよ」

 

俺の驚き様に驚いたのか、彼女は笑った。

 

「本当に相変わらず、気配がしないな」

「それは、店長にばれないように努力したからね」

 

そんな事に努力してほしくはないんだが。そんな事思っているのは知らず、リズはレジをいじっていた。

 

「何してんの?」

「レジの中身が泥棒に取られていないかの確認」

 

シレっとそう答えるリズ。

 

「流石に、店内にお前以外の奴が入ってきたら気が付くわ!」

 

咄嗟にそう言うと、彼女はレジいじりを終えてこちらに向いた。

 

「そんなの知ってるよ?単に店長弄りをしてただけ」

「なっ!?それはしない約束してたよな!?」

 

そう返すとリズはわざとらしくそうだっけ?と言う。

こいつめ.....

 

「あ、店じまいだ」

「ん。そうだね」

 

そんなこんなしていると、もう店じまいの時間帯になっていた。

 

「じゃあ私はプレート入れてくるね」

「あいよー」

 

じゃあ、こっちは夕飯の準備でもしようかな。

そう思い、ここは彼女に任せ自身は半日ぶりにプライベートエリアへと足を進めた。

 

 

 

 

 

 




暫くは、主人公とよくつるむ、事を書いていこうと思います!

投稿ペースは一週間に一回になる予定です。

ではまた次回にて、お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二話:こういう娘もいるのです

週1投稿と言ったな。それは嘘だキリッ

まさか、この小説に☆9が付くとは思いませんでした←
ありがとうございます!励みになります。

そして、完全にフルスロットルになり、気が付いたら出来ていました!

注意ですが、今回のお話には少し過激な描写が含まれます。ご了承ください。

では、第二話どうぞ!


ジリリリリリリリリリガチャンッ

 

「ああ゛~もう朝か」

 

何時もの朝、昨日はキチンと目覚まし時計をかけておいたからすんなり覚醒した。

 

「さてと、とっとと準備しようと」

 

剥ぎ散らかした布団をたたみ、朝食は自作の栄養棒を齧って終わらせ、着替え仕事場に向かう。

 

 

「おはよう。店長今日は早いね」

 

仕事場に続くドアを開けると、すぐに挨拶が飛び込んできた。

 

「おはよう。リズ一言余計だよ」

「そうかな?昨日寝坊しかけた人には丁度いいんじゃない?」

 

ぐぅっ、それを言われると何も言い返せない。

 

「店長。今日はお早いですね!」

 

何時もの朝のやり取りをしていると店のドアが開きそこから元気な声が聞こえてきた。

そちらに向くと、赤の髪飾りに赤い生地に白の星が無数にあるワンピースを着た幼女が立っていた。

 

「クー、かおはよう。お仕事ご苦労様」

「おはよう。そうなのよ店長にしては早かったのよ」

 

俺とリズはクーに挨拶をする...っておい

 

「まぁまぁ店長さん。これは褒めているんですって」

「そうそう」

 

クーが俺を宥めてくる。リズは頷いている。一応ここまでにしてやるが、リズ口元が笑っているのには気が付いているからな?

 

「クー昨日は休めたか?」

「はいっ!」

 

その元気な返事に偽りがないのは明らかなので内心ほっとしていると隣に座っていたリズはこちらをジトーを観察したのち

 

「相変わらず、心配症だね」

「うるせっ。店長として当然の事だ」

 

本当にこいつは少しでも俺を弄りたいんだな。

 

「っと、クー荷並べ手伝うよ」

「あっ、ありがとうございます!」

 

さて、雑談はここまでにして、開店準備を始めますかね。

 

 

 

「「「はぁ......」」」

 

 

 

暫くして、開店した店内にて3人分の溜息が重なった。

 

「お客様来ませんね」

「そうだね。店長、客呼び込んで来てよ」

 

クーは、そう言いつつ頭飾りのウサギのぬいぐるみを弄っていた。

リズは仕事を探して来いと言ってくる。

 

「えぇ....やっぱり俺が居ないときの方が来るん?」

 

俺の返しに対して二人は頷いた。何でなんだろう。

でも実際に俺が居ない時の方が客足はあるのは事実なのだ....売上的にはだが。

 

「俺に隠し事してないよな?」

 

俺が居ないときにコイツらが買ってるとかないよな?そう思い聞いてみると二人は明らかに呆れ顔になった。

 

「店長そんな事しませんよ」

「だね。どれだけの付き合いだと思っているの?」

「うっ....すまん」

 

俺は二人に頭を下げる。するとすぐにリズが

 

「そういうのは良いからっ」

「うわっ」

 

俺の肩を掴み無理やり頭を上げさせた。

 

「店長が居ないときは、店長に声を掛けた常連さんが来るだけだからね」

「ですね!店長は外に居れば誰かしら来るのでは?」

 

えぇ....なにそれ、俺が広告塔か何かかよ.....

そんな感じでグダグダしゃべって居ると固定電話が鳴った。

 

「...はい、こちらアイテムショップアクロスです」

 

一番電話に近かったリズがすぐさま受話器を取り、話始める。暫くすると少し険しい顔つきになった。

 

「...これは何か嫌な気がしますね。店長」

「...だな。簡単な仕事ならいいのだが」

 

流石に空気を読んでがクーが小声でそう言ってくる。それには激しく同意するよ。

クーとのやり取りから更に数分後、リズは受話器を置いた。

 

「何の話だった?」

 

俺がそう聞くと、リズはニヤッと口を歪めた。

 

「店長。よかったね、修理の依頼が来たよ」

 

うげっ、マジか。完全に顔に出ているのがうれしいのか、少し弾んだ声でリズは内容を言う。

 

「隣町の小規模のPMCのお得意様から、銃火器のメンテナンスの依頼が来たよ」

 

そう、うちは基本的には家電から銃火器の部品まで幅広く品揃えをしているので、偶にそのまま持ち込みで直して欲しいと客が来るのである。まぁ自分的には趣味の範囲でやれる程度なのであまり受けたくないのだが、どうしてもと良く客が来るのである。

 

「あぁ~おやっさんのところですかい...マジか断れないなぁ」

 

しかも、その隣町のPMCの実働部隊の隊長さんが初めてメンテナンスをした人であり、その後ちょくちょく言いまわっているらしく、メンテナンスのお客様もよく来るのだ。

そんな事を思い出しつつも用意に掛かる。リズはそれを確認したのちにさらに詳細を言ってくる。

 

「詳細情報を言うね。この前偶然護衛任務中に、小規模の鉄血人形の奇襲を受けて整備士が重症、その戦闘中に銃火器のいくつに石の破片が入り故障して動作不良を起こしたってだから、メンテナンスしてほしい。だって」

 

なるほど、じゃあ駆動部の部品関係を持っていけば良いかな?

そんな事を考えていると、リズは俺を止めた

 

「向こうにも部品くらいはあるでしょ。向こうだってメンテナンス要員は居るんだからさ」

「何か足りなかったら、私が届けますから!」

 

確かにリズのいう通りか、それにクーもいるから最悪連絡すれば行けるか。

 

「じゃあ、行ってくるか」

 

整備道具も持ったし、じゃあ久々にドライブかな。

そう思いつつドアの前まで行って、行ってくると言おうとして振り返るとそこには、ニコニコ顔のリズが居た。

 

「それっ」

「お、おいっ」

 

彼女は俺が出していた車のカギをひったくると、そのまま外に出ていく。

 

 

店の出口から、すぐ左に行くとそこには、装甲車が置いてある。いつも商品を持って行くのに使用している。

それの運転席にはリズがもう乗っていた。

 

「店長はやく!」

「はいよ。....じゃあ店番任せたぞクー!」

 

俺は一回少し店のドアを開けて中にいるクーにそう言うと、お任せくださいと言う元気な声が返ってきた。

それを確認し、すぐに助席に乗り込む。

 

「じゃあ出発するね」

「おう、安全運転で頼む」

 

任してとリズは綺麗に笑いアクセルを踏んだ。

 

 

.....本当に車の運転好きなんだな。

 

 

 

俺は彼女の横顔を見ながらふとそう思った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

「行きましたね」

 

装甲車の音が走り去って行くのを聞き届けたのちに私はふぅと一息つきます。

 

「さてと、店長には恩もありますし始めますかね」

 

そう呟き、私は座っていた席を立ちレジの後ろへ向かいます。それと同時に入口が開きます。

 

「よぉ。お嬢ちゃん今一人だなぁ」

「いらっしゃませ、何かご入用でしょうか?」

 

いかにもといった、アウトローな人達が近付いて来ました。でも見た目だけかもしれませんから一応きちんと対応しなければ。

 

「ん~とな、俺たちは電池が欲しいんだ」

「そうですか、ならそこの棚にありますよ」

「おう、ありがとよ嬢ちゃん」

 

そう感謝して電池をありったけ掴んで自身のカバンに入れます。そして、そのまま出ていこうとします。

 

「お客様。お会計は10,000クレジットです」

 

私は、お客様に気付かれないように入口まえに立ちそう言いました。

 

「おいおい嬢ちゃん、痛い目にあいたくなければそこをどきな?」

「お金を払ってくれればどきますよ?」

 

私が当たり前の返答をすると、お客様はにこやかになった後、右手に拳を作り私目掛けて振り下ろしてきました。

 

「まぁまぁですね」

「...っがぁ!?」

 

さてと、私もこの店が大事ですしこういったお客様には「お話」をしなければ。

 

「さて、料金をお支払い下さい?お客様?」

 

 

 




クーちゃんは元気っ子にするつもりが何故こうなった.....?

話の途中っぽいですが、サブタイトル的には回収できたので投稿します。

誤字脱字の報告お願いします。

ではまた次回にお会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三話:面倒ごとは拒否します

まだ、ネタがあるので暫くは2日に一話出せそう。

今回は、ほとんど人形との会話が無い(なんでこうなった?)

次回は、もっと人形とのからみを増やします。

ではゆっくりしていってね。


店から出て隣町に向かい始めて大体15分位だろうか。道路が徐々に砂利道と化してきた。

 

「揺れるなぁ」

「この前よりかは良くない?」

 

俺の呟きにリズが返事をする。う~ん俺にとってはあまり変わった感じはしないけどな。

 

「店長には分からないかもね」

「お前だって、普段は店番だからそんなに変わらんだろーに」

 

そう言うと、それは心外だとリズは言ってきた。

 

「そもそも、何時も店番か車のメンテナンス程度しかしてない店長には言われたくないな。私はオフの時にはドライブに行っているし」

「本当にドライブ好きなんだな。おれはこういった道路ばっかでしんどいわ」

 

リズはその言葉を聞くと少し目を細めて

 

「店長はもっと、動いた方が良いしらしいよ」

「そうかな?」

 

うんとリズは答えた。結構動いているとは思うんだがな。

 

「全然動いてないよ。いっそのことクーの仕事を一緒にいったら?」

「早起きは苦手なので却下で」

 

早起きだけは厳しいっすよリズさん。そう思いつい即答してしまった。

 

「予想通りの返答ありがとう」

 

リズはその言葉の後、運転に集中しているのかだんまりとし始めた。道はさっきより少しひどくなってはいるが、彼女が集中するほどか?

 

まぁ、いいか。少し外の景色でも見て時間を潰そう。と言っても道路以外は朽ちた建物ばっかりだけども。

 

「リズ……」

「なに?店長」

 

俺は外の景色から目を離さずにこう続けた。

 

「少し眠くなった……って痛いっ!」

「私の話し相手をやめるのは許さないよ?」

 

ちくしょー、話ったって何かあるか?特に話すことないだろ。俺の心の言葉を察知したのかリズはこちらを一瞬チラッと確認して

 

「じゃあさ、店長ってオフの日なにしてるの?」

 

 

オフ、オフねぇ……この前のオフは確か二週間位前だったか。

 

「早朝に起きてガレージ行って、愛車のメンテとリズの愛車のメンテとこの車のメンテしてたな」

 

 

うん、あれは楽しかった。久々に趣味に没頭出来てついつい飯抜かしてたな。

そんな事を思っていると、隣からため息が聞こえて来た。

 

「それもう仕事じゃん」

「仕事じゃないよ。お金貰ってないし」

 

逆にメンテに必要な材料を自腹で切ったので結構な出費になったな。特にディーゼルエンジン回りとか……

 

「うん。店長が阿保なことが再確認出来たから良かったよ」

「何だよ?悪いか?」

 

ちょっとキレ気味に聞き返すと、別に悪いって訳じゃないよとリズは返答した。

 

「さてと、もうすぐ着くよ」

「うーん?あれこんなに早く着くっけ?」

 

俺はそう思って視線をリズの方から車外へと向けた。

すると、遠くに防壁が見えてきた。

 

「相変わらず飛ばしたのな」

「店長の運転はゆっくり過ぎるの」

 

いや、俺も60km/h位で走ってるよ?それで一時間弱の道だよ?

 

「それを45分弱で着かせるなんて、何時もながらスゲーな」

「どういたしまして」

 

そう言いながら微笑む彼女は何時のも店番で見ている表情より明るく見えた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

隣町に無事に入った後、俺達の乗っている車はそのまま中央区へと進行した。

 

「到着だよ」

「じゃ、仕事してくるから車は任せた」

 

目的地に着いたと同時に俺は一言リズに言ってから、車から降りる。

 

「行ってらっしゃい」

「おう」

 

その言葉を背中に受け俺は目的地へと入って行った。

 

出迎えの人影は無いけど、特に扉が勝手に空いたのでそのまま入るとこにした。そしてそのまま近くにあった階段で二階へと向かう。途中で他のメンバーに会ったので挨拶しながら奥にある指令室の扉を開く。

 

「おう、待ってたぜ。兄弟」

 

特に驚く事もせずに、その部屋に一人佇んでいた大男はそう俺に言った。

 

「出迎えも無いのはどうかと思いますよ?おやっさん」

 

あと兄弟じゃないです。そう挨拶代わりに返事をすると彼はふっと笑いそれから、姿勢を正した。

 

「すまねぇな、出迎えはそっちが早く着きすぎたせいで間に合わなかったんだ許してくれや」

 

あ、そゆこと。なら致し方なしかな?

 

「で?メンテナンス依頼とリズからは聞きましたが?」

 

俺がそう聞くとおやっさんはああそうだったと言った後座っていた椅子を立ち上がった。

 

「こっちだ。来てくれ」

 

俺は黙って頷きおやっさんについていく。

 

 

 

指令室からでて、1階の少し大きな場所に連れてこられた。

 

「ここだ」

「うわぁ......」

 

そこには、並べらている銃火器が凄い量あった。数的には40丁程だろうか?

 

「これ全部そうですか?見たところ動きそうな物も含まれているようですが」

 

そう聞くとおやっさんは、少し顎の方をかきながら

 

「あぁ、確かに動くものも有るのだがな。調子が悪くなっていてな」

 

キチンと料金は出すから頼むと、言いおやっさんは依頼書を俺に半ば押し付け整備室から出て行った。

 

「....これは、結構時間かかりそうだな」

 

まぁ、やりますか。

 

 

整備室に入ってから体内時間的には1~2時間たった。俺はほぼ無心に並べられているM4を直し続けている。

 

「あぁ、こっちも油さし方がダメだな~」

 

一丁一丁部品を大切に分解を行い、摩耗した箇所を交換し組み立てる。

 

「終わらねぇ....なんでよりもよって、メンテナンス要員が全員居ないんだよ」

 

小さいながらもPMCなんだから、そういった人員も一人や二人じゃないだろうに。

そう思いつつも、金が貰えるので整備を続ける。すると、整備室のドアからノックが聞こえてきた。

 

「はい~どうぞ」

「入るぞ」

 

入室を促すと、おやっさんが入ってきた。流石にまだ終わっていないぞ?

俺の心の声が聞こえたのか、おやっさんは肩をすくめながら

 

「流石に終わっているたぁ思っちゃいないぞ。ほれっ」

「うわっと」

 

何かを投げてきたので受け取ると、それは今の時代では珍しい缶コーヒーであった。

 

「これは、急の依頼をしちまった詫びの品だ。外のお嬢さんにも渡してきた」

 

何時も無茶聞いてくれるしな。とおやっさんは続けた。

 

「ありがとうございます。でも無理な依頼は受けてませんよ」

「だな。それは大事な事だ」

 

そう言って頷ずく。そういえば、この人仕事は終わっているのか?まぁ、こっちに来るって事は終わっているんだろうと決めつけ自身の仕事を続ける。

 

「いつ見ても良い手際だな」

 

おやっさんが来てから、2~3丁直した頃にボソッと呟いた。

 

「まぁ機器の修理は趣味ですから」

 

俺の返しに何やら苦笑いになったおやっさん。何が言いたいのだろうか?

 

「なぁ、うちのメンテナンス要員にならないか?」

「嫌です」

 

俺は、おやっさんの言葉に即答した。確かに今の生活より安定はするだろうが

 

「相変わらず、面倒ごとの可能性がある場所は嫌なんだな」

「それが自分ですから」

 

面倒ごとは嫌いだ。その思いが通じたのか、おやっさんは終わったら来てくれと言って整備室から出て行った。

 

「ふぅ、じゃあもうひと頑張りしますかね」

 

ーーーーーーーーー

 

 

「じゃあ、また何かあったら頼むな」

「料金さえ出しくれれば良いですよ」

 

あれから無事に整備が終わり、確認と報酬を貰いなぜか見送りに来たおやっさんの言葉に返事をした。

 

「では、失礼します」

「おう気を付けな」

 

丁度良く装甲車が近付いてきた。俺は助手席に乗り込んだ。

 

「お疲れ店長。手伝い必要だった?」

 

座ってシートベルトをしめたと同時にリズがそう聞いてくる。

 

「ただいまリズ。大丈夫だったよ」

 

リズが必要だったら連絡入れてるし。そう続けると彼女はそっかと言った。

 

「じゃあ、帰るよ」

 

そう言って装甲車は速度を上げていく。じゃあ疲れたし寝るとしますかね。

 

「じゃあ、着いたら起こして」

「了解。寝れるならね」

 

ん?今何か嫌な気が、そう思った瞬間急に外の流れる風景が早くなった。

 

「ちょっ!スピード出し過ぎ!!」

「だって日が暮れる前に帰りたい」

 

リズはそう言ったっきり黙り込む。

 

「嫌ぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

車内には俺の情けない叫び声が鳴り響いた。

 

 

 

 




徐々に文字数が増えていく。何故だ。

何か感想等がありましたらお気軽にください。

では次回またお会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四話:実は結構知られているみたいです 前編

二日で書こうと思った。しかし、ドルフロ(ゲーム)にはまり始め書く暇がありませんでした。

では、どうぞ...

ー追記ー
誤字報告ありがとうございます


「おはよう~」

「おはようございます!店長」

 

何時ものように店内に入ると同時に挨拶をする。今日はリズが居ないのでクーの声だけがこだました。

 

「さて、今日はリズが居ないから外に出なくて済むぞぉ」

 

そう言いながら、何時もの椅子に座る。するとカウンター越しに目の前に移動したクーが半眼になり

 

「リズさんが居ないと面倒くさがりが前面にでますね。店長って」

「仕事が好きなやつは、ほとんど居ないから」

 

クーにそう返して、俺は頭をカウンターに押し付けた。

 

「機械弄りが好きなら、修理屋としてとかなら喜んでやりそうですよね?」

 

クーは商品棚に並べている商品の位置を弄りながらそう聞いてくる。

あぁそれは

 

「店を作ろうとした時に、実はその案は出したんだよ」

「そうなんですか?」

 

クーは驚いた顔でこちらを見た。俺は頷きつつその時を思い出した。

 

「ーー確か、あの時は修理屋で行こうって俺が言ったら、リズが全力で止めてきてな」

「ーあぁ納得しました」

 

そこまででクーは納得した顔になっていた。....理由が分かるのか?

 

「店長が過労死しちゃうから止めたんでしょう」

「お前達ってさ、俺の考えている事分かるのか?」

 

俺の呟きに対してクーはまぁ殆どと言った。深くは考えないようにしよう。

 

「理由に関しては理解した。確かに仕事ばっかしそうだから心配してくれたのかな?」

「きっとそうですよ!」

 

ああ見えてリズさんは店長と同じくらい心配症ですからとクーは続ける。

そう雑談していると、店の入り口が開いた。

 

「「いらっしゃいませ」」

「ここに銃火器のアタッチメントが売っていると聞いたのだけれど」

 

入ってきたのは銀髪で目が黄色の女性であった。戦術人形かな?そう思っているとクーが彼女に近付いて行った。

 

「お求めのアタッチメントは何でしょうか?」

「このサイトと同じものなのだけれど」

 

そう言って彼女はホロサイトを出した。クーは一目見て申し訳なさそうにした。

 

「この種類のサイトは在庫ないですね」

 

そう言うと、彼女は少し残念そうな顔をした。

 

「そう、ならお邪魔したわね」

「電池切れですかね?」

 

俺がそう聞くと、彼女は首を振った。そうかぁ~でもそんな悲しそうな顔をされたまま出て行ってほしくないな。

 

「そのホロサイト、買い取って良いですか?」

「店長!?」

 

俺の一言に彼女は訳の分からないと言った顔をした。そしてクーは俺が何をしようとしているのか分かったのかやめろと言った顔をした。まぁ止めてくれるな。

 

「まぁ、良いわよ。どうせ捨てるつもりだったし」

 

そう言って彼女はカウンターに置いた。

 

「で、幾らくらいでくれるので?」

「まぁ2万クレジットで良いわ、どうせ壊れ物だし」

「ん。ほれこれで良いか?」

 

俺は自身の財布から2万クレジットを出した。彼女はそれを受け取るとじゃあお邪魔したわねと言って店から出て行った。さてと、じゃあ急いで始めますかね。

 

「クー、ちょっとさっきの彼女を追いかけて」

「....でも、直ぐに追いつかず10分位の時間をかけてくれ。ですね?」

 

俺は黙って頷く、そうしている間にどんどん必要な材料をカウンターに出していく。その姿を見たクーは溜息をついた。

 

「はぁ、了解しました。では行ってきます」

「頼む」

 

 

さ~て、帰ってくるまでにやんなきゃな。

 

まずは全部バラして……フムフムこれは光源の部分がイカれちゃってるのか…ヤバイぞ10分で仕上げれるか?

 

「まぁ……全力だせば間に合うかな?」

 

 

 

最後にビス止めをして、簡易検査器で検査して……よし出来た。

 

「クーの奴遅いな~もう10分ちょっとたってるんだけど」

 

そんな事を考えていると、入り口が開いた。

 

「いらっしゃいませ」

 

お客様だと不味いので、一応何時もの挨拶しながら入って来た人物を見ると、笑顔のクーと先程の女性が立っていた。

 

「クーお帰り~」

「只今戻りました!どうです?直りましたか?」

 

 

返事と共に本題に入るクー。俺はすかさず直したホロサイトを手渡す。彼女はそれを一度覗き込んでから、女性の方に手渡した。

 

「……これは!本当に直っている!?」

 

おやおや、そんなに驚く事であるのだろうか?にしても触って分かるの物なのか.....便利だな戦術人形ってのは。

 

「一応、買い取った物だから一応売り物なんだけど、買いますか?」

 

ここで無料にしたらリズに怒られるのは当たり前として、クーにも怒られそうなのでそう女性に聞くと当たり前よと答えた。

 

「で、いくら払えば良いのかしら?」

「ん~...」

 

どうしようと、クーの方に視線を向ける。彼女は一度こちらを睨んだ後、暫く顎に指をあてて思考したのち口を開いた。

 

「4万クレジットですかね?」

「4万クレジットね分かったわ」

 

女性はその値段に納得したのかお金を出すと、そのままドアの方に向かって行く。

 

「...ありがとう」

「「またのご来店をお待ちしております」」

 

うん。やっぱりこんな時代でも感謝の言葉を聞いた時が一番嬉しいな。

 

「店長。彼女には一応この店の事に関しては伝えてありますからね」

「おっ、ありがとな。クー」

 

やっぱり、気のきく店員が居ると楽だな。

 

「あっ!そろそろお昼休憩です!」

 

クーが時計を見て報告してきた。

 

「じゃあ、先にお昼休憩してて良いよ」

「ありがとうございます!」

 

クーはスキップしながらプライベートエリアの方へと向かって行った。

 

 




はぁ、もっと早く文字が打てるようにならなきゃ(使命感)


では、また次回にお会いしましょう。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五話:実は結構知られているみたいです 後編

申し訳ない.....悩みに悩んで作成していた為にこんなに時間がかかってしまった。

クーが誰か分かりずらいと思い今回で確実にわかるはず...(分からなかったらすみません)

では、ちょい長めになりましたが、ゆっくりしていってね!!!


ー4月12日追記ー
Karさんの銃名をミスしてました。karファンの皆様申し訳ございません!


時刻は12時回ったくらい。

ここから13時半位までは結構な人数の戦術人形が自身の好きな物を買いに来る。

何時もならリズがここら辺までやってくれているが、今日は俺が担当だ。

そんな事を考えていると入り口が開いた。

 

「いらっしゃいませ」

 

入ってきたのは白髪長髪でモフモフのコートを羽織っている女性であった。

 

「こんにちは」

「おや、カラビーナさんではないですか。今日はどういったご用件でしょうか?」

 

俺がそう聞くと、彼女は少し店内をキョロキョロしながら聞いてきた。

 

「ここには、結構レアな戦術本があると聞いたのですが、」

「レアな戦術本?」

 

戦術本とは、戦術人形の中でもある制限が解除されている人形にしか使用できない特殊行動がインストール出来るデータ媒体の事である。まぁ簡単に言うと、ゲームで言う技の書みたいな物である。

しかし、今時そんなに最適化が進んでいる人形はこの付近では少なく、取り扱っている店はここくらいらしい(これはクーに聞いた)。

 

「ええ。何でも私の弱点を克服する為の戦術本らしのですが」

 

指揮官に聞いたのですわとカラビーナさんは言う。う~ん、ライフルの弱点って射速だけど、このカラビーナさんには当てはまらないしな..ん?指揮官から聞いた?

 

「あぁ....ならあれかな」

「流石店長さんですね」

 

俺は立ち上がり、そのままカラビーナさんにはそこで待っててと伝え、戦術本のエリアに行く。えーと確かこの辺に...

 

「あった。あった」

 

目的の物を見つけて、カウンターの方に戻り期待している彼女の前にその戦術本を置く。

 

「多分これかと思うんだけども」

「ありがとうごさい…」

 

返事の途中でそれまでにこやかにしていた顔が固まった。まぁ、そうなるわな。なんせこの戦術本の名前はー

 

「接近格闘術の基本ですの?ゑ??」

「レアな戦術本って言ったら、一押しがこの戦術本ですね」

 

カラビーナさんは困惑といった形で俺の顔と戦術本を交互に見つめながら一人であわあわしている。でもな、これ以外にレアな戦術本はないんだがなぁ。

そう思いながらほっこりしていると、カラビーナさんは見るからに不機嫌な顔になった。

 

「店長さん!からかっていますのね!?」

「いやぁ~あの指揮官に聞いたとのことでしたので、こういった方面かと思ったまでです」

 

俺がそう言うと理解したのか、カラビーナさんは少しだけ機嫌を直した。

 

「成程....これいくらですの?」

「ゑ?....えーと、4万です」

 

値段を聞いた彼女は少し悩んでいるようであった。

 

「指揮官、また私をからかう為にこんな事を...?帰ったらお話ですわね」

 

聞こえないけどなんかブツブツ言っているよ。でも顔が能面になってて怖いです。そして、あそこの指揮官さんが無事であることを祈っておこう。

 

天に祈っていると、少しは落ち着いたカラビーナさんが

 

「店長さん。本来なら何を出そうとするつもりだったのですか?」

 

と鋭い目で見てきた。……あれれ?俺が首をかしげると確信を持ったのか、彼女は

 

「やっぱり、本来ならもっと私が慌てる物を見せる様に頼まれていましたわね」

「さーて?なんの事やら」

 

冷や汗を少し書きつつ、俺ははぐらかす。まぁそんな事をしたら、余計隠し事があると言っている物で

 

「後学の為に聞きたいのですが」

「……これです」

 

そして、本当に問題の本を彼女に見せる。

 

「っ!?……つっ!?……!?!?」

 

予想通り…いや、予想以上の速度でカラビーナさんの顔が赤くなって行きー

 

「ーきゅう」

「おっとと……やっぱりな」

 

回路がオーバーフローしてしまったのだろう。強制スリープモード…人間風に言うと気絶してしまった。

 

「やっぱりな~~慌てる所じゃ済まないと思ったけど」

 

まさか、気絶しちゃうとはな……さてどうしようか?

正直、完全に力が抜けている同じ位の身長の彼女をずっと支えているのは辛い。そんな事を考えて居ると、プライベートエリアから人が飛び出て来た。

 

「店長!何事ですか!?」

「あっ…は?」

 

その人物は、まぁクー以外居ないのでまぁ彼女なのだが、問題は2つあった。一つ目は現在の俺の状態。カラビーナさんを片腕で抱いて支えて居る。もう一つは彼女の右手に持っている物である。

 

それは彼女の小さめの身長とほぼ同じ長さを持つ銃火器であった。一応ライフルの種類ではあるが、その銃身は太く長い。そして特徴的なのは銃身に取り付けられているマズルブレーキである。その名前は『M99』

 

「「…………」」

 

クーは店内をチラッと見回し、安全を確認したのか右手に持っていた銃のセーフティを掛けた。

 

「良かったです。店長がご無事そうで!」

「あー、うん?」

 

あれ?この状態に関して何もコメントが無いぞ?まぁ無いなら良いのだが。そんな事を考えていると、クーは自身の銃を近くの壁に立て掛け、カラビーナさんの顔一別した。

 

「やっぱり、また店長がからかったんですね」

「うん。ここまでなるとは思ってなくてな」

 

俺がわざとじゃないことを言うと、後できちんと謝る様に言ってクーはM99を持ちプライベートエリアに向かう。

 

「簡易ベッド持ってきます。それまで待ってて下さい」

「お、おうありがとう」

 

 

ーーーーーーーーー

 

「なかなか目覚めないね」

「ですね」

 

あれからクー以外の人物に俺の格好が見られる事が無くすみ。カラビーナさんを簡易ベッドに寝かせ、そこから結構な量のお客を相手して、今は波が一段落して店番しながら休憩中だ。

 

「あ、そう言えばあそこの基地の指揮官さんから、言伝てがありました」

 

クーは、今丁度思い出したかのように言う。あの指揮官からの言伝てで良かった物なんて無かったんだけど……

 

「えーと、この頃働きすぎなのでkarさんは任せる……だそうです」

 

うぇ、凄く面倒な事を言ってきやがった。俺の顔を見てやっぱりといった表情になった。

 

「カラビーナさん絶対に帰ろうとするよね」

「そうですね」

 

止めれる奴がいたら良いのだが、ここにはそんなエース級の人形を押さえれる奴がいない。

そんな事を考えていると、クーはクーで何かを考えているようであった。

 

「ん…ん?」

「あっ、起きましたか?」

 

そんな時は俺達の後ろから呻き声が聞こえたので振り替えると目を細くしてボケーとしているカラビーナさんがいた。

 

「おはようございます。先程は、やり過ぎましたすみません」

「…おはようございます。さっき?…大丈夫ですわ」

 

まだ、キチンと起ききって居ないのか、反射的に挨拶をする彼女。しかしそろそろ思考が回ってきたようで

 

「っ!?これは、失礼しましたわ!」

 

私としたことが、と慌てる彼女。まぁ今回は見せろと言って素直に見せた俺の責任もあるしな

 

「別に大丈夫ですよ。貴方の指揮官が休めと言ってたよ」

「……そうですか」

 

すると、少し暗い顔をする彼女。大方、本当は自分の事なんて…とか思ってるのかな?

 

「これは、とある指揮官の話なんだけどな」

「「?」」

 

急な話題変換に二人はついていけないのか、首をかしげる。それを無視して俺は続ける。

 

「そこの指揮官はな一人だけ絶対的な信頼を置く戦術人形が居たんだ」

 

二人とも、何故か黙って聞いている。なら、そのまま続けるか

 

「戦術人形も指揮官を信頼していたんだ。でも一つだけ二人は食い違っていた」

 

「戦術人形は自身は武力でしか信頼を貰っていないと」

 

「だが指揮官は、存在として信頼していた」

 

「まぁ、この物語の行く末は良くある話なので省くが……俺が伝えたい事はな」

 

俺はカラビーナさんと目線を合わせた

 

「信頼しているからこそ、たまには休んで英気を養って欲しいんだろうね」

「ですが、私は戦術人形ですわ」

 

疲れなど感じないと、続ける。まぁそれはそうだな。

 

「まぁ、そこは大切に思ってるから人間と同じように考えちゃうんだよ」

「っ!」

 

俺が恥ずかしさMAXの言葉を言うとカラビーナさんは見て分かるほどに、顔を真っ赤にした。

 

「そ、そそそれは」

「また気絶しないでなー?」

 

まぁ、その方が楽かもしれな……痛だ!?

右足を何者かに踏まれた。右側を見るとジトと化したクーが座っていた。

 

「店長、それは失礼ですよ?」

「……すんません」

 

見た目幼女に頭を下げる青年……うん端から見たら変人だな。

 

「では、今日は存分にやすみますわ」

 

そう言って立ち上がるカラビーナさん。まぁこれであの指揮官がさせたかった事が出来たかな?

内心ほっとしていると、カラビーナさんは少しボソボソと無線で誰かと連絡を取った後にこちらに顔を向けた。

 

「話は変わりますが、店長さん。ここに私の銃に付けれる銃剣とそれに関する戦術本はありますか?」

 

とニコっと笑って聞いてきた。

 

「有りますが……?」

「では、そちらも先程の奴と追加で買いますわ」

「ま、毎度」

 

さっきのとは、どっちだ?そう思いつつ俺は、カウンター後ろに立て掛けてある銃剣を取り、銃剣術の戦術本を取りに向かう。

 

「ありがとうございます」

「いえいえ…で値段ですが」

 

俺がそう言うと、彼女は申し訳なさそうな顔をした。

 

「もう少しお待ち下さいな。流石に持ち歩きしているものだけですと足りないのは分かっておりますから」

 

もうすぐ友人が資金を持ってくるとの事であった。じゃあ持ち帰り用に梱包しますか。

銃剣から始めようとしたら、俺の手うえに白い手が乗り待ったをかけてきた。下に向いていた視線を上にあげるとそこには、カラビーナさんがにこやかに立っていた。

 

「梱包必要ではありませんか?」

 

ふと嫌な予測が脳裏をよぎったがあえて無視してカラビーナさんに言った。すると彼女は顔を変えずに

 

「店長さんはとても手先が器用だと聞きました。とくに銃火器整備はとても良い腕前だそうで?」

 

えっ、だれから聞いたんだ?俺はかなりこの基地にはと言うか、グリフィン&クルーガー社には気付かれないようにしていたはず。

 

「大丈夫ですよ。この話は私しかしりません」

「……はぁ、面倒事には巻き込まないで下さいね?」

 

俺はそう言って右手を出した。

 

「俺のメンテは高く付くぜ?」

「そうこなくては」

 

カラビーナさんは、自身の手を後ろに回しそこからライフルを取り出し、セーフティを確認後俺の右手に置いた。

 

「銃剣取り付けと、フルメンテナンスをお願いしますわ」

「承ります」

 

俺はカラビーナさんからライフルを受けとると、クーにあとは、任せたと言ってプライベートエリアに向かうのとは、別のドアを開け中に入っていった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ガチャンと扉が閉まる音がします。それと同時に先程までのふんわりとした雰囲気が無くなりました。

原因は、先程まで店長と話していた人物。

 

「クーちゃん。一つ質問よろしいですか?」

「何でしょうか?karさん」

 

顔だけ笑いながら、私にそう聞いてくる。すると彼女はかなり鋭い目付きになり

 

「貴女は、いえ…貴女達は一体何者ですか?」

 

何者と来ましたか。なら返す言葉は決まっています。

 

「ただの人形ですよ?普通に考えて、こんな小さなお店が戦術人形なんて持ってるわけないですよね?」

「……そうね」

 

納得は行かないが、それ以上聞いてくることは有りませんでした。

 

「ただ、このご時世に何も出来ないと言う訳では有りませんよ?」

「それはそうですわね……」

 

深く頷くkarさん。そうですよ。私とリズさんはこのお店…いや店長さんを守ること以外に力を使う気など無いのですから。

 

そんな事を考えていると、ドアから一人の女性が入ってきました。

 

「いらっしゃいませ」

「どうも。…karさんこれくらいでよろしいのですか?」

 

入って来たのはkarさんた同じような帽子にその下から見える金髪ショートの女性であった。

 

「G43。ありがとう」

「いえいえ!暇でしたの大丈夫ですよ!」

 

Karさんの感謝に対して、元気良く返事をして、それから此方を見た。

 

「クーちゃん。何時もの!」

「はい分かりました」

 

G43さんが、来る度に必ず買っていく物があります。というより、彼女専用と化してはいますが。私はビンを3本出します。

 

「Gut!はい、これお駄賃!」

 

彼女は、そのビン…ビールを嬉しそうに天に掲げてそれでは!と帰っていった。

 

「相変わらずのビール好きね…」

「アハハ、でもこれのこれのお陰で結構な黒字なんですよ」

 

それを聞いたkarさんは少し目を見開いた。

 

「……今度、禁酒させようかしら?」

「流石に冗談ですよ!」

「ふふ、私でもそれは分かってますわ」

 

少ししてやったりとした、karさん。まさかさっき店長がやった仕返しですか!?

 

「…後で店長弄ろうそうしよう」

「ほどほどにしなさいな?」

 

Karさんは、優しいですね。でも手加減なんてしません!

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

なんか、寒気がしたんだが…まさかリズの奴にばれたのか!?

 

カラビーナさんの相棒…いや体の一部であるkar98kを分解していると、突然背筋がゾッとした。

 

 

「にしても、やっぱり戦術人形が使ってる銃って磨耗が少ないよなぁ」

 

部品が部品単位で不調がないか洗浄しつつそう呟いた。

人が使うよりやはり烙印システムのおかげで変な箇所にダメージが来てることがほぼない。

 

「カラビーナさんだからっていうのもあるとは思うけど……あ、部品洗浄終わりっと」

 

交換部品は……まぁまだ全然大丈夫そうかな?それじゃあパパっと組みますか~

 

 

あれから、すんなりと銃を組み上げ銃剣を取り付けその銃剣のカバーを付け終わり出口を開けた。いち早く反応したのはクーだった。

 

「お疲れ様です。何をしました?」

「洗浄と組み立てだけ~カラビーナさんの整備も上手いから早く終わったよ」

 

俺はそう言って、カラビーナさんの方を見たらそこには椅子(クーに出してもらったのかな?)に座りつつも目を見開いている彼女がいた。

 

「店長。値段どうしましょうか?」

「オーバーホール、銃剣取り付けだけだったから、2万かな」

 

カラビーナさんの事を気にしていたらクーに値段を聞かれたので答えた。さてと、そろそろお客様にお値段の相談をしないと。

 

「カラビーナさん?大丈夫ですか?」

「はっ!んんっ...えぇ大丈夫ですわ」

 

じゃあ、計算をと思っていると電卓を持っていた、クーが明細書を記載を済ませ持ってきた。

 

「店長。こうなりましたよ」

「お。クーありがとう。カラビーナさん料金は、こちらになります」

 

俺は、カラビーナさんの方に明細書を見せた。って、あの問題の戦術本も買うのね。

 

「えぇ、大丈夫ですわ...ただ一つ良いですか?」

「はい?」

 

俺の返事に失礼しますわと一言言ったカラビーナさんは、カウンターに置いてあったkar98kを持ち上げると銃弾をすべて抜いたのち、壁に銃口を向け、からコッキングを数回行った。そして、銃弾を自身のポケットに入れ持ってきてもらったのであろうトランクから料金を出した。

 

「数えて下さいませ」

「あ、はい...丁度です」

 

一応クーにも確認をお願いしようとしたら、既に済んでいた。うちの店員優秀ですな。

そんなことを考えていると、カラビーナさんは出口の方に向かって行く。

 

「またのお越しをお待ちしております」

「えぇ、また近々絶対に来ますわ」

 

そう言って、彼女はこの店を後にした。

 

 

 

 




G43がお酒好きにしてしまった。申し訳ナイデス。

はい、今回はkarさん回でした。上手くかけている事を願います。

まさかの6000字。次回はきっと短くなります←
そして、若干ほのぼのから遠ざかります。ご了承ください。

誤字脱字の報告お願いします。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六話:お守り 前編

このお話は、ある意味第一イベント(面倒事です!)

これで、少しは店長達の秘密が明らかに!

店長はこの状況をどう過ごすのか?

では、今回は短いですが、ゆっくりしていってね!

ー追記ー
誤字報告ありがとうございます。


ウゥゥゥゥゥゥウゥゥゥゥ

 

「つっ!?」

 

俺はその警報音が聞こえてた瞬間ベットから飛び起きた。着替えず取り敢えず外が見える場所に急ぐ。と言っても、部屋を出て直ぐの廊下に見える場所があるのだが、まだそこから日の光が指していない。

 

「まだ、夜中かよっ」

 

そう一人呟き、部屋に戻る。そして、非常時用の服(リズ曰くバトルスーツらしい)に着替えていると、机の上に書置きが置いてあった。

 

~店長へ~

ちょっと外が五月蠅いので見てくるね

byリズ

 

 

「はっ!?アイツ一体いつから居なかった!?」

 

俺が起きた時には、もう置いてあったのだろう。だとするともう彼女は外だ。

 

「クーもか?」

 

そう持って、クーの部屋に向かおうとしたら、俺の部屋が突然開いた。そこには、フル装備のクーが立っていた。

 

「店長。起きましたか。ではこれを」

 

そう言って渡してきたのは、俺がむかし直した超小型で高性能の無線機であった。それを耳につけると声がした。

 

《あー店長。おはよう》

「リズ!?この警報は対鉄血の奴だろ!?今どこにいる!?」

 

俺の焦り様が伝わったのか、リズは少し申し訳なさそうにこう言ってきた。

 

《それなんだけどね。囲まれちゃった》

「はっ?」

 

それは、俺のトラウマを掘り返すには十分すぎる言葉だった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーー

 

ーーーーーー

ザザザザザザ

 

「□△突破……此方に向かっ……!!」

 

「どうなってやがる!?クソッ!」

 

「○□△……生きろ」

 

「後で追います……先に向かって下さい」

 

ザザザザザザ

 

ーーーーーー

 

ーーーーーーーー

 

ーーーーーーーーー

 

「…長!店長!」

「…はっ!」

 

くっそ、変なところでトリップしてしまった。

俺は無線機に半ば怒鳴り付ける用に聞く。

 

「リズ!武器は!?」

《あー、持ってきてないや》

 

いつも通りの口調。しかし、焦りは募るばかり…

 

《ー店長。焦んなくて良いよ。丁度あそこの司令部が動き初めてくれたみたいだから》

「っ!……分かった」

 

それまで隠れるのは朝飯前だよと続けるリズ。何でそんなにいつも通りなんだよ。

 

《それに『お守り』は常に持ってるから大丈夫だよ》

「お守りってお前………ん?」

 

何か今お守りのニュアンスが違った気がする……っ!

 

「リズっ!お前っ……!」

 

俺をからかいやがった!あいつ絶対に許さん!

俺の反応が予想通りだったのか、リズは笑いだした。

 

《あははっ、やっぱり店長をからかうのは楽しいや!》

「……リズ」

 

時と場合を選んでからしろよ……

そう思いつつ彼女の名前を呼ぶと

 

《少しは信じてくれないかな?》

「っ!……開店迄には帰ってこいよ。オーバー」

 

負傷したら覚えておけよ。

そんな思いを含ませて指示を出すとご機嫌な声が帰って来た。

 

《ふふっ了解!》

 

ブッ

通信が切れた。まぁ無線は探知される可能性が高くなるから、仕方がないか。

そのまま朝飯を食べようと部屋に戻ろうとすると、フル装備のまま立っていたクーが声をかけてきた。

 

「店長。今日は一緒に朝ご飯食べても良いですか?」

 

と聞いてきた。まぁ別に構わないのでそのまま自身の部屋に招待する。

 

 

「ーリズさんの救援には行かなくて良いのですか?」

 

あれから、朝食のパンをかじっていると、クーはそんな事を聞いてきた。でも心配は無用なんだよな。

 

「心配してくれてありがとうな」

「わわっ」

 

俺はパンに触れていない方の手で彼女を撫でる。彼女の髪飾り等がずれないように優しく撫でる。初めは驚いたのか強張っていたが次第にそれも無くなっていき、そのままされるがままになった。

 

ーん?これ何時まで続ければ良いんだ?

 

「……」パッ

「あぅ………」

 

「……」ナデナデ

「……ふにゃ」

 

撫でている手を離すと途端に寂しそうな顔をする。そして手を戻して撫で始めると気持ち良さそうな顔になる。

 

ーーなにこの子可愛い

 

 

 

あれから、ずっとクーの反応を楽しんでいると、自室の扉が開いた。

 

「ただいま……って何してるの?」

「「………はっ!」」

 

二人揃って声がした方を見るとそこには、何時もの通りのリズが扉に寄りかかって此方を見ていた。

 

「店長…ロリコン?」

「ロリコンちゃうわ!クーが可愛いのが悪い!」

 

はっ!これはいかん!そう思った時には既に遅く、ニヤリと笑ったリズは

 

「可愛い…ねぇ……クー良かったじゃん」

「あうあうぅ……」

 

クー弄りを始めた。…あれ?これはもしかしなくても機嫌が悪い…?あ、そゆこと

 

「リズ」

「えっ、ちょっ!店長!?」

 

俺はリズに近付きその体を優しく包んだ。すると先程まで感じていたトゲトゲした雰囲気が無くなった。

 

「無傷みたいで良かった。…本当に」

「……うん。約束したからね」

 

心配してないかと思ってたのかな?まぁリズは何故かこいった時はこうすると機嫌が良くなるんだよなぁ。

暫くそうしていると、リズの雰囲気がいつもと同じになったので、離れる。

 

「店長ただいま」

「お帰りリズ。さて今日もまったり店をやろーか!」

 

俺はそう言って、自室から出ていく。後ろからリズとクーがついてくる。

 

「顔真っ赤じゃん。ぷふっ♪」

「そう言うリズさんもですよ」

「っ!……クー?」

「わー、図星でリズさんが怒りましたー!店長後は任せます!」

 

ーおいっ!リズを弄るとか命知らずな事をして後始末を俺に押し付けるな!

おいリズ…弄ったのはクーだ!…え?逃げられたから店長で良いって……

 

そんなのあんまりだぁーーー!!!!

 

 

 

 

 

 




あ、あれ?書いてたら少し暗いのは初めだけだったぞ?

と言ってもまたまた続きます。

誤字脱字報告や感想は何時でもまっとります!

ではまた次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七話:お守り 後編

今回は店長メインではありません!

リズメインで書きます。

そしてほのぼのとはしません。苦手な方は次回までお待ち下さい。

ほのぼのじゃなくても良い方はゆっくりしていってね。


店長を弄りまくってから無事に開店し、今はお昼休み。

店長は私に始めに休ませようとしたけど、そんなに疲れてないからと言って、予定通り店長が始めに休憩入れた。

 

「リズさんリズさん」

「どうしたの?」

 

レジ前の椅子に座って本を読んでいると、突然クーが話しかけてきた。

 

「今朝の戦い、ハンドガンの貴女じゃあ無傷は無理のはずです」

 

そう言ったクーの声音は何時もの聞くものに元気を渡すような物ではなく、鋭いナイフの様な声音であった。

 

「んー、そうかな?逃げに徹すれば行けただけよ?」

「誤魔化さないで下さい。あの時のあの基地の無線を聞いているので状況は理解してます」

 

あちゃー、店長と違って誤魔化せないか…まぁ店長も薄々気付いてそうだしね。私は時間を考えた。店長の前でこう言った話はご法度だからね。…うん。今からなら話し終わった頃に来るかな?

 

「分かったわ。じゃあ正直に話そうか」

「はい」

 

クーは背筋をピンと伸ばし私の方を真っ直ぐ見つめてくる。

 

「んー話すと言ってもそんなに難しいことじゃ無かったから、要点だけ話すね」

 

彼女が頷くのを確認する。じゃあ先ずは

 

「店長との通話するまでは本当に逃げ回ってたよ」

「はい、そこまでの詳しい話は私としていたので、知ってます」

 

うん、そうだよね。

 

「店長から指示を貰ったじゃん」

「ゑ?……あ」

 

ー開店迄に帰ってこいよー

 

「あのまま司令部のkarさん達が来るまで撒くことも出来たけど、それじゃあ日が昇っちゃうからー」

 

私を包囲してた鉄血を一つ残らず壊しただけだよ。

それを聞いていたクーは目を見開いた。まぁそうだよね。武器は持ってないと言ってたのも聞いていた筈だから

 

「武器は持ってないけど、『お守り』なら持ってるって言ったでしょ?」

 

私は右太腿に付けているガンホルダーから、一つのハンドガンを取り出す。そして右手の中で一回転させホルダーに戻す。

 

「……でも、ハンドガンですよ?」

「うん、そうだね。でも急所を撃ち抜けば、このハンドガンなら十分の威力があるよ」

 

グリズリーマグナム……45口径のマグナム弾をセミオートで撃つことの出来るハンドガン。

 

「それに、これは私専用だから」

 

それは、人形にとっては当たり前ではないのか?とクーは首をかしげる。まぁそうだよね。

 

「……1ヶ月」

「1ヶ月?」

「店長が1ヶ月メンテナンス部屋に込もって改良した物だから」

「!?!?」

 

まぁ、クーが驚くのも分かる。店長のメンテナンスは速くて最上級のメンテナンス技能を持ってるからね。

 

「……それって値段は…」

「まぁ無料だね。店長曰く好きでやったことらしいよ」

 

私はホルダーの中に収まった自身の髪色と同じカラーリングをした愛銃をさわる。現実的に考えたら…値段は

 

「多分、私達が貰ってる給料じゃあ払えないと思うよ」

「…ですよね」

 

クーは、カウンターに頭に付ける。

 

「私もして欲しいなぁ」

「頼んでみれば?」

 

クーの頼みならやってくれそうだけどね。と言うより今彼女が使ってるM99ってたしか

 

「でも、そもそもエッチングしてない銃をまだ使いこなせてない私がそんな良いメンテナンスが必要とは思いません」

 

クーはそう言い切ってまた突っ伏す。

 

「確か、基部からイカれてて直せなかったんだっけ?」

「……うぅ」

 

私の質問に対して突っ伏しながらも頷く。でもたかが基部がイカれていようが、店長なら直せると思うんだけどね。

 

「でも、リズさんは凄いですね。装甲兵も出ていたみたいじゃないですか」

 

銃のメンテナンスの話を端に置いておいて元の話に戻るクーが質問をした。

 

「装甲兵は確かに硬いね。今回私を包囲していた中には2体しかいなかったから、大丈夫だったよ」

「....えぇ」

 

あり得ないといった顔をする彼女。しかし、暫く私を見てそれから溜息をついた。

 

「リズさんだからと納得しておきます」

「それは、店長と同族になってない?」

 

私のその言葉にクーはニヤつき

 

「リズさん言葉ではそういった感じに店長を弄りますけど、本当は彼の事気に入ってますよね」

「そうだね」

 

私が慌てると思っていたのかクーは少し悔しそうに顔を歪めた。

 

「リズさん...」

 

クーが何か言おうとした時プライベートエリアのドアが開いた。うん、時間バッチリだね。

 

「店長お帰り」

「お~う。じゃあ次はリズが休みな」

 

そう言いながら、何やら長い物を持っている。あ~噂をすれば影...かな?

 

「じゃあクーお先に休み入るね」

「あっはいっ!どうぞ!」

 

そう言って、私はプライベートエリアに入り、ゆっくりと足を進めた。

 

「-----!!」

「----------」

 

私がキッチンに入る直前に、ドア越しでも聞こえるような歓喜の声が聞こえてきた。

 

「良かったね、クー」

 

私は一言呟きキッチンに入った。

 

 

ーーーーーーーーー

日も上がりきった頃。私達の部隊は異常な鉄血兵がやられているエリアにて探し物をしていますわ。理由は今朝の鉄血兵の進行時にG43が緊急出動した我々の部隊以外戦闘の痕跡を発見したそうで、その調査ですわ。

 

「ーー見つけましたわ」

「何これ?壊れ...てる?」

 

G43が近付いてそこに転がっていた装甲鉄血兵を突く。彼女がそう言うのは頷ける。何故ならこの鉄血兵だけではなくそこの付近に事切れて横たわっている鉄血兵は、全て

 

「急所を撃ち抜かれてるますわね」

「凄い....」

 

G43は感心しつつ、一体づつ確認をしている。これは

 

「ー指揮官に報告ですわね」

 

そう思い、指揮官に通信をします。

 

《こちら司令部》

「こちら迎撃部隊隊長のkarですわ。先程報告した痕跡の元を辿り主戦場となった場所に到達しましたわ」

 

私が報告すると、彼は早いなと感心していましたわ。

 

《今ドローンで確認しているのだが.....殲滅済みなのだな?》

「えぇ、全機破壊されています」

《その割には、損傷が少ない様に見えるぞ》

 

指揮官の反応が普通ですわね。

 

「そうです。ここの周辺には、急所に一撃で壊されていますわ」

《っ!?》

 

驚きのあまり息をのんだ指揮官をあえて放置して言葉を続けます。

 

「詳しい報告書は帰投後提出いたしますわ」

《あぁ、厳重警戒しつつ帰投してくれ》

「了解しましたわ」

 

通信終了。すると、G43他緊急出動組が揃っていましたわ。

 

「厳重警戒しつつ帰投せよ。とのことですわ」

「「「「了解!」」」」

 

その返事後我々は行動を開始しましたわ。

 

「願わくば、敵でないことを祈りますわ」

「?karさんどうかされましたか?」

 

独り言を言うと、G43が反応してしまったので独り言ですわと伝え、先に行かせました。

 

「『野良』ならば是非とも欲しいですわね」

 

ですので、会うまで壊されないで下さいね?名も分からぬ人形さん。




karさんに目を付けられるリズさん。

....どうしてこうなった?


店長は店員達の事をどう思っているのでしょうか?(次回)

では次回でお会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八話:休みの一時

気が付いたら、お気に入りが二桁行っていてびっくりしました!(今更)ありがとうございます!

執筆に必要な活力を読者の皆様から頂きつつ、これからも細々とやっていきますのでよろしくお願いします!

ー追記ー
誤字報告ありがとうございます。


今日も今日とて、お仕事だなとプライベートエリアから店内へのドアを開く。

 

「ふぁぁぁぁ。おはよ~」

「おはよう。店長」

「おはようございます!店長!」

 

挨拶に何時もの通りの返事を貰い自分の定位置に座ろうとしたら、リズに止められた。

 

「店長。今日はオフだよ?何してるの?」

「ゑ.....あ」

 

あぁ、そう言えばそうだったか。俺の反応で察したのかリズはあからさまに溜息を吐いた。

 

「店長はただでさえオフ少ないんだからさ、キチンと休みなよ」

「そうだね」

 

じゃあ、どっか散歩がてら行こうかな。...あそうだでかける前に

 

「二人とも、安全第一で頼むな?商品より自身の身第一にしてな」

「はいっ!行ってらっしゃい!」

「分かってるよ」

 

リズは悪巧みしそうな笑顔、クーは何時もの通りの笑顔で返事した。リズは良いとして、クーよ

 

「....その物騒な物を持ちながら言われると、流石に怖いな」

「??」

 

俺の呟きが完全に聞き取れなかったのか、クーは首をかしげる。そんな彼女に何でもないと伝え、俺は店を後にした。

 

 

 

「さてと、ただ散歩するだけなら特にいつもと変わらないな」

 

何かこういった時にしかできない事かぁ...整備はこの前やったばっかだし、特に趣味関係でやる事がないんだよな。そう思いつつ街の方に向かって行く。

 

「う~んジャンク屋でも行くか?」

 

でも仕事っぽい事しているとリズにバレた時大変だしな。どうするか?

そんな事を悶々と考えていると声を掛けられた。

 

「...あれ?店長さん?」

「ん?」

 

声がした方、進行方向を向くとカーキ色メインの改造学生服に紺のスカートを着た少女だった。

 

「ヒトヨじゃん。今日は稼業はお休みかい?」

「そうですよ~。店長さんこそ今日はオフですか?」

 

そう言って首をかしげるヒトヨ。ヒトヨとはこの街で良く会う野良の戦術人形の一人で、比較的仲がよい方かな?向こうがどう思っているかは分からないけど

 

「そうなんだよ。普段通りに店番やろうとしたらリズに追い出された」

「あははっ♪相変わらず仲がよろしいようで何よりです!」

 

そう言いながら、ご機嫌に俺の回りを歩くヒトヨ。一週位した後にあっと何かを思い付いたのか俺の正面に立った。

 

「そうだ!店長!付き合ってくれませんか?」

「……?別に良いけど?」

 

特にやることも無いしな。そう思い、返事をすると彼女は直ぐに俺に手を繋ぐと

 

「やった!じゃあ行きましょう!」

「おう…って引っ張るなよ!」

 

やっぱり、力強いな…!俺は抵抗をやめておとなしく引っ張られた。

 

ヒトヨに引っ張られること15分程。彼女は一つの店の前に止まった。

 

「ここです!」

「あー、ここか」

 

俺が知っている事を知り、ヒトヨは目を見開いていた。

 

「ここに入ったことあるんですか!?」

「おう、オフの時は良く来てココア飲んでるな」

 

ココア…?と訳のわからないと言った顔をしたヒトヨ。

 

「じゃあ、入るか!」

「なんで、人間の店長が?うーん……えっ、ちょっと置いてかないで!」

 

ブツブツ呟いていた彼女を置いて俺は店内へと入っていく。

 

カランカラン

「いらっしゃいませ~あら誰かと思えば坊やじゃない」

「ニーアさん、ココア」

「ふふっ。かしこまりました」

 

挨拶代わりに注文をする。そしていつも通りカウンターの椅子に座る。

 

「ニーアさん!こんにちは!」

「ええ、こんにちは!…ヒトヨちゃんも何時もの?」

「はいっ!」

 

カウンター席の一番奥に座ったと同時にヒトヨも来店。俺の右隣の席に座った。すると、ニーアさんが両手にグラスとマグカップをもってこちらの席の前に来た。

 

「はい、お待たせ~」

「どうも」

「ありがとうございます!んんっ、あぁ~♪」

 

ヒトヨはグラスを傾け一口飲んだ。こいつ日が出てるうちに酒を飲むとは……

 

「日が出てる内に飲むとはいいご身分だなーヒトヨ」

「今日はオフだもん♪」

 

そう言うヒトヨの機嫌は先程より更に良くなっていた。

ちらっとニーアさんの方を見ると、彼女は我関せずと言った形でのんびりグラスを拭いていた。

 

「むー!店長、なーにニーアさんの方を見てるのぉ~?」

「うわっ!ヒトヨ!?」

 

ヒトヨはそう言って俺の腕にへばりつく。こいつこんなに酒弱いのか!?困惑しつつ対処しようとすると

 

「坊や、女の子と一緒に居るときは他の女性に視線を向けちゃ駄目よ?」

「ちょっ!ニーアさん!」

 

あぁ俺としたことが失念していた。これは謝らんとな

 

「ヒトヨ。すまんな」

「…別に構いませんよ。私もオーバーリアクションでしたし」

 

なら、良いのだが…そう思いつつもココアを飲もうと中身を覗いたら無くなっていた。

 

「あ、ニーアさん。k」

「ニーアさん!おかわり!あと、店長がいつも飲む奴!」

 

ココアのおかわりを頼もうとしたら、ヒトヨが遮り注文した。俺の分のお酒も含めてだ。

 

「分かったわ~」

「ニーアさん!?分かったじゃないですよ!?」

 

俺は、そもそも酒を買う金持ってきてない!そう思っているとヒトヨが寂しそうな顔をした。

 

「おごりますから、一緒に飲みませんか?」

「っ!」

 

畜生、この顔は禁止してやりたい。

 

「分かったよ。少しだけだからな!」

「よしっ、やったぁ♪」

 

あぁ、この感じ久しぶりだなぁ

そんな事を思いつつも俺はいつの間にか置いてあった酒に手を伸ばした。

 

「んんっ…あぁ~久しぶりだなぁ」

「店長って普段飲まないですか?」

 

飲み始めて暫くたった時、ヒトヨが急にそんな事を聞いてきた。

 

「だなーそんな事より、整備に必要な物を買ってたりするかな」

 

そう答えると、ヒトヨとニーアさんは呆れた顔になった。

 

「店長って、ワーカーホリック?」

「坊や、それ以外に趣味はないの?」

「二人して何気に酷いな」

 

でも、それ以外の趣味ねぇ……

少し考えてみることした。

 

「んー、知人と話す事かな?」

「「………」」

 

ふと出てきた言葉を聞いた二人は固まっていた。

 

「どした?二人とも」

「な、何でもないよ!何でも!」

「坊やも、そんな趣味あったのね~」

 

ヒトヨは、相当思考の海に潜っていたのか見るからに慌てていた。ツインテールが俺にベシッとあたる。

それに、打って変わってニーアさんは微笑ましいといった感じで応じた。

 

「ヒトヨは少し落ち着け」

「う、うん」

 

ヒトヨは大袈裟に深呼吸をする。暫く待っていると、落ち着いたのか先程までの表情に戻っていた。

 

「…さて、何か覚めちゃったな」

「飲み直そう!」

 

雰囲気が覚めてしまった為そろそろお開きのつもりだったが、何故か飲み直すといった話に向かっている。

いや、俺は人間だから!雰囲気で覚めてもアルコールは蓄積されてるから!

 

「そうね~久々に、私も飲もうかしら?」

「ニーアさん!?お店の最中ですよ!?」

 

ニーアさんは、ふふっと笑ったあと一度扉の外に出た。

帰って来た彼女は一言

 

「今日は閉店すれば問題ないわ~」

「さっすが~ニーアさん♪話が早い!」

「ここからは、私の奢りで良いわ~」

 

良いのかそれで……?まぁこっちとしては嬉しい限りだが。ヒトヨは更にテンションを上げていた。

 

「やったー!今日は飲むぞ~!」

「その前に今までのお駄賃貰おうかしら?」

「ですね。…はい」

 

ヒトヨと共にお駄賃を出す。ニーアさんは数えた後に

 

「じゃあ、初めましょうか」

「おー!」

「だな」

 

この後かなり夜遅くまで飲んだくれた。ヒトヨは潰れるし、ニーアさんは終始笑ってるし、俺も久々に馬鹿笑いして楽しんだ。

 

 

 

家に帰った時にリズとクーからかなり怒られたがそれはまた別の話である。

…心配してくれるのは嬉しい事だな。

 

 

 

 

 




書き貯めをしたいと思う今日この頃

遅れて申し訳ございませんでした!

今回は新しい登場人物二人です!描写上手くいかなかったから分かるか不安です←

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第九話:趣味は大事にしよう

速く書ける人を見習いたい………

今回はお客さんとのほのぼの~
誰が出てくるかな?

ではまったりしていってね!!

4/17(水)AM9:18追記ー

間違いがありましたので、訂正しました。

ー追記ー
誤字報告ありがとうございます


昨日飲み過ぎたせいで頭が痛い…まぁ俗に言う二日酔いを体感しながら、俺は目を覚ました。

 

「ああ゛…頭いてぇ」

 

そういいつつも今日は普通に仕事なので着替え、店内へと向かった。

 

「おはよぉ~」

「うん、おはよう。予想通りに二日酔いだね」

「店長!おはようございます!!」

 

リズとクーの声を聞きつつ何時もの定位置へと座り、頭をカウンターに付ける。因みにクーよ、頭に響くから大きな声で返事をしないでおくれ。

 

「うぅ……」

「これは、今日は店長働けます?」

 

クーの若干心配した声が聞こえる。まぁ店番位なら出来るからと伝える。

 

「そうですか?なら良いですけど」

「大丈夫。今日ならきっと二日酔い吹き飛ぶから」

 

んー?今日何かあったっけ?

 

「大丈夫…普通に仕事は出来るぞ」

「「その顔で言われても」」

 

二人そろって言ってくる。そんなに酷い顔してるのか…俺

 

「いっても、そこまでじゃないけどね」

「そうなのかー」

 

なら良かった。チラッと時計を見ると開店時刻になっていた。

 

「開店時間だな」

「だね。クー」

「はーい!」

 

クーは、立て札をopenに変えて来てくれるのだろう。元気よく外に出ていった。

 

「店長」

「ん?」

 

リズに呼ばれてそちらの方に向くと彼女は、少し嬉しそうにしていた。

 

「クーにお守り上げたんでしょ?」

「あぁ。あれ以来ずっと背負っているな」

 

どれだけ嬉しかったんだよ。まぁ喜んでくれたのなら、こちらとしても嬉しい限りだがな。

 

「あのM99どんな機能付いてるの?」

「特に変な機能は付いてないよ?」

 

何を心配しているのだろうか?そう思っていると、クーが戻ってきた。

 

「どうしたんですか?」

「店長にねクーのお守りに変な機能を付けていないか聞いてただけ」

「説明の時はしてなかったですけど?」

 

クーは首をかしげるが、リズはやれやれとわざとらしく体を動かしたのち

 

「クー。店長をそんなに信じちゃダメだよ。特にお守り関連は」

「おいっ、それは聞き捨てならないな」

 

そこまでか?まぁリズの時はやっちまった感はあるけどな。そう自身を振りかえっていると、クーが何やら人を疑う目でこちらを見ていた。

 

「店長?この前付けてあった機能以外に何か機能は付いてますか?」

 

倍率即可変スコープだろ?収納機構だろ?それ以外は....うんこの前話した物はこんな感じだったはず。

 

「特には付けてないぞ?」

「ですよね」

 

戦術人形だから銃本体の機構を変えてあったら気付くからキチン説明しているぞ?

そう思い、リズの方を見ると少し考えていた。

 

「ねぇ店長」

「ん?」

「『専用装備』作ってないよね?」

 

『専用装備』とは特定の戦術人形の能力を飛躍的に向上させる装備の事で、基本的には最前線の地域のエース級の戦術人形にしか使われていない装備の事だ。そもそも専用装備がある戦術人形の種類が少ないのではあるが。

 

「....作ってないよ?」

「ふ~ん?私専用にAP弾を作成したのに?」

「ぐっ...それは」

 

クーが話についていけないといった顔をした。なので説明する事にした。

 

「リズのお守り専用の弾でな。かなり使いずらいのだが、鉄血装甲兵にも貫通するっていいった変哲もないAP弾の事な」

 

特になんともないといった感じに答えると、クーは呆れ顔になった。

 

「店長って弾まで作成出来るのですか?」

「あまり得意ではないけどね。それにリズに渡した専用弾もそこまで量は無いし、そもそもコスパが凄く悪いからきっとメイン戦闘にするとすぐ赤字だね」

 

俺の言葉に完全に固まったクー。何でだ?それ位出来ないとこのご時世生き残れないぞ?

あ、そうだ。

 

「この前使用した弾を後で教えて今度作っとくよ」

「あぁ。使ってないよ」

 

はっ?今度は俺が固まる番であった。そんな俺を見て満足したのかリズは上機嫌に話す。

 

「やっぱり、店長のお守りは使いやすくてね。あの程度なら、普通のホローで抜ける」

「えぇ...クーあのさ、リズって化け物じゃね?」

 

クーの方を向いてそう聞くと、彼女は何処か諦めた顔になり

 

「リズさんも店長もあまり変わりませんね」

 

とバッサリ言った。えぇ

 

「「そうかな?リズ(店長)の方が変態だよ」」

「はぁ...似たもの同士ですね」

 

クーに呆れられてしまった。こんな感じに平和に話し合っていると、入り口が開いた。

 

「「「いらっしゃいませ」」」

 

三人の声が完全に重なる。入ってきたのは、藍色のショートパンツに黒のロングブーツ。上はよくわからない袖だけ透けている半袖に、藍色の袖だけの服を着た銀髪の女性。うんお得意だ。

 

「あら、テンコじゃない」

「おはよう、リズ。また色々売りに来ましたよ」

 

そう言って、テンコは右腕に持っていたバックに入っている電池等々を出していく。リズは目を通して必要そうな物をクーの方に持って行く。あれ?俺には許可取んないの?

 

「あ!これの在庫無かったのでありがたいです!」

「そうですか、やっぱりこの型足りないですよね」

 

そんな思いは届かず、どんどん作業が進んでいく。そして終わったようだ。

 

「毎度ありです」

「またよろしくお願いします!」

 

値段をチラッと見る。うんやっぱりテンコの所は安いなぁ。こんなので生計が立てれるのだろうか?

 

「所で、何時もだったら私が来ると機嫌が上限解放される人は今日はおとなしいですね?」

 

テンコはそう言いいながらこちらを覗く。

 

「そんな事ないよ」

「そうですか...それで誤魔化されると思っているのですか?」

 

目が鋭くなった。まぁ、分かりやすくやってるから誤魔化されてくれないか。

 

「ただの二日酔いだよ。気にしないで」

「そうですか。ですがそれだと困りますね」

 

私の銃の整備を頼もうと思ったのですがと続けるテンコ。なんですと?

 

「マジ?」

「前より切り替えが早いですね」

 

テンコの銃のメンテが出来るなら調子が悪いとか言ってられない。

 

「店長。ではよろしくお願いします」

「おう。じゃあ少し待ってな」

 

彼女から銃を受け取り、パッと見る。うん、やる事は少なそうだな。流石、特殊弾作成を趣味にしている奴の銃だな。俺はそう思いつつ銃を持ち、メンテ室に向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

店長がメンテ室に入った事を確認し、私はテンコに向かって

 

「…で?うちに来るの?」

 

と、聞いた。理由は簡単だ、どんなに彼女がハンドガンの中では強いとしても、移動販売は危険が多すぎる。それに

 

(店長が仲間判定してるから、死なれると困るんだよね)

 

そう思っていると彼女はキョトンとした後に

 

「店長は指揮出来る方なのですか?」

「今は出来ないね。でも」

 

帰る場所があるのは良いことだよ。

そう続けるとテンコは苦笑いをした。

 

「リズは優しいですね」

「店長のお人好しが移ったからね」

 

テンコは少し悩んだ後にこう言った。

 

「もし、店長が自身の過去を乗り越えたら、此方からお願いしに来ます」

「…!……成る程ね」

 

でも、それは難しいかな…今回は諦めよう。そう思った時、クーがテンコを少し睨みながら話に入ってきた。

 

「店長さんは、もう自身の過去を乗り越えてますよ」

「クーは知らないはずでは?」

 

テンコがそう言う。私もそう思った。しかし、彼女は首をふった。

 

「店長さんが嫌なトラウマが過去にあることは拾われた時から気付いてました」

「聞いたの?」

 

私の言葉に頷く。

 

「店長は、今自身の出来る事を考えています。今のアイテム屋を続けながら、仲間を増やそうとしています」

「そうですか。なら近々また来ますね」

 

テンコは、納得したのかそう決めたようだ。店長がそこまで回復したなら、近々また話そうかな。

そう思っていると、メンテ室のドアが開いた。

 

「テンコ、出来たぞ~」

 

そう言って彼女の銃をカウンターに置く。彼女は手にとって確認した。

 

「やっぱり、腕前良くなってますね。ありがとうございます」

「ふっ、伊達にやって来てないよ。メインでは無いけども」

 

テンコの誉め言葉に少し胸を張る店長。調子のり過ぎじゃない?

 

「店長…そう言って、時間ギリギリで帰り大変だった事あったよね?」

「うっ…!それを今いわんでくれ」

 

店長は少しオーバー気味にリアクションを取る。先程までの空気が何時ものほのぼのとした空気に変わる。

 

「それで、店長。値段は?」

「あー、5万になります」

 

5万クレジットか、まぁ妥当かな?テンコも頷いてお金を出した。

 

「はい。では店長また来ます」

「おう。またなテンコ」

 

そう言ってテンコは、店を後にした。




アンケートありがとうございました!
投票は今朝で締め切りました。
今後もちょくちょく出していこうと思いますのでよろしくお願いします!

もう少し平和な日常をつらつらと出していきます。

感想・評価お待ちしております。作者の励みになります。

ではまた次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十話:再開と新たな店員

UAが1000を突破しました!
この作品がこんなに読まれるとは思ってもいませんでした!
ありがとうございます!

そして、何気に久々の連日投稿です。いい加減不定期更新タグを付けようか悩んでおります。

今回は何時もより更にほのぼのや少しイチャつく予定です!

では、まったりしていってね!

ー追記ー
誤字報告ありがとうございます


とっくの昔に店は閉め、夕飯をリズ達と食べて二人とも寝ている時間。俺は店の外……更には屋根の上へと登っていた。

 

「……ふぅ」

 

息を吐く。白く上へと上がっていく。

 

「何だかんだ毎月半ばになるとここに来るな」

 

ボソッと呟いた言葉は夜空にすわれー

 

「何黄昏ているんですか?」

「っ!?」

 

る事なく懐かしい声と共に帰って来た。そして肌色のフード付きの上着が俺の身体を包む。驚いたが俺は腰に付けていた銃を掴み振り向いた。

 

「無いっ!?」

「ふふっ、やっぱり大切に持っていたのですね?」

 

そこに立っていたのは、全身黒で統一された服、しかしジャケットは肩にかけてあるだけの女性が立っていた。

 

「うぇ、ウェル…?」

 

目の前には、昔離ればなれになった相棒の姿がー

 

 

 

 

「……はっ!」

「おっとと…」

 

目を開け飛び起きようとすると、身体を押さえられた。そちらを見ると、そこにはリズの姿が……ん?

 

「……リズ?」

「うん。おはよう店長。いやおはようにしては早すぎるかな?」

 

そう言うリズ。場所は変わらず屋上である。あれれ?

 

「俺寝てた?」

「うん。うなされてた」

 

そっか…いや待てよリズの奴寝てなかったか?

 

「あれ?リズ寝てなかった?」

「うん。店長が出ていく前までは寝てたね」

 

少し責める様に言うリズ。

 

「寝てたのか……」

「ふーん、前より良くなってるじゃん」

 

前は、泣きついて来たもんねとリズはニヤニヤしながら続ける。

 

「流石にそこまでじゃない」

「……少しはマシになったね」

 

ボソッとリズは何かを呟いたが聞き取れなかった。聞き返そうとしたが、頑なにはぐらかされてしまったので諦める。

 

「さて、じゃあ部屋に戻ろう」

「ダーメ♪」

 

起き上がろうとしたら、リズはまた俺を押さえ付けた。いい加減恥ずかしくなってきたのだが!?

 

「今日はそのまま寝て良いよ」

「いやいや、それじゃあリズが寝れないだろ?」

「人形だから一晩位大丈夫」

 

そういう問題だけじゃ無いんだがな。こうなったリズは梃子でも動かないからなぁ。俺は諦めてそのまま、彼女の膝に頭を戻す。

 

「大丈夫。クーは上がってこないよ」

「それは良かった」

 

そこから特に話す内容も無いので、夜空を眺める。

 

「「………」」

 

リズは、俺を見ながら何時もより少し優しい顔になっていた。

 

「…そう言えば店長」

「何だ?」

 

クーに、過去話したみたいだねとリズが言う。俺は頬を掻きながら頷く。

 

「じゃあ、これからはもう少し伸び伸びとやれるのかな?」

「期待してくれて良いぞ」

 

ドライブする暇が少なかったからな。リズは嬉しそうな顔をした。

 

「ふぁぁぁぁ…じゃあお休み」

「うん。お休み店長」

 

そう言って俺は意識を手放した。

 

ーーーーーーーーーー

 

可愛い寝息が出てきたのを確認して、私は肌色のフード付きの上着を掛ける。そしてここからは死角になってる方に声を掛ける。

 

「ーーーいい加減出てきたら?」

「ありがとうございます」

 

そうして出てきた金髪の女性。私は少し睨みつけた。

 

「何で隠れた?」

「っ!……それは」

「今更合流すると迷惑が掛かるとでも思ってる?」

 

それとも、愛想尽かされてるとでも思ってる?そう続けると彼女はあからさまにビクついた。

 

「図星だね」

「…はい」

 

ショボくれてる彼女を無視する。

 

「店長は、貴女がいない間に逞しくなったよ」

 

面倒事はキチンと拒否するようになったしね。そう続けると彼女はそうですかと反応した後

 

「なら、私は余計に彼の足枷に…」

「心配するまでもないよ」

 

言い切る前に被せて言う。すると彼女は驚いていた。

 

「さっきの会話で分かるでしょ?貴女なら」

「ー今がラストチャンスですか」

 

分かっているようでなにより。

 

「あまり足踏みしてると、奪っちゃうよ?」

「貴女に出来るのですか?ドライブ馬鹿」

「んー?なに?それは私に対する挑発?買うよ?」

 

彼を揺らさないように銃を抜き取り彼女に向ける。対して彼女は構えすらしていない。

 

「抜く気すら無いの?」

「えぇ、仲間に銃口向けるのは御法度ですから」

 

そう言って私の左隣に座り込む彼女。そして少し微笑み

 

「……ふふっ、リズも成長してるのですね」

「当たり前。ここかなり治安悪かったんだよ?」

 

それをここまでにしたのは、私と店長とテンコなのだから。

 

「……あの特殊弾馬鹿……追い付くのはやすぎます」

「ふふっ、闇や戦場を駆けるのは得意でも、普通に追いかけるのは苦手なんだね」

「…!殿だったのですから仕方がないです!」

 

あー、そんな大声出すと起きちゃう。急いで店長の耳を塞ぐ。…うん、良く寝てる。

 

「危ないなぁ~あまり叫ぶと起きちゃうよ?」

「そうでしたね。忘れてました」

 

そう言いつつ彼の頭をなで始める。

 

「…さてと」

「行くの?」

 

暫く撫でた後、彼女は立ち上がった。そう聞くと彼女は頭を横にふった。

 

「違います。荷物を取りに帰るだけです」

「了解。じゃあ部屋の支度をしとくね」

 

よろしくお願いします。と彼女言ってこの場を後にした。

 

 

ーーーーーーーーーー

眩しい……何でだ?

 

「んんっ……?あっ」

 

そうか、昨日そのまま寝たんだと思い出す。それと同時に頭に感じていた感触が少し違うのに気が付く。そちらを向くと、そこには、紺と黄色の服を着た金髪の女性が此方を見て微笑んで居た。

 

「ウェル……生きてたのか」

「えぇ、お陰様で。約束通り追い付きましたよ?」

 

そう言う彼女。涙は出さない。何故なら

 

「昨日…殴っただろ?」

「…すみませんでした。いざ会うと、迷ってしまって」

 

リズが駆けつけたから、特に問題無かったのか。ってあれ?

 

「リズは?」

「彼女なら、もう下で作業しに行ってます」

 

成る程、じゃあ手伝いに行かなきゃな。あ、でもその前に

 

「なぁ、ウェル……」

「お受けします。いえ、させてください」

 

おいっまだ要件言ってないんだが?そう思いつつ目の前に居る彼女を睨み付けると彼女は

 

「[店員として働いてくれ]ですよね?」

 

と言い当ててきた。

 

「当たり。そもそもこんな形じゃあ格好付けることも出来ないな」

 

そう言って起き上がろうとすると。押さえ付けられた。

 

「ちょっ…!」

「まぁまぁ……そんなの似合わないですよ。店長?」

 

そう言い切られた。まぁたかが辺境の小さな店の店長だから気張らなくていいか。そんな事を考えているとウェルが質問してきた。

 

 

「所で店長。仕事の雰囲気はどんな感じですか?」

「基本まったりだよ」

 

ただのアイテムショップだからね。と続けると彼女は一言

 

「メンテナンスショップではないのですね」

「それは良く言われる。そっちも隠しメニューで小さいけど受けてるよ」

「メンテナンスをメインすると店長が仕事しかしなくなるからですか」

 

うっ、色々省いたけど充分に伝わったようだ。そんな事を話していると、下からリズの声がきこえてきた。

 

「二人ともいい加減に手伝って!」

「あいよー!……さてと」

 

俺は漸く膝枕から脱して立ち上がる。

 

「クーに紹介とウェルの仕事を考えないとな」

「どんな仕事でも、やり遂げますよ」

 

それは頼もしいな。俺はウェルの言葉にそう思いながら屋根を降りた。

 

「ウェル。これからよろしくな」

「えぇ。こちらこそ」

 

 

 

 

 




甘く…なったかな?
私の現在の力量ではこれが限界でした。

とある銃種と仲良すぎじゃないか?この店長。

そろそろ、登場人物多くなってきましたね。私に捌ききれるのだろうか(自業自得)

感想・評価お待ちしております。作者の励み及び執筆速度の上昇につながります。

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十一話:人が増えると良い事がある

中々超えれない3000字の壁とサブタイトルが最近の悩みです。

どうも筆者です。

4日連続投稿出来てる…!

この頃お気に入りの数が徐々に増えてって驚きが隠せないです。ありがとうございます!
これからもほのぼの店長達の物語をよろしくお願いします!

それから、不定期更新タグは今のところつけずにおきます。

ではまったりしていってね!

ー追記ー
誤字報告ありがとうございます

2019/07/28
またまた誤字報告ありがとうございますっ!


目が覚める。それと同時に時計のアラームが鳴った。

 

「さてと、じゃあ今日も仕事を頑張りますかね」

 

何時もの通り朝の支度をすまし、そのまま店内へ向かう。

 

「おはよう。皆」

 

入ってすぐに挨拶をする。これも何時も通りである。まぁ最近変わったのは、一人従業員が増えた事か。

 

「おはよう。店長」

「店長。おはようございます!」

「おはようございます店長。もう開店準備は万端です」

 

三人三様の返事が返ってきた。上からリズ、クー、ウェルである。

 

「じゃあ、開店するか」

「了解です」

 

俺の言葉にすぐ反応したウェル。取り敢えずはここの店番をリズと交代で任せる事にした。

さてと、今日の予定を確認しようとしたら、電話が鳴った。

 

「はい。こちらアイテムショップアクロスです」

 

リズがすぐさま応じる。こんなに早い電話も久々だな。この店でこういった時は緊急性がある事が多い。リズの顔を見つめていると、少し顔をしかめた。

 

「何か嫌な気がしますね」

「だな」

「ですね」

 

ウェルは特に気にした感じではないがそう言い、商品棚の微調整を始める。クーもそれを見て別の商品棚の微調整に向かって行った。手持ち無沙汰になったからって仕事をするのはいかがな物か?まぁ有難いけどね。そんな事を思っていると、通話が終わったようだ。

リズは受話器を置いて、こちらを見た。

 

「店長。karさんが今日オフだから銃のメンテナンスを頼みに来るってさ」

「カラビーナさんが?何時頃?」

 

リズにそう聞き返すと彼女は

 

「今から」

「...ゑ?」

 

今すぐにでも来たいほどですか。何か不備があったのだろうか?俺はそんなことを思いながら、待つことにした。

 

 

カランカラン

 

「失礼しますわ」

「「「「いらっしゃいませ」」」」

 

あれから、凄く心配していたらカラビーナさんが来てしまった。ここまで来たら、覚悟を決めよう。

 

「カラビーナさんおはようございます」

「えぇ。店長さんおはようございますわ」

 

カラビーナさんは特に怒った感じではない。まぁ挨拶だからかな?

 

「あら?一人店員さんが増えたのですね」

「あ、はい」

 

カラビーナさんはそう言うと、ウェルの方に歩いていき手を伸ばしながら

 

「初めまして。モーゼルkar98kと申しますわ」

「ウェルと言います。よろしくお願いします」

 

そうして、ウェルとカラビーナさんは握手した。その後俺の目の前に立ち

 

「さてと、では本題に入りますわ」

「はい」

 

正直怖いな……やっぱり気軽に受けすぎたか?内心ビクビクしながらカラビーナさんの言葉待つ。彼女は暫く言葉を探してから口を開いた。

 

「一体どんな魔法を使ったのですか?」

「……はい?」

 

魔法とな…何を言っているんだ?俺の反応がとぼけているように感じたのかカラビーナさんは少しムッとして

 

「とぼけないで下さいませ!」

「いや、とぼけるもなにも…具合が悪かった訳では無さそうですね?」

 

確認すると、頷くカラビーナさん。良かったー、カラビーナさんの動きを見たときの癖に会うように組み立ててたから、上手くいってなかったら正直立ち直れなかった。これは、訳を聞くのが大変だと思っていると静かに話を聞いていたウェルが何か気が付いたらしい。

 

「あぁ…命中精度と装填どちらかが異常に良くなりましたね?」

「!その通りですわ!命中精度は良くなるし、装填はこれまでより楽に速く行える様になりましたわ!」

 

カラビーナさんの返事に、成る程成る程とウェルは頷き

 

「分かる分かる。じゃあその後ちょっと自身でメンテしたら、調子が何時もと同じに戻った……違いますか?」「ウェルの言う通りですわ。何がどうなっていたのか、不思議でたまりませんでしたの」

 

だから、今日急いで来たのですわと続ける。ウェルは俺の方を向いて

 

「店長。karさんの銃の整備をやってくれますか?」

「お、おう……カラビーナさんもそれでよろしいのですか?」

「えぇ。よろしくお願いしますわ」

「分かりました。では出来るまで少々お待ち下さい」

 

結局魔法だの何だのは分からなかったが、本人が整備をご所望そうなので、俺はkar98kを受け取りメンテ室に向かう事にした。

 

 

「さてと……この前やったばかりだけど、一応バラシからやるか~」

 

分からない事は後回しにして、分解を始める。まずは銃剣を外してー

 

 

「♪~♪~」

 

 

暫くした後、分解は容易に出来た。ウェルの言葉から察すると、どうやら自身でメンテをしたとか言ってたか

 

「♪~ん?あぁ」

 

分かった。駆動部の付近にガンオイルが若干多いかったのか。まぁ普通に運用は可能だが、それだけだ。最高パフォーマンスを出すには邪魔になるんだよな。

 

「分かったなら、後は簡単~♪」

 

よーしっなんとなく理由も分かったし、このままガンオイルを一度拭き取って適量吹き付けて組み上げればー

 

「よしっ、完璧!じゃあ次は銃剣…の方を」

 

よし、研ぎ直して組み合わせて。完成だ。

 

「おっとと、銃剣に付けるカバーを忘れてた」

 

じゃあ戻りますかね。しかし魔法とは一体なんの意味だったのだろうか?整備の腕の事か?

 

「…いや、まさかな」

 

そんな事言われた事ないし、気のせいだろう。俺はそう完結してメンテ室を後にした。

 

 

「お待たせしました…終わりました」

 

俺が店内に戻ると、そこは紅茶の良い匂いが漂ってきた。カウンターを見ると、カラビーナさんと店員が全員でまったり何かを話ながら、ティータイムをしていた。

 

「あっ店長!お疲れ様でふ!」

「ありがとうな、クー。でも口の中食べ終わってから話そうな?」

 

始めの気が付いたのはクーで、スコーンを頬張りながら俺を労ってくれた。それと同時に他の面々も気が付いたようだ。

 

「店長、お疲れ様」

「店長、お疲れ様です。紅茶飲みますか?」

「店長さん、お疲れ様です」

 

上からリズ、ウェル、カラビーナさんである。まぁ暇されているよりか良いのかな?俺はウェルに紅茶を頼みカラビーナさんに銃を渡す。

 

「終わりました。確認の方をお願いします」

「……いえ、大丈夫です」

 

カラビーナさんは俺から受け取った銃を持ち、そう断言する。いやいや、整備したの人間なんでもっと疑いましょうよ!

 

「烙印システムの応用で、銃の調子はよく分かるのですわ。重りが外れた感覚ですので大丈夫ですわ」

 

そう言って銃をカウンターに立て掛ける。そして自身の財布を取り出し

 

「いくらですか?」

「えーと、4万ですかね?」

 

この前と変わらないし、良いかなと思いそう言う。彼女は分かりましたわと言って金をカウンターに置く。それを俺が受け取ろうとしたら、リズがそれよりも早く受け取り確認した。

 

「4万クレジット丁度です。ありがとうございます。明細書は必要ですか?」

「大丈夫ですわ」

 

カラビーナさんは、カップに残っていた紅茶を飲み干し自身の銃を持ち立ち上がった。

 

「あ、紅茶代は……?」

「「「あっ」」」

 

俺とリズ、クーはその言葉で完全に思い出す。でもこの紅茶はウェル個人のだよな?そういうことでウェルの方を見て確認すると彼女はカラビーナさんに微笑み

 

「結構ですよ。お得意様ですから」

「分かりましたわ。ではまた」

「「「「またのおこしをお待ちしております」」」」

 

カラビーナさんは俺達の言葉を背にして出口に向かって行くが、ふと何かを思い出してこちらを向いた。

 

「店長さん、今度はゆっくりさせて頂きますわ」

「えっ?あ、はいお待ちしております」

 

カラビーナさんはそう言って店を後にした。

……どういう意味だ?俺は閉まって行く出入口を見ながら首を傾げる。すると俺を見る視線を感じた。そちらを見るとそこには店員達が此方を見ていた。

 

「店長からきっと整備のコツを聞きたいんじゃない?」

「あぁ、成る程」

 

リズが何時もの様に俺の思っていた事に対して自身の予想を言ってくる。俺はもう半ば気にせず、何時もの席に座り紅茶を飲む。

 

「店長!今度店お休みを作りませんか?」

「あー、そうだね。ウェルの歓迎会やらんとだからね」

 

クーの意見に俺は丁度良いかも、と同意した。

 

「店員も増えたし、メンテナンスも隠さずやり始めるかな?」

「後1人増えれば私は文句言わないよ」

 

リズの方を向きながら言うと、彼女はそう言った。しかし後1人か

 

「楽勝だな」

「ふーん?じゃあ、今週中ね」

 

そう返すと彼女は更に、条件を追加した。

えっ、今週中?あと2日しかないんだが!?顔に出ていたのか、リズはニヤッとした。

 

「あれ?もしかして、怖じけずいちゃった?」

「っ!ヤッテヤロージャネーカコノヤロー!」

 

そんなやり取りをしているとウェルがふふっと笑った後に口を開いた。

 

「店長も、リズを弄ったらこうなるって分かってるのに懲りませんね?」

「うるせいやいっ!」

 

あー、どうしよアイツまだこの付近に要るといいんだけど。

俺はウェル達と話ながらそんな事を思っていた。

 

 

 

 




んー?店長がスカウトする娘は一体誰でしょうかね?

感想・評価お待ちしております。作者の励み及び執筆速度の上昇につながります。

では、また次回でお会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十二話:趣味=仕事

毎日投稿そろそろ、限界な気がしてきました(泣)

ネタが…そろそろ尽きてしまう…ゼツボウ

ー追記ー
誤字報告ありがとうございます。


この前リズの挑発に乗ってから時が経つのは早く、もう最終日となっていた。

 

「ヤベーよ。アイツ見つからね」

 

今日も今日とて街に仕事を探しながら、ブラブラしていると、背後から声をかけられた。

 

「店長?やっと見つけましたよ?」

「あっ、ウェルだ」

 

そこにはウェルが何時もの格好で、近付いてきた。

 

「店長、辻整備まだやっているのですか?」

「おう。この方法ならそろそろ出てくるかな…と」

 

辻整備とは、俺の視認出来る範囲にいる人達が持ってる電子機器及び銃火器を次々と治して回ることである。因みに値段は少し安くしている。タダにしても良いのだが、このご時世タダは疑われるからね。

 

「噂はかなり出て来てますよ。私が趣味で調べていても詳しく分かる位には」

 

それは、良いことを聞いた。でもウェル調べか…信用ならないな。

 

「今回は荒く調べたので、心配しなくても大丈夫ですよ。一部の人達にはかなり好評みたいですし」

「リズといい、ウェルといい何で俺の考えてる事わかるん?」

 

店長が分かりやすいんですよとウェルは微笑みながら言う。そんなに分かりやすいですかそーですか。

そんな事を喋りつつ街中を徘徊していると、見知った後ろ姿が見えた。

 

「ヒトヨ?」

「?……あっ!店長さん!」

 

ヒトヨは少しキョロキョロと回りを見た後、此方を見て近付いてきた。ウェルを見て少し目を見開いた。

 

「店長さんのお知り合いですか?」

「あぁ、初めて会うんだっけ?こちらはウェルと言って、今はうちの店員かな」

「ウェルです。ヒトヨさんこれからよろしくお願いします」

「ヒトヨで良いですよウェルさん。こちらこそよろしく!」

 

ガッチリと握手を交わす二人、何か軋む音がしそうな位手に力入れてないか?と思っていると案外そうでも無かったようで、そのまま手を放した。

 

「ところで、店長さん。ここ数日間激安でメンテナンスをしてくれる男性が居るって噂立ってましたが、これ貴方ですよね?」

「おぉ、もうそっちにも噂流れているのか~早いな」

 

ここは、比較的に野良の戦術人形が多い傾向にある街なので、ここでは人形側と人間側で噂が先ず分かれて流れる性質がある。ウェルが基本的に調べるのが、人間側のルートなのでヒトヨが調べるとしたら、多分先ずは人形側のルートだろう。そう当たりをつけて返事をすると、ヒトヨは納得した顔となり

 

「納得~じゃあ、私の銃もお願いしようかな?」

「長物を整備するには機材と場所が悪いから、店に明日以降来てください」

 

俺がそうキッパリ断るとヒトヨはえぇと不満を垂れた後に

 

「なら、明日行くね。じゃあ私はこれにて!」

「お待ちしてます~」

 

ヒトヨはそう言って、走り去って行った。速いなもう見えなくなったよ。

 

「店長。では私もこれで」

「おう。気を付けてな」

 

ウェルも離れて行った。しっかしこれからどうするか制限時間までそんなにないんだよな。

 

「はぁ...あの特殊弾馬鹿何処にいるんだか」

「ここにいますよ。店長」

 

ブツブツ言いながらもまた徘徊を始めようとしたら、その呟きに対して反応があった。俺が急いで振り向くとそこにはムスッとしているテンコが立っていた。

 

「あっ噂をすればって奴か?」

「今朝噂を聞きつけて来ただけですよ。予想は出来てましたが」

 

テンコはそう言って笑った。予測通り、メンテナンス系の人が居ると確認するんだな。まぁお陰様で本題に入れる。

 

「テンコ実はさ、話があるんだけど」

「えぇ」

 

テンコはキチンと聞く体制を整えてくれた。

 

「うちの店員になりませんか?」

「.....ふむ」

 

ダメだろうか?と思っていると、彼女は

 

「二つ条件があります」

「お、おう」

 

何だろう?

 

「一つ目は、キチンと給料払ってください」

「ああ。渡すよ」

 

まぁ、普通に考えてそうだよな。俺は頷きながらそう思った。

 

「二つ目は仕事場はメンテ室で」

「うん。うん?」

 

メンテ室で仕事か。銃弾作成かなと思いつつ返事をすると、テンコはニコッと笑い

 

「では、よろしくお願いします」

「おう。こちらこそ」

 

じゃあ用事も済んだし、帰るとしますかね。っと忘れることろだった。

 

「仕事は明日からでよろしく。こっちも準備があるから」

 

俺がそう言うと、テンコは暫く悩んだ後自分も手伝うと言ってきた。

 

「良いのか?」

「えぇ。先に店で待ってて下さい」

 

荷物を持って直ぐ向かいますのでとテンコは言って、走り去って行った。

 

「これってテンコより早く帰らないといけないよな?」

 

人形と徒競走とか、かなう気がしないのだが。

 

「まぁ。急いで帰れば大丈夫かな?」

 

俺は足早に自身の店に向かって歩き出した。

 

 

 

「ーあ店長。遅いですよ」

「ー知ってた」

 

店に着くと店前にて、テンコが待っていた。やっぱり俺より早かったな。俺はそう思いながらテンコを連れて店内に入っていった。

 

「ただいま~新しい店員スカウト成功したぜ」

 

挨拶と共に報告をカウンターの席に座っていたリズに報告する。彼女は俺の後ろをチラッと確認した。

 

「おかえり。やっぱりテンコね」

「えぇ、予想通りでしたか?リズ」

 

テンコの言葉にうんと頷くリズ。なんかそんな話してたのかな?そんな事を考えていると、クーがプライベートエリアから現れた。

 

「あ!店長お帰りなさい!テンコさんも!」

「えぇ、今日からよろしくねクー」

 

うん。クーですら気が付いていたのか。これ紹介いるのだろうか?

 

「この感じだと改めて説明はいらなそうだけど、今日からテンコも一緒に働いて貰います。よろしく」

「改めまして、テンコです。よろしくお願いします」

「「こちらこそ、店長の管理よろしくお願いします」」

「えぇ、任せて下さい」

 

ん?なんか嫌なワードが聞こえて来たぞ?

 

「店長の管理って...そこまで信用ないか?」

「メンテナンスし始めると、根詰めるのは何処の誰だっけ?」

「うっ」

 

リズの言葉に何も言い返せない。気が付いたら半日経ってたとか普通にあったからな。それのストッパー役をテンコがやってくれるのか。

 

「テンコ。じゃあメンテ室を片付けしよか」

「ですね」

「あっ!その前に部屋に荷物を!」

 

クーがメンテ室に向かっていたテンコをそう言って止めた。そっち優先で良いよと言って、俺は先にメンテ室に入った。

 

 

 

「案外直ぐに終わりましたね」

 

あれから一時間程立つ頃には、二人が仕事出来る様に模様替えが終わった。

 

「だね。テンコありがとうな」

「いえいえ、明日からの仕事場ですから」

 

そう言ってテンコは自身の椅子に腰を下ろした。俺も自分の椅子に座る。

 

「ふぅ...明日ヒトヨが来るから、それの準備もしておこうかな~」

「……」

 

何か見られている気もするけど、気のせいだと割り切り準備を進める。と言っても工具を何時もの定位置に出すだけなんだが…すると後ろから何かが差し出された。

 

「これは…!」

「戦闘後の破壊された人形から拾ったものなのですが、これ直せたら売れそうじゃないですか?」

 

置かれたものは、AR系特にM4シリーズに付けれるアンダーバレルショットガンであった。コッキング部分が少し歪んでるかな?直すのは

 

「簡単に直せるかな。商品に使えるかは微妙では在るけど」

「付けれる種類の問題ですか。店長は使えないのですか?」

 

テンコがそんな事を聞いてくる。俺が使うって

 

「俺は、銃のメンテナンスが出来るだけだよ。使うことは出来なくはないけど、相手に当たらないかな」

「射撃が苦手なのは変わらなかったのですね」

 

このご時世で色々あったけど、アサルトライフルなんて握って撃った経験何て数える位しかない。そう思いながらも修理を開始する。やっぱり、コッキング付近にダメージが出てるか。

 

「交換っ交換~♪」

「…はぁ、相変わらずのハイスピードですね。本当に人間ですか?」

 

そうか?内部構造は単純だぞ?一目見りゃ分かるからね。そんな事を思っていると整備が終わった。

 

「よし、出来た。後は動作試験だな」

「何処でしますか?」

 

何処でするか、か…ここでやるのはちょっと怖いな。

 

「外行こうぜー外」

「はい」

 

この後、はそのまま外で動作試験をやっていたら閉店時間に差し掛かっていたので、今日はここまでになった。

 

 

 

 

 

 




次回は、ちょっと短くなります。ご了承下さい。

ほのぼのさせれてるかこの頃心配です。大丈夫ですよね?

感想・評価お待ちしております。作者の励み及び執筆速度の上昇につながります。

では、また次回お会いしましょう!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十三話:特殊弾?

気が付いたらお気に入りが、20件越えてました!
ありがとうございます!

暫くは、2~3日に一回になるかもです。すみません。

さて、今回は……!ヒトヨさんが来店ですね~

では、まったりしていってね!

4月23日12時45分追記ー
話数をミスを治しました。申し訳ないです。

-追記-
銃の名称をミスしておりました。報告者様ありがとうございます!


今日はヒトヨが来る日だ。アイツは開店直後に来ることが多いので、早起きをした。そのままいつものように、店内へのドアを開け挨拶をする。

 

「ねみぃ…っと、おはよー」

「あら、今日は早いじゃんおはよう」

 

そこには何やら飲んでノンビリしているリズが座っていた。クーはまだ帰って来てないか。

 

「今日はヒトヨが来るから、早起きしたの。アイツの整備は寝ぼけた状態じゃ出来ないからね」

「そのメンテナンスに対する情熱を他に役立てれないの?」

 

俺の言葉に鋭く突っ込みを入れるリズ。俺は彼女の方を見て

 

「でも、キチンと経営出来てるだろ?」

「…はぁ、そう言う訳じゃないんだけど」

 

店長だし、仕方がないかとリズは何か諦めた顔となっている。どういう訳だ?

 

「そう言えばテンコは?」

「メンテ室には居ないしまだ部屋じゃない?」

 

まぁ、まだまだ開店時間まで時間はあるしな。そんな事を考えていると、入り口が開いた。

 

「あ!店長!おはようございます!」

「おーう。おはよー」

 

俺は荷物を両手で溢れる位に持っているクーの側によって行き、その荷物の半分を持つ…ってこれ、かなり重いぞ?

 

「ありがとうございます!」

「今日は良い仕入れだな」

「私も、付き添いましたから」

 

後から予想していなかった人物が出てきた。

 

「ウェル!何故に?」

「ちょっと調べ物してまして、その帰りに会った感じです」

 

成る程なー、本当にウェルって情報集めるの趣味にしてるよね。此方としてはありがたい限りである。

 

「なんか、面倒な噂流れてた?」

 

俺が持っていた商品を並べながら聞くと、彼女は少し悩んだあとに特に無かったと言った。

 

「なら良かった」

「そうですね」

 

そんな事を考えてこの商品が入っている木箱の中身を取り出し続けていると、何やら透明な四角い箱に中心にコアらしき物がー

 

「おいおいおいっ!?」

 

こいつは、汎用コアじゃないか!戦術人形のダミーに必須の!これは……色々と商品化出来ない奴じゃんか。

 

「クー。これは何処で拾ったの?…まだ結構な数あるけど」

 

俺は至って普通にそう聞いた。すると彼女は笑顔で

 

「戦場からです!」

「……敵とは会わなかったな?」

「大丈夫です!」

 

まぁ、それなら良いが…と言うことはIOP制の戦術人形が大量に…ん!?

 

「……クー何処まで行った?」

「あっ、…えへっ♪」

 

実はここの地域は滅多な事がない限り、鉄血が来ることは無いのだ。出てくるとしたらもう少し別の所で、そこまで行くと確かに鉄血兵の残骸やIOP制の人形が結構な比率で落ちてはあるが、危険なのだ。

 

「……二度と行くなよ?」

「うぅ、はい」

「「「………」」」

 

クーを叱っていると何やら視線を感じた為、そちらを見るとそこにはニヤニヤしている三人組がいた。

 

「…店長が言える事じゃないよね?」

「ですね。最低でも、あそこで私も会った事ありましたし」

「反面教師にしろ、ということでは?」

 

上からリズ、テンコ、ウェル。ヤメテっもう店長のライフはオーバーキルだよっ!

 

「ーまぁ、コアは最悪使えるといっちゃ使えるから良しとするか」

「あっ、話をずらしました!」

 

今度はクーに突っ込まれる。なんか徐々にクーまでリズ達に染まってきてないか?そんな事を思っていると、テンコがニコニコしながら近付いてきた。

 

「店長。これメンテ室に入れておきますね?」

「あぁ、任せた。俺も…残りの奴を持って行こうかな」

 

テンコは汎用コアの入った片方の木箱を持ち、メンテ室へと足早に向かって行った。俺も後に続く為に木箱を持ち上げて

 

「ーあ、そうだった。クー、今日これから休みにしていいよ~」

「へっ!?良いんですか!」

 

大袈裟に喜ぶクーに頷く事で返事をし、そのままメンテ室へと足を進めた。

 

 

 

メンテ室に入ると、荷物を置いたのかテンコは一人弾丸を作っていた。

 

「おぉ……マジか」

「えぇマジです」

 

一発一発丁寧に作成された彼女の弾。それがいくつもの並べられて行く。

 

「ん?これってコンテンダーの弾じゃなくね?」

「ですね。これはクーの弾ですよ」

 

あぁ。だからそんなに太い弾なのか....

 

「ー彼女に要望受けたのか?」

「いえ、友情の証にですよ?」

 

どんな、物騒な友情の証だよ?俺は思わずそう呟いてしまった。するとテンコは目を細めて

 

「私をここまで特殊弾の沼に引きずり込んだのは店長でしたよね?」

「そうだったか?初めからこんな感じじゃなかったか?」

 

俺はメンテと銃の改造がメインだよ。そう続けるとテンコは目を更に目を細めて、こちらを見つめてきた。

 

「リズの弾を私の技術を盗んで、銃身改造で徹甲弾を装備出来る様にしたのは誰でしたっけ?」

「あれはそこまでの事じゃないだろ?弾頭を変更しただけの物だぞ?」

 

ん?でもこれから一緒に作成できるから、更に火力上げれるんじゃないか?

 

「「なぁ(あの)」」

 

俺とテンコの声が被った。この感じは同じ事を考えていたな?じゃあその事について詳しく話そうとしたらメンテ室の扉が開いた。

 

「店長。白熱しているところ悪いんだけどさ、お客さんだよ」

「...あっヒトヨかな?」

 

何かうまい感じにテンションが上がってきたのに...お客様なら致し方ない。俺はテンコに後でまた話そうと言って店内に戻った。

 

 

「あ!店長!おはようございます!約束通り来ましたよ!」

 

俺が店内に戻ると、そこにはウェルの紅茶を飲みながら談笑しているヒトヨが座っていた。彼女は俺に気が付くと元気よく銃を掲げながら声を掛けてきた。ウェルの方を見ると

 

「開店と同時に入ってきましたよ」

 

との事だった。やっぱりか、まぁ良いけどさ。俺は何時もの席に座りつつ話を始める。

 

「..銃本体のメンテナンスでよろしいですか?」

「うん!よろしく!」

 

そう言って、セーフティを掛けてある彼女の体の一部の『M14』を受け取った。

 

「OKOK。じゃあ直ぐにやってくるよ」

「ありがとう!じゃあここで待ってますね!」

 

ヒトヨは、そう言うと紅茶を掲げながら談笑に戻った。なんかクーに似た何かを感じるよ。そう思いつつ俺はメンテ室に戻った。

 

「おかえりなさい。M14ですか」

 

テンコはもう作業が終わっていたようで、ドアの音で振り向き俺の持っている銃を一目で言い当てた。まぁ分かりやすい構造しているからな。

 

「今からメンテはじめるから邪魔しないでな」

「了解。根を詰めだしたら止めますので、それだけは理解してくださいね」

 

あぁ、そういえばそんな事リズに言われていたな。一応頷いてメンテを始める。

 

 

あれからテンコの視線を感じつつ作業を続けていると止められる前に終わらせれた。

 

「ふぅ、終わったぁ」

 

背を伸ばす。すると後ろからカードリッジが一マガジン置かれた。

 

「これは?」

「徹甲榴弾」

 

ふむふむ...徹甲榴弾かぁ...相手の装甲を抜いた後に内部で榴弾が炸裂するって弾だったかな?あれ?そんな物必要な敵が相手に居たっけ?

 

「鉄血のハイエンドは内部も頑丈なので丁度いいですよ」

「あぁ~!成程一発与えれば結構ダメージ入りそうだもんな...って、過剰攻撃力だよ!」

 

俺が突っ込むとテンコは微笑んだ。

 

「このご時世ですので。これくらいどうって事ないですよ」

「はぁ...まぁ受け取れば渡すよ」

 

それで良いですとテンコは言って、席に戻り片付けを始める。

 

「さてと...行きますか」

 

 

「出来きたぞ。ヒトヨ」

「わぁ~!ありがとうございますぅ!」

 

俺が店内に入りヒトヨに声を掛けると、彼女は席から立ちあがり銃を受け取った。

 

「それと、これはテンコからのお試し兼お守りだとよ」

「えっ?これは....?」

 

困惑顔のヒトヨ。そうだよな普通に考えて安全性を考えるよな。

 

「大丈夫。この1マガジン位なら耐えれるよ」

 

テンコはそう作るようにしているからな。俺はそう思いつつただと続ける

 

「ただ、無理に受け取らなくても良いよ。テンコの気まぐれだから」

「いいえ、受けっておきます。私野良ですし」

 

即答した彼女は、もし使い切った時は買わせて下さいと言った。俺は頷く。

 

「じゃあ。お勘定ですが」

「はいっ!じゃあありがとうございました~!また来ますね!」

 

ヒトヨはピッタリの値段を財布から出して、ルンルンと店を後にした。

 

「「またのお越しをお待ちしております」」

「っ!またな~」

 

一テンポ遅れたので焦って何時もの癖で言ってしまう。ヒトヨは一瞬驚いたのか顔に出ていたが直ぐに何時もの笑顔に戻り

 

「では!」

 

そう言って彼女は入り口から消えていった。




次回からちょっとほのぼのから、遠ざかります。また戻りますが

こんなご時世なので、許して下さいませ。

……ここで一旦区切りがあるのでそろそろ設定集とか上げようかな…?

感想・評価お待ちしております。作者の励み及び執筆速度の上昇につながります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十四話:不穏な空気

鉄血が襲ってこない……?辺境にも来ない訳じゃない

2日掛かると言ったな、何故か出来てしまった。←

という訳で、ほのぼのではない回です(書けるか不安ではありますが)。

久々のほのぼの以外なので、今回はちょっと短いです。

ではゆっくりしていってね!

2019/4/24/20:00追記ー
すみません。一度誤字等の確認せずに投稿してしまいました。
一応、確認したのでないかと思いますが、誤字・脱字がありましたら、細かくても構いません。報告の方よろしくお願いします!

誤字やっぱりありましたね。報告ありがとうございます


それはいつも通りにリズとクーがアイテムショップとしてこの店を来たお客様を捌き、ウェルと俺でメンテナンスの値段相談等々をして、テンコと俺がメンテをやっているときに起きた。

 

今の時刻は午後の初め。こんな街から完全に外れていても、お客様が来てくれるのは有難いと思いつつ一番の客足が落ち着いて来たとき、電話が鳴った。

 

「店長!」

 

リズは、レジをやっているようなので俺が出ることにした。

 

「はい、アイテムショップ・メンテショップアクロスです」

 

受話器を取り新しく変えた(追加しただけ)店舗名を言うと向こう側から俺より少し渋い声が聞こえてきた。

 

「こちら『辺境基地』指揮官のアルヴィンだ」

「うげぇ、アルヴィンだ」

 

俺は反射的にカエルがつぶれた声を出した。彼とは俺がこの店を立てる前に色々..本当色々あった人物である。プライベートでは気の合う人物なのだが、この時間帯に電話をかけてきたという事は十中八九面倒事である。

 

「その高くて女性と間違えそうになる声は店長だな?」

「そうですが?グリフィンの指揮官様がどうかなさいましたか?」

 

俺の気にしている事をわざわざ言ってくるし、本題に入ってくれと急かすと彼は少し渋った後にこう言った。

 

「店長。面倒事が嫌なら今すぐにこの街を離れろ」

「えっ?」

 

ちょっと待ってと続けようとしたが、彼の電話越しにもわかる雰囲気がかなり変わった。...何か嫌な気がする

 

「我々は最後まで徹底抗戦を敷くが、この街は壊滅的な被害が出るだろう」

 

そもそも、勝てるか分からないと彼は続けた。鉄血が来る?しかも街が壊滅するレベルだって?

 

 

「...街の人達には?」

「隣町まで歩きではもう間に合わない。店長の所には車があるだろう?それならギリギリ間に合う。隣町にはもう連絡済みだ。でわな」

 

そう言うだけ言うと彼は電話を切った。俺は半分放心になっているが、受話器を戻した。するとリズがどうしたのと聞いてきた。店内にはお客様が居ない事を確認した。

 

「鉄血が、攻めて来やがった!」

「「「「っ!?」」」」

 

その言葉に彼女達は目を見開いた。っとそんな事を考えている暇が無いか。行動しないとな。そう思いそのままプライベートエリアに向かおうとしたら、リズが呼び止めた。

 

「店長はどうするの?見捨てて逃げるの?」

「あそこの指揮官からは逃げろと言われたら、逃げるよ」

 

俺がそう言うとリズは我慢ならないといった感じで口を開いた。

 

「ふーん。また逃げるんだ?これだけの戦力がいるのに?」

 

そうは言うが、ハンドガン三人に対物ライフルが一人で何が出来るんだよ?

 

「……ハンドガンとライフルだけで何が出来る?」

「何でも出来ます」

 

俺の質問にウェルがそう答える。テンコとクーも頷いている。敵の情報が分からないのに何呑気な事を……!俺が命令権を行使しようとしたが、その前にウェルが口を開いた。

 

「私は信じています。貴方が組み上げた銃を、そして『あの時』最後まで諦めなかった大馬鹿者を」

 

信じていますとウェルは続ける。その後間入れずテンコが一言

 

「私の弾丸と貴方の銃を合わせて効かない敵がいるのですか?」

「それは無いかもしれないが!数で押されたら意味がないっ!」

 

テンコの一言にそう返すと、予想通りの返事が帰ってきたのか彼女は鼻で笑った。平常心が持ったのはこのまでであった。

 

「お前達が何を根拠に勝てると言っているのか分からないが!確かにそこいらの基地にいる奴らよりかは強いがお前達はダミーもいないんだぞ!?俺はお前達を失いたくはないんだよ!!」

「お、落ち着いてください、店長!」

 

叫びながらテンコに掴みかかろうとするが、寸の所でクーに止められる。

 

「クー!止めるな!!o」

 

お前までそっち側なんだな。と続けようとしたが、その場に俺の叫び以上の声が満たした。

 

「ー貴方の居場所を守るのが私達の役目です!!」

「っ!?」

 

二度目の硬直。クーってこんな大声出すんだな。なんか怒りとか、悩みとかを一回白紙に戻すようなそんな声であった。と思っているとクーがマシンガンの様に話始めた。

 

「そもそも、何時かはこんな日が来ると此方が考えずに過ごしていると思っているですか?それこそふざけないで下さい!私は最低でもダミー3人は持ってます!」

「ゑっ?えぇ……?」

 

今聞き捨てならない事が聞こえたよ?ダミーがいるって?俺が気が付いたのを確認したのか、リズはクーを落ち着かせ始め、ウェルとテンコは俺に近付いてきた。

 

「店長。私は4人ダミー健在です」

「私もです。外で特殊弾を装填して待機中です」

「……知らなかったのは俺だけか?」

 

まだ、頭に登った血が降りきっていないのか、考えがまとまらないがどうにか口にした言葉に彼女達は頷いた。

 

「店長には、こんなことが無かったら一生言ってなかったですね」

「えぇ。これはリズが決めたルールですから」

 

あ、戦力があると面倒事が増えるからか……だからってダミーのメンテは結構掛かるだろうに。俺も出来るのに

そんな事を思っているとテンコは肩を竦めてウェルは溜め息を吐いた。

 

「店長に見せたら、どうなることやら」

「きっと、ラグが無くなったりするんですよ」

 

上からウェル、テンコ。待てよ……?って事はリズも?

そう思いリズの方を見ると、彼女は此方を見てニヤッと笑った。

 

「キチンと要るよ?4人」

 

ーでどうする?指揮官?

俺は目を見開いて彼女を見ると、何時もの何処か余裕を持った顔ではあるが気配が変わっていた。その気配と今の言葉で俺はトラウマに引っ張られー

 

「ぅっ……!」

「大丈夫ですよ」

 

ーる前にウェルが俺をつついた。俺は一気に意識がしっかりとした。回りを見るといつの間にか雰囲気が戦術人形のそれになった彼女達が不安そうに此方を見ていた。

 

「…頼む、お得意様の指揮官とこの店を守るために戦ってくれ……!」

「「「「了解!」」」」

 

指揮能力が無い俺の情けないたのみ事を彼女達は受けてくれた。了承の声が店内に響きわたった。

 

 




今回は数話続けてほのぼのから離れます。ほのぼの期待していた方はごめんなさい。

注)店長は指揮官ではありません!

では、まだ色々分からない事は今後明らかになりますのでお待ち下さい!

感想・評価お待ちしております。作者の励み及び執筆速度の上昇につながります。

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十五話:戦闘準備

続ほのぼのじゃないお話です。

おや?店長が覚悟を決めた様ですね。これは一雨来そうだ。

ではゆっくりしていってね!


あの言い争いの後、俺はガレージに向かっていた。理由はハッキリしている。俺は指揮官の様に細かい指揮は出来ないし、戦闘中じゃあメンテが必要になることはない。

 

「ーでも何も出来ないのは嫌だからな」

 

耳につけた無線機からは敵の量や作戦等々が聞こえてくる。そう思っているとガレージに着いた。そこにはリズの車や、装甲車が置いてある。取り敢えず装甲車のエンジンを始動しておく。

 

「店長!あっ、ありがとうございます!」

「気にするな~」

 

俺はそのまま、ガレージを開ける。暫くすると、テンコとリズ、ウェルが全てのダミーと共に来た。

 

「店長。行ってくるね」

「ああ」

 

リズがいつも買い出しに行く感じに言ってきたのでついつい何時もの通りに返した。あっと思った時には装甲車に入った。次に来たのはウェルだった。

 

「店長。行ってきます」

「...うん、行ってらっしゃい」

 

もう何時もの通りが良いかな?

 

「店長。行ってきますね」

「弾薬の貯蔵は...十分そうだね」

 

テンコは、ダミーは普通の格好だが、話しかけてきたテンコは何時もの格好に更に弾を付けたスカートを付けてきた。俺の返事になっていない返しに彼女は笑いもう一度行ってきますといったのちに装甲車に乗った。そして発進しようとしていた。俺は無線機のマイクをオンにした

 

「生きて帰ってこい!!」

()()()()()》》

 

もうこうなったら、何もやれることは無い。俺は、ガレージの防弾壁を閉め店内に戻った。すると、丁度電話が鳴っていた。

 

「アイテムショップ・メンテショップアクロスです。すみませんがー」

《坊や、状況はリズから聞いたから別に言わなくても大丈夫よ》

 

また言葉の途中で遮られたが、この声はニーアさんであった。でも鉄血が攻めてくることは知らないはず。そう思いながら質問をした。

 

「ニーアさん。なら何故電話を?」

《鉄血が攻め込んで来るんでしょ?》

 

ニーアさんが言った事に一旦驚きつつも彼女は情報がを何処からか集めたのだろうと思いそのまま対応する。

 

「えぇ、そうですね」

《坊やの所の店員が今加勢に向かったのでしょう?》

 

俺は黙った。ニーアさんはそんな俺に何時もの言い方のまま続ける。

 

《まぁ、実際はリズから聞いたのだけどね》

「成程。ではこちらに避難したいのですか?」

 

うちにはガレージの中にシェルターが一応あるので、匿う事は出来るなと考えているとニーアさんは否定した。

 

《違うわ。そう言えば昔坊やが酔った時に、面白いものがあると言っていたじゃない?》

「つっ!?えぇ、まぁありますね」

 

覚えていたのか。まぁ仕方がないので正直に答えた。すると彼女は

 

《じゃあ、あの時話していた事は覚えてる?》

「えっ....あっ」

 

でもあの作戦とも呼べないやつはニーアさんの危険が、そう思っていると俺の心中を察したのかニーアさんが話す。

 

《ねぇ坊や。私も野良の端くれなのよ。でも私はもう走って戦えないのだから...》

 

そう言うニーアさんの声音は覚悟を感じた。俺は溜息を吐いた。こういった事はどっかの指揮官がやるべき事だろうに。そう思いつつ

 

「ニーアさんはダミー居ますか?」

《ええ一人だけよ》

 

なら丁度いいかな『あれ』も3人乗りだし。まぁ一人で動かせるようにしてはあるけどね。運べるし、確かヒトヨから強いって聞いているし。

 

「今どこにいますか?」

《丁度今店前に着いたわ》

 

俺は、一応、ハンドガンを持ちドアの前に向かう。そして一気に開いた。

 

「..すみません、一応非常事態なので」

「構わないわ、入っていいかしら?」

 

ニーアさんとそのダミーは片手に自身の銃であるDP-28を持っていた。力持ちだな。そう思いつつ扉を閉める。

 

「ニーアさん。じゃあ向かいますね付いてきて下さい」

「えぇ」

 

ニーアさんを連れガレージに戻り、そのまま奥にある分厚い鉄の扉があった。俺はそれを開ける。その中にあるのは今の時代にしては骨董品に等しいが、装甲車より生存性がよいだろう。俺がとある老人から譲りうけた唯一の武器。

 

「よぉ...約30年ぶりの出番だぞ」

 

俺はそう言いつつ、その動く要塞に手を触れる。それは、装甲車にしては余計な物が付いている。

それは、まずはキャタピラの両端に保護のための装甲版が這ってある事、そして車体上部には120mmの砲身が括り付けられている。そう

 

「10式戦車さんよ」

「本当に動くのかしら?」

「ちょっと待ってて」

 

頷いて、まずはニーアさんに自身がつけていた無線機を渡す。彼女が付けるのを確認したのち俺は車体に上り、その上部にある、キャノピーから車内に入る。

 

「エンジン始動。通信器具起動。よしっ動くな?」

 

俺は、動作を確認しつつ無線機のヘッドセットを付ける。マイクはミュートにしてっと。

エンジンの出力は安定。サスペンション動作確認...うん正常だ。

 

砲塔関連...は外に出てからだな。

 

レーダー系の動作確認、うん魔改造したIMF認証をIOPを味方にしてっと。よし正常。

 

一応こんなものかな?調子はまぁまぁな気がするけど文句は言えないね。

 

「さてと。ニーアさん、乗ってきて下さい!」

「えぇ、分かったわ。よっと」

 

俺はキャノピーから頭だけ出して、ニーアさんに声を掛ける。彼女達は直ぐに乗り込み座席に座る。

 

「行けるわ。操縦関係は?」

「何も触らなくて大丈夫です。こっちで全部できます。じゃあ10式戦車改出る!」

 

俺は、アクセル全開で発進した。

 

 

ガレージから無事に出てまずレーダーを見る。うんまだレーダーに反応が無いな。なら狙撃場所に移動しながら砲塔関係の確認をしよう。

 

「じゃあ、手摺につかまっててください」

「えぇ、分かったわ」

 

返事を聞きつつ、俺は戦車を走らせる。

砲塔旋回機能...正常

自動装填装置...正常

 

「よしっ撃てそうだな」

 

じゃあ、こっからは移動に集中しよう。

 

「じゃあ、飛ばしますね」

「えっ、ちょ、まっ...」

 

ニーアさんが何か言おうとしていたが、そのまま俺はアクセルを更に吹かした。

 

「イヤッハー!」

「いやぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 

ーーーーーーーーー指令室

 

自分が付けた無線機から、次々と情報が流れていく。その中から必要な物だけをかき出しながら、俺は息を吐いた。

外では、部下が頑張って走り回っているんだ。こっちは斥候部隊の指揮だけなのだからこれくらいで疲れているわけにはいかない。

 

「ふぅ....」

《大丈夫ですか?》

 

斥候部隊の隊長を買って出てくれた、MP5に大丈夫だと伝え

 

「相手にバレないうちに帰投してくれ」

《了解しました!》

 

指示を出し、俺は今のうちに現状を整理しようとすると、それを白い手を止めた。俺はその手の主を向くと、そこには呆れ顔のkarが立っていた。

 

「指揮官、まだ猶予は少しありますわ。少し休んで下さいませ」

「kar....わかったよ。避難状況は?」

 

そっち関係を頼んでいたkarが返ってきたという事は終わったのだろうけど。その予想は当たっていた。

 

「アクロスの面々以外の方々は、我々が知っている人数はシェルターに入りましたわ」

「ありがとう」

 

これで、ある程度街の中での作戦行動も可能になったか。俺は安心して肩に入っていた力を抜いた。あとは

 

「ーアイツらは逃げきったかな?」

「きっと大丈夫ですわ。彼らを信じましょう?」

 

そうだなと俺は言った。そして頭に入っているだけの情報の整理を始める

 

(機械鉄血兵が50、SMG型が100、RF型が80、それに迫撃砲型が40。ハイエンドは無しか)

 

迫撃砲型を優先して落とさなければ、と目を伏せて考えていると俺の目の前にマグカップが現れた。

 

「考えているようでしたのでせめて飲んで気分転換したほうがよろしいですわ」

「ありがとう」

 

バレバレか、まぁ俺が指揮官になって5年程副官を頼んでいるだけあるな。俺はそう思いつつコーヒーを飲んだ。

 

「ゲリラ戦を挑むしかなさそうだな。こっちの戦力は良くて2部隊無い。しかもそのうち一つは司令部の守護に回わすしかないな」

「こちらに迫撃砲があればよかったのですが」

 

無いものねだりをしても意味がない。

 

「死力は尽くそう。一応本部の救援は要請したしな」

「二日は耐えて見せますわ」

 

そう言って胸を張るkarをみて何か出来ると思えた。俺は無線機にて全戦術人形につなぐ

 

「MP5が帰投後部隊を再編!作戦行動を始めるぞ!」

【了解!】

 

さてと、そう簡単にこの街をくれてやると思うなよ?鉄血ども。

 




店長は車長だった!?(困惑)
まぁ、相手に近付かれたヤバいですから。彼自身の戦闘能力は無い!

コラボ関係は活動報告にて詳細を掲載しております!

感想・評価お待ちしております。作者の励み及び執筆速度の上昇につながります。

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十六話:戦闘開始と最後の抵抗

UAも気が付いたら2000を越してました!
ありがとうございます!

今回のサブタイトルの一部はとあるPCゲーのスキルから拝借。…止まるんじゃねーぞ?

今回のお話は以下の成分が含まれいています。
店長奮闘。店員暴走。
大赤字。

ではゆっくりしていってね!

ー追記ー
誤字報告ありがとうございます


突然だが、俺達がいる辺境地区の地形の話をしよう。街を中心に考えると基地がありその周辺に今人々が暮らしている住居群がある程度あり、その後に俺達の店がある廃墟群がある。そして店の反対側には背の高い廃墟群がある。その廃墟群は背の高いビルが多少多めの廃墟群であり、鉄血が攻めてくる際にゲリラ戦を仕掛けやすい形となっている。

 

そしてその市街地から離れ南に行くと、丘と平野の地域がある。...そう俺が向かっているのはその地域である。

 

「目的地に到着しました。...大丈夫ですか?」

「えぇ...今は時間が無いものね..うっ」

 

俺はそこで漸く作動席(元運転席)から後ろを向くと、そこにはダミー共々グロッキーになっているニーアさんがいた。

 

「すみません。少し飛ばし過ぎましたかね?」

「そうねぇ。因みに何キロ出てたの?」

 

もうある程度回復したのか、ニーアさんが質問してくる。まぁ調子を確認する程度の運用だったから

 

「60キロぐらいですかね?」

「...えっ?」

 

ニーアさんが驚いている。そんなに驚く事があるのだろうか?キャタピラがあるので、多少の悪路は平気だしな?

 

「...さては、意欲のままに改造しているわね?」

「そんなの当たり前じゃないですか。俺の唯一の趣味なんですから」

 

まぁこんな事になるとは思ってなかったから、魔改造に魔改造を重ねている為、標準型の10式ではなくなっていますがね。と俺は続ける。

 

「今は時間が無いけれど、簡単に説明をしてくれないかしら?」

 

ニーアさんは頭に手を当てながらそう言う。そうだな

 

「一人用に最適化され、生存性に極振りした10式です」

「分かったわ。じゃあ、私はこの戦車の周囲で近付いてくるかもしれない鉄血どもをハチの巣にすれば良いのね?」

 

何かを諦めたニーアさんはそう言う。俺は頷く。そうなのだ戦車なので近付かれたら終わりなのだ。圧倒的な物量では無理なのだ。

 

「あ、ニーアさん無線機のチャンネルを2番にしてください」

「分かったわ」

 

そう言って、彼女はキャノピーから外に出た。キャノピーが閉まったのを確認し、俺は砲手が座る位置に移動する。それと同時に無線機のチャンネルを2番にした。

 

「ニーアさん、聞こえますか?」

《えぇ、感度良好よ》

 

それは、良かった。

 

「敵が近付いてきたりしたら、AIから報告が来ますからそれも活用してください。ですが過信しすぎないようお願いします」

《了解したわ。参考程度にするわね》

 

よしっじゃあ俺も自身のやる事をやろう。まずはもう戦闘が始まっているが情報整理だ。今まで、ウェル達の無線チャンネルとあの指揮官の無線関連の情報から、自分なりに解釈を入れる。

 

「レーダーの範囲は今はまだ最低で、逆探知されたら死ぬ」

「フムフム....小型迫撃砲の射線を通さないようにか。まぁ圧倒的に人数不利だから当たり前なんだろうな」

 

俺は分からん。でも迫撃砲型の射程が、基地に入ったらヤバいよな?そう思いつつウェル達の声を聴く。

 

《こっち側に迫撃砲型が!》

《クー!優先的に迫撃砲型の排除!》

《やってます!でも一発じゃ落ちないこいつら...!》

 

そう言った声が聞こえる。因みに指揮官側とは違う方に別働隊もいた様で、そっちの方にウェル達だけで対応しているようだ。俺の手が震える。

 

「...まだだ、まだ焦るな」

 

アイツらの方は迫撃砲型の前に盾持ちが居て厄介みたいだな。俺はセーフティを解除した。そしてコンソールでレーダーの出力を最大まで上げる。それと同時にクッキリと赤と青の点が出てくる。よしっ射線は通ってる。ウェル達の反応が一旦引いた。ーーー今!!

 

「初弾装填。目標敵後方!発射!!」

 

引き金を引く。それと同時に銃声ではない響く爆音が車内に響く。もうこれで言い逃れ出来なくなった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

それは、交代の為に一旦引いた時に起きた。突然の爆音しかしこれは迫撃砲型の物ではない。物陰から音があった方を見ると、敵後方にあったビルの根本が拭き取んでいて、今まさに瓦礫が敵の迫撃砲型に向かい落ちていく。それと同時に無線先から声が聞こえました。

 

《ウェルさん。大丈夫ですか!?》

「こちらは大丈夫です。何が起きたのですか!?」

《私にもさっぱりです!ただ一瞬空から砲弾が建物に飛んで...って!また!》

 

通信先のクーの声と共にまた爆音が辺りを染めました。それと同時にしかいないの窓枠からチマチマ覗いては撃っていたヒトヨがそちらを見て目を見開きました。

 

《ウェルさん!攻め時です!》

「へっ...これは」

 

敵の後方が火の海になっていた。これなら迫撃砲型は殆ど戦闘不能のはずです。

 

「っ!リズ!行きますよ!援護を!」

《ちょっと!ウェル!?》

 

この部隊で敵の攻撃を効率よく避けれるのは私だからと、飛び出していこうとしたら、ここでは聞こえるはずのない人物の声が聞こえました。

 

《もう一発撃つから出ようとしてる馬鹿は下がれ》

「っ!?!?」

 

それと同時に、敵と私達の間に爆音。それと同時に火の壁が出来きました。

 

()()()()()()()()()()()()

《バー店長とドライブ中さ!!細かい事は戦闘後に!一つだけ伝え忘れた事があったから通信したんだよ》

 

そこで一旦区切る店長。今までより真面目な声音になった。

 

《もうバレていいから、『全力』で敵を殲滅せよ!弾薬代は俺が出す!!》

 

その言葉に呆気を取られているが、その言葉にいち早く反応した物が居た。ダァンと銃弾が敵の頭を吹き飛ばした。この銃声は狙撃班のテンコですね。

 

《店長。それに加えメンテナンスを所望します》

《分かったよ!全員分のメンテ位やってやらぁ!!やりきってこい!!》

 

店長は半ば吹っ切れって答えを返し、通信を終了した。それと同時に、鉄血兵が迫ってくる。

はぁ、店長あれはもう先を考えるの止めましたね。でもそこまで言うなら、やりますか。

 

「リズ、テンコ、それにクー行きますよ。ヒトヨは援護に徹してください」

()()()()

 

それを合図に私がまず、突撃をする。今までは相手との距離を開いていましたが、今度は敵と触れ合う位まで接近し発砲。...これで一人。

 

《えっ!?ちょっと~!?》

《大丈夫。落ち着いて、援護よろしく》

 

困惑しているヒトヨは先程より、撃つスピードが低くなっているが撃っている。なら問題なしですね。リズがサポートに入っていますしなら余計に大丈夫ですね。

 

「ー行きますよ。安らかに眠りなさい」

 

スキル始動。相手に射撃制御の異常を起こした。弾道が少しばらける。これなら攻め切れますね。

 

「ウェル、どちらが多く壊すか勝負しましょう」

「ふっ、抜かせると思わない事ですねテンコ」

 

いつの間にか近くにいたテンコにそう言われたので勝負に乗ることにしました。久々に全力出すには必要でしょうしね。そう思いつつ私は次の敵に突撃します。

 

ダンダンダン

暫く前線のSMG型と戦っていると、奥から巨体が姿を現した。私達より一回り大きい鉄血兵。こいつは、マンティコア...!

 

「っ!テンコ下がりなさい!」

「しまったっ!?」

 

マンティコアが攻撃体制に入った!これは間に合わないっ!その時少し離れた所にいたクーが叫びました。

 

《リズさん!!》

《ええ!》

 

リズが弾倉をすぐさま変え、マンティコアの頭部と脚部に撃った。すると少しだけ体制が崩れる。

 

《...この程度?》

 

リズがすかさずスキルを発動、それと同時にクーの射撃がマンティコアの頭部に直撃。相手に大きな隙が出来ました。

 

《逃がさない!!》

 

クーが完全に構えをとる。まさか……!反射的に私は下がった。それとほぼ同時にクーは必殺級の一撃を見舞いました。

 

スガン!

その弾はマンティコアの頭部を貫通し、そのまま内部で爆発を起こした。そして、身体至るところから火花が散っていた。彼女の攻撃でここまでになるとは思いませんが。

 

「これは、一体?」

《徹甲榴弾でスキルを撃ちました!》

 

そう思っていると、クーの元気な声が聞こえて来ました。また貴女のせいですか?テンコ。

 

テンコを睨み付けるが彼女はどこ吹く風の様にするだけであった。その時また店長の声が入ってきました。

 

《悪い、そっちの敵が片付いたら司令部の方に行ってくれないか!?こっちで援護が厳しくなりそうだ!》

「店長。完全にバレるけど良いの?」

 

店長の突然の言葉にまず反応したのはリズであった。しかし、彼は

 

《もう、戦車使ってる時点で完全にバレてる!頼む!!連絡はしておくからさ!》

「...はぁ、仕方がありません。司令部の方の援護にいきましょう」

《皆もう一仕事頑張ってくれ!》

 

店長の言葉に私達は返事をして、司令部へ向かって走り出しました。

 

 

ーーーーーーーーー

 

ダン!

撃った弾は相手の頭を寸分違わず撃ち抜きましたわ。しかし、今ので弾は最後でした。あと敵は一体。

相手は隙かと思ったのか、銃口を向けようとします。でもここは

 

「っ!そこ!」

 

敵の銃を持っている方の手を銃剣で突き刺す。そして、そのまま壁に叩きつける。動こうともがく敵を押さえつけて銃弾をリロードし銃剣を引き抜き、相手の頭を吹き飛ばした。

 

「ふぅ、あって良かったですわ」

 

そう言って、辺りを見回す。そこにはおびただしい鉄血兵の残骸がありますわ。

 

「karさん。すごいですね」

「43。こちらはこれで最後ですが、防衛ラインの方は?」

 

G43は称賛をしつつ狙撃を続けている。

 

「ちょっときついそうです!やっぱり前線の援護した方が良くないですか?」

「ダメですわ。迫撃砲型をどうにかしないと」

 

私やG43の攻撃では倒しきれない。でも諦めてはいけないっ。そう思っていた時、突然指揮官の怒鳴り声が聞こえた。

 

《総員撤退!!敵射線を切り、伏せろ!!》

「「っ!!」」

 

それを聞いた私達は、窓枠から一気に部屋の奥まで走り、その場に伏せた。その直後理由が分かった。

 

ドガンッ

何かが弾着した音と共に何かが燃える音が私の耳に届いた。窓枠から見てみると、そこには火の海が広がっていた。

 

「何が起こったんですか!?」

《延焼弾らしい。仲間になってくれた者からの支援砲撃だ!今だ攻勢に出ろ!》

 

らしいって。まぁ指揮官のあの反応から察すると、多分信頼のおける人物のようですわね。それと同時に、防衛班だったスオミと3MPが同時に前線に踊り出てきましたわ。

 

《ッチ!私の獲物を取らないでくれますか?ヴィーフリ!》

《それは聞けない相談だね。そらそらどんどん行くわよ!》

 

あの二人はまた口喧嘩をしているわ。でもそういった割に、良く連携が取れていますわね。

 

《あと援軍が到着する。お前達誤射だけはするなよ》

()()()()()()》》

 

援軍?そう思っていると、突然スオミ達の前に居た敵が崩れ落ちた。そこから現れたのは紺と黄色の服を纏い黒のジャケットを羽織った金髪の戦術人形であった。

 

「あれ?あの方は...!」

 

危ないっ、死角からの一撃か彼女に襲うが分かっているかのようにひらりと避けて銃撃をお返しした。

 

「援軍って一人...?」

「そうですわね。ですが有難いですわなんせ5Linkしている方ですから」

 

こんな辺境にはまず居ないであろう。そう思う程の腕前である。練度数値いくつなのでしょうか?

そんな事を思っていると、後ろから物音がした。

 

「また来ましたの?」

「karさんよろしくお願いします!」

 

G43の言葉に了承し、ドアと開けるとそこには見知った顔が二人立っていた。

 

「あら、クーの予想が当たったわね」

「はいっでは狙撃を開始しますね!」

 

リズの方はクーの言葉に苦笑いをしていた。

 

「やはり、戦えますのね」

「まぁ自己防衛位はね。こっちは5Linkが私とウェル。あとは全員4Linkだってそっちの指揮官に伝えて」

 

自己防衛?それにしては随分と慣れているように見えますわ。そう思っているが一応指揮官に報告をする。

 

「こちらに援軍が来ましたわ。とても頼もしいですわ」

《あぁ...そうだな》

 

きっとドローンで見ているのでしょうね。困惑した彼の声を聴きつつ私はリズの隣に立った。

 

「リズ、我々の護衛よろしくお願いしますわ」

「ええ、任せて」

 

そう言ったリズを尻目に私は狙撃に集中しますわ。

 

 

 

それから、1時間後。敵の大半を破壊出来ましたわ。基本的には前線を張ったテンコさんとウェルさんが戦線を維持して下さった為に他のほぼ全員で集中砲火出来たからですわ。

 

「いやぁ~ただの店員じゃないとは薄々気付いてましたが、すごいですね~敵がどんどん戦闘不能になっていきますよ。それにあの野良のライフルさんも凄い腕前。っと」

 

G43の言葉にクーが少し微笑んだ。

 

「そうですね。テンコさんの戦闘能力は知ってましたが、ウェルさんの戦闘能力は聞いていたより凄いです!」

「私的にはクーがそこまでとは驚きですわ」

 

そう言うと、クーはプクゥとほほを膨らませた。

 

「まぁ見た目からすればそうかもしれませんが、小さいからって甘く見ないで下さい!」

「そうですわね。すみませんでしたわ」

 

そう話しつつ狙撃を続けていると、無線から指揮官の声がした。

 

《kar、G43あともう少しで殲滅だ。最後まで気を抜かず狙撃をしてくれ》

「「了解!!」」

 

私達が返事したときに彼女達にも通信が入ったようだ。見るからに嬉しそうである。

 

「よーしっ、じゃあラストスパートですね!」

「クーあまり力まないようにね」

 

 

何か殲滅スピードが上がったような?そう思っているとリズと丁度目が合った。

 

「大丈夫だよ。攻めて来てる奴は一人も入れないから」

「任せましたわ」

 

本当に何者なのでしょうか?まぁこの戦場が終わったのちに分かる事でしょう。私は取り敢えずそう考えて、そのまま狙撃に戻った。

 

 

それから更に4時間後、戦闘は終了しましたわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




後先考えずにただただ全力を出した店員が怖いです。

戦闘シーン久々すぎて、分かりずらいかもしれません。
私の能力ではこれが限界でした。

感想・評価お待ちしております。作者の励み及び執筆速度の上昇につながります。

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十七話:事後処理それは面倒事

今回でほのぼのしない回終わりです。そして、ついにあの人が出てきます。

読者の皆様お待たせしました!次回からはほのぼのに戻ります!

感想、評価ありがとうございます!お陰様で筆が進む進む。
今回はこの小説史上最大のボリュームです!

ではゆっくりしていってね!

すみません。またやらかして誤投稿してしまいました。申し訳ございません。


市街地戦が無事に完勝しこちらに向かってきた敵もどうにか全滅させたは良いのだが、問題がある。俺はニーアさんの方をチラッと見る。もう何度もやっている事なのでニーアさんも仕方がないといった顔をし俺の一番欲しい情報を教えてくれる。

 

「残り残量5%を切ったわよ」

「あぁ~燃料ガガガ」

 

これじゃあ、この生存性重視し過ぎた戦車は燃費がすこぶる悪いので、ヤバいのだ。今の地点は丁度自分等が戦闘中いた地域と店の中間位である。間違いなく燃料が持たない。

 

「よし、こうなったら仕方がない。リズ達に頼むか」

「そうねぇ。この戦車捨てて鉄血に鹵獲されたら、かなりヤバいわ」

 

ニーアさんが、何か思い出したのか青ざめている。まぁその反応も仕方がないかな?

 

「あの...ニーアさん」

「分かっているわよ。何で貴方が戦場に行きたがらないかは、完全に理解出来たから」

「ありがとうございます」

 

誰にも言わないわよとニーアさんはそう言ってくれていた。有難い。これに関しては本当に誰も知らないから。

じゃあ、リズ達に連絡しますか。俺は無線機のチャンネルを2番にした。

 

「リズ。というか誰か通信可能な状況の奴いますか?」

《店長?どうかしましたか?》

 

俺がそう言うと真っ先に元気な声が聞こえてきた。

 

「クーか。今状況的に大丈夫か?」

《えぇ。ウェルさんとリズさんは向こうの指揮官さんと話していますが、それ以外の人たちは動けます!》

 

どうかしましたか?と若干戦闘中の雰囲気になりつつもそう返してくる彼女に俺はほほを搔きながら言う。

 

「ちょっと、マップG-30まで来てくれね?燃料を持ってきて、軽油」

《はいっ??》

 

状況か分かっていないのか、聞き返してくるクー。

 

「このままだと、マップG-30で燃料切れて動けなくなるから、軽油を出来るだけ持ってきて下さい」

《....了解しました。では急ぎ持っていきます!》

「お願いします。では」

 

この感じ多分呆れてるんだろうな。俺はそう思いながら通信を切った。

 

「持ってきてくれそう?」

「えぇ。今はこのまま進みましょう」

 

ニーアさんにそう伝え俺は運転に集中した。頑張ってG-30までいかないと。

 

「到着しました。エンジンもきれました」

「そうねぇ。そうなると車内ってほぼほぼ真っ暗ねぇ」

 

ニーアさんがそう言って一息つく。まぁこの付近の敵は居ないはずだし、大丈夫だろうけど。

そんな事を考えていると、ニーアさんが何かを思い出したのか、あっという。

 

「坊や。多分この戦車装甲版結構傷ついているとは思うのだけれど。大丈夫かしら?」

「あっ」

 

俺は、警戒しつつもキャノピーを開けて戦車の外観を見る。

 

「oh....」

 

そこには襲ってきた残党の攻撃によって無数の小さな傷がついた車体が見えた。ざっと見た感じ追加装甲にしかダメージは無いようだ。俺はキャノピーをそっと閉じ中に戻った。

 

「どうだった....結構酷かったのね」

「えぇ。傷自体はほぼ無いです。塗装をし直せば終わるくらいの損傷しかないのですが,,,」

 

汚れがひどい。返り疑似血液やらオイルやらの跡がと続けると、ニーアさんは何か納得した顔になった。

 

「まぁそうよね。貴方凄かったもの」

「欠点だらけですけどね」

 

実際こうやって燃料切れ起こしているのですから。そう続けるがニーアさんはそれは違うと言った。

 

「最低でも、あの時貴方があれをしてくれなかったら、私達は死んでいたわ」

「...そうですね」

 

そんな感じに話していると、車の音がかすかに聞こえた。俺は覗き口から見てみると、そこには見慣れた装甲車がこちらに近付いてきた。そして俺達の前で止まった。そして中からポリタンクを持ったクーが出てきた。そして戦車の状態を見て、一度目を見開いた。そろそろ出るか。

俺はキャノピーを開いて中から出る。

 

「すまんな。燃料切れちゃった」

「いえ、大丈夫です。では補給の方よろしくお願いします」

 

俺は戦車から降りてクーから受け取った燃料を入れる。その手持ちタンクが結構な量あった。これだけあれば80%くらい入ったかな。

 

「よしはいったか、にしても良くこんなに持ってこれたな?」

「あそこの指揮官から譲りうけましたから」

 

クーはそう言ったのち司令部まで付いてきて下さいと言って、俺の返事を聞かずに装甲車に戻って行った。まぁ元から行くつもりだったから良いけどな。俺は戦車に乗り込んだ。

 

「よしっエンジンついた」

「これから、司令部かしら?」

 

ニーアさんの質問に俺は頷いた。さてさて覚悟はしていたけど、どうなるかな。

俺はそう思いながらアクセルを踏んだ。

 

 

「着いたな。まさか初めて入るのがこの戦車になるとは」

「奇遇ね、私もそう思ったわ」

 

ニーアさんと軽口をしながら俺は奥に進めていくと、赤の制服を着た茶髪短髪の男性とカラビーナさんが立っていた。

俺は戦車の速度をゆっくり落として、彼らの前に停車する。

 

「ニーアさんはここで待ってて下さい」

「えぇ。任せたわ車長」

 

若干緊張しながらニーアさんに指示を出すと、彼女はその緊張を察してくれたのか茶々を入れてきた。彼女に車長じゃない店長だと言ってキャノピーから体をさらした。

 

「どうも、アルヴィンさん。こっちに敵意は無いよ」

「そうか」

 

すると、彼は何かをぼそぼそっと喋った。それと同時に、後ろにある門が閉まった。

 

「では、歓迎しよう。こちらにも敵意は無い」

「それは良かった」

 

中に居るもう一人と共に戦車から降りて付いてこいと言って彼はそのまま歩いて行く。仕方がないか。俺はキャノピーから出て下にいるニーアさんに声を掛ける。

 

「ニーアさん、出てくれますか?」

「分かったわ」

 

彼女はそう言ったのちに、出て来てくれる。カラビーナさんが一瞬目を見開いたがそのまま警戒してこちらを見ている。俺はそれをボケーっと見つつ、キャノピーのカギを閉めた。

 

「よーし行きますか」

「一応、武装は解除してもらいますわ」

 

カラビーナさんの指示に従ってニーアさんと俺は自身の武器を彼女のダミーに渡す。

 

「では付いてきて下さい」

「了解しましたよ」

 

 

「失礼しますわ。店長並びに野良の人形を連れて参りましたわ」

 

あれから、基地内を歩く事10分後何やら比較的広い部屋に通された。そこにはアルヴィンと彼の戦術人形、そしてリズ達が立っていた。そしてドアが閉まる音だすると彼は口を開いた。

 

「ああ゛~kar、彼等に武器を返してやって」

「ふふっ分かりましたわ」

「「ん?」」

 

理解が追いつく間もなく俺はカラビーナさんのダミーから武器が返却された。というより、この指揮官さっきまでの真面目っぽい雰囲気どうした!?これじゃあ普段店に来る時の状態じゃないか。

 

「何でって顔してるな。店長」

「まぁな。なんでこんな面倒な事を?」

 

そう言うと彼は少し頬を掻いた後に口を開いた。

 

「まぁ外では仮にもPMCのトップなのでね。ここならカメラもないから問題ない」

「指揮官は執務中もオフと同じ雰囲気で書類仕事していますわ」

 

カラビーナさんの補足が入った。まぁこっちとしてはその方が有難い、なんせ一般人なもので

 

「それで、どうして呼ばれたので?」

「分かって聞いているよな?」

 

俺の質問にそう返してくるアルヴィン。まぁ、ある程度予測は付く。

 

「リズ達の事と戦車の事かな?」

「その通りだよ!此畜生!?」

 

アルヴィンはそう言って荒ぶる。チラッと他の彼の部下を見ると苦笑いをしている。

 

「こっちは戦力的に厳しくて折角本部に救援を送ったり、色々やりくいしたってのに、急に通信に割り込んできた阿呆が支援砲撃するから下がらせろとか言うし.....」

 

そのまま呪詛の様に言葉を紡ぐ彼。アハハこれは重症ですわ。こうなると長くなるのかカラビーナさんが話を引き継いだ。

 

「私からはまず、リズさん達の正体を知りたいですわ」

「リズ達の...?」

 

こいつら本人に聞かなかったのか?そう返すとカラビーナさん以下数名は顔を少し青くし黙った。

 

「はじめは聞こうとしましたわ。そうしたら」

「店長が来るまでは話す気はない、もし無理やりやると言うのなら、壊れきるまで暴れまわるって言っただけだよ」

 

リズがカラビーナさんの言葉を遮りそう言う。成程だから少し機嫌が悪かったのね。

 

「なので、店長から聞くしかないのですわ」

「成程。あれ?ヒトヨは...?」

 

野良だよな?そう思い彼女の方を見ると、彼女はニコッと笑い

 

「あっ!店長!雇ってください♪」

 

とい言ってきた。

 

「まぁ、うちとしては人手は欲しいから良いよ?」

「やった♪」

 

彼女は余程嬉しいのか上機嫌になった。さっきまで結構怖い顔が嘘の様だ。

 

「じゃあニーアさん以外は知っている事話しましょう」

「よろしくお願いしますわ」

 

じゃあまずはーーー

 

「リズ、ウェル、テンコは元々俺が昔属していたPMCの時の仲間です」

 

最北端のPMCと言えば分かりますかね?そう続けるとカラビーナさんはある程度納得したようだ。

 

「あそこの生き残りなら頷けます。ではクーは?」

「彼女は俺が一人逃避行している時に保護した戦術人形です。と言ってもそのPMCは無くなっていたので結果的にうちで雇ってる感じですね」

「成程...ヒトヨさんに関しては知っているので省きますわ」

 

あぁ、ヒトヨは傭兵紛いな事やってるから知ってて当たり前か。そんな話をしていると、少し不貞腐れてる声がした。

 

「karワザとさぁこっちがこの空気を軽くしようとしているのに、真面目にやっちゃうかな?」

「あら?口下手な指揮官に代わって仕事をしたまでですわ」

 

カラビーナさんの一言が余程刺さったのか彼はグハっと言ったのち、ワザとらしいく咳払いをした。

 

「んんっ!じゃあ、一応無駄だと思うが、彼女達をこちらに渡して欲しい」

「俺個人では決められませんね。俺は彼女達の意思を尊重します。どうだ?」

 

俺が振り返りつつそう聞くと、全員ジト目をしていた。そして

 

「「「「「嫌」」」」」

「ーだそうですね」

 

視線を戻すと、アルヴィンは微笑んでいた。

 

「なんだよ。アルヴィン指揮官?」

「いや、もしお前がその気ならこの司令部の二人目の指揮官にしたいなと思っただけさ」

「嫌だよ、そんな面倒な事」

 

即答で返すと、彼はだよなとかえした。

 

「まぁ、確信はしていたさ。先の戦闘でな」

「??」

 

どういう事だ?と首をかしげていると、彼はニヤっとした。

 

「なに、きっと店長だからこそ彼女達のスペックを出し切れるんだなと思ったまでだ」

「はぁ....なら良かったのか?」

 

何か煮え切らないが、仕方がない。

 

「よしっじゃあ。次にあの戦車の事だ」

「...喋らないとダメっすか?」

 

出来れば頼むと彼は言った。

 

「ん~簡単に言うと、俺の遠い親戚から譲りうけた物なんですよ。出所は分かりません。ただ部品単位まで分解してあったので、組み立てられないので俺の遊び道具として店を出してからくれたって形でしたね」

 

うんあれは大変だった。そう思い返していると、彼のはポカーンとしていた。

 

「部品単位って?まさか」

「流石にエンジンとかはそのままですよ?車の組み立てと同じ感じです!!」

 

流石に全部バラバラだったら俺も組めませんよ。と続けると彼はほっと息を吐いた。

 

「それでも、大概だがな」

「ですかね?流石にクーに手伝ってもらいつつですよ」

 

その作業のおかげでクーに商品の運搬を頼みだしたんだよな。凄く力持ちだったから。

 

「では、組み上げた時点であの強さなのか?」

「違いますよ?組み上げてから、今まで暇を見つけては改良を続けてました」

 

俺の言葉に彼は目を見開いた。そして、少しビクビクしながら聞いてきた。

 

「どんな機能付けているのか差し支えない程度に教えて欲しい」

「え~と、高性能レーダー、サポートAI、EMP保護、ジャミング無効化、可動式装甲板っていったところですかね」

 

その他にも、キャタピラ自体も装甲に使用できる素材で改良したり、レーダー上の隠蔽性を上げたり、ミサイル対策のフレアが付いてたり、そもそも内部

 

色々省いたけどこんな感じかな。そう答えると彼は頭を傾げた。

 

「生存性極振りだな?それであの強さか」

「?」

 

あの強さとは?ん、なんかヤバいきがする。俺が嫌な気がしつつも首を傾げると彼はある映像を表示した。

 

「これは、お前の事が心配でドローンで観測していた時の物なのだが....」

「あー!あー!ストップ!!それは見せるなぁ!?」

 

俺の叫び声に驚いたのか、アルヴィンは動画を消してくれた。一瞬しか見えてないからセーフだった。俺はアルヴィンに近付き小声で聞く。

 

「これを誰かに見せました?」

「っ!?いや、まだ見せていない」

「じゃあ、今すぐに抹消して下さい。戦車の戦闘シーンなんて必要ないですよね?」

 

俺の気配に押され切ったのか、彼は何度も頷いて消してくれたようだ。

 

「....ふぅ、すみません。あれはあまり人には見せたくないので」

「いや、別に構わないさ」

 

俺は、元の位置に戻った。彼は咳払いを一回した。すみませんね何度も脱線しまくってしまい。

 

「んんっ!では、これくらいなのだ聞きたいことは。だから最後に今回の騒動に関しての我々の意思、というか俺意思だな」

 

そう言うと彼は頭を下げこう続けた。いやそれどころか彼の部下も頭を下げた。

 

「君達がいなければ、この街は無くなっていた。ありがとう」

「あ、頭をあげて下さい!」

 

俺は、少し慌てながら頭を上げるように言う。しかし彼らは中々上げない。どうしよう。おれはリズの方を見る。

 

「はぁ。店長はやっぱりこういうの慣れてなさすぎ」

「すまん」

 

すると、リズはアルヴィンの方によって行く。そして

 

「なら、今後はキチンと依頼してください」

 

と言った。彼は顔を上げる。

 

「良いのか?」

「店長は守りに関しては上手いですよ。えぇ攻めはてんでダメですけどね」

 

それは、今回良くわかりましたよね?と続ける。おいこいつ言いたい放題言ってやがる。

 

「それに、面倒事は嫌がりますが、『仲間』は全力で守ろうとするお人好しです」

「.....分かったよ」

 

彼はそう言うと頭を上げてこちらを向きこう言ってきた。

 

「店長!今回の報酬の話をしよう」

「えっ?今回は自分の店を守っただけだよ」

 

俺がそう言うと彼はニカっと笑った。

 

「だが、結果的にはうちの被害を予想の5割減らしてくれた。それなのに何もしないといったのは嫌だからな」

「...う~んでも結構資材の燃費悪いですよ?うちら」

 

今回は俺のポケットマネーが無くなるのは確定したしなぁ。彼はあっ何か思いついた様だ。

 

「じゃあ。資材を融通しよう」

「えっ?良いんですか?」

 

そう聞くと、彼はあぁと頷いた。

 

「後日渡そう」

「...ありがとうございます」

 

正直言ってこれは有難い。こっちは戦闘用に使用する資材の備蓄なんてもう少ないからね。

 

「あとは、今後頼みたいことがある」

「何でしょうか?」

 

内心ホクホクしていると、彼が一つ言ってきた。

 

「今後もし、人員空いていたら、今回の戦闘メンバーにこちらの訓練を頼みたい」

「訓練ですか?」

 

俺が聞き返すと、彼はそうだと頷いた。俺はチラッと店員の方を見ると皆して頷いていた。

 

「大丈夫な限り良いですよ」

「よし。ならよろしく頼む」

「えぇ。こちらこそよろしくお願いします」

 

そう言って俺たちは握手をした。

 

 

それから俺は貰う資材量や、街の復興での依頼や訓練の依頼等を話し合いを行った。そして終わる頃にはもう日が暮れていた。

 

「はぁ....めっちゃ疲れた」

「だね」

 

俺の呟きに反応したリズと共に今は司令部の宿舎に向かっている。何故そんなことになったのかと言うと、街の復旧するまでの間その手伝いを効率よく行う為にそういった処理にしたのだ。

 

「ここか...あれ?一部屋?」

「ここの宿舎は広いから平気だってさ」

 

いやいやいくら何でも人形とはいえ、女性と同じ部屋なんて!

 

「ちょっと俺、アルヴィンに直談判してくる」

「まぁ良いじゃん♪」

 

来た道を戻ろうとした俺をリズは無理やり引っ張り入れてくる。

 

「お前が良くても他の奴らが嫌がるだろ!?」

「それも許可取ってあるよ」

 

俺を引きずりながらリズはそう答える。

 

「あっ!リズさん!おかえりなさい!」

「結構いい部屋じゃん」

「,,,,はぁそうだな」

 

入るとそこにはクーが食卓を整えていた。はぁここまで来たら今日は諦めるか。そう思っていると奥のキッチンの方からテンコが出てきた。食事を器用に持っている。

 

「店長。おかえりなさい」

「おう、お前ら休んでろって言わなかったか?」

 

食事なんざ作らんでも今日ぐらい味のしない配給食でも良かったのに。そう思っているとテンコは呆れ顔になった。

 

「店長、それはその熱い視線を誤魔化しきってから言ってくださいね?」

「そうねぇ~坊や?」

「紅茶が入りましたよ。おや店長。ナイスタイミングです」

 

続々と出てくる。あれ?ヒトヨは?

 

「んん~?ご飯ですか?」

 

すると、食卓の奥にソファーが置いてある方から声が聞こえた。

 

「ヒトヨだけ寝てたんかいっ」

「そんな事無いですよっ!?掃除をやりました!」

 

あぁ、そういう事だったか。ならまぁ良いか。というより俺は何もやってないので何も言えないな。

 

「では、食べましょう」

「あぁ。じゃあ手洗いしてくるわ!」

 

俺は急いで手洗いをしてくる。戻ってくると全員座って待っていた。俺は空いている椅子に座り手を合わせた。

 

「いただきます」

「「「「「「いただきます!」」」」」」

 

置いてあるのはカレーにサラダそして紅茶。

 

「カレーに紅茶?」

「何か?」

 

合うのか?俺が困惑していると、ウェルはこちらを睨んできている。

 

「いや、お水を...」

「まずは、食べてみればよいでしょう?」

 

俺の言葉に被せてるウェル。合うか以前にこの紅茶暖かいからがぶ飲み出来ない。そしてテンコがいたからこのカレーは辛めだろう。そう当たりをつけ、一口食べると舌がビリビリする。俺は辛いの苦手なの知ってるよな!?

 

「チクセウ。上手いよ、けど辛いよ」

「あはは、店長が泣いてる~はいこれ」

 

ヒトヨはそう言ってお水を出してくれる。それを半ばひったくり飲む。

 

「ああ゛~生き返る」

 

俺はウェルを睨みつける。すると彼女は微笑み

 

「これだけにしてあげます」

「?」

「どうやら無茶をしたそうで?罰はこれにします」

 

っ!?やっぱり気付かれてるか。俺は怒る気持ちがなくなった。これで済むならいいやと美味しくはあるから、苦手ではあるけども。そう言って食べ続ける。

 

「うん。テンコ俺のギリギリにしたな?」

「おいしいでしょう?」

 

水がぶ飲みはするけどな。俺がそう返す。

 

「坊やって結構甘党?」

「ニーアそれは違うよ。極端なものが苦手なんだよ店長って」

 

ニーアさんの疑問をリズが答える。まぁそうではある。

 

「お代わり行ってきますね!」

「「「「「「早っ」」」」」」

 

今まで黙々と食べていたクーがそう言ってキッチン方に向かって行く。

 

「食べる事に集中しますか」

「そうだね」

 

そうしないと、お代わり無くなりそうだし、そう続けると皆頷き食べ始めた。

この後、やはり少しお小言を受け、その後消灯して眠った。

 




ここまで序章かな?ここからが本格的に何でも屋始動します!

そして、文字数が7000字を超えてしまった。普段の2話分以上だと....!

ここからは、暫く司令部の方々とほのぼのお仕事していきます。

感想・評価お待ちしております。作者の励み及び執筆速度の上昇につながります。
誤字報告もよろしくおねがいします。確認してますが、自身がありません。

では、また次回お会いしましょう!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

間話一:第一回何でも屋アクロス登場人物紹介

はい先に設定集です。

今回は店長以下店員の説明を書きます。

若干ガバカバ設定なところもあるかと思いますが、そこは生暖かい目で見て下さい。

ではゆっくりしていってね!

ー追記ー
リズの場所に意味不明な所が有りましたので訂正いたしました。
誤字直しました。誤字報告してくださった方ありがとうございます。


とある司令部の人物の日記より抜粋

 

今回私がいる街の中でも最も謎めいていた人達が分かったから書いていこうと思う。

 

氏名:不明

愛称:店長

 

20代後半の黒髪黒目の今では少ない日本人系の男性。

身長は170程度。

 

経歴

○○○○所属:メンテナンス員

アイテムショップアクロス店長

 

性格等

メンテナンスや改良をこよなく愛する人物であり、一度スイッチが入るとその目的の為に最適化された行動を始める。その際の集中力は人間かと思えるくらいの脅威的な集中力を発揮する。これが彼の場合趣味でしか確認できていない。

性格は面倒くさがりで、自身が面倒だと思った事は可能な限りやろうとしない。

しかし、元々優しい性格をしていたらしく、自己犠牲が多かったとの噂もある。これは要追加捜査必須

戦闘能力は、そこら辺に居る一般人と変わらないため、制圧は可能。

因みに彼の持っている戦車の消費資源と操縦を見てもらおうとは思わなくなった。

リズから彼もドライブが好きらしいと聞いた。ただ戦車だけらしい。彼女曰く丈夫な車が良いらしい。

 

総合危険度:D

 

 

氏名:グリズリー

愛称:リズ

 

IOP製の戦術人形グリズリーマグナム

 

経歴

○○○○所属:戦闘員

アイテムショップアクロス:副店長

 

性格等

基本的には彼女の型と同じ性格をしている。しかし指揮官が居ない状態でも戦闘が出来る様に電脳に改良されている模様。

特徴があるとするならば、誰かを弄るのが趣味な所だろうか?良く店長を弄って遊んでいる。

戦闘能力は最前線でも十分通ると考える。

また、基本的には店長の害にならない限りは友好的である。

 

総合危険度:A

 

 

氏名:M99

愛称:クー

 

IOP製の戦術人形M99

 

経歴

□□□□所属:戦闘員

アイテムショップアクロス:店員

 

性格等

基本的には元気活発、純粋無垢である。その場に居ると笑顔があふれるのも特徴のひとつであろう。

指揮官が居ない状態でも戦闘が出来る様に電脳に改良されている模様。

特徴は、接近格闘術を納めている事だろう。さっき、うちの接近格闘が得意な奴とやってもらったが完敗していた。

戦闘能力は最前線でもある程度通ると考える。あの接近戦はRFに必要か?

また、基本的には店長の害にならない限りは友好的である。

 

総合危険度:B

 

 

氏名:ウェルロッドmarkⅡ

愛称:ウェル

 

IOP製の戦術人形ウェルロッドmarkⅡ

 

経歴

○○○○所属:戦闘員

アイテムショップアクロス:店員

 

性格等

基本的に真面目な性格をしている。しかし店長曰く紅茶を飲んでいないと少し性格が悪くなるらしい。

指揮官が居ない状態でも戦闘が出来る様に電脳に改良されている模様。

特徴は、やはりあの敵のヘイトを集め避け続けるあの起動が出来る事だろう。ダミーですら回避力がヤバいのにメインフレームは更に一線を超えている。理由をそれとなく聞いた限りだと、どうやら店長がくれたお守りのおかげだそうだ。店長何をあげたんだ?

また、基本的には店長の害にならない限りは友好的である。

 

総合危険度:S

 

氏名:コンテンダー

愛称:テンコ

 

IOP製の戦術人形コンテンダー

 

経歴

○○○○所属:戦闘員

ジャンク屋「天狐」:店長

アイテムショップアクロス:店員

 

性格等

基本的に計算高いイメージのある彼女の型なのだが、彼女には合わない。彼女は真面目そして、特殊弾を作成したりメンテしたりすることを愛している。店長の同類だ。

彼女曰く店長程ではないとしているが、その後目の前で店長本人と言い争いに発展。そこでの会話が俺は理解できなかった。うん同類だな。

なので戦闘能力は同型の彼女より様々な銃弾を撃ち戦う。

因みに機嫌が悪いときは、店長とメンテナンスエリアに入れれば治るどころか良くなるらしい。

また、基本的には店長の害にならない限りは友好的である。

 

総合危険度:A

 

 

氏名:M14

愛称:ヒトヨ

 

IOP製の戦術人形M14

 

経歴

△△△△所属:戦闘員

傭兵[ヴァルキリー]

アイテムショップアクロス:店員

 

性格等

基本的に他の同型と同じ性格をしている。彼女に関してはそこまで情報がまだない。

だが、傭兵ヴァルキリーとしてたまに我々の部隊でも何度か共同戦線を敷いた人形である。

店長曰く、小悪魔的な性格をしているとの事である。しかし彼女自身のお気に入りになるととても優しいとの事。

戦闘能力は、十分だ。彼女の戦いは私の知っている戦術人形の戦い方である。

害にならないなら、友好的であるそうだ。

 

総合危険度:A

 

結論:誰かひとりでも良いから私の部下になってくれないだろうか?

 

 




ただ設定を書くのはあれだったので、とある日記より抜粋いたしました。
一体だれがやったって?ダレダロウナァ

ニーアさんははぐらかされた様です!

では次回はほのぼのになる予定です!

感想・評価お待ちしております。作者の励み及び執筆速度の上昇につながります。
コラボ関係はフリーなのでどうぞお使い下さい!文字通り戦車で向かいますw
詳しくは活動報告にて書いてありますのでご一読よろしくおねがいします!

では、また次回お会いしましょう!

誤字報告ありがとうございます!今後はもっと気を付けてまいります!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十八話:司令部でのお仕事その1

やったー!待ちに待ったほのぼのだー!←

2日ぶりです。上手くネタが浮かばなかったのです。許して下さい(ガクブル)

アンケートありがとうございました!
なのでアンケート結果も踏まえて続々登場させますよー!

今回はARです。

ではまったりしていってね!


ピピピピ

 

「んぁ...?朝か?」

 

何時もよりおとなしげの音が俺の耳に届き目を覚ました。昨日はなんだかんだ疲れたわ~まだ頭がどんよりしてる。

 

「んんーっ」

 

着替えは司令部に置いてあったメンテ用のツナギがあったのでそれを着る。まぁ服無いし今日取りに行けるかな?そんな事を考えながら寝室をでると何やら良い匂いがただよってきた。

 

「あら?坊やはもっとお寝坊さんだと聞いたのだけれど?」

「ニーアさん。おはようございます」

 

テーブルには朝食であろう物が3つ置いてあった。んー?圧倒的に足りなくないか?

 

「坊やと、私と、ヒトヨの分よ。他の面々は荷物を取りに行ったわ」

「もう行ってくれてたのか。ありがたい」

 

本当にリズ達って俺の思考回路を先取りしているよな。と考えていると、ヒトヨが寝室から出てきた。

 

「あ!おはようございますー!」

「「おはよう」」

「では、頂きましょう」

 

ニーアさんの言葉に俺とヒトヨは頷いて手を合わせる。

 

「「「頂きます!」」」

 

 

朝食を食べ終わった頃に、リズが帰って来た。

 

「あ、お帰りー。あれ?ウェルとテンコは?」

「ウェルは偵察のお手伝い。テンコはメンテナンスエリアに入っていったわ」

 

やれやれといった感じでそう答えるリズ。ウェルは多分昨日の奴で若干身体を動かし足りなかったか?

テンコはこりゃ出てこないな、最悪は俺が呼びに行けば良いか。

 

「俺の今日の仕事は...?」

「店長?どうしたの?」

 

今日の予定を確かめようとアルヴィンから借りたタブレットを見ようとしたら、そのアルヴィンからのメールが来た。

 

ー店長へー

今日の予定を以下の予定に変更してくれ

 

メンテナンスエリアの手伝い

武器庫の整理整頓

 

以上

 

 

 

「.......なんでさ?」

「まぁ、出来るでしょ?」

 

出来るけどさ、これって見ちゃ不味くね?そう言うとリズは少し悩んでからこう答えた。

 

「まぁ、グリフィンって慢性的な人員不足だから」

「んー。まぁ指揮官様の指示だしやるかぁ~」

 

俺は立ち上がる。するとリズが何やら投げてきた。

 

「あぶねっ!?」

「店長にはこれ必要でしょ?」

 

それはメンテナンス用のバックであった。

 

「ありがとう。でも投げ渡す必要あったか!?」

「だってそっちの方が面白そうじゃん。店長の反応が」

「ああ゛!?」

「ほらほら、さっさと行かないと遅刻しちゃうよ?」

 

ちくしょう、事実だから急がないとな。俺はもう少し駄弁りたかったが我慢し部屋を後にした。

 

 

部屋にでてタブレットにてこの基地の地図を眺めつつ目的地へと歩みを進めている。

 

「ここか?」

 

一応着いたのだが、辺りに人形一人として居ない。

 

「よしっ入るか」

 

そう呟いて部屋に入るとそこには、そこには紺色の軍服を着た金髪ストレートの女性が作業していた。彼女はドアの開いた音に気が付いたのかこちらを見た。

 

「おはようございます。こっちで手伝えって君達の指揮官から言われて来たんだけど」

「おはようございます。先程指揮官から情報が来てましたわ」

 

彼女はそう言うと、持っていた木箱を床に置きこちらに近付いてきた。そして、右手をこちらに出しながら

 

「StG44と言いますわ。今日はよろしくお願いしますわ」

「俺の事は店長とでも言ってくれ。よろしくStG44」

 

俺は彼女にそう返して握手をした。ん?確かこの人形は基本的に握手は苦手って噂をウェルに聞いたけど特に問題なさそうだな。

 

「karさんに言われたからですよ。握手は大事だと」

「っ!?...顔に出てましたか?」

 

俺の言葉に頷くStG44。あちゃ~これはやっちまったかな?

 

「気を悪くしたなら申し訳ない」

「ふふっ、大丈夫ですわよ」

 

あと、私の事はStGと読んで下さいと続ける。そう言って彼女は若干散らかった木箱等の片付けを始める。ん~やる事は自身で探せという事かな?

 

「ふむ...」

 

俺は動き始める前に武器庫を良く見る。これは人間用の武器庫なのか規模は小さ目である。一番汚くなっているのはやはり弾薬類だろう。結構マガジンやら散乱している。StGのダミーが整理に追われている。そっちの手伝いは必要なさそうだな。だとすると、

 

「この使用したと見えるM4のメンテでもしてようかな?」

 

入口近くに立てかけてあるカスタムされているM4を見つつそう呟く。となるとここはアルヴィンともう一人の裏方をやる人物どっちかが使ったんだろうな。俺はM4を手にとりマガジンを抜きチャージングハンドルを音を鳴らないようにずらす。

 

「うん。使った後だし、ざっとメンテしただけだね」

 

しかも定期的に使ってなかったのかな。ちょっと動きに引っかかりがある。人形なら気付く位だからまだまだ実用には問題なけど

 

「今回は、道具を持っているしな」

 

しかも、StGの仕事スピードが速すぎて俺が入る隙間ないし、ここは一人寂しくメンテナンスでもするかな。でもその前に一応一言掛けておこう。

 

「StG!何か手伝ってほしくなったら、呼んでくれ!」

「分かりましたわ...って何をしているですの?」

「ここにメンテナンスをあまりされていない銃が居たのでメンテナンスをしています」

 

StGの質問に答えながらどんどんバラバラにしていく。うわぁ~中に埃が少したまった状態で撃ったのか?

 

「うへぇ...こりゃ面倒...」

 

こりゃ時間が少し掛かるかな。そう思いつつ何時もより集中しないようにしながら整備を始める。

 

 

 

「よしっとこれで終わりっと。StG~ってうわぁ!?」

 

あれからメンテナンスが無事に終わり、StGにこのM4が何処にしまってあるのか聞こうと顔をあげるとそこには、こちらをジトと見つめている彼女が居た。

 

「それは、指揮官のですわ。こちらの棚に入れて下さい」

「あ、はい」

 

俺は指示通りに手に持っていたM4を棚に入れる。やっぱりアルヴィンのだったか。

俺はそう思いつつStGの方に向いた。

 

「なんか整理の方は人手必要そうじゃなかったけど、大丈夫だった?」

「ええ。多分指揮官もこれを狙って、店長さんにこの仕事を頼んだのだと思いますわ」

 

話していると彼女のダミーが飲み物を持ってきてくれた。数的には俺の分もありそうだ。

 

「これは、店長のですわ」

「あっ、どうも」

 

湯呑を受け取ると、それはコーヒーだった。うん目が覚めるね。

 

「店長さん」

「ん?どうしました?」

 

コーヒーブレイクしていると、StGが話しかけてきた。俺はどうしたのか聞いたら彼女は少し考えるようにしながら次の言葉を紡いだ。

 

「店長さんのメンテナンス能力は一線を画しているとkarさんから聞いていますわ」

「あーそうなの?」

 

そんな事をカラビーナさんが言っていたのか。ちょっと嬉しいかもと思っているとただとStGが続けた。

 

「店長さんのメンテナンスをしてもらった方は全員こういいますわ。まるで『自身の一部になる』と」

「それって、君達じゃあ当たり前じゃないか?」

 

烙印システムによってそうなっていると思うんだがと思っていると、StGは被り振った。

 

「私にもよくわからないのですが、動かす時に思っている以上に動くのだそうですわ」

「???それは良い事だよね?」

 

StGは俺の質問に分からないと言った。どうやら、それぞれ違う感じに答えたのだそうだ。

 

「なのでよろしければ、私のもやって欲しいのですが」

「あー成程ね」

 

まぁ、ここの基地の娘みたいだしやっても良いんだけど、タダというわけには行かないよな。

 

「あ、お金は出しますわ」

「ん~あっ!そう言えば次の仕事まで少し時間あるし、ちょっと射撃場に行かないか?」

 

俺がそう言うと彼女は少し不思議な顔をしたのちに

 

「えっ、良いですわ。こちらもまだ時間ありますし」

「よしっじゃあ!道案内よろしく!」

 

コーヒーを飲み切る。それと同時に彼女のダミーがスッと手を出してきたので、感謝の言葉を言いつつ容器を渡すとニコリと笑ってから去って行った。StGのダミーはメイドっぽい感じがするな。

 

「では、こちらですわ」

「お、おう」

 

こうして俺はStGと共に武器庫を後にした。

 

 

ー射撃場

あれから暫くStGについていくと結構開けた部屋に出た。室内射撃場か凄いな~。

 

「着きましたわ。」

「じゃあさ、何時も通りに撃ってくれるか?」

 

俺がそう言うとStGは一度首をかしげたが、その後分かってくれたのか構えて撃ち初めてくれた。

 

ダダダダダ

 

1マガジン撃ちきった時に俺は声を掛けた。

 

「うん。分かったよ。じゃあメンテナンスするからこっちに」

「ええ、分かりましたわ?」

 

俺は彼女から銃を受け取る。よーし、彼女の癖は今さっき分かったから、それに沿ってガンオイル等をかけなさないとな。

 

「~♪~♪」

「撃ったばかりですので熱い筈ですわよ!?ってもうそこまでばらすのですの!?」

 

やっぱり楽しいなぁ~。俺はどんどん分解洗浄を始める。何かStGが言っているが気にならない。まぁ今回は洗浄というよりガンオイルを拭き取る位で済みそうだ。

 

「~♪~♪~~っ♪」

「あのー?これは聞いてませんわね」

 

その後StGは何かを呟いた後離れて行った。んー?仕事の時間じゃないよな?

 

「少し急ぐかー」

 

やっぱりARは構造が大変だな。そんな事を考えつつ俺はメンテナンスを続けた。

 

 

 

 

「終わった~♪」

「お疲れ様ですわ」

 

俺が組み上げ終わり、背伸びをするとコーヒーが差し出される。そちらを向くとそこにはダミーのStGが居た。

俺は受け取り彼女にたのみ事を言った。

 

「彼女を呼んでくれるかな?StGのダミーさん?」

「っ!良く気が付きましたわね」

 

俺が気付くとは思ってなかったのか、彼女は少し驚いた後にそう言った。いやーだってさ

 

「雰囲気で分からないか?」

「雰囲気ですの?」

 

分からなそうにしている彼女。あれれ?ウェルとかは分かるらしいからそれが当たり前かと思ってたけどそうじゃないのか?そう思いつつ頷く

 

「何ていうか、立ち姿とか歩き方とか微妙に違ったから」

「そ、そうですか。もうすぐ着くようですわ」

 

了解したよ。俺がそう言うと彼女は失礼しますわと言った後去っていった。コーヒーを飲みつつ待っているとStGが来た。ーうん今度は本人かな。

 

「出来たよ。撃ってみて、感覚に違いが無かったらタダで良いですよ」

「わ、分かりましたわ」

 

では、と言って彼女はマガジンを取り出しセットしチャージングハンドルを引き

 

「っ!?.......行きます」

 

少し目を見開いた後、構えて撃ち始めた。

 

ダダダッダダダダダダダ

1マガジン撃ち終わり、次のマガジンを着けそのままセーフティを入れ、此方を見た。

 

「御見逸れしましたわ」

「...よかった。じゃあ」

 

お金をと言おうとしたら、彼女は直ぐ様ポケットから数枚のクレジットを出して突き付けてきた。

 

「お釣はいりませんわ。今度は相談してチューンをお願いしますわ」

「...毎度って、これは貰いすぎだぞ!?」

 

俺が受け取ったのはまさかの9万クレジットであった。しかし、彼女は

 

「いいえ。本来ならkarさんにやって貰うなと忠告されていたのですわ」

 

ー貴女には早すぎるー

そう言ったStGは続ける。

 

「初めは何を言っているのか分かりませんでしたわ。ですが、実際無理を言って野って貰い使ってみて分かりましたわ」

「.......」

 

「これは私には早すぎますわ。銃に身体が付いて来ませんでしたわ」

 

そう言った彼女は少し悔しそうにそう言った。しかしそれ以上に嬉しそうにしていた。

 

「なので、これは私の我が儘に付き合って貰ったお礼ですわ」

 

今度はこれを使いこなせるようになった後にお店に行きますわ。彼女はそう言った後にもう一度お礼をいい射撃場を後にした。

 

「そこまでなのか。こっちこそありがとうなStG」

 

今度からは相手も選ばないと使用者が困るんだな。俺はそう思った。さて時間もそろそろ良い感じだな。

 

「さてと、次の仕事は、何処かな?」

 

俺は近くに置いていたタブレットを起動し確認する。そこにはこう書かれていた。

 

「前衛職の娘達との交流?」

 

なんじゃそりゃ?俺がそう思っていると、先程さったはずの声がした。

 

「行けば。分かります」

「うぉわ!?、ダミーか」

 

俺の反応に頷くダミーの彼女。便宜上メイドStGと呼ぼう。彼女はその後歩き出したのち此方を振り返り

 

「行けば理由が分かります。付いてきて下さい」

「あっ、はい」

 

ダミーの個性かな。育ちが良い感じの話し方ではなく至って普通の丁寧語だよな。そんな事を思いつつ彼女に付いて行った。

 

 

 




勝手ながら、ダミー芸を導入いたしました。

ほのぼの?なんか店長のメンテナンス話になっている。

でも個人的にはこれ以上思い付かなかったのです。

司令部のお話は後2話の予定です。

感想・評価お待ちしております。作者の励み及び執筆速度の上昇につながります。

誤字報告もよろしくおねがいします。確認してますが、自身がありません(深夜にやってる為)。

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十九話:司令部のお仕事その二

司令部のお仕事その二です。

今回はSGですよ!辺境にいるSG誰だろう?
今回はとても難産でした(泣)

では、まったりしていってね!


メイドStGについていくと、そこは市街地戦の練習場であった。

 

「ここです」

「こんな所もあるんだな」

 

俺はそう呟いてメイドStGに付いていく。すると誰かが中で訓練しているようだ。

 

「あれ?今は復旧作業中で最低限の防衛人員しかいないだろ?」

「ええ、そうです。では私はこれにて」

 

メイドStGはそう言ってとっとと、練習場を後にした。えぇここからどうしろと?そんな事を思っていると銃声が鳴り終わった。今の音的にショットガンだな。そんな事を思っていると青い帽子に黄色のカーディガン、その上に青のブレザーを着ている背丈の小さい少女が俺の居る準備エリアに入ってきた。彼女は俺の存在に気が付くと少し戸惑った顔をした。

 

「え~と確か店長さんですよね?」

「そうだな。君の名前は?」

 

そう聞くと、彼女は納得したのち自己紹介を始める。

 

「アタシは、Super-Shorty!よろしく店長さん」

「おう。よろしく」

 

俺は彼女の握手に応じた。すると彼女は笑顔になった。

 

「で、店長さんは何でここに?」

 

ここに復旧作業の仕事は無いよ?と続ける。それは分かっているさ。

 

「いや、君たちの指揮官にね何故かここに行って前衛職の娘達との交流してくれって仕事?が来てな」

「えっ?アタシ以外は別のところだよ?」

「じゃあ、Super-Shortyと交流しろって事か!」

 

俺は取り敢えずそう言う事で納得することにした。

 

「じゃあ、取り敢えず座るか」

「う、うん。そうだね」

 

 

Super-Shortyと共に壁の方にある4人掛けの椅子に座る。と言っても話すことがない。メンテ系の話?いやこれはテンコ以外にしても訳が分からないからやめろってウェルに言われていたな。

 

「そう言えば何でSuper-Shortyはこんな所に?多分休み時間だろ?」

 

アルヴィンなら、人形相手にも休み時間を作る奴だったはずなのでそうだろうと当たりをつけてそう聞くと、彼女は頷いた。

 

「アタシの型がなんて言われているか店長さんは知ってる?」

「ん?いや、そもそもショットガンの娘に会うのは君が初めてかな」

 

質問にそう答えると、彼女は納得した顔になった。

 

「成程ね。じゃあ簡単に言うとね。『最弱のショットガン』って言われているの」

「ほう?どんな所が?」

 

ちょっと気になるので聞いてみると、彼女は少し困った顔になった後に少しずつ説明してくれる。

 

「まずは、他のショットガンの型より防衛力が低くて、耐久性も一番低いの」

 

それ以外でもと彼女は少しずつでも話を続けた。成程な唯一の利点の回避も他の型に比べては雀の涙しかなくて、普通の司令部では基本的に解体か、内政の手伝いとしか使われないとの事であった。

 

「でも、ここの指揮官は違った。たとえ高性能のSMGの娘が来ても私を使い続けてくれている」

「だから、少しでも練度を上げようとして、休み時間も削って訓練をしているのか」

 

俺の言葉にしっかりと頷く彼女。ここまで来て漸くアルヴィンが俺に任せた理由が分かりはしたが、こういったコミュニケーションはアイツの仕事だろうに。俺はそう思った。

 

「すげーな」

「えっ?」

 

俺の一言に驚いた顔をした彼女。

 

「仲間の為に隠れてでも訓練し続けれるのは凄いと思うのだが?」

「そ、そうかな?」

 

彼女はそう言って照れる。この分だと褒められた事がないのか?もしかしてアルヴィンは気が付いていない?なら何で....

 

「あのメイドめっ」

「????」

 

俺の脳裏に過ったのは、ここに俺を連れてきたダミーの姿であった。どうせ今頃笑っているんだろうな。俺の呟きに首を傾げるSuper-Shorty。

 

「気にしないでな。独り言だから」

「そう?」

「あと、いくら人形でも休みなしは良くない。実際効率が落ちていくからね」

「...それでも私は頑張らないと」

 

んー、結構頑固というか何というか。頑張り屋さんなんだなこの娘は。

 

「なぁ、Super-Shorty」

「何でしょうか?」

 

俺の声掛けに少しビクッとする彼女。

 

「練度は幾つ?」

「えーと、70直前かな?」

 

70直前かうん決めた。

 

「成る程成る程。ならさ、強くなるために自身の装備も更新しなきゃな!」

「えっ?普通に指揮官がくれているので充分じゃないの?」

 

そう言うSuper-Shorty。違うな!そんなんじゃ君の本来の強みを引き出せないっ!

 

「Super-Shorty....いや、ショーティって呼ばせてもらうけどいいか?」

「う、うん」

 

許可は貰ったし、行きますか!

 

「じゃあショーティ!行くぞ!」

「えっ?何処に?」

 

俺はSuper-Shorty....ショーティの手を引き訓練場の出口に向かう。彼女は困惑しているが付いてきてくれる。

 

「あっ、今日は何時まで休み?」

「えっ?今日は特にここからは空いてるけど?」

 

じゃあ、少し付き合ってくれ!俺はそう言って、彼女の手を引きある所に向かう。

その場所はメンテナンスエリア。

 

「て、店長さん!ここで何を」

「君に合う装備を作る為さ!失礼しまーす!」

 

ショーティの質問に答えつつメンテナンスエリアに入ると、そこにはウェルとテンコが談笑していた。彼女達はこちらに気が付くと、声を掛けてきた。

 

「あれ?店長?その娘は」

「おっ!ウェルとテンコじゃん!ちょっとショーティ任した!」

 

俺は今まで手を引いていたショーティをウェルに預けて、メンテナンスエリアの奥の方に向かって歩いて行く。おっ!あったあった、戦闘の時に発生したジャンクの山!

 

「さっきぶりですね。ショーティ?」

「ウェルさん。あの店長さんに一体何が起きたんですか?」

 

ウェルとショーティの話し声が聞こえてきた。知り合っていたのなら良かった。俺は探し物を探す。

 

 

それから、必要である部品をある程度持ってくると、何やら呆れ顔のウェルとテンコがこちらを見ていた。

 

「店長。相変わらずですね」

「まぁ店長らしいですね。手伝いますよ」

「テンコサンキュー!」

 

俺はショーティを手招きする。彼女は此方をやや警戒しながら寄って来てくれた。

 

「ショーティは回避性能が高いんだよね?」

「うん。そうだよ?」

 

一応確認をして、テンコの方をちらっと見る。彼女は頷き作業を先に初めてくれたようだ。心の中で感謝しつつ、俺はショーティに頭を下げた。

 

「頼む。今から作る装備を使ってみてくれないか?安全性は保証する」

「.......それがあればアタシもっと指揮官の役立てるかな?」

 

暫くの沈黙の後に彼女はそう言った。俺はそれに対して頷いて答えた。

 

「じゃあ。お願いします」

「おうっ!任せろ!じゃあウェルと話でもして待ってて!」

 

俺はそう答えて、テンコの隣に座り作業を始めた。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

不思議な人だ。

これがアタシが彼を見たときに思った事だ。今まで色々な指揮官を見てきたけど、今の指揮官より更にお人好しとアタシは感じた。

 

今だってそう。アタシの悩みを解決するために、何に使うのか分からない部品を加工し組み上げて行く。

 

「不思議な人ですよね」

「っ!?ウェルさんもそう思いますか?」

 

アタシに近付いて来て思考を読んだかの如く話しかけて来たのは彼の仲間である、ウェルさんだ。

彼女はアタシの質問に対してふふっと笑った。

 

「そうですね」

「そうなんだ」

 

アタシは再度彼の方を見る。先程までの顔つきとはかなり変わっていて、まるで指揮するときの指揮官みたいだった。

 

「でも、悪くないです」

「それは良かった」

 

そこからアタシとウェルさんは黙ってただ彼とテンコさんの作業を見ていた。

 

ーーーーーーーー

 

「終わったぁ~」

「ショーティ、これを防弾ベスト外して着けて見てください」

 

ああ゛久々に専用装備何てものを作ったから疲れたよ。俺はそう思いつつ背伸びした。テンコはそのままショーティに装備の説明をしている。

 

「これは、外骨格に超小型ジェットエンジンをつけ更に追加装甲を着けたロマン装備です」

「えぇ.......」

 

困惑気味のショーティにテンコは細かく説明を始める。ウェルが此方を一瞬睨んだ後此方に近付いて来た。

 

「こんなことやっていたら、グリフィンに目を付けられますよ?」

「もう手遅れさ」

 

大丈夫、アルヴィンがなんとかしてくれるさ。俺はそう続けてウェルとの話を終わらせた。

 

「はぁ...まぁ顧客が増えてくれれば御の字ですね」

「そうそう!」

 

ウェルは溜め息を吐いたが、俺には見えてるからな?お前さんの口元が嬉しさを隠しきれていないことを。そんな事を考えているとウェルはショーティの方に近付いていった。

 

「では、起動訓練は私が付き合いましょう。強くなりたいのですよね?」

「はいっ!よろしくお願いします!」

 

では、テンコと店長。特に店長は次の仕事行って下さいね?そう俺達に言ってウェル達はメンテナンスエリアを去っていった。

 

「ヤバッ!確認してなかった!」

 

俺は急いでタブレットを見ると、そこには変わらず前衛との交流と書いてあった。終了時刻的にはこれ終わりまでだよな?そんな事を考えていると

 

「では、最後の場所に連れていきます」

「出たなメイドっ」

 

メイドStGが出てきた。まさかコイツ、アルヴィンに俺の仕事場案内を任されているんじゃ?

 

「指揮官から、次が終わったら今日の仕事は終わりだそうです」

「お、おう。ありがとう」

 

では、付いてきて下さい。とメイドStGはメンテナンスエリアの出口へと向かっていく。

 

「じゃあな!テンコ!」

「ええ、気を付けて下さい」

 

テンコに挨拶をして俺はこの場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 




指揮官とは違う形で問題を解決?する。それが店長クオリティ!

因みにどうでも良い性能表
ー起動防壁markⅠー
辺境司令部のSuper-Shorty専用装備

店長が久々に組んだ操作難易度を無視した専用装備。
スペック通り出せれば以下のステータスアップが可能。

装甲+18
回避+20
命中-2
ーー


次回が司令部のお仕事最終回!

感想・評価お待ちしております。作者の励み及び執筆速度の上昇につながります。

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十話:司令部のお仕事その三

これで、司令部とはおさらばだぜっ!

店に帰って早くグータラしたいby店長

では、まったりしていってね!


またまた、メイドStGの背中を追って歩いていると、今度は何やら食堂に着いた。

 

「ここ?」

「そうです。それでは終わったら部屋に戻って大丈夫ですので」

 

そう言って彼女は離れていく。仕事一筋って感じだなぁ。

 

「じゃあ始めますかねぇ~」

 

前衛って事はSMGかな?俺はそう思い食堂に入っていくと何やら嫌な雰囲気が漂っていた。その発生源を探すと白の服に金髪のストレートの娘と、藍色の帽子をかぶり、三つ編みをツインテールにした娘が向き合って話し合っていた。

 

「何故あの時私の前に出たんです?」

「そりゃ、あの時はスキル発動中だったから、殲滅出来たからに決まってるでしょ?」

 

ふむふむ、この会話から察するに今日の作戦の時の動きについて話しているみたいだな。俺は近付いて声をかける前に少し盗み聞きをすることにした。話の腰を折っちゃ駄目だろうしね。

 

「それは結果論ですよね?しかも若干間に合ってなくて、被弾してましたし?」

「うっ、そんな事いったら貴女だってその後、私の忠告無視して余計な被弾していたじゃない!」

 

でも、話し合いにしては少し刺がないか?

 

「あそこはあれで良いんですよ。私が少し無理に押したから貴女が動きやすかったでしょう?これだから、脳筋ソ連銃は.......」

「私はロシアの銃だよ?オバさんは記憶力無いのかな?」

「...誰がオバさんだって?○ソ○ッチ」

「ああ゛?」

 

うん。いつの間にか話し合いじゃなくて普通の口喧嘩になってるよ。そこからは聞きたくない様な言い争いになっていく。回りに座っている人影は無いし、俺が止めるしかないのか。

 

「そこまでにしませんかね?お二人さん?」

「「ああ゛?...あっ」」

 

うん。やっぱり口喧嘩中に割り込むと飛び火するよね。そして此方を見て、顔色が青くなったよ?俺なんか変な噂立ってたっけ?

 

「お、お見苦しい所を見せました...」

「なので、どうかkarさんには言わないで下さい」

 

あぁ何となく察したよ、これ何時もやってるのね。こういった部下を持つとはアルヴィンも大変そうだ。そしてやはりカラビーナさんがここの基地一番強いんだね。

 

「別に気にしてないから言う気もないよ安心して。俺も話に入れてもらっても良いかな?」

「私は良いですよ。3MPはどうですか?」

「私も良いかな」

 

上手く了承してくれたし、普通の話しをしよう。でも先ずは自己紹介かな。

 

「多分知っていると思うけど、店長です。よろしく」

「はい。私はスオミです。よろしくお願いします」

 

俺の自己紹介に真っ先に返したのは、白の服に金髪ストレートの娘の方であった。スオミってあぁ確かにその型ってソ連製の銃が嫌いなんだっけ?俺がそう思っていると、先程スオミに3MPと呼ばれた娘が

 

「私はヴィーフリだよ。よろしく」

「成程。スオミとヴィーフリねよろしく」

 

じゃあ、何の話をしようかな。と思っていると、スオミが少しビクビクしながらも質問してきた。

 

「あの、店長さんに一つ質問なのですがよろしいでしょうか?」

「ん?何でも答えれるか分からないけど出来るだけ答えよう」

 

スオミは俺の返答に安心したのかホッと息を吐いた後改めて口を開いた。

 

「リズさんやウェルさんに聞いたのですが、貴方は凄く銃火器のメンテナンスが上手いと聞きましたが、それは私もお金を払ったら受けれるのでしょうか?」

「うん。お金をくれたらやるよ?」

 

ただ、と俺は続けた。まぁStGの事を思い出しつつ

 

「StGにやった結果、なにやら銃に体がついてこなかった。って言ってたからそこら辺も考えて依頼した方が良いかもしれないね」

「成程、StGがそんな事を言っていたのですか」

 

スオミは俺の言葉に頷きつつ何やら考え始めた。すると今度は自分の番だと、ヴィーフリが口を開いた。

 

「なぁ。店長自身は弱いって指揮官から聞いた事があるんだけど本当?」

「本当だよ。俺自身に戦闘能力は、無い!」

 

俺は胸を張って答える。するとヴィーフリは困った顔になった。

 

「そこまで威張る事じゃないんだけど」

「まぁ、逃げ足だけは速いって良く言われたな」

 

ヴィーフリの言葉に俺は昔を思い出しながら答える。あぁ、あの頃は良くいじられてたな。おっと、思い出すと目が潤むから忘れよう。そう思っていると、スオミは思考の海から帰還したようだ。

 

「店長。今度暇な時にお店に行きますね」

「おっ、それは嬉しいな。うちの店では娯楽商品から、銃弾、銃のメンテ改良まで何でも出来ますぜ。ご来店お待ちしております。」

 

俺がそう言うとヴィーフリがふふっと笑ったのち、まるで何でも屋だねと言った。

 

「成程、何でも屋か。別に何でもやるわけじゃないぞ?」

「あそこまで戦える店員が居るのに?」

 

俺の言葉にヴィーフリが突っ込みを入れる。

 

「俺は戦闘に関してはこちらから打って出ることはしないよ。攻めはPMCの仕事でしょ?」

 

ヴィーフリの突っ込みにそう返しすと、彼女は笑い出した。

 

「ふふふっ、あれだけ前線張れる戦術人形をあれだけ従えているのに、臆病なんだね」

「臆病者は生き残れるからね。なんと言われようと、この方針は変えない」

 

でも自分の店とお得意様位は出来るだけ守る方針にはしたけどね、と俺は続ける。すると今度は先程まで黙っていたスオミが微笑んだ。

 

「本当の臆病者は守るなんて言葉言いませんよ?」

「...そうか?」

 

俺の言葉に頷くスオミ。ヴィーフリも同じく頷いて居た。そして、ヴィーフリは何かを思い出したのか目を見開いた。

 

「あっ!私もそのうち暇になったら店に行くわ!」

「お、おう」

 

これは、上手く行けばお得意様が増えるのでは?

内心喜んでいると、スオミがふと時計を見る。俺とヴィーフリもつられて見ると、もう就業時刻は過ぎて居た。

 

「ふむ...一応仕事の時間的には終わったのか」

「そうみたいですね」

「じゃあ、私はそろそろ宿舎に戻るわ」

 

ヴィーフリは立ち上がり、そのまま食堂を後にした。さて俺はどうするか...と思っていたらタブレットから一通のメールが飛んできた。勿論アルヴィンからだ。

 

「.......うげぇ、まだ仕事あんのかよ」

「で、では私もこれで、失礼します」

 

スオミが若干緊張しながらそう言ってきたので、お疲れ様と言い、俺は彼女を見送った。

 

「さてと、じゃあ報告書とっとと書いて送るか」

 

俺はタブレットを操作し最後の仕事を始めた。

 

ーーーーーーーー

 

「お疲れ様。kar」

「指揮官もお疲れ様ですわ」

 

私は、今日の仕事の殆どを近隣住民への帰宅プランの説明に明け暮れていた。今漸く一段落つき、秘書のkarと共に指令室へと戻っている最中であった。そんな事をしていると、タブレットから何やらメールが帰って来た様だ。

 

「ん?もう、来たのか」

「?」

 

私は彼の仕事の速さに驚きつつ、報告書を見た。

 

「...なぁkar」

「何ですか?」

 

私は報告書を見つつ、隣に付き添っている彼女に声を掛ける。

 

「店長どうにかして雇えないか?」

「無理ですわ」

 

私の質問に彼女は即答した。しかしそれだけには留まらなかった。

 

「そんな事をしたら返り討ちに会いますわ。指揮官も薄々気が付いているかと思いますが、彼が折れても彼女達が反乱しますわ」

「そうだよな~っくそー」

 

私は頭を乱暴に掻いた。って事は上への報告は捏造しなきゃだな。

 

「はぁ...気が重い」

「仕方がないですわ」

 

お友達なのでしょう?とkarは続ける。確かにそうだ。

 

「はぁ、こういった仕事はアイツの方が合うのによー!!」

「私も手伝いますから、頑張りましょう?」

 

karの言葉に感謝を伝え、私はタブレットをスリープモードに変え指令室へと向かう足を速めた。




今日から多分数日間は書けそうにありません。申し訳ない。

感想・評価お待ちしております。作者の励み及び執筆速度の上昇につながります。

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十一話:やっと休める...?そんな事なかったよ

数日間は出せないと言ったな、あれは保険だったんだ。
筆者のモチベーションを良くわかっている方々のおかげで書くことが出来ました!感謝です。

さて、お店に戻ってきました。

店長はお店の復旧作業+新しい体制構築と題して、休むつもりの様ですが?

今回はちょっと短いです!

では、まったりしていってね!

ー追記ー
誤字報告ありがとうございます。今後も気が付きましたら、よろしくお願いします!


あの忙しい日から、約一週間俺達アクロスの全員で街の補修とか、書類仕事とか書類仕事を手伝い、解放されたのが一昨日の夜。そして基地の方々からお礼として宴会が用意されはしゃぎまくったのが、昨日。そして今日は装甲車と戦車に大量の資材を持ち店の前まで着いた。

 

「損傷は無さそうだな」

《じゃあそろそろ、ガレージ開けるよ?》

 

リズの言葉に俺はOKと答え一応警戒をする。

ウィィィィィンガコン

開ききったガレージの中は俺が戦車を発進させた時と同じ状態だった。するとウェルとテンコが奥に入っていく。それ以外のメンバーで荷おろしを始める。俺もくくりつけていた荷物を外して、元々置いてあった専用ガレージに停車させ、きちんと封印したーまたなー

 

「よしっ、クー!手伝うぜ!」

「店長!ありがとうございます!」

 

よしっ、じゃあパパッと終らせろう!

 

 

あれから2~3時間終わったようやく終わり、今はプライベートエリアの共有エリアに全員集まりだらけていた。

 

「ふぃー終わったぁ」

「店長。張り切り過ぎですよ?力仕事までやらなくて良かったのに」

 

ヒトヨにそんな事を言われる。まぁその通りなんだけどね。

 

「任せっきりはなんか嫌でな」

 

まぁ丁度良い運動だよ。と続けると俺が突っ伏しているテーブルの上にカップが置かれた。

 

「紅茶を入れました。皆さんの分も有りますよ」

 

そう言ってウェルのダミーがそれぞれの人に渡していく。

 

「ふぅ~落ち着くぅ」

 

俺が紅茶を飲みながらダルーンとしていると、向かい側に座っていたヒトヨが此方を見てボソッと呟いた。

 

「店長って、家だとそう言った感じなんですねぇ~」

「そうだよ。まぁウェルのお陰でティータイムはずっとこんな感じだからある意味安心かな?」

 

リズは安心した顔でそう言った。多分自分の趣味に向かうから根をつめると思われているんだろうな。そう思っていると、クーがテンコに近寄っていった。

 

「テンコさん」

「クー?どうかしましたか?」

 

そうして、テンコの耳でも何やら声を小さくして話していく。するとテンコの顔がニヤリとなった。

 

「ふふっ...ウェル、リズこっちに」

 

そのテンコが今度はウェルとリズを呼びつけた。そしてまた小声て何かを言うと二人とも少し悩んだあと

 

「それは、良い案ですね」

「うん。それなら私も賛成かな」

 

その返答に、クーはやった!と跳び跳ねた。テンコも終始ニコニコ顔のままである。

 

「店長。何か嫌な気配がしますぅ」

「ヒトヨ、奇遇だな。俺もだ」

 

ヒトヨの一言に俺はそう返す。するとりリズが俺達に告げた。

 

「ヒトヨの特訓期間を初めるよ」

 

店長も手伝って貰うよ。と続けるリズ。それに対して俺達二人の反応は揃っていた。

 

「「はっ?」」

「詳しく説明します!」

 

理解していないとクーが飛び出て来た。そして話し始める。

 

「これは、ヒトヨさんの戦闘能力を最前線で活躍出来るようにする為にやります」

 

はっ?別にそこまでは必要じゃなくね?俺はそう思ったが、それが顔に出ていたのかリズが捕捉を入れた。

 

「彼女は現在一番継続火力が高いからね。これからきっと彼女主体になる」

「あぁ~成る程な」

確かに、ヒトヨはライフルの中でも連射が出来る部類だからな。俺は納得した。どうせ俺がやるのは銃の改良やら整備だけだろう。

 

「店長が望むなら、特に異論はないですよ!」

「そ、そうなのか?」

 

ヒトヨは何やら察したのかそう言う。なら死にずらくなるだろうし頼むかな。

 

「じゃあヒトヨ頑張って、俺もサポート全力でやるからさ」

「はいっ!必ず店長のお役に立てるようになってみせますよぉー!」

 

ガッツポーズを取って気合いを入れる彼女。

 

「では、これからのシフト表を決めましょう」

 

ウェルがいつの間にか一週間のタイムツリーを持ってきていた。

 

 

あれからまたまた小一時間話し合った結果、俺が週2で休みを入れることとなり、その2日で約半々で彼女達が休むといった形となった。やったぜ!これで趣味に没頭出来る!

 

「あっ、店長はキチンと休んでいるか監視役をテンコ以外でつけるから」

「ウッソだろ」

 

リズが俺の心を読んだのかそう言った。これは何も趣味をやる暇がないっ!

 

「これを気に店長もキチンと頭をリフレッシュ出来るようになってね」

「...はい」

 

何をやろうかな。ならアルヴィンと馬鹿話するかなー。俺がそう予定を立てていると向こうも訓練の大まかな日程が決まったようだった。

 

「じゃあ後は、普段の朝昼夜のご飯体制ですね」

「んー、基本的に皆で食べればよくないか?オフの奴らは一緒でも、後でも良いって感じでどうだ?」

 

テンコとヒトヨはそれを聞くと少し顔色が悪くなった。そういやコイツら朝弱かったな。ウェルは二人に近付いていき

 

「これを気に、夜更かししまくる癖を治しましょうね?」

「「うっ、はい」」

 

ウェルに説教をされてショボくれる二人でもさ言ってる本人が一番夜更かししてるよな?

 

「本人が一番夜更かししてるよね?」

「反面教師だろ?」

 

いつの間にか近くにいたリズとコソコソ突っ込みを入れていると、丸聞こえだったのかウェルが頬を膨らませて如何にも怒っていますといった感じになった。

 

「二人とも?」

「おっと、やぶ蛇だったかな?」

「そうだね。触らぬ神になんとやらだね」

 

俺とリズは完全にウェルの射程に入る前に店内の方に向かっていく。

 

「リズさんと店長。今日は店休みですよね?行く意味ありますか?」

「「クー、それは言わないお約束!」」

 

そう言うと同時に肩を捕まれた。

 

「店長。私色々言いたい事があります。リズにもね」

「あっ!私洗い物してきますね!」

 

ヤバイや、これ完全にキレてらっしゃる。そしてクーは完全に我関せずって感じに家事しに行っちゃった。

 

「店長、やりすぎ」

「リズだってそうだろ?」

 

 

あぁー賑やかになったな。俺はウェルの説教を聞き流しながらそんな事を思い、久々に心の底から笑った。

 

「店長、怒られて笑うのはどうかと思いますよ?」

「あっ」

 

 

その後、俺のドM疑惑をはらすために残りの時間を使うはめになったことはまた別の話。

 




さて、次回からは店長の休みdayと仕事dayを交互にやっていくこととなると思います。

さぁほのぼの、ダラリと参りましょう!

えっ?鉄血さん?と、当分出番は無いですよ!

感想・評価お待ちしております。作者の励み及び執筆速度の上昇につながります。

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十二話:新人との出張お仕事

お仕事dayです。

そして出張なので、まぁまたあそこですよ。
あと今回あまり人形との絡みがないです。ご注意下さい。

UAが3000行きました!ありがとうございます!

ではまったりしていってね!

ー追記ー
誤字報告ありがとうございます


新体制になってから早数日後、今日はお店をウェル、ヒトヨ、そして俺の三人でやっている。因みにリズとクー、ヒトヨは遊びに外へ行っているそうです。リズの運転で、何処までいってるやら?

 

 

「「いらっしゃいませ」」

「あっ、お会計は1500クレジットです!はいっ丁度ですありがとうございました♪あっ、いらっしゃいませ!」

 

基本的にレジをヒトヨ、相談系を俺、ウェルが商品補充件紅茶役となっている。因みにウェルがいないときは、リズがコーヒーを入れてくれる。そんな事を考えていると電話が鳴った。

 

「はい、こちらショップアクロスです」

《おぉ!今日はリズじゃない日だったか!》

 

電話の向こう側から聞こえてきたのは、隣街のPMCのおやっさんだった。また急な仕事か?

 

「何ですか?また急な仕事ですか?」

《おう!またまたすまないが急な依頼だ。防衛装置の修理を頼めないか?》

 

なに?防衛装置?その言葉を聞いて俺は一気にスイッチが入った。って今まで触らせてくれなかったじゃないか。一応確認しよう。

 

「俺が触って良いんですか?」

《おう!いつも小さい仕事しか頼めなかったからな。それに体制変わったってリズに聞いてな。今なら頼めるだろ?》

 

確かに今までなら、人員不足で日帰りで出来る物しか出来なかったからな。

 

「それなりの価格かかりますよ?」

《おう大丈夫だ市場より高く用意してるからそれで、なるはやで頼めるか?》

 

それなら上々。俺は内心嬉しく思いながら、向こうの質問に答えた。

 

「良いですよ。リズじゃないけど急いでそちらに向かいます」

《おう。頼んだわ》

 

おやっさんはそう言うと、電話を切った。それを確認した後に俺は受話器を置いた。さて、誰を護衛につけようかな?といってもウェルかヒトヨだよな。

 

「店長。お仕事ですか?」

「おう。出張だ」

 

俺の出張の言葉だけである程度予想が着いたのか、ウェルは少し悩んだ後に

 

「場所は隣街ですか?」

「うん。一応何日かかるか分からんから護衛必要かな」

 

ウェルは思考を続ける。因みにこの間にも、お客さんは途絶えて居なかった。まぁ大体の人達は電化製品系を買っていくだけではあるが。

 

「ーなら、ヒトヨで大丈夫でしょう。では準備の方してきて下さい」

「あいよ。ウェルが言うなら大丈夫かな」

 

俺は材料等を持ってくる為にメンテ室に向かう。

防衛装置っていってたけど、何処までの規模か分からんが、急に壊れたってなると電子部品だろうから取り敢えず山をはって、それだけ持ち店内に戻るとそこにはもうヒトヨの姿は無く、ウェルが世話しなく動いていた。

 

「店長、ではガレージに行って下さい」

「お、おう」

 

ウェルは必要最低限だけ話すとお客さんの対応に戻っていった。これはお土産とか特別給料でも出すかな。

俺はそう思ってガレージへと向かっていく。

 

 

ガレージに着くとそこには四台のカーキ色をしたバイクが四台暖気を済ませ待機していた。勿論ヒトヨもフル装備で待機していた。

 

「あっ!店長~!待ってましたよ!」

「では、部品は此方で運びますので渡して下さい」

 

ヒトヨ本人は俺にヘルメットを手渡しする。それと同時に、ダミーの一人が俺の持っていた電子部品を別のバイクにくくり付けた。

 

「やっぱりバイク?戦車で...」

「さぁ!行きますよ!」

 

俺の言葉を遮りヒトヨはヘルメットをしてバイクにまたがった。流石に覚悟を決めよう。俺はヘルメットを被りヒトヨ本人の後ろにまたがった。

 

「では、しっかり捕まってて下さいね!」

「安全運転で頼む。本当に」

 

俺の切なる願いを聞いてくれたのか、ヒトヨは大丈夫ですと言った。

 

「じゃあ、行きますよぉ~!」

「おうっ」

 

俺は彼女の腰に手を回して、思いっきり抱きついた。恥ずかしいとか言ってられない。だって生身なんだぜ!?

 

「店長と、ドライブですねぇ~♪」

「........」

 

「ふふっーー聞こえてなさそうですねーー」

「っ!?.......」

 

「いやぁ~やっぱり人形なんだなって思いますねぇ~♪」

「.......」

 

「店長。貴方が居たから、私は戦い続けれたんですよ?」

「........ヒエッ」

 

「これからも、よろしくお願いしますねーーー?」

「........」

 

途中とても上機嫌なヒトヨが何やら話掛けてきたが、俺はただ耐えていたので反応してあげれなかった。というか、何を話してたのかほぼ覚えていない。一つ覚えていたのは、ヒトヨか何やら何時もの雰囲気じゃなかった気がするという事だけだ。

次に俺が回りをキチンと見れたのはそれから約50分後だった。

 

「着きましたよぉ~」

「バイク速いぃぃ」

 

俺達はもう隣街についていた。今はガソリンスタンドにて燃料を補給中である。ヒトヨは平然とした顔で燃料を入れている。

 

「店長~、入れ終わったので行きますよ~♪」

「あぁ、分かった」

 

俺はまたヒトヨの後ろにまたがった。今度は街中なので速度はそんなに出していないようだ。

 

「着きましたっ」

「よしっ、じゃあ行ってくるわ」

 

俺はヒトヨを置いて入ろうとしたが、既にダミーが荷物を持ってヒトヨ本人に渡していた。

 

「じゃあ店長行きましょう!店長の戦場に!」

「お、おう」

 

護衛だからかな?そこまで心配しなくても良い感じがするんだけども。そう感じたが俺は中へと向かって行った。

門番に今回は情報が行っていた様で、顔パスにて通れた。そのまま司令部の内部に入ると直ぐにおやっさんが見えた。

 

「おっ丁度いい所に来たな。店長」

「それは良かったです。あっこっちはヒトヨです。うちの新人ですよ」

 

俺がそう言うと、彼は少し目を見開いき少しボソボソと何かを呟いていたが、最後に店長だからかと言って納得していた。

 

「んんっ!では仕事場にはこちらの防衛班班長に任せる」

「店長さん、俺の名前はイオって言います。よろしくっス」

 

そう言って近付いてきた人物は俺より少し年上かと思われる青年であった。ちょっと軽い感じに思えるが立ち姿が凄くしっかりとしているのは一目で分かった。この人に襲われたら、抵抗出来ずに終わるな。そんな事を思っていると、彼は苦笑いをした。

 

「う~ん、頭から警戒心の高い奴だから軽く接してくれって言われていたけど、完全にバレてるっすね」

「まぁ。それなりに修羅場は逃げ切ってますから」

「なら上々っス。じゃあ付いてきて下さいっス」

 

そう言ってイオさんに付いていく。因みにここまでヒトヨは一言も喋っていない。大丈夫かなと思い彼女と目を合わせると

 

「?どうかしましたか?」

「いや、いつもと雰囲気が違うなと思っただけだよ」

 

俺がそう言うと、彼女は仕事中ですからと言って黙り込んだ。まぁ仕事熱心なのは嬉しい限だな。

 

 

司令部から出て、街の外周へと向かった俺達はとあるレーダー設備の前まで案内された。

 

「このレーダーがおかしいんですか?」

 

俺がそう聞くと、レオさんは少し待っててくれと言って、設備の周りに立っている人間に話しかけていた。暫くするとその人物と共にこちらに戻ってきた。

 

「あぁ、君が例の」

「そうっス。じゃあ俺は警護に戻るので後はよろしくっス」

 

そう言ってレオさんはこの場を去って行った。

 

「取り敢えず、状況を教えて下さい」

「うむ」

 

俺はその担当者のおっさんに話を聞いた。長いので要約すると、どうやらレーダー自体が動かなくなり、原因は基盤なのだと言う。おっ、これはもしかして

 

「丁度持ってきたな。ちょっと失礼してもよろしいですかね?」

「分かった。野郎共!少しコイツに変わってくれや!」

 

さてと、じゃあパパっと見てみますか。

ふむふむ、この基盤がおかしいのか。取り敢えず交換してっと....すみません一度起動してくれませんか?

 

「はっ!?わ、分かった!」

 

一度目を見開いていたが、直ぐに電源を入れてくれる。ちょっと接続されているディスプレイをチラ見して...あちゃーこの反応だと確か向こうの基盤も変えないとな。

 

 

こんな感じで次々と直していきはしたが、流石にデカ物なので、結局夜遅くまでかかってしまった。おやっさんが止めにくるまで弄っていたからな。今は、いつの間にか仲良くなった技術者の面々とこれからの予定を組み。おやっさんに報告したところだ。

 

「ふむ....」

「すみません。原因が全て違うので少し時間がかかりますね」

 

俺がそう言うと、おやっさんは暫く目を閉じて考え事をしていた。まぁ防衛装置だものな。

 

「成る程、お前ですらこれか...」

「力及ばず、3日は見てもらえば、ほぼ完璧に直せるとは思いますが、確証が持ちきれませんね」

 

そう言うと彼は少し困った顔付ききなった。

 

「いやいや、店長を馬鹿にしたわけではない。今日だけで、半分直している時点で有難い限りだよ」

 

本当にありがとうと、続け頭を下げるおやっさん。

 

「それは最後に言ってくださいなおやっさん。それに感謝より俺はこちらが欲しいですね」

「...ふっ、合わないぞ君には」

 

おやっさんは俺に対してそう言った。休む場所は宿舎を貸してくれる様だ。俺とヒトヨはそのまま案内された部屋に入るのだが.......

 

「いや、二人同じ部屋か?」

 

なんとそこには、二人分のベッドが置いてある部屋であった。ヒトヨはダミーを二人外に置いて中には一人待機させていた。

 

「わぁ~思ったより良い部屋ですね~」

「でもよ。同じ部屋だよ?俺はまぁ平気だけどヒトヨは大丈夫か?」

 

リズとかウェルならまだしも、ヒトヨはまだそこまでの信頼は勝ち取ってない気がして、確認すると彼女は少し不安げな顔をした。

 

「勿論大丈夫ですよ。店長は何時も通り寝てください」

「ヒトヨもそこまで気を張らなくて良いからな?疲れるだろうし程々にしなよ?」

 

やっぱり何時もより若干硬い彼女にそう声をかけた後にシャワーを浴びて俺は寝た。

 

 

 

それから2日経ち現在の時刻はお昼時を回った位である。

 

「終わったぁ~」

「店長、これが料金だ。受け取ってくれ」

 

おやっさんの確認済み俺に代金を渡してくる。俺はそれを確認する。ヒトヨも漸く緊張がとれたのか、ニコニコ顔である。

 

「はい、丁度ですね」

「では、店長。またよろしく頼む」

 

俺とおやっさんは握手をする。そして玄関口まで行くと、ヒトヨのダミーが暖気を済ませて待っていた。

 

「では、またのご利用をお待ちしております」

「おう!またよろしくな」

 

おやっさんと軽く挨拶をして俺もヒトヨの後ろにまたがる。

 

「じゃあヒトヨ。安全運転で頼む」

「分っかりました!ではしっかり捕まってて下さいねー!」

 

そう言って発進するバイク。ん?この加速感は

 

「ヒトヨ!?飛ばしすぎ!飛ばしすぎ!」

「店長!振り落とされ無いで下さいねー!」

 

この後、途中で一回休みを入れて貰った。ヒトヨ俺は人間だからな?今度からはそんなに飛ばさないでくれよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今度は店員とほのぼのしたいな←

感想・評価お待ちしております。作者の励み及び執筆速度の上昇につながります。

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十三話:のんびりとした日常

今回は店長のオフ一回目です!

UA3000ありがとうございます!これからも頑張っていきますので応援よろしくお願いします!

そして、評価バーに色がついたぁ!?!?
感謝感激です!
これからも『何でも屋アクロス』をよろしくお願いします!

ではまったりしていってね!


それは、ヒトヨと俺がたんまり報酬金を貰って帰った時におきた。

 

「ゼェ...ゼェ」

「あはは、店長大丈夫ですか?」

 

俺はそう声をかけてくるヒトヨを睨むがそこで終わった。何故なら怒る程体力が残って無いからだ。

 

「フゥ...今度からヒトヨのバイクに乗るのは辞めよう」

「こ、今度はキチンと速度落としますから!」

 

そう言っているヒトヨを無視して俺は店内に入った。

 

「あ、おかえり」

「ただいまぁ」

 

時刻は丁度お昼時を過ぎた頃だったので、お客さんは居なかった。リズが一目みて何時も通り挨拶してきたので返して、そのまま報酬金を渡す。

 

「へぇ、結構貰ったじゃん」

「まぁ結構ハードだったからね。ところで、他の面々は?」

 

今まで少しも気にしていなかったが、一応聞いてみる。多分ウェルは休んでいるはずだし

 

「テンコはメンテ室、クーはお隣さんのお手伝い、ウェルはー」

「ただいま戻りました。報酬金はこれです。おや?店長にヒトヨではないですか。おかえりなさい」

 

入り口から現れたウェルは、何時も通りに反応した。

 

「ウェル。休んだか?」

「えぇ。休みましたよ?」

 

そうかなら良いが。コイツ少しワーカーホリックだから少し心配だと思っていると三人がジト目でこちらを見ていた。

 

「店長、今何かとても失礼な事を考えてましたね?」

「何で分かるんだよ」

「「「分かりやすいですよ」」」

 

全員からそう言われた。はぁ少しはポーカーフェイス出来る様になりたい物だな。

 

「さてと、じゃあ店番でもー」

 

するかと続けようとしたがその前にウェルとヒトヨに腕を捕まれる。

 

「ん?」

「じゃあ二人ともよろしく」

「分かっていますよ」

「お任せ下さい!」

 

リズの一言で俺はウェルとヒトヨに引きずられて行く。向かう先は勿論プライベートエリアだ。休めって事か?

 

「いやでも今日は特に疲れていないから大丈夫だぞ!?」

「なら、ここで心もリフレッシュしましょ~」

 

俺の意見にヒトヨはそう返して突き進む。

 

 

「で?俺から工具を取るとは...趣味を封じられたのだが?」

 

引きずられ続けて着いた先は、共有スペースであった。抵抗空しく自身についている工具を取られてしまったため、趣味をやれない。これじゃあ逆にストレスが掛かるのだが?そんな事を思っているのが顔に思いっきり出ていたのか苦笑いしているウェルが口を開いた。

 

「たまには何も考えずにボケーとしませんか?」

「はっ?」

「それは良いですね!では近くの自然が見える場所に行きましょう!私オススメがあるんです!」

 

ウェルの一言に俺は困惑したが、その思考が正常になる前にヒトヨがそれに賛同し、また連行される事となった。

 

 

という訳で、近くの自然が見える場所まで来ました。またヒトヨのバイクにて来たのだが、確かに安全運転だったので全然疲れなかった。

 

「ヒトヨ。やれば出来るなら何故飛ばしたんだよ....」

「あはは、リズさんが全力出しても大丈夫って言ってまして」

 

リズお前のせいだったのか。今度何かで仕返ししないとな。そう思いつつボケーと風景を見る。

 

「そう言えば、こんな事するの何年ぶりかな...」

 

それはボロッと出てしまった一言。かれこれ5年位か、趣味は集中出来るので余計な事を考えずに済んだからやっていたしな。こう何も考えないなんて久々だな。

 

「ふぅ」

「店長、どうぞ」

 

口から息を吐き全身の力を抜く。それと同時にウェルが水筒に入れてきた中身を俺に渡してきた。受け取ると漂ってくる良い香り。

 

「一体何時準備したんだ?」

「今朝ですよ。ヒトヨの分もありますよ」

「あ、ありがとうございます♪」

 

ヒトヨにも渡し、自身の分も入れて飲み始める。俺もきちんと舌を火傷しないように冷ましてから飲む。

 

「ふぃぃ」

「平和ですねぇ~」

 

ヒトヨの一言に呆けた声でだなと答えながら、自然を眺める。まぁ人間の視力なので精々木々が風で揺れているのを見ている位ではあるが、とてもリラックスする。

 

「たまにここに来るのは良いかもなぁ」

「ですねぇ~」

 

俺の言葉にヒトヨは力の抜けた声で賛成する。ウェルは?と思い彼女の方をチラッと見ると頷いていた。いや喋っていいんだぞ?

 

「...今度は全員でピクニックでもするか」

「それは良いですねぇ♪」

「そうしたら、紅茶をもっと用意しなければいけませんね」

 

二人も乗り気みたいだし、今度やろう。俺は心にそう決めて風景を眺める事を再開する。

そうだちょっと噂等を聞きに行くかな?

 

「ニーアさんの所に行くか」

「それは良い考えですね!」

 

ウェルはどうだ?と聞こうとしたら、そこにはもう片付け終わりバイクに乗っている彼女の姿があった。

 

「行きましょうか」

「ウェル、うん行動で示すのは構わないんだけど、もうちょっと話そうぜ?」

 

俺がそう言うと、ウェルは微笑み

 

「返事してますよ?心の中で」

「それ、分からない奴!」

 

まぁ、分からなくても嫌ではないのは分かるから良いけどな。俺はそう思いつつヘルメットを被り、ヒトヨの後ろに跨る。

 

「じゃあ、出発しますね~」

「おう」

 

 

カラーンカラーン

ヒトヨの安全運転で、ニーアさんの店に着いた。扉を開くとそこにはまったりと寛いでいるニーアさんが居た。

 

「あら、坊やとヒトヨにウェルじゃない。いらっしゃい」

「「ニーアさん、いつもの」」

 

俺とヒトヨは全く同じ事を言っていつものカウンターに座る。ウェルは若干警戒してはいたが、ヒトヨの更に隣に座り、普通にコーヒーを頼んでいた。

 

「ウェルってコーヒー飲めたんだ」

「ええ。ただニーアとリズの以外は飲みませんね」

 

そうキッパリ言い切る。確かにリズの入れるコーヒーは結構旨いよな。ニーアさんのは飲んだことあったかな?

 

「ニーアさんは店長にはココアを用意してましたからコーヒーは飲んだことないのでは?」

「ニーアさんのココアは上手いからな」

「坊やはそんなに甘くないココアが好きものね?」

 

二人と話していると、ニーアさんが三つ用意してきた。ってそう言えばヒトヨの奴酒飲むのか!?

 

「なぁヒトヨ。酔った状態で運転するのか?」

「大丈夫ですよ。アルコール分解機能使いますから」

 

あぁ、人形だもんな。俺hあ納得してココアを一口飲む。あぁこれは落ち着くなぁ。

 

「そう言えば、ニーアさん」

「なにかしら?」

 

俺はある事を思い出したのでニーアさんに話しかけた。

 

「なんか、嫌な噂ありますか?」

「そうねぇ」

 

質問をすると彼女は少し悩んだ後口を開いた。

 

「良い噂は貴方の店の事が結構広まったから、今後はメンテナンスの依頼が殺到するかもしれないわね」

「そうですか」

 

それは良いことだな。ん?良い噂って事は、悪い噂もあるんだな?

 

「悪い噂は?」

「悪い噂は、人形否定派の人物達が比較的安全なここら辺で動き始めるかもといった噂ね」

 

うげぇ、マジか今度はそういった奴らのお出ましか。これは最悪また守るための戦闘が必要かね?そんな事を思っているとでもとニーアさんは続けた。

 

「ここの指揮官さんが、もう動き始めているからあまり心配いらないわ」

「アルヴィンが動いているなら、まぁ警戒程度で良いかな?他には?」

 

俺がそう聞くとニーアさんは特にないわと言った。

 

「よ~しなら良いかな」

「なら今度はこっちから質問だけど、普段オフの時は一人なのに、今日は二人も連れているけどどうかしたのかしら?」

 

ニーアさんはそう聞いてきた。あぁやっぱり気になるよね。俺が答えようとする前にウェルが口を開いた。

 

「それは、店長が修理や改良といった趣味以外の事をやらせる為ですね」

「あぁ~成程ね」

 

ウェルの説明で納得したのか少しこちらを哀れむニーアさん。

 

「坊や、貴方もう少し我儘を言いなさい?」

「いや結構言ってるよ。間違った事をしていたら無理やりにでも変えてくれって言っているしね」

 

ニーアさんのアドバイスにそう返すと彼女は少し困ったような顔になる。なにかあったのだろうか?

 

「まぁこれから少しづつかしらね」

「頑張りますよ」

「ですねぇ」

 

何故か取り残された気分になるな。そこでふと時計を見ると、もう夕方となっていた。時間が過ぎるのは速いものだ。

 

「そろそろ帰ろうか。夕食の時間だ」

「あっそうですね!」

 

俺は、財布から三人分の料金をニーアさんに渡した。

 

「今回は俺の奢りだよ」

「あ、ありがとうございます」

「ありがとうございます!」

 

じゃあ、帰ろうかとしたらウェルが少し申し訳なさそうに口を開いた。

 

「店長。少しやる事があるので少し残ります」

「...あまり遅くなるなよ?」

 

ウェルがあの顔になったら、止まらないから俺はそう言って先にヒトヨと店を後にした。

 

ーーーーーーーーーー

 

「さてと、ニーア先程の話ですが、半分嘘ですよね?」

 

私はバイクの音が離れていくのを確認した後にニーアにそう問いかけます。すると彼女は溜め息を吐いたあとに

 

「流石、ウェルと言ったところかしら?まぁ実際は他のPMCと共にもうほぼ駆逐されているわ」

 

それを聞いて安心しました。私はそう返す。そう言えばもう一つ確認をしなければなりませんね。

 

「店長を狙う人物についてですが」

「はぁ...やっぱり気付いていたのね?」

 

当たり前だ。

 

「それなら、もうある程度始末しているわ」

 

私にも出来ない訳じゃないしねと続ける。それを聞いて少し安心した。

 

「ニーアもなんだかんだ言って、人間嫌いでも店長は好きみたいですね」

「ふふっ、今時グリフィン以外でああいう人物は少ないわ。本当の意味で戦術人形を大切にする人は」

 

そう言ったニーアは微笑みを深くした。

 

「こちらはいつでもお待ちしてますよ?」

「ふふっ、私みたいな老兵は要らないわよ」

 

口ではそう言う彼女だが、その目には歓喜と覚悟の色で満たされていた。

 

「では、失礼しました」

 

そろそろ急がなくては、夕食に間に合いませんのでとニーアに告げ、私は店を後にしました。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

夕飯を食べ終わり、片付けを手伝って今は共有エリアで皆で食卓を囲ってまったり会話を楽しんでいた。

 

「あの基地での一件以降こういった事をするのが習慣になったね」

「だな」

 

リズが言う事に俺は頷きながら同意した。そう言えば前まではこんな事をする前に寝に行ってたな。

 

「ですが、こういったどうでも良い時間というのはとても良いと思いますね」

「そうですねぇ~」

 

テンコはそう言いつつ、ふぅと息をついた。ヒトヨの関してはもう完全にオフ状態である。

 

「っと、そろそろ良い時間だな。寝るか」

 

俺がそう言って立ち上がると、リズが思い出したかのように言った。

 

「店長は明日も休みだからね」

「ゑっ?」

 

いやいや、いくらなんでもそれはと言おうとしたがリズの有無を言わせない気配に負けた。

 

「っ....分かったよ。だけど何かあったら直ぐに連絡な?」

「ふふっ前より素直になったじゃん」

 

リズがからかい口調で攻めてくるのでうっせと言って俺は自室に戻り直ぐに寝た。




次回も店長のオフ回です。

感想・評価お待ちしております。作者の励み及び執筆速度の上昇につながります。

では、また次回お会いしましょう!

5月9日ー誤字修正ー


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十四話:早起きからのお昼寝

店長オフ2日目。

今日はどんな所に行くのでしょうか?

ではまったりしていってね!


今日も何故かオフになりました。どうもこんにちは店長です。今はいつもより少し早めに起きて朝食を作っています。

 

「といっても、パン焼いて、ハム焼いて目玉焼き作っただけなんだがな」

「あれ?店長?」

 

丁度全員分の朝食が出来た時に誰か来たようだ。声がした方に顔を向けるとそこには信じられない物を見たといった感じに目を見開いている、クーが立っていた。普段朝食を作る役だもんね。

 

「おはよう。クー」

「あ、はい!おはようございます!」

 

うん、元気な挨拶だ。なんか嬉しくなるよな。

 

「さて、勝手ながら朝食を作ってみた」

「店長って、食事作れるんですね!」

 

クーがそんな事を言ってきた。

 

「流石に人間だもの、食わないと死ぬからな」

「あっ」

 

俺の突っ込みにあっと顔を変える彼女。まぁクーを雇ってからは、リズやらに甘えている姿しか見せてないか。

リズと二人きりの時はたまに作ってたな。そんな事を思い出していたらクーが朝食の方をじっと見ていた。

 

「食べて良いぞ。俺は他の面々起こしてくる」

「はいっ!頂きます!」

 

クーが食べ始めるのを見届け、俺は各々の部屋の前に向かった。先ずはヒトヨからかな?

 

「おーい、ヒトヨ?朝だぞー」

 

俺が声を掛けると急にドタバタと中から聞こえた。それが止んだ頃に中からなにやら焦ったヒトヨが出てきた。

 

「店長!?今何時ですか!?」

「いやまだ朝だよ?」

 

俺がそう言うとヒトヨは一瞬固まったが直ぐに理解したのか恥ずかしそうに顔を赤くした。

 

「うぁぁぁ.......店長が朝早く起きるなんてぇ」

「そこまでか?まぁ朝食出来てるから向かいなさいな」

 

俺は他の奴呼んでくると言ってヒトヨを放置してそのまま奥に進む。次はリズか。俺はノックをしながら中に声をかける。

 

「リズー?朝だぞ」

「あれ?店長じゃん。おはよう」

 

やっぱりリズの奴は起きてるか。直ぐにドアが開いて中からリズが出てきた。次はウェルかテンコどっちの部屋に行こうかなと考えていると、リズがこちらをジトーと見つめていた。

 

「店長だよね?偽物じゃないよね?」

「お前は本当に2言目には俺をからかいに来るよな...偽物と区別がつかないのか?」

 

そう言い返すと、リズはニヤリと怪しく笑った。

 

「んーどうだろうね?店長とはあまり面と向かって話すこと減ったし、分からないかも?」

「言ってろ!今度から俺が朝食作っても起こしてやんねーからな!」

 

俺はそう言って次のウェルの部屋に向かい歩みを進める。後ろから、偽物ならそもそも出ないけどねと聞こえたがそれは聞こえて無いふりをしてウェルの部屋の前に着いた。さぁノックをしようとしたら扉が開いた。

 

「うわっと!?」

「店長、早起きとは珍しいですね。おはようございます」

 

ウェルはなにやらニコニコ顔でそう言った。コイツ俺とリズの話聞こえてたな?

 

「はぁ、筒抜けか」

「ふふっ、では先に朝食を頂きますね」

 

ウェルにおうと答え最後であるテンコの部屋にー

 

「あそこまで賑やかになれば起きますよ。おはようございます。店長」

「!?!?...心臓に悪いぞ本当。おはようテンコ」

 

振り向いたら本人が立っていた。気抜けすぎかな?昔はどんな時も足音を聞き逃す事なんて無かった筈だからな。そんな事を思っているといつも通り顔に出ていたらしい

 

「店長、今ので気付かれたら、私は自信を無くすので心配するほどの事では無いですよ」

「うん。テンコも俺の考えていることが分かる様になったのか」

 

うーむ、心配するなって言われてもな。数少ない俺のプライドが許さないんだよな。

 

「まぁ、気にしない様にするわ」

「ええ、そうして下さい」

 

そんな会話をしつつ、食卓へと足を進める。

 

 

あれから無事に朝食を食べ、食器洗いを済ませた。さて今日は仕事じゃないから何をしようか。そんな事を思いっていると、クーが俺の方に歩いてきた。

 

「店長!今日は私と一緒にのんびりしましょう!」

「今日のお目付け役はクーか」

「はいっ!」

 

ある意味一番しっかり者が来たね。

 

「んー、じゃあどうするか。昨日ニーアさんの所に行ったしなぁ~」

 

そう言えば、俺って依頼先とニーアさんの店とジャンク屋位しか行ってなくね?

 

「んー、何処に行こうか?」

「店長って本当に機械弄りで生きてますよね」

 

クーがそんな事を言ってくる。

 

「確かになーそろそろ工具持たないと禁断症状が」

「そこまでじゃないですよね?」

 

ちくしょう、上手い具合で工具か持てるかなと思ったのに!クーの目はまるで騙されませんよと言ってるかの如くこちらを見ていた。

 

「よっと...」

「うわっと...ったく」

 

クーは俺の膝の上にちょこんと座った。因みに彼女の銃は机に立て掛けられている。そう言えば

 

「ここってソファーとか寛ぐ場所無いよな」

「ですねー」

 

今まではどちらかと言うと自室にリズやらが来てたから気付かなかったからな。こうして見てみると、食卓しかないな。まぁ結構大きい奴ではあるんだけど、まだまだスペースはあるし、何か休憩場みたいなの作るか。

 

「...よしっ!家具用品店に行こう!」

「では、私は装甲車の準備してきますね!」

 

よろしく頼むと言うとクーは俺の膝から降りて自身の銃を持ちガレージの方へ走っていった。

 

「さてと、じゃあこっちもリズ達に伝えるだけ伝えて向かうとしますかね」

 

 

「まさか、こんな事になるとは.......」

「まぁ、良いじゃないですか」

 

あれから、向かう先やら目的をリズ達に伝えたら色々と追加で頼まれものをされた店長です。クーの言うとおり別に良いけどさ!まさか何を買うかまで即効決められたこっちの身にもなってくれよ。

 

「こうなったらとっとと買って、設置して寛いでやる!」

「ですね!」

 

という訳で物を探そう。先ずは3人掛けのソファーが3つ必要っと?

 

「まぁ広々使うんだろうな...」

「ソファーとテーブルは買ってきますね!」

 

あっ、待った待った!俺は行こうとするクーを止める。彼女が振り返ったのを確認した後にこう言った。

 

「テーブルは組み立てタイプで頼む。多分そうしないと入らない」

「あっ、そうでしたね!了解しました!」

 

そう言ってダミーと共に凄いスピードで去っていく。よしじゃあこっちはクッションを買うか。

 

「えーと、熊のクッションに狐のクッションにウサギのクッションに鐘のクッションっと」

 

次々と頼まれたクッションを入れていく。あとは

 

「紅茶のクッション...?あ、あるのか」

 

 

最後に俺の好きなクッションかぁ

 

「工具?んー流石になんか言われそうだな」

 

そもそもあるのか?そう思って探してみると結構端の方にあった。何であるんだよ?ん?

 

「これは...!」

 

 

これは良いものを見つけてしまった!

 

「店長!クッションの方は無事に買えましたか?」

「ばっちりだよ。クーの方も積み込み終わってるね」

 

俺がクッションの会計を済ませていると、繋いでいた通信機からクーが終わったとの事だったので急遽待ち合わせ場所を装甲車にした。まぁ着いたときにはもうクーの方は準備終わっていたみたいだが。

 

「では、出発しましょう!」

「だな」

 

あれから店に帰る前に昼時になっていたので、俗に良くある喫茶店にて昼御飯を食べてから無事帰宅した。

 

「さてと、じゃあ入れますか」

「はいっ!」

 

クーの元気のある返事と共に装甲車の後ろからダミー達が四人出てきた。ソファーをまず出すみたい。

 

「クー手伝うよ」

「あっ!テンコさん!ありがとうございます!」

 

店長は先に中入ってと続けるテンコ。お前仕事はどうしたんだ?

 

「店長がギックリ腰にならないようにってリズから言われてね」

「そこまで年老いてないわっ!」

 

リズの奴~後で覚えてろよ。

なお、俺がやろうとしたがテンコが先にダミー達とテーブルを運び込み凄いスピードで組み上げてしまった為に俺はただクッションを運び込んだだけとなった。

今はセットしたソファーに横になりふて寝している。

 

「店長がふて寝してる」

「はい、さっきからあのままなんですよ」

「さっき?...あぁ~成程ね」

 

ふて寝していると、リズの声がしたので目を開けるとそこには呆れ顔のリズがクーと話していた。リズはこちらに気付いたのか近付いてきた。

 

「店長、いい加減に機嫌直しなよ。クーが一人寂しそうだよ?」

「...それもそうか」

 

俺はリズの言葉に従い寝転ぶ体勢から座る体勢に変えた。

 

「そういえば、クッションは?」

「そこの袋の中に入ってるよ」

 

俺はそう言って、机の上に置いてあった袋を指さす。すでにクーはウサギのクッションを前に抱えている。

リズは俺の言葉を聞いて袋の中から熊のクッションを取り出し、俺の隣に座った。

 

「ソファー3つあるのに何で俺の隣に座るんだよ」

「近くに場所があったから」

 

わざわざ遠い場所に移動する必要ないでしょというリズ。まぁ良いけどさ。

 

「店長!」

「何だ?クー...んん!?」

 

クーがクッションを持ったまま俺の膝に向かって突撃してきた。かなりビビったぞ。因みに今俺はソファーの端に居るので、クーは俺の右側にある肘掛けに下半身を置いている形となっている。

 

「リズ、ちょっとそっち詰めて」

「はいはい」

 

リズにそう頼むと、彼女はニヤニヤしながら動いてくれた。俺はクーの上半身だけ持ち上げてズルズルと引きずり中央へ移動した。

 

「クー、体勢大丈夫か?」

「はいっ!...ふぁぁ」

 

クーが欠伸をした。俺は何となく頭を撫で始める。すると暫くしたらスリープモードに入った様だ。まぁ今日は特にこれ以上やる事無いし良いか。

 

「クーに対しては優しいよね。店長って」

「そんな事ねぇよ」

 

クーは幼いイメージがあるからこういった事やってるだけだ。と続けるとリズは考えた後に

 

「やっぱりロリ...」

「違うわっ!」

 

何かいつもやっている話なのに、ソファーに座ってやっているといつもより雰囲気が和むな。ふとそんな事を考えていると左肩に重みを感じた。

 

「おいっ、リズ」

「なに?」

 

若干返事に時間がかかったか?今日くらいは良いか?

 

「仕事は?」

「...ウェルが変わってくれた」

 

そっか、なら別に良いか。俺はそっと右手で彼女の頭を撫でた。

 

「じゃあ、少し位肩貸すよ」

「ん。ありがと」

 

そう短く答えると同時に、寝息か聞こえてくる。

 

「まぁこんな事が出来る様になったのは良かったかな?」

 

じゃあ俺も少し寝るか。そう思い体に少し入れていた力を抜き目を閉じた。

それから、夕食が出来るまで起きなくて3人して他の面々に弄られる事となった。

 

ーーーーーーー

 

「ー因みに店長のクッションは?」

「この戦車デフォルメされたクッション」

 

全員から理解できないといった顔を向けられた。何故だ!?




最初期メンバーのまったり映像。これ良くないですか?

次回はコラボ回になります。ほのぼのではなくなるかな?

感想・評価お待ちしております。作者の励み及び執筆速度の上昇につながります。

では、また次回お会いしましょう!

p.s
活動報告にて、ちょっとしたお知らせがあります。気になる人は見に行ってね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十五話:※マッチョ見ると、怯えます

さて、コラボ回です。
サマシュ様の『傭兵日記』とのコラボとなります。
この作品は、ジャベリンという傭兵の日記といった感じで、彼のドタバタの日常が描かれているとても良い作品です!皆様も是非見て下さい!

どんな感じになるのでしょうか!?

では、ゆっくりしていってね!

今後コラボ回は※をつけます。


ほのぼのした一日から、約一週間経ったある日の事である。

俺は満足げに、店番を今日のシフトであるウェルとテンコと共に行っている。

 

「店長、嬉しそうですね」

「それは昨日来たあの方々のせいですよ」

「あぁ...あれのおかげで、店長が半ば暴走して大変でしたね」

 

そうなのだ、昨日テンコと共に店番をしていたら強面のおっさんが5人来てな。全員がこの前来たジャベリンさんの部下らしく、ウェルを呼び出しておっさん達の相手を頼み銃の整備をほぼ12時間位通してやったのだ。勿論即日渡せた。

 

「暴走なんかしてないだろ?」

「「してました」」

 

あぁ、結構大変だったけどジャベリンさんのSCARクラスの損傷は,,,あぁ確かランスさんとパルチザンさんの武装があれより酷かったな。あの状況だと普通のメンテナンス員ならきっとキレれるんだろうな。なんせ機関部の9割が壊れていたり、そもそも銃が真っ二つだったりと、俺も一瞬昔の感じでキレかけてしまったよ。

 

「でも、普通に修理しただけだぜ?」

「「はぁ」」

 

最後にやっぱりスカウト受けたけど。そんなにあれなのか?前にいたPMCじゃあ結構不評だったんだよな。そんな事を思いつつ、話していると電話がなった。俺がその電話を取る。

 

「はい、アイテムショップアクロスです」

《あぁ。君が店長かね?》

 

そこから流れてきた声は、何か迫力のある声であった。

 

「はい、そうですが。お名前は?」

《そう言えば名乗っていなかったな。私の名前は、ジョン・マーカスと言う》

 

ジョン・マーカス?そう言えばこの前ジャベリンさんから貰ったPMCのトップがそんな名前だったな。

 

「『武器庫』の社長さんでしたか」

《少々依頼をしたくてな》

 

何かイヤーな気配がビンビンするな。

 

「内容を伺わないと、出来るか分かりませんね」

《では、今そちらに向かっているから、少し話さないか?》

 

俺はチラッとウェルとテンコの方を見る。俺の顔で何となく察したのか準備を始めてくれた。

 

「分かりました。ならお待ちしております」

《ではな》

 

通話が切れる。俺が受話器を置くと同時にウェルが話しかけてくる。

 

「ジョン・マーカス。正真正銘の化け物ですか」

「有名だよな」

「ですね。多分護衛も来るでしょうし、こちらも準備をしなければ」

 

頼むと俺はテンコにそう言う。なんか嫌な気が拭いきれないな、この感じは面倒事に巻き込まれる時に感じる奴だ。

 

「はぁ...」

 

俺が付いた溜息、いつもは誰かにこれで弄られるが今日はなにも起きずに消えていった。

 

 

あれから暫くして、一つの車が店前に到着した。俺は一応店前にて待機していた。中から出てきた男性はスーツ姿であれどその上からでも見えるほどガタイが良かった。因みに護衛は3人いた。

 

「始めまして、マーカス社長。店長です」

「あぁ初めまして、店長」

 

握手をする。手はうんこれは凄く戦闘出来る人の手だな。

 

「立ち話は何ですし、どうぞ」

「あぁ。あとそんなに硬くならなくても良いぞ」

 

そう社長は言うが、そんな事出来るかぁ!?

俺は店内に入り、一応お客対応用の椅子に誘導する。護衛の方々は2人残った様だけど、店先に居座るんだそうか?と思っていたら車が走り去って行く音が聞こえた。

 

「済まないね。できれば君の店員に、もう少し警戒を解くように言ってくれるとありがたいな」

「すみませんね。貴方みたいな強い方が来るとは予想外だったようで、申し訳ございません」

 

俺はそう言って頭を下げる。彼は若干苦笑いをしていた。

 

「別にとって食おうと思っていないさ」

「あはは...それでは本題に入りましょうか」

 

気を一応引き締めて俺は社長に言う。彼は少し眉を動かしたが懐から紙を出してきた。それを見ると何かの戦闘データか?

 

「これは、我らの槍部隊の面々が君にメンテを受ける前の射撃制度等のデータだ」

「これは見てはダメなものでは?」

 

そう言うと彼はフッと笑ったのちに口を開く。

 

「そうだな。それでこれが受けた後の物だ」

「...ん?」

 

何かメッチャ上がっている!?この上がり幅を人間で見れるなんてあの人たちどれだけ...そう思っていると彼が満足そうに書類を回収した。

 

「効果的にはそれぞれ違いはあれど、5%~10%上がっている」

「成程。何か秘密が無いのかを探りに来たと、そう言うわけですね?」

「あぁ、出来ればメンテ室を見せて貰いたい」

 

その言葉を間近で聞いていたリズが目で訴えかけてきた。俺はそれを敢えて無視して話を続ける。

 

「部下思いの良い社長さんですね。条件付きならお見せしましょう」

「良いだろう。何が条件だ?」

 

即答する彼に俺は条件を言う。

 

「まずは、この中の事は秘密にしてください。次に入るときは私と二人でも良いですか?」

「あぁ良いぞ」

 

じゃあ、行くか。リズがメッチャ睨んできているけど無視して俺は店長を連れてメンテ室に入った。

 

「ふむ..若干散らかっているが、特に危険なものは無いな」

「一応メンテナンス員としてのプライドはありますから、違法整備用具は使用してませんよ」

 

社長が暫く辺りを見回して、色々と確認したのちに言ってきたので、そう返した。すると彼は振り向きこう言ってきた。

 

「そこは気にしていない。君の声を聴いた時からね」

「??」

 

首を傾げるとそれと同時に彼は口を開いた。

 

「こう言えば良いかな?『日本の鬼車長(Japanese Demon tank leader)』殿?」

「?何を...」

 

マジでなんだか分からないので聞こうとしたら、彼はそれに被せて口を開いた。

 

「第三次世界大戦の時旧日本領にて、とある90式戦車に救われたのだ」

「はぁ、あの時の隊長さんでしたか」カチッ

 

俺は腰に付けていたジャマーを起動しながら、口を開く。自身で思った以上に冷たい声音になっていた。彼は一瞬目に見えて驚いた。

 

「私は恩知らずにはならない主義でね。今回も武器は持っていないさ」

「心配しなくても噂通りに戦闘能力皆無なんで気にしないで良いですよ。貴方なら私位その肉体があれば殺せます」

 

そう返すと彼は苦笑いをした。

 

「それはそうと、君があの車長ならば余計にこの言葉を言いたいな」

「あっ結構です」

 

先手を打って断っておく。すると彼は見るからに落ち込んだ。

 

「身の安全を取るなら強いPMCに身を寄せるのは良い事だと思うがね」

「私の情報網を甘く見ないで下さいね?『武器庫』は今結構ホットな話題で警戒されているじゃないですか」

 

そう言うと、彼は溜息を吐いた。

 

「目の前に『日本の鬼車長(Japanese Demon tank leader)』が居るのにスカウト出来ないとは」

「さっきから言ってるその変な呼び名は私の事ですか?」

 

一応聞いてみると、彼はそうだと言った。それ以外に聞くと、『戦車に乗る妖精( Fairy riding a tank)』とも呼ばれていたらしい。何でさ。

 

「あぁ、私が持っていた部隊だけではなく正規軍内では有名だよ」

「そうですか....」

 

そんなに有名なのか、あの長い一日しか接していないはずなのに。そんな事もあるのでしょうね。

 

「この事は店員には話さないで下さい。もし話したら」

「もし話したら?」

 

彼に向かって満面の笑みを見せ私はこう言った。

 

「地獄の果てまで追って、貴方に榴弾をぶち込んであげますよ♪」

「ヒェッ...分かったこれは墓場まで持って行く」

 

ならばよし。と私はそう言って彼の目のにジャマーを見せ、彼がそれを注目したのを確認したのちにスイッチを押してオフにした。

 

「それで、何か質問等はありますでしょうか?」

「い、いや何もないぞ」

 

彼は完全に驚いていたが、それを無視して俺は出口の方を向いてこう言った。

 

「では、出ましょうか」

「そうだな」

 

 

あぁ、久々にあのスイッチが入った気がするな。俺はそう思いつつ社長と共にメンテ室を後にした。店内に戻りもとの席に座り話し合いを続ける。

 

「では依頼についてなのだが、これが依頼書だ」

「.....えぇ」

 

俺は渡された書類を見る。そこにはこう書かれていた

ーストライキ中だったガンスミスの作業場改装についてのアドバイザーー

詳しく話を聞いてみるとどうやら休みなしで働かせていたようだ。そこで会議にてその改善案等の話し合いをしたいのだが技術顧問も相手側らしく、こちらにそう言った事に詳しい人間が居ないそうだ。

 

「それを、お..わたしに技術面での補助が欲しいという事ですか?」

「そうだ。報酬はキチンと出そう。そこに書いてある通りではあるがな」

 

説明するだけなのに、こんなに貰っていいのだろうか?

 

「あの、説明するだけでこれは貰いすぎです」

「結構長い期間だから、これ位は普通だろう。君程の修理士ならばな」

 

ん~どうしようかな。一応護衛は帰りもくれるみたいだし、あと一応一人連れて行って良いみたいだしな。

 

「受けましょう」

「そうか...!それは有難い」

「では準備してまいりますので少々お待ちください」

 

じゃあ、ウェルに伝えて一応一週間分の泊り用具を持って出発だ!と思い立ち上がったのと同時にプライベートエリアから本人が紅茶を持って出てきた。

 

「店長、私がおもてなししている内に準備して来て下さい」

「あ、はい」

 

そう言ってプライベートエリアに入る。すると後ろから服を引っ張られた。

 

「店長。無茶はダメだよ」

「リズ...」

 

何時もの調子ではなく、どこか弱弱しい彼女の声。まさか聞かれていた?そう思っていると彼女は続ける。

 

「店長が昔から何かを隠しているのは知っているし、それを言いたくないのも分かっているけど」

 

いつかは話してねと続けるリズ。多分何時もと違う俺の雰囲気を探知出来ちゃったんだろうな。観念しよう。

 

「そうだね。もう少ししたら全部話すよ」

 

いい加減向き合わないとな。俺は覚悟を決めてそう言った。すると少し強めに殴った。痛い

 

「約束だからね」

「おう、じゃあ準備を...」

 

俺が自室に入ろうとしたら中からクーが出てきた。その手に旅行用のバックを持ちながら。

 

「店長!用意しました!」

「うん。まぁ場所は昔教えていたから良いけれどもね」

 

でも勝手に今度は人の部屋に入るなよ?と言うとクーは少し泣きそうな顔になって

 

「今後は気を付けます」

「うん。でもありがとうな」

 

頭を一回撫でてから、店内に向かおうとしたら彼女達に止められた。

 

「「行ってらっしゃい!」」

「行ってきます!」

 

そう答えて俺は、店内にとんぼ返りした。

 

 

 

 

 

 




ジャベリンさんが出て来ると思いましたか?残念!社長でした!←
社長のイメージが違ったら申し訳ございません!
これってコラボって言えるのだろうか...?
また、長くなり過ぎましたので前編、後編とさせていただきます。

因みに今回で判明した店長の隠したい一面の方はどうでしたか?予想出来てたかな←
あと本当に勘違いされると困るので一言追加で言っておきますと、彼自身の戦闘能力は一切ないです。拳銃もまともに当てれません。

テンションが振り切れて大変な感じになりました。

感想・評価お待ちしております。作者の励み及び執筆速度の上昇につながります。

では、また次回お会いしましょう!




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十六話:※年上ばかりの空間は結構緊張する

前回に続いてコラボ回です。
サマシュ様の『傭兵日記』とのコラボとなります。
この作品は、ジャベリンという傭兵の日記といった感じで、彼のドタバタの日常が描かれているとても良い作品です!皆様も是非見て下さい!

今回はコラボ先のPMCにお邪魔します!

では、ゆっくりしていってね!

次回は少し投稿が遅くなりそうです。よろしくお願いします。

ー追記ー
言い回しミスを見つけたので修正しました。
ーさらに追記ー
今回の話に出てきた、ガンスミスの問題等はこちらの世界線でのお話です。
本家様の方は違う可能性がございます。
あらかじめご了承下さい。
遅くなり申し訳ございません。


店内にとんぼ返りした後に、ウェルに護衛の相談をチラッとしたら自分が行くと言ってきたので、そのまま紅茶を飲んだ後に、どうやって向かうかの話となった。

 

「直ぐに動けるのは有難いが、店は大丈夫なのか?」

「うちの副店長はしっかりしていますので大丈夫です」

 

俺が即答すると、社長はそうかと言った後に少し悩んでいた。

 

「しかしここから本部までとなると、今から向かうと夜になってしまうな」

「えっ日が沈む前につけませんか?」

 

その言葉に何を考えているんだと言った顔となった社長ご一行。

 

「なぁ、リズ。ここの本社ってそんなに遠いっけ?」

「私が運転すれば、特に問題ないよ?ただ店長は覚悟した方が良いかもね」

 

あ~でも何時もとおんなじ感じでしょ?と聞くとリズは頷いた。

 

「ふむ...そこまで速い車がそちらにあるなら、大丈夫だな。護衛は任せてくれ」

「あっ、よろしくお願いします」

 

では準備を整えて出発ですね。そう言って、こちらも準備を始める。

 

 

あれから十数分後準備が整い、今は運転手同士が何かを話し合っている。暫くすると話し合いが終わったようでリズが帰ってきた。

 

「じゃあ、店長とウェル覚悟は良い?」

「出来ますよ」

「お、おう」

 

リズが満面の笑みでそう聞くときは大抵俺はグロッキーになるんだよな。そんな事を思いながら返事をすると、リズはそれに気が付いたのかこちらを、バックミラーで見て

 

「店長。お願いだから粗相しないようにね?」

「大丈夫だ。覚悟出来てるから。今回は仕方がないから」

 

俺の返答に満足したのかリズの顔つきが鋭くなった。

 

「じゃあ、行くよ!」

「「っ!」」

 

車がきれいに並んで走り出した。そして徐々に速度を上げていく!速度計を少しチラ見すると80と見えた気がするが俺はドライバーを信じて目をつぶった。

 

 

目的地到着までほぼ話なんて出来ませんでした。なんかリズとウェルは平気な顔して話し合っていたみたいだけどね。あの揺れで良く話せるよな。そんな事を思いつつふらふらになりながらも下車する。

 

「うへぇぇ~」

「店長。しっかり」

「そうですよ。しっかりして下さい」

 

下車と同時に出た、俺の情けない声を聴いた二人から心配される。すると社長が近付いてきた。

 

「大丈夫か?」

「あ、はい。もう治りましたので大丈夫です」

 

俺はそう言って身なりを整える。すると社長は何やらカードキーを二つ手渡し付いてきてくれと言った。

俺とウェル、そしてリズを引き連れて歩いて行くと、とある部屋に通された。中に入るとそこはビジネスホテルの二人用部屋の様な場所であった。

 

「ここで今日から過ごしてくれ。運転手の君の部屋は...」

「ここで大丈夫です」

 

社長が言い切る前にそう言うリズ。基本的にリズはこういった時俺と同じ部屋に居ようとするので特に驚かなかった。

 

「そうか。店長大丈夫か?」

「えぇ、大丈夫ですよマーカス社長」

 

そう返すと社長は、次に食堂に案内してくれるみたいだ。取り敢えず大きな荷物を置きついて行く。

 

歩くこと数分。目的地である食堂に着いた。食券制の様で中を見ているとまぁまぁな種類がある。

 

「では、また明日朝の10時にここで待っていてくれ」

 

あの後、夕食を食べ部屋に戻った。それと同時に俺は肩の力を抜いた。

 

「ふぅ....緊張したぁ」

「ふふっ、店長ガチガチ」

 

リズがそんな事を言ってくるが、今はそんな事より重要な事があるだろう?

 

「寝る場所はどうするか。だな」

「大丈夫ですよ店長。私とリズで一つのベットで寝れます」

 

ウェルの言葉にリズも頷いている。そうか?なら良いけど。ちょっと今日は色々濃くて疲れたな。俺はそう思いベットに身を投げる。あぁ上等品だなこりゃ

 

「じゃあ、明日に備えて寝ようと....」

 

そこまで言って、俺の意識は闇に飲まれた。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「ちょっと、シャワー浴びなよって、もう寝てる」

 

リズはそう言うと、溜息をした。

 

「今日は仕方がないですよ。色々あったみたいですし」

 

私がそう言うと、リズは仕方がないかといった顔となり頷いた。

 

「そうだね。じゃあ暫くは静かにしとこうか」

「店長が寝ている時はとことん甘いですね」

 

そう言って彼女をからかうと、彼女は顔を真っ赤にして反応した。

 

「そんな事ないしっ」

「そうですか?ならそういう事にしておいてあげますよ」

 

ワザと上から目線で言う。すると彼女はこちらを睨みつけてきた。

 

「そういう、ウェルこそ。この頃色々裏で動いているみたいじゃん。過保護じゃないの?」

「あれは必要最低限です」

 

リズが言っているのは、あの街にたまに近づいてくる盗賊等の集団の事ですか。あれはあのまま放っておくと店の経営に影響があったから殲滅しただけですので過保護には入りません。そう思い返答すると、リズはニヤリと笑った。

 

「ふ~ん。なら店長を暗殺しようとした奴らを必要以上にボコボコにしたのは?」

「っ!?」

 

何故貴女が知っているのですか!?あれはまだ合流前の話ですよ!?あっやってしまった。

私の驚き様にリズ溜息を吐いた。

 

「鎌をかけただけなのに、反応しちゃ駄目じゃん」

「.....シャワー浴びてきます」

 

私はそう言って、シャワールームに向かう。リズは終始ニヤニヤしていた。今回は返り討ちに会いましたね。

 

「店長と同じで、仲間相手になると色々残念になるね」

「うるさいですよっ」

 

私はそう言って、シャワールームへと入っていった。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

自分で思った以上に昨日は疲れていたようだ。部屋に帰ってから一切の記憶が無い。ベットの上に倒れ込んだのは覚えているが、目を覚ました時には何故か布団の中に移動していた。多分リズがやってくれたんだろうな。そう思いつつ俺は今シャワーを浴びて服に着替えた所だ。シャワールームから出ると先程まで寝ていたリズとウェルは起きていた。

 

「おはよう。二人共」

「店長おはよう」

「おはようございます」

 

じゃあ、朝飯食べに行くか。俺が外に出るための持ち物を整理していると、リズから何かを渡されえた。

 

「これも懐に入れておいて」

「それは」

 

基本的に入れないんだけどな。と言うと持っていることが重要なんだそうだ。なら一応持って行くか。

 

「よしっ朝食食べに行くか」

「ですね」

「だね」

 

 

あれから朝食を食べてリズは一旦帰るので、丁度近くにいた護衛の人に話しかけて、車の場所まで連れて行ってもらう事となり別れた。俺とウェルは食堂の前にて社長を待っている。まだ約束の時間まで結構あるし何か雑談でもして緊張を解しておこうかな。

 

「俺なんだかんだ言ってあそこのPMC以外のガンスミスに会った事ないんだよな」

「何となくそんな気がしました」

 

俺がそう言うと、ウェルは確かに何故か納得していた。えぇそんなに変なのかな?

 

「店長は自身が無さすぎです」

「そうかぁ?」

「そうだな。店長はそういう感じがするな」

 

そんなにないのかなぁ。ん?何か違う人の声がした気がしたのでそちらを見てみるとそこにはガタイの良いおっさんが立っていた。って社長!?

 

「マーカス社長。おはようございます」

「おはようございます」

「うむ。おはよう」

 

急いで挨拶をする。にしても気配が一切なかったぞ!?しかしウェルは気が付いていた様だ。そんなに驚いていない、そもそも視界に入っていたからかな?

 

「ここでは、話が出来ないし会議室に案内しよう」

「わざわざありがとうございます」

 

にしても社長本人が迎えが来るなんてどんな対応だよこれ....何か今更ながら怖くなって来たぞ。そんな事を思いつつ付いていくと、ある部屋に通された。中に入ると確かに会議室であった。しかし椅子の数が3つしかないんですが?

 

「そちらに座って貰えるだろうか?」

「はい」

 

椅子が2つ並んでいる方に座れと言われたのでウェルと共に座る。すると社長はその強面の顔を少し緩ませ、話を始めた。

 

「取り敢えず、これが改善案の書類だ。」

 

という事で、渡された書類を貰う。すると彼は苦笑いをしたのち

 

「私は型番を調べても全然分からん。そこでまずは何も情報なしでこれを読んで意見が欲しい」

「成程、では失礼します」

 

丸投げですか?まぁ一応こういった形もあるのだろうと思い俺は手元にある資料を読んでみる。

簡単にまとめると、銃のメンテナンス道具がメインというより、メンテナンスの際に作成する報告書の方が大変なんだそうだ。確かに明細書を毎回書くとなるとPCが欲しいよな。今は...手書きですか。それ以外は...

 

「ふぁっ!?マジか」

「如何しましたか?店長?」

「すみません。ちょっと驚いてしまって....」

 

おっと、ヤバいちょっと驚いちゃって声が出たか。まぁそれ以外はまぁ納得だ。よしそろそろ巨体を若干震わせ待機している人に意見を言わないとな。

 

「取り敢えずわたしの意見から言いますと、一つの点を除き妥当かなと思います。この情報が正しいのならば」

「そ、そうか」

 

にしても、これ俺でも辛いかも。テンコなら喜々としてやるだろうな。ちょっとここのガンスミスさん達は頑張り過ぎですね。ウェルが何かこちらを心配そうに見ていた。

 

「店長とテンコはこれ位喜々としてやってませんでしたか?この前」

「いやいや、ここまでじゃなかったよ?」

 

それにあの日だけだし、この人達は年単位であんな感じだった。....毎日メンテし甲斐のある武器が来るか。テンコ呼んでここのガンスミスさん達と交流したい感じはあるなぁ

 

「それで、一つの点とは?」

「あぁ、それはここの点ですね」

 

俺は資料のあるページを指した。そこに書いてあったものは

 

「銃解析装置か」

「えぇ、ここのガンスミスさんの仕事の質の良さはこの前、来てくださった方々の銃を見れば大体分かりますが、これは必要ないかと思います」

 

一応ざっくり説明すると、これは戦術人形のダミー等が使用する銃火器のメンテナンス機械に入れる前に不具合があるかどうかを確認する装置でIOPが開発したらしい。俺にとっては要らぬものではないかとも思っている。正直それでは分からない微妙ゆがみがあるものだ。

 

「ふむ、ならそれ以外は必要.....みたいだな」

「逆にわたしの想定を超える酷い環境ですよ。よく今までストライキ起きませんでしたね。えーと確か槍部隊?が出来てから申し立てをしていたそうですが?」

 

俺が書類の最初を確認しつつ、社長に聞くとどうやらうちにメンテナンスに来た人々がその部隊の方々だったらしい。そう言えば全員の名刺に槍部隊と書いてあったな。

 

「うん、あそこの人達が一番忙しいという事は結構や..大変ですね」

「「店長」」

 

俺の一言にやはりと言った感じに頷く社長。最初に言いかけた事が分かっているウェルはジト目をしてきた。

 

「うむ。では一応そう言った方針で話し合うとしよう」

「えっ、部外者であるわたしの言葉を鵜呑みしちゃって良いのですか?」

 

結構質問等をされると思っていたんだけど。

 

「いや、今の今までかなりの負担をかけてしまったのは事実だからな。これ位なら実際出しても、戻ってきてくれればそこまでの痛手にはならないのだよ」

「成程」

 

社長はこれから別の仕事があるそうなので、そのまま解散となった。明日に例の会議があるそうで、一応出席してほしいとの事であった。うん、この分だと自分自身が出ることはなさそうだな。

 

 

 

あれから、ウェルと談笑しつつ夕飯時まで寝泊りしている部屋にて待機して、夕飯食べて寝た。特に何も起きなかった。ただここにいる戦闘員方々に結構な頻度で話しかけられた。皆さん優しい人達なのだけれど全員結構ガタイが良くてそして年上の方々が多かったので結構緊張した。

そんな事があった翌日、俺はいつもより早い時間に起きた。

 

「ウェルは....おはよう」

「はい。おはようございます」

 

そう言えば、ウェルの寝顔は今まで見た事ないな。いつも自分が起きている時にはすでに起きている。

 

「寝てるんだよな?」

「えぇ、キチンと寝てますよ?」

 

なら良いんだけど、じゃあ一応ビシッと決めて行こうか。まぁ昨日もキチンとした服装ではあったけどね。

 

 

あれから、時は進み会議にて俺は少し離れた場所に席が設けられていたので、そこに座っているのだが予想通り結構空気が重い。

 

「では、会議を始める」

「「....」」

 

その状態のまま社長が会議を始めた。そこから提案についての話になった。

 

「1項目以外はすべて許可しよう」

「「「はっ?」」」

 

社長の言葉に俺とストライキ代表の二人の声が重なる。しかし、ストライキ代表のうち眼鏡をかけた方の男性が質問してきた。ん?良く見るとこの人の名札に技術顧問って書いてあるわ。って事はこの人が技術顧問か。

 

「それで、駄目な項目とは?」

「銃解析装置だ」

 

その言葉で、技術顧問は少しホッとしたようだ。まぁあれだけ銃の整備が出来る人達ならほぼ使わないし、多分この人達も俺やテンコと同類の感じがするしな。

 

「ならば、大丈夫です。正直手書きが止めたかっただけですので」

「そうか、ならば急ぎ用意をしよう」

 

何か思っていた以上にトントン拍子に進んで行くぞ?そんな事を思っていると技術顧問の人がこちらを見た。

 

「こちらの方が?」

「そうだ。槍部隊の武器を整備してくれた、ショップアクロスの店長だ」

 

おっと、紹介されたのなら自己紹介位しないとな。

 

「えっと、始めまして。ショップアクロスの店長です。どうぞ店長と呼んでください」

「そうか、ならば店長君と呼ばせてもらおう」

 

俺の自己紹介に特に気にした様子もなく、こちらに近付いてくる技術顧問。そして手をこちらに伸ばしてきた。っと握手か。気づき手を握るとそのまま引き寄せられ

 

「是非とも一度メンテを見てみたいのだが、良いだろうか?」

「ゑ?」

 

あぁ、もしかして情報だけは流していたのか?

 

「わたしは別に構いませんが...」

「では、行こう!」

 

俺はそう言って社長の方を向くと、彼はサムズアップをした。それを見た技術顧問は物凄い勢いで俺を引っ張り連れて行った。

 

 

引きずられた先整備室にて、『武器庫』のガンスミスさん達の目の前でM4A1の整備を見せたり、ちょっとした小技を教えてくれたりして図らずも交流が持てのは嬉しかった。因みに技術顧問....チーフと呼ばれていたので俺もそう呼んでる。彼にはやはりうちに来ないか等々誘われたが丁重にお断りした。その代わり、連絡先をくれた。俺も一応名刺を渡しておいた。

 

「うむ、とても勉強になった。ありがとう」

「いえいえ、こちらも良い技を教えて下さりありがとうございます」

 

まぁ全部無事に終わり俺はチーフと別れの挨拶をしていた。俺の返事に彼は少し苦笑いをした。

 

「しかし、君の技はまた見たいものだ。説明してくれたが、私でも良くわからない事があったからな」

「すみません。口下手で、何せ今までほぼ独学でやっていましたので」

 

俺が謝るとチーフは笑いながら気にするなと言ってくれた。

 

「まだまだ上がいるとなるとこちらも向上心が湧き上がるものさ!また交流しよう!」

「はいっ!今度はうちのこういった方面が得意な奴がいますので連れてきますね」

 

そう言って、別れの握手をして彼からは離れた。するとそれを見て社長が近付いてきた。

 

「今回は助かったぞ。店長」

「正直アドバイザーとしては殆ど何もしてませんでしたよ」

 

俺がそう言うと、彼は笑った。

 

「そうだな。だが私にとっては訳の分からない単語だらけで結構苦戦していたのだから十分さ」

 

それに、うちのガンスミス達の士気も上げてくれたからな。と続ける社長。

 

「それでは、マーカス社長。これにて失礼いたします」

「また何かあったら、気軽に言ってくれ。その時はジャベリンにでも言って向かわせる」

 

貴方の会社に依頼するお金はうちにありませんよ。そう返すと彼は

 

「その時は、依頼終了時に人員の銃火器のメンテナンスをタダでやってくれれば、安くするさ」

「それは嬉しいですね。なら頼らせて貰います」

 

その言葉と共に握手をする。さてとそろそろ帰らないとな。

 

「では、帰りは安心して良いぞ。うちの精鋭を護衛に付けた」

「ありがとうございます。では」

 

俺はそう言って車に乗る。中に入るとウェルが既に座っていた。車のドアがしまる。それと同時に動き出す。

 

「店長。良かったですね」

「おう、良かった」

 

ここがピンチになる事はそうそう無いけど、もしもの時は援軍として来よう。ここの人達は良い人揃いだ。

 

 




あれれ?結局ジャベリンさんと会ってないぞこの店長←
結構ハイテンポで進めてしまいました。しかし、長さは長いという。

これにてコラボ回終了でございます。
コラボさせて頂きましたサマシュ様ありがとうございます!

次回は日常に戻ることとなります。

感想・評価お待ちしております。作者の励み及び執筆速度の上昇につながります。

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十七話:グダーとする日常

今回はまったりと仕事回です。

では、まったりしていってね!


良い出会いがあった日の翌日。俺は珍しくリズと二人きりで店番をしていた。理由としては確かウェルの愛用カップを割ったらしく、その原因を作ったヒトヨとテンコは地獄の説教に機能停止中である。そしてクーはその怒りを鎮めるためにウェルと二人きりでカップを買いに出ている。

 

「なんか二人っていうのも、久々だね」

「だな...」

 

因みに今は俺はカウンターに突っ伏していて、リズは本を読んでいる。先程チラッと見たけどドライブテクニックの本らしかった。まぁ彼女の趣味なので気にしない事にした。女性が読む本かなとは思いはしたけどね。

 

「あの...二人共一応私が来ているのにその状況はどうなの?」

 

一応お客様よと言うニーアさん。実は先程来店したのだがいらっしゃいませと言った以降殆ど意識を向けてい風に見えて当たり前である。まぁ実際は俺もリズも彼女の動きは把握しているけどね。

 

「「だって、ニーアさんそんなに困っている風に見えないよ」」

「二人になるとこうなるのね」

 

ニーアさんはそう言ってため息を吐いた。さてといい加減に真面目に仕事しますかね。

 

「ニーアさんさっきからなんかステッカーで悩んでません?」

「えぇ。私の銃に付けたくてね。あ勿論ストックの所にね」

 

ん?ストックに付けるステッカーかぁ...そう言えばそっち系はまだ商品が少ないなぁ。

 

「あっ、ちょっと失礼」

「「?」」

 

俺は急いでクーに連絡を取る。一応普段から無線機を付けているので連絡すると直ぐに出た。

 

《どうかされましたか?》

「あっ、クー?まだ店?」

 

俺がクーにそう聞くと彼女はええと答えた。

 

「なら、ステッカーの種類を増やしたいんだよね」

《あぁ、そういえばそう言ってましたね。分かりました。なら買っていきます》

 

おう、ラクダもよろしくと最後に言って俺は通信を切った。そしてニーアさんの方に向いた。

 

「明日から、並ぶ種類が多くなりますよ」

「分かったわ。じゃあ今日はお暇するわね」

「「またのお越しをお待ちしております」」

 

リズと挨拶を背に受けてニーアさんは店を後にした。さてと今日は人が来ないなぁ...

 

「この頃忙しすぎたから丁度いいね。店長も最近疲れがたまってきてたしね」

「そんな事無いよ」

「ギルティ」

 

そう言って目を細めるリズ。やっぱりバレてますね。何でかな?この前会った先でもポーカーフェイスが出来てたっぽいしな。多分気を許しているからかな?そんな事を思いながらリズの方を見ると、いつの間にか本を閉じてこちらによってカウンターに肘を付け手で頬を支えていた。

 

「おおっ」

「ふふっ」

 

俺の反応を見て楽しそうに微笑んだ彼女の顔を暫く見ていたが、少し恥ずかしくなったのでそのまま視線を外して店内を見渡す。

 

「そういや、この頃どうよ俺が居ない店内は?」

「店長より皆良く働いてくれるよ?」

 

そうか、でも一つだけ言わせてくれ。

 

「それは、リズが俺が気付いた時にはやっているだけだろう?」

「まぁ、そうとも言うね」

 

何やら今日は弄りが少なめだな。久々にいい感じに話せている。

 

「でも、店長が居ないと寂しいかな」

「そうか?あぁ弄り相手がいなくなるからだな」

 

そう言うと彼女は少し苦笑いをしたのち頷いた。

 

「でも、昔より弄る内容が少なくなって、一人じゃ大変かな」

「おいっ、やめるって考えは無いのかよ!」

「当たり前じゃん。店長弄りは楽しいからね」

 

今後はもっと仲間を増やしてやるよ。と続ける。マジかでもまぁ彼女達は引き際をキチンを分かっているからそれ位良いか。そんな事を思っているとリズが少し話始める。

 

「ねぇ、店長」

「どうした?」

 

俺はカウンターに突っ伏しつつそのまま顔だけリズの方に向けた。すると彼女は何時もより真面目な目をしてこちらを見ていた。

 

「ど、どうした?」

「店長はさ、自身の力を信用したことってある?」

 

まぁ、あるなそう思いつつ頷く。

 

「私はさ、店長のお守りで」

「それだけじゃあ、あの強さは出ないよ」

 

リズの先の言葉を予想して、彼女の言葉を遮った。彼女が何でと言った顔をしていたので、俺は少し悩みつつ言葉を紡いだ。

 

「俺のメンテって使い手の腕が無ければ、逆に違和感を覚えるんだと」

「そうなの?」

 

そう聞いてくる彼女に俺は強く頷く。リズはたまに少しネガティブになる事があるんだよね。その時は褒めてあげれば案外直ぐに治る。って本当に人形って下手な人間より人間してるよな。

 

「そっか。...んんっそうだね」

「ふっ、相変わらず復帰が早いね」

 

俺がそう言うとリズはニコッと笑った。

 

「店長が前より逞しくなくなったからかな?」

「なんだよ。昔よりは逞しく...なかったなうん」

 

なんか自分で言ってて悲しくなってきたぞ。

 

「んっ、そろそろ閉店だな」

「そうだね。じゃあやってくるよ」

 

リズはそう言うと入り口の方から出ていく。暫くして戻って来鍵を閉めたのを確認して俺は立ち上がる。

 

「じゃあ、戻ろうか」

「うん。ウェル達も今ガレージに着いたってさ」

 

そうか、なら夕飯を作らなきゃだな。俺はそうリズに返して店内を後にした。

 

 

「あっ店長。丁度ですね」

「ウェル。お帰り良いのあったか?」

 

プライベートエリアに入ると、上機嫌なウェルが居た。俺が近付くとこちらを見て声を掛けてきたので質問をすると彼女は終始ニコニコ顔で頷いた。珍しいなここまで上機嫌なウェルを見るのは。

 

「あの二人から今回の代金は頂いたので、良いのが買えましたよ」

「それは良かったな」

 

まぁこの分だとそこまで続く感じじゃないな。良かったと安心していると、奥からヒトヨとテンコが歩いてきた。

 

「あっ二人共、夕飯出来ましたよ!」

「ええ。冷めないうちに来てくださいね」

「おう、分かった直ぐに向かうよ」

 

二人に俺は返事をすると、お手洗いに向かう事にした。ウェルはどうやら、茶器を置き場に置いてから来ると言っていたので別れた。

それから、手洗いうがいをしたのち食卓に行くと、クー以外の奴は談笑して待っていた。

 

「あれ?クーは?」

「彼女なら、貴方の後ろにいますよ?」

「えっ!?」

 

俺は慌てて振り向くと、少し意地悪い顔をしたクーが立っていた。

 

「ヒトヨさん!言わないでくださいよ!」

「だって早く食べたいんだもん」

 

クーは俺に自身の存在を教えたヒトヨにそう言ったが、ヒトヨの返事も理解しているのか直ぐに自分の席に座った。

 

「じゃあ、食べるか。おなか減ってそれどころじゃない奴いるみたいだし」

「だね。食い意地張ってる娘がいるみたいだからね」

「むぅ~自業自得とはいえ、お昼食べそびれたんですぅ」

 

まぁ弄るのはここまでにしてやるかぁ~俺はそう思い手を合わせた。

 

「いただきます」

「「「「「いただきます!」」」」」

 

そう言って各自食べ始める。今日はサラダに、唐揚げにパンかご飯かと言った感じである。ってもう唐揚げ無くなってきた!?

 

「ヒトヨ!食いすぎだぞ!?」

「ふぇ!?ふぁはふはふ!」

 

くそっなんて言っているか分からねぇ!?まぁこうなったら早いもん勝ちか!

この後いつもより皆の食べるスピードがいつもより速くなったのは言うまでもないだろう。




仕事中に何やってんねん店長!

次回も仕事回かな。

この頃ほのぼのとは何かを考えながら執筆しております。

感想・評価お待ちしております。作者の励み及び執筆速度の上昇につながります。

では、また次回お会いしましょう!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十八話:喧嘩するほど仲が良い

この頃話のタイトルが思いつかなくて悩む場面が増えてきました。どーしよ?

今回もほのぼの店番?

では、まったりしていってね!




今日も今日とて店番な毎日である。今日のメンバーはヒトヨとテンコと俺の三人でやっております。他の面々は今日は雨なので共用エリアに作ったソファーでお茶会でもやっている事だろう。良いなぁ俺も混ざりたい。

 

「こんな日に来る奴なんていないだろ?」

「ですね」

 

俺の一人事に後ろのメンテ室との扉が開き中からテンコが出てきて同意した。

 

「テンコがこっちに来るなんて、珍しい事もありますね」

「まぁ、今日の天気に弾を作る気にならなかっただけですよ」

 

あぁ、弾丸は確かに湿度が結構重要だもんな。俺は内心納得しつつ店の入り口の方をボケーと見ていると誰かが近付いてきた。次の瞬間入り口が開かれる。

 

「坊や。ステッカー入荷できたかしら?って昨日と同じ感じじゃない...」

「「「いらっしゃいませ」」」

 

直ぐに姿勢を正したが、どうやら見えて居た様だ。でもここは誤魔化そう。

 

「そんな事無いよ。ステッカーはそっちにありますよ」

「あら。結構増やしたのね...これはラクダ?」

 

あぁ、貴女もどこぞやの彼と同じですか?と思ったがどうにか口には出さずそのまま特にすることもないので、カウンターに突っ伏して暫くグテーとしていたら、ステッカーが目の前に置かれた。

 

「ほら、店長?お会計」

「...はいよ。こちらのステッカーは500クレジットです....?」

 

そのステッカーのがらを見て少し気になった。後ろ向きに機関砲を備え付けられた馬車のデフォルメのシールであった。

 

「これは。タチャンカのデフォルメよ。まぁその顔的に何でって言う感じね?」

 

ニーアさんの言葉に俺は頷いた。すると彼女はクレジットを渡してきた。俺はそれをレジに通してレシートを渡した。彼女はそれを受け取るとそのまま、出口に向かって歩いて行く。って答えないのか!?

 

「ちょっ!」

「坊やには何時か言うと気が来るかもね?じゃあまた来るわね」

「「「またのお越しをお待ちしております」」」

 

俺が静止の声を上げようとしたら、その言葉に重ねてニーアさんは言いたいだけいって店を後にした。急いで挨拶だけした。

 

「ふむ...まぁソ連つながりか何かかな?」

「それはそうと店長。そろそろ一番書き入れ時ですね」

 

テンコがそう言うが、店内はまた俺達しか居ない。

 

「まさか、俺に客引きしろと?」

「いえいえ、こんなに忙しくない昼時って久々ですね」

 

俺は昨日もこんな感じだったけどな。そう言い返すとテンコはそうだったのですかと言った。

 

「あっ店長。またお客様みたいですよ?」

 

ヒトヨがそう言ったので、また入り口を見ると丁度二人の少女が入ってきた。片方は黒のワンピースに長い金髪をツインテールでまとめて折り返しした髪型の女の子でもう片方は水色と白のワンピースに金髪のストレートの女の子であった。

 

「「「いらっしゃいませ」」」

「邪魔するわ!」

「お邪魔します」

 

それは私服を来たアルヴィンの司令部のヴィーフリとスオミであった。って何で仲が悪い二人が揃って来ているんだ?まさか喧嘩するほど仲が良いと言った感じなのか?考えていることが顔に出ていたのか、ヴィーフリワザとらしく溜息を吐いた。

 

「いやね、私とワザと合わせただけだよ。このおばさんがね?」

「貴方は今日外出しないって言ってましたよね?」

 

おおういきなりか?先に要件を聞きたいのだけど。どうしましょう

 

「要件は何ですか二人共」

「私は、銃の整備ね」

 

先に答え持っていたガンケースをカウンターに置き開く。そこには彼女の分身でもある3MPが丁寧に置いてあった。

 

「失礼してと」

 

持ち上げ弾倉を抜いて薬室に弾が入ってないことを確認したのちに構えを取る。そして色々な方向から銃を見る。うん特に何かがあるようには見えないな。これなら特に難しい作業をすることもなさそうだ。そんな事を思っていると、スオミもガンケースをヴィーフリのガンケースの上に勢いよく置く。

 

「店長。こちらもよろしくお願いします」

「随分とわざとらしいね、おばあちゃん?」

 

ヴィーフリがそう言うとスオミはわざとらしく困った顔をした後に周囲を見渡す。

 

「おばあちゃん?何処に要るのでしょうか?」

「耳まで遠くなっちゃった?聴覚モジュール交換してもらえば?」

 

そう言い合い、睨み合いを始める二人。テンコもヒトヨも少しそわそわしている。でもあまり悪意が感じられないんだよな。

 

「はいはい、同時にパパっとやっちゃうから少しは仲良くしなよ?わざとらし過ぎる」

「「っ」」

 

俺は一度3MPをカウンターの空いてる部分に置き、スオミが置いたガンケースを開けた。そこに入っているkp-31を取り出して確認を始める。こっちも大切に使っては要るね。まぁこっちも持っていっちゃおう。

 

「じゃあ二人とも、仲良くまっててね?」

「「は、はいっ」」

 

俺はテンコを連れてメンテ室へと向かっていく。ヒトヨならあの二人と一緒にいても大丈夫だろ。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

店長がテンコを連れてメンテ室へ入ってドアが閉まったと同時に2つのホッとした吐息が聞こえた。私がそちらを見ると少し顔が青ざめているスオミとヴィーフリの姿が立っていた。

 

「少しやり過ぎましたね」

「あはは、そだね」

 

スオミの一言にヴィーフリは同意した後に、こちらを向いた。

 

「ごめんねヒトヨ。ちょっと熱くなっちゃったよ」

「斬新な遊びですね?」

 

さっきまでのピリピリしていた雰囲気は何処へ行ったのかヴィーフリとスオミは話始める。

 

「そう言えば、何で急に今日ここに?」

「あんた、人見知りでしょ?少し心配したのよ」

 

そうじゃなくても、戦闘時は目付き何時もより悪いんだからと続けるヴィーフリ。それに対してスオミは少し顔を赤くした。

 

「別にそこまでじゃないですよ!店長相手なら大丈夫です!!」

「別のお客さんがいたらどうするのよ?諦めるの?」

「っ!」

 

スオミが目に見えて固まりました。これは図星見たいですね。

 

「そう言えば、何で店長の前であんな事を?」

 

少し思ったことを聞いたら、彼女達は少し悩んでから話を始めた。

 

「ご存知かと思いますが、元々私はソ連製の銃を持った人形を見ると突っ掛かなきゃという衝動に駆られるんです」

 

確かにそうだったね。私が頷くのを確認したスオミは話を続ける。

 

「しかし、その後ある作戦にてヴィーフリと私は敵に包囲されてしまったことがあるんです」

「その時に色々とあってね....そこから言い合いはよくあるけど、仲良く?なったのよ」

 

スオミの後をヴィーフリが少し焦った様子で続ける。何か隠したいのかな?そう思って首をかしげるとニヤリと笑ったスオミが

 

「その時、そこにいる○ッチは被弾して殆ど動けなくなってたんですよ」

「それを言うな!後○ッチて言うなや、おばあちゃん」

 

相当恥ずかしなったのか顔を赤くして、スオミに言い返すヴィーフリ。成る程ねこういう関係もあるのか。私はそっと近くにあるコーヒーメーカーでコーヒーを3つ入れながら彼女達の言い合いを改めて聞く。

 

「成る程ですねぇ~」

 

これは仲良しですね♪っと最後に二人に伝えなきゃね。

 

「お二人さん」

「何ですか?」

 

二人が言い合いをそのまま遮る形で声を掛ける。すると同時にこちらを振り向いた。

 

「店長は怒ってませんよ。後でこの事を伝えれば機嫌良くなる筈ですよ♪」

「「っ!」」

 

あはっ、二人共仲良く顔を赤くしてますね~。そう思いつつ私はそのまま彼女達を見ながら店長を待つことにしました。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

よし、メンテが終わった。やっぱり流石戦術人形、そんなに悪くなってなかったな。そう思いつつ俺は席を立ち上がる。

 

「さて、じゃあ戻るか」

「店長。こちらも出来ました」

 

俺はテンコから渡されたマガジン受け取り、メンテ室を後にしようとしたら呼び止められた。

 

「何の為に?」

「あいつら、ある意味似た者同士だからかな」

 

 

俺はそう言って悩んでいるテンコを置いてメンテ室を後にした。

 

「お二人さん出来ましたよ」

 

そう言って店内に戻ると、雰囲気的にはほのぼのとしていた。ヴィーフリとスオミとヒトヨがコーヒーとクッキーを食べつつ談笑していた。

 

「っち!コーヒーの好みだけは、合うみたいですね」

「でも、コーヒーを1日に4回も5回も飲むなんて、どれだけよ?血液がコーヒーで出来てるんじゃないの?」

 

「そんなわけ無いでしょ?ウォッカの飲み過ぎで頭が行っちゃいましたか?」

「私はそんなに飲まないわよ、よく見てるでしょ?もう忘れたのおばあちゃん」

 

「ふふっ♪」

 

うん。これは談笑か?俺が立ち尽くしているとヒトヨがこちらに気が付いたのか、何時もの如く声をかけた。

 

「あっ、店長。お疲れ様です♪」

「おう。ほれ二人ともオーバーホールだけだぞ。特に変えた部品とかは無かったな」

 

俺はそう言って彼女達に銃を渡す。彼女達は手に取りその場で構えたりマガジンを差し込まずチャンバーを引いたりする。そして二人そろって目を見開いた。

 

「予想以上ね。お会計お願いするわ」

「はい、StGから聞いてましたがこれ程とは、早く撃ちたいですね」

「そう言ってくれると嬉しいね。お会計はそれぞれ4万かな」

 

 

そう言うと、彼女達はそれぞれクレジットカードを出してきたのでそれをレジに通す。スオミさんあなたはトリガーハッピーか何かかな?

 

「はい、ありがとうございます」

「お礼を言うのはこちらの方です。ありがとうございました」

「また、不調になったら来るわ」

 

そう言ってスオミとヴィーフリは出ていく。

 

「「またのお越しをお待ちしております」」

「じゃあ、帰ろうかな。おばあちゃん、肩を貸そうか?」

「ああ゛?野蛮な匂いが移るので以ての外ですよ。あとおばあちゃんじゃない」

 

うん。喧嘩するほど仲が良いとはこの事だね。俺はそう思いつつ彼女達を見送った。




所で、ドルフロは今日から大型イベントですね。
筆者の司令部は弱小なので今回追加される人形達を手に入れる事が出来なさそうです。

実はこのスオミとヴィーフリはスオミがソ連製の銃を見ると性格が変わる設定を知る前に筆者がこの二人を組ませていた事を元に生まれました。

キャラ崩壊待った無し.......うちのスオミとヴィーフリは口喧嘩するけど仲良い設定でこれからも参ります!

次回は、ちょっと変わった風なお話となります。

感想・評価お待ちしております。作者の励み及び執筆速度の上昇につながります。

では、また次回お会いしましょう!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十九話:異性に囲まれる者達

皆様、深層映写はどうでしょうか?筆者は3-4でつみました。

なので更新です←

今回は女性はあまり出て来ません(土下座)

ではまったりしていってね。


朝を起きると同時に溜息が出る。今日は休日だが、この頃誰かしらお目付け役がいる為になんか一人のんびりできないのだ。まぁそれのおかげで、体調が凄く良いので何も言えないよな。そんな事を思っていると、自身の通信端末からとある飛行隊の挿入歌の着信がした。俺は急いでそれを取る。

 

「もしもし」

「おう。起きれたか」

 

予想通りの渋い声。こいつに掛かってくるという事は、プライベートかぁ。俺は自分でも気が付く位、口角が上がった。

 

「どうした?またカラビーナさんと喧嘩したか?」

「んなわけねぇよ」

 

今日、飲むぞと彼は一言だけ伝えそのまま通信を切った。朝だからなのか、相方にバレそうになったのか。

 

「まぁ、後で分かるか」

 

俺はそう呟いて、急いで着替えた。ツナギではなく、戦闘服(真面目な恰好)でもなくラフな外出服である。そして、共用エリアに行く。まだ誰も出ていないようだ。

 

「丁度良かった」

 

食卓に置手紙を置いて、ガレージに向かいそのまま外に出る。

 

「さてと、じゃあ向かいますかね」

 

俺は街の方へと向かって足を向けた。

 

 

この街には、ニーアさんが経営するバー以外にもいくつかバーが存在する。その中でも最も厳ついマスターが経営する店へと俺は足を進めた。到着するとドアにはcloseと書かれている札が掛けられているがそれを無視して開ける。

 

「まだ、開店時間じゃねーぞ!...店長か」

「ども~マスター。おはようございます」

 

黒人でスキンヘッドのおっさんが大声で注意してくるが、俺の顔を見るとニヤッと笑い俺の挨拶に返事をした。

 

「おう、おはよう」

「どうも」

 

マスターはそのままカウンターの裏手に指を指す。そちらには個室が一個だけあるのだ。俺は頭を一回下げその個室に入る。

 

「いつもより速いな」

「まぁ、この頃体調が良いからね」

 

中に入ると、そこには飯を食べているアルヴィンが待っていた。因みにこの部屋は細長く出来ているので俺は彼の右隣に座る。さて俺も飯を食べたいな。

 

「マスター!」

「朝飯だろ?ほれっ」

 

マスターを呼ぶと彼は俺の目の前にプレートを置いた。中身はサンドイッチであった。

 

「ありがとう!」

「お前らしか居ねぇから、気にするな」

 

俺の感謝するとマスターは素っ気なく帰って行った。

 

「いただきます」

 

俺はとっとと飯を食べる。アルヴィンはまったりコーヒーを飲んでいた。

 

 

朝食を食べ終わるとアルヴィンは口を開いた。

 

「じゃあ、始めるか」

「まだ朝だよ?」

 

俺がそう突っ込むと彼は少し慌てた。

 

「酒じゃねぇよ。取り敢えず世間話だよ」

「あぁそっちか」

 

この前は朝から飲んだので今回もそうかと思ったが違ったようだ。世間話と言っても何かあるかな?

 

「そういや、通信急に切ったのはどうしたんだ?」

 

俺は聞こうと思っていた事を聞くと彼は頭を搔きながら

 

「いや、karにバレそうになってな」

「やっぱり」

 

予想通りだった。俺が頷いているとアルヴィンが今度は俺の番だといった感じで質問してきた。

 

「そっちの売り上げはどうよ?」

「右肩上がりだね。正直アイテムショップの域を超えそう」

 

俺が正直に答えると、彼は苦笑いをした。

 

「やっぱり、うちの依頼報酬か?」

「まぁね。でもそれのおかげで生活水準が上がったから満足だよ」

 

そいつは良かったとアルヴィンはにこやかに答えた。じゃあ次はこれだ。

 

「そっちはまだ男性職員居ないのか?」

「.....」

 

俺がそう聞くと彼は無言のまま机に突っ伏した。そして唸り始めた。

 

「そろそろ、後方幕僚を頼もうとして候補を探したんだが」

「たが?」

「全員女性だった」

 

oh.......それはまた。やっぱりメインが戦術人形だからなのか、女性が多い気がする。まぁここが前線じゃないからってのもあるのかもしれないな。

 

「まぁ気長に待つしかないな」

「だよなぁ~畜生っ!」

 

そう言って机を軽く叩くアルヴィン。俺はコーヒーを飲み切り、プレートを二つ持ってマスターの方へと向かった。

 

「マスター、ごちそうさまでした」

「おう。じゃあ次はつまみと飲み物だな」

 

マスターの言葉によろしくお願いしますと言って部屋に戻る。すると復帰した彼がこちらを見ていた。

 

「そっちは女性が増えてどうよ?」

「この前アルヴィンが言ってた意味が分かった気がする」

 

彼の質問にそう答えると、彼はテンションが上がった。

 

「だろぉ~?居づらくなるよな!」

「ん~?」

 

そうだろうか?そんなに気にならなかったな。俺は今朝丁度思っていたことを伝えると、信じられない物を見るよ目で見つめてきた。

 

「えぇ~お前それでも男か?」

「正真正銘の大和男児だぜ?今じゃ超が付くレア物だ」

 

俺がそう返すとそのまま彼は頭を悩ませてた。ブツブツと何かを呟いている。

 

「こいつの性格上、きっと彼女達はこいつの事...いや、野良だからそうなっていないのか?でも時間の問題な気も.....」

「お~い、大丈夫か?アルヴィン」

 

そこから暫く彼のブツブツタイムは続いた。それが終わった時彼は俺の肩を叩いてきた。

 

「刺されないようにな」

「はぁ...?誰にだよ?」

 

俺はそう答えた。偶にこいつは訳の分からない事を言ってくるな。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「店長って置き手紙していく事ってあるんですねぇ~」

 

昼御飯をヒトヨと食べていたら、ボソッと思い出したかのように呟く。

 

「まぁ、あの店長唯一の我が儘だからね」

「しかし、何処に行ってるんでしょーかね?私、今日の予定が無くなって暇ですよぉ」

 

そう言いつつも食べるスピードは変わらないんだね。まぁ私もだけどさ。

 

「まぁ、戦車も車も無くなって無かったから街の何処かだとは思うよ」

 

私がそう言うと、ヒトヨは驚いた顔でこちらを見た。

 

「えっ、リズさんも知らないんですか?」

「うん。まぁ悪い顔では帰ってこないから、放置してる」

 

そう言った所で昼御飯を食べ終えた。じゃあ戻らないとね。

 

「御馳走様、美味しかったよ。夕飯もよろしく」

「はーい」

 

そう言って私は共用エリアを後にした。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

昼飯もマスターに頼んで食べ、それからまた世間話を続けていると、店内の方が賑やかになってきた。

 

「じゃあ、そろそろ。やるか!」

「はぁアルヴィンあんまり飲まないでくれよ?あんた弱いんだからさ」

 

俺は一応そう言って釘を刺しておくが、まぁ聞かないだろうな。じゃあ頼むか!

 

「マスター!何時もの!」

「あいよ。ほれ持ってけ」

 

そう言って渡してきたのは、ウイスキーのボトル一本と日本酒の一升瓶が2つ。俺はウイスキーの方をアルヴィンに渡した。

 

「「乾杯」」

「ああ゛~生き返るぅ」

「ですなぁ~」

 

初めの一口、というか一気しやがったこの男。だから酔いが回るんだって。そう思いつつ俺もお猪口なので一気に煽る。喉にアルコールが通る感覚あぁ久々だな。

 

「まだ、カラビーナさんとは飲めてないの?」

「まぁ....な」

 

俺の質問にそう答えるアルヴィン。相変わらず指揮以外はチキンだな。っとこれはある意味俺もか。

 

「....にしても、店長は酒強いよな」

「そうかな?日本人って弱いらしいけど?」

 

まぁ、アルヴィンには勝ち越しているけどねと続けると、彼はうるせぇっと言った。そこからはまぁ、普段の人形達の好意が云々等々を聞きながら時間が過ぎていった。

 

 

「だからぁ~俺なんかがぁ....zzz」

「あちゃー、今日は疲れてたのか....ん?」

 

アルヴィンが潰れた。まだまだ飲みたりないなと思って一升瓶を見ると両方とも空になっていた。

 

「....さてと、マスター!」

「おう。もう来てるぜ」

 

マスターに声を掛けるともう来ている様であった。俺はもう一度部屋に戻りアルヴィンを無理やり立たせて部屋を出た。

 

「店長こんばわ」

「こんばんわ、カラビーナさん。はいこれ」

 

そこには予想通り私服姿のカラビーナさんが待っていた。俺は苦笑いしつつ彼女に彼を渡す。

 

「まったく、相変わらず私とは飲みたがらないと言うのに....」

「あはは....」

 

まぁ、コイツ酔うとネガティブになるからそれがバレたくないんだろうな。そう思いつつ俺はマスターにクレジットを渡す。

 

「ふっ、『また』奢りか?」

「まぁ...ね。じゃあまた」

 

俺は彼の看病を始めたカラビーナさんにバレない様にお会計を済ませ店を後にした。

 

「うぅ、まだ夜中は寒いか」

 

外に出ると、酒で体が火照っていたとしても冷え込んでいた。俺はジャケットを深く被り、帰宅する為に歩みをはじめた。

 

 

 




「うん。今回も酔いつぶれてないね」by???

はい、人形達の上に立っている二人の童貞君の集会でした←

次回は、またほのぼのにいく予定です。


感想・評価お待ちしております。作者の励み及び執筆速度の上昇につながります。

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三十話:風邪を引くと、弱気になる

UA5000記念です!これからもこの小説をよろしくお願いいたします!

アンケートありがとうございます!

今回はほのぼの?です!

ちょっと何時もより短め+最後にお知らせ?があります!

では、まったりしていってね!




今日は店は休みになった。突然どうしたと思うが、理由は簡単だ。俺が風を引いた。俺は気にするなと言ったんだが、リズ達が必要以上に事を大きくしちゃったのだ。

 

「はい、ただの熱風邪ね」

「どうも、ゴホッ!」

 

街にある小さな病院を経営しているお医者様がわざわざ店まで来て診察してくれた。結果は聞いての通りだ。

 

「にしても、貴方が風邪なんて珍しい事もあるものね?」

「まぁ、気が抜けたのかもしれないな」

 

俺がそう言うと、目の前のお医者様....黒髪長髪の日本人系の女性はニコニコしながら頭を撫でてきた。

 

「ちょっ...!」

「早く治りなさいよ?若」

 

おいっ、その呼び名は言うんじゃねぇよ。俺はそう思いついうっかりあのスイッチが入ってしまった。

 

「若じゃないですよ?椎名さん」

「はぁ...私をそう呼ぶのは、店長だけですよ?今はシオと呼んでくださいと何度言ったら」

「貴女が私の呼び名を直したら、そう呼んであげますよ」

 

そう言うと彼女はじゃあねと言い部屋を出ていった。畜生、相変わらずだなあの軍医はよ。そう思っているとリズ達が入室してきた。

 

「全員入ると凄い密度だな。大丈夫だって、少し気が抜けちゃっただけだから」

「そうだね。じゃあ、今日は看病をヒトヨに任せるね」

 

ん?まぁ看病が必要なほどじゃないけど、有難いので俺はありがとうと言うとヒトヨはニコッと笑った。リズは俺の反応を見た後、出口の方に向かって歩いて行く。

 

「じゃあ、あんまり店長に負担をかけると良くないと思うから、退室するね」

「店長!何かあったらヒトヨさんに言ってくださいね!」

「早く良くなってください。キチンと寝るのですよ。あとはー」

「はいはい、そんなに言わなくても大丈夫ですよ。では店長、お大事に」

 

リズのを筆頭に次々と出ていく、その時に一言づつ言って俺の部屋から出ていった。出ていくのを確認すると、ヒトヨがこちらに近付いてきた。

 

「取り敢えず、これ飲み物です。起き上がれます?」

「おう、それくらいならな」

 

俺はそう言って、上半身を起こして彼女がくれた飲み物を飲む。スポーツドリンクか有難い。

 

「店長って、シオさんの事を知っているのですか?」

 

スポーツドリンクを飲み切ると同時にそう聞いてくるヒトヨ。

 

「それは、この街唯一のお医者様だからね。知っているよ」

「えっとそういう訳じゃなくて、実は聞こえていたんです」

 

その一言で彼女が質問してきた真意を理解した。俺のその反応で分かったのかヒトヨは背筋を伸ばしたのち口を開いた。

 

「店長。出来れば教えていただけないでしょうか。決して他言しません」

「.....分かったよ。まだだるいから寝転んでも良いか?」

 

俺はそう言うと彼女は頷いた。寝転ぶとヒトヨはダミーが持ってきた桶から濡れタオルを絞り俺のおでこに乗せた。冷たくて丁度いいな。

 

「じゃあ、話す。椎名....いやシオとはまぁ古い頃からの悪友かな」

「悪友ですか?」

 

彼女の言葉に頷く。まぁそれだけじゃないけど、今話す事じゃないよな。どうせ近いうちにリズ達に話す事になるしな。

 

「彼女の事は何処まで知ってる?」

「昔、どこかの軍の軍医をしていたと聞きましたねぇ」

 

あぁ、そこまで知っているなら、特に説明は必要ないな。

 

「まぁ、その頃に一度会ったんだよ。コホッ」

「成る程ですね~店長、いつかもっと詳しく教えて下さいね?」

 

ヒトヨは、そう言うと椅子を俺のベットの近くに置き座り俺の頭を撫で始めた。

 

「おっ、おいヒトヨ」

「良いですから、寝て早く元気になってください」

 

普段の人をからかう様な笑顔ではなく、慈愛に満ちた微笑みで俺を撫で続けるヒトヨ。ヤバッ少しずつだけど眠く....

 

「お休みなさい。店長」

 

その言葉を聞き、俺の意識は完全に闇のなかに消えていった。

 

ーーーーーーーーーー

 

「眠ったみたいですねぇ♪」

 

よかったよかった。じゃあ昼御飯の準備は....ダミーに任せてたね。じゃあタオルが温くなったらまた冷やしての繰り返しかな?

 

「にしても、よく寝てるなぁ」

 

さっきのシオの話しはまだ何か核心的な所は言って無かったし、これは待たなきゃ駄目かな。

 

「んー、ヒトヨ」

「店長?」

 

私が店長の汗を拭いたりしていると、急に声をかけられたので、そちらを見るが目が開いてないし、寝言かな?

 

「クー、それ、おれのぉ」

「……ふふっ♪」

 

一体どんな夢を見ているのかって思っちゃいますね。

 

「店長、早く良くなって構って下さいね」

 

ーきっと、皆待ってますからー

私はそう思いつつ彼の看病に専念していった。

 

ーーーーーーーーーー

 

 

あれからヒトヨに徹底的に甘やかされた翌日俺の体調は良くなったので、店は営業された。ただし今日はずっと仕事場に居ると風邪をぶり返しする可能性があるとの事でクーと一緒に入荷班をしている。

 

「では店長!行ってくるので、車頼みました!」

「あいよ、気を付けてな~」

 

はいっ!という元気な返事と共にクーは出ていく。

 

「はぁ....ん?」

 

通信端末からの通信?俺は何気なくそれを取った。

 

「はい、もしもし」

《若、ちょっと良いかしら?》

 

通信端末から聞こえて来たのは椎名の声であった。どうしたんだ?

 

「ちょっとなら、大丈夫かな?」

《良かったわ。..ここ周辺で嫌な動きがあるの》

 

なに?俺の寝惚けていた頭が急に覚めた。それを読み取ったのか、椎名は続ける。

 

《狙いは野良の戦術人形達、それを狙っているらしいわ》

「成る程な、で?アルヴィンにはこの事は?」

 

街中で起きているならあそこの指揮官にも伝えないとな。そう思い聞いてみると、既に伝えてあるとの事であった。

 

《じゃあ気を付けてね》

「おう」

 

何だろうこの胸騒ぎは、こんなのこの前の比じゃないな。俺がそう思っていると、無線機から緊急通信が送られて来た。

 

「どうした!?」

《店長!リズが!》

 

あぁ、何でこう言う時に限ってすぐに当たるんだろうな。俺は大体理解したので、その通信先のテンコに落ち着つく様に言って、俺はクーに直ぐに戻るように伝えた。

 

 




新キャラをしれっと出していくスタイル....!

今回は何気に難産でした。
次回は、店長が....!お見逃しなく!

感想・評価お待ちしております。作者の励み及び執筆速度の上昇につながります。

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三十一話:日本の鬼車長

今回は真面目回....1回で終わらせる予定です!

ちょいとグロ要素が入ってくるかも....?ご注意ください。

今回は店長がメインですので、人形の皆様の出番は少ないです。

では、ゆっくりしていってね!




俺は装甲車を凄いスピードを出して帰路を爆走している。それと同時に詳しい内容をテンコから詳しい内容を聞いた。

 

《リズが一人の時に大男が三人組で、襲われました》

「成程、人種は?」

《分かりませんが、日本人系ではないです》

 

そうか、なら特定は出来ないな。何はともあれ、急がないとな。

俺はテンコの報告をそこまでにして、ある所に電話をかける。暫くするとほのぼのとした女性の声が聞こえてきた。

 

《若?どうかしたの?》

「椎名。少し手伝ってくれませんか?」

 

俺の声音である程度分かったようで、店で待ってくれている様だ。あとは、クーにあれを頼むか

 

「クー店に付いたら、アルヴィンに救援を頼む」

「えっ?分かりましたが、何で?」

 

少し困惑しているクーに向かって、俺は続ける。

 

「対人形兵器を持った連中がこの街の中に居る。救援を求むってな。それだけ伝えてくれりゃ向こうが勝手に動いてくれる」

「....分かりました」

 

少し思うところがあるが了承してくれた様だ。そんな事を話しつつ車を走らせていると、店に着いた。

 

「ただいま」

「ただいま帰りました」

 

俺とクーが店内に入るとそのままそこには椎名とリズ以外の面々が戦闘準備をした状態で待機していた。

 

「椎名、それは二度と着ないんじゃ無かったのか?」

「そうですね。貴方からのお願いじゃあ着ない訳にはいかないわよ」

 

椎名はそう言って、右手に持っていたガンケースを俺に投げ渡してきた。それをカウンターに置き開けるとそこには、バラバラになっている部品が置いてあった。

 

「椎名これは...!」

「必要でしょ?」

 

彼女は不敵に笑いそう言ってきた。確かに必要ではあるけど何でここに存在しているんだ!?

 

「資金の足しにしろって言ったじゃないか?」

「えぇ、ですのでそれは『余り』ですよ」

 

なのでお返ししますと椎名は言った。

 

「ふ~ん?、見た感じ渡した時のままなんだが?」

「そうでしたか?」

 

あぁ、畜生。これがあったら、俺ら二人で事足りるな。でもウェル達を説得する時間が足りないよな。俺は椎名の方に視線を送った。すると彼女はまるでしょうがないなと言った感じに肩をすくめた。

 

「...じゃあ、行こうか」

「店長?行くとは?」

 

ウェルは、ガレージに向かって歩いて行く俺を呼び止める。何って決まってんだろ?

 

「リズを助けに行くぞ。行きたい奴はガレージについて来い。クーは先に閉店作業を頼む」

「あっ、はい!」

「て、店長!?」

 

俺は皆を置き去りにして、ガレージに向かう。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

ーリズを助けに行くぞ。行きたい奴はガレージについて来いー

店長がいつもより真面目に言ったその言葉はとても重かった。私が動けるようになったのは彼が店内からいなくなってからであった。テンコも同じ感じだった。クーは閉店作業しに行っている。ヒトヨは成程ですねぇ~と何時もと一緒であった。まさか知らないのは私とテンコだけ?

 

「ふふっ、彼のあの感じは初めてね?」

 

私達二人の反応を見て、笑いながらそう言ってきたのは、この街の医者であるシオであった。彼女は少し悩んだ後に、ヒトヨの方を向いた。

 

「ヒトヨはある程度わかっていた。この前の私と彼の話を聞いてたから、ある程度予測がついたのね」

「そうですねぇ、でも驚いてますよ。あの店長がって」

 

ヒトヨは少し驚いた感じに返していました。この前?あの風邪を引いた時でしょうか?

疑問が疑問を読んでいるので、聞いてみることにしました。今ならある程度教えてくれそうですので。

 

「シオ、貴女は一体....」

「そうね、多分これが終わったら店長から詳しく説明するとは思うから簡単に言うとね」

 

彼、ああ見えて元兵士よと続ける。その言葉を聞いたときヒトヨ以外の面々は目を見開きました。

 

「兵士だったら、銃火器の扱いは出来る筈ですよ?」

「だよねぇ~。私みたいに訓練を受けた人ならそうだろうね」

 

テンコの言葉に私とクーは頷くがシオは苦笑いを彼女自身の武器だろう89式を撫でながら答えた。訓練を受けてない?

 

「まぁ、そこはリズを助けてからかかしらね。私はそろそろガレージに行きたいんだけど...」

「なら、私に着いてきて下さい」

 

ヒトヨがシオを案内して行く。残されたのは私とテンコそして着々と何かを準備をしているクーの三人であった。

 

「クー、一体何を?」

「...はい、はい!よろしくお願いしますね!...さぁ、テンコさん、ウェルさん!助けにいきますよ!」

 

彼女はそう言うと、私達を引っ張ってガレージに向かおうとする。って力強いですね!?

 

「ー店長に質問攻めするのは、後にしましょうよ」

「「っ!?」」

 

そう言ったクーは何時もの元気な声音ではなく鋭く冷たかった。クーもどうやら先程のシオの言葉を聞いていた様だ。

 

「確かに必要な事をどんな過去があったか知りませんが、教えてくれなかったのは裏切られたとも思いますよ」

 

でもとクーは続ける。

 

「今店長はリズさんを全力で助けようとしているのは事実です。ならどちらを優先するか、決まってますよね?」

「ですね。とっとと店長を質問攻めしましょう」

 

テンコはそう返した。確かにそれの方が早そうですね。私も頷くと彼女はニコッと笑った。

 

「では、行きましょう!」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

俺は、ガレージの戦車の中に入って、先ずは椎名から返してもらった部品類を組み立て設置し、その後色々と機器を弄りながら、敵の所在地を探していた。そんなことをしていると、上からキャノピーをコンコンと鳴らす音が聞こえた。俺はキャノピーを開けるとそこには椎名本人が居た。

 

「どう?場所は掴めそう?」

「おう。もう粗方掴んだ。これから動きたいんだが...な?」

 

俺が動くのは今回は出来ない。戦車で人質の救出なんざ出来ないからだ。

 

「椎名。ちょっとそのバイクでG-38-5の方を爆走してくれないか?ヒトヨは椎名の護衛を頼む」

「分かりました!」

 

ヒトヨはそう言って、ダミーも連れていった。しかし椎名の方から返事が無かったので、そちらを見ると彼女はバイクを見て悩んでした。

 

「若。これ最悪壊しても良いのよね?」

「出来れば壊さんで、まぁ命大事にだ!」

 

そう言うと、彼女はニコッと笑った。その笑顔は普段の医者の顔では無かった。

 

「仕方がないね。『後輩』にどうやって彼と戦うか教えてあげるわね」

 

椎名はそうテンションを上げると、バイクを吹かしてそのままガレージを後にした。俺は直ぐに車内に戻り探りを始める。

 

「全周波数体の電波を検索」

 

正規軍等の周波数帯には問題なし、グリフィンの通信帯にも異常は無いな....ん?この周波数帯が何で確認出来るんだ?

 

「....見つけたぞ」

 

《おっいい所に、野良の戦術人形だぜ?》

《じゃあ、このジャミングツールで攻撃関係の...》

 

俺が聞いていたのはそこまでであった。直ぐに、ヒトヨに通信をする。

 

「ヒトヨ!椎名を連れて、直ぐに防衛体制を取れ!そこからは、椎名の指示を聞け!」

《っ!?了解!!》

「クー!対電波装備をして来い!」

《りょ、了解しました!》

 

やっぱり、戦術人形対策のジャマーを持ってやがったか!!俺は直ぐに戦車を起動させる。通常起動じゃ間に合わないか!?

 

「.....どうせ隠さないと決めましたからね。行きますよ『10式』」

 

あのクソ野郎共にこれ以上好き勝手やらせる訳にはいかない。私はAIを起動する。戦車をガレージから出して、直ぐに敵の上空の方に向ける。それと同時に今回付けていた小型のヘッドマウントディスプレイが起動する。

 

ーシステム緊急起動ー

ーモード選択....戦闘ー

ーおはようございます、車長。ご武運をー

 

「ええ。では、行きますよ。EMP弾装填!fire!!」

 

上空で爆発する。それと同時にここ一体の電子機器が起動停止する。効果時間は約数分。丁度いい所に、対電波装備をしてきたウェル達が何事かと言った感じに、ガレージから出てきた。

 

「さぁ、皆様?楽しいpartyの時間ですよ?」

「指揮官。命令を」

 

そう言ってきたのは、ウェルであった。私は指揮官にはなれないのだけれど、まぁ今回は良いですか。

 

「テンコとクーは、ヒトヨの対電波装備を持ってヒトヨ達の方へ、ウェルと私は本拠地に向かいます」

「「「了解!!」」」

 

ウェルに全力でそのまま対象の場所に向かってもらう。俺は少し違う方に向かっていた。理由は俺を狙う人間の部隊がいると、傍受した通信から聞こえたからである。

 

《よしっ、相手は気が付いて無いぞ!!歓迎してやれ!》

《たかが戦車如き、これで終わりだ!》

 

その言葉と同時に飛んでくるのは、無数の対戦車ミサイル。まぁ食らったら一溜りもないね。

 

「でも、そもそも来る物が分かっていたらどうかな?」

 

本当にこの頃のこういった輩は馬鹿ね。そもそも、私相手でこんなに無防備に進んでいるのだか警戒しないと♪

 

「あっ、そもそも私って有名人じゃ無いか」

 

そう思いつつ、私は特殊弾であるフレア弾を撃った。それによって、辺りに落っこち爆発するミサイル達、結構ゆれるな。

 

「まぁ、今の奴のおかげで、居場所は分かったら、反撃ね」

 

私は、HESHを撃たれた方の建物の下に数発ずつ撃つ。砲身が若干オーバーヒートするぐらいの速度だ。その建物は崩れ落ちた。

 

《グギャァ!?あ、足がぁ!》

 

悲鳴はさておき、リーターは何処かな?まぁ逆探知出来てますから場所は丸分かりである。先回りした。

 

《なぁっ!?》

「じゃあ、バイバイ」

 

俺は通常弾を彼らの胴体に打ち込んだ。それと同時にはじけ飛ぶ彼らの体。私は何も思わず次の目的地へと、戦車を走らせた。

 

「ウェルの動きは、うん上手く入れているみたい....っ!?」

 

ヤバいな、ジャミングか!?ここまで強力だと不味いっ!!椎名の方は殲滅が終わったみたいだな。

 

「椎名!本拠地は任せた!ヒトヨ達は周辺の敵の排除を頼む!」

《はぁ、若は相変わらずね!了解!》

()()()()()》》

 

俺も本拠地へと向かう。

 

ー警告、制限時間。

 

何か聞こえた気がしたが、それよりもあの二人だよ!俺は敵の周波数の逆探知を始めた。その結果を、椎名に伝えつつ俺は向かう。

 

《若!そこから砲撃出来る!?》

「出来ますよ!」

 

正面玄関で騒ぎを起こせば、椎名が侵入できる!私はそこに向かってHE弾を数発ぶち込んだ。すると先程より酷い声が聞こえてくるが、そんな事より、奴らの本体の奴らは何処だ!?そう言って全てのチャンネルと聞いていくと一つ聞き覚えのある声が聞こえてきた

 

《....て!》

「っ!?」

 

それと同時に何かを破く音が聞こえる。コイツラナニヲヤッテヤルノ?

 

プツン

 

その瞬間私の中で切れてはいけない何かが音を立てて崩れ落ちた。

 

「椎名。往クヨ」

《っ!?若!?ちょっと!?》

 

私は椎名の静止の言葉を無視して10式に伝える。

 

「モード変更、destroyer」

[ok master. mode change destroyer]

 

それと同時に左下に表示された。

 

ー射撃安全距離制限解除ー

ー機動力安全装置解除ー

 

ー貴殿の幸運を祈るー

 

「始めましょう?」

[ok! Let's party!]

 

私は隣の建物を瓦礫の山にした。そして一度バックして目標位置を確認した。そして何かを始めようとしたクソ野郎の通信帯に通話した。

 

「私の仲間を返してもらいますね?」

《!?何処だ!?》

 

そう反応した物は無視して、俺は全速力で本拠地へと突っ込んだ。目的地の目の前にどうにか止まるそれと同時に空包を彼の上半身に撃った。

 

《戦車で何が出来ぃ!?グボハァ!?》

「空砲は至近距離で撃てば人殺すぐらい簡単ですよ。ってもう聞こえてませんよね?」

 

空包は確かに演習弾ではあるが、そもそも人に撃つ物ではない。そんな物を人にしかもほぼ至近距離で撃ったら、普通の演習弾なら死に至る。まぁそこら辺は魔改造してあるから吹き飛ばされる程度だろう。リズから離れたので、吹っ飛んだ男の前に戦車を走らせる。彼はピストルを撃つが、そんな物戦車には効かないよ?

 

「ねぇ、クソ野郎。勝負としましょうか?この戦車の体重を貴方が耐えれるか?」

 

そう言うと、何か叫んでいるが、もうどうやら通信機が壊れている様だ。どんどん近付いて行くと、違う方向から銃声が聞こえて、彼の頭に当たった。血しぶきは出ていない。

 

《車長、ストップです。目標は確保。それを殺す必要性無いわ》

 

だから、いい加減に帰ってきなさいと言葉が私の鼓膜を揺らすが、今ここでやっとかないとまた起きる可能性が

 

《店長。もう十分だよ。まだ服破られただけだから》

「......リズ?」

 

その言葉を聞いたと同時に、周りが良く見えるようになってきた。それと同時に様々な声が聞こえてきた。

 

《指揮官。こちらは終わりました。聞こえているか分かりませんが》

「ウェル?あ、あぁ...」

 

《おい、店長。戻ったか!?敵のリーダー格やっちまってないだろうな!?》

「アルヴィン?まだやってないよ」

 

じゃあ、武装解除をした状態で捕まえておけと言われた。俺はそこまで聞いて漸く頭が動き始めた。

 

「椎名、戦車の後ろにあるロープできつく捕まえろ!」

《もうやっているわ。って結構重症ね》

 

そう言って、応急処置もする。まぁ直当たりしてないから死んではいなかったようだ。

 

「また、やっちまったか」

《指揮官....いえ、もう店長ですかね?落ち着きましたか?》

 

その声がウェルであった、あれ?彼女の仕事は確か...と思い後ろを見るとそこにはこちらの戦車に向かって、手を振っているウェルとリズの姿があった。

 

《後で、説明よろしくね?》

《言い逃れはさせませんよ?》

「説明するさ。テンコ、こちらに警戒しつつ合流してくれ」

 

そう言って笑う彼女達の目は笑って居なかった。よし、椎名にも手伝ってもらおうかな?俺はそう思いつつそのまま10式に伝える。

 

「mode release」

[OK master. mode normal.]

 

さてと、これで後はアルヴィンの合流を待つとしますかね。俺はそう思い、肩の力を抜いた。




なんか店長が切れてしまった←まぁ大切に思っているから仕方がないかな?

突っ込みどころが多いと思いますが、どうか生暖かい目で見て下さい!

次回は説明回になります。ほのぼのにするつもりです。

誤字脱字の方ありましたらご一報お願いいたします。

感想・評価お待ちしております。作者の励み及び執筆速度の上昇につながります。

では、また次回お会いしましょう!

p.s
次回から更新スピードが更に遅くなりますが、よろしくお願いいたします!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三十二話:店長の過去

では、いい加減に店長の過去がリズ達に明らかに....!!

これからどうなって行くのでしょうか?

ではまったりしていってね!




あれから、事後処理に二日かかった。と言っても、アルヴィンと椎名の二名が主体となってやってくれたそうだ。だがまぁやり過ぎたせいで、街の人々には俺が戦車に戦術人形を従えている事が完全にバレてしまった。なので店の来店人数が減る事も考えていたのだが、これが何故が増えた。理由を聞いてみたら以下の通りだ。

 

「あぁ?だから何だ?正直お前さんの雰囲気的に自身が人形だと言われても別に驚かなかったぞ?」byお隣のおっさん

 

「別にそんな一面があっても気にしないわよ」by良く電子機器を壊すおばあちゃん

 

正直安心した。まぁこの街自体が野良の戦術人形が多い街だから、ある意味慣れているんだろうな。あぁそうだ因みにリズ達に自身の過去を話す事なんだが、少し待ってもらっている。理由はいくつかあり、一つは説明しやすいようにまとめる事で後は

 

「変えますね」

「イデッ⁉」

 

えー先の戦闘で、無茶な機動をした為にその負荷が自身の身体に直接来まして、今絶賛全身打撲に数か所骨にひびが入ってます。キチンと処置はしてあるので治りはするのだけどすごく痛い。

今は痣が酷い箇所の湿布をウェルに変えてもらっているのだが、正直張るときに触れられて凄く痛い。

 

「はぁ..そこまで無茶をするなんて、馬鹿ですか?」

「いっ!?その言葉は耳にタコが出来る位聞いたよ。でも後悔はしていない」

 

俺のこの程度の負傷でリズが救えたなら良いよ。そう続けるとウェルは溜息を吐いた。

 

「これが店長の隠していた一面の一つですか....」

「ん?今までも出してたぞ?」

 

そこまで、昔はサバサバしてたか?そんな事を思っていると、ウェルは頷いた。

 

「えぇ、昔は自身の身の安全はキチンと考えてましたから」

「アハハ、ソウダッケ?」

 

俺は左腕で頭を掻く。すると俺の部屋のドアが突然開いた。そこから入ってきたのはリズと椎名だった。

 

「あれ?検診か?」

 

質問をすると椎名はニコッと笑った。その目は笑っていない。えっなんか不味い事やったか?

 

「若、いい加減に逃げるのはダメですよ?傷ももう話す程度なら大丈夫だと言ったはずですよ」

「.....」

 

約束したのに、それを曖昧にしているチキンがいるみたいですよ~、俺だよちくせう。

 

「じゃあ、皆をリビングに」

「そうね、じゃあ若は私が連れていくから、ウェルとリズは先に行って準備をよろしくね」

 

椎名の頼み事に若干悩んだようだが、頷きそのまま部屋を後にするウェルとリズを見送った。ドアが完全にしまると同時に椎名が近付いてきた。

 

「さてと、どうやって話す気かしら?」

「まぁ、何時もの通りかな?」

 

 

そう言うと、椎名はそうねと言って俺を支えてくれた。さて、向かうか。俺はそう思いリビングに向かって歩き出した。

 

 

「じゃあ、ここに座って」

「あいあい。うおぉ」

 

リビングが一望できる場所に置かれた椅子に誘導されたので座ると、店員の皆様がこちらをジトっと見てきた。

 

「んんっ。じゃあ始めようか。椎名資料を皆に見せて」

「分かったわ。じゃあ皆さんこちらが若の本来のプロフィールですよ」

 

レア物ですよ、と椎名は続ける。近くの壁に自分のプロファイルが表示された。

 

 

ー店長のプロフィールー

 

氏名:片倉 将雅(かたくら ゆうが)

経歴;日本少年兵団 第一工兵部隊所属 メンテナンス員→操縦士→車長→部隊長

   ○○○○所属:メンテナンス員

   アイテムショップアクロス店長

 

身長:180cm

体重:75kg

年齢:25歳(推定)

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

これを見て全員は目を見開いていた。まぁ、ある程度バレていると思っていたけどそこまでじゃなかったのかな?

そう思っていると、リズが口を開いた。

 

「店長。色々聞きたいけど、先ずは部隊長だったんだ?」

「まぁ、何でおれが部隊長に抜擢されたのかは、分からないけどな」

 

リズの質問にそう答えると、次はウェルが質問してきた。

 

「という事は、指揮が出来るのでは?」

「まぁ...出来なくは無い」

 

そう来るよね。俺はチラッと椎名を見た。それだけで椎名は溜息を吐いた後話始めた。

 

「指揮は確かに上手いのだけど、酷い欠点があるのよ」

「酷い欠点....?」

 

椎名の言葉にウェルは首を傾げる。

 

「若は、攻勢目的の作戦指揮はド下手なのよ」

「「「「「はいっ?」」」」」

 

被った言葉を聞いて椎名は俺に確認してきた。

 

「そうよね?」

「うん。俺は元々守りが得意だからね。攻勢目的である程度出来るのは、この前みたいな救出作戦くらいだよ」

 

俺が詳しく言うと、ヒトヨがニヤッと笑いつつ聞いてきた。

 

「では店長は、防衛作戦と撤退作戦に関しては得意なのですか?」

「そうねぇ、普通に得意よ」

「...撤退作戦の方が得意かな?まぁそれに関しては、旧日本領での作戦の殆どがそれだったっていうのもあるな」

 

あぁ、あの時の記憶は今でも思い出すと震えが止まらないな。すると俺の肩に誰かが手を乗っけた。

 

「...椎名」

「彼が今まで指揮してこなかったのは、その頃一度だけほぼ壊滅した事があったからよ」

 

そう言った彼女の顔は後悔の色がはっきりと出ていた。まぁあの時の生き残りは俺達だけだったからな。

 

「じゃあ、出来る様になったのは、それをある程度乗り越えたから?」

「そうかな。まだ震えは出るけど、思考に問題は出なくなったね」

 

リズの質問に頷き答える。しかし、ウェルは何かを思い出したのかこちらを見た。

にしてもここまで結構かかったな。やっぱりトラウマってのは付いて回ってくるなぁ。

 

「それだけでは無いですよね?」

 

これだけの情報で気付いてくるか。俺は内心凄いなと思った。ウェルはそのまま続ける。

 

「貴方の指揮は、そもそも人間向けのでは無かったのでは無いですか?」

「....その通りだけど、何処情報だよ?」

 

俺の質問に彼女は少し考える後にこう答えた。

 

「そうですね、とある場所で貴方の情報を知っている方に会っただけですよ」

「そいつ、俺の事『若鬼』とか言ってなかったか?」

 

ウェルは頷いた。

 

「そうか、あいついつか会ったら〆る」

「若...まぁ自業自得ですね」

 

他に何か話してないかな?こんなもんな気がする。そう思い彼女達を今一度見ると、何かを考えている様子だった。

 

「こんな物だな。俺が隠していた事は、こんな物なんだけど。何か質問はあるか?」

 

俺が声掛けをしてみると、テンコが口を開いた。

 

「貴方は、これから如何するつもりですか?」

「?このまま、店を続けるつもりだよ」

 

そう答えると皆して顔を見合わせた。何だ?するとリズが俺を見てきた。

 

「じゃあ、別に今まで通りじゃん。悩んだだけ損だったね」

「へっ?」

 

俺の口から出てきたのはそんな言葉にもならない物であった。

 

「ですね。今までと何も特に変わりませんね」

「ですが無茶することが分かったので、今まで以上に見守らなければ」

 

テンコの言葉にウェルはそう返した。するとその会話を聞いていたヒトヨが何時ものテンションで割って入っていく。

 

「そうでねぇ~でも、いざという時に指揮してくれる方が居るのはありがたいですねぇ~?」

「んん?そんなもんか...?」

 

何かこれで俺は指揮官っぽく皆に思われると思っていたのである意味覚悟していたのだけど、そんな事も起こらずそのまま彼女達はこれからの守りについて話始めていた。

 

「ふふっ、相変わらずなのね」

「?なんだよ?椎名」

 

何かに気が付いた椎名にそう聞くと、彼女は少し悩んだ後に秘密と言ってきた。

 

「若。これからもほのぼの出来そうじゃない」

「そうかね?」

 

すると、椎名はそのまま出口の方に歩みを進めていく。リズ達もそれに気が付き椎名の方を見る。すると彼女は少しだけ振り向き

 

「じゃあ、店長に最後に一言だけ。守り抜きなさいよ?こんないい娘達そうそう居ないわ」

「おう」

 

その言葉を聞いて安心したのか、彼女はこれからも仲良くねと言ってこの場所を後にした。

 

「じゃあ、これからもよろしく」

 

俺は頬を掻きながら、そう言うと皆よろしくと返してくれた。




何かこれじゃない感があるゾ←

伝えきれなかったかもしれませんが、特に問題ないはずなのでこのまま行きます。(基本ほのぼのなので)

感想・評価お待ちしております。作者の励み及び執筆速度の上昇につながります。

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三十三話:変わらない日常

当分真面目回はやらないっ!(きっと、皆様それを望んでいる...!)

ほのぼのするのデス!

ではまったりしていってね!


隠し事を言った翌日。俺は相変わらず店番をしていた。

 

「「いらっしゃいませ」」

 

結構な数くるお客さんの対応を、クーと二人で捌いていると、新しいお客さんが来た。

 

「いらっしゃいませ」

 

俺は新しいお客さん、浴衣を来た黒髪の女性に挨拶をするとその人は

 

「店長。ここに包帯はあるかしら?」

「...!包帯ならそちらの棚にあります。シオさん」

 

私服姿の椎名であった。彼女はそのまま俺が示した場所に向かい、包帯を1ダース買って店を後にした。

 

「包帯が足らなかったのか?」

「店長!裏から商品の補充してきますので、終わるまで頑張って下さい!」

 

クーの言葉にあいよ!と答え俺は次のお客さんの対応に向かった。次は鍋?....まぁ、いくつかは売ってたか。

 

「5000クレジットです。はい丁度ですね。またよろしくお願いします!」

 

次のお客様!と呼ぶと次に並んでいたのは赤色の軍服を身に纏っている、俺と同い年位の男性であった。

 

「これと、あとこれを来週までに直して置いてほしい」

「はい、まずこちらは2000クレジットです」

 

そう言いつつ、出された物を見る。これはスコープだよな?

 

「失礼します。....分かりました。直しましょう」

「良かった。では、またくるぞ」

 

代金はその時にと言って店を後にした。次の人はと辺りを見回すとさっきの男性が最後であった。

 

「ありゃ、終わってたか」

「店長、お疲れ様です!」

 

一息吐くと商品の補充を終えたクーが労いの言葉をかけてきた。

 

「クーこそ、お疲れ様」

「そんなに重たい物を出したわけではないので大丈夫ですよ!」

 

そんなに重くない....?そんなはずないんだけど、まぁクーだからかな。無理やり納得して、何時ものカウンターの椅子に座る。

 

「まさか、2日開けて無かっただけでこれ程までに混むとは、予想もしてなかったよ」

「そうですか?そのわりには、今日仕入れ強化する為にわざわざウェルさんとリズさんに行って貰っているではないですか」

 

まぁ、そうなんだけどその予想を遥かに越えるんだよ。そう心の中で返していると、通信機から通信が入った。

 

『店長、買い出し終わったよ。今から帰るね』

「あいよー。気を付けて帰ってきてな」

 

リズの報告に俺はそう返して、通信を切った。時刻はまだ朝である。

 

「思った以上に有名になってきたね。この店」

「ですね~、たまに他の地域からわざわざ来てくれる常連さんも居ますからね」

 

そうだね。あぁそろそろ、戦車の部品等も品物に加えようかな?色々ここの街周辺には流れ着くし。俺なら整備して新品同様に出来るからな。

 

「店長。また、商品を増やすんですか?」

「バレたか」

 

そう返すと、少し上半身を小突かれた。

 

「戦車関係は重いので嫌ですよ?」

「....なんで分かった!?」

 

俺の言葉に頷くクー。本当に俺の思考回路って単純なのかな?

 

「ちぇー。そう言えば、この前の奴等から奪った電子機器とか銃火器とかを早く整備して、売り付けなきゃな」

 

そう。隣のPMCから、この話をしたら銃火器が欲しかったらしく。時間はゆっくりで良いので、良い銃が欲しいとの事だったので、チマチマやっている。明日にはヒトヨとクーに行かせるか。

そんな事思いつつボケーといていると、俺の膝に視線を感じた。

 

「何でも無いです」

「....ほれ」

 

俺が膝をポンポンと叩いたら暫く悩んだ後、背中を預け座ってきた。

 

「....頭撫でて下さい」

「はいはい」

 

そう言って頭を撫で始める。まぁ他にも客は居ないし大丈夫だな。クーの顔を見るとトロンとふやけていた。可愛い。

そう思い、そこからはクーが恥ずかしがっていたが、基本的にお得意様しかこなかったし、レジだけの仕事だったので、クーを座らせたまま接客をした。反応は上々であった。多分仲のいい兄弟とても見えたのだろう。

 

 

「休み時間にやりなよ。店長」

「リズじゃん。お疲れ様~」

「リズさん。お疲れ様ですぅ」

 

少しやり過ぎたかな?そう思い隣の空いていた椅子にクーを座らせると、元に戻った。

 

「うぅ....暫く外行きたくないです...」

「すまん、やり過ぎた」

 

いやぁ、クーが可愛いのがいけない。そう思っているとリズが俺を睨んで

 

「このロリコン」

「いやいや、ロリコンじゃねーよ!?」

 

傍から見るとそう思われてもしょうがないか。そう思っていると、ウェルが入ってきた。

 

「どうやら、店長とクーは仲の良い兄弟的な噂程度で済みそうですよ」

「相変わらず、情報収集速いっすね」

 

ウェルの言葉にそう突っ込むと、彼女は趣味ですからと言ってプライベートエリアに入っていった。リズはそのまま何時もの席に座った。じゃあ俺はメンテ室に向かうとしますかね。

 

「じゃあ、リズ...」

「うん。行ってらっしゃい。やり過ぎないようにね?」

「お、おう」

 

メンテ室に行ってくると言おうとしたら、返事を先回りされた。俺は少し戸惑いつつメンテ室に入っていった。

 

 

メンテ室にて、スコープを直してから直ぐに店内に戻ると丁度昼時の混雑が始まっており、その手伝いをしてお客さんを捌いていく。うちに来る人のメインは電子機器の買い物客が殆どであるが、偶に日用品を買いに来る人もいる。

 

「漸く一息付けそうだな」

「ですね」

 

クーと俺はそう言いつつカウンターに頭を乗っける。リズは本を取り出し読み始める。

 

「でも、まだ来るよ」

「だね。あの酒飲み人形が来るはず」

 

そう噂をしていると、入り口が開いた。そこに立っていたのは、グレーの軍服を身に纏った金髪ボブカットの女性であった。

 

「「「いらっしゃいませ。こちらにありますよ」」」

 

そう言って、俺達はカウンターの端に置いてあるビールの入ったダンボールをしめす。すると彼女...G43じゃ凄いスピードで近付く。因みに実はほぼ毎日彼女はここに酒を買いに来る。

 

「二日全く飲めなかった...やっと飲める。お駄賃は?」

「これだけの量なので、1万はかかりますよ?」

 

すると彼女はスッとクレジットを出してきた。本当に好きなんだな~。そう思っていると、いそいそとG43は店を出ていった。それから暫くすると血相を変えたカラビーナさんが入店してきた。

 

「いらっしゃ..どうかしましたか?カラビーナさん」

「店長!ここに、43は来ませんでしたか?」

 

おや、これは何か面白い事が起きてそうですな。そう思っていると、リズがシレっと

 

「ここには来てないよ」

「ありがとうございます。では来たら、彼女にビールを売らないで下さい。では今度はまた整備できますわ」

「了解しました!」

 

クーがそう言いうとカラビーナさんは店を後にした。また俺が口を挟む前に終わってしまった。

 

「大事な常連さんを手放せないでしょ?」

「ですです!」

 

そう言う二人の顔はニヤニヤしている。

 

「やれやれ...何時からこうなっていたのか」

「そう言う店長も内心そう思ってるでしょ」

 

そりゃ...ねぇ。俺は小さく頷いた。すると二人はやっぱりと言った。

 

「G43、頑張って逃げ切ってくれよ。連帯責任で説教は嫌だからな」

「だね。karの説教は長いもんね」

「ですね」

 

彼女が無事に逃げ切る事を祈りつつ、午後は過ぎていった。




アイテムショップとしての日常メイン回でした!

暫くはこんな感じにほのぼのと、してまいります。

では次回お会いしましょう!

感想・評価お待ちしております。作者の励み及び執筆速度の上昇につながります。

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三十四話:たまには皆でほのぼのと 

この頃書く気力が中々出来ません(誰かモチベーション上げる方法を教えてくださいっ)

今回はタイトル通り、ほのぼの回!

今日は何処に行くのでしょうかね?

ではまったりしていってね!


今日はこの頃色んな事が起きていたので、店を正式にお休みして少し前に景色を全員で見に行くことにした。

 

「いやー今日は良い天気で良かった」

「だね。これなら良い景色が見えそうです!」

 

俺は前回と同様にヒトヨのバイクに相乗りしている。確かにあれ以降結構な頻度で乗っているので、慣れはしたけどやはり少し怖いな。

 

「着きましたよ」

「よーし、じゃあ場所準備を始めますか」

 

今日は日射しが強いから、一応簡易タープテントを設置してその下にレジャーシートを敷く。因みに他の面々は飲み物等々を用意してから来るので、今はヒトヨと二人きりである。

 

「あぁ...これは暑くなるかね?」

「そうですねぇ~これは暑い紅茶はしんどいですか?店長」

 

だな~でも美味しいから飲むと思うよと返すと、ヒトヨはニコッと笑いそうですねぇ~と返してきた。

 

「ん。噂をすればリズの車の音だな」

「店長って、本当に耳良いですね?」

 

じゃないと、危険を察知出来ないだろ?そう思っていると車が見えてきたのでそちらに手を振る。車は直ぐにこちらの近くに止まり、中から5人出てきた。ん?五人?

 

「あれ?ニーアさんじゃないですか?」

「だな。何で?」

 

俺とヒトヨは意味が分からず首を傾げていると、リズがその様子と見て一言伝えてくる。

 

「途中であって、丁度いいから誘っただけだよ?」

「まぁ増える分にはいいかな?」

 

これは賑やかになりそうだなと思っていると、全員揃ったので、座る位置を決めることとなった。俺は適当に端っこの方に座ろうとするが、それを止めるように服が引っ張られた。

 

「ん?」

「店長。こっちに座ってくれませんか?」

 

その手はクーであった。彼女が指を指す方向を見るとまぁ中心の一角であった。俺は断ろうとしたら、クーは涙目になって、駄目ですか?と聞いてきたので根負けして胡坐をして座る。

 

「えいっ!」

「おおっと...」

 

ある意味予想通りに、クーが俺の足の上に座ってきた。これは撫でろという意味かな?と思い撫で始めると、正解だったようで、彼女は気持ち良さそうに目を細めた。

 

「ふふっ、こう見ると本当に兄弟みたいね」

「ですねぇ~」

 

正面には、食べ物の入ったバケットをもったニーアさんとヒトヨが座る。まぁ兄弟に見えているなら、問題が無いなと思っていると、両サイドに一人ずつ座ってきた。

 

「店長は、ただのロリコンだよ」

「だから、ロリコンちゃうって!?」

 

リズはいつになったら、俺をロリコンじゃないと認めてくれるのだろうか?そんなことを思っていると、左側からティーカップが差し出された。俺はいつも通りそれを受け取って一口飲む。うむ旨い。

 

「店長、その言葉はきっと今の状態では説得力皆無です」

「....うっ」

 

それもそうか、こう話している間も、頭を撫で続けているもんな。これなんか癖になりそう。

 

「そう言えば、坊や。前より壁が無くなったわね?」

「まぁ、そうですね」

 

ニーアさんは俺の返答を聞いて、良かったわと頷いた。そして少しニヤッとして

 

「という事は、あの時みたいな状態になったのね?」

「まぁ...あっ」

 

そう言えば、ニーアさんが一応ある程度知っている事は言ってなかった。俺はビクビクしつつ回りを見渡すと、普段通りの彼女達であった。

 

「それ位予想付くよ」

「さいですか」

 

何というかあの日から皆の対応が優しくなった気がするなぁ~と思っていると、今まで気持ち良さそうに撫でられていたクーが思い出したかのように口を開いた。

 

「そう言えば今まで聞いて無かったですけど、店長とウェルさんとリズさん、テンコさんって前のPMCからの仲なんですよね?」

 

その質問にほぼ同時に頷いた。すると少し興奮気味にクーは質問を続けた。

 

「何か面白い事無かったんですか?」

 

面白い事か...何かあったかな?と考えていると、リズが初めに口を開いた。

 

「そうだね。例えば、店長が初めの頃ARの娘達に緊張し過ぎて、コミュニケーション取れなかった話とか?」

「そんな事があったんですか?」

 

クーは首を傾げ俺に聞いてくる。

 

「おい、リズ。それは話さないでくれって言ったじゃん」

「そうだっけ?」

 

リズはそう言ってニヤニヤしつつ返してくる。いつもの事ながら覚えてますなぁ?少し小言を言わなきゃ気が済まないと口を開こうとしたが、その前にウェルが割り込んできた。

 

「それもありましたが、昔はよくテンコと喧嘩してましたよね」

「「あぁ、あったね」」

 

テンコと俺の声が重なる。完全に一致していた。

 

「何だっけ?確か、銃がまともに撃てない奴が整備出来るわけないとか言ってたな?」

 

俺はそうテンコに言うと、彼女は何時もより砕けた口調になり

 

「そう言う店長だって、たかが単発式の銃で銃撃戦とかまともに出来るわけないじゃんとか言ってた癖に」

「そうだったか?」

 

覚えが無いな。そう思って聞き返すと、テンコはこちらを睨みつけてきた。

 

「その後もあのPMCが無くなるまで色々してきたの、覚えてないの?」

「ん~?」

 

あぁ~、そう言えばなんか色々弄った記憶があるような...無いような?そう思っているとリズがニヤッとした。

 

「テンコは昔の話で特に店長絡みの話題になると、敬語消えるね」

「そうなんですねぇ~」

 

リズの言葉にヒトヨは感心したかの様に、隣にいるテンコを弄り始める。テンコは今更気が付いたのか顔を真っ赤にしてる。俺はふと視線を外に向ける。草原が風邪に揺れて良い感じである。

 

「そう言えば、坊や」

「何ですか?ニーアさん」

 

ニーアさんが改めて聞いてくるので何かと思ったら、彼女から衝撃的な事を言ってきた。

 

「そろそろもう一度、人間の指揮下に入ろうかと思うのよ」

「そうなんですか」

 

俺は内心凄く驚きつつも、そう返事した。すると彼女はニコッと笑った。

 

「大丈夫よ。古い友人と一緒に行くことにしたから、また何処かで会うかもね」

「寂しくなりますね」

 

となると、彼女のココアが飲めなくなるのか。なんか嫌だなと思いつつふとした疑問を投げかける事にした。

 

「その古い友人とは?」

「昔も今も変わらない硬さの女性よ?」

 

彼女はそう言うだけであった。まぁ、信頼できる仲間がいるなら一安心だ。

 

「そうですか、いつ頃出立ですか?」

 

ウェルの質問にニーアさんは少し悩んだ後に大体今月中と言った。あと一週間位か。

 

「じゃあ、近頃最後のココアのみに行きますね」

「ふふっ、それならここにあるわよ?」

 

そう言って、ニーアさんは一つの水筒を出してきた。受け取り匂いを嗅ぐとココアであった。

 

「レシピは、リズに教えておいたわ」

「ありがとうございます」

 

う~ん何か周りの雰囲気が少し可笑しい?そう思っていると俺の顔を見ていたリズが一言

 

「ニーアさんが来るのはうちだよ?」

「へっ?」

 

何故に!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次の次、またコラボ回をやります←

次はまだまだ続くほのぼの回です!

感想(コメント・意見等)・評価は筆者の執筆意欲に還元されます←
お気軽にしていってね!

また、コラボ等はご自由にお使いくださいっ(教えていただけたら、飛び上がって喜びます)

では、また次回お会いしましょう!






目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三十五話:何か携帯食料って好きになれない

今回も今回とてほのぼのと!

ちょっと今回は短めですスミマセン

ではまったりしていってね!


ニーアさんが何故がうちに来たいと思ったのか理由を聞いてみたら、何時ものようにはぐらかされてしまった。

それから、一週間位たった今日。彼女が来る日である。

 

「店長って、やっぱり優しいよね」

 

店内には今日の当番である、リズとウェルが一緒にいる。そんな中リズが急にそんなことを言ってきた。

 

「まぁ、人手が増えるのは嬉しい事だからね」

 

それに、ウェルが許可を出したのなら信用出来るよ。彼女の方を見ながらそう続けると、当の本人は少し顔を赤くした。

 

「急に面と向かっては恥ずかしいですよ...」

「そうか?」

 

別に前からちょくちょく言っていた事だから、別に問題ないものかと思っていたよ。こんな感じに話を続けていると、店のドアが控えめにノックされた。俺が開けようとしたら、リズが先にドアに向かい開けた。その先にはニーアさんがキャリーバックと共に入ってきた。

 

「ニーアさん、おはようございます。今日からよろしくお願いしますね」

 

俺が先にそう挨拶すると、ニーアさんは少し困った顔をしたのち彼女は右手を出しながら

 

「先を越されてしまったわね。坊...いいえ、店長。こちらこそ今日からよろしくお願いしますわ」

「仕事以外では、いつも通りで構いませんよ。ニーアさん」

 

握手しつつそう返すと、ニーアさんはそう?と聞き返した後

 

「なら、私の事もどうか呼び捨てでお願いしますね?店長」

 

と言ってきた。まぁ彼女がそう言うならそうしますか。

 

「分かったよ、ニーア」

「では、ニーアの部屋に案内しますね」

 

話がひと段落したのを見計らってウェルがニーアを呼ぶ。彼女は荷物を持ってプライベートエリアに消えていった。

 

「リズ。時間だね」

「そうだね」

 

じゃあ、開店しよか。

 

 

あれから、朝の仕事前にちょこっと寄って来ては掘り出し物を見たり買って行ったりする、常連さんを相手して昼間で少し暇になった。俺とリズは何時ものカウンターに設置した椅子に座っている。

 

「そう言えば、ニーアの担当決めたの?」

 

思い出したかの様に聞いてくるリズ。俺は頷きながら答える。

 

「基本的にニーアって、足腰が少し故障しているらしいのよ。まぁ戦闘にならなきゃ問題ないって言ってはいたけど」

「じゃあ、店番を頼むのかな?」

 

俺は頷いた。まぁそうすれば、ヒトヨとかウェルといった実は体を動かしたい娘達にクーと共に入荷系の手伝いを任せれるからね。これで大体ローテーションが組めるようになったかな?

 

「じゃあ、結構自由に組めるようになるね」

「まぁリズと俺はどっちか居なきゃならないのは変わらんがな」

 

俺の言葉に絶望したような顔をするリズ。だって一応貴女の肩書副店長だぜ?そう思っていると、それに気が付いたのか、頭を抱えた。

 

「あぁ~そう言えば、私副店長だった」

「基本的にあってないようなものだけど、俺が安心して店を任せれるのはリズだけだからな~」

「店長...でも」

 

そこから先は言わせないよ?俺は彼女に見えるように移動して、自身の口に人差し指をつける。

 

「それとこれは別問題だぜ?」

「店長」

 

はぁ。何で普段はあんなにも覚悟が決まっているのに、こうなるんだか?そう思いつつ俺は話を続けようとー

 

「ー店長。リズとイチャイチャしてないで、仕事して下さい?」

 

昼ご飯、PMC御用達のレーションにしますよ。と店内に響き渡る。その声がする方を見るとそこにはニーアへの説明が終わったのか、その手に紅茶セットが乗ったお盆を持っているウェルが立っていた。

 

「何時から?」

「ニーアの話になった時から」

 

初めからだよね。何で気配消しているの。リズもあの顔じゃあ気が付いていなかったみたいだし。

 

「店長とリズ程度ならバレずに紅茶を嗜む位は出来ますよ」

「「いや、どんだけ」」

 

ウェルがドヤ顔でそう言うが、どんだけこいつ紅茶好きなんだよ?あぁ生きるのに必要なのか。

 

「はい、店長と副店長の昼ご飯ですよ」

 

そう言って彼女がポケットから出してきたのは、銀色の包み紙に包まれた長細い物...PMC御用達レーション通称『配給』を渡された。

 

「えっ、これ?」

「はい。そうですが?」

 

えぇ、これ不味いのに....俺がそう思い、プライベートエリアに向かおうとするとウェルに止められる。

 

「嫌だって、止めたじゃん!ならギリギリセーフじゃん!」

「いいえ、ダウトです」

 

そう言って笑うウェル。うん目が笑ってないな。俺は諦めてこのレーションに口を付けた。

 

「「うげぇ....マッズ」」

 

そう言う言葉がお客さんが居ない店内に木霊した。

 

 

 

 




因みに、ウェルは結構裏で今日は働いていたのに、店内がまるで休日の様に過ごしていたからこんな事になったようです。

次回は、コラボ回です!
でも。今回はほのぼのとする予定ですっ!

感想(コメント・意見等)・評価は筆者の執筆意欲に還元されます←
お気軽にしていってね!

また、コラボ等はご自由にお使いくださいっ(教えていただけたら、飛び上がって喜びます)

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三十六話:※どんな人物にも息抜きは必要!!

さてさて、長らくお待たせ致しました!

今回もサマシュ様の「傭兵日記」とのコラボとなります!

ほのぼのデスゾ!

では、まったりしていってね!


ニーアが店員になってからとは言うものの、偶然ではあれど俺は店番をするより、外から来た依頼をこなしていた。依頼といっても、なぜか街の方のエアコンの修理なのだが。

 

「ああ゛~熱いぃ」

 

よしっ、これで整備終了っと....俺は直ぐに依頼主に終了報告をする。

 

「終わりました!確認お願いします!」

「おぉ!付いたぞ!ありがとうな!」

 

中から出てきたのは、街で商売をしているおっさんである。彼は封筒を渡してきた。

 

「これ、料金な。少し多めにしといたから何かそれで涼んでくれな!」

「ありがとうございます。では私は次があるので」

 

そう彼に告げて俺は次の場所にバイクを走らせる。因みに乗り方をヒトヨとウェルに教えて貰ったので、もうあの爆走に怯えないで済む。

 

「えーと、依頼は次でラストかな?」

 

そう一人で呟きながらタブレットをチラッと確認していると通信が入った。

 

《店長。ながら運転は御法度ではなかったかしら?》

「うぇ!?ニーア?」

 

リズじゃなくて、ニーアが通信してくるなんて珍しい。というか、何故気が付いた?俺は徐行させていたバイクを一旦日陰で停める。

 

《はぁ、鎌をかけて正解だったみたいね?》

「んんっ!で、何か用?タブレットの方には追加の仕事は無さそうだけど?」

 

無理やり話題を変えて話しかけると、ニーアは溜め息を吐いた後

 

《仕事が終わった後道草食べずに帰ってきてくれるかしら?》

「分かった。じゃあ急いで帰るよ」

 

 

それから、面倒事の予感を感じつつエアコンの整備をとっとと終わらせて、帰宅するとニーアとクーが出迎えてくれた。

 

「あっ!店長、お帰りなさいっ!」

「店長。思ったより速かったわね」

「ただいま。そりゃ、少し急いだからね」

 

二人に返事をしつつ、本題にはいる。

 

「で?その面倒事とは?」

「これなんだけどね」

 

そう言って彼女が渡してきたのは、一つの封筒であった。差出人を見ると、そこにはマーカス社長の名前が書かれていた。

 

「何で?」

 

そんなに秘匿情報でも書かれているのか?なんて変な想像をしつつ封筒を開くとA4サイズの紙が一枚出てきた。

 

「ー息抜きに付き合ってくれ?」

 

何だこれ?これ一言しか書かれてないし。これどうやって返事すりゃええんだ?俺が首を傾げていると覗き込んでいたクーが

 

「もしかして、こちらに来るのでしょうか?」

「それならいいけど、あの人にそんな暇あんのかな?」

 

「えっ、ジョン・マーカス!?まさか....!」

 

あの人社長さんだろ?かなり忙しいだろ?

 

「ですよね?私達とは比べ物にならない位大きな組織の長ですものね」

「一応、『武器庫』に電話入れれば良いのかな?」

 

「『武器庫』?!間違いないッ!?ちょ、ちょっと!!」

 

クーと話していると、かなり顔色を変えたニーアが俺の両肩を掴んできた。

 

「ニーアも流石に知ってるか?」

「いやっ知ってるも何も、坊やは何でそんなに冷静なのよっ」

 

ん?あぁ~そう言えばこの前『武器庫』の方々と会った時にはまだニーア居なかったか。俺は何やら色々戸惑っている彼女に今までの事を話した。すると、彼女は頭を抱え始めた。

 

「....坊やがただの小さなお店の店長じゃないのは、知ってたけど、まさかあの人と知り合いとわね」

「知り合いって言っても、正直あの後は特に何もやり取りしている訳じゃないけどね」

 

ニーアの呟きに、俺はそう答える。するとメンテ室から丁度出てきたテンコがこちらを見て

 

「店長。あれ以降『武器庫』ガンスミスの人達と良く意見交換していませんでしたか?」

「あぁ~まぁね」

 

でも、それはそれだろ?そう続けるとテンコは、まぁそうですねと言って、そのままプライベートエリアに入っていった。じゃあ、『武器庫』に連絡とるかと、俺はそのまま電話を取った時店の入り口が開いた。俺は一旦受話器を置き、振り返りながら挨拶をする。

 

「「「いらっしゃいませ....!?」」」

「久方ぶりだな。店長」

 

そこには、ジョン・マーカス社長その人がこの前とは違い、コンバットスーツ姿で立っていた。丁度良かった。と思いつつも先ずは何をしに来たのか聞かないとな。

 

「ご用件は何でしょうか?マーカス社長」

「おや?封筒は届いていないか?」

 

封筒という事は、これの事か?俺は先程開けたばかりの紙を見せながら確認することにした。

 

「封筒とはこれですか?」

「そうだ。それだな」

「これは一体どういった意味ですか?」

 

俺の質問に彼はそのままの意味だと言ってきた。えぇ?

 

「『息抜き』と言っても、どちらかと言うと仕事の方面が強いな」

 

そう言いつつ、彼は背中に背負っていたバックパックから何かを出した。それは資料集の物だった。それを二部こちらに渡してきた。

 

「依頼ですか?」

「そうだな。だがどちらかと言うと、この付近の祭りがあるだろう?その資料なのだ」

 

祭り?あぁ~確かにここから二つくらい更に僻地に確かに荒くれものだらけの地域があって、そこで祭りが開かれているのは知っているのだが?破壊でもするのか?そう思っていると、彼はふふっと笑った後

 

「何やら、難しい顔をしているが別に破壊しに行くのでは無くてな?この祭りに一緒に行かないか?」

 

....は?

何を言っているのか?この筋肉は?俺みたいなモヤシが言ったら荒くれものに有り金全部取られるにきまってるだろ!?俺がそう思っていると、彼はクー達の質問に答えていた。

 

「その、祭りではそちらの護衛はあるのですか?」

「いや、無いな。丁度全員依頼中でな」

 

「何で、店長なのかしら?」

「実は色々と誘いはしたんだが、皆忙しくてな」

 

ふむふむ、そりゃそうだろ?あそこの祭りは基本、賭けだったはず。そんな事を思っていると彼がこちらに顔を向けてきた。

 

「戦闘シミュレーター競技の競技者が2名余っていた様でな。どうだ?共にやらないか?」

「報酬金は半々なら行きましょう」

「「店長!?」」

 

マーカス社長がやると何か一回で殿堂入りしそうだな。そんな事を思いつつ俺はそう答えた。何かクー達が五月蠅いが気にしない気にしない。

 

「護衛はこちらで出しましょう」

「それは有難いな。では、当日の待ち合わせ場所はこの地点で頼む」

 

マーカス社長は、嬉しそうに一つ待ち合わせ場所の書かれた紙を渡して店を後にした。じゃあ、俺は店員の説得かな?そう思いつつ振り返るとそこには、顔は笑っているが目が笑って居ないクーとニーアが居た。

 

「「店長?」」

「良いじゃん!?別に楽しそうだしあそこの祭りに集まる奴ら程度なら、ウェルとはテンコに勝てる奴居ないだろうしっ!」

 

 

この後、どうにか説得は出来たのものの、ある条件が出されてしまった。




はい、随分とお久しぶりです。私は生きてますよっ!
書く暇が無かったので、投稿出来ませんでした。申し訳ございませんっ

次回は今回の続きとなります(一話に収めると長くなりそうだったので)

感想(コメント・意見等)・評価は筆者の執筆意欲に還元されます←
お気軽にしていってね!

また、コラボ等はご自由にお使いくださいっ(教えていただけたら、飛び上がって喜びます)

ではまた次回お会いしましょう!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三十七話:※仮想空間大戦!

前回に引き続き、サマシュ様の『傭兵日記』とのコラボ回ですっ!

ほのぼの+戦闘(仮想)にてお送りいたします!

では、ゆっくりしていってね!


祭りの早朝、待ち合わせ場所となっている場所にて俺はテンコと二人で待っていた。

 

「ここ、祭りの開催地まで少しあるよな?」

「待ち合わせ中のイザコザを減らす為でしょうね」

 

しかも、周りは廃ビルだし。...あっあそこ良い砲撃ポジションだ。そんな事を思っているとテンコの視線が鋭くなるのを感じた。

 

「店....いえユウ。車長モードになってますよ?」

「おっと、またなってたか。ごめんごめん」

 

因みに店長呼びだとばれる可能性あるので、一応呼び名を考えて貰った。すると無線機から声がした。

 

《ユウ指揮官。此方に走ってくる人影を確認しました》

「...へぇ?それは悪い冗談ですか、ウェルロッド?」

 

場所が場所なので、瞬時に切り替えて言う。と言うより、指揮官呼びすんなや。

 

《なら、私の事もウェルロッドと呼ばないで下さいね?ユウ》

「分かりましたよ。ウェル....テンコ、どうやらマーカス社長がもうすぐ着くみたいだぞ」

 

俺がウェルとの通信を切ってそう伝えると、その通信を聞いていたテンコは呆れ顔をしていた。

 

「ユウ。本当に変わりましたね」

「ありゃ、前の方が良かったか?」

 

俺がそう言うと、テンコは俺の上半身を小突いた。

 

「いえ、前言撤回です。前からあまり変わってません。オフだとこんな感じでしたね」

 

今日はオフだぞ?テンコ達は護衛頼んじゃったけど。そんな事を話しつつ待っていると、視界に人影が見えた。

 

「おはようございます。マーカス社長」

「おう、おはよう店長。流石にもう着いていたか」

 

おっとと、マーカス社長にもユウ呼びをして貰わないとな。

 

「マーカス社長。ここではユウと呼んで下さい」

「む?あぁ分かったよ。ユウ」

 

なら、私の事もマーカスと呼んでくれと言ってきた。

 

「なら、マーカスさんと」

「あぁ。それで良い。では行こうか!」

 

普段より少し元気がよいマーカス社長は、そう言って祭り会場に向かい歩き始めた。俺はテンコに目配せしてその後に付いて歩く。

 

「因みにマーカスさん。ここまで走って来たんですか?」

「いやいや流石に本社からじゃないさ、ちょいと会社のヘリを使って少し向こうの山の中間位からウォーミングアップがてら走って来たのさ」

 

....ウォーミングアップって、何だっけ?

チラッとテンコの方を見ると俺と同じく首を傾げた。うん。そうだよな?朝のウォーミングアップで10キロマラソンやる人が普通なわけないよな。

 

「流石ですね」

「これくらいなら、剣部隊の奴等なら出来るぞ?」

 

うん。実は昨日ウェルが『武器庫』特集なる本を買ってきたので何となく分かっている。

 

「この前、特集とか言うの見ましたよ?何というか凄かったですね」

「そうだろう?私自ら集めた精鋭達だからな!」

 

うん。でも一番驚いたのは戦車を持ち上げた貴方ですよと俺は心の中で突っ込みを入れた。

 

「っと、そろそろ着くな。所でふと思ったのだがもう一人は居るのか?」

 

あぁ、確かにテンコしか居ないように見えるよね。俺は頷く事で返した。

 

「そうか、ならば良いが」

 

マーカス社長はそう言って祭り会場の隅にある受付へと向かって歩いていく。

 

「次の方ご用件をどうぞ」

「此方にて仮想空間対戦の出場をするマーカスだが」

 

マーカス社長は受け付け嬢にそう言うと、彼女は直ぐ様タブレットにて確認してから口を開いた。

 

「マーカス様ですね。えーとお連れのそちらの女性が相方ですか?」

 

そう言ってテンコの方を見る受け付け嬢。おいっ俺は場違いってか!?するとマーカス社長はにこやかに否定した。

 

「彼女は違うさ。こっちの彼さ」

「そ、そうですか。では此方にニックネームをお願いします」

 

受け付け嬢は少し信じられないといった感じな顔をした後にタブレットを此方に向けた。そこには出場チームメンバーの欄が二つあり、一つにはマーカスとかかれており、もう一つの入力場所が空白になっていた。

 

「分かりました」

 

俺はそこに、ニックネームか...あっあれで良いや。俺は入力して受け付け嬢に返した。

 

「分かりました。では此方を持って書かれている時間になりましたらもう一度此方に来て下さい」

「分かった」

 

受け付け嬢の言葉に俺は頷きマーカス社長は返事をして受け付けを後にした。

 

「さて、時間までどうするか」

「どうしましょうか?」

 

祭りにある程度年取ったムキムキのおっさんとモヤシな俺が歩いてるのを想像した。うーん、俺が狙われる未来が見えるぞ。そんな事を考えているとマーカス社長は近くに出ていた屋台を見た。

 

「ユウ向こうの屋台で食べ歩きでもしようじゃないか!」

「あっハイ」

 

それからマーカス社長とテンコの三人で屋台を散策してタコスとか、何故かあった焼きおにぎり等を食べて一周した位で指定の時間となったので受付へと向かい、待機室に向かった。

 

「いよいよだな」

「そうですね」

 

待機室には、様々な人々が座っていた。マーカス社長と二人並んで座っていると、見るからにガラの悪い奴らが来た。

 

「おい、お前みたいな若モヤシが俺達に勝てるとでも思っているのかよっwww」

 

はぁ。確かに日本人系だから若く見えやすいのは分かっていたから特に驚く事ではない、がイラっとしたな。

 

「ふっ、こいつを甘く見ていると痛い目見るぞ?新兵共」

「っ!?」

 

挑発するのは勝手ですけど、マーカス社長。それするだけこちらが不利になるの分かって...やってそうだな~

俺はその後の展開が読めていたので、放置して開催を待った。

 

 

その後、無事に俺は仮想マシンを取り付け、競技を待っていた。どうやらこのVRの訓練は筋肉量等々を見てステータスが決まるようで、マーカス社長はほぼカンストしていたのだが俺のステータスは逆に最低値の方が多かった。

 

[ーでは第20回二人組バトルロワイアルの開催です!!!!]

 

その声と同時に今まで兵舎っぽい場所だったのが、急に開けた場所に変わった。場所は何か廃棄された工場であった。

 

「では、武具を探しするかユウ」

「そうですね。取り敢えずマーカスさんの武器を探しましょう」

 

どんなに、筋肉で全てをねじ伏せそうな人でもこれは良くも悪くの仮想空間だ。そこまで脳筋ではいけないのだろう。

それから二人で武器やら弾薬を確保したのだが、どうやらここはそんなに武装が無い場所の様だ。見つかったのはHK416とvector位だった。一人分のメイン・サブしか集まらなかった。

 

「本当に大丈夫なのか?お前は持たなくて」

「大丈夫です。その分投げ物があるので」

 

俺はマーカス社長を安心させるべく、手に持っている手榴弾を見せる。正直マジで俺の銃使用は下手過ぎるので良いのだ。それにー

 

「ーマーカスさん。ここの鉄板どけれますか?」

「ん?ここか?ほれ」

 

自身が装備している武装を一旦肩にかけて、片腕で重そうな鉄板をどけてくれたマーカス社長。すると中から俺の予想通りの代物が出てきた。

 

「...!これは!」

「....ふふふっ、予想通りですね」

 

俺はその部品単位にバラバラになったものを組み上げ、マーカス社長の足となったり拠点破壊をして優勝した。その結果があまりにも圧倒的過ぎた為に、そのまま殿堂入りを果たすこととなった。マーカス社長はどうやら良い息抜きになったようだが、俺は少しはしゃぎ過ぎたなと思った。

 

「今日は楽しかったぞ、ユウ..いや店長」

「いえいえ、こちらこそありがとうございました。マーカス社長」

 

あのまま集合場所まで帰ってきたと同時に少しスッキリとした顔つきになったマーカス社長。因みに優勝直後もスカウトされたが、丁寧にお断りしました。

 

「ではまた、何かあったらいつでも言ってくれ」

「あはは..そんな事が起きないように頑張りますよ」

 

そう言って、マーカス社長は走り去っていった。彼が見えなくなった頃にテンコが口を開いた。

 

「店長。お疲れ様です。どうやら結構楽しかったみたいですね」

「まぁね。偶にはいいかもしれない」

 

社長が強かったしねと続けると、テンコが少し口を開いた。

 

「賭けの方も上手く行ったみたいですよ?」

「えっ?」

 

なに、賭けしてたの?マジか。

そんなことを話しつつ俺達も帰宅した。




ウェル「ふふふっ、がっぽりですね」

店長は、何を組み上げたのでしょうかね?

マーカス社長は実は店長を守りながら高笑いをしていたそうな....

感想(コメント・意見等)・評価は筆者の執筆意欲に還元されます←
お気軽にしていってね!

また、コラボ等はご自由にお使いくださいっ(教えていただけたら、飛び上がって喜びます)

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三十八話:寒暖の差

ここ数日(約一週間)何をしてたかって?

スコアアタックダヨォ!(ギリギリクリア勢)

申し訳ございませんでしたっ(土下座)

まぁ、見てる人少なそうだしっべ、別に気にされてすらなさそうだけどネ!(震え声)

今回は凄く短いです。

では、まったりしていってね!


この頃の気温はおかしい....俺はそう思いつつ仕事をメンテ室にて行っていた。

 

「あぁ、何で急に5度も下がるんだぁ!?」

「無理だけはしないで下さいよ?」

 

ここ数日は、毎日大体平均5度の差がある日々が続いており、俺は確実に調子が悪かった。まぁ店員の皆様は特に問題が無さそうである。

テンコが若干心配そうに俺の作業を見ながら言ってくるが、無理はしてないよ。

 

「店長?副店長からそろそろ休めって言ってるわよ?」

「了解了解。これ終わらしたら休みますよー」

 

メンテ室の扉を開けて顔を覗かせたのはニーアであった。彼女の言葉を口半分に返して俺は作業に戻る。何をしているかって?そりゃ銃のアタッチメント修理さ。

 

「またリズに怒られても知りませんよ?」

「うっ」

 

流石にそれは嫌だな

 

 

「あっ、やっと出てきた」

「あいあい。キチンと出てきましたよ~」

 

俺が作業を一旦止めてメンテ室から出ると、店内のカウンターにはニーアとリズが暖かい何かを飲んでいた。

 

「店長の分もそこに置いてあるわよ」

「えっ?」

 

ニーアに言われて、俺は何時も座る席を見るとそこには90式戦車が描いてあるマグカップが置いてあった。匂いを嗅ぐとー

 

「....頂きます!」

 

俺は直ぐに座って、その飲み物を飲む。すると口の中にココアの香りと甘みが広がった。

 

「美味しいぃ♪」

「相変わらずニーアのココア飲むとスイッチ変わるね」

 

そりゃオフの時に飲んでたんだからそうなるだろ?俺はそう思いつつリズの方を見ると、彼女は軽く睨んで返してきた。何不機嫌になってんだ?

 

「ふふっ」

「ニーア?」

 

そして、ニーアの機嫌が少し良くなった?まぁ自身の作ったココアだったからか。俺はそう納得してココアを堪能した。

 

 

「今日は急ぎのお客様居ないな」

「そうだね。まぁ良い感じに休憩できるから良いじゃん」

 

ココアを飲みつつ、いつの間にか機嫌が直ったリズと会話しつつまったりと店番をしていると、俺の通信機から通信が来た。

 

《店長。今大丈夫ですか?》

「ん?ウェルか、どうした?」

 

通信先は今、アルヴィンの所に教官として出向いているウェルからだった。

 

《アルヴィンさんから、伝言です。ちょっと不味い事になったから近頃話し合いたいそうです》

「マジか。了解」

 

アルヴィンがウェルを通して言ってくるって事は、相当急ぎだな。

 

「ウェル、ならこの一週間の間にそっちに空いている日を教えてくれって言ってくれ。こっちは特にないからね」

《了解》

 

ウェルの短い返答を聞き俺は一旦通信を切った。リズはそのタイミングを見計らって話しかけてきた。

 

「店長。また面倒事?」

「あぁ、まぁ大体は予想付くけどな」

 

多分グリフィンの上の方にバレたんだろうな。

 

「如何するつもり?」

 

リズも同じ事を予想したのかそう聞いてくる。正直グリフィンの傘下には入りたくないなぁ。もう戦争なんざ嫌だよ。

 

「グリフィンの傘下に入るのは、絶対に嫌かな」

「だよね。色々不味い物持ってるものね?」

 

リズはそう言って、ニヤッと笑った。いや俺だけじゃなくて、お前ら自身もそうなんだけどね。

 

「...はぁ」

「頑張ってね?店長?」

 

俺が溜息を吐くと同時にかけられたリズの言葉を聞きつつ、俺は少し先の未来を考えて更に溜息を吐いたのであった。




実はもうすぐ、本作は終わるのです←

続きは、どうしようか悩み中です。

感想(コメント・意見等)・評価は筆者の執筆意欲に還元されます←
お気軽にしていってね!

また、コラボ等はご自由にお使いくださいっ(教えていただけたら、飛び上がって喜びます)

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三十九話:出張所

はい、漸く書けました。

そして、スランプ気味なのは変わらずなので少し短いです。

ではまったりして行ってね!


今日も今日とて、店番をしている。本日のメンバーは俺とニーアとヒトヨである。この三人になることは殆ど無いが、なると起こることが一つだけあるそれはー

 

「あぁ....暇だ」

「ですね~」

 

俺とヒトヨがだらけてしまうと言うことだ。お客さんが要るときは大丈夫なのだが、どうもこのメンバーになるとカフェの雰囲気になってしまいこうなるのだ。そんな状態をニーアが他の面々に伝えた為、この三人での店番は基本させないとの事であったが、今日はたまたまそうなった。

 

「やっぱりこうなるのねぇ~」

「無理やり止めないニーアがいけないっ」

「そうだーそうだー」

 

ヒトヨと顔を合わせた状態で二人してカウンターに突っ伏していると、プライベートエリアから出てきたニーアが困った顔をしつつ言ってきたので、二人して言う。まぁ普通に考えたら、気を抜かなきゃ良いんだけどなぁ~

 

「ニーアとヒトヨと一緒にいると、どうしても気を張ってらんないんだよな」

「そうですよねぇ~。私もそうですぅ~」

「本当にこの二人は...まぁ仕事になるとキチンとしているから私からは何も言わないわ」

 

ただ、ウェルとかリズに見られて説教受けても知らないわよ?と続ける。ん~それは嫌だな。俺とヒトヨはほぼ同時に突っ伏していた頭を上げた。よしっ居ないな。

 

「にしても、今日は少し来客者居ませんねぇ~」

「だな~」

「この店は、本当に昼過ぎるとぱったり人来なくなるわね?」

 

そうなのだ。まぁ多分午後のお仕事なんだろうなと勝手に思っている。

 

「別に経営的には特に問題ないしなぁ~」

「そうよねぇ~」

 

それに、少し昔だったら少し物騒な人達が結構頻繁にうちに来ていたのだが、この頃ここいらの治安は凄く良くなってるしなぁ。あぁ~何かこの頃銃のメンテナンスしてないなぁ~そうだ隣のおやっさんの所に行ってなんかないか聞いてこようかな?

 

「何か仕事を貰ってこようかな?」

「ですねぇ~じゃあ私が運転しますっ」

「えっ自分で運転するよ」

 

ヒトヨの運転を拒むと彼女は凄く泣きそうな顔になった。

 

「駄目ですか?」

「っ...あんまり飛ばさないでよ?」

 

その顔は卑怯だろ?そう思いつつ、俺とヒトヨはガレージに向かう。おっと忘れてた。

 

「ニーア。多分大丈夫だろうけど、もし何かあったら、商品より自身の身を優先してくれよ?」

「えぇ、分かったわ。それで何時頃帰ってくるのかしら?」

 

夕飯までには帰ってくるよとニーアには伝えて俺は店を後にした。

 

 

それから、やっぱり少し飛ばしているヒトヨの運転にて隣町まで来まして、PMCのおやっさんに許可を貰って出張所との事で待機していると、結構人間の傭兵さん達が自身の愛銃の整備をしに来てくれたのでかなり儲かった。ヒトヨが看板娘をやってくれていたからというのもあるだろうけどね。

 

「さてと、そろそろ帰ろうか」

「そうですね~」

 

そろそろ帰らないと、またヒトヨの爆走バイクに乗車する事になってしまう。俺はそう思いヒトヨに手伝ってもらいつつ片付けを手伝ってもらっていると、一つのバイクが近付いてきた。そこに乗っているのは茶髪のロングで前髪に若干赤のメッシュが入っている女性であった。戦術人形かな?

 

「あら、もうおしまいだったかしら?」

「そうですね。ね?店長?」

「ん?あ、あぁ」

 

目の前の彼女の持っている獲物を見て少し考えていると、ヒトヨが対応をしてくれていた。

 

「なら、致し方無いわ」

「あ、ちょっと待ってください!」

 

じゃあねと言って立ち去ろうとする彼女を俺は引き止める。

 

「隣町に用があるなら、この店を探してください。その愛銃。そろそろメンテナンス必須ですよ」

「っ!?...ありがとう」

 

彼女は少し目を見開いた後、バイクに乗って去って行く。

 

「じゃあ、帰るか」

「了解しました!」

 

ショットガンの戦術人形の野良なんて初めて見たな。俺はそんな事を思いつつ帰路についた。

 




本当に遅くなりました。

何だろう。全然ネタが降ってこなかったです。

感想(コメント・意見等)・評価は筆者の執筆意欲に還元されます←
お気軽にしていってね!

また、コラボ等はご自由にお使いくださいっ(教えていただけたら、飛び上がって喜びます)

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四十話:RF達の集い

お久しぶりです。

スランプを抜け出したはいいけれども、今度は各時間が無いという...はい頑張って執筆いたします。

今回はRFの集まりです。(しかも、短いです)

ではまったりしていってね。



夏が着実に近付いて来て、昼間は暑いがまだ朝は比較的に涼しくなる今日この頃。開店の札を出すために出入口に向かった俺が見たのは店前で此方に顔を向けて立っているカラビーナさんであった。

 

「おはようございます。店長」

「おはようございます。カラビーナさん」

 

開店時間にはなっていたので、彼女を店内に誘う。

 

「あっ!カラビーナさんおはようございます!」

「はい、おはようございます」

 

店内に入ると、今日の当番であるクーがカラビーナさんに挨拶をしていた。さてと、お仕事しますかね。

 

「カラビーナさん。今日はどんな用件で?」

「それは、またよろしくお願いしますわ」

 

そう言って渡してくるのは彼女の愛銃。俺は了解しましたと言ってメンテ室に体を向ける。

うん。軽く触った感じは毎度キチンと整備しているな。

 

「一時間位かかりますが、よろしいでしょうか?」

「えぇ。構いませんわ」

「ではお待ち下さい」

 

俺はそれだけ言って店内を後にした。

 

 

何時もの通りに、銃のメンテを終え店内に戻るとそこにはカラビーナさんとクーだけでなく、G43とヒトヨもカウンター付近で談笑していた。

 

「お待たせしましたー」

「お疲れ様です!店長!」

「ありがとうございますわ。.....何時もより速いですわね」

 

俺の声にまず反応したのはクーで、労いの言葉と共に近付いて来る。俺はクーの頭を一撫でしてから、カラビーナさんに愛銃を返す。すると持ち確認した後に凄く苦笑いをした。何故だ?

 

「そう言えば、カラビーナさん」

「何でしょう?」

 

俺は代金をカラビーナさんから貰いつつ、一つ気になったことを言うことにした。

 

「悩み事があるのなら、早めに解決する事をオススメしますよ?」

 

なんなら、相談役やりますよ?と続ける。するとカラビーナさんは目を見開いていた。他の面々も同じく目を見開いている。んー?これはもしかしてー

 

「ー余計なお世話でしたかね?なら今言ったのは忘れて下さい」

「え、ええ。分かりましたわ。所でどうして?」

 

あ、それも喋らなきゃ駄目ですかね?俺はそう思っているとヒトヨから速くと催促されてしまったので、口を開く。

 

「銃の癖が何か何時もと違ったからかな?」

「「「「はいっ?」」」」

 

何だ?皆してあり得ないものを見る目は?

 

「何か変なことでもあったか?」

「うん。店長、皆頭が理解を拒んでいるからもう一回詳しく教えてくれないかな?」

 

詳しく......詳しくか。

 

「んー、普段より機械部の磨耗が酷かったのと、あとは銃剣の使われようですかね?」

 

まぁ、あとは勘ですけどと続けるとクーが暫く頭を抱えた後に

 

「店長だからってことで納得しましょう」

「そうですわね。では店長また来ますわ」

「あ、はい。またのお越しをお待ちしております」

 

俺はカラビーナさんとG43を見送る。G43の手には何時も通りビールを持っていた。

 

「G43のやつ、カラビーナさんの前で大丈夫だったのか?」

「今日のところは、許されてましたよー」

 

俺の疑問にヒトヨが答えた。そっか。なら良かった。

 




あと十話で終わるのだろうか?(思った以上にかかりそうなので最後までお付き合いお願いしますっ!)

感想(コメント・意見等)・評価は筆者の執筆意欲に還元されます←
お気軽にしていってね!

また、コラボ等はご自由にお使いくださいっ(教えていただけたら、飛び上がって喜びます)


では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四十一話:七夕

さてと、間に合えぇ!?!?

書き始めたのは、7/7の22時頃、さぁ七夕が終わる前に投稿できるのかっ!?

ではまったりして行ってね!!!





朝起きてふとカレンダーを見る。今日はっと...

 

 

「今日は七夕か」

 

う~んそうなったら何かやりたいな。今は無き日本のイベントだもんな。

 

「笹は流石に無いからなぁ~まぁ何か別の物でも良いか」

 

俺は、朝食も取らずにちょっとある所に向かって歩いて行った。

 

 

目的地に装甲車を走らせつつ、リズ達には今日は休みにするとだけ伝えておいた。暫くすると研究所的なものが見えてきた。俺はその裏口に装甲車を止めた。そしてカメラの前に話しかける。

 

「ども~」

 

端から見ると変な青年に見えるだろうが、これには意味がキチンとある。手お降り始めて一分位達と、本来空くはずのない扉が開く。それと同時にスピーカーから少し若い少年の声がする。

 

[今度は何をたかりに来た?]

「笹に近い物ありますかねぇ?」

 

そう答えるとスピーカーの少年はこちらに聞こえるように吐いた溜息の後、奥に来いと言ってきた。それと同時にドアが閉まりだすので急いで運転席に戻り施設の中に入る。機械的な道を走る事一分程度、白衣姿の少年が待っていた。その後ろには一本の植物が...ってあれは

 

「相変わらず防御力の高い車両が好きなのか?」

「外はここと違って物騒だからな。それで?それは...?」

 

少年の質問に適当に返し、俺は本題に入った。まぁここの少年とはある時助けた事があり、それ以降たまに彼の研究のお零れ?的な物をこうやって譲ってもらっているのだ。

 

「あぁ、笹だ。繁殖には失敗したんだが、あっても処分するだけだからやるよ」

 

お前にとっては嬉しいだろ?そう続ける少年。

 

「それは有難い。では貰って行くよ」

「ああ。ではな」

 

別れの挨拶は凄く短いが、何時もの事なので特に気にせず俺は研究所を後にした。

 

 

 

「ただいま~」

「あ、お帰り」

 

研究所を後にした俺はまず店内に入ると若干不機嫌なリズが座っていた。何でだ?

 

「で?今日急に休みにした理由は?」

「あぁ、そりゃ今日が七夕だからね」

 

俺がそう言うと、彼女はあぁと納得した。

 

「でも笹なんてここら辺には無いよね?」

「おう。だからあるかもと思って、とある場所に行って来た」

 

リズの質問にそう答えると、彼女は何か諦めに似た顔つきになり何やらボソボソと呟いた。

 

「じゃあ、七夕祭りの準備しなきゃね」

「お、おう。笹なら店前に飾ろう」

 

了解と言ったリズは外に向かって歩き出した。まさか消えた俺を探しに皆出払ってた?今度から気を付けないとな。

 

 

それから、街中に散らばっていた面々に宣伝をお願いしたら、アルヴィンの所のオフの面々も来たり店も結局祭りの屋台を出す羽目になったが、まぁ繁盛した。

 

「そう言えば、ヒトヨは短冊書いたか?」

「書きましたよ~」

 

屋台を俺と一緒にやっていた、ヒトヨに短冊を書いたか聞いたら書いたと言っていた。何を書いたのかな?まぁそれは言いたくはないだろうし聞かないでおこう。

 

「店長は何か願い事書いたのですか?」

「ん?」

 

ヒトヨにそう聞かれたので、俺は答える。

 

「ん~商売繫盛。家内安全かな?」

「うわぁ~無難ですねぇ」

 

無難で何が悪いっ!?ならお前は何かいたんだよ?と問い返そうとしたら彼女はニコッと笑い

 

「私はですね~店長と結婚できますようにと願いましたよ~」

「...へっ?」

 

俺の考えていることがバレている事は何時もの事なので良いとして、今彼女は何て言った?俺が固まっているとヒトヨはふふっと笑った後に

 

「冗談ですよ~」

「っ!?だ、だよなっ!」

 

ふぅ、いきなりだったからかなり驚いたけど、良かった冗談か。

その様子を見たヒトヨは何かボソっと何か呟いたが、特に気にせず屋台の仕事の続きを始めた。

 

 

 

この日の売り上げはかなりの物となった。良かった良かった。

 

 

 

 

 




うん。急いで書いたので、まだまだ荒いですが、これにて終了ですっ!

感想(コメント・意見等)・評価は筆者の執筆意欲に還元されます←
お気軽にしていってね!

また、コラボ等はご自由にお使いくださいっ(教えていただけたら、飛び上がって喜びます)

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四十二話:紅茶不足=緊急事態!?

一週間ぶりです。更新遅くて申し訳ないですっ!

今回は標準的(本作比)な長さになっているはずです。

ではまったりして行ってね!




俺はリズとクーの三人にて店番をしていていると、昼のラッシュが終わったとこにウェルが帰ってきた。今日はオフのはずなのに珍しいな。

 

「....紅茶が足りません」

「「げっ」」

「?リズさん?店長?どうしたんですか?」

 

クーが一人不思議そうに首を傾げている。あぁ、そう言えば店員になってからは始めてか。

 

「えーとな。ウェルは紅茶が切れると性格が変わるんだよ」

「そうそう」

「どう変わるんですか?」

 

俺の言葉にリズが頷く。ウェルはこちらを軽く睨んではくるが、声には出してこない。クーは興味津々と言った感じに、詳しく聞いてくる。

 

「まぁ....暫くすれば嫌でも見れるよ」

「そうね。まぁウェルは自室にいた方が良いよ」

「えぇ。では失礼します」

 

リズの言葉に頷きウェルはプライベートエリアに入っていった。その姿を見ているとクーが心配そうにこちらを見てくる。

 

「ウェルさんとても顔色悪かったですけど、大丈夫ですか?」

「大丈夫大丈夫。暫くすると落ち着くから」

 

ウェルがあの顔するのは凄く珍しいから心配になるのも頷けるな。そう思っていると、来店を知らせる鈴が鳴る。

 

「「「いらっしゃいませ」」」

 

中に入ってきたのは、ヴィーフリであった。この時間に彼女が来るのは珍しいな。

 

「店長、リズ、クー、こんにちわ」

「ヴィーフリじゃん。珍しいね」

 

ヴィーフリの言葉に直ぐに返したのはリズであった。リズの質問にヴィーフリはシレっとサボリだと答えた。

 

「おいおい、大丈夫なのか?」

「大丈夫大丈夫。指揮官には遠回しに言ってあるから」

 

そうか、なら良いのか?まぁなら早めに返した方が良いかな?

 

「それで、要件は何でしょう?」

「あぁ...それはこれよ」

 

そう言って、彼女が見せてきたのは自身の下半身に装備されている、外骨格であった。これはX型の方か。でもぱっと見た感じは特に問題はなさそうだけど何だろう?

 

「特に問題はなさそうに感じますが?」

「そうなんだけど、何か動作が重い気がしてね」

 

ヴィーフリはそう言う。そこまで外骨格に関しては詳しくは無いけど見てみるか。

 

「じゃあ、ちょっと見てみますね」

「えぇ。よろしく頼むわ」

 

ヴィーフリから受け取った外骨格を持ちメンテ室に急いで入る。

 

 

メンテ室入るとそこには、自身の趣味兼仕事をやっているテンコが居た。

 

「今日オフだよね?何で居るのかな?」

「店長?それはX型外骨格ですね?珍しいですね」

 

俺が投げかけた質問を無視して、手に持っている外骨格の方を見てそう言ってくるテンコ。丁度いいし手伝ってもらうか。

 

「テンコ、これ調子悪いって言われてな。ちょっと手伝ってくれないか?」

「喜んで」

 

テンコはそう言うと自身の作業台を瞬く間に片付ける、その間に俺は自身の作業台の上に外骨格を置く。

 

「取り敢えずバラしますか?」

「そうだね。ざっくりバラすか」

 

そう答えるとテンコは腰の部分からバラし始めた。なら俺は足の先端の方からバラしてみるか。

 

 

あれから十分位ばらしていると、ある程度バラし終わった。ここまで特に異常はなかった。

 

「ん~特に異常無いな」

「そうですね」

 

パワーユニットにも特に異常ない、パワー伝達する骨格部品も....ん?

 

「テンコ、ここの隙間何か引っかかり無いか?」

「えっ?」

 

俺が言った箇所をテンコに触ってもらうが、そのまま首を傾げた。

 

「そうですか?特に私は感じないですが...」

「....ちょっと、この部品以外で組み上げといてくれる?」

 

テンコに組み立てを頼んで、俺は違和感を感じた部品をバラし始める。すると見つけた。

 

「見つけた」

 

俺はそう呟いて問題であった部品を新品に変えて組んで確認すると、さっきあった違和感が無くなった。

 

「よし、じゃあ全部組み上げよう」

「....そうですね」

 

テンコが一瞬何か言いたそうな顔をしていたが、直ぐに組み上げを始めてくれる。

 

 

原因らしき部分を直して、店内に戻ってきた俺は待っていたヴィーフリに外骨格を渡す。

 

「どうだ?」

「....凄いっ!無くなってるわ!」

 

どうやらあの部品で間違いなかったようだ。良かった。

 

「料金は?」

「まぁ5000クレジットかな?」

 

ヴィーフリは料金を直ぐに渡して店をルンルンと帰って行った。

 

「ふぅ...」

「店長お疲れ様です」

 

クーが労いの言葉を掛けてくれる。それに対してありがとうと言ってそのままカウンターへと突っ伏した。

 

「店長。寝ないでよ?」

「寝ないよ副店長」

 

リズにそう返して、俺は頭を突っ伏したまま入り口に目線を向けた。これ以降特に俺がメンテ室に入るような客が来ることは無く、今日の仕事は無事終わった。

 

 

閉店作業を終わらせてから、プライベートエリアの食卓に行くと、そこには夕飯の準備をしているニーアとヒトヨが居た。

 

「お帰りなさい、店長」

「ただいま、ニーア。所でウェルとはあった?」

 

そう言ってくるニーアに返事をしながら質問をすると、彼女は少し悩みながら答えた。

 

「そう言えば、昼間に自室に入ったきりね」

「じゃあ一応夕飯食べるか聞いてくるわ」

 

俺はそう言って、ウェルの部屋に向かう。そして彼女の部屋のドアにノックする。

 

「はい...」

「ウェル、夕飯いるか?」

 

何時もより声の張りが無いウェルにそう聞くと、暫くの沈黙の後に返事が返ってきた。

 

「今日は二人きりで食べたいです」

「...分かったよ、じゃあ待っててな」

 

そう言って俺は一旦食卓の方へと戻る。すると何やら御盆を二つ持ったヒトヨがこちらに向かってきた。

 

「店長、これどうぞ♪」

「聞いていたな?」

 

俺がそう言うと彼女は何も声に出さずにウインクだけしてキッチンの方に戻って行った。

 

「いってらっしゃい」

 

もう食卓に座っている、リズはそう言ってニヤニヤしてそう言ってくる。

 

「おうよ」

 

じゃあ、紅茶姫の所に向かいますかね。

 

 

ーーーーーー

夕飯を持ってきたぞとドアの前で言うとゆっくりとドアが開いたのでお邪魔することにした。

 

「店長...ありがとうございます」

「気にすんな」

 

準備したのだろう。部屋の中心に何も置かれていない机が用意されていた。俺はそこに二人分の夕飯の入った御盆を置く。そして用意してあった椅子に座る。

 

「まずは食べるか」

「ですね」

 

二人で黙々と夕飯を食べ始める。紅茶が切れてないとここで一つや二つ彼女から話が飛んでくるんだけど、今日はそれもなく15分程度で食べ終った。献立は、今では珍しくなった白米とハンバーグである。美味かった。

 

 

「そう言えば、茶葉は何時になったら手に入りそうなんだ?」

「それなんですが、4日は掛かるみたいです」

 

4日か...まぁこのご時世じゃ早い方かな?茶葉の入手時間の平均値なんて俺は知らないけどね。

 

「なら、4日は部屋に引きこもってるか?」

 

そう聞くと、直ぐにウェルは首を横に振った。

 

「他の皆さんに迷惑をかける訳にはいきませんから」

 

普通の仕事程度は出来ますと続けるウェル。ホントに生真面目なんだから。

 

「そんくらい気にすんな。4日位なら大丈夫だよ」

「そうでしょうか?」

 

その返事に頷く。

 

「では、そうします」

「まぁ非常事態の時は、頼むぞ」

 

言われるまでもないとウェルは答えた。じゃあ俺は食器を片付けしに行こうかな。そう思い立ち上がると同時にウェルに呼び止められた。

 

「店長」

「ん?如何した?」

 

俺はお盆を両手に持ちながら、聞くと少し顔を赤くしたウェルがこちらを見上げていた。

 

「今から寝るまでで良いので、その、添い寝してくれませんか?」

「...あいよ」

 

本当に紅茶が切れるととことん甘えてくるな。俺はそう思いつつ彼女が寝ているベットに腰掛け寝転ぶ。

 

「お休み」

「はい。おやすみなさい」

 

食器は明日かなと思いつつ俺は目を閉じた。




はい、今回はウェルの意外な一面でしたっ!
うちのウェルは紅茶が切れるとこうなるという事でよろしくお願いします!

感想(コメント・意見等)・評価は筆者の執筆意欲に還元されます←
お気軽にしていってね!

また、コラボ等はご自由にお使いくださいっ(教えていただけたら、飛び上がって喜びます)

では、次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四十三話:通りすがり

今回は比較的早く書き上げれた...?

新たにキャラが出ますっ!
そして、若干短いです。

では、まったりして行ってね!

誤字修正しました。


ウェルが紅茶不足状態になってから早3日。俺とリズ、それにテンコ以外は知らないウェルを、ヒトヨ達は特に何も気にせず普段通りに接してくれていた。俺とリズは今日も今日とて店番である。今日はそれに加えてニーアも店番である。何気にこの三人で店番するのは初めてだな。

 

「リズとニーアが居ると、俺の仕事ほぼなくね?」

「そうねぇ」

 

俺の呟きに肯定したニーアは売れた商品を並べている。今日は防雨グッズが売れに売れていた。在庫はまだ少しあるけどそろそろ売り切れの商品が出始めてくるな。そんなことを思っていると、レジの処理が終わったリズが会話に加わった。

 

「まぁ、良いんじゃない?別に仕事をサボっている訳じゃないし」

「そうだけど、何時もに比べて圧倒的に暇なんだよなぁ」

 

俺はそう言って、タブレット端末をカウンターに置く。俺が今日やっている仕事は、困っているお客様の話を伺ったりすることと、タブレット端末を使って質屋とのやり取りをしている位なものだ。

 

「これにウェルが店番に入ったら、店長の仕事無くなるわね」

「うっ」

 

確かにそうなのだ。普段はウェルに任せているからね。因みに明朝には紅茶の茶葉が着く。ウェルもこれで店番に出ても大丈夫になる。結局休まず、在庫の確認等の仕事はやっているからね、彼女。

 

 

団欒とまではいかないが、三人で話をしていると外にバイクの止まる音がした。暫くした後にドアが開く。

 

「「「いらっしゃいませ」」」

「ここで、武器の整備が出来ると聞いたのだけれど....あっ」

 

入ってきたのは、結構前に隣町で出張所したときに来てくれた茶髪に赤のメッシュが入った女性だった。しかし彼女はどうやらニーアの方を向いて目を見開いていた。対してニーアは何時もの通りの凛々しい顔...

 

「ニーアと知り合い?」

「そうねぇ~、私が店を辞めるときに来るか聞いた娘よ」

 

あぁ、そう言えばそんな事言っていたな。そんな事を思っていると彼女はそのままニーアの方に近付いて

 

「ニーア...」

「ねっ?直ぐ見つかるでしょ?イワナ」

「素直に直ぐにこれば良かったわ」

 

ニーアの言葉に溜息を一つ吐く彼女..イワナさん。何の話をしているのかが見えないのだが?あとこの人は苦労人な気がした。

 

「店長君。始めまして...は変ね。隣町ぶり」

「どうも、いらっしゃいませ。御用件を先に聞きましょうか」

 

俺がそう言うと、彼女は少し笑った。

 

「ニーアが言った通り、趣味一筋なのね」

「何か?」

 

まぁ確かに機械弄りが生き甲斐だけども、それに何か問題があるのだろうか?そう思い聞いてみるとイワナさんはいいえ何でもないわと言って自身の銃を取り出してカウンターに置いた。

 

「じゃあ、私の銃のメンテナンスをお願いするわ」

「了解しました。では少々お待ち下さい」

 

さてと、散弾銃は久々だな。そんな事を思いつつ俺はメンテ室に向かって歩いて行った。

流石は戦術人形が使っている銃、磨耗が少ないな。

 

「これなら内部清掃のみで良さそうだな」

 

じゃあ、パパっと終わらせようっと。

 

 

それから約二十分でメンテが終わったのでメンテ室を後にした。

 

「お待たせしました。終わりましたよ」

 

店内に戻ると、そこにはニーアのコーヒーを飲んでいるイワナさんが目を見開いてこちらを見ていた。あっまた何時ものかな?

 

「ここまでとは、予想以上ね」

 

イワナさんはそのまま自身の銃を持って確認を始める。暫く弄ると少し微笑んだ。

 

「まぁ上出来じゃない」

「ありがとうございます。では料金は9000クレジットです」

 

カードでと言われたので、カードで支払いをする。カードを返すと受け取ったイワナさんは少し悩んでから声を出した。

 

「本当に可笑しな人」

「はい?それはどういうー」

 

事ですかと言おうとする前に、また来るわと言って店を出ていった。

 

「イワナさんって変な人だな?」

 

俺は少しムスッとしつつニーアの方を向くと、彼女は直ぐに言い返してきた。

 

「ふふっ、店長も十分に変な人です」

「えぇ」

 

結構近いうちにまた会いそうだな。何となくそう思いつつも店番を再開する。

 




はぁ...結局結構時間がかかってしまった。

感想(コメント・意見等)・評価は筆者の執筆意欲に還元されます←
お気軽にしていってね!

また、コラボ等はご自由にお使いくださいっ(教えていただけたら、飛び上がって喜びます)

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四十四話:※酒場の一幕

お久しぶりです。

この度白黒モンブラン様作の「Devils front line」とコラボします!面白い作品ですので是非読んで下さいっ!


では、まったりしていってね!


イワナさん来店から数日たったある日。俺はウェルと二人で、今現在鉄血との交戦が激しいS地区までやってきた。

仕事ではなく、単にとある噂を耳にしたからだ。

 

「本当にここいらに居るのか?」

「噂ではS-10地区なのでもう少々かかりますが、あるそうです」

 

まぁ、紅茶欠乏症ではなくなり元に戻ったウェルが言うならあるんだろうな。えーと何だったか?

 

「便利屋だったよな?」

「えぇ....ある意味同業者ですよ」

 

いや、向こう噂的には結構攻撃的じゃないか...そんな人達とうちが同業者?いやいや....

 

「まぁ、会ってみればわかるだろう」

「そうですよ」

 

そんな話をしつつ俺は装甲車を走らせた。

 

 

S-10地区に入ってまず俺達が向かった先は、近くの酒屋である。時間的にも夜だし、何より案外情報が手に入る。

 

「店長は普通にお酒でも飲んでいて下さい。私がそれとなく調べてきます」

「あいよ~」

 

俺はそう言って、マスターにエールとおつまみを頼むために適当なカウンターに座った。

 

「マスター。エールありますか?」

「ん?...あぁ。あるよ」

 

こういった酒屋のマスターは静かな人が多いな。そんな事を思いつつ、エールがあるなら後はつまみを適当に貰おうっと。

 

「じゃあエール一つとおつまみを適当に同じ値段位下さいな」

「....あいよ」

 

さてと、ウェルが近くにいる女性の客に紛れて情報を聞いてくる間まで、俺はこのマスターと世間話をしましょうかね。

そう思い話しかけようとしたら一人の男性が入店してきた。チラッと確認すると黒を基調とし所々に青で刺繡されているコートを羽織った銀髪長髪の男性だった。彼は一人の様なので、こちらのカウンターの席に座った。

 

「マスター。ウイスキーを頼む」

「あいよ」

 

ん?常連さんかな?マスターの人の反応が少し柔らかった為そう思っていると更にお客が入ってくる。ここは結構繁盛しているところみたいだ。

 

「エールと、おつまみだ」

「あ、ありがとうございます」

 

先ずはエールを一口飲んでっと....あぁ~この感じも偶には良いなぁ~。

おつまみとして出されたジャーキーも食べつつ飲み続けていると、直ぐ隣に先程の銀髪の男性が座ってきた。

 

「すまないな。詰めた方がよさそうだったから、詰めさせてもらった」

 

彼がウイスキーの入ったグラス持っていない手で自身の後ろに向かって指さした。そこには二人客がカウンターに仲良く話しつつ注文していた。

 

「....あぁ、別に構いませんよ~」

 

俺はそう言って、また飲みに戻る。チラッと見たけど、彼が飲んでるのはウイスキーのストレートですかい。

 

「酒強いんですね」

「まぁ、そうだな。今まで酔った事無いな」

 

そう言う男性。俺が今まであった人の中で一番強いんじゃなかろうか。そんな事を思っていると、今度は彼から質問が飛んできた。

 

「君は若そうだが、こんな前線まで何をしに来たんだ?」

「あはは、ちょっとした付き合いで来たんですよ」

 

少し誤魔化した感じになったけどそう答えると、彼はそうかと答えた。

にしても何となくだけどこの人はどうも人じゃなさそうだな。でも敵対しなければ特に問題なさそうだ。俺の車長としての感ではあるけど。

 

そんな事を思っていると、ウェルがこちらに合図してきた。じゃあそろそろ出ますかね。

俺は最後の一口を飲み込んで代金をマスターに聞いて渡した。

 

「では、お兄さん。お先に」

「あぁ....」

 

そう言って俺は酒屋を後にした。




スマナイ、また二話なんだ....本当にスマナイ.....

感想(コメント・意見等)・評価は筆者の執筆意欲に還元されます←
お気軽にしていってね!

また、コラボ等はご自由にお使いくださいっ(教えていただけたら、飛び上がって喜びます)

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四十五話:※ちょっとした依頼

前回に引き続き白黒モンブラン様の「Devils front line」とのコラボ回ですっ!

今回はほのぼの要素無しです。

では、ゆっくりしていってね!


酒場を出てから、ウェルと二人で街角に止めていた装甲車の中に入って情報交換を始めた。

 

「ウェル、何か良い情報は手に入ったか?」

 

俺の質問に彼女は頷きながら答えた。

 

「えぇ。取り敢えずあの店の名前が分かりました。『Devil May Cry』と言うそうです」

 

デビルメイクライ....悪魔も泣き出すねぇ

 

「強そうな人が居そうだね」

「ですね。どうやらここのグリフィンの基地近くにあるそうですので、もう場所も分かりましたね」

 

流石ウェルだ、こういった探し物は速いな。

 

「しかし、私達の店とは違い依頼の仕事のみの様です」

 

あちゃ~依頼もなしに行くのは気が引けるな。何か依頼するような事あったっけな?そう思い酔いが回っている頭で考えようとするが、何も浮かばない。それどころか眠くなってきた。欠伸が出ないように我慢していると、ウェルは積み上げていた寝袋を俺に投げつけてきた。

 

「せめてこれの中で寝て下さい」

「わぷっ!?....ウェルに隠し事は出来ないかぁ~」

 

俺がそう言うと、ウェルは速く寝ろと言ってきた。

 

「警戒は私がしておきますから、早く寝て下さい」

「.....分かったよ。じゃあ頼むわ...」

 

その言葉を最後に意識は落ちていった。

 

 

ーー銃声

一気に目が覚める。しかし目の前に広がるのは、見慣れた装甲車の中では無いが凄く懐かしい物であった。

 

「ここは...?」

「おっ目が覚めましたか?若」

 

そこには、迷彩服を着ている椎名の姿があった。って事は...これは夢?そう考えていると付けていたヘッドセットから聞こえてくる物があった....

 

《若が起きたのか!》

「っ!!!」

「えぇ、でもあなた達は....!」

 

言葉が急に聞こえなくなってくる....見えていたものも徐々に薄れていく中で異様によく通る声が聞こえた。

 

ー長生きしろよ、将雅ー

 

「...い。....?」

 

誰かが優しく誰かが俺の身体を揺らしている。

 

「ん...ん?」

「店長、大丈夫ですか?」

 

目を開けるとそこにはタオルを持ったウェルの姿があった。何でタオル?

 

「ウェル?何で....?」

「これですか?それは急に店長の目から涙が出ていたからですよ」

 

悪夢みましたね?と確認するように聞いてくるウェル。俺は一瞬頷き返そうとしたが、首を横に振った。

 

「...いや、単に昔を思い出しただけだよ。大丈夫だ」

 

俺がはっきりそう言うと、そうですかとウェルは言った後

 

「では、今日の予定なのですがー」

「ー例の店に行ってみるか」

 

ウェルの言葉を遮りそう言うと、彼女は目を見開いた。

 

「何をしに行くのですか?」

「ちょっとした依頼を思いついてな。それの依頼をしに行くんだよ」

 

そう言うとウェルは少し首を傾げた。

 

 

さて、という訳でやって参りました。グリフィンの基地の隣にある一軒店に見えないが十中八九ここだろう。なぜならここの店の中から感じる気配がヤバいからだ。

 

「店長...?」

「大丈夫ですよ。行きましょう」

 

この感覚は、車長やっていた時に大型のE.L.I.Dと対峙したとき並みだ...私は覚悟を決めてその店のドアを開いて中を覗きつつ入店した。

 

「ごめんください」

「ん?君は」

 

店内にはどこかで見た事のある黒コートに銀髪の男性だった。一応質問してみようかな?向こうに記憶があるかは分からないが。

 

「昨日の酒場のお兄さんですか?」

「あぁ、そうだ。君が来るとは思っていなかったよ」

 

そう言うと彼は読んでいた本を端にどけて寛いでいた格好からキチンと座りなおした。

 

「それで、ここに来たという事は、依頼か?」

「そうですね。少々依頼がありまして、どうやら相当お強い様に見えますので」

 

私がそう言うと、彼は少し眉を細めた後に

 

「詳しく話を聞こう」

 

それと同時に奥の方から一人の女性が出てきたって、鉄血のハイエンドっ!?俺は警戒度を上げつつもホルスターから銃を抜こうとしたウェルを手で制した

 

「ウェル、待ちなさい!」

「っ!」

 

私はウェルが戦闘態勢を解くのを横目にて確認した後、店主である男性に質問した。

 

「あの、何故ここに鉄血のハイエンドが居るのですか?危険性はあるのでしょうか?」

「....あると言ったら?」

 

彼は表情を変えずにそう聞き返してきた。いやこれはー楽しんでいるのか?

 

「そうですね。最低でも、ウェルは逃がすまでは時間を稼いで見せますよ。貴方が加担しなければですが」

 

そう返すと彼は黙ったままこちらをジトっとこちらの目を見てきた。目をそらさず見返した。

 

「......」

「......」

 

暫くすると、彼はふっと笑った。

 

「すまない。少しからかいすぎたな」

「本当ですよ。肝が冷えました。それで本題に入ってもよろしいですか?」

 

そう聞くと彼は、頷き答えた。

 

「では、簡単に...このS-10地区の近くに、旧時代の武装が溜まっている場所があるのですが、そこの調査をお願いしたいのです」

「ふむ...調査というのは?」

 

確かにその質問はごもっともである。俺は懐からカメラを出した。

 

「このカメラでそのたまり場を取っていただきたい」

「...それだけで良いのか?」

 

彼の言葉に頷く事で返す。まぁ俺の趣味みたいなものだしね。

 

「ですが、あそこらへんには。鉄血人形が結構いるので注意が必要です」

「大丈夫だ。鉄血人形ならな」

 

そう言う彼の目には特に強がりと言ったものは感じられなかった。

 

「では、料金はこれ位で大丈夫でしょうか?」

「...あぁ、大丈夫だ。期限は?」

 

期限かぁ...まぁ急ぎでもないし、私は胸ポケットから名刺を出した。

 

「期限は二週間以内で、出来たらこの電話番号に連絡して下さい。営業時間内なら誰かしら出ますので」

「分かったよ。えーとユーガ店長?」

 

そう言って、手を出してくる男性。

 

「こちらもよろしくお願いしますね?えーと?」

「ギルヴァだ」

「ギルヴァさん。ではこれにて失礼します」

 

そう言って、俺は店を後にした。

 

「「...ふぅ....」」

 

店の外に出で装甲車に乗ったと同時にウェルと息を吐いた。

 

「あぁ...緊張したぁ」

「店長。戦闘モードでしたが、上手く行きましたね」

 

ウェルは何故俺があっちになっていたのか分からないようであった。

 

「じゃあ、帰るか」

「はい。そうですね」

 

今は帰ろうあの店に。俺はそう思いつつアクセルを吹かしたのであった。

 

 

因みに翌日には依頼の件が完了したと連絡があり、また直ぐに行くこととなったのはまた別の話。




これにてコラボ回終了ですっ!
コラボをさせて下さった白黒モンブラン様ありがとうございました!

感想(コメント・意見等)・評価は筆者の執筆意欲に還元されます←
お気軽にしていってね!

また、コラボ等はご自由にお使いくださいっ(教えていただけたら、飛び上がって喜びます)

ではまた次回お会いしましょう!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四十八話:素材調査

凄い久しぶりです。スマナイ.....色々先の動きを考えていたら遅くなりました。

スランプなのも原因の一つですが..

ではまったりして行ってね~!


突然だが、この店にある銃関係の部品やら材料は基本的に新品は無い。基本的に中古をキチンと整備をして中古として売りに出している。

たまに市場に出てる粗悪品を直して....あれは新品で良いのか?

 

「毎度ありがとうございます」

 

俺はそんな事を思いつつそのまま店番の仕事をしている。現在は一番混む時間帯だ。

そんな事を急に考え始めたのかと言うと、今日の朝に在庫管理をしていたウェルからの報告が関係している。

 

ーーー

 

「ー銃関係の在庫が品薄状態になってきた?」

「はい。このまま行くと後二週間も持ちません」

 

ならクーに調達を頼まないとなと思っていると俺の思考を先読みしたのか、ウェルはシレっと

 

「クーとついでにメンテ室で内職をしていたテンコに至急頼んでおきました」

「仕事が速いな。まぁ俺の考える事は分かるか」

 

当たり前ですねと言って端末を持ったまま、食堂に居たニーアとそのまま世間話を始める。

 

ーーー

 

そんな訳で今店番をしているのは俺とリズの二人である。ニーアとヒトヨは休みでそれ以外は在庫調達に行ってもらっている。

 

「店長、今ウェルからの通信が来たよ」

「おっ、どうだ?なんか良い情報が流れてないか?」

 

少しは良い情報が入ると良いんだが。そう思いつつ聞いてみるが、リズは首を横に振った。

 

「目ぼしい情報は無かったってさ。それ以外も特に代わり映えの無い情報ばっかでつまらないって言ってるよ」

「あぁ.....想像出来るな」

 

俺は、客足が少し減ったのを確認してすぐに在庫の補充を始めた。

 

「ヤバいなぁ.....在庫が本当に無くなってきた」

「現状在庫が十分にあるのは何かあるの?」

 

リズがそう突っ込みを入れてくる。確かに現状在庫があるのなんてなー

 

「ーいや、在庫がたっぷりあるのが一種類だけある」

「えっ?うそでしょ?」

 

そう言って店の片隅にて弄っていた俺の元まで来て覗いてきたリズは、その後納得がいった顔つきになった。

 

「仕事はしていたという訳だな」

「でも、内職はダメだよ?店長」

 

確かにそれはそうだな。リズにそう返しつつ俺はカウンターに戻り何時もの椅子に座る。人も少なくなってきたな。これならこっから先は特に誰も来ないだろう。と思った矢先に入り口が開いた。

 

「「いらっしゃいませ」」

 

もはや反射的に言うようになった決まり文句を言い、来客者の方を向くとそこにはイワナさんが立っていた。

 

「あぁ~ここは涼しいわね....久しぶり。店長」

「イワナさん。いらっしゃい。ご用は何です?また銃のメンテですか?」

 

そう聞くが彼女は首を横に振った。

 

「今日は違うわ。どちらかと言うとお誘いかしらね?」

「誘い?」

 

聞き返すと、彼女は今度は縦に首を振った。

 

「ええ。機械部品が品薄ってニーアから聞いてね。丁度いいと思ってね」

 

そう言って何やらメモ帳の切れ端をカウンターに置いた。そこには数字が二つ書かれていた。

 

「この感じは、緯度経度?」

「正解。ちょっとした伝手でね。ここに実際第三次世界大戦後に作られ蝶事件にて、破壊された電子機械の製造工場の廃墟があるそうなのよ」

 

俺は直ぐにその経度緯度を端末に入れ、汚染地域マップと照らし合わせた。

 

「ん~汚染地域にはギリギリ入ってないのか」

「そういった場所って何かあるのが普通よね?」

 

場所を見てリズがイワナさんにそう言った。

 

「そうね。だからこの地方で強い貴方達に声を掛けたのよ」

「成程な」

 

ハイリスク、ハイリターンか....ここら辺は近辺のPMCも滅多に近寄らないから、何が居るか予測が立たないな。どうするか...そう悩んでいると、新たに一人入店してきた。

 

「「いらっしゃいませ」」

「店長。良い情報を見つけて来ました....よ?」

 

少し興奮気味なウェルだった。彼女はイワナを見て、そして俺の開いていた端末を確認して目を見開いた。

 

「あら、どうやら一歩遅かったですかね?」

「同じ情報?」

 

リズが彼女にそう聞くと、彼女が頷いた後にポケットから一つの記憶媒体を取り出した。

 

「店長、その工場付近の地図と噂について調べてきました」

「おっ、それは丁度いい」

 

ウェルから受け取った情報媒体を差し込んで、データを一個づつ見ていく。先ずはこれは工場周辺の地図か。

 

「これ、良く手に入ったわね」

「まぁこれがウェルの得意分野ですからね」

 

驚いているイワナさんにそう言って詳しく確認すると、どうやら向上に続く道は山道一つしか元々は無かった様だ。

 

「ん~何もなければ問題は無いが...何かがあったら面倒だなこの道の形状だと」

「ですね。装甲車なら行けますが、それ以上の大きさだとキツイかと」

 

俺の呟きに関してウェルは頷きながらそう言った。じゃあ行くなら装甲車で行くしか無いか。じゃあ次は....

 

 

「これは、この地域に関する噂話をまとめた資料か」

 

ざっくりとまとめると、ELIDの確認は無し。だが盗賊の類の奴らが居る可能性が大きいか.....

 

「敵の装備によるが、その盗賊の噂が鉄血じゃなければ問題はないな?」

 

俺は読み終えて隣に座っているリズに確認をすると、彼女は溜息を吐いた後に無線に何やらボソボソと呟きだした。

 

「勿論、総出だよね?」

「えっ?」

「ん?」

 

いや、俺とイワナさんとニーア...それにウェルで大丈夫だと思っていたのでリズの言葉につい反応してしまった。

 

「総出にする必要あるか?」

 

せめて店開けなきゃならないからな。この時期は結構繁盛するんだし。しかしリズは目を細めて口を開いた。

 

「店長?危険地域に近いんだからね?」

「いや、うちメンバー多くなったし一人か二人は、置いて行っても...」

 

良いだろ?と続けようとして辞めた。何故ならリズの表情が消えたからだ。

 

「...分かった、総出にしよう」

「ん」

 

観念してそう言うとリズは素っ気なく返した。それを視界の端に見ながら俺はイワナさんに視線を合わせる。

 

「では、何時行きますか?できれば3日後位にしてくれると有り難いのですが?」

「それは別に構わないわ。他の娘達には言わなくても良いの?」

 

そう言ってくるイワナさんに俺は大丈夫ですと返した。

 

「そう。なら三日後の朝にまた来るわね?」

「ええ。よろしくお願いします」

 

じゃあと言ってイワナさんは店を後にした。

 

「さてと、じゃあ準備をしなきゃな」

「ニーア達にはもう伝えてあるから、店長は装甲車と無線の準備お願い」

 

リズがそう言ってレジの中の計算を始める。

 

「では、私は今から回れるお得意様の先に連絡を入れてきますね」

「頼む」

 

ウェルはそう言って、店を出ていった。

 

さてと、凄い久しぶりだな。そう思いつつ俺は装甲車に持って行く物を出しに向かって行った。

 

 

 




さてと、次回は楽しい楽しいお宝探しですっ!

感想(コメント・意見等)・評価は筆者の執筆意欲に還元されます←
お気軽にしていってね!

また、コラボ等はご自由にお使いくださいっ(教えていただけたら、飛び上がって喜びます)

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四十七話:楽しい楽しい宝探し?

前書き書く事が無くなってきました....
皆様まだまだ暑い日が続くので体調管理だけはしっかりとして下さいっ!

では、ゆっくりしていってね!


イワナさんの突然のお誘いから早3日が経ち、今現在は何でも屋の面々とイワナさんで目的の工場へと向かっている。

 

「特に気になる所も無くここまで来てるな」

 

丁度山道に入って残り数キロで目的地になったところで俺は隣に座っているヒトヨに声を掛けると彼女は苦笑いをしていた。

 

「店長って危険地域の近くに居るのに特に緊張している感じが無いんですね」

「そうかな?」

 

ヒトヨにそう言われた。ん~警戒はしているが緊張はしていないかな?まぁ戦車に乗っていないのでそっちの意味ではちょっと恐怖感があるけども。

 

「そうですよ。あっ!そろそろですね!」

「おっ本当だ」

 

俺は直ぐに無線にて全員に繋いだ。

 

「もうすぐ着くぞ。降りる準備を始めてくれ」

《了解っ!》

 

直ぐにクーの元気な返事が聞こえてきた。うん感度は上々だな。

 

 

その後特に何も起こらずに、目的地の工場に着いた。それと同時にリズから声が掛かる。

 

《店長。特に鉄血の反応は無いよ》

「了解、じゃあ停車する」

 

動きやすい場所に装甲車を止める。その近くにイワナさんのバイクが停まった。

 

「よしっ、じゃあニーアさんとクー以外は降りましょうか!」

 

俺はそう言って、装甲車から降りると既に他の面々は全員降りて周囲の警戒をしていた。

 

「じゃあ、出来るだけパパっと終わらせて帰ろう」

「そうですね。では店長は私の後ろに」

 

ウェルは俺の前に出てそう言う。俺は素直に従った。本当に戦闘があった場合今の俺じゃあ何の役にも立たないからな。そんな事を思っているとイワナさんが声を掛けてきた。

 

「じゃあ店長。私はここの依頼を受けているからそれをパパっと終わらせるわ」

「分かった。それが終わったらここで待機する?」

「........もうその依頼は終わったんだけどね」

 

俺がそう聞くとイワナさんは頷いた。その後ボソッと何かを呟いていたが俺の耳では聞き取れなかった。

 

「じゃあ、行こうか」

「「「「「了解!」」」」」

 

工場内に入るとまぁ酷い状況だった。まず結構ボロボロになっている。それに粗方部品も取られている様に見受けられた。

 

「じゃあ、テンコと俺で手分けして探して行こうか」

「ですね。では私はリズと行きます」

 

そう言ってテンコとリズは右側に歩いて行った。

 

「よしっ!じゃあ宝探しの始まりだっ!」

「しっ!あまり声を出さないで下さい?」

 

ウェルに小声で怒られてしまったが、ごめんごめんと謝り探索に入った。

 

「ん~これはまだまだ使えそうだな」

「「...」」

 

入ってからというものの、まぁ色々珍しい部品が転がっている。それだけじゃ無く、俺は直せないがリサイクル屋に渡せば相当稼げる物も積極的に拾って行く。

 

「....!これは」

「ん、どうかしたか?」

 

暫く奥に進むとウェルが何かを見つけた様だ。そちらに歩みを進めて行くとそこには、破損が目立つ銃火器が落ちていた。

 

「おぉ!これはニコイチに出来るぞ!」

「店長。それが捨てられた時期って分かりますか?」

 

内心超当たりだなと思いつつ仕舞いやすい様に弄っているとウェルが突然そんな事を聞いてくる。

 

「大丈夫、相当昔から使ってないね。それにこれ」

 

そう言って銃の一部を見せる。そこには赤黒色の何かが付いていた。

 

「「...!」」

「なっ?大丈夫だろ?」

 

俺が再度そう聞くと、ウェルはそうですねと答えた。

 

「じゃあ、どんどん行くぞ」

「えぇ、そうですね」

 

そう言ってウェルを先頭にどんどん奥に向かって行く。

 

 

それから結構時間が経ち、多分二時間位かな?何度か外と定時連絡を入れていると右側のテンコとリズと合流した。

 

「おっ!店長じゃん」

「リズ?って事はここが終点か」

 

結構一杯あったな?そんな事を思いながら、俺はじゃあそろそろ引き返すかと続けようとした。

 

「ん?これは....?」

 

そこには一つだけ起動しているPCがあった。そこに表示されていた文字はー

 

「何でしょう?こー」

「ヒトヨ!ストップ!」

 

俺はヒトヨがキーボードを押す前に止めた。そして急いで続ける。

 

「...帰ろう」

「店長?」

 

不思議そうにしている店員達であったが、俺の顔を見てある程度納得してくれた様だ。俺達はそのままその場を後にした。

 

 

 

「坊や、お帰りなさい」

「ニーアか、ただいま。じゃあ戦利品入れるの手伝って!」

 

そのまま装甲車の場所まで戻り、迅速に戦利品を装甲車に詰めて、他の面々が乗ったのを確認してイワナさんに近づく。

 

「出来るなら、依頼主に言って置いて下さい」

「?」

 

疑問顔になるイワナさんに俺は続ける。

 

「この工場には今の時代には『必要ない』物しか無かったと」

「...分かったわ」

 

俺はそう言って、そのまま装甲車に乗って帰路に着いた




ほのぼのしていないぃぃぃ(泣)

次回はほのぼのするからっ!許してください...

感想(コメント・意見等)・評価は筆者の執筆意欲に還元されます←
お気軽にしていってね!

また、コラボ等はご自由にお使いくださいっ(教えていただけたら、飛び上がって喜びます)

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四十八話:お泊り?

お久しぶりです。

また短編に手を出していました。遅れました。
(また執筆時間がろくに取れなかったのもあります)
スマナイ


では、まったりしていってね!

2019//9/12追記
見張りのメンバーがおかしかったので修正しました。


さてと、あの工場探検が終わり、帰路についていると流石に日が暮れそうな時間になっていた。

 

「どうしようか?」

 

これは、ほかのメンバーに聞いた方が良いな。そう思い取り敢えず通信機を入れた。すると楽しい話し声が聞こえてきた。

 

『本当にテンコが凄く面倒くさかった』

『テンコも店長と同じ種族だからね』

 

まず聞こえてきたのは、リズとウェルの声であった。これは探検時の事のようだな。あっ因みに今助手席にテンコ本人はいる。どうやら聞いてはいない様だ。俺は一旦通信機を落として、テンコに話しかける。

 

「テンコ、探検中リズに迷惑かけた?」

「?いえ、別に特にはかけてませんが?」

 

どうかしましたかと不思議そうに聞いてくるので、黙ったまま自身の付けてる通信機に指をさした。察したのか、通信を開いた様だ。俺も開いておこう。

 

『まず、私達にはただのガラクタにしか見れないもの見て急に興奮するし』

『そしてその最中は凄く無防備になるんですよね』

 

どうやら、リズとウェルがここぞとばかりに俺達のことを愚痴っていた。俺はそのままテンコが直ぐに反応しようとしていたので、彼女の肩を軽くたたいきこちらに向いた彼女を止めた。

 

『そもそも、あの二人はメンテ室に入る時間を決めないとね。よくご飯忘れるし』

『特に店長は、人間なのでもっと休憩をこまめに取ってほしいです』

 

うん耳が痛いな。テンコと二人でなんとも言えない顔をしているだろう。俺は運転中なのであまりじっくり見れないが、容易に予想できた。

そんな状態になっているのを知らないであろう、彼女達の愚痴は続く。

 

『テンコさんと言えば、この前お二人が丁度居なかった時に、一日中メンテ室に籠ってましたよ?』

『『はっ?』』

 

おっと、そろそろ止めるとしますか。俺はその話が始まる前に声をかけた。

 

「楽しそうな話をしているところごめんなんだけど、日が暮れそうです」

『『はいっ?』』

 

このご時世で夜を過ごすのはかなりの危険を伴う。鉄血ではなく盗賊類である。

 

『結構面倒だね?守りやすい地形近くにありそう?』

「ん~残念ながらないな」

 

俺の愛車があれば、いい地形はあるんだけどなぁ。そんなことを思っていつつ思って進んでいると、廃ビルが目に入った

 

「いや、あったわ」

 

そっちに向かうとイワナさんに伝えそちら側に、ハンドルをきった。

 

 

その場所にすぐに発車出来るように停車し、降りる。

装甲車にくくりつけてあった縄にて縛りつけてあった物を取り外し展開した。

 

「えっ、テント?」

「そそ、.....ここを本日のキャンプ地とする!」

 

その言葉で初めに動き出したのはクーであった。彼女はテント郡を装甲車から外し、それから廃ビルを登りだした。

 

「ニーアとイワナさんは、私とテント設営を手伝って下さい!テンコとウェルは周囲警戒、ヒトヨとリズはクーの手伝い行って!」

「「「「「了解!」」」」」

 

あれから十分弱で設営と見張り台が完成した。これで賊が来たとしても対応できるだろう。

 

「よし、終わったな」

「夕飯作ったわよ。店長」

 

ニーアはそう言ってこちらに湯気が出ているスープを渡してくる。作るの早いな。確かにテントの設営は早めに終わりそうだったので、頼んではいたがまさかこんなに早く終わるとは思っていなかった。

 

「上にいる面々には?」

「もう渡したわ」

 

ならいいけど、じゃあ夕飯をパパっと終わらせて見張り順番を決めないとな。そう思い食べるスピードを速めた。

 

 

「ンぐ....ふぅ。ご馳走様でした」

「お粗末様」

「店長は何でそんなに早く食べたのかしら?」

 

このテント付近には、俺とニーアとイワナさんの三人しか居ない。食べ終わると同時にイワナさんが疑問を投げかけてきた。

 

「夜の見張りの順番を決めるためだよ?」

「あぁ...そう言うことね」

 

納得したイワナさんを視界の隅に入れたまま俺は、軽く区切りを腰から取り出したノートに書いた。その後無線機を起動してオープンチャンネルにて声をかけた。

 

「本日の見張り当番を決めようと思うんだけど、基本的に二人ずつでいいかな?」

《そうだね。3時間おきに交代でいいと思うよ》

 

真っ先に反応を示したのは、リズであった。

 

《となると、今の時間から計算すると、丁度一周ですね》

「だな。じゃあまずはー」

 

 

その後順番を決めた結果以下の通りとなった

 

1.ニーア,イワナさん

2.テンコ,ヒトヨ

3.リズ,クー

4.俺,ウェル

 

「じゃあ、俺は寝ますね」

「えぇ、おやすみなさい」

「おやすみなさい~」

 

無線をスリープモードに切り替え、立ち上がって見張り台の方に向かっているイワナさんとニーアに挨拶をしタのちに、テントの一つに入った。

 

「さてと....じゃあ眠くないし、ニコイチでもー」

《店長。ニコイチは明日店に帰ってからにして》

 

まるで見られているかのようなタイミングで、リズから釘を刺された。

 

「....流石にやらないよ?」

《ふ~ん?まぁ寝たの確認するまでウェルが近くにいるから、早く寝た方が良いと思うよ?》

「へっ?」

 

説教受けたくないならねとリズは続けて、通信を切った。

 

「....とっとと寝よう」

 

俺はそう思い、寝袋の中に入って目を閉じたのであった。

 

 




思った以上に長くなりそうだったので、分けます。

感想(コメント・意見等)・評価は筆者の執筆意欲に還元されます←
お気軽にしていってね!

また、コラボ等はご自由にお使いくださいっ(教えていただけたら、飛び上がって喜びます)

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四十九話:老兵達のまったり

どうも、この頃執筆したくても、やる気が出ないです。

祝五十話ですっ!

では、まったりしていってね!

ー追記2019/9/21ー
ミスを治しました。タイトル修正しました。



「じゃあ時間になったら起こして下さいねっ!」

「分かったわ、ゆっくり休んでリズ」

 

私はそう言ってテントの中に入っていくヒトヨを見送った。その後すぐにオープンチャンネルにて通信が入った。

 

『寝たのを確認しましたので、私も一旦寝ますね』

「了解よ。守りは任せて」

 

ウェルの言葉にそう返しつつ、私はため息を吐きます。十中八九眠らないと確信しているので。そんなため息を感じたのか、プライベートチャンネルからイワナの声がした。

 

『どうしたの?貴女がそんなため息をするなんて』

「何でもないわ。ただウェルは多分寝ないと思っただけよ」

 

まぁ、一徹程度で行動に支障が出る訳ないからそこまで気にかけなくても大丈夫かしらね。そう思いつつ夜空を見ているとまたイワナが声をかけてきた。

 

『ただ何もせずに周囲の警戒だけなんて暇ね』

「そう?何も起きなければそれで良いわよ」

 

それもそうねと、イワナは言ってだんまりする。そういえば

 

「イワナ。貴女はどうするの?」

 

あの店長なら、雇ってくれそうだけどと思いつつ聞いてみると彼女はしれっと返してきた。

 

『そうね。別にいいかしら....私はこうやって気ままに旅するのがあってたから』

「そう....」

 

来てくれるなら、さらに戦い易くなったけどこればっかりは仕方がないわね。じゃあまた直ぐにどこかに旅立つのかしらそう思って聞いてみると

 

『これ以上田舎になると、仕事が無いのよ。だから基本はあの街を拠点にして旅をするわ。別に命を狙われるわけじゃないしね』

「それは、銃のメンテナンスを受けれるからかしら?」

 

私がそう聞くと、帰ってくるのは沈黙であった。チラッと彼女がいる方を見ると、気付いたのかウインクしてきた。あれは肯定ね。

 

「貴女のお眼鏡にかかって良かったわ」

『いや、あのメンテナンス能力はハッキリ言って異常よ』

 

そう言って彼女はため息を吐いた。その後暫く私は彼らが寝ているテントを眺める。するとまたイワナから通信が入った。

 

『そんなに見つめて何してるの?』

「っ!....別に何でもないわ」

 

私はそう答えるが、狼狽えたのがやはりばれているわね。質問が続く。

 

『まぁ大方、腰の件を特になんとも思っていなかったとかでしょう?』

「それもあるわね。それ以上に....なんでもないわ」

『何よ?勿体ぶらないで、言いなさいな』

 

嫌よと返すが、良いじゃないと彼女が返してくる。そんなやり取りをいくらか繰り返していると、テントの付近から人影がっ

 

「っ!イワナ!」

『!!』

 

私は自身の半身をそちらにむけー

 

「ちょっ!?私ですっ!」

「......ヒトヨ?」

 

そこから出てきたのは、カーキ色のジャケットを着ている女性が焦って出てきた。

危ない。もう少し彼女の反応が遅かったら仲間を撃ってたわ。

 

『危なかったわね。声を出すのがもう少し遅れていたら、蜂の巣だったわね?』

 

その言葉にヒトヨは肩をすくめた。

 

「撃たれたら、まぁそうですね~本当に良かったですよ~」

「悪かったわ....」

 

私の言葉に対してヒトヨは特に気にしてないと笑って答えた。

 

「それじゃ交代時間ですよっ!」

「あら、もうこんな時間?」

 

時間を見ると、確かに時刻である。

 

『私の方にテンコが来たわ』

「了解。じゃあよろしくね?」

 

わっかりましたーという元気な声を背中に受けて私はテントに向かった。

 

 

 

 

 




長らくお待たせしました........

感想(コメント・意見等)・評価は筆者の執筆意欲に還元されます←
お気軽にしていってね!

また、コラボ等はご自由にお使いくださいっ(教えていただけたら、飛び上がって喜びます)

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五十話:野宿の先に

スマナイ........殆んど書く時間がなかったんです。

またゆっくり上げてきます。エタらせはしないから...!待っててください!

今回は、店に戻ってからのお話になります。

では、まったりしていってね!


自身でつけていた目覚ましの音がイヤホンから流れてくる。ちなみに結構な音量だ。

 

「うるせぇ......ねみぃ」

 

目を擦りながら起きると、隣で布が擦れる音が流れてくる。そちらを見るとウェルが寝返りをしたところであった。

 

「良く寝てるなぁ...」

 

だが、そろそろ見張り交代の時間だから起こさないとな。そう思い彼女の肩を軽く揺さぶった。

 

「ウェル?起きろー」

「ん......ひゃい?」

 

珍しく寝惚けた感じのウェルは此方に顔を合わせて数回目をパチパチさせたのち、少々顔を赤くした。

 

「っ~~~!?!?........おはようございます」

「おう。おはよう」

 

まだ目を擦っているウェルを放置してそのままテントの外に出る。

 

「まだ暗いな、当たり前ではあるな」

 

そのまま焚き火をしている付近まで歩いていくと、とても良い匂いがした。これは、コーヒーの匂いかな?そう思って居ると焚き火近くで此方を見ているリズと目があった。

 

「ん。おはよ」

「あんがと。おはよ」

 

挨拶と共に渡されたコーヒーを一口飲む。うん目が覚めるな。というよりコーヒー持ってきてたのか。流石に豆からじゃないよな?そう思っているとリズは苦笑いをしつつ口を開いた。

 

「流石に豆からはやってないよ。インスタント」

「あぁ...成る程な」

 

最早いつもの様に心読んでくるな。いい加減ポーカーフェイス的なものを練習した方がいいかもしれないな。

 

「それをやっても、ばれる気がするな」

「なにが?」

 

何でもないと言ってはぐらかしていると、ウェルがテントから出てきた。うんさっきの雰囲気は一切ないな。

 

「ウェルも飲む?」

「ええ、いただきます」

 

ウェルはリズからコーヒーを受け取ると、そのまま彼女は歩き始める。

 

「では、クーの方に行ってます」

「ん。了解。じゃあ私は一旦仮眠入るね」

「おう。お休み」

 

リズにそう言うと彼女は流石に欠伸をしながらテントに入っていった。

 

「さてと....じゃあ警戒するかぁ」

《店長では少々世間話でもしましょう》

 

俺はそのまま誘われるままウェルとの世間話に花を咲かした。勿論警戒はしつつだ。

 

ーーーーーーー

 

《そろそろ時間ですね》

「だな。ん?」

 

全員の起床時間前に動き出したテントがあった。そこから出てきたのはイワナさんとニーアであった。

 

「まだ若干時間ありますよ?」

「ちょっと早く起きちゃっただけよ」

 

イワナさんはそう答えてテントの片付けを始めた。まぁ向こうが良いといってならいいけど。そう思っていると、ニーアがこちらを見て

 

「店長は気にしなくていいわ~イワナは単に朝早いだけのおばあちゃんだからね」

「ニーア...その体蜂の巣にするわよ?」

 

イワナさんは若干というか、眉をヒクヒクさせながらそう言った。怒気がこちらまで届いてくるが一番当てられているニーアは特に聞いていないようだ。

 

「さっさとテント片付けましょう?」

「....はぁ....」

 

イワナさんの怒気が収まった。収まったと言うより、どちらかというと諦めたって感じか。

そう思いつつ時計を見ると起床時間となっていた。

 

「ウェル時間だから、起こしにいってくる」

《了解です》

 

俺は残っているテントを開き、中に向かって大声とまではいかないものの、ハッキリとした声で二人に声をかける。

 

「ヒトヨ!テンコ!朝だぞ!」

「起きてますよ。おはようございます店長」

 

テンコは呼びかけ後にすぐに起き上がり寝袋を畳み始めた。ヒトヨの方はまだ寝袋から出てこない。俺はそんな彼女の寝袋のそばま寄る。

 

「起きろ~じゃないと寝袋のまま置いてくぞ~」

「っ!?おはようございますっ!店長!」

 

こいつやっぱり寝たふりだったのか、反応が良かった。まぁ人形だし当たり前か....?

 

「じゃあ、テントの片付けもよろしくな」

「「はい(了解ですっ)」」

 

二人の了承した声を聴きながらテントを後にした。

 

外に出てもう一つのテントを見ると、若干欠伸をしつつテントを畳み始めているクーとリズの姿があった。

 

「二人ともおはよう」

「ん、おはよ」

「おはようございます...」

 

うん。二人とも眠そうだな。まぁ仮眠だったし当たり前と言っちゃ当たり前か。

 

「じゃあ、俺は車の準備でもしてくるか....」

 

そう呟いて、装甲車の方へと歩みを進めた。

車の準備と言っても、そこまですることは無いんだけどね。タイヤの確認やら車体の損傷具合を見るだけで終わりだ。

 

「店長。テント全部積み終わったわ。車大丈夫そう?」

「大丈夫大丈夫。じゃあ乗り込んでいいよ」

 

俺は話しかけてきたニーアにそういうと、彼女はそのまま助手席へと乗り込んだ。じゃあ俺もー

 

「店長」

「イワナさん。何でしょう?」

 

いざ運転席に乗ろうとしたら、イワナさんに止められた。何ですかと聞くと、彼女は目を見開いたのちこういってきた。

 

「どっちが先行する?」

「あっ、じゃあ先行お願いします」

 

イワナさんは分かったわといった後、バイクに跨った。

 

「店までは一緒ですかね?」

「そうね。そこまでは一緒かしら」

 

俺は分かりましたと返して、運転席に乗り込んだ。イワナさんのバイクが出てからこちらも発進する。暫く走っていると、無線の方から俺を呼ぶ声がした。

 

《そう言えば店長》

「ヒトヨどうした?」

 

何かあったのだろうか?と思いつつ聞いてみると

 

《あの工場で止めたPCは何だったの?》

「あぁ、あれはね工場の自爆プログラムだよ」

 

俺が何でも無い風にそう返すと、息を呑む音が聞こえた。暫く経ったのち反応を示したのはリズであった。

 

《範囲は?》

「分からないけど、即爆発するっぽかったら止めただけ」

《成程...店長のファインプレイだったね》

 

リズの返答にそうだねと返したのちは特に何もなく無事に店まで着いた。




次回は漸く、店に帰ったのちの話になります。

感想(コメント・意見等)・評価は筆者の執筆意欲に還元されます←
お気軽にしていってね!

また、コラボ等はご自由にお使いくださいっ(教えていただけたら、飛び上がって喜びます)

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五十一話:お宝の整理

はい、続きです。

未だにM200が出なくて悲しい筆者です。

そんなことはどうでも良いですね。

では、まったりしていってね!


無事に店に帰ってきた翌日。俺とテンコは店の裏口件ガレージに居た。現時刻は日が出た位で開店はしているが、俺達には仕事がある。それはー

 

「結構、見つかりましたね。お宝」

「売り払うのはウェルとクーの仕事だけど、これは結構収入になりそうだね」

 

装甲車からは昨日出したものなんだけど、まずはリサイクル屋にそのまま出す物を分けるとするか。テンコには、銃火器を分類してもらおう。テンコが回っていた方にはかなりの数あったみたいだしな。

 

「じゃあ始めますか、テンコは銃火器関連の物を分類してくれ」

「了解。どこまで?」

 

どこまでか....まぁ数あるだろうし、ざっくりでいいか。

 

「ざっくりと分けてくれ」

「了解。終わったらそちらを手伝います」

 

テンコの返しに感謝を述べて、俺達はお宝の山に向かっていった。

 

あれから二人で黙々と作業を続けている。俺は分類が終わった物を装甲車に積み終わったので、今は二人であらかじめ持ってきていた工具を持ってとある作業をしていた。なぜなら途中で面白いものが出てきていたからだ。

 

無論先にニコイチやら、銃火器の整備をきちんと終わらしており、特にほかの問題はなくなっていた。

 

「ん~やっぱり難しいな..ここのネジは?」

「それはこちらかと...いや残りの数的にこっち?」

 

テンコから渡されたネジを穴に通すと、もう一部品繋げれそうだ。

 

「「ん~?」」

「店長とテンコ。そろそろ昼だ...よ?」

 

二人して悩んでいると、後ろからリズの声がしたので、二人で振り向きながら返事をする。

 

「あーそろそろ、そんな時間か。テンコ、一旦休憩にしよう」

「ですね、根を詰めても良い事ないですからね」

 

そう話し、ガレージから出ていこうとしたらリズに掴まれた。どうしたのだろうと彼女の方を見ると

 

「一度風呂に入って?汚れで酷い事になってるよ」

「「?...あっ」」

 

そう言われて二人して自身の身体を見ると、油や埃で酷い事になっていた。

 

「じゃあ、テンコ先に浴びて来ていいよ」

「店長の方が酷いので、先に入って来てください」

 

そう言いあっていると、リズが割り込んできた。

 

「言い争ってないで、入りなよ。先店長!」

「ぐえっ!?分かった分かったから!襟を引っ張んな!」

 

俺はリズに引きずられながら、プライベートエリアへと向かっていった。その光景を見ているテンコは

 

「店長行ってらっしゃい」

 

少し口元が歪んでいるの気付いてるからな!こいつ人の不幸を笑いやがって!そう思いつつガレージを後にした。

 

 

シャワー室にてシャワーを浴びてから俺はリビングに向かうとそこにはニーアがヒトヨと共に昼食を用意していた。

 

「あら店長。出てきたのね」

「なら食器並べお願いします~!」

 

頼まれごとしてしまったので、頷き食器を並べ始めた。ある程度並べ終わったころには、今日の店番のウェルとクーの二人も来ていた。

 

「じゃあ、食べようか。いただきます」

「「「「「「いただきます!」」」」」」

 

昼食は、パンとオニオンスープだった。味も良かったし、量も結構食べれたので満足していると、食後の団欒にお誘いが来た。

 

「ねぇ、店長。さっきテンコと作ってた奴はいったい何なの?」

「あぁ...かなり初期のパワードスーツ....いやあの接続部的には外骨格なのかな?」

「そうですね。一応現在の戦術人形である私達にも使用できますね」

 

人間でも使えるようにされてましたがと補足を述べるテンコ。するとニーアがこちらを少し見ながら

 

「店長が使うのかしら?」

 

そう聞いてきた。ほかの面々もそれが気になっていたのかこちらを見てくる。

 

「状況によるかな。まぁ自分から使うことはしないよ」

「.....そう」

 

ニーアは少しの沈黙した後そう返してきた。う~む空気が少し暗くなったな。そう思っているとリズが一言

 

「まぁ店長が無茶しないように監視しておけば良いんでしょ?」

「それもそうですね~」

 

その言葉にヒトヨは言葉で答え、その他の面々はうなずいていた。

 

「監視って....はぁ」

 

リズの奴この頃どんどん遠慮が無くなってないか?いや前からこんな感じだったか。そんなことを考えつつも俺は立ち上がった。

 

「さて、そろそろ休憩終わりっ!」

 

そう言うと全員...といっても店番している二人はもういないがここにいた面々は、自身の作業に戻っていく。さてと

 

「テンコ今日中に組み切ろうや」

「ですね」

 

 

それから再度ガレージに戻り、また作業に没頭しすぎて今度はウェルに注意されたりしたが、一応夜には完成までこぎつけた。

 

「では、この外骨格はニーアに渡しておきますね。店長にこれ以上いじらせないよう注意してください」

「まぁそうなるわね。坊や残念だったね~」

 

結果ニーアが運動する際に使用する為に彼女の管轄となったのであった。




感想(コメント・意見等)・評価は筆者の執筆意欲に還元されます←
お気軽にしていってね!

また、コラボ等はご自由にお使いくださいっ(教えていただけたら、飛び上がって喜びます)

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五十二話:変わらない物は無い

M200イイヨイイヨ......!
2ヶ月以上ぶりです。

復活しました!今年もよろしくお願いいたします!

ではまったりしていってね!



ニーア用となった外骨格を組み上げてから早一週間がたった。

我らがアイテムショップも結構有名になったのか、わざわざ遠くから名の知れた傭兵やら戦術人形が来る様になった。

 

「はぁ.........」

「どうかしましたか?」

 

このまま行くと、いずれラスボス......グリフィンのCEOとかが来てもおかしくない。いやそれより先にIOPの関係者かな。そんなことを思いつつ溜め息を吐いていると、その様子を見ていたウェルが心配そうな顔をして聞いてきた。

 

「いや。こんだけ有名になるとまた面倒事が来そうでな」

「あぁ......確かにこの頃近くのPMCの斥候のような人形が要るようですしね」

 

彼女はそう何でもないといった感じに言うが、それは結構ヤバくないか?

 

「それグリフィン関係者?」

「いえ、それはないかと。話を聞いた感じでは中小のPMCのようでした」

 

うわぁ...どうやってやっているのか聞きたくないねぇ。

 

「危険な方法ではないですよ。心配しないで下さい」

「お、おう」

 

それならいいけど、少し不安になりつつもウェルと話しているとお客が来たようだ。

 

「「いらっしゃいませ」」

 

何時ものように挨拶をしつつ入ってきた人を見る。この町の基地の長であった。

 

「アルヴィンじゃん。どしたの?」

 

俺がそう聞くと、彼は少し困ったように頭をかいた。

 

「いやな、上司にお前さんがバレた」

「「っ!?!?」」

 

なんというか丁度話していた内容に近いのが来たよ。さてどうするかね?俺がチラッとウェルを見ると彼女は視線を若干下げて何やら悩みはじめた。

 

「そうか.....」

「すまねぇ...」

 

まぁ、有名になり過ぎた弊害だから仕方がないなぁ~流石に大手に歯向かったら死んでしまうしね。

 

「で?アルヴィンの上司さんは俺達をどうするおつもりですか?」

 

俺がダメ元で聞いてみると、彼はこう答えてきた。

 

「どうやら、潰す余裕もないから基本的に何かしてくるって事は無さそうだ」

 

前線がそれどころじゃないらしいとアルヴィンは続ける。

 

「わかった。ありがとな」

「おう。こっちとしても勝手に潰される方がきついからな。一応説得してみる」

 

そう言ってアルヴィンは店を後にした。それから暫くたってから、ウェルがこちらに声を掛けてきた。

 

「店長。どうしますか?」

「ん?取り敢えず、全員に警戒するように伝えて」

 

俺がそう言うと、ウェルは一旦悩むのを止めて頷いた。

 

「さてと......そんな事よりメンテメンテ♪」

 

そう一人言を呟き店内を後にした。

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五十三話:油断大敵

特異点始まりましたね。
私は育成をサボっていたのでクリア難しそうです。

なので、執筆しますっ!

今回はある意味原作の主要人物がっ←

暫くは真面目が続きます。

では、ゆっくりして行ってね!


アルヴィンは良くやってくれた様だ。

あの報告の翌々日にグリフィンからうちの店の公式メール宛てに、メールが届いた。

結構色々小難しく書いてあったが要約すると、鉄血相手が忙しいので今のまま辺境基地の手伝いを続けてくれとの事だった。

 

それは、良かったんだが....俺はどうやら気付かぬ内に藪をつついてしまっていた様だ。

 

「......」

「うん。始めまして、え~と片倉くん?」

 

今日は何もない日常となる筈だったのだが、一人の来客によって臨時閉店を余儀なくされた。その原因の人物は今まさに俺の本名を言ってきた白衣を着ている猫耳?を付けているクマが酷い女性である。

 

「この様な辺境の弱小アイテムショップになんの御用でしょうか、IOPの主席研究員様?」

「そんなに警戒しないでよ。ま知っているみたいだけど、私はペルシカリア。ペルシカって呼んでもらっていいよ」

 

そう言ったペルシカは、ニヤッと笑いつつそう言ってきた。その様はまるで蛇の様に感じた。

 

「それで要件だったね。その前にこの画像見て欲しいんだけど」

 

そう言って、彼女は左ポケットに手を無造作に入れて中からはがきサイズの厚紙を出してきた。

 

「...写真?」

「そう。これはそこの辺境基地の訓練中のドローンの映像のほんの一瞬なんだけどね」

 

ん?今...ドローンの映像って言ったか?

 

「どうやって手に入れたので?」

「ふふっ...私が言いたいこと分かる?」

 

どうやって貰ったかは聞くなと....でその写真から分かる事か。その写真の中心にはショーティが例の装備を付けていた。

 

「中心に居るSG戦術人形が装備している物に対しての意見ですか?」

「そうそう。あれをどうやって作ったか教えて欲しいんだよね」

 

言い逃れはさせないと視線が言っていた。俺はチラッと隣で警戒しているリズとウェル見たら丁度リズが口を開こうとしていたので、彼女が言葉を言う前に俺が話す。

 

「....どうして私が作成したと思ったのでしょうか?」

「っ...感かな。これ程の腕がたつ整備士がグリフィンに居るのなら、IOPの人事部が見逃すとは思えなくてね」

 

そう言った彼女は、机の上に置いてあった。リズが入れたコーヒーを一口飲んだ。

 

「随分警戒心が無いんですね」

「毒を入れるほど、馬鹿ではないでしょ?...結構いい豆使ってるのね」

 

彼女はそう言って、私はもっと苦い方が好きだなと言っていた。

 

「貴女が来たのは私を引き抜く為...と言ったところでしょうか?」

「んくっんくっ....そうだよ」

 

お代わり貰えるとついでにリズの方に言っていた。リズは警戒しつつコーヒーを入れに向かった。

 

「勿論待遇は保証するよ?」

「...」

 

彼女はそう言うと後ろに待機していた黄色のパーカーを着ていた女性に声を掛けた。するとその女性は持っていたバックから書類を出してきた。それを見るとそこには契約書等々が置いてあった。

 

「すみませんが、私はここを出る気はありませんので....」

 

そう言って特に詳しく見ずに書類をペルシカの方に突っ返した。しかし彼女は特に驚かず、それどころか笑い出した。

 

「やっぱり、駄目かぁ~」

「予想ならしていましたか?」

 

まぁねと言った後、お代わりで入れられたコーヒーを飲みつつ話始めた。

 

「ならさ、個人的な依頼と言った感じなら大丈夫かな?」

「貴女の依頼なんてどう考えても面倒事ですよね?」

 

嫌です。と雰囲気で全力で出しつつ返答すると、彼女は困ったような声を出した。

 

「あちゃ~取り付く島もないよ。RO~」

「仕方がないですよ。胡散臭さが極まってますもん」

 

泣きつかれていた黄色のパーカーの女性。ROとか呼ばれてたな。そんな事を思いながら暫く泣いた後にこちらをくるっと向いた。

 

「他に何かありますか?無いならお帰り下さい」

「...あっ!ある!」

 

ペルシカは何か思いついたと思ったらROの両肩を持ちこちらに突き出してきた。

 

「この娘の専用装備を作って欲しいんだ。料金は相談で」

「「「「はい?」」」」

 

ペルシカの突拍子のない発言で、彼女以外の困惑の声が重なった。周りの雰囲気を置き去りにして彼女は言葉を続ける。

 

「きっと私より確実に役立つ物を作ってもらえそうだしさ」

「...俺が作った事が漏れないようにしてくれるのなら、最善を尽くしましょう」

「「店長?!」」

 

俺の言葉に驚き、追及しようと声を出した店員二人を手で制して言葉を続ける。

 

「その代わり、俺が作った作品である事は漏らさない様にして下さい。それが受ける条件です」

「よしっ、じゃあそう言う事でっ!詳しくは後日RO本人に来てもらうからよろしくっ!」

 

そう言ったペルシカはコーヒーを飲み切り混乱しているROを引っ張り店を後にした。

 

「またのご来店をお待ちしております」

「「...お待ちしております」」

 

さてと、じゃあこの異議ありって顔をしている二人をどうにか説得しますかね。

 

「リズとウェル、いやこの二人だけじゃないな。皆に言っておくけど、今回は別に煽てられたから受けたわけじゃないぞ?」

 

そう言うとウェルが渋い顔をしたまま

 

「それは大体予想が付いています。自身の技術の結晶を見せて天才ほどじゃないと思わせるんですよね?」

 

うん。何となくいい気分では無いけど事実なので頷いた。

 

「そうそう、悔しいけどそう言う事。まぁ本気で当たるけどねっ!」

「「「「「「知ってた...」」」」」」

 

何だよその顔はっ!現在実際に見えるのはウェルとリズだけだけど、絶対無線の向こう側にも残りの面々の顔もこうなっているのだろう。

 

「じゃあ今日は休むか」

 

俺はそう言って店内を後にする。

嵐がさった様に疲れたのでこういった日は休むに限る。そう言えば閉店準備を丸投げしちゃったけど....まぁ良いか。

 

そう思いその日は寝るのだが、翌日久々にリズとウェルの二人に小一時間の説教が待っているとは思っていなかった。

 

 




執筆に集中出来た...

お待たせいたしました。私は生きてます。

ここから出来る限りスピードを戻していくので応援よろしくお願いします。

では次回またお会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五十四話:休日...?

1298が出なくて泣きそうな筆者です。

そのせいで溜まった鬱憤を発散するためほのぼの書きます。

今回のお供はウェルですっ

ではまったりして行ってね!


嵐が過ぎ去った翌日。俺は朝っぱからリズとウェルの二人から説教を受けてその後一応シフト通りに俺は休みを貰ったのだが、どうやら今日は自由は無いようだ。

 

「店長。少し付き合って下さい」

「ん了解」

 

ウェルの言葉にそう短く返すと、彼女はそのまま外に向かって歩いて行く。どうやら外出に付き合えという意味の様だ。

 

そのまま付いていき、店を出て少し街の中心地に近付いた辺りで聞いてみることにした。

 

「今日の用事は何だ?」

「っ!...それは」

 

俺がいつも通りに聞いてみるとウェルはビクッとなり言葉を詰まらせた。

 

「何か言いにくい事なら言うまで待つが?ここじゃ不味い?」

「...いえ」

 

彼女は小さい声でそう言うとそのまま手招きをしてきた、なので耳を近づけると

 

「.....実はこれと言って用事は無いです」

「おっ、そうなのか」

 

ふむ....あっ!なら丁度いいな。

 

「じゃあまったり街の散策でも行くか」

「それも良いですね」

 

じゃあまずは何処に行こうかな...まぁ市場にでも行くのが良いね。

 

 

 

「相変わらず、結構活気があるなぁ~」

「...ですね」

 

あれから俺とウェルは街の中心街にある市場の中を散策していた。市場って言うだけあって日用品や食品から電子機器等や人形用の部品屋が軒を連ねている。

 

「食材はまだ買い足し必要ないよな?」

「ですね。まだ余裕があったはずです」

 

じゃあ、ウィンドウショッピングかな。何かあるかなと店頭を覗きながら見ていると

 

「店長」

「ん?」

 

急にウェルに呼びかけられた。なので隣にいたウェルの方を向くと彼女はそのままの体制のままこちらを一回見た後また物色しだした。

 

「?...あっ」

 

何だったんだと思うと、近くの話声が聞こえてきた。よく聞くとどうやら隣街から来た人と店員の世間話であった。何かグリフィンのお偉いさんが来るやら、そんな事を話していた。

 

「成程...これ下さい」

「毎度っ!」

 

ウェルは微笑み見ていた商品を買ってその場を離れて行く。俺は焦って彼女の背を追った。そのままウィンドウショッピングへと戻って行く。

 

「珍しい話でもしてたか?」

「いえ、特には。先週には知っていた情報でしたが、もしかしたら見落としがあるかと思いまして」

 

そう言って、先程かった果物...リンゴっぽい奴を齧る。

 

「ワイルドだな」

「店長も食べますか?」

「いや、そこまで顎強くないから結構です」

 

ウェルの好意にそう返答すると、彼女は少しふふっと笑った。

 

「店長の歳なら基本的に大丈夫ですよ」

「..家で食べたいっす」

 

そういや家にリンゴあったかな?確かあったな。今日食べよう。

そんな事を考えつつ歩いていると、ジャンク屋が見えた。これは銃火器関係かな?

この市場に出店するとなると、どっかの中古屋が出張してきたのかな?ちょっと興味がわいたので同行者の許可を貰おうー

 

「良いですよ、行きましょうか」

「そんなに顔出てたか?」

 

じゃあ言葉に甘えて...店に近付くとそこの愛想良さそうな店員のお兄さんからいらっしゃいと言ってきた。

 

「......」

 

品揃えとしては、AKシリーズの中古品がメインかな?あとはそれにつけれる光学機器関係だな。値段は少し割り増しだな。そんな事を考えていると

 

「お客さん、知っているね?」

「そこまでじゃ無いですよ。これは貴方が仕入れたのですか?」

 

質問を投げかけると、彼は少し笑ってこう返してきた。

 

「そうだな。って言ってもこの街にはグリフィンの基地もあるから、そんなに売れ行きが良くねぇな」

「そう言うものなんですか?」

 

俺が知っているグリフィンの基地がある街で商売したときは感じてなかった事を言っていたので、少し気になり聞き返すと、彼は深く頷いた。

 

「....そうなんですね。では失礼します」

「おうっ」

 

そう言って俺は店を後にした。

 

「じゃあ、そろそろ帰るか」

「ですね」

 

ウェルにそう言って俺達は市場を後にした。

 

 

「ちょっとそこのお二方」

 

それからグリフィンの基地に通じるメイン通りに出たところで、俺達は呼び止められた。この声は

 

「カラビーナさん。どうしましたか?」

 

振り返ると、正装のカラビーナさんが自身の半身である銃を戦闘態勢で持っていたので驚きつつ聞き返すと、彼女はあっと言った後銃を肩にかけつつ話始めた。

 

「いえ、店長とウェルさんがこの時間帯にこの付近を歩いているのが珍しいかったので何かあったかと思いまして」

「「はい?」」

 

何でそんな事になっているんだ?そう思ってしまいつい出てしまった声はウェルと全く同時に出た。その反応に若干安心したカラビーナさんは少し頬を赤らめこう言ってきた。

 

「その、お二人が昼間から市場に要らして怪しい店に近付いていたので、何かあるのかと思ってしまいましただけですわ」

「...ウェル、そんな事あったか?」

「いえ、少し面白そうな店を見ていただけの筈です」

 

だよな?そう思っていると、カラビーナさんは今度は溜息を吐いた。

 

「無意識...でしたか。ならすみませんでしたわ」

「いや別に構わないよ。今日は休みの日ってだけだったからさ」

「私もそうですね。今から帰る所でしたので」

 

そう言ってカラビーナさんとも別れそのまま帰宅した。

 

 

因みに夕飯の時に丁度その事を他の面々に言うと、全員困ったような顔をした後リズが

 

「はぁ...無意識って。まぁウェルが一緒なら良いけどさ」

 

と言っていた。




という訳で、ほのぼの?回でしたっ!

次回は新キャラ(戦術人形)が行きますよっ!
でもほのぼのはほのぼのですっ!

感想や評価は筆者のやる気に直結しておりますっ
どしどし下さいっ!

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五十五話:睡魔に打ち勝て

お久しぶりです皆様......

私は色々ダウンしてました....(いつもの)

では、まったりして行ってね!


ウェルと共にぶらぶら散歩した翌日、俺は店番をしていた。

 

「店長、どうぞ」

「ありがとう」

 

現在の時刻は昼のラッシュを過ぎた辺りである。売り上げは何時も通り位かと考えていると今日同じ当番になったニーアがマグカップを差し出してきた。受け取り匂いを嗅ぐとココアの匂いがした。

 

「んくっ...ふぅ」

「ふふっ」

 

無言でココアを飲んでいると、右側から笑い声が聞こえてきた。

 

「なんだよ?」

「いやー?何でもないですよー」

 

そう言う奴はなんかあるんだよなと思いつつも、特に追及はしない。したってどうせ教えてくれないからな。

 

「ここはこの頃鉄血も大きな動きは無さそうね」

 

客が居ないので半ば休憩時間となっていると、ニーアが端末を眺めつつそう言ってきた。チラッと内容を見てみるとどうやら今日基地の方に教官として言っているリズからのメッセージの様だった。

 

「これが嵐の前の静けさじゃ無ければ良いんだけどな」

「そうですね」

 

俺の一言にヒトヨは頷きつつそう返した。ニーアは端末と睨めっこしながら眉をひそめた。

 

「店長、縁起でもない事を言わないで。気持ちは分かるけど」

「それもそうだな」

 

悪いと謝りつつココアを一口飲む。糖分と温かさが体を循環するのを感じながら、今後の事を考えてみる。

....と言ってもウェルやニーアの調べでも俺自身の小さき情報網でも特にこれと言って警戒するほどのものは見当たらなかったしな。

 

「多分もう少ししたらあの天才の直属っぽい娘が来るか」

 

そうボソっと呟くとヒトヨとニーアはあぁと思い出したかの様に苦笑いした。

 

「あれから何にも連絡無いんですかー?」

「無いな。でも何か無連絡で来る可能性が大いにある」

 

あの研究員の考える事は全く予想が出来ないから、何とも言えないが。

そう心の中で思っていると、口が勝手に開いていき...

 

「ふぅぁ...っとと」

 

客も来ない正午のラッシュ後、うちの店では昼食を食べた後のちょっとした休憩時間。ここ数日結構忙しかったからか疲れが少し溜まっていた様だ。しかし今は仕事中だと少し強めに頬をつねって意識をハッキリとさせる。

 

「この頃忙しかったですしね?」

「そうね。もう少し休みを増やしたらどうかしら?」

 

二人から発せられた言葉は、俺をからかう言葉ではなく心配していると言った言葉であった。その心使いは有難いが、俺は首を横に振った。

 

「ダメダメ。今でも昔に比べれば結構休めているし、これ以上休みを増やしたら怠けちゃうって」

「店長は少しくらい怠けても良いと思うけどね」

 

俺の返答にそうからかってくるニーア。ヒトヨもコクコクと頷いている。こう話していると少し睡魔の波が治まってきた。

 

「よしっ!じゃあ俺はメンテ室に行って、光学機器の修理してくるわ。少しの間店番は二人でよろしく」

「分かったわ」

「はいっ」

 

二人の返事を受けながら俺はメンテ室へと向かった。

 

 

メンテ室の作業台の近くで俺は自分の席に着き、作業を始めていく。それと同時に後ろに向けての言葉を発する。

 

「...で、相変わらずこの部屋に引き篭もり気味だなテンコ」

 

ある意味メンテに必要な音のみしか流れていなく、静かな部屋なので声はまずよくとおる。

 

「そんな事無いです」

「いや、お前休日もここの部屋に居る事が多いだろ」

 

そう突っ込むと彼女はキャスター付きの椅子でコロコロとこちらの机に来た。

 

「この部屋ってずっと居たくなりませんか?たとえ何もしていなくても」

「......」

 

否定が出来なかった。まぁ俺は人間なので時と場合によるが基本的に同意してしまった。何か悔しい。言葉に出して肯定するのは憚られるので黙っていると、テンコはあからさまにニヤニヤした。因みに端末で調べ物をしつつの様だ。

 

「それは最早肯定ですよ?」

「はぁ....こんな風に俺は見られているのか...」

 

因みに話ながらだが俺達の手は動きを止めていない。こう話している内に俺は一つ目の光学機器の修理を終えた。

 

「~♪」

「私も、手伝いますね」

「駄目」

 

スッと流れるかの如く修理前の光学機器に伸びてきた手をはたき落とした。チラッとその方向を向くと少し不機嫌な顔をしたテンコがこちらを向いていた。

 

「そんな顔しても駄目だ。今日は休みだろ?」

 

調べものをこの部屋でする分には俺も黙認するが、ここでこの作業まで手伝わせちゃうと何故かリズにバレており夕食前に二人で説教を受けるんだから、特に俺の監督不行き届きでな。そうつらつらと言うと彼女はボソッと

 

「リズを恐れていては駄目ですよ店長!」

「いや普通に怖いだろ」

 

お前は大丈夫かもしれないけどな。リズって本当に怒るとマジで監禁一歩手前まで行くからな?お前はそれを受けた事がないから言えるんだろと続けると彼女はチラッと明後日ほ方向を向いた。

 

「店長は人間ですから監禁何ですよ。こっちなんて後日休日に基地の方まで行って耐久訓練という名の公開処刑ですからね!」

「たまにお前が休日ヘトヘトになって帰ってくるのはそれを受けていたからか」

 

っていうか、それを受けてもまだやりたいのか。こいつは

 

「それを受けてもやりたいんです」

「俺の心の中を読むんじゃない...でも駄目だからな?」

 

俺が折れない事を察したのかテンコは溜息を一つした後

 

「ならせめて、作業を見せて下さい」

「まぁそれなら別に良いぞ」

 

今日は気分が乗っていたんだろうな。俺もそう言う日があるのは納得できるのでその行為は許可を出した。

それから二人で閉店までメンテ室でたまに雑談しながら整備を続けた。

 




約一ヶ月ぶりです。申し訳ない....これもすべてイベントが重なりまくったせいなのです(責任転換)

次回からは、いい加減に話を進めます。まぁ内容自体はほのぼの主体なのでご安心ください。

感想や評価は筆者のやる気に直結しておりますっ
どしどし下さいっ!

ではまた次回お会いしましょう!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五十六話:専用装備のすゝめ 其の一

一ヶ月以上ぶりです。皆さんお久しぶりです。私は生きてますっ!

ではまったりして行ってね!


あの嵐来襲からはや一週間位だろうか。我々アクロスは特に何も変わらず営業をしていた。

 

まぁ、実際メンテやら改造を趣味としている俺こと店長と魔弾の沼にどっぷり浸かってしまったHG戦術人形のテンコは、一応仕事で新規の装備が作れると言う事でちょくちょく部品等を色んなルートで仕入れをして準備をしていた。

 

だから、ある程度苦戦はしないだろうと考えてしたのだが...

 

「そもそも、特に連絡もなく一週間もたった...」

「忘れていたとしても、『あれ』は無駄にはなりませんから良いですが...」

 

「「はぁ.....」」

 

まぁ、口約束ではあったので一応準備をしていたが、店の経営外でやっていたので特に表立ったダメージは無い。少なくとも俺達以外はね。

そんな今日、俺とテンコが二人とも店番という珍しいシフトであった。実はこれテンコがこの店の店員になった後に不定期で開催しているイベントで、その名も『メンテナンスday』である。

 

「溜息してないで、さっさと仕事をする」

「...だな」

 

テンコと二人で溜息を吐いていると今日の店番最後の一人であるリズに言われたので二人して仕事に戻る。

 

「テンコ品出しするから手伝って」

「了解です」

 

因みにこの『メンテナンスday』の概要は色々あるが、一番の目玉は普段ではメンテナンスメインの話のみであるが、この日のみはカスタマイズの案も一緒に提示すると言うものである。一見そこまででは無い様に思えるが結構常連さん方が頻繁にメンテナンスしに来てくれるようになったので、収益も上がっている。

 

「今日は売り上げ良さそうだな」

「実際良いよ平均1.25倍位」

 

俺の呟きにリズはそう答えつつレジ作業を続けている。

そういえば、収益が上がったのでリズ達の給料もいくらか上げてるんだが、有意義に使えてるのかな。

 

そんな事を考えていると、入口がゆっくりと開けられた。

 

「「「いらっしゃいませ」」」

 

まずは挨拶。それをしながら来客者本人をみるとそこにはいつぞや見たフードに縦セーターの美少女が立っていた。

 

「お久しぶりです。突然ですが大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよ。こちらにどうぞ」

 

ROの言葉に俺はそう言ってカウンター近くに置いてある席へ座るように促した。彼女はありがとうございますと言った後席に座った。俺とテンコはROの向かい側に座る、そのタイミングでリズがコーヒーを入れて持ってきた。

 

「あ、ありがとうございます」

「じゃあ、話し合いと行こうか。先ずはROさんはどんな専用装備が良いか要望はありますか?」

 

前回と打って変わった俺の口調とイメージに驚いたのか、彼女はポカンと口を開けた。その様子にテンコはニヤっと笑い

 

「店長は、事情がどうであれ納得した上のお客様にはこんな感じよ。だから気にしないで」

「そうなのですか。分かりました」

 

テンコの言葉にそう返し、ではとROは懐から紙を出してきた。

 

「一応要望をまとめた物です」

「拝見しますね」

 

出してきた紙を見ていると完結に自身の能力やらが書かれていてその下に要望が書かれていた。

 

「にしても....現場の指揮が出来る人形か」

「?」

 

これって機密情報じゃあ?...いや存在自体が機密か。特大の厄介事の匂いを感じつつ俺は口を開いた。

 

「自身の機動力の向上で良いのかな?」

「はい。お願いします」

 

となると、専用装備は外骨格で決定だな。俺はチラッとテンコと見ると彼女は察したのかメンテ室の方へ消えていった。

 

「じゃあ、詳しくすり合わせをしましょうか....っと」

 

チラッと時間を確認しながら俺は、これを始めると今日の営業時間内に出来ないと気が付いた。ROもその挙動で理解したのか、少量残っていたコーヒーを飲みきり立ち上がった。

 

「ではすり合わせの方は後日...いつが良いでしょうか?」

「そうですね。明日は大丈夫ですか?」

 

素早くスケジュールを確認しつつ言った言葉に彼女は了解しましたと言いそのまま出口の方に向かって行く。

 

「では明日また伺います」

「はい。よろしくお願いします」

 

ROはそう言って店を後にした。

 

 

 

 

 

 




次回専用装備の話は終わりますっ!(多分)

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五十七話:専用装備のすゝめ其の二

お久しぶりです。

本当に失踪しかけてました。すみません。

ではゆっくりしていってね!


翌朝。俺はまだ日が出ていない時間に置きメンテ室に向かった。

 

「おはよう...やっぱり寝てなかったか」

 

メンテ室に入るとそこには、既に図面を引き始めているテンコの姿があった。彼女は一旦作業の方を止めてこちらを向くと口を開いた。

 

「おはようございます。いいえ寝てましたよ?先程起きました」

「そっか。それで?何処までやっちゃった?」

 

そう聞きつつ、俺は席を彼女の近くに移動させ座った。

 

「そうですね。大体基部の設計は終了しましたね」

「後は外部に何を付けるか...か」

 

俺の言葉にテンコは頷いた。

 

「何パターンか作っておけば良いかな?」

「そうですね。彼女の特技等があったらそれに沿えば良いですし」

 

じゃあ、色々弄ってみようかとテンコに言うと彼女はキーボードを打つ速度を上げながら頷いた。

 

 

あれから、あーじゃないこうじゃないと話し合っていると、メンテ室の扉が突然開いた。

 

「「?」」

「予想通りね....お客さんだよ。二人共」

 

二人そろって軽く睨みながら開いた扉の方を振り向くと、そこには軽食を持ったリズが立っていた。にしてもお客?ROが来るにはまだ時間がー

 

「もうとっくの昔に開店時間だけど?」

「えっ、マジ?」

 

俺はテンコの方を思いっきり振り返った。すると彼女は顔を背けた。

 

「...やっちまった。悪いすぐ行く」

「ん。了解」

 

そう言うと、リズは扉を閉めた。さてと

 

「テンコ、さっき作った設計書のデータをそっちのタブレットに送ってから来て」

「分かりました」

 

それだけ言って俺は一旦メンテ室を後にした。

 

「すみません。お待たせしました」

 

メンテ室から出ると、真っ先にカウンター近くを見るとそこにはコーヒーを飲んでいるROが座っていた。そんな彼女に謝りつつ近付いて行くと彼女は、顔を変えずに大丈夫ですよと返してくれた。

 

「ではさっそくなのですが、話し合いを始めましょう」

「そうですね。よろしくお願いします」

 

まずはー

 

「料金の方なのですが、予算を教えて頂けますか?」

「あっ、はい。こちらです」

 

そう言ってROは懐から紙を出してきた。そこには要望書と共に予算がー

 

「うわぁお」

「凄いね...」

 

俺の声に興味を惹かれたのか、リズが後ろからその値段を見て何時もの口調で...いやこの声音は呆れも混じってるな。そんな事を考えていると足りないと思ったのか、R0が少し慌てた様子で聞いてきた。

 

「足りませんか?」

「いえいえ、こちらの予想より張るかに高い予算だったので、少し驚いてしまっただけです」

 

そう言うと彼女は、そのまま胸をなでおろした。

 

「では、続いて案なのですが....一応こちらでおおまかな案を用意しました」

 

そう言いながらタブレットに3Dモデルを表示した。それを興味深く見ていた彼女は口を開いた。

 

「これは、誰が?」

「これはー」

 

質問に答えようとした瞬間、メンテ室の扉が開いた。

 

「店長、お待たせしました」

「...彼女が大半を組みましたね」

 

その言葉でR0は驚いた様だ。

 

「彼女が....?」

「お手伝い程度ですよ。私は店長に教わったことをやってるに過ぎないので」

 

テンコはそう言って、俺の隣に座った。そんな事は無いだろうに...っとと、ここで突っかかっても話が止まるだけだな。

 

「それで、どのタイプが良いですか?」

「.....これでお願いできますか?」

 

それは、耐久性と回避率が平等に振られている設計図であった。まぁ無難だな。

 

「..では、2...いや3日後の正午過ぎに取りに来て下さい」

「よろしくお願いします」

「またのお越しをお待ちしております」

 

そう言ってお行儀良く頭を下げて彼女は店を後にした。やっぱり有名処のだなぁと思いながら俺はリズが用意してくれていた軽食を持ちそのままメンテ室に向かった。

 

「じゃあ、やりますか」

「それにしても、指揮能力支援モジュールを搭載しろですか」

「まぁそれしか要望が書かれていないから、そこまで難しくはないぞ」

 

テンコにそう返すと、彼女は目を見開いてこちらを見た。

 

「...本当ですか?」

「おう。俺は正直もっと無理難題を言ってくると思ってたからね」

「...例えば?」

 

例えば...か

 

「....自己修理モジュールとか?」

 

少し悩んだ後にそう答えると先程まで速攻で返って来た返事が来なかった。

チラッと彼女を見ると、目を細めてこちらを睨んでいた。

 

「....何も聞かなかったことにしておきます」

 

ザクザクと刺さるような視線を受けつつ、俺は作業を続ける。こんだけ視線を送って来ているのに仕事はやっている様だ。

こうしている内に今朝までに作っていたものの中で、一番適しているであろう設計図を持ってきた。

 

「やるか」

「はい」

 

作るまでは特に問題は出てこないだろうな。俺はそんな事を思いつつ作業に取り掛かった。

 

 

作業開始時の心の言葉でフラグが経ったのか、そこからクーの手を借りながら実物を作成するのに丸2日掛かった。少々テンションが上がり過ぎて言われてなかったものも若干搭載したような気がするが、リズが何も言ってこなかったので問題ないのだろう。

 

「...ふぅ」

「出来ましたね」

 

完成した際の出た言葉は、疲れ切った声音であった。若干テンコも声のトーンが低くなっていた。と言っても彼女は人形なのでそこまで顕著では無かった

 

「そんな事より、もうすぐ来るよな?」

「そうですね」

 

テンコはそう言って箱の用意を始めた。それと同時にドアの方からノックする音が聞こえた。俺がそちらを向くと今日の店番であるウェルが立っていた。

 

「店長。来ましたよ」

「おう、丁度いま出来た所だ」

 

そう答え、そのできた外骨格を持ちメンテ室を後にした。

 

「おはようごさいます。店長...?」

「おはようございます。ご注文の品、出来てますよ」

 

俺はそう言ってカウンターの上に横にして出来た外骨格を置いた。

 

「これが私の...」

「そうです。包装しますか?」

 

一応用意出来てますがと続けるが、彼女は首横に振った。

 

「いえ、ここで装着します」

「分かりました。じゃあー」

 

テンコ呼ばなきゃと言おうとしたら、後ろからヌッと彼女が出てきてそのままROの手伝いを始めた。今回作った外骨格はブーツの様に履くタイプである。色は彼女の元から掃いていたソックスと同じ感じの配色となっている。

 

「ーこれで、接続完了です。どうですか気分は?」

 

そんな事を思っているといつの間にか装着が終わったようで、ROの様子を伺うと爪先を床に叩いてみたり跳び跳ねてみたりしていた。暫くして、此方を向き口を開いた。

 

「何も違和感はありませんね」

「おぉ、それは良かった。取り敢えず通常モードは上手く動作してるみたいですね」

 

そこでROがお礼を言いそうになったのでそれを手を上げて止める。

 

「それを言うのはもう少し後ですよ」

「ーえっ?」

 

-----

 

困惑しているROを連れて来たのは、街から少し離れた廃墟群の一角であった。俺はそこに先回りしていたリズとヒトヨにROを任して近くに置いてある装甲車に行った。

 

「説明終わった?」

[終わったよ]

 

通話をするとリズからそう言った返答があった。

 

「じゃあスタート!」

 

 

それから、そのまま空砲が時々なるのを聞きながら彼女達が返ってくるのを待っていた。

 

[店長終わったよ]

「...速かったな」

 

予想以上の速さでリズからテストの終了したとの報告が上がってきた。俺は急いで装甲車から出て彼女達が居るであろう所に歩いて向かう。

 

「あっ店長~!」

「おう。お疲れ様」

 

ヒトヨが初め歩いて近付いてくる俺に反応してこちらに手を振ってきた。俺はそれに片手を上げて返事をしながらROの前に行き質問をする。

 

「違和感等々感じた?」

 

その問いかけに対して、彼女は首を横に振った。

 

「いえ、特に感じませんでした」

「それは良かった。じゃあ一旦戻ろうか」

 

 

店に戻ると昼時になっていた。

 

「じゃあお会計に行きますか」

「あ、はい。ではカードで」

 

俺はROが出してきたカードを受け取り、処理を行う。

 

「レシートです」

「はい。ありがとうございました」

 

ROは頭を下げそのまま店を後にした。

 

「「「またのご利用お待ちしております」」」

 

 

さてと、一仕事終わったな。俺はそう思い何時もの場所に座りダレた。

 

「店長。休んじゃ駄目だよ」

「うへぇ...良いじゃないか」

 

俺の情けない声を聞いたリズであったがそんな事気にしないのか、良いから仕事をすると俺の背中を押してきた。

 

「へーい」

 

はぁ...もう当分はゆっくりしたいよ....




次回はまた嵐が来ますよぉ...何時書く暇あるかなぁぁぁぁ
気長にお待ちください。

ではまた次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五十八話:嵐再び

........( ゚д゚)!!
更新止まりまくっていて申し訳ございませんっ!
スランプなってました。漸く細かなプロットが組めましたので更新です!

では、ゆっくりしていってね!


ROの専用装備を作ったきり、特にペルシカさんからの連絡は無かった。キチンと料金は振り込まれていたので特に問題はないけどね。

にしてもー

 

「ー外に出たくないほどの暑さだぁ」

 

店番をしていてドアが開く度に外から入る新鮮な熱風にうんざりしていると、後ろからそんな俺を窘める声がした。

 

「店長いくらなんでもダラケ過ぎだよ」

「うーす」

 

リズはそう言うがこれだけ暑いと客足も遠のくのか、今店内は一人も居ない。

 

「来る気配もないなぁ」

「そうとも限らないから、しゃきっとする」

 

そう言い合っていると、無造作にドアが開かれた。因みに俺はまだダラケたままである。そこに立っていたのはウェルであった。

 

「おかえりぃ~」

「店長。お客様だったらどうするつもりですか?」

 

彼女は開口一番にそう言ってくる。それに対して俺は即答した。

 

「うちの店員の足音位は気付くよ」

「.....っそれでもですよ」

 

ウェルがそう言って俺が座っている椅子の隣にある椅子に座った。リズは何処かに消え...多分コーヒーでも淹れに行ってるんかな?

 

「この暑さだと、こんな偏狭には鉄血も攻勢をかけてきませんね」

「そうだなぁ」

 

そう言えば、なんかそんな事を俺もアルヴィンから聞いたな。 そのまま雑談でもしようとすると、コーヒーが脇から出された。

 

「サンキュー」

「アイスだよ。はいウェルも」

「ありがとうございます」

 

リズは俺達の感謝を聞きつつカウンターにあるラストの椅子に座った。

 

「にしても、昼間になっても来ないね」

「だな」

「今日は特に暑いらしいですから、街から人影が消えてましたね」

 

街中ですら消えてるなら、こんな端まで来る人なんて居ないか。

 

「じゃあ今日はこのまま来ないかもな」

「そうだね」

 

リズがそう答えて、アイスコーヒーを一口飲んだ。その時店前に近くに車の停車音がした。

 

「リズ、ウェル」

「ん」

「分かりました」

 

名前を呼んだと同時にリズはコーヒーの片付け、ウェルは席から立ち上がり警戒を始めた。一応の警戒だけどな。準備が済んだとほぼ同時に扉が開いた。

 

「いらっしゃいませ」

 

開いた先に居たのは、スーツ姿をした猫耳女性であった。.....誰だ?

それと同時にチャという音が両サイドからした。俺は驚きそちらを見るとそこには真面目に戦闘体勢に入ったリズとウェルが居た。

 

「!?!?り「店長黙って」........」

 

リズのいつも以上に真面目な声で言ってきたので、黙りまた先程の女性に目を向ける。すると彼女は両手を上げた。

 

「こっちに敵対する意志は無いよ。その理由に護衛がついてないでしょ?」

 

ん?この声はー

 

「ペルシカさん?」

 

俺が確認を取るように聞くと彼女は暫く固まった後頷いた。

 

「二人共一旦下げなさい」

「「...了解」」

 

一応下げてはくれたけど、まだガチガチの警戒をしてらっしゃるな。

 

「で、今日は何のご用件ですか?」

「少し長くなるから、座っていいかな?」

 

疑問を持ちつつ用件を聞くと、彼女は話が長くなるから座って良いか聞いてきた。俺は両サイドを少し確認して

 

「良いですよ」

「ありがとう」

 

座ったペルシカさん。俺は先ずは飲み物を出そうかなと思うと後ろから飲み物が出てきた。キチンとペルシカさんの分もある。

 

「二人とも警戒を一旦解きなさいな。空気が重すぎよ」

 

そう言うと二人から発していた重圧がかなり良くなった。

 

「ありがとうな、ニーア」

「別に構わないわ~」

 

そう言って、プライベートエリアに帰っていく。それと同時にウェルは相変わらず俺のすぐそばだが、リズは数歩離れ壁に寄りかかった。それから暫くしてペルシカさんは口を開いた。

 

「これは言葉を選ばないと、頭に風穴が開くね」

「すみません。何時もは違うんですがね」

 

俺が平謝りをすると、ペルシカさんは苦笑いをしながら

 

「嗅覚が良すぎるのも考えものだね、店長」

「?」

 

どういう意味だ?と俺は首を傾げるとペルシカさんは直ぐに分かるよと言った。

 

「今日はね、真面目な話をしに来たんだ」

「何となくそんな気はしましたが、受けるかどうかは内容次第ですよ」

 

ペルシカさんは、それは勿論と答えた。

 

「先ずはそうだね...ROの専用装備ありがとうね」

「対価は頂きましたから」

 

そう言うと彼女は首を横に振った。その行動の意味するところは、否定......?俺が困惑していると、それを理解したのか、予想していたのか、ペルシカさんは俺ではなく後ろに立っていたウェルとリズに向かって

 

「少々紙の資料があるので見せても良いかな?」

「ん」

「...えぇ、良いですよ」

 

その返事にペルシカさんは安心したようで、持ってかていたバックの中から資料の束を俺の目の前においた。

 

「本当なら紙媒体で見せる量じゃ無いんだけどね」

「そうですね......それでこれは?」

 

俺の質問に対してペルシカさんは、ニコッと笑った後

 

「君が作った、専用装備の研究資料だね」

「......は?」




嵐が来たぞぉ~(歓喜)

これからは少更新速度あげれるかと(二週一本位ですかね)思いますっ!

感想・評価お気軽にどうぞっ!(執筆意欲になりますっ!)

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五十九話:暴露と契約と

流石に腕が錆びてますね......リハビリ頑張ります。

では、ゆっくりしていってね!


ペルシカさんは俺の反応が予想していたのごとく言葉を続ける。

 

「まぁ、研究資料と言うよりもうほぼ論文だけどね」

「研究するほどの物でした?」

 

あれだって2日で作ったよ?まぁテンコの手伝ってもらいはしたけどね。そんな装備にそこまで研究するものがあるとは思えないな。そう言った感じに言うとペルシカさんは頷いた。

 

「別に私に作れない訳じゃないけど、驚くのはその速度だよ」

「それは立場とか、企業の大きさとかで変わりませんか?」

 

ペルシカさんはその言葉に何度も頷いた。

 

「確かにこちらはある程度許可やら認可やら取らないといけないからね」

「ですよね。私の場合はそんなの余り関係無いですから」

「でも私はこの装備と同程度の装備の開発に昨日まで掛ったよ」

 

昨日まで.....?ちょっとまって?俺は一旦話を止めて休もうと思ったが、ペルシカさんは俺の行動より早く説明を始める。

 

「君の装備を基に、別の戦術人形に外骨格系装備にダミーリンクの効率向上装置を加えるのにこれだけ掛ったよ」

「......」

 

俺は急いで彼女が作った資料を読み始める。そこには俺の装備の構造とシステムの構造の研究がなされた後に、その技術を使った別の装備の開発について細かく書かれていた。

 

「.....解釈違いはあるかな?」

「いいえ、これであってます」

 

しかし何でこんなに装備を作るのに時間がかかっているんだ?そう悩んでいると後ろから声がした。

 

「それも立場だよ。店長」

「リズ...?」

 

壁に寄りかかり、こちらを見ていたリズはいつの間にか持っていたマグカップをカウンターに置きながらそう言ってきた。

 

「店長は戦場を生で感じてきている」

「.....そう言う問題か」

「じゃあ、本題に入ろうか」

 

何となく分かった気がする。後はゆっくり作る状況何てあまり無かったもんな。こんな店でやってると。そんな話をしていると言葉を取られて機嫌が少し悪くなったペルシカさんが口を開いた。

 

「正式にIOPに技術提供をして欲しいの」

「...それは」

 

嫌ですと答えようとするが、彼女はそれを手で制した。

 

「勿論店長がそう言った事を嫌がっているのは知ってる。だから条件を出すよ」

 

そう言うとペルシカさんは更に資料を出してきた。そこにはー

 

「.....ペルシカさん」

「ふふっ、研究者......いや君は研究者というより職人かな。そういう人種は何より環境を大切にする」

 

勿論私もねとペルシカさんは続けた。俺はその言葉を聞きつつ資料を読み終えた。

 

「はぁ........」

 

俺は溜め息を吐いた。ペルシカさんは俺の顔を見てニヤリと笑った。

 

「どうかな?」

「どうやってこの条件を上層部から許可出したのかを聞きたい位ですよ」

「ふふっ...こう見えても『同族』の思考回路は分かるほうだからね」

 

俺は貴女と同族ではないっ!そう思い睨み付けるが彼女はそれに対して笑みを深めた。

 

「急かす様で悪いんだけど...」

「......この条約通りじゃ無くなったと此方が判断した場合は、それなりに覚悟下さいね?」

 

悪いと思いつつ、ペルシカさんの目の前で車長の方の顔で軽く脅す。すると彼女は少し顔をひきつらせた。それと同時に後ろにいる人達を手で制す。

 

「私は藪を突いて蛇を出したくはないかな」

「大丈夫ですよ。そちらがちょっかいをかけなければね」

 

そう言って俺は契約書にサインをしてペルシカさんに渡す。彼女もその契約書にサインして二枚あるうちのもう一枚を此方に渡した。

 

「じゃあ、これからよろしくね」

「ええ、よろしくお願いします」

 

固く握手をした。それと同時に俺は後ろから突き刺さる視線をどうしようか考えていた。

 

 

ペルシカさんが店を後にした後先程まで押さえられていた視線が鋭さを増した。その視線がある方には顔を向けずに俺は話し始める。

 

「面倒事は嫌な奴が、面倒事の化身と言われる企業と提携するのは心配だと言う気持ちは分かる」

 

でも、この道がこれからの我々には必要だと少し格好つけて言ってみると鋭い視線が霧散した。

 

「....契約書の内容に関してはここからも見えてましたから大丈夫です」

 

ウェルは頭を少し抱えつつそう言った。

 

「破格の待遇でしょう。しかし」

「まぁ、大丈夫さ。向こうは俺の事を職人と言ったからね」

 

そう研究者ではなく、職人と言ったのだ。ならば俺はさしずめ人形装備の職人として向こう側には伝わっている。

 

「『人形』ではなく...ですか?」

「うん。まぁペルシカさんは気付いてそうだけどね」

 

俺は肩をすくめつつそう答えると、リズが不機嫌な顔を隠そうともせず

 

「まぁ、店長が良いと言うなら止めないけどね」

「けど?」

 

少し気になって聞いてみると、リズはニッコリ笑い

 

「体調が崩れそうだと此方が判断したら、ベッドに縛り付けるからね」

「......了解ッス」

 

うん怖い。リズは他の面々に説明してくると続けてプライベートエリアに消えていった。

 

「リズには頭が上がらないな」

「ツンデレというのですかね?」

 

ウェルはそう言って俺の隣に座る。それ聞かれてたら怒られるぞ?

そんな事を思いつつ俺は暇だったので、再度資料を読み始めた。

 

IOP人形装備科の外部技術提供者としての協力をお願いする。

一行で表すとそんな事が書いてあった。報酬制だが、無理せず頑張って行こうか。




真面目な話が続くぅ......!
はやく、ほのぼのさせたい........!

次回はまたほのぼのヤゾッ!

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六十話:たまにはこういう日も良いよね

お久しぶりです。
約2ヶ月ゆっくり執筆力を蓄えて居ました。

執筆はゆっくりですが、よろしくお願いしますっ。

今回はほのぼのだぞ!やったね!

では、ゆっくりしていってね!

投稿日15時06分追記
話数ミスしておりました。申し訳ございません。



嵐と言うか天災が過ぎ去り暫くした後、アクロスと言うかここの街はいつも通り特に変わらず日常をすごしている。

例に漏れず俺も特に変わらず、日々をすごしてーー

 

「いでっ」

「説教中に別の事を考えるなんて、良いご身分だね。店長」

 

はい、現実逃避気味に考えていると俺の心が読めるようにしか見えないアクロスの副店長のグリズリー、リズが此方をぶっ叩いてきた。まぁ当たり前だ今現在俺は彼女に説教を受けて居るのだから。

 

「わるい。だからもう一発狙わんで!?」

「ちっ。まぁいいや」

 

そう言って説教の続きを始めるリズ。あれ?まだやるんですか?と視線で訴えると彼女は呆れ顔になったあとニヤリと口を歪め

 

「なら、ウェルに変わろうか?」

「ごめんなさい。許して下さい」

 

俺は自身の限界を超えたスピードで、頭を床にこすりつけた。今回の件は正直に言うとウェルに伝わったら暫く自由行動出来なくなる。

 

「まぁ、多分時間の問題だろうけどね?」

「それは...そうかもな」

 

リズは座っていた椅子の背もたれに身体を預けそのまま伸びをした。

 

「んんーっ。よしっ、じゃあこの位にしようか。自力で立てる?」

「おう。正座は好きでは無いけどなれてるからな」

 

俺は若干痺れてきている足を労りながら立ち上がる。そんな姿を見てリズがボソッとまだやればよかったと小さく呟いていた。

 

「反省はしてるからな?」

「ー冗談だよ。それじゃあ朝ご飯行こうか」

 

そう言ってリズは俺の部屋から出て行った。はい察しの良い人なら分かったでしょう。俺は自室で趣味に没頭してほぼ徹夜した事がバレたのです。

それが何故ウェルにバレるといけないのかと言うと、その趣味がてら作っていたのが彼女の専用装備の図面だったからだ。まぁこれはウェルに限った訳では無いが、うちの面々の専用装備を作るときは人体に無理のない範囲で作れと結構前に言われてるからなんだけどーーと扉を開けるとそこには笑顔のウェルとその他の面々が立っていた。

 

「おはよー店長!」

「おはようございます!店長!」

「おはようございます」

「ふふっ、おはよう」

 

はい、後の面々はただの野次馬ですね。言った順番にヒトヨ、クー、テンコ、ニーアである。

 

「おはよう」

「はい、おはようございます。店長」

 

俺の挨拶に先程挨拶してなかったウェルが返してくる。うんこれは中で話していた内容バレてますね。即オチ2コマですねと絶望していると、ウェルはそのままリビングの方に向かい始めた。

 

「朝食が冷めてしまいますので、速く行きましょう」

「あ、はい」

 

お話はその後ですね分かります。俺はビクビクしながら端から見ればとても可愛いい笑顔をしたウェルの後に続く。

 

 

その後普段通り?に朝食を取り、その後予想通り有り難い説教、内容を要約すると『身を削ってまで急がなくて良い』が終わり。今はリビングにて今日のオフであるテンコと二人でソファでぼぅーとダラケでいた。

 

「「...はぁ」」

 

まぁオフの時は基本こんな感じだ。テンコも俺もメンテ室にメインの工具やら部品を置いてあるのでこうなるのだ。

 

「店長。暇ですね」

「外から銃声も無いし平和だな」

 

もしかしたら人間である俺には聞こえないだけかと思ったが、本当に今日は無いようだ。テンコが頷いているのでそう思っていると、店に繋がる通路から声が乱入して来た。

 

「あら?アナタ達が揃っててここまでダラケて居るのは珍しいわね?」

「ニーア?買い出し終わったのか?」

 

俺の問いにええと答えながらキッチンに買ってきた食材を入れに行った。それを見送っているとさっきまで銃を手で弄んでいたテンコが銃をしまった音がした。

 

「店長。我々も買い出ししにー」

「ー趣味に必要な物を買ったら取られるぞ?」

 

テンコの声に被せてその言葉を言うと彼女はですよねと答えた。そして二人の間に暗い空気が漂った。

 

「ほら、二人ともこれでも飲みなさいな」

 

ニーアはそう言って向いのソファーに座りお盆にのっていたのはマグカップが3つであった。

ニーアはそのうちの一つを取り、飲み始める。

 

「頂きます」

「じゃあ俺も」

 

テンコが受け取ったあとに俺も残ったマグカップを持ち上げ香りをかいだ。これは、カフェオレかな?

 

「良い牛乳が手に入ったから、久々に作ったのよ。どう?」

「ーー良いですね。何時も飲んでるコーヒーがこうなるとは」

「あぁ、懐かしいかも」

 

牛乳も結構レア物だからな。そうな事を思いつつ3人で談笑を続けて居ると、日が傾いて来た。

 

「そろそろ、夕飯を作る時間だな」

「そうね。じゃあー」

「私も手伝いましょう。美味しいカフェオレのお礼に」

 

一人で夕飯を作ろうとするニーアにテンコがそう言って立ち上がった。じゃあ俺も手伝うかな?あそこのキッチン的に3人位なら邪魔にはならんだろう。

 

「じゃあ俺も手伝うわ」

「あら、それは有り難いわね」

 

 

それから、夕飯を作って食卓に配膳していると、店番と外出していた面々が徐々に帰って来始めた。

 

「只今戻りました!」

 

初めに帰ってきたのは外出していたクーであった。今日は、確かウィンドウショッピングだったかに行っていたはず。

 

「何かありましたか?」

「いえ、特には無かったです」

 

テンコの質問にそう答えるクー。まぁウィンドウショッピングは買う為じゃないから。

 

「じゃあ、手洗いしてきますね!」

「行ってらー」

 

クーが洗面台に向かって行くのを見送りすると今度は店番組が帰ってきた。

 

「ただいま」

「おかえりー。うん特に問題無さそうだったな」

 

リズは俺の言葉に頷く。因みにその間に足早に洗面台に向う影が有るが何時もの事なので気にしない。

 

「只今戻りました。店長、しっかりと身体休めましたか?」

「おかえりウェル。見ての通りさ」

 

リズの後からスッと出てきたウェルに俺は胸を張り返事をすると彼女は俺の全身をジィーと見て頷いた。

 

「ーその様ですね」

「えっ、分かるの?」

 

遂に心どころか、身体情報まで筒抜けに...?そう思っていると、ウェルはニヤっとした。

 

「冗談ですよ。声音で分かります」

「そ、そうか」

 

うーんとこれは喜んで良いのか、悪いのか。そう悩んでいるとリズが

 

「そうねーーー冗談だね」

「おいっ今のは含みあり過ぎじゃないか!?」

 

からかわれて居るのは分かっているが、そう突っ込みを入れると二人は少し笑いつつ洗面台に向かって行った。

 

 

ーたまにはこう言う日も良いもんだ




オチは、特にありません。
スマナイ...スマナイ

感想と評価お待ちしてますっ!

次回は、またほのぼのですっ!

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。