最強陰陽師の幼なじみ リメイク (紅ヶ霞 夢涯)
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第1話


 リメイク前の方の作品で感想をいただき、リメイクして投稿することにしました。前作とはオリ主の能力等を変えていきます。


 

 私、外院澪には幼なじみがいる。

 

 中性的と言うには少しばかり女性に近過ぎる顔立ちの少年。

 

 彼の名は鵜宮天馬。土御門島で最大規模を誇る鵜宮家、その第六宗家の末弟だ。

 

 普通の人だと知り合いならまだしも幼なじみなどという関係にはなれないだろうが、外院家は鵜宮家の傘下筆頭を務めている。

 

 なので以前に私は天馬以外にも、年の近い鵜宮家の人とは顔を合わせてた。

 

 現在11歳の泉里さんと八尋君に左馬之助君。一番年下で9歳の光ちゃん。

 

 彼ら五人の中で私は天馬と同い年だったのもあって、幼なじみと言えるほど仲がよくなった…と思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………………………まぁ、だからと言って

 

 

「だからって私を貴方のサボリに付き合わせるのは、もうそろそろ止したらどうですか?こっちは天馬と違ってそこそこ真面目なんですけど」

 

 取り出した懐中時計で時間を確かめる。既に日が昇ってから数時間が経ち、とっくに遅刻しましたでは済まないような時間帯。

 

 私と天馬は言葉を交わしながら学校に続く道を歩いていた。

 

「嘘言ってんじゃねぇぞ澪、んん?俺よか少しばかりマシってだけだろうが」

 

 天馬の言葉に軽くため息を吐く。その少しが大きいのだ、なんて言ってもどうせ彼は聞きはしない。

 

「それに今更俺らが真面目に通ったところで意味があるとでも思ってんのか?んなのありゃしねえよ。つまりどんだけ遅刻したって構わねーわけ」

 

「また捻くれたこと言いますねぇ」

 

 まぁ私はともかく天馬はそう思っても仕方ないのかもしれない。

 

 私たちが学校に入った年に開かれた二年に一度の御前試合ーーー波達羅盈城(はだらえじょう)御前試合で、天馬は今代の十二天将の一人、『白虎』である天若清弦さんと引き分けている。

 

 それほどの実力がありながら学校に通うというのは酷く退屈なのだと思う。元から天馬は協調性などが低い性格なので尚更に。

 

「そんなだから友達いないんですよ、貴方は。それこそ清陽院で人付き合いのやり方でも学べばいいのでは?」

 

 最低限の協調性とか社交性くらい身に付けた方がいいと思って言ってみたけど、本当にそれくらいしか天馬が学校で学べることはないのでは?

 

「………ま、気が向いたらな」

 

「絶対に思ってないですよねそれ」

 

 少し早足になった天馬と歩幅を合わせて私も早足で歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

「こらぁ!お前たちまた遅刻か!」

 

 学校に着いた私たちを迎えたのは、もはや馴染みですらある教師の怒声。

 

「他の鵜宮の仲間に恥をかかせるようなことをするんじゃない!外院も家の恥になるような真似は慎め!」

 

「すいませ~んw」

 

「ごめんなさい。次からは善処します」

 

「お前らそんなこと言って遅刻しなかったことないだろう」

 

 もはや遅刻魔と言っていい私たちの担当にいつの間にかなってしまった男性教師は、竹刀を片手に呆れたと言いたげな表情を見せる。

 

「しょうがないじゃないですか、つまらないんですから。ねぇ天馬?」

 

「間違いねーな、んん?」

 

 天馬と顔を見合わて笑う。

 

 言い訳になるかもしれないけど、私も天馬も双方共に自身が「天才」であると自覚し謙遜することもない。まぁ自分から言いふらしたりはないけど。

 

 ついでに言えば私の場合、天馬から誘われているという事情が一応ある。

 

 仮にも天将十二家の直系なのだから、天馬は普通に身分が高い。例え「一緒に学校をサボるぞ」という旨の誘いでも、よほどのことがないと断ったりするべきでない。

 

 まぁそれもただの理由付けで私がサボりたいだけだ。

 

「鸕宮天馬、外院澪!」

 

 校舎の廊下を歩いていると、後ろからあまり友好的でないが掛けられた。

 



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第2話

 思えば書きたい結末や使いたい能力が変わっただけで、ほとんど前作と変わらないのかも知れません。


 後ろに振り向けば、そこにいたのは一つ下の学年である男子。

 

「お前たちというやつは、どうしてそんなにやる気がないんだ!」

 

「んん~~~?」

 

「どうしてって言われてもやる気が出ないものは出ないんですよ、士門君。そんなことより、今朝の合同演習はどうでした?」

 

 何かと天馬に突っかかる彼の名前は斑鳩士門。後方に向けて尖った赤い髪と大きな眼鏡をしているのが特徴の少年だ。

 

 彼もまた天馬と同じ天将十二家の一つ、斑鳩家の人間である。外院周助ーーー養父から聞いた話だと何やら複雑な事情をお持ちのようで、分家の人間でありながら今は本家の方でお世話になっているらしい。

 

「学年いっこ下のてめぇには関係ねぇだ「ある!合同小隊演習で俺たちは同じグループなんだ!」

 

 面倒そうに口を開く天馬の言葉を遮って、士門君は更に詰め寄ってくる。どうにも根っから真面目である彼は天馬との仲が良くない。

 

「お前たちが朝練をサボったせいで、俺たちのグループだけ今朝何もできなかったんだぞ!!」

 

「うるせぇなぁ~~~。仲間なんて俺には必要ないって言ってるだろ!」

 

「……」

 

 天馬の放った何気ない発言に思わず顔が歪む。

 

 天馬がそんな風に常から考えていることは知っているのに………それでも彼の口からそんなことが出るのは何だか嫌なものがある。

 

「あっ……澪、」

 

 天馬が私の方を見て何か言おうとしたが、そのタイミングで士門君が力強く拳を握り言葉を続ける。

 

「お前はっ………、諸先輩方に申し訳ないとは思わないのかっ!!俺は鵜宮の方々は皆素晴らしい陰陽師ばかりだと思っていたのにっ…!!」

 

「じゃあてめぇが鵜宮家に入ればいいだろ斑鳩が嫌なら代わってやろうか?」

 

 やや早口でそう士門君に言う天馬から目を逸らし、私は先に教室に行くことにした。

 

「お前という男は~~~~っ!!!」

 

「やんのかぁあ~~~~~っ!!?」

 

 聞こえてくる内容から二人が取っ組み合いを始めそうだなぁと思ったその時、一人の女の子の声が聞こえた。

 

「やめなさい、二人共!」

 

 肩越しに振り返った視界に入るのは、いかにも委員長然とした女子。

 

 鵜宮泉里、12歳。ほとんどの人が次の鵜宮家当主と目する人だ。

 

 目が合ったので彼女に軽く会釈して階段の方に足を進めてたら、無言で天馬が私の横に並んできた。

 

「……相も変わらず、泉里さんには弱いですね貴方は」

 

「うるせぇ」

 

 天馬と士門君との間で諍いが起こるのはいつものことだし、それを泉里さんが止めるのだって見慣れた光景なのだ。

 

「…………なぁ澪、さっきのは」

 

「別に気にしてないですよ」

 

 そう言うと天馬は「嘘だ」と言いたげな表情をする。まぁ確かに何かしら思うところがあるのは事実だが。

 

「だって別に仲間という関係でないと、天馬の隣に居られないってわけでもありませんから」

 

「……そうかよ」

 

 そう言った天馬が教室の扉を開けたその瞬間、唐突に彼は険しい顔になって動きを止めた。

 



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