城下町のダンデライオン ~エターナル・オブ・ドラグニスト~ (Dorakuro)
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プロローグ ~始まり~

どうもDorakuroです。
執筆中だった小説<<城下町のダンデライオン ~デュエルマスターズ~>>のリメイク版です。投稿周期は不定期なのでそこのところはご了承ください。
楽しんで読んでくれると嬉しいです。



デュエルマスターズ、それはクリーチャーや呪文などのカードを駆使して戦うカードゲームである。デュエルマスターズには火・自然・光・水・闇の5つの文明が存在し、火は速攻、自然はマナ加速、光は防御、水はコントロール、闇は破壊という各文明にはそれぞれ特徴的な戦い方がある。それらを活かし、相手の5枚のシールドをブレイクし、とどめを刺して勝利を手にする。

 この物語はとある少年がデュエルマスターズで死闘を繰り広げるものである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここはとある王族が統治している国である。国の中心部にはビルが並び立ち、その周辺は住宅街が広がっている。大人は会社で仕事をこなし、子供は学校で勉強したり、友達と遊んだりと、この国では数多くの人が平和に暮らしている。

 そんな中、町外れにある館のとある空間で4人の男女が円卓を囲み、会話を広げていた。

 

「おい、ヒョーガ。あいつが何処にいるのか分かったのかよ」

 黒く尖った髪をした男は、睨むような表情で向かい側にいる青い髪で眼鏡を掛けている男に問いかけた。

 

「いいえ、未だ捜索中です」

 

「チッ」

 

 ヒョーガという男は冷静に答え、黒い髪の男はそれを聞き舌打ちをする。

 

「仕方ないわよ、ゴルマ。これだけ探しても見つかってないということは、私たちに気づかれないように身を潜めているのよ」

 

 黄色い髪をした女は黒い髪の男に落ち着かせようとする。

 

「そんなことは分かってんだよ、セリーナ!!だがよ、俺は早く見つけ出して戦いてーんだよ」

 

 ゴルマはテーブルを叩き、セリーナに怒鳴る。

 

「うるさいよ、ゴルマ・・・・・・そんなに待てないんだったら、自分で探しに行けば・・・・・・」

 

 他の3人より背が低く、緑の髪をした女はお菓子を食べながらゴルマに提案をする。

 

「黙ってろ、レイリア!!俺が行っても、道に迷うだけだから探しに行かないんだよ!!」

 

「あっ、自分が方向音痴であることは自覚しているんだね。後は、それが直ってくれればいいんだけど・・・・・・ゴルマを探すの面倒くさいし・・・・・・」

 

「それもそうね」

 

「おい、なぜそこで同意するんだよ」

 

「だって、ゴルマが道に迷ったときって、だいたい変なところにいるでしょ。それに見つけるのに時間が掛かるから、私たちも疲れるのよ」

 

「いっいや、そんなことねーし!!俺を見つけられないのはお前らの探し方に問題があるんじゃねーのか・・・・・・そうだろヒョーガ!!」

 

 ゴルマはヒョーガに助けを求めたが・・・・・・

 

「・・・・・・あ、ええ・・・・・・そうですね」

 

「おい、なんだその間は?」

 

「ええとですね・・・・・・申し訳ございません、ゴルマ。僕も正直面倒くさいと思ってました」

 

「何でだよおおおおヒョーガ、俺はお前を信じていたのにいいいい」

 

 ヒョーガから発せられた言葉にゴルマは傷つき、勢いよくテーブルにうつ伏せになる。

 

「3対1でゴルマを探すのは面倒くさいとなった・・・・・・今後ゴルマが道を迷っても、私たちは探しに行かないので・・・・・・頑張ってね」

 

「勝手に決めんな!!・・・・・・チビくせに・・・・・・」

 

「!!ゴルマ・・・・・・今、何て言ったの」

 

「別に何も言ってないぜ」

 

 ゴルマは口元を上げ、いかにも言ってやったみたいな顔をレイリアに見せつける。そしてここから会話はさらにエスカレートしていく。

 

「その顔は何か言ったね・・・・・・何を言ったか教えてくれないかな?・・・・・・」

 

「だから、何も言ってないっつうの」

 

「嘘・・・・・・絶対何か言ったよね・・・・・・」

 

「そんなに聞きたいなら教えてやる・・・・・・俺は”チビのくせに”と言ったんだ」

 

「ほら、言ってたじゃん!!それにチビって私はそんなに小っちゃくないもん!!」

 

「うるせぇ、俺からしたらお前はチビだよ!!」

 

「また言った!!私は種族的に他からすると小さく見えるからしょうがないじゃない・・・・・・ゴルマの短気、方向音痴!!」

 

「ああん?なんだと!?」

 

「何よ!?」

 

「「ぐるる・・・・・・」」

 

「そこまでですよ二人とも」

 

 エスカレートしていった二人の会話の中にヒョーガが割って入る。

 

「このままだと二人の言い争いがいつ終わるのか分からないので、お互いここは引いたらどうですか?」

 

「「でも、レイリア(ゴルマ)が!!」」

 

「・・・・・・いいですね・・・・・・」

 

 ヒョーガが笑みを浮かべる。だがその笑みには怒りも混じっており、彼からは黒いオーラが出ているように見えていた。それを見た二人は顔が真っ青になり、体が震えていた。

 

「「・・・・・・はい・・・・・・」」

 

「あらあら、ヒョーガがああなると誰も言い返せなくなるのよね。あの状態のヒョ-ガと対面したら恐怖しかないわ」

 

 二人が黙り込むのが分かったヒョ-ガは平常に戻り、口を開く。

 

「さて、話が脱線しましたが、改めて・・・・・・我々がこれからやるべきは”奴”の捜索、カードをばらまき、”あの方”の目覚めを促すことです。もし”奴”を見つけたら回収せずに報告すること・・・・・・これでいいですね」

 

「ええ」「「はい」」

 

「それではこれで会議は終了とする。解散!!」

 

 ヒョーガの掛け声により、三人は席を立ち部屋から出る。一方、ヒョーガは席を離れなかった。

 

「これから始まるのですね・・・・・・我々”ドラグニスト”が支配する世界を創成するという使命が・・・・・・楽しみです」

 

 ヒョーガはそんなことを言った後、静寂な部屋の中で不気味な笑みを浮かべていた。

 




どうでしたか?
よければ感想や質問等よろしくお願いします。オリカに関してでもOKです。
それでは次話までバイナラ。


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第1話 ~櫻田家の朝~

どうもDorakuroです。
プロローグの投稿から期間が空いてしまい、申し訳ありません。
色々あったんです......色々と(白目)

それでは第1話です。どうぞ。


 現時刻は6時。太陽が新しい朝が来たことを知らせるかのように昇っていた。一方、とある家の一つの部屋から時計からアラームが鳴り、寝ている俺を起きるように促す。

 アラームの音で目を覚ました俺は起き上がり、背伸びする。俺の名は櫻田蓮、この家に住む櫻田家の次男である。

 

 

 アラームによって起こされた俺は起き上がり、寝てるときに固まった体を伸ばす。本当はもうちょっと寝たかったが、その考えは頭の中に留めておこう。どうしてかというとこの時間に起きて支度しないと、面倒なことになるのだ。その面倒なことというのは後に分かる。ベッドから出た俺は眠いのを堪えながら学校の制服に着替え、1階のリビングに向かった。

 リビングに着くと、キッチンに誰かいたのでとりあえず挨拶をする。

 

「おはよう、母さん、葵姉さん」

 

 リビングには、母である五月と俺たち姉弟の長女である葵姉さんが朝食の準備をしていた。

 

「おはよう、蓮」「おはよう、蓮君」

 

 それに気付いた二人は、俺の方に振り返って挨拶を返す。

 

「毎日早起きするのはいいけど、まだ眠気が・・・・・・・二度寝したい」

 

「二度寝は駄目よ。早く顔を洗ってきなさい」

 

「は~~~い、ふあぁ~」

 

 母さんの言われたとおりに顔を洗い、完全に目を覚ました。そしてリビングに戻ると、朝食はできており、テーブルに並べられるところだった。

 

「母さん、手伝うおうか?」

 

「ありがとう、でももうすぐ終わるからいいわ。あなたは葵と一緒に他のみんなを起こしてきてちょうだい。」

 

「了解」

 

 俺と葵姉さんはばだ寝ている姉弟のところへ起こしに行った。次々と起こした後、最後の二人を起こしにまだ寝ているであろう二人の部屋に入る。まずは赤髪の方にいき、布団の上から手で揺すりながら起こそうと試みる。

 

「おい、茜。もう朝だぞ。そろそろ起きろ」

 

「・・・・・・あと十分・・・・・・」

 

と言い、また眠りにつこうとしている彼女は三女の茜。俺の双子の妹だ。

このまま寝かせたらいけないので、もう一度、布団を揺する。

 

「起きないと学校に間に合わないぞ。」

 

「間に合わない?・・・・・・・え、ウソっ、もうそんな時間!?」

 

 間に合わないという言葉に反応した茜は完全に目を覚まし、勢いよく起き上がる。茜を起こすことに成功した俺はもう一人の妹の方に行き、起きるように声を掛ける。

 

「光、朝だぞ!」

 

 すると目を閉じたままゆっくりと上体を起こしてきた。今起きたのが五女の光である。

 

「う~~ん・・・・・・あっ蓮くんおはよぅ・・・・・・」

 

 光は俺の方を向くと眠そうにおはようを言ってきた。

 

「まだ寝ていたいだろうが、起きないと学校に遅刻するぞ。早く着替えて下に降りてこい」

 

「ふぁ~~い」

 

 光の力のない返事を聞いた後、部屋を出る。その際、茜が着替えの途中で俺がいることに気付き何か言っていたが、無視した。

 リビングに戻ろうとすると、起きてきたみんなが洗面所で髪を整えたり、トイレに行ってたりと騒々しかった。自分の家族は12人という大家族のために朝はこのように洗面所やトイレは戦場という取り合いになっている。そのため、自分はみんなよりも早く起きている。

数分後、茜と光も支度が終わり、リビングに家族全員がそろったとこで朝食が始まる。

 

 

「今日はママ特製野菜オムレツでーす。みんな残さず食べるように」

 

『いただきまーす』

 

「げぇ、やっぱりグリンピース入ってる」

と光はグリンピースを見て嫌な顔をする。

 

「好き嫌い言ってると身長伸びないわよ」

光に言い返しているのは次女の奏。

 

「母上、僕は好き嫌いないので大きくなれますよね?」

と母さんに言う四男の輝。

 

「ええ、そうね。栞、よく噛んで食べてね」

 

「うん」

末っ子の栞が返事する。

 

「そういえば、トイレットペーパーのストックなかったけど」

と言う三男の遥。

 

「今週の買い物当番誰だっけ?」

と四女の岬が聞く。ちなみに遥と岬は双子だ。

 

「修兄だろ?」

 

「ああ、俺か・・・・・・今日帰りにでも買ってくるよ」

と長男の修が答える。ここでもだが、修と奏は双子だ。

 

「お願いね修君」

と葵姉さんが答える。

 

朝食を食べていると、隣に座っている茜がちらちらとこちらを見てくる。

 

「どうした茜?ちらちらと俺を見て?」

 

「別に、何でもないよ」

 

一見普通の大家族に思われるが、俺の家族は他のところと大きく異なる点がある。それは

 

「あなた、食事中ですよ!」

と母さんが父さんから新聞を取り上げると父さんの頭には王冠が乗っていた。

 

「父さんなんで王冠をのせてるの・・・・・・」

 

「いや、間違って持って帰って来ちゃったから、せっかくなんで」

いや、なんでだよ。

 

「すごい、パパ!王様みたい!」

 

「いや、一応本物だから・・・・・・」

 

そう、父である櫻田総一郎はこの国の国王である。つまり俺たち家族は王族ということなのだ。




以上で第1話でした。
よろしければ感想等よろしくお願いします。


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第2話 ~学校での日常~

どうもDorakuroです。
こっちではめっちゃお久しぶりな気がします(約7か月ぶり)
大変お待たせしました。
色々少しは落ち着いた感じなので、気楽に投稿していきますのでよろしくお願いします。
(落ち着いたとは言っても、これからすることは色々ある模様)


 朝食を終えた俺たちは玄関を出てそれぞれ行くべき学校に向かう。

 

「もう桜も終わりね」

 

「うん、今週末が花見の最後のチャンスかも」

 

「花見かぁ」

 

「今年は花見行けるかなぁ」

 

 みんな桜を見て花見について話していると

 

「おはようございます」

 

『おはようございます』

 

 ちょうどすれ違った通行人が挨拶をしてきたので、俺たちも挨拶で返す。

 

「・・・・・・おはようございます」

 

 茜が遅れて小さな声で返す。この後も通行人が挨拶してくるので、すぐに返すが茜は遅れて挨拶した。葵姉さんの後ろに隠れながら。

 

「バイバイ」と園児が手を振ると、茜は「バイバイ」と小さく手を振り返した。

 その直後、葵姉さんと奏姉さんが同時にため息をついた。

 

「相変わらずだね、あんたの人見知り。どうにかならないの?」

 

「奏、そのくらいで」

 

 そう、茜はかなりの人見知りなのだ。人にすれ違う度に怯え、物陰や俺たち姉弟の後ろに隠れようとする。何故茜がここまでの人見知りなのか、またその原因は何なのかは知っているが、それはまた先の話で。

 

 再び学校に向かって歩いていると電柱に付いている監視カメラが俺たちをとらえると

 

「ひぃ!」

 

 茜は監視カメラに驚き、すぐ近くの曲がり角の壁に隠れた。

 

「週末にカメラの配置変わったのよね・・・・・・折角全部覚えたのに・・・・・・」

 

「しょうがないさ茜、これが俺たちを守るためだってことは分かってるだろ?」

 

「それはそうだけど・・・町内に2000以上って多すぎじゃない!?」

 

 そんなにあるのか。俺はそれよりも茜がカメラの配置全部を覚えていることに驚いた。

 

「カメラの位置なんてよく覚えたわね。私だったら国民へのアピールに使うのに」

 

「なんでアピールするの?」

 

 茜は奏に聞く。

 

「だって私たち次期国王選挙の候補者よ。自分の支持率を上げようと思うのは普通のことでしょ?」

 

「なんで選挙で決めるのよ」

 

 茜はそう言いへこむ。そう、俺たち兄弟は次期国王の候補であり、次の国王は選挙によって決まるのだ。それは以前、父さんから突然言われたのだが、未だそのことに実感が湧かない。

 

「それより、奏。時間大丈夫?」

 

「え?あ!こんな時間!ありがとう葵姉さん!先行くわ」

 

「じゃっ、俺も先に行くわ」

 

 奏と修はそう言うと走って学校に向かった。

 

「葵姉さんも先に行っていいよ」

 

「え、でも」

 

「大丈夫だよ、茜のことはなんとかするから。じゃないと姉さんまで遅刻しちゃうからな」

 

「分かったわ。じゃあ茜はお願いね」

 

 葵姉さんはそう言うと先に行ってしまう。

 

「さてと、そろそろ俺たちも行かないと」

 

「うぅ……いつもごめんね蓮」

 

「そう思うならその人見知りをなんとか克服しろよ。毎回付き合っているが、これでも疲れるんだぞ」

 

「善処します」

 

「まあいい(茜が人見知りなのは俺のせいでもあるし)・・・・・・よし、監視カメラは俺が引きつけるから、その隙に来い」

 

「ありがとうございます」

 

 茜は土下座しながら俺に感謝する。このままでは間に合わないので、早速動く。俺が先に動きカメラをこちらに向かせる。カメラはまだこちらを捉えているので、このまま行けば茜が後から来て多少映るがいつも通り大丈夫だろう。

と思っていた。

 

 しかし茜が動いた瞬間、カメラは突然向きを変え俺から茜のほうを向いた。カメラが自分を捉えていることに気付いた茜は急いで俺のところに走ってきた。位置を変えただけでなく、性能まで上がっていたのか。というかカメラに金掛けていいのか?と思う俺だった。

 

「どうする?これをこのまま続けたら完全に遅刻だぞ」

 

「こうなったら」

 

と覚悟を決めたような顔で言ってきた。

 

「いいのか?ズルしてるみたいだから使いたくないって言ってただろ?」

 

「だってこのままじゃ本当に遅刻しちゃうんだもん。せっかくの皆勤賞なのに。というわけで蓮、手を出して」

 

「皆勤賞なんて別にいいだろう」

 

「蓮は良くても私はダメなの」

 

「分かったよ。ほら」

 俺は茜に手を差し出し、茜はその手を握る。

 

「じゃあ、行くよ」

 すると茜の周りが赤く輝きだし、俺と茜の体が浮き始めた。

 

 説明しよう、俺たち王族の血を引くものは生まれながらに特殊能力がある。体が浮いているのも、茜が特殊能力を使っているからである。ちなみに茜の能力は重力制御《グラビティコア》である。どういう能力かというと自分と自身が触れたものの重力を操ることができる。これを使えば空を飛べるので、監視カメラや国民の視線を気にせずに行動できる。

 俺たちは空中に浮いたまま学校へ向かう。

 

「なぁ茜、もう少しゆっくり飛んでくれないか?」

 

「何で?」

 

「だってさ・・・・・・見えてるぞ・・・・・・パンツ・・・・・・」

 

「えっ!?」

 

 すると茜の能力が解除され、俺たちは重力が元に戻り、そのまま落下した。地面にぶつかる前に茜がもう一度能力を発動し、なんとかぶつからずに済んだ。

 

「やべぇ・・・・・・死ぬかと思った」

 

 心臓がある場所に手を当てる。

 

「ねぇ、蓮」

 

「なんだ?」

 

「見た?・・・・・・私のパンツ」

 

 と茜が顔を赤くして聞いてきた。

 

「・・・・・・・・・み、見てない・・・・・・・・・」

 

「嘘、さっき見えてるって言ってたでしょ!!」

 

(ちっ)

 

 聞き逃していなかった茜に対して心の中で舌打ちをする。

 

「正直に言って?」

 

 問い詰めてくる茜に面倒だと思った俺は、正直に答えようと口を開く。

 

「あぁ・・・・・・見たよ・・・・・・ほんの少しだけど」

 

「・・・・・・そう・・・・・・」

 

 これですべて解決したと思っていたが、そう甘くはなかった。何故なら茜が俺のネクタイを掴み何かをしようとしていた。平手打ちか?まぁそのくらいならいいかと思っていたが、今、茜が俺にしようとしていることは平手打ちなどとそんな優しいものじゃない。茜は野球のピッチャーのように腕を大きく振りかぶった。

そして、

 

「蓮のバカァァァァァァァァァァァ!!」

 

と言いながら俺を学校に向けて全力投球した。

 

「なんでだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 その後、俺は校門前で見事に顔面から着地した。その直後、茜が来て俺に謝ってきた。こんなことがあったが、なんとか遅刻せずに学校に着いた。

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 なんとか間に合った俺たちは自分たちの教室に向かった。ちなみに俺と茜は同じクラスである。兄妹一緒のクラスにすれば、別々のクラスにするよりも管理しやすいのだろう。

 

「間に合った・・・・・・」

 茜はものすごい勢いで教室に入り、机に突っ伏した。俺も数秒遅れて教室に入る。

 

「お疲れ茜様、蓮様」

 

「毎日大変だね、茜様、蓮様」

 

「様付けで呼ぶのはやめてくれ」

 

 茜と俺に話しかけてきたのは、同じクラスの鮎ヶ瀬花蓮と白銀杏だ。二人とも茜の親友だ。

 

「蓮、顔怪我してるよ」

 

 花蓮は鏡を出し、俺はそれで自分の顔を見る。

 

「あっほんとだ・・・まあ、誰かさんが俺を全力投球したからな」

 

 俺はそう言いながら、茜の方を向く。

 

「あ~か~ね~」

 

「だからさっき蓮に謝ったじゃん!それに蓮があんなことを言わなければそんなことしなかったのに」

 

「でも茜が問い詰めてきたから、俺は素直に言っただけだ」

 

「「ははっ」」

 

 それを聞いた花蓮と杏は苦笑した。

 

「まぁ、学校と家だけが周りの目から逃げられる場所だもんね」

 

「ここにはカメラもないからね」

 

「うん、ほんと最高!」

 

 この時の茜の顔はいきいきとしていた。学校でこんな感じになっているのは、多分茜だけだろう。だが、そのいきいきとした顔は学校にいるときだけだった。

 

 

 

 そして時間は過ぎていき、今日の授業がすべて終わり、放課後になる。クラスの人たちが次々と帰っていく中で俺も帰る準備を終わらせ、机に突っ伏している茜のところに向かった。

 

「楽しい時間ってあっという間よね・・・・・・」

 

「アンタ以上に学校生活を満喫してる奴いないと思うわ」

 

 と茜の暗い呟きに花蓮が応える。

 

「だってここでは皆私のことを特別扱いしないでしょ?」

 

「そりゃあ、友達だしね」

 

「というより、この学校でお前を特別扱いする奴のほうが珍しいだろ」

 

「それもそうだね」

 

「茜、蓮君。迎えにきたよぉ」

 

 そんなことを話していると葵姉さんが迎えに来た。

 

「キャー!葵様ー!」

 

「演劇部に入ってください!」

 

「単に人気がないだけかも」

 

 花蓮はそう言っているが、少なからず茜は人気がある方だ。特にファンクラブの奴らにということは茜には黙っている。

 

「じゃあ茜、俺は先に帰るわ。」

 

 このままその場に長く居ても帰るのが遅くなると思った俺は茜に一言伝える。

 

「えっ!?なんで?」

 

「葵姉さんのほうは時間がかかりそうだし、申し訳ないけど葵姉さんには一緒に帰れないと伝えておいてくれ」

 

「う、うん。分かった」

 

 そう言って俺は教室を後にした。




久しぶりの投稿のため、進み具合を忘れてましたw
以後気を付けながら投稿していくので、次回もお楽しみに!!
後、他の小説も投稿しているので、そちらも読んでいただけたらなと思います。


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