都々逸(どどいつ) (紫 李鳥)
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【其の一】~【其の六】

【其の一】

 

 

 

 

 つまらぬ妻も

 

 居ぬ()よりましと

 

 おっとりしてる

 

 夫say(オットセイ)

 

 

 

 マンガにPC

 

 シャワーも付いて

 

 満喫してる

 

 マン喫を

 

 

 

 過保護育ちの

 

 あいつのメール

 

 反故にしようか

 

 保護しよか

 

 

 

 こころ着飾る

 

 あいつの話

 

 なんも聞かざる

 

 ほうがいい

 

 

 

 あなたアイスで

 

 わたしはホット

 

 愛する人と

 

 ホッとする

 

 

 

 わたしゃあんたの

 

 惚れてるボタン

 

 袖にしながら

 

 ほころびる

 

 

 

 添い寝するのに

 

 枕は要らぬ

 

 主の(かいな)

 

 あればいい

 

 

 

 

 

【其の二】※イチハツ(アヤメ科)

 

 

 

 わたしゃアヤメよ

 

 ぬしゃ一八(イチハツ)

 

 一か八かで

 

 ショウブする

 

 

 

 君は届かぬ

 

 高嶺の花よ

 

 せめて上げたや

 

 高値の花を

 

 

 

 差しつ差されつ

 

 酒酌み交わしゃ

 

 頬に日が射す

 

 紅が注す

 

 

 

 ぼくは和尚に

 

 拾われた犬

 

 オテにオスワリ

 

 フセ(布施)をする

 

 

 

 わたしゃ畑よ

 

 ぬしゃ農機具よ

 

 スキスキスキで

 

 田が痩せる(耕せる)

 

 

 

 君は紫陽花

 

 移り気な花

 

 そのきにさせて

 

 きが変わる

 

 

 

 愛の旅路に

 

 明かりは要らぬ

 

 主の恋路が

 

 灯を点す

 

 

 

 

 

 

【其の三】

 

 

 

 私ゃ夕顔

 

 主ゃ朝顔よ

 

 見頃時頃に

 

 ズレがある

 

 

 

 いくら栄えた

 

 帝国だって

 

 士気が下がれば

 

 色褪せる

 

 

 

 陰でこそこそ

 

 するから浮気

 

 めんと向かえば

 

 コシがある

 

 

 

 米の二合は

 

 釜でも炊ける

 

 小目の二号は

 

 ()けやせぬ

 

 

 

 あんた入れ歯で

 

 わしゃ枯れ尾花

 

 そんな彼でも

 

 いればいい

 

 

 

 わたしゃ柳よ

 

 土手いる柳

 

 こんなところに

 

 どているの?

 

 

 

 梅雨は明けても

 

 気持ちは晴れぬ

 

 主の気持ちも

 

 つゆ知らず

 

 

 

 

 

【其の四】

 

 

 

 和紙の短冊

 

 墨入れするは

 

 隅に置けない

 

 主のこと

 

 

 

 わたしゃあんたの

 

 恋文だもの

 

 もじもじしたら

 

 恥をかく

 

 

 

 右も左も

 

 わからぬときゃあ

 

 犬が西向きゃ

 

 尾は東

 

 

 

 口にゃ出さぬが

 

 顔には出てる

 

 忍という字の

 

 刃のものが

 

 

 

 わたしゃ孫の手

 

 主ゃ奥の手よ

 

 痒いところに

 

 手が届く

 

 

 

 君と逢うときゃ

 

 防弾チョッキ

 

 肘の鉄砲

 

 喰らうから

 

 

 

 彼に逢いたや

 

 七夕祭り

 

 まつり縫いした

 

 浴衣着て

  

 

 

 

 

【其の五】

 

 

 

 火の粉散らすは

 

 県下の花火

 

 火花散らすは

 

 口喧嘩

 

 

 

 惚れているのに

 

 不知火(知らない)素振り

 

 主の気持ちは

 

 蜃気楼

 

 

 

 君を釣りたや

 

 祭りの晩に

 

 糸もまつりで

 

 絡み合い

 

 

 

 切歯扼腕(せっしやくわん)

 

 ひらがなにすりゃ

 

 拙者(せっしゃ)喰わんと

 

 読めもする

 

 

 

 胡散臭(うさんくさ)いは

 

 嫌いなお方

 

 好きなお方は

 

 水臭い

 

 

 

 蟻が(とお)なら

 

 芋虫ゃ二十歳(はたち)

 

 四十(始終)私は

 

 サバを読む

 

 

 

 夏もさまざま

 

 様子も変わる

 

 これがほんとの

 

 サマー変わり

 

 

 

 

 

【其の六】

 

 

 

 好きの反対

 

 嫌いだけれど

 

 スキの反対

 

 kissになる

 

 

 

 娘盛りは

 

 恋する盛り

 

 それもそのはず

 

 食い盛り

 

 

 

 季節違えど

 

 木も違えども

 

 夏に鴬

 

 鳴きもする

 

 

 

 好きな男にゃ

 

 妻子があって

 

 嫌な男にゃ

 

 金がある

 

 

 

 二兎を追う者

 

 一兎も得ずよ

 

 二兎を得たくば

 

 一途(いっと)なれ

 

 

 

 主の奥義(おうぎ)

 

 (かた)くてならぬ

 

 私ゃやさしい

 

 舞扇

 

 

 

 浴衣美人に

 

 見とれていたら

 

 実取れついでに

 

 (飽き)が来た

 

 

 

 



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