やはり俺は何度も選択を間違える (ゼロ少佐)
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1話

「んっ、あっ、はぁ…」

 

 

 

ここは奉仕部部室

俺達3人で生徒の悩みを解決する為に

作られた部活の部室だ

 

だが、今に限っては違う

修学旅行を明日に控えた今日

 

部活の為に部室に来ると

雪ノ下から、いきなりキスをされた

 

八幡「おい、雪ノ下…何の真似だ」

 

雪乃「貴方が、誰かに浮気しないように

私しか見えないようにしようと思ったのだけれど

案外いつも通りね」

 

いや、何考えてんだよ少しこわいぞ

 

八幡「由比ヶ浜が来たらどうするつもりなんだ…俺たちの関係まだ話してないだろ」

 

俺たちの関係…所謂恋人と呼ばれるものだ

 

夏休みに、由比ヶ浜が飼っている愛犬サブレをうちに預けに来たのは良かったんだが、カマクラとあまり上手くいかず雪ノ下を頼るハメになった。

実質的には雪ノ下の家でサブレを見てもらう

と言うことになった。

その時はただ互いの連絡先を交換し

少し一緒に散歩させたり、お話しする位だったのだが

 

とある日雪ノ下が風邪を引いた

サブレの事も心配だったし、俺は雪ノ下の家に行き付きっきりで、看病する事にした。

高熱で動けない雪ノ下を看病し、サブレの世話もし

料理や片付け…などをこなして行った

 

多分それがきっかけだと思う

 

風邪が治った後 雪ノ下からお礼がしたいと言われ

2人で出掛ける事になった

 

その日は特に何も無かったのだが

それから合間を見て俺や小町に連絡を取り

かまくらに会いたいから 小町さんのお家にお伺いしてもいいかしら?とか 3人で食事でもどうかしら?

と俺も含めてよく3人で活動をする事が多くなった

 

そんな日常を送っていたある日

雪ノ下から呼び出された。家に来て欲しい。大事な話があるから…と だから俺は雪ノ下の家に向かった

 

前なら俺に家を知られた…不覚とか言いそうだったが

その時にはもう俺の扱いは由比ヶ浜並になっていた

 

そこで、少しお茶をし 本題を切り出された

内容は 私は貴方のことが好きみたいなの

と告げられた

 

いわゆる告白というやつだ

 

その時に、俺に対する感情を全てぶつけてくれた

俺も、人に好意を向けられるのに慣れてないから

動揺しまくりながらも 心から嬉しく思った

それで、俺も雪ノ下が憧れの存在で

お前の事が好きだと伝え

 

付き合う事になった

 

だが、この事は口外しないようにしようって言われた

由比ヶ浜が奉仕部から去るかもしれない

雪ノ下さんが何かしてくるかもしれない

と懸念する点があったからだ

 

だから俺は放課後や休みの日に雪ノ下の家に行き

イチャコラするようになった

 

 

 

雪乃「そうね、考えてなかったわ…」

 

すっと俺の顔を離し元の席に戻っていった

本を取り出しいつもの雪ノ下雪乃にも

完全に戻っていた

 

八幡「折角できた大切な友達だろ?大切にしてやれよ」

 

雪乃「えぇ、言われなくても分かっているわ」

 

俺も席に戻り本を取り出す

これでいつもの奉仕部の光景だ

 

由比ヶ浜「やっはろー!」

 

ガラガラとドアが開き

元気よく由比ヶ浜が入ってきた

 

雪乃「こんにちは、由比ヶ浜さん」

 

八幡「うす」

 

それから、由比ヶ浜は咳につき

「ねぇねぇ、ゆきのん……」

と始まり女子トークが始まってしまった

 

まぁいつもの光景なんだけどね

俺は小説を片手に持ちそんな事を思う

 

しばらく時間が経った頃

 

雪乃「ねぇ、比企谷君 由比ヶ浜さん

依頼の件はどうなっているのかしら?」

 

依頼…葉山が持ってきた

戸部の告白の件だ…

絶対に成功したいから手伝ってくれと

頼まれた

 

しかし、この依頼はまず成功しない

海老名さんがこの前来た時に

遠回しに今は誰とも付き合いたくない

と言ったからだ

 

多分この2人は気付いてないだろうが

 

八幡「今の所は何も思いついてない…現地でなるべく二人きりになれる状況作り位しかな」

 

結衣「私も、ヒッキーと同じかな」

 

雪乃がそう、と口を開き

読書に戻った

 

八幡「なぁ、由比ヶ浜 最近教室での海老名さんはどうだ?」

 

俺の質問に雪ノ下の顔がピクっと動いた

 

結衣「戸部っちじゃなく姫菜? うーん普通だよ?」

 

いつも通りか…やっぱ戸部の告白は

失敗するだろうな…

さて、どうしたものか

 

八幡「一応2人に聞いておく

戸部と海老名さんが付き合うプランは無いが

戸部が振られない案ならある 聞くか?」

 

雪乃「続けて頂戴」

 

八幡「戸部が告白する時…または戸部と海老名さんが一緒にいる時に 俺が告白する」

 

八幡「海老名さんは絶対に断るだろう

だが、その時こういうはずだ「今は誰とも

付き合う気はない」と…これは根拠がある。

海老名さんは今のグループが好きだ

だからその関係を崩したくない。

だから誰とも付き合う気は無いからだ。」

 

彼女達の方を向くと

俯いていた

 

結衣「どうして…どうしてヒッキーはそんなやり方しか出来ないの!もっと自分の事大切にしてよ!」

 

由比ヶ浜が泣きながら俺に訴えてきた

正直俺は驚いた

 

雪乃「そうよ…そんなやり方私が許すと思うのかしら?」

 

雪ノ下さん、大分怒り心頭ですね

怖いです…

 

八幡「なら、何かアイディアあるのかよ?

海老名さんの依頼も遂行しながらで…あっ」

 

口が滑ってしまった…

おそるおそる2人の方を向くと

 

雪乃「比企谷君!説明しなさい 海老名さんの依頼って何かしら」

 

結衣「そうだよ!教えて」

 

これは、説明しないと駄目か…

諦めて海老名さんの真意を伝える

 

八幡「この前海老名さんが遊びに来たろ?あの時に依頼されたんだよ、俺にしか伝わらないように言って」

 

結衣「ヒッキーにしか伝わらない?」

 

八幡「捉え方としては 今のグループが好きだから、誰とも付き合う気はない。だから戸部の告白を止めて欲しいって事だ」

 

海老名さんの言葉の真意を彼女達に伝えた

 

雪乃「でも、どうして私達にそう言ってくれなかったの?それに比企谷君が気が付かなかったら…」

 

八幡「まぁ、俺も海老名さんも腐ってるからな」

 

結衣「ひ、ヒッキー!駄目だよそんなの!いくら彩ちゃんが好きだからってそんなの!」

 

はぁ?何言ってるのこのアホの子は

戸塚は可愛いし結婚したいけど

今は雪ノ下の方が好きだからな…

 

雪乃「そうよ…戸塚君とだなんて」クスス

 

何こいつは笑ってんだよ 訂正してくれよ

 

八幡「あのなぁ、腐っていても腐ってる方向が違うんだよ アホが浜」

 

結衣「アホじゃないもん!でも…どうしよっか」

 

雪乃「そうね、何も知らない第三者が海老名さんに告白してくれれば一番楽なのだけれど」

 

そうだよな…そんな上手くいくような事…無いか

 

八幡「取り敢えずこの話は持ち越しな

何か案があるならメールでもして教えてくれ」

 

雪乃「分かったわ そろそろ時間だから帰りましょ」

 

そうして3人は別れた

 

いつもなら雪ノ下の家に行き

お茶でもするのだが

明日から修学旅行なので今日は真っ直ぐ家に帰った



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2話

修学旅行が始まった

新幹線の中では戸部が川崎の事を怖がって

海老名さんとの会話所じゃなく終了してしまった

 

あいつあんな見た目のくせにピュア過ぎるだろ

 

そこから色々な場所を回ったがこれと言った成果はなかった。葉山に関しては妙に俺達の邪魔してくるし

 

雪乃「あら、比企谷君もここに来ていたのね」

 

八幡「おぉ、雪ノ下か…」

 

雪ノ下の方を向くと J組らしき人が3人雪ノ下の後ろに立っていた

 

雪乃「進展はあったかしら?」

 

雪ノ下が俺の隣に腰掛けてきた

いや、もうちょい向こうによってもらえないかな?

色々と近くて意識しちゃうので

 

八幡「全く…これっぽっちもない」

 

最悪…

 

雪乃「比企谷君、あの計画だけは駄目よ

絶対に許さないは」

 

俺が心の声を発する前に止めてきやがった

心を読むだけでなく何をこれから考えるかを先読みするとかチートじゃん

 

八幡「分かったよ あくまでも最終手段だ」

雪乃「……」

 

八幡「んじゃ俺は行くわ、また後でな」

 

ベンチから立ち上がり歩き始める

終始雪ノ下の取り巻き?ではないな

まぁそんな感じの奴らが睨んできたが

どうでもいい

 

そんな事より以来の方を何とかしないとな

 

 

 

海老名「ヒキタニ君はろはろ〜」

 

1人で自販機でコーヒーを買い黄昏ていたら

海老名さんがやってきた

 

八幡「うす」

 

海老名「京都に来てから隼人君や戸塚君とはどう?イケナイ関係に…」

 

八幡「んなもんなりませんよ」

 

海老名「えー!?」

 

八幡「はぁ…」

 

海老名「…ごめんね、比企谷君」

 

比企谷君?

 

海老名「私達の問題の筈なのに 頼っちゃって…

でも今回だけは私達でどうかできる問題じゃないの」

 

八幡「そんなんで壊れる関係なら無い方がマシだ…って前なら言ってたけど 今なら何となく分かる…俺だって今の居場所が好きだ…だから守りたいと思う だからそんなに思い詰めなくてもいいんだ」

 

海老名「壊すってwヒキタニ君は腐ってるね でも私そんな君だからこそ思うの 比企谷君となら上手くやって行けると思う。だってわたしも腐ってるから」

 

八幡「そうか、でも生憎浮気相手は募集してないので」

 

海老名「…浮気?」

 

あっ、口が滑った

 

八幡「き、きのせいだ お、俺に彼女なんているわけないだろ ボッチなんだし」ダラダラ

 

海老名「えー?私はまだ何も聞いてないよ?なのに何で言い訳してるのかな?」

 

しまった!余計なことを…

 

海老名「でも、詮索はしないであげる。私も依頼者って立場だしね」

 

八幡「おぉ、助かる」

 

八幡「海老名さん少し試してみたい事がある」

 

 

 

海老名「……分かった 一応合わせるよ」

 

海老名さんと別れ由比ヶ浜が居る方に向かった

特に意味は無いがあっちに行けば戸塚に会える気がしたからだ

 

 

 

 

戸部「っべー明日告白するって考えたら緊張するわー」

 

八幡「戸部、その話の事なんだが…」

 

俺は、嘘や欺瞞が大嫌いだ…

でも、1番の大嘘つきは…俺だ

 

自分が嫌いな欺瞞の為に俺は嫌いな嘘をつく

そんな自分が許せない…だけど

俺は、俺は…壊したくないって気持ちに

共感してしまったんだ

 

 



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3話

八幡「その事なんだが話がある」

 

そう戸部に言い立ち上がる

戸部の前に立ち…言葉を紡ごうとする

 

中々声が出てくれない…

俺が今やろうとしてるのは…今までの自分を否定する事だ…だけど…それでも俺は…

 

戸塚「八幡!」

 

何が起きたか分からなかった…

体が倒れ布団の上に押し倒されていた

 

八幡「……は?え?」

 

戸塚が俺の上に跨っていた

戸塚の目を見ると「それ以上は言わせない」という

意志を感じ取った

 

その後戸塚は俺の口を手で塞ぎ戸部に話しかけた

 

戸塚「戸部君、僕ね見ちゃったんだ 今日の昼過ぎにね海老名さんに告白してる男子の事」

 

そんな人は居ない筈だ…

今日は葉山グループか戸部と殆ど一緒にいて

後は昼過ぎに俺と会った時に1人だった位か

だからそんな事をする時間は無かったはずだ

 

戸部「まじー?それで!その男子はどうなったの!?」

 

戸塚「たまたま見かけて聞こえてきただけなんだけどね、海老名さんは今誰とも付き合う気はないんだって、葉山君や戸部君に告白されても断るって言ってた」

 

嘘だ…いや嘘も混じっている

付き合う気はないって俺には言ってたが

他には誰も言ってないから戸塚が知ってる筈が無い

 

多分告白の流れだけは嘘…

ただ付き合う気はないってのは本当…

だから何も知らない人は戸塚の嘘を見破れない

だって殆ど本当の事を言っているから

 

戸部「マジか〜」

 

大和「ま、次があるって!」

 

隼人「そうだな、今は駄目でも来年もあるしな」

 

葉山がこちらを一瞬向き

ニコッと笑ってきた

あれ、少し意識が…

あ、そっか戸塚の手がズレて鼻まで止められていたのか俺窒息するんじゃね?

 

そんな事を考えていたら 戸塚が大慌てで手をのけて謝ってきた…可愛いから許す!

その後戸塚と別れ…エントランスに向かった

 

雪乃「あら、比企谷君こんな所でボーッとしてどうかしたのかしら?」

 

八幡「雪ノ下か……なぁ、戸塚に何を吹きこんだ」

 

雪ノ下が隣に座ってきた

 

雪乃「あら、気がついていたの?」

 

八幡「あぁ、さっき押さえつけられたからな…

おかげで窒息しそうになったわ」

 

雪ノ下がふふっと笑いこちらを見てきた

 

雪乃「貴方がなにかやらかさないように、私から戸塚君に頼んだのよ、比企谷君を止めてって

だけれど…押さえつけるだなんて」クスクス

 

八幡「まぁ、これで海老名さんの依頼は解決だがな…てか奉仕部でもないやつに依頼内容教えるなよ」

 

雪乃「私は、何も教えてなんかいないわよ」

 

あれ?

 

雪乃「ただ、比企谷君が変な行動を起こそうとしたら止めてってお願いしただけよ?自己犠牲だなんてもうさせたくないから」

 

八幡「え?じゃあ戸塚はどこから海老名さんの情報を知ったんだ?」

そんな疑問が残ったが特にどうこうするつもりはなかった

 

もし俺があのまま突っ走ってたら多分文化の二の舞になってたと思う

 

文化祭の時…相模の件を解決するために

俺は1人で悪役を担った

そのおかげで成功できたが…俺と雪ノ下と由比ヶ浜の間に深い溝が出来てしまった…

 

それを解消するのは大変だった

その時に雪ノ下からもうあんなやり方はさせない

って言われたな…そして二人きりの時に

ビンタされたし…

 

そこからは楽しかった

戸塚と風呂に入り戸塚と遊び戸塚とたくさんお話した

 

2日目は雪ノ下と俺と由比ヶ浜の3人で

京都を探索した

 

そのまま楽しい修学旅行で終わる筈だった…

 

戸部「やっぱ俺告白するわ、振られてもいい

俺はこの気持ちを伝えたい」

 

どこかのアホが戸部に余計なことを吹き込みやがった。振られても自分の気持ちを伝える事で意識してくれるかもしれない…とか在り来りな事を口に出して、戸部が間に受けてしまった。

 

どうする…俺が切れるカードはもう残ってない!

もし、俺が海老名さんに告白しようが多分あいつは辞めない…

どうする、どうする考えろよ!

俺ならどうやってそれを阻止する!

 

考えても考えても答えは出てこない

雪ノ下と由比ヶ浜にメールでヘルプを出したが

答えは出なかった

 

ポケットに手を突っ込み、腰を下ろす

ん?なんだこの紙?

 

そこにはメアドが書かれた小さな紙切れが入っていた

 

裏面には小さくてきれいな字で「はろはろ〜困った事が起きたらここに連絡してね!!」

 

あの人いつの間に…

 

俺はそのアドレスに戸部が再度告白しようとしている事を書いたメールを送信した

 

ブーブー

 

スマホを開くとメールが一通来てた

 

「はろはろ〜 昨日の昼間にヒキタニ君が言ってたの実行しよ それしかもうないもん」

 

ははっ、仕方ないな…これで最後だ…

俺がこんな手を使うのは

でも、雪ノ下や由比ヶ浜は許してくれるか?

 

そう思いながら俺は一人部屋に戻って行った

 

 



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4話

八幡「戸部、その告白の前に少し待ってくれるか」

 

戸部「っべー?待つって何を待つん?」

 

八幡「ちょっと、海老名さんにお呼ばれされたんだ」

 

海老名さんからのメールを見せた

あのメールの後に芝居用のメールを海老名さんが送ってきた。このメールを見せることで上手く誘導できるだろ

 

「はろはろ〜海老名だよ、急にごめんね〜 20時前位にあの竹の所に来て貰えるかな?大事なお話しがあるの。 あと、メアドは結衣から教えて貰ったから安心してね♪」

 

大岡「これって…あれだよな?」

 

大和「それな」

 

戸部「っべー…ないわー…でもでも!これが告白じゃないかもしれないし!俺もついて行くわー!」

 

上手く誘導は出来た…

後はどうやって戸部が告白できない雰囲気を作るかだ…ここで諦めてくれれば適当に海老名さんと時間潰せば終わりだったが 戸部の奴着いてくるき満々だしな

 

 

 

 

 

8時前に待ち合わせの場所に着いた

まだ海老名さんは来ていない…

俺の後ろの方で馬鹿どもがコソコソ隠れてる

 

あれ、絶対見つかるだろ…もうちょい上手く隠れられないのか…

 

あまりにも下手な隠れ方をするものだからそちらに目がいってしまう

 

海老名「はろはろ〜 ヒキタニ君」

 

八幡「っす」

 

海老名「ごめんねー中々抜けられなくてね」

 

海老名さんが来た方を向くと

雪ノ下と由比ヶ浜らしき人影が一瞬だが見えた

 

八幡「まぁ、お互い大変だな」

 

海老名「そうだね…」

 

海老名「昨日の昼に私が言った事を覚えてる?」

 

昨日の昼?どれの事だ?

 

海老名「分からないって顔してるね〜」

 

八幡「す、すまん…」

 

海老名「いいのいいの、気にしないで〜」

 

八幡「そろそろ…」

 

俺は催促した

後ろからも前からも視線が痛い

 

海老名「比企谷君…」

 

海老名さんが1歩前に出て俺の目の前に立った

 

海老名「比企谷君の事が好き…ううん、好きになっちゃったの、同じ腐った仲間同士だけど、比企谷君は私と違って捻くれながらも真っ直ぐに向き合ってくれた。私の無茶な依頼にもできる限り手を尽くそうとしてくれた。」

 

海老名「こんなハリボテみたいな関係を守ろうとしてくれた。私には出来ないことを…ううん、君以外誰も出来ない事をやり遂げてくれた。

そんな、君の姿を見て私ね…惚れちゃったんだ。だからね比企谷君、貴方の事が好きです!付き合ってください!」

 

それは本物の告白だった。

だけど、俺は…

 

八幡「っ!」

 

人の好意を信じられなかった…

今まで蔑まれながら生きてきて

人の好意というものを家族以外から

受ける事がなかったら、どうしても勘ぐってしまう

最低だと分かってる…だけど信じる事が出来なかった。俺は、そんな俺の事が大嫌いだ

 

八幡「……すまん」

 

そう言い残し俺は走ってその場を去った

胸が張り裂けそうな程痛い

こんな事しかできない自分を許せない

 

 

 

海老名side

 

振られちゃったな…私の初恋は実らなかった…

仕方ないよね…だって私、比企谷君の事利用しようとしてたんだから…あんな態度取られても怒る事も否定する事も出来ないよ…

 

涙が溢れてきた

自業自得だと分かってる

でも、どうして彼は…比企谷君はあんなにも

辛そうな顔をしたの!

それがどうしても気がかりだった。

 

 

 

 

 

戸部side

 

戸部「っべー、これ出ていくタイミング無くね?」

 

隼人「そうだな、ここは彼女らに任せて俺達はホテルに戻るぞ」

 

戸部「ヒキタニ君、海老名さんから告白されるとかうらやますぎ〜」

 

隼人「まぁ、でも彼は断ったみたいだしね」

 

戸部「でもでも〜海老名さんって誰とも付き合う気は無いって言ってたのはどういう事なの?」

 

隼人「さぁ…それは姫菜にしか分からないよ(きっと、依頼してるうちに、彼の優しさに触れたんだろう…)」

 

 

 

 

 

奉仕部side

 

結衣「ヒッキー行っちゃったね…」

 

雪乃「そうね…」

 

比企谷君、どうして貴方はそんなにも辛そうな顔をしていたの?

 

結衣「姫菜の所に行こっか」

 

雪乃「えぇ…」

 

 

その後海老名さんを慰めてホテルに各々戻って行った

そうして波乱の2日目は幕を閉じた

 

 



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5話

波乱だつた修学旅行を終えて

今は新幹線で千葉に帰っている

 

結局あれから比企谷君と連絡が取れなくなってしまった。電話してもメールしても返事は来ない…同じクラスではないから中々見つけることも出来ないままここまで来てしまった。

 

昨日海老名さんに何があったのか聞いたのだけれど

告白して振られた事しか教えてはくれなかった

 

私の中でずきりと胸が痛む

走り去る際に見せた彼の悲しそうで苦しそうな顔

あんな表情は今まで見たことが無かった

 

「どうしたの雪ノ下さん?体調でも悪いの」

 

隣に座っているクラスメイトが私に話しかけて来た

そんなに訝しい顔でもしていたのだろうか

 

雪乃「いえ、大丈夫よ。少し考え事をしていただけ」

 

彼女はそっか…と言い沈黙が訪れた

 

御手洗に行き戻ろうとすると

彼が新幹線の外を見ながら黄昏ている姿が見えた

 

私は話しかけるか話しかけないか少し悩んだが話しかける事にした

 

雪乃「こんにちは、比企谷君」

 

八幡「…ぉう雪ノ下か」

 

彼の声は少し掠れたような感じで弱々しかった

 

雪乃「こんな所で何をしているのかしら?」

 

八幡「別に何でもねぇよ、外の景色見てるだけだ」

 

確かに周りから見ればそういう風にしか見えないだろうけれど、私から見れば外の景色も見えていないように見えた。

 

雪乃「嘘ね、ただ上の空になってるだけじゃない」

 

上の空は少し違うかもしれないけれど

他のことに意識が削がれて 何にも集中できてないからあらかた間違えではないと思う

 

八幡「…そうかもな」

 

雪乃「昨日何があったの? 話したくなければ言わなくてもいいのだけれど」

 

八幡「……」

 

雪乃「比企谷君、どうしてあんな表情をしていたの?」

 

八幡「っ!」

 

少し肩がビクッと震えていた

少し時間が経った頃に

言葉を紡ぎ始めた

 

八幡「俺は、人の好意を信じる事が出来なかった。告白された時、俺はその好意を疑ってしまった。信じる事が出来なかった 」

 

八幡「俺は…最低だ… こんな自分が大嫌いだ…」

 

本当に貴方らしい…人の好意に飢えて

その人の好意を信じる事が出来ない

 

それは今までそれを望みそして裏切られ続けた

からこうなってしまったのだろう

 

雪乃「私の、好意も信じられない?」

 

ギュッと優しく抱きしめた

私達以外誰も居ない新幹線のデッキで

彼を抱擁した

 

八幡「温かい……」

 

答えは返ってこなかったけれど

多分彼は私の事は信用してくれている

 

私も彼はどこか似ているから

 

八幡「雪ノ下は、暴言や失言は吐くけど…虚言は吐かないからな…」

 

私が昔彼に言った事だ…

「わたし、暴言も失言もはくけれど、虚言だけははいたことないの。」

 

雪乃「貴方はもう少し素直になるべきよ

でないと、貴方いつか限界を超えてしまうわ」

 

彼は自分一人で溜め込んでしまう

それがもし、ストレスとして蓄積されてしまったら

どうなるだろうか?答えを言うまでもないだろう

 

彼は壊れてしまう…

多分だけれど彼が溜め込むことができる

キャパは通常の人とは比べ物にならないほどに

大きいのかもしれない

だけれどそれは、無限ではない

 

だから危険なのだ。彼は自分が傷ついて

周りが良くなるのなら良しとしてしまう

彼自身が自分の限界に気がついていない

いや、限界などないと思ってるのかもしれない

 

それがものすごく不安なのだ

 

八幡「…あぁ ありがとな雪ノ下」

 

彼の頬に1粒の涙が流れていた

 



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6話

彼を抱きしめた形で頭をナデナデし始めて

何分が経っただろう…普段ならもう離してる

ところなのだけれど、安心しきった彼は

私の胸に顔を押し付けたまま眠ってしまったわ

まぁ、枕も少し硬いくらいが寝やすいと

聞いた事あし…私の胸は硬くないわよ!?

小さいとはいえ、ちゃんとあるし…

由比ヶ浜さんや姉さんに平塚先生に川崎さん…三浦さんが大きすぎるだけなのよ…

至ってふ、普通の筈よ?いえ、普通より少し…少しだけ小さいだけよ

 

何だか考えてて悲しくなってきたわ…

でもそろそろ起きてくれないと誰か来てしまったら…

 

ガラガラ

 

雪乃「ビクッ」

 

誰か来てしまった!とりあえず彼を乗車口の方に体を向けさせ ここはやり過ごしましょう

 

結衣「あれーゆきのんじゃん!やっはろー!」

 

ゆ、由比ヶ浜さん!?

 

雪乃「こ、こんにちはゆ、ゆ由比ヶ浜さん」

 

結衣「どうしたの?顔だけこっちに向けて

それに乗車口の方にそんな近づいて」

 

ど、どうすればいいの…

 

雪乃「い、いえ外の景色を見てただけよ」

 

結衣「そうなんだー ねぇゆきのんヒッキー見てない?昨日の事聞こうと思ったら私達が乗ってる車両に居なくて」

 

雪乃「え、えと…」

 

その時私の胸に抱きついてる比企谷君が少し動いた

 

雪乃「ヒャッ!」

 

結衣「ゆきのん!?どうしたの!」

 

由比ヶ浜さんがこっちに寄ってきてしまった

 

結衣「ひ、ヒッキー!?ゆきのんに抱きついて何してるの!!」

 

見つかってしまったわ

ごめんなさい比企谷君…

 

雪乃「こ、これは…」

 

結衣「ずるい!私も抱きつくもん!」

 

由比ヶ浜さんが何故か後ろから私を抱きしめてきた

 

雪乃「ゆ、由比ヶ浜さん!ちょ、ちょっと」

 

結衣「えへへーゆきのんいい匂いする〜」

 

雪乃「あ、ありがと///」

 

結衣「それとね、ヒッキーの事慰めてくれてたんだよね? 」

 

雪乃「」

 

結衣「ヒッキー 頑張ってくれたもんね…私達じゃ何も出来なかった事を1人でやってのけて」

 

雪乃「そうね」

 

本当に彼は頑張ってくれた

色々試行錯誤し、根回しをし

実行にうつった

その間私達がした事と言えば見守る位だった

そんな彼が1人で全部背負い込んでしまって…

 

雪乃「由比ヶ浜さん、そろそろ離してくれないかしら?」

 

結衣「えぇーいいじゃん」

 

雪乃「はぁ…分かったわ 空いてる席探して そちらで3人で座りましょ」

 

結衣「分かったー!」

 

 

 

 

 

その後F組の車両で美少女2人に囲まれて

寝ている比企谷が晒されることになってしまった

 

戸部「ヒキタニ君っべー! 結衣と雪ノ下さんに囲まれてるだなんて羨ますぎっしょ!!」

 

大岡大和「だな「それな」」

 

隼人「(良かったよ…君にもそうやって居てくれる人が居て…)」

 

海老名「ゆ、優美子…」

 

三浦「やばいっしょ、ヒキオの寝顔可愛いすぎ…」

 

海老名「だね…目瞑ったらこんなにイメージ変わるんだ」

 

この日からヒキタニ君は目を瞑ればイケメンだということが広まってしまった。

 

 

 

 

 

八幡「んぁ…あれなんで俺…」

 

目が覚めて体を動かそうとすると両方の肩に重みを感じた

 

八幡「何だ?」

 

自分の両隣りを見ると

俺の肩に頭を乗せて眠る美少女2人の姿があった

スースーと寝息をたて可愛らしい表情で眠っていた

 

 

あれ?俺確か……

 

思い出した…確か雪ノ下に抱きつかれたまま眠ってしまったんだった…

 

 

 

戸塚「おはよう八幡!」

 

八幡「おぉ、戸塚か」

 

戸塚可愛いよ〜毎日味噌汁作って

 

戸塚「あはは…声出てるよ八幡」

 

マジか!?

 

戸塚「えっとね、八幡刺されないように頑張ってね?」

 

は?刺される?どういうことだってばよ

そんな事を考えていると 多数の視線を感じた

嫉妬や羨望という類の視線だ

 

そっか…学年一の美少女とクラスでもトップカーストに所属し、校内でも有数の可愛さを誇る由比ヶ浜に囲まれてんだ そりゃこうなるか

 

それからトップカースト以外の男子から妬みの視線を向けられるようになったのは言うまでもないだろう



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7話

修学旅行から帰ってきて数日が経った

ある日のお昼休みの事

三浦から呼び出されてしまった

 

三浦「ヒキオ〜ちょっとこっち来て」

 

え、俺?なんで?

 

八幡「え?いや…」

 

三浦「何キョドってんの、キモいし…いいから早くこっち来るし」

 

断る暇もなく連行されてしまった

由比ヶ浜は雪ノ下とご飯食べに部室行ったし

戸塚は昼練に行ったので俺もベストプレイスに〜

と思ってたんだが…

 

八幡「…何の用だ?」

 

三浦「いいからいいから、そこの席に座って後ろ向けし」

 

なんかニコニコしながら言ってきたけど

いったい俺は何をされるんだろ…

 

シュッシュッ

 

八幡「ビクッ」

 

何か水?見たいなものをスプレーで頭にかけられた

 

三浦「ほーら、じっとするし」

 

全体的に軽く今を濡らされた所で髪の毛を触ってきた

 

八幡「ヒャウッ!?」

 

三浦「こしょばいかもだけど我慢するし」

 

そこから慣れた手つきで髪を整えられた

たまに首に指が触れたりして

何度もビクッとなったが何とか耐えることができた

 

てか一体何がしたかったわけ?

 

三浦「姫菜〜ちょっと眼鏡貸してくんない?」

 

海老名「ん?いいよ〜」

 

三浦に海老名さんが付けていたメガネを渡された

 

三浦「何してんの?早くつけろし」

 

そう言われ海老名さんの方をチラッと見たら微笑みで返してきた

 

え?なに?俺が付けていいの?

後で何か文句言われない?

とか考えていたが三浦に急かされたので

メガネをつけてみた

 

海老名「へ〜」

 

三浦「いいじゃん!」

 

え?何が?髪型変えられてメガネ付けただけだよ?

何でそんなにジロジロ見られてんの?

 

そんな事を思っていると葉山や戸部達が教室に戻ってきた

 

三浦「あ、隼人おかえり〜」

 

隼人「ただいま…えっとそちらの人は?」

 

俺の方をチラッと見てきて三浦に訪ねていた

いや、影薄いとは思ってたけどまさかお前からも忘れられる日が来るとは思ってなかったよ

 

海老名「ヒキタニ君だよ!!まさかこんなイケメンになるだなんて!!」

 

葉山と一緒にいた男どもが唖然としている

てか、イケメン?俺が?

 

隼人「驚いたよ…髪型と眼鏡だけでこんなに変わるだなんて…」

 

葉山がジロジロこちらを見てきた

いや、やめてくれ、やめてください!!

そこで海老名さんが鼻血出してぶっ倒れてるからね!

ハヤハチキタ-とか言って倒れちゃったからね!

 

戸部「っべー!!ヒキタニ君やべー!こんなイケメンだったなんて俺知らなかったわー もしかして俺も眼鏡つけたら〜イケメンなるんじゃね?」

 

八幡「は?俺がイケメン?」

 

隼人「あ、あぁ ほら今のヒキタニ君だよ」

 

そう言い俺の写真を1枚取り俺に見せてくる

 

八幡「誰だこのクール系のイケメンは」

 

三浦「いや、ヒキオだし」

 

えぇ!?なんなのこれ!?おれぇ!?

びっくりだよ!俺ってこんなにカッコよかったの!?

 

そんなこんなで昼休みが終わってしまった…

はぁ…昼飯食いそびれた…

放課後にマッ缶でも飲んで腹満たそ

 

そうしてその日は眼鏡を海老名さんに返し

髪を元に戻して 何も無かったかのように

一日を過ごした。

 

次の日

 

昨日三浦にメガネを持ってくるように言われて一応伊達メガネを持ってきたんだけど、やっぱり昨日と同じ展開になってしまった。

なんなら今日は自分のメガネがあるので、

髪もそのままで所謂イケメン八幡君の状態で昼休みからあとの時間を過ごした。

 

授業中は由比ヶ浜からの視線が物凄く痛かった

 

6限は平塚先生の授業で 終始こちらをチラチラ見ていた。いや、入ってきた時のあの顔といい少し失礼じゃないですか?

 

授業が終わり部室に行こうと思ったがその前に平塚先生に捕まってしまった。

 

平塚「ひ、比企谷…何があったんだ?もしかしてストレスでも溜まってこわれたのか?おい!比企谷!」

 

生徒指導室に連れていかれたと思ったら

肩を掴まれてそんな事を真剣な表情で言われた

 

平塚「すまなかった、そんなに学校が辛かったんだな…気が付いてやれなくてすまなかった…」

 

あれぇ?どういう事なの?

何で先生が謝ってんの?

なんでこんなに心配されてるの?

八幡分かんなーい

 

八幡「せ、先生!落ち着いて下さい!俺は特に何も無いですよ!ほら」

 

平塚「だ、だって 朝来た時はいつも通りだったじゃないか!あの腐った目をして!ボサボサの髪で、世の中を斜めに見た生意気なガキじゃなかったか!!」

 

うっわ酷い言われよう…間違ってないけど

 

八幡「はぁ…どうしてこうなった…」

 

その後なんとか平塚先生を落ち着かせて

部室にやってきた…絶対雪ノ下に怒られるだろうな

連絡してないし

 

ガラガラガラ

 

八幡「遅れてすまん、平塚先生に連れ出されてた」

 

……あれ?何も返ってこないぞ?

ふと前を見てみると紅茶を淹れたコップを持って固まってる雪ノ下お携帯を片手に持って固まってる由比ヶ浜の姿があったら。

 

こいつら器用だなービクともしてねぇ

てか、生きてるか?模型のように動かねぇぞ

 

とりあえず席に着いて本でも読むか

時が経てばいつも通りになるだろ

 

雪乃「ハッ!私とした事が目の前の光景を受け入れる事が出来なかったわ」

 

俺が部屋に入ってから30分程が経った

いや、いくらなんでも遅すぎだからね

 

雪乃「由比ヶ浜さん!目を覚ましなさい!」

 

へっと間抜けな声を上げて由比ヶ浜は起きた

 

結衣「あれ、私…何してたんだっけ?」

 

雪乃「時間見て見なさい…」

 

結衣「ぇぇえええええ!?いつの間に30分も経ったの!?」

 

雪乃「それで、そこにいるイケメン谷君 説明して貰ってもいいかしら?」

 

結衣「やっぱヒッキーだったんだ!!遠目でわかんなかったけどその髪型どうしたの!? 」

 

めんどくせぇ… 適当にあしらっても面倒が増えるだけだし本当の事言うか…

 

八幡「実はな………」

 

雪乃「それで、三浦さんに呼び出されイケメンにされたってことね」

 

八幡「大体あってる」

 

結衣「でもさー、なんで優美子気付いたんだろうね?」

 

確かに…あいつが俺の事興味あるように見えないし なんならクラス全員から意識外に追いやられてるまでもある。

そんな中あいつは俺の髪を整えて眼鏡を付けさせて

所謂イケメンに仕立てあげた

 

雪乃「大方新幹線で貴方の寝顔でも見られたんじゃないかしら?目を瞑れば悪い顔ではないのだから」

 

目を開いたら悪い顔なんですね

言うまでもなかったか

 

八幡「でも慣れねーなこれ… 髪もなんだか違和感感じるし」

 

結衣「でもヒッキーカッコイイよ!」

 

雪乃「そうね、世間一般的に見れば魅力的な男性なんじゃないかしら?」

 

もし、恋人とかそういう関係じゃなかったら

それだけで照れていただろうな

それに世間一般的か…ちょっといつとの仕返ししてみるか

 

八幡「それじゃ、雪ノ下から見てみてはどうなんだ?世間とか関係なく、雪ノ下の主観でいい」

 

予想外の返しに雪ノ下がしどろもどろしてる

最近…いやずっとしてやられてばっかだったからな

たまにはこういうのもいいだろう

 

雪乃「え、えっと…その…か、カッコイイわよ

私は好きよ…比企谷君の事」

 

八幡「っ!?///」

 

ちょ!ちょっと何言ってくれてるんですか!

今な一言だけで精神力すげぇ持っていかれたんだけど

ここがもし二人きりとかなら間違いなく抱きついてキスしてたわ!

 

八幡「っ、お、おう…サンキュな」

 

結衣「むぅ〜私もヒッキーの事大好きだからね!!」

 

うおっ!抱きついてくるな!いい匂い、柔らかい、なんで女子の体ってこんなに柔らかいの?

てか雪ノ下さんそんな怖い顔で見ないで

いや、本当に怖いから…

 

八幡「ぉおう…ありがとな 俺も2人のことは、なんつーか…その嫌いじゃないぞ」

 

雪乃「ふふっ」

 

結衣「あはは」

 

なんだ?急に笑いだして

 

雪乃「やっぱり比企谷君は比企谷君ね」

 

結衣「そうだね!ヒッキーは捻デレさんだもんね!」

 

何だよ捻デレって…

確かに捻くれてるけどさ

 

八幡「おい、由比ヶ浜そろそろ退いてくれないか?」

 

結衣「え〜 いいじゃん!減るもんじゃないんだし」

 

それ男のセリフなそれも悪いほうの

 

雪乃「由比ヶ浜さん、離れましょうね」ニコ

 

笑顔が怖いですよ雪ノ下さん

いや、なんでこっちに向けてるんですか?

由比ヶ浜が標的じゃないの?

 

結衣「分かった〜」

そういい、自分の席に戻って行った

そして少し時間が経つと下校時間になったので

各々自宅に帰り始めた

 

 

 

雪乃「待ちなさい」

 

八幡「ん?」

 

校門にさしかかろうとしている頃に後ろから雪ノ下の声が聞こえてきた。

 

雪乃「学校出て少し離れた所に公園があるのだけれど、少しそこに寄らないかしら?」

 

こいつから誘ってくるだなんて珍しいな

偶に買い物とか付き合わされるけど

基本デートとか全部俺からだしな

 

八幡「いいけど、どうしたんだ?」

 

雪乃「いえ…」

 

そうして二人並んで歩き

近くの公園に向かった

 

 



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8話

八幡「それで、わざわざ公園に連れ出してどうしたんだ?」

 

学校を出て少し歩いた所にある公園のベンチに座り雪ノ下に問いかけた

 

雪乃「その、由比ヶ浜さんの事なのだけれど…」

 

雪ノ下が表情を暗くし俯いた

今までの雪ノ下からは考えられない位に

悩んでいる様子だ。いくら雪ノ下さんがちょっかいを掛けようが、こんな表情にはならなかった。

それ程に思い詰めているのだろう

 

雪乃「私達の関係を隠し通すのも限界と思うの」

 

それもそうだ。夏休みから付き合い始め、もう今は秋の半ば。もうすぐ生徒会選挙もあり、それを終えればすぐに冬がやってくる季節だ。

それ程長くの間 由比ヶ浜の事に隠していた

由比ヶ浜の好意に気が付きながらも俺達は

関係が壊れるのを恐れ、ずっと有耶無耶にしていた。

 

だけど、そんな関係は偽物だ。俺達が大嫌いな欺瞞そのものだ。だけど…それでもこの場所を守りたかった。

 

八幡「そう…だな」

 

由比ヶ浜は以前俺と雪ノ下が付き合っていると勘違いをし 奉仕部から離れていった事があった。彼女は人一倍空気を読んでしまうから 自分はその場に居ない方がいいと考えてしまう可能性がある。

 

だから俺達は逃げていた。

バレないように逃げ続けた

 

雪乃「この関係もそろそろ限界のようね…」

 

八幡「由比ヶ浜にどう告白するんだ?

下手したら逃げて行くかもしれん」

 

雪乃「そうね…」

 

少し考えるようなポーズを取り

目を瞑った そして数秒が経った

 

雪乃「……比企谷君…」

 

彼女はそっと目を開きこちらを向き

真剣な表情を向けてきた

 

雪乃「私達は別れた方がいいのかも…知れないわね」

 

言い終わるとそっと俯いた

 

八幡「……なぁ、雪ノ下」

 

雪乃「何かしら」

 

雪ノ下を抱きしめ言葉を紡いだ

 

八幡「俺は…俺はお前の事が…雪ノ下雪乃の事が大好きだ!だから、その… 俺はお前の為なら何を失ってもいいと思っている…だけどお前を失うのだけは嫌だ」

 

雪乃「私も…私も比企谷君の事が好き…大好き」

 

弱々しくもハッキリと言葉にしてくれた

それだけで小躍りしそうな程嬉しかった

 

八幡「んっ」

 

雪乃「んぁっ」

 

優しく口付けをし抱き合っていた腕を離した

 

 

 

陽乃「え……」

 

互いに少し距離を取った時に陽乃さんの存在に気がついた

 

八幡「あっ…」

 

雪乃「ね、姉さん…」

 

陽乃「あ、あはは〜ごめんね、私お邪魔だったね

ちょっと2人の姿を見かけて追いかけてみただけだから またね!」

 

言い終わると陽乃さんは物凄い勢いで走り去っていった

 

八幡「…見られたな」

 

雪乃「///」

 

八幡「……由比ヶ浜の事は2人でちゃんと考えような」

 

雪乃「えぇ」



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9話

それから特に何も無く奉仕部での日々を過ごしていった。由比ヶ浜には何も言えないまま時はドンドン過ぎていき、もうすぐ生徒会選挙が始まる季節になっていた

 

八幡「今日も暇だな…」

 

つい気が緩んで口が滑ってしまった

本来奉仕部は暇な方がいい

それだけ問題がないという事だから

だけれど最近は本当に依頼が来ない

 

結衣「そだねー」

 

良かった由比ヶ浜が反応してくれた

もし誰も反応してくれなかったら恥ずかしくて

部屋から出ていったまである

 

雪乃「貴方たちが来る前はこんなものだったわよ?」

 

俺たちが来る前か…

 

結衣「ねぇねぇ、ゆきのん」

 

由比ヶ浜が雪ノ下の方に向き興味津々そうな顔をしていた

 

結衣「ゆきのんとヒッキーが出会った頃ってどんな感じだったの?私が入ってきた時はもう仲良かったし」

 

由比ヶ浜が入った頃はまだ仲良くなかったぞ…どういう見方したら仲良く見えるんだ…

 

雪乃「そうね、比企谷君の第一印象は最悪に近かったわね…どうして私がこんな人の面倒を見らなきゃならないのって…」

 

八幡「あぁ、俺もコイツの事を嫌な女だと思ってたな…口を開けば毒を吐くし 何度泣きそうになったことか」

最後の言葉を聞いた雪ノ下が小さな声で「…え?」と申し訳なさそうな声を出していた

 

結衣「あはは…」

 

最近はこんな感じに何も無い平穏な日々だった

 

コンコン

 

久しぶりにドアがノックされると雪ノ下がいつも通りの凛々しい声で「どうぞ」と依頼者を招き入れた

 

めぐり「こんにちはー」

 

城廻先輩がやってきた

 

各々お久しぶりですと挨拶を済ませると

雪ノ下が要件を聞き始めた

 

めぐり「依頼のことなんだけどね、入ってきていいよー」

 

そう声をかけると廊下から麻色髪の少女が入ってきた

 

省略

 

 

 

八幡「要するに一色を落選させるために他の候補を探して欲しいと」

 

めぐり「うん!」

 

残念だがそれは不可能だろう

もし生徒会長になってもいいって人が居るのならもう立候補しているはずだ

 

雪乃「残念ですがその依頼をお受けする事は出来ません」

 

その時城廻先輩と一色の困惑の声がハモった

 

一色「ど、どうしてですか?奉仕部って困ってる生徒を助ける部活なんじゃないですか?」

 

一色が雪ノ下の方に向き 少し強めの言葉で問うた

 

雪乃「えぇ、そうよ」

 

一色「なら!」

 

このままじゃ埒が明かない

 

八幡「奉仕部の理念と異なるからだ」

 

一色「…どういうことですか?」

 

大分昔…俺が奉仕部に連れてこられた時に

雪ノ下が言っていたセリフを言った

 

八幡「餓えた人に魚を与えるのではなく、捕り方を教えて自立を促すの。これが奉仕部の理念だ。もしこれに準ずるなら策は出すが後はお前一人で頑張って乗り越えろって事だ。」

 

言い終えると一色は「そんなぁ…」って項垂れていた。多分城廻先輩にでも 奉仕部に行けば何とかなるとでも言われたのだろう。

 

八幡「でも、一色を落選させればいいんだろ?そんなの簡単だろ」

 

その言葉に一色は驚いた表情をし、雪ノ下と由比ヶ浜に関してはピンと来ていなかった。

 

八幡「応援演説の時にひどい内容のものを言ってもらって不信任になる それだけだ」

 

ふと雪ノ下の方を見ると呆れた表情でこめかみを押えていた。

すまんな、俺はこういうやり方しか知らないんだ

 

一色「でもーそんな事引き受けてくれる人は居るんですかー?」

 

八幡「…俺がやる」

 

そう言うと由比ヶ浜と雪ノ下が

「ヒッキー!」 「比企谷君!」

と少し怒鳴るような声を上げ立ち上がった

 

雪乃「そんなの認められるわけないじゃない!」

 

結衣「そうだよ!私達との約束忘れたの!?」

 

約束か…それを言われると弱いな

自己犠牲なやり方はしないと前にこいつらと約束して…結局破ってしまった。

 

結衣「それに…1番頑張ってたヒッキーが、非難されるのを見るのも辛いんだよ」

 

今にも泣きそうになりながらも言葉を紡いだ

 

八幡「すまん…」

 

謝ることしか出来なかった

自分の事をここまで思ってくれる人が居るのに気がついてあげられなかった自分の愚かさ…あれだけ言われたのに成長しない俺自身への憤り…そんなものが俺の中で蠢いた

 

でもそうなるとどうやって一色を不信任にするか…

 

雪乃「あっ」

 

雪ノ下が何かを思いついたかのように声を出した

 

雪乃「そもそも何故私達が解決しないといけないのかしら?」

 

雪ノ下の発言にそこにいた皆多種多様な反応をした

 

めぐり「えっと、それって何で奉仕部がこんな問題を解決しなきゃいけないのって事でいいのかな?」

 

少し困った顔をした城廻先輩

まぁ普通に考えればそう捉えるよな…普通なら

だけれど雪ノ下はそれを否定した

 

八幡「…要するに一色の今の現状自体を問題にしてしまえばいいって事だろ?」

 

雪ノ下に変わり俺がコイツらにも分かるように代弁した

 

雪乃「えぇ、だってこれは列記とした苛め行為…だとしたら教師が動かなければいけないはずよ」

 

八幡「それに一色…さっき言ってたよな?「推薦された」って」

 

いろは「はい…それがどうしたんですか?」

 

八幡「まだ分からないか?」

 

雪乃「推薦の署名書を利用するのよ」

 

いろは「でもそれって、上手くかわされませんかね?私たちは本当に一色さんがいいと思ってーとか」

 

八幡「確かにそうなるかもしれないが

そこが狙いなんだ。幾つか案はあるが例えば

そいつらを呼び出してどうして

推薦したか先生の前じゃない所で聞き出す。

そうすると多分何人かボロを出すだろ。

「あんたが落選する姿を見たい」だとか

普段から態度が気に入らない」

だとか他のことも…それを録音し先生に渡す

それでもダメだったら

全校生徒の目の前で推薦してきた

やつの名前を出し この人達から

イジメを受けてここに立たされています

と言って、録音した音声を流せば確実に

問題になってくれるだろ」

 

雪乃「私はそこまでやるつもりは無かったのだけれど…概ね彼と一緒の意見よ」

 

少し引き気味に雪ノ下がフォロー?を入れてくれた

 

結衣「ヒッキーって結構根に持つタイプなんだね…」

 

一色「でもそれって私の評判下がりませんかね?」

 

どうだろうな…男共は可哀想な悲劇のヒロインとして扱ってくれそうだか…

結衣「ん?おかしくない?やられたからやり返しただけでしょ?悪いのは最初に手を出してきたほうじゃないの?」

 

アホだがナイスな意見だ由比ヶ浜!

 

めぐり「今ここで解決案を出すのも難しそうだから一旦帰ろっか…それに比企谷君や雪ノ下さんが言ってたように1度先生にも相談してみよ?」

 

一色「分かりました…先輩方ありがとうございます」

 

頭を下げ一色が出ていった

 

めぐり「それじゃ、またくるねー」

 

そう言い残し部屋を出ていった

 

結衣「ヒッキー…何企んでるの?」

 

八幡「ふぇえ!?」

 

雪乃「ちょっと、そんな気持ちの悪い声を出さないでくれるかしら?」

 

気持ち悪いって…いやキモかったか

 

雪乃「貴方、後で一色さんと接触するつもりだったでしょ」

 

八幡「……なんで分かった」

 

雪乃「あまり私のことを舐めないで欲しいわね 貴方の考えてることなんてだいたい分かるわよ ずっと見ていたのだから」

 

結衣「ゆきのん!?」

 

八幡「はっ?」

 

自分が言ったことを理解したのか 顔を赤くし俯いてしまった…うん可愛い 写真撮りたい

そんなことしたら後が怖いからしないけどね

 

結衣「ヒッキー嘘つくの下手すぎだし…ヒッキーの事だからいろはちゃんを煽って生徒会長にさせようとでも考えてたんじゃないの?もしそんな事をしたら イジメに屈服したと言っているようなものだろとか言って…」

 

何でもお見通しかよ…あそこで録音やら問題やら言ったのは早く帰らせるためのブラフ 本当に必要なのは一色に生徒会長をやらせるか本当に代打をたてるかしかない。

 

八幡「ったく…お前らに隠し事はできねぇな」

 

頭を掻きながら雑に言葉を吐き捨てた

 

 

 




長々となってすみません
途中で帰ったから自分も何が言いたいの?ってなりながら書いていましたw


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